大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 321 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/09/10
会議録
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本銀行理事青木昭君を、また明十一日の委員会に税制調査会会長小倉武一君、全国銀行協会連合会会長神谷健一君、主婦連合会事務局長清水鳩子君、日本大学教授吉牟田勲君及び立教大学教授和田八束君、以上五名の方々をそれぞれ参考人として出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(村上正邦君) 次に、所得税法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法、たばこ消費税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法、国税通則法、租税特別措置法等の一部を改正することとし、本法律案を提案いたしました。 以下この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、所得税につきましては、中堅所得者層を中心に負担の軽減及び合理化を行うこととしております。 すなわち、税率構造について最低税率の適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに十六万五千円の配偶者特別控除を設けることとしております。 また、給与所得者につきまして、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、申告によりその超える部分を控除することができることとして、申告納税の道を開くこととしております。 さらに、老年者控除を現行の二倍の水準に引き上げるとともに、公的年金等に対する課税について、老年者年金特別控除及び給与所得控除の適用にかえ、新たに公的年金等控除を設けることとしております。 第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度及び少額公債の利子非課税制度を老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。 また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。 第三に、資産性所得に対する課税を一層適正化する見地から、土地税制及び有価証券の譲渡益課税についてその見直しを行うこととし、土地税制につきまして、所有期間二年以下の土地等の譲渡をした場合の譲渡益に対する重課の特例等を時限的に設けるとともに、所有期間が五年を超える一定の土地等を譲渡した場合の譲渡所得を長期譲渡所得とする等の措置を講ずることとしております。 また、有価証券の譲渡益課税につきましては、先物取引による所得をその課税対象に加えることとしております。 第四に、間接税等につきましては、まず、たばこ消費税につきまして、現行の税負担水準を維持する等の見地から、税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長するとともに、日本たばこ産業株式会社の納期限の特例措置を廃止することとしております。 次に、取引所税につきまして、各種有価証券の先物取引の間の課税の均衡を図る見地から、その税率について所要の見直しを行うこととし、また、有価証券取引税につきましては、各種有価証券間の課税の均衡を図る見地から、転換社債券等の税率を引き上げるとともに、金融の国際化等に配意して、一般の譲渡の場合の株券等の税率を引き下げる等の措置を講ずることとしております。 その他、印紙税につきまして、円建て銀行引受手形に対する負担軽減措置を講ずるほか、登録免許税につきまして、土地に関する所有権の移転登記等に対する負担を一・五倍とすることとしております。 第五に、申告水準の維持、向上を図るため、各種加算税の割合を引き上げることとするほか、所要の措置を講ずることとしております。 また、施行期日につきましては、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、利子課税の改正、給与所得者の特定支出の控除の特例の創設及び公的年金等の課税に関する改正等については昭和六十三年一月一日から施行する等、改正内容に合わせて施行期日を定めております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(村上正邦君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員中村正三郎君から説明を聴取いたします。中村正三郎君。
○衆議院議員(中村正三郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 御承知のように、所得税の減税規模及びいわゆるマル優等の利子課税制度につきましては、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党派の幹事長・書記長間で協議を重ねてまいりました。 本修正は、この協議の際自由民主党から示された提案の趣旨を踏まえ、また、衆議院大蔵委員会での審議をも勘案しつつ行われたものであります。 以下その内容を申し上げますと、第一に、所得税の課税所得金額二百万円以下に適用される税率につきましては、政府原案では三段階とされておりましたが、これを二段階に改めることにいたしました。すなわち、最低税率一〇・五%の適用範囲を百二十万円以下から百五十万円以下に拡大するとともに、一二%の税率の適用範囲を百二十万円を超え百六十万円以下から、百五十万円を超え二百万円以下に引き上げることにしたものであります。 第二に、勤労者財産形成住宅貯蓄契約及び同年金貯蓄契約に基づく元本五百万円までの預貯金等の利子等につきましては、政府原案では三・七五%の税率による源泉分離課税とされておりましたが、これを非課税とすることにしたものであります。 第三に、いわゆるマル優等の利子課税等の改正の実施時期につきましては、政府原案では昭和六十三年一月一日とされておりましたが、これを同年四月一日に延期することにしたものであります。 第四に、利子所得に対する所得税の課税のあり方については、総合課税への移行問題をも含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うことにしたものであります。 その他所要の整理を行うことにしたものであります。 なお、以上の修正の結果、昭和六十二年度における所得税の減税規模は、政府原案の一兆三千億円から一兆五千四百億円になるものとされております。また、衆議院大蔵委員会では、本修正が歳入の減少を伴うものでございますので、内閣の意見を求めましたところ、「政府としては、諸般の事情に照らしてやむを得ないものと考える」旨の意見が開陳されました。 以上が衆議院における修正部分の趣旨であります。
○委員長(村上正邦君) 以上で趣旨説明並びに修正部分の説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 法案の審議と関連して、内需拡大の問題についてお伺いいたしたいと思います。 先ごろの本会議で私は総理に首都を移転するくらいの思い切った政策を立てないと東京の都市機能麻痺は救われませんよというお話を申し上げましたが、機能分散という程度の答弁しか返ってきませんでした。おやめになる直前の総理ですから、これはこの程度しか言えないのかなと思いましたが、次を期待されておる大蔵大臣は、やはり二十一世紀の展望を踏まえた大きな構想をお持ちになるんじゃなかろうか、こう思うんです。 それで実は、国土庁の四全総、これを見ましても多極分散型の国土を形成する、それから東京都の一極集中の是正というふうなことは言っておるんですが、どうも中身になりますと、遷都というのは非常に大きな影響を与えるので、まず経済や行政機構の中で外へ移してもいいようなものだけ移そう、こういうふうな報告でございます。 そこで大蔵大臣、どうでしょう、首都移転というふうな大きな構想を持たないと内需拡大はなかなか大変だと思うし、内需拡大ということだけじゃなくて、二十一世紀を展望する立場で東京をどうするか、こういうことについてのまず大蔵大臣のお考えがあれば承りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましてに、各界で長いこといろいろ議論をされておるところのように見受けておりますが、いかにもこの問題は国民生活に大きな影響を及ぼす問題でありまして、ただ国土政策あるいは経済政策の問題からのみ議論をできない面があるように存じます。 したがって、東京へ一極集中するということ自身には問題があるというところまでは、これは概して国民のコンセンサスがあるということでございましょうから、その東京一極集中ということをなるべく緩和あるいは排除しなければならないということまでは、まずまず大きな国民の合意があると考えてよろしいかと存じますけれども、それを超えますと国民的なやはり合意の形成ということが議論の出発点にならなければならないんではないか。今の議論そのものがそういう形成の過程であるかもしれないと思いますが、一定の方向をまだ示すまでには至っていないのではないかと思います。 この点は御指摘のように、第四次全国総合開発計画において「国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討する。」となっておりますが、実はその前の第三次全国総合開発計画、この中におきましても「政治、行政、経済等我が国の社会システム全般にも大きな影響をもたらすこととなるので、二十一世紀に向けて創造的建設的な議論が国民的規模でなされることが望まれ、これを踏まえて」云々と、既に三全総のときにこういうことを言っておるわけでございますが、四全総におきましてもなおほぼ同様のことについて述べられておりますところを見ますと、国民的な合意というものがまだ十分に形成されていない。それを国民的な議論を踏まえて云々、つまり議論を展開することが大事だと言っておるように思いまして、まだその段階ではないと思います。
○丸谷金保君 大蔵大臣ね、私がお聞きしたいのは、国民的な世論形成に持っていく前に、みんながそう言うんならやるというんじゃなくて、二十一世紀を展望して、これからの指導者は、私はかくあるべきだと思うというものを出していかなきゃならぬ。そうすると、三全総、四全総で言っているように、四全総でも例えば横浜都心臨海部だとか幕張新都心とか、いろんなことを言っています。この四全総程度のこんな構想では、もうどうにもならぬと私は思うんで聞いているんですよ。 例えば第一生命、二、三日前に行って私は直接重役さんと会って聞いてきました。どうして大井松田から軸心をまた丸の内に移したのかと、それはやっぱりアクセスの問題だと言うんです。それでそのとき、うちだけでない、例えば新宿に行った人たちも、やっぱり丸の内に帰ってこなければ仕事にならぬと言っていると。その理由はやっぱりここに政治の中心があるからなんです。ここに政治の中心を置いて、こういう四全総のような考え方で言っても、実際にはそうはならないと私は思うんですよ。ですから、そういう副都心的な中核をつくった新宿からさえもまた丸の内に帰ってくるというような現実の中で、国民の合意の形成とかなんとか大蔵大臣が言っても、経済の論理ではそうはならないんですよ。そうすれば、やはり政治が決断をしていかなければ、とても今の東京の問題というのは解決しない。そういう大局的な見地に立った展望なりお考えをお持ちかどうかと聞いているんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は非常に慎重でなければならないと思いますのは、例えばたくさん例はございませんけれども、ブラジリアといったような例がございます。これは一つの決断が先行して首都移転を試みたわけでございますが、ただいままでのところ、それが成功であったかそうでないかということは、なお即断をするわけにいかないような現状かと思います。 我が国は殊にすぐれて、いわば国民のコンセンサスを重んずる社会でございますので、我が国の場合にはなおそういう意味での合意の形成ということが大事なことではないか。それを無視しまして事を計画いたしましても、ただいま御指摘がありましたように、結果としてはそういうふうになっていかないというような、そういう危険が大変に高いと思いますので、リーダーシップ云々ということもさることながら、そのリーダーシップそのものが合意の形成にまず努めるということでなければならないのではないかというふうに思います。
○丸谷金保君 そういう合意を形成するリーダーシップをとるお考えはございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 合意の形成をやはりいろいろな意味で問題を提起して促進をしていくということは、大事なことであると思います。 ただ、その合意がどのような方向に形成されるかということは、これはあらかじめ予断をすることはできないであろうと思います。
○丸谷金保君 もう少し何といいますか、これじゃどうにもならないということは、東京の間ではもうみんなわかっていることなんです。そこでなお、大変困難なことで慎重にということは、そういう意味での積極的なお考えはないというふうにしか理解できないので、私としては大変残念だと思います。 ただ、それはそういう思い切った手術をやることが内需拡大にも大きくつながる。大蔵大臣は二月のG5で内需拡大のお約束をしてきておりますね。そうして、それは今度の当初予算及び補正予算で具体的な約束を果たしてきた。こういうふうなお考えのようなことが新聞にもたくさん至るところに出ております。にこにこした顔や、大分しかめっ面の顔とか、いろいろな新聞の中で出ておりますが、内需拡大を公約したということだけはどの論調も間違いのないところでございます。 それで、今の予算の中で公共事業中心で内需拡大が果たして本当により実効を上げるだろうか、私はもう甚だ疑問だと思います。例えば政府からいただいた資料によりましても、今度の公共事業の補助事業あるいは直轄事業あわせて東京都内の公共事業のうち一番大きなウエートを持つ都市計画、都市公園、こういうふうなものは土地代金が五割以上なんです。この土地代金は内需拡大には全くつながらないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(角谷正彦君) 確かに、公共事業の中で例えば都計画事業のようなものはかなりの用地費率を要します。ただ、公共事業全体として見ますと、最近におきます土地の割合というのは大体一六%程度でございます。と同時に、今回追加いたしました五兆円の公共事業の追加でございますけれども、これにつきましては、先般の緊急経済対策におきましても「新規用地取得を要しない等速やかな施行が可能であり波及効果の大きな事業を対象とする」ということで、原則として新たな用地取得を伴わないものを対象にして行うということにいたしているわけでございます。 こういう方針に基づきまして、それぞれの事業執行官庁におきまして箇所別配分等を行っており、現段階におきましては、用地費の割合というのはほぼ一%程度にとどまるんではないかというふうに見込まれております。そういった意味では、今回の五兆円の公共事業の追加につきましては相当程度の内需拡大効果があるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 三月にアメリカのウォリス国務次官が日本側のメンバーに、経済構造対話の中で、今のように内需拡大に波及効果を上げる日本人の生活水準を向上するためには、住宅その他の投資を進めるべきだと、土地問題をやり玉に上げてそういうところに金が余計行くようなことでは内需拡大にならぬでないかと、アメリカからもそういう指摘があるわけでございます。 それで、実は先日のやはり本会議で総理に質問したんですが、下水道の問題、下水道なんというのは一番土地の要らない、それから国民の生活に結びつく事業の最たるものだと私は思うんですが、五十九年以降に補助率を下げているので、これが特に地方の小都市や町村においては下水道事業に足踏みさせる大きな原因になっていると申し上げたところが、当時、総理は、いやそれは別に起債その他で見ているから地方財政を圧迫しない、こういう答弁があったんです。本会議はもう行きっ放しですから反論もできませんでしたので、きょう改めて内需拡大と公共事業の、特に下水道事業の問題に絞って御質問したいと思うんです。 実は、起債がその他のところでもって手当てをするから地方財政を圧迫しないというのは、総理は地方財政の仕組みがおわかりにならないのでそういう御答弁になったかと思うんですが、自治省、来ておりますね、起債で手当てをすれば地方財政を圧迫しないことに私はならないと思うんです。といいますのは、総理の恐らくお考えは、その元利償還金は交付税で基準財政需要額の中に入れてみるから圧迫しないんだという伏線で言ったんだと思うんです。しかし、もとの交付税の配分率が変わらない限り、その分を基準財政需要額に見て交付税で手当てをしたとしても、それはどこかにしわ寄せがくるんじゃないんですか、いかがでしょうか。
○説明員(柿本善也君) お答えいたします。 お尋ねのように、補助率カットが行われた場合の下水道等の投資的経費につきましては、補助率カットによる減額の差額につきまして、臨時財政特例債という起債を当年度充てまして仕事をやっていただいているわけでございます。したがって、当年度の事業執行には当然支障は直ちに生じないと思います。その元利償還が当然後年度に生ずるわけでございますが、これの償還につきましては、全額交付税で算入している、これも御承知のとおりでございます。 そうすると、今お尋ねのようにその分だけ原資が余分に要るではないかと、こういうことでございますので、我々もこの補助率カットに関連して地方財政対策を決めるに当たりましては、最終的にはその各年度で地方財政対策を講ずるわけですから、やはりその原因を生じました時点におきまして、できるだけ地方財源の確保をしておきたいということで、臨時財政特例債の発行、元利償還費相当額につきまして、六十一年の補助率カットの場合は、これは三年間の暫定措置でございますが、これにつきましては元利償還費の二分の一、それから六十二年度にさらに一部公共事業が補助率カットがございましたが、これについて今九割、九割というのは交付団体全部ということで、これは交付税措置を通じてやる限り全部ということでございますが、それにつきましてはいわゆるルール外、国税三税のルール外で加算するという約束をしているという形で将来の原資についてもそれなりの措置をした、こういうことでございます。
○丸谷金保君 そういうことをどんなにやってみても枠が一つでしょう。その中でどっちかへ動かすということですわね。昔、そういう例があったんです。消防の一部事務組合をつくると、ほとんどそれは交付税で見てくれる、全国がほとんどそうなったら同じことですよね。特交でもなんでも見るといっても、三二・何%という交付税の配分率が変わらない限り、そうじゃないんですか。
○説明員(柿本善也君) 今最後に、元利償還費の五割なり九割をルール外というふうに申し上げましたのは、国税三税の三二%という交付税の原資のほかに、国の一般会計から加算するということでございまして、国と地方をあわせた場合にはどうなるかわかりませんが、地方としてはその分はともかくふえる約束をいたしておるということでございます。
○丸谷金保君 大蔵省、どなたでも結構ですが、今自治省で言ったように、ルール外で交付税の枠外にそれらの財政措置はするという約束になっておるのですね。
○政府委員(寺村信行君) そのとおりでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、次に自治省ね、起債枠の制限がございますね、これのルール外にもなるんですか。
○説明員(柿本善也君) 起債枠というのが総枠の趣旨でおっしゃっているとすれば、これは当然臨時財政特例債、補助率カットの経緯にかんがみまして、その必要額は全額確保するということで措置しております。
○丸谷金保君 それはそうでなくて、私の言うのは地方自治体の起債限度額というのがございますね。限度額というか、これはまあコンクリートのものでないけれども、二〇%を超えた場合には、これはその制限枠には全額見てもらうんだから入らないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(柿本善也君) 臨時財政特例債の償還費は、交付税で全額算入いたしますので、起債制限比率を計算する場合は、分母、分子から除きますので、それが理由になって起債制限比率が上がることはございません。
○丸谷金保君 そうすると建設省、今全国で下水道事業の普及率は何%になりましたか。
○説明員(斉藤健次郎君) お答えいたします。 昭和六十一年度末の下水処理人口の普及率が三七%というふうに見込まれております。
○丸谷金保君 これは先進国の中では驚くほど低い下水道普及率。しかも人口で今三七%と言われましたが、都市に人口が集中している、そういう中での三七%ですから、全国的に見れば小都市や市町村では問題にならない普及率だと思うんです。町村の普及率はどれくらいですか。
○説明員(斉藤健次郎君) お答えいたします。 同じく六十一年度末の数字で、町村につきましては四%の普及率でございます。
○丸谷金保君 大蔵大臣、これは大都市を含めても大変少ないんです、下水道の普及率。まして町村ではたった四%なんです。今、補助率の差額分は全部見るんだとおっしゃっていますが、これは補助金と違いまして、今までもしばしばそういうことは約束したのが、そのときになってなかなか約束どおり守られなかったり“財政事情等でいろんなことがあるんです。だから、下水道に思い切って財源措置をやりますと、これは国の隅々まで内需拡大につながるし、景気回復になるし、一点集中主義でないものができるんです。これは来年のことになるかもしれませんが、この機会に思い切った下水道事業をそれこそ重点的にやることによって、内需拡大の効果はうんと上がる。大臣が約束してこられたことを目に見えて一番即効的にやれることだと思うんですが、今の質疑を聞いておられておわかりのとおり、大都市を入れても低い普及率、しかも町村なんか四%、これらに対してもっと積極的な財政措置をして、例えば今の補助率の中で、管渠の太さが七十五センチ以下は補助対象にならぬとか、補助率だけでなくて事業費の中で非常に町村の負担が多くなるような問題、たくさんあるんです。 これは建設省、何というんですか、そういう補助単価の内容をもっと町村なんかもやれるような仕組みに直さないと、人口の少ない町村でやろうと思っても、補助対象になる管渠なんというのは、たくさん人の集まっているところの大都市はいいんですよ今の制度でも、同じ制度ではたまったものでないんです、お金も余計かかるし。やっぱりやれ、やるなということなんです、今の制度では。幸い財政的には面倒見てくれるというんだから、あとは内容の問題なんです。そういう中身を直して、全国の下水道事業に公共事業の大半の金が行くようにすれば、アメリカからまでこんな指摘されて、土地に金かかるようなことで内需拡大にならぬなんというアメリカの次官から指摘されるようなことにならないんで、ひとつ思い切ってやってもらいたいと思いますが、そういうときには大臣、大蔵省としては受けられますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 下水道の普及率がいかにも低いということは丸谷委員のおっしゃるとおりでありまして、国際的にもある意味で恥ずかしいようなことだと私も感じております。 先般、補正予算を成立させていただきましたが、その結果といたしまして、今年度の下水道等の生活環境施設の公共事業におけるシェアはたしか一五%から一学に二〇%に上がっておりますが、これは恐らく執行官庁においても同じ意見を持っておられるものと思います。やはりそういう努力は極めて大切だと私も感じております。
○丸谷金保君 じゃ、インフレの問題について日銀にお伺いいたしたいと思います。 澄田日銀総裁がインフレ懸念を非常に心配しながら国際会議の方へ今もおいでになっているということでございますが、その懸念の大きな理由というのはどういうことでございますか。
○参考人(青木昭君) お答えいたします。 日本の物価もことしの四、五月ごろまで大変落ちついておりました。前年比で一割ぐらい下がっているというような状況でございましたけれども、ごく最近になりまして原油が値上がりをいたしますとか、あるいはそのほかの国際商品市況が上がる、それから国内でも一部建設資材の値が少し高くなってきたというようなことがございまして、この六月は卸売物価で前月比〇・五%、七月は〇・九%、かなりのテンポで卸売物価が上がってきたわけでございます。この中にはもちろん特殊要因もございますし、それから我が国全体といたしまして輸入増加の可能性も含めまして、供給余力が相当にあるというようなこともございますし、それから賃金のコストは落ちついておるというようなこともございますので、これまでの物価の落ちつき基調がここへ来て直ちに大きく崩れるような状況になったというふうには思っていないわけでありますけれども、景気がここのところ全体として回復局面に入っておりますし、それからマネーサプライの伸び率も、私どもが中心的な指標として見ておりますM2プラスCDというので見ますと、前年比一〇%以上の伸び率というのが三カ月も続いておるというふうなことで金融が大変緩和した状況にあるわけでございます。 こんなようなことでありますので、物価情勢の先行きにつきましては十分な注意が必要な段階に来ているというふうに今思っております。金融緩和が行き過ぎまして、万が一にも物価の安定が崩れることがないように慎重に見守ってまいりたい、政策運営にもそういうことを心がけてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
○丸谷金保君 そうすると、金融緩和ということもインフレ懸念の大きな理由になっている、マネーサプライの増加というふうな形で、というふうに見ておられるわけですか。
○参考人(青木昭君) マネーサプライがこういうふうに大きな伸びを示しておりますのは、確かに私どもがこれまでずっととってまいりました金融緩和政策のいわば累積的な効果というのがそこにあらわれておるわけでございます。内需の拡大のための基礎的な条件として金融緩和を維持していくということはやはり大事なことでございますし、また為替の安定のためにも金融緩和基調の維持ということが大事でございますので、物価上昇ということになりますと金融緩和が維持できなくなってしまいますから、そういうことがないようにやってまいりたい。これまでの金融緩和基調というものを維持できるような環境を維持していくことが大事だということを考えておるわけであります。
○丸谷金保君 ここへ来て土地投資に対する金融の引き締めということがいろいろ問題になってきておりますが、六十一年の国土の利用に関する報告書、この中で、土地取引の金額二十八兆三千億、六十年度の推計ですが、これの個人に流れる金額二十兆九千億、そしてそれは預貯金や有価証券に三兆六千億で、不動産等の資産の購入、買いかえですね、買いかえというふうなことで約八兆三千億、それから借入金の返済などに五兆八千億、有価証券だとか、それから不動産の購入、こういうところに大きな土地取引の金というのは流れて、これらが実際的な財産形成なり内需拡大とは全く結びつかない傾向にあるという報告がなされておるわけです。 それで、土地高騰とお金の流れとを考えますと、これはやっぱり需要供給の中で土地高騰を抑える手だてがなかなかない、ないというよりもなかったのでこういうことになって、これももちろんインフレ懸念の一つの理由になってきたと思うんですよ。土地高騰がここまで来てしまって今から抑えるというのは非常に遅きに失したと思うんですが、どうして早急なこういうことの手当てができなかったんでしょうか、大蔵大臣。ここまで来てしまって、今政府は慌てていますがね、なぜもっと早くこういうことに対する金融面からの引き締めということができなかったんでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) なぜと言われますと、よって来るところはいろいろあると思いますけれども、やはり基本的には需給関係ということであろうと存じます。金融緩和になりましてもいわゆる工業製品等々が一向に価格変動いたしませんのは、操短をしているくらいですから、十分供給力があるからであろうと思います。しかし、土地等などの一部の商品については供給力というものにおのずから限りがございますから、過剰流動性はえてしてそういうところに行きやすいという性格を持っておると思います。 ただその場合、普通でございますと、普通の需給関係で価格が決まってまいりますが、仮需要というものは当然情勢いかんでは出やすいものでありまして、ともしますと、金融がその仮需要を刺激するということはあることでございます。今回の場合も事情はともかく、結果としてそういうことが起こりつつあると考えましたので、私どもも金融機関に対して、いわゆる投機的な土地取引、仮需要を起こすような土地取引については、ひとつ厳重に金融機関としても自粛をしてもらいたいということを何度か呼びかけました。また、かなり最近は具体的にヒアリングもいたしておりまして、この点は遅まきでございましたけれども、現に効果を上げ始めておると考えております。 しかしながら、基本的になぜということでありますと、基本的な需給関係だけで少しずつ動くことはやむを得ないといたしまして、それが仮需要あるいは投機的な動きを誘発しやすい、そのことには金融もかかわるところがあったと、こういうふうに申し上げるべきかと存じます。
○丸谷金保君 遅まきでも効果上がってきたと。今のお話を聞いておりまして私ふと思ったことがあるんですがね、農業関係の事業でエロージョン防止というのがあるんです、山からこう下がってくるのね。そういうどんどんどんどん土砂が下の方へ来て山が崩れてだんだん丸くなります。何にも手当てしないでそのうち大体そのエロージョンがおさまったころに国の補助事業でエロージョン防止が行われるわけです。まことに効果あるんですよぴったりとまっちゃっているんですからね、そこでやる。それはよそから来た人にこんなに効果が上がったと見せるために、どうしてもそこをやってくれと役所の方から言われて私困ったことがあるんです。これは絶対効果あるんですよ見せるのには、便利のいいところなんで。 ちょうど今の大臣の話を聞いているとそういう話ですよ。大体もう上がるだけ上がって、実需が済んで仮需になって、都心の土地の値段もいいところまで来たと、もう上がる余地も大体なくなったところで土地対策の政策が今行われているんです。それだからこれは、効果がこれから上がるというか、ちょっと私はそういう過去の体験で大変短絡的ですけれども、まさにそんな気がするんです。政府の施策はいつもそんな調子なんです、慎重に。やるときには大体おさまってからなんです。どうですか、やらなくてもいいかげんおさまってきたんじゃないですか。そこでやるんですから、まことに遅まきながら政策はうまくいったと、こういうことになるんじゃないでしょうか、どうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 市場経済というものはそういう意味ではメリットが大きい、デメリットもございますが、メリットの方がやはり大きいと私ども思っていますのは、大変に下世話な言い方をしましたら、いろんなことが市場経済に毎日毎日起こっていて、その一々を私ども知っているわけではございませんけれども、まあ市場経済の中でうまく動いている。何かそれがやや異常なことがあって政府が気がついたころには、実はそれは大体済んでいるといったようなことはしばしばございますが、それはやっぱり市場経済の中でそういう異常を殺す力が働いていくんだと思いますので、私は役所が一々ああだこうだ手をとってしなきゃならぬ経済よりははるかにすぐれていると思っているんでございますけれども、おっしゃいましたようなことはなきにあらずでございます。 ただ、今回のことは、かなり金融機関が自粛を始めたことから、急激に収束に向かっているように見受けますので、エロージョンが済んでから囲いをしたというところまでは思いませんけれども、おっしゃるようなことは時々あることは気がついております。
○丸谷金保君 この問題は、相続税の問題のところで改めてそれとの関連でもう一度土地問題をやりたいと思うんですが、それで今回の税制改革、これは一口で言いますと、非常に全体像が明らかにされてない、こういうことに尽きるのでないかと思います。それで、これは国民が心配しているから時々聞かれるので、またそれでそれに対する返事ができないで困っているんですが、先般の本会議で、赤桐議員の質問に対して総理はこう言っているんですね。売上税は廃案となりましたが、将来直間比率を含む各税制の抜本的段階で考えることであり、我々がこの問題を放棄したのではないと。要するに、売上税を含む直間比率の抜本的改革という中で売上税のような間接税の問題、売上税を含むこれらの問題を放棄したのでないと、そしてさらに政府としては、衆議院議長あっせんに基づく総括的な税制全般の改革を目指して、その入り口として与野党の御協力を得ながら入ろうとしている。したがって、直間比率等の大きな将来の問題については、協議会の御論争を見守りたいと思っておる、こういうふうに答弁しているんです。 だから要するに、これは売上税を含めてですが、間接税導入を放棄したわけでない、こういう答弁をしているので、これはやはりまたやってくるなと、勘ぐる向きは、これでいわゆる直直比率でマル優と所得税の減税をぶっつけて、法人税と間接税、こういう形で次にやってくるのでないか、こういう勘ぐりが非常に多いんです。ここら辺は、総理の答弁を踏まえて大蔵大臣のお考えも改めてお聞きしておきたいと思いますが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本会議で総理大臣が答弁されましたのは、今丸谷委員の言われましたいわゆるあっせんの中に、今後の高齢化社会に対する問題、そしてまた直間比率の見直し等できるだけ早期にこれを実現できるよう云々という部分がございまして、各党はこの議長のあっせんを受けて協議を始められ、まだ継続しておるわけでございますから、総理はこれを言われたものというふうに理解をいたしております。 そこで、丸谷委員が冒頭に、このたびの税制改正というものは将来像がない、政府提案は将来像が見えないと言われましたのはごもっともなことでありまして、通常国会に将来像を含んだ政府提案をいたしましたが、これは廃案となりました。したがいまして、今回はそういう事実にもかんがみまして、当面しなければならない部分だけを国会に御提案をいたした。そういう意味では、確かにそれは将来像を欠いておるのでございますが、これは通常国会での御審議にかんがみまして、政府として意識的に当面の問題だけを御提案を申し上げて御審議を願っておるということでございます。 〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕 そこで、それから先のことをどう考えるかということでございますが、通常国会で申し上げましたように、やはり我が国の所得税あるいは法人税等は、おのおのの理由によりまして、長期にわたって軽減をしていかなければならないものと政府は考えております。その場合に、財政の現状から見ますと、そのような恒久減税に対しては恒久財源を必要とすると考えておりまして、その恒久財源がどのような姿をとるかということは未知数でございます。 その点も、実は衆議院では議長あっせんによりましてこれから御議論をされるということと承知しておりますが、少なくとも、どういう形をとるにせよ、所得税、法人税の相当大幅な減税を将来に向かっていたしますと、そのための何らかの恒久財源が税制の上で必要だ、こういう認識は政府としては持っておる。衆議院議長のあっせんの表現をかりながら総理大臣が答弁されましたのは、そのような意味であると思います。
○丸谷金保君 それで、総理はしばしば議長あっせんによるところの税制改革というのは協議会の推移を見守ると、非常に矛盾していると思いますのは、これは本会議の答弁ですよ、税制改革は急務である旨の御指摘を踏まえて慎重に検討すると言うんですよ。急務のやつを慎重に検討されたのではたまったものではないですね。これは矛盾だとは思いませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 急務であると考えまして、前通常国会に政府の御提案をいたしたわけでございます。あのようないきさつでそれが国会の御意思と合わずに廃案となった。そのことはやはり政府としてはいろいろな意味で反省をしなければならない、現実の出来事でございますので急務であるとは存じつつ、しかしその間の反省はしていかなければならないと、そういうことであろうかと思っています。
○丸谷金保君 それで、その慎重な理由として、協議会の意見を見守りつつと、こういうことになるわけです。ところが、その協議会は、これは衆議院の方でも論議になったようでございますけれども、野党の三党は中間報告の内容については我我は関与するものでないと。したがって、今回の提案についても、これはもう中間報告その他座長の個人的な判断だというふうに野党三党は言っておりますね。そうすると、協議会というのは何だということです。尊重して慎重に意見を見守ると、何にも見守ってないんですね。今度出てきた提案というのは、慎重に推移を見守って無視したんです。協議会は何にもまとまってないですから。そうすると、これらは協議会は関係ないですよね、今度の提案にしろ。 第一ね、私はしばしば思うんですが、諮問機関あるいはこういう協議会というふうなものは、政府が提案する段階ではもはやそれは政府の提案権の責任であってね、答弁をそういうところにすりかえるということは甚だけしからぬと思っているんですよ。それはいろいろなファクターの一つとして意見を聞く、意見を聞かない、都合のいいところだけは聞く、都合の悪いところは聞かない、いろいろなやり方はあるでしょう。しかし、提案をした以上はこれは政府の責任ですよね、これは明らかに、協議会がどう言おうとね。ここのところのけじめをひとつきょうははっきりしていただきたいと思う。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院議長のあっせんに基づきます協議会、共産党以外の各党が参加をされたわけでございます。この協議会をどのように性格づけるかということは、実は政府の申し上げるべきことではないのでございますけれども、政府としましては、衆議院議長の正式のあっせんであり、公党が共産党以外は参加されたということで、これは私の機関ではないというふうに考えております。公の性格を持っておるものというふうに考えざるを得ない。そういうものが現実に成立をして、十二回の議論をやって機能をしておられるということもこれも事実でございますから、政府としては、その事実をそのまま申し上げるということは、決してこれを何かの隠れみのにするあるいは藉口してというような意図ではございません。また、現実にこの協議会がこれからも協議を続けていかれるということになっておりますものですから、この存在というものは公のものとして、政府としてはやはり受け取らざるを得ないというのが政府の立場でございます。 それで、ただいま丸谷委員の言われましたことに関してでございますが、この協議会が二月たちました段階で協議会の座長が報告をされました。この報告は、御指摘のように、座長の個人的な報告であって、協議会に参加をしておられる各党が了承されたものではございません。しかしながら、この報告の中でこういうことが述べられております。次の諸点については協議会が意見の一致を見た。 税制の抜本改革の一環として、中堅サラリーマンの負担軽減に配意しつつ減税を行う。 右の減税の実施に当たっては、恒久財源が確保されることが必要である。 昭和六十二年度において、減税を先行実施する。 これは六十二年度においては恒久財源がなくとも先行すべきだと、こういうことと思いますが、この三つの点については意見の一致を見た。しかし、その他のもろもろの点については意見が対立をしているということが長く書いてございまして、したがいまして、この三つの点に関しての意見一致というのは、恐らくこれは各党側了承の上の報告ではありませんけれども、座長としては事実を述べられたものと考えることができると思います。 したがいまして、政府の立場は、このような各党の御一致を見た点に基づきまして、それらを勘案しながら、六十二年度の所得税のいわば先行減税を御提案をいたしたということでございますが、同時に「右の減税の実施に当たっては、恒久財源が確保されることが必要である。」という点の意見の一致も見ておるわけでございますので、今後の問題としては、やはり恒久財源を政府として探すべきである、あるいはこの協議会でもこの一致に基づいてその御検討をお進めになる、こういうふうに政府としては考えておるということでございます。
○丸谷金保君 この協議会の報告、これは野党三党はあずかり知らぬということでございますから、座長の個人的な見解だ、個人的な報告だ。個人的でも座長が報告したら公的な意味を持つんだ、こう言うのかと思いますが、この中でマル優は全然一致してないんですね。だから、一致した中にはマル優ということは一言も入ってないんです。そうすると、それはあってもなくてもこれに関係なくやることはやるということですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点はまた大変複雑な経緯がございまして、八月の七日に各党の、共産党を除く各党でございますが、与野党の幹事長・書記長会談というものがございました。そこで自民党の幹事長が自民党としての考え方を御提示をいたした。合意があったわけではございませんが、再度八月の二十六日にもう一度そのような会合が開かれまして、結果としてはそこで衆議院の審議が再開をされたということでございます。 その間の経緯はいろいろ政治的な経緯でございますので、政府がかわりまして御説明をすることもいかがかと存じますのですが、二十六日に書記長・幹事長会談がございました結果、事実問題といたしまして、先ほど衆議院の中村大蔵委員会理事が述べられましたような修正案というものが結果といたしまして大蔵委員会に提案をされ、終局的には衆議院の院議として成立をした、そういう経緯が背景になっております。
○丸谷金保君 どうも質問に答えてないので、私がお聞きしているのは、座長のこの中間報告、この中の各党合意にはマル優は二言も入ってないのにどうしてマル優が出てきたと、この報告のことを言っているので、与野党の幹事長・書記長会談は関係ないんですよ。また、これは政府として言うことではないけれども、というまくら言葉で言うことは言わない方がいいですね、言うことではないことを言って、それは答えにならないんですよ。 私の聞いていることは、マル優が合意した中に二言も出てこないのに、どうしてマル優を入れたんですか。だから、それはこの報告で合意しようがしまいが、入れるものは入れるんでしょうと、こういうことを聞いているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、御質問にできるだけ丁寧にお答えを実はしておるつもりなんでございまして、確かにこの税制改革協議会の座長の取りまとめの中で、利子課税についての合意があったとはもとより全く述べられておりません。 〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕 それは丸谷委員の言われるとおりでございます。 しかるところ、先ほど申し上げました八月七日の与野党書記長、幹事長会談において、並びに八月二十六日の同じ会談において自民党の幹事長は、利子課税制度のあり方について、その改組の実施時期は六十三年四月一日であること、それから五年後に見直しを検討すること等々を述べておりまして、これについて、重ね重ね申し上げますが、正式の合意があったと私は申し上げていないんでございます。が、そういう二度にわたる会談の結果、衆議院が審議を再開をして、そうして結果といたしましては大蔵委員会がそういう趣旨の修正を行われ、その上で衆議院の院議が決まったわけでございますから、実は、当時四項目と言われました、自民党の幹事長と各党の書記長との会談の中で、その問題は合意では決してございません。合意ではございませんが、十分に議論されたという経緯はございますものですから、それをそのまま御紹介をしようとしているわけでございます。
○丸谷金保君 大蔵大臣、そうすると税制協議会というのは、これは何なんですか。もう税制協議会の問題を離れて与野党の書記長・幹事長会談で話し合われた、そういうものを踏まえて衆議院の大蔵委員会にこの種の法案が提案されたということになると、もう税制協議会というのは形骸化したということですね。まとまらないから与野党書記長・幹事長会談の方を重く見て御答弁なさっていますわね。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。どうも今の話を聞いていると、私がこの協議会が結論が出ないものを何だと言ったことに対して、大蔵大臣は今度答弁の座軸を移している、こっちへ。ということは、もうこっちはだめだとこういうことですね。こういうことに理解せざるを得ないですよ、今の答弁だと。
○国務大臣(宮澤喜一君) どうもそこらは極めて政治的な出来事でございまして、政府がかわりましてお答えをするのは大変にどうもぐあいがよくないんでございますけれども、私が見ているところを御説明を申し上げるということでお聞き取りをいただきたいのでございますが、税制改革協議会というのが十二回の協議を重ねられて、そして座長報告、これは座長の責任においてなされたものでありますが、の中で一致点と不一致点が述べられた。そういう中でこの与野党間の書記長・幹事長会談が公に少なくとも二度にわたって行われた。ということは、税制改革協議会を形成している与野党のメンバーと書記長・幹事長会談のメンバーとは同じ党でございますので、したがいまして税制改革協議会の討議の経緯を見ながら、その同じ党の責任者であるところの書記長・幹事長が二度の会談を行われたということで、両者は無関係なものではない。税制改革協議会がやはり背景になっておると考えるべきものかと思います。 そこで、その次のお尋ねは、それならばもう税制改革協議会というのは機能をやめたのかというお尋ねについては、私の存じております限りは、税制改革協議会はなお今後にわたって議長のあっせんに示されましたような諸問題について討議を続けられる御意向のようである、そのように私はお見受けをいたしております。
○丸谷金保君 どうもはっきりしないんですけれども、これはもともと参議院は入っていませんからね。これはもう少しこの協議会の性格、あり方、こういうことを詰めるためには、伊東さんですか座長は、そうだったですね、ちょっとここへ出てきて質疑に答えてもらわないと、これは大臣では答えられないですわね、やはり ちょっと委員長、伊東正義衆議院議員、これは公的な機関だそうですから、出席要求に対しては出てくる義務がありますよね、公的な機関という意味を持つと、大蔵大臣は言っているんですから。
○委員長(村上正邦君) 速記をちょっととめてください。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こしてください。 ただいまの丸谷委員の伊東税制改革協議会の取り扱いにつきましては理事会で協議いたします。 質問を続けてください。
○丸谷金保君 理事会の協議を先にしてください。これ続けられないですよ、そういう今の言い分じゃ。
○委員長(村上正邦君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こしてください。
○丸谷金保君 今、聞いてみますと、理事会では伊東正義衆議院議員の出席の問題が議論されて、これは呼ばないことになったと決まっていたんだそうです。私、今聞いたので。そうすると、しかし本来これは理事会で先に論議することはおかしいと思うのです。ここで要求してからの理事会が筋だと思うのですがね。だけれど、そういう論議があったということなのでこれはもうやむを得ないとします。そういうことだそうですから、この問題は……。 もう一つ、これは衆議院で問題になったことですが、どうしても聞いておきたいと思うのは、書記長・幹事長会談等を例に出されておりますが、そうしますと、五月のときに売上税関連法案は臨時国会に提案しないという約束がございましたね。これは総理がしばしば今のマル優問題は当時のと随分変わっているんだから関連じゃないというふうに答弁されておるのです。衆議院でもそういうふうに答弁されておりますが、私はやっぱり納得できないんですね。あれが今度のマル優廃止の問題は関連法案でないと言う、どうして関連法案でないんでしょう。どうしても総理や衆議院の答弁の中身を聞いてもよくわからないんです。あれは関連法案でないんですか。五月の書記長・幹事長会談のときのマル優関連の六法案は臨時国会へ提案しないと言った中にはマル優は入ってないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これも政府から申し上げることでは本来ないと思いますけれども、御説明を申し上げますと、与野党の国対委員長会談というものがございましたときに、これは衆議院の方でございますけれども、そういうことについていろいろ御議論があったということを承知しておりますが、政府は新しいいわば改正法という形でこの提案をしたい、しかもこれは所得税法の一部でございますから、そういうことで御了解を願いたいということがございまして、先ほど申しましたように、二度にわたる書記長・幹事長会談を経て、それについての審議がなされた、こういう経緯であったことを御説明申し上げます。
○丸谷金保君 大蔵大臣は、これを関連法案でないと思っていますかと聞いているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私といたしましては、これは所得税法の一部でございますから、所得税法を御提案をするということが、どう申しますか、許されたという言葉は適当でございませんが、そういうような政治的環境の中で御審議の対象となったということでございますから、その点については所得税法の一部として、しかも前回の実とかなりの変更を加えましたものを各党において、衆議院の方でございますが、御審議を結果としていただけた、御審議の対象となったと、こういうことが事実であると思います。
○丸谷金保君 私、事実関係をこれ聞いているんでないんですよ、大蔵大臣はどう思いますかと聞いているので。というのは、大蔵大臣自身はこうだという考え方が出ませんと、またそれはあっちでこう言った、こっちでこう言ったということになって議論が進まないんです。ですから、これだけはっきりさせておかないと、同僚議員がこの問題をまだやるんですがね、そのことだけ、そしてもうこの次からはどこがどう言ったなんということでなく、私がそう思うということで答弁してもらわないと困るので確認している。
○国務大臣(宮澤喜一君) 各党の間でこれは出さないという約束になっておったではないかとおっしゃいますものですから、それについては御説明を申し上げなければならないと思いましたので、大蔵大臣といたしましては、これは所得税法の改正の一部でございますから当然国会に御審議をお願いいたしたい事案であると考えております。
○丸谷金保君 大臣、質問にお答えいただきたいんですが、私の聞いているのは、もう一回はっきり申し上げますけれども、大蔵大臣は、このマル優廃止法案という所得税の中の一部のこの法案はですよ、マル優廃止というくだりです、これは五月のときに提案していた売上税等の関連法案であると思っているかいないか。ほかがどうこうということでなくて、あなた自身の考えを聞いているので、ちっともそれに答えていただけてないんですけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ね自身が五月のときのとおっしゃいますものですから、その五月のときのというのは、実は各党の国対委がやったことなんでございますね。それは政府が直接に関係していないことでございます。
○丸谷金保君 政府は関係していなくても、関連法案か法案でないかということは、政府が関係しようがしまいが、大蔵大臣としての考え方があってしかるべきでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこで、事実問題としましては、大蔵大臣もその各党間のいろいろなお話し合いには事実問題として拘束をされますので、それでそういうことを申し上げざるを得なかったのですが、政府としてはこれは新しいものとして御提案をいたし、衆議院でも御審議があったのでありますから、当然にこれは政府の提案権に基づいて提案をされたものでございます。
○丸谷金保君 重ねてお伺いします。私の質問に答弁されていないです。私は大蔵大臣が関連法案と思うか思わないかと聞いているので、事実の関係だとか、だれがどう言った、審議がどうなったじゃないんです。あなた自身がどう思っていますかということを聞いているのでね。
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねを整理いたしますと、いわゆる利子課税というのは売上税と関連があるかというお尋ねに換言すれば、それは関係がありません。
○丸谷金保君 わかりました。大蔵大臣は、利子課税の問題は要するに五月に問題になった売上税関連法案とは関係がない、こういうふうにお考えだというふうに確認してよろしゅうございますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) その五月云々というのは政府としてはあずかり知らないと申し上げるしかないわけです、そういうふうにおっしゃいますと。ただ、政党政治でございますから、五月にどういうことがあったということは私も存じております。存じておりますが、それを聞いているのではないとおっしゃいますから、それならそれへのお答えはできないということになります。
○委員長(村上正邦君) 質問を続けてください。
○丸谷金保君 売上税関連法案というのは政府が提案した法案ですよ、そうでしょう、五月の時点でも。売上税関連法案というのは政府が提案した法案ですね。ですから、それと今回のマル優廃止とは関連していないと思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前国会に、政府が御提案いたしましたときには、将来に向かっての税制改革を全部いわば総合いたしました形で御審議を願おうと考えたわけでございます。そういう事実はございました。そういう事実はございましたが、それは廃案となってしまいました。そういう段階で、今の段階で考えまして、所得税の中で利子課税を行うか行わないかということは、売上税というものはもう廃案になってしまったのですから存在いたしません。それとの関連というものは直接的にはないと申し上げざるを得ないと思うのです。
○丸谷金保君 大臣、ちょっとこういうことだけで時間をとりたくない、計算実例をたくさん持っているのであれしたいんですが、ここは非常に大事なところなんで、いいですか、政府が提案したときに施行期日だとかそういうのだけまとめて出したでしょう。それで関連でないんですか。一括して出したでしょう、施行期日その他。これは関連してないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 通常国会におきまして、将来に向かっての税制の抜本改革を御提案いたしました。その中には売上税もあり、また所得税の改正もございました。そういう意味では、政府は全般的な税制改革のそれらをいわば一つのパッケージとして御審議をお願いしようと思いましたので、その段階において両方が関連をいたしておったことは明瞭でございます。しかし、その後に売上税というものはなくなってしまいましたので、今の段階において関連があるかと言えば、関連すべき売上税溝案というものは存在いたしませんから、関連のしようがございません。
○丸谷金保君 そういう何というか、御答弁の仕方を何とかと言いましたよね。 要するに、五月時点では関連法案であったことは認めますね。しかし、それが廃案になったから今は関連法案でないということになりますね。その論理からいいますと、全部関連法案でないということですよ、売上税を出してこようと何を出してこようと。これはみんな関連法案でないということになりませんか。 大変大事なことだし、今大臣は大変重要な御答弁をしていると思うんです。施行期日を一本にして出している、関連法案だということは間違いないんですよ。三党でどう言おうと、四党でどういうふうな話をしようと、政府としては関連法案のはずなんです。そうでしょう。それを廃案になったから関連法案でないという政府見解であるなら、売上税だろうが何だろうが全部関連法案でないじゃないですか。 そうすると、関連法案を出さないなんという、これは政府に関係ないと言えば、政党間の問題として改めて持って帰ってやらなきゃならぬと思うのですが、政府は、そうでない、考え方が違うと。五月時点で提案している間は売上税も関連法案だったけれど、廃案になった途端に関連法案でないんだということになれば、マル優を出しても、関連法案でなきゃ出してもいいということになれば、売上税だろうがその他のあのとき提案したやつも全部廃案になっているんだから、どれを出しても関連法案でないということになりませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともと関連法案である、ないということを政府が申したことはございませんので、したがいまして、関連法案とは何かということは、これは政府にお尋ねがありましてもお答えすることができないわけでございます。 そういうことを言われました方々においてどういうふうに定義をされるのかということでありませんと、政府にその合意について解釈せよと言いましても、政府がかかわっておらないことでございますので、お答えのしようがないと思います。
○丸谷金保君 関連法案だから一括して通常国会では提案したんですね。関連法案でなければ施行期日だけ一括して出せるわけがないですから、これは認めますね。ちょっとはっきり言ってください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 全般的の税制改革の一部をなすものであるという意味ではお互いに関連がございます。
○丸谷金保君 一部をなすことでなくて、一本の法律で出してきたのは、関連したものでなければ一本の法律で出せませんでしょう。それを出してきたのだから、それを関連法案と言わないで何が関連法案なんですか。施行期日を一本にして、わざわざ別な一本立てにして、これを関連法案と言わないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほど申し上げましたとおり、それでよろしいのだと思います。
○丸谷金保君 そうすると関連法案でしょう、間違いなく。それが廃案になったから今出しているのは関連法案でないという政府見解であるなら、それは何でも出せるということで、書記長・幹事長会談、五月の会談で合意した関連法案は次期国会に出さないなんというのは、こんなものはほご紙になっちゃうじゃないですか。そういうことですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこになりますと、これは五月の書記長・幹事長会談でなくて国対委員長会談なんでございますが、それについて解釈を政府にしろとおっしゃいましても、それは政府がやりようがない。
○丸谷金保君 どうも理解できないんですがね、今の御答弁。政府がやりようがないと言いながら、時には書記長・幹事長会談でこうだったから、協議会でこういうことだったからこうだと、そのことを答弁に使わなきゃいいですよ。歯係ないなら関係ないでいいんですが、時には関係あると答弁をし、時には都合が悪くなると、それは我々のあずかり知らぬところだと言うのじゃ、とてもじゃないけれども質疑できません。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政党の間で起こっておりますことを、お尋ねでございますから御説明をせざるを得ないので、本当はこれは政府が申し上げるべきことでないと、申し上げながら御説明をしておるわけでございます。そうでありませんと、殊に他の院で起こりましたことでございますので、他の院にお尋ねでもない限り、政府がかわって起こりましたことを御説明するしか方法がないので、あえて御説明をしておるのでございまして、決して大変気が進んで申し上げておるわけではございません。
○委員長(村上正邦君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。
○丸谷金保君 今の答弁、大変私としては不満ですし納得できませんが、この問題は引き続き次の機会までに十分今の答弁を踏まえて、それぞれ関係方面と打ち合わせをして意見も聞いた上で質問をするということにして、納得できないけれども質問を変えます。 それで、政府は事あるごとに税制改革の基本的な考え方として公平、公正、簡素、選択ということを言ってきておりますが、大蔵大臣もそのように、お考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それらが重要な指針であるというふうに考えております。
○丸谷金保君 それじゃ一つ例を出して、これを公平かどうか判断していただきたいと思います。 キャピタルゲイン、これがなかなか手がつかないでおりますね。その理由の中に名寄せがなかなかできないとか、もうけたり損したりするから把握ができないとかいろんなことを言っておりますね。私は、それはもう大変難しい問題だということは、もともとやる気がないんだというふうに思うんです。なぜならアメリカのような番号制という方法も一つありますわね。それから、完全な名寄せをするという方法もあるんです。これは名寄せはできないことないんです。大体今もう何といいますか、このことについては片仮名で名前を、それから生年月日と住所と性別、それである保険会社でお聞きしたところ、一会社で八百五十万人の契約者の名寄せはこれで完全にできているという、九九・九%できるそうです、漢字にすればもう一〇〇%できるけれども。それから、今の提案されているマル優の場合でもお年寄り、これは残りますわね、六十五歳以上、その他寡婦だとかいろんな問題がありますが、おおよそこれらの人数でも二千万と言われております。これは名寄せできますよね、するだろうと思うんです。名寄せしなければこれだって不正利用が起こりますから当然名寄せをするだろう、それができるんです。 ですから、それらをあれすれば、要するにキャピタルゲイン課税の分だけ名寄せができないという理由は今どこにもないんです。朝霞にマル優でグリーンカードやるときにつくった膨大な施設があるんですよ。あれを活用すればこんなものたやすいものだと思います。あの施設ね、何ぼか使っているけれども、ほとんどどうも聞くところによると全面稼働ということにならぬから、あれを使えばできないことないと思うんですが、しかしまた分離課税という方法も考えられないことはないと思うんです。しかし分離課税をやりますと、これはもう損をした場合にちょっと整合性が持てなくて、政府の方は分離課税をやると損ばっかり出てきて、損の場合の救済ができないというふうな問題もあるかと思うんです。私はもともと総合課税というのが一番税としては正しいと思っておりますので、そういう理念からいっても分離課税というのは整合性がないというふうに考えております。 しかし、大蔵省の皆さん大変頭いいから、あるいはそんな番号制や名寄せをやらないでも分離課税でもやれるんだとお思いになっているかもしらぬが、私は分離課税やれないから、やっぱり名寄せよりないなと、キャピタルゲインの場合も思うんですがね。大蔵省のお考えどうですか、分離課税でもやれるというふうな、どう考えても分離課税じゃどうもうまくいかないんじゃないかと思うんですが、うまくいく方法を考えたことございましたら、この機会に教えていただきたいんです。
○政府委員(水野勝君) キャピタルゲイン課税につきましては従来からいろいろ検討さしていただいているところでございまして、今御指摘のような分離課税的な考え方を御提案される向きもございます。しかし、その場合には今お話しのような損が出た場合との関連とかいろいろやっぱり問題も多い。やっぱり私ども検討するとすれば、本人の把握とともにこれは所得の把握も必要でございます。 そういったものを網羅した完全な総合課税制度といったものがどういう上限、どういう手法でできるか、これは引き続き勉強しているところでございますが、現時点におきましては、完全な番号制度を含めた管理体制についてはなおなかなか国民的な合意が得られる状態にはないのではないか、したがいまして漸進的な解決を図っていく、引き続き勉強をいたしたい。その中の一つとして、御指摘の分離課税制度というのも一つのアイデアではございますが、果たして完全にいけるかどうか、まさに御指摘のような問題点もあり、考えているところでございますが、結論を得たというものではございません。
○丸谷金保君 それじゃ、お年寄りその他マル優存続の方はやはり番号制にしないで名寄せで完全にやっていけるというふうにお思いですね。
○政府委員(日向隆君) 現行の政府案によりますと、老人等についても非課税貯蓄制度が存続されることになります。その場合、およそ対象人員は二千万人弱と見込んでおりますが、これにつきましては私どもといたしましては住所、氏名及び不動の文字である生年月日をキーといたしましてコンピューターによる名寄せを検討しているところでございます。
○丸谷金保君 検討するって、もうこれは法案が施行されれば直ちに実行しなけりゃ、まだ検討ですか。
○政府委員(日向隆君) 法案の実施は来年の四月一日以降と、こう承っております。それに間に合うよう検討する所存でございます。
○丸谷金保君 それに間に合うよう検討する、検討して、やるとかやらないとか決めてから法案出してくださいよ。どうなるかわからないような法案じゃあなた審議できないでしょう。
○政府委員(日向隆君) 先ほど申し上げました方法によりましてやることは決定しております。
○丸谷金保君 決定しているんでしょう、そういうことに。
○政府委員(日向隆君) 仰せのとおりでございます。
○丸谷金保君 ちょっと委員長、今の答弁聞いてどう思います。うその答弁だ。そう思いませんか。ちょっと委員長から少しよく注意してください。
○委員長(村上正邦君) 適切に答弁してください。
○丸谷金保君 あなたはいつも歯切れがいいんだから、もう少し歯切れよくやりなさいよ。人に言うときだけでっかい声出して何だい、ちゃんとやりなさい。あなたは歯切れのいい大きな声出すのが身上でしょう。今の注意の仕方は、何であんなに遠慮した細々とやらなきゃならないの。もう少し大きな声でやってください。
○委員長(村上正邦君) 速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。
○政府委員(日向隆君) 私が申し上げました点で委員長に迷惑をかけたことは大変申しわけないと思っておりますが、私が申し上げましたのは、コンピューターによる名寄せの方法については検討中でございますけれども、コンピューターによる名寄せを実施することについては決定しておりますと、こういうことでございます。
○丸谷金保君 わかりました、それでよく。 それで大臣ね、二千万人のコンピューターによる名寄せはできるんです。生年月日と氏名と性別と住所、ほとんど九九%以上、九九%以上きちっとできるというのは税務行政の中ではすばらしいことですよ。なかなか今それだけの把握のできるのはほかの税の段階でもないんです。一〇〇%なんというのはこれは不可能ですからね。これは九九%できるということは、一〇〇%できるということに近いことなんですよと言っても過言でないと思います。 それで、これが公平と言えるかという、実は記録によりますと昭和六十年十一月に九百九十五円の野村護券の株式が六十二年の四月には五千九百九十円に上昇しているんです。したがって、六十年の十一月に九百九十五円で十九万九千株の野村護券の株を取得する場合には時価が一億九千八百万五千円なんです。これを六十二年四月に一株五千九百九十円のこのときの株価で売却すると、売却価格は十一億九千二百一万円となるんです。そうすると、この売却益は九億九千四百万五千円になります、約十億ですね。これは課税の対象になりますか。
○政府委員(水野勝君) もしその方がこの年におきまして野村というその一銘柄十九万九千株だけをお売りになったということでございましたら、そういう仮定でございますと課税にはなりません。 ただ、その方がいろいろほかにも……
○丸谷金保君 それだけ聞きゃいいんです。課税にならないんですね。いいですか、これが十億もうけても課税にならないでマル優の三百万が課税になる。大蔵大臣、これで公平な税制だと思いますか。
○政府委員(水野勝君) 有価証券の譲渡益課税につきましては、昭和二十八年までは総合課税という建前でございましたが、それの確認方法等にいろいろ問題がある、それからまた、当時の経済情勢等も勘案しまして、原則は非課税にする、しかしその機会にその背後にある担税力に着目して有価証券取引税でもって対処する、そういうことに相なっておることは御承知のとおりでございます。しかし、その中におきましても一定の継続的取引、これはぜひとも申告を願いたいという一定の取引につきましては課税をお願いし、その一定の取引の範囲につきましては、社会経済情勢の推移とともに逐次拡大し、いろんな御批判にこたえるように現在までなってきておるし、また今後とも検討を要する点であるということは先ほども申し上げました。そういう仮定の中の一つの問題であろうかと思います。
○丸谷金保君 私は大蔵大臣に簡単なことを聞いているんですよ。野村の株を買って一年持って十億もうけた人が課税の対象にならない。それでマル優の三百万に課税することが公平と言えますかと、ほかのことを聞いているんじゃないんです。大臣、どう思いますか、これで公平だと言えますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) お答えはこうではないかと思います。ただいま丸谷委員が一つの例を現実にあったものとしてこれに課税がないのはおかしいと言われました。私ども税法をつくり、あるいは税務行政をする立場からいいますと、丸谷氏は大変に正直にその事実を申告をなされた、そうすると課税になる。宮澤は不正直にその事実を言わなかったというときには課税のしようがない。といったようなことは、やはり税務行政としてはよくないわけでございます。今事実としておっしゃいましたが、その事実をまず把握するということが税務行政の基本でございますから、正直な人だけが課税を受けて、黙っている人にはそれが及ばないということはやっぱり行政としてはよくないわけでございますので、そうでございましたら、みんなにそういう事実があることを税務が確認をして公平な行政ができないといけないということを申し上げておるわけでございます。
○丸谷金保君 それを不公平というのでないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) しばしば申し上げておりますのは、キャピタルゲインというものは課税をすべきものだ、しかし、そういう場合にはゲインの出たところ、ロスの出たところ、みんな税務 側でそれがほぼ把握ができまして、その上で皆さんに公平に課税ができるということでございませんと、たまたまわかったことだけが課税をされてしまうということはやっぱり税務行政としては非常に問題が多いという、そういう意味で二十万株であるとか、あるいは何回であるとかいうことで区切っておるわけでございます。 今の十九万云々というのは、二十万株を割っておるではないかとおっしゃったことでございますが、そういう何回とか何十万株ということに区切りましたのは、そうでございませんと、たまたまわかったところだけが課税を受けるというような行政はやはり避けなければいけないと思っておるわけです。
○丸谷金保君 私は、本気でやる気があってキャピタルゲインに対する課税をきちっとやれば、恒久財源としての減税の財源はまだまだあるじゃないか、そういうことをやらないでこの機会にマル優にだけ絞ったということが大変遺憾なのでこの例を挙げたんです。今の大臣の御答弁でもたまたまそういう場合はと言いますけれども、十九万九千株というふうに私が特に挙げたのは、これはまた十万株でもいいんですよ、十万株でもやはり課税の対象にならない、五万株ではなおさらならない。そうしますと、そういう形で課税の対象にならない制度をそのままにしておいて、税制改革というのは制度の改革ですから、これをそのままにこういう不公平なのを、不公平なことはお認めになると思うんです、しかし制度として今の制度ではこれは課税の対象にならないんですよ。それをそのままにしておいて、正直に申告したとかしないとか、した人はかかるけれどもしない人はかからないんだというふうなことは、それは税法上の論理としてそういう御答弁はちょっとおかしいじゃないんですか。正直に申告したらかかる、正直に申告しないとかからない、そんなのは何もキャピタルゲインだけじゃないでしょう。しかし、ほかにはもしそれが発覚した場合に重加算税だとかいろんな問題がありますわね。これも制度としてきちんと取れるようにしておかなきゃならない。それを慎重にとか、難しいとかということでずるずる引っ張ってきている。やる気になればやれるじゃないですか。 政府税調も速やかにキャピタルゲインの問題はやれということを答申していますわね。こういうところをないがしろにして、マル優にだけ焦点を絞るから私たちはやっぱり納得できないんですよ。もっともっと取るところがあるじゃないですか。不公平ということは認めますね、こういうことでは不公平だと。
○国務大臣(宮澤喜一君) そう申し上げているのではありませんで、税法としてはそれは理想的にはすべてのキャピタルゲインは課税すべきで、それも総合課税すべきじゃないかとおっしゃれば、そのことに少しも実は異存はございませんが、現実に今度執行し得る税法ということになりましたら、やはり税務側でもかなりの程度に事実というものをつかめることでございませんと、公平な執行というものはできないわけでございますから、そういうことを申し上げようとしているわけで、体制が整備してまいりますと理想に近づいていかなければならぬのでございますが、今のようなことは、たまたまおっしゃった事実だけを言えば、いかにもそれは片手落ちではないかという印象は、これはもうそのとおりでありますが、それがやられるとすればまんべんなくやれませんと、やはり本当は執行できる税制ということにはならない、こういうことを申し上げようとしているわけです。
○丸谷金保君 執行できる税制になるんじゃないですか、名寄せしてきちんとやれば。例えば、それは損したり得したりしますよ。しかし、ダウ平均が戦後、多少のあれはあったとしても、一貫してずっと上がってきて差し引き差額では必ず株というものの値打ちが上がってきているから、売った買った、損した得したがあっても、差し引き勘定では確実にダウ平均が上がっていっているだけ利益はどこかへ入っているんです。これは間違いないでしょう。だから、差し引きすれば必ず税収としての財源としては大きな財源になることは間違いないんです。それが把握困難だとか、執行ができないというふうなことを理由になおざりにするということは怠慢以外の何物でもないんじゃないですか。こういうところが公平と言いながら不公平な理由なんです。 それからもう一つ、今度は選択です。選択の問題で、今度の利子所得の分離課税は二〇%ですね。ところが、所得税の税率が今度出されている法案で百五十万以下は合わせて全部で一五・五%ですか、一〇・五%ちょうどですから一五・五%ですね。そうしますと、総合課税で申告すれば、二〇%納めても所得の少ない人は四・五%総合課税なら戻りますね、納め過ぎで。どちらをとるかという選択の余地ありましたね。今度はそれないですね。所得の少ない人で定期預金を二百万している。そういうことになりますね、選択の余地がこれはなくなっていませんか。
○政府委員(水野勝君) 今回の改正に当たりましては今御指摘のような国税、地方税合わしての税率一五・五%、その上にこれが一般的な勤労所得者なりの普通の所得税の最低の負担水準、その上に利子所得等があるとすればそのおおむねの水準は二〇%が適正ではないかということでございます。 それからもう一点は、今御指摘の選択の問題でございますが、その点につきましては利子所得の世代を、先ほどのお年寄り、身体障害者、こうした方々、こういう根っことなる勤労性所得を稼得する力が消滅あるいは弱った、そういう方はそもそも利子所得そのものも一定の限度額までは非課税にする。しかし、そうでない方につきましてはマクロ的に勤労性所得の上にある上積みの所得である、そういうことで整理をさしていただいて、片っ方はゼロ、片っ方は二〇ということで大数的に制度的に配分をさしていただいているということでございます。
○丸谷金保君 実は、そういうことになるんでないかと思って随分苦労して、例えば給与所得階級の課税所得の現況の大づかみなものですけれども、調査をしたんです。これによりますと、大体課税所得百五十万以下の人が全体の六割です。これは大蔵省の方でも御存じだと思うんです、六割ですね。細かいことは言いませんが、おたくの方は御存じだと思うんです、国税庁の数字ですから。そうすると、課税所得が百五十万以下の人たちは、例えばその中には百五十万ぎりぎりの人もいますよ、しかし、全課税者の少なくても五割以上の千五百万くらいの人は課税所得が百万以下なんです。この人たちは利子を分離課税でなくて総合課税の道を開いておけば戻し税で戻る道があるんですよ。だから、大半がそういうことにならないだろうという今のお答えは間違いなんです。大半は分離課税でなくて総合課税にすれば、戻し税で戻ってくる道のある人たちなんです。こっちの方が税率が低いんですから、申告すれば還付されるんですよ。こういう道を今度の税制では閉ざしていて何が選択ですか。選択の余地ないんですよ。大臣、選択というけれども、これは選択できないんです、こういう道を閉ざしちゃっている。いかがですか。
○政府委員(水野勝君) その下にございますのが勤労性所得だといたしますと、勤労性所得といたしましては一〇・五%なり一五%なりの課税をお願いをする、その上にある資産性所得としては二〇%のものは何とか御理解をいただけないかということでございます。 それからまた、今回の利子課税は今まで源泉徴収その他でもろもろの課税の制度にはおよそ今まで関係のなかった郵便局にもいろいろ御協力をいただくということ、それから今度は利子の税額、税収入も都道府県と市町村にも課税が新しく始められる。その際には住民税の課税のあり方と関連させますと、還付、そういった事務というのはほとんど技術的に難しい問題になる。今回新しい利子課税が発足いたします際には、そうしたもろもろの技術的な点もございますので、今回はとにかく一律分離課税で大数的に二千万人の方々はゼロ、あとの方は二〇というふうにしてここは出発さしていただくのが、まさに実質的な公平の要請に即するのではないかということで御提案をさしていただいているわけでございます。
○丸谷金保君 今これ選択の余地がなくなったんだろうと言っているんで、公平の問題は先ほどやっているんでね、今度の税制が必ずしも公平でないということはキャピタルゲインに課税をしないということで尽きているんで、一つずつ例を挙げて公平の論議の方へ戻すのなら、またそれだけであしたもう一日くらい時間もらわなきゃならなくなってしまいますので……。 まさに今言われた、今度は簡素ですよ、簡素。今局長さんが御答弁になったように、市町村に五%戻すという、この五%を都道府県にやるということによってこれは簡素でもなくなったんです。公平でなくて、選択の余地じゃなくて、これ簡素でないんですよ。今回のこれはまあ地方税ですから、本来は地方税の方でやってもらうことだと思うんですが、今話が出たんでついでに申し上げますと、この利子所得、五%法人税割から控除するんですよね。そしてこれは本社で一括して控除して、申告の際は都道府県別に課税された利子割額を計算して明細書を提出しなきゃならない、これは大変なんですよ。そうすると、これは別表をつけなきゃならないんです、都道府県ではね。これが今度とういうことになるかというと、これ実例で言いますと、Aという会社が東京に本社があって、法人税割が百万円で利子割が五万円だと、それから埼玉と長野に営業所があってこの法人税割が五十万、五十万で合わせて二百万としますわね、そして利子割が東京で五万円、埼玉で三万円、長野で二万円の十万円としますと、これは今度の法律から言いますと、本社で法人税割の百万から合計の十万円をみんな引いちゃうんですね。間違いございませんね。
○説明員(小川徳洽君) 御指摘のように、利子割め課税されている分につきましては、それを本社で一括控除をするということになっております。
○丸谷金保君 今度はその上で、利子割の都道府県別の明細書を出さなきゃならぬですわね。そうして東京都から五万円の、少ないやつは三万円と二万ずつ埼玉県と長野県に分けなきゃならない、明細書をつけてね。こういうふうに、これは簡素でもなくなったんですよ。大変面倒なんです。これは頭の中で考えているうちはいいですが、実務段階になると今還付の問題でも地方自治体にそういうものをやらせると大変面倒になるので、今回は要するに選択する余地をなくしてやるんだと、こう局長さんおっしゃいましたね、ところが一方ではそういう煩雑な事務を押しつけているんですよ。一方でちゃんとそういう煩雑な事務を押しつけておいて、自治体にそういう煩雑なことをやらせたくないから選択の余地をなくして今回は二〇%でやるんだと、こういうことはちょっとおかしいんじゃないですか。簡素でもないと思うんですよ。
○説明員(小川徳洽君) 法人住民税におきまして、利子割の控除、還付等を行います。その仕組みにつきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。 ただ、現在の仕組みから申しますと、法人住民税を課税する場合におきましては、法人税の方で同様に利子についての所得税分を控除、還付いたしております。したがいまして、地方税の方の法人住民税の課税標準額を計算する段階におきましては、既に控除された残りの法人税額を課税標準とするのではなくて、その課税標準額に既に控除された額を逆に加算をしてそれを法人税割の課税標準額とする、こういうような仕組みをとっておるわけでございます。それが現在の仕組みでございます。 それが、ただいま御質問にありましたように、今度はその作業がなくなりまして、逆に利子割の分の調整の作業が入る。こういう差し引きになってまいっておりますので、トータルの地方団体における事務といたしましては、若干の点は新しい制度でございますから全くないということは申し上げられないわけでございますけれども、トータルの事務としてはそれほどのものではないというふうに私ども理解しておるところでございます。
○丸谷金保君 会社の方は煩雑になりませんか。
○説明員(小川徳洽君) ただいま申し上げましたように、法人住民税の申告でございますから、先ほど申し上げました法人税の方で控除をされた所得税額分の加算措置というのを会社の方でやはりしなければならない。これを、先ほど御説明申し上げましたようにそれはなくなって、そのかわりに逆に新たな法人住民税における控除のための明細書をおつけいただく、こういうことでございます。
○丸谷金保君 それ、今度は前とは変わっているんですよ。利子割の請求事務や精算事務、還付の調整計算もやらなきゃならぬでしょう。今までの法人税割一本のときと同じだなんて本当かい。そんなばかなことはないでしょう。
○説明員(小川徳洽君) ただいま申し上げましたのは、法人が申告をするその段階の問題で御説明をさせていただいております。先ほど全く新しい制度でございますので若干の事務がないわけではないというふうに申し上げましたのは、ただいま御指摘のありましたように、都道府県間調整の問題でございます。各都道府県がそれぞれ控除した額につきまして各都道府県間に割り振るということでお互いに精算をするという仕組み、これは全く新しく入っている制度、まさに御指摘のとおりでございます。 これにつきましては、確かに新しく加わった事務でございますので、私どもといたしましてはこれをできる限り簡素化することといたしまして、都道府県間でお互いに請求額を通知し合った上、現行の地方税法上の財務の仕組みとはちょっと変えまして、それぞれ相殺をした最終結果をお互いに精算すればよい、こういう仕組みをつくらしていただいておるところでございます。
○丸谷金保君 これはやっぱりなかなか大変なんです、ああは言っておりますけれどもね、新しい仕事というのは。会社の数だって、今私は一社だけ例を挙げたけれども、何万、何十万とあるんです。これは還付調整計算やって実際の実務になれば、それがふえただけで大変な、今までの法人税割のあれとは問題にならない事務の煩雑さが出てくることは間違いないんですよ。あなたが今そこで言っているほど簡単なものではないと思うんです。だから、私はその点でも今度の法案は、選択、簡素、公平、要するに挙げていること一つ一つ事実と違うじゃないか。 酒の問題もあるんですが、酒の問題はあれなんで、今までワインやったから、きょうはウイスキーやろうと思ったんですが、ちょっと時間がなくなってきたので前へ進ませていただかざるを得ません。 相続税の問題と固定資産税の問題についてひとつ。 私はかねがね固定資産税の問題につきましては、税金払うときに安い方がいいと頑張って、それから公共事業その他で売るときには高く頑張るような者とは徹底的に論争してきたんです。そんなばかなことは許せない、あくまで公共用の買収も固定資産税の評価額、私の場合には二・五倍という、これは固定資産税の仕組みというのは、評価額は当然安くなっていますから実勢と合わないという面はいろいろな点で均衡、公平はとれているけれども、全体としてやはりいろんな要素からそういうふうになっていますので——というふうなことでもうそれ以上では絶対買わない。どうしてもそれ以上だと言ったら、じゃ固定資産税上げましょうというふうなことで、これは裁判やっても負けるんですがね、五年ぐらいかかって負けるんだけれども、そうやらせてもらいますよと、裁判になったらあなた勝てるから裁判やりなさいというくらいにして固定資産税の問題についてはやってきたんです。ところが、最近東京都は何か固定資産税の評価をかえるとかかえないとかというふうなことをいろいろな角度で、今新聞にも出ております、ここにもあるんですが。 それで、これと相続の問題でひとつ、これは困ったなと思って、相談受けたけれどもどうしたらいいか、ちょっと大蔵省の頭のいい人たちにお聞きしたいと思うんですが、その前に相続税の基礎控除、これの理念をひとつ……。
○政府委員(水野勝君) 相続税の場合におきましても、死亡により相続を開始した場合におきましてすべての方々にそうしたものを課税対象にするというのはいかがか。やっぱり普通の水準と申しますか、通常の水準以上の相続による遺産の取得があった場合におきましてこれを課税対象にさしていただく、これが相続税の課税の趣旨にもまた合うのではないか。また、すべての相続につきまして全部をお願いをするといたしますと、納税者のお手間、課税当局の方の執行の手続等もございます。したがいまして、従来からおおむね一定の水準、一定の割合の相続課税事案になるようなことも念頭に置きながら、一定水準の課税最低限と申しますか基礎控除と申しますか、そういったものを定めさしていただいているところでございます。
○丸谷金保君 これは昭和五十年に改正になって、それから変わってないですね。その間に物価二倍、六十一年度よりもっと今上がっておりますけれども、六十一年度でとってみても土地価格、相続税の一番大きな土地価格は七倍上がっているんです。この間、基礎控除を十数年上げなくてもよかった理由を御説明ください。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、昭和五十年に改正が行われたところでございますが、その当時におきましては、その改正の前の年をとりますと、相続件数と申しますか、相続開始件数の中で課税件数の割合は五%弱でございました。その後、五十年の改正でこれが二%台に落ちましたけれども、その後の地価の動向でございますとか、財産形成の進展でございますとか、そういった点を背景にいたしまして逐次この割合は上がってまいりまして、五十年代後半には五%を超える水準になってきておるところでございます。こうした点を背景といたしまして、税制調査会におきましても相続税につきましては課税最低限の見直しを中心としていろいろ検討すべき旨の指摘がございます。昨年の抜本改革答申におきましてもそれはございますが、昭和六十二年度改正におきましては改正の優先順位と申しますか、そういった点等々からいたしまして、今回は御提案はいたしていないところでございます。
○丸谷金保君 今回はこういうのを御提案していないんですよね。税調では「昭和五十年以来負担水準が据え置かれ、課税件数も急速に増加しているため、経済諸情勢の変化を踏まえ、課税最低限の引上げ、税率構造及び各種控除の見直し等負担の軽減を図るほか、負担の公平を図る見地から、所要の見直し」を行えと、こう言っているのに、これは見送っているんですね。この結果どういうことになっているか。こういう人にどうやってこのお金を払わしたらいいか、ちょっと大臣ね、一つまた実例で申し上げたいと思います。 これはいわゆる千代田区西神田二丁目、ここは路線価格は一平米今百九十六万円なんです。ここで五十坪借地している人がいるんですよ。御承知のように、固定資産税の場合には路線価でやりますけれども、こういうふうなので細かく出ています。税務署ごとに路線価でやっていく。これは公務員で子供一人、三十五歳の障害者なんですよ。この人の評価額は、三・三平米というのは一坪ですから、それが五十坪ですからね、平米単価に対して五十掛ける三・三で、それの借地権は〇・七ですから、そうすると二億二千六百三十八万円になるんです。それから、小規模のちっちゃい住宅ですからこれの軽減でしますと、これが〇・七ありますから、一億五千八百四十六万六千円があるんです、借地権の価額がある。そのかわりこれは建物も古くて、百万円くらいの簿価にしかならないんです。それから、貯金が四百万あるんです。そうすると、総額で一億六千三百四十六万六千円。それから、今度はこれから課税価格は、家族数だとかで引かれますから、相続税の課税価格は一億三千九百四十六万六千円、これから基礎控除の〇・五五、障害者控除を引きますと、相続税の最終額は六千四十万六千円になるんです。ところが、これは家を売れないんですよ、借地だから。借地権つきで売ると言っても、地主がうんと言わないんです。地主の承諾がなかったら売れないんですよね。預金は四百万あるけれども、これはお葬式の代金が、葬式のときのあれが引いてないから、貯金から、三百万ぐらいかかっているやつは、これ引けるんですよね。そうすると、この人に相続税をどうやって払わしたらいいのか。課税はされたけれども、借地で売るわけにはいかないんですよね、地主が承諾しないから。お金はないんです。相続税の基礎控除も上げないで十何年おっ放して、土地税制がこんなように、土地はどんどんどんどん上がるが、固定資産税の評価と違って、税務署の場合の評価はその年その年ですわね、だから同じ路線価といっても固定資産税の場合とはちょっと違うんです。この六千万ね、これは頭抱えているんですよ。いい方法ないですか、こういう場合にどうしたらいいですか。
○政府委員(日向隆君) ただいま委員の計算過程を拝聴しておりまして、おおむねその計算は正しいのではないかと思います。どうやって納付したらいいかということに対しましては、現行制度下におきましては、やはり借地権を処分して納付する以外に方法はないと思います。
○丸谷金保君 それができればいいんですよね。借地権の処分ができないんです、地主がうんと言わなきゃね。家つけて借地権ごと売ろうと思っても、この場合地主の承諾が要るんですよ。これが承諾しないから、どうやったらいいかと聞いているんです。
○政府委員(水野勝君) 相続税につきましても、その納付につきましては即納の方法もございますし、またその事態によりましては延納制度もあるわけでございます。もちろん物納の制度もございますが、今のような借地権のような場合でございますと、なかなか事実上は難しい場合もあろうかと思いますが、延納制度等々の御利用をいただきまして、何とかそういう場合におきましても御納付をお願いをできればと思うわけでございます。
○丸谷金保君 延納できないかと税務署へ相談に行ったそうですよ。そうしたら、延納の場合にも、何というか、一年に幾ら払うとか、計画立てて持ってこいと言われたと言うんですよ。しかし、身障者で計画が立たぬと言うんです。それが、じゃ二十年ね、これが全部あれだと、権利で売れるまで無利息でいつまででも延納してくれますか。
○政府委員(水野勝君) 延納は、それぞれの財産の性質に応じまして十年あるいは十五年という期限もございますし、またもちろん延納の際には利子税はやっぱりお願いをすることになるわけでございます。そこらは十分いろいろ個別のケースに応じまして税務当局も御相談に応じながら、無理のない納付方法なり、計画をおつくりいただければと思うわけでございます。
○丸谷金保君 大臣、相続税の基礎控除を十数年もぶん投げておいて、税調から言われていても、また今度も提案しない。やっぱりそのためにこういうひずみがどんどんできてくるんです。これで大臣、やっぱり公平ですか、今度の提案した税法。公平、公正、簡素、選択、具体的な例を挙げると一つ一つ全部つぶれますでしょう。いかがですか。具体的な問題でないと言えるんですよ。こういうふうに具体的な計算例と具体的な事実をもって申し上げると、これでその人たちにとって、これが公正、公平、簡素、選択、こういうものだというふうに思えると思いますか、この納税者たちにとって。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは先般も申し上げたところでございますけれども、相続税については確かに問題がございます。殊にここに来まして土地の価格が都会地でかなり上昇いたしましたために、今のようなまことにどうも困った例が確かに私は出てきておると思います。実は相続税の体制を何とか考えたいと思いながら、財源等々のことがございまして、今回見送らざるを得なかった。そういう間に土地の上昇というのがまた起こってまいりましたものですから、いよいよどうも問題が難しくなっておりまして、そのことは私どもも十分に認識をいたしております。長い間はっておける問題ではないというふうに考えております。
○丸谷金保君 本当に困っている人たちがどうしようもない。また、私の親戚なんかはしようがないから、東京で家屋敷全部壊して会社にしてマンション建てて、何百年も持っていた土地を放さないで一人息子に譲る、それしかないと。泣き泣き木も切ったりして何とか対応を立てているのもいますよ。立てられる人もいるんですが、またそれはいい方なんです。こういう本当にどうしようもないのがたくさんあるんですから。したがって、私は今回のこの御提案された所得税法の改正、これはもっともっと緊急に公平、公正、簡素、選択の余地のあるようなものに直すべきである、こういうことを申し上げてきょうの質問を終わらせていただきます。
○委員長(村上正邦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 —————・————— 午後一時二十分開会
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、所得税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩出啓典君 今回の所得税法等の一部を改正する法律案につきまして質問いたしたいと思いますが、まず最初に、今回マル優廃止ということが提案されましたことは、衆議院における税制改革協議会の与野党の合意に反するものであると強く抗議をするわけでありますが、それについての大蔵大臣の御見解を承っておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしましては、前国会、通常国会に提出をいたしました際の内容を改めまして、新しいものとして御提案を申し上げたつもりでございますが、その間、ただいま衆議院についての御言及がございましたが、各党書記長・幹事長会談等々の経緯を経まして、政府案について御審議をいただき、なお、けさほど衆議院の大蔵委員会の中村理事から御説明がありましたような修正が行われた。こういう経緯でございまして、いわば衆議院においては各党ともそういう事実を踏んまえまして御審議、修正が行われた、こういうふうに存じております。
○塩出啓典君 先ほどの提案理由の説明の中で今回の法律案の提案の趣旨についてお話があったわけでございますが、特に所得税につきまして今回の法律改正は何を一番大きな目標とされておるのか、これをお伺いをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど提案理由で申し上げたところでございますが、中堅所得者層、ここが一番重税感が強い層でございます。つまり、子女の教育であるとかあるいは住宅ローンの返済であるとかいうことが重なってくる段階で、しかも昇給するたびに高い方の税率へ移っていくというそういうことがございますので、行く行くできるならば実社会に出まして退職するまでの間の期間に余りたくさんの税率の刻みが入らないように、二つぐらいの累進で済ませたいということを将来の目標として考えておりますが、それにまだ至っておりませんが、そういうことを頭に置きながら、税率構造におきまして最低税率の適用の対象の所得の幅をなるべく広げてまいりまして累進を緩和いたしたい、これが一番大きなねらいでございます。
○塩出啓典君 今、大臣が言われたように、いわゆる中堅所得層、だんだん子供も大学へ行くとか、そういうようなところに非常に税金が相対的に重過ぎる、こういう点から税金を下げる。その点には私も賛成でございますが、しかし今回のこの内容を見ますと、むしろ金持ち減税になる、こういうような批判があるわけでありますが、高額所得者への減税がはるかに優遇されておるという感じがするわけでありますが、大蔵省としてはこういう批判に対してはどのようにお考えか、お伺いをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税率構造を緩くし、かつ簡素化いたしてまいりますので、中堅所得者も高額所得者もこれはやはり減税が均てんをいたすことはそのとおりでございます。が、それにいたしましても、なお我が国の高額所得者は、諸外国の高額所得者に比べて、この改正後におきましてもやはりかなり重い負担を背負っているということには変わりがございませんので、一般の減税でございますから高額所得者も均てんはいたしますものの、その後におきましてもなお我が国の高額所得者の負担は相当に高いものであるというふうに考えております。
○塩出啓典君 やはり税金の比較というものは、ただ所得税の税率だけの比較ではなしに、もっと総合的に見ていかなければいけないと思うんでありますが、そういう点から考えて必ずしも我が国はそう税は重くないのではないか、大体各国の税負担率等を見ましても日本の国はかなり低い方である、私はそのように理解をしているわけであります。しかし、非常に高額所得者にとっては諸外国に比べて日本の国はまだまだ高いというのはどういう点から言われるのか、これをお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論といたしますと、我が国の租税負担率は二五あたりでございますか、と思いますが、それ自身は確かに高いとは恐らく申せないかと存じます。ヨーロッパの国々に比べますと平均として高いとは言えないのではないかと思いますが、ただ高額所得者のところはいかにも累進がきつく、最後に向かって上がっていきまして、この部分は高いと申せるのではないか。 政府委員が補足をいたします。
○政府委員(水野勝君) 今回御提案をさしていただいております所得税について申し上げれば、最低税率は一〇・五でございますが最高税率は六〇%を御提案申し上げております。これに住民税が入るわけでございまして、合わせますと七六%でございます。これに対しまして外国等を見ますと、アメリカにおきましては先般のレーガン改革によりまして所得税は二八%というのが最高税率となっております。住民税は一〇%程度でございますので四割弱でございます。イギリスは最高が六〇%、ドイツ五六%、フランスが五八%等でございますので、日本の七六%という数字に比べますと外国の方はかなり低くなっておるわけでございます。 一方、所得税のマクロ的な負担率を見ますと、我が国は地方税を含めまして個人所得に対しましては七%程度でございますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、それぞれ八%から一一%、一二%程度でございますので、マクロとしては低目である。しかし、累進の構造としては外国よりも急なものとなっておる。したがいまして、一般的には負担はほどほどでございますと申しますか、ややマクロでは低目でございますが累進はきつい。これを具体的に外国とさらに比較をしてみますと、日本は六千万円程度を超えますとイギリスをも超えて一番高い限界負担率になっておる、こうした実情でございます。
○塩出啓典君 大蔵省としては、今後の方向としてそういう高額所得者、確かに税率のカーブだけ見ればかなり高いと思うんですが、それを諸外国並みに改めるという長期的な考えは持っておられるのか、これをお伺いします。
○政府委員(水野勝君) 先般、二月の通常国会にお出しいたしました所得税の改正案でございますと、所得税の最高の税率、限界税率は五〇%と置いておったところでございます。これに住民税の一五%を合わせまして六五%、これは当時のフランスの所得税の最高税率とおおむね合わせたところでございましたけれども、その後フランスも最高税率を下げてまいりまして五八%と現在なってございます。この案自体としては先般の通常国会で廃案になっておるところでございますが、全体としての累進のカーブは、所得税について申し上げれば六段階ぐらいにいたす、それから最高税率は五〇%程度と、その中におきましても中堅所得者と申しますか、中堅サラリーマンの方につきましては、先ほど大臣から申し述べましたその限界税率は一つないし二つ程度の適用をもって終わるような税率構造がよろしいのではないか、こういうことで通常国会には御提案申し上げたところでございます。 こうした基本的な考え方といたしましては、なお私どもの頭の中には生きておるところでございますが、具体的に今後どのように進めていくかにつきましては、国会での御審議等も踏まえながら今後検討をしてまいるというところでございます。
○塩出啓典君 中曽根総理も、先般の売上税の審議のとき等に、法人税それから所得税が日本は高い、このような日本を放置しておくと企業はどんどん外国へ行く、個人もまたどんどん外国へ行く、そういう優秀な人材が失われる、だから高額所得者の税金を安くしなきゃならぬということをいろんなところで言われたわけでありますが、そういう日本の国が税金が高過ぎて外国へ逃げた、逃げたというか移住したというような例はあるのかどうか。スウェーデンのテニスの選手が国を離れたとか、私はそういう話は聞いているわけですが、余りにも税金が重過ぎて日本の国から外国へ行ったという話は余り聞いたことはないわけですが、その点、大蔵省はどのような認識をお持ちか、お伺いをいたします。
○政府委員(水野勝君) 我が国はヨーロッパと違いまして、すぐに隣の国と相接しているというところでない島国でございますので、そうした点はヨーロッパとはいろいろな点では同じふうなことは言えないかと思うわけでございますけれども、先ほど申し上げたアメリカを例にとりますと、アメリカは所得税を一五%と二八%の二段階の税率にする、それから法人税の税率も三四%にするということでございまして、現在日本が一番経済的な関係の緊密であるアメリカにおきましてこのような税制改正が行われておるということは、やはり十分留意すべき点ではないかと思うわけでございます。税金のこともあろうかと思いますけれども、企業の海外への進出と申しますか、小会社の設置等の件数はかなりふえてきているところでございます。 そうした点も頭に置きますと、目の先、目前の現時点でどんどん海外に逃避し、空洞化するということは、現実には著しい現象としては起こっておるわけではないわけでございますが、こうしたアメリカを初めとする諸外国の税制はやはり十分念頭に置くべきものではないかと思うわけでございます。
○塩出啓典君 大蔵大臣、アメリカは総合課税、キャピタルゲイン等も番号制で総合課税であるが、我が国は証券投資による譲渡益というものは原則非課税である、あるいは利子配当も分離課税である。そういう点からやっぱり総合的に考えれば、私は必ずしも日本の国がそれほど高いものではないというように見ておるんですね、この点は平行線じゃないかと思うのでありますが、私はそう申し上げたい。 また、たとえ日本の国が少々高くてもやっぱりそれぞれの国にはその国の伝統があるわけですから、日本の国はいわゆる貧富の差がないという、大体第一分位と第五分位の、あるいは一から十の分位に分けた場合にその差が日本の方がアメリカよりも半分ぐらいだと。また、日本の国はそういう上下の差がないということが、ある意味では日本のバイタリティーの因ではないかという指摘もあるわけですね。アメリカ等は工場長は部屋が別だとか、一緒に飯食うのも社員とは別な食堂で飯を食うと。ところが日本の場合は、そういう点では皆一緒に飯を食う。飯を食うことと所得の差はまた違うかもしれませんけれども、いずれにしてもそういう差がないということは、日本の特徴であり、やっぱりいい面もいろいろあるんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、私は決してうんと高額所得者を目のかたきにするわけじゃありませんし、税金は安いにこしたことはないわけですが、日本の国は今非常な財政再建の途上にあるわけですから、そういう点考えれば、国民から見れば余りにも高額所得者の減税が我が国にはあり過ぎる、こういう点は私は賛成はできないとこう思うんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(水野勝君) アメリカにおきましてもキャピタルゲイン課税はいろいろ工夫をしながらやってきてはおるところでございますが、その問題は、結局は累進税率が急な場合にはやっぱりいろんな形でキャピタルゲインを中心といたしまして節税を図る、あるいは逋脱を図る。そういうことからいたしまして、むしろ税率構造そのものをフラットにする、あるいは低くする、そうすることによってむしろキャピタルゲイン課税を中心として難しい把握の問題あるいは逋脱を防ぐ問題を解決する、そういうことからかなりなフラット税率にしたという面もあるようでございます。 我が国におきまして、確かに現在御指摘のように資産課税、キャピタルゲインの課税を中心といたしましていろいろ御指摘がある。御指摘がある中で、世界の中で最も急な累進カーブがあるということ、累進税率を保持っておりますということは、結局勤労所得者の所得だけは確実に累進でもって課税が行われておる。ほかのものもあわせてそういうふうに累進課税をきつくすべきであるということももちろんあるわけでございますけれども、やはり現実の問題としては、勤労所得が一番的確に累進を受けておるという現実もまた大きな問題ではないかと思うわけでございます。アメリカもそうした方向で問題を解決しようとしてきており、我が国におきましても、やはり全体としては累進のカーブをなだらかにする、その中で給与所得者の負担も合理的なものとしていく、そういう大きな方向の中での改正ではないかというふうに考えられるわけでございます。 そうした中におきまして現実に減税額そのものをとったりいたしますと、もちろん高額所得者の方が減税額が多いことは確かでございます。しかし、現在納めていただいている税額もかなり多いわけでございますので、減税額としては大きくなる。しかし、減税率と申しますか、現在納めていただいている部分のうちどのくらいが軽減になるかという軽減割合をとってごらんをいただきますと、これは下の方の低い方の所得者、それから中堅所得者までが圧倒的に軽減割合は高いわけでございまして、そうした意味におきましては、今回は一千万、二千万あたりの方々の軽減割合がむしろやや低くなっているという点がどちらかと言えば気がかりな点でもございます。全体としては、やはり中堅サラリーマンの方々の累進を緩やかにするという方向の中での御提案であるというふうな点は御理解を賜ればと思うわけでございます。
○塩出啓典君 これはどうですかね、非常に物価水準等もどんどん上がって、税率のカーブをやはりなだらかにするというこれも一つの方法ですけれども、今の税率のカーブをずっと右の方へ移動する、これも一つの方法じゃないかと思うんですが、大蔵省としては、そういうなだらかにするよりも、今財政再建の途上ですから、こういう税率のカーブをずっと右の方へ移動するというお考えは検討しなかったのかどうか、お伺いします。
○政府委員(水野勝君) そういうお考えももちろんあるわけでございますし、税制調査会におきましてもそのような御意見があり検討もされたところでございます。しかしながら、所得税の累進税率をとってみますと、やはり勤労性所得を初めといたしまして限界税率は半分、とにかく半分だけはお手元に残る、これがやはり所得税率の限界ではないか、半分はとにかくお手元に残さしていただくということでございます。これが諸外国はほとんど現在そういう方向に大体最高税率は五〇%台になってきておる。我が国はそれに加えまして住民税がございますので、所得税を最高五〇にいたしましても六〇%台の御負担にはなる。しかし、このあたりがやはり勤労意欲、事業意欲といったことから考えますと、所得税といたしましては最高の限界税率はそのあたりがいかがか。 現在の七〇%を、例えば十億円あるいは二十億円を超える部分はやはり七〇%といった方向も御指摘のような方向も考えられるわけでございますが、それはある意味では名目的な制度的なものにもとどまるわけでございますし、所得税の限界税率の本来の姿からいたしますと、やはり五、六〇%あたりのところでとどめるというのが望ましい姿ではないかということから、ずっと右に伸ばすというお考えにつきましては実際にはとられなかったところでございます。
○塩出啓典君 今、日本の国全体の税負担率は諸外国に比べてそれほど高くないと、平均的にはですね、低いと。ところが、高額所得者は非常に高い。そうなると結局、日本の国が諸外国に比べて非常に税率が安い層というのはどのあたりの階層が税率が安いとお考えになるのか、その点どうなんですか。
○政府委員(水野勝君) 基本的には、我が国の所得税の課税最低限がかなり高いというところから始まるのではないかと思うわけでございます。課税最低限以下の所得税負担はこれはゼロでございますから、負担率がゼロの分野が一番課税最低限が世界的に最高の水準にある。したがいまして、課税最低限自体がまず世界で一番幅が広いわけでございますから、その上の税率をいろいろなところに定める、どのように定めるかはまた次の問題としても、課税最低限の水準からいたしまして日本はある意味では下の方の負担水準が割合低目になっておる。それからまた、上の方の限界税率はかなり高いわけでございますから、そういう意味におきまして、日本の所得税の負担の累進は世界的にかなり急カーブであると言えるのではないかと思うわけでございます。 それから、課税最低限の問題の次の問題といたしまして、その次にすぐに適用になる最低税率の問題があるわけでございます。ある意味では、課税最低限が非常に高い場合には、そこから始まる税率というのは相応の水準であっていいという議論もあるわけでございますが、そこは日本の場合はやはり最低税率も一〇・五%というどちらかというと低目の水準で始まっておる。アメリカは先ほど申し上げたように一五でございます。イギリスは課税最低限は非常に低いわけですが、最低税率は二九%から始まる。ドイツが二二%という水準でございます。フランスはやや日本と近いものでございまして、課税最低限は日本よりちょっと低いぐらい、最低税率は五%から始まっている。このようにフランスにおきましては割合下の方の負担率も低いわけでございますが、アメリカ、イギリス、ドイツに比べますと、一つの点は課税最低限の問題、一つの点は最低税率の水準の問題、こうした点からいたしまして、比較的下の方の負担水準というのは、どちらかというと軽い方の部類に属しているのかなという感じでございます。
○塩出啓典君 そうすると、特に課税最低限以下の人たちあるいは非常に低い税率を適用される層、これは一般的に言えば非常に若い世代ですね、それが非常に税率が安いと、そういうお話のようですが、これは我が党も課税最低限をもっと上げろということをずっと主張してきていましたし、そういう所得の低い層にやはり税金安くしろということを実は主張してきたわけであります。 これは私の個人的見解で言えば、やっぱり人生というのは若い人もだんだん最後は年をとっていく、だから若いときの苦労というのは少々苦労があってもやっていけるんじゃないかと思うんですが、だんだんやはり老後が非常に悲惨であるということは、終わりよければすべてよしという言葉があるように、そういう意味でいろいろこれは税金を若い人に重くするという方法がいいのか、あるいは若い世代においていろいろ自分の老後に備えて生命保険とか年金とか貯金とか、そういうものをやはり優遇するとか、いずれにしても自分の一つの人生というか、人生のそのトータルでむしろ若いときに税金を出して年とったときの方が税金が軽いという、そういうような方向も検討すべきではないかなという、これは私の個人的見解で党の見解とは違うわけですけれども、やっぱり税金はどっかが払わないと、税金を払わないならそれにこしたことはないわけですけれども、むしろ考え方としては、私はそういう考え方もあるんじゃないかなというように考えるわけですが、大蔵大臣はどのようにお考えがお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはいろいろ難しい話があるようでございますので、私も正式にこう思うということを申し上げかねているんですが、塩出委員が個人的に思うとおっしゃることの続きで、私も同じようなことを、個人的にと言っては恐縮ですけれども、ちょっと日本は課税最低限があるときに上がり過ぎちゃったんではないかという感じをやっぱり持っております。ですから、こういう世の中になってきますと、社会の共通の費用というのは薄くてもいいからなるべくたくさんの人に持ってもらう方がいいんではないか。若い人は比較的ある意味で生活は楽と言えるんでございましょう恐らく、ひとりでございますから。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 そういうところにも、いろいろ社会の施設、施策は若い人も十分利用しておりますので、それについての対価といいますか負担は、やっぱりもうちょっとしてもらってもいいんじゃないかなという感じを私も実は時々感じるようなことでございます。
○塩出啓典君 それから次に、今回のマル優の廃止の問題でございますが、今日まで中曽根総理大臣がいろんな場所で、マル優というものはどんどん大金持ちにばんばん悪用されているんだ、だからこれに税金を取ることはむしろ社会的な公平を保つんだ、こういうことを言っておるわけでありますが、確かにマル優を悪用しているという例は国税当局の税務調査の結果が時々発表になるわけですけれども、しかし本当に中曽根さんが言うように、ばんばん悪用されておるのかどうか、そのあたり大蔵省としては大体どの程度悪用されているとお考えなのか。資料によりますと、今二百八十兆余の非課税貯蓄等があるようでありますが、どの程度が悪用されているのか、この点はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(日向隆君) 直近の昭和六十事務年度において四万一千六百二十に上る金融機関の全店舗の一一・五%に相当する四千七百八十二店舗についていわゆる源泉調査を実施いたしましたところ、その店舗のベースでございますが、九九。九%の店舗におきましてマル優等の不正利用を把握いたしました。加算税を含めて約四百二十一億円を徴収しているところであります。これをもとに、預金金利六%、追徴期間二年、税率二五%を前提に元本を推計いたしますと約一兆四千億円に上ります。さらにまた、これは大胆な推計でございますが、今の店舗の比率でこれを単純に引き伸ばしますと、不正に利用されているマル優の元本は約十二兆二千二百億円前後というふうに推定されます。
○塩出啓典君 約三百兆に近い中で悪用されているのが大体どの程度でございますか、推定は。
○政府委員(日向隆君) 私が今申し上げましたように、私どものいわゆる源泉調査で把握した計数をもとにいろんな推計を加えますと、不適正に利用されているマル優の元本は約十二兆二千二百億円ということでございます。
○塩出啓典君 これは推定でよくわからないわけですけれども、よしんばそれが悪用されたとしても、これはそれぞれマル優で預金する人は調書をちゃんと国税当局へ送っておるわけですから、そういう意味で、悪用されているのは、悪用する方も悪いけれども、やっぱりそういうものを許してきた税務体制にも私は問題があるんじゃないかと思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
○政府委員(日向隆君) 確かにおっしゃいますとおり、マル優の不正利用を防止することの責任の一端は税務行政当局にございます。これを防ぐためには、まず金融機関の窓口において非課税貯蓄申告書を提出する際における本人確認を適正にやるということと、各種の金融機関の窓口に提出される非課税貯蓄申告書が当該税務署管内を経由して納税地の税務署に送られるわけでございますけれども、この膨大にわたります非課税貯蓄申告書の名寄せを的確に行う、この二つの要件が必要であるわけでございますが、この点について私どもの努力がまだまだ十分でないというのは仰せのとおりでございます。
○塩出啓典君 今回マル優制度が変わりまして、お年寄りの世帯とか母子家庭とかあるいは身障者の御家庭とか、そういうところにはマル優の制度が存続されるわけでありますが、今までの国税当局の姿勢から見れば、またこれが悪用されて新たな不公平を生むんではないか、そういう点を心配するわけですが、この点についてはどうなんでしょうか。
○政府委員(日向隆君) 午前中の私の答弁のときにもちょっと触れましたが、政府案によりますと、非課税貯蓄申告書を提出する資格のある者でございます老人等は約二千万人前後というふうに推計されておりますが、この二千万人前後につきましては、公的書類によりまして本人確認を金融機関の窓口でまず厳正にやっていただく。それを前提にいたしまして、午前中申し上げましたように、これをコンピューターによりまして全国一本に名寄せするということをいたしますれば、私は、現在の政府案の実行の点においては、現行制度よりも私どもの負担も相当軽減されてくるんではないか、かように考えます。 ただ問題は、一つだけ申し上げておきますと、かようなことが適正に行われましてもいわゆる借名の問題は依然として残ろうかと思いますが、この借名の問題につきましても、一億数千万の人が借名をするということを考えました場合と、二千万人前後の人が借名をするということを考えました場合に、その借名のおのずからなる制約なり、あるいは私どもの把握の程度は相当違ってくる、つまり二千万人前後の方がかなり楽になって把握しやすくなりてくると、かように考えております。
○塩出啓典君 その点は、大蔵当局としても不公平が生じないようにひとつ厳正にやっていただきたいと思います。 それから次に、今までのマル優をオーバーしました三五%の分離課税が今回は全部一律に二〇%になるという。これが今までもいろいろ論議になって、わずか三百万しかない人にはばっちり税金を取るのに、一億、二億のそういう預金のある人は逆に三五%が二〇%に軽くなる。こういう点が非常に不公平ではないか。今回の改正が金持ち減税であるという批判を受けるのもこの点にあるわけでありますが、これは今までどおり残しておいてもよかったんじゃないかと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。残したら不都合があるのかどうか、お聞きします。
○政府委員(水野勝君) 今回は、御指摘のように三五%のものも二〇%ということで、一本で対処をさしていただくわけでございますが、ただいま御指摘のような一億円の預金をお持ちになって全部三五だと、そういうような例で御議論をいただくことがあるわけでございますけれども、やはり多額な預金等金融資産をお持ちのお方はまずはフルに非課税貯蓄を御利用になって、そこは無税でございますが、その非課税の範囲を超える場合におきましては、割引債の源泉分離課税制度、現在は一六%でございますが、今回一八%に引き上げる点を御提案申し上げておりますこの一律一六%の源泉分離制度といった御利用もあるわけでございます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 それから、現在の三五%の源泉分離課税制度の利用の実態を拝見いたしますと、これはお金持ちということでなくて、所得階層に応じまして比較的まんべんなく御利用がある。そういった点からいたしますと、高額所得者、高額資産家の方は全部三五だけを利用されておって、それが全部二〇になるということではないのではないか。まず目いっぱいの負担ゼロの御預金を利用される、一六%を御利用になる、それからまた、低額所得者と申しますか、普通の水準の所得者、資産家も三五は割合まんべんなく御利用になっている。こうした点をあわせ考えますと、今回のが金持ち優遇であるという御批判は当たらないのではないか。 また、先程とお話しのございました不正利用の点は、やはりそれだけの預金、資産をお持ちの方がまた不正利用が可能なわけでございますから、そうした点からいたしますと、むしろこれによりまして不正利用もおのずと問題が解決し、そうした人たちからも御負担をいただくということになるという意味におきまして、実質的に公平を確保できる制度ではないかということで御提案を申し上げているところでございます。
○塩出啓典君 三五%を活用している利用の実態は、例えば全国でどの程度とか、そういうのはわかりますか。
○政府委員(水野勝君) 私どもサンプル調査をいたしましたところでは、御利用になっている人員からいたしますと、所得三百万円以下の方が三分の一を占めておられる、次の三百万円で四分の一ぐらいを占めておられる、したがいまして六百万円以上の方々というのは大体四割ぐらいの方である。これは御利用になっている人数の割合でございますが、預金額からいたしますと若干これよりは上の方にシフトいたしておりまして、例えば三百万円以下ということでございますと預金額としては三割は切れる、次の三百万円でも二割は切れるということでございますので、六百万のところで切りますと預金額としては半分以上が上の方に分布している。したがいまして、全くバランスよく分布しているというほどではございませんが、割合に所得に応じまして御利用はそれぞれいただいておるという感じでございます。
○塩出啓典君 この一律二〇%課税をやるとしても、三五%というものをわざわざなくする必要はないんじゃないか。確かに、今言われたように割引債等を買った方がはるかに少ない税金しか取られないわけで、そういう方向に行く人も大半ではないかと思うんですけれどもね。 〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕 わざわざこの三五%をなくするというのは、残しておいては都合が悪いんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) それは三五%という選択を残すということでございますと、一般的な人はそれを選ばれない。選ばれた方だけの問題ではございませんで、結局一律分離なりという制度が、一方におきましては二〇%という分離がある場合には、結局全部の方がそちらを利用される。それがそれぞれ本人確認をし、支払い調書を提出を願うという制度で担保されている場合には三五%を残す意味はあるわけでございますが、そうしたものを今回考えない一律分離課税制度のもとでは、これを残しても御利用になる方はおられなくなる。やはり三五を残すということは、すべて本人確認をし、支払い調書の提出を願って一般的にはそういう制度の適用を受ける、しかしそれを望まない方は三五の方を利用をされる、そういうことになろうかと思うわけでございますので、今回一律分離を御提案申し上げている際には、その点は残すということになりましても御利用はなくなってしまうのではないかという気がするわけでございます。
○塩出啓典君 私は、ある一定のところまでは二〇%、それ以上は結局三五%、こういうことになりますと、結局預金の残高というものをまた管理をしなければならない、これはマル優と一緒になっちゃうと思うんですけれどもね。そういう意味で、税務当局としてはやはり税務行政の簡素化というか、そういうことで結局不公平には日をつぶったんじゃないか、このように理解をしておりますが、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 不公平に目をつぶったと申しますか、これが実質的に公平な課税をお願いできる方策ではないか。今後世の中がどんどん変わり、番号制度なりなんなりでの管理、そうしたものが世の中に問題なく受け入れられ、またそれを可能にするコンピューターシステムも大規模なものが開発されて、おのずと預金額、利子支払い額も明らかにされ、本人も確認され、自然にそれがまた税務当局の方にも資料として届けられる、そういったものが自動的に行われるようなシステムになれば、それはそれで極めて完全な公平な制度であろうかと思いますけれども、そうしたものが現時点におきましてなお受け入れられるような社会情勢にはない。それから、今回初めて郵便局にも課税事務をお願いをする、そしてまた今度初めて課税が実質的に市町村におきましても行われるようになるというもろもろの点を勘案いたしますと、今回、お年寄りは別といたしまして、一般的な利子につきましては二〇%の一律の御負担をいただく、それによって課税も完結するというのが実質的な利子課税のあり方ではないかということで御提案を申し上げたところでございます。
○塩出啓典君 今回の一律二〇%という制度に対して、非常にこれはいわゆる総合課税というシャウプ税制以来の我が国の方向をあきらめるというか、結局こうなりますと架空、仮名、そういうものがすべて罪ではなくなるわけですから、そういう意味で、今回のこの一律二〇%というものが総合課税をあきらめるをいう、そういう方向であるということでこれを非常に問題視しておる学者の方もいるわけでありますが、こういう点は大蔵大臣としてはどうお考えですか、総合課税の方向はもうあきらめるということなのか。
○政府委員(水野勝君) 今回御提案をいたしておりますのは、所得税におきましては、これは基本的に総合課税の原則は浅さしていただいているわけでございます。今回新しく利子課税を見直すこの改正時点に当たりましては、租税特別措置法におきまして、と申しますのは、租税特別措置法というのは当分の間の措置でございます、その租税特別措置法の中の体系で一律分離課税を御提案申し上げておるところでございまして、所得税の基本的な姿としては、基本的な累進総合課税の原則は浅さしていただいてあるわけでございます。 ただ、これだけの今回見直しをさしていただく際は、実質的な公平の点をお願いすることにして租税特別措置法で御提案をさしていただいているというところでございます。
○塩出啓典君 次に、今回配偶者特別控除というものが十六万五千円、これが新設されたわけでありますが、これが所得八百万円以下のみ適用、八百万円以上は適用されないという、こういう点は非常に税が複雑になるんではないか、この点はどのようにお考えでしょうか。八百万円というのは、そこに線を引いた理由は何ですか。
○政府委員(水野勝君) 今回の配偶者特別控除の点も税率改正の点と同じでございますが、中堅サラリーマンの方で、中年になり住宅、教育の問題等々につきまして御負担がふえている、あるいは税の圧迫感の大きな方々を対象に、負担の調整、軽減、合理化をお図りしたいという御提案でございます。 配偶者特別控除で申し上げれば、これが事業所得者との負担のバランスあるいは共稼ぎ世帯との負担のバランス、こうした点からいたしまして、片稼ぎと申しますか、御家庭におられる配偶者の方々につきましても、その所得の稼得への貢献に着目いたしまして、負担の調整を図りたい、そういうことでございます。 〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕 このようにいたしまして、今回の配偶者特別控除も中堅サラリーマンの他の所得者との負担の調整、こうした点が主たる眼目でございますので、そういたしますと、一定の中堅所得者クラスの方方に適用を限定するということが適当ではないかということから、所得制限を付きしていただいているところでございます。
○塩出啓典君 これは税の簡素化という意味から、そういう八百万円以下というようなものはなしにする、そのかわりいわゆる高額所得者の税率を重くする、結果的にはそういうことになっちゃうと思うんですけれども、私はそうすべきじゃないかと思うんですけれども、高額所得者の方の税率を安くしたものですから、またこれまで高額所得者に許すと国民の批判があるんじゃないかという、そういう意味で、所得制限を設けて税金の制度を非常にわかりにくくしておるんじゃないか、私はどうもそのように思うわけですが、この点はどうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) やはり累進税率の緩和という点につきましては、その累進の緩和という観点自体からやはりこれはぜひ必要なことではないか。これは、今回はまだ所得税について申し上げれば六〇%にとどまってございますが、究極的には五〇%あたりが適正ではないかという感じでございますが、いずれにいたしましても累進構造の緩和ということは、これは世帯の類型を問わず、所得の種類を問わず必要なことではないかという観点でございますので、これはこれとして御提案をぜひ申し上げたい。一方、各種の世帯の稼がれている形態に応じました負担の調整というところからいたしますと、先ほどの観点から所得制限をお願いを申し上げたい。 それぞれの観点からいたしますと、こうした仕組みになるわけでございますので御提案を申し上げた次第でございます。
○塩出啓典君 私が言うのは、非常に税金の制度がややこしいから、だから一律にして、そのかわりその分だけ所得税の税率を高くする。そうすれば、結果的には一緒になるんじゃないかな、その点はどうなんですか。余りこういうのを設けると、税金の申告をするにしてもややこしいんじゃないですか。やっぱり簡素という、そういう今回の税制改正の趣旨からいえば、こういうのは非常に複雑である、これはどうですか。
○政府委員(水野勝君) 配偶者特別控除といたしまして新しい制度を御提案申し上げるわけでございますので、確かにこれは従来の制度からいたしますと複雑と申しますか、一つの新しいものをくっつけるわけでございます。御指摘の点はあるわけでございますが、やはりこうした世帯での所得の稼得のあり方について、それにつきましての課税のあり方からいたしますと、こうした制度が適当ではないか。こうした配偶者特別控除という形をとらないで、例えば本人の基礎控除——基礎控除よりも配偶者控除なり扶養控除を高めていく、その金額の方を、そちらの人的控除をむしろ本人の基礎控除よりも大きくするという考え方も御提案は時々あるわけでございますが、やはり人的控除としてはまず一律というのが簡明ではないか。また、御本人よりも家族の人的控除の方が高いというのは、まだちょっと理解もなかなか難しい。しかし、こうした世帯につきまして負担の調整を図る必要はやはりぜひお願いをしたい。そういたしますと、特別控除という形にならざるを得ない。これをさらに徹底いたしますと二分二乗といった方式にもなるのかと思いますけれども、そこまでまいりますと少し負担の変化が大き過ぎる。 そういうことからいたしまして配偶者特別控除という形に落ちついているわけでございますので、そうした点からいたしますと、御指摘のように、問題の解決としてはやや中途半端で複雑な面が出てきているのではないかという御指摘はごもっともな点でございますが、そうした余り徹底しない形での配偶者への配慮ということからしますと、こうした形に落ちついておるわけでございます。
○塩出啓典君 次に、六十一年度は税収面でも二兆四千億余りの自然増収が発生をし、六十二年度においても引き続きそれを上回る官然増収が見込まれておるわけであります。 我が国経済も徐々に回復基調にある、このように言われておるわけでありますが、六十二年度に誌ける自然増収の予想、どの程度の今状況であるのか、これをお伺いいたします。
○政府委員(水野勝君) 六十二年度といたしましては、七月末までの税収が判明をいたしておるところでございます。七月末の税収をそのままの数字でとりますと、去年に比べては一七%の増加となっておるところでございます。 しかし、今年度におきましては、御承知のようにたばこ産業株式会社が納めていただくたばこ消費税が去年までは年二回だったのがことしは年四回になって、その分が七月の分として入ってございますのでかなりその形を押し上げていることになっております。そうしたものを調整いたしますと、一四%の伸びとなってございます。それからまた、これは予算額に対しては二〇・八%でございます。去年の七月の段階では一八%までまいっておりました。したがいまして、去年に比べますと三%弱入るスピードが早くなっておるわけでございます。 こうした点からしますと、税収は予算額に対しましては、現時点におきましては割合好調に推移をしていると言えようかと思うわけでございますが、去年の六十一年度の推移を見ますと、年度当初の数月月間というのは比較的伸びが小さくあるいは横ばいぐらいでございましたが、後半に至りましてかなり大きな伸びを示すようになりまして九%程度の伸びとなり、二兆四千億円の増収が発生したわけでございます。ことしはその裏返しになってございますので、年度当初、現在の時点では割合伸びは大きいわけでございますが、去年の伸びが大きくなり始めた年度半ば、年度後半、これを受けたことしの年度半ばから後半がどうなるかというのは、少しまだ二割程度の進捗割合では、これをもって年度を推計するのはややまだ難しい面がある、よく今後の入りぐあいを見てまいりたいというところでございます。
○塩出啓典君 中曽根総理は、あるいは宮澤大蔵大臣は、今日まで六十五年度特例公債脱却の目標達成の看板はおろさないんですね。最近のこういう税収動向、さらにはNTT株売却益等から、六十五年度特例公債脱却に自信をのぞかせているような発言もされているようでありますが、六十三年度予算の概算要求が締め切られ予算編成も本格化する今の段階で、この目標をおろすつもりはないのかどうかお伺いします。 また、そうなりますと、六十五年度特例公債脱却のためには、これから毎年度均等に赤字国債を減らすとすれば、六十三年度においては一兆六千六百億円の特例公債発行減額が必要になるわけでありますが、これを実行できるのかどうか、これをお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) NTT株の売却代金を社会資本整備に使いますことにつきましては、先般法案をお認めをいただいたわけでございまして、これが制度として何年間がこれから働いてまいりますと、かなりの程度に公共事業の水準を押し上げていくことができますし、地方の活性化にもつながるという要素がございますので、これは経済の正常化、あるいはひいては、租税収入にも好影響があるであろうと考えることができます。他方で日前の税収の問題は、ただいま主税局長が申し上げましたように決して悪くはございませんけれども、これはただ六十一年度の税収とは、多少やはり六十一年度の場合にはいわば一遍限りといったような反復しないような原因で税収がふえた感じがございますし、それから今のところは前年同期比で申しておりますために、前年の最初は非常に低うございますから、その同期比が高くても実は将来必ずしも楽観ができないということを今局長が申し上げたわけでございます、といったようなこともございます。 ただ、諸般の事情から、我が国の経済事情がやや好転しつつあるといったようなことを考えますと、この六十五年特例債依存体質からの脱却というのは必ずしも望みがないわけではない。これは経済の運営いかんだという、いっときはと申しますか、よく国会などでも到底これは現実的でないと言って御批判がありまして大変厳しゅうございますが、まあしかし、というようなことを申し上げてまいりました。その点はえらい変わったわけではございませんのですけれども、多少全体が好転をしつつございますものですから、一生懸命この努力をやっぱりすべきではないかという気持ちを持っております。 かたがた、まだかなり時間もございますものですから、万々一これを変えなきゃならないというときには、そのときの国の内外の情勢というものを考えて新しい目標をどうするか、かなり真剣に現実的にそれを考えなきゃなりませんが、いずれにしてもそれはまだまだ早過ぎることでもございますので、この目標をひとつ精いっぱい達成する努力をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○塩出啓典君 ことし、今審議しておりますこの税制改革法案によりまして増減税が幾らになるのか、これをお聞きしたいと思います。増税が幾らか、減税が幾らか。特に増税であるマル優につきましては、その利子が発生をいたしましても、これが税収として入ってくるのにはタイムラグがあると思うのでありますが、そういうものを除いて今度の税制改正が平年度化した場合に、増税、減税はどの程度になるのか、これはわかりますでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 今回御提案申し上げております所得税、現在の姿でございますと、六十二年度分といたしましては一兆五千四百億円でございますが、これは平年度これよりは若干減るところではございますが、おおむねこの水準は余り変わらないものと思われます。 一方、今回もいろいろ御提案しております有価証券取引税の見直し、登録免許税の課税標準の見直し、こういったものは増収を生ずる改正でございますが、こうしたものは平年度的なもので見ますとおおむね五千億弱でございます。それから大口と申しますか、大きな収入の上がりますものは利子でございますが、これは国税、地方税合わせまして平年度化いたしますと一兆六千億、このうち国分としては一兆弱というふうに見込まれるところでございます。ただ、この点につきましてはただいまお話もございましたように、金融商品はかなり期間の長いものがございます。極端な場合には郵便貯金の定額貯金は十年というものがございます。一方、定期預金等は三カ月物からあるわけでございますので、おおむね五、六年ぐらいで大方平年度的効果があらわれるのではないかと思いますが、いずれにしましても、そうした最終的な姿で推計いたしますと、利子としては一兆弱、それからその他のもろもろのものといたしまして五千億弱のものを今回御提案申し上げているというところでございます。
○塩出啓典君 今回の利子課税強化の中には、いわゆる金融類似商品課税、例えば抵当証券とか金貯蓄口座あるいは一時払いの養老保険等の収益など、今までは雑所得とか一時所得とされたものがこれから二〇%の一律分離課税の対象になるわけですが、そういう点の税収はどうなるんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) おおむね平年度七百億円程度かと見込まれるところで。ございます。
○塩出啓典君 そうしますと、今回の増減税は、平年度化した場合に、減税の方に地方税の方を入れれば大体増減税は一緒であると、そのように理解していいわけですか。
○政府委員(水野勝君) 先ほども申し上げました有価証券取引税の税率の見直し等も入ってございますし、登録免許税の課税標準の見直しも含めて全部を単純に合わせますとおおむね見合う程度のものにはなるわけでございますが、例えば登録免許税でございますと、これは現在の課税標準の状況、これは固定資産税の評価額をいただいているその水準が実際の地価の水準と比べていかがかと、登録免許税の課税標準のあり方としてはいかがかということから、二年間の措置として当面倒提案をさしていただいているところでございます。また、有価証券取引税も万分の五十五を五十に下げることを御提案申し上げておりますが、これは二年後から下げる、実際に適用を御提案申し上げておる。そうしたものをすべてただ単純に合計をいたしますと、そういう数字だということでございます。 今後所得税といたしましては一兆五千億、住民税合わせて二兆を超えるもの、これはもう恒久的に永続する減税でございますが、これに見合うものとして申し上げたものの方は、これは期限がついていたり、施行が延期されていたりしているもの、こうしたものも何でも単純に合計したものでございますから、見合っているということになりますと厳密な意味では難しい問題でございますし、また利子の点につきましては、先ほど御指摘のように、これがそのままの金額として実現いたしますのは六年後ぐらいでございますから、そうした点では私ども歳出歳入を見合った形のものとして恒久的に確保するということからいたしますと、ややそこまでいってない、厳しい状況にあると申し上げなければいけないと思うわけでございます。
○塩出啓典君 そういう点考えますと、余り減税、減税と言っても、一方ではちゃんと取られて余り減税になってないわけですね。本来、今の税の制度では、累進性の制度においては、特に所得税等は年とともに税金は重くなるわけですから、だから物価調整減税というか、ある種のやはり減税というものは常にやっていかなければいけないんじゃないか。特に去年、ことしあたり大幅な自然増収、これはある意味では税の取り過ぎですから、そういう点から見ると、今回の減税幅は非常に少ないんじゃないかと思う。もうちょっとやはり物価調整減税の意味も含めて減税すべきじゃないかと、その点はどうですか。
○政府委員(水野勝君) これはやはり国税としては一兆五千億、住民税合わせますと二兆円という減税規模は、今までの減税の歴史の中でも最大のものでございます。一方また、確かにいろいろ合計しますとそれに見合うものが出ているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、利子がその金額だけ増収になりますのは六年後ぐらい。それから、その他のものとしていろいろお願いしておりますのは、土地の関係でございますとか、有価証券取引税でございますとか、そういう関係でございますから、やはりそうしますと、二兆円なり一兆五千億の減税という減税は、ことしあるいは来年度あたりをとれば、これはもうほとんどがネットの、一般的にはネットの減税としてその適用を受けていただくことができるのではないかと考えておるところでございます。
○塩出啓典君 次に、六十二年度の予算は廃案となった売上税を前提として編成をされておるわけでありますが、売上税相当額は、総理府、これは防衛庁も含むわけでありますが、二百四十三億円、建設省二百八億円、農林水産省は百三十九億円、文部省は百一十九億円、このように事業官庁と言われる官庁ほど多いようでありますが、合計八百六十七億円が売上税導入による歳出増加額として見込まれていたわけでありますが、売上税が廃案となった現在、これは不用額になるわけでありますが、これはどうされるのかお伺いをいたします。
○政府委員(寺村信行君) 六十二年度の一般会計歳出予算におきまして売上税が課税されます物品、サービスに係ります売上税相当額は、ただいま委員御指摘のとおり八百六十七億円でございます。売上税法案が廃案となった事実を踏まえまして、次の予算補正の機会にこの点は手直しをいたしたいと考えております。
○塩出啓典君 次に、今回の医療費控除の足切り限度額の引き上げについてお尋ねをいたします。 確定申告による還付件数が最近非常に増加をしておるようでありますが、そういう点から今回五万円を十万円に改正しようとしておる。これは昭和五十年に十万円から五万円になったものを、今回は逆方向に十万円にする。こういうことでございますが、これに伴う増収は幾らなのか、またこれを行う理由は何なのか、これをお伺いしたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 今回御提案申し上げております医療費控除の足切りの見直しによりますところの増収額は約百億円と見込まれるところでございます。この足切り額は、御承知のように医療費控除、医療費といった支出につきましては、これが普通の水準と申しますか、一般的な支出でございましたら、これは基礎控除その他の人的控除の中で配慮をさしていただく、それが普通の水準を超えて支出される場合には、その方の担税力にやはり響くわけでございますので、そうした場合の担税力の減少要因に対しまして、医療費控除として税制上配慮をしようというものでございます。したがいまして、医療費支出が全体としてどの程度の水準で推移し、その中で特に担税力減殺という観点から配慮すべき水準はいかがな水準かという観点から検討をさしていただいているところでございます。 御指摘のように、現在の五万円は昭和五十年度に決められた数字でございますが、このあたりの近くの支出の水準を見ますと、昭和四十八年、四十九年あたりは三万円から四万円程度が一人当たりと申しますか、一世帯の支出水準でございました。当時これを若干上回る水準として五万円とさしていただいたところでございます。現在の医療費の水準、支出の動向は大体八万円程度という数字をいただいておるところでございますので、当時の五万円を決めていただいたあたりの水準から勘案いたしまして、今回十万円ということで御提案をさしていただき、これによって普通以上の医療費を御負担になった御家計の負担で担税力の減殺に対して配慮いたしたい、こういうことから御提案を申し上げているところでございます。
○塩出啓典君 今、売上税の不用になった額が八百六十七億円もあるわけですから、だから医療費控除による増収額が百億円、私はやっぱり国民の皆さんがそういう医療費控除を受けるということは、一つは税務署との関係を深くし、国民に税を理解していただく一つのチャンスでもありますし、またやっぱり人間というのは順調なときはいいわけですが、病気をするとかそういう調子の悪いときこそ政治の手当てが必要であるわけでありまして、そういう点で医療費控除の十万の足切りは五万円にもとに返すべきじゃないか。こういうお考えはありませんか。
○政府委員(水野勝君) 税務署への申告されている状況からいたしますと、還付申告者は別といたしまして、申告されている方々で医療費控除を御利用になっている方、これは当時、昭和五十年の五万円を決めさしていただいたときは、二十万人台でございましたが、現在は百十万人ぐらいの方がこれを御利用をいただいていもところでございまして、今お話しの税務署との接触と申しますか、そういった点では五倍ぐらいのお方が御利用をいただき、接触をさしていただいているところでございます。これは納税申告をされた方々の数字でございまして、還付申告、現在約六百五十万人の方の還付申告があるわけでございますが、おおむねその二割から三割ぐらいの方が医療費控除の関係の方ではないかと推計をされるところでございます。 こうした数字からいたしますと、現在百四十万人ぐらいの方が還付申告として医療費を申告しておられる。したがいまして、合わせますと二百五十万人ぐらいの方が御利用をいただき、税務署との接触の機会をいただいているところでございます。これは十年前の五十年当時と比べると、恐らく五倍ぐらいの件数になっているのではないかと思うわけでございます。 税務署の手数とかそういった観点から、この制度を議論するということは必ずしも適当ではないと考えますが、あくまでこの制度の趣旨から考えるべきものであると思いますが、現実にはその程度に幅広く御利用をいただいているところでございます。
○塩出啓典君 これは五万円を十万円にすれば申告する人が数が減って、税務署の手間が省ける。こういうことは今のお話では余り考えていないと、それは余り差はないわけでございますか。
○政府委員(水野勝君) これはやはり五万円が十万円になりますと、約二割ぐらいの方は減るのではないかという、こうした大ざっぱな見込みでございます。
○塩出啓典君 二割ぐらい減ることによって、税務署の定員は何人分ぐらい得するわけですか。
○政府委員(日向隆君) 突然のお尋ねでございますので、今確たる計数を持っておりませんが、ただいま聞きましたところによりますと、十四人程度ということでございます。
○塩出啓典君 これは非常に国民の皆さんの身近なところにある税制でございまして、余りこういうものをたかだかと言ったら悪いですけれども、百億円の税収ですから、しかも十四人ぐらいであれば、やっぱりこれは国民と税務署との接触を多くする、こういうプラスアルファのメリットもあるのじゃないか。そういう点でひとつ大蔵大臣の英断によって、これはもとの五万円にするように検討してもらいたい。このお考えはありませんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、一般的に納税者が必要とされる経費、支出は、基礎控除あるいはいろいろな人的控除によってカバーをするというのが原則でございますが、そういう原則に立って普通平均以上にある種の経費がかかったという場合には、特別にそれを控除するという考え方が基本でございますので、何が平均以上かということにやはりなってまいろうと思います。 五万円という水準は、昭和五十年に決めておりますのですが、最近は医療費の平均が八万円になってきたと申しますから、やはりそうしますと五万円ではその平均より下になっているわけなんでして、まあ八万円が平均であれば十万円ぐらいを超えるものというのは、十年余りの改定でございますから、私は適当なのではなかろうかと思うんでございますが。
○塩出啓典君 それから、今回年金に対する課税が見直されておるというのも大きなポイントになっております。今まで給与収入と同じ扱いを受けて給与所得控除があったわけでありますが、これがなくなって、かわりに公的年金等控除、そのようになっておるわけでありますが、今回の改正によりまして、今まで年金を受けている方の収入が、あるいは課税が改正前と改正後ほどのような状況であるのか、課税強化にはなっていないのかどうか、その点をお伺いします。
○政府委員(水野勝君) 今回、御提案を申し上げております改正は、給与所得控除、老齢者年金特別控除にかえまして公的年金等控除と、それから老齢者控除の二倍引き上げ、これによりまして対処をさせていただきまして、年金に対しましての課税のあり方としてその合理化を図り、あわせて負担の軽減をさしていただいているところでございます。 したがいまして、ただいまお話しの課税の変化によりますれば、これはそれぞれ負担は軽減になっておるところでございます。 六十五歳以上のお二人の夫婦の家庭での例えば年金収入三百万円でございますと、現在は四万円の御負担、これが一万八千円程度、四五%ぐらいが軽減をされるということになって、二万二千円ぐらいの御負担になる、こうした姿でございます。
○塩出啓典君 まあ今までよりは税金においては安くなる、こういうことでございますが、ところが今の制度を見ますと、いわゆる六十五歳未満の方の課税最低限が六十五歳以上の方に比べて極端に低いわけであります。現在の日本の社会を見ましても、六十歳定年制がかなり定着をしてきておるわけでありまして、そういう中で六十歳で退職した後六十五歳までこの課税最低限が非常に大きく落ち込むということは社会政策の面からも不合理だと思いますが、まあ年金が通常六十五歳から支給されるから税制がそれに合っているんだと言えばそれまでですが、政策面から見るとこれは是正すべきではないかと思いますが、大蔵省としては御見解はどうでしょうか。
○政府委員(水野勝君) ただいま御指摘のように、老人福祉法におきますところの福祉の措置、老齢基礎年金等国の老人福祉についての制度、こういったものを勘案し、それとの整合性から六十五歳ということを使わしていただいているところでございます。 問題の課税最低限をとりますと、現在は六十五歳の上と下では二百四十一万円と百二十八万円というふうな差になっておりますが、今回の御提案申し上げております改正によりますれば、六十五歳未満の方についてはこれが二四%程度引き上げとなり百五十九万円、六十五歳以上の方については一二%程度の引き上げで二百六十九万円になる。引き上げ率としては倍の引き上げでもって、六十五歳未満の方への配慮を申し上げているところでございます。
○塩出啓典君 この面については、今後ともさらに充実するように努力をお願いをいたします。 それから、今回のマル優廃止に伴って、日本の貯蓄率がどうなるのか。アメリカは、日本の貯蓄率が高いということはマル優制度に関係があるのではないか、このように主張しておるわけでありますが、しかしこれは、特に我が国の場合は年金制度等に信頼性がないという点もあって、この貯蓄率というものは、現在多少大きな方向としては数年前に比べれば低下の傾向にはありますが、そう変更はないんではないか、こういうように言われているわけですが、大蔵省としてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 今回の利子課税制度の見直しが貯蓄との関連でどのような影響がもたらされるかということにつきましては、従来からマクロ的な貯蓄水準といったものと課税の方式との関連についていろいろ検討も行われているところでございますけれども、おおむね今までの一般的な考え方からで申し上げますと、実証的にその間に明確な相関関係を見出すことは困難ではないかというのが税制調査会の答申でございますし、またもろもろの分析等によりましても、そうしたことが述べられているところでございます。 今回、特にこの利子課税の改正が貯蓄率に影響をもたらせようという考え方からお願いをしているわけではございませんで、やはり税制上の観点から多額な利子所得が課税ベースから外れておるということ、こうした観点を中心といたしまして御提案をしているところでございますので、特に貯蓄率との関連について特定の考え方を持って御提案を申し上げているわけではないわけでございます。 また、これによりましてどのように貯蓄率が推移するかという点につきましては、先ほど申し述べましたように、過去の分析等からいたしますと明確な関係はなかなか難しい。したがいまして、これによって直ちに貯蓄率が上がり、あるいは低下するといったようなことはすぐには考えられないのではないかというふうに考えておるところでございます。
○塩出啓典君 先般の売上税法案のいろいろ問題になっておるときに、中曽根総理はクロヨンを是正するために売上税が必要なのだ、クロヨンを是正するために売上税を導入せにゃいかぬ、そういうことを言っておるわけでありますが、大蔵省はそういうクロヨンについてはどうお考えですか。 また、クロヨンを是正するために売上税が必要であるという、これはたまたま総理はサラリーマンの会に行って、日比谷公会堂ですか、あそこの会でそういう話をしていたわけですが、大蔵省としてはその考えは一緒かどうかお伺いします。
○政府委員(日向隆君) 今のお話のうちの前段のクロヨンについてどう考えるかということについて私の方からお答えさしていただきます。 通常、クロヨンという言葉は所得税における給与所得者、事業所得者、農業所得者間における所得把握の格差について言われておると思われますが、言われるような九、六、四という所得把握上の格差があるかどうか正確にはわからないところでございます。したがって、クロヨンといった形で十把一からげに論議することは適当ではない、こう考えております。 ただ、営庶業所得者に対する事後調査の結果、その申告漏れ割合は、六十一年分で見まして一九・九%、六十年分で二一・六%、五十九年分で二一・六%というように、連年調査対象を変えて十五万から十六万件の調査をいたしておりますにもかかわらず、申告漏れ割合は二一%前後を推移しているという事実がございます。さらには、このような言葉に象徴されるような所得の把握の差についての不公平感や不満感が世の中にあることも事実でございます。こういう点につきましては、私ども広報、相談、指導、調査の充実に努めまして、所得種類間における把握の差が解消するようできるだけ努力をしてまいりたい、かように考えております。
○政府委員(水野勝君) 現在の日本の税制は、所得税を中心にいたしまして、これに法人税と間接税をもって補っておるという形でございます。所得税はやはりその人の所得すべてをその個人に総合いたしまして累進課税を行うというのが基本原則でございますが、所得税の納税者の態様によりまして、その所得の捕捉といったものに差があるということはいろいろ議論はされているところでございます。 一方、消費課税なり間接税はある意味では消費が行われればそれは必ずその中に税金がついてくるということからいたしますと、所得課税と比べまして、その実質的な負担の公平の確保の度合いは所得課税よりは少し上にいっているのではないかという議論があるわけでございます。売上税なりもろもろの新しい間接税がそれがすぐこうした問題に直結して、そうした事態の改善になるということが常に言えるわけではないと思いますけれども、所得税をお願いし、一方間接税なり消費課税をお願いをする、そうすることによって一つだけの税金に依存している場合に比べればよりよくそれぞれの方々の担税力に接近し、それぞれの納税者の方々に負担の不平等が起こることは、それだけいろいろな税を組み合わせることによって少なくなっていくそういった効果は認められるところでございます。といいましても、売上税をもってそうした問題の解決のために御提案申し上げたということではないわけでございますが、一般論としてはいろいろな税を組み合わせる方が公平に近づけ得るのではないかという議論があることは確かでございます。
○吉岡吉典君 私は最初に、公約違反で、しかもさきの地方選挙で選挙民の審判を受けたマル優廃止がこの国会に提出されたことについて、これは選挙結果に示された国民に挑戦するものであるという点で、非常に遺憾であるということを申し上げておきたいと思います。 質問に入りますが、まず、大蔵大臣は衆議院本会議の答弁の中で、中曽根政治の「基本政策は、もとより引き続き承継せられるべきものであると考えております。」こういうふうに答弁しておられます。税制改革も含めてのことだと思いますが、この考え方を再確認していいかどうか、最初にお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) シャウプ以来三十何年たちました今、税制の抜本的な改革をすることはやはりどうしても必要だと。殊に、我が国が二十一世紀になりますと高齢化するということもございますので、やはりそれは必要なことであるというふうに考えております。
○吉岡吉典君 今の答弁、中曽根政治全体、税制改革を含めてというふうにとっていいだろうと思います。 中曽根総理は、報道によると、税制改革に対する決意のほどを、八つ裂きになろうとやるんだと、こういうふうにおっしゃったそうですけれども、大蔵大臣もそういう決意がどうかわかりませんが、しかしこれは日経新聞に報道されたことです。 今度提出されている法案ですね、これは先ほど述べられました提案理由の中でも「国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみその一環として、」というふうに述べられています。その抜本的な税制改革の一環としての法案だと。したがって、この法案に続いて抜本的な税制改革が続けられていくんだと、そういうふうにとってよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 考え方といたしましては、抜本的な改正というものを頭に置きながら、今回は当面必要なことだけを御提案をいたしておるということでございます。
○吉岡吉典君 そうしますと、今の法案に関連して減税だ、減税だという宣伝が政府、大蔵省で盛んに行われておりますが、この法案に続いていずれ、さきの国会で大問題になった売上税、名前はどういう名前になるかわかりませんけれども、そういう売上税あるいは法人税の減税というような問題が出てくるだろうと思いますし、それこそ中曽根内閣の税制改革の中心問題だったわけですね。そのマル優廃止と大型間接税、売上税と二つの大増税を二分して一本ずつ国会に提出するという手の込んだやり方がやられたと、これは私どもはそう見ているわけです。この点で我々は、今出ている法案もそれに続く大型間接税の導入等とあわせて見ていかざるを得ません。 こういう点は私どもが言うだけじゃなくて、例えばことしの七月二十日ですか、税制国民会議という団体でも、新たな大衆課税導入につながる危険が大きいというので反対決議を行っています。この税制国民会議というのは三千五百十九団体が加盟して、この代表幹事は日本繊維産業連盟会長の宮崎輝さん、日本百貨店協会の会長市原晃さん、日本チェーンストア協会会長の清水信次さん等々というような人々です。こういうふうな人が集まっている税制国民会議でも、今度のマル優廃止問題が売上税法案の経験から見て新たな大型間接税の導入につながる危険が大きい、こういう理由で反対の方針を決められております。こういうことは否定なさらないだろうと思いますが、今度の法案に続くそういうふうな点についていかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御提案を申し上げ御審議をいただいております所得税の法案は、とりあえず今年いわば前倒しという形で減税を必要とするということからお願いを申し上げておるわけでございますが、先ほども申しましたように、遠い将来にあるべき姿としては、やはり所得税も税率構造等々緩やかにいたしてもう少し減税をしなきゃなりませんし、法人税につきましてもそのように考えております。 といたしますと、ただいまの国庫の情勢では、そのような大きな減税を賄うための恒久財源というものを何かの形で調達をしなければならないというのが財政の現状でございますから、そういう意味におきまして、何かの形での恒久財源が見つかりませんと、所得税、法人税の私どもがこいねがっておるような幅の減税というものは実現しがたい、そういうふうな考え方をいたしているわけでございます。
○吉岡吉典君 提出するんだと、考えるんだという答弁はいいんですが、遠い将来というのが、これは事実と違うと言わざるを得ません。 それはさておきまして、私は、今提案されているマル優廃止、これが公約違反だという問題について最初に触れておかなくちゃなりません。これはこれまで国会で我が党は繰り返し公約違反だということを言ってきました。これは中曽根総理が、大型間接税とかマル優の廃止とか、こういうふうなことを私がやるものですか、野党の皆さんは、六月になると四谷怪談の時期だからお化けをうんと持ってくると、こういうふうな演説、これは何カ所でもなさっている。中曽根総理は、このことを言うと、別の演説もしているということを言われていますが、別のことも言っているということでこういう公約が否定はされません。 同時に、中曽根総理だけでなく、選挙中には、金丸前幹事長も、大型間接税導入と少額貯蓄非課税制度、それ両方とも中曽根首相がやらないと言っていることであり絶対やりませんと、こういうことをNHKのテレビでも、その他のテレビでも、テレビ討論会ではっきりとおっしゃっています。 総理・総裁、幹事長がそろって公約しているだけでなく、私は名前を挙げることもできますけれども、自民党の議員の中には、マル優廃止はしないとマル優存続を公約に掲げられた人も幾人もいるわけです。そういうことを訴えてやった選挙、これが公約違反でないというのでは、これは選挙が成り立たない、議会が成り立たないと思います。これは政治家としての認識が問われる問題でありますので、こういうことが公約違反でないという認識であるかどうかということを大臣にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、マル優制度の問題につきましては、選挙中に総理・総裁がどういうことを言われたかということについて、多少いろいろな報道、混乱がございましたところで、それを正す意味で、選挙中の六月十四日でございますが、自由民主党の本部が両院選挙の候補者及び都道府県支部の連合会に対して、こういうことを言っております。マル優についての総理・総裁の発言は次のとおりである。「いわゆるマル優制度については、老人とか、母子家庭とかの社会的に弱い人に対してはこれを維持していく。しかし、不正を行っているものについては、是正しなければならない。」こういうことで、これは六月の十四日でございますが、したがいまして選挙投票日からまだまだかなり時間のある時点におきまして、こういうふうに自民党本部から候補者及び地方組織に対して申しておりまして、これがこれにつきましての中曽根総理・総裁の正式の言明である、こういうふうに統一いたしました、したがいまして、これに関します限り、ただいま吉岡委員の言われましたような食言の問題はないと存じます。
○吉岡吉典君 そうだとすると、いよいよ大変なことになります。というのは、私が今読み上げました発言というのは、その会合以降の発言です。六月十四日に自民党の中の建前はそういうことにして、後でいつでも本当の政策はこうだったということが言えるような形を整えておいて、実際選挙民に向かって話しするときはそうでないと。中曽根総理のさっき読み上げたのは六月二十八日でございます。それから金丸前幹事長のテレビ、これはフジテレビやNHKですけれども、これ六月十八日です。ですから、内部ではそういうふうなことを言っておいて、選挙民の前に出るとやらないようなことを言うと、これは最もたちの悪い公約違反で、公約違反の中でも大変罪の重いものだと私は言わざるを得ないと思います。 これはちょうどことしの選挙のときに、自民党地方選挙の政策では、マル優廃止。それから大型間接税導入をうたいながら、実際大部分の候補者が一斉地方選挙のときにはやらないという宣伝をなさって、自民党の幹部の中には選挙民に向かっては反対と言っておけ、それが得策だという号令をかけられた人もあるということを当時新聞でも報道されましたけれども、これは去年の同時選挙でも同じことがやられているというように私は言わざるを得ないと思います。 やはりこれは自民党の中でも河本さんは青森の演説会で、自民党は売上税問題で国民にうそをつく政党という印象を与えてしまった、こういうふうに話されたという報道がありましたけれども、やはり政治家として政治に当たるからには、そういうことはきちっと認めてかかるべきだと思います。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) あちこちでそういう話を六月十四日以降に聞いたというお話でございますので、それをお疑いするわけではございませんけれども、正式には自民党はこういうことが総理・総裁の発言の趣旨であるということを申しておりまして、私自身はこのように実は考えておりました。
○吉岡吉典君 この問題で時間とるわけにもいきませんけれども、やはり政党というのは選挙中選挙民にどう受け取られたかということを基準にして考えなければ、内心考えていたことはこうだということでは、私は政治家は実際政治に取り組むことができないと思います。 私はそういう点でもう一度大蔵大臣にお伺いしますけれども、そういう論議を経て、そういうものだったからことしの一斉地方選挙での選挙民の意思表示もあった。世論調査ではマル優反対は私の記憶では八二%か八四%で、毎日新聞の世論調査ではたしか売上税よりも高かったと記憶しております。そういう法案を今度の国会に再び提出することに何らちゅうちょするところがないのかどうなのか。これもひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 以前にも申し上げたことでございますけれども、社会的な特別な配慮を必要とする人々二千万人に対してはこういう免税の制度をこれからやっていくわけでございますから、それ以外の方々に対して資産所得であるところの利子、これが免税であるということはなぜであろうか。長いことやってまいりましたから、あえて疑問を持たれない方もございましょうけれども、先入観を取って考えましたら、なぜこういうことが免税なのかということは十分に私は議論になる価値のあることであると思います。したがって、社会的な配慮を必要とする人々に対して免税の措置を残しておきましたら、課税をすることが私はむしろ当然なのではないか、私はそう思います。
○吉岡吉典君 マル優廃止そのものについては後でもう一度質問することにしまして、そこへ入る前に、私は税制改革の論議のあり方の問題について、これは国会の問題だとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり政府の見解をただしておかなくちゃなりません。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 これは衆議院でも参議院の予算委員会でも論議になりましたけれども、大蔵委員会、そういうところ中心でなく税制協議会で論議が行われているという問題が非常に間違ったやり方だと、税制協議は当然大蔵委員会を中心にやるべきだという論議が行われてきました。 国会に、我々は大臣と違って税制協というのは正規の機関だとみなしていませんけれども、税制協がつくられた。その結果、国会論議は事実上この税制協に移されて、国会の答弁でも税制協で協議中だということで明確な答弁がないという状況が続きました。これはこの国会の予算委員会でも、この席にもおられる新政クラブやサラリーマン新党の同僚議員からも論戦の中で、協議会の推移を見守る、それでは具体的な答弁にならないじゃないか、いつも協議会とおっしゃったんじゃ結局答えていないのと同じだというふうな意見とか、あるいはそういう税制協議会の協議だということでは質問のしようがないじゃないか、こういうふうな論議がこの参議院の予算委員会でも行われたこと、これは大臣も念頭にあると思います。 それから、これは私は直接出席しているわけじゃありませんけれども、衆議院の大蔵委員会の審議を速記録や報道で読んでみますと、ここではこういう討論が行われています。 これは反対討論の中で社会党の議員から、総理は共産党を除くと言ったが、共産党も一つの政党だ。反対党、意見の異なる党であろうと構成メンバーに入れて意見を交わさなければならない。税制については税制協議会も結構だが、大蔵委員会で長い年月をかけてやるべきだ。こういう討論が行われておりますし、また民社党の議員からは、反対する第一の理由は、本案が国会の正常な審議に基づくことなく提案された点である。本来税法の審議をする場である大蔵委員会をないがしろにしたことは議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり断じて容認できない。修正された箇所はすべて国会審議以外の場でつくられたものだ。大蔵委員会という正規の機関の存在が無視されたことに私は強い憤りを禁じざるを得ない。こういう反対討論が、これは民社党の議員からも行われており、この税制をどこで論議するかということが非常に重要な論点になっています。衆議院大蔵委員会での参考人の意見の中でも、主婦連の副会長中村紀伊さんは、税制協での密室協議でなぐもっとみんなにわかりやすい形で論議してください、という意見を述べているわけです。 税制協というのは我が党がこれまで繰り返し問題にしてきましたけれども、国会に設置された正規の機関ではありません。これは国会のいかなる機関でも決められたものでありませんし、したがって衆議院の公報にも掲載もされていない。しかも意見の反する者は排除して一致する者だけてつくられた。もし国会が意見の一致する者だけが集って協議するようになれば、これは私はもう議会制民主主義の重大な危機だというふうに言わざるを得ないと思います。特に問題なのは、これは公開の協議でない、速記録もありません。したがって、国民もまた我々もそこで何が論議されたかもわからない。参考人の意見の中から密室協議でなくもっとわかりやすい形でという意見が出てくるのは、これは当然のことだと私は思います。 そういう点で、私は税制協議、しかも戦後四十年を踏まえての抜本的な二十一世紀を展望しての税制をつくるのだという、そういううたい文句での税制協議を国民に疑問が残るような形で協議するということは明白な間違いだと思います。私は、今後の税制協議はそういうあいまいな疑問の残っている、国民からも批判が出ている税制協でなく、正規の大蔵委員会を中心にしてやるべきだと思います。大臣の政治家としてのこの問題についての見解をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま吉岡委員の御調は承りましたし、また衆議院大蔵委員会におきます討論の過程におきまして、ただいま御紹介のありましたような討論が行われましたことも承っておりましたが、この問題は立法府の御判断で行われた問題でございますので、政府がこれにつきましてかれこれ申しますことは差し控えるべき問題であろうというふうに存じます。
○吉岡吉典君 私の今の発言のうち社会党のは討論ではなく質疑でありましたので訂正しておきます。 私は大臣に、そういう答弁も予想しましたから政治家としての見解を問いたいというふうに言ったわけですけれども、答弁がありませんでした。しかし、私が述べたことについて反論はなかったと思います。したがって、次の問題に移りたいと思います。 私、最初に、抜本的税制改革だと言われるからには、どういう点を抜本的に改正するのかという問題について少しきちっとしておいていただきたいと思います。大蔵大臣も将来に向かって根本的な税制改革が必要だと、シャウプ勧告以来の新しい税体系をつくるんだと、こういうふうに意気込んでおられると思います。そうなると、シャウプ税制の一体どこをどう変えようというのかという点ですね。国会答弁を速記録で私がなり丹念に読んでみましたけれども、私の読み方が足らないのかどうかわかりませんけれども、シャウプ税制のゆがみやひずみということは随分出てきますけれども、シャウプ税制の根本をどうするのかということは語られていない。そこで私は、戦後の日本税制の中心になったシャウプ勧告の諸原則ですね、それをどういうふうにお考えになっているのか。例えば今日の税制の根幹である直接税中心主義あるいは個人課税についての所得税中心主義とか、所得税についての総合性、累進性、あるいは生計費非課税、こういうふうな戦後の日本の税制の根本原則になってきたこれらの点を改めようというのか、そういう点はそのままにして、個々にあらわれているゆがみを直そうというのか。私はかけ声から見て、個々のゆがみということではなく、そういう戦後税制の根本にまで改革を行おうというのが今の政府の考えではないかと思っています。その点ですね、こういう戦後のシャウプ税制の根幹部分、これらを否定するのか、それらは今後も守っていくということなのかどうなのか、この根本問題について意見をはっきりさせておいていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げたことでございますが、四十年近くたちますと我が国自身が全く変化をいたしてしまいました。国際情勢もさようでございます。したがって、三十何年一つの税制が基本的にもったということの方がある意味ではむしろ不思議であったかもしれません。改めるべき時期が来たということでございますが、しかしもとより、シャウプの言っていることが全部間違っているといったようなことを申しておるのではありませんで、例えば所得税につきましては、先ほど申し上げましたように、中堅所得者層について非常に重税感が強い。勤労所得について現実の問題として事業所得との間にいろいろ課税の不均衡感があるといったようなこと、あるいは法人税そのものが国際的な水準から相当高くなってしまっておるというようなこと、これらはいずれも勤労意欲あるいは企業意欲を失わせる、限界に来ておるといったようなこと、そのほかに我が国の所得水準がこれほど上がりましたし、所得格差は非常に少ないわけでございますから、社会の共通の費用というのはいわゆる直間比率の是正によってもう少し国民各層に薄く広く持ってもらうことができるのではないかといったような問題、また現実にございます間接税の中で物品税はいろいろな変遷を経ましたけれども、事実上非常にやっぱりゆがんだものになって少数の物品に集中をしているといったようなこと等々あわせまして、シャウプさんが築かれました税制、その後の三十何年の経緯の中から、所得、資産、消費全体を通じてバランスのとれた税制を、この際二十一世紀に向かって築いておきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
○吉岡吉典君 今のようなお話は速記録で読みました。 それから、そうでなくもっと具体的に、私が挙げました総合性、累進性、生計費非課税、こういう原則は守るのか、やはりそれも改めなくちゃいかぬのか、具体的にそこに絞って答えていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 総合性、累進性、生計費非課税といったような考え方は今日でも私は有効であると思います。
○吉岡吉典君 これは否定しない、有効だということですから、私はその点でもいろいと議論しなくちゃならない問題はありますが、それを確認して、そういう戦後税制で確立された総合性、累進性、生計費非課税というふうな原則は有効だという答弁だったということを確認して、次の問題に入りたいと思います。これは大臣が確認されましたからそれ以上私はここで求めませんけれども、水野主税局長も理想の姿だというふうに答弁もなさっておりますので、一般論としてはそういうふうに確認していきたいと思います。 それから今、大臣お話しになりました日本では格差が少なくなったとかいろいろあります。日本の格差が少なくなった、平準化して累進課税の根拠も弱くなったというふうな議論もありますけれども、こういう問題はもう既に衆議院の大蔵委員会で我が党の正森議員が数字のとり方の操作でアメリカに比べて日本があたかも格差が少ないような宣伝を大蔵省がパンフレットなどでやっているということを明らかにしているということ。具体的に言えば、日本の資料ではわざわざ社長や重役の入っていない勤労者世帯をとってきて、しかも当然収入の多い金持ちが持っている有価証券や財産の売却などの収入を入れない数字で、それらが入ったアメリカとの比較をしているというふうな問題を明らかにしているということだけを指摘しておきたいと思います。 それで、具体的な問題に少し入っていかなくちゃなりませんが、私はマル優の問題を考える場合に、日本国民が一番願っていることをやらないで、反対していることを政府はやろうとしている、そういうことだと思います。私は、日本の国民が求めているのは、大企業にむちゃくちゃな目に余るさまざまな優遇措置をしている、そういう不公正を改めながら、勤労者を中心とする減税を実現することだと、そういうのが国民の要求だと思います。私らの党はそういう点で、増税なき三兆円減税を要求してきました。ところが、政府提出の法案を、大企業に対する優遇税制にはほとんど手をつけないで、逆に金持ちには減税、そして一般庶民から一人当たり一万四千円ですか、今度のマル優では、そういう増税になる法案を出してきている。これは逆さまだというふうに言わざるを得ないというのが私のまず最初に述べておきたいことです。 その点で政府にお伺いしますけれども、私は通常国会のこの委員会でも、日本の代表的な商社である三菱商事、日商岩井、丸紅、伊藤忠、トーメン、ニチメン、兼松江商の七社の法人税が幾らであるかということを質問しました。それに対して七社では答えられないで、九社でお答えがありました。ここでもう一度、七社の法人税は幾らになっているか、あわせて外国税額控除のうちのみなし税額は幾らになっているかということをお答え願います。
○政府委員(日向隆君) 今お話しのございました七社のときの話は私が答弁をさせていただいたかと思いますが、やはり同様な答弁で恐縮でございますけれども、主要商社九社についてお答えをさせていただきたいと思います。 主要商社九社の直近の六十二年三月期について申し上げますと……。
○委員長(村上正邦君) 七社と言っているんだから、七社で答えなさいよ。
○政府委員(日向隆君) 大変恐縮でございますが、今手元に七社についての数字がございませんので、それで九社の数字で申し上げたいと、こう申しているところでございます。
○委員長(村上正邦君) 通告しているんだから。
○政府委員(日向隆君) 質問の予告は……。
○委員長(村上正邦君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。
○吉岡吉典君 それじゃ、今のは計算の時間を待つことにして、後へ回すことにします。この時間内に答弁をいただくように委員長にお願いしておきます。 マル優に入りますが、マル優をめぐって、中曽根総理を初めとして、マル優というのがもうとんでもない天下の悪税であるような非難が盛んに行われた。例えば、戦時国債消化のための貯蓄制度が戦後いまだに続いているとか、あるいは外国にはこういう制度はないと、あるいは貯金に補助金を与えるという制度で、そういうことがあっていいのかどうなのかとか、多くの不正の貯金者が出たとか、いろいろな発言、これは速記録を読んでみると、よくもいろいろ非難のしようがあるものだなと思うほど次々いろいろな批判が行われております。大蔵大臣もいろいろマル優について述べられております。 私ちょっとここで疑問に思うのは、政府から見てそんなに悪いものなら、なぜ戦後四十年余たった今ごろになって急にマル優はけしからぬ、けしからぬなんて言い出したのか。本当にこれが悪税だと思っていたなら、もっと早くからなぜ問題にしなかったのか、この点最初にお伺いします。
○政府委員(水野勝君) やはり税制はそのときそのときの社会経済情勢の要請に応じて措置すべき面が大きかろうと思うわけでございます。戦時中の大量の国債の消化という、あるいは消費購買力の吸収という必要があれば、それに応じた税制上の措置も講じさしていただく。戦後の資本蓄積、復興の時代におきましてはやはり貯蓄奨励と申しますか、資本蓄積の促進、こういった観点からも税制としては相応の措置を講じさしていただいてきたところでございますが、現時点におきましては全くそのような背後にございます社会経済情勢が変わってまいっておるところでございます。 したがいまして、あるいはもう少し早い時点におきましてそういった点を検討し、御提案を申すべきであるということでございましたならば、そういう点もあろうかと思いますけれども、今回の一連の全体としての税制改革の一環として今般御提案を申し上げているところでございます。
○吉岡吉典君 もうちょっと早くから検討の余地があったかもしれないということですけれども、やはり今急に問題になったのはそれなりの理由があってのことですが、それはさておきまして、私はマル優問題を見る場合に、これは大臣も恐らくお読みになったことがあるだろうと思う論文を一つ思い起こさずにおれません。それは今からちょうど二十年前に「経団連月報」一九六七年三月号に出た三井銀行会表の佐藤喜一郎さんがお書きになったものです。こういう趣旨のことをお書きになっているんですね。要約して趣旨で申し上げますけれども、佐藤会長はその中で、日本では老後の心配がないような社会保障制度を整備することは考えものだ、むしろ最低の状態にとどめておくことが国民の貯蓄を奨励し、高度成長にプラスになると、そういう趣旨のことを大変あけすけに述べておいでになるわけですね。そういう点を外国と比べて日本のプラスの点だと、そういうものです。私はこれを改めて読み直しまして、大変あけすけな言葉に驚くと同時に、マル優問題を解くかぎの一つも出てきたと思います。 総理もおっしゃったように、マル優、貯蓄奨励というのは、戦争中には戦費調達のために大いに貯蓄が奨励された。そして、この佐藤喜一郎さんがお述べになっている高度成長期にはその高度成長期の資金づくりのために貯蓄奨励した。そのためには、社会保障を完備するとかえって貯金が集まらないから、いいかげんに抑えておいた方がいいということまでおっしゃっている。ところが、日本が金余りだということで国際的な批判も出てくるようになると、今度はもう貯金を目のかたきのようにして、日本の貯蓄率が高いことが問題になって、この利子には税金をかけると、そういうふうなことだったと思います。まさに国民はやはり踏んだりけったりというのがマル優をめぐる経過だと私は思います。大臣はどうお考えになりますか。
○政府委員(水野勝君) その時代の背景、先ほど申し上げましたように、随分変わってきてまいっておるわけでございます。二十年前におきましては、これはちょうど昭和三十八年に現在のマル優制度が発足した直後でございますが、その当時におきましては、個人貯蓄のうちでマル優、この非課税制度を適用されております割合は三割台の貯蓄程度にとどまっておったわけでございますが、現時点におきましては個人貯蓄の七割ぐらいがこの適用を受けておる。また、四十年代初期におきましては非課税貯蓄の利子、これは五千億円程度でございまして、これは個人事業所得の半分以下でございました。現時点におきましては個人貯蓄の七割の方がこの非課税貯蓄制度を御利用に、なる。その非課税利子額は十六兆円ぐらいになる。これは個人事業所得者の申告所得八兆円の倍ぐらいでございまして、二十年たちました現時点におきまして、そうした状態はさま変わりの状況にあるわけでございますので、こうした状況に応じましたもろもろの税制上の措置も配慮、考えるべきであろうかと考えるわけでございます。
○吉岡吉典君 そういうように、時代の変化に応じてこの問題がいろいろ運用されてきた。その結果は、国民は踏んだりけったりだったんじゃないかというのが私の意見で、その点で大臣の考えをお伺いしたということで、その変化の状況を詳しく私は聞こうとは思いませんので、大臣、どうお考えになりますか。 特に私は、「経団連月報」の佐藤喜一郎さんのは大臣にも読んでおいていただくように事前にお願いしておいたんですけれども、あるいは届かなかったかどうか知りませんけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) この佐藤さんの言っておられる一説は、そのすぐ後に書いてございますけれども、「感じたことであるが、社会保障の問題については、真に困っている人については十分手をさし伸べるような措置を講すべきであるが、選挙用の公約として、社会保障ならば総花的にあれもこれもとり上げるというような格好で、」やることはよくないだろうと、こういうことを言っておられまして、まあいわば自助、自分で自分を助けるということの精神を強調するために言われたようでございます。 ですから、ヨーロッパで貯蓄性向が低いのは社会保障が充実しているからであるといったようなことも前の方に書いてありまして、いわばやや自立性を失わせるような社会保障の行き過ぎということについて警告を発しようとしておられたのではないか。何といいますか、社会保障を不十分にしておいた方が貯蓄がふえていいという、それほど単純に物を言われようとしたのではないのであろうと思って、私はこれを先ほど読ましていただいたわけでございます。
○吉岡吉典君 古い当時の発言・論争、これはここでおきます。 マル優について、私さっきも機つか挙げましたようないろいろな総理初めの発言、これについて幾つか今の時点で国会での論議も進む中で、私は答弁に一定の変化があるように思いますけれども、それを踏まえてお伺いしますが、まずマル優制度、これについてほかの国ではやっていないのに日本だけがやっている、こういう総理の答弁があります。総理もちょっとぐあいが悪いと思われたのか、その後、こういう制度を日本ほど大きくやっている国は危いと言い直して、それで外国にもこういう制度があるが、規模、大きさの違いだと、こういうふうに訂正されているように速記録を比較してみると受け取れます。その規模は別としまして、ほかの国ではない制度だというふうなことはもう今の時点では政府おっしゃらないんじゃないかと思いますが、どうですか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、貯蓄優遇制度、貯蓄の利子課税の優遇制度といったものはイギリス、フランス等にあるわけでございますが、これは特定の商品を指定して、この商品、この通帳によるものは非課税でございますとか、そういうふうな特定の商品を限定しての措置のようの感ぜられます。我が国のように、貯蓄をすればとにかく非課税ですという一般的なものとしての制度といったものとはやはり質が異なるのではないかという気がいたしますわけでございますが、いずれにしましても、その適用対象となります個人貯蓄の規模といったものはかなり大きな差異があるわけでございます。 それからまだ、アメリカにも貯蓄優遇制度があるという御指摘はあるわけでございますが、これは利子の非課税という端的なものでございませんで、課税の繰り延べあるいは一般の負債利子の所得税法上の控除名いったものではないかと思うわけでございまして、特に後者の点になりますと、これはアメリカの所得税法ができまして以来の個人の所得の計算上、どうしても営業上の利子と区別がつかないということからずっと引いてきたという、それがむしろだんだん縮減されてきているというのがアメリカの所得税の歴史のようでございますので、これは日本の利子非課税制度とは簡単には比較できないものではないかと考えるわけでございます。
○吉岡吉典君 これも衆議院で既に政府も否定できなくなっているわけですが、日本の非課税貯蓄制度と全く同じものではないにしろ、いろいろな形を変えてのしかも規模も決して少なくない、そういう助成措置があるということは明らかになっており、今水野主税局長もそのことに関しては認められたというふうに思います。したがって、マル優制度を外国との比較でなくさなくちゃいかぬという論拠は私はないと思います。 そこで次の問題ですが、大体外国の批判が出発点になってこのマル優制度というのが大きく理由づけられてきた。これは中曽根総理のいろいろなところの演説を見ましても、全部外国から批判を受けていると、私はシュルツさんにそういう意見を直接聞いたこともありますと、これは二月の自民党の税制改革推進全国会議ですか、そこで述べられているわけですね。 で、確かめておきたい点は、マル優制度の結果であるかどうかは別として、日本の貯蓄率が高いというのはまずいとお考えになっているのかどうなのか。したがって、これを減らさなきゃいかぬとお考えになっているのかどうかということですね。これはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 貯蓄率が高いということは少しも悪いことと思っておりません。問題は、それが政府の何かの人為的な施策の結果なっておるかどうかということになると別問題でございますけれども、そのこと自身悪いと思うかとおっしゃいますから、私は別に悪いと思っておりません。
○吉岡吉典君 それでは、日本の貯蓄率は今の大臣のお話しの、何らかの政策の結果高くなっているというか、マル優制度があるために高いかどうか、逆に言えばマル優制度を廃止すれば貯蓄は減るかどうか、それはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は先ほど政府委員がお答えいたしておりました政府税調のいろいろな検討がございまして、大変に詳しくいろいろ書いてございますけれども、要するに両方の因果関係は必ずしもはっきりしないというような結論のようでございますね。 ただ問題は、これだけ優遇をしておりますと、やはりそれはプラスに働くのではないかと一般に考えられやすうございますし、外国がどうこう言うということは、余り私自身はお答えをしたことはないんでございますけれども、しかし例えばアメリカなんかで御承知のように借入金の利子というのは大体今まで引いてくれた、今でもセカンドハウスまで引いてくれるということは、アメリカ人はこれは消費の奨励であるというふうに自分で言うわけでございますね。日本はその貯蓄の奨励である。お互いにこれは実は逆にしなきゃいけないんじゃないかというようなことから発想しますと、いかにもこういう制度はそれを助けているように思えるんでございましょうと思います。
○吉岡吉典君 貯蓄は、大臣の意見わかりました。 それでは、マル優を廃止すれば円高、経済摩擦は緩和するのかどうか、これはこれまでの論議でもそう簡単じゃないというように総理も答弁しておられるし、大蔵大臣もそういう趣旨の答弁もありますけれども、その点改めてもう一度ここで確認しておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) マル優を廃止すれば為替に——一般的に申しまして、先ほどの一応何と申しますか、厳密な意味で申し上げるのではありませんが、貯蓄をしておけば優遇される、優遇をやめればその部分は消費に出てぐるであろう、そうすればそれは日本が内外から求められている消費拡大につながるんではないかと。実証的にはどれほどそういう証明があるかないかはっきりいたしませんけれども、まあそのような考え方があるのではないかと思います。
○委員長(村上正邦君) 日向国税庁次長、先ほどの出ましたか。
○政府委員(日向隆君) 大変失礼いたしました。元ほどの委員の御質疑に対しましてお答え申し上げます。 七社、主要商社でございますけれども、六十二年三月期について申し上げますと、その申告所得金額は千二百九十七億円でございまして、これに対する算出法人税額は五百三十九億円でございます。で、これから御案内の外国税額控除制度により控除した外国税額が四百六億円ございますので、差し引き七社で我が国に納付した税額は百三十三億円ということに相なります。ちなみに、この百三十三億円の内訳は、内国法人間における受取利子、受取配当等に課された源泉所得税額が百一億円でございまして、申告法人税額は三十一億円でございます。 また、お尋ねの中にその外国税額控除の直接納付、関接納付及びみなし納付の税額はそれぞれ幾らかということがございましたが、これは委員御案内と思いますが、この限度計算をいたします際にこういった各種のものをいわば突っ込みで計算しておりますので、それぞれについて外国税額控除ベースで内訳を申し上げることは難しいことでございますが、それにかえまして便宜、外国税額控除の対象とした外国法人税について申し上げますと、この七社ベースで対象外国法人税額の内訳は直接納付法人税額が百七十四億円、間接納付法人税額が二百六十九億円、計四百四十三億円でございまして、この中に含まれておりますみなし納付外国法人税額は四十七億円でございます。
○吉岡吉典君 日本の代表的商社七社で百三十三億円しか払ってない、だからなかなか言いにくかったということ。日本国内でもうちょっと多く払っている二社をつけ加えて、あたかも日本の大商社が多くの税金を払っているように答弁しようということだったと私は類推しております。これは委員長の適切なる措置によって実体が明らかになって非常によかったと思っております。 しかも、やはり直接払った税金というのは外国税額の百七十四億円しかないという実体が明らかになりました。こういう問題については今度手をつけないでマル優というところがまず出てきたのが、私が今問題にしてお伺いしている問題です。マル優廃止による増収、これは一兆八千八百七十億円、一人当たり一万四千円、四人家族なら五万六千円、そういう数字になることが政府の資料でも出ているわけです そこで、今さっきの質問に続けますが、そうすると結局、外国との関係ではマル優問題というのは、外国にどういう意見があるかは別として、実質的にはこれによって効果もなければ外国から批判される確たる根拠もないんだと、大臣自身も外国の批判は余り言っていないということで、私も速記録を見てそういうふうに確かめております。そうすると、外国との関係ではマル優を廃止しなくちゃならないという理由はありません。 これも大蔵大臣がそう特別に強調しておられることではありませんが、不正という問題が大きい問題になってきました。私は、不正という問題に関連して、時間が大分迫ってきましたので詳しく述べることはできませんけれども、不正は、まず一般庶民はほとんど不正をするような額の貯金はないと、不正をやっているのは大金持ちだということ、これは数字的にも非常にはっきりするわけです。先ほどの論議の中で、日本の金融機関を調査した結果、九九・九%が不正利用しているような話でしたけれども、これ一見、聞いていると預金者の九九・九%までが不正利用しているようにとれますが、これは調べた銀行の九九・九%が不正利用している、つまり銀行が大口預金をえさにして貯金集めのために実質上預金者と一緒になって不正をやっていたということだというように、我々は言ってきているわけです。 で、一般国民は不正ができない、同時に不正を防ぐことができるということですね。これは私ははっきりしておく必要があると思います。大体、マル優制度を廃止して、そして老人、母子家庭、身障者等について残す、それは限度管理ができる。それがもうちょっと広がった場合にはできないという根拠はもともとないと私は思います。 それにつけ加えて、実は私、きのう、先ほど話にもなりましたが、朝霞にある国税庁事務管理センターに行っていろいろ調査をしたり話を聞いたりしてきました。そこでの話によると、同センターのコンピューターシステムは、一部報道にあったように宝の持ち腐れではなく、現に大変大きな仕事をしていますという説明の上に立って、こういう話でした。マル優の限度管理、これは名寄せですね、これは政策決定さえあれば、既に研究は終えている、単に理論上だけではなく実行可能な研究が終わっているんだと、こういう話でした。もちろん、どの程度施設を強化する必要があるかどうかという問題はあるけれども、それは政策決定によってこれだけの範囲の調査をやれということならそれは可能であると、こういうことでした。ですから、丸谷議員の議論の中にもありましたけれども、やる気があるかないかというのが実際だと私は思っているわけです。そういうやればできるものをやらないでおいてマル優を廃止する、マル優を廃止して、そして残った部分には今度はやるんだと、これもまことに矛盾した話だと思います。 この点で私は、技術的な可能性があるのをなぜやらないでマル優制度を廃止してしまうのかという点が第一点と、同時に、事の根本問題は、これが大蔵大臣がおっしゃっている点になるわけですけれども、大蔵大臣の発言というのが、不正があるから廃止するのじゃないのだ、こういう資産所得が、しかも多額の資産所得が非課税であるということがどうかという問題提起で、私はそこにやはり事の根本問題がある。やはり財源としてみなす、増税の対象にしたいんだと。マル優廃止することの一番大きいねらいは、政治的には外国の批判を受け入れた形をとりながら、この外国の批判をちょうどいいことにして国民から、さっきも言いましたように、一人一万四千円にもなるそういう増税を実現しよう、こういうことだったんだろうと思っていますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお答え申し上げたことに誤解はないと存じますけれども、私が申し上げましたのは、政府税調などで、貯蓄優遇策、いわゆるマル優と貯蓄率との関連は必ずしも一義的に明瞭でないということを言っておられるわけでございます。が、他方で、外国、殊にアメリカなどでは、日本は貯蓄を優遇しているからこういう内需が起こらない、むしろそれは一種の、何と申しますか、今日本が国際的に求められておることと反対ではないかという批判がある。それはそのとおり実証されたことであるかどうかは別といたしまして、そのように強く信じている人が少なからずあるということを申し上げようとしたわけでございます。 で、私が、しかしマル優ということについて、社会的な配慮を必要とする方々にこの免税の制度を置きますほかは課税をするのがむしろ当然ではないかと申し上げましたゆえんは、これはいやしくも資産所得でございますから、勤労所得等に比較して特に優遇をする理由は本来ないのではないか。我が国の時代の要請によりましてそれが特に必要であった時代がいろいろございました。それはそれで政策目的を達しておったと思いますが、ただいまこれによって達せられなければならない政策目的というのは特に存在いたさないわけでございますから、やはり普通の所得として課税するのがこれは当然のことではなかろうかということが私の申し上げているところでございます。
○委員長(村上正邦君) 日向次長、答弁の必要ありませんか。先ほどの吉岡質問に対して、ありませんか。
○政府委員(日向隆君) 現行制度につきまして、六十一年四月一日から公的書類による本人確認が行われることになりましたところから、私どもといたしましても、もう一つの要素でございます限度管理につきまして、やはり名寄せによる限度管理が必要であるということを考えておりまして、このためには、御案内のように、一億数千万枚に上る非課税貯蓄申告書を手作業では到底名寄せすることができませんので、コンピューターによる名寄せを検討していることは事実でございます。
○吉岡吉典君 今、大臣は資産所得というふうにおっしゃいました。確かに、マル優の利子、これは勤労による所得でないことは事実ですね。ですけれども、これはなぜ貯金をしているのかというあらゆる調査を見ても、やはり日本の社会保障のおくれから老後への不安、病気への不安、そういうことが目的での貯蓄であって、それを何か不労所得だ、大金持ちの金利生活者の利子と同一にみなすということは、私は正確ではないと思います。 特に、大体手を差し伸べるべき人々には手を差し伸べたという答弁ですけれども、私は、そういう日本の社会保障がおくれて、多くの国民が将来への不安を持っているときに、手を差し伸べるべきは老人と母子家庭と身障者だけだ、それ以外は手を差し伸べる必要がないというような言い方というのも、政府の国民に対する非常に冷たい態度を見せつけるものではないかと思います。 しかし、時間が来ましたので、私はこれ以上もう質問ができません。もう私は今までの時間の三倍も五倍も時間をいただいて質問したいんです。この法案が非常に重要な日本の税制の今後の根本にかかわる問題です。したがって、私は委員長にもお願いしたいと思いますけれども、会期を基準にしての審議でなく、法案の内容に沿って十分審議を尽くす、その機会、私自身もまだ数時間こう質問ができるような委員会の審議をお願いしたいということを要望して終わりにします。
○栗林卓司君 私は、いわゆるクロヨン問題についての大蔵当局の御見解をお尋ねしたいと思います。 先ほど、正確なことはわからないんだという御答弁がございました。それは大蔵当局の答えとすると、余りに無責任なのではあるまいかと思いますので、理由を若干申し上げながら、再度お答えを求めたいと思います。 このクロヨン問題というのは、各種所得間の把握率格差の問題でありますけれども、源泉徴収されている給与所得は九割ぐらい所得が把握をされる、申告納税の事業所得は六割ぐらい、農業所得は四割ぐらい、これを並べて俗にクロヨンと言っているのでありますが、これを簡単に整理をしますと、源泉徴収されている所得と申告納税の所得、この間に把握率格差があるのではないかということになろうかと思います。 今、国民の方はどうかといいますと、日常の生活実感からそれは所得率格差が存在すると決めてしまっておりまして、世論調査を見ましても、例えばこれは昭和六十一年二月の政府世論調査結果でありますけれども、不公平があると思っている者は全体の八割でありまして、その理由はといいますと、サラリーマンと商工業者、自営業者の間の納税方法に違いがあると答えた者が五二・四%で最も多いし、「最も不公平があると思う税金の種類では」という質問に対して、所得税を挙げた者が五一・二%でありました。国民の皮膚感覚とすると、この所得率把握格差が厳然として存在するとみんな思っているのでありまして、ではそれが存在するかしないか、一体調べた資料があるのかどうかということになるわけでありますけれども、実は同じ種類の調査を一九七三年にアメリカで膨大な調査をしたものがございました。その結果を見ると、源泉徴収されている給与所得把握率は九三・九%、利子所得は、これは支払い所得でありますけれども、八六・三%、配当所得、これは八三・七%、事業所得、申告納税制度でありまして、これが四五・三%、不動産所得が三七・二%などなどとなっておりまして、源泉徴収と申告納税でははっきりした差があるという答えがそこでは出ております。源泉徴収の場合には頭からつかまれてしまうのでありまして、申告納税の場合にはある程度の裁量が納税側に働く可能性は十二分にあるわけでありますから、したがって、源泉徴収の場合と申告納税の場合では所得の把握率に開きが出るであろうということは、そう困難な想像ではないと思います。 そこで、こういうデータがアメリカからでも出ているということを踏まえながら、一体日本はどうかといいますと、実はそういう研究が二つばかり例がございました。御承知のことと思いますけれども、石弘光さんが国民所得統計から所得を推定計算をしながら「課税所得捕捉率の業種間格差」を調べた報告がございます。一方、同じように本間正明さんが調べた「所得税負担の業種間格差の実態」というものがございまして、これを見ますと、例えば石さんの場合、いろいろ書いてございますけれども、結論はどうだったかといいますと、最後にはこう書いてあるんです。「その結果はわれわれの納税者の日常的感覚とおおむね一致している。推計作業にはまだまだ改良の余地はある。だが選択的なよりよいと思われる方法をとっても、ここで得た最終的な推計結果をおそらくくつがえすものとはならないだろう。」これが石さんの調査結果でありました。 一方、本間正明さんは、これは厚生省系の統計データを使いながら納めるべき所得税の類と、それに対して現実に納めている所得税の額の開きを計算されたんでありますが、それは業種間によって開きがあるということを言っております。 問題は、本間正明さんにしても、石弘光さんにしても、だれも知る税の専門家であります。この委員会にも何遍となく参考人においでいただきました。その方々がクロヨンは存在すると、こう言われました。しかも同種のアメリカの内国歳入庁の調査結果から見ても、日本の国民、納税者が感じているあのクロヨンという実態はあるんだなあ、確信を持って判断するようになりました。私は、これは放置していい問題ではないと思うんです。私もいろいろ拝見しまして、俗にクロヨンと言っておりますけれども、そうした所得把握率格差はあるものと私も考えて、以下議論を進めざるを得ません。そうではなくて、そんなものはないんだというのであれば、その反証は徴税当局みずからがお出しになる以外にないのでありまして、したがって現状から見ると、客観的な状況証拠は、クロヨンは存在するということになるんでありまして、これに対して大蔵省として、いや正確なことはわからぬでは済まないではありませんか。 国民から公正に対する信頼を失ったら一体税制はどうなりますか。国民からもし税が信頼を失ったら、その後には国家の財政基盤は崩壊をします。したがって、今大蔵省でまずしなければいけないことは、この俗に言われるクロヨンを、俗に言われるで済まさないで、実態がどうなのか、それを全国民の分析にたえる堂々とした内容に調べて公表をしていくのがまず第一の義務ではありませんか。そう私は思うんですが、いかがでありますか。
○政府委員(日向隆君) この問題につきましては、先ほど塩出委員の御質疑に対しまして私から御答弁したところでございますが、私がそこで申し上げましたのは、この所得税における給与所得者、事業所得者、農業所得者間における所得把握の格差について、格差はあるかもしれませんが、それが言われているように九、六、四といったようなはっきりしたものかどうかは正確にはわからない、こう申し上げたわけであります。 なお、もう既に委員は十分御承知と思いますけれども、私どもが年々行っております申告所得税の営庶業に対します事後調査、これは十五万から十六万件を毎年対象を変えてやっておるわけでございますが、この結果、申告漏れ割合は年々いわば判で押したように二一%前後で推移しております。この二一%前後の申告漏れ割合というのは私どもやはり所得把握の格差の一つの証左ではないか、かように考えております。 また、おっしゃいましたように、国民の間にこの所得把握の格差につきまして不公平感ないしは不満感が存在していることも私どもとしては事実であろう、こう思っております。
○栗林卓司君 所得把握率格差と一言で申しましたけれども、これは税法上の概念でありまして、中を割ってみると、所得金額の算定に問題があったのかないのか、必要経費の控除に過剰計上があったのか、過大算定があったのかなとなどについて調べない限りはこれは実態はわからないんでありまして、したがって、どうしてもこれは源泉徴収票とか申告書とか支払い調書など、ミクロの税務資料を集めないことには実態はわかりません。そういった意味では大蔵省自身が実態の解明に乗り出して国民に示すことが私は必要なんではあるまいかということを申し上げたんでありまして、その点はいかがですか。
○政府委員(日向隆君) ただいま委員がおっしゃることは、そのおっしゃっている限りにおいては正しいことだと思います。私どもも今委員のおっしゃっていることを踏まえて十分検討してまいりたいと思います。
○栗林卓司君 増税を含む税制改正法案を議論しているときには今のお答えでは不十分だと私は思うんです。クロヨンという俗称を使うことにためらいがありますけれども、石さんの調査結果でもクロヨンと言われている国民の日常的感覚に調査結果は合っておりましたとおっしゃるんですから、一応クロヨンを盾にとってお尋ねをしてみたいと思うんです。 今まで六しかつかまれていなかったある項目について、これが九まで把握されたといたしますと、六が九に変わるんですから、当然税だって簡単に言って五割増し、そうなると、考え方としたってそれは大きな間違いはないわけですね。そこで、国民はどう見るかということを申し上げるんですが、六十年の申告所得税の実態から見ますと、事業所得、税額は四千四十五億円、農業が三百二十九億円、その他事業が八千三百四十五億円、その他所得者が三兆六千七百六十九億、こうなっているんです。それを今のことでごく簡単に、クロヨンはあるんだよ、今まで六のところをきちっと取ってもらわなきゃ困るじゃないか、こうやって計算をしますと、こういった計算そのものに、子供じみた議論でありますけれども、大きな間違いはないはずであります。そうやって増収額を計算すると、私の計算ですが、間違っていないなどとは申し上げません。話の感じで聞いてください。二兆四千八百九十二億です。このクロヨンという所得把握率格差を解消したとすると増収税額は二兆四千八百九十二億です。ということは、ここをちゃんとやりますとマル優を廃止する必要もないし、幻の所得税減税案と言われているあの減税を実施したっておつりが来るんです。売上税の絡みでつぶれてしまいましたけれども、それを減税実施をするとするとその額は一兆九千五百億円。今よりも約五千億円ぐらいの上積みになります。こうやってクロヨン問題を解消したら、かねて毎度おっしゃっておられます恒久減税財源が十分見つかるのではありませんか、多くの有権者はこう感じているんです。この点について大蔵省はどうお考えになりますか。
○政府委員(水野勝君) お示しの数字の最初の事業所得と申しますか、営業所得四千億円、これは委員御指摘のような論理でいけばそういう計算はできようかと思うわけでございますが、農業は金額が小そうございますが、次のその他事業所得、この大半は恐らくお医者さんだろうと思います。お医者さんの中の収入の九割ぐらいは社会保険診療でございますから、社会保険診療の中でも源泉徴収をされない部分もございますがされる部分もかなり多うございますから、この八千三百億円のその他事業になりますと、これはやや源泉徴収的な所得とも言えようかと思うわけでございます。 その次のその他所得になりますと、このかなりな部分は給与所得者が二カ所以上から給料を支給を受けた場合の確定申告、それからサラリーマンの方で千五百万円以上でございますと確定申告の義務がございますからそういう方の確定申告、それから譲渡所得がかなりな部分を占めている。譲渡所得は、土地の譲渡でございますと、まず不動産でございますから結果的に抜けてしまうということはない。ただ、その譲渡の収入金額がどうかという点はあろうかと思います。それから不動産所得で、これは家賃、アパート、そういったものの、ここら辺になりますと御指摘のような現象もないとも言えないと思いますので、いろいろ計算をいたしまして、単純にこの五割というのはやや私どもそういう点からいたしますと大きいのではないかな、やはり一番端的に出ておりますのはこの最初の事業、営業のあたり、このあたりなら先生の御議論もついていけるんでございますけれども、全体が五割で二兆四千というのは、やや私どももそのまま御議論に従っていくには勇気を要するところではないかと思われるわけでございます。
○栗林卓司君 それはお答えのとおりでありまして、したがって数字に固執した議論をするつもりはありません、これはあらかじめ申し上げておきます。私が言うのは、方向としてそういう議論ができる、そう国民、納税者は感じているということを申し上げたかったんです。 そこで、では今申し上げた各種所得について、執行面の対策も含めて大蔵省は十二分な体制で臨むのでありますということが果たして言い得るんだろうか。そういうことであれば詳細な検討をしながら増収額もまた期待ができるのでありまして、その各種所得の間で捕捉率の格差があるとなりますとその対策をどうするか、問題はここだと思うんです。その対策は全然わかりません。これでは納税者がたまらないではありませんか。したがって、その対策としていかなることをお考えになっているのか、まずそれを明らかにされるのが税制改革論議を議論する最初の前提ではありませんか。
○政府委員(日向隆君) 今、委員仰せの格差を是正するために、ありきたりとおしかりを受けるかもしれませんけれども、私ども一生懸命限られた定員の中で努力しているわけでございますが、まず第一に、申告に際しまして漏れなく正しく申告してもらうために、税法等に関する正しい知識の広報や税務相談及び記帳指導等、そのための納税環境の整備に全力を尽くしております。その傍ら、申告した後に申告が漏れなくまたは正しく申告されているかをチェックするため、課税上有効な資料情報の収集に努めまして、これに基づいて必要な範囲について効果的かつ効率的な調査を実施しております。かようないろんな方策、まあそれは当たり前のことといえば当たり前のことでございますけれども、こういった諸施策を一生懸命やっておりまして、少しでも所得種類間における把握の差の解消に努力していこうと、こう考えておるところであります。
○栗林卓司君 その問題について政府税調の答申書を見ますと、これはもう納税意識の涵養が必要だから学校教育で大いに取り上げてもらってやろうと書いてありますけれども、それは間違いではありませんけれども、とても差し迫った今の問題には役には立ちません。そうすると、今限られた人員の中で鋭意やっておりますというお答えでありましたけれども、限られた人員の中でやっていたのではだめなのではありませんか。したがって、国税職員の数もふやし実調率も上げてまいります、まずそこからであります、というお答えがなければいけないんじゃありませんか。
○政府委員(日向隆君) 私どもの立場で申し上げますと、委員のおっしゃるとおりであります。
○栗林卓司君 その意味で、これは大蔵大臣にお尋ねをしていることでありまして、なるほど今定員管理で各部署とも抑えておりますけれども、国税職員というのは全く別でありまして、あれは反面で言うと、税の公正を担保するための重要な仕事をお願いしている皆さんなんです。そうすると、あの数が足りているかどうか、これはまず吟味願わなければいけない問題だと私は思います。 あわせて、マル優の廃止問題をきっかけにして納税者番号という言葉がにわかに起こってまいりました。私はいわゆるクロヨン問題、これを追求していくためには納税者番号、それはまさにアメリカがそうであるように、真剣に取り組む必要があると思います。それはもう真剣に取り組む必要があるんだということを国民に訴え理解していただくためには、実態を早く解明をして示すことがその意味でも必要だと思うんです。したがって、納税者番号と国税職員の増員、この二つがとるべき対策だと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も税務署や国税局の第一線を最近見ておりませんけれども、それは個人、個人というのは法人でない個人ですが、直税、所得税をやっております人間にとっては、やっぱり事業所得というのは何といっても一番調査の中心でございます。これは本当にあらゆることを苦労してやっておるわけでございますけれども、確かにそれは実調率も足りないし、人もたくさんいたらいいということではありましょうが、しかしこれには相当の熟練を必要といたしますし、また機械化であるとかあるいは資料の整備であるとか、そういうことがやっぱり非常に大事なことであって、それはやむを得なければ人もふやしていただかなければならないと思いますけれども、機械化であるとか合理化であるとか資料の整備であるとか、そういうことをまだまだ一生懸命努めていくことが必要ではないかと思います。
○栗林卓司君 私は今初めてこの議論をしているんではありません。大臣には初めてかもしれませんけれども、その前の大蔵大臣には耳にたこができるぐらい言い続けてきたんです。したがって、そう言われましてもこれからでは間に合いませんのでということは実は通用いたさないのでありまして、私が言いたいのは、まずクロヨンの実態解明について詳細な税務資料を使ってタックスリポートをお出しになるかどうか、まずこれからお答えいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) いえ、実態がわかりましたらそれは把握ができるんでございますから、今おっしゃいますことは、アメリカの恐らくインターナルレベニューも私はそうだと思うんでございますけれども、先ほど御紹介がありました。何かのやはりサンプルをやってその推定をしておられるに違いないと思うんでございまして、そういうことでございますと、先ほど国税庁次長も申しましたように、大体やはり二割ぐらいのものが常にどうしても出てくるということは、一つのそういう調査の私は結果であろうと存じます。
○栗林卓司君 二割がいわゆるクロヨン問題の全貌を十分説明する数字だとはとても思えませんので。俗に言葉としてごろ合わせでクロヨンと言っているような感じでこれが横行していますけれども、石教授にしても本間教授にしても、それから宮島沖さん、この方の御木を見ますと、疑いもなくクロヨンという実態がある、こう書いてあるんです。だって官島さんと石さんと本間さん、こう並べて太鼓判押してるんですよ。国民が確信を持って、僕らもそうだと思って当たり前じゃないですか。そんな確信がこのまま横行していったら一体大蔵省はどうしますか。それで一体国民に支えられた納税制度というのは維持できますかという感じが心底するものですから、したがって、現状についてこれはもう推定作業しかもちろんできませんが、それについて着手をして発表いたしますということをまずこの際はおっしゃっていただかないと、有権者の方も揣摩憶測が揣摩憶測を生んで、やっぱりそうだったのかと、やがて所得税は最も不公平な税制だという認識が定着をします。そのときに一体どうなさるんですか。それとも所得税をお捨てになるんですか。 来年の通常国会で新型間接税が議論の対象に出るようなうわさが間々ありますけれども、それは所得税を捨てて支出税の方向に変えるということを内心お考えになっているのかどうか、この点は主税局長にお尋ねします。
○政府委員(水野勝君) 現在の個別消費税を中心といたしました間接税体系が極めてゆがみの多い偏ったものであるということは明らかでございますので、その改革はもう避けて通ることのできない問題であろうかと思いますが、所得税が我が国の税制の根幹をなすという点は、これはやはり変わらないだろうと思います。 したがいまして、この根幹となるべき所得税につきまして、制度面からも何とか納税者の信頼を確保し続ける必要があるといった点から、五十九年度におきましては記帳義務制度、総収入金額報告書制度、確定申告書に所得の内訳明細書をおつけいただく制度をお認めいただいたところでございますが、今回におきましてもこの総収入金額報告書制度の範囲の拡大、それからみなし法人制度につきましての一定の限度枠の設定、もろもろ施策を講じさしていただきまして、御指摘の所得格差の問題に対しますところの制度面からもいろいろ工夫をさしていただいているところでございますが、なお今後とも十分勉強をいたすべき分野であろうと考えております。
○栗林卓司君 勉強もさることながら、その成果はいつごろまでに見せていただけるのか。どうせ来年の通常国会も税をめぐる議論がされるんでしょうから、そんなにいつまでもゆっくり勉強ばかりされていても困るんですよ。したがって、おおむね時期とすると、この手の問題ですから何年何月なんということをお答えを求めてはおりませんが、しかしおおむねの作業の目標としていつごろいわゆるクロヨン問題の実態解明、報告書作成の完了の日時とされているのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(水野勝君) この問題につきましては、この法案を御提案申し上げている時点から常に御指摘をいただいておりますキャピタルゲイン課税の問題がございます。これが番号制と関連いたしまして、いろいろ御指摘、御議論をいただいているところでございますが、御承知のように、番号制度につきましては、グリーンカード制度が昭和六十年度、おととしの税制改正で撤回をさしていただいたということでございまして、まだそれから二年を経過したばかりでございますので、こうしたものを再び御提案申し上げるには相当の準備、相当の社会意識の変革といったものも前提としないとなかなか困難ではないかと思うわけでございます。 しかし、従来から当委員会でも多々御指摘いただいておりますキャピタルゲイン課税の問題は、これはほっておけない問題であると認識しておりますので、まず制度的にはこの問題から入って検討を行い、そのお答えを出して御提示してまいりたい、できるだけ早い機会にやってまいりたいと考えておるところでございます。
○野末陳平君 土地の問題がかなりいろいろな角度から今検討されておりますけれども、提案中の改正案にも大分出ておりますが、まず買いかえの特例について今後これをどうするのか、これをお聞きしたいと思います。 居住用財産の買いかえの特例がむしろ弊害の方が最近目立っているというような見方が随分されておりまして、私もそういう面は否定できないと思っておりますが、そもそも大蔵省はどういう弊害があるという認識なのか、まずその辺を政府の立場からひとつ説明してください。
○政府委員(水野勝君) 御承知のように、居住用財産の買いかえの制度は、昭和四十四年まではかなり幅広く自由に認められておったところでございます。その時点におきまして、やはり現時点と同じようにいろいろこの点につきまして改革の方向が提示されたところでございます。その結果といたしまして、居住用財産の買いかえは原則として認めない、そのかわり、当時でございますから一千万控除でございますが、控除でもってそれを置きかえるということでやってまいったわけでございますが、昭和五十七年度の改正におきましてやはりこれは居住用資産の住みかえを促進して居住環境をよくするという面におきましてはやっぱりこれもメリットがあるということから、ややその範囲を縮小して、五十七年にまた復活したところでございます。その点がまた最近に至りまして、これが地価の高騰をもたらしている元凶ではないかという御批判もかなり出てまいっておるわけでございますが、昨年度のと申しますか、六十二年度税制改正に当たりまして、いろいろ政府部内でも議論がございましたが、まだその具体的な方策につきましては政府部内での合意を得るには至らなかったところでございます。 私どもとしては、一回廃止し、また復活し、またそれにつきまして縮減の議論がかなり出てきているといった点は明らかではございますけれども、余りこうくるくると制度を変えるというのもいかがかという気が基本的にはしているわけでございます。しかし、もしこの制度が地価問題に悪影響を及ぼしているということであればそれは放置できない問題でございます。現在、来年度税制改正を控えまして政府部内でもまだ議論を詰めておるところ、関係省庁ではいろいろ方策を具体化しておると聞いておるところでございますけれども、まだ正規に私どもにお話は承れる段階には来てございません。いろいろ御議論を承りながら検討をしてまいりたいと思っておるところでございます。
○野末陳平君 関係省庁の考え方はともかくとして、大蔵省としてはこの制度が地価問題に悪影響を及ぼしているんだという認識がどの程度まであるのかという、そこのところをはっきりして、いろいろと議論はあるというのは今のお話わかりましたけれども、これは悪影響があるんだというところまでの認識が果たしてあるのかどうか、それはどうなんですか。
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げましたように、関係部局と十分詰めておるところではございませんので、これがどの程度現時点での土地問題に影響しているかにつきましても確たる考えを持っておるわけではございませんが、五十七年に復活して以来の居住用住宅買いかえは、これは十年以上保有しているということを一つの前提条件といたしておりますので、ただ居住用資産をころがしころがししてこの制度を活用というか、悪用というかして、それが土地問題に影響を及ぼしているということは必ずしもどうも言えないんじゃないかという気はいたしておりますが、実態のところはなおよく関係者と詰めて勉強したいと思っております。
○野末陳平君 例えば一案として、国土庁なんかもどうもそういうことらしいんですけれども、やはり今のところ青天井であるというのが問題だと、だからやはりある程度の上限を決める、またそれを超えた場合には課税したらどうか、あるいはどこに買いかえの特例は認めないというようないろんな枠をつけようという考え方が当然出てくると思うんですが、そういう中でたまたま上限がないというところですね、十億円を超えても買いかえの特例がきくという、この辺がやはり一番問題かなという気もするんですが、これはどうですか。
○政府委員(水野勝君) 買いかえで取得をされる方の金額についていろいろ御議論はあるわけでございますけれども、一方、今まで居住されていた地域、住宅、それをお売りになるときは、やっぱり高いものに住んでおられれば、それは当然買いかえられても高いものが予想されるわけでございますので、金額で上限というのがこの制度になじむのかどうかという気がいたします。 また、その金額の上限という点も含めまして、やっぱりこうしたものを税制上の制度として御利用いただくとすれば、それは利用されようとされる不特定多数の方にその利用をされようとする以前に、これは適用になる、これは適用にならない、ここまで適用になるということがはっきりと明確に客観的に事前に示されていることがやっぱり望ましいわけでございます。買いかえを適用できるものと思ってやってみたら、いやそれはできなかったとか、途中までしかできなかったとかということになりますと、納税者に不測の事態を生じさせることになりますので、やはり客観的に何か基準を事前に示し得る制度であることが必要ではないか。 そういう場合におきまして、地域の問題あるいは今お話しの金額の問題、金額も、じゃそれは全国一律でいいのか。そうしますと、一律でないとすれば、地域によってとなると、それが客観的に世の中にお示しすることができるのかどうか、そこらはなかなか技術的に難しい問題があるという感じがするわけでございますが、よくなお今後詰めるべき問題であろうかと思います。
○野末陳平君 居住用財産だけに難しい問題もいろいろあるような気がしますけれども、ただ、今の主税局長の答弁を聞いてまして、高いところに住んでいたらやっぱり高いところに買いかえるというお話ですが、突然高くなっちゃって行かざるを得なくなって、ここ一、二年の傾向は都心の場合なんか、急に行かざるを得なくなった、お金だけはたくさんもらっちゃった、そうすると、その範囲でとにかく買ったら得だという、さほどそこまで価値のないような住宅地に移るに当たって、結局買い手側がどうもつり上げたという傾向があったんですよね。だから、やっぱりそういう点だと、結局それは、もうけが出れば税金払わなきゃならないから、そんならどうせこれ全部使っちゃおうとか、心理的にそういうふうに考えたんじゃないかというふうに考えて、やっぱり上限というものはあってしかるべきかなと。つまり、高い買い物した方が税金を払わないで得したというふうな変な錯覚に陥っている、そんなところも見逃せなかったような気がしますよ。これはどうですか。
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のような議論がございまして、昭和四十四年度の改正のときにも、これはやはり今住んでいたもの、譲渡したものよりは高いものを買いさえすれば課税が起こらない、それならばもうとにかく早く手当てして少し遠くなってもあるいは高くなっても、とにかくある一定期間内に買いさえすればいいというのが仮需要をいたずらにあおったのではないかというのは、まさに四十四年のときもそういう御議論でございました。したがいまして、千万控除に移行したわけでございます。そうした点を踏まえながらまた五十七年にそれを復活したというあたりからの点をどのように整理して世の中にお示しするのか。常に余りくるくる変わるものをお示しするのは税務当局としてもいかがかという感じがいたしますので、十分よく詰める必要があるのではないかと思うわけでございます。
○野末陳平君 それからもう一つ、これについて最近日立ってきたおかしな点は、十年以上の居住用財産の場合、買いかえの特例ともう一つ三千万円の特別控除が選べるわけですね。このバランスを失しているような気がするので、そこら辺がどうかなと。ですから、この三千万の特別控除というのは、これは十年以内の居住用財産にも当てはまっているわけですけれども、これをどうします。これは実態にやや合わなくなっているような気がするんですが、とりあえず選択をするという、十年以上の居住用財産に限って言いますとね、この方の措置はどうしましょう。これはこのままでいいかなという、もっと拡大してもよかろうという気もしますが、これは。
○政府委員(水野勝君) 形式的に申し上げますと、買いかえの場合は課税の繰り延べですから、将来いつになるかわかりませんが課税は留保されておるわけでございますが、三千万控除でございますと、そこはもうそれで課税が完結してしまうということでございますので、これは簡単にどうも比較できないのではないか。また、この三千万控除の居住用の特別控除によりまして、おおむね二兆円程度の譲渡益が課税除外になっているのではないかという推定がされるわけでございます。 この土地譲渡益という一つの資産所得と申しますか、こうしたものがかなり課税ベースから外れているということにつきましてはいろいろ御指摘もあるところでございますので、この特別控除額の引き上げという問題については相当慎重に対処すべきではないかという気がいたしておるところでございます。
○野末陳平君 それから、今の三千万円にこだわって言いますとね、十年以内の居住用財産、まあアバウトな言い方ですけれども、これはもう選択はないわけでして、三千万しかありませんね。そうすると、これも大都市中心ですけれども、相当な土地の値上がりによって今住みかえる、買いかえるという場合には当然十年以内で、そういう需要だってあるわけです。そうしますと、この三千万円の特別控除は余り効かないんだよね。いやいや、それは持っている人の立場ですよ。大蔵省の方からいうと、今言ったように二兆円もあると言うんだから、これはこのままにした方がいいかもしれない。しかし、三千万円の特別控除を大きく超えて課税になる。たまたま今回長期と短期が十年から五年という区分が変わりますけれども、それにしてもどうでしょうね。十年以下の居住用財産に関してもやはり三千万円の特別控除というのが妥当かどうか、そういう疑問もあるんですけれども、その辺についてはどういうような考えですか。
○政府委員(水野勝君) 確かに、この三千万円という金額が決められましたのは昭和五十年でございます。その後しばしばこの点につきましての改正の要望はあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように居住用財産でございますと約二兆円、そのほかもろもろのものを合わせますと、土地譲渡益につきましては七兆円ぐらいがどうも課税ベースから外れているんではないかという点が問題になるところでございますので、この金額見直しにつきましてはどうもいかがかという感じが強いわけでございます。
○野末陳平君 それを言うなら、買いかえの特例の青天井の方が大きいような気もしますけれどもね。 大蔵大臣、じゃここまでのちょっと御意見をお伺いしたいんですけれども、やっぱり三千万の特別控除、ちょっと現実に合わなくなっているんじゃないかと思うんで、引き上げる必要があるような気がするんですが、これについて大臣から一言。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからいろいろな問題の御提起がありまして、政府部内でも、御紹介がありましたように、いろんな議論があるようでございます。これはただ従来から、先ほど局長が申し上げましたように、何度も何度もいろんな変遷をしておりまして、実際とれがいいのかといったようなことはその都度その都度いろいろな議論がございます。 いずれにしても、これは全部法律事項でございます。急ぐことではございますけれども、法律事項でございますから、よくきちんと各省庁の間でまとめまして御提案をさせていただかなければならないと思っております。
○野末陳平君 いずれにしても、来年度の税制改正にはこれを入れなきゃだめじゃないかという気がしますけれどもね。くるくる変わるというけれども、ここ数年の土地をめぐる環境の変化というものはすごいから、それも考えなければいけないと思うんです。 それからもう一つ、三千万の特別控除を受けますと、仮に資金が足りなくて住宅ローン、公庫融資も含めてですけれども、そういう手当てをしてマイホームを取得する場合には片や三千万の特別控除を受けていると所得促進税制の方の減税が適用されないんですよね。あれも説明聞いてもなかなかわからないんですけれども、これはなぜ両方はだめだということになっていましたかな、大蔵省の説明では。
○政府委員(水野勝君) これは昭和五十八年におきまして、それまでございました住宅税制が面積割りの定額控除的なものは一切廃止されましてローン控除一本に簡素化と申しますか、合理化、拡充された。これは昭和五十八年度税制改正におきましてとられた措置でございます。このときに控除額も従来に比べまして一挙に三倍に大幅に引き上げられました。これが今回、現在は二十万円となり五年間認められているということでございまして、五年間合わせれば百万円の税額控除になる。こうした大きな恩典でございますと、もう一つさらに居住用財産を譲渡した場合の三千万円の特別控除も適用になるということになりますと、税制上の恩典としてはやや過大ではないか。 また、住宅取得控除も自己資金をもって充てるという部分にまではまだ御勘弁をいただいて、専ら借入金につきましての助成措置でございまして、その程度のもので御活用を願っておる。そういたしますと、これはその後さらに三千万円控除のそちらの譲渡益課税の方のまた恩典もあわせて御適用をお願いをするというのは、現時点におきましてはやや過大な措置ではないかということで、五十八年以来そこは仕切りをさせていただいているところでございます。
○野末陳平君 僕もそういう説明で、大体ダブルで優遇するのはちょっと過大だと思って見てきたんだけれども、現実にそういうケースにぶつかってみると、やっぱり住宅を取得しやすくするという環境を今後ともつくらなければいけないとすると、過大ではあってもそれは一方では不運なんだな、金利を負担して手当てするんだから。だから、必ずしももう過大だというふうには言えないんじゃないかという気がしているわけなんですね。 ですから大臣、これはいろんなケースがありますから、今後内需の拡大のためにやっぱり住宅が一番柱ですから、この住宅取得に関するいろいろな、先ほど自己資金の話もちょっと出ました。あるいは金利そのものをどうするか、いろいろ出ているんでしょうけれども、住宅取得に関する優遇をさらに来年度の税制改正では進めていかなければだめかなと。それを今のままでほっておいて果たしていいのか。そういうふうにいろんな点で考えて、やっぱりさらに一段と優遇を進めるべきじゃないかと思うのですけれども、具体的にはともかく、方向として、それはどうですか、大臣、一言。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは今自己資金は計算をしていないわけでございますけれども、現在の改正が行われますときに既に建設省の一部からはいわゆる自己資金も勘定すべきじゃないか。それは言ってみれば、どこかに寝ていた金が出てきて住宅建築に向かうんならちっとも悪くないじゃないかという配慮だったと思うんですが、まあしかしそうもいかないなということで今の制度になりました。今の制度でも、五年間で二千三百億でございますか、かなりの金額にはなっておる。今度は自己資金も入れてそして三千万とかいろんな話がございます。そこまでいきますと相当な減税額になりますが、そういうものは、さてそれならば一般的な所得税の減税財源にそういうものは回した方がいいのか、それとも特殊な政策目的のために思い切って、結構大きな金額になると思いますので、やるべきかというようなところはなかなか判断の難しいところだろうと私は思っております。 いずれにしましても、多少時間もあることでもございますので、考えさせていただきます。
○野末陳平君 僕なんか一般的消費よりもやはり住宅という方に減税を回すのがいいと思いますけれども、まあそれは研究してください。 それから、今度の法案の中身にこれから入っていきますけれども、提案理由の説明の中にもありましたけれども、いわゆる実額控除の道を開くという、給与所得控除を上回った特定支出があれば申告できるという話ですけれども、これはどう考えても現実的でないような気がするので質問するんですけれども、まずこの特定支出ですけれども、この制度を新設した理由を最初に簡単に説明してもらいましょうか。
○政府委員(水野勝君) 先ほども議論がございましたように、サラリーマンにとってはその納税額は、大半のサラリーマンにとっては年末調整をもって確定する、自分で申告をして税額を出し納税をするという事業所得者と基本的にそこに差があるわけでございます。その点が所得種類間に不公平感を招いているという御指摘があるわけでございます。 サラリーマンでございましても、自分で課税標準を計算し税額を算出して申告納税に参画をするという道があってもいいのではないかという御議論があるわけでございます。これを推し進めてまいりますと、給与所得控除にかえまして実額控除制度に進むことになるわけでございますが、何分にも日本の所得税は一貫して給与所得者につきましては、概算控除的な給与所得控除制度でもって今までやってきております。これが一気にそうした制度になりますと、四千万人のサラリーマンの方々と税務署でそれを処理することになりますので、直ちにそういったものが円滑に処理できるか、大変危惧されるところでございます。 しかし、サラリーマンにも申告納税の道を開くということにつきましては相当な意義があると考えまして、今回は税務署当局と納税者との間にトラブル的なものの発生するおそれのない、客観的に明確にできる支出項目を規定いたしまして、その点につきましての金額が大きい場合には、申告納税の道を開くこととして、その一つの方向へとにかく踏み出したということでございますが、またその程度に今回はとどまっているというところでございます。
○野末陳平君 そこのところがちょっと。考え方としてはそれでいいと思うんです、前段の局長のは。それだったら、実額控除を選ぶ人は給与所得控除を捨てて初めからきちっとやってもらえばいいんですよ。そうすると、サラリーマンだってばかじゃないから、よく考えれば大体その給与所得控除の中でおさまるかどうか自分で選択できるので、何か今回の特定支出というのをつくったというのは、はっきり言ってあいまいなんだ、意図が。だから、僕は給与所得控除を捨てて実額控除の道を選ぶというならば申告納税の道を開いたと言えるけれども、これだと特定支出が幾つかある。そして、これは給与所得控除を超える場合にはと言うけれども、超える場合があるのか。いろいろ当たったけれどもないんです、少なくも。教えてください、あるならば。
○政府委員(水野勝君) 今回規定させていただいてます支出項目性五つでございます。通勤費、単身赴任者の往復旅費、転勤に伴いますところの引っ越し費用、研修費、一定の資格取得費でございます。 通常の場合のサラリーマンでございますと、これが給与所得控除を上回るというケースは確かに余りないだろうと思われます。それだけまた、現在の給与所得控除の水準といったものがかなりなところに達しているということをも意味するものでございますが、単身赴任者の往復旅費等につきましては、これはケースによりましては相当な御負担になり、給与所得控除と匹敵するぐらいの金額になるケースもあろうかと私ども考えておるところでございます。
○野末陳平君 一番大きいのはそこなんですけれども、じゃ単身赴任者の往復旅費というのは全部が特定支出として経費的な扱いを受けられるものかどうか。北海道とか九州にいます、確かに。しょっちゅう飛行機で帰ってきたと、こういうのは全然違うでしょう。僕は、いろいろ聞いてみて計算もしたんだけれども、やっぱりこの特定支出に該当するという範囲で給与所得控除を上回るというのはなかなかないと思う。だから、少ないという表現はあいまいで、あるのかないのか、ないと思うんですよ。だから、こういうようなこそくな縛りをしないで給与所得控除を選ぶか実額控除を選ぶか、どちらかにしなさいというならいいけれども、聞いていると、トラブルが起きそうだから、それを防いだとか何か別の理由を言っているけれども、本来申告納税の道を開くためにやるのなら、もっとすっきりさせるべきだと思うんです。 この特定支出の額が給与所得控除を上回るという実例、どんなのが予想されているか、それを教えてください。そういう人が税務署に来る、こういう人なら来るというのを言っておいてもらったら僕も勉強するから。
○政府委員(水野勝君) トラブルを恐れてこういうものに限ったというわけではございませんで、趣旨としては、やはり給与所得者にも申告納税の道を開くという基本的な視点をとにかくその緒につけようということでございます。それを適用した結果がすべて控除になると思っておられたら、いやそこはだめだということで、かえってサラリーマンの不信を買うようなことになっては、この制度をお願いをしている意味も逆になってしまうということから、だれが見てもはっきりわかるような支出項目に限りまして、とにかくこういう制度を出発してみようという趣旨でございます。 また、今御指摘のようなケースとしては、先ほども申し上げました単身赴任者の帰宅往復族費、こういった点が考えられるわけでございますが、例えば東京と福岡を月四回と申しますか、週一回往復される、そうした場合につきましては、その方の給与収入の水準にもよるところでございますが、これがオーバーをするというようなケースも十分考えられるところでございます。
○野末陳平君 じゃ、それはいい話だから、僕はサラリーマンに言ってあげる。つまり、福岡−東京、東京−札幌、いいですね、毎週帰るとする。これはそれがどういう理由であろうと帰るとする。年間かなりの回数帰る。それは相当な額になるから、給与所得控除を上回ることもあり得るから、その場合もしや税務署はきちっとすんなりと認めてくれるというんだな。そこで、窓口でトラブルはないということだな、帰り過ぎだとか、これはちょっとおかしいとか。ですから、全部それがすんなりと認めてくれるというんなら朗報だから、それはとってもいいと思うんで、せめてそのぐらいはっきりしないとあいまいで、そのつもりで行ったら窓口で、これは違う、これはどうだと言われたら困っちゃうもの。この回数はおかしいとか、この収入に比して帰り過ぎだと勝手なこと言われたらすごく困るから、そこだけははっきりしてもらいましょう。それできょうおしまいにします。
○政府委員(水野勝君) 今回御提案してございます法律案によりますと、「転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなった場合その他これに類する場合として政令で定める場合に該当することにつき大蔵省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた場合に」云々とございまして、大体これで客観的にお示しできるようなものになろうかと思うわけでございます。 この法案がお許しを得て成立した時点におきましては、そこらの点が給与所得者なりその雇い主に客観的にはっきりお示しできるような基準を直ちにつくりましてお示しを……
○野末陳平君 何回、何回ならいいの、何回帰れば。
○政府委員(水野勝君) それは、通常その勤務される場所と配偶者やその他の親族が居住する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で政令で定めるということでございますので、世の中の常識的な基準をそこで決めさしていただきまして、事前に客観的にお示しをする。その場合には、先ほど申し上げたような、週一回ぐらいまではこれは世の中も御納得をされる。しかし、それ以上……
○野末陳平君 週一回。
○政府委員(水野勝君) それは土帰月来ということもあろうかと思いますので。しかし、それ以上になりますとやや……
○野末陳平君 そんなに帰れるわけないよ。週一回で年間、毎週帰っていいかどうかを聞いていたので。
○委員長(村上正邦君) 委員長に発言を求めて発言してください。
○野末陳平君 大事なところだから。これは本当に初めて出てきた申告納税の道を開く端緒ではあっても、これは大事なところだからしつこく聞いているわけでして、今みたいに家族と別居だから帰れるというんならば、週一回をそういう特殊な状況に追い込まれた単身赴任のサラリーマンには認めてあげますよということであればいいんです。それをいろいろ縛りをまたつけられると困る。その辺はっきりさせてくださいというのが僕の質問なんで、それだけに答えてください。
○政府委員(水野勝君) 当委員会におきますとこの御審議を踏まえまして、客観的なものを直ちにおつくりし、お示しすることにいたしたいと思います。
○委員長(村上正邦君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三分散会 —————・—————