農林水産委員会 第1号
- 発言数
- 250 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1987/12/09
会議録
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十一月十九日、坂野重信君が委員を辞任され、その補欠として星長治君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(岡部三郎君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、農林水産政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(岡部三郎君) 次に、農林水産政策に関する調査を議題といたします。 まず、先般本委員会が行いました農林水産業の実情調査のための委員派遣につき、派遣委員の報告を聴取いたします。 第一班の報告をお願いいたします。稲村君。
○稲村稔夫君 調査の概要を御報告申し上げます。 去る十一月十七日から十九日までの三日間にわたり長崎県及び宮崎県の農林水産業の実情を調査してまいりました。 派遣委員は、岡部委員長、宮島理事、初村委員、上杉委員それに私、稲村稔夫の五名であります。また、宮崎県においては、坂元議員が現地参加をされました。 現地に到着しますや、県を初め地元関係者から農林水産業の現状やその要望を聞き、あるいは懇談の形で意見の交換を行いました。 両県とも農畜産物の需給の不均衡、価格の低迷、林業における長期に、わたる木材需要の低迷、また、水産業における国際的操業規制の強化、水産物需要の伸び悩み等極めて厳しい環境にあり、さらに諸外国の市場開放要求の一層の高まり、円高の進行等について苦境が訴えられたのであります。 まず、長崎県におきましては、このような厳しい時代に当たり、長崎県らしい農林水産業の振興に全力で取り組んでいるとのことてあります。すなわち、農業については、その発展方向として園芸と畜産の振興を大きな柱として位置づけ、特に園芸については、五年後を目標とした「園芸 一〇〇〇億構想」を新たに掲げ、総合的な園芸振興を進めているとのことであります。 水産業については、基幹産業として、漁業生産基盤の整備、栽培漁業の推進などについて施策を進めているとのことであります。 また、本県は、台風十二号等によって大きな農林水産被害をこうむったのでありますが、現在、順調に復旧がなされているとのことでありまして、引き続き強力な御支援、御指導をお願いしたいとの要請を受けました。一日も早い復旧を待望するものであります。 以下、調査日程に従って、御報告いたします。 まず、農業基盤整備事業についてであります。本県の農用地は、地理的制約から小規模団地が多く、整備水準が低いのでありますが、それだけに地元のこの事業に対する要望は強いものがありました。 東彼杵町の県営圃場整備事業において、圃場の区画整理、農道及び用排水路等の整備の実施状況を、諌早市においては、諌早干拓事業の経緯と事業計画を見聞し、地元の期待の大きさに触れたのであります。 園芸は、本県において極めて重要な位置づけがなされておりますが、佐世保市においてバラ生産農家を訪れました。六十年に農林水産大臣賞を受けたほどの優良な花卉経営を行っております。一本一本の質を重視することを経営の基本としており、市場の情報の収集に一番頭を痛めるとのことでありました。 同じく佐世保市において農産物流通加工センターに行きました。ここでは、農産物、畜産物を安定した価格で農家より引き取り、これを加工処理して付加価値を高め、流通販売の拠点としての役割を果たしております。タカナの漬け込みの実情を見ましたが、県内外への出荷が急速に伸びているとのことであります。 本年の台風十二号によって新長崎漁港は大きな被害を受けたのでありますが、堤防の決壊の実情に触れ、被害のすさまじさに驚いたのであります。この漁港は、水揚げから流通まで一貫した近代的施設を保有することを目指しているものでありまして、一日も早い改良復旧を願うものであります。 次に、宮崎県でありますが、ここでは、農林水産業、観光、工業を三本柱として日本一住みよい県を目指しているとのことであります。 農業においては、ピーマンの生産量全国一位、ブロイラー飼養羽数全国一位、肉用牛飼養頭数全国三位という実績を今後も生かして、日本の食糧基地を目指して足腰の強い農業を育成するとの強い意欲を伺ったのであります。 林業については、森林面積は、県土の七六%であり、素材生産量全国三位、干しシイタケの生産量全国二位の実績を生かし、今後とも、国内外の市場開拓、木材利用の開発など木材需要の拡大に努め、フォレストピア構想(森林理想郷)の推進を図りたいとのことでありました。 以下調査日程に従って、御報告いたします。 まず、新富町の宮崎県鰻加工事業協同組合であります。この組合は、六十二年、組合員の生産するウナギの加工販売事業を実施するため設立されたものでありまして、宮崎県産ウナギの銘柄の確立と付加価値を高めることを大いに期待されております。 本県において野菜は、冬期の温暖多照の恵まれた条件を生かして発展してきておりまして、施設栽培については、我が国有数の産地であります。 花卉については、近年の急激な需要増加に伴って本格的な栽培が始まり、生産も増加しております。西都市においては全国一のピーマン団地の案出荷施設の状況を、新富町においては、脱サラの農家の子弟を中核とする洋ラン団地を見ました。いずれも今後の発展の核となることが期待されております。 本県の耕地の整備率は全国水準よりおくれており、土地改良事業に対する要望は強かったのでありまして、一ツ瀬川土地改良事業の実情を見ました。この地域は火山灰土壌から成り、用水不足のため低生産を余儀なくされていたところであります。畑地かんがいを中心に事業が進んでおりますが、今後の生産力の向上が期待されております。 綾町においては、木造で再建された綾城、森林の生んだ工芸を生かすという綾国際クラフトの城、碁盤製作所、そばしょうちゅう等を製造する雲海酒造を訪ね、照葉大つり橋からする雄大な照葉樹林帯を眺望したのであります。 宮崎市においては、宮崎椎茸事業協同組合を訪ねました。本県の干しシイタケ生産量は、全国の一二%に当たりますが、現在品質日本一を目指して努力中とのことであります。宮崎県シイタケの銘柄確立が期待されております。 なお、長崎県及び宮崎県の農林水産業に関する県を初め地元関係者からの要望の詳細については、会議録の末尾に掲載したいと存じますので御了承を賜りたいと存じます。 最後に、今回の調査に当たって、非常な御高配をいただきました方々に対し深甚の謝意を表しまして、報告を終わります。 以上であります。
○委員長(岡部三郎君) ありがとうございました。 ただいまの報告にありました現地の要望につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。 次に、第二班の報告をお願いいたします。水谷君。
○水谷力君 委員派遣の報告を申し上げます。 本調査団は、去る十一月十九日から二十一日までの三日間にわたり、山形、福島両県におきまして、農林水産業の実情を調査してまいりました。派遣委員は、鈴木委員、下田委員、喜屋武委員、山田委員、それに私、水谷力の五名でありました。 以下、日程に沿って調査の概要を御報告申し上げます。 日程前半に視察いたしました山形県は、東北地方の西南端に位置し、豊かな自然と先人のたゆまざる努力により全国有数の農業県としての地位を確保し、国民食料の供給に大きく貢献してきたのであります。すなわち、農業生産を見ますと、稲作ではササニシキを中心とする銘柄米産地として全国的にも極めて高い評価を得ているほか、畜産、果樹、野菜等においても良質な農産物の産地となっております。特に、果樹につきましては、西洋ナシ及び桜桃は全国第一位、ブドウは全国第二位、リンゴは全国第三位となっているほか、桃、カキ等においても全国で屈指の生産県となっております。また、農家の実母を見ますと、農家世帯数が全世帯数の二八%、農業所得が農家所得の三四%を占め、全国水準と比べて非常に高い割合になっております。 現地におきましては、転作等目標面積の増加を行わないこと、水田農業確立助成補助金については現行単価を維持すること、良質米奨励金の現行水準を確保すること、食糧管理制度の根幹を堅持すること、農産物十二品目の輸入自由化を阻止すること等が要望されております。 以下、我々が視察いたしました主な箇所について述べたいと存じます。 まず、天童市の天童木工であります。ここでは優秀な加工技術とセンスのよいデザインをベースにして、優美で丈夫な曲線を特徴とした高級家具を製造しております。林産業界は厳しい状況の中にありますが、このように高品質の製品は国内はもとより海外でも高い評価を得ているのであります。 次は、寒河江市の花卉温室組合であります。ここでは県と市の補助を得て、バラとシクラメンを栽培しております。この付近は水稲を中心に、花卉、果樹、野菜等を組み合わせた典型的な複合経営地帯となっており、土地収益性の高い施設園芸に大きな期待が寄せられているのであります。 次は、朝日町のリンゴ集出荷施設であります。ここから出荷されるリンゴは、無袋みつ入りリンゴとして消費地で好評を博しております。ただ、リンゴは桜桃、ブドウ等とともに需給が緩和状況 にあるため、原則として転作の対象作物となっておりませんが、現地においては現状の是正が望まれております。 山形県で最後に視察いたしましたのは、朝日町の山形果実酒製造有限会社であります。ここでは朝日町と朝日農協の出資による第三セクター方式で、地域特産品開発の一環として、ワインを製造しております。我々は現在に至るまでに数々の御苦労をなされたという説明を拝聴いたしまして、大変感銘を受けたのであります。 山形県での日程を終えた後、福島県に入りました。本県は、東北地方の南端に位置し、耕地面積で全国第四位という極めて広い農村社会を抱える農業県であります。すなわち、農業生産を見ますと、かんきつ類等を除き我が国で生産されております大部分の作物が栽培され、特に、キュウリ、サヤインゲン及び葉たばこは全国第一位、繭、桃、小豆及び薬用ニンジンは全国第二位、バレイショ、トマト及びコンニャクは全国第三位の生産量を誇っております。また、農家の実情を見ますと、農家世帯数が全世帯数の二四%、農家人口が全人口の三三%であり、全国的にも非常に高くなっております。 現地におきましては、転作等目標面積の増加を行わないこと、水田農業確立助成補助金については現行水準を維持すること、農業基盤整備事業の促進、林野公共事業の促進、会津地区広域営農団地農道整備事業の促進、大規模林道米沢・下郷線事業の促進等が要望されております。 以下、我々が視察いたしました主な箇所について申し述べたいと思います。 まず、安達町の県営総合農地開発事業東北地区と福島市の国営農地開発事業吾妻小富士地区であります。どちらも山林を農地として開発する事業であり、それに対する御努力は並み外れたものであったと御推察を申し上げます。なお、吾妻小富士地区においては、土地利用についての再検討の要望を承りました。また、東北地区ではあたり一面がリンゴ畑として整備されております。 次は、本郷町のリンゴ生産組合であります。ここでは作付面積の大部分が水田からの転作でありますが、この転作促進特別対策事業により転作面積の完全消化と農家所得の増加が図られたのであります。 次は、緑の村展示館と、いなわしろ淡水魚館であります。猪苗代地区では自然活用型農村地域農業構造改善事業、内水面総合振興対策事業等が完了しております。ここでは活力ある農林水産業と豊かな自然に親しむ機会を得たのであります。 以上が今回視察してまいりました山形、福島両県における農林水産業の現状の一端でありますが、本報告の中で詳細に触れることができなかった現地の要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただくようお願いを申し上げます。 最後に、今回の調査に当たって特段の御配慮をいただきました方々に対し心から感謝の意を表しまして、報告を終わります。 以上でございます。
○委員長(岡部三郎君) ありがとうございました。 ただいまの報告にありました現地の要望につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。 ―――――――――――――
○委員長(岡部三郎君) これより、農林水産政策に関する調査について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 まず初めに、当面の大問題でありますガットの問題について質問を申し上げたいと思います。 今回問題にされました十二品目でありますが、これはどれもが地域における特産物であり、地域農業の振興上、不可欠な品国であるからこそ今日まで自由化をしないできたわけですね。これらが自由化された場合に、地域農業あるいは経済、雇用にどのような影響が及ぼされるというふうに考えておられるのか、それをお伺いいたしたいと思いますが、その前に、私は北海道でございますので、北海道の北農中央会で、この十二品目全部が自由化された場合どんなことになるのかという試算をしております。 その試算によりますと、輸入の自由化で農業粗生産額のうち四二・七%が失われる、農民と農業関連産業の従事者七十二万五千人の四二・七%が離農あるいは失業をするというような試算結果を出しております。これは全く自由化された場合ということで、しかし現実には酪農や畑作が全くそれで全滅するというふうには考えない、それは政府も支援策をとるというふうに考えられるからだと。しかし、それにしても、仮に影響度が十分の一だとしても、三万人程度の失業が出るのではないかというようなことを試算しております。また北海道大学の天間教授は、十二品目の輸入自由化で失われる農業生産額は二四%程度で、離農失業者は十七万人になるが、少なくとも数万人単位の失業者が出ることは間違いない、こういう試算を出しておるわけですけれども、政府としては、仮にこの十二品目が自由化されるとした場合にどのような試算をしておられるのか、また脱粉等の二品目は、八品目を自由化した場合どのような影響が出るかというような試算はされているのかいないのか、それをまずお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(眞木秀郎君) この十二品目、委員御指摘のように各地域それぞれにおいて大変重要な品目であるということは我々も十分承知をしているわけでございます。各品目に即しまして、これが仮に自由化された場合にどういうような影響が及ぶかについては本来なら各担当の局長の方から御答弁申し上げなければならない問題だと存じますけれども、全体として、今北海道の場合、いろいろな学者の方等、関係者の方が試算されましたような例と同じような形で十二品目全部について、あるいはまた八品目について計数的に計算をしたというのはございません。ただ、関係者のいろいろな、何人ぐらいの方が従事していらっしゃるかとか、どのくらい生産をされておるかということだとか、それに見合って現在は輸入がどういう程度であるか、そういうようなデータ等についてはもちろん把握しておるところでございます。
○菅野久光君 ちょっと語尾がはっきりしないんですね。語尾がはっきりしないと日本語というのはわからないのではっきりしてください。
○政府委員(眞木秀郎君) 各それぞれの品目に即しましての関係の農家の方々の人数、生産額、そういう個々の数字については把握をしているわけでございますけれども、産業連関表等を使ったような形で全体の影響がどういうことかということの数字といったものについては試算はしておりません。
○菅野久光君 これはガットにかけられるそういう段階で、国内に対する影響というものがどういうものかということは今それぞれの担当のところでは試算をしているということですね。そういったようなことなどもやはり我々の場には明らかにしてもらいたいというふうに思うんですね。ということは、竹下総理が来年一月十二日からでしたか、訪米しますね。その前に少なくともこのガットの問題については何らかの国内対策を含めて対応していかなきゃならないというようなことになりますね。その対応の問題はどのように考えておられるんですか。
○政府委員(眞木秀郎君) 今回のガット総会におきまして、この十二品目につきましてのパネル報告の採択問題が結論が出ず、来年二月に予定をされております第一回の理事会で改めて審議をする、そういうことになったわけでございます。したがいまして、今回の総会の審議の経緯等も踏まえて具体的な対策について対米に働きかけ、アメリカとの話し合いの問題も含めて次回理事会での円滑な決着を図るべく具体的な対策を速やかに検討するという段階でございまして、ただいま御指摘のありましたように、総理訪米までに云々ということにつきましては我々は正式なものとしては承 知をしておりません。二月の理事会までに円滑に決着を図るという方針で早急に具体的な対策、その中には対外的な交渉をどうしていくかという問題とあわせて国内的な問題、そういう問題も含めて検討するということになっておるわけでございます。
○菅野久光君 二月のガットの理事会までにやあという今の局長の答弁ですけれども、総理訪米のときまでにきちっと国内の問題をしておかないと困るのではないかというふうに私は考えているわけですけれども、それは総理の訪米までにそういう国内対策を含めてきちっとしなくてもいいんだ、二月のガットの理事会までにやればいいんだということでいいんですね。
○国務大臣(佐藤隆君) お尋ねの総理訪米前に決着云々ということについてでございますけれども、この問題は非常に重要な問題であるという認識の上に立って、慎重にも慎重な構えで取り運んできております。そういう中に、今局長から御説明いたしましたように、せっかく来年二月の理事会までという時間的一つの余裕、これを与えられましたので、この間を大事にしてどう取り運んでいくかということで今考えておるわけでございまして、総理訪米前に決着をしなければならぬというようなことを決めておるわけではございません。一部の報道等でそういうことが活字になっておるということは承知しておりますけれども、竹下内閣のもとにおける我が省といたしましてはそういうことは今決まっておらない、こういうことを率直に申し上げておきたいと思います。しかし、大変な御心配をかけておる状況にあることはよく承知をしておりますので、できるものならなるべく早く御心配しておられる皆さんにひとつ不安のないような形を整えたいものだ、当然のことながらそう考えておるわけでございます。
○菅野久光君 私は、総理が訪米するときに、当然また総理としてもこの問題は国内にとって大変重要な問題だということでそれが大きな課題になるのではないか。そのときに、それは細かいことまでどうかは別にしても、大方のところは訪米前にある程度国内的な問題について対応策というものを考えていかなければならないのではないか。それは二月までの時間はありますよ。ガットの理事会までの時間はあるけれども、そういうものではないのか。ということは、もちろん個々の農家の問題もありますけれども、この生産者の団体の問題などもいろいろこの問題についてはあるわけですね。私はこの十二品目の自由化については反対でありますけれども、何かガットの総会では八品目についてはもう言質を与えたような報道などもあるわけですね。そういうことなどについて、国内でやはりきちっとしておかなければならない問題ではないかというふうに思うんです。それで今質問したんですが、別に総理の訪米までにやらなきゃならないというような問題ではない、しかしできるだけ早くやらなきゃならないというようなことですね。それで本当にいいんですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 先ほど申し上げたとおり、今のお言葉によれば総理訪米までにやらなくてもいいんだ、こう言われたとおっしゃいますが、そういう言い方を申し上げているわけではございません。総理訪米までという期限を切っての議論の詰め方、スケジュールが決まっているわけではない、二月まで与えられた時間、慎重にも慎重に検討を進めている、こういうことでございます。
○菅野久光君 いや、私、総理が訪米するときにそういうことがある程度、一〇〇%でないにしても九〇%方ぐらいは固まってなければ、総理だってアメリカへ行ってやっぱり困るんじゃないでしょうか。そんなことをちょっと考えているものですから私は言っているんですよ。それはそういうことで政府部内でやられることですからいいんですけれども、しかし本当に生産者の人、生産者団体の人たちはこれが一体どういうことになっていくのか大変な心配をしているわけであります。これは生産者や生産者団体の人たちだけではなくて、まさに食糧の問題はこれは国民の命にかかわる問題ですね。 今アメリカがここ何年か大変な農業不況になっておる。そういう中でどんなことが起きているのか、NNNの特別取材班が「日本の食糧が消える」ということで、これは前にも出していますがまた最近出されております。これは本年の九月二十五日の第一刷でありますけれども、この中で「深刻な農業不況」ということでアメリカの農業不況のことについて書いてある。結局、アメリカ人がアメリカ人の農夫を救おうということで立ち上がって、チャリティーコンサートをやったら、そこに九万人の人が集まって、十四時間のチャリティーで集めた募金は五百万ドルだ、約十二億円だ。しかし、この五百万ドルの募金でアメリカ農夫の負債総額二千百億ドルを支払っていくとしたら四千二百回ものコンサートを開かなければならない。そしてこのコンサートに集まった人たちの中で、二百二十エーカーの土地を失い、今なお一万五千ドル、三千六百万円の借金を抱える喪服姿の女性がいる、ミセス・アームストロングさん、三十二歳ですけれども、この人が抗議するその言葉にこういうことが書いてあります。「アメリカ人や全世界の人々が決して忘れて欲しくないものがあります。食糧を生産する農夫を見殺しにすることは気違いじみた破壊的なことであるということです。農業があってこそ、私たちは、生きていけるのです」、こう叫んでいるんですね。 自動車だとか機械、コンピューターがなくても人間は生きていけますね。しかし食べ物がなかったら生きていけない。なぜこの十二品目を今日まで自由化しなかったか。それは先ほど言いましたように地域農業を確立して、畑作というのは連作やれば連作障害が出てくる、だから輪作をやっていかないとしっかり土地の生産力というものを保っていくことができないわけですね。こういうことを考えてきたからこそ、今日までこの十二品目をしっかり守ってきたというふうに思うんです。これを自由化していって果たして輪作というものがしっかり確立していくことができるのかどうか、そういう問題が一つはあります。 それから、日本の国が今世界一の食糧輸入大国だと、そういう中で何が起きているか。それはこの本の中にも出ていますし、私も前にたしかこの委員会でも言ったと思いますけれども、食糧というのは安全な食糧、農政というのは安全な食糧をいかに安定的に供給するか、これが最大の私は使命だというふうに思うんです。そうした中で、これだけの食糧輸入が多くなってきている中で、果たして安全な形で入っているのかどうかということになれば極めて問題がある。 よく例に出されるのは、淡路島のモンキーセンターの問題でございます。ここは昭和四十二年からえづけをして、昭和四十四年から昭和五十八年までに二百六十三頭の子猿が生まれた。うち六十四頭が奇形猿だと、実に二四%ですね。そのえづけの中の主たるものは何かというと、ミカンだとかリンゴだとかもありますけれども、輸入小麦、輸入大豆、こういうものが食べ物の主流である。そこでそれを分析してみますと、マラソンやスミチオン、これが残留農薬として入ってきている。それはアメリカから輸入してくるときにパナマ運河をずっと通ってくる、高温多湿地帯で来るときにどうしてもこういったようなものを使わないとカビが生えたりして商品価値がなくなる。人間が食べる場合にはこれは精白しますから上についているものはある程度取れるでしょうけれども、猿にはそのままやる。それが結果的に因果関係としてこうなっているのではないか。因果関係としてですよ。えづけ猿に異常に多いということからいけばそういうことが言えるのではないか、こういうふうに言っているわけです。 これはたまたま今淡路島のモンキーセンターの話をしましたが、これは小麦の問題だけではなくて、いろいろバナナだとか、いろいろなレモンだとか、そういうところにも農薬の問題、あるいは添加物の問題等があって必ずしも安全なものではない。だからこそ消費者団体が食品安全ということを含めて日本人の食べ物は国内でつくるという ことを最優先に考えていこうということで、この輸入自由化の問題について反対をしていっている。そういうこと等を考えていった場合に果たして、今度のこの八品目を何かガットで約束をしたように伝えられておりますから、そうした場合に日本の畑作農業というのが維持できるというふうに確信を持たれるのかどうか、そこのところをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(眞木秀郎君) この十二品目問題につきましては、これまでの経緯の中であくまで日米二国間による解決ということを目指していろいろ努力をしてまいったわけでございます。しかしながら、アメリカ側は本件をあくまでガットの紛争処理手続によって解決をするという非常に強い態度が最後まで変わりませんで、我々も昨年このガットのパネルに、要請に応じまして、この場において、この十二品目につきましての輸入制限、ガット上の合法性の問題について我々の主張を繰り広げ、これまで三回のパネルを得て結論が出た段階になったわけでございます。 その中で、やはりこの紛争処理手続によって第三者のパネル、小委員会によっていろいろ判断がなされるということになりました以上は、やはりガット上の規定との整合性の問題、いわゆる法的な判断というのがどうしても中心になってくるわけでございます。我々といたしましても、もちろん先生御指摘のこの十二品目は、日本のそれぞれの地域において非常に重要な役割を果たしておって、雇用なり地域の全体経済、所得、そういうものに非常に大きな地位を占めておるといったことも関連要素として十分主張したわけでございますけれども、やはりそのガットの規定との整合性ということを中心に議論がなされまして、結果として非常に厳しい内容の報告が提出されたわけでございます。 これを受けまして、我々は十月末に日米両政府に内示を受けて以来その内容についていろいろ検討を重ねまして、その中で議論としておかしい点については、これは受け入れることができないという主張、あわせまして、いろいろと問題はあるにしろ、やはりこの報告書の法的判断を覆すのには無理があるといったものについてはこれを受け入れるということで、部分採択というような形で先般のガット総会において日本の要求をしたわけでございます。結果については御案内のとおりで、まだ部分採択については反対が多くて結論は先送りになっているわけでございますが、以上申しましたように、やはりその法的判断に基づいてそういう判断がなされている以上は、我々はその酪農品なりでん粉なり、あるいは国家貿易に係る解釈の部分以外の部分につきましてはこれを受け入れざるを得ないという判断に至ったわけでございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、これらの部分に係る品目、八品目と一般に言われているわけでございますけれども、これらにつきましてはガットとの整合性を回復させるといったような措置をとらざるを得ないということでございまして、報告書の趣旨に沿って今後適切な措置をとると声明をいたしたわけでございますけれども、この中には、そのガットの整合性を回復させると同時に、その地域の農業を今後とも保護をしていくための必要な国境措置並びに国内措置も含めて表現をしておるわけでございまして、これらの品目にかかわる地域あるいは農家の方々に悪い影響が及ばないよう、そういうものも含めて今後検討していきたい、このように考えておるところでございます。
○菅野久光君 悪い影響が及ばないようというふうに言われましたけれども、悪い影響が及ばないということで、そういうふうにきちっと言い切れるような国内対策ができるように私は本当に心から期待したいというふうに思います。自由化されても今よりも悪くなるようなことのないように、そこのところはよろしくお願いしますよ。 それで、十二品目のうち八品目については、もう輸入自由化という方針は政府として決めたということなんですね。
○政府委員(眞木秀郎君) 若干遠回しの言い方をいたしたわけでございますけれども、この報告書の今申し上げました八品目にかかわる部分について受け入れるということは、ガットとの整合性を回復させる、つま力輸入数量の制限をやめるということでございます。したがって、これにかわる代替措置なり必要な国内措置をあわせてとるという意味でございまして、そういう方針をこの部分採択を求める発言の中で政府の意思として表明をしたということでございますが、この問題全体が先ほど申し上げましたように二月の理事会に送られておるということでございます。しかし、これについてそういう意思を表明した以上はそういう事実がそこに残っておるということでございますので、そういう状況であるということを御理解いただきたいと思います。
○菅野久光君 この十二品目のうち乳製品や落花生については、これは米国みずからウエーバーによって輸入制限を行っている問題なんですね。自分の国では輸入制限をしていて、そして日本に対してはこれらの輸入自由化を要求しているわけですね。全くこんなばかな話はないのではないかというふうに思うんです。しかも、このウエーバーでやっている品目について、自分の国で輸入制限をしていながら外国に輸出している品目だってあるわけでしょう、アメリカではね。こんな理不尽なといいますか、ウエーバーを取ったその時点の問題もいろいろありますね。そんなようなことなどを考えていけば、このアメリカのウエーバーの問題についてこのままにしておくのか。何か日本だけではなくてほかの国でも、このウェーバーはやっぱりおかしいじゃないかというようなことを言っている国もあるやに聞いておりますけれども、その辺の対応は今後どのようにしていくつもりなのか、それをお伺いいたします。
○政府委員(眞木秀郎君) ただいま御指摘がありましたように、米国は酪農品あるいは落花生等、多くの農産物につきまして、三十年以上前でございますけれども、国内の農業調整法による価格支持プログラムを実行するためという理由でガットの二十五条の規定に基づくウエーバー、いわゆる自由化義務免除を得まして現在にまで至っているわけでございます。とのアメリカのウエーバーのもとにあります輸入制限は、形式的にはガット上合法ということでございまして、実はこの三十年余り前にこのウエーバーを取得したときには日本もこれを支持しておるわけでございます。しかし、そのときの状況というのは、やはり世界各国、戦後まだ間もないころでございまして、ヨーロッパにしろ日本にしろ、いろいろとまだ回復の途上にあって、やはりアメリカという国がガットの中心に座って指導的地位を果たすということが期待された時代でありましたので、そのころのことは我々も仕方がないというふうに思いますが、その後三十年間、みずから何らの自由化努力といったこともせずに今日に至っていることは大きな問題であり、実質的には我々の行っている輸入制限と同じ効果を持つ措置をやっておるわけでございます。したがいまして、我々は常にこの問題を取り上げて、ガットの場におきましては、このアメリカのウエーバーについての小委員会というのがございまして、毎年この問題について我々は批判をしております。今御指摘がありましたように、ニュージーランド等もこれをもうやめるべきであるというようなことで要求をしたりしておるわけでございますけれども、いずれにしろ、アメリカ側はこれをニューラウンドでの交渉のテーブルに乗せる用意があるということにとどまっておりまして、我々はこの態度に今非常に不満を持っておるわけでございます。 二国間の場におきましても、あるいはまた今回のこの問題についての総会の日本代表の演説の中でも我々はこのアメリカのウエーバーの点を取り上げまして、これは実質的に非常に不公平であるというようなことを言っておりまして、今後も機会あるごとにこの問題をほかの同様の考えを持つ国と一緒に指摘をしてこの是正を迫っていきたい、このように考えておるわけでございます。
○菅野久光君 やはり世の中のことというのは理屈が通らないと、まあどうもこのごろ、例えば捕 鯨の問題なんかについても、全く条約にきちっとある調査捕鯨さえもやらせないだとか、何かどうもその辺、筋の通らないそういうことがまかり通るような今の世界のこういったような会議の状況ではないか。これでは一体何を信じてやっていったらいいのかということになるのではないかというふうに私は思うんです。そういう点で、やはり力で自分の主張を通すということではなくて、やはり理にかなったようなやり方でお互い話し合いをしていく、そこでこそ本当に、まさに世界的な合意を得る形になっていくのではないかというふうに私は思うんです。そんな意味で、アメリカのこのウエーバーの問題などについても今後十分やはり世界の各国と話をしていってもらいたい。 今アメリカが極端な農業不況で、アメリカの農民が大変な状況になっている。だから何とか農産物を輸出してアメリカの農民を救わなきゃならない。それはアメリカの国内の問題としてはわかりますけれども、そのことによってよその国の農民が泣くような、よその国の農業が成り立っていかないような、そういうようなことになったのではだめだ。自分たちさえよければいいんだということではない。それは先ほど私が言いましたように「アメリカ人や全世界の人々が決して忘れて欲しくないものがあります。」、このアームストロングさんの言葉の中にやはりきちっとあると思うんです。そういうことをやっぱりみんなが受けとめてやっていかなきゃならない。今回の場合は全く私は理不尽なあり方であり、しかも先ほど言いましたように、畑作農業というのは、水田農業と違って輪作でこそ生産を維持していくことができる。そういう大事な基幹作物などもこういう中にやっぱり入ってきておりますので、そういうことについては、私はこの輸入の自由化という問題について、もう八品目については既にガット総会の場で一応発言をしているということですからこれは国際的に約束をしたことになるわけで、極めて残念なことだというふうに思いますが、そのことによって起きるいろいろな問題について、先ほど局長が言いましたように、農民の方々に痛みを与えないような対策を立てていきたいということであります。 それでは、私はこの十二品目の自由化を認めるものではありませんが、今の話からいきますと、もうガットの場で話をしたということでありますから、いろいろなことをお考えだというふうに思いますが、この実施時期等の自由化へ向けての具体的なスケジュール、それから輸入自由化を実施した場合に農産物の急激な輸入増加が予想されるわけですけれども、政府は関税だとか輸入課徴金を導入する意思があるのかどうか、その辺のところについてはいかがでしょうか。
○政府委員(眞木秀郎君) 先ほども申し上げましたように、今回の総会の結果を踏まえて次回理事会で円滑な決着を図りたいということで、これからその対外交渉のやり方、あるいは必要な国内対策についてきちっと内部で早急に検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。今御指摘のいろいろなその場合における国境保護の措置の手段といったものも我々頭にいろいろあるわけでございますけれども、具体的にこれをよく詰めていきたい。したがって、まだ全体の問題の決着もついていないわけでございますので、個々の品目につきましての実施時期等々につきましてもまだ何も決めていないという段階でございます。
○菅野久光君 何も決めていないというんだからここで決めろというわけにもいきませんけれども、やはり特に生産団体の方々はいろいろな対応の問題があると思いますから、その辺のところ、日程が決まったらやはり早急に連絡をし、それぞれの対応というものを考えた中で政府との対応という形に私はなっていくんだろうと思いますから、その辺を手順を間違わないようにやらないと大変なことになりますよということを今申し上げておきたいと思います。 それから、先ほど私、安全な食品ということで言いましたが、時間がありませんからきょう私は厚生省は呼んでおりませんけれども、現実的に食品の安全のチェックの問題については非常に問題があるということなんです。 また、この「日本の食糧が消える」という本をちょっと引用させていただきますが、 輸入農産物は全国一六カ所の港や空港から入ってくる。輸入農産物の残留農薬のチェックは厚生省の食品衛生課の担当である。ところが、平常の状態ではマラソンとスミチオンについては検査は実施していないという。「高濃度のマラソンやスミチオンがふりかけたまま入ってきても、フリーパスで入れるわけか?」と聞いたら、「現状ではそうです。うちの課の仕事としては規制がないから取り締まりようがない」 規制にあたるのは同じ厚生省の隣の課、食品化学課である。担当技官は告白する。「確かに規制がないのはおかしいと思う。全部の食品の農薬についての規制があることが理想である。しかし農薬担当の係員は二人だけだ。業務量からいって、とてもじゃないがやれるわけない」 こういうことになっているんですね。 ですから、私は、三十五、六年以降食品の輸入が、穀物を含めて食料品の輸入が大幅にふえてきている。そういう中で、この安全チェックの体制が政府として消費者が納得できるような形になっていない。むしろ今はその規制が緩和されているというふうな状況ですね。輸入がどんどんしやすいような形になっている。こんなことでは国民が非常に不安な状況になるのではないかというふうに思うんですよ。だから、そういう意味では、今回のこの十二品目の自由化の問題を含めて、政府としても国民に安全な食糧を供給するという、そういう立場からいっても、これはそこをチェックするのは厚生省ということになるんでしょうけれども、国務大臣ですから、大臣としてその辺のことについてどう取り組んでいこうとするのか、国民が安心できるような意味でのひとつ答弁をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 今、先生が御開陳になりました食糧そのものについての哲学、安全なものを安定的に供給せよ、私も同感でございます。そういう中にあって、安全性の問題がいろいろ言われております。一方、国際化が急激に進んでおりますので、動植物の防疫体制、これが正直申し上げて若干おくれをとっておるのではないか、こういう面も反省をいたしておるところでございます。さらに加えて、縦割り行政といわれる中で厚生省の関係もこれあり、しかし食糧としての責任は我が省が持たなきゃならぬわけでございますから、生産者が見ても流通関係者が見ても、もちろん消費者が見てもわかってもらえるような体制について万全を期さなければならぬ、これはお誓いを申し上げたいと思います。
○菅野久光君 農林水産大臣だと同時に国務大臣ということで今、大臣から本当にきちっとした答弁をいただきましたので、そのことが実行されるように私は心から期待をいたしたいと思います。そして、このガットの問題によって起こるさまざまな問題、これは生産者、生産団体さらに直接的にはまた農協の問題なんかもいろいろあるわけでありますから、それらに大きな影響が出ないように、十分な国内対策ということも考えていただきたいということを申し上げて、時間の関係もありますので、次にちょっと水産の問題に移らせていただきます。 きょう、日米漁業協定の問題を本会議で決定をいたしましたが、日ソの問題もいろいろな問題があってちょっと一週間ばかり延ばしてというようなことになっておりますが、まずは十月の末で切れることになっておりました日韓漁業交渉の問題について、中身はともかくとして、大変な御苦労をされたということについては敬意を表したいというふうに思います。それで、長い間いろいろ御苦労いただいたわけですけれども、日韓漁業交渉の問題について若干お伺いをいたしたいというふうに思います。 今回の日韓漁業交渉で合意した内容で、漁民の 方たちが要求した内容とは大分遠い形ではありますが、この合意した内容についてどのような見解を持っておられるか、それをまずお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(佐竹五六君) 今回の合意内容につきましては、いろいろな御意見があろうかと思いますが、私どもとしては、十年間かかったわけでございますけれども、北海道の沿岸漁民の悲願であった韓国船のオッタートロール内の操業を排除するめどが一応立ったということ。それからまた、西日本の海域では、現在の日韓漁業協定の枠組みの中では法的には非難できなかった四十年以降の我が国の国内規制を韓国船に守らせることができるようになったこと。それからまた、第三点といたしまして、取り締まりにつきましても共同取り締まり等新しい手法を導入し、その強化を図ることができたこと等において一応の前進を見たのではないか、かように考えているわけでございます。しかしながら、なおイカ流し網の問題等々残された課題もあるわけでございますし、究極的には日韓双方で二百海里を引き合う、そういうことを目指して今後とも韓国と協議を続けてまいる、かように考えておる次第でございます。
○菅野久光君 韓国との協議を続けていく、いきたいと思っているということでございますが、韓国と今後とも協議を続けていくということについては、韓国側との合意といいますか、そういうことはきちっとできているんでしょうか。
○政府委員(佐竹五六君) これは明確にできております。
○菅野久光君 トロール船を九一年の四月までに全部撤退するということは一つは決まりましたですな。しかし、そのほかの問題として、イカ釣り漁船の問題、イカ流しですね。ああいったような問題なんかもあります。そういったような問題などは、この前の質問のときにも、それはあるけれども、とりあえずとにかくトロール船だというようなことでありましたが、この次の話し合いの形としては、二百海里をいかに引くかということが、これが最大の問題だけれども、そのほかに細々した今言ったような問題などもあるわけですね。そういう点について、今申し上げましたイカ流しなどの問題については今後の話し合いの中で主要な議題としてやっていかれるおつもりかどうか、それをお伺いいたします。
○政府委員(佐竹五六君) し残した、残った課題幾つかあるわけでございますが、その中でも韓国イカ流し網漁船の操業は一つの大きな課題であろうというふうに認識しております。また、韓国が二百海里を引ける体制になるまでにはまだなお若干時間がかかるかと思いますので、その間やはり個別の問題として精力的に取り組んでいかなきゃいけない問題だろう、かように考えておるわけでございます。
○菅野久光君 取り締まりの問題で今長官の方から今度はきちっとやれるというような意味合いの答弁がありましたけれども、若干今までの取り締まりよりは、船にお互い乗り込んでやるとかというようなことなども含めて取り決めをなされたようですけれども、果たして長官が言われるようになるものなのかどうなのか私は極めて疑問に思っているんです。というのは、今までも何回か私も質問をいたしました。そのたびに韓国との協議の中でこの取り締まりの問題については常に主要な議題としてやられてきたわけですね。しかし一向にそれが直らない。しかも、どの船が違反をしているのかということで調べようと思っても、船名を隠ぺいしているのが大体八五%ぐらいは隠ぺいしているというような状況などもあって、どの船が違反をしているかということさえもよくわからない。そういう中で本当に漁民の人たちが願っておるような取り締まりということの実効が上がるというふうに胸を張って言えるでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(佐竹五六君) 韓国船の操業問題につきましては、北海道沖とそれから西日本、広い意味で西日本というふうに総括できるかと思いますが、両面あるわけでございますが、これは先生からあるいは認識が甘い、浜の実情を承知しないとおしかりをいただくかもしれませんが、相対的にでは、北海道沖につきましてはトロール漁船で、しかも非常に大きい船であるということもあって監視がしやすいということもございますので、相対的意味ではございますけれども、違法操業問題は比較的少なかったというふうに認識しているわけでございます。もちろん相対的な意味でございます。 問題は西日本海域でございまして、これは非常に韓国船の数が多い、非常に零細な漁業者であるという問題もございまして、船名隠ぺいも北海道沖のトロール船についてはそのような事態はございませんが、西日本では御指摘もございましたように八五%が船名隠ぺいをやっているという状況でございます。問題は、どういう措置を講じたかということよりも、それによってどういう成果が上がったかということにあるということはまさに先生のおっしゃるとおりでございますので、私どもも率直に申し上げまして、これで一切そういう問題が起きないと言えるだけの自信はないわけでございますが。したがいまして、その効果を見て、もし効果が上がらないならばさらにこの問題は引き続き協議しようということを韓国側と約束しているわけでございます。まあしかし、ともかく韓国側もこの問題は大変深刻に受けとめておりますし、これは是正するということは言っているわけでございますので、一年程度はとにかくその結果を見たい、かように考えている次第でございます。
○菅野久光君 今回の合意で、取り締まりの方法として先ほど申し上げました共同乗船だとか、あるいは連携巡視船だとか、あるいは指導船派遣、こういったふうなものが導入されたけれども、それは主として西日本周辺水域を対象としたものであって、北海道の水域についてはこれは従来どおりだと。西日本の漁船の人たちにも北海道の漁民の人たちが味わったようなことを味わわせたくない、味わわすようなことをしてはいけないという私も思いでおりますので、これは実が上がるようにぜひお願いをいたしたいというふうに思います。 北海道は今までどおりだということで、実は北海道の漁業者の間ではいろいろ心配している面があります。それは撤退時期が決定されたことによって今後は韓国漁船が以前にも増してなりふり構わない乱暴な操業をしかねないというふうに危惧する声が非常に多いわけです。そういう点をどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(佐竹五六君) そういう声が北海道の漁業者の間にあることは私ども十分承知しております。したがいまして、確かに仕組みとしては北海道の監視体制は従来どおりでございますけれども、我が水産庁といたしましては韓国船が操業している海域には常時一ないし二隻の取り締まり船を派遣いたします。それからまた、韓国側も常時韓国の指導船の派遣なり、あるいは漁業監督官の派遣なりをすることを約束しておりますので、日韓両国が共同して今おっしゃられるような事態が発生しないように注意してまいりたい、かように考えております。
○菅野久光君 なかなか漁船の取り締まりというのは難しいですね。もう私もずっとこの委員会で言い続けてきて、それでもなおかつなかなかきちっとならないという問題ですけれども、先ほど言いましたように、何か撤退の時期が決まったということで、何というんですか、やり得みたいな形になったんではこれは大変なことになりますので、その辺は特にお願いをいたします。 先ほど韓国のイカ流し漁船に対する問題ちょっと申し上げましたが、私どもちょっと調べてみましたら、この前の台風十三号、あれで襟裳岬からずっと噴火湾の方にかけて韓国漁船が緊急入域をしたんですが、その内訳を見ますと、トロール漁船が十四隻、イカ流し漁船は百十八隻来ているんですね。私も写真を見せてもらいましたが、沖合ずっと真っ黒になっているわけです。日本の漁船にはこのイカ流し網ということはさせていないん ですね。させていないんだけれども、韓国の船はそういう規制がないものですから堂々とやっているというようなことで、非常にこの点についても北海道の漁民は何かもうやりきれないような気持ちでおりますので、二百海里の問題あわせて早急にこの点についての韓国との話し合いをひとつ進めてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。 それから、もう時間の関係もありますので、最後に水産関係では以西底びき漁業に対する救済対策の問題でありますが、今回の合意によれば、韓国トロール漁船は北海道周辺水域から九一年の四月末までに完全撤退するということで、その見返りとして済州島沖の以西底びき日本漁船を半減することなどの措置がとられることになったわけですね。しかし以前から以西底びき漁業は大変経営の悪化に苦しんでいるというふうに私も聞いております。これら以西底びき漁業に対しては手厚い救済対策が必要だというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(佐竹五六君) 今回の措置の一環といたしまして以西底びき網漁業、それから大中型まき網漁業につきましては相当大幅な操業規制が加えられたわけでございます。これらの漁業はいずれも李ライン当時から大変な御苦労をなされて今の操業秩序をから得たわけでございますが、話し合いによる解決という中で、我々としても大変残念ではあったわけでございますけれども、この規制をのまざるを得なかったわけでございます。ただ、私どもの漁獲統計等からいたしますと、業界全体としての漁獲減はそれほど大きいわけではございませんものでございますから、減船というような措置、減船補償というような形はとれないわけでございますが、個別に見ればその規制された海域を主要な漁場としていた経緯もあり得るわけでございますので、よくその影響をも十分見きわめた上で、それぞれ関係業界の要望も踏まえて対応措置をとってまいりたい、かように考えているわけでございます。
○菅野久光君 補償の問題についてはそれぞれの漁民の方々の意を十分に踏まえて、ひとつできるだけの対応をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。加藤前農林水産大臣はこの日韓漁業交渉の合意に当たって、これは新しい海洋秩序の国際的定着過程の一環として位置づけられるというふうに発言されたというふうに報道されておりますが、この新しい海洋秩序というのは私は二百海里法を意味するというふうに解釈をしております。私はこの大臣の発言を、全国漁業者の切実で正当な要求である二百海里の全面適用への第一歩というふうに受け取って、水産関係についての質問を終わります。 次、時間が余りありませんので、林野庁の関係でちょっとお伺いいたしますが、時間がございませんので端的に質問いたしますので、端的にひとつお答えをいただきたいと思います。 まず、今回の林野庁の統廃合をやる場合に、やはり一定の何か基準をつくられるというふうに思うんですが、その基準はどういう基準だったのでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 組織の統廃合でございますのでなかなか一つの基準で単純に割り切れるものではございませんけれども、全体を総合して判断したという結論になりますけれども、我々の頭に描きました基準といたしましては、一つは先生御承知のとおり昭和五十二年に当時の営林署の総数の約」割の三十五を削減するということでスタートしたわけでございますので、その後の統合の実績というものを勘案いたしまして、まず局別に青森とそれから熊本で二営林署を行う。それから従来の実績を勘案いたしまして北海道、旭川、北見、秋田、大阪、高知、ここではそれぞれ一営林署を行うという全体の想定をまずいたしまして、それからそれぞれの区域での具体的選定に当たりましては、一つは管理面積でございますとか、あるいは収穫量の比較的少ないところ、それから二つ目には同一市町村に所在する等、所管の距離が近いところ、こういう具体的な物差しで選定いたしまして、それに加えまして統廃合後の森林の管理でございますとか、あるいは事業運営というものが円滑にいくかどうか、それから統廃合の地域経済なり社会に及ぼす影響はどうかというようないろいろな因子というものを総合的に積み上げまして判断さしていただいたわけでございます。
○菅野久光君 一応廃止をするに適合するような基準らしいものをつくって総合的に判断をしたと。だから、まあ今まで三何でしたか、やってきて、今回は四回目ですが、その時点その時点でやっぱりそれらは違うわけですね。それで、今回は十営林署の統廃合ということですが、地元に対する説得の状況ですね、これはどのような状況になっておりますでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 十月二十三日に十営林署の署名を公表いたしましてから、いろいろなチャンネルを通じまして地元の市町村、それから関係業界、それから労働組合という、それぞれの関係者に真摯な説得の努力を積み重ねてきておるわけでございます。しかし、ただこういう組織の統廃合という言葉の性格からいいまして、なかなか表向き積極的次賛成というものを現時点で得られていないのは残念でございますけれども、ここのところ担当部長をそれぞれ現地に派遣したり、いろいろなことで積み重ねを行ってきておりまして、徐々に地元の理解というものは得られてきているのではないかというふうに観測いたしております。
○菅野久光君 林野の問題については、午後から同僚の稲村委員からいろいろ細かいことを質問することになっておりますが、私も実はこの統廃合の問題について北海道の一ノ橋の営林署に行ってまいりました。本当に地元にとっては、国のそういう機関というのはこういう町村にとってはもう大変な位置づけになっているわけですね。それがなくなる、あるいは統合される。一ノ橋の場合には二つ営林署あるのを一つにするということでありますが、距離が離れているものですから、そこの地域が全く壊滅するような状況になっております。そんなことでなかなか地元の説得ということは難しい。難しいけれどもやらねばならぬということでこれから進めていかれるだろうというふうに思いますが、これは五十三年の衆議院の内閣委員会あるいは参議院の内閣委員会での当時の中川農林大臣の答弁ですね。地元の理解と納得を得て実施するよう最善の努力をすると。最善の努力をしてできなかった場合にはどうするんでしょう。
○政府委員(田中宏尚君) あくまでも最善の努力をいたしまして、納得と理解を得られるようにこれからまだ残された期間がございますので、精いっぱいの努力を行ってまいりたいと思っております。
○菅野久光君 最善の努力はわかるんですけれども、努力をしてもやっぱり理解と納得が得られなかったというときにどうするのか。それでも官報に告示するのかということを私は聞きたかったわけでありますが、何か機械的にやられる。しかも今緑が大事だ、森林の活性化、こういったようなことを、今国民の多くの人たちがそのことを心配してやっているときに営林署の統廃合という問題はやはりそういう流れに逆行する問題ではないか。事業量とかその他は今度は直用から委託、あるいは請け負いでやらせるから関係ないんだ、その面については心配ないんだとは言うけれども、しかしそういうことにはやっぱりなっていかない。むしろ拡充、強化をしていかなければならない問題ではないかというふうに思うんですけれども、時間が参りましたので、慎重にひとつ、私の立場からすればやっぱりやらないような方向でぜひ進めてもらいたいということを最後に要望して、私の質問を終わります。
○委員長(岡部三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 ―――――・――――― 午後一時三分開会
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○稲村稔夫君 午前中、菅野委員の特にガット問題についての質疑等を伺っておりまして、私さらになお念押しみたいな形になってまいりますけれども、やはり極めて重大な問題でありますし、はっきりとさせておかなければならない、こんなふうにも思うものでありますから、重複をするところがあると思いますけれども、ひとつお許しをいただきたいと思います。 そこで、通告をしてありました順序とちょっと違ってまいりますが、午前中の議論を聞いておりましてあれですが、もう一度確認をする形で恐縮でありますけれども、そうすると、ガットの席上では八品目についてはやむを得ないということで、結果としては八品目についてはのんだ、こういうふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
○政府委員(眞木秀郎君) この八品目全部の、十二品目の中で二品目についてはいわゆる灰色と伝えられておりますけれども、雑豆、落花生につきましては、輸入制限の中の条件の要件の一つについて日本側がちゃんと説明をするというようにすればあとの条件はいいということになっておりますので、これは一応除いて考えまして、残りの十品目のうち二品目、酪農品、乳製品とでん粉については、その後、報告書の法理、法的判断に我々は同意できないということで、そのほかに国家貿易についての解釈の部分をあわせまして、乳製品及びでん粉並びに国家貿易に関する解釈を除いた部分については報告書の趣旨に即して適切な措置をとるということを表明したわけでございます。 したがって、残りの部分のいわゆる十のうち二は我々ガット上整合性があると考えておりますので、八品目につきましては先ほどもお尋ねがありましたけれども、ガット上整合性のある措置をとらなければならない。言いかえますれば、輸入数量制限いわゆるIQを廃止するということとあわせて、必要な代替的な国境措置あるいは国内措置、そういうものを含めて今後適切な措置をとるということを意思表明いたしたわけでございます。その全体の問題は今ペンディングになったまま先送りになっておる、こういう状況でございます。したがいまして、簡単に申しますれば、やはり八品目につきましては今後IQを存続させることはできないというふうに理解をしていただいてよいかと思います。しかし、これにつきましてのまだあわせ講ずべき措置といったようなものを含めてのきちっとした国内的な意味の手続を終えての正式な決定はしておるわけじゃございませんで、ガット総会の席でそういう意思表明をして、それがそこにとどまったまま現在に置かれておる、こういう状況でございます。
○稲村稔夫君 ちょっと眞木局長、言い回しが随分くどくぐるぐると回って言われるからなかなか僕らもすとんと落ちないんですけれども、要は二つの品目については国家貿易品目であるということもあって、それでこれはもう認めたというわけにはなりません、しかし、あとの八品目については、これはもうガットの上では日本側がのんだ、こういうことに考えていいのだろうかということを私は聞いたわけです。そしてそれは、例えば国内対策、国内の批准がどうであるかどうかということとは別にして、国際的にそういう形になるのかどうかということを伺っているんです。
○政府委員(眞木秀郎君) 今委員がおっしゃったとおりでございます。ガット上はそういうことであります。
○稲村稔夫君 まあ私は極めて残念だと思うのであります。でん粉と脱脂粉乳は国家貿易品目だからという口実があるといたしましても、ほかのものについても日本国内の地域農業という観点からいきますと、それぞれの地域の特産物としてかなり重要な地位を占めている品目も八品目の中には含まれているわけですね。ですから、そうすると後で多分、喜屋武委員等からもかなり強く出てくるのではないかと思われますけれども、例えば沖縄のパイン。パインと砂糖を除いたら沖縄の農業は成り立たないと言っていいわけでしょう。そんなふうにして地域農業の言ってみれば支えになっているものがこの八品目の中に含まれている、こういうことになるわけですね。 そうすると、ただ単純に国家品目であったからとか、なかったからということで、それだけでもって片一方はのまざるを得なかった、片一方はまあ何とかまだ頑張っていますと、こういう形というのはどうも私には納得しかねるものがあるんですが、特にその場合には、国内の対策について特段の措置を講じて、こういうふうに今度は措置を講じているから、だからやむを得ない、こういうのであれば話はわかるんですが、午前中の議論を聞いておりますと、国内対策についてはまだ具体的には影響についても十分な検討はこれからだと、極端に言ってしまえば、そういうふうに感じたんですけれども。何かそうすると、八品目については国内の農業、さっきの午前中の眞木局長の答弁でいけば、今よりも悪くならないようにということを一生懸命念頭に置きながら対応をするやに聞こえたんでありますけれども、本当に今よりも悪くならないような体制というのができるというふうにお考えになっているかどうか、その辺をひとつお聞かせいただきたい。
○政府委員(眞木秀郎君) この問題につきましては、委員御指摘のように、各品目それぞれの地域で非常に重要な作目であるということは十分承知しております。したがいまして、何とかこの問題について日米二国間で解決をしたい、その場合には各品目についての各地域における重要性等十分説明をして、その中で現実的な解決策を求めるということができようかと思ったわけでございますが、アメリカ側の態度が非常にかたくて、その後の経緯は御承知のとおりでございますが、やはりガットの第三者によるこの問題の法的判断、それにゆだねざるを得なくなったわけでございます。 この中で我々の主張もいろいろしたわけでございますけれども、結果としてやはりこの品目それぞれがガットのいわゆる関係条文に照らしましてそれが合法か否かという判断、それをどう受けとめるかという事態になったわけでございますので、我々はそのガットのパネルの報告書の中を十分に検討いたしまして、これは受け入れることができないという部分と、また問題はあるけれども最終的にそういう判断を覆すのは難しいという、いろいろな中身を精査をいたしまして、今御指摘の八品目についてはやはりガットの整合性を持たせるような措置をとらざるを得ないということになったわけでございます。 そしてガット上という、先ほど御質問にございましたけれども、そういう問題でガットの場ではそういう対応をしたわけでございますが、御指摘のとおり、この問題は国内的にも直ちに例えばIQを外すということになれば大きな問題が起こることは我々も十分承知をしておるわけでございますので、したがってこれらの関係の農家に悪影響が及ぶことのないように関連の国境保護措置、これにかわるべき国境措置、あるいはまた国内的な措置も講ずる必要があろうと考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この八品目を含めまして全体の報告書の採択をどうするかということが二月に予定されております明年第一回の理事会に先送りになっておりますので、先ほど大臣からも申し上げましたように、二月の予定の理事会で決着をつけるべく、今からアメリカとの話し合いあるいは理事会対応、それからまた必要と考えられる国内措置等につきまして速やかに検討をして対応していきたい、このように考えておる次第でございます。したがいまして、いまおっしゃったような国内措置の点につきましても、それを十分に念頭に置いて今後の対応を図ってまいりたい、このように考えております。
○稲村稔夫君 私は疑うわけではありませんが、結局国内に悪い影響が出ないようにという御努力をなさる、そのための最大限の御努力はなさるんだと思いますけれども、そこは信じますけれど も、しかし悪い方の影響が出ないで済むとはとても思えないですね。程度の差はいろいろと品目ごとにあるでしょうけれども、そういうふうにも感ずるわけなんでありまして、その辺が非常に気になるわけであります。そしてまた、今お話で来年の二月決着ということに先送りになったということでありますが、これは要するに問題はそっくりそのまま二月に持ち越したというだけのことでしょう。
○政府委員(眞木秀郎君) そっくりというお言葉の意味内容にもよるかと思いますが、今回我々部分採択をして、それが各国の支持を得られなかったという事実が今回の総会の結果としてあるわけでございます。そういうものも踏まえて、今後次回の理事会におきましてどう決着するかということで、先般の総会での状況も踏まえて対応する必要があろう、このように考えております。
○稲村稔夫君 私は今までのアメリカの態度を見てまいりますと、二月まで先送りをして、その期間に時間を稼いだとしても、アメリカ側の態度がそう簡単に変わるという、軟化をする部分があるというふうにはなかなか観測できないのではないか、そういうふうに見ていくのは甘いのではないか、そんなふうにも思うわけですね。特に今御答弁にもあったように、これはあるいは午前中の話にもありましたが、要するに二国間の話として今までいろいろ詰めてきてうまくいかなかったわけですね。じゃ、これからもさらに二国間で詰めていくということになるんですか。二国間で詰めて、そして今度は二品目についてはアメリカ側に妥協してもらえるという、そういう勝算があるのですか。その辺は見通しはいかがですか。
○政府委員(眞木秀郎君) 今回の総会の結果を踏まえまして、次回理事会決着を目指しまして対応していくということを申し上げたわけでございます。したがいまして、現在状況としては厳しさが加わっておるという認識は持っておりますけれども、その中におきまして今委員がおっしゃいましたようにアメリカ側がどう出てくるかなり、そういう面につきましては予断を持たずに一遍よく状況を検討し直しまして、改めてきちっとした対応を図るということで検討を急ぎたいと考えております。
○稲村稔夫君 私は、やはり一番の問題はアメリカの態度にかかっているというふうに思うわけですね。ですから、アメリカとの折衝というのがこれがそれこそ全力を尽くして当たっていただかなければならぬ、こういうことになると思うんです。ですから、竹下総理がたまたま一月に訪米をされる、その際に、先ほど菅野委員が提起をしたのもそこがあるわけですね。総理が渡米をした際に、そのときにもひとつやはりアメリカ側の態度、アメリカ側に日本のあれを理解させて、まあ理解はしていると言っているけれども、戦術上でアメリカが譲歩しないということなんでありましょうが、アメリカ側に妥協を求めるための努力というのは、極端に言えばやはり我が国の農業の死活にかかわってくると言っていいわけでありますから、総理の渡米の際にも、細かい詰めというのは必要ないとしても、原則的な話というのはやはりきちんとしてきていただかなければならぬ、そんなふうにも思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) けさほども申し上げましたように、総理の訪米、それまでの間に決着がつくのかどうか、つかないにしてもなるべく早い方がいいと、私自身も実はそういう質問に対しまして、関係者に大変な御心配をかけておりますから、一日も早い一つの結論が出て、そして関係者の方々に御安心をいただかなければならぬと、この気持ちは率直に申し上げたところでございます。 今八品目についてそれじゃどうなるのか、さらに加えて二品目、私の方は譲れない、部分拒否ということに関連しての二品目、あるいは国家貿易品目、これにつながるようなことはこれは拒否しなければならぬ、こういうことで部分拒否ということに出ましたが、それはガットの場で入れられなかった、こういうことでございますが、事の本質はもともとは日米間のことでございますから、アメリカ側に対してこれからも引き続き理解を求めるどのような処方で行くか、これはもう本当に手探りの状況からまた始めて、そして国内措置と、それから外交上の措置と両々相まって実効を上げていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。 しかし、稲村先生おっしゃるように、それは勝算があるか、こういう問いに対して、先ほど来局長が申し述べておりますように、また大方の皆さんが理解しておられるように、なかなか厳しい環境だと。私も厳しい環境だということは承知しております。しかし、これを投げるわけにはまいりません。最善の努力を尽くすというのはそういう意味でございまして、投げるわけにいかない。もうこれはだめだわいという予測をするわけにはまいりません。それでは最善を尽くしたことにはなりません。だから丁寧に運ばなければなりません。時間的には二月のガットの理事会、これまで継続審議となった経緯、時間的にはわずかであっても丁寧に運ばなければならない。そしてまずは国内関係者に理解を求める措置というものも当然のことながら必要でございます。しかし稲村先生に言わせれば、そんなことは前もって考えておかなかったのか、こういう御意見でございますけれども、前もってそんなことを考えておったら最善を尽くす手だてにはならぬのでございまして、粛々と我が方は外交努力をしてきた、政府一体となって外交努力をしてきた、引き続きまた外交努力もするし、国内政策についての対応も十分考えていかなければならぬ、こう申し上げているわけでございます。 農林水産省としての判断をまず行い、そして外務省を初め関係省庁の理解を仰ぎながら、一致結束して事に当たらなければならぬ、こういうつもりでおるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
○稲村稔夫君 佐藤大臣の意気込みは私も今よく理解ができました。ただ、やはり心配になりますのは、この十二品目問題も、歴史的経過を振り返っていきますと、結局着々とアメリカ側は自分の敷いた路線を歩んできたという、そういう感じなんですね。そしてこの先に今度は、次には牛肉だ、オレンジだ、そして最後には米だ、こういう自由化要求へのアメリカ側の一本の太い路線が貫かれているように私には思えてならない。それだけにガットの決着がどうなるかというのは本当に大変な問題ということになります。ですから、総理が渡米した際にも、ぜひ問題解決のための努力をしてもらいたいというふうに思って申し上げました。 そしてさらに、大臣のその意気込みがアメリカ側にも伝わるように、大臣も直接訪米されて、そういう具体的な詰めをしてこられるということも非常に大事ではないかというふうにも思うんですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 昨日も私は衆議院においてお答えをいたしました。その結果等々を踏まえて、いろいろな活字が実は報道として流されております。しかし私自身は、先ほど申し上げたような考え方に基づいて、あらゆる手だてをしてまいらなければなりません。そういう検討の中で、私が訪米をするしないを決めなければならぬのであって、今は白紙の状況にございます。こういうことを申し上げているのでございます。それじゃお前、情熱が足りないじゃないかと、きのう実は衆議院でこういう御指摘をいただきましたので、気ははやれどもと、こう申し上げた次第でございます。
○稲村稔夫君 その辺は情勢判断の問題など、いろいろな要素の判断をということになるんでありましょうから、これ以上伺ってもまた同じところの御答弁をいただくしかないと思うので、ただ私が要望として申し上げますのは、少なくとも先ほどから申し上げているように、ガットの決着いかんというものがアメリカの穀物戦略にまでずっとつながっていってしまうという、それを非常に恐 れるわけであります。それだけに、そんなことにならないように、特にほかの省庁は事情がよくわからないところがあるわけでありますから、その辺、政府の中でそごが起こらないようにということも含めてひとつ農林水産省にはしっかり頑張っていただきたい、こんなふうに思います。その辺は要望をしておきたいと思います。 次に、国有林野事業の合理化計画について伺いたいというふうに思っております。 現在、合理化計画の一つの非常に大きな柱として営林署の統廃合、ことしが十署統廃合すると大体第一回目の計画は一段落ということになるようでありますけれども、それが行われているわけでありますが、大体、合理化というのは、一方ではむだをなくすための努力をしながら、一方では必要なところにはそれなりの力を入れ厚くしていくという、そういうことが必要なんだというふうに私は思っております。例えば工場で無人化工場などをつくっていけば、無人化をして、そこでもって非常にコストは下がるかもしれないが、販売の努力だとかなんとかというところへまた力を入れていかなければならないということになって、そこに人員的にも資本の配置もいろいろな形で工夫をしていくというようなことが民間などではやられるわけであります。 そこで、今度の営林署の統廃合に伴って、過去、ことしの分からという意味ではなくて、過去の統廃合のことを含めまして、そうした合理化をしていったもう一方の方で力を入れて厚くされた部分はどういうところがあるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 今回の営林署の総廃合につきましては、組織の簡素合理化を図る、そういうことを通じまして国有林野の再建を図るということの一環として行ってきておるわけでございますけれども、一方で国有林を初めとします森林に対するいろいろな要請というものが先生御指摘のとおり高まってきておるわけでございまして、そういう面につきましては我々といたしましても新しい分野といたしまして、その仕事なり組織というものを傾斜的に重く見てきておるわけでございます。 ここのところ、特に特定の地域につきましては、国民の新しい要請というようなことがございまして、ヒューマン・グリーン・プランという形で森林空間を全体として活用するというような事業がそれぞれの地域の特性に応じましてかなり出てきておるわけでございますので、そういうところにつきましては組織的にも強化いたしてきておりますし、それから今回の営林署の統廃合に当たりましても、例えば定山渓営林署につきましては、ここはいろいろと施業的に先進的なところがございまして、外国でございますとか、あるいは国内からの研修者も多いということから、林業技術センターというような代替措置を設けるとか、あるいは知床でございますとかというところにつきましては、自然の森を守っていくということで、従来の林業といいますか、経営的な視点だけじゃなくて、国有林の管理という新しい視点での対応というものが必要になってきておりますので、森林センターを設けるというようなことで、それぞれの地域の特性に応じた見方というものも厳しい組織の合理化の中で一方では打ち上げておる次第でございます。
○稲村稔夫君 今それぞれ厚くされたということの中に代替措置を含めての御答弁があったわけでありますが、しかし私はこの代替措置というのは果たして本当に代替の役割というのを果たしているかどうかということが疑問になる地域もいろいろとあるわけでございます。これは私は要員の問題ばかりではないと思います。要員についても全体に少なくなって、代替措置で代替したところというのは大体少なくなっていっていますね。だけれども、その要員の問題ばかりではなくて、代替措置というのは実は営林署を置いていたときとはやはり質的に違いが出てきているのではないかというふうに思います。その辺のところはどういうふうに理解をしておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) ただいま御指摘の代替措置につきましては、従来から行ってきております業務等を勘案いたしまして、地元への窓口サービスでございますとか、あるいは地域社会への影響をできるだけ緩和するということで設置してきているわけでございますが、ただいまもお話がありましたように、国有林野全体が要員の調整という経営改善計画の施行段階に入っておりますので、こういう代替措置につきましても、その定員の縮小等があるわけでございますけれども、我々といたしましては、こういう代替組織をつくったときの経緯なり必要性、こういうものは十分頭の中にたたき込んでおりますので、当初ねらいました機能が低下しないように今まで努めてきているつもりでございますし、これからもそういう方向で努めてまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 長官、機能が低下をしないようにとおっしゃるけれども、それはなるべくというつもりでおっしゃっているんだろうと思うんですよ。というのは、実際には機能は低下をしている部分というのが結構あるんじゃないですか。それがなければ、地方自治体も統廃合の話で代替措置で話がいけば、それですんなりと認めてもらえるはずなんですけれども、なかなか皆さん自治体の方でも抵抗があるというのはその辺の過去の経緯というのもあるのではないかと思うんです。 例えば、私どもは十カ所に党としてそれぞれ調査団を派遣いたしまして、私もその団員の一人として一地方の実態調査に当たってまいりました。そのときに地元から、山林組合とかそういうところから出てくる要望は何だといったら、例えば許認可の業務なら許認可の仕事、今度今までのところから随分遠いところへ行かなきゃならなくなる、これは非常に困る、こういう陳情が具体的にされるわけですよ。権限の問題等についてはやっぱり違いがあるわけでしょう。そうすると、必ずしも代替措置で機能は低下させなかったとは言えないんじゃないですか。
○政府委員(田中宏尚君) 従来から存続しておりました組織を集中するわけでございますので、いろいろ当方といたしましては、できるだけ窓口サービスでございますとか、機能は低下しないように努めておりますけれども、そういう距離が遠くなった等の不便というものがあることは事実かと思っております。しかし、そういう不便を乗り越えまして、できるだけ当方のサービスというものも充実し、何とか地元の方々に統廃合によりまして必要以上の困難でございますとか不便さができないように努めてきたつもりでございますし、ただ局地的には統廃合いたしまして数年たって、いろいろ当初予測しなかったような事例も出てきておるようなところもございますので、そういうところにつきましてはきめ細やかに目を配ってまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 そのきめ細やかな対応をいろいろと考えてやられるということはあれですけれども、しかし実際に、例えば距離がうんと遠くなるということは地域の人たちにとっては極めて大きな不利益ですね。特に今みんな兼業しているわけでしょう。山林だけでもって食べている人というのは非常に少ないわけですね。みんな兼業して何かほかの仕事を持っているというような人たちが多いわけです。それが許認可のために今まではすぐそこで、一時間かそこらあればそれで全部済んでいたのに、今度は半日つぶさなきゃならなくなる、半日つぶしたら仕事は全部一日休まなきゃならなくなるというようなことというのが起こるわけですね。これはもうかなり決定的な問題の一つだと思うんですよ。機能がなるべく低下しないようにとおっしゃるけれども、この辺のところでは一番大きな機能上の問題として私は考えられるのでないかと思うんですけれども、その辺のところは地方自治体の方でもいろいろと反対をしておられる理由の中の一つになっていると思います。 そこで、地方自治体の理解を深めるために、そういうことも含めてどのように今まで接触をしてこられましたか。
○政府委員(田中宏尚君) 営林署の統廃合につきましては、去る十月二十三日に統廃合する対象の 署名を公表いたしまして、それ以降地方自治体を中心といたしましていろいろと理解を深める働きかけをしてきておるわけでございますけれども、具体的には十月三十日に統廃合計画の細部につきまして、組合でございますとか、いろいろなチャンネルを使いまして具体的な方向づけというものを説明さしていただいてきております。それから、営林局なり関係営林署なり、それぞれが地元に出向きまして説明を積み重ねてまいりましたけれども、本省からも直接やはり地元の方々に接しまして、国有林の現況なり、それから統廃合の必要性、あるいは事後措置の御相談というものを丁寧に取り運んだ方がいいということで、先週までの間に林野庁本庁の担当部長を直接それぞれの地元に派遣して、地元との話し合いを積み重ねさせているわけでございます。
○稲村稔夫君 衆議院の農林水産委員会で中川大臣の時代の約束というのが議論になったようでありますが、それで地方自治体の納得がなければ、この統廃合というのは、無理をしてでも、地方自治体があくまでも反対ということであっても、あえてこれを進めるということになるんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 営林署という地域経済なり地域社会と密接なつながりを持っている組織のことでございますので、何とか地元市町村の理解と納得、これを獲得した上で実行に移したいと思って、現在最善の努力を続けておるところでございます。
○稲村稔夫君 そこでもう一つ、その地元と言うときはどこを指しますか。自治体ですか、それともそこの周辺の住民を含めてということになりますか。
○政府委員(田中宏尚君) それぞれの地域によっていろいろな対応があるわけでございますけれども、我々といたしましては、できるだけ幅広くお話し合いをしたいということで、地元の市町村それから関係業界、関係労働組合、そういうものに対しまして幅広小説明なり納得を得べく工作をいろいろな形でさせていただいておるわけでございます。
○稲村稔夫君 そうすると、あくまでも幅広くその地域の関係の諸団体等も含めて、それで納得が十分に得られるように努力をする、こういうことで、その納得が得られない場合はという仮定などをしていたんではこれはとてもあれですけれども、これは各地区とも納得をしてもらえるという自信がおありですか。そして、それは大体いつごろまでにやられるつもりですか。
○政府委員(田中宏尚君) それぞれ地域に密接な関係のございます営林署という組織の統廃合でございますので、なかなか正面切っての積極的な賛成ということを言っていただくということにつきましては、物事の性格上難しい点が過去もあったわけでございますけれども、我々といたしましては、たび重なるいろいろな話し合いの成果もございまして、徐々にその理解は深まってきていると実感しておるわけでございます。 これからのスケジュールといたしましては、今年度中に十署の統廃合を行うということで、今年度中ということになりますと、いろいろな手続関係もございますので三月一日には統廃合を実施したい、そのためにはできるだけ早い時点で具体的な告示ということで詰めさせていただいて、それから、例えば職員の異動でございますとか、いろいろなそういう組織内部の話し合いもございますので、できるだけ早い時点に決めたいということで、現在のところ、めどといたしましては今月の中旬の遅い時期、恐らく再来週中にはできたら告示に持っていけるように、現地への説得をこれからも強化したいと思っておるわけでございます。
○稲村稔夫君 説得の努力をされることは、それはぜひそうしていただかなければならないと思いますが、くどいようで大変恐縮ですけれども、これは見切り発車をすることもありますか。
○政府委員(田中宏尚君) 最後の最後まで粘り強く地元の理解と納得を得べく最善の努力を積み重ねたいと思っております。
○稲村稔夫君 見切り発車するなんて言えないでしょうから、これはこれ以上は伺うことはやめますが、次に、このごろ天然施業とか天然更新とかというようなことを言われるわけでありますけれども、国有林の天然更新のあり方というものは非常に私は現在のやり方には問題があるように思います。 それは、例えば私が調査に行きましたところ、皆伐をやったところで、天然更新で、ブナ林ですね。そうすると、皆伐をやってしまったところですから、ササが物すごく勢力を持ちまして、一面にササで、母樹がないわけですから、天然更新といったって生えてきようがないわけですよ。そして、例えば少しぐらい遠くからたまにぽつんぽつんと種が飛んできたところで、ササが強力にはびこっていて、とても根がつくような状況になっていないわけであります。 この天然更新というのをやるには、今はそれも天然更新の中へ入っているようでありますが、そうではなくてもっときちんとササを刈って、そしてそういうところには、それならブナならブナをやはり植林の努力をしてみるとか、そういう少し新しい展開が必要なんではないかというふうに思うんです。それでないと山にあちこちに、言ってみればはげみたいものが残ってしまう。こういうことになると思うんですけれども、天然更新というのは今のように皆伐したところもそうでないところもみんな、あと広葉樹林のところは大体そのままほっぽり投げておけば天然更新になる、こういう方針でいかれるわけですか。
○政府委員(田中宏尚君) 単なる天然林をほっておくことだけじゃもちろんございませんで、天然林施業という形でそれぞれの地域の実態に即しました技術というもので対応していこうと思っておるわけでございます。基本的には天然林施業というものはそれぞれの立地条件によりまして天然の更新力をフルに活用するということでございますので、何といいましてもそれぞれの地域の特性をどうとらまえていくかということが必要なわけでございます。 それで、地域によりましては単に手をつけないということではもちろんございませんで、場合によりましては植え込みでございますとか、あるいは稚幼樹の刈り出してございますとか、こういういわゆる人工補正作業、こういうものも加えまして円滑な立派な天然更新ができるような天然林施業というものを心がけようと思っておるわけでございますけれども、ただ天然林施業というものもある意味じゃ非常に古くて新しい技術と言える点がございまして、いろいろ局地的には問題が出ておりますので、従来の知見でございますとか、いろいろな研究成果というものを積み重ねまして、できるだけ立派な天然林の施業にこれから全力を注いでまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 ぜひそういう天然施業というのも、いわゆる手抜きの姿にならないように、そういうことで特にお願いをしたいと思います。 そういう今状況にあるのも山あらしの状況にでもなったら非常に困るわけでありますけれども、そういう形になっておるのは、乱やっぱり行きつくところは最後は国有林の会計問題、財政問題というようなことになるんではないかと思うんです。そこで、一般会計からの繰り入れのための努力というのを今までもいろいろと努力をしておられたと思いますけれども、時間の関係もありますから私は細かい議論をきょうはやめますが、問題は国有林会計のあり方が、これは私何回か提起をしていますけれども、植林から伐採までのその間を一つのスパンにしないと普通の会計と同じように比較するわけにいかないんじゃないだろうか。普通の会計と同じように見ていくならば植林から伐採までの間を一つの会計の期間として見るという、そういうやり方をやっていただかなければならないんだというふうに思いますけれども、そういう国有林会計のあり方について工夫をするということについてどの程度考えておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 国有林会計の処理の仕方につきましては、長い歴史の中で会計の特異性ということを踏まえまして、いろいろな方策を検 試しながら現在のようなものに収れんしてきているわけでございます。そして、この会計はいろいろ現金収支の会計でございますとか、あるいは財務会計でございますとか、いろいろな技術的な問題がございますけれども、単に単年度で物事を全部処理しているわけじゃございませんで、例えば超長期を要します造林、先生からお話ありましたような造林に必要な経費につきましては、これは資産経理として勘定いたしまして、その年の造林経費というものを直ちに損益計算には反映させないということで、将来当該林木を伐採、すなわち販売して収益が出ました際に初めて費用化するというような仕組みをとっておりますし、それから長期的な視点に立つということで、長期借入金でございますとか、あるいは持ち越し現金の任意使用でございますとか、こういうことで長いスパンに立っての林業経営の特殊性に対応した会計処理というものをやっておりますので、現在の会計処理でそういう長期的なものを反映できていようかと思っております。 なお、おわびでございますけれども、先ほど営林署の告示の日付でございますけれども、私の発言が少し混乱したようでございますが、再来週とお聞き取りだったかと思いますが、来週中を予定をしておりますので、ちょっと訂正さしていただきます。
○稲村稔夫君 またそうすると戻ってしまいたいところがありますけれども、もう時間がなくなってしまいましたんで、要するに国有林会計というものは、私は部分的に長期なものを取り入れたり部分的には短期で決算やるものがあったりというふうに入りまじるという形そのものに問題もあるというふうにも思うわけでして、要するに全体として一つのそのサイクルを見て会計というのがつくられなきゃならないんじゃないだろうか。これは資本の回転ということ等考えてずっと申し上げてきていることですが、その辺は今後の検討の課題としていただきたいというふうに思います。 もう一点あれしたいのは、要するに付加価値の高い製品を生産してもらうということも、独立採算というものを要求をされているならば、そういう付加価値の高い製品生産ということに努力をしていただかなきゃならないと思いますけれども、その辺はどのような努力をしておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 今回の経営改善計画の大幅見直しの過程で、今後は立木販売方式を指向するという基本的な姿勢は出しているわけでございますけれども、ただいま先生からお話もございましたように、付加価値の高まる分野があれば、それはそれでもちろん対応してまいりたいということで、例えば高品質材等で有効、公正な販売を行う必要があるとか、あるいは地元が立木じゃなくて素材を望んでいる産業があるとか、そういうところにつきましては従来に引き続き素材販売という形で付加価値をできるだけ高めた材として提供してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても国有林の問題は、森林林業を守り緑を確保して守っていくという点では国有林が言ってみれば牽引車の役割を果たしていただかなきゃならないということになりますから、財政的理由だけでもって縮小さしていくという形にはならないように、そういう点はひとつ十分に踏まえていただいて今後の対処をしていただきたいというふうに思います。 もっと伺いたかったのでありますけれども、時間の関係であと一つ食糧庁に聞きたいことが残っておりますので、林野関係は以上にさせていただきます。本当はガットのところでもって伺う順序になっていたんですけれども、そこの質問順序が変わったものですから、ちょっと後になって恐縮でした。 新聞報道等によりますと、良質米奨励金の削減をやるのではないかということで、これは大蔵省の方針ということで、これは八日の朝日新聞に出ておりますが、これは現実に農水省としてはどういうふうに考えておられるのか、その辺をお伺いをしたいというふうに思います。 それから、来年の減反面積、減反のあり方等について、これも新聞報道でいろいろとなされておりますが、時間もないので私の聞き方は非常に粗っぽくなりますが、新聞に報道されているとおりでございますかどうですかということの念押しをさせていただきたい。
○政府委員(後藤康夫君) 良質米奨励金の問題でございますが、これにつきましては昨年六月の行革審の答申におきまして縮減、合理化の必要があるというような指摘がなされておりますこと、あるいはまた、金額を減らすか減らさないかということではなくて、良質米奨励金の体系なり自主流通行政のあり方というようなことにつきまして食管制度の運営改善の検討を行ってまいりました米流通研究会の報告の中で、今後Bランク米を中心にしたマル自拡大、自主流通米の拡大の観点から体系のあり方について検討する必要があるというような指摘を受けているというような経緯がございます。 また一方、今米の需要拡大ということが非常に重要な問題になっております。そういった中でやはり良質米の供給によって需要の維持なり拡大を図っていくということも一方では重要なことでございます。これらを念頭に置きながら、良質米の生産あるいは流通の状況というものを見きわめながら自主流通米の拡大とその健全な発展を図るという観点に立ちまして、慎重に検討をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。まだ私ども財政当局から具体的にこの問題につきまして提案を受けているというような状況ではございません。 それからもう一つは、米の需給が、三だびの過剰処理が懸念されるような状況になっているということで、系統団体におかれましても種々この問題について主体的な御議論をいただき、また私どもも系統団体とお話し合いをしながら、ことしから発足をいたしました十七万ヘクタールの転作等目標面積、これを維持しながらも緊急に六十三年度に三十万トン程度の需給ギャップの縮小を、従来のようにただ転作面積をふやすということだけではなくて、需要の拡大あるいは流通段階の在庫の調整、あるいは造成というようなことも含めて多面的な取り組みでこれの需給ギャップの縮小を図っていきたいということにつきまして今案の骨子というようなものをつくりまして関係方面と調整中の段階でございます。 新聞報道が正しいかどうかというお尋ねでございますが、新聞の報道はさまざまな報道がございますので、新聞の報道が正しい正しくないということをまとめてお答えが非常にしにくい状態になっているということを申し上げさしていただきましてお答えにさしていただきます。
○上杉光弘君 私は、与えられた時間、農政一般について御質問をいたします。後ほど大塚委員の方から十二品目がございますから、これを外していたしたいと思います。 まず大臣、大臣就任おめでとうございます。農政の現場をよく御理解された農政通の大臣が御就任をされたということで、日本全国の農民が大変な期待と熱い眼で大臣の就任を私は見守っておったと思うのであります。そのような意味から、我が国の農政の極めて基本的な若干の問題について質問をいたしたいと思います。 まず、私どもが農政のあり方を見ますときに、さきの加藤農林大臣あるいは今般の国会におきます竹下首相の所信表明演説、それらを見る限りにおきましては農政審の答申に沿ったものである。中身を言いますと、農業と多面的な役割についての認識と評価がなされている。二つ目には国内の生産性の向上が挙げられている。三つ目には国際農業への対応といいますか、国民の納得する価格でという国際価格に見合う農業の方向というものが、生産されるように方向が示されている。また四つ目には、食糧の安定的供給という農業の本来の役割というものがここに示されておるわけでありまして、農政審の答申に沿った方向で、これが基本的な方向というものが方向づけられておるわけでございます。 そこで、私はそのような前提に立って、まず国土庁にお尋ねをいたしますが、農業や農山村地域社会が持っておる役割と機能というものが、果たして現状を見る限り、その機能、役割は低下しておるのか、現状が維持されているのか、あるいは向上しておるのか、その点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(森永正彬君) 御指摘のとおり、農林水産業は国土保全といった雨その他多様な役割を持っておるわけやございますが、そういった国土保全の面について申し上げましても、農地や森林の減少でございますとか壊廃といった傾向が最近出てきておりまして、そのような国土保全機能が低下しているという面は否めないかと考えております。
○上杉光弘君 ありがとうございました。 機能が低下しておるという国土庁の認識が示されたわけでありますが、大臣、ひとつ大臣の認識と評価をお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 私、実は十六年前に農林水産政務次官を務めた経緯がございまして、当時と比較をいたしまして特徴的なのは、非常に国際化が急速に進んできたということで、これはもう比較にならぬぐらい隔世の感がある、こういうことでございます。 一方、生産面だけではなくて多面的な機能全体について申し上げますと、国民の食生活の多様化であるとか、あるいは今申し上げた国際化の急速な進展とか、数え上げればいろいろあると思いますが、そういう面からして従来の機能という面だけで評価するには足りない現状にある。余りにもそういう意味で、生産者におきましても、流通面におきましても、また消費者自身のニーズも多様化してまいった経緯がございますので、機能全体について言うと、もう下がったとかという表現ではなくて大変な変わりようである。それに十分にこたえているかということになりますと、行政的にはいささかおくれている面もあるのではないかということが言われてもいたし方ない。そういう意味では、これからの農政そのものについてさらに真剣な努力の積み重ねが必要である、こういう認識を持っております。
○上杉光弘君 国土庁、さらに大臣から御答弁をお聞きしまして、大変乱納得をいたしておりますが、竹下首相は所信表明の中で経営規模の拡大、生産基盤の整備等を積極的に進めなければならないと言わずに「進めてまいります。」と断言をされておるわけであります。この発言は極めて重いものがあると私は受けとめております。 そのような考え方に立ては、私は農業の多面的な役割、農山村の地域が持っておる国家社会の中における果たすべき機能、こういうものが果たして国民の中に正しく理解されているかというと、私はそうではないと思うのであります。また農民自身ですら、このことを自覚し、毎日農業と取り組んでおるという姿にはなっていない。このような問題を前提に置きまして、さすれば日本の農業が国際化の時代の中で生き残る道は何があるかというと、それは規模拡大を図って、そして生産基盤の確立を図って、機械化施設を近代化して生産コストを合理化した上で切り下げて、国際価格に見合う生産者価格というものの引き下げを図った上での農業生産体制というものを確立しなければならない。行き当たるところは規模拡大ということに、土地問題にかかってくるわけであります。このような考え方を順次たどっておりますと、我が国の経営面積は一ヘクタールであります。ところが世界の国々の経営面積を眺めてみれば、オーストラリアが一戸当たり大体千五百町歩、アメリカでも百八十から大体二百町歩、ヨーロッパにおいても十八町以上から五十町程度、こういう一つの数字というものを私どもはとらえることができるわけであります。 そこで、局長にお伺いをいたしますが、国際農業への対応といっても、物をつくる土地条件というものが整わなければそれはできるものではありません。そうなれば、この一町という、一ヘクタールという土地の水準を、一体我が国の農業が国際化時代に対応できる面積というものはどれくらいまで可能であるのかどうか。それをひとつお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○政府委員(鴻巣健治君) 現在の日本の農業で、自立経営と呼ばれますすぐれた経営をやっておりますところで、稲作単一経営で大体平均が五・四ヘクタール、それから中核農家といいますが、農業に専念をしています農家らしい農家、これが大体稲作単一経営で見ますと三・五ヘクタールというようになって、これは田畑計でございますが、東日本では大体農家らしい農家というのは五ヘクタールぐらいというのがかなり出てきていますし、それから西日本にいきますと、大体二ないし三ヘクタールという形での農家らしい農家が出てきています。といっても、これは全体の四百万農家の中の大体二割ぐらいでございますが、地域によってその割合はいろいろでございます。また、規模の拡大のやり方も、北海道や東北ですと所有権を取得をするという形でございますが、関東から西の方へいきますと、借り入れをする、農地を借り入れる、あるいは農作業を受委託するというような形でございますし、受け手農家も個人の場合もありますし、それから生産組織の場合もある。その生産組織の中も、いわゆるプロ農家と、それから兼業農家、高齢農家が一緒になっているのもあるかと思いますと、プロ農家だけで生産組織をつくっているのもある。本当にさまざまだと思っています。 今のお話のように、ヨーロッパとの関係とか、あるいはアメリカとの比較という形になりますと、規模がもう絶対的に違いますが、たしか私の記憶では所得から見ますとそんな大きな、何百分の一ということじゃなくて、例えば二分の一とか三分の一ぐらいしか差はない。これは非常に日本の農業が東アジア独特の集約的な、労働力を大量に投入して土地の生産力を高めておりますので、単収が高いとか、あるいは農産物価格政策のおかげとか、そういうもので面積が石あるいは百五十分の一ぐらいであっても、所得でいくと二分の一とか三分の一ぐらいの開きしかない。まあこれ以上価格政策等に依存しては、やはり財政とか消費者に対しての依存も限度でございますので、むしろ規模拡大をしなきゃいけない。ただ、規模拡大のゴールというのはなかなか設定しがたいので、それぞれの地域地域の中で、農業でいわば飯が食える規模というのを目標にやっていったらいいと思います。 私どもとして、この間、中核農家のアンケート調査をことしの夏終わりましたが、それの結果を見ますと、中核農家と呼ばれる人約五千人を対象にアンケート調査をいたしますと、三ヘクタール以上の方の場合ですと大体二倍ぐらいの規模まで拡大をしたい、それから三ヘクタール未満の中核農家の場合ですと大体三倍ぐらいまで拡大したい、その三倍まで拡大するとか二倍ぐらいまで拡大したいと言っていますのは、所有権の取得もありますし、借り入れもありますし、それは農作業の受委託でもいい、本当に多様だと思います。そういう多様な地域の希望といいますか、地域地域の実情に応じてそれぞれ中核農家の目標とするところを、特に土地利用型農業経営の規模拡大をどうやって援助していくかというのが私どものこれからの構造政策の課題であろうと考えております。
○上杉光弘君 私も質問しようと思ったんですが、国際競争力は、面積と違って二分の一ぐらいの所得をおさめておるからある程度可能な方向が示されたわけでありますが、局長、土地改良、生産基盤の確立、山間部あたりは特に経営面積をふやそうと思ったってこれは物理的に不可能ですね。それはもう御承知のとおりです。水利がありませんし、またあの狭い山合いの谷間で経営規模を拡大するというのは極めて困難であります。さらにそのような意味を含めて土地改良ということになれば、どこへ行ってもお聞きするのは受益者の負担区分の問題と借入金の金利の問題であります。こういうものは一回見直して手をつけられようとしておるのかどうか。そこいらをひとつ、判 断というか、見通しでも結構でありますが、お聞かせをいただきたい。
○政府委員(鴻巣健治君) 特に今お話しのように、山村の場合ですと土地基盤の整備がおくれておりますので、採択基準を緩和しながら土地改良事業の進展を図っておるわけです。 後段の負担の緩和の話でございますが、私、着任以来大分そういう問題の御指摘がございますので、六十二年度予算要求の中で新しい要求を大蔵省に出したわけです。その前に、六十二年度予算でも、私ども計画償還制度と呼んでおりますが、負担が余りにも過重な国営特別会計の地区で、ある基準といいますか、余りにも負担が重いところでは償還期間を延ばすということを六十二年度予算で講じました。六十二年度予算で今要求をいたしておりますのは、借りかえといっても、また借りかえ自身はほかにも波及しますし、やはり郵便貯金を預けている方とか、あるいは厚生年金とか国民年金とか、そういう預けている人の資金の運用問題が悪化するとか、そういう問題に響く話がございますので、なかなか借りかえは難しいものですから、今私どもは六十三年度予算で大蔵省に持ち出しておりますのは、非常に負担が高くて苦しんでいる土地改良区に対しては、土地改良区が償還する場合に、これは農家から取り立てて、それを土地改良区が償還をしていくわけですけれども、農家自身が負担が重いと感じるときには、土地改良区が農家にかわって、例えば農協とか地方銀行からお金を借りまして、その金で一応立てかえて払っておく。ある一定限度以上です。その一定限度以上の負担が重い部分については土地改良区が農家にかわって立てかえて払っておく。後で時間をかけて、ゆっくり年数かけて農家の方から徴収をする、立てかえた金を徴収をする。その場合に、農家の負担が重くならないように、国と県とで農家に徴収するお金の金利の利子補給をして負担の軽減を図るという案で大蔵省に持ち出したところです。 大蔵省からはさんざん不評でございまして、こういう公共事業というのは、物をつくるといいますか、施設をつくるということでございまして、それを特定のところに対してだけ負担を緩和すると、いわば補助率アップに等しいものでございますから、他にも波及するとか、こんな前例はないとか、さんざんやられておりますが、私どもとしても六十三年度予算要求の非常に重要な柱でございますので、何とか芽を出したいといいますか、実現したいと思って、今苦心しながら要求をいたして、折衝をいたしているところでございます。
○上杉光弘君 御苦労も多いでありましょうが、国際的な競争力をつけるためには肝心なところでありますから、ひとつ頑張っていただきたいと思うのであります。 それから、経営面積が外国と比べてそうだというのと、もう一つは国の政策上、国策上、私はアメリカ、ヨーロッパと日本の農業の違いというのは、アメリカやヨーロッパの農業というのは輸出産業まで位置づけがしてある、産業として。日本の農業は国内需給というのが私は基本的にはあると思うのであります。体質が本当に基本的にここが違う。そのような意味から政策的にあらわれておるものを見ましても、例えば価格の支持政策でもアメリカは一・五倍、ECは日本の二・三倍価格政策でも使っておる。さらにまた、私どもが農政というものを考えたときに、どうしても行き当たるというのは、日本の農業は集約型農業である。ですから、経営が大きくなって生産が大きくなれば、余剰金があってゆとりある経営ができるというわけでもない。その顕著な例が北海道の酪農でありまして、十数年でヨーロッパを追い越した規模にはなったけれども、経営は遅々として楽にならず、特に借入金の返済、えさ代の返済に追われた経営を強いられておる。こういう実態は私が申し上げませんでもよくよく御理解であろうと思うのでありますが、こういう事実もありますことでありますから、何とぞこの国際化の時代に対する農政の現場というものをよくよく踏まえた推進方をひとつお願いをいたしたいと思います。 時間がありませんから質問急ぎますが、そこで大臣にお尋ねいたしますが、私は農政を現在の枠組みで取り組むとするならばだんだん苦しくなると思うのであります。何となれば、我が国の農政というのは、生産基盤の確立、金融政策、機械化や施設を中心にした近代化政策、品種の改良、技術の革新という政策、流通、価格の政策、構造政策、価格政策を細かく分けると五つぐらいの柱に分けられると思うのであります。これをよく考えてみれば、この政策はすべて補助金がベースの政策であります。そうすると、我が国の財政事情あるいは農業を取り巻く環境、国民世論、そういうものを考えますれば、だんだん補助金というものは切り詰められる。そうなると、この五本の柱の政策は形骸化していく。私は、このような論点に立ては当然これにかわる政策的な転換というものが求められておるというのが現在の農家の皆さんの気持ちではないか、こう思えてならないのであります。 そこで、どうしてもそういう方向に行き当たるとするならば、私は一口で言えば、国土保全的視点からの地方の活性化、農林業の振興というものが今後考えられることであると、こう思うのであります。例えばこれから、民主主義の社会体制でありますからなおのことでありますが、農政を進めるにいたしましても国民的理解、合意、納得、これがなければならない。加えて言うならば、私は生産者と消費者が対立すべき今の図式では好ましい状態とは言えないと思うのであります。それは共存すべきものであります。むしろ消費者から支援されて農民の生産活動ができるという姿こそが私は理想的な一つの条件ではないか。このように考えて申し上げますと、どうしても国土保全的視点からの、農民が食糧生産のみならず、総理も言われました、大臣も言われたように、多面的機能、農村地域社会の役割、農業の役割というものを考えれば、私は当然のこととして国土保全的視点からの農政というものが方向づけられていいのではないか。この点についての大臣のお考え方をお尋ねしたいのであります。
○国務大臣(佐藤隆君) 今将来を見通しての御見識を承りました。おっしゃるように国土保全という面からの考え方がいよいよ重要になってくる、こういうことでございます。簡潔に申し上げますが、そういう意味では第四次全国総合開発計画、これに盛られておる物の考え方、これこそまさにそれにつながる重要なことだなと、こう思います。 また一面、生産者と消費者のこの考え方が一致していくべきである、まさにそのとおりだと思います。昔の生産者は、米づくりをやっておれば、米もつくれば、庭先で野菜もつくれば、また鶏も飼う、まさに生産者でありました。今日の生産者はそうではございません。一部分生産をしながら大部分は消費者であるということも言えます。そういう面からも生産消費一体、特に複雑だとは言いながら流通関係がございますから、そういうものが混然一体となってそのニーズに合う方策を進めていかなければならぬ、こう思います。そういう意味でまさに国土保全、そういう大きな視点からの取り組みが必要であると考えております。 なお、先ほどの多面的な機能というところについて一言だけつけ加えさしていただきたいと思いますが、私がこの委員会で、当院に籍を置きましたとき、ちょうど農林水産委員長をしておりましたときに、農地の有効利用増進事業、この法律案を通したことを今思い出しておるのでございますけれども、あのときは農地の所有権、利用権、これを分離した形でいかに農地の実効を上げていくかということが手始められたときだったと今思い出しておるのでございます。そういう意味において規模拡大の観点も、まずは農地所有者、農業者、農家等がそういう物の考え方であらねばならぬのではないか。所有権と利用権の分離、これを正しく認識することによってまた規模拡大の道というものもあるのではないか。ちょっとつけ加えさしていただいた次第であります。
○上杉光弘君 答弁をいただきながら極めてありがたく力強く思うのでありますが、もう一点、農林水産省としてはそのような考え方でやるとすれば、私はやっぱり行政の取り組みの姿勢として、そういう多面的な機能あるいは役割というものが正しく理解されるように、あるいは学校教育との関係、社会教育との関係、国民教育上日本の国が国家存立の基盤としての国土保全を正しく認識をすると同時に、そのことに理解を示すことは教育でなければならぬと、こう思うわけであります。そのような意味から農水省の窓口があると思うのでありますが、そのようなもの、あるいは別に対策室をつくるとか、あるいは組織の強化を図るとか、そういうところに力を入れなければ、それは私は空論に終わってしまうと思うのであります。そういう意味での農水省の努力というものは私は決して万全とは思っておりません。したがって、その点については強く要望をいたしておきたいと思うのであります。 それから、最後でありますが、そのような考え方に立って、私は今後の農政の方向ということになれば、金融政策と税制問題だと思っております。金融政策は社会保障制度を含んだ経営譲渡資金的なものにならなければならぬというのが私の考え方であります。長期低利の金融資金、そういうものがこれから老後の生活を保障するということにつながっていけば、当然後継者の確保につながる、花嫁対策にもつながっていくわけでありまして、農家が直面する老後の保障あるいは後継者問題、花嫁問題、これらを解決する手だてが今日の政策の上で見られないとするならば、私は今後の方向として農業の多面的機能を背景にした理論構成のもとに国民的理解と合意と納得と支援を受けた形で、そのような金融政策や税制問題が当然打ち出されてしかるべきだと思うわけでありますが、この点についての大臣の決意をひとつお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(佐藤隆君) まさにおっしゃるとおりでございまして、税制の問題も農林水産関係、食糧政策を含めて万般にわたって議論が進められてまいりましたし、また新たな議論もされようとしておるわけでございます。そういうことと、また一面金融の問題も極めて大事な問題でございまして、古くて新しい話になるかもしれませんけれども、高齢化対策あるいは後継者問題等々をいろいろ考えてみますと、制度金融と系統金融との両々相まっての金融の実効を上げていく、金融政策の実効を上げていくということは当然のことながら考えていかねばならぬ、こう思っております。
○上杉光弘君 これで、時間が来ましたから終わりたいと思いますが、私は結論づけて言えば、日本の農業を守ることが国家存立の基盤である国土保全を、その機能をゆるがせなく守ることにつながる、こう申し上げたいわけであります。それで、日本の農業を守る専業農家、農民年金加入でいけば約八十万戸と私は記憶しておりますが、それを守るのに後継者は四千から五千しかおりません、年間であります。これで守れるかというと、私は守れないと思うのであります。そのことは、そのまま国土保全という機能が低下することにつながるわけであります。したがって、今後の政策的な方向をよろしくお願いをしたいと思いますし、また税制問題についても、フランスでは一定の条件の下で持ち分価格の四分の三の相当につき相続、贈与税が免除されるという制度等も税制上優遇措置がございます。金融政策としても四%程度で経営の譲渡資金的なものが党もれるわけでありまして、これらもひとつよくお願いをしたいと思います。 それから、最後でありますが、土砂災害危険箇所の整備の状況という数字で見ますと、土石流せきの危険箇所が七万カ所、地すべり危険箇所が一万カ所、しかも土石流せきの危険箇所は約一六%しかこれは手がつけられてない、地すべりの危険箇所にしても一六%であります。また急傾斜崩壊危険箇所が六万二千カ所で、これも一七%しか手がつけられていない。いかに日本全国危険な災害が起こる予備的な状況にあるかということが、ここでおおよそ判断がつくわけでありまして、今後の農政推進に当たりましては、何とぞ農業が食糧生産だけでなくて、そのような国土保全的な機能や役割を持っておることを背景にした農政理論の構築と、新しい国際化時代に対する農政の方向づけを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○大塚清次郎君 時間が二十分少々しかございませんので、実は日米の農産物貿易摩擦、殊に十二品目問題のアラカルトについて問題提起をしてお尋ねもし、また要望もしていきたいと思います。私は質問は簡単にいたしますので、御答弁もひとつごく中身だけにしていただきまして、質疑の中身を充実させていきたいと思いますので、御配慮を願います。 実は今度のガットの、あるいは日米の十二品目の交渉、これは経済局の眞木局長さん、塩飽国際部長さん、大臣の御指示で最も私どもが信頼するに足るハードなコーディネーターとして、ネゴシエーターとして大変頑張ってもらいました。心から厚く御礼を申し上げたいと思いますが、結果はまことに私どもの期待に沿ってない、これはもう残念なことでございます。これから二月までの間、大臣おっしゃるとおり、ひとつしっかり国の農業の命運をかけて頑張っていただきたいと思います。 そこで、まずお尋ねしたいのは、このガットの今回のいわゆる採択の問題、勧告でございますが、どうも私どもが外から見ますと、このガットに許されております農業に関する十一条の例外規定、それから二十条の一般的例外、この二つがこれは一応判断基準になっておると思います。そこで十品目クロということになったと思いますけれども、この中で特にわかりにくいのは、生産制限についての見方、それぞれの品目についての、これは法制度でこの生産制限をしているということと、それから我が国には世界にはない行政指導というのがあるんですね。それから自主調整というのがあるわけです。そういうことをきちっとしていなかったから非常にクロの判定につながったんじゃないかということが一つ。 それからもう一つは、同種の産品、いわゆる農産品のアイテムごとに問題になるわけですから、そうなった場合、同種の産品についての判断を非常に狭めていたしますと、これはクロになっていくという等のこと等が、やりとりが相当なされたと思います。ほかにも要件はございますが、それについてどうなのか、どうだったのかというのが簡単にひとつお願いしたい。それからもう一つは、今回国家貿易品目は一応クロになっておるということ。これは二十条になってくると思うわけでございますが、これについてはどうなのかということがございます。 それらのいわゆるガットの判定基準あるいはガットそのものの判断をする要素、こういったようなものが非常に私どもの期待しておったのより厳格に、厳し過ぎたということがアウトになった理由じゃないかということを考えますし、また、経済的要因、判断外の他の要因は全然考慮されていないんじゃないか。例えば日米の農産物の日米にとってのインバランスの太ささ、最大のお得意であるという点、それから、あるいは日本農業のいろいろな条件的な困難な特殊性、それから日本の食糧自給率の異常な低下の速度、それからもう一つは、相手方の米国が持つ特権、ウェーバー、こういうものは全然判断の基準の参考にもなってないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。これは経済局長。
○政府委員(眞木秀郎君) お答え申し上げます。 まず、最初に御了承いただかなければならないわけでございますけれども、このパネルの報告そのもの、あるいはまたこれをめぐる総会での議論、約束の上でこれは非公開ということになっておるわけでございまして、詳しく報告書を例えば全文お見せをして御説明をするということができないわけでございますので、その点をあらかじめ御了承をいただきたいと思うわけでございます。 御案内のとおり、この輸入制限が例外として認められる場合、ガットの十一条の2項の(C)の規定 によりまして幾つかの要件があるわけでございます。例えば、その対象が農業産品であると、生鮮品の場合は問題ないわけでございますけれども、加工品の場合は、その加工の程度がごく初期のものであって、保存性がない、ベリシャビリティーという言葉を使っておりますが、そういう要件がございます。また、今委員御指摘の国内制限を実施するための措置が政府の措置であるということで、これが自主的な生産制限、生産者による、そういうものが当たるかどうかといったような問題。それから、同種の産品、いわゆる輸入制限の対象にしておりますものと国内で生産制限をしておるものとが同じものであるかどうか、同種の産品であるかどうかといったような要件。それからまた、輸入と国内の生産割合を制限がない場合よりも小さくするものでないといったような、いわゆるミニマムアクセスの要件といったようなものがあるわけでございます。 これらの点につきまして、各品目ごとに我々はその内容を精査したわけでございますけれども、特に我々といたしましては同種の産品というものにつきましてのパネルの判断が非常に狭義に過ぎてとても受け入れられるようなものではない。ごく初期の加工を施したもの、そういうものが貿易の対象として動いておる。畑なりに植わっておるものは生鮮品そのものである。中には戻るようなものもございますし、そういうことで取引なり貿易の実態から見て同種の産品の定義が狭義に過ぎるということ。それからベリシャビリティーという、保存性がないという要件につきましても、これにつきましてもやはり実態から見て非常に乖離した解釈が行われておるという点がございました。これは特に乳製品、それからでん粉について我々が問題にしてここは受け入れられないとしたところでございます。 ミニマムアクセスの問題につきましては、この要件をちゃんと説明できればその他の点では合法であるという点で雑豆と落花生がいわゆる灰色として伝えられておるというところでございます。 それから、国家貿易品目は、乳製品がこれはかかわってくるわけでございますけれども、これにつきましては、国家貿易につきましても今申し上げました十一条の例外を認める要件がかかるかかからないかというところが議論の焦点でございまして、我々といたしましては独占的国家貿易の場合にはこのガット規定の前身でございますITO、いわゆるハバナチャーターの起草の段階からの経緯に照らしてみますと、独占的国家貿易と民間貿易とは別の法理論、法体系によって律せられるべきものであるという考えを持っておるわけでございますが、ガットパネルの判断はそういう考え方をとっていないというところで、我々はそれを認めることができない、こういうような判断をしたわけでございます。 そういう意味で、今申し上げました三点につきましての部分は、さっき大臣申されましたけれども、部分反対ということで態度を表明をしたということでございます。 また、その他のいわゆる関連要素につきましての問題でございますが、これにつきましては我々は当初からこのパネルの付託の条項、いわゆるクームズ・オブ・リファレンスと申しますけれども、これの中にこういうものもちゃんと考えに入れるべきだという主張をいたしましたけれども、アメリカ側はこれは反対でございました。その結果、いろいろやりとりの結果、こういう関連要素、パーチネントエレメントについてもメイ・テーク・インツー・アカウント、考慮することができるという程度にとどまったわけでございまして、その中で我々は一部委員御指摘のような日本が最大の農産物輸入国として世界の農産物貿易に貢献をしておること、あるいは米国自身がウエーバーによる輸入制限をもって実質的に公平性を欠くという問題、あるいはニューラウンドで新しいルールの策定作業に入っている、やはりそこでそういうウエーバーともあわせて同じ土俵でルールをつくるべきであるというような主張は行ったわけでございますが、結局考慮することができるという程度の付託条項の中で、結果の判断はやはり関係条文に即しましての法的判断というのが大きな比重を占めた、こういうのが経緯でございます。
○大塚清次郎君 実はそこが非常に問題なんでございます。実は今度の十二品目の中に二品目が、雑豆、落花生、これは灰色、あと十品目がクロということ。そこで二品目を抜き出して分割採決に持ち込んでという一つの日本側の戦略がひとつ二月までの延期につながったわけでございます。しかし、これをよく見てみますと、内容はほとんど調製品、加工品なんですね。いかれているのは調製品、加工品。これがオールアウトになっておるということ、そういう狭い判断基準の中でやられておるということ、これが一番私は今後問題だと思っております。 と申しますのは、この調製品というのは一次産品との垣根がないんですね。今既に入っております調製品でもすぐ手を加えれば原形に復するという事実があるんです。したがいまして、通関した以上はそれを追跡しないということになっておる。だから一次産品に復元しておる。そうなってきますと、日本の一次産品を今後守っていくことが困難になる。ここに非常に十二品目の大きな問題点が私はあると思います。 そういう点では、既に国内のこの種の調製品的なあるいは加工品的なもの、一次産品じゃない加工したものについての価格支持の制度を見ましても、例えばカンショにしても、でん粉にいたしましても、すべてこれは価格支持の主なる、主要な政策の柱になっておる。こういうものを全部洗い直していかなきゃならぬようなことになるということでございます。ここがまた今度の、特にでん粉と乳製品について非常に強い立場をとられた理由にも私はなっておると思います。これは私は日本の農業、一次産品を際限なく追い込んでいくということを考えなきゃならぬ。したがって、単なる国内対策の幾らかの対策では、これは防ぎ切れないであろうということに私は危機感を持っております。それが一つと、このガットの判断、アメリカのやり方につきましては、すぐただいま牛肉、かんきつの問題がございます。特に牛肉については去年、国家貿易品目で通告をされておりますが、そういうものとても十一条との絡みの中に生産制限というものが出てこないと、またこれ倒されるおそれがある。幾ら畜産事業団が中心になった国家貿易企業がやっておってもそういうことになりはせぬかという憂いもあるわけでございますが、そういう点からひとつ非常にこれは今後の貿易交渉の中で難しくなる、アメリカの思うつぼになる。非常に一次産品に吹き抜けをどんどんつくっていく。これが私は一番危険だと思いますが、そういう点についていかがですか、大臣にひとつ。
○国務大臣(佐藤隆君) 今おっしゃるように、八品目自体に問題がある。さらにまた、先ほど来言われておりますいわゆる二品目、乳製品、でん粉、このことについてもいよいよ大変な問題が出てくるということ、そういう認識で実は取り運んできたわけでございますけれども、それならそれで、一口に言えばウエーバー品目というような形でガットの合法的な理解を仰いでおけばよかったのではないか、その反省いかんという意味のことも先ほど申されたわけでございますけれども、過去をさかのぼりますと、それはまた私なりに言うに言われぬつらさがある。これはひとつ御理解をいただきたいと思います。 しかし、せっかく継続審議という形で二月の理事会までに時間的余裕が与えられたことは事実でございますから、そういう意味においてさらに一段と国内政策をコンクリートしていく。もちろんアメリカ側の理解を得るのが前提でございます。そうして国内対策を取り運ぶ、あるいはガット理事会に対しましても対応を進めていく、こういうことに全力を挙げていかなければならぬ、かように思っております。
○大塚清次郎君 特に私は、調製品、加工品を丸裸にされていくということは、今後一次産品にど ういう影響を与えるか、一次産品というのは日本の農業そのものだと思います。これは食生活の指向がさっきおっしゃったような国際化の中で非常に多様化している。その多様化している中に、いわゆる調理食品化しているということです。これが米の消費減をもたらしている原因でもあると思うんです。現実にそうなんです。そうした場合に、それが丸裸にされるということは、一次産品をやっぱり限りなく追い込んでいくということに私はなろうかと思います。そういう点で、この国境調整の構え、これを二月までの間にどうするかということが一つ、それから国内的ないわゆる価格政策の見直しの中においてどう守っていくかという二つの視点がこれは出てくると思うんです。ですから、そういう点についてしっかり構えていただきたいということを申し上げたいと思います。 そこで、これからの限られた時間の中での大臣の日米交渉なんですが、これは前提を私はここで確認しておきたい。私の所属する農業団体なんかは、まだ十二品目は終わってないから十二品目全体に対しての今の輸入自由化阻止運動をやっておるわけですね。しかし先ほどの菅野先生への答弁によりますと、もうそういうものは間尺が合わぬじゃないか、その運動と接点がないじゃないか。今後の農水省の日米交渉、これはやっぱり十二月三日、あそこで分離採択を日本側が持ち出したときに既に日米交渉の自由化ということについては八品目はもう日本側は応諾という前提に立って国境調整をどうするか、国内対策をどうするかという問題に移ったんじゃないか。今でん粉あるいは乳製品、この二品目については日本側はノーということをやりましてあれが延びたわけですから、これは日米交渉の自由化そのものについての対応になってくるということですね。そういう仕分けをして日米交渉をなさるわけですか。その辺について。
○政府委員(眞木秀郎君) ただいま御質問のガットのパネル報告書の中身をいろいろ検討した結果、乳製品とでん粉及び国家貿易に関する解釈についての我々は受け入れられないといった以外の部分については、ガット・パネルの報告書の趣旨に即して適切な措置をとるということを表明いたしまして、そのうちのいわゆる八品目部分については、これはあわせ講ずべき国内措置等々あわせてガット上はやはり輸入数量制限を廃止するという意思表明をしたわけでございます。 しかし、この問題は、ほかの今の反対表明した部分とあわせまして、その取り扱いをどうするかということが先送りになった状態で今そこにあるわけでございまして、全体の解決といったものは、今おっしゃったように今後アメリカとの話し合いもあると思いますけれども、いずれにせよやはり次回のガット理事会できちっと片をつけなければならないということになっておるわけでございます。したがって、ちょっと回りくどい言い方をしておりますけれども、全体の決着、それに向けての対応の中で八品目の部分につきましての措置、そういうものも十分に検討いたしまして、国内のそういう手順もきちっと踏んだ上でまた全体の解決を図る一環として考えてまいりたい、このような考えでおるわけでございます。
○大塚清次郎君 そこで、これから農林水産省が中心になって行われます二月までの日米交渉のプロセスについてでございますが、二、三日前からいろいろ新聞で書かれている。あるいはゆうべはNHKのラジオ、これは衆議院の農林水産委員会に関連したものもございます。いわゆる竹下訪米前に政調会のところで竹下訪米のこの問題についての段取りをとるというような新聞報道が一つあります。それから、これは渡辺政調会長に訪米前に結局対応の態度を政府内あるいは党内で決めてみてはというようなこと、いろいろあるわけでございます。それから、それに対しまして農林水産大臣の八日の衆議院の審議の中で確固たる意向表明をして、でん粉、脱粉の自由化をひとつ守っていきたいということ、また円満な決着のために国内対策にも十分配慮して詰められる点は十二分にこれから詰めていきたいといったような、いろいろ今後の交渉の心構えといいますか段取りというのが報ぜられておりますね。 それで、このようなことは、被害を受ける、被害者意識を持っておる農民についてこういうことがあっちからこっちから放送されますと、例えば新聞報道にいたしましても、非常にこれは迷うんです。もっとアメリカとのけんかはやっぱり国論を、まず政府部内を統一してかかってもらわないとまことに困るということ。またそうでないと、農林水産大臣はやりにくいと思いますね。後ろから鉄砲弾が飛んでくるかわからぬのにしっかりした交渉は私はできなくなるということです。これはすぐ、かんきつ、牛肉の交渉は途中でございますから、大変なこれとのかかわりも出てくる。水もまたRMAがどう出てくるか、そういう点も近い将来についてまず懸念されるということでございます。 したがいまして、私は特にお願いしたいのは、その八品目についてはひとつ国境調整措置をしっかりやってもらうということでの日米交渉に臨んでもらいたい。それから国内対策については、これは前例があるんです。何か事後対策をやる際につかみ金でちょっとやってみたり、あるいはこういうこともしますよ、国内が困らぬようにいたしますよといっても、法制度で出てこないんですね。だから年々の農水省の既定予算の枠の中でやりくりでやられておる。したがってこれは継続性がないんです。例えば財政再建なんということになりますとすぐ次の年は切られちゃう。これは非常に国内対策というのは長期を要するわけですね。だからこれは、この分は自由化やむを得ないから、ひとつここでこういうものをこの期間にわたってやるんだよということをしっかりした法制度で裏づけていかないと、そのときの痛みを緩和する程度のことにしかすぎない。それじゃ日本農業の将来の私は展望確立は出てこない。特に担い手について私はそうだと思います。 そういう点で、最後に農林水産大臣の決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 最初に、一連の報道、昨日の農林水産委員会における発言等も含めて一連の報道について御指摘がございました。報道の自由、これを尊重しておる私としては、これに批判を加えるつもりはございません。しかし全部そうかと言われれば、そういう部分もあるし私どもの認識と違う活字もあるということだけは申し上げていいかと思います。 あと、政調会長がどう言われたとかどうだとかいうのは、ひとつ党内処理でよろしくお願いをいたしたいと思います。私も自由民主党所属の国会議員という二足のわらじを履いておりますけれども、それは党内でひとつ。しかし、いずれにしても政府・与党首脳会議の中でという報道もございましたが、その中でこうしたらいい、ああしたらいいという具体的なことは私は聞いておりません。 なおまた、農林水産省といたしましては、私どもの考え方をコンクリートする。これからいろいろな手順がございます。それを一々申し上げるわけにはまいりません。おっしゃるように、それをまた聞いた人がどういう予断をされるか、予測をされるか。またそれが新たな混乱を招く。外交交渉が絡んでおりますので非常に難しゅうございます。そういう意味で慎重でございますが、政府・与党一本というのは当然のこと、なおまた内閣意見統一ということは当然のことでございまして、今現在は統一されておるものと思っております。しかしなおまた、せっかくの御注意でございますから、注意してまいりたい、かように思っております。 第二点は、予算のことに関連する意味のお話であろうか、こう思います。何かちょこちょことやるんじゃだめだよ、こういう話でございます。私、就任早々言っているのでありますけれども、猫の目農政と言われないように、将来を目した一つの設定をしなければならぬ。それには、農政審の答申をもとにしながら、さらに具体的な対応策に ついて、それを中期的あるいは長期的に刻んで、そしてことしはこう、来年はこう、再来年はこうなるんだという一つのレールを敷くことができれば幸いだな、そういう願望を込めてひとつ努力をしてみたいものだ、こう思っておるところでございますし、いつ農林省でこのたびの問題は対応できる、これはお金のボリュームだけで予想して申し上げるわけじゃございません。竹下内閣の姿勢として、農林省だけでどうのこうのということではなしに、竹下政権として予算面でどう対応するか、その認識はまた一本でなければならぬ、かように心得ております。
○刈田貞子君 質問させていただきます。 お米の問題も通告してございますけれども、今の大塚先生の演説に続いて、大変勉強さしていただきましたので、ガットの問題の方から先に聞かせていただきます。朝からこのガットの問題が出ておりまして、確認する部分というのはみんな同じでございますので、かなりのことが鮮明になってきたというふうに私は思います。 そこで、まず一番最初に伺いたいと思っていたのが、先ほど来犬塚先生が確認なされたところの十一条と二十条の問題のことでございましたけれども、これもまあ割愛をさせてはいただきますけれども、非常に眞木経済局長のお話を聞いておりますと筋の通った交渉をなさってきておられるのではないかなというふうに、さっき大塚同僚委員への答弁を聞いていて私は納得する部分が出てきました。ただ、声が小さいのと違いますか。やっぱり交渉というのは迫力でいくべきだと思うんでございますけれども、この点いかがなものでございましょうか。大変紳士でいらっしゃるものですから、なんでございますけれども、もうちょっとどでかい声で交渉していただいたかどうなのか、まずこの辺から確認をさせていただきます。
○政府委員(眞木秀郎君) 大変お答えしにくい質問でございますけれども、我々いずれもよく分担をしてやっておるわけでございます。たまたまパネルには私は直接出席いたしません。国際部長以下担当局の三審議官が出席をいたしまして、それぞれ言うべきことはきちっと言ったわけでございます。また、総会等の場におきましては、この中身の反論にあわせまして、先ほどから御指摘がありました関連要素等につきましても、言うべきことは全部言い込んで、粘り強く交渉してきたつもりでおります。
○刈田貞子君 日本の皆さんが、大変に一生懸命現場で交渉なさっておられるということは私もよくわかります。それにもかかわらずこういう状況が出てきているということは、むしろ相手方に非常に巧妙な部分があり、そしてそれを上回る読みが我が方にもまたできなかったのかなということも思うわけでございますけれども、先ほど来ガットの判定基準とか例外的要因の話が出ておりましたけれども、これはやっぱり一般農民ですね。農民の方たち、それぞれの現場における農民の方たちにとっても、やっぱり、交渉の場では筋を通したと言っても現実にはこういう形で返ってきていることを思えば、なぜ、あのEC諸国においても六十数品目の輸入に対して課徴金をかけているとか、あるいはまたスイスのように酪農品や野菜など八十八品目もの輸入制限品目をつくっているとか、米国のウェーバー品目のこと等がやっぱり話し合いをいたしますと出てくるわけです。そして、そういう問題を本当に相手方にわかるように説明しながら、だから我が国もという立場を本当に言ってもらえたのかどうなのか、もしそうでないのならば、それを言ってもなおかつ通じないのならば殴り込みさえかけたいくらいだというのが、それぞれの品目を抱えている生産者自身の言い分なんですね。これはもう理屈ではないわけでございます。 そこでもう一度、私確認をさせていただきますけれども、やはりアメリカ等のやり方に非常に理不尽な部分があるという論説たくさん出ておりますけれども、これについては冷静に考えてどういうふうに判断したらよろしいですか。
○政府委員(眞木秀郎君) いずれの国もその国の農業の実情等に応じていろいろな形で輸入制限その他の保護措置をとっておるというのは御承知のとおりでございまして、我々にいまいろいろな要求を持ってきておりますアメリカにつきましても、ウエーバーという典型的な、機能的には我々の有しておる輸入制限と同じようなものを持っておるということでございます。これは約三十年以上前にアメリカが国内の農業調整法の価格支持プログラムを実施するために申請をいたしましてとったわけでございますけれども、その後三十年間、その内容を見ますと、ほとんど自由化に向けての努力はしないまま今日に来ておる。そういうことで、周りの状況はかなり変わっておるのにアメリカが依然としてそれを期限もなしに無制約に使えるというのは、大変実質的に見れば不公平であるということは我々いつも言っておるわけでございます。そういうことでほかの国々も例えばこのウエーバーについては問題にいたしております。 そこで、ガットの場ではこのウエーバーについての小委員会というのを設けまして、毎年アメリカのウエーバーの実施状況等につきましてアメリカが報告をし、各国がそれにいろいろと問題を投げかけるという場もずっとできておるわけでございます。我が国も、この問題が提起されまして以後、特にこのウエーバーの小委員会におきましても、我々の輸入制限についてガット提訴というようなことを企図しておるにもかかわらず自分のところはこういうものを持っておるのはまことに不適切であるという旨の発言をいたしておりますし、またほかの、アメリカと直接輸出でもって競争いたしております。ある輸出国も、このアメリカのヴェーバーは廃止すべきであるというような提案も行っておるところでございます。 ただ、アメリカはこれに対しまして、我々もウエーバーがいいものとは思ってないというようなことは私的には言うわけでございますけれども、あくまでガット上、形式的には合法である、したがってこの問題はニューラウンドでもって話をつけたい、こういうようなのがアメリカの公式な立場でございますが、我々は、もしそういうものをニューラウンドで問題にすべきであるならば、我々の持っておるいろいろなこういうものもあわせて一緒にそのときやるべきであるという主張をしてきたわけでございますが、やはり現行法の規定に照らしてアメリカ側がこの二十三条の紛争処理手続によって提訴をしてきたわけでございまして、これについてもいろいろと二国間を重ねる中でそういうことはやめるようにいろいろと言い込んできたわけでございますけれども、アメリカが最後まで強い態度で押し通して、結局パネルを開く、その結果が出るという今日の状況に立ち至っているわけでございます。 私もまた、二国間の場では、このウエーバーというものがある限り私は一体日本の農家の方々にどうやって説明をし説得すればいいんだということはいつも言っているわけでございます。それで、向こうも私的には、政府、いわゆる行政府の者は、こういうものはいいとは思っていないというようなことは言うわけでございますが、これはやはり立法としてそこにあるということで、たまたま通商法の三百一条の問題と同じような言い方がされておるというのが現状でございます。いずれにいたしましても、我々もこういう問題が納得のいかないということを十分承知して、今後も事あるごとにこれを指摘し、問題として相手方に反省を迫るよう努めてまいりたい、このように考えております。
○刈田貞子君 そこで、先ほど大塚先生は、八品目既にこれは総会の場において我が国の意思表明をしてしまったもの、そして今なおかつ部分採択にさせて二品目残された部分のものというふうに分けられて事を進めていかなければならないことをおっしゃいましたけれども、私もそのことに大変同感でございます。八品目については今後どうするのかということも御通告してあるはずでございますし、残りの二品目、つまりでん粉、乳製品等でございますが、これは今後本当に守れる領域の中にあるのかないのか、その見通しはどうなの かということについてまずお伺いします。
○政府委員(眞木秀郎君) いわゆる八品目の問題につきましては、今回のガット総会におきましてパネル報告書につきまして我が方が部分採択を求める発言の中で、酪農品、でん粉及び国家貿易に関する解釈を除いた部分について報告を受け入れ、ガット上適切な措置をとるということを表明したというわけでございます。ここでこのガット上適切な措置と申しますのは、やはり所要のあわせ講ずべき国境措置または、あるいは及びと言った方が正確かもしれませんが、国内措置あわせましてガット上の数量制限をやはり撤廃するという意思を表明した、いわゆるIQ、数量制限をやめるということの意思を表明したということでございます。それを含めまして全体の問題が今まだ先送りになっている。しかし、表明をしたということはそこに事実として残っておる。これをどう扱うかということは先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、今後全体の採択の問題は二月予定の理事会までに決着をさせるという方針で現在アメリカへの働きかけ、話し合い等も含めて検討をしておるということでございます。 二品目のでん粉及び乳製品、酪農品につきましては、このパネル部分の法的判断に重大な疑問がある、受け入れられないという立場をはっきりと表明したところでございまして、こういう立場を踏まえて二月の予定の理事会に向けて努力をしてまいりたいと考えておりますし、アメリカとのいわゆるバイの交渉、法的な判断以外のいろいろな問題も議論し得るバイの場におきましては、自由化が困難であるという立場に立って十分また説明をし、了解を求めるよう努力をしてまいりたい、このように考えております。
○刈田貞子君 そこで、ごちゃごちゃいっぱい紙が散らかっているのは、これはたくさんこういう声が寄せられてきたり、切り抜きを送ってくれたりして訴えてきている人がたくさんあるものですから、全部持ってきてみたわけですけれども、特に沖縄の方たちから大変な御要求というか、遺憾の意を表明した声が寄せられております。最終的にもう自由化を認めてしまった八品目の中になぜ沖縄のパインが入ったのか。このことで沖縄からの方たちがたくさん農水省の方にも伺ったというふうに思いますけれども、これは細かく御通告してございませんから、原稿そちらにないと思いますよ。ですけれども、私はこれはどうしてもやっぱりお訴えしなければならないというふうに思うんですね。 ここで、さっきいろいろな報道がということを言われましたけれども、いろいろな報道があるわけですね。これは沖縄タイムスが書かれている分によりますと、沖縄の陳情団、要請団に対して、沖縄の特殊事情には配慮するというふうなことを浜口園芸局長が「パインは沖縄の熱帯果樹という位置付けをしている」というふうに述べながら、パイン栽培の経過など沖縄の特殊事情を今後の米国との二国間協議でも引き続き主張していきたいというふうに言っておられると、こういうことが一つ書いてあるわけですね。それから、これは沖縄開発庁長官粕谷さんの話で、パイン缶詰、果汁の自由化問題についても、パイン農家を救うために農水、大蔵ともこれからも話し合いを続けると、こういうコメントをお出しになっているんですね。 これはどういうふうに理解をしたらよろしいんでしょうか。つまりまだ特殊事情を配慮しながら交渉する余地があるのか。それから開発庁長官が言われているように、農水、大蔵ともまだ懇ろに話し合う余地があるのかという、こういうことの意味でございますが、これいかがでございましょう。陳情団に対してそういう答弁をなさっているとみえて、新聞が送られてきております。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生のお話におきまして、私の名前が出てまいりましたので、私の方から一言お答えをさしていただきたいと思います。 この沖縄におきますパインの問題、これにつきましては、戦後におきまして、特にアメリカ占領下におきまして、ハワイ等々から導入されたという経緯、あるいはここにおきます土壌条件、酸性土壌地帯と言われております東村あるいは国頭村等々のところでございますが、そこにおきましてかなり大きな部分の農地で栽培されているという実情、そういった点におきまして、私どもも先生御指摘のとおり、二国間のアメリカとの交渉あるいはパネル等におきまして、先ほど眞木経済局長が先生方にお答えを申し上げました状況等におきまして、パネル等の部分におきまして取り巻く事情というようなことでるる説明をしたところでございます。そういう意味で特にアメリカに対しましては、アメリカが自由化ということを求めてきていることに対しまして、この作物の由来あるいは置かれておる状況というものを、あらゆる努力を傾倒いたしまして説明をしたところであります。そういう意味におきまして、そういう実情を当時私が私の部屋にお見えになられた方々に申し上げたということはあったというふうに思います。 ただ、この点につきましては、私の方から申し述べさしていただきますと、今回のパネルの問題、パネルの最終の結論というものがパネルのいわば法的な判断ということでございまして、そういう問題につきまして、個々いろいろな問題点はありますものの、大概においてこのパネルの判定というものを認めざるを得ない、こういうふうに判断したわけでございます。そういう意味で前段私が申し上げております個別の沖縄をめぐる問題等につきましては、私ども本当に心を痛め、この点につきましての歴史的な問題あるいは現状等を含めましてアメリカ方に強く訴えたといいますか、言ったということでございます。
○刈田貞子君 発言がふくそうしているところの部分はどうですか。開発庁長官の発言は大臣いかがですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 大臣同士の間ではまだ具体的に話し合った実績はございません。しかし、粕谷沖縄開発庁長官が地域農業を守り育てるという意味から重大な関心を持っておられるということは、当然のことながら承知をいたしております。そういうことで地域農業を守るということについてこの八品目の中の、例えばパインの結果がどのようになっていくか、これまた具体的にこれから詰めなきゃいかぬわけでございますから、どのような時期にどういう対策をとって、そうして今までそれで生活してきた人を苦しめないようにどうするかということを考えていかなければならぬわけでございますから、それはこれからのお話でありますということでございます。
○刈田貞子君 そうすると、沖縄のパインについてはまだいろいろな対策が講じられるというふうに了解してよろしいわけですね。
○国務大臣(佐藤隆君) そのとおりでございまして、これはパインに限らず、八品目について丁寧にこれから詰めていかなきゃいかぬわけでございます。さよう御承知おきをいただければ幸いでございます。
○刈田貞子君 そういたしますと、また話をもとへ戻して、さっきの八品目についても、国内的にも国外的にもまだまだいろいろ最後の詰めの仕方がこの二カ月の間に奥の手があるのだというふうに了解してよろしいんですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 何か奥の手があると、お言葉を決して返すわけじゃございませんが、奥の手があるかというと、何かカードを持っていって何かするみたいの、どう言っていいかちょっと表現に苦しみますが、そういう意味ではなくて、やっぱり丁寧に取り運ばなけりゃいけませんし、またそれには予算措置も要る場合も出てくるでしょうし、国境措置をどう考えるかという問題も八品目の中に出てくると思います。そういう意味のことは先ほど来経済局長が御答弁申し上げておるとおりでございます。
○刈田貞子君 昨年ですか、六十一年に、これもまあ園芸局長の方にかかわる問題かと思いますけれども、沖縄県の果樹農業振興計画ができまして、そしてこれは七十年度までに面積四二%、量で収穫量七一%を増収するんだというような計画 までできておるわけでございますね。それから価格を安定させるために、ことしの七月には出荷安定基金協会の設立までやって、保証基準価格の設定などしながらパインを守っていこうというような対策もつくっておられるわけですね。だから、私は沖縄のパイン、今さら申し上げるまでもありませんけれども、先ほど来からもお話が出ておりますように、あの酸性土の沖縄ではこのパイナップル、そしてもう先つぼみになっていっているサトウキビ、これを除いたら農業が成り立たないという現状を本当に理解していただいて、そして今回こういう事態になるようになったのか。 私は実は先般沖縄へ行ってきました。そして本当に島民の皆さんの声を聞いて、何かいたたまれない、アメリカへでもどこへでも行っていきたい、このぐらいな思いになりましてね。何とかこの沖縄の農業を守らなければならないという私は気持ちになったわけでございますけれども、やはり先般喜屋武先生とお話ししましたけれども、沖縄は踏んだりけったりだというふうにおっしゃっているわけです。この辺のところを何とか今大臣言われた国境措置、そして国内的対策というふうに言われましたけれども、これをぜひ私は今後十二分にやっていっていただきたいというふうに思うんでございますけれども、園芸局長及び大臣の答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生お話しのように、本年度から沖縄のパインの置かれた状況というものを国会の御裁可賜りまして、まずは果汁への転換、かつまたそれに対する価格の安定措置といったような対策もあわせまして発足をさしていただいているところでございます。 こういう意味におきまして私ども考えますに、沖縄のパインの実情というものにつきましては、関係されておられる方々の数も約千五百戸、それから農地の面積におきましても二千ヘクタールを超えるという状況でございますが、しかも、ここで他に栽培する作物がないというような状況からパインが栽培されておりますが、昨今におきます、国民生活におきます嗜好の上からいっても、トロピカルな甘い味と酸っぱい味とのミックスした味というものは極めて大きな位置を将来にも占めるだろうという確信の上で新しい施策を展開しようとしているわけでございます。その後の状況ということで十二品目の問題が出てまいったわけでございますが、先ほどこれも先生御質問あり、大臣からお答え申し上げた考え方に沿いまして沖縄におきますパイン農業の展開あるいは振興といったものに全力を挙げてまいりたいと思っております。
○刈田貞子君 大臣、どうですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 先ほど申し上げたことの繰り返しはせずに一言で申し上げたいと思いますが、ダメージを受ける、そのことについて黙視するわけにはまいらぬ。当然のことながらそういう人たちの受けるダメージを救うに足る理解される措置というものは講じていかなければならぬ、かように心得ております。 〔委員長退席、理事高木正明君着席〕
○刈田貞子君 沖縄の歴史の中で、苦労してこられた沖縄の農民が泣くような結果を出しちゃいけないと思いますので、その辺はもう何としても守っていっていただきたいと、このように思います。 重ねて大臣に御質問いたしますが、このたびのガットの裁定が、その後の我が国の対米自由化問題、あるいはこの後に牛肉、オレンジ交渉等も出てくるわけでございますが、こういうふうな問題に及ぼす影響、RMAもまだ再提訴云々というような話もしておるようですし、三百一条の問題もございますし、この辺のところへ何らかの影響を及ぼすのではないかという心配を先ほど稲村同僚委員もおっしゃられましたけれども、私も同じ危惧を持つものでございますが、この辺のところはいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) これからの日米間がどういうことになろうか、また、その結果がどのような国内にインパクトを与えるか、そういう御心配でございます。私も同じような心配をすればこそ、慎重にも慎重に努力をしていかなければならぬと誓っておるわけでございます。
○刈田貞子君 慎重の上に慎重に国益を守りながらやっていっていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) そのとおりでございます。
○刈田貞子君 そこで大臣、昨年十一月に出されました我が国の「21世紀へ向けての農政の基本方向」、この農政審の答申の話でございますけれども、この五章で「国際化の進展と農産物貿易政策の方向」がうたわれております。 その中で、私は今回のこのガット提訴の問題、裁定の問題、そしてこの後の日米間の牛肉、オレンジ交渉がまず目の前にあるわけですが、そういうことを考えながらもう一度我が国の農政というのは、これからこの国際社会の中でどういう方向、かじ取りをしていくべきなのかということで、これをもう一度私は読み直してみました。 そして、そこで書いてあることは、例えば今のガットのことなんかにしても、「ガットにおける新しい農産物貿易ルールづくりの状況を踏まえつつ、その見直しには参加をするべきだと言っていらっしゃいます。だけれども、そこに「我が国農業に占める当該品目の地位に配慮しつつ」ということが一つうたってある。それから「市場アクセスの一層の改善に積極的に取り組んでいくべきであるC」と言っている。しかし、この場合においても「我が国農業の土地利用等の面での制約、構造改善の進展の状況等を勘案しつつ」と言っている。最後には「我が国農業の健全な発展との調和を図ることを基本に、」すると言っているわけです。だから自由化を進めていくことが我が国の農業の基本をつぶしていくような方向には書いてないんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 自由開放体制という国際化の流れはお互いが理解しておるところだろうと思います。そういう中にあって日本は孤立をしてはならない、これもまた当然のことでございます。さはさりながら、やっぱり我が国の食糧政策というものをどう進めるかということについて、これまた慎重でなければならぬ。そのためにはやはり土地基盤の整備も要るし、あるいは米にすれば水田農業確立対策ということで新たな取り組みをしつつあるときでありますし、ある程度ロングランの計画を持っておるわけでございますから、狭いこの日本の国土においてやはり安全にして安定した供給体制というものを国民に提供していく、食糧を提供していく、足らざるものは安定的な輸入体制で補完をしていく。 〔理事高木正明君退席、委員長着席〕 この原則に基づいてやっていかなければならぬということを全体的に国際状況の中で網羅した形でそう書いているのでありまして、どうもその中身を一つ一つとらえると何を言っておるのかと言われるかもしれませんが、それは全体を網羅した形でそう書いておるということだろうと認識をいたしております。
○刈田貞子君 網羅しようがしまいがそう書いているわけですね。それで、とにかく基本的には日本の農業をまず守るということを基本に据えて、そしてその上でのやはりこれは国際化の進展の中での我が国の貿易の方向と、こういうことを私はうたっているんだと思いますよ。国語力は普通だと思うんでございますけれども、私が読む限りではそのように読めるわけでございましてね。やはりこれから年明け、牛肉、オレンジ交渉も重なって始まるわけです。これなんかも非常に私は状況が厳しいのではないかというふうに思うんでございますけれども、これは京谷局長、答えられるんですか。この間、十一月二十五日でしたか、第一次の交渉があったんじゃないでしょうか。
○国務大臣(佐藤隆君) 先ほどの答弁、私の答弁に補足をいたしておきますが、重ねて先生から御指摘を受けましたが、日本農業をやっぱり守るということの表現を私は食糧政策という言葉に置きかえて説明申し上げたつもりでございまして、それが基本でございます。我々の国民が食べていか なきゃいかぬわけでございますから、そういう意味で農業の生産体制あるいは流通、あるいは消費者のニーズもいろいろ変わってきておりますから、そういう面をそれぞれ含んで進めなければならぬ、それが基本である、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○政府委員(京谷昭夫君) 牛肉の一九八八年度以降の輸入問題をめぐる日米間の話し合いにつきましては、現時点におきましてまだ正式の協議の場は設けられておらない状況でございます。基本的なスタンスというのは、既に御承知のとおりアメリカ側が一九八八年度以降完全自由化と、我が方はそのようなフレームは考えられないということで相対立した状況下にありますけれども、実は先月の二十五日に行われましたのは定例の農産物協議がございまして、その際に来年度以降の牛肉輸入に関する協議ではなく、専門家レベルで最近における牛肉輸入をめぐる諸問題についての情報交換をするという形での話し合いが行われたという形になっております。したがいまして、正式の協議と申しますか、前回の日米合意に基づきます来年度以降の牛肉輸入問題をめぐる日米間の本格的な協議の場というものについては依然として今後の課題として残っておると、こういう状況でございます。
○刈田貞子君 ぜひ腹を据えてかかっていただかなければ相手もしたたかであろうというふうに思いますので、これよろしくお願いします。 次に、お米の問題に入らせていただきますが、これも大変課題が多うございまして、どこから聞いていいのか。 米の需給均衡化緊急対策骨子を固めて、昨日自民党の農業基本政策委員会に説明、了承を得たというふうになっておりますが、この緊急対策骨子というのからまず御説明いただきたい。
○政府委員(後藤康夫君) まず最初に申し上げさせていただきますが、骨子につきまして今刈田先生がお話になりましたような段階でございまして、これからまだ地方公共団体、市町村なんかの関係もございます。また関係省庁との関係もございます。できるだけ早く各計画方面とも協議をしながら細部の詰めをやって政府としての公式の決定というふうに持っていきたいという過程にある問題だということをまず御了解いただきたいと思います。 最近の米の需給は、本年十二月末の持ち越し在庫が計画を約三十万トン上回ります二百二十万トン程度になっておりまして、またことしも地域によって作柄はまだら模様でございますが、作況一〇二というような状況でございますので、このまま推移をいたしますと、来年十月末の持ち越し在庫が政府米持ち越し在庫の上限でございます百五十万トンを八十万トン前後上回る可能性が強いということで、三度の過剰処理が懸念される事態になっておるわけでございます。 従来でございますと、こういう需給ギャップが発生をいたしますと、三年間の一つの水田利用再編とか、水田農業確立の期間の途中で、期中の転作等目標面積の改定というようなことをやるわけでございますが、御案内のとおり昨年からことしにかけまして六十万ヘクタールから七十七万ヘクタールに拡大したばかりの今初年度の収穫が終わったという段階でございまして、関係者の努力によりましてどうにか目標は達成をいたしましたけれども、この目標面積をもとにして地域ごとに、例えばブロックローテーションの体制を組んでいるというようなところもございまして、できるだけこの維持をしたいという考え方が一つございます。 ただ、さはさりながらやはり三度の過剰処理というようなところに追い込まれるということになりますと、これは今の米政策、米価も含めまして基本をまた見直さなきゃいかぬというようなことにもつながりかねない問題でございますので、これを現に解消するということで、流通、消費、生産各般にわたりまして、緊急の取り組みによる需給均衡のための緊急対策をやることにつきまして私ども生産者団体といろいろなお話し合いをし、また団体の中での自主的な御検討を要請をしてまいったわけでございますが、七日の日に全国農協中央会でこれまでの議論の集約が行われたわけでございます。 私どもこれを踏まえまして、六十万トンというのは非常に大きな数量でございますので、来年の作柄あるいは今後の需要の動向ということもございますので、その約半分の三十万トンにつきまして六十三年度に需給ギャップの縮小の取り組みをやる必要があるということで、まず第一は学校給食の拡大でございますとか、あるいは他用途利用米の需要拡大等によります需要の拡大、それからもう一つは、なぜこれだけ供給が計画をオーバーしたんだろうという議論の中で、どうも政府管理米の需要の減と申しますのは実需の減よりもちょっと大きいんじゃないかと。これは四年連続不作が豊作の気配、そしてまた売り渡し価格も近く下がるだろうというようなことで、流通在庫が減って、その分が消費者の口に入って、管理米需要が余計に減っているということもあるんではないか。 この辺の販売業者の在庫復元の努力なり、あるいはまた他用途利用米というものを五十九年から始めておりますけれども、毎年数量がきちきちの契約生産でやっているわけでございますが、幸い四年連続不作でございますが、ことしのように地域によって作柄がまだら模様になりますと、地域によっては約束した数量を出せないというようなところが出てまいります。そういった意味で、他用途利用米についても、やはり安定供給を図るための在庫造成ということを考えるといったような在庫調整についての措置、これらに加えまして生産者団体等の消費拡大、それからまた今他用途利用米で一生懸命対応しておりますけれども、まだ米穀調製粉という米の粉に砂糖などのまじったものの輸入が見られる、あるいはおせんべいの輸入が見られるという状況でもございます。 価格のいかんによってはさらに需要拡大が見込める分野もございますので、そういった需要開発のための価格条件を備えた米の生産あるいはまたそういったあらゆる努力をしまして、不足する分につきましては転作についての努力をするといったような多様な取り組みをやることによりまして、三十万トンの需給ギャップの縮小を図るというような骨子で、今関係方面と調整をいたしておるところでございます。
○刈田貞子君 他用途利用米を緊急的に需要拡大で上乗せするというふうなこととか、今言う三十万トンの内訳ですね。そうしますと、基本的には学校給食一万トン、他用途米需要五万トン、それから販売業者在庫で三万、それから他用途米在庫で七万、合計で十六、残りが十四ですね。そうすると、この残りの十四万トンは生産者団体の自主的な消費拡大で対応するというんだけれども、この生産者団体の自主的な消費拡大が進まなければ、これは結局やっぱり転作につながらなければならない、減反につながらなきゃいけない。それから、他用途米の需要拡大といっても、これがその拡大の方向につながらなければ、これもやっぱり転作実施の方に向けなければならないということで、いろいろな新聞はみんな五万二千ヘクタールですかのさらなる転作面積の拡大というふうなことを報じておるわけですけれども、事実上水田農業確立対策一年目から七十七万ヘクタールの予定額を挫折した。その計画を挫折して上回る形の転作を進めなければならないというふうに私には思えるんですが、これはいかがですか。これ大臣いかがですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 今、七十七万ヘクタールのその計画が一年目にして挫折したではないか、ちょっと席を外していて恐縮でございましたが、最後の部分はそういうことだったろうと思います。しかし何分にも豊作続きということで、あえておてんとうさまのせいにしようとは思いませんけれども、正直言って第一次産業はそういうことに直接影響する。私は基本的な姿勢としては、この一つの米づくりにいたしましても豊作を喜べるという状況にしなきゃいかぬ、一生懸命に汗水流 してつくったはいいけれども、それが罪悪であるというようなごとき受けとられ方をするようなことになってはならぬ、そしてそのことによってまた計画が崩れてはならぬ。しかし計画はさっき申し上げますように第一次産業の宿命というか、そういう気象条件も大きく作用する。そういう中にあって、七十七万ヘクタールというものは初年度から崩れたといったのでは、崩したということになったのでは、また猫の目農政と言われてはならぬ、何とかこれを維持しながら知恵はないものかということを私就任早々食糧庁長官にも指示してきたところでございます。 その結果、生産者団体側とも話し合って、そういうところとも話し合い、あるいは集荷業界とも話し合い、卸業界とも話し合い、そしてお互いが何がしかずつの知恵を出しながら七十七万ヘクタールに変更はないという形のものはとれないものだろうか、こういうことで真剣な実は努力を重ねてきたところでございます。それが緊急対策でございます。今食糧庁長官からはそのことを詳しく話をしたんだろうと思いますが、そういう認識の上に立っての措置である。こういうつもりでおりますので、まあ挫折したということを言われますと、今私の認識、また緊急対策を措置しようとする、今これ最後のまた詰めをやっておるときでございますが、大方の理解を得ながら進んでまいりましたけれども、そういう状況の中で、挫折をしたというのはなるほどそのとおり挫折しましたという言い方はしたくない、できない。こういうことを率直に申し上げて御理解を賜りたいと思います。
○刈田貞子君 この十四万トンの消費拡大については、具体的に生産者団体の方々が自主的になさるという方向で書かれておるようなんですが、これは具体的にはめどがあるんでしょうか。それがあればいいわけですから、一部でも。
○政府委員(後藤康夫君) 十二月七日付の全国農協中央会において決定を見ました米需給均衡化対策の六項目の中の第一がこの生産者、生産者団体による消費拡大の問題でございます。で、内容は非常に多様多岐にわたっておりまして、まあ大きな三本柱としましては農家三百万戸による米の消費拡大運動、あるいは農協婦人青年部によりますせんべい等の米菓の購買運動、あるいは農家三百万戸、農協職員によります純水酒の愛用運動というようなことを柱にいたしまして、そのほかにもいろいろな内容をこれ含んでおります。 私どもも米消費拡大の政策、予算をいろいろやっておりますので、私ども一生懸命お手伝いをしながらやってまいりたいと思いますが、先ほどお話のございました三十万トンのうち米の需給ギャップをどう縮小していくかということにつきまして、学校給食の拡大を何とか今までよりももう少し加速をいたしまして、一万トンぐらいふやしたい。それからまた販売業界に対していろいろお話をしながら三万トン程度の在庫の復元と申しますか、許可業者としての適正な在庫を持っていただくというふうなことで、私どもはそういったことで四万トンぐらいのところを第一次的には、私どもが請け負ってというと変でございますが、そういう形で対応していく。 それから他用途につきましては需要がなければというお話が先ほどございましたが、これ幸いにしましてこのところ純水酒でございますとか、吟醸酒というような酒の消費も非常に伸びてまいってきております。それから、いろいろ包装米飯とか米の加工品、食生活全体がやっぱり加工度の高い食生活になってまいっております。そうなればなるほどまたお米につきましても二次加工品という形で輸入品が入ってくるという可能性もあるわけでございます。原料の価格の水準に余りこだわっていますと、かえって国内のお米の加工品の需要を外国にとられてしまうというようなこともあるわけでございます。こういった包装米飯とかレトルト食品の分野、あるいはモチ米につきましてもいろいろ追加的な他用途の需要が今出ております。一応五万トンにつきましてはいろいろな積み上げをやりましたものでございます。 それから、在庫保有についても安定供給ということで七万トンぐらいを持とう、造成をしようと。これは恐らく集荷団体と実需者の方で協力をし合いながらそういう在庫造成をするというような形になると思いますが、そういたしますと残り十四万トンでございますが、これにつきましては、先ほどのような消費の拡大の努力というものを全国段階でお決めをいただきましたけれども、これをそれぞれの都道府県ごとにおろしましていろいろな取り組みをやっていただく。そして、例えば消費拡大のために小袋詰めの精米を配るというようなのは、恐らくもらった方がお米屋さんから米をその分買わなくなるという格好で、消費の純増にはつながらないと思いますが、そうではなくて、消費の純増につながるような消費拡大のための努力というものがあればそれは一つカウントをしていく。 それから、先ほど申しましたように、今の他用途利用米よりももう少し価格が低ければもっと例えば輸入品に対抗できるというような分野もあるわけでございまして、そういった新規需要の開発のための米の生産といいますか、そういうのに取り組むという、そういったまた計画をつくっていただく。そして、なお残ったものにつきまして転作の超過達成なり、転作の取り組みということで対応していただくということで、この十四万トンの世界はそういった選択なり組み合わせで、地域においてそれぞれ二月ぐらいまでの間にひとつ計画というか取り組みをつくっていただきましてそれで対応をする。今までのように転作の目標面積幾らということで転作の目標をおろすという姿ではなくて、そういう形にすることがまた消費拡大にも弾みをつける。あるいはまた、今問題になっておりますように円高がどんどん進んでおりますから二次加工品の輸入が増大をする心配もあるわけでございます。そういうものに対するやはり国内米で国内市場を確保するというようなことにもつながっていくんじゃないかというふうなことでそういう仕組みを考えているわけでございます。
○刈田貞子君 それから、これはいただいた資料の中に、この緊急対策骨子案なんですけれども、そのところに「政府の指導の下で販売業者団体による調整保管の実現を図る」、それから「生産者・集荷団体による自主調整保管及び自主流通在庫により対応する」ということが書かれておりまして、そして、その中で「①の調整保管及び②のうちの自主流通在庫の一部に要する金利・保管料に係る政府助成を」今検討しておる、こう書いてございますね。この助成金についての見通しはいかがなんでしょうか。
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、回転備蓄として新米とあわせて売却をしてまいります持ち越し在庫の限度百五十万トン、これもなかなか実際に販売していくのは相当な苦労が要るというふうに思っております。そのために先般決定をいたしました政府の売り渡し価格でも、これ食糧庁の歴史上初めてでございますが、六十二年産に比べまして六十一年産の売り渡しの価格を五百五十円低く設定するということをやりましたのも、やはりこういった需給事情に対応した政府の売却操作が円滑にいくようにということで思い切ってやったわけでございますが、これを超える数量が八十万トンということになるわけでございますが、昨年十二月に集荷団体、系統農協におかれて、ことしの十月に四十万トン、来年の十月に二十万トン、みずからの努力ということで自主調整保管をやることを決めていただきまして、これで取り組んでいただいたわけでございますが、その数量はさらにふえるということでございますし、これは集荷と販売と両方で在庫保有について御努力を願い、そしてまた数量もかなりになりますものですから、私どもこの点に係ります金利、保管料に関しまして何らかの形でやはり政府もお手伝いをする、全体としての米の需給の安定に資するという機能も果たすわけでございますので、そういう考え方で財政当局と目下協議中ということでございます。 これは、いずれにせよ最終的に決定になりますのは予算の中で決まってまいるということになる わけでございますが、私どもとしては、こういう厳しい財政事情でございますけれども、財政当局の理解も得て、できるだけこの需給均衡化対策が円滑に進められるような所要の予算上の手当てをぜひさしていただきたいということで懸命に努力をするつもりでおります。
○下田京子君 午前中からのお話を伺っておりますと、農産物十二品目の輸入制限、この撤廃、八品目やむなしを前提にして論を進められていることに大変私は怒りを覚えます。と同時に、これは非常に問題であるということをまず指摘して、以下伺いますが、端的にお答えください。 今回、ガットのパネル裁定案、雑豆、落花生を除く十品目、これはガット十一条の一般的廃止の原則から見まして輸入制限、数量制限をするのは問題だという指摘を受けたわけですね。早々とそのうち八品目についてはもう受け入れ、白旗を上げている。その説明で経済局長はこう言っておりますね。ガットのパネルの法理論から見てこれはもう勝ち目がない、法的判断を覆すのは困難だと見た、こういうふうに言われております。具体的に聞きたいんですけれども、十一条二項では農産品であること等々、政府が生産制限をしているとか、およそ五点ほどの要点を挙げてその例外規定を認めていると思うんですが、一体どこの部分に勝ち目がないというふうに判断したんですか。
○政府委員(眞木秀郎君) 今御指摘のように、ガットの十一条二項(C)の規定に例外的に数量制限が許される場合の要件がいろいろ規定されておるわけでございますが、その一つとしての農業産品が対象になっておるという中で、生鮮品とあわせてこれに初期の加工を施した加工品の場合、その保存がきかないものであるという要件があるわけでございますが、この点につきまして、加工品がかなりたくさん含まれておる十二品目につきましてその保存性がないという判定が下されておるというところが一つございます。 それからまた、輸入制限対象になっておる品目と国内でそれとの競合の関係から生産制限をしておるという場合の、その同種の産品という場合の定義のとらえ方、こういうものがひっかかり、また加工品については、輸入制限をしておるけれどもその原料となるものについて別のところから入ってくる、それは輸入制限をしていないというようないろいろな問題が品目ごとにございまして、それらをいろいろと検討した結果、酪農品、乳製品とでん粉については、我々はそのペリシャビリティーというか保存性がきかないこと、あるいは同種の産品の問題、あるいはまた別途輸入されておる原料品との関係等について承服をできない、重大な疑義があるということでございます。 その他の点につきましては、保存性の問題等につき、向こうの判定に対してこれを覆すような説得力のある提起が難しいという判断をいたしました。そういうわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、この内容については非公開ということになりますので、具体的に全部を挙げて網羅的に説明することができないのはお許しをいただきたいと思います。
○下田京子君 八品目すべてがそれらに該当するというふうに判断されているんでしょうか。パネルの審議の経過等では、これら八品目は場合によったら八つのパネルで討議すべきではないか、ある人はまた四つのパネルぐらいにしてくくってやるべきではないかという議論もあったと聞いておりますし、何よりも、経済局長お薦めの「どうなる世界の農業貿易」、ここの中にも書いております。今言いました、つまり同種の産品として見るかどうかという点で、例えば生鮮トマトあるいはトマト濃縮物。このことについては、今までのガット判例については何ら結論を得ていないですよ。問題は、もう早々と白旗を上げてしまって、譲るべきは譲るといった農水大臣並びに竹下内閣の姿勢に私はあったんだということを指摘しておきます。 次の問題です。他の問題についての粉乳、練乳、でん粉についてはそれなりの説得力がある、勝ち目があるんだ、こうおっしゃっておりますけれども、それじゃその中の特に練乳、粉乳、これは国家貿易品目ですね。この国家貿易品目について、本当にどういうガット法理論からいって勝ち目があるというふうに理解されているんですか。端的に答えてください。
○政府委員(眞木秀郎君) 酪農品についていろいろと輸入制限等の措置をとっている場合、もとは国内でつくられるのは生の普通の牛乳でございます。しかし輸入制限の対象となっている品目については、これは同種の産品かどうかという点について、同種の産品ではないというふうに認定が一応下っておりますけれども、無糖練乳に水を加える、あるいは脱脂粉乳にバターを加えるということでまた牛乳になるわけでございまして、取引なり貿易は当然そういう形で行われておるということで、可逆性がリバーシブルであるというような点もございまして、こういう点については、それは同種の産品でないというようなことと、あるいはペリシャビリティーがないというような判定については、我々は承服をできない、こういうような反論をしておるわけでございます。
○下田京子君 いえいえ、国家貿易の問題についてお答えください。
○政府委員(眞木秀郎君) 国家貿易につきましては、乳製品の問題につきましては、今も申し上げましたように輸入制限の各要件がいろいろと問題になるわけでございまして、あわせて国家貿易の問題についてもそれに付随する形で議論になっておるわけでございますけれども、この国家貿易に関しますガット関連条項、要するに十一条の制限が国家貿易にもかかるかどうかという点でございますが、我々は、この国家貿易あるいは民間貿易に係る十一条の規定がハバナ憲章、このガットの規定のもとになりましたハバナ憲章を制定される時代のその制定の経緯にまでさかのぼっていろいろと調べたわけでございますけれども、この場合、独占的な国家貿易と民間貿易、この十一条がまさにかかってくる問題でございますが、それとは別の法体系、法理論によってずっと律されている。国家貿易は国家貿易なりの一つの法理がありまして、それにはやはりそれを律する原則というものがあった。 最終的に現在のガットの規定の中には、途中のロンドン条約会議等からの経緯の中で消えてしまったものもありますけれども、制定の経緯から見ればそういうことである。別々の法体系で律されるものである。したがって、十一条の例外を認める要件といったものが直に国家貿易にかかるものではないというような主張をしておるわけでございます。しかし、これがガットのパネルでは認められるところにはならなかったというのが経緯でございます。
○下田京子君 つまりそういう主張をされたんでしょう。つまり国家貿易品目、ガット十七条、この問題と十一条というのは即にリンクしないと。今おっしゃったように、ハバナ憲章等々含めて、過去の経過から見たらそれは違うんだと主張されたけれども、現実にはアメリカなんかは、これは国家貿易品目といえども、これは十一条の二項、つまり例外規定に合致するか否かで判断するんだということで取り入れられなかったということなんでしょう。今後そういう点からいって本当にこれらをきっちりと相手に納得させることができるのかということなんです。 私は、なぜこれを言うかというと、しきりに八品目譲ったのがガット法理論からやむなしたと、こうおっしゃっているんです。ところが逆に言うと、あとの二品目は、これは同じような法理論で、そういう形でガット法で向こうは押してきたわけでしょう。なのに、日本は譲れないと言っているけれども、結局はガットの法理論云々でいけば、つまりはすべて守れなくなるんじゃないか。私はそれを言いたいんです。ちゃんとこれはもう譲って、二品目本当にこれが守れるんですか、今のガット法理論から云々でいったら。
○政府委員(眞木秀郎君) 我々はこれを、ガットの解釈について、今の三つの点につきまして重大な疑義がある、この部分について受け入れること ができないということでこれに反対をしたわけでございます。ガットの締約国の一員として、このパネルの報告書が総会あるいはまた理事会の場に上がって、これを議論する場合にそういう反対という意思を表明するというのは、カット上認められた日本の当然の権利であると思います。
○下田京子君 それは主張したけれども認められないで、それで結果としては二月のガット理事会までその採択については見送ったということなんでしょう。にもかかわらず、片や同じように向こうが言ってきている、片やもう法的に論破は難しくなったということで、八品目は譲歩を前提に話されているということが問題なんですよ。 今までの議論を伺っておりますと、竹下総理の一月の土産物にして、この八品目についてはもう自主的自由化で、国内措置をその前にきっちりとって出かけるんだというようなことがもう新聞にはどんどん出されておりますし、さっきも大臣何て言ったかといったら、決まってはいないけれども、しかしできるものならなるべく早く対策をとりたい、国内で対策をとって、さあこれお土産ですよといって竹下さんがアメリカに出向いていく、こういうことと違うんですか、大臣。
○国務大臣(佐藤隆君) おっしゃることに一々私は注文をつける立場にはございません、立場が立場ですから。そういうふうに心得えておりますが、お土産論と書かれている部分と、それから、心配している人がたくさんおられるんだから、それをなるべく早く結論を出してやらねばならぬと思うということと一緒にされて議論をされても、それにまともに答える用意はございません。
○下田京子君 そういうお答えしかできないでしょうね。しかし結果は一月待てばわかることですよ。 問題は、さっき言っていますけれども、八品目は自主的自由化を前提にして国内措置というのは間違いだということなんです。本来は、自由化前提にせずとも、日本農業の自給率を高めていくという点で必要な手だてがもっと長期的にしかるべきところでとられることが必要なんだということを私は申し上げておきたいんです。 それで、もとに戻ります。いいですか。今八品目を自由化前提に論をしていますけれども、国際的に見れば、日本はまだ二月の理事会で採決ならない限り決まってないということ、これ事実でしょう、正式には。
○政府委員(眞木秀郎君) 先ほど来の質問にもお答えをしておることでございますけれども、今回、総会の採択問題に関する決定が先送りになった、したがって、すべての問題を含めて、この採択の問題の中にいわゆる八つと申されました品目の問題も入っているわけでございます。したがって、大臣からも先ほどから申し上げておりますように、二月に予定されております理事会で決着を目指すように今いろいろ検討をして、対外的な交渉のあり方あるいは国内の問題、それをすべて検討していきたいと、こういうふうにお答えしているわけでございまして、したがって、今何もそこは決まっているわけじゃないわけでございますけれども、ただ、総会におきましての我が方のこの採択問題についての意思を表明した、我が方の要求を出したという段階でそういうことを言った、意思表明をしたという事実がそこにあるということをお答えしているわけでございます。
○下田京子君 だから、意思表明をしたことと決まったということとは別なんですね。意思表明もいろいろあると思うんです。確かに二日のガット総会では、今言うような八品目についてはもうガット法理論上これは勝ち目がないなあというような判断をなさっておられるようですけれども、経過を見れば決してそうじゃなかったはずですね。ですから今からだって、きちっと我が国の農業を本当にどう守るのかという立場からいけば、これは場合によっては二月の理事会での採決を拒否することだって可能じゃありませんか。なぜかといえば、これはあれこれ論じる気はありません。あくまでも最近のガットの判断というのは全会一致制を大事にしていますでしょう。そして何よりも相互互恵、話し合いということを大事にしていますでしょう。そのことはこの本の中にも局長みずからが書かれているんです。そして特に農業については、これは保護をすべて撤廃していく、そういう状況は極めて難しい、こうもお述べになっているんですよ。何よりも政治的、社会的要因の方が大きい、こうもお述べになっているんです。 だから私は申し上げたいんです。大臣、ガット法論理だけではなくて、今大事なのは社会的、政治的、経済的に本当に日本の農業を守る意思があるかどうかなんです。大臣は日本の農業を守るという意思をお持ちなんですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 持っております。
○下田京子君 ところが、持っておられるということなんですけれども、現実にはどうなのかということです。それは今までのお話も伺っていますと、大臣は農政審の方向で日本の農業を守りたいと、こうおっしゃっている。しかし農政審の方向とは何ですか。これは価格政策の合理化じゃありませんか。所得補償、これは放棄するということじゃありませんか。足腰の強い農業といって規模拡大一辺倒で中小農業切り捨ての方向じゃありませんか。 それと同時に、アメリカが主張している中に例えばこういうことがあるんですね。日本はガットで最も大きな恩恵を受けている国だ、あるいはまた、日本はガットで大変繁栄した国だ、自由貿易で、こう言われております。大臣、お聞きします。この自由貿易の中で本当に農業者が、農業が繁栄したというふうに言えますか。
○国務大臣(佐藤隆君) 自由貿易の中で自由開放体制というのはまずは時の流れである、これは私も認めておりますし、そういう方向を認めておる方は大多数だと認識をいたしております。そういう中にあって、我が国の食糧政策を考えますと、私は守るべきものは絶対に守らなければならないし、そういう状況の中で譲るべきは譲らなければならないという原則を認識しておる、こういうことを実は常に申し上げておるわけでございます。 なお、農政審の答申というのを何か全部否定をしておられるように実は今お聞きをいたしました。いろいろな各界各層の方々の御意見をちょうだいいたしまして、そして答申をいただいた、そのことでございますので、これは私は大事にしていかなければならない、これをベースにしていかなければならない。しかし、さらに具体的にこれを敷衍していくならばどうなるかということをせっかく勉強していかなければならない、そして将来の展望を切り開いていかなければならない、こう申し上げているところでございます。
○下田京子君 ガットで日本の農業は繁栄いたしましたか、自由貿易で日本の農業は発展いたしましたかという質問についてお答えください。
○国務大臣(佐藤隆君) ガットは農業問題だけではございません。いろいろなものが入っております。ですから、外務大臣が政府代表としてガットの総会にも赴きました。そういう中にあって、農業だけは失敗だと決めつけるわけにはまいりません。
○下田京子君 はっきりさせておきたいんですけれども、自由貿易で繁栄したというけれども、だれが繁栄したのか、農業は一体どうなのかという点です。言うまでもありませんけれども、穀物の自給率が一九六〇年八三%、現在三二%でしょう。カロゾーベースでも七九%が現在五二%。農業者の就業人口はどうですか。千四百五十四万人から現在六百二十七万人。しかも耕地面積はといえば六百七万ヘクタールから五百三十六万ヘクタール。農業の所得率はどうですか。六二・八%だったのが三六・九%でしょう。こういう形で実態が示しているんです。それをどういうふうに主観的に見るかというのはまた別な話なんです。客観的に見れば、農業は犠牲にされてきているという実態が明らかになったと思います。 さらに指摘しておきたいのは、農政審の最大の問題は食糧自給率向上とか食糧自箱力の向上とか、こういう言葉が何らなくなっているんです。そして食糧の供給力というふうに変わっているん です。つまり国内生産と輸入の適切な組み合わせによって供給していくというこの論理じゃないですか。本当に不足するもの以外は輸入しない。自国の農業を守り発展させるんだという根幹がないということなんです。私はそのことを指摘したんです。 そこで、次に言います。十二品目、特に八品目のそれぞれの影響ですけれども、大臣の言葉でいくと、どのように受けとめておりますか。数字的じゃないです、どんなふうにこの影響を受けとめておられますか。
○国務大臣(佐藤隆君) 厳しい環境下に置かれておるという中にそのことが入っております。これは今後の推移を、今二月の理事会において、その時点まで継続審議という形になっておりますから、その間最大、最善の努力を尽くさねばならぬと申し上げておるんです。そのことでおわかりいただけるかと思います。
○下田京子君 抽象的な言葉ではなくて、現実にそこの地域でどういう実態が出ているか、数字的には調査されてないと、こうおっしゃっておりましたから、私は求めませんけれども、私の方で試算したのを改めて御報告しますけれども、北海道の農家の皆さんが何と言っているか。離農が心配だ、地域の経済が成り立たなくなる。つまり、何かというと、芋は、小麦は、豆は、ビートは、これは輪作体系の一つなんです、御承知でしょう。それ一つ外れてももう輪作体系、今言われるような、本当にそういう地域農業の発展と逆行していくことになっていくわけですね。ですから単にその一産品だけの影響だけではとらえられないんだということをまず前提にしていただきたいと思います。その上で、この十二品目に該当する農家がどのぐらいなのか。これは関係する加工部門は入れません。それでいいますと、十二品目全体で全国ベースでいけば二十七万戸で、その粗生産額が約七千二百億円に相当する。これが八品目に限っていっても全国で十万戸の農家、そして粗生産額でいけば二千八百億円です。 我が福島県の場合を見ましても、ここに細かな資料がありますけれども、九千八百四十九戸の農家が関係していくんです。そして、その金額は約百億という形になります。これにはもちろんジュース工場に働く皆さん等々は入ってないんですよ。重大な農業つぶし以外の何物でもないと私は申し上げたいです。 そこで、聞きたい点です。一つは、現在の日本の貿易交渉というか、これは非常に卑屈である、土下座交渉と言われても仕方がないんじゃないか、こう新聞等が書いております。そう思いませんか。
○政府委員(眞木秀郎君) そうは思っておりません。きちっと対応しております。
○下田京子君 それじゃ、伺いますけれども、一九六〇年から百二品目あった残存輸入制限品目、これを二十二品目まで減らしてきて、水産物一部含めて、現在十二品目まで譲ろうとしております。この過程の中で、一度でもアメリカに報復措置なるようなものをほのめかしたことだけでもありますか。
○政府委員(眞木秀郎君) 報復というものは何に対して、これは我が国がいずれも各国の要求あるいは我が方の自主的努力によって、そのときの経済状況を踏まえながらアクセスの改善をしてきた結果としての自由化品目の数の推移ということであろうと思いますが、その中で他の国に報復するという意味がちょっとわかりかねるわけでございますけれども、そういう意味での報復はなかったと存じております。
○下田京子君 ここにおたくからいただいた資料、全部あるわけですね。 昭和三十五年、つまり一九六〇年、その翌年、大豆を自由化しました。そのとき自給率二八%、現在どうかと言えば四%、五%台でしょう。それからさらに生鮮野菜、これも三十六年に自由化いたしました。その結果、今どうなっていますか。例えば輸入と国産量と比べて、一番高いのが枝豆です。枝豆の場合、三万六千二百三十一トン輸入しています。国内生産が八万三百トン。ですから輸入物の比率は三一・一%。二番目がカボチャです。四万六千トン輸入している。国内生産が十九万四千トンで、輸入比率が一九・二。以下そのように、スイートコーンも輸入比率が十割、タマネギは約五%、こういう状況になっていまして、農家の方々が、よくテレビなんかでもごらんになったじゃないですか。タマネギが生産過剰になった。キャベツが生産過剰になる。即それはもう畑にすき込んでいく。こういう状況までつくって次々と自由化してきているのですよ。 しかも大きな問題は、これは昭和四十六年です。グレープフルーツの輸入自由化のときはどうでした。選挙の前には断じて自由化しません、選挙が終わったら即輸入自由化です。その間に、アメリカについてはただの一言もきっちりとした、報復措置と言えばなにでしょうが、日本農業を守る立場からのそういう異議申し立てを公的にやっていないんですね。なぜでしょう。 で、大臣に聞きます。現在ECとアメリカの農産物貿易交渉、これは報復合戦だとも言われております。ちょっと御報告申し上げます。一九八一年にECが中東に補助金つきで小麦を輸出しましたね。今の八一年のことに対してアメリカは、即ガットに提訴しているんです。そして、一九八三年の一月に今度はアメリカは、ECの態度に対してガットに提訴しておきながら、みずからはエジプトに補助金つき小麦粉輸出を約百万トンやるということを発表したんですね。二月になると、ECはその問題について今度は提訴しております。そして、対アメリカ農産物交渉の中止も検討する、こういう形でお互いに提訴合戦しているわけです。 さらに一九八六年一月、ECにスペインとポルトガルが加盟しました。その加盟したスペインとポルトガルに対して今度はアメリカが逆にあれこれと輸入制限措置をとっているんですね。例えば、スペイン、ポルトガルのEC加盟に伴うアメリカ産農産物輸入制限の報復措置として、ワイン、チーズ、ミネラルウォーターの輸入規制を発表したんです。これにはだまっておれないというわけで、ECが逆にアメリカ産農産物の輸入規制の撤回要求を拒否する、こういう形で、いろいろ詳しくありますけれども、こういう報復合戦がECとアメリカの中ではやられているんです。なぜにこういうことがやられているというふうに理解されていますか。
○政府委員(眞木秀郎君) 米国は御案内のとおり農産物の大輸出国であります。ECも以前は輸入国としての立場が非常に強かったわけでございますが、最近は域内の過剰を背景として大変な輸出をしなければならないという状況に置かれておりまして、そういう立場、主要農産物をお互いに輸出し合わなければならない、お互いに相手の市場が大変大きなものであるということで、そこでいろいろなケースについてあつれきが生じ、紛争が生じ、またそこがガットのパネルで争われるという場面も多く見られてきておるわけでございます。 しかし、これを、アメリカ、ECの間は私はそういうふうに観察をしておりますけれども、日本とアメリカとの関係におきますと、これはやはり日本はアメリカにとって最大の農産物の輸入のお得意先であるということで基本的には友好的に推移をしてきたわけでございますが、最近、アメリカにおきましても貿易収支の不均衡の問題、あるいはやはり日本の市場が最大のお客さんであるということは認めつつも、やはりもう少しそういうことの背景のもとで少しでも市場をふやしたいという要請が非常に強まってきておるというのが現在の状況であろうと、このように思っております。
○下田京子君 つまり一つはっきりしておきたいのは、こういうことがいいか悪いかは別にして、自国の農業を守りたい、これが基本にあるということです。そしてこれは一定の農業保護は国際的常識になってきているということです。だからアメリカでもあのウエーバーというものを持ってい るということなんです。そう理解しませんか、大臣。
○政府委員(眞木秀郎君) 各国がそれぞれの農業の実情に応じてやはり一定のいろいろな形での農業保護措置、輸入制限等のようなものを含めて持たざるを得ないというのが現実でありまして、アメリカもそういう意味でウエーバーを持っておるというのはおっしゃるとおりかと存じております。
○下田京子君 アメリカがウエーバーを持っているのは自国の農業保護、そういう点から持っているんだということをお認めになりましたね。 で、決定的にECと日本の違いは何かということなんです。自立した経済の発展を政府が責任持って進めようとしているのかどうかという点、この点について、実は元経済局長の吉岡氏が次のように述べております。読み上げますから局長、大臣、お答えください。「日米関係が他の欧州諸国と決定的に違う点は安保条約にある。だから日本の防衛問題と経済摩擦問題は絶えず裏腹の問題として日米間では出てくる。基本的には日米安全保障体制のもとで、経済もリンクで考えねばならなくなっているところに問題がある。」、こういうことを述べられております。この点についてどういうふうにお受けとめですか。
○政府委員(眞木秀郎君) 安保体制等の話について私が申し上げる筋ではございませんけれども、いずれにしろ、世界全体と友好関係を保つ中で日米というのは、我々としては、農産物一つとりましても、これやはり信頼するに足る供給者として今後もあってほしい、そういう意味ではやはり二国間でいろいろな問題も解決するということでございますが、現在迫っておる問題はそういうところからやや先に出ておるということで、我々もやはり日米関係全体の友好を基礎に今後ともアメリカに対して話し合いをし、理解を求めていかなければならないという立場で考えたいと思っております。
○下田京子君 大臣。
○国務大臣(佐藤隆君) ただいま経済局長が申し上げたとおりでございます。
○下田京子君 日米安保条約についてはお答えできないんですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 日米安保条約は、政府といたしましてはこれを守っていかなければならない、そして日本とアメリカはパートナーである、こういうことでやっておるわけでございます。
○下田京子君 そこなんですよ。そのパートナーが本当に対等、平等、相互不可侵、内政干渉しないというような立場がどうかということです。自立しているか独立しているか。日米安保条約の第二条、改めて指摘しますけれども、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と述べているんです。つまり常に日本の農業あるいは農民を犠牲にして、そして日米の経済協力を進めてきたということをいみじくも今大臣がお認めになったんだと思いますが、違いますか。
○国務大臣(佐藤隆君) 認めていないことを認めたと言われても、甚だ困るのでございまして、そういう意味では認めておりません。
○下田京子君 ただ認めておりませんと言って、何を認めてないのかわからないけれども、日米安保条約が前提だと、そのことは否定していないんでしょう。
○国務大臣(佐藤隆君) パートナーであるということについて、そのことが日本農業をつぶす結果になっておる、日本の農民を苦しめる結果になっておる、こういう設定のもとに議論をしておられますから、私はそうではない、この認識を申し上げておるわけであります。
○下田京子君 結論先にありきじゃないんですよ。私は事実を皆さんにお示ししながら話してきたでしょう。ECとアメリカの貿易交渉の姿勢と、日本とアメリカの貿易交渉の姿勢が何ゆえに違っているんだと。それは日米安保条約があるからだ、こう言って、友好関係、日米安保条約を優先する。それが結果として、さっきお示ししたように、日本の農業が犠牲にされてきているということじゃありませんか。 で、最後に言いたいのは、その姿勢が本当に日本農業を守るという立場にお立ちにならない限り、例えばRMAのギャバート副会長が、これはジェトロが独自に七月段階でインタビューをなされたそうです。それに基づいて今回記者会見なされたのが改めてまた新聞にも出ておりますけれども、来年一月から三月に再度お米の問題を三百一条で国内法に基づき大統領に提訴する、あわせて米政府がガットの場でこの米問題についても論議をするようにということを主張している。これは何ゆえにかというと、今回の十二品目裁定をめぐって、特に日本が早々と八品目について白旗を上げたことについて意を強くしているというふうに受け取れる報道もありますけれども、こういう状況について本当にどういうふうに対応をされるんですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 一部報道にそういうことが活字となっておることは承知をいたしております。しかし、そうあってはならない、そうならないために我が方は不断の努力を続けている、こういうことでございます。
○下田京子君 不断の努力をし続けても、どんどんと本当に譲るべきは譲る、守るべきは守る。その守るべきことも守れないような状況になってきている。追い込まれてきている。こういうことを、本当に農業つぶしの何ものでもない、非常に問題であるということを指摘しておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 農政審の答申まで否定をされて、そしてそう決めつけられてもいかがなものかと私は今感じておるわけでございます。しかし、そのようなことをあなたに言われなくても済むように、さらに努力を続けたいと思っております。
○諫山博君 福岡県の耳納山麓国営総合かん排事業について質問します。 この問題に関して、私は、昭和四十九年に衆議院の農水委員会で事業の早期達成を求める立場から質問したことがあります。そのときは既に昭和四十七年に着工しており、昭和五十三年に完成する予定だという説明でした。ところが、五十三年に完成するどころか、今事業計画の変更をめぐって現地では大騒ぎになっています。そこで、地元の負担額について質問します。当初の計画では、十アール当たり地元負担額は、田一万三千円、畑地七万五千円、開墾農地六万六千円でした。ところで、今事業計画変更案が公表されていますが、総事業費六百億円の場合に地元負担は十アール当たり幾らになる予定でしょうか。
○説明員(内藤克美君) 今先生の御質問の総事業費六百億の場合には、反当水田二十万円、畑七十四万六千円、農用地開発七十六万五千円程度になろうかと思います。
○諫山博君 地元負担は当初に比べて十倍あるいは十数倍の上昇です。地元負担といえば市と可及び受益者である農民の負担ということになりますが、農家の負担もほぼこれと同じような比率で高くなるというふうに理解していいでしょうか。
○説明員(内藤克美君) この耳納山麓の場合には、当初地元負担額については、国、県の負担するものを除いたものが農家負担になっておるわけですが、当初は市あるいは町村が負担するというような計画になっておりませんでしたので、ほとんどが受益者負担ということになっていたかと思います。その後、市町村等から農家負担増高に伴い、それについて相当の負担をするというような格好になっておりますので、ある程度の、まあ十倍というような格好ではなくて、それよりも軽減するような方向で現在進んでいると思います。
○諫山博君 今提示されている事業計画変更案にどう対処するかということは、今農民が真剣に討議しております。そのための説明会あるいは農民の決起集会が開かれております。私が現地に行って驚いたのは、実際の事業が当初の計画と非常に違った形で進められているということです。例え ば開墾の面積が変わり開墾の工法が変わっています。水路の路線も構造も変わっています。合所ダムがつくられましたが、このダムも最初の構造とは全く違ったものです。これが農家の負担をふやす大きな理由になっております。 そこで、制度上のことをまず聞きます。土地改良法八十七条の三は、土地改良事業を変更する場合はあらかじめ受益者の三分の二以上の同意を得なければならないと規定しています。どういうときに事業計画を変更しなければならないかについては、農林事務次官の通達、構造改善局長の細部運用というような文書が出されています。本件のかん排事業にもこの法律やこの通達が適用されなければならないし、これからも適用されるだろうと思いますけれども、制度上はそうなっていますか。
○説明員(内藤克美君) 耳納山麓の場合は土地改良法で実施されておりますので、土地改良法の手続あるいはそれを補完する意味での通達には当然準拠する必要があろうかと思います。
○諫山博君 広い委員会場ですからもっと大きな声で言ってください。 そこで、幾つかの事業について質問します。 まず、畑地の開墾について。開墾の受益面積は初め六百ヘクタールでしたが、実際は四百ヘクタールに減少しています。開墾の工法もがらりと変わっています。しかも、この開墾作業というのは非常に前進しまして、ことしじゅうに完工の予定だと言われています。このような工法変更のために、七億五千七百万円でできる開墾作業が実際は三十八億円かかる、こうなっております。その中の六億二千万円は物価上昇によるものですけれども、約二十億円というのは工法の変更による事業費の増加です。これが地元負担に大きくはね返ることになっているはずですが、そのとおり間違いありませんか。
○説明員(内藤克美君) ただいまの農用地開発については六百ヘクタールが四百に、さらに事業費としては七億五千七百万円だったのが今三十八億円に予定されており、おおむね今年度程度で終わろうかと思います。この事業費が増大したものについては工法の変更が大部分でございますが、工法の変更については今地元の農家の方々が営農しやすいような格好にということで、傾斜等を相当緩めな格好にしたための工法変更が主でございまして、その結果先生がおっしゃるとおり事業費はこのような格好で高くなっております。
○諫山博君 説明は後で聞きます。事実だけ答えてください。 幹線水路については、水路の位置も工法も変わっています。そのために事業費が大きく上昇したわけですけれども、当初二十三億円でできる予定だった幹線水路が工事計画変更案では百四十六億円に上昇することになっています。大変な工事費の増大です。この中には物価上昇による増加もありますけれども、工法による工事費の増加が約七十六億円です。しかも、この工事は既に七割が完成しています。この数字には間違いありませんか。数字だけ答えてください。
○説明員(内藤克美君) 数字については、今おっしゃいました幹線水路二十三億円程度のものが、六百億の場合には百四十六億円になる予定でございます。
○諫山博君 もっと大きな声で言ってください。 合所ダムの建設についても同じことが言えます。当初の事業費は十九億八千二百万円でしたが、実際は九十八億二千五百万円にふえています。物価変動によるものもありますけれども、工法の変更による事業費の増加が四十八億三千七百万円、これは間違いありませんか。
○説明員(内藤克美君) 間違いありません。
○諫山博君 畑地の開墾、幹線水路、ダム、三つの問題について質問しました。大変農家の負担がふえているわけですから、本来でしたらあらかじめ受益農民の同意を求めて正式に事業計画を変更した上でないとこういう工法の変更は許されないはずですけれども、土地改良法との関係はどうなっていますか。
○説明員(内藤克美君) 耳納山麓地区においては、当初計画の内容を一部変更して今御指摘されたように、工事が実施されており、また事業費も、おっしゃるように増大しております。これらについては事前に土地改良法に基づく計画変更の手続を完了するためには、変更内容の精密な検討とか、あるいは事業費の精査、さらには多数の受益者から同意を得るための法手続に相当な期間を要するのが実際の実態でございます。 一方、国営事業が非常に大規模であるというようなことと、工事の連続性というようなこと、地元からは早急に工事を進めてほしい旨の強い要望もありますので、計画内容の変更については随時土地改良区の総代会等で説明を行いながら現実には事業を進めており、その法手続を今進めているところでございます。
○諫山博君 大臣に質問します。 土地改良法とか農林事務次官の通達によりますと、例えば事業費が労賃または物価の変動によるものを除いて一〇%以上ふえる場合は、あらかじめ農民の同意を得なければならないとなっています。あらかじめです。事後の同意ではないわけです。ところが、今お聞きのように、農家の負担は既に十倍ぐらい高くなっております。つまり十倍ぐらい高くなるまで農家の同意をとろうとはしなかったということです。その理由についていろいろ説明がありましたけれども、どういう事情があれ、こういうことは土地改良法の建前からいって許されないんじゃないですか。つまりあらかじめ農民の同意を得なければ農民の負担が大きくふえるような工法の変更は許されないというのが法律の建前だと思いますが、どうですか。
○説明員(内藤克美君) 先ほども申し上げましたとおり、今おっしゃるようなことについて事前に総代会において説明しております。事業の実態からしてやむを得ないものであると考えておりますが、土地改良法違反ではないかというような感じ、あるいは疑念の生じないようにできるだけ早く今後の計画変更を行うように指導してまいりたい、こう思っております。
○諫山博君 私は大臣の答弁を求めたいわけですよ。いろいろ事情は説明されました。ただ、次官の通達では事業費の変更が一〇%以上高くなればあらかじめ農民の同意が必要だと書かれているんですよ。ところが、これは一〇%どころか、十倍近く上がるまで全然農民の同意をとろうとはしなかった。そして、既にダムは完成した。そういう状況について大臣としてはどう考えられますか。事務的な説明は結構です。大臣の見解を聞かしてください。
○国務大臣(佐藤隆君) 今、構造改善局の次長からるる御説明いたしておりますように、その地域の土地改良区の総代会においてはその都度報告をし、しかるべき機関で報告をし、そして了承を得ておる、そういうことのようでございます。しかし、おっしゃるような通達、それに疑義あり、適合してない、こういう御指摘でございますが、このことについては早速また実態がどうであるのか、私なりにもまた検討してみたいと思っております。
○諫山博君 これは、次長はいろいろ説明、弁解されますけれども、通達に違反していますよ。違反していますよ、明らかに。ぜひ調査して、やはり農水省として反省すべき点は反省する。農民にわびるべき点はわびる。そして、これからの協力を求めるということを要望いたします。 そこで、これによって農民の負担がどうなるかということです。とにかく農家の負担は最初の説明よりか十倍ぐらいにふえた。そのためにとても営農が成り立たないとみんな言っております。そこで、年の償還額は、今の変更案によれば、水田が四千円、畑地かんがいが四万六千円、農地開墾が八万三千円、そういう数字になっていることはお認めですか。
○説明員(内藤克美君) はい、そのとおりでございます。
○諫山博君 実際に農家が営農する場合には、この年償還額のほかに施設の維持管理費が必要にな ります。この中身は電気料金と人件費だと言われておりますし、私の聞いたところでは大体九州で年頭二千円から四千円ぐらいだろう、十アール当たりです。その数字も間違いありませんか。
○説明員(内藤克美君) はい、大体国営事業の場合その程度はかかろうかと思います。
○諫山博君 そうなりますと、この畑地は富有ガキの栽培が中心ですけれども、新たにこの施設を利用すれば畑地で約五万円、開墾農地で約八万六千円から八千円ぐらい新たな負担を強いられることになります。農水省の資料ではカキを栽培する場合の十アール当たりの所得は約十六万円となっております。そうすると、畑地の場合十アール当たり十六万円の所得のうち五万円がこれで消えてしまう、開墾農地の場合は十アール当たり十六万円の所得のうち八万六千円から八千円が消えてしまう。これでは営農が成り立たないんじゃないでしょうか。専門家としてどう考えますか。
○説明員(内藤克美君) ただいまの負担については、カキの場合は大体反当の所得が約十六万円ということで、先生のおっしゃるとおり、また工事費に対する負担額、また一般の経常経費についても大体そのような額になろうかと思います。 それで、負担の可能性についてでございますが、計画変更案については現在、先ほど先生お話しのとおり、六百億案というのが一つございます。これについては、さらに地元の受益者の方々と十分な相談をしながら、この辺の負担が、もう少し事業費が削減できるかどうかについても地元の方々と連携をとるようにしております。そのような格好にしながら、計画変更を進めるに当たって適正な農家の負担額を決めるように、あるいはなるように県、市町村とともに十分協議をしながら、負担が可能なような格好に相談してまいりたい、こういうつもりでおります。
○諫山博君 最後に農水大臣に要望いたします。今関係農民は、我々は受益者ではなくて受難者だという言い方をしています。それはもともと農家の所得をふやすという目的で始め、そういう目的で同意を得たのに、農業が全くやっていけなくなる、こういう状況になっているからです。 そこで第一の要望は、今事業計画案が発表されておりますけれども、これを農民に性急に押しつけるようなことはやめてもらいたい。十分農民の意見を聞いて、今発表されておる案を最上のものとするんじゃなくて、農家の経営が成り立つということを前提に十分農家の意見を聞いてもらいたい。この点に欠けていたから一挙に十倍も農家の負担がふえるという事態になったわけです。 もう一つは、今関係自治体、農民団体はどうすれば農家の負担が軽減できるのか、どうすれば営農がやっていけるのかということをいろいろ研究し、討議しております。私は明らかに農水省に手落ちがあったと思います。つまり、その都度農民の同意を得なければならないのに全く同意を経ないまま今日の事態に至った。この点について、農水省はみずからの責任を感じて農家の負担軽減のためにありとあらゆる研究をし、ありとあらゆる努力をしていただきたいということです。答弁をお願いします。
○国務大臣(佐藤隆君) 過去の経緯がどうあれ、ただいま現在私が責任を負わなければならぬ立場でございます。今お話が出ておりますように、受益者ではなくて受難者である、そこまで思い込ませておるという現状ありとするならば、まことに遺憾なことであると私は思っております。 要すれば、今私も次長の説明を聞いておりましたが、やはり事業に随分時間がかかっておるということ、そうするとこれがまた予算の問題であるということ、こういうことをつくづく感じ入っておったところでございます。そういう意味では、六十三年度予算政府原案編成期を控えておる今日、ちゃんとしなければならぬなと思いますし、同時にそういうことからすれば早期完成、こういうことでひとつ改めて構造改善局に指示をいたしたい、こう思いますし、また農家の負担能力、それと、それを勘案してのやはり事業計画でなければそれは事業とは言えないわけでございますから、そういう意味で考える必要があるのではないかなと。また同時に、地元負担金の償還に差し支えておるという話もあるわけでありますから、そういう意味では償還計画の見直し、これをどのように延長することができるか、大体三点に要約してこれを検討をするということにいたしたいと思います。
○諫山博君 終わります。
○三治重信君 今度のガットの裁定で十二品目の中で十品目が自由化を迫られて、そのうちで八品目は了承したというふうに出ておりますが、その中で非常に奇異に感ずるのが、いわゆるアメリカの輸入制限品目はウエーバーで二十一品目、または十四品目あるいは十九品目とも言われておるんですが、それから通商拡大法によって三品目、食肉輸入法によって二品目が輸入制限の対象品目になっている。こういうふうなことで、ガットの場で日本政府の方はこれを取り出して対抗要件としたようですが、これは全然問題にならなかったみたいですが、ひとつそういうぐあいになると、あと残った品目の自由化をやる場合の一つの考え方としてお聞きするんですが、こういうアメリカのやつは、ウエーバーにしても、通商拡大法にしても、輸入食肉にしても、ガットの場においては全然日本の対抗要件としては問題にならぬと、こういうふうに認識されていたのかどうか。ひとつそういうこと。 それからもう一つ。こういうものに対抗する場を持っていくためには、次の関税一般の議論のウルグアイ・ラウンドならば、こういうものが対抗の措置になって、今後制限品目で対抗措置として有効に活用できる予定なのかどうか。その点をちょっと。
○政府委員(眞木秀郎君) 御指摘のとおり、現在各国がいろいろな名目で形式上、ガット上、合法であるかどうかというような点も含めて一定のいろいろな形での輸入制限的措置を含む保護を持っておるわけでございます。これらにつきましては、我々はアメリカのウエーバーというものが非常に問題であると考えて、あらゆる場においてこれを指摘し、反省を迫っておるわけでございますが、現状としてはなかなかアメリカがすぐにこれを撤回するというようなことは見られないという状況でございます。したがいまして、やはり我々としては、現在交渉が始まっております新しいラウンド、ウルグアイ・ラウンドの場におきまして新しい農産物貿易のルールづくりの中で、我々輸入国の立場も取り入れた形での、みんなに公平な形で、かつ要件等につきましてもきちっと定義をされて、実質的に運用が可能なそういうルールをつくるべきであると考えておるわけでございます。 このためのいわば予備的な議論というものがことしもう随分行われまして、その一つがOECDの閣僚理事会、この五月でございましたが、そこで議論が行われたわけでございます。その中で、基本的には現在の過剰というものを背景にいたしまして、できる限り生産が需要というものを見ながら行われる、いたずらな過剰を引き起こさないというためには、いわゆる市場のシグナルが生産にもちゃんと届くようにという、そういう基本的な考え方が出されました。これは基本的にどの国もやはりそれはそのとおりであるということになったわけでございますが、その中で我が国の立場といたしましては、やはり農業がそういう経済的要因のみではなくて、純粋に経済的ではない要因、国土なり環境の保全とか、地域の雇用の問題、さらに日本にとって一番大切なものはやはり食糧の安定供給、そういう見地でございます。この点につきましてもいろいろ議論が行われまして、その結果が、そういうものにも配慮するという形でOECDの閣僚理事会のコミュニケにも取り入れられ、引き続いて行われましたベニチア・サミットの宣言においてもこれが裏打ちをされた形で入りました。そういうものを受けまして我々は今、来年からいよいよ各国の提案が出そろって行われます。その新しいルールの交渉に入っていくわけでございます。 実は、我が国が主要国の中ではまだそういう意味での提案を具体的には行っていないわけでございますけれども、その考え方の基礎となる農産物の貿易を律する原則、考え方といったものを一応提示をしております。ことしじゅうにはできれば新しい提案をやりたい。その中には、やはりこういう日本のような非常に自給率が下がって食糧の安定供給に強い関心を持つ立場も取り入れて、やはり一定の条件のもとでは輸入制限的措置も通常考えられております国境保護措置、関税等のほかに必要であるというような考え方を中に入れた形で明らかにしていきたい。また、我々と考えを同じくする北欧なりその他の一部の諸国もございますし、またECも輸出国、輸入国両方の立場も持っておりますし、そういう国々とも相図りながらそういうルールをつくって、それにみんなが合わせることによって、今起こっておりますようないろいろな農産物貿易をめぐります摩擦といったものに対して、そういうものがなくなるような形に一生懸命努力をしたい、このように考えておるところでございます。
○三治重信君 結局、今度のガットの裁定で懲りたろうから、これ今参考にしてウルグアイ・ラウンドにしても、それに至るまでのいわゆる農産物の自由化について本当にもっと国際的に対抗できる理論をつくっていかぬと、国内理論だけで、農業保護の国内理論だけや、食糧自給がどうのこうのというだけでは僕は対抗できぬじゃないかと思う。各国の輸入制限の状況なり、アメリカでも調べればこんなに輸入制限しているんですね。各国の輸入制限、それがどういう理由でやっているのか。そういうような各国のいろいろの家庭の事情というものもつかんだ上で対抗処置をとっていくということが必要じゃないかと思うんですが、今の御答弁の基本的な態度、私も賛成ですから、ぜひもっと勉強しながら、ひとつ国際的な討議を真剣になってやってもらいたいと思うんですが、念のために、きょうお答えになっているかもしれませんが、アメリカの輸入制限品目で、今度は日本が自由化するという八品目の中で六品目該当しているというふうに我々の調査であるが、大体それでいいんですか。
○政府委員(眞木秀郎君) アメリカの輸入制限品目数を勘定する場合に、一般的に日本が準拠しております関税協力理事会の関税分類と違った分類をアメリカがとっておりますので、数え方が非常に複雑になるわけでございますが、数え方によっては六つという数字も出てまいります。
○三治重信君 先ほどの御答弁とも関連するんですが、ひとつ今後とも農産物の貿易自由化問題というものは、加藤大臣がことしの九月に行かれて、ガットの閣僚理事会から火ぶたが切られて、今後ともなっていくわけですから、先ほどのお話のような姿勢でさらにやってもらいたいと思うんですが、それとまた並行して、農産物の市場開放に対する農政の問題。これはまた別個の問題として、対抗されたならば国内政策というものはどうとっていかないと対応ができないか。どうもそれは開放はしたくないんだろうけれども、しかしこれだけ日本が貿易黒字を続けていくからには、やはりこれは農産物の市場開放へしわ寄せされるということは、これは国としてまた農水省としても被害意識ばかりじゃなくて、覚悟して、それに対してはどういう農家や農産物生産の保護政策なり維持政策というものをどうとっていったら対抗できるかということを本気になって対案を考えてもらいたいと思うんですが、それは対案、かわりないことは開放することだということになっては、それは自己矛盾になっちゃうんで、これもしもある場合には、これはこういうふうな手があるかどうか、どういうふうな手が一番可能かということについて、やはり農水省というのはもっと積極的に対応策というものが考えられていかなければならぬと思うんですが、それに対する御意見をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 先生もうよく御存じのところでございますが、多少くどくなりますが、姿勢だけをちょっと申し上げて、そして種々農産物の市場開放問題、これについてお答えをいたしたい、こう思います。 農業は、食糧の安定供給あるいは活力ある地域社会の維持、国土、自然環境の保全等、我が国の経済社会の土台を支える、これはもう毎回お互いが申し上げておるところでございます。その一方に、急速な国際化時代に対応して、一層均衡のとれた国際経済関係の形成というものをやはり頭に置いてひとつやっていかなければならない、こういうことであろうかと思います。そこで、農産物市場開放問題でございますけれども、昨年の農政審議会報告、これを尊重してまいりたい、こう思っております。というのは、ガットにおける新しい農産物貿易ルール策定の作業にやはり積極的に参加をしていく、貢献をしていく、この姿勢が大事ではないか、こう思っております。そして、その状況の中で日本の農業の健全な発展との調和をどう図っていくか、ここが問題だろう、かような認識でこれから進んでまいりたい、こう思っております。
○三治重信君 今の大臣の御答弁に全面的に賛成です。ただ、それが実行できるかどうかということですから、ひとつ。そういうことをやっていけば、国内的にやっても摩擦ができるし、私はそのためにはやはり貿易黒字の犠牲になるんだから、予算はしっかり獲得していく体制をとらぬと、これは農民も納得しないだろうし、だんだん毎年農業予算が減るところで、どんどん市場開放をやるということになってくると、これは何だという感情的な不平不満というものが出てくると思うんですね。そこをしっかりひとつやっていただきたいと思うんです。 それで、また仮定の問題になるんですが、八品目が自由化された場合に、どういうふうな影響が出ると算定されておるか。それが一つ。それから、それに対する対応策として、一つは新聞報道によると関税対策、輸入課徴金対策があるようなことがあるんですが、こういうことができるのかどうか。関税を上げるとか輸入課徴金を課すことが限定的にしても何でも、期限を切ってできるのか。それから、一つやってみることは、やはり農家の急変を避けるために、今のこの自由化する八品目の農家生産物についての価格保証を、いわゆる不足払いをどの程度やるかという問題で対応していくことになるんじゃないかと思うんですが、被害状況と対応についての考え方ということをお願いします。
○政府委員(眞木秀郎君) いわゆる八品目の問題、これが輸入数量制限をなくした場合ということでございますけれども、先ほどからも御答弁申し上げておりますように、この問題を含めまして、パネル報告書全体の採択の問題が来年二月予定の理事会に先送りになっておるということでございまして、これに対しましての、二月予定の理事会での決着を目指しての今後の対外交渉のあり方、あるいはまたこれに関連いたしました国内措置等につきましては、これから速やかにかつ十分に検討するということでございます。 一般論といたしましてそういうことの問題と離れまして、いわゆる国境保護措置といったような問題につきましては、輸入数量制限につきましては、やはりガット規定との整合性の問題というのが今まさに問題となっているわけでございますが、これの整合性のとれたものであればまた問題ないという面はございますが、一般的に関税につきましては、これは各国がそれぞれ主権に基づいて設定をし得るわけでございますし、その関税率の調整につきましてもガット上譲許している、いわゆるバインドしているものを除きましてはできるわけでございます。またバインドを外してやる場合にはそれに見合った関係、利害関係国との交渉が必要であるということになろうかと思います。また、これの関税に付随したまたいろいろな制度、いわゆる国境保護措置としての制度等もあることは御承知かと存じております。こういうものと、それからまた国内の措置といったものが一般的に海外からの供給に対し、輸入過剰に対して国内の農家と調整をする手段として考えられてい るものだと思います。
○三治重信君 それから、農産物、殊に穀物なんかが非常に過剰だと、こう言われているんですね。殊にヨーロッパやアメリカは補助金つきで小麦をえらい輸出している。日本は一番たくさん小麦を輸入している国なんですが、しかし、こういうような補助金つきの輸入をやれば、もっと安く買えて食管会計でも何でも非常に楽になるだろうと思うんだが、そういう日本は遠慮して補助金つきの小麦は輸入しないというのはどういう理由が。
○政府委員(後藤康夫君) 決して遠慮ということではなくて、私ども一つの考え方を持っているわけでございます。よく農産物貿易について比較優位、コンパラティブアドバンテージでありますとか、あるいは内外価格差というようなものが論議になるわけでございますが、実際の国際市場価格というのは輸出補助金でかなりゆがめられておるわけでございます。こういう輸出補助金がついて行われております農産物の供給というのは、その国の財政事情によりまして供給力が強くなったり弱くなったりいたします。特に八〇年代に入りましてから穀物が過剰傾向になりまして、輸出依存度の高いオーストラリアとかカナダとECの間にいろいろ紛争が起きる。それからまた、アメリカとECの間に紛争が起きるというような状況が現出をしているわけでございます。 確かに御指摘のとおり輸出補助金をつけることを求めることは短期的な利益にはなろうかと思いますけれども、我が国のような小麦にいたしましても飼料穀物にいたしましても相当大きなもの、数量を海外に依存をしておる国にとりましては、やはりむしろ安定供給を確保すること、秩序のある農産物貿易の環境づくりをやるということの方が長い日で見て大事なことではないだろうか。そしてまた、輸出補助金というものがある程度今のような激しい状態で続いておりますと、三治先生さっきおっしゃいましたような関税問題も含めて貿易を自由化する方向にもっていくというふうにいたします場合にも、いつ輸出補助金つきで値段がどんどん下がるかわからないということではなかなか国内農民も心配で納得も得られないということも反面あるわけでございます。 そういうことで、今度のラウンドにおきましても、農業貿易問題につきましては恐らく最大の問題の一つがこの輸出補助金競争をどうするかということであろうかと思います。で、各国が農産物貿易についての提案を出しておりますが、我が国はまだ出しておらないわけでございますが、ことしの七月に我が国が考えております農業貿易を律する原則というようなものをガットに提出をして、表明をいたしております。この中で農産物輸出に対する補助金は原則として用いられるべきものではない、こういうスタンスでおりますので、こういう基本的な思想に立ちながら、片方で我が国に輸出補助金を適用しろということを要求するというのはやや矛盾するんではないかと、決してただ遠慮だけでそういうふうに言っているということではございませんので、そこをひとつ御理解を賜りたいと思います。
○三治重信君 必ずしも輸出補助金をもらいなさいというわけじゃないんだが、そういうふうなカードを持っていると、いろいろOECDの理事会やガットの場で、そういうおれの方は遠慮してもらわぬでやっているんだから、そう何でもかんでも全部日本だけというのは、みんなそういうようなハンディキャップを持っているんじゃないかというようなことの一つのカードとしてしっかり利用してもらいたいと思うんです。 それから最後ですが、米の過剰問題が、最近、つい一日、二日、ちょっと出ているんですが、土地問題のときにもちょっと大臣に言って議論にならぬかった。ちょっと一通りの答弁だけに終わったんですけれども、きょう追加して出しているんですが、私はもしもこの三十万トンの生産制限を需要開拓だけでやるのもいいんだけれども、私はやはり何というんですか、地域の生産制限を、地域対策を、この農林省も積極的にやったらいいと思うんですよ。農業県、いい米がとれるところまでみんな一律でこの減反をやるというよりか、私は土地問題でこれだけこうなってきたら、首都圏、中京圏、大阪圏の三大圏、五十キロか百キロかのこの中のところのやつの減反というものはもっとこう、まあこういうのは殊に追加でやるかやらぬかわからぬようなときには、その生産者団体と相談をして七十七万ヘクタールをふやさぬということで、じゃ、その三大首都圏の方で減反を少しやってくれと、こういうような交渉をやって、そのかわり減反をしたところは農地の転用はある程度認めるというふうな、何か弾力的な生産制限をもっと土地の供給と何か全体の国の政策と合わせるようなことをやり、それから地域的に農業の、本当に農業だけしか生業の道がないところと三大首都圏のところなんか、僕のところは中京でちょうど五十キロちょっとぐらいのところだけれども、まあ見てみても、生産制限を受けたって、そう大して農民は苦痛を感じないみたいだね、農家に聞いてみると。減反を、転作を命ぜられても、大体においてそんなの痛くもかゆくもないみたいだから、そういう、まあそんなことを言っちゃあるいは農民団体から怒られるかもしれぬけれども、実際の農家はそうなんですよ。 だから、そういうことを生産者団体に、そんなもの農家はそう心配しなくてもいいという、まあ団体は困るかもしれないわね、ある程度取扱量が減るから。しかし、それぐらい我慢せいと。こういうような地域対策を少し進めていかぬと農業の転換対策はできぬと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤隆君) 先般も土地対策特別委員会で御意見を承りました。今またさらにそれを敷衍してのお話でございます。生産調整というものについてもう少し何か弾力的に一工夫せよと。しかも、その中にあって地域農政というものを、やっぱりそれもまた考えてちゃんとしなければならぬのではないか。そして、その地域その地域のやはり生産者なりの考え方というものは違う場合もあるのではないかという意味に理解をいたしましたが、それは生産調整を望んでいる農家が全部だみたいなことにはなかなかならない。いろいろな考え方の、またその地域の産業構造にもよりますし、雇用の状況にもよりますし、そういうことを含めてやはりその地域地域の特性というもの、言葉をかえればこの間来ちょっと付言しようとしておられた、いわゆる生産調整の場合でも傾斜配分、こういうようなことも考え、もっと真剣に考えるべきではないかという御提言と受けとめました。さよう心得ましてひとつ検討をいたしたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 きょうは午前から質疑が交わされておりますが、重複する点もないとはいえませんが、私なりに確認したいと思いますのでよろしくお願いいたします。 まず、この農産物十二品目の輸入自由化の問題について、これを許すかそれとも許さないか、阻止できるか、こういうことが一つには日本の農政の柱である、農は国のもとである、二つには国内需給向上を図るんだ、三つには日本の農業を守るんだ、四つには日本の国土を守るんだとか、こういうことにつながる重大な意義を持つものだと私は理解いたしております。それを前提にして、多くを申し上げませんが、一つは、政府は米国の十二品目の自由化要求をどのように受けとめておられるのか。ダブるかもしれませんが、私は私なりに確認いたしたいと思いますので。二つには、政府は米国の十二品目の問題をどのような方向で解決していこうと考えておられるのであるかということについてまず大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 先刻来我が省から局長を初めいろいろな立場で答弁を申し上げておりますが、パネル報告書の扱い、これが次回のガット理事会で継続審議されることになった、こういうことでございます。今後の具体的な取り扱いというものについてはまだここで御報告をできるような状況にはございません。しかし次回理事会までに 円滑な決着を図るためにまずは米国との話し合い、あるいは理事会対策、これを進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。いずれにせよ、国内農業への影響、国際的な経済関係に十分配慮して真剣に検討してまいりたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 次に、先刻来の御答弁の中からいろいろとお言葉が出ましたが、例えば沖縄問題に触れるというと心痛むという言葉が出ました。それから外交努力と国内調整との、そして孤立してはならないというこのことをどのように調整していくのか、そこに一つの問題が介在しておると思いますが、さらに地域農業を守るとか、あるいは価格安定を図るとか、こういうことがちょこちょこ出てまいりましたが、これは非常に大事なことだと思っております。 そこで次に、米国の強硬な農産物十二品目の自由化要求に対して、特に日本の生産農家、農業団体の立場から最近いろいろの形で集会が持たれておる。従来の集会の中で交わす言葉は陳情だとか要請だとか請願ということがよく聞かれたのでありますが、今度の最近のその動きというのは阻止という決意でいろいろな形での集会が盛り上がっておるということを私は感じ取っております。 ところで、この対抗措置として、この阻止という言葉の中に潜むのは生活防衛の闘いだ、あるいは吹きまくる嵐は何としてもこれを避けねばならない。このことは、私は空手をやっておりますが、受けて立つというのが空手の極意であるわけですが、そういうこともひしひしと感じられるわけです。そこで農業団体としましてはこんなことも強調しておられるようです。ならば、米国がそのような理不尽の一方的な強制をするならば我々にも受けて立つ用意があるということで、例えばその米国産の農産物の輸出受け入れ側として国際的にも我が国は第一位である。オランダが第二位である。中国が第三位である。ところが日本の一位は飛び抜けて優位であるということも御案内のとおりである。ならば、我々にはまた中国やオーストラリアやタイ、アルゼンチン等から幾らでも輸入ができるんだと、こういうことまでも聞こえるきょうこのごろであります。それに対して、もしその方向に日本の農業団体が踏み切ったとするならば、米国にとってこれは天下の一大事であるわけで、大打撃であるはずであります。このことを、農業団体の動きを政府はどのように受けとめておられるのか、お聞きしたい。
○国務大臣(佐藤隆君) 沖縄のパイナップルをめぐる戦後の事情、これは十分承知しておるつもりでおります。また先刻来陳情、要請というのではなくて、抗議という形で強い要請を私どもにいただいていることも承知をいたしております。このパインのことにつきましては日米二国間協議、ガットの場等あらゆる機会を通じて主張をいたしてまいりました。またパイナップル加工品を含む八品目についてはパネル報告を慎重に検討した結果、問題点はあるもののパネルの法的判断を最終的に覆すのは非常に困難である、こういう判断で酪農品、でん粉及び国家貿易に関する部分を除いて採択されることを求めた発言の中で、パネルの判断を踏まえ、ガット上適正な措置をとる用意がある旨を明らかに政府としていたした次第でございます。 米国の理不尽なというお話がございました。私どもは、このことが大きな影響を受ける、または不安を与えておる、心配をさせているということについて私どもは真剣に、ガット理事会までの若干の時間がございますから、その時間を大事にしてひとつ取り運んでまいりたい。もちろん、アメリカにどのような形で、どのようなというようなことについて理解を求める部分もあろうかと思いますけれども、いずれにしても地域農業として生きてきたそのパインそのことについて最善の対策を講じなければならぬという覚悟はいたしております。
○喜屋武眞榮君 今パインの話も出ましたですが、この十二品目は特定の地域に産地が集中しておると思われるんです。その特定の地域の中に南の沖縄にこのパインがあるわけですが、この沖縄のパインがサトウキビとあわせて基幹作日に指定されておる。ところが、基幹作目ということは、裏を返せば歴史的な気候風土の背景を担って生まれ続けて今日に至っておるわけでありますから、そう簡単に多様化の波に乗って消すわけにはいかない、こういうところに基幹作目の私は特殊性があると思うんです。 そこで、戦後のパイナップル産業の歴史的な、これは宿命的とも言いたいんですが、御承知かと十分お察しするわけですが、昭和四十六年に冷凍パイナップルの輸入自由化が行われた。そこで沖縄としてはそのころからもう右往左往しまして、パイナップル缶詰が今度は生産された。パイン缶詰に形をかえた。ところが、最近の今度は円高ドル安のあおりを食らって、缶詰中心の生産からジュースを組み合わせた生産へ方向転換をしたばかりである、変更したばかりであります。これまで沖縄のパイン産業はもう幾多の苦難を経て、営々と四苦八苦を繰り返しながら今日に至っておる経過は十分御存じだと思います。 そこで、政府の方針としましては、ずばり申し上げてパイナップル調製品とパインジュースの自由化はやむを得ない、まことにやむを得ないという前提に立っておられるやに承るんですが、その心境をまず確かめておきたい。いかがですか。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生お話しの件でございますが、その前に沖縄におきますパイン産業、パイン農家、パイン農業、そのことに関連しまして私どもの考えを申し述べたいと思います。 沖縄のパイナップルにつきましては、これは国産果実として珍しいトロピカルな風味を持った果実といたしまして国民の間に広く親しまれているというふうに認識をしております。今先生がおっしゃったように、最近におきます円高に伴います外国産パイナップル缶詰とのコストの競争面というものがありまして、かなり厳しい状況に置かれているということではございますけれども、諸外国の甘味一辺倒の嫌いがあるものに対しまして、沖縄産のものは高緯度に栽培されているということから、その味は甘い、辛い、酸っぱいといいますか、甘酸相和しておりまして、日本人の、日本の食生活にマッチしたすぐれた食品だというふうに認識をしておるところでございます。 このパイナップル自体は確かに熱帯アメリカの原産と呼ばれておりますけれども、現在持っております独特の香りと甘さ、あるいは果汁におきますビタミンの豊富さといったようなものから考えましても、すぐれた特性から生食はもちろん果汁という形で広範に利用され得るものだというふうに、今後ともそういうふうに考えていくものであろうというふうに考えておりまして、その需要も根強いものがあるというふうに考えるものであります。 歴史的な点につきまして先生がお話しになりました。私どもも、先ほど胸を痛めるとかあるいは心を痛めるという言葉を使わしていただきましたけれども、沖縄のパイナップルは第二次大戦後米軍統治下で導入をされてきた。もちろん前からあったということもありましょうけれども、本格的に導入を図られました。他の作物が育ちにくい傾斜地や強酸性の土地を利用いたしまして栽培されたという歴史的な経緯というものも十分認識をしております。その後本土復帰後は、国、県の保護奨励策が施されまして、生産農家の方々あるいは加工業者のたゆまぬ努力によりまして、沖縄の厳しい気象条件のもとで、地理的条件も克服して、沖縄産業の、先生の言葉をかりさしていただきますと基幹作物というふうになったわけでございます。 その点につきまして、全体の沖縄の農業生産費の中からは、現在の生産額が二十二億円というパイナップルの生産でございますので、まあ数字的に割りますと大体二%ということになろうかと思いますけれども、例えば東村その他の地域地域においては大きな位置を占めているということも重々承知をしているわけでございます。そういう 中におきまして、これも先生御指摘のとおりでございますが、今年から今の円高的な状況というものに対処すべく新しい方向を出していこう、現状の沖縄のパイン産業というものを基本的に守りながら、その中の内容におきまして果汁というものにシフトしていこう、あるいは生食というようなものをもっと伸ばしていこうという考え方に立ちまして、六十二年度の予算に工場の予算あるいは価格安定の予算といったようなものを計上さしていただきたいところでございます。 そういう意味でございますが、今回のパネルにおきましては、この具体的な一つの判定が出たわけでございます。これにつきましては、大臣あるいは経済局長からるるこれまでも御説明申し上げておりますとおり、このパネル報告を慎重に検討した結果、問題点はあるもののパネルの法的判断を最終的に覆すには困難であるという判断に達しまして、酪農品、でん粉及び国家貿易に関する部分を除いて採択されることを求めた発言の中で、パネルの判断を踏まえ、ガット上適正な措置をとる用意がある旨、他の品目と合わして八品目について明らかにしたところでございますが、この点につきましては、パネル報告の取り扱い自体、次回の理事会に持ち越されたという経緯になっているところでございます。
○喜屋武眞榮君 まあ今この数字、パーセントも無視はいたしませんが、特に沖縄の亜熱帯農業の中でパインとサトウキビが基幹作目として、今後いかに沖縄の様相が変わってまいろうが、何としても基幹作目として守らなければいけないということに対しては、国の至上課題としてはっきり確認してもらえますね、農水大臣。
○国務大臣(佐藤隆君) 今農蚕園芸局長から詳細にわたってその経緯なり現状、こういうことを御説明申し上げました。先ほど私が申し上げておりますのは、そういうものの上に立って、そしてこの後二月のガット理事会、それまでの間の時間その中でどのように検討していくか。しかし、せっかくそれで生活をしてきた人が生きていかなきゃならぬのでありますから、そういう意味で真剣でなければならぬと、こう申し上げておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 次のことをまた申し上げておきたい。 パインやサトウキビが基幹作物としての宿命を持っておる、まあ宿命と言えば非常に後ろ向き、消極的に聞こえますが、日本の国土として沖縄が亜熱帯地域という、こういう一億二千万国民の大事な食料資源を生産する基地である、こういう私たちは希望を、常に夢を持って守っていこう、こういうことでありますけれども、残念ながら米軍基地機能の日本における七五%が沖縄にあって二五%が本土の広い面にあるんでしょう。このことを抜きにして沖縄の立場を、いわゆる異質の、次元の違う沖縄を本土の物差しで簡単にはかろうとしていったならば、そこに大きな誤り、矛盾がある、このことを私は絶えず指摘いたしたい。このことをまず強く申し上げておきます。 といいますのは、沖縄における優良土地、いわゆる農地としての優良土地は軍事基地に強制的に接収されて、そして農業地として不適であった土地を耕して、まず果樹、パインを栽培しておるというこの宿命、宿命と言ってはいけませんけれども、このことを政府は忘れてはいけないということを強調したいんです。しかも、その土地もパインの生産地は高度の酸性土壌でなければいけないということから、沖縄本島の北部、八重山の西表、そして石垣、こういう土地に限られてパインを生産しておる、栽培しておる。このことも十分知っておられるはずであります。こういうことを本当に理解していただくならば、自由化の嵐が吹こうが貿易台風が吹こうが、何としても沖縄のパインは、あるいはサトウキビは守らねばならないという、これは国の義務であり責任である、こう私は言いたいんです。 そこで、時間も参りましたので、次のことを申し上げておきたい、理解していただきたいということですが、先ほど大臣は、日米安保は堅持する、そうしてパートナーシップで行く、こういうことを述べておられたんです。そのことをはたで聞くにつけて、ぞっとするのが沖縄県民であるのであります。何となれば、沖縄県民は、日米安保の軍事面に関するいわゆるかなめ基地としての沖縄が強化されておる。そこから派生する沖縄県民への生命、財産、人権侵害に対するもろもろの事件、事故が毎日起こりつつある、未解決の問題が山積しておる。 時間がありませんから多くを申し上げませんが、このような同じ憲法のもとに抱かれるべき沖縄県民が犠牲と差別、憲法の空洞化も憲法の差別も指摘できる、幾らでも私は。時間がありませんから、そういう形で日米安保を日本の繁栄のために堅持するとか、あるいはパートナーシップという、パートナーシップということは申し上げるまでもありません。対等の立場で同じ地球上に立って、床の上に立って向かい合って、そして意見を披瀝して対話をする、こういう姿勢の中からのみパートナーシップは生まれなければいけない。それが本当の民主主義でありパートナーシップである。ところが、沖縄に関する限り必ずしもそうではないということを私はこの場で強く指摘いたしたい。そのことをお忘れになるというといけませんよ。大きな、生命、財産、人権に対する侵害、不安と危険と不満が重なり合っておるということをお忘れにならぬように、そのことも含めてひとつ御理解を願って、本当の共存共栄の日本の繁栄のために大臣もひとつ頑張ってもらいたい。そして、この問題を解決するためにも訪米をしてもらいたいと私は願うわけですが、その御決意あるいは見通しについてはいかがなものでしょうか、お伺いいたしまして私の質問を終わります。
○国務大臣(佐藤隆君) 沖縄県民のお一人としての立場から、切々たる今日までの経緯についてまた改めて御説明がございました。先般も私自身、私の部屋で先生からそういう御指摘をいただきました。そうは言いながらも、日米安保体制を否定してまで私がここに答えるわけにはまいりません。それはひとつおわかりをいただきたい/ なおまた、そういう戦後の歴史の中で非常な苦労をしておられるということは、こう重々承知しておりますということは先ほども答弁の冒頭に申し上げた次第でございます。なお重ねて、またそのことを指摘されまして、その御意見をかみしめておきたいと思います。
○山田耕三郎君 国際的な自由経済の流れの中で我が国の農業を守っていくということがいかに難しいことであるかということを十分承知しながらも、今回のガットに関連をして三点お願いを申し上げ、大臣には最後にまとめとしてお尋ねをいたしましたときにお答えをいただきますようにあらかじめお願いをいたしておきます。 本年は農政改革に関する国際会議が頻繁に開かれました年であります。農業問題や食糧問題は、不足であるか、過剰のときに国際会議の大きな議題として取り上げられます。ちなみに、十五年前のいわゆる世界食糧危機が叫ばれましたときにも国際レベルの会議がさまざまな形で開かれ、その対策が論議をされました。だが昨今は一転いたしまして、食糧の過剰問題が国際会議の主要議題となり、その背景にある農業保護政策の改革と対策が先進諸国の共通の課題として取り上げられております。しかし、まことに残念なことには、食糧自給率の極めて低い日本は、不足、過剰、いずれの局面においても大きく振り回されざるを得ない宿命的な状況にあります。OECDコミュニケを踏襲したベネチア・サミットの共同宣言は、農業助成を漸進的、協調的に削減をし、市場原理を反映した生産体系にするとする基本原則を確認したものでありまするし、我が国も参加をいたしております。その背景には、先進諸国の農業保護政策があり、これをお互いが協力をして切り下げ、改革をしていこうというのがこれらの国際会議の論議の焦点でありました。 この基本原則を一律的に適用すべきだと主張をいたしておりますのがアメリカやカナダでありますし、食糧の安全保障、雇用、国土保全など農業 の特殊性と多面的機能に配慮をすべきと一律適用に反対をしているのは西ドイツ、日本、イタリア等であったことは御承知のとおりであります。ところが、焦点であります農産物の過剰を解決するには原理的に考えて二つの方法しかございません。すなわち、農産物の生産を大幅に減らすか、輸入国の輸入をふやすかのいずれかの道しかありません。減らすには当然のこととして生産調整政策の強化以外にはなく、この政策を推進することは、現在農業に就労をしております労働力を減らすことに通じます。これは先進工業国には難問であります。例えば、サミット構成国はいずれも失業率が農業就業人口を上回っており、穀物の自給率も西ドイツやイタリア以外はすべて一〇〇%を大きく上回っておりますのです。そこで過剰になった農産物を補助金をつけてでも競争して輸出へということになっておりますのが現状でございます。 こうした背景を持ちながらアメリカは日本に農産物の輸入の自由化を迫ってきております。日本は工業製品の輸出で経常経費は大幅な黒字で失業率もしかも非常に低い。工業で圧迫を受けている他の先進諸国も歩調を合わせアメリカの要求に同調し、日本に対して市場開放の強硬意見に出てきておりますのも当然かと思います。これが今日の日本を取り巻く現在の食糧、農業をめぐる国際的な構図だと私は見ております。 このような世界経済の現実の流れの中で、日本農業をどう守り農民生活をどう支えていくのかは為政者はもちろん農業団体や農家もまた常に模索をし、最悪の場合にも対応できる対策を持っておる必要が当然あります。私は、今日の最悪の事態を迎えるまでに政府や農業団体の対応に大きな疑念を持っております。政府においては果たして世界を視野に入れた長期的展望に立った農政が今日まで展開されておったのでありましょうか。若干の疑問を持ちます。農業団体の運動にしましても米価闘争だとか輸入自由化阻止の運動だけが何か突出をして行われておったのではないか。そんな結果、この運動で気勢を上げておれば何とかなるという幻想を生産農民に与えてきたのではなかっただろうか。私自身も厳しい反省をいたしておりますが、あれよあれよという間にここまで来てしまったこと、まさかと思っておった十二品目中十品目がクロと判定、日本の提案をされました部分採択についてもただの一国も理解を示してくれなかった現実、こういったものを現実に目の当たりにしてこられました政府の見解をまず承っておきたいと思います。
○政府委員(眞木秀郎君) 最後の部分についてお答えをさせていただきたいと思います。 今回の十二品目、いずれにしろ一品目ごとにそれぞれ生産、需給、あるいはそれに関するいろいろな制度、違っておるわけでございます。本来なら十二品目一つ一つが一つのパネルになっても不自然ではないというようなものであったと思います。その点も米国の提訴のときにそういう主張もしたわけでございますが、一つのパネルで全体が審査をされるということで、先ほどから申し上げておりますように、その結果につきまして我々が中身をよく精査をいたしまして検討いたしまして、その結果、幾つかの部分について賛成できないということで部分採択を主張したわけでございます。 我々はこの点は、部分採択については理論的には、あるいはまた十二品目とそれが分かれておるという実態からいたしましても、理論的にも正しいし、またプラクティカルなアプローチとしても起用されるべきものであると考えていたわけでございます。ただ、この問題、ガットの例えばニューラウンドにおきまして紛争処理手続の強化とか、そういうことがいろいろと問題になって議論されておるという中で、普通一つのものの中のある部分をとらえてそれだけをいい悪いというのは不都合だという一般論の中で、我々の主張が支持されなかったという点については非常に残念に思っておるわけでございますが、今後ともこの我々の考え方、特に実態に照らしての考え方につきましては、関係国によく説明をし、理解を求めてまいる努力は続けていきたい、こう思っておるわけでございます。
○山田耕三郎君 国際社会の中で農産物自由化が問題にされましてから、アメリカがガット違反として提訴するまでの間の経緯は質問の中から避けさしていただきますといたしまして、小委員会の裁定が出されてから採決が行われるはずの総会までにおける日本のとられました態度についてお尋ねをいたします。 問題の焦点は、日本がどうしても拒否したいでん粉と練乳、粉乳の二品目をどうしたら救えるかということに絞られたようであります。確かに二品目が自由化されることは他に及ぼす影響は非常に大きい点も理解できます。さらにまた、これだけ多くの品目が一括裁定されたことは初めてであるようですが、それなればこそ、一部の品目については時間をかしてほしいという日本の要望もそう不当なものではないように思われます。また日本流に考えて、裁定の際のガット条文の解釈にも余りにもしゃくし定規だという不満が残ります。等々、裁定の内容について言いたいことは幾らもありますし、あったことだろうと思います。 反面、アメリカ自体もウエーバーの特典に支えられ、農産物輸入を制限していることも事実であります。私自身も釈然としないものを感じます。しかし、農産物の自由化は急に降ってわいたものではありません。十年以上も前からアメリカが問題としているいわくつきの課題であり、国際経済は自由化の流れの中にあります。先ほども申し上げましたように、この一部品目の自由化に異議を表明されて部分採択を求められたのに対して一国もやっぱり日本の立場に立つ国はなかった、この冷厳な事実は注目をせなければならないと思います。あわせて、日本は今また急激な円高で苦しんでおります今日、西独やイギリスやフランスが一斉に金利を引き下げて国際経済の安定に向かって協調姿勢を強めておりますときだけに、このときの我が国の姿勢がひときわ目立ったのもまた当然かと思います。こういうことから我が国は農産物輸入自由化への長期的展望に基づく対策に欠け、外圧の都度、いわば場当たり的な解決で終始をしてきたのではないかとの批判も出ております。 以上のような観点から、今回のガット総会における選択は成算あっての結果と私は存じますが、ただいまさっきの質問者に対する答弁にも、さらに二国間の交渉を強めたい旨の発言もありましたが、来年二月に引き延ばしたこの選択が大丈夫なのでしょうか。何かの成果が得られるのでしょうか。このことについての政府の御見解をお尋ねします。
○国務大臣(佐藤隆君) 今日までの経緯につきましてみずから反省もあるという謙虚なお言葉、感慨深く承っておりました。場当たり的な処方でやってきたのではないか等々厳しい御指摘もいただきました。結論的には、これから若干の時間がある、その中で成算はどうだということでございます。私自身、農林省挙げてというよりも、加えて竹下内閣挙げて、ひとつ全力を尽くさなければならぬと、かように決意を新たにいたしているところでございます。
○山田耕三郎君 三番目の問題は、私は政府が意図されております二品目の救済は、これまでの交渉や会議の経過、さらには日本の置かれております国際的な立場から考えて極めて至難と思っております。それどころか牛肉、オレンジの交渉を目睫に控えております。十二月七日の読売新聞が報じておられましたが、全米精米業協会の副理事長とのインタビューの内容を見ましても、まことに不気味なものを感じます。今回の交渉が日本くみしやすしとの印象を与えたのではないかとする心配も国内にはございましたが、この心配が単に杞憂ではなかったことを裏づけているように感じられ、憂慮をいたしておるものです。 今後における農産物自由化交渉に果たして自信を持っておいでになりますのか、単に願望ではなく、論理的に明確にしていただきたいとともに、万一最悪を迎えた場合の救済対策や各生産地における対応についての青写真等大丈夫なのか、その 辺の御決意を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 重ねて決意はどうかという御質問でございますが、こうこうこういう理由で成算があるとか、そういうような内容に触れますと、これがまたきょうここでしゃべったことがまたすぐ伝わるとか、いろいろなふうにまた解釈をされるとか、まあ不利有利を余り言ってはなりませんけれども、何としても先ほど申し上げた決意、これをこのことに基づいてやらねばならぬと、こう思っておるわけでございまして、事外交交渉ということでもございますので、ひとつ具体的なことは言うわけにはまいらぬ、御理解をいただきたい。また今これはそれじゃ何か持っておって言わぬのかと、今持っている部分はほとんどない、これから今せっかく検討している最中であると、こういうこともつけ加えさせていただきたいと思います。
○山田耕三郎君 最後に大臣にお尋ねをいたします。 佐藤大臣の所管事項は、いずれを見ましても明るいところが見られません。さらに、極めて困難な状態の中で御就任をなさったように思います。先ほど上杉委員がおっしゃったように、大きな期待感を持っておいでになります国民の皆様方も、何らかのアクションを起こしていただかなければ、このままでは農業は何ともならぬのではないか、そういうお気持ちをもう一刻の猶予もなしに望んでおいでになると思います。そういう立場から所信をお尋ねをさしていただきたいと思います。 例えば、今水産庁所管の関係を見ましても、つい先日インド洋で南アフリカ航空の飛行機が墜落をいたしました。痛ましい犠牲がたくさん出ました。このことにつきましては、海の男がなぜ航空事故に巻き込まれて命を失わなければならないのか、やるせない気持ちをお身内の方は悲しみの中に吐露しておいでになりました。いわばこの事故は通勤途上の労働災害でさえありますし、この方々だけでなしにもっとこういう立場においでになる方がたくさんおいでになります。これは海洋国日本の水産の苦悩をあらわしておる一つの大きな事象だと私は見ております。 さらにまた、捕鯨問題にいたしましても、今水産庁では調査捕鯨を何としてもやり遂げたい、こういうことで真摯な努力をしておいでになりますし、その計画は私は正しい、このように思っております。 そういうことから、私たちのルートで対応できるセイシェル共和国への働きかけを強めておるところでありますけれども、この問題の経過を考えてみましても、今までの日本の水産の中では、イギリスでIWC、すなわち世界捕鯨会議の総会を終えて帰ってこられますと、声高に相手の理不尽が喧伝をされました。ましてや水産庁の中でもセイシェルは不倶戴天の敵だとさえおっしゃった言葉がございました。私は相手の理不尽をいかに声高に喧伝をしておっても問題の解決にならぬのではないか、相手が多数派工作をするんだったら、こちらもなぜいたされませんかということを申し上げたことがありますけれども、そういったことから、今回の調査捕鯨があれだけぐらいの頭数規模に縮小されたのであったら、ぜひ成功を見ていただきたい、こういった一念で働きかけておりますところです。 あるいは林野行政を見てみましても、けさほどの質問にも出ておりましたけれども、今日確かに破局を迎えております。第二の国鉄と言われてから極めて長い時間を経過いたしておりますけれども、その状況は一向に改善をされません。しかし昭和三十年代におきましては国有林野の経営は極めて順調にいっており、多額の一般会計への繰り入れすらされておりますのでございますけれども、そのときと今とはどこが違うんだということをこのごろ精査をいたしております。私たちの調べました結果では、昭和三十年代といいますと、日本の高度経済成長の始まりであります。木材の需要はふえてきました。その需要に対して、明治時代に植林をされ、善良に管理をされた良質な木材がどんどんと供給をされてきました。そういうことからしてあの盛況を来したのであります。 戦中戦後の乱伐にたたられはいたしましたけれども、やっぱりその反省の上に立って、今や国有林野だけでなしに民有林も含めて二十年生から三十年生の新しいものが育ってきております。もう四十年の食いつなぎではないか、このように思っておりますけれども、天然更新を加えましても今日の造林面積は下降ぎみになってきております。もっと貧しかった明治の時代です。富国強兵を国是として対応しなければならなかった明治の人たちが、昭和の我々が使うことのできる良質な木材を遺産として残してくれておった。それを何で経済大国になった今の日本ができないのか。やっぱりこれは独立採算制という会計制度に私は原因がある、このように思っておりますのですけれども、そういう問題の解決もぶら下がっております。食糧行政に至りましてはまたぞろ減反の増加でありますし、苦悩は満ち満ちております。 そういうようなことを考えていきます場合に、やっぱり従来のやり方の延長線であっては日本農業の活性化を図ることができないのではないか、私はその感を強くいたしました。したがって、こういった面、大臣に期待をいたしますのでございますけれども、所信をお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) 御高説を拝聴いたしました。いろいろな御指摘がございますが、限られた時間だということだけで、決して粗末にするわけじゃないんであしからず。一言で申し上げますと、急速な国際化の中でその対応が水産関係にしてもどうなっておったんだ、また山を守る、森を育てる、そういうものについて少し対応がおくれてきたのではないか。あるいは食糧庁に関する部分もまた御指摘がございました。 いずれにいたしましても、各界各層の委員の方々の意見を集約した農政審の答申、これに基づいて、しかしこれは抽象的でございますから、これを受けでいろいろな今勉強会がございます。そういう中にあって、具体的な将来展望というものを開きながら、そして現状に甘んじておるという者は一人もいないと思います。何とかしなきゃならぬ、私もそのつもりでございます。そういう意味で、これからの将来展望について具体的に、ことしはこうなる、来年はこうしなきゃならぬだろう、先行き三年たてば、五年たてばこうなるよということで一つのレールが私の時代に敷くことができればなと強い決意をいたしておるわけでございます。 今後ともまたいろいろなことで御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。
○委員長(岡部三郎君) 本調査に関する質疑はこの程度といたします。
○委員長(岡部三郎君) この際、本調査のうち、農畜産物十二品目の市場開放問題に関する件を議題といたします。 稲村君から発言を求められておりますので、これを許します。稲村君。
○稲村稔夫君 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案に係る農畜産物十二品目の市場開放問題に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農畜産物十二品目の市場開放問題に関する決議(案) 最近、米国をはじめとする諸外国からの農産物市場開放要求は、農畜産物需給の不均衡、農業所得の低迷等深刻な事態に直面している我が国農業の現状の中で、一段と厳しさを増している。 我が国は、今日まで国際協調を求めてすでに出来うる限りの農産物市場開放措置を講じてきたところであり、その結果、世界最大の農産物純輸入国となり世界の農産物市場の安定に大きく寄与する一方、食料自給率は先進国の中で最 砥の水準にまで低下している。 かかる状況の下で、農産物市場開放問題への対応を誤れば、農業の健全な発展、地域社会の維持、国土と自然環境の保全、ひいては国民生活の安全保障にも重大な影響が及ぶこと必至である。 米国のウェーバー品目等諸外国の輸入制限が示すように、各国の農畜産物の輸入制限は、農業のもつ特殊性に起因するものである。 今次ガット総会において、米国からガット提訳された我が国の輸入制限十二品目に関する裁定案が提出され、ガット裁定は先送りとなったものの、誠に重大な事態に立ち至っている。 よって政府は、農畜産物十二品目問題の処理に当たっては、去る第百二回国会の本委員会における決議等の趣旨に従い、我が国農業の基本的役割を踏まえ、農業者が犠牲となることのないよう決然たる態度で対処すべきである。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(岡部三郎君) ただいまの稲村君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
○国務大臣(佐藤隆君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、今後鋭意努力をいたしてまいります。
○委員長(岡部三郎君) 本日はこれにて散会いたします。 午後六時七分散会 ―――――・―――――