法務委員会 第8号
- 発言数
- 246 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/08/28
会議録
○大塚委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。
○小澤(克)委員 外登法についてこれが最初の質問になろうかと思いますので、少し基本的なところに立ち返ってお伺いしたいと思います。 まず外国人の管理につきましては、入管法と外登法、この二つが二本柱だろうと思いますけれども、それぞれの法の目的及びその両法の機能分担といいますか、それについて説明をしてください。
○小林(俊)政府委員 外国人という観点から申しますと、と申しますのは、出入国管理法は日本人も対象としているわけでございます。しかしながら、外国人という点に限って申し上げれば、出入国管理法は、外国人の我が国への入国、在留及び出国についての管理を目的とするものでございます。 一方、外国人登録法は、外国人の公正な管理に資するためその身分事項、居住関係を明確に把握することを目的として制定されているものでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、入管法は、日本人への適用はともかくといたしまして、外国人に関しては、日本にとって好ましくない外国人が入ってくることを規制する、あるいは入った上でその在留期間を超えてそのまま滞在する、いわゆる不法残留ですか、そういうことを規制する、それから入国目的に反した目的外活動等があればこれを規制する、端的に言ってそんなところが目的だろうと思うわけです。 それで一方、外登法の方は「外国人の公正な管理に資する」、こういうふうに書いてあるわけです。そうすると、この両法の関連といいますか、機能分担をもう少し単に抽象的でなく具体的にお答えいただきたいわけです。
○小林(俊)政府委員 外国人登録法は、その名のとおり外国人の身分関係及び居住関係を明確に把握するということを目的といたしまして、これらの関連事項を登録するということを目的としているものでございます。したがいまして、登録そのものは諸般の行政に用いられるものでございますから、登録そのものが最終的な目的ということはあり得ないわけでございます。すなわち、外国人の在留管理のほかに、教育であるとか福祉であるとかあるいは租税関係であるとか、さまざまの在留外国人にかかわる行政がございます。これらの行政の目的に資するために、この行政の目的に利用させるために各外国人に関する正確な、先ほど申しましたような事項の登録を維持するということでございまして、その意味におきまして両者は相補いながらその目的を達することを期待されているものでございます。
○小澤(克)委員 外国人の登録には外国人の居住関係、身分関係をとにかく把握する、その上で今おっしゃられたようにいろいろな行政目的に使うのだということですけれども、もちろん今おっしゃったとおり、例えば福祉関係であるとかいろいろな目的に使われるのでしょうが、その中で特に入管法との関係でいいますとどういう役割を果たすのか、そこをお尋ねしたかったわけです。
○小林(俊)政府委員 一般に、いずれの国におきましても外国人の入国及び在留は当該国政府の許可にかかわらしめられております。当該国政府は、外国人の在留に関しましてこれを許可するか否か、許可する場合にその在留の期間をいかにあらしめるか、あるいは在留中の活動をどの程度まで認めるかというようなことについて限定を付することができるわけでございます。したがって、いずれの国におきましても外国人は、そうした政府の許可の範囲内において在留し、活動するということを明らかにする必要があるわけでございます。またこのために、いずれの国におきましても、この点を明確にする、身分を明らかにする文書の携帯を義務づけられているわけでございます。 この点は我が国においても同様でございまして、外国人登録法はこれらの事実を明確に把握し得るようにさまざまの手だてを講じておるわけでございます。出入国管理法において許可された内容が実際に遵守されていると申しますか、外国人の在留なり活動なりがその範囲内において行われているということを確認する手段を提供しているわけでございます。
○小澤(克)委員 私が伺っているのは、この外登法の第一条の目的のところの「外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめこれはまあよくわかるのですが、「もって在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」この「在留外国人の公正な管理に資する」というのは、具体的にどんなことを念頭に置いているというか、予定しているか、そこのところをもう少し具体的に教えていただきたいわけです。
○小林(俊)政府委員 「公正な管理」、その場合の管理というのは、その意味においてかなり広義にわたるものと私どもは理解しております。言いかえれば、外国人にかかわる行政全般というふうに置きかえてもよろしいかと思います。その行政の内容は、出入国管理行政であり、福祉行政であり、教育行政であり、あるいは税務行政であるということでございまして、その他にもまたわたるわけでございます。こうした行政を公正に、的確に実施するためには個々の外国人の身分関係、居住関係を明確に把握する必要があるわけでございまして、これらの行政の目的に資する、目的に利用させるということのために正確な外国人登録の維持が必要とされてくるわけでございます。
○小澤(克)委員 この「在留外国人の公正な管理に資する」というのは、今お答えがあったようにいろいろな側面、かなり広い意味で理解し得るのでしょうけれども、すぐ頭に浮かぶ具体的なイメージとしては、先ほどちょっと触れましたが、在留期間を超えて残留している、あるいは在留目的に反した活動をしている、そういった場合に、これに対して入管法上の適切な措置をとる、それが一番具体的といいますか、最初に頭に浮かぶ機能だろうと思いますけれども、そうではないのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 最も典型的な側面であることは間違いございません。ただ、ただいまの御指摘の点は現に正規に在留している外国人にかかわる側面でございます。このほかに出入国管理行政の側面といたしまして、不正規に入国してくる外国人が正規に在留している外国人と区別されねばならないという側面もございます。したがいまして、その面から、正規に在留している外国人の身分関係、居住関係を明確にするという必要も生じてくるわけでございます。
○小澤(克)委員 今、不正規に入国した上で在留する方の話がありましたが、普通に入国し、普通に在留し、普通に登録している人について情報を把握しておくということは、その反面において、そういった手続をしないまま在留している者を区別し、これに対し適切な処置をとるということに資するといいますか、そういう機能を持つ、こういうお話だろうと思います。 そこで、入国の際には入管法上は入国査証の発行等におきまして指紋を採取をする、押捺を求めるということは全くなされてないわけですね。外国政府が発行する旅券の方に指紋を押しているものがあるかどうか、私ちょっとよく知りませんけれども、それはともかくといたしまして、日本の側で入国査証発給については指紋を要件としていない。そこで、九十日ですか、九十日を過ぎまして今度は登録をする。その段階になって指紋の押捺を求めるのはなぜなのか、基本に立ち返った質問ですけれども、そこのところからまず教えていただきたいと思います。
○小林(俊)政府委員 外国人が入国いたしますと、九十日以内に外国人登録を行うことを求められておりますけれども、指紋の押捺を求められるのは一年以上の在留期間を認められたときでございます。したがいまして、外国人登録をする場合も含めまして、その許可された滞在期間が一年以内の場合には指紋の押捺を求められていないわけでございます。 と申しますのは、結局短期に在留する外国人につきましては早晩我が国を離れるわけでございまして、不正規に入国してくる外国人との区別、言いかえれば不正規に入国してくる外国人がとってかわろうとする相手は、そういう短期に在留している外国人ではなくて、長期に在留している外国人が普通でございます。長期に在留している外国人に成りかわって初めて長期にわたって我が国内においてとどまることが可能になるわけでございますから、したがって、成りかわる相手も永住外国人を中心とする長期に在留する外国人ということが経験的に知られております。その関係から、したがって不正規に入国する外国人との区別をするという側面から見て、まず第一に、長期に在留する外国人についてその身分関係、居住関係を明らかにしておくという必要が一つあるわけでございます。 他方、そうした不正規入国者の排除ということを別にいたしましても、長期に在留している、あるいは在留する外国人であればこそ、我が国社会との結びつきあるいは我が国におけるさまざまの、先ほど申しましたような行政とのかかわり合いも深いわけでございまして、したがって、そうした行政の深さを考慮いたしますと、こうした長期に在留する外国人についてこそその身分関係、居住関係を明らかにするという必要も大きくなるわけでございます。言いかえれば、先ほど申しました教育の問題であれあるいは税務の問題であれあるいは福祉の問題であれ、一年以内というような短期に在留する外国人とのかかわり合いは極めて限られてまいります。むしろ例外的な事例に限られると言ってよろしいかと思います。であればこそ長期に在留する外国人について、ただいま申しましたような諸関係を明確にする、明確に把握しておく、あるいは明確に把握することを可能ならしめるという必要は大きいということが言えるわけでございます。 〔委員長退席、井出委員長代理着席〕
○小澤(克)委員 前半の方はそれなりの理屈だろうと思いますが、後半の方は指紋を求めることと関係があるのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 指紋の採取は同一人性の確認の手段を供するということであります。したがって、まず第一に、登録される外国人の特定の手段になるわけでございまして、一たん採取された後におきましては、五年ごとの切りかえに出頭する外国人が既に登録してある外国人と同一の人物であるということを確認する手段となるわけでございます。したがいまして、現に在留している外国人が当初特定された外国人との間の入れかわりがないということを確保するということは、不正規入国者の排除という面のみならず、特定の外国人にかかわる諸行政におきましても重要なことになるわけでございまして、入れかわって福祉行政、教育行政あるいは税務行政の対象となるということを排除する必要もあるわけでございます。 〔井出委員長代理退席、委員長着席〕
○小澤(克)委員 少し細かく聞いていきたいと思いますが、まず、入国手続そのものを架空人の名義で、あるいは他の者に入れかわって、そして正規といいますか、入国手続をきちんとして入ってきた方、こういう方が、こういうのは多分例としては希有だろうと思いますけれども、例えばパスポートの発行などに外国政府機関そのものが関与したり、あるいはその機関の一員が私的に関与したりすればそういうことは不可能じゃないだろうと思いますけれども、そういった場合には、入国の際には何ら指紋の押捺は求められないわけですから、そういう方が、架空人あるいは他人に成り済まして入国した方がその後登録手続をとる。その際に自分の指紋をそのまま押しても、これは何らその段階で不正入国が発覚するということにはなりませんので、この場合には指紋押捺を求めるということはその時点では何の意味もないということは少なくとも言えるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小林(俊)政府委員 指紋の押捺を求めた段階でその個人が特定される、あるいは個人をアイデンティファイする手段が供されるということでございますから、指紋の押捺が行われた以上は、その後においての人物の入れかわりはないということを確保することになるわけでございます。
○小澤(克)委員 そういたしますと、外登法上、登録に際して指紋を求めるということは、結局何らか、正規な手続で一たん登録をした者に他の者が入れかわる、このことを防止する、その機能に尽きる、こういうことになりはしないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小林(俊)政府委員 極めて端的に申し上げれば、そういうことでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、さっき言いましたように、入国そのものを不正に行った者、それから入国したものの九十日経過後も外国人登録そのものを全くしないまま残留する者、それからそもそも入国手続を一切しないで、いわゆる密入国というのでしょうか、してくる者、こういった者に対しては登録手続において指紋を求めるということは、その時点では全く意味がない、こういうことになろうかと思うわけです。したがって、外国人登録の際に指紋押捺を求めるということが密入国あるいは不法残留そのものを直接に制圧するという機能はまずなかろうと思うわけですね。 そこで次に、先ほどから出ておりますように、正規に登録した者に成りかわる、そういったことによって不法入国あるいは不法残留する、それが次の問題になろうかと思うわけですけれども、具体的にイメージがなかなか浮かばないのですがね。正規に登録している者に成りかわるというのはどういう場合が、どういう手段があり得るのか、そこのところをちょっと説明していただきたいのです。
○小林(俊)政府委員 仮にこの登録制度がいわばずさんなものであって他人の登録証明書が容易に入手し得るというような状況にあるとすれば、恐らく不正規入国、不正規在留外国人がまず第一にすることは、正規に在留していると見られる外国人のものである、あるいは正規に在留する外国人のものであるような身分証明書に該当するこの登録証明書を入手して携帯することだろうと思います。それによって大手を振って我が国の社会において生活ができるということになるわけでございますから、少なくとも表見的には正規在留外国人を装うことができるわけであります。現にその登録証明書というものは、紛失等において容易に再交付されるわけでございますから、もしその証明書において十分な手当てがなされていなければ、二枚目、三枚目の登録証明書を入手して他人に譲り渡すということは容易でございます。そういうことでございますから、最も端的に考えられるのは、不正規入国、不正規在留の外国人が正規在留外国人の登録証明書を入手して携帯して正規在留者を装うということでございます。
○小澤(克)委員 幾つかのケースが考えられると思いますね。一番ひどいといいますか、例は、外登証そのものを全く偽造してしまうということが理屈としてはあり得ると思います。その次に、正規に発行された外登証を何らか不法に入手するということだろうと思います。その上で若干の変造をするとかいうこともあるかもしれませんが。その場合に、ケースとしては、他人の外登証を盗む、奪い取る、それから極端な例ではその本人を消してしまって、その本人に成り済ます。それからもう一つは、その本人と共謀してといいますか、紛失したという偽りの届けを出して再発行を求め、そして古い方をそのまま所持する、こんなケースが考えられるだろうと思います。 そこで、本人を消してしまうというのは、これはちょっと別といたしまして、奪う場合には、紛失したものを拾得するというようなケースもあろうかと思いますけれども、何らか奪われたような場合には、本人がその奪われたあるいは失ったということを申し立てて、新しいものの発行を受けますね。それから、本人と共謀の上で紛失したと称して渡した場合は、結局は、その場合も含めて、一人に対する外登証が二重に発行といいますか、存在しているということになるわけです。 そこで、そういうものを入手した者が、不正に入手した外登証を携帯している。そして何らかの理由で外登証の提示を求められた。そのときに、この外登証に仮に指紋が転写されているといたしましても、その所持している本人に、おまえの指紋を見せろ、そして間違いなくこの外登証に記載されている、指し示されている者とそれを所持している者が同一人物であるかを確認するという手段は現実にはないのじゃありませんか。刑事訴訟法上の手続を経てその者の指紋を採取すれば別ですが、そうでない限りは、今言ったような、所持者がその外登証に指し示されている本人であることを確認する手段というのは、写真はそれは見ればわかりますけれども、指紋に関してはそういう手段はないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小林(俊)政府委員 外国人登録証明書に指紋を転写し、これを表示しておくことの意味についてのお尋ねだろうかと思います。 しかしながら、まず第一に、登録証明書に指紋が表示されているということは、先ほど申しましたような登録証明書の不正使用を心理的に抑止する極めて有効な効果を持っております。したがって、この点においての機能というものが、登録証明書に指紋を表示することの第一の意義でございます。現に、指紋制度が導入されて以来、密入国者等が他人の登録証明書を入手して所持していたという事例がほとんど見当たらないということがこの効果を裏づけているわけでございます。若干の例はありますけれども、これは十六歳以下の子供が他人の登録証明書を入手して、それは両親が入手したのでしょうが、所持していたというケースに限られるわけでございます。 第二に、即時的に現場でその登録証明書に表示されている指紋が本人の指紋であるということを確認する手段がないではないかとおっしゃられました。この点は事実でございます。強制的にその場で警察官有りその他の職員が指紋を採取するということは刑事訴訟法の手続によらなければできないことでございますので、そこでの照合ということは、これを強制的に行うということは手段がございません。 しかしながら、その登録証明書にかかわる諸問題、その場で生ずる問題についての質問、照会等を通じて本人がそれが自分のものであるということを立証しようとするならば、任意に指紋の採取に応じてこれをみずから立証することができるわけでございまして、もし相当の理由があり、本人がみずからのその在留の相当性を立証しようと思えば、そこでその手段が確保されているということでございます。状況いかんによって千差万別だろうと思いますけれども、そこで確認することは、言いかえれば本人の任意の指紋押捺に応ずるというプロセスを通じて立証が可能であるということも言えるわけでございまして、もし本人がそれに応じないとすれば、その理由を本人はいかに説明するかというようなことを通じて、その正当性なりあるいは不正規性なりというものについての何らかの判断を下す手がかりにもなろうかということでございます。
○小澤(克)委員 実際に他人の外登証を入手しているような人が、おまえの指紋をとらせろと言われたら、何言っているんだ、そんな権限どこにあるんだというだけの話でして、任意云々というのは全く意味がないだろうと思いますね。そういたしますと、結局、他人の外登証を持っている者が普通に行動していて、そして何らかの事情で外登証の提示を求められて、そしてそれが本人であるというのは不明確ですが、持っている者と外登証に表示されている者が同一人であるということを現場で確認をする際に、指紋があるということはほとんど意味がないことになりはしないかと思うわけです。もちろん何らか犯罪の容疑を受けて正規の手続で強制捜査を受け、そして刑事訴訟法上の手続によって指紋を採取される場合、そういう場合には外登証に押してある指紋などというもの以前の問題として、その本人の身分等については各種捜査によって容易に確認されるところだろうと思うわけですね。そうしてみますと、結局、登録の際に指紋押捺を求めておくということは、次の切りかえのときにあらわれた者が最初に登録した者と同一人物かどうか、これを確認することしか意味がないことになりはしないか。 繰り返しますけれども、普通に外登証を所持して普通に行動している者が果たしてその者かどうかということを確認する手段としては、指紋をそこに転写しておくということはほとんど意味がない。その者が切りかえの手続にのこのこあらわれたときに、これはあなた本人ではない、前に登録した者と違う、こういう効果だけではないか、こう思うわけです。そういたしますと、他人のものを奪ったり、あるいは共謀して紛失したと称して古い登録証を持っている者が切りかえのために登録にあらわれるなどということは、これは全く考えられないことですね。そうじゃありませんか。
○黒木説明員 前半部分についてちょっと御説明いたします。 実例を交えてでございますが、他人の登録、これを譲り受けたのか盗んだのか、事実関係はよく追求できなかったのですが、韓国人のケース、それからいわゆるジャパゆきさんのケースがございます。どうも巧妙に写真の張りかえが行われているということで現場で確認したところが、いやこれは自分のものだということで本人は逃げようとしたのですけれども、不法入国の容疑ありということで、あなたの場合最終的に指紋を確認すれば、これが人のものかあなたのものかはっきりしますよという話をしましたら、もうそれ以上お手数をかけることはありません、実はこれは人のものを盗んだのですということを言いまして、それでその場で不法入国が発覚したという例もございます。 それからジャパゆきさんのケースの場合は、日本に住んでいる、三年滞在できる資格を持っている友人の登録証明書を盗んだということ、実際譲り渡しがあったのかもしれませんけれども、いわゆる風俗営業の店で働いているということで、私どもの方で摘発しようとしたところが、三年滞在の日本人の配偶者の資格で滞在しているということで何遍か摘発を逃れたのですが、どうも風評からいっておかしいということで、これもぎりぎり調査を進めましたところ、本人も指紋の照合に至る前に、指紋の照合をされれば発覚するということで、恐れながらということで不法滞在を自供したというケースもございます。 お尋ねのように、その人が、では五年の切りかえ時に人の登録を持ってぬけぬけと登録の切りかえに来るかということになりますと、これは指紋がございますので、ほとんどそういう形では出てまいりません。若干手口を披露するような形になって余り適切じゃないのかもしれませんけれども、恐らくそういう人の場合は、登録証明書をもらってすぐ紛失したと言って本人は再交付を受けまして、それを第三者に譲り渡すということでありますと、登録の切りかえ期間五年ございますので、四年近くはそれで過ごせる。そして四年目になると登録証明書がなくなるじゃないかということでございますが、当該本人がまた五年目の切りかえをいたしますれば、それでまたそれをすぐ紛失したと称して譲り渡すということも手口としてはあり得るわけでございます。しかし、そういう大変むだなことをやらなければならないというのは、一つはやはり指紋制度というものがあって、そういう他人に成りかわるということを極めて防止しているといいますか、抑止的な効果を果たしているのじゃないかというふうに考えております。
○小澤(克)委員 他人の登録証を入手している者が切りかえの際にあらわれるということは、これはもうあり得ないことですね。なぜならば、二重に発給されていることが登録事務の側にはわかっておりますから、そういう者があらわれたときに、同じ番号のものを二重に登録を受け付けるなどということはあり得ないわけです。切りかえを受け付けるということはあり得ないわけです。そういたしますと、結局先ほどおっしゃったように、本人が切りかえをやって、そしてまた紛失したと言って渡すというようなことしかできないわけでして、他人に成り済ました者がのこのこ切りかえにあらわれるということはあり得ない。したがって、その際に指紋を照合して本人でないということが発覚するなどということはちょっと想像困難なんですね。 唯一考えられるのは、先ほどちょっと言いましたけれども、本人を消してしまって全く他人に成り済ます。この場合は、本人の方が切りかえにあらわれるということはあり得ませんので、つまり二重に発給しているという事実がございませんので、この場合は確かに、あなたは本人ではないということが切りかえ事務の際に発覚するということはあるでしょう。しかし、これは全く希有なケースだろうと思いますね。 こういうふうに細かく事例を検討してきますと、最初の登録の際に指紋押捺を求めて、次の切りかえの際にそれを比較対照して本人であるかどうかを確認するということは、本人を消して成りかわったような極端な場合を除けば、実際には全く機能しないのじゃないでしょうか。そういうことになりませんかね。
○黒木説明員 もう一つ、今のお話の中でちょっと思い出す事件は、あるところで登録しておったのですけれども、その人の登録が盗まれかかったといいますか、ほかの町に第三者が勝手に居住地変更登録の申請をして、そこで登録証明書の再発行の申請をしたという例がございます。これは、本人は盗まれたこと、登録が盗まれたというのはちょっと変な話ですけれども、原票そのものが第三者によってよその町に移されて、その町にはまだ原票がない時点で再交付の申請をするというようなこともつい最近ございまして、これはまだ調査中でございますけれども、そういうやり方によって、本人を消さないまでも、人の登録を、手続の時間的な差を用いてとってしまうといいますか、登録証明書の交付を受けてしまうという例も、これは大変珍しいケースなのかもしれませんけれども、全くないわけではないということでございます。
○小澤(克)委員 他の市町村に行って今おっしゃったようなことをするということは、それはあるかもしれませんが、その場合も、結局法務省に報告が上げられれば、二重に切りかえの手続が行われているということはたちまちわかるわけでございましてね。今みずから、非常にまれな例だ、レアケースだとおっしゃいましたけれども、極めてまれな例である上に、法務省に報告が上がるまでの期間だけしかそういうごまかしはできない。それから、先ほども言いましたけれども、全く本人を消してしまって入れかわった場合、そのくらいしか指紋を登録させることの効果がないのではないか、こう思うわけですよ。 それで、先ほどおっしゃった他人の外登証を持っていて、そしていろいろな要素から、どうも本人ではないのではないかということを追及していって、そして最後に、じゃ指紋採取に応じますかと言ったら、恐れ入りましたと言って自白をしたという話がございましたけれども、これはおかしな話なんでしてね。どうしても本人でない諸般の状況があれば、それらの資料をもとにきちんと刑事訴訟法上の手続をとって、そして指紋を採取する、これが法の建前ですよ。任意に指紋を採取するというのは、まさに任意でしてね。任意の指紋の採取を求めたら恐れ入りましたと言ったから、その限りでは効果があるのだと言っても、これは法的な説明には全くなっていないと思いますが、いかがでしょうか。
○黒木説明員 入管の入国警備官の違反調査の過程においては、もちろん任意の段階においては指紋の強制採取ということはできないのは当然でございます。 ただ、先ほど申し上げました例で申しますと、それならば要急収容という手続もございます。いわば行政手続ではございますが、刑事手続で申しますと現行犯逮捕に近い取り扱いになるわけでございますが、そして身体を拘束できれば当然指紋を押してもらうということはできるわけでございまして、結局そういう段階に至らない前に本人の方で、そういうお手数をかけなくてもということで、不法滞在、不法就労を供述した、こういうことでございます。
○小澤(克)委員 結局今までの議論といいますか、質問から明らかになったことは、日本に在留する者について、とにかく一律に全員から最初の登録をする際に指紋をとらなければならない合理的な必要性というのはどうしても見出すことができないわけです。切りかえの際に、前に登録した者と同じかどうか確認する必要があるという議論が全く破綻をしているのは、先ほどからの質問とお答えで明らかだろうと思います。そういうのは極めてレアケースである。本人を消してしまった場合、あるいは先ほど御紹介がありましたが、他の町村へ行って若干の時間的な差を利用する、その期間だけは本人に成り済ます、こういう全くレアケース以外は考えられないですね。それから、たまたま他人の外登証を持っている者がどうも諸般の事情から怪しい、本人ではないということがわかった。その場合には、それらの嫌疑を示す資料を集めて、そして正規の手続をとれば、最終的に本人であるかないかを確認することは、刑事訴訟法その他の法制度で担保されている、そういうことになるわけですよ。 言うまでもなく、指紋を採取するということは、決して本人にとって愉快なことではありません。単にそういう感情的なものではなくて、指紋というのは最も基本的な本人に関する情報ですから、プライバシーの中核をなすものですね。みずからについての情報をみずから管理する、みずから処分の自由を持つ、他から強制的に取り上げられない、これがプライバシーの本質ですから、その最も基本である指紋について、今言ったような極めて薄弱な理由で在留外国人全員から採取をする、これはどうしても合理的な根拠に欠ける、こういう結論になるわけですけれどもね。何か、そうじゃないんだ、こういう合理的な理由があるんだという説明ができますか。
○黒木説明員 指紋制度を導入いたしましたのは、昭和二十年代、戦後の混乱の時期に非常に多くの不正登録があったという反省から発足したことは御承知のことと思いますが、現在の時点において、そういう昭和二十年代の混乱の時期と違うという問題はございます。 しかしながら、この指紋制度が、これは数字であらわすことはできないのでございますが、今そういう不正登録が減っているということは、一つは、指紋制度があるからこういう安定した制度になっているということも言えるわけでございまして、外国の例と我が国とは状況が違いますので一概には申せませんけれども、アメリカにおきましては第二次世界大戦からしばらくの間は外国人から指紋を押してもらっていたようでございますが、指紋制度を廃止した時期がございます。ところが、一九七九年、アメリカは永住外国人に限って指紋押捺の義務を復活したといういきさつがあるのでございますが、文献によりますと、アメリカが一九七九年に指紋制度を復活した理由は、その当時永住外国人に持たせております証明書の不正使用が、一三%であったと記憶しておりますが、一〇%を超える不正使用が顕著になってきたということで、これでは困るということで、一九七九年に永住外国人に限って指紋押捺制度を復活したというふうに聞いておりまして、我が国の場合、現在はそういう十数%という数字ではない、もっと微々たる数ではございますけれども、現在のこういう国際交流が大変活発になっているこの時代におきまして、アメリカのそういう例というのは私どもとしてもやはり参考にせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
○小澤(克)委員 今のお話で、戦後の混乱期に外登証の不正使用者がたくさんいたというお話がありましたけれども、それは事実だろうと思います。これは例えば米の配給を受けるために二重、三重に登録して配給を二重、三重に受けたというような、現在ではちょっと考えられないような状況下にあった話です。 それからもう一つ、この指紋制度の導入によってそのような不正の登録や不正の登録証の所持というものが大幅に減ったという話でしたが、これは事実と異なります。細かく時系列的にお話しする必要もないといいますか、時間もないかと思いますけれども、いわゆる①登録、②登録、それからその後の切りかえ等が順次行われている間に、指紋制度実施のされた一九五五年ですか、それ以前の段階でいわゆる登録の混乱というものはほとんど終息していたというのが歴史的な事実なんですよ。 それからもう一つ、アメリカの例をおっしゃいましたけれども、アメリカの場合、中米諸国と陸続きであって、季節労働者等がたくさん入り込むといった事情があるということも聞いております。今日本でそんな状況がありますか。もしも不法入国、不法残留を制限するというのであれば、これは観光ピザで入国してそのまま残留して、そのままどこか都会へ潜り込んで仕事をしているということに尽きるのでして、そういう方がわざわざ正規の登録にあらわれるということは、これは実際には考えられないことですし、それから他人の登録証を所持しようなどということは、まず考えられないことではないでしょうかね、そうじゃありませんか。
○小林(俊)政府委員 もちろん我が国は、米国のように長い国境線を他国と接しているわけではございませんから、その点において入国管理という面から恵まれている点があるというのは事実でございます。しかしながら、だからといって我が国に不法入国あるいは我が国において不法残留をする外国人がいないわけではない。その数はもちろん正確に把握することは不可能でありますけれども、私どもの推計では不法入国、これは朝鮮半島からの入国者がほとんどでございますけれども、不法入国して大阪地区を中心として我が国全国にわたって潜在している不法入国者の数は、少なくとも万をもって数える人々に上るということでございます。また、不法残留をしている東南アジアを中心とする外国人の数も、これまた万をもって数えることができる状況に達しつつあるというふうに私どもは推計いたしておるのでありまして、潜在的に我が国の外国人登録制度を撹乱する要因は常に存在する、その数は、あるいはその規模は決して小さなものではないというのが私どもの認識でございます。
○小澤(克)委員 その不法入国者あるいは不法残留者が万のオーダーであるというお話、これは私も今聞いてびっくりしました。これは本当だとしたら大変なことだろうと思いますけれども、そういう方々が他人の外登証を入手して、そういうことによって残留している、入国状態を継続している、こういう御認識ですか。実際にはそんなことはないでしょう。ただ単に在留期間経過後もそのまま漫然と残っている、これが実態じゃないですか。
○小林(俊)政府委員 私は、これらの外国人の我が国における存在が外国人登録制度を撹乱する潜在的な要因であると申し上げたわけであります。なぜそれが潜在的なのかといえば、現在の外国人登録制度が極めて緻密に構成されているがために、これを容易に撹乱することができない、これを利用することができないということにあるわけでございまして、もしこれがもっとずさんなものであれば、彼らは喜んで正規在留者に成り済まして白昼大手を振って我が国の社会を横行することになるであろうということでございます。
○小澤(克)委員 よくわからぬのですけれども、どういうことですか。登録制度がもっとずさんだったら、本人でない者が役所にあらわれてだれかに成り済まして登録するとか、あるいは入国の証明を持たないままに何らか登録を受け付けてもらうとか、そんなことになりはしないか、こういうことでしょうか。
○小林(俊)政府委員 最も手軽に考えられることは、他人の登録証明書を所持して社会で生活するということであります。もっと少ない事例としては、成りかわって登録をみずから行うということもあり得るでありましょう。それは先ほど申されたように、だれか消すとかあるいは共謀するとかいうことが必要になるわけでありますけれども、それによって成りかわるということも物理的には考えられないわけではございません。現に過去におきましても、一部の地域から我が国に潜入した工作員が日本人に成りかわったというような嫌疑を持たれるケースが何件か報道されております。しかし、これらの人々の生活慣習、言語その他を考えれば、なぜわざわざ日本人に成りかわったのか、なぜ在日韓国人にあるいは在日朝鮮人に成りかわらなかったのかということを考えるならば、その背後に指紋制度というものの存在もあるのではないかということは容易に推定されるのであります。
○小澤(克)委員 全然容易に推定されないですよ。私にはその関連が全然わからない。風が吹けばおけ屋がもうかるのは容易に推定されるとおっしゃっているように私には聞こえます。だって、そうでしょう。まず日本人に成り済ます、この場合は外登証事務は何の関係もございませんわね。それから他人の外登証を何らか不正に入手して所持する、これは考えられることです。しかし、それを防ぐためであれば、先ほどから繰り返して申し上げているように、写真で十分です。写真の張りかえ等変造がしにくいようにしておけば、今回のラミネートカード化というのはそういう意味を持つのだろうと思いますけれども、それで十分なんですね。 そのほかに、さらに指紋の押捺を求め、それを外登証に転写しておくということがどれだけの意味を持つのか。先ほどからの説明では、全く説得的な説明がないわけですよ。それから、切りかえの際に前の人と同一人物であるかどうかが判明するというのも、これも実際には全く意味がない。二重に登録されている人が、本人が登録しているにもかかわらず、他人がもう一遍切りかえにあらわれるということは考えられないですし、そんなことをすればすぐ露見するだけですから。 そうすると、先ほどからの説明で唯一それらしい説明としては、他人の外登証を持ち歩くのについて、自分の指紋とそれからそこに転写されている指紋が違うということは何らか心理的な抑制効果があるということ、あるいはいろんな諸般の事情からどうも本人でないということが判明した際に、判明といいますか、そういう嫌疑を持った際に、最終的に、じゃ指紋を押してください、任意で押してくださいと言ったときに、相手が恐れ入りましたと言って強制捜査をしないで済む、この二つだけですね、明らかになったのは。 そのうちの心理的な抑制効果などというのは、これは実証的なデータでも出してもらわなければ答えになりません。何か社会学的な調査をして、アンケート調査か面接調査か何か知りませんけれども、果たしてそういう心理的な抑制効果があるのかどうか、そういうデータを出していただかなければ、到底そのままのみ込むことはできません。顔写真なんかだったらだれが見ても一見してわかりますから、他人の外登証を持っているというのは、それはそう平然とはしていられないでしょう。しかし、指紋なんというのは特殊な捜査をして初めてわかるものです、比較対照してですね。街角でだれかに提示を求められたりというようなときには写真の方がむしろ効果的なのであって、指紋についてはその場で比較対照するということは考えられない。その意味で、心理的な抑制効果というのは到底納得できないわけですね。強制捜査をするまでもなく、それなら本人であることを立証するために指紋押捺をしなさいと言った段階で恐れ入りましたと言う、これは全く理由になりません。そんなものは嫌だと言えば、最終的には強制捜査の手続をとらざるを得ないわけですからね。その程度の意味のために日本に在留する十六歳以上の方全員から、一年以内の方は例外ですけれども、指紋を一律に採取する、どうしてもこれは合理的な、基本的人権を制約する理由とは考えられないのですけれどもね。何か説明できますか。
○黒木説明員 先ほど来のお話は、主として携帯する登録証明書の指紋について、それが有効かどうかというお話と実は承っておったわけでございますが、今度の改正法におきましても、指紋は原則として最初の一回に限るのですけれども、切りかえの際に本人の容貌その他がどうも前回来た人物と違う、指紋によらなければ人物の同一性も確認できない場合には再押捺を求めるという案になっておりまして、先ほど来のお話の全く無意味になるというものではないということが一点。 それから、抑止効果というものを実証的にということでございますが、これは私も先ほど申しましたように、確かに数字であらわすということはなかなか困難であるということを申し上げたわけでございますが、時代は違うとは申せ、指紋制度のなかった昭和二十年代の不正登録が多発したという例、それからアメリカが指紋制度を廃止した後に一〇%を超える不正登録、登録証明書が流通したという、そういう外国の例を見てみますと、一概に指紋制度が無意味なものということは申し上げることはできないのじゃないかというふうに考えます。
○小澤(克)委員 先ほどから繰り返してお話ししているのでわかっていただいていると思ったのですが、切りかえに来た際に発覚するということは実際には全くあり得ないということなんですよ。そうでしょう。だって、他人の外登証を不正に入手して持っている者が役所に切りかえにのこのこあらわれるはずがないじゃないですか、既に本人が切りかえしていることがたちまちわかるわけですから。二重の切りかえを役所が受け付けるなんということはあり得ない。その場で露見いたしますよ。そうでしょう。だから考えられるのは、再び本人に切りかえをしてもらって、そして紛失したといってまた新たに別のを入手するしか考えられない。本人でない者がのこのこ行って本人であるといって切りかえの手続をするということは、本人を消してしまって本人に成りかわったケース以外には、こういう極端なケース以外には考えられないのですよ。そうじゃないですかね。そこのところ、どうなんですか。そういうことは普通に考えられる、今のはこういうお話なんでしょうか。本人以外の者が切りかえの手続にあらわれるということがあり得る、こういうことなんでしょうか。
○黒木説明員 これも最近の実例でございますが、日本に長く住んでいる外国人にとりましては、外国人登録制度ないしは指紋制度が大変厄介なものだということでいろいろ御批判があるわけですけれども、ジャパゆきさんの例でつい最近数件立て続けに出てきて、私どもちょっと対策を考えなければならないんじゃないかということで憂慮いたしておりますのは、そういう東南アジアから来た人たちが登録を二つも三つもつくるというケースがあるわけでございます。これは、私どもの方でその場では発見できません。Aの町で登録をし、次いでBの町で登録をするという形になりますので発見できないのですが、私ども、外国人登録は写票を全部中央に集中する形になっておりますので、この間たまたま同じ名前でAの町で登録しBの町で登録をする、ないしはAの町で指紋を押しBの町で指紋を押すということですので、数件最近発見された例は、これは一体何のためであるのか。 先ほどお話ございましたように、昭和二十年代、食糧難の時代でございまして、米の配給を二人分もらうために二つの登録をするというような不正が当時大変多かったと聞いておるわけでございますが、この落ちついた時代になぜわざわざ登録を二つしなければならないのか。ということは、これは私ども推測でございますが、そういった登録の需要があると申しますか、恐らく一つの登録では足らなくて、二つの登録をしなければならない潜在的な需要が最近また我が国の社会において出てきたのではないかということで、まだ具体的な対策というものはございませんけれども、何がしかの手だてを考えなければいかぬのではないかというのが現状で、数件と申しましたのは、それで終わってしまうのか、今後そういった状態が続いていくのか、もう少し見なければならないのですけれども、そういう状況もあるわけでございます。
○小澤(克)委員 結局今のお話は、紛失して再発行を受けたと同じような効果、つまり二重に登録をして、二重三重のものをもらって、その余った分をだれかほかの人にやる、こういうことを念頭に置いて言われたのだろうと思いますけれども、そうだとしても、先ほども言いましたように、指紋が押してあるということが他人の外登証を不正に所持していることを抑止する効果は、どこからどう考えても極めて希薄としか言いようがないのですよ。 写真ならば一見して他人の顔ですから、そういうものを持って大手を振って歩くというのはなかなか心理的にしにくいでしょう。しかし、指紋の場合には細かい手続をして、手続といいますか、インクをつけて、紙に押して、そして比較対照してみない限り、むしろ露見しにくいものなんですね。そうすると、他人の指紋がついている外登証だからどうも発見されやしないかというので、そういう抑止効果があると言われても全く納得できない、写真で十分ではないか、こういうことになるわけです。 突き詰めたところ、写真を見てもどうも本人じゃないようなのにその人が、いやこれは私の写真だと言い張る、いろいろな事情からしてもどうも本人でない要素が、いろいろ疑うに足る事情があるにもかかわらず、いやこれは私だと言い張る場合に、それじゃどうしても自分だと言い張るのなら指紋を押してください、そして比較対照してみればわかるじゃないか、こう言われた際に、しかも任意で、そう言われた際に、恐れ入りました、その効果だけですね。それであれば、本人でないことを疑うに足る各種資料をつけて強制捜査の手続をきちんととって、指紋の押捺を求めて比較対照すればいいわけですよ。いいといいますか、むしろそうすべきなんです。それが捜査法上の建前ですね。 議論にわたりますからこの程度にとどめますが、今までの御説明を聞いても、在留外国人から一律に指紋をとらなければならない理由というのがついに明らかにされなかった、こう考えるしかないわけです。とった方が便利だ、強制捜査までしなくても、恐れ入りましたと言ってくれればあと手続は助かるし本人も楽だろう、その程度の、便利だということで基本的人権である指紋を、本人の最も基本的なプライバシーである指紋を国家が、国家といいますか、この場合外国になるわけですけれども、管理するという合理的な理由にはなり得ないのです。人権を制約するにはどうしてもそうせざるを得ない十分合理的な理由がある場合に限るというのは、私が言うまでもなく現在の憲法上明らかなわけですからね。そのことを指摘しておきたいと思います。 それともう一つ指摘しておきたいのは、これまでの法務省の説明では、切りかえの際に本人であるかどうかを確認するためにどうしても指紋押捺が必要なんだという、この説明が全く破綻しているということです。先ほどから繰り返していますように、結局他人に成り済ましてのこのこ切りかえにあらわれるなどということは実際には考えられないわけですからね。 そして、今回のこの改正法によって、切りかえの際には原則として指紋押捺を求めることが必要でなくなった。不明確な場合、あるいはかつて採取した指紋が失われたような場合、あるいは指の方が失われたような場合に限ってその際にも指紋押捺を求めるということは、つまり日本に在留する外国人についてはとにかく常にクリアな指紋を採取し、それを保管しておきたい、その目的がむしろあらわになってしまっているわけですね。切りかえの際の云々というのは全く本質的な目的ではないということがあらわになっていると思います。 結局、これは何らか外国人が日本の治安目的に反するような活動があったときに、その現場に残された指紋等からそれがどこのだれであるかを即割り出す、そのために常にクリアな指紋を採取、保管しておきたい、こういうことなんですよ。すなわち、「外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資する」という目的とはおよそ違った、犯罪等治安目的に指紋を採取しておこうということに尽きるのではないかと思います。答えは求めません、そうじゃないと言うに決まっていますから。――では、まあいいでしょう。どうぞ。
○黒木説明員 今のをむしろ積極的に答弁させていただきたいと思うのですが、決して外国人登録上の指紋はそういう一般犯罪捜査の用に供するために採取し、保管しているものではございません。現に取り扱いにつきましても厳正に管理をいたしておりまして、お尋ねのようにどこかにあった遺留指紋と私どもの持っております指紋の照合というようなことも私どもいたしたことはございません。この点ははっきり申し上げておきたいと思います。
○小澤(克)委員 法務省に保管してある指紋について、捜査機関から照会があった場合はどうしますか。
○黒木説明員 私ども指紋をそういう一般犯罪捜査の用に供さないということは、特に対警察との関係におきましては徹底しておりまして、まず照会はございません。 ただ、全くないかといいますと、事実は時々ございます。しかし、これにつきましては、私どもの方といたしましては、そういう刑事訴訟法に基づく照会でございましても、先ほど来入管局長答弁いたしましたように、いろいろの行政の用に供するために登録事項については回答いたしますけれども、あわせてその人の指紋を回答してくれ、指紋のコピーをくれという照会に対しては、私どもこれは回答いたしかねるということでぴしゃっと回答いたしておりまして、そういったものが犯罪捜査機関の手に渡るということは原則としてございません。 例外がございます。例外は、その犯罪捜査がいわゆる窃盗とかといったものではなくて、外国人登録法違反にかかわる問題、すなわち登録されている人物はAなんだけれども実際はBではないかということの照会であれば、これはまさしく外国人登録の正確を期する上で捜査が行われているということでございますので、人物の入れかわりについて具体的な捜査が行われているという場合につきましては指紋を提供する場合がございますけれども、先ほど来お尋ねのような一般の、例えば窃盗とか殺人とかといったことで遺留指紋と照合ということを言ってまいれば、これについては一切答えないという取り扱いにしております。
○小澤(克)委員 今のお話の例外の場合ですけれども、どういうことになるのですか。捜査機関の方で強制捜査の正規の手続をとって、あるいは任意でということもあるのでしょうか、指紋の採取をした上で、そして比較対照のために法務省の方にその本人といいますか、最初に登録した際の指紋の照会を求める、こういう意味合いでしょうか。
○黒木説明員 申しわけございません、お声が小さくて聞き取れなかったのですが。済みません。
○小澤(克)委員 今の例外的に照会に応ずる場合というお話ですけれども、具体的には例えば捜査機関などの方でBならB、ある人の指紋を強制手続によって採取あるいは任意で採取した上で、そしてそれが登録してある本人の指紋と一致するかどうかを比較対照するために、法務省にその登録されている指紋を照会してくるといいますか、コピーを見せろ、具体的にはこういうことでしょうか。
○黒木説明員 そういう例が年に一件あるかないかという感じでございます。
○小澤(克)委員 結局、年に一回あるかないかのために指紋を全員から採取しておくということになってしまいますでしょう。先ほどから言っているように、他人の外登証を持っているということを防ぐのに本人に指紋押捺を求めることはほとんど意味がない。結局、捜査等が行われて最終的に確認する際の最後の決め手である、捜査機関からの照会に応じてコピーを渡す、そして対照してやはり本人ではなかったということがわかる、年に一件か二件、そのために在留外国人何十万から一律にあらかじめ指紋をとっておく、どうしてもそれだけの合理的な必要性が説明できないのです。私には納得できないとしか言いようがないですけれども、いかがですか。
○黒木説明員 先ほど申しましたように、私ども、指紋というのはあくまでも外国人登録の正確性を維持する上でということで、原則として捜査機関には渡さない、その中で、先ほど申し上げましたような場合、ごく限られた場合にだけ渡すということでございまして、その数が少ないことはむしろ法の目的にかなうものではないか。 それでもう一つは、指紋はそういう警察の捜査のためにだけとっておるのであれば、お話のように数が少ないから余り役に立たないのではないかということでございますが、その他の部分において、登録の正確性維持のために使われている指紋でございまして、ちょっと全体と部分というような関係のお尋ねではないかというふうに感じるわけでございます。
○小澤(克)委員 登録事務の正確性を維持するために指紋の押捺を求めているというのですが、先ほどからの議論の繰り返しになるかもしれませんけれども、もう一遍その意味をもう少し具体的に教えていただけませんか。指紋押捺を求めることがどうして外国人登録事務の正確性を維持することになるのか。先ほど言ったように、切りかえの際に他人がのこのこあらわれるのが露見する、そういった機能が全くないということがもう既に明らかになっていると思うのですけれども、なお正確性を維持するために最初に指紋を登録させておくというのは、具体的にはどういうことなんでしょうか。
○黒木説明員 お尋ねが各般にわたっておりますので、整理してまとめて申し上げますと、外国人登録をした人物、その人が登録をした人物であるかどうか特定するということがまず第一の目的でございます。 その次に、その人が切りかえのためとか再交付のためとか、二度目、三度目に出頭しました際に、前回の人物と今回の人物が同じであるかどうかということを確認するためにというのが二番目の目的でございます。 それから、登録証明書に指紋を押捺する、今度は押捺ではなくて転写という形になりますけれども、これは現場におきましてもし写真その他によってはどうも人物の同一人性の確認ができないという場合には、現場において即時的にと申しますか、先ほどお話のございましたように刑訴法でも身体拘束した場合でなければ指紋の押捺は強制できないのですけれども、ぎりぎりの場合そういう手段をとることによって現場において即時的に同一人性の確認を行うことができるというのが三番目の効用でございます。 それから四番目は、そういったものを総合いたしまして、先ほど来申しておりますような抑止効果と申しますか、そういった不正を思いとどまらせるという極めて大きな効果が指紋にはあるわけでございまして、今申しました四つの理論といいますか、目的があると理解しております。
○小澤(克)委員 繰り返しになりますけれども、今の四つですね。 まず最初の、登録のときにその本人を特定すると言いましたけれども、これは、最初の登録のときから他人が入れかわっておれば指紋を求めても何の意味もないし、それから最初に言いましたとおり、入国の際の査証等の発給事務においては指紋の採取をしておりませんから、登録の際に本人であるかどうかを特定するのに指紋押捺を求めることが何らかの効果、機能を発揮するということには到底ならないわけですね。 最初に登録した者が後で再びあらわれたときに同一人物かどうかを確認する、この二番目の機能は一応抽象的には考えられる。しかし、外登証を何らか不正に入手した者が本人に成り済まして切りかえの事務にあらわれるということはなかなか想像することはできない。二重に切りかえが行われるはずはありませんので、たちまち露見してしまう。唯一考えられるのは、本人を消してしまって本人に全く成りかわったときぐらいしか考えられない。その意味で、同一人性の確認というのも破綻しているのではないか。 それから、外登証に指紋を転写することによって不正使用、不正所持を防げるというのも、写真ならばまだしも、指紋が転写されておるということによってそんな効果があるとは思えない。 結局、心理的な抑止効果という極めてあいまいな、社会学的な実証も何にもなされていない、それだけなんですね。ただそれだけのために外国人在留者全員から一律に最も基本的なプライバシーである指紋を採取し、これを国家が管理するということは、重大な人権を制約するものであり、合理的な理由とは到底言えないということを繰り返し申し上げておきたいと思います。 あと三十分ばかりになりましたので、次の項目に移りたいと思います。 今回のいわゆる改正案には直接関連はないかと思いますが、外登法上の外登証の常時携帯義務に関しまして少し伺いたいと思います。 指紋押捺の問題もさることながら、この外登法が在日外国人に大きな不便や苦痛を与えているものに、外登証の常時携帯義務がございます。これについては、法の建前からいえば、いついかなるときでも外国人は外登証を携帯していなければならない、提示を求められればいつでも提示しなければならない、こういうことになっているわけでございます。しかし本来は、この外登法の制度目的が、外国人の身分関係、居住関係を明らかにするという制度目的である以上、常に外登証の所持を二十四時間いついかなるときでも現実に強制するということは、法の目的を超えたものがあろうかと思うわけでございまして、この点についてはかなり弾力的な運用がなされているというふうに伺っております。 一昨年でしたか、私、この外登法の関係で北九州、それから下関の方に党から調査に参ったことがありましたけれども、その際にも、ある警察署の署長さんのお話では、同一市町村内である限りは、たとえ外登証を持っていなくても、その者の住所と同一市町村内にいる限りは、そのことをもって常時携帯義務違反ということで立件をするということは実際にはしていない、こういうお話を伺ったこともあります。 それからもう一つ、交通検問の際に運転免許証の提示を求める、そして、免許証の表示から外国人であることが判明すると、じゃ外登証を見せるというケースが非常に多かったわけでございますが、これも運転免許証によってその外国人の身分関係、居住関係は既に明らかなわけですから、重ねて外登証の提示を求める合理的な理由は見出せない、こういうことから、これについても批判が非常に大きかったわけでございます。 そこで、これに関連いたしまして、昭和六十年の五月十四日ですか、閣議において法務大臣、それから自治大臣、自治大臣というよりは国家公安委員長という立場かと思いますが、との間で何らかの了解がなされたというふうに伺っておりますが、この事実関係について詳細を明らかにしていただきたいと思います。
○小林(俊)政府委員 昭和六十年五月十四日の閣議と申しますのは、御承知のように指紋の押捺方法についての変更を承認した閣議でございます。その場におきまして、当時の嶋崎大臣が、外国人登録証明書の常時携帯制度に関し、警察庁においても登録証明書の提示要求や不携帯事案の取り締まりについては、事案の性格にかんがみ適正妥当に行われるよう指導されていると承知しているが、その運用については、今後とも常識的かつ柔軟な姿勢で臨むよう指導願いたいという発言をされたわけでございます。これに対し、国家公安委員長から、法務大臣の発言の趣旨に沿った措置をとるというお答えをいただいたと承知いたしております。
○小澤(克)委員 こういうのは閣議の議事録に掲載されているものなんでしょうか。これは官房か何かじゃないとわからぬですかね。
○小林(俊)政府委員 閣議につきましては、議事録は作成されていないというふうに承知いたしておりますが、有権的な解釈ではございません。ただ、私どもはそう承知いたしております。
○小澤(克)委員 今法務省の方から、当時の嶋崎法務大臣の閣議の席上での御発言について御説明いただきました。ちょうどこの裏返しになりますので、警察庁の方にも来ていただいていると思いますので、今の法務大臣の発言及びこれに対する国家公安委員長のお答えについて、警察庁の側での事実認識といいますか、をここで確認させていただきたいと思います。
○国枝説明員 六十年五月十四日、閣議の席上、当時の国家公安委員長の発言ぶりでございますが、 警察は法の執行に当たっては、常に厳正公平、適正妥当を旨としている。 警察庁においても、外国人に対する登録証明書の提示要求や不携帯事案の取締りにおいては、外国人との言語、風俗、習慣等の相違に留意しつつ、常識的かつ柔軟な姿勢で、適正妥当に行われるよう指導しているところであるが、今後とも第一線において事案の性格に応じて、適正妥当な職務執行が行われるよう指導してまいりたい。 以上でございます。
○小澤(克)委員 この両大臣の発言はかなり抽象的だろうと思いますけれども、具体的に先ほどちょっと私が例を挙げました交通検問の際に自動的に外登証の提示を求めることはすべきでない、こういうことが議論になったり、あるいはそのような意見が表明されたりということはなかったのでしょうか。これはまず法務省の方から。
○小林(俊)政府委員 その問題は在留外国人の側から提起されて、折々私どもの耳に入っておりますので、問題意識としては持っておりましたけれども、閣議の席上、この発言に関連して特にその点が指摘されたということはないと承知いたしております。
○国枝説明員 その点について閣議で議論されたという点につきましては、私、個人的には承知いたしておりません。
○小澤(克)委員 その事実関係はわかりました。 そこで、この閣議における両大臣の了解に基づいて、その後、警察の内部でどのような手続といいますか、周知徹底が行われたか、事実関係を教えてください。
○国枝説明員 在留外国人に対します登録証明書の提示要求あるいは不携帯事案の取り締まりにつきましては、外国人との言語、風俗あるいは習慣、こういった相違に留意する必要があるのは当然でございますし、また、個々の事案ごとに地理的、時間的な条件ですとか被疑者の年齢あるいは境遇あるいは違反態様、こういったものを総合的に判断いたしまして、常識的かつ柔軟な姿勢で処理することが求められておるわけでございます、 警察庁といたしましては、この観点から、かねてより都道府県警察を指導してきたところでございますけれども、御指摘の六十年五片十四日の国家公安委員会委員長の発言も受けまして、全国会議の場において、この趣旨が第一線に徹底されますよう再度指示いたしております。その後も、機会をとらえて重ねて指導しているところでございます。
○小澤(克)委員 これは何か文書での通達等はないのでしょうか。
○国枝説明員 通達といったものは出しておりません。 ちなみに、その点につきましては若干御説明申し上げたいと存じますが、先ほど申し上げましたように、登録証明書の提示要求あるいは不携帯事案の取り締まりといいますものは、個々の事案ごとに常識的かつ柔軟な姿勢で処理することが求められておるわけでございまして、全国的に統一した対処基準を示すというのは困難であるわけでございます。この意味におきまして、通達という、いわば全国的に画一した運用基準を示すという形をとるよりも、口頭による指示が趣旨の徹底を図る上でより有効だと考えた次第でございます。
○小澤(克)委員 この携帯義務についての運用につきましては、他の委員会あるいは当委員会でも過去において何度か議論され、そして警察庁の方からもお答えをいただいているところでございます。 例を挙げますと、これは昭和六十年四月十九日の地方行政委員会におきまして、当時の我が党の山中末治委員の質問に対しまして、警察庁警償局長の柴田さんが政府委員として外登証の携帯義務に関しまして「一律の線引きは大変難しゅうございますけれども、事案の軽重に応じまして柔軟かつ常識的に処理していくべきもの、このように考えておる次第でございます。」こういうふうにもお答えいただいておりますし、それから昭和六十一年五月十四日、当法務委員会におきまして、これも我が党の天野委員からの質問に対しまして、警察庁警備局外事課長の笠井さんという方から「いずれにいたしましても、この外国人登録証明書不携帯事案につきましては法律は故意過失を問わず規定しておるところでありますけれども、具体的な取り締まりあるいは法の運用に当たりましてはおのずから事案の軽重があることは当然でありまして、捜査に当たりましても法の許す限り柔軟に取り扱ってまいる、さように指導もいたしておるところでございます。具体的な事案、態様に応じて常識的あるいは柔軟な線というのはおのずからあろうと思うわけでありますが、さような運用に努めてまいりたいと考えております。」こういうお答えをいただいているわけです。 したがいまして、警察当局の方針というのはある程度示されているわけでございますが、より具体的にもう少し説明していただけるとありがたいのですが、例えば先ほどから既に指摘しておりますけれども、交通検問の際に自動的に外登証の提示を求めるということは法の目的からしてもほとんど意味がなかろうかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
○国枝説明員 交通検問の際におきまして、外国人とわかると自動的に求めるというようなことは全くさせておらないし、現場においてもそういう措置はとっておらないというふうに理解いたしております。
○小澤(克)委員 今の趣旨は、警察庁として各警察に対してそのような指導をしている、こうお聞きしてよろしいでしょうか。
○国枝説明員 登録証明書の提示を求めるにつきましては、その職務上まさに必要がある場合に行っておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、交通検問の際に外国人であるというのがわかったというだけで登録証明書の提示を求めるというようなことはやらない旨の指導はやっております。
○小澤(克)委員 その点については大変明確なお答えで、大変結構だろうと思います。 あと、先ほどもちょっと紹介しましたが、一昨年でしたか、私が北九州あるいは下関に行った際に、警察署長さんがその居住の市町村内であれば外登証の不携帯を一々立件していないというお話がありました。これが統一的な指導であるかどうかは知りませんし、先ほどのお答えからすると必ずしもそうではないようなふうに聞こえましたけれども、それ自体は大変結構なことだろうと思います。 最近は国民の、外国人ですけれども、住民の生活圏も非常に広まっておりますし、これはいろいろな経済的な一体感とか、あるいは通勤圏が非常に広がっているとか、商売上の取引なども非常に広域化しているということだろうと思いますけれども、そういたしますと、特に旅行とかいうことでなくとも、あるいは出張とかいうことでなくとも、日常的に他の市町村に行くということはごく普通のことではなかろうかと思うわけです。そういたしますと、同一市町村内ではというのはちょっと狭さに失するのではないか。日常的に行動している範囲内でたまたま外登証を失念して家を出るときに持って出なかったというような場合も一々立件するのは、柔軟な姿勢で適正妥当にという線からいたしますと問題ではなかろうかと思うわけでございます。せめて同一都道府県内ぐらいまで広げていただければ、この外登証の常時携帯義務によるところの外国人の不便、苦痛というものが多少なりとも緩和するのではないかと思いますが、その辺いかがでしょうか。今後の運用方針みたいなものをお聞かせいただきたいわけです。
○国枝説明員 運用面で携帯義務の範囲を定めると申しましょうか、弾力的な運用を図れないかという御質問だと理解いたしますが、まず、同一市町村内では携帯義務がない、あるいは運用面でかように取り扱っておるというようなことはございません。先ほども申し上げましたように、警察官がその現場におきまして職務の執行に当たる際に、例えば職務質問等を行う、そして身分関係等を確認する必要があるときに外国人の方に対しましては登録証明書の提示を求めておるわけでございまして、同一市町村内では提示を求めない、あるいは都道府県内では提示を求めないといった統一した基準を示せる性格のものではないわけでございます。 ただ、不携帯事案の取り締まりに当たりましては、当初申し上げましたように法の許す限り常識的かつ柔軟に取り扱うよう各県を指導しておるところでございます。
○小澤(克)委員 ちょっと勘違いしておられるようですが、提示を求めないということじゃないのですね。不携帯について一々立件しない、こういうふうに聞いておるわけです。
○国枝説明員 おのずから当該事案の軽重もあろうかと思われます。したがいまして、その同一市町村内あるいは同一都道府県内で立件しないという統一的な基準を示すのはいささか困難か、かように考えます。
○小澤(克)委員 同一市町村内であれば一々立件していないというのは、そういうことはないと先ほどおっしゃいましたけれども、これは私自身が調査に行ってある警察署長さんからはっきり聞いたことでございまして、そんなことないとおっしゃられると、私大変困ります。この委員会で当委員がうそを言っているということになりかねませんので、中央省庁としては承知していない、あるいはそういう指導はしていないという趣旨に聞いておきます。もしそうでないとおっしゃるのであれば、ちょっと私としても穏やかでないところですからね。 それはともかくといたしまして、同一市町村とかあるいは同一都道府県とかいう言い方は、今のお話のとおりなかなか一律に言いがたい、個々の事情もあろうからというのは、確かに運用なさる方からすればそうだろうと思います。市町村とかあるいは都道府県というような基準を一たん示したら、その一歩外ならば立件するが内ならば立件すべきでないというようなことになりかねない、そういうことは言いにくいというお立場はよくわかります。したがって、そういう一律の言い方はしにくいだろうと思いますけれども、しかし私が先ほど指摘しましたとおり、経済的な一体性とかあるいは通勤圏の拡大、商圏の拡大等で、日ごろの行動圏が、宿泊をしない一日内での行動圏というものが非常に拡大している今の実情にかんがみて、不携帯について、たまたま家を出るときに忘れてきたというようなものについて、より広い範囲内で居住地からさほど隔たってない限りは立件しないといいますか、弾力的な運用をしようということが妥当ではなかろうかと思います。一律に都道府県とか市町村とかいうのは言いがたいといたしましても、今言ったように日ごろの行動圏、日常の行動圏に関しては弾力的な運用が必要ではないかと思いますが、そのようなお考えはありませんでしょうか。
○国枝説明員 先ほど来申し上げておりますごとく、統一的な基準を示すというのは非常に難しいわけでございます。ただ、よく問題になります例えばふろ屋に行くときはどうか、あるいは近所の商店に買い物に行くときはどうかというような事例が指摘されておるようでありますが、こういう点につきましては、一般的に私どもたまたま登録証明書を忘れてしまったという場合まで取り締まるべきだというような考えは全く持っておりません。
○小澤(克)委員 ふろ屋に行くときとか近所の買い物というのは、これはもうむしろ当然だろうと思うわけですね。私が今質問し、あるいはむしろお願いしているのは、そのようなげた履きやサンダル履きで行く程度からさらに広げて、一日の行動圏くらいは弾力的な運用をすべきであるというふうに思うわけでございまして、なかなかいいお答えをいただけないようですけれども、ぜひこの点については今後とも外国人に不必要な苦痛や不便を強いないという観点から御検討いただきたいと思うわけでございます。 時間も余りなくなりましたけれども、先ほどからこの外登証の常時携帯義務について弾力的運用という方針がいろいろ示され、あるいは閣議で了解事項になったということも披露していただいたわけでございますけれども、現実には第一線では決してそのようになされていない例があるわけでございます。 細かい事案について質問通告をしておりませんので事実確認ということはできないでしょうし、そこは求めませんけれども、私の方で知っているだけでも、例えばこの閣議口頭了解があったのが昭和六十年でございますが、一九八六年、昨年ですから、これはこの閣議了解の後でございますけれども、一九八六年の三月に東京で李勝順さんという方、本来の読み方はちょっと私わかりませんが、その方が自動車を運転中に、一時停止義務違反ということで呼びとめられて、交通違反の取り調べを受けたわけです。その際に、外登証の不携帯を理由に警察署に連行されて、そして家族が登録証を持ってその警察署に行ったにもかかわらず留置をされまして、翌日までとにかく一晩泊められて、翌日には手錠、腰縄、これは現行犯逮捕という扱いでしょうね、そして写真を撮られ、十指の指紋それから掌紋までとられたというケースがございます。 これは、もし今事実がわかれば御確認いただきたいのですが、事前に通告しておりませんので多分わからないだろうと思いますけれども、このケースなどは免許証で居住関係、身分関係は明らかなわけです。一時停止義務違反ですから、その場で切符を切れば済むはずのものでございます。それにもかかわらず留置された。これは結局現行犯逮捕ということになるのだろうと思います、そうでなければ一晩泊める理由はありませんので。これなどは人権上極めて不当な扱いでありますし、また、閣議了解にももとるケースだろうと思います。 この件については結局刑事処分は不起訴となったわけでございますけれども、このような運用がその後もあるということを私の方で承知しているわけですけれども、どうなんですか、その周知徹底を欠いているのではないかという気がいたしますが、その辺いかがでしょうか。
○国枝説明員 御指摘の事案につきまして、私手元に事案の概要のみを持っておりまして、詳しくは調査いたしておりません。ちょっと前置きを言わせていただきますが。 事案につきましては、昨年の三月十六日に葛西警察署の管内で外勤警察官が一時不停止の車両を現認しまして、運転免許証の提示を求めたようでございます。その際、この方は運転免許証が不携帯でございました。そこで、一時停止違反といたしまして派出所に任意同行を求めたわけであります。あわせて、この方の身分事項等を確認する必要があったものでございますから、外国人登録証明書の提示を求めた。しかしながら、登録証明書についても不携帯であるという供述を得たようであります。さらに、現住所等について聴取を試みたわけですが、供述にあいまいな点があり、判然としなかったということで、外国人登録証明書の不携帯で現行犯逮捕した。 概要以上のとおりでございます。
○小澤(克)委員 今概要の御説明がありましたけれども、私は、このケースは口頭了解が生かされてない典型的なケースだろうと思います。不起訴になっております。不起訴にする、しないは検察庁の判断ですから、結果的に不起訴になったんだと警察の方でおっしゃるでしょうけれども、結局不起訴になるものを強制捜査するということは、人権上非常に問題であろうかと思うわけでございます。このようなケースが今後再び起こらないように、ぜひ周知徹底をしていただきたいと思うわけです。 時間が来ましたから、それではまだ午後にも時間がありますので引き続いて質問させていただくことにしまして、とりあえずここで終わらせていただきます。
○大塚委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十二分開議
○井出委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。 外国人登録法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。中村巖君。
○中村(巖)委員 現行の外国人登録法につきましては、昭和五十七年の改正後も、私どもは党として指紋押捺制度は全廃をすべきである、さらに常時携帯制度もやめるべきであるということで、厳しく批判をしてきたところでございます。ところが今回、先般の国会に外国人登録法の一部を改正する法律案が提出されまして、先般の国会では審議をされずに今回に及んだわけでございます。私どもといたしましては、この法律案に対しましては納得することはできないという立場で臨まざるを得ないわけでありまして、そういう立場から今回御質問を申し上げようということでございます。 今回の改正案の骨子は、常時携帯制度については全く手を触れることなく、そして指紋押捺については一回限り、こういうことでございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように指紋押捺制度も全廃すべきであるし、常時携帯制度もやめるべきである、こういう考え方でございまして、まずこのような指紋押捺制度さらには常時携帯制度というものを今日なお維持していくことは、今日の社会の状況にそぐわないものではないかというふうに思っているわけでございます。 まず第一に、そういうことで今回このような改正案を出される、言ってみれば大変不完全な、別な言い方をすれば中途半端な改正案をどうして出してこられたのか、その辺のことから御説明を承りたいと思います。
○小林(俊)政府委員 在留する外国人の身分関係、居住関係を的確、正確に把握するという必要は、諸般の行政上の事情に基づくものでございまして、依然としてあるわけでございます。しかしながら、一方においてこれを取り巻く諸事情というものがございますし、対象となる外国人の側の事情あるいは受けとめ方という問題もあるわけでございます。したがいまして、あるべき姿というのは、こうした両側面からの事情の上に立って妥当なバランスを求めていくということであろうかと思います。 戦後、昭和二十二年に外国人登録令が制定されまして、これが昭和二十七年、外国人登録法に受け継がれて、今日まで外国人登録制度として機能してきておるわけでございます。この間におきまして、何度がにわたって大きな制度の改正が行われてまいっております。改正の方向はいずれも対象となる外国人にとっての負担を軽減する方向で行われてきたわけでございまして、御承知のように昭和五十七年の最後の大きな改正におきましては、指紋の押捺義務年齢をその他の義務とともに十四歳から十六歳に引き上げる、あるいは切りかえの期間を三年から五年に延長するというような改正が行われたわけでございます。 そうした改正が今日まで行われてきたのは、この制度を取り巻く諸事情に関する認識に基づくものでございまして、午前中も小澤先生から御指摘がありましたように、現在の状況は昭和二十年代の混乱した状況とは違うではないか、それはそのとおりでございます。全般的には戦後数十年の間に情勢は徐々に安定、改善の方向に向かって今日に至っているということでございます。そうした情勢の推移に相応してこうした改正が行われてきたわけでございます。今回の改正もそうした妥当なバランスを模索する、求める一つの努力のあらわれであるとおとりいただいてよろしいかと存じます。 特に今回の改正において顕著な点は、今回の改正が管理の対象となる在留外国人の側における強い要望あるいは希望というものに応じて行われようとしている、提案されているという点でございます。この点において、その五十七年までの改正が緩和の方向をたどってきてはおりますけれども、それが主体的には政府のこの制度を取り巻く諸事情に関する認識を念頭に置き、また行政に関する合理性、合理化という点を念頭に置いて行われてきたということでございまして、いずれにせよ、この制度を取り巻く諸事情に関する認識に基づいて行われてきた、あるいは現在提案されているという点においては共通する点がございますが、その内容において若干のニュアンスの差があるということは言い得るかと存じます。
○中村(巖)委員 この制度を取り巻く諸状況の認識によって今回のような改正案になったということでありますけれども、私ども、この衆議院の法務委員会においてもあるいはまたその他の委員会においても、法務省に対しまして、この法案が提出される直前まで、現行の外国人登録法を改正すべきであるということを主張してまいりました。それに対しまして法務省の方は、現行の制度が最善であるというお立場で今日まで答えてこられたわけでありますけれども、それが突如としてというか、言ってみればかなり唐突にこういう形になって出てきたということについては、それは取り巻く諸情勢という抽象的な言い方で言えばそうでありましょうけれども、具体的にどういうことが契機になってこういうことになってきたのか、その点を御説明ください。
○遠藤国務大臣 この問題については、今先生からお話しのとおり、公明党さんや何かからは指紋の押捺はやめたらいいのじゃないか、常時携帯というのも廃止してはどうかということは、私もこのような立場になる前から承知をいたしております。それから、外国人の方々からもいろいろなこの問題についての議論も承知をいたしており、また先生御承知のとおり、韓国の大統領が日本においでになった際にも登録法の改善方の要請を受けておる、そういうふうな点もございまして、その後に自分がこのような立場になった際に、せっかく今国際日本とも言われる日本が、日本人はもちろんのことでございますが、日本においでになる外国人に対してももっと快適な生活が営まれるような方法に改善できないかということで、私自身も就任当初からこの問題について意欲を持ったわけであり、また、総理からもぜひ何とか改善してほしいというようなお話もございまして、いろいろ局長や何かとも御相談をしたわけですけれども、政府側といいましょうか、やはり役所というのは、法務大臣としてではなく個人的なお話をまぜ入れて恐縮でございますが、石橋をたたいて渡るというか、渡らないというのが役所の姿かなという感じもいたします。そういうような点で、大分ガードがかたい、しかし何としても一歩前進せしめたいという気持ちがいっぱいでございました。 そのような経過から、先生御承知のとおり三年が五年ということで五十七年に改正しておるわけですけれども、五年にしろその都度指紋の押捺をしていくということは、やはりただ単に自分が何かに用足しに行って品物を受け取るときに印鑑を持っていなかったからといって我々が印鑑のかわりに拇印を押すという気楽な気持ちで押すのとは異なって、何となく抵抗を感じ、人権尊重という意味からいっても考えさせられるのだろうなということは、私自身もひしひしと感じております。 そういうような点でいろいろ検討したのですが、最終的にどうしてもこの指紋問題というのが政府側の見解がかたい、そういうふうなことで一回限りということで、しかもさきに指紋を押されている方々に対してはもう必要がない、そういう制度に進めていこうということになり、たまたま総理も韓国に出向いた際に韓国の大統領にもお話を申し上げたところ、大統領からは大変前進されて敬意を表するということで御快諾とけいましょうか、総理に対してあいさつがあったというようなことも承知をいたしており、しかしその後ももろもろの方々から何とかならぬか、指紋押捺を廃止することができないかというようなことでございましたが、私としてこれ以上その問題にとらわれていると、一回限りの提案もできなくなると、また五年ごとに外国人の方々に対して御迷惑をかける、そうして拒否したとかしないとかいうことでいろいろ不愉快な印象を与えるということもどうか、こういうような点で提出をいたしたというわけでございます。そのような点もひとつ十分御理解をちょうだいいたしたい。 先生の心情と私個人の心情は同じような立場でございますけれども、とにかく前進だと、そしてまたこれが完璧かどうかということについては、なじんで、これが定着した姿を見て再検討するという場合もあり得ると思いますが、とにかくさしあたって今指紋問題で大変迷惑をされている方もたくさんあるようでございまして、外国に行きたい、それが拒否しておるために帰ってこれないというようなことになって大変迷惑をかけているということも承知をいたしておりますので、一歩前進だということでひとつ御理解をちょうだいしたいというようなことで提出をいたしたというわけでございますので、その点ひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○中村(巖)委員 大臣個人の善意は疑わないとしても、大臣と役所という立場で、二つの立場を分裂させてお話をしていただくと大変に困るわけでございます。 大臣のお話の中で、大臣はでき得べくんば全廃をしたいという考えがあるけれども、役所の立場はかたいのだ、こういうお話でありまして、何で役所の立場がそうかたいのかということ、さらには一歩前進であるというお話でありますけれども、やはり在留外国人の方々の中には、一度もう既に押してある人については指紋をとらないのだというようなことであっても、今後なお指紋をとる場合があるということであっては、一歩前進というよりも五十歩百歩ではないか、同じようなものではないか、指紋制度そのものがけしからぬのだ、こういう考え方が多分にあるわけでございまして、この辺のことについて役所としてはどう考えるのか、お答えをいただきたいと思います。
○遠藤国務大臣 この制度が正確な外国人の登録を維持するために果たしてきた役割は大きい、こういうふうなことで、先ほど小澤先生からもいろいろお尋ねがあり、それに役所としてお答えをいたしておりますけれども、大変例を例えて失礼な話でございますが、自分たちも家庭において十分火の用心はしておりますけれども、火災保険をつけているというような気持ちが役所にある。もしもということで万全を期していきたい、そして外国人の登録された方々に不愉快な感じを与えないで快適な生活が送られるような方途を志向していきたいというのが役所の意思であるということで御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○中村(巖)委員 大臣は大変概括的に答えられるから、非常にこっちも困ってしまうのですけれども。大臣がお立ちになられたのでついでにお聞きをいたしておきますけれども、局長も要するに社会の状況に応じてその制度というものが構築をされなければならない、こういうことでありまして、まさしくそういうものでありましょう。法律制度というものは、やはりその社会状況に応じて、必要性がある限度で最小限の制度というものが構築をされなければならない、こういうふうに思っているわけであります。 そこで、社会状況の認識というものが、これは大変重要だということは疑いもないところでありますけれども、現在の社会状況をどういうふうに見るのか。外国人登録法との兼ね合いで見た場合において、私はこの外国人登録法の背景というか、それは二つのものを考えなければならないというふうに思っているわけでございます。 その一つはやはり在日の韓国、朝鮮人、さらには中国、台湾人という方々の面から見た状況というもの、もう一つは日本の国際化という方面から見た状況という問題があろうと思うのです。 第一の面について言うならば、在日の韓国、朝鮮人あるいは中国、台湾人というものは、これは言ってみればもう定住外国人であるということで、最近来られた方もそれは中にはおられるかもしれないけれども、もう戦前からずっと日本に住んでおられる。戦前の時代においては日本人であったということでありますし、そういう中で大正年間に日本に来られた方々、そういう方々の場合にはもう既に三世から四世が十六歳というような年齢を迎える時代である。あるいはまた昭和十五、六年、あるいは六、七年に来られた方の場合にあっても、これがもはや三世が指紋押捺を強制をさせられる、そういう時代になっている。それと同時に、その人たちは三世、四世でありますから、日本の世の中に本当に定着して、日本の学校にも行き、日本のもろもろの社会制度にもなじみ、日本語をしゃべり、日本人と少しも変わった状況がない。たまたま戦後、たまたまというのもおかしいですけれども、戦後、日本の敗戦の結果として、その人たちは外国人であるということに、日本人から今度は外国人に国籍がなってしまう。 そういう人たちは、そういう形で日本に定住をしながら、国籍という面ではやはり祖国というものを国籍にしておきたい、しかし日本の社会で半永久的に暮らしていくのだ、こういう人たちが今もう大変な多数に上っているわけです。そういう人たちに対する問題というものを考えてみまするときに、そういう人たちを、おまえたちは外国人なのだから外国人として管理しなければならぬのだというようなふうに考えるのが必要なのかどうか、今そういう必要な状況なのかどうかということを考えなければならないだろうというふうに思っているわけです。 〔井出委員長代理退席、委員長着席〕 第二点目には、大臣も先ほど国際化の時代である、国際日本だ、こういうふうにおっしゃられましたけれども、まさしく今多くの方々が外国から日本に来られる、日本で住んでおられる。あるいはまた日本人の多くが外国へ出かけていって、外国で一年、二年、三年、五年と暮らしていく。外国から日本に来られた方も日本で三年、五年、七年と暮らしていかれる、こういう時代であります。そして、その種の交流というもの、国際的な交流というものが頻繁になっていかなければ本当の国際化時代ではないということになるわけです。こういう国際化時代に即応するためには、何と言っても、外国の方々が日本に来られてもできるだけその規制を受けない、束縛を受けない、こういうことが必要なのであって、そういう外国から来た人たちに対していろいろな差別がなされるということであっては、やはり国際国家日本ということは実現をされないわけであります。 そういうようなことが今のもう一面の社会状況であるというふうに思っておりますけれども、このような今私が申し上げたような所見に対して、大臣の御所感はいかがでしょうか。
○遠藤国務大臣 私も先ほど申し上げたように、国際日本としての立場、あり方、かつての日本ならばという話も先生からございましたけれども、今外国の方々でも二世、三世は、ふるさとは日本です。本来の日本の国民よりももっと自分のふるさとを愛している方々がほとんどだと私も思っております。しかし、日本のすべての環境がまだその熟度に行っていないということはあるのではないかな、こういうふうに私は感じておるわけでございまして、いずれ先生御期待のような方向に進むことを私自身も希望いたしておるわけでございます。しかし、それを待っておったのではという気持ちも私自身持っており、外国人だからといって人種差別とか偏見とか、そういうふうな目で見られておるのではないか。永住者のいろいろな方々とお会いしてみて、その方々の中にもそういうふうなあれも日本の役所の姿勢にあるためにもろもろの反発もある。やはり相互理解ということがもっと大切だな、こういうふうなことで、端的に申し上げますれば、先生の御希望のような方向に行くにはいま少し熟度を必要とする、そういうふうな点で私自身も努力いたしたい、こう考えております。
○中村(巖)委員 今の点で言えば、そういう定住外国人の方、しかもなおかつ三世、四世であるということになると、例えば韓国の方であっても朝鮮の方であっても、朝鮮語は知らない、自分の親も自分も朝鮮、韓国へ帰ったこともないし、韓国というのは見たことがない。言ってみれば、大臣の言われるように日本というものが、国籍こそ違えいわば自分の愛する国である、こういう方々がいっぱいいるわけですね。一部には日本に対して反感を持っている人もいるかもわからないけれども、多くの方々はそういうことで暮らしておられるわけです。それが、おまえはとにかく外国人なんだから指紋を押さなければいけないよ、こういうことではまことに切ない話ではないかというふうに、大変アバウトな話でありますけれども私は感じるわけなので、その辺、大臣としても、これから時代がもっとたてば何とかなるだろうというのではなくて、やはりもうちょっと前向きでお考えをいただかなければいかぬのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
○遠藤国務大臣 先ほど申し上げたとおりで、自分も大臣就任劈頭にこの問題を取り上げ、もろもろの御批判も受け、また要請も受けて今日まで検討してきたぎりぎりの線がここに到来したというわけでございますので、私自身としてもっと何とかならぬかなということで努力をいたしました。しかし、法務大臣としての私のあとというのは大体日にち計算でわかるようなわけでございますので、何とかささやかなりとも登録者の方々の希望の一部分を果たしたい、こういうふうな気持ちで努力したことをひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○中村(巖)委員 それと同時に、先ほどの御説明の中にもありましたけれども、それからまた私の話とも関連をいたしますけれども、やはり多くの在日同胞を持っている国の方におきましても、日本に自分らの同胞を在留させている、その在留をさせている自分らの同胞が指紋押捺というようないわば人権侵害的な処遇を受けているということについては多大な関心があるだろうというふうに思っております。 その中で、やはり韓国がこの問題に関心を持っていろいろ日本に対して申し入れをし、また日本に対して要求をしているということを承知をしているわけでありますけれども、外務省お見えでございましょうから、韓国、別に韓国だけをとらえるわけではありませんけれども、韓国が一つの代表的な例といたしまして、韓国から今日までこの問題についてどういうような要求があり、また、韓国との間にどのような折衝があって今日に至っているかということを御説明をいただきたいと思います。
○高野説明員 お答え申し上げます。 今御指摘のとおり、韓国側は非常な関心を持っておりまして、従来より外国人登録法上の指紋押捺義務、それから登録証明書の常時携帯義務の廃止などを我が方に対して要望してきております。これに対して外務省の立場といたしましては、このような韓国政府の要望を所管官庁たる法務省の方に申し上げまして、その研究、検討方を依頼してきた次第でございます。 このような中で、法務省を中心として政府部内で研究、検討を経まして、昨年の九月でございますが、日韓の首脳会談において中曽根総理から韓国の全斗煥大統領に対しまして、指紋の押捺を原則として一回とするということと登録証明書をカード化するということを内容とする外国人登録法改正法案を次期通常国会に提出いたしますという旨を表明されまして、これに対して、全斗煥大統領からはこれを評価されたという経緯がございます。この法案に関しましてはその後具体化してきたわけでございますが、韓国側は我が方のこのような努力に対しまして、これが昨年の今申し上げました日韓首脳会談の合意に沿ったものであるという評価をした上で、その早期の成立を要望しているというのが現状でございます。 他方において、もちろん指紋押捺義務年齢の引き上げ、あるいは登録証明書の常時携帯義務の緩和等の点ではこの法案は必ずしもまだ十分なものではないということ、その点で一層の改善方も要望をしてきておりますし、また、究極的には指紋押捺義務あるいは登録証明書の常時携帯義務等は廃止されることを希望するというのが韓国側の立場であるということもあわせて我が方に申し入れ、表明してきております。これに対しまして、我が方からは、この現在の法案の早期成立に努力するという点と、この法案は現時点では最善の措置であるということについて韓国側に対して御説明しているという状態でございます。
○中村(巖)委員 外務省にもう一点お尋ねしますけれども、その日韓首脳会談での中曽根総理の約束というか、そういうものは外交上で言えばどういうふうに評価をされるわけですか。 ただ単なる中曽根総理の発言というふうに理解されるのですか。やはり一つの公約である、公約というか、公的な約束であるというふうに評価をされるのでしょうか。
○高野説明員 今の点でございますが、当時の総理から御発言いただいた点に関しましては、今概要申し上げましたとおりでございます。改正内容についてはまだ結論に至っていないが、指紋は最初の押捺の後は特に必要のある場合を除き重ねてその押捺を求めない、すなわち一回にする、それから永住外国人を対象に携帯の便に資するため証明書をカード化するということを検討中だということを申し上げ、これに対して全斗煥大統領からは、この努力を評価するという御発言があったわけでございます。 以上のような首脳間の御発言ということでございますが、法律的な意味で日韓間あるいは国際間の約束というものではないということでございます。
○中村(巖)委員 では外務省、結構です。 そこで、今までの話、質疑を前提にして、指紋押捺制度というものが今日なおこれを存続をさせなければならない、今回の改正法の形でも、つまり一回というような形ででも存続をさせなければならない積極的な理由これはどういうことでしょうか。
○小林(俊)政府委員 この問題について検討するに当たって最もわかりやすいのは、先ほど申し上げましたようなこの制度が導入された経緯を振り返ることであります。 ということは、午前中の委員会におきまして小澤先生が、終戦後の混乱した時代におきましては配給の二重三重受給というような非常に特殊な要因があって、それで登録制度が混乱したというふうにおっしゃられました。そういう面も確かにございました。しかし、それだけではありません。当時極めて多数の朝鮮半島出身者が我が国に不正規に流入をしてきておったという事実があるわけであります。これらの人々に正規在留者を装わせるために、登録証明書を不正に入手して所持せしめたという事実があるわけであります。 確かに配給制度は今やないに等しい。しかしながら、朝鮮半島からの不法入国者の流入という現象はいまだに続いているわけであります。一時、かなりこの動きが下火になったというふうに認識される時代もございました。しかしながら近年、特に一九七三年の石油危機後における韓国からの労働者の出稼ぎ先である中近東諸国の景気が異常な低迷を来して、多くが本国に引き揚げざるを得ないといったような状況の中で、我が国に出稼ぎのために密航してくる人々の数は、近年においては、特に一昨年末あたりからは再び増加の動きを見せているわけであります。もちろんその総体的な実態を明確に把握することは事の性質上不可能でありますけれども、摘発された事例を分析することによってこのような情勢を把握することができるのであります。したがって、終戦後の混乱した時期に比較すれば量的には確かにその規模は少なくなっている、小さくなっているとは言えるかもしれませんけれども、現象そのものは依然として存在する。 そしてまたそのほかに、これもまた午前中に指摘申し上げた点でございますけれども、周辺東南アジア諸国からの合法的に入国した人々の不法残留という案件が極めて激しい勢いで増加しているという事実もあるわけであります。これらの人々につきましては、いまだ国内に同国人のコミュニティーが存在いたしませんので、登録制度の悪用という面においての広がりは抑えられておりますけれども、しかしながら潜在的には外国人登録制度を撹乱する非常に重要な要因であるということは言い得るわけでございまして、こうした不法入国者、不法残留者の存在というものが現在なお外国人登録制度の正確性を維持するために所要の手当てを要する事情としてあるわけでございます。指紋制度はその一環というふうに御理解願いたいと思います。
○中村(巖)委員 今の御説明によると、要するに出入国管理が不十分である、それを補完するために指紋押捺を伴うところの登録制度を維持をしていかなければならない、こういうように聞こえますが、いかがでしょうか。
○小林(俊)政府委員 午前中の委員会の冒頭で御説明申し上げたことでございますけれども、出入国管理法というものと外国人登録法というものは相補ってその目的を達成しようというふうに位置づけられておるものでございます。したがいまして、外国人登録法が、あるいは外国人登録制度が出入国管理の目的に供されるということは大いにあり得るわけでございまして、それだけではございません、その他の行政にも利用されているわけでございますけれども、出入国管理の適正な実施に資するという点は、これは法律がそもそも立法の趣旨として、目的としているところでございます。
○中村(巖)委員 仮に不法入国者というものがある程度の数、常時あると仮定いたしましても、指紋押捺制度があればそういうものを防ぐことができる、そういうものを発見することができる、そういうことになるのかどうか。その間の脈絡というか論理、これを御説明をいただきたい。
○小林(俊)政府委員 不法入国者は、もし登録制度においてその緻密さに欠ける点があるとすれば、恐らく容易に正規在留者を装うことを試みると思われます。それが現在それほど広がりを見せていないのは、指紋制度を含めて登録制度というものが極めて緻密に構成され、構築され、維持されているからであります。言いかえれば、不法入国者は白昼堂々と大手を振って歩けないという状況にあるのは、まさに指紋制度を含む登録制度の反射効果と言ってもよろしいかと存じます。その面におきましては、その目的あるいはその機能を発揮しているということが言い得るものと私どもは考えております。
○中村(巖)委員 いや、登録制度そのものに対しては私ども別にどうこう言っているわけではないのでありますし、あるいはまた登録制度の中で写真を登録しておくということについても、あるいはまた登録制度の一環として登録証の中に写真を何らかの形で掲げておくということについても、別にどうこう言っているわけではありませんけれども、今指紋というものが必須なんだ、指紋がなければ写真を含む登録制度があっても、おっしゃられるような不法入国者に対しての諸管理というものが行えないんだということはなかなか理解がしにくいわけです。なぜそういうふうに考えるわけですか。
○小林(俊)政府委員 昭和二十二年に外国人登録制度が発足いたしました当時におきましては、指紋制度というものは存在しなかったわけであります。当時は人物の特定、人物の同一人性の確認は専ら写真を中心にして行われておったという事実がございます。そういう状況のもとで、登録証明書の不正流通と申しますか、不正行使というものが非常に広範に行われたという状況に対応するために、その後になって、すなわち昭和二十七年になって指紋制度というものが導入されたという経緯を振り返って御考慮をいただけるならば、写真だけでは十分ではなかったという歴史的な事実があったということを御考慮願えるならば、指紋制度というものの必要性あるいはその効果ということについても御理解を願えるものと存じます。
○中村(巖)委員 しかし、御自身がみずから言われておるように、指紋制度が採用せられない以前というものは終戦直後でありまして、そのときには社会状況は大変混乱をしておった、あるいはまた配給制度その他というものがあった。そういうような状況が全く違う、それを持ってきてその時代の実例がこうだから今後もそうであろうというふうに推測をするのは筋違いだと私は思いますけれども、要するに今日においてもその終戦直後におけると同じような状況が再び現出すると法務省はお考えなんでしょうか。
○小林(俊)政府委員 先ほど申し上げましたように、終戦後に非常に広範に現象として見られていた登録証明書の不正使用というものは、配給制度のためだけではなくて、密入国者を不正規在留者と誤想せしめるための手段として用いられていたという事実がございます。そしてこの後の部分、すなわち不正入国、不法入国、密入国という状況は現在でも続いているということを申し上げたのであります。ただ、その程度は終戦直後に比べればかなり安定化、鎮静化しているということは言い得ますでしょう。しかしながら、にもかかわらずこの一年半ほどの間にまた上昇の兆しを見せているということはございますけれども、全体としての規模は終戦直後の状況に比べれば安定した状況にあるということは言い得ると思います。 そのために指紋制度を含む外国人登録制度というものは過去三十年間において緩和されて今日に至っておるのでありまして、もし状況が終戦直後と同じようなことになるということが必至であるならば、現在の制度を終戦後の制度に向かってさらに強化しなくてはならないという結論も出てくるわけでございます。しかしながら、そういうことを私どもは申し上げておるわけではございませんで、緩和の傾向をさらに一歩進めようとしておるわけでございますから、終戦後と同じような状況が現出するということを私どもが考えているとお考えになられる理由はなかろうかと存じます。
○中村(巖)委員 現実に不法に我が国に入国するような人たちがふえる、ふえないというようなことは、登録制度がどうであるかということとは関係なしに、その国における、あるいは我が国における経済情勢とか社会状況のゆえにふえたり減ったりしてくるわけで、制度がそうなったらそういう人は減るだろうということは考えられない。言ってみれば、例えばの話ですが、例えば韓国で飯が食えないということになれば日本に行ってみようかという話になって、潜ってでも日本に行く、こういうことになってくる。また、実際にそういうことで来る人は、指紋押捺制度があろうとなかろうと絶えずあるということは言えるわけで、その数というものは必ずしも多くはない。また、単に登録制度なしにも日本は出入国について厳重な監視をしているわけでありますから、そういう登録制度なしの出入国管理の中で規制できるという状況にある。一方において指紋制度があるがゆえに苦しんでいるというか、指紋制度を何とかしてもらいたいと思っている何十万という人があるわけです。 その二つの利益をはかりにかければどっちを重しとするのだ、こういうことで私どもは考えていかなければならない、それが当たり前のこと。例えば不正をする人が三百人、五百人いたからといって、それがために何十万の人々を苦しめていい、こういう話はないだろうと私は思っているわけでございまして、その点、再度いかがですか。
○小林(俊)政府委員 この点も私が午前中にお答え申し上げた点でございますけれども、要は、そうした二つの側面、管理の側面と管理される、あるいは対象となる人々の心情との間に妥当なバランスを求めていくというのが、この種の問題のあるべき姿であろうということでございます。その努力を政府は引き続き行ってきたわけでございまして、今回の法案提出もそうしたバランスについての私どもの検討の結果であるということでございます。
○中村(巖)委員 一つには、今後とも日本に一年以上在留しようという人たちはどのぐらいの数に上るのかわかりませんが、出生によって在留する人もあるわけだし、外国から来られる方もあるわけでありますけれども、その人たちはこの法改正があったとしてもなおかつ指紋をとられるという状況になるわけで、これは膨大な数に上るわけです。バランスとおっしゃいましても、その人たちの立場を考えるということが本当にバランスをとるゆえんではなかろうかというふうに思うわけでございます。 それと同時に、その指紋を法務省が保管しているということが一体日本に対する密入国、不法残留、不法滞在というものを抑制する効果がどのくらいあるのかということになれば、これは大変難しい話でありまして、それは抑制する効果はあるんだということは法務省の御説明としては先ほどおっしゃられた終戦直後の例をもってしか言えない、こういうことになりますか。
○小林(俊)政府委員 不法残留ないしは不法入国そのものにはそれぞれの誘因があるわけでございますから、この的確な登録制度を維持することのみによってこれを抑制するということはなかなか難しいかと思いますが、しかしながらその登録制度を的確に維持することによってなし得ることは、不正規在留者が正規在留者を装うことを防止するということでございます。そのことによって登録内容についての正確性を維持するということが実現できるわけでありまして、その不正入国なり不法残留に伴う一つの側面を抑止する、防止するという意味におきましては極めて効果的な機能を果たしていると考えております。
○中村(巖)委員 私は、そういう御説明は納得することはできません。むしろ法務省がこうやって日本に一年以上在留している、したがって登録されている外国人の身分関係そのほか指紋を含めてそれを押さえておくということが日本の治安の維持に役立つから押さえているんじゃないか、こんな気がしてならないわけでありますけれども、そういう考え方はございましょうか。
○小林(俊)政府委員 治安の維持という言葉の意味が一般犯罪捜査の助けになるということであるならば、そのようなことは全くございません。通常、一般犯罪のために指紋が利用されるというのは、犯罪現場における遺留指紋と既に保管されてある指紋との照合でございますけれども、この登録制度に基づく指紋は左手人さし指を平面で押印した印影を保管してあるのみでございます。一方、犯罪現場に遺留される指紋というものは両手十本のどの指のどの部分が残されているかもわからないわけでありまして、千差万別でございますから、これらの指紋と登録制度上に採取されている左手人さし指の平面指紋とを照合して犯罪捜査に役立たせるということは、そもそも物理的にその余地がほとんどないと言ってよろしいと存じます。 のみならず、この制度の管理上も、午前中に登録課長から御説明申し上げましたように、そのような目的で利用させるということはいたしておりません。したがって、これは物理的な理由及び管理上の方針の上での理由、両面から申し上げることができるわけでございますが、登録制度上の指紋は一般犯罪捜査の使用と全く関係のないことでございます。
○中村(巖)委員 私が治安と申し上げているのは、決して一般犯罪捜査という、例えば殺人だとか強盗だとか窃盗の犯罪の捜査のためにそれを役立たせようとして押さえているんだ、こういう個々的な意味を言っているのではなくて、要するに外国人について言えば、その身分関係、指紋を含めて、がんじがらめに管理をしておる、そういうことによって外国人に対してその軽挙妄動を戒めるというか、そういう脅威を与えている。こういう意味での治安管理をしているのではないかということを申し上げておるのです。
○小林(俊)政府委員 先生御指摘の点は、平たく申し上げれば大変な思い過ごしであるように思われます。指紋制度が存在するために、在留する外国人がインティミテーションと申しますか、そのような心理的な影響を受けているとは私どもは考えておりません。
○中村(巖)委員 そこで、今回指紋は一応一回限りだ、こういうことになっているわけでありますけれども、細かく説明していただきますと、今後この新法が成立した場合に指紋採取はどういう場合に行われることになりますか。
○黒木説明員 今度の改正によりますと、指紋は新規入国した場合ないしは十六歳に達した場合の確認申請の際に指紋を押すというのが原則になります。現在の規定でございますと、さらにその後の五年ごとの確認申請とか再交付の場合とかというような場合にも重ねて指紋押捺を求めるというのが現在の規定でございますが、これを改正いたしまして、最初に一回指紋を押してある人につきましては、五年ごとの確認申請の際ないしは再交付等の場合には特段の事由がなければ指紋押捺を求めない、こういうことでございます。 特段の場合とはどういう場合かということを申し上げますと、五年後ないしはさらにその後の十年後に出頭した人物が前回に登録をした人物とどうも人物がかわっているのではないかということで疑問が生じた場合に、指紋によらなければ同一人性の確認ができないというぎりぎりの場合に指紋の再押捺を求めて、前回の指紋と今ここに出頭している疑わしい人物との確認をするという場合がございます。また、そのほか法律の上では最初左千人さし指の平面指紋を原則として押してもらっているわけでございますが、その指を事故等で失ったような場合、これは人物の特定、その後の確認の用に供さなくなっておりますので、この場合には別の指の指紋を押していただくことがございます。それからもう一つは、登録原票それから法務省が保管いたしております指紋原紙というのがあるわけでございますが、それに押されている指紋のいずれもが、片方がしっかりしていればいいのですが、その両方いずれもが不鮮明になっているとか、それから例えば火災その他で焼失してしまったというような場合は、せっかく最初に押していただいたもとになる指紋がなくなるわけでございますので、やむを得ない場合として再度押捺をしていただく、こういうふうに改正しようということでございます。
○中村(巖)委員 指紋一回制の問題でありますけれども、まず第一にお伺いをしたいのは、法務省は、私どもいろいろな機会での質問等々、あるいはまたそのほかの外部の機会におきまして、指紋押捺については確認の際にさらに押捺をしてもらう、それを従来保管をしているこの指紋と同一性があるかどうかということを確認して同一性確認をするんだ、そのために確認の際再度指紋を押捺させるということは必要である、その再度押させるということがなくなれば指紋制度全体の意味がなくなるというようなことをおっしゃっておったはずだと思うのですね。そういうことをおっしゃっておられた事実は実際にあるかどうか。 それから、にもかかわらず今回こういうように確認の際にはもう押させないのだ、一回押しておればいいのだ、こういうふうなことでもなお意味があるのだという理由それをお答えをいただきたいと思います。
○小林(俊)政府委員 これまでと申しますか、現行制度において五年ごとに指紋の押捺を求めて、前回及びそれ以前の指紋と照合することによって同一人性の確認をその都度行うということは、まことに激密など申しますか、完全を期した制度でございまして、それなりにその意味は大きいわけでございます。したがって、この改正によって五年ごとの押捺が原則としてなくなるということは、その限りにおいてその制度においての完璧さを失わせるものではございますけれども、しかしながら、五年に一遍をやめてしまえば意味がなくなるというのは、そういうことを言明したことがあるとすれば、恐らくそれは、単に今までの制度に対して、五年に一度という指紋押捺がなくなることについて何らの手当てもすることなしにただそれを廃止するということを前提として表していたのではないかと存じます。 確かに、一度指紋原紙、登録原票に押捺するだけでその後一切指紋の押捺がない、あるいは、登録証明書は五年に一度新しいものに切りかえるわけでありますから、最初の一回だけの押捺ということであれば、転写ということがない限り二回目以降の登録証明書には指紋がなくなってしまうわけですね。したがって、照合もできない、登録証明書にも指紋がなくなるという状況で、したがって、何らの手当ても講ずることなしに五年に一回を廃止すれば、それは指紋の押捺そのものが全く無意味になるということが言い得ただろうと思います。 しかしながら、御承知のように今回の改正法案におきましては、その点についての手当てとして、疑問が生じた場合その他、ただいま登録課長が御説明したような状況におきましては、改めて指紋の押捺を求めるということが規定をされております。それからまた、携帯をする登録証明書にも転写によって指紋が表示されるということになるわけでございますから、こうした手当てを通じて五年に一回ということをやめるということに伴うマイナスを補っているのでありまして、そこに指紋制度が依然として今後とも機能するということの担保を求めたわけであります。
○中村(巖)委員 今のおっしゃりようは、随分話が違ってくるというふうに思うわけでございます。五年ごとの切りかえの際の再度の指紋の押捺というものが制度の根幹なんだという御趣旨で今日まで述べてこられた、それがためにこの制度は意味があるのだというふうにおっしゃってこられたと思うのです。五年の切りかえの際に登録証明書が新しくなるから、そこに転写していないからそれでは全然だめになるのだ、そういう意味でおっしゃられたこととはおよそ違うと私は理解をいたしますけれども、いずれにしましても、要は、一回指紋制ということになれば、登録の切りかえのときには指紋によって同一性確認をすることはできない、こういうことになりますね。
○小林(俊)政府委員 先ほど登録課長から御説明したことでございますけれども、積極的な疑いが生じた場合には指紋の押捺を求めることができるという規定を設けることにいたしております。したがって、そこで指紋の押捺による照合、それによる同一人性の確認という道は残されているわけでございます。 しかしながら、現在でもそうでございますけれども、指紋は切りかえの際の同一人性確認の唯一の手段ではございません。もちろんそこにはそのために写真がある、あるいは登録原票に記載されている諸事項と新しく申請書に記載されている諸事項との照合があります。また、そういった諸事項についての本人に対する質問によっての照合あるいは確認ということもあるわけでございます。そうしたもろもろの手段を通じて、あるいはその点においてさらに疑問が生じた場合に指紋に最後の照合の手段を求めるということにこれからはなるわけでございます。現在は、そういった特別の疑問がなくてもその照合が可能になっているわけでございますが、その点は今後は外していくということでございますから、積極的な疑問が生じた際に改めて押捺を求めるということでございまして、あくまでただいま申し上げましたような手段、すなわち写真であるとか記載事項あるいは本人に対する質問ということを通じて同一人性の確認が第一義的には行われるということになるわけでございます。
○中村(巖)委員 今後は、そうやって新規に登録するときに一回限りに押された個人登録原票あるいは指紋原紙というものはどういうふうにするわけですか。それは全部法務省に集めるわけですか。
○小林(俊)政府委員 この点は現在と同じでございまして、登録原票は関係市区町村に保管されます。指紋原紙は法務省に送られまして、法務省において統一的に保管することになります。この点は、現在と何ら変わるところはございません。ただ、五年ごとの指紋原紙の送付がなくなるということでございます。
○中村(巖)委員 そうすると、法務省は従来、法務省において確認の分類というか照合というか、そういうものをやっておったということを言っておられるわけですけれども、今後はそういうことはやらないということになるわけですね。それと同時に、今までは換値分類というか、それを指数にあらわすというような作業もやっておったということでしたが、それはどういうことになるのですか。
○黒木説明員 換値分類制度につきましては、昭和四十九年でございますか、やめておりまして、現在はそういう数値による分類制度はとっておりません。 送られてまいります指紋原紙を登録番号順に整理保管いたしまして、その後送られできます。その人の指紋、今二度三度と押してもらうわけですから、その指紋との照合を行う、現在はこういう取り扱いになっておりますが、改正後におきましては、その二度目、三度目の指紋というのは原則として参りません。疑いのある場合は指紋の採取ということはありますけれども、疑いのない限りは指紋は再押捺がございませんので、私どもとしては、将来そういう照合の必要が生じた場合のために指紋原紙を保管する、こういう運用になるわけでございます。
○中村(巖)委員 それと、先ほどのお話の中にあった問題は、十四条の五項の一、二、三号ですかで、これこれの場合においては既に指紋を採取してあっても指紋の押捺を命ずることがある、こういうことになっているわけで、第一には、「登録されている者と第一項又は第三項に規定する申請に係る者との同一性が指紋によらなければ確認できない場合」、こういうことがあるわけですね。この第一号の運用いかんということは大変大きな問題で、一々来る人にあなたは本当に本人なのかどうかよくわからぬ、だからまた押してくれということを要求しておったのでは、これは現行制度と全く同じになってしまう。だから、これは本当に例外的なんだ、そういうものは希有な事例なんだということにならないとしようがないわけで、この第一号の運用については法務省としてはどういうふうに考えているのですか。
○黒木説明員 今度の改正案の中にも書いてございますように、「登録されている者と第一項又は第三項に規定する申請に係る者との同一性が指紋によらなければ確認できない場合」ということで、要件を厳しく制限しております。ただ疑いがある場合ということではなくて、その他の方法によって同一性の確認ができる場合はその他の方法を優先させる、それによってどうしても確認できない場合、ぎりぎりの場合は指紋による確認を行うというのが十四条五項一号の趣旨でございまして、「同一性が指紋によらなければ確認できない場合」と、非常に要件を制限しておるということでございます。 それから続きまして、具体的にどういう場合かということでございますが、登録された人物と現に窓口に出頭した人物の容貌、身体の特徴等が特段の理由がないのにもかかわらず著しく相違して、同一人とは認めがたいような場合。それから、登録原票に記載されている身分事項と再交付等の申請に際して出される申請書との記載の間に著しい身分の違いがある、前回まではAと名のり生年月日をいついつと名のっていた人物が今度は全く違ったことを言ってきたというような場合、この場合はやはり同一性には極めて疑いが生じてくるという場合でございます。それから三番目に、通常であれば説明できると思われるような自分の身分事項についてどうもあいまいな答えしかできないというような場合。それからもう一つは、これは事件としては大変多いわけですが、氏名等の基本的な身分事項の訂正の申し立てが行われ、それに伴う登録証明書の引きかえ交付の申請が行われたときなどでありますが、その場合でも、先ほど条文を読み上げましたように「同一性が指紋によらなければ確認できない」という制限といいますか、限定のもとに再押捺を求める、こういう取り扱いでございます。
○中村(巖)委員 私がなぜそう申し上げているかというと、従来私どもが同一人性は写真だって確認ができるじゃないかということを申し上げてきたのに対して、法務省は写真では同一人性は確認ができないんだ、指紋によらなければ確認ができないんだ、こういうふうにおっしゃってきたわけです。そうなると、「指紋によらなければ確認できない場合」というのは、すべての場合がそうであるということに論理的には帰着せざるを得ないわけです。ましてや、そういうことは今ないとしても、そういう非常識なことは法務省はおやりにならぬとしても、やはりそういうことについて運用の細則のようなものが厳密に規定をされていない限りにおいては、各自治体において大変恣意的にやるということになってしまうわけで、そうなったら今の制度と全く違わない制度を法務省は改正をしたと称して運用面で行おうとしている、こういうふうに言われても仕方がないということになると思いますが、いかがでしょうか。
○黒木説明員 そのようなお疑いを持たれるということは私ども大変心外であるわけですが、私ども、先ほど来申しておりますように、指紋はちょっと疑いがあるから押してくれというようなことで再押捺を求める趣旨は毛頭ございません。非常に厳格な条件を定めて今後実施していこうと思っておりますし、今後改正法律案が成立いたしますれば、当然これに基づいて市町村の窓口を、今私が申し上げているような厳格な取り扱いをするようにということで指導を徹底してまいりたいというふうに思っております。
○中村(巖)委員 今の十四条の五項の一号、次の二号は「指を欠損している場合」、これは比較的明確でありますが、三番目に「登録原票及び指紋原紙のいずれもが次のいずれかに該当する場合」「紛失し、又は滅失したとき。」「押されている指紋がき損、汚損若しくは退色などにより不鮮明となっているとき。」こういう条項があるわけですけれども、登録原票及び指紋原紙、これのいずれか一方が不鮮明であるということは含まないので、両方が不鮮明な場合にだけこれは適用がある、こういうお話でありますけれども、現に法務省なり自治体が保管をしているこれらのものについて、両方が不鮮明であるものというものが相当数存在するのでしょうか。
○黒木説明員 不鮮明という場合に、汚損による不鮮明と、またもともと不鮮明である場合と両様あろうかと思いますが、指紋につきましては、外国人の方は押す場合に押しにくいということもありまして、やや不鮮明というのが現存することは事実でございます。それから物理的に後日本鮮明となる場合、例えば、あってはならないことですけれども、職員が過ってインクつぼをひっくり返してしまって原票の指紋を汚してしまうということになりますと不鮮明となるような事態はございますけれども、そういったものはそう頻繁にあるわけではございません、極めて少ない例ではないかと思います。
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたので、また別のことをお尋ねしますけれども、今度は外国人登録証をラミネートカードというものにするんだということでありますけれども、ラミネートカードにするということは、そのラミネートカードというものをつくるのはどこがつくるということになるのですか。
○小林(俊)政府委員 市区町村においては、いわばカードの原稿を作成することになります。その原稿を地方入国管理局に送付いたしまして、カードそのものは運転免許証をつくるのと同じような装置で地方入管局が作成するわけでありますから、カードをつくるのはどこかというお尋ねであれば、それは地方入管局が市区町村にかわって行うということが言えるかと存じます。
○中村(巖)委員 そうすると、各市町村等の自治体でカードを直接つくるということでなくて、申請があればそれに基づいてカードの原稿をつくって地方入国管理局に送らせて、そこで一括つくってまた各市町村の窓口へ送り返す、こういうことになるのですか。
○小林(俊)政府委員 そのとおりでございます。
○中村(巖)委員 ラミネートカードの発行のための機械というものが必要になるわけですけれども、その機械はどのくらいかかるもので、どのくらいの台数を備えつけることを今予定しているのでしょうか。
○黒木説明員 カード作成機、まだ具体的に見積もり、発注したわけではございませんのであれでございますが、数百万の値段がするというふうに考えております。それで、現在考えておりますのは、地方入国管理局、八局ございます。それから場合によってはその支局もございますので、十台くらいの機械を設置しようということを考えております。
○中村(巖)委員 そうすると、例えば市役所あるいは町村役場あるいは区役所で直接発行しないということになると、事務手続としては従来より大変に煩雑になる、こういうことになっていろいろな事務手続上の過誤というか、そういうものが発生をするおそれがあるということになりませんか。
○黒木説明員 これまでのやり方と方法が変わるわけでございますので、まごついたりする場合があろうかと思いますけれども、そういうことのないように各市町村、都道府県に対する指導を十分に行っていきたいと考えております。
○中村(巖)委員 このラミネートカードの発行についての予算、今予算の概算要求の時期でありまして、これは来年度予算として概算要求をしていくという法務省の方針でしょうか。
○小林(俊)政府委員 そのとおりでございまして、来年度予算においてこの予算が認められるためには、この臨時国会でぜひともこの法案の可決成立を確保する必要があるということでございます。 なお、その予算の額でございますが、およそ七億二千万円を予定いたしております。
○中村(巖)委員 逆に言えば、この臨時国会でこの法案が成立しないと、法務省としてはその予算の概算要求をあきらめるということですか。
○小林(俊)政府委員 これは、要求はすることになるかならないかという問題が一つございますけれども、この臨時国会で成立することがなければ、これが認められることは恐らく望み得ないのではないかと存じます。
○中村(巖)委員 まだまだ質問はありますけれども、時間ですから終わります。
○大塚委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 どうにか民法も終わり、私どもどうしてもこの国会で成立さすべきじゃないかと思っております外登法の審議に入ったわけでございますが、最初に法務大臣に、今度の外登法の改正の持つ意味についてのお考えを承りたいと思います。
○遠藤国務大臣 この改正の意味についてというお尋ねでございますので、率直に申し上げたいと思いますけれども、外国人登録関係においてはもろもろの要請もございます。また、各国から日本国に対しての改善方の要請もあると承知をいたしております。さらに、先生御承知のとおり、韓国大統領が日本においでになったときに改めてこの要請がされております。 そのような点から、何としても改善したい、やりたいということで、もろもろ検討に検討を重ね、各省庁が御了解のいただけるぎりぎりの線、そして登録関係者の方々にも最終的に幾らかでも気分的にも軽くしたいという点で、ただいまも、また先般趣旨説明でお話し申し上げたように、三年が五年に延び、五十七年に五年になったものを、このたび指紋押捺は一回限りということに改善していきたい。さらにまた今次、これは五十七年からでございますが十四歳を十六歳に緩和していくというようなことで、今回御審議を煩わしているということでございます。国際間の要請もございますし、また、日本国としても何としても改善したいということであり、先ほどもお話し申し上げましたけれども、総理が韓国に赴いた際に、指紋押捺は一度だ、そしてカード式にして携帯に簡便な方法でやりたいというようなことで、韓国大統領も高く評価されたと承知をいたしておりますので、その点どうぞ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○安倍(基)委員 私どもとしましては、今度の改正は必ずしも満足すべきものではない。この国際化時代、しかも先進国でこういった指紋押捺を行っている国、英米独仏いろいろございますけれども、必要に応じというぐあいに限定しておりまして、非常にケースを限定しておる、米国の場合には相互主義ということでやっておるという状況のもとに、この国際化時代にどうかという問題とともに、御承知のように、日本においては朝鮮半島の方々がいろいろな関係でこちらへ来て、それがほとんど日本に生まれ日本で生活するという状況の方が非常に多いわけでありまして、こういったような状況のもとに、今までどおりではいかぬということでこの問題が持ち上がり、今お話があったような首脳間の話し合いもあったということでございますが、私ども、今度の改正は決して全面的にこれで満足ということではない。しかし、一歩前進であるということについては、ほかの野党と比較しますと評価しているという状況でございます。ただ、いわばこれの内容及び実施についていろいろ注文があるわけです。その点をひとつこの質疑の過程で確かめていきたいなと考えております。 第一に、この問題につきましては、指紋の問題は非常に大きな問題でございまして、いろいろ時間がかかると申しますか、質疑も一巡、二巡とございますので、その前に運用のことで、今度のカード化に関連いたしまして、ちょっと要望と申しますか、質疑があるのでございますけれども、結局今までのトラブルで、一つは、指紋を押すという非常に人権的な問題とともに、運用にどうも問題が多かったんじゃないか。と申しますのは、例えば常時携帯義務という問題がございますけれども、ちょっと忘れて、運転免許証があったらいいぐらいに思って運転していて、検査のときにこれこれの証書を持っているかと言われて、持っていませんと言うとすぐそこで捕まってしまう。そういう運用面のトラブルというのも随分多いかのごとく聞いております。 一つお聞きしたいのですけれども、不携帯という場合に、ちょっとした不注意で持ってない場合もいろいろあるのですが、ちょっと不注意で不携帯であったのに捕まってしまって、しかもそれが送検されるというケースが年間どのくらいあるのか。そのうち、送検された中で、法務省が実際上本当にけしからぬ話だった、内容として問題があったというのは何件ぐらいあるのか。その辺を法務省からお聞きしたいと思うのです。
○黒木説明員 ちょっと手持ちの資料が、検察庁に送致した件数しかございませんのでお許しいただきたいのでございますが、最近の例で申しますと、昭和五十七年が三千四百七人、五十八年が二千五百七人、五十九年が二千五百九十四人、六十年が二千十六人、六十一年が千七百八人という数字になっております。それから、検察庁の処理状況その他、ちょっと持ち合わせがございません。
○岡村政府委員 検察の統計といたしましては外国人登録法違反事件の全体を把握いたしておるところでございますが、個々の違反の態様別、例えば不携帯が幾らか、指紋の不押捺が幾らかというような細分はいたしておらないところでございます。 そこで、全国の検察庁が受理いたしました外国人登録法違反事件の全体の数でございますが、昭和六十一年が三千百十九人でございます。そのうち起訴いたしておりますのが千八百六十八人、不起訴にいたしておりますのが千八十九人という数字でございます。
○安倍(基)委員 不携帯そのものが一つの罪にはなっているわけでございましょうが、もともと法務省がこうやって携帯をさせて、要するによく内容を見たいという目的からいって、全く形式的に持っていないということだけでもちろん起訴するのでしょうけれども、本来法務省の目的として、携帯させるということは義務としても、本人ではないとか、いろいろな問題を確認したいがために携帯させていると理解していますけれども、法務省本来の目的からいって当然これは問題にしなくてはいけないというケースはどのくらいあったのか。それは持っていないからけしからぬということは言えるにしても、常時携帯させるという本来の目的がそれなりにあるわけでございましょうから、形式犯的な形でこれだけ捕まってしまって、通常のケースはちょっと忘れたという程度のものが多いのではないか。それを毎年三千件以上のものが送検されてそこで処罰されている、そういったところにやはり一つの問題点があるのじゃないかなと思うのですが、いかがでございますか。
○岡村政府委員 私が先ほど申し上げました数字は、お断りいたしましたように不携帯だけの数字ではございませんで、外国人登録法違反事件全体の数字でございます。これが昭和六十一年においては三千百十九人受理いたしておる、こういうことでございます。この中にどの程度不携帯が含まれているかにつきましては、検察統計としては出てこないところでございます。 ところで、不携帯の罪につきましてどういう処理をしているかということになりますと、これはやはり事案に応じまして、個々の犯情を検討いたしまして起訴する事例もあると思いますし、不起訴になる事例ももちろんあると承知いたしているところでございます。いずれにいたしましても、事案に応じまして適切な処分を行うよう努めているところであります。
○安倍(基)委員 大臣、指紋の人権問題に入る前に、こういったちょっとした不注意とかなんとかということで持ってないというケースは非常に弾力的に、マイルドに考えてもらえるか、そこをひとつ確認したいと思います。大臣、いかがでございますか。 これはむしろまた警察とも関連すると思いますが、当初警察から御答弁願いたいと思います。
○岡村説明員 不注意による不携帯についての御質問でございますが、私ども不携帯事案の捜査につきましては、法の許す範囲内で柔軟に取り扱っておるつもりでございます。処理の実態を見ましても逮捕する事案は非常に少のうございまして、ほとんどが任意捜査で処理されているところでございます。また、始末書を出してもらうようなケース、あるいは単に注意をするだけにとどめるケース等も相当数に上っておるところでございます。事案の軽重に応じまして、柔軟かつ常識的に対処してまいりたいと思っております。
○遠藤国務大臣 さきに島崎法務大臣のときに、閣議において国家公安委員長との話があり、運用面において適切な処置を講じてほしいというようなことで、国家公安委員長も了解されたと承知をいたしております。そのような点は、私自身もさらに枠を広げて要請したいなというような感じでおりますけれども、ややともするといろいろどちら側にも、警察側にも誤解があるときもあるだろうし、また、外国人の方々にも誤解があるときもあろうと思いますけれども、故意か偶然か、ちょっとたばこを買いに行ったとか、ふろに行ったとか、また公園を散歩のとき。とかというようなことで、それが不携帯で云々というような話も私のところにおいでになった方々からお話もございますけれども、なかなか運用面というのはここで言葉であらわすことはできませんが、故意か過失かということをもっと慎重に取り扱ってほしいということを重ねて要請しておくつもりでございます。
○安倍(基)委員 今の問題、取り調べられる方はやはりどきっとくるわけでございまして、今法務大臣の、あるいは警察の担当者のお話を承って安心したのでございますけれども、これとともに、逆にいわゆる生活圏というか、しょっちゅう買いに行くあたりのものはうっかりした場合は許すというような話も、弾力的に見るという話もございました。 もともと一定の範囲内の生活圏では持ってなくてもいいといっては語弊がそちらとしてはあるかもしれませんけれども、最初から持たなくともいいことにするということも考えられるのですけれども、それがどの範囲が生活圏かというのはいろいろ議論があると思いますが、捕まえたときにいろいろ問題としないという弾力的な運用とともに、もともと持つ義務そのものをある程度緩和するということができればベストだと思います。この辺はむしろ法制的な問題だから法務の方でございましょうか、どういう考えがあるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○小林(俊)政府委員 御指摘の一定の範囲内における携帯義務免除あるいは緩和ということにつきましては、現在の改正法案審議の部内におきます検討の過程において問題とされた点でございます。 その直接の契機は、在留外国人団体の方からの希望があってそういう検討が行われたという経緯もあるわけでございます。しかしながら、結論として、法制上これに対応するということはほとんど不可能であるということになったわけでございます。それは、今委員御指摘のように、法制上、生活圏というもの、あるいは一定の免除あるいは緩和をする地理的な範囲というものを定義することがほとんど不可能であるということによるものでございます。 例えば、市区町村あるいは都道府県といったような行政区域の考え方もございましたが、人によってはその行政区域の一方の端に住んでおる人々がおられるわけでありまして、こうした人々にとっては隣の市区町村、隣の都道府県の方が生活圏であるといったような生活実態が大いにあり得るわけでありますから、これを法制上規定す合ということは現実に反するわけでございます。そうでないとすれば、一定の範囲を例えば距離で限定したとしても、その一定の範囲なるものを目に見える形で各人について表示するということは不可能であります。 したがって、そういう表示がない場合に、それを逸脱して携帯の義務に反したという場合に、その問題を取り扱う際の刑事手続上の非常な困難が生じてくることになります。これは主として犯意の問題、犯意というのは故意という意味での犯意でありますけれども、その犯意の立証といったことから非常な問題を生ずるわけでありまして、いずれにせよ、法技術的にこの問題を取り扱うということはほとんど不可能であるという結論になったわけでございます。 そのために、この点についての各国の法制も検討いたしましたけれども、いずれの国におきましても、外国人に対してその身分を証する文書の携帯を義務づけるという法制はございます。ございますけれども、法制の中でその義務を一定の地理的な範囲で緩和し、免除するという法制度をとっている国は一国もございません。ということは、そのことが法技術的に実際上不可能である、あるいは非常に困難であるということに基づいておるものと推測いたします。
○安倍(基)委員 いずれにせよ、大臣そして警察の関係の方、こういった運用面において、うっかりした場合とか、あるいは生活圏とかいうことについては常識的か配慮をするということでございますね。その点、もう一遍確認したいと思います。
○岡村説明員 生活圏など考慮して不携帯事案に対処したらどうかという御意見でございますが、この不携帯事案の取り締まりにつきましては、私ども地理的な条件あるいは時間的な条件あるいは被疑者の年齢とか境遇、違反の態様等々もろもろの要素を総合的に判断いたしまして、常識的あるいは柔軟な姿勢で処理することといたしておるわけであります。そのようなことでございまして、生活圏という、ある意味ではやや画一的な基準で対応するということはいかがなものかと感じておるところでございます。 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、法の許す範囲で常識的かつ柔軟に取り扱っておるところでございますし、また、今後ともこの方針を一層徹底してまいりたいというふうに考えております。
○遠藤国務大臣 きょう、実はさっきのお昼の会合で、国家公安委員長にもお会いをいたして、恐らくこういうふうな問題がまた議論になるだろうということでお話をしてまいったわけでございますけれども、ただいま答弁されたように、警察自体といいましょうか、国家公安委員会の方には、だれが聞いても当然だという常識、その範囲で従来以上徹底していただこうということを、私はこの法案が通った後に、今から言うわけにもまいりませんので、通った後に要請しておきたいと思っておりますので、御理解をちょうだいいたします。
○安倍(基)委員 運用問題につきましては大体そういうことが重点かと思いますけれども、次に、指紋の方に参ります。 さきに申しましたように、先進国においては非常に緩やかな形でございますし、日本と同じような厳しいものは余り、むしろどちらかといえば後進国といっては悪いけれども、それが多いというような感じがするのでございますけれども、ここでいわゆる指紋の年齢を上げたということは、非常に一つの進歩でございますが、もうちょっと上げられないのかという考え方もあるわけです。 例えばフランスあたりは、これは必要に応じ指紋の押捺と言いながら十八歳、ベルギーあたりは十七歳、もうちょっと上でございますし、この辺、こうやって年齢を十六以上に上げるとどういう不都合があるのかなということとともに、そういった問題がどの程度部内で論議されたのかなというようなことについてお答え願えないかと思います。
○小林(俊)政府委員 この指紋押捺義務発生年齢につきましては、御承知のように昭和五十七年に、前回の法改正が行われた際にもかなり突っ込んだ議論が行われたわけでございます。 その結果、十四歳が十六歳に引き上げられるということになったわけでございますが、その際の最も主要な論拠は、十六歳という年齢は、義務教育を下して社会的に独立した行動をとる面が非常にふえる年齢であるということで、それゆえに独立した社会人としての側面をとらえるというには適当な年齢であろうという観点から合意がされたものと承知いたしております。 委員御指摘の各国における指紋押捺に関する法制を概観いたしましても、この年齢は極めて千差万別でございまして、当歳、といいますと生まれてすぐということでございますが、そういう規定をしている国もあれば、二十一歳という規定をしている国もあるということで、普遍的な基準はないに等しいわけでございます。したがって、現在におきましては、この前改正時における議論の結果を踏まえるということが適当ではないかという結論に、政府部内の検討の結果はなっているわけでございます。 なお、一つつけ加えて申し上げますと、この指紋押捺は出入国管理に非常に密接に結びついた制度であるということでございますが、その出入国管理上の最も重要な問題である不法入国という観点からこの問題を一べついたしますと、当局のかつての一時期におきます調査の結果によりますと、大村収容所に収容された本国に送還される密入国者数百名について調査した結果によりますと、約四分の一が我が国に密入国をした年齢が十九歳以下であったという事実がございます。言いかえれば、十九歳以下で単独に密入国の群れに加わって我が国に来るというケースが事実上存在したということも、これに関連して思い出されるのであります。
○安倍(基)委員 一応成人としての判断という話になりますと、これは十六歳でいいのかどうかという問題と、十六歳前後というのは非常に気持ちの動揺期の時代でございますので、特にこちらで生まれて育ってきている人間あたりは、今の密入国してくる話はまたそれといたしまして、国内で育ってきているような人々にとっては、何も十六歳というのはどうかなという気がいたします。 成人式というのは二十歳でございますし、その面から考えましても、この辺は密入国してくるというケースと、こちらで育ってきているケースとは分離して考えることも不可能ではないのではないか。当初も申しましたように、日本は国際化と同時にそういう特殊事情というものがあるわけですから、それを勘案しますと、密入国者に十九歳以下が多いというのと、そうでない国内で育ってきておる人間とどういう不都合があるかというのは、今不都合があるという中身で、そういった十九歳以下の入国者がおりますという不都合が一つあったかもしれませんけれども、それ以外に、例えばこちらで育ってきた人間にとって十六歳よりもっと上げる不都合が何があるのだろうかということをお聞きしたいと思います。
○小林(俊)政府委員 その出入国管理問題の関係におきましては、不正規在留者との区別、不正規在留者の摘発を容易ならしめるという点が最も重要な点でございますから、密入国者の委員御指摘の問題は非常に重要な点でございます。その以外にも不法残留といったようなケースもあり得るわけでございまして、結局、社会的に両親に付随して行動しないパターンを示すようになるのが十六歳であろう、そこで一つの区切りができるのであろうということでこの結論を得たわけでございまして、もちろん、御承知のように、この問題については決定的な議論というものがございません。それは先ほど私、別の御質問についてお答え申し上げたことでございますけれども、こういった法制度のあり方を検討する際にとるべきスタンスというものは、結局管理される側の、行政の対象となる側の立場なり受けとめ方と、それから行政上の管理上の必要ということとの間にバランスを求めていくことであるということでございまして、この十六歳にするかどうするかという問題も、そうした、どこでそのバランスを求めていくかということの結論ということになるわけでございます。 感受性が強い年代であるということからいえば十四歳にしておいた方がよかったという議論も可能ではありましょうけれども、それはそれで一つの別途の考慮があってそういう結論になったわけでございますから、申し上げますように、これは決定的な議論というもの、結論というものは甚だ難しゅうございますけれども、現在のあり方はそのような考慮に基づいて行われたものであるということでございます。 十六歳という年齢は二輪車の免許を受けることのできる年齢でございますし、女子においては両親の同意があれば結婚もできる年齢でございます。いろいろな観点があって、社会的に一個の独立した行動をとり始める年齢であるというのが最も主要な論点だったであろうと了解をいたしております。
○安倍(基)委員 十四歳の方がよかったというのはちょっとおかしな答弁だと思うのですが、大臣、こうやって外から入ってくる、あるいは不法滞在するのと比較しまして、こちらの、国内で育ってきている連中についてはもうちょっと考える余地がないのかな。成人式は二十でございますし、そういったことも含めまして、いろいろ議論もあったと思いますけれども、その辺の検討も将来あり得るというように私どもも理解したいと思うのでございますけれども、いかがでございましょうかね。
○遠藤国務大臣 また格好のいい答弁をするということで後ろの方からおしかりを受けるかもしれませんけれども、御承知のとおり、この十六歳、今局長から十四歳の話も出たわけでございますけれども、十六歳か十八歳か二十歳かということは、やはり省内でももろもろ議論になったわけでございます。しかし最終的に十六歳ということで、これ以上議論をしておると今度の国会で通過ができなくなるという点で、私自身としては、一日も早く成立をさせていただいて、不満ながらも登録者の方々を多少なりとも満たしていきたい、そういうふうな気持ちを持っておったわけでございまして、その点は御理解をちょうだいいたしたいと思います。 ただ、今先生のおっしゃるとおり、先ほどもお答え申し上げたのですけれども、今外国人の方々でも、二世、三世で本当の自分の国は日本国きり知らぬ、見ていないというような人たちがたくさんおることも事実でございまして、今度新たに登録のされる人も同じではどうかなとも確かに考えられるわけでございますので、私自身としては、将来の面において検討していきたいというようなことを申し上げておきたいと思います。私からそういうような点を申し上げるのもどうかと思いますが、この問題についてはもろもろ要請も陳情もございました。超党派的な陳情もあったわけでもございますので、こっちからお願いするのもどうかと思うのですけれども、附帯決議の中にでもそういうふうなことを含ませておいていただくということも大変結構なことでないかな、こう思っております。
○安倍(基)委員 今大臣からもお話があったように、やはり二世、三世的な、ここで育った者については一考の余地があるのではないかと私は考えております。今後の検討課題ではないかと私は思っております。 いろいろあるのですが、時間も余りもうございませんから、またある程度のものは積み残しするといたしまして、二つちょっと……。 一つは、要望でございますが、今度新しく改正になった。これまでの指紋押捺拒否というのが随分大きく騒がれました。これは、一つはそのための改正がどうにか今度できる。過去において行われたものを全く不間に付すというわけにもいかぬと思いますけれども、要望といたしまして、こういう状況になってきたのだから、常識的なことで処理してもらいたいと私どもは考えております。それと、現在、いろいろ過去に違反があると再入国が難しくなるとか在留期間の短縮というのが結局行われておるわけでございますけれども、指紋の押捺拒否者、そういった者に対して、その辺は弾力的というか、常識的ないわば措置をとっていただきたい。従来そういった押捺拒否なんかありました場合に、再入国を非常に厳しくやっておるわけでございますが、過去のそういったものに対して新法施行後は常識的、弾力的な措置を願いたいということでございます。
○小林(俊)政府委員 議員の御要望として、政府当局としては留意いたしたいと存じます。
○安倍(基)委員 その点、大臣もそのことを確認していただけますか。
○遠藤国務大臣 十分承知をいたしております。
○安倍(基)委員 大きな問題は一応質問いたしたのでございますが、次の回にもうちょっと細かい話をしますけれども、結局、基本的に私も今度の改正が非常に大きな進歩であるということは認めております。その意味で、我が党がこういったときに国際公約としての法案を、しかもソウルでオリンピックがなされるというときを前にして、さっき同僚議員から通過しないと予算が組めないだろうというような話もございましたけれども、そういったことでぜひこの国会で、完全に満点ではないけれども成立させたいと考えております。しかし、さっき大臣も言われましたように、拙速じゃないですけれども、急いでやったという要素もございますので、さっき幾つかの問題点を出しましたけれども、実施後の状況に応じて今後検討していくべきじゃないかと私は思います。大臣のお考えを承りたいと思います。
○遠藤国務大臣 先生御指摘のとおり、今日本の国自体が国際日本です。そういう点で、人種的な差別とか偏見とかあってはならないということをお互いにもっと幅広く考えていくことが大切なことではないか、こう思っており、かつまた先生皆さん方御指摘のとおり、それこそ一世、二世、三世と日本において日本の今日のような姿に協力いただいた外国人の方々の力も大きく我々は評価していかなければならぬ。そういう点もございますので、今先生から御指摘の点がございましたが、私どもとしてとにかく一歩前進させようということでこの法案を提出したというわけでございます。 いろいろの方々の御注文を満たすということが大切なことだと思うのですけれども、それをやっているといつのことやらということにもなりますので、この提出法案が定着すれば、これまた、あれでも定着したのだからもっと改善してはどうかというような意欲が出てくると私は信じており、私どももその意欲を持っておるわけでございますので、その点十分御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○安倍(基)委員 もう時間でございますので、第一巡目の質問は終わります。
○大塚委員長 安藤巖君。
○安藤委員 お尋ねする前に、一言申し上げておきたいと思うのです。 我が党は前に、一九八二年ですから五年前、この外国人登録法の改正案の審議に当たりましたときに、修正案として抜本的な改正案を提案いたしました。その骨子は、指紋押捺制度廃止、登録証明書の常時携帯義務の廃止、それから本人出頭などの義務年齢を二十歳に引き上げること、登録記載事項から勤務先の名前それから勤務先の住所などを除外すること、罰則の軽減ということでありました。 これはもう今や大きな世論になっているというふうに思うわけですが、今度のこの改正案はこういう世論に全く耳をかしていないというふうに思います。指紋押捺を一回限りにするんだと言いながら、押捺拒否者に対する制裁措置が強化されているのです。そして、カード化による一層の管理強化を図るということもねらっているとしか考えられません。このようにして外国人、とりわけ在日朝鮮人あるいは韓国人の方々の人権を侵害し、あるいは治安対策の上からも管理強化しようとするものですから、到底認めることができません。この立場に立ってこれから質問をしたいと思います。 きょうは、まず最初に経過措置についてお尋ねをしたいと思います。 この経過措置によりますと、まず経過措置の2と書いてあるのですが、附則の二項になるわけですね。「この法律の施行前にこの法律による改正前の外国人登録法(以下「旧法」という。)」登録申請から、いろいろ切りかえから、ずっとあるわけですね。そういう「申請をした者の登録原票、登録証明書及び指紋原紙への指紋の押なつについては、なお従前の例による。」問題は、「従前の例による。」ということなんです。 そうしますと、この改正案によりますと、登録証明書そのものへの指紋の押捺はしなくてもいいということになるわけですが、この施行前にそういう申請をした場合は登録証明書にも押捺をさせる、こういうことになるわけですか。
○黒木説明員 この附則の第二項それから第三項でございますか、それによりましておっしゃるような形になります。
○安藤委員 この二項に「第十一条第一項若しくは第二項」というふうにありますが、これはいわゆる切りかえ申請の場合だと思うのです。切りかえの場合は前にも指紋押捺しているわけですから、本来指紋は押捺しなくてもいいはずなんですね、この改正案によれば。ところが、「従前の例によるこということになりますと、施行前に申請した、そしてこの法案が施行されることになったとする、その場合は従前どおり指紋の押捺を切りかえのときにもしなければならぬことになるわけですね。
○黒木説明員 例えば、改正前の法律によります確認申請を行った人物がたまたま病気のために当日出頭できなかった。奥さんなり親御さんが代理で申請をした場合は、指紋の押捺はできないわけでございます。現行法では、そういった場合には病気が治ってから速やかに市町村の窓口に出頭して指紋押捺するという手続になっているわけでございます。 したがいまして、それがたまたま旧法から新法をまたぐような場合、いずれの手続によるのかということになるわけでございますが、今度の改正の中で、一つは指紋の押捺の時期について改正が行われております。現行法でございますと、指紋の押捺は登録証明書の受領のときに押すということになっておりますけれども、今度の改正によりますと申請に際して押すということになっております。そもそも法律が変わったことによりまして、もしこの経過措置を置かないならば、改正後、今例で申し上げましたような病気で当日指紋を押せなかった人は、これは押す根拠が失われてしまいますので、これでは従来の指紋制度そのものから考えまして片手落ちと申しますか、万全を期しがたいということでございますので、こういう経過措置を置いたという、これは一つの例でございますが、そういう状況でございます。
○安藤委員 法律を改正するときにはいろいろな経過措置というのは当然あることはわかるのですが、十六歳になりまして新規登録の場合、せっかくこの改正案では、指紋の押捺そのものがけしからぬということは後でしっかりお尋ねしますし、先ほど申し上げたとおりですが、それは今横に置いての話をしているのですが、登録証明書には指紋を押捺しなくてもいいというふうに改正をするわけなんですね。それから、一回押せば切りかえのときには指紋は押捺しなくてもいいというふうに改正されるわけです。せっかく改正をなさって、その法律が施行されるということになっても、それ以前に申請しておった人は全部切りかえのときにも押捺しなければならぬし、そして新規登録のときにも登録証明書に押捺しなければならぬ、こういうことになるわけです。だから、私は、せっかくこういうふうに改正をされて一生懸命考えて、もういいのだというふうに出してこられるのであれば、ここのところは何とかならぬのかなと思うのです。何とかなりませんか。
○黒木説明員 法改正が行われる場合、特に制度が改正される場合しばしば起こる状態なんでございますけれども、改正前の法律、旧法時代に申請が行われた人につきましては、もし仮にその人に対する登録証明書の交付が新法施行後に交付されるというような場合になりますと法律上ギャップが出てまいりまして、いずれでも指紋が押されないというような形になりますので、先ほど申し上げました附則の第三項で、登録証明書そのものもそうでありますし、その受領についても従前の例によるということで、その法律改正にまたがるギャップを埋めようということでございます。 したがいまして、お尋ねの旧法時代に登録の申請をした人につきましてはその登録証明書の作成、調製それから交付、指紋の押捺といったような一連の手続はすべて改正前の旧法の手続によって行うということによりまして、先ほど申し上げましたギャップと申しますか、それを埋めよう、こういう考えでございます。
○安藤委員 いや、ギャップなんか何もないのですよ。いいですか。切りかえの人はもう既に前に押してある。現行でいけば、登録原票、登録証明書、指紋原紙、ちゃんと押してあるわけですから。だから、指紋を確保する方法がないとかおっしゃるけれども、そんなことは決してなくて、現在もうちゃんと持っておられるわけですよ。そして、十六歳になって新規登録をされる場合も今度の新法では登録証明書に指紋を押さなくてもいい、こうなるわけです。指紋原紙と登録原票には押すわけですから、ちゃんと指紋は確保されるのですよ。せっかく新法をおつくりになってこれを施行されるというのであれば、そんなまだら状況ではなくて一律にさっと新法でおやりになったらどうか、こういうふうに申し上げておるのです。
○黒木説明員 先ほど申し上げましたように、新法と旧法の場合は、例えば指紋の押捺につきましても変わっております。それから、登録証明書の様式そのものについても前提が変わる、こういうことでございますので、申請は旧法当時、交付は新法当時という場合にいずれをとるのかということでございまして、私どもいろいろ現行法の建前それから新しい法律による登録証明書の作成の手順その他を考えまして、結局のところ改正前に申請の行われた人に対する登録証明書の作成、交付、指紋の押捺というものはいずれも旧法の手続によるのが相当であるという判断でこのような経過措置になったわけでございます。
○安藤委員 判断されたことはわかるのです。だからこういう経過措置になっていると思うのです。私は、それがおかしいのではないかと。 そうしますと、せっかく新法を施行されても、ラミネートカードも私はもちろん問題があると思っております。ラミネートカードにするのだと言っておられるのだけれども、この経過措置によると、そういう方は今までどおりの登録証明書を渡すことになるのですね。これはおかしいじゃないですか。これは一遍考えていただく必要がありますよ。どうです。
○黒木説明員 先ほど申しましたように、このようなケースはそうざらにあるわけではございませんけれども、例えば再交付申請と居住地変更登録申請が一緒に行われた場合とかいうようなごくまれな例であろうと思います。現行制度のもとにおきましては原則として即日交付の取り扱いをしておりまして、旧法から新法にまたがって登録証明書の交付が行われるという事例は極めて数が少ないのですけれども、ただ絶対ないということは言えないものですから、念のためにこういう規定を置いておるわけでございます。
○安藤委員 くどいようですが、めったに行われないのだったら、そんなに数が少ない人だったら、せっかくの新法にそろえたらどうなんです。そうすべきだと思いますよ。まだ質問をさせていただく機会がありますので、それまでにもう一遍考えておいてください。 それからこの三項の関係。この改正案によりますと、代理人が受領してもいい、受領に来ても渡す、こういうことになっているわけですね。絶対本人でなくてもいい、現行法は本人でなければいかぬことになっているのですが。これも従前の例によると、改正された新法が施行される前に申請をした、ところが施行後に受け取るという場合は、新法が施行されておるのだけれどもやはり従前の例によるということになると、本人がとりに来なければいかぬのだ、渡さないのだ、こうなるのですよ。これもやはり足並みをそろえるべきではないのでしょうか。
○黒木説明員 そこのところは、先ほど申し上げました指紋の押捺の時期についての法律のもとになる部分が改正されたわけでございますので、申請のときには旧法時代は指紋は押さなくていいわけで、受領のときに押す。ところが今度、改正後は申請のときに押せ、こういう形になるわけでございますので、もし新法を適用してしまいますと申請のときは押さなくて済んで、だけれども受領のときにも押さなくて済んでしまうということで、いわゆる底が抜けてしまいますので、どうしてもこういった規定で埋めておく必要がある、こういうことでございます。
○安藤委員 本人受領というのは、申請をしてすぐそのままもらっていくという場合もあるかもしれぬですが、申請をして後からとりに来るということだってあると思うのです。それがまたがったという場合なんですよ。だから、これも二項のときに、今申し上げたとおりなんですが、やはり新法を施行されたのだから、もうこれから代理人受領でいいですよということになってどうしていかぬのかということがどうしてもわからぬのです。 申請をして指紋を押捺しますね。後からとりに来るという場合に、また本人が来なければだめですよ、これでいくとそうなるのです。せっかく新法がもう施行されているという段階になったのだから、代理人でいいですよとなってもちっともおかしくないし、その方が合理的ではないかなと思うのです。これも勘考しておってください。 これからいよいよ本論に入るわけです。四項はこういうことだろうと思うのですが、五項の関係なんです。この五項の関係で、問題は「前三項の規定によりなお従前の例によることとされる指紋の押なつこというふうになっております。だから、前三項というのは二、三、四の各項が入って、再交付とか新規登録とか切りかえの申請とかいうのが全部入るわけです。それで、「この法律の施行前にした行為」。だから私は具体的に問題点を絞って、十一条関係の切りかえの関係で申し上げたいというふうに思うのです。 これは指紋押捺の関係からすると、法第十四条の指紋の押捺の関係では、十一条による切りかえの交付申請に当たっても指紋の押捺をしなければならぬ、こういうようなことになるわけなんですが、これは「この法律の施行前にした行為」というのは、申請行為ということではなくて事前に指紋の押捺を拒否した行為、こういう行為を問題にしておるということになりますか。
○黒木説明員 そういった場合も含んでおります。
○安藤委員 切りかえ交付の場合は、新法によりますと前に指紋押捺しておる人は指紋の押捺をすることが必要ないわけですね。そうですね。そうすると、拒否した行為も含んでおるとおっしゃったのですが、これは先ほどの話とちょっと重複みたいになるのですが、施行前に切りかえの申請をして切りかえ交付を受けようというのに、今度は施行後にそれがまたがった場合、こういう場合もこれは入るのですか。これは念のために聞きます。
○黒木説明員 この第五項の規定は、「この法律の施行前にした行為及び前三項の規定によりなお従前の例によることとされる指紋の押なつ、登録証明書の受領又は確認の申請に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用」ということでございまして、まず最初に第二項を受けている場合、それから第三項の受領の場合、それから確認申請は第四項でございますが、従前の規定によって五年と定められた期間については新法を適用しないでそのままその人の次の確認期間は五年ですということでございまして、それに違反した場合の罰則の適用については旧法「従前の例による。」こういうことを規定しているわけでございます。
○安藤委員 そこで、この改正案によりますと、第十四条に第五項というのが新設をされたわけですね。この五項がいろいろ問題になっておる、一回だけ指紋の押捺がしてあれば後はいいんだという根拠なんです。ということになりますと、切りかえのときには前に押してある人は押さなくていいはずですから、指紋の押捺の拒否も何も問題ないわけです。だから、拒否しようが何しようがとにかく指紋の押捺を求められることも命ぜられることもないわけなんですよ。新法になったら切りかえのときは、前に押してあれば。そうでしょう。ということは、切りかえのときに指紋の押捺は拒否したって、これはもう犯罪にならない。今までだったら、これは犯罪になるのです。罰則の適用があるのですよ。そうでしょう。ところが、新法によって、第十四条の第五項が入ることによって押さなくてもいいのですから、拒否するということはもう罪にならないということになるのですよ。 というにもかかわらず、この経過措置の附則の第五項は、そういうふうに改正をするんだけれども、「罰則の適用については、なお従前の例による。」というふうに書いてある。ということは、そういうふうに法改正をするんだけれども、切りかえのときに指紋の押捺を拒否する、あるいはしたという人たちに対しては「罰則の適用については、なお従前の例による。」ということになると、新法の施行後においても刑罰に処す、こういうことになるんじゃないですか。
○黒木説明員 第二項を受けている場合にはそういうことになります。しかしながら、第二項を受けないで改正法施行後に十一条の確認の申請をするような場合については当然指紋の押捺を要しないわけでございますから、要しない人に対する五項の罰則の適用はあり得ないわけでございます。
○安藤委員 いや、私のお尋ねしておるのは、この五項には「この法律の施行前にした行為」となっておるのです。施行後に切りかえの申請をした場合は全然問題じゃないのです。施行前に切りかえのときに指紋の押捺を求められたけれどもこれを拒否した、しかもその人は前に新規登録のとき、これまでの何回かにもわたる切りかえのときに指紋の押捺をしてきた。しかしこの直前になって、例えば一回指紋の押捺を拒否した。そういう拒否した行為が新法の施行前になされた。ところが、新法ではそれはもう罪にならないことになるのですよ。切りかえのときのそういう指紋を押捺するのを拒否した行為は、もう罪とならないことになったのですよ。にもかかわらず「罰則の適用については、なお従前の例による。」先ほど、二項が入っている場合はそうなるというふうにおっしゃったのですね。だから、この人は罰せられるのですよ。 刑事局長にお尋ねしたいのですが、まさにこれは刑訴法第三百三十七条の「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」になるのではないですか。
○岡村政府委員 刑訴法三百三十七条によりますと、「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」は「判決で免訴の言渡をしなければならない。」と規定されているところでございます。 ところで、この外国人登録法の改正案でございますが、ただいま御指摘のありました附則の五項によりまして、「この法律の施行前にした行為」に対します「罰則の適用については、なお従前の例による。」すなわち、なお処罰し得るということになっておるわけでございまして、こういう経過規定があれば、この刑訴法三亘二十七条に言う「刑が廃止されたとき。」には当たらないということになるのであります。
○安藤委員 文言は全部そのとおりなんですよ。だから、私がお尋ねしたいのは、そうするとせっかく新法が施行されるということになっても、施行前に切りかえのときに指紋の押捺を拒否した人はこの新法による第十四条の第五項というのは適用されないことになる、そういうことになるんじゃないですか。
○黒木説明員 適用があります。
○安藤委員 どうして適用があるのですか。「罰則の適用については、なお従前の例による。」そして第十四条の五項によれば「第一項及び第三項の規定は、これらの規定により指紋を押したことのある者には適用しない。」もう押捺しなくていい、こういうように書いてあるのですよ。だから、それ以後の人の場合はいいのですよ。 私が聞いているのは、本法施行の前に切りかえのときに拒否という行為をした人、そして現在も拒否し続けている人――新法になれば、切りかえのときには前に指紋押捺しておれば指紋押捺せぬでもいいのですよ、もう拒否も何もないですよ。にもかかわらず、前に拒否したという行為があれば、「罰則の適用については、なお従前の例による。」ということになれば、刑罰に処することになるのです。わかりますか、私の言っていることが。
○黒木説明員 第二項の説明の際に申し上げましたように、法律をまたぐような場合がございます。そういった場合に、その行政法規の罰則と申しますのは、本来そういう義務をきちっと果たしてもらうというための罰則でございますから、そういう罰則の担保をどうしても残しておかないと、またがった場合に、いや私はもう押しませんと言われてしまうとそれっきりになってしまうということで、そのためにこういう第五項のような規定を置いたということでございます。
○安藤委員 刑事局長さん、さっきから手を挙げて答弁なさりたいようですので、先ほど御答弁いただきましたが、もう一つ念のためにお尋ねするのですが、確かに「罰則の適用については、なお従前の例による。」ということで罰することができるということになっているわけです。それで、この前の段階として、今までは切りかえのときに指紋の押捺をしなければならぬ、それでないと罰せられるのです。ところが今度の新法改正案によって、第十四条の第五項が加わることによって、切りかえのときには指紋の押捺はしなくてもいいことになるのです。ということは、この刑事訴訟法第三百三十七条の二号の「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」ということに該当するのかどうか。
○岡村政府委員 委員も御承知かと思いますが、いわゆる限時法という問題がございまして、限時法に関しましては、その犯罪が、法律が改正といいますか廃止になりましても、その期間に犯された犯罪については引き続き処罰できるというような問題があるわけでございます。本件が限時法に当たるかどうかは別といたしまして、少なくとも改正法案によりまして、従来罰せられるべき行為が罰せられないような改正になるわけでございます。そういう意味におきましては、刑の廃止と一般的には言えるのかもわかりませんけれども、経過規定というものがありまして、この経過規定によりまして、現行法に違反した行為につきまして「罰則の適用については、なお従前の例による。」という規定が設けられているわけでございますので、そういう意味では刑の廃止に当たらないということになるわけであります。 これは、一般的に行政法規が改廃されます場合に、従来罰せられておりましたところの行為が新法によりまして罰せられないという場合があるわけでございます。そういう場合に、旧法と申しますか、旧法が生きている間に犯されました犯罪について新法が成立した後どうするかという問題があるわけでございます。一般的に申し上げますと、やはり経過規定を設けまして、旧法当時の違反行為につきましては新法が成立した後も「罰則の適用については、なお従前の例による。」ということで、引き続き科罰にするというのが一般であろうかと思っております。
○安藤委員 現行のこの外国人登録法が限時法であるとはおっしゃいませんが、これは決して限時法ではない、そんな文言もないし、そんなような性格のものじゃないと私は思うのですよ。限時法の場合はわかりますよ。ところが、そうでないとすれば、先ほどおっしゃったように「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」に当たるのであろうと思われるというふうに先ほどおっしゃったのですが、私はまさにそれに当たると思うのです。 十四条の五項が入ったことによって、切りかえのときにはもう指紋の押捺はしなくてもいい、それまでは切りかえのときに指紋の押捺を拒否すれば刑罰に処せられる。だから、そういうようなことになれば、当然これは免訴の判決を受ける事例。にもかかわらず「罰則の適用については、なお従前の例による。」ということは、二項、三項のときにも申し上げたのですけれども、せっかく前に指紋押捺した人に対しては切りかえのときにはもう押捺しなくてもいいんですよ、再交付のときに、もういいんですよ、一回押せばいいんですよということが、指紋押捺を拒否した人に対しては適用しないんだ、あくまでも拒否者に対しては断固として刑罰をもって臨むんだという姿勢が、これは露骨に出ていると思うのですよ。 いいですか。先ほど刑事局長は、それが普通だというふうにおっしゃったのですが、まさにそういう免訴の裁判を受けることができるというようなことになっているにもかかわらず、こういうような経過規定を置くことによってなお罰しようとする、これは刑事法上の原則を踏みにじるものじゃないかと思うのですよ。こういうようなことまでしてどうして押捺拒否者を罰しようとするのか、私はそれを聞きたいのです。
○岡村政府委員 経過規定を置くことが刑事法上の原則を踏みにじるかのような御指摘がございましたけれども、これは決してそうではないわけでございまして、刑の廃止に当たれば免訴になるという規定はございますけれども、刑の廃止に当たるかどうかの問題でございまして、経過規定が設けられれば刑の廃止には当たりませんし、行政法規の罰則の改廃につきましては、先ほど来申し上げましたように経過規定を設ける場合が多いわけでございます。 なお、私、先ほど刑の廃止ということで若干舌足らずであったかと思いますけれども、もう少し補足して申し上げますと、本件改正案が仮に限時法ではない、しかも経過規定がない、こういうことになりますと、これは刑の廃止に当たるということになると思います。しかし、経過規定が設けられておりますので、今回の改正案につきましては、これが成立いたしましても刑の廃止には当たらない、こういうことになるわけであります。
○安藤委員 せっかく刑の廃止に当たるような、ようなというのか、まさに当たる十四条第五項を挿入して、一回の指紋押捺で結構だ、切りかえのときはもう要りませんよという法案を出して、そしてそれを施行しよう、実施しようとされておりながら、こういうような経過規定を置いて、だから刑が廃止されたことにはならないというような形にする、そのことを私は問題にしておるのです。なぜそこまで指紋押捺拒否者を痛めつけなくてはいかぬのかということを私は言いたいのです。どうなんですか。
○黒木説明員 お言葉を返すようでありますが、痛めつけるつもりは毛頭ございません。こういう経過措置を設けましたのは、現行法に違反し、その状態を継続している人について改正後はその違反を不問に付すということは、一つは法軽視の風潮を助長するということがございます。それからもう一つは、旧法当時に刑に処せられた人と、その時期をうまく逃げ切った人との間に公平を失うということもございますし、行政法規におきましてはこういった経過措置は必要であろうというふうに考えます。
○安藤委員 私は今のおっしゃり方は全然納得がいきません。せっかくもう一回だけでいいのです、切りかえのときには要りませんよという新法を出して、改正改正とおっしゃっておきながら、拒否者に対しては従前どおりに罰するんだ、これはどうしても納得がいかぬのですが……。 ところで、今指紋押捺をずっと拒否し続けている人たちは現在で何人ほどみえますか。
○黒木説明員 約九百五十名ぐらいと記憶しております。
○安藤委員 だから、それは新規登録の場合も含めてのお話であろうと思うのですが、切りかえのときに指紋押捺を拒否している人ももちろん入るのですが、その人は何人ぐらいみえますか。切りかえに当たって拒否してみえる人。お答えいただいたのは切りかえに当たって拒否してみえる人の数ですか。
○黒木説明員 失礼いたしました。 現在拒否している人が約九百五十名で、その内訳はちょっと詳細に持ち合わせがございませんが、新規登録といいますか、最初の指紋押捺を拒否している人が約一割弱だと思います。それで、残りの九割以上の人が二回目ないしは三回目以降の拒否者であるというふうに記憶しております。
○安藤委員 ですから、この経過措置によりますと、せっかく改正だとおっしゃるこの改正案が法律として動くことになっても、今おっしゃった数の人たちに対しては断固として処罰を加える、こういう姿勢としか考えようがないのですよ。 そこで大臣、今お聞きになっておられたように、これはどう考えてもおかしいです。この辺のところをきちっと、「罰則の適用については、なお従前の例による。」なんという文言はなしにしていただかなくてはいかぬですよ。それでなかったら、ほかにもいろいろ問題ありますけれども、この改正案は審議にたえないと思うのです。何のために一回にして切りかえのときはもういいんだよというのか。今拒否している人に対してはこれは適用しないんだ、断固刑罰を科するんだ、こういう姿勢ですよ。大臣、その辺のところはどうですか。
○小林(俊)政府委員 先生の御指摘は、新法と申しますか、改正法施行前においては指紋の押捺を拒否すれば処罰される、しかし改正法が施行されれば指紋の押捺をしなくても罰せられない、その平衡の上からそれは矛盾ではないかというような御質問であろうかと思いますが、私どもの観点からいたしますと、改正法施行前における指紋の押捺拒否、指紋の押捺をしないということは法定義務違反であります。しかしながら、施行後におきます指紋押捺をしないという行為は、これはそもそも求められることはないのでありますから法定義務違反ということは生じない、したがって拒否ということも生じないわけであります。 したがって、その施行前における指紋押捺を拒否した行為というものはそもそも法定義務違反、法定義務拒否に対する罰則の適用が引き続くということでありまして、施行後におきます行為とは社会的なあるいは法的な評価を全く異にする、基本的に性格を異にするものである、本質的に異なった事象であるというふうに理解すべきものであろうと考えます。
○安藤委員 時間がなくなってきましたから、ここでそういう議論をするつもりはありませんが、ともかく、こういうような行為は犯罪だと言っておったのが、これで犯罪でなくなるのですよ。切りかえのときに指紋押捺を拒否した行為が、現行法では犯罪でしょうが、犯罪でなくなるのですよ。これは行政目的とかそういうような問題ではないのです。その辺をごっちゃにしてはいけませんよ。だから、犯罪ではなくなるのですから、行政目的でやったんだ、それは論が違うのです。ですから、これはもう一遍考えてもらいたい。 時間が来ましたから、大臣に答弁いただいて、それでおしまいにします。
○小林(俊)政府委員 同じ行為が犯罪でなくなるとおっしゃいましたけれども、犯罪になりますのは法定義務違反という行為であります。施行前においては法定義務違反という行為があったわけであります。しかしながら、施行後におきましては義務がなくなる、それゆえにそれに違反するということもなくなるのでありまして、施行前においては法定義務違反になったことが、施行後においては法定義務違反でなくなるといいますか、拒否という行為が存在しないということになるのでありますから、存在しないものを処罰しようがないわけであります。したがって、法定義務違反という行為、その限りにおいて処罰する、その原則を施行後においても維持するということにおいては何らの変更もないわけでありまして、その点の首尾一貫を維持するということは、平衡を確保する、すなわち施行前において法定義務違反を犯して処罰された人との平衡を維持すると先ほど登録課長の指摘した点も、ここで意味を持つわけであります。
○安藤委員 その義務違反をしたことを、義務違反をなしにする改正によって義務違反がなくなったんだから刑罰として追及しないようにする、これは当然のことだと思うのですよ。そのことを申し上げて、時間が来ましたから、また次にありますので、きょうはこれで終わります。
○大塚委員長 小澤克介君。
○小澤(克)委員 午前中に続きまして、質問をさせていただきます。 常時携帯義務の運用実態について伺っていたところで時間が来たわけでございますが、その際に、常時携帯義務については弾力的な運用をなすべきである、常識的かつ柔軟な姿勢で適正妥当に行われるようにという閣議での口頭の了解があったということまで教えていただいたわけでございます。かつ、交通検問などの際に免許証によって居住関係、身分関係が明確になっているにもかかわらず外登証の提示を機械的に求めるというようなことはしない、そのように指導しているという回答もいただいたわけでございます。ところが、実際の運用はそうではない、第一線の警察官による運用というのはそのような御説明とは全く違った運用がなされているということを指摘したいと思います。 先ほど一つだけ紹介したのは、この閣議での口頭了解以後のケースについて紹介したのですけれども、この閣議了解以前がもも、弾力的な運用をする、いつも話に出るのがふろ屋に行くのまでは外登証の携帯を求めないというような説明がずっとなされてきたわけですけれども、これまでの事例を調べてみますと、まさにおふろ屋さんに行くところをふろ屋の前で待ち受けていて逮捕されたなどという例があるのですよ。 これは少し時代がさかのぼりますけれども、本当にこういう極端な例があります。一九六七年十一月、北海道のケースですが、近所のおふろ屋さんへ出かけたところ、入り口で張り込んでいた滝川警察というところの警察官に呼びとめられて、不携帯だということで逮捕され、深夜まで取り調べを受けたというようなケースが現実にあるのです。 もう枚挙にいとまがありませんので、一九八〇年以降に限ってこちらの方で調べたものを紹介いたしますと、一九八〇年一月、水戸市内まで自動車で帰る途中に交通違反を理由に呼びとめられて免許証を提示した。免許証を提示したわけですから身分関係、居住関係はすべて明らかになっているにもかかわらず、不携帯ということで麹町警察署に連行されて逮捕されたというケースがございます。 それから八〇年の三月、この方は朝鮮大学校に行っておられる二十の学生さんですが、自転車に乗って大学の寄宿舎からわずか三百メートル離れた路上を通行中にパトカーに呼びとめられた。すぐ近くに寄宿舎があるからそこへ行ってとってくると言ったにもかかわらず小平警察署に連行され、これは逮捕ということにはなっていないようですが、警察の解釈では恐らく任意同行ということなんでしょうけれども、連行されて取り調べを受ける。寄宿舎から三百メートルですよ。寄宿舎へ行ってちょっととってくるから待ってくれと言っているのに、こういうことをしている。 それから八〇年の四月、これは私が弁護士として実際に相談を受けたケースですのでよく記憶しているのですけれども、同じく朝鮮大学校の大学前に移動交番というのですか、大型のパトカーをとめておいて、ある集会に参加した寄宿生が三々五々帰ってくる、その学生に片っ端から外登証の提示を求めた、こういうケースがあるのです。 それから八〇年の六月、これはまたふろです。ふろ屋に行くのにまで外登証の携帯を要求するのは過酷であるというのは、いろいろな著書や国会の議論などでもなぜかおふろ屋さんというのが常に出てくるのですけれども、まさにふろです。しかも、中学校三年生、十五歳の少年がおふろ屋さんに行っての帰り道に、自転車に乗って三河島駅前を通行していたところ荒川警察署の警察官に呼びとめられて、不携帯を口実に三河島派出所に連行された。お父さんが登録証を持ってくるまで事実上そこにとどめ置かれた。これは、まさに自宅近くのふろ屋に行ったというケースなんです。 八一年の四月、これはわずか十六歳の女の子ですけれども、ミニバイクを運転していて呼びとめられた。免許証を提示したが、結局熊谷警察署中央派出所に、これは連行されたということではないようですが、いろいろ取り調べを受けております。 それから八一年の五月、山梨の金さんの件、これはいろいろ問題となったケースでございます。警察官を告訴したりとか、山梨県の弁護士会が山梨県警あるいは塩山警察署にこういう人権を無視した扱いをするなという要望書を提出したりしたケースでございますけれども、知人の車に同乗していたところ交通検問に遭って、登録証を持っていなかったということで調べられ、後日塩山警察署に出頭を命じられて顔写真を撮られ、十指の指紋をとられ、掌紋もとられ、なぜか足型まで採取される、こんなことが行われております。 八一年八月、富山でございますが、十五歳の高校一年生の少年三人が自宅から三百メートル離れた自動販売機にジュースを買いに行った。そうすると、顔見知りの警察官の職務質問に遭った。そして、不携帯を理由に富山警察署に連行されて深夜までとどめ置かれた。家族には何の連絡もできなかったために、家族が、帰ってこないということで大騒ぎになった。自宅から三百メートルのところにジュースを買いに行った、こういうケースです。ふろ屋に行くケースや近所に買い物に行くような場合にまで携帯を要求するのは酷だと言われておりますが、これなどまさに近所に買い物に行ったケースです。まだまだいっぱいあります。 十四歳の男の子、中学校三年生です。これは八二年三月のケースですが、自転車で帰宅するところ、久米川駅前で呼びとめられた。外登証を持っていないということで派出所に連れ込まれて、その上パトカーに乗せられて東村山警察署まで連行され、取り調べを受けた。わずか十四歳の少年です。もう数限りなくあります。 八二年十一月には大阪で、ミニバイクをとめて友達と立ち話をしていたところ、警察官に免許証の提示を求められた。免許証を提示したにもかかわらず、外登証不携帯ということで逮捕されています。このケースなどでは警察署へ連行しようとしたため、それは嫌だ、何でそんなことをするんだと言ったところ、登録不携帯でも逮捕できるんだぞと言われた。それは法律上まさにそのとおりです。そして、手錠をかけられて派出所まで連行された。枚挙にいとまがありません。 途中はしょりますけれども、閣議での口頭了解のあった後については、先ほど紹介した例のほかに、ことし八七年四月東京で、これは三十一歳の男性の会社員ですが、自宅近くを自転車で帰宅途中、無灯火だということで小平警察の警察官に呼びとめられ、登録証の提示を求められた。会社に置き忘れていたために、あす交番に持参すると答えたけれども、二人の警察官に腕をねじ上げられたりして逮捕され、小平警察署まで連行される、こういうケースがあります。これなど、外登証は会社に置き忘れたとしても自宅付近なんですから、ちょっと自宅まで行けば家族や近所の方によって幾らでも身元の確認はできる、こういうケースまであるわけです。 こういう運用実態を見ますと、先ほどのお話が実際の第一線の警察官によって全く守られていないということが明らかだろうと思うわけです。こういう点について、警察庁としてはどのようにお考えですか。
○国枝説明員 先生今御指摘の事例につきまして、すべては承知いたしておりませんが、事案の概要として手元にあるものにつきまして、若干御説明させていただきたいと存じます。 まず、山梨県塩山署のケースでございますけれども、五十六年五月の事案でございます。山梨県警高速道路警察隊が、無免許、しかも速度違反で、三十四キロオーバーでございますが、普通乗用車を運転していた韓国人の方を検挙いたしたわけでございます。その際、この車両に同乗しておられた二人の女性に対しまして無免許運転幇助の疑いもあるところから職務質問しましたところ、この両名とも在日朝鮮人の方であり、いずれも登録証明書を携帯していないという事実が判明いたしました。その後、日を約束いたしまして署に呼び出して、外国人登録法違反で取り調べたという事例でございます。 次に、ことしの四月の事例でございますが、四月二十二日の午前二時二十分ごろ、警視庁の小平署の署員でございますが、無灯火の自転車に乗っておる男を発見いたしまして職務質問いたしましたところ、在日外国人であることが判明しまして、その職務質問の過程で身分事項あるいは居住関係等を確認する必要がありますため登録証明書の提示を求めたわけでありますが、提示を拒否した。任意同行を求めましたところ、自転車を放置して逃走したということでございます。約二十メートル追跡して現行犯逮捕したという事例でございます。自宅までの距離が、私ども報告を受けておる限りでは約六百メートルということでございますけれども、いずれにしましても、かかる職務質問の過程で自転車を放置して逃走したという状況があり、かつまた登録証明書が不携帯ということで現行犯逮捕したという報告を受けております。 いずれにいたしましても、私どもの基本的なポリシーというのは、午前中も申し上げましたとおり、社会常識にのっとり柔軟に対処するということにはいささかも変わりはございません。ただ、自宅付近ではどうかという点でございますけれども、まさしく今の事例にもございますように、単に自宅近く等、その場所的な範囲につきまして運用面でいわゆる弾力的な運用ができる場合もあれば、あるいは毅然たる措置をとる必要がある場合もあろうかと考えます。 なお、御参考まででありますけれども、昨年の六月のケースでありますが、やはり住所の近くで外登証の不携帯で密入国の外国人を検挙したというようなケースもございます。 いずれにしましても、いわゆる自宅近くのみあるいは一定の地理的範囲を限って運用面で考慮するということは、いささか難しいのではなかろうかという気もいたします。 最後に、免許証についてでございます。免許証につきましては、氏名あるいは住所、年齢等が記載されておるわけでございまして、身分事項等あるいは居住関係等の確認におきまして免許証で可能な場合はこれで当然行うわけでございますけれども、事案によって、例えば在留資格なり在留期間等の確認を要するような場合、これにつきましては外国人登録証明書の提示を求める場合も当然あり得るわけでございます。 以上でございます。
○小澤(克)委員 これは、具体的にこれとこれを聞くという質問通告をしていませんでしたので、全部について確認を求めることはいたしませんけれども、今二つの事例について警察としての御見解はありましたけれども、それ以外に、子供が本当に自動販売機にジュースを買いに行ったとか、おふる屋さんの帰りとか、そういうので一々外登証を見せろということに始まって、派出所や警察署に長時間事実上とめ置かれるということが枚挙にいとまがないわけですよね。 そこでお尋ねするのですが、法令研究会というところが編みましたところの「出入国管理及び難民認定法外国人登録法の違反態様と捜査の要点」という本がございます。法令研究会というのは同好のとの集まりであるとかいうことになっておりまして、だれがどういう立場で書いたか、形式上は極めて不明確なんですけれども、しかしその内容を読みますと、専門の方々による第一線の捜査官の参考にするための本であることが明らかなんですね。ここにも出版の目的が「捜査の面で無駄な労力が省かれ、真実の発見と公訴の維持に寄与することができれば幸いである」というようなことが書いてあります。また、「捜査要項は東京地方検察庁公安部外事係の捜査要項からそれぞれ借用した」とかいうようなことも記載してあるわけでございますので、正体不明ではありますけれども、捜査の第一線の人たちに対する教科書として書かれた、しかもそれらについて指導的な立場にある方々が書かれたということは明らかな本でございます。 ここに、これは外登証ですが、「不携帯は職務質問によって発見される場合が多い。この場合、職質の相手方が外国人であるとわかったならば、即時外国人登録証明書の提示を求むべきである。」こういう記載があるのですね。このような指導が事実上行われているとするならば、先ほどから言っているようなケースが今後も頻繁に起こるのではないかと思うわけでございます。これは、そんな本はだれが出したかおれは知らぬと恐らくおっしゃるでしょうけれども、やはりきちんとした指導、閣議の口頭了解にのっとった指導が行われますことをここで要望しておきたいと思います。 それから、外登証の携帯義務以外にも各種申請についてすべて罰則がある。これが非常に過酷なものになっております。すべて罰金等、いわゆる刑事罰になっているわけですね。これがまた在日外国人の方々に大変な負担を強いているわけでございます。最近の例でいきますと、一九八六年の六月でしょうか、東京都荒川区に住む二十歳の在日外国人の女性の方が、外国人登録証の更新手続が二カ月おくれたというのですか、仕事に追われ体調も悪かったというようなことでおくれてしまったわけですけれども、これが即荒川区の窓口担当者によって告発をされる、そしてその結果捜査が行われた、こういうケースがございます。それから神戸だったと思いますが、神戸市の中区というところでしょうか、やはり登録の更新手続をうっかりして二カ月間おくれた、それで告発をされる。結局、略式で罰金五万円ということになったと聞いております。先ほどの荒川のケースは不起訴になったと聞いておりますが、これなどおくれたわけですから、今後おくれないようにと注意をすればそれで足りるはずです。これを告発するというのも大変不当だと思うわけですけれども、この辺について、自治省の方に来ていただいておりますが、どういう指導をしているのでしょうか。
○吉原説明員 ただいまの御質問の件は、いわゆる外国人登録法そのものに関する具体的事案でございますので、私どもでとかく指導しているといいますよりは、法務省として実態をどう把握されているかということでございますので、どうかそちらの方でお聞きをいただきたいと存じます。
○小澤(克)委員 ちょっと待ってくださいよ。告発というのは刑事訴訟法に基づいて行われるのですよ。だから、自治省の方で指導なさるしかないのじゃないですか。
○吉原説明員 外国人登録法に基づきましてどういう事態のときに告発するか否か、それは外国人登録法を所管いたします法務省において判断されるべきでありまして、具体的には法務省の所管でありますが、地方公務員は法律を守るべき、法律に従って事務を執行すべき立場にあるわけで、そういう意味で、一般論ではありますが、当然法律に基づき、所定の手続等が定められておればそれに従って忠実に法律を執行するというのが原則であると考えております。
○小澤(克)委員 これは前にも当委員会で私自身が指摘したことがあるのですけれども、告発というのは刑事訴訟法に書かれていることでございまして、外登法には直接関係がない、したがって法務省がそれについて所管をするということにはならぬわけですよ。法務省、そうでしょう、そうじゃありませんか。
○小林(俊)政府委員 この問題につきましては、二年ほど前でございましたか、法務委員会で先生の御質問に答えて御説明をしたことがあったと記憶いたしますけれども、告発そのものは機関委任事務には含まれていないというのが私どもの解釈でございます。しかしながら、地方自治法に基づきまして、機関委任事務についてはその適正な執行を確保するために指導監督をすることができるという権限が定められております。その一環として、告発についても地方自治体に対してしかるべき指導が行われているという実態があるわけでございます。
○小澤(克)委員 ですから、告発というのは機関委任事務には含まれないわけです。だから、指導という言葉自体がおこがましいのでして、自治体に対してこういう基準でやってくれという要請ないし要望をするというのはわかりますけれども、通達等で指導するということ、そういう立場にはないわけです。もしやったとしたら、これは越権行為なんですね。通達にそのような記載があったということも私承知しております。 そこでお尋ねするのですが、この告発については若干の猶予をしろというようなことを法務省の方から指導といいますか、要請をしている、こういうことはございますか。
○黒木説明員 私どもの方では、本来告発というのは公務員の義務であるということでございますが、したがいまして一律に告発が行われるべきものと理解しておりますけれども、病気などのためにどうしても出頭できなかったというような場合が現実にございますので、そういった特段の事情がある者については告発を事実上保留するということについて、私どもも黙認といいますか、そういうものを認めるという趣旨の通達は出しております。
○小澤(克)委員 その通達、きょうは間に合いませんでしたけれども、ぜひ資料として後で出していただきたいと思います。 それで、自治省の方にもう一度御注意しておきますけれども、いいですか、この告発事務というのは法務省からの機関委任事務に入らないわけですよ。ですから、これについては市町村長が独自にみずからの判断で本来行うべきものです。それについて、外登法を所管する法務省から外登法に関する限りこういうふうにやってくれと要請するということはあるでしょうけれども、それ以上指示をするということはできないはずなんです。そうだとすれば、これについて適切な運用を図るのは自治省の役割ということになるわけですよ。もちろん市町村の自主的な判断ですけれども、そういう認識がないのじゃ困りますよ。どうですか、今後その点についてちゃんとした対処をするお考えはありますか。
○吉原説明員 先ほど法務省の方から御答弁があったように、外登法関係での指導権限といいましょうか、指導するというところまではいいだろう、こういうことになっております。ただ、今御指摘のとおり、告発をするかしないか、それは市町村で決めることであります。そういう意味で、告発義務をどういう格好で守るか、特にそれが窓口の職員だけの判断なのかどうなのか、そういうことにもよるかと思いますが、それは任命権者たる市町村長がみずから判断すべきもの、こういうふうに考えております。
○小澤(克)委員 これは法務省が基本的に悪いのだと私は思いますけれども、通達の中で外登法違反については即告発をするようにというようなことがさりげなく書かれているので、一般の窓口の方はその辺のことがよくわからないままに機械的に告発する。告発というのは、犯罪事実を捜査機関に申告をして処罰を求めるという大変な行為なんです。要するに犯罪人をつくってくれと頼む大変な行為なんですけれども、そういうことは一般はわかりませんので、窓口の方が法務省からの通達どおりに機械的に告発するということが行われるわけですよ。そのために先ほど紹介したようなケースがある、こういうことはぜひ改めていただきたいと思います。日本人だったら、住民登録上のいろいろな届け出義務なんか怠ったからといって、それで過料を取られたということはまずないわけです。要するに身分関係、居住関係を明らかにするというのが制度目的で、そのための担保にすぎないわけですから、一々このような告発をされて捜査をされて、一方は不起訴、一方は略式で罰金五万円になっておりますが、余りにも過酷だと言わなければなりません。 それで、ここはひとつ大臣に伺いたいのですが、私は閣議口頭了解というのはある意味で非常な矛盾だと思います。なぜかといいますと、この外登法というのは法務省の所管なんですね。だから、これに単なる過料ではなくて罰金、あるいは物によっては懲役もございますけれども、こういう過酷な罰則を決めているのは、法務省がそういう法案を出しているわけですよ。そうしておいて、閣議で警察の方に、公安委員長に対して弾力的な運用をしてくれというのを法務省の方から頼む、こんな矛盾した話はないわけでしょう。 この常時携帯義務違反についても、あるいは各種申請のおくれ等についても、余りにも罰則が重い、それが先ほどからの諸般のトラブルの根源になっているわけです。このような過酷な刑事罰というのはぜひ改めるべきである。行政法規なんですから、行政目的確保のためには過料で足りるというのが原則ですからね。これについて法務大臣、今直ちにはともかくとして、将来どういうことをお考えなのか、ぜひお答え願いたいと思います。自分の方で所管している法律の運用について、他の省庁に弾力的運用を頼むなんというのはおかしな話です。他の省庁から法務省に対して、あなたのところの所管の法律はちょっと厳しいから何とか弾力的に運用してくれと言うならわかりますよ。自分のところで提案している法律についてもしそういう問題があるのなら、罰則を改めればいい話です。その辺についてどうお考えなのか、ぜひ大臣から御見解を賜りたいと思います。
○遠藤国務大臣 お尋ねの件ですけれども、罰則をつくっておいて法務省自体が緩和してくれと言うのはおかしいじゃないかということのようでございます。 当時の状況は私はまだ十分把握しておりませんけれども、閣議においてのお話というのは、恐らくいろいろ外国人やその他の方々からのお話が中心となって、ちょっとたばこを買いに行くとか、ジュースを買いに行ったとか、おふろに行った、その辺をちょっと犬を連れて散歩したというようなときに、常時携帯すべき登録証を持っておらぬ、それが一々そういうような点で摘発されるということはどうかということから、その運用の面において柔軟な姿勢をとってほしいということがそもそもの問題ではないか、こう思います。 せっかく先生がそういうふうに、法務省そういうような姿勢をとるなということになりますると、私は先ほどの別な先生からの質問に対しては、重ねてそのような姿勢でいきたい、こういうふうな考えでございますので、その点は先生ひとつ御理解を願いたいと思います。どうしてそういうような問題になったかということは、故意に不携帯と、また軽率といいましょうか、簡単にちょっと買い物に行くとか、そういうような点で一々不携帯で処分されるということに対しての問題であると私は理解をいたしておりますので、先生せっかくのお話でございますけれども、私はやはり公安委員長とお話をして、ちょっと忘れてきたというようなのはひとつ運用面において柔軟な姿勢をとってほしいという姿勢を堅持していきたいと思いますので、御理解をちょうだいいたします。
○小澤(克)委員 せっかくの大臣の御答弁でございますが、こういう外登証の不携帯について非常に不当なといいますか、そういう運用が行われているのは、これは罰則が刑事罰を科されているということと一体の問題なんですよ。これが単なる過料であれば、強制捜査ということは行われません。逮捕ということはないわけです。どのケースでしたか、警察官が不携帯で逮捕できるんだぞと言ったという、いみじくもそういうのがありましたけれども、これはまさに逮捕できるというのは刑事罰を科されているからなんですよ。その意味で、単なる不携帯についてのチェックと罰則の問題は別だというふうにはお考えいただかないで、これは過酷な罰則があるからこそこういう運用実態が改まらないんだということをぜひ御認識いただきたいと思います。 たとえ不当な運用であっても、法律上不携帯がたとえ過失であろうと何であろうと、家から三百メートルであろうとふろ屋であろうと、しゃくし定規に言えば確かに不携帯は、これは構成要件からすれば刑罰が科されるわけなんですよ。ですから、そういう捜査が行われても、不当だとは言えますけれども、違法だとは直ちに言い切れない。そこに問題があるわけですから、ぜひこの罰則についても前向きの検討をお願いしたいと思います。 まだまだ聞きたいことがたくさんありますけれども、きょうは一回目でもございますし、他の我が党の委員からの質問もあろうかと思いますので、最後に少し細かい点をお尋ねしたいと思います。 今回のこのいわゆる改正法案ですけれども、切りかえに際しては指紋を転写するということになるようですが、この転写するもとになる指紋というのは一体どれを使うということになるのでしょうか、どういうふうに指導されるのでしょうか。
○小林(俊)政府委員 転写されるのは、そこで初めて指紋押捺する人であればもちろんそこで今押捺された指紋を転写するわけでございますが、過去において旧法のもとで、旧法というのは現行法でございますが、現行法のもとにおいて押捺された指紋が保管されている場合には、原則としてその中で最も新しいものを転写するということを考えております。しかしながら、いずれも同じ指紋でございますが、その中で鮮明度に非常な違いがある、一番新しいものはそう鮮明ではないという場合には、過去に押捺された指紋の中で最も鮮明なものを選んで転写するようにという指導をすることになろうかと存じております。
○小澤(克)委員 その辺は一定の基準を設けて指導して、実際には自治体の窓口の職員の判断になる、こういうことになりましょうか。
○小林(俊)政府委員 そのとおりでございます。
○小澤(克)委員 それから、この指紋の転写はカードの表にするものとお考えでしょうか、それとも少し目立たないところに、例えば裏などにというようなお考えはありませんでしょうか。
○小林(俊)政府委員 自動車の運転免許証をごらんいただければよくおわかりいただけるかと思うのでありますけれども、裏面は訂正ないし変更事項の記載欄でございます。したがって、表面とは違った材質になることになります。したがって、転写は技術的に表にせざるを得ないということになるわけでございます。ただ、余り人目につくのはいかがかという先生のお考えであろうかと推察いたしますけれども、この点につきましては、私どもも何らかの措置を講じて、むき出しになる印象を避けるようなことを考えてみたいというふうに思っております。 具体的には、最近クレジットカードなど非常に多く流通いたしておりますけれども、そのカードをおさめるホルダーあるいはケースといったようなものも使われておりますので、登録証明書の大きさに合わせたしかるべきホルダーなりケースなり、ビニール製のようなものを一緒に支給するということによって、このカードをむき出しに持ち歩くことからくる印象を多少なりとも和らげたい。そのカードケースなりカードホルダーなりにつきましては、指紋部分を不透明といたしまして表からは見えないというようなことも考え得る余地があるんじゃないかというふうに思っております。
○小澤(克)委員 できれば裏面にでもと思ったのですが、いろいろそれなりにお考えのようでございますので、私どもはこの法案に反対しておりますので成立してもらっては困るわけですけれども、ぜひそういうことも予備的にといいますか、要望しておきたいと思います。 それから、カードを作成するのは、ラミネートカード化は地方入管局で行うことになるというふうに聞いておりますが、これはどうなんでしょうか。単にラミネートカードにするという物理的な作業といいますか、純事務的な作業を担当するということに尽きるのでしょうか。それとも、そのカード作成に関して何らか実質審査をなさるということなんでしょうか。例えば、記載事項あるいは転写した指紋が不鮮明だからこれじゃだめだといって自治体に送り返すというような実質審査をお考えなのか。そこはいかがでしょうか。
○小林(俊)政府委員 一言で申し上げれば、地方入管局における作業は物理的なものというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。 そういうことにいたしましたのは、午前中にも御説明がございましたように、作成機械がかなり高価なものでございまして、これを三千数百の市区町村の窓口に配置することは到底行政経済上不可能でございます。そのことのために、地方入管で集中的に管轄区域内のものを処理するということにしたわけでございまして、その作業はあくまで市区町村長の依頼によって行うということでございます。もちろん、明らかにケアレスミステークと思われるような欠落、例えば記載事項に欠落している部分があるとか、あるいは写真が貼付されていないとか、あるいは転写が行われていないとかいった場合に照会をするといったような程度のことはあるかと存じますけれども、その内容にわたって何らかの特定の指示を行うということは原則としてはないというふうに考えてよろしいかと存じます。
○小澤(克)委員 今大変重要な問題が出たと思います。欠落については照会をするというお話でしたけれども、初回の登録の際に指紋押捺を拒否した、初回ですから既に採取しているものはない、したがって、これは最終的に自治体の判断で、指紋押捺のないままのラミネートカードの原稿といいますか、を作成して入管局に送った。そのような押捺を求めないままの作成というものが果たしていいかどうかというのは、これは別途法務省として指導はなさるでしょうけれども、この入管局でのラミネートカード化というのは、そういう指導とは別に、全く物理的に、実質審査権なしにカードを作成するということになるのか、やはりこれはだめだといって法務省による指導と一体として送り返すことになるのか。その辺はいかがなんでしょうか。
○小林(俊)政府委員 指紋が欠落している場合に、それが指紋押捺拒否によるものであれば、恐らく何らかのインディケーションと申しますか、何らかの記載がどこかにあると思います。これが指紋押捺拒否によって欠落しているものであるということがわかるようになっていると思いますので、その場合にはそのままカードを作成して送り返すということになると思います。そうではなくて、何か事務的な手違いによって落ちたのではないかと思われるような場合には、その状況について照会をするというようなことがあり得るかと思われるわけでありまして、あくまでその事務の性質は物理的なものであると御了解いただきたいと思います。
○小澤(克)委員 そこはぜひ確認をといいますか、厳格にやっていただきたいと思います。 午前中の質問で、これは質問が悪かったのか、ちょっとよくわからなかったのですけれども、登録課長さん、ジャパゆきさんの問題を例として何度か出されたのですが、ジャパゆきさんというのは実態は私もよく知りませんが、ほとんどは観光ビザなどで入っていて、在留期間が非常に短いケースだろうと思います。こういった方々が登録に至るというケースは余りないのじゃないでしょうか。先ほど何重にも登録している例があったというようなお話がありましたが、これはいわゆる外登法上の登録のことなんでしょうか。
○黒木説明員 先ほど御説明いたしましたのは、本人は登録してないわけです。適法に在留している人、三年の滞在資格を持っている人の登録証明書を、盗んだのか譲り受けたのかはわかりませんけれども、人の登録をもらって写真を巧妙に張りかえて、あたかも三年の滞在許可を受けている人物を装っていた、こういう説明でございます。
○小澤(克)委員 はい、そちらはわかりました。要するに、不法に残留している人が他の人の外登証を不正に使用していたというケースだろうと思うのですけれども、もう一つ、何か二重にも三重にもいろいろな地方で登録をしているケースがあるという御説明があったのですが、こっちの方はどうなんでしょうか。
○黒木説明員 これは、いわゆるジャパゆきさんじゃございませんで、例えば日本に日本語勉強のためというような形で来た人がAの町でも登録をし、またBの町でも登録している。二重、三重という登録が行われているという例を御説明したわけです。
○小澤(克)委員 その点はわかりました。今の御説明でも、不正入国あるいは在留を防止するということと、登録に際して指紋の採取を求めるということは全く結びつかないということ、これは午前中に繰り返して言いましたけれども、そういうことは指摘できると思います。 それから最後に、時間がだんだん押し詰まってまいりましたので、この指紋押捺を求めることの意味といいますか、不合理性については、午前中にさんざん言ったわけでございますが、理屈の問題と同時に、先ほどから聞いておりました他の委員の御質問にもありましたけれども、十六歳という非常に感じやすい年ごろの人に、しかも日本で生まれ育って、外国人といえども生活の基盤などは日本にしかないという方、そして普通に学校なとに行って、日本人の友達と全く同じに生活し成長してきた者が、十六歳になって外国人登録をしろ、外国人ですから登録をするのはしようがないとしても、指紋の押捺をしなければならない、この心情といいますか、これは私は本当につらいものがあるだろうと思います、大多数は朝鮮、韓国の方だろうと思いますけれども。朝鮮、韓国と日本との間には、過去においては本当に不幸な、日本の側からいえば不幸ななどという言葉で片づけてはならないような歴史がございますけれども、それはさておきまして、今後の両民族、両国民の友好の維持という観点からも、これは余りにもまずいのではないかと思うわけです。これについては何かお考えをいただけないだろうか。 これは、十六歳になって指紋を押さなければならないという立場の方々が、「原健三郎先生」となっていますから議長にあてた手紙ということになろうかと思いますけれども、ある集会で読み上げられたものですが、本当に指紋採取をされる側の痛みというものが出ております。ちょっとこれを読ませていただきます。 私たちは今日、外国人登録法のことでとても大事な集まりがあるということを聞き、じっとしていられなくてこの場にかけつけました。今年十六歳になった私たちにとって、外国人登録法という法律はとても重くつらいものです。 私は七月十日に十六歳になったので、八月八日までに市役所へ行き、指紋を押さなければなりません。そしてこれからは外国人登録証明書をいつでも、どこに行くときでも持ち歩かなければなりません。そのことを思うだけで、とても心が重く、悲しいのです。 日本に生まれ育ち、まわりの日本の友人たちとわけへだてなく生きてきたと思っていたのは、私たちの錯覚だったのでしょうか。これは差別ではないのでしょうか。悪いことを何もしていないのに指紋を押したり、登録証をいつも持ち歩かなくてはいけないこの法律が、どうして必要なのでしょうか?私たちにはよくわかりません。わかっているのは、人はみな平等で、差別をしたり、されたりするのは絶対にいけないということだけです。 日本に住む私たちは、日本の友達と手をとり合って、朝鮮と日本が一日も早く仲よくなるように努力してゆきたいと思っています。そのためにも、私たちの心を引き裂くような、仲を引さ裂くようなことはやめてほしいと思います。 どうか、私たちを犯罪人扱いすることをやめて下さい。指紋をとることをやめて下さい。外国人登録証をいつも持たされる制度をなくして下さい。登録の切替えがおくれただけで、処罰したりしないで下さい。法律をかえて下さい。 私たち朝鮮人学生の心からの願いをぜひ、ぜひかなえて下さい。 一九八七年八月四日 これはちょっと本来の読み方はわかりませんけれども、お二人の署名があります。こういうのを読むと、理屈はともかくとして、本当に指紋押捺を求められる側の心の痛みがあるということがよくわかると思います。 これで終わりますけれども、大臣、こういうのを聞いてどういう感想を持たれますか。そしてそのことを踏まえて、この指紋の問題、それから外登証の常時携帯の問題、そして過酷な罰則、これらについて、ただいま直ちにはともかくとして、方向性ででも結構でございますから、大臣としての御見解を承りたいと思います。ぜひ今読み上げたものに対する感想をお聞かせ願いたいと思います。
○遠藤国務大臣 先ほどもお答え申し上げておるのですけれども、外国の方々が日本においでになって、二世、三世、そういうふうな方々は、自分の国はやはり日本国だという気持ちで国を愛し、そして日本国の発展に寄与されていることでございまして、そういうような点を考え、ただいまの手紙をお聞かせちょうだいいたしまして、私どもとしてもじんと胸に迫るものがございます。さような点で、この十六歳ということについては先ほど入管局長も答弁しておりますけれども、一体何儀がいいのか。十二歳から十四歳になり、最終的に十六歳になったわけですけれども、内部的には十八歳、二十歳ということも出ておったわけでございます。先生方からも年齢の問題でのお話をちょうだいいたしておることは、私よく承知いたしております。そういうような点で、やはり今後第一番目に考えていかなければならない問題だなとひしひしと感じておるわけでございます。 今日この提案をするという段階までになかなか先生たちの御期待に沿うような法案にならなかったことは大変遺憾に思いますけれども、指紋の問題も、外国人登録の正確を期すためにだということで指紋が一回限りということになり、年齢の問題も、十六歳は中学校も出て社会人になる、また御婦人は結婚もできるという年齢だからというようなことでございますけれども、日本の法律ではまだ少年法の範囲です。そういうような点も考えますると、やはり年齢をもっと上に上げるべきではないかなということは私の胸の底に秘めておりますが、提案問題が皆さんの御承認をいただくまでの段階には至りませんでしたので、この問題については検討課題としていずれ検討させていただきたい、このようなことを申し上げておきたいと思います。
○小澤(克)委員 小さいことですが、一つ落としておりましたので、それをお尋ねして終わりにしたいと思います。 現行法の十二条に、外登証の提示を求める側について鉄道公安職員というのがあるのですが、今回のいわゆる改正案ではそのままになっているようですが、これは何か意味があるのでしょうか。
○黒木説明員 これは、国鉄法改正に際しまして鉄道公安官制度はなくなったわけでございますが、この法律案を提出いたします時点ではまだ法律は生きておりましたので改正の形はとれなかった。本来は落ちるべきではあるのですが、三月の時点におきましてはまだ施行されていない法律でありましたために、形として残っておるということであります。
○小澤(克)委員 終わります。
○大塚委員長 次回は、来る九月一日火曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十分散会