内閣委員会 第6号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1987/09/17
会議録
○委員長(名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る九月十一日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。 —————————————
○委員長(名尾良孝君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小野明君 前回、中期防達成時の能力あるいは限定的小規模侵略に対する自衛隊の能力評価の問題、さらに中期防における予算の問題について質問を申し上げておきましたが、昨日防衛庁から説明を受けまして、中期防並びに自衛隊の能力評価の問題については、不満ではありますが、やむを得ない点もあろうかと思いまして、この点については了解をいたします。 ただ、防衛費の問題につきまして、長官、六十二年度予算で、平和国家日本の最後のあかしとも言うべき、防衛費の対GNP費一%枠を政府は破棄したわけですね。この一%枠にかわるものとして「今後の防衛力整備について」ということで閣議決定をいたしておるのでありますが、これが歯どめにならないということは、これまでの国会論議で明らかになっているところでございます。この閣議決定では、十八兆四千億の整備計画の総額が歯どめである、このようにいたしておるわけですが、あわせて三木内閣が決定をいたしました一%枠の精神は尊重する、こういったことが弁明をされておるわけでございまして、この精神を尊重するということは六十三年度予算編成ではどのように扱われるか。そのときは長官は果たして在任されておられるかどうかわかりませんけれども、現在の長官として、この一%枠の問題について御所見をまず承っておきたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 一%の問題につきましては、いろいろの解釈をされておられますけれども、私自身は防衛計画の大綱水準の達成を期するという中期防、これをやるためには第二年度分として昭和六十二年度の予算を編成してきまして、どうしても後方その他を積んでいくと一%を超えざるを得ない。一%という重みは承知しておりますけれども、同時に防衛計画の大綱の水準を達成するように継続的、計画的にやる、これも非常に重要なことでございまするから、やむを得ず超えた段階において新しい歯どめというものを御決定を願ったわけでございます。 この新しい歯どめにつきましては、今俗に言う十八兆四千億、総額明示方式、昭和六十年度価格、これは歯どめにならぬじゃないかと言われるが、私はそういう解釈ではなしに、十八兆四千億、六十年度価格、そういうふうにはっきりしているじゃないか、ですから、これはもう明確な歯どめになり得ると思っております。ただ、年度年度の防衛費については、三木内閣のときの閣議決定の精神を尊重する。これはどういうことかというと、節度ある防衛力を整備いたしますよ、一%の枠というものが一応なくなったらどんどんどんどん防衛費を増強しますと、そんな大それたことは考えておりません、節度のある防衛力というものでいくんです、こういうことで閣議決定がなされたわけでございます。六十三年度の予算がどういうふうになるか、私の関知しないというんですか、私自身がこれに関知するということについては恐らくないと思います。ないと思いまするけれども、自民党内閣である限りその精神というものは守られて、節度のある防衛費というものが決定されるものと確信をしております。
○小野明君 十八兆四千億というのは上限ですよね。これ、全体でならしますと一%枠は突破して おるということなんで、各年度において策定をされるわけでございますが、やはり三木内閣の精神は尊重すると、私は長官に年度の一%枠が守られるように御努力がいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今申しましたように、防衛費というものは節度のある防衛費でなければならない。そういう意味合いでは、いつも一%を超えにゃならぬとか、そういうような気持ちはございません。ただ、一%の枠内で抑え込まなきゃならない、そういうようなことではいけないということでございますので、そこら辺は自然体で、防衛計画の大綱の水準を達成するために本当に節度のある防衛力の整備をしておくということでございまして、一%以内に抑えるとかあるいは一%を超えなきゃならぬとか、そういうものではないと考えております。
○小野明君 これ以上お尋ねをいたしましても繰り返しになると思いますが、ぜひ一%枠を突破しないように、これは中国を初め近隣諸国からの強い要望もこれあり、その辺も十分配慮していただいて、一%枠内におさまるように御努力がいただきたいということを申し上げたいと思います。 次に、防衛計画の大綱では、第一に、あくまでも均衡のとれた防衛力の構築というのを目指しておるわけですね。第二には、緊張時あるいは有事に際しては新たな防衛力の態勢への移行を行える、いわゆる基盤的な防衛力を築こうとされておるわけであります。しかし、この移行に当たっては、実際問題として相当の長時間を要するのではないか。仮にそれがおくれた場合は、侵略に対して有効に対処し得ない。このリスクは政治が負うべきだと、このように説明をされておるわけです、大綱で。このリスクを生じさせないために、軍縮あるいは軍備管理等の政治努力が必要であることは言うまでもありませんけれども、しかし、歴代政府はこの努力をしないままに、そのリスクを強力な兵器で埋めようとしておるのではないか。その結果、大綱をはみ出した装備体系あるいは構想を超える防衛力を持つことを進めてきたのではないかと思われるわけでございます。この点については、政治の努力としてシビリアンコントロールといいますか、政治が軍事に優先をする、統制をするわけでございますから、長官はどうお考えでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) まず、大綱で定めております基盤的なもの、いわゆる情勢に重要な変化が生じた場合に対応し得る基盤的なものでなくちゃいかぬという点について、若干事務的な御説明を申し上げたいと思いますが、御承知のように、大綱というのは当時の国際情勢に対する基本的な認識、つまり東西の軍事バランスというものがある程度どれ、直ちに軍事力をもって現状を変更するといったような風潮にないというようなことを中心にした情勢認識というものを前提として、平時持つべきものとして大綱の水準というものは定めてあるわけであります。しかも、これは御承知のように、小規模、限定的な事態に対応するものであるということでありますが、この前提となる情勢に重要な変化が生じた場合ということでありまして、必ずしも直ちに侵略が行われた場合という意味ではこれはございません。そういう基本的な国際情勢の枠組みというものが変わってきたときに、それに対応して何らかの新しい態勢に移らにゃいかぬ、そういった際にできるだけ円滑に移り得るような基盤を持っていなくちゃいけないというようにお考えいただきたいと思います。 そこで、ここで期待されているものとしましては、大綱にもるる書かれておりますように、やはり機能的にそれぞれの必要なものが取りそろえてあるとか、あるいは先生の言われた均衡のとれたものであるとか、そういったことが必要でありますと同時に、でき得れば、今回予備自衛官制度等でお願いをしておりますけれども、有事態勢なりあるいはどうしても国際情勢上緊急にある程度の防衛力の規模を拡大しなくちゃいかぬという際に、応じ得る最低の条件というものをある程度具備したものにしておく必要がある。あるいは航空機等でありますれば、現在まだその種の配慮はなされておりませんけれども、常に航空機と人間というものを両者を取りそろえて整備しておくということはなかなか困難でありますけれども、最も時間のかかるのはパイロットの養成であります。そういう意味で、パイロットについてある程度の余裕を持っておく。航空機についてはぎりぎりのものであっても、パイロットについては少し余裕を持っておくとか、その種の各種の配慮というものを加えておく必要があるというように考えておる次第であります。 なお、先生御指摘のように、そういった情勢の変化という基本的な変化というものは、いかにそういった国際情勢というものを先見的に洞察するかということが非常に重要でありまして、その点についてはまさに政治の責任と申しますか、政治がいかに判断するかということに非常に大きな分野がかかわっておりますし、おっしゃるとおり、そういった悪い方への重大な変化が起きないように、日々あるいは軍縮なり軍備管理ということに努力されることはもう当然のことであるというふうに私どもは考えておる次第であります。
○小野明君 長官、今米ソ外相会談が行われて軍縮への努力が行われているわけですね。これらを考えますと、やはり日本の防衛力も強力な兵器でこのリスクに対応するというのではなくて、平時から政治の努力として軍縮あるいは周辺諸国との緊張緩和といいますか、日本のあり方としては私は周辺諸国の脅威を強調するのでなくて、やはり日本が防衛の面においても理解されるといいますか、近隣諸国から尊敬と感謝をもって日本が評価される、こうい政治努力が私は常々政治家の責務としてなければならぬじゃないか、そういうことを申し上げたかったわけですが、長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 小野さんのお考えは私よく理解できます。私はいつも言うんですけれども、防衛庁長官というのは非常にこれはもう厳しい立場だと思うんです。我が国の平和と安全を保つためには、やはり必要最小限度の防衛力は確保しなきゃならない。しかし、同時に他国から無用な誤解を受けるようなことがあってはならない。そういうような意味合いからしますと、どこら辺が一番適正水準であるかということを常々考えているわけです。軍縮とか平和という問題については私も政治家として重大な関心を持ち、ワインバーガー長官と話をするときにも、むしろ防衛問題に入る前に、今までの例で言いますると、世界の平和、軍縮の問題から話をしていると。これは形の上だけで、何だそんなものは見せかけだというようなことを言う人があるかもしれませんけれども、私はそういうつもりじゃないんです。いつも謙虚な気持ちで平和、軍縮ということを考えなきゃならない。そういう点については人後に落ちないと考えております。 ただ、今申しましたとおり、やはり必要最小限度のものだけは確保していかなきゃならない。その必要最小限度のものを確保するということはどこに準拠するかというと、それはやはり防衛計画の大綱水準ということで来ているわけです、これは。どうも一部の方々が装備体系が新たになる、あるいは装備品がどんどんどんどんよくなる、そうするとこれは軍事大国になるんじゃないか、これは防衛計画の大綱を逸脱するんじゃないか、そういうふうに言われるけれども、私はある程度、いわゆる脅威を別に強調するわけじゃないけれども、周辺の諸国のいろいろの軍事情勢あるいは装備、そういったものについてはこれを常に念頭に置きながら、ある程度のことはこれはしなきゃならぬと思うんです。非常に古臭いものを持ってこれでよしとする、これによって脅威を強調しないんだというやり方でいきますと、一たん何かあったときにこれは全く国民に対して取り返しのつかないことになる。そういう意味合いでは、脅威を強調するわけじゃないけれども、周辺諸国のいろいろの動きあるいは軍事技術の進歩、装備の改善等についてもそれなりの配慮をすべきである、そういう意味合いで防衛計画の大綱の別表とあわせ て私どもは節度ある防衛努力をしなきゃならない、こう考えております。
○小野明君 次に進みますが、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの問題ですが、この第一、第二項関連の日米共同作戦計画研究は、一つの想定といいますか、設想といいますか、これを設けまして、そこにおける侵略に日米がいかに共同対処するかという研究であるとされております。防衛庁はこのシナリオは事柄の性質上公表できない、このようにされておるようでありますが、国民は自衛隊が国民を脅威から守るという名目のために血税を払って自衛隊を維持することを強いられておるわけでございますから、自衛隊がいかなる脅威にどのように対処するかというのを知る権利があると思います。これには限界があるかと思いますが、知る権利があろうと思います。そこで、政府はシナリオの骨子だけでも公表する義務があるのではないかと私は考えますので、五十九年末にまとまった日米間で署名をされた共同作戦計画研究のシナリオをひとつここで示していただけないか。
○政府委員(西廣整輝君) 我が国に対します起こり得べき可能性のある侵略の態様というのは、まさに国際環境等によって千差万別であろうと思います。そこで、このガイドラインに基づきます共同作戦計画の研究と申しますのは、日米の整合のとれた日本防衛のための作戦を実施するために、これをいかに円滑にあるいは効果的に実施するかという目的のために研究されたものであります。まさに先生がおっしゃるとおり、どういうシナリオと申しますか想定で研究をしたかということを申し上げますと、我が方の能力なりあるいは米側の来援の状況なりというものが具体的に出てしまうということで大変ぐあいが悪い、お答えしにくいわけでありますが、強いて申し上げれば、この一つの想定というのはいわゆる波及型ではない。波及型と申しますのは、例えばかなりの大規模な戦争がどこかの地域で行われておる、それが波及してくる、あるいは日本周辺の日本以外の地域で戦闘が行われておって、それが日本にまで及んでくるという波及型のものではなくて、そういった状況はないという前提で日本に対して直接的な侵攻が起きたという状況を想定したものであるということを申し上げたいと思います。したがいまして、第三国を経由してとか、あるいは第三国から事がだんだん広がってきたというものではない状況、日本に対する直接的な侵攻に対してアメリカとしてはだから日本だけとの共同対処を考えればいい、第三国に対しての支援等を余り考慮しなくていい状況における日本侵略事態、その際に日米がいかに対応できるかという研究であるということを申し上げたいと思います。
○小野明君 もう既に五十九年末にこれは日米間で署名をされておるものですよね。そのシナリオというのは今のお話では説明されておらないように思いますが、このシナリオだけでも示していただけませんか。
○政府委員(西廣整輝君) シナリオと言われましてもちょっと、いわゆる物語ではございませんで、日本に対して直接侵攻があるわけでございますから、相手方としては、当然のことながら、まず航空攻撃等が先行する、あるいは周辺の海域等における船舶の破壊等が行われておる、そういう状況から逐次エスカレートしてきて、最終的には日本に着上陸侵攻が行われるという性格のものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
○小野明君 私が聞くところによりますと、最初五十九年末にできたシナリオがこれは既に終わりまして、新たなシナリオに基づく研究を準備しておる、こういうふうにも言われておるわけですが、今回のシナリオと以前のシナリオとはどう違うんですか。
○政府委員(西廣整輝君) 現在日米間で行われておりますのは、五十九年当時のシナリオ、それに基づく研究の補備修正といいますか、そういったことが引き続いて行われております。相手方の力というものも変わってまいりますし、若干の侵攻状況のバリエーション等を加えた研究を引き続きやっておるわけですが、新たな研究を行おうということでいろいろ米側と現在話をいたしております。これは、どちらかといいますと米側の方の意見として、日本だけが侵攻されておりアメリカがある意味ではかなり余裕がある状況とばかりは限らない、そういう状況であるとアメリカ側が早期に支援できる兵力量というものについては制約を受けざるを得ない、そういう制約条件下での研究というものをやってみたいというような希望がありまして、そのためにはどういう研究がいいかということで、現在いろいろな場で協議中でございます。
○小野明君 どうも的確な説明がなくて私ども納得がいかないわけですが、そのシナリオというのはかなり一般的な作戦計画であるのか、それとも即実戦に適用できるレベルの性格のものなのか、そのいずれでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 作戦計画でございますので、ちょっと例えがどうか問題があるかもしれませんが、例えば各種の団体球技等ですとフォーメーションみたいなものがございます。一つの攻め方に対してどう対応するかというのがございますが、そういう意味で言えばかなり具体的な一つのケースについてのものである。しかしながら、それができるだけ多くの場合に適用できるようなその状況自体は、一般的といいますか最もあり得べき形であろう、通常とられるであろうというものを中心にやられておるというふうにお考えいただきたいと思います。
○小野明君 その点もどうも的確な御説明がないんですが、一般的に言う作戦計画であるのか、即それが実戦に適用できるレベルのものであるのか、あるいはもう一ランク下の実戦計画をつくって初めて具体的な共同対処の際に使えるものであるかどうか、その点をひとつ説明をいただきたい。
○政府委員(西廣整輝君) ただいまの御質問が、仮に戦闘部隊そのものが直ちに戦闘のための計画として使えるものかということになりますと、そうではございません。というよりも、ある規模の侵略が日本に対して行われた場合に、米側の支援等がどの時点でどのくらい来るであろうかということで、そういったものを前提にしながら、まず自衛隊としては当初自衛隊だけでほとんど防衛戦闘することになるわけですが、その際にはどういう対応の仕方が最も合理的であるか、さらに米軍が逐次来援する段階でどういう防衛行動をとるのが最も効果的かつこちらの被害の少ないやり方であるかといったような研究でございまして、一つ一つの部隊の作戦に直ちにそれが適用できるというものではございません。
○小野明君 このガイドラインは、日本有事、つまり安保条約五条事態における日米共同対処のためのものなんですね。そこで、日本有事の際に米軍が来援するにしても、米軍の兵員はともかくとして、装備、特に重装備の持ち込みに時間を要するものと思われますね。それを解決するためには、米軍装備の日本国内への事前集積、これが不可欠であるとも言われておりますけれども、この点についてはどうお考えですか。
○政府委員(西廣整輝君) 御指摘のように、米軍が来援する場合、特に陸上部隊等について申しますれば、重装備というものが事前に集積されておる、いわゆるポンカスということが行われておれば、兵員を中心にして来援すれば直ちに相当の部隊が編成できるということで、米側の来援の期間を短縮しかつ効果的な支援を受けるためには、私は事前集積というのは非常に効果的な方法であろうというふうに考えております。 ただ、御承知のように、そういう事前集積をいたすということは装備の二重装備が必要である。来援する部隊、人員等はやはり本国においてそれなりの装備で訓練をしていなくちゃいけない。一方、日ごろ訓練に使わない装備というものが前方に集積をされていなくちゃいけないということで二重装備が必要になりますので、相当な金のかかる話であります。そこで、米側としてどういう優先順位で事前集積をするかというのはおのずから計画があるようでございますが、日本防衛、日米 安保の有効な状態を維持するためには、ポンカスというものも我々としては非常に望んでおるところであるということは申し上げたいと思います。
○小野明君 そうすると、局長ね、防衛庁としてはポンカスに取り組むということですか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、これはアメリカにとって非常に大きな経済負担を及ぼす問題でありますので、我々としてはそういうものがあればよいという期待は非常に持っておりますけれども、我が方から積極的に置いてくださいと言う立場には現在のところないというようにお考えいただきたいと思います。
○小野明君 そういうお考えであれば、これは実のところこのポンカスを維持するのに費用がかかるのか、あるいは用地や施設が求められない、こういった点に問題があるのか、いずれなんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) ポンカスについての費用等私どもまだ十分分析しておりませんけれども、それを集積しておく場所であるとか、それを管理する費用というのは比較的少ないのではないか。やはり何といっても装備そのものを調達するといいますか、買う費用が非常に高いということであろうと思います。したがって、ポンカスを仮に実施するとすれば、二重装備をする米側の負担というものが非常に大きい。それをやってくれるかどうかということがやはり決め手だろうと思っております。
○小野明君 今のところこのポンカスは正式には行われていない、こういうことだと思いますが、米軍の相模補給廠には事実上かなりの装備が集積されておると聞いております。この点はいかがですか。
○政府委員(西廣整輝君) 相模補給廠はいわゆる補給なり整備の施設でありまして、それなりのランニングストックといいますか、補給のためのストック、そういったものはあろうかと思いますが、ポンカスというのはそういう性格のものではございませんで、一個師団なら一個師団というものの正規編成に必要なものがその編成どおり取りそろえてある、したがって人が来ればそれで直ちに一個師団が編成できるといったぐいのものでありまして、例えば相模のようにある種の車両ならそれの補給予備だけはあるというような形のものとは、性格がかなり違うものであろうというように考えております。
○小野明君 次の問題に進みますが、このガイドラインの第一、第二項関連の日本有事に関する共同作戦計画研究として、五十八年からシーレーンの防衛共同研究が着手をされておりました。このシーレーンの防衛共同研究が昨年暮れに終わっているはずであります。そこで、この研究の結果、防衛計画の大綱の別表の防衛力で対処可能という結論が出たんでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) このシーレーン防衛研究と申しますのは、大綱水準が達成された段階における大綱水準レベルの防衛力でシーレーン防衛をやったらどうなるかという研究を行ったものではございませんで、この研究を始めた当時もう既に持つことが決まっておる防衛力、つまり五十八年予算までで決められておる防衛力というものができ上がった時点、航空機なり船なりは三、四年で就役してまいりますが、その就役段階、つまり六十二年ないし三年ごろほぼ出そろってまいるわけでありますが、その段階における力でシーレーン防衛がどの程度できるかということで、前提としました防衛力というものが既に持っておる防衛力ということで研究をいたしております。したがって、これで大綱が満杯といいますか、大綱水準に達した段階でどうなるかということについては、必ずしも明確な答えは出てこなかったということでございます。
○小野明君 もう一度その辺を、この共同研究は大綱の別表の防衛力で対処が可能であるという結論が出たのかどうか、その辺をもう一度御説明いただきたいんです。
○政府委員(西廣整輝君) ちょっと繰り返すようになりますが、大綱の兵力よりもかなり下回っておる、五十八年時点でもう既に持つことが決まっておる防衛力で研究いたしました。大綱でどうかという判定をするための研究じゃございませんので、その種の判定はできなかった。というよりも、五十八年当時もう既に整備が決まっておる防衛力、それによって一つのケースについて検討した結果、問題点なりあるいはなるほどこれはこの辺でいけそうだなとかいう見通しが立ったということでございます。
○小野明君 どうも私ども防衛計画の大綱というものが頭にあるわけですよね。この共同研究というのは、大綱並びに別表というのが頭になきゃならぬはずだと思うんですね。それが基礎になきゃならぬ。ところが、五十八年のこの共同研究がされてもう終わっているわけですから、大綱及びこの別表の範囲内でおさまるかどうか、その辺をひとつ尋ねておるわけです。どうも明らかでないんですが。
○政府委員(西廣整輝君) 御質問の意味は十分私理解しておるつもりなんですが、繰り返すようで恐縮でございますが、日米のこのガイドライン等に基づく研究と申しますのは、日米が実際に日本に対して侵攻があった場合にどう対応するかという問題を研究いたしております。まだない防衛力を当てにしてそういう計画なり研究はできませんので、既に現在もう持っておる防衛力、そういったものを前提にして研究いたしておりますため、先生の御質問に的確にお答えできないということでありますので、御了解いただきたいと思います。
○小野明君 私は今の御説明でもどうもよくわからぬのですが、もし今の大綱及び別表の範囲内で不可能である、こういう結論が出たとするならば、シーレーン研究、ガイドラインの研究の前提としておる立法、予算、行政上の措置を義務づけない、こういうふうになっておると思うので、これが崩れてしまうのではないかという心配を持っておるわけです。そこで、お尋ねをしておるわけです。
○政府委員(西廣整輝君) その不可能であるというような、不可能か可能かという検討をしたわけではございませんで、現にもう既に整備されることが確定しておる、これは大綱水準よりもかなり下のものでございますが、それでシーレーンを攻撃された場合、その防衛行動をした場合にどの程度の被害が出るものであるかということが研究されたということであります。したがって、いずれにしましても戦闘状態でありますから、被害が絶無ということはあり得ないわけでございまして、そのときの被害がどの程度であったかということについての研究ができた、あるいはその被害の内容がどういう攻撃に対して比較的脆弱であり多くの被害が出たかとか、そういった研究ができたということであります。
○小野明君 私の質問の仕方が悪いのか、どうも私にはその辺が理解ができないんですが、この前提になるのは大綱の別表の枠内をはみ出しておるかどうか、その水準以下である、別表の水準以下であるという今説明がありましたが、そのように理解してよろしいんですか。
○政府委員(西廣整輝君) おっしゃるとおり、現在防衛庁は大綱の水準を達成すべく努力しておる最中でございますが、このシーレーン防衛研究というのは、その研究に着手した当時、つまり五十八年度の防衛力、それでどの程度のシーレーン防衛能力を持っておるかということの研究でございますので、その前提となった防衛力というものは大綱水準をかなり下回った数字でやっておるということでございます。
○小野明君 今の御説明なら、もっとどうして早く言えなかったかと思うんですが。 あわせてお尋ねいたしますが、この第一、席二項関連で実施をされておるというインターオペラビリティーですね、研究の進捗状況はどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) インターオペラビリティーと申しますと、非常に多くの分野があります。要は、単純なことを申し上げますと、日米がまず言葉が通じなくちゃいけない、お互いにそういった勉強をしなくちゃいけないということから 始まりまして、もろもろの例えば通信なり連絡というものについて言えば、それぞれのしきたりを日米が持っておるわけであります。そういったことについてお互いに理解するなり、あるいはできるものなら共通化する、同じ言い方をするといったような書式についても調整をしなくちゃいけない、そういった問題があります。 さらに、例えばハードアイテム等について言えば、通信等でお互いに相互連絡のためのキーになるものについては周波数をそろえるとか、そういった問題がございます。さらに言いますれば、整備、補給等のより容易性ということを考えますと、できれば装備品等の共通性、そういったものを追求していかなくちゃいかぬ。そういったことで、インターオペラビリティーという内容には非常に多くのものが含まれておるわけでございますが、現在のところ、私どもはやはり運用の中心になる通信連絡、そういったものについてできるだけ相互の間で円滑な連絡等ができるようにするためには何をすべきかということを勉強しておる状況であります。
○小野明君 まあ通信というようなことが主に説明がありましたが、私は強力な立場にある米軍の装備、あるいは運用思想、これを中心にインターオぺラビリティーが進められて、日本がそれに従属あるいは同化される危険はないのかという点をお尋ねいたしたい。
○政府委員(西廣整輝君) 装備、今のハードアイテムのお話でございますが、について言えば、先ほど申し上げたように、仮に共通の装備、同じ装備を使っておるということになりますと、整備なり補給面であるいは各種の部品等の互換性、そういった点で有利な点があることは当然であろうと思います。と同時に、例えば陸上装備等について言えば、やはり日本の地理的条件その他独自性というものがございます。自衛隊のように国土防衛というものを主体に考えておるところでありますと、やはり日本の防衛に最も適した装備ということになるとおのずからそれなりの特色のあるものも必要であるということで、必ずしも同じものであればいいということではありませんので、その辺が今後いわゆる装備品等、ハードについてのインターオペラビリティーを考える際の重要な指標であろうかというように考えております。
○小野明君 米軍に従属されていくインターオペラビリティーではないのかという懸念がございます。 そこで、長官、どうも私はこのFSXの問題を見ておりますと、インターオペラビリティーという名のもとに、アメリカからの購入あるいは共同研究についてアメリカからの圧力が非常に強い、我が国が押し切られるのではないかという感じがするわけです。このインターオペラビリティーの研究もやはり日本がアメリカに従属、同化されるという懸念があるんですが、長官いかがでしょうか。
○国務大臣(栗原祐幸君) FSXについてワインバーガー長官と私が話したときに、ワインバーガー長官の方から、米機を基本としてそれに日本の技術を交えてひとつ研究してみてくれないかという話があったんです。それはわかりましたと、研究しましょうと言ったんです。ただ、そのときに私が同時に言ったことはどういうことかというと、私はアメリカの航空機を買い入れるということに興味はございませんと。それと同時に、何でもかんでも日本で自主開発をしなきゃならぬ、そういうことに固執しているものでもないと。問題は、アメリカの技術と日本の技術、これをどううまく融合し調整していくか、そしてそれぞれの国の利益のために使うかと。これは単にFSXだけの問題じゃなくて、これからの日本のハイテクあるいはアメリカのハイテクということを考えてみた場合に、両方の技術をどう調和するか、これは従属でも何でもない、そういうどう調整していくかということがこれからの大きな課題じゃないかという話をしているんです。ワインバーガー長官も、それはそのとおりですねと、こう言っているわけです。この私の考え方には今もって変わりはございません。
○小野明君 次にガイドラインの第一項及び第二項関連の研究の中で、共同作戦計画あるいはインターオペラビリティー研究以外に七点あるんですが、一つは作戦上必要な共通の実施要領、二番目に調整機関のあり方、三番目に作戦準備の段階区分と共通の基準、第四点として作戦運用上の手続、五番目に指揮及び連絡の実施に必要な通信電子活動に関し相互に必要な事項、六番目に情報交換に関する事項、七番目に補給、輸送、整備、施設等の後方支援に関する事項、こういった七項目の具体的な研究状況、この内容についていかが相なっておるか説明をしてほしい。
○政府委員(西廣整輝君) また個々にお尋ねがあればあれでございますが、正直申し上げて、現在のところ、この先生今お挙げになりました各項目、これらにつきましては逐次研究をするということになっておりますが、実態的には研究が余り進んでおらない、具体的成果について現在申し上げられるような状況が全くないということであります。
○小野明君 そうすると、具体的な研究のこの七項目については結果はまだ出ていないということでございますか。
○政府委員(西廣整輝君) 共同作戦計画については、先般来お話が出ておりますように、一つの研究が一応終わったと。それから、インターオペラビリティーの中の、先ほど申し上げたように、連絡通信等については、具体的に今協議が始まっておるという状況でございますが、それ以外の問題、例えば調整機関のあり方であるとか、共通の実施要領その他もろもろの件については、ほとんどまだ検討が始まっていないという状況であります。
○小野明君 時間もだんだん迫ってまいっておりますので、FSXの問題について長官にお尋ねしたいんですが、現在FSXの問題をめぐりまして日米間で大きな問題になっておるようですね。大臣もこの前選挙区に帰られて、その考え方を講演会で皆さんに説明されたというのを記事で拝見いたしました。 ところで、去る十一日に三菱重工など民間企業合同でつくっております研究会、これが米軍機を基本とした日米共同開発に関する報告書をまとめた、こう言われております。これによりますと、FA18の改造型が比較的高く評価されておるものの、生産コストが防衛庁が上限としておる二千億円を超える、二千六百億円ぐらいだと、このように報道されておるわけですね。十月初旬の防衛庁長官の訪米で最終調整に入るとも言われておるんですが、現状はどうなっておるんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) このFSXの問題につきましては、庁内に検討のための委員会を設けまして、全庁的な検討をもう過去数カ月続けておるところであります。一方、今先生のお話のように、かねて民間レベルでもそういったグループができまして、これは航空機生産にかかわる問題で、我々の知識の乏しい点もありますので、民間同士での話し合いも逐次行うということで、先般そういったチームが米国に出かけて調査をしたわけであります。 そして、仮に米機をベースにして日本の技術を盛り込むとすればどういうことができるだろうかということを民間同士で協議をして、そして、それぞれについて、これはF15、16、18という三機種について、仮にやるとすればこういうケースがあるのではないかというそれぞれのケース、やり方についての想定といいますか、ある程度の取り決めというかお互いの申し合わせをして、それでやるとすればこのくらいお金がかかる、こういった程度の性能が出るのではないかといったようなことをやってまいり、実は先週の末にその概略の報告があり、かつ細部の説明が現在先ほど申した我が方の検討委員会のメンバーに対して行われておるところであります。したがって、まだその内容等十分私は把握はいたしておりませんが、いずれにしましても、それは一つの民間同士で話し合ったケースについての検討内容でございますから、我々としてはそれを十分参考にはいたしますけれ ども、それ自体が我々がこれから決めようとしている方法そのものではないということは、まず御理解いただきたいと思います。 今後の段取りといたしましては、先ほど来申し上げております検討委員会で、そういった民間から提出された資料等も参考にしながら、我が方の運用上どういうものがいいか、さらには航空技術の継承といったことも含めてどういう選択が最もいいものであるかという検討をして、最終的には安全保障会議等にもお諮りをして決めたいというように考えております。その間、防衛庁長官が現在アメリカから招請を受けておりますので、お出かけになる時期があろうかと思いますが、これは決してアメリカに相談をしてアメリカの意見を聞きながら決める、オーケーをとって決めるというものではありませんで、日本が自主的に決めるべきものだと私どもは考えております。ただ、当然のことながら、アメリカの考えというものも十分打診をしてみて、そういったことを踏まえて我々が決定すべきものであるというように考えておりますので、直ちにアメリカに行ってそこで向こうとネゴをして決めるとか、そういう性格のものではないということを御理解いただきたいと思います。
○小野明君 FSXにつきましては、防衛庁としては当初は自主開発をしたい、こういう立場のように伺っておったわけです。そこで、自主開発をする場合に、軍事面あるいは技術面、財政面、経済面から見てそのメリットにはどういったものがあるんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 私からすべてをお答え申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、防衛庁として自主開発といいますか、自分だけで開発をするという考えを現在まで決めたことはございません。もちろん、自主開発するならばどういうことになるかということについては、我々検討の対象として十分合これを俎上にのせておるわけであります。 まず、自主開発といいますか、日本が中心になって新しいものをつくるという点で最もいい点といいますれば、それは日本側独自の要求、それに合わせたものをつくることができる。つまり、自分がつくりたいものにできるだけ近いもの、余分なものがない、あるいは足りないものがない、そういったものができるという利点があろうかと思います。さらに言えば、航空機については逐年航空技術というものについて、それぞれの部分部分の研究というものが進んできておるわけであります。そういったものを何十年に一度か集大成してみる、そして完成機をつくってみるということは、航空技術の進展なり継承という点では非常な大きな意味があるというように考えております。
○小野明君 長官、FSXについてはアメリカが強力に米国製の既存機の輸入あるいはアメリカとの共同開発について、プレッシャーをかけてきておると伝えられております。アメリカの要求をのんだ場合、軍事面、技術面、財政、経済面——これは一兆円の買い物と言われております、こういった三つの側面にどのような影響がございましょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 直接的なお答えになるかどうかわかりませんが、まず米側の航空機というものを母体に考える、あるいはそれをそのまま利用するということになれば、まず考えられますのは、通常は航空機の生産というのはやはり何機つくるかということによって値段が違ってまいります。大量生産しているものはそれなりに安さがある。あるいは、現にあるものを改良するということになりますと、新規に開発するものに比べればはるかに不確定要素が少ないということがあろうかと思います。それと同時に、先ほど来インターオペラビリティーの話が出ておりますが、米側と比較的近いものを使っておれば、例えば整備なり補給について互換性があるという有利さもございますし、さらに言えば、先ほど情勢の重大な変化に応じての対応と申し上げましたが、こちらがパイロットさえ持っておれば、アメリカから航空機を購入するなりあるいは供与を受ければ、直ちにある程度のエクスパンドといいますか、増勢は可能であるといったような利点は当然あろうかと思います。そういったことももろもろ含めまして、国産でいくべきかあるいは外国機を導入すべきか、両方のいい点をとり合っていわば混血みたいなものを考えるか、いろんな考え方が出ておるわけでございます。
○小野明君 FSX問題で長官が十月初旬に訪米されて交渉されるというお話を承っておりますが、長官の訪米でこのFSXの問題は決着をつけられるおつもりであるかどうか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私はFSXの決着のために別に行くわけじゃない。向こうから再三おいでいただきたいという要請もございますし、まあ私も参ろうということにしたわけでございますが、今時期が時期ですから、ASWの問題、対潜能力の問題、作戦の問題、それとFSXの問題は当然出てくると思うわけです。それにつきましては、私どもの考えでいるところを率直に向こうに話をしたいと思っています。それで、少なくともいわゆる私の三原則では米国防総省の理解を得ることということになっていますから、そこで理解が得られるかどうかというのがポイントになると思いますね。そして、これは了解を求めるとか承諾をしてもらうという問題じゃなく、我々はそういう考え方ですよということを向こうに話をして、向こうの感触というのが大体わかると思いますわな。それから後、それに応じて日本国内でどうするかという問題になろうかと思います。これが私の今の率直な感想であります。
○小野明君 私は、今度の訪米で長官がこのFSXの問題については、そういった問題はもちろん想定されておると思いますが、決着をつけるお考えであるかどうか、ひとつお聞かせいただきたいんです。
○国務大臣(栗原祐幸君) 決着という言葉の意味するものが、向こうへ行ってこれでやりますぞと、向こうが何と言おうともやりますぞと言って帰ってくるのも一つの決着でしょうが、そういう乱暴なことはすべきでないと思いますよ、それは。ですから、よく話をするということですな。
○小野明君 まだ質問はございますが、約束の時間でございますので、この辺で私の質問は一応終わりたいと思います。
○委員長(名尾良孝君) 午前の質疑はこの程度とし、暫時休憩いたします。 午後零時二分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 —————・—————