大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 314 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/08/25
会議録
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 我が国の現下の経済情勢を見ますと、国民生活に緊要な社会資本の整備の促進を図ることにより、内需拡大の要請にこたえるとともに地域の活性化に資することが重要な課題となっております。 他方、国債整理基金の状況を見ますと、昭和六十一年度と同様に日本電信電話株式会社の株式の順調な売り払いが行われれば、国債の償還等国債整理基金の円滑な運営に当面要する資金を上回る資金が、同基金に蓄積されることが予想されます。 このような状況にかんがみ、現下の経済情勢に緊急に対処するため、国費整理基金の円滑な運営に支障の生じない範囲内で同基金に蓄積された資金の一部を活用する無利子の貸付制度を設け、社会資本の整備の促進を図ることとしているところであります。 これは、厳しい財政事情のもとで、建設国債の増発を可能な限り抑制するよう工夫したものであります。また、この資金については、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入の性格を踏まえ、最終的には国債の償還財源に充てることとしております。 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案は、以上申し述べましたうち、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入による国債整理基金の資金の一部を運用し、社会資本の整備の促進を図るための国の融資に関する特別措置を講ずるとともに当該資金の運用等に関し必要な事項を定めるものであります。 すなわち、第一に、国は、当分の間、公共事業に要する資金を、別に法律で定めるところにより、地方公共団体等に対し無利子で貸し付けることができることとするほか、特定の民活事業に対し、日本開発銀行等を通じて無利子で資金を貸し付けることができることとする等の措置を講ずることとしております。 第二に、従来の補助または負担を必要とする公共事業の場合には、この補助または負担については、別に法律で定めるところにより、当該貸付金の償還時において行うこととしております。 第三に、無利子貸し付けの財源に充てるため、国債整理基金特別会計から一般会計を通じて産業投資特別会計へ資金の繰り入れを行うことができることとする等の措置を講ずることとしております。なお、この繰り入れに相当する金額については、後日、産業投資特別会計から一般会計を通じて国債整理基金特別会計へ繰り戻すこととしております。 第四に、以上の国の無利子貸し付け等に関する政府の経理は、産業投資特別会計において、新たに社会資本整備勘定を設けて経理することとする等の措置を講ずることとしております。 次に、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案は、ただいま御説明申し上げました特別措置法に定める措置を実施するために必要な関係法律の整備を図るため、奄美群島振興開発特別措置法等三十九法律及び関係特別会計法六法律について所要の規定の整備を行うものであります。 以上が議題となりました二法案の提案の理由及びその内容でございます。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(村上正邦君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 —————————————
○委員長(村上正邦君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁三重野康君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(村上正邦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(村上正邦君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 今回のこの法案が提案されるに当たりまして、内容についてお尋ねする前に、中曽根内閣がいよいよ最終の段階に来ていると思うわけでありますけれども、戦後政治の総決算というスローガンを掲げて、間もなくその任務を終わるに当たりまして、少しくその経過の中で、私は問われなきゃならない問題が出てきていると思うのであります。 在任期間中に果たすべき政治課題、これはたくさん掲げておられます。その掲げられたスローガンによって、こういう段階になりまするというと、そのスローガンに基づく施策がどのように講ぜられ、あるいはまたその結果がどういう方向に向かって実現をされてきたか、国民の皆さん方にどういう影響を与えておるのかということ等がまず大きく問われてこなきゃならないと思うのであります。 この大蔵委員会は、場所が大蔵委員会でございますので、全体に対して質問を申し上げるあれもございますが、特にこの中で財政再建と税制問題についてはこの場の任務でございまするので、とりわけ財政再建について私はまず触れてみたいと思うのでございます。 財政再建に関する中曽根内閣の功罪は、私はいろいろあると思うんです。基本的な問題といたしまして、この中で大蔵大臣として最終の段階を受け持たれ、また中曽根総理の次のいわゆるポスト中曽根としての立場におられまする宮澤大蔵大臣に、私は今までの財政運営についての中曽根内閣がとってきた経過を顧みて、どのようにお考えになり評価されているか、今後またどういう姿でこれを展開していかなきゃならないか、これについてひとつまず大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 中曽根内閣が発足いたしました当時の我が国の財政は、それまでのいろいろな経緯から相当大きな国債を発行しなければならない状況であり、その国債も年々累増をしてきておった状況でございました。こういう状況の中で財政再建、それと密接に関連をいたします行政改革、これらの二つのことはどうしても欠くべからざる課題である。それは、ただ財政至上主義という立場からではなく、将来に向かって国民のいろいろなニーズが複雑になってまいりますときに、このままでは財政がそれに弾力的に対応できない、そういう見地からして、早く財政の弾力性を回復しておくことが必要である。そういう観点でございますが、そういうことから財政のいわゆる一般歳出の伸びをゼロにする、あるいはマイナスにするというようなことを五年間にわたって実際に行ってまいったわけであります。 それにもかかわらず、なお一般会計の二割程度のものが国債費でございますし、また一般会計の国債依存度も二割に近いということが現状でございますが、しかしこのような一般歳出を数年間にわたって抑えてきた、伸ばさなかったということは、我が国のようにこれほど大きな行政にとりましては、やはり画期的なことであったと申さなければならないと思います。その間に、いわばいろいろな制度の改変をこれは事実上強いることになりましたし、また物の考え方もその結果としておのずから変化してきたようなことも少なからずございまして、いわば金がないということから、いろいろな新しい改革への芽がそこから生まれてきたということも申し上げてよろしいことであろうと思います。そのような努力はどうしても我が国の財政としてはしなければならないことであったし、中曽根内閣はそれを果敢に遂行してまいったというふうに考えております。それにもかかわらず、現状は先ほど申しましたような状況でございますから、財政改革はなおその途上にあると申し上げなければならないかと思います。 他方で、この間に一昨年の九月のプラザ合意以来急激な円高が生まれまして非常な短時日に大きな円の上昇がございましたために、我が国の経済はその対応に非常な困難を感ずるに至りました。昨年当初から見られましたようないわばかなり極端なデフレ、それからそれまでにやはりいろいろ困難を持ち始めておりましたいわゆる長大重厚と言われるような産業は、殊にデフレに遭いまして相当難しい状況になった。また輸出産業、電機系統の輸出産業などもそうでございますが、そういったようなことから雇用の問題にも影を落とすに至りました。 そういう経済情勢の中で、諸外国からは輸出摩擦をめぐって日本はもっと内需拡大をすべきではないかという声が非常に強くなりまして、財政としても非常に困難な状況ではありますけれども、このような内外の要請に困難は覚悟の上でこたえなければならないというそういう問題を持つに至りました。私が就任いたしましたのはただいまからほぼ一年前でございますけれども、そういう財政再建と、しかし内外のそのような情勢にこたえなければならないといういわば二つのやや相反するような命題を処理しなければならない、そういう仕事を財政は背負わなければならないことになりまして、昨年も本予算の後、十一月に補正予算の御審議をお願いいたしましたわけでございますが、ことしはまたもっと早い時期に過般補正予算を成立をさせていただきました。それをただいま施行いたしておるようなわけでございます。 我が国のこのようなプラザ合意以来の現状は、前川報告が指摘しておりますように、一度や二度の補正予算で対応できるものではなく、やはり日本経済全体の構造改善というものを必要とするという認識に政府は立っておりますから、したがいまして財政の対応も一、二度補正予算を組んだというだけで済むとは考えられません。財政再建は途上にありますけれども、しかしこの内外の要請にこたえなければならない財政の務めもまた一度二度の補正予算で終わるわけではない。 こういうふうに考えておりましたところ、たまたま国民の過去の努力の集積であります電電公社の株式がそこそこの値で売れておりまして、それからかなりの余裕が生ずるということが見込まれるに至りましたので、一般会計の今までの公共事業の歳出にこれを加えますとかなりのいわば援軍になる、今後何年間かごの社会資本整備会計の活用を見込むことができると考えましてこのたびの御提案をいたしておるわけでございますが、これによりまして、しからずんば内外の要請にこたえて建設国債を増発しなければならないであったろうその部分につきまして、このNTTの売却代金が当面内外から要請されておるその要請にこたえることができる、あと何年間かはそういう情勢にこの会計がこたえることができる、このように考えまして今回の御提案に及んだわけでございます。
○赤桐操君 中曽根さんが総理に就任されたのは五十七年の十一月でございます。その前年度の五十六年度には二兆円を超える歳入欠陥が生じておりまするし、五十七年度も補正で三兆円余の特例公債の増発が余儀なくされた。そういう状況でございまして、五十八年度以降はゼロシーリングでもって超緊縮財政が展開されてきたと、私もそういうように認識をいたしております。その結果、確かに一般会計の歳出の伸び率は圧縮をされてきていると思います。公債依存度にいたしましても、総理就任前の五十六年の二七・五%から六十二年度に至るまでの経過を見て今日の段階を比較いたしまするというと、二一・一%というふうになっておるわけでありまするから、財政再建は進捗をしているかのようにこれは見えるわけでありまするが、そういう報告も聞いているわけであります。しかし、その実態はどうかということを見なきゃならぬと思うんですね。 増税なき財政再建を唱えて今日まで至ったわけでありますが、租税負担率の状況を見るというとこれは全く逆でございまして、五十六年度の二三・〇%から六十二年度には二五%近い状態に拡大をされています。したがってこのまま放置すればこれはもう実質増税になると、そういう状況になってきておりまして、また所有減税にいたしましてもこれまでの在任期間中行われたのはたった一回五十九年度だけだと、さらに一般会計の収支を償うための本来の一般会計で負担すべき経費、こうしたものを見てみまするというと、地方自治体に負担させる部分が非常に大きく出ておった。例えば補助金の高額補助率の一括カットですね、それから実質上特例公債の発行と同じとも言うべき特別会計からの借り入れあるいは繰り入れ、こうしたものについての状況等を見まするというと、地方や特別会計の負担の肩がわりを強行したと、こういう経過であったと私どもは認識をせざるを得ないんであります。で、一般会計だけの収支を辛うじて償ってきても実態は地方に全部これを分散したり、あるいはまた今申し上げたようなそれぞれの分野にこれをしわ寄せしていると、こういうように一言にして言えば言えると思うんですね。これが私たちの実は認識なんです。 そこで、これを数字的に少し大蔵当局から明らかにしてもらえると思うのでありますが、五十七年度以降歳出削減による後年度関係の先送り、それから特別会計のしわ寄せあるいは地方自治体へのしわ寄せ、こうしたものについての金額を総体的におわかりでありましたら説明を願いたいと思います。
○政府委員(斎藤次郎君) 私ども、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、歳出カット、財政改革の努力を強力に一生懸命やってまいったわけですけれども、今赤桐先生御指摘のように、さまざまな負担金の特例等の措置も講じておるわけでございます。例えば厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等の各種の施策につきまして、極めて厳しい財政事情のもとでございますので、それぞれの制度の施策をめぐる状況を検討いたしまして、中長期的視野に立って経費の節減効率化を図るために行うこととしたわけでございます。これらの措置の実施に当たっては、それぞれの制度の運営には支障が生じないよう適切に対処していくということにしておるわけでございます。 これらの措置の額について申し上げますと、厚生年金の繰り入れの特例等の措置は一兆七千百三十億円、それから国民年金国庫負担金の平準化措置は一兆二千百二十六億円、国債費の定率繰り入れを停止しましたのか累計で十兆四千六百十七億円となっております。ただ、これらはいずれも厳しい財政事情のもとで経費の節減合理化を図っていくため、それぞれの制度を勘案して行うこととしたものであるということを御理解いただきたいと思います。 なお、補助金の高率補助率のカットにつきましては、六十年度に講じました措置が五千四百億余、それから六十一年度が五千百億余、六十二年度が千七百億円余ということになっております。
○赤桐操君 一部の数字が明らかにされておりますが、そんなものじゃないと私は思うんです。厚生年金の繰り入れについては一兆七千億、そのほか例えば住宅金融公庫の補給金の一部繰り延べ、これも五千億を超えておりますね。それから外航船舶等の関係の補給金、これも三百五十億程度ある。国民年金の特別会計への国庫負担の繰り延べ、これは今お話しのとおり一兆二千億、それから政管健保の国庫補助の繰り入れ、これが三千五百八十九億、自賠責関係の特会の運用積立金の取り崩し、これが二千五百億、こうしたものを大体計算してみてもこれは約四兆円になるんですね。このほかにまだ細かいものがたくさんあると思うんです。私どもの手元で調べた範囲のものでありますが、この程度であります。 そのほか今のいわゆる国債費の定率繰り入れの停止、これによって十兆円を超えておる。それから地方への肩がわりは、今次長から御説明ありましたが、もっと大きいと思うんですよ。これは大体五兆円を超えておると思うんですね。そういう全体のものを含めまするというと二十兆円になる。これが大体五十七年から八年、六十二年にかけた経過である、ちょうど中曽根内閣が内閣を担当したその時期であったと私は思うんです。こういう実態だと思うんですよ。 したがって、大変な実は状況であるわけでありまして、これらの詳細な資料について大蔵当局の方からもっと細かく全地域にわたって影響を及ぼしたそういうものを明らかにしてもらいたいと思うのでありますが、これについては出していただけますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 今の大体赤桐先生がおっしゃいました数字はそのとおりでございます。赤桐先生と御相談いたしまして資料を提出いたしたいと思います。
○赤桐操君 それでは、それをひとつお願いしておきます。 なお、こういうぐあいに地方とかあるいは特別会計への負担の押しつけというものが、結局地方住民のいわゆる負担増あるいは享受すべき行政サービスの低下、こうしたものをもたらすわけでありまして、特に特別会計の場合におきましては保険料とかあるいは保険の給付、こうしたものに大きな影響を与えてきておるのであります。 さらに、強く指摘しておかなきゃならぬのは特例公債の借りかえ、これは六十年で償還するという財政上最悪の試練によって遠い将来の納税者にまで負担をさせなきゃならない、利払いや元本の償還を背負わせる、こういうわけでございまして、一般会計全体が大変うまい形でもって推移してきているというような形は、残念ながらこれはいわば粉飾されたようなものであるというように思うのでありまして、こういうような財政の実態については、まさに一般会計の予算にあらわれる姿とは大分ほど遠い状態に置かれているように思うんであります。大変悪い方向を通ってきたと思うんでありますが、大蔵大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般会計の一般歳出を、先ほど申し上げましたように、数年間にわたりゼロまたはマイナスにとどめるということ自身はそれなりに非常な意味と効果を持つものでございますが、これはもとより生易しい努力ではございません。一般会計のみならず、その他の会計あるいは国ばかりでなく地方、いろいろな方面へいわば御協力をお願いいたした。ということは、御協力をいただく方から見ればいわば御迷惑なことであったということは、私はそのとおりであると思いますから、御迷惑ですがどうぞよろしくお願いを申し上げたいということで数年間をやってまいった、こう申し上げ得ることかと存じます。 ただ、その間にできるだけ行政サービスの質を落とさないようにという努力はいたしましたし、また当面比較的余裕のある先から拝借をした、御協力を願ったというようなこともそういう配意はいたしてまいりました、ただ、赤桐委員の言われますように、一般歳出だけなるほど姿としてはそうなった。しかし、それは一般歳出だけで努力をしてやれたことではない。それなりにいろいろな方に、よく言えば御協力でございますが、あちらから言えば御迷惑とでもいうことであろうかと思いますが、そういうお力添えをお願いしたということは、これはもうおっしゃいますとおり事実でございます。
○赤桐操君 私どもはこういった財政の状況を見てみますというと、大変重要な問題の一つとして中曽根内閣の財政政策を中心とする政策上の問題があったと思うんですね。これは縮小均衡を志向してきたところの経済運営であったわけでありまして、大型減税と生活関連社会資本の充実、公共投資の拡大ということについてはまさにこれは私どもの主張とは相反するものだったと思います。 一般経費の一〇%減、これはわかりますよ。しかし、投資的経費まで五%減で貫いてきているわけですね。これはむしろ逆だったんじゃないか、少なくとも名目成長率ぐらいは毎年積み重ねるべきであったんじゃないか。そうすれば、今この段階に来てこんな大きな騒ぎをしなくてももっと我が国の経済状態というものは変わっておったんじゃないかと私どもは実は考えております。これは私は、予算委員会におきましてもあるいはまた大蔵委員会においても終始一貫主張してきたものでありますが、そういう感を強く今いたしておるわけであります。 しかし、こういう私たちの主張については今日まで中曽根内閣はもう頑としてこれは退けてきておる。ところが、国際会議等で一たびこれが話題となり公約されたということになりまするというと、これは今回の六兆円の関係ではございませんが、まさに手のひらを返すような形でもって大きく変わってきている、こういう状態であります。経済緊急対策のまさに私は決定であり、今回の補正予算のあり方だったと思うのであります。公共事業で二兆七百九十三億円追加が行われておりますが、まさにこれは中曽根さんらしい一つのやり方であった、こういうように痛感をいたしております。 しかし、宮澤大蔵大臣は、内外の経済情勢、環境等に対応するために、六十三年度以降においても公共事業をさらに財政面からの出動を必要とすると、こういうような考え方を明らかにされておりますが、とするならば、今回の補正予算をもって今後の財政運営については大きく政策の転換を行うことになったのかどうなのか、これまでの超緊縮財政から積極財政への明確な政策転換、このように理解してよろしいのかどうか。この点が一つ。 それからまた、企業マインドとかあるいはまた国民の消費性向、こうしたものはやはり国の政策なり大臣の発言、こうした動きを鋭敏に受けとめて動くものであります。中曽根内閣の、特に財政を担当されておりまする大蔵大臣として、これからのこうした経済の動向にかかわる問題については責任を持った所信をひとつ表明されるべきだと思うのでありますが、御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今日といえども、先ほども申し上げましたように、一般会計の国債依存度は二〇%でございますし、また一般会計に占めます国債費もほぼ二割ということで国債残高は累増をいたしておりますから、財政再建はまだその途上であると申し上げざるを得ません。この仕事を放棄するわけにはまいらないことは先ほど申し上げましたとおりでございますが、同時に、内外からの要請もありまして、先ほど申し上げましたようないわば二つの命題を何とか両立させてまいりたいと考えておるわけでございますが、私が思いますのに、このような御審議いただいておりますNTT株式売却代金の活用等々をやってまいりますと、一昨年のプラザ合意以来低迷いたしておりました我が国の経済もどうやら今の段階でぼつぼつ底離れをしそうな感じでございます。そういたしますと、先ほど赤桐委員が言われました過去におけるやや縮小均衡的な、厳密には縮小ではございませんけれども、しかし財政再建、行政改革となればそれ自身はどちらかといえば締めていく方向でございますから、そういうことから日本経済が本来持っております潜在力をこれから景気が底離れしてまいりますとやや発揮できることになることを念願しておりまして、そういたしますとそれは国の財政もまたそこから受益することができる。それは自然増収のような形におきまして経済がうまく動くようになりますと財政も均てんをいたしますから、そういったようなことも考えながら何とかこの二つの相反する命題を処理してまいりたい。このように考えております。
○赤桐操君 さて、そこで二つの法律案の内容に入ってまいりたいと思うのでありますが、今回の二法律案はNTT株の売却収入で特例法をもって特定の公共事業に対する無利子の貸し付けの財源にしていこう、こういうものであります。第一回の売却において当初の予定をはるかに上回る巨額を見たわけでありますが、六十二年度以降数年間は六十一年度の倍額に上る売却収入が期待できることは、これは明らかになってきていると思います。そこで、今回の法案の提案に関して、NTT株の売却収入の持つ性格、その使途、こうしたものについて本来のあるべき姿は一体どうあらねばならないか、若干考えてみる必要があると私は思うのであります。 そこで、まずお尋ねしたいと思いまするのは、NTT株の売却収入はどういう性格を持ってつくり上げられてきたものであるか。私は、電電公社が民営化されるに当たりまして、いわばその純資産によってでき上がったものでありまして、したがって電電公社の財産がとにかくこういう形でつくり上げられてきた以上は、まず第一に、加入者の電電債の購入による設備投資、こうしたものが大きな一つの使途になっていると思います。それから第二には、利用者からの料金収入、これだと思いますね。それから第三には、電電公社従業員の努力と情報化社会の発展、業務の拡大、膨張、この三つが私は電電の今日の組織をつくり上げたと思うんですね。言うなれば、電電公社の財産形成というのはそういう経過の中ででき上がってきたわけでありまして、これがNTT株の今日をもたらしているというように考えるわけであります。電電公社の財産が国民共有の資産である、イコールNTT株の売却収入もまた国民共有の資産である、こういう認識がまずこの基本になければならないだろうと思います。 公社の民営化法案が衆参両院この前通ったときにもこのことがやかましく論議をされたわけでありまして、そういう論議の経過から考えまして、私は一応大臣の御見解を、こういう私の認識と同じであるかどうか。伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま赤桐委員が御指摘になられましたような認識を政府としても持っております。このたびのこのような法案を御審議いただきまして今後の社会資本の整備等々に、国債償還はもとよりといたしまして、活用したいということ、こうたりましたのも長年にわたる電電公社あるいはNTT関係各位の御努力のたまものであって、それについて政府は深い敬意を表するものでございます。
○赤桐操君 五十九年七月十九日の衆議院の逓信委員会で竹下大蔵大臣は、いろいろ経過がございまして論議が続けられたんでありますが、その中で新電電の株式の売却収入の使途についての政府の統一見解を明らかにいたしております。この内容を見まするというと、「株式売却収入の使途については、種々議論があることは承知しているが、いずれにしても国民共有の資産であることに鑑み、国益にかなうよう、今後、予算編成の過程を通じ、政府部内において慎重に検討してまいりたい。」こういう発言をいたしております。 この発言をするに至った過程の中ではかなりの論議が実は重ねられてきております。この年は八月に国会が終わっているんです。そして十二月一日に次の翌年度の通常国会が召集されておりますね。この冒頭でその間におけるいろんなそれぞれの当事者間の詰めが行われて、最終的に参議院の逓信委員会でこれが決定され、衆議院の方に持ち込まれまして両院の決議を経た。こういう経過であったと思うのでありますが、この統一見解が出されるまでにはいわゆる金の問題については、売却後の収益については大変ないろいろの議論があったと思うんですね。そういう経過の中でそれを踏まえてこういう「国益にかなうよう、」という抽象的なものになって出てきたわけでありまして、この間の事情について大臣は御了承をいただいておることでしょうね。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのような経緯がございましたことをよく承知しております。
○赤桐操君 政府部内で慎重に検討された結果がこの使途、国民共有の負債である国債の償還財源に充てるということになってきたわけでありますが、これは百二国会に提案されて国債整理基金特別会計法の改正案という形で次の段階で発展をいたしておりますね。NTT株の売却可能分三分の二をこの会計に所属をさせる、こういう内容のものでありました。会計法の附則十六条にこれがよく出ておりますが、つまりNTTの株式の売却収入として得た資金は一般財源として入ってくるのでありまして、いろいろの議論を含めて国益にかなうような方向で検討をした結果として政府はこれを国債の償還財源にする、こういう実は法案の提出に至ったと思うのであります。こういうような経過の中でNTTの財務状況、あるいは電気通信事業のあり方、こうしたものから見てその使途について種々の意見も実はあったわけであります。 ここで少し私はその間の経過を述べてみたいと思うのでありますが、現在NTTには負債が七兆三千七百五十六億円ある、こういうように報告がなされております。七兆三千七百億の負債があると言われております。特にこの中で大きな問題は、電電債が三兆九千億でその他の有利子を含めて四兆六千億あると言われておりますね。これについては大変な社を挙げての努力の中で年間二千億ぐらいずつこれを埋めているという、大変苦しい状況のもとでの努力が重ねられてきておる。こうした中で、次々とVANの認可が行われてくるわけでありまして、大変な競争が行われているわけであります。こういう状況は、逓信委員会等ではしばしば述べられ、報告がなされ、論議されておる。これが今の状況です。 そういう実は一方においては、NTT自体としては大変厳しい状況にあるのでありますが、そういうようなことにもかかわらず、したがってNTTの立場にしてみれば、これだけのものがあるんだから、少しはそこに還元されてもいいんじゃないかというのが私は偽らない心境だと思うんです。年間二千億生み出していくということは容易なことじゃないと思うんです。それを努力をしながら、報告を聞いてみると、毎年その後減ってきておるというのが実情だと思うんです。七兆円も借金があるんですよ、電電は。それにもかかわらず、この還元はなされずに、売り上げについてもなされないで、そしてこれは国債償還なり他の方向に使われていくというのが実態だと思うんです。 その使途について政府の統一見解等も出されておりまするし、この国債の償還に充てる財源にするんだということであればこれは問題ないのでありますが、売却収入の使途についてはそういう形でもって法定化されたわけでありますが、これは大臣、この電電の立場というものを御認識になっておられるんでしょうね。
○政府委員(足立和基君) 私がお答えするのが適当かどうかあれでございますが、いろいろNTTの株式の売却に伴います収入について、どのようにそれを将来利用したらいいかということについて当時大変な、先生の言われるような議論がありましたことはおっしゃるとおりでございまして、NTTにつきましても、国債の償還財源に充てるということになっておるわけでございますけれども、そのような要求があるということも十分認識をしておるわけでございます。
○赤桐操君 大臣、いかがですかこれは、御認識になっていらっしゃるか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 全体の問題として、ただいま七兆三千七百億円余りの債務、その中で電電債が三兆九千億でございますか、このようなことはよく認識をいたしております。
○赤桐操君 こういう状況にあるのでありますが、今回NTT株の売却収入の使途の政府決定に当たって、私はもう一つ大きな問題が当時のことを考えてあると思うんです。 これは、密接不可分の関係に当時あったのが五十九年度の財源確保等に関する法律です。これは大変な問題の法律だったと思うのであります。この法律によってそれまで法定されてきたところの特例公債、これが借換債不発行主義を放棄して、資産的な裏づけのない特例公債まで六十年で償還をする、建設国債並みになると、こういうことになるわけでありまして、これはいわば政府の言うところの政策転換、こういうことになるのであります。正直言って、一年限りで消費してしまうこうした特例公債、そういうものに少なくとも借換債が今度はこれによって行われていくことになるわけでありまして、過去十年近く行われてきたそれぞれの年度において確認された借換債はやらないんだということを全部撤廃したわけでありますから、しかもその撤廃は、財源確保等の「等」の中に全部含まれて撤廃された、そういう経過がございました。五十九年という年は大変な年だったと思うのであります。この状況の中で特例公債の発行が行われるととになるわけでありますが、結局二世代三世代にわたって裏づけのない、いわゆる消費してしまう特例公債の償還財源あるいはまた利払い、こうしたものが負担となって続いていくことになるわけでありますが、まさにこれは私は大変な暴挙であった、こういうように言わなければならないと考えております。 この理由はいろいろあったと思いますけれども、五十七年度から財源難を理由に定率繰り入れがまず停止されました。それから、国債整理基金の国債の償還財源がそれによって枯渇してきている。この中から、この法改正に当たって電電公社の民営化によって株式の売却収入を国債償還に充てるという発想が政府部内に生まれてきたと思うのであります。 私は、定率繰り入れを厳守して、さらにまた借換債不発行主義を貫いて、そのほかにこうした電電公社が民営化されるに当たっての株の売り上げによって国債の繰り上げ償還なりそうしたものに充てられていくべき筋合いのものであったと思うんですよ、今この電電の株式の売り上げを財源にするといたしましても。ところが定率繰り入れを停止して、しかもこの借換債の発行をするという新しい方式をここで強引にとって、そうしてしかも電電債にこれを頼るということは、これは私は邪道で、正しい国債の処理の仕方として国民に受け取られていかないと思うんですね。これは私は非常に大きな誤りを五十九年の段階で犯したと思うのでありますが、宮澤大蔵大臣はどのように御認識をされておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 赤桐委員の御指摘は、このNTTの株式というものはいわば本来予定していなかったところの、何と申しますか、降ってわいたようなそういう財源であって、それを国債償還に使うのならば、従来やっていることはちゃんとやって、その上でその上乗せ分にこれを使うのが本当だと、こういうことを言っていらっしゃるわけでありまして、私はそのお考えそのものを決して間違っておるというふうに考えておりません。 ただ、事実は、従来やっておりました、仮に特例公債の今度の借りかえの制度にしましても、あるいは定率繰り入れ停止にいたしましても、もちろん好んでこれをいたしたわけではありませんで、申すまでもないことでありますが、財政状況からどうもこうせざるを得なかった、現実の問題といたしまして片方で新規国債を発行しておるわけでございますから。そうであるとすれば、これらのことはいわば従来どおりやろうとすればそれだけ国債発行をふやさなければならないという、そういう財政の現実の事情から考えまして、やむを得ないことであるが特例公債についても借りかえをする、あるいは定率繰り入九も停止をする。それが大変にいいことである、あるいは好きこのんでやったと申しますよりは、そのような財政の現状に五十九年の段階でなってまいったということが現実であろうと思います。 したがいまして、NTTの株式につきましても、本来上乗せの償還分に用いるべきではないかという御指摘は御指摘として、そのような財政の状況の中から本来的に償還すべきものの償還財源に充てざるを得なかった。このような現実の財政のいわば窮状からのやむを得ない措置として御理解をお願いいたしたいと思うのであります。
○赤桐操君 いずれにしても私は、申し上げておりまするように、少なくとも定率繰り入れ、さらにまた借換債の不発行主義、これは大変な実は長い歴史の中で積み上げてきたものでありまして、それが五十九年の段階で一挙に取り払われたと言っても過言ではないわけでありまして、これは私は将来歴史的に大きな批判を受ける財政のあり方であったと思っております。 そこで、五十九年度の財確法以来そういう形をとるようになったのでありますが、この特例公債の借りかえについては、この大蔵委員会でもあのときに決議をしていると思うんであります。単なる附帯決議ではなくて、大変強い意味の決議をしております。さらにまた、内容的にもこれは盛られておるわけでありますが、努力規定が設けられておると思うんですね。借換債を発行するに当たっての、これを返済していくための努力規定がなされておると思うのでありますが、特例公債の借換債は「国の財政状況を勘案しつつ、できる限り行わないように努める」こういうように実はその努力規定の中ではなっております。 あるいはまた、借換債を発行した場合においても速やかにこれを減債しなきゃならぬ、こういうようになっておるわけでありますが、特例公債のこういった借りかえについては、私はやはりそうした努力規定というものを単なる規定としてとどめておくのではなくて、本当にこれは取り組んでいかなければならない課題だと思っておるわけであります。 繰り上げ償還あるいはまた特例公債の借りかえのいろいろ今後の停止問題、こうしたものについてあるいは減額をしていく、こうしたことが本当は私はこの段階でまず検討されていかなければならない事態だと思うんですけれども、状態を見ておりますると、政府あるいは当局自体としてもそういう気配はまずありませんね。だから努力規定に基づくいろいろの対策がとられていないと思うんでありますが、この点はどういうことでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特例公債をなるべく新規に発行することを早い時期にやめなければならないというのが、まず着手しなければならないことであろうと存じます。 それは、六十五年度を特例公債依存体質から脱却の目標年次と定めておりまして、なかなかその目標に接近いたしかねておりますので、国会からもしばしばそれは現実的な目標でないという御指摘をいただいておるわけでございますけれども、しかしやはり何としてもまず特例公債の新規発行をゼロにする、そういうことをまず実現をいたさなければならない。そこから始めなければならないと考えております。
○赤桐操君 今回のNTT株の売却収入が非常に大きなものになってきておる。当初の予想以上の金額になっておるということは事実でございまして、そこで私は、いろいろ内外の情勢等とも考えて、財政当局としてとらなきゃならぬ措置は、私は二つあると思うんですよ。 一つは、今大臣がおっしゃったところの特例公債の残高を減少さしていくという、これはそのための対策をまずとらなければならぬことが一つであります。 それから二つ目は、これは私は何といっても今一番大きな政治課題になっておるところの、また内外に向けて公約となっておる所得税減税の財源化ということが二つ目の私は問題ではないかと思うのであります。 今回の所得税減税に当たって政府提案の内容については、恒久的な財源が必要であるということでもって、なかなかこれを固執しておられまするし、マル優と抱き合わせでそういう形をとってきておりますが、私どもはNTT株の売却収入が国民共有のものでああとするならば、この国民の共通の超過負担となっておりまするいわゆる税の負担、これを軽減するのが当面のもう一つの最大の政治課題ではないか、こういうように思っております。 減税の財源とするという点から考えてみて、少なくとも今日のこの段階で次の税制協議会で徹底的に論議をしてもらいまして、マル優等の利子課税制度の見直し等も含めて結論を出してもらうことにして、この問題については合意を得るまでお預けにしていただく、その合意を得るまでの期間、財源としてNTT株の収入をこれに充てていくということは、まず今までの経過を考えてみていささかも私は矛盾しているものではないと思うのであります。国会の意思に相反するものではない、むしろ当然ではないか、こういうように思うんですが、大臣のお考えはいかがでありましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 結局それは政策としての選択の問題であろうかと存じますけれども、政府といたしましては、やはり減税というものはもとより、殊に税制改正の必要を考えますと恒久的なものでなければならない。そういたしますと、恒久的な減税をいたしますためには恒久的な財源を必要とするということは自明のことでございますが、その場合にNTT株の収益は何年かは見込まれますものの恒久的な財源と申すわけにはまいりません。その問題が一つ。 それから、政府の考え方といたしましては、やはりこれは国民の過去の努力により蓄積された資産でありますから、その使途は積極的な将来に向かっての資産の形成であるか、あるいは負の資産であるところの国債の償還であるか、そういうことに用いるのが本来の目的に沿うものではないかというふうな選択をいたしたわけでございます。 減税ということの意味を決して軽く考えてはおりません。減税の形で国民に返す、まあ厳格に申しましたら、納税をしていない人々には受益がないというようないろいろな議論がその辺にございましょうと思いますが、まあまあ、しかし大まかに言って減税という形で国民に返すということも、これは一つの私は選択であるかもしれないと思っておりますけれども、それはしかし、やはり恒久的な減税に対していっときの財源で賄うということには財政上は大変に問題があるというふうに政府としては考えたわけでございます。
○赤桐操君 私が申し上げていることは、税制協議会でマル優等も当然含めて総合的な観点に立った対策を行うべきではないか。そして、そこで総合的な合意を得ることが少なくともこの問題の処理のあり方ではないか。これを抱き合わせて今回のような形で打ち出すべきものではないだろう。 減税は別個に既にこれは公約として政府は内外に明らかにしているものではないですか。しかも内需拡大などの大きな柱ではないですか。したがって、減税というものを今回のこの政府提案で行うような形ではなく、むしろこちらの方に本来の趣旨を置くべきものではなかったのか。 私が言いたいことは、なるほど社会資本に投資され、A、B、Cのこの考え方で出すということも一つの案でありましょうけれども、これは今私どもが主張しておる減税の考え方よりもより地域的であるし、より特定の業種的な分野にとどまることになるのではないか。そうではなく、本来の趣旨からするならば、国債の償還とあわせて考えられることは、全国民的な、より国民的なものとして求めるならば、この減税の方法が一番ベストではないのか、こういうことを私は考えて申し上げているんです。 マル優の問題について、これがそれでは将来これを裏づけるところの長期財源になるのかということにいたしましても、当面マル優の財源といってみたところで、それほど上がってくるものではないんですよ。これは御承知のとおりだと思います。したがって私は、少なくともNTT株のこの売り上げの中からまず二つの方法を選ぶことができるだろう。それは、今国債の償還と減税の問題こそが当面する最大の課題ではないのか、こういうように私は申し上げておるわけであります。 内外から求められておるものも内需拡大であり、この国会でいろいろ論議してきたNTT株の処分の問題についても、決してそれとの間に矛盾するものではない、こういうふうに私は考えて申し上げておるわけでありますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のこの段階で申しますと、税制改革協議会でいろいろ御議論があって、もともと政府といたしましては、前国会に御提案をいたしましたように、シャウプ以来の税制改革をいたしたいと思いまして、所得税、法人税等の大幅な減税を中心に、これはもとより恒久対策でございますから、それに見合う恒久財源ということで御提案をいたしたわけでございます。その段階におきまして政府は、恒久減税には恒久財源を充てる、NTTの方は先ほどから申し上げておりますように、やはり過去の資産の蓄積でございますから、将来の資産形成あるいは国債償還に用いる、こういうふうに考え方を整理をいたして御提案をいたしたわけでございます。 しかるところ、この税制改革全体につきましては、前国会におきましてこれがほぼ廃案になりまして、したがって今回政府は、長期の税制改革の問題は、衆議院に議長あっせんによって設けられております税制改革協議会のなお御議論を見守りながら、当面、国民的な要望の強い所得税の、これはまあいわば前倒し減税になるわけでございますけれども、それを御提案をいたしておるというのが今日の姿でございます。それに対応してと申しますか、その内容の一つに利子課税の問題があるわけでございますが、これは赤桐委員の言われますように、それ自身はすぐには財源になってまいりません。今年、来年、到底この減税を賄う財源にはなってまいりませんので、したがいましてその点は、少なくとも今年度につきましては、剰余金等々の処理によって何かの財源を別途につくらなければならない、それがただいまの現状でございます。 いずれにいたしましても、やがて本格的な税制改正を税制協議会等々で御考慮いただきますときには、それに見合うための財源というものもお考えをいただかないと長期的な税制改革はできない、減税はできないことになりますので、この点は税制改革協議会の御審議をなおしばらく見守りたい。その間は何とかして政府の方で財源を考えながら、いわゆる前倒しの減税をやっていくしか方法がないんだと。税制改革協議会におかれましても、できるだけ速やかに全体の問題、長期の問題を御検討いただきたい。こういうふうに政府は考えておるわけでございまして、当初から申しましたように、NTTの株式の売却の問題とその問題とは分けて今日まで考えてきておるというのが政府の立場でございます。
○赤桐操君 大臣の御答弁は私は残念ながら納得できません。できませんが、この問題をこれ以上私が今この場で入る立場にございませんので先へ進めたいと思いますが、本案による公共事業への無利子貸し付けの額が四千五百八十億円となっております。この金額の算出の根拠について明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(斎藤次郎君) この金額の根拠でございますけれども、六十一年度のNTTの株式売却収入が六十一年度補正後の予算におきまして一兆九千百五十二億円ということで見込んでおったわけでございますが、収入実績は二兆三千七百四十六億円ということになりました。その売却経費をそれから差し引きました剰余金がしたがって四千五百八十四億円となる見込みでございます。このため、今回の補正予算におきまして、当面の国債償還に支障を生じないと考えられるこの剰余金の範囲内におきまして、具体的には四千五百八十億円、ほぼ全額に近い感じでございますけれども、を計上したというのが経緯でございます。
○赤桐操君 そうすると、これは決算から補正後のものを引いて、その差額だということですね。
○政府委員(斎藤次郎君) そうでございます。
○赤桐操君 私は、このNTTの株の売却収入の活用というわけでありますが、これは現在の国債整理基金の資金繰りの状況がまず本来なればそこの俎上に上らなきゃならぬと思うんです。その資金繰りの状況を検討してその活用すべき金額というのは一体どのくらい余裕があるのかということがはじき出されてくるべきものだろうと思うのであります。 六十一年度におけるこの基金の資金繰りの実態、六十二年度の見込み、こうしたものについて例年国会に報告をいただいておりますが、数値について別途ひとつ御報告願いたいと思いますが、あらましで結構ですが、この国債整理基金の資金繰りの状況について御答弁願いたいと思います。
○政府委員(足立和基君) 六十二年度首でございます。普通国債分について申し上げますけれども、国債整理基金の残高が六十一年度末、すなわち六十二年度首でございますが、一兆八千四百八十一億でございまして、六十二年度中に満期到来いたします額が十七兆八千億円余でございます。借りかえが十五兆六千億円余でございますので、ネット償還額といたしまして二兆一千八百四十三億ということになってございます。 そこで、NTTの株式の売却収入でございますが、それが一兆八千二百七十億ございまして、運用益等で約千三百億円ございますので、結局償還財源といたしましては一兆五千五百億円余ということになりまして、国債整理基金残高といたしましては、六十二年度末で一兆六千百八十二億円を予定しております。
○赤桐操君 どうもそういうような基礎数字をもとにしながらどのくらいの余裕があるかというような提案の仕方ではなくて、決算と補正の関係をあわせてみて、その差額がこれだけあるからこの方に回したいと、こういうような勘定の仕方だというようになると思うんでありますね。まあ全くこれはこういう数字を出すに至った根拠ということになれば、つかみ金的な感じが大変強くぬぐうことのできないものでありまして、私どもにはこうした金の運用といいますか提案といいますか、ちょっと納得できないんですが、これはいかがですか。
○政府委員(足立和基君) 今私が申しました基金の資金繰り余裕残高でございますけれども、これは現在予算で見込まれております額でございまして、今回また六十二年度NTT株の売却を予定してございますが、これは現段階で一体幾らぐらいの価格で売れ、どのくらいの売却収入があるかということを現段階で確実に見込むわけにはまいりません。したがいまして、今私が申し上げました以上の恐らく額で売れることは想定されますけれども、その場合には国債整理基金の資金繰りに年度末で余裕が生ずれば、それをまた六十三年度に おいて活用するということになろうかと考えております。
○赤桐操君 そこで、NTTの上場後の株の動向について最近の状況を少し御説明願いたいと思います。
○政府委員(足立和基君) NTTの株でございますが、本年二月の九日に上場されましてこれまで六カ月余り経過いたしてございますけれども、初めの一月ほどは新規上場人気等もございまして、株価は大きな上昇を見たところでございますが、その後三カ月余りは約二百万円台後半から三百万円前後というようなところのいわゆるボックス圏で推移してございました。しかしながら、六月の後半以降、株式市場全体が為替相場あるいは金利水準等の外部環境の変化、あるいは高値警戒感、こういったことからやや軟調な動きになりまして、NTTの株価も一時二百三十万円台まで下落いたしましたが、最近はまた持ち直しまして、二百五十万円から二百六十万円というようなところで推移してございます。
○赤桐操君 このNTTの株の放出が十月下旬に予定されているようでありますが、それについての方針でありますが、これは大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(足立和基君) NTTの株の売却に当たりましては、適正な価格で公平、公正に行われなければならない、これはそのことを常に念頭に置いてございます。ただ、売り出しのときの株価が幾らになるかということは、これは市場が決めることでございますので、私どもが幾らということを申し上げるわけにはまいりませんが、現在の売却方法といたしましては、証券会社による引受方式ということを基本にして行うことにいたしてございまして、この国からの引受額によりまして証券会社が同一価格で投資家に売却する、こういうことの売り出しというものを予定してございます。
○赤桐操君 証券会社に売り渡すときには、どのくらいの割引で売り渡すんですか。
○政府委員(足立和基君) 証券会社に売ります場合には、一般の企業の時価発行増資あるいは従来の政府保有株式の売却の例と同じでございますけれども、現在、ある時点の市場価格、この市場価格をもとにいたしまして、若干の割り引いた水準で証券会社に引き受けてもらう、その引き受けた価格と同じ価格で一般の国民に売り出してもらう、このように考えてございます。
○赤桐操君 大体三%台ですか。
○政府委員(足立和基君) 一般の企業の時価発行増資の場合の割引率は通常三・五%前後でございますので、その辺のところが参考になるかと思います。
○赤桐操君 これはやはりまた大変注目されている株でございまするし、ひとつ今言われたような公平、公正ということで、余り乱高下のないような形でリードしてもらう必要があるだろう、こう思います。 それから次に、提案されている内容を見まするというと、A、B、Cの三つに分かれている。 それでまずAタイプでありますが、これが六十三年以降になりまするというと二千億、Bタイプが一兆円、その他Cとこうなるようでありますが、Aタイプの二千億円というこの内容でありますが、これは一体どんなようなものになるんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) いわゆるAタイプの公共事業と申しますのは、公共事業のうち当該事業もしくはこれと密接に関連する他の事業から生ずる収益で当該事業に要する経費を支弁し得るというものでございます。 具体的に申しますと、例えば高速道路等の周辺地域で行われる都市開発、工業団地の造成等、開発プロジェクトと一体的に整備されることにより地域経済の安定及び発展に効果のあるインターチェンジとか連結道路等の新設または改築でありまして、それに要する費用につきまして、これら開発プロジェクトの収益が充当されるような道路事業、また別の例として申し上げますと、都市整備の観点から、駐車場を核とし、これに関連する施設を当該駐車場設置者の負担において一体的に整備することにより駐車場の利用効率も高め、都市機能の増進に寄与するような駐車場整備事業、また別の例としましては都市公園の例がございまして、その中において収益性のある施設、コテージ等でございますが、それらを事業者が整備する際、当該事業者の負担で周辺の都市公園施設整備を行う公園整備事業というようなものが考えられまして、国はこれらの事業から収益の生ずるまでの間、無利子貸し付けを行うこととしているわけでございます。 Aタイプのために六十三年予算の概算要求基準の設定では二千億円という額を留保しておりますけれども、これは今後の予算編成過程におきまして各省庁の考えている事業の内容をよく検討いたしまして、本制度の趣旨に沿うように十分活用されるように、これから予算編成の過程で十分に検討してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○赤桐操君 建設省によれば、これは建設省から聞いたわけではありませんけれども、開発利益吸収型の事業として位置づけておる、こういうふうに聞いておりますが、そういうことでいいんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 従来、公共事業はいわば開発利益の吸収という形がなされませんで、すべて無償の国庫補助金ないしはその裏の地方負担で行われておったわけでございますが、これは公共事業にいわばそういう収益性の概念を導入いたしまして、無利子の貸付金ではありますけれども、元本を収益で返していただくという意味で、まさに利益吸収型の新しいタイプの公共事業とお考えいただいて結構でございます。
○赤桐操君 そうしますと、これが返されていく過程の中で、その事業から相当の収益が将来に見込むことができる、そういう性格の事業として解してよろしいんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 少なくとも国庫が国庫負担分として貸し付けます無利子の元本部分については、将来、具体的に申しますと二十年以内ということでございますけれども、それで償還をしていただくことを考えているわけでございます。
○赤桐操君 次に伺いたいと思うんですが、Bタイプというのは、これはなかなか額も大きく考えられているようでありますが、これはどんなような内容ですか。
○政府委員(斎藤次郎君) これはいわゆる収益性のない通常の公共事業と同タイプのものでございます。 公共事業のうち、面的開発に伴いまして一体的、緊急に整備を要する公共事業につきまして重点的に投資を図っていくという意味で、従来型の公共事業と経費の性格から申しますと全く異なるところがないわけでございます。
○赤桐操君 これは一般公共事業と大体同じものだと、こういうふうに理解していいんですか、これは。
○政府委員(斎藤次郎君) 事業の経費の性格は通常の公共事業と異なるところはございませんが、ただ貸し付けがなされます対象が面的な開発に伴う一体的、緊急整備を要する公共事業というところで従来の公共事業と異なるわけでございます。
○赤桐操君 仮にこれ伺いたいと思うんですが、これは二十年で返すんでしょう。そうすると、公共事業というのはいろんなことやるんですね。橋つくったり、道路つくったり、いろんなことをやるんですけれども、建設国債でやれば六十年で返せるわけでしょう。しかし、これは二十年で返さなきゃならないわけでしょう。これはどんなふうになるんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) これはいわば、大臣が先ほど申されましたように、国債整理基金特会に生ずる余裕金を一時的に無利子貸付金という形で活用しようということでございますので、その償還期が参りましたときには、いわば国がその時期に償還費補助を行うという形で、地方公共団体に負担がかからないような形で行うものでございます。例えば下水道事業で申しますれば五年なり十年なり、毎年十億円ぐらいずつのお金をかけて投入する事業を、例えば百億、面的開発に伴いまして重点的に前倒しで一挙に整備しようというものでございますので、それぞれの償還時には国がその償還費補助をして償還をしていただく、そういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、建設公債の発行の六十年償還とは、その意味では直接の関係がないというぐあいに申し上げられると思います。
○赤桐操君 わかりました。 そうすると、これは五年というもので据え置きをして、後は、六年目からはその返還金を国が補助金として出しながら返還をさしていくと、こういうことに理解していいわけですね。
○政府委員(斎藤次郎君) そのとおりでございます。
○赤桐操君 そうすると、今までは六十年償還であったものを二十年にするけれども、国からそういう補助金も出して、返還分は国が全部責任を負うと、こういう形だと。言ってみれば、あとはその分だけは国が賄わなければならない。だから毎年一兆円ずつ出して五兆円出していれば、五兆円は六年日からその返還金を国が行っていかなきゃならない。その場合の処置はどうなさいますか。
○政府委員(斎藤次郎君) その場合にはそのための財源が要るわけでございますけれども、本来このBタイプの公共事業と申しますのは収益性の生じない通常の公共事業でございまして、いわば国が本来それぞれ法律に定められておるような補助負担割合を負担すべきものでございます。それを一時NTTの余裕金でもって代替するわけでございますので、これは本来国が負担すべき額を将来お返ししていくという意味でございますので、それで新たな負担と私どもは考えていないわけでございます。償還時の補助についてはそのときどきの財政事情を勘案して財源を捻出するという仕組みになっておるわけでございます。
○赤桐操君 要するに、それに対する財源は場合によっては建設国債で賄わなければならないと、こういう事態も発生することもあり得るわけですね。
○政府委員(斎藤次郎君) そのときどきの財政事情でございますが、そういう事態もあり得る可能性はあるというぐあいに考えております。
○赤桐操君 次に、Cタイプというのがあるんですが、これは第三セクターを対象として行うんだと、こういう説明を受けておるんでありますが、具体的にはどういうことになりますか。
○政府委員(斎藤次郎君) そのCタイプでございますが、これは地方公共団体の出資に係る第三セクターが、経済、社会の基盤の充実に資する公共性の高い施設の整備を行う場合に限って、無利子貸し付けによりその促進を図ろうというものでございます。したがいまして、いわゆる民活タイプのいろいろな事業に融資をするわけでございますが、その中で、第三セクターがやり、しかも公共性の高い施設の整備に限るという限定をつけた上でそういう事業の推進を図っていこうという趣旨のものでございます。
○赤桐操君 まあ、いろいろこれは私ども聞いている範囲でありますけれども、通産関係では「暮らしの広場」の整備をするとか、あるいは国土庁関係では防災関係の基地の構想を描いているとか言われているようでありますけれども、なるほどそれは表面はそうなんですよ。しかし第三セクターなんです、これは言ってみれば。地方公共団体がやるわけじゃないわけなんです。第三セクターがやるんですね。とすれば、ここに参画する企業もあるわけだし、団体もあるわけでしょう。そういうところにこの無利子の金を貸し付けするわけですね。この償還方法はどのようにやるんですか。
○政府委員(斎藤次郎君) これは据置期間を三年置きまして、十五年以内の償還ということで無利子の貸し付けを行うことを考えておるわけでございます。
○赤桐操君 それはこちらから補助金は出さないわけですか。
○政府委員(斎藤次郎君) これはAタイプと同じでございまして、収益でお返しをいただくということになっておるわけでございます。
○赤桐操君 大体わかりました。わかりましたけれども、率直に申し上げまして、これはAタイプにいたしましても、これはもう言うなれば、公共性を持つものであるかもしれぬが、収益でもって返していく、また収益の上がるものであると。それからCタイプにいたしましても第三セクターがこれを管理してやっていくわけで、でき上がったものについても、それから先いろいろなまた管理されることになるだろうと思うのでありますが、そういう点。Bの方はこれは従来の公共事業とまあ同じタイプのものでありましょうけれども、いずれにいたしましても、例えば極端な話ですが、Aにいたしまして見るならば、収益の上がるものについて無利子のものをこれを提供していく、こういうことについていささかこれは問題があるんじゃないかと私は思うんですがね。しかもその事業体ができ上がれば、後も収益を上げていくことができるわけです。少なくとも金を借りて仕事をする以上は、これは金利が伴うのは今日の日本の社会の原則です。これは例えば真ん中のBタイプであるならばわかります。しかし、AとCについてはこれはいささか私どもには納得できない、こういうように思うんですが、この点いかがですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 実は公共事業につきましては、従来からいわば無償と申しますか、収益が上がらない事業に限定をされて、いわばそういう意味で公共性が非常に高いそういう事業について補助金という形で行われているわけでございます。今度のAタイプはその中でいわば純然たる民間の事業との接点と申しましょうか、非常に収益性の低い公共事業の中であっても無利子の貸付金であれば何とか収益で元本が回収できるという意味で、全く新しいタイプという意味で従来に例を見ない公共事業の投入の仕方をしようということでございまして、私どもとしては従来の公共事業のいわば補助金型の公共事業に比べますと画期的な制度であるというぐあいに実は考えておるわけでございまして、これを利子をつけることになりますと、ますます収益性の高い事業ということになりますので、従来公共事業というのはすべて無償で行っていること、いわば収益性の乏しい事業が公共事業であるということから考えて、無利子の貸付金というのがそういう意味で選択のいわばぎりぎりのところではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
○赤桐操君 まあこの中でもいろいろあると思いますけれども、いわゆる産業基盤向けの投資の形をとらざるを得ないものもある。あるいはまた、生活基盤向けの形に属するものもあるかもしれません。国から無利子でもって貸し付けするというのは諸外国で例がないわけではない。私もそれは現実に知っておる。西独でもやっております。しかし、これは限られた生活基盤に対するところの一種の保護ですよ、これね。そういう意味で行われてきている例はあります。多額なものであることも私も知っておる。しかし、この種のものにこういう形で行われるということは余り私はないと思うんですね。 したがって私は、六十七年からこれいよいよ国として返済の裏づけをもって賄っていかなきゃならないBタイプもあるわけでありますので、これはそれらを含めて大変な財政の賄いが出てくると思うんですね。こういう見通しは大臣におありになるんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお聞きになっておられたとおりでございますけれども、一般に公共事業というものは収益性がない、片方にそういう分類がございます。他方で、およそ収益性のある仕事ならこれは民間資本が利子を払ってやるはずである。そういう問題がもう一つございます。 しかし、仮に都市開発であるとか、あるいは工業団地であるとかというものをやろうといたしまして、その周辺に高速道路があってそこへ一種の導入路をつければ、その道路建設費はやがてその団地の開発利益で賄えるといったようなことはもう全国各所にございます。駐車場にしてもそうでございますから、そういうときに一つこういう金が出ていったらそういう仕事が進むわけで、それが収益事業とそうでないものとの接点ということになるわけでございまして、私は、これは言ってみれば、そういうケースがたくさん全国にございますのをひとつこれでお助けをしたらどうだろうかと考えておるわけでございまして、赤桐委員の言われますように、無利子というのはおかしいだろうとおっしゃいますれば、利子を払ってやれるのであれば当然どこかの民間事業がやっておるわけでございますから、利子がただであればこれはやれるというようなケースがたくさんございますので、それをこのAタイフで処理をしていこう、助けていこうと、こう考えておるわけでございます。
○赤桐操君 例えば資金運用部資金を使ってもかなりの金利は払わなきゃならないですね、今日までの経過を見て。今は大分資金運用部資金の方が高くなってきているケースがありますけれども、それはまあ別といたしまして、長い間の運用実態からそういうことがやっぱり言えると思うんですね。国が少なくともこういうものを援助するに当たってはそういう金利のあり方ぐらいは考えるべきである。建設国債を使えば相当の金利がかかる、だとするならば、少なくとも国が今日まで行ってきている財投等の金の中で行った金利程度のものは、これは当然見るべきじゃないのかな、こう私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、再度申し上げるようでございますが、金利を払ってもうかる仕事ならこれは必ず民間資本がやっておることだと思うのでございます。ですから、先ほど申しましたような幾つかの例で、金利さえなければこれはできるのだがなというようなケースは、そういう仮に公共事業的なものと、それから収益部門とその接点をこれで大いに救っていけるというふうに考えておるわけです。
○丸谷金保君 今の質疑を聞いておりまして、無利子制度ですが、これは現在日本の金融制度の中で無利子貸し付けというような制度は、ほかに実例がございますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 金融面と申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、国の施策の中で無利子貸し付けを行っているものがかれこれ二十本ぐらい現存しております。
○丸谷金保君 例えばどういうものが。
○政府委員(斎藤次郎君) 典型的な例で申し上げますと、文部省に計上しております育英資金の無利子貸付制度等でございます。
○丸谷金保君 ちょっと今回の制度とは何か性質が全く違う感じでございますけれども、いずれにいたしましても、今度のこの制度というのは無利子貸し付けということが中心になっておるようでございます。 そこで、Bタイフの無利子貸付制度ですね、これは償還のときに国が補助をする、こういうことですね。これは貸し付けと言えるでしょうか。いいですか、利息なしで貸してあげたと、しかもその金はまた国が出して、そしてまた国に戻るのでしょう。こういうの何て言いますか。こっちのポケットから出してこっちのポケットに入れて、こっちのポケットから出してこっちのポケットに入れるんですよね。これは何かありましたね、こういう言葉が。何て言いました、大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 問題は、丸谷委員が御承知の上でお尋ねになっておられるわけですけれども、仮に下水道の補助金を毎年十億円ずつ出して十年間で百億円になるわけでございますけれども、ある団地あるいは一体として開発をしたい、それは大変に急ぐというときに、十年間下水道をつくっておったのでは間に合いませんから、そこへ百億円まとめて今出してしまう。そうしますと、面的な開発が一遍で一体的に行われるわけでございますから、そうしておきまして、将来当然出すべき補助金であったわけでございますから百億円出して、そしてそれを償還してもらう。こういうことにすれば、各地方によく何々団地であるとかそういう一体的な開発あるいは再開発の必要はたくさんございますので、そういうところの役に立つわけでございます。 ですから、こっちのポケットからこっちのポケットとおっしゃいますが、その間に十年なら十年という時間の節約をしておるわけでございまして、いわば十年間にわたっての補助金の前渡しをする、急いで開発をしなきゃならない、そういうものとして御理解をいただければ、それが実情だと思うんでございます。
○丸谷金保君 まさに大臣の言われたとおりだと思うんですが、私は、これは貸し付けでなくて補助金の前渡したと思うんです。だって、国債整理基金というのは国の基金でしょう。そこから出して、ここへ戻る金はまた国が出すんでしょう。とすると、受けるBタイプの地方公共団体等は、これは貸付金とは思わないと思うんです。それで、一つここで疑問があるんですが、これは法案の中で繰り上げ償還の制度がありますね、貸付金の前渡しを先に払うというふうなことはちょっと考えられないんですがね、繰り上げ償還ということのね。これはAタイプとかCタイプならわかりますよ。無利息で、まあ前渡し金ですよ、金利もかからないのを返す。しかし、そんな地方自治体があるだろうかと思うんですが、どういう場合を想定しているんですか、これ。
○政府委員(斎藤次郎君) これは地方公共団体には、今丸谷先生おっしゃるように、何ら負担がかからないわけでございます。繰り上げ償還をしていただく場合は、当然のことながら国がその繰り上げ償還に要する費用を補助金として交付をするということになります。 したがいまして、繰り上げ償還の規定は、国の財政状況等を考え、将来非常に長い期間なものでございますから、そのときどきの国の財政状況を勘案して、もし国が繰り上げ償還をしていただくだけの財源の余裕があれば、それで繰り上げ償還のための費用を地方公共団体にお出しをして、地方公共団体がその国から出た補助金を財源にして、全くその同額を国にお返しいただく。そのお返しいただいた金を国債整理基金の方へ繰り入れていくというのが、本来国債整理基金特会に帰属しているNTTの株のいわば余裕金を一時流用させていただくので、そういう規定を念のために入れておいた方が適当ではないかということで、そういう規定を設けたわけでございます。
○丸谷金保君 そうすると、これは結局国の一般会計の財源が余ったから、早く整理をしてしまうためには繰り上げて補助金を出すからその分国に返しなさいと、こういうことですか。
○政府委員(斎藤次郎君) そういう事態もあり得るということで、そういう規定を設けておるわけでございます。
○丸谷金保君 大蔵大臣、そういうことが考えられるでしょうか。どうですか、ここ十年、二十年にしろ。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、財政が大変楽になってなんというのはありがたいことだと思いますですね。どうも急にそういうことがあればいいがなと思うようなことで。ただ、考え方としてはそういうことがあり得るのでBタイプにつきましても、A、Cはもうおわかりのとおりでございますから、まあ書いておくと。それで、そういうふうにいけばまことにいいことでございます、というだけのことだと思います。
○丸谷金保君 大臣は大変正直にお答えいただくので、私もそのとおりだと思うんですがね。 そうしましたら、こういうのは法案として、そういう事態が起きてきたときにこの法律の改正で間に合うんでないんですか。今ちょっとここ五年や十年これは全く考えられない条項なんですがね。こんなものを今から入れておくと、何かこの法律ちょっとおかしいような気がするんですが。
○政府委員(斎藤次郎君) 今大臣がお答え申し上げましたとおり、いわば念のための規定かもしれませんけれども、将来にわたる財政状況、私ども一生懸命財政再建をしておりますので、そういう事態も想定を全くされないというわけではないので、そういう意味で念のための規定を置いておるわけでございまして、この規定を置くことによって、いわば何と申しましょうか、地方公共団体に新たな負担が生ずるというものでもないし、将来国債整理基金特会にできればなるべく早くそういう償還金を戻しておく方がいいという財政の節度の観点もございますので、この規定は置いておく必要はあると私どもは考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 それではお願いいたしますけれど、そういう場合もあり得るかもしらないと想定して法案に入れたと。そうすると、大体これは五年据え置き十五年償還ですね。そうすると、今後二十年のそういう想定した場合の一つの計算例、こういうふうになった場合というのを資料としてお出しいただけますね。何にもなくてこんなもの出してくるはずないと思うんです。
○政府委員(斎藤次郎君) これはいわば財政再建が六十五年に仮にできまして赤字公債の新しい発行をしなくて済むという事態になったその後の財政運営ということでございまして、これについて私どももちろん確たる見通しを持っているわけではございませんけれども、そういういわば財政状況になり、なるべく早く国債残高の減少というのが図れるようになればいいなという意味で、そういう願いを込めた規定というぐあいに御理解をいただきたいと思うのでございます。
○丸谷金保君 大臣ね、今も六十五年赤字国債出さないと。しかし先ほどの御答弁でも、十兆からのことしも国債発行をしていて、もうあと三年ですがね、こんな答弁を私はとっても承認するわけにいかないんです。あと三年で今御答弁あったようなことができますか。もうできないことわかり切っているのにかかわらず建前だけで、やることになっているからと言う。もういいかげんにこの旗をおろしてもらわなきゃ財政論議になりませんよ。国民だって、国会だって、今答弁している大蔵省の皆さんだって、腹の中でこんなものが六十五年までにできると本当にそう思っている人いるんですか、一体。どうですか、大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政再建というのはなかなか大変なことだと思っておるわけでございますが、この規定の意味は、もう先ほどからしばしば申し上げておりますとおり、仮に国が非常に早く補助金が出せることになった、そのときは補助金を差し上げますからその分はそれで返してくださいと。これはだれも困るわけではないので、決してだれにも迷惑をかけませんから、そういうことはあり得ないからこの規定を置かない、A、Cと違いましてBだけはそういうことはあり得ないと考えることも、むしろまたいかがなことかなと。同じような規定を置いておいて、財政の都合でそれはなかなかそういうことはしかし起こらないだろうとおっしゃれば、なかなか財政の都合で補助金を予定より早く差し上げるというようなことはどうも難しいかなと思いますけれども、そうなったら早く償還が済むということを書きますことは、私は別にどなたにも少しも迷惑はかからぬことではないかと思います。
○丸谷金保君 それは迷惑がかからないから何でも書いておけばいいというものじゃないと思いますよ、法律は。そして今御答弁ありましたように、六十五年財政再建という目標があってそれをやるんだから、それから後のことだから今言いたくはないと。そうすれば、それが達成されたときに今度は補助金を早く出して繰り上げ償還をさして、国債をゼロに限りなく近づけていくためにこういう法案も必要ですというときに改正案として出すべきもので、今から、そういう財政の状況にないときに、私はこんな条項を入れるのは少し借上のさただというふうに思うことを申し上げて、先へ進みます。 それで、今大臣の趣旨説明の中で、「国債の償還等国債整理基金の円滑な運営に当面要する資金を上回る資金が、」というふうなくだりがございますね。それで、「国債整理基金の円滑な運営に当面要する資金」というのは幾らくらいを言ってるんですか。幾らなんですか。ちょっとこれだけでは理解ができませんので。
○政府委員(斎藤次郎君) 私が答弁してよろしいのかどうかあれでございますけれども、これは国債整理基金は、国債のネット償還額の確保のほかに、国債の外債等の事態に備えるためにある程度の手持ち資金を持っておかなきゃいかぬという意味で、運営のためある程度の額を留保しておくべきであるという趣旨でそういう表現をしたわけでございます。
○丸谷金保君 それで、ある程度ではわからないんですよ、我々にはどうもある程度と言われても。だから、これは一体ある程度というのはどれくらいのことを言うのか。それはきりきり何億何十何円とまでは言いませんけれど、おおよそある程度というのはこのくらいというめどがあると思うんですが。
○政府委員(斎藤次郎君) 所管ではございませんけれども、私ども考えておりますのは、大体一兆円程度の余裕金があればいいのかなというぐあいに考えておるわけでございます。
○委員長(村上正邦君) 速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は主管局長を御要求がありましたからさっきまでおりましたのですが、退席いたしましたので私からお答えいたします。 大体、国債整理基金が運営をいたしますときに、そのときどきの短期の発行であるとか、あるいは借りかえであるとか、いろいろ時期的に金融の繁閑がございますものですから、ある程度国債整理基金が上手に運営をいたしますために余裕金を必要といたします。その余裕金は経験的には大体一兆円というふうにほぼ言っておるわけでございますが、これは大まかなことでございまして、大体そのぐらいのものとひとつお考えください。
○丸谷金保君 そう言ってくれればわかるんですが、ある程度というふうなことでは我々には一体どれくらいが必要なのかということがわからないんですよ。まあ大体そうすると一兆円前後のプールする金があれば回っていくと、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) その年の償還予定の国債がどのぐらいあるか、これは年によって違いまして、二兆であったり三兆であったりいたします。そういう問題と、それから金融の繁閑等々の関連がございますので、基本的には一兆円プラスと、こんなふうな感じでございます。
○丸谷金保君 ここで、NTTの株の問題と大臣の持論である資産倍増論との兼ね合いについてちょっとお聞きしたいんですが、NTTの株を放出して国庫にお金が入る、それからそのために今度は個人は資産がふえますね、これは資産倍増論でやっぱり倍になったということになっていくんですか。 国の株を個人に移したと、これは私たちはこういうのはトータルで見たらちっとも資産がふえたことにならぬので、価値がこっちからこっちへ移っただけだというふうにしか思わないんです。だから、こういうのは資産倍増論の中の資産がふえたということに入るのかどうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私がかつて提案いたしましたことについてのお尋ねでございますが、私が提案をいたしましたのは、やはり社会資本ということを中心に考えておりましたけれども、そういうことから考えておりますので、つまり下水道であるとか公園であるとか、住宅はもちろんでございますけれども、治山治水であるとか、そういうことについての国の社会資本、インフラストラクチャーとでも申しますか、そういうものをいわば物的にとらえて、今持っておるような、例えば下水道の普及率で申して三六%でございますればそれが八〇%になるとか、そういったような物の考え方をいたしておりまして、金融資産等々がふえる、あるいは物価上昇によって名目的にふえるといったようなことを余り主体には実は考えておりませんでしたので、ただいまおっしゃいますような例は私はその中に入るとは思っておりません。
○丸谷金保君 私ももちろんそういうのが資産倍増に入るとは思わないんです。ただ、土地の値上がり、これはもう明らかに持っている人は資産がふえますね、これはどうなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは実は私自身は、国富というようなことでございますと別でございますけれども、あのときに私が考えておりましたのはいわば社会資本ということで考えておりましたので、今丸谷委員の言われましたように、例えば預金であるとかなんとかいうものまで、そこまで広げていきますと、それは土地の値上がりも資産ということになりますでしょうが、私の考えておりましたのは、むしろやはり社会資本というふうにひとつ御理解を願いたいと思います。
○丸谷金保君 もちろん、例えば東京湾を埋め立てて土地がふえたと、これはそういう意味で国富がふえたことになるから資産倍増論の対象になると思うんですが、私もそういう点でインフレ要因その他というふうなものは資産倍増にならぬと。ただ社会資本というふうに一般は受け取っていないんですね、宮澤資産倍増論というのは。何か個人個人の資産がふえるというふうなことに国民は受けとめがちなんですが、今お伺いしますと、それはトータルとしての国民全体、もちろん個人の資産でもありましょうし社会資産でもあるというふうな意味での資産倍増論と、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 問題が非常に難しい問題なものでございますので、御承知のように、これを議論していきますと結構複雑な話になってまいりますから、それほど学問的にきちんと言おうとしたわけではございませんけれども、いわばかつての昔々「花見酒の経済」という話がございましたが、そういったようなふえ方というものを言おうとしたのではございません。
○丸谷金保君 大変大蔵大臣は上手な表現を使っていただきましたが、どうも今の日本の経済の推移を見ていると、まさに「花見酒の経済」という感じがして非常に心配なんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはその問題として私もよほど真剣に考えなければならないことだと思っておりまして、つまり生産にいたしましてもサービスにいたしましても価値を生まないものは、それは金銭的には計算ができますけれども、そういうものが経済の主体になって動いていくような場合、いわば財テクとかいうようなことでございますけれども、そういうことは時として必要なことであることはわかっておりますけれども、それが経済の大きな部分になるといったようなことは決して健全なことではないと思っております。
○丸谷金保君 そこで、今回御提案いただいておりますNTT株売却資金の使途の問題なんですが、農業なんというのはやっぱり富を生産しますね、あるいは下水道などというのは社会資本を充実していく、こういうことになるので、下水道の問題がここに出ておりますが、このことについてひとつ御質問申し上げたいと思います。 実は、五月の二十二日の参議院の本会議で私は中曽根総理大臣に、下水道の補助率を年々下げてきて、地方自治体の負担をふやしながら、内需拡大ということで事業量だけふやすというのはいかがなものか、こういう御質問を申し上げたんです。これに対して総理は、「下水道事業の問題について、補助率の引き下げによる地方公共団体への影響については、地方財政の運営に支障を生ずることのないような措置を既に実行しておるわけであります。」こういう御答弁なんです。これは本会議ですから言いっ放しなので、そんなはずないと思いながらも今日に至ったんです。 たまたま今回の法案の中にも下水道事業が入っておりますし、下水道に対して六百五十三億公共事業に措置をするというような資料もちょうだいいたしました。五月にも申し上げたのですが、五十九年から下がっているんです。それで、これはやはり地方自治体を圧迫しているんですが、このとき総理が、既にそれに対しては措置していると言われたこの「措置」というのは一体どういうものなのでしょうか。これは自治省が来ておると思うんですが、ひとつお答えください。
○説明員(大屋正男君) お答えいたします。 下水道事業に係る国庫補助負担率の引き下げによります国費減少額につきましては、臨時財政特例債により措置することとしております。また、この臨時財政特例債の元利償還金につきましては、その金額を地方交付税の基準財政需要額に算入することとしております。
○丸谷金保君 全額を特例債で見ておるから、それで総理は、地方財政を圧迫しないという答弁をされたというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○説明員(大屋正男君) 臨時財政特例債で全額措置いたしまして、なおかつその元利償還金につきましても全額交付税に算入をするという措置をとっておりますので地方団体の財政運営には支障がない、このように理解をしているわけでございます。
○丸谷金保君 基準財政需要額で見て交付税で措置をするというのは、交付税の総枠がふえるのならいいんですよ。三二%から三三%になって、そのふえた分で措置するというのはいいんですが、総体としては交付税はふえないんでしょう、ふえないですね。
○説明員(大屋正男君) 昭和六十二年度におきまして国庫補助負担率を引き下げた場合の臨時財政特例債につきましては、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入するわけでございますが、その原資とするため、交付団体分につきまして必要な額は国の一般会計から交付税特会に繰り入れるものとされております。
○丸谷金保君 そうすると、それはあれですか、別枠で一般財源で交付税にその分は措置をしているということですか。
○説明員(大屋正男君) そうでございます。
○丸谷金保君 それは後で返さなくてもいい金ですか。
○説明員(大屋正男君) 後で返す必要はないというものでございます。
○丸谷金保君 特別会計の方でそれは交付税のいわゆる一般財源から繰り入れる以外に国からその特例分が来て、この分で措置をするからというふうに交付税に上積みになっているということですか、全体に。
○説明員(大屋正男君) そのとおりでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、不交付団体の方はどうなりますか。
○説明員(大屋正男君) 不交付団体につきましては適切に地方交付税の算定を行った結果、たまたま不交付団体となる団体につきましては、地方交付税によります財源調整あるいは財源保障、こういった意義に照らしてその補てんを受けられない、こういうこともやむを得ないというふうに考えております。
○丸谷金保君 補てんを受けられないところは財政圧迫になりませんか。
○説明員(大屋正男君) 不交付団体につきましては、そういった影響を緩和する意味から、昭和六十二年度におきましては地方債の配分に当たりまして配慮すると、こういった方針ております。
○丸谷金保君 地方債で配慮する、不交付団体は裕福だからそんなことをしないでも圧迫することにならないからという御答弁があるんじゃないかと私は思っておったんです。それにもやはり手当てするわけですね、それはどうしてするんですか。
○説明員(大屋正男君) 今申し上げましたように、不交付団体への影響ということも考えられるわけでございますので、それを緩和する意味から起債で配慮をすると、こういったことでございます。
○丸谷金保君 やっぱり不交付団体も影響があるというふうに見ているわけですね、補助率が下がると。
○説明員(大屋正男君) 不交付団体への影響は出てまいるというふうに思います。
○丸谷金保君 そうしますと、それに措置した起債は金利はかからないんですか、かかるんですか。
○説明員(大屋正男君) 金利はかかります。
○丸谷金保君 総理は影響ないと言っているんですよね、全部実施したと。しかし、今大臣聞いておられるとおりに、やはり地方財政をある面で圧迫しているという事実はあるわけですね、例えば不交付団体には影響あると言うんですから。これには貸付金だと当然金利をつけて払わなきゃならないんです。こういうところにNTTのこの無利息の金を出してやるということにはならないんですか、一番これは大事なことだと思うんですがね。そうでないと、総理はうそ言ったことになりますよ。 もう一回言いましょうか。——今自治省の答弁で、結局は地方自治体の財政を圧迫する面があるわけです。起債で措置すると、それは圧迫する面があるから措置するというんですから。ところが、起債には金利もかかるし返していかなきゃならないんですね。これは圧迫するということを今自治省は言っているわけなんです。だからそこへ無利息の金を出してあげる、そしてその償還は今のこのBタイプのようにして花見酒のような調子にこっちからこっちとこうやると、これは圧迫しなくなるんです。そうすると、五月二十二日の総理答弁はそのとおりということになるんですが、今のままではやっぱり総理はうその答弁したことになるんですよ。全部措置しているから心配ないんだと言うが、しかし全部措置してない分は不交付団体にあるんです、交付税で措置できないんですから。そしてそれは金があるからいいんじゃないかと言うのかと言ったら、そうじゃなくて、やはり影響があるから起債で措置しているという今答弁なんです。そうすればこれは、総理が言ったように、全部措置しているから心配ないということにはならないということになって、何かここで大蔵大臣が手当てをしていただかなきゃ総理のこの答弁というのは本当のことでないということになるんです。それは金額が多いとか少ないとかの問題じゃないですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の意味はふく当初から理解をしておるつもりなんでございますけれども、つまり地方財政を圧迫しない、あるいはお困らせしないようにということを申し上げますときに、不交付団体は、これは不交付団体であるので、交付団体に比べて財政力があるということを暗黙のうちに思って物を申し上げておるものでございますから、大変に厳密に言いましたら不交付団体でも起債をしてその利子はどうなるのかと、見るのかと言えば、そうじゃございませんということになってまいりますから、そういう意味では非常に厳密に申しましたらもう少し細かいお答えを申し上げるべきであったと思うのでございますが、私どもの頭の中に不交付団体はこれは御自分でやっていただけると、ある程度のものは負担もしていただけるという気持ちがございますものですから、多少その点答弁が精密さを欠いたという点はあろうかと存じます。
○丸谷金保君 私もそういう御答弁があると思っていたんです。そしたら起債を出していると言うんで、それじゃ話はおかしいじゃないかと。そうであれば、まさにこの資金を貸し出しをするのに一番適切なそういうところへこういうのこそ貸さなきゃならないんじゃないかというふうに実は思っておったんですが、まあ今すぐというわけにまいりませんでしょうけれども、ただ全体として申しますと、やはり補助率を下げて基準財政需要額で見たり特例債を出したと、これは別枠で大蔵が交付税の上積みでやってくれたといいましても、これはいつまでも続くという保証は実はないんじゃないかと思うんです。償還期限十五年なりの間補助率が下がって、結局その補助率下がった分を特例債で見てもらったといたしましても、どうなんでしょうね、ずっとこれ毎年下がった分未来永劫見てもらえるんですか。これは今大臣から約束をとっておきましょう、自治省。
○説明員(大屋正男君) 国庫補助負担率の引き下げは暫定的な措置であるというふうに理解をしております。
○丸谷金保君 やがてもとへ戻るというふうに理解してよろしいんですか。
○説明員(大屋正男君) 私どもはそのように理解をしております。
○丸谷金保君 私はなかなかそういうふうに理解できないんですが、先ほどの六十五年赤字国債脱却というふうなことがいまだに答弁の中で使われる、さらにまた繰り上げ償還するような財政状態になるかもしらぬというそういう試算は全くやってない、願望だと、こういう法案が出てくること。それから、今の具体的な例えばNTTのこの貸付金と称する補助金前渡金にいたしましても、やはり下がった補助率で計算をされることは間違いないんですから、地方財政を何らかの形で長期にわたって圧迫するというふうな問題は、今の御答弁では解決していないと思います。しかし、もう時間があと一、二分しかございません。この問題一つやっていてもとてもなかなかきょうには終わりませんので、この機会に資料要求の面でお願いだけ申し上げておきたいと思うんですが、例えばこの下水道事業、これが一体どういうところにこのお金が流れるのかということを建設省に資料を私ども要求したんですが、法案が通らない前には出せないという答えしか実は返ってきていないんです。しかし、予算案が成立している段階でこれの箇所の予定場所、それからおおよその金額が決まっていないはずがないんですよ。それはなぜかといえば、例えば十二月の内示の後の一月、二月ころに地方の新聞にいきますと、どこどこの下水道幾ら、どこどこの道路幾らなんというふうなことを電報合戦で自民党の国会議員さんが決まったと言って電報を打っているんです。それなのに、補正予算案が決まった段階で建設省は箇所づけが出せないと言うんです。そういう不見識なことはできないと言うんです。不見識と言うんですよ。大蔵省は予算要求でNTTの、例えば下水道に六百五十三億、これを認めた。予算案はもう既に可決になっていますわね。 そうすると、これはつまみ銭で出したわけでなくて、どこが幾ら、どこが幾らという予算要求を査定して出しているはずなんで、その査定した根拠を下水道について実はお願いしたい。というのは、下水道事業というのは小さな自治体では非常に財政負担が多い。大都市と違って田舎へ行くほど効率が悪いから金もかかるんです。そういうところで補助率が下がったというのは大変なことなんで、またこういう資金が今度出ていきますと、どうしても大都市あるいは中小都市というか、そういうところへ重点的に流れるんじゃないかと思ったので、私は大蔵省にそういう資料要求をしたんですが出てこないんです。ですから、これは次回までにぜひ出していただきたいことを委員長にもお願いいたしまして、きょうの質問を終わらしていただきます。
○委員長(村上正邦君) 資料どうなっていますか、建設省。
○説明員(斉藤健次郎君) 先生の方からおっしゃったような資料要求がございましたが、具体的な配分箇所と配分額につきましては、根拠となる法律を現在御審議いただいているところでございまして、私どもとして現段階では申し上げられ得ないということで御理解をいただきたいと申し上げた次第でございます。
○委員長(村上正邦君) そうすると、資料は提出できないということですか。
○説明員(斉藤健次郎君) NTT資金の配分等につきましては法律の中身と関係いたしておりますので、その法案が成立する前の段階では申し上げられ得ないということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
○委員長(村上正邦君) ただいまの丸谷君の資料要求につきましては理事会において協議いたさしていただきます。 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十四分休憩 —————・————— 午後一時十分開会
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、中村太郎君が委員を辞任され、その補欠として佐藤栄佐久君が選任されました。 —————————————
○委員長(村上正邦君) 休憩前に引き続き、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田教美君 私は、議題となっております二法案の質問に先立ちまして、当面の景気動向、それから今後の財政運営というふうな問題についてまず御質問したいと思います。 まず、当面の景気の情勢でございますけれども、経済企画庁の八月の月例経済報告が、景気は足取りは緩やかだけれども回復局面にある、景気が回復期に入ったとの宣言を出しました。宮澤大蔵大臣もこの見方を肯定して政府経済見通しの三・五%の実質経済成長率は間違いなく達成できると、こういうふうにおっしゃっておられます。私も最近の諸指標を見ますと、数字の上では確かに景気は最悪の不況の状態を脱して底を入れたという感じはいたします。しかし、この景気回復が果たして本物なのかどうかという点についてはいろいろと首をかしげざるを得ない点があるわけでございます。底を打ったことは確かだけれども、今の状況でとても自律的な回復軌道に乗ったとは言いがたいんではないかというふうに考えるわけです。 個人消費は確かに堅調でございますけれども、しかし高級外車だとか貴金属など高額な商品がよく売れているというけれども、これは株式や土地値上がりで稼いだ財テク資金の一部が消費に回っているんではないか。あるいはまた、企業が業績見通しを上方修正するところが出ているといいますけれども、これもその背景に財テクによる金融収支の改善が背景にあるのではないか。内需主導型への産業構造の転換というのはまだ緒についたばかりでございまして、地域によって業種によって非常にばらつきがある。つまり、回復の程度の開きが非常に大きい。極端なことを言えば、景気がいい、いい、回復過程にあると言っているのは東京だけじゃないかというふうな地方の声もあるわけでございます。失業率が三%以上という非常に深刻な情勢は依然として続いておるわけで、どうも政府がいささかバラ色に景気回復ムードをあぶっているんではないかというふうな疑念さえ起こすわけでございます。 いずれにしても、この段階で財政による景気てこ入れの手を緩めるということは許されない情勢だというふうに思うわけですけれども、その点について大蔵大臣はまずどういう判断をされておるか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 景気が一応底入れをしたであろうということ、それは私もそう思っておりますが、それに関しまして、今、和田委員の言われましたことは私もほぼ同感でございます。一応底入れはいたしましたが、地域により、あるいは業種によりまして相当ばらつきがございます。業種の中にはむしろちょっとこれから、例えば造船のようなものは、あるいはそれに関する地域などはどういうふうにしていっていいかというはっきり見通しがつかないようなものすら、石炭についてもそうでございますが、ございますから、地域、業種によってのいろいろ陰りがございます。 プラスの要因でいいますと、消費はますます堅調であろう。住宅もかなり高い水準である。それから卸売物価が大きなマイナスがなくなりましたので、やや在庫補てんが行われているといったようなこと等々はまずプラスの要因と思いますけれども、しかし昔でございますと、ここまできますと設備投資が出てまいりましてこれが景気の回復を主導するわけでございますが、今見ておりますと、これという大きな設備投資の担い手はない。非製造の方でそれは集めれば相当な金額にはなりましょうけれども、昔のようにこれこれという大きなリーダーがいないという不安がやっぱりございます。 そこで、底入れはいたしましたが、雇用の問題もございますし、地域、業種の障りもある。設備投資がいわゆる二段ロケットということにならないといたしますと、いずれにしても、財政が一遍や二遍補正予算を組んだらそれで済むというものではやはりないであろう。殊に我が国の産業構造の調整ということを必要とするといたしますと、財政はまだまだいろんな工夫をしながらこの我が国の経済構造の調整に財政としての役割を果たさなければならない、こう考えております。
○和田教美君 景気が回復局面に入ったと言われる中で、日銀などを中心に物価の雲行きが怪しくなってきたというインフレヘの警戒論が出始めております。これは特に七月の卸売物価が対前月比で〇・九%と大幅な値上がりを見せたということ、それから建設資材の値上がりなどから政府の内需拡大策の今後の進展によってはボトルネックインフレの心配があるというふうな説が出てきたこと、それからマネーサプライ、この指標であるM2が前年同月比で三カ月連続一〇%台の伸びを示しておるというふうなこと、価格騰貴に火がつきやすいいろいろな要因が出ているということは私は事実だと思います。 私も首都圏を中心とする狂乱物価あるいは株価の高水準などがストックインフレと言われるわけですけれども、これが一般的な物価値上がりに波及しないかどうかということを心配している一人でございます。だから、インフレの芽は早目に摘まなければならないということは言うまでもありません。しかし、景気がやっと底入れしたという段階で、余りにインフレ懸念ばかりを心配して金融の緩和の政策を転換するとかそういうことをやると、それが景気回復の足を引っ張るということにもなりかねないわけでございまして、なかなかかじ取りは難しい段階に来ているのではないかというふうに思います。 そこで、この局面をどういうふうに日銀は判断をしておられるか、また約七年間に及ぶ金融緩和政策ですけれども、これは転換する必要があるというふうにお考えになっているのか、その辺のところをお答え願いたいと思います。
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。 先生御案内のとおり、金融政策は、当然のことではございますが、景気、物価、為替、それから内外の金融情勢の総合的判断ということに相なりますが、この間にありまして私どもは最近注目しておりますのは、先生が御指摘になりましたマネーサプライの増加でございます。それも今先生が御指摘になりましたとおり、過去三カ月M2プラスCDは前年比一〇%台を続けております。昨年の十−十二月が八・三%でございましたから、その後の上昇のテンポあるいは水準というのはかなり高いわけでございます。このマネーサプライというのは何カ月か後に物価を押し上げるプレッシャーになるわけでございますので、そういう意味で注目をしているわけでございますが、当面の物価ということになりますと、卸売物価にはややじり高の気配が見えておりますが、卸売物価、消費者物価ともに全体としては比較的落ちついた推移をたどっているというふうに思います。しかも先行きのことにつきましても、物の需給、労働需給、賃金コストの動向、あるいは近隣諸国からの輸入増加の可能性、そういうことを考えますと、現在の基調が直ちに大きく崩れることはないと、こういうふうに判断をしております。 ただしかし、これまた先生が御指摘になりましたけれども、注目すべき点が幾つかあるわけでございまして、一つは国際商品市況の反騰でございまして、これは石油に限りませず貴金属、非鉄、穀物の一部等は一時に比べますとかなり上がってきております。 それからもう一つ、これも先生が御指摘になりましたけれども、住宅投資の非常に旺盛なこと、並びにこれからの公共投資の増大等を見越しまして、一部建築資材あるいは化学製品等についての値上がりが目立ってまいりましたので、この点については今後ともよく見ていかなければならないと思います。これも先生が御指摘になりましたが、物価指数には入っておりませんけれども、いわゆる資産価値、株であるとか土地であるとか、そういったものの値上がりについても、これも物価指数に入ってないからといって、なおざりにするわけにはまいらないというふうに思っております。いずれにいたしても、この物価の安定がなければ景気の持続的な成長あるいは日本経済に一番大事な経済の構造変革というものもできないわけでございますので、これから先そういうものについて一層目を凝らして見ていきたいというふうに考えております。 一方、景気でございますが、今大臣が御説明になりましたけれども、私どもももちろん、この数日の為替のドル安円高傾向等不安定な面もございますし、景気の二面性あるいは地域のいろんな格差というようなことはございますが、全体としてはようやく底固めを脱して景気の回復を展望し得る段階に来ていると、こういうふうに判断をいたしております。 あれこれ申し上げましたが、そういったことから私どもの金融政策のスタンスは、現在の金融緩和基調を変える必要はないというふうに見ておりますが、ただ金融緩和はもう十分に緩んでおりますので、これが万一にも物価の高騰その他、行き過ぎたことにならないように、一層慎重な政策運営をやってまいりたいと、かように考えております。
○和田教美君 景気を回復させて内需主導型経済への構造転換をできるだけスムーズにやる、そのための重要な条件の一つが、これ以上の円高加速を回避する、円相場を安定させるということだと思います。その意味で、最近再び円が急騰して、きのうあたりは一時一ドル百四十一円台にまで高くなった。きょうは日銀がかなり強力な介入をしたということもあって午前の終わり値では百四十二円台で推移しているようでございますけれども、大蔵大臣は、初めは、今度の円の急騰ということについて、これは相場のあやだというふうなことをおっしゃって静観を決め込んでおられたようだけれども、そういう事態ではなくなってきたというふうに私は思うわけであります。 大体日本の企業は、円相場が一ドル百五十円内外でここしばらく安定を続けるんではないかという前提のもとに、円高乗り切り策というのをいろいろ講じてきたと思うんです。ところが、円が百四十円を突破して仮に百三十円台になるというふうな、そういう急反騰というものが今後起こるとすれば再び円高不況が深刻化する、そして景気の足を引っ張ると、こういうことにもなりかねないわけでございまして、私は非常にこれは重要な問題だというふうに考えております。 そこで、大蔵大臣は当面の円ドル相場をどのように判断をしておるのか、これ以上のじり高はないというふうに考えておるのか。それからまた、もし円高が続く場合に、G5だとかサミットなどで合意した各国の協調介入に踏み出す考え方があるのか。一部の新聞報道によりますと、きのうあたりから既に米国との間に協調介入を始めたというふうな報道もございますが、それは事実かどうか。また、今回の円高相場について大蔵大臣が発言したことが逆に、要するに政府は余り介入しないというふうな反響を呼んで、それがかえって円高を促進したというふうな見方も新聞などにはあるわけですけれども、その発言についての真意はどういうことであったのか。大蔵大臣と、これは日銀当局にもひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカの六月の貿易収支が一般の予想に反してかなり赤字が大きかったということ、全体的にはジグザグながら回復の基調にあると見られておりましただけに、このことが市場に影響し、さらに四−六月の経済成長率も速報値よりもちょっと悪かったといったようなことがございました。それがドル売りにつながっていったわけでございますが、それにしてもこの今の水準は、ちょうどサミットがございました六月の半ばごろの水準でございますから、わずかに十日ぐらい足らずの間にその期間の水準にまで変化をしたということは、これはいかにも乱高下でございます。 で、私が申しましたことは、そのようなアメリカの事情はあるけれども、これは市場が自律的に対応してくれるであろう、投機的な動きにならないことを期待するということを申しました。介入というようなことがあるかということについても、そうだと言えばこれは売りを誘うというようなことも過去にございますし、これは市場が常識的に自律的に処理をしてくれるだろうということを申しましたが、それがそのように伝わらなかった、政府は現状を容認するというふうに受け取られたことは、まことに私としては心外であったわけでございます。 そのようなことから、昨日このような急激な乱高下というものは我々としてほっておくわけにはいかないということを改めて申しましたわけでございますが、それはたび重なるG5あるいはG7、あるいはサミット等におきまして、乱高下の場合にはお互いに協調してこれに対応するということは当然にすべての人が認めておりますところの基本の政策でございますから、そのような事態と考えまして、日本銀行におかれてもそのように対処をされたというふうに承知をいたしております。また、そのような政府、日銀の考え方が市場に、事実上のそういう行動を通じて、そのようなものとして理解されつつあるということではないかと考えております。 なお、他国との関連でございますが、事の性質上すぐお答えを申し上げるわけにはまいりませんが、いわゆる乱高下のような事態になれば各国間で協調してこれに対処するという了解は、もちろんそのまま生きておりますし、有効なものであるというふうに申し上げておきたいと思います。 そこで、どの水準が適当な円の価値であるかということは、まことにお答えしにくい難しい問題でございますが、我が国の企業は大体前回百五十円というところをひとつ頭に置きましていろんな対応を考えたという事実が確かにございましたと思います。そのことは私どもよく承知しておりますし、とにかくプラザ合意以来まだ二年たっておりませんので、かなり急な動きでございましたから、企業としても対応はなかなか容易でないということもよく承知しておりますから、そういうことも考えながら、これからの運営に当たっていかなければならないと、こう思っております。
○参考人(三重野康君) 大臣の御答弁につけ加えることはもうないわけでございますが、最近ここしばらく落ちついておりました為替レートが先週あたりから非常に不安定な動きを示すようになりましたのは、大臣が御説明になりましたように、先々週の、六月のアメリカの貿易収支の赤字が今までの改善の方向と逆な方向でございましたので、それがきっかけになりました。かつ、先週のアメリカの四−六月のGNPが下方修正されたというようなことがそれに拍車をかけ、さらに投機筋の動きが加わってこういう為替の状況になっていると思います。 しかしながら、少し冷静になって考えてみますと、日米のファンダメンタルズがここに来て大きな変化があったわけではございませんので、私はこのまま一本調子のいわゆるドル安、したがって円高になることはないというふうに思っております。 介入については、大臣からいろいろ御説明がございましたが、中央銀行として介入について具体的なことをお話し申し上げることができないのは残念でございますが、G7のパリ合意、それからワシントン合意というのは現に生きているということだけを申し上げておきたいと思います。
○和田教美君 これは、今のお答えで部分的に出ているわけでございますけれども、あるいはお答えになれないかもしれませんが、二月のパリのG5、G7以来、日米欧の通貨当局が外国為替相場の変動を一定の範囲内に抑える管理変動相場制、マネージドフロート制を採用しているという新聞報道がございました。そういうことが事実なのかどうか、またそうだとすればどういう内容なのか、またこの管理変動相場制というのは、いわゆるターゲットゾーン構想のように上限と下限についてはっきりした水準を設けるものではなくて、緩やかな変動許容範囲を設けるものだというふうに伝えられておりますけれども、円の場合、その許容範囲というのはどの程度のものなのか。もしお答えできればひとつお答えを願いたいと思います。
○政府委員(内海孚君) ただいま和田委員の御指摘のありました報道によりますと、管理変動相場制というような新しい通貨制度について合意があったようなことで報じられておりますけれども、そのような新しい通貨制度について合意があったということはございません。 最近変動為替相場制度のもとにおきましてプラザ合意以降の新しい流れといたしましては、従来は単に本当の乱高下だけをスムージングにするというだけの介入が主だったわけですが、プラザ以降、相場観というものをある程度打ち出しながら、これは漠たるもので、例えばルーブルについて言いますと、これ以上の大幅な為替相場の変動は、というようなことになるわけでございますが、そういった形で通貨間の安定を図っていこうという雰囲気が強くなっているということは御指摘のとおりだと思います。恐らく報道もそういった雰囲気をそのような形で表現しようとしているのかもしれませんけれども、特定な幅の中におさめようとか、そういった形の合意というものではないわけでございます。
○和田教美君 まあ、そういう以上にお答えできないだろうと思うんで、これ以上追及をいたしません。日銀副総裁、結構でございます。 次に、六十三年度予算編成を踏まえて、当面の財政運営の問題についてお尋ねいたします。 宮澤大蔵大臣は、七月の末の六十三年度予算の概算要求基準を決めたときの新聞社とのインタビューで、NTT株売却収入で財政再建路線とぶつからない形で財政出動が可能となった、内需主導型に経済構造を変えていくにはかなり財政が関与する必要があり、しばらくの間財政の努力が必要だ、二番目に、六十五年度までに赤字国債依存体質から脱却する財政再建目標は、税の自然増収が期待できるので望みなきにあらずという感じが出てきたと、こういうふうに述べておられます。 六十三年度概算要求が景気刺激と財政再建両にらみというふうに言われながら、実際にはある程度積極財政の方に軸足を移したというふうに一般に理解されているのも、そういう大蔵大臣の発言なども根拠になっていると思うんですけれども、財政が積極財政に転換しつつあるというふうに理解していいのかどうか、その点をお答え願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 依然として一般会計の国債依存率は二〇%でございますし、また一般会計の中の国債費も二〇%、こういう状況では財政再建はまだまだその途上にある、前途なお遠いと申し上げるしかございませんので、将来のことを考えますと、何とか財政が弾力性を回復しておきませんと、これは財政至上主義という意味ではなくて、将来の国民のニーズにこたえられないということを心配いたしますから、そういう意味での努力は今後ももっともっと続けていかなければならないと存じます。 他方で、和田委員が言われましたような社会資本整備、あるいは内需拡大ということが国の内外から求められておる急務でございますから、財政再建途上ではありますけれども、このことを閑却するわけにはまいらない。いわばやや矛盾する命題を両方負っていかなければならないというそういう宿命は一向に変わらないというふうに考えております。 ところで、しかし過去の国民の努力の蓄積でありますNTTの株式のようなものがそこそこの値段で売却をしていけますと、今後何年間かはこの社会資本整備の努力を助けてくれるだけのかなり大きな財源になり得る、こう考えましたので、このたびのような御提案を申し上げておるわけでございます。 そういうことがございますので、何とか財政再建の道を追いながら、しかし今内外から求められておる内需拡大、社会資本整備ということに財政も精いっぱいの貢献をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○和田教美君 もうひとつ歯切れがよくないように思いますけれども、私は、最近の財政をめぐる環境、これには幾つかの注目すべき変化が起こっておるというふうに考えます。そして、ある程度積極財政に転換できる財政事情が生まれつつあるのではないかというふうに判断をしているわけです。 それはどういうことかと申しますと、まず第一に六十一年度の税の自然増収、これが非常に大きくて二兆四千億円にもなった。過去最高であるということ。第二に、その結果、六十一年度の決算純剰余金、これが六十二年度補正予算で計上した四千三十億円を含めて一兆七千六百十五億円もあったということ。第三番目に、六十二年度税収の進捗割合からいって、今年度も一兆数千億円から二兆円近く、うまくいけば三兆円台の非常に大きな自然増収が予想されるという見方が多いこと。これは恒常的ではないですけれども、先ほどから大臣も言われておるNTT株売却収入というものが財政を潤して、いわば救いの神みたいになっておるというふうなこと。こういうことから財政事情がある程度変わってきているのではないかというふうに思うわけですけれども、この点についての大蔵大臣の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) NTT株がまさにそのような支援材料になっておりますことはもう和田委員の言われるとおりでございます。しかもこれは、今後何年間かは恐らくNTTの株式の処分を最終的に終わりました後も何年間かは助けになるという感じがいたしますので、我が国がいわゆる経済構造調整、社会資本整備をしていきます期間、かなり役に立ってくれるのではないかと思っております。その点は事実だと思います。 そこで、次は税収のことでございますけれども、六十一年度は確かに非常に大きな自然増収がございました。しかし、これは和田委員も御存じのように、かなり一過性のものが多いと考えておく方がどうも無事ではなかろうか。つまり、企業によるところの金融収支あるいは財テクあるいは株式の取引が非常に多かったことからくる増収、あるいは土地の価格の騰貴によりまする相続税でございますとか、あれこれどうもやや一過性の要因が大きかったと考えておく必要がある。したがって、それを基礎に六十二年度の税収を楽観することは必ずしも適当なことではない。 他方でしかし、これもおっしゃいましたように、経済がやや底入れをいたしまして正常な動き方をしていくといたしますと、六十一年度とは別の要因で六十二年度の税収というものにある程度の上乗せがもしかしたらあるかもしれない。そこはしかし何ともただいま申すことができませんで、六十一年度の実績から六十二年度を推測することはしない方がいい、こういう感じを持っておるわけでございます。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 しかし、総体としましてプラザ合意以後の日本経済の非常に困難な状況が底入れをしたといたしますと、もう少し日本経済全体がこれから順調に動き出す可能性は少なしとしないと思いますので、そこから財政も裨益をする、受益をするということはこれはあり得ることだし、またそうしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○和田教美君 今おっしゃったように、確かに六十一年度の異常なというか、非常に大きな自然増収というのは、これは東京圏を中心とする地価高騰だとか株価の上昇などストックインフレ、それをめぐる企業のマネーゲーム、財テクが政府に思わぬプレゼントをしたという面が確かにあると思います。ですから、税収が予想外に伸びて大蔵省は大きな予想違いをしたということ、しかられているようですけれども、余りこれは褒めたというか、内容的にはいろいろ問題を含んでいるというふうに私は思うわけでございます。 今大臣お触れになったように、例えば六十一年度決算を見ても、法人税が伸びたのは営業利益よりも財テクによる営業外利益が伸びた結果である。それから、所得税の申告分がふえたのも地価の値上がりによる譲渡所得がふえた。また、相続税の増加も同じだと。有価証券取引税が急増しておりますけれども、これは言うまでもなく株価の高騰を反映している。こういうふうなことでやはり思わぬプレゼントであるという感じはいたします。その辺のところの大蔵省の基本的な六十一年度決算の分析はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(水野勝君) 私どもの見ておりますのも、今委員御指摘のような考え方でございます。 私どもといたしまして、去年の十月時点では適正に見積もったつもりではございますが、その時点との経済情勢の変化等もあり、また先ほど来お話しの財テクなり地価の動向なりによりまして二兆四千億円の増収に相なった、その中の約六割は法人税による増収でございますが、その法人税の増収の中身を見ましても、流通業なり電力、そういったところは円高差益の浸透といったような面もございますけれども、一般法人、特に大法人あたりの内容を見ますと、経常利益は赤字でありながら経常外利益と申しますか営業外収益の点でかなりな収益を上げ、それが結果として税収を押し上げている、そういった意味からいたしまして、法人税が自然増収の中では一番大きなウエートを占めてございました。その中のまた大半の部分がそうした要因ではなかったかと見ておるわけでございます。 それから、ただいま御指摘のございました申告所得税につきましては、地価の上昇等を見込みまして、私ども相応の増収も見込んだところでございますけれども、それを上回る収入があった。それから、土地に関連いたしましては登録免許税等もかなりな増収でございました。それから有価証券取引税、相続税でございます。そうしたものを総合いたしますと、六十一年度の伸びは九%程度の伸びになってございますが、これは経済成長率と申しますか、名目GNPに対しますところの割合では二・一五といういわゆる弾性値となっておるわけでございまして、これは過去十年平均が一・一でございました。また、こうした弾性値といった数値をとり始めて以来の高い数値でございます。 そういったこと等からいたしますと、二兆四千億といったものの中で半分以上は、ただいま申し上げました一時的な要因によるものではないか。したがいまして、先ほど大臣からも申し述べました、これを出発点に六十二年度なり六十三年度なりを見込むのはなかなか難しい面がある。そうした点を含めまして、私どもなおよく検討しているところでございます。
○和田教美君 そこで、今のお話ですと、六十一年度の実績を見て六十二年度を予想するのは困難だということでございました。確かにそういう臨時異例という状況はあると思います。 しかし、具体的に見ますと、大蔵省が発表された六十二年四−六月の三カ月間の税収実績を見ると、六十一年四−六月の税収に比べると五千五百四十億円の増収ですね。一五・四%という大幅な伸びを示しておるわけです。これは地価の暴騰とか株価の上昇というふうな状況が今も続いておるわけですから、そういうことを反映したものだというふうに私は思うわけでして、この傾向があしたストップするということでは必ずしもないだろうと思うし、そうなると六十二年度も六十一年度の二兆四千億円を上回る相当な自然増収が期待できるんではないかという見方も十分根拠があると思うんですね。その点はどういうふうに見ておられますか。
○政府委員(水野勝君) まさに委員御指摘のように、なお地価が下がっているわけではございませんし、株価水準等につきましても同じ水準が続くか、あるいはそれを上回る水準になっておるわけでございますので、きょう、あしたこれがストップするということ、そういうことではなかろうと思うわけでございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、六十一年度といたしましては、補正予算を見積もりましたときの税収の伸びはほとんどその前の年と変わらないぐらい、あるいは若干の伸びが見られる程度でございましたが、年度後半に至りましてかなりな伸びを示すようになりまして、特に後の三カ月、最後の四半期あたりは二けたの伸びを続ける、二けたも高い方を続けるといったような情勢でございました。したがいまして、今年度におきまして前半の部分につきましてはやはり高い伸びを示すことになるのではないかと思っておるわけでございます。 しかしながら、いずれにいたしましても、この六月税収と申しますのは、新年度といたしましては四月、五月が旧年度税収にほとんど帰属してしまいますので、本格的な税収月としては初めての月でございます。したがいまして、まだいわば一カ月の税収がここで判明しておるということでございます。全体の予算に対しますところの進捗率も一〇・一%でございますので、これをもちまして直ちに全体に延ばしまして六十二年度議論できる段階にはまだちょっとないのではないか。 しかし、全く六十一年度の税収の動向が影響をしないということは私どもも申し上げられないと思いますけれども、さりとて、ここでこのくらいの水準に、このくらいの収入になるといったことを具体的にどうも申し述べることはなかなか難しいと考えておるところでございます。
○和田教美君 今のお話にもございました六十二年度の税収の進捗状況ですね、進捗割合が一〇・一%、まだ低いからよくわからないということでございましたけれども、しかし四−六月期というのは毎年年間税収の一割程度の税収しか確保されないという見方もあるわけでございます。それでも五千五百四十億円の増収があったということを考えれば、仮に七−九月、十−十二月、来年の一−三月と、この各四半期が四−六月程度であったとしても、当初予算に比べて二兆円を上回り三兆円近い自然増収が膨らむという計算にはなりますね。 ですから、そういう意味で、大蔵省は非常にやっぱりかたくかたく見積もり過ぎているんじゃないかという感じがするんですけれども、そういう例年の傾向から見てどう考えますか。
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げましたように、二兆四千億円が土台増となっておるわけでございます。したがいまして、六十二年度税収と申しますのは、六十一年度決算額よりも約七千億円下回っておるという、いわば逆の形になっておるということは確かにあるわけでございます。ただ、ただいまお話しのように、まだ一割の段階でございますので、なかなかまだ難しいところでございます。 昭和五十四年度にも、当時二兆二千億円ぐらいの増収が出たときがございましたけれども、その後五十六、五十七年になりますと、午前中にもお話のございましたように、二兆円、六兆円という今度は一転して赤字になるような現象も生じておったわけでございまして、ある時期にかなりの伸びがあった、それをそのまま伸ばしていきますと、またいろいろな事態もございますので、やはり私どもとしては慎重に申し上げるようになるわけでございまして、そこらは今の時点ではなかなか具体的なことは申し上げる環境にないわけでございます。
○和田教美君 それじゃ大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、大蔵大臣はさきの予算委員会で、六十五年度赤字国債脱却は望みなきにあらずと答弁されたということは先ほども申しました。これは結局、六十一年度に続いて六十二年度も相当な税の自然増収があるということを期待しながらその希望を表明されたということではないかというふうに思うんですね。六十二年度赤字国債発行額は四兆九千八百十億円ですか、ですから財政再建目標を達成するためには、六十三年度から六十五年度に毎年度一兆六千六百億円減らしていくことが必要ですね。この実現性は私は極めて困難だというふうに見ております。しかし、今後の自然増収が仮に三兆円ベースでふえるとか、そういうふうな状況が二、三年続くということであれば絶対不可能ということも言えないと思うのでございます。ですから、望みなきにあらずというと何か根拠があると思うので、その根拠をひとつ御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 望みなきにあらずというのは、概して余りしっかりした根拠を伴うときでないときに言う言葉でございますけれども、私はさっき和田委員に申し上げましたように、これで景気が底入れをして何とかかんとかプラザ合意以来のいろんな難しい問題もこなして、日本経済がもう少し潜在力を発揮していくとすれば、ややいい経済の運営ができるのではないかということを期待もし、またこいねがっておるものでございますので、そうなりましたら多少の税収の自然増なんかも期待できるんのではないか、これはただ、六十二年度とかなんとかというふうに具体的に近間のことを申し上げているのではなくて、これからの経済財政運営についての期待、念願を申し上げたわけなんでございますが、いわんやこの六十一年度の自然増収との関連で物を考えているわけではございませんで、そういう意味では、だから六十二年度も相当自然増収があることをおまえはもう計算に入れているんだろうとおっしゃいますと、六十五年脱却云々は、そう具体的なことに基づいて申し上げたわけではないのでございます。
○和田教美君 政府の緊急経済対策の効果というふうなもの、それで景気が上回ってくると自然増収、正常な形の税収の増があるだろうという優等生的答弁でございますけれども、しかしそういう面が確かにあるとは思うけれども、今の状況から見ると、やっぱりこの税収増というの位ストックインフレによる余計というそういう印象が私は強いわけです。だから、そうした不安定な要因に余り過大な期待をかけることは健全ではないというふうに思います。これは大蔵大臣もそのとおりだと思うんですけれども。 逆説的に言えば、政府が今地価暴騰に対して全くといっていいほど無策なんですけれども、この無策をほっぽり続けておったらかえって税収面では自然増収がふえるというような矛盾した結果にもなるわけで、仮にそういう心理が多少でも政府の中に、あるいは大蔵省の中に働いておるとすればこれは大変なことだと思うわけで、これは断じて許されないと思うんです。そうすると、やっぱり財政再建目標の達成ということに余りこだわらないで、やっぱり非常に困難だという現状を率直に認めて数年繰り延べる、そういう行き方をするのが私は財政運営としては健全ではないかというふうに思うわけですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにあぶく銭のような歳入を頼りにしておりますと、これは長続きもしませんし経済のためにも悪うございまして、そういうことはやってはならないことであると思います。 それから、六十五年云々でございますけれども、そこがまさに望みなきにあらずという程度の期待を持っておりますのと、何分にも六十五年ができなくなったと仮にいたしまして、それなら今度はどういう目標かということをどうしても考えなきゃなりませんが、このころのように国際経済等々の影響もありますと、六十五年の時点におけるいろんな諸要素を今から想像することはちょっと非常に難しいものでございますから、そういうこともございまして今の目標をなお追求していこう、必ずしも望みなきにあらずだしと、こういうことでございます。
○和田教美君 次に、今の状況で構造転換を進めるためには財政もお手伝いしなければいけないというふうにおっしゃった。そしてまた、六十二年度の実質経済成長率三・五%、これの達成はできるというふうな自信を示しておられる。そうなりますと、大蔵大臣は財政出動がある程度可能になったという六十三年度について一体成長率はどの程度の水準を目指すというか、適当かというふうにお考えなのか。少なくとも六十二年度の三・五%より高目の成長が望ましいというふうにお考えになっているのか、お答え願いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはちょっと私が有権的にはお答えしにくいのでございますけれども、六十二年度の三・五%というのは、たしか四半期ごとでいいますと〇・八か〇・九ぐらいでよろしいはずなんでございます。そうしますと、四半期平均で〇・八、九というものは経験的に見てそんなに私は難しいとは思わないものでございますから、それで三・五というのはいけるんじゃないかということを申し上げておるわけでございます。経済も多少そう動いてまいりました。 今度は、しかしその上で六十三ということになりますとちょっとげたの関係や何かがよくわかりませんものですから、六十三年度は二年度の経済の動きがこれからどうなりますかにもよりまして、その辺のところがちょっと見当がつきにくいという感じ、率直にそのまま申し上げますとそんな感じでございます。できるならば、それは堅実な歩みの上でもう少し高いことを希望いたしますけれども、恐らく海外余剰はマイナスに働くかと思いますし、あれこれ考えますとどうもちょっとはっきり今申し上げられません、申しわけないんでございますが。
○和田教美君 今いみじくも大臣おっしゃったように、従来の輸出依存型経済と比べて今後の内需主導型経済ということを考えた場合に、年々の実質経済成長率の構成する内需と外需の寄与度というものは根本的に変わってくると私は思うんですね。昭和六十年度までは、成長率を見ますと外需、今おっしゃった経常海外余剰、これが常にプラスに寄与してきたわけでございますけれども、円高が進んだ六十一年度に初めて外需が一・五%マイナスに転じました。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 そこで、内需成長率は四・一%だったのに実質成長率は二・六%にとどまった。今後も対外不均衡の是正というのを目指すためには、経常海外余剰、これは毎年継続してマイナスとなっていくことが望ましいし、また必要だというふうに思います。六十二年度の経済見通しでもマイナスになっておりますね。ですから、政府の六十二年度経済見通しては外需寄与度はマイナス〇・五%になっておりますので、それが六十三年度以降も〇・五%から一%程度のマイナスということになると、仮に六十三年度の実質成長率が四%というふうに仮定をしますと、それにプラス〇・五ないし一%の内需成長率が必要だというふうになりますね。その点はお認めになりますか。要するに、内需成長率が今までより高くなるということですね。高くならなければならないという、その点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それを先ほど申し上げたつもりでございまして、それはおっしゃるとおりと思っております。
○和田教美君 そうすると、私は我が国の経済を内需主導型に転換していくためにはもっと内需成長率を高めなければいかぬということになると、もっと明確に積極財政への転換ということを打ち出して、公共投資だけでなくて個人消費も伸ばすと、そういう政策を続けていくことが必要だと思います。もとより経済情勢によりますけれども、構造調整期間を六、七年ぐらいというふうに考えた場合に、少なくともその前半の六十五年度ぐらいまでは実質成長率が五%程度の成長率、したがって内需成長率は五・五ないし六%ぐらいというふうに私自身は考えておるわけでございますが、いずれにしても、今までより積極財政でいかなきゃいかぬということになると思うんですが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは財政だけではできることではございませんで、御承知のようにGNPの半分以上が消費でございますから、消費が堅調に保てるような全体の経済運営ということは、企業の収益もそうでございますけれども、雇用所得なんというのがやっぱり非常に大きな要素でございますから、全体経済がうまく動いていきまして結果として企業所得も雇用者所得もかなりよろしい、こういうような運営になってまいりませんと、何といってもこの消費のところが大きいわけでございますから、そこらの運営いかんによるところが大きいと存じます。 殊に製造業の設備投資には余り大きな期待がかけられないといたしますと、ただいま申し上げたような要素あるいは住宅がこの水準を少なくとも余り落ちないでくれますとこれは非常に助けになります。その上に財政ということでございましょう。やはり外の要因がマイナスに働くというふうでなければ本当はならないはずでございますから、我が国の対外公約なり何なりは、それだけのものを内需で、対内要因で穴を埋めていくということになりますと、おっしゃいますように、かなり高い内需がなければならない、それはおっしゃるとおりだと思います。
○和田教美君 そこで、今衆議院で審議中の所得税法改正案に関連した質問をいたします。 きょうは所得税法改正案等の改正案そのものの審議ではございませんから、そのものの批判をやるわけではございません。ただ、国際公約、今大臣も言われた国際公約として内需拡大策が至上命題だという以上は、政府はその内需拡大策の重要な柱である所得税減税について非常に前向きに取り組まなければならないと思うんだけれども、どうも極めて消極的だという印象を私は持つわけです。 所得税の減税問題については、政府案の一兆三千億円に二千億円上積みするという与野党幹事長・書記長会談の合意で一応国会は動き出したわけですけれども、そのときに竹下幹事長は、野党がもう一段の上積み、再上積みを減税について要求したのに対して、真剣に承りますというふうに答えられた。ところが、その後政府・自民党の態度は、この再上積みを拒否されておるわけです。我我はそういう態度に非常に不満なんでございますが、きょうは私はこの内需拡大のためにはそういう要求が非常に強いから減税を求めるということだけではなくて、さっきも申しましたように、内需拡大策を進めるためにもこれは非常に必要なことだということを強調したいわけです。なぜかというと、国民総支出の約六割を占める個人消費、これを拡大することがぜひ必要だというふうに思うわけでございます。 そのためには、可処分所得を大きくすることが必要である。可処分所得を大きくするためには、一つは賃金をふやすということもあるでしょう。あるいはまた生活物価を安定させるということもあるでしょう。しかし、減税ということも非常に重要な政策手段だと思うんですね。ところが、賃金の方は、ことしの民間の春闘は三。五六%、大変な低率ですね。その影響を受けて国家公務員の給与改定、これもことしは非常な低率に終わるということのようでございますが、そうすると、給与はふえないという状況、しかもアメリカよりも物価水準は三割も高いという最近企画庁の発表がございましたが、そういう状況の中で、どうして消費の拡大が期待できるか。それを期待するとすれば、減税の幅をうんと大きくすることが必要ではないかというふうに思うんですけれども、どうも政府とこれを支える財界との考え方には見せかけの消費拡大論と矛盾する考え方があるんではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府は所得減税に決して不熱心であったわけではないと思いますのは、かなり早い段階から緊急経済対策を決定いたしましたときに、一兆円を下回らな小所得減税あるいは前倒しというような考え方を既に述べておりまして、その意味では今年度についていえば、仮にしかるべき財源がなくても、やはり所得減税はしなきゃならないのではないかということを私どもはかなり前から考えておるわけでございますから、決して減税というものに不熱心であったわけではありませんし、その効果を考えなかったわけでもございません。 衆議院の大蔵委員会で税制案を御検討中でございますが、それに先んじまして八月七日でございましたか、自民党の幹事長が四項目にわたる案を示されまして、各党が審議を再開されたという経緯、ここのところまでは政府といたしましても、もしそういうことで国会の修正が行われますときにはこれは尊重しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような財源等の経緯からいきますと、当初政府は一兆円を考えておったわけでございますので、ここのところの四項目まででもう実はかなりその水準を上回っておりまして、なかなか財源から申しますと容易なことではないという感じがそのこと自身でもいたしておるわけでございます。 他方で、GNPの六割を消費が占めるということは言われましたとおりでございますから、今後の経済運営に当たりましては、今おっしゃいましたようなもろもろの点を含めまして、国全体の経済がそういうふうな動き方をぜひしていってほしい、財政ばかりでなく、というふうに考えております。
○和田教美君 次に、NTT株の売却収入の活用による社会資本の整備の促進に関する二法案について御質問いたします。 NTT株の売却益は、政府の答弁で見ましても、国民共有の財産であるから、売却益の活用に当たっては、国民がひとしくその恩恵を受けられるようにすべきだと、その点は同感でございます。今回の法案では、国債の償還に支障を来さないことを前提に、また最終的には国債償還の財源とすることを担保しつつ、その一部を内需拡大のための公共事業や民活事業に活用するということになっております。 確かに、国債償還財源の調達ということも、また内需拡大のために公共投資を拡大するということも、私は必要なことだというふうに思います。しかし、先ほどから私言っておりますように、所得税の減税というのもこれまた国民共通の要求であって、また先ほども申しましたように、内需拡大を図るためにも緊急の必要性のある問題だというふうに思うわけです。NTT株の売却益を国民がひとしく要求している所得税減税の財源として活用することは、私は十分意義のあることだというふうに思うわけです。ですから我々は、二兆円を上回る減税を実施するために、六十一年度自然増収のほかにNTT株の売却収入の一部を財源に使えというふうにこれまで主張してきたわけでございます。 大蔵大臣は、後代に残る何かストックを持ちたいということで、このNTT株を活用するというふうなお考えのようですけれども、社会資本の整備に使うといっても、その使われ方は、従来のような各省庁の縄張り第一主義の配分方式でばらまくというふうなことでは、これはかえって一部の利益に奉仕するだけに終わる可能性もある。それよりも減税に使う方がより国民全般の利益にかなうという考え方も私はできると思うわけでございます。 ところが、大蔵省はこの財源を減税に使うことを頑固に拒否されてきたわけだし、今も拒否しておるわけでございますけれども、一体どういう理由によるのか御説明を願いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは前にも申し上げたことかと存じますけれども、一つはやはり国民の過去の努力の蓄積でございますから、それは将来に向かっての財産形成であるとか、あるいは負の財産であります債務の償還であるとか、やはりそれに充てることが本則ではないかという考え方が一つございます。 それからもう一つは、相当大きな財源でございますし、ここ何年かはございますけれども、資産の処分によるものでございますからこれは恒久財源でないことは申すまでもないことであって、減税はやはり恒久的な措置でございますので、それに見合うものとしては恒久財源がなければ先へ行って困るということも明らかである。そういうような幾つかの見地からこのNTT株の売却収入はただいま申し上げましたようなことに使わしていただきたい。 もとより、ここでこの法律をお認めいただきますと社会資本の整備に使うわけでございますが、これはさりとて出しきりになるわけではございませんで、返ってきましてやがて国債償還に充てるわけでございますから、言葉はちょっとよくございませんが、減税というのはやっぱり使いきりになります。一種の費消になるわけでございますが、これは国債償還という役割を兼ね備えて、それを原則としてその間この金を活用していきたいというこういう考え方でございます。
○和田教美君 今回の六十三年度概算要求基準ですね、いわゆるシーリング、それで公共事業費の総枠をふやす、そういうこと自体は私は異論はないわけです。しかし我々は、公共事業費の増額分、つまり一般会計による公共事業は要するにシーリングゼロですね、今度の概算要求基準によりますと。マイナスは撤廃したけれども、プラスになってないわけです。だから、増額分は結局このNTT株の売却利益を活用するということになっているわけですが、それはしょせん臨時的なものだと、そういう臨時的なものに頼ることは賛成できないという考え方なんです。 また、政府はあくまで臨時緊急の措置としてNTT株の売却収入を活用すると言うけれども、内需拡大を支援するための公共事業は、決して私は臨時緊急のものだというふうな発想で取り組むべき問題ではないんではないか。もっと二十一世紀にどういうステータスを遺産として残すか、そういうかなり気の長い中長期的な視点に立って推進すべきものだと思うわけで、その点で私は、やっぱりこのNTT株の財源というものをこういう形で使うのは適当でないというふうに考えるんですが、その点の御見解はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる前川リポート等によりまして我が国の社会経済あるいは経済社会というものが変わっていかなければならないという、そういう物の考え方は政府も同感をしておるわけでございますけれども、それはやはり五年とかいうような時間がかかることではないかと考えております。短く見ましてもかかるのではないか。ちょうどこのNTTの売却代金によりますこのたびの社会資本整備勘定というものは、うまくいけばそのぐらいな間は機能するのではないかと思っております。それは株式がそこそこに売れたという前提でございますけれども。 そういたしますと、ある程度国債整理基金の余裕金を見ましてもなお償還額よりはかなり余分なものが出てくると思われます。それを全部その年に使うということは考える必要のないことでございますから、ある程度先へ向かっても使っていけますし、いわんやこの会計そのものが事情いかんによりましては回転する可能性もございますから、かなりの時間この社会資本整備勘定が仕事をしてくれる。それはちょうど我が国がいわゆる経済社会の調整を必要とする時間ぐらい、たまたまでございますが、役立っていくのではないかと考えております。
○和田教美君 NTT株の売却というのは当面六十四年までと、あと三年ということになっておりますね。今の御答弁だと、そこで稼いだ分を積んでおいて後に繰り延ばすこともあり得るというお考えのようでございますけれども、そうだとすると、一体六十二年度から六十四年度までのこのNTT株の売却収入、これはそこそこに売れた場合ということを想定をしていただいて結構でございますけれども、この間大蔵大臣はたしか本会議で答弁をされておったと思うんですけれども、一体どれくらいの財源ができると、つまり国債償還資金を差し引いてもどれくらいの財源ができるというふうにお見積もりになっているのか、その辺をお答え願いたい。
○政府委員(足立和基君) 今年度のあるいはこれからのNTTの株式の売却方法あるいは売却時期等につきましては詳細は目下検討中でございます。中央審の答申はいただいておりますのでそれに基づきまして、それを参考にしながら具体的に詳細を決めてまいりたいと考えでございます。 今先生のお尋ねの株式売却に伴います売却収入というのはどのくらいか、あるいは六十二年度どのくらいか、あるいは六十五年度までどのくらいかというようなお尋ねでございますけれども、株式市況いかんによりまして大変大きく振れることもあり得るわけでございますので、現段階において六十二年度あるいはこれから何年間かの間でどのくらい収入が見込めるということを確たることを申し上げることは困難でございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
○和田教美君 それじゃ、こういうことは答えられますか。このNTT株の売却収入がある間はこの貸付制度というものは続けるということは確認できるか、それとも財政事情あるいは経済情勢の変化によっては途中でもこの制度をやめてしまうということがあり得るのか、またNTT株の売却による財源がなくなった場合にはこの無利子貸付制度というのはそれでおしまいということになるのか、その辺のところもう少し明確にしていただきたいと思うんです。 というのは、これらの点が地方自治体だとかあるいは民活事業に参加する企業にしてももう少し明確にならないと、いつ打ち切りになるというふうな危険性があるということであったらなかなか財政計画も立たないということにもなるでしょうから、その点はいかがお考えですか。
○政府委員(斎藤次郎君) このNTTの貸付制度は当然のことでございますが、NTTの株式売却の余裕金がなくなった時点では中止せざるを得ないわけでございますが、やめるということになるわけでございますが、それの期間がかなりここ四、五年は見込めるだろうと、私どもは具体的には数字は持っておりませんが、考えておるわけでございます。また、この制度を例えば来年概算要求で一兆三千億ということになっておりますけれども、再来年になってやめるとかそういうことを考えているわけではございませんが、公共事業はそのときどきの経済情勢とか財政事情とかを勘案しましてそのたびごとに予算に計上いたしまして、国会の御承認をいただいてその都度決めていくという形になろうかと思います。
○和田教美君 次に、まだこの貸付制度にはいろいろ問題点があると思うんですが、その一つは、これは先ほど午前中の議論でも出ておりましたけれども、六十三年度概算要求基準によると、この無利子貸付制度は一兆三千億円ということになっておりますね。そこで民活向けが一千億円、そしてあと一兆二千億円が公共的建設事業、しかしその中の二千億円はいわゆるAタイプ、Bタイプが、一般の公共事業と同じような性質を持っているBタイプは一兆円と、こういうことになっておりますね。このBタイプの一兆円というのは、その償還金を後で国が面倒を見る実質的な補助事業だということは先ほどの大蔵省の答弁でも認められたわけでございます。それを言いかえると、要するに負担を後代に、後に残す単なる予算の先食いではないか、あるいはまた極端な言い方をすれば、やみ国債ではないかというふうにさえ考えられるわけだけれども、その点はいかがでございますか。
○政府委員(斎藤次郎君) この制度は、先ほど申し上げましたように、例えば下水道事業で毎年十億ずつ十年間やれば百億かかる事業を面的開発で一体的緊急に整備する必要があるときに、前向きに重点的に投資するためにその百億をこの際投入しよう、そのための資金として国債整理基金にあります余裕金を一時無利子貸し付けとして活用しようということでございます。いわば本来無償である公共事業でございますので、国が当然負担すべき金額を前もって無利子貸し付けという形で負担をしていくということでございますので、将来新たに財政負担を起こすというものではないと私どもは考えておるわけでございます。
○和田教美君 政府は、このNTT株の売却益の活用による公共事業については、従来の各省別配分比率にこだわらずに、硬直的な公共事業の今までの配分方式を弾力化するというふうに言っておられます。しかし、六十三年度概算要求基準によると、NTT株売却益の活用については、今申しましたように総額一兆三千億円のうち千億円は民活向けのCタイプ、そして残りのうちの二千億円はAタイプ、あとは、さっきも申しましたように、補助金と同じ性格を持っておるBタイプが一兆円ということになりますね。そして大蔵省の説明によると、この一兆円のBタイプについては今までの既得権益といいますか、公共事業の配分基準を変えないで各省に配分するというふうに私は承知しているわけです。そうすると、実質的にはAタイプの二千億円だけがそういう新しい大蔵省の考え方によって弾力的に配分するという方向に持っていくということになるんだろうと思うんですけれども、それで全体として硬直的な公共事業の配分比率が改革されるというふうに理解できますか。私は非常に理解しにくいわけですけれども、いかがですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 今回の制度は、面的事業の一環として一体的緊急に実施すべき公共事業の促進を図ろうというのがいわばBタイプの公共事業でございます。例えば六十二年度のこの間通していただきました補正予算でも下水道環境衛生等のシェアが六十年度当初では一五・七%だったのが、補正予算では二〇・五%というぐあいに五%のアップを図っているということで、それぞれ面的事業の一環としての一体的緊急に整備する事業に重点的に投入しようと考えているわけでございます。 したがいまして、この一兆円につきましても、概算要求の段階ではそういう配分をいたしましたけれども、これから予算編成の過程を通しまして、法律の趣旨に即してできるだけ重点的投入を図りたいというぐあいに私どもは考えておるわけでございます。
○和田教美君 ぜひそうしていただきたいと思います。 そこで一般会計の、それからNTT分も含めて一般的な公共事業、これの配分のあり方についてお聞きしたいんだけれども、公共事業予算の配分は道路、港湾、治山治水など項目別のシェアが長年固定化しておって、これを各省別に分けておるわけですが、例えば建設省が六八・二%、農水省が二二%、運輸省が六・二%など各省庁の縄張りが厳然としておって、〇・一ポイント動かすのでも大変なことだというふうに言われておるわけです。しかし、内需拡大のためには波及効果の大きい事業に重点的に配分することが当然であって、それゆえに今回のNTT株売却益による別枠の財源ができたということを機会にそういう悪習をとにかく改める、従来の省庁間のシェアを打破する、それのために有効に活用すべき絶好の機会だ。単にNTT分だけではなくて、一般会計分についてもそういうふうに波及をしていくということが必要だと思うんですが、そういうことは不可能ですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 私どももいろいろな観点からそういう固定的なシェアの打破に従来努めておるわけでございまして、今度の補正予算でも各省の所管のシェアの変更が行われているわけでございます。 ただ、一般論として申し上げますと、公共事業は各事業とも国民の生命、財産の安全確保とか国民の生活環境の改善等おのおの重要な政策的使命を有しておるものですから、なかなか編成過程でそれぞれその抜本的な打開を図るのは難しい面もあるわけでございますが、この売却収入を活用する無利子貸付制度は、いわば地域の開発整備の核となる波及効果の大きな面的開発事業等を重点的にやろうということでございますので、そういうシェア打破の努力を私どもは今後とも続けていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○和田教美君 今回のNTT株の売却収入の活用システムは、資金を国債整理基金特別会計から一たん一般会計に移し、さらに産投特別会計の社会資本整備勘定に入れる、そこからA、Bタイプの公共事業、Cタイプの民活事業に繰り入れる、こういう非常に複雑な方式をとっているわけですね。国債整理基金特別会計から直接産投会計に入れても別に支障がないように思うんですけれども、なぜこんなややこしいやり方をしているんですか。 一説には一般会計を中継することによって公共投資額が膨らんだ印象を海外に与えるために仕組んだ一つのやり方だというふうな見方もあるわけですけれども、それはどういうことでございますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 財政活動全体の内容が明らかになるように、従来から私どもは原則として国の歳入歳出は一般会計に計上すべきものであるという原則を立てております。したがいまして、今回につきましても国債整理基金特会から産投特会の貸し付けへの繰り入れ、それから産投特会から国債整理基金特会への繰り戻しについてもすべて一般会計を経由するということでございまして、いわば一般会計の総覧性ということを重要視しているわけでございます。 従来、特会間の繰り入れは一般会計の総覧性を害するものということで、ある特会の業務を別の特会が行うことに伴う事務費等の繰り入れ等合理的な理由がある場合に限って、例外的に認められているという建前をとっているわけでございます。
○和田教美君 次に、六十三年度概算要求基準についてお尋ねしたいんですけれども、投資的経費についてはマイナスシーリングを撤廃するけれども、経常的経費については従来どおりマイナス一〇%シーリングを堅持するということになっております。私はこの経常的経費についても、とにかく一律一〇%マイナスというやり方は、そういうことをこれ以上続けるのはやっぱり限界に来ているのではないかというふうな感じがいたします。 防衛費がどんどん膨らんでいくという中で、どうも社会福祉の金だとか文教費などに非常にしわが寄っているということはよく言われるわけでございますけれども、大蔵省からいただいた新しいシーリングのやり方の図を見ますとなかなか複雑なようでございまして、つまり経常部門についても例外事項、例えば人件費とか年金とか国際条約の歳出化だとか、こういう例外事項以外にマイナス対象除外経費というのがございますね。これは社会保障関係は、医療費と生活保護費ということになっている。それから予備費なんかも入っております。それから一〇%のマイナスシーリング適用対象経費、これがあるわけです。一体どういう基準でこういう区分をしているのか。 それから、特に聞きたいのは社会保障関係で、仮に生活保護は対象除外経費だとすれば、どういうものがマイナス対象になっているのか、あるいはまた文教費について研究費は一体どうなっているのか、そういう点について少し具体的に御説明を願いたいと思います。
○政府委員(斎藤次郎君) 概算要求基準というのは、経常経費について申しますと、一〇%削減の対象になっておりますけれども、その例外というのが今御指摘のようにございまして、具体的に申しますと人件費に係る義務的経費とか各種年金とか、政府開発援助に必要な経費等とか、あるいは他動的原因によって生じ義務的な性質を有して政府の意思で支出を左右できないものとして、財政法三十五条によって決められているいわゆる補充費途の経費というものがございます。 例えば文教予算について具体的に申し上げますと、文教予算の文部省の概算要求のうちの六十二年当初予算四兆五千億ございまして、経常部門は四兆一千億ございますが、今の例外事項に当たっておりますものが三兆五千億ございまして、一〇%のマイナス対象になっておりますのは五千五百億程度のお金でございます。したがいまして、この部分についてマイナスシーリングをかけますけれども、総体としては約八十億強のプラスになるという仕組みになっておりまして、十分にそれぞれ例外事項を含みまして概算要求ができる姿になると私どもは考えているわけでございます。
○和田教美君 そうすると、文教費だとか社会保障費だとかというものが特に虐待されているということはないとおっしゃるわけでございますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 私どもとしては、各省庁今財政改革の途上でございますのでそれぞれ御苦労を願っておるわけでございますけれども、今申しましたように人件費とか年金、恩給とか、政府開発援助とかそれぞれどうしてもふえざるを得ない経費、あるいは一般に補充費途と申しておりますけれども、そういう義務的な経費につきましてはそれぞれ増加ないし横ばいということでマイナス対象から外しておりますので、各省で工夫をしていただければ対処できるのではないかというぐあいに考えて、この間そういう概算要求の閣議の御了解をいただいたわけでございます。
○和田教美君 政府が株を保有しているという意味では、NTTのほかに日本たばこ産業株式会社や日航の株がございますね。それから、これは清算事業団が持っている形だけれども、もとの国有鉄道の株があるということでございますが、NTT株については今までいろいろと議論が出ておりますけれども、日航の株についてはどうするのか、これは今年度中に全部売却する方針だというふうに聞いておりますけれども、それはそうかということ、いつごろ売り出すのか、またどれくらいの売却収入を予定しているのか、予算にも組んでいるようでございますけれども、その点を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(足立和基君) 日航株式の売却方法等でございますけれども、現在国会で御審議をいただいております日航法廃止法案、これの御審議、成立を踏まえた上で国有財産中央審議会に御審議をいただく予定でございますが、基本的には今年度中に保有株式全額を売却することを考えでございます。現在六十二年度予算におきましては処分収入総額といたしまして三千六百十七億円を見込んでございますが、これは予算編成時におきます直近三カ月の平均株価九千四百円ということを基準といたしまして、政府の所有いたしております四千八百九万九千株、これを乗じまして安全率を八〇%と見て計上いたしておるわけでございます。 これが現実に今年度中処分する予定でございますが、どのくらいで処分ができるんだということにつきましては、NTTの場合と同様現在確たることを申し上げることは困難でございます。
○和田教美君 次に、日本たばこ産業株式会社の株についてはどうですか。これは当分売り出さないんですか。
○政府委員(宮島壯太君) 日本たばこ産業株式会社の株式につきましては、当分の間三分の二以上の保有を政府は義務づけられております。その裏側に当たります三分の一以内の株式につきましては制度上は売却が可能でございますけれども、この株式の売却につきましては日本たばこ産業株式会社の置かれている経営環境や経営実態、それからたばこ事業等の実態など、こうした点を見ながら慎重に検討をされるべき問題と考えております。
○和田教美君 次にJR株ですね、これは現在は一〇〇%清算事業団が所有しているというふうに聞いておりますけれども、JR東日本では株式公開は三年後の六十五年度あたりをめどに考えているというふうにも聞いております。もちろんそれは業績次第だと思うんですけれども、このJR東日本についてはどうなのか、また他のJR各社についてはどういう状況にあるのか、これは運輸省でございますか。
○説明員(岩村敬君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、JR各社の株式につきましては今般の国鉄改革におきまして全額日本国有鉄道清算事業団が保有しているところでございます。そして、改革の中で明らかにされておりますように、当該株式につきましては、今後清算事業団が抱えております約二十六兆に及ぶ膨大な長期債務の償還の財源に充てるということで順次売却をしていくということになっております。 ただ、具体的な売却の時期でございますが、株式を公開するに当たりましてはやはりある程度会社の経営実績なりが積み重ねられないとならないわけでございまして、何せJR各社四月一日に発足したばかりでございます。まだ一度も決算をしておらない状況でございまして、今後の経営の動向というものを十分見きわめた上で売却の時期を検討してまいりたいと思います。具体的な売却の方法なり売却の時期につきましては、清算事業団に設けられました資産処分審議会の御意見なりも聞いた上で適切に判断をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 次に、内需拡大を公共投資を中心に進めるという場合に、現にもう関西新空港の問題で起こっているような外国企業の参加、これをつまり公共事業についても要求してくる可能性があるのではないかというふうに思うし、これはNTT株売却益を活用する分についてもそういうことが起こり得ると思うんですけれども、大蔵大臣としてはこの問題についてはなるべく外国企業にも均等な参加の機会を与えるべきだというふうに考えるかどうかお答え願いたい。それとも公共事業についてはそういうことはあり得ないということなのか、その点はいかがですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 外国企業の参入につきましてはいろいろ今建設省を中心にして検討が進められているわけでございますが、私どもは財政法、会計法の建前から内外無差別という原則で事に対処すべきだというぐあいに考えているわけでございます。
○和田教美君 建設省にお伺いしますけれども、我が国の公共的建設事業に対する外国企業の参加については、法律的にも実態的にも種々の制約があるというふうに言われておるわけです。それはどういうことなのか。それからまた、それらの制約について何らかの形でそれを解消する方向で努力するのか、それとも当面はこのままでいくということなのか、お考えをお聞かせ願いたい。
○説明員(村瀬興一君) お答え申し上げます。 我が国の建設市場は、我が国の実情を反映いたしました制度のもとに成立をいたしております。今先生がおっしゃいましたように、基本的に難しいというようなことはないというふうに考えております。 我が国の建設市場に参入を希望いたします外国企業は、まず建設業の許可を取得するということが必要でございます。これにつきましては、外国企業といえども建設業法で定めております要件を満足すれば建設業の許可の取得は可能でございます。今申し上げました、まず建設業の許可の取得をしていただいた上で、あとは具体的なそれぞれの発注者の信頼が得られますように企業努力をそれぞれしていただくということになろうかと思います。 今申し上げましたように、制度といたしましては内外の差別はないというふうに考えております。
○和田教美君 次に、運輸省が計画している多目的人工島建設というものについてお伺いします。 運輸省は、神奈川県横須賀市と静岡県清水市に全国初の多目的沖合人工島をつくる事業に来年度から着手して、その資金の一部をNTT株の売却益による無利子貸付制度で調達をする、そして十年後に人工島の完成を目指すという新聞報道がありました。その計画、そういう報道は事実なのかどうか。またこれについては、先ほどから申しております米国政府から既に工事参入を目指しての問い合わせがあるとか、今後ヨーロッパなどからも工事参入の動きが活発化するのではないかとかいろいろ言われておるわけですけれども、その外国企業の参入という問題について基本的に認めていく方針なのかどうか、その辺もあわせてお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(栢原英郎君) 沖合人工島につきましては、国民の親水ニーズの高まりあるいは沿岸域における地域振興の機運が高まっておりまして、新たな空間を創出するというようなことのためにその整備の要請が強くなっております。また、あわせて内需の拡大、地域の振興ということも期待されております。 そこで、運輸省におきましては昭和五十五年より人工島について調査を開始してまいりました。昭和六十一年度から全国五カ所におきまして沖合人工島の整備に関するフィージビリティースタディーを実施してまいりました。今回その概要がまとまりましたので中間的に報告をし、それらの中から横須賀及び清水について合計約三百ヘクタールの人工島整備を計画をしているところでございます。 内容につきましては、商業業務機能、物流機能…
○和田教美君 余り詳しくなくて結構です。NTT株の云々はどうですか。
○説明員(栢原英郎君) その整備につきましては、多額の資金を必要とするということから、昭和六十三年度より民間活力を活用して事業化を図るべく検討中でございます。その財源の一部としてNTT株売却益による無利子貸付制度を活用すべく今後財政当局と御相談をしたいというふうに考えております。 また、人工島の整備につきます外国の動きでございますけれども、これまで内外に広くさまざまなプロジェクトが紹介されておりますので、それに関する外国企業の参入について関心が高いと聞いておりますが、具体的なお話は現在のところ聞いておりません。そのプロジェクトの具体化を図っていく過程でそのような要請が出てきました場合に、関係方面と御相談をしながら検討していきたいというふうに考えております。
○和田教美君 時間が大体もう少なくなってまいりましたので、最後に大蔵大臣にお聞きしたいんですが、大蔵大臣はポスト中曽根の次期政権を目指すに当たって政策目標の一つに、経済大国から生活大国への転換、ということを打ち出されております。先ほど資産倍増論の問題について質問がございましたけれども、私はこの生活大国への転換という考え方には、考え方としては賛成なんです。とにかく内需主導型への産業構造の転換というこの困難な課題を、新前川リポートの言うように、とにかくすべて貿易不均衡の是正、国際収支の黒字減らしということだけで位置づけるという、そういうことではなかなか広い国民的な共感を得られないのではないかというふうに思うわけで、そこでやはり構造転換をやるに当たっても、国民生活の質を高める、そして真の意味の豊かな社会を築くためにこそこれが必要だというふうな打ち出し方が必要ではないか、こういうふうに考えておるわけです。もちろんそういう打ち出し方をすれば、それに沿った内需転換策ということが考えられなければならないのはもう言うまでもないと思います。 そこで、大蔵大臣は一体この新しい生活大国への転換という構想はどういう考え方のもとにお出しになってきているのか、その考え方をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後我が国は瓦れきから立ち上がりましたから、どうしても経済復興をし自立をしようとすれば、やはり国民全部が働かなければならない。それはいわば生産をしなければならないということでございまして、そういう努力をしてまいりました。その努力は幸いにして成功いたしまして、今日第二の経済大国になりましたが、実はある意味で成功し過ぎたと申しますか、そういうふうにして生産されたものが外国に、品質もよく価格も相応でございますから、たくさん売れまして、その結果経済摩擦を生じておるというのがこの四十年間の歴史であったと思うのであります。 もともと生きなければならないということで働いてまいりましたわけですが、他人の経済にまで脅威を与えるために働いてきたわけではないわけでございますから、そこまで言われますと、言われませんでもそうでございましょうが、やはり働いて得た成果をお互いにどうやって、外国に出すこともさることながら、自分のために使っていくかということは我々のためにも当然考えなければならないことであって、外国からそれを言われるまでもないことであると思います。 その一つは、やはり経済大国にしてはいかにも社会資本は貧弱でございますし、大都会においては住宅もまことにどうも見劣りがするということでございますので、自分たちのために使うとすれば、やはりそういうことが一つの優先順位ではないかというふうに考えるわけでございます。 もちろん、生産から生活へというようなことはいわば一つのキャッチワードとしての意味でございまして、働かないで食っていけるわけはございませんから、それはもう遊んでいいという意味では絶対にございません。そういうふうに思ってはおりませんが、ただその働くことの目的というのは何かということをやっぱりお互いに考えていくことによって、より豊かな国土と、より豊かな生活がつくれるのではないか、また我が国としてはそういうことができる段階に入ったし、またよそからもそれを求められているのではないかという、そういう意識でございます。
○近藤忠孝君 まず、国債償還制度そのものについて質問いたします。 この国債償還制度、存在したんですが次々崩されてきたわけです。元来これはどういう趣旨のものであったかという、まずその理解を大臣にお伺いいたします。
○政府委員(斎藤次郎君) 国債の償還制度というのは、最初財政法で認められております建設公債の償還制度から出発したわけでございますが、社会資本の耐用年数等考えまして六十年で償還をしていくというルールで六十年償還という原則を打ち立てまして、それに基づきまして前年度期首の国債残高の一・六%を定率繰り入れで償還していく、なお剰余金が出た場合にはその二分の一を下らざる額を国債整理基金特会に繰り入れる、そのほか必要に応じ予算繰り入れを行うということで、その六十年償還の原則を誠実に実行していくというのが制度の出発点でございます。
○近藤忠孝君 その国債整理基金が総合減債制度をとっておった、その理由はどうでございますか。
○政府委員(斎藤次郎君) それはいわば我が国独自の制度でございまして、国債に対する国民の信用というものを守っていく、それから財政の節度をそれによって維持していく、そういうことからそういう減債制度が設けられているわけでございます。
○近藤忠孝君 これは理財局前国債課長の書いたものですが、三つありますね。一つは「一般財源から一定の額の先取りによる償還資金の確保と国債発行に対する間接的な歯止め」。二番目に「財政負担の平準化」。三番目に、「資金の効率的な活用による国債価格の維持」。これは間違いないと思うんですが、問題はこれが次々崩されてきて、定額繰り入れがまず停止されているわけですね。こういう基本が崩されてきたことについての反省、これはどうですか。
○政府委員(斎藤次郎君) 実は、我が国の財政事情は御承知のようなことで、非常に特例公債を含む多額の公債を発行せざるを得ない状況にあるわけでございます。したがいまして、六十五年度特例公債脱却を同宿して財政改革を今までやってきたわけでございますが、そういう財政力の対応を図っていくということは喫緊の課題であるということで、そういう厳しい財政事情のもとで定率繰り入れを停止さしていただいたりしておるわけでございますが、これは国債の六十年償還という原則に従い、償還に支障を生じないという、いわば国債整理基金の状況を踏まえて行っているところでございます。 特例公債の償還方法について、確かに午前中も御議論がございましたけれども、建設公債と同じような償還ルールにしておるわけでございますが、このような厳しい財政事情のもととして、実際の問題として現行の減債制度のもとで既に確立している四条公債の償還ルールと同様とせざるを得ないというぐあいに私どもは考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 大臣、今の答弁のように、なぜ崩してきたかという理由は言いましたけれども、反省の声が聞こえない、ここにやっぱり問題があると思うんです。これは、また後で問題にします。 次に、昭和六十年に国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案の審議がありました。その中での政府答弁では、NTT株式売却収入は「特定財源とすべきではない」、そして「公債の償還財源に充てる」というんですが、これがこの答弁と矛盾することになっておりますね。これについても御説明をいただきたいと思います、反省も含めて。
○政府委員(斎藤次郎君) 今回の無利子貸付制度は、現在の経済情勢に緊急に対処するために、国民生活に緊要な社会資本の整備を図ることによって内需拡大の要請にもこたえる、同時に地域の活性化に資することを目的とするものでございます。 また、貸付金につきましては、NTT株式の売却収入の性格を踏まえまして、最終的には国債の償還財源に充てるという原則を崩していないわけでございます。したがいまして、国民共有の貴重な資産であるNTTの株式売却収入は、国民共有の負債である国債の償還に充てることとして、既に制度的に確立された原則は、この導入によって基本的に変わっていないと私どもは考えているわけでございます。
○近藤忠孝君 政府が委員会あるいは本会議の場で答弁したことがどんどん変わってきているというところに私は問題があると思うんです。 その一番最たるものは、国債に関して言いますと、赤字国債の借りかえ禁止を解いてしまったという、それが一番の最大の出来事ですが、この今回の問題もその一つというぐあいに理解せざるを得ません。 次に進みますが、これは午前中も答弁ありましたが、現行償還ルールに基づく基金の円滑な運営に当面要する資金を上回る資金がプールされている、だから今回のこの法案になったという答弁ですが、それはどういうものかというと、ほぼ一兆円程度のものだというんですね。この算定基準、これはどういうぐあいにできているんですか。
○政府委員(足立和基君) 国債整理基金に手持ち資金としてどの程度保有したらいいかということは、そのときどきの国債市況であるとか、あるいは満期到来債の償還時期、規模、こういったようなものに左右されますので、一概に幾らどうしても必要なんだということはなかなか申し上げにくいわけでございますが、一応私ども非常に漠然とした考え方でございますが、最低一兆円ぐらいの手持ち資金と申しますか、そのぐらいのものは国債整理基金として必要でないかなと考えでございます。 これの規模を、どういう根拠でそういうのが出てくるのかということをあえて申し上げますと、一つは金融情勢等によりまして国債の発行ということができない、外債になるという場合が当然考えられます。例えば今年度の国債発行予定額を考えてみますと九兆二千六百億円ほどございますので、これを十二カ月で平準化、毎月毎月同額ずつ発行するということに単純に十二で割りますと七千七百億円ずつ発行するとちょうど予定の額になる。したがって、一カ月代債するとすればその程度の額が手持ちにないとぐあいが悪いのではないか、こういうようなことが一つ考えられます。 それからまた、最近も実は行っておるわけでございますが、国債の市況の乱高下といいますか、こういうようなことがございまして、その場合にそういうものに対処するための国債の買いオペというようなことを実施するわけでございますが、過去におきまして買い入れ額を年度間で最高行っておりますのが一兆円余買い入れたことがございます。 そのようなことで、強いて根拠ということを申し上げればそのようなことが参考になるかと思っております。
○近藤忠孝君 今説明した、いわゆる手持ち資金が、この法案の第六条「各会計年度における国債の償還等国債整理基金の運営に支障の生じない範囲内で」と、この意味と理解してよろしいですか。
○政府委員(足立和基君) やや具体的に申し上げますと、午前中もちょっと申し上げたわけでございますけれども、基金の残高といたしまして六十一年度末で一兆八千億円余あったわけでございますが、今の予算では六十二年度中に償還額が約二兆二千億ございます。それに対しまして、NTTの株式売却収入を一兆八千億円余等々で六十二年度末では一応一兆六千億円程度になるという今予定をいたしてございますが、現実にはこれからNTTの株を売るわけでございますので、その売却額いかんによって当然にこの額が、売却収入がふえるということは、まだ確定はいたしてございませんが、かなりの確度で予定されることでございます。 そういたしますと、その額に応じまして六十二年度末の国債整理基金の残高が増加する。それは、すなわち六十三年度期首の国債整理基金の残高になるわけでございますが、国債整理基金として六十三年度首にどのくらいの額を持ったらいいんだということの参考といたしまして、まず一つは、六十三年度中にネット償還額が幾らぐらいあるのかということでございます。これは、現在の見込みでございますと、約二兆一千億円とか二千億円というようなオーダーでございます。これに手持ち資金は一兆円ぐらい余裕を持つということになりますと、国債整理基金に支障を生じないというようなことは、そういうことを考えた上でそれを上回る額、そのようなものが恐らくお尋ねの円滑な運営に当面要する資金を上回る資金ということになろうかと思います。
○近藤忠孝君 要するに、やりくりしていければよろしいということなんですね。 ところで、この六条の「国債の償還等国債整理基金の運営に支障の生じない」という、この理解ですね。法律がこれできますとひとり歩きしますね。これについてはいろいろな解釈が可能だと思うんです。私は、こういう解釈をするんですね。国債償還等ですからね、となりますと、国債発行残高がふえていくということは、今よりも借金がふえていくことなんですね。そのこと自身も支障を生ずることという解釈も出てくるんじゃないか。もしそうでなく、単にやりくりしていくだけでよろしいとなりますと、これは大蔵大臣として発行残高がどんどんふえていくことを是認することになってしまうんですが、そういう解釈が出てくる余地はありませんか。
○政府委員(足立和基君) 単にやりくりということだけでなくて、私先ほど申しましたけれども、六十年償還ルールというものはきっちり守る。それに必要な財源というものはどういう場合が生じてもいいようにしっかりと確保する、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 今私が言ったようなそういうのは財政当局がそれ自身をやっぱり支障を生じないと、そういうものと理解しないとやっぱり無限にふえていってしまうということをここで指摘をしておきたいと思います。 次に、NTT株の売却益が利用できるのは六十二年から六十五年までで、六十六年度以降はこの財源がなくなると、今まで指摘あったところですね。そうしますと、一たん設けられた無利子融資による公共事業は、財源がなくなったからといってそう簡単に廃止してしまうことは、それは今までの例からいって難しいんじゃないかと、こう思いますね。その上、特にBタイプについては償還時同額を交付することになっておりますので、据え置き期間の経過後はそれに見合う新しい財政支出が必要となってくる、こう思うんです。そうしますと、この法案を出した理由が財政再建とぶつからないということですが、それが当面言えたとしましても、少なくとも当面のことであって、問題の先送りにすぎないんじゃないか。やはり財政がどんどんふえていって膨れていくという、これは否めないんじゃないかと思いますが、これは大臣の所見どうですか、お聞きしたいと思います。——意味わかりませんか。じゃもう一度繰り返しますが、要するに、一たんこの貸し付けによって膨れ上がった財政というのは、公共事業にしましてもこれの期間が切れたからといって、三年後には切れますね、そのふえた大きさの公共事業をなくすことは無理じゃないか。今言ったもう一つの問題というのは、Bタイプの場合には償還しなければいけませんからね、その償還分については国が出すわけですから、その分はふえますね。そういう意味での財政膨張に当然広がっていくんじゃないか。だから、当面の問題にすぎない、財政再建にぶつからないというのは。そういうことなんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは午前中にも申し上げたことでございますけれども、いわゆる我が国の経済社会の構造調整といいますか、転換といいますか、前川リポート等で述べられておることがどのぐらいの年月を要するものであろうかということに関連いたしまして、私は五年ぐらいかなということを思っておるわけで、これは人によって考え方が違うと思いますけれども、七年と思われる方もおられるかもしれません。そういう期間、まずまずほとんどその期間ぐらいこの社会資本整備勘定が働いてくれるであろうと。NTTの株式の売り払いは一応昭和六十四年度まででございますけれども、しかしそこそこの値段で売れますと、蓄積資金は相当な金額でございますから、なおもうしばらくの間新規財源として使えるのではないか。また、事と次第では回転をするということもございますから、それは私は必ずしもその期間でなくなってしまうというふうには思っておりません。 ただ、近藤委員の言われますことに大事なことが一つございますのは、そういうことで何となく惰性的に公共事業が広がっちゃうということはよくないよとおっしゃいますことはそうでございますから、我が国のそういう社会資本整備、あるいは地方の活性化のために必要な範囲でこの仕事をさしていただきたいと思っております。 それからもう一つ言われましたのはBタイプの補助金との関連でございます。これも午前中に申し上げましたが、仮に下水道のための補助金を毎年十億ずつ出して十年たつと百億でございますが、しかしある地域で特定の面的な開発が行われて、それは二年なり三年なりのうちにきちんと整備してしまわなきゃならないというときにこのBタイプの制度を使いますならば、一挙に百億円の下水道補助を投入するわけができるわけでありまして、それはやがて補助金を出すことによって回収される。しかし、その補助金を出すことは、どっちみち十年間に百億円ということはほぼ予定されておって、それを短期に集中的に出してしまうということでございますから、余分な支出になるというふうに私どもは考えませんので、まあ平易な言葉で言えば、そういう緊急の事情があるので十年間に出すべきものを一度に前渡しをしてしまって、そして後でそれを回収していくと、こういうふうにお考え願っていいんじゃないかと思います。
○近藤忠孝君 大臣はどう考えようと、やっぱり財政規模が膨張し、その時期にやはり財源としてまた国債の大増発ということにつながらないかと、そういう心配があるわけであります。それに関係してさらに指摘しますと、大臣自身は積極財政への転換という言葉は、これは言葉の上ではしてきておるのですが、実際にはまさしく今回のNTT株の売却を突破口としてこの積極財政政策に転換を図ろうとしているんじゃないかということを私は指摘したいんですね。 六十三年度概算要求では経常経費は引き続きマイナス一〇%シーリングですが、投資的経費については六年ぶりにマイナス五%のシーリングを外して横ばいとしたわけです。これ自体破格な扱いであるのに、これに加えて別枠でのNTT売却益による一兆二千億円を加えると、六十二年度当初比で二〇%増の突出予算ということになりますね。公共事業費の二〇%増というのは、これは大変大きいと思います。これは田中内閣の列島改造予算あるいは福田内閣の七%成長の対外公約による五十三年度予算に次ぐ伸び率ですね。しかも現在の二〇%増というのは、かつてのような狂乱物価のときの二〇%とは比較にならないほど実質的には大きい伸びだと思うんです。これを称して積極財政と言わずして何だろうか、こういう気がするんですが、そのことを御答弁いただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の気持ちでは、このような内需拡大、社会資本整備というものが内外の要請、課題になっておりますから、財政としてもそれなりの役割を果たすと、私はそのための工夫であるというふうに考えておりまして、それは決して財政がよくなったからというわけではございません。依然として国債依存率もまた国債費もほぼ一般会計のたまたま二〇%というようなことで、決して財政がよくなっておるわけではございませんから、ですから積極財政に転じられるような状況ではないのでありまして、そういう中で財政もできるだけの役割を果たすと、私はそういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 財政がよくなってないのに積極財政をやりますと、まさに破綻の道ですよね。それはまた後で指摘をしたいと思います。 それで、過去の公共事業に使った積極財政政策が何をもたらしたかということは大事だと思いますね。田中内閣の列島改造予算がもたらしたのは地価の高騰とインフレですし、五十三年の大型公共事業予算はまさにこれが財政危機を決定的に深刻にしたわけだと思うんです。特に現在のような時期、これは景気が上向きかけて、他方、低金利で金融がだぶついておる、こういう時期に大型公共事業をやると地価の高騰を一層あおるんじゃないか、インフレの危険が出てくるんじゃないか、こういう心配についてはいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは現在の経済状況が底離れはしたといいましても、やはり一般的に言って、北海道とか四国とかいうところはかなり地域の落ち込みが大きゅうございますし、それから例えば造船であるとか石炭であるとかいうところのいわゆる企業城下町、鉄も幾らかそうでございますけれども、というところは、実はどうやってこれ立て直していっていいかということは大変深刻な問題であります。 それを思いますと、やはり地域の活性化ということをどうしても財政も押していかなければならぬというふうに思っておりまして、理想的にといいますか、ぜひそうありたいと思いますことは、また大都会にさらにいろんな仕事を起こして地価が上がっていくということよりも、そういう落ち込みの大きい地方に何かそれぞれの地域の活性化のような仕事ができて、そういうところでは地価の問題はございませんので、そういうことになっていってほしい。道路なんかについてもそうでございますけれども、なかなかそういいましても一挙にそういうことはできないのかもしれませんが、これを今度例えばタイプAとかタイプCなんかは殊にそうでございますが、そういうところにいかないだろうか。あるいはBにいたしましても、今までの配分ではどうもやはりなかなかそのときのニーズに合えないということがございますので、そういうことを実は念願をしながら、こういう制度を設けたいと思っておるわけでございます。近藤委員の言われますように、間違いますとこれは大都市の地価の上昇だけにつながるよということは、十分執行の上で注意しなければならないことと思います。
○近藤忠孝君 大臣の今の発言聞いても、願いであってどうも確たるもののようでないし、私は次回にも指摘したいと思うんですが、決して大臣の思うように地方の活性化ではなくて、結局財政危機だけが残ってしまうんじゃないかということをここで指摘をしたいと思うんです。補正後の国債発行額十一兆八千億円ですから、これは昨年を上回るものですし、依存率も再び二〇%台に乗ったわけですね。これはやっぱり明らかに財政再建に逆行すると思うんです。 そこで、今後どうなるのかというと、一応の試算としては昭和七十五年に百九十六兆円の残高というのがありますが、そんなものにとどまるんだろうか、こういう心配ですね。現にこれは東海銀行調査月報、八七年七月です。「我が国の財政の現状と展望」ここで三つのケースを試算しています。そして二〇一〇年の財政試算、積極財政ケース、標準ケース、緊縮財政ケース、この三つで、緊縮財政ケースですと大して−しかし相当大きな、二〇一〇年で百五十八兆円というんですがこれはほとんどあり得ない。緊縮財政ケースの場合ですね。標準ケース、これで二〇一〇年の残高が七百三十七兆円。それから積極財政ケースですと、何と一千五百四十八兆円の国債残高。金利だけで現在の税収を超えてしまうぐらい、こういう試算が現にあるんです。今のまま進んでいったらそんなことにならないという保証はないんじゃないかという心配があるからこそ、こういう試算があるんだと思いますが、まずこれについての感想をひとつお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(斎藤次郎君) 昭和七十五年に百九十六兆円の残高になるという私どもの仮定計算は一定の前提を置いているわけでございます。確かに補正によって一兆三千六百億公債を増発いたしましたけれども、六十一年度決算で二千四百億特例公債を減額しましたので、約一兆円ぐらいの増加にはなろうかというぐあいに考えております。 東海銀行の試算につきましては、今後の財政運営に関する前提に大きく左右されるものでございますので、詳細は不明でございますけれども、一般歳出の伸び率が非常に高目である。例えば積極財政型について申し上げますと、GNP弾性値一・二というような想定を置いておるとか、例えば標準ケースの場合はあれですけれども、その場合に成長率は四%と一義的に決めているとか、いろいろな前提条件がございますので、私どもは必ずしもこのようになるというぐあいに考えてはいないわけでございます。
○近藤忠孝君 私もこのとおりになって、千五百兆円もの発行残高ですと、それこそそのとき我が党が政権担当していたらとてもかないませんよね、これ。そうなってもらったら困るんだけれども、その可能性だってこれあり得るんですね。私は財政のやっぱり考え方の問題だと思うんですよ。 今回のNTT株のような措置、金額全体はそれほど全体の中で大きいものではないけれども、しかし考え方としまして、こういう扱いが平気で行われますと、こんなことになりかねないということを指摘したいんです。 と申しますのは、定率繰り入れやめたということは返済のための貯金をやめたということですね。それから、赤字国債借りかえというのは期限到来の金まで返さぬと、そうでしょう。あと、じゃ何で返していくのかとなると、もうこれ臨時収入しかないんですね。今回、臨時収入があったんですよ。臨時収入があったのが要するにちょっと多いというだけで、多い分だけ回しちゃうという、こういう考え方自身が私が今指摘したような、思わぬところへどんどんこれが拡大してしまうんじゃないかという点で、今までずるずる、ずるずるやってきた、そのまた延長にすぎないんじゃないか、今回の措置は。ということを指摘したいんですが、それに対する御答弁をいただきたいと思うんです。これは大臣にですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、定率繰り入れ等々につきましては、先ほども申し上げましたとおり、大変にいいことと思ってもちろんやったわけじゃございません。余裕がございませんので借りかえをやったり定率繰り入れを中止したりしておるわけで、それはもう大変にいいことだと思っておるわけではございませんが、この制度をやっておきましても、しかし他方で新規国債を発行いたしますならば同じことでございますから、それでそういう財政状況の中でやむを得ずやめたと。おっしゃいますように、財政再建はまだ途中でございますから、何とかしてまず特例公債の新規発行ということをやめなければならない。それを六十五年云々と言って今努力をしているところでございます。 東海銀行云々のこれは今私も拝見しておるんですが、二〇一〇年に千五百四十八兆円の国債残高になるかならないかということは、結局そういう財政の運営をするかしないかということで、財政を締めずにやっていきましたらとめどもなく借金は重なるわけでございましょうから、やはり今やっておりますように、何とかして財政需要を抑えて抑えていかなければならない。その基本的な政策態度によりまして百九十六兆円であるのか千五百何兆円になるのかということであろうと思います。 私どもはそういう財政の運営をやはりやってはいけませんので、そういうことになりませんように、政権をおとりになりますときに御迷惑のかからぬようにやりたいと思います。
○近藤忠孝君 そういう時期も来るんじゃないかと思っているんですが、それは別にいたしましても、今大臣が言った、同じだと、返さなくても結局国債を発行することを考えたら同じだと。この答弁は、私は今から十何年前に大平大蔵大臣から聞いたんです。要するに剰余金があって、剰余金を返さずに剰余金の分だけ国債発行減らすから、だからこの法律どおりやらなくてもいいじゃないかというんで法案が出たんですね。同じだという答弁は、全く同じに今出てきたんですが、私は違うと思うんですよ、あのときは剰余金を国債発行減額に回しているんですから。今度は新しく出すんですからね。そうでしょう。大体こんな——こんなというか、このNTTの金がなければこれだけのことを考えたかどうかわかりませんよね。だから、元来出さなかったかもしれない。前のときと同じだというのは、これは国債減額になっていますから次元が違うんで、私はそういう言葉がまた平気で使われているというところに、やっぱり財政再建の道はだんだん遠のいているということで大変心配するわけであります。 次に入りますが、宮澤さん自身も社会資本の充実、特に生活基盤投資の充実が必要だということですが、これはみんな強調しておるんです。しかし、果たして現状がそのとおりになっているのか、また今後なるのかという問題です。 今までどうだったかということを見るためには、「昭和六十年度行政投資実績」これは自治省大臣官房地域政策課の報告書でありますが、これによりますと、六十年度の行政投資二十六兆五千五十五億円です。事業別に投資を見てみますと、文教施設に対する投資は大幅に下回っている。それから道路、下水道、これは長期的に増加傾向にある。それから、住宅に対する投資は長期的に減少傾向、住宅は減少傾向なんですね。 それから、事業目的別投資額によりますと、産業基盤投資は七・二%増であるのに対して、生活基盤投資は一・六%増にすぎない。これは対前年比です。それから、産業基盤投資の構成比が徐々に上昇している。五十年に一五%であったものが六十年度には一八・五%だと、こういう指摘です。 それから、事業主体別ですと、国が実施した事業では生活基盤に一四・九%、産業基盤に四三・五%、雲泥の差がありますね。しかも国の投資では産業基盤投資が徐々に上昇している一方で、生活基盤投資の比率は低下傾向にある。こういう指摘です。 それから、負担経費別に見てみますと、国費、都道府県費とも産業基盤投資の構成比が高まる一方で生活基盤投資の構成比は低下しておる。 こういう指摘がありますが、これはやっぱり大蔵当局が見てもこのとおりだと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) 自治省のものについて、詳細をまだ実はよく勉強していないわけでございますけれども、一つ申し上げられますのは、六十年度に産業基盤投資のシェアが上がっておりますけれども、それは特殊事情がございまして、従来その他という投資項目に入っておりました専売、電電公社の投資が民間に移って総額が落ちたわけでございます。したがいまして、シェアが上がっておりますという関係で、国土保全投資とか生活基盤投資のシェアもそれぞれ上昇しているわけでございます。したがいまして、六十年度に大きな変化を見たのは、そういう事情があったということでございます。 それから、公共施設の整備というのは生活基盤投資、産業基盤投資という区分をやっておりますけれども、実は非常に難しい面がありまして、公共施設の整備というのは、一般的に地域住民の利便を向上させるという面と産業活動を活性化させるという両面を、例えば道路なんか典型的な例でございますが、擁しておるわけでございまして、なかなかその区分が難しいという問題がございます。 ただ、もう一つ申し上げたいのは、産業活動と関連した公共施設整備というのも、特に現在のような状況でございますと、雇用問題を含めて地域の活性化につながるという面もございますし、私どもとしては必ずしもその効果も否定できないんじゃないかと。それから、現実に地方の公共団体からの整備促進を求める声も非常に強いわけでございます。ただ、私どもとしましては、いろいろな社会資本の整備水準等も考えて、できるだけ地方公共団体の要望等の調整を図って、そういう生活基盤の投資も進めていきたいということで、今般の補正で、当初一五%のシェアであった下水道とか公園等のいわば生活基盤投資を二割に上げたというような努力をしていることを御理解いただきたいというぐあいに考えます。
○近藤忠孝君 社会資本の充実、そして特に生活基盤の充実ということがこれははっきり言われているんですからぜひそうすべきですが、そのために現状がどうなっているのか、その現状をどうしていくのか、これがやっぱり大事だと思うんですね。そういう点で自治省ではこういう資料をつくったと思うんですが、肝心の大蔵省にそういった面の資料がしっかりしてないというのはやっぱりいかぬことだと思うんですね。そういう面の実態を正確に把握するために調査されますか。
○政府委員(斎藤次郎君) 正直なところ申し上げまして、きのう実は取り寄せて勉強を始めたところでございまして、一生懸命勉強さしていただきます。
○近藤忠孝君 元来、大蔵省は自分に都合の悪い資料はなかなかつくらぬしね、これは何度もやりましたよね。それじゃやっぱりよくないわけで、ひとつ大臣、都合の悪い資料でもやっぱり実態を正確に見ると、こういう面でひとつ、きのう初めてこれは勉強したようですから、それまでは恐らく生活基盤がどうなっているか、その面恐らく大蔵では、次長も勉強していなかったということになると、だれも勉強していなかったんじゃないかということになるわけで、ひとつ大臣、実態を正確に見、そして生活基盤を充実しようという号令をかけていただきたいと、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、今御紹介になりましたのを伺っておりまして、恐らく過去においてのある時点までの傾向はそういうことであったろうと思いますね、我が国はそういうふうに動いてまいってきておったわけですから。ですから、それをいろいろに変えなきゃいけないというのがやはり前川報告とかいったようなものの考え方であると思いますので、それはこれからやはり意識してウエートを変えてまいらなければならない問題だと思います。
○近藤忠孝君 今申し上げたのは、統計的にも生活基盤投資の構成比が低下しているということですが、それだけではなくて、生活基盤のための既存の施設が産業基盤の方にむしろ取り込まれてその犠牲を受けようとしているということを具体的に私は指摘をしたいと思います。 そこで、建設省来てますね。広島県の尾道大橋、これは大臣の地元でありますが、この橋が昭和四十三年に道路公団が一般有料道路として供用開始をしたわけです。それ以来、向島の島の人たちの生活道路として使用されてきたと思いますが、そのとおりですね。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 その建設費、その償還期間について御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(松延正義君) 先生御指摘のように、尾道大橋につきましては本州−向島間の交通需要に対応するため、昭和四十年七月に総事業費十四億三千二百万、料金徴収期間三十年、小型乗用車の料金八十円として事業許可されたものでございます。供用開始は四十三年の三月でございます。
○近藤忠孝君 この尾道大橋の開通以来の年度別通行量、それからその収支、そのまた内訳ですね、それから債務残高はどう移ってきたか、これを御答弁いただきたいと思うんですが、これ全部答えてもらっても大変ですから、資料もらったので、ちょっとそれでこちらでむしろ指摘をしましょう。 通行量は、最初のころは一日四千五百二十三台だったのが、六十年には二万台ということで収入もこれは四億三千万ということでかなりふえていますが、これは今までの償還額、そして収支差はどうだったか、これについて簡単に御答弁願いたいと思います。
○説明員(松延正義君) 収支状況でございますが、先生御指摘のように、供用初年度の昭和四十三年度におきます収支状況は、料金収入が七千九百万、管理費一千八百万ということで、その他支出も入れまして収支差が四千六百七十万という赤字でございましたが、昭和六十年度におきましては四億三千万の収入、管理費が二億四千四百万、その他支出が一億八千四百万で、収支差が百四十万の黒字でございます。 それから、現在の未償還額でございますが、六十年度におきまして五十八億九千百万という未償還額になっております。
○近藤忠孝君 未償還額がぐっとふえたというのは途中で延伸道路が建設されたその費用だと思うのですが、この延伸道路建設の事情とその建設費。そして通行料金が引き上げになりましたね、今まで小型乗用車八十円が百五十円。その事情について御説明いただきたい。
○説明員(松延正義君) 尾道大橋が昭和四十三年三月、本州−向島間に供用されまして、利用交通量は年々増加しております。一方、本州四国連絡橋尾道−今治ルートの因島大橋が五十八年度に完成の見込みとなりまして、因島の交通需要は向島の交通需要と相まって、本州各方面の広域長距離化するものと想定されておりました。とりわけこれらの交通需要を処理するために、尾道市街地の交通混雑を避けまして、尾道大橋から一般国道二号の尾道バイパスに直結する新道路整備が急務となったわけでございます。このような状況の中で、日本道路公団におきまして、尾道大橋の延伸工事を五十六年八月に、事業費六十億円で始めまして、総事業費七十四億三千二百万でございますけれども、事業を実施することになったわけでございます。 料金につきましては、八十円が百五十円ということで事業許可をいただいております。
○近藤忠孝君 大臣は、地元の問題ですし、また大蔵大臣へもいろんな陳情なども行っておりますので、御承知かと思うのですが、経過は、最初八十円で、三十年たったら大体償還できて料金がなくなるというが、この島の人々はこの橋しかありませんからまさしく生活道路、しかも一日二万台という大変な通行量になって、これなしには生きていけない状況になったところが、延伸道路ができたために小型乗用車一台が百五十円になりましたね。というので、また償還期限も先に延びてしまったから、無料になる時期がずっと先に延びた。そのこと自身が大変な不満であるんです。 ただ、今起きている問題はさらに大事な問題で、今この橋が道路公団から本四公団に移管されるんですね。これは言うまでもなく、本四架橋の一環に組み入れられるんです。そうなりますと、延伸道路ができたために無料になる時期が今度さらにずっと先に延びてしまう。しかも、生活道路が生活道路でなくなってしまうんですね、本四架橋の一環ですから。本四架橋の一番入口の橋になりますからね。そして、恐らく料金もまた上がるのだと思うのです。 そこで建設省にお聞きしたいのは、今までは料金についてはその橋だけで考えておったらよかったのでしょうが、今度はどうなりますか。
○説明員(松延正義君) 本四に移管いたしましても、当面現在の道路公団の料金をそのまま続けていくつもりでおります。
○近藤忠孝君 当面は今の料金で続けていくのでしょうが、これは制度の趣旨として、本四公団ですからね、本四架橋全体をプールしてその中で料金が決まっていくのではないか。となりますと、この橋だけで考えれば、あるいは償還期限が来る、あるいは無料になる時期、あるいは料金もここだけで考えればいいものが、通行料その他で考えればいいものが、そうでなくなるという、こういう可能性は十分あるのでしょう。
○説明員(松延正義君) 本四公団道路として本来料金は道路審議会の答申がございまして、全路線画一料金制度にしていることとしておりますけれども、当区間につきましては、今までの経緯もございまして、当面日本道路公団で許可されたのと同じ料金で関係方面と調整を図ってまいりたいというふうに考えております。それで、確かに償還年限につきましては約十年程度延びる予定になります。 それから、先生御指摘のことは、その四車線化後に料金がどういうふうになるだろうかということだろうと思いますが、地元が四車線化後も現行料金を維持することを要望していることは十分我我も承知しているところでございます。四車線化時の料金につきましては四車線供用時に料金決定するということになっておりまして、そういった地元の要望を踏まえながら関係機関等々といろいろ協議しつつ検討してまいりたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 そうすると、当面は今の料金でいくというのは、それは四車線になるまでと、こういうことですかな。
○説明員(松延正義君) はい、二車線の間でございます。
○近藤忠孝君 四車線になった後は、やっぱり本四架橋全体の中でプールしたものとしてそこで料金体系が決まってくる、こういうぐあいになるんじゃないですか。
○説明員(松延正義君) 先生の御指摘のとおりでございます。
○近藤忠孝君 ですから、大臣、これは地元民にとってはとんでもないことなんですね。三十年で無料になるはずのものが、まずそれが先に、延びて、しかも八十円が百五十円になってしまった。 今の話によると、今のままならば今の料金だというんですが、今のままじゃそれは本四架橋の機能を果たしませんから、四車線にしなければいけませんね。そのときは料金もまた上がっちゃうんでしょう、恐らく。だと思いますね。そして、通行も生活道路としての通行なのかどうか、これもわからないんじゃないかと思うんです。こんなことが大臣の地元に起きている。要するに、冒頭に申し上げたとおり、まさしく生活道路が本四架橋の一部にされてしまって、そしてその道路の論理で物事が進められている。こんなことが大臣の地元で起きているという、そのこと自体についての御感想はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私もいろいろ聞いておりますのですけれども、関係の皆さんが今一生懸命何とか答えを出そうとしておられますので、余計な口をきかない方がいいんではないか。かえって事を混乱させるばかりだと思っておりまして、しばらくそういうことで皆さんの調整にまちたいと、こう思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、大蔵大臣としてもやはり生活道路としてできた経過は十分考慮した解決であってほしいと、こういうお気持ちですかな。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、そこらがうっかり申し上げられませんので、大変微妙なことでございますから、私としては関係者の調整にまちたいとだけ申し上げたいと思います。
○近藤忠孝君 しかし、関係者の解決にまちますとね、どんどんどんどん橋がこのまま進んでしまって、生活道路がこの本四架橋の犠牲にされてしまう、こういう事態が起きることは間違いないんじゃないでしょうか。 そこで、この経過の中で幾つかの話があったと思うんです。こうなる前に四つの考え方、四通りの話があった。 第一は、尾道大橋は生活道路として位置づけて残す。それから第二は、道路公団が現在の二車線を補修し、別に本四公団が二車線をかける。それから三番目は、道路公団がいっそのこと四軍艦をかけたらどうだろうか。四番目が、本四公団が尾道大橋を道路公団から買収して四車線をかける。これが今進んでいる方法ですが、こんな考えが今まであった。そしてその最後のが選ばれた。こういう経過はどうです。
○説明員(松延正義君) 内部でいろいろ検討いたしまして、先生御指摘の例も検討の一つのあれでございます。
○近藤忠孝君 幾つか検討されて、その中にはやはり地元民の生活道路としての立場を十分守ろうという、そういう考えもあったんだけれども、それが否定されてここまできてしまったというのが経過のようですね。だから、今まさにそれで突っ走っておるわけです。大臣が後で声をかけようと思った、そのころ、総理がどうかそれはわかりませんけれども、かけたころはもう決まっちゃって、いかに総理大臣といえどもこれはどうしようもないというようなことになりかねない問題なんですね。 だから、大臣、先ほどのような消極的なお答えじゃなくて、やはり地元民の生活道路での経過を十分考慮して、その面を特に尊重してほしい。これはむしろ積極的に応援してあげる立場ではないだろうかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は同僚議員でいろいろ調整に当たっておられる方もおられますので、私が今あれこれ申し上げない方がいいというようなことで、こういうお答えをいたしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 建設省どうですか、いろんな方がいろいろな動きを地元民のためにしているというんですが、今進んでいる方向、だからあともう一つ二車線かけてそれで四車線になるこの方向、そして生活道路としての面が大いに損なわれる、これを今後地元民のために何とかしてあげるという、こういう面はどうなんですか。
○説明員(松延正義君) 将来交通量を予測してみますと、昭和七十年で二万四千九百台、それから昭和七十五年で断面が四万三千五百台という、これは尾道大橋を含めまして第九次の五カ年計画に基づきまして交通量を推定しますとこういう数字になっておりまして、こういった交通量から見ますと、やはり四車線でこれは十分じゃなかろうかと。その場合、あとの二車線を本四の方でかけるという方法があるいはあるかもしれませんが、そうなりました場合、二車線が対面交通で新たに架設することになるわけです。そうしますと、料金体系あるいは料金徴収期間がおのおの異なってくるということから考えますと、交通量が適正な配分が行われないということで、やはり管理を一元化しまして本四がこれを架設する方が、いろんなそういった採算性の問題あるいは交通量の配分の問題、そういったことを考えましてもよろしいんじゃなかろうかと思っています。 それから、生活道路としての機能は、今度新たにかけます道路につきましても両側に歩道も設けますし、今までどおりの機能が十分果たせるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 今の話を聞いても、結局は公団の採算性といういわば本四架橋側の論理が優先をするんだと思うんですね。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 ですから、そういった点でこれは住民の立場を十分に組み込んでほしいと思うんですが、今度できる橋についても生活道路的な面は残る、ちゃんとやるというんですが、しかし今の二車線、これは構造的に本四架橋の一部としてそのまま使えるのかどうか、それ自身やっぱり問題じゃないでしょうか。
○説明員(松延正義君) 多少手を加えますと十分四車線化に対応できると思います。
○近藤忠孝君 じゃ今後住民の立場を料金の問題も含めてこれは十分にくみ上げてほしいということを申し上げておきたいと思います。 私は一つの例を申し上げましたけれども、こんな例は全国各地にもたくさんあるのではないかとこう思いますので、やはり社会資本そして生活基盤優先という場合は、こういう問題も含めてこれは大いに、まさしく生活を優先させるということを強く求めておきたいと思います。 ちょっと時間余ったけれども、きょうはこれで質問を終わります。
○栗林卓司君 提案理由説明の中にいかにも人目を引く表現があるものですから、私もこの点でお尋ねをしなければなりません。 それはといいますのは、「国債の償還等国債整理基金の円滑な運営に当面要する資金を上回る資金が、同基金に蓄積」云々と、こういう表現がありますが、ここで「円滑な運営」と書いてあるんですが、「円滑」というのはどういう意味を合意しているんでありますか。国債整理基金といいますと、その根幹は私は減債制度だと思うんですが、その減債制度が健全に維持されることが「円滑」と判断をするまず第一条件ではないか、こう思っているんですが、この点いかがでありますか。
○政府委員(足立和基君) 先ほどもそれは若干申し上げましたが、国債整理基金というものは国債の償還を一元的に行うわけでございますから、そのためにNTT株の売却収入というのが整理基金に帰属されている、こういうことでございますので、国債の償還に支障があるというようなことはいかなる場合であっても避けなければいけない。こういうことを考えまして、支障が生じないということを念頭に置きまして、その当面要する資金をもし上回るというような資金があれば、それを今回の法律の提案によります社会資本の整備の促進に回す、こういうことでございます。
○栗林卓司君 重ねてお尋ねをしますけれども、この減債制度といいますのは国債残高を管理する大原則ではなかったのかと私は思うんですが、これは釈迦に説法ですが、減債制度といいますと三本柱がありまして定率繰り入れと剰余金繰り入れと予算繰り入れ、予算繰り入れはそのときどきでその金額を予算で決めて入れるわけであります。あとは、定率繰り入れと剰余金繰り入れは非常に重要な減債制度を支える二本柱としてこれまで確認され、運用されてきたのが実情だったと思うんですね。ところが、剰余金繰り入れはまことにしばしば財政法の精神が踏み倒されてまいりましたし、また定率繰り入れの実施が見送られてまいりました。これは財政制度審議会も万やむを得ずという意見を出したことがありますけれども、これもいろいろ考えましたが、その言っている意味は、簡単に言いますと、赤字国債を発行してまで定率繰り入れをしろというのはいかにもこれは筋が合わない、したがって見送ることもやむを得ないということだったと思うんです。私もそれは全く同感であります。異論は挟みません。ところが、赤字国債を発行しなくても定率繰り入れができる条件があったとしたら、それは全体が赤字国債に彩られた財政であったとしても、やはり定率繰り入れはやるべきだというのが本来は財政制度審議会の答申の本意であったのではないかと私は思うんですが、いかがでありますか。
○政府委員(足立和基君) 先生おっしゃるように、定率繰り入れといいますのは現在の減債基金制度の六十年償還の基本的な考え方でございますが、財政の事情によりまして不幸にして現在それが停止されておるわけでございます。しかしながら、国債を六十年で償還していくというこの事実、これは現在でも完全に確保されておるわけでございまして、これはNTTの株式売却収入というものを国債整理基金に帰属させるという、国会で御審議をいただきましてそのようなことになりました。それによって完全に確保されておるわけでございます。 その上になおかつ六十年の定率繰り入れというものを行うべきだという御議論がああかと思いますが、もしそういうことをいたしますと、国債整理基金にいわば多額の資金というものが滞留することになる。それはそれで国債償還という観点からいきますと十分の措置であるには違いございませんけれども、六十年償還ルールというものが完全に守られるであろうと、それが円滑な運営ということ。その円滑な運営ということは、先ほど申しましたようにルールが守られると同時に、国債整理基金の手持ち流動性というようなものも十分なものを保有するということも含んでおるわけでございますが、そういう事態が考えられましたならば、それはなおかつその上に定率繰り入れというのを行うのは現在の厳しい財政状況を考えればいかがなものか、このような判断で定率繰り入れが停止されておるわけでございます。
○栗林卓司君 六十年償還というのは減債制度の根幹ですけれども、それはその期限が来たら支払いはやりくり算段して払えばいいじゃないかということではないと思うんですね。やっぱり六十年償還に合わせて定率繰り入れをしていくことがその制度の基本的考え方でして、たまたま償還期が来たときに金さえ都合つけばよろしいということじゃ私はないと思うんですね。 そこで、なぜこんなことを言っているかといいますと、ないそでは振れないと言われればそれまでですけれども、この一点をおかしくしちゃうと財政はどこまでも節度を失っていく、これを外したら絶対だめだと思うんです。その意味で、現在のこの惨たんたる国債整理基金の状況を見ながら「円滑な運営に当面要する資金を上回る」云々と、こういう作文だけはやめていただきたいんです。円滑運営どころか惨たんたるものじゃありませんか。 それで、これは私の勘ぐりかもしれません、国債整理基金の資金繰り状況を知りたいと言いましたら、こういう資料がまいりました。「国債整理基金資金繰り状況」とタイプで打ってありまして、中を見たら仮定計算例なんです。仮定計算例が来たからけしからぬなんて言いませんよ。ただ、これを見ますと、ちゃんと定率繰り入れが毎年きちんと計上されておりましたし、これに株式売却収入も入っているんです。そうなると、当然のことながら余裕金残高はまことに大きい金額になるんです。例えば、七十五年ですと十一兆七千九百億、その前の年度をそれぞれ挙げるまでもございません。こういったものを見ながら、この提案理由説明の「円滑な運営に当面要する資金を上回る資金が、同基金に蓄積されることが予想されます。」、冗談言っちゃいけませんよ、仮定計算での予想ですよ。ところが、現実には定率繰り入れはやってないじゃないですか。片一方では株式売却はここにあるように六十二年度一兆八千三百億、六十三年度一兆八千三百億、こういった格好で計上しております。あるいは計上するめどが立ちますか。 私は言葉でごまかしてはいかぬという意味で申し上げているので、この点はぜひ深くお考えをいただきたいと思います。国債整理基金が結構余っているな、そうかい十一兆かい、十一兆七千九百億円、こんな印象がだんだんとひとり歩きしてまいりますと、要するにあれを使いつぶせばいいという気持ちになりますよ、みんな。そのときに、これは減税財源に使ってはだめだと言ったって全然通用しません。このNTT株の売却を減税財源に使えということがこれほど高まっているのは、国債整理基金の惨たんたる状況についてあなた方が率直に言わないからだといった意味で私は今質問し申し上げているわけです。 次に、今回の社会資本整備勘定の対象事業でありますけれども、タイプA、B、Cとあります。そこで、タイプBについてまず伺います。 これは、簡単に言いますと補助金の先送りでございます。補助金の先送りということは、今できないということですよね。したがって、二十年後にそうなったら見合う補助金を出してあげますということなんですが、今できないものが二十年たったらなぜできるんですか、お尋ねします。
○国務大臣(宮澤喜一君) どういうお尋ねでしょうか。今彼に、ある団地で新しく面的開発がありまして、どうしてもこれは下水道をしなきゃならない、それに百億かかる。普通なら十年で十億円ずつ出していくわけでございますけれども、今百億円出さないとそのすべての面的開発ができないというときに、今百億円出しましょうというのがこのBタイプでございまして、それは決して国として余分な負担をするのではなくて、どうせ十年間のうちには十億ずつ出すわけでございますから、今まとめてここから出しておきます、そして後で補助金の形でそれはこの会計へ返してまいりますと、こういうことでございます。
○栗林卓司君 ですから、要するに補助金の先送りでありまして、しょせん出していくわけですね。今百億としますといずれ償還時期には百億を出していくわけですね、今の御説明のように。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前渡しと言った方が表現としてはわかりやすいと思いますが。
○栗林卓司君 これで財源があり、しかも建設公債の発行にゆとりがあるとしますと、いろいろややこしいことをしないで、そっくり補助金で出していけば一番わかりやすいわけですね。それを、今前渡しとおっしゃいましたけれども、一応無利子貸し付けをするわけですか、無利子貸し付け。で、やがて償還期が来たらそれは補助金で埋めてやるということですから、出す側から見ると、一遍貸してやるけれどもいずれは補助金で埋めてあけますよと。そういった意味では、補助金の先送りと言ってもそう間違いでないかもしれません。 そこで、私が伺いたいのは、今もし財政にゆとりがあり、あるいは建設公債の発行条件に支障がないとすると、あっさりと補助金を出していけばいいんだけれども、なかなかそうもいかない。したがって、二十年後には補助金を出していく、そういった仕組みの制度でありますけれども、二十年後でできるのだったらなぜ今できないのかということを今お尋ねしたんです。 繰り返します。今は無利子貸し付けをいたします。やがて償還期が参りますと、それは補助金で埋めてあげますと。国として出るお金としますと、二十年後に出て今は無利子貸し付けをするだけですね。こちらの方を私は今伺っているのじゃないんです。国として出す側になりますと、今は補助金としては出しませんと、二十年たったら出しますと、こういったふうに私には見えるのですが、これは決して読み間違いではないと思うんです。そのときに今出せませんと言っているのが、二十年たったらなぜ出せるのか、その辺のからくりがよくわからないのでお尋ねをしたんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほどまさに栗林委員が言われましたように、今建設公債が出せるのならば、今百億円出せるのだろうとおっしゃるのはそのとおりでございます。 御指摘のような財政の状況でございますから、今それだけの建設公債を出すことがどうも好ましいことではない。幸いにしてこういう方法がございますから、それをやらせていただくので、提案理由の中で、これによりまして建設公債の当面の増発を抑制することができ云々と申し上げましたのは、そのような趣旨でございます。
○栗林卓司君 ですから、質問を縮めて申し上げますと、いずれ二十年後の償還期がめぐってくる間に財政事情がよほど好転しているのではあるまいか、そういったことが暗黙の前提としてあるということですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうであることを希望いたしますが、それは論理的にはすぐにはそうなりませんで、ここに申し上げましたように、地方の活性化とか社会資本の整備とかいうことが急を要することでございますから、二十年後にやるよりは今やった方がよろしいのであって、幸いにしてこういうことがございますから今やらせていただきたい、幸いにして建設公債も増発しないでよろしゅうございますのでと、そうまず申し上げておりまして、それならば今度何年かたったときに、百億円の補助金でそれを埋めるのだろうと。そのとおりでございますが、そのときに国の財政は今よりもよくなっているからだろうねとおっしゃいまして、それを期待しておりますが、場合によってはその百億円出しますときに、それは建設国債で賄わなきゃならない事情があるかもしれない。何ともそこは申せないことでございますが、問題は、今これをやることが我が国の社会資本整備や地方の活性化のために必要なんだと、こういう意識でございます。
○栗林卓司君 ある漠然とした願いとして、二十年もたったらそうあってほしいなと、気持ちはわかりますけれども、これは漠然とした期待感にとどまっているから実は困るのでありまして、この二十年の間に財政の再建はこういう手段、道筋でやってまいりますというがありませんと、二十年終わったらなるほど財政事情はよくなっているのだなという確信を持てないんです。 そこで、その間に財政当局として何をやっていくのだろうか、こういった角度からの質問なんですが、一つだけ伺いますと、AタイプとCタイプがございまして、Aタイプについては事業に伴う収入があるわけですから、それで無利子貸し付けを返していくと、こういった話ですね。ところが、Cタイプというのは必ずしも収入があるわけでありませんけれども、開発事業と一体のものとして面的開発の一環であるということでやっていくわけでありますね。 そこで法案を見ると、こういう表現になっておりまして、第三条を読みますと、「これらの事業により整備される施設がその周辺の相当程度広範囲の地域に対して適切な経済的効果を及ぼすと認められるものに係る資金について、日本開発銀行、」以下云々と、こうなっているわけです。そこでこの「適切な経済的効果を及ぼすと認められるものに係る資金について、」というのは、このままでは手に取った収益、収入というぐあいになってまいりませんけれども、何らかの格好で経済的なプラスとして反映されてくると期待していいわけですね、どういった形か別ですよ。そういったものをどうやって回収をしていくのかという問題に私は帰着する気がするんです。今回たまたまNTT株の売り払い代金があったものですから、このAタイプ、Bタイプ、Cタイプという御議論がされているんですが、考えてみると、本当はNTT株の売り払い、があろうとなかろうと、公共事業の代金をどうやって調達をするかという基本問題が私はもともとあったんではないか、そんな気がするんです。 そこで、今回のNTT株の売却に見合う約四千億がらみの公共事業分の議論でありますけれども、七兆円を超える補正後の公共事業の規模全体についても、本当はそれを将来ともどうやって回収していくのか、これを考えてまいりませんと財政再建もヘチマもないという気がするんです。 そこで、今引用している文ではありませんけれども、ある社会資本投下をいたします。そうすると、当然そこでは経済活動が活発になり、それを支えている土地の価値も上がってくる、期待される。そしてその開発利益を土地にかかわる、あるいは不動産にかかわる税制の問題として何らか置き直して吸収できないだろうか。こういった議論も当然できると思うんですね。お尋ねしたいのは、公共事業費総体についての話で、NTT株売り払いの対象の社会資本投下でその小さい部分だけ言っているわけでありません。当然それは何らかの格好で受益者負担、利用料という格好で吸収するのか、あるいは税で取っていくのか、あるいはそういった回りくどいことをしなくて、総体が自然増収で自治体が何かつくるということになるのか、どっちへ行くか別ですけれども、いずれにしてもそういった道筋を立てていかざるを得ない、そういう気がするんですね。 そこで具体的に伺いますけれども、例えば土地に託して開発費用を回収するといいますと、例えば不動産増価税、地方建築税あるいは地方開発課徴金などなどの制度も海外には例があると聞いておりますけれども、あるいはそういった特殊なものではなくて、あくまでも普通の財産税という格好でこれは回収していくんだろうか。いずれにしましても、膨大な費用を投じていくこの公共事業に対してその財源をどうやって調達をしていくのかということは真剣に考えていかざるを得ない。この点について現在のところどういうお考えと展望をお持ちなのでありますか、まずそれをお尋ねします。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず土地の価格が上がりました際の課税の問題でございますけれども、土地について申しますならば、一般に言って取得についての取得関連の税金がございます。それから保有につきましては固定資産税であるとか特別保有税がございます。それから、処分につきましては譲渡所得税等々がございまして、それらの方法で国税、地方税でその課税の対象にいたしておるということでございます。 今回このAタイプで申し上げておりますものは、そのような仮に住宅団地でも工業団地でもよろしゅうございますが、例えばそれが高速自動車道路からインターチェンジをつくり道をつくるならば開発利益が当然生まれる、そういう場合にはその道路の建設費についてAタイプの無利子貸し付けを行いますならば、それは開発利益で回収することができて地域の活性化にもつながると、こういう考え方でございます。また、Cタイプで申しますと、公共投資に類似する仕事の中で収益性のあるものは民間事業もいわゆる民活が可能であるということで民間資本を動員して、そのような公共事業的なあるいは公共性を持っておるプロジェクトに加勢をしてもらおうと、こういう考え方でございますが、つまり粟林委員の言われますように、公共事業の原資をどうやって確保するかということは、国あるいは地方団体の租税あるいは借入金による収入によってというお答えでございますが、それに加えまして、さらにいろいろな意味での民間資金を導入することによってそれをふやすことができると、そういうふうに考えてよろしいのではないかと思っておるわけでございます。
○栗林卓司君 民間資金の導入もまさにおっしゃるとおりでありまして、昭和五十八年の経済白書を見ますと、「政府投資と民間支出との代替可能性」というタイトルの中でこう言っていまして、「民間部門でもある程度代替的に供給可能であったり、あるいは便益の享受が特定の個人、グループに帰着できる準公共財のシェアが高まってきていることが特徴的である。」こう言っております。したがって、これは公共財だから全部政府が主体になってやらなければいかぬというわけでもないので、おっしゃるように、民間活力をどうやって導入していくかということも研究していかなければなりません。とは言うものの、民間活力だけでは済まない部分が当然あることは事実ですね。 そこで、これは去年の経済白書ですが、中を一一御紹介しませんが、書いてあることは、今幸いにして日本の社会資本ストックは若い、やがてこれが代替する、あるいは補修する、維持をするということになりますとべらぼうな費用が要る、こう言っておりますのも大体五兆から七兆という数字で立っておりますけれども、やはり相当大きな金額が必要とされるかもしれません。そういったものでは一体どういった格好で調達をしていくのか、こうなってまいりますと、今たまたま先ほど私申し上げたのはイギリスとフランスとイタリーの例ですけれども、そういったものも真剣に検討していかないといけないのではないかという気がいたしますし、またこれで四全総がいろいろ掲げられておりますけれども、中を拝見しますと、一口で言いますと非常にモビリティーの高い社会でございまして、それは情報と人と物が全国を錯綜するようなそういう社会をつくっていくと考えているようであります。 そういった場合に、それをつくっていく社会資本の費用というものをどうやって調達をしていくのか云々と考えますと、それは現在の既存税制で果たして吸収できるのか、何らかの新しい税制を考えていくのが今この時期にまさに必要なのではあるまいか。しかもこれは四全総でもあるいはこの白書でも言っておりますけれども、今ちょうどいわゆる高齢化社会に突入する寸前でありまして、まだまだ相当の事業を起こすことができますけれども、やがては活力を日本経済は失うかもしれない。そう考えますと、私は今言われております税制の見直しというのは、今衆議院で議論しているようなあんな次元のものだけではないのではあるまいかと思いますので、一言だけ意見を申し上げて終わります。
○野末陳平君 NTT株の売却の収入をこういう無利子貸付制度に使うのがいいのか、あるいはこれにはいろいろ問題があるような気もしますが、それにしても減税の財源にこれを使っていいのか、どっちが内需にも役立ち、いろいろな面でプラスがあるとか、難しいところはいろいろあると思います。ですから、私もどちらがいいかと言われた場合に、提案中の方によりプラスがあるのではないかという気もしてはいるんですが、それはまたもう少し考えて後で質問させてもらいたいと思いまして、とりあえずNTTの株に関連は直接ないんですけれども、ここのところ今非常に大きく問題になっている例の株式の譲渡所得の課税のことでちょっと聞いておきたいことがあるんです。 というのは、マル優の廃止がキャピタルゲインの方を素通りして先に進んでいることに不満があるようで、キャピタルゲインをどういうふうに課税していったらいいか。一応政府の方は課税強化するんだと言っておりますが、つまりそんなに強化したというほど今回提案中の、こちらには来ておりませんけれども、株式譲渡所得の課税は前向きになっているのかどうか非常に疑問が多いんですけれども、とりあえずどういうふうに強化する方向なんですか。
○政府委員(水野勝君) 株式のキャピタルゲインが中心のお話であろうかと思いますが、今回御提案申し上げております課税関係につきましては、現在課税になっております継続的取引の基準、この場合の基準を株数を二十万株から十一万株に、また回数でございますと五十回から三十回に縮減する、それから同一銘柄の株式等を相当数譲渡した場合の課税の基準でございますが、これも二十万株以上から十二万株以上にするといったような改正を御提案させていただいておるわけでございます。 もちろん、基本的にキャピタルゲインも総合して課税されるべき所得でございますので、今後とも総合累進課税の方向に向かっての努力はいたすつもりでございますが、極めて膨大かつ流動的なキャピタルゲインでございますので、これがたまたま当たった人が損をしないというふうな実質的に公平を確保できる課税方式、端的にはその所得の把握方法、そういったものにつきましての具体的実効的な方法をまず確保することが重要ではないか、そういった面に十分今後関心をさらに持ってまいりまして検討はしてまいりたいと思いますが、今回御提案しております改正内容は先ほど申し上げたとおりでございます。
○野末陳平君 そうしますと、課税強化の中身というのが五十回二十万株が三十回十二万株になり、同一銘柄二十万株以上が十二万株以上になった、具体的にはこういうことだと思うんですね。これが確かに数字的には厳しくなったように見えるんですけれども、じゃ、実態はどうかというところが一番問題だと思うんですが、強化というからには。 そこでお聞きするんですけれども、さっきの同一銘柄の方はちょっと外しまして、年間の取引が五十回二十万株というこれに該当をする結果、申告をして納税をしているという件数はどのくらいあるのか、これははっきりわかると思うんですけれども、去年は無理ですね、おととしあたりはどれくらいだったんですか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘の継続的取引関係につきましての件数で申し述べますと、六十年度は七十件という件数がございます。その前年は五十九件、その前年五十八年は八十二件、こんな数字でございます。
○野末陳平君 件数はその程度だと、非常に少ないと思いますが、それにしてもそれでどのくらいの税収になっているんですか。これはわかりますか。
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げました件数は、全国の申告の実態の中で、先ほどの御指摘のような基準、五十回二十万株に該当をして申告が出されている件数を拾い出して計算した数字でございます。ただ、そうした人につきましてはそうした有価証券の譲渡益のほかにもそれぞれいろいろな所得を申告されておりますし、また全体としてその他の所得も総合をした中で累進課税が行われておるわけでございますので、こうした課税件数による課税所得あるいは税額、こういったものは抜き出して計算をすることはちょっと困難な状況にあるということを御理解いただければと思うわけでございます。
○野末陳平君 分離課税でないからそれは当然だと思いますけれども、それにしてもこの件数というのは株式取引の実態から見てどうなんですか、大蔵省の見方ではこれはまあまあこんな程度だという認識でしょうか。
○政府委員(水野勝君) 現在の基準五十回二十万株、こうした基準に該当いたします課税件数としては相応のものであろうか、おおむねこの数年間をとりましても百件未満あたりのところにございますので、とれは長年こうしたことで国税庁としてもそこらにつきましては適正に調査をされている。こうしたあたりの数字が相応のものではないかと、私どもは考えておるわけでございます。
○野末陳平君 そうしますと、今度は課税強化でこれが三十回十二万株になりますとどのくらいまでふえていって、そして税収がそこではかれるわけじゃないけれども、見当としては何割増しぐらいの税収になると、そんな感じは当然わかると思うんですね。それがはっきりしなきゃ強化と言えないので、その辺はどうですか。
○政府委員(水野勝君) 現在の件数はそれぞれの申告の終わった後で拾い出していただいているものでございますので、今後の予測となるとなかなか難しいわけでございます。こうした基準、例えば五十回でございますとそれが三十回になるということから考えましても、私ども相応の効果があるというふうに期待はしているところでございますが、これによって、じゃ何件ぐらいふえてどのくらいの所得税額がふえるか、そこらにつきましてはなかなか現在の基準に合う件数につきましての税収等も先ほど申し上げたようなことで難しいわけでございますので、今後の見込みとなりますとやはり難しいわけでございます。 改正による基準、これによって該当するもの、それによりましてどれだけそもそも譲渡件数がどういうふうに推移し、またそれによって譲渡益が生ずるか、あるいは譲渡損が生ずるか、これらの点につきましてはすべて予測をすることになるわけでございますが、そうした予測はなかなか技術的に困難なことでございますので、効果としては期待はいたしておるわけでございますが、予測として見込みとして、このくらいの増収なりが計上できるというところまでは私どもちょっと至っていないということでございます。
○野末陳平君 そこで、大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今の主税局長の答弁ですと効果は期待しているとは言うんですけれども、この程度だったら、いわゆる株式の譲渡益の実態は不公平の例の一つだと批判を浴びていて、それに対して政府側が今回課税強化しておりますと言うほどのものかどうか。どうもこれじゃ説得力がないと思うんですけれども、それはいかがですか。それは効果は期待していますよ、五十回が三十回になり、二十万株から十二万株ですから少しはきつくなっているように一見見えるんですから効果は期待しているでしょうけれども、これが課税強化と言い切れるほどのものかどうか、しかもややこれで不公平が是正されるのかどうか、その辺についてはどういうふうにお感じになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは理屈で申しましたらキャピタルゲインも所得でございますから、それはやはり原則的には課税をするんだということであろうと思いますけれども、現実に株式の場合には行政でそれを公平に捕捉をするということは非常に難しいことでありますし、またその場合にはキャピタルロスは当然これは減になると考えなければなりませんといったような問題もございますから、現実に行政が強化されるに従って、ただいま申しましたように今度は六割方きつくなると申しますか、そういうことをしてまいっておるわけでございます。ですから、現状そのものは満足がとおっしゃいましたら満足だとはそれは申し上げられない。ただ、本当に行き当たりばったりでそこだけがたまたまわかって課税されました、あとのことはわかりませんというような税務行政はいかにも問題がございますから、捕捉できる能力が進んでまいりますに従いまして強めてまいるということがいわば常識的なやり方ではないか。現状で満足がとおっしゃればそれは決して満足だということは申せないと思います。
○野末陳平君 それから、年間に百件ぐらいだというのが多いのか少ないのか、これまたちょっと見当もつかないんです。専門家の方が大体これが妥当なところじゃないかと言うんだけれども、それも本当かなと。というのは、証券会社なんかに実態を漠然とですが聞いてみますと、言うことがまちまちなんですね。回数にしても一回というのは何を称して一回かというのが全部違うですけれども、どうもそれ一つとってみても何か実にあいまいなこれは課税基準だと言わざるを得ないのですね。 主税局長に聞きますけれども、一回というのはまとめて何銘柄にわたってもいいので、金額的にもどのぐらいでも構わないんで、とにかく注文を一回出してもこれは一回なんですってね。その売買が成立しているのが一回かと思うとそうじゃなくて、注文の出し方が一回。これもうまい下手というか、ここでもってもうまるで実態と課税基準に合うかどうか違ってくるというけれども、これは本当ですか。
○政府委員(日向隆君) 株式の売買の一回とは何を意味するかというお尋ねでございますが、御案内のように、所得税法第九条第一項第十一号、所得税法施行令第二十六条第二項等によりまして株式の売買の回数が五十回以上、かつその株式または口数の合計が二十万以上である場合には雑所得等として課税されるとなっておりまして、これを受けまして通達で売買回数の数え方を定めております。 この回数の数え方につきましてはいろいろな考え方があるところでございますけれども、ただいま委員がいろいろ御指摘になりましたが、回数の一回、二回が客観的に明らかであること、納税者が申告するためには一年のうちで自分は何回の回数の売買をしたかということを知る必要があること、一回、二回の士冗員が納税者の意思に基づいて、いわば顧客の意思に基づいて行われる必要があること等を勘案いたしまして、私どもといたしましては、まず証券会社に委託して行った場合にはその委託契約ごとにそれぞれ一回といたしまして、実務上の取り扱いといたしましては証券会社から交付を受ける注文伝票総括票の売り買いをもってそれぞれ一回、こう判断しているところでございます。その際、当該委託契約の内容について重要な要素の変更があった場合には、その変更のときにおきまして別個の契約がなされたものとして新たな回数を数えるということにしております。 また、注文伝票総括票は、これも御案内と思いますが、顧客の要請において交付されるものでございますから、委託契約において注文伝票総括票がない場合があり得ますけれども、この場合には売買報告書の売買をもってそれぞれ一回と判断しておるところでございます。 さらに申し上げますと、売買一任勘定取引を行った場合には、注文伝票総括票というのはないわけでございますけれども、その後委託に基づき証券会社が行った市場での取引の成立ごとに一回として判断しているところでございます。 こういいましたような基準に基づく通達の回数の数え方は、実は昭和三十六年または三十七年以降長年にわたってやってきておる取り扱いでございまして、そういう点から考えますと、証券会社や銘柄等によって差異が出てくるとは考えにくいところでございますけれども、注文の出し方が今私が申し上げましたような例で差がありますと若干その点に問題があろうかと思いますが、今の委員の御指摘を踏まえまして問題があるかないか十分研究してまいりたい、こう思っております。
○野末陳平君 ですから、私は注文の出し方について文句を言っているんじゃなくて、これは納税者が自分で申告するわけでしょう。その場合に一回というのが何か、今の説明を聞いて素人にわかりますかね、あれが。むしろ申告しようと思ってない人の方が圧倒的に多いわけですから、そうすると、何回かといって一々考えながらこれは申告すべきだといってやると思えないんですよね、つまり難し過ぎて、その一回の基準がね、大臣。僕は思うのに、余りにもこれは基準が難しくて、かえって三十回にしようが十二万株にしようが、普通株をやっている人たちなんか全く気にしないで、逆に言えば申告していない。まして損のときどうするかとか非常に複雑な問題について何にも説明してないでしょう。ですから、この課税基準というのは現実にはあるけれども、普通の人にとってみてはこれが何十回になろうが強化にもならないし、それから株式の譲渡益の公平なる課税という方向に向かっているものとも思えないんですね。つまり、このやり方はだめだということなんですね。こういうやり方で課税しているとか、それを強化したというような考え方は全く通用しない。証券会社がどんどんやるならだが、これだって会社を分けていればまたわかりませんしね。結論は納税者一人一人の問題でしょう。そうすると、それが今言った基準を一々考えながら、じゃ確定申告でこれを出さなきゃいけない、じゃ書類を証券会社へ請求してとらなきゃいけないと、そういう気になりますかね。余りにも何か素人にわかりにくい基準だと思うんですよ。 ですから、こういう課税方式というのは有名無実で、改める方向がまず第一なんじゃないか。強化しましたと言って澄ましておられても、これは大した意味のない強化だという気がするんですけれどもね、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、それは先ほども申し上げましたとおり、実際に行政がやり得る範囲はどういうことかということを中心に考えざるを得ないわけでありまして、今国税庁から申し上げましたこういう何万株、何十回というようなことは、普通申しまして、これはいわゆる素人がやられることであるよりはむしろその方のかなりの知識のある人のおやりになることでございましょうからわからないということはないと思うのでございますが、そういうところから行政で可能な範囲から入っていって少しずつ強化をしていくという、決して満足だと私は思っておりませんけれども、それが今やり得る限度ではないかと思っておるのでございます。
○野末陳平君 それでは、やっぱり非常に社会的にも大きな問題になってきました株式の譲渡益の課税に関する今後の方向というものはこれから改めて考えるべきで、今やっているものを下敷きにしていって強化という方向は、僕は余り意味がないということだけは言いたいんですね。 そこで、いずれこれも委員会の大きなテーマになってくると思いますから、ひとつきちっとした資料をいただきたいと思いまして、いつぞやちょっと質問したんですけれども、しり切れトンボで終わっておりましたので、アメリカにおける実態ですね、アメリカは番号がありますから日本とは全く違うわけですけれども、アメリカにおける番号制による株式譲渡益の捕捉の実態とそれから申告状況などをひとつできるだけ詳しいデータで出していただけるものかどうか、それがあれば当然それを参考にまた質疑もできるだろうと思うんですが、その点どうでしょうかね。
○政府委員(日向隆君) アメリカにおきましては、一九六二年以降納税者が税務署に申告書等を提出する場合に当該申告書等に納税者番号を記載することになっております。これは御案内のとおりでございます。 たまたま私どもが調査しておりますところで、一九八一年度のアメリカ財務省報告の中で、所得の種類別に申告した者及び申告すべきであった者についての自主申告割合、アメリカはよくいろんな納税水準等を測定するためにサンプル調査を行っておりますが、これもやはりそれらの者についてのサンプル調査等を行いまして申告すべき水準を測定いたしまして、それと実際の申告水準とを比較したものであります。これがいわゆる自主申告割合でございますが、これが公表されておりまして、これによりますと、土地等不動産も入っておりますが、株式等の有価証券のいわゆるキャピタルゲインについての自主申告割合は五九%程度というふうになっております。実はその後一九八三年から証券業者等のブローカーは、顧客の行った有価証券の譲渡等について、いわゆる株式の売買益等につきまして顧客の氏名、住所等に加えて約税者番号を記載していわゆる情報申告書を課税当局に提出することが義務づけられまして、これによりまして有価証券の譲渡等についての資料情報等が豊富になってきたというふうに聞いております。 ただ、今委員がお尋ねになったところでございますけれども、私どもその以降IRS等に連絡して調査しておりますが、これ以降現在までのところ、株式等の譲渡益がどの程度捕捉されているか等についての資料がまだ公表されておりませんので、その実態がわかっていないという実情でございますが、今の委員の御注文がございますので、その点を踏まえてなお調査研究を進めてまいりたい、かように考えております。
○野末陳平君 そうすると、アメリカの最近の実態もわかってないとなると、これはアメリカはあくまで参考ですから、我々は別の角度から当然考えてもいいと思うんです。しかし、一応先に導入している国の例を見るのもいいので、それはひとつわかる範囲で資料のような形でまとめて出していただきたいと思うんですが、それは大丈夫ですか。それだけお願いしておきます。
○政府委員(日向隆君) 正直言いまして、現時点で今お尋ねに匹敵する資料等私ども持ち合わしておりませんが、なおIRS等に問い合わせをいたしまして、それに該当する資料がございましたら、それを調査研究の上提出したい、こう思っております。
○野末陳平君 じゃ最後に一つお聞きしますが、大臣は現状ではキャピタルゲインの課税は余りうまくいっているような感じを持っておられないんですけれども、結論としてはやはり納税者番号のようなものできちっと総合課税という方向をしなければいけないなという認識というふうに受け取ってよろしいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) よく専門家と相談をしていないのでございますけれども、私は納税者番号というようなことはよほど慎重に考えないといけないと思っております。
○野末陳平君 そうすると、じゃそれ以外に何かいい方法を考えたいとこういうことで、その方向で今後そちらは検討なさるということですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) だんだん行政の体制を整えていくということでございます。
○野末陳平君 だけども、それにしては資料がなさ過ぎるんじゃないか。今、現状も主税局長からの答弁だと何となく頼りないようなデータだと思うんですけれども、きょうはもう時間もないですから、改めてこの問題を、これから本当に大きなテーマになるだろうと思いますから、次回に譲ります。 終わります。
○委員長(村上正邦君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十五分散会 —————・—————