安全保障特別委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1988/03/22
会議録
○箕輪委員長 これより会議を開きます。 国の安全保障に関する件について調査を進めます。 外務大臣から、我が国の安全保障政策について、また防衛庁長官から、防衛政策の基本に関し、それぞれ説明を求めます。宇野外務大臣。
○宇野国務大臣 衆議院安全保障特別委員会の開会に当たりまして、我が国の安全保障政策について、所信の一端を申し述べたいと思います。 我が国の安全の確保が、我が国の繁栄と発展の基盤であることは申すまでもありません。今日、我が国を取り巻く戦略的環境と国際社会における我が国の地位を十分認識し、自由と民主主義を掲げる我が国の存立基盤を一層確固たるものとするため、我が国といたしまして何をなし得るか、また何をなすべきかにつき、広い視野のもとでの真剣な検討が必要とされております。 私自身、かかる時期に外務大臣を拝命し、我が国の安全保障政策遂行の任に当たる者として、その使命と責任を全うすべく最大限の努力を図ってまいる決意であります。 昨年十二月に米ソ間でINF条約が署名され中距離核戦力のグローバルな全廃が実現される運びとなったことは御承知のとおりであり、我が国は、同条約を核軍縮の第一歩として高く評価するものであります。同条約の交渉過程において、今日の軍縮問題は地球規模で検討されるべきであり、また、東西間での軍備管理合意実現のためには西側諸国の結束が不可欠であることが改めて明らかとなりました。かかる観点から、我が国といたしましては、今後とも米国を初めとする西側先進民主主義諸国との一層の連帯と協調を図るとともに、米国の交渉努力を支持しつつ、軍備管理・軍縮の進展に貢献してまいる所存であります。もとより軍備管理・軍縮は関係諸国の安全保障を高めるものでなければならず、核を含む力の均衡と抑止により世界の平和と安定が維持されている現実のもとで、より低いレベルで、均衡がとれ、実効的な軍縮措置が実現するよう、一歩一歩着実な努力を重ねていくことが重要であります。我が国といたしましては、来るべき第三回国連軍縮特別総会においても、かかる立場を踏まえ、真に実効的な軍備管理・軍縮の促進を訴えてまいる考えであります。 東西関係改善のためには、幅広い対話を通ずる相互理解の増進が不可欠であります。我が国といたしましても、かかる観点から東側諸国との相互理解に努める考えであり、特に、重要な隣人であるソ連との間では、対話の強化拡大を図りつつ、領土問題を解決して平和条約を締結することにより、真の相互理解に基づく安定的な日ソ関係を確立することが、今後とも不動の方針であります。 アジア・太平洋地域の一員である我が国にとって、この地域の平和と安定の維持増進は我が国の安全にとって不可欠であります。我が国といたしましては、平和国家としての立場から、国際社会において安全保障の面で我が国に期待されている役割を果たすべく、域内外の種々の地域問題の平和的解決に向けて、志を同じくする国々とも協力しつつ、今後とも積極的な努力を行ってまいる所存であります。 さらに我が国といたしましては、経済協力の拡大を通じて開発途上地域の安定と発展に寄与することが一層求められております。政府開発援助の七カ年倍増目標の二年繰り上げ実施、資金還流措置の具体化を初めとして、経済協力の量的拡大と質の改善を図り、途上国の多様な二ーズに合致した援助実施に努め、我が国の国際的地位にふさわしい貢献を行うことは国際的な責務でもあります。 以上に申し述べました積極的な外交努力により、我が国を取り巻く国際環境をできる限り平和で安定的なものとすることが我が国の安全保障政策の柱の一つでありますが、同時に我が国は、必要最小限の防衛力整備とともに日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用に努めることにより、我が国の安全を確保することとしております。 「日米防衛協力のための指針」に基づく研究の推進、共同訓練の実施、対米武器技術供与取り決めの締結、SDI研究計画参加に係る政府間協定の締結、在日米軍労務費特別協定の締結及びその改正へ向けての協議等、安全保障面での日米協力関係は着実に進展してきておりますが、空母艦載機の夜間訓練場の確保、米軍家族住宅の建設等、解決すべき多くの問題も残されております。政府といたしましては、日米安全保障体制の基礎をなす米軍の我が国駐留を効果的なものとするためにも、これらの問題について関係各位の御理解を得つつ解決を図ってまいる所存であります。我が国自身の防衛力と日米安全保障体制とが相まって、いかなる態様の侵略にも対応し得る体制を保持し、もって侵略を未然に防止することが確保されるものでありますが、日米安全保障体制が常に有効に機能するよう、我が国として不断の努力を重ねてまいることが重要であると考える次第であります。 以上、我が国の安全保障政策につき所信の一端を申し述べましたが、我が国は今や、世界の動向に大きなかかわりを持つ重要なメンバーとなるに至っており、世界の平和と安定の維持増進のため、我が国に期待される役割を果たすべく諸施策を積極的に展開していかなければなりません。かかる状況のもとで、安全保障問題に精通され、多年にわたってこれに真剣に取り組んでこられました本委員会の皆様方の御指導と御鞭撻を引き続き賜り、外務大臣の重責を無事果たせますよう、皆様の御協力をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○箕輪委員長 次に、瓦防衛庁長官。
○瓦国務大臣 平素から我が国の安全保障に深い関心を持たれ御指導をいただいている安全保障特別委員会の皆様に、私の所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。 御案内のとおり、昨年十二月に開催された米ソ首脳会談において、アジアを含むグローバルな規模での地上発射のINFミサイルの全廃を内容とする条約が署名されました。この条約は、現存する特定の核兵器の全廃及び現地査察を含む厳格な検証の実施の二点において画期的な意義を有するものであり、軍備管理・軍縮の実質的な進展を強く期待してきた我が国としても高く評価しております。 他方、今回全廃することが合意されたINFは、世界全体に存在する核兵器の一部にすぎず、今日の国際社会においては、核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止が平和と安定を支えていることも冷厳な事実であります。また、我が国周辺におきましては、極東ソ連軍の質量両面にわたる増強とこれに伴う行動の活発化により、我が国に対する潜在的脅威が増大しております。 このように依然として厳しい国際軍事情勢のもとにあって国の平和と安全を確保するため、我が国としては、日米安全保障体制を堅持し、自衛のため必要な限度において、質の高い防衛力の整備を行っていくことが必要であると考えております。 このため、政府は、防衛力の整備に当たり、「防衛計画の大綱」に定める我が国が平時から保有しておくべき防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施に努めることとしております。 昭和六十三年度防衛予算についても、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、極力、全体規模の圧縮に努める一方、中期防衛力整備計画の第三年度目として、質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう正面装備の質的充実に努める一方、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上、隊員施策の推進等の後方部門を重視し、所要の経費を計上いたしたものであります。 なお、中期防衛力整備計画後の昭和六十六年度以降の防衛力整備のあり方については、今後、安全保障会議等において御審議いただくことになろうと思いますが、私としては、長期的な視点に立って計画的に進めるべきとの観点から、引き続き中期的な防衛力整備計画を策定することが望ましいと考えており、年内にもその検討に着手いたしたいと考えております。 また、我が国は、防衛力の整備と並ぶ国の防衛の柱である日米安全保障体制の信頼性の向上のため、不断の努力を行う必要があると考えており、両国防衛首脳の会談を初めあらゆる機会をとらえて間断のない対話を行うと同時に、「日米防衛協力のための指針」に基づく共同作戦計画の研究等の推進、日米共同訓練の積極的実施、装備・技術面における協力関係の一層の緊密化、在日米軍駐留経費の負担等、両国の信頼関係を揺るぎないものとするよう努めてまいる所存であります。 その一環として、去る一月、私は米国を訪問し、カールッチ国防長官と率直な意見の交換を行ってまいりました。この会談においては、国際情勢や我が国の防衛努力等について話し合うとともに、私の提案により、今後、FSXにとどまらず、各種の装備について日米の共同開発を推進していくこと及び日米間で有事来援の研究を行っていくことで意見が一致しました。 我が国有事の際、米軍の来援が確実かつ時宜を得て行われるか否かは、日米安全保障体制が有効に機能し得るか否かの核心でありますので、この有事来援研究はぜひとも必要なものであります。本研究は、「日米防衛協力のための指針」に基づく研究の一環として行われることとなるものでありますが、具体的な開始時期、研究内容等は今後日米間で検討していきたいと考えております。 なお、我が国の防衛にとって必要不可欠な自衛隊や在日米軍の施設を確保するとともに、その安定的使用のため、防衛施設と周辺地域との調和を図るべく、防衛施設周辺の生活環境の整備等の諸施策につきましても引き続き積極的に推進してまいる所存であります。 今日、我が国は、自由主義諸国の有力な一員として、みずからの平和と安全を確保するため努力していくべきことは言うまでもありません。政府としては、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならず、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力の整備を進めていく所存であり、私は、この基本的考えのもとに我が国防衛に対する国民の理解と協力を求めていくことが、私に課せられた責任であると自覚いたしております。 終わりに、我が国の安全保障に関し幅広く論議される場である当委員会での御審議を通じ一層の御鞭撻を賜ることをお願いして、私の所信表明とさせていただきます。(拍手)
○箕輪委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後零時十四分散会