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109回国会参議院1987/07/20

予算委員会 第2号

発言数
223
登壇者
26
会派数
2
開催日
1987/07/20

会議録

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。  昭和六十二年度一般会計補正予算、昭和六十二年度特別会計補正予算、昭和六十二年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。  審査期間は本日二十日から二十四日までの五日間とし、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計七百分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党・護憲共同それぞれ百八十八分、公明党・国民会議百八分、日本共産党八十一分、民社党・国民連合五十四分、新政クラブ、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党・参議院の会それぞれ二十七分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十二年度補正予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) それでは、これより順次質疑を行います。野田哲君。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 恐らく中曽根総理とこういう形で論争するのは最後の機会になると思いますので、四年半の中曽根総理のもとで行われた日本の政治の総括という立場に立って、幾つかまず基本的な点について伺いたいと思うんです。  今度の第百九臨時国会は、百八国会が終わってからわずか三十八日、予算が成立してからわずか四十五日でまた開会されて補正予算が提出される。このことは、中曽根内閣の先見性が欠けているのではないか、そしてまた政治に対する責任感の欠落を示すものではないか。総理はかつて税制改革法案について、これができなければ死んでも死に切れないとまで言った税制改革、これが国民の大きな反対によって廃案になったこと、そしてまたそのために予算の成立が大幅におくれて、新年度に入って五十日間という長期の暫定予算の期間を置かざるを得ないようになった。しかもこの予算については、歳入歳出についてそれぞれ大きな欠陥を含んだ不正常な予算になっている。このような事態は辞職にも値するような重大な政治責任があるのではありませんか。この点について総理はどのようにお考えになっておりますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 六十二年度当初予算の審議及び税制の審議等におきましていろいろ混乱が起きまして、いろいろ御迷惑をおかけしましたことは大変恐縮に存じておるところでございます。  しかし、最近の円高の状況、あるいはさらに通常国会におきまして積み残しました法案の処理、そういうような状況から見まして、内需の振興あるいは税制の補修、そういうようないろんな面で臨時国会の召集を早目に行わなければならなくなりまして、野党の皆さんにも御協力を得たいと思っておる次第でございます。この国会を通じまして、現在の政治、経済そのほか日本が直面する問題、最近の新しいいろんな事案につきましても国民の皆様方に十分御説明を申し上げ、また、お聞き願う機会となれば幸いであると考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 自民党内でも、このような事態に対してはかなり有力な人から批判の声が出てきております。かつて総理のもとで幹事長あるいは副総裁を務められた二階堂さんはこういうふうに言っておられます。中曽根内閣と自民党が国民に約束をしたことが果たせなかった。それなのに国民への反省がない。政治の責任の所在を明らかにしないでどうして国民の心がとらえられるか。このように今日の状況について批判をする発言が行われております。あるいはまた、党内の派閥の有力な領袖からも同様趣旨の発言が行われているわけですが、この点についていかがですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これだけの重大案件を処理しておるわけですから、そう簡単に円滑に国会が進むとも思いませんし、一回だけで法案が一つの議会で全部通過するともまた思いません。それだけの大きな仕事をやりつつあると思うので、初心忘るべからず、やろうと思ったことは最大限やれるところまで頑張って必死にやるつもりでおります。それが国民に対する責任を果たすゆえんであると考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 今までのやり方について、総理は反省というものは持っておられないわけですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 冒頭に申し上げましたように、いろいろ混乱も起こしまして恐縮に存じております、そういうふうに申し上げた次第であります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理は最近特に「国際国家」という言葉を強調されるわけでありますが、総理が最も意欲を持っておられる分野というのは外交だということが専らの評価になっております。けさのマスコミでも、また今度の国会が終わると死に体にならないためにぎりぎりまで外国を訪問するんだ、大変なしたたかな意欲だ、こういう報道がされているわけであります。  しかし、「国際国家」という言葉を使われる総理の外交の成果は一体何であったのか。総理が真っ先に飛んだソウル、中曽根総理と意気投合して一緒にカラオケまで歌った、こういうふうに言われておりますが、全斗煥大統領の強権政治が、今、国民の大きな抵抗によって民主的な改革を迫られているわけであります。中国との関係が、今、靖国問題やあるいは軍事費のGNP一%突破あるいは教科書問題、光華寮問題、こういう点で国交回復後最悪の状態になっている、こういう懸念が持たれているわけであります。また、日本から多額な経済援助を受けて、日本が支援をしていたマルコス大統領がああいう状態になった。アメリカもまた大変な国民感情が起こっているわけであります。  本当の「国際国家」、そのトップに立つ人の外交というのは、トップ同士が酒を飲んで仲よくする、これが外交ではないと思うんです。外交の基本は、やはり国民が共感を得る、そういう外交でなければならないと思うんですが、総理が進めてこられた外交が国民から共感を得た、そういう実績がどこにあるんでしょうか。お伺いをいたしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 外交は、国民世論あるいは国民の皆さんの御支持、理解を背景にして、首脳が相手方の首脳としっかりと手を握り、あるいは協力を行う、友好親善の実を上げる、そういう時代に入りまして、やはり国民の御理解と御支持というものが基本になければできない。しかしまた、その首脳同士の友情、理解というものも非常に重要な時代に入ってきておる、そう思っております。  私は、韓国の状況につきましては、全斗煥大統領はあの難しい、いわゆる前線国家とも言うべき朝鮮半島の中におきまして非常な御努力をされて、経済的にも着々と成果を上げられ、有数の新興工業国として韓国は頭角をあらわしてきておるし、アジア・オリンピックも大成功裏に終わり、あるいは今近くオリンピックを迎えよう、そういうことで国連は隆々として隆盛になりつつあると思うんです。最近におきましては、政治的な大決断をいたしまして、憲法問題あるいは政局安定の問題について盧泰愚民正党代表委員と協力し合いまして、そうしてあのような大きな民主的な大転換を図ったという勇断については心から敬意を表しておる次第で、これらの民主的な諸般の政策が実を結んで韓国の国民の皆さんが一層喜び合う、そういう事態が現出するように念願してやまないんです。  中国と日本の関係は、基本的には安定的であり友好的である、これは不変であり、一向変わっていないと思います。もちろん、独立国家相互の間であり、国情も民情も制度も違うわけでございますから、その間には多少の違和感が起こることとか、不協和音も起こるでしょう。しかし、それらは日中の共同宣言あるいは平和友好条約あるいはその後の四原則、これを基本にして、かがみにして、そしてその基本的精神を常に堅持しつつお互いが調整し合っていけば不可能なことはない。私は現在も日中関係は基本的には極めて友好安定的であると考えています。先般定期閣僚会議が行われましたが、そのことは既に実証されていると考えております。  ASEAN諸国との関係では、先般ASEANの外相間の会議がございまして、日本の倉成外務大臣もシュルツ長官等と一緒に出席もさしてもらいましたが、その報告を聞いてみますと、やはり極めて安定的であり友好的である、また日本に対して期待している向きも非常に多い。それで、十二月にASEAN首脳会議が久しぶりに、十年ぶりか十五年ぶりに、十周年記念か十五周年を記念して開かれる由ですが、日本の総理大臣を迎えてもよろしいというような気分が中にあるやに聞いております。これらは、やはり日本とASEAN諸国との友好関係を示している一つのことではないかと思うのであります。  アメリカとの関係では、経済摩擦の大きな問題があり、最近は東芝事件というものもございますが、これらは一つ一つ着実に解決しまして、そうして基本的に友好であり、かつ極めて強力な提携をやっておるアメリカとの関係というものが安定的に推移し、協力関係を増進するように今後も努力していくつもりでおります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理、私が言いたいのは、総理が展開をしてこられた外交、そして日本の内政、この日本の内政から出発をした外交、これが首脳部同士ではうまくいっているように見えるけれども、周辺諸国の国々の国民からは余り共感を持たれていないのではないですか、こういう点を総理の見解を聞いたわけでありますが、次の問題で伺いたいと思います。  総理は、先般のベネチア・サミットで、ソ連のアジア部に残される見込みの中距離核戦力、INF、この百弾頭に対抗して、米国もアラスカに同数のINFを配備してはどうかと提案をされたというふうに言われています。本会議でも総理はそのことについて得々と述べられたわけでありますが、これは日本の総理大臣にあるまじき発言だと言わざるを得ないのであります。特に私は広島の出身としてこの発言を見過ごすわけにいかないわけであります。  まず第一点は、日本は核兵器の最初の被爆国として、非核三原則を国是として決定しています。つくらず、持たず、持ち込ませず、この三原則というのはこれは日本の国是であると同時に、世界に対してもその方向で日本は対処する、これがこの三原則の理念であろうと思うんです。その日本の総理が外国に向かって、どこそこにINFを何発配備、こういうふうな主張をされるということは、これは日本の非核三原則との矛盾を総理はお感じになりませんか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) アラスカ云々という私の発言は、これはサミットにおきまして、INF、ソ連のSS20とアメリカのパーシングⅡあるいはクルージングミサイルとの縮減、廃絶の話がいろいろありましたときに私から出た言葉でございますが、これは、シベリアにソ連が百のSS20を置こうという考えがある場合に、それをどうしてもやめさせなければいけない。それをやめさせるためにアメリカがソ連といろいろ交渉をいたしますが、それをやめさせるための交渉の一つの材料として、もしソ連がそういうようなことであるならば、アメリカの方もそういう権利を留保して、そして両方でゼロにする、そういう交渉のカードとして私はそれを許容した、そういうことなのでありまして、それは積極的に置いてくれという話ではない。ソ連のシベリアにおける百のSS20をやめさせるための交渉の材料としてそれを許容した。目的はあくまでINF、中距離核戦力をゼロにするための、その目的のための一つの手段として私は発言した、そういうことなので、誤解のないようにお願いいたしたいと思うのでございます。  日本はあくまで非核三原則を堅持していることは言うをまちません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 本会議での御発言と大分トーンが静かになってきているような感じを受けるんですがね。  レーガン大統領は、総理の許容されるという発言に対して反応はいかがでしたか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は日本の考え方を述べた中にそういうことを言ったので、そのときにレーガンさんは別に発言するということはございません。静かに聞いておったように思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 なぜアラスカという発想に立ったわけですか。アラスカという地名を指定された意味を伺いたいんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これは、レイキャビクでレーガン・ゴルバチョフ会談が行われて、核兵器をやめようという話をしましたときに、その幻の合意と言われたものの中に、ソ連がシベリアに百置くならば、アメリカはアラスカも含めて米本土に百置く権利を留保する、そういう話がありまして、そしてそれが両方ともゼロにするという交渉の材料になっておった。それがいわゆるレイキャビクの幻の合意と言われた話し合いなのです。そういうものが根底にありまして、その話し合いは今も継続しているわけでありますから、ゼロにするという目的を達成するためにはそういうアメリカ側の発言を認めるということもやむを得ない、そういうふうに私は考えて言ったわけであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理は衆議院の予算委員会で、このアラスカへ配備ということの地理的なあるいは軍事的な意味について、何か具体的にソ連の基地名まで挙げて説明をされたという報道がありましたが、もう一回その点を伺いたいんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) それは、民社党の吉田議員から質問がありまして、アラスカに置いてもソ連には届かないじゃないか、そういう話がありましたから、いや届かないということはありません、カムチャツカ半島あるいはそれから先まで届きます、そういうふうに申し上げたのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理の主張は、核戦力の抑止と均衡、こういう立場に立って、いわゆる目には目、歯には歯を、こういう立場でありますけれども、そのことは、核が配備された地域は双方の核の標的になる、このことを意味しているわけであります。  かつてNATOにおいて、パーシングⅡと地上発射巡航ミサイルの配備を決定した一九七九年以降、NATO諸国の国内での反核運動というものが燎原の火のように広がったわけであります。それは、それぞれの地域が核の配備によって逆に核の標的になることに強く抵抗したからであります。総理の論法でいった場合に、総理が許容したと言われるアラスカに百発ということは、アジアのためにアラスカが今度は逆に標的になれ、こういうことに通じるわけであります。総理はアラスカの住民に対して自信を持って説得することができますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は日本の政治家で、アメリカ人を説得するという責任も何も持っているわけじゃありません。私が申し上げたのは、レイキャビク会談におきましてレーガン、ゴルバチョフの間でそういう話が交わされておる、そういう情報を私は聞いております。  そういうわけで、シベリアの百を消そうと、そのためにもアメリカは一生懸命努力しておる。それに対する、シベリアの百というものを置こうという場合に、今の核軍縮の交渉のやり方を見ると、同じもの、Aに対してはAでゼロにする、Bに対してはBの兵器でゼロにする、あるいはICBMに対してはICBMで五〇%に減らす、そういうふうに同じカテゴリーの兵器同士で均衡とそして削減、そういう方向で軍縮のパターンは進んでいるわけです。でありますから、SS20に対してはクルージングミサイルとパーシングⅡ、そういうカテゴリーが決まっておりまして、そしてSS20をやめさせるためにはそれを相殺する対抗要件が要る。これが均衡による削減という現在のこの軍縮のやり方なんですよ。  ですから、核兵器がないということがもう我々の一番希望していることです。しかし、それをなくすということは、そういう有効な話し合いの根拠と材料を持たなくては実現ができないんです。単に願望を言っているだけであり、私はそれを望みますとか、そうでありますと演説するだけで核兵器はなくならないのです。だからこそジュネーブの軍縮交渉は今までも長引いており、レーガン・ゴルバチョフ会談がことしの秋行われるであろうと予想されながらも、まだ外相会談が行われない。それはそういうものの話し合いの詰めを今ジュネーブその他でやりながらまとまらぬところがあるからそうなっているわけでしょう。それはAに対してはA、Bに対してはB、その話し合いでやっているわけなんですよ。  ですから、やはり軍縮や核兵器の廃絶という問題については、我々の願望や我々の理想や我々の理念というものははっきりしていますけれども、それだけではなくなるということにはならないんです。やはり現実にどれに対してはどれをなくすというものがなければ軍縮は成功しないんです。そういう現在行われていることに対する冷厳なる認識とそれに対する対策というものを持たなければ政治にはならないのであります。少なくとも政権を持っておる政府の責任ある考え方というものは、今のように均衡による削減という形で進められているその世界の軍縮のやり方、そのやり方に沿った考え方で、これをいかに我々の理想を現実化していくか、我々の念願を実現していくかということで苦心惨たんしておる、そういうことを申し上げるのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私は日本の政治家だからアラスカの住民には責任はないと言われるのであれば、アメリカの核戦略のことには口を挟まなければいいんで、およしになった方がいいんですよ、その発言は。  私はごく最近、アメリカの軍備管理軍縮局の副長官のエメリーさんと会見をしたわけであります。これは私だけではない。自由民主党の安全保障、国防関係の重要な人も同席をされていたし、あるいは他の野党の方も同席をされていたわけです。このエメリー副長官と軍縮問題でいろいろ意見を交換いたしました。そして、INFの長い複雑な交渉経過につきましても説明を受けたわけであります。  エメリー副長官はこういうふうに言っていました。今INFの交渉につきましては、この交渉が始まって以来一番合意に近い状態に至っている、アメリカとしてはあくまでもダブルゼロを目指す、こういうふうに言われているわけであります。その話を聞いて私が感じたことは、長い複雑な交渉の積み上げの中で突然日本の総理からアラスカ配備を言われても、この交渉の過程では入り込む余地はないという印象を受けたわけでありまして、エメリー副長官も、総理のINFアラスカ百基配備、このことが話題になったときに、アラスカはアメリカの領土でありますから、必要があればいつでも配備をする権利をアメリカは持っておりますと、こういうふうに答えておりますが、そういう状態の中でも、エメリー副長官は、アラスカにINFを配備する考えは全く持っていない、こういうふうに明確に答えているわけであります。このことは、中曽根総理が力説をされるシベリアの百基に対抗するにはアラスカに百基、こういう交渉のカードはアメリカは全く考えていない、このことをエメリー副長官は明快に答えておられるわけであります。  総理の言うところのアラスカ配備が対ソ交渉の切り札、カード、これはアメリカの当事者、副長官は全く考えていないということで、総理の独断、ひとり歩き、こういうことではないんでしょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) そんなことはありません。それはレイキャビクにおきまして大統領と 書記長が直接話し合ったその話し合いの中にそういう問題は含まれている。ソ連がシベリアに百置くならばアメリカはアラスカを含むアメリカの本土に百置く、そういう形で話はあった。そういう形で大統領と書記長が話し合って、だからゼロにしようと、そういう方向に話があったわけです。でありますから、私はゼロにすることがぜひ実現するようにという願いを込めて今のような発言をしておるので、アメリカが今後どうするかということは、これからいろんな結果を見た上でアメリカが判断をすることでしょう。  今の、エメリーさんかどう言ったか私は知りませんが、それは最高責任者の責任ある発言ではない、そう私は思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 レイキャビクは去年のことなんです。私が会ったのは軍備管理軍縮局の副長官のエメリーさんです。各党代表で会ったんですから、これは間違いのない事実として総理に申し上げておきたいと思うのです。余り総理も、一遍言ったことだからって、引っ込みがつかないということで力まない方がいいと思うんですよ、これは国際的にまた物議を醸すことですから。  総理は先日の所信表明の中で、「私は、サミットにおいて、先般決定した緊急経済対策について説明を行い、各国首脳から高い評価を得ました」、こういうふうに述べておられるわけです。しかし、これは余りにも手前みその評価ではないんでしょうか。今回の緊急経済対策というのは、アメリカを初めとした西側諸国から非難の的になって厳しい是正を求められている一千ドル近い貿易の黒字、経済摩擦によってサミットが、つまり総理自身がジャパンバッシング、袋たたきに遭うのを避けるために緊急対策として打ち出したものでありました。本来ならば、これはかねてから強く求められていたことであって、我々が本予算を審議する段階からその必要なことは議論されていたわけでありまして、むしろこれは、各国首脳から高く評価された、こういう表現をされておりますけれども、政策的に言えば遅きに失している、こういうことではないんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 別に自画自賛しているわけじゃなくて、ベネチア・サミットの経済宣言をお読みいただけば、二十番目ぐらいの項目に、我々は日本の今回の措置を歓迎する、そういうことが書いてあって、日本という名前が出て、我々は歓迎するという言葉があった。ほかの国の人から、なぜ日本だけをここへ出すのかというので若干クレームがついて、大論争をやったことがある。しかし、ついにその言葉は残されて、我々は日本の最近のこの措置を歓迎するという言葉は経済宣言に載っております。これはやはり評価されているからそういうことになっておるので、別に自画自賛ではない、ちゃんと経済宣言をお読みいただけばおわかりになると思うのであります。  それから経済政策につきましては、私は、いずれ補正予算で内需拡大の措置は必要である、そう感じておりました。しかし、一月以来景気の状況そのほかを見まして、補正予算による内需の刺激策というものを早目に持ってくる必要がある、そういうわけで、いつもなら九月過ぎに緊急政策、経済対策をやって下期の低落を防ぐ措置をやったのでございますが、ことしは緊急措置として繰り上げまして、そして七月に今補正予算の御審議をお願いしている。これは景気の状況その他を見まして総合的に判断をして、そして経済は生き物でありますから、生き物に相応するように対応している、こういうことであると御理解願いたいのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 大蔵大臣に伺います。  今回の補正予算でありますけれども、臨時行政改革推進審議会に諮問までしてその答申をもらって、さらに六十三年度予算の準備に今入っておられるわけでありますが、今回の補正予算、そして先般臨時行政改革推進審議会から出された答申に基づいてこれからの六十三年度の予算を準備されているわけですが、これは今までとってきた緊縮路線、昭和六十五年度までに赤字国債依存体質からの脱却、この旗印を掲げた路線を積極型に転換する、こういう意味を持っているわけですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 現在でも一般会計における国債費が二〇%でございますので、財政の弾力性が甚だ欠けておりますことは以前と変わりがございません。したがいまして、財政再建というのは、将来を考えますと、財政至上主義というような意味でなく、どうしてもやっておかなきゃならないことだと思います。同時に、内外の情勢のもとにこのような補正予算を決定いたしまして、御審議を願っておるわけでございます。現在の日本の問題は、一度だけの補正予算でどうこうなるという問題だとは思っておりませんで、前川リポートも言っておりますとおり、かなり長い間の努力を必要といたします。財政もまたそのために全力を挙げなければならないと思いますから、いわば二律背反の中での仕事ということには変わりがございません。  願わくは、そのようなことで、我が国の経済が少しずつ上昇を始めて、そして持っております潜在力をもう少し成長の上に発揮することができますれば、財政もまた税収等の形で受益をすることができると思いますので、そのような経済運営に持っていくことができますならば、このいわば二律背反した問題を片づける、処理する方向に向かっていけるのではないかということを思っております。  そのような意味では、六十五年度赤字公債依存の体質から脱却するという目標は努力次第、今この看板をおろすということは好ましくないことでもありますし、また、まだまだ我々の努力次第ではいろいろに展開をしていく可能性がある、こういうふうに考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理に伺いたいんですが、総理は五月にアメリカへ行かれる前に、臨時行政改革推進審議会会長談話、こういうものを求めて、これと自民党の緊急経済対策を持ってレーガン大統領のところへ行かれたわけで、そして今度の予算審議の前に臨時行政改革推進審議会から当面の問題についての正式な答申が出された。この一連の行政改革推進審議会に対する対応とこれからの補正予算、そして今宮澤大蔵大臣が言われた、一回限りの対策ということでは済まないというこのお話とを合わせると、これは中曽根総理としては、今までの緊縮財政が内需の停滞を招いた、こういうことから積極型にハンドルを徐々に切りかえていくその一つのステップに今回考えておられるのじゃないか、こういうふうに受けとめていいのかどうか。いかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 従来から行財政改革を続けてやってまいりまして、その成果は実はいろんな形で上がってまいりました。制度の上で、あるいは物の考え方の上でいろいろな成果を上げてきたのでございます。例えば、今回の補正予算でNTTの株式の売却代金の問題について御審議を願っておりますが、これなども行財政改革の結果、過去の国民の努力による資産をこれからの国づくりに使っていけるということになったわけでございまして、国鉄についても同じことが申し上げられるかと思います。  そのような行財政改革の成果の上にこれからいろいろな施策を展開していこうというのでございますから、その間に何か政策の転換があったと申しますよりは、やはり五、六年間の努力は努力としてその成果を結びつつあって、その上に内外の情勢に対応していこう、こういう考え方であると御理解をいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣が申し述べましたとおりでございますが、政府は、臨調あるいは行革審の意見を最大限に尊重して、今まで行政改革あるいは財政再建に努力してきたところでございます。それで、この成果はかなり上がってきていると思います。一般会計における公債依存率も、昭和五十七年にはたしか三〇%近くありました。それが一九・四%に落ち、今二〇%台にまたなっている。たしか二一・何%ぐらいになっている。これは昨年の補正予算等の影響もあってそうなってきておるわけでございます。  しかし、最近の情勢その他を見まして、緊急政策をやる必要が出てきておる。そういう事態も三、四月ごろから考えておりまして、それで緊急政策をやるというのは、ある意味における若干の今までの政策の修正でもあります。したがって、そういうことをやる場合には、今まで努力していただいてきた行革審の皆さんのお考えを聞き、しっかりとした方針をお決め願って、それを政府は尊重してその線でやるというふうにやることが財政の安定、政治の安定、そういうことのために必要である。政府だけが勝手に独断でこうなったからこうするというふうに安易にものを動かしてはいけない。特に、財政を膨張させよう、そういうような場合には、今まで切り詰めてきて、そして努力してくだすった行革審の意思というものを無視してやってはいけない。  そういう考えに立ちまして、政治というものがちゃんとめり張りのきいた正規の手続に従って厳粛に動いているということを示す必要があると私は考えて、政府だけで安易に独断にやらないというその先例をつくっておこう、そういうことで新行革審に対しまして御立見を求めまして、そして新行革審から正規の御立見が出されまして、それにのっとって今回の緊急措置というものを行い、補正予算を編成して御審議願っておるという形になっておるわけでございます。これは、従来の行政改革、財政再建の基本線の上に立ちながら、当面の緊急措置として、社会資本やあるいは公共事業について、これについては思い切った措置をやってよろしい、そういう見解をいただきまして、今回このようなことをお願いしておるわけなのでございます。  しかし、この措置というものは、あくまでも行革とか財政再建の延長線におきまして補修、補完的な措置として今行われておる。今大蔵大臣が申し上げましたように、このような公共事業とか社会資本の投下というような仕事は一年ぽっきりで終わるものではないし、終わったら効果が上がりません。そういう意味におきまして、状況を見つつ継続的に成果あらしむるように今後もそれはやっていいことであり、新行革審においてもそういう御見解をお持ちですから、政府はそういう立場で今後も検討していこう、そういうことなのでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総務庁の方に伺いたいんですが、昨年の六月十日に臨時行政改革推進審議会から出された「今後における行財政改革の基本方向」、こういう答申があるわけです。この中で、「行財政改革の道すじを巡る論点の検討」、こういう項目があります。ここで、行財政改革をめぐる論点を三つに整理されているわけですが、この第三の論点、これはどうなっているか御説明いただきたい。

佐々木晴夫総務庁行政管理局長

○政府委員(佐々木晴夫君) お答えいたします。  御指摘のとおり、昨年の六月十日に旧行革審の最終答申が出たわけでありますが、その際、「付論」といたしまして、行政改革、財政再建をめぐる論点が三つ示されております。第一が歳出の削減の限界論であります。第二が歳入の増強論であります。第三が積極財政の議論でございます。  その中で、第三のいわゆる積極財政論につきましては、そういう内需拡大のために積極財政論の要請があるということは認めながらも、「従来の制度や施策をそのままにして、積極財政に転換するだけで内需拡大を達成できるとは思えない。」「我我としては、「積極財政への転換」が、「増税なき財政再建」路線からの転換となり、ひいては行政改革本来の目的である制度・施策の抜本的見直しの努力の放棄を容認する結果を招くことがあってはならないと考える。」と。だから、そうしたようないわば従来の制度や施策の上に立ってそのまま内需拡大を達成する、積極財政をとるということであってはならない、行政改革はなお続けなければならぬ、このようなことを述べているわけであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 今説明があったように、前の行革審の答申は、最後に論点整理、こういうことでいわゆる積極財政論について全面的な否定をする立場の答申をされているわけであります。ところが今度の報告では、「財政運営に当たっては、その時時の内外の諸情勢に機動的に対応する必要がある。」、そして「内需拡大を図るに当たって、その起爆剤」、起爆剤と言っているんです。「起爆剤として財政面からの刺激が重要である。このため、政府は、既に公共投資の拡大等を内容とする緊急経済対策及び昭和六十二年度補正予算案を決定し、速やかに実施に移そうとしているが、昭和六十三年度においても、社会資本の整備を中心に引き続き財政面から対応する必要がある。」、こういうふうに述べているわけです。  そして、NTTの株の処分などについても、前回の行革審の答申では、これは国債の償還に充てるんだ、こういうふうに厳しく限定をされていたわけでありますけれども、今度はそれを緩めている。これはもう明らかに財政政策の軌道修正、こういう方向に向かっているんじゃないかとだれが読んでも前のと対比してみると受けとめられるわけですが、この点はいかがですか。

山下徳夫自由民主党総務庁長官

○国務大臣(山下徳夫君) それぞれのお立場から答弁がございまして、おおよそ私は尽きていると思います。  ただいまの重ねての御質問でございますけれども、申し上げるまでもなく、そもそも臨調の発足の趣旨からいたしまして、急激に発展する経済につれて行財政の組織が肥大化する、そこでぜい肉を落として国民の行政に対する負担を少しでも軽減しようというのが本来の設立の趣旨でございますから、その精神である行革路線の旗というものは今日まできちんと上げながら行革審、新行革審も来ているわけでございます。  ただ、そうは言いながらも、そのときどきにおいて急激な一つの変化が起きた場合には、やっぱりそれには対応しなければならぬ、それについては臨時緊急の措置もこれはやむを得ないだろう。そこで、そこのところを我々はとにかく新行革審――臨調から一貫して内閣はこれを尊重しなければならぬという立場をとっておりますが、そういう趣旨からいたしましても、臨時緊急の措置を適用いたしまして現在の内外の諸情勢に対応する、特に内需拡大について対応するということでございますから、その趣旨には私どもは決して逆らっているつもりはない。また今後とも、例えば特例公債、赤字公債等の速やかなる脱却等については我々はまた腹を据えて対処していかなきゃならぬし、あるいはまた機構の改革等についても進めていかなきゃならぬ、この基本路線は絶対変わっていない、この点は私どもははっきりと申し上げておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど二律背反云々ということを申し上げておったわけでございますけれども、いわゆる行政改革を指導されるお立場から考えましても、我が国が内外に持っておる問題というものは当然おわかりであるわけでございます。  ただ、そこでこのような財政の国債依存の体質というのはなるべく早く直していかなきゃならないという問題がございますから、その間いろいろにお考えになって、たまたま過去の努力の蓄積であるNTTの株式の売却代金がかなり大きい、定められました国債償還をいたしました後もなお余裕がある、そういうことであれば、これを社会資本に用いますことは財政に国債発行という形での負担をかけないで済むわけでございますから、そういう道をお互いが考えたと。  ただ、法案を御提案申し上げておりますとおり、これはNTTの売却代金の一部を社会資本のために無利子ではございますけれども貸し付けをいたしますわけでございますから、何年かたちますとそれは産業投資特別会計を通じて国債整理基金に返ってくるということでございまして、将来に向かってはやはり国債償還にそれが向けられるという基本的な建前は崩していない。ただ、かなりの余裕がかなり長い期間発生をいたしますので、それをこのような形で社会資本整備に使って内外の要請にこたえよう、こういういわば一つの何と申しますか、基本目的に反しない範囲で現在の内外の情勢にこたえようという、こういう努力 であるというふうに御理解をいただきたいと存じます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理、余りここは建前論にこだわらない方がいいと思うんですよ。新聞でも皆「首相に〝助け舟〟 自民内の空気にも配慮」、こうなっているわけです。もう一つは、「緊縮財政修正を容認 内需拡大への刺激必要」、こういう形でマスコミはみんな軌道修正へ入った、こういうふうに受けとめているわけですよ。そして、今十何兆円ある赤字国債の依存度が、あともう六十三、六十四、六十五と三年しかない中で、毎年三兆円なり四兆円なり赤字国債依存から脱却できるとはだれも思っていないんですよ。もしそんな予算を六十三年度あるいは六十四年度で組むんだったら今の補正予算の効果なんかはもう帳消しになってしまうでしょう。ここはもうあっさりされた方がいいんじゃないですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり行政改革の基本線はあくまで堅持すべきであり、行政改革を後退さしたりあるいは財政再建の理念を放棄するということは絶対許されないと私は思います。行政改革自体も私はこれは三代の内閣、十年の仕事である、そう言っておるので、やはり持続的に我我は営々と努力していかなけりゃなりませんし、財政にいたしましてもちょっと油断するというと各省からは要求が殺到してすぐ膨張してしまう、そういう形になりやすくなるものなのであります。常に引き締め引き締めていって、それで普通にようやくたどり着ける、そういうことなんです。  しかし、最近の情勢等も見まして、緊急措置は認められましたから、緊急措置として今のような社会資本あるいは公共事業を思い切って継続的にもやるという線を打ち出しました。これは基本線に対する応用的処理であります。応用問題である、政治が生きている物を相手にしていく以上は当然それは配慮すべきことなのでありまして、基本線は基本線、その上に立って応用問題としてこういうものを片づけていく、そういうふうに御理解願いたい。いわば二刀流ですけれども、しかし基本線というのは行政改革や財政再建の理念、政策をやっぱり堅持していく、そういうことであると御理解願いたいのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そういう二刀流のあいまいなことばっかり言われていることは、私は国民に対してまた迷いを起こさせると思うんですよ。  そこで、経済の問題であります。大蔵大臣、経企庁長官、日銀の総裁、大変御苦労さまですが、経済問題で伺いたいと思うんですが、大体最近、大蔵大臣もこの間どこか講演に行かれて景気の底は固まったと、こういう演説をされたというふうな報道があるわけでありますけれども、あるいはまた円高に歯どめがかかった、景気は底固めができた、こういう見方が強まっているようですけれども、大蔵大臣、経企庁長官、日銀総裁からそれぞれ今の状態について景気観を伺いたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 経済企画庁長官からもお答えがあろうと存じますが、大まかに申しまして、もともと消費は比較的底がたかったのでございますけれども、堅調さを持続しております。ただ、これが東京と地方にやはり格差がございますのは残念なことでございますが、まずまず堅調である。それから建築の新規着工は百五十万といったようなかなり高い水準を維持しておりますから、これは堅調だと申し上げることはできると思います。在庫投資でございますが、かなり従来在庫減らしが行われておりまして、これはやはり卸売物価がマイナスである、甚だしいときには卸売物価はマイナス一〇%まで参りましたから、こういう状況ではなかなか在庫の補てんは行われない、行えば損になりますので。しかし、これも為替の関係で卸売物価の下落もかなり、まだまだマイナスでございますが、小さくなってまいりまして、在庫補てんが行われ始めておるといったようなことから考えますと、まあまあ経済は底を打ったのではないか。  ただ、かと申しまして設備投資、非製造では、殊に第三次産業ではいろんな投資がございますが、第二次産業の設備投資、かつてのような重厚長大というようなわけにはまいりませんものですから、そういう意味ではかってのような急速な回復が期待できないとは思いますが、いわば床を打ったということを申し上げてもいいのではないか。為替もこれには関係をいたしておりまして、きょうは百五十三円あたりで生まれたと思いますが、先般サミットで各国の首脳が、これ以上の為替の大きな変動はお互いの経済成長、協調のためにいわば逆効果であるということから政策協調、その前にルーブルで共同介入といったような合意もございまして、そういうことも背景にいたしまして、いわばプラザ合意以来のドルの下落というものが、これ以上必ずしももう好ましいことではなくなったという合意ができたというようなことも背景になっておるかと存じますが、まあまあやや安定をしてきたのではないか。アメリカの国際収支は依然としてジグザグで。ございますけれども、これも幾らか好転、赤字の縮小の方に向かって、この年度のアメリカの国際収支の赤字は千五百億ドル台になっていくのではないかといったような観測も強く行われておりまして、そういうことからも為替にも多少安定要因があらわれたのではないかと考えております。

近藤鉄雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(近藤鉄雄君) 大蔵大臣からお答えがございましたので余り多くをつけ加える必要はないと思いますけれども、最近輸出は円高の影響で若干減少ぎみでございますが、内需につきましては、消費、住宅投資、大蔵大臣からお話がございましたように極めて堅調でございますし、民間設備投資も円高の影響を受けまして、製造業については停滞の面がございますが、非製造業は依然として堅調である。為替がこうした安定をしてまいりまして円高傾向が是正されてまいりますと、製造業関係の設備投資も後半は私は期待できると、かように考えておる次第でございます。こうした中で、企業の収益もこれも非製造業は好調でございますから、全体として依然として水準は低いけれどもしかしこのあたりで底がたさが見られる、こういうことでございます。  こうした状況の中で、緊急経済対策、この補正予算を審議いただきましてその間に実行、もう既に前倒しで始まっているわけでございますが、これに補正予算の審議をいただいて成立を見ますと、全体としてのムードがさらに一歩好転をしてまいります。それがまた為替にもプラスの影響を与える、こういうことでございますので、私どもは漸次経済は底を打ってこれから好転する方向にある、かように判断をしている次第でございます。

澄田智日本銀行総裁

○参考人(澄田智君) 日本銀行といたしましても、ただいま大蔵大臣及び企画庁長官が述べられましたこととおおむね同じような判断をいたしております。本年三月半ばから四月にかけまして一段と円高が進行いたしましたときには、これが企業の収益やマインド面にどのような影響を及ぼすか懸念をいたしたところでございますが、最近の状態を見ますと、円相場も一ドル百五十円前後、あるいは百五十円前半の水準で比較的落ちついた動きとなっております中で在庫調整が進捗をいたしておりますし、企業の円高対応努力も相当功を奏してきている。また、これまでの数次にわたる金融緩和措置の効果の浸透などもございまして、景気の流れといたしましては、地域間やあるいは業種間のばらつきはございますが、全体としては底固めが進みつつある段階であるといってよいのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  こうした中で、今後は政府のおとりになる緊急経済対策により相当の需要の追加も期待され得る状況であるわけでございます。もちろん輸出関連業種においては設備や雇用面の調整が尾を引いておりますし、これが経済全体に及ぼす影響については十分注意をしていかなければならないというふうに思っております。しかし、為替の安定が得られます限り、今後、緊急経済対策の効果の顕現もございまして、下期にかけては内需を中心に着実な景気回復が展望し得る状態になってきているのではないかというふうに判断をいたしておる次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 経企庁長官に伺いたいんですが、経企庁長官は、先般の本会議でも経済成長三・五%達成可能、こういう強気の見解を出されているわけですが、最近、民間機関の経済改定の見通しが大体出そろっているわけであります。すべて経済成長見込みは三%以下、政府並みの三・五%という見通しを立てているのは大和証券ぐらいで、あとは全部三%以下、こういう状態になっているわけであります。緊急経済対策の成長への寄与度についても〇・二%ないし〇・六%、成長率は二・三ないし三・二、そして今度の緊急経済対策の黒字減らしへの効果は百億ドル前後、そして円レートは百三十七円五十銭から百四十八円の間、こういう見通しが民間の各研究機関から発表されているわけですが、政府の経企庁長官の見通しは少し楽観的過ぎる、甘過ぎるんじゃないですか、これは。

近藤鉄雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(近藤鉄雄君) 御指摘のとおり、民間の調査機関が最近いろいろな見通しを発表しておりますけれども、大体先生がおっしゃったような三・五%以下の数字を出しているようでございますが、少数意見としてはGNP成長三・七という数字を出しているのもございます。民間の機関と私どもの政府の当初見通しとの大きな違いは、各民間調査機関とも民間消費については大体我々と同じぐらいの線を出しておりますし、また民間住宅投資についてもこれも好調の見通しを立てております。違いますのは民間設備投資でございまして、これが私どもが年初に発表いたしましたときは、為替レートを大体百六十円の前半ぐらいで考えておったのが、これが現在の状況でございますので、民間設備投資の伸びについては私よりも多少控え日な見通しを立てておる、こういうことでございます。  問題は、そういう状況の中で結局私どもの予想しておるような経済成長を達成するか否かのポイントの一つは、この民間設備投資がどれだけ回復するかということが一つと、それから円高の進行に基づきましていわゆる輸出入のバランス、いわゆる経常海外余剰がどういう動きをするか、こういうことでございますが、民間設備投資については、先ほども申し上げましたように、円高の是正が進みますと私は後半民間設備投資の回復が見られる、こういうことでございますが、足りない分をまさに緊急経済対策で相当な内需拡大策を講ずる。したがって、見通しから民間設備投資のマイナス分を政府の積極的な財政支出によって補う、こういうことでございますし、これが円高に歯どめをかければ、それがまた経常海外余剰の問題についても影響を与える。  率直に申しまして、昨年の見通しが大きく外れましたのは、内需は私どもの予想どおりの達成をしたわけでございますが、急激な円高でいわゆる外需要素が大きくマイナスになった、こういうことでございますので、この点はこれからの為替レートの動きとの絡みで多少まだ不安定要素が残りますが、しかし私ども、緊急経済対策が的確に実行されるならば三・五%のGNP成長率は達成できるものと、かように考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 最近政府の見通しが当たったためしがないんですよ。余り外れる見通しばかり国民の前に出していると、迷惑するのは国民なんですから、この点はひとつよくよく考えていただきたいと思うんです。  税金の問題で総理に伺いたいと思います。  今までの総理や政府の税制改革、かれは所得税の減税をまずやる、そして直間比率の見直し、是正、こういうことが基本であったわけですが、今度はマル優の廃止、このことを非常に強調されている。税制協議会で協議されているさなかに総理はベネチアに行って国際的な場でマル優廃止を約束してくる。これは国会での審議の経過というものを全く無視した態度だと思うんです。  昨年の十月の税調答申、そしてその後の政府・与党の税制改革構想と今度の所得税の減税財源としてマル優制度を廃止する、この方針とは大きく変わってきているわけですが、なぜこのように変質をしたのか、まずその点から伺いたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) まず、政府が一貫して申し上げておりますことは、思い切った減税をやりたい、やらせていただきたい、こういうことでございまして、その思い切った減税をやるについてはやはり一年ぽっきりというわけにまいりません。毎年それは減税で続いていくわけですから、恒久財源の手当てをしないとそれは難しい。そういうような考えから恒久財源の一つにマル優というものも考えてそういう法案も提出したわけでございますが、これが議長さんのごあっせんのもとに税制協議会で今いろいろ議論されておる、こういうことでございますから、税制協議会の結論を今見守っておる、そういうことでございます。  ただ、私がベネチア・サミットにおきまして申しましたのは、外国の大蔵大臣や外務大臣等から、日本は貯蓄優遇税制をまだ続けている。世界の国で日本ほど国民全般にあれほど大がかりな貯蓄優遇税制をやっている国はない。少額のものを特殊的にやっている国はありますが、国民全般に認めているという国はない。あれはどっちかといえば一種の経済摩擦の原因になっておる。貯蓄がどんどんどんどんたまっていくから結局円高の要素になって、そしてほかの国が困るんだ。だから、日本も国際水準並みにぜひ早く戻してもらいたい。そういう議論があったわけで、言いかえれば貯蓄に補助金をやっているようなものだ、そういうようなていの話もあったわけです。  この制度は、実は我々の方でもいろいろ調べてみますと、昭和十六年以前から貯蓄組合等についてそういう制度を持っておったのを、昭和十六年の太平洋戦争と同時に大改正をやって、そしてかなり思い切った貯蓄優遇制度に入った。戦時中の国債を消化するための国債消化政策としての貯蓄増強運動としてこれが行われたわけです。戦後はしかし、今度は社会資本を充実させるためにやはり貯蓄が要るというのでそのまま続けられてきておりましたが、これだけ日本の経済力が大きくなりますというと、日本だけがそういう外国に例のないような制度をやっておるということに批判が出てきたわけです。そういうような面から見まして、この批判にこたえることをしなければならない、そういうふうに我々は考えておるところでございます。  しかし、社会的に弱い方々、御老人であるとか、あるいは母子家庭であるとか、身体障害者であるとか、恐らく千五百万から二千万人ぐらいに及ぶそういう方々には、そのままこれは認めて残しておく。しかし、国民一般というものはこの際改めた方がいいのではないか。現在はあの貯蓄優遇制度というものはお金持ちに悪用されて、相当な口数、相当な金額がそのまま税なしに逃れて安穏に行われておる。そういう面をやはり不公平税制是正の一環としてもこの際はやるべきである、そういう考えにあったわけであります。  しかし、今税制協議会においていろいろ議論がなされておりますから、その落ちつき先も今見守らせていただいておる、そういうことなのでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理、私が聞いているのは、総理の税制改革の国民に向かっての説明がその場その場で変わる。そしてそれが非常に混乱を起こしているわけです。  もともとの打ち出し方は、直間比率の是正をやるんだ、そしてシャウプ勧告以来続いている直接税中心の日本の税制を間接税に比率を移していくんだ、これがあるときの総理の説明であったわけです。またあるときは、所得税の重税感を持っている国民に対する減税財源として売上税を導入するんだ、減税のためにやるんだ、こういう説明になったり、そして今はまたマル優制度について説明があったわけでありますけれども、総理が主張された税制改革というのは、直間比率を是正するんだというのがもともとのスタンスであったわけでしょう。それをなぜ今度はマル優という形で直対置、こういう形でやろうとされるのか。そういう形でやるとすれば、これは所得税を納めているサラリーマン諸君や勤労者の皆さんの減税を、お年寄りなど非常に所得の乏しい人たちの今後の不安に備えてのささやかな貯蓄、その利子で賄っていく、こういう階層的に見ると非常に変な税制改革、こういうことになるんじゃないですか。直射直という考え方にいつ変わったんですか、これを聞いているんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の税制改革の基本理念というものは、前から一貫して申し上げておりますように、シャウプ税制が行われてから三十数年たっております。その間に日本経済は大きく変貌し成長しまして、その間に税の間のゆがみとかひずみとか不公平感というものが非常に出てきた。特にサラリーマン層、中堅サラリーマン層においては重税感が非常に出てきておる。このゆがみやひずみや重税感をぜひとも直す必要がある。そういう意味においてシャウプ税制勧告以来の大改革をやりたい。  したがって、第一は減税であります。つまり重税感やゆがみやひずみを直すという面のその一つは、サラリーマンを中心にする減税によって重税感を解消し、ゆがみやひずみを直そうというのがまず第一であります。  それからもう一つは、余りにも直接税に偏り過ぎている。これが重税感の原因でもある。したがって、直接税と間接税の比率を少し変えて間接税にも薄く広くお願いをして、その分だけ直接税の減税をやろう。すなわち所得税や住民税の減税をやろう、その財源としても売上税というものが必要である。そういうことを申し上げて、直接税すなわち所得税や住民税の減税のための財源として売上税をお願いした。そういうことで一貫してやっておるわけでございます。  もちろん、そのときにこのいわゆるマル優問題というものについても、何しろ二百八十兆という、国民の皆さんが貯金している金額の約七〇%というものは税金がかかっていない。そういうような情勢では非常な不公平が行われている。つまりお金持ちの人が相当税を逃れているという現象がある。それを直すことがやはり正義に合い、公平を維持するもとである。ゆがみ、ひずみを是正するというもとでもある。そういう意味においてもこの問題が取り上げられてきておるというふうに御承知願いたいのでございます。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。安恒良一君。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 マル優に限って総理に問いただしたいんですが、今も総理は、貯蓄がたまるから円高になるとか、外国からいろいろ批判があると言われましたが、今外国から批判があるのは税制の批判というよりも金の使い方じゃないでしょうか。国内を需要不足型経済にして、余った金がどこに行っているか。ニューヨークでビルを買ったり土地を買っている、そういうことで買いあさりに狂奔する。国内ではそれが土地や株に踊る。いわば本当にお金を生かして使っていない。ところがこれを総理は、すりかえているのか、間違っているのか、もしくはこのマル優廃止をどうしても実現したいというあなたの野望のためにこの外圧を利用されているのじゃないかと思いますが、これは全く私は見当違いだと思います。  この点について見解を求めると同時に、例えばアメリカならアメリカが本当にマル優を目のかたきにすることが、総理、できるんでしょうか。米国の財政赤字を救う役割を日本の高貯蓄制度が果たしているんじゃないですか。例えば米国の国債、財務省の証券の引き受けを見れば、これはもう歴然としていますね。ですから、本当にそういう外国の批判に対してあなたや日銀が的確な反論をしているのかどうかということを私は大変心配するんです。すなわち貯蓄と投資のバランスの経済論理からして、貯蓄をどうして生かして使うのか、こういうことが私はポイントだと思うんです。ですから、その貯蓄を目のかたきにして、貯蓄を減らす方向に政策を転換していいんでしょうか。我が国が二十一世紀に向けて高齢化社会を迎える。こういうときに、中長期的な経済政策運営を困難にするんじゃないでしょうか。現実には、マル優批判をしているアメリカが非常に低貯蓄である。今日アメリカ経済の行き詰まりというそのことから考えますと、総理、あなたはいわゆる米国型でいいと思っておられるのですか。  その二点についてお答えください。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は貯蓄を減らしていいなどとは言っておりません。外国から批判を受けているのは、特別に国民に優遇をしているというその制度が国際水準から見てよくないからぜひ改めていただきたい、そういう制度があるから結局お金が貯蓄の方へ行って消費に回らない、消費に回らないということが内需が起こらないでそれが輸出にどんどんどんどん圧力として出てくる、それを外国は言っておるのであります。  私は、そういう面から見ますと、日本が経済大国、経済国家としてこれだけ大きな国になっているわけですから、やはり外国相応の水準の制度にしていかなけりゃならないと思うんです。そういう意味において、経済摩擦の原因として批判をされているものは、直すべきものはやっぱり直すべきである。しかし私は、それを直したからといって、じゃすぐ日本人が消費に向かうかというと、外国人が考えているほど消費に回るかどうか疑問だと思います。やはり日本には日本の特有の環境がありますし、社会秩序や精神上のいろんな特異性もございます。そういう意味におきまして、外国から言われて直したからといって、すぐそれへ変わるとは思いません。しかし、少なくとも外国から指摘されて批判されている制度それ自体は改めておく必要がある、外国からは文句を言われないような制度にしておく必要はある、そういうふうに私は考えておるのでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 制度を外国は批判しているんじゃなくて、今あなたが言われたように、貯蓄された金がどう使われるかという経済政策がされているんです。これはもうこれ以上時間がありませんので言いません。  それから、私どもは野党全体を含めまして、マル優を存続させる、限度管理を厳格にやる、それであなたがおっしゃった悪用者を締め出す、これのカードシステムを言っています。ところが総理はこれを、衆議院では、他人の懐に手を突っ込むやり方と言われましたが、米国では、総理も御承知のように、社会保障番号を利用してキャピタルゲインの税金を約九割方把握しています。ですから、カード方式を非難するのは、いわゆる我が国におけるブラックマネー、それからキャピタルゲインなどマル優以外の分野が把握されることを恐れているのではないでしょうか。それはなぜか。マル優の限度額、九百万円であります。ところが、国民の大多数の貯蓄はこれ以下なんであります。ですから、カード制をやることを国民は懐に手を突っ込んだなどということは感じておりません。ですから、総理が、ためにするためにこういうことを私は言われていると思う。  すなわち、それならば私は聞きたいんですが、数年前に政府が成立させたグリーンカード、あれは人の懐に手を突っ込んで無理やりに税金を取るためにあなたたちは出されて、可決決定されたんですか。そうじゃないでしょう。もしもそうだったら、これはそうだとはっきり言ってください、あれは懐に手を突っ込むためにやったんだと。そうじゃないとすると、類似のカード、グリーンカードの方はこれはいいんだ、ところが今我々野党側が言うと、これは悪いんだ、こういうふうにそのときそのときにおいて詭弁を使われてはかないません。これは全く国民の心理を逆用する総理の態度だということで、私はあなたのあの発言を聞いて心から非常に憤りを感じているんですが、この点どうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) この前、グリーンカードをやるということで法律が通りましたら、相当貯金が逃げまして、それが物に移ったり株式に移ったり、あるいは貴金属、宝石等に移ったりいたしました。これはやはり相当な不正が行われておって、危険を感じたからそういうことになったんじゃないかと思います。これは大変だと、そういうことになりまして、そこでグリーンカードはやめようということでやめたわけです。特にこれは民社党の春日一幸さんが大きく声を発せられまして、我々も同感だ、そういうことでグリーンカードをやめたのは御存じのとおりであります。  じゃどれぐらい不正に利用されているかわかりませんが、社会党の税制に関するパンフレット、最初出たのを読んでみますと、あれで七千億円ぐらい脱税しているのをつかめよう、そういうふうに七千億円が計上されておりました。それは、脱税している分を税金として七千億取るということは、それほど膨大なお金が、もっと何倍、何十倍というお金が貯蓄されて不正に利用されているということを意味するでしょう。現に二百八十兆ばかりのお金が無税のまま優遇されてそのままになっておるという現象は、そういうことではないかと思うんです。ですから、結果的に、ああいうようなカード制度というものでやるということは、結局はひとり歩きしてきまして、そして個人の収入あるいは生活というものを究明するという形にどうしてもなってしまう、日本の場合は。これは結局は、あのグリーンカードをやろうということでみんながお金を持ち出して逃げた、貴金属や株や土地に逃げたという点を見ると、懐へ手を突っ込んでこられた、そういうふうな印象を我々は持ったんですよ。  ですから、そういう形によらないで、むしろどの人もみんな二〇%納めてください、しかし社会的に弱い方々である老人とか、あるいは未亡人、母子家庭の方あるいは身体障害者の方はどうぞマル優をそのままやりましょう。しかし、それ以外の人は二〇%納めてください。そうすれば追求も何もいたしません、不正ではなくなります。制度上そういうことが合法的に認められますから、平穏、公然とそのままお続けくださいと。ただし利子の二〇%税金は出してください、そういうふうな制度の改革をやった方がお金も逃げないし、またみんなも気分が明るくなる、そういうふうな感じで私は申し上げておるわけなのでございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 あの当時逃げたのは、一般庶民が金を買ったり株を買ったりしたんじゃないんですよ。マル優の限度額を超えていると思われる人がやったことである。でありますから、あなたが言うように他人の懐に手を突っ込んで無理やり取るなどという表現は全く当たってないんです。今回でも問題になっているのは、そういうお金持ちの人は大変問題視するでしょう。しかし、そうではない。  そこで、最後に総理に聞きますが、いつの間にやらあなたは不公平税制の最たるもの、いわばマル優というものが不公平税制の親玉と言わんばかりの発言を盛んにしていますが、しかし昨年の十月の税調の答申に、どこにそう書いてありますか。マル優が不公正税制の最たるものとは一つも書いてありません。また、いわゆるクロヨン、不公平税制の是正、給与所得者と事業所得者の是正、これが挙げられています。ところが総理は、この国会になりますと、全く自分の御都合でマル優を不公平税制の最たるものに仕立て上げてしまいました。これの改正を振りかざしています、あなたは。そして、十月までの存続期間、党内の主導権を握りたい。どうもまことに総理のやり方は見え透いていますね。それだけでは税制改正の手順、方法を私は誤ることになる。あなたが売上税の失敗をしたのも手順、方法を誤ったから大失敗をしたんです。  あなたがこのマル優、こういうものが不公正税制の最たるものであるということを示して、そしてこれで是正されようということになると、またあなたは同じ過ちをこの国会で繰り返されるのですか。私は、マル優改正というのが税制改正の王手であるというような言い方は認められません。この点どうですか、総理。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 土光さんの時代の臨時行政調査会が増税なき財政再建という定義をしましたときに、増税とは何ぞやというそのときの定義の中で、国民所得に対する国民負担の割合を現状以上にふやさない、その範囲内であるならば新しい税目をつくっても、今までのものの中で率を上げても、あるいは自然増収があっても、それは国民負担率を上げたという形にはなりません、不公平税制の是正ということはその中に入っている仕事ですと認めてくだすった。そのときの議論の中で、不公平税制の中に何があるかという場合にはいろんなものがありました。クロヨンとも言われ、トーゴーサンとも言われたが、マル優の不正利用というものもあったんです。マル優の不正利用というものを征伐するということはこれは不公平税制の是正の一つである、そういう議論が実はあったんです。私はそれを、臨調を担当しておった大臣でもあり、かつまたその後総理としてずっとそれは注意深く見詰めてきましたから、知っているわけです。  ですから、社会党の方が、さっき申し上げましたようにパンフレットで七千億円も脱税している、それをカードでつかめようと。七千億円も脱税が行われていること、これこそ不公平税制じゃありませんか。そういう税制を改めて、みんなが税金を納めるようにした方が公平だと、そう考えておるわけです。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 私たちは脱税をそのままにしておけと言っているんじゃないんですよ。それは管理を厳重にすればできる、カード制でやればいい、こう言っていますから、誤解がないように。  もう時間がありませんから、また私のあしたの時間にやります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 田村通産大臣、お待たせしました。  訪米は大変御苦労だったと思いますが、事は重大な問題ですから、ひとつ今度のワシントンに行かれて政府、議会の要人と会われたその内容について、また、日本側としてどういう対応策を先方に示されたのか、まずその点から伺います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御承知のように、東芝機械のココム違反、特に我が国の国内法に対する犯罪行為について米側が報復制裁措置に出る、しかも東芝機械だけでなしに東芝グループ全部を対象にするというようなことでございましたから、もしそういうことになったら大変なことになりますから、私は、国会開会中、特に衆議院の予算委員会の最中でございましたが、急遽訪米をいたしました。  実は、私はもっと早く訪米をする予定でございました。ところが、米側の方へ内々で打診いたしましたところ、今やってくると半導体とこんがらがってしまうから、議会筋を非常に刺激することになるから時期を見たらどうだと、こういうことでありました。で先般まで待っておったわけであります。中には今ごろまでというように厳しい批判をなさる向きもありましたし、私自身も少し時期がおくれたかなという感じを持たないでもありませんでしたが、逆に、アメリカへ行って感じた印象は、最もよい時期に来たということでございましたから、その点ではけがの功名ということになったのではないかと思います。  今回の訪米では、ワインバーガー国防長官、ボルドリッジ商務長官、シュルツ国務長官、ヤイターUSTR代表、その他政府要人、それから特に重点を議会に置きましたから、ガーン上院議員、ハンター下院議員、あのハンター下院議員というのは、御承知と思いますが例のハンマーで……、ああいう方々、たくさんの方とお目にかかりました。とにかくよくあれだけ会えたと思うほどたくさんの方にお目にかかった。特に、三日間おりましたが、その真ん中の日はアメリカは休日扱いの日でございましたけれども、全部自分の日程を変更して会ってくれました。で私はいろいろとお話を申し上げたわけであります。  その会談におきまして、今回の東芝機械問題は、我が国はもとより、西側自由主義陣営の安全保障について重大な懸念を生じかねないものとして遺憾の意を表明するとともに、重大な決意をもって再発防止のための徹底した措置を講ずる考えがあることを表明いたしました。  次に、以上の認識の上に立ちまして、政府のこれまでとりました制裁措置、また再発防止策について説明をいたしました。例えば東芝機械並びにその社員を通産省が告発し、検察庁がこれを起訴したというような問題もありますが、そういう問題。また、とりました再発防止策、行政処分とかいろんなことを説明したわけでございます。と同時に、今後とるべき措置というものも私は御説明申し上げました。刑事罰の強化などを内容とする法律改正案の今臨時国会への提案。これは相手から、議決するのか、こういう質問がありましたが、それは私自身がアメリカ流で言う下院議員ではあるけれども、議会がどのように審議をするかということについて行政府の長である私が言及すべきことではない、ただ、今国会に提案をするということだけは私の責任においてここではっきりと申し上げる、こういうことを申しました。それから東芝機械の、ソビエトブロックに対してもう未来永劫出しませんということを言ってきた話なんかもいたしましたけれども、通産省における戦略物資の輸出管理人員の増強、検査体制の拡充強化、それからココムへの積極的な貢献を行うというようなもろもろのことを私は明言してきたわけであります。  これに対しまして行政府は、日本の対応を評価するとの反応が一般的でありまして、再発防止措置など今後の対策が重要との立場でありました。日米間の輸出管理についての協力関係の推進についても意見の一致を見ました。実は、これは現地のワシントン・ポストのビジネス欄でありますが、これに商務長官のボルドリッジが私の言ったことに対して満足をした、サティスファイしたと。こういうような記事まで大きく出まして、その点よかったと思います。  ただ、議会関係はそうはいきません。議会というのはどこも難しいものだなとつくづく思いましたが、中には非常に私に好意的な意見もありました。特に上院議員は非常に客観的に見てくれました。私たち下院議員から見ると学ぶべきことが多いな、やはり上院というのは非常に客観的だなという感じがいたしましたが、しかし中には厳しい人もおりました。  それから、特に下院の軍事委員会というんでしょうか、十数名すらっと並んでこれは厳しいものでございました。説明をしようと思っても質問の方が激しい。私は必死になってそれは説明をいたしましたが、何か査問委員会に呼び出されたような感じでありましたけれども、しかしここでへこたれてはいかぬ、自分も日本の政治家だと思って必死になってやってまいりましたが、まあいろんなことがございました。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 上院は物わかりがいいというのはこれからのことを何か遠回しに言っておられるのではないかというような気もするんですが、まずお聞きしたいのは、因果関係のことがいろいろ取りざたをされていて、しかもこれに対して外務大臣それから中曽根総理、田村通産大臣、栗原防衛庁長官、それぞれニュアンスが違うような報道がされておりますが、まず通産大臣の方からお伺いしましょうか。因果関係について何かはっきりした向こうに証するものがあったんだと、こういうふうな報道が一部の新聞でされておりますが、いかがですか、因果関係。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ソ連潜水艦のスクリュー音波音との因果関係につきましては、総理からも御答弁が先般あったようでありますが、具体的な証拠は入手しておりません。因果関係に関する嫌疑は濃厚ということであります。今回の訪米の際にも、多数の米国政府高官との会談、それから事務レベルでの各種の情報交換を通じまして、嫌疑は濃厚という心証を得ております。  いずれにしましても、本件につきましては、我が国として調査を行った結果、本来輸出承認を要するプロペラ加工を行い得る高度な工作機械につきまして、その性能等に関する偽った申告が行われたことなどによって、外為法に違反する不正な輸出が行われたことが判明したわけであります。ココムでの申し合わせ及びこれを受け入れた我が国の法令に違反して高度な工作機械が不正に輸出されたということ自体が、西側の安全保障に重大な懸念を生じかねないゆゆしい問題であると思います。  それじゃ因果関係を明白にせよと実は私率直に言って、因果関係を聞きました。ある程度の説明も私聞きました。素人ですからしっかりわかりませんけれども、それにしても聞きましたが、この因果関係というものはアメリカの軍とソ連の軍にそれを出してくれと言ったって出すはずがないんです、これははっきり言って。それは日本と全然違うんです。日本は秘密はないといって大見えを切っておりますけれども、それはもう軍事機密に関する考え方というのは全然違います。でございますから、国会へ両方来てもらう、アメリカもソ連も来てもらって、機械を置いて、そしてこういうことで因果関係があった、そういうような説明なんて求めたら笑われてしまうというようなことでございますから、因果関係はあくまでも嫌疑濃厚ということにお酌み取り願いたいんです。  これを何ぼ私に聞かれましても、嫌疑濃厚である心証を得たんです、率直に言って。口が裂けても内容は言えません、首になっても言えませんけれども。得ましたけれども、だからといって嫌疑濃厚としか言いようがない。あり得るという言葉と嫌疑濃厚という言葉とが大分もめたようですけれども、私は日本語が余り上手でないのかその意味がしっかりわかりませんけれども、少なくとも因果関係の嫌疑は極めて濃厚という心証を得てまいりました。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 外務大臣はどういう情報を得ているんですか。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) ただいま通産大臣からお答え申しましたとおり、この因果関係につきましては嫌疑が極めて濃厚であるというのが政府の見解でございます。しかし、いずれにしましても、法令に違反して、このような極めて高度の工作を行うことのでき、潜水艦を含む海軍艦船の性能向上に利用することのできる本件工作機械が我が国の法令に違反して不正に輸出されたこと自体が、我が国を含む西側全体の安全保障上重大な問題であると認識しておる次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 防衛庁長官はアメリカの国防長官から何か情報を得たとかいう話ですが、どういう因果関係の情報を得たわけですか。

栗原祐幸自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(栗原祐幸君) 何か新聞にそういう記事が出たようでございますけれども、実際にはそういうことはございません。  ただ、私はワインバーガー長官から、四月の末ですか、私信をもらいました。それには、東芝がココム違反をしておる、ソ連の潜水艦の音が非常に小さくなってきた、非常な関心を持っておる、貴長官はこれに対して直接いわゆるココムについては関係のある大臣ではないが、安全保障上の観点からひとついろいろと御留意いただきたい、こういう私信が参りましたので、私はこれは非常に重大だと思っておる。因果関係云々は別として、いわゆるココム違反ということは安全保障上重要な問題である。いま一つは、現実にソ連の潜水艦の音が小さくなってきておる。これも非常に我が国の防衛上重大な問題である。そういう観点からこれに対して関心を持って関係の各省庁に対して留意を喚起した、これは事実であります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そうすると、総理に伺いたいんですが、今の中曽根内閣として、政府としての統一的な受けとめ方というのは、因果関係については、因果関係は濃厚であるという心証を持っている、こういうことなんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 心証だけで東芝機械――東芝機械という会社が虚偽の手続をして重要な工作機械を輸出したということはこれは私は是認できないと思うんです。しかし、そのことでオール東芝がペナルティーを受ける、輸出の停止を受ける、これはやはり日本の政府としては因果関係が明確でない限りは守る責任があるんじゃないでしょうか、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ソ連の潜水艦の音が非常に大きいということは前から言われておりました。私は防衛庁長官のころからもそれは知っておりました。だから、大分前からあったわけです。ところが、七〇年代にだんだんそれが少なくなってきた、これも事実でございます。しかし、それはどういう改良が行われたのか、これはわかりません。潜水艦の音というものは、スクリューの音のほかにエンジンの音とか、あるいはギアの切りかえの音とか、軸を回す音とか、あるいは冷却装置の音とか、いろんなものが複雑にかみ合って外へ出てくるものであります。恐らく総合的にそういう面の改良が行われたんでしょう。しかし、その後アメリカで例のウォーカー親子がソ連のそういう潜水艦の音等に関するスパイをやって、その情報をソ連に漏らした。そういうようなことから、ソ連側は大きな改革といいますか、改良に突入していったようにも考えられます。  そこへ東芝の機械が輸出されまして、八五年ごろからどうも非常に音が減ってきたと。それをいろいろ分析してみるというと、どうも東芝機械のプロペラに関すると疑われるものが非常に多い。アメリカ側はいろんなものをつかんでおるようですけれども、そういうようなものは軍事機密で表には出せないでしょう。例えば音紋といいますか、そういうようなものまでいろんな面でコンピューター的にも分析したりやっているに違いないと思うんです。そういうような東芝機械が輸出されて、これが稼働したと思われる時期、それ以後のいろんな音の減少ぐあい、そういうものをじっと見てみますというと、これはもう相当関係があると感ぜざるを得ない。しかし、私らはその現場を握っているわけではないし、物的証拠を持っているわけではございませんから、これは因果関係ありと断定することはできません。特に法的にこれは重大な結果を起こすことでもございますから、その辺は政府も慎重でございます。  そこで、我々として言えることは、極めて疑いは濃厚である、そういう我々の判決といいますか、考え方の決定をしたわけでございます。  以上でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 因果関係が濃厚だという心証、これが今の政府の受けとめ方だということ。そこで私が聞きたいのは、東芝機械という会社が虚偽の手続をして精密な大型機械を輸出したことは、これは制裁を受けなければならない理由があるだろう。しかし、東芝という名前の、東芝電機とかいろいろある、東芝の名前のついた企業全部が日本からもアメリカからも社会的な制裁を受け、そしてまたペナルティーを課せられる、こういうことについてはこれは政府としては守っていく責任があるんじゃないですか、これについていかがですかと、こう聞いているんです。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私が訪米いたしました大きな目的の一つはそれなんです。東芝マシンという会社がやったことがオール東芝というふうに受けとめられて制裁を受ける、そういう議会の動きがある。これは全然違うんだと、特に東芝は関連会社に対して東芝本体が一切干渉しないということで有名な会社なんだと、それを随分私は説明いたしました。わかってくれません。率直に言ってわかってくれません。東芝と名がついたら皆一緒だと思っているんです。三菱と名がついたら、三井と名がついたら全部一緒だと思っているんです。ですから、そこが認識の違いといいますか、誤解といいますか、これはこの問題が解決するしないにかかわらず、今後日本の企業、いわゆる会社のあり方というもの、実態というもの、内容というものをやはり日本政府は、特に通産省、ジェトロが窓口になって、全世界に説明をしていくべきでしょうね。私はしみじみそう思ってまいりました。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 野田哲君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時三十五分まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。  昭和六十二年度補正予算三案を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き、野田哲君の質疑を行います。野田君。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 防衛庁に伺いますが、日本の海上自衛隊は世界でもアメリカに次ぐ西側諸国では対潜能力を持っていると言われているんですが、海上自衛隊では、ソ連の原潜のスクリュー音の変化について、アメリカからの情報ではなくて独自の何か情報を探知したものを持っているわけですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 海上自衛隊でも独自に日ごろから日本周辺にあります潜水艦の動静あるいはいろいろなもろもろの調査をいたしておりますが、今の先生の御質問について直接お答えすることは、最も機密度の高い我が方の対潜能力あるいは日ごろから収集しております情報能力を示すことになりますのでお答えは控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、ソ連の潜水艦が逐年静粛化の度合いを進めておるということは紛れもない事実であります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 紛れのない事実をキャッチしていたんですか。どうなんですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) いろいろな情報をとっておりまして、そのように考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 ジェーン海軍年鑑、恐らくこれは海上自衛隊あるいは防衛庁でも検討されていると思うんです。午前中の質問で総理も答えられました。  ジェーン海軍年鑑によると、ソ連の原子力潜水艦の低音になった理由についていろいろ解説をしております。新しい電気エネルギーの開発とそれによる発電機を使用することによって水の攪拌がより少なくなり、機械の各部分から発生する音がなくなった、また探知可能な磁気的な流量偏差の減少をもたらした、あるいはまた電磁的推力の原理を応用したこと、あるいはまた船体にチタン合金を用いることも非常な影響をもたらした、こういうくだりがあります。そしておもしろいことには――田村さん、聞いておいてくださいよ。ソ連の潜水艦が音を少なくするために用いたチタン合金の溶接機はこれはアメリカから手に入れた、こういうふうに記述されているんです、ジェーン海軍年鑑では。それから、外装に無反響タイルを張るとか、いろんなことがずっと長年の経過がジェーン海軍年鑑には記述されているんです。スクリューの改造によって音が少なくなったという記述は一つもないんですが、防衛庁いかがですか。

瀬木博基防衛庁参事官

○政府委員(瀬木博基君) ここ十年のジェーン年鑑を見てみますと、七〇年代のジェーン年鑑にはソ連潜水艦の静粛化についての記述は一切ございません。八三年のジェーン年鑑を見てみますと、ソ連の潜水艦が着実に改良されたけれども静粛性の問題は残っているという記述がございます。他方、八四年-八五年の年鑑につきましては、ただいま先生の指摘にございましたチタニウムの船体使用の問題が出ておりますが、これは静粛化の点にもかかわりますわけでございますけれども、潜水艦が深く潜れるという関連で書いてあるというふうに認識をしております。他方、同じ年度の年鑑に、いわゆるシエラ型という潜水艦の静粛性が改善されたという記述がございます。また、八六年-八七年、これが一番新しい年鑑でございますが、これでは、曳航式の円形の建造物というものが最新型の潜水艦アクラ型に搭載されておるというような記述がございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理、だから因果関係というのは、世界で一番権威のあるジェーン海軍年鑑によってもこれは明らかにされていないんです。それをさらにアメリカが言うんだったら、僕はやっぱり具体的なことを示せと言ってもいいんじゃないかと思うんです。  そこで田村通産大臣に伺いますが、法改正をやるということをアメリカとの間で、提案についてはこれは通産大臣の責任で明言されてきた、議会は難しいところだからどうなるかわからぬがと、こう言われたということですが、これは、報道されるところによると、外為法のペナルティーの方を強めていく。それからそれ以外の行政措置としては人員をふやして審査を厳密にする、こういうような点が触れられているわけですが、この外為法とココムとの関係はそうストレートに結びつかないんじゃないか、こういうふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。外為法というのは、法の趣旨として、これは貿易の関係の法律であって、共産圏向けの物資の輸出の統制、これがストレートに結びつく法律ではないと思うんですが、いかがでしょうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに御指摘のように、外為法の中には、あるいはそれを受けます省政令の中にはココムという言葉はございません。しかしながら、ココムにおきます合意を受けまして、外為法の政令であります輸出貿易管理令あるいは外国為替管理令でココムの対象になる品目を列挙いたしまして、そして規制を行っているわけでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 今、いわゆるココムの禁輸品目というのは貿管令で定めてある品目の中で幾つあるんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 数え方はいろいろあろうかと思いますけれども、一応百七十八品目というふうに了解いたしております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 外為法の第一条の目的は極めてはっきりしておりますね。外国貿易の正常な発展を図り、国際収支の均衡、通貨の安定及び外貨資金の最も有効な利用を確保するためにと、こういうことになっているわけです。そして四十七条、「貨物の輸出は、この法律の目的に合致する限り、最少限度の制限の下に、許容されるものとする。」そしてさらに四十八条、「輸出の承認」「特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者」、こういうことで、そこに「特定の地域」「特定の種類」ということで制限を加え得る条項があるわけでありますけれども、二番目に、「前項の政令による制限は、国際収支の均衡の維持並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲をこえてはならない。」、こうなっているわけです。  こういう点からしても、ココムの統制品日、これを秘密で取り決めをしたことと外為法というのは結びつかないんじゃないですか。いかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 主要な西側の諸国が安全保障上の観点からココムに加盟をして、そこでの合 を受けてそれぞれ輸出規制を行っているわけでございまして、そして我が国は、今御指摘のように我が国としての規制を外為法で実施しておるとしうことでございます。それで、我が国としてココムの合意を遵守いたしますことは、これら諸国、ココム加盟国でございますけれども、ココム加盟国との円滑な貿易関係を維持発展させる上で不可欠でございます。そういう意味で、ココムの輸出規制は、外為法の規制の目的であります、今御指摘の外国貿易及び国民経済の健全な発展というものに合致をするというふうに考えているところでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そうすると、そのココムの会議にどなたか、通産省か外務省か出席をして、そこで新たな品目を決めた、あるいは何らかの申し合わせをした、その結果については政府部内ではどういう処理がされているんですか。閣議に諮ってこれを決定しているんですか。扱いはどうなんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 閣議にはかけておりませんけれども、関係各省で打ち合わせをいたしまして、今御指摘のように、もともと外務省あるいは通産省、そういった人がココムの会議に出まして、そしてこういう決定であるということでやりとりをした上で、あとは政令の方へ引き直してくるわけでございます。その政令に引き直してきます際には、貿易管理令なりあるいは外為令なりというものに指定されるわけでございますから、したがいまして、その段階では、何と申しますか、内閣の意思の決定をいたすわけでございます、政令でございますから。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 外務大臣に伺いますが、かつて亡くなられた大平さんが外務大臣をなさっていたときに、国際的な取り決めについて国会で承認を受ける問題について三つの原則を国会で示されているんです。第一のカテゴリーは法律事項を含む国際的な条約、第二のカテゴリーは財政事項を含む国際約束、第三には政治的に重要な国際約束、この三つのカテゴリーを示して、これに該当するものは国会で承認を受ける事柄だ、こういうふうに述べておられるわけであります。  パリのどこかで輸出をする場合の承認を受けなければならない品目が秘密のうちに決められて、それがそのまま貿管令の中に載っていく。それに対して不承認という扱いを受ける、あるいは今回のようにペナルティー、刑罰を科せられる。これは当然国民のあるいは国内の法人の権利にかかわる問題でありますから、国会で承認を受けた上で法律なり行政措置をとるべきこの大平元外務大臣が示された三つの原則のカテゴリーに当然入るのではないですか。いかがでしょうか。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) 大平大臣が示されました、どういう国際約束を国会の承認にかけるかという政府の方針でございますが、これは、国際約束の内容によりまして、国会の承認をいただいた上で締結するものと、もう一つ行政府の権限の中で締結するもの、この二つの違いを御説明したものでございます。  現在問題になっておりますココムの約束は、これは国際約束という性質のものではございませんで、関係国が集まりまして協議をいたしまして、その結果、共産圏への輸出を規制する方が適当と関係国が考えるもの、これの品目を定めた上で、その規制につきましては、それぞれの国の国内措置によりましてその短調を図るという体制をとっているものでございます。したがいまして、ただいま御指摘のありました大平大臣の答弁とは直接の関係のない事項というふうに考えている次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 外務大臣、今これほど国際的にアメリカとの間で大きな問題になっているわけでしょう。それは大平三原則で示された中の政治的に重要な国際約束、このうちに入りませんか。そんなものはあなた、政治的に判断することですよ。

斉藤邦彦外務省条約局長

○政府委員(斉藤邦彦君) 事務的な点を先に御答弁いたしますが、大平大臣が国会でその基準を示されましたとき、第三のカテゴリーは、政治的に重要な国際約束であって国全体の基本的な関係を定めるものであって、それゆえに批准条項があるものということになっております。ココムの方は、ただいま申し上げましたとおり、非公式の協議の結果それぞれの国家の独自の手続に従いまして規制をするというものでございますので、そもそも国際約束には当たりませんし、仮に当たったとしましても、ただいま私が申し上げました第三のカテゴリーに該当するようなものではそもそもないというふうに考えられる次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 いいんですか、それで。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) ただいま条約局長が御説明申し上げたとおりでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理に伺いますが、いわゆるココムという制度が秘密の取り決めをすることで実質的には日本の貿易の中に非常に行政権を行使して制限をしているわけでしょう。その中で今度事務的に虚偽の申請をして輸出をした。そしてそれのわかったことに対しても政府がずっと対応がおくれて、これだけ日米間に大きな政治問題になってきたわけです。今の説明によると、これから先も全く事務的に処理することになるわけですよ、ココムでどんな取り決めをしても。そういう事務方任せでいいんですかと、私はそれを聞いているんです、今の政治的な判断として。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) ただいま条約局長が申しましなとおりに、ココムというのは非公式の協議機関でございまして、ここで西側の諸国が現在の東西関係の対立の中で共産圏に対する戦略物資について話し合いをするわけでございます。したがって、ここで話し合われたことをそれぞれどういう形で実行していくかということは各国の自主性に任されているわけでありまして、日本においては外為法あるいは貿管令でなされておるということでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは総理に伺いたいんですよ。これだけの問題が起こったのにココムの扱いを政治的に判断しなくてもいいんですか、今までどおりの事務的な処理でいいんですかということを私は聞いているんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 貿易の仕方の仕組みという点につきまして、安全保障というものとの関連において貿易のあり方というものをある程度各国が自主的に規制していく、そういう形で今まで来ていると思います。しかし、今回の事件等を考えてみますと、やはりもう一回検討してみる必要がある、そういうふうに私は感じております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 昭和四十四年七月八日、東京地裁の判決があるわけですね。これがいわゆるココム判決と言われているわけです。これは、北京、上海の日本工業展覧会への出品をココム違反ということで不許可にしたことに対する判決でありますが、こういうふうに言っています。「ココムの申合せ自体はココム統制物資の輸出制限をする法的根拠となしえず、国民に対しココム統制物資の輸出制限をなしうるためには、ココムの申合せの趣旨、目的に沿った国内法がすでに存在するか、新たな立法措置を要するといわなければならない」、こうなっているわけです。今までの外為法によって、あるいは外為法に基づく貿管令によってこれを扱っていたことは政府の越権だと、こう述べているんですが、いかがですか、この点に対する見解は。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、日工展の判決では、今おっしゃったようなことの指摘が傍論の部分でございましたけれども、この日工展の事件は政府側が勝訴をいたしておりまして、したがって、その今おっしゃった部分について争う機会がなかったわけでございます。したがって、その解釈が定着しているというふうに私どもとして考えておりません。  それで、どういうふうに考えているかと申し上げますと、先ほども申し上げた点で恐縮でございますけれども、ココムの加盟国との貿易を順調に伸ばしていくためには、やはりココムでの議論を踏まえて日本の国内で貿易管理令等によって規制をする、そして外国貿易の健全な発展を期する、そういうことが必要であるという立場から規制をさしていただいているわけでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 勝訴したというのは、これは全々私が問題にしているところとは趣旨が違うんですよ。これ以上この論争はやりませんが、判決の中では明らかに今の外為法や貿管令で不許可にしたことは行政の権限を越えている、この趣旨は明らかに述べられているわけなんです。この点だけ指摘しておきたい、こういうふうに思います。  この問題の最後に通産大臣に伺いますが、今のような形でまたココムの体制を強化していく、日本が法改正をする、こういう方向に向いているわけでありますけれども、これから先、何か近くSDIについて協定をされるというふうなことを伺っているわけですけれども、今度SDIでまた協定をして、そしてこのココムの品目も汎用品の範囲が非常にふえてくると思うんです。半導体も明らかにこれは汎用品なんです。軍事と民生の区別がつかない、そういう品物がどんどんふえてくる。こうなってくると、一体日本の産業はどうなるんですか。特に先端技術は完全にもうアメリカの支配体制に入ってしまうことになるんじゃないですか。その点の懸念は通産大臣としてはお持ちになりませんか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 我々はあらゆる角度からこういう問題を検討していかなければなりませんが、私個人の意見として申し上げることをお許し願うならば、それは懸念ゼロであるとは思いません。  ただ、私が今般訪米いたしました最大の目的というのは何かと申しますと、日本の国内法に反した犯罪、ココムは紳士協定であります、もちろん国際信義違反の問題がありますが、日本の国内法に対する犯罪というものが外国によって裁かれていいものだろうか、これを私は言いに行ったんです。もし仮に、先ほど午前中の御質問でありましたように、東芝機械、東芝マシンというものがやったことが東芝グループ全部ということになって報復制裁を受ける、こういうことになれば、将来そういうことは万々あり得ないと思いますけれども、仮に三菱、三井、住友、松下等がやられたときに日本の経済は一体どうなります、大変なことになりますよ。  日本は残念ながら、それは確かにインバランスが大きい、いろんな悩みがあります。ありますけれども、基本的に現実の日本の産業というものは輸出によって食っておると言っても言い過ぎではないと思うんです。それが巨大なアメリカというマーケットから締め出しを食らう、しかもグループとして締め出しを食らう、どうなるであろう、私はそれを非常に懸念して、そしてアメリカへ行って随分やり合ったんです。率直に言ってやり合ったんです。私がだれとどういうやり合いをしたかということを御報告する必要はないけれども、随分やり合い、時には懇願もした、祖国のために。けれども、我々が一番何が弱いかということは、野田さん、これ日本は売り手なんですよ。日本が買い手だったらもっと威張りますよ。売り手なんですよ。売り手というものはたたかれるんですよ。それがあるから、私はアメリカへ行って本当に苦労してきたんです。  この点は、もちろんおっしゃりたいことはたくさんあるでしょうし、私もあなたの御意見を聞いておって、決してばかなことを言うというような気持ちで聞いておりません、はっきり言って。真剣に聞いております。けれども、日本で言う理屈が通らないときにひどい目に遭うのはだれだといえば、日本なんですよ。売り手なんですよ。これだけはどうかひとつ御理解を願いたい。国民の皆さんにも私はぜひ御理解を願いたい。これを心からお願いを申し上げる次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 別に通産大臣から今言われたからやめるわけじゃないんで、予定の時間、ココムの問題は大体終わりましたから、これで次の問題に……。  防衛庁長官に伺います。  五月の二十一日に長官指示を出された。「昭和六十三年度業務計画の作成に際して指針とすべき事項に関する長官指示」、この中の二項で「護衛艦の対空ミサイル・システムの性能向上について検討の上、必要な措置を講ずる。」、五番目に「OTHレーダーに関する検討を推進する。」。これは衆議院の議論では、二項のエイジスについては大体二隻ということでもうゴーサインが出されたような議論がされているように報道されておりますが、OTHレーダーについてもこれはゴーサインなんですか。どうなんですか。

栗原祐幸自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(栗原祐幸君) 検討でございまして、まだゴーサインは出ておりません。  詳細は政府委員からさせます。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) お尋ねの艦艇のミサイルの性能向上につきましては、五カ年計画にその種のものを検討し必要な措置を講ずるというように定められておりまして、ある程度の金も計上してあるということであります。  なお、いわゆるミサイル搭載護衛艦につきましては、やはり五カ年計画の中で二隻のミサイル護衛艦をつくるという計画がございます。そのミサイルをどの種のミサイルにするかということをこれから検討し、しかるべきものを見つけ出して決めていきたいというように考えておるわけであります。  なお、OTHにつきましても同様に五カ年計画で検討の上必要な措置を講ずるということになっておりますが、まだいろいろと検討、調査しなくちゃならない問題もございますので、来年度も引き続き調査をいたしたらいいのではないかということで、今検討いたしておるところでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 防衛庁長官、私が特に今ここでお聞きしたいのは、長官指示が出されたのは五月二十一日ですね。五月十二日にこの席で私と同僚の矢田部委員とあなたや西廣防衛局長との間でやりとりしているんですよ、五月十二日。そのときには、OTHレーダーについても全く海のものとも山のものともわからないような答弁をされているんですよ。こういうふうに言っているんですよ。「中期防衛力整備計画の中におきましてはエイジス艦というものを購入するということで決まっておりません」、「ミサイル向上の検討の結果ターター艦をエイジス艦にすることがいいということになりますと、」「ターター艦を買うべき二隻分とそのミサイル向上経費と合わせて」「エイジスを選択するというような形になろうかと思いますが、」「いずれも、」というのはOTHレーダーも含めて、「いずれも、今後の検討」「結果にかかわるものと思っております。」、十二日にそういう回答をされているんです、ここで。  五月十二日にそれをやって、二十日になったらもう検討が終わって、二十一日にはゴーサインが出る、こんな段取りなんですか、防衛庁というところは。余りにもここでの議論を無視してはおりませんか。いかがですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 長官指示と申しますのは、来年度の予算要求に関してこれこれのものについて、例えば対空ミサイルシステムでございますと、その性能向上について検討の上必要だということになれば必要な措置を講じなさいということでございますので、例えば六十二年度は、昨年の長官指示でございますと、いわゆるF1の後継機について全く同じ文言で、検討の上必要な措置を講じなさいということで長官指示が出まして、検討した結果、昨年度についてはまだ措置するに及ばないということで予算要求もしなかったというようなものでございますので、決して二十一日の段階でもうそれを決めたというものではございませんので、御理解いただきたいと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 長官、私は政治的に判断すべきことを聞いているんですから、あなたもそこで座って腕を組んでいるだけでなくて、長官指示なんだから答えてくださいよ、これは。そうでしょう。  衆議院の予算委員会で我が党の上田君の質問に対して、これは実質もうゴーサインじゃないですか。八隻のうちの二隻は、今予定しているターター艦と振りかえて、その費用も合わせてエイジス艦にしていくんだ、こういう形で報道されているじゃないですか。これ事実なんでしょう。どうですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 衆議院の予算委員会でも私から御答弁申し上げましたが、その際、先ほど野田先生おっしゃいましたように、この委員会で野田先生に私お答えしたのと同様に、DDGというものが二隻計上してある、そのほかにミサイルの性能向上というものがあって、検討の結果エイジスがいいということになれば、その両者を合体して予算要求をすることになるというような趣旨のことを申し上げましたので、決してエイジス艦が現在既に方針として固まって予算要求をするとか、そういったことを申し上げたわけではございません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 それでは、六十三年度ではエイジス艦は出てこない、こういうことを確認してよろしゅうございますか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) まさに六十三年度予算として予算要求をするかしないかということを現在検討中でございまして、八月いっぱいまでにその辺のところを固めまして、その結果で予算要求するものはする、しないものはしないということで決心をいたしたいというふうに考えておる次第であります。

栗原祐幸自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(栗原祐幸君) お聞き及びのとおりでございまして、今検討中でございます。  問題は、いわゆる六十三年度の概算要求が近づいてきますので、それに伴いましてだんだんだんだん多少ニュアンスが変わってくるのはこれは当たり前だと思います。そういう意味合いで御理解をいただきたいと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは改めてまた機会があると思います。  次に、倉成外務大臣に伺いたいのですが、あるいはまた粟原防衛庁長官にあわせて伺いたいのですが、今沖縄で、九月三十日までに三百三名の駐留軍労務者を解雇する、こういう発表がされております。この前の国会で地位協定の特別協定というのを承認しております、うちの方は余り賛成じゃなかったわけですけれども。そこで百六十五億を出した。この協定が六月一日に発効したばかりで、一カ月たったら三百三名首だ、こういう通告が来ているわけです。  あなたは、国会でのこの審議に当たっては、雇用安定のためにこれはやらなきゃいけないんだ、こういうことをまず強調されているわけでしょう。そうして、協定の本文にもそのことがうたわれているわけです、雇用安定が。何がこれが雇用安定の措置ですか。撤回を申し入れるべきじゃないですか。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) ただいま野田委員がお話しのとおり、先般、雇用の維持安定を図るための労務費の協定を結んだわけでございます。しかるに、御案内のとおり、今回沖縄における米海兵クラブの人員整理の通報が来たわけで、この件はまことに残念であり、深刻に受けとめておる次第であります。したがって、政府といたしましては、米側に対して、我が国としても特別協定の締結等の努力を行っており、米側においても従業員の安定、雇用維持にさらに努力をするよう強く申し入れておるところでございます。さらにこの件については再検討すると同時に、また人員整理の影響を最小限にするように、またこのような人員整理が再び行われることのないようにということも申し入れております。  先般、ちょうどウェップ海軍長官が日本に参りましたので、その際も私お目にかかりましてこの件を強くウェッブ長官に対しても申し入れました。ウェップ長官は、現地の司令官ともよく話し合ってみたいという答えでございました。

栗原祐幸自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(栗原祐幸君) 私もこの件については大変残念に思っているんです。野党の皆さんの御協力もいただきまして労務費というものの上積みができたわけでございます。ところがそのやさきに三百名の解雇というので、大変遺憾である。この間ウェップ海軍長官が来ましたので、この間協定ができたばかりで、こういうのは非常に率直に言って残念至極である、もちろん、百六十五億積んだからおまえさんの方は何でも日本の言うことを聞けなどというやぼなことは言わない、しかしながら、沖縄というところがどういうところなのか、そこら辺もよく考えて対処してもらいたい、こういうことを率直に言っておきました。海軍長官は、これから各地を回るけれども、そのことを考えて対処したい、こういう話でございます。  それからもう一つは、アメリカ軍は独立採算制云々でいろいろ言っているけれども、今まではどうもアメリカ軍の言うことをそのまま聞いたというような傾向がなきにしもあらず。これは非常に重要だから防衛施設庁として実態をよく調べる、その上で、アメリカ側に理があるのかあるいはアメリカ側に理がないのか、そこら辺をよくわきまえた上で対処をしたいということで今調査をしておりますので、しばらくお待ちをいただきたい、こう思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私は、総理、この問題がアメリカの方から通告があった直後、総理がこの問題については平井労働大臣に対策を立てるようにという指示を出されたということを新聞で見て、ちょっとこれは不満に思ったわけなんですよ。平井労働大臣のやられることは離職してしまった後の始末のことなんでおって、今日本の政府として米軍に対して言うべきことは、これは約束が違うじゃないか、撤回しろ、こういうことで政府一体でやってもらわなきゃ困ると思うんですが、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 外務大臣及び防衛庁長官がこの問題の処理――処理というのは撤回ないし改善です。その問題で今一生懸命やってくれておるので、平井労働大臣には、それをカバーする意味において一生懸命善後処置をやるように、そういう意味で言ったのです。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 防衛庁長官に引き続いて伺いますが、今度の補正で防衛費が四十一億四千二百四十六万九千円減額補正をされている。これはどういう根拠によるものか、まず伺いたいと思います。

日吉章防衛庁経理局長

○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。  今回の補正予算におきます先生ただいま御指摘の防衛関係費の減額四十一億円でございますが、これはすべて外貨関連経費の不用見込みでございます。六十二年度の当初予算の外貨関連経費は一ドルが百六十三円で積算されておりますけれども、今回の補正予算では、その後の為替レートの推移を踏まえまして一ドル百四十五円、これは本年三月から五月までの三カ月間の平均でございますが、これで積算いたしまして、その結果、現時点で見込み得る余剰といたしまして四十一億円が不用に至ったものでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 売上税相当額は幾ら組んでありますか。

日吉章防衛庁経理局長

○政府委員(日吉章君) 六十二年度当初予算におきます防衛関係費の中で、売上税として積算上上乗せ計上いたしました金額は九十三億円でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 九十三億と今回減額になっている四十一億四千二百四十六万を合わせると、ちょうど一%を超えた百三十四億になるわけですね。売上税というのはもう昭和六十二年度はあり得ないことですから、いずれ次の機会には減額修正されるんだと思うのですが、そういたしますと、これはちょうど一%以内におさまるわけでありますから、一月の閣議決定はこれはもう一遍再検討をされる、こういうことにされたらいかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 一月二十四日に新たな方針を決めていただきまして、今後とも節度のある防衛力の増強を図っていくということでまいるわけでございます。  ただいまのお話は、両方の数字を合わせますとちょうどそうなりますが、ただ、これからのGNPの問題がございますし、人事院の勧告もどうなりますか。通例は八月には行われるということもございますので、新しい問題としてそれがまたどうなるかということは実は何とも申せないことで、私どもは一月二十四日の閣議決定の精神に沿ってこれからも厳しく査定をしてまいりたいと考えおります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 大蔵大臣はそれ言われない方がいいんじゃないですか。これからの仕事がやりにくくなるんじゃないですか。  外務大臣か防衛庁長官、どちらかお聞きになっていると思うんですが、七月十二日に岩国に新しい戦闘攻撃機FA18ホーネット、こういう戦闘機が配備をされつつあるわけでありますけれども、これについてはどのような連絡を受けておられますか。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) 米海兵隊は、その部隊展開計画の一環として、今般、岩国飛行場におけるF18ホーネット十二機及び人員約二百名で構成される戦闘攻撃中隊が、従来同地に展開しているF4ファントムで構成される戦闘攻撃中隊と交代し、同時に展開することとしたものという通報を受けております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 このF18ホーネットというのは、搭載兵器に核兵器も含まれる、こういう機種であることは外務大臣も御承知だろうと思うんですが、核の有無について確認をされましたか。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) F18ホーネットが核搭載能力があるということは私も承知いたしております。しかしながら、核の持ち込みについては、我が国においては御案内のとおり事前協議制度がございますから、事前協議がない以上核の持ち込みはあり得ないというのが我々の立場でございます。したがって、核の持ち込みということは一切ないと確信いたします。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは何回も聞いたわけですが、そういうことではやはり困ると思うんです。  そこでもう一つ伺いたいわけですけれども、けさのニュースでも言っておりましたけれども、七月からペルシャ湾航行のクウェート・タンカーへのアメリカの海軍による護衛が開始されたと。そこでそれに伴ってぺルシャ湾、インド洋への兵力投入による米軍全体の兵力の配備の再編という問題が今進んでいる。そこで今のF18についてもその一環ではないのか、あるいはまた在日米軍の配備の変更があるのではないか、またペルシャ湾、インド洋への兵力の集中の空白を埋めるために日本の中期防衛力整備計画についてのテンポを速める、こういう要請が非常に強くなされているのではないかと思うんですが、これらの点についてアメリカ側から協議がありましたかどうか。

藤井宏昭外務省北米局長

○政府委員(藤井宏昭君) ペルシャ湾近辺に現在一定の米艦艇が存在するということは存じておりますけれども、これはもちろん米海軍の個々の艦船の運用の問題でございまして、我が政府に対して正式な通報といったものはございません。  さらに、ただいま御指摘のございましたF18がこれに関係しているかどうかということについても特に正式な通報は全くございませんが、F18については、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、この十二機につきまして六カ月間展開するという事前の通報を受けております。  なお、先ほど御指摘になりました中期防云々というような今後の我が国の防衛体制あるいは日本における基本的な米軍の配置と申しますか、ということに関連しての米側の要請というものは一切ございません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 沖縄にいるAWACS、これがペルシャ湾に投入される、こういう協議がありましたかどうか。

藤井宏昭外務省北米局長

○政府委員(藤井宏昭君) 沖縄にございますAWACSがどのような行動を行うかということは、先ほど申し述べました個々の米軍の運用の問題でございまして、我が国に本来協議があるべき性格のものでもございませんし、現に協議がございません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 事実はどうですか、事実は。

藤井宏昭外務省北米局長

○政府委員(藤井宏昭君) 個々の米軍の運用につきまして、日本政府といたしまして公の場で云々するような立場にございません。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 時間が参りましたので、最後に総理に重ねて、午前中安恒委員の方からも指摘をいたしましたが、税制の問題について強く主張しておきたいと思います。  税制改革の問題は、これはマル優制度も含めて議長の裁定に基づいて協議中のことであります。そういう問題について、特に総理が、限度管理の強化の問題でのカード制の問題について、他人の懐に手を突っ込んで取り立てる、そういう言い方で、真剣に協議がされている問題についてやゆ的な発言を総理がされるということは、極めてこれは遺憾であります。あなたがそういう表現をされるのであれば、所得税の給料からの源泉徴収制度なんかはこれはやらずぶったくりという制度になるわけですよ。言葉は厳に慎んでもらいたいし、それから税制協議が行われていることについて一つだけピックアップして先行する、こういうことのないようにひとつ厳に考えてもらいたい。このことを述べて終わります。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 次に、大河原太一郎君の質疑を行います。大河原太一郎君。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、国政上の重要な問題について数点御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  まず、中曽根内閣の今日までの諸施策、その成果の評価とまた今後の課題についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  中曽根総理が総理に五十七年十一月就任なさいましてから足かけ六カ年を経過いたしました。戦後の総理の在任期間としては第三位を記録したわけでございます。その間総理は、内外の急変する政治経済情勢に対して、諸課題に対して積極的に取り組み、リーダーシップを発揮されたわけでございます。この点については、中曽根内閣の立場を支持すると否とにかかわらず、多くの国民が共通の思いを持っておるというふうに思うわけでございます。そこで私は、与党の立場として、中曽根内閣の足かけ六年にわたる諸般の改革等の成果と今後の方向についてお伺いしたいと思うわけでございます。  総理は就任のときに、わかりやすい政治、また国民に訴える政治ということを言われました。実は、若き総理が首相公選を提唱されたりいたしましたので、どうも国会の頭越しに世論を形成し、政治を行うのではないかというような批判があったわけでございますが、事実は、率直に国民に対して問題を投げかけつつそして取り組む、その姿勢が多くの国民に対して共感を覚えさせたのではあるまいかというふうに思うわけでございます。  そこで、今日までの中曽根政治と申しますか、その目標と、それがどの程度実現されたかという点について率直に総理のお考えを承りたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 就任以来、国民の皆さんの非常な御支援、御協力を賜り、また与野党を通ずる国会の皆さんから御鞭撻をいただきましたが、なすことも少なく、甚だじくじたるものがございます。しかし浅学非才にむち打ちまして、できるだけの努力はしてきたつもりでございます。  ただいま大河原さんが申されましたようなわかりやすい政治とか、あるいはいかなる困難にもたじろがないで正面からぶつかっていくというようなことも申し上げました。その間におきまして一番力を入れましたのは行政改革でございます。幸いに行政改革は皆様方の御尽力によりまして国鉄、専売、電電の民有化が実現をいたしましたし、あるいはさらに毎年度の予算編成におきましても、公債依存率を引き下げまして、私が就任のときはたしか三〇%近い一般会計における公債依存率でありましたが、一九・四%まで引き下げることができました。補正予算の関係でそれが二一%近くまでまた戻りましたけれども、しかしかなりこれは国債依存率を引き下げたと思います。  それから一般経費の節約でございますが、行政改革の成果を上げるために、また財政再建のためにも一般経費を節約いたしまして、もしほうっておいたならばどれくらい経費が増高したか、ふえたかという面を見ますと、約十兆円のお金を、マイナスシーリングあるいはゼロシーリング――ゼロシーリング一回、マイナスシーリング五回でございますが、これで約十兆円の当然ふえるべき経費を節減したと思います。その間におきまして、健康保険制度の改正あるいは年金の改革等々の制度改革に手を入れまして、安定的な財政状況をつくり出すために多少努力もしてきたと思います。それから人員につきましては大体二万九十人実員を減らしたということでございます。  ただ、まだやり足りないと思うのは、特殊法人の関係が残っていますし、教育関係もございます。いろいろ問題点もございますが、これからも精いっぱい努力してまいりたいと考えておる次第でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 総理の今のお答えの中からもいろいろ出てくるわけでございますが、中曽根内閣は率直に言って発足当時は余り支持率は高くございませんでした。当時の世論調査を調べてみましても、大体支持率は四割弱、不支持率が同様というようなわけでございまして、歴代内閣の発足当初のを見ると、発足当初の内閣の支持率としては非常に低かったわけでございますが、その後国民の支持を得て、理解を得て支持率が上昇したわけでございます。昨年の夏の衆参同時選挙、これは記憶に新たなところがあると思うわけでございます。  総理自身もただいまおっしゃった、諸成果の取り組みの点についてお話があったわけでございます。総理は、率直に言って戦後政治の総決算、これは多少ドラマチカル過ぎていろいろな意見もございましたが、とにかくこれによって内政に本格的に取り組むとお話がございましたように、小さな政府を二十一世紀に向けて実現したい、増税なき財政再建をいたしたいというようなことで努力をし、さらに教育改革なり、これは進行途上でございますし、税制改正もさようでございますけれども、これらについては、言うなれば国民の政治に対するニーズを先取りしていく、そういうふうな行動で国民の支持を受けたわけでございます。  発足当時の低い支持率がだんだん時がたつに従って高まるという特異なパターンですね。これは総理御自身はどう御自分で評価しているかわかりませんけれども、我が党は戦後一貫して政権を担当したわけでございますが、そのためにややもすれば政策路線の変更については保守的になりやすい面があった。それに対して積極的に諸改革に取り組んだという点が、何というのですか、これは適切かどうか知りませんが、言うなれば保守の中における革新の姿勢と申しますか、そういうものがやはり評価を得たのではないかと思うわけでございます。今後二十一世紀に向かっていよいよ政治、経済、大変な課題が多い中においてはこの姿勢を続けられるべきではないか、さように私は思うわけでございます。  そういう意味で、我が党の有力なる中曽根総理の後継者と言われておる宮澤大蔵大臣が御出席をしておられますが、これについてはどういうお考えをお持ちでございますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まことに突然の御指名でございますが、おっしゃいますように私ども保守党ではございます。しかし、こういうふうに変わりつつある時代に、二十一世紀に向けて常に日に新たに、日々に新たにというまさに大河原委員の言われましたような精神で政治を運用してまいらなければならないと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 中曽根内閣は、ただいま申し上げたように、足かけ六年にわたって諸改革に取り組んできてそれなりの成果を上げてきたわけでございますが、総理の言葉をかりれば政治に休息なしてございまして、また新たな問題が次々と出ております。大都市周辺を中心とする土地問題、また内外不均衡に伴う是正が急速に急がれ、内需主導型経済を確立しなければならない産業構造の調整の問題等々がございますが、これらの問題は、その案件の難しさからいいましてそう短時日で解決できる問題ではないと思うわけでございます。はっきり申し上げれば、中曽根総理の御在任中で片づくような問題ではないのではあるまいかと、さように思うわけでございます。  しかし総理、このような課題に対してその解決への道筋をつける、道筋をつけて後継者にバトンタッチをする、これは大変大事なことだと思うわけでございますが、これについての総理のお考えを承りたいと思うわけでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今申し上げたほかに、対外的には、国際国家への道という形で日本が世界的に果たすべき仕事等につきましても国民の皆さんの御自覚と御協力を求めて、今までよりもっと前進した、国際性を持った日本へ進めていくべく努力してきたつもりでございます。これからやる仕事の中には、大きいものは今おっしゃいましたような日本の構造改革の問題がございます。そのほか教育の問題、税制の問題、それから土地制度の、土地価格の問題、これらみんなまだ大きな重大な問題でございまして、これらにつきましてもできる限りのところまでは持っていくように努力してまいりたい、そう思っております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 ただいま総理のお話にもございましたが、総理は国内の諸改革とともに国際国家日本の役割と任務の達成に全力を挙げてきたところでございます。我が国はいよいよ国際社会におけるその大国性と申しますか、経済大国の面ではいろいろな評価をされておるところでございますが、サミットなりあるいは国際通貨調整とか、あるいはガットのニューラウンドというようなところで指導的、調整的な役割を果たしてきて、それなりの評価を受けておるところでございます。今後は経済的側面ではなくて、政治、外交あるいは文化交流というような面でも積極的な役割を果たすべきである、さように思うわけでございまして、これについての総理の基本的な取り組みを改めてお聞きしたいと思うわけでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、国会でも申し上げましたが、日本の国際的地位あるいは経済、科学力というようなものから来る日本の力というようなものは、我々の想像以上に大きく評価されております。言いかえれば、ある朝目が覚めたらまくら元まで水が来ていたと、そういうような表現ですら言える状態に来ております。私たち海外へ出ましたり、またいろいろ仕事をさしていただくとしみじみそれを痛感するのでございますが、国民の皆様方にはまだそこまで御理解いただくまで行っておりません。一日も速やかにそういう状況にあることをよく国民の皆さんに御理解いただきまして、そして日本が世界的にもしかるべき責任と役割を果たす、そして国際社会に名誉ある地位を占める国家にまで前進するように今後とも努力いたしたいと考えております。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。板垣正君。

板垣正自由民主党

○板垣正君 関連質問を行います。  中曽根総理に対し、靖国神社問題についてお伺いいたします。  全国の戦没者遺族の靖国神社公式参拝定着を願う気持ちは極めて熱烈なものがございます。本日も午前中、九段会館において靖国神社公式参拝継続実行要求全国代表者大会が開催されました。昨日、私は沖縄県遺族会の婦人部、青年部合同研修会に出席して、切々たる訴えに接してまいったわけであります。今や全国津々浦々に至るまで切実な声であります。真剣な叫びであります。それは遺族のみではなく、心ある多くの国民の強い要望であると信じます。公式参拝は我が党の党議であり、公約であります。こうした国民の声を総理はどう受けとめておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 御遺族の皆様を初め、国民の大多数の皆様方がいわゆる公式参拝を熱望しておられることを私も知っておりますし、一番参拝したいのは私だと、私はそう思っておるのであります。そういう趣旨の自分の考えを外国におる方にも手紙で出したこともあります。  しかし、私は二年前に公式参拝をいたしました。これはかねて自分が考えていたことを実行したのでありまして、その第一は、公式参拝もやり方によっては憲法違反にはならない、そのことをまず第一に明確にしておくという考えもありまして、その意味におきまして、法制局等とも相談をして公式参拝の仕方を決めまして、そしてそういう新しいやり方によって正式参拝をしたわけでございます。これは従来の考え方を変えました。その点においては画期的なことではないかと思うので、これは今でも生きております。そのときに官房長官の談話を発表いたしましたが、それは今日においても生きております。  その後、しかし海外からの反応その他等も見ておりますといろいろな反響もございまして、必ずしも国情やあるいは当方の真意がすらっと理解されていない、またそういう状況が出てまいりました。そういうような情勢を見まして、これをさらにまた続けるということはかえってアジアにおいて日本が孤立する危険も出てくる。もしそういうような状況が出てきた場合には戦死された方々の御遺志にも反する結果にもなりはしないか。私の弟も靖国神社におるわけでありまして、また大勢の戦友たちあるいは戦死なすった方々は宗教を超えて、当時は死んだら靖国神社に帰る、靖国神社で会おうぜと、そういうような話し合いもしたことでもございます。  そういう意味において、靖国神社というのは、日本人におきましては、一般の宗教、外国から考えるような宗教的存在とはやや違った日本的な存在にもなっておるわけでございます。そういう点もよく外国に理解していただいて、そして国際環境も調和させながらスムーズにこれが行われるようにすることが政治である、そういうふうに考えましていろいろ対外的な努力もし、現在もし続けておるという状況でございますが、しかし、いろいろな問題がその後もまた起きまして、厳しい環境にあるのは御存じのとおりであります。そういうような環境自体は前から変わらず、あるいはむしろ厳しい状態にもなりつつあるということをわきまえましてこれは慎重に検討しなければならぬ、そう思っておるのが現状であります。

板垣正自由民主党

○板垣正君 靖国神社にいわゆるA級戦犯が合祀されていることが最大の障害と言われております。当時指導的立場にあった人々が国家、国民に対し重大な責任を免れないことは申すまでもありません。しかし、極東裁判に対する評価は別個の問題であります。我々は我が国のみが一方的な侵略者であったという見方は認めるわけにはまいりません。  それはさておき、戦後我が国は過去への反省の上に立って平和を国是とし、全国民的な合意を形成してきたことは周知の事実であります。靖国神社は戦没者慰霊の中心的施設であり、戦没者を追悼し平和を祈念する祈りと誓いの場と言うべきであります。さらに、総理も今言われたように、死係者に対する慰霊鎮魂は日本民族の独特な死生観、宗教観に深く根差しております。靖国問題即文化の問題であると言われるゆえんであり、国の基本にかかわる問題であります。対外的にもこうした靖国神社の本質にのっとって我が国の主体性において決着をつける以外はないのではないか、こう考えますが、改めて総理のお気持ちを伺います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 御質問の趣旨や板垣さんの御心情については私もよく理解できるところでございます。しかし、現在の国際環境等々を考えてみますというと、どうしても日本がアジアにおいてこれ以上孤立する危険が相当出てまいると恐れております。そういう状況というものを考えてみますと、国際関係を円滑に処理していくという外交の面からもどうかと思いますし、靖国神社に鎮まっておる英霊自体が日本の安定、アジアとの友好関係を祈って戦死された方々が非常に多い。そういうことも考えてみますと、やはり英霊のお気持ちに報いるためにも、これはアジアとの関係、近隣との関係を円満に調整して行うということがその趣旨に沿うゆえんではないかと、そういうことにもまた思いをいたす場合もあるのであります。  御趣旨はよくわかりますが、そういう状況にあるということもぜひ御理解を願いたいと思う次第でございます。

板垣正自由民主党

○板垣正君 最後に、さきの中曽根総理の靖国神社公式参拝の決断は、まさに戦後政治の総決算の精神的中核として国民からも高く評価されたわけであります。立つ鳥跡を濁さずと言われます。来る八月十五日、公式参拝に向け総理の勇気ある政治的決断を重ねて要請をいたしまして、私の関連質問を終わります。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 引き続いて質問を行います。  先ほど国際協力と申しますか、国際的な国家日本としての役割に対して取り組むその基本的な姿勢についてお話を承りましたが、当面具体的な問題としてはやはり経済協力の推進の問題だというふうに思うわけでございます。政府は、既に政府開発援助につきまして第三次中期目標を設定して四百億ドルという規模の経済協力を推進しておるわけでございます。先般の緊急経済対策、これでもODAの倍増目標の二年繰り上げ、また官民資金還流という形で二百億ドル以上というような点で非常に積極的な努力を払っておることは評価するものでございますが、なおこの問題については二、三点問題がございますので、それぞれについて一括して御質問を申し上げ、外務大臣なりあるいは大蔵大臣の御所見を承りたいと思うわけでございます。  第一点は、援助の対象地域の問題でございます。  地理的、経済的、社会的に当然でございますが、東南アジアが重点だと、その実績は七割ぐらいだというふうに考えますけれども、今後はグローバルな観点からアフリカその他の途上国に対しても十分配慮してしかるべきではないかという点が第一点でございます。  次は、援助の内容の質的向上という問題でございます。  これは財政負担の問題もいろいろ伴いますけれども、無償援助というようなものをできるだけ拡大していくという努力が必要かと思うわけでございます。国の経済力による貢献度の指標というのは、大蔵大臣、外務大臣御案内のとおり、政府直接援助、ODAの対GNP比率、それによってはかられておるわけでございますが、我が国のこの比率は〇・三%以下だ、残念ながら。もちろん国際目標である〇・七%というようなことはなかなかそう一挙にはいけませんけれども、少なくともDACの現在の実績〇・三六%、これぐらいは速やかに達成するような努力が必要ではあるまいかというふうに思うわけでございます。  第三点は、経済協力の援助体制の充実の問題でございます。  援助実施機関、JICA等の機関の定員、あるいは現地の実施要員の数等を見ますと必ずしも十分ではない。特に諸外国と比べて専門的な立場から指摘されるのは、国際協力の企画立案に関する人的なスタッフ、これが非常に日本は手薄だという点が指摘されておるわけでございまして、この点についてのお考え。  以上三点について、外務大臣なりあるいは大蔵大臣からそれぞれの所管についてお考えを承りたいと思います。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) ただいま大変重要な問題について御質問がございましたが、ODAの充実というのは、国際国家、特に一割国家になりました日本のこれからの大きな任務であると考えておる次第でございます。  第一点の御指摘の、地域が一方に偏っているのじゃないかと。今東南アジアのことを御指摘になりましたけれども、アジアで八六年度で大体六四%、東南アジアだけをとりますと三〇%程度になろうかと思うわけでございます。しかし、いずれにしましてもグローバルな見地から日本の援助というのはこれから考えていかなきゃならないということで、最近特にアフリカ地域の要望が非常に強いわけでございまして、サハラ以南のアフリカ地域に対しましても、全体の援助の約一割、無償援助につきましては約三割がこの地域に行っておるわけでございまして、今回の新しい措置におきましても、今後三年間にサハラ以南の地域に対して五億ドルのノンプロジェクトの無償援助をするということを宣明しておる次第でございます。  なお、大洋州につきましても、従来比較的手薄でございましたので、先般私大洋州を回りまして、これは大変わずかでございますが、だんだん充実していきたいと思いますが、二百万ドルのこれはスペシャルファンドを実はUNDPにつくったような次第でございます。いずれにしましてもグローバルな見地からこれからやっていかなきゃならない。  同時に、第二点の援助体制の整備の問題については私も痛感いたしております。これは御案内のとおり、いろいろ援助に携わる人員の不足あるいは現地における体制の不備という点は御指摘のとおりでございます。しかし、非常に乏しい中から、行政改革の折からもいろいろこういうJICAその他についての定員については特別の御配慮をいただきまして、まあ数名でございますけれども、ふやしていただいたことに感謝をいたしております。  それから特に企画立案という問題につきましては、御指摘のとおり、これが一番大事でございますから、アジア等におきまして何かやろうとしても、アフリカ等にやろうとしても、これを企画立案する能力がなかなか現地にないという状況ですから、これについてはシルバー、かなり年配の方でも、そういう方のお力をかりていったらどうかということでございます。  それから第二点にさかのぼりますが、ODA〇・二九%というのは、まことに援助額そのものからいうと大きいわけでございますけれども、GNPが大きいものですから比率については少なくなっております。したがって、この点については我々としましても、ODAがGNPの中に占める比率を幾分でも高めるように、そしてDACの目標に達するように最善の努力をこれからいたす次第でございますので、先生の御支援をお願い申し上げる次第でございます。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま外務大臣の御説明になられました点はまことに大事な点でございますので、従来から、財政は厳しゅうございますけれども、特例として考えてまいりました。六十三年度の予算編成方針はまだ決定はいたしておりませんが、できますならば同様の精神を持って考えてまいりたいと思っております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 日本が世界の平和と各国との友好関係を保っていく、これは当然でございますが、その場合にも、言うまでもございませんが、主義と立場を同じくする諸国との連帯協調の上に立ってこれが行われなければならないというわけでございます。すなわち、西側陣営の一員として責任と義務を果たすことだ、さように思うわけでございます。これは政府としても大変努力をしているところでございますが、国民一般についてはその認識が必ずしも十分ではないのではないかということが言われるわけでございまして、今回の東芝機械の工作機械の不正輸出問題はまさに端的なあらわれではないか、さように思うわけでございます。  これについては、通産大臣、本当にハードスケジュールで、針のむしろの上に座るというか歩くというか、そういう思いで我が国の立場についての御努力をなすってきたわけでございまして、大変御苦労さまだというふうに思うわけでございます。つい先ほど野田委員からの御質問に対する御答弁等からも推測されるんですけれども、政府サイドは米国でも比較的クールな受けとめ方をし、日本の今後の有効な措置について期待しておるけれども、なかなかに議会筋が燃えに燃えておる。もともと保護貿易主義を基調とした包括貿易法案などがどんどん議論されている最中に、西側の安全保障に対して非常に影響を及ぼす今回の事件でございますから大変だったと思うわけでございます。  その点については、先ほどの野田委員の御質問に対する田村通産大臣のお言葉で、これ以上伺いませんですけれども、やはり懸念するのは、例えば東芝グループ全体に対する制裁、あるいはアメリカ政府の東芝製品の調達の禁止、あのガーン修正法案ですか、ああいう問題についての成り行きが大変懸念されるわけでございます。この点についてはなかなか、それについての問題を鎮静化し、さらに妥当な結論に導くためには、我が国の各サイド挙げての努力が必要かと思いますのでこれ以上伺いませんけれども、とにかく、何といいますか、今度の訪米から今後どういう対応をするかという点について通産大臣のお考えを承りたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 結論から申せば、日本が迅速果敢かつ誠実に対応するということであろうと思います。特に申し上げたいことは、日本人の感覚とアメリカ人の感覚と全然違うところがたくさんあるということであります。    〔委員長退席、理事私通君着席〕 日本人の場合はいいことだというふうに受けとめても、アメリカ人の場合はそうじゃないと受けとめる場合もあります。その逆もあります。  例えて申しますと、東芝の会長、社長が辞任をされた、これは日本人的に見れば、まさに東洋人の深さ、責任をとる深さというものを示したということになるわけですけれども、アメリカ人から見れば、これは私にはっきり向こうの議員が言っておりましたが、アメリカ人からいえば、責任を回避して逃げたと、こういうふうに見るわけであります。本当に責任を果たそうとするならば、職にとどまって、そしてあらゆる手段を講ずるべきではないか。それがやめて、後はもう知らぬ、後任に任せるというのは無責任ではないかというような、むしろ日本では美徳というふうに見られるのが向こうでは逆に見られるというような違いがございます。  それで、私は今度向こうへ参りまして、先ほど野田委員に御答弁申し上げたとおりでありますが、何をしに行ったか、それはココムという、いかに紳士協定ではあっても、自由陣営の申し合わせといいますか、それに違反した国際信義の問題と同時に、それ以上に、日本の法令、ココムは各国が国内法で取り締まるということでございますけれども、日本の国内法令に違反した犯罪に対して外国から制裁を受けるということは、これは耐えがたいことでございます。しかもこれはあしき国際慣習として残ることになります。でありますから、アメリカに今燃え盛っておる保護主義の高まり、いら立ちというもの、財政赤字に対するいら立ち、日本の貿易インバランスに対するいら立ちというもの、そういうことをやはり我々は的確に見ていかなげればいけないと思うんです。でございますから、政府はいろいろな角度から、米議会対策もしなきゃならぬでしょう。  実は、クールという言葉は非常に日本語ではいい言葉なんですけれども、アメリカの新聞でクールというと冷ややかということになるので、それで余りクールという言葉は使っちゃいけないなと自分で思っておるんです。特にアメリカ政府の日本政府――私はごまをするわけでも何でもありませんが、もうそれほど長く今後お仕えするわけでもないんですから、だからごまをするわけでもありませんけれども、しかしアメリカ政府の中曽根首相並びに中曽根内閣に対する信頼というものは非常に厚いし、また友情というのが非常に厚いんです。向こうの大統領補佐官なんかでも、ロンがヤスに何をしてやろうかと考えておることがよくわかるんだと、こういうことまで言っておりました。  でございますから、そういういろんなことを踏まえて、先ほど申し上げたように、日本は誠実に、積極果敢に迅速に対応することが必要であろう、このように思っております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 この東芝機械の違反事件に対応して国内的な法制措置が今日議論されていると思うわけでございます。外為法の改正その他の問題だと思うわけでございますが、その内容等についてはなお具体的に法令として詰める諸問題があると思いますので現段階ではあえて伺いませんけれども、ただ一つ、再発防止等の視点、いろいろ見ますと、現在の外為法制その他では、先ほども野田委員も御指摘がございましたけれども、安全保障の視点が必ずしも十分でなかったのではないか。この点への配慮について外務大臣はどう考えるか、さように思うわけでございます。

倉成正自由民主党外務大臣

○国務大臣(倉成正君) ただいまの点でございますけれども、外為法の二十五条、役務に関しましては、国際平和と安全という言葉が入っておるわけでございますけれども、四十八条の物の面については一般的な言葉でございまして、平和とか安全という言葉が入っておりません。そういう点を踏まえながら、これからいろいろ関係方面で検討する必要があるんじゃないかと思っておる次第でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 それから次に、防衛庁長官にお伺いしたいわけでございますが、まさに今回の事件は西側陣営の安全保障に対して大変な影響を持つ問題だと思うわけでございまして、個々の責任問題、それ以上に大きな問題だというふうに思うわけでございます。  それにつきましては既に、ワインバーガー国防長官が先般来日されたとき、総理とお会いになりまして、この対応能力の向上という点についていろいろ話し合われたというふうに承っております。さらに、ウェッブ海軍長官が参りまして、防衛庁長官といろいろ対潜の対応能力の向上という問題について今後の取り進め方について協議をなさったと承っておるわけでございますけれども、これについて今後どのように対処いたすか、長官のお考えをお伺いし。たいと思います。

栗原祐幸自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(栗原祐幸君) お説のとおり、この東芝のココム違反事件というのは、安全保障ということについてのアメリカ並びに西側陣営と日本国民との間の認識の違い、そういうものがいろいろと根底にあると思うんです。したがって、災いを転じて福となす、我が国の安全保障をどうするか、アメリカとの関係をどうするか、西側との関係をどうするか、そういう場にしなければならぬと思います。もう一つは、これからの問題は、どう対応するか、どう対処するか、これが極めて重大だろうと思います。  ワインバーガー長官と私のときには直接的に出ませんでしたけれども、総理大臣とワインバーガー長官との会談の際に、日米の安保条約の枠の中で、このソビエトの潜水艦の音が非常に小さくなったということにかんがみて、対潜探知能力についてお互いに協力し合うというお話し合いがあったと承っております。それを受けて、過般ウェッブ海軍長官が参りまして、具体的にはこれは技術的、専門的な問題でございますので、米海軍と我が方の海上自衛隊、そういうところで責任者を出して、お互いに日米安保の枠の中でいろいろと詰めていこうということになりまして、その合意をいたしました。まだ日にちはわかりませんが、ハワイで第一回の打ち合わせをするということになろうと思いますが、責任者としては、我が方は海上幕僚監部の防衛部長、アメリカの方は実質的の責任者として在日米海軍の司令官ということになろうかと思います。どのように今後進めていくかということについては決まっておりませんけれども、我が方としても積極的に協力できるものは枠の中でしていきたいと、こういうふうに考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 最後に、総理に本件についての締めくくり的な御質問を申し上げたいと思います。  この東芝機械のココム違反事件というものは、先ほども申し上げましたように、経済界を含めて、国内において我が国が西側陣営の一員であるという認識が薄かったことによって起きた事件ではあるまいか、さように思うわけでございます。今後、日本が西側陣営の一員としてその義務と責任を果たす、そういう視点から総理の本件についてのお考えを承りたいと思うわけでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の事件は甚だ遺憾な次第でございますが、やはり原因等を探ってみますというと、我が国自体に対する安全保障の観念、あるいは我が国との友好関係にある国々との共同、協力による安全保障、それに対して信義を守るということ、そういう点が我が国の経済界の一部に著しく欠除していた、あるいはまた、我が国のこれに対する監督体制が極めて不十分であった、そういうことが露呈されたと思うんです。田村大臣がアメリカへ参りまして先方と話し合いました結果を見ましても、やはりそういう点に非常に。欠陥があるように私自体も痛感しております。  これらの点は、法制度の改革も含めまして、行政体系あるいは経済界における自覚と自粛、自己規制、そういう全般にわたりましてかなり思い切った刷新を行うように、そしてその成果を上げるように努力いたすつもりでおります。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、当面の経済運営について御質問申し上げたいと思うわけでございます。  これは、先ほど午前中も野田委員からの御質問があり、経済企画庁長官等からお答えがあったところでございますが、まず、当面の景気が底入れしたかどうか、並びに経済が拡大基調に向かっているかどうか、こういう点について端的に経済企画庁長官のお答えを願いたいと思います。

近藤鉄雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(近藤鉄雄君) 最近の我が国の経済の現状でございますが、輸出につきましては、円高等の影響が出ておりますので減少ぎみではございますが、国内の需要は消費も堅調でございますし住宅投資も堅調でございます。設備投資も、輸出関連の製造業はともかく、非製造業は底がたいものがございますし、したがいまして、一般的に企業の収益も、高い水準ではございませんけれども回復の兆が見られる、こういうことでございますので、現在御審議いただいております補正予算の早期実行、既に前倒しは行っているわけでございますが、そういうことから、現在見られますような円高の是正、為替の安定が予想されれば、私は我が国経済は今後漸次回復に向かう、かように判断をしている次第でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、これも午前中の御質問等にも出たわけでございますが、今回の緊急経済対策の効果と評価、この問題について若干お尋ねしたいと思うわけでございます。  私も、経済企画庁長官がお話しになりましたように、景気の底固めができてきた、経済は拡大傾向に向かうだろうというふうに思っておるところでございます。特に今回の緊急経済対策による補正予算の執行によりまして、実質成長率三・五%、これへの足がかりができてきているんじゃないか、さように思うわけでございます。  ただ、午前中の質問にもございましたように、民間調査機関等はこれについては比較的評価が厳しいといいますか、見通しについて厳しい見通しも持っているわけでございます。なお、これについてはいろいろ経済企画庁長官からも重ねての御答弁を私も横で承ったわけでございますが、端的に言って、今度の緊急経済対策の実質経済成長率へのどのくらいの底上げ効果があるのだという点と、それから、これもしばしばお話が出ているところでございますが、国際収支への改善効果、この点について経済企画庁長官から承りたいと思います。

近藤鉄雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(近藤鉄雄君) 民間経済調査機関と我が方の見通しの違いは、午前中も申し上げましたけれども、一番大きなファクターは民間設備投資をどう見るか、こういうことでございますが、我我よりも民間の方が多少控え目に見ている、こういうことでございます。  したがいまして、問題は、この差をこれからの緊急経済対策でどれだけ押し上げるか、こういうことでございますが、六兆円の緊急経済対策はGNP対比一・八%でございまして、私ども、このもたらすGNPに対する押し上げ効果というものをいろいろ前提を置きまして計算しておりますが、大ざっぱに見まして、大体向こう一年間で二%ぐらい押し上げるであろう、こういうことでございますので、年度内にはしからばどうかと、こういうことでございますが、今度の緊急経済対策は、前回と違いまして、いわゆる真水といいますか、年度内に支出できる金額が全体の九十数%になっています。いわゆる前倒しで来年の予算に依存するものが極めて少なくなっておりますので、年内に相当な割合の支出が行われる。こういうことを考えますと、押し上げ効果は、一年間で二%と申し上げましたけれども、かたく見て年度内はあえて一%プラスアルファというふうに私ども考えておるわけであります。  こういうことで、国際収支の改善でございますが、この効果だけで、実は、十億ドルの政府の特別措置を含めての五十億ドルか六十億ドルの効果、こういうことでございますが、今年度は全体として百億ドル程度の経常収支の縮小が見込まれるということでございまして、これはGNPに換算いたしますと〇・九%でございますから、この分の改善が実はGNPを多少引き下げることになりますが、それを上回っての内需の拡大を私どもは考えて、最終的には当初見通しの三・五%のGNP成長率は達成できるであろう、達成いたしたい、こういうことで経済運営に当たっている次第でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 景気の回復が底固めができたという点から、また経済の拡大基調ができたという点から、いろいろ財政出動について遅きに失したというような批判もございますけれども、タイミングとしては今回の緊急経済対策は適切なものではなかったかと、さように思うわけでございますが、この緊急経済対策、補正予算の執行について、留意すべき点が二、三あるかと思うわけでございます。  それで、この点についてお伺いしたいわけですが、まず、これは私の何と申しますか、思い過ごしかもしれないんですけれども、御案内のとおり四年間にわたって公共事業費の削減がございまして、民間の建設業界、それが縮んでいるという言葉は適切かどうか知りませんが、縮んでおる。したがって、このような大型の公共投資の追加の消化問題で、あるいは資材なりあるいは技能労働者、そういう面でボトルネックはできないかという点が第一点でございますが、これについては建設大臣の御答弁をちょうだいしたいと思います。

天野光晴自由民主党建設大臣

○国務大臣(天野光晴君) そういう懸念をする向きもなきにしもあらずでありますが、去年の予算の前倒しプラス補正予算、空気のようなものだったんですが、やっぱり実質的に契約をしますと稼働するものですから、そして集中豪雨がありまして、集中豪雨のあったのはわずか四県なんですが、その地域において技能労働者が不足したんじゃないかとかあるいは一部建設資材が値上がりしたんじゃないかなんという話はあったようでありますが、調査の対象には入ってきません。    〔理事林道君退席、委員長着席〕  ことしの場合は、六十二年度補正を全額と言っていいぐらい前倒しをいたしました。そして、この補正予算が、現在の業界の力からいくと、うちの、建設省の調査ですが、七兆円が限度だと言われておるのに五兆円出るわけでありますから、相当事業量が出ることは事実であります。これの執行がおくれましては、今経企庁長官が言ったように、三・五%アップするのに支障を来して、建設省の不手際で仕事が後に残ったからなどと言われてはちょっとやっぱり問題でありますものですから、全額消化をするためにその二つの問題について調査をしたのでありますが、今の段階では何の心配もないようであります。  業界も、突如として起きたのではなくて、もう去年からこういう状態になりつつあるものですからなれてきたようでありますし、そういう点で先生の御心配されている問題についてはそれほどのことはないと思いますし、通産大臣にもお願いしまして、建設資材費の値上がり等が伴ってこないように確保してもらうように話をしてございます。もうちょっと、いま二兆円ぐらい出しても大丈夫でございますから、その点よろしくひとつお願い申し上げておきます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、公共投資の不況地域に対する傾斜配分の問題をあわせてお伺いしたいと思うわけでございます。  申すまでもなく、現在円高による、輸出地場産業を抱えたりあるいは構造不況業種を抱えた、そういうダメージを受けている地域は相当あるわけでございます。その地域だけ挙げるとおしかりがあるかと思いますが、北海道なり九州の一部でございまして、なおそのほかにもそういう地域がございます。大体五十五年の生産水準しか経済活動が行われていないというような地域があるようでございまして、こういう地域に対しては従来も政府は各般の施策で配慮してきたわけでございますけれども、今回の補正予算においては特に配慮すべきである、さように思うわけでございます。  また、ただいまの建設大臣の御答弁のお言葉にもございましたが、早期の箇所づけ、この問題もあるかと思うわけでございます。これについては建設大臣並びに大蔵大臣から御答弁を承りたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) これは私どもの方の関係でございますからお答えを申し上げますが、建設、運輸、農水、厚生等公共事業を扱っておられる各省に対しまして傾斜配分をお願いしております。もちろん、どういう事業にということじゃなくて、この地域に対しては特段の御配慮をよろしくということで、非常に各省で温かい御配慮を賜っておるという次第でございます。

天野光晴自由民主党建設大臣

○国務大臣(天野光晴君) 今通産大臣がお話しございましたが、去年の補正からことしの年度当初の予算、今度で予算が三回目になりますが、その配分計画につきましては、関係官庁である労働省それから通産省とよく連携をとりまして、十二分とはいかないかもしれませんが、ある程度は今度の補正は相当多量に回ると思いますが、不況地域あるいは不況産業を中心としておった城下町といったようなところに対して十二分の配慮をして行ったつもりでございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、この緊急経済対策につきましては、単に一時的な施策ではなくて、中期的には内需主導型経済への転換の第一弾だ、さように思うわけでございまして、そのためには幾つかの条件が整備されなければならない、さように思うわけでございます。  この点についてお伺いしますと、まず為替相場の安定の問題だというふうに思うわけでございます。累次にわたる国際レベルにおける関係国間の為替安定の合意、一々申し上げません。あるいはアメリカの貿易収支の赤字の基調としての減少傾向とか、あるいは我が国の経常収支の黒字幅の季節調整をやった後の数字などを見ると減少傾向にある、そういう点を見ての反映でございますが、円高の基調に修正の兆候が見られるというのが現在ではあるまいかと思うわけでございます。しかし、不安定要素はまだ残っておるというわけでございますが、為替相場がこの円高の中で各企業が合理化に最善の努力を傾け、その成果も上げておりますが、つい先般のような急激な円高がまた襲ってまいりますと土台から吹き飛んでしまうというわけでございます。  したがって、そういう意味で、為替相場の安定等についての大蔵大臣のお考えを承りたいわけでございます。為替相場については、これは投機筋等からいろいろのウォッチをされておりますので、なかなかこういう場でお伺いするのはいかがと思うわけでございますが、ひとつ大蔵大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先般のベネチア・サミットの首脳会談の声明にございますように、かなり長い間の各国の首脳間の努力によって、これ以上ドルの大きな下落があることは決して望ましくない、そのために政策協調もし、また協調介入ということも事実上やってまいったわけでございますが、その決意はかなり重くやはり受け取られて、結果として今日に及んでおると思います。その間、プラザ合意からやはりここで二十何カ月目でございますから、幾らJカーブJカーブと申しましても、あれだけの大きなドルの変化が国際収支に影響がないはずはないとかねて考えてまいりましたが、ややそういう傾向が出てきたのではないか。アメリカの貿易収支で申しますと百三十億ドル、百四十億ドルというあたりを、ジグザグでございますが、少しずつ減っていっておるように見ておりまして、今年のアメリカの国際収支、昨年は赤字が貿易収支で千六百億ドル余りでございますが、千五百億ドル台になっていく公算はかなりあるのではないかと思っております。  それから、アメリカの財政赤字の方は今年度は一遍かなり縮小するという期待が持てます、それから後は今後の問題でございますが。そういったようなこともあり、ここに来まして我が国の輸出も、数量では前年同月に対しまして、微減ではございますけれども、三%から六%ぐらいの数量の減が見られるようになっております。等々から、かなり為替の基調は落ちついてまいったということを申し上げることができるのではないか。もとより、これで我が国の経済は、殊に経営の立場から申しますと、まだまだ厳しいということは私どもよく存じておりますが、まずまず落ちついてまいったのではないか。  なお、これは事は為替でございますので、自由な経済取引はもとより絶対に私ども保証いたします、確保をいたしますが、一時間に何遍も何遍も売ったり買ったりするというようなことは、これは正常な経済取引ではないというふうに考えまして、その点もいわば関係者の自粛をしていただいておる。これはやはり影響を及ぼすところが大きゅうございますから、それはやはりそうしていただきたいと思っておりますが、決してそれは自由な経済取引を制約するというつもりでやっておるのではございません。相場のことは相場に聞けと申しますけれども、まずまず落ちついてまいったのではないかと考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、内需拡大の基調、これを強固にするためには引き続いて財政の出動というものが期待されるのではないか、さように思うわけでございます。  その点に関して具体的にお伺いしますと、六十三年度の概算要求基準、これをどうするかという問題でございます。既に新行革審からその考えの答申が出ておりますが、それによりますと、公共投資についてはシーリング枠の緩和というようなことも言われておるようですが、政府としてはどういう考えで六十三年度の概算要求基準を策定するか、それについての大蔵大臣のお考えを聞かしていただきます。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) この点はまだ閣内あるいは自民党等と全く協議をいたしておりませんので、ただいま最終的に申し上げるわけにはまいりませんが、大河原委員が言われましたように、今我が国が内外から求められておりますものは、いっときの補正予算編成だけで能事足れりとするものではございません。そのことはよく存じておりますから、このような努力はやはり何年間かにわたって継続をしなければならないと思っております。  そのような見地で申しますと、今回補正をいたしました後の公共事業の水準というものは減らすわけにはまいらないであろうと私は思っております。したがいまして、新行革審に言われましたような点も十分考えていかなければならないことであろう。その反面、いわば経常的な経費については一層のひとつ御協力を願って厳しくしていかなければならないと思っておりますが、まだ最終的には決定をいたしておりませんが、御指摘のような御趣旨を踏んまえながら考えてまいりたいと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、通貨管理について日銀総裁にお伺いしたいと思うわけでございます。  最近の日銀券は前年比五カ月間連続で二けた台の伸びを示しておりますし、また、いわゆるM2プラスCDでございますか、これの増加もやはり一〇%台の増加を示すというわけでございまして、マネーサプライの急増が目立っております。それぞれの原因がございましょうが、これは異常なスピードだというふうに見られるわけでございます。もちろん、今、超物価安定と言われるような状況でございますから、その通貨の増発が直ちにインフレに通ずるというふうには思っておりませんけれども、やはり名目成長率の二倍を上回る貨幣の増加傾向というものは明らかに過剰流動性と言いたいわけでございます。  今後、補正予算等による財政支出の増加もございます。このマネーサプライの適正な管理という点について日銀総裁の御見解を承りたいと思います。

澄田智日本銀行総裁

○参考人(澄田智君) マネーサプライの管理についての御質問でございますが、銀行券につきましては今御指摘のとおりでございます。そうして、マネーサプライの中心的指標でありますM2プラスCDと私ども申しております。その平残の前年比で見まして、五月にはこれも二けたになりまして一〇・二%、最近出ました六月は若干でありますが一〇・〇というようなことでありますが、相変わらず高い伸び率であることは変わりはございません。  このように高まっている原因には若干臨時的な要素もあります。例えば大口定期預金、自由化されておりますが、それの預入の最低金額が引き下げられた、それでふえたというようなこともございます。しかし、全体としてやはり金融緩和によってこういう状態がもたらされている、こういうことでございます。  こうした金融緩和のもとにおいて、やはりその緩和の現象であります既存の資産に対する取引、株でございますとかあるいは債券でございますとか、そういう取引が活発化しておるのみならず、問題になっておりますような地価の上昇というようなものの現象も目立っている状態でございます。  卸売物価、消費者物価ともに落ちついておりますが、そしてまた国内の需給の動向やあるいは賃金コストの動き、さらには供給余力の状態というようなものから見て、当面こうした基調がにわかに崩れるということは予想しておりません。しかしながら、国際商品も原油を初めとして世界的に上昇を始めておりますし、また国内においてもそういう影響もありまして、一部の建設資材やあるいは化学製品などの値動きも多少強含みである。こういうようなこともございますわけで、今後においては、今までのように円相場の持続的上昇というような、そういうことによって物価が超安定するという、そういうことが期待できない状態でございますので、私どもは、やはり通貨管理につきましては一層細心の注意を持って臨まなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。  金融政策の運営に当たりましては、もちろん景気のこともございますし、物価のみならず為替相場の影響等我が国経済を取り巻く内外の諸情勢の総合判断でございまして、当面、やはり基調としては緩和基調を維持していかなければならない、そういうふうに判断をいたしておりますが、緩和の行き過ぎに対する弊害は、これは発生を未然に防止し、できるだけ緩和基調を安定的に長く持続させることが肝要である、こういうふうに考えているわけでございます。  抽象的な表現ではございますが、今後マネーサプライの動向については十分注意しつつ、慎重な政策運営を進めてまいる所存でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、財政再建の問題についてお伺いしたいと思うわけでございます。  六十五年度特例公債依存脱却、これを目標にして政府は現在財政再建を進めておるわけでございますが、その実態はどうかと申し上げますと、五十七年末のいわゆる赤字国債七兆八十七億でございますが、これが二兆二百七十七億円減額されて、なお四兆九千八百十億円残っておるわけでございます。これはあと三年でございますから、年平均にいたしますれば一兆六千六百億というわけでございます。これについて一体どのようなお考えを持って取り組むか、どう考えておられるか、これは総理にお伺いしたいと思うわけでございます。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理がお答えになります前に私から申し上げますが、御承知のようにこのたびの補正予算におきましてNTTの売却代金を一部歳入に導入いたし、これを社会資本整備に使わしていただこうと思っておりますが、これは六十三年度におきましては、売却がそこそこの値段で行われるといたしますとかなり大きな額が利用できるということになります。こういったようなこともございますし、また先ほどからお尋ねのように経済がやや浮揚し始めているというようなこともございまして、それはうまくいきますと何がしかの自然増収ということにもなるわけでございますが、あれこれ多少追い風が吹いてきたようなところがございます。したがいまして、先のことでもございますから、今六十五年を断念するというのには早うございますし、また必ずしもそうばかりでもないぞというような要素もございまして、その点はまだまだ時間を置いて考えさしていただきたいと思っております。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 六十五年赤字公債依存体質脱却は望みなきにあらずであると思っております。幸いにNTT株の譲渡によりまして、大体合計画しているのは三年ぐらいにわたって百九十五万株を売る、今二百五十万円以上でしょう、二百五十万掛ける百九十五万の九〇%ぐらいとしても四兆五、六千億円は多分出ると思いますね。そのうち二兆二千億円ぐらいか二兆円前後が、減債基金で予算で計上されるでしょう。そういうような数字とか、それから景気がこれで上昇していきますと、昨年の自然増収はかなり出ています。それに発射台になっていますから、ある程度の税収は出てくるかもしれません。そういうような要素等、行政改革の努力等を積み重ねていきますと、赤字公債の残高というのは四兆何千億円ぐらいですから、これを三年ぐらいでゼロにする、そういうことで分けていけばやりようによっては不可能ではないんです。  しかし景気や、あるいはその仕事のいろんな性質上それをそっちへ持っていっていいかどうかとなると、仕分けの上からは問題も出てくることがあるかもしれません。政策の問題です。ですから、これは精いっぱい努力していくべきだと思っています。私は概算要求につきましても、公共事業費や社会資本の投資、これは例外とするけれども一般行政経費は今までどおり厳しく査定してもらう、行政改革をその面では堅持する。それで我我の仕事はまず公債依存率を引き下げようと。ようやく一九・四%まで引き下がったのが二〇%をまた超した、補正予算で。これを一九%台、つまり二〇%を割るように努力しよう。それから赤字公債依存体質脱却、その目標は下げないでできるだけ赤字公債を減らしていこう、こういう形で概算要求もやってもらったらどうだろうかと、そういうふうに考えておるところであります。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 赤字公債の依存脱却という問題は確かに一つの財政再建のシンボリックな問題であると思うわけでございますが、そもそも財政再建という場合には、戦後四十年、高度成長時代に培われました膨張体質、財政に組み込まれた膨張体質、これに対してどう歯どめがかかったか、歳出の削減が行われたかということもまた財政再建の側面から見て大変大事ではあるまいか、さように思うわけでございます。その点についてはいろいろ議論もございますけれども、私自身としては、例えば毎年の予算編成で大蔵省から出される財政の中期目標、その三年目のものと実際編成された予算を比較すると、ある程度といいますか、相当程度の歳出削減の努力がなされているんじゃないか、さように思うわけでございます。  中曽根内閣が本格的な予算編成に取り組んだのは昭和五十八年でございました。そのときの大蔵省の中期目標と申しますかその試算は、六十一年度の一般歳出の推計を三十七兆二千百億円としておったわけでございますが、六十一年度の現実の当初予算は三十二兆五千八百四十二億円というふうになっておりまして、そこに四兆六千億円程度の歳出の削減が見られたというわけでございます。五十九年度についても、一々数字を申し上げませんが、その中期展望の推計値とその実際の予算編成との額については四兆程度の削減が行われておるというわけでございます。このような歳出圧縮の努力につきましては、御案内のとおり一時的なものだけでなくて、先ほど総理から御答弁もございましたように、社会医療保険、年金制度、そういうものの制度的な改革の努力なりまた補助率の見直しというような、国、地方の役割分担を見直すという点等の成果によって達せられた部分もあるわけでございまして、言うなれば、膨張が当然視された日本財政において、歳出の圧縮という歯どめがここにかかりつつあるのじゃないか、さように思うわけでございます。  事をやや大きく言えば、歳出面からいえば財政再建への展望が開かれつつあるんじゃないか。あとは歳入の面において安定した税制、それによって全体としての財政の再建が達成されるのではないか、さように思うわけでございますが、大蔵大臣、この点についてはいかがでございますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これだけの近代国家におきまして、五年間、六年に及び一般歳出を抑え、凍結しあるいはマイナスにしたということは、これはやはり相当厳しい減食でございます。これに耐えてきたということは、大河原委員は殊に公務員機構、行政というものをよく御存じでございますから、これは並み並みのことではできないことであったということは実感としておわかりいただけると思います。そうして、金がないということで、理屈ではわかっておってもなかなかできない制度の改変でありますとか、あるいは行政改革であるとかいうことが、やむを得ずといいますか、金がないということでそれを決断してやってきたということの成果も、これは将来に向かってそこそこではない大きな私は効果があったというふうに考えておりまして、これはやはりめったにできないと言ってもいいほどの大きな仕事、まだ道半ばでございますけれども、の成果であったと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 不要不急でございますか、そういう経費に基づいて圧縮削減、これは財政再建のためには必要でございます。財政再建というのは長い坂を登るようなものでございましてまだまだという点があるかと思うわけでございますが、この際、これは緊急経済対策等の持続的条件の整備等でも既に触れられておりますけれども、それぞれの経済諸条件等の変化に応じた新規需要に対してはやはり財政もこれに対応する、これも役割だと思います。二〇%を占める国債費、大変厳しい財政の事情でございますけれども、やはり財政の役割としてはそういう対応、機動力がある対応ということが必要だと思います。現に円高不況の対応について、経済実態の認識とそれから財政の出動とにずれがあるという点がしばしば指摘されたところでございまして、その点については今後十分な配慮が必要であると思います。  景気の落ち込みに対して積極的な財政の出動、それが税収その他の大幅な落ち込み、それに対して防止するという役回りがあり、それはすなわち財政再建に対して寄与するのだという点でございますが、これについては総理のお考えをいただきたい。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) このように減食をしましていわばスリムな体質になろうとしておりますのも、新しいニーズが必ずこれから出てまいります。それに有効に対処するためには古いものは切り捨てておかなければならない、そういう気持ちからでございますから、大河原委員の言われましたような、新しいそういう欠くべからざる需要に対しましては対応いたさなければならないと考えております。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱりスクラップ・アンド・ビルドという単純な考えですが、そういう考えを徹底することが大事ではないかと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、税制改正についてお伺いいたします。  税に明け、税に暮れたこの一年でございます。我々は何といいますか、二十一世紀に向かって老齢化社会に対応する、そういうための税制を提起したわけでございますが、残念ながら国民の理解が必ずしも得られなかったというわけでございます。これにつきましては、我々は税制改正の意図なりあるいは税の仕組み等々につきまして国民に理解を十二分に求める努力と、またそのために要する時間という点について必ずしも十分でなかったという点については反省をしなければならない、さように思うわけでございます。ただ、売上税を中心とする税制改革の論議の中で、やはり一般国民に対しては広く税制改正の問題意識が浸透いたしました。最近のある一新聞でございますけれども、税制改正は必要だという意識を持つ国民が七割になってきたということも報道されております。こういうような税制改正に対する国民意識の何といいますか、浸透といいますか、理解度の深まり、これを具体的な税制改正にどう結びつけるかということについて、総理の御見解を承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) おっしゃいますように、この正月以来、ややもすると我々の方が急ぎ過ぎたという感がいたして、この間の所信表明演説でも「周到な配慮をもって」と、そういうふうに申し上げたのでございます。今協議会で与野党でいろいろ御協議なさっておりますからそれを見守っておりますが、初心忘るべからずで、税制改革はどんなことがあってもやっていきたい、そう考えておる次第でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 現在、税制改正については申すまでもなく衆議院の税制改革協議会において議論されておるところでございますが、我々としてはその早急な結論を期待しておるところでございます。審議を行い速やかに結論を得ることを期待しておるところでございまして、与野党ともに精力的な協議をお願いしたいと思うわけでございます。当然でございますけれども、政府側、特に大蔵省は、その協議に参考になるような資料の提供等については十二分に努力をすべきである、さように思うわけでございます。  税制改正につきまして我々がいろいろ承っておるところによりますと、その方向について、一つは不公平税制の是正の問題が論議されるというふうに報道によって承知しているわけでございます。この不公平税制の是正というのは、申すまでもなく、本来、政策税制と我々は呼んでおるところでございまして、租持法というようなものにあらわれておりますように、これは従来からも見直しがしばしば行われてきた、また必要があったら今後も見直せばいいわけでございますが、不公平税制の是正だけでいわゆる老齢化社会に対応する安定した税制が確立できるかという点については、私は疑問に思うわけでございます。そういう意味で、不公平税制の是正、それは必要でございましょうが、これを税制改正の軸に据えるという点について疑問のあることを申し上げておきたいと思うわけでございます。  私は、税制については税源を一つに偏在して求めるということは問題だと思うわけでございます。何といいますか、資産なりあるいは消費あるいは所得、こういう面に適正に配分して税源を求める、これはミックスタックスというふうに言われておるようでございますが、それについて大蔵大臣のお考えはいかがでございますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 不公平税制の是正はもとよりいかなるときにも大切なことでございますが、このたびの税制改正はそのことをもちろん実現いたそうといたすばかりでなく、将来に向かいまして、ただいま御指摘のように老齢化社会に向かう我が国として、この際直接税、間接税等との関連をどうすればいいかということについても、これは無視し得ない大きな課題であろうと思っております。殊さら、大河原委員の言われますように、まさに所得、消費、資産おのおのについて、殊に我が国のように所得が格差なく配分されております、しかもかなり水準の高い国では、そのようなことが私は特に大切なことであろうと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 ただいま大蔵大臣から直間比率是正の問題がございました。まさに税制改正の一つのポイントだと思うわけでございまして、しばしば言われているように、法人税ないし所得税等所得中心の税に税源を求めることについては国民の重税感を高めるとか、あるいは経済のサービス化等に応じて底辺が広がりつつある消費について、多くの分野において課税を対象外にするというような点についてはいろいろ問題だと思います。それからもう一つは、数年経験したように、直接税中心主義は経済変動がもろに税収に響く、そういう点もやはり留意しなければならない点ではないかというふうに思うわけでございます。地方税にたしかアメリカは消費税を持っておりますから、そういう付加価値税等はとっておりませんけれども、他の先進西欧諸国は全部付加価値税を採用して、つい最近カナダでは一般消費税的な間接税が導入されておるわけでございまして、やはりそういう先進国家の大きな方向を見ながらこの税制改正に取り組むべきである、さように意見を申し上げるところでございます。  次に、税制改革協議会においては減税問題が先行して議論されております。議論の途中でございますのでいろいろと政府側の所見等をお伺いするのもいかがかと思うわけでございますけれども、伝えられるところによりますと、減税財源を六十一年度の剰余金あるいはNTT株式の売却利益というようなものに求めるという考えもあるようでございますが、六十一年の剰余金は、言われるような何というか一過性的なもの、私も承ったら、租税の弾性率なんてえらい高い結果の歳計剰余というような話も聞きまして、これは平年度として見にくいんじゃないか、さように思うわけでございます。そういうことでございまして、総理が言っておるように税体系の減税というものは先行しなくちゃならない、これは我が党の公約でございますし、国民負担を軽減すること、これも必要でございますが、税体系の一環としての減税でございますから、恒久的な減税は恒久財源だという姿勢で貫いていくべきだと思うわけでございます。  この点についての大蔵大臣なりあるいは総理のお考えを承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 税制改革協議会におかれましても、所得課税についてある程度のことをこの年度にいたさなければならない、いわば先行減税をしなきゃならないということは、規模はいろいろのようでございますが、ほぼ一致した御意向のようでございます。  その場合、どう考えましても、来年度になったらそれはもとへ戻ってもいいという一遍限りの戻し税ということでないことは明らかでございますので、したがいまして、そういうことをお考えいただきますときには、仮に今年度の財源対策がとれるといたしましても、明年以降どうやっていくかということはぜひ一緒に考えていただきませんと、一遍限りの減税になってしまう、そういう問題がございまして、おっしゃいますように、昭和六十一年度の自然増収は確かにやや異常な要因が多いと存じますし、NTTにつきましては、先ほども御指摘があり申し上げましたように、これはやはり国債償還のあとは資産的な投資に使いたいと。しかもこれはもともと一時的な収入であるということもございますので、やはり恒久的な税源対策をお考えの上で、いわば恒久税制改正の一環として今年度の所得税減税という、そういう税制改革協議会の御討議を政府としても望んでおるわけでございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、産業構造の調整の問題について数点お伺いしたいと思うわけでございます。  御案内のとおり、六十一年度ベースで九百億ドルを超えるような黒字となっております。経済摩擦はいよいよ激化しておる、このような対外不均衡というのをそのままにほうっておけない、世界経済の安定的な発展にとって問題だと議論されているところでございます。もっともこの問題については、日本の黒字というものは世界における各国との相互依存関係から生ずるものである、したがって日本だけの単独の努力によっては解決できない面もあるわけでございますが、自由貿易体制のもとにおいて世界の経済大国となっておる日本としてはこの状態を放置できない、これに対する取り組みが必要だというわけであると思うわけでございます。  総理は、一昨年でございますか、アクションプログラムを策定いたしまして対外不均衡是正に取り組みましたが、同時に、これは私的研究会でございますか、研究会によって産業構造の調整の問題を、いわゆる前川レポートとしてレポートを受けて、さらに政府・与党一体となっての執行体制をつくり、さらに具体的な推進のためには経済審議会の産業構造調整指針というものの建議を受けたというふうに承知しております。これによって中長期的に産業構造といいますか、経済構造と申しますか、その調整を軸にした経済運営の方向がほぼ決まってきたんじゃないか、さように思うわけでございますが、もちろん産業構造の調整というのは、対外不均衡の是正のために何といいますか、内需主導型の経済をつくり上げる、また経済成長の成果を一般国民に対して、国民生活に戻していくというわけでございます。言いかえれば、何といいますか、経済大国らしい国民生活が国内で受けられ、さらには輸入大国として世界各国から期待される、そういうような内容を持っておるわけでございますが、これはなかなか容易なことではない。きしみや痛みを伴う問題だと思います。現に、そのいわゆる経済審議会の建議でも、雇用問題等については大変な問題としてきておるところでございますが、しかし今後の世界経済の中において、我が国の国際国家としての安定的な発展という点からは避けて通れないと思うわけでございます。  いろいろ前口上を申し上げましたが、まず先ほど申し上げましたように、我が国一国だけの努力ではなかなか片づかない面がありまして、為替相場とか、あるいは国際経済の安定ということがどうしても必要だというふうに思うわけでございます。総理等もサミットその他の場においてこの点についてはいろいろな御努力をなさってきたことは承知しておりますが、例えばアメリカの過剰消費、財政赤字、こういうような問題については、今後は我が国は厳しい産業構造の調整を進める以上、言うべきことは言う、そういう姿勢で取り組むべきではあるまいか。総理のお考えを承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今大河原さんがおっしゃった同じ考えで今後も進めてまいりたいと思っております。やはり一つには、アクションプログラムやあるいはいわゆる産業構造調整推進政策、これを前進せしめまして、多少痛みは伴うかもしれませんが、国際的に調和のとれた経済構造に漸進的に進んでいく、これが経済摩擦をなくして経済国家あるいは技術国家としての日本が今後進むべき道であると考えております。しかし、一面において、それを促進するというためには内需の振興ということが必要でございまして、このこと自体は、経済構造の調整と相まって生活の質を高めていく、あるいは産業の質を新しい分野へ新しく展開していく、そういう大きな目標を持って行わないといけないのでございます。  私は、やはり国民に希望があり、楽しみがあるというやり方で進むべきであると思いまして、それは一つは国民生活の充実ということ、あるいは住民生活、都市生活の充実ということ、そういうことと、文化性の向上とかいろんな面におきまして希望があるようにする、あるいは新しい科学技術の開発、それに基づく新しい産業分野への展開、そういう希望を持って進むという、そういうことが大事ではないかと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に通産大臣にお伺いいたしますが、御承知のとおり、需要構造の変化と技術革新によって中長期的な変化に、さらに円高の輸出条件の悪化だとか、さらに輸入の増大というようなことで、我が国の製造業が今非常な激動にさらされておるというわけでございます。非鉄だとか鉄鋼、造船、これらについては、国際競争力の低下、あるいは世界需要の縮小というようなことで、生産の縮小を余儀なくされておるというふうに承知しておりますし、電機や機械等の加工組み立て産業も、輸出の伸びの鈍化とか、あるいは海外現地生産化というような問題で揺れに揺れておる、こういう現象を称していわゆる産業の空洞化というようなことがしばしば言われておりますが、通産大臣、この点についての御認識と対応についてお答えを願えれば結構だと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今おっしゃいましたように、円高などを背景に製品輸入の増加、輸出の停滞が生じまして、また海外生産の動きも活発化するなど、産業構造転換の動きが加速されつつある中で、我が国産業の現状は輸出関連業種や中小企業を中心に依然厳しいものとなっていることから、経済活力の低下、雇用情勢の深刻化、地域経済の疲弊など、今おっしゃいましたいわゆる空洞化が生じることのないよう適切な政策的対応を行うことが必要であると認識をいたしております。  このために、円高の行き過ぎを抑えた適切でありかつ安定的な為替レートの実現――最近ちょっと戻ってまいりまして、きょうの寄りつきが百五十三円台になっておるようでございますが、また内需拡大に向けての適切なマクロ経済運営のもとで技術革新、情報化の成果を生かした新規産業分野の開拓の推進、新規事業分野への転換の円滑化等を通じ、経済活力を維持しながら、雇用、関連中小企業、地域経済への影響の軽減等の各種政策を総合的に講じていくことが必要であると考えております。  産業構造転換円滑化臨時措置法、それから特定地域中小企業対策臨時措置法などの積極的活用を初めとして、産業構造転換対策、中小企業対策、地域活性化対策等を的確に講じてまいる所存でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、雇用問題並びに労働時間の短縮の問題について労働大臣に承りたいと思うわけでございます。産業構造の調整の過程で最大の問題は雇用問題だと指摘されておるところでございます。産業構造の変化というものは就業構造の変化をもたらす、当然でございます。これについて今後の努力が必要なわけでございますが、特に、既にもう円高不況とかあるいは構造不況、そういうことによりまして労働情勢は悪化しております。失業率なりあるいは失業人口の増大というわけでございますが、今後は中長期的にこの産業構造の転換、したがって雇用問題が一段と厳しい形で出てくるのではないかと思うわけでございます。だれも異存はないと思うわけでございます。  その場合に、産業構造の転換に伴う就業構造の変化でございますので、労働の需要と労働の供給との間にずれが出る。それは、産業間あるいは職種間あるいは年齢間や地域間というようないろいろな段階で需給の不均衡が出るわけでございます。このごろは専らそれをミスマッチということで言われておるところでございますけれども、この問題についての今後の取り組みをまず労働大臣から端的に御答弁いただきたいと思います。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。  現在、私どもの認識では、産業構造の転換を含めまして、非常に大きい転換期であると考えております。このような時期における雇用問題というのは、基本的に、内需拡大を中心にした均衡のとれたある程度の経済成長がございませんとすべての制度がなかなか有効に働かないという意味において、産業政策、雇用政策、経済運営、ともに一体となっての施策が不可欠である、かように考えております。  しからば労働省はどういう対策をとっておるかということでございますが、今御指摘になりました労働力需給のミスマッチというのは、高齢化対策と並びまして、私は今後の雇用対策の非常に大きい政策的課題であると考えております。御案内のように、職業転換に伴います訓練、さらには出向等に対する助成措置もいたしておりますし、これは民間でございますけれども産業雇用安定センター、これの運営に関する助成をいたしまして、ここを通じて労働力の円滑な需給を図りたい。また昨年末来、雇調金の拡充さらには指定要件の緩和等も含めて失業の予防に当たっておるわけでございます。いま一つ、これはもう本年四月から施行いたしておるわけでございますが、地域雇用開発等促進法。これはやはり半年以上たちませんとなかなか効果が具体的な数字として上がってきにくいという面もございますが、私は単に制度、施策をしただけでなくて、今後非常に雇用問題は流動的でございますから、これらの運用については、従来から申し上げておりますように、できるだけ機動的に、また運営については弾力性をもって訓練その他の問題についても常時見直しをやる。そして、結果的にはやはり有効に働く制度でなければいかぬというふうなことで、全国の安定所に対して再三にわたってその旨を伝えてあるわけでございまして、ただいまそういう形において雇用の安定のために全力を挙げておるところでございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 続いて、労働時間短縮の問題について承りたいと思います。  経済構造の調整は、先ほど総理の御答弁にもございましたように、対外不均衡の解消だけではない、経済成長の成果を国民生活の質の向上に充てるんだということを言われておるわけでございますが、先進諸国に比べて極端に長い我が国の労働時間、これについて十分なる改善と申しますか、積極的な施策を進めて、やはりその先進国といいますかにふさわしいライフスタイルをつくるということがぜひ必要だというふうに思うわけでございます。  その場合においては、やはり労働時間短縮の実現の場合にも、賃金への分配の配慮、これもなくてはならないというふうに思いますし、もう一つは、やっぱりこの労働時間の短縮というものは、国民生活に対して余裕を持たせ、時間のゆとりは消費を生み、またそれが新しい消費を生み出すという点で消費拡大の効果もあると思うわけでございます。この点についての労働時間短縮へのお取り組み、これについてお伺いしたいと思います。  もう一つは、しばしば言われておるわけでございますが、老齢化社会でございます。したがって、青少年層の労働時間の短縮によって老齢者への雇用機会を増加するというような、いわゆるワークシェアリングの問題、この点についてもあわせてお考えを承りたいと思います。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) 労働時間短縮の必要性につきましては、もう委員御指摘のとおりでございまして、私どもから繰り返して申し上げませんけれども、やはり内外の要請によりましてどうしても時間短縮を進めなければならぬということでございます。  労働省としましても、週休二日制の定着等、従来から公務員さらには金融機関等の短縮についても関係省庁と十分に連絡をとってやってまいっておりますし、大変地味で根気の要る施策ではございますが、やはりゆとり月間ないしは夏季休暇の定着等々について、現在までその啓蒙活動を行ってまいったわけでございます。  ただ、結論から申し上げますと、生産性の向上の配分という点で、石油危機以来かなり経済の流れが変わりまして、そういう配分をする状況がなかなか難しくなったということがそのまま時間配分にあらわれておりまして、自来十年間ほとんど実態は進んでおらないというところが率直なところでございます。  したがって、今後時間短縮を進めるについての手法でございますけれども、基本的に由民の方々の御理解、そういうコンセンサスの中でやってまいりませんと、さらにいま一つは、中小企業等に対する相当の配慮がないと、ただいまお願いしております労働時間短縮の基準法改正と申しましょうか――週四十時間労働に対する段階的な縮小の方法ということをお願いいたしておるわけでございますが、この法定時間を基準法の改正によって短縮するだけで年間の実総労働時間が果たして短縮でき得るかという問題もございます。やはり段階的に中小企業に過分な負担がかからないという配慮の中で公務員の週休二日制の完全な定着、さらには、こうなりますと当然閉庁方式ということもあわせて考えなければなりませんが、そういう中で官民一体となって総合的な施策でこの時間短縮を進めなければならぬと考えております。  いま一つお尋ねのございました非常な高齢化社会、これから来るのでなくて現実にもうただいま既に高齢化社会の流れの中に入っておるわけでございますが、そういう中で世代間の融通と申しましょうか、さらに雇用関係についてワークシェアリングはどうかという御意見でございますが、基本的に私はこれはもう大賛成でございます。ただ、労働時間の短縮がそのまま雇用増に結びつくかどうかということにつきましては、これはいろいろ御議論のあるところでございまして、いずれにしても、委員が御指摘になりましたこれからの高齢化社会に対して、そういう仕事の配分ができるような組織づくりと申しましょうか、そういうことについては私どもこれから真剣に取り組んでいかなければならぬ問題であると、かように考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 産業構造調整との関係の最後に、重厚長大の産業構造から地域サービス、情報化、サービス化ということでございまして、知識サービス生産部門というものがウエートを持ってくるわけでございます。これは都市型の産業でございます。したがって、この進展というのはかえって雇用機会や産業を地方から奪って、一極集中、そういう傾向をもたらすのではあるまいかというふうに懸念をしておるところでございます。諸機能の東京集中については、次に触れます地価問題もさようでございますけれども、これはもう限度がある。地価、土地あるいは住宅あるいは居住環境のゆがみがこれ以上増大するというようなことについては慎重な配慮がなされなければならない、さように思うわけでございます。  そういう意味では、地方の中核都市というんですか、中枢都市、こういうものに対して、速やかに情報通信のインフラを整備するとか、人材を確保するとか、あるいは居住環境を整備するという思い切った施策が行われなければ相ならぬのではないか、さように思いますが、いわばこういう産業構造調整に伴う戦略的な取り組み、これについて自治大臣及び国土庁長官にお伺いしたいと思います。

葉梨信行自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(葉梨信行君) 先生おっしゃいますように、昭和五十年代後半になりまして、東京を中心とします東京圏に人口やあるいは中枢的な都市機能が集中してまいってきております。しかし、国土の均衡ある発展を図りますためには、今先生が言われましたような産業構造の変化とか、あるいは情報化、サービス化というような流れの中で、地方中枢都市あるいは中核都市その他の地方都市の整備振興を図ることが重要であると考えられるのでございます。  自治省といたしましては、個性豊かな活力ある地域社会をつくるために町づくり特別対策事業を展開しております。また、このごろは老齢化が進んでいる、あるいは国際化が進んでいる、あるいは地域間交流という要請がございますが、そのような重要な地域的な構造転換事業を推進するために、先導的に行おうということで、リーディングプロジェクトと名づける事業を推進しておるわけでございます。また、一昨年来の急激な円高とか産業構造の転換の流れの中で非常に苦しい対応を迫られております地域経済社会を活性化するために、地域に注目いたしまして、地域経済活性化対策事業とか、あるいは地域経済緊急プロジェクトを展開しているところでございます。  先生言われますように、地域社会の活性化のためにこれからも自治省といたしましては十分に配慮してまいりたいと考えておりますし、特に地方公共団体の行財政構造の充実強化が必要であろう、そのような点にも十分に力を入れていきたいと考えている次第であります。

綿貫民輔自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(綿貫民輔君) 東京の地価高騰に対する対策として、東京に業務機能、管理機能が集中し過ぎるということが一つの原因になっておるわけでございまして、今回四全総におきましてもそれらの地方展開ということも方向づけさせていただいておるわけでございます。  なお、地方の地価が東京に連動して上がるということが心配されておるわけでございまして、今回、百八国会において国土利用計画法の改正をさせていただきまして、監視区域というのを各自治体において設けることができることになっております。八月一日からこれが発効するわけでございまして、各地域におきましてもそれぞれこれに対応する準備をされておると聞いておるわけでございまして、この監視区域によって小規模の取引をチェックすることによってある程度の効果が得られるものと考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 ただいま国土庁長官の御答弁には、既に土地問題、これから私が御質問申し上げようと思う土地問題について関連の御答弁もございましたが、これから土地問題についてお伺いしたいと思います。  もう多くを申し上げません。六十二年度の地価公示価格を見ましても、地方圏ではそう上がっていない。わずか。中央において、東京圏においては最も高い。さらには二十三区内においては八割以上の上昇率を示しているという問題でございます。これについてはいろいろその原因について言われておりますけれども、まず国土庁長官、この辺からのお答えを頭いたいと思います。

綿貫民輔自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(綿貫民輔君) 地価高騰の要因といたしまして、ただいま御答弁申し上げましたほかに、最近の金余り現象を背景にいたします短期の譲渡所得を得るための行為が非常に大きな原因になっておると言われておるわけであります。ちなみに世田谷等でいろいろとサンプリング調査をいたしましたところ、半年の間に七二%ものやっぱり移しかえが行われておるというようなことでございまして、さきの国会に、それらを踏まえまして、二年以内に譲渡所得を得た方には高率の税金をかけるという法案を提出させていただいたわけであります。これは残念ながら廃案になったわけでございまして、この国会にはぜひこれを再提出させていただくつもりでございますので、これらをさらに通過させていただきますと地価安定のために、大きな効果が得られると考えておる次第でございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 今回の地価騰貴は、東京への国際的な内外の金融なり諸機能の集中、ビル需要ということが専ら言われておるところでございます。したがって、ある意味では局地的な限定される問題であるというふうにも当初は言われておったわけでございますが、現在お話のとおり超金融緩和状況でございます。四十年代の末のあの過剰流動性を背景とした全国的な土地騰貴、今回も東京都内の商業地とか優良住宅地じゃなくて、次第に周辺に及び、さらには地方圏にも及ぶのではないか、そういうような懸念をされておるわけでございますが、これについての国土庁長官の御見解を承りたい。

綿貫民輔自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(綿貫民輔君) 御指摘のように東京は今世界の都市ということになりまして、業務機能、管理機能が集中豪雨のように集中をしておる、こういうことから土地高騰が生まれたわけでございまして、これについてはやはり需要と供給という問題からの地価対策が必要だということで、既に土地をさらに供給するための税制として、十年以上持っていないと売却した場合に重課税が行われるというのを五年に引き下げるという法案も先般提出させていただきましたが、これも廃案になったわけです。これが五年に引き下げられますとある程度の土地の供給が得られるのではないか。また、東京の国公有地等の活用によりましてさらに供給面をふやすという方向につきましては、関係省庁とも今鋭意その方面について協議をさせていただいておるわけでございまして、需要供給の正常なバランスを一刻も早く回復するということが最も大切である。現在の地価高騰の原因は御指摘のようなことから起こっておるというふうに私どもは理解をいたしておる次第であります。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 急激な地価の高騰というのは、一般国民の住居に対する要望あるいは居住空間をふやしたいという要望に対してこれを困難にする。また、土地を持っておる者と持っていない者との社会的な不均衡の問題もありますし、公共事業等社会基盤の整備というような点についても非常に影響をもたらす。また、通勤圏では持ち家を取得することが困難だというようなことから来る勤労意欲の喪失とか、いろいろ社会的なゆがみとかを生ずるというわけでございまして、やはり地価対策は一歩一歩本格的な前進を図らなければならない、さように思うわけでございます。  その意味で、ビル需要等のいわゆる地価高騰、そういう関係から見ますと、まず、東京への一極集中型の産業なり情報機能の配置を是正して、四全総が言っているような多極分散型、これを強力に進める必要があるんじゃないかと思いますが、国土庁長官、いかがですか。

綿貫民輔自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(綿貫民輔君) おっしゃるとおりだと思います。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 現在地価の上昇が著しい地域では、一部の業者による、何といいますか、土地転がし、土地の投機的取引、これが進められ、地価の上昇に拍車をかけていると言われておるところでございます。また、金融機関が土地取得のための融資を行って、それに拍車づけているとかということが言われておるわけでございます。この点について、まず捜査当局に、不法な手段によって地上げ屋等に立ち退きを強要されている事例であって、住民から相談を受けたりあるいは検挙事件について把握なさっておりますのなら、それについての御説明を承りたいと思います。  なお、先に進みますが、こういうような暴力的な行為等による不法な土地取り上げに対しては、警察当局も民事不介入の原則という立場にとらわれ過ぎないで、やっぱり住民本位のために積極的な姿勢で取り組んでほしいと思うわけでございまして、それについての国家公安委員長としての自治大臣の御見解を承りたい。

葉梨信行自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(葉梨信行君) 御指摘のような地上げに介入いたしまして暴力行為を行う事犯に対しましては、厳正に対処していくべきであると考えているところでございます。

仁平圀雄警察庁刑事局長

○政府委員(仁平圀雄君) 地上げなど不動産取引に暴力団が介入しまして困っているということで市民から警察に寄せられております相談は、年々増加しているところでございまして、昨年は全国で約二千件に上っているという状況でございます。また、最近検挙いたしました事例の中には、地上げに絡みまして、居住者を追い出すために、暴力団員等がビルの屋上にハンマーで穴をあけたり、あるいは居住している建物にダンプカーで突っ込んだり、放火したり、あるいは居住者に暴行、脅迫を加えるといった悪質なものもあるところでございます。  警察といたしましては、ただいま先生から御指摘のとおりでございますが、この種事案に関する市民からの相談に対しましては、直ちには刑事事件として措置できないものでありましても、市民サイドに立ちまして積極的に対応いたしますとともに、刑罰法令に触れるものにつきましては検挙の徹底を期するという方針で厳しく対処してきたところでございますし、今後ともそのようにやっていきたいと考えておるところでございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 金融機関の土地関連融資につきましては、大蔵省の方でも、かねてから通達の発出なりあるいは一般的なヒアリングを行ってきておるようでございます。しかし、新聞報道によりますと、例えば本年三月末の不動産業向けの貸し付け残高等は、一般の総融資残高の増が一二%に対して三六%と、三倍の増加を示しているというようなことで、非常に高い水準になっております。こうした状況や、土地高騰がこれだけ社会的にも問題になっておるという点を配慮いたしますと、大蔵省としてもさらに何らかの指導強化を行うべきではないか、さように思うわけでございますが、これについての御見解を承りたいわけです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 金融機関の融資が土地の不正常なあるいは不正な投機等々に利用されないようにということは、従来幾たびか銀行局長から通達をいたしておりまして、昨年の暮れにも再度注意を促したところでございます。また、その担保といたしまして、一年に二度ほど各金融機関から報告を徴し、またそれについてヒアリングを行ってまいりました。しかし、御指摘のように、なかなか事態は鎮静をいたしませんので、この際、従来の一般的なヒアリングに加えまして、特別なヒアリングをやりますように事務当局に具体的な準備を検討するように指示をいたしました。  すなわち、全国どこでも土地が上がっておるわけではございませんで、特定の地域というのがおのずからございますし、また金融機関の中で、従来の融資実績等々から見まして、特にいわば関連が大きいと思われるようなところは調べますとおのずからわかるわけでございますので、そういう対象を絞りまして特別のヒアリングをいたすことが必要であろうというふうに考えるに至りました。かたがた金融業界の団体におきましても、自粛等々の処置、声明も用意いたしておるようでございますので、この際大蔵省といたしまして、いわば特別ヒアリングと申すべきものを早急に開始いたしたいと考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 ただいま大蔵大臣から、さらに積極的な特別ヒアリングということで指導を強化して、まあちょっと言葉は過ぎますが、問題の金融機関に対しては積極的な指導を行う、さように受け取れる御答弁と承知したわけでございますが、いずれにしても、金融機関の社会的な責任、これについて一層こういう地価問題等において配慮されるべきであると思いますので、厳正な指導をお願いしたいと思うわけでございます。  次に、土地対策については、基本的には供給増加対策なり、あるいは一方では投資的対象とならぬように、土地はもうかるものだという我が国における土地神話、これに対する土壌を逐次変えていくという基本問題があるわけでございますが、この際は時間の関係もございましてあえて積極的な提案をいたしませんけれども、土地の利用とかあるいは保有、処分あるいは利用規制の誘導策、こういう問題については、すぐれて土地については個人の自由に任されている我が国においては、やっぱり公共財としての性格を持っている土地に対する規制を進めていく場合においては、国民の財産権の問題とも深くかかわってくる、さような問題があるわけでございます。  したがって土地対策、これを本格的に進めるため、あるいは事があるたびに応急的な措置をしてまた問題を後に残すということではなくて、こういう問題を契機に着実に土地対策を進めるためには、やはり総合的な基本的な論議、言うなれば国民的なコンセンサスが必要である、私はさように思うわけでございますが、この点については総理大臣、いかがでございますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 土地の問題は、先ほど来申し上げているように非常な大問題であります。いろいろな案が出てきておりますが、最近顕著に出てきたのは、信託制度を大いに活用しなさい、所有権というものに余り固執しないで使用権を拡大してこれを大いに善用したらどうかと、こういう注目すべき議論が出てまいりました。国鉄とかあるいは国家が持っているようなそういう公的財産等については、この信託制度という発想を利用することは非常に有用ではないかと思います。そのほかのいろいろな問題点につきましても、この際新しく新行革審で議論してもらっておりますし、政府の内部においても今いろいろ詰めを行っているところでございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 次に、時間もございませんけれども、農業問題等についてお伺いしたいと思います。  御案内のとおり、国際的な農産物の過剰を背景として農業保護の削減という問題が各所で論議されております。OECDの閣僚理事会、さらにはサミットの場で議論されておるところでございますけれども、やはりいわば農産物輸出国の過剰問題からこの問題は一つ出ておるというわけでございまして、国内の自給率が大変低い輸入国としての我が国については一線はしっかり守らなければ相ならぬ、さように思うわけでございます。そういう意味で、閣僚理事会において加藤農林水産大臣が農業の特殊性についてコミュニケに明記するように大変な努力をしたという点については高く評価するものでございますが、これについての農水大臣のお考えを聞かしていただきたい。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 農業は他の産業と違いまして、それぞれの国が国情に応じてのいろいろな施策を行っておるところでございます。そういう点を踏まえまして、私も、我が国における自給率の問題であるとか、あるいはまた世界最大の農産物の輸入国であり、世界の農産物貿易に最大の貢献をしておるのは我が国である、そしてまた、農業の単に経済性だけでなく、それぞれの地域の活性化であるとかあるいは国土、自然環境の保全、こういう点を一生懸命訴えまして、世界の多くの国々、OECDは二十四カ国の先進国でありますが、その国々の皆さん方の御賛同を得ましてコミュニケに盛り込むことができた、このように考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 この秋から農産物の国際的な交渉がいよいよ山場を迎えます。御案内のとおりガット二十三条二項のパネル協議、これの十二品目についての結論も近いかと思います。さらには、来年三月失効いたします牛肉、オレンジの日米協議、これもこの秋からいよいよ本格的折衝に入る。さらには、御案内のとおり上下両院に日本の米の市場開放についての法案が出ておる。ガット・ニューラウンドの交渉に対処しようとしている。こういう厳しい情勢でございますが、重ねて農林水産大臣のお考えを承りたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 十二品目の問題につきましては、御存じのように今ガットの場でパネルが設けられて議論が行われておるところでございます。アメリカが提訴しました理由につきまして、我が方は全力を傾注してそれに対する反論を行っておるところでございます。これに対する予断は許されないと思います。また、これら十二品目につきましては二国間の協議というパイプも必要である、このように考えております。  牛肉、かんきつにつきましては、一九八七年、本年の適当な時期におきまして関係国間で協議を始めたいと考えておりますが、何としましても自由化は困難であるということと、我が国の国内事情について誠意を持って説明していく必要がある。  それから、米につきましてはもう今まで申し上げておるとおりでございまして、二国間協議には応じないというところでございます。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 三十一年ぶりで米価の引き下げが行われました。米をめぐる内外の諸情勢、米生産費の動向等からそのような結果になったわけでございますが、稲作農民が最も懸念しているところは、食糧管理制度の根幹が維持されるかあるいは米の自給方針が貫かれるかという点でございます。この点については累次にわたって総理も御答弁なさっておりますが、重ねてこの場でお考えを承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 米の問題については日本人全体が大きな関心を持っておるところでございます。これにつきましては、ガットにおいて一般的農政問題と同じように話をするならば我々も話に応じましょう、そういう態度を持っておりますが、我々の基本政策は、農水大臣が前から御説明申し上げておりますように、食糧の安定供給あるいは農業の持っておる社会性、そういうようなものも考えてみまして、これを自由化するということは非常に難しい、極めて困難である、そういう情勢をよく相手側にも話しまして理解を得るように努力したいと考えております。

大河原太一郎自由民主党

○大河原太一郎君 最後に、日本の農業関係者が余り保護が必要だと言ったせいか、日本農業については過保護論が一般的に浸透しております。しかし、よく見ますと、先進諸国、例えば農業予算の関係でもはるかに米国なりECの最近の増加率は大きい。また、日本は財政再建のもとで日本の農林予算は年々減っておるというわけでございますし、国境規制措置等についてもアメリカはウエーバー品目を含めて十八品目ある。ECなどは可変課徴金のもとでがっちり防衛して、さらにその上にそれぞれの国がIQ対象の品目を持っておるというわけでございます。そういう点で、過保護諭については我々も大変遺憾に思うわけでございますが、過保護論の上に立った農政の展開は大変慎重でなければならないと思いますが、この点について総理に承って、質問を終えたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) おっしゃる点我々も同感でございます。しかし、やはり農業といえども市場性を十分考え、生産性を主にして、そして日に日に改革が加えられていかなげればなりませんし、また国民経済の中に機能している農業でありますから、全国民が共感を得て支持するような農業でなければならぬと思うんです。そういう意味におきまして、我々は農政審の答申を、これは農協の皆さん、農民の皆さんと一緒になってこれを実現していくように努力していきたいと考えております。

原文兵衛自由民主党

○委員長(原文兵衛君) 以上で大河原太一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会      ―――――・―――――

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