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109回国会参議院1987/09/01

商工委員会 第3号

発言数
282
登壇者
15
会派数
4
開催日
1987/09/01

会議録

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  今回の東芝機械の外国為替及び外国貿易管理法に違反した不正輸出事件は、我が国を含む西側自由主義陣営の安全保障に重大な影響を及ぼすおそれのあるものであり、極めて深刻な問題であります。これにより、我が国の国際的信用が著しく損なわれたことは、まことに残念というほかありません。  このように、我が国の産業及び技術の発展並びに国際社会において我が国が担うべき責任の増大等の状況のもとで、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる違法な貨物の輸出及び技術の提供が、我が国の対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展を阻害するおそれが強まってきております。  このような状況のもと、我が国といたしましては、今回の事件の重大性を深く認識し、このような事件の再発防止のため、あらゆる角度から対策を講ずることが必要であります。この一環として、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる違法な貨物の輸出及び技術の提供に係る罰則及び制裁の強化等の措置を講ずる必要があると考えられます。  このような要請に対応するため、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、国際的な平和及び安全の維持に関連のある特定の技術の提供等の役務取引については、従来から通商産業大臣の許可を受けなければならないこととされておりましたが、今般、これを特掲し、その規制の趣旨をさらに明確化することとしております。  第二に、通商産業大臣は、許可を受けずに特定の技術を特定の地域において提供する取引を行った者等に対して、三年以内の期間を限り、一定の役務取引、貨物の輸出等を禁止することができることとしております。  第三に、国際的な平和及び安全の維持に関連のある特定の貨物の輸出について、従来から役務取引に用いられていた表現と同じ表現をもってこれを特掲し、通商産業大臣の許可を受けなければならないものとすることにより、その規制の趣旨を明確化することとしております。  第四に、通商産業大臣は、許可を受けずにこれらの貨物を特定の地域に向けて輸出した者に対して、三年以内の期間を限り、貨物の輸出及び特定の技術を提供する取引を禁止することができることとしております。  第五に、この法律の施行に必要な限度において、主務官庁の職員が立ち入ることができる場所に、この法律の適用を受ける取引を行うことを営業とする者の工場を追加することとしております。  第六に、通商産業大臣は、国際的な平和及び安全の維持に関連のある貨物の輸出及び技術の提供について、特に必要があると認めるときは、外務大臣に意見を求めることができることとするとともに、外務大臣は、国際的な平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、通商産業大臣に意見を述べることができることとしております。  第七に、無許可で特定の技術を特定の地域において提供する取引を行った者及び無許可で特定の貨物を特定の地域に向けて輸出した者は、五年以下の懲役または二百万円以下もしくは目的物の価格の五倍以下の罰金に処することとして、罰則を強化することとしております。また、無許可で特定の貨物を特定の地域に向けて輸出する者は、未遂をも罰することとしております。  なお、この罰則の強化の結果、時効期間は五年に延長されます。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 今般の東芝機械事件は、今日の日米間の最重要な問題ということになってまいりましたし、これが早期解決のために政府の格段の努力が要請されるところでございます。この事件は東芝機械という一企業レベルの事件であり、本来それによって東芝グループ全体が厳しいペナルティーといいますか、制裁を受けるなどということは、また、さまざまな対日要求を米国政府や議会が突きつけてくるということは、どうしてもおかしいんじゃないかというふうに考えざるを得ません。  私たち社会党としましては、本法案に対して、先月二十八日の本会議趣旨説明に対しまして代表質問で明らかにいたしましたように、ココム規制を強化することは、デタントが強く世界の人々から求められている今日、時代に逆行することになるということ、また外為法に安全保障条項をつけ加えるということは、自由であるべき貿易、対外交易というものを萎縮させるということになりはしないか、さらには、ただいま大臣の御説明の中にも触れておられました罰則の強化ということによっても必ずしも有効な再発防止策とはなり得ないんじゃないだろうか、などなどを理由として、私たちはこの法案には賛成いたしかねます。  ただいまから幾つかの質問をさせていただきますが、私は、本法案の問題点及び東芝機械事件の本質、さらに日本の国益をどう守っていくかなどを中心に議論を深めていきたいと考えるわけであります。冒頭、まず所見を申し述べて質問に入りたいと思います。  まず、通産大臣は、去る七月の訪米の際に、アメリカ政府あるいは議会の要人と会見されまして種々話をなさって帰国されたわけですけれども、要約して、具体的には何を話され、あるいはまた約束的なことが行われたのかということをお聞きしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今回の事件につきましては、我が国みずからの問題としてその再発防止に全力を挙げているところでございます。私の訪米は、こうした我が国の姿勢及び再発防止策を説明することによって不信感を払拭するためのものでございました。当方からは、東芝機械事件につきまして遺憾の意を表するとともに、重大な決意を持って再発防止のための徹底した措置を講ずる考えを表明いたしました。  こうした認識に立ちまして、再発防止策としては、外為法改正案の今国会への提出、輸出管理のための人員の大幅増加、検査体制の拡充、強化などを説明したわけでございます。これに対しましてアメリカの行政府は、日本の立場を評価するとの反応でございました。ただ、議会関係者につきましては、私は理解は深められたと考えておりますけれども、やはり反応は厳しいものがございました。  大体以上が私が向こうで話し合ってきた問題でございます。特に約束をしたというようなことではなく、あくまでも我が国自身のためにするということは強く主張をしてまいった次第であります。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 約束と言うと多少語弊があるかもしれませんが、大臣のおっしゃる我が国自身の決意として申し上げてきた、こういうことだということですから、素直にそういうふうに理解をしたいと、こう思いますが、この安保条項、あるいはまた今般工場への立入検査等まで含まれているんですけれども、そんなことまで話し合われた経過があるのかどうか。まあこの際ですからできることはやるにこしたことはないという考えから、いささかどさくさに紛れて権限を拡大するというふうなそしりを免れないんじゃないだろうかというふうな気がするわけですけれども、さらにはまたこの法案をまとめる過程で報道されたところによると、外務省当局とかなり確執があったやにうかがうわけなんですけれども、その点について大臣はいかがお考えですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 安保条項とか工場への立入検査ということは、向こうで私は口にしませんでした。そういう約束は全然ございません。どさくさに紛れて権限拡大をしたんじゃないかという御質問でございますが、私はそういうことはないと思っておりますけれども、もしなにでございましたら担当局長から真意といいますか、胸の内を御説明さしても結構かと思います。  それから、外務省との確執が新聞で大きく取り扱われて、おもしろおかしく書かれたわけでございますけれども、それほどのことではございませんでした。私と倉成外務大臣がこの問題で話し合ったということはございません。官僚レベルである程度のことはあったかもしれませんが、これは、もう官僚というのは一応終戦直後のあの行列みたいなもので、何でも並んでおこうというようなところがございますから、それは少々はあったかもしれませんけれども、しかし大臣レベルでは一切そういう話し合いはいたしませんでしたから、それほどの確執があったとは思っておりません。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 ところで、ココムとの関係でちょっと初めの段階でお聞きしておきたいんですけれども、この輸出製品には、一つは貿易管理令に該当しないところのいわゆる非該当品目というのがありますね。二つ目に、通産大臣限りで承認する行政例外品目、これは通常承認されるようでありますけれども、そういうものがありますね、行政例外品目。三つ目に、パリで、ココムで特認を受けないといけないいわゆる特認品目、これは承認されるかされないかわからない品目。この三つに分かれているようですが、このうち、二番目の行政例外品目が一体何なのか。政府の説明によりますと、それは政令に書いてあるから国民にも十分わかってもらえると言っております。しかしながら、行政例外品目と三つ目の特認品目の区分というのは、ココムの事務局あるいは政府だけが知っていて、国民一般には非公表であります。公表されておりません。全くわからないわけであります。  こんな状態においてこの法律を守れと言ったところで、無理な相談ではないかと思うわけです。罪刑法定主義にも反するわけですし。そこで通常承認されるこの行政例外となる品目の範囲というものを公表すべきだと思うんですけれども、いかがですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御指摘の点はまことにごもっともな御指摘でございまして、実は私も今回の改正を契機として、ぜひ行政例外品目の範囲を公表さ世だいものだと思って、事務当局に強くこれを指示いたしました。  もちろんこれは加盟国間での協議が必要でございますが、きのうたまたまアメリカの商務省のココム担当のフリーデンバーグという次官補がやってまいりました。それで、新聞でも御承知のような会議があったわけですが、これも私が向こうで提唱した協議の機関でございます。そこで我が方からこの公表について強くこれを求め、フリーデンバーグとの間で合意ができました。その他の国とも今後積極的に話し合った上で、今の御指摘のように本件を公表するように措置してまいりたいと、このように思っております。ちょうどたまたま、きのう合意した問題でございますので、あえてこの場をかりでそれを御報告しておきたいと思います。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 今の大臣の御答弁は大変結構だと思うんですね。新聞でも、このフリーデンバーグ米商務省次官補が来日して懇談をしたという記事はありますけれども、今大臣も触れられたように、基準を公表する、品目を公表するということは何も載っていませんから、そういう約束が行われたという、約束というか話し合いが行われて、相手側も理解を示したということであれば、これは大変結構だと私は思うわけですけれども、ぜひひとつそれを早期に、一般にわかるように処置を願いたい。  既に御案内のとおり、あの事件以来対共産圏向け輸出の審査もいささか手間取っている気配がありますし、また産業界の方でも今までよりも非常に慎重になって、将来に一定の不安を感じている向きもあるようですから、少しでもそれらが緩和されるように、しかも品目等についてはより明確に理解が浸透するような処置を講じていただきたいと思う。  貿易局長、ちょっとお聞きしたいんですけれども、この新聞記事によりますと、アメリカ政府は昨年一年間に一万一千四百件の審査申請が受け付けられて、そのうち一千件を審査した、そしてそのうちで五百件、約九億ドル分の輸出を拒否したと、こういうふうなことをフリーデンバーグさんは言っているようですけれども、我が方では承知されておりますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) きのうの会合で、フリーデンバーグ次官補から、五百件の拒絶を行って、それが金額にすると優に十億ドルを上回るような金額であったという説明はございました。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 日米の貿易会議がハワイできのう、きょうあたりから行われているようでございますし、どういう話し向きになるのか存じませんけれども、今来日された関係者等との話し合いによって、今回の外為法改正についてもあちら側が一定の評価をしているというふうに受けとめてよろしいんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 昨日の会議の席でも、外為法の改正を初めといたします日本側の再発防止策につきまして、基本的に大変高く評価をするという発言がございました。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 ちょっとさかのほった話をしてお聞きしますけれども、国防総省が東芝事件について調査を要請してきたのは本年三月十九日であると言われていますが、そうなのかどうか。政府の対応のおくれがその後の問題をこじらせたというふうなことはないのか、当局はどう判断されていますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 本件について米側から指摘が最初にございましたのは、昨年の六月でございます。昨年の六月でございますが、その際の指摘の契機となりましたのは、一昨年の十二月に、パリのココム事務局へ、当時の日本側関係者でありました和光交易のモスクワ元支店長が投書をしたということがございまして、その同じ投書が米側にも回って、それが昨年の六月に米側から日本に指摘をもたらす契機になったわけでございます。  それで、ただいま御指摘の国防総省の指摘でございますが、これを言ってまいりましたのは昨年の十二月であったかと思います。これは通産省には直接言ってまいりませんでしたけれども、外務省に当時の、現在もそうですが、イクレという国防総省の次官と、それからブライアンという副次官と申しましょうか、そういう人が来まして、その旨のことを指摘をいたしたわけでございます。その旨と申しますのは、この事件のおかげで西側の安全保障に重大な脅威がもたらされているのではないかという指摘であったわけでございます。  ちょっと前後して恐縮でございますが、昨年六月の指摘のときは、それ以前のパリ事務局への指摘の際に行った調査、これは相当本格的に、十回にわたるヒヤリング等を行いまして、一昨年の十二月から昨年の一月、二月、三月にかけて調査を行いましたので、その調査の結果のとおりであるということを六月の段階で米国に答えておりましたものですから、昨年十二月での指摘の段階では、ココムへの投書の件以外に何か新しい材料があるのかどうかということを米側に相当何回も問い合わせたわけでございます。そのやりとりが、ことし一月、二月のやりとりでございました。  そこで、今御指摘の三月になりまして、米側からややその材料と言われるようなものが参りまして、私どもも、そういうことであればもう一度本格的に調査をしようということで、三月から四月にかけて本格的な調査に着手をいたしたわけでございます。その結果、四月の二十何日でございましたかに、東芝機械の関係者を通産省としては告発をすることになりまして、また五月十五日には行政制裁も講ずることにいたしたわけでございます。その際に米側からは、日本側の迅速かつ的確な対応を評価するという言葉があったわけでございまして、問題が深刻化したのは、むしろそれからしばらくたってからというふうに私どもは認識をいたしております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 この経過の中の対応に関連しまして外務省にお伺いしたい。  外務省は当然米国その他から一定の情報も得ておると思うんですけれども、それをどういうふうに評価し、政府部内に伝えておるのかということについて、私はいささか不十分であったのではなかろうかというふうに思っているんです。  今回、外務省が法改正に関して、いわゆる法定協議というものを要求された。外務省としてはみずからの見識というものを持って法定協議ということを要求をされたんだと思うんですけれども、この問題がここまで大きな問題になってきたということについてはいつごろ察知をされましたか。外務省は当然のこととして、対外的な折衝、交渉の窓口というふうに自認されているわけですし、迫にまた、外からの情報は適時適切に外務省当局の見識として政府部内に伝達をしてもらわなければ困ると思うんですけれども、そういう意味では今回のこの事件は、概して外務省としても責任の一端があるんじゃないんでしょうか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 最初、パリにありますココムの議長から日本政府に連絡がありましたのは、一応外務省が窓口になっておりますので、在仏大使館を通じて外務省に連絡がありまして、直ちに通産省等関係省庁に御連絡して、調査をお願いしてきております。  その後、今畠山局長から御説明がありましたように、アメリカ側から去年の六月、次いでイクレ国防次官が去年の十二月に参りましたときの情報等も直ちに各省に連絡して、御相談してきているわけなんですが、外務省といたしましても、今、先生が御指摘のありましたように、これは輸出管理をやっている通産省の問題であるとか、あるいは警察の問題であるというふうに思って、外務省が責任を回避しているということは全くなくて、あくまでも日本のココム規則の遵守の問題である、あるいはさらには日本の安全保障の問題であるということを強く認識いたしまして、当初から緊密な連絡を取り合ってやってきております。  例えば、こういうココム違反の問題につきましては、やはり関係省庁間の緊密な連絡が重要であるという認識のもとに、月に一回ずつ関係省庁の会議を組織いたしまして協議しております。この東芝機械事件につきましても、特にこの重要性にかんがみて、毎月のように関係省庁会議でも議論してまいりましたし、特に通産省と外務省との間では二省庁間で緊密な連絡をとってやってきた次第でございます。  ただ、通産省でもいろいろと先ほど御説明になりましたように、調べていただきましたけれども、なかなか実態の把握ができなかったということがありますが、その後だんだん事の重大性というのがわかってまいりました。ただ、日本だけで得る情報というのは限度があるということもありまして、特にアメリカの方で、いわゆる日本人の内部告発以外に、もっとそれを補強するような情報をできるだけもらいたいということで、これは再三再四にわたって、あるいは担当者が出張したようなときも含めて、いろいろとアメリカにアプローチしたりしてだんだん別途のいろいろな情報も入ってきたというのは、ことしの春ごろからでございます。それを根拠に通産省でも行政制裁等も課せられたという経緯があるかと思います。以上でございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 その経過の中での外務省のやりとりを余りとやかく言う気はありませんけれども、事件が発覚してからでも、もう少し外務当局が働きをしていい段階というのは、あるいはまた手段というのはあったんじゃないんですか。  例えば、この問題を回避するためにアメリカに対してどういうふうに働きかけられたですか。事実関係がはっきりする、せぬということもさることながら、おおむねそれが先ほどの通産の話のように、再調査をして東芝自身もそれを認めたという時期がございましたが、それは三月ごろですね。それ以降——ノルウェーなどはアメリカの各議員に手紙を出したと聞いていますがね。日本では東芝が会長がやめ、社長がやめ、さらにアメリカの全紙に全面広告を出して謝罪といいますか、事情説明をするというふうに行われたと私は承知していますけれども、そういう過程でどういうふうにされましたか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) この事件が一年以上の調査を通じて明るみに出た後、それじゃどう日本政府として対応するかということにつきましては、これはあくまで法律に基づく制裁というのは通産省の権限でございますが、通産省からも緊密な協議を受けましたし、それに基づいて外務省としてもいろいろと意見を言いましたが、今度日本政府としてとる措置等につきましては、アメリカ政府の理解を得るべく、これは本来日本の問題なんですけれども、日本として独自の立場からいろいろと措置をとると同時に、アメリカ政府等あるいは議会関係者にも理解をしてもらえるよう、通産省と一緒になりましていろいろと説明をいたしました。  その結果、先ほど通産省からも御説明がありましたように、五月十五日に日本政府がとった措置、これは通産省が主としてとられた措置なんですけれども、につきましては、アメリカ政府は非常に評価をする、これはノルウェー以上にアメリカ政府は評価したわけです。ただ、これはいわゆる九軸の件についての対処ぶりについて非常に評価されたんですが、六月になって五軸の問題が新しく出てきたということで、そのときに日本政府の対応が遅いというような批判がまた別途出てきて今のような事態になったわけです。  その段階でも日本政府といたしましては、もちろん通産省には、通産大臣が訪米されましていろいろと議会関係者、行政府の首脳クラスに働きかけをしていただいておりますけれども、外務省といたしましても、特に松永大使以下大使館を中心に各方面に働きかけをやっております。特に七月末に外為法改正案ができまして新しい管理体制等についての一応の決定が行われた際には、松永大使から例えば行政府の主要閣僚のみならず、全上院議員及び全下院議員に直接手紙を出すなり、あるいは直接会ったり、あるいは電話で話しする等によって、いろいろと日本の対応ぶり等について御説明しております。それについては非常に評価されていると言えるかと思います。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 一説によると、私の耳に入っている話では、逆に外務省は、国防省なり国務省なりに依頼をして、今回の法定協議を実現するために働きかけた嫌疑濃厚というふうな説があるんです。私はそうは思いたくないんだけれども、一説によるとそういうことがある。通産省だけに任しておいたらこんなようなことになるんだぐらいのことをどうも言ったらしい、それがその後の通産当局との新聞に出たような、先ほど私が触れた確執につながっている、こういうことは一切否定されますか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 日本政府としてどうするかというのはあくまで日本政府が決めることであって、私たちがアメリカの国務省とか国防省に働きかけて、当時改正につき検討をされていた新しい外為法にその法定協議を入れるようにアメリカに圧力を求めたということは全くありません。それはやるべきことではありませんし、全く根拠がないことです。逆にアメリカ政府としても、それは日本政府に対する内政干渉になるということで、全くやるはずないと思いますので、今先生が御指摘された点につきましては、全く根拠がないということははっきり言えると思います。  ただ、一般的に、きのう、今東京に来ておりますフリーデンバーグ商務次官補も言っていることなんですけれども、ココムの規則をきちっと各国が国内において遵守するためには、国内における管理体制の方が非常に大事である、その管理体制整備の一環として関係省庁が関与した形での輸出管理体制が大事だということは、これは何もアメリカだけじゃなくてヨーロッパの国等も指摘している点でございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 では、通産当局にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほどの話の中にも出ていましたように、審査人員の増加を考えなきゃならぬ、あるいはまたその他の条項、項目を含めた今回の外為法の改正、罰則強化等盛り込んでいるわけですけれども、今、日米間では、半導体の問題も、けさの報道によると、なお制裁解除のめどは立たないというふうなことですし、これから重要な一つの課題としてFSXの問題も浮上してまいります。こういうふうなことを考えますと、この東芝機械の事件に潜んでいるような日米間のあつれきというものは、そう容易に決着を見ることは困難なのではないか、こんな思いがするんですけれどもね。今回の外為法はそのFSXまで含んでいるかどうかは別にしてですよ、今の日米間の中で今回の事件の応急処理のような性格のあるこの外為法改正というのは、本質的に問題解決へ向かうのかどうか疑問があるんですけれども。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私が訪米いたしまして、行政府の人々また上院下院の有力者たちに会った限りにおきましては、半導体やFSXというものと東芝機械問題とは、それはそれ、これはこれというように向こうは受けとめておるという感じがいたしました。これを関連づけて私に対応したというようなことは全然ございませんでした。でございますから、私どもは外為法改正を大きな柱とはしますが、その他いろいろな管理体制の問題、いろんな問題、今講じておりますことは、あくまでも包括貿易法案、なかんずくガーン修正案、つまり東芝制裁ということへの対応ということでございまして、もちろん半導体も私が手がけておる問題でありますけれども、それはまた別途の問題、FSXにつきましてもこれはもう全然別途の問題というふうに、私どもはそういうふうに受けとめております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 この東芝事件の問題の後ある時期に、日本電気系列の会社でこれに似たようなことがあるというふうな報道がなされ、アメリカ側はその後それを否定もしたと、そういう報道もありました。昨日でしたか、今度は新たにカメラ関係の一眼レフのオートフォーカスの技術をめぐってハネウェルが訴訟を起こしたというふうなことが報道されましたけれども、何か見ていますと、次々と個別の業種、企業に難癖をつけてくる、問題を提起してくるというふうな手法がアメリカ側で横行しているような気がしてならないんです。  ところで、今回の上院のこの包括貿易法案の中で、東芝制裁という条項は具体的にはどういうことになっているんですか。

吉田文毅通商産業省通商政策局次長

○政府委員(吉田文毅君) お答え申し上げます。  上院の包括貿易法案も含まれます東芝制裁条項としましては、大きく分けまして二つございます。  まず第一に、東芝グループあるいはコングスベルグ社、さらにココムに今後違反する企業に対しまして、米国への製品輸入及び米国政府によります製品の調達を二年から五年の間禁止しようということを考えておりますガーン修正案、これが一つのグループでございます。  それから第二のグループといたしましては、国防長官の認定に基づきまして、国務長官が司法長官に対しまして不正輸出関係企業を米国の裁判所に提訴させまして、損害賠償を請求させようというヘルムズ修正案、こういうのが主要な内容でございます。  そのほか幾つかのポイントを含んでおりますのがいわゆる東芝制裁条項でございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 今お聞きした限りでも、これはもう大変な中身を含んでいますし、日本じゃとても考えられぬようなことだと思うんです。これに対して通産当局はどのような見方を、受けとめ方をしていられるか。さらにはまた、今回の外為法改正によって、それは好ましくないから撤回をしてもらうということが必要だし、十分それは期待できると、こういうお考えなのかどうか。その二点について伺いたい。

児玉幸治通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(児玉幸治君) ただいまお尋ねのまず前段の部分でございますが、もしただいま吉田通商政策局次長が説明いたしましたような形で何らかの制裁法案が成立した場合に、どういう影響が出るだろうかという点でございます。  東芝がそういう制裁の対象になる可能性があるわけでございまして、例えば東芝の昭和六十一年度の対米輸出を見ますと二千五百億円でございます。また東芝グループ全体で見ますとこれが三千二百五十億円に達するわけでございまして、東芝の本体あるいは東芝グループ全体の場合におきましても、いずれも売上高の約一割程度になるわけでございます。制裁法案によりますと、その会社の製造したすべての製品の米国への輸入を二年ないし五年間禁止するというふうなことがあるようでございますから、もし本当にそういうことになった場合には、東芝ないしは東芝グループ全体に対しましても相当の影響が出てくるんではないかという点が大変懸念されるところでございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今、第二点は、外為法を改正すればうまくいくのかという御質問だったと思いますが、率直に言いまして、アメリカの行政府は非常に高く評価をしてくれております。が、議会の方はなお厳しいものがあると私は思っております。しかもアメリカの場合は、日本と違って議院内閣制じゃございませんから、これが通ったから必ずそれじゃ撤回されるか。私はそれはわからぬと思うんです。ここで私がお答えしようがない。ただこれがうまくいかなかったら、改正案等が成立しなかったらということを考えますと、少なくとも間違いなく最悪の状態を迎えるであろうと、事態を迎えるであろうと、このように思います。それだけに私どももこの問題、目の色を変えて取り組んでおるということでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 何としても努力をして撤回をしてもらうようにしなきゃならぬと思いまするし、そのために我々も今回のこの法改正については種々の問題を含んでいるのだけれども、五十歩八十歩譲ってでも当面のアメリカの法案の成立を回避したいという気持ちが私は非常に強いんです。ところで、今大臣がおっしゃったように、必ずしも保証はないということだと思うんですけれども、だからこそこれは努力をしなきゃなりません。それ以外に道はありません。  外務省に関連してお聞きしたいんです。  これだけ我々は困難を感じながらも、かなり無理な法改正をやらなきゃならぬという立場に立たされていると思うんですけれども、東芝制裁の法案というものがアメリカで成立したら、これはもう大変だということは御承知のとおりですから、この法案の成立を何としても回避するということに外務省も大きな責任を感じ、役割を果たしてもらわなきゃならぬと思うんですね。したがって、外務省もアメリカのこの法案には反対だということをはっきり態度でも言葉でも表明をして、強く働きかけをしてもらわなきゃ困ると思っているんですけれども、果たしてそれでよろしいと、そういう考えでいくということでよろしいですか。  また、この法案が仮に成立した場合、どういう影響があるというように外務省は見ておられますか。これは国内的な影響がもちろん第一義ですけれども、国際的にもこれはヨーロッパも今非常に注目しているんです、日米間でのこのやりとりを。そういうふうに私は思うんです。国際的にもかなりインパクトがある。そのインパクトは日本にとってプラス面だけではない、マイナス面が非常に大きいということもある。そこらを含めて所見を伺います。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 私たちといたしましても、今議会に提案されております形でのいわゆる東芝制裁条項というものはいろいろと問題があると思います。例えばアメリカの憲法に照らして過去の行為について罰することがいいかどうかという問題とか、はっきりした域外適用とまでは言いませんけれども、アメリカ政府が外国の企業に制裁を加えるということは全く望ましくない。同時に直接事件に関係のない親会社までも罰するということも非常に問題であると思います。あと、ガット上も果たしていいかどうかという問題等いろいろと問題の多い法案だと思いますので、私たちといたしましては、これまでも全力を尽くしてアメリカの行政府及び議会関係者に働きかけをやってきております。特にアメリカの行政府自体は非常にわかっておりまして、これを阻止するために一生懸命努力をするということを約束しておりますが、引き続きかかる法案の成立阻止のために努力をしたいと思います。  ただ、今通産大臣も言われましたように、最終的にどうなるかということはわからないけれども最大限努力をする、あるいは万一何らかの形で法律ができるようなことになってもできるだけ少ないようなもの、あるいは例えば行政府の裁量の余地が大きく残せるようなもの等の可能性も含めて努力したいということであります。その際、国際的にどういう影響が出てくるかということでございますけれども、先ほど通産省の児玉局長からも我が国企業への影響等につきまして御説明がありましたけれども、そういう直接、貿易上の影響とは別に、先ほど申しましたようないわゆる国際的な現在の慣行あるいはルールに照らしていろいろと問題の多い法律である。例えばガット上とかあるいは域外適用絡みの問題とかがありまして、非常に望ましくない法律だということであります。ですから、万一そのような条項が盛り込まれたとしても、できるだけそれが発動されないよう引き続き努力する必要があると思っております。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今の答弁、誤解があるといけませんから、私からあえて申し上げますが、今私どもはこういうもろもろの対策で懸命になっております。もしあの法律、ガーン修正案等が成立してもという話でありましたが、私どもは断じてそれを阻止するために努力をしておるのでありまして、成立した暁のことを想定はいたしておりません。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私も今外務省のお話を聞いて感じたんですけれども、きょうは外務大臣に来てもらうわけにいかぬから、あなたには悪いけれども、余り私強く申し上げてないんですけれども、そうなんですよ、断じてこれはもう成立を回避、阻止しなければならぬわけでございまして、そういう決意で外務省やってもらわなければいかぬ。今のお話聞いておったら余り熱心じゃないんですよね。もっと八面六臂の活躍を僕はしてもらわなければ困る、そういうふうに思うんです。ぜひひとつこれはやってください。通産当局ともちろん協力してもらう必要があるけれども、外務省独自で責任を持って頑張ってもらわなきゃならぬと思いますよ。これはもうぜひお願いをしておきたい。  次に、ちょっと法案に関連しまして二、三お聞きをしますが、本来、納経済的な側面で必要な規制をするならばするということが外為法の趣旨であるにもかかわらず、今回、経済目的以外の姿勢が盛り込まれるわけですが、通産当局はこの点についてはどのように今お考えですか。心境はいかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 委員御案内のように、我が国を含めます主要な西側諸国が、安全保障上の観点からココムに参加をして、その申し合わせを国内法で遵守をしていこうということでやうているわけでございます。そこで、我が国だけがその申し合わせに反しまして、いわば抜け駆け的に、例えば共産圏にこの対象となる商品なり技術なりを出したということになりますると、我が国の貿易相手として過半を占めます西側諸国との貿易関係がおかしくなるわけでございまして、そういう意味でこのココムを遵守することは経済的な観点からも必要なわけでございます。  したがいまして、このココムのために規制を行っていますことは、経済目的という説明は十分可能であるというふうに考えておりまして、外為法の規制の目的である「外国貿易及び国民経済の健全な発展」という概念に合致する観点からの規制であるというふうに考えております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 次の質問を先取りして答弁されたような気がするんですが、外為法の法的性格を規定するいわゆる第一条、これはすぐれて経済的な文言ですわな。したがって、その第一条を改正しなくても、世界の平和、安全保障ということは多分にあれですか、今の御説明であれば、経済的な性格を有するという解釈で第一条は改正しなくてもいいと、こういうふうに考えられたわけですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 結論から申し上げますと御指摘のとおりでございまして、若干補足をいたしますと、現在でも、委員御案内のとおり、現行法の二十五条の二号に「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるもの」、そういう取引を行おうとするときは通産大臣の許可を受けなければならないという条項がございます。この条項が現在の外為法の目的のもとで置かれているわけでございまして、その趣旨は、今委員御指摘のように、このココムの申し合わせに反して、日本が抜け駆け的に共産圏なら共産圏に規制商品を輸出するというようなことがございますると、そのココム参加国という我が国の貿易相手として過半を占めているような国との間の経済関係、貿易関係が円滑に発展しなくなるという経済的な理由からの規制だという説明が十分可能であるというふうに考えているからでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私も、今回の事件を背景にして、いわゆるココムを遵守していくという立場に立ては、外為法のこの程度の改正というのはいわば最低限度のものじゃないかというふうに私は一定の評価をしたいと思っているんです。しかし、法律の性格からして、先ほどお尋ねしたように、いささかなじまないという感じは残っているわけなんですよね。その点で見解をひとつただしておいた次第です。  ところで、外務省、特別立法を外務省は主張をされたという経過があるようですけれども、そういうことはあったんですか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 今度の東芝機械事件が起こりまして、このような事件の再発を防ぐためにはどうしたらいいだろうかということで、私たちといたしましても、法律の改正の可能性も含めていろいろな選択を検討したわけです。その選択の一つといたしまして、外為法改正とかあるいは別の法律、いわゆる特別立法の可能性等もオプションの一つとして内部で検討したことはございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 先ほど触れました通産との確執があったという中身の一つはそれだと私は見ているんですけれども、あるいはまたもう一つの観点からいえば、世界各国、特にヨーロッパの諸国、そういうところの対処の姿勢というようなものと調和を図っていかなきゃなりませんね。あちらにはそんなに特別立法でやっているところは私知らないんです。そういう意味でも特別立法というのは必ずしも適当じゃないと思うんですけれども、結局はそういう判断に立たれたということですか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 私たちが検討いたしましたのは、各国の法制等も参考にしながら検討したわけでございますけれども、例えばドイツには対外経済法という法律があるわけなんですが、日本においても果たしてそのような法律が可能かどうかという全く一つの可能性として検討をしたわけです。  ただ、中身といたしましては、今度の外為法改正に盛られた中身とほぼ同じでございまして、例えば、国際的な平和及び安全の見地から、物資及び技術の輸出管理をどう行うかというのが主眼でございまして、中身的にはほとんど差異のないものです。ただ、これ全く新しい企画等でもありますので、結果的にはやはり外為法改正が一番望ましいのではないだろうかという判断を最終的には下した次第でございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 通産当局はどうですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 条文にあらわれた姿で、今の例えば「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるもの」というのが入っているという点は事実でございますが、これが入っておりますのは、先ほど御説明申し上げましたように、現行二十五条二号の規定でその規定が既にございまして、これが端的に申し上げてココム関係の規制を表現しているわけでございますので、今回そのココム関係の違反、ココム関係の外為令なり貿管令の違反をとりたてて、懲役等罰則を強化するという必要性から入れたものでございまして、大上段に「国際的な平和及び安全の維持」一般をここで規定したのではないという点におきましては、若干、外務省の本来の特別法というものがどういうものであったかよくわかりませんけれども、もし仮にそれが「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなる」云々というのを、一般を規制しようとしたのであるとすると、そこに違いがあるだろうというふうに考えます。  また、より基本的にはこういう表現がございましても、外為法の中でやるわけでございますから、先ほど御指摘の外為法の目的の範囲内で解釈をしていくのは当然でございまして、その意味におきましても、仮にその特別法というものに外為法の目的と同じような目的が入ってないものを構想されていたとすれば、この点でも異なるんではないかというふうに考えております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 外為法の趣旨、目的に照らして解釈をしてやっていく、それはぜひ必要だし、大事なことだと私は思うんです。ところで逆に、しからば武器などの輸出につきましては、かねてから国会でも武器輸出三原則ですか、禁止三原則ですか、あるいは政府統一見解というのもあるわけですけれども、仮にこれをもっと法律的に法定化しようとすれば、独立立法ということがやっぱり必要であり、それ以外にはないと、例えば今武器輸出に関連してお聞きするわけですけれども、そういうお考えだと承知していいですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 結論から申し上げますと、恐縮でございますけれども、その武器につきましても、この為替管理法におきます規制で十分であるというふうに考えております。  理由を申し上げますと、私どもはこの「国際的な平和及び安全の維持」といいますものの内容といたしましては、ココム関係でありますところの西側諸国の安全保障に重大な影響をもたらす取引等を規制するということのほかに、国際的な紛争の発生もしくはその拡大を助長するような取引を規制することによって、我が国を含む国際社会の平和及び安全が脅威にさらされることのないようにすることを意味するというふうに考えておりまして、今申し上げた点で、武器の取引を含めて規制をしたいと思っているわけでございます。  したがいまして、武器輸出禁となり、武器輸出三原則なりあるいはその国会決議なり、そういったことで、武器輸出につきましては我が国として禁止ないし非常に慎重な態度をとっておりますが、今回しの改正に伴いまして、従来はこの武器輸出違反についても三年の懲役が最高限でございましたけれども、今回の改正で、このココム同様最高五年以下の懲役ということに罰則が強化されるわけでございまして、しかも具体的な地域といたしましては、ココムの地域は四十八条で申し上げますると第一項で、この「政令で定める特定の地域」というのは、共産圏なら共産圏を明示していくことになるわけでございますが、武器の場合には、この「特定の地域」というのは、全地域というものを政令の対象にさせていただこうと思っているわけでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 武器輸出あるいはそれに関連する立法問題、直接の議論をする気持ちはないんですけれども、私たちの党はこの法律改正に反対という立場をとる、一方、武器については今御説明があったように、また私も触れたように、武器の輸出はこれは否定するわけですから、そうなると特別立法が必要ではないかなというふうな論理になるわけですわ、私たちの考えからすれば。それで先ほど申し上げたようなことをお尋ねしたわけですけれども、今の御説明は御説明で理解できます。十分これは理解できるわけであります。  さて、外務省さん、日本がこれだけココムで言われていますが、先ほど私紹介した昨日のフリーデンバーグ次官補さんのお話の中に出ていますように、アメリカはかなり申請件数が多いですね。アメリカはいわゆるココム違反をしているんじゃないかといううわさがあるんですが、外務当局、この点どの程度把握をされておりますか。またこれに対して抗議をなされたことがありますか。ココム違反が安全保障上問題であるならば、厳重にこれは抗議をしてもらいたいし、しなきゃなりません。場合によっちゃ損害賠償要求を、今回アメリカが我々に対してしてきていると同じように、アメリカに対しても損害賠償要求をしてしかるべきだと思うんです。  アメリカは、今日SDIにも用いられると言われているレーザー反映鏡、レーザーを反射する鏡、あるいはまたいつも問題となっております半導体製造設備、これソ連に輸出しているんじゃないですか。そういう事態を把握をされているのかどうか、またそれに関連する情報があれば御報告願いたいと思います。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) アメリカに限らず、ココム加盟国は、それぞれの国内法令に基づいてココム規則を含む国内の輸出管理違反事件を摘発すると同時に、摘発された場合には厳罰に処しているというふうに私たちは了解しております。  今、先生からお尋ねの、アメリカにおける違反事件につきまして私たちが把握していますところでは、例えば八四年には二十件、八五年には十三件、八六年二十四件の違反事件がアメリカ政府によって摘発され、処罰されております。  そういう場合に抗議するかどうかということですが、これはそれぞれココムの中では、ココムの参加国がココムのルールに従って規制を遵守すると、違反があった場合には国内の法令によって処罰するという方式をとっておりますので、一々他国の違反に対して抗議をするということはやっておりません。いわんや賠償につきましては、今アメリカ議会に出ております日本に対する賠償要求のための交渉をやれというような法案につきましては、私たちは真っ向から反対しておりますし、アメリカ政府自身もあのような法案はよくないということで議会に働きかけをやってくれておりますので、私たちがアメリカのココム違反事件に対してアメリカ政府に賠償要求するということはいたしておりません。  今、先生が言われましたレーザー反映鏡とか、半導体製造設備等の違反があるのではないかというお話ですが、私たちアメリカ企業による違反事件全部を把握しているわけではありませんが、例えばコンピューター部品の輸出違反事件でありますとか、プリント回路基板製造設備とか、その他電子部品等の違反事件があり、かつ摘発されているというふうに承知しております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 アメリカとフランスの情報機関が一致した分析といたしまして、フランス紙が伝えたところによりますと、高度技術の東側への流出は米国からが最大となっておる、これは昨年九月七日の毎日新聞に記載されているところです。外務省の手元の資料のようですが、「アメリカにおけるココム違反事例」として四つ、五つ挙がっているんですが、一九八五年に対象物資は集積回路製造装置、先ほど私が触れた一つの装置、これを無承認でソ連及びキューバへ輸出をした。保護観察処分五年及び罰金百万ドル。一九八六年、昨年、やはり半導体製造装置をチェコへ無承認輸出を企図した。それで罰金など制裁があった。同じく昨年、高度技術製品として虚偽申告によって東独へ輸出、それがソ連へ再輸出された。高度技術製品、中身は書いておりません。それから先ほど私が触れた、昨年、レーザー反射鏡を虚偽申告によってソ連へ無承認輸出をした、こういう資料があるわけですけれども、これは確認できますね。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 私、今先生と同じ資料を持っておりませんので確認できませんが、帰りまして調べまして、後で資料が見つかれば御説明いたしたいと思いますけれども。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 だから、この種のことがあると私は思うんですよ、これ。通産当局でも、よければ、類似した状況がわかっていれば御説明いただきたいんですけれども。  私が聞きたいことは、そういうふうにココム問題というのは余りに神経質になっていますと、これは経済的に大きな悪影響をこうむる。今御案内のとおり、日米間の貿易あつれきというものを考えても、全方位貿易を我が国は展開しなきゃならぬわけでありまして、既に御案内のとおり、この間のウラジオストックの日本の見本市にしても、モスクワにおける見本市にしても、大変な反響を呼んでいるわけですね、あちら側に。そういうふうに、共産圏国といえども向こうの民生の向上改善に役立つ製品、技術というのはどんどん輸出をしていくことが、ある意味じゃ相互の友好と平和関係をより強靱なものにしていくことに役立つわけですね。規制だけではこれは平和と安全は私は守れるものじゃない、経済的な結びつきが深まれば深まるほど平和と友好にとってプラスであると、そういうふうな気がしてなりません。したがって、規制だけを中心に考えるということについては、これは一面的過ぎるということをあえてこれは意見として付言をしておきたいと思うわけであります。  それから、通産当局にお聞きしますが、この今回の包括通商法案、東芝制裁条項などは、必ずしも私はアメリカの国民全体の意向だとは思えないんですけれども、これはざっくばらんな話ですけれどもね、どういうふうに感じとっておられますか。

吉田文毅通商産業省通商政策局次長

○政府委員(吉田文毅君) 東芝制裁条項につきましては、現在まだ米国議会で審議中でございます。法律として成立しているわけではございません。また、米国政府もこれに反対の意向を表明しているところでございます。したがいまして、米国民の意思として東芝を制裁すべきであるというふうになっているわけではないというふうに私どもは現時点で考えております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 だから、通産当局ももちろんですが、外務省もぜひひとつこのアメリカの国内の草の根というレベルの階層ですね、これはすぐれて量的にも多いし、経済的にも大きなユーザーなんですから、そういう層にも積極的に働きかけをしてもらう必要があると思う。議会筋だけじゃなくて、やっぱり議会もその草の根に訴えるためにやっているわけですから、それを我々も大いに活用して、世論の掘り起こしといいますか、あるべき妥当な世論形成というものに努力をしてもらわなきゃいかぬと思うんですね。  過般の東芝ラジオを議会の前で割っているあの姿を見たら、アメリカの国民からも彼らはひんしゅくを買っているでしょう。あるいは日本の人々もあれを見てどう感じているかというと、これは思い半ばに過ぎるものがあるわけでありまして、そういう立場で外務省もぜひひとつ、今後も似たようなことがあるかもしれない、日常的にアメリカの関係筋とのチャンネルを広げてもらって、やっぱりあくまでも自由な公正な貿易を推進するという原点に立って、積極的なひとつこれからは対応をしてもらいたいと思いますが、所見を伺ってお引き揚げをいただいて結構です。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 私たちも、今通産省から御説明がありましたように、議会に出ております東芝制裁法案につきましては、行政府はもちろん反対しておりますけれども、一般国民あるいはアメリカの産業界におきましても反対の声が非常に強いというふうに思っております。そして、今御指摘のありました草の根につきましては、全米各地にあります我が方総領事館を通じましてどの程度総領事館に反響あるいは抗議等が来ているかということも今調べておりますが、そういうふうな反響の調査結果をベースに引き続き努力していきたいと思っております。  また、あのラジカセを壊した事件につきましても、私たちは外務大臣からマンスフィールド大使あるいは松永大使からアメリカの関係者等につきまして強く遺憾の意を表明しておりますし、マンスフィールド大使からは、中曽根総理に対しましてああいう事件については非常に遺憾の意の表明も行われております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 ぜひひとつ外務当局も、先ほど申したようなことで目を見開いて積極的な外交活動として奮闘努力を願いたいと思います。  通産省にお聞きをしたいと思うんですが、いわゆるNICSですね。その他中進国でココムに加盟している国は存在するのかということが一つ。また、NICSその他中進国がココムリストに該当する貨物を共産圏に輸出する場合、どういう規制が存在するのか。三つ目に、NICS諸国の技術水準の向上とココム加盟国の内部でのココム破りの中で、多くの品目の輸出を禁止し、今回規制をすることに果たして意味があるのか、以上三つについて。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) まず、第一点のNICSその他中進国でココムに加盟している国はあるのかという点でございますが、ココム参加国は欧米の十五カ国と日本でございまして、いわゆるアジアNICSとかそれから中南米諸国などは含まれておりません。  それから第二点の、NICSその他中進国がココムリストに該当する貨物を共産圏に輸出する場合に、どういう規制があるのかという点でございますが、例えばシンガポール、これは当然ココムに入っていない第三国でございますけれども、の場合は、ココムリストに該当する貨物につきまして、対共産国向け輸出につきまして輸出管理制限の整備に着手をしている段階というふうに理解をいたしております。それで、ココムメンバー国以外がハイテク製品を輸出する際の管理を行いますことは、そのココムの申し合わせの趣旨を補完する措置として非常に重要なものであるという認識をココム加盟国は皆一様に持っておりまして、いわゆる第三国協力、第三国に協力を求める問題としてこの点についてココムの場でいろいろ話し合いが行われているわけでございます。  それから第三点の御指摘の、一方でNICS諸国が技術水準が向上し、片方でココム加盟国内部にココム破りがいっぱいある中で規制を強化しても意味がないじゃないか、こういう御指摘でございますが、NICS諸国の技術水準の向上に関しましては、今第一点、第二点で御説明を申し上げましたようなこれら諸国に対して、第三国協力の一環として協力を求めていくという方向で対処をいたしたいと思っております。  それから、ココム加盟国内部でのココム破りというのは、確かにココム違反というものは、先ほど外務省の方からも御説明ありましたし、福間委員の御指摘にもありましたように、それは確かに幾つか、相当あるわけでございますけれども、ただこれはそういう違反があるというだけでございまして、全体として意識的にココムを破っているというようなことはないというふうに考えておりまして、我が国としても今回のような規制をやり、他方ほかの国で我が国のように大きな違反が出たりした場合には、やはりその国もしかるべく手当てをしてもらうという方向で事態に対処してもらいたいと考えておるわけでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 今の御説明は御説明でわかりますが、NICSはココムに加盟をしていないということもこれあり、加盟国以上に形の整ったそういう輸出規制というものが果たしてどこまで行われるか甚だ疑問であります。また、アメリカがココム規制を強化すればするほど、それに正比例して技術水準の発展したNICSの共産圏輸出というものが拡大するであろうということは容易に想像ができます。また、そういう諸国を通じて先進国の技術なり製品が流れていくというふうな可能性も全くなきにしもあらずだと思うのでありまして、今後の事態の推移を見守る以外にはないと思うんです。  ところで、ココムの規制のうちで対中国輸出につきましては、一昨年の十二月から一部規制が緩和されたようですが、その品目は何でございますか。二つ目に、中国とソ連で扱いが違いますね。これは一体なぜか。しからば他の共産圏諸国に対してはどうなっているのか。それらは言うところの国際的な平和あるいは安全の維持ということにどういうかかわり合いを持っているのか。以上三つについて。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 一昨年の十二月から、対中国輸出につきましては、ココム参加国での協議なしに各国政府限りで輸出の承認なり許可なりをできますいわゆる行政例外の範囲を拡大することにいたしました。それで、我が国としましても、六十年の十二月十六日以降、輸出令の品目で数えまして三十六品目についてそういう範囲を拡大したわけでございますが、主要な品目を申し上げますと、ロボットそれから工作機械それから数値制御装置、レーダーそれからプリント配線基板、集積回路、電算機、民生用の航空機等々となっているわけでございます。  それから第二点の中国とソ連とで扱いがどうして違うのかという点でございますが、これは中国につきましては、ココム参加国との関係、それから東西関係の現状等国際情勢、それから西側の安全保障の確保というココムの趣旨を踏まえまして、ココムでその取り扱いについて検討がなされた結果、他の規制対象国に比べて行政例外の範囲を拡大することが合意されたわけでございまして、そういうココムの判断でソ連と中国との間で取り扱いが違っているわけでございます。それを我が国としても是として受け入れているわけでございます。中国以外の共産圏の国について、中国のような取り扱いは行っておりません。  我が国としましても、中国にこのような取り扱いを行うことは、国際的な平和と安全の維持の妨げにはならないというふうに考えておりまして、他方、今御説明申し上げましたように、西側諸国との関係におきましてもそういうココムの申し合わせもあったわけでございますから、西側自由主義陣営の安全保障の確保という観点から、今申し上げたような措置をとることは問題はないというふうに考えておりまして、したがってこれらココム参加国との対外取引の正常な発展でありますとか、あるいは経済関係の正常な発展というものの支障にもならないというふうに考えているわけでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 今の御説明からうかがい知ることができることの一つは、相手国によって、いわば共産圏、社会主義圏といえども対応は一様ではないということ、ココムというものはそういうものだと。あるいはまた時の流れ、情勢の移り変わりによっては相手国との関係が悪化したりよくなったりする、そういうことも規制の仕方に影響がある。それはしたがって極めて流動的であり、しかもココムを主導しているアメリカの恣意的な判断が非常に大きいというふうに考えられるわけですね。ということは、逆に我が国が、我が国の国益に基づいて主張すべきは大いに主張をしていいということにもつながるわけでありまして、その点をどういうふうにお考えですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに御指摘のように、ココムの規制内容と申しますか、申し合わせ内容は情勢の変化に応じまして弾力的かつ流動的な一面があろうかと思います。そうであればこそ、また私どもといたしましても、例えばその規制対象を規制する形式といたしまして、法律で品目を指定するというようなことじゃなくて、流動する情勢に対応して迅速な措置がとれるよう政令で指定品目を決めるというような態度をとらせていただいているのも、そこにまた理由の一つがあるわけでございます。  ただ、そのように流動的な一面はございますけれども、その運用が米国の恣意的な運用になっているということは、私どもとしてはないと考えておりまして、といいますのは、むろんココム十六カ国で審議をした上で全加盟国一致の結論として措置をとるということになっているわけでございますから、我が国としてもし米国の言い分に不満があれば、我が国の意見によってその言い分を阻止することもできるわけでございまして、今までのところ、米国に限りませんが、各国の言い分で我が国にリーズナブルであると思われたものについてだけ取り入れてきているわけでございまして、その意味では、どこか一国の恣意的な運用によってココムの運用がなされておるということはないものというふうに信じております。  他方、我が国として主張すべきは主張すべきだという御指摘はまことにそのとおりでございまして、特に今回の事件以降ココムを中心といたします西側の安全保障についての認識が一段と高まってもまいりましたので、反面我が国としてもまた主張すべきことはきちんと、もっと今まで以上にも主張してまいりたいと思っております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 ところで、今回の外為法改正を行うことに関連しまして、ソ連の対日感情の悪化が少しく感じられるんですが、日本のモスクワ駐在官の退去だとか、三菱商事の駐在員の退去とか、そういうことがその一つのはしりとして感じられる。あるいはヨーロッパとの貿易にさらに力を入れていこうという、そういう傾向が出てきているやに言われているわけですけれども、私はそれはある意味じゃ、ソ連側から見れば決してこれは喜ぶべきことじゃなくて、不快感を持って見詰めていると思うんです。  だから、「国際的な平和及び安全の維持」ということに立って考えれば、先ほども私触れたように、ソ連の民生向上につながるような貿易はどんどん拡大すべきだと、ハイテク製品といえどもかなりの分野でそれは民生向上に役立つわけですから、特に日本の場合はそういう分野で成長さしてきた、あるいは開発してきた技術であり製品なんですから、そういうものを積極的にやっていくということがかえって世界平和の維持につながる、こういうふうに思うんですけれども、このココム規制との関連で、通産当局はどういう采配を振るっていかれようとしていますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 今御指摘の、東西の貿易をむしろ拡張していく方が東西の対立の緩和に役立つのか、それとも東西の貿易に一定の制限を課して、そしてココムのような申し合わせを遵守していくことの方が国際平和に寄与するのかというのは、ココムなりココム関連の安全保障を論ずる際の基本的な論点として従来からいろいろ論じられているところでございます。  そこで、私どもとしては前者のような考え方も十分理解はされるわけでございますけれども、ただやはり基本的には後者のような考え方、つまり無論東西貿易はそれとして拡大はしなくちゃいけませんけれども、ただこれを無制限に拡大していくということは西側の安全保障を害する。したがって、ココムの申し合わせに基づいて一定の制約が東西貿易の間に置かれるのはやむを得ないところであるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、無論東西貿易をその制約の範囲内で拡張をしていくことは十分必要なことでございますし、また今回の規制強化と申しましても、規制対象の貨物を拡大するわけではございませんので、適法な貿易をやっていただく限りにおいて東西貿易の拡張の障害にはならないというふうに考えているわけでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 共産圏へどういう物資を輸出してはいけないかということは通達で決められていると思うんですけれども、どのような通達で決められているのか、その内容はどうですか。先ほど政令とおっしゃいましたが、その下にまだ通達なんかがあるんでしょう。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 御指摘のとおりでございまして、基本は法律に基づく政令で決まっておりまして、その範囲の中におきまして、こういうものはむしろその範囲から外れるのだというようなことを、通達と申しましょうか、事務処理要領で定めているわけでございます。具体的には戦略物資輸出承認等事務処理要領というもので定めておりまして、それは百七十八品目について一応どういうものであるかという範囲を決めておりますが、相当多くの品目については政令どおりになっております。  ただ若干、特に物質みたいなものでございますが、についてはその範囲をこの通達で限定をいたしております。物質以外で、例示で申し上げれば、例えば船舶でございますと対象になるのは水中翼船と、それから例えば脱磁装置を装着した船舶とか、そんなようなふうに政令の範囲を通達で、具体的にはこういうものでございますということを限定して示している場合がございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 対象製品が昔から見るとかなりふえてもきているでしょうし、技術的にも高度なものになってきているでしょうし、汎用品といえども軍事用に転用できるというふうな性格のものもふえてきていると思うんですね。だから、なかなかこの対象に指定する中身というのは難しいと思うんですけれどもね。これから苦労があると思いますが、なるべくそれは規制は例外というふうな立場でやっぱりやってもらうことが好ましいと要望しておかなきゃなりません。  ところで、先ほどもちょっと触れましたが、また外務省もちょっと触れでいましたけれども、ココムの輸出審査というのは年間我が国は二十万件ほど対象としなきゃならぬのだと、こういうふうに今まで聞いているんですけれども、何人ぐらいの組織でどういうふうにやっているのかということ、さらにこれは常識で考えても、一件一件やることはまさにこれは至難のわざだと思うんです。重点的にやってきておられるのかどうか。さらに公式の審査の前に非公式の相談を行うことが必要だというふうな場合、そういうことは行われておるのかということ、申請者全部に事前相談というものが審査までに行われているのか、そこらあたりはどうなっているんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) おおむね二十万件を年間審査する体制でございますが、六十二年度、今年度当初は四十二人の体制でございました。これは貿易局の輸出課が十人、それから原局の通商課なり通商室なりが十七人、それから地方の通産局が十五人、合計四十二人という体制でございました。これを定員の内部振りかえによりまして七月十日以降、六十三名に増強をいたしました。これは本省の貿易局の輸出課、これを五人ふやしまして十五人、それから原局の通商課なり通商室を六人ふやしまして二十三人、それから通産局は据え置きでございますが、以上は審査の人間でございますけれども、そのほかに検査に当たる人間を貿易局に十人ふやしまして六十三人として、現在それでやっているわけでございます。  それで、具体的には二十万件と申しますのは、六十一年度十九万八千件でございますけれども、このうち四千件が共産圏向け輸出でございまして、これは本省の原局の通商課なり通商室と輸出課が審査をいたしております。それから、自由国向けで一件五千ドル以上の大口案件、これは八万六千件あったわけでございますけれども、これは本省の原局、通商課あるいは通商室というところでやっております。それから、自由国向けの今の規模に達しない小口案件、十万八千件は地方通産局で審査をしておるということでございます。  第二点の御指摘は、一件一件やることは困難なので重点的にやっておるのかということでございますが、これまではややこの十九万八千件について画一的にやっておった嫌いがございました。今回の事件が虚偽申請であるということで、しかも大口の案件でもあったということから、画一的な審査体制を反省をいたしまして、今回貿易局に戦略物資等輸出審査会というものを特別に設けまして、大口案件あるいは戦略性の高い分野の案件などに絞ってそこへ上げまして、そういう大口の案件等につきましては一件一件重点的に審査を行う体制をとり始めたところでございます。  第三点の御質問は、公式の審査の前に非公式の相談をやっておるのかということでございますが、これは先ほど冒頭に近いところで御指摘のございました行政例外品目と特認品目の区分が、現在のところは公表いたしておりませんものですから、その区分を企業が必要だというときに相談を私どもにかけてまいるわけでございまして、その相談にあずかっておるわけでございます。その特認の対象になるのかあるいは行政例外の対象で通産省限りの承認で済むのかということを、事前の相談を通じて輸出者に通知をいたしているわけでございます。申請者に全部やっているのかという御質問もございましたが、問い合わせのある限りで申請者の相談にすべて応じているというのが実情でございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 どうですかね、四十二人が六十三人、二十一名程度ふえるということのようですが、そして今畠山局長述べられたような一応体制でもってやっていくということですけれども、全般として今までの対応と、かなり規制が厳しくなるとか、審査期間が長くなるとか、本質的にそういうふうな変化というものがあるんでしょうか。どういうふうに見ておられますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 重点的な審査体制をとりましたし、それから何遍も申し上げて恐縮でございますが、今回の事件が虚偽申請に基づくというやや私どもにとって衝撃的な事件でもあったものですから、審査が当面慎重になっておるということは事実でございます。しかしながら、現在あるいはこの改正を機として審査の基準を強めるというようなことは考えておりませんので、そういう意味におきましては、今、委員の御質問の審査が厳しくなるのかということについては、そうではないとお答えできると思います。  ただ、期間は今申し上げたようなことで長くなっておりますので、今後、今の六十三人、それから来年度の増員というようなものもありますので、審査期間をできるだけ今のような異常な長い期間じゃなくて短い期間にするように、それも早く実現できるように努力をしてまいりたいと思っております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 今回の事件で輸出審査のおくれなどで商談をあきらめる企業がふえてきているというふうな報道がありましたが、実態的にはいかがなものですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) そういう報道も確かにございますが、実態としては、やはり余り期間が長くなるとほかのところから求めるというような動きがあるかもしれないということが伝えられているという程度でございまして、具体的にこの件は実はあきらめたんだというような事例は承知いたしておりません。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 余り大きな影響はないということであれば結構ですし、これからもぜひそうあってもらいたいと期待をしておきます。  それから、防衛庁の輸出審査への参加ということが言われているんですけれども、具体的には通産当局はどういう場合にどういう参加を要請するんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 第一には、今度この法律が成立を認められました段階で、総理府と申しましょうか官邸と申しましょうか、そのあたりが中心となりましてココム関係の閣僚会議を設置する構想が今検討されております。この閣僚会議の中には、通産大臣のほかに今御指摘の防衛庁長官も入ることに予定をされておりまして、ココムの運用に関します重要事項について意見を言う機構上の機会ができてくるということが第一点でございます。  その他、具体的な輸出承認事務あるいは輸出許可事務と申しますのは、今後とも当然通産省が中心となって行ってまいりますので、一々防衛庁に相談ということはございませんが、ただ具体的な規制品目の中身につきまして防衛庁の専門知識の提供が必要であるという場合には、防衛庁の意見を聞こうというふうにも考えております。  また、パリでのリストレビューの会議というのがございまして、これは品目を決めたりするときの会議でございますけれども、これには従来防衛庁からの人はごく限られた場合にしか出席をいたしておりませんけれども、まあ外国が主張する防衛関係の品目のリストアップの是非という問題もあろうかと思いますので、そういう事態に備えて防衛庁の人にそこへ出張してもらうなりなんなりするということもそれなりに意味のあることではないかというふうに考えております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 ただいまの説明じゃ具体的にイメージが浮かんでこないんですけれども、私は、ああいう背景があってこういう法改正もし、日米の関係を考えると、ココムに一応協力をするという立場からすれば、よほど必要なときにこの防衛庁の参加というものはこれはやむを得ないのかもしれませんが、実質国内的には私は余り好ましくない、そういうふうに思います。だから、対外的にそういうポーズをとるという必要があるその限りでは、まあこれも問題の運用の仕方ですからよいかと思いますけれども、そんなようなトーンでやっぱり運用をしてもらうことが望ましいというふうに申し上げておきたいと思うんです。  それで、時間も迫ってきましたので、最後に私若干の所見を申し述べて、細々した問題幾つかお聞きをしましたけれども、全般として考えを申し上げておきたいと思うんです。  今回のこの法改正が提出される契機となったのが、言うまでもなく東芝機械事件でございましたし、大臣も事件解決のためにアメリカへ訪問されたり努力をしてこられたわけであります。しかし、今回の法改正にいわゆる安全保障条項が盛られたことに見られますように、事柄は、我が国がココム体制を国内法的にも明文する形で是認するかどうかという一国の将来の命運を左右する重大な内容を含んでいると思うわけであります。このような重大な問題を、アメリカで東芝機械事件が問題になったということで急ぎ法改正を行おうということで、しかもただいまの国会は臨時国会でございますので、スピード審議がどうしても必要だということで出されてしまっているわけであります。こういうふうな泥縄的な対応というものでは内容は非常に重大過ぎる、私はそういうふうに思うところであります。  ところで、私たち日本の国は、アメリカの議会や政府の動向は一挙手一投足に至るまで情報機関を通じて報道されております。これらのマスコミの報道は、それが事実であるにしても、多くの場合一面の事実を指摘するにすぎない。アメリカ国民の全体像とは必ずしも言えない、先ほども当局も述べられたように、私もそういうふうに思っているわけです。今回の東芝事件におきまして自由貿易体制そのものを揺るがしかねないところの包括通商法案あるいは東芝制裁条項というものの成立の可能性というあいくちが目の前に突きつけられておりますので、私たちは大変これは困難を感じでいるわけですけれども、先ほど言ったように、アメリカ国民全体の意思は必ずしもそうだと思わないということで、今後の取り極みに万全を期していただきたいと思うのであります。  現在、我が国と米国の間におきましては、世論調査などを見ても、我が国の国民の反米感情というものがやや高まっておるというふうに感じます。そして、この反米感情の根本には、貿易摩擦の激化に伴うところの米国側の激しい日本たたき、ジャパンバッシングがある。ところで、今日の状況は、彼我の歴史的な背景の違いやら、あるいはまた当時の我が国の国力と現在のそれの違いはあるにせよ、かの大正初期に起こりましたカリフォルニア州の排日法案成立をめぐって吹き荒れた反日あるいは反米のあらしに似通ったものがあるような気がします。  児島襄という作家の「平和の失速」という記事によりますと、大正当時、外務省の参事官でありました、そして後に首相になられたかの幣原喜重郎氏に対しまして、当時の駐米英国大使のJ・ブライスという方が、アメリカという国は外国に対して不正を働くことがあっても相手の抗議には応じない性癖がある、癖がある。しかしその不正は米国人自身の発意で矯正されておる。これは米国の著しい特徴であって、黙ってその時期が来るのを待つのが最も賢明だ、功を急いで紛争を重ねては元も子もないよと幣原さんに忠告されたということであります。  歴史的に見ましても、米国はその当時の排日法案のほかにも、古くは西部開拓に伴うインディアン戦争、新しくは戦後のマッカーシー旋風、黒人差別と公民権運動などなどに見られるように、巨大な不正の激しい盛り上がりとそれに対する急激な反省という歴史の大きな振り子を幾たびとなく経験しております。  現在、大幅な貿易黒字という我が国の一種の負い目があるとしても、燃え盛っているアメリカ議会の姿に恐れをなして、我が国の基本たる国際協調主義、平和主義の原則を揺るがしかねないこの安保条項を含む外為法の改正を早急に進めることは、必ずしもそれがアメリカの怒りを静めるものになるのかどうか、我が国の国益にかなったものなのかどうか、慎重に考える必要があると思うのであります。  本来、したがって、この法律改正はもう少し時間をかけて審議をすべきであった。しかし、今置かれている事情からして、私は不十分ながら限られた時間で、だが真剣に国会は議論をして、問題を後にさらに残してでも対応を急がねばならぬと、こういうふうな心境にあることを申し上げて、私の質問を終わります。

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時四分開会

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 今回の東芝機械事件は、虚偽の申請をしてココム規制違反物資を輸出したゆゆしき問題であり、この事件は西側の一員たる我が国の国際的信用を失墜させたのみならず、政府の日米関係安定の努力や企業の円高時代における新しい対応努力をないがしろにするものでありました。そうした意味において、今後同様の事件が生じないよう外為法の罰則を強化することは当然であると私は考えます。しかし、外為法の自由貿易の原則は、戦後我が国発展の基本的条件であり、この原則を崩すことは許されないと考えております。違反者には厳しく対応しつつ、自由貿易は大いに促進することが重要であると考えております。そうした観点から、以下本法案の諸点について御質問をいたします。  初めに、今回の東芝機械事件をめぐる日米関係の諸問題からお伺いいたします。  去る七月一日、米国下院議員が議会裏庭で東芝のラジカセをハンマーでたたき壊すという、日本の国会では考えられない方法で東芝製品のボイコットを訴えました。言うまでもなく、このラジカセは東芝機械事件とは全く関係のない会社である東芝のものであります。当然下院議員たちもそのことは承知の上でハンマーを持ったはずであり、私はあのマスコミ報道を見て、今回の東芝機械事件は、東芝という事件とは関係のない米国進出企業をたたく、日本個別企業バッシングに利用されたのではないかとの印象さえ持ったわけでございます。  しかし、同じ日に、その東芝機械事件とは無関係のはずの東芝の佐波正一会長と渡里杉一郎社長が辞任されました。東芝と東芝機械は経営が別であり、東芝は事件に関与したことはなかったにもかかわらずの辞任であります。これは大変に重みのある決断であったと私も評価するものでありますが、一方で、両氏の辞任はアメリカの下院議員らのように、東芝機械だけではなく、東芝グループ全体を制裁するという考え庁を認めたとも受け取られかねない形にもなりました。  ここでお伺いいたしますが、東芝と名のつくものはすべて悪とするアメリカの風潮、そして今回の東芝幹部の対応、そしてこの辞任劇のその後の米国での影響について、通産大臣はどのようにお考えになっておられるでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) まず去る七月一日の、今御指摘のアメリカの議員がハンマーでラジカセを壊したということでございますが、まことに遺憾千万でございます。ただ、そうした行為を行ったのはごく限られた一部の議員でございまして、それをもって一般的な意味でアメリカの風潮と考えることは適当でないというふうに思います。  御参考までに申し上げますと、七月一日に下院議員のベントレー、ハンター、ロス、ギャレグリー、ソロモン、ローランド、ドーナン、それからリッターといった人々、それにアメリカの保守連盟のキーン議長らが参加したという事件でございます。私もあれを見まして愕然といたしましたが、ただ、それはアメリカの一般的な風潮と見ることはいかがなものであろうかと思います。  それから、東芝幹部の対応でございますけれども、私のところへ、これも七月一日でございましたが、夕刻、佐波会長と渡里社長の御両名が来られて、辞任すると、きょうそれを発表するつもりであると、こういってあいさつに来られました。この御両名は、事態の重大さにかんがみて、東芝グループの総帥であるということ、また東芝機械の過半の株式保有企業の長であるということで、責任を取って辞任ということのように承りました。ココム違反を犯したのはあくまでも東芝機械でございます、おっしゃるとおりでありまして、株式会社東芝は独立した別の法人であることは申すまでもありません。  通産省としては、両氏の辞任は極めて異例のことでもあり、またぎりぎりの重みのある決断であったと考えております。しかしながら、それが米国の関係者に素直に受けとめられなかったということはまことに残念に存じます。今後、御両名の辞任の真意がアメリカの関係者にも十分理解されますように、私どもも鋭意努力をしたいと思っておりますが、御両名の辞任によって東芝グループの総帥として責任をとったという印象を僕は強く持ったということと、それから、責任のとり方ということについて考え方が全然違いますから、私が東洋人の深さだ、こういうふうに何ぼ説明しても向こうはそれを理解することができなかったということでございますが、この辞任の重さというものについてはこれからも事あるごとに先方に説明もしたい。  いずれにしても、再発防止に対して今我々が懸命になることこそ御両名の辞任を真に生かすものであるというふうに思っております。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 ここで、当事の我が国とノルウェー政府の対応を比較してみるときに、我が国同様事件への対応が迫られたノルウェー政府は、いち早く国防大臣をアメリカに派遣し、駐米大使が米国議会の全議員に手紙を出し、ノルウェーバッシング鎮静化策をとっております。ですから、今回の東芝機械事件に関連し、政府のより迅速な対応があれば、東芝バッシングの過熱化を防ぎ、東芝の社長の辞任を防ぐことができたかもしれぬというような考え方にならざるを得ません。今後は、東芝幹部辞任をむだにすることのないよう、政府が迅速かつ的確な対米折衝に当たっていただくようお願い申し上げます。  そうした意味で、今後、政府の対応が求められる最も重大な問題が、九月八日から米国議会の両院議員総会で審議されるガーン法案、いわゆる東芝制裁法案であるかと思います。この法律案には数々の問題点が指摘されておりますが、通産大臣はこの東芝制裁法案の問題点についてどのように認識されておられるか、お伺いいたしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私は、実はいま少しく早い時期に訪米を打診いたしました。ところが、来るのはいいが、半導体問題とこんがらがってしまうから、ちょっとしばらく事態を静観された方がよかろう、これは率直に言って米行政府側の判断でもあったようでございます。でございますから、ノルウェーにおくれたというわけではありませんし、私はそう思っておりませんし、逆にけがの功名もあって、私がアメリカへ行ったときが、向こうの行政府の言葉をかりて言えばベストタイミングであったというようなことも言っておりましたから、それはけがの功名でございますが。それからいろいろと我々が措置をとりまして、それを行政府のみならず議会の方々にも私の署名入りの手紙でお知らせをしたり、また松永大使を初めとして在ワシントンの日本大使館筋からもいろいろと説明をしております。先般も上院下院議員全員に私の署名入りで手紙を、親書を出したというような努力もしておるわけでございます。  今度の我々がとります措置、これは外為法改正も含めて、とにかく再発防止ということで、日本独自の判断でこれを進めておる。東芝機械の行為は、日本の国内法に対する虚偽の申請という違法行為でございます。でございますから、日本独自の判断でこれを進めておりますが、具体的な問題につきましては局長からも答弁いたさせますけれども、あくまでも管理体制の強化から、罰則強化から、協議会を持つことから、すべて再発防止ということでお受けとめいただいていいのではなかろうかと思います。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 アメリカの東芝制裁法案についての……

吉田文毅通商産業省通商政策局次長

○政府委員(吉田文毅君) いわゆる東芝制裁法案につきましては、大臣からも触れられましたとおり、ココム違反に対する制裁が、それぞれの国がみずからの責任で行うべきであるという点がポイントでございまして、他国の違反に対しまして米国独自の制裁を一方的に科するということに問題がある等いろいろな観点から、我が国としては反対の立場を表明している次第でございます。また、米国の行政府も東芝制裁法案に反対するとの立場でございまして、外為法改正を含みます我が国の再発防止策を高く評価しているところでございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) どうも大変失礼しました。私がちょっと聞き間違えて、我が方の対応の内容というふうに間違って受けとめました。今、吉田次長が申したとおりでございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 それじゃアメリカ政府もこの法案に対しては反対しているというふうに考えてよろしいわけですね。

吉田文毅通商産業省通商政策局次長

○政府委員(吉田文毅君) そのとおりでございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 ここで、従来よその国のココム違反に対して我が国がどのように反応してきたかについてお伺いいたしたいと思うんですが、一九七二年、アメリカの商務省は、ブライアント社が百六十八台の精密機械用研磨装置をソ連に輸出することを承認しておりますが、後になって、この機械が大陸間弾道ミサイル、いわゆるICBMの複数目標弾頭の命中精度を高める結果になったことがアメリカ議会で問題になりました。また、一九七一年から建設が始まったカマ・トラック工場プロジェクトには、ココムの禁輸リストに載っていた歯車切削機械とNCのコンピューターソフトがあり、これが軍用トラックのみならずT80型の新型戦車の開発に貢献したと言われ、これもアメリカ議会で問題になりました。  そこで質問でございますが、外務省にお伺いいたしたいと思います。  両事件は東芝制裁法案に言う東側の戦力を実質的に向上させ、戦略バランスを著しく変化させる結果を引き起こしたものであり、西側陣営にとってゆゆしき事件でありますが、アメリカ政府と日本政府との間でこの両事件の問題についてどのようなやりとりがあったのでしょうか。それから、我が国は抗議をこれに対していたしたでしょうか。また、東芝制裁法案同様に、日本は問題のアメリカ企業に対して補償要求をしたでしょうか。また、東芝制裁法案が成立したときに、我が国も七〇年代にまでさかのぼって両事件が我が国安全保障に与えた影響について補償要求することは可能なのでしょうか。この辺について外務省にお伺いしたいと思います。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ただいま御指摘のアメリカのブライアント社のボールベアリング研磨機の対ソ輸出につきましては、当時、今七二年と言われましたと思いますが、七二年当時はまだココムリストには載っていない品目でしたので、各国ともココムの観点からの規制は行っておりませんでした。ですから、それはココム違反ではありません。ただ、その後この研磨機を使ったボールベアリングが、いろいろと今御指摘のとおりICBM等に使われてソ連側の能力が非常に向上したということがわかってまいりまして、新しくココムリストに追加しようということになったように私は承知しております。  もう一つ具体例として挙げられましたカマ・トラック工場向けの歯車切削機とNCコンピューター等につきましては、十分調べてくる時間的余裕がございませんでしたけれども、アメリカとしましてはココムの手続を踏んで輸出したものというふうに思っております。ただ、それが例えばソ連軍のアフガン侵攻等に利用されたということで、アメリカ国内自身において非常に批判が高まってきて、その後アメリカにおいては、この種、このような機材の輸出については非常に慎重に扱っているというふうに伺っております。  以上のような次第ですので、日本政府から特に抗議をするという、特に前者につきましてはココム禁輸製品ではなかったということもありますので、抗議するということはやっておりません。  もう一つ、補償要求をするかどうかということでございますけれども、例えばボールベアリングの研磨機と同じようなケースというのは、日本のソ連に出した浮きドックのケースもあります。これは浮きドックは、当時はココム禁輸製品ではなく、自由に貿易ができたのですけれども、結果的にそれがミンスクの修理等に使われているということでココム品目に加えるべきではないかという議論が起こって、今ココムのリストに掲載されているわけなんでございますけれども、このようなことについて補償要求を行うということがいいかどうかという問題があります。いわんや今アメリカで出ておりますいろんな制裁法案の特に補償要求というのは、私たちは真っ向から反対して、その削除のためには努力している段階でございますので、このような状況のもとで補償要求を云々ということは検討いたしておりません。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 その当時のアメリカ政府の対応と比較すると、今回の我が国の対応は、この外為法改正案によって罰則が強化されるなど、大変に誠意のある対応をしているものと私は考えております。また、外務省の御答弁からも、この東芝制裁法案に問題があることがわかりました。  私は問題点が多く、しかもアメリカ政府までも反対しているこの東芝制裁法案に対し、我が国政府も反対の意思をはっきりと明示することを強く求めるものであります。現在アメリカにおけるジャパンバッシングの連日の報道の中で、日本国民の間に反米ナショナリズムが台頭する兆しすら見受けられます。これは我が国外交の基本である日米基軸路線を根底から揺さぶる危険なものであると考えております。今国民が求めているのは、政府が緊密な日米友好関係の中で日本の国益のために言うべきことは言うということであり、この期待にこたえてこそ危険な反米ナショナリズムの台頭を防ぐことができるのであります。我が国同様、東芝機械事件への対応に取り組んでいるノルウェー政府は、さきにアメリカ議会が包括貿易法案による制裁の動きを見せたときに、この種の制裁措置はアメリカとの軍事協力を極めて不健全なものにするとはっきり申しております。異なる国益を持つ国同士がお互いに意見を言って調整するのが外交であり、友好国同士であるからこそ、なおさらはっきりと意見を言うべきであると私は考えます。  ここで通産大臣、外務省にお伺いしたいと思いますが、政府は東芝制裁法案に反対している米国政府を力づける意味からも、また違反に対しては国内法で対処することを旨とするココム体制を維持するためにも、他のココム加盟諸国と共同して、堂々とこの法案に反対であるとの意思を表明すべきであると考えますが、通産大臣並びに外務省の御見解をお伺いいたしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今おっしゃったとおりでありまして、私もこの東芝制裁法案について、訪米のときも、またスマートを初めこちらへ向こうの高官が参りましたときも、極めてはっきりと物を言っております。ココム違反といいますけれども、例えば東芝問題でもそうでありますが、これは当然国内法で処置すべきものであって、第三国から制裁を食らうということは、これはもう明らかに不当なことでございます。でありますから、その点は私はほとんど向こうと机をたたかぬばかりに議論をしてまいりました。また畠山局長が向こうへ参りましたときも非常に明快に反対を訴えてまいりました。また松永大使を初めとして在米外交官も、人に会うたびに、事あるごとにこの不当をなじって今日に至っております。  それと日本独自の判断で再発防止にいそしむということとは、これはまた別途の問題でございますから、これは大いにやらなければならない。ココム加盟国全部と日本が相談をするということは一つの方法ではありましょうけれども、今、下手をしてまた米議会を孤立感に陥れてもいかがなものであろうかということも考えたりして慎重にいたしておりますけれども、しかしこのままこの状態が続けば、今御示唆があったことも一つの大きな方法論であろうかというふうに思っております。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ただいま通産大臣から外務省の立場も含めて御説明がございましたので、私の方から詳しい御説明は省かせていただきますが、いろいろと問題があること、既に通産省からいろいろと具体的に御説明があったとおりです。このような法律を通すこと自体は何ら問題の解決に貸さない、あくまで輸出管理というのは日本が独自の立場からやるべきであるという考えでありまして、松永大使を中心に外務省としても行政府はもちろんのこと、上院下院全議員を対象に鋭意努力したいと思っております。  もう一つは、他の加盟国と共同して対米アプローチを行うかどうかにつきましては、今通産大臣から御説明がありましたけれども、例えば一つの方式としましては、ココムの会合等の場で日本政府が懸念を表明して他の諸国の賛同を得るというような方法等も含めて検討いたしております。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 次に、法案の諸問題について御質問いたしたいと思います。  今回の改正案では、第六十九条に外務省と通産省の意見交換条項が新設されております。従来から通商政策を担当しこの外為法をつかさどる通産省と対外政策を担当する外務省は、外為法の円滑な運用のために協力してきているものと受けとめておりますが、従来どのような協力体制にあったのでしょうか。両省を代表して通産省にお伺いしたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 外務省との間では、従来からココム関連の輸出管理の運用につきましては種々連絡をとりつつ対応をしてきておりまして、具体的に申し上げれば、まず第一点といたしまして、いわゆる特認対象のものにつきまして、輸出承認に先立ちますパリのココム委員会への協議は外務省を通じて行っております。通産省から外務省に依頼をしてその協議を行っているということでございます。この委員会には外務省の書記官が出席をしておるということでございます。  それから第二点といたしまして、ココムの規制対象を決定しますリストレビュー会合と言っておりますが、この席へは外務省の書記官が出席をしております。無論対処方針も外務省と相談して取りまとめております。この席へは通産省の人が出張をよくいたしておるところでございます。また無論このリストレビュー会合の結果の内容を政令で指定いたします際には、外務省その他の関係省庁と協議を行って決定しているわけでございます。  それから、ココムの運営の基本方針を決めますハイレベル会合というのがございますが、これは外務省、通産省両省から代表者が出ているわけでございます。  それから、東芝機械事件のような違反事件に関する情報も、海外から情報がもたらされます場合には外務省が窓口になりまして、いわゆる五省庁の連絡会議が開かれまして、そこで情報提供等が行われているわけでございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 今お話承りまして、従来から両省は円滑な協力体制にあったわけですが、ここで内閣法制局に伺いたいと思います。  今回の改正案にある意見交換条項は、従来の通産省と外務省の協力関係を確認したものにすぎないと判断してよろしいわけでしょうか。

大出峻郎内閣法制局第四部長

○政府委員(大出峻郎君) 今回の改正案の第六十九条の四の通産大臣と外務大臣との意見交換の規定でございますが、これは「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」と認められるそういう貨物の輸出等の許可制度の運用に関しまして、国際関係の問題を所掌されております外務大臣との連絡協力を図ることが必要であり、適切であるとの判断に基づきまして設けることとしたものであります。先ほど通産省の方から答弁のあったようなそういう協力関係というものを条文の上で規定をいたしたということでございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 外務省と通産省の協力は、国内での運用だけではなくて、諸外国との折衝においても重要な問題だと考えます。最近、違反案件などの個別問題についての情報交換の増加、リストレビューにおける品目見直しの活発化、日本の技術レベルの向上などを考えたとき、パリの日本大使館のココム担当員が一人というのは、私は問題があると思います。  ここでお伺いしたいんですが、内政と外交が一体となり、経済問題と外交、安全保障問題が大きなかかわり合いを持つ今日、我が国の国益の実現のためには、ココム委員会に対外折衝の専門家のみならず、我が国国内産業の動向に明るい人物が参加することが重要であると考えますが、通産、外務両省の御見解をお伺いしたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 先ほど若干御説明申し上げましたように、このココムの会合には通産省の出張者も出席をいたしているところでございますが、最近ココムリストレビューの会合がかなり長期間にわたって開催される、何カ月も続くというようなことでございますので、単なる出張者で対応してきていいのかどうか。せっかくの御指摘もございますので、今後積極的に検討をしてまいりたいと思っております。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 通産省と外務省との間のココムへの対応に当たっての協力関係につきましては、畠山局長から具体的に御説明があったとおりでありまして、今後ますます緊密化する必要がありますけれども、従来から必要な場合には専門家、これは通産省の職員の方のみならず、さらに外部の専門家、これは通産省の調査員等の発令を得て参加していただいている、アドバイスを受けているという状況です。  今の先生の御指摘をまつまでもなく、外務省といたしましても、国内の体制、これは通産省の管理体制と、外務省自身も新しい課の新設等を来年度予算で要求しているわけなんですけれども、現地パリにおける体制をどう強化するかという点、これは今先生の御指摘のような専門家をさらに含めるかどうかということ、あるいは一等書記官がココムの代表で出ておりますが、これを公使ないし参事官レベルにレベルアップするかどうかという点も含めて、今検討している状況でございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 通産大臣は、この外為法改正案は自由貿易原則を変えるものではないということを、そういう立場を再三国会審議の中で表明されております。しかし、自由貿易といっても、その実を伴ったものでなければならないことは言うまでもありません。昨今の輸出承認事務のおくれは重大な問題であります。対共産圏貿易に携わる者の中には、審査に時間がかかって納期に間に合わず、違約金などを払わされるのが落ちて、商談をあきらめた方がいいというふうなことを言っておる方もおります。これは行政が自由貿易を阻害していると言っても過言でないと思います。事実、対中、対ソ貿易は減少傾向にあり、新聞報道によれば、今回の事件とは何ら関係のない対中国貿易のココム絡みの契約破棄は十八億ドルであると言われております。このままでは、日本があきらめた商談をアメリカやEC諸国に奪われることすら懸念されており、これは国益上からも重大な問題であると思います。特に友好国中国との貿易量の減少は問題だと思います。  そこでお伺いしたいんですが、最近、輸出承認や通関手続が大幅におくれ、貿易に携わる者は大変な負担を負っていると聞きますが、その実態はどの程度のものでしょうか。また、通産省はそのような事態に対してどのように対応しようとしているのでしょうか。お答え願いたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 今回の事件が企業の虚偽の申請に基づいたものであったということで、従来より審査の態度が慎重に傾いておるということは事実でございます。それに加えまして、審査体制といたしましても、戦略性の高い物資、あるいは大口の案件につきまして重点的に審査をする戦略物資等輸出審査会というものを省内に設けたりいたしておりまして、そういうことをも重なりあって審査に時間がかかっておるというのが現状でございます。まことに恐縮ではございますけれども、現在、対中案件も含めまして、審査に三カ月以上も要する事例が出ていることは事実でございます。  通産省としましては、審査体制の拡充強化を図るために、とりあえず内部の人員振りかえで、定員振りかえで、七月十日から人数を五割増にいたしましたけれども、今後もさらに人数をふやしていくということと、それから職員の習熟を早めることによりまして、審査期間をせめて従来の一、二カ月という目標に戻したいと、早期にそういうふうにしていきたいというふうに、大臣の指示もありまして考えているところでございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 それから、人員増の問題についてでございますが、もちろんこの人員増をしなければならないと思いますが、その人員増は正確な審査を迅速にすることが目的であり、貿易管理を強化して自由貿易を制限することが目的でないということをひとつここで確認しておきたいと思うんですが、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 人員増は、御指摘のように、正確な審査を迅速に行うということが目的でございまして、審査を厳しくする、一件一件にわざわざ時間をかけて厳しくするという趣旨ではございません。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 さて、昨日出そろいました六十三年度の各省庁の概算要求を見ますと、ココム関連の人員増要求は、通産省だけではなく、外務省もココム課の新設などを要求しております。行政改革継続中の人員増要求であります。私は、行政改革には聖域があってはならず、いかにココム関連といえども厳しい査定を行うことが必要であると考えております。  先ほど、外務、通産両省の協力関係はうまく機能しているとの話がありましたけれども、一方審査の現場においては、輸出審査のおくれによる問題などを考えたとき、また今回の人員増が正確な審査を迅速に行うためであるということを考えたとき、まず審査実務の強化が急務となっておると思います。  ここで、総務庁と大蔵省にお伺いしたいと思いますが、私はこうした状況を十分に踏まえた上で、厳しい査定を行うことで重点的な人員配置を行い、野方図な人員増や機構拡大を防ぎ、効果的かつ効率的な行政を確立すべきであると考えますが、行政改革を担当される総務庁、そうして六十三年度予算の査定に当たられる大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。

陶山晧総務庁行政管理局企画調整課長

○説明員(陶山晧君) 昭和六十三年度の機構、定員要求につきましては、昨日各省庁から提出をされまして、現在整理、取りまとめを行っているところでございます。先生御指摘の通産省及び外務省の要求を初めといたしまして各省庁の要求につきましては、これから要求内容を十分聴取をいたしまして、行政の簡素化、効率化の推進が強く要請されているという状況も踏まえまして、厳正な審査を行ってまいりたいと考えております。

永田俊一大蔵省主計局主計官

○説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  六十三年度の定員要求に対しましては、先生もちょっと御指摘いただきましたように、現下の財政状況からいたしまして、客観的に見ましてやはり厳しくならざるを得ないのではないかと思います。その点については御指摘のとおりでございますけれども、ただいま総務庁の方からもお話がありましたように、定員要求につきましては、昨日お受け取りさせていただいたところでございますので、今後、大蔵省としましても関係機関と十分調整の上、予算編成過程において適切に判断、検討してまいりたいと思います。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 自由貿易を進めていく上でもう一つ重要なことは、その運用の明確さにあると考えます。貿易に携わる者は何がココム違反なのかがはっきりしない、はっきりとわからないために、今、対共産圏貿易を控える傾向にあることは先ほども申し上げました。運用が明確になれば安心して貿易に従事できるようになりますし、また事件の再発防止、企業からの問い合わせ減少による政府負担の軽減などの効果も期待されるわけであります。  ここで、通産、外務両省にお伺いしたいと思いますが、ココムは国際的なものであり、国際的なルールがあることも理解できますが、私は、少なくとも我が国としては運用の明確化を働きかけるべきであると考えます。特に通常輸出が認められる行政例外と、個々にパリのココム委員会に問い合わせることが必要な特認との線引きは、貿易に従事する者にとっては極めて重大な問題であります。せめてそのような境界線を明確にすることはできないのでしょうか。特認についても特定の国のための利益にならないようにすべきであると私は考えます。さらに、行政例外は通常輸出が認められているという事実をもっと明らかにできないものでしょうか。この点を通産、外務両省にお伺いしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 行政例外品目の範囲の公表の問題でございますが、昨日フリーデンバーグが参りまして、畠山局長等と協議をして、これを公表するということで合意を見ました。ただ、他の国々の問題がありますから、日米だけですべてを決めるわけにはまいらぬと思いますけれども、基本的に両国が合意をしたということは大変意義深いものだと思っております。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ただいま通産大臣からお答えのとおりでございまして、私としては特に追加することはございませんが、全く御指摘のとおり、できるだけ特認と行政例外との境界線を明確にしていくということは結構なことだと思います。望ましいことだと思いますので、各国の例等も調べながら努力いたしたいと思っております。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 貿易に携わる者は、今、今回の改正案で「国際的な平和と安全の維持」のためには規制できるとの条項、いわゆる安全保障条項に対し少なからぬ不安を持っています。この「国際的な平和と安全の維持」の範囲があいまいであるために、貿易に携わる者がいつココム違反となるかわからないと不安になり、その結果として貿易量が減少することが懸念されます。  私は、安全保障を理由に貿易をある程度規制することは、西側諸国との協調の一環であり、我が国が西側諸国と緊密な貿易関係を維持するために必要であると考えておりますが、今回の外為法改正案における自由貿易の原則と安全保障の関係をどう見ればよいのでしょうか。また、安全保障のため、どの程度まで貿易を制限することが許されるのでしょうか、通産大臣にお伺いいたしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 本来、輸出取引などは自由に行われることが原則であることは申すまでもございません。戦略物資の輸出等につきまして、何らの規制もなく放置することは、国際的な平和及び安全を脅かす、また外為法の目的である「我が国の対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展を阻害するおそれ」がある、そういうために規制を行っているところでございます。  今回の法改正は、東芝機械事件でも明らかでございますが、ココム関連の貨物及び技術に係る違法輸出等の影響の重大性にかんがみまして、このような事件の再発を防止するために罰則及び行政制裁を強化しようとするものでございまして、今回の改正によって規制対象貨物あるいは技術の範囲を拡大するものではございません。罰則強化のみでございます。でございますから、したがって適法な取引を行っている限りは従来と何ら変わりはございません。原則自由、例外禁止という外為法の基本的な考え方を安全保障の観点から変更するものではございません。要は、きちっと法律を守っておればどうってことはないと、範囲を拡大したわけでも何でもないということでございます。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 同じ質問を内閣法制局の方にもいたしたいと思います。

大出峻郎内閣法制局第四部長

○政府委員(大出峻郎君) 今回の外為法改正案でございますが、これは従来から外為法の規制の対象となっている貨物の輸出等の取引のうちで、「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」と認められる、そういう取引に係る違反行為については、外為法の目的である「対外取引の正常な発展」とか、あるいは「我が国経済の健全な発展」に重大な影響を与えるおそれがあると、こういうことにかんがみまして罰則等の強化を行おうとするものでございまして、外為法の基本的な性格とか、あるいは自由貿易の原則というものを変更するものではないというふうに考えております。  すなわち改正案の二十五条一項なり、あるいは四十八条一項に規定をいたします「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」と認められる、こういう要件に該当するものとして、許可の対象となる特定の技術取引なり、あるいは特定の貨物の輸出等につきましては、それぞれの規定に基づく政令で定めることになっておりますが、その政令は、現行の外為法第一条に規定をしておりますように、「外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、」「対外取引の正常な発展」なり、あるいは「我が国経済の健全な発展」を図るという目的を達成するため必要最小限の規制を行う、こういう枠組みの中でこれらの政令が定められる、こういうふうな仕組みになっておるわけであります。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 通産省の方に、くどいようですが、もう一つ確認しておきますが、VTRを初めとして、我が国の輸出品の多くはハイテクを駆使した高度な製品であります。これらの製品に使われているハイテク技術は純粋に民生用として開発されたものでありますが、その多くは後になって軍事技術に応用されております。この結果、純粋に民生品として輸出していた製品が、いつの間にか安全保障の名目で規制され、我が国ハイテク産業、輸出産業が打撃を受けることはないかというふうに懸念されます。今回の安全保障条項で、我が国の民生用ハイテク輸出品に広範な規制がかかる懸念はないでしょうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに、昔はその軍事技術の波及効果が民生用に及ぶというケースが多かったわけでございますけれども、最近は逆に、民生用の技術が軍事技術の方にも応用されるケースが多くなったというふうに指摘をされているわけでございます。その民生用の技術製品でございましても、軍事転用されますと戦略性の高いものとなると認められる高度技術になったりもするわけでございまして、そういうものについては無制限に共産圏に出してはいけないというのが、共産圏と申しますか、ココム対象地域に出してはいけないというのがココムの趣旨でございまして、ある程度そういう趣旨に基づいて外為法でそういうものを規制をいたしているわけでございます。  ただ、今回の法改正では、先ほど大臣も申し上げましたように、違法事件の再発を防止するために罰則と行政制裁を強化するということに目的があるわけでございまして、今回の改正で規制対象貨物を拡大したり、あるいは技術の範囲を拡大するということはございませんので、今回の改正によって御懸念のような民生用のものがさらに規制対象に取り込まれるというようなことはないというふうに考えております。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 過日雑誌を読んでおりました。またマスコミの一部でもそのように報道されておりますが、今回の東芝機械事件をSDIあるいはFSX、ハイテクおとり捜査事件などの動きの一環ととらえ、ココム規制は東西対立における対ソ戦略物資輸出制限政策であるとともに、日米間のハイテク戦争における米国側の戦略の一つが裏にあるというふうな見方をしている方もいるわけであります。つまりアメリカが、安全保障の名において日本のハイテク産業を牽制し、またその技術を吸収しようとしているというものであります。こうした考え方について、通産大臣の所見をお伺いしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 評論というのはいろいろと言えると思います。しかし、私は七月の訪米時を初めとして米側の要人、いろんな方に会ったわけでございますが、その会談の状況から考えて、米側は今回の東芝機械事件を一つの奇貨といいますか、チャンスとして日本のハイテク産業を牽制したり、また、あるいは一方でその技術を吸収しようということではなくて、西側全体の安全保障について大きな影響を生じかねない重大問題であるとの危惧のもとに対応しておるという印象を非常に強く受けてまいりました。  今回の事件につきましては、我が国として調査を行いました結果、本来輸出承認を要する高度な工作機械について、企業の虚偽申請によって外為法に違反する不正な輸出が行われたことが判明したものでございまして、我が国みずからの問題として受けとめるべきであると考えております。政府としましては、このような重大な事件が再度発生しないよう、再発防止に万全を期することとしております。冒頭申しましたように、今度の事件は、それはそれ、これはこれというようなことで、非常に厳しい対応を米議会がとっておるというふうに私どもは受けとめております。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 運用については以上で終わりますが、最後にお願いを一つしておきます。  我が国では、アメリカの産軍複合体が開発できなかったハイテク技術を、民間企業が次々と純粋な民生品として開発することに成功してきました。従来、軍事技術が民生用技術に先行すると言われてきた神話を、まさに平和国家である我が国民間企業が覆したのであります。そして、この民生用品の自由な技術開発こそが戦後の我が国、そして世界の繁栄の源泉であり、関係官庁はこの法律の運用に当たっては、民間企業の自由な開発が阻害されることのないよう十分な御配慮をされるよう、特に最後にお願い申し上げておきたいと思います。  続きまして、今後のココム規制がどのようになっていくかについて、政府がどのような御認識を持ち、対応されようとしているのかについてお伺いいたしたいと思います。  言うまでもなく、ココム規制は、米ソ・デタントのときに緩和され、反対に米ソ関係が悪化すると強化されております。それゆえ、米国政府が今後ココムについてどのような対応をしていくかを予測することが重要であろうと考えます。ココム発足以来、米国は対ソ安全保障政策と対ソ通商政策をいかにバランスさせるかで揺れ動いております。現在のレーガン政権内部にも、国防総省を中心としたココム規制強化・対ソ貿易統制派と、商務省などを中心としたココム規制緩和・対ソ貿易促進派が存在し、ここ数年対立していると聞いております。我々の耳にはアメリカにおけるココム規制強化論者の意見ばかりが入る傾向にありますが、アメリカにおいてココム規制緩和の動きはことしに入ってからも根強いものがあります。  一九八六年秋に全米科学アカデミーが、現行の輸出管理法は米国企業の輸出機会を阻害しているとする「国益の均衡をめざして——米国の国家安全保障輸出管理と世界の経済競争」と題する調査報告書を政府に提出したところ、ことし一月のレーガン大統領の一般教書に採用され、これを受けて二月九日、商務省が輸出規制緩和改革案を発表いたしました。また、九月にオタワでココム専門家会合があり、ここで米国は十六ビットパソコンなどのココム規制の緩和を提案すると報道されております。また通産大臣が近々訪米したときにお会いになると言われておりますベリティ新商務長官は、かねてより米ソ貿易促進論者であるとされています。これらを総合して考えると、少なくとも、米国政府内において商務省はココム規制緩和の方向を指向しつつあるのではないかと思われるわけであります。  そして、今月半ばの米ソ外相会談を控え、INF協定合意への楽観的なムードが盛り上がり、カンベルマン米国首席代表は、二、三カ月以内に合意と言い切っております。米ソINF協定が合意されるならば、米国の対ソ政策は緩和政策が基調となり、ココムに関しても国防総省よりも商務省の発言力が強くなり、ベリティ新商務長官のもとでココム規制が緩和されることも予想されるわけであります。その結果、七〇年代のデタント期のように、日ソ経済合同委員会より一足早く開催される年末の米ソ通商合同委員会を契機として、米ソ貿易が飛躍的に拡大する可能性が十分にあるものと考えます。  今、我が国が東芝のラジカセをハンマーで壊すような米国内の一部強硬派に過剰反応し、対共産圏貿易から身を引いたその直後、米国企業が進出し、日本企業が汗を流して取り組んでいた商談を受注されてしまうということを私は懸念するものであります。もしそうであるとするならば、我々は我が国の国益のために、ココム規制の違反者に対する罰則は強化しつつ、この新たな東西関係の到来に対応すべく、今から準備を開始しなければならないと考えます。  ここで通産大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほどもお話ありましたように、米国商務省のフリーデンバーグ商務次官補が来日しております。通産省はこれらの会合を通じて商務省を初めとするこうした一連のココム規制緩和派の動向をつかんでいるものと思いますが、ココム規制緩和派は現在のレーガン政権においてどの程度の力があると評価されますか。また、今後INF交渉成功などを契機としてこれらの声が強くなることを予想していますか。フリーデンバーグ商務次官補との会合の性格、内容及び成果、今後の予定とあわせてお伺いしたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) まず後段のフリーデンバーグ商務次官補との会合の性格等について、私の方からお答えをさせていただきます。  この会合は、先般田村通産大臣が訪米をいたしました折に、故ボルドリッジ商務長官との間で設置に合意をしたハイレベル会合でございまして、日米両国の輸出管理当局である通産省と米国の商務省との間で、ココムに関連する輸出管理の実施面における共通の関心事項について意見交換を行うということでございます。  それで、今回は私どもの方から外為法改正を初めとする我が国政府の不正輸出再発防止策、それから民間における再発防止策の対応について説明を行いまして、米側は定員等の点で若干のコメントをいたしておりましたが、それを除いて我が国の全般的な努力に対して高い評価をしておったところでございます。また、戦略物資の第三国経由の横流れ防止につきまして双方共通の関心が表明されまして、今後さらにこの点についてココムでの協力のあり方を議論していくことを確認いたしました。また、米側からはココム規制のあり方につきまして、今の御質問の点にも関連いたしますが、強化一辺倒ということではなくて、国際情勢などを踏まえながらココムリストの合理化を進めることは支持しておるという話がございまして、この一環として中国について緩い取り扱いを引き続き堅持をしていくという旨の意見の表明がございました。  それから、御質問の中にございました商務省の中の、何というんでしょうか、ココム規制緩和派という言葉を使われましたけれども、商務省が一概にそう言えるのかどうかは別といたしまして、確かに米国の中にココムの規制を緩和していこうという動きがあることは事実でございます。ただ、その方向といたしまして、私どもの理解する限りでは、その対象品目はできるだけ合理化をしていく、できれば減らしていくような方向に行く。しかしながら、一たん規制をするということに合意をした規制品目については、むしろ規制はなるべくきちっとやっていこうというのが大筋であろうかと思います。  他方、先ほどの御質問にも関連いたしまして、今度の包括貿易法案の下院の案の中には、いわゆるボンカー法案、ボンカーという下院議員の提案したボンカー法案というものが既に入り込んで成立をしているわけでございますが、ココムの対象物資というのは、西側から東側に直接流れるものと、西側から西側に流れるものと両方あるわけでございますが、西側に流れてやがて東に流れるだろうから西・西を規制すると、こう両方あるわけですが、アメリカの現状のシステムでは西・東のものも西・西のものも、両方とも国防総省の法定協議みたいなことになっておりますが、この西・西のものについては国防総省の法定協議をやめようという内容などになっているわけでございます。そうしたココムの規制の合理化と申しますか、そういった動きが米国の中にもあることは確かに御指摘のとおり事実であろうかと思います。

佐藤栄佐久自由民主党

○佐藤栄佐久君 ここで、ココムそのものについての質問も用意していたわけでございますが、時間ももう余りなくなってきておりますので省略させていただきまして、私の考え方だけ申し上げたいと思います。  私はイデオロギーや社会体制の対立は現在風化しつつあると考えております。ココムが発足した昭和二十四年と現在では、社会主義諸国も大きく変わっておりまして、現在ソ連や中国ではスターリンや毛沢東といったココム発足当時の指導者が批判されるようになり、またかの市場重視の新自由主義経済学者フリードマンの最も忠実な教え子はゴルバチョフの経済ブレーンであると言われるほど社会主義の変質が進んでおります。いち早く改革が進んだ中国に対する我が国国民の好感度は、イデオロギー対立の風化をよく示しております。我が国がココムに参加した直後の昭和二十九年、中国に対して親しみを覚える国民は一一・九%にすぎませんでしたけれども、今日では六八・六%に上っております。私は、イデオロギー対立が決定的な意味を持たなくなり、また経済も多極化している今日、ココム規制の最も重要な根拠は東西の軍事的対立にあると考えております。ですから、米ソのINF交渉の進展はココム問題と不可分であると考えますので、そうした視点からも、政府は十分今後の米ソ交渉を見守っていただきたいと思います。  最後に、通産大臣に御質問申し上げます。  これまでの質問で、今回の改正は違反者に対する罰則は強化されるものの、自由貿易原則は変わるものでないことが確認されました。しかし、貿易業界には依然として外為法改正による輸出管理強化で対共産圏貿易はさらに落ち込むとの懸念が強く存在しております。私は、本来の対共産圏貿易は、東西の経済交流は東西の緊張緩和を促進するものであり、「国際的な平和及び安全」の観点からも大いに振興すべきものであると考えますが、自由貿易の促進に対する通産大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) もうおっしゃるとおりでありまして、東西問わず貿易を大いに伸展せしめ、共存共栄を図るということは当然のことでございます。でございますが、ただ、我々は西側の極めて重要な立場にある国でありますし、ココム十六カ国の一員でございます。でございますから、その点の自覚というものはやはり持つべきであろうと思いますが、私は今度の外為法改正によって東側との貿易が萎縮するとは思いません。といいますのは、対象品目拡大等をするわけでもなく、要するに罰則強化、制裁強化でございますから、従来の外為法、つまり現行外為法をきちっと守っておるものであれば私は別にどうということはないと思うんです。  よく、君は外為法を改正して東側との、共産圏との貿易を阻害する気かと言う人がおりますけれども、そうすると、今までの対共産圏の貿易というのは違法行為であったのかと僕はよく聞くんであります。違法行為を行っていなければ何ら恐れることはない。私どもが何も悪いことをしていなければ警察の前を胸を張って歩けるのと同じでございますから、その点では私は特に悲観をいたしておりません。私は党内でもどちらかというと共産圏との貿易に熱心な一員と言われております。けれども、それ以上に西側の一員という自覚は必要でありましょうが、今申し上げたようなことで、特にその点の懸念というものは私はいたしておりません。  いずれにいたしましても、自由貿易の原則だけは今後もやはり守っていかなきゃならぬ。外為法というものの今後の改正ということは、慎重の上にも慎重ということでこの精神を失わしめてはならぬ、これは私も全く同じような考えでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 我が党の福間理事の方からも詳細に法案に対する質問がおされております。ダブるようなところもありましょうが、ただいまから質問をいたします。  まず最初に、本法案は東芝機械におけるココム違反事件、これを再発防止をしていくそのかなめにしていくために提出されたものであるというふうに考えます。そこでまず伺いたいんでありますが、九月に予想される米議会の対日制裁法案の動き、いろいろと最近新聞、テレビ等でも報ぜられておりますが、その中に東芝制裁そのものずばりの法案もあるわけでありまして、こうした法案の内容を緩和させていく効果がずばりと言ってあるのかないのか、またどういう関係にこれがなっていくと大臣はお考えなのか、そのものずばりでひとつお答えをまずいただいておきたいと考えます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) このたびの日本政府の一連の措置、再発防止の措置というものについては、アメリカの行政府、すなわち政府サイドは非常に高く評価をしております。先般も畠山局長がワシントンへ参りましたが、帰ってまいりまして、本当に余り評価が高いので驚いておるというようなことではございますけれども、しかし議会の空気はなお私は極めて厳しいものがあると思います。これを楽観的にとらえることは、私はいささかいかがなものだろうかという感じがいたします。  このような法案を初めとして一連の措置を日本が講じて、しからば東芝制裁法案が、つまりガーン修正案等が撤回されるかと、これは私にはわかりません、率直に言って。ずばり言えとおっしゃいましたからずばり申し上げますと、わからない。よくなるかもしれない、悪くなるかもしれない、それはわかりません。わかりませんが、もし仮にこのような一連の措置を講じなかったならば、恐らく決定的な最悪のケースになるであろうと、これだけは言えるかと思います。  アメリカの行政府が今懸命になって議会側に対していろいろと説得をしておるようでございます。私どもは、アメリカ行政府が議会側に対して説得力を持つように、でき得る限りの協力もして差し上げたいと思っておりますけれども、しかし、私は強がりでなくてアメリカ側に言っておるんです。我々はこれをやる。やるけれども、だからといってアメリカに言われてするんじゃありませんよ、我が国のあくまでも自主的な判断によってやるんですよ。けれども、それがくしくも米側に対してよき印象を与えるものならば幸いこれにすぐるなし、こういう表現を使っております。まあずばり物を言えとおっしゃったんであえて申し上げた次第であります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それではお尋ねをしていきますが、東芝機械におけるココム違反事件を契機に、ココム問題に関してアメリカが次々と日本にあるいはまたココム加盟国に対していろいろな要求をしていくのではないかということが言われています。日本においても、今提出されているような外為法改正案によって、罰則の強化とかあるいは安保条項を入れるとか等々において従来よりも強力な規制がなされ、そしてココムの厳しい取り締まりが期待されるということになるようです。  しかし、具体的には、ある意味では日本とアメリカの貿易戦争のようなものが背景にあって、そしてココム加盟国であってもいろんな条件の違いがある。特に貿易戦争という観点から見た場合の違いというのは、ココムの契約の手続期間というんですか、何か私、資料を見ますと決定的な違いがあるようです。というのは、アメリカでココムに関係する物資を輸出をするという場合に、許可をとっていく手続がペンタゴンを通し、あるいは具体的な事務的な手続、合計すると七カ月もかかるという状態にある。それに対して日本は一カ月ほどでその手続ができる。同じ貿易の案件が生じたときに、日本とアメリカがそれにかかわったら、日本は一カ月でその手続が完了するが、片方は七カ月もと、こうなる。六カ月もの差があったらもう決定的な貿易上の不利というものをアメリカが負っているというふうな状況があるようであります。私はもうこれ本から得た知識なので、事実でなければ事実でないとおっしゃっていただければいいわけです。  とすれば、さらに許可申請体制というんですか、そういうふうなものもアメリカが七カ月もかかっているんだから、日本も同じようにそういうふうにしなければ不利ではないかというふうなものが次に出てくる。何か結局のところ、そういうところが非常に大きなひっかかりになっているんではないか。私素人なものですから、単純にそういうところに思いつくんであります。どうですか、そうした事柄が今後さらにココム問題についてのアメリカから日本に対する要求として出てくることがあるんではないかという私の危惧についてひとつお答えをいただきたい。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 貿易戦争が背景という点につきましては、吉田次長の方からお答えいたすことといたしまして、今御指摘の手続の期間でございますが、これは正確なところはよくわかりませんけれども、私どもは通常の場合ですと、今御指摘のように一カ月とかあるいは二カ月ということでございました。それが今回、まことに申しわけないんですけれども、こういう事件の後、今少なくとも過渡的に三カ月とかそういう期間になっております。  そこで、アメリカでございますが、この前出張してよく聞いてきましたときのとりあえずの答えは、協議を含めて二十日間であるということを言っておりました。これは今御指摘のようなパリへ協議に出した日数とか、そういうものは入っていないと思います。だから、それを加えますと、そういうものは御指摘のように長いやつもあるのかもしれませんけれども、省内——省内と申しますか、アメリカ国内の手続としては今申し上げたように比較的短いということですので、私どももできるだけ早く昔の一カ月ないし二カ月体制に戻したいと思っているところでございます。

吉田文毅通商産業省通商政策局次長

○政府委員(吉田文毅君) 私どもとしましては、七月の通産大臣の訪米あるいは八月の畠山貿易局長の訪米の際の種々の要人との会談の状況等から見まして、米国側は、今回の東芝機械事件が西側全体の安全保障について大きな影響を生じかねない重大問題であるとの危惧を抱いている、そういう考え方のもとに対応をしているというふうに考えております。したがいまして、このような観点からすれば、米国が本事件を奇貨といたしまして不合理な要求を次から次にやってくるというようなことはないというふうに考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 まあ許可申請体制がどういうものなのか、アメリカのこれによると六カ月と、今おっしゃいました手続の二十日、で七カ月だと言われている書き物があるんですが、さらに詳細を調べてもしわかりましたらまた後で教えてください。  さらに、ココム加盟国に統一した規則でもって執行できていないというところにさまざまな問題が起こると言われています。そこで、アメリカがやはり考えることは、ココムの条約化というふうなものを絶えず出しては論議できなくて先送りということになっておるようであります。そこで、どうしてもココムの条約化を図りたい、できれば一九九〇年代の前半に一つの焦点を置いて、この東芝機械事件等も材料にしてココム全体の意思統一を図っていきたいというふうな考えがあるんだというふうなことも聞いたんですが、一九九〇年代前半にココムの条約化というふうな事柄に歩みつつあるのかどうか、その点についてはいかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ココムは、それに基づきます各国の国内法の違反が、今回の例で言いましても、今度改正さしていただくと懲役五年になる。ノルウェーとかカナダとかそういうところもみんなそういう状況であるし、アメリカでは十年であるというようなことからいたしますと、いわばそこが出口でございまして、その入り口であるところのココムの協定のと申しますか合意の内容を、やはりその厳しい罰則にふさわしいようなそういう形式のものに高めたらいいのではないかというのが一つの論理としてあることは事実でございます。それで、アメリカはそれを正式に今主張しているというふうには私ども了解いたしておりませんが、一部にそういう条約にすることを歓迎するという空気があることも事実だと思います。しかしながら、まずヨーロッパ諸国、いろいろな政治体制を抱えてココムの合意にコミットをいたしておるわけでございまして、このヨーロッパ諸国の相当部分がこれにまず反対であろうかと思います。  それから、まずこの内容から考えてみましても、条約にいたしますと、例えば品目を条約で決めるのかという問題になってまいります。そうしますと、日進月歩の技術でこれを対象にしたいというのを、条約となりますと一々非常に手続も大変ですし、各国国会との関係とかそういうものも出てまいります。それから、削除をするというときにも迅速にいかないという問題があるわけでございまして、私どもとしても必ずしもその考えに賛成でございません。そういうことから、今おっしゃったような九〇年代に照準を向けてどうということに、条約化というようなことには恐らくなっていかないのじゃないかというふうに私どもとりあえず考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 大臣に念のためにお聞きしておきます。  今も通産省としてココムの条約化、我々は賛成するところではないという見解がありましたが、大臣としてこのココムの条約化、まあこれはココムのこの問題を絶えずリーダーシップをとってやっているアメリカから出てくる問題であろうと思うんですが、これについて大臣としての見解もひとつ承っておきたいと思います、ココムの条約化という問題について。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今まで条約にしないで長年こうしてきたんですから、しかも東西関係は必ずしも悪い方向へ向かっていない状況ですから、私は何も無理して条約にしなくてもいいんじゃなかろうかと。ただ、これからどのように世の中変わるか、それはだからその点で断定はできませんけれども、今のような状況で米ソがおいおいと話し合いもうまくいくし、東西の距離も狭まる、先ほどの佐藤委員のお話じゃありませんが、イデオロギー対立もだんだんと影を潜めてきたというようなことであれば、余り肩を張る必要もないんじゃないかという感じがいたします。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私もそういう見解、認識で通産大臣にいてほしいと、こう思うんであります。  それでは、次の問題に入っていきます。  今回の事件が起こった後、すぐ我が国がアメリカの対潜能力向上について技術協力をすることをいち早く決めたということがあります。ちょっとそこのところをお聞きしたいんであります。  アメリカの対潜能力向上、この問題について日米共同研究をやるというのは、六月末のワインバーガー米国防長官が日本に来られたときに具体化したもので、中曽根・ワインバーガー会談で確認されてきたものである、こう言われておるんです。そしてその検討作業が七月三十日から三日間ハワイの太平洋艦隊司令部で開かれたということなんですが、アメリカの対潜能力向上、要するに潜水艦の能力の向上、東芝事件がソ連の潜水艦の能力を向上させたという関連でこうした問題がすぐ浮上したんだと思います。しかし、日本との共同研究というふうな分野で、アメリカが日本の共同研究を望むというのは、その潜水艦の質的な向上そのものにどれほどそのことがメリットがあるのかということが私はよくわからないんです。いやそんなのは防衛庁に聞いてくれということになるかもしれませんが、これは政府の一員として、大臣として、東芝事件が直接そのことに絡んでないとは私は言えないと思うんですね。やはりそこからこういうものが来たとすれば、一体アメリカはどういうメリットがこのことであると考えているのか、もしおわかりであれば教えていただきたいと思います。

児玉幸治通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(児玉幸治君) ワインバーガー長官が六月末に参りましたときに、今本岡先生の方からお話がございましたような対潜能力問題につきまして話題になったことは事実でございます。これは日米安保の枠の中で行われております通常のいろんな仕事のしぶりの中で、この問題について日米で取り組んでいこうというふうになったと承知いたしておるわけでございまして、その後、おっしゃるように、七月の終わりでございますか、ハワイで日米の防衛当局の間での会合があったということまでは承知しているわけでございますが、具体的にそれじゃそこでどういうような議論が行われたのかというふうなことにつきましては、私どもの方、恐縮でございますけれども、特に承知をしていないのでございます。  お答えになりませんで申しわけございませんけれども、そういうようなのが率直なところでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私は東芝事件とストレートにそこのところが結びついてきたという認識を持つものですから質問をしたわけです。いや、その程度で結構でございます。  それで、日米あるいは西側の安全保障にかかわる問題だとして、そういうふうに今東芝事件が一つ一つこれから日本とアメリカとの関係における軍事協力とか防衛力の増強とかいったところに結びついてくるということについて私は心配するものですから、一、二御質問をいたします。  そこで、最近のマスコミが報じている中身を見ておりますと、P3Cの購入という問題についても若干触れてくるんです。その東芝事件があって、そしてソ連の原子力潜水艦の性能が非常に向上して、特にスクリュー音が聞こえなくなった、さあどうしようか。それは、日本の近海にもたくさんソ連の潜水艦いるじゃないか、それをどのようにして捕捉するのか。P3Cの役目はそのことが中心になってくるわけで、従来百機体制としておるが、今までの潜水巌の機能であれば百機体制で十分だけれども、質的に向上したから今度はそれを百五十機にふやせとかいうふうに、絶えずそこからのひっかかりの中でこの問題が出てくるんではないか。また、FSX、次期支援戦闘機の決定の問題についてもこの東芝事件という問題が絡んで出てくる。こうなってきますと、それが単にココムという紳士協定の中で違反——もちろん違反したことはいいことだと言えないわけだけれども、あくまでそれが貿易上の問題としてそこから派生的に西側の安全に対する危機を招くようになったということがあるということは了解します。しかし、余りにもストレートに、そのことの責任は日本にあるんじゃないか、だから日本はそれに関係することごとくの防衛問題についてもう問答無用で協力すべきではないかというふうなことになりはせぬかという——それは心配し過ぎだよとおっしゃればそれまでですけれども、しかしどうも最近の状況を見るとそういう気がしてならないわけであります。大臣、私のそういう考えは、それは杞憂だよ、心配しなくていいよ、こうおっしゃるのか、いや、ひょっとするとそういうことでくるかもしれぬよとおっしゃるのか、大臣の所見で結構ですから、お考えで結構ですから、ひとつ聞かしていただけたらありがたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) いろんな意見を言う人がありますが、私アメリカへ行ったときに、下院軍事委員会というのと会ったわけですけれども、最初三、四人だと思ったら、十数人ずらっと並びまして、例のハンマーを持ったハンターもおりまして、そのハンターという下院議員が私に言ったことは、従来、潜水艦、ソ連は圧倒的に数で優位、しかしアメリカの潜水艦は技術で優位、その技術がソ連の数を圧倒しておったのだ、それがだめになったんだから、三十隻潜水艦余分に要るようになったから、一隻十億ドルで三百億ドル弁償せいと、こう言うわけですよ。それで、ばかなことを言うなというので議論になったわけですが、そういう極端なことを言う人はあります。ありますけれども、アメリカの一般的な行政府にしても、議会人にしても、そういう日本に極端な防衛力強化を求めるという声は私は聞きませんでした。どこの国にも極端なことを言う人はおりますから、それはただし非常に少数だったというふうに僕は思うんです。逆に、もし仮に日本が、先ほどどなたかがおっしゃったように反米ナショナリズムというやつが台頭して、自主防衛だ何だというので軍隊大きく持とうなんと言って騒ぎ出したら、一番反対するのはアメリカじゃないでしょうか。ですから、私はそういう点は余り心配はいたしておりません。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 通産大臣は余り心配ないと、こうおっしゃったんでありますが、しかしどういう形でこれから出てくるか非常に注目しておるんであります。  それで、アメリカが第二、第三の東芝事件をちらつかせている状況もあります。したがって先ほどから通産大臣がおっしゃっているように、日本の進路のこれからのかじ取り、これは間違いのないようにしていかなければならぬと思います。これは政府も我々国会におる者も同じ立場で、ある意味ではやらにゃいかぬ問題だと思うのでありますが。  そこで、私思うところ、今おっしゃったように、防衛力強化という問題で無理難題を持ち込んで、しかし結果として日本が大変な防衛力を持って、それはアメリカの好むところではないということになれば大変だという、その両方の面がある。しかし、量的なそういうものじゃなくて、例えば中曽根総理大臣がよくおっしゃるように、日本はスパイ天国だというような——天国だと私は思いませんが、そういう表現をなさいます。六本木あたりにうようよおるとか。うようよとという表現もいろいろあって、困るんですが。だから、東芝の事件の背景には、安全保障ということに対する認識がやはり日本には欠けているんだという問題意識があったときに、安全保障に対する問題意識が我々には欠けていると、西側の一員でありながら。そこから出てくるものは、だから安全保障のために防衛力を増強せよというのと、それからそうしたココム問題等々が安全保障の問題としてしっかり認識できるように、また国民の意識の中にそうしたものを浸透さしていくために、スパイ防止法あるいはまた自民党政府がかつて議論し、今もなお議論が続いている国家機密法というふうなものが結局必要ではないか。そういうものがないから、結局のところ安全保障が安易にされて、そして大臣もおっしゃるもうけんかな主義だけが前に出て、こうなるんだ、こういうところへは行っても、別に防衛力が増強して日本が軍事大国どうのこうのという量的な面はないわけであります。しかし、質的な面のそうしたスパイ防止法とか国家機密法というふうなものができた場合は、これはまた全然別の論議が起こってしまいります。  そこで、私は大臣にお伺いしておきたいんですが、そのものずばりで。結局この東芝事件等から派生して、アメリカが言うか言わないかは別にして、日本にもスパイ防止法というふうなものが要るではないかというふうな関係に私はなってはならぬと思うんでありますが、大臣いかがでございますか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私は今までアメリカ側とは随分接触をしておりますが、先方からスパイ防止法というようなことはただの一度も聞いたことがありません。  私は閣僚でありますから、スパイ防止法についてのコメントは、これは差し控えなきゃならぬと思いますけれども、外国へ行って、これはヨーロッパでもそうですけれども、日本が防衛意識が希薄なのか、つまり防衛意識が日本ではなさ過ぎるのか、あるいは外国が過剰なのか、どちらを私はとろとも言いませんけれども、相当感覚的な違いがあることは間違いない事実でございますけれども、だからといってスパイ防止法に対して賛成か反対かということになりますと、これはまあ今後の政治の流れというものもありましょうし、今私が特にどうこう申し上げる段階ではないと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私はそういう流れを一番心配しているんでありまして、今おっしゃる段階でもないと、こういう答弁でありますが、絶対にそういう方向に流れないことを私は強く要請をしておきたいと思うんであります。  そこで、次に貿易問題に絡む背景的なことをちょっと御質問いたします。これは既に福間理事の方からも御質問があったものでありますが、繰り返しになって恐縮ですけれども、質問いたします。  東芝事件はココム違反ということで、それだけでも結局問題になる性格があったところでありますが、さらに火に油をかけたというような状態になったのは、やはり日米間の厳しい今日のこの貿易問題が背景にあるということでありましょう。  そこで、日米の貿易問題の何がそれでは一番摩擦になっていく原因なのかということであります。それは我が国の対米輸出依存がここ数年著しく高まってきたということであろうと考えます。現在我が国の輸出の状況を見ますと、一九八五年で三八%から三九%と言われ、すなわち四割が結局アメリカに向けて輸出している、大変なシェアであります。一九七五年に二四・五%、一九八〇年に二六%というふうに、こう見てみますと、中曽根政権になった以降の五年間、この間に非常に依存度が高まったということだと思うんですね。そして特定国、アメリカへの輸出依存が四割もあるというのは、やはり日本の経済のありようとして、あるいは貿易の問題からとしても健全な状態とは言えないんではないかと、こう思います。  逆に、今度はアメリカの状況は、資料的に見れば日本に対する輸出は全輸出の一〇%にすぎないという状況、結局ここのところで貿易摩擦とか貿易戦争とかいうふうな事柄が起こっている大きな原因だと、こう思うんです。  それで、通産大臣もこの予算委員会の段階で、とにかく日本はアメリカの市場へ物を輸出しているんだと、それで日本が、我々は飯食っているんだと、極端な言い方をすれば。そこがシャットアウトになったらどうなりますかというお話で、それを言われてしもうたらもうすべてこれはもう議論できないなというようなことを私も傍聴して聞いておったんです、たしか福間理事の質問だったと思うんですが。結局そういう関係をこれからさらに強めていくのか。やっぱりそれが少しずつ緩和していって、余りにも極端な形で輸出の市場が一国に偏らないようにしていくという問題も、ココムに対する違反事件は今後起こさぬぞ、厳格に取り締まるぞという問題と、一方でやはりその背景になるその問題の解決も積極的に進めていかねばならぬじゃないかというようなことを、私、前に予算委員会における大臣の答弁を聞いておりまして感じたので、今ちょっと御質問したいんですが、いかがですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私は非常に適切な御質問をいただいたと思って、ちょっとお聞きを願いたいんです。  率直に言いまして、日本の輸出依存度は、一九八六年で対米三八・五%ですね、約四〇%。西ドイツはわずか一〇%ですね、対米依存度が。ですからドイツはアメリカに対しては非常に強いです。何かというとアメリカとやり合っております。私は、シュミットが日本の輸出のあり方、貿易のあり方に対して適切な指摘をしたと思っておりますが、ドイツはECというすばらしい大マーケットの中に生活しておるわけですね。そして既にECではもう国境がないんですね。ですからアメリカに過度の依存をする必要がない。ところが、日本の場合はアメリカ以外に目ぼしいマーケットがない。大きいマーケットがないという悩みがあるわけです。それだけに体質的にアメリカに対してややともすれば弱い立場に置かれる。  そこで、日本がこれからやらなきゃならぬことは何だろうか。例えば貿易総額で言いまして、日・米は千百億ドル、米・ECは千三百億ドル、日・ECは四百四十七億ドルですから約四百五十億ドル、これでは余りにも偏り過ぎております。アジア近隣諸国との貿易も、今、私数字を持っておりますが、ちょっと御参考までに申し上げますと、正確に申し上げますと、一九八六年でアメリカとの貿易が一千九十五億ドルですから約千百億ドルです、三二・六一%。これは行き戻りですから、貿易総額。対ECが四百四十六・七ですから、四百四十七億ドル、一三・三%。東南アジアが七百十二・八ですから約七百十三億ドル、これは二一・二%。対共産圏が二百二十二・九、つまり二百二十三億ドル、六・六%。こういうような状況にございます。でございますから、特に輸出の場合は、対米が八百四・六ですから約八百五億ドルで三八・五%。対ECが三百六・八、つまり一四・七%。東南アジア向けが四百十七・九、つまり四百十八億ドルですから二〇%。対共産圏が百四十・六ですから大体百四十一億ドルで六・七%。これが輸出の実績でございます。  そういうことでございますから、まず第一、ECとの間に拡大均衡の貿易政策をとるべきだと私は思うんです。ECは今アメリカからはじき飛ばされて、日本がダイバージョンをやってくるんじゃないかということをおびえていますから、そういうことのないように拡大均衡をやっていく。  それから今度は、近隣諸国を開拓しなきゃうそだと思うんです。つまりASEAN諸国を初めとして、東南アジアは一次産品に頼った産業形態をとっております。これを外貨獲得型の輸出型産業を大いに興してもらう。そして、日本にとってよきマーケット、彼らから見ても日本はよきマーケットという相互依存をやって、これを均衡的に拡大させるという必要があろうかと思います。でございますから、私どもが提唱いたしましたニューAIDプランというのは、その点では非常に役に立つものと思います。そのようにして、これはもちろんオーストラリア、ニュージーランド等も含めることになっていくと思います。ニューAIDプランは別問題として、いわゆる南太平洋といいますか、東南アジアからずっと豪州、ニュージーランドの方までを含んで日本は今後近隣諸国として対応しなきゃならぬと思いますが、そのようにして対米依存度を下げていくということでドイツのように強い体質をつくっていく、いわゆる多極分散型の貿易体質をつくっていくという必要があるのではないだろうか、このように思います。  それから、先ほど中曽根内閣になってからということでございましたが、これは現実に私は中曽根総理からじかに聞いております話でございますから、あえて申し上げますならば、中曽根総理はアメリカとの非常に不均衡な貿易、アメリカへどんどん輸出して、アメリカ依存型の貿易というものに対して非常な批判的な考え方を持っておることをここでちょっと申し上げておきたいと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それでは次の質問に入らしていただきます。  アメリカ政府の今回の東芝問題に対する動きというようなものに関係しながら幾つか質問いたします。  先ほどの質問の中にも、商務省というのは一体どういう動きをしたのかということに対する御答弁もありましたが、私もいろんな資料、また関係する本をできるだけ読んでみました。そして、私なりの結論として、アメリカ側の動きについて言えることは次のようなことではないかと思います。  つまり、アメリカ政府は、内容はいろいろあるにしても、商務省を中心にことしの初めから輸出規制とココム規制の緩和に動いていたんではないか。ところがアメリカ国防総省、ペンタゴン内における対ソ強硬派がその動きをよしとしないというところがあって、何としてもペンタゴン内における対ソ強硬派が商務省の動きを阻止して、そして引き続き対ソ強硬路線を堅持していかなければならない。そのためにココムあるいはまたSDIもあると思うんですが、こういう問題の防衛推進を図ろうとして、そしてたまたまそこに東芝機械におけるココム違反事件が表面に出てきたというので、これぞとばかりそれに飛びついて、陰謀と言えば表現が不的確かもしれませんが、他に私はいい言葉を思いつきませんので、結局そうしたペンダゴン内における対ソ強硬路線派の陰謀として持ち上げられたのが、まあむいた話、東芝事件ではないかというふうなところに私は行きついたんでありますが、どうでしょうか、私のこの認識は大変間違っているんでしょうか、どうでしょうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 国防総省の動きが東芝機械事件を利用して自分の立場を強めるための陰謀をやっているんだというふうには考えにくいと思いますけれども、確かに国防総省の一部あるいは国防総省に前にいた人などの意識の中には、今御指摘のココム緩和と申しますか、包括貿易法案の中に組み込まれておる、下院で成立をした条項の中に入っているボンカー修正部分、西側から西側へ出すときは国防総省に合い議をしないでいいんだというその修正部分の条項などに対して相当批判的な意見がありまして、そういう立場からすると、この東芝機械事件のような事件が起きるということは、やはり日本だけじゃなくてアメリカにも起き得るわけなんで、そういう意味では、やはり従来どおりの立場であった方がいいということを主張したという事実は、例えばパールという人の議会での証言なぞを見ると見られることは事実でございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そこのところの議論をしても始まりませんから、一応認識を聞いただけであります。  そこで、私はずっと今までこの質問をする中で感じたんですが、結局ココムというものの規制というものがかっちりしていかなければいかぬ、違反をするような状況をつくってはならぬというふうなものはやっぱり一方にありながらも、アメリカなりヨーロッパなり、あるいは日本、そういうココム加盟国全体の動きというものは規制を強化するという方向じゃなくって、緩和をしていった方がいいんじゃないかということに向かいつつあるのではないかというふうに私は思うんです。大臣もおっしゃらないけれども、やっぱりそのニュアンスというのか、言葉の流れ、話の中でそういうことを私は感じるんです。  そうした立場に立ちましたときに、今回の法改正はやはり従来よりも日本国内におけるココム問題に対する規制を強化するというために出されたんであって、そうでなければこれは意味がないわけであります。そうなってくると、今回のこの法改正は、緩和する方向にあるという具体的に明らかなものが表面に出てこなくとも、何か流れはそういう方向に向かいつつあるものをとめて、今度は逆に強化の方に世界の流れを向かわしていく役割を日本が果たすことになるんではないかという気がしてならないんでありますが、その点はいかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ココム加盟国の間にいろんな意見がございますので、どこまで一概にこういう流れがあるとかいうことを申し上げることができるかどうか疑わしいと思いますけれども、あえて簡略化して申し上げますれば、今ココムの中で議論されています方向は、リストは短く、というのは対象品目はできるだけ少なく、それから、合意したコミットメントは、しかしできるだけきっちり実施をする、つまりその意味で規制は厳しくということであろうかと思います。  それで、今回の我が国が出しておりますこの外為法改正案は後者の方、つまりコミットしたことについては、できるだけそのコミットどおりに実施していくように、民間に対する抑止力を強化しようという方向のものであると理解いたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 決めたことはきっちり守ろうじゃないかと、こういうことでもって法改正をしたんだということなんですが、そこで、よその国のことはわからぬとおっしゃられればそれまでであります。しかし、私には、ヨーロッパ諸国が、加盟国がココムを本気に守ろうとしているのかどうか。日本もそうじゃないかと言われたら、そうかもわかりませんが、何か本気にココムというものを守っていこうとするように見えません。  また、アメリカも、今日までの経緯を見ていったら、あるときは緩和したり、あるときは特例をどんどん認めたり、先ほどの質問にもありましたけれども、東芝機械が出したのがソ連の潜水艦の質的向上に役立ったと言うんなら、こんなものもあるではないかと、一体アメリカのソ連に送ったというような研磨機とかいろいろ資料出ていますけれども、そういうふうなものは特例を出して緩和している。コンピューターを共産圏向けに輸出した数というのは圧倒的にこれはもうアメリカが多いし、特例を申請して、それを認めさせたというのもこれもアメリカが一九七〇年代の後半というのは圧倒的に多いし、それでまた、アフガニスタンのああいう侵攻が起こってくると今度はまた規制する。何か非常にアメリカも御都合主義的にそうした問題を自国の利益というようなものと絡めながらやっているように見えるんですね。だから、決めたことをきっちり守ろうと、こうやっても、なかなかそうなっていかないのが実態であると私は思います。  したがって、くどいようですが、日本だけがそうした非常にある意味では実態のない、そのときそのときの御都合主義で何でもやっていけるようなココム問題に対して、法改正をしてまで執着してやらなければならぬのかという点について、私はどうしても納得がまだいかないという点があるんですが、その点についていかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 先般、ココムでハイレベル会合というのが行われましたが、その際も、例えば第三国協力と申しまして、ココム加盟国のみならず、ココム加盟国以外の国もできるだけ戦略物資をココム規制国に出さないように共通の努力をしょうじゃないかということについての共通の関心が表明されることもございましたし、その他の点についてもコミットメントをきっちり実施をしていこうという話し合いも順調に行われまして、したがいまして、恐縮でございますが、日本だけが外為法を強化してひとり突出して、他の国はサボっているのに日本だけが正直者でやっているというような状況ではないというふうに理解をいたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 この点はその程度にしておきます。  そこで、今言いましたようなことに関連してお聞きしたいんです。というのは、この間の参議院の本会議でこの法案の趣旨説明と質疑が行われましたが、そこで我が党の質問に対して中曽根総理が、東芝機械事件は極めて悪質な事件であると、悪質なという言葉を使われたことが非常に私は頭の中にこびりついでおるんであります。その極めて悪質というふうに本会議の中で総理が答弁されたということなんですが、極めて悪質というのは、これは総理大臣に聞いてくれとおっしゃられればそれまでだけど、一体どういうことでこれ極めて悪質なんというようなことが出てくるんでしょうかね。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ココム違反というのは幾つかの種類があると思うんですが、例えば政府が審査を甘くしたとか、あるいは内々で出してしまったとか、いろいろあるでしょうけれども、虚偽の書類をつくって、そしてコングスベルグ社の虚偽の証明書も添えて、そして申請したと。これは私はやっぱり悪質だと思うんですよ。中曽根さんと仏とが同じ感覚で物を言っておるかどうか、それは御本人に聞いてみないとわかりませんけれども、しかし、ココム違反であるかどうかのことよりも、もちろんココム違反ということなんですけれども、国内法に対してそのようなことをやるということは、これは私はちょっと余り例がないんじゃなかろうかと思います。その意味では悪質と言っても、極めて悪質と言ってもいいのではないでしょうか。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 まあ良質とは言えませんわね、それは。極めてそれは悪質であると思うんですよ。ただ、おっしゃったように、形式的に書類を間違ったとか、偽りを出したという、しかし、それは確信犯的にやった内容が問題で、悪質であると私もそれは思います、そのことはね。ただ、極めて悪質であると決めつけていくその延長線上の問題を考えるんですよ、一国の総理がそうおっしゃることに。心の中で思っておられることはいいと思うんですよ、けしからぬことをしたと、何ということをしたんやという怒りを持って。極めて悪質であると言って攻撃をかけて、その行き先は、それはアメリカにはどう結びついていくかというと、国内法的なそういう手続上の問題で悪質じゃなくて、結局それは、先ほどから繰り返し議論しました、要するに安全保障問題とのかかわり合いのところへ出てきて、結局ソ連の潜水艦の性能を高めるところに役立ったんではないか。  だから、アメリカが今までソ連の潜水艦の行動を音によって探知できたのが、できなくなった。結局そのことによってアメリカ及びその西側諸国は従来の体制ではソ連の潜水艦の探知ができないので、新しい探知施設をつくらなければならぬ、また研究開発をしなければならなくなった。それが今おっしゃるように三百億ドル要るではないか、幾ら要るではないかということ、そういうふうに重大なる損害を与えたと、ある意味ではね。だから、そのことが悪質だというふうに、悪質がそういう方向へ結びついたときに、日本側として、いや、そうじゃないというふうに言えなくなってしまうんではないか。結局悪質だから、三百億ドルか四百億ドルか、新しい体制をつくるために要した金、これは東芝機械が工作機械を輸出したのでこういうことになったんだ。だからそれに対する補償をせよと言ったときに、やっぱり補償せざるを得ぬところに追い込まれていくんではないかということを私は心配をして、ああいう場で極めて悪質だと大上段に振りかぶっていただきたくなかったなと、こう思ったんでありますが、いかがでございましょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 賠償なんてことはとんでもないことだと思います。しかし、虚偽の申告をしたということを極めて悪質と、私はそう受けとめております。一部の方から私に対する責任追及論が出ておりますが、今でもあるかどうか知りませんけれども、出ておりましたが、それも虚偽の申告にだまされた責任をとれということでございましたから、やっぱり悪質なんだろうなというふうに思っておりますが、ココム違反ということでも良質とは言えませんね、やっぱり悪質なんじゃないでしょうか。虚偽の申告をしたということは極めて悪質ということじゃないでしょうか。  賠償問題等に発展することは私はもう一〇〇%ないと思っております。それは、賠償せよと言ったって、外国の法律で他の国に賠償を求めることはできないんですから、そのときの総理大臣なり、まあ総理大臣になりましょう、総理大臣が払う気があれば話はどうか知りませんけれども、国会は大騒ぎになりましょう。それは僕はできないと思いますね。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私もそのとおりだと思うんですが、余りトーンが高いとそういうところへ結びつけられてしまうんじゃないかという心配をしたものですから、そういう質問をしたんです。  そこで、今もおっしゃったように、東芝事件の悪質なのは、虚偽の申請をやったと、しかもその内容が非常に悪質である、こういうことで、これは日本の国内法の問題ということでいくならば、それはそれで私ども議論をしていきます。しかし、私が先ほどから盛んに心配しているように、結局、東芝機械事件の問題のその虚偽の申請をやった、通産省をだましたというふうなその事柄は要するにスパイ行為ではないか、利敵行為ではないかというふうな決めつけ方が行われて、そしてそういうスパイ行為、利敵行為をやった東芝機械そのものはという、やっぱり社会的にその存在まで抹殺しかねぬような空気も一方に出てくるというふうなことになってきたときは、やはりそれは違反は違反。として悪質というものはあるにしても、結局、今言いましたスパイ行為とか利敵行為とかいう絡みになってきたときには、果たしてそれは本当にそうなのかということは、ソ連の原子力潜水艦そのものの質的向上に本当にそれが具体的にかかわったんかということが解明されなければ言えないと思うんです。  通産大臣は、濃厚な疑義がある、私はここで言えぬけれども、はっきりそれをアメリカで見てきたというような意味のことも予算委員会でおっしゃいました。しかし、それにしても、東芝機械に対する一つのとらえ方というのは、今言いました単に疑いの域を出ないような形のもの、あるいは新しいソ連の原子力潜水艦の質的向上との因果関係がないというものに対してやはり混同をしないように、やっぱり通産省としても整理をしておいていただく必要があるんではないかということを思うんでありますが、そのことだけ一つ聞いておきます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) それは当然だと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それでは、もう時間も一時間ばかり過ぎましたので、あと法案の内容について若干お聞きします。  まず安保条項の問題であります。二十五条、四十八条に「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるもの」というんですか、そういう内容がございますが、これは具体的にどのようなものを指すのか、説明をいただきたい。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 二十五条、四十八条の「国際的な平和及び安全の維持」というのは、国際的な紛争の発生もしくはその拡大を助長するような取引、または西側諸国の安全保障に重大な影響をもたらす取引等を規制することによって、我が国を含む国際社会の平和及び安全が脅威にさらされることがないようにすることを意味していると考えておりまして、具体的にはココムの対象物資の規制、それから武器輸出三原則なり、武器輸出に関する政府統一方針の対象物資の規制、それから原子力関係の資機材の規制、そういったものを含んでいると考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それで、具体的な問題についてちょっと入っていきたいんですが、罰則の強化というのがあるんですが、三年以下の懲役を五年以下の懲役にした理由、これは何か具体的な理由があるんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 「三年以下の懲役」という現行制度のもとでも、先ほど来御指摘の東芝機械事件のような深刻な事件が起きてしまいましたので、民間に対する抑止力の強化という意味から「五年以下の懲役」というふうに強化をさしていただこうということでございますが、他方五年ということに延長をいたしましても、他の経済関係法令、例えば関税法、あるいは文化財の輸出の関係の法律等々との条文から見まして均衡を失することがないというふうに考えたからでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 均衡を失していないと、こうおっしゃったんですが、アメリカが十年の禁錮ですか、それからそのほかのヨーロッパ諸国では二年から三年以下の禁錮となっておるんですが、それがどうして日本の懲役五年との均衡を失しないんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに、一部の西側自由主義諸国と比べますと、今回改正後の懲役最高五年というのが、厳しくなることは事実でございます。今御指摘のように、西ドイツは三年でございますし、それからフランスは三年ですし、イギリスは二年ということで、これらに比べると厳しくなることは事実でございます。しかしながら、他方、今御質問の中にもございましたように、アメリカは十年でございますし、それからカナダは五年でございますし、それからノルウェーは今まで六カ月でございましたが、この十月ですかに五年にするということを表明もいたしておりますので、それらと比べまして均衡を著しく失するというようなことはないというふうに考えているわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 法務省においでいただいておるので、参考までにお聞きしておきたいんですが、懲役と禁錮の違いですね、私はほぼわかっているつもりなんですが、正式に懲役と禁錮というものはどう違うんですか、厳密に言えば、法律的に。

東條伸一郎法務省大臣官房参事官

○説明員(東條伸一郎君) 先生既に御承知かと存じますが、懲役と申しますのは、監獄に拘置しまして、刑役に服するという義務を科するわけでございます。禁錮は、監獄に拘置するだけで、刑役に服する必要はないという点で違いがございます。  それからなお、禁錮につきましても、禁錮囚が作業につくことを申し出ましたときにはその選択を許すということになっておりまして、現実には相当多数の禁錮囚が懲役と同様の作業に服しているという実情でございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それでは、重ねて法務省にお伺いしますが、刑法十条に次のような文章があります。「有期禁錮ノ長期有期懲役ノ長期ノニ倍ヲ超ユルトキハ禁錮ヲ以テ重シトス」、非常にわかりにくい文章なんですが、こういう規定があるんです。要するにここで言っていることは、刑の重い、軽いというふうな問題を言う場合に、五年以下の懲役と十年以下の禁錮はどうなんですか。結局「二倍ヲ超ユルトキハ禁錮ヲ以テ重シトス」、こうなっておるんだから、ちょっとようわからない。だからもう一遍、五年以下の懲役と十年以下の禁錮というのはどっちがこれ重いんですか。

東條伸一郎法務省大臣官房参事官

○説明員(東條伸一郎君) 刑法十条という規定は、現実に刑を科してまいります場合に、刑の重さを比較しまして、いろいろと裁判上現実の量刑をいたしますときに技術的な操作をしなければならない、そのために何が一番重いのかという順番に並べた規定でございまして、九条を受けまして、要するに死刑以下、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及ヒ科料」というふうに刑がございますが、それの順番を十条で並べてみたものでございます。  今御指摘のように、懲役と禁錮はどちらが重いかということを定めましたのが十条の一項ただし書きでございまして、無期の禁錮は有期の懲役より重い。それから両方とも有期の場合には、有期懲役の長期の二倍を禁錮の刑が超えるときに禁錮の方が重いということでございますから、今御設例の五年の懲役と十年の禁錮とどっちが重いかといいますと、これは、超えるときですから、依然としてまだ厳密に申し上げますと五年の懲役の方が重い。超えておりませんので、倍にしましてちょうど一緒になりますので、厳密に言いますと十年より一日多くありませんとぐあいが悪いわけでございますが、そういうことでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 ありがとうございました。私にもわかりました。それで、先ほど均衡がとれているとおっしゃいましたが、通常均衡がとれていると思うときには、アメリカが十年で、そしてこっちで二年ないし三年がある。日本は五年でちょうど真ん中で均衡がとれているというふうに我々は認識します。しかし、日本の法律によって禁錮とそれから懲役というのを刑の重さ軽さで見たときには、十年以下と五年以下と見たときに懲役の方が重いとしたら結局アメリカの禁錮よりも日本の方が重いということになるから、これは均衡をとったんじゃなくて突出しておるというふうに今の答弁は改めてもらわなかったらいかぬのじゃないですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに外国の刑の中にインプリズンメントというのが書いてありまして、これが、禁錮というふうに訳せば、そういう今刑法の御議論がございましたような御議論になるのかもしれませんけれども、外国ではどうも日本の懲役に当たるようなものがないようでございまして、懲役という英語は何というんだといって私も随分中で議論をしたのでございますけれども、余りきちっとした言葉がございませんで、したがいまして何と申しますか、禁錮と訳していますが、拘禁というふうに考えられるわけでございまして、そういう意味では日本の懲役と同じようなものというふうに、向こうに禁錮と懲役と両方あって、そのうちの禁錮をとっているというようなことでありますると御指摘のような議論になると思いますけれども、そうではなくて、全体を含めた拘禁刑とでもいうべきものが存在するわけでございます。  他方日本の方は、禁錮刑というのは本岡委員御案内のように、めったに使われませんで、内乱に関する罪など極めて限られた政治犯、確信犯等に科されておりまして、通常の経済法令の違反には懲役刑でございますので、従来も外為法で懲役刑でございますので、今度も懲役刑ということにさしていただいたわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 法務省、今のような見解でいいんですか。

東條伸一郎法務省大臣官房参事官

○説明員(東條伸一郎君) 刑法の十条の現行の規定、確かに先ほど御説明申し上げましたように、懲役と禁錮というのを、相当重さの点で違いがあるような評価をしておりますが、現実の量刑、刑の執行の実情、あるいはいわゆる禁錮刑と懲役刑の中身というのを考えてみますと、要するにその本質は自由の剥奪と申しますか、施設に収容しまして自由を剥奪する、我々自由刑と呼ぶわけでございますけれども、そこにございまして、立法当時の考え方はともかくとしまして、現在禁錮と懲役というものがそれほどの差があるだろうかという、実質論から申しますとそれほどの差はなかろうと考えております。  それから禁錮の性質につきましては、今御説明のございましたように確信犯、それからもう一つ大きな類型としまして過失犯という者に対して禁錮刑を科する。現在禁錮刑の執行を受けております大多数の者は、自動車事故いわゆる業務上過失致死傷事件で禁錮刑を選択されたものでございます。  それから、外国の刑と日本の刑を比べます場合の重さというものは、これは実に難しい問題があろうかと思います。例えばアメリカのインプリズンメントという制度、これも収容施設の状況によりまして実際に志願した者にプリズンインダストリーといいますか、所内の工場で働かせる場合もあるようでございますが、そうでなくて、ただ要するに社会から隔離しておく、自由を剥奪しておくという意味合いを持つ施設もございますので、施設の刑の執行の状況その他を厳密に比較してみませんと、ただ禁錮あるいは懲役というラベルの問題だけで比較するのは余り正確ではないだろうと私考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 この議論は余りする気はないんですが、ひとつ勉強にと思ってさしていただいたわけであります。均衡じゃなくて、やっぱり私は諸外国との並びの問題からすれば問題はないと言うけれども、しかし日本の国内法の中を厳密に解釈したときには、やはりこれはココム加盟国の中で罰則を一番重くして突出をさせていったんではないかという気がいたします。したがって、こうした罰則の強化そのものについては賛成できないということでありますが、ここのところの議論はこの程度においておきます。  それでは次に、四十八条の問題について若干お聞きしておきます。  現行法では「輸出の承認」と、こうなっておるんですが、改正案では安保絡みの物資については輸出の許可が必要というふうになっておりまして、それ以外のものについては輸出は承認ということになっているんです。これも先ほどの禁錮と懲役の言葉の問題を取り上げて申しわけなかったんですが、これも同じように許可と承認というふうにやっぱり使い分けがここでも起こっているわけで、この承認が結局許可になるという、こういうことでありますが、この使い分けを規定した理由をひとつお伺いしておきます。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) まことにごもっともな御指摘でございますが、最近では許可という文言を使用するのが——承認という文言じゃなくて、承認という文言を昔使っていたようなケースについても許可という文言を使用するのが通例でありますために、新たに設けた条項についてはこの許可という文言を使用したものでございまして、他意はございません。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 法務省の方結構でございます。ありがとうございました。  それで、行政学上、何か許可と承認というのは一定の定義で使い分けているようなんですね、調べてもらいますと。許可とは一般的に禁止をされているものについて、特別の場合禁止を解除しますというのが許可なんだと、一般的に禁止しているものに対して禁止を解除していくのが許可なんだ。  それから、今度は承認の使い方というのは、一般的に一つの行為に対して同意を得ることを要すると、いわゆる同意を得ることに要する問題については承認であると、こういうふうに言われているようであります。そこで、一般的に承認は全部許可にしているんだということであれば問題ないんですが、そうでなくて、やっぱり許可というものが持っている意味が一般的に禁止されているものに対して特別にそれはいいんですよと、こうする概念がもしあるとした場合に、ココムの問題に当てはめますと、貿易というのは一般的に自由であると、自由貿易ということで、この自由が原則になっている。その中で、これとこれとこれは輸出をすることについて許可が要りますよということになる場合は、一般的に禁止されているものを許可するんじゃなくて、その特定のものについて同意を与えるという承認というふうな意味合いの方がこの法律そのものにはなじむんではないかというふうに私は思います。  そういう意味で、何かこの言葉の中にも安保条項が入ってきて、この自由貿易体制というものを一方で堅持するということと、何か言葉の上で混乱が起こっているんじゃないかということを私は思うんでありますが、何かこじつけのような質問で恐縮でありますけれども、ひとつ解明を願いたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに行政学上、今御指摘のようなことが言われる場合もあることは事実だと思いますが、他方、手元にございます法律用語辞典で見ますと、外為法のこの承認という言葉の使い方というのはやや特殊であったようでございまして、国と特別の関係がないものに対してその承認という言葉を使った例として、本来許可、認可等の意味に承認を用いた例としてこの外為法の例が掲げてあるというようなことがございます。  ですから、本来は、例えばこの辞典の解釈ですと、許可という字を使うべきであったんだけれども、ここは承認という言葉を使ってあったというふうにこの法律辞典は言っているわけでございまして、それとは別に先ほど申し上げましたように、最近の通例は承認という言葉ではなくて、こういうケースでは許可という言葉を使うというのが慣例になっておりまして、それで今御指摘のその自由貿易主義あるいは貿易自由の原則ということとの関連で申し上げますと、これは今回の改正後におきましても、外為法一条の対外取引の自由をできるだけ確保すると、最小限の制約のもとでしか制約はしないという、そういう原則は今後もずっと生きてまいりますので、たとえこの許可という言葉を使いましても、承認という言葉を使っているのと全く同様に、原則的に自由であるということは間違いございません。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 時間も迫ってきましたんで、最後に大臣に基本的な問題をお伺いして終わります。  それは、我が党は、今回の問題は武器輸出禁止三原則という立場で対応すべきだという考え方を持っております。本会議でもこの立場で質問させていただきました。つまり日本国憲法の大原則である平和主義を一貫して擁護してきたということでありますから、この東芝機械事件を国政レベルの問題で論議をするとするならば、平和主義の観点、すなわち我が党が主張して国会決議にもあります武器輸出禁止三原則の観点から、こうした問題の論議をしていかなければならないんではないか。外為法という自由貿易を原則とするものの中にこのようなものを含めること自身がやはり間違いだということでありますが、最後にこの問題についての大臣の御見解をお聞きして、質問を終わっておきたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 常に時代の変遷によって対応というものは変化するわけでございますから、今、私から特にどうこうと、ココムの将来のことについて、あるいは武器三原則等を中心とした特別立法等についてのコメントというものは御遠慮申し上げたいと思います。今は、ただひたすらに外為法成立ということにのみ思いをいたしておるわけでございますが、しかしやはり世界は大きく進歩していくものであり、変遷していくものでございますから、またそのときどきの判断というものが必要になるであろうことは、それは当然だと思います。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 前後しますけれども、質問してまいりたいと思います。昨日の夕刊でございますけれども、私今、日経の夕刊を広げておるわけですが、各社も報道されておられると思います。米側が外為法改正を評価していると、こういうふうな文の中で、通産省の輸出管理体制の強化に対する三点の中の最終的な問題として、人員がなお不十分であると、こういう考え方を示している、こういうことを言われておりますね。  通産省としては、ココムの担当者を四十人から八十人でございましたか、増員をすると。こういう問題が前にもありまして、その後、大臣はさらに増員目指して検討したいという報道が確かに載っておったと思うんですね。その延長の中で、昨夜の夕刊が一斉に、通産省と米国の会談の中で、評価はするけれども、人員がなお不十分である。これについては通産大臣、四十人から八十人の増員であるけれども、なおかつ、米国まではいかないけれども、さらに増員をしていきたいという含みがある中で、このような米国側のさらなる発言があったのではないかと思うんですけれども、その点当局並びに大臣の見解を伺いたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私がもっとふやしたらよかろうということを言いましたのは、米側の発言がある以前でございます。スマートが来て、もっとふやしたらどうだなんということを言ったそうですけれども、その以前に、私はもっとふやしたらどうだろうかと言いました。現実には正式な要求は今八十人でございます。御承知のように四十二人をとりあえず六十二人にして、そして来年度予算で八十人にすると、これが正式ないわゆる定員増を含めた人員要求でございます。  ただ、私が申しましたのは、もちろん審査の適正化ということも当然ございますけれども、同時に、八十人にしましても、二十万件を扱わせるということは大変だと思うんですよ。もう今ココム担当者といいますか、疲れ果てておる、かわいそうな状況下にあります。そういうこともありまして、私がもう少しふやすことはできぬのかな、せめて三けたにすることはできないのかなと、こういうことを山下総務庁長官に申した。総務庁長官も、聞いてみれば大変な気の毒なことだが、一遍検討しましょうということで別れておるということであります。正式の要求は八十人だということでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 今、大臣に伺いましたが、大臣の発言の中にも、当局では、確かにこういう業界からの申請の処理に対して、通産省としてやはり抱え切れない、非常に無理な問題がある、しかも二十万件の処理をしていく。四十二人が六十三、八十人、こういう形でございますが、なおかつそういうことを含めた中で、米側がやはりさらなる増員を要求をしている、そういうことでございますが、近い将来として、今大臣がおっしゃいました四十二人から見れば八十人、非常にこれは大きくふえておりますが、実務を担当する窓口として大体八十人で限度なのかどうか。米側がこういうふうに言うのであれば、八十人でもういっぱいですよと、一生懸命努力しているのだから、余りアメリカ側としていろんなことを言わないでほしいというようなことをきちっとくぎを刺さないと、際限のないすべての問題というものが出てくると思うんですね。  人員のことだけを今話しておりますけれども、八十人よりさらにふやすのかどうかという問題、そういう点は窓口としてはどういうふうに考えていますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) まず、米側が八十人をさらにふやすように要求しているということはございませんで、米側はその辺は慎重でございまして、要求をするわけではないが、アメリカの方は商務省だけで四百人、その他で三百人、合計七百人という体制であることも一つの参考にはなるかもしれないというような言い方でありまして、日本の体制に満足をしているというわけじゃないけれども、要求をしているという事実はございません。  そこで、八十人をさらにふやすかという点でございますが、大臣が先ほど言われましたように、八十人の正式要求ということでございますが、その前から、大臣からこれはもう少しふやすべきなんじゃないのかという御指摘も受けておりまして、ちょっと事務的に間に合いませんで八十人で出しておりますが、できれば総務庁なんかの了解も得て三けたにするようにいろいろ努力をしてみたいと考えているところでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 大体三けたといえば百人ぐらいですか、このあれからいくと。どうなんですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私が三けたと言いましたのは、十人やそこいらじゃだめですよという意味でありまして、三けたというのは百から九百九十九まであるわけですから。それはそれとして、可能な限りという意味の表現というふうにお受けとめいただきたいと思います。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 それからもう一つ伺っておきたいんですが、特認についても加盟国で米国が一番多い。これは的確な数字としては、どの程度米国の場合はやっているのか、一番新しい数字があればお教え願いたい。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 恐縮でございますが、外国の特認の件数等を個々に申し上げることは、ココムの申し合わせでやってはならないことになっておりますので差し控えさしていただきたいと思いますけれども、我が国は百件程度が特認でございまして、米国はそれと一けた違うような感じの特認があるという状況でございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 一けたというと千件以上ですか。もう少しちょっと明確に言ってください。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 余り明確に申し上げますと、ちょっと申し合わせに反しますので、恐縮でございますが、大体今おっしゃったような感じでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 あと触れてまいりたいと思いますけれども、非常にこのアメリカの姿勢というものもやはりただしていかなくちゃいけない問題が私はあろうかと思うんです。こういう特認の問題についても、また米におけるココムの違反の事例についても、例えば高性能のコンピューターをソ連に無許可で輸出をするとか、弾丸製造用の工作機をキューバに不正に輸出しているとか、こういうものが加盟国からは一切米に対しても——日本はこういう事例のときに厳しく米側に要求しましたか、こういうことをきちっと守りなさいと。  もしそれがだめであれば、今アメリカが日本に、一つの企業の問題から国に対する制約を言ってきておりますけれども、加盟の十五の国がアメリカに対してそういう問題のときに、日本を含めて抗議をしたのかどうか。アメリカがやるときには無条件でやってしまう。他の国は黙認している。それは経済的にもいろんな大きなやはり利益を網にかからしめているからというふうな問題で黙っているのか、それとも今私がお話をしたこういう重大な軍事的な二件の問題について、十五の国がアメリカに対して抗議をしたのかどうか、日本はどうか、そういう点はどうなんですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 私の知る限りそういう抗議はなかったと思います。我が国に対する抗議も、抗議といいますか、今回の東芝機械事件が初めてだと思われます。これに類似するような事件といたしましては、浮きドックをソ連に出したという事件がございまして、これは米側から、何と申しましょうか、皮肉を言われたことはありましたけれども、正式な抗議ではなかったと思います。ですから、今度東芝機械事件について正式な抗議というものがあったかどうかというのはあれですが、相当文句を言われたことは事実でございます。それが初めてでございます。  そこで、今後やはり同様な事例が外国で起きましたらば、少なくとも通産省といたしましては抗議をするよう外務省に言いたいと思っております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 それから、ちょっとこれ質問の順番が外れているんですが、二十五条の役務の取引ですね、これをちょっと参考までに伺っておきたいんですが、この問題は「労務又は便益の提供を目的とする取引」、これは衆議院でも参議院でも質問出ていると思うんですけれども、人の場合はどうなんですか、人に対して。例えば知的所有権を持つ学者とか技術者、そういうことはもう完全に切り離しているのかどうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 二十五条の規定で規制をいたしておりますのは、特に問題なのは今度の一項の一号だと思いますが、これは二十五条の改正案に書いてございますように、「政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造又は使用に係る技術」を提供することということでございます。したがいまして、今御指摘の人の場合でございましても、その人がそういうものを提供したということになりますれば、論理的にはこの条項の対象になるわけでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 それは、これの二十五条の何項——人の場合も制約を受ける……。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) より具体的に申し上げますと、二十五条は、「居住者は、非居住者との間で次に掲げる取引を行おうとするときは、」というふうに書いてございます。ですから、居住者が非居住者——これはいろいろ定義がありますが、おおむね六カ月以上日本に住んでいると居住者になるわけですけれども、そうじゃないと非居住者でございますが、その非居住者との間で「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造又は使用に係る技術を特定の地域において提供することを目的とする取引」を行うには通産大臣の許可を受けなければならないということでございますので、二十五条のまず一項一号というものに該当する場合があるわけでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 この問題は仮定でございますが、貨物に対する優秀な設計をされた例えばAという人、たまたまこの対象国の十四カ国の国々から招待を受けて、そしてその知能を、貨物設計ではないけれども、頭脳として招待を受けて発表するとかいろんなことをしていく、そういうときにはやはりこれは通産大臣の最終的には裁量権の範疇の中に入ってくるわけですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 今おっしゃった優秀な学者さんが日本から出ていくこと自体、そのことは少なくとも外為法の対象ではございません。それから向こうで発表をなさるということも、日本でもそういうことを発表なさっていて、そして公知のことになっておるというようなことを発表なさる限りにおいて、それはこの条項に触れるものではございません。しかしながら、全く秘密である、そしてしかもそれが「特定の種類の貨物の設計、製造又は使用に係る技術」それ自体である、しかもそれを提供するという行為を行うというようなことになりますると、この条項に該当する場合があるわけでございます。  それで、常識的に考えまして、この「貨物の設計、製造又は使用に係る技術」というようなものを、幾ら優秀な学者でありましても、ただ丸暗記をしていて、そしてどんどん教えちゃうというようなことは余り考えられないわけでございまして、最近の技術は非常に高度化いたしておりますので、何かそれを具体化したような書類があるとかあるいはテープに入っておるとか、そういったことがあるのが通例だと思いますので、通常ただ知識を披瀝なすっただけでここに該当するような行為を行ったことになるかどうかということは、ならない場合の方が大変多いのではないかというふうに考えております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 通産大臣、私もこの前、超電導とかいろんな関係で筑波まで行って、いろいろと学者の方とお会いをしてお話を聞いておりましたんですが、非常に日本の先端企業というものは世界の中で確かにトップレベルにある。科学的な人材も本当に日本にはもうすごくあるなと。そういうようなことを考えながら、私はココムの問題も、今貨物の問題が重視をされておりますけれども、一つ間違えばこれは優秀なハイテクを持っているその人材という方も、個々に、自分が意識はしてないけれども、しかしやる場によってはこの対象国の十四の国々において、その発言、そしてその所作というものが、今で言えば、米ソ、それから日ソ、いろんな問題の中で、スパイ事件、その疑惑というものが、おまえは帰りなさいとか、いろんな問題に膨れ上がっております。  これ、ココムの問題の立場から見ても、優秀な人材というものもひいては規制をされていく枠の中に入ってくる、非常に言葉で表現すれば恐ろしい問題も将来加味しているなど。こういう平和なときにおいて、戦争はあり得ないというふうな今、地球上の中においてこれだけの厳しい問題をアメリカが日本について厳しく枠をはめてこようとしている。私は、もし世界情勢が本当に戦争か平和がという厳しいものにこれから緊迫してまいりますと、優秀なるこういう関連する技術を持った人々というものを将来、これ通産大臣が、今あなたの場合は非常に大きな立場で、本当に僕はすばらしく公正にやっていらっしゃるから安心でございますけれども、これが本当に、もしもう思い切って権力を振るおうとすれば、すべて大変な状態になってくるんではないか。  貨物の場合は制約されたって、人間でございませんから痛くもかゆくもありませんが、しかし、人間そのものは優秀な才能を持った技術者や学者、そういうような人たちが本当に刑法の枠にはめられてしまう、疑いをかけられていく、これは本当に、ココムのこの問題、きょうも審議をしておりますけれども、ハイテク人にまで及ぶというような路線というものも、今話題にならなくても、私たちは慎重に想定をしながらきちんとすべきである、私はこういう非常に心配をいたしているんでございます。その点は、私まだ言葉足りませんけれども、意味は通産大臣わかっていただけたと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御指摘の点、私も傾聴に値する面があると思います。でございますから、まあ私もそう長く通産大臣やっておるわけでもないわけですけれども、私の短い在任中ではありますけれども、区分の基準がはっきりするように何らかの形でこれを公表させるというような措置を講じるように、私のときにそれを現実のものにしていくようにというふうに考えます。でございますから、この席をかりて貿易局長にその点、ここで申しておきます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 その点は将来に対して非常に私も危惧を持っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  では、安保条項について数点質問をいたしたいと思います。  まず一つは、政府は、外国為替及び外国貿易管理法、外為法ですね、この改正案を七月の三十一日、国会に提出されたわけでございますが、我が国に対する批判を回避するねらいが一つはあったのではないかと、私はそういうふうに率直に思っているわけでございます。  その後の米国の議会の動向を見ておりましても、一向に東芝制裁を撤回する気配が余り感じられないのでございますけれども、そういう点から考えておりますと我が国の対応というものがちょっとせっかち過ぎたのではないかなと、逆に見れば、通産大臣も外国へ一人孤軍奮闘していただいて、あらゆる階層、特に非常に選挙で向こうもいきり立つ柄の悪い議員が非常に多かったようでございますが、本当に通産大臣御苦労をされて、そういう点では早く手を打たれて私はよかったなと思うんでございますけれども、全体的に見て、日本というものが文句を言えばすぐに浮き足立ってくる、そして過敏な対応というものをいろいろ見せてくるというあれで、逆に言えばアメリカ側から、言うだけ言ってやろうかという面もあったのではないかなと思うんですね。  そういう面では、私二面性があると思うんですね。一面ではこういう大きな事件を起こしておりますから、やはりそれにきちっと対応する、これはもう今まで大臣が言われたことを、私そのとおりだと思うんですね。もう一面は、やはりアメリカに対してもっとこういう問題はむちゃくちゃではないのかという通産省としても非常に厳しい姿勢を、かえってそれが米国人のあり方に対して受け入れられるのではないかなと、こういうふうに私考えておるんですけれども、この二面性、一面は大臣がずっと言われていることを私聞いておりますが、それは全く正しいと思うんです。もう一面は、やはりアメリカの国民性というものに対してきちっと開き直ってやるべきではないかなと、こう思っておるんですけれども、その点いかがでございましょう。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私は矢原さんのおっしゃったこと、まさに当然のことをおっしゃったと思うんです。  ただ、現時点でということになりますとなかなか微妙な問題があります、率直に言って。しかし、私はアメリカへ行って随分強いことを言いました。このココム違反というものでも、本来国内法で取り締まるべきものであって、我が国の企業が第三国から制裁を受けるいわれはないということまで言いました。非常に厳しい対応をしたんです。たまたま昨日帰ってまいりました松永大使が私に電話で言っておりましたが、アメリカ人があなた——つまり私ですね、あなたの対応した態度にむしろ好感を持っている。やはり言いたいことは言わなきゃいかぬ、言うべきは言った方がいい、あなたはずけずけ言われた、だからかえってよかったんじゃないでしょうかということを松永君が言っておりましたが、相当きついことも言いまして。一緒に行きました村岡通政局長が困り果てて、私のところに大きな紙を回してきたんで、見たら冷静にと書いてありましたが、おっしゃるとおり、言うべきは言ったらいいと思うんです。  ただ、現在は非常に微妙なときですから、とにかくこの両院協議会というものに冷静、着実に対応していくということは必要でしょう。と同時に、私は日本の企業のモラルという点も十分指導しながら、この問題やあるいは半導体の問題が一件落着しましたら、やはり一遍基本的な対応を米側にしなきゃならぬ時期がもう来ておるんじゃないかというふうに思います。その点は全く私は矢原君と同感でございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 本当に大臣の言われるとおりだと思います。  そこで、私も外国を視察をしておりまして非常に感じる一つがあるんですが、これ大臣、忌憚のない御意見をちょっと聞かしていただきたいと思うんです。その教訓として、例えば中国に行っても、そしてどの国に行っても、戦争の善悪というものをずっと教育の中で教えておりますね。ところが日本の場合は、この戦争は日本がよかったのか悪かったのかとか、教育の中からそういう字数が少なくなっていっているんですよ。私も十二年前、昭和四十九年でしたかね、文教をやっておりますときに、原子爆弾に対してのそういうふうな字数というものが教科書の中から少なくなっていっているから、奥野さんのときですから四十九年でしたね、私も大臣に、戦争の問題に対して、やはり教育の中で、よかった、悪かったと、端的にずっとしていかないことには、民間交流やいろんなことをするときに、本当に世界の中で大変なことになりますよ、子孫が知らないわけですから。戦争で日本がどういう役割をしたのか、よかったのか悪かったのかだんだんわからなくなってきているわけですから。  だから私は、今回の問題を通しながら、感情的にアメリカの議員が東芝の機械をぶち壊しているところを世界ヘテレビで流しておる、こういう感情的な問題になってくると、敗戦国の日本がというふうな問題がやはりアメリカでも一部では出てくるんではないか。またそれが高じてくると、我々政治家は考えてはいけないけれども、なくしていかなくちゃいけないんですけれども、人種差別の問題ですね。白人、黄色、黒人、こういう世界じゅうには三つの大別がございますけれども、黄色の日本人が何を言っているんだと、もしこのような問題が出てくるとすれば、私は本当に恐れるわけです。  だから、大臣が向こうへ行かれて必死になってやっていらっしゃる、本当に僕も御苦労だなと思いました。そういう中で、大臣は私が今申し上げたそういうふうな感覚的なものが、多くの方に会われであったかどうか、そういう点ちょっと伺ってみたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) どうも失礼しました。最後のちょっと語尾のところがわからなかったものですから。  私は率直に言いまして、アメリカという国は、今日本人に対してそれほどの人種差別の観念はないんじゃないかと、全然ないかどうかはとにかくとして、非常に薄まっているんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つは、戦争が終わって四十二年もたってということを言う者もあれば、何年たっても、やはりきちっと認識はすべきだという、いろんな意見ありましょうけれども、アメリカ人のほとんどの人は、もう戦争に対するこだわりというのはほとんどないと思います。むしろ日本が直接に被害をかけたアジアにおいてはまだ残っておると思いますけれども、アメリカにおいては余り私はないように思います。  私はむしろ戦争被害者でありまして、原爆被爆者手帳を持っておるんですけれども。私は、先般もアメリカへ行ったときにクレイトン。ヤイターに言ったんですが、ヤイターの事務所へ行ったら、マッカーサーの肖像画がかけてあったものですから、君らは日本の国を、我が国を非常に厳しく言うけれども、しかしそれはゼネラル・マッカーサーを初めとして、あるいはトルーマン大統領、そういう人々が日本に植えつけていった種が芽を吹いてきたというその姿と、君らが我々を攻撃するのとは全然違うように思う。やはり日本の国柄の特殊性というものは、十分理解をしてもらわないと困るんだということをもっと、ここではちょっと言葉をはばかりますけれども、具体的な言葉で私はヤイターに言いました。クレイトンは肩をすぼめて、戦争というのはそんなもんだと言ってうなずいておりましたけれども。  我々はやはり戦争のことを忘れてはなりません。忘れてはなりませんが、いつまでもそれによっておどおどとした態度もとるべきでない。アメリカで聞きますことは、むしろ逆に日本人尊大説を聞きます、日本人が非常に尊大だと。そして、よくアメリカの圧力に屈してということを言う人がありますけれども、私向こうへ行って逆で、アメリカは非常に日本におびえている、経済的におびえているという感じがするんです。どんどんと日本の企業が乗り込んでいって、向こうの企業と競争をして向こうの企業が敗北をするようなことも多いものですから。そういうこともありますから、おおらかな気持ちで、対等のパートナーとして言うべきは言うという態度がいいんじゃないかというふうに思います。  感想を言えというお話でございましたから、ちょっと論理的に、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだりになったかもしれませんけれども、そういうふうに私は思っております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 外為法の改正問題でございますが、今までもいろいろ質疑が衆参で出ておりますけれども、やはり第一条で原則の自由、これを理念とする法律で、同法に安全保障の見地から制約を持ち込む、これは法理論上やはり疑問があるのではないかという学者の見解、そうしてまた実務家の中でもやはり疑問視する、そういう大勢があります。例えば日本国憲法の前文は国際協調主義をうたっておりまして、事情はわかりますけれども、特定国を差別はしないと、こういうことでございます。  また、国連憲章の平和安全の概念、定義が、対共産圏輸出統制と同一となるわけがないわけでございまして、そういうことでは国連憲章は社会主義国及び非同盟諸国を含んですべて公平にというふうな位置づけに努力をしよう、こういうふうにしているわけでございます。そういうところへ、この安全保障条項の問題というのは、私は拡大解釈、こういうふうに感じるわけでございますけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 安全保障条項とおっしゃいましたのは「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして」云々という規定を指してだと思いますが、そうであるといたしますれば、矢原委員御案内のように、現行法でも二十五条の二号に「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるもの」、そういう取引は「主務大臣の許可を受けなければならない。」という規定があるわけでございまして、この規定こそがココムのケースを指しているわけでございまして、今回はそのココムのケースについてほかのケースと区別をして、それに関連する外為法の違反を懲役五年と、罰則を強化する必要性からそれを特掲することにしたわけでございます。  そういう目的から特掲をすることにしたわけでございまして、ほかの配慮からやったわけではございませんので、外為法の目的が変わるとか、目的にあるいは反するとか、あるいは憲法前文の国際協調主義に反するとか、そういうことはこの改正によってないのではないかというふうに考えております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 そして、アメリカの場合は、対共産圏輸出というものには、言葉は悪いですけれども、差別的に扱う規定を持っているように思うんです。輸出管理法、これ持っておりますわね。平和憲法を堅持する日本は、貿易の基本原理というものは当然異なっている、そういうところから出発をしております。  そういうふうな点から考えておりますと、東西貿易、これはとにかく隣国のソ連とか中国、中国の場合はちょっと幅が緩んでいるようでございますが、経済交流を深めて平和の維持にやはり努力をしていくというのは、これは我が国に課せられた使命ではないかという考えを私は持っているわけですが、そのように米国と日本とは少し立場が違ったところからスタートしております。そういうわけですから、もうアメリカのように徹底したものに日本はならなくても、あるときにはアメリカを眺め、そしてまたソ連に対しても平和のためには公平であるという立場を日本というものはとらなくちゃいけない。  そういう意味で、余りにもやはりアメリカと同程度のそういう線を並べる必要もちょっとないんではないか、こういうことを私は感じるわけですが、この点いかがでございますか。

吉田文毅通商産業省通商政策局次長

○政府委員(吉田文毅君) 御案内のとおり、我が国は貿易立国を国是としてやってまいっておりまして、これまでも自由貿易の考え方のもとで貿易を拡大いたしまして経済発展を図ってきたものでございます。共産圏貿易につきましても健全な形で発展していくということが望ましいというのは基本的な考え方でございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 先ほども質疑がございましたけれども、非常に日本の罰則というものが際立っている、そういう点で私も今申し上げたわけでございます。  それからもう一点、ちょっと別な話になりますけれども、この問題を論じる前に、やはり日工展訴訟のココム判決の問題というのは、これはやはり私もずっと論文読みながら、軽率にしてはいけないなと。ココム問題の将来に対して、通産省を中心とする行政の非常にこれはよく学はなくてはいけない問題を含んでいると思っているわけでございますが、このココム判決の東京地裁の判決について、現時点で通産省としてはとういう分析、見解を持っているのか伺います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 昭和四十四年の日工展訴訟の東京地裁判決におきましては、判決の理由の中で、ココムの申し合わせによる規制は外為法の予定した貿易、経済上の理由の範囲を越えておって、違法であるという考え方が示されておるわけでございますが、この訴訟は、途中で損害賠償請求に切りかわりまして、そして、その損害賠償請求の方では、国側がそういう措置をとったことも国に故意、過失がないということで国が勝訴をしているものでございます。ですから、この判決の傍論のところの理由に対して、私どもは争う機会がございませんでして、私どもはこの判決に反対という立場でございます。  なぜ反対かと申し上げますと、これは、我が国は主要な西側諸国と一緒に安全保障上の観点からココムに参加をして、そこでの申し合わせを受けて輸出規制を行うということにいたしているわけでございまして、そのような規制を実施しなければ、これら我が国の貿易取引の過半を占める主要西側諸国との円滑な貿易関係を発展できなくなると考えているからでございます。すなわち、ココムに加盟したコミットメントを実施していかなければ、我が国の貿易の健全な発展が期待できなくなると。したがって、ココムでのコミットメントを外為法を通じて実施していくことは、まさに外為法の規制の目的である「外国貿易及び国民経済の健全な発展」というものに合致をするというふうに考えておりまして、そういう意味におきまして、この東京地裁の判決理由のところは承服しがたいというふうに受けとめておるわけでございます。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 確かに言われているとおりでございますけれども、訴訟判決の中で、一つは、通産大臣に与えられる裁量権の範囲、これが逸脱しているかどうかという問題がやはり論議の一つになっていること。そして、もう一つは、行政法的な側面から、専門学者とかそういうメンバーの学説の中では、問題の所在として、営業の自由、貿易の自由、法律による行政の原理という形の中で、行政官庁の自由裁量の問題、権利侵害的な行為の問題というふうなものが、ココムの経済の問題、それから安全のそういう保障問題、この二面の中から非常にやはり大きな課題というものを残しているように私は思います。  一つは、通産大臣の与えられる裁量権というものは、私はこれは今後の問題として、知的所有権を持っている人々の問題というものが将来論議をされるときになるとこれは大きな問題を与えてくるかなと、そういう参考になるなと思っておりますし、そうしてまた、このココムの問題が経済の面から安全保障という軍備の問題にアメリカを中心に枠をはめられている。そういうふうな問題の中では、行政の裁量というものがやはりこれ行政原理として大きく今後問題視されてくるなと、これはこの問題だけで終わっているわけではなしに、今後注意をすれば生き続けてくる、いつも問題を出してくるところだなと思っているわけでございます。  そういう意味で、大臣、この問題の中で、本当に通産省としても、あとは外務省とか防衛庁問題絡んでまいりますけれども、これは行政面の立場からのやはりこのココム判決というものは本当に大きな教訓を残している、私はこう思うわけですが、大臣はどのようなお考えでございますか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 先ほど畠山君が申しましたように、勝訴になったものですから、下級審の判断しか仰ぐことができませんでした。本来なら、法律上の手続の問題は別問題として、何らかの形でいずれかの日に最高裁の判断を仰いでおく必要があるいはあるのかもしれません。けれども、そういう点で中途半端になって、国がそれに、その部分については承服いたしかねるという態度で、勝訴ということで控訴することができなかったということでございますから、私は通産大臣という肩書を抜いてあえて一個の代議士として物を申せば、いずれかの日にやはり最高裁の判断は仰いでおいた方がいいんじゃなかろうかという感じはいたします。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 非常に貴重なお話だと思います。  次に、法定協議について伺いますけれども、外為法の改正案の六十九条の四の規定により、これは両省の密接な連絡と意見交換が行われることになったとありますね。この法律条項が特掲されなければならない理由は何だったのかということを、これは通産、外務でございますけれども。  一つは、私、例として米国の法定協議は商務省と国防総省とであり、国務省とは協議されてはいないと、こうなっていますね。イギリスの場合は外務省、国防省などで協議、こういうふうになっておりますが、ココムの規制品目すべてが対象でない、法令もないと、こういうふうな格好になっているんですね。西ドイツは、対共産圏については規制は確立されているので、これは外務省との協議というものはないと、こういうふうになっていますね。こういうふうな関係から見ますと、日本の場合、外務省と通産省の協議というものについては、具体的にはどういうふうな事項のときに数多くやっていくのか、そういう点を聞いてみたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) この意見交換をどういう場合に数多くやっていくのかというお尋ねかと思いますが、私ども思っておりますのは、外国から何らかの情報が外務省に参りまして、そして特認案件じゃないケースについて——特認案件はどっちみち外務省を通じてパリに行きますのでこれは問題ないわけですが、特認案件じゃないケースについて外国から何らかの情報がもたらされた場合に、外務省がそういうものについて意見を言うということが一つ考えられます。  それからもう一つは、違反事例などが外国からやはり指摘をされたというようなときに意見をもらうということがあろうかなというふうに考えております。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 通産大臣、今後通産省を中心として、外務省、あるときは防衛庁、また外為の関係は大蔵省、こういう格好でいろいろ省庁がある面においては意見の対立をする場合——これはあっていいと思うんですね。いろいろとあると思うんですけれども、やはり通産大臣が各省にまたがるそういう協議の中で、今後これは課題として、非常にこういう面はプラスとマイナスがあると、だからこういうマイナス面はやはりきちっとしていかなくちゃいけない、省庁にまたがる関係のときに、そういう今までの経験で懸念があるところ、それをもしございましたら教えていただきたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 通産、外務の法定されたものは、これはお互いに意見を述べ合う、意見交換でございまして、俗に言う法定協議ではございません。ただ、通産省は外務省とも、あるいはその他の省庁とも必要に応じて緊密な連携をとって協議はいたしております。  外為法というのは、元来が自由貿易というものを中心にしておりまして、それに必要最小限の規制をということでございますから、やはり通産省が主務官庁として貿易面で取り組んでいくということが私は正しいと思うんです。ですから、その意味で、各省庁との協議ということは特に法定しないで十分協議をし、もちろんそれは御意見は尊重しなきゃなりません、時には意見の対立もあるかもしれませんが、協議をしていく。  ただ、外務省は通産省が持ち得ない国際情報を持つことがありますし、その機能を持っておりますし、また通産省が外務省に当然意見を述べて、外交担当の役所としての外務省の意見というものを尊重しなきゃならぬこともあるわけでございますから、でございますから、それはもう当然意見交換ということでは、私はこれは法定して別にどうということはない、むしろ私は法定して、通産、外務が仲よくやっていくことはいいことじゃなかろうかと。ただ、法定協議ということになりますと、外為法の基本理念というものにまた疑義が生じる可能性がありますけれども、まあこのような法定ならいいんじゃないでしょうか。

矢原秀男公明党・国民会議

○矢原秀男君 時間が参りましたので、最後に要望だけで終わりたいと思いますが、対共産圏の貿易についてでございますけれども、やはり落ち込みが今後も私は予想されます。そういうような中で、やはり今まで以上に努力をして、この問題についても経済、そして平和を中心として日本は進めていかなくちゃいけないと思います。そういう面で今後とも努力をしていただきたい。  以上で終わります。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今度のこの外為法改正案について、私は衆議院の商工委員会の審議にも時間をかけて傍聴させていただきました。また、先日は参議院の本会議で質問を行いました。また、きょう朝から質疑を聞かしていただいております。  しかし、聞けば聞くほど、調べれば調べるほど、本改正案をめぐる問題点、なかんずく憲法違反の疑惑を初め、不可解、不明確な点がますます深まっていくばかりであります。これをあいまいにしたままで、型どおりの質疑をやったから、はいもうこれでというようなことにしてはならぬと思うんです。ましていわんや、一部に伝えられておりますように、アメリカ議会のバカンスが終わる九月八日までに法案を成立させるというような、もしそういうタイムスケジュール論があるとすれば、私はまさに日本の国会なのかアメリカの国会なのか、その見識を疑うということに相なると思うんであります。衆議院では、残念ながら外務、大蔵、法務の各委員会から連合審査の申し入れがあったにもかかわらず、それもなされずに進められたというふうに聞いております。  そこで、田村通産大臣にお伺いしたいんでありますが、大臣はアメリカ議会の夏休み、バカンスが終わるまでに、絶対条件としてこの法案を、改正案を成立させるという立場で臨んでいらっしゃるのか、それとも、そういうことに拘束されずに、日本の国会は徹底して審議を尽くすことこそ重要である、こういうふうにお考えなのか、まず、その基本姿勢について明確にしていただきたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私はこの委員会の審議の進行について物を言う立場にございません、私は政府側でございますから。まあそのうち首になったら、また衆議院で自由なる発言ができると思いますが。でございますから、もちろん早く成立すればありがたいなという気持ちは私非常に強うございますけれども、審議をどうこうということを、しかも私は衆議院議員でございますから、参議院の御審議までとかく申し上げる立場にはございません、あしからず。

市川正一日本共産党

○市川正一君 ところが、八月十五日にアメリカから帰国した畠山貿易局長、いらっしゃいますが、記者会見でこう言っておられるんですね。「米政府から、米議会が再開される九月上旬までに外為法改正案が成立するのが望ましいとの注文があった。」「引き続き日本側の努力が必要であることを強調した。」と、こう報ぜられておりますけれども、どうなんですか。あなたはこういうお立場で、何か土産を持って帰っていらっしゃるようですが。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) あのときに、ワシントンに参りました折に、何人かの政府の職員に、十数人に会ったわけでございますけれども、その中で、そういう望ましいということを言った人がいたということは事実でございますが、それをその注文とかなんとかというふうに受けとめてはおりません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 だれど、「注文があった。」とあなたは言ってはるんですよ。この新聞が誤報ならばそれはいざ知らず、わざわざそういうことを帰ってきた記者会見で言う必要ないじゃないですか、本来そういうことならば。だから私は、アメリカの方へ顔を向けて、この法案審議がそれだけでやられているということであってはならぬと思うんですよ。まさに大臣おっしゃったとおりだと思うんです。だから、私はやはりこの委員会が尽くすべき審議を徹底的に尽くすという立場で、特に大木委員長に強く要望いたしたいのでありますが、理事会でも私要請いたしておりますが、十分徹底的審議の時間を保証されること、またでき得べくんば関係委員会との連合審査あるいは参考人を呼んでの意見聴取など、言うならば参議院としての良識を発揮することへの御努力を改めて要請いたしますので、大木委員長どうかよろしくお取り計らいをお願いいたします。  そこで、本論に入りますが、通産大臣は八月二十五日の衆議院商工委員会において、社会党の水田委員の質問に、外為法改正をアメリカが求めてきた事実を明らかにされましたが、そのとおりでございますか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私は、アメリカが求めてきたというような表現はいたしませんでした。アメリカ側からそういう話が出たことは事実である、こういうことを申しました。向こうも随分勝手なことを言いますから、こちらも勝手なことを言いますから、それはいろいろと話は出ます。けれども、アメリカだってどういうことをどこまでの限界で物を言わないと内政干渉になるぐらいのことは十分知っておるはずでございますし、また私も御承知のような性格で、相手が強く出てきたら頭を下げるような人間じゃありませんから、その点は私ども堂々と振る舞ってきたつもりでございますが、あのときの正確な言葉を記憶しておりませんけれども、後で速記録を見なきゃわかりませんが、そういうことを向こうが言ったことは事実である、口にしたことは事実だという意味のことは申しました。

市川正一日本共産党

○市川正一君 これは八月二十六日付のサンケイ新聞ですが、見出しにそう出ているんですね。「米、外為法の改正を求めてきていた」と。そして記事中でも、「改正を米国が日本側に求めてきていた事実を明らかにした。」という記事になっております。ですから、求めてきたのか言ってきたのか、そこは別として、じゃいつ、だれが、どういうことを言ってきよりましたんでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 言ってきたというとちょっと大げさになるんですが、僕が行ったときにそういうことを言うたのがおりましたという意味です。  それから、サンケイ新聞だったかちょっと私記憶ありませんが、一社だけが書いておるので、あとは幸か不幸か、私の発言を無視黙殺で何も書いておりませんでした。でございますから、まあそこのところは余り目くじら立てないでお読みをいただいた方がいいんじゃないでしょうか。

市川正一日本共産党

○市川正一君 サンケイの方いらっしゃるかどうか知りませんが、どの新聞がということよりも、会議録がまだ出ておりませんので、私も残念ながら見届けておらないんです。ただ、こういう大事な報道を政治的に敏感に報道したというのはそれなりの触角と判断があったと私は思うんですが、この報道によれば、続けてお伺いしますが、大臣は、「米国からの要望のあった時期は、外為法改正の検討を中曽根首相に報告した七月上旬よりかなり前」であったこと、及び「改正の中身は罰則を強化することだった」、こういうふうにおっしゃっているんですが、この点はいかがなんでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 向こうからそれを強く要求したということではありません。先方が私に不満たらたらの文句を言ったことは、これはあったかもしれませんけれども、いやしくも日本の国務大臣に向こうから内政干渉に当たるようなことを言うはずはございません。  それから、先ほどの衆議院の水田さんに対する私の答弁ですが、「我が国に対し、米国から法改正を含む輸出管理体制の強化の必要性についての表明があったことは事実である。」「表明があったことは事実である。」こういうふうに答えています。これは、実はあのとき答弁要旨そのままを読んだんです。ですからそれ以外の言葉は使ってないはずです。ちょうどたまたま秘書官が持っていましたので今読みましたが、そういうことでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 また戻るんですが、「表明」ということは結局そういうことを言ってきたということになりますわね。そういう態度表明があったということでしょう。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 「表明」というのは、それは向こうが物を申したということでありまして、例えば市川さんがアメリカはけしからぬと、これも一つの表明ですわな。ですから、それはやっぱり向こうだって物を言いますから、ただ正式に政府対政府でそれを求めてきたというものではございません。「表明」はあくまでも物申したということでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 じゃ物を申したでいきましょう。  その物申された中身は、外為法の改正の中身は罰則を強化することだったということは、これはどうだったんですか、その物申された中身。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私の記憶が間違いでなければ、下院軍事委員会に行きましたときに、その委員の中の一人が、我が国で何とか親子がソ連へ技術を売った、その父親は無期懲役である、日本は何だと、こう言って食ってかかったことは事実です。そういうことは私も記憶しております。けれども、政府対政府の交渉としての要求というようなことはありませんでした。なかったように私記憶しております。一緒に行きました黒田審議官や村岡局長が克明にそのメモはとっておるはずでございますから。私一人で単独で会ったという会見はありませんでしたから、少なくとも通訳は入っておりますから、私も通訳なしてはだめな男でございますので。ですから、その点は素直にひとつお受けとめいただきたいと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 別に大臣がちょろまかしているとかそういう意味じゃないんです。物申してきたということはあったわけですね。したがって、その物申してきた内容というのは、少なくとも衆議院の商工委員会での社会党の水田委員の質問に対する答弁なんですから、今おっしゃったような意味で改正の中身は罰則を強化することだったということを、これの御発言は委員会じゃなしに、委員会終わってから述べられたということに報道ではなっておりますが、そういうものとして承知してよろしゅうございますかということをお伺いしているんです。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今、記録がございました。ストラットン議員はか下院軍事委員会のメンバー、そこでハンター議員が、「刑罰を三年から五年にするのは当然である。三百億ドルの補償、東芝製品の米国市場からの締め出し、通産省による輸出管理体制の強化が必要だ」と、こういうことを言いました。しかし、それは一議員が言ったことでありまして、政府の発言でも何でもありません。ですから、向こうの政府、行政府は保護主義法案反対なんですから、包括貿易法案も反対、そしてガーン修正案その他も反対、こう言って我々と一緒にエールの交換しておるわけですから、そんなことを言ってくるはずはないんです。しかし、これ厳しいこと言いよりましたぜ、相当厳しいことを言っておる。それで、一議員でございますハンターが言ったわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 それはいろんなのがいろいろ物申すでしょうけれども、私が問題にしているのは、八月二十五日の衆議院商工委員会で社会党の水田委員の質問に対して、外為法改正をアメリカが求めてきたということをおっしゃった。それはある個人がという意味でなしに受けとらざるを得ないので、その中身をお聞きしているわけですが。じゃ前へ進みます。  私は、このことをあえてお聞きしたのは、今度の外為法の改正をめぐって、その節目、節目で、アメリカの、なかんずく国防総省が重要な役割を果たしているという問題をはっきりさせたいと思うんです。通産省、外務省、どちらでも結構なんですが、事実経過をたどりながら確認をいたしたいんです。  まず四月の下旬にワインバーガーアメリカ国防長官から栗原防衛庁長官への書簡が届き、そして中曽根首相訪米前日の四月二十八日に通産省が東芝機械を告発した、こういう経過になっておりますが、間違いございませんでしょうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 防衛庁長官のところへワインバーガー長官から正確にいつ来たかというのは今手元に資料がございませんが、それとは関係なしに、今四月二十八日とおっしゃいましたけれども、私どもは東芝機械を告発をいたしております。それとは関係なしにというのは、防衛庁長官への手紙に触発されてという意味ではなくて、それ以前から始めておった調査に基づいて四月二十八日というタイミングで告発をしたことは事実でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 時間的、歴史的流れを私申し上げております。それと関係があるのかないのかは後でまたお聞きしたいと思うんですが。  次いで六月二十九日に、ちょうど来日中のアメリカのワインバーガー国防長官が中曽根首相に対して、東芝事件は米国のみならず日本、自由主義陣営に非常に深刻な被害を与えたと強調した。そこで、翌日三十日に閣議が行われますが、その閣議において中曽根首相が再発防止策の強化を指示いたしました。この指示に基づいて、通産省は外為法改正を初めて決定されて、七月十四日、通産大臣が訪米してワインバーガー国防長官らに法案の早期提出を約束されております。この流れも間違いないと思いますが、いかがでしょうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) おおむねそういった流れでございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ちょっと待ってください。それだけだと、またおたくの機関紙に妙になりますから。  これは、ちょっと申しますけれども、率直に言いまして、この調べは六十二年四月七日から十五日の間に、東芝機械取締役以下八人、伊藤忠商事二人、和光交易二人を集中事情聴取しているんです。日曜日も含めて、連日朝十時過ぎから深夜の二時ごろまで集中事情聴取をしております。そして、あわせてこれらの社に報告徴収命令を出しております。図面などあらゆる資料を提出するように指示しております。でございますから、そして厳しい追及の結果、東芝機械は本件工作機械の本体が同時九軸となし得ること、それからプログラムも同時五軸ないし九軸を前提としたものであることを認めて、その旨の報告書を出したわけです。四月の十七日から二十六日にわたって通産省が警察庁、警視庁に対して調査結果を説明して、そして四月二十八日に固めたから告発したと、こういうことでございます。  でございますから、おおむねそういう流れと言いますと、何か普通のあれだといいんですけれども、まあ共産党立派な政党ですけれども、ちょっと流れがおかしくなる可能性があるんで、それで率直にこれは申しましたが、その後ずっと私が訪米するまでいろいろと調べてやっております。  それで、六月三十日に中曽根総理が閣議で再発防止策の検討を。指示したことは事実でございます。それから七月一日に東芝会長、社長が辞任した。そのときに、外為法の改正ということで、簡単に通産省が決めたように思われるかもしれませ人が、そうじゃなくて、外為法を改正すべきかどうかということで通産省で大激論がありました。そして結局自由貿易を守るために、範囲は拡大しないで罰則強化だけしようと、罰則、制裁強化、それによって時効も延長、そして未遂もそれから入れるということで最終的に決めましたが、これはまさに通産省の内部の全く自主的なフリートーキングで大激論をした末にこういうことになったということでありまして、中曽根さんにも関係はございませんし、いわんやアメリカには何の関係もございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 まず、はっきりしておきたいのは、共産党の流れがどないやこないやおっしゃいましたけれども、私ども日本共産党は、真実に基づいて問題をやっぱり明らかにしていくという立場でございますから、そこはひとつはっきりしておいてほしいし、また私どもの機関紙の赤旗もそういう真実を報道して、国民に国会での論戦も明らかにしていくということでございますから、そこはひとつ誤解のないように。  そこで、また本論へ戻りますが、私は全部の経過をすべてトレースするつもりじゃなしに、最初に節々ということを申しています。その節々を押さえていくと、結局浮かび上がってくるのはアメリカの国防総省であり、そしてワインバーガー長官ですね。ですから、それまで通産省が何もせぬとぼやっとしておったというようなことを言ってると違いまっせ、大臣、よろしいか。そういういろんな議論があったということは十分承知していますし、通産省の公報もここに持ってきています。そしていろいろそれなりの激論やらはったことも承知しております。  そやけれども、結局節々でこう見ると、二十九日にワインバーガーと中曽根総理が会うて、そこで後で紹介しますけれども、そのときのアメリカの国会証言でどういうやりとりがあったかということもはっきりしていますがな。翌日の三十日の閣議で中曽根総理が再発防止策の強化を指示しやはったわけでしょう。その指示を受けて通産省が、私さっき初めてという言い方は、それまでいろいろ議論なすっていたけれども、七月十四日通産省がこれを受けて外為法の改正を決定したという節々をわし言ってまんねん。それは間違いございませんでしょう。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) さっき流れの話をしましたのは、共産党がうそを書くとか、そんなことを言ったんじゃないんです、全然ありません。立派な政党であるけれども、やはり考え方が違いますからね、我々と。だから、そこにお互いに人間である以上はそれは感情も入りますわ。ですから、そういうことでちょっと申し上げたということでそれは許してください。  そこで、こういうことです。昭和六十二年七月九日に戦略物資の不正輸出再発防止対策の中間報告というのをまとめております。この中に審査体制の拡充・強化、検査体制の拡充・強化、それから輸出管理強化対策通産・大蔵連絡会、それから法律的措置の検討というのも入れて、「関連法令の改正の可能性も含め現行法制の強化をいかに行うかにつき真剣に検討していく。」と、このときに決めておるんです、方針を。どのようにするかということよりも、そういうこれが七月九日の中間報告でございますからちょっと日にちにずれがあるように思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 別に日にちを大臣とやりとりするつもりはないんですけれども、そう言わはると、こっちもそうでっかと言って帰ると、また流れがぐあい悪くなりますのではっきりしたいんですけれども、通産省公報の七月八日付を拝見しますと、大臣が七月の二日に、通産省に日本工作機械工業会など業界四団体の首脳を招いて、そして今度の問題についていわば何といいますか、いろいろ要請してはります。その中で、「このような基本認識の下に、」ということで、第三項目ですが、「一昨日の閣議」、これは六月三十日です。「一昨日の閣議において中曽根総理から本件について遺憾の意が表明されるとともに、我が国を含む自由主義陣営全体の安全保障に重大な影響を及ぼすものとして極めて深刻に受けとめている」云々と。そして、「再発防止のための輸出管理体制の拡充強化」というふうに、大臣がこのときに訓話というか、物を言ってはるわけです。だから、この時点でいわばオープンになったわけですね、通産省としては閣議決定でこういうふうに。そういう節々を見できますと、私はやはり大事なところでアメリカの国防総省の意向が、いろいろ間接、直接に作用しているというふうに言わざるを得ぬじゃないかということをさっきからずっと言っておるんです。おわかりでございましょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 七月の二日と七日に輸出関連法規の遵守方徹底のための緊急会議、今おっしゃった会議をやっています。そこで、大臣発言要旨というのがございますが、何でしたら後でまたお渡ししてもいいんですが、確かに、「このような基本認識の下に、一昨日の閣議において、中曽根総理から本件について遺憾の意が表明されるとともに、我が国を含む自由主義陣営全体の安全保障に重大な影響を及ぼすものとして極めて深刻に受けとめている旨発言があり、再発防止のために関係行政機関に対し、輸出管理体制の拡充強化を行うよう指示がありました。」ということは言っています。言っていますけれども、これの心は、あんたらのおかげでわしはしかられたがというのが本当の心なんですよ。ですから、これも集めましたのは、私が集めると言ったんです。それで大急ぎで集めたんです。でございますから、ワインバーガーとおっしゃいますけれども、私はアメリカへ行ったときに初めてワインバーガーという人に会って、それで何か軍隊の大将みたいな顔をしてはるのでびっくりしたんですけれども、まあつき合いも何もありませんし、アメリカから軍事的な面で通産省が抑えられたという事実は一切ございません。これは私が神かけてお誓いを申し上げます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 大臣はそうかもしれませんが、もっと上の方でそういう大きな流れができてんのと違いまっか。  アメリカの下院の外交委員会で、国務省の戦略技術政策上級代表、ココムの専門家でありますE・アレン・ウェントという人が証言をいたしております。この人はこう言っておるんです。  「わが国は」、これはアメリカのことですが、「日本政府に対して、現在の捜査を拡大し、刑事罰規定の強化と時効の延長をはかる新立法措置を講じ、国内企業の輸出の管理と監視を組織的に行うことで輸出管理認証制度を強化する、等を要望している。昨日、」これは六月二十九日のことですが、「ワインバーガー国防長官との会談後、中曽根首相が関係省庁に対して、日本の輸出管理制度を強化し、日本企業が関連法規を順守するよう強い政策をとるよう指示したことは注目に値しよう。」というふうに言っております。  これは米議会における公式の証言です。私は、これはほかにもいろいろ文献ございますが、ここにもその翻訳を持ってまいりましたが、こういう経過があったことは御存じでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 私はそんな人知りません。名前も知りません。会ったこともありません。  それから、これだけははっきりしておきたいと思います。上の人がどうであったか、それは僕は知りませんけれども、少なくとも通産省で作業をしたんです。この外為法改正の決断も通産省が独自に下したんです。中曽根さんを初めとして、我々に対して具体的な圧力は何もございませんでした。私どもで独自に決断を下しました。でございますから、中曽根さんがワインバーガーとどうか、それは私は知りません。知りませんけれども、それによって通産省が左右されたというふうに推論されることは私としては非常に迷惑だし、第一そういうことでへえと言っておしまする私じゃないことも御承知と思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 それでは外務省に伺いますが、アメリカは一九七九年に輸出管理法で、その第三条に、国家安全保障による商品及び技術の規制、いわゆる国家安全保障条項です、また第五条に、国防長官と商務長官との法定協議条項がそれぞれ新設されました。さらにこれを修正した現在の一九八五年輸出管理修正法では、国家安全保障統制第五条の…項、多国間輸出統制に、大統領はコーディネーティングコミッティー、ココムとして知られているグループに加盟している政府と、以下の目的達成のため交渉に入るということで(4)号以下が追加されました。  私、その全文を紹介すると長くなるので、外務省の方にそのうち(4)号と(7)号と(8)号、これ御連絡していると思いますが、これをちょっと御紹介願いたい。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 今の(i)項の(4)以下だと思いますけれども、(4)には「当事者のすべてが、適当な機関の設置を通し、委員会の同意によって課する輸出管理に対して、完全従則を強化するための協定。」、(7)号におきましては「委員会の同意により輸出を管理された品目の流用を、更に効果的に思いとどまらせるための、均一で適切な、刑事および民事罰則を制定するための協定。」……

市川正一日本共産党

○市川正一君 もうちょっと大きい声で言うとくなはれ。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) (8)号、「委員会の同意により輸出を管理された品目を輸入した最終使用者が、その品目を当該最終使用者のために使用しており、且つ当該品目が、実際に、その最終使用者によって管理されていることを確かめるために、加盟政府の実施担当官によってなされる現場検査を増強するための協定。」以上でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今時間の関係で(i)項の(4)号と(7)号と(8)号だけを読み上げていただきましたが、要するにココム規制の完全な執行、それから刑事罰、民事罰の強化、それから立入検査の強化等々、アメリカがココム加盟国に対して、八五年の輸出管理法第五条(i)項でココムの規制強化をこのようにいわば求めております。今度の改正案は全くその内容において同じものになっておりますね。  外務省に聞きますが、アメリカはこの(i)項で加盟各国と交渉するというふうに述べておりますけれども、我が国に対していつどのようにこうしたココム規制強化について申し入れないしは交渉がございましたか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) この法律は先生御承知のとおりあくまでアメリカの国内法でございますので、もちろん私たちは拘束されるものじゃありません。ただ、確かにアメリカの行政府はこの法律に基づいて他のココム参加国と交渉することが要請されているということだと思います。  これは二国間ベースでは私たちはアメリカから交渉の申し入れは受けておりません。ただ、ココムにおきまして、リストのレビューとかあるいは第三国の協力を求めることと並んで、各国のココムの規則のいわゆる執行協力といいますか、あるいは執行強化の一環としていろいろとココムの場で議論しております。詳細につきましては外へ公表しないという申し合わせになっておりますので申し上げられませんけれども、ココムの場で、十六カ国の間で執行協力面でどういうことができるかということを議論しておりますが、その一環としてアメリカが提案しているという可能性はあるかと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 少し論理的に整理したいんですが、もちろんこれはアメリカの国内法ですよ。しかし、アメリカの国内法でアメリカはココム加盟各国と協議する、相談する、交渉すると、こう言っているわけでしょう。それでアメリカとしては当然やりますが、やったんでしょう。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 先ほど申しましたように、アメリカ政府から直接日本政府に対して二国間ベースでこの交渉の申し入れがあったということはございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 ないのか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ありません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 そこは、もう時間がないから前へ進むが、いずれにしても、ココムの場で十六カ国の間で協議したことはあった、しかし内容は言えぬと、こういうことやな。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ここに今書いてありますすべての項目についてアメリカが提案したかどうかということは別問題として……

市川正一日本共産党

○市川正一君 だから、内容は言えぬけれども……

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 一部につきましては、アメリカは確かに提案しているということは確認できるかと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 そうすると、私は二国間協議もやっぱり当然あったと思います。あなた知っていて隠しているのか、知らずに正直におっしゃっているのか、それは知らぬけれども。だから、しかし少なくともココムの場でアメリカがこの問題を提起した、いわば執行強化として出したということは確認できる、中身はここでは言えないことになっているからと、ここまで来たわけだ。  とすると、私は、アメリカはこの輸出管理法第五条川項で、ココム加盟国の各政府ないしはココムの場において交渉に入るということで進めてきた。そうすると、客観的に見ると、そこで打ち出されている例えば第(4)号、第(7)号、第(8)号だけをとってみても、今回の改正案とこの提起というのは全く一致している、全く合致しているということになるわけですが、そういう交渉は全然なかったんですか、あるいはそういう経緯は全然この背景にはございませんでしたか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 先ほど通産大臣童言われましたとおり、今度の外為法改正自体はあくまで日本政府の独自の決定としてなされたものでございます。同時に、ココムの場において執行面での協力、あるいは各国の執行あるいは管理体制をいかに調和させるかという議論は別途行われておりますけれども、詳しいことについては差し控えさせていただきます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 それは、あなたとしてはもう口が裂けても言えへんと思います。思いますが、しかし、客観的また論理的に言えば、そういう流れの上でこういういわば花が、私から言えば毒花が咲きよったんだ。  それで、お伺いしますが、ことしの一月に提出せられたアメリカの八八年度——これは八八会計年度ということですが、その国防報告にはこう書いております。ゆっくり読みますからお聞き願いたいのですが、「技術安全保障はわれわれの同盟戦略の基礎となる決定的な要素である」こういうふうに述べて、これは畠山さんも赤尾さんもよく御存じだと思うんですが、続けます。「われわれは、同盟国や友好国がその技術安全保障計画を強化するよう促し続けなければならない。これら諸国の多くは輸出規制により大きい政治的重点をおかなければならない、違反者にたいしてより厳しい刑罰を課さなければならない、また輸出実施手続きを厳重にしなければならない」、こううたいとげております。こうして見ますと、ココム規制のための今回の法改正は、まさにこのアメリカの国防総省の方針どおりこれを具体化したとしか言いようがないんであります。これ、偶然の一致ですか。そうじゃないと思います。私は輸出管理法のあの項目、そしてまたこの八八年度国防報告、こういうアメリカの特に国防総省の提起しているこの流れの中で今度の法改正が進められているというふうに言わざるを得ぬと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 今回の罰則強化等につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、このような事件が起きましたために、民間に対する抑止力を高めますために我が国独自の判断として、主体的に判断をして実施をいたしたものでございまして、アメリカから確かにそういう表明等があったことは事実でございますけれども、それとは独立して我が国独自で判断をして実施をしているものでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 大臣は衆議院で、いわゆる東芝制裁法案についてこう言っておられます。ココムは紳士協定であり条約ではない、にもかかわらずココム違反を外国によって制裁を受ける、こんな理不尽な話はない、こういうふうに述べていらっしゃる。また、この問題ではらわたの煮えくり返る思いやというふうにも言っておられます。あるいはまた、私は国粋主義者になりたいと、こう直言っておられます用語録をずっと調べました。七月十四日、シアトルでは、「私はあえて小村寿太郎になる」、こうも語っておられます。言いかえればアメリカの理不尽なやり方を一番じかに知っていらっしゃるのは私は大臣やと、それがゆえの発言やと思うんです。我が党は決して偏狭な反米ナショナリズム、これをかき立てるような、そういう立場には立っておりません。そこははっきり申し上げたいと思う。  しかし、私は今度の問題をめぐるこのアメリカの立場というもの、なかんずく国防報告に示されているアメリカの軍事戦略に基づいて、いわば加盟各国、その中には日本も入っているわけです、人ごとじゃないわけです。そういう加盟各国に対してアメリカがいわば押しつける、交渉という名のもとに強要していく、そういう不当な圧力に対して、大臣は今申し上げたような心境からすれば、本当にはらわたの煮えくり返るような思いやと私は思うんですか、いかがでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) それは先ほど申し上げたように、アメリカの行政府は非常に我々に対して丁重でございました。また保護主義の台頭ということに対して全く我々と同じ意見で、これには反対ということでございました。特に、亡くなったボルドリッジ商務長官、これは私と会って十日目に亡くなったんですが、この人なんか本当に私に対して温かい態度でございました。ですから、それを僕は言うんじゃないんです。  それはもう議員さんに至っては、ついでのことであれですからちょっと読みますと、上院議員で、ガーン上院議員でもそれほど私に妙なことは言いませんでした。それからエバンス上院議員なんていうのはむしろ非常にやさしゅうございました。それからブラッドレー上院議員も決して妙なことじゃありませんでした。プロクシマイア上院議員、ベンツェン上院議員も非常に紳士的に私どもに会ったんです。だからその点ではやっぱり上院議員というのは品がいいんですか、言葉も非常に使い方が丁重でございました。決して大きい声でわあわあ言ったりはいたしませんでした。  ところが、下院で言われたことに対して——私も向こうから見れば下院議員かもしれませんが、これはもう本当に情けないやら、はらわたは煮えくり返るやらと、そういうことを申し上げたのでございまして、アメリカ政府からどうこう言われて、日本のミニスターとしてはらわたが煮えくり返ったという意味じゃないんです。もうとにかく通訳の女の子に、声が小さい、ここには年寄りもおるぞというところから始まって、それでわんわんわんわん言って、それを僕は言うたわけです。  小村寿太郎の心境というのは、これはもうアメリカへ行ってやられて、それでまた日本へ帰っては、お前けしからぬ、責任とれと、これは小村寿太郎そのものだと思うんです。あれのもっと罪の軽いやつでしょうけれども、という意味で申し上げたんです。  それから、国粋主義者になりたい、それだけ言うと短絡的になりますから、許されるものなら国粋主義者になりたいぐらいの気持ちだと言ったんであって、私は国粋主義者になろうと思いませんが、つまりああいうようなことでわあわあわあわあ言っておったら、日本に本当の国粋主義いわゆる反米ナショナリズムというものが生じる、あなたが今おっしゃったように、そのおそれもありますよという気持ちが私の心にあったということからああいうことを言ったということになると思いますが、ちょっと誤解があるといけませんから具体的に、下院議員でもフレンゼルとか、ギボンズというのは非常に私に丁重でございましたが、そういうことだということで、ちょっと日本政府とアメリカ政府というものをそこでぱんと結びつけられると私も非常に迷惑なんです。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私も別に、地声でありまして、引き続きそのペースでやらしていただきますからひとつあしからず。  今おっしゃったガーンがどうだ、ハンターがどうかという、僕はアメリカの議員の個人個人の性癖についてどうこうと言っているわけでないし、また大臣もそういうふうに問題を矮小化なさるようなスケールの方とは思わぬのです。結局アメリカの政策、アメリカ政府自身のとっている今の対日政策、特に貿易政策もそうですし、軍事政策もそうですが、この矛盾ですね。これと日本全体の真の国民的国益とがどうなのかという問題が今私、問われていると思うんです。ここで私が対応をもし誤れば百年の計をやっぱり誤ることになるということで以下続けたいんであります。  大臣は先日の二十九日に行われました自民党の軽井沢のセミナーでですね、こう言っておられます。「米国に言いたいことはたくさんある。ココムなんてのは紳士協定で、我が国が違反しても国内法で処理すべきものだ。我が国企業が第三国から制裁を受けるのは許されないことだ」、こういうふうに述べていらっしゃいますね。私は、米国に言いたいことはたくさんあるんやったら言ってほしいと思うんです。ガーンやらハンターじゃなしに、アメリカ政府ということやと思うんです、この場合。私はそうなければならぬと思うんです。そうすると、私はずっとこの今度の法改正の後づけをしてみると、先ほど節々でというふうな言い方をいたしましたけれども、やっぱりアメリカの国防総省のそういう軍事戦略、世界戦略、その一環をやっぱり担わされていると。私は通産省が意識的にそうだというふうに思いたくはありません、客観点にはそうなんですけれども。それをやるとまた時間とりますから、明らかにそういう一翼を担わされている、あるいはそういうものとして位置づけられているというふうに思うんです。  そこで、例えばこの東芝制裁法案をとってみても、いわゆるガーン法案というのは、これは東芝機械及びノルウェーのコングスベルグ社に対する輸入制裁を一九八〇年にさかのぼって適用する条項のほかに、一九六二年通商拡大法第二三三条の回項、畠山さん御存じだと思いますが、いわゆる国防条項を修正して、そしてココム違反を犯したと大統領が決定した外国企業に対しては、親企業、関連企業を含めて大統領が直ちに米国への輸入を五年以内禁止することができるというものであります。このガーン法案による東芝制裁条項に対して、大臣は、先ほど引用しました自民党軽井沢セミナーでも、「法律的に一九八〇年にさかのぼって、そ及効果を設けるのはとんでもないことだ。」こういうふうにもおっしゃっている。私、全く同感です。しかし、私が指摘しなければならぬのは、この東芝制裁法案の下敷きになっているのは、レーガン大統領が署名し、現在効力を発効しておる一九八五年輸出管理修正法ここにあるんです。畠山さんそうですね、うなずいていらっしゃいますから前へ進めます。  それで、この修正法は一九八三年の三月から八五年の七月まで、アメリカでは二年五カ月にわたって審議されたものです。今度のようにあっと言う間にというわけになっとらんのです。そのときに第三国の主権を侵害するような、こういう国内法の制定が大きな国際問題になりました。これは関係者よく御存じだと思うんですが。じゃ一体そのときに日本はどういう態度をとったのか、どういう態度をアメリカに対して公式に申し入れたのか、その点をまず明らかにしていただきたい。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 具体的には、過程で、ポーランドの戒厳令布告に対して米国が八二年六月に外国企業による米国の技術を用いたライセンス生産品等の石油・ガス関連機材の対ソ輸出を禁止するというようなことがございまして、そういうことに対して国際法上正当化されないということで、西欧諸国及び我が国は八二年の七月に再考を促すよう申し入れを行っているというようなことがございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 フランス、カナダはこの問題についてどうでありましたか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ちょっと今手元に資料を持っておりますが、今すぐこの手元には出てまいりませんけれども、フランスもカナダも相当強い態度で申し入れを行ったし、それから自分の子会社に対しての措置は無効であるというようなことを言ったというようなことを記憶いたしております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 畠山さんだけに私聞いているんじゃなしに、外務省もちゃんと来ているんですから、外務省どうですか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 当時アメリカは、域外適用的に、私たちが考えますいわゆる国際法で域外適用のところを関係各国に申し入れまして、ヨーロッパ諸国、カナダも含めてアメリカのそういう要請は国際法の見地からも受け入れられないという態度を示したというふうに理解しております。これは、域外適用につきましては、日本政府も同じような立場をとっております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 日本政府も同じような態度をとっておりますって、そんなあんた、いいかげんなこと言いなさんな。  アメリカの議会、米下院公聴会ですね、そのヒアリングの会議録があります、そこに記録されている。今問題にいたしました輸出管理法に関する外国政府の書簡及び覚書、これを見ますと、日本の政府の態度は一切ここに出ておりません。何も言うとらんのです。フランスはどうかというと、フランスはこの問題について域外適用、遡及及び輸入制裁等の主張は国際法に反する。輸出管理法が想定している事態は国家主権の侵害であると、こういうふうにはっきり覚書出しています。カナダはどうですか。カナダは国内におけるカナダ政府管轄権に干渉しようとする外国機関のいかなる試みもカナダ主権の侵害である、こういうふうに言うとるんです。その当時大臣は通産大臣じゃなかったから聞いておいてください。  西ドイツ、またイギリス、これもECの場において同様の毅然とした態度を明確に述べております。ところが日本政府は、公式には何も言うとらんのです。記録も何もないです。畠山さんはフランス、カナダは相当強い見解を述べた。それで日本は、何か小さい声で言ってはりましたけれども、まあふろの中でへをこいているようなことを言うたかもしらぬけれども、その程度じゃないですか、全く卑屈です。そしてそういうもののツケが今返ってきておるんです。  畠山さん、さっき同僚の矢原委員の質問に対して、アメリカがココム違反をしたときに抗議したかといって聞かれたときに、そういう抗議はしていなかったというふうにお答えになった、同じなんです。何でこういう態度を日本はとるのですか。私ちょっとそういう見解を通産省なり外務省なりからお聞きしたいのです。どうですか。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 本日関係の資料をここに持ち合わせておりませんが、私が先般調査いたしましたときに、確かに輸出管理法の改正のときに日本政府の立場を強くアメリカ政府に申し入れております。その点につきましては、今先生が引用されました公聴会の記録になぜ日本の抗議の中身が出ていないのか調べてみないとわかりませんけれども、当時日本政府が申し入れしたことは事実でございます。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) さっき持っていると申し上げた資料が今見つかりましたので、その資料はちょっと公式の資料じゃなくて恐縮でございますが、国際法外交雑誌に載った当時のことを分析した学者の記録でございますけれども、それによりますと、外交抗議「一九八二年七月、イギリス、カナダ、EC、フランス、日本等は、」「外交抗議を行った」という記述がございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 その学者の孫引きはまた後で見せてもらいますが、要するに正式には記録にも残っていないし、公文書もないわけです。  そうしますと、さっきの矢原委員が言われた、アメリカがココム違反したときも抗議してないというような態度というのは、今回のソ連原潜スクリュー問題で、その後の報道で、私本会議でも触れましたが、主役は東芝機械ではなしにフランスのフォレスト社であったというふうな報道も伝わっております。この問題をめぐってフランス政府の態度と日本政府の態度というのは、私雲泥の差があると思うんです。私は大臣が東芝制裁法案に対して本当にふんまんの意をきょうも表明なさいました。とすれば、私はその矛先というか、そのメスというものは、アメリカの国防総省の提起しているココム強化という方向、そこに向けるべきではないか、この改正案を強行するというのはまさに国家百年の大計を、先ほども申しましたが、誤るものだ。ぜひこの法案を撤回し、再検討されることこそ真の国益にかなうものだと私は思うんですが、大臣その点はいかがでございましょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 先ほど来伺っておりますと、私が幾ら申し上げても、これはもうアメリカの国防総省だ、ワインバーガーだといって決めつけられるわけでありますが、私ども通産省は、私どもの判断でこれを決定いたしました。  それから私アメリカへ行ってこうこうであったと御説明申し上げてもお聞き届けいただけないで、アメリカへ行った本人の私にあなたの言うとおりに答えよと言われても私もちょっと困るんで、それでやはりアメリカの国防総省だ、ワインバーガーはどうかということ以前に、お互いに日本の政党の領袖と日本の役所なんですから、日本人同士が信じ合う方が大切なんじゃないでしょうか。我々アメリカの属国でも何でもない、堂々たる独立国でありパートナーであることは間違いありませんが、堂々たる独立国であって、今や逆にアメリカの方が経済的に日本に対しておびえといら立ちを持っておるんです。そういう日本の今日の姿であるということに少しく我々はやっぱりお互いに自信を持ってやるべきじゃないだろうか。  何かというと、これは別にだれがどう、何党がどうということで言うんじゃありませんけれども、風潮として何かというとアメリカを引用する。私はもっと堂々と胸を張って、それをさっき抗議をしなかったと聞いて私もちょっと驚いておりますが、私が着任の前のことらしいんですが、言えばいいと思う。私なら堂々と言います。向こうがココム違反やったんならけしからぬと言って、堂々と私なら言います。でございますから、そこいらはやはりよき意味において胸を張った姿勢と、同じ国民、同胞としての信頼感というものは確立していった方がいいんではないだろうかというふうに思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私はあさって持ち時間の中で、今大臣がおっしゃった、このままで行くと日本はアメリカの第五十一州になりかねぬという問題を言わしてもらうつもりなんですけれども、いわば大臣の政治的お立場とそこはやっぱりかみ合った形で議論は続けさしていただきたいと思います。  そこで、あとまだ時間がございますので、引き続く論点、主として憲法とのかかわり合いについてお聞きしたいんです。  まず伺いたいのは、改正案に導入されたところの「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められる」という、いわゆるこの安全保障条項です。そして特定の技術、貨物についてココムの規制をこういう形で実施しようとしておるんです。  この問題については、既に衆議院段階の論戦で、外務省の渡辺経済局長が、ココムという非公式の協議機関で申し合わせた内容の規制というものを実施することだというふうに答弁をなさっておりますが、改めて通産、外務両省にこの点確認をさしていただきたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 「国際的な平和及び安全の維持」というくだりの意味合いでございますが、私ども通産省といたしましては、国際的な紛争の発生もしくはその拡大を助長するような取引、または西側諸国の安全保障に重大な影響をもたらす取引等を規制することにより、我が国を含む国際社会の平和及び安全が脅威にさらされることがないようにすることを意味していると考えております。  したがいまして、具体的には武器輸出に関する政府の統一方針の実施でありますとか、それから今御指摘のココムの問題でございますとか、あるいは原子力の資機材の輸出にかかわります規制ですとか、そういったものを規制するものというふうに考えております。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) 私たちも、この「国際的な平和及び安全の維持」につきましては、今畠山局長から御説明があったのとほぼ同じような考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 そうしますと、今回の改正はココム規制の内容を国内法である外為法に取り込むための改正ということになるんでありますが、七月二十一日の本院の予算委員会で我が党の橋本敦議員がココムについて質問いたしました際に、政府側の答弁として、ソ連など共産圏に対する輸出規制を非公式に協議する機関であるというふうに述べていらっしゃいます。  そもそもココムというのは、これは御承知のようにNATO結成に伴って組織された、そしてアメリカの仮想敵国であるソ連に対しての秘密、非公然の輸出統制機関であります。そしてまた、日本も旧安保条約発効直後の一九五二年の八月にこれに加盟をいたしました。こうしてココムは軍事同盟と一体不可分の産物として生まれまた育ってきております。このココム規制の強弱は何よりもアメリカ政府自身の対ソ政策によって左右されております。特に今日重大なのは、一九八〇年代に入って誕生したレーガン政権が、強いアメリカ、対ソ軍事優位戦略、これを打ち出して、アメリカの国防総省が国務省や商務省を抑えて前面に出て、ココム統制強化に乗り出してきたという経緯であります。  八二年二月にワインバーガーが国防長官になった最初の八三年のアメリカの国防報告は、国際計画の政策目標として次のように述べています。「国際的領域での我々の目的は、米国の世界的戦争能力を改善し、共通の安全保障の利益を助長する協力的防衛協定、安全保障援助及び有償対外軍事援助を通じて、我々の同盟国及び他の友好国の軍事力を強化し、米国の安全保障を高め、ソ連の前進を阻止するように技術移転を抑制することである。」あえて長々と引用しましたのは、通産大臣が、またか、米国防総省が、ワインバーガーかというようなお顔をなすってはおられませんが、やっぱりよくこの背景と歴史を御理解願いたいんです。ですから、共産党がただどこまでアメリカの世界戦略、そしてワインバーガー、国防総省というふうに言っているんでないということを御理解いただきたい。かみ合った議論をしたいということからにほかなりません。  続けさせていただきますが、「技術移転の領域では、我々は、軍事重要技術リスト」俗にMCTLと申しますが、「の修正を完了しており、このリストをココムにおいて多国間での技術移転統制手段として使用するための措置をとりつつある。」というふうにも述べております。  以上長々引用いたしましたが、要するに米国防総省は、アメリカの安全保障を高め、ソ連の前進を阻止するように技術移転を抑制すること、ここにココム規制の強化を、ここにアメリカの世界的戦争能力の改善、同盟国の軍事力強化と並んで国際戦略の重要な柱の一つとしてココムを位置づけているんです。  私、大臣に重ねて伺いますが、こういうココム規制を強化するというのは、結局ソ連を仮想敵とするアメリカのレーガン政権の軍事戦略に沿ったものと言わざるを得ぬと思うのですが、この点はいかがでしょうか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ココム体制強化とおっしゃいますけれども、今度の外為法は、ずっと先般来何回も繰り返して申し上げておりますが、規制対象を拡大するということは一切しておりません。単に罰則、制裁の強化ということで法を守ってもらいたいということでございます。でございますから、もちろん我が国はココム加盟国十六カ国の一員でありまして、世界の自由主義といいますか、西側主要国の一国でありますから、国際的な平和と安全を希求することは、これは当然でございます。これは恐らく市川さんも同じお気持ちだと思います。  それはもう国際的な平和と安全を願わない者はいないと私は思うんです。でございますから、それは当然としても、市川さんも何回もおっしゃり、また私も何回も申し上げて、またこれを言わなきゃならぬかと思って私もちょっと困っておるんですけれども、少なくとも通産省がこの外為法の改正を決断いたしましたのは、いかなる外圧も受けておりません。省内で自由なる討議をさして、そしてその上で福川事務次官が取りまとめて私に報告をし、私がそれを受けて決定をしたものでございます。でございますから、ワインバーガーとか国防総省とかというのが出てまいりますと、私ももう何と答えていいやら、さっきからほとほと困惑をしておるんです。  それは市川先生ね、アメリカと会うたのは僕ですよ。その僕に、あなたがおっしゃったとおりに答えよと言ったって、会うたのは僕で、あなたは会っておられないんですよ。その会うた僕が、会っていないあなたの言うとおりに答弁せよと言われたってこれはちょっと無理です、はっきり言って。重ねて申し上げますが、いかなる外圧も受けないで、通産省の判断で、もちろんその点横の連絡はしておりますでしょう。特に外務省との打ち合わせは、これはしておると思います。外務省と通産省は極めて仲のいい間柄でございますから、これはもう仲よく打ち合わせをしておると思いますけれども、いかなる外国からの圧力を受けたわけでもございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私は官僚の実務をお聞きしているんじゃなしに、一国の政治の大きな路線といいますか、それをやっぱり大臣と、はばかりながら高いレベルでお話ししたいという意欲に燃えて立っておるわけで、その条文、条項をお役人の方々が、お役所の方々が大いに議論してつくられたということを決して疑いませんし、その際に一生懸命やられたということは承知しております。ただ、やっぱりそういうものが生まれてきている世界の情勢、特に日米関係、そしてまた日本の今の政治の動向について突っ込んだ議論が、なぜこういうものが生まれてきたのかということを論じているつもりです。またそれを繰り返すつもりはないんですが、私が聞いたのは、これは仮想敵国を持つことになるんじゃないかということをお聞きしたんです。これは何にもお答えないんで、そのことにもう一遍戻りますが、私はこういう経過は、日本国憲法に反して、恒久平和主義の今の憲法に反してソ連を仮想敵国とする立場であると思うんです。  というのは、七月二十一日の自民党の総務会で、奥野誠亮氏は、「ココム規制自体、仮想敵国を想定しており、憲法の考え方に反する。」こういうふうに言っておられます。この問題については、衆議院の商工委員会で、松本議員が大臣にちょっと聞きました。私もあのとき傍聴しておりました。大臣は、私は何も奥野君の弟子やないと、このときも問題をはぐらかしていらっしゃいました。私も決して奥野発言を、まるっきり鬼の首でもとったようなつもりでここに振りかざすつもりはさらさらないです。特に奥野氏が改憲論の立場から物を言ってはるのはもう明白ですし、そういう立場と私は全然違うわけです。  しかしながら、その奥野見解、言いかえればこういうココムの規制、それを強化するということは仮想敵国の想定であり、憲法の考え方に反するというその問題の指摘は、私はこれは非常に重要な指摘やと思うんです。ですから、その点で私は重ねて、今のこの流れ自身から見で、ココム強化という路線が仮想敵国を想定した憲法違反につながらないかという問題について、大臣のいわば明解な御見解を賜りたいと思います。奥野さんがどうこうという意味やないんですよ。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ココムの申し合わせに基づく外為法の規制の実施は、我が国が西側諸国の一員としての責任を果たして、特に密接な関係のあるこれら諸国との貿易関係を維持発展させていく上で必要不可欠という考え方を持っております。そういうことでありまして、この規制が特定の国を仮想敵国とみなすものでもないし、また憲法違反になるとは思っておりません。日本国に仮想敵国はございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 それはまさに詭弁というものでありますが、前に議論を進めていきます。  実際にレーガン政権になってから、対ソ軍事戦略の重要な柱としてのココム規制というのが一段と八〇年代に入って強化されたということは、先ほど申し述べたとおりです。そして、ここに私コピーを持ってきましたが、八三年以降毎年の国防報告でそのことが詳細に述べられています。  外務省に伺いますが、外務省は衆議院の商工委員会で、我が党の工藤議員の質問に対して、ココムはコンセンサス方式で運営されているとしながらも、アメリカの国防総省がココムリスト改訂作業に積極的に関与している事実を認められましたが、そのとおりですね。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ココムにおける決定はすべて、リスト改正も含めて、コンセンサスで行われております。どの国がどういう意見を言うかということは、また各国の自由でございます。ただ、決定はすべてコンセンサスということです。

市川正一日本共産党

○市川正一君 いやいや、コンセンサス方式なんだけれども、アメリカの国防総省がそのココムリスト改訂作業にかかわっているということは間違いないんでしょう。

赤尾信敏外務省大臣官房審議官

○説明員(赤尾信敏君) ココムに出てきますのは、各国の政府の代表団として出てきております。アメリカ政府がかかわっているというふうに申し上げた方が正確かと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 同じく衆議院商工委員会で、畠山貿易局長が東中議員の質問に対して、通産省はココムの場においても主に規制製品の削減を主張していると、こういうふうにおっしゃいました。ところが、アメリカの国防報告では、国防総省が中心になっていわゆるMCTLですね、これに基づいて一九八二年の秋以降ココムリストの再検討を行ったということになっております。  通産省にお伺いしますが、八一年と現在では貿管令の別表第一の戦略物資品目の数はどういう変化をたどっていますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 八一年と申しますと昭和五十六年でございますが、そのときは戦略物資の項目数は百五十二品目でございました。正確に申し上げますと、昭和五十六年の九月十四日の政令改正時は百五十二品目でございました。その九月十四日の前、それは五十五年の十月三十一日に改正されているわけでございますが、そのときは百六十三品目でございました。それが現在、これは六十一年の十二月二十三日から変化がないと思いますが、百七十八品目ということでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 結局全体としてはふえているわけですね。言いかえれば、八一年のときに百五十二品目で、八七年に百七十八品目、結果として畠山さんが衆議院でお答えになったことと逆の結果を生んでいるということを確認せざるを得ぬのです。  そこで、そういうことになっていく経緯の一つとして、通産大臣は、現行法では戦略物資、今お話のあった百七十八品目の輸出承認権者であります。この品目について年間約二十万件の輸出承認申請を受け、輸出承認を与えておられます。他方、ハイテク技術あるいはハイテク製品については、いわゆるパリ送りと称してココム違反の有無、輸出特別認可の可否をココム協議に付しております。これは一般附外とも言われておりますけれども、その基準またその件数は幾らになりますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 一般例外と行政例外を分けますのは、基準は技術的な基準でございます。非常に大ざっぱで恐縮でございますが、高度なものは一般例外、それほどでもないものは行政例外ということになっております。数が多うございますので一々申し上げられませんし、現在のところは公表いたしておりませんので、その内容を申し上げるのは御勘弁いただきたいと思いますが、そういうことになっております。  それで、一般例外の数でございますが、各国の申し合わせにより、それを国別に公表することはできないことになっておりますので御勘弁いただきたいと思いますが、我が国についてはおおむね百件程度でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 結局、年間約二十万件の輸出を認めておるし、他方年間約百件のいわばココムでの判断を仰がなければならないということなんですが、この輸出許可権者である通産大臣が輸出の可否を決める基準は、貿管令別表第一とは別の、法令上根拠のない秘密のココム基準によっているわけであります。さらにココム基準のペースになっているのは、アメリカの国防総省が作成し、そしてココムの場でもそれを開示していない秘密のいわゆるMCTLであります。したがって、「国際的な平和及び安全の維持」という抽象的な表現でココム規制の強化を行おうとしても、秘密、非公式で国際法または国内法から見ても何ら拘束力のないココム規制を、これを適法に行うことはできない。言いかえれば、法律に基づくところの行政という、そういう法理に違反し、主権を放棄するものではないんですか。大臣は衆議院でこの問題について各国ともそうやっているようですねというふうにお答えになっただけでありましたが、この点はどういうふうに認識されていますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) まず、一般論で恐縮でございますけれども、ある品目について一国が輸出できないということを例えば条約で決めたといたしまして、条約で決めたといたしましても、それはお互いにそういうことを合意するわけでございますから、仮に輸出をしないということに決めたといたしましても、それはまず主権の侵害ということにならないわけでございます。  本件は無論条約ではございませんけれども、とにかくお互いに合意をして、特定なものについては原則輸出をしないということを決めたわけでございます。これをお互いに合意して決めて、そして条約の拘束力ではございませんが、国内的な措置としてそれを出さないということを決めるということもそれは主権の発動の一形態であろうかと思いまして、別に主権の侵害にはならないというふうに考えております。  それで、同時にそれを、原則出さないというふうに決めているわけでございますけれども、一定の場合に特認と称して解除するわけでございますが、それを国際機関と相談をしたといたしましても、それは当然通産大臣がそういう判断をしてそれに同意をした上でそうやっているわけでございますので、そこも問題がないというふうに考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 大臣から後で、もしお答えがあったら伺いますが、時間が迫ってまいりましたので最後の問題に入ります。  我が国の企業あるいは個人は、どんな物資や技術を輸出すれば外為法違反になるのか、ココム違反になるのか、そういう基準になるココムリストが発表されていない。公表されていないためにいろんな戸惑いが出ております。例えば東芝機械の岩橋社長は、「ココム規制の中身を知らされていない立場で、どこがどう違反したのか、よくわからない面がある。」というふうに語っておりますし、また松下電器も、ここに松下御出身の方いらっしゃいますが、例えばビデオテープレコーダーですね、VTR、この製造技術も対象になるということから、松下の関係者も「ココムリスト自体が秘密性が高いので、何がココム規制に触れるのかはメーカーにわからない。」こう言っております。また、大手商社首脳も「ココムの規制内容そのものがはっきりしないし、特に、日進月歩の最先端技術になると、商社は、評価するまでの能力はない」という不安を表明しております。  大臣は、午前中から法を守っておれば何も心配要らぬのやと繰り返し言っておられますが、その基準はないんです。私は、この点からもココムリストは直ちに公表すべきだと思うんですが、いかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ココムリスト一般の公表と申しますか、まず現在市川委員御案内のように、ココムリストそのものではございませんが、ココムの規制対象としてリストレビュー会議で検討されましたリストを国内の政令として、審議の上でございますけれども、政令として百七十八品目として公表をいたしているわけでございます。  御指摘のややあいまいであるという点は、先ほどの御答弁の中でもちょっと触れさしていただきましたけれども、今おっしゃったパリ送りと行政例外との境目というところでございまして、これは大臣が午前中にも答弁されましたように、できるだけそこのところを公表するような方向で検討をしていきたいということでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 時間が参りましたので最後でありますが、私は、ココムリストとその行政例外基準を本法案の審議に欠くことのできない資料として要求いたしております。しかし、まだ残念ながら提出されておりません。これは、行政府は資料は持っているのに、それを国権の最高機関である立法府は知らされていないということ自体重大な憲法違反であるというふうに考えます。しかも、秘密であるといって国会には隠しておきながら、民間の出版社にはこれを提供しております。  私ここに持ってきたのは「黄道」という雑誌ですが、この雑誌によりますと、都内のある中小出版社が発刊した共産圏向けの「戦略物資輸出手引き早判り」という「ココムの手引書」が出ておるんです。そして、これが「人気を呼んでいる。公表はタブーとされる禁輸品のココムリストを掲載、通産省の審査担当者らを中心に執筆したココムの総合的な手引き書としては初めての本。」という、そういう売り込みまでここに書かれております。国会には出せないが出版社には提供するということは、私は国会軽視も甚だしいと思うんです。私は直ちにココムリストと行政例外基準を資料として提出されることを要求するとともに、こういう問題についてもきっちりしたけじめをつけていただきたいと思います。いかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ココムリストそのものは、申し合わせによりまして政府として公表できないことになっておりますので、そこは御勘弁いただきたいと思います。  ただ、今御指摘のその本というのは、ちょっと実物が手元にございませんのでわかりませんが、推量で恐縮でございますけれども、イギリスの貿易管理令の解説ではないかというふうにも考えているんでございますが。

市川正一日本共産党

○市川正一君 あさってまた引き続きやらさせていただきます。本日は時間がございませんので、残念ながらこれで終わります。

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) 先ほど市川委員から、今後の法案の審議日程につきまして御発言がございましたけれども、この点につきましては別途理事会で協議をいたしたいと思いますので、そのように御承知願います。  本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時一分散会      —————・—————

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