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111回国会衆議院1987/12/01

本会議 第3号

発言数
18
登壇者
11
会派数
5
開催日
1987/12/01

会議録

原健三郎無所属議長

○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)

原健三郎無所属議長

○議長(原健三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。塚本三郎君。     〔塚本三郎君登壇〕

塚本三郎民社党・民主連合

○塚本三郎君 私は、民社党・民主連合を代表して、竹下新総理に対して、日本の直面する内外の政治課題のうち数点について、我が党の考え方を述べつつ質問をいたします。  さて、竹下総理の就任をお祝いするとともに、内外重大な時期に大任を背負われることに深く敬意を表します。  質問の前に、二十八日未明の南アフリカ航空機事故遭難の関係者及び御家族に御同情を申し上げ、政府は邦人救出に万全を期することを求め、我々の台所を潤す漁業がこんな苦労と危険を冒しての作業であったことを知り、改めて関係者に深甚の謝意を表します。  私は、まず新総理に、衆議院の議員定数の是正の問題についてお尋ねいたします。  先日、全国の有権者数の調査が発表されました。定数の格差は、一議席当たりの有権者数が最低の長野三区と最高の神奈川四区との間で三・〇一倍となっております。これは最高裁判所が憲法違反の基準としている三倍を超えるものであり、また、先般、大阪高等裁判所は、格差が二倍以上であれば憲法違反となると判示いたしました。定数是正は、衆議院議長調停、公職選挙特別委員長の採決に当たっての発言、国会決議などで、国勢調査の確定を待って抜本是正を検討するとうたわれているとおりであります。  民社党は、かねてより、この点について、一、一選挙区の定数は三名から五名の中選挙区制を堅持すること、二、その選挙区ごとの格差は二倍以内とすること、三、総定数を減らして法に定められた四百七十一議席とし、激変を避けるとしても五百名以下とすることの三点を中心とした抜本是正を主張してまいりました。その基本に対する各党の合意がなされたら、その具体的な作業は第三者の機関にゆだねて早急に実現することを改めて提言いたします。  総理は、これが具体化について、いつ、どのように着手されるおつもりか、与党総裁の立場から明確にお答えを願いたい。  次に、衆参同時選挙について。  最近、自民党幹部の間で、次の選挙はやはりまた六十四年の参議院選と同時に行うだろうとの発言が無責任に行われております。我々衆議院議員の任期は四年と憲法第四十五条に明記されており、同日選挙が繰り返されれば任期は三年となってしまい、もしこれが慣例化されれば、一体参議院の立場はどうなるのでありましょうか。憲法第五十四条第二項、「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」と定められてあるがごとく、参議院の改選に合わせて衆議院の同時解散など全く想定せず、それはあり得ないことを前提に定められているはずであります。昭和五十四年の国会における大平内閣に対する不信任案成立のときに、たまたま参議院選が重なって得た好結果を踏まえて、二度、三度これを繰り返すことは、憲法精神を踏みにじる党利党略以外の何物でもありません。(拍手)  また、政府は憲法第七条による解散を断行しましたが、本来第七条による解散は天皇の国事行為であって、内閣の助言と承認に関する解散権もまた、憲法に規定されたる不信任及び解散決議によることをのみ想定しているのではないか。明治憲法下における天皇は統治権を総損し、衆議院解散は天皇の人権事項とされたが、新憲法下にあっては、天皇は第四条により国政に関する機能を有しないとされております。第七条によって天皇の行う解散の国事行為は、単に形式的に解散詔書を発布するにとどまり、実質上の決定権を含まないことは当然でありましょう。しかるに、我が国では、既に十三回の解散のうちほとんどの解散は、いずれも第七条によるものであるが、これは自民党の旧憲法的感覚と言わなければなりません。(拍手)  かくて第七条解散の暴挙による衆参同日選挙が平然と行われ、慣例化されんとしている。このような憲法違反行為がこのまま看過されることは、我が国民主政治の破壊につながり、内閣の恣意的判断によって乱用されるとき、日本国憲法は圧殺されてしまうでありましょう。既にそのことは、本院において尾崎咢堂先生以来論ぜられてまいったところであります。総理の明確な御答弁を期待いたします。  最近、参議院選挙比例区について、自民党は政府・与党たるの権力の座にあることを悪用して、各省庁から局長、長官などを、候補者として多数を擁立せしめております。一体、各省庁の最高幹部が競って立候補することの目的は何か。言うまでもなく、その地位を利用することにほかならない。補助金という国民の血税を流用し、許認可権を振り回すことによって監督下にある業界と癒着し、あまつさえ中央との太いパイプを豪語するそのこと自体、お上意識丸出しの、民主主義政治をあざ笑うがごとき振る舞いは、反民主的上国民の非難の的となっております。  一体、三権分立の大原則はどこに行ったのか、どうして行政府の長たちがそろって立法府たる国会に出動して、あたかも立法府をして行政府の下請機関のごとき卑しめに甘んじさせているのか。憲法第十五条、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」との条項は、自民党員以外は国民にあらずと言うがごとき振る舞いではありませんか。官僚出身にあらざる総理なるがゆえに、今改めてこの点をただしたい。  いま一つ、どうしても触れねばならぬのは自民党の派閥政治の露骨さであります。  派閥ができるのは「中選挙区制にあると考えるからやむを得ない」とは思う。しかし、最近の自民党のやり方は余りにもずうずうし過ぎはしないか。選挙のときには、派閥個々に政策を訴えて当選したわけではない。以前は、竹下派などと書いた幕など垂らしたりはしなかった。もう少し自制したし、政権の主座についた派閥は必ず派閥解消を訴えるだけの恥じらいがありました。しかるに、今回の組閣劇は、派閥にあらかじめ大臣のポストの数を分け、その人選さえも派閥の長にあらかじめ任命権を任せるがごとき、大臣の山分けを国民の前に露骨に並べて恥じない。一体これが一国の内閣のあり方として黙認でき得ましょうか。それとも、これを述べることは野党のひがみなのか、竹下総理の冷静なお答えをお待ち申し上げます。  次に、税制改革について。  過日、竹下総理は「急速な経済社会の変化に対応していくため、視点を新たにして国際国家にふさわしい、日本経済の活性を高める税制、国民が納得して負担できるような簡素で公平な税制」をと演説されました。それは言葉どおりなのか。それともその底意は、次に述べられた「本格的高齢化社会の到来を控え、安定した歳入基盤を提供し得る税制を追求しなければならない」ということが本論とあれば、事は本末転倒であります。一体、この「視点を新たにして」というお言葉は、去る六十年二月の国会答弁にとらわれないという意味なのか、はっきりしていただきたい。  自民党の中では総理が交代された以上前言にとらわれないとしても、国会の場で私ども野党に対して答えられた政府答弁を勝手に白紙還元されることは、無責任のそしりを免れません。もしそれ、高齢化社会の到来を控えての安定した歳入基盤を提供し得る税制を考えるとするならば、それは政府が公約した、昭和六十五年までに赤字国債を脱却し財政再建のめどをつけることが先であります。その結果を待って、その後に来る高齢化社会の対策としての歳入の議論をすべきでありましょう。また、直ちに六十四年実施を考えるとするならば、それは当然に、まず所得税、法人税の大減税を実施すべきであります。前回の臨時国会で所得税一兆五千億の減税が実現しましたが、これは国民の期待に十分にこたえるものではありません。今なお国民の間に重税感、税に対する不公平感が根強く残っております。  したがって、我々の主張は、まず第一に、先送りとなっている所得税減税の抜本改正を断行するとともに、所得税の累進税率を大幅に緩和し、六段階程度への簡素化を早急に実現するよう提言いたします。所得税の大幅減税は従来からの政府の公約でもあります。  第二は、法人税減税であります。我が国の企業は円高不況の後遺症に今も苦しんでおり、将来を展望すれば、高い法人税は国際間の競争力を失い、企業活動を損ね、産業の空洞化を招くものであります。我が党は、法人税の基本税率を四二%から三七%に引き下げ、法人税の実効税率を大幅に下げることを求めるものであります。しかし、この一方で、賞与引当金及び退職引当金の圧縮などによる安易な増税を行って減税を帳消しにすることは、絶対に認められません。竹下総理は、法人税の実質大幅減税を実現する決意がおありか、お尋ねいたします。  また、このような減税の財源を確保するとともに公正な税体系をつくり出すために、不公平税制の是正を断行することが不可欠であります。国民が額に汗して稼いだ給与所得には重い税が課せられるのに、株式のキャピタルゲインは原則非課税となっております。これなどは不公平の最たるものであり、野放しにすることは許されません。早急に原則課税へと改めることが必要と考えます。  さらに、事業所得者と給与所得者との間の不公平を正すこと。そのためには、サラリーマンにも必要経費申告の道を開くこと。また、新しく設けられた配偶者特別控除だけでは妻の内助の功を評価するには不十分であり、我々は二分二乗方式の導入を主張しております。  さらに、現行税制における物品税のインバランスを是正することも重要課題であります。現行の物品税には、課税、非課税の対象、税率のあり方などにおいてゆがみが生じており、早急にこのゆがみを正すことが求められるのであります。  減税の財源については、以上のように不公平税制を是正するとともに、次に述べる行政改革の断行によって賄うべきであります。そのことは、竹下総理が重視している五十四年の財政再建に関する国会決議の趣旨でもあります。我々は、このような立場に立って、国民の理解を得ながら税制改革協議会での議論に臨む決意であります。  しかるに、数日来、政府及び自民党は、新型間接税の大合唱を繰り返しております。減税や不公平の是正を行う前に、どうして新しく国民に負担を求める新型の間接税を宣伝するのでありましょうか。特に政府税制調査会の運営が極めて閉鎖的で目に余るとの声が聞こえてまいります。この点、強く警告を発します。  政府はいただくことが先だという論理は、本末の転倒であります。事の順序を違えては説得力を持ちません。国民は、真に公平にして必要な負担は協力してくださると信じます。問題は、その負担がどうして必要なのか、そして公平であるか否かに事の成否がかかっていると思うが、いかがでありましょうか。  次に、行政改革について。  昭和五十六年三月の第二臨調の設置以来、行政改革は鈴木、中曽根の二代にわたる内閣を通じて国政の最重要課題として位置づけられ、進められてまいりました。しかし、その成果は、国鉄、電電公社の民営化など一部評価すべき点もありますが、竹下総理が本体は何もスリムになっておらぬと看破されたように、本来の行政改革にはほとんど手がつけられていないなど、いまだ道半ばの状態にあります。今そのたがを緩めれば、これまでの放漫財政に逆戻りし、国民が負担と重圧にあえぐ重税国家に道を開くことになりかねません。したがって、本来の行政改革の断行を竹下新内閣の使命とすべきであると思いますが、総理の御決意をまずもってお伺いしたい。(拍手)  具体的には、当面、次の対策を実行すべきであります。  第一は、旧態依然とした各省庁編成のまま縦割り行政の中で硬直化している中央省庁の編成を、国際化、高齢化といった時代の変化に即応できる体制に改めること。  第二は、約一万八百件という膨大な許認可権限によって民間の自由な活動を規制し、保護貿易国として世界各国から批判を受けている現状を改めること。また、国の予算の約二五%を占め、その配分を通じて利益誘導政治の温床となっている国庫補助金の大幅整理を図ることであります。このため、すべての許認可事項や補助金に有効期限を付し、期限到来ごとにその存続の有無を決定するいわゆるサンセット法の制定を図るべきであります。  第三は、国の地方出先機関を、現業部門を除いて原則として廃止することであります。電話により全国どこでも瞬時に連絡がとれる今日、少なくとも管理、指導に携わるための地方出先機関存続の意味はありません。地方出先機関には、現在、国家公務員の約六割、五十四万人が勤務しており、その非現業部門の原則廃止によって公務員の大幅な純減も十分可能となるのであります。  第四は、公益法人乱造の現状を是正することであります。公益法人を毎年約二百ずつも増設して天下りの場をふやしていることは言語道断であります。  以上、諸点につき総理の率直な御見解をお伺いいたします。  次に、土地問題について。  日本は、イギリス、オランダ、ベルギーなどの欧州諸国に比べ、人口と国土面積の比は余り差がないのに、地価だけがどうして数十倍なのか。もちろん、山が多く利用率の低い点をどうカバーし生かすかが政治の力であります。事業家が銀行に融資の相談に行くと、担保はありますかと聞かれる中身は、建物や設備、機械などではなく、提供する土地がありますかという意味であります。  土地とは国家にとって何なのか。土地はだれのものなのか。日本人にとって土地の価値は、所有していればそれだけで無条件に資産として認められてよいのか。利用されてこそ価値のあるものが、反対に、利用されていれば価格が激減する今日の事態は余りにも異常であります。既に数年前、所得番付の上位が、松下幸之助さんよりも、都心の土地をわずか百数十坪売った人の所得の方が上位にあることに世間は驚き、政府はまだその非を反省されたはずであります。しかし、一向に改善の兆候なく、今や破局的な事態を招いております。  今日政府がやっと腰を上げ、その対策に乗り出しながら、全く具体策が提示されておりません。それは、政府の縦割り行政と、各省あって国家なしと言わんばかりの官庁の縄張り争いに対策が打ち出し得ないのではありませんか。そして、今国会には法律一本当し得ないありさまであります。もちろん法律万能を述べるつもりはありませんが、国と地方自治体との調整や建設関連各省との調整ができず、法案の提出なくして、どうして土地国会と言い得ましょうか。  東京など大都市を中心とした地価は、まじめなサラリーマンが一生働いても家一軒持つことができない。それが世界に誇る経済大国と言い得ましょうか。東京、神奈川、大阪などでは、住宅価格が年収のおよそ十倍も必要とされている。要は、具体的に何を実行するかが竹下内閣の仕事でなければなりません。  例えば、都市中心部における土地の有効活用を促進するために、建物を従来の高さ制限を改め容積率を高めることや、東京湾埋立地の有効利用の方策、さらに、通勤圏を広げて住宅供給を促すニュータウンの開発など、供給面での方針を明らかにすべきではないでしょうか。  第二には、東京への一極集中が国土の発展をアンバランスなものとしており、この是正を急ぎ、国土の均衡ある発展を促さなければなりません。このための首都機能の分散は、具体的な政治的課題となっております。総理は、一省庁一部局または一機関のお考えを持っておられるようだが、こんな小手先のことを考えるより、いっそ国会などを地方に移転するという大胆な発想を考えたらいかがでございましょうか。  第三に、今回の地価高騰は政府の明らかな失政によるものであり、相続税や固定資産税の急増が国民生活を圧迫している。そこで、居住用の土地や小規模な事業用の土地については、相続税や固定資産税の大幅な軽減措置を早急に講ずべきと考えますが、政府の方針はいかがでありましょうか。  土地行政を進める上で各省庁が縦割りになっている。そこで、土地問題について効率的な施策を講じるため、国土庁と建設省との統合による国土建設庁の創設を提言しておりますが、総理のお考えはいかがでありましょうか。  次に、円高対策について。  竹下総裁誕生の日に世界的な規模における株価大暴落、ドルの大幅下落があったことは、今後の世界経済の先行きが容易ならざることを示しております。  従来、我が国は、アメリカの要求にこたえることのみを優先させ、内需拡大に努めてきましたが、アメリカの貿易赤字は年々増加するのみであります。これは基本的には、アメリカがその生産力を超えた国内需要をつくり出していること、その元凶が財政赤字であることが明らかであり、この是正を強くアメリカに要求すべきなのであります。総理は、今回のアメリカの赤字削減対策について十分と考えているのでありましょうか。私はこれまでの御用聞き外交を大きく転換すべきと思いますが、いかがでありましょう。  以上に関連し、ルーブル合意以降ドル安はさらに進んでおります。我々は、ルーブル合意は当時における一ドル百五十円台の水準の周辺に当面相場を安定させることを意味していると理解しておりました。総理は、ルーブル合意が現在のドル安、百三十一円、百三十二円のこのドル安のレベルをも容認したものであると考えておられるのでしょうか、篤と御説明をいただきたい。そしてまた、ドルの下落によってどれだけの国有財産を失ったのか、その金額についても明確にお示しいただきたい。  さらに、国民生活の向上に資する円高差益の還元について質問いたします。  過去二年間の円高・ドル安により、為替レート換算で日本は世界一豊かな国となりました。国民一人当たりGNPは世界一、対外債権額も世界一であります。しかしながら、国民の生活実態は、かつてウサギ小屋とやゆされたように、貧しい生活環境と世界一高い食料費を余儀なくされており、国の経済規模と国民の生活との間に大きなギャップが横たわっておるのであります。このギャップをいかに埋めていくかが重大な政治課題であると考えるのであります。円高によるメリットが公平に国民に還元されず、国民生活の質的向上に役に立っていないことを示しております。民社党が経済大国から生活先進国をと訴えるゆえんであります。  今日の急激な円高が政府の緩慢な対応によるものであり、さらにその円高による差益の還元が政府の関与によって阻害されているという二重の問題を今後どのように解決しようとされるのか、総理の御所見を伺います。  最後に、ペルシャ湾問題について。  米ソの首脳会談が年末に開かれることになりました。中距離核兵器の全廃を目指して合意に一歩ずつ近づきつつあり、もはや残された問題は、全廃された兵器の後始末とその後の違反を監視するための検証がどうあるべきかの詰めが行われていると聞くが、どのようになっているのか、お伺いしたい。  米ソの際限なき軍拡競争が、今やその一部とはいえ全廃に合意しつつあることは、世界平和を願ってやまない我々にとっては極めて明るいニュースでありましょう。しかし、一方、通常兵器が北方四島などで強化されている事態を政府はどう見ておられるのでありましょうか。また、イラン・イラク戦争は泥沼化しつつあります。ペルシャ湾の危険は増大しつつあります。  資源の乏しい我が国が今日の経済発展をなし得たのは、ひとえに海外資源の円滑なる輸入ができたことであります。特に石油資源が皆無に等しい我が国は、総輸入量の五九%をペルシャ湾経由の海上輸送に依存しております。イラン、イラク両国の紛争激化に伴い、ペルシャ湾での航行中船舶の被害が増大しており、ことしになり、日本船も残念ながら八隻が攻撃されている現状であります。このため、アメリカを初めイギリス、フランス、イタリア、オランダ、ベルギーなどの西側各国は、自国の船舶護衛と機雷掃海のため艦隊を派遣しております。  我が国は、さきの中曽根・レーガン会談で、アメリカからの掃海艇派遣要請に対し、紛争に巻き込まれるとの政府方針から、経済協力にとどまっております。各国の船舶は自国の艦艇の護衛のもとペルシャ湾を航行しているのに対し、我が国の船舶は自国の護衛もなく、丸腰のままで戦火の中を、生命の危険にさらされながら石油の海上輸送に従事しているのであります。船員はもちろんのこと、その家族たちの絶えざる不安は察するに余りあると言わなければなりません。  およそ政治とは、国家国民の安全を確保することにあります。今最も大切なことは、イラン、イラクに対する日本に攻撃させないための一層の外交努力を尽くすことはもちろんであります。石油輸入の途絶は、かつてのオイルショックの比ではない経済混乱を我が国にもたらします。事が起きてからでは間に合いません。今からペルシャ湾問題をめぐる国民的合意を早急に形成するため、政府はどうすればよいのか具体策をつくり、国会の安全保障特別委員会での審議を求むべきではありませんか。  政府は、海上千海里のシーレーン防衛のため防衛力の整備を行ってきております。このシーレーン防衛は、あくまでも有事に限定した対処方針であり、平和時における海上輸送の安全確保について、政府は今日まで明確な対処方針を国民に明示しておりません。政府は、平和時における海上輸送の危機に際しても、シーレーン防衛と同様に、我が国は海上千海里までの安全を確保し、それ以南はアメリカの軍事力に依存する方針なのでありましょうか。  tの点について、アメリカ政府は既に、ペルシャ湾を航行する日本船舶はアメリカ海軍の護衛の対象ではないと言明しております。そうなると、平和時のシーレーン防衛はどのように対処されるのでありましょうか。また、竹下総理のきのうの答弁で、非軍事的方法で協力すると答えられましたが、ペルシャ湾の掃海作業は軍事的と判断しておられるのかどうかもお伺いいたしたい。  率直のところ、政府は、有事における防衛計画の策定と、それに基づく艦艇や航空機の整備にだけ集中してきたと申せましょう。このことは、自衛隊法が有事における防衛出動を中心に自衛隊の行動を想定し、ペルシャ湾問題のような平和時における危機対処では、武力行使や隊員の補償措置などの法制が欠けていることは明白であります。  国際化時代の今日、国外での大災害や邦人の危機救出など自衛隊に対する出動要請は、ふえることはあっても減ることはありません。現に今、インド洋上では南アフリカ航空機墜落の現場で、フランス海空軍が必死に我が同胞四十数名の捜索に当たってくれておるではありませんか。その都度、自衛隊の海外派遣は不可能との言いわけだけで国際社会に通用するでしょうか。世界には日本のエゴと映ることが心配されます。きのう総理は、近隣諸国から尊敬され理解される日本と言われたが、西側の一員として一緒にペルシャ湾を利用しながら、その台所が燃え、各国がポンプ、バケツ、砂、水を運んでいるのに、私はけがが怖いから消しに行かない、そのかわりにお金は出します、だから分け前だけは十分にください、こういう態度がいつまで通用するでしょうか。  有事ではなく、平和時において国際社会に役立つ自衛隊のあり方を、国会の場で、国民の合意を得て、内外に説明することのできる筋道をしかと確立されることを竹下総理に求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(竹下登君) 冒頭に、私の内閣の政治姿勢につきまして御質問をいただきましたが、大変含蓄のあるものでありまして、今後の政治運営上参考にすべきものが多々あったことを申し上げ、以下、それぞれについて私の考え方を申し述べたいと存じます。  まず、議員定数是正についてでございます。  私としては、国勢調査の確定人口の公表を待って速やかに抜本改正の検討を行う、この坂田議長当時の決議は十分承知をいたしております。この問題は選挙制度の基本にかかわる問題でありますだけに、まず各党間で十分議論をいただくことが最も重要であると考えます。政府としては、その論議を踏まえて今後とも努力をしていくべきであると思います。  総裁として答えろ、こういうことでありました。我が党といたしましても、新たに選挙制度調査会長に後藤田正晴君をお願いいたしまして、そして、民社党案等についても知らされておりますので、そういうものをそれぞれ持ち合いながら、絶えず私ども各党協議を積み重ねていくというのが、私は正しい認識ではなかろうかと思います。次に、衆議院の解散権に関する問題であります。  この問題は、憲法七条及び第六十九条の解釈について、既に憲法制度が新憲法になりまして以来何回も議論された問題でございます。表現は別といたしまして、古くて新しい問題であるとも言えると思います。第七条に基づく内閣による解散権の行使につきましては、したがって、既に慣例として定着しているところでもございますので、今後とも、問題としてはその適正な運用に努める、このことであろうかと思っております。  参議院比例区への各省庁幹部の立候補が多過ぎるという御指摘であります。  各党は国政への代表としてそれにふさわしい方々をそれぞれ選んでおるわけでございます。結果として高級公務員が多いということはあるいは御指摘もあろうかと思いますが、問題は、各省庁幹部が立候補に当たってその地位利用にわたるような行為があってはならぬ、このことでございます。したがって、この点につきましては今後とも十分な配慮をしていきたいと考えます。  次に、派閥についての御指摘でございます。  人間社会においてグループが形成されていくのは本能的なものだ、そういう議論もかつてもしてみたことがございます。それを選挙によって選ばれるところの我々の議員集団に当てはめてみます場合、御意見にもございましたように、中選挙区制をとる現行制度では、候補者がそれぞれの相違点、あるいはニュアンスの相違とも言えるかもしれません、そういうものを有権者の皆様方に訴えるという必要から、別の意味でまた派閥が形成されるという議論もしてまいりました。  他党のことを申す気は全くございませんが、私どもの政党のことを振り返ってみましても、保守合同直後においては、あるいは自由党御出身であるとか改進党御出身であるとか国民協同党御出身であるとか、そういういわばルーツというものがそれぞれ存在しておりまして、それがある程度有権者の皆様方に相違点として訴える土壌の一つでもあったかと思います。私もその当時初めて国会に議席を得ましたが、お亡くなりになりました岸元総裁が、派閥解消は天の声である、こう言われました。若い私はそれに何の抵抗もなく、立派だな、こんな感じを受けたことも正直事実でございます。しかし、その後保守合同というものが定着いたしますと、あるいは考えようによれば、ルーツというような問題が年とともに風化したのではないか。それが別の意味において派閥そのもののニュアンスも変わって、そして長所がかえって強調され過ぎてきたという嫌いはあろうかと思います。  大事に当たってそれぞれのグループから広く人材の推薦をいただくというようなことは、それは人材雲のごとくある政党の中においていろいろな推薦が行われるのは当然だと思います。しかし、派閥の問題についてるる申し上げましたが、基本的にはおのずからそこに節度がなければならぬ、このようなことを私は感じました。  ただいまの御質問を、改めて感じたことを率直に申し上げ、今後の党運営に当たって貴重な意見として強く心にとめさせていただきたい、このように思う次第であります。  次の問題は、所信表明についてでございます。  昭和六十年二月の中曽根総理の御発言は、当時の税制論議の中において時の内閣の考え方を国民に明らかにしたものでありまして、私もそのときの大蔵大臣でありました、重要な意味を持つものであるということは十分認識をいたしておるところであります。  その発言とは、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは、中曽根内閣としてはとりたくないと考えている」旨答弁をされております。そこで、その考え方に基づきまして、ことしの二月、検討に検討を重ねた結果、売上税法案を提出した、こういう事実関係に相なるわけであります。この法律をめぐりましてはさまざまの御批判がございました。そして、結論から申し上げますと、審議未了のまま廃案となった、こういうことであります。  このような経緯を踏まえて、私は、竹下内閣としては、今度は国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立って、税制改革に関する論議に先立って予見を与えることなく、国会における各党各会派の意見はもとより、幅広く国民各界各層の御意見を伺い、成案を得るべく努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。(拍手)  次は、高齢化の対策についてでございます。  我が国の税制の現状を見ますときに、所得税につきましては、去る九月の税制改正でかなりの規模の減税を行ったところでございますが、言われるとおり、なお根強い減税要望がありますし、また、法人税につきましては、諸外国において急速に税率引き下げ措置が講じられてきておる中で、我が国の負担水準は世界的にかなり高いものとなっておりまして、企業活動のゆがみや産業の空洞化を惹起するおそれがある、これは御指摘のとおりであります。  他方、我が国の間接税について見ましても、現行の個別消費税制度が限られた課税対象物品に偏った負担を求める姿になっております結果、税負担の公平性、中立性の観点から見てこれまた問題がある、こういう指摘もございます。そのようにして税収に占める間接税の割合も年々低下を続けております。また、最近では幾つかの物品について貿易摩擦の問題も生じておるところであります。  以上のような現行税制の問題点にかんがみますならば、今後、高齢化社会の到来、経済の一層の国際化が展望される中において、経済の活性化に配慮しながら長寿・福祉社会をより確実なものとして維持していくためには、税制全般にわたる抜本的見直しを行うことによって、それこそ消費、所得、資産、この間で均衡のとれた安定的な税体系を構築することが喫緊の課題でございます。  このような認識のもとに、先般、税制調査会に対して、所得、法人、資産及び消費課税等についての望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的方策、これを諮問いたしました。現在精力的に御審議が進められております。政府としても、同調査会など各方面の議論等を踏まえまして、引き続き検討を進めてまいる所存でございます。  なお、六十五年度特例公債脱却の努力目標の問題でございます。これは容易ならざる課題でございますが、NTT株式売り払い収入の活用など財政運営上の工夫を図りながら、経常経費の節約等歳出削減の努力を続けていくならば、必ずしも目標の達成は望みなきにあらず、このように考えております。今後とも引き続きその努力目標に向かって最大限の力を注ぎたいと存じております。  具体例としてお挙げになりました税目につきまして申し上げます。  まず、所得税、法人税の減税についてのお尋ねであります。これは負担のあり方について御指摘のあった所得税の累進税率の緩和、法人税の税率の引き下げや課税ペースの問題も含め、今後税制の抜本改革の全体図の一環として早急に成案を得て、その速やかな実施を図るべく、広く各方面の意見を伺いながら、引き続き検討を進めてまいります。  株式のキャピタルゲイン、これの問題についてもお答えいたします。有価証券譲渡益に対する課税については、譲渡損の扱いとか、それから取引の把握など原則課税に改める上での困難な問題はございますが、各方面の意見も承りながら、引き続き検討すべき課題であると考えております。  それから、サラリーマンの所得計算につきましては、六十三年度分の所得税から、対象となる支出が限られているとは申せ、特定支出控除制度によりまして申告を選択する道が開かれたということを、まず一つには御理解をいただきたいと思います。  それから、たびたび御提案いただいております二分二乗方式の問題、これは去年の税制調査会の答申においてもさまざまな問題が指摘されて結論が出ませんでした。慎重に対処すべき課題であるというふうに考えております。  また、物品税その他の現行間接税制度につきましては、いわゆる個別間接税制度をとっておるために、各方面から種々の問題点が指摘されているところでございます。今後税制の抜本改革に関する論議を通じ、そのあり方につきまさに検討を進めていくべき課題であるというふうに考えております。  それから、新型間接税でありますが、所信表明演説において「急速な経済社会の変化に対応していくため、視点を新たにして国際国家にふさわしい、日本経済の活性を高める税制、国民が納得して負担できるような簡素で公平な税制、本格的な高齢化社会の到来を控えて、安定した歳入基盤を提供し得る税制、これを追求しなければならない」、このように申し述べたところでございます。そのためにも、重ねて申し上げるようでございますが、開かれた議論を通じて税制改革についての国民的合意を形成しながら、まさに所得、消費、資産の間で均衡のとれた安定的な税体系の構築が必要であります。こうした認識のもとで、間接税につきましても、その一環としてその速やかな実現を図りたいと考えておりまして、これからも税制調査会に対して精力的な御審議を期待しておるということでございます。  そして、開かれた税調であるべきである、こういう御意見もございます。したがって、これに対しましては、審議の概要を極力明らかにするという努力をしますとともに、地方公聴会を開きましたり、あるいは直接国民の意見を聞くなど、開かれた運営に努められておるというふうに私は承知をいたしておるところであります。  それから、行革の問題であります。  政府は、これまで臨調、行革審の答申等を踏まえながら、累次にわたる行革大綱等に沿って国鉄、電電、専売の民営化、行政機構の整理合理化、国家公務員数の縮減、公的年金制度の改革など、逐次具体的な方策を推進してまいりました。絶えず御協力をいただいたところであります。  しかし、行政改革はこれで終わったということが私は一番危険なことであると思っております。御指摘のとおり、なお推進途上にあります。したがって、今後ともさらにこの具体化を図るように調査、審議をお願いしておりますし、そして、まさにこの問題というものは、私がいつも申し上げますように、せっかく重い荷物を坂の上へ荷車で押し上げましても、手が緩みますと一挙にそれがまた坂を滑り落ちてくる、こういう考え方であってはならぬというのが私の基本的な考え方でございます。  次に、行政組織は、変化への対応力に富んで、総合性及び整合性が確保され、簡素にして効率的であることが必要であることは言うまでもありません。  中央省庁の問題でございますが、行革の重要な課題の一つであります。  これまでは、まず一つには、昭和五十九年には総務庁、これを設置しまして、十省庁二十局に及ぶ再編成を行いました。それから六十一年には、内閣官房の組織の再編成、安全保障会議の設置、これらを実施してまいりました。今後とも、社会経済情勢その他の内外の諸情勢の変化、事態の推移、これを見ながら、本体自体の問題にも力を入れるつもりでございます。  次は、許認可の問題であります。  許認可は、社会経済情勢の変化に即応させるため、不断の、これはいつということなく絶えず見直しをする課題であります。しかし、許認可を設ける際にあらかじめ廃止期限を付するということは、よく言われます行政の安定性という問題点からしていろいろな意見があり過ぎる。そこで、政府としては、先般、すべての許認可について一定期間ごとの見直しを行う、これを各省庁間で申し合わせをして具体化したというのが現実の姿でございます。  それから、補助金の問題であります。  御指摘の補助金等のサンセット化については、従来から補助金等の整理合理化の一環として終期の設定に努めてきておるところでございます。これは今後とも積極的に行ってまいります。  次は、地方出先機関の問題であります。  国が行うべき事務を現地的に処理するために設けられたものでありますので、これを原則として廃止してしまうということにつきましては、国と地方との任務分担、財源配分のあり方、広域行政への対応の必要性等の基本的な問題や、一方、住民の利便等種々検討すべき問題がありますので、にわかに、一挙にやることには賛成しがたいと言わざるを得ません。  しかしながら、地方出先機関につきましては、従来から累次の行革大綱等に基づきまして、ブロック機関の統合、府県単位機関の整理、支所、出張所等の整理統合など各般の改革を実施してきております。また、定員につきましても、定員削減計画、地方出先機関の定員合理化方針などによりまして合理化を実施してきております。今後とも合理化に努力いたしていく所存であります。  次は、公益法人の問題でありますが、設立認可及びその監督については、昭和六十年六月に事務次官会議等の申し合わせをいたしまして、全省庁より構成される公益法人指導監督連絡会議、これを通じまして指導監督の適正な推進を図っておるというのが実情でございます。  さて、次は、土地対策についての御意見を交えての御質疑でございました。  土地対策は現下の内政上の最大の課題の一つと認識しております。今後、土地取引の適正化、住宅宅地の供給促進等によります当面の地価高騰の抑制、諸機能の地方分散等の土地対策を政府一体となって着実に実施していく、これが基本的な考え方であります。  そして、御提言にもございましたように、都市における土地の適切な高度利用を推進するためには、市街地再開発事業等による共同建てかえを推進するなどの措置を講ずることが緊要であります。  また、東京湾埋立地については、交通関連用地、工業用地などとして有効な活用が図られてきておりますが、近年の経済社会情勢の変化によりまして、一部に見られます未利用地の土地につきましては、今後、その利用転換を含め、積極的に高度利用を図っていくよう努める考えであります。  さらに、さきの緊急対策要綱に基づいて、現に実施中のニュータウンの開発等につきましては施行の促進を図る、このような考え方でございます。  それから、首都機能の分散でありますが、この首都機能の移転、再配置につきましては、東京圏への諸機能の過度の集中を是正しまして、国土の均衡ある発展を図る上からも重要な課題であると考えておるところであります。今後、政府機関の移転、再配置についての検討に当たっては、行政改革の趣旨に反するようなことがあってはならぬというふうに思っております。  国会の地方移転、まさに一つの大胆な発想でございますが、それはそれとして、今は謹んで拝聴さしていただくにとどめさしていただきます。  次に、相続税、固定資産税にも言及されました。  一定の居住用の土地や小規模な事業用の土地につきまして、課税上各種の特別措置があることは御承知のとおりであります。お尋ねの相続税や固定資産税の問題につきましては、さきの緊急土地対策要綱におきまして、「固定資産税について評価替えに伴う負担調整措置及び相続税について必要な措置を講ずること」について税制調査会に語るというような所要の措置を決めたところでございます。  それから、国土庁と建設省の統合、こういうお話がございました。  国土庁と建設省は、それぞれ設置法に基づいて重要な任務を所掌しております。土地対策は多くの省庁にまたがる対策が必要でありまして、関係省庁がそれぞれの所管行政に関しまして連絡をとって進めることが何よりも迅速、効果的なことである、そういうふうに考えまして、国土庁長官をこのたび土地対策担当大臣、こういうことにいたしまして、いわば調整一元化の施策のつかさについていただいたということも一つの方法であると考えております。  次は、米国の財政赤字でございます。  従来から、あるいはG5でございますとかG7でございますとかG10でございますとか、双子の赤字の問題についてはそれぞれお互い機会を得るごとに指摘をしております。特に財政赤字削減と、それからもう一つ、アメリカの輸出努力、これは絶えずアメリカにとって重要であるということを強調しております。先般、財政赤字削減に関し、議会と行政府との間で合意に達しましたが、これについては、それがいかに着実に実施されていくかということがこれからの課題でございます。したがって、今その計画として合意に達した数字そのものに対する評価よりも、それが着実に実施されることに対して強く期待を持つものでございます。  非常に微妙な問題でございますが、ルーブル合意の御質問がございました。  ルーブル会議では、為替相場の安定についていわば特定の水準とか範囲を念頭に置いた合意がなされたわけではないというふうに私は承知しております。したがって、ルーブル合意が現在の相場水準を容認しているか否か、こういう点につきましてはコメントは差し控えさしていただきたいと考えます。いずれにせよ、為替相場の安定のためには、主要国問で積み重ねてまいります合意を踏まえまして、政策協調と為替市場における協力を引き続き実施していくというのがやはり基本的な対応であろうというふうに考えております。  それから、国有財産を含めいわゆる国の外貨資産についての評価問題についての非常に専門的な御質問でございますが、それぞれの行政目的等に応じまして外貨建てで保有されているものでございまして、短期的な為替レートの動向によってその経済的な価値を論ずるというのは非常に難しい問題でございます。また、円建てによります評価のみならず、外貨建て金利が国内金利を上回ることによるいわゆる超過利子収入というような複雑な仕組みがございますので、これを計算し総合的に数量評価するということは、きょうは間に合いませんでしたが、なかなか難しい複雑な問題であるというふうに御理解を賜りたいと思います。  為替の安定と円高差益の還元の問題でございます。  円高差益につきましては、昨年来の累次にわたる対策等における還元策を通じ浸透してきておるということも事実であります。最近におきます食料品及び製品の輸入の動向を見ますと、着実にそれは増加しておりまして、これらが物価の安定、国民生活の向上に寄与しているものと考えられます。今後とも、主要国間の協調的な経済政策の実施を推進して為替レートの安定化を図りますとともに、円高差益等の一層の還元等に努めることによって物価安定を図っていくということは、引き続き重要な政策課題として意識をいたしております。  次は、外交問題でございましたが、INF合意の現状の問題が一つございます。これについては、私が準備しておりました原稿の中で省略されておりましたので、このお答えは後に譲らしていただきます。したがって、特にペルシャ湾問題に対してお答えをいたします。  ペルシャ湾の安全航行確保のために非軍事的手段による貢献を行っていくとの基本的考え方に基づきまして、去る十月七日の政府・与党首脳会議においては、安全航行援助施設、湾岸及び周辺国への経済技術協力拡充、国連特別拠出金等の貢献策を決定いたしたところであります。この決定は、あらゆる角度から検討した結果、我が国として当面なし得る措置をまとめたものでございます。さらに、今後とも、安全航行確保のために可能な限りの外交努力を継続してまいります。  平和時における海上輸送問題について問題提起を受けたわけですが、政府としては、国民の経済基盤を海外との資源及び物資の安全輸送に依存している我が国にとって、海上交通の安全の確保というのは、これは確かに不可欠の問題であります。米国の抑止力によって維持されております国際の平和と安全から我が国は大きな利益を受けておりますが、我が国自身としても、国際的な平和維持のための外交努力の継続などの適切な方法で、海上輸送の安全確保のため努力していくべきであるというのがやはり基本的な考え方でございます。  そこで、掃海作業が武力の行使に当たるか否か、こういうことでございますが、これがいかなる具体的な状況のもと、いかなる態様で行われるかによって判断されるものでございます。したがって、一概にこれを断ずるということは非常に困難な問題であると言わざるを得ません。  それから、最後の問題でございますが、自衛隊によります緊急時の在外邦人の救出等の問題につきましては、それこそ国会における御論議や国民世論の動向等を踏まえながら、政府として全体として慎重に検討していくべき問題であるというふうにこれを考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     —————————————

原健三郎無所属議長

○議長(原健三郎君) 加藤万吉君。     〔加藤万吉君登壇〕

加藤万吉日本社会党・護憲共同

○加藤万吉君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、竹下総理及び関係閣僚に対しまして御質問をいたしたいと存じます。  質問に先立ちまして、南ア航空、大韓航空の事故に巻き込まれました御家族の皆さん、隣人に対しまして御同情申し上げます。同時に、この問題に対する政府の適切な措置を強く要請するところであります。  さて、竹下新内閣は、中曽根政治の継承を誓約することによって、中曽根前総理の指名によって誕生した史上まれな内閣であります。このこと自体が自民党の非民主的体質、数と金の力で政権を私物化している証左であり、政策論不在の密室政治、中曽根院政という酷評も的を射たものと言えます。国民の多くは、その意思と新しい判断によって新政権選択の機会が保障されることを期待したはずであります。今日までの中曽根政治の姿を見れば、その終えんに対してはだれもが喝采を送るのは当然であり、それゆえ新政権に対する支持率は相当高いものとなっております。  しかし、あなたの政権構想、所信表明を伺いますと、総花的、抽象的、かつ、結論を読み取れないきのうからの答弁であり、まさに言語不明、意味不明であります。この際、内閣の政治生命をかけてこの二年間に何を誠実に実行されようとしているのか、「ふるさと創生」というスローガン的総論だけではなく、最重点課題を一、二点に絞って、まずお示しをいただきたいと思います。  第二に、あなたが継承を表明している中曽根政治とは一体何であったのかという問題であります。  今や、内政、外交は、総理の所信表明にあるとおり一体のものであり、分立は成り立ちません。外交の失敗は内政の破綻に直結し、また、世界を無視した内政の展開は直ちに国際政治、経済問題へと波及をいたします。あなたが、外交は苦手であり、中曽根外交を踏襲するとされるなら、既にそれは政権担当者として失格であることを表明しているにすぎないのではありませんか。(拍手)  よりわかりやすく言えば、中曽根政治はその売り物である外交で完全に破綻し、既にその政治生命は尽きていたと言えます。  第一に、日米運命共同体論を唱え、レーガン米政権の攻撃的な対ソ軍事戦略に積極的に加担し、専守防衛路線の放棄、防衛費の対GNP比一%枠突破を強行いたしました。しかし、このことは、日本国民の希望に逆行したばかりではなく、中国、東南アジア諸国に大きな不安を与え、友好を大きく阻害し、しかも、ココム問題に象徴されるアメリカの覇権主義、パクス・アメリカーナの公認と迎合は日米関係に何らプラスにならず、日米関係は戦後最悪と言われるほどになっております。また、アラスカへの米国のINF配備発言に見られる核軍縮敵視姿勢は、平和をかき乱す政治理念なきものとして世界の怒りと嘲笑を買っています。  そして、第二に、貿易摩擦拡大や南北格差拡大に象徴されるとおり、その国際経済に対する姿勢は、経済的侵略、発展途上国敵視の政策として諸国との友好を著しく損ねております。  さらに、第三に、日韓新時代構築を叫び、全政権へのてこ入れを図りましたが、民主化を求める韓国国民の全国民的な運動によって全政権の命運は尽き、日本の軍事独裁政権への反動的なてこ入れ、国際的孤立のみが浮き出されたと言えましょう。  中曽根政治とは、こうした東西対立を基調とした冷戦構造と核軍拡路線であり、日本の孤立化路線でありました。それは、米ソINF、ゼロオプション交渉の推移を見るまでもなく、国際情勢に対する基本的認識の欠如であり、政治家として不明というより愚かな姿勢であります。あなたがこうした路線を竹下内閣の基調として貫く決意であるなら、そのこと自体、直ちに解散・総選挙を実施し、国民の信を問うべき課題であります。総理の明快な所見を求めたいと思います。(拍手)  次に、以上の意味合いにおいて、具体的な問題について幾つかお伺いをいたします。  第一に、SDIの問題でありますが、アメリカの姿勢は、日本及びヨーロッパを米国の対ソ軍事戦略に組み込み、西側の安全保障を名目として、軍事的守秘義務のもとに、先端技術の研究成果を自国の産業、自国の市場、軍備に独占的に利用しようとする覇権的なものであります。日本がこれに参加するなら、東西対立をあおり、ハイテクノロジーの平和利用と世界的共同管理のルールの確立を妨げることになります。あなたが本当に世界の軍縮と繁栄に積極的に貢献する気持ちがあるなら、SDIへの参加は見送るべきでありますが、総理の所見をお伺いいたしたいと思います。(拍手)  また、第二に、中国、ソビエト及び東欧諸国との友好促進と経済交流の推進問題であります。  中国上海における発電所建設工事の入札において日本のプロジェクトチームが発注を受けられなかった原因の大きな一つが、ココムの規制問題であると言われております。ココム規制の本質は、アメリカが安全保障上の理由を盾に国際自由貿易を阻害し、東西貿易をアメリカの欲する秩序のもとに統合、固定化しようとする以外の何物でもありません。米国経済の実態、G5、G7が示すとおり、アメリカが決め、アメリカに従うという世界システムの時代は終わったのであります。  日中友好はアジアの平和と繁栄のかなめであり、それはまた日ソ友好もしかりであります。ハイテク、国際時代において、冷戦構造の遺物であるココムの見直しと、時には冷たく突き放す賢い自主的な通商外交があってしかるべきと思いますが、あなたが世界の軍縮と平和への寄与を言いますならば、総理及び通産大臣は、この視点についての見解をしっかりと述べていただきたいと思います。  第三に、総理はASEAN首脳会議への出席を表明されておりますが、我が国経済はアジア・太平洋諸国、アジアNICSとの関係抜きには語れません。今回のASEAN首脳会議は、アジアのためのアジア外交の出発点として積極的に位置づける必要があります。我が国の海外投資の六〇%、輸出の二九%、輸入の四三%をアジアが占めております。対米、対ECとの調整のためにアジアを利用するのではなくして、アジアの一員としてアジアの平和と経済社会の発展のために積極的な貢献を果たすべきであります。  私は、この際、アジア・サミットの常設を提唱し、経済はもとより、文化、医療、環境問題まで幅広いアジアの協調の礎を築くべきであり、また、そのことが対日貿易赤字の解消につながり、東西、南北対立の解消に対する熱意を示す試金石であると考えますが、総理の所見をお伺いいたしたいと思います。(拍手)  さて、私は、我が国の施政に最も緊急に求められているものは、社会の公正、公平性の追求のもとに、経済大国となった日本において、国民の生活の質とゆとり、国民の文化面における豊かさの追求であると考えます。  竹下総理は、この国会を土地国会と位置づけられました。しかし、言葉だけが踊っており、法制度の改革案は何一つ示されておりません。国土利用計画法の改正、相続税や固定資産税の軽減、さらに土地基本法の制定論議など、改善すべき法制度の課題は山積しております。  戦後、保守・自民党政府の一貫した土地政策は、土地の細分所有化推進であり、土地の流動性確保と称する土地の商品化の推進でありました。土地を自由市場に乗せ、需給バランスによる価格形成を図ってきたのであります。しかし、これは重大な過ちであったと言わざるを得ません。  第一に、所有権のみを強調し、土地本来の機能である利用面を軽視しているという点であります。  第二に、政府みずからが需要の地域的偏在、すなわち過密過疎の拡大から三大都市圏集中、そして東京一極化への誘導政策を推進してきたことであります。四全総試案に見られる世界都市東京の強調、国土庁による東京オフィス床の過大な需要予測などはこの典型であります。  さらに、第三、第四には、政府が生活基盤投資、とりわけ大都市における公共住宅供給を救貧政策としてしか位置づけなかったこと、土地にかかわる不労所得の社会還元システムの確立を税制面で確立しなかったことであります。経済成長一辺倒の施策により健全な経済を阻害し、金融機関の公共性を度外視した融資、財テク活動を野放しにしてきたことも挙げられます。土地神話は自民党政府が生み出し育てたと言えます。  総理が本当に土地問題に取り組む決意があるなら、まず土地神話を打ち破ることを内閣の第一の課題に掲げ、東京に需要をつくらず、東京の需要を減らすことを目指すべきであります。規制緩和や国公有地の払い下げはやめて、多極分散型国土づくりの具体策を示し、推進していただきたいと思います。戦災復興院は、極めて先見的な宅地基本法制定構想を提案いたしました。私は、今こそ東京圏においても、勤労者が年収の五倍程度で住宅が取得できるよう、良質低廉な公共賃貸住宅の大量供給が行えるよう、国民を挙げて土地基本法の制定を目指すべきであると確信をいたします。  また、なぜ金融機関や不動産業者によってつくり出された地価暴騰によって勤労国民が固定資産税、相続税等の過重な負担にあえがなければならないのでありましょうか。竹下総理は、固定資産税の増税幅を申しわけ程度削り、相続税の軽減を先送りし、新型間接税と取引しようとしております。許されざる行為であります。総理の明快な答弁、そしてあわせて、税制については大蔵大臣、自治大臣の答弁を、さらに大蔵大臣に対しては金融機関の投資活動の規制についても答弁を求めたいと思います。(拍手)  緊急かつ重大な課題のもう一つの柱は、円高悪循環、雇用問題であります。ある学者は、輸出価格を下げる努力の反作用として円高がさらに進むことを考慮すると、日本の企業、労使はゴールのないマラソンを力走しているうらみがあると指摘をしております。  第一には、企業に対し、労働者や下請へのしわ寄せ、とりわけ安易な解雇などに対する規制措置を講ずるとともに、下請、中小企業に対する保護の強化が必要であります。  また、国際的に非難を浴びている我が国の長時間労働解消のため、労働時間短縮を推進すべきであります。さきの労働基準法改正時において、中曽根前総理は、週四十時間制移行について、一九九〇年代前半を目標とし、一九九三年を大事な時点として考えていると答弁しておりますが、竹下総理においてはこの目標年次を少しでも繰り上げる決意はありませんか、御答弁をいただきたいと思います。  さらに、国、地方公共団体における週休二日制、四週六休の推進のため、土曜閉庁方式の推進については六十三年度においてめどをつけたいという閣議決定が行われておりますが、いつごろから具体的に実施をするのか、示すべきであります。  以上について総理の所見をお伺いいたしたいと思います。(拍手)  雇用問題について、一つには、日本企業が国内、国外において安易かつ身勝手に解雇、撤収を行っていることが指摘をされております。例えば、現在、東南アジアにおいて、判明しているだけで電機産業で二十三万人が現地雇用をされておりますが、早くも撤収が開始をされています。これを放置するならば、我が国はアジア諸国の雇用不安の種をまいているとして厳しく指弾をされるでありましょう。国内、国外における企業の雇用安定に対する施政について、政府の的確な指導を求めたいと思います。  また、地域経済社会の再建、振興に不可欠な問題として、雇用のミスママッチへの対応が必要となっております。例えば、通産省の資料によりますと、一九九〇年においては、関東では三十二万人の労働者が不足する一方で、地方では二百四十一万人が過剰になるとされております。景気回復が伝えられておりますが、企業城下町、地場産業、中小企業は、円高、構造不況による経営難と雇用不安に苦しんでいます。竹下総理は「ふるさと創生」を盛んに述べられておりますが、こうした地域経済社会の衰退に対して具体的にどのような方策で再建をし、全国的な雇用の安定に努められようとしているのか、お聞かせをいただきたいと存じます。(拍手)  さらに、農業問題についてお伺いをいたします。  あなたは、外圧による市場開放はやらないと著作で述べられておりますが、ガットに提訴をされている十二品目はまさに外圧以外の何物でもありません。十二品目の自由化問題は米の輸入自由化問題ともかかわり合い、我が国の食糧自給全体にとってゆゆしき事態となります。本日のニュースによれば、二国間協議は不調に終わり、総会で決着の方向と聞き及びますが、この総会でパネル案反対、拒否の態度をとるべきと思いますが、政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)  同時に、島根県に育ったあなたは、我が国林業の重要性をよく御存じであると考えますが、国産材の活用促進を図るほか、国土保全のため、財源的視野のみにとらわれず、広く国有林の機能を発揮できるよう、機能、財政の充実を図り、あわせて民有林対策についてもお示しをいただきたいと思います。総理の見解を求めたいと思います。(拍手)  次に、税財政問題について質問をいたします。  私は、内外政策の一体化を強調してまいりましたが、内需主導型経済構造への転換は我が国の最重要課題であり、そのためには積極財政への転換が不可欠であります。中曽根行革は、国際化に逆行し、高齢化社会に対応し充実をさせるべき行政サービスを民活にゆだね、我が国経済社会を混乱させ、世相を暗いものにいたしました。竹下カラーは、地味ではあるが、明るくあるべきであり、中曽根行革路線からの脱却と積極財政推進、行政サービスの充実を進めるべきであると考えます。まず、防衛費の対GNP比一%枠の厳守と六十三年度予算における概算要求基準の撤回を表明すべきと考えますが、総理の決意を伺いたいと思います。(拍手)  第二に、税制改革問題であります。  新しい間接税の問題を論ずる前に、売上税の後始末もきちんとつけていない、すなわち、売上税、売上譲与税などの廃案による税目の消失に伴う必要な当初予算の修正のないまま、ごまかして国会の混乱収拾を図り、今日に至っていることを強く反省すべきであります。また、地方税法、地方交付税法の改正のおくれにより、どれだけ自治体財政が混乱したかも反省していただきたいと思います。政府は、統一見解と売上税廃案という事実を誠実に受けとめるべきであります。  また、何より税の公平性の追求が緊急課題であることが全国民的なコンセンサスとなっております。政府みずからが、マル優廃止を強行するとき、不公平税制是正の一環であるとしたではありませんか。野党は既に、株式、土地、法人課税の適正化を具体的に提起しております。総理及び大蔵大臣、そして自治大臣は、国会の混乱、自治体財政の混乱をどのように反省しているのか、不公平税制の是正についてどこから手をつけようとされているのか、明快な答弁を求めます。(拍手)  第三に、地方財政の問題であります。  再三の約束破りの国庫補助負担率のカット、加えて地方の借金に頼った公共事業の拡大によって、地方財政は火の車であります。「ふるさと創生」も多極分散型国土づくりも、自治体財政の健全化と充実抜きには語れません。過去の国による地方の借金の押しつけの利払い、そして地方債の償還等によって、交付税は継ぎはぎだらけとなっています。国庫補助負担率の原状回復、地方税の充実、そして交付税制度の拡充こそ「ふるさと創生」の第一歩であります。総理並びに自治大臣に対して、地方財政充実強化の決意を伺いたいと存じます。(拍手)  今、財界や官僚の中には、交付税の特例減額あるいは既往の借金の償還を繰り上げさせる、さらに国民健康保険財政の赤字問題にかかわって地方負担を求める動きがあります。住民生活を担っている地方自治、地方財政に対するこのような攻撃は断じて許されません。地域差財政調整システム、福祉医療サービスを削り、新しく創設しようとする福祉医療制度等、検討そのものを即刻中止すべきと考えますが、総理並びに大蔵大臣、自治大臣の答弁を求めます。(拍手)  「十年だったら竹下さん」とみずから歌われて既に十数年、金権腐敗政治の象徴とまで呼ばれた派閥の大半を率い、数と力の論理の政治家というイメージを払拭するには、竹下総理みずからが自己革新する以外になく、それが政治家としての責任であると考えます。「大胆な発想と実行」の政治の出発点として、みずから襟を正し、政治の浄化、国民の政治への信頼回復を追求されるよう強く希望し、私の質問を終わります。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕     〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(竹下登君) 加藤さんにお答えする前に、お許しをいただきまして、先ほどの塚本さんの御質問に対し、私が聞き落としておりまして、結果として答弁漏れになっておる件が一件ございますので、それをこの際お答えさせていただきます。  すなわち、INF関係についての問題でございます。  米ソ首脳会談が年末に開かれることになりまして、INFについて合意に近づきつつあるということでございますが、この問題についての考え方としては、来る米ソ首脳会談においてINF協定が署名され、交渉開始以来米国が主張して、我が国の念願であったINFのグローバルな全廃が実現することになるという見通し、これは我が国として心から歓迎すべきものであるというふうに考えております。  本件協定は、既存の核兵器を初めて削減するものでございます。核軍縮の第一歩でございますが、今後戦略核兵器の大幅削減のための米ソ交渉がさらに進展していく、このことを心から期待しておるところでございます。  答弁漏れを、この際お許しをいただいて、お答えをさせていただいた次第であります。  さて、加藤さんに対するお答えを申し上げます。  まず、私に対して、政策の最重点を一つか二つ言え、こういうことでございます。  一つ、二つに限るということはなかなか難しいことでございますが、私が所信表明で申し述べておりますように、まず内政、土地、税制改革、このように申し上げるのが適当かと思うわけであります。  次は、東西対立関係と中曽根外交に対する御意見でございます。  我が国を取り巻く国際環境が依然厳しい中で、中曽根前総理は、世界の平和と繁栄に貢献する国際国家日本の実現ということを提唱してこられました。国際社会における我が国の地位の向上と責任の増大にかんがみまして、自分としても「世界に貢献する日本」の実現を目指して、平和への寄与と繁栄への国際協力をより積極的に推進していくことが肝要であるというふうに考えております。その際、我が国が西側の一員として西側先進民主主義諸国との協調と連帯を図って、同時に、アジア・太平洋の一国として域内の平和と発展に貢献するという基本路線、これを堅持していくということは、我が党の従来からの一貫した政策であるというふうに御理解を賜りたいと思います。  それから、我が国のSDI参加につきましては、本年七月締結された日米政府間協定において、日米両国の参加者は、生み出した情報については米国の法令に従って平等の取り扱いを受けることが原則としております。具体的な権利がどのようなものになるかは、個々の契約において定められることとなりますが、最低限使用権が与えられることが米側との間で確認をされております。いずれにせよ、参加するか否かは、参加を希望する企業等の自主的判断にゆだねられるものでありまして、政府としては、我が国のSDI研究参加についての方針を撤回するという考えは全くございません。  日中、日ソ、そしてココムについての御見解がございました。  ココムの見直しが世界の軍縮平和に貢献するとの御指摘でございますが、今日の国際情勢のもと、我が国を含む自由主義諸国は、その安全保障確保の上から、共産圏諸国に対する戦略物資の輸出規制の必要性を強く認識しておるところでございます。したがって、我が国は、かかる認識に基づきまして、自由主義諸国の一員としてココムに参加し、その諸活動に積極的に対応しているところでございます。他方、我が国としては、これまでも経済、文化の諸分野において適切な東西交流の促進に努めてきているところでございます。今後とも、このような面での努力は引き続き行っていく所存であります。  アジア・サミットの常設の提唱という御意見がございました。  アジアに位置する我が国にとりまして、アジア諸国との友好協力関係の推進は我が国外交の重要な柱であります。アジア諸国とは広範な交流と対話を通じ相互理解を推進すべく、今日までも努力をしております。アジア・サミットの常設の御示唆につきましては、これはアジアの現状や他のアジア諸国の考え方にも十分留意する必要がございますので、将来の課題として承らしていただく、これにお答えをとどめておきます。  次は、多極分散型国土づくりについての御意見であります。  土地対策については、さきに決定しました緊急土地対策要綱に従いまして、政府一体となって取り組んでおるところでございます。中でも、とりわけ根本的な土地対策の解決のため、東京への一極集中を是正して、多極分散型国土の形成を図ることが必要である、これはおよそ共通の認識であったと思います。これの具体策を検討中でございます。  次に、それに関連して、相続税、固定資産税、このお尋ねがございました。  これも、緊急土地対策要綱におきまして、それぞれ必要な措置を講ずることについて、税制調査会に諮るなどの所要の措置を講ずる、こういうことにいたしたわけでございます。  それから、円高に伴う雇用問題がございました。  円高の進展に伴う雇用問題につきましては、内需の拡大など適正な経済運営と相まって、三十万人雇用開発プログラムの着実な実施などを積極的に講じておるところでございます。特に中小企業に対しましては、これら対策の中で、雇用安定のための各種助成金について、大企業に比べ高率の助成を行うなど、特に配慮し、手厚い助成を行っておるところであります。  下請中小企業対策につきましては、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用によりまして、下請取引適正化を図るとともに、下請取引あっせん体制の強化、それから構造調整円滑化のための低利融資制度を創設いたしますなど、その充実に努力しておるところであります。  週四十時間労働制への移行時期につきましては、竹下内閣におきましても、いわゆる新前川レポートの目標の実現を殴るために、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるよう努力する所存であります。  官庁の土曜閉庁の問題でありますが、国全体として労働時間の短縮を進める中で、官庁における閉庁方式の導入は早期に実現すべき課題だということは、前内閣以来の方針であります。ただ、国民生活など多方面に影響を及ぼす問題でありますので、幅広く検討することが必要だ。各方面の御意見を伺いながら、閣議決定の方針に沿って、まず諸般の準備を進めようということになっておるわけであります。  それから、東南アジア進出企業の問題でございます。  海外進出企業の活動につきましては、OECDの多国籍企業の行動指針や我が国経済七団体がつくりました海外投資行動指針がございますが、基本的にはこれらの指針が自主的に遵守されなければならぬ、こういうことでございます。政府としては、従来から、民間経済団体に対しまして、これらの指針の周知を図り、投資摩擦の回避方要請をしてきておるところでございますので、今後とも対応に遺漏なきよう努めてまいる考え方でございます。  さらに、今度は雇用対策と地域経済との問題でございます。  産業構造の転換等に伴いまして大きな影響を受けております地域の活性化を図り、雇用の安定を確保するためには、経済政策、産業政策と雇用対策を密接な連携のもとに総合的に推進していかなければならないことは言うをまちません。このため、産業構造転換円滑化臨時措置法等に基づきまして地域活性化対策等を講じますとともに、地域雇用開発等促進法に基づき地域雇用開発の促進や職業能力開発の促進等の施策を積極的に推進中でございます。今後とも、地域における経済の活性化、雇用の安定、これには最大限の努力を払ってまいる所存であります。  農産物十二品目問題についてでございますが、今週開催されますガット総会においてパネルの報告書案が議題として取り上げられる予定となっておりますが、我が国としては、国内農業の実情、国際的な経済関係等を十分踏まえて最善の努力を行ってまいる所存であります。  食生活においても、量より質を求める消費者ニーズの変化に的確に対応できるように、生産、流通、消費の各分野にわたる施策を推進することが重要であります。また、今後の農政の展開に当たりましては、中核的農家を中心とする生産組織の育成などを通じ、地域全体として生産性の向上を図ることが重要であります。この場合、地域コミュニティーの維持等の観点から、兼業農家にも一定の役割分担を期待します。いずれにせよ、二十一世紀へ向けての農政の基本方向に関する去年の十一月の農政審の報告を尊重しまして、構造政策を積極的に進めて、需要の動向に応じた生産性の高い農業を展開いたしますとともに、活力ある村づくりを推進してまいりたいと考えております。  林業についても御質問がございました。  森林の持つ重要性は十分認識しておるつもりであります。このため、森林・林業をめぐる厳しい状況を克服してその振興を図ります観点から、木材需要の拡大、林業生産基盤の整備などの推進、これは御指摘にもあったところでございます。また、国有林野事業につきましては、去る七月に改善計画を見直し、今後これに基づいて最大限の自主的改善努力を尽くすとともに、所要の財源措置等を講ずることによって、経営改善に鋭意努力してまいる考え方であります。  それから、予算編成についてでございますが、我が国財政の極めて厳しい現状にかんがみまして、六十三年度予算編成に当たりましても、これまでの努力と成果を踏まえて、引き続き六十五年度特例公債依存体質脱却という努力目標に向けて行財政改革を進めていくということが基本にあるべきだと思います。同時に、内需拡大等、内外の経済情勢には引き続き適切な配慮が必要であります。六十三年度概算要求基準におきましても、NTT株式売却収入の活用などによりまして、概算要求の際から既に配慮がなされておるところであります。  防衛費の問題は、政府は、六十二年度防衛予算がやむを得ずGNPの一%をやや上回ることになりましたために、慎重な検討の上、本年一月新たな閣議決定を行いまして、中期防に定める所要経費の枠内において各年度の防衛関係費を決定し、また、昭和五十一年十一月の閣議決定の、いわゆる節度ある防衛力の整備を行うというこの精神は、引き続いて持ち続けてまいるつもりでございます。  それから、売上税廃案からするところの予算修正問題は、前国会にも御議論がありましたが、御指摘の予算の売上税関連部分、これは政府として他の補正要因とともに次の機会にあわせて手直しさせていただく、こういうことでございますことを申し上げておきます。  それから、不公平問題についてでありますが、税負担の公平確保は、税制に対する国民の理解と協力を確保する上での不可欠の前提であることは事実でございます。去る九月の税制改正におきましても、有価証券譲渡益課税や土地譲渡所得課税等について、課税の強化や適正化を図ってまいりました。今後とも、税負担の公平確保につきましては、課税ペースの問題も含めまして、社会経済情勢の変化に即応しながら、各方面の議論等を踏まえて、これは引き続き検討していく課題であることは言うをまちません。  昭和六十年二月の中曽根総理の御発言等につきましては、その後売上税法案が廃案になった。そこで、私どもといたしましては、論議に先立って予見を与えることなく、広く各界各層の御意見を伺いながら、国民の理解を得られるような税制の確立ということに一生懸命努めてまいるつもりであります。  地方財源の充実強化につきましては、地方財政は巨額の借入金残高を抱えておりますなど極めて厳しい状況に置かれております上に、各地方団体の財政運営においても年々公債費負担が増大してきておることは事実であります。したがって、早急に財政構造の健全化を図る必要がございますが、このため、行財政の守備範囲の見直し、行財政運営の効率化等によりまして引き続き地方歳出の節減合理化を図りますとともに、地方一般財源の充実を図っていく必要があると考えております。また、国庫補助負担率の引き下げにつきましては、昭和六十三年度までの暫定措置として実施したものでありまして、これによります地方財政への影響については、地方財政に実質的な負担増が生じないよう所要の財政措置を講じてきたところでございます。御理解をいただきたいと思います。  それから、国保の問題につきましては、この長期的な安定を確保するために見直しを行うことが必要だ、これは認識を等しくしております。したがって、このため、現在、国保問題懇談会におきまして、医療保険制度全体の中における制度のあり方について、国と地方の役割分担などを含め、幅広く基本的な検討が行われておりますので、その検討結果を待って対処していこう、こういう考え方であります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理大臣がお答えになられましたが、税関係が一つ、二つございます。  相続税でございますが、おっしゃいますように、私どもも相続税の改正は必要であるというふうに考えております。ただ、現行の制度は、昭和五十年の改正でございますので、かなり時間がたっておりまして、このたび改めますのには相当大がかりなことをしなければならないかと思っております。また、所得、消費、資産の間のバランスという問題もございますので、そうだといたしますと、いわゆる抜本的税制改正の一環としてその姿の決まるのを見まして改正をする方がいいという議論もございまして、この点、もうしばらく私どもの中で検討をさせていただきたいと思っておりますが、いずれにしても、改正をしなければならないという点につきましては、私どもも同感でございます。  不公平税制につきましては、ただいま総理大臣が答弁をされましたが、要するに、準備金、特別償却等のいわゆる企業関係の租税特別措置につきまして、あるいはまた有価証券譲渡益課税、土地譲渡所得課税等につきまして、この六十二年度税制改正、さきの臨時国会で成立いたしました法改正で課税の強化や適正化を図っております。御指摘の点は同感でございますが、今後とも引き続き公平確保につきまして努力をいたしてまいります。  それから、国民健康保険のお話でございますが、これは、昨年、厚生大臣、自治大臣、大蔵大臣、三者で合意をいたしまして、国保問題懇談会を開きまして、その安定した運営が確保されますように、国と地方の役割分担を含めまして、ただいま基本的な検討が行われております。今後、この検討状況を踏まえまして、各方面と協議しつつ対処をいたしたいと思います。  次に、金融機関の土地融資の問題でございますが、ことしの七月ごろから金融機関に対しましてかなり立ち入りまして踏み込んだ特別ヒアリングをいたしました。地域を定め、また、その地域で土地融資に関連があると思われるような金融機関に対しまして具体的なヒアリングをいたしました。その結果、金融機関としても、こういう関係の審査あるいは管理は本店で行う等々、かなり厳しい内部規制もいたしまして、このヒアリングはかなりの効果を上げたと思っておりますが、今後とも、このヒアリングの内容の充実あるいは金融機関検査の活用等を図りまして、土地投機に融資が不当な介在をいたしませんように強く指導を実施していく考えでございます。  最後に、売上税あるいは売上譲与税が廃案になった結果、このことが予算面に反映されておらないという御指摘がございました。売上税等が廃案になりました結果、歳入面におきましてのみならず、歳出面におきまして売上税の支払いを立てておる部分がございますので、これらは御指摘のように手直しをする必要がございます。したがいまして、やがて、その他の補正要因もあることと存じますので、次の機会にこれをあわせまして補正予算を提出いたしまして御審議を仰ぎたいと思っております。(拍手)     〔国務大臣田村元君登壇〕

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 総理が先ほど御答弁申し上げましたごとく、我が国は自由主義陣営の主要な一員としてココムに参加しているところでございまして、今後とも引き続き協力していくことといたしております。しかしながら、ココムの規制対象につきましては、技術進歩が著しいという状況等を踏まえまして、ココムの趣旨から見て真に規制が必要なものについて規制が行われるよう常に見直しが行われてきておるところでございまして、今後ともこの考え方に変わりはございません。(拍手)     〔国務大臣梶山静六君登壇〕

梶山静六自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(梶山静六君) 加藤議員にお答えを申し上げます。  私に対する質問の第一は、税制のうち固定資産税の軽減についてでありますが、昭和六十三年度を基準年度とする固定資産税の土地の評価がえについては、基準宅地の全国平均伸び率は一六%の伸びとなっており、前回評価がえのときの一九・九%の伸びに比べ低い伸びとなっているところであります。評価がえに伴う土地の税負担については、先般閣議決定をされた緊急土地対策委細において、負担調整措置を講ずることにつき、税制調査会に諮るなど所要の措置を講ずることとしておるところであり、今後、税制調査会の検討を踏まえて対処をしてまいりたいと思います。  第二は、さきの国会における地方税法、地方交付税法の改正のおくれによる自治体財政の混乱についてでございますけれども、昭和六十二年度においては、御承知のような経緯により、地方税法、地方交付税法の改正法案の国会成立が九月となったことから、各地方団体では、年度前半において地方税、地方交付税等の税収見込みが不安定なものとなったところであり、この点は心苦しく思っている次第であります。  しかし、地方交付税については、当初に比べ総額三千五百円を増額し、法案の成立後直ちに本年度の普通交付税の配分額の決定を行ったところであり、これらにより、地方団体の財政運営、事業執行については支障を生じていないものと考えております。今後とも、地方団体が安心して事務事業の執行に当たることができるように努めてまいりたいと思っております。  また、不公平税制の是正については、総理からも御答弁があったとおりでありますが、地方税における非課税等特別措置は、これまでも常に見直しを行い、整理合理化に努めてきたところであり、今後とも、社会経済情勢の変化に即応しつつ、各方面の御議論を踏まえて、引き続き検討を進めてまいる所存でございます。  第三の御質問は、これまた総理から御答弁がございましたけれども、「ふるさと創生」と地方財政の充実の問題でございます。  「ふるさと創生」と多極分散型国土の形成を進めるには、御指摘のとおり健全な地方財政を確立することが必要であることは論をまちません。そのため、行財政運営の効率化等による地方歳出の徹底した節減合理化を図るとともに、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保に努めることが基本的に必要であろうと考えております。  最後に、地方交付税の特例減額あるいは既往の借金の償還等の繰り上げ、また国保の地方負担が検討されているが、これに対する所見いかんという問題でございますが、地方交付税については、地方財政計画の策定を通じ所要額を確保し、地方財政の運営に支障が生じないように対処してまいる所存でございます。  国民健康保険につきましては、総理及び大蔵大臣から御答弁がございましたけれども、国保問題懇談会で検討が行われておりますが、私といたしましては、単に国庫負担の一部を地方に転嫁するというようなことではなく、国保経営の安定化に向けての制度の改革を目指すべきと考えており、その考え方を基本にして、今後とも適切に対処をしていく所存であります。  以上です。(拍手)  三千五百億円と言うところを三千五百円と言ったそうでございますので、謹んで訂正をいたします。(拍手)     —————————————

多賀谷真稔無所属副議長

○副議長(多賀谷真稔君) 瀬長亀次郎君。     〔瀬長亀次郎君登壇〕

瀬長亀次郎日本共産党・革新共同

○瀬長亀次郎君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、竹下新総理並びに関係閣僚に質問いたします。  質問に先立ち、さきのインド洋上での南アフリカ航空機の墜落事故に関し、御家族を初め関係者の皆様方に心からのお見舞いを申し上げます。あわせて、国際・国内航空の安全確保に対する政府の万全の対策を要求するとともに、我が党もそのために全力を尽くす決意を表明します。(拍手)  総理、今回の政権交代は、中曽根前首相があなたを指名するという異例の形で行われ、あなたも中曽根政治の継承をうたっています。中曽根政治というのは、一体何だったのでしょうか。その一つは軍拡であり、その一つは増税であり、その一つは国民経済の破壊であります。しかし、政権交代に当たっての世論調査からも明らかなように、国民はこの中曽根政治に対してははっきりとノーと答えております。  さて、総理は、所信表明演説で「政治には、「大胆な発想と実行」が求められている」と述べていますが、中曽根政治の継承をうたう竹下内閣の「大胆な発想と実行」なるものが何を意味し、日本をどこへ導こうとしているのか、総理、お答えください。  具体的な問題の第一は、核兵器問題、日米安保条約下での軍備拡大の問題であります。  今日の世界の大勢は、核兵器廃絶、核兵器の大幅削減の方向に向かっています。一週間後の今月八日には、米ソ首脳会談が開かれ、INF、中距離核ミサイル全廃条約が締結される予定になっていることは周知のところであります。これは核兵器廃絶、反核・平和を願う国際世論と運動がかち取った貴重な成果であります。(拍手)  問題は、この核軍縮をどのような方向に向けていくかであります。何よりも重要なのは、この流れを核兵器廃絶の方向に大きく発展させることであり、特に、世界で唯一の被爆国である日本政府がそのイニシアチブを発揮することが強く求められております。ところが、総理就任後初めての所信表明演説には、驚くべきことに核兵器廃絶ということは一言も語られておりません。これは一体なぜでしょうか。総理は「日本としても世界の軍縮に積極的に貢献していきたい」と述べていますが、そうであるならば、この壇上で世界へ向けて、何よりも核兵器廃絶をこそ訴えるべきではありませんか。(拍手)  中曽根政権当時に発行された自民党のパンフは「「核兵器の廃絶」は、日本の平和を破壊します。」と述べております。これは総理が幹事長であった時期になってからも、そして現在も依然として発行され続けております。このパンフは、通常兵器がある限り核兵器廃絶は危険という驚くべき議論を展開しています。これは通常兵器がなくならない限り核兵器を持ち続けるというものであり、事実上核兵器を永久に認めるという立場であります。だからこそあなたは核兵器廃絶に触れなかったのではありませんか。竹下総理、あなたはこういう立場を受け継ぐおつもりなのか、明確にお答えください。  アメリカのレーガン政権は、INF交渉に関連して、西側にとって核抑止力の終わりを意味するものではない、アメリカは依然として強力な核能力を持ち続けると、核軍拡を進める立場を公然と語っています。総理は所信表明で、核兵器問題について「米国の外交努力を支援していく」と述べていますが、それは強力な核能力を持ち続けるというアメリカの外交努力を支援していくということですか、しかとお答え願いたい。  中曽根前首相は、我が国は安保条約によってアメリカの核抑止力に依存していると述べ、日米軍事同盟が核軍事同盟であることを公然と認めました。そして、核抑止力の名のもとに膨大な軍事費を投入し、日本の核基地強化を進め、日本をアメリカの核戦略体制に深く組み入れました。中曽根前内閣は、国民の福祉、教育を大幅に切り捨てながら、軍事費を五年間で実に三六%も拡大しました。そして、GNP一%枠の突破を強行し、歯どめなき軍拡の道を突き進んだのであります。これは核兵器廃絶、核軍縮の世界の大勢に明らかに逆行するものであります。総理、あなたも、引き続き世界の大勢に反して軍拡予算を受け継ぐつもりであるか、明確にお答えください。  総理は、アメリカの週刊誌のインタビューでペルシャ湾の軍事分担に触れ、日本国民は大変申しわけなく思っているなどと述べ、米軍基地の従業員の給与まで日本政府が負担することを表明しております。これは明らかに日米地位協定に反するものであります。もともと日米地位協定は米軍にさまざまな特権を与えたものであり、日本に軍事分担を一層押しつける地位協定の改定など絶対に許されるものではありません。総理の明確な見解を承りたいのであります。  総理、今、日米核軍事同盟のもとで日本の米軍基地はすさまじい変貌を遂げようとしております。我が党国会議員団は、これらの基地の実態調査を行いましたが、その増強ぶりは驚くべきものがあります。  北海道では、アメリカの核攻撃機F16が無謀な超低空飛行訓練を実施しました。これは本来、日本の航空法規を全く無視した無法きわまりないものであります。この核攻撃機F16の基地三沢には、日米安保条約にすら違反して、在韓米軍部隊が常駐している疑いが極めて濃厚であります。  先月行われた大分県日生台演習場での日米合同軍事演習では、子供たちが怖いとおびえ、授業が中断されるという事態が起きています。  沖縄では、米軍演習の激化によって、米軍機が日米の取り決めすら無視して、訓練区域外の訓練を公然と行い、誤爆によって貨物船の乗組員に重傷を負わせる事件まで引き起こしています。事もあろうに沖縄国体のさなか、一般道路を通行していたタクシーが米軍の銃弾に被弾する事件が発生しております。まさに生命の安全が脅かされ、国民生活にまで米軍の無法が入り込んできているのであります。  総理、あなた方は、本来航空法が禁止している超低空飛行を初め、米軍の傍若無人の乱暴きわまる軍事訓練になぜ抗議しないのでありますか、明確にしていただきたいと思います。私は、このような危険きわまりない米軍基地の撤去を強く要求するとともに、米軍の軍事演習、日米合同演習の即時中止を強く要求します。(拍手)  今、米軍基地の撤去の国民の願いに反して、三宅島や逗子で新たな米軍基地の増強が進められています。しかも、これらの基地建設は、住民の大多数が反対を表明し、選挙で再三にわたって勝利しているにかかわらず、その意思を無視して強行されております。  そもそも、厚木基地の爆音被害、逗子の米軍住宅建設、三宅島への新たな基地建設の大もとは、アメリカ核空母ミッドウェーが横須賀を母港にしたことにあります。あなたの言う自由主義陣営で核空母の母港となっているのは日本だけではありませんか。アメリカ核空母の母港を断固返上すべきであります。一体、なぜ住民の意思を踏みにじってまで核戦争の基地増強を進める必要がありますか。住民の意思、住民の生活を守ることこそが日本の国是ではないのですか。それとも安保が国是であるのですか。総理の明確な答弁を要求するものであります。(拍手)  第二に、大型間接税、日米経済関係、そして土地を中心とした経済と暮らしの問題であります。  まず、総理が異常な執念を燃やしている大型間接税導入問題について質問します。  大型間接税は導入せず、さきの衆参同時選挙における中曽根前首相、そして当時大蔵大臣であった総理自身のこの明白な公約を守るかどうか、これこそが税制論議の根本問題であることは言うまでもありません。総理も、大型間接税反対中小企業連絡会に、導入に反対しますと確約文書を出したことをよもやお忘れではありますまい。中曽根前内閣は、公約を裏切ったからこそ日本列島騒然となるほどの国民の怒りを浴び、あの演説好きの前首相が、一斉地方選挙中、官邸から一歩も出られなかったではありませんか。  さて、宮澤大蔵大臣に伺いたい。  あなたは、売上税の廃案で公約違反問題は白紙に戻ったという珍理論を展開されておりますが、公約を裏切ったからこそ廃案になったものをひっくり返し、廃案になったから公約裏切りが許されるなどという理屈がどうして成り立つのでありますか。わかるように説明してください。  総理、あなたは所信表明で税制改革について、「国民の間にも税制改革についての意識が高まっている」などと言い、大型間接税導入の機が熟しているかのように言っていますが、国民の意識はあなたの言明とは全く逆に、大型間接税は反対であるという意識が高まっているのが真実ではないでしょうか。今の国会の自民党多数は、大型間接税は絶対やらぬ、この中曽根がうそつく顔に見えますかと、有権者を欺いて得た虚構の多数であり、多数を口実に強行を図るなどは、国民を二重三重に欺瞞する議会制民主主義の最悪の破壊行為にほかなりません。(拍手)大型間接税はやらぬという公約を守ると、この場で改めて約束すべきであります。その場合、言語も意味も明瞭に、国民が納得いくようにお答えいただきたい。  総理はまた、自社公民四党による税制協議会の再開をしばしば口にしておられますが、この税制協の出発点である直間比率見直しとは一体何でしょう。間接税の大増税、すなわち大型間接税の導入のことではないのですか。  あなたは所信表明で、開かれた議論を通じ、国民的合意を形成すると述べました。国会のどこの機関もその設置を決めたことがなく、また、みずから会議の非公開を決定し、現にマル優廃止に至る経過の中で、密室のやみ取引を重ねてきた税制協を動かすことが、何ゆえに開かれた議論になるのでありますか。私は、その即時解散を断固として要求するものであります。(拍手)疑問の余地のない答弁を求めます。  総理が大型間接税にかくも異常な執念を示すのも、つまるところは大軍拡の財源をどうしてもつくり出さなければならないからであります。今年二月に、あなたは、国防であれ国民生活に必要なことであれ、政策遂行のために薄く広い間接税が必要だと断言しました。まさに国防、すなわち軍備拡大こそ最優先であり、高齢化社会のために、福祉のためになどと言うのは、国民を欺く口実にほかならないことはみずから認めているではありませんか。  軍拡が経済と暮らしの最悪の破壊者となることは、大型間接税問題とともに、最近の株の大暴落、ドル急落と円高の一層の進行によって証明されております。あの暗黒の月曜日を招いたアメリカ経済への不安と不信の根源が、双子の赤字、とりわけレーガン政権の大軍拡による膨大な財政赤字にあることは、今さら言うまでもありません。しかも、レーガン政権は、みずから招いた困難を日本に押しつけようとしています。  総理、あなたは所信表明で重大な発言をしました。国民の皆様に我慢をお願いしたい、こう言っているのであります。国民生活、日本経済が破壊されることを承知の上でこういうアメリカ追随の態度は、絶対に許すわけにはいきません。(拍手)軍拡によるアメリカの財政赤字を、事もあろうに日本国民の郵便貯金や年金保険料で穴埋めするなどというとんでもない政策を直ちにやめるべきであります。アメリカに対し真正面から、大幅な軍事費削減、軍縮を要求すべきであります。明確な答弁を求めます。  こんな事態になることは、総理自身が日本を代表して参加した二年前のニューヨークでのG5、プラザ合意のときからわかり切っていたことではありませんか。あなたは、アメリカに対して言うべきことは何一つ言わず、ドル安政策への協力要求に唯々諾々として従い、蔵相という責任ある立場にありながら、もっと円高をとけしかけました。その結果が、一ドル二百四十円からわずか二年間で百三十円台にという異常円高を招いたのではありませんか。この間に一体どれだけの中小企業、下請企業がつぶされたか、どれだけの労働者が職場からほうり出されたか。あなたの責任は重大であります。その責任をどう受けとめ、どう償おうとされているのか、明確な答弁を伺いたいのであります。(拍手)  レーガン政権の圧力は、円高・ドル安政策への協力だけではありません。マル優廃止の陰に米側の要求があったことは、中曽根前首相自身が公然と認めています。そして今、レーガン政権は農産物十二品目の自由化圧力を公然と加え、政府はその大部分を受け入れるというのであります。  総理、酪農とジャガイモにかける北海道農業を壊滅させ、三十万人もの人々を路頭に迷わせることが、さらには、今日最悪の失業率に苦しむ沖縄県民に対し、サトウキビに引き続いてパイン農業にまで致命的打撃を与えることが、あなたの言う「ふるさと創生」であり、「国民すべてがより幸せで、楽しい、充実した人生を歩めるような日本列島」なのでありますか。  アメリカは、日本には自由化を要求しながら、みずからは脱脂粉乳、落花生、プロセスチーズの輸入制限を行っているではありませんか。その身勝手さ、理不尽さにはなぜ反撃しないのでありますか。総理並びに農林大臣の答弁を要求するものであります。  さて、今国会の焦点の一つは、言うまでもなく地価狂乱問題であります。  我が党は、既に五項目の地価問題への緊急提言を発表し、その実行を政府に迫ってきました。  総理は、地価暴騰の重大原因として東京一極集中を指摘しました。しかし、その一方で、総理は、地価対策として第四次全国総合開発計画を着実に推進することを表明しています。ところが、四全総が事実上東京一極集中を促進するものとなっていることに批判が集中しているではありませんか。地価高騰の重大原因となっている計画を推進し、地価を抑えるとは一体どういうことでありますか。それで地価を抑えるという保障が一体どこにありますか。  竹下内閣は、こうした立場に立って需要に応じて供給をふやすと称し、一方ではますます需要をふやす大企業のオフィスビルづくりを支援し、東京駅周辺など都心の再開発を強引に進める方針をさえ打ち出し、他方では、低さ制限とか借地・借家法の骨抜き、農地の宅地並み課税など、都市勤労者の土地を強奪して大企業に供給しようとしております。こんなやり方を続ける限り、東京集中を一層促進し、地価をますますつり上げ、犠牲を都市住民に転嫁する結果になることは明白ではありませんか。総理並びに国土庁長官の納得のいく答弁を求めるものであります。(拍手)  国民が求めているのは、心安らぐ住宅であり、人間らしい居住環境であります。総理が潤いのある町づくりを説くのであれば、大都市を住民不在、札束の舞うコンクリートジャングルに変えるのではなく、遊休国有地や旧国鉄用地をすべて住宅と公園、防災施設に振り向けるという英断をこそ下すべきであり、固定資産税、相続税の思い切った軽減に踏み切るべきではありませんか。その決意があるのかどうか、総理の見解をお伺いします。  最後に、民主主義をめぐる重要問題について質問します。  所信表明を聞いて私が最も奇異に感じたことの一つは、我が国の民主主義の現状、その危機についての認識と憂慮がただの一言も示されなかったことであります。  衆議院議員定数配分の現状について新たな違憲判決まで出されているのに、この問題にあなたはなぜ口をつぐんだのでありますか。昨年五月、我が党が主張したように、せめて格差一対二未満にという抜本的是正に直ちに取り組むことを、この際改めて要求するものであります。(拍手)  朝日新聞社へのたび重なる襲撃事件と殺人、日本共産党幹部宅に対する警察権力の組織的な電話盗聴は、民主主義の生命源ともいうべき言論、結社の自由、思想、信条の自由に対する真っ向からの挑戦にほかなりません。この二つの重大事件について、総理の見解と決意を伺いたいものであります。  重大なのは、総理が、国民の猛反対のもとに廃案となった国家機密法について、必要であるし成立するものだと思っていますと述べていることであります。軍事機密、外交機密を政府が勝手に指定し、重罰のおどかしのもとに国民の目も耳も口もふさごうとするこの悪法が、民主主義とどうして両立するのですか。まさに戦時体制づくりのための事実上の憲法改悪ではありませんか。あなたは、憲法を自分の手で書きたいというノスタルジアがあるなどと言っていますが、一体現憲法をあなたはどのように認識されておるのでありますか、明確にお答え願いたいのであります。(拍手)  日本共産党は、一昨日、第十八回党大会を終了したばかりであります。私たちはこの大会で、核兵器のない世界の実現、国民生活と民主主義の擁護のために、そして今日、軍事、政治、経済のあらゆる領域にわたって国民の苦難の元凶となっている日米軍事同盟打破のために、全力を挙げて闘い抜く決意と方針を新たにいたしました。日本共産党・革新共同は、今後も竹下自民党内閣に対する唯一の革新的対決者として、不動の確信を持って前進することを表明し、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕

竹下登自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(竹下登君) ただいまの質問、多岐にわたっておりましたが、まず「大胆な発想と実行」とは何か。これはまさに、読んで字のごとく、大胆な発想、そしてこれを実行することであろうと思います。すなわち、これまでの経緯や現状へのしがらみにとらわれないで、多様化した国民のニーズに対応する場合に、いわば果断なる発想というのが必要だという意味で申し上げたことであります。  それから、核兵器廃絶問題についての御発言でございましたが、これは、従来から、全面完全軍縮、なかんずく核兵器の廃絶が人類共通の究極の目的である、こういう認識に立っておりますが、同時に、現実の国際関係においては、核兵器が抑止力として平和と安全の維持のために機能していることを認めておるということを、この際はっきり申し上げておきます。  それから、自民党のパンフについての御質問でございましたが、これは、今申し上げた核についての考え方と大体考え方を一にしておるというふうに御承知いただきたいと思います。パンフそのものの内容をつまびらかにしておるわけではございません。  それから、外交努力の支援の問題でございますが、この問題につきましては、INF交渉等についても言及されました。米国が戦略核の大幅削減等さらなる軍備管理の進展に向けて努力する旨を表明しておりまして、我が国もそれを支持しておるということでございます。  それから、軍拡予算の継承、こうおっしゃいましたが、私は、今の予算を格付けて軍拡予算という意識は持っておりません。諸般の問題を、ぎりぎりの調和を図りながら編成していくのが予算の本質であると考えます。  次の問題は、いわゆる費用分担問題であったかと思います。  この問題につきましては、米国がペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしておる状況のもとで、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、私ども政府・与党首脳会議におきまして、いわゆる在日米軍経費軽減の方途について米国と協議を行う旨を決定したところであります。政府として、在日米軍経費の軽減の具体的方途については、これから検討をしようということでございます。  それから、傍若無人な訓練とかいうような御主張でございましたが、米軍は、日米安保条約の目的の達成のために我が国に駐留し、必要な訓練を実施しております。しかし、その場合に、国民生活に及び得る影響を最小限度に食いとめることが必要であるということは絶えず申しておるところであります。  それから、安保条約そのものの問題でございますが、日米安保体制は、我が国の防衛、安全保障の基調をなす緊要なものであります。したがって、この問題につきましては、艦載機着陸訓練場建設あるいは米軍家族住宅の建設、これらは日米安保体制の堅持を防衛の基本方針とする我が国としては必要な施策である、このように御理解をいただきたいと思います。  それから、選挙公約の問題がございました。  この問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、売上税法案を提案いたしましたが、さまざまな御批判をいただきまして、結果として廃案となりました。今後、税制問題については、広く国民の理解と合意を得られるよう、一生懸命努力をしていこうということをたびたび申し上げておるところでございます。  それから、直間比率問題についてのことでございますが、これは、いわゆる所得課税、法人課税等々のみを見直してまいりまして、一方がそのままであったりいたしました場合、いろいろな偏り方が出てまいります。そういうことが俗に言われる直間比率、こういう問題であろうと思います。したがって、間接税問題にいたしましても、これも各党各会派の意見等を吸い上げながら合意を得るべき課題であります。  それから、税制改革協議会についての御意見がございましたが、税制改革協議会は、私は当時幹事長でございましたが、政党間の話し合いで決められたものであります。したがって、その組織運営について、今の政府の立場からは、私から申し上げる立場にはない、このように思います。  それから、米国の国防政策について、いろいろな問題に当たって国防予算の削減を日本が求めるべきだ、こういう御意見でございますが、いわば米国の国防政策は抑止を基本とする防衛的なものでありまして、米国政府は、その抑止力の信頼性の維持向上のために、現下の厳しい国際情勢のもとで、みずから抱えておる経済的諸困難にもかかわらず努力をしておるということでございますので、我が方がいわゆる国防予算の削減を名指しで申し上げる考えはございません。  それから、プラザ合意の責任論でございます。  確かに私が、このプラザ合意の際は大蔵大臣であったことは事実であります。米国内の保護主義の鎮静とか、いろいろなことが私の念頭にありました。しかし、余りにも円高が急速であった、こういうことからして種々混乱を招来した、こういう事実は私どもも十分認識しております。したがって、それらの対応策について、国会の御議論等を承りながら、これを的確に行っていくことこそみずからの責任にこたえることであると思います。  次は、十二品目の問題でございますが、これは、国内農業の実情、国際的な経済関係等を十分に踏まえながら、最善の努力をしていくべき課題であります。  それから、米国自身の輸入制限についてでございますが、我が国に輸入自由化を求める一方で、御指摘のような一部農産物につき、ガット上は合法ということで輸入制限を行っておる。これに対しましては、我が国も機会あるごとにその問題を指摘しておる、こういうことであります。  四全総の推進で地価高騰に余計拍車がかかる、こういう御趣旨の御発言でございました。  私どもは、やはり特定地域への人口や諸機能の過度の集中ということを中長期的に避けていかなければならぬ、これが地価安定の一つの大きな要因でもあるという認識を持っております。  再開発の推進についても御議論がございましたが、この問題につきましては、都市住民としても生活の場としてふさわしい都市の再生を図る、こういうことももとより必要な政策であるということは申し上げるまでもないことでございます。  それから、国有地の問題でございますが、国公有地の問題につきましては、第一義的に公共目的に使用する、これが基本でございます。そして、今日までもその方向で進めてまいってきております。  一方、国鉄の問題についても、公用、公共用の用途に供されることが確実である場合には地方公共団体に売却する、こういう方針をとっておることも事実であります。  相続税、固定資産税の軽減問題は、先ほど来申し上げておりますように、評価がえに伴う負担調整措置、これについて必要な措置を講ずるべく税制調査会に諮問をしようということになっております。  衆議院の定数是正も、たびたびお答えしたところでございますが、これは国会の決議という重要なものが存在しております。いろいろな考えもございますが、各党間でまずは十分論議していただくということが私は一番大切なことではなかろうか、このように思います。  それから、朝日新聞社襲撃事件の問題でございますが、極めて反社会性の強い重要事件でありまして、その早期解決を図るべく、発生地の警察はもとより、全国の警察を挙げて鋭意捜査を推進中であると承知しております。  日本共産党幹部宅に対する事件につきましては、東京地検において起訴猶予処分としていると承知しておりますが、警察の活動が不法不当にわたり、国民の信頼を損なうことがあってはならないということは当然のことでありまして、警察は今後とも、適法妥当な方法により、治安維持に向けなお一層の努力をすべきものである、このように考えております。  それから、いわゆるスパイ防止法案につきましては、たびたび申し上げておりますように、国民の基本的人権や知る権利あるいは知らす義務、いろいろな問題にかかわる問題でございます。国民の十分な理解が得られることが望ましいと思います。  憲法の問題でございますが、このことも、たびたび申し上げますように、民主主義、平和主義あるいは国際協調主義、人権尊重、この基本理念を高く評価して、将来においても堅持すべき問題でございます。竹下内閣としていわゆる政治日程にのせる考え方というものはございません。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の選挙に際しまして、新しい間接税について中曽根総裁が御発言をされました点につきましては、私どもその内容に十分配慮をいたしまして、これに抵触しないように国会に売上税法案を御提案いたしました。しかし、結果といたしまして、この提案は各方面から批判を受け、結局廃案となったわけであります。その事実につきましては私ども深く反省しなければならないと思っております。  そこで、今後これからの問題でありますが、間接税について検討していくに当たりましては、売上税法案について寄せられました各方面からの批判を十分念頭に置きながら、国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立ちまして、議論に先立って何らの予見を持つことなく、幅広く世論を聞き、国民に受け入れられるような公平な成案を得るように努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣佐藤隆君登壇〕

佐藤隆自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(佐藤隆君) お答えをいたします。  総理からお答えになりましたので、重複を避けまして一言だけ答弁を申し上げたいと存じます。  酪農品など米国の自由化要求、このことについてなぜ反撃をしないのか、こういう御指摘でございました。いろいろな観点から見ましても、特に公平性の観点から問題がありますし、米国に機会あるたびに繰り返し冷静に強く主張をしてきたところであります。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕

奥野誠亮自由民主党国土庁長官

○国務大臣(奥野誠亮君) 四全総が東京一極集中を助長し、東京駅周辺整備事業などが地価をつり上げているというお話がございました。  我が国の経済構造の大きな変化から、東京が世界の金融センターになりましたり、いろいろなことから一極集中が請いておるわけでございます。それを是正しようとするのが四全総でございまして、地方に国際空港あるいは国際重要港湾を整備する、あるいはまた国際会議場をつくる等々を通じまして、国際的な役割を果たせるような地方中枢都市を幾つかつくっていきたいわけでございます。そして、東京のいろいろな機能を地方に分散させていこうとしているわけでございます。  同時に、大規模プロジェクト等を通じまして、土地の供給の増加を図ろうとしているわけでございまして、需要を減らし、供給をふやすことを通じて、需給のバランスをとりながら、地価の高騰を防いでいきたいという考え方で努力していることを御理解いただきたいと思います。(拍手)

多賀谷真稔無所属副議長

○副議長(多賀谷真稔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

多賀谷真稔無所属副議長

○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会      ————◇—————

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