大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/09/19
会議録
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き、内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 財形関係の一般についてこれを非課税を外すという件で昨夜以来御質問を申し上げてきたところでありますが、大臣の御答弁もいただいておりますが、引き続いてもう一点伺っておきたいと思います。 昨日来申し上げてきたような経過の中で、またそれぞれの委員からもこの点についてはかなり強調されてまいったわけでありますが、いずれにいたしましても、今日までこの制度ができて以来、労働者にとりましては大変な実は励みになりまして、これが天引きの制度によって行われてきたわけでありまして、言うなれば社会情勢の変化、経済情勢の変化、時にはこういう貯蓄よりも何か不動産を買ったり、いろいろの借金をしても対策をとる方が有利であったその時代であっても、やはり私はまじめにこれは貯蓄されてきた金だと思うんです。それほど実は労働者というものは真剣に貯蓄に努力してまいった、そういう経過があるわけであります。だからこそ各委員がそれぞれの立場から、これは外すべきではない、こう言ってきていると思うんです。 今こういう努力を重ねてきた者に対して二〇%の課税をするということになるというと、まさにこれからの勤労者にとって大きな精神的な打撃を受けることになるのではないか、言うなれば勤労意欲に大きな影響をもたらすのではないか。今までは財形貯蓄をやりなさいやりなさいと、さんざん政府も会社も組合も一緒になってあおってきたわけです、言葉は悪いけれども、奨励をしたわけであります。ところが、これに対して、営々として貯蓄してきたそういう労働者やあるいは多くの勤労者の皆さん方が今日になるとがらりと変わって二〇%の課税を受ける、こういうことになるわけでありまして、これは私はこれからの政策上から見ていってもいかがかと思うのであります。 こういう意味で、まずひとつ大蔵大臣の引き続いての御答弁をいただき、総理の御見解もちょうだいしたいと思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点については昨日も申し上げたところでございますが、赤桐委員のような御主張も確かにあり得る。それが間違いであるというようなことを申し上げるつもりはございません。ただ、政府の立場といたしましては、いわゆる財形貯蓄も一般のマル優あるいは郵便貯金等々と異ならない、そういう意味での従来非課税の扱いを受けていた貯蓄である。政府といたしまして、そのような非課税の貯蓄というものを一般的には廃止をいたしたい、そして社会的に特定の配慮を必要とする人々にのみ新しいものとしておきたいという立場から申しますならば、財形貯蓄自身も従来非課税の扱いを受けておった、したがってこのたびは課税の対象といたすべき貯蓄であろう、一般論としては政府としてまずそう考えておるわけでございます。 ただ、その場合に、サラリーマンに対しては、老後の生活の備え、それは例えば年金でございますとか、あるいは住宅について特に今日このような重点施策の対象でもあるというそのような政策目的から、この二つの問題に限り非課税とするという一つの政策的な意図をそういう形で実現をしよう、こういうふうに考えたわけでございます。 なお、一言だけつけ加えますならば、仮にサラリーマンにつきましていわゆる一般の財形貯蓄を非課税といたしました場合には、サラリーマン以外の事業所得者についてそのような非課税貯蓄というものがないということになります。それも特に給与所得者を優遇するというのであればともかくでございますが、そのような不均衡の問題も生じるであろうということをつけ加えさせていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の税制改正につきましては公平、公正、簡素、選択、民間活力、そういうような原則で税制の改正を心がけたつもりで、特に公平、公正、簡素という点は大事な点であると認識した次第です。 そういう意味から、マル優の問題につきましてもいろいろ点検をいたしまして、公平、公正、簡素という面を見ますというと、これは特定の所得の少ないお方、老人とかあるいは母子家庭とかあるいは身体障害者とかそういう方々にはこれは残すべきであるが、そのほかの方々はこの際はもう御辞退願う、そういう形でこの制度の改革を心がけたわけであります。 私はこの基本的態度は正しいと思うんですが、しかし与野党の折衝の結果、どうしてもサラリーマンの問題をもう少し深刻に考えよという野党の御主張もございまして、その野党の御主張に耳を傾けましてこのような合意をやったということが実際で、私はそのような合意は尊重さるべきであり、また意味もあることであると考えております。
○赤桐操君 この問題については各委員からも相当出ておりますし、私どもが主張いたしていることについても総理も大蔵大臣も認識をしておられることは間違いないと思いますが、私は三党の要求の中の一つとしてこれを申し上げているわけでありまして、本問題についてはもう一つ御検討をいただきたい、このことをひとつ申し添えておきたいと思います。 それから次に、六十五歳の年齢から利子の非課税措置の対象となる範囲の問題でありますが、これを六十歳に拡大をしてもらいたいということを私どもは要求いたしております。六十歳以上になるとこれはどちらでも経験を持っておられると思いますが、また多くの私どもへも陳情、要請等が来ておりますが、有病率、病気になる率でありますが、これは俄然比率が高まるわけでございます。そういう意味合いから、厚生省が明らかにしておりまする表からいたしましても六十歳以上になると俄然これはもう有病率が高くなってきております。要するに、病気になる率が高い。実はその裏は大変な金がかかる、保険で賄い得ない金も相当かかっている、こういう実は状況になるわけでございます。そういう意味合いで六十五歳を六十歳に拡大したらどうだという私は一つの考え方を申し上げるわけでございます。 また、六十歳から六十五歳までの間というのは、同僚議員からもいろいろそれぞれの党の委員の皆さん方からも話がありましたけれども、これはいわば谷間になっておるわけでありまして、あるいはまた六十歳定年というのは現在約五五・六%程度まできておりますが、なお六十歳以前で定年になる、そういう職場もたくさんございます。約半数近くあります。そういうところでやめた人たちはその後いろいろ第二の職場で収入を得ようといたしましてもこれはなかなか思うようにいかない。特に現状の中では恐らく私はほとんど就職することはできないと思うんですね。したがって、わずかに給与されたところの退職金を頼りにしながらそれを将来のよりどころとして生活をしていかなきゃならない、こういう状況にあるわけでありまして、有病率の問題等、さらにまた今実際の谷間に置かれている状況、こうしたものからいたしまするならば、これらの働き続けてきた人たちに対して課税をするということについては余りにも酷ではないか、こういう考え方に立つのであります。 したがって、今回それぞれの党の要求の中にもこれは六十歳に拡大すべきだ、こう言っているわけでありますが、この点について大臣の重ねての御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる非課税制度を廃止いたします場合、社会的に特別な配慮を必要とする人々の中で老人という範囲をどこからどの範囲で考えるかということは、これは一つの私は判断の問題であろうと考えております。 政府としましては、従来税法上での老年者控除等の年齢あるいは年金等々福祉に関する政府の万般の施策、また医療、老人医療に関する施策等々が六十五歳、あるいは七十歳の場合もございますが、六十五歳というものを老人という範疇の一番低い限界だとしておりますこと、それ自身には相当の理由があるわけでございますが、そういう政策との整合性も考えまして六十五歳ということで線を引くことが適当ではないかと考えたわけでございます。 また、現実の社会的な現象からいたしましても、国民の平均寿命は伸びておりますし、事実六十歳で一つの職を退かれましてもお互いが非常に元気でございますので、さらに何かの社会的な貢献をしたいと考えるのは当然のことであるし、また社会政策としても家庭で引きこもられるよりは、そういう機会をなるべくつくるということの方が本来でございますので、現実には全部そのような希望は満たされておりませんけれども、六十歳を過ぎてもなお相当ないわゆる稼得能力がある、またそういうふうにしていかなければならないというふうにも考えられます。したがいまして、六十歳ということよりはやはり六十五歳がいろんな意味で適当なのではないかという判断をいたしました。 なお、それに関連いたしまして私どもが一つ考慮いたしました点は、現在六十五歳以上の人口は一千二百七十九万人、これは六十一年十月一日現在でございますが、六十から六十四の間の人口が五百七十四万人ございます。したがいまして、この六十歳に引き下げましたときにはかなり広い範囲の新しい非課税の特典を受ける人がかなり大幅にふえるということでございまして、そこから来ます税収のいわば減収というものも相当大きな金額でございます。この点も事実問題としては一つは考慮の要素になったということも申し上げることができると思います。
○赤桐操君 その点については既に私どもの方の志苫委員からも具体的に提案をしておると思うんです。六十歳から六十五歳までの谷間については段階制にしていってもいいじゃないかということを提起していると思うんです。それもだめだとおっしゃる。六十で定年になって職場をやめていく者はこの世の中で大体半分ですよ。あとの半分は六十歳以前にみんなやめていくんですよ。これが六十から段階制でもいいからとにかくこれは優遇措置が講ぜられるんだということになるかならないかということは、私は大変大きな影響があると思うんですよ。職場をやめちゃうんです。現役でいる間はそんなことは考えないと思う。現実に現役を去ったとなったらこんな寂しいものはないと思うんです。だから、具体的に段階的に経過措置をしていってもいいじゃないのか、予算の関係があると言うなら、やりようはいろいろあるじゃないか、こういうように提起も具体的にしているわけなんですが、これもいけないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 減収の点は、事実上の問題として私ども考えました一つの要素でございましたが、基本的には、やはり老人というものを何歳から始まるかという政府の全般的な施策、あるいは今後あるべき施策との関連におきましてやはり六十ではいかにも早いのではないか。また、事実六十過ぎた人々も十分今日働く能力も意思も持っておられますから、そういうふうにこれからの政府の政策としても考えていった方がいいのではないか。その点が中心の考慮の点であったわけでございます。
○赤桐操君 先へ進みたいと思います。 私は、この減税の問題でもうほとんど尽くされてきておりますので、前国会で政府が提示された考え方と、今国会で処置をされてきている経過との関連の中で絞って御質問をいたしたいと思います。 税制改革については、前国会でもって当初案として出されてきております。これは第一段階では、六十二年度にまず第一段階を実施する、この規模は一兆百八十億円。第二段階におきましては、六十三年度でもう一遍これを実施する。この二段階を経て約二兆円に及ぶところの減税を行うということがこの当初案であったと思うんですね。今回の処置を見てまいりまするというと、これについては一兆五千四百億ということになる。しかし、率直に申し上げまして、税率構造においても、さらに六十二年度では当初案の方では十三段階、そして六十三年度で六段階にこれを直していくと、こういうように考え方が明らかにされたと思うんであります。 要するに、以上を要約すれば、第一点としては規模において二兆円、六十二年度、六十三年度、そして税率構造において六十二年度、六十三年度を経て六段階に持っていこう、こういう構想であったと思うんですね。こういうように、実は二つの段階を経てそれぞれ行うということが明らかにされておった。今回は十二段階で税率構造は一応とどまっております。さらにまた、総金額におきまして約一兆五千億であります。そうすると、この差も出てまいりまするけれども、当初案に対して今年度実施の分については、まだ当初案から見るならば隔たりがあるわけでありますが、六十三年度においては今回はどのような御処置をなさいますか、この点ひとつしかと承っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの点は、御指摘のとおり、去る通常国会におきまして政府が抜本的な税制改正案を御提案いたしました中で、所得税につきましてはいわゆる中堅所得層の重税感を除くという目的から、社会に出ましてから退職するまでのそのライフステージの税率の刻みを、できれば一つあるいは二つということにとどめたい、非常に幅の広い最初の課税最低限の領域を広くとろうと考えたわけでございます。 これは私どもといたしまして、シャウプ以後の所得税課税の改正のやはり今でもこれが中心の課題であろうと考えておることには違いございません。ただ、全般的な税制改革案が前国会で廃案となりました経緯にかんがみまして、このたびの国会におきましては、当面必要とする、仮に前倒しになりましてもやむを得ない必要とする所得減税について御提案をいたしております。したがいまして、今回御提案をいたしましたものは、私どもの頭の中では、先ほど赤桐委員の言われましたような姿に将来移行をする中間の暫定的な段階というふうに頭の中で考えておりますことはそのとおりでございますが、これをさらに当初考えましたような最終段階に持っていきますためには、新たに相当の財源を必要とするわけでございます。 この点につきまして、他の院のことで申し上げにくうございますが、衆議院におきまして設けられております税制改革協議会においては、いわゆる座長報告において三点の合意がともかくあった。一つは、今年度は前倒しの所得税減税をすることが必要である。もう一つは、恒久的な税制改革には恒久財源を必要とする。こういう合意がともかくあったということを座長報告は述べております。したがいまして、我々の考えております第二段階ということは恒久的な税制改革ということであるわけでございますが、そのための恒久財源をどう考えるかという宿題を税制改革協議会が持っておられるわけです。私どももそういう問題意識を持っておるわけでございますが、税制改革協議会は十二回会議をされまして、なお今後討議を続けていかれる御意向と伺っておりますので、これからどのような恒久財源について税制改革協議会が検討されるかということは、私どもとしても当然注意をして拝見をしていかなければならない、見守らなければならない点でございます。 私ども政府自身も、これにつきましては、年末も迫ってまいりますから来年をどうするかということについて当然にいろいろ考えてはおりますものの、ただいまといたしましては、税制改革協議会の御検討の推移も見守らなければならない。願わしいことは、前国会、通常国会に御提案をいたしましたような恒久的な所得減税、新しい税制の体系ができること、そしてそれを可能にならしめるような恒久財源を国会としてもお認めをいただくこと、そういうことが一番望ましい姿であるというふうに考えております。
○赤桐操君 財源の問題その他でもっていろいろ述べておられまするけれども、当然減税する場合においては財源も考えなきゃならぬことはわかりますが、時間がありませんから確認を一つしておきたいと思いますが、今年度、六十二年度に行われまする減税の措置はこれは過渡的な措置であって、今後に本格的な仕上げをする、こういうように理解をしてよろしいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府としてはそれが望ましいと考えております。申し上げましたように、そのためには恒久財源をどうするかという問題があるということでございます。
○赤桐操君 重ねて総理に伺いますが、来年度以降においてこの不十分な減税対策について措置をする、こういう意欲で取り組むというように理解してよろしいかどうか、総理の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣が申し述べたとおりでございますが、政府は昨年十二月の予算編成の際に方針を決めまして、かつまた通常国会にもその方針を実現する一環として法案を提出いたしました。その際にも申し述べましたように、さらに大きな所得税、法人税等の減税を考えておったわけでございます。しかし、財源その他いろんな関係がありまして今回はこのような提案にとどまったわけでございますが、あきらめたわけではないので、衆議院議長のあのあっせん案の趣旨にのっとりまして思い切った税制改革が必要である、また直間比率の見直しの問題も急務を要する、そういうような考えをあくまで我々は尊重いたしまして、その線に沿った大きな減税を、さらなる減税を考え入れた諸般の税制改革を推進する、そういう考えには変わりはございません。 そのほか、きのうも申し上げましたが、ことしの老人の日等を見ますというと、六十五歳以上が約千三百万にもなりました。この傾向はさらに強まってくるという点を考えますと、国民の皆さんがみんな、あのときテレビを見ますと、老後のことを心配していらっしゃる。もう三十代から老後のことを心配していらっしゃる。そういうことを考えてみますというと、これから膨れ上がっていく老人の皆さん方にどうして年金や医療を保障するかという恒久的体系を今もはや考えなければならない。その方法をどうするか、そういう問題も やっぱり大きな大事な問題でありまして、税制の改革に際しましては、そういうもうすぐ出てくる大きな問題に備えた考えもあわせて研究していかなければならぬ、そう思っておる次第です。
○赤桐操君 最後に、利子所得につきまして総合課税から外される、そういう今回の問題が発生してきているわけでありますが、このことは大変大きな課題を将来に残していくだろうと私は思うのであります。これはある意味におきましては、今までの総合課税主義というものは、シャウプ税制以来の大きな柱であったと思いますが、これを利子所得については放棄をしていく、こういう結果を招いているのではないかと思うんです。 そうすると、すなわち利子所得というのは所得全体から除かれていくことになりまするから、その中で例えば二〇%の税がかかるようになりまするというと、それに満たない層について、あるいはまた低い所得の層についてはこれは今までであればそれは還元されることになっておりました、総合課税方式でございましたから。ところが、これからはそうではないことになる。これはある意味において大変な基本的な権利の問題にもなってくると思うのでありますが、この点についていかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点につきまして、このたびの改正に当たりまして考えましたことは、利子所得というのはやはり非常に数量的には大きなものでございますし、またその商品も最近は特に多様になっております。また、商品間で元本の移動が極めて容易であり、かつ激しいものでございます。そのようなものに対して課税をいたしますときに、またこの課税に関係いたします金融機関、郵便局あるいは国、地方の団体等々、納税者はもとよりでございますが、のいわゆる簡便、簡素というようなことも考えますと、結局一つの税率で源泉所得で課税をすることが現実には一番望ましい方法ではないか。税制が中立でなければならないという立場からいいますと、それが一番望ましい姿ではないかということでこのたびのような決定をいたしたわけでございます。
○赤桐操君 結局、これは今まで還元されたものが還元されなくなるんですよ。その権利が失われることになるんです。これは決して公平じゃないと思うんですね。もっと不公平の拡大になるんじゃないですか。総理がいろいろと強調されてまいっておりまする公平、公正の原則に反するんじゃないですか、これは。私は、総合課税主義を放棄してこのような措置をとるということは、所得の少ない分野においては大変な打撃を受けることになると思うんです。この点、公平を欠くと思いますが、総理の御見解はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その前に一言補足をさしていただきます。 問題は、したがいまして一本の税率がどのぐらいであれば赤桐委員の言われるような従来還付の対象になったではないかという問題を解決できるかということでございますが、普通に考えまして利子所得はそれ以外の所得を伴うものである、普通の場合でございますが。利子だけという人もおりますけれども、それは恐らくかなり所得の多い階級と考えてよろしいかと思いますが、勤労所得等々の所得の上のいわば上積みに利子所得があると考えて相当と思いますので、それで二〇%というのがほぼ平均的な税率ではないかと考えたわけでございます。
○赤桐操君 私はそういうふうに思って言っているわけじゃないんですよ。退職をして第二の職場へ入っている人もこれを受けるんですよ。これは大変な私は収入の大幅な減ですよ、年とってきて。その人もこの措置を受けることになるんですよ。これは大変大きな問題じゃないか、社会問題じゃないのか、こう言っているんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、もとよりすべての人が二〇%の源泉課税を受けるのではありませんで、そのような社会的な特段の配慮を必要とする人々に対しては非課税の制度を設けておるということで救済を図っておるわけでございます。
○多田省吾君 私は、法案審議に先立ちまして、若干INF問題について御質問いたします。 昨日、ワシントンで開かれておりました米ソ外相会談で、中距離核戦力、いわゆるINFの全地球的撤廃が原則的に合意されまして、この秋じゅうには米ソ首脳会談が開かれるという見通しも明らかにされました。これは歓迎できることでありますが、今後米ソ両国が信頼関係を一層拡大させ、世界的なデタントに真剣に取り組むことを望みたいし、また戦略核兵器などすべての核兵器廃絶に向かって拡大されることが望ましいわけでございますが、総理の御感想と核軍縮に対する御決意をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 詳細な情報はまだ入っておりませんので、テレビあるいはワシントンからの電話でいろいろ情報を得た範囲内におきまして、ともかく米ソにおいて基本的合意がINF廃止についてできたということは大きな成果であり前進でありまして、日本政府としてはこれを歓迎し、かつアメリカ及びソ連の首脳部の御努力に対して敬意を払い、称賛の言葉を送りたいと思っております。 これからいよいよ詰めの作業が行われ、あるいはさらにそのほかの分野、例えばICBMにいたしましてもあるいは核実験の禁止の問題にいたしましても、そういう問題に対する交渉が開始されるわけでございますが、この良好な雰囲気を持続されまして着実に諸般の懸案が前進していくように願ってやみませんし、私も側面からそれらの前進について協力していきたいと思っております。 今回のINFにつきましては、特にアジアの犠牲においてこれが処理されるということがなかった。世界的規模において全部廃止する、そういうことが決まりまして、日本が年来唱えてきたアジア部に百ソ連が残すという意図は完全に消滅いたしました。このことは、我々の外交努力が実ったものであると考えておりますし、そのようなところまで持っていってくださった両首脳の努力に対して評価をしたいと考えておる次第でございます。
○多田省吾君 総理は本日渡米され、また国連演説も予定されております。 国連演説の大綱と、それからその際核軍縮に対してどのような決意を述べられるのかお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今、我々地球に住んでいる国民が直面している大きな問題があります。それは一つは核兵器廃絶の問題でございます。それからもう一つは世界経済の発展、上昇、特に発展途上国の経済的発展あるいは債務国の問題。それから三つ目は地球環境の保全、そういう大事な問題が今や焦眉の急にもなってきていると思うんです。 それらの問題というものを解決していく基本的な原理というものは何であるか。これは、私は前の総会でも申し上げましたが、人類共存、人類共生の哲学と申しますか、それでまた国連自体ができておる。そこに我々は集まっておるのであって、それを再確認しつつ今のような諸問題について各国に協力して当たっていこう。特にまた最近は、ペルシャ湾の問題につきまして国連において安全保障理事会の満場一致の決議が行われまして、この問題について事務総長は非常な労苦をしておられます。これらの問題につきましても、この満場一致の決議が実効を奏して、そしていわゆる戦闘の停止から撤退、捕虜の交換、和平、そういうような方向に着実に進む過程をできるだけ速やかにつくるように努力すべきであり、我々も安保理事会の非常任理事国として全力を尽くすべきものでございます。あるいはアフガニスタンの問題そのほかの地域問題についても、長年にわたって苦しんでおる問題で、我々としては全世界の協力で解決すべき問題であるとも考えております。 そういうような諸般の問題について、私の考え、日本側の考えというものを率直に表明していきたいと思う次第であります。
○多田省吾君 この問題の終わりに、この米ソ間の関係改善というものが今後我が国とソ連、日ソ間の関係にも好ましい進展を見ると思われるのかどうか。また、日ソ定期外相会談とかあるいはゴルバチョフ書記長の来日問題にも明るい見通しができたのではないかと思われますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 米ソ関係の信頼関係が一歩進んだからこのような措置ができたと思いますが、このような良好な雰囲気が出てきたということは、世界じゅうにそういうような影響を持ってくるので、日ソ関係においてもいい影響を持ってくると私は考えております。 もとより我が国は、領土問題以下いろんな問題を抱えておりますけれども、しかし良好ないい環境と雰囲気をお互いがつくっていくということはやはり努力すべきことでございまして、このような米ソ間の良好な雰囲気というものを日ソ間におきましてもつくるように私たちは考えていきたいと思っております。もとより、ソ連側の出方というものがどういうものであるかということを見きわめつつ我々は行うべきものである、そう考えております。
○多田省吾君 法案審議に入りますが、私は一昨日も本委員会で二時間近く大蔵大臣、主税局長等に御質問をいたしました。本日は主に総理大臣よりお答えいただきたいと思いまして質問いたします。 私どもはマル優廃止には強く反対いたします。本年五月に行われました衆議院の与野党国対委員長会談では、売上税関連六法案は次の臨時国会には出さないと約束されたと聞いております。また、衆議院における税制改革協議会の合意もなしにこのたび所得税減税法案とセットにしてこのマル優廃止法案が提出されたわけでございますが、まことに私たちは怒りに燃えております。この結果、マル優廃止でほぼ七五%の方々が利子に二〇%の一律分離課税を課せられることになりまして、また反面、今まで高資産者の人たち、限度を使い切った人の利子に三五%の分離課税が課せられていたのが二〇%の分離課税に下げられたということで、まさにこれは金持ち優遇税制である、このように言わざるを得ません。 また、私たちは所得税減税におきましても、六十一年度決算剰余金に加えてNTT株売却益等によりまして二兆円規模の減税を六十二年度に行うよう主張したのでありますけれども、今回は、上積みされたとはいいましても一兆五千四百億円にとどまっております。その内容を見ますと、当初案では六十二年度から最低税率が一〇・五%から一〇%になるということで期待していたわけでございますが、今回は減税規模が縮まったということで、一〇%に引き下げるのが取りやめになりました。したがって、配偶者特別控除が新設されましたけれども、それによって恩恵を受けない独身者とかあるいは共働きの夫婦の方々は、マル優廃止によってむしろ増税になるという結果も出ております。特に所得五十万円以下の方々は、一〇・五%の最低税率はそのままですから、どうしても増税になるわけでございます。この点は私は次の所得税減税の機会にぜひ考えていただきたい、このように思うわけでございます。 それから、今度衆議院の修正によりまして附則第五十一条には「利子所得に対する所得税の課税の在り方については、総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとする。」と、いわゆる五年見直しが加えられたわけでございます。私は、法律事項でございますし、せっかく衆議院で修正されたわけでございますから、今度総理におかれても勇断を持って大蔵省当局に、今からすぐ準備を始めて、五年後におきましては総合課税を含む見直しをきちっとできるように勉強もし、体制も整えやっていくべきだと、このように指示すべきだと思いますが、総理いかがでございましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の税改正の御提案につきましては、七月二十四日の税制協議会の報告というのが衆議院議長に出されておりますが、その中で「減税についての議論の要約」という中に「次の諸点については、意見の一致を見た。」と、「税制の抜本改革の一環として、」、「抜本改革の一環として、」という言葉がまずあるんです。そして「中堅サラリーマンの負担軽減に配意しつつ減税を行う。」と、次に「右の減税の実施に当たっては、恒久財源が確保されることが必要である。」、「昭和六十二年度において、減税を先行実施する。その際、「戻し税」のような、一時的な減税方式」はとらないと、こういう点においては与野党一致していたという報告があるわけでございまして、減税を行うけれども、恒久財源を必要とするという認識においても一致しておる。政府はこういうような論議の経過等もかんがみましてこの減税を行いましたが、その恒久財源として今度のマル優問題というものをやらしていただいておる、そういう考えに立っておるものなのでございます。 それから、税の問題というものはやはり安定性を要すると思うのであります。特に、このような貯蓄に関する税というようなものは貯蓄する方の心理状況、それから税務に携わる方の繁閑、そういうようないろいろな面から考えてみまして、ある程度の継続性というものは持つ必要があると、そういう意味においてこの原案のようにしてあるわけでございまして、その点は我々の考え方をぜひ御理解をいただきたいと思う次第であります。
○多田省吾君 総理の今の御答弁で税制改革協議会の中間報告という話が出ましたけれども、その中にも決してマル優制度廃止のことを言っているわけではありません。むしろ野党はこぞって、恒久財源といたしましてはキャピタルゲイン課税あるいは総合課税、その他十項目以上にわたる不公平税制の是正、これをもって恒久財源とすべきであると、このように主張し、マル優廃止によって恒久財源は得られるものではない。特に、この五、六年はほとんど恒久財源になり得ないということを野党はこぞって主張していたわけでございます。そして、やはりこの税制改革協議会の合意もなしにマル優廃止法案をセットにして盛り込んだということは、野党のこぞって憤激しているところでございまして、大変残念でございます。 先ほど質問いたしましたが、もう一度ですね、この附則五十一条の五年後見直しということについて積極的に大蔵省当局に指示して、今から準備をすべきであるとこのように思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点につきましては、多田委員もよく御承知のとおり、現在非課税になっております非課税貯蓄残高の中で非常に大きな割合を占めておりますのはいわゆる定額貯金でございます。定額貯金というのは預け入れ期間が十年でございます。それから、そのほかに期日指定定期がございますが、これは三割弱が預け入れ期間三年の期日定期でございまして、両方合わせますと七割弱になります。したがいまして、対象になります金融商品は三年とか十年とかいう非常に長い期間を持っておる商品でございますので、今回の制度が何年間行われるものであるかということは、そういう商品の選択に非常に直接に影響がございまして、その期間が不安定でございますと商品間のシフトが起こる、金融市場へいろいろ影響があるという点がございまして、恐らくその点を御配意の上で衆議院におかれまして五年後に云々ということをお決めになったのではないかと考えております。 もとより、この修正点が国会の御意思になりましたときには、政府といたしましてこれを誠実に考えてまいらなければならないと存じておりますが、五年ということをお考えになられましたのはそのような御配慮ではないかと思います。
○多田省吾君 私どもはまず、この衆議院の修正にある五年見直しというものを積極的に考えて、やはりこれから準備を進め、勉強していただきたい。そして、衆議院の修正論議の初めには、私どもは三年以内に見直しということを強く要望したわけでございます。五年になったということは大変残念でございますが、私はむしろやはりこの見直しは三年以内を目途としてやるべきだ、このように主張するわけです。 この前もこれは強く要望したわけでございますが、満足な御回答を得られないで大変残念に思っておりますけれども、私は総理大臣に対しまして、やはりこのような修正が行われた以上、まずもって五年見直しを必ず積極的にやるように指示するとともに、やはりこういった問題は国民の強い要望でもございますので、総合課税かキャピタルゲイン課税、こういった方向はやはり世界の大勢でございますし、分離課税だけに頼っている姿では不公平税制のきわみでございます。ですから、総理が公平、公正をおっしゃるのならば、やはり三年見直しぐらいを考えて、積極的に総合課税化に向かって努力し前進させるべきである、このように思いますが、総理いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 修正の趣旨に沿いましてよく検討さしてみたいと思います。
○多田省吾君 それから私は、医療費控除問題で御質問いたします。 今回、医療費控除は五万円足切りから十万円足切りというようになりまして、そのために、今まで百四十万人の方々が医療費控除のためにのみ税務署に赴いておりましたが、この足切り限度額を十万円にしたことによって三十万人減って、恐らく再来年度からは百十余万程度の申告者に減るだろうと、このように答弁もございました。この医療費控除の足切りは、来年の三月は今までどおりでありますけれども、再来年の三月から十万円に引き上げられるわけです。ですから、再来年の三月になったときに三十万以上の方々がびっくりしまして、いつの間にか、今まで五万円以上の医療費があれば控除申請ができたのに、今度は八万、九万の医療費がかかってももう控除できなくなったとがっかりなさる方がやっぱり三十万人以上できてくるわけですよ。先ほどからの御質問もありましたように、今老人の方を初め医療費が非常に高くなりまして、大変生活で苦しんでおります。そして、せめて生活防衛のために、また節税のために税務署にあの二月十五日から三月十五日までですか、赴かれる方が百四十万人もいらっしゃるわけです。そのほかに確定申告をなさる方で医療費控除を受けられる方は百十万人別におられる、このように聞いております。 私は、一挙にこの際昭和五十年から続いた五万円足切り額を二倍の十万円まで引き上げるということは非常に無慈悲ではないか、このように思うわけでございます。ですから、その差額は百億円程度だそうでございますから、はっきり言えばこの改正によってその方々は百億円増税される姿になるわけですから、私はやはりこの際五万円で当分据え置くべきではないか、このように思うんですが、総理いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般的に、多田委員も御承知のとおり、所得を得るに際しましていろいろな経費が入り用であるということは所得税法が当然認めておりまして、それらの経費を算入いたしますためにいろいろな控除が設けられております。いわゆる人的控除というものあり、基礎控除を初めそうでございますが、そういう性格を持っておりますが、したがいまして大抵の経費というものはこの中で計算をされておる。しかしながら、平均的な額を超える経費というものが時としてございますので、それについては特段のことを考えなければならないということで設けられておりますのがこの医療費控除でございます。したがいまして、医療費控除におきましても、平均的な医療費というものまではこれは対象にしなくてよろしい、それを超えるものということでこの制度を設けておりますのは御承知のとおりでございます。 現在までの五万円というのは、昭和五十年に決めたものでございますが、当時の昭和四十八年現在での平均的な医療費支出は三万七千円でございましたので、それをやや超える点で五万円を足切りといたしたわけでございます。しかるところ、その後十年たちまして、今日の平均的な医療費が八万二千円となっておりますので、同じようにそれを少し超えました点で十万円をもって足切りとした。この点は、本来こういう特別な控除というものの持っております意味合いから、平均をやや超えるものを特に認めるという考え方、そういう考え方に基づいたものでございまして、十年間たちましたのでそれを改めさせていただきたい。確かにこの間の税額は百億円と見込まれますが、それは百億円と申しますよりは、平均的な額をやや超えたところでこういう特別経費は認めるべきであるという、そういうことから出たものでございます。
○多田省吾君 五万円足切り額は、確かに昭和五十年度につくられたわけですが、その以前は十万円だったわけです。昭和五十年度に五万円になったので、そのときからだんだんこの医療費控除を活用する方が増加してまいりまして、最近ではやはり税に対する認識も強まり、またこのいわゆる医療費控除の申請というものによって私は相当国民とそれから税に対する考え方の間隔が縮まったのではないか、そういう効用もあるんじゃないか、このように思うわけであります。 楽しみにしておられる方もいるわけです。楽しみといえば語弊がありますけれども、本当に生活が苦しい、医療費もたくさんかかったと、これは家計、生活が非常に困ると、その中でせめて医療費の五万円以上かかった分についてはやはり控除の対象になるということで、それを活用していらっしゃる方がたくさんおられたということなんです。それが一挙に再来年の三月からこれはできなくなるということになりますとどうなりますか。やはり、中曽根内閣のときに無慈悲にもこの五万円の足切り額が一挙に十万円まで引き上げられてできなくなったんだなとすごすごと引き下がらなければなりません。私は、やはり総理にもう一考促したいと思うのでございます。 それからもう一つは、これも一昨日質問したんですが、医療費控除の対象となる医療費の範囲といたしましては、法律に「医師又は歯科医師による診療又は治療」とございまして、総理も入ったことがあると思いますが、いわゆる人間ドックの費用は、これは検査の結果、疾患が発見されたときには控除対象になりますけれども、疾患が発見されないときには医療費控除の対象にならないわけですね。ですから私は、予防医学充実の観点からも疾患の有無にかかわらず、人間ドックの費用を医療費控除の対象にした方がいいのではないか、このように思いますけれども、総理いかがでございますか。
○政府委員(水野勝君) 先般も御議論がございましたように、これはあくまで医師によるところの治療、診療の費用でございます。(「総理に聞いているんだ」と呼ぶ者あり) ただ、当時その機会にも御答弁申し上げましたように、それが疾患につながった場合にはそれも対象に入れるように検討しているということでございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
○多田省吾君 総理にお答えいただきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) できたら保健政策を推進するという面から、次の段階では検討してあげたいと思いますが、今回の改正におきましては、やはり平均的な医療費というものをにらみまして、この前の金額と今度の金額との統計的な数字をにらみまして、こういうようなことをやることが公平でもあるし、また財政的に見ても妥当である、そういう考えに落ちついた次第でございます。 保健政策を推進するということは大事なことでありまして、これは厚生省側からの観点になると思いますけれども、将来は財政状況等もにらみまして検討すべき課題であると思います。
○多田省吾君 たびたび御質問いたしますが、今度のマル優廃止によりまして六十歳から六十四歳の方は残念ながら一律分離課税二〇%を利子にかけられることになりまして大変残念でございます。 最近の労働省の発表でも、現在の年金水準では生計を維持するためには、六十五歳の時点で別途千五百万円程度の貯蓄が必要であるという報告書を出しております。私は、六十五歳以上非課税となさった、これは老後を迎えた人の貯蓄の保護のためであり、これは結構だと思いますけれども、問題は六十歳から六十四歳までの方は老後に備えた貯蓄をやっぱり優遇しなければならない立場におられる方ではないか、このように思うんです。老後に備えるということは非常に大事だと思います。 また、先ほどからの御質疑のように、六十歳定年また六十歳以前の定年で職を追われる方も非常に多いわけでございます。谷間とも言われております。そういった姿から、私は、やはり六十歳から六十四歳までの方も非課税にすべきである。おとといの御答弁をお聞きしましても、この六十五歳以上のお年寄り、そして身障者の方々、母子家庭の皆さん、合わせて全体の二五%の方々が非課税となりますという御答弁でございました。じゃ六十歳から六十四歳の方を非課税に含めればその対象者はといいますと三八%に上る、こういうお答えもございました。確かにそれは上るかもしれませんが、まだちょっと四割以下でございます。二五%と三十数%、そんなにかわるものではありません。 私は、やはり総合課税化も近いわけでございますから、どうしてもこのマル優原則廃止という姿の中において、せめても六十歳から六十四歳の方はやはり非課税にすべきではないか、また、今後それを考えていくべきではないかと思いますが、総理大臣いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題はほかの法体系にも非常に影響するところでございまして、いわゆる老人保健法における老人とか、今までの課税における老人控除の老人とか、あるいは老人の基礎年金の老人とか、非常にほかの法体系とみんな絡みがあります。それらを一緒に見直すときには見直すべきであると思いますが、そういう場合を考えると、かなりの財政負担というものが出てくると考えられます。したがって、そういうしっかりとした基礎というものがなくして、この問題だけで考えるというわけにはまいらない点も一面においてあると思うんです。 そういうようないろんな面からいたしまして、また現在の日本の状況を見ますというと、六十歳定年でおやめになっても大体六十五くらいまでは皆さんお働きになる方が非常に多い、また働いていただかなければいかぬと私は思うのであります。それが健康を保持するゆえんでもあり、人間として生きていく楽しみでもあるわけでありますから、そういう雇用を保障するということは、他面において政府の政策として懸命にまた推進していかなきゃならぬところであると思うんです。両々相まちまして今の六十五歳という問題を維持してまいりたい、そう思っている次第なのであります。
○多田省吾君 これは、私は御説明のための御説明だと思います。六十五歳以上の老人という概念にも大きな意味があると思いますけれども、やっぱり六十歳ということも厚生年金の支給開始とかいろいろなその他のたくさんの意味がございまして、六十五歳以上に意味があるならば六十歳以上というものはそれ以上の私は意味がある、このように思いますのでまた御一考いただきたい、このように申し上げます。 それからもう一つは、キャピタルゲイン課税でございます。アメリカ等におきましても原則課税でございます。日本はまだ原則非課税でございます。特に有価証券の譲渡益等につきましては、何万円、何回以上というようなことが少しありまして、今度強化されましたけれども、ほとんどこれは網の目をくぐるように逃れやすいざる法となっておりまして、今後強化されましても果たして実効あるものかどうか本委員会の論議でも疑われております。私は、アメリカを初め欧米諸国もやっているように、やはり利子配当等も総合課税化に向かっていかなければならない、このように思います。アメリカ等におきましては社会保険番号をもって納税者番号とし、また自己申告だけでもう既に八九%の捕捉率である、このように言われております。八二年度からこれが報告制に変わりましたのでもっともっと完璧な捕捉になるだろうと言われているのがアメリカのキャピタルゲイン課税の現状でございます。 コンピューター化が進んでいる日本の現状において、また国民皆保険、国民皆年金という姿の中において捕捉できないわけはありません。ですから私どもは、こういったキャピタルゲイン課税あるいは総合課税化に向かって早く準備をし、また勉強をし、また早く実現すべきであると強く思うのでございますが、総理いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回は部分的ではありますが、その問題についても一歩前進したわけでございます。そういう御提案をお願いしておるわけでございます。ただ、多田先生おっしゃいましたようにやるということになりますといわゆる背番号制というところにいかざるを得ない、好むと好まざるとにかかわらずそういうようなことにいかざるを得ない。なぜならば有価証券等の商品が非常にいろんなものが出てきているということもございます。それから扱う金融機関も千差万別であると同時に、また地域的にも非常にどちらでも動いていけるというそういう形にもなっております。そういう点から、公平を期してやるということになると結局は背番号制というところにいかざるを得ない。そういうような面が果たして国民的に今なじむかどうかという面は、これは研究すべき課題でありまして、まだそういうところには至っていないと考えておる次第なのでございます。
○多田省吾君 私は総理の言われる国民総背番号制とは違うと思うんです。やはりアメリカにおいても行われている社会保険番号をもってかえるということもできるんだし、むしろ国民総背番号制ではなくて、これは納税者番号ということは言えると思いますけれども、総理のように背番号はいけない背番号はいけないといいますと、一%以下の高資産者を守るために九九%の国民が税的に犠牲になるという姿もあるのでございまして、やはりこういうコンピューター化の時代、しかも日本でも今のお答えのように五年後には総合課税を目指すという方向に進んでいるんではありませんか。そうしたならばやはり不公平税制の是正あるいは総理の常々おっしゃる公正、公平という観点から見ましても、やはり私はこういったキャピタルゲイン課税、また総合課税、そしてまた特に有価証券の譲渡益課税につきましては前向きに進むべきである、このように思うわけでございます。 最後に私は国税職員の方々の増員、また処遇、待遇につきまして御質問いたしますが、今までも本委員会におきまして毎回附帯決議も衆参両委員会で付され、そしてまた今、国税職員の方々が専門化あるいは国際化の中で大変な御努力を払っておられる。そしてまた、新聞、テレビ等にいつも出るあの脱税摘発という問題におきましても、もっと国税職員が数が多ければ脱税なんか防げるのではないか、執行面においても立派な活動ができるのではないかというような考えも強まっております。 行政改革という面におきまして、国家公務員の方々の人数をふやさないということは私たちもよく知っておりますけれども、やはり必要な面におきましてはこういった国税職員のような場合は増員する、そして不必要な面におきましては減員する、そういうことをはっきりさせて進むべきではないか、このように思いますが、総理いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国税の職員はたしか五万人ぐらいおったと思いますが、外国から比べますと、少ない人間でしかも非常に膨大な案件を抱えておりまして非常によく努力してくださっていると私は評価し、感謝もしておるところでございます。 行政改革ということでもありますので定員を増加することは極めて厳しい状況ですが、しかし国税に関して、それからもう一つは外務省の問題、これにつきましては行政改革の際にもいろいろ考慮いたしまして事実上の増員という形を今までやってきておるわけであります。部内においていろいろ振りかえをやるとかその他の努力もまたやってきておるわけでございます。やはり行政改革という思想は一貫して行うべきもので、いろんな面でお困りの点もあるかもしれません。あるいは実調をもっと多くふやしてやればもっと収入が上がるじゃないかと、一人ふえれば五千万円ふえると、そういうこともときどき聞くことでございますが、やはり行政改革という根本的な、基本的な考え方というものは貫いていくべきである、そのように考えて、そのときそのときの調整というものは、年次予算編成の際に総務庁といろいろ相談して、やらせるようにいたしたいと思っております。
○吉岡吉典君 最初に、自民党総裁としての中曽根総理にお伺いします。 きょう十九日に私どもここでマル優廃止を含む法案の審議をしているわけです。ところが、きのう国会の中にも配付されました自民党の機関紙自由新報を見ますと、「税制改革法案が成立」という大きい見出しで、もう既に十八日の時点でこれが成立してしまったと、こういうのが配られているわけですね。私はこれは極めて無神経というか常識外れというように思いますけれども、こういう新聞が平気で国会の中にまだ成立もしていない時点で配られるという根本には、やはり自民党が数の力で国会などどうでも動くというおごりがあるのではないかと私は考えます。まだ今の時点でも成立していない、そういう法案について国会の中に、事もあろうに、そういう新聞が配付されているという問題、総裁としてどのようにお考えになるか、最初にお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) その自由新報は二十二日付の発行になっているはずです。そこで、地方に送るいろいろな関係からも、よく新聞にも早坂というのがありまして、前の日にその日のことがもう書かれて発送される、そういうことになっているので、赤旗でもおやりになっているんじゃないかと思います。そういうことであると御理解願いたいと思うのであります。
○吉岡吉典君 現職の私は新聞屋ですから、現職の新聞屋相手に新聞論は持ち出さない方がいいと思います。かつて新聞でもこの種のことはしばしば失敗としてありますけれども、今赤旗を含めて日本の新聞は、事実が終わらないうちに、進行中に過去形にして出すということはほとんどやりません。全く例外がないかどうかは別です。しかし、私が今お伺いしましたのは、それを国会の中に配っていることに焦点を置いて私は質問したわけです。だから、それを新聞ってよくやることだということでは済まされません。これは、私は新聞をつくっている現職の新聞屋としても総理に反論しておきます。この問題は議論してもしようがありませんが、国会の中にこういうものを配ることがまずかったという感覚も全くないのかどうなのか、その点だけもう一問お伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 早坂で刷り上がりましたものを地方へお帰りになる国会議員の皆さん、我が党の議員の皆さんにお渡しする、そういう面で国会へ持ち込んだ面もあるのではないかと思います。
○吉岡吉典君 自民党の人じゃない、共産党の控室にも配られてきていますから、国会じゅうに配られている。だから私は、こういうことについて全く平気でいるという感覚、その感覚が国民の審判を受けたマル優廃止をこの国会へ平気でもう一回持ち出す、その感覚と私は共通していると思います。 次に、それとも関連して総理にお伺いしますけれども、総理は共産党がマル優廃止を持ち出すのは公約違反だと言うと大変機嫌が悪いようですけれども、私は、総理にこの問題でお伺いする最後の機会にこれがなると思いますのでもう一度お伺いしておきたいと思います。 総理は、共産党が中曽根総理は同時選挙中マル優はやらないということを各地で演説なさったということを言いますと、そうでない演説の例を持ち出してこう言っているというふうに答弁なさっております。私はそういう答弁も演説もあったと思います。だから、恐らく二種類の演説が結果としては行われる結果になったと思います。それで総理は、意図するところはこうだった、あるいは十分な説明がなかったかもしれないということもおっしゃっています。しかし政治家、政党が責任を持たなければならないのはその言明と、その言明がどういう結果どういう影響を国民に与えたかということであって、意図はこうだったということでは、政治家及び政党の責任は免れないと思います。 そういう点で去年の同時選挙では、総理の今言ったような発言及び総理の発言だけでなく、当時の金丸幹事長がNHKのテレビとかフジテレビ等も通じてはっきりと大型間接税、マル優、この双方とも総理自身がやらないと明言しており、やらないから信用してもらいたいと、こう断言しているわけですね。そのほか閣僚及び元閣僚だった人がマル優制度を守るという公約を掲げられた事実も私どもたくさんつかんでおります。その結果、国民がやはりマル優は廃止されないんだというふうに多くが思い込んでしまった。それはもう事実なんですね。政治家というのは、言わんとする点はこうだったということじゃなくて、そういうふうに国民にとられた、そのことには責任があるんじゃないかと思います。 そういう点総理は、今の時点でなお自分の選挙演説及び今も紹介しました当時の金丸幹事長の発言を含めて、自民党はマル優問題について国民に一点の疑問もないように明確に述べていたとおっしゃるのか、それともやはり国民に間違って公約を受け取られたということはお認めになるのか、その点再度お伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) マル優問題につきましては、自民党は一貫して不正はやめなきゃいけない、しかし社会的に弱い方々、例えば御老人であるとか、あるいは母子家庭であるとか、あるいは身体障害者であるとか、そういう方のマル優はあくまで守らなければならない、そういうことを言ってきております。私も言ってきておりますし、また党員、公認候補者に対する演説の内容の指針としても、あのころ全国の公認候補者にその趣旨を文書で発送いたしまして、演説方法の中にはそういう趣旨で入れるようにと、そういうことも指示しておったのであります。
○吉岡吉典君 そういう指示を出したとおっしゃった後に行われた総理の演説でも金丸幹事長のテレビ発言でも、その他選挙中の自民党の候補者の演説の中でマル優制度を無条件で守る、限定抜きに守るという発言があるから我々は問題にしているわけです。今の総理の発言で、総理は自分の発言、また自民党が選挙民に与えた影響に、それが国民にどのようにとられようと、それはとった側の責任だという態度だとするならば、極めて国民としては信用できないというふうに思うだろうと思いますし、だからこそその後公約違反として国民の批判を受けたと、そういうふうに私は言わざるを得ません。同時に、今のような態度が続く限り、やはり国民は政府の言うこと、これをどの程度信用していいのかという疑問を持つようになるだろうと思います。私はそういうふうに、今の答弁は国民に対して非常に遺憾な答弁だということを指摘して、次の質問に入ります。 中曽根総理はこれまでの答弁の中で、シャウプ税制は今日の状況に合わなくなった、だから抜本的な税制改革をやるとおっしゃっています。私は、そのシャウプによって打ち立てられた今日の税制のどこがまずいのかということは、大蔵大臣にもこの委員会でも質問しましたけれども、総理にもお伺いしますけれども、シャウプによって打ち立てられた今日の税制のどこがまずいというのか、このシャウプ税制の根幹である例えば所得税における総合性、累進性、生計費非課税、こういうふうな制度そのものもまずいから改めようというのか、そういう今の日本の税制の根幹になる部分は守っていこうということなのか、お伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) シャウプ税制はあの当時としてはなかなかよく考えでできていた税制であると思います。特に、まだあのころ日本は国民所得も低くて税収もそう期せられない、そういう時代でございましたから、割合に直接税というものを重視してできた。これはアメリカの税制の影響もかなりあるのではないかと思います。あのころまた富裕税というような思想もシャウプの中にはあったようでございます。あれはある程度インフレという問題も頭にあったんではないかと思います。 しかし、その後これだけ大きな変動が起きまして、国民所得の分布というものを見ますと、日本は中産階層が非常に膨張して、いわゆるちょうちん型の社会になってまいりました。そのほかその後いろいろ税制の小刻みの改革をやったりしてきました結果、結局税体系全体としてはひずみとかゆがみとか、あるいはサラリーマン層に対する重圧が非常に強くなった。そういう意味で重税感が出てきて、サラリーマンの減税のためにクロヨンであるとかトーゴーサンであるとかそういう言葉まで出るようになってきておるわけでございます。そういうようなゆがみとかひずみというものを直して、税全体としてさらっとした公平感を持った税体系に、しかも簡素なものにしていくという時代の要請が出てきております。 それからもう一つは、外国がもうどんどん所得税や法人税の減税をやってきているということであります。最近のこの顕著な動きというのを見ますと、やはり日本の税体系というものも、これだけの世界の経済大国になったわけでありますから、外国の趨勢に合致するような税の基準、水準というものを維持していく必要が出てきておるのです。 そういうようないろんな面から見まして今回の税制の改正となったので、シャウプ税制というものは歴史的には私は意味のあった税制ではなかったかと思う次第であります。
○吉岡吉典君 私がお伺いしたのはゆがみとかひずみじゃなくて、今直接税中心主義は改めるということのようですが、そのほか総合性、累進性、生計費非課税、これも現代の税制民主主義の根幹をなすものですが、これはどうかという点ですね。特にお伺いしたいのはその点です。もう一度御答弁お願いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 総合性、そのとおりだと思います。それから生計費非課税、それもそのとおりと思います。累進性もそのとおりでございますけれども、やはり先ほど総理が言われましたように、国民所得の水準あるいは分布によりまして累進をどうすべきか、つまり非常に急な累進もございますし、緩い累進もございますし、その辺の税率構造になりますと、これはやはりかなり時代が変わってくるに従いまして変わるということが本当でございましょう。 一般的に申して、その総合性であるとか累進性であるとか生計費非課税、これは今日でも守られておる、また守られるべき原則と思います。
○吉岡吉典君 大蔵大臣の意見はこの間聞いたばかりです。総理はこの問題については答弁されませんでした。 次の問題ですが、総理がこれまでマル優廃止が必要だということで述べてこられたさまざまの理由、それはこれまでの審議で私は次々崩れていったと、そういうふうに断定できると思います。 私はその点に関連して一、二お伺いをしますけれども、総理がずっと言い続けてこられたことの一つに外国からの批判、外国になくて日本にだけある制度だという発言もありますけれども、特にそういう外国の批判に関連してシュルツ国務長官の名前も出して、アメリカにこんなに強い批判があるということをおっしゃっています。シュルツ長官は中曽根総理にどういうふうに批判したのか、これをお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) たしかどこかの大学の講演でシュルツさんが講演しましたときに、日本のマル優制度、貯蓄促進というものがますますまた日本の貯蓄を増加させておる、そのことが今の円・ドル関係についても影響してきておる、そういうような趣旨の演説をしたのを記憶して言っておるわけであります。
○吉岡吉典君 そうすると、総理が直接シュルツさんからマル優批判を聞いたわけではないんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) サミットの場であるとか、あるいはそのほかの国際会議等の場においてマル優批判を聞いたことはあります。だれから聞いたかということは、ここでは申し上げない方がいいと思います。
○吉岡吉典君 これはまことに奇怪な答弁です。総理がことしの二月十日に行われた自民党税制改革推進全国会議でなされた発言、これは自民党の機関雑誌「月刊自由民主」に出ている演説内容ですが、その中ではこういうふうにおっしゃっていますね。「シュルツさんのそういう意見を直接聞いたこともありますし、外国はみんなそういうことをいってきておる。」この二月十日の演説では直接シュルツさんから聞いたと、こうおっしゃっておる。今の答弁だと、直接には聞いていない、どこかの大学での演説で知っているということだとすると、この二月十日の演説というのは直接聞いていないことを直接聞いたように言っておられる。なぜそういうことをおっしゃるのか、私はその真意はわかりませんけれども、あるいは自民党内を大いに決起させるためには、シュルツ国務長官が私に直接こう言ったんだと言った方が効果が大きいと思われたのかどうか知りませんけれども、いずれにせよ、直接聞いた話でないというものを一方ではそういうふうにおっしゃっている。私はまことに奇怪な話だと思います。 しかし、それをここでせんさくしてもしようがありませんから、このシュルツ国務長官の今もおっしゃった演説に関連してお伺いしますけれども、私ども、シュルツ国務長官が日本の貯蓄率が高いということについての発言を外務省にも問い合わせて、外務省からも資料をもらいました。外務省からもらった資料によると、シュルツ国務長官が一九八五年四月にプリンストン大学で演説しています。恐らく総理がおっしゃったどこかの大学というのもこれだろうと思います。ここでシュルツ国務長官が行った演説を読んでみると、シュルツさんの日本の税制についての認識のほどが非常によくわかるもので、こう言っているんですね。日本の貯蓄率はGNPに対して三〇%以上もあると、これは私も日本の貯蓄率が三〇%以上もあるということは聞いたこともありませんので、そのような資料がどこかにあるものだろうかということで調べたところによると、経済企画庁に問い合わせましても、そんな数字はあり得ないんだ、どんなとり方をしても二〇%ぐらいの数字であるということでしたし、私が調べた範囲でもこういうのはむちゃくちゃだと。シュルツ国務長官はこの演説の中で、OECD諸国の平均貯蓄率よりも五〇%上回っていると言っていますけれども、シュルツ国務長官の挙げた三〇%という数字自身が日本の実際の貯蓄率よりも五〇%上回っているという方にこの五〇%というのは当てはめた方がいいじゃないかと思って聞きました。 いずれにせよこういう認識で、日本の貯蓄率が高いから日本は国内消費がふえない、そして輸出をやっている、こういう演説なんですね。こういう事実誤認を前提としての日本へのマル優制度批判、これはそもそも前提からいって根拠がないものだ、こういうふうに言わざるを得ないと思います。 総理、こういう演説、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 演説では私も時々数字を間違うことがあるので、うろ覚えに覚えていたことをちょっと言ってしまうという場合もあります。しかしそれは、こういう傾向である、こういう大勢である、本質的にはこういう問題である、そういうことを知ってもらうために言う場合が非常に多いです。 シュルツさんの今のお話で、三〇%というのは何かの記憶違いでしょう。大体二〇%前後です。しかし、アメリカはどうかといえば、四%から五%ぐらいですね。最近は貯蓄率もまた上がらないで、落ちるぐらいになって消費が盛んになってきておる。そういうアメリカの四、五%と日本の二〇%前後というものが頭にあって、日本というものは貯蓄率が非常に高い、それになおまだ貯蓄をふやせというようなことをやっているじゃないか、それが円高の原因じゃないか、輸出がどんどん伸びることにもなるというような趣旨のことを言ったんだろうと思うので、その趣旨はやっぱりある程度当たっている、経済学的に見て当たっていると言わざるを得ないと思うのであります。
○吉岡吉典君 ここの委員会の審議、衆議院を含めての審議の中で、今総理がおっしゃる、それは当たっているんじゃないかというのが当たっていないということが明らかになりました。これは政府答弁でもお認めになりましたけれども、日本のマル優制度と貯蓄率との間には因果関係はないということ、またマル優制度を廃止したからといって貯金が減るものでないということ、マル優制度を廃止したからといって円高が解決できるものでないということ、そういうふうなことはこれは衆議院から参議院にかけての論議の中で政府自身もお認めになっている。そういうわけで、今既に明らかになったことをもう一回総理は繰り返されておられる。 総理がもう一つ強調されてきた問題に、不正利用という問題もありました。時間がありませんからここで詳しく述べることはできませんけれども、不正の問題も、今背番号とおっしゃいましたけれども、背番号なんか全くなくても、技術的にはもう実行可能な研究が終えているということが国税庁からも答弁があったところでありまして、これは不正を理由にしてマル優を廃止しなくちゃならないという問題もありません。 私は、総理が言われたいろいろな理由が崩れたと思う。シュルツ長官の、数字というのは時々間違えると言いますけれども、活字になって出版されているものですね。ですから、そういう活字になるものは政治家はそれなりにきちっと原稿を見て出しているわけですから、単に演説をやるときの発言だというふうなものではないと私は思います。 しかし、それはさておきまして、もう一点総理にお伺いします。 それは、大企業優遇ではないんだということ、大資産家優遇ではないということを盛んに答弁でもおっしゃっています。しかし私は、今度の税制改革で大企業優遇はそのままにされたというのが実態だ、そして庶民へのマル優廃止による増税だ、ここに最大の問題がある。だから、マル優廃止に我々は反対して、この法案を撤回してもらいたいと言っているわけです。 一例だけ、私はこの委員会でも何回も取り上げてきましたけれども、例えば日本の代表的な商社七社、これの日本で納めている法人税が六十一年度はわずか百三十三億、六十年度は七社合わせてゼロという事実が明らかになっているわけですね。こういうものにもほとんど手もつけない。しかも外国税額控除というものの中には、実際には税金を払っていないのに払ったとみなす、そして税額から控除するというようなものまであるわけですね。実際払っていない税金、それを払ったとみなして税額から控除する。この程度のものはせめてやめた方がいい。そういうことさえもやらないでは、これは公平も公正もあったものじゃないと思います。この点、総理の考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 租税条約をいたしましたときに、二重課税を防止するということから、ただいまのようなことは普通に行われておることでございますが、払わない税を払ったとみなすというのは、これはつまりある国が、発展途上国に多いと思いますけれども、ひとつぜひ企業にいらっしゃいと、自分の国は免税をしてあげますというときに、その税金を払ったとみなさなければ、結局商社の負担になってしまいます。ですから、そういうときは発展途上国のそういう企業誘致策をこちらとしても援助しよう、そういう意図であることは御承知のとおりと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 二重課税防止条約等々の適用もありまして、また大蔵大臣が今申し述べたとおりです。
○吉岡吉典君 私は二重課税全部をやめるという議論をここではしないで、その中でも最もひどい例であるみなしだけでも改めるわけにはいかないかと言いましたけれども、これを改める気も全く今の答弁だとなさそうです。そうだとすると、政府の立場はもう大企業をいろいろな理屈をつけて擁護していくということだとしかとれません。特に、みなしというのはどこの国でも全部やっているというものじゃなくて、アメリカなんかでもやっていないと私は承知しています。 そういう考え方に立った今度の税制改革であり、これに続いてさらに抜本的な税制改革が続いている。それは国民に対する一層の負担を強めるものになるであろうということが今の答弁を通じてもわかったということを私は指摘し、そういうことだとすると、私どもは今度のマル優にももう一度強い反対を表明するとともに、そのような増税には今後とも強く反対していくということを述べて、私の質問を終わります。
○栗林卓司君 私は、納税者国民の立場に立って、総理に一、二お尋ねをいたしたいと思います。 中曽根政治もようやく終わろうとしているわけでありますけれども、中曽根政治を振り返りまして一番明らかな積み残しは何であったかと考えてみますと、いわゆるクロヨンの問題の解消がそれではなかったんだろうか。これは解消するために取り組んだのかどうかさえ定かではないのでありますが、中曽根政治の間にいわゆるクロヨン問題は解消に向かって、かつ成果を上げてきたとお考えになっておられますか。 加えてまた、国民の税に対する信頼を確保するためには、クロヨン問題の解消というのは最も緊要な課題だと私は思っておりますが、この点についての御所見もあわせて伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大したこともできませんでしたが、しかし今回のこの税法の改正を成立させていただきますならば、これはクロヨン問題解消に向かって大きく第一歩を踏み出した。刻みが変わってきますし、税率が変わってきますし、その次の所得税のさらなる減税というものへの足がかりが着実にできたと、そういうことになるので、ぜひ御成立をお願いいたす次第です。
○栗林卓司君 いかなる税制改正であれ、納税者の税に対する信頼がなければそれは前に進むものでは到底ありません。 そこで、総理が今の問題についてある角度からたびたびお答えすることは、こういう印象を与えますので念のために伺うんですが、いわゆるクロヨン問題というのは所得の間の把握率格差でありまして、したがって間接税の比重を高めることによって、結果としてクロヨン問題の解消につながるという御説明をなさいますが、それは把握率の格差を頭からあきらめてしまうということなのか。いや、そうじゃなくて、所得の把握率は有権者、納税者国民の立場に立って厳正にやります、こういうお立場なのか。 この後段に立ちますと、ここでも再三議論が出たところでありますけれども、執行体制の整備、これは国税職員の定員を大幅にふやす問題も含めて、あるいは必要あれば納税者番号という武器も導入を図りながら進めていかなければなりません。この点についていかなる御所見をお持ちでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国税庁は公正に適正に税務を執行していると思います。中には脱税とか節税というものも例外がなきにしもあらずでありますが、原則的には公正に、適正に執行している、そう思っております。 ただ、現在を見ますと、実調率等を見ますというと、まだ手の届かないところも多々あり、その点については栗林さん言われるように、国税職員あるいはその機能の充実ということは我々としては心がけなければならぬ問題があると考えております。
○栗林卓司君 総理は行政改革ということを大きな目標にして中曽根政治の幕を開かれたわけでありますけれども、これは釈迦に説法でありますが、行政改革というのは必要なところには必要な力を注ぐ、不要なところは力をそぐということでありますが、そういった意味では、こういった議論をしておりますと、行政改革との関係もこれあり、なかなか難しいのでありますという答弁が政府側からいつも返ってくるんですが、これは何か考え違いをしているんではあるまいか。 そこで、行政改革も大きな国民の期待する目標でありますが、同時に税に対する公平感を確保するというのが何物にもまさる大きな価値のあるものだと思いますが、そういった認識に立って進めるべきだと思いますので、重ねて御所見をお願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は、行政改革の旗のもとに実行しておるのであります。大蔵省内部におきましても、例えば財務部からこちらの方へ転用するとかほかの部局からやってくるとか、あるいはほかの省からたしか来た人もおるだろうと思います。農林省あたりから行った人もあるんだろうと思います。その人はすぐ直接、税には行かないけれども、税に向く人のところへ行ってその人が税の方へ行っていると、そういう例もあるんだろうと聞いております。そういう意味におきまして、実質的には国税庁の増強という面には行政改革のもとでやっておるので、必ずしも定員をふやすということばかりが税の強化ということにはなっていないのであります。
○栗林卓司君 最後に一点、御所見をお尋ねしたいと思います。 総理は自民党のウイングを左に伸ばして勢力の拡大を図ったという趣旨のことを再三各所で御発言になっておりますが、関連して実はお尋ねをするんです。 勤労者の財産形成というのはサラリーマン、勤労者にも財産を持ってもらいたい、財産を持つことによってゆとりのある暮らしをしてもらいたいというのが制度の目的でございました、そこで、結果として財形貯蓄の残高が十兆円前後になりました。そのときに、いや、もうこれは勤労者財産形成の政策が効果を上げて十兆円にまでなりましたかと、こういう立場と、いや、ここに非課税貯蓄が十兆円だなというのとでは、これは天と地の開きがあるんであります。 一方、先ほど来出ております六十歳から六十四歳までの老人の問題でありますけれども、その方々にとって一番いいのは、総理もお触れになりましたけれども、働く意思と能力がある者にとっては雇用機会を与えるのが最善であります。また、これが実は老人の生活保障のための財政基盤をつくることになるんであって一番いいことに間違いない。とは言うものの、これは政府が努力をしていないと言うつもりはありません。なかなか困難なものでありますから、にわかに効果を上げることは期待しがたい。そうなりますと、ちょうど六十歳、得た退職金をいかに有利に保全をしながら老後の生活に備えていくのか。公的年金といっても、先ほどもありましたが、政府系の資料によりましても公的年金だけでは、普通の暮らしをしようと思ったら六十五歳のときに一千五百万の貯蓄を持っていなければ暮らせない。一千五百万というのは大変な額ですよ。そこに向かってとにかくつめに火をともすようにして貯蓄をして、まさに六十五歳以上の老後の生活の保全を図ろうと、そう考えている多くの引退をした元サラリーマンの皆さんにとってみると、これまでマル優というのは老後の生活保障という面で立派に社会政策的役割を果たしてきた。これは御異論はないと思います。 今回は、不正利用に名をかりたりしながらしてこれを全部引っぱがしてしまう。片一方では、財形の残高が十兆円にもなると、ああここにも非課税がこれだけあるぞといって課税対象に繰り入れて取ろうとしておる。これを見ておりますと、こういった態度というのは、いろいろ口ではおっしゃいますけれども、しょせん勤労者、サラリーマンのことを考えてくれることを自民党に期待してもそれは無理なんだということを天下に公然と知らしめたように私には思えるのでありますが、日ごろ、ウイングを左に伸ばしてとおっしゃっております政府のお立場からして、いかなる御所見をお持ちか伺いまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の税制改革をごらんいただきましても、また我々が通常国会に提出いたしまして御説明申し上げました考えに基づきましても、やはりサラリーマンの重税感を解消して不公平感をなくそうと、そういう意味で相当な減税をやりました。二兆円近いものをやろうということで案を出したわけであります。 それで、その方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、五、六百万の皆さん方、要するに子供二人ぐらい持ってその子供が大きくなって、一番ローンの負担とかそういうもので苦しんでおる働き盛りの人を中心に減税の重点を加えようと、そういう意味で前回も、今回はさらにそれを強化いたしまして、そして税の刻みあるいは税率というものをやったわけで、大体サラリーマンが終わるときに税率が上がるというのは一回あるかないか、それぐらいのことにして、給料が上がるたびに税金が重くなるというやり方はやめようという体系に今度はしたわけでございます。あるいは奥様に対する内助の功という点についても特別の計らいをした。 そういうようないろいろな面におきまして、サラリーマンの皆様方には、特に我々は頭を使いましてやらせていただいたので、これはウイングを左の方へ伸ばしてきている一つの証左ではないかと思うのであります。また、しかし当然のことであります。
○野末陳平君 シャウプ以来の抜本的税制改革といういわば鳴り物入りで始まった今回の税制改革ですけれども、しかし抜本的と言うにはこれはもう内容的に余りにも物足りない、これが私の考えでありまして、しかしながら、これが本格的なものへの第一歩であるというならばそれなりの評価はできると、こういうふうに考えておるわけです。 しかし、総理御自身は初めの意気込みのとおりに成果を上げたとも思っていらっしゃらないと思いますが、まあこの程度の一部改正する法律案という形でおさまるんですが、御自身でどの程度この内容についての評価をお持ちなのか、それをまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) もしこの税制の改正法案を成立させていただきますならば、やはり次に来る大きな税制改革、体系全体の改革への扉を少しあけることができたと、そういうように考えております。伊東政調会長には、半開きぐらいまでいきますかなと、そういう言葉を使いましたが、半開きまではまあいかぬかもしれませんが、ともかく税制全般の改革への扉を、おかげさまによりまして開かせていただけるんではないかと思うのであります。
○野末陳平君 半開きにしても総理としては、しかし在任中にもっといろいろとやりたかったという意欲は当然だったと思うんですが、何をやり残したと、これだけはどうしてもやりたかったけれどもやり残して悔やまれるという部分はどんなところでしょうか、それをひとつ聞かせてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり税制の問題は、実は体系全般としても格好のあるものにしてやっていきたいと思っておりました。それはできませんけれども、ともかく第一歩を踏み込んで、大体その方向への軌道が設定されれば非常にありがたいと思うわけであります。あとは教育も臨教審の答申がありますが、それのやはり方向づけ、工程管理表と申しますか、推進大綱というようなもので大体その方向づけをはっきりしておく。それから土地の問題がございまして、十月十二日に新行革審から土地の意見提出がある予定でございますが、やはり土地の問題という問題も焦眉の急を要する問題で、手がけてやれるところまでやっておかなきゃいかぬと、その辺を今のところ考えておるところであります。
○野末陳平君 あえて税制改革に限ってお尋ねするんですけれども、そうしますと、総理としては、次の内閣にしてもらいたい緊急重要なるテーマというのは、何と何だというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、衆議院の協議会もございますし、協議会が開かれるかどうか、その動向等も見守り、そして策定していかなければなりません。しかし、施政方針演説で申し上げましたような税制改革の方向、理念というものはぜひ実現したいと、そう念願しておるわけであります。
○野末陳平君 土地の問題が確かに緊急になっておりますが、固定資産税について総理にどうしてもこれはもうお願いしておきたいと思いまして、この固定資産税ですが、評価がえの年になっておりますがね、来年。何といっても大都市中心の人だけでなく地方においてもこの固定資産税の評価がえを非常に恐れるというか、不安を持つ声をどこへ行っても聞くんですね。考え方としては、評価がえの年ではあるけれども、しかし地価高騰の現状を考える場合にはそのまま評価がえをしちゃいけないと、少なくも来年は凍結しておいて様子を見るべきだと僕は考えるんですね。 これは大蔵大臣にお尋ねしても直接所管じゃありませんのでお答えがないんですけれども、総理としてはやはりこれは最後のお仕事として固定資産税はひとつ凍結するという方向を打ち出してほしいと、こうお願いしたいところなんですが、これについてどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 固定資産税につきましては、三年に一度資産価値の変動を勘案した評価額の見直しをすることによりましてその評価の均衡と負担の公平が図られるものであり、昭和六十三年度においても評価額の見直しは行わないといたしますことや税負担も据え置くということとすることは、評価の不均衡と負担の不公平を生ずることとなり、適当ではないと考えております。 なお、六十三年度の土地の評価がえについては、自治省において大都市地域における買い急ぎ、将来における期待価格等による特異な地価の状況にも十分配慮しながら、課税団体と調整を図っていると聞いております。 また、今後の固定資産税の負担の問題については、昨年十月の税制調査会の答申において「多くの納税者に対し毎年課税されるという固定資産税の性格を踏まえて、負担の急増を緩和するためなだらかな増加となるような配慮が必要である。」とされておりまして、この趣旨を踏まえまして対処する予定でございます。
○野末陳平君 そこで、もうちょっと前向きかつ具体的なお答えをお願いしたいと思っているんです。 税調答申にも今お答えをお読みになりましたように負担の急増を緩和する配慮が必要だと、はっきり言ってそれがまさに今度の評価がえであろうと、こう考えるわけです。ですから、これは凍結しろという意見もかなり出ておるんですが、総理がこの際やはり明確な方針を打ち出されるということが大事で、配慮という消極的なことでなくて、やはり今回は凍結するのが当然ではなかろうかと思うので、重ねてもう一度お願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり固定資産税というものを設けた趣旨というものを生かしつつ、それとともに、土地の値段が急騰してきたということから来る今までのやり方をそのまま準用した場合に、大きなひずみやゆがみが出てまいります。長期的に見て必ずしも妥当でないという結果が出てくる可能性もなきにしもあらずです。そういうような場所につきまして、特に土地の値段の急騰という面から来るひずみ、ゆがみというものを起こさせないように、いろいろ実情に即して手かげんを加えたやり方でこれを処理する、そういうことであると考えております。
○野末陳平君 ちょっとだけ個人的な考えをつけ加えておきますと、固定資産税がまた評価がえで上がりますと負担は確かにきつくなる。しかし、そのきつくなった負担分が地方自治体の増収となる。そうすると、それが果たして生かされた使い方をするかどうかという点においても恐らく納税者というのは非常なる疑問と不安を持つだろうと。そんなこともあれこれ考えまして、今回はやはり凍結をすべきだというふうに考えておりますから、それをつけ加えておきます。 それからもう一つ土地問題ですが、総理は先日、私権の制限というようなことを口になさいましたけれども、これについてもなかなかこれは大変だろうし、どういう形の私権の制限かわかりませんので、この際もう一つ具体的に総理の私権制限を含めた土地のあり方、これをお答えいただいて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私権の制限ということは現実問題となりますと非常に難しいところであります。しかし、前にも申し上げましたように、近代国家におきましては所有権は責任を伴うということが定説になってきております。それで、現在の都市計画の進行状況あるいは土地の価格の騰貴の状況、そういういろんな面を考えてみますと、最大多数の最大幸福というものを実現していく、都市においても住居地においても、あるいは国民各層の間においてもそういうような最大多数の最大幸福、それから公正、公平というようなことを考えてみますと、いろんな今やっておる対策では手の及ばないという面が出てくるかもしれぬ。そういう場合には、ある程度使用権等について、あるいは所有権に及ぶかもしれませんが、ある程度の規制を受けることもやむを得ないであろう。しかし、それはやはり客観的に見て公正な公平な国民的な常識に合うことでなければならない、そう思います。 実際問題としまして、例えば二年超短期重課というようなものもそれに近い性格を持ってきております。ある意味におきましてはそれによってある程度の規制をかけようというところでございます。それ以上もっと進んだやり方があり得るのか、ある場合には売買に対する規制とかそういうものもあります。今回におきましても国土利用計画法のあれによりまして、監視区域、届け出制あるいは許可制ということも可能にしております。そういうような例もございまして、そういうような考えに立っていろいろすべてを見渡して、手を入れるところありやなしや、緊急を要してそのようなことを行う必要ありやなしや、そういう点について今行革審におきましてもいろいろ検討し、党におきましても実は検討しているところでございまして、それらの検討の結果を待ちたいと思っているわけでございます。
○委員長(村上正邦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 総理の御退席に当たり、一言申し上げます。 中曽根内閣総理大臣は、総理として本委員会の出席は最後になろうかと思います。厚く御礼申し上げます。
○国務大臣(中曽根康弘君) どうもありがとうございました。
○委員長(村上正邦君) 本案の修正について赤桐君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。赤桐操君。
○赤桐操君 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております所得税法等の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。 その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。 これよりその趣旨について御説明申し上げます。 御承知のように、税制改革につきましては、衆議院に設置された税制改革協議会におきまして協議が重ねられている途中であり、いまだ最終的な結論を得るまでには至っておりません。ただ、所得税減税につきましては、早急に実施することで合意を見、今回の政府の提案に係る所得税法の一部改正案は、それを踏まえたものだと説明されております。 しかしながら、政府原案では所得税減税のための恒久財源として、マル優廃止をもあわせて実施しようとするものであります。これにつきましては、与野党の合意に基づくものでなく、我々は、なお慎重に協議を続けるべきだと考えており、その撤回を強く求めてきたところでありますが、所得税減税の実施をこれ以上おくらせるべきではない等、諸般の事情を考慮し、我々は、政府原案のマル優廃止について、次の三点の修正を、絶対に譲歩できないものとして要求するものであります。 その第一は、定年制の実情等を考慮して、今回の利子非課税制度の対象となる老人の範囲を、政府原案の「六十五歳以上」から「六十歳以上」に拡大する修正であります。 第二は、勤労者財産形成貯蓄に係る非課税措置についていわゆる一般財形を年金財形や住宅財形と区別する合理性に乏しいと考えますので、非課税の対象に一般財形を含めるようにする修正であります。 第三は、今回のマル優廃止が恒久的措置でないことを明確にするため、衆議院修正で加えられた見直し規定について、五年後ではなく三年以内に見直しを行い、所要の立法措置を講ずるものとするよう修正するものであります。 なお、そのほかに、政府原案では、医療費控除のいわゆる足切り限度額を現行五万円から一挙に十万円に引き上げようとしておりますが、そのような改正を行う必然性は見出しがたく、修正案では、その部分を削除することとしております。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○委員長(村上正邦君) ただいまの赤桐君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御説明のございました修正案につきましては、政府といたしまして、遺憾ながら賛成いたしかねます。
○委員長(村上正邦君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。
○鈴木和美君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案と同法衆議院修正案に対しまして反対の立場から、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合共同提案の同法修正案に対しましては賛成の立場から討論を行うものであります。 今日ほど、国民が税制に対し関心を持ち、また税に対する不信感を抱いているときはありません。その最大の原因は、中曽根内閣が公約違反の売上税の導入とマル優廃止によって大衆増税を企てたさきの税制政車案にあります。これは国民の激しい反対によって廃案となったのでありますが、政府はこの国民の審判を謙虚に受けとめ、国民の信頼を回復できる税制を確立するため全力を挙げる責務があります。 今、政府がなすべきことは、税制の不公平を徹底的に是正し、積極的に税財政を駆使することによって、経済のゆがみを正し、国民生活の向上を軸にした内需の拡大を実現することであります。この点から見ましても、今回の政府の提案に係る所得税法等の一部改正案は、全く不十分であると言わざるを得ません。 以下、政府案等に対する具体的な反対理由を申し述べてまいります。 反対の第一の理由としては、マル優の原則廃止が提案されている点を指摘しなければなりません。そもそもマル優廃止等は、さきの国会で廃案になり、与野党の間で、次の臨時国会には再提出しない旨の確認がなされているのであります。財源措置の必要性を理由に、前回と同様に所得税減税とセットで提案されておりますが、マル優の廃止は当面財源としては余り見込めず、セットで提出する必要は全くなかったのであります。マル優の廃止につきましては、税制改革協議会におきましても与野党の合意は形成されておらず、協議を継続する課題であります。政府はまたしても国民の声と議会制民主主義の信義に反する暴挙を行ったのであります。これは断じて許される行為ではありません。 しかも政府は、マル優を廃止する理由として、貯蓄優遇の必要性がなくなったこと、不正利用を挙げておりますが、そのどちらも全く理由になりません。 平均的な国民が貯蓄に励むのは、病気や事故への備え、老後の不安、教育費、住宅のためなどであり、その必要性は全く減じてはおりません。また不正利用を言うのであれば、それをなくすために努力していくのが筋であります。最近不正利用をチェックするための手段は改善され、その効果があらわれてきております。かつて浮上したことのあるグリーンカード制を国民の納得できるものに改善するなどの現実可能な措置を追求すればより厳正なチェックが可能になっているはずであります。 さらに、一律分離課税は資産性所得に対する総合累進課税の道に逆行するものであり、低所得者に負担を増大させ、高額所得者を利する不公平拡大の課税方式であります。今回のマル優廃止は新たに不公平を拡大するものであると指摘せざるを得ません。 第二に、減税額が国民の期待からは大きくかけ離れていることであります。我々は今年度最低二兆円の減税を主張しておりますが、一兆五千億円余りでは決定的に不十分であり、しかもその額の根拠さえ不明確であります。中低所得層の負担の軽減をもっと大胆に追求すべきであります。 第三に、土地譲渡所得や有価証券譲渡益などキャピタルゲイン等に対する課税の強化が不十分であり、さらに法人税関係を初めとした不必要な特別措置、優遇措置が温存されており、不公平税制の徹底的是正がなされていないのであります。 第四に、勤労者財形貯蓄に係る非課税措置について、いわゆる一般財形を年金財形や住宅財形と区別し一律分離課税を実施しようとしておりますが、財形貯蓄の必要性は高まりこそすれ弱まってはおらず、また一般財形をのみ区別する合理性はまったく乏しいのであります。 第五に、医療費控除のいわゆる足切りの引き上げは、弱者いじめの典型であります。 第六に、税の執行上の不公平をなくす体制確立が不十分なことであります。 次に、我が党などが共同で提案しております修正要求についてでありますが、以上述べました政府提案の所得税等の一部改正案と同法の衆議院での修正案の欠陥を補うための必要最小限の措置であり、ぜひとも成立させるべきであると考えます。 以上をもちまして私の討論を終わります。(拍手)
○大浜方栄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております所得税法等の一部を改正する法律案に対し賛成、同修正案に反対の意見を表明し、討論を行うものであります。 改めて申し上げるまでもなく、税制改革は現在の国民的最重要課題であります。さきの国会において公平、公正、簡素等の理念に沿った抜本的税制改革案が提案されて以来、税制改革は政治的に紆余曲折を経てまいりましたが、所得税減税の六十二年度実施は、国民的世論であると同時に国際的公約でもあります。そのために当面緊急を要するものについて、抜本的改革の一環として本改正案が提案されたことは、責任政党としての立場からもまさに時宜を得たものと評価するところであります。 また、衆議院段階での修正により、減税規模が二千四百億円上積みされ、総額で一兆五千四百億円となり、地方税減税を加えますと、二兆円を超える減税となるものでありまして、政府・与党として、最大限の努力をしたと言えましょう。 そこで改正案の内容を見てみますと、まず所得税の税率構造について、最低税率の適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに配偶者特別控除を設けるとともに、給与所得者に対して特定支出控除制度を創設することにより申告納税の道を開くこととしております。 これらの措置は所得税減税の重点が、中堅所得者層を中心とした税負担の軽減にあること、また、給与所得者と他の所得者との間の税負担不均衡の解消が求められていることなどから見て適切な措置と考えます。 次に、利子課税制度の見直しでありますが、現在マル優等の非課税貯蓄は個人貯蓄残高の七割も占めております。このことは税制上、利子所得と給与所得等との間の課税関係について均衡を著しく失していると言わねばならず、またマル優等の不正利用も高額所得者層の悪用が大部分であると言われております実態をも考え合わせますと、利子非課税制度を社会的弱者と言われる老人、母子家庭等に対する非課税制度に改組することは実質的に公平にかなったものと言えます。 また、一般の預貯金利子に対する一律二〇%の源泉分離課税の適用は、利子所得の特殊性や金融商品間の中立性等から見て当面の措置としては妥当と考えますが、なお利子課税のあり方については、衆議院において、必要に応じ五年経過後に見直しを行うことを盛り込んでいるところであります。 次は、土地税制についてでありますが、最近の地価高騰の状況等を踏まえ、土地の供給を促進する一方、土地投機等の仮需要を抑制する点からも土地税制の見直しは緊要であります。今回の改正で所有期間二年以下の土地の譲渡益に対する超短期重課制度の導入や長短区分の見直しが図られておりますが、今日の土地問題にかんがみれば、速やかな実施が望まれていたところであります。 以上、改正の主要なポイントだけについて申し上げましたが、今回の改正は抜本的改革へ向けての第一歩であり、基本的には所得、消費、資産についての課税のバランスが図られることが税体系の望ましい姿であります。その点では、今回間接税の改正はほとんど行われておりませんが、公平、簡素、中立の観点からもその見直しを進めることが必要ではないかと考えるものであります。 国民の理解と信頼に裏づけられた税制改革が今後とも進められることを切望し、私の討論といたします。(拍手)
○多田省吾君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に反対し、社公民三党共同提案の同修正案に賛成の意を表明して討論を行うものでございます。 まず、反対理由の第一は、現在税制改革において進められなければならないのは不公平税制の是正であるにもかかわらず、本法案によるマル優廃止はまさにこれに逆行するものであります。 今回のマル優制度原則廃止は、今まで無税であった少額貯蓄者の預貯金利子より二〇%が一律分離課税となり、今まで三五%の分離課税であった高額貯蓄者の利子に対する税率を二〇%に軽減しようとするものであり、これは明らかに金持ち優遇、不公平の助長であります。マル優が不正、悪用、乱用されていることをもって廃止の理由としておりますが、グリーンカード制や納税者番号制の導入等による不正防止、限度額管理の措置を一度も実施しなかった責任は政府にあります。それをあたかも国民に責任があるかのごとき態度は断じて許せません。 また、今日、財テクブームの状況の中、キャピタルゲインに対する課税は依然として原則非課税のままであります。利子配当所得の総合課税、資産課税の適正化等、私どもの不公平税制の是正にも一切耳をかそうとはしない、これではまさに国民の税制への理解も全く得られません。 反対理由の第二は、所得税減税の減税規模が小さく、国民生活を無視したものであるということです。 今回の所得税減税は、対外経済摩擦の解消あるいは内需拡大を目指す緊急経済対策の一環として行われようとしております。今回の減税規模、内容は、しょせん国の側に立つ論理であり、国民の側に立ては少なくとも二兆円規模の所得税減税は必要であります。例えば最低税率の引き下げがないことは、この所得税減税で何らのメリットをも受けない人が存在するということにとどまらず、マル優廃止による税負担増のみをこうむるのであります。 私どもは、これを到底容認できるものではありません。政府は、速やかに国民の期待に十分こたえ得る二兆円規模の減税を行うべきであります。 反対理由の第三は、この税制改正案提案の不当性についてであります。 政府、なかんずく総理は、今回のマル優廃止を、まず対外的に宣言し、そして国際公約を盾に税制改悪を強行したことは、議会制民主主義を踏みにじるものと言わざるを得ません。衆議院における与野党国対委員長会談で提出しないという約束を踏みにじり、また衆議院の税制改革協議会の合意もなく、所得税減税とマル優廃止をセットで提案したことは、公党間の信義を損なうばかりでなく、減税を条件に、国民的議論のないままマル優廃止を強硬に押し切ろうとすることは断じて認めるわけにまいりません。 私どもは、税制改革における政府のとったこの一連の態度に強く反対するものであります。 以上、同法案に対し主なる反対理由を述べましたが、国民生活の実態を無視し、国民の真の声を聞こうともしない、政府の側からの財政運営のみを優先させようとする今回の改正には、断固反対することを申し述べ、あわせて、社公民三党提出の修正案に対しては当然行われるべき最低限度の措置であることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、所得税法等の一部改正案及び社会、公明、民社三党共同提案の修正案について反対の討論を行います。 第一に、マル優廃止は、売上税と同様、昨年の同時選挙において総理を初め自民党が国民に対して行った公約に明白に違反するものであります。だからこそ、さきの通常国会で列島騒然たる国民の反対運動が巻き起こり、廃案になったばかりであります。 圧倒的な国民の声に逆らって提案されたのが本法案であり、国民主権と議会制民主主義を著しく否定するものにほかならないのであります。 第二に、マル優制度は外国に例がない、貯蓄を優遇し、円高をつくっているなどというマル優廃止の口実は、委員会審議の中ですべて否定され、その根拠がないことがはっきりしたのであります。 第三に、所得税減税についても、最高税率の大幅引き下げに見られるように、金持ち減税の性格を強く持っている点であります。政府は片働きの世帯の例だけをとって、マル優廃止の増税を合わせても、どの家庭も差し引き減税になるかのような印象を与える宣伝をしてきましたが、共働き世帯、独身者の場合など多くの世帯では減税どころか逆に増税となることは政府も認めざるを得なかったのであります。 第四に、マル優廃止の後に直間比率の見直しの名で大型間接税を導入する意図があからさまになっていることであります。 中曽根税制改革は、広く薄く取るという大衆課税の方向を目指すものであり、不平等の拡大、国民大増税への道を進むものであります。 第五に、指摘しなければならないことは、この法案提出の経過が、委員会の審議より、税制協の協議を優先したものだということであります。 もともと税制協は、さきの通常国会で売上税が廃案となった際、直間比率の見直しなどを図る目的でつくられたもので、しかも我が党を排除した私的機関であり、速記録もない秘密会であります。 政府は、その税制協を最大のてことして利用して、この法案を提案したのであります。 自民党は再びこの税制協を再開しようとしておりますが、我が党はこの税制協は直ちに解散すべきことを強く求めるものであります。 最後に、当委員会における審議のあり方についてであります。 参議院では、従来から重要法案には二十日間以上の日数を当て、慎重審議を尽くすことが慣例となっております。しかるに、本案については、本来廃案とすべきものを強引に会期を延長し、実質わずか四日の審議で質疑を打ち切って可決成立させようとしたのであります。このようなやり方は、議会制民主主義のルールを著しく踏み外すものであり、断固として反対するものであります。 なお、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合提出の修正案については、公約違反の原案を前提としたものであり、賛成しがたいことを申し述べて、討論を終わります。(拍手)
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております所得税法等の一部を改正する法律案に反対、社公民三党提出の同法修正案に賛成の討論を行うものであります。 反対する理由の第一は、本案が、売上税廃案の反省を全く生かすことなくしかも政党間の協議を無視したごり押しの結果として生まれたものである点であります。しかもその内容は、今や完全に破綻した税制改革案であり、大型間接税新設を内包する案であるにもかかわらず、一切を国民の目から覆って強引に進められたことは許しがたい暴挙であります。 しかも、我が党が要求した修正、すなわち一般財形を非課税とすること及び六十歳以上の老人等にマル優を存続すること、医療費控除の圧縮を撤回することなどの修正案等については全く受け入れられなかったのであります。納税者国民の苦しみを顧みない冷酷な権力の姿をあらわにした税制改正案と言わなければなりません。 反対する第二の理由は、所得減税の規模が小幅にとどまっている点であります。円高に苦しむ日本経済を立て直し、内需拡大を推進するためには、二兆円規模の減税を実施せよと我々は主張してまいりましたが、政府・自民党は二兆円減税を拒否し、かつ消費を刺激するために税制を活用する道を模索しようとさえしなかったのであります。 反対する第三の理由は、本来の税制改革はマル優の限度額管理強化、株式、土地等のキャピタルゲイン課税、あるいはクロヨンの是正など、執行面も含む税制全般の見直しを出発点とすべきであるにもかかわらず、今回の案は不十分きわまるものであります。所得税の税率構造、法人税のあり方等、将来の税制改革の展望が全く示されていないことも問題であります。 反対する第四の理由は、総合課税の道が閉ざされたことであります。シャウプ勧告に基づいて我が国は原則として総合課税を理想としてまいりましたが、一律二〇%の分離課税という今回の改革は、総合課税を完全に否定し葬り去るものであります。 以上、反対理由を述べるとともに、最後に国民各層の参加を求め、国会での活発な審議を進めることによって、二十一世紀を展望する抜本的税制改革をつくり上げていくことが今後の最重要課題であることを強調いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○委員長(村上正邦君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより所得税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。 まず、赤桐君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 少数と認めます。よって、赤桐君提出の修正案は否決されました。 それでは次に、原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手) この際、多田君から発言を求められておりますので、これを許します。多田省吾君。
○多田省吾君 私は、ただいま可決されました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一、税制改革問題は、現在における最重要課題であることにかんがみ、最近における国際化の進展等社会・経済の著しい変化、高齢化社会の到来等将来の我が国経済・財政の展望を踏まえつつ、国民の理解と信頼に裏付けられた望ましい税制の早期実現のため、鋭意検討を行うこと。 一、利子所得に対する所得税の課税のあり方については、見直し規定の趣旨を踏まえ、今後、制度の施行状況、国民の納税意識の動向の把握に努め、見直しが必要とされる場合には、総合課税への移行問題を含め、遅滞なく対応できるよう努めること。 一、一般の勤労者財産形成貯蓄契約から非課税の対象とされる勤労者財産形成住宅貯蓄契約等への変更については、これが円滑に行われるよう、取扱金融機関及び事業主等に対して適切な指導を行うこと。 一、医療費の支出の実態や医療費控除制度の趣旨を踏まえ、医療費控除のあり方について、適宜適切に検討を行うこと。 一、有価証券譲渡益課税について、本人確認や課税資料の収集のための実効ある制度が不可欠の前提であることに留意しつつ、適正、公平な課税の実現を期し、一層の検討を行うこと。 一、都市中心部に端を発した地価高騰等、現下の土地問題に適切に対応するため、土地政策の総合的な検討の一環として、土地税制についても適正な負担に留意しつつ引き続き検討を行うこと。 一、法人税については、今後の税制改革の一環として、税率及び受取配当益金不算入・賞与引当金制度等の見直しについて引き続き努力するとともに、外国税額控除制度について早急に所要の見直しを行うほか、特別償却・準備金・税額控除等の租税特別措置について一層の整理合理化を推進すること。 一、複雑、困難であり、かつ、高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性、業務の一層の複雑化・国際化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、処通の改善、職場環境の充実及び要員の一層の確保等につき特段の努力を行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(村上正邦君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。 ただいま多田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(村上正邦君) 多数と認めます。よって、多田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
○委員長(村上正邦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時二十六分休憩 —————・————— 午前十一時三十八分開会
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 まず、請願の審査を行います。 第六号大型間接税の導入反対、不公平税制の是正に関する請願外三百八十四件を議題といたします。 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。 これらの請願につきまして理事会で協議いたしました結果を御報告いたします。 第六号大型間接税の導入反対、不公平税制の是正に関する請願外三百八十四件はいずれも保留とすることに意見が一致いたしました。 以上、御報告いたしましたとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(村上正邦君) 次に、継続審査要求に関する件につきましてお諮りいたします。 抵当証券業の規制等に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(村上正邦君) 次に、継続調査要求に関する件につきましてお諮りいたします。 租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(村上正邦君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。 租税及び金融等に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認めます。 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十分散会 —————・—————