商工委員会 第4号
- 発言数
- 297 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/09/03
会議録
○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○市川正一君 早速ですが、けさの新聞を見ますと、通産大臣が八日に何か訪米をなさるように書かれています。まだ本法案は審議中でありますし国会も開会中でありますが、どういうことなのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
○国務大臣(田村元君) 私もその記事をけさ読んでびっくりしたんですが、おっしゃったように、国会開会中でもありますし、まだ具体的にどうと決めたわけでもありませんし、その記事を読みますと、私が知らない私のスケジュールが書いてあるんで、詳しい記事だなあと思って読んでおりましたが、そのように最終決定をしたわけではございません。だれがそれをコメントしたのか、これは私にはわかりませんが、少なくとも私はそういうことを言っておりません。最近新聞記者と会っておりませんし、そういうことは言っておりませんが、出ておる新聞と出ていない新聞があるということでございますから、私自身はその件に関しては何も存じません。
○市川正一君 おとといの質疑の冒頭に、アメリカの国会がバカンス明けをするまでに本法案を成立させるというような一部声があるし、またアメリカ側からもそういう要望が畠山局長に伝えられたという報道にも触れて、私はそういう不見識な態度があってはならぬということを冒頭申し述べたんです。大臣は知らぬ存ぜぬと、こうおっしゃるんですが、私は少なくともこの問題について、ここでの議論を踏まえた節度のある態度をとられることを要望いたしておきたいと思います。 さて、おとといの本委員会における私の質問の論点を改めて整理いたしますと、一つはアメリカはココム規制の強化を同国の世界戦争能力の改善及び同盟国の軍事力強化と並んでの国際戦略の重要な柱の一つとして位置づけているではないかというのが一つ。 二番目は、その立場から、アメリカはことしの一月に出した一九八八年度国防報告において、ココム規制のための強化策を求めているではないかというのが第二点です。 第三点は、アメリカはその国内法、輸出管理法第五条に基づいて、日本を含むココム加盟国との交渉を行おうとしているし、また行っているではないかという点です。 第四は、日本とアメリカとの岡では、六月二十九日の中曽根・ワインバーガー会談でこの問題が取り上げられたという、アメリカ下院外交委員会での証言など、現に協議がなされているではないかという点であります。 第五に、こうした経緯を経て提出された今回の改正案は、アメリカの国防報告が打ち出している内容と完全に合致したものとなっているじゃないかということを指摘したものであります。これに対して政府は、あくまでも日本の自主的な立場でやったのだと、神かけてということで、また肝心なことになるとそれは秘密だということになっておりました。しかし、私が指摘した問題点は、客観的な事実であり、それを裏づける文書や発言も引用してただしております。 そこで、本日はさらに一歩進めて、ココム規制強化及びその日本での具体化である外為法改正、これとSDI、戦略防衛構想との関係についてお聞きしたいのであります。 去る七月二十一日、アメリカのSDIに関する日米協定が締結されました。周知のように、このSDIはアメリカの核戦略に密接に関係した構想であり、アメリカ国内でもスターウォーズ、宇宙戦争構想とも言われているように、宇宙にまで核軍拡を広げるものであります。したがって、このSDIへの参加について、我が党は、これは日本をアメリカの核戦略に一層深く組み込むものとして絶対に反対であるということをこの機会に明ら かにいたしておきます。 そこで伺いたいのは、通産省もこのSDI協定の締結の交渉に参加され、外務、防衛とともに実施取り決め官庁の一つでありますが、通産省はSDI協定のどの部分に関係をなすったのでしょうか。
○政府委員(畠山襄君) SDIの協定、いろいろ内容がございますけれども、例えば成果利用に関することでございますとか、それからあるいは秘密保持、SDIに関連いたします企業の秘密の保護、秘密の保持と申しますか、そういう局面でございますとか、そういうところに関係を持っておりまして、そういう立場から参加しているわけでございます。
○市川正一君 SDI協定には公開された協定と非公開、つまり秘密の協定があるということは、政府も内閣委員会等で答えています。ところが、日本政府はこの秘密協定についてそれが幾つあるのか、また複数なのかどうかも答えられない、こう言っておるんですが、この秘密協定が何を、つまりどういうことを主題にしたものか、それも答えられないでしょうか。
○説明員(岡本行夫君) 先般締結をいたしましたSDIの参加にかかわります協定は、去年の九月に発出いたしました官房長官の談話で明らかにされております諸原則にのっとりまして、既存の法令の範囲内、既存の枠組みの範囲内で我が国の企業等が参加する場合のその円滑化の素地につきまして種々記したものでございます。したがいまして、内容的にはあくまでも既存の法令の範囲内の話でございまして、その協定につきましては公表いたしましたところでございますが、ただいま先生御指摘の秘密取り決めとおっしゃられているものは、その公表いたしました協定の細目の実施の大要につきまして、権限のある当局間でいわば業務取り決めの形で内容を規定したものでございます。
○市川正一君 私が聞いているのは、秘密協定というものは何を主題にしたものなのかということを聞いているわけです。それで、日本の政府はこれについては何も触れておりませんし、今のように何か理解できぬ答弁に終始しているんです。ところが、アメリカの国防総省のSDI協定に関するプレス・ステートメント、しれはここに現物を持ってまいりましたので、アメリカ大使館の広報一文化交流局報道部が出した「バックグラウンド・ブリティン」でありますが、委員長、ちょっと大臣にこれをお渡し願いたい。また外務省、通産にも。 〔資料配付〕
○市川正一君 ここには、「SDI研究への日本の参加に関する公開の協定と一連の非公開協定に調印した。秘密協定文書は、情報の保全、技術移転及び研究成果の使用権について詳細な手続について規定をしている。」こう述べております。今お渡ししました一番上にあります「バックグラウンド・ブリティン」、これの一ページ目の「ビギン・テキスト」、こう書いてございますが、それの二行目ですね、「アシリーズオフクラシファイド アソシエイテッド ドキュメンツ」、ブロークンでまことに恐縮でございます。要するに、一連の秘密附属文書、つまり秘密協定はシリーズ、複数ある、その主題は、一つ、情報の保全、二つ、技術移転、三つ、研究成果の使用権となっており、少なくともこの三つについて詳細な手続を定めた秘密の取り決めがあるというふうに言っております。朝日新聞の七月二十二日付も訳語は少し違いますが同様の報道をいたしております。これは通産省ないしは外務省、確認できるわけでしょう。
○説明員(岡本行夫君) 今般の日米政府間協定は、その第三項におきまして、両国が国内法及び日米間の協定の枠内において秘密の保護のためにすべての必要かつ適切な措置をとるということが明記してございます。不公表文書は、先ほども御説明いたしましたように、その範囲内でいわば実施取り決めとしてその細目を規定しているものでございまして、その内容につきましては必要に応じまして随時、例えば参加される企業の方々などには御説明してまいるわけでございますけれども、あくまでもそれは協定の第三項に明記された範囲内のものであると御理解いただきたいと思います。 秘密保護に関してのお尋ねでございますけれども、私どもとしてはこれはすべて現行法の枠内で処理することとしておりまして、この協定のために新しい立法をつくりましたり、またそれとは別個に政府としてそのSDIのための新規立法を行うというふうなことは考えでないことを付言させていただきます。
○市川正一君 余計なことを私は求めているんじゃないですよ。今述べた情報の保全、技術移転、研究成果の使用権と、少なくともこのシリーズ、この三つについては秘密取り決めがあると。ないのかあるのか。その中身が、それがどうのこうのということはこの後聞くんですよ。あなた答弁なさると時間がもったいないので前へ進みますけれども、アメリカの方ははっきり言っておるんです。こういうふうに国防総省の発表、プレス・ステートメントで言っておる。 そこでお聞きしたいんですが、第一のこの情報の保全というのはどういうことなんですか。ココムとも私は深いかかわりがあると思うんですが、教えてほしい。
○説明員(岡本行夫君) SDIに関連保する情報は、当然のことながら国防上の機微な情報も含まれてくるわけでございますし、これを日米両国政府が既存の枠内でその保護に努めるというのがその趣旨でございます。
○市川正一君 技術移転というのはどういうことですか。これもココムと非常にかかわってきますが、どうですか。
○説明員(岡本行夫君) SDI、つまり究極的な核の廃絶を目標といたしました研究計画でございますが、この具体的な中身は、もちろん既存の技術あるいは新規の技術等を組み合わせてその具体的な実現性を図る、こういうものでございます。したがいまして、研究に参加いたします企業はその契約に基づきまして研究を行い、その結果技術が生ずれば、これは例えば武器技術であれば対米武器技術供与取り決めを通じて、あるいは汎用技術であればそのほかのルートでというふうに米側に技術の成果が契約に従って移転されることになります。
○市川正一君 それでは、研究成果の使用権というのはどういうことなんですか。日本の企業も全面的な使用権を持つんですか、それとも制約、制限されるんですか。
○説明員(岡本行夫君) 技術の使用権につきましては、これはあくまでも個々の契約の定めるところでございます。ただ、今般の政府間の取り決めによりまして研究成果の利用につきましていわば最低限のことが決められているわけでございまして、ただいまの御指摘の利用権というものもその中に含まれます。 より具体的に申しますと、一般的には特許権の対象にならない技術であればこれは日本側の参加企業が権原を取得する。特許の対象になるものであれば使用料のかからない、かつ無制限でない、かつ取り消し可能な、それから使用につきましては自由な使用権が付与される、このような構造になっております。
○市川正一君 このシリーズ、一連の三つの問題について、事実上外務省がそういうものがあるということを認定して今やりとりがあったんですが、私はそういう重大な問題が秘密裏に行われていることそれ自体大問題だと思うんです。 では、外為法改正との関連で聞くんですが、SDI協定はココム規制強化について具体的にどのように取り決めでいるんでしょうか、通産省でも外務省でも結構です。
○説明員(岡本行夫君) 先ほどの答弁に補足さしていただきますが、私が先生に累次御説明してまいりましたのは、日米間で今回約束したことを総体として御説明しているわけでございまして、個々の具体的な公表文書の中身、形式、数量に立 ち入って御説明したことでないことは御理解いただきたいと思います。 今のお尋ねのココムとの関連でございますけれども、SDI戦略構想は、先ほども申し上げましたように究極的には核兵器の廃絶を目指した米国の研究計画でございまして、我が国もこれに参加することは、我が国のみならず西側全体の安全保障にも貢献するゆえんであるとの認識に基づいて参加している計画でございます。したがいまして、ココムとの直接の関連ということで出てきた計画ではございませんし、私どもの参加に当たってもそこのところは直接的な関連づけはなしておりません。
○市川正一君 先ほどの三つの点について、あなたは総体としての議論だというふうに言われたんですが、実質的にその内容についての政府としての理解、見解を伺ったものとして私は受けとめておきます。 それで今の問題ですが、日本政府の側によって発表されたSDI協定によれば、あなたも先ほど引用された第三項ですね、その中には、「創出された秘密の情報を保護することを目的として、両政府は、それぞれの国の国内法及び日本国とアメリカ合衆国との間の協定の枠内において、すべての必要かつ適当な措置をとる。」こうあります。これは、ココム規制の強化はこの条項に基づくものというふうに理解していいですか。
○説明員(岡本行夫君) 先ほど来御答弁申し上げでおりますとおり、SDIの参加とココムとは私どもは直接関連づけておりません。 この第三項に言います両国が必要なすべての措置をとると申しますのは、我が国の場合には、具体的には国家公務員法であり、自衛隊法であり、外務公務員法であり、また日米間で取り決めておりますいわゆるMDA協定、日米相互防衛援助協定、このようなものを利用いたしまして秘密の保護を図る、このような趣旨でございます。
○市川正一君 それではもう一度聞きますが、SDI協定の秘密協定の中には技術移転が含まれているんでしょうね。そこをまずはっきりしてほしい。
○説明員(岡本行夫君) 今般の協定で保護の対象となります情報は、およそ米国が行っている研究計画でございますから、もともとの秘密指定というのは米国が決めることができる部分が多いわけでございますが、それはあらゆる情報、技術といったものにつきましてその内容に即して決められるわけでございます。
○市川正一君 技術移転が含まれているのかどうかという、イエスかノーか言ってください。
○説明員(岡本行夫君) 今申し上げましたとおり、保護されるべき情報の中には当然技術にかかわるものも含まれておるわけでございます。
○市川正一君 入っているわけですね。 もう一度原点に戻りますが、アメリカ大使館の広報・文化交流局の出しました「バックグラウンド・ブリティン」というのは、これはアメリカ側として責任持った文書でしょう。あなたも知っているわけでしょう、これ。
○説明員(岡本行夫君) これは私もただいま先生の御指摘によりまして見ておるものでございますが、米国政府が出しましたものに相違ないと思います。
○市川正一君 これはにせものでないというだけじゃなしに、ここに書いてあることはそのとおりだということでしょう。あなたは素人じゃあるまいし、外務省の幹部じゃないですか。
○説明員(岡本行夫君) SDIに関する情報の中には、国防上の機微にかかわるものが含まれており、その保護については万全の措置をとらねばならぬというのは従来からの米国政府の方針でございます。米国の国防省が議会などでも証言しているとおりでございます。そして米国防省の認識の中には、当然技術というものは、あるいは秘密の情報というものは保護しなければならない、そしてSDIの取り決めというのは、あくまでもこれは日米間の両国に秘密の保護の義務を課したものでございますが、それが我が国として用いることのできるすべての法制、仕組みを使いまして情報の保護に当たるわけでございます。 我が国からココム対象国への技術移転につきましては、あるいは通産省の方から御答弁いただくのが適当かもしれませんけれども、これはまた別の仕組みによって行われる、こういうことでございます。米国の認識として、秘密に指定された技術、情報というものがソ連、ココム対象国にココムの合意に従って流れてはならないという認識を持っていること、これはいわば当然のことと理解しております。
○市川正一君 協定というのは両方が合意したものが協定じゃないですか。そしてアメリカ側はこういう協定をやったということを言っているんですよ。これがにせものでない、これは確認せざるを得ないというんやったらこのとおりやということなんですよ。 それで、ではそういう上に立って進めますが、おととい私が指摘したように、アメリカの国防報告にはココム強化の一つのテーマとして技術移転の問題が明記されている。これは通産省も確認されたところです。そこで、SDI協定の技術移転の秘密協定にはココム規制強化の問題が明記されているのかどうか、その点をひとつはっきりしてほしい。通産省の方にお聞きします。
○政府委員(畠山襄君) SDIの個々の内容についてお答えすることは、秘密な部分についてお答えすることはできませんのであれですが、今お尋ねのようなことは含まれておらないというふうに考えております。
○市川正一君 どうしてそうお隠しなさるんですか。 今お配りしました「ブリティン」の二ページの方を見てください。二ページの部分はずっと国防総省のプレス・ステートメントの背景説明である「ファクト・シート」、いわゆる新聞発表資料の部分です。その二ページの下から三つ目のパラグラフのところに、もうブロークンをやめて翻訳したやつを読みますが、この秘密取り決めは、「SDIの契約によって提供又は創出された非公開情報のソ連その他のココム禁止国への権限外の移転を妨げるための詳細な手続を定めている」、こういうふうに書いてございます。これはSDI協定によってココム規制の強化が今までよりもさらに一層強力に打ち出されたということを示しているんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○政府委員(畠山襄君) この部分は、今お読みいただきましたように、SDIの技術についてこういう国々に対して出さないように手続を定めであるということを言っているにとどまっているわけでございまして、ココム一般を強化するとかそういうことを示唆しているものではないと思います。
○市川正一君 それでは伺いますが、アメリカとSDI協定を結んだ国は、日本のほかに英国、西ドイツ、イスラエル、イタリア、合計五カ国だと承知しております。この五カ国とも協定文はほほ同文というふうに聞いておりますが、間違いございませんか。
○説明員(岡本行夫君) 協定を結びました国は、先生御指摘のとおりと理解しておりますけれども、それらの内容はいずれも公表されておりませんので、その内容がどうとかこうとかということは私ども判断する材料を持たないわけでございます。
○市川正一君 公表されていないと言うんですが、ところが今お手元に配っておりますが、アメリカと西ドイツの協定が西ドイツのマスコミでその全容が明らかにされております。ドイツ文字の分です。西ドイツのシュピーゲルという週刊誌でありますが、八六年の第十七号、これは四月二十一日号だとされておりますが、この号には、次のページに写真入りで出ておるものですが、アメリカのパール国防次官補と西ドイツのショメルス代表との間の往復書簡、これも両氏の署名入りで掲載されております。ここに署名も出ておりますが、時間がございませんので要約的に引用いたしますと、これは、アメリカと西ドイツのSDI協 定によってココム規制の強化が必要となり、パール次官補が西ドイツ側に対してココムの強化を求めている署名入りの書簡です。そういう内容です。二ページの向かって左の欄の最後の方にアンダーラインを引いております数行がありますが、それがその部分です。ドイツ語ですから翻訳をして申し上げますが、これは書簡の形をとっておりますから言葉の表現は優しいんですけれども、こう言っております。「あなた方がココムの禁輸措置実行の強化についてとろうと考えておられる措置についても述べていただけますか。」そう言ってココムの強化を求めております。 私は、アメリカと西ドイツのSDI協定でこのようにやりとりが行われ進められているわけでありますから、同じように、ほほ同文であるという日本とアメリカとのSDI協定、それに際しましても同様にココム強化が求められているないしは盛り込まれている、これも当然の成り行きだと思うんですが、その点を確認いたしたい。
○説明員(岡本行夫君) 私どもこのパール国防次官補の書簡というものは入手はしておりませんけれども、先ほどの御答弁のとおり、米国と西独との間の参加のための取り決めというものの内容は、私どもとして知る立場にないわけでございます。 各国との米国が結んでおります協定ないし取り決めというのは、あくまでもそれぞれの国の国内の事情、法制に基づきまして同一のものではないということを米側は申しておりますけれども、私どもが結んでおります協定、特にその秘密保護の部分というのは、既存の法令の枠組みのもとでのみ日本側がその秘密保護を誓約しているものであることは先ほどからの御答弁のとおりでございます。
○市川正一君 日本だけが何か免かれるというふうなことはあり得ないんです。だってココムという場で十六カ国一緒に席を並べているし、かつまた五カ国、SDIの協定を結んでいるわけです。常識から言ってあり得ませんし、さらに、このパール米国交渉代表がジョメルスへの書簡ではこうも述べています。いいですか。「パリにおけるココム会議で決定的な問題が言及される前に、ココム・リストについての交渉において、それぞれの立場を一致させるために相互に協議することを取り決めることによって、われわれは、基本原則共同宣言」、これはSDIに関するその「第三項でいわれているような両者の協力を容易にすることができると思います。あなたがたがそのことをご理解されることを希望します。」、こう書いております。つまりSDI計画にかかわる国家機密である技術の輸出管理に関連して、ココムリスト改訂交渉の前段階として二国間協議を提案しているわけであります。これはアメリカにとっては当然のことだし、また国防報告その他でずっと主張しているところです。 したがって、SDIに関する日米協定においても、その第三項で、先ほども引用いたしましたが、秘密情報保護を目的として「すべての必要かつ適当な措置をとる。」第三項の後半でありますが、そういうふうに明記しています。このことは、アメリカと西ドイツ間と同じように、当然二国間協議を含むものであるということは間違いないと考えますが、そう理解してよろしゅうございますか。
○説明員(岡本行夫君) 我が国のSDI参加交渉は、去年の秋から累次にわたって行ってきておるものでございますが、これは再々御答弁のとおり、ココムの中での話とは別のものとして行ってきているわけでございます。 御指摘の協定第三項のもとで我が国が負っております義務というものは、これはあくまでも既存の法律の枠内でやる話でございまして、米・西独間のやりとりがどのようなものであるかは私どもつまびらかにいたしませんけれども、個々の協定に書いてある以上のことはないわけでございます。
○市川正一君 ところがそうじゃないんですよ。まさにSDIとココムというのは一体のものなんです。外務省は一番よく知っているはずです。そして、アメリカ自身がそういう立場を公式にアメリカ議会の中でも証言としてやっているじゃないですか。 それは後で触れることにして、外務省に私は聞きたいのは、ココム規制強化に関する日米ハイレベル協議は、通産大臣の訪米によって通産省とアメリカの商務省との間で行うことが合意されました。他方、外務省とアメリカの国務省との間でも同じ目的のハイレベル協議の開催が合意されていると言われております。外務省、このハイレベル協議というのは、SDI協定第三項で言う日米間の必要な措置を含むものではないんでしょうか。
○説明員(赤尾信敏君) 日米間のココム問題に関するハイレベル協議、今度いつやるかというのは、相談は今しておるわけで、決まってはおりませんが、ただこれまでもココムの会合のついでに、例えばパリで日米間で協議があるとか、あるいは我が国からワシントンに関係者が出張した際、あるいはアメリカから関係者が日本に立ち寄った際等に随時行われておりますけれども、このような会議をもう少し制度的にやるかどうかという可能性を今検討しているわけなんですが、このココム問題に関する日米間のハイレベル協議と今先生の言われましたSDI協定とは、全く私、関係づけては考えておりません。
○市川正一君 この際あわせて伺いたいんですが、七月二十八日付の日経新聞の夕刊によりますと、ホワイトハウスの国家安全保障会議、俗にNSCと言われていますが、取り仕切っておりますのはカールッチ大統領補佐官、けさの報道によると今度大臣がお会いになるリストの中に入っておりますけれども、その名で中曽根首相、倉成外務大臣あてに「安全保障の観点からすれば、関係省庁が一体となって法律(外為法)を管理し、輸出管理を強化できるようにするのが望ましい」という書簡が来たと報道されておりますが、これは事実ですか。
○説明員(赤尾信敏君) 私も今先生が御指摘されました日本経済新聞の夕刊の記事は見たことがございますけれども、カールッチ補佐官から総理、外務大臣等にそういう書簡が来たという事実はございません。
○市川正一君 事実はないというふうに、あなたは倉成外務大臣にかわってお答えできるんですね。
○説明員(赤尾信敏君) 私は書簡が来たかどうかということを特にここで隠したりする必要は全くないと思いますので、全くありのままを述べております。
○市川正一君 あなたが知らぬという、わからぬということと、来てませんということとは大分違いませよ。来てないというふうに総理並びに外務大臣にかわってお答えをいただいたと、こう理解していいんですね。
○説明員(赤尾信敏君) 少なくとも外務省で知っている限り、そういう書簡はございません。
○市川正一君 まあよろしい、前へいきましょう。 そこでSDIとココムとの関係については否定なすった。またアメリカがココム強化を求めてきていることについても、一昨日来いろいろあいまいにしかおっしゃらない。しかしSDI協定は一九八六年、日本がSDIへの参加を決定して以来、何度かにわたって交渉が行われてきました。そして協定交渉と同時に、アメリカのココム強化策が打ち出されて、それに基づいて日本に外為法、要するにココム強化に対応した具体化を求めていることはいろんな記録からも明らかであります。 そこで、ここにきょう持ってまいりましたのは、アメリカの下院外交委員会一九八五年の十二月十日のヒヤリング記録、ヒヤリング。パール国防次官補、先ほど西ドイツのシュピーゲル誌で取り上げた彼でありますが、アメリカの国際安全保障政策担当をも彼は兼ねているのはご存じのとおりです。彼のアメリカの下院外交委員会での追加質問に対する回答の記録がここに出ております。本文の百五十三ページから百五十五ページにかけ てでありますが、タイトルもココムとSDIという部分であります。非常にリアルでまことに興味深い、日本の国会のやりとりとは大分違うなというふうに思うんでありますが、まず質問が紹介されています。 いわく、「SDI研究によって生み出される技術的開発は、ココムを通じる多国間の規制をするのか、アメリカの一方的規制をするのか」という質問があります。そしてずっとあと質問を紹介しますと、「SDI開発にたいするココム規制の適用についで米国はココム同盟国と論議しているのか。」そう質問をしている。「彼らの反応はどうだったか。」彼らというのは日本を含む同盟国のことです。「SDI関連の財・技術はどのようにして、いつココム規制に持ち込まれるのか。」「非軍事的財・技術に規制を広げることについてココム加盟国が積極的でないもとで、このような提案がどのように受けとめられると考えているか」という質問がずっと列記されています。 そしてパール次官補はこう答えております。「SDI研究計画は、科学・技術を開発・発展させるものである。関連技術の多くは、二国間の、またココムを通じる多国間の規制が必要となろう。SDI研究によって生み出されたセンシティブな技術は他のセンシティブな技術と同様に、ココムリストの継続的見直し過程において検討されることになろう。このココムリストの見直しは全加盟国によって合意されている。」以下省略しますが、外務省、御存じでしょう。
○説明員(赤尾信敏君) 私も当時そのような公聴会等があったということは新聞等で見た記憶はございますが、議事録を見たわけでありませんので、詳細につきましてはただいま承知しておりません。
○市川正一君 あなたがこれ見たか見てないかということじゃなしに、そういう話になっているんでしょう。例えば一つ一つ聞きませんが、ココムリストの、要するにSDIでいろいろ進んできたセンシティブな技術をココムリストの継続的見直し過程においてそれが検討される、このココムリストの見直しは全加盟国によって合意されているというふうにはっきり証言しているじゃないですか。そのことを知っているでしょうと、あなた方もそれにかかわっているじゃないかということを私は聞いているんです。
○説明員(赤尾信敏君) SDIに基づく研究開発から生まれる技術の共産圏向け規制と、ココムリストに基づく共産圏向け規制とは全く別個のものだと思います、まず原則問題といたしまして。 ただ、ココムリスト自体は、私前に別の御質問に対しましてもお答えしておりますとおり、しょっちゅう見直されているわけです。それはアメリカはアメリカ独自の提案を行います。国際情勢あるいは世界各国の技術の発展段階等をにらみながら、ある品目については、ある技術については規制強化あるいは新規追加、他方古くなった技術についてはどんどんリストから外すということで見直しが行われております。日本は日本で独自の提案を行っておるわけですが、そのリストの改正は参加国全体の全会一致、いわゆるコンセンサスで決定しております。したがってアメリカが提案する場合に、今パール次官補が外交委員会で言ったようなことも念頭において提案しているかわかりません、あるいは恐らくそういうことを念頭においてやっていると思いますけれども、それはアメリカの政策でありまして、日本とは直接関係ない問題でございます。これはココムで各国が話し合って合意すれば、そういう技術を追加するなり削除するなりするということですから、直接関係ないということを申し上げたいと思います。
○市川正一君 アメリカの方はSDIを進めていく上で日本の技術も取り込んでいきたい。しかしそういう経過を通じて今度はそれが技術転移することを心配しておるわけですよ。それだからパールに対して、大丈夫か、日本はどないしておるのや、西ドイツはどないやいって聞いているわけですよ。任せておけと、大丈夫やと、抑え込んでおると。私の言葉で言えばそういうことですよ。そうでしょう。だから日本は抑え込まれているんですよ。だからSDIの、また今度のココム問題を通じていわばお誓いを申し上げるということがこの外為法の改正じゃないですか。 この文献は秘密文書でも何でもないんです。ここに判をポンと押してありますが、国立国会図書館で借りてきたんですよ。だからちゃんとやっぱり公式の、公表されている文書です。そこにそういうふうにはっきりアメリカの公聴会で言っているんです。親分のアメリカの方はある程度事実を明らかにせざるを得ぬわけです。ところが日本の方は何を聞いても知らぬ、存ぜぬ。それは秘密や、いやこれも秘密やというんでは、これは全く審議できぬじゃないですか。 私は、ワインバーガー国防長官が言っておるように、アメリカの核の軍事的優位を追求するいわば先制核攻撃戦略、それがSDIであり、そしてココムがそれと一体のものとしてアメリカの八八年度の国防報告が示しているような厳しい規制強化を行う。今回の外為法改正もまさにその具体化であるということを、こういう一連の事実、文書、そしてまた証言等々通じて断ぜざるを得ないと思うのであります。ところが、残念ながら私の持ち時間は要求の半分に抑えられております。まことに残念でありますが、時間を惜しむ余り、前へ進まざるを得ません。 私は、おとといの審議で、通産大臣が輸出許可を与える際に、貿管令の別表第一など国内法の体系だけでなしに、一定部分の許可はパリ送りとして、ココムあるいはアメリカの国防総省の判断を仰がなければならぬことになっておる、これは主権の放棄ではないかと、こうただしました。これに対して畠山局長は、合意に基づいて輸出しないことも主権発動の一形態である、規制を解除するときに国際機関に相談することも同意しているので主権の侵害には当たらぬ、こういう私から言わせればまさに詭弁的答弁をなさいました。しかし、通産大臣は外為法に基づく許可権者でありながら、最終的な許可の判断をパリにある非公式、秘密のココムにゆだねられております。これを主権の侵害と言わないで何と言うんだろう、私はそう思います。 また、日本の国民はその品物や技術が輸出できるのかどうか、外為法で本来ならば規制されるべきなのに、外為法には何ら明記もしてないし、根拠もありません。つまり法的根拠のない、法的拘束力のないココムに結果として規制されることになっております。これは法律に基づかない行政ということであり、これは憲法第三十一条に定めるデュープロセス、適法手続に反する、そう思うんでありますが、通産省いかがですか。
○政府委員(畠山襄君) 承認、不承認を判断するココムリストを公表しないのはデュープロセスに違反する、憲法三十一条に違反するんではないかという御指摘でございますけれども、再三お答え申し上げておりますように、例えば外為法四十八条に基づく政令によりまして輸出承認の対象範囲は明示されておりまして、いかなるものが承認を受ける義務の対象になるかというその商品の範囲につきましては明らかになっているわけでございます。さらに具体的な承認、不承認の判断は通産大臣の裁量にゆだねられておりますが、輸出令の第一条第六項で、外為法の法目的を実現するために必要がある範囲内で不承認とすることができる旨も規定もいたしているわけでございます。 また、許可基準についてでございますが、大半は通達等によりまして一応事実上周知になっているものが多うございます。例えばココム規制対象地域以外の地域向けの輸出につきましては、ココムの申し合わせ参加国及び協力国向けの場合は輸入証明書の添付を求めているということでございますし、それ以外の地域につきましては、例えばエンドユーザーがどういうものであるかということを確認などをして横流れを防止するという基準が明示されております。 それから、ココム規制対象地域につきましては、今御質問の中にもございましたけれども、原則は輸出は認められない。だけども、ケース・バ イ・ケースで各国への協議を内容とする俗称特認という手続があるということが一応知られておりますし、それから一部の品目につきましては行政例外ということで、通産大臣限りで承認もしておるというようなことでございまして、一応の基準の枠組みと申しますか、そういったものは通達で明らかになっているわけでございます。 ただ、これで十分だというふうには考えておりませんで、できるだけ申請者の、あるいは国民の便宜を図るために、一層公表の程度を高めた方がよろしいと思っておりますので、私どもココム参加国とも話し合いつつ、例えば俗称行政例外と特認の区分等の公表を行うような方向で検討を進めたいと思っております。 以上、商品の範囲も明確になっておりますししますので、デュープロセスの考え方に反するとは考えておりません。
○市川正一君 長々と御答弁ちょうだいしたんですが、要するに一定の基準の枠組みはございますとか、あるいはまたこれは何とか改善せぬといかぬとか、決してこれが十分憲法、法律にこたえたものでないということをあなた結局認めているんですよ。 それで、もう一つ問題があるのは、通産省はこれまでの審議の中で、「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」そういう輸出をした場合は五年の懲役になることを定めているので罪刑法定主義に反しない、こういうぬけぬけ答弁しておられます。しかし、「国際的な平和及び安全の維持」というものの具体的内容は外為法のどこにもないじゃないですか。通産省は、その内容はココム規制を守ることがその主な内容であるという全く無内容な答弁を繰り返している。法そのものには定められてなくて、政令にゆだねられている。ところが、ココム規制を具体化した貿易管理令は、七月二十九日の衆議院商工委員会における我が党の藤原議員に対する答弁でも明らかにされたように、一九八四年から八六年の三年間に六回も改定されている。間違いないでしょう。六回変わっているんです。したがって、同じ年に輸出するのに、あるときはそれは適法やと、セーフやと。そのすぐ後は違法やと、アウトやというふうに、秘密、非公然のココム規制が変わるたびに、罪になるのか、ならぬのか。五年の懲役なのか、三年の懲役なのか、変動することになります。これは明らかにいかなる罪はいかなる刑になるかをあらかじめ法律で定めなければならないという罪刑法定主義に反することは明白ではありませんか。いかがですか。
○政府委員(畠山襄君) 外為法のような経済関係法規の場合に、一応の基準的な要件的なことを法律で定めまして、あと具体的な品目等につきましては政令にゆだねるというのは、外為法に限らず、間々あるケースでございまして、要件等が法律で定められているわけでございますから、これが罪刑法定主義に反するとは考えておりません。
○市川正一君 何ぼ理をただして言っても、あなたテープレコーダーみたいなことばかり言っているんで、前へ進みます。憲法上の問題でもう一つ言わなければならぬのは、今回の改正は憲法第二十二条に規定する職業選択の自由、営業の自由の具体的内容である輸出の自由に違反するものであるという点であります。 政府は、これまでの審議の中で、ココムに違反すると、この合意に参加した自由主義諸国との貿易に支障を来し、外為法の目的に規定する「対外取引の正常な発展」に反し、「我が国経済の健全な発展」をも阻害することになるので、輸出の自由を制限した外為法の趣旨に合致する。したがって、違反、違憲ではない、こういう論理の組み立てで一生懸命ガードを守ってきている。 ところが、一九六九年の東京地裁の判決では、ココム規制のような「経済外的理由による輸出制限は、それが間接的に経済的効果をともなうものであっても」違法であるということを判示しております。これはあたかも八年後の今日、畠山局長のような御都合主義の解釈、見解があたかも出てくることを予見したような判示だと私は思うんです。どうですか、違憲とはなおそれでも認めませんか。
○政府委員(畠山襄君) これも再三お答え申し上げている点で恐縮でございますけれども、私どもとしてはこの日工展訴訟判決は勝訴になりまして、今御指摘の部分の傍論の判旨につきましては反論する機会が与えられませんでしたので、決してその説に賛成しているわけではございません。 それで、そこでは確かに、間接的に経済的なものであろうとも規制は正統化されないというようなことが書いてございますけれども、私どもの意見といたしましてはココムのコミットメントを守らないで対象地域に抜け駆け的に我が国が輸出を行いますことは、ココム参加国——これは西側主要国でございますけれども、との健全な貿易関係を維持するために支障となりまして、我が国の貿易の健全な発展に反するという条項にも該当するわけでございますから、したがいまして、その条項に基づいて規制を行うことは外為法上適法なものであり、したがって違憲ではないというふうに考えております。
○市川正一君 局長、この判決は反対だと言ったところで、外為法について出されている唯一の判決です。そして、極めて明快、明確に判示しているんです。仮に、ココム規制の根拠として、外為法の目的が「必要最小限の管理又は調整」という項目があるというふうに言ったとしても、憲法は経済法である外為法に安保条項、つまり仮想敵国を持つココム規制の実行まで強要しているものではないと思うんです。私は、政府の基本的人権に対する認識がいかなる程度のものであるかということを示して余りあるものだと断ぜざるを得ないんであります。 最後に一問お聞きしたいのは、我が国の貿易、経済の展望に関してであります。 畠山局長は衆議院の商工委員会で、ココム規制の対象となる「特定技術」には汎用技術も含まれていると、こうお答えになりました。さらにまた、パソコン、ワープロ、ビデオコーダー、VTRですが、など、一般のハイテク製品も規制対象になるとも答弁されています。去年の通商白書によりますと、我が国の総輸出に占めるハイテク製品の輸出の割合は、 一九七五年の一九・八%から、八〇年の二四・七%、八四年の三二・一%と急激に上昇しています。 ところが、今度のココム規制強化のための法改正によると、社会主義国に対してはもちろん、社会主義国への流出防止ということで第三国への輸出規制も強まり、こうしたハイテク製品を初めとして、我が国の国際経済活動の相当広い分野にまで、限りなく規制が拡大されることになるのは必定ではないでしょうか。お伺いしたいと思います。
○政府委員(畠山襄君) 今回の外為法の改正は、罰則の強化及び行政制裁の強化を主とした内容とするものでございまして、これ自体によって品目の指定をふやすとか、そういう内容ではございませんので、今御指摘のような東西貿易がこの今回の改正によって阻害されるということはないものと考えております。
○市川正一君 時間が参りました。それで、そういう声もあるだろうと思って、もう済みにさせていただきたいんでありますが、今の局長の答弁というのは、糧道を断っておいて、死ぬのはおまえらがかい性がないからだと言うようなもんですよ。実際に日ソ経済センターとか、あるいは日ソ経済人懇話会の代表の皆さんが我が党にも参りましたが、既に商談中止が相次いでいる。社会主義圏との貿易が激減する、そういう不安に襲われております。しかも、こういう事態は、先日、本会議で田村通産大臣みずからもおっしゃいました。我が国貿易、経済の過度の対米依存、そういう事態をさらに高めることにならざるを得ない。そしてそれはまた、日米貿易摩擦の激化、アメリカによる不当な対日要求の拡大、そういう悪循環を重ねていって、そしてついには事実上アメリカの第五十一州にもなりかねない道であるというふうに 思います。私は、アメリカの対ソ軍事戦略に我が国技術、貿易を従属させる今回の法改正をやめて、世界各国と平等互恵の経済関係を確立することこそ外為法第一条の目的、そこに明記されております「我が国経済の健全な発展に寄与する」そういう道であることを主張し、まだ多くの論点を残しつつも質問を終わらしていただきます。
○梶原敬義君 私は、具体的な質問に入る前に、私の立場を四点にわたって最初に明らかにしておきたいと思います。 一つはココムについてでございますが、ココムは米ソ冷戦の遺物であり、ココム自体が外交上の秘密とされ、国際条約、協定という性格のものでなく、その内容も一切公表されていない。世界軍縮と東西経済交流が求められている今日、ココム規制を強化することは時代に逆行することであると考えます。 二点目は、外国為替及び外国貿易管理法はその目的にもありますように、為替、貿易が自由に行われることを基本とした経済立法であり、その制限は最小限としなければならないと考えます。本案を改正しようとしている主要な安全保障条項については、本来自由であるべき貿易を萎縮させる原因となり、法の目的から大きく逸脱する結果となると考えるのであります。外国為替及び外国貿易管理法に「国際的な平和及び安全の維持」を付加することは、経済、ハイテク技術までも米国の世界戦略に左右される危険性を多分に含むことになると考えます。 次に、今回の東芝機械不正輸出事件は、法制度の不備によって起きた問題ではなく、企業の不正行為によって引き起こされた事件であります。したがって、問われるべき問題は法的な整備ではなく、企業のモラルであると考えます。刑事罰、行政罰を強化するということは、したがって別問題であると思うのであります。 次に、武器及び軍事転用される汎用品、技術については一切輸出または提供しないという企業モラルを確立するには、自由貿易を目的とした外国為替及び外国貿易管理法での規制では限界がある。したがって、武器等の輸出を禁止する武器輸出三原則、政府統一見解を具体化した特別立法が必要であると考えるのであります。 以上、四点にわたりまして、私は最初に私の立場を、考え方を明らかにして、以後若干質問を幾つかに分けていたします。 第一点は、我が国の憲法前文を読んでみますと、「諸国民との協和による成果」云々、あるいは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」云々。要するに絶対平和主義が憲法前文に貫かれておりますが、「諸国民」というのはいわゆるココムの制限品目の対象国であります。そういう国を含んでいるのかどうなのか、それが第一点。 それから、我が国は仮想敵国を持たない、持っていない、こういうことを言っておりますが、アメリカは仮想敵国を持っていると考えているのかどうなのか、その点。 我が国はしたがって、体制の違う東側諸国とも共同して、共存共栄でやっていこうとしている。その点について、相手側の体制の違いを乗り越えて共存共栄をしていこうとしているのか。その点について外務省の考え方を最初に伺いたいと思います。
○説明員(赤尾信敏君) 今、先生が読まれました憲法前文に言う「諸国民」の中には、世界の諸国民ということですので、ソ連、東欧諸国の国民も入っていると思います。 我が国が仮想敵国を想定しているのかという点につきましては、日本としてはそのような考えはありません。アメリカにつきましては、私は今お答えする立場にありません。 体制の異なる東欧諸国との共存共栄につきましては、私たちは東欧諸国との間におきましても、例えば貿易の拡大あるいは友好的なつき合い、平和的、友好的なつき合い等を通じて共存共栄を図るべきであるというふうに考えております。
○梶原敬義君 日米安全保障条約が基本にあるわけでございまして、そういう点からいたしますと、アメリカがやはりソ連を仮想敵国として考えているのかどうなのか。この点についての見解というのは、私は一度聞いておきたいと思っておるんですが、その点について外務省は、もう一度、今ちょっとわからなかったので、言える範囲においてひとつ答弁してください。
○説明員(赤尾信敏君) 私は、アメリカがソ連等を仮想敵国というふうに使っているということは特に承知しておりません。日米安保条約のもとにおいてもそのようなことはないというふうに思っております。
○梶原敬義君 それでは、また後ほど時間があればその点についてお伺いをいたします。 次に、この法案改正に至る経緯について、整理する意味でひとつ簡単で要領よく、今日までのことを通産省の方から報告を最初にしていただきたいと思います。
○政府委員(畠山襄君) 東芝機械事件が企業による虚偽の申請に基づいて起こったということでございまして、これは現在の罰則なり行政制裁のもとでもそういうことが起こったということでございますので、先ほど委員が御指摘になりましたように、企業側でこういうことがなるべく起こらないようにさせることが基本であるという観点から、違反行為に対する抑止力を強化するためにこのような外為法の改正という内容を今回提案さしていただいているわけでございます。
○梶原敬義君 それでは、問題は東芝事件が発端になったわけでございますので、東芝の不正輸出事件の経緯について、若干、日を追って、そうして通産省の対応もあわせて最初にお聞きをいたします。
○政府委員(畠山襄君) 最初に輸出契約が結ばれましたのは昭和五十六年ぐらいであったかと思います。それで、五十六年の四月に東芝機械が和光交易の仲介で、そして伊藤忠と一緒になって輸出契約を締結したということ、これは後からわかったわけでございますけれども、そういうことになっております。 それで、それに基づきまして五十六年の八月に虚偽の申請をいたしまして、虚偽の申請といいますのは、本来九軸同時制御の工作機械であったわけでございますが、これを二軸しか同時制御ではないというふうに記載をいたしました申請書で、非該当証明を通産省から取得をいたしたわけでございます。それに基づいてずうっと機械が五十八年にかけて出ていくということになるわけでございます。 その間、もう一つの五軸というのも五十八年の四月に契約が締結をされまして、それも同年九月に九軸機と同様の手口と申しますかやり方で、非該当証明を通産省から受け取っているわけでございます。私どもは、輸出承認という行為は、したがっていずれの場合も行っておりません。それから五十九年の六月に、別にプロペラ加工に関するプログラムを無許可でソ連に東芝機械が出しております。 以上のことはいずれも非該当証明の点を除きましては後からわかったわけでございますが、六十年の十二月に、そのわかる契機となりました元和光交易の社員、熊谷という人でございますが、これがココム議長に密告といいますか、投書といいますか、そういうことをいたしました。それが外務省から通産省に公電で参りまして、そして外務省主宰の関係五省庁連絡会、外務、通産、警察、法務、大蔵でございますが、その連絡会でその状況が報告をされました。それを受けまして当省といたしまして、伊藤忠、東芝機械の担当部長等から十回にわたってヒアリングをやっております。その間、一月には五省庁の連絡会がもう一度ございました。 それで、ヒアリングを行いました際に東芝機械が主張しましたのは、主として次の三点でございます。それは、第一に機械本体は九軸あるんだけれども、同時に制御できるのは二軸でしかない。それから第二点といたしましては、それに附属しております制御装置、NC装置は、これはノルウ エーのコンダスベルグ社から供給されるものであるけれども、それは二軸用のものでしかないというコンダスベルグ社が出した証明書がある。それから第三点といたしましては、先ほど五十九年に出したと申し上げましたプログラムでございますが、これも同時二軸用であるということでございました。 通産省といたしましては、例えばそのプログラムにつきまして試験所に検査を依頼して、これが二軸用のものなのか、あるいはそれ以上のものなのかというようなことを調べるとかいろいろやりましたけれども、輸出令に違反するものであるという確証を得られませんものでしたから、六十一年の三月になりまして、関係五省庁連絡会におきまして不正輸出の疑いの明白な根拠は見出されなかった旨報告をいたしたわけでございます。それを外務省がココム議長に伝えたと、そういうことがまずございました。 それから六十一年の六月に、米側から外務省を通じて同様の照会がございましたが、これにつきましては同年の初めに十回にわたるヒアリングを行って、調査結果があるということで回答をいたしております。 ところが六十一年の十二月になりまして、米国側から本件は安全保障上重大な懸念があるという指摘がございまして、それが外務省を通じて当省にその指摘がもたらされました。私どもといたしましては、この投書事件を根拠にする主張であるとすれば、それについては十分な不正輸出の疑いの明白な根拠は見出されなかったので、それ以外に米側として何か材料を持っているのかということを本年の一月から二月にかけて米側に問い合わせを行っておりました。三月に若干その問い合わせに答えたような資料が参りまして、私どもといたしましても、そういう資料も参りましたので本格的に調査をした方がいいということで、本格的な調査を三月の末から四月の初めにかけて実施をする決意をし、また実施をしたわけでございます。 それで、通産省といたしまして、東芝機械、伊藤忠、それから和光交易、こういった会社の人々を集中的に事情聴取をいたしまして、そして追及いたしました結果、東芝機械が本件工作機械の本体が同時九軸というものであるということ、それからそういう自白といいますか、そういう確認を東芝機械から得ることになりまして、その結果を四月半ばに警察に説明をした。それで、二十八日に当省として東芝機械を外為法違反で告発をいたしたわけでございます。この際告発をいたしましたのは、九軸とか五軸のハード自体は時効が成立をいたしておりましたので、最後に出ましたプログラムの無許可輸出の告発をいたしたわけでございます。 それで、五月十五日になりまして、その刑事手続とは別に行政制裁といたしまして、外為法五十三条に基づく東芝機械の共産圏向け輸出一年間禁止という処分と、伊藤忠に対する三カ月の工作機械の共産圏向け輸出禁止指示という措置をとりました。 そういうことでまいりまして、その段階ではアメリカは日本の対応を高く評価いたしまして、日本政府のとった迅速かつ果断な措置を評価するという態度を表明いたしておりました。ところが、だんだん議会がいろいろ貿易法案等を審議しております際に、本件もだんだん問題視をしてまいりまして、六月の半ばに、下院でございますが、本件によって生じた損害を日本から賠償するように国務長官は交渉しなければいけないというような法律を四百十五対一ですか、圧倒的な多数で可決をするというようなこともありまして、そこへ、さっきちょっと申し上げました五軸の事件というものの調査もそのころ終わりましたのが新聞に漏れまして、こんなのも別にあったんだというようなことから、米政府側もやや態度を硬化させまして事態が非常に深刻なことになってきたわけでございます。 そういうこともありまして、通産大臣が六月二十三日に談話を発表されるとか、外務大臣もコメントを発表するとか、あるいは六月三十日に中曽根総理が再発防止策の検討を指示されるとか、そういうことがございました。 他方、米国では東芝グループあるいはノルウェーのコンダスベルググループ等々、一九八〇年から現在までに違反を起こした企業に対する制裁、二年間から五年間の輸入禁止などを内容としますいわゆる東芝制裁法案が米上院を通過するというようなことも起こったわけでございます。その後、外為法の改正案等をまとめて通産大臣が訪米された。まとめてというか、内々まとめまして、そういう再発防止策の説明等に通産大臣が訪米されたというような経緯と相なっております。
○梶原敬義君 ありがとうございました。 私は今、文藝春秋の六十二年八月号の写しを持っておりますが、「東芝機械事件・主役の告白これがソ連密貿易の手口だ」ということで、元和光交易モスクワ事務所長の熊谷独、この人がずっと手記を書いておるわけです。 今ずっと経緯をお聞きしましたように、この問題の発端というのは、彼がココムの議長あてにその違反の内容を通報したということから始まったようでございますが、それより前に、ココムに通報する前に、通産省に対してこの熊谷氏は何らかの形で通報というか、言ってきたことはなかったんですか。
○政府委員(畠山襄君) 実はそういううわさもありましたものですから、私ども今回当時の担当者に全部当たってみましたけれども、それより前にこの人から通産省に連絡があったということはなかったということでございます。
○梶原敬義君 彼の手記によりますと、この問題の東芝機械が輸出した話のきっかけというのは、大型船舶用スクリューをつくるロボットが欲しい、造船王国日本ではこの種のロボットをつくっているはずだということを、ソ連の技術機械輸入公団の副総裁イーゴリ・アレクサンドロビッチ・オシポフというのが、たまたまパーティーの酒席で、和光交易の幹部社員のおる酒席で尋ねてきてそう言った、もちろん私も同席していた、こう彼が言っているんですね。そして、彼はこの話をすぐ東京に打電をして、この種の機械を探せ、「スクリュー・ロボットを探せ」と、こういうテレックスを打ったというんですね。そして、その中で東芝がひっかかってきた、こういう話のくだりをずっと書いております。また彼は、日本政府当局の輸出規制関係の法規を一度も犯していない商社は恐らく皆無であろうと、こういうことも言っている。一体和光交易という会社は、またこの熊谷という男は、自分がタッチをして東芝を呼び込んで、そうしてそういう仕事をしておきながら、また後ろで、今度その後そういう通報するというんだから常識では考えられないんだが、通産省はどのようにこのことを考えておられるか、お聞きをします。
○政府委員(畠山襄君) 確かに理解のしがたい面もありますが、ちょっと熊谷という人の心理をこの場で分析いたしますのは差し控えさせていただきたいと思います。
○梶原敬義君 それでは、大体文藝春秋も読まれただろうと思うんですが、ここに書いているくだりというのは非常に精密な文章で書かれて、すきのない文章でずっと書かれておりますが、この点については一体どのように、大体真相を書いているという判断をするのかどうなのかお尋ねします。
○政府委員(畠山襄君) 本件東芝機械事件の不正輸出にかかわります契約あるいは出荷の時期、そういったものにつきましては、今御指摘の手記にある時期とそれから通産省の調査結果とはほぼ一致をいたしております。ただ具体的なやりとりでございますとか、あるいは先ほど御指摘のほぼ全社が関与しているんじゃないかとか、そういった残りの部分については私どもこのとおりかどうか確認もいたしておりませんし、このとおりだとも思っておりません。
○梶原敬義君 私、和光交易という会社をしたがって非常に疑問に思ったんです。読みながら、調 べてみたんですが。大体和光交易の概略について株主等も含めましてお願いします。
○政府委員(畠山襄君) 和光交易という会社は、昭和二十七年の十一月に、主として中国貿易を行うことを目的として設立された商社というふうに理解をいたしております。現在の資本金は一億六千万円でございまして、主な株主は丸紅、これが一八%ぐらい、それから安田火災九%ぐらい、それから昭和電工六%ぐらいというふうになっております。それから売上高は、昭和六十一年には約五百億円でございまして、貿易取引のうち約七五%が輸出となっております。主な輸出国先は中国、ソ連、ポーランド、北朝鮮でありまして、モスクワとワルシャワに支店を有しておるというふうに理解いたしております。
○梶原敬義君 私は、この会社が正常な会社であるかどうかはなかなか判断に苦しむんですが、丸紅が一八・七五%、安田火災が八・九一で、私の持っている資料で、昭和電工が六・二五、合わせますと約三四%、三分の一強ですね、これはしっかりした企業が株を持っているわけですね。そういう点ではもともとの発端というのはここから出たわけですから、この会社に対してどのように理解をしていいのか、今理解に苦しむんですが、通産省のお考えを。
○政府委員(畠山襄君) 確かにこの和光交易が、この手記が仮に本当だといたしますと、本件の手引きをしたような感じにもなっておるわけでございますし、それから私どもが確認をいたしましたところによりましても、本件のあっせんといいますか、それから通訳、いろいろな準備、そういったことで実質的に関与いたしているわけでございます。ただ外為法上の制裁とかあるいは刑事手続とか、そういったことになってまいりまするとその対象が輸出者、例えば現在の外為法の五十三条でございますと、通産大臣は貨物の輸出に関しこの法律に基づく命令に反した者に対して処分を行うことができるというふうに書いておりますので、輸出に関しということでございますので、通訳をやったとか諸準備をしたということがそういった規定に厳密に読めるかどうかというところに問題がございまして、今回は今までのところあえてそういった法律上の処分ということになってなくて、厳重な注意ということになっているわけでございます。 ただ厳重な注意ではございますが、今後何か事情が出てきて新たな証拠が出てきて、そしてさらにこの輸出に関しというところで例えば読めるとかそういうようなことになってきますれば、それはまた状況は別であろうかという了解のもとに厳重な注意をしているわけでございます。
○梶原敬義君 対ソ貿易の現状ですね、対ソ連貿易の状況、今大体どのくらいの業者が、特に商社が介在をして、それで大体六十一年実績でどのくらいの貿易実績があるのか、その点についてわかれば簡単に。
○政府委員(吉田文毅君) お答え申し上げます。 近年の日ソ貿易の動向でございますが、輸出入を合わせた貿易額は八二年に五十五億八千万ドルとピークとなっております。八三年、四年とその後減少を示しておりますが、八五年より再度回復に転じておりまして、八六年には五十一億二千万ドルと四年ぶりに五十億ドル台に回復をしております。一方、本年に入りましてから貿易額は一−七月で二十六・七億ドルと、前年同期に比べまして一五%の減少となっております。その理由としまして、私どもはソ連側の外貨事情の問題あるいは最近ソ連の外国貿易関係省等の機構改革等が行われたり、若干組織的に変更が行われたというような要因によるものではないかというふうに考えております。 さらに、先生お尋ねの第二点の日ソ貿易に従事している企業数でございますが、当省として正確に把握しているわけではございませんが、おおよそ百を上回る企業が日ソ貿易に従事しているというふうに承知をしております。
○梶原敬義君 私は、先ほど最初に申しましたように、制限品目はできるだけ縮小していくべきだという考え方に立っております。 ただ、和光交易のような企業というものが、よく取引して所長がその話に入って、一方でつくっていて横から暴露するような企業というのが、そういう百ぐらいの企業の中に幾つもあるのかどうなのか、この点について全く私はその辺の資料も持っておりませんし、わからないんですが、その辺は通産省としてはどのようにお考えになっておられますか。
○政府委員(畠山襄君) お尋ねの、自分で商談をつくっておいてわきから暴露するような企業はどれくらい入っているかということについては、ちょっとお答えしにくいんでございますが、共産圏の専門商社というようなことで、お尋ねがそういう意味でございますれば三十社ぐらいかと、ソ連相手にやっておるのは。そんなふうに考えております。
○梶原敬義君 それから伊藤忠ですね、後から伊藤忠が東芝の要請でかんだのか伊藤忠が先にきたのか、それはよくわかりませんが、東芝、伊藤忠、和光交易と、恐らく三つともその商社は手数料を取って仕事をしていると思うんですが、伊藤忠といいますと、中曽根総理の最高ブレーンであると言われております瀬島龍三さんが伊藤忠の相談役でありますね。総理は西側陣営の一員ということをいつも高らかにうたうんですが、総理の最高のブレーンの瀬島さんたちがかんで、そして瀬島さんはこの問題が起きるや否や相談役を退いて嘱託か顧問がなんかに何か名前を変えましたね。これも私も週刊誌で読んだんですが、そんな伊藤忠が間にかんでおりますが、この件については、怪物伊藤忠についてはどのように大臣はお考えでしょうか。
○政府委員(畠山襄君) この伊藤忠が本件にかんでおることは事実でございまして、かんでいるといいますか、先ほどの非該当証明を申請いたしましたのも伊藤忠でございます。契約の当事者はどうも伊藤忠と東芝機械と両方になっているわけでございます。ただ、非該当証明の申請の際にも、技術の中身につきましては、あるいは品目の中身につきましては一切別紙のとおりとか書いてありまして、その別紙の方は東芝機械が作成した紙になっておって、そこに九軸ではなくて二軸と書いてあったというようなことであったわけでございます。 私どもも、伊藤忠ともあろうものが本件の不正輸出を知らないで輸出をしたということはないんじゃないかという観点から、非常に厳しく追及をいたしましたが、どうも知っておって不正に関与したという確証が得られませんでした。それから、捜査、司法当局も同様な観点から厳しく追及をしたようでありますけれども、送検に至らなかったということでございまして、ただ、私どもとしては、商社は輸出関連法規を知悉しているべきものでございまして、その遵守に特に注意を払うべき立場にありながら、伊藤忠が自分の契約等について、仮に伊藤忠が知らなかったとしても、注意をせずに不正に結果的に少なくとも関与することになったということは非常に遺憾でありましたので、通産大臣から三カ月の共産圏向け工作機械の輸出禁止という指示をいたしまして、その指示に伊藤忠は従ってきたところでございます。
○梶原敬義君 共産圏向けというのは中国も含んでいますか。
○政府委員(畠山襄君) 中国も含んでおります。
○梶原敬義君 伊藤忠に対しても調査されたようですが、商社にはセールスエンジニアと言うんですか、機械を扱うなら機械専門のエンジニアがおりますね。それが中身を知らぬということはあり得ないし、それを信用するというのがいわば私は業界では常識外れだったと思うんです。いずれにしても、通産省の立場としては、やってそこしか出なかったというんだからそれはそうなんですが、しかし、言っておきますが、やはり常識として商社ががんで中身を知らぬということはあり得ない。そのことについては篤と私は心に入れていただきたいと思います。 それから、通産省、あるいは大蔵省は私きょう ちょっと呼んでなかったんですが、やっぱり管理監督責任があると思うんです。関係審査官の数は当時何人であったのか、そして現在はどうなのか。また、人数をふやすということをよく大臣もあちこちで言われて、記事で読みましたが、どういうことを考えておられるのか。その点についてお尋ねします。
○政府委員(畠山襄君) 通産省の審査担当者数でございますが、この東芝機械事件の起こりました昭和五十六年ごろは三十四名ということで、そのうち本省は二十名ということでございました。現時点では七月十日までが四十二名でございました。それが現在は内部の定員振りかえによりまして六十三名になっておりまして、うち本省は四十八名ということになっております。
○国務大臣(田村元君) 今要求いたしておりますのは八十名ということで、総務庁、大蔵等と折衝を事務方でしておると思います。ただ、これは事務方と相談しないで私の判断でやったんでありますが、審査の件数も多いし、これくらいの人間でできるんだろうかということ。それは幾らあっても足りないといえばそれまでですけれども、一人でも多い方がいいんじゃないか。それが一点。 それからもう一つは、この担当しておる若い人たちの仕事ぶりというものを調べてみたんですが、もうまさにダウン寸前の状態なんですね。もう本当にかわいそうな話。そういうこともありまして、総務庁長官の山下君に私から、考えてくれないか、事務レベルではもう既に概算要求等で出ておるだろうから、政治折衝ということで、せめて三けたということにしてくれないかということを申しております。山下君もそれに対して特に拒否というようなことでなしに、事情はよくわかりました、私なりにできる限りのことをしてみょう、こういうことでありまして、ですから、新聞等に出ております。そのさらなる追加というのは、これは事務方は知らぬことです。
○梶原敬義君 ちょっと聞いたところによりますと、これもはっきりしないんですが、審査をする場合は現在も書類審査でとまっておる。物と書類との突き合わせがやっぱり行われてなかった。この点についてはいかがですか。
○政府委員(畠山襄君) ほほ御指摘のとおりでございまして、外為法の所要の規定に基づきます立入検査というのは今までめったにやっておりません。そこで、今回の反省に基づきまして今後は、無論一件一件立入検査なんてことはできませんけれども、抜き打ち的に立入検査をやることあるべしという態勢を確保いたしたいというふうに考えております。
○梶原敬義君 私は、撚糸工連の問題を議論したときも、なかなか人が足らぬから一々その廃棄機械と申請している数字のチェックができない、こういうことで随分議論があったんですよ、今思い出すんですが。人が足らぬでチェックできなくてこんな大問題になるというんなら、一律国家公務員の人員の削減を、まあ総理が旗振ってやられましたが、しかし、一律にのべつ幕なしに減すといっちゃざあっと減すということじゃなくて、要るところには要るようにやっぱりやっておかないからこういう問題が……。だから、厳然と外為法があって、ココムの問題を議論する前に、そこは制限品目になって問題があるというなら、そこのところの問題が出そうなところにはやっぱり事前に手を打っておかなければこういう結果になる。ここはやっぱり勇気を持ってそういう点は対処をしてもらわなきゃ、撚糸工連もそうですよ、問題が起こって追いかけるという形ですからね。この点については大臣、私は責任まで云々ということは言うつもりございませんが、やっぱりよく反省をしてもらわなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) 実はおっしゃるとおりでありまして、今おっしゃったことが私の答弁になってしまうようなことですが、二つの問題があると思うんです。 一つは、小さい政府、行政改革ということで萎縮してしまって、ざっくばらんに言ってもう定員増要求を考えもしなかったというところがあったんじゃないでしょうか。因果な話で、行財政改革を言った土光さんのところの会社がやられたら世話がないんですけれども、それにしても実際そこにもっとこういう重大な問題、撚糸工連でもそうですけれども、重大な問題ということは、少なくともそういうことが必ず起こるとかなんとかということより、起こり得るという予見性は当然持たなきゃならぬので、だからやはり重点的に定員をそれなりに配置しておく必要があったんじゃないか。 それからもう一つは、これはもう私はおわびをしなきゃならぬ、国民の皆さんにもおわびしなきゃならぬことですけれども、五十六年の八月と申しますと、亡くなった田中六助君が通産大臣時代なんですが、自来ずっと恐らくどの大臣もこういう審査があったということを知らなかったと思うんですよ。いよいよというので、大騒ぎが起こってからこういうことがございましたということでありまして、なぜもっと早く言わなかったのかと言って私も怒ったのですけれども、特に大臣というのは一種の機関説でありまして、そういうときの責任を官僚にかわってとってやるというのが私は大臣だと思うんですよ、率直に言って。でございますから、なぜもっと早く言わなかったかと言って随分注意をしたんですが、これがいい薬になってくれて、今後この問題だけでなしに各省庁ともに重点的な対応をするということに気がついてくれればせめてもの幸いという感じでおります。
○梶原敬義君 次に移りますが、私は大企業のなりふり構わない輸出とか、あるいは商売のやり方にやっぱり問題があるなと思うんです。さっき企業のモラルの問題を先に言いましたけれどもね。 ことしの二月の二日から十一日にかけまして、アメリカの西海岸に米と畜産と果樹の関係で私は自費で視察団をつくりまして、私が団長で行ってまいりました。もちろん外務省や農水省も現地では応援をしていただきましたが。そのときにカリフォルニア州の州政府、サクラメントに行きまして、農林関係の高官三人と私ども話し合いをいたしました。米の自由化問題についていろいろ言っておるけれどもこれは日本ではだめだぞと、こういう話を最初に私は次官のゴメスさんに切り出したんですけれども、じゃ何かないだろうか、何かアメリカで競争上有利なものは、買ってくれるものはないかと、こういう言い方でございます。いやだめだと、こういう話をしておりまして、そのときに彼らが言うのは、半導体にしても自動車にしても電気製品にしても、見てください、アメリカの企業はどんどんつぶれるなり、あるいは失業者が出て大変な状態ですよ、そういうこともよく理解してほしいというわけですね。 それから、経済企画庁や通産省の皆さん、Jカーブと言って、円高になれば一時的にはJカーブ効果が働いて輸出はそんなに落ち込まないけれども、やがて減るだろうということをよく言われる。関心があるから私もよく話を聞いている。現地で、これは違った話ですが、我が国の領事館の皆さんとも話をしてみましたら、自動車で言いますと、売り値は去年の二月の段階では現地では九%ぐらいしか上がってないだろうと、こう言うんですね。要するに国内の合理化をして下請の工賃をたたいて、そして社内の合理化をして、若干利益も減るでしょうが、そんなことをして価格を上げなくてどんどん競争に打ち勝っていっているわけですね。そういうようなやり方をずっとやって、これは商工委員会でも私は一度取り上げたことがあるんですが、その後は売り値は上がっているようですが、そういう何というのか、相手構わずどんどん出ていく。これはヨーロッパもそうです。中国にもこの前行ってみましたら、トヨタの車、タクシーなんかいっぱい走っているんですよ。トヨタ、トヨタ、トヨタ、その次に日産が来るくらい。 だから、そういう状況が、よく言う西側陣営ですか、そういうところにもどんどん一方では行っている。そして一方、対共産圏諸国については、 やっぱり企業が競争しながら何とか名称をごまかしても輸出をする。生きていくためにはそんなこともしなければいかぬのでしょうけれども、そういうやり方をやっている。そういう企業の行き方、日本の企業のモラル、通産省もやっぱりそういう行き方はこれまではずっと支持し、私は支えてきたような感が、これまではあるような感じも持っておるんですが、こういうあり方について私はやっぱりここで少し反省をしておかないと、日本は長い時間がかかった場合には国際社会から孤立をしていくような方向に行かざるを得ないと思うんですね。この点について大臣、所見を最初にお伺いをしたいと思います。
○政府委員(児玉幸治君) ただいま梶原先生から指摘されました問題は、実は非常に我が国の産業社会にとりましては深刻な問題でございます。一方では、これから二十一世紀に向かいまして日本の産業を支えていく大事な分野というのは、いわゆる機械情報産業を中心とするハイテク分野でございまして、これらの産業が今後とも健全に発展をしていくということは、これは我が国としましても大変重要な課題になるわけでございます。ただ一方、今御指摘もございましたように、そういった分野の製品が世界じゅうのマーケットにどんどん出ていく、それが非常に日本の企業同士の間でも激しい競争をしながら出てまいりまして、気がついたときにはいろんな国で相当大きな市場占有率を持つようになってくる、それが結果的には相手の国の競合産業に対して大きな影響を与えるというふうなことになっているケースが間々あるわけでございます。 確かに戦後の高度成長時代におきましては、成長分野をいち早く探り当てまして、それについてほかの企業に先駆けてできるだけ量産効果を上げる、それが利益を上げることにつながるということで、結果としては大きなマーケットシェアをとり、量産効果を上げることによって競争力をつけ、それで世界市場に出ていくという形が行われていたわけでございますが、それはそれである時期までは私は日本の企業の経営の選択として合理性があったのだろうというふうに思っておるわけでございますが、昨今の状況を見ますと、品物によりましては、本当に日本が世界のその品物の市場を動かすというぐらいに大きな存在になってきているケースがいろいろあるわけでございまして、そういう場合に、昔のままの経営理念でやっていくというわけにはなかなかいかないわけでございます。 やはり、成熟した大きな産業につきましては、それなりの新しい企業経営理念が要るというふうに思うわけでございまして、実は昨年の十月に機械情報産業局の方で、機械情報産業の将来展望に関する懇談会というものを設けまして、業界のトップの代表者あるいは学識経験者、組合代表の皆様方にお集まりをいただきまして、この問題について約十カ月でございますが、いろいろ議論を重ねてきたところでございます。 最近、報告書もいただいたわけでございますけれども、やはりその中の一番のポイントは、梶原先生の御指摘に尽きているわけでございますけれども、企業自身が自分の置かれた世界市場の中での位置づけにつきまして十分認識をいたしまして、同じ利益追求のための経営活動でございましても、やはり新しい形、少なくとも従来の量産をベースとして利益を上げていくというタイプとは違った形の経営理念が要るということを強調いたしておりまして、しかもそれを政府が企業の行動について一々介入をするということではなくて、あくまでもその企業の自主的な判断、自主的な理念の改革、こういった形で対応することを提案をいたしているわけでございます。 大変貴重な報告だと私ども考えておりまして、これをまさに政府の過剰介入にならないように、民間の自主性をベースといたしまして実行できるようにできる限りのバックアップをしてまいりたいと考えております。
○梶原敬義君 だから私は、この際ですからちょっとまた言わしていただきますと、やっぱり労働時間が我が国の場合三百時間から五百時間長いとか、あるいは住宅や何かが非常に厳しい状況、それから輸出企業というのは、本社の内部を合理化すると同時に、下請をまずぶったたくわけですね。そういう状況でしのいできて、しかも売り値はもう上げない、こういうやり方できておるわけですから、ここの物の考え方を、日本は西ドイツよりも労働時間五百時間ぐらい長くても頑張っておるんですから、もう少し通産省も物の考え方の発想を少し思い切って変えるように指導していただきたいと思うんです。 先ほど話を聞いておりましたら、アメリカの議会の方も相当のバカンスのようです。ゴルバチョフだって一カ月間何かバカンスをとるというような話も聞きまして、先進国日本が、本当に私はそういう状況の中で先進国であるのかどうなのかよくわからないんですけれども、この辺について、通産大臣やっぱり広い世界の大きな流れの中で、日本の通産行政のあり方、企業に対する指導のあり方、そういう企業のモラルの問題なんかもひっくるめて通産大臣は指導していくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) 実は、今通産内部で私どもいろいろと言っております。きょうは非常にいい質問を寄せられたわけですが、最後におっしゃったことは、生活実感というものの豊かさというものが出なければうそだということに尽きると思います。これは通産省だけでできることじゃありません。各省庁が、労働省を中心として厚生省もいろんな省庁がみんなで協議して総合的によくしていかなきゃならぬことは申すまでもありません。 先ほど児玉局長からるる申し述べましたので、もうそれに尽きておるわけでございますけれども、もっと私が具体的といいますか、露骨な表現を使って私の意見を申し述べますならば、日本の大企業がシェア拡大主義にこだわっておる間はだめだということだと私はそう思うんです。それよりも、先般答申いただいたように、とにかくマージンというものを重視する商法に移っていかなきゃだめだ。そういうことから私が大変懸念しておりますのは、内需の拡大ということはやらなきゃならぬ至上命題であります。内需の拡大は一つには国内の景気を刺激する、一つには外需を内需に振りかえるということであろうと思いますが、下手をすればいわゆる通産省等の指導がもし誤った場合には、あるいは徹底しなかった場合には、逆に内需で力をつけてシェア拡大主義で外需を内需に振りかえるどころか、内需で力をつけた企業が外地へ殴り込みをかけるということもあるいは起こりかねない。そこいらは十分心してこれからあらゆる面で検討していかなきゃならぬのじゃなかろうかということを申しております。 まあお答えになりますかどうですか、児玉君が相当具体的にお答えしたもんですから、ダブることを避けまして私どものお答えをしたわけでございますけれども、大変適切な御忠告でありまして、通産省の一つの予見性にそれがつながっていけば大変幸いというふうに思います。
○梶原敬義君 次に移りますが、ココムというのは非常に秘密組織でなかなか理解ができないんでございますが、このココムについてどんな組織なのか、あるいはその組織運営と性格、それから規制品目をどのように決めておるのか、その辺について外務省の方に最初にお尋ねいたします。
○説明員(赤尾信敏君) ココムにつきましては、実は私たちも余り全貌を言えないというのは非常に残念なんですけれども、一応各国間の申し合わせで余り詳しいことは申し上げられませんけれども、組織としましては十六カ国が今参加しております、西側十六カ国。一番最近にはスペインが加盟しまして十六カ国になったわけでございますけれども、この十六カ国がパリにおいて各国の戦略物資等の特定国向けの輸出規制等について調整その他また話し合うというのが目的でございます。 主として最近はリストのレビュー、これはほとんど毎年のようにやっておりますけれども、リストの作成あるいは各国の輸出規制のあり方、ある いは参加国だけでは必ずしも実効を確保し得ないということもありまして、他の国の協力をいかに求めるかというような点を中心に話し合っております。 品目につきましては、ココムリスト自身は公表されておりませんけれども、各国の輸出管理法令に基づいて、必要な限度内において各国の法令に移しかえてそれを実施するという体制になっております。
○梶原敬義君 大体その辺のところまでは発表されていますからわかるんですが、どういうようにパリのアメリカ大使館で運営をされているのか。それには日本からはだれが出ているのか。本当にこういう品目を検討する際には技術的なことがわからないと、これはなかなかどれを入れるか落とすかわからないと思うんだけれども、外務省、そんなことは責任持ってやっているのか、どうですか、
○説明員(赤尾信敏君) ココムの本部がパリにあるということは、先ほど申しましたし、パリのどこにあるかということは私たち公にはしないということでございますが、一応……
○梶原敬義君 何言っているの。アメリカ大使館にあると発表されておる。
○説明員(赤尾信敏君) 各国間の申し合わせで、私たちはそれを確認する立場にないということでございますので、申しわけありませんが、そこまでで御容赦願いたいと思います。 どういう会合があるかということでございますが、例えば最近……
○梶原敬義君 そんなこと、少なくともこの法律をつくって刑を三年から五年にするのに、どこに事務所があるぐらい、今から行って十六カ国と相談して発表することにして、そしてそれからここに来なさい。何言っているの。
○説明員(赤尾信敏君) 私たちもできるだけ発表できるものはしたいということで、例えば七月に特別会合がありましたときには、日本のココムに関する強い関心から、会議があった事実さえも外へ公表できないのでは非常に難しいということを日本の代表みずから発言しまして、各国で一応発表のガイドラインを申し合わせた上でやった次第でございまして、これは日本がイニシアチブをとって、会合の事実あるいは全くの概要しか発表できませんでしたけれども、一応概要を発表させていただいたわけです。 日本からどういう人が出ているか、あるいはどういう会合があるかということなんでございますけれども、これはいろいろな種類の会合がありまして、例えば二年に一回程度開いておりますのでハイレベル会合というのがありまして、これにはできるだけ、ハイレベルということでございますから、日本からは外務審議官あるいはそれに相当する方がこれまで団長格で出ております。通産省と外務省の者がそのアシスタントとして出ておりますけれども、そういうレベル。あるいは毎日のようにココムの会合が現地で開かれておりますが、通常は在仏大使館におります担当官が出席しておりますけれども、その議論する事項、対象事項によっては通産省とか外務省の本省から出張するなり、さらに専門的な知識が必要な場合、特にリストのレビュー等を行いますときには非常に専門的な分野にわたりますので、いろんな専門の方を東京から派遣して参加してやってもらっております。
○梶原敬義君 ココムというのは、じゃどこまでがココムのことについては国会に言っていいのか、どこまでが秘密なのか、その線をちょっと。
○説明員(赤尾信敏君) 一応ココムで私たちの間で申し合わせました諸点といたしましては、例えば名称はココム、パリに本部を置いている非公式な機構である、非公式な相談会の場であるということで、参加国が十六カ国である、国名はアメリカとかイギリス、フランス、ドイツ、イタリー等でございますけれども、それで一定の国を対象にして輸出規制を行うということです。 既に御承知のとおり、中国向け輸出につきましては、できるだけ緩和された形で規制を行うというようなこと等も申し合わされております。 ココムの活動の歴史につきましては、四九年に成立して五〇年以来活動しております。そのほか、先ほど申しましたように、輸出規制についてのいろいろと申し合わせあるいはリストの改定その他を行っているということでございます。
○梶原敬義君 これはちょっと時間がなくなったけれども、それじゃ、ココムの問題の話し合われた内容等については国会には言えない。そうすると政府はどこの辺まで知っているんですか、内容については。
○説明員(赤尾信敏君) 政府といたしましては、日本からも毎回ココムの会合には出ておりますので存じております。あと例えばリストの改定等につきましては、でき上がったものにつきましては通産省所管の貿管令等に移し変えて実施しております。その形で外に発表するということになっております。
○梶原敬義君 おれは頭悪いからようわからぬけれども、ということは、政府は一々ココムの皆さんが相談したら、内容や議事録やなんかというのは閣議か何かで報告しているのか、それとも外務大臣だけ知っているのか。
○説明員(赤尾信敏君) これまでのところは通産省と外務省の間で緊密に協力してやっておりますので、通産省と外務省はすべて討議の詳細につきましても承知しております。その他一部の関係省庁には必要に応じて必要な情報を流しております。
○梶原敬義君 私はココム問題だけでこんなにひっかかるつもりじゃなかったんですが、通産大臣、私はココムというのは毎週ココムの事務局で何か会議をやっているやに聞いているんだけれども、そういう内容というのは、だから通産大臣あるいは外務大臣には逐一少なくとも報告がされているような内容ですが、知っておるんですね。
○国務大臣(田村元君) 大変みっともない答弁で、恐らくあすの新聞で冷やかされるんでしょうけれども、通産省の担当者はあるいは知っておるかもしれませんが、私は何も存じません。
○政府委員(畠山襄君) 大臣に報告する側の方からもお答え申し上げますと、分け方はいろいろあると思いますが、大ざっぱに申し上げてココムの会合というのは三つございます。ハイレベルの会合と、それからリストレビューの会合といって品目を決める会合と、それから定例会合といって個別の案件を認めるか認めないかを決める会合と、この三つございます。 それで、ハイレベルの会合というのが一年に一回か二年に一回か開かれるということで、先ほど外務省の方から答弁のあったとおりの会合でございます。これは外務審議官が出るわけでございまして、そこで重要なことが話し合われますと通産大臣にも当然報告をするということになっておるわけでございますが、いろいろ昨今のように大臣の方も忙しいとなかなか情報が上がらないというようなこともあるわけでございますけれども、原則はそういうことになっております。 それからリストレビューの会合、この内容につきましては、品目の非常に技術的な話でございますので、かつ広範多岐にわたっておりますので、これはむろん通産省から出張者は出ておりますので内容は承知いたしておりますし、また出張者が必ずしも全部に出ているというわけじゃございませんが、そこで決まりましたこと、その経過等は後で外務省から連絡もございますので、私どもは知るべき立場にございます。ただ、現在のところは、この内容について大臣によほど重要なアイテムでもない限り余り報告はしてないのが通例であろうかと思います。 それから、三番目の特認のところについても同様な状況であろうかと思います。特認のところは通産省も出ておりませんので、余り私どもとしても詳しくは承知はしてないというような状況でございます。
○梶原敬義君 外務省、いろいろ品目を決める相談をするときに、それは時々通産省を呼ぶと言うけれども、実際はアメリカの国防総省の意見ある いはアメリカの意見というのが非常にこれは強く出るはずだと私は見ているし、そう聞いておりますが、この点はいかがでしょう。
○説明員(赤尾信敏君) まず品目を決めるときに通産省と御相談してと、これは特に品目は非常に技術的な点もありますし、輸出管理は実際通産省が法律上もやっておられますので、一々全部相談してやっております。 それから、そういう品目改正に当たってアメリカ特に国防総省の意見が非常に強くあるかということでございますが、ココムの決定方式はすべて全会一致方式ですので、一カ国でも反対すればこれは実現しないということがまず原則としてございます。アメリカはアメリカとしての独自のそういう戦略的な立場からいろんな提案を行う、私たちは私たちとしてまた別途、例えば規制緩和等も含めまして日本は日本の提案を行うと、いろんな議論の過程を経て最終的には全会で一致できるような点を見つけるということでございます。
○梶原敬義君 非常にこれからいろんな高度技術社会になりますと、どれが一体戦略商品になるのか、あるいは一般生活との関係か、普通の民生用の技術やあるいは半導体を組み込んだようなものがひっかかる場合だってある。その判断の仕方が非常に難しくなると思うんです、これからね。ここのところの判断をする場合に、外務省が中へ入って、あるいは時々呼ぶというけれども、やっぱり外務省が中心なんだから、外務省のそのときの物の基本的な考え方によって相当揺れると思うんでね。外務省はあなたが出るんですか。
○説明員(赤尾信敏君) 会合によって出席者は異なりますけれども、今ハイレベル等で一般的な政策を決める場合には私より上の外務審議官が出ております。私も二、三回会合に出たことがございます。ただ、通常のリストレビューのときには現地にいる担当者が中心になって、あと東京から、東京からといいますのは外務省だけでなく通産省、あるいは通産省によって専門調査員に発令される専門の方も含めて、そういう方が一緒になってリストのレビュー等には参加しております。
○梶原敬義君 私は、むしろ東芝が輸出した機械は、それは確かに問題でしょう。僕はだからこれは問題だということでずっとやってきたんですよね。しかしそれより問題は、お互いに潜水艦をいっぱいつくって、それで核弾頭を積んでお互い撃ち合うということが、もちろんその方が問題なんで、私はINFの軍縮と同時に、外務省としてはお互いに原子力潜水艦と核弾頭を積んだこれをどうなくしていくかというのが、日本がやっぱり外交姿勢の中では強力に貫かなくちゃならぬことだと思うんです。 問題は、ココムの品目や何かを審議するに当たって、あなたも出るというんだからね。日本の立場というのは緩和をしようとしているのか、あるいはやっぱりもっと規制を強化しようとしているのか。今ハイテクの時代が進む中で、こういう変化する中で、一体外務省の基本的な物の考え方、腹の据え方というのはどこにあるんですか。
○説明員(赤尾信敏君) まず、一般原則といたしましては、外務省はあくまで自由貿易を貫く、あるいは世界の貿易、あるいは日本と、これは東西の貿易も含めまして、日本とソ連圏諸国との関係も含めまして、貿易は拡大するというのが大原則でございます。ただ、特定の戦略物資の輸出につきましては、現在の国際情勢を見るとき、無制限な物資及び技術の流出というのは、日本を含む西側の安全保障に影響があることもあり得る。その観点から必要最小限の規制は加えなければいけないというのが原則だと思います。 それを踏まえてココムのリストレビュー等にも日本政府として参加しているわけでございますけれども、既に古くなった技術等についてはどんどん緩和していく、あるいはリストから落とすということで、同時に新しく出てきて、どうしても各国、どの参加国から見ても戦略的に非常に重要であるという品目は追加するというのが基本方針かと思います。
○梶原敬義君 アメリカの場合は特認のような形で他国よりも大分処理をやっているようですね。特認の形でですね。その点についてはいかがでしょうか。 それから、ココム委員会の中でフランスや西ドイツというのは、少なくとも日本の外務省出席者よりも、ココムに対して独自の姿勢というのを打ち出して、今言われた自由貿易の原則についても、フランスや西ドイツというのは非常に主体性を持っているやに聞いたり読んだりするんですが、実際に現場に入ってみて、あなたはどう考えておるのか、この点については。率直に知らしていただきたいと思います。
○説明員(赤尾信敏君) 特認のケースについてはアメリカが多いじゃないかと、日本と比べて多いということでございますけれども、これは恐らく共産圏諸国と各国との貿易構造等にもよるところが非常に多いんじゃないかと思います。貿易額で言いますと、例えば日本の対中貿易というのはアメリカの何倍にも相当するわけですけれども、逆に特認件数はアメリカの件数よりは非常に少ない、一けた違うくらい少ないわけなんでございますが、アメリカがそれをとらえて日本は貿易の額の割には特認件数が余りにも少ないと、サボっているじゃないかというような逆の指摘も行われておりますけれども、私たちは、いや貿易構造が違うんだと、日本はそういう特認のためにパリに持ち込まなければいけないような貿易の件数が少ないために特認の数も少ないんだ、特認申請の数が少ないんだというふうに私たち説明している次第で、これは非常に各国の貿易構造の違いを反映する点が非常に多いんじゃないかというふうに思っております。 二番目に、ココムの場でフランス、ドイツ等は非常に自主性を貫いている、日本はそれほどやってないじゃないかということでございますけれども、具体的にどういうケースをとらえて指摘しておられるのか私は存じませんけれども、ココムの場におきましては、各国とも全く平等の立場で、各国独自の判断で対応しております。一部新聞等で報じられましたのは、一九八〇年代の初めに、特にアフガン事件の直後に、ヨーロッパ諸国が中心になってソ連にパイプライン、天然ガスのパイプラインを送る話があったときに、アメリカが域外適用を持ち出して、ヨーロッパ諸国にある会社がソ連にパイプラインを送るのを抑えようとした。それに対して関係したヨーロッパ諸国は、断固としてこれに反対して輸出したというケースがあるかと思いますが、これはココム規制品目ではありませんので、もしもそういう例を言っておられるのであれば、若干ココムの問題とは違ったケースかと思いますし、逆に域外適用の問題につきましては、日本もヨーロッパ諸国と全く同じで、いかなる要求であろうと、アメリカの要求でありましょうと、域外適用にかかわる事項につきましては、これは国際法の原則に照らしても、絶対アメリカの要求はのまないというのが基本方針でございます。
○梶原敬義君 それでは、今言われましたような具体的な問題をとらえて幾つか私は見ておりますから、ちょっと時間がありませんから用意して質問を出しますから、対応していただきたい。 それから問題は、条約化の動きをアメリカは提起している経過があったと思うんですが、この点はそれならいかがですか。
○説明員(赤尾信敏君) 一部、最近日本の新聞でも、アメリカが中心になって条約化しようという動きがあるという報道もありますけれども、私たちの承知している限り、過去数年の間アメリカが正式にココムを条約化しようということを提案したことはございません。あるいはアメリカ政府の一部でそういうことを考えている人があるかどうか私は承知しませんけれども、正式な提案としては一切行われたことはありません。
○梶原敬義君 では、そういう方向で外務省も頑張ってもらいたいと思うんですね。アメリカがそういう動きが出た場合には、十六カ国のうちの幾つかはココム委員会を脱退するところだって出るんではないか、こういうようなこともあって、な かなかこれはアメリカの希望があったとしてもそれはやりにくいと、こういうようなことも書いておりますね。だからあなた方、恐らく具体的に提案がなかったからそれはどうこうということで言っているんでしょうけれども、しかしそういう動きは私は否定できないと思うんですね。そういうような方向に対しても、条約化とかそういうものをやることに対しては外務省としては基本的には反対だと、こういう姿勢だとそれは受けとめていいですね。
○説明員(赤尾信敏君) 私たちはココムが一九五〇年に発足しまして三十何年やってきているわけなんですけれども、ココムの規制が万全とは言わなくても、こういう紳士協定みたいな非公式な合意に基づいて非常にうまく機能してきているというふうに評価しております。 したがって、果たしてこれを条約化する必要があるかどうかということにつきましては、非常に疑問が多いというふうに考えております。万一、アメリカないしそれ以外の国がココムについての条約を結ぼうじゃないかという提案を行ったような場合には、万一そういう提案を行った場合には、今私が申しましたようなこれまでの経験等に照らして非常に慎重に検討する必要があるかと思っております。
○梶原敬義君 ココムの問題については、私はこれは大問題でね。うまくいっている、こう言っているけれども、これは果たしてああいうアメリカのような自由主義社会で、一方でインドですか、武器を売ったりするような国で、どこから技術がどう流れるかなんて、あるいはこの問題は、東芝機械の輸出が、潜水艦のスクリューですか、これにどのように影響しているのかという問題等、恐らくココム委員会でもある程度僕は議論しているんだと思う、そういう問題については。 そういういろんなココムのあり方の問題について何かうまくいっているような話を聞くけれども、僕はもっと、なぜではうまくいっているかということを明らかにしてもらわなければ、いいです、なかなかこういうことにはならぬのですけれどもね。この点についてはもうちょっと明らかにできますか、うまくいっているというような内容については。
○説明員(赤尾信敏君) 私がうまくいっていると言いましたのは、一般的な感じといたしましてこれはもう万全じゃないということは、アメリカの国防省が二年に一回ぐらいいわゆるソ連の西側技術の取得に関する白書みたいなものを発表しておりますので、それを見ていただきますと、ソ連がいろんな手口を使って、きょう御指摘のありました文春の記事もそうなんですけれども、いろんな手口を使って西側技術、特にハイテク技術の取得に努めているということがありまして、そういう例がたくさんあるにもかかわらず、私たちとしては一応ココムは機能しているんじゃないかというふうに思っているということを申し上げたかったわけでございます。
○梶原敬義君 これは通産大臣の法律案の提案理由の中に、「今回の東芝機械の外国為替及び外国貿易管理法に違反した不正輸出事件は、我が国を含む西側自由主義陣営の安全保障に重大な影響を及ぼすおそれのあるものであり、極めて深刻な問題であります。」こうなっているんですね。まさにココムに関係する問題なんです。 先に外務省に聞きますが、どういう点で西側の自由主義陣営の安全保障に重大な影響を与えて極めて深刻な問題であるのかどうなのか、この点をわかりやすく、とにかくもう時間がないですから。
○説明員(赤尾信敏君) 今回の東芝機械がソ連に違法に輸出されたことによって、非常に性能のいい潜水艦等のスクリューがつくられるということは、本来ソ連だけでやっておればそういうことができなかったのが、非常に容易にできるようになったということで、西側の安全保障にとって重大な影響があるというふうに私たちは認識しております。
○梶原敬義君 我が国の安全にとってそれがどういうような影響を及ぼすことになるわけですか。これを読みかえていくとそういうことになる。
○説明員(赤尾信敏君) 我が国の安全保障、そして我が国を含む西側の安全保障にとって非常に影響が出てきたということでございます。
○梶原敬義君 スクリューがそうなったかどうかというのもはっきりしない。それで、しかし非常に重要な影響があるということになるわけですね。 何ですか、ソビエトの潜水艦は一つずつ全部西側陣営というのは捕捉しているわけですか、キャッチしているわけですか。音の話をするから、そこはどうですか。外務省、ざっくばらんにちょっと言ってください。
○説明員(赤尾信敏君) 私どもの同僚の安保課長がいなくなりましたので、実は安全保障課長が担当しておりますので、私有権的に今お答えする立場にありませんけれども、この東芝機械が出たこととそのソ連の潜水艦の低音化との間に非常に因果関係が深い、疑いが強いというふうに感じております。
○梶原敬義君 随分質問を残しましたけれど、通産大臣、潜水艦、これは非常に極めて重要な深刻な問題であると、安全保障に影響していると、音が小さくなったら捕捉できぬということを言っているようなんですが、これは全潜水艦を捕捉をしているという前提に立って書かれている文章だと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(田村元君) 要するに、そういうことが重大な懸念を生じかねない、つまりソ連の潜水艦は、アメリカならアメリカを例にとりますと、量的に多いけれども、一方は技術でまさっておる。その技術でまさっておるのが技術でまさらなくなるということは重大な懸念を生じかねない、こういうことだと私は思います。アメリカを特定するものでなく、例えばアメリカを例にとればということでございます。
○梶原敬義君 時間がないですが、要するにソ連の潜水艦の脅威が、それはアメリカにとっては脅威かもしれぬ、しかし日本にとってどのような脅威をこのことによって及ぼしているのか、この点がやっぱり一つは解明をされないと、なかなかこの改正案に、はいそうですかと、これはまあ中身は同僚委員からずっと法案の問題については話がありましたし、私は最初に私の立場を言っておりますからそう言う必要はない。日本にとってもしそれが非常に極めて深刻なことであるとすれば、今、日本が本当に考えてやらなければならないのは、そうなればアメリカとソ連の原子力潜水艦を減らすことをまず一番先に旗を掲げて真剣になってやらなければならない。そんな努力は全然これまで聞いたことがない、外務省がやったとは。この点について先に聞きます。
○説明員(赤尾信敏君) 政府の一番の基本方針は平和と軍縮ということでございまして、私たちもこれはアメリカに対しても、あるいはソ連に対しても、あるいはジュネーブにおきます軍縮委員会の場あるいは国連等のいろんな機会に軍縮の必要性あるいは軍備管理の必要性ということは唱えております。その中には潜水艦も含むいろいろな軍備管理あるいは軍縮ということが含まれているわけでございます。
○梶原敬義君 もう時間がないですからやめますが、アメリカをちょっと優位にしておって、絶えず優位にしておって全体を軍縮するという基本的な物の考え方というのが外務省にあると思うんですよ。少しでもアメリカを強くして、そしてそのまま下げていく、絶えず。そういう発想が僕は腹の中はあると思うんだね。だから、そういう形の軍縮じゃなくて、本当に減らしていくと、強力にアメリカに対してもソビエトに対しても日本というのは迫っていかなきゃいけない。ここが基本的な立場でないと、それはなかなか日本の言うことというのは迫力が出ないんじゃないですか。一方に少しやわらかく言って、一方には減らせ減らせというような立場では、やはり本当の軍縮にはならないんじゃないかと思いますが、いかがですか。 これでやめます。
○説明員(赤尾信敏君) 私たちは、アメリカあるいは西側のちょっとそのレベルをアップしたままで、あるいはそれを維持しながら両方に減らせということを特に言っているわけではありません。とにかく双方が軍縮を促進すべきであるということを主張しているつもりでございます。
○委員長(大木浩君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 —————・————— 午後一時三十二分開会
○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○伏見康治君 私に割り当てられている時間が百二十分でございまして、ごらんのとおりの老体でございますので少し皆さんにいたわっていただきたいと思います。座って御質問申し上げますのでお許し願いたいと思います。実は、せんだって外務委員会に飛び入りで行きましたら、外務委員会は全部座ってやっておられるのでそれがうらやましくなりましたので……。 私は、外為法に関連して、もちろんココムについても伺うつもりではございますけれども、ココムの問題とSDIの問題と、それから少し旧聞になりますが、対米武器技術供与というこの三つのテーマに関連して御質問申し上げたいと思います。 というのは、これはみんな日本がアメリカの軍事体制の中に組み込まれていく幾つかのチャンネルをあらわしていると思うからであります。日本が今アメリカの軍事体制とどういう関係を結ぶかということは極めて大事な問題でございまして、安保体制というもので縛られている限りアメリカと縁を切るわけにはもちろんまいりませんが、そうかといって、アメリカのいささか危険な軍事体制の中にすっかりのめり込んでいくということもまた極めて危険なわけでございます。適当な距離をもってアメリカにおつき合いしていかなくちゃならぬと思うのでございますが、ココムもSDIも対米武器技術供与というのも、みんなそのおつき合いの窓口としてよほど神経を細かくして対応していくべきものだと私は思います。 そこでまず、ココムとかSDIとか対米武器技術供与とかいうものに共通なものがありまして、これは外国とのお約束ではあるんでしょうけれども、国会にかけて審議すべきものではなかったんでしょうね、かかっておりませんから。一体どういう外国とのおつき合いは国会に諮り、あるいは承認を求めなきゃならなくて、どういうものは求めなくてもいいのかというその区別を、この際ちょっと教えていただきたいと思うんですが。外務省の方……。
○説明員(岡本行夫君) 御質問の点につきましては、昭和四十九年のいわゆる大平外務大臣答弁というのがございまして、そこでも明らかにしております私どもの考え方は次のようなものでございます。 すなわち、具体的には次の三つのカテゴリーの国際約束については国会の御承認を必要とするとの考えでございます。第一番目に、いわゆる法律事項を含むものでございます。すなわち国会の立法権にかかわる国際約束でございます。第二番目に、いわゆる財政事項を含むものでございます。すなわち既存の法律または予算で認められていない財政支出を約束するがごとき国際約束でございます。第三番目に、法律事項あるいは財政事項を含みませんでも、我が国と相手国との関係または国家間一般の基本的関係を規律するという意味におきまして、政治的に重要な国際約束、こういったものは国会にお諮りする条約である、こういう解釈でございます。
○伏見康治君 今のお話ですと、国として極めて重大なものは、お金に関係がなくても法律に関係がなくてもお諮りするというふうに理解できると思うんです。ココムとかSDIとかいうのは相当重大な問題だと思いますが、にもかかわらずかけないという理由はどこにあるんですか。
○説明員(岡本行夫君) 今御説明いたしました第三のカテゴリーについてのお尋ねでございますけれども、そこで私どもが国会にお諮りしなければならないと認識しておりますのは、我が国と相手国との関係または国家一般の関係を法的に規律するような意味において重要な国際約束でありまして、それがゆえに発効のために批准が要件とされているものでございます。 SDI協定について言いますと、今回は、米国が進めておりますSDI研究計画に我が国から参加を希望するものがあれば、参加を容認するための枠組みを既存の法体制のもとで用意するということでございます。すなわち、現行の国内法の範囲内で実施し得る内容を取り決めたものでございまして、これは憲法七十三条の外交関係の事務の処理の一環として政府として結んだものでございまして、国会にはお諮りしなかった次第でございます。
○伏見康治君 話がややこしくなってきて、どこまで重大であるかという認識の差に陥るおそれがありますから、その点はそのくらいにしておきます。 そこで、まず大臣に伺いたいのは、SDIとはそもそも何であるというふうに、内閣全体としては一体どういうふうに認識しておられるかということを伺ってみたいと思うんです。 レーガン大統領が一九八三年の三月にテレビで演説をいたしまして、初めてこのSDIという構想が世の中に出てきたわけですが、その中でレーガンの言っている言葉は、核兵器の脅威をなくすために核兵器を陳腐なものにし無力なものにする、オブソリートでインポテントなものにするという、そういう演説をなさいまして、それがジャーナリズムの間ではスターウォーズという名前で呼ばれるものになったわけでございます。ところが、SDIの正確なるデフィニションというものを私は余り伺っていないものですからお伺いするわけですが、その後、つまりアメリカの内部ではSDIに関するいろんな批評が入り乱れておりまして、一体何がSDIの本当の姿とお考えになってこういう参加するという重大な決定になられたか、それは極めて重要だと思いますので、どういう性格のものだとお考えになってSDIをとらえておられるかをまず説明していただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 実はSDIに関しましては、各閣僚が自分の持っておる知識で自分なりの所見を述べることをはばかって、官房長官のもとで統一見解をまとめよう、こういうことになりまして、昨年の九月九日に官房長官談話が発表せられました。でございますから、私どもとしましては、この官房長官談話の範囲を超えた言葉はやはり慎まなければなりません。そうなりますと、私からSDIというものを大きくとらえて物を申し上げるということより、やはり、今官房長官おりませんが、その場合でございますと外務省からお答えをするのが筋がと存じます。
○説明員(岡本行夫君) 事務的に御説明させていただきますが、SDIは先生御高承のとおり、一九九〇年代の前半に、米国大統領及び議会が、弾道弾防衛のための高度な防衛システムを研究し、開発し、配備するか否かを目的とするものでございます。これはあくまでも性格としては研究計画でございまして、開発、配備に進むかどうかについての技術的知識を提供することを目的としたものでございます。 それに対する我が方の考え方は、ただいま大臣の御答弁どおり官房長官談話に尽きておりますので、先生つとに御高承のことと思いますのでそこの内容は省略さしていただきます。
○伏見康治君 一年前の後藤田さんの声明というんでしょうか、その中に言われていることは、一九八三年のレーガン演説の言葉どおりでございま して、要するに核兵器をオブソリートかつインポテントにするものであるというのをそのまま繰り返しているにすぎないように私は受け取っております。 それで伺いたいのは、その後いろいろなアメリカの中の有力者あるいは大統領御自身あるいはワインバーガー国防長官といったような方々が、今の御解釈と反するようなことをたびたび言われていると思うんですね。例えば研究段階であるというようなお話があるにもかかわらず、ワインバーガーはある時点では早急に配備したいといったようなことを言っておられます。それから大統領は、ある場合にはこれは核兵器が敵なんだから、ソビエトでも手を組んでやるんだというようなことを大統領として言っておられるんですが、実際に進行しているのは、ソビエトを敵対国としてあくまで取り扱って、秘密にしながらやろうとしておられます。そういうわけで、アメリカの中の有力な方々自身が言っていることが、言うその状況、状況によってしょっちゅう変わっているような不得要領なものだと私には思えるんですが、そういう点についての政府の理解はどうなんでしょうか。
○説明員(岡本行夫君) 米国の中でさまざまな議論があることは事実でございます。ただ、米国議会が毎年SDI研究計画に継続的にこれまで研究費の支出を認めていることからも、研究計画自体に対しましては、米国内でその推進につき幅広い支持があるものと承知しております。 先生ただいま御指摘のような発言が米側によって種々の機会に一部の人々からなされていることは、これまた事実でございますけれども、究極的にSDI研究計画が目標といたしますところは、非核の防御手段を通じまして、最終的には防衛のシステムだけで現在の不安定な抑止の関係というものを強化する、抑止を一層安定的なものにする、そこの基本的な認識はいささかも変わってないと存じます。 最後に、先生御指摘の早期配備との関係でございますが、私どもの認識は、これはあくまでも研究計画である、我が国が参加したのもそのようなものと認識して参加したものであって、そこから先の配備の段階に至ったら日本側はどうするのかということは、まだ判断を留保しているわけでございます。 なお米側は、研究段階から配備のときに進むのであれば、それは同盟国との緊密な協議をいたしますということを言っております。
○伏見康治君 ついでに伺いますが、その研究段階が過ぎて、何年たつかわかりませんが、配備するような段階になるときには、SDI参加の基本姿勢そのものも改めて国会内で十分に議論をしていただけるものと理解してよろしいか。
○説明員(岡本行夫君) 私どものSDI研究計画への参加の理念は先ほど申し上げたとおりでございますが、配備の段階について我が国がどういう態度をとるのか、それはそのときどきの国会の御質疑において、私ども可能な限りの御説明ないし考え方の開示を行ってまいりたいと思います。
○伏見康治君 マクナマラという方がおられます、元の国防長官。しかもこの問題に関連しては非常なエキスパートで、つまり千九百七十何年だったかにいわゆるABM協定をソビエトとの間で結ばれた方ですね。そのマクナマラがSDIを批評して、少なくともSDIを、SDIの(1)というものとSDIの(2)というものを区別して議論しなければならないということを主張しておられます。 SDI(1)というのは、レーガン大統領の夢物語とおりにそういう兵器ができれば、飛んでくる核兵器は全部途中でやっつけることができるという、そういう兵器のことなんですが、そういうことが技術的に不可能だということが十分わかっておりまして、アメリカの軍部にしてもあるいは研究者にしても、実際に動員されている方々のイメージにあるのは、飛んでくる核兵器のうちの何%かを撃ち落とせればいいというふうにしか理解していない、そういうのをSDIの(2)と言うわけです。 マクナマラは、そういうふうにSDIというものを分類して考えないと話にならぬということを言い、政治的な議論の対象になり得ないということを言っているわけですが、この点に関してどうお考えになりますか。
○説明員(岡本行夫君) SDIの究極の目標といたしますところは先般来御説明のとおりでございますが、それに至る具体的な手順ないし研究計画の進め方として、今先生がお使いになりましたSDI(1)というものを、すなわち究極的な核兵器の廃絶を目指した完全な防衛システムを一挙に目指すのか、それともそのプロセスで部分的にせよ米国及び同盟国の平和を守るためのシステムを目指すのかというところについては、二つの考え方があるわけでございますが、いずれにいたしましても、それは基本的な思想、考え方の差ということではございませんで、そのときどきの技術水準に対する評価によりまして一挙に最終的な目標までいくのか、あるいはまずは、とりあえずは部分的なものでやっていくのか、そのところの意見の差と承知しておりまして、私どものSDI参加の基本認識との関係では、そこは決定的な問題とは考えておらない次第でございます。
○伏見康治君 SDIが技術的に可能であるかどうかという議論は、私は物理屋でございますから、アメリカの物理学者たちが甲論乙駁でもって大変な研究をしているということはよく承知しているわけなんです。その初期のころにはユニオン・オブ・コンサーンド・サイエンティスツという科学者のグループがありまして、そのグループの中にはIBMの研究所のガーウィンであるとか、あるいはノーベル賞をもらったハンス・ベーテとかいったような偉い人がたくさん入っておりますが、そこが非常に早い時期からSDIの技術的可能性を議論いたしまして、これは大変な夢物語にすぎない、それを達成するためにはいろんな、例えばレーザーならレーザービームのインテンシティーを百倍にも千倍にもしなければだめなんだと、そんなことが簡単にできるはずがないということで、非常に難しいことを主張していたわけです。 それはいわゆる何といいますか、反核的な方々、つまりイデオロギーを持った方々のお話であったかもしれないんですが、最近になりましてアメリカン・フィジカル・ソサエティー、アメリカ物理学会が非常にセレクトされた、それから今まで余りそういう政治的な論争に加わっていなかった方々を総動員いたしまして、SDIの中に幾つかの兵器が区別をされております。その中にDEW、ダイレクテッド・エナジー・ウエポンズというのがございますが、その部分についてアメリカン・フィジカル・ソサエティーの方々が寄り集まってそれを一年半ぐらいかかって吟味して、そしてそれをまた国防省に渡して、公表して差し支えないかどうかをさんざん何カ月もかかって吟味させた上で公表したものがこの四月ごろ出ております。 そういう出ておりますものを見ますというと、本質的には前に申しましたユニオン・オブ・コンサーンド・サイエンティスツの分析と変わりがないわけでして、いずれも現在持っているそういうレーザーとかいろいろな粒子ビームといったもののインデンシティーではとても足りない。それを画期的に本当に二けたも三けたも増強しなけりゃならない、そのためには長い間の年月の研究が必要で、今世紀中にできそうもないという意味の結論を出しておられるわけです。そういう非常に客観的な科学技術者の結論だと思うんですが、この結論を日本政府としてはどう考えているんですか。
○説明員(岡本行夫君) レーガン大統領の提唱いたしましたSDI研究計画というのは、先ほども御説明いたしましたとおり、実際に開発、配備に進むことがまず第一に技術的に可能かどうかを見きわめるためのプロジェクトでございます。したがいましてその過程では、さまざまな科学者の方々からその実現性について懐疑的な見方が表明 されるような場面もあるかもしれませんが、米国政府全体として、また今この研究計画に携わっておられる科学者の方々全体としては、今までどおりこの計画というものが実現可能なのではないかという認識のもとに研究を進め、また議会もそれに応じて研究費をつけているものと理解しております。
○伏見康治君 そういう理解の仕方もありますけれども、同時にその理解は極めて危険なものを含んでいると思うんですね。つまりマクナマラの言うSDIの(1)というのは、事によると成功したら大したことかもしれない。SDIの(2)というものは戦略的に申しますと実は甚だ危険なものになってくるわけです。つまり、例えばレーザービームのインデンシティーが千倍にはならないけれども百倍にすることができたとする。そうするとその百倍ぐらいのものは、レーガン大統領の夢を実現することはできないけれども、しかし例えば探査衛星というものを撃ち落とすということはできる、目標が決まっていますからね。そういうわけで、中途半端なSDIの技術というものが進行するということは、東西間の現在核均衡が保たれていると言われているわけですが、その均衡を崩すおそれのある技術が出てくるおそれがあるわけです。そういうことに対する認識はどうなんですか。
○説明員(岡本行夫君) ただいまのお話で、SDI(2)、すなわち完全なシステムがだめだった場合に部分的なものを目指すという考え方は、私どもとしましては先ほど申し上げましたとおりプロセスの差と考えておりますが、さらに私どもの基本的な考え方を申し上げると、こういうことでございます。 すなわち完全無欠の防御のシステムというものができれば、これは抑止力というものを万全なものにする。ただそれに至らなくても、一〇〇%の防御というものが可能とはならなくても、部分的な防御システムをしくことにより、攻撃する側はみずからの攻撃能力に著しい不安感を抱く、したがってそれだけ抑止力というものが世界の中で高まるという考え方でございます。 米国はかねがね、米国の安全というものは同盟国と一体不可分のものと考えると表明しておりまして、私どももそのように認識しております。したがいまして、仮にいわゆるSDI(2)というようなものが、その時点時点で一つの考え方として相当な支持を集めていたといたしましても、私どもとしては基本的にそれでも抑止力というものは高まる、したがってこれは我が国の安全及び西側の安全に寄与するものである、このような認識でございます。
○伏見康治君 今の解釈は非常に何と申しますか、未熟というか、本当に素人的な分析でしかないと思うんですが、SDI問題はそういう技術的な問題も大事ですけれども、実はストラティジックな、戦略的な分析というものが非常に大事な問題だと思うんですね。日本としては、ソビエトとアメリカとの戦略的なつばぜり合いでかろうじて保たれている平和というものを、日本はそれを崩すようなお手伝いを一切してはならないはずだと思うんですが、非常に簡単な考え方で、ソビエトの方はSDI関係のものを持っていなくてアメリカ側だけが持ったとすれば、今かろうじて保たれているバランスというものが崩れてしまうということは非常に明らかだと思うんですね。 今まで、核のバランスのもとに戦後四十年間超大国の間に戦争が起こらすに済んできたということは、中曽根首相を初めとしてさまざまに言われているわけで、核の均衡というものが平和を保ってきたというのが認識だと思うんですね。その均衡を破るような新しい手段を考え出すということが非常に危険なものであるということは非常にまた明らかだと思うんですが、その点どうお考えになるんですか。
○説明員(岡本行夫君) 私どもの基本的な認識の出発点は、現在のように地球を何度も破壊し尽くせるような数の核兵器を米ソ両国が持つ、そしていわば世界の人々を人質に取り合うことによってかろうじて抑止というものが保たれている、これは冷厳な現実ではございますが、決して健全な姿ではない、決して安全な姿ではないというところから出発しております。したがって、今申し上げたような攻撃システムによる抑止の世界から防御のシステムによる抑止の世界へ移行することができれば、それはそれだけ世界の安全が高まるという考えでございます。 ただ、先生御指摘のように、その移行期において不安定な状況が出てくるということは理論的には十分可能でございます。それゆえにこそ、私どももその過程に当たっては、米ソ両国の十分な話し合い、そして軍備管理、軍縮交渉を、SDIによります攻撃システムから防御システムへの切りかえの試みと並行して行っていくことが不可欠であると考えている次第でございます。
○伏見康治君 今、核兵器による均衡による平和というものが、いかに不安定なもので、いかに恐るべきものであるかということは、今さら改めて説明されるといささか腹が立ってくるんです。私も核兵器廃絶の運動をやっておりますし、八月六日には中曽根さんと一緒に広島に慰霊祭に出かけているわけです。核兵器を廃絶しなきゃならぬということは、恐らく日本国民全部が共通した考え方であろうと思うんですね。ただそれをいかに実現していくかということについては、もっと深刻な議論をやって決めなけりゃならないはずだと思うんですが、そういう大事な議論を一体どこでしたんですか。
○説明員(岡本行夫君) 私どもがSDI計画に参加をする決定に先立ちましては、何度がにわたります調査団の派遣、もちろん政府部内での協議、関係閣僚会議の数次にわたる開催、このような十分な政府部内の論議を尽くして到達したものでございます。
○伏見康治君 何度かの調査団の派遣とか、閣僚の会議とかというのは、そういう戦略論というものはほとんどしてないと私は理解しております。そこで御議論になったのは、専ら日本がSDIに参加することによって先端技術に接触することができるかできないかという御議論をなすったんだと私は理解しております。ここは通産大臣、非常に関係があるお話でございますが、日本は長い間エコノミックアニマルと言われてきて、ついにそのアニマルが本性をあらわしてきたんじゃないかと思うんですけれども、こういうストラティジックな世界平和の問題といったようなものを議論すべきときに、先端技術でもうかる端緒が得られるかどうかというところに議論を集中してこられたというきらいが私はあったと思うんですが、そうお思いになりませんか。
○政府委員(児玉幸治君) SDIの研究計画というのは、先ほど外務省の方から説明があったとおりでございまして、内容的には確かに非常に現在の技術に比べまして数段進んだ技術というふうなものが出てくることは予想されるわけでございます。しかし、もちろんだからといって、ただいま伏見先生おっしゃいましたように、日本がそういった研究計画の中から、ただただ技術的な成果が欲しいからといってこれに参加をしようというふうなことが議論されたということではございません。むしろ先ほどから岡本課長の方からも御説明いたしましたように、いろいろな場で、さまざまな角度から検討された結果、日本がこのSDIの研究計画に参加するという方針が決まったものと承知いたしております。
○伏見康治君 今の御返答は、もちろんそういう御返答になるだろうとは思うんですけれども、それは恐らく事実に合ってないと思うんですね。できたSDIの協定をごらんになると、SDIの細々した研究過程での取り決めはあると思うんですけれども、SDIが成功したときにどうするかということに関しては句にも書いてないですね。つまりストラティジックな観点というものを全然欠いている協定だと私は思うんです。つまり議論したのは先端技術に触れることがうまくできるかどうか、アメリカの軍事秘密の中にうまくとらわれずに日本の民生利用ができるかどうかというこ とだけに注意を集中して議論されたのだと私は受けとるんですが、そうじゃないん、ですか。
○政府委員(児玉幸治君) SDIの研究計画への参加というのは、これはアメリカ側からも日本が参加しないかという要請があったわけでございますが、それはアメリカも決して日本にただただ一方的にそういうSDIの研究成果を与えるというふうなことから参加を要請してきたわけじゃないのでございまして、戦後、ここまで発展してまいりました日本の技術といったものに対する期待がもちろんあるわけでございます。 私ども政府全体といたしましても、その点についての検討を十分いたしたわけでございまして、参加をするということは、やはり一緒に研究をして、一緒に成果を生み出すということでございまして、そういった観点からこの問題には取り組んだわけでございます。決してアメリカの研究開発の成果を日本に持ってくるというふうなことを頭に置いて検討いたしたわけではございません。
○伏見康治君 中曽根さんは、例えば日本の教育改革をしなくちゃならぬということで臨時教育審議会をお置きになって、何年にもわたって審議させているわけですね。もちろん教育改革も非常に大事な問題だと、念を入れて大変結構だと思うんですが、SDIというものも僕は教育改革に匹敵するぐらい重大な問題だと思うんですね。少なくとも中曽根さんは御自分のブレーンがたくさんおありになるんですから、何か審議会をおつくりになって、そこで何年間かニュークリアストラティジーの勉強をさせてからおやりになるべきであったと思うんですが、そういう手順を踏まなかったのはどういうわけですか。
○説明員(岡本行夫君) 先ほど申し上げましたような政府部内の会議の過程におきましては、私どもあらゆる角度からの議論を尽くしたわけでございますが、私どもがアメリカに調査団を派遣いたしましたときには、民間の方の御参加もいただきましたように、主として技術的な側面につきましては民間の方々とも緊密な協議をやってきたところでございます。戦略面につきましては、私どもの政府の部内の議論を行ったわけでございますが、一つ御理解いただきたいと思いますのは、私どもの今回のSDI研究計画への参加というのは、あくまでも既存の枠組み、法制の中で行ったもの、すなわち私どもといたしまして特別な措置をとらなくても日本の企業等のSDI参加というものは自由である、それを一層円滑化するための決定を行って、今回協定としたものであるという点でございます。
○伏見康治君 そのお答えは、要するに日本はSDI問題に関連しては戦略問題は余りやらなかった、エコノミックアニマルとして徹底したんだというふうに私は理解いたします。 私は、アメリカの中でのSDIのいろいろな議論というものを追求してみますというと、非常に、何というか、頼りない、頼りなさというものを感ずるわけですが、このSDIでもってアメリカの国内で、殊に先ほど申し上げましたマクナマラを中心にして一番論争の種になったのは、SDIという道具が一九七二年に締結した米ソ間のABM条約に反するのではないかという議論が非常に行われたことは御承知だろうと思うんですが、結局どうなったのかよく知りませんが、外務省はどういうふうに理解しているんですか。
○説明員(岡本行夫君) ここでABM条約の詳細に入ることは必ずしも適当でないと思いますが、一言で申し上げますと、米国としては、ABM条約にはこれを背馳しないようにやっていく、これはレーガン大統領が中曽根総理に約束したところでもございます。そして、いわゆる狭い解釈、広い解釈という二つの考え方があるわけでございますけれども、米国としては広い解釈というのも完全に可能である。つまり、ABM条約との関係で非常に幅広くSDI計画の正統性が読める議論でございますが、これでも可能であるけれども、当面は狭い解釈でやっていくんだということできておるわけでございます。アメリカ側のABM条約との関係につきましては、最終的に非常に細かい法律的な詰めも今まだ続いているところと承知しておりまして、まだ確定解釈が出たわけではございませんが、いずれにしても現在までの米国のお考え方では、これはABM条約とは全く背馳しないという態度でございます。
○伏見康治君 いずれにしても、ABM問題ともすれすれの問題であって、つまり現在の核兵器の極めて危険な平衡状態というものに触れかかっている問題であるということは明らかだと思うんです。 先ほどユニオン・オブ・コンサーンド・サイエンティスツの議論とか、あるいはAPSの議論といったようなものを御紹介いたしましたが、私自身の観点を申し上げますというと、アメリカにおいでこういう発想が出てきたという歴史と申しますか、時代背景といったようなものを申し上げておいた方が御参考になるかと思うので申し上げますが、この例えばダイレクテッド・エナジー・ウエポンズというもので、レーザーとか粒子ビームとかいうものが出てくるわけですが、こういうものに関する研究は基礎物理の連中が盛んに使っておりました道具でございまして、戦争直後ぐらいから加速器というものが画期的な発展を示しまして、昔ではとても考えられないような高速粒子をつくり出すというのに成功したことは皆さんもよく御承知だと思うんですが、最近では、日本で筑波の高エネルギー物理学研究所でもって、今のところ世界最高のエネルギーの電子ビームをつくり出してそれの衝突実験をやっております、今盛んにやっておる最中ですが。 そういう意味の加速器の発達とか、またそれに類する、例えばレーザーで申しますとレーザー核融合といったような、レーザーを当てることによって核融合を起こさせることができるかどうかといったような研究が長々続いておりまして、そういうSDIで問題になるようないろいろな技術の芽生えというものは、過去何十年にもわたって実は蓄積されているわけです。そして、その何十年にもわたって少しでも強いインデンシティーのものを得ようとする努力が積み重ねられてきているのが現状なのでございまして、今始まって、これから研究が開始されるというものではないということに、特に大臣に注目していただきたいと思うんです。 今これから始まる実験ですというと、事によると十倍にし百倍にするということはわけないことであるのかもしれないと思うんですが、今まで何十年も長年にわたって研究し続けてきたものが、あと十年でもって画期的に伸びるということは到底考えられないと思うんですね。そして、アメリカではこういうことをやっておられました研究者たちがロスアラモスとかリバモアとかオークリッジとかいうところにたくさんおられますが、そういう方々がそういう方面の研究が実はみんな行き詰まり出して、研究費がだんだん実は減らされて、研究者として弱った状態に陥っていたわけです。そこに救いの神のようにSDIが出てきたものですから、皆さんそれの方に飛びついて、お金をもらって皆さんいそいそとやっておられるということにすぎないのであって、レーガンの夢を実現するような方向——方向はそうでしょうけれども、それに至る距離は物すごく長いものだということを理解しておいていただいた方が今後のためによかろうと思います。 私と大体同年代の物理学者で、何ともしようのない人だと思うんですが、エドワード・テラーというリバモア研究所の元所長だった方がおられまして、この先生が徹底的な反ソ主義者でして、もともとハンガリー出のユダヤ人ですが、ハンガリーはソビエトに何度も侵入されていじめられたことがあるとみえて徹底的な反ソ主義者でございまして、絶えずソビエトをおどかすような機械を次から次へ発明して、中でも一番有名なお話は、オッペンハイマーと論争いたしまして、オッペンハイマーは水素爆弾をつくらなくてもいいと言うのを押し切って、ついに水素爆弾をつくるというところへ持っていったので有名な人ですが、そのエドワード・テラーがいまだに健在で、アメリカ の技術的世界を牛耳っているというのはいささか恐るべきことだと私は考えているわけです。そういう非常に偏った人のもので物事が動いているというものであるということも、大臣はよく気をつけておいていただきたいと思います。 これからの起こるべきことについてあらかじめ質問していきたいと思うんですが、今のところはとにかく研究段階であると認めて参加なすっていると。その研究段階が開発段階に行く、あるいは開発から配備の段階に行くといったようなところの区別というものは、どういうふうにしてなさるんですか。
○説明員(岡本行夫君) 研究、開発、配備という各段階の定義は、これはまた非常に難しゅうございまして、御質問があればお答えいたしますが、私どもとしては、現在の研究段階への参加というものは、先ほど申し上げましたように、SDI構想というものが技術的に可能なものかどうか見きわめをつける、そのような段階のプロジェクトと承知しております。そのために多数の関連プロジェクトを推進しているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、先ほども申し上げましたとおり、配備に至るというようなことであれば、当然これは米国からの協議がございますし、その段階で私どもの対応策を決めていく、こういうことでございます。
○伏見康治君 その段階というものは極めて連続的であって、外部から眺めていてはなかなかわからないはずだと思うんですが、その研究段階から開発段階に移るときにはどうするという取り決めが協定の中にあるんですか。
○説明員(岡本行夫君) 協定の中にそのような具体的な規定はございません。一言で言いますと、開発というのは研究計画のもとで研究が終了いたしまして、その研究の成果を実際に配備するために実用化するまでの段階を言うものと考えております。 すなわち平たい言葉で言えば、研究いたしました結果、得られました技術というものを集めまして新しいシステムをつくるまでが、これが一般的に開発と私どもが観念しているところでございます。
○伏見康治君 皆さんは研究、開発の実際問題に参加したことがない方々の集まりじゃないかと思うんですが、私は幸か不幸か核融合というものにこだわりまして、もう二十何年前からかかかわってきたわけですが、核融合というものは将来の理想的なエネルギー源であるということで、非常にロングレンジな研究に入ったわけですね。 初めは、インドのハーバーという先生が予言をいたしまして、核融合は二十年たったら物になるという予言をしたわけですが、二十年たってもちっとも物にならないわけです。今や三十年に近くなってきて、ようやくことしじゅうに原理の原理ですね、物理的原理が立証されるかどうかというところに来ているわけです。そして、それが済みましても、今大臣、東海村へいらしたら核融合の装置をぜひごらんになるといいと思うんですが、JT60という機械、極めて巨大な機械でございまして、二千億円ぐらいお金かかっているんですよ。それでも実際上の役には何にも立たないんです。本当のピュアな実験装置なんです。それの段階から本物をつくる、その実験が成功したとして本物の設計にかかるわけですが、それもいきなりエネルギーを出すような機械に移るということはとてもできませんので、その途中に何段階も何段階も、つまり研究のアイテムは変わってきますけれども、理学的研究段階から工学的な研究段階に入りますと、研究の目的、分野は違ってきますけれども、さらに研究を重ねていかなけりゃ物にならないわけです。 そういう研究が何十年も続いて、ようやく核融合が来世紀の半ばには実現するだろうと私個人は希望しておりますけれども、とにかくそういう研究、開発というものは大変なものであるということの認識が恐らく外務省の方々にはわかっていないんじゃないかと思うんです。つまり、いつ研究が終わって、いつ開発になるかなんという区別がつくもんじゃないですよ、実際問題として。何かその歯どめをつけておかなけりゃ、ずるずるべったりに兵器の段階まで引きずり込まれることは非常に明らかだと思うんですが、どうしてそういう歯どめをつけておかなかったんですか。
○説明員(岡本行夫君) 研究と開発の間にどのような厳密な一線が画せるかということは、ただいま御専門家であられます先生御指摘のとおり、非常に難しい問題が含まれていると思います。 私どもは、現在の段階で米国がやっていること、すなわちSDIの構想を実現することができるかどうか見きわめるための研究活動、実験活動というものを研究計画と認識しておりまして、そこから具体的な技術のコンポーネントが出てきまして、これは釈迦に説法のようで大変恐縮でございますけれども、コンポーネントのようなものが出てきまして、これを集めまして新しいシステムとしてつくってみる、そのシステムがうまくいくかどうかはその段階ではまだわからない、そのような段階を開発と一般的に認定しているわけでございます。私どものこれは研究計画ではございません。したがいまして、研究計画に参加していく過程で、米側とは詳しい協議、そして米側からの報告を受けていかなければならないと思いますが、そのような米側との話し合いの過程でも、私どもとしてはおのずから研究の段階と開発の段階との間には一つの認識、その差を認識できる基準が私どもとして得られていくものと思っております。
○伏見康治君 現実の協定の中にはないけれども、そういう区別をすることに努力いたしますということを信用いたしまして、次に移ります。 私がこのSDIというものにしてもあるいはココムの問題にいたしましても一番心配するのは、要するにアメリカの軍事化というものが、私は元科学者なものですから、特に基礎研究が軍事化されるということに対して非常に心配をしているわけです。 その観点からお伺いしたいんですが、アメリカ政府が近ごろ、特にレーガン政権下になってから、RD予算というのがございますが、そのRD予算のうち、純粋基礎研究に出すものとそれから軍事用のものと二色に分けまして、一体軍事用の研究費がどのくらいの割合で増加しているかという数字を教えていただきたいと思うんですが。
○説明員(岡本行夫君) 米国の予算書を見ますと、連邦政府の基礎研究予算というのは、まとめて言えば八六年には約八十億ドルでございます。それに対しまして国防省の研究開発予算、これは三百三十二億ドルという数字と承知しております。 ちなみに、前年、八五年について申し上げると、その数字はそれぞれ七十億ドル、二百七十八億ドルでございます。
○伏見康治君 もうちょっと、大昔の話の数字をおっしゃっていただけませんでしたが、一九八〇年代、つまりレーガン政権が出発した当時の割合を申しますと、ミリタリーなものとノンミリタリーのものがちょうど拮抗しているわけです。それがレーガン政権の中で大体普通の国の基礎研究に対して軍事研究の方が三倍から四倍ぐらいになっている。そういうふうに理解できると思うんです。こういう割合でアメリカの基礎研究は今やどんどん軍事研究の中にとりこになっている。先ほど申し上げましたいろいろな加速器というものは、実は極めて純粋な研究で軍事と全然関係ないはずなんですが、そういう加速器関係の科学技術者がどんどんミリタリーRアンドDの方へ吸い込まれていっているという事実を確認していただきたいと思います。アメリカ自身がそうなるのはアメリカの勝手と直言えるわけですが、日本がそういうお相伴になる必要はなかろうというのが私の観点ですけれども、しかしアメリカ自身がそうなることに対しても私は非常な心配をしているわけです。 と申しますのは、軍事研究というものは必ず秘密になる。その秘密になるということが学問の発達というものに対して非常に大きな阻害要因にな るということを私は感ずるからです。そしてアメリカは、今何といっても世界の基礎研究のいわば一大根拠になっているわけですね。ヨーロッパも依然として力を持っておりますが、アメリカがとにかくいろいろな先端技術の科学を生み出す最先進国になっているわけですが、その最先進国が軍事化されていきますというと、そのせっかくの基礎研究の優位性というものがどんどんこれからアメリカでは衰えていくのではなかろうか。ちょうど今まで貧乏だった日本が、むやみに金持ちになりましてアメリカの債権国になるという、想像もできないような事態が起こっているのと同じようなことが、基礎科学研究でも私は起こり得るのではないかということを感ずるわけです。そういうところまで私は日本はおつき合いする必要がないのではないか。できればアメリカ自身の基礎研究も日本の基礎研究も守っていただいて、西側諸国がいかにソビエト社会主義国に比べて基礎研究においてまさるかという、その意味での競争をしていただきたいと思うわけです。 そこで、今度は秘密についての問題を議論させていただきたいと思います。 少し個人的なことから申し上げて申しわけないんですが、私は一九六一年に初めて核融合の研究を始めるべく方々を見て回ったんですが、アメリカへ行きますというと、なかなか大変なんですね。どういうふうに大変かと申しますと、例えばロスアラモスの研究所というのは、これは原爆をつくった研究所ですから秘密の塊みたいなものです。そういうところへ私のような風来坊が行って見せてくれるわけがないと思っておりましたら、核融合に関しては見せてくれたわけです。核融合というのは原子力の一つでございますから、実は非常に初期の段階から、つまり日本人が核融合の平和利用なんということを考えるはるか以前から、実はロスアラモスではその研究をやっていたわけで、その間はずうっと秘密であったわけです。 その秘密が私が行ったその数年前にいわば秘密でなくなった。ディクラシファイという言葉がございまして、ディクラシファイされたわけです。そのディクラシファイされたところだけ見せていただけたわけですが、そのときに、私は案内してくれた方に質問したわけです。一体何がクラシファイされて、何がディクラシファイされているか。ディクラシファイされている方はまさに目の前で見せられたんです。わかっているんですが、クラシファイは何が一体クラシファイされているのですかということを伺いましたら、クラシファイされたものを言うことはクラシファイされているという御返事でございました。これは秘密というものにまつわる非常に根本的な点だと思うんですね。そういう観点で秘密の問題を少し考えていただきたいと思うんです。 ココムの問題で申しますというと、パリのどこかでもってお決めになった何かあるんでしょう。こういうものはいけないというリストがあるんでしょう。ココムリストと称するものがあるんだろうと思います。それはしかし秘密で、部外者は知らないわけです。それですが、しかしその秘密の条項を守るためには部外の人、商社の人にこういうものは輸出してはいけませんよということを知らせるリストがあるわけですね。しかしそのリストは、本物のリストとある程度の距離を置かなければ、余り密接していたら想像がついてしまいますから、相当距離を置いた、幅を持ったものであろうと思うんです。 そこで問題が起こってくるわけでして、部外者としては、本当のココムリストにひっかかっているか、ひっかかっていないかわからないわけです。用心した境界線はわかっていましてもね、中に入ったときにどこで捕まるかということがわからないわけです。本体まで教えてしまったら秘密が秘密でなくなるわけですから、それは教えられないんでしょう、秘密である以上はね。ですが、幅をどうするかというところは日本の行政上の裁量でもって相当伸縮自在なはずだと思うんですが、そういうことを実際お考えになって決めでいるんですか、どうですかということを伺いたい。
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、輸出令別表がココムリストそのものと厳密に一致していないことは事実でございます。ただ、厳密に一致していないのは、今御指摘になりましたように、必ずしもココムリストが秘密だからそれを隠ぺいするために意識的にずらしてあるということではございませんで、むしろ戦略物資の範囲は政令の中で、どういうものかということは通達で解説をしているところでございます。 それで、それじゃなぜ若干ずれておるのかというところでございますが、それはココムリストそのものは相当テクニカルにできておりまして、それを政令の品目にそのまま載せますと対象品目が非常にわかりにくくなってしまう、かえって何にひっかかるのかというのが企業なり国民なりにわかりにくくなってしまうという問題がございますので、政令指定の段階ではある程度わかりやすい表現にするということにさしていただいているわけでございます。無論品目も非常に近いものが対象になっておりますので、何にひっかかるかという点をあえて申し上げれば、広い方でひっかかるわけでございまして、そこのところはおわかりになるということでございます。
○伏見康治君 本物のココムリストよりは広い範囲内でやっているというお話はわかるわけですが、しかし本物のココムリストにひっかからない限りは輸出を許可しているんでしょう。
○政府委員(畠山襄君) さようでございます。
○伏見康治君 とすれば、輸出しようとする方は過去のいろんな経験みたいなものから、ここまでいけば本物にひっかかる、ここならば日本の規制にはひっかかるけれども実際は許してもらえるという経験的な判断をするわけじゃないんですか。
○政府委員(畠山襄君) そこは経験的な判断の要素もあると思いますが、戦略物資としての通達がございますので、その通達を見て判断をしていただいておるということでございます。
○伏見康治君 ちょっとわからないな。通達って何ですか。
○政府委員(畠山襄君) 政令の解説とでも言うべきものがございまして、そこで戦略物資の範囲を決めているわけでございます。例えば船舶でございますと、水中翼船とそれから脱磁装置を装着した船舶とか、そういうふうに書いてございまして、船舶一般というふうには書いてなくて、戦略物資として定義されているのは今申し上げたようなものだなということが企業の方はわかるわけでございます。
○伏見康治君 ココムのリスト、二つのリストの間の関係というものは上手にやっていただくことを希望しておいて、私は秘密保護の問題一般についてもう少し議論させていただきたいと思うんです。 今度のココム事件で東芝の会長と社長がやめたというのは、あれは政府が指図してそうしたんですか。
○国務大臣(田村元君) これは絶対に違います。あれはいつでございましたか、七月の一日でございました。東芝の会長と社長が来られまして私に会いたいということでお目にかかったんです。 そうしましたら、きょう、もう発表するんだと。実はやめることにしたと。ちょっとまあ待ってください。ちょっと驚きましたよ、私も事務次官の福川君も驚きまして、余りにも唐突過ぎるが、もうあと何時間かで発表と。まあそれは民間企業のことだから、人事のことですから、我々くちばしを入れるわけにはいかないけれども、いかにも唐突だが、と言って、しかもあなたの方で何の関係もないとおっしゃっておられながら引責辞職ということはいかがなものであろうかと。そのときの私の気持ちとしては、関係のない者が引責辞職すれば、関係があるようになっちまうんですね。ですから、それがありましたから、私はそこで疑念挟みまして申し上げたけれども、もういろんな社内的な手順は全部踏んで、それできょうはごあいさつに参りましたと、こういうことでございました。 政府の関与というのは一切ございません。
○伏見康治君 世間では、通産大臣は知らなくても、通産大臣の頭越しに何か行われたんじゃないかというふうに考えていますね。先ほど、午前中も梶原さんのお話の中に瀬島さんの話が出てきましたが、瀬島さんが失脚したのも何か上の方からの指図だろうという巷間のうわさがありますんですが、それはどうお思いになります。
○国務大臣(田村元君) 瀬島さんという方は、私は余りおつき合いがないので、過去二度ほどお目にかかった程度で、一度は国鉄問題で私は大論争したことがあります。私は経営形態を変更することに批判的だったものですから、当時運輸大臣をしておった関係もありまして。ということと、どこかの会合で一度お目にかかったことがある程度で存じませんが、瀬島さんの件は、何かたまたまもうそういう時期が来ておるときにこの問題と偶然重なったというふうに承っております。けれども、これに関して私は、おつき合いもない方ですし、特に私どもとの接触も何もありませんでしたから、これは存じ上げません。 それから、今の東芝の問題は、私の頭越しということはあり得ないと思うんです。といいますのは、対応するのは私でございますし、それから東芝機械の社長というのならば、あるいは東芝そのものが何かをやったというのであれば、あるいは私が遅疑逡巡しておるうちに頭越しといって進めるということは、それは世の中あるかもしれません。けれども、東芝は無縁なんです。ただグループの長であり、そうして出資率が非常に高いというだけの、過半数であるというだけのことでございます。 しかも東芝は、これはぜひ御理解いただきたいんですが、私も全然知らなかったのですけれども、偶然今度説明を聞いてわかったのは、むしろ他のグループの——他のやれ何グループ、何グループとございますね、そのグループよりも東芝はむしろ率先して関連企業の自主的な経営をさしておったと。一切本体がくちばしを入れなかったということで、それに踏み切ったということで非常に世間から称賛された珍しいケースなんですね。 そういうことでございますから、東芝の会長、社長が辞任すること自体、私は批判的でございます。今でも批判的でございますが、私の頭越しということはこれはあり得ないことだと、もしそういうことが事実仮にあったとすれば、今でも私は開き直りたい気持ちでございます。
○伏見康治君 そうであってほしいと私も思うんでございますが、今どこかで秘密保護法というものが一般に用意されていると伺っているもんですから、日本における秘密保護法というものの効果というものがアメリカにおける同じような法規制があったとしても、日本におけるそれは非常な害をなすものであるということを認識していただく材科にしたいんです。 つまり日本では、法律の上ではここまでだということが決まっておりましても、秘密の問題ですよ、実際に累を及ぼされるのは、はるか向こうまでいってしまうわけです。つまり全然関係がないと思っていた東芝の社長までやめざるを得ないような雰囲気が醸成されてしまうというのが、日本における秘密保護法の運命だと思うんですね。アメリカでたとえある種の秘密保護法がうまく動いているからといって、日本の風土に持ってきてうまくいくとは私は全然思えないんですな。それで将来秘密保護法がもし問題にされるようなときには、私はその点を大臣がよく気をつけていただくようにお願いいたしたいと思います。 先ほど何を秘密にするかは、クラシファイするかはクラシファイされているというお話を申し上げました。それから核融合の研究がある段階でディクラシファイされたということを申し上げましたが、そういう制度があるということを日本人はよく知らないもんですから、ディクラシファイされた段階で核融合に関するペーパーがアメリカの物理学会の雑誌にたくさん出たわけです。それで、そういうことを知らない日本人の多くは、そのとき急に核融合の研究が盛んになったんだという誤解をしたわけです。そのために核融合にとらわれていった人が随分たくさんいるんじゃないかと思って、僕はひそかに恐れているわけですが。物事を秘密にするというときには、その秘密を解除するという場合のことをあらかじめよく考えておかないといけないわけです。永久に秘密にしておくということは不可能だし、第一よろしくないわけです。先ほども申し上げました基礎研究というものにとっては、公開されているということがその発達のために非常に大きな条件になっているわけですね。 なぜアメリカが核融合をディクラシファイしたかといいますというと、その秘密のとばりの中でこそこそ保護されてやっている研究というものは非常に発達が鈍いわけです。みんな独善的になって、自分のやっていることは正しいと思って、同じようなことを繰り返しているだけのことに終わってしまいましてね。それで、ある段階で思い切ってディクラシファイして公開することに、自由な批判を受けることによって進歩を盛んにしようという、そういうポリシーに切りかえたわけですね。秘密というものを処置なさる上においては、そういういろいろな考慮ですね、つまり秘密にしたことによって出てくるいろいろな弊害といったようなものを絶えず補整していくといったようなメカニズムもちゃんと整えた保護立法でないとだめだと思うんですが、私は日本の秘密保護立法にはそういう用意がしてないと思います。 それで、少し細かいことになるんですけれども、今度のココムの契約あるいは前のSDIの契約といったようなところで、いつでも秘密ということが問題になると思うんですが、どういう秘密の契約をなすっているんでしょうか。
○説明員(岡本行夫君) 先にSDI協定の方について御説明させていただきますと、今般の協定の第三項におきまして、日米両国政府がSDI研究作業の実施のために提供され、または実施の過程で創出された情報については、それが秘密の情報である場合にはこれを保護するという約束がなされております。 しからば、その情報が秘密になるかどうかはどうやって決まるのかと申しますと、これは米国の資金を用いて行います研究計画でございますから、その秘密性の有無あるいは秘密の指定区分というものは、当然のことながら米国が米国の基準に従って行うことになるわけでございます。
○伏見康治君 伺いたいのは、日本はSDIに参加する場合に、新たに国内に秘密立法などはいたしませんという後藤田長官の言明に従って行われたんだと思うんですが、したがってそういう日本のメーカーがアメリカから何か問題をもらってその秘密事項を守るということは何によって守るんですか。
○政府委員(畠山襄君) 我が国企業などがSDI研究に参加する場合における秘密情報につきましては、まずその情報が日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の対象となる場合には当然同法で保護されますけれども、それ以外の秘密の情報につきましては、通産省と企業との間で取り決めを結びまして、必要な措置を講ずることをその企業に義務づけることといたしているわけでございます。ですから、無論通産省の職員がそこで秘密を漏らすことは国家公務員法の秘密保持の規定に違反するので、それはその既存の法律がございますが、企業側が漏らすことにつきましては、今申し上げた必要な措置を講ずることを企業にその取り決めで義務づけることにいたしているわけでございます。
○伏見康治君 それで伺いたいのは、その会社が何かの粗相によって秘密を漏らしたとする。どういうことになるんですか。
○政府委員(畠山襄君) その秘密を漏らしてしまったということになりますると、その企業と通産省との取り決めの違反ということになるわけでございまして、したがいまして当該取り決めの解除というようなことになってまいりますので、そういたしますと、その企業の少なくともSDI研究 計画への参加する地位とか、そういうものが取り消されるというようなことになってくるわけでございます。
○伏見康治君 それでは、そういう秘密を漏らしたという違反をしても刑事罰にはならないと理解してよろしいわけですね。
○政府委員(畠山襄君) 先ほどのMDA秘密保護協定の対象となる秘密を除きましては、企業側は刑事罰の対象にはなりません。
○伏見康治君 その企業とアメリカの軍部との話し合いに通産省のお役人は立ち会うわけですな。
○政府委員(畠山襄君) アメリカの軍部との話し合いに通産省が立ち会うかどうかということは、通常そのようなことはなくて、アメリカ側から情報は通産省に送られてまいりまして、その送られてきた情報を通産省がさっきの取り決め措置に基づいて当該企業に渡すと申しますか、供与すると、そういうふうに考えております。
○伏見康治君 そうしますと、とにかくお役人の方はその秘密を知ることになるわけですね。 それで伺いたいのは、そのお役人が何かの拍子にその秘密を漏らしたとするとどういうことになるわけですか。
○政府委員(畠山襄君) 通産省でございますと、国家公務員法百条の違反になりまして、職務上知り得た秘密を漏らしたということになりますので、その違反ということになります。
○伏見康治君 何か新聞によりますと、通産省の担当職員に対して守秘義務を強化した、防衛秘密保護規定そっくりをつくるという話が新聞に書いてあったのをごらんになったと思うんですが、そうなんですか。
○政府委員(畠山襄君) 新聞にそういうものが出ていたのみならず、御指摘のように、通産省といたしましては、先ほどの秘密を扱うことに今回なりますにつきまして、省内で規定をつくりまして、どういうものが秘密であって、だれが責任者でというようなことを決めていきたいと考えております。ただ、これは通産省の職員に対する刑事罰を強化するとかそういう性格のものではございませんで、秘密遵守をきちっとやれる組織をつくっておこうということでございます。
○伏見康治君 よくわからないんですが、とにかく罰則を強化する。そもそも今度の事件はお役人の方に粗相はなかったのか。お役人の方にも粗相があったんですか。
○政府委員(畠山襄君) 今度の事件とおっしゃるのは東芝機械事件の方だと思いますが、御指摘の粗相という定義に当たるかどうかということはございますけれども、私ども残念な点は幾つかございまして、最初は、五十六年ですかに非該当証明を、虚偽の申請書が来たときに、そのときにもっと徹底的に審査でもすればよかったかという点が一つあります。 それからもう一つは、六十年の十二月にパリのココムの事務局に投書が行きましたときに、十回ヒアリングをやっているわけでございますけれども、そのときに東芝機械の方は当然隠し立てをいたしたわけでございますが、その隠し立てを暴けなかったというようなことがございますので、そういった種々遺憾な点はあったわけでございます。
○伏見康治君 それで、今度職員の方の罰則を強化すればそういう落ち度はなくなるであろうということを、そういう意味での残念さがなくなるであろうことを期待しているわけですか。
○政府委員(畠山襄君) 今度の秘密保護のための規定を強化しようといいますのは、ココムの話ではございませんで、SDIの関係の話でございます。SDIの場合には、アメリカの金で研究した技術上の知識を日本にまず、例えば研究のためのバックグラウンド情報としてアメリカから渡ってくるわけでございますので、それが企業へ渡り、そしてその企業からどこかへ漏れちゃうというようなことがあってはいけない。無論、企業へ渡る前に通産省を経由いたしますので、通産省から漏れることがあってもいけない。そこで、責任者を明確にし、それから例えば秘密の表示を明確にし、それから受け渡しとか、そういうことについてきちっとしたルールをつくっておく、あるいは保管の方法を決めておくというようなことをやろうということでございます。 これはSDIに絡んででございまして、SDIというのはアメリカの軍事的な情報とかそういうものも含んでいるわけでございますので、特段そういうことをやろうということでございますが、ココムにつきましては、別に通産省がこの東芝機械事件で秘密を漏らしたとか、そういうケースではございませんし、そういう特別の組織をつくって云々ということは考えておりません。
○伏見康治君 SDIとココムとの話がこんがらがってしまって申しわけないんですが、私は本当はこんがらがってもいいんだと思うんです。 ところで、とにかく職員に対するそういう罰則というものが強化されるといったようなことは国会に語らなくていいんですか。
○政府委員(畠山襄君) 先ほど来申し上げておりますように、通産省の規定の内容は、職員に対する罰則を強化するものでは全くございません。秘密の責任者を明確にする、それから表示、これが秘密文書ですよとかいう表示を明確にする、それから保管方法を厳格にする、ただロッカーにぼんと入れておくというようなことじゃなくて、厳格にするというような性質のことでございまして、個々の公務員に対する秘密漏えいの場合の罰則を強化するとかいうことではございません。
○伏見康治君 そろそろおしまいになりましたので、最後に大臣にお伺いしたいんですが、前からおっしゃっていることを繰り返すだけのことになるので申しわけないんですけれども、中曽根さんの言い方に従えば、西側の一員としてアメリカさんとのおつき合いを軍事的な面でもある程度やらなくちゃならないという一つの要請がございますね。それと通産大臣が一番大事に思っている通商の自由の原則というものとがここで衝突しているわけでございますが、それを大臣としては上手に二つの矛盾した要求をうまくさばいていかれるはずだと思うんですが、どういう御方針でそれをさばいていかれるか教えていただいて、それで最後にいたしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 役所それぞれの使命感あるいは考え方というものがございますし、また政治家も人それぞれに考え方があると思います。私は、通産省はやはり自由経済という大旆をいささかもおろすことなく、日本の経済はもちろん、国際経済との整合性を保ちながら健全な発展を遂げせしめるということの使命感というものはあるはずでございます。外務省には外務省なりの、防衛庁には防衛庁なりのそれぞれの使命感があると思うんです。たまたま私自身の考え方が、一個の政治家としての考え方が自由貿易の大旆をいささかでもおろすべきじゃないという考え方でございましたし、そういうこともございまして、率直に言ってといいますか、むいた話といいますか、それはいろいろ議論ございましたけれども、お互いに意見を言い合うことはいいことでございましょうし、一つには情報交換にもなりましょうし、一つには切蹉琢磨にもなりましょうし、そういう点ではいいことだと思います。 そして今度のこの法案の改正の中身を見ましても、他のものとの違いといいますか、他のものが巻き添えを食らわないように、他の件については三年以下を据え置いて、そしてこういう問題だけ特掲したということで、特掲ということは、これは一種の特例でございますから、でございますから、そういうことで時代の要請、また国家的な要請、政府部内の整合性等々、いろんな面からいってまあまあここいらは妥当な線に落ちつけたんじゃなかろうかというふうに思っております。 ただ、法律がどうあれ、あるいは官庁間の話し合いがどうあれ、要は今後の基本的な考え方をどのようにキープするか、あるいはまた自分たちの理想にどう生きるか、それが現実とどういうふうなすり合わせが要るか、いろいろございますでしょう。私は、通産官僚が非常に優秀だと思いますが、この基本的な通産省の誇りとも言うべき自由 経済を守るという考え方はきっと堅持してくれると思っております。見ておりまして、まあ局長連中を前に置いて言うのもおかしいんですけれども、次官とか局長というのは相当世なれた連中もおりますけれども、若い補佐官あるいは課長クラスと話し合いますと本当に心が晴れ晴れいたします。でございますから、きっと将来御安心願えるんじゃないでしょうか。あえて私の率直な気持ちを申し上げました。
○伏見康治君 もう僕は時間が来たと思って錯覚したんですが、まだ三十分あるそうで、改めて問題を起こしたいと思います。ただもう秘密の問題はいささか食傷いたしましたので、話題を変えまして、多分通産大臣なら喜んでいただけるだろうという課題の方に変えたいと思うんです。 貿易上のいろいろな困難を避けるために内需拡大ということが今しきりに言われておりますのですが、その内需拡大ということに対するいろんなお話が出ているんですけれども、どうも私には方向が納得しかねるので、少し意見を述べてみたいんですが、まず大臣としてはどういうことをお考えになっているか、伺わさしていただきたい。
○国務大臣(田村元君) 内需拡大の意味でございますか、あるいはなぜ内需拡大策をとったかということでございましょうか。
○伏見康治君 いえ、内需拡大を具体的にやるのには何を、例えば道路をたくさんつくるとかというようなお話がございますので、通産大臣としては何をおやりになるおつもりかということ。
○国務大臣(田村元君) 先生にこういうことを申し上げるのは本当に、私は実は先ほどから余り答弁の先頭に立ちませんでしたのは、非常に著名な理学者であられる先生が専門的な面で御質問になったものですから御遠慮申し上げておりました。 あえて率直に申し上げますと、内需拡大あるいは財政赤字の削減、アメリカはこういうことをやる、日本やドイツはこういうことをやる。これは需要と供給のバランスというものが、日独は大体よく似ているけれども、アメリカの場合逆である。だから、アメリカは供給能力をもっと強くしなきゃいかぬ、日本の場合は需要能力をもっと高める必要がある。それはそのとおり。でございますから、何に中心ということを即断することはいかがなものであろうかというふうに私は思います。人によっては減税というものを強く言う方もあります。特に、西ドイツにおきましては、社会資本がもう充実しており、ストックが十分ございますから減税中心主義をとりました。日本の場合は、社会資本のストックというものがまだまだ足りませんから、公共事業というものを中心に減税との組み合わせということで六兆円程度の緊急対策をとったということでございます。 私は、内需拡大策を恐らくこれから何年間がとらなきゃいけないと思います。単発じゃいけないと思います。でございますが、この内需拡大策というものについて、中身はこれというふうに非常に短絡的に限定するよりは、いろいろな面でやはりその都度その都度の判断で組み合わせていくべきじゃなかろうか。 特に今度内需拡大について私が強く主張しましたのは、なかなか財政当局も簡単にうんと言ってくれておりませんけれども、今もなお主張しておりますが、これはあるいは先生に褒めていただけることかもしれませんけれども、私は技術開発というものは公共投資の先行投資だと、こういうことを言って、通産省が言う内需拡大策に対する主張というものは必ずしも通産省の所管だけじゃございませんから、他省庁全部のを含めますから、そういう点で技術開発等を先行投資として公共投資の中に含めというような問題、それから税制問題は国会で今やっておられますけれども、それに対して私がとかく論評することはできませんが、生活実感というものをこの際もっとゆとりある豊かなものにしたらどうだろうか。OECDが出しております購買力平価というものを生活実感の点から取り上げますと二百二、三十円になります。というようなこともございますから、そういう点も十分に気をつけて、公共投資の中でも生活環境等を中心にするとか、いろんなことを考えたらどうだろうか。 それからまた、午前中にもちょっと申し上げましたが、内需拡大というのは、国内の景気を浮揚し、そして外需を内需に転換せしめるという大きな意義がございますが、シェア拡大主義を大企業がとっておる間は、私はよほど警戒しなければいけない、このように思うんです。つまり、内需で力をつけた企業が外需へ殴り込みをかけるということになりますれば、貿易摩擦は一段と激しくなり、そして陰湿なものになってまいりますから、そういう点は十分に気をつけた方がいいのではなかろうか。これからもちろん行政指導限界はあるにしても、事ある。とにぎりぎりの努力は続けていかなければいけないよということを局長連にもよく申しております。 そういうことを中心にして、内需の拡大策をこれから弾力的に、絶対量としては大体常識的な金額あるいは予算枠になるでしょうけれども、中身は弾力的に運用していく必要があるのではないだろうか。公共事業が非常に手っ取り早いことは事実でございますけれども、それはそれとして、これからいろいろな面から検討していく必要があるだろう、このように申しております。
○伏見康治君 大臣ありがとうございました。 私が申し上げたいのは、科学者としての立場からでございまして、そういう意味でお聞き取りを願いたいんです。 私はもう大分年でございますが、私の働き盛りのころは日本は大変貧乏でございまして、国際的な場面へ出ますと、いつもあちらさんから出席旅費をもらったりして、専らヨーロッパ、アメリカの人にたかることばかりやっていたんです。近ごろお金持ちになって自分の旅費ぐらいは払うようになってきたんです。ところが考えてみますと、出しておるべきお金を日本はついに今なお出していないという例が実は時々出てまいりまして、そのためにひどくおびえているわけなんでございます。つまり昔貧乏なときにはさんざん厄介になっておきながら、お金持ちになっても一向恩返しをしていないんではないかという感じを受けて非常に困るんです。 これは、実はきのう科学技術特別委員会で申したことなんですけれども、原子力の方の基礎になります放射線の影響、人体にどういう影響を及ぼすかということを国際的に決めるICRPという会議がございます。日本から最近原子力安全委員の田島英三さんという方が出席されることになって、その田島さんが調べたら、日本政府は何にもそれへ金を払っていない。つまり、一つのオフィスを構え、何人かの事務局がいて、そして何年かごとに一生懸命勉強した成果を発表しておられるわけですが、そういう費用が相当なものだと思うんですけれども、それに対して日本政府は何もコントリビュートしていない。アメリカのDOEやなんかはちゃんと金を出しているのだそうですが、そういう話を聞いてびっくり仰天したんです。 私自身の経験から申しますと、そうなった理由はわかるわけで、初期のころ日本の学者が出ていったときには貧乏でございましたので、専らお金の心配は向こうの方にさせておいて、日本は自分の旅費を都合するだけでもって参加していたと思うんですね。何か、どこか天から与えられたものに日本は参加しているという感じであったわけなんですが、この時代になりますというとそんなことを言っていられないわけなんで、そういうものは全部自分自身の力で支えるものだという考え直しをしないといけなくなっているわけなんですが、そういうものがほかにも実は非常にたくさん例があるんです。つま力、貧乏時代に厄介になる癖がついちゃったものですから、お金持ちになってもちっとも金を払わないという例が実はたくさんございまして、非常に恥ずかしい思いを繰り返しているんでございますが、通産大臣の御関係でも似たようなことがあるんじゃないかと思いますので、ひとつ気をつけていただきたい。 それから、そういう意味で発展途上国に対する いろいろなお金の還元も、もう少し意識的にやっていただいていいんじゃないかと思うんです。実はこの九月の十八日、それまでに国会が終わるかどうか知りませんけれども、実は中国に行きまして、第三世界科学アカデミーの第二回総会というのが北京で行われまして、それに出席するんでございますけれども、そういう会合にも恐らく日本は何にも金出してないんじゃないかと思うんです。そういうことがございますし、発展途上国のいろいろな催しがありますのに、もう少し日本は積極的にいろいろなサービスをしていいはずだと思うんです。私がとにかくそういう苦労をしたころには文部省もお金がなし、JICAへ行ってもお門違いだと言われるしということでもって、お助けしたいと思ってもできなかった思いが非常にたくさんあるものですから、少し意識的に大臣はそういうところを発掘していただいて、昔の義理を果たさなかったことを今になって果たすというのも変かもしれませんけれども、ひとつやっていただきたいというのがお願いなんでございます。 それから、本当の内需拡大の方ですが、大臣も言われましたように、技術開発投資ですか、そこをもう一歩進めて科学研究一般に対する投資をもっとふやしていただきたいということでございます。前からのひっかかりがございまして、先ほど申し上げました核融合の装置JT60なんというのは二千億も金をかけまして大変壮大なものをつくっていただいているんですが、それはスタートしたのが高度成長期でございまして、ちょうど予算の都合のつくときでございましたのでうまくいってしまった。それで進んできてしまったんですが、その後日本は金持ちになったのにもかかわらず政府は赤字続きなもんですから、結局それに似たような大プロジェクトが今ちょっと途絶えているんですね。 アメリカが例えばアポロ計画のような宇宙計画で世界を驚倒させて、あれもいわゆる利益という意味からいうと何の利益にもならないんですが、人間が月世界に行くという、そういう壮大なる夢を実現するという意味での投資ですね、そういう投資は基礎科学の分野にはたくさんあるわけでございまして、そういう方面に何とかお金が出るように、国は赤字でも民間のお金をそういう方面に動員できるような工夫を先生していただけないでしょうか。これが私のお願いでございまして、それで私の質問を終わりにいたします。
○国務大臣(田村元君) 全く私も同感でございます。私、先ほど技術という言葉を使いましたけれども、これは素人の私でございますので、そういう広義の意味での使い方をしたわけでございます。当然、基礎科学から全部含めた意味で申しました。 私、通産大臣になります前から、よく持論で厚生省の諸君に直言っておりますことは、今どんな予算を打ち切っても、あるいは増税しても、あるいは軍備を削っても、どんなことをしても、その金を全部がん撲滅の研究費に使うんだと言ったら国民は全員納得するだろうと、私はよくこれを申します。 また、私自身、実は私は余り人に言いたくないんですけれども、原爆被爆者でございます。いつも肌身離さず被爆者手帳というのは、どんなことがあるかわかりませんからいつもこうして持っておるわけでございます。それで、病院に行くときには一々この手帳を出して、何回でも病院に行くたびに経過をずっと述べなければならない。一番嫌なのはレントゲン検査でございます。私は毎年人間ドックに入りますけれども、レントゲン検査を受けるときは何とも気がめいてまいります。こんなレントゲンなんか使わないで、人間の体を全部さあっと調べられるような機器が開発されたらすばらしいだろうなと、いつもそう思いますが、まあ、これはちょっと私の平素の感想を申し述べたわけでございます。 先生が時間を大分残しておやめになったもんですから、ちょっと悪乗りをいたしましたけれども、全く同感でございまして、私もそう遠くない時期に退官ということでございましょう。けれども、退官しましても商工族の一議員としては残るわけでございますから、今後も、もちろん通産だけではございません、すべての省に対して^今おっしゃったような非常に高邁なお考えというものを忘れることなく発言もしていきたい、行動もしていきたいと思っております。 大変ありがとうございました。
○委員長(大木浩君) 約十分間休憩いたします。 午後三時十七分休憩 —————・————— 午後三時二十九分開会
○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○井上計君 大臣や政府委員の皆さんお疲れだと思いますが、あともうわずかの時間でありますから、ひとつ御辛抱をお願いをいたします。 七月の十二日ごろであったと思いますけれども、東芝機械のココム違反事件が大きな問題としてアメリカで取り上げられ、ヒステリックと思えるような行動をアメリカの議員たちが行っており、テレビ報道されました。そのときには大臣が訪米をされたわけでありますけれども、大臣訪米に先立って新聞記者にコメントされた中に、小村寿太郎氏の心境であると言われたことが新聞にあったと記憶しておりますけれども、なるほど大変大臣御苦労されておる、それから本当につらいアメリカ行きであるというふうなことを陰ながら同情申し上げておったわけでありますが、改めてそのときの御心境、それから法案を審議をしておるきょう現在の御心境、率直にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) ざっくばらんに申し上げますが、この事件が私に報告されましたのは大分進んでからでございますけれども、そのときに、事の重大性に私は非常に驚きまして、場合によったら職を辞さにゃならぬかという実は覚悟をいたしました。これはまだだれも責任どれ生言い出す前でございます。 といいますのは、私の持論でございますけれども、大臣機関説ということをよく言うんでありますが、こういうことが起こる——それは汚職とかそういうことは別ですけれども、こういうような問題が起こったときには、大臣がみずから自決することによって部下たちを守って、その前途を暗くしないようにしてやる、これが大臣だと、私はもうそういう気持ちでおりますから、部下からは一人もけが人を出さないで自分が責任とる。事実、五十六年の出来事でございますから、当時の連中の責任者というのはもうほとんど役所にいないわけです。そういうことを考えたんです。親しい友人といいますか、率直に言うと政府や党の親しい幹部に個人的にちょっと相談かけたんですけれども、ちょっとじっくり考えたらどうかと、こういうことでした。それで随分いろんなことを言った人もございましたけれども、人間というのは横着なもので、いつでもやめるわという腹を決めたら何を言われても怖いことはないもので、そういうことでアメリカへ行ったわけです。 私が小村寿太郎の心境といいますか、正確には小村寿太郎って人はつらかっただろうなと、こういうことを言ったわけですけれども、恐らくアメリカへ行ったらこてんぱんにやられるだろう、帰ってきたら帰ってきたで軟弱といってやられるだろう。私はおわびに行ったわけではありませんけれども、遺憾の意は表明した。それと陳謝とは違います。だけれども、帰ってくれば謝罪使がとかいろんなことを、向こうの事情も知らない人が恐らく言うだろうと、もうそれは覚悟しておりました。小村寿太郎という人はつらかっただろうという言葉になったわけでございますが、案の定アメリカへ行きましたら、行政府は非常によろしゅうございましたけれども、特に亡くなったボルドリッジというのは本当によくしてくれました。新聞 のキャンペーンまで彼がやってくれました。その新聞を私生涯の記念にと思って、ワシントンポストを持っておりますけれども。 そういうことでございましたが、上院はいつも申しますようにそれほどでもございませんでしたけれども、あの修正案を出したガーン議員においても非常にいんぎんな態度でございました。けれども、下院の軍事委員会というのは、十数人、十五、六人おったでしょうか、私に説明もさせない、質問攻めで、通訳の声が小さいとか、大きな声でがんがんがんがん言って、三百億ドル弁償せいとか何だかんだと言っておりました。ひたすらに歯を食いしばってまいりました。 それで、私はこれは誤解のないようにあえて申し上げますが、アメリカに行って何も約束しておりません。これだけはもうどうぞここで速記録にあえて残して、私は申し上げます。御理解を願いたい。約束は何もしておりません。我々はこのようにする所存であると、だからどうぞあなた方におかれては、行政府におかれては議会に対する、あなた方議会人はどうぞ中でよしなの取り扱いを願いたい、日米関係を損ねちゃいかぬのだということを訴えたわけでございます。 帰ってまいりましたら、案の定いろんな批評を受けました。中には屈辱外交ということを言った学者もおりましたし、いろんなことを言われましたが、ここのところずっと、七月——そうでございますね、六月の末からでしょうか、もうこれだけに専念してまいりました。 きょう、まだ今から時間がありますから、余り調子に乗ったこと直言えませんけれども、順調にこのように御審議をいただいて、この法案、もちろんこの法案だけが対応策じゃございませんけれども、一つの軸であることは間違いない、賛成の方も反対の方もいろいろとおっしゃいましたけれども、しかし法案審議が非常にスムーズに進んだ、そしていよいよ大詰めを迎えたという今この時期に、井上さんから心境はと尋ねられたのでございますが、今、私は言葉で言いあらわすことはまだ御遠慮申し上げなきゃなりませんが、感慨無量でございます。
○井上計君 ありがとうございました。 大臣のあの当時の悲壮な決意、また勇気等々については敬服をいたしておりましたが、改めて今御心境を伺って、心から敬意を表します。大臣のその心境、お気持ち、その責任感が、我々が懸念しておった、もっとこの問題がアメリカ側で大きくなるんではなかろうかと憂慮しておりましたが、これがやや鎮静化しておる大きな理由であろう、こう考えますと、改めて大臣の、また通産当局の御努力に敬意を表します。 さてそこで、最近というか、あれ以来の新聞報道等をずっと見て感ずることでありますけれども、現在我が国とアメリカの一般市民といいますか、特に議会筋との間で、商売ということについての考え方がかなり違っておるんではないかというふうに感ずることが多いんですね。確かに貿易摩擦問題が大きくなってまいりましてから、よくアメリカ側が言っておること、新聞報道等で見ますけれども、言えば日本はいい品物を安く売るからけしからぬ、こういうふうなこともしばしば出てまいりました。従来の商業常識で言いますと、よい品物を安く、そして需要者のニーズにこたえて売るというのが商売の当然常識であるわけですけれども、どうもそれが通らなくなったんではなかろうか、特に国際社会、特にアメリカにおいては通らなくなったんではなかろうかという印象さえ受けるんですけれども、したがってアメリカの常識がどうも我々から見ると非常識だと、日本の常識がアメリカでは非常識だと言われるような、そういう情勢にあるんではないかなということを感ずるんですが、大臣と御一緒に、あるいはまたそれぞれ独自で今回の問題等を通じて対米交渉に当たられました児玉局長や畠山局長は、そんなふうなことについてどんなふうな感じをお持ちになったのか、お聞かせをいただければと、こう思います。
○政府委員(児玉幸治君) 日本の企業の特に輸出面における振る舞いについて、日本で当然だと思うことがアメリカでは非常に批判の対象になるじゃないかという御指摘であろうかと思うのでございますが、最近起きました貿易摩擦問題、私昨年の六月から現在の局に参ったわけでございますけれども、行った途端が半導体の問題でございまして、その後工作機械の問題、自動車部品の問題、自動車そのものの問題、さらには今回のこういった問題等、息つく間もなくいろんな問題に対応してきたわけでございますが、確かに日本の企業の感覚としましては、お互いの顔を見ながら一生懸命競争いたしまして、そうして、おっしゃるとおりにいい品物を安い値段で供給するということに努力を払っておるわけでございます。 しかし、そうしたことで進んでいる間に、日本のそれぞれの産業の規模が非常に大きくなっているわけでございまして、仲間内の競争が、実は思いもかけないとばっちりを外部の関連産業に大きく及ぼしているというケースが出てきているわけでございますが、そのことに必ずしも十分気がつかないと申しましょうか、あるいはそこまで気を回すゆとりもなく競争しているといいましょうか、そういったようなことで、相手の国の産業から見ますと、何か皆殺しにされるのではないかというような恐怖心を与えているようなケースまで出てきたりいたしまして、そういったことが確かに摩擦問題の根っこのところに、非常に心理的な問題として私はあるのじゃないかなというふうに痛感したわけでございます。 したがって、日本の企業がこれから先ハイテクの分野でもますます力をつけていくと思うわけでございますけれども、それにつれて相手国の市場におけるプレゼンスというものがどんどん上がってくるわけでございまして、やはり我が身のずうたいの大きさとか、自分の行動が及ぼす相手の国の産業への影響であるとか、あるいは受け取られ万であるとか、こういったものにつきましては、やはり日本も従来の考え方を変えて対応していきませんと、非常に問題がこじれて、深刻になっていくのじゃないかなという点を懸念しているわけでございまして、これは折に触れて日本の関連産業の皆さん方にも強く警鐘を鳴らしているところでございます。
○政府委員(畠山襄君) 本件に関連して申し上げますと、やはり企業が虚偽の申請をしてこういう事件になってしまったということでございまして、それで一社がこういうことをいたしますと、ほかの企業もそういうことがあるのではないかというふうに疑われると思いますし、法律を破ることすらするのだから、ましてその法律に触れさえしなきゃ何でもしていいんじゃないかというふうに日本の企業は考えているのじゃないかというふうに思われますので、法律を破らないのは無論のこととして、やはり今の児玉局長のお話にも関連いたしますけれども、相手方の立場をそれなりに考えてやはり行動をしていただくようにすると、もう少し貿易摩擦その他も緩やかなものになるのではないかというふうに感じているところでございます。
○井上計君 今、両局長から、アメリカ側との折衝の中でお感じになったことを伺いました。 特に、今畠山局長言われたように、法律さえ破らなけりゃ何をやってもいいではないかという日本企業が多いのではないかという心配、疑いを向こうが持っておるということでありますが、我々がスピード違反にしても駐車違反にしても、何か捕まったら運が悪いのだというふうなことが通常言われておることが、やはり企業の中でもそんなふうな考え方が依然あるのではなかろうかという懸念もするわけですね。 先ほど同僚議員から、国益というふうなことでしばしば、加えてモラルという問題でお話がありました。そこで、国益とは何ぞやということを我々改めて考えなくちゃいけないと、こう思っておりますが、当然為政者はもちろんのこと、国民もやはり国益を考えて常に行動をする。しかし企業はやっぱり営利を目的とするのは当然でありますから、したがって国益と営利との今その調整、整 合性をどうするかということ等をもっと企業に考えてもらわなくちゃいけない、こういうふうに私は特にこのところ感じるわけですね。 だから、理想論やあるいは自分たちの思想あるいは立場だけで主張しても通らない時代、あるいはそれらのことを主張しておったんでは、先ほど言われた相手の立場を全く考えないという行動に出た場合に、それが果たして日本の国益として考えていいのかどうかということ、これらのことも十分考えていかなければいけない、そういう時代に入ってきておると、こう考えるんです。 ところで、商売で昔からよく言われておるわけですけれども、営利第一主義の商売でありましても、損して得とれということわざを昔から我々は聞いておるんですね。まさしく私は今回の対米摩擦問題、特にココム違反問題、今後のココム対策等々では、ときには損することがあるかもわからぬ。しかし、これから我が国のさらに安定と発展のためには、やはりときには損して得とるというふうなことが当然あってしかるべきだ、またそうでなければ、一方的に我が国だけが損だとかあるいは企業が困るとか損だとかということだけで、今回のこの問題、さらに今後の対策を考えると間違いではなかろうか、こういう私は感じを持っております。 先ほど大臣お述べになりました小村寿太郎の心境、これはやはりそういうふうなお気持ちであったろうと、こう考えるわけであります。 そこでもう一つは、現在我が国の輸出総額の約三九%が対米依存である。三九%、約四〇%近い貿易額をアメリカに依存していることがいいか悪いかという論議もありますが、それは別にして、いずれにしてもアメリカと仲よくしていかなければ、アメリカと協調しなければ我が国の今後の、さらに産業界の安定もあるいは国民生活の安定もないとするならば、私は、今回のこの外為法の一部改正等々については、いささかそういうふうな国益という観点に立った場合には、若干の企業のマイナスが起きるかもわからぬけれども、やはり当然ココム規制を遵守をして国民、特に輸出関連企業はそのように従ってもらわなくてはいけない、こういう感じを強く持っております。 そこで、それらの人たちに対してPRをされておりますけれどもまだまだ十分でないという問題、それからもう一つ、国民全部が、中にはやはり疑問を持っている人もまだいるようでありますから、そういう面についても今後もっとPRを通産省としても政府としてもやっていただきたい。これは要望でありますが、お考えがあればお聞かせをいただければ結構です。
○国務大臣(田村元君) 確かにおっしゃるとおりでございます。私、日米貿易というものを大切にしなきゃならぬ。また、西方の主要国、特にココム関係だけで日本の貿易の六割近くを占めておるという、そういうことで大切にしなきゃならぬことはもう当然でございます。 と同時に、私はやっぱり今の日本の貿易のあり方、あるいは商いのあり方というものを再検討する時期が来たんじゃなかろうか。例えば日本の輸出の依存度を見てみましても、対米が三八・五%、御指摘のとおりであります。八百五億ドルぐらいです。対ECが三百七億ドルぐらい、対東南アジアが四百十八億ドルぐらい、共産圏が百四十億ぐらいですね。というふうに見ますと、いかにもやはり一国に偏し過ぎておるような感じもするんです、率直に言って。 それで、今、私、西ドイツとの比較を勉強しておりますけれども、これを見ると、本当に西ドイツというのは偉大なやつだなと私ときどき思うんですが、例えば、何かにつけて非常に先取りしていくわけですね。それは、一つには、あの大戦直後の対応というのはまさにすばらしい。一つには、もう大きな戦争で負けた経験で十分知識を持っておるという点はあったでしょうけれども、確かにそれは言えると思います。 例えて言いますと、通貨の改革でも——ちょっと時間かかって申しわけありませんが、ドイツは一九四八年に貨幣供給量の九三%削減して、そしてその結果短期間でインフレを収束さして強いマルクにした、信頼回復をした。それから、日本の場合は、一九四六年に新田に切りかえて五百円以上の預金を封鎖して、そしてやったんですけれども、結局産業復興資金の貸し出しが続いてインフレを収束することはできなくて、ドッジ博士がやってきてようやく抑えた。抑えだということは、一つには占領軍の権力をもって抑えたというところがあったと思います。そのように金融政策一つとっても西ドイツというのは非常に先見性がある。 それから、一九四八年からマーケットを自由化しましたね。それで、EC発足と同時にほぼその自由化を達成しました。日本の場合は傾斜生産方式で、石炭などの基幹産業の国による育成等々いろいろなことがありまして、そして、輸出依存型経済成長構造というものが定着したとか、あるいは西ドイツはECが発足すると同時にもう事実上の国境を開放した、日本は海の中で、島でなお視野の狭いところがあったとかいろいろ、もちろんだからといって日本の方がはるかにすぐれた面も多々ありますけれども、向こうのすぐれたことだけを申し上げてもそういうことが言えると思います。 しかし、運のよさも向こうにあったと思います。西独は周辺に同程度に工業化された国々がいっぱいおって、水平分業というものが可能であったわけですね。日本の場合は近隣諸国にそういう国々がなかった。しかも朝鮮動乱というもので景気がよくなって、そして、何というか、アメリカ一辺倒でどんどんいった。ですから、日米の貿易総額は約千百億ドル、アメリカとECが約千三百億ドル、日・ECわずか四百四十七億ドルですから約四百五十億ドル。やはりECというマーケットというものをもっと重視して、そしてこれに対して対米貿易のダイバージョンだということでなしに、やはり拡大均衡ということを極めて明確に出していくという必要があるんじゃないか。と同時に、いつも申しますように、ニューAIDプラン等でこのASEAN諸国を中心としたアジアの諸国の二次産業型といいますか、輸出型産業の育成ということで日本も御協力申し上げて、そして日本がその国々に売りまくるんじゃなくて、これも拡大均衡をとりながらよきパートナーとして、よき近隣諸国として、ちょうどドイツにおけるECのごとくこれを育成していく、育成というと生意気になるかもしれませんが、そのように御協力申し上げていくという必要があるんじゃないか。それが一つでございます。 もう一つは、やっぱり大企業がシェア拡大主義はやめなきゃだめだということです。もうけるのはいいんですよ、何ももうける分には、商売は損するためにやるんじゃないんですから。けれども、このシェア拡大主義で、それが時に極端なディスカウントでダンピングだと言われたり、あるいは不当な殴り込みと言われたり、あるいは中には、相当な実業家の中にもアンタイドの資金、けしからぬ、そんなものが金もうけするんじゃないか、ひもつきが当たり前じゃないかというような暴論を吐く人もおる。やはり日本人の意識、特に実業家や政治家、官僚の意識というものの革命をもたらすようにしなきゃならぬのじゃないかとつくづく思います。ちょっと御質問にあるいはお答え得たかどうか疑問ですけれども。
○井上計君 公式の席上で、大臣からこのようにはっきりと今お考えをお聞かせをいただいたということは大変私は意義がある、こう思います 今、大臣お話しになった二つの問題、特に後段の大企業のシェア拡大主義というのは、これについては当然大企業は反省すべきだということは我々ももう長い間、私なんか三十年来言い続けてきたわけですが、しかし、自由である、すべて経済は自由経済の中では何をやっても構わない、当然許されるんだ、こういうふうないわば強者の論理がまかり通ってきておったところに、やはり現在の国際経済社会の中での日本の孤立化を招いておるやっぱりこれも原因だ、こう考えます。 したがって、要望でありますけれども、通産省 が、今大臣がおっしゃっていただいたような、そういうふうなことをもっと明確にひとつPRをしていただく、そうして従来、言えば若干、通産省も企業に対して、特に輸出等についてはやや遠慮ぎみの指導があったようにも私感じる点があるんですが、やはり国家百年の大計のためには、特に国外の安定のためにはそのようなことをもっと強く指導をしていただくもう時期に来ておる。あるいは今からでは若干遅いかもしらぬが、まだ今からでも遅くない、こう思いますが、特にこれはひとつ要望をしておきます。 時間が余りありませんが、そこで、今大臣お話しになりましたけれども、アメリカに対してもあるいはその他の諸国に対しても、日本の立場をもっと鮮明にし、反省は反省をする、言うことは言うというふうなことでなくてはいかぬ、こう考えるんです。 そこで、外務省にお伺いしたいんですが、最近やはり私が感じることですけれども、アメリカに対してどうも外務省は遠慮が多過ぎる。あるいは、きょうこの場の問題ではありませんけれども、中国に対しては特に遠慮し過ぎちゃって、我々としてはいら立ちを覚えるような、そういうふうな新聞報道もしばしばあるわけですね。中国問題きょうは問題ではありませんから、別にしますけれども。 そこで、今回のココム違反事件について外務省はどう対応されたのか。通産省の肩を持つわけではありませんけれども、先ほどの大臣の心境あるいは今までの御努力等から、我々はかなり通産省は最大限努力されたという評価をしている。ところが、どうも外務省の対応は、余り新聞に出ないせいもありますけれども、余りどうも、もうひとつ外務省及び腰であったりではなかろうか、こういう感じがするんです。 そこで、時間がありませんから具体的にお聞きしますけれども、六月二日の毎日新聞の報道では、アメリカ海軍のスパイ事件が大きく報道されていますね。元海軍の技術将校であったジョン・ウォーカー、それとその息子である空母ニミッツに乗り組んでおった者、またその実兄が元海軍の技術将校であった。この三人が組んでアメリカの機密書類をかなり長期間にわたってソ連に流しておったというふうなこと、これは事実でしょうね。後で何かジョン・ウォーカーは終身刑の二倍プラス十年というから、果たして何百年か知りませんが、懲役刑になっているわけですから、事実であろうと思いますけれども、これがソ連の海軍、特に潜水艦技術の改善、進歩に大変役立っておる事実があるわけですね。これはワインバーガー国防長官が深刻な損害をこうむったと発言していることがやはりこの新聞に報道されておるわけですが、そうすると我が国を含めた西側の自由諸国の安全保障に大変な影響を与えておるということが言えるわけですね。言えば、大変損害をこうむっておる、こういうふうな事実が発生したわけですが、そのときに、この問題について外務省はアメリカに対して抗議をされたのかどうか。直接関係のない親会社の東芝までがあのように非難されて、いろんな面で損害をこうむっているわけですが、それから考えると、この三人を雇っておったといいますか、使っておったアメリカ海軍の責任重大だろうと思うんですよ。にもかかわらず、アメリカに対しては何ら非難をしていない、アメリカ海軍は非難されていないということについてはいささか納得がいかない、こう考えておるんですが、外務省はこのことについてどのような対応をされましたか、お伺いいたします。
○説明員(赤尾信敏君) ただいま御指摘のありましたウォーカー事件の場合は、ココムの問題というよりはアメリカのスパイ事件だったというふうに私たちは了解しておるわけでございますが、こういうスパイ事件にせよ、ココム違反事件にせよ、本来自国の個人あるいは企業が犯した違反事件に対しては、その国が厳罰をもって処するというのが本来の趣旨でございます。そういう意味で、今御説明のありましたように、ウォーカー事件については、アメリカの国内法に基づきまして、アメリカの国防上に非常に大きな影響があったというアメリカ政府の判断に基づきまして、ウォーカーは終身刑以上の刑に処せられたということでございます。したがって、これにつきまして私たちはアメリカに抗議するということはやっておりません。あくまでこれは、アメリカが独自の法律に基づいてやることだという判断でございます。 他方、この東芝機械事件につきましても、私たちの立場はアメリカが日本に本来とやかく言うということではなくて、日本がみずからの判断で、国内の法令に従って東芝を、必要があれば、もしも違反等があれば処罰すべきだというふうに思っております。ただ一つ、東芝につきましてアメリカのいら立ちがここまで高じたということは、こういう重大な違反事件があった、それが日本を含む西側の安全保障にとって非常に大きな影響があったということ、十分事前にその違反事件が摘発されずに時効が来てしまった、九軸本体の輸出及び五軸本体の輸出については時効が来てしまったということ、別途通産省で行政罰、行政制裁を科されましたし、プログラムの輸出につきましては別途今検察が調べておりますけれども、その点が問題であったんじゃないかというふうに考えております。 いずれにつきましても、私たちは、今必要なことは再発防止に向けて、日本で同じようなことが起こらないように国内体制をしっかりすることだというふうに考えております。
○井上計君 アメリカの国内問題だから、したがって何ら抗議をしなかったということでありますが、それは外交儀礼上そうかしれませんけれども、東芝問題でアメリカがあれだけ日本の国内問題まで立ち入るような騒ぎ方をしておるんだから、国民感情からいえば当然アメリカが自分のところでやったことについて、日本だって正式の抗議であるかどうかは別として、何らかの意思表示、コメントをすることが当然じゃないかという感情はあるわけですね。 特に先ほど、アメリカ議会筋は、大臣が行かれたときに東芝に対して三百億ドルの損害賠償請求をするというふうな暴言もあったと聞きますと、では日本はアメリカに対して、西側の安全保障に大変損害を与えたということだから、一千億ドルぐらい損害賠償をするというふうな、何も正式にということは言いませんが、それぐらいの抗議が起きたって不思議はないけれども、外務省はどうも遠慮しておられたんではなかろうかという感じを強く受けておる。これはもう答弁結構ですが、そういうことであるということです。こういう考え方が国民の中に相当あるということを外務省はひとつ参考として聞きおいていただきたい、こう思います。 時間がありませんから、次に移ります。 ココムの申し合わせ参加国をふやしていく、また非参加国に対してもその趣旨を十分理解して協力してもらうということが今後ひとつ必要であろうと、こう思うんですが、それについて外務省、我が国としてどのような努力を行っているのか、これからそういう努力をしようという考えがあるのか、簡単で結構ですからお聞かせください。
○説明員(赤尾信敏君) ココムの参加国につきましては、二年前にスペインが参加しまして今は十六カ国ということでやっておりますが、確かに先生も御指摘のとおり、最近は、ヨーロッパにおきましては当然ですが、アジアにおきましてもあるいは大洋州地域におきましても、相当ハイテク製品をつくっている国が多いということ、あるいは日本等ココム参加国からそういう第三国に輸出されるものがさらにソ連圏へ、あるいはココム対象国に流出するというケースが非常に多いということもありまして、そういう第三国の協力を求めるということがココムの規制の実効性を確保する上で必要不可欠であるという認識があります。
○井上計君 そういう努力をされておるのか、これからどうされるのかということです。
○説明員(赤尾信敏君) そういうことで、ココムの場におきまして、十六カ国の間でどう対応する か、どう協力するかということを緊密に協議しておりますし、日本政府といたしましては、一応各国の分担というのがございますけれども、特に近隣のアジア諸国、例えば具体的には韓国とかシンガポール等が中心でございますけれども、そういう国にいろいろと協力を申し入れるということで日本としてはやっております。
○井上計君 申し入れておるんですか。
○説明員(赤尾信敏君) はい、やっております。
○井上計君 もっとそういうふうなココムの申し合わせを、非参加国に対しても理解してもらって協力してもらうような努力をさらに積極的にひとつされるべきだ、こう思います。要望しておきます。 あと改正案の中でちょっと一、二通産省に伺いますけれども、改正案の六十九条の四ですか、外務省との間で意見を交換をするということが規定されていますけれども、もし外務省との意見交換が必要であるということであるなら、当然私は防衛庁との意見交換も必要であろうと、こう考えるんですけれども、この法文の中には、なぜ外務省とだけというのを規定されたのか、防衛庁というふうなものが入らなかったのか、その間の経緯、それから理由、これをひとつお聞かせ願います。
○政府委員(畠山襄君) 改正後の六十九条の四には、今御指摘のように、外務大臣が国際情勢の総合的な分析、それから必要な情報を収集する立場にあるということでございますので、通産大臣との間で意見の交換を行う旨の規定を特に設けたわけでございます。 ただ、お答えに直接ならなくて恐縮でございますけれども、こういう規定を設けたからといいましても、別に防衛庁長官を初めとしますほかの国務大臣が、その所掌に基づいて通産大臣と意見の交換を行うことを何ら排除するものではないわけでございまして、私どもの理解では、防衛庁が同庁設置法の例えば六条の第十一号に基づいて、「国際的な平和及び安全の維持」の観点から通産大臣に意見はおっしゃれるというふうに考えております。
○井上計君 それは理解できます。わかりました。 ただ、この問題が特別立法があるいは外為法の改正かといって問題になったときに、外務省の主張がかなり強かったということも聞いております。それから審議官が我が党に、この問題についていつの段階でしたか、説明をされたときの私の印象としては、どうも通産省だけに任しておったんでは信用できぬと、だから外務省を云々というようなふうに、そうは言われませんでしたが、私はそういうふうなときに実は認識を持ったんです。だから外務省だけが入ってというふうなことでなければ結構ですが、ひとつこれからも必要な省庁とは十分緊密な連絡をとっていただく。といって、外務省が通産省を信用しないというふうなことで今後こういうふうなものが運用されたんでは、これは全くもって困る、こういう感じを持っておりますのであえて申し上げたわけであります。御答弁要りません、外務省。 それから次に通産省、先ほど梶原議員からもお話がありましたし、また大臣が、行革は優先しなくちゃいかぬけれども、必要な部署には当然増員をというふうなお答えがありました。結構でありますが、やはり違反防止のためには審査体制を強化していかなくちゃいかぬ。やはり人の性は善だといっても、中にはあえて営利第一主義でという人もなかなかなくならぬと思いますし、また中には、知らなくって、あるいはうかつにというふうなこともあるわけでありますから、審査体制は強化してもらわなくちゃいかぬ。そのためには人員増については、どうも伝えられておるような、お聞きしたような人数では到底足らぬではないかという感じを持ちますので一層の御努力をいただきたいのと、それから税関のチェック体制がもっともっと厳重といいますか、整備されなければまた問題が起きるということを感じますので、大蔵省と緊密なひとつ連絡をとり、協力をしていただく必要があろうと、こう考えます。 それからついでに、もう質問最後ですから申し上げます。これは質問というより要望でありますけれども、申請者が非常に多いために申請手続に手間取って、許可までに大変日数がかかっている。ココムのこともそうでしょうが、ココム以外の一般輸出申請についても相当時間がかかっておるというふうなことを実は聞いておるんですね。めったに行きませんが、通産省へ行ったときに通商課の前を通りますと、申請者が順番待っているので廊下まではみ出していることがありますよね、何か一日に何百人とかということで。だから、申請する者が何時間か、あるいは一日ぐらいかかる、そうして待つところがなくて廊下に立っておるというふうなことを見ると、これはココムにも間接的に関係あると思いますけれども、やはり輸出申請をする者に対してもうちょっと何かゆとりがあるといいますか、廊下へ立ちん坊しないでもいいように、もうちょっと広い場所で、待ち合わせ場所も時間待ちの何かいすでもあって、コーヒーまでとは言いませんけれども、ちょっとその辺に自分で水かお茶ぐらい飲めるぐらいのひとつ設備をしてやって、申請者がやっぱりゆっくりと待てるような、ゆっくり申請できるようなそういうゆとりを与えることも、私はまた今後のココムの違反の予防と間接的にはやっぱり関係があるのではないか、こういう感じがするわけであります。それらを含めて、やはり今後できるだけというか、もう絶対に違反を起こさないということのためにも、そういうことについても配慮していく必要があるのではなかろうか、こう考えますので、私の質問はこれで終わります。 御答弁いただくのに、八分間ありますから、大蔵省とどのように緊密な協力を考えておられるのか、それから貿易局長として通商課のいわば廊下まではみ出してずっと立ちん坊をしておる、大臣御存じかどうか知りませんけれども、そういうふうなことを少し緩和するために何かお考えがあるのかどうか、この二つをお伺いをいたします。
○政府委員(畠山襄君) まず税関との協力を強化する必要のあるのは井上委員御指摘のとおりでございまして、今回も税関でのチェックが非常に重要な要素を占めておったという面もあるわけでございます。そこで、通産大臣は税関長に対する法令上の指揮監督権もございますので、従来から日常の業務連絡を緊密に行ってきているところでございますが、今回の事件を契機としまして、大蔵省との間に両省審議官クラスで輸出管理強化対策連絡会というものを設けました。そして、これで現行の輸出管理行政の問題点の徹底的な洗い直し、それから不正輸出事件の再発防止策の検討、それから、その他情報交換というようなことで七月十日に第一回会合をして、以来毎月一回開催ということで連絡をしているところでございます。 それから第二の、通商課の御指摘のあの列でございますが、確かにあれは大変私どもも頭の痛い問題でございますので、一つはやはり審査に、受付事務に時間がかかるということが一つの原因でございますので、これを迅速化するように窓口をふやしていくということと、それから、やはりそうやっても少し並ばれるようなこともあると思いますので、御指摘のような点も踏まえて便宜を図るように心がけてまいりたいと思います。
○井上計君 終わります。
○木本平八郎君 いよいよこの法案審議も最後の段階になったわけですけれども、まず初めにこの法案に対する私のスタンスをちょっと御説明したいと思います。 私は、後の採決では渋々賛成しようと思っているわけです。私はもともと完全な自由化論者なんです、あらゆるものはもう自由化すべしと、貿易ももちろんのことですけれども。ところが今回のこの法案は、ほとんど問題がいろいろ論議されていますけれども、一番重要なのはやっぱり対米の思惑だと思うんです。その点につきましては後でまたゆっくり質問をさせていただきたいと思うんです。 それからもう一つは、この二日間の議論を聞いておりまして、実は私の国際感覚が狂っているん じゃないかなという、自信を失いかけている面がありますので、その辺をもう一度ここで皆さん方の御協力を得て自分でレビューしてみたいと考えているわけです。こういうスタンスで質問をさせていただきます。 まず一番初めは、東芝以外の違反企業の状況についてお聞きしたいわけです。この二日間いろいろ皆さんの御議論を聞いておりまして、そういう問題が全然出てこない。ところが、新聞によると五社ないし十社ぐらいが、内容はそんなに重大じゃないということらしいのですけれども、やはり疑いがあって通産省が今お調べになっているということなんですが、その辺の状況をまずお聞かせいただけませんか。
○政府委員(畠山襄君) 東芝機械事件以外に違反事件がございましたかどうかにつきましては、現在省内に特別検査チームを設けまして徹底的に調査中でございます。大臣からもこういうものの早期の摘発と申しましょうか、を通産省の手でやった方がいいという強い指示もありまして、現在調査中でございますが、ただ決定的な黒白をつけます調査にはやはり相当の時間が一件一件がかるものでございまして、現在調査が続いている最中でございます。したがいまして、恐縮でございますが、その調査内容については調査中でもございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○木本平八郎君 完全な形での報告というのはできないかもしれませんけれども、これだけの重要法案をかんかんがくがくやっているわけですから、その経過とか通産省が受けている感触とか、そういったものだけでも教えていただきたいと思うんですが。
○政府委員(畠山襄君) いろいろ例えば米側からの問い合わせでございますとか、あるいは一般の皆様からの御意見でございますとか、そういうことを契機にいたしまして複数の件数について調査を行っておりますけれども、現段階で、これは決定的に違反であるというような証拠を見出すまでに至ったケースはございません。 ただ、シロという心証を得たものについて一々公表いたしますことも、またこれ、はばかられるわけでございますので、申し立てがあって、そして一たん疑惑を受けたけれどもシロであったというようなことを、一々わざわざ世間に公表いたしますこともまたいかがかと思われますので、クロという確証が得られましたものについては、当然それは公表をしていく心構えでございますけれども、現在そういう確証を得たものはこの時点ではございませんものですから、それ以上のコメントは恐縮でございますが差し控えさせていただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 今貿易局長が申したとおりでございますが、私は貿易局長に、出るのは少なくとも過去のものばかりでございますから、東芝機械が出て、その後過去のものが出て、そしてまた新たなる責任追及というようなことはない、少なくとも君らにはないと思うよ、法改正して諸措置をした後で出てきたらこれは責任は重大だけれども。だからそこいらのことは、責任はおれがとるから安心して、外国から指摘されておろおろするようなみっともないまねをしないで、堂々と通産省の手で事実を明白にして、そして告発すべきものは告発しなさい、発表するものは発表しなさい。ただ、警察権を持っておりませんから、調べましても——警察が調べても黙否権行使というやつがあるわけですから、なかなかこれは難しい問題がございます。それから疑わしいというだけで発表をいたしますと、仮にそれが上場会社でございますと、大勢の株主等にも大変な迷惑をかけることも起こりますので、非常に慎重にはいたしておりますが、省内での対応は極めて厳しく対応しておるということでございます。
○木本平八郎君 今の田村大臣の意見に私も全く賛成なんです。それで、やはりほかから言われて後でおろおろするというのは一番まずいし、それから疑いをかけられた企業というのは、やはりこれはもう何千人の社員もおるわけですから、これはやはりシロであればはっきり発表して名誉回復を図ってやるというのは通産省の立場として必要だと思うんですね。 そこで実はお聞きしたいんですが、ここに英字新聞があるわけです。これによりますと、八月十五日付のシアトル発のAP伝で、日本の企業の五社名前が挙げられているわけですね。一番初めはコニカ・コーポレーション、これは小西六写真工業ですね、日本の方は。それからオリンパス・オプティカル・カンパニー、これはオリンパス光学ですね。それからアドバンテスト・コーポレーション、これは富士通の子会社ですな。それからウルバック・コーポレーション、これは日本真空技術です。それから最後はアネルバ・コーポレーション、これはNEC、日本電気の子会社ですね。この五つが非常に疑いを持たれて通産省から調べられているという記事があるわけですね。こういうことが出ているわけです。日本の新聞には出ませんけれども、みんなこれもう知っているわけですね。これは一体どうなっているのかということをお聞きしたいんですが。
○政府委員(畠山襄君) ただいま御指摘の会社について、例えば特別検査チームの中に入れて調査をしているというふうに申し上げたといたしますと、何か疑惑があるような感じがいたしますし、それから調べていないと申し上げますと、全く疑惑がないかのごときことにもなりますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○木本平八郎君 これは八月十五日なんですよ。もう二週間たっているわけですね。これ公表された企業にとっては大変なことなんですよ。そうしたらこれは、もう通産省今国会対策で忙しいかもしらぬけれども、必死になってこれすぐ調査して、そしてやっぱりシロならシロで言ってやるということが必要なんじゃないですか。
○政府委員(畠山襄君) ちょっと一般論で申し上げさせていただきますが、東芝機械の事件のときに、私どもは、六十年の十二月に最初投書がございまして、それから十回にわたってヒアリングをやって、そして東芝機械は、まあ言葉はあれでござ、いますが、しらを切り続けたわけでございます。その結果、私どもははっきりとした具体的な証拠は見られないということを三月に回答をいたしたわけでございますが、そうした回答を行ったこと自体が、通産省は一たんシロということを言ったというふうに世間で大変後で非難されたわけでございますので、私どもは二週間かそこらの短い期間で一つの企業のクロ・シロを簡単に結論づけて、それを本当はクロかもしれないものをシロであるというようなことを軽々に言うべきではないというふうに思っておりまして、そういう観点から、恐縮でございますがコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○木本平八郎君 後で、そういう通産省の行政のやり方について改めて問題出したいんですけれども、やはりこの際は、通産省が責任逃れしたり逃げたら、これはもうどんどん大きくなってしまう。ぼやのうちに消していくということがやっぱり必要なんじゃないかと思うんですね。だから、シロだと言って発表しておいて後でクロになったら、いやこれは申しわけございませんということで、殊に田村大臣はおれが責任持ってやるとおっしゃっているんだから、そういうクイックモーションというのですかアクションというのですか、ビビッドに動くということがこの際一番必要なことだと思うんですが、これは後でもう少し突っ込んで議論したいと思うんですけれどもね。 それで一方、この新聞によりますと、アメリカの議会は休会が明けますとすぐこの問題を取り上げるということを言っているわけですね。そのときに、向こうの方でまた取り上げられて、この五社がシロかクロか知りませんけれども、そういうふうになってくると一体何しているんだということになっちゃうと思うんですね。やはりそういうことで、もうここにはっきり、これは御存じでしょうこの新聞は。向こうもそれをはっきり宣言しているんだから、もうそろそろワシントンに訓令を出されなきゃいかぬと思うんですよ。これに対 してどういうふうに対処しろと事前に、どういうふうにロビーイングやるか知りませんけれども、対策やっておかないと、向こうの委員会のなにに任せるとまたおかしなことになると。それがどういうふうにおやりになるのか、これは外務省かもしれませんけれども、ちょっと今の方針、対策を、考え方ですね、姿勢というか、それをお聞かせいただきたいと思うんですがね。
○政府委員(畠山襄君) やはり特別検査チームの中での調査をできるだけ急ぐということが本筋であろうかと思いますので、その結論が出ましたら、それはなるべく早く、もし米側の照会があるものでございますれば、米側にそれを伝えてやるということが適当であろうかと考えております。
○木本平八郎君 今のそういうふうな対応で私は本当に今後いけるのかどうかという心配があるんですがね。それで、日本の今までのそういうやり方が不必要に、アメリカだけじゃなくて、外国とのフリクションを起こしてきたという私は印象を持っているんですがね。それじゃ、せめて今特別チームで、審査チームで扱っておられるのは大体例社ぐらいあるのか、それはお聞かせできませんかね。
○政府委員(畠山襄君) 非常に難しゅうございまして、何と申しますか、問い合わせがあって、そして調べてみたらば全く何でもなかったものというものもございますし、全く何でもなさそうなものというのもありますし、それからもう少し調べてみなくちゃいけなさそうなものというようなものもありますし、少し疑わしいかなと思うようなものもありますし、申し上げたいのは、だんだん連続的にこうなっているわけでございますね。だから、ここで切って、ここからあれが何件だよというようなことを申し上げられるような性格のものでないということで御了解願いたいと思います。
○木本平八郎君 大臣にお聞きしたいんですが、今のような対応でやむを得ないのかもしれませんけれども、こういうことじゃ私は、今まではしようがないですけれども、こういう対応で。しかしこれからもそういう対応だとやっぱり問題がどんどん大きくなるんじゃないかという心配があるんですよね。大臣のお考えを聞かせていただけませんか。
○国務大臣(田村元君) 貿易局長にもっと具体的にとお尋ねになっても、この程度しか言えないと思うんですよ、率直なことを言って。 私がやや大胆に物を申せば、アメリカから入ってくるニュースも、アメリカの政府から大っぴらにそういうふうに新聞に出すような出し方をしたのは一件もありません、極秘で来るものはありますけれども。だから、そういうふうに出たということ自体は信憑性が高いと言えない場合もあるし、それを言うという意味じゃありませんが、あるいは仮に信憑性が高ければアメリカ政府の非常な慎重さを欠いた対応ということも言えましょう。そして、何か言ってくる、調べてみる。そうすると、いや実はそういう商談はあったけれども、我が万全然受ける意思ありません、契約する意思もありません。そういう話はあったけれども、はっきり断ってありますとか、いやあれはもう無理買いみたいなことを言ってきたけれども相手にしませんというのもありますし、中にはアメリカの高官と称する相当な高官がべらべらと固有名詞をしゃべって、そして事実無根であるのをしゃべって、アメリカの政府が公式に否定の声明をしなきゃならぬ、そういうようなものもございます。ちょっと日本の政府では考えられないような、まあよく言えばフランクなところがあるんでしょうけれども。そういうこともございますので一概に言えませんが、非常に厳しい調べをしておることは事実でございます。 ただ、その過程においてそれを一々発表するということになれば、企業の信用にもかかわりましょうし、はっきり悪いことをしたやつならもうどんどん出しますけれども、警察権もないということであればやはり慎重にならざるを得ないと、あのときの答弁もですね。調べは厳しいですけれども、お答えとしては、国会ですから、やはり慎重にならざるを得ないという官僚の立場もひとつ御理解を願いたい。
○木本平八郎君 今大臣が言われたように、これもしもシロであれば、これはもう厳重にアメリカに抗議申し込まにゃいかぬと思うんですね。これボンカーという、委員会の委員長でしょう。こういうようなのが軽々にこれやられたら、それはこの企業だけじゃなくて、日本の信用だって失っちゃうわけですよね。したがって、早くさっと調べて、すぐやらなきゃだめだと。 私は、申し上げたいのは、この件についてはまさかそういうことをなさろうとは思っていないんですけれども、とかく臭いものにふたをしておくとか、そのうちにほとぼりがさめるだろうとか、問題を先送りにしちゃうとか、そういう処理が多いんですね、今まで。こういう問題もまあそれはまた対応をうまくやれば、来年の今ごろになったらもうみんな忘れちゃうかもしれないうまくやればですよ。しかし、きょう現在、こういう問題は臭いものにふたをして済むような問題じゃないと思うんですね。したがって、もっとビビッドに動いていただきたいということなんです。まあ一応それ以上のお答えを聞こうと思っても無理なようですから、ただ、今後どういうふうに対応するかというのは、やっぱり省内でよくいろいろと御検討いただきたいと思うわけですね。 それで、ちょっと元へ戻りまして、先ほど私は、この法案には渋々賛成なんだということを申し上げましたけれども、その辺について、先ほどちょっと触れましたように、本件は対共産圏問題じゃなくて、私は対米問題だと思っています。これは先日来の答弁で、いや、日本独自の決定なんだと、こうおっしゃっていますけれども、それはまあ確かにおっしゃるのはいいんですけれども、国民の受けとめ方は、これはもう対米問題だと。今これだけアメリカとの間にも摩擦が大きくなってきて、次から次から問題が出てきている。 私、まあこれは簡単に言えば、昭和六十年ぐらいからですか、急激に五百億ドルとか、そういう貿易の黒字になってきている。対米的なインバランスも大きくなったと。去年は対米だけで五百十四億ドルですか、何かそれぐらいのインバランスができたわけですね。最近アメリカが非常にいら立っている。日本たたき、いわゆるジャパンバッシングが非常に厳しくなってきていると。まあ去年は、例えば半導体の問題でやられましたね。それで、あれも報復措置をとられて、何か電動工具までやられているわけですからね。あんなのだれが考えたってめちゃくちゃ、理不尽ですよね。 私はこの予算委員会のときに中曽根総理に申し上げたんですけれども、ベネチア・サミットに行くのに、そのときに私も、小村寿太郎のつもりで行ってもらいたいということを中曽根総理に申し上げたんですね。これはもう相当たたかれますよと。特に、これは後で農水省にお伺いするつもりですけれども、残存輸入制限品目の解除ぐらいはもう考えなきゃだめなんじゃないかと、こう言ったわけですけれども、ただ非常にベネチア・サミットは、向こうが出てきているのが行政府だったということと、日本の事前の工作というか対応が非常にうまかったので、余り問題にならずに済んだんですね。それで、ああうまく済んだんだなと、おれの国際感覚が狂っていたかなと思ったら、途端に東芝問題が出てきたわけですね。これはもうやっぱりだめだなと。次から次からこう出てくるわけです。 私はこの東芝問題が、この法案が成立してもまた次、新しい問題が出てくると思うんですけれども、その辺通産省として局長どうですか、この法案が成立すれば、対外的にどう状況が変わってくるというふうにごらんになっていますか。
○政府委員(吉田文毅君) 私どもとしては、今回の事件を我が国自身の問題として認識をしております。現在御審議をいただいております外為法の改正案を初めといたします再発防止のための諸措置につきましては、その実現方に全力を挙げているところでございます。 アメリカの行政府は、このような我が国の再発防止策につきましては評価をしております。また、このような措置が、アメリカの議会におきます本問題の鎮静化に寄与するということを期待している旨表明をしております。しかしながら、一方におきまして米議会の対応、これにはなお厳しいものがありまして、予断は許されません。したがいまして、私どもとしては、現在審議をお願いしております本外為法改正案が国会を通過しない場合には、米国の空気が非常に悪化するということも懸念をしているところでございます。
○木本平八郎君 今の、成立しなかった場合にアメリカの空気が悪化する——悪化するどころか、もう大変なことになると、そういう観点から、私もこれ渋々ながら賛成せざるを得ないと思うんですけれどもね。 そこで、今度休会明けに東芝制裁法案とか包括貿易法案とか、アメリカ議会で多分成立しそうだと。仮にこの外為法が成立したら、それまでにすぐいろいろの事前のアクションをとらなきゃいかぬと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになっていますか、対米の。
○国務大臣(田村元君) 昨日松永大使に会いまして、いろいろと対応の相談をいたしました。今度私から特に申し上げたいことは、本件に関しましては、本当に松永君の対応ぶりというのは、もう体を壊さにゃいいがと思うくらい、本当に一生懸命でございました。こういうところで個人の話をするのもどうかと思いますが、こういう事件が起こったときに、いい大使がおってくれたと、私は非常に高く評価しております。 松永君を初めとして、大使館あるいはジェトロ、その他いろいろありますが、手分けをしてやる、それからまた、実は私これが提案されましたときも、上院下院全議員に私の署名入りで、内容の説明あるいは経過、全部手紙を出しました。幸いにして本件が参議院で通過して成立いたしましたならば、すぐにそういうふうにいたしたいと思います。それからまた、いつということはとにかくとして、もし無事通過して両院のお許しが出ましたならば、場合によったら私アメリカへ行って、そして向こうの特に行政府の人々に——私は、下院議員といっても政府ですから、議会というよりむしろ行政府の人に会って説明もしたいなというふうにも思ったりいたしております。 いずれにしても、全力を挙げてやらなきゃなりませんが、私は今度非常にいい勉強になって、また通産省の連中もいい勉強になったのは、通産省というのは非常に国際性豊かな仕事をしておりながら、割合に広報活動が下手なんですね。ですから、どんどんやれと言って、まあ衆議院議員が言うのもおかしいんですが、私の選挙運動のコツなんかを教えまして、どんどんやれと言って、手紙戦法なんかも、今後おれがやめてもしっかりやれよと、こう言っておりますが、全力を挙げてあらゆる角度から努力をいたしたい。 それでも、先ほど次長が申しましたように、結果がうまくいくかどうかそれはわかりません、相手が、議会がやることですから。行政府が決定するなら一〇〇%私はここで胸張りますけれども、これは何とも言えません。言えませんが、もしうまくいかなかったときには間違いなく向こうは大騒ぎが起こるだろうということは言えると思います。
○木本平八郎君 今大臣が行政府とお話ししたいと、こうおっしゃっているわけですね。私はこの対米摩擦の問題は、本当の大きな問題なら行政府がもう騒ぐというか、先頭になってやるはずなんですよ。ところが割合に行政府はまだ今のところ冷静なわけですね。だからむしろ議会が今騒いでいるわけです。行政府というのは、例えば悪いですけれども、夫婦の仲で言えば夫みたいなもので、割合に理詰めで物を考えるし、やるわけですね。ところがやっぱり議会というのは、日本の議会は別ですけれども、外国の議会は奥さんと同じで、非常に感情的なんですね。今回の問題も、こういう感情で騒いでいる連中に対して理詰めで幾ら言ったってだめなんですよ。感情をいかになだめるかということがやっぱり大事なんですね。その辺の対応を間違えると、一生懸命いろいろなことをやって、これだけ大騒ぎしてこの法案をつくって、大変な犠牲なわけですね。 有本としてはこれはもう本当に、私はこういう法案はできるだけ早く廃案にしてもらいたいと思うわけです。廃案にするというのは、やっぱり対米問題が一遍クリアになって、早く正常化しなきゃいかぬということなんですね。そうしないと、性悪説でいくとコストが高くついてかなわないわけですよ。例えばこれがスパイ防止法になっていく、あるいは防衛の分担金になっていくとか、どんどんエスカレートするんじゃないかと私は非常に不安に思うわけですけれども。 だから、そういう点からも早くおさめなきゃいかぬ、そのためには今アメリカの議会対策が大事だと。そのためにはこういう法案ができましたということじゃなくて、やはり日本の姿勢が変わったんだということを見せなきゃいかぬと思うんですね。だからその内容よりも、ゼスチャーといったら悪いですけれども、本当の姿勢が変わったと、日本も真剣にこういうココム問題にも取り組む、対米摩擦の問題にも取り組むんだということを見せるのが、感情的な摩擦を回避するには一番いい方法じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(田村元君) 私の口からゼスチャーという言葉を使うわけにいきませんが、適切かどうかはとにかくとして、今例え話で言われたことにヒントを得て申せば、実を示すということじゃなかろうかと思います。 それからいい機会でございますので特に国会の皆様方にお願いをしたいことは、今度私は本当にいやというほどいわゆる議員外交の必要性を痛感して帰ってまいりました、もういやというほど。例えば何でもないことですが、ジャパンバッシングで騒いでおりましたある議員が、たまたま私が行って、血相変えてやっておるのが私の家内のいとこと親友でありまして、それが向こうでわかりましたら、途端に私の肩を抱いて、何でも頼みたいことあったら言えよ、一生懸命になってやるからというので——実際そうなんですね。 ですから、コミュニケーションというものは非常に必要なんで、私は今度土井委員長なんかいらっしゃることも非常にいいことだと思いますし、これから超党派でどんどんと、向こうも超党派なんですから、超党派で議員外交をうんと展開していくということは、もうあすからでもぜひ私もやりたいが、先生方にもぜひお願いしたいとしみじみ痛感して帰ってまいりました。
○木本平八郎君 今大臣がおっしゃったのは、私も本当にそのとおりだと思うんですね。議会も全部が全部日本の敵じゃないわけですから。シンパもいるし、それから中間派もいっぱいいるわけですね。それをやはり日本の方に味方に引きつける対応が必要だと。その点はノルウェーなんかの方がたけていますからうまいわけですよ。日本はその点では、ある意味ではばか正直なところがあるわけですけれども、今後はこれを一つの教訓としてぜひ、議員外交がいいかどうかわかりませんけれども、やはり議会対策というのを相当力を入れていただかなきゃいかぬじゃないかと思うわけです。 それからもう一つは、けさほどほかの同僚議員からもいろいろありましたけれども、用心していただかなければいけないのは、日本の中にだんだん反米というか、感情が硬化してくるとタカ派が出てくるわけですね。タカ派というのは、これはどこの国でもそうですけれども非常に格好がいいわけですよ。俗受けするわけですね。そういうことで、アメリカに対して高姿勢になってくると私は非常に危険だと。やっぱり外交というのは、少し軟弱外交とか弱虫と言われるぐらいがちょうどいいので、余り格好よく振る舞ったらかえって問題がこじれるという点、これは御如才ないと思いますけれども、ぜひその辺を含んでやっていただきたいと思うわけです。 私は、現在の問題というのは、やはり結論的に 言えば、千百億ドルの貿易黒字が消えてしまう、完全に消えなくても、それが減るまでこの問題というのは解決しないんじゃないかと思うわけですね。それでアメリカの方は、私は最近アメリカへ行っていませんからよくわからないんですけれども、ジャパンバッシングに便乗して、皆が付和雷同して、日本はけしからぬ、けしからぬというふうな状況になっていて、ある意味じゃ魔女裁判に参加しているやじ馬みたいな雰囲気が私は出てきているんじゃないかと思うんですね。 したがって、これは基本的に問題がどこにあるのかということをまずつかまえる必要があると思うんですよ。私も今までも何回も言っていますけれども、これは、私はアメリカ人から直接聞いたんですけれども、やはりイエロージャップという言い方をするわけですね。成金というんですか、成り上がり者が何だと、少し頭が高いというか、そういう反感が非常に強いんですね。それで二十一世紀になったら地球は黄色人種に占領されると、日本を中心としたアジアの、というふうな恐怖感を本当に彼らは感じているようなんですね。 私はそれが可能性があるかどうかは別にして、少なくとも日本が現在もうここまでの経済大国になったんですから、少し身を慎まないと、小錦が地下鉄に乗ってきて、どんどん多かれたらほかの乗客が迷惑するようなもので、少しそうっと歩いてくれというふうなものだと思うんですよね。その辺の対応をじっと我慢強くやって、そしてお祭の寄附もちょっと余計目に出して、もう非常につき合いをよくするということを四、五十年はやらないと、日本も一人前には扱ってもらえないんじゃないかと思うんですが、その辺の認識が誤っていて、こういうふうな現象だけを追っかけて、これはもういいとか悪いとかけしからぬとかなんか言っていたんじゃ解決しない。 したがって、今後の日本はどういうふうにあるべきか。例えば二十一世紀、あと十二、三年で来るわけですけれども、そのときに例えばアメリカとソ連と日本の関係はどうなっているだろうとか、どういうふうに持っていかなきゃいかぬとか、軍縮はどうなっているとか、そういったことをきちっとやっぱり見きわめるということ、それから例えば産業構造の転換の問題にしても、空洞化の問題にしても、きちっと見きわめて計画を立てて、そこに基づいてこういう問題も処理していくという姿勢が必要だと思うんですけれども、それを目先のものだけやっていこうと思うと、どんどん問題がエスカレートして、もうそのうちに手に負えなくなってしまうというふうに考えるんですが、児玉局長、どうですか、こういう常識論ですが。
○政府委員(児玉幸治君) 御指名いただきまして恐縮でございますが、私、今日本の輸出の七四、五%がたしか機械情報産業関係の品物でございますので、そういうこともあって、先生からの御質問を受けたんじゃないかと思うわけでございます。 確かに今おっしゃいましたように、非常に臨床的に、モグラたたきじゃありませんけれども、問題が起きたときにそこだけを次々に手当てをしていくということでは、一番根っこのところにある問題についてなかなか対応ができないんじゃないかという御指摘ではないかと思うわけでございます。日本の機械情報産業の輸出が七十数%というふうに申し上げましたのもまさにそういうことでございまして、昔はむしろどうやってそういう品物の輸出をふやそうかということでいろいろやってきたわけでございますが、今や日本の輸出の大宗がそのようになりまして、またその中でも割合に限られた品物の輸出が非常に大きゅうございます。しかもそれが世界のマーケットで大きなシェアを占めておるというのは、これはもう事実でございまして、五割以上を占めているような品物も実はあるわけでもございますし、そこまでいかなくても三割とか四割というふうな品物も結構いろいろとございます。 したがって、そういったものにつきましては、おっしゃるように、私はその自分の体の大きさというものを十分に踏まえて、国際社会で日本の産業も活動をしていきませんと、必ず思いもかけない大変なしっぺ返しが来るということ、これはもう間違いのないところだというふうに思うわけでございます。 けさほどの議論の中でも実は同様の指摘もございまして、そのときにも申し上げましたが、昨年の秋以来、機械情報産業の中でも特に輸出依存度が高い、あるいは世界市場でのシェアの高いような品物につきまして、六つほど例を取り上げまして、これについてどういうふうな対応をするのが一番いいのかということについて十カ月ばかりの検討をして、最近報告もいただいたわけなんでございます。 やはり一番のポイントは、企業のそういった自分の置かれた地位をはっきり自覚した上でのビヘービアをどう変えていくかというところにポイントがあるわけでございまして、大量生産追求型、大臣はそれをシェア中心の企業ビへービアというふうにおっしゃったわけでございますけれども、やはり量産、量産ということで非常に競争に明け暮れまして、そこで少しでも値段を下げてそこの上に利益を上げていくというような態様から、もう少し非常に多様な経営態様、特にそれなりの利益をそれぞれの企業の特色を生かした形で上げていくような態様というようなものがこれから先は非常に重要になってくるんじゃないか、そう思っておりまして、そういう意味ではやはり経営理念を変えていかなければならないだろうと思います。 ただこれは、政府が理念を変えるとかなんとかというふうなことは、これは言うべくしてできることでもございませんし、またそこに余り深入りして介入していくのはいかがかと思うわけでございますが、できるだけいろいろな情報を集めてそれを関連の業界に提供しながら、それを手がかりにして大いに議論をしていただいて、考え方を変え、具体的な企業行動を変えていっていただきたい、そのためにできる限りの私どもとしても努力をしていきたいということでございます。 —————————————
○委員長(大木浩君) この際、委員の異動について御報告をいたします。 本日、平井卓志君が委員を辞任され、その補欠として高橋清孝君が選任されました。 —————————————
○木本平八郎君 今のお話で非常によくおわかりになっていると思うんですよね。だから余りごたごた言うことはないんですけれども、ついでに申し上げますと、徳川家光が、余は生まれながらにして将軍であるということを言ったわけですよね。家康とか秀忠のときは家来にも遠慮しなければいかぬ、しかしもう家光になったら生まれながらの将軍だと。やっぱりそれには、私は三代七十五年かかると思うんですよ。したがって、日本もアメリカと対等に扱ってもらえるにはやっぱりこれからまだ七十五年間努力していかなきゃいかぬのじゃないか。そのくらいの気持ちでやらないと、おれはもう経済大国になったんだからとか、ODAはもう今にアメリカを追い抜いて一番になるとか、そういうことが出てくると私は非常に危ないということで、ぜひそういう点から御指導をいただきたいと思うわけですね。 それで、今後のワシントンにおける対応ですね。今度のこの事件が起こって、それは、ほかの国はいろいろあるんですけれども、出先の大使館が対応をこういうふうに変えたい、こういうふうに変えるつもりであるというふうな点をちょっと外務省にお伺いしたいんですが。
○説明員(赤尾信敏君) 従来、ココムの問題自体は通産省と外務省と一緒になりまして、東京におきまして、あとパリにココムの本部がありますのでパリで対応するというケースが多かったわけなんでございますけれども、今度の東芝機械事件が一つの例でございますけれども、アメリカの方からいろいろと容疑事件の摘発等もある、特にアメリカが一番多いわけなんですが、あるということで、もう少し本省と我が方の在米大使館との情報体制をもっと緊密化しなければいけないということをまず第一に私たちは考えております。したがって、まず緊密な情報連絡というのを今やっている次第でございます。 と同時に、日米関係これだけ経済関係が緊密化しまして貿易量も多いと、それにつれて先ほどから御指摘のように、経済摩擦等も非常に頻繁に、かつ増大しておりますので、これに対応すべく大使館の体制の強化にも今一生懸命努めている次第でございます。それと同時に、体制を強化するというか対応するというだけではなく、先ほども通産大臣直言われましたように、日本のPRも非常に重要であるということで、私たちはPR面においても大いにやるべきだということも考えております、 ちなみに、この東芝事件に当たりましては、例えばアメリカの東芝制裁法案は全く望ましくないということで、通産大臣ももちろん一生懸命やっていただいておりますけれども、私たち大使館におきましても、松永大使以下館員、当地の政治班、経済班両方で人間を動員していろいろ行政府、議会等に積極的にアプローチしておりますけれども、この分野での働きかけあるいは活動も一層強化していきたいというふうに考えております。
○木本平八郎君 もちろん今おっしゃったようなことはどんどんやっていただかなきゃいかぬわけですけれども、私が実は質問したいのは、今度のこの事件をきっかけということよりも、最近どんどん対米摩擦がエスカレートしつつあるわけですね。 〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕 それで、これに対して今までのワシントンの大使館の対応でいいのかどうか、あるいは今後大使館の活動をこういうふうに変えていかなきゃいかぬとか、先ほど大臣が、松永大使はよくやっておられると。私もそう思います。しかし、大使が必死になってやっていただくのは非常にありがたいし、またやっていただかなきゃ困るわけですけれども、それだけでいいのかどうか。何か新しい体制をおとりになる予定があるのかどうかという点をお聞きしたいわけです。
○説明員(赤尾信敏君) ただいまワシントンの大使館は、職員数が今恐らくロンドン、パリ等にある大使館の倍ぐらいありまして、在外公館で最大の大使館ですし、大使以下非常に優秀な人材を配置しております。これは外務省だけではなく、通産省、大蔵省、農水省というほぼ全省庁から優秀な方を派遣していただきまして、皆協力一致して対応しているわけです。 この面での体制をどうするかということは引き続き検討する必要がありますけれども、現地の活動体制もさることながら、先ほど先生も言われましたように、私たちが自覚する以上に日本に対する期待感、あるいは日本の世界における地位、特に経済面における地位なんですけれども、日本に対する期待感というのは非常に大きいわけです。あるいは関心も非常に大きいわけです。同時にいろいろと摩擦も大きくなってきているわけなんですが、我々がその点十分認識していないんじゃないかという点もよく指摘されるわけなんで、そちらの方を私たちもう少し、日本の国際的な地位、あるいは日本に対する期待感、世界各国からの期待感にこたえるべく、日本におきましても、東京におきましても、いろいろと体制の強化あるいは具体策を打ち出していく必要があるというふうに考えている次第でございます。 これは特に先般開かれましたベネチア・サミットにおきましても、我々が知らないうちに日本に対する期待感が非常に高まったということで、ファンファー二当時のベネチア・サミットの議長も、日本のビヘービアいかんによってこのベネチア・サミットが成功かどうかということが決まると言うくらい、日本に対する期待感が非常に大きかったわけなんです。これについては、日本は六兆円に上る内需拡大策とか、二百億ドルの資金還流策とかあるいは五億ドルのアフリカ等最貧国への無償援助等発表したわけなんでございますけれども、このようなもっと長期的な視野からの日本独自の積極的な方策というのが重要じゃないかというふうに考えております。
○国務大臣(田村元君) 大変いい御質問で、私ちょっと一言申し上げたいことは、私はもう幾ばくもなく去っていく大臣でありますから、あえて私の感想を率直に申し上げたいと思います。 日本の外交というのは、外務省がやる外交という意味じゃありません、通政でも何でもそうですけれども、科学技術でも何でもそうでございますが、日本の国際外交というものがどうしても先進諸国に比べて立ちおくれるんです。その一つは、大きなこれは最大の理由だと思いますけれども、外国はアメリカでもヨーロッパでも用事があれば大臣がずっと外国へ行くわけです。そしてお互いにファーストネームで呼び合っているわけですね。 〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕ところが日本の場合は、国会の都合とかいろいろありまして束縛されましてね、大臣が気楽に行けないんですよ。私は大臣というものは、特に国際問題を扱う大臣というのは、外務大臣でもそうですが、通産大臣でもあるいは場合によっては農林大臣でも、気楽に外国に行って、特に用事がなくても僕は行くべきだと思うんですよ、率直なことを言って。 極言しますれば、日本の大臣がお休みとりますね。もっととったらいいと思うんですよ。わずか一週間や十日ぐらいで一外国は一カ月でしょう。国会だってそうでしょう、別に、働いておられる皆さんに言うのもおかしいんですけれども。それ以上に僕もやっている、まあお互いなんですけれども。それはそれとして、そして堂々とカリフォルニアで日本の大臣が休養をとる、あるいはスペインやポルトガルで長期のバケーションを楽しむというようなところがあっていいんじゃないだろうかと僕はつくづく思います、国会議員も同じだと思います。ですから、そういう点で、私の後、だれが通産大臣になるか知らぬが、私はその人をなるべく外国へやってあげるように努力しようと思っておりますけれども、これが大きな理由の一つだということだけは、あえてきょうはつけ加えて申し上げておきたいと思うんです。
○木本平八郎君 今、確かに大臣のおっしゃるとおりで、私はこれ田村さんにお世辞言うわけじゃないんですけれども、本当にこんなにさわやかな大臣というのは初めてです。私まだ四年間ですがね。 ちょっと余談になりますけれども、政治のさわやかさというのは、政治家が火中の栗を拾いに行くという勇気と、それから、責任をとるときにすぱっと責任をとるというのがやっぱりさわやかさだと思うんですね。その二つがないとどうも白けてしまうし、何かむなしさが出てくるわけですね。 その点、つい先ごろも大臣はアメリカへこの問題で行かれて、まあ、我々が見ていても、あれはたたかれるぞと思って見ましたね。それを小村寿太郎の心境で行かれて、まさに火中の栗で、多少はやけどされて、日本で何か大分いろいろ言われたということもあるわけですね。しかし、私はやっぱりそれだけの行動力みたいなものが絶対にこれから必要なんだろうと思うんですね。大臣を初め、今から申し上げるのは、役人の皆さん方も今までのようなへっぴり腰だとか、様子を見るとか、洞が峠とかいうことじゃなくって、どんどんやっていただきたい。 ただ、我々も国会も注意しなきゃいかぬのは、例えば黒田審議官なんかのあれ、事実じゃなかったかもしれませんけれども、仮にああいうことが事実であったとしても、それは通産省内部でちゃんとおしかりになればいいんであって、国会が一々そういうことを言わない方がいい。それを国会が言うと、すぐやっぱり役人の方々もへっぴり腰になりますからね。我々も気をつけなきゃいかぬ。それで私が申し上げるのは、やっぱりこういう国難ですからね、これは通産省も外務省も我々国会も民間も、みんなで何とか協力して乗り切ら なきゃいかぬと思うからいろいろ申し上げているわけですけれどもね。 そこで、先ほどの大使館の対応の問題ですけれども、私の海外における経験からも絡めて申し上げますと、日本の大使館は表面的なきれいごとしかやってないという感じなんですね。まあこれ違ったら違っているとおっしゃっていただきたいんですけれども。我々反間の商社は物を売らなきゃいかぬわけでしょう。売るには相手の本音を知ってやっぱり金を取らなきゃいかぬわけだから、本音を知るために必死になって情報活動もやるし、もう仲よくもするし、いろんな努力をするわけですね。 ところが政府の場合は、そういうそこまでの必要性が今までは余りなかったと思うんです。しかし、これからは相手の本音を知っていないと対応できないと思うんですね、表面上のことじゃ。彼らはこう言っているけれども腹の底で何考えているんだということを探って、それがまずスタートだと思うんですよ。そのためには、日本人の英語では私はやっぱり不十分だ、そこまで入っていけない。商社の場合は、三菱商事の場合は、サウジアラビアの石油化学プロジェクトをやりましたね。あのときなんかはキッシンジャーの意見を聞いているわけですよ。あれだけじゃないですよ、ほかにもいろいろキッシンジャーには聞いて、アドバイザーとして、ああいう大物をやっぱりコンサルタントかアドバイザーで頼んでやっているわけですね。 最近は、日本の商社もみんなアメリカの役人さんをスカウトして、そしてワシントン事務所とかニューヨーク事務所へ置いて、アメリカ側が本当に何を考えている、真意は何なんだと、何でこんなにかっかしているんだというふうなことを全部調べているわけですよね。そこまで民間の企業というのは努力してきているわけです。 私は、予算がないかどうか知りませんけれども、皆さんが、ワシントンの外交官の方が一生懸命やっていただくのはいいんですけれども、やはり相当な大物を、大使館の職員に入れるかどうかは別ですよ、ぜひアドバイザーかコンサルタントにして、それで本当に下院議員の一人一人が何を考えているんだ、レーガンは何でああいうことをやっているんだと。例えば、ニクソンが頭越しに中国へ行ったことがありましたね、昭和四十七年ごろですか。ああいうことでも民間の方は知っているわけですよ、やりそうだということは。ところが日本は、政府は御存じだったかどうか知りませんけれども、頭越しにとかなんとか言って騒いでいるわけですよね。それではこれからの外交というのは私はやっぱりできないんじゃないかと思うんですね。 これは外務省に申し上げたってしょうがないんで、田村大臣にぜひ今後、私は総理、総裁にもなっていただきたいと思うんですけれども、やっぱりステーツマンとして、有力なステーツマンとして今後やっていただくときには、そういう点をお考えいただく必要があるんじゃないかと思うんですがね、御所見、承りたいんですが。
○国務大臣(田村元君) 全くそのとおりだと思います。相当な人が向こうへ駐在することもいいでしょうし、それからまた閣僚がどんどん行くのもいいでしょう。 例えて言いますならば、大来佐武郎さんという方が昔おられた。まだ生きておられるんでしょうね。私と同郷なんで、出身は伊勢の松阪なんですが、大栄さんなんか随分世界じゅう歩かれて友人が多いわけですね。そうすると、電話だけでいろんな話ができるわけですよ。私なんかもドイツのバンゲマンという経済大臣ですが、次期EC委員会の有力な委員長候補と言われています。これなんかもうごく内輪のつき合いになりましてね。それからヤイターでも、亡くなったボルドリッジでもそうですけれども、ヤイターなんか、私らもうアンバサダー・ヤイターなんて言いません、クレイトンと言ってやっています。 私は外国に行くのは必ず女房を連れていくんです。もっとも、外国は夫人同伴というのは旅費が出るそうですが、日本は出ないんですけれども、それでも私連れていくんです。そうしましたら、この間行きましたときも、女房はどこへ行ったんだと思ったら、ヤイターのところへ行きまして、女房同士で仲よく飯食っておしゃべりして、そしてヤイターと私がやり合っているのに、ヤイター夫人が私の女房に、あなたの御主人大変だわね、頑張るようにと、成功祈りますと言って、家内が喜んで礼を言っているというようなことで、そういうことで心が通い合うわけですね。これね、外務省なんかが中心になって大蔵省ともっとやった方がいいと思うんですが、倉成君も随分あっちこっち行かれて苦労しておられると思うんですけど。 私ども外国へ行きますでしょう。そうしますと、かわいそうに随行する役人はホテル代でも足りないんですよ。それを大蔵省出してくれませんから、だから私が出さなきゃならない。いや本当に通産大臣高くつきますわ、あれ。本当に全部その差額持ちですよ。それがもっと気楽に行けるようにすべきじゃないでしょうかね。それで僕は大蔵大臣に言いましたら、あんたも払ってますか、私も払ってますなんて言ってましたけれども、まあ、それはそれとして、私本当にいい機会ですから、今のような御提言を生かしながら、いろんな面でささいなことから僕は改革したらいいと思うんです。 ついでのことでちょっとおしかり受けるかもしれませんけれども、ココムの担当者でも、人数、本当のこと言って私、八十人ということで公式にはやっていますが、三けたでよこせと言っておりますけれども、これなぜ言っておるかといったら、審査の正確を期するためと言っていますけれども、それもありますが、もうへとへとなんですよ。といいますのは、これは先生方もうこれ審議が終わりますから、今後のことでお願いする一そのときはもう僕は大臣じゃないわけですから申し上げますと、ココム担当者がいわゆるココム問題の国会担当をするわけですよ。そうすると、当然質問の要旨出しますね。それで答弁要旨つくります。それは国会の審議の中身を濃くしなきゃいけませんからこれは当然だと。それが質問の前日の夕方着くんで、みんな徹夜なんですよ、かわいそうに。ココムの審査どころじゃないんですよ。そういうようなことがあるものですから、この際ぜひよろしくお願いしたいんですけれども、そういうこともございまして、いろいろと請願やら懇願やら申しましたけれども、こういう話題でございましたのであえて所見を申し述べた次第でございます。
○木本平八郎君 私も、もう大変同感で、できるだけ私は質問取りに対しては御協力申し上げでいるつもりなんですけど、今後とも少なくとも私個人は協力申し上げますから。 それで、ちょっと時間が後でなくなっちゃ困るんで、ここの問題まだまだやりたいんですけれども、農水省に来ていただいているんで、次のテーマに入りたいんです。 私先ほど申し上げましたように、この問題というのは、やっぱり対米摩擦というか、アメリカ問題に根を持っていると。これはこの法案が通っても、東芝問題が解決してもまた次、新しいやつが出てくる。次から次からどんどんどんどん出てくると思う。したがって、これはもう根本的に日本として考え方をきちっとしなきゃだめだという点から、結論的には私は残存輸入制限品目をこの際解除する必要があるんじゃないかということなんです。それで、その品目が一番多いのが農水関係なんで農水省に来ていただいたわけですけれども、私は今の、これはもう私の計算が合っているかどうかちょっとわからないんですけれども、残存輸入制限品目で約二十八品目ぐらいあるんですか。その間で、それを日本の現在の生産額を計算してみますと大体五兆円ぐらいあるわけですね。それで、こういうものが輸入自由化すると非常に大きな影響を受けるわけです。 しかしながら、今彼に、日本は前のようじゃなくって、今は曲がりなりにももう横綱になってい るわけですね。横綱になっていれば横綱らしいつき合い方をしなきゃいけないんじゃないかと。小結あるいは前頭のときには残存輸入制限残していてもいいし、アメリカ並みでもいいし、ガットに許されている範囲ならいいということを言えるけれども、ここまで世界一の経済大国になると、もうそういうことは許されないんじゃないかと。相撲で言えば、横綱が立ち会いに待ったしたり、さっと変わったり、あるいはけたぐりをやるというのは、それはやっぱり許されないと思うんですよね、幾らルールにあっても。 したがって、私は残存輸入制限の問題も、アメリカから見れば、私自身も感じますけれども、日本は本当にずるいと。例えば、表面上は自由化してますと言いながら、実際は裏に回って輸入させないようにぎゅうぎゅうと抑えているということがあるわけですな。そういうことをもういつまでも続けていると信用されない。今度のこの法案も、アメリカでは、これは私聞いたわけじゃないです。しかし、私の推察ですけれども、アメリカ人はたぶんまだこういうことを考えている人がおると思うんですね。日本はこうして一応今貿易法案をつくったと、外為法を強化したと。しかしながら、まあ今にほとぼり冷めたら、日本のことだからこっそり裏でまた輸出するんだろうと疑っているのがたくさんおると思うんですよ。これはもう疑われてもしようがないです、今までそういう態度できたわけですから。しかし、今回はそうじゃないんだということを、先ほど申し上げたように、姿勢として示さなきゃいかぬというのはそういう点もあるわけですね。 そこで、やはりこういうときになったら、まず千百億ドルの貿易インバランスを考えても、日本としてはもうこれ改善の方法はないわけですよね。対共産圏輸出がゼロになったって百四十一億ドルでしょう。だから、これはもうなかなか改善できないんです。しかし、日本が今ここで裸になって、もう残存輸入制限品目を全部フリーにします、自由化しますという態度をまず示していくということが私は非常に重要じゃないかと思うわけですね。したがって、これは農水省としてはなかなか大変だろうと思うんです。特に私は、もう何回も予算委員会でも言っていますけどね、米も自由化しろと、食管法も廃止しろと言って、ワァーワァー言っているわけですけれども、とりあえず米は無理にしても、そのほかの品目をやっぱり輸入制限をフリーにしていただくということを考えていただきたい。 それで、今十二品目でアメリカといろいろ交渉なさっていますね。それの経過その他説明していただけませんか。
○説明員(高橋梯二君) まず最初に、輸入制限品目全般の問題についてお答えをさせていただきたいと思いますが、木本委員御指摘のように、現在の我が国の国際的な立場というものを考えますと、国際化時代に対応して一層均衡のとれた国際経済関係の形成に努めていくということが非常な重要な課題になっております。 他方農業は、食糧の安定供給を初め、国土、自然環境の保全、地域社会の維持、発展等、我が国経済社会の土台を支える重要な役割を担っているというふうに認識しております。このような中で我が国は、これまで可能な限り農産物市場のアクセスの改善に努めてきたところでありまして、現在では世界最大の農産物純輸入国になっておりまして、世界貿易の安定的発展に貢献しているところであります。 現在、輸入制限の対象になっている農産物につきましては、いずれも我が国農業上基本的に重要なもの、あるいは地域振興上重要なものに限られております。しかしながら、これらの輸入制限二十二品目につきましても、国内農業の実情と国内自給事情の許す限り輸入枠を弾力的に設定して、輸入の拡大等も着実に進めているところでございます。 ただ、農業につきましてはその特殊性を踏まえ、米国を初め各国ともそれぞれの国内事情に応じて所要の国境措置あるいは農業保護・助成措置を講じているのが実態でありまして、農産物すべて自由化するというようなことは現実の問題としては非常に困難であろうと、そういうふうに考えております。 それで、輸入制限品目の取り扱いにつきましては、現在ガットの新ラウンドにおいてより効果的なルールをつくり、そのもとで運用をしていこうということで、交渉が既に開始されておりますが、我が国としてはガットにおけるこのようなルールの策定作業に積極的に参加、貢献して、その状況をも踏まえて我が国農業の健全な発展との調和を図ることを基本に、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。 それから、第二点の十二品目でございますが、十二品目につきましては、対米ということで重要になっている問題でありますが、この件につきましては既にガットの協議が行われておりまして、それが二度終わっておりまして、今後鋭意そのガットの協議が進められるというふうになってはおりますけれども、もう一方、我が国の立場として自主的な解決を図るということで、二国間での解決を図るよう努力ということもしておりまして、その観点から米国等と折衝もしておりますが、今般開かれました、きょうで、二日で終わったと思いますけれども、日米貿易委員会の場においても、その十二品目についての話し合いが行われているというふうに承知しております。 ただ、結果につきましては、まだどういうふうに進展したか承知はしておりません。以上でございます。 —————————————
○委員長(大木浩君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、松岡滿壽男君が委員を辞任され、その補欠として下稲葉耕吉君が選任されました。 —————————————
○木本平八郎君 残存輸入制限品目ですね。私は、これはもう時間の問題だと思うのですよ。米も私はもう案外早い、五年以内ぐらいじゃないかと思いますけれども、ほかのものは、まずもう来年ぐらいまでもたないのじゃないですかね、幾ら農水省があるいは日本が頑張っても。これは先ほどから申し上げているように、もうアメリカからの圧力がどんどん高まるわけですよ。今これは東芝問題ですけれども、もうすぐこれは農水省関係でまたこうやってくると思うのですね。そういう圧力でやられるのなら、もっと自主的にやった方が効果も大きいのじゃないか。ずるずる押されてしまうというのは一番まずい。その一番まずい道を農水省もおたどりになっているという感じがするわけですね。 したがって、私はそれは農家の問題が非常に大変だと思うのですよ。しかし、ひとつ御提案申し上げたいのは、私はこの際全部フリーにする。そのかわり農家の今の所得を三年間保障してあげる。その間に転廃業なり自由化対策をやりなさいということをやるのも非常にいいチャンスじゃないかと思うのですよ。普通のときに農家の所得を三年間も保障するなんてとんでもないと、ワーワー問題になると思うのです。しかし、こういう対米摩擦がこれだけ大きな問題になっているときだから、それをかわすためという大義名分があれば、割合にそういうことが通る可能性もあるのじゃないか。むしろ内閣あるいは政府としてそういう決断をしてやるということについて、非常に今アプリーシエートも海外からもされると思うのですね。 それで、先ほど言いましたように、全部フリーにしたって五兆円でしょう。五兆円で、農家の所得がどのぐらいあるか知りませんが、まず一割としても五千億円ですわね。五千億円ぐらいならやった方がいいですよ。そうしないと、防衛費の分担だけでも三百億ドルとかなんとか言ってふっかけられるわけですね。どんどん今後エスカレートしてくるから、そういうふうになってきて、野たれ死にじゃないけれども、そういうことをするぐらいなら今積極的にやった方が私は安くつくと思うのですけれども。ひとつ御検討いただきたいと 思うのですが、これはあなたにお聞きしてもちょっと無理かもしれませんけれども、これも大臣の御所見といったら申しわけないかもしれませんけれども、いかがでしょうね。
○国務大臣(田村元君) ちょっと私が、通産大臣という立場ですから、農水問題で具体的なことを申し上げるのもはばからなきゃならぬと思いますし、お許しを願いたいのですが、私は、一つの御見識としてそのお話を承ったということは事実でございますから、コメントだけはひとつ、所管外の大臣でございますのでお許しを願いたい。
○木本平八郎君 それでは、まだほかにも取り上げたい問題があるんですけれども、ちょっとあと時間切れになっては困るので、一応この関連の質問はこれでやめまして、最後に、皆さん方にもお諮りしたいんですけれども、国会審議のあり方ということなんです。 これは皆さん、もうおととい、きょうの各議員の質疑を聞いておられてお感じになったと思うんですけれども、ココムのリストは出せませんとか、ほとんど資料が出てこないわけですね。これはほかの法案審議のときにもありますし、ほかの委員会でもあるわけです。しかしながら、原則を考えますと、資料がなくて、それでその内容を判断したり審議したりするというのは、実際は不可能なんですね。その不可能を、まあこれはしきたりみたいなもので国会はずっとやってきたわけです。参議院だけではなくて衆議院もそうでしょうね。 しかしながら、こういう審議のあり方というのは、本当にこれでいいんだろうか。日本人というのは、いわゆる腹芸だとか、以心伝心だとか、あうんの呼吸で、向こうは言わないと言っているけれども多分こうだろうなと想像して、そうして法案なんかのいい、悪いということを判断するわけですね。しかし、本来は、やはり行政府が持っている資料、それから材料、データ、そういったものを国会に出してもらって、そしてみんながそれに基づいて判断するというのが本当だと思うんですよ。特に今回は余りにも多過ぎるわけですね、秘密だからとか、これは国際公約だから言えませんとかね。本当にこれはもう毎回各議員も質問のときにかっかするぐらい、要求していてもだめなんです。 私も正式に要求しました。そして、いただいたのはここにあるんですけれども、これはみんな公開された資料ばかりなんですね。議員だから特別にいただいた資料というのはないわけですよ。例えば新聞情報だとかこういうものだけで審議すると、特に、まあ普通の案件ならいいんですけれども、今度は法律をつくるわけでしょう。懲役が三年から五年になるわけですよ。 こういう重要なことにそれじゃなぜなるんだ、中身はどうなんだ。いや、中身は説明できません、教えられません、秘密ですということで、そうしたら、どういう根拠でこれは三年がいいのか五年がいいのか皆さん判断されるのか。いわば検事が一方的にだあっと論告していって懲役五年だとこう言ったと。判事は、証拠調べもしなけりゃ、その状況、事実調べもせずに、検事の言うとおり五年の判決を出せというのと同じことなんですね。こういうことは、私は、民主主義というか、議会制民主主義のもとでは、やっぱりおかしいんじゃないかという気がするわけです。 それで、局長さん方にお聞きしたいんですけれども、例えば皆さん方この法案をおつくりになったわけですが、おつくりになったとき、この法案でなくてもいいんですが、ほかのをいろいろ起案されますね。そのときに、あらゆる材料を集めて、人の意見も聞き、いろいろやって、そしてつくられるわけでしょう。それから、下の人が、まあ課長さんがつくったのが上がってくると、局長さんはこれはめくら判押されるんですか。やっぱり内容をきちっと聞いて、チェックした上でやられると思うんですがね。その辺、畠山さんに聞くと気の毒だけれども、どうですか、どういうふうにやられるんですか。当然わかり切ったようなことですけれどもね。
○政府委員(畠山襄君) 中でこっちに回ってきましたものは、よく見まして、その判断をいたします。
○木本平八郎君 いや、私は、そしてこれ非常に問題なのは、今の場合には行政府は全部情報を握っているわけですね。立法府はそれがないわけですよ。しかも法律をつくる段階で、ないんですね。 私が理解しているところでは、国権の最高機関というのはやっぱり立法府だ、国会だと思っているわけです。ところが、情報を握っているというのは、これはやっぱり力ですからね、情報というのは。行政府が力を持って、立法府より上位にあると私は思うわけですね。私は、こういう状況というのは憲法違反じゃないかと思うんですよね。国権の最高機関は国会であるはずなのが、いつの間にかその上に上がっちゃった、権限を指図される行政府が上に行っているというのは、これは僕は憲法違反じゃないかと思うんですね。 法制局に来ていただいていますので、少し憲法違反じゃないかということについての法律的な見解をお聞きしたいんですがね。
○法制局参事(播磨益夫君) 行政府の方が優位しているんじゃないかというふうな御趣旨に承っておるんですけれども、優位というのは言葉の問題でしょうけれども、今のお話、情報を持っているということでございますが、情報を持っているのが強いという意味なら、確かに行政府は情報を豊富に持っておりまして強いというのも言えるかもしれませんが、しかしそれを排除すると申しますか、そういう情報をこちらが国会として吸い上げて、そして自分自身のものとする、そして審議に資するという意味で国政調査権というのがございます。したがいまして、権限的にでございますが、権限的に行政府が立法府に優位している、こういうふうには考えておりません。
○木本平八郎君 実はその国政調査権については、昭和四十九年の十二月二十三日の参議院の予算委員会で、時の三木総理が答弁されているんですね。国政調査権と公務員の守秘義務、それがどっちが優先すべきかと。それはもうケース・バイ・ケースで、どちらが公益性が高いかということによって判断しなきゃいかぬと。しかしながら「国会と政府との見解が異なる場合が時に生ずることは避け得ないところであろうが、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考える。」というふうに三木総理はお答えになっているわけですね。 私は、今法制局の答弁ありましたけれども、確かに国政調査権というのはあるわけです。これはハウスに与えられている、あるいは委員会に与えられているわけですね。しかし、現実の問題としてなかなか機能してないわけですね。現実には、個々の議員がこういう法案だとどうしても知りたいということがあるわけです。それが封じられているということは、やっぱり法案の審議が十分できないんですね。これは皆さん、質問された議員の方々皆そういうふうに思っておられると思うんですよ。どうも隔靴掻痒というか、もう一つ何かよくわからぬということが多いと思うんです。 こういうことで議会運営、国会が運営されていって、本当に日本のためにいいのかどうか、僕は非常に疑問に思うわけですよ。やはり国会議員、個人にもある程度の情報は与えられるべきじゃないかと。少なくとも新聞だとかこういう公開されたものよりも、もう少し程度のいいものを与えられなきゃいけないんじゃないかと思うんですがね。その辺、法制局の方の御見解いかがですか。
○法制局参事(播磨益夫君) 政府としては国会の立法権の行使に協力すべきである、これは当然のことだと思っております。 ただ、今先生がおっしゃいますのは、恐らく個々の議員、個々の先生方でございますが、そういう個々の先生方が御要望なさった場合に政府側はすぐ出すべきじゃないかと、こういうふうな御趣旨、そしてそれを出さないのはおかしいじゃないかと、こういう御趣旨だと判断しております が、それについては政府側が出さないというのがすぐ法律違反になる、あるいは憲法違反になるとは実は思えないのでございます。 ただ、そう申しますと、それはちょっとおかしいんじゃないか、なぜだ、こういうふうな御疑問もあろうかと思いますのでちょっと申し上げさしていただきますと、国政調査権というのは、厳密に申して法律的には、これはハウス——衆議院、参議院、ハウスでございますね、ハウスあるいは委員会に認められた、与えられた、こういうものでございます。それで、個々の議員、個々の先生方に、本来的にというんですか、個々の先生方一人一人に国政調査権を認めているという憲法の仕組みではございません。だから、そういうわけでハウスあるいは委員会ということになる。 ところが、じゃ言うたらすぐ持ってくるじゃないか、こういう御疑問もおありかと思いますが、これは私の推察でございますけれども、通常御審議なさる場合に、いろんな資料あるいは情報が必要だ、これはまさに仰せのとおりでございますが、それで政府側に御要求なさる。その場合に、普通は委員会のそれこそ議決を経て要求するというのが理屈を言えば建前なんでしょうけれども、そんなしゃっちょこばったことを一々しなくても、先生方個々に御要求なされば、それはそれが議院証言法の中にもございますが、いろんな理由で職務上の秘密、そういうのでなければわざわざ委員会の議決なんか経なくたって、そんなしゃっちょこばった仰々しいのをしなくたって、要するに出さなきゃいけないし、また出せるものですから、そういうものについてはもう先生方がおっしゃられれば、これはすいすいとそれこそお出しになっていらっしゃるんではないかと思います。だから、おっしゃって出すようなものは、もちろん委員会にかけても、委員会が議決なすっても当然出される、そういう前提があるから出してもらえる、こういうふうに推察しております。 だから、もし先生方が御要求なさいまして、委員会というんじゃなしに個々的に御要求なさいまして、もしそれが政府側で出さないあるいは出せないというのであれば、恐らく、これは推察にわたるのであるいは恐縮かと存じますが、委員会にかけて委員会の議決をして御要求なさっても、やっぱりその問題は生じ得るんじゃなかろうか、こういうような感じがいたしております。だから、そこらの兼ね合いで、さっきおっしゃいました三木総理でございますか、国会の審議の重要性とそれからその秘密を保持する重要性、そこらの兼ね合いの問題になろうかと、こういうように思っております。
○木本平八郎君 余り議論してもしょうがないんですけれども、要するに今個々の議員が要求しますと、結局こういうありふれた資料しかないと。新聞とかこんなありふれた資料で、じゃあ何のために国会議員なんだということになるわけですね。国会によって審議するには、やっぱり議員として特別に与えられる情報があってもいいんじゃないかという気がするわけですね。したがって、私はこういうことが可能かどうかわかりませんけれども、やはり秘密会にしてそこで情報を教えてもらうとか、あるいは宣誓して、そして聞くとか、宣誓すると当然議員にも守秘義務が出ますから、これは守秘義務違反になるわけですね、公務員と同じように。そういうこと、あるいは例えばメモをとったり書いたものでは困るけれども、口頭で説明しますとか、何かそういう便法をやっぱり講じる必要があるんじゃないか。 これはこの場で、商工委員会でどうのこうの言ってみたってしようもないんで、改めてやるとすれば別のところに持ち出して、これは参議院だけじゃなくて、衆議院の問題も一緒に絡んで、国会全体の問題なんですね。国会の権威の問題ですね。今のままではそれは憲法違反じゃないかもしらぬけれども、事実上は従属させられているという感じで、しかも現実的にやっぱり法案審議が十分にできないという隆路があるわけですね。その辺は私も別途どういうふうにやるか、皆さんのお知恵を拝借して手続したいと思います。 最後に一つ、商工委員会として通産省だけにお願いしたいんですけれども、この今の問題で、今回私は実はこういう問題持ち出したのは、今回の法案審議には余りにも秘密、秘密というのが多過ぎると思うんですね。ちょっと過剰守秘じゃないかという気がするんですよ。もっと私たちが常識的に考えても、もう少しココムの状況とか、こういうなにだとかいうことがわかる程度には言っていただいていいんじゃないか。 それで、今まで見ていまして、これはほかの省庁も全部そうなんですけれども、何でもかんでも何かガードをかたくしてびくびくしちゃって、これは秘密だ、あれも秘密だというふうな姿勢が強過ぎるんじゃないか。もう少し、まだ守秘義務の中でも守秘義務以上のガードがかたいという感じがするんですがね。その辺はもう少し商工委員会については我々議員を信用していただいて、まだまと言える範囲があるんじゃないかと思うんですが、その辺どうでしょう、児玉局長からちょっと御意見承りたいんですがね。
○政府委員(児玉幸治君) 私も、衆議院、参議院、それぞれ商工委員会の審議にずっと初めから出させていただいておりまして、やりとりをずっと見てきた一人でございまして、私自身も答弁させていただいておるわけでございます。 木本先生の方からごらんいただきますと、確かに御不満の点もいろいろあるかもしれませんけれども、実は私どもといたしましては、もちろん国家公務員法に違反するわけにはいかないわけでございますけれども、かなり踏み込んで御答弁を申し上げているケースが多いんではないかなというふうに、私どもの方からは見ているわけでございます。 ただ、それでもなおいろいろ御不満があろうかという点は今承ったわけでございまして、これから先もまたいろいろほかの法案等でも御審議をいただく場合が多いと思うわけでございますけれども、おっしゃいました点は十分頭に置きまして、今後またよろしくお願い申し上げたいと思います。
○国務大臣(田村元君) この問題、余り歯切れが悪いと後へ禍根を残すと思いますから、率直に申し上げますけれども、ちょうど法制局もおられますから、法制局からあるいは批判を受けるかもしれませんけれども、国際的な信義という点から秘密を守らなければならないというときには、これはいかに国会の場においても守らざるを得ないと思うんです。国際信用を失ってしまったらえらいことになっちまう。 そこで、そういうことでございますが、今度実はこのココムでも、私省内で、おい、もうちょっと言えぬのかいと。どこにあるのか、本部もわかっておるのに言えぬと、皆知って、それ見物してきておるのに口では言えぬと、そんなばかなことあるかいと。しかも、これに違反して、へたなことして外為法違反で懲役五年も食らうというのに、中身が何も言えないというようなことでは、これはいかにもちょっと困るぜと。しかし、国際信義を守らなきゃならぬから言えないものは言えないというのならば、ココムの場においてもっと言える範囲を拡大するように提案したらどうだと、こう僕は言うたんですよ。 確かに、まさに隔靴掻痒の感、そのお気持ちよくわかります。わかりますが、今のシステムでございますと、これをしゃべったら何のために外為法を急いで御審議願っておるのか、結果余計悪うなるというようなこともございますので、やはりココムの場で、通産も言わなきゃなりませんが、特に外務省にもうちょっと弾力的な運営をココムでしてもらうように強く要請してもらう。そして十五カ国全部に、加盟国に個々面接をしてでも、そのことは整理を一遍した方がいいんじゃなかろうかというように思います。 率直に言って、国際信用の問題で言えないことは言えません、これは。そこいらの問題をどう打開するかということだと思います。
○木本平八郎君 終わります。
○委員長(大木浩君) 他に御発言もなければ、本 案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○福間知之君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、外国為替及び外国貿易管理法改正案に対し、反対討論を行います。 以下、反対する理由を申し上げます。 まず第一に、ココム関係についてであります。 ココムは今から三十年以上昔の米ソ冷戦時代に生まれたものであり、既に過去の遺物となっております。世界軍縮と東西間の経済交流の拡大が求められている今日、ココム規制を強化しようとするこの改正案は、時代の流れに逆行するものである生言わねばなりません。 第二に、この改正法案が提案された経緯についてであります。 今回の東芝機械の外為法違反事件は、法律の不備によって引き起こされたものではありません。再発防止のためと言うならば、輸出審査体制の充実、企業に対する警告等行政上の対応で十分であり、あえて法改正が必要であるとは認められません。 米国議会で審議中の東芝制裁条項を含む包括貿易法案を阻止ないしは緩和したいという対外的配慮以外にその改正の動機は見当たらないのであります。 第三に、外為法は、その目的にあるように貿易が自由に行われることを基本とした経済立法であり、その制限は最小限度にしなければならないのであります。この改正案は、安全保障条項を導入することによりこれを管理的色彩の強いものにしようとするものであって、自由貿易を萎縮させる結果を招くことが明白であります。 第四に、本改正案は、ココム規制違反関係の罰則を懲役三年から五年に延長しております。国際条約でも協定でもない秘密協定という法的性格のあいまいなココム規制を根拠に、安全保障関係の許可基準がすべて政令委任という国内法の不明確な規定によって罰則を強化するのは、罪刑法定主義の憲法の精神に背くものであります。 また、他の経済事犯の量刑とのバランス上も、さらにココム加盟の欧州諸国の罰則との比較においても、我が国だけがひとり突出することになるのであって、とても認めるわけにはまいりません。 最後に、武器及び軍事転用される汎用品、技術の輸出については、自由貿易を目的とする外為法によって規制することには矛盾があり、別途、憲法の平和主義の理念にのっとった武器輸出三原則及び政府統一見解を具体化した特別立法が必要であるという我が党の基本的見解を表明して、反対討論を終わります。(拍手)
○前田勲男君 私は、自由民主党を代表して、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行います。 ただいま議題となっております外為法改正案提出の契機となりました東芝機械の不正輸出事件は、我が国を初め西側自由主義陣営の安全保障に重大な影響を及ぼしかねないものであるとともに、我が国の国際的信用を失うことになり、我が国の対外貿易及び経済の発展を阻害するまことに遺憾な事件であります。 このような深刻な事態に対処するため、我が国といたしましては、事件の重大性を深く認識し、類似の事件の再発防止に努め、今回の事件で失った国際的信用を回復する必要があるとともに、その対策は緊急を要するものであります。 本法律案による改正は、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる貨物の輸出、あるいは海外への技術提供に対する規制の趣旨を明確にするとともに、その不正輸出等に係る罰則及び制裁の強化を図ろうとするものであります。そして、外為法の目的とする自由貿易の原則を変更するものではなく、また規制対象となる貨物等の範囲を拡大するものでもありません。 以上、本法律案は、我が国が西側自由主義陣営の一員としての責任を果たし、対外取引及び経済の健全な発展を目指す時宜を得た改正であり、この点から本法律案に賛意を表するものであります。 他方、現在我が国の対共産圏貿易は審査のおくれで停滞をしており、産業界、貿易業界においては不安を抱いております。政府においては、今後人員増を図る等審査体制の整備を促進するとともに、改正外為法についても運用よろしきを得て、東西貿易を初め、我が国貿易の健全な発展に寄与するよう努めることを要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○矢原秀男君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 まず、反対理由の第一は、今回の改正案が、対外取引が自由に行われることを基本にうたった外為法の第一条目的に逆行し、安全保障を優先する余り、この自由貿易の原則を崩しかねない危険性を持っていること。また、輸出貨物に対する「国際的な平和及び安全の維持」条項の新設は、国内の処罰法規には全く類例を見ないものであり、しかも、処罰の具体的基準がすべて内閣の定める政令にゆだねられることは、拡大解釈のおそれがあります。保さらに、通産大臣と外務大臣のいわゆる法定協議の創設条項、また、本改正案に関連して設置された防衛庁を含める関係閣僚会議は、外為法の安全保障シフトとも言うべき体制であり、経済に対する軍事・安全保障の統制・介入の道を開いたものとして厳重な監視が必要であります。 反対理由の第二は、違反に対する罰則強化についてであります。 ココムは紳士協定ではありますが、西側加盟国の全会一致で決定されたものであり、我が国も当然遵守すべき立場にあると考えます。しかし、本改正案においては、量刑が最高、懲役五年に引き上げられており、これは本来、外為法違反が正規の手続を踏まなかったという形式犯であるにもかかわらず、形式犯に対するものとしては異例の重罰である。外為法違反の防止は、企業モラルの向上や審査体制の強化によるべきであり、本改正案の罰則強化は、安全保障上の刑罰を経済法に移入したものにほかならず、本来なじむものではない。 反対理由の第三は、今回の改正案は、自由な企業活動や東西の緊張緩和に対する阻害要因となる危険性についてであります。 経済交流は、東西の緊張緩和に一定の役割を果たしてきました。しかし、本改正案による輸出管理の強化は、対共産圏を中心にした貿易全般の冷え込みにつながるおそれがあります。また、平和及び安全維持の名のもとに、戦略物資と無関係な汎用技術製品に至るまで規制対象が無軌道に拡大されるのではないか。並びに、今後の技術の加速度的な進展を考えれば、軍事か汎用がという技術上の区分はますます困難になり、規制対象の拡大が予想されます。その意味から、今回の改正が、将来の自由な企業活動や東西貿易の大きな阻害要因となる。 現今、自由な貿易を通して築かれてきた世界経済の拡大均衡や東西の緊張緩和が、軍事・安全保障の観点からいたずらに規制され、東西が再び対立の方向に向かうことを強く懸念をいたします。 以上、主要な理由を述べ、反対討論を終わります。
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、外為法の一部改正案に対し、賛成の討論をいたします。 今回の東芝機械のココム違反事件はまことに残念であり、我が国の国際居用を失墜し、西側自由諸国の安全保障に重大な懸念をもたらしたことはまことに遺憾にたえません。今後かかることが再度絶対に起きることのないように関係者に対し指導し、また、協力を求める努力をより強くしなく てはならないと考えます。 しかし、企業は利益の追求を第一義に考えることは、これまた当然と言えます。企業の安定も繁栄も、またそこの社員の生活の安定もすべて国の安全が保たれて、そして平和であることが大前提であります。したがって、今後も万一営利第一主義の誤った考え方の企業に対しては罰則を強化し、規制を強化することは当然と言わなければなりません。 往々にして、一部には、政治と経済は別であり、安全保障の見地を経済に導入することは自由貿易に反するという意見がありますが、それは誤りであります。自由に経済活動ができるのは、その国の安全が保障されているからであります。したがって、国際的な平和及び安全の維持を妨げるおそれのある取引あるいは企業が発生しないためにも、本法律案が必要であることを関係企業はもちろんのこと、国民に対しても理解を求める努力をより一層行うことを要望し、同時に、速やかな本改正案の成立を期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる外為法改正案に対して反対討論を行います。 本改正案は、社会主義諸国に対する輸出規制を協議する非公式機関で、その内容も秘密であるココムの合意内容を、国内法である外為法に盛り込むことを意図したものであります。 そこで、反対理由の第一は、ココム規制の基準は、ココムの場でも秘密とされる米国防総省の軍事重要技術リスト、MCTLであるため、外為法にその基準が明定できず、通産大臣は外為法の許可権者でありながら、パリの米大使館にあると言われるココムの判断を仰がなければ輸出の可否が決められないという事態は、我が国の主権に対する重大な侵害であるからであります。 その第二は、通産大臣が国内法である外為法によらない決定を下すことは、法律に基づかない行政であり、憲法第三十一条に定める適法手続に反するからであります。 その第三は、法違反となる場合の「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」ことの具体的な内容は明定されず、政令にゆだねられており、政府の恣意的な政令の運用で刑が変わることになり、憲法に定める罪刑法定主義に反するからであります。 その第四は、貿易の自由は、憲法第二十二条に定める職業選択の自由の具体的内容であり、したがって、ココム規制による輸出制限は違法であることは、一九六九年の東京地裁の判決でも判示されているところであり、今回の改正は憲法で保障している基本的人権に対する侵害となるからであります。 その第五は、本委員会の質疑の中でも、SDI協定や米国防報告、米下院公聴会記録などを示して明らかにしたように、今回の法改正が、ソ連を仮想敵国とするアメリカの軍事戦略に沿って我が国の技術、貿易を統制しようとするものであり、これは恒久平和主義を宣言した憲法にも反するものであるからであります。 その第六は、本改正案によって、社会主義諸国との貿易が規制されることによって、今でも四割に及んでいる対米輸出依存度が一層深まらざるを得ず、我が国の経済構造をさらにゆがんだものにし、我が国経済の自主的、平和的発展を阻害し、アメリカの不当な対日要求をさらに助長することになるからであります。 最後に、私は本改正案の審議に当たり、その必須の前提としてココムリストなど必要な資料の提出を要求いたしましたが、今に至るも提出されず、秘密の名によって隠ぺいし続けていることに強く抗議するものであります。 以上、本改正案の問題点はこれに尽きるものではありませんが、我が国経済の自主的、平和的発展のためには、本改正案の撤回はもとより、ココムから脱退し、日米軍事同盟を廃棄することが不可欠であることを指摘して、反対討論を終わります。
○委員長(大木浩君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大木浩君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十九分散会