法務委員会 第8号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/09/18
会議録
○委員長(三木忠雄君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十七日、斎藤十朗君、矢田部理君及び宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として添田増太郎君、千葉景子君及び神谷信之助君が選任されました。 また本日、杉山令肇君が委員を辞任され、その補欠として二木秀夫君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(三木忠雄君) 外国人登録法の一部を改正する法律案(第百八回国会閣法第六二号)を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 これまで、この改正案につきましては、いろいろな観点から質疑が交わされてまいりました。本日は、これまで議論になっていない点あるいは明らかにしておいていただきたい点につきまして少し質問をさせていただきたいというふうに思います。 まず第一点でございますが、外国人登録法の重要な柱でございます指紋押捺制度、これにつきましては私も全廃を求めているところでございますけれども、この指紋押捺制度が存続するといたしましても、これについては憲法上からも極めて重要な問題点があろうかと思います。そういう意味では憲法に違反する疑いもあるのではないか、私はこう考えているわけです。 幾つかの問題点がございますけれども、一つは、指紋め採取につきましていわば身体の自由あるいは個人の尊厳、こういう問題があろうかと思います。また国際人権規約、B規約の七条、これは品位を傷つける取り扱いの禁止という条項でございますけれども、こういう点からも一体、指紋の採取というのは問題がないんだろうか、疑問が生ずるわけです。 また、もう一点大きな問題として、採取されました指紋の利用、指紋とともにいろいろな情報が結びついているわけでございますけれども、この管理につきまして、自分の自己情報を自己管理する利益、いわばプライバシーの権利とも言えるかと思いますけれども、こういう問題点があるんじゃないかと思います。 またさらに、日本国民と外国人という意味では平等原則、外国人だけから指紋を採取する、これが合理的な何か区別になるのかどうか、こういう問題点もあろうかと思います。 こういう多々問題があるんですけれども、その中で一つプライバシーの問題といたしまして、採取されました指紋が一体どう管理され、そして目的外などに使用されている疑いがないのかどうか、この辺についてお聞きしたいと思います。 まず、現状といいますか、現在の管理あるいはこの指紋がほかの目的に使われていないかどうか、このあたりの実態をお聞きしたいと思います。
○説明員(黒木忠正君) 外国人登録において採取されました指紋と申しますのは市町村が保管いたします登録原票、それから法務省に送られてまいります指紋原紙、それから本人が携帯する登録証明書、この三つの文書に指紋が押してあるわけでございますが、市町村における原票と申しますのは市町村長が厳重に管理をいたしております。 なおかつ、外部からの例えば原票の写しを提供してくれという他の機関からの要請がありました 場合には、その指紋の部分は紙で遮へいいたしまして、それでコピーをとって送る。すなわち、原票に書かれたいろいろの事項については提供するけれども、指紋の部分は他機関に提供しないという原則的な取り扱いをしております。 それから、同じく法務省で保管しております指紋原紙、これはあくまでも前回の登録された人物と二回目、三回目の人物が同一であるかどうかということを確認するためのものでございますから、人物の確認以外には利用しない、こういう取り扱いでやっております。
○千葉景子君 今、取り扱いの実態をお聞きしたわけですけれども、こうなりますと、私は不思議に思うんですけれども、外登法におきましては、これまで一貫してプライバシー保護のための措置、規定といいますか、こういうものは設けられてきておりませんし、どうも余り検討されたとか問題になったような様子がございません。この点についてはこれまでそういう措置をしなければいけない、あるいはそういう規定を設けなければいけない、そういうことは論議されたり検討されてきたようなことはございませんか。
○政府委員(小林俊二君) この問題については、法務省入管局部内において常に取り扱いについてのレビューが行われておりますので、その過程で種々議論はされております。ただ、先生御指摘の点がもし法文上その点についての規定を設けるべきではないかということであるならば、法文上その点を規定する、すなわちこれが目的以外のものに使われないということを担保するような規定を設けるということは提案されたことはございません。 と申しますのは、その法文上と申しますか、法の趣旨からいたしまして、指紋というものが外国人の居住関係、身分関係の正確性を維持する手段であって、居住関係、身分関係そのものではないわけでございますかう、したがってその指紋をそうした手段以外の用途に供するということは法の趣旨からしてもあり得ないということでございます。法解釈上明確であるということであって、指紋というものに限ってその目的以外に供せられることがないということを担保するということについて今日まで具体的な提案あるいは提議となったことはないということでございます。
○千葉景子君 その点は目的からしてそういう解釈になろうかと思うんですけれども、例えばこれはアメリカ合衆国の法律でございますけれども、移民国籍法という法律がございます。これは永住目的、いわゆる移民の方から指紋をとる制度、限られた方から指紋をとっているようでございますけれども、この移民国籍法というものの中にも、日本文に訳せば、「この第Ⅱ編の規定によって作成されたすべての登録、ならびに指紋の記録は機密であって、法務長官が指定する者、又は機関のみに利用は限られる」というようなことで、指紋をとるにしてもその指紋の情報というのは機密扱いにするんだというような規定が設けられている、こういうこともございます。 また、この外登法の指紋とは若干異なりますけれども、例えば住民基本台帳法ですね、これにおきましても三十六条で、「住民に関する記録の保護」というようなことも記載されております。こういう意味ではプライバシーの保護、そして目的以外に使われないということを今もやっていらっしゃる。これは当然のことと思いますけれども、それであればむしろ明文にこういうことをうたわれて、疑問が呈せられないようになさった方がよりベターではないかというふうに私は思いますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 立法政策上の問題としてそういう規定を設けることは検討の余地がないということではないと存じますけれども、今日まで私どもの処理してきたとの関連事項に関する限りにおきましては、その点について疑問が生じたということもございませんし、また現在までそういう規定がないために私どもがとってまいりました方針の維持について非常に困難が感じられたということもございませんので、現在までその点についての法文化ということは考えたことがないわけでございます。しかしながら、一つの御意見として念頭に置くということは適当かと存じます。
○千葉景子君 意見として承っていただくだけではなくて、ぜひ検討の対象に、この法案も見直しをなさりたいということも御答弁いただいているようでございますので、そういう際にほかの諸外国の法律あるいは我が国のさまざまな他の立法例、こういうものを参考に、あるいは比較検討されまして、こういうものの導入につきましてもぜひ前向きに考えていただきたいというふうに思いますが、この点については法務大臣はいかがですか。
○国務大臣(遠藤要君) ただいま入管局長からお答え申し上げたとおりで、指紋制度というのは登録の正確さを保持するためだということで、それ以外の一般犯罪捜査等に利用はさせない、しないというような原則で今日まで進んでおり、そのような点から方針は今後も変わらないと。今先生から改めて明文を規定してはどうかという御意見がございましたが、今までは検討の余地もない、これは他に利用しない、させないという方針を立てておったわけでございますけれども、先生からせっかくそういうふうな御意見が出ておりますので、一つの検討課題として私は考えていきたい、こう思っております。
○千葉景子君 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。 それでは次に、登録証明書の交付につきまして規定をされています第五条にかかわる問題について若干お尋ねをしたいというふうに思っております。 登録法の第五条一項というのは、窓口で登録証明書の交付につきまして即日交付、その場で交付ということが記載してあります。これが原則であろうかと思いますが、その点は間違いございませんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 現在の条文のあり方はそういうことでございます。 ただ、実態的には現在の登録証明書の形式、材質、態様を前提としておりますので、登録証明書のカード化ということを前提とする法改正が御承認いただける場合におきましては、当然技術的にこれに伴う実態的な変化が生ずるわけでございます。そうしますと、この第五条二項の「事務上やむを得ない理由」というのが一般的になるということになるわけでございまして、そういう点から実態的には即日交付ということが事実上不可能になるのは一般的でございます。したがって、それが実際上原則になる、即日交付が例外的になるということは法文の規定ではなくて、法文の規定に基づいてこれから行われようとしている実態の反映ということでございますけれども、そういうことになるというわけでございます。
○千葉景子君 今のお話ですと、法文上ではなくて実態上といいますか、そういうことでこの一項と二項が逆転をする、原則と例外が逆さまになるというような事態になるんだというようなお話でございます。そうなりますと、一体この第五条の一項というのはどういうケースが考えられるわけでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 第五条一項そのものは、別段登録証明書交付の時点について規定はしてございませんで、これは申請に応じて登録証明書を作成し、申請をした者に交付すると書いてあるだけでございます。したがって、第五条一項だけについて申し上げれば、そこに即日交付が原則になっているということまで解釈としては申しがたいのではないかと存じます。 ただ、第二項がございますために、そこに「事務上やむを得ない理由」ということがあるために、そこから類推して即日交付が原則であるような解釈が生じ得るわけでございますけれども、その「事務上やむを得ない理由」というものが機械的な理由、技術的な理由で一般的になるということの反映として即日交付は例外となり、二週間ほどを考えておりますけれども、日を置いて交付するということが実態的に原則になるということで ございます。したがって、第五条全体を通して見れば、即日交付が原則であって、それ以外は例外であるということを明示してあるというところまでは言いがたいかと存じます。そのために、あえて今回の技術的な態様の変化、修正ということに伴う第五条の修正ということは行わなかったわけでございます。 ただし、今回の法改正におきましてもそうしたカード化に伴う一連の作業についての規定は、御承知のように「当分の間」というふうな文言も使用してございますとおり、未来永劫そういうことで続けるのだということは必ずしもございません。 昨日の答弁においてお話し申し上げましたとおり、例えば地方自治体側の考え方が変わりまして、外国人人口の多い市区町村においては調製機械を備えつける、したがって、地方によってばらつきが生じても差し支えないというのが地方自治体側の考え方ということになれば、その全部を地方入管局で作成する、調製するという現在の予定している方式を変更いたしまして、そういう大きな市区町村については調製機械を備えつけるということも考えられないではないわけでございます。そうなれば、その市区町村については現在のように即日交付ということが行われるようになる可能性もあるということでございます。
○千葉景子君 今のお話をお聞きしますと、五条というのは第二項があるので、そこから今度は反対に戻ってくれば第一項は即日交付を意味するんだというようなお話でございます。 ところで、実態も、今は別に二項の例外を使っているわけではありませんで、第五条一項の原則に基づいて即日に交付されているという実態でございますね、その点は間違いございませんか。
○政府委員(小林俊二君) 先ほど申し上げましたように、五条一項は必ずしも即日交付ということを、時点という観点から明記してあるわけではございません。そこには作成の期間あるいは交付の時点ということが明示してあるわけではございませんので、先生の御指摘のような即日交付という原則が類推されるとすれば、それは五条二項の規定ぶりから初めて出てくる問題でございます。現にそういう原則で行われていること自体は事実でございます。でございますけれども、それが技術的な理由による修正の結果、即日交付が例外となる、あるいは時間を置いて交付することが原則になっていくという事実が存するということは事実でございます。 ただ、そこまで第五条全体としてその変化に伴った修正を要するほど時点についての明示がないと私どもは考えたので、あえて五条一項、二項の修正は行わなかったということでございます。
○千葉景子君 そうなりますと、今現在でも、例えば市町村の長でございますけれども、窓口になりますわね、実際には、そこでは即日交付を何らかの理由によってやらなくてもよいということになりましょうか。とりわけ二項に、「やむを得ない理由」というようなことがございますね。そういう理由ばかりではなくて、今のお話からいきますと別に原則として即日じゃなくてもいいんだということになりますが、そうすると窓口ではできるだけ何度も手間暇をかけないようにサービスでといいますか、現在はそれを配慮して即日交付をしている、そう解するわけですか。
○政府委員(小林俊二君) 結論的にはそのとおりであろうと申し上げることはできると思います。 ただ、あえて二度手間を必要とするということが望ましくないことは当然でございますから、したがって、例えば執務時間の締め切り間際に申請されたような場合に、その現場で調製をする暇がないということで翌日おいでいただくというようなこともあり得るかと思いますけれども、原則としてその日のうちに作成して交付することが本人のためにはもちろん、事務所の方にとりましても便宜であることは当然でございますから、即日に交付するということで現在までも一般的には行われております。ただ、やむを得ないそういった事情がある場合には、交付期間指定書を交付して改めておいて願うということも行われております。そういう措置をとるということについて法文上特に問題があるというような指導はいたしておりません。
○千葉景子君 そうなんですね。実態としては、原則として即日に交付する。まれに、例えば転居して同一の市町村内に登録原票がないというようなケースとか、本当にこれは例外的なわけですね。 ですから、現在は一回で登録手続が済んでいる。今回それに対して附則がつけられまして、附則の九項というところで入管局での作成ということが可能になってきたわけですけれども、こうなりますと、登録する方は、せっかくこれまで一回行けば済んでいたところが二度手間になる、二度出かけていかなければいけない。そうすると生活上もそれから経済的にも非常に負担がふえるわけですけれども、わざわざそういうことまでして今回入管局でも登録の事務が行えるとした本当の趣旨はどこにあるんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) それは、今回の改正によって登録証明書が運転免許証とほとんど同様のカード式のものに変えられる、あるいは変えるということに伴って生じたことでございます。それによって登録者の負担がふえるではないか、多かれ少なかれふえるではないかということはございますけれども、一つには登録証明書がカード化されることによって取り扱いが便宜になるという利点もあるわけでございますし、また負担を多少なりとも軽減するために、受領については現在のような申請人本人ではなくてもよろしい、代理人で結構であるという規定を改めて設けたわけでございます。 さらにまた、きのうも少し申し上げたことでございますけれども、現在の方式におきましては、現に申請に出頭された申請人が登録証明書が作成される間そこで待っている必要があるわけでございますが、今回の改正法が施行されますと、その作成をお待ちになる必要はない。単に申請手続が終わればそこでお帰りいただいてよろしいということで、あとは受領のみということでございますから、作成作業の間待機するという必要はなくなるという点も、若干なりとも申請者の負担を軽減する結果にはなろうかと存じております。
○千葉景子君 今回のこの附則がつくことによりまして、そしてこれまでもお話があったように、大変高価な機械が必要だということで、すぐには自治体そのものに導入される可能性も少ないというようなことです。そうすると、この五条の一項というのはほとんど意味がないといいますか、今まで五条二項から類推して一項が即日交付ということになるし、それが実態的にも行われてきた、しかしながら、即日交付といういわば原則的なことがもう意味がなくなってしまうということになりますよね。その点はいかがですか。
○政府委員(小林俊二君) 先ほども申し上げましたように、五条一項ということ自体は、これは申請に応じて作成をし交付すると書いてあるだけでございまして、即日交付ということを原則にしているわけではございません。ただ、それは事の実態上当然その方が事務所にとっても本人にとっても便宜でございますからそういうことになっておりまして、そしてそれができない場合には日を改めて交付することもあり得べしということが第二項に書いてあるということでございます。したがって、そういう観点から申し上げれば、現在まで即日交付ということが可能でございましたのはその登録証明書の態様、材質あるいはその形式に基づくものでございまして、それを変更した結果即日交付が実際上難しくなってきたということでございますので、法の精神、法文の規定の趣旨そのものに違背する変更が加えられてこようとしているというところまでお考えいただく必要はないのではないかと存じます。
○千葉景子君 これまで窓口では即日交付ということで、今の解釈でいくとサービスのような形になりますけれども、やってきている。今後これが不可能になってきますと、窓口では、即日がこれ まで原則だったじゃないか、だから即日に交付してほしいんだというようなトラブルも起こりかねないわけです。で、この五条につきましても、例外はありますけれども、そこからひっくり返れば、やはり一項で実態としては即日というのが大多数だったわけですから、そうなりますと、ここでトラブルも起きかねない。こういう意味では、この五条と附則の九項これはもう少し整合性をつけた、そして例えば附則ではなくて本文できちっとそういう点を明示して整合性を保たせるべきではなかったかというふうに思うんですね。附則などで何かどこについているのだかわからないというところに記載がなされております。そうではなくて、本文と例えば第二項を第三項にするとか、そういう考え方はこれからとれないものでしょうか。
○説明員(佐藤勲平君) 申し上げます。 今委員御指摘の附則九項は、「地方入国管理局の長は、当分の間」「求めに応じて処理するものとする。」というように定めておりまして、「当分の間」というのはやはり恒久的なものではないという趣旨が法文上明確になっておるのだと理解しております。そして、その恒久的なものでないというのは、これまで入管局長なりがいろいろ申し上げたところによるものでありまして、そのような恒久的でないということが、この本体と申しますか、本則の方に書かれるというのは、非常に大きい言い方をしますけれども、我が国の法体系、立法の形としてはちょっとないんではないかというふうに思います、そのためにこの五条と附則九項というのが離れておるというふうな結果になるんではないかと思いますし、また、離れてはおりますけれども、附則それ自体はこの本体と常に一体になっておるわけでございますので、それをあわせて御理解いただくのがよろしいのではないかと思います。
○千葉景子君 それはあわせて理解しなきゃ到底できないわけですからあわせて理解をいたしますけれども、そういう意味ではこの九項の「当分の間」は、附則の方がむしろ優先して、全部に機械が備わったらまた五条に戻ってくるというような非常にわかりにくい条文の配置といいますかというふうになっていると思うのですね。これは将来一体どっちへまとめられるというふうにお考えですか。
○政府委員(小林俊二君) 今審議官からお答え申し上げましたように、本来即日交付ができるような状況が望ましい、これは事務処理にとっても望ましいし、申請者にとっても望ましいのは当然のことでございます。したがって、そうしたことが困難な間は地方入管局の方で取りまとめて調製し、送付するということでございまして、そうした仕組みというものはそうしたことを必要とする状況が存在する間の暫定的な取り扱いなんだということを明示するために附則に回したわけでございまして、原則は、望ましいのはあくまでその場で申請者に作成して交付するということでございますから、そういうことが可能になる状況が将来出てくればこの附則は必要なくなっていくわけでございます。したがって、どちらがその本体であってどちらが変則であるかということを明示するために本文と附則という書き分けをしたということでございます。
○千葉景子君 それでは、本体といいますか即日に交付できるということがやはり望ましいし、そうしていきたいというお考えでしたらば、今後ラミネート化におきましても、高い機械だそうですけれどもそれを各自治体などで備えたい、あるいはむしろ法務省の方でも積極的に備えることができるような財政的な措置とかそういうものを積極的に講じていただけますか。
○政府委員(小林俊二君) これも昨日申し上げたことでございますけれども、三千数百の窓口に一斉にこれを備えつけるということは予見し得る限りの将来不可能だと思います。したがって、窓口にこの機械を備えつけるということがあるとすれば、それは自治体側全体の考え方が現在とは変わって、多少ばらつきが生じても外国人人口の大きな市区町村の窓口にのみ備えつけるということで差し支えないというふうになっていった場合に、そこから窓口の配備が始まるということであろうかと存じます。その点について法務省としては別段何も問題にする点はない。むしろ、そういう方向でいくならばそうした考え方に対応した予算措置の確保に努めるということでございます。
○千葉景子君 現在、この法案に基づいて、自治体の方でこれも話が出ているようですけれども、私のところでは別に差し支えないので自分の自治体でやるということであれば、それはそのとおりで構わないわけですね。
○政府委員(小林俊二君) 私の方でやるということが各自治体の方でばらばらに予算措置を講じてということであればこれは余り好ましいことではございません。したがって、予算措置はあくまで中央で国の予算として確保いたしまして、そしてそういう方向に話がまとまっていくならばその配備を希望する一定外国人人口以上を擁する窓口に、あるいは市区町村に備えつけるという方向になっていこうかと思います。ただこれは自治体全般にかかわることでございますので自治体全般の考え方がそういうばらつきが生じてもいいというふうに踏み切られるということが前提となろうかと思います。
○千葉景子君 どうもそこがわからないんですよね、法務省のお考えは。即日交付が望ましい、そしてその方に行ければ行った方がいいんだとおっしゃるわけですよね。そして各自治体というのは地方自治の原則からいっても自主的な判断というのがあるわけで、ぜひとも住民の方には不便をかけたくない、自分のところで予算を講じて即日交付できるようにしようじゃないかと。これ何で法務省が統一でなければいけないとかということをおっしゃるのか、そこが全くわからないわけです。 昨日も、地方行政委員会の質疑の中でも非常に地方自治に反するような御意見が出ているわけですね。これは例えば地方の議会から今回意見書とか要望書が大変多く出されているけれども、それは在日外国人の意見をそのまま反映しているのだから行政目的ないし行政上の必要の措置を欠いているということでストレートに受け入れることはできないというような御発言をされている。しかし、自治体というのはそこに住んでいる者の意見を反映するというのがこれはもう逆に言えば職務なわけです。地方自治法の九十九条でも住民の意見を各行政長に申し述べることができるというようなことも出ている。だから自治体の自主性というものを私は尊重していくべきだと思うんですね。そういう意味では各自治体で判断をしていくことについては、法務省はそこまでいや統一でなければいけないということをおっしゃる必要はないと思うんですが、どうですか、法務大臣。
○政府委員(小林俊二君) 法務省側で統一でなければならないということを申し上げているわけではございません。地方自治体側のあり方につきましては、私どもといたしましてはその中間の監督指導機関である都道府県を通じて自治体の考え方というものの取りまとめをいたしておるわけでございます。したがって、都道府県側の意見というものは各都道府県に属する市区町村の意見を吸収してその上で取りまとめて形成されてきているものでございまして、したがって都道府県側の意見が先ほど申し上げましたように全部に配備するかあるいは全然配備しないかどちらかにしてほしいということである間は現在の予定されている状況が続くことになろうと思いますけれども、都道府県側の意見が各都道府県の中でばらつきが出ても差し支えないから外国人人口の多いところには機械を、装置を配備してほしいということになっていけば法務省としてこれに対応した措置をとっていくということでございまして、この点について法務省自身が何か方針にこだわるということはございません。
○千葉景子君 今回の法案についても自治体といいますか県知事などからも反対の意見が出たと、こういうことについてどう考えられてどうそれを 受けとめられてこの法改正をなさったかというのもわからないわけですね、今自治体といっても県単位でまとめてというようなことをおっしゃいますけれども。そういう意味では法務省が非常に上から統一的に各自治体の意思を無視して今回の法案改正を強行していると見受けられてもこれは仕方がないんじゃないかというふうに思うわけです。 今後政省令の制定などもございますね。そういう際はまた窓口あるいは自治体に関連する実際の事務を取り扱うのは自治体なわけですから、そうなりますと自治体の意向、意見というものを尊重するあるいはそこでの納得を得られるということが不可欠だと思うんですね。とりわけ窓口で仕事をしている人たちが混乱をするというようなことがあってはならないわけです。そういう意味では今後政省令を策定するなどに当たって、各自治体いろいろな窓口に携わっている者の意見、こういうものを取り入れてぜひやっていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 登録事務は国の機関委任事務でございますから、実際にその処理に当たりますのは都道府県を通じた指導のもとで市区町村の窓口でございます。したがって、市区町村の窓口の関係の方々との密接な連絡協議ということは不可欠でございまして、仰せられるまでもなく今日まで入国管理局としては都道府県との連絡協議あるいは市区町村との連絡協議、さらには実際にこれらの事務に携わる職員の研修といったような機会が定例的に毎年設けられております。そうした機会を通じて地方の意見も聞き、また中間監督機関である都道府県の意見も聞いて今日までその事務的な処理に当たってきたわけでございますので、今後この改正法の御承認をいただいて施行の段階に至りますまでに、さらにその施行に伴う、実施に伴う細かい問題について協議を行う場面というものは当然数多く予定しているわけでございます。
○千葉景子君 これまでどうもその点が、協議をしていると言ったってあれだけ反対の決議なんか出るわけですから本当に協議しているのかどうかよくわからない。ぜひその点は慎重にやっていただきたいというふうに思います。 時間もなくなってくるので急ぎますけれども、これまでも登録の切りかえあるいは変更登録にかかわりまして、うっかりしていて遅くなっちゃったというような場合があるわけです。我々だって自分のことを考えれば、何か登録をしたり届けをするのに時期をおくれてしまうということはだれにだってある常識的なことなわけですね。 ところが、うっかりしていて忘れたにもかかわらずすぐ処罰をされてしまったというケースが出ている。そういうことについて、今後、私は法務省の方でもう少し慎重な態度になり基準というものをつくっていただきたいというふうに思うんですね。最近も姫路あるいは神戸の方ですか、一定の期間うっかりして忘れていたらば五万円の罰金に処せられたというようなケースも出ているわけです。そういう意味では今後もこういうことがあり得ないわけではない。 それから、各自治体などではある程度期間が経過してもそれは告発はしないようにしようというような基準もつくられているようなんですけれども、こういううっかりして忘れたようなことについて、何か法務省で基準をつくるとか、指導要綱をつくるとか、そういうことをなさる予定はございませんか。
○政府委員(小林俊二君) 重要なことは、外国人登録制度が適正、円滑に実施されるということでございまして、登録法の目的は、再々申し上げておりますとおり、その罰則を適用する、処罰をするということでないことは当然でございます。 そこで、私どもも行政の実施に当たりましては、うっかりしたミスと故意による法違反というものを峻別してこれに対応する方針をとっていることは申し上げるまでもございません。したがって、単なるうっかりミスによってある程度以内の法違反が生ずる、特にただいま御指摘になったのは申請遅延でございますけれども、そういう状況が生じたときに直ちに機械的にこれに罰則を適用する、そのための告発を求めるということは実態に照らして適当ではございませんので、そうした面での指導もいたしております。この指導はもう既にこの登録制度発足以来、昭和二十二年を起点にすれば四十年、あるいは登録法を起点にすれば二十七年から三十数年を経ておりまして、その間の経験も積み重ねられてきております。そうした経験を通じて、各地方で取り扱いにばらつきが生じないように指導は行っておるところでございます。 なお、その指導の内容についてさらに詳しい御答弁を申し上げることが必要でございますれば、課長の方から説明を、お話をさせることにいたします。
○千葉景子君 ちょっと細かいあれはできませんけれども、各自治体などでも、これは法務省の指導があるんじゃないかと思うんです。登録変更の場合などですと大体三十日以内ぐらいならばいいだろうとか、ほぼ共通した基準をつくっているようですので、むしろこれをさらに緩和して、そしてこういう実態、自治体でつくっているこういうものを尊重しながら、ぜひ一律のはっきりした基準づくり、そしてそれを通達なりそういうことで出していただくということをやっていただきたいんですけれども、それははっきりやるというふうに言っていただけませんか。
○説明員(黒木忠正君) 告発の問題につきましては、この委員会においても再三法務省の指導ぶりについて御質疑があるわけでございますが、告発そのものは刑訴法に基づく義務でございまして、これを機関委任事務という形で行っております外国人登録におきまして、告発は公務員の義務であるという注意は市町村に対して行うということは私どもやっておりますけれども、そうであるからといって、具体的な基準を決めましてこういった場合告発はしなくてもよろしいということ申し上げる立場にはない。したがいまして、これまでの経験に照らしまして、大体この程度ならば告発を保留してもいいという間接的な指導にとどまっているのが現状でございまして、今お話しのように、それを具体的に紙に書いてこの場合は告発を要しないというふうなものを指示することはなかなか難しいというふうに考えております。
○千葉景子君 ぜひ、自治体の従来の慣行等を尊重して、紙に書けなければ紙に書かずともこういう範囲ではその処罰の必要性はないんだというようなことを徹底をしていただきたいというふうに思います。また、できれば催告をするとか登録がえの時期になりましたら通知ぐらいはする。これは行政でサービスとしてやっているところもあるようですけれども、こういうことも法務省が率先してやっていただきたい。今後入管局が関与するというようなこともございますから、法務省も黙って見ているという立場ではございませんので、そういうことを徹底していただきたいというふうに思います。 時間が迫ってまいりましたので、あと一点だけちょっとお伺いさせていただきたいというふうに思います。 改正後、指紋を転写することになりますですね。この転写については一番鮮明なものというお話ですけれども、下手をすると不鮮明であるということでもともとやっておった回転指紋、ここまでさかのぼってしまう可能性があるんですが、これでは昔のお化けがまた出てくるようなものでして、そこまでさかのぼることはないということをぜひお願いしたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) この問題は、実際の事例によりましては回転指紋しかない場合もあるわけでございますね。要するに、前回の切りかえのときが回転指紋を廃止した時点に非常に近い場合は、この改正法が施行されまして、それから五年をたって二回目以降の切りかえということになった場合に、保存されているその指紋は回転指紋しかないという場合が当然あるわけでございますから、その鮮明度いかんにかかわらずそれを使う以 外に方法がないということも当然生ずるわけでございますから、それを使わないとなると、改めて指紋を押していただかなければならないということになるわけでございます。したがって、それが非常に困るということになりますと、何とか処置を考えなくてはならないということになるわけでございますね。 それで、一方、回転指紋の場合にはその押された指紋の面積が非常に大きゅうございまして、そして今予定しておりますカードの指紋欄からはみ出してしまうことになりますので、その回転指紋を使うといたしましても、実際に転写によってそのカードに表示されるのはその指紋の欄の内側におさまるように処理をする必要があるわけでございますから、必然的にその部分というのは今までそこに保管されていた回転指紋の一部にならざるを得ないわけでございまして、結果的には平面指紋と大差がないということになると存じております。 ただ、そこで一つ問題になるのは、いやしかし私は前に押捺した回転指紋を使われるのは嫌だと、新しい方式による平面指紋を使ってほしいと、だから私は押しますよ、もう一遍改めて、と言われたときに一体どうするかという問題は生じ得ると思いますので、そのときにどう対応するかということはこれから考えていかなくちゃいかぬなというふうに思っております。あるいは、形式的にその市区町村長が改めて押捺を求めた形をとって平面指紋を押していただくという便法をも考えていかなくてはいかぬかなというようなことを話し合っておるんですけれども、ただそうなりますと、それにかこつけて強制的に押させることになるんじゃないかというような御懸念も生じ得ると思いますので、そうしたことが起こらないように本人の希望と行政目的に照らして不合理なことにならないように、何とかその辺は考えていきたいというふうに現在思っているところでございます。
○千葉景子君 今の局長のお答え、余りにも実態というか、本当に今回の問題についてよく御理解いただいているのかどうか、もうちょっと疑問に思うんですね。私は新しい指紋を押したいからそういう方にはという、それはもう例外の話でして、それは置いておいて、例外に回転指紋しかないとかいうことではなくて、ごく普通の話を私はしているのでして、原則として回転指紋ではない、取り扱いが異なった時点からの指紋を使うんだと、そこのところを私は聞いているんです。例外のところじゃなくて原則を。まず回転指紋は使わないというふうにしていただけませんか。
○政府委員(小林俊二君) 鮮明度において非常に問題が生ずるということでなければ、一番最近に押捺されている平面指紋を使用するのが望ましいといった指導は可能であろうと思います。
○千葉景子君 時間が来ましたので、終わります。 ―――――――――――――
○委員長(三木忠雄君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として矢田部理君が選任されました。 ―――――――――――――
○猪熊重二君 登録証明書の携帯、提示義務に関して若干お伺いしたいと思います。 携帯義務については、きのうの委員会においても、大臣及び警察庁の方からも弾力的な運用ということをおっしゃられました。私も、そういうふうにぜひ弾力的に運用していただきたいと、こう考えます。 ただ、法務大臣のように非常にリベラルな方だといいんだけれども、次になかなかきつい法務大臣が来たら、またその携帯義務を厳重にやろうじゃないかというふうなことになったんじゃちょっと困るということで、裁量的な意味での携帯義務の取り扱い以外に、私としては携帯義務自体に、この範囲までは携帯必要だけれども、これよりも下の場合には携帯義務そのものがないんじゃないかというふうな観点から、少し質問させていただきたいんです。私の質問は、きのうおっしゃられた弾力的な運用がいけないというようなことじゃございませんで、そういうふうにやっていただきたい。しかし、それ以上に法規自体の中に携帯義務に関して何がしの内在的な制約があるんじゃなかろうかというふうな観点からの質問でございます。 と申しますのは、携帯義務といっても、登録証明書を持っているか持っていないかというのは外からは見えませんので、これが現実に法律上の問題になるのは、提示義務によって提示を命ぜられたときに持っているか持っていないか、こういう問題になるわけです。そうすると、携帯義務というのは提示義務と非常に密接に関係している、あるいは提示義務があるから携帯義務があるようなものであって、提示義務がない場合には、携帯義務があると言ってみたところで持っているか持っていないかということ自体が判別しないんですから、意味がないことにもなる、このような観点から少し質問したいんです。 それで、まず法務省にお伺いしますが、外登法第十三条二項に提示義務に関連して規定がございます。入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官、その他法務省令で定める者は、その職務の執行に当たり登録証明書の提示を求めることができるということになるんだろうと思います。この条文についてお伺いしますが、これは今申し上げた入国審査官等の提示を求め得る権限を定めた規定でしょうか。
○政府委員(小林俊二君) そのように解釈されてよろしいかと存じます。
○猪熊重二君 ここに提示を求めることができるということが書いてあるけれども、これは提示を求める権限を有するという権限規定であって、権限の行使についてこの規定は何か明らかにしているんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 十三条二項には、「その職務の執行に当たり」提示を求めるという規定がございますので、この提示を求める権限を執行するに当たっては、その職務の執行に当たって行われたということが確保される必要があるという条件が付されているというふうに解することができると存じます。
○猪熊重二君 そうすると、この規定によると、「その職務を執行するに当たり」ということになっておりますから、別に職務というものが前提されている、ある職務が前提されている、その前提となっている職務を執行するに当たって提示を求めることができる。こういうことになるわけですね。
○政府委員(小林俊二君) そのとおりでございます。
○猪熊重二君 そのような「職務の執行に当たり」ということで権限が規定されているけれども、提示を求めるという行為自体、提示を求める行為についての具体的な職務の執行方法についてはこの条項は何らか明らかにしているとお考えでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 職務の執行方法という御質問の意味は必ずしも明確に理解いたしませんでしたけれども、職務の内容によってその態様はかなり異なってくることと存じます。しかしながら、それぞれのここに掲げてございますような職員の職務の内容というものは法定してございますので、その職務の執行を行うに当たって必要であるというふうな判断が、認定が下されるというような状況が必要であろうかと存じます。
○猪熊重二君 もう少し具体的に申し上げますと、この条項によって職務を執行するに当たりさえすればどのような方法でも提示を求めることができる、あるいは提示を求めない場合には具体的に例えば、捜索し取り調べしてその上で提示を求めることができるというふうな職務執行の方法についてまで規定しているのか。そうじゃなくて単にこれは職務執行に際し提示を求める権限を有するという規定だけであって、その職務の執行は一般的な刑事訴訟法であるとか、警察官職務執行法、あるいは入国警備官の場合だったら入管法の規定に基づく職務執行規定、これに基づいて行わ れることになるということになるのか、そのどちらであるかということをお伺いしているわけです。
○説明員(佐藤勲平君) 今申された後者の方、すなわち入国警備官で申せば、いわゆる入管法に規定されている入国警備官の職務執行――入管法にその職務執行に関する規定がございますので、その執行するに際して行うということになると理解しております。
○猪熊重二君 それでは具体的にもう少しお伺いしますと、まず警察権限を有する官憲の例示の中の警察官について警察庁にお伺いしたいと思います。 警察官の職務執行、いろいろなものがありますけれども、この提示義務に関連しておよそ考えられるような職務執行というものは類型的にどんなものがあるとお考えでしょうか。
○説明員(国枝英郎君) 警察官の権限といたしましては、例えば警察官職務執行法に定めます職務質問あるいは刑事訴訟法に基づきます犯罪の捜査、道路交通法に基づきます交通の取り締まりあるいは警察法二条を一般的な規定といたします少年補導等がございます。
○猪熊重二君 そのような職務権限が提示義務に関連していると私も考えるわけですが、その中で刑事訴訟法に基づく職務権限の執行に際して、あるいは職務執行に当たっての提示の問題、これは刑事訴訟法の方にいろいろの規定がございますから一応別にしまして、警察官職務執行法に基づく職務執行に当たり提示を求めることができるということに関連してお伺いしたいと思います。 まず、警察官職務執行法によれば職務質問あるいは不審尋問とも言われますが、どのような場合にできることになっておりましょうか。
○説明員(国枝英郎君) 一般的に申し上げますと、異常な状態等犯罪に密接に関連いたします状況下におきまして、警察官が例えば容疑事実についての疑惑を晴らす、そういうために行うものでございます。
○猪熊重二君 要するに、いわゆる警察官職務執行法に基づく職務質問には、強制処分と任意的な処分と分けた場合にどちらに属しますか。
○説明員(国枝英郎君) 警職法第二条の規定につきましては、ただいま申し上げましたように、犯罪と密接に関連する異常な状況下において特定の者に対して質問するわけでございます。この質問というのは通常の場合相手方の協力に負うところが大でありまして、すなわち相手方の協力的な態度でその職務質問が成功するかどうか、その成否がかかっておろうかと思います。 ただ、「停止させて質問することができる。」という規定がございますが、この「停止させ」という規定につきましては有形力と申しましょうか、実力の行使ができるというように解されておりますし、判例上もそういうふうに認められております。
○猪熊重二君 きのう関委員の方から質問があったように、例えばプールで泳いでいたとかあるいはジョギングしていたとか、こんなときに登録証明書の提示を求めるというふうなことができるかできないかということが一番重要なことであるために今私はお伺いしているわけですが、路上であれプールであれジョギングしている最中であれ、警察官職務執行法に基づく職務質問によって何か質問された。この質問に対して、質問を受けた人は応答せなければならない義務がありますか。
○説明員(国枝英郎君) 先ほども申し上げましたとおり、質問そのものにつきましては任意の処分であるというふうに理解いたしております。
○猪熊重二君 答弁を強要されることはないということになっておりますね。ですから路上で、あなたは外国人であるかないか、あるいは登録証明書を持っているかいないかという質問自体に対して答弁を強要されることはありますか。
○説明員(国枝英郎君) 職務質問につきましては、一般的にその容疑をといいますか、疑念を晴らすという目的のために行うわけでございます。したがいまして、質問も通常は氏名あるいは住所、あるいは本籍あるいはその場における理由、行き先等々に及ぶわけでございます。その際に、相手方が外国人である場合に、相手側の答弁を確認する等のために外国人登録証明書の提示を求めるということは当然ございます。
○猪熊重二君 私の質問にきちんと答えてください。私が言っているのは、外国人であるかないかと言われた問いに対し、あるいは登録証明書を持っているかいないかという問いに対し答弁を強要されることはありますかと聞いているんです。なければないと答えてください。
○説明員(国枝英郎君) いわゆる強要されるということはございません。
○猪熊重二君 何もしゃべらないということを理由に警察署までちょっと来いとか、派出所までちょっと来いとかということで連行されることはありますか。
○説明員(国枝英郎君) 警職法第二条の第二項におきまして、特定の場合におきましては警察署等に同行することを求めることができるとなっております。ただ、ただいま先生の連行というお言葉が相手の意思に反してということであれば、そういうことは法律上はできかねるということになろうかと思います。 ただ、一言つけ加えさしていただきたいのでございますけれども、相手側が答弁に応じない、あるいは説明しないという場合に、警察官といたしましてそれをただ手をこまねいて見ておるというわけにはいかないのでございまして、やはり説得して同行いただく、あるいは御協力いただくというような措置をとることになろうかと思います。
○猪熊重二君 この間から私が非常に心外なのは、物事を任意であるか強制であるかという区分けを明確にしないことなんです。これが非常に心外であるし不愉快なんです。 私が今質問したのは、身柄を連行されることになりますか、あるいはもっと言えば、警察官の立場で身柄を連行できますかと聞いているんです。できないんでしょう。いわんや身柄拘束というふうなことがあり得ますか。
○説明員(国枝英郎君) 強制的な拘束ということはございません。
○猪熊重二君 そうだとすれば、先ほどから申し上げているように、登録証明書を持っているかいないかを聞き、何も答えないと、これはあなたが今おっしゃったように、警察としてこのまま黙っているわけにはいかぬということで身体を捜索するなどということができますか。
○説明員(国枝英郎君) 職務質問の過程におきまして、いわゆる所持品検査ができるかということにつきましては講学上もいろいろ議論のあるところであろうかと思います。ただ、登録証明書に限って申し上げますと、いわゆる強制的にこれを検査する、あるいは強制的に提示させるということは警職法上では不可能でございます。
○猪熊重二君 それは、いろんな説があるとかどうとかなんという問題じゃなくて、憲法の問題でしょう。憲法三十五条に何て書いてありますか。憲法三十五条によれば、何人も所持品について、捜索及び押収を受けることのない権利は保障される。ただし、権限を有する司法官憲が発する令状による場合は別だと、こうなっている。権限を有する司法官憲というのは、一般的には裁判官ということになっているわけです。裁判所の捜索、押収は令状によらない限り全然手をつけることはできないんだ、いろんな解釈があるとかどうとかなんという問題じゃなくて、憲法上の権利として所持品検査を受けない権利が保障されている。 ですから、どうもあれは白人だから、外国人だろうから登録証を持っているか持っていないかとか、きのうも申し上げましたけれども、どうもあのしゃべり方が朝鮮語なまりがあるから外国人だろうというふうなことで、登録証を持っているか持っていなかということについて手を突っ込んで調べるわけにはいかない。いかがですか。
○説明員(国枝英郎君) 今、先生御指摘の、この人は外国人だからという理由だけで外国人登録証 明書の提示を求めるということはやっておりません。かねてから御説明申し上げておりますとおり、職務遂行の過程におきまして身分関係あるいは居住関係等の確認が必要な場合に提示を求めておるところでございます。
○猪熊重二君 私がなぜこんなことを申し上げるかというと、先ほども申し上げたいわゆる刑事訴訟法で犯罪人として逮捕されるというふうな場合は別にして、何でもない限りは町を歩いていて警察官が職務執行として登録証明書の有無を見るような、検査するようなことはできないということなんです。このことを明確にしておきたいんです。提示を求めることができないのだとしたら、携帯しているかしていないかなんということはさらに先の話で、法的にほとんど意味がないと、こうお考えになりませんか。
○説明員(国枝英郎君) 外国人登録法十三条二項につきましては、警察官等が「その職務の執行に当たり登録証明書の提示を求めた場合には、これを提示しなければならない。」という規定がございます。この「職務の執行に当たり」というのは、警察官の場合は先ほど申し上げましたとおり警職法を初めとする各般の法律を根拠にいたすものでございます。
○猪熊重二君 これも私の質問とは別の答えです。 私は、だから一番最初に話したでしょう。警察官の職務の中にいろいろあると。刑事訴訟法上の職務、これはこれで結構というか、それに基づくいろんな強制処分に関連する問題はそれはそれでいいです、それは別のことだと。警察官職務執行法に基づく質問においては、所持しているか所持していないかを何ら明確にすることすらできないんだから、提示を求める、求めないなんということもあり得ないし、したがって携帯している、していないなんということはほとんど法的に無意味なことでしょうということを申し上げているんです。
○説明員(国枝英郎君) 警職法二条に基づきます職務質問につきましては、先ほど申し上げましたごとく一定の要件のもとに停止させかつ質問することができるわけであります。 質問の中身につきましては、これまた先ほど御答弁いたしましたごとく氏名、住所その他もろもろのことを質問するわけでございますが、この過程におきまして外国人の身分関係、居住関係等を明らかにする必要がある場合には、外国人登録法十三条二項に基づきまして提示要求ができるわけでございます。
○猪熊重二君 それもまた納得できぬ。 私は、一番最初に入管局長にも意見を聞いているわけなんです。十三条二項の規定は職務執行に関する権限規定ではない。職務執行に関する問題は一般法規の問題である。この条項は単に提示を求めるという権限規定だけであって、この権限に基づく職務執行規定じゃないということを明確にしてあるわけなんです。 次に、同じような意味で入国警備官の問題についてお伺いします。 入国警備官の場合に、いわゆる令状に基づく押収、捜索だとか、あるいは収容許可状に基づく収容とかそういう強制処分に付随する場合は同じように別にして、任意捜査に関連しては提示を求める場合にどのような結果になりましょうか。
○政府委員(小林俊二君) 入国管理法第六十一条の三の二の第二項に、入国警備官の職務の内容についての規定がございます。三号ございますけれども、その三号のうち提示要求にかかわるものは主として第一号、すなわち「入国、上陸又は在留に関する違反事件を調査すること。」であります。したがって、そうした調査の段階において相手方に対して提示を求めるということはしばしば行われております。 実際問題としてそれがどういう場合かと申しますと、例えば通報があって外国人が不法に就労している、あるいは不法入国の外国人が潜在しているといったような容疑の存する場合に、その現場に乗り込んでそこに居合わせたそれとおぼしき外国人に対して身分を明確にすることを求める、その過程において外国人登録証明書の提示を求めるといったようなケースが最も典型的な事例であります。
○猪熊重二君 だからそのような捜索、押収令状に基づくとか収容許可状に基づく場合は別にして、入管法二十七条、二十八条、二十九条、三十条の調査であるとか取り調べであるとか出頭要求であるとかこういう規定はすべて任意処分の規定ですね。
○説明員(佐藤勲平君) そのとおりでございます。
○猪熊重二君 そうすると、先ほど私が警職法の職務執行の限界というか方法のあり方について警察庁の方に質問したのと同じような意味において、このような違反に関連する取り調べ、出頭要求は任意処分であって、それに応ずる義務は相手方には何らないということについてお答えいただきたい。
○説明員(佐藤勲平君) まず、提示を求める方の根拠といたしましては、今入管局長が申し上げた入管法六十一条の三の二の第二項第一号の規定で基本的な権限が定められておりまして、また委員御指摘の二十七、二十八、二十九、三十、この付近の規定に基づいて具体的な職務執行についての根拠が定められているわけでありまして、次に提示を求められた者の、受ける方の規定といたしましては、先ほど来お話のあります外国人登録法十三条二項に、「提示を求めた場合には、これを提示しなければならない。」という規定があります。それに基づいて提示を求められた方は提示義務があるということになるというふうに思います。
○猪熊重二君 何回もぐるぐる同じことになるんです。要するに、外登法十三条二項は、ここに掲げてある官憲が提示を求める権限を有するという権限規定だけであって、その権限の行使方法について何ら規定しているものじゃないということを先ほどから申し上げているし、入管局長もおっしゃっているんです。だから私は、この規定は権限行使規定ではないということを前提にすれば、一般の権限行使に関する法規によって権限行使する以外にないでしょうと。そうした場合には強制処分に伴う場合は別にして、単に一般的な取り調べだとかあるいは出頭要求というものは任意処分であって、この任意処分を受けるか、受けないか――この任意処分というのは、取り調べあるいは出頭要求は、入国警備官が入管事務所に来いとかあるいは路上において登録証明書を見せると言ったって、見せないのに対して強制力を持って見せろということはできないでしょうと、こう申し上げているんです。時間がないから簡単に答えてください。
○説明員(佐藤勲平君) 今申し上げたとおりに、外国人登録法十三条二項に「これを提示しなければならない。」と、提示を求められた方の側での義務が定められておりまして、それ以上のものはございませんので、その限りにおいておっしゃるとおりだと思います。
○猪熊重二君 結局、提示義務といっても、自分がまさに犯罪を犯すようなあるいは犯したと疑うに足りる相当な理由があって、自分自身に強制処分が来た場合だったらそれに付随して提示義務に基づいて提示もせにゃならないけれども、自分のところにそういう強制処分がない限りは警職法に基づいてであれ、あるいは入国管理法に基づいてであれ、持っている、持っていないは答える必要がない。いわんやそれを提示せにゃならぬ必要はないということになってくると私は思うんです、もしこの解釈が違っていたら、また後で教えてもらいます。 法務大臣に最後にお伺いしたい。私がこんなことをなぜ申し上げるかというと、携帯義務というのは提示義務の前提なんです。それで、提示義務自体が命のように憲法に基づく所持品検査されないという権利に基づいて、警察官に対してであれ、あるいは入国警備官に対してであれ、好き勝手にポケットを捜されることもなければ提示しなきゃならぬこともないわけなんです。そうすれ ば、携帯しているか、していないかなんということはほとんどわけのわからぬことです。ということは、要するに提示を求められる可能性があるような状況でなければ携帯する必要はないと私は考えるんです。 そこで、要するに日常的な活動の範囲においては、特別に悪いことをしない限り日常的生活の範囲、例えば近所へ行くとか通常の形で学校へ通っているとか、あるいは通常の形で仕事場へ行っているとか、いわんやこの間関委員が言われたようなプールで泳いているとか、ジョギングしているとか、こんなときには類型的に一般的に求められることがないんだから、したがって携帯義務もなくて結構なんだというふうに考え得ると思うんですが、法務大臣の御意見、いかがでしょうか。 終わります。
○国務大臣(遠藤要君) 先生の御指摘は、わからないことはないんですけれども、このあれでは携帯義務を義務づけておるわけでございますので、その点御理解をちょうだいいたしたいと思います。 また、なぜ携帯をするかということは本人の身分証明でもある、こういうふうな点で、ぜひともその点はひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○説明員(国枝英郎君) 外国人登録法十三条二項に基づきます提示要求の前提となります職務権限、これは先ほど来申しおりますように、警職法二条は一つの例としてあるわけでございますが、この提示要求のもととなる権限は、強制にわたる権限が、あるいは任意にわたる権限かについては差はないところでございます。 なお、ただいま先生御指摘の、プールで外登証の提示を求めた云々ということにつきましては、昨日も御答弁いたしましたとおり、仮にそれが事実であるとすれば遺憾なことであり、あり得ないことであろうかと思います。
○説明員(佐藤勲平君) 一言補足させていただきます。 先ほど申しました十三条二項で、「提示しなければならない。」というのが提示を受けた者に係る義務規定でありますが、それについては提示の要求に応じなければ外登法の十八条の七号によりまして提示拒否罪がその場で成立するということがある点を補足させていただきます。
○委員長(三木忠雄君) 猪熊君、簡単に。
○猪熊重二君 あなた、それ間違っている。提示義務があって提示しなければ、それによる処罰があるのは当たり前なんです。私が言っているのは、提示義務があるかと言ったときに答える義務すらない、いわんや所持品検査をされることもない、提示せにゃならぬこともない。それなのに、何が提示義務の違反です。ちょっとこれはおかしい。まあ、時間がないからやめておきますけれども。
○橋本敦君 指紋押捺制度そのものを我が国としては廃止すべきであるという立場に立って前回、前々回とも質問をしてまいりました。きょうは残されたわずかな時間でありますが、それに関連をして質問をさしていただきます。 法務大臣は、この法はいたずらに処罰を目的とするものではないと繰り返しおっしゃいました。そしてまた、そのためにも法律の運用に当たっては合理的な、弾力的な運用に心がけるべきだということもおっしゃいました。そこで、処罰を目的としている法律でない、重罰を科す、そういう意図はないということに関連をして一つ聞きたいのでありますが、現在、指紋押捺制度そのものに反対をして、自分は押捺をしないと言って拒否している人たちは約千人近くいるという数字が委員会でも答弁されておりますが、こういう人たちに対する国の対応は処罰という点から考えて今後はどうなりますか。 大臣、この法律が通りますと、一回登録した人は、指紋を押捺した人はもう押捺命令を受けないわけですね。だから今拒否している人たちは一遍押捺して、過去に押捺している人たくさんいるわけです。だからこの法律が通れば、その人たちも含めて、本当ならば一遍押捺しているんだから、もう一遍やれと言われ、それが拒否したということで処罰を受ける、そういうことには基本的にもならないはずなんですね。そういう関係で、今押捺を拒否している人たちに対して国としては今後どう対応をしていくことになるでしょうか、こういうことでございます。
○国務大臣(遠藤要君) 昨日、矢田部委員また安永委員のお尋ねに対してお答えを申し上げておるわけでございますけれども、本法案が成立後に、一度指紋の押捺をされていて、その後拒否されている人たちに対してどういったような方途を講ずるかということなんだと思いますが、国の制度に対して理解され、その都度指紋に御協力を願っている方々と、また拒否されている人のでこぼこがあるのは御承知のとおりで、正直者がばかを見たというようなことであってもいかぬ。しかし、この法案は今先生御指摘のとおり、私が強調しているとおり、一度だけだということになりますると、一度は押しているということになりますると、私としては改めてこの法案成立後に検討したい、こういうふうなお答えをきのう申し上げておるわけでございますので、私としてこれは大きな検討課題だと、指紋の押捺は一回限りだということを私は強調していると、それを一度は押されているということになりますると、その後拒否されているということに対して前向きで検討したい、こう考えております。
○橋本敦君 刑事局長、刑訴法の三百三十七条を考えてみますと、「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」は「判決で免訴の言渡をしなければならない。」、これははっきりこう書いてありますね。だから、経過措置で特段の定めがなければ、今大臣が前向きに検討したいとおっしゃったそういう人たちは、これは仮に裁判ということになっても、刑が廃止されたことに相当して本来免訴される、そういうことではないでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 限時法という問題が一つあるわけでございますが、それは別といたしまして、仮に経過措置が置かれなければ、「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」ということになるわけでございます。また、経過措置が置かれますと、廃止されたときには当たらない、こういうことになるわけであります。
○橋本敦君 したがって、経過措置がなければまさに免訴になるということは法解釈上明らかになりましたが、そういうことにならないためにこの法案はわざわざ実は経過措置を設けているわけですね。つまり、この経過措置を設けているというのは、法令によって犯罪後列が廃止されたということで、今押捺拒否している人たち全部が基本的には刑罰の制裁の対象から除外される、当然免訴を受けるということにならないようにして、刑罰の対象として依然として国としては把握しますよということ以外にこの経過措置の意味はない。つまり私が指摘したいのは、本来この経過措置は、大臣の前向きに検討するとおっしゃる答弁があったのでそれはそれとして了承しますが、そういう大臣の答弁がもしなければ、この経過措置はまさに処罰を維持継続するためだけの経過措置だということにならざるを得ない、こういう問題があるのであえて大臣に答弁をお聞きしたということなのであります。 したがって、そういう意味では、今後の問題については、大臣がおっしゃるような法案成立後の前向きの検討について、これは入管局長も大臣答弁を受けとめてそういう方向で検討されることは御答弁いただけますか。
○政府委員(小林俊二君) 附則の御指摘の条項は罰則の適用の問題でございますので、入管当局が行政上処理している問題の枠内には入らないわけでございます。したがって、私どもが関与してまいりますのは行政上の措置でございます。そのような措置として先生の御念頭にあるのは、恐らく再入国許可の問題であるとかあるいは在留規制の問題であろうかと思います。その点につきましては今後の法施行後の情勢を見きわめる必要もございますけれども、基本的には評価が変わり得ると いうことは私どもも承知いたしております。
○政府委員(岡村泰孝君) 今回の改正の趣旨が原則として指紋の押捺は一回にするということであるわけでございまして、それが法の改正の趣旨であることは事実でございます。しかしまた、一方におきまして経過措置が設けられまして、従前の行為につきましては「罰則の適用については、なお従前の例による。」ということにされたのも法の趣旨であるわけでございます。この両者を踏まえまして検察といたしましては適切に処理をいたすものと思っております。
○橋本敦君 両者を踏まえてと、それは法律がそうなっているからそうなんですが、大臣が今御答弁なさったようなそういう方向も踏まえてもらわないといけないので聞いているんです。局長あえて答弁を求めるようですが、大臣がおっしゃったまさに慎重に今後前向きに検討するという大臣の御意向は、局長がおっしゃった答弁の中にそれは当然含まれていなきゃ何のために大臣答弁があったかわからぬですが、その点どうですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来私が申し上げたとおりでございまして、大臣は法改正の趣旨というものを御指摘になったわけでございます。方、経過措置が設けられたということ、これも紛れもない事実であるわけでございます。これを無視するわけにもまいらないわけでございます。その辺のところは検察といたしましても適切に対処するということになろうかと思います。
○橋本敦君 大臣は経過措置があることを踏まえた上で答弁されているんですよ。まあいいです、だから、基本的に私が質問した趣旨は了解をされたものと思います。 それで、もう何度もこの委員会で議論はされたんですが、外国人登録法、指紋押捺制度も含めてこの法そのものが、外国人である皆さんに対する治安対策の管理法あるいは刑罰の網の目で威嚇をしながらそれを抑止力として管理をしていくという、そういう管理法という性格を基本的にぬぐい切れない問題をたくさん持っているということが指摘をされたわけですが、その最たるものがこの委員会でもしばしば議論をされた常時携帯ということですね。 それで、私は寡聞にしてよく知らないので伺うんですが、何かを常時携帯していないと刑罰に処せられるというようなそういう法律は、この外国人登録法の十三条以外にこれに類するような法の定めというのはどこかにあるんでしょうか。刑事局長、私知らないので聞くんですが、どうでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 例えば、銃砲刀剣類所持等取締法には、「銃砲又は刀剣類を携帯し、又は運搬する者は、」「許可証文は登録証を常に携帯していなければならない。」というような規定があるわけです。
○橋本敦君 それは、運転免許証も同じでしょう。運転するときでしょう。銃砲刀剣のは銃砲刀剣を所持してそれを使うときでしょう。私が言うのは、常時何かを携帯しなきゃ処罰されるぞというような、こんな法の構造がほかにあるでしょうかと、こういう質問ですが、ちょっと御答弁の性質が違うんじゃないでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 旅券については一般的に携帯義務があるようでございます。そのほかには、私今承知している限りにおきましては一般的にということはないかと思います。一定の業務なりなんなりに従事する場合という場合はあるように思います。
○橋本敦君 旅券は、旅券をもらって旅行する間ということですから、これもちょっと違う。だから、この外登法十三条のような常時携帯義務を課して、しかも刑罰の威嚇をもって強制しているという法は本当にこれしかない希有な法だと。 そこで、刑事局長ね、この十三条によれば、外国人は登録証明書を「常にこれを携帯していなければならない。」と、こう書いてあります。法律の構成要件の解釈としてお聞きをするわけですが、まず大臣、法律家としてじゃなくて、「常に」とこう言っているこの「常に」というのはどういうように常識的に大臣お考えになりますか。
○国務大臣(遠藤要君) 「常に」ということは常時である、こう理解をしております。
○橋本敦君 なるほどそうですね、常時ですね。常時というのは、家の中にいても外にいても寝ていても四六時中と、こういう意味に普通は解釈される日本語じゃないでしょうかね。大臣、どうでしょう、日本語として。
○国務大臣(遠藤要君) そのとおりだと思います。
○橋本敦君 十三条は、今度は構成要件論としてこれを法的に解釈すると、刑事局長、この「常に」というのは刑事局長としてはどういうように御解釈になりますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 「常に」ということは、これは常時ということでありますが、「携帯」ということは、要するに提示を求められたときに直ちに提示できるように所持をすることということになるわけでございますので、「常に」「携帯」ということが両方重なる場合は、職員から提示を求められたときは直ちに提示できるような所持といいますか、常時の所持が必要である、こういうことになるわけでございます。
○橋本敦君 いつ提示を求められるか求められる者はわからぬのですから、おっしゃるように四六時中常に携帯しなきゃならぬということに当然なってきますね。いつ提示を求められるかわかっておればそのときに持っていればいいんでしょう、あなたの解釈では。しかし、いつ求められるかわからない。また、求める方は限定的じゃなくて職務に関していつでも求められるという仕組みが十三条二項にあるわけですから、結局は四六時中常に求められる可能性があって、それにすぐ対応できるように四六時中持っておきなさい、これが法の構成要件としての解釈と、こうなるわけですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 一般的に申し上げますと、そういうことになるわけでございます。
○橋本敦君 そうしますと、この十三条という法の規定は、法そのものを常識的に、そしてまた法律的に構成要件的に解釈すれば、何の例外もなしに家の中でも、散歩であろうが買い物であろうが旅行であろうが、とにかく四六時中携帯しておかなきゃならない、こういうことになって何の例外的処置もない。そういうようなことはこれは酷に過ぎる、社会的生活上合理的でないから、だからつい買い物に行くとか銭湯に行くとか、そういう場合は適用しないようにしようというようなことは、法の運用として全く捜査官の判断の裁量にかからされていることになるんですか。法の解釈からは出てこないですね。
○政府委員(岡村泰孝君) 例えば、家の中におりますときに常にポケットに入れておかなきゃいけないとか、そういうことではないだろうと思います。家の中におりますときには、提示を求められれば直ちに提示できるような範囲に所持すればいいということであろうかと思います。外出いたします場合は、一般的に申しますとやはり直ちに提示できるためには身につけておくということになろうかと思います。
○橋本敦君 この委員会でも、処罰を目的とするんじゃないんだよ、重罰を科すんじゃないんだよという議論から弾力的運用がなされて、警察庁も答弁をしておりますが、おふろに行くとか近くに買い物に行くとか、そんなところまで常時携帯義務を強要して、携帯していないからといってそれで厳重に処罰するようなことはしませんよと何遍も言っているんですよ、答弁はそうでしょう。そう言っているんです。そういう処置は法の解釈からは全然出てこないでしょう、そういう処置をとるということは。法の解釈からいえば携帯義務は常時なんですから。 そういうような弾力的運用というのは、なぜそういう運用をやると言わなきゃならぬかというと、十三条の常に携帯せよというこの法律そのものに無理があるんですよ。無理があるから弾力的運用を言わざるを得ないということになっているんじゃないですか。刑事局長、どう思われますか。――たくさん手が挙がったからみんな順番に 答えてください。
○国務大臣(遠藤要君) 今、橋本先生の御指摘のとおり、法の解釈では常時ということはそのとおりだろうと私も感じており、そのような点で、前々の法務大臣が国家公安委員長に対して運用の面でと、弾力的なという言葉で、自分たちで立法をしておいて、今度は警察庁、国家公安委員長に対してこれを弾力的というような要請をすることはちょっと私自身として割り切れないし、また検察なり警察に対して大変何となく考えさせられる点があります。 きのうですか、関委員のおっしゃるように、プールに入っていてとても携帯していられません。ふろに入っていて携帯していられるわけがない。しかし、そういうような点を一々この点は削除というわけにもいかない立法だった。そういうような点で運用面において、特にこれは処罰を対象としておるのではなく、義務づけることを指導していこうと。そういうような面においての処罰規定だと私は理解をしております。 そういうような点で、法務省は勝手じゃないか、勝手に処罰規定をつくって運用の面においてというおしかりを受ける場合もあり得ると思いますけれども、しかし幸い警察、国家公安委員長に理解され、またこの立法化がされればさらに警察、検察ともども運用の面において拡大な解釈と理解をいただけるものだと、こう私は信じております。余り細かくなってまた警察なり検察の方がううんというようなことにならないように、刺激をしないで、運用の拡大にひとつ協力を願うようにお願いしたい、こう思っております。
○説明員(国枝英郎君) 一点だけ申し上げますが、近所の場合に携帯義務がないという取り扱いをいたしますという答弁はいたしておりません。 事件処理におきまして、たまたま近所に買い物に行かれるような場合で登録証明書を忘れたという場合においては必ずしも事件処理をしなくてもいい場合があろうというふうに答弁いたしておるところでございますので、念のために申し上げます。
○橋本敦君 そう、事件処理といり、つまり運用において刑罰を必ず科すということを一律にやるんじゃないということを答弁されているわけでしょう、それでいいんですよ。 そういうように、弾力的に運用しなきゃ法の存在を合理的に説明できないという法そのものに欠陥がありますよというのが私の質問の趣旨なんですよ。いいですか、まあいいですよ。 そこで、警察庁がそうおっしゃるなら伺いますけれども、東京の管内では五百メートルの銭湯に、買い物に行くのにちょっと家から出ていってその間不携帯だということで、たまたまそれがわかったけれども、それで立件するとかなんとかいうことなしに、そういう日常的な行為はよろしいということで済んだということが、弾力的に運用された、ところが、私の住む大阪に行きますと今度は大変きつくて、五百メートルもだめだと、隣の店へ行くならまあ不携帯で行ってもすぐ帰ってこられるからいいけれども、五百メートル先の店まで公園を越えて行って買い物して帰ってくる、その間不携帯、これはそう簡単に済ませるわけにいかないというふうになるかもしれない。 私が言うのは、そういった取り締まり官の判断と裁量によってどういう扱いをされるかばらばらに国民が処罰を受けるというようなことは、憲法三十一条の適正手続にも違反するという問題も起こってくる、こういうような裁量に運用が完全に任されるという、それで国民は刑罰を受ける可能性があるという法は、これは問題がある。そうとすれば、警察庁に伺いますが、全国一律にこの運用についてこういう場合はこうせよといったような基準をつくって示達をする、明確に国民にわかるように運用基準を定める、こういうことはできますか。
○説明員(国枝英郎君) 登録証明書の不携帯の取り締まりにつきましては、従来から申し上げておりますとおり、場所的あるいは時間的な条件さらには被疑者の年齢でありますとか違反態様などを総合的に判断して処理することになるわけでございます。したがいまして、個々の事案ごとにいかに処理するかという判断をすることになるわけでございまして、先生御指摘のように、全国的に統一した運用基準を示すということは困難でございます。
○橋本敦君 やはりそうでしょう。だから、警察官の手かげん一つとは言いませんが、ケース・バイ・ケースの判断いかんによって、あるところである人は同じような状況の中でこの十三条の第一項違反で罰金にも処せられるかもしれぬが、あるところでは処せられないというばらつきが起こり得る、こういう法はそれ自体やはり問題なんですよ。 それだけではありません。この十三条一項が、外国人にそれこそ常識的にも法の解釈としても四六時中常時登録証明書を携帯せよということを刑罰の強制で義務づけている。この保護法益は一体何なんでしょうかね、警察はどうお考えになりますか、この保護法益、この法の合理的存在理由。
○説明員(国枝英郎君) 制度そのものに関する御質問でございますので、法務省の御答弁が適切かと思いますが、警察庁への御質問でございますので、私どもの考えるところを申し上げますと、外国人登録証明書の携帯義務というのは、外国人の身分関係なりあるいは居住関係なりを即座に把握する必要に基づくものであろうと考えます。その意味におきまして、この義務の必要性につきましては警察庁においてもそのように考えておるところでございます。
○橋本敦君 刑事局長、いかがですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 大体同じでございまして、要するに許可を受けて在留いたしております外国人の居住関係あるいは身分関係を即時的に確認するということがその趣旨であろうかと思います。
○橋本敦君 何のために即時その場で確認をすることが法益になるのか、ここが問題なんですね。つまり、外国人に対していつどこであろうと四六時中常に国家としてはその身分関係やあるいは住居関係その他を即座に把握できるように監視の目を張りめぐらしておる、そういう管理体制、それがまさに保護法益だということなんですよ。だから、これが一歩超えますと、本当にこの規定は取り締まり規定として人権侵害を含む大変なことに、なるんですよ。大体、登録証明書を四六時中常時携帯しておきなさい、そのこと自体が、言ってみれば人権を侵害しておるんですよ。その上に、今言ったようなそういう国家の考え方でやるとすれば、実際の運用においてはよっぽど注意しないと、あなたたちがおっしゃるようなきれいごとの弾力的運用ということで済まされません。 その証拠に、法令研究会編の「外国人登録法の違反態様と捜査の要点」という本がある。この本は、警察官と実務関係者の指導書と言われている木です。この本がどういうようにつくられたかといいますと、この「はしがき」にも書いてありますが、この研究会に集まる「会員のすべては、それぞれの面で、直接実務に携っているその道のベテランを網羅している。」。そして「第一線の捜査に従事する捜査官の捜査技術に重点を置いて研究を進め、研究の成果については、まず会員の全体会議に附し、疑問の点はさらに深く掘りさげて検討した上、その道の権威にも意見を聴き、もって研究の万全を期しているのである。その第一回の成果がすなわち本書であり、」ということで出版されているんですね。 この本の中で、「登録証明書の不携帯」ということで百七十四ページ以下に書いてあるんです。どう書いてあるかといいますと、不携帯は「不携帯の現行犯として逮捕し捜査することは少しも差支えないばかりか、被疑者の登録証明書を確認するまでは釈放すべきでない。」。いいですか、不携帯は原則として逮捕して、その登録証明書を確認するまでは釈放するなど言うんです。 なぜ、そういうことまで厳しくやるかというと、こう書いてあるんです。「捜査の段階で不携帯を重視するのは、不携帯事犯で調べているうち に、密入国、登録不申請、確認不申請、再交付不申請、不受領など」数々の「違反が発見できるからである。」、まさに別件逮捕のような扱いでやるんですよ。不携帯で、まず持っていない、それじゃ逮捕する、連行する、調べる。これをやった上で、そこから次から次へと犯罪容疑を探っていけばよろしい、こう書いているんですよ。 さらに、こうも書いていますよ。「登録証明書の不携帯は、もちろん軽微な犯罪ではあるが、それは単純な不携帯だけで、これをきっかけとして大きく発展してゆく可能性があり、事実そこからいろいろな犯罪が発覚している。」、そういうことで、これはもういろんなことを調べていくその端緒としてこれを使うんだ、こう言うんですよ。また、こうも言っていますね。「また緊急逮捕のできない登録不申請や、時効にかかっている密入国者などを逮捕する」、それは緊急逮捕できない、そのためにも、それを捕まえる「伝家の宝刀でもあるからである。」、こう言っているんです。 これは大変なことですよ。弾力的運用や、おふる屋やプールの場合は何とか考えますという程度の問題じゃない。第一線の捜査官は、こういうことでまさに外国人を取り締まりと刑罰の対象とし、この常時不携帯をてことして、そこから他の犯罪を調べ上げるという手段に、いわば別件逮捕のようなことにも使われておる。こういうことを研究会で堂々と書いてあるんです。こういうような考え方を警察庁は今も支持しておるんですか。
○説明員(国枝英郎君) 今御指摘の本につきましては、警察庁あるいは警察官が作成した云々ということかと思いますけれども、全くそういうことは承知いたしておりません。 なお、現行犯逮捕を原則とする云々ということにつきましては、当然刑事訴訟法の原則理念にのっとって処理いたしておるところでございます。
○橋本敦君 不携帯だけで現行犯逮捕をやるんですか。はっきり答えてください。
○説明員(国枝英郎君) 事案の態様等によりましては、当然現行犯逮捕ということもあり得ます。
○橋本敦君 持っていなきゃ全部現行犯逮捕できるんですよ、理屈の上からは。逮捕するかしないかはさじかげん一つだと、こうでしょう。理屈の上からは全部現行犯逮捕できるという考えでしょう。
○説明員(国枝英郎君) 今申し上げましたとおり、事案の態様等を勘案して現行犯逮捕をするか否かということになるわけでございまして、例を申し上げますと、登録証の提示を求めたところ提示をせずに逃走を図ったというような場合におきましては、あるいは現行犯逮捕をするようなこともあり得るわけでございます。
○橋本敦君 それはおかしいですよ。そんなことでやられたらたまったものじゃない。それは捜査官憲としてとんでもない答弁だ。そういうことを許す不当な規定なんだ、十三条は。だから、こんな規定は本当に削除しなくちゃいけません。罰則をもって強制するというのはもってのほかです。 私は、こういうような規定を一刻も早く全面的に削除するということを本当に強く要求して、時間が参りましたから質問を終わりますが、警察当局のこの問題についての憲法に基づく厳しい姿勢をきちっと持ってもらうことを強く希望します。そうでなければ、外国人の皆さんには黙否権もなければ、それから憲法の保障もなくなってくる。先ほどもおっしゃいましたけれども。そういうことにならざるを得ない危険に組み込む入り口になる規定なんですから、この常時携帯は。しかも、人権侵害そのものを許容する規定でもあるんです。 こういう問題について今後の対応、法務大臣はしっかりと前向きに検討をしていただくように、最後に法務大臣の御見解をお伺いして終わります。
○説明員(国枝英郎君) 私の説明が舌足らずであったかと思いますが、任意捜査を原則とするのはもとよりでございます。ただ、事案に応じましては不携帯において現行犯逮捕をするという場合も当然あり得るということは申し添えたいと思います。
○政府委員(小林俊二君) この常時携帯義務の問題あるいは提示義務の問題につきましては、この委員会において御説明申しましたこともございますが、種々経緯がございます。すなわち、部内においてその法のあり方について種々検討をした事実があるわけでございます。その基本となりましたのは、外国人団体等からの希望、要望その他があったわけでございます。 そういうことで、私どもといたしましては、各国の法令等を調査いたしまして、その調査の中で法令上、法制上この携帯義務というものについて何らかの制約を課することが可能であるかという研究をしたわけでございますけれども、法制上、法令上、法規上の措置としては、この携帯義務について一定の制限を付するということはほとんど不可能であるという結論に達したわけであります。すなわち、特定の制限を付するならば、その制限の外においてはすべてこれが実施されなければならない、履行されなければならないという反対解釈も可能になるわけでございますし、またその制限の範囲を明確に現実に即したような形で定義するということも不可能でございます。 各国の法令を見ましても、携帯義務というものにつきましては極めて一般的な規定の仕方になっておりまして、一定の範囲を限ってこれを免除する、軽減するという規定があるという例は私どもは知りません。したがいまして、この点につきましては、第一義的には運用に依存せざるを得ない常識的な範囲ということになるわけでございます。 しかしながら、この法文の規定というものは、本来、法の趣旨あるいは法の目的に照らして解釈されるべきものであります。そういう意味におきまして、何人が考えても携帯を求める必要がないという事例は当然あるわけでございまして、そうした範囲内においてこの法がその目的としているところに照らせればその取り締まりの対象とするものではないという解釈が成立する余地はあると考えますので、先ほど御指摘になりましたようなこの取り締まりの範囲の除外部分というものは、単に運用上の裁量によるのみならず、法解釈の上からも、違法性の阻却といったような観点から、あるいは期待可能性がないといったような刑法理論の観点からも導き出し得る結論であろうかと思います。
○国務大臣(遠藤要君) 再三私が皆さん方に申し上げておるとおり、今、橋本委員から御指摘のあった問題等についても十分自分なりに対応していきたい、こう思っております。 この問題については、先ほど申し上げたとおり、かつて元法務大臣と国家公安委員長との閣議においての話、それが今、警察庁自体でも下部に浸透していただいて、大変効果があらわれております。そのような点で、今後もさらに常識的な運用と申しましょうか、そういうような点に徹底をしていただくような方途を講じたい、こう思っておりますので、御了承願います。 ―――――――――――――
○委員長(三木忠雄君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、平井卓志君が委員を辞任され、その補欠として杉元恒雄君が選任されました。 ―――――――――――――
○西川潔君 いよいよ私で最後になりましたんですが、どうぞよろしく。今までいろいろ質問さしていただきましたが、重複するところがたくさんあると思いますけれども、どうぞひとつお許し願います。 我々の毎日の生活というのは本当に大変でございますが、その上にまだ指紋押捺と、そういう生活を強いられている皆さん方、本当に大変だと思います。今回一歩進んだ法案であると、一歩進んだ部分は大変に評価をできる部分もあるんですが、もう一度素朴に疑問に思うことをお伺いしたいと思います。 まず、住所変更がおくれた場合、二十万円以下の罰金あるいは一年以下の懲役となっております が、もし日本人がこれを忘れた場合、どうなるのでしょうか。
○説明員(黒木忠正君) 住民基本台帳法の規定によりまして、五千円以下の過料に処せられるということでございます。
○西川潔君 その場合と、この場合とのいわゆる違いというんですか、その差は一体何なんでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) その差は、一口で申し上げれば日本人の場合には、身分関係、居住関係の把握が十分に行われないということによって生ずる結果が外国人の場合とは大いに違い得るということであります。 どのように違い得るかと言えば、外国人の場合には不法在留者、不法入国者という非常に重大な問題が生じ得るということでありますけれども、日本人の場合にはそういう問題は法的に生じ得ないという違いでございます。
○西川潔君 それでは、日本人のように、例えば住民基本台帳のようなものをその人たちにもつくってあげるようなことはできないものでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 外国人登録法の目的、登録制度の趣旨につきましては再々御説明申し上げたところでございますけれども、外国人登録制度によって作成される資料というものは福祉関係、教育関係、税務関係、その他におきまして日本人の場合の住民基本台帳と同じ機能を果たしている面もございます。
○西川潔君 次に移らしていただきます。 昨日も質問さしていただいたんですけれども、十六歳からということでございますが、児童福祉法においては、すべての、「児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」、そういうことになりますと、この十六歳からの子供たち、児童福祉法の第四条の第三にあるんですが、小学校の就学から満十八歳に達するまでの者は少年と、こうおるんですが、すべての子供たちが平等ではなくなるわけですが、この部分を、人の子の親として、僕も自分の子供が、例えば十六歳である日突然指紋を押してこいということで、自分の立場に置きかえても子供にはなかなかこれは言えるものではないと思います。そしてまた児童福祉法においてもすべての子供は平等であるという意味においては、どういうふうに説明を聞いたらよろしゅうございましょうか。
○政府委員(小林俊二君) 指紋押捺義務発生年齢につきましては種々議論のあったところでございますが、既にお答え申し上げたこともございますように、何歳が最も適当かということについての決定的な議論というものはございません。世界的にこれをべっ見いたしましても、一歳から二十一歳ということで非常に多岐にわたっておるわけでございます。五十七年に十四歳から十六歳に引き上げるというときにも種々国会においての議論が行われました。しかしながら、十四歳よりは十六歳の方がいいという御判断のもとで改正が行われたわけでございます。したがいまして、十六歳という年齢にかかわる議論というのは、それは社会的に独立した行動をとることが多くなる、あるいは女子の場合には親の許しがあれば結婚ができる、あるいは二輪車の免許証を取ることもできるといったようなことがございまして、十六歳がまあ十四歳よりはいいんではないかという結論に達したわけでございます。 また一方、出入国管理の観点から申しますと、密入国者の送還に際して、密入国時点における年齢を調査いたしましたところ、その時点における調査の結果では、密入国者の二〇%が十六歳から十九歳の間に密入国をしておるという事実も確認されたことがございます。それも社会的な独立した行動ということの一つのあらわれというふうにも言えるわけでございます。先ほど申しましたように、この問題については決定的な結論と、あるいは議論というものはございませんけれども、現在のところそうした審議を経て十六歳というのが適当であるということになっているわけでございます。 しかしながら、先生の御指摘になるような議論の余地というものは常に存在するわけでございまして、したがってこの問題についての結論というのはそうした登録の対象となる人々の立場が一方にあり、一方において行政の必要ということがあるわけでございまして、その間にぎりぎりの妥当なラインを求めていくしかないということでございまして、現在の制度もそうしたぎりぎりの妥協の産物でございますから、一方だけの立場に立てはそれは不合理である、不当であるということもあり得るわけでございますけれども、その妥当なバランスというものはどこにあるかという観点から考えますと、一方の立場だけに立って、これが適当ではないという議論で終わらせるわけにもいかないという事実があるわけでございますので、その辺の御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○西川潔君 今、局長のお話をお伺いしましてよく理解はできるんですけれども、本当に十六歳といいますと多感な年でありますし、生意気なことをするとしかられ、また子供っぽいことをするといつまでも子供じゃない、大人と言われ、これ本当に難しい年ごろでございます。僕もちょうどそのころの子供がいるんですけれども、自分の子供が、そしてまたさっきの児童福祉法じゃございませんが、それではすべての子供が同じ水準で幸せにしてもらわないといけないということとは少し違ってくると思うんです。 韓国、朝鮮の子供たち、中国の子供たち、いわゆる登録しなければいけない子供たちはこの日本の国ではそういう意味においては不幸せに生活をしろ、日本人の子供は平和で幸せな生活を営めるというようなどうしても疑問が生じてくるんですが、これを今後二十にしてもらう、二十五歳にしてもらうというようなことのお話は出ておるんでしょうか、もう一度お伺いしたいんですが。
○政府委員(小林俊二君) 二十五歳という例は世界的にもございませんし、そういう議論が行われたことはございません。しかしながら、それ以下のレベルにおいてこの問題について種々部内で議論されたという事実はございます。先ほど申しましたように、この点については議論の余地はございます。 したがって、これが将来さらに修正される可能性云々となりますと、先ほども申し上げた二つの視点の一方、すなわち行政上の目的を取り巻く諸状況によって左右されるということになると思います。もちろん情勢が悪化するという可能性を一概に否定もできませんけれども、現在の状況がさらに改善されていくという期待を持つ余地もまたあるわけでございまして、そうした客観情勢の変動に応じてまたその新しい議論が行われるという余地までも否定するつもりは毛頭ございません。
○西川潔君 それでは次に移らしていただきます。 昨日もお願いをしたんですけれども、NHKのコンクールに優勝した少年のお話、一度指紋押捺拒否をすると外国に出ると再入国ができない。肉親にも会えない、危篤状態にも病気の兄弟にもと。この部分をもう一度局長にお願いしたいんでございますが、これは決して悪い前例になるとは思いません。我々日本人の気持ちから言いましても、ああ、そういうことであれば出してあげたらどうだ、また、そういう押捺拒否者に対する処遇という意味で、もう一度帰ってきてからのそういう話し合い、そして処置というふうに講じていただけるようなお願いが何とかできないものでしょうか。自分に置きかえるというよりも、これは人道的にも、親の死に目にも会えないという、その拒否している部分、法律の部分だけでそれを拒否するということはどうも自分は納得がいかないんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) この問題は、法制度の批判あるいは法制度の改正要求ということの手段として意図的に現行法に違反するということをどこまで評価するか、どこまで重大視するかということによって結論が大いに異なってくるのであろ うと思います。政府当局といたしましては、法秩序の維持という観点から、そうした意図的な行為についてはこれを容認するといった態度をとり得ないということを御理解いただきたいのであります。 先ほどのNHKコンクールの青年につきましても、きのう申し上げましたように、私としましてはでき得る限りの時間を割いてその青年の考えていることを理解しようといたしましたし、また私が理解しようとしているその気持ちはわかっていただけたというふうに思うのであります。その青年の話を聞いておりましても甚だ複雑でございまして、単に指紋制度が不合理であるとか侮辱であるとかいったようなことで拒否をしたようではないんであります。その青年の話によりますと、今日までその青年は差別による苦痛といったものを感じたことは一度もないんだということを言っておりました。 そして、それじゃなぜ拒否といった行動に走ったのかというふうに聞きますと、これは話が少し長くなって恐縮でございますけれども、高校一年のときに自分は意を決してそれまでの日本名を捨てて韓国名を名のることにしたと。それはつまり自分にとっては大変な決断だった、決心だったというわけでございます。それを級友に明らかにしたところが、級友の反応は全くなかった。要するに、韓国名を名のることによってそれ以前と全く対応ぶりが違うことはなかったと言うんです。ですから、それは非常に結構なことじゃないかと、要するにあなたの級友たちは、あなたが韓国人だからどうである、日本人だからどうであるというのじゃなくて、あなたという個人を相手としてそれまでつき合ってきたということがそれでわかったんじゃないかと、それは非常に結構なことじゃないかと言いましたら、その青年が言うには、実は何にも反応がなかったということが自分にとっては大変な不満なんだと言うわけです。 要するに、自分の存在というものを十分に認識してもらっていないということに自分の不満があると、したがって自分の存在というものをもっと認識してもらうために指紋の押捺を拒否したんだというのがその青年の説明なんです。この説明について私としては十分まだ理解したとは言い得ません。なかなか難しい心情があるというふうに考えます。しかしながら、そういう説明が行われたということは、こういう指紋押捺拒否ということの背後にも複雑な事情、心理というものが存在するということは理解したということでございます。
○西川潔君 その少年は本当に境遇に恵まれて、いいお友達と一緒に生活をしてこられたと思います。まあ、一つの境遇の違いだと思うんですけれども。いいお話を聞かしていただきまして本当にありがとうございます。法律には涙だとか人情とかというのは禁物だということも聞いておりますが、ぜひその点もお考えいただきたいと思います。 国会に参加させていただいて一年二カ月になるんですが、ここに参りまして本当に大臣という人の立場の力のあることにはびっくりしました。特に、遠藤大臣はふだんお話しさせていただきましても人情味のある、本当に優しい大臣であるということはよくわかります。しかし、ひとつ法律のお話をさせていただきますと、ちょっと大臣の懐に入ろうかなと思うとぴしゃっと雨戸を閉めてしまうというような部分も少し感じたようなときもあるんです。 大臣としても最後の御答弁になると思います。僕も最後にこうして質問をさせていただけることをうれしく思っておるんですが、今のお願いも含めまして、今後この指紋押捺制度、長い時間皆さんで審議してまいりましたが、総評を加えて大臣にひとつ御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(遠藤要君) 先ほど来、昨日も先生の御質問を拝聴いたしておって、弱者のためにと申し上げて、言葉はちょっと失礼かと思いますけれども、弱い者の味方だというような点で強調、努力されている姿を見て敬意を表したいと思っております。 私は、昨日、一昨日と各委員に対してお答えを申し上げている姿勢は変わっておりません。この法案は、私としては、外国人の方々としては、自分たちの希望は満たしておらぬけれども、何とかして一歩ずつでも改善せしめたい、そして日本においての快適な生活が営まれるような方向に努力したいというのが私の信念でございます。そのような点で、きのうも矢田部、安永両委員を初め皆さん方からそれぞれ御質問をちょうだいいたした問題について、今指紋押捺がいいか悪いかという問題が一番前提だったわけでございますが、この点も今度の法改正によって運転免許証のようなカード式になって写真が焼きつけになる、そういうような点と指紋とを並行して携帯するということになるわけですが、それによって私はある程度の年数を見て、これで定着していく、指紋の必要がないかどうかということを、その結果を見て再検討したい、そういうふうな考えてあります。 それからいま一つは、指紋の押捺が原則として一回限りだということで、先ほども橋本委員からも御指摘あり、矢田部委員からも御指摘あり、猪熊委員からも御指摘のあった問題ですが、一度押した者は、後、行政処置、刑罰というのもどうかという問題がございました。この点については、この法の成立後に省内において十分検討していきたい、前向きで検討したい、そういうふうな考えております。 取り締まりの面についても、ただ単に外国人登録者を処罰するという方針ではなく、やはり携帯義務についても指導的な面で私は進みたい。そういうような点で、この刑罰の法を自分たちでつくり上げて、それを運用の面で緩和するとか何かということはちょっと法務大臣としては不思議な話の一つになると思うんです。風呂に行ったときは必要ないとか、トイレに行ったとき必要ないとか、周辺、隣近所を歩くときは必要ないというのも法律に一々当てはめるわけにもいかぬ。そういうような点で、その運用の面を十分さらに拡大してもらう方法を検討したい。そして国家公安委員長にもそれを要請し、警察当局にも法務大臣の気持ちを反映していただきたい、こういうふうな考えでおるということを御理解願いたいと思います。
○西川潔君 どうもありがとうございました。
○委員長(三木忠雄君) 他に御発言もなければ、本案についての質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○矢田部理君 私は、内閣提出に係る外国人登録法の一部を改正する法律案につき、日本社会党を代表して、反対の立場から討論をいたします。 このたびの改正案は、一九八二年の改正以来五年ぶりのものであり、八六年のいわゆる一斉切りかえを機に盛り上がった法改正を求める国内外からの幅広い世論を受けて作成されたものであると考えられます。しかし、遺憾ながらこの改正案は内容的に決して満足できるものではありません。在日外国人はもとより、幅広い日本国民が抜本改正を求めておりますことは、地方議会における改正要求決議の数が実に一千八十二の多きに上っていることからも明らかであります。これらの世論は、一致して最小限在日外国人に課せられている指紋の押捺制度を廃止すること、外国人登録証明書の常時携帯義務を廃止すること、刑事罰を廃止すること、この三点を要求しているのであります。ところが、このたびの改正案では、これら三点の要求事項はただの一点たりとも実現しておりません。 改正案の柱は、指紋押捺を原則として一回限りとすることにあるとされています。しかし、指紋の押捺は一回であろうと数回であろうとその本質は変わりません。問題は、在日外国人に指紋の押捺を強制することにより、事実上犯罪人的扱いをなしてきたことにどのような評価が与えられるべ きであるかということであります。そもそも指紋の押捺制度撤廃を求めてきた人々は、指紋押捺をすること自体が人権侵害であることを主張してきたのでありまして、一回になったからといって人権侵害にならないわけではありません。 ましてや、今回の一回案は、一回押捺すれば生涯押捺しなくてもよいというわけではなく、その例外として取り直し規定によりいつ再押捺を求められるかわからないのであります。みずからの信念に基づいて指紋押捺を拒否している人々は、指紋不押捺により刑事罰を科せられ、さらに再入国不許可など、法務大臣の裁量により不当な行政処分を受けるなど、事実上二重罰を科せられてきたのであります。このような事態をきちんと解決するためにも、指紋押捺制度の撤廃こそ今次改正案の主眼でなければならなかったのであります。 登録証の常時携帯義務は、在日外国人の日常生活の隅々までを取り締まりの対象とする制度であります。運転免許証の提示を求められ、外国人だとわかると外国人登録証の提示を求められ、ついうっかり携帯していなかった場合でも警察に連行され、逮捕されるいう事例がごく最近まで報告をされております。運転免許証で身分関係などがはっきりしているにもかかわらず警察に勾留される、このような行き過ぎた取り締まりがなされていることを防止するためにも、今度こそ常時携帯義務は廃止されるべきであったと考えているのであります。 また刑事罰の廃止につきましても同様であります。我が国に平穏に生活している外国人を、殊さら取り締まりの対象とするのではなく、日本人と同様にしたい、そういう日本国民の世論に十分にこたえた改正案であってほしかったと信ずるのであります。 以上が本法律案に反対する理由でありますが、最後に、法務大臣はこれらの諸課題を解決するために三年ないし五年をめどに法の見直しを行う旨を約束されました。私はこの法務大臣発言に改めて敬意を表しますとともに、国民の皆さんとこの発言を重視して、近い将来指紋押捺制度の廃止を含む本格的な改正が行われることを強く期待をして、討論を終わります。
○猪熊重二君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま審議されました外国人登録法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論をいたします。 我が公明党は、従前から、指紋押捺制度の全面的廃止及び外国人登録証明書の常時携帯義務の緩和、見直しを主張してまいりました。 今回の改正案には、確かに内外国人平等処遇の方向に一歩進める条項もあり、それなりに評価すべき側面も存すると思料されます。しかし、外登法の抜本的改正を主張する我が党の立場から見れば、全く不十分な改正であって強く反対せざるを得ないものであります。以下、反対理由の主なる点を述べます。 まず第一点は、今回の改正案が法適用対象外国人の明確な差異に全く何の考慮もせず、一律適用をすることとしている点にあります。我が国に在住する外国人の中には、協定永住者、法一二六号による永住者、入管法特例永住者など、ほとんど日本国民と同等の処遇を受ける、いわゆる永住外国人と、一年以上日本に在留し、その後何年かして自国に帰国することを予定している一般の在日外国人との二類型が存在していることは、明白な事実なのであります。法的地位に右のような大きな差異がある二種の外国人に対し、単に外国人であるという範疇によって、同本国民とを区分し、外登法を一律適用することは適切、妥当な法の適用とは言えません。指紋押捺、同一人性の確認方法、外国人登録証明書の携帯義務、それの提示義務、各種登録申請手続の必要性など、外登法による管理のすべての面において、右の二種の外国人に適用すべき法規範に差異を設けることこそが法の適正な運用にとり不可欠であることは明らかであります。しかるに、本改正案は、この点につき何らの考慮をしていないため、法の具体的適用上、種々困難な問題を招来する結果となっており、私としては強く反対せざるを得ません。 反対の第二点は、依然として指紋押捺制度を維持している点にあります。改正案は、指紋押捺を要する場合につき、現行法が各種登録申請に際しこれを必要と規定しているのに対し、原則として新規登録時の一回に限ることとしております。指紋押捺制度を是認する立場に立つならば、今回の改正は進歩的立法と称することもできるでしょう。しかし、今回の改正案により、外国人登録証明書がラミネート化されることになって、その偽造、変造がほとんど不可能となったこと、昭和六十年五月十四日通達に基づく証人による同一人性確認手段の存在などを総合的に勘案すれば、指紋によることなく人の同一人性はほぼ完全に判定し得るのであって、指紋の押捺は全く不必要と言わざるを得ません。この点につき、法務省当局は、右事情を考慮しても、なお指紋によらなければ一〇〇%の確実性は保証されない旨述べております。しかし、外国人登録法における同一人性確認は、科学的確率において一〇〇%確実であることは不必要であり不相当なのであります。なぜなら、同一人性の確認ということも他の各種事情の考慮との兼ね合いの中で決定されるべきであり、そのような配慮の中にこそ法的妥当性が存するからであります。法務省の一〇〇%確実志向は妥当でなくしたがって指紋押捺は不必要であると断ぜざるを得ません。 反対の第三点は、外国人登録証の常時携帯義務、提示義務の存続であります。外国人に登録証明書の携帯、提示義務を課すこと自体は一応やむを得ないことでありますが、携帯義務を適用するに際しては、社会的相当性を考慮し、その場所的範囲につき限定を加えるとか、過失犯の処罰を取りやめるとか、違反に対する法定刑の軽減を図るなど、改善策が必要不可欠であります。改正法案が、右の諸点につき何の配慮もしていないことは、全く妥当性を欠くものと言わざるを得ません。 以上述べたことのほかにも、本改正案は種々問題があり、私は強く反対するものであることを表明して討論を終わります。 以上です。
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、本法律案に対する反対討論を行います。 我が党は、かねてから憲法と国際人権規約に定められた外国人の人権を尊重する立場から、外国人登録法に定められた指紋押捺制度、とりわけ身分証明書の常時携帯義務等について、これは在留外国人の基本的人権を侵害し、不快感を与えるだけで不必要なものとしてその撤廃を強く主張してきました。そのため、我が党は一九八二年の外登法改正のときにもこの趣旨で抜本的な修正案を提出した次第であります。 そもそも指紋押捺制度というのは、最近学者の調査によって解明されたように、戦前旧満州国で中国人や在住朝鮮人の炭坑労働者の労働運動や抗日運動を禁圧する目的で考案されたという暗い起源を持つものであります。これが戦後、朝鮮半島における緊張の高まりと朝鮮戦争の勃発等の情勢の中で、在日朝鮮人に対する治安目的で再登場してきたのであります。その上、指紋押捺の強制は、日本人の場合には一定の刑事手続の中で令状に基づいてのみ行われ、それ以外には受刑者が収監される場合にあるだけでありまして、いずれにしても犯罪と結びついて取り締まりの対象とされるという印象をぬぐうことは否定できないのも事実であります。 我が党は、入管行政において人格の同一性を確認する必要がある場合であっても、その方法としては指紋によらず写真その他のこれにかわる方法があるという立場に立っているのであります。さらに、在留外国人、とりわけその中でも圧倒的な多数を占める朝鮮人に対し指紋押捺を強要することは差別的な扱いであるという印象をぬぐい切れません。事実、安保条約に基づいて日本に駐留する十万に近い米軍人、軍属、家族に対しては、日米地位協定九条二項に基づいて外国人登録義務を一切一括して免除しているのであります。これは、住所、職業、身分等が明らかで、米政府機関 によって管理されているということを理由とする旨答弁をしておりますが、しかし、このような特例が許されるとすれば、祖父の代から日本に定住し、日本語を解し、そしてまた日本人と同様の生活意識を持って住所も明確、職業もある、こういった朝鮮人の皆さんに対し指紋押捺を免除できない理由はないはずであります。 次に身分証明書の常時携帯義務についてでありますが、日常生活の全般にわたって身分証明書の携帯を強要させられること自体が屈辱的であり、人権侵害なのであります、我が党はこういったことに刑罰を科してまで強要するということは、憲法及び国際人権規約の精神に反するものと考えざるを得ません。本法案は、指紋押捺の機会を原則的に一回としたことをもってかなり改善されたというのでありますが、しかしながら、指紋押捺制度そのものは何ら本質的に変わりがありませんし、また指紋押捺拒否者に対しては確認期間を短縮して、執拗に押捺を迫る仕組みを残し、またさらには、再押捺命令を出せる場合をも新たに設けるなど、決して改善されたというべき内容とはなっていないのであります。 今回の改正によっても、今後指紋押捺を求められる若者の数は二十万を超えると言われておりますが、世界共通の人権思想の高まりが国際的潮流となっている中で、ますます強い反発が予想される事態もあり、この際政府は外国人、特に戦前強制的に日本に連行されてきた朝鮮人とその子孫の皆さんに対しても、治安取り締まりの対象としてとらえる基本姿勢を根本的に改めて、今、日本国憲法あるいは国連憲章に定められた内外人平等の原則に立脚した公明正大な入管行政を確立すべきであります。 今次改正はこの観点からは極めて不十分なものであり、我が党は指紋押捺制度の廃止等、改めて強く要求して反対の討論とするものであります。
○委員長(三木忠雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三木忠雄君) 御異議在いと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 外国人登録法の一部を改正する法律案(第百八回国会閣法第六二号)に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(三木忠雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 守住君から発言を求められておりますので、これを許します。守住君。
○守住有信君 私は、ただいま可決されました外国人登録法の一部を改正する法律案(第百八回国会閣法第六二号)に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派及び各派に属しない議員西川潔君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 附 帯 決 議(案) 政府は、次の諸点について格段の努力をなすべきである。 一 我が国の置かれている国際的環境及び在日外国人の人権等を考慮し、当委員会における政府答弁を踏まえ、今後引き続き、多年にわたり在留する外国人の立場を配慮しつつ、外国人登録制度の在り方及び指紋押なつの代替措置等、その基本的問題について検討を加え、改善を図ること。 二 外国人登録証明書の携帯義務及び提示義務に関する規定の適用については、指導に重点を置くとともに、個人の生活態様、青少年の教育にも配慮し常識的かつ弾力的に行うこと。 三 旧法下における指紋押なつ拒否者に対する行政上、刑事上の措置に関しては、法改正の趣旨及び具体的事情を勘案し、人道的立場に立った柔軟な対応を行うこと。 四 法執行に当たっては、関係地方自治団体の意見を十分に尊重すること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(三木忠雄君) ただいま守住君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(三木忠雄君) 全会一致と認めます。よって、守住君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、遠藤法務大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。遠藤法務大臣。
○国務大臣(遠藤要君) 外国人登録法の一部を改正する法律案については、委員の皆さん方の熱心な御討議をいただき、ただいま御可決をいただきましたことに対し心から御礼を申し上げます。 なお、ただいま附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして今後とも努力を重ねてまいる所存でございますが、御承知のとおり、私法務大臣としての任務が果たせなかった場合には引き継ぎ事項として尊重していくことを申し上げてごあいさつといたします。 ―――――――――――――
○委員長(三木忠雄君) これより請願の審査を行います。 第一二号治安維持法等による犠牲者に対する国家賠償に関する請願外百六十四件を議題といたします。 今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一二号治安維持法等による犠牲者に対する国家賠償に関する請願外百六十四件を保留とすることに意見が一致いたしました。 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(三木忠雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十分散会 ―――――・―――――