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109回国会衆議院1987/08/27

大蔵委員会 第7号

発言数
197
登壇者
17
会派数
5
開催日
1987/08/27

会議録

池田行彦自由民主党

○池田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人に御出席をお願いいたしておりますが、午前の参考人として、東京大学教授金子宏君、日本労働組合総評議会経済局長井上定彦君、東京都地域消費者団体連絡会代表寺田かつ子君、全日本労働総同盟政策室長柿沼靖紀君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位には、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、各参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、金子参考人からお願いいたします。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 金子でございます。  所得税法等の一部を改正する法律案について意見を述べるようにとのお申しつけでございますので、私の意見を簡単に申し上げます。  我が国の現在の税制は、シャウプ勧告に基づいて昭和二十五年に構築されたものでございますが、それ以前に昭和二十二年の改正で総合累進所得税が採用されておりましたので、それから数えますとことしでちょうど四十年になります。この間、我が国の経済の著しい発展と複雑化に伴いまして、税制は非常に複雑な内容となっております。また、制度、執行の両面を通じて、公平の原則に反すると思われる問題がいろいろと発生しておりますし、さらに、経済活動にマイナスの影響を与えるいろいろのゆがみやひずみが生じております。そのため、現在、納税者の重税感と不公平感は著しく増大していると言ってよろしいと思います。このまま放置いたしますと、国民の勤労意欲や事業意欲に深刻な影響を与えて、社会経済の活力を失わせることにもなりかねないと存じます。したがいまして、税制を改革して国民生活と経済活動の円滑な進行を確保することは極めて重要な課題であると言ってよろしいかと存じます。  ところで、最近は人口の高齢化、経済のソフト化、経済活動の国際化といった地殻の変動を思わせるような事態がいろいろと進行しております。これは我が国の社会と経済が現在大きな転換期に入っていることを物語っているにほかならないと思います。このような事態にかんがみますと、私は、税制改革に当たりましては長期的な視野に立って社会経済構造の変化に十分に対応し得るような税制を構築する必要があると考えております。  現在、当委員会で御審議中の所得税法等の一部を改正する法律案は、昭和六十年以降政府税制調査会等の場におきまして広い範囲にわたって行われてまいりました検討の結果を踏まえているものと存じております。通常国会に提出された法案では税制改革の全体像が明らかにされておりましたけれども、御存じのような経緯で廃案となりましたが、そのため、今回の法律案では早急に手当てすべき事項に限って改正を行うこととしているわけでございますが、これはやむを得ないことであると存じます。  今回の法律案では、所得税減税と利子課税制度の改正が中心となっておりますが、まず所得税減税について申し上げたいと思います。  四十代及び五十代の中堅サラリーマン層の人々は、働き盛りで収入は比較的多いものの、教育、住宅などの費用がかさみまして生活に余りゆとりがないことから、強い不公平感と重税感を持っております。こうした状況にある中堅サラリーマン層の税負担の軽減を図るためには、現在の累進性の高い税率構造を改めてその累進度を思い切って緩和する必要があると存じます。今回の減税案は、その点ではまだ十分とは言えませんけれども、その方向に第一歩を踏み出したものとして高く評価することができると考えます。  また、片稼ぎ夫婦と共稼ぎ夫婦との間の負担のバランス並びに給与所得者と事業所得者との間の負担の不均衡の問題に対処するため、今回配偶者特別控除の創設が提案されております。この点については二分二乗制度を採用すべきであるという意見もございます。ただ、二分二乗制度は、アメリカで始まりドイツも現在用いておりますけれども、いろいろな難点があることが指摘されております。そこで、今回の提案のような制度を導入することが適切ではないかと私は考えております。  また、いわゆるクロヨンといった不均衡感の問題に対応するために、みなし法人課税制度の適正化と総収入金額報告書の提出要件の見直しが提案されておりますし、さらに、給与所得者に対して特定支出控除制度を採用して申告納税への道を開くこととしておりますけれども、これも適切な方向を示しているというふうに思います。  次に、利子課税制度の改正について申し上げます。  御案内のように、現在個人貯蓄の残高は四百兆円を上回っておりますが、その約七割がマル優、郵貯等の非課税貯蓄であります。その結果、利子所得に対する課税が給与所得、事業所得など他の所得に対する課税との関係で均衡を失したものとなっております。公平負担の観点からはすべての所得に対して課税上なるべく同じ取り扱いをすべきであります。また、非課税貯蓄制度は過去におきましては貯蓄奨励政策として一定の意義を持っておりましたけれども、日本が世界一の資本輸出国になった現在におきましては、利子を一律に非課税とするということの必要性と合理性は著しく少なくなっていると言ってよろしいと思います。さらに、我が国の貯蓄率の高さ等を背景として、国際的にもこれに対する批判が高まっておりますことは御存じのとおりでございます。このような意味で、利子非課税制度を老人や母子家庭等に対する非課税制度に改組するという今回の改正は実質的公平にかなったものではないかと考えます。  ところで、今回の改正案では一般の預貯金については二〇%の一律源泉分離課税に移行することになっております。私としましては、先ほども申しましたように、すべての所得に対して同じように課税する制度、すなわち総合累進所得税制度が所得税のあり方としては望ましいと考えております。ただ、利子所得にはその発生の大量性、その元本である金融商品の浮動性と多様性といった特異性がございますし、現在の不正利用の状況にかんがみますと、執行体制の整備にはかなりの時間がかかりますので、一律分離課税制度は当面の措置としてはやむを得ない選択ではないかと思います。また、実質的公平確保という点では一つの前進であるというふうに思います。聞くところによりますと、与党からは利子課税のあり方については五年後に見直しを行うという提案があったということですが、私としても、より望ましい税制の構築のために引き続き広い視野に立って検討が行われることを期待しております。  今回の改正法案では中堅層を中心として所得税の負担の軽減合理化が図られる一方、利子課税制度の見直しによって非課税貯蓄の利子が課税対象となるため、増減税が同時に行われることになっております。このような所得税の減税と利子課税制度の見直しが全体として家計の税負担に対してどのような影響を与えるかという点につきましては、さきに大蔵省から試案が示されております。それによれば、各分位、各ライフステージにおいて負担が軽減されることになっております。  すべての改正点にわたって網羅的に意見を申し上げる時間がありませんので、なお一つだけ触れさせていただきます。  最近の地価の高騰等にかんがみますと、キャピタルゲインに対する課税のあり方という点でも、土地の供給を促進する一方、仮需要を抑制するという点でも、土地税制の見直しは緊要であると考えます。今回の法案におきましては、超短期重課制度の導入や長短区分の見直し等、ある程度この線に沿った改正が提案されております。最近の土地問題にかんがみまして、速やかに実施に移す必要があると思います。  最後に、間接税の問題について若干申し上げます。  私としましては、税制の基本ないし中心となる税はやはり所得税であると考えております。ただ、所得税は種々の制約からその適正な執行が困難な場合が少なくありません。したがって、単独の税目に過度に依存いたしますとそのゆがみが増幅してあらわれてくることがございます。その意味で、税体系のあり方としては、そのときどきの経済社会の情勢を踏まえながら、所得、消費及び資産の三者に対する課税の均衡を図っていくことが必要であると考えます。今回の法案におきましては間接税の改正はほとんど行われておりませんけれども、今後とも間接税のあり方についても見直しを進めていく必要があると存じます。  以上でございます。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  次に、井上参考人にお願いいたします。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 それでは幾つかの点について意見を申し述べたいと思います。  まず第一に、今回政府が国会に提出した税制改革法案について、我々勤労者として非常に、ある意味では、今さらのことではありますけれども、意外といいますか、何か非常におかしい、どうしてこのようなものが国会に出てくるのか理解に苦しむという感じをいまだに持っていることを冒頭に申し上げざるを得ないわけであります。すなわち、この内容は、売上税部分が除かれ一部手直しがなされてはおりますけれども、他はほとんどさきの国会で与野党間で廃案が合意されたはずの税制改革法案の内容にほかならないからであります。あれほどの国会審議の経過があり、また国民世論の猛反対によってつぶれたはずのものがなぜまたぞろ出てくるのか、死んだものがまた起き上がってきたというか、何かどうも政府に欺かれたという感を我々は抱かざるを得ないわけであります。  さらに、この点を仮におくとしても、この税制改革案をそれ自体として素直に見るとき、中長期的かつ抜本的な改革の一環だとされているだけに、一体これは何をしようとしているのか、何が抜本改革と言えるのか、全く全体像といいますか全体的イメージがわかないわけであります。税というのは、国民にわかりやすく、道理の通ったものであって初めて国会で論議するに足ると考えるところでありますが、どう見ても真正面から論議するにふさわしいとは言えない内容であり、このようなものがもしも国会でこのまま強行されることになれば、基本的な税制改革を国民的に論議すべき時期にあるだけに、禍根を残すことになるのではないかと危惧されるものであります。マスコミで言われておりますように、与党の人事問題をめぐります内部事情のはね返りであるとするなら、この点はなおさら問題外だと言わざるを得ないわけであります。  無論、我々は、今本格的な勤労者減税を強く求めているものであります。しかし、この減税と本来なさるべき税制の抜本改正とは性格が違うと申しますか、次元が別のことである点をここで強調したいわけであります。  振り返ってみますと、昭和五十九年度に久方ぶりのやや本格的な減税が実施されて以来、六十年、六十一年、そして今年で三年目、減税の名に十分値するようなまともな減税は見送られたままであります。この間、物価上昇に伴う調整減税もなされず、勤労者の税負担は急上昇を続けています。勤労者の納税者比率はさらに上がり、全税収に占める勤労所得税の比重もさらに上がっておるわけであります。マネーゲームが隆盛をきわめ、財テク、土地投機の利得、関連産業の高利潤が伝えられる中で、勤労者の可処分所得は停滞したままとなっているのです。これらは、結局のところ、現行の税体系が大きくゆがんでいる、取りやすいところから取る、勤労所得に過重にかかり、不労所得、資産所得、金持ち層に対して甘いという実態を反映したものにほかならないわけであります。  今、我々労働団体は、このような不公平是正を財源として、直ちに二兆円規模を上回る減税を勤労者の圧倒的多数を占める中低所得層を中心に行うよう求めています。その財源には、最近のアメリカの税制改革でも実施された資産所得への課税、日本では、当初のシャウプ税制の精神に反して保守政権の手によってとうとう原則非課税にされてしまったキャピタルゲインへの課税強化を初めとして十分に実行可能なものであります。六十二年度減税については政府は幾ら何でも財源がないとは言えないはずであります。我々の不公平是正の要求を仮にけったとしても、円高差益や財テクブームの利益のほんの一部でありましょうが、今日の税収の好調により、余剰金として二兆円規模を上回る中身があるわけであります。加えて、NTT株の売却など、我々の要求を実現し得ないはずはないわけであります。今はただ政治的メンツと政治的意思の問題にすぎないことは明白であります。これはさきに先行実施されてしまった法人税減税の点を見ても明らかであります。  財テクブームに乗って景気回復宣言が出される中で、この夏の一時金、ボーナスは前年に対しほとんど伸び率ゼロにとどまりました。これから消費者物価が徐々に上がり始めていますから、国際公約となった内需拡大のてことしての減税実施が本格的なものにならないならば、この景気回復も短命に終わりかねない形勢であります。  我々は、これまでも税制改革の進め方について労働団体としての見解を明らかにし、また政府に対しても強く求めてきた経緯があります。それは、まず第一段階として、徹底的に税の制度上、執行上の不公平を是正すべきであるということであります。同時に、現行のゆがんだ税を改革することは、過重となっている勤労者の税負担の改善策として、減税を可能にもし、また必然にもするということであります。そして、第二段階として、このような不公平是正が進められ、税の公正感と信頼性を回復し、将来の高齢化社会の展望、二十一世紀に向けての福祉社会の建設の視点を含めて、国民に十分開かれた場での福祉と負担の問題を含む抜本的な税制改革を推進すべきだということであります。  今回の政府の税制改革法は、このようなオーソドックスな税制改革の進め方とは全く逆に、率直に言って理の通らないマル優廃止をごり押しするために、減税を人質にとる道理のないやり方だと言わざるを得ません。  今回の税制改革の最大の目玉とされるマル優、少額貯蓄非課税制度の廃止と二〇%の一律課税は、中でも殊に現在の不公正を是正するどころか、かえって不公正を拡大するものであります。政府、大蔵省のマル優廃止の根拠に挙げられているのは、一つには既に貯蓄優遇の時代ではなくなった、時代が変わったではないかという点でありますけれども、それは少し話がおかしいのではないでしょうか。我々はずっと、勤労者の生涯生活は、病気や失業にさらされたとき、また老後の生活は、公的な社会保障で基本的に支えられるべきだと主張してまいっておったわけであります。しかしながら、さきの臨調基本答申では、公的な社会保障は国民生活の基盤的保障にとどめ、自助努力を基本とする旨の新たな方向を打ち出し、実際に老後生活は公的年金では貯えず、青壮年時代からの貯蓄なしにはやっていけないことが今日常識となろうとしております。政府の制度改革、行政改革の方向が勤労者にいや応なく貯蓄を強いているときに、急に少額貯蓄非課税制度は不要になったというのは筋が通りません。  いま一つ、現行の非課税制度が本来の目的以外に乱用され、かえって金持ち優遇制度になっているというのであれば、その見方には我々は同意できます。つまり、資産所得、高額所得者に有利な現行の税制度の中で、この利子非課税制度がさらに悪用されているのはぜひ是正さるべきだというなら話はわかります。もしそうであるとすれば、今回のやり方は全く逆さまのやり方ではありませんか。年収一千万円以上層を対象にした利子の分離課税方式の優遇策三五%を二〇%に引き下げ、高額所得者を一層優遇した上、逆にそれまで生涯に必要な生活費として非課税であった勤労者の貯蓄に一律に課税するというのは、全く二重、三重の不公正の拡大にほかなりません。同じ貯蓄といっても、勤労者、中低所得者の貯蓄は預貯金中心でありますし、高額所得、資産家の貯蓄は証券、不動産などの財テク中心であり、資産所得に甘く、キャピタルゲインの原則非課税に基本的な手を入れないままで、こうした層の乱用を理由にして、むしろ現行の非課税枠を到底使い切れていない現実にある勤労者の生活のための預貯金の利子に一挙に二〇%の税をかけるというのは余りにも不条理であります。  いつぞやテレビを見ていましたところ、昨年来の税制改革について与党の代表が、我々は比較的資産のある方、所得の高い層の支持を受けて衆参同時選挙に勝ったわけだから、そういう人々に向けた税制改革をするのは当たり前だという趣旨の発言をしているのを見て唖然としたわけであります。このマル優廃止論はぜひそのようなセンスでは決してないことをだれしも願わずにはいられません。  この少額貯蓄非課税制度について乱用があるのであれば、その乱用を防ぐ、規制するというのが当然の道理であります。我々がかつてグリーンカード制を支持し、また次善の策としてマル優カードやさらにプライバシー保護を前提にした納税者番号制の導入を含めて真剣に限度額管理の徹底を求めているにもかかわらず、政府はこれを取り入れようとはしない。これは一体どういうことでしょうか。  ここ一年の税制改革にまつわる動きを振り返りますと、もともと現行の税制改革の進め方に大きな欠陥があったのではないかと言わざるを得ないわけであります。論議の発端は政府税調から始まる建前になってはおりますが、これはそもそも委員構成が政府、大蔵省寄りに偏しており、加えて審議の進め方が密室方式で、しかも運営が二重、三重の堀をめぐらし、論議を積み上げ合意の幅を拡大するというのではなくて、大蔵原案をセレモニー的に追認するためのものに堕していると言わざるを得ません。さらに問題なのは、与党とはいえ、この政府税調の論議に先立って自民党の税調が次々と具体案を打ち出し、それを政府税調に押しつけるという権力主義的なやり方が目に余ります。このようなやり方が、国民の意思と合意に逆らい、民主的なチェックとフィードバックをおくらせたことを政府は肝に銘ずるべきではありませんか。国会を初めとするもっともっと開かれた場での国民討議と合意形成なしには、求められている税の抜本改正は進みようがないし、進めてはならないことを改めて強調したいと思います。  大変恐縮でございました。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  次に、寺田参考人にお願いいたします。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 マル優廃止に反対いたします。また、減税には上積み四百十億円という案が出ているようですが、これではまだ不満です。  私は東京都地域消費者団体連絡会代表委員の寺田です。都内各区、各市にある消費者の会二十九団体で組織しています。その構成員一万人はほとんど主婦でございますので、きょうは庶民の主婦としての発言をさせていただきます。  私どもの運動の中でも長い間このマル優廃止と大型間接税問題に取り組んでまいりましたが、学習会にもたくさんの人が集まりました。街頭でビラまきをしていても、わざわざ引き返してビラを要求する人すら何人も見かけました。こんなことは今まで見られなかったことです。これほど国民は、いや庶民は、マル優が廃止されるかどうか、間接税が導入されるかどうかということは心配なのです。マル優の限度にすら達しないささやかな貯蓄を生活のよりどころにしている庶民も決して少なくないと思います。そのささやかな貯蓄の利子も今は安くなっています。その利子からなお税金を取ろうとされるのでしょうか。  少し前、豊田商事事件が起こり、たくさんの人が被害を受けました。その後もいろいろな特殊販売による事件が起きています。これとてもみんな欲のためとは言えないと思います。老後の生活資金を少しでもふやしておきたいという思いからという人もたくさんあったようです。  マル優を廃止しても六十五歳以上の老人と母子家庭などは今までどおりということですが、私たちの貯蓄は、病気になったときや老後のためにと生活を切り詰め、多少無理をしてでもためておかなかったら心配ということで少しずつ少しずつためているのです。六十五歳になってからためるのでは間に合いません。しかも、今後国民年金なども、ずっと年金が支払われるのかとの不安を持っているのは今働き盛りの人たちです。そのような人たちが持っている不安を和らげるためにもマル優は廃止をしないでいただきたいのです。また、定年延長になっても、六十歳ぐらいで収入がなくなり年金だけに頼らなければならない人も、五年間の差があります。これも庶民にとっては大きい痛手です。  そうでなくても、東京においては地価高騰が著しく、固定資産税も自分の住んでいる家のが上がっていきます。地価が上がってきても住んでいる家は何も便利になるわけでも楽しくなるわけでもなく、税金だけが上がっていくのを大変恐ろしく思っている人もいます。また、固定資産税が上がることによって借家やアパートの家賃が上げられるのではないかという悩み、そしてまた、このところ御主人を亡くされた人も周りにたくさんおられますが、相続税に頭を悩ませている人などがいます。近ごろ幸いにも安定している物価ですが、肝心の住む家の税金で悩まなければならない状況です。その上マル優廃止というのは不安の上乗せです。庶民がつえとも柱とも頼んでいるささやかなよりどころを失わせないでください。ない者にしかわからない痛みをあえてこの場に来て申し上げているのです。  私たちが願っている税制改革は、まず不公平の是正です。マル優の廃止によって庶民の貯蓄の利子を減らして減税財源にというのではたまりません。税制改正は十分に時間をかけて万人が納得のいくものにしていただきたいと思います。消費者、女性を交えた国民の声を十分に聞く機会をつくり、庶民の声を生かしたものにしていただきたいと思うのです。  円高、輸出不振の中で、失業をしたりパートがなくなったりしている人もふえていると聞いています。また、減税が行われてもその恩恵にすら治せない人もいます。同じ一万円札でも持つ人によってその重みは違います。この一枚で何日も生活をしなければならない人のいることを考えてください。  一方、地価高騰などで都心は住めない町になりつつあり、自分の力で働く人に報いが少なく、これでは働く意欲もそがれそうな気がします。まじめに地道に働く人の力が社会を支えているのですが、そのような人々の意欲をそぎ、政治への不信が起こらないようにお願いします。力ある人は自力で何でもできます。弱者にこそ日の当たる政治をお願いしたいと思います。働きたくても働けない人もいます。働いても働いても追いつかない人もいます。そんな人たちも生き生き暮らせる国であってほしいのです。  そういう意味からもマル優は廃止しないでください。減税もこれを限度としないでさらに考えてください。山場を過ぎたとテレビのニュースなども盛んに言っていました。きょうの発言、これを発言させていただいた私たちの声が本当に生かされるのかどうか心配です。どうぞ声を生かしてください。  終わります。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  次に、柿沼参考人にお願いいたします。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 同盟政策室長の柿沼でございます。本日は、このような重要な場で発言をさせていただく機会を与えていただきましたこと、まことにありがとうございます。  さて、昨年来税制改革の論議が広く行われてきたわけであります。私ども同盟も、働く者の声を集約いたしまして、一つの考え方に基づきましていろいろと意見を明らかにし、また、各政党についての御要請等もしてまいったわけであります。きょうは、それらの観点に立ちまして私どもの主張を述べさせていただきたい、このように思います。  まず第一に申し上げたいことは、売上税等廃案に至った経緯、そしてその教訓というものについてどうとらえるかということであります。  さきの売上税騒動というのは、円高不況等によりまして、産業あるいは企業の状態、これが非常に悪化をしてまいりました。そういう中で雇用情勢が大変厳しくなる、そういう時期にぶつかっておったわけで、いわば国政の大きな停滞を招いたのではなかろうかということで、私どもは甚だ遺憾であるというふうに考えておるわけであります。そのような結果をもたらした要因というものを幾つか挙げることができるかと思います。  まず一つは、選挙公約破りの売上税の導入ということにあろうかと思います。二つ目は、不公正税制の是正ということに何ら手をつけない内容であったということ、この点が指摘をされなければならないと思います。そして三つ目には、税制の抜本改革という大事業を国民の合意を得ないまま拙速で行おうとしたこと、ここにあるのではないかというふうに思います。そして四つ目は、税制改革によって高額所得者等が優遇をされてかえって不公平が拡大をする、こういうところにその内容があったというふうに思います。その他、まだいろいろ要因があろうかと思いますが、ともかく国民の大多数がこれに反対をいたしてさきの国会で廃案となったというわけであります。政治に携わる方々はこの教訓をかみしめていただきまして、これからの税制改革を進めるに当たって十分その教訓というものを生かしていただく、このことが肝心ではなかろうかと思います。  ところが、その後せっかく与野党の間に税制改革協議会が設けられまして審議が重ねられてきたわけでありますが、税制改革の方向づけ等については残念ながら与野党の意見の一致を見ておらないわけでございます。それにもかかわりませず、政府・自民党が税制改革法案ということを用意をされたわけでありまして、そういう面では私どもは甚だ遺憾であるというふうに言わざるを得ないのであります。国民、特に私たち働く者にとって直結する税制改革の問題でありますから、わかりにくいいわば永田町の論理ではなくて、国民にわかりやすい、共感を得る中身がある税制改革、その手続や中身、こういうものをしっかりと打ち立てていただくということが必要だというふうに思うわけであります。  第二に申し上げたいことは、六十二年度中、今年度中に二兆円規模の大幅所得税減税をぜひ実施をしてもらいたいということでございます。  御案内のとおり、今年に入りまして失業率が三%を突破いたしておりまして、なお雇用情勢は大変厳しいところがございます。円高の進行等によりまして、私ども働く職場では、残業のカットあるいは出向や希望退職、こういうような形でもっての雇用合理化というものが進んできております。また、産業構造の調整ということに伴う雇用問題というものも惹起されてきているところでありまして、今後ますます大きな問題になってこようかというふうに思います。こういうような状況下におきまして、やはり国の施策というものは大きく内需主導型の成長、それに切りかえていく。雇用を守りあるいはそういう中で産業の調整というものも行っていく。さらには、国民生活、これが将来展望のもとに立って十分生活の充実を図れる、そういうような方向を今示し対応するということが肝心であると思います。そういう中の一つの大きな柱として、国際公約でもあります大幅な所得税減税、これはぜひとも行っていただきたいというふうに思うわけであります。  一方、私ども働く者にとりまして、毎年賃上げが行われますと、累進税率の構造によりその多くを税金として徴収されてしまうわけであります。それに社会保険科あるいは物価上昇、これによる負担増が加わりますから、私どもの暮らしというものは一向によくなりません。働いても働いても楽にならないわけでございます。このような働く者あるいは国民の生活の実態、こういうことに今政治に携わる方々はもっと真剣に目を向けていただいて、ぜひこの税制改革について真剣な御論議をちょうだいしたいと思うわけでございます。昨日の与野党幹事長・書記長会談での自民党の回答、一兆五千四百億円程度という規模は、私どもの要求に照らしましてまだまだほど遠いものであり、不満でございます。どうかもう一段御努力をちょうだいしたい、このように考えております。  所得税減税、これにつきましては超過累進税率の構造の思い切った簡素化、こういうことが重要でありますし、さらには配偶者特別控除の創設、人的控除の引き上げ、こういうことなどによりまして、中所得者あるいは低所得者層に厚い減税、そういう体制をぜひとっていただきたいというふうに思います。昨日の自民党の回答等によりまして、最低税率の適用範囲を百二十万から百五十万とする税率構造といたす、税率構造も十三段階から十二段階にする、こういう回答があったわけでありますが、我々は、さらにもっと簡素化をし、そして低中所得者層、これに厚い減税幅になるよう御努力を賜りたい、このように思っておるわけであります。  その財源につきましては、六十一年度決算剰余金あるいはNTTの売却益等々で十分に手当てできることでありますし、さらには、政府といたしましてはもっと行革を進めていただいて徹底した歳出削減等も行ってその捻出をされるという必要があろうかと思います。今そういうことをすることによって我が国経済を中成長の軌道に乗せ、それによって自然増収等々によっても十分今後も賄うことが可能ではなかろうかというふうに思います。その点をぜひお願い申し上げたい、このように思います。  さて、第三に税負担の公平を確保するための税制の抜本改革ということをぜひ実現していただきたいというふうに考えております。  今回政府が提出をされました税制改革法案では、不公正税制の是正につきましてはほとんど手がつけられていないというふうに言わざるを得ません。高齢化への対応、あるいは経済や社会、これが大きく構造変化をしていくという中にあって、税制につきましても抜本的な改革ということが必要だと思います。しかし、その場合には、前提条件として税制の制度面、執行面における不公平、不公正というものを抜本的に是正をするということが必要であろうかというふうに思います。その際、大きな手だてというものは、個人のプライバシー、こういう保護を前提といたしました社会保険番号等の活用、ぜひこれを導入をするよう検討されるべきではなかろうか、このように考えるわけであります。そのことによりまして徴税するための資料等も収集することができますし、徴税の執行体制、そういう面での整備、これをあわせて実施することによりまして、言われるところのクロヨンの是正あるいは株式譲渡益の課税強化、さらには貯蓄の限度額管理、こういうことの徹底も実現をすることができる、私どもはこのように考えておるところでございます。  今回の税制改革の過程を通じまして税務の執行上のコストの問題というものが論じられてきております。租税理論上は正しくてもコストがかかり過ぎるとして採用されなかったわけでありますが、大島訴訟の判決に指摘されるように、所得の捕捉の不均衡の問題は、原則的には税務執行上の適正な執行によって是正されるべきであると考えます。つまり、法のもとの平等あるいは国民の納税義務の基本的考え方というものは決して納税コストの論議にすりかえられてはならないと私どもは考えております。六十一年度の法人税の実調率は九・六%、所得税は四%と聞き及んでおります。このような実調率の低さが脱税の温床になっていると私ども受けとめております。徴税体制の必要な範囲での増強は決して行政改革の精神に反しないと思います。さらに、時効期間の延長、罰則の強化、推計課税制度の導入等を検討し、また導入を行うべきであると考えます。  最後に、国民の納税意識を養っていくためには、税金の捕捉状況とか使い道等についてしっかりと国民に明らかにしていく、公開をしていく必要があろうと思います。税金白書等の発表についてぜひお考えをいただきたいと思います。  どうか、これからこの大蔵委員会を通じまして、あるいは税制改革協議会等を通じまして、我々サラリーマンの声を念頭に入れた減税のあり方、そして抜本的な税制改革についてぜひ十分な論議が行われますよう要望いたしまして、私の意見といたします。ありがとうございました。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――

池田行彦自由民主党

○池田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 参考人の皆さん、本日は大変御苦労さまでございます。  私は、この国会で、十八日の本会議での質問、二十一日の当委員会での質問を通じて、税制の問題について非常に基本的なものが私どもの国会審議あるいは政府と国会との関係でどうも十分でないのではないかということを指摘してまいりました。それは、本日皆さんに参考人として御出席をいただきまして、その皆さんに私どもがお尋ねをしたり皆さんがお述べになった御意見というのは、この税制審議の過程を通じて本当に生かされるのかどうかということが私は大変重要だと考えているわけでございます。  アメリカで、レーガン大統領が根本的な税制の改正をいたしました。この税制の改正をいたしました経緯は、皆様にこの資料を差し上げておりますので後でごらんいただければ結構でございますが、十七ページに「アメリカにおける税制改革のこれまでの経過」というのを載せております。一九八四年一月二十五日、一般教書において、レーガン大統領は具体的な税制改革案の作成をリーガン財務長官に指示したことを公表して、リーガン財務長官がレーガン大統領に対して、「公正、簡素、経済成長のための税制改革」と題する税制改革案を提出いたしましたのは十一月二十七日でありました。そして、レーガン大統領は、一九八五年五月二十八日、「公正、成長、簡素化のための議会に対する大統領租税提案」という税制案を発表いたしました。五月二十八日に発表されて、下の方にその公聴会の日程を載せておきましたけれども、六月以降七月の終わりまでの間に三十回の公聴会がまず行われているわけであります。最初に政府としても一年半近く時間をかけて案をつくってきたのでありますけれども、それが今度は下院に参りまして、三十回もの公聴会をやり、そして九月十八日になって下院歳入委員会において税制改革の審議を始めまして、そして約三カ月、下院委員会において十二月三日に可決、十二月十七日に下院本会議において可決、一九八六年一月以降、上院の財政委員会が税制改革についての公聴会を開き、この年の五月七日、約五カ月たって財政委員会が可決をし、最終的に十月二十二日、レーガン大統領の署名により法案が成立している。  レーガン大統領が最初に指示をいたしましてから法案が成立するまでに約三年近い歳月がかかっておりますし、その審議のあり方は、まず公聴会を開いて国民の声を十分に聞いて、その上で各委員会が慎重な審議をした後その法案ができ上がる。そしてこの法案は、与党が多数で押し切るような形にはなっていないのでありまして、要するにすべての議員の話し合いの結果によって一つの案が下院でまとめられ、上院でまとめられ、上下両院の協議会でまとめられる。ですから、このアメリカの税制というのは税の問題では一番すぐれたいろいろなものを持っておるというふうに私はかねてから考えておるのであります。  ところが、私どものこの日本ではなかなかそういうふうになっていない。きょうも皆さんの御意見を午後にも伺うわけでありますが、大体の予定としては、これから一週間程度の後には法案はもう採決されるのではないかということでありまして、果たして皆さんの貴重な御意見がその法案修正の中に生かされるのかどうか、私はこれは非常に問題があると思うのでありまして、まずそういう税制法案の審議のあり方について各参考人から一言ずつお答えをいただきたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 それでは簡単にお答え申し上げたいと思います。  確かに、おっしゃるとおり、アメリカの税制審議のプロセスと日本における税制審議のプロセスは、非常にと申しますか、いろいろな点で基本的な違いがあるように存じます。これは、アメリカには日本の税制調査会のようなものがございませんで、大統領のいろいろな指示に従って、財務省がいろいろ専門家を擁しておりまして、その人たちが案をつくって大統領に財務長官を通じて提出するというやり方をとった上で、今度は国会で非常に長く審議するということでございます。そして国会には、日本と違いまして、この点は日本でもいろいろと研究する価値はかなりあるかと思いますが、税制の専門家が何十人も職員として、専門的なスタッフとしておられまして、そういう人たちの手助けもかりながら国会議員の方々がいろいろな意見をおつくりになるということもございます。日本には政府に税制調査会があって、政府の責任で法案をつくって提出する。そのかわり、法案作成の前段階として税制調査会でかなり時間をかけて審議を行うということになっておりますので、その辺、立法のプロセスが非常に違っているということがございます。  これは一朝一夕にいろいろと是正できるというものでもないと思いますし、それぞれの国情のようなものがございますので、どちらがいいかということは一概には言えませんけれども、確かにアメリカのようなやり方というのは参考になる点が多々あるように思いますので、私の意見といたしましては、国会にもいろいろ税制の専門家を、先生方ももちろん専門家で詳しい御意見や知識をお持ちなわけでございますが、さらに技術的な点についての専門家をいろいろな方法でお使いになるというようなやり方も一つの方法としてはあり得るのではないかというふうに私は思っております。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 基本的に、これほどの今回の法案に関しましても、重大な抜本改正の最初の取っかかりであるというようなテーマであるにもかかわらず、もしもマスコミが次々伝えるとおりでありますと、およそ審議らしい審議というものを深めないままに突然突破してしまうということ、国民の側から見ても、これほどの問題がなぜこんな形で突然出てきて突然突っ切られようとしているのかと大変腑に落ちないわけであります。  また、確かにアメリカと日本との制度、審議の進め方についての差はございます。しかしながら、先ほども私参考人として申し上げましたように、日本の政府税制調査会のあり方そのものを今多くの国民は問題にしておるわけであります。このような売上税廃案の経過というのは、何よりもその結果が示すものは、これまでの審議の進め方に重大な欠陥があった、国民に開かれた十分な論議と国民的な合意形成がないままに非常に強引に押しつけてきたということについての国民の審判が下ったものと受けとめるべきだと思います。  そういう点で、ぜひ国民に開かれた、国会を軸として、特に国会はもっと事務局や調査能力を高めて本格的に政府案と切り結ぶ、それだけの条件を整えながらぜひ慎重な審議をお願い申し上げたいと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 先ほども申し上げましたように、テレビを見ておりますと、もう山場を過ぎた、これでもういいんだみたいなニュースでございました。私どもは、あの大型税の反対ということで運動を進めておりましたときにも、慎重にやっていただきたい、時間をかけて国民の声をよく聞いていただきたいということを申し上げてまいりました。私たちはまだ運動も終わっていないと思っております。これからでも国民の声を十分にお聞きいただいた上で慎重に審議をしていただきたいと思っております。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 審議のあり方につきましては、やはり国民不在の論議を改めていただきたいというのが私の考えでございます。その場合、今日の審議はややもすれば政府・自民党主導ではなかろうかというふうに受けとめております。例えば政府の税制調査会等でしっかりと議論されなければならないというふうに思います。国民各階層の代表によって審議をされる場があるわけです。しかし、政府税調はどちらかといいますと自民党税調の後に回ってしまう、こういうふうに私ども国民は受けとめておるところでございます。やはりしっかりともっと国民の声が反映でき、そして議論ができる、そういうような審議会のあり方というものもぜひお考えをいただく必要があろうかというふうに思います。また、今私ども公聴会で発言をさせていただいていますが、地方を含めてもっと広く公聴会制度ということで意見を聞いていただく、そういう場も必要になってこようかと思います。  それからいま一点は、議会制民主主義という立場に立ちますならば、それぞれ国民に選ばれて各先生方は代表として出ておられるわけですから、国会の中において十分な審議をいただくということが必要だと思います。先ほど私税制改革協議会の点について触れましたが、やはり国会の中においても、単に戦術というようなことだけではなくて、国民の生活に直結する税制問題でございますから、十分時間をかけて論議をいただく、そしてどこがどう違うのか意見を明らかにしていただく、場合によってはそういうものをテレビ等を通じまして明らかにしていただく、こういうような手だても必要ではなかろうかと思います。いわばそういった開かれた対応というのをぜひとっていただく、このことが肝心ではなかろうか、以上のように考えています。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 確かに、金子先生も御指摘のように、日本とアメリカは政治の仕組みもちょっと違います。御承知のように、大統領は国民の選挙によって選ばれておりますから独立した大統領府でございますし、日本は議院内閣制でありますから、その点は基本的な違いがありますが、同じ議院内閣制のイギリスでも、実はイギリス議会の運営というのは、私は議場を見ただけで議論が行われておる場を見ていないのでわからないのでありますが、与野党が向かい合って主として与野党で議論が行われる。政府も横の方に出席をいたしますけれども、政府に対して野党が聞けば、その問題について今度は与党からはね返ってくる。要するにディスカッションは議員を中心に行われる、これが議院内閣制であっても議会の本来の姿ではないか。  ところが、今日、この席をごらんになればわかるのですが、これは戦前の予算委員会をやっていた席と同じ式に、実はそちら側に政府が並んでこちら側に議員が並ぶ。明治憲法は、御承知のように天皇絶対権力でありますから、議会というのは明治憲法では協賛をするとしか書いてないのでありますね。要するに政府の出した案というものはオールマイティーだ、多少そこで意見を述べて協賛をしなさい。この姿は、実はイギリスのごく初期における貴族を中心とした議会、これがやはりキングと議会の関係が同じような協賛の関係でありましたから、そのスタイルが実はそのまま今続いているわけであります。ですから、私は、少なくとも特に税法については、こういう席ではなくて、国会の中には今ラウンドテーブルの議席がちゃんとできているわけでありますから、そのラウンドテーブルで与野党でひとつしっかりディスカッションをして、それによって物事が決まるようにするべきであって、政府に対して私どもが尋ねるということは、行政優位の過去の明治憲法の姿がそのまま今日に引き続いている、こういうことだというふうに私は認識をしておるわけであります。  今が重要な税法のスタートであります。これは一つの大きな税制改革の全体を出してきたんですけれども、それが不十分なために一遍に流されて、明治以来国会がつくられてからこのように税制改革法案全部が廃案になったというのは例がないのであります。今回が初めてであります。特に私はその中で、この間も本会議で指摘をいたしましたけれども、税法関係の施行日を全部一つにくくって、施行日一括法案という法律案が今度出てきたわけであります。金子先生御専門でございますが、大体歳入法というのは施行日がなければ歳入法じゃないんです。税法ではありますけれども、歳入法ではない。いついつから施行してその年度に幾ら税収が入るというのは歳入法でありますが、先般提出をされました税法は、いずれも税法ではありますけれども歳入法ではない。そうして施行日一括法案というので食い逃げを許さないぞということを、政府が国権の最高機関に対してそういう条件をつくって法案を出してきている。まさに今の日本国憲法に違反した行政府の僣越行為であった、こう私は考えておるのでありますが、金子先生、その点についてはいかがでございましょうか。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 簡単にお答え申し上げます。  今の施行日をあらかじめ決めてという立法のやり方でございますけれども、これは確かに従来になかった新しいやり方だったのではないかと思います。恐らくこれは税制を全体的に総括的に抜本的な改革を行うということで、ワン・パッケージといいますかワン・セットとしてすべての改革を同時に行うという考え方に基づいていたと理解しております。この考え方は、今度のレーガン改革の場合に、増税と減税を、大まかな言い方をすれば所得税は減税して法人税は増税してレベニュー・ニュートラルの形にするというのが特徴の一つだったかと存じますが、その場合に基礎になっております財務長官報告などを読んでみますと、ワン・パッケージとかア・パッケージという言葉が非常によく出てくるわけでございます。今度の法案の考え方というのは、恐らく発想としてはそういうパッケージという考え方によったのではないか。その背後にはレベニュー・ニュートラルということがございますので、そこで長期的に見てレベニュー・ニュートラルな抜本的な改革を行うということで、若干時間的にはレベニュー・ニュートラルでなくても、長期的に見ればレベニュー・ニュートラルになるようにということで、全体を考えたものですからそういうことになったのではないかと思います。ただ、それに対してどう対応するかというのは国会御自身の問題でございますので、その辺は国会の審議権を拘束するとかそういうわけではなくて、国会が任意にその辺はお決めになることであるというふうに私は思っております。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 確かに、アメリカの方は法人税と所得税の問題でありますけれども、今度の法案は多岐にわたっておるわけですね。前回出されましたものは、非課税貯蓄の問題もありますし、間接税の問題もありますし、日本の税制としてはなじまないものがたくさん出ている。法人税と所得税ぐらいならばワン・パッケージでも私どもはそんなに大きなあれをしませんけれども、少なくとも片方に減税法案があり、片方には間接税があるというような感じで問題を出しました背景には、私は、先生はそうお感じになっていないようでありますが、食い逃げされることを防ぐための法措置であった、こんなふうな感じがいたしてならないのでございます。  それはそこまでにいたしまして、ちょっと原則的なことを伺いたいのでありますけれども、税の公正化、公平という問題は、私は、税につきましてはすべてに優先して最も重視されるべきことである、こう考えておりますけれども、これは御出席の皆さんにひとつお答えをいただきたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 おっしゃるとおりだと存じます。公正、公平、これが税の一番重要な基本原則であると存じております。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 税の基本原則の中で最も重視すべきものが公正、公平だと思われます。ともに社会を形成し、ともに二十一世紀の社会をつくっていくそういう我々勤労者の立場から見ても、公正によって初めて合意の立つ負担の問題ということで議論が始まるという点で原則であろうと思われます。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 私もそう思います。中でも、申し上げましたように、不公平ということから私たちの運動もいろいろと展開をしてきてまいっております。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 私も大変重要な要素だというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 この公正、公平を守っていくためには、ある一つの税の仕組みの中で、どうしてもつくらなければならぬのなら別でありますが、できるだけ例外がなければいいのでありまして、例外がなくすべての国民が同じ条件のもとに課税される、これが税の公正、公平を担保する最も確実な道である、私はこんなふうに考えますけれども、いかがでございましょうか。ちょっと皆さんに順次お答えいただきたい。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 その点も私はおっしゃるとおりだと存じます。例外を一つつくりますと、それにつられて次々に例外がつくられていって、結局は税制が公平なものでなくなっていく、あるいは非常に複雑化してしまうという問題がございますので、例外はなるべくつくらない方がいいというふうに存じております。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 公正を維持するためには明快でなければならない、簡素でなければならないという点では、全く御指摘のとおりだと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 私たちにもよくわかる公正さというのを望みたいと思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 私も例外がないにこしたことはないというふうに思います。ただ、それぞれのいわば条件あるいは場におきましてはどうしても政策的に必要だというようなことも間々出てくるかと思います。それはそのとき全体の合意で定めるべきというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 皆さんは私と同意見をお述べいただいたのでありますが、前回の売上税の問題を振り返ってみますときに、あの問題で一番大きな問題点になりましたのは、五十一品目という大変多数の例外品目が設けられておる。こちらの方は非課税だけれどもこちらから課税になるというものが五十一もあれば、その関連するものは非常に大きくなりますから、これが皆さんの反対をもたらした一つの大きな理由であったのではないか。同時に、あの中には、一億円までの取引の人は非課税である、そこから先は課税だとか、いろいろと対象者に対しても大きな例外が設けられていた。これもあの税制が国民から理解をされなかった大きな理由ではないかと私は思うのです。  今度の非課税貯蓄の問題でありますけれども、実は政府の現在出しております案は、原則的に一律二〇%の課税をする、ただし老齢者と母子家庭と身体障害者は従来どおり非課税を残す、こういうふうに大きな例外が設けられております。この例外は、大蔵省の資料を見ますと、六十五歳以上の老齢者が千二百万、母子家庭と障害者合わせて九百万、二千百万人の人たちが例外として非課税貯蓄が残るわけであります。  柿沼参考人がただいまお話しになりましたように、政策上やむを得ない場合には国民の同意はということでございますが、私は、税は税で、その他の政策はその他の手段を用いてやるのが筋道だ、こう考えておりまして、実は先週の二十一日の日に今の政府の案に対して私の修正私案というのをここで公式に申し上げているのであります。それは要するに、今例外になっております六十五歳以上の方はいずれも老齢年金の受給者でございます。母子家庭の皆さん全部母子年金の受給者であります。障害者の方は障害者年金の受給者であります。そうすると、確かに社会的に弱い立場にあられることを我々も認識をいたしますけれども、それを税で処理しようというのは税の公正を著しく乱して税の原則的な公正、公平を担保できなくなる。同時に、その二千百万人、私は主税局長に、こんなにたくさんの人にまた非課税貯蓄が従前どおりにあって限度管理ができるのですか、こう尋ねましたら、今度はやります、こういう話ですね。今度やれるなら、今五千万ぐらいですから、二千百万がやれてどうして現在の五千万がやれないのかというふうに思いますので、私は、今の二千百万がもし従来どおりの非課税貯蓄が認められれば、これはまた大変な乱用がこの中で起きることは避けられない、こう考えているわけであります。  特にもう一つ問題なのは、老齢者の中にも、多額の貯蓄を持っていらっしゃる方と幾らも貯蓄のない方と実は大変な格差があるわけであります。母子家庭と障害者の皆さんのところは余り貯蓄はないのじゃないだろうか、こう考えます。そうしますと、例外になった部分についても貯蓄のたくさんある人とない人では一つの制度で非常に格差が生じるわけでありまして、この例外の皆さんの中にも公平、公正は担保されないという問題が実は起きてくる、こう考えるものですから、私は提案の中で、なぜ二〇%なのか、現在源泉徴収二〇%というのがあるからそれに右へ倣えしたのであって、二〇%にしなければならない積極的な根拠は一つもないと私は思うのであります。  そうすると、最初のスタートは一〇%でいいのじゃないか。そしてそれは今の例外になっている方もすべて、貯蓄を持っておる者は公平に全部一〇%ちょうだいをする。しかし、今の老齢年金、母子年金、障害者年金の皆さんは、この皆さんが失うであろうところの非課税貯蓄によるところのプラス面というものを推計をして、これを歳出の面に立てて、そしてこの皆さんに公平に老齢年金、母子年金、障害者年金に上積みをして支給をすれば年金として公正な支給が行われることになりますし、税制としては全部一〇%いただきますから、例外がありませんから公平が担保できる、こういうふうに考えて私は実はこの案の提案をしておるわけでありますが、これについてひとつ皆さんの御意見を承りたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 簡単に申し上げます。  今のお考え、私伺っておりまして、これはアメリカのハーバード・ロー・スクールのサリー教授の御意見と大変な共通性があるように思いました。要するに、サリー教授は、特別措置は全部廃止して、どうしても政策的に補助をする必要がある場合は歳出面で行うべきだという考え方を述べておられるわけですが、そういうお考えだと思います。  ただ、それは、私も長期的にはそういう方向がいいのではないかというふうに思っておりますけれども、制度が非常に複雑化するということが他方ではあり得るのではないかということを一つ感じます。もう少しよく考えてみなければなりませんけれども、そういう感じがいたします。  それから、老人、母子家庭の問題でございますけれども、これはやはり現在の利子非課税制度というのは特別措置の一つであるというふうに私は思っております。ただ、老人、母子家庭の場合は、当面は残してもよろしいのではないかというふうに考えております。ただ、先生がおっしゃったようなやり方が将来可能になれば、やはりそういうやり方の方が筋が通っているであろうというふうには思いますが、やはり長い間の経緯もございますので、現在、今度の改正案のような考え方が当面は適切なやり方なのではないかというふうに考えております。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 今回の政府の利子課税の問題についての対応の我々の最大の批判点は、結局資産所得者、高額所得者の優遇に堕するではないか。今までそうでなくとも税体系全体がゆがんでおり、中低所得者層が不利な立場にある。特に中低所得者から見て生涯生活の一つの支えになる貯蓄という点から考えますと、なおさら高額所得者優遇というのは非常におかしいではないかというふうに考えるわけです。そういう点で、政府案に対する一つの批判という点で十分に検討に値するテーマであろうと思います。  しかし、その中で我々が提案しておりますのは、少額貯蓄非課税制度というのは、そういう点で、どうしても一般の勤労者にとってわずかな一定の枠の中で老後生活を賄うに必要だ。さまざまの試算が出ておりますが、その貯蓄に見合う程度の平均の貯蓄しかないわけであります。その点から見ますと、やはり少額貯蓄制度そのものを残して、その限度額管理についてはマル優カードというような形で保証していくという基本的な筋道を我々として主張したいわけであります。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 私初めにも申し上げましたように、やはりこの制度は廃止してほしくないというふうに思います。今おっしゃいましたように、老人とか母子家庭というにとどまらず、やはりこれから老人になっていく人たちにも、それまでの用意として貯蓄をしていく上でそういった税制が必要ではないかというふうに思うわけでございます。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 先生のお示しになられました案も、これは一つの考え方というふうに受けとめさせていただきたいというふうに思っております。  確かに、税ですべてを処理すべきかどうか、これは大変難しい問題だろうと思います。先ほど申し上げましたように、可能な限りわかりやすく、簡素化の制度にすべきだということは、これは言うまでもないところだと思います。ただ、先ほど私政策上やむを得ないということで申し上げましたのは、国民的にやはりどうしても、例えば今回の改革案の中で、老齢者あるいは母子世帯、そういう人たちに対する手当てというのはやはり欠かせない、あるいは低所得者層、これに対しても制度については存続すべし、こういうような考え方というものは、合意形成ができるということになれば、やはりそれなりに政策的手当てをいただくということもこれまた一つの考え方ではなかろうか、こう思っております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 私が今差し上げたのを後でごらんいただいたらわかりますけれども、昭和三十六年二月二十八日の大蔵委員会で、昭和十六年につくられた国民貯蓄組合という制度がありまして、これが大変な乱用をされておりまして、当時人口が九千四百万くらいのときに五千二百万口の実は国民貯蓄組合の口座があった、これを指摘をいたしまして、この乱用をきちっとチェックすべきではないのか。いろいろ当時の水田大蔵大臣、村山達雄主税局長、現在自民党の税制調査会の副会長でおられますが、石野信一銀行局長と論議をさせていただきまして、今やっているからしばらく待ってくれというお話で、では一年待ちましょう。一年待って、やはりちゃんとできませんでしたから、昭和三十八年に一種類、一店舗、五十万円の少額貯蓄非課税制度というのを実は自民党の皆さんと御相談しながらつくった。ですから、現在から振り返りますと、二十四年前に今の非課税貯蓄制度に転換をするモメントを私は果たしたわけでございます。  しかし、その後も非常に乱用が多く行われましたので、そこで私は実は、これはどうしてもアメリカのように納税者番号を導入することが必要だと考えて、大蔵委員会で提案をいたしましたら、実は私は全電通労働組合の政治局員ということで、主たる支援組合が全電通労働組合でありますが、この組合の方から、総背番号制というのはプライバシーを侵害するおそれがあるから、堀さん、それだけはやめてくれという、当時はそういう御要請がありました。そこでちょっと考えを改めまして、それならばマル優によって利益を受ける方たちが自発的にカードを求めるのならばいいではないか、こう考えて、それが実はグリーンカードという形で法律になったわけであります。私は、これが法律になり、朝霞の方に立派なコンピューターセンターもできて、これで非課税貯蓄制度というものの名寄せその他が完全に管理されて公正な税制になるなと思った。  そもそもこういうふうになったもとは、最初に申し上げた昭和三十八年に一種類、一店舗、五十万円、これなら限度管理は簡単だったわけですが、四十二年に自民党の皆さんは、農協とかいろいろな方面から、それでは我々の方に貯金が回ってこないということで、多種類、多店舗に、実は私の反対を押し切ってそういうふうな処理をされた。これが限度管理ができない乱用になったもとなのであります。  私は、昨年の十月二十九日に、確かに四百六兆の個人貯蓄のうちの二百八十七兆が非課税貯蓄というのはこれはちょっと行き過ぎだ、そこで今労働組合でも御指摘になっておる非課税貯蓄カードというものの提案をしているわけであります。そして郵便貯金で百万円、その他金融機関で百万円、合計一人で二百万円にひとつ限度管理ができるようにしたらどうか。そしてこのカードは税務署で支給をする。私、税務署に仮に参りましたら、そこに住所、氏名、そして自分が取引をする郵便局、自分が取引をする金融機関の名前を書いたものを税務署に提示をする。そういたしますと、税務署は、この郵便局、金融機関に全国一貫番号を付しておいて、その全国一貫番号のここの郵便局とこの金融機関でしかあなたは非課税貯蓄については処理はできませんよ、そして本人の番号を入れて、所得のある人だけに発行する。これは自治体か税務署でわかるわけでありますから、要するに子供や孫やひどい場合には犬や猫の名前までがいくようなことは、これは乱用のもとでありますから、所得のない人が貯蓄はそんなにあるわけではないわけでありますので、あるとすれば贈与税がちゃんといっているかどうかが調べられることになるわけでありますので、所得のある人だけがこのカードが持てる、そういう格好の非課税貯蓄カードというものをつくったらどうかという提案をしたのでありますが、なかなか自民党の皆さんこのカードということに対して大変反対でございまして、グリーンカード、それは法律になっていたにもかかわらずつぶされたという経緯もあります。  実は、この間、私が一緒に仕事をしております研究所にアメリカから一カ月前に帰ってきた青年がおりまして、国会の銀行へ来ておりました。私とたまたまそこで一緒になったのですが、先生、日本の銀行というのは大変ですね、入金するにも金を出すにも、番号から何から一々自分で書かなければいけない、アメリカではカードでさっと行ってさっとできます。彼が言っているのを聞きながら、これはもう銀行だけがカードがうまくいかないのであって、その他のところは日本ではカードが随分通用しているので、日本国民はもうカードになれているから、今の非課税貯蓄カードでも何でもないと思うのでありますけれども、どうやら政府なり自民党はこのカードに大変反対でございます。  そこで、どうしてもカードに反対というのなら、今の私の提案のように一律一〇%課税ということで処理をする方が公正ではないだろうか。ですから、修正案というような形のものは、相手がのまない修正案を出したってこれは修正案にならないのでありまして、自民党の皆さんもなるほどそれならその修正案を話し合おうということになって初めて修正案としての値打ちがあるものですから、私は自民党の皆さんも理解をしていただけるような二つ目の修正案というものを現在提起をしておる、こういうことなんでございます。  そこで、この問題はここまでにいたしますが、老齢者の皆さんはこれから実は猛烈に人口が増加をしてくるわけでございます。この老齢者の数は今後どんどんふえてまいりまして、当面は千二百万でございますけれども、昭和八十五年になりますとこの数が二千七百万人になって、それに九百万を足しますと例外が三千六百万人くらいになるのです。これは非常に急速に日本は西暦二〇二〇年へ向けて老齢者人口がふえるわけでありまして、厚生省の統計でそのように出ているわけであります。そうすると、今は二千百万の例外でありますけれども、母子年金と障害者年金の方は九百万でそんなに変化がないと思いますが、六十五歳以上の老齢の方は毎年どんどん数がふえてまいります。ですから、そのような例外というのは税制として大変望ましくない、こんなふうに思うのでありますが、その点については、もう時間がございませんから、金子参考人だけお尋ねをしたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 人口の高齢化が進んで老齢人口が非常に増大するということはよく承知しております。それで、老人、母子家庭についてのみマル優等の非課税貯蓄を残しておいた場合に、将来老齢人口が爆発的にふえた場合に処理が可能であろうかどうかという御質問ではないかというふうに思います。  この点は、私は、利子の非課税制度というのはやはり特別措置でございますので、廃止して課税対象に持っていくべきだというふうに考えておりますけれども、ただ老年者及び母子家庭等のお気の毒な状況にある方々については残しておいた方がいいのではないかというふうに考えているわけでございます。将来それがふえていきますと限度管理が大変な問題になっていくであろうということは確かに言えると思います。ですから、その辺は、マル優制度の適用をどういうふうに考えていくか、あるいはカードの利用の発達に伴ってそういう限度管理が飛躍的に容易になっていくのかどうかというようなことを様子を見ながら考えていかざるを得ないと思います。五年とか十年ぐらいの単位で長期的に少し御検討していただく必要がある問題ではないかというふうに思っております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 非課税貯蓄の問題はここまでにいたしまして、実は私は現在の所得税減税の基本的な考え方でどうも国民一般の皆さんに理解されてない点が一つあると考えております。それは、日本では所得税について自然増収という名前の増収が大変大きな額が出るわけであります。  私は昭和五十六年二月の予算委員会で鈴木総理との間で質疑をした。当時日本の所得税制は、最高税率が七五%でありまして、階段が十九階段あったわけであります。階段がたくさんありますと、例えば昭和六十年で見ますと、全納税者の中の給与所得者の納税者が九二%でございます。農業所得者は〇・七%、そして農業以外の事業所得者は〇・七三%、ですから、納税者といえばもう給与所得者、サラリーマンだ、こう認識していいと私は思っているぐらいでありますけれども、実はその皆さんが春闘で賃上げをいたしますと、名目所得は上がります。そうすると、十九も階段がありますと階段の幅が小さくすぐ上の階段へ行くものですから、実は何もたくさん収入がふえたわけじゃないのに、要するに次の階段に行くので、税率の方だけがさっと上がって増税になる。その増税が積もり積もって自然増収という名で四兆円も出てくる。ですから、どうしたらこれが是正できるかというと、税のカーブを緩やかにして階段を減らさなければならない。一つの階段の踊り場が長くなればなるほどこういうことがなくなるわけでありますから、そこで、最高税率を下げるのは金持ち優遇のためではなくて、九二%の給与所得者がいわれなき増税を回避するためには最高税率を下げてカーブを緩やかにして階段の数を減らして階段の踊り場を長くする以外にないというのが私の考えでございますから、五十六年の二月にこの問題を提起いたしました。そうしてイギリス並みに六〇%まで下げたらどうかという提案をいたしましたが、その次の年から、政府もそれに理解を示して、七〇%、十五段階という今の制度になったのでございます。  私は一九八四年の十一月に今度のリーガン・プロポーザルというのを調査にアメリカに参りました。当時財務次官補でございましたマニエル・ジョンソンさん、現在はFRBの副理事長になっておりますが、彼から二時間、当時のリーガン・プロポーザルの話を聞きました。当時は三段階、三〇%課税というのがアメリカの原案の構想でありました。私は、日本では幾ら何でも急に三〇%、三段階というのは無理だから、その翌年、昭和六十年二月の予算委員会で所得税減税については最高税率を五〇%、五段階にしようという提案をしたわけであります。  この間もNHKの税の討論会を見ておりますと、どうも最高税率を下げたのは金持ち優遇ではないかという御意見が非常に多かったのですが、九二%の給与所得者が階段が長くなって、特に大体三百万から八百万くらいのところを階段をずっと延ばして、そこでは次のブラケットに移行しないようにするような税制をやりましょう、この予算委員会の席上で中曽根総理や竹下大蔵大臣に提案をいたしました。今回の所得税制改革は大体私の提案の方向に沿って処理がされてきておると思うのであります。ですから、そういう意味では、確かに最高税率を下げることは金持ちの皆さんに優遇になるのですけれども、少数の金持ちの犠牲に多数の勤労者がなってはならぬというのが私の考えの基本でございます。そこでそういうのをやってきました。  それで、今度また今の課税の問題を見て、一律にやりますと何が起こるかというと、一律一〇%でも実は得をするのは貯蓄のたくさんある人の方が得をするわけであります。特に、三五%の課税を私の提案で一〇%にしますと、二五%もこの人たちはもうけてしまうということになります。ですから、そういうもののためにどうしても納税者番号、社会保障番号のようなものを速やかに導入して、キャピタルゲインをきちんと取ってやることがセットになってこなければこれらの制度を公正に担保することはできない、こう考えておるわけであります。  時間が十分ございませんが、お一人ずつお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 一つ前提になることでございますけれども、今度の利子所得の分離一律課税でございますが、これについてはいろいろな考え方がございまして、利子というのはそもそも分離して一律で課税するのがあり方としていいのだという考え方と、もう一つは、総合累進課税の対象にしていくための一つの準備過程と申しますか一つのプロセスだというふうに考える考え方とございます。私は後の方の考え方でございまして、当面はショックを和らげるために分離課税という方法でもやむを得ないけれども、長期的には総合課税の対象にしていくべきだという考え方でございます。  したがって、利子の限度管理のためだけのカード制度という観点よりももう少し広い角度から問題を考えてみたいと思いますが、所得税は理念としては非常にすぐれた租税でございますけれども、実際の執行が非常に難しい、公平を維持することが執行面でも非常に難しい租税でございますので、所得を正確に把握していくためにはいろいろな工夫が必要でございます。それで、納税環境の整備と言われる一連の立法、改正が従来長期間にわたってなされてきたことは御案内のとおりでございますけれども、長期的に見ますと、私もカード制度と申しますか、アメリカで一九六一年からやっておりますような、六二年だったかもしれませんが、納税者番号制度のようなものを考えた方が所得税の執行がうまくいくのではないかというふうに思っております。ただ、これにはかなり準備期間が必要ではないかと思います。アメリカの場合は、社会保障番号というものはもともとございましたのでそれを納税者番号に転用するということが可能だったわけですが、日本の場合はそういう素地がございませんので、恐らくやるとすれば税務署が番号をつけるということになると思います。そうすると、日本の社会では税金の問題について非常に微妙な心理を納税者はだれも持っておりますので、なかなかそこまで行き着くのには時間がかかるのではないかというふうに思っております。  それから、プライバシーの問題というのは、私は税務署に集まった納税者の資料が絶対に門外不出であるという点がきちんと保証されるようになればプライバシーの侵害という問題はないのではないかと思いますが、この辺も国民がそういう心配をしないようになるのにはかなりの時間がかかるのではないか、納税者の心理が少しずつ変わっていくということが必要ではないかというふうに思っております。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 基本的には、もともとシャウプ税制というのは総合課税ということが原則でありました。すなわち、所得に関しても、資産所得その他のもろもろの所得を含めて総合課税するというのが原則であったわけであります。ところが、戦後の政府・与党のさまざまな税制改革についての手によって、今は何とほとんど勤労所得税、総合課税ではなくて勤労所得税というものに堕してしまっておるわけです。そういう点で、基本的に総合課税を進めていく、キャピタルゲイン課税を進めるというような総合的な視野の中で税率の問題というのがやはりぜひ並行して議論されなければならぬ、進められなければならぬ点であるということであります。殊に今のサラリーマンの重税感というのは御指摘のとおりであります。中堅所得者層の個々における急激な税負担を緩和するということはもう焦眉の問題であります。  さらに、納税者番号問題。これは、プライバシー保護ということを一体できるかどうかということについては、アメリカやスウェーデンというのは非常に個人の権利をたっとぶ国であります。ここでできているわけですから、必ず私は前向きに検討を進めて可能であるというふうに判断しており、労働側もそういう見解を持っておるわけであります。あるいは、少額貯蓄非課税制度、カードということによってもこれは担保できる。ぜひこういうことについて本当の限度管理を行う必要があるということを申し上げたいと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 ただいま伺いましたところで私としてもどうお答えしていいかちょっとよくわかりません。やはりこれも時間をかけて、もっとみんなで考えてみるということで、その上で不公正でない税制にしていっていただくということが必要ではないかと思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 税率構造の簡素化という観点について、先生のお考えは、五段階ということでその簡素化をせよ、こういう御主張であろうかと思います。私どもも理解をいたすわけでありますが、ただ、やはり応能負担ということを堅持するという視点も一つ入れておく必要があろうかなというふうに考えます。そうしますと、やはりそう高額所得者まですべて低い税率へというふうに持っていくのはいかがかな、もう少し中間段階というのもあってしかるべきなのかなという、我々は大体七段階ぐらい考えております。そういうことで、トップの方は六〇ぐらいというようなことはひとつ置いておいてもよろしいのかなという、これは私の考えでございます。  一方でそういう面で税率構造を簡素化しながら、一方ではキャピタルゲイン等を含めてきちっとした把握をいたしてそれによって課税をするという考え方、これは私も賛成でございます。やはり私ども、キャピタルゲイン等につきましてそれらについて手当てをすることは、不公正税制の是正という観点からぜひ進めるべきだというふうに考えます。とするならば、やはり総合課税化ということで考えるとすれば、当然納税者番号、社会保険番号というものの導入、これは私はぜひ検討されるべきだ、先ほども申し上げましたとおりであります。前回のグリーンカードの導入のときは、やはりプライバシー問題について大分厳しく我々からも主張させていただきました。しかし、その時点と変わりまして今日では、名寄せ等を含めていろいろ機械化等によって十分可能になってくるということ、さらには日本の場合は行政府を含めてプライバシーの問題については十分手当でいただけるような状態にあるのではないか。アメリカ等になりますと、政治的にいろいろ個人的な情報が流れる、そういうことがあるように聞いておりますが、日本の場合はそういうことはないであろう。そういうことを十分考慮するならば、プライバシー等を十分考慮しながら納税者番号というものの導入、これはぜひやはり検討されるべきだ、このように考えます。  以上です。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀委員 終わります。ありがとうございました。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 森田景一君。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 きょうは、参考人の皆様、お忙しいところ当委員会においでいただきまして貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございます。私は公明党の森田景一でございます。  先ほど来いろいろとお話がございましたように、税制の長期的な改革につきましては、議長の諮問機関であります税制改革協議会で検討するということで検討を進めておりますので、私は、今回の政府で提案しました所得税法等の改正法案につきまして御意見をお聞かせいただきたいと思います。  今回の所得税法改正案の焦点となっておりますのは、政府の当初の案は一兆三千億の所得税減税、それからその恒久財源ということでマル優制度を廃止する、こういう二つが焦点になっているわけでございます。最初に全部の参考人の皆様にお伺いしたいわけでございますけれども、この政府原案が一兆三千億ということで提案されました。その後与野党で折衝の結果、二千億上積みになりまして一兆五千億にした。そしてまたきのう、さらに税率の調整で四百億上積みになりまして一兆五千四百億の減税である、こういうふうな経過になったわけでございます。私どもは所得税減税は二兆円規模ということを当初から政府・自民党に申し入れをしてきたわけでございますけれども、現段階ではもう一兆五千四百億は譲れないというこんな状況になっているみたいなわけでございます。私思いますのは、こういうふうに政府が、一兆三千億、これはもうベストのやり方ですと、こうやって提案しながら、野党の要求によって二千億上積みあるいは四百億上積み、こういうやり方というのは非常に国民の立場から見ておかしいんじゃないだろうかな、こういうふうに思われるのではないかということを私は感じているわけでございますが、そういう点につきまして参考人の皆様からそれぞれ御意見を最初にお聞かせいただきたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 減税規模がどの程度であるべきかあるいはどの程度の減税が可能であるかということは、財源との兼ね合いで決まってくることでもございますので、これはどうも理論の問題というよりはもっと別の問題のように思います。  それから一兆三千億から五千億に上積みされてさらに若干ふえるという問題でございますが、これもやはり一つの政治のプロセスの問題であるというふうに思いますので、その辺のところは私はコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、私が申し上げたいことは、やはり財源の問題というのは重要な問題で、放漫に流れることは避けることが財政運営上必要であるというふうな原則だけを申し上げておきたいと思います。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 法人税減税が三月末に既に先行実施される段に至ったわけであります。このとき財源という話は余りございませんでした。やはり問題は今どれだけの減税が必要か、いろいろなことを考えますと、これまでの物価調整の状況あるいは今日の内需拡大の状況、そういうことから判断して、私どもとしてはぜひ二兆円規模は確保しなければならぬ、二兆円以上でなければとても減税という名に値しない、そういう視点から二兆円規模の減税ということを提起しているわけであります。しかも、今日、今本当のところを言って、財源がないというふうに政府側が言える立場ではないと思います。物品税の増徴を含め二兆円、あるいはさまざまの経済対策を差し引いても一兆数千億円規模の十分な財源が別にあり、加えてNTT株等のことについてはほとんどこれは政治的意思の問題であろうと思います。この点で、野党の先生方にも我々勤労者の二兆円規模の減税ということについてぜひ御理解を賜りたいとお願いを申し上げる次第であります。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 先ほども申し上げましたように、私たちもやはり二兆円ぐらいの減税でなければ減税としての何かありがたみがないと申しますか、それとてもたくさん行くところと少ししか来ないところがあるわけですから、やはりそのぐらいの規模のものでなければというふうに考えております。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 自民党の方が、一兆三千億円、これがベストだ、こういうことで固執をされてきていたわけでございますが、それを野党の皆さん方の御努力によりまして二千億円上積みをいただいた。さらに再上積みについても粘り強くやっていただいた。我々さらに御努力をいただきたい。国民あるいは我々働く者の立場からしますと、言ってみれば自民党さんのそういう大変厚い壁の中にありながら野党結束をいただきまして上積みについて御努力をいただいた、そういうふうに映っていると私ども思います。ですから、そういう面ではぜひ国民の声、負託にこたえて御努力をいただくことをお願いいたしておきたいというふうに思います。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 ありがとうございました。  金子参考人は、減税をするには恒久財源が必要である、コメントは差し控えたいということでございました。確かに減税するからには恒久財源が必要でございます。今回提案されておりますこのマル優制度廃止というのは、当初提案されましたのは、昭和六十三年一月一日から実施する、こういうふうに提案されてきました。それが今度は、四月一日からに変更する、修正する、こういうふうになっておりまして、昭和六十二年度の減税財源にはならないわけです。しかも、政府で試算しておりますこのマル優制度廃止による税額というのが一兆六千億程度というふうに提示されておるわけでございますけれども、その一兆六千億の税収があるまでには数年かかる、こういうことでございます。ですから、恒久財源については税制改革協議会でもいろいろと話し合いが行われておりますからそちらにお任せして差し支えないわけでございまして、今年度、来年度の減税財源としてマル優制度廃止が効果を発揮するわけでもないわけでございますから、そういう点では、先ほどもお話がありましたように、減税をやるからマル優制度廃止もセットで認めろ、こういうやり方は大変乱暴なやり方だというふうに私は考えておるわけでございます。こういう点についてもう一度四人の皆様から御意見をお聞かせいただきたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 マル優の廃止時期とそれから所得税の減税、一般減税の時期とがずれているということで、今年度に関する限りはバランスしないということはおっしゃるとおりでございます。来年以降も含めてバランスをさせなければならないということであろうと思います。  それで、所得税減税規模でございますけれども、これは考え方でございまして、私が見るところでは、第一歩としては相当に大きな規模なのではないかというふうに私自身は感じております。  それからマル優の廃止の問題ですけれども、これは私の考え方では、マル優等の非課税貯蓄というのはやはり特別措置でございまして、こういうものはなるべく整理してそしてその一方で一般減税を行うということで処理していくのが税制のあり方としては適当なのではないかというふうに思います。今度の減税法案を見てみますと、各分位、各ライフスタイルを通じてマル優の廃止による増税よりも減税額の方が上回っておりまして、プラス・マイナスいたしますとどの段階でもプラスが出てくるという状況でございますので、制度改正の方向としては正しい方向なのではないかというふうに私自身は考えております。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 先ほどの意見陳述でも申し述べましたように、基本的に、当面我々が求めている減税という問題と税制改革、制度改革の問題はおのずから次元の違うものであろうと思われます。それで、我々自身は、もともと今の税制そのものが問題がある、不公平を是正しろ寸税制改革を我々の側から強く以前から要求してきたわけでありまして、税制改革についての論議を避けたいということでは全くないわけであります。むしろ根本的に国民的な合意の立つような議論の進め方によって税制改革を進めてもらいたいと主張しているわけであります。しかしながら、今回のやり方は、御指摘のとおり、私も先ほど申し述べましたとおり、本当に減税ということを一つの人質にして、それで野党に、追い込んで、どうだ、マル優のめ、こういうやり方については、率直に言って強い憤りを感じざるを得ないと申し述べたいと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 現在におきまして財源がどうのこうのということは、何かほかのことを言っていらっしゃるような気がするわけです。マル優の廃止ということは、私たちとしては絶対今やっていただきたくないし、減税分はそれとは別の問題としてちゃんと減税をしていっていただきたいというふうに考えるわけです。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 税制改革制度とマル優原則廃止を抱き合わせで出されてきたわけであります。私どもこれについては切り離して行うべきだ、こんな考え方を持っております。私ども、六十二年度の減税ということにつきましては、先行実施ということでお願いをいたしてまいりました。この点につきましては、与野党の税制改革協議会の中でも確認をされてきているところというふうに承知をいたしているところでございます。ですから、そういう面では、まず初めに減税、これについて十分お手当てをいただくということでの議論こそ肝要だろうというふうに思います。  ただ、恒久財源の問題につきましては、これまた私どもさらには野党の皆さん方も含めまして、それぞれ恒久財源についても議論していこうじゃないか、キャピタルゲイン等についても十分議論をしよう、こういうことで論議もしてきた経緯もあろうかと思います。そういうことも十分承知した上で対応されるのが至当なのではなかろうか、このように私どもは考えておるところであります。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 ありがとうございました。  マル優制度廃止は反対であるという御意見が多いわけでございます。ただ、マル優制度が不正利用されているという批判がたくさんありまして、不正利用をどういうふうにしてチェックするかということがいろいろ論議されてきたわけでございます。先ほども堀先生の御質問にもありましたように、今まで公式に名前が出た制度はグリーンカード制でございますけれども、そういう方式で限度管理をきちんと行えば不正利用は行われないだろう、こういうことで、これもいろいろと今税制改革協議会の方で自民党と野党との話し合いが行われているわけでございます。先ほども柿沼参考人が当初我々も反対したというお話がありましたけれども、やはりこういう方法で限度管理を行わなければマル優制度の存続は難しいのじゃないかと思うわけでございますが、特に先ほど主婦の代表というふうにおっしゃいました寺田参考人、グリーンカード導入といったような制度についてはどういうふうな御見解をお持ちでいらっしゃいましょうか。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 かつてグリーンカードということで大分論議が巻き起こったことがございました。やはり私たちもプライバシーの問題につきましてはいろいろコンピューターから漏れていくといったようなことも聞いておりますし、その辺の問題はこれからもう少し議論をしていただかなければ、現段階ではこれがいいんだというふうには申し上げられないような気がいたします。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 それでは、重複するようでございますが、井上参考人と柿沼参考人にも同じ問題でひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 限度額管理問題にかかわって非常に重大な問題であるプライバシー問題、これは私どももここ数年別途検討を進めているわけでありますけれども、日本の今の法体系、行政体系がどうしてもプライバシー保護の視点に全体的に欠けている。それだけに、本来法律的には可能であるにもかかわらず、これを本当に全体の体系に持ち込むのはたやすいことではない、その認識を第一には踏まえているわけであります。  しかしながら、基本的人権とプライバシー保護ということについて伝統を持っている国でプライバシー保護に基づくそのような納税者番号制が成立している以上は、十分国民的な論議もし技術的な点も詰めなければなりませんけれども、少なくとも論理の上では可能である、そのような点で前向きにこれを進めたらどうかと考えております。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 先ほど来申し上げているとおり、私どもも社会保険番号等を含めてカード制の導入についてはぜひ検討をいただきたいということでございます。カード制導入ということになりますと、国税に関する事務以外にはそれらを利用してはならないというようなことをきちんと担保する必要があるでしょうし、また、金融機関等についても、守秘義務といいますか、こういうものを担保するとかいうようないろいろなことをチェックいたせば十分可能ではなかろうかと思います。私どももアメリカ等々の例も十分勉強しながらきているわけですが、不公平税制の是正という観点からいうならばこの制度をぜひ実現する必要がある、このように考えております。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 ありがとうございました。  今、首都圏を中心にしまして地価高騰、これはまさに狂乱状態である、こういう状況でございます。今回の改正法案にも、土地転がしを防止しようということから、二年以内に転売する場合には五〇%のかなり重い税金をかけようという案が出ているわけでございます。先ほど寺田参考人からも、地価高騰のために相続税や固定資産税等が高くなるのじゃないだろうかという御心配が出されました。今のままでは住民追い出し税に変わるのじゃないだろうか、こういう危惧があるわけでございます。二年以内の転売ということで果たして土地転がし防止の実効が上がるのだろうかどうだろうか。私も知り合いの不動産の方に聞いてみますと、二年では実効が上がらないのじゃないだろうか、三年ならば不動産業者としては持ちこたえることができないのじゃないか、こんなふうな意見を言っている業者の方がおられます。この点についてひとつ参考人の皆様方から御意見をお聞かせいただきたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 今、特に都心の土地の地価高騰、これは大変大きな問題であって早急に何らかの手を打たなければならないということはそのとおりであると存じます。税制面からいいますと、供給促進ということと仮需要の抑制、それからそういう土地転がしによる利益の吸収というようなことを考えなければならないと思いますが、そのためには、供給促進という点では、今度土地の場合には長期と短期の区別が十年から五年に短縮されて所得税本法と同じ取り扱いになりましたけれども、これは一つの考え方であると思います。それから、所有期間が二年以下のものについては特に重く課税するいわゆる超短期重課制度でございますが、これも私は相当の効果はあるのではないかと思います。短期で取得したものをすぐ二年以内で売るというのは、要するに土地転がしによる利益と見てその多くの部分を吸収してしまおうというわけでございますので、こういうような制度は政府の土地政策についての強い態度を表明するといいますか、政府というのはこの場合は国会も含めた意味での政府という意味で申し上げておりますけれども、強い姿勢を表明するということになって、それ自体一つの心理的な効果も持つのではないかと思っております。一つのやり方ではあると思います。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 今日の土地問題の基本的な我々の見方は、土地は、一つは確かに私有という問題はございますけれども、社会的に利用を図っていく、土地の利用はもっと社会的に図られていくべきだ、そういう合意を今国民的に討議をし、つくっていく時期だろうと思います。そのような基本的な考え方の関連から見ますと、土地転がしで今非常な資産が上がる、いわゆるマネーゲーム、土地財テク、そのような風潮そのものが日本経済社会の質をゆがめるわけであります。それを規制するという点で二年の重課制は確かに不十分であるという御意見には賛成でございます。それと同時に、もっと東京の一極集中への規制だとか、あるいは地域計画をもっと重視して自治体に土地問題について権限を、例えば先買い権を強化する、こういうことを含めて多面的な本格的な土地に対する対応が必要だろうと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 今井上さんがおっしゃいましたように、私もそう思います。現に中央区あたりになりますと、今まで活動していた人も全部外へ出ていってしまうということで、まさにコミュニティーすらが崩壊していくのではないかというふうに言われております。  それから、相続税等のこれからの対策というために、今借金をして建てかえをしようというところが非常に多くなっております。持てる者と持たざる者との格差がここでも非常に開いてくるという現象も起こってきておりますので、これは早急に、今井上さんおっしゃいましたように強い力でちゃんと規制をかけていっていただかないと、本当に東京には人が住めないという事態が起こるのではないかと思います。よろしくお願いします。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 投機的な土地取引あるいは土地転がし、こういうことに対する抑制、これは今緊急にやられるべきというふうに私ども考えております。その点からいたしますと、超短期の譲渡課税制度の創設ということは推進されなければならない、このように考えております。その効果につきましては、これは他の政策手段、これと合わせることによって効果が出てくるということであるかと思います。総合的に手当てすべきものというふうに考えております。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 ありがとうございました。  時間の関係で最後になりますけれども、この所得税減税と減税額、それからマル優廃止ということで陰に隠れているような感じを持っているのですが、実は今度の改正案では医療費控除が今まで足切り五万円でございましたのが十万円に引き上げられるわけです。これは家庭にとっても働く方にとっても大変大きな問題じゃないだろうか、私はこう思うわけでございますが、この足切り五万円を十万円にするということについて最後に参考人の皆様の御意見をお伺いして終わらせていただきたいと思います。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 これは所得控除にはいろいろなものがございます。それで、例えば基礎控除とか配偶者控除などは本人及び家族の最低生活の保護という観点から控除が認められているわけですが、医療費控除の場合は特別のといいますか、特別の費用を控除するという考え方で、医療費の中でも普通支出する程度のものは課税対象には含めない。たしかシャウプ勧告ではエクストラオーディナリーという言葉が使われていたかと思いますが、そういうような特に通常支出する範囲を超えるような高額なものについて控除を認めるというのがその考え方であると思います。  そういたしますと、五万円から一挙に十万円に限度が上がるというのはちょっと酷な感じもいたしますけれども、長期的に見ると五万円というのはかなりの期間据え置かれてきたということはございますので、一つの考え方としては、限度を上げることは制度の考え方には沿っているというふうに思います。つまり、所得水準もだんだん上がってきておりますし、それから一般家庭が支出する通常の医療費の金額というのもだんだん増大してきているという背景がございますので、そういう意味では特別の医療支出の金額が幾らでなければならないかという点はだんだん時代が進むに従って少しずつ上がっていくということはあり得ますので、そこでそれを上げるということは制度の基本的な考え方に沿っていると思います。あとは、その五万円を十万円が適当があるいはほかの金額が適当かということは、いろいろな統計資料とかそういうものを勘案しながら御検討いただくべきことではないかというふうに思っております。  以上でございます。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 本来医療費に関しましては、理想を申し上げれば、基本的にこれが個人の負担であるということ自体がおかしいわけであります。いろいろな経過から現在勤労者の場合一割の自己負担を強いられているわけでありますが、それだけに、こういう経過、基本的な考え方からすれば、もし本人がこういう形で医療費の自己負担が伴ったという場合は当然控除されてしかるべきだ、そういう点で、今回の御提起の点については、いわば当たり前だ、ぜひそうしてもらわなければならぬというふうに申し上げたいと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 医療費につきましては、今井上さんのおっしゃったように、私もそう思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 医療費控除の引き上げにつきましては、単に医療費全体を抑制するという観点からこれが導入されるということになると問題かと思います。そういう点から慎重な配慮が必要ではなかろうかというふうに思っております。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 大変ありがとうございました。  以上で終わります。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 玉置一弥君。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 参考人の皆様方には、大変お忙しいところ当委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。  所得税の税制改正、これは所得税だけではなく、昨年、御存じのように売上税を主体とした特に間接税部門への移行、こういう形での税制改正が裏にはあるわけでございまして、確かに時代の流れといいますか、シャウプ税制、二十五年につくられて以来長年にわたって今の日本の経済を支えてきたわけでございますし、逆にそれが財政を支えてきた、こういうことになるわけでございますが、特に経済構造の変革、この辺が今の税収の中で特に所得税のウエートを高めていった、こういうふうに思うわけでございます。そういう面で税制改正については我々も当然必要だと思っておりますし、逆に今まで政府の方が、我々が委員会で質問いたしましても、不公平がない、こういうふうにずっと答弁を続けてきたわけでございますが、どういうわけか一昨年来、不公平があるから是正をするんだ、こういう姿勢に急に転換をした、こういうことでございまして、まさに国民が望む税制改正というものはどういうものであるか、ぜひ皆さん方の御意見を承りたい、かように思うわけでございます。  そこで、全般を言いますと非常に広くなりますので、先ほどいろいろ御意見をいただきましたけれども、まず一つ、今回と昨年の売上税の問題、この二つをとらえてみて、税制改正というのは期間も含めましてどのような手順でやったらいいのか、この辺を簡単にそれぞれ御意見を承りたいと思います。  では、金子参考人の方からお願いいたします。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 通常国会に提出された一括的な抜本的税制改革案、これは内容的には非常によく考えたものであったというふうに私は思っておりますが、ただ、今から考えてみますと、非常に大きな改革、税制の抜本的な改革でございますので、かなり長期間にわたって国民の、納税者一般の意見を聞きながら内容を固めていくという手続がこれからは抜本的改革ということをする場合には必要であろうというふうに考えております。その辺は、イギリスのように、政府のペーパーを発表して、そして国民から手紙なりそういう方法で意見の提出を自由に求めて、もちろんその中にはいろいろな専門家の意見その他もろもろの意見があるわけでしょうけれども、さらにそれを基礎にしてもう一度固め直すというような手続も一つ参考になるかと思いますけれども、いずれにしても国民世論のコンセンサスを形成していくという手続がどうあるべきかということが非常に重要なことではないかというふうに思います。  先ほどお話がございましたけれども、その他のいろいろな問題についてはまだ後ほどもし御質問がございましたらお答えさせていただくことにいたしまして、今はただそういう一般論だけを申し上げておきたいと思います。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 昨年提起されました売上税及びマル優廃止を含む一括の税制改革案から今回の新しい政府提案という経過を見るときに、あの中で国民の中にはっきりあったのは、現在の税制というのは制度上、執行上非常にいろいろな不公平があるではないか。政府はそれは認めた。そのときの不公平感の根っこにあるのは、やはり資産所得であるとか、本来戦後の出発点となったシャウプ税制が次々と例外条項としてきたようなさまざまな所得間の不公平がある。そのために、総合課税がいつの間にか勤労所得課税へと縮減してしまっている。ここのところの不公平感が一番大きかったんだろうと思います。  したがって、我々は、税制改革の手順は、第一段階というのはどうしても今ある明らかな税の不公正というのを徹底的に直す、これによって初めて次の経済構造変化への抜本的な改正についての討議の場が始まる。そういう点で、第二段階において、不公平税制を徹底的に詰めた上で抜本的な改正を国民的に論議する必要がある。また、それを急がないと、この二十一世紀の高齢化社会の到来の中で今後の日本社会は一体耐えられるだろうか、このことについて我々は懸念を持っております。したがって、ぜひ早く不公平税制の論議とその改革を進めていただきたい、こういうふうに申し上げたいと思います。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 この前、大型間接税ということで私たちもいろいろと学習もさせていただきました。とにかく最終的なところが決まっていてそれまでに何とか上げなければいけないというせっついたやり方というのに私たちは非常に不満を持ったわけです。これからおやりになるとすれば、国民によく理解ができるような易しい方法でちゃんと説明をしていただき、そして国民各層、各地方、いろいろなところから声を広く集めていただく、時間をかけて討論をしていただいて、その上での改革ということにしていただきたいと思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 減税の先行あるいは不公平税制の是正、この論議を税制改革協議会という場で取り組むという合意のもとに取り組みが開始されたというふうに私ども受けとめております。そういう中で、自民党の方から中間報告ということで一方的な報告が出た上ですぐさま自民党案の決定、こういうような形になってしまった。これは、冒頭私も意見として出しましたように、やはり一方的なやり方ではなかろうかなというふうに思っております。他の参考人の皆さん方と同じように、国民の意見を十分聴取した中で手当てをされていくべき問題ではなかろうかというふうに思います。特に、今回の問題等につきましては、せっかく権威ある税制改革協議会の中で御議論をいただいてきているわけでありますから、そういうところでじっくり結論を出して、それでその合意のもとにやられるということ、そういう手だてが必要なのではなかろうか、このように考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 最近の国会の中での特に税制論議は大変異常な形で行われていると我々も思っておるわけでございます。法案として出る前に、いろいろな論議の場を経て、その中の意見をある程度吸収した形での法案づくりが必要ではないかと思いますので、これからも皆様方の意見を体して審議の中で我々も頑張っていきたい、かように思います。  具体的な話になりますが、所得税は日本の場合非常に複雑に十九、十五、十三、こういうふうに変わってきたわけですが、最終的には五段階、六段階、七段階のどこかで落ちつくだろう、こういうふうに思われております。我々の方で特に毎年課税最低限の引き上げを要求してまいりまして、これが今二百三十五万数千円というところまで来ております。また、ことしからいわゆる配偶者控除というものができまして、これがさらにオンをされる、こういうことになってまいりますと、課税最低限がかなり引き上がってまいります。私がいつも感じますのは、課税最低限を逆に引き下げをやって薄くかけるという方法があります。これをやりますと、累進課税率が非常に緩やかになってまいります。そういうことを考えてやるのがいいのか、あるいは所得減税というならば課税最低限の引き上げをやってどんどんと累進課税率を逆に上に集めてしまう、こういう方がいいのか、非常に悩むところでございまして、これについて柿沼参考人、金子参考人、井上参考人お三方の御意見をいただきたいと思います。時間があとそんなにございませんので、二分程度でお答えをいただきたいと思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 お答え申し上げます。  扶養控除等人的控除の引き上げというものは必要になってくるというふうに考えております。そういう面では課税最低限の引き上げの処置をとるということの必要性があるというように考えております。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 今おっしゃいましたように、課税最低限を諸外国と比べるとかなり高い水準にあるように思います。今度の特別の主婦控除を加えますともう少し上がるという事情もございまして、課税最低限は世界的に見てかなり高いものですから、私はこの程度でよろしいのではないかというふうに思っております。  それから、もっと下げるという考え方も主張する人がございますけれども、これは課税最低限以下の人の場合でも間接税を負担しているということもございますので、引き下げには私は余り賛成する気持ちにはなれないわけでございます。現在のところが適当なところではないかと思っております。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 お二方の御参考人の意見とそれほど違わないわけでございますけれども、アメリカの今回の税制改革に関してもやはり人的控除をかなり引き上げることによって税制改革の端緒をつかんだわけでありますので、課税最低限の引き上げということは今後の税制改革の上でやはり重要な点であろうというふうに考えます。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 我が国の租税負担率というものがございまして、六十二年度見込みになりますと租税負担率が二四・四、また社会保障負担というのがそのほかにございまして、これが一一%、こういうふうになっております。最近の円高で大分物価が変わるんでございますが、私たち今生活をしておりまして、どうも土地の値段がべらぼうに高い。これはもう皆様方重々御存じでございますし、また食料につきましても外国の二倍くらいするというお話がございます。あるいは教育費、これは表に出ております教育費以外の家庭の分担といいますか、いわゆる塾だとかいろいろな教材費だとかいろいろございます。あるいは最近では全寮制の下宿とかそういうのもあるわけで、そういうふうに見ていきますと、本来単なる租税負担率とかあるいは社会保障負担というふうなところで負担感というものをいろいろ数字で示しておりますけれども、アメリカあるいは西ドイツと比べて日本の税負担は、感覚的に実際それ以上にあるのじゃないか、そういう感じがするわけです。  ちなみに、ここに数字が出ておりますのでちょっと言いますけれども、例えばアメリカと同じ物価で日本の生活をした場合、日本の生活に対してアメリカの生活は〇・七二、要するに七二%で生活ができるということになります。西ドイツは日本の八一%で生活ができる。こういうようにいきますと、租税負担、社会保障負担を合わせて数字で割りますと、アメリカの場合には四九・一六%になります。西ドイツの場合は四三・七%になります。こういう数字が出ております。  時間がございませんのでお二人程度、現在の租税負担、社会保障負担、感覚的なものでございますけれども、それについて大体どういうふうに感じておられるか、お答えをいただきたいと思います。寺田参考人、柿沼参考人にお願いいたします。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 今おっしゃいましたように、このところ物価が非常に安定していると言われる中で、私たちは緩やかになったという感じを持たないわけです。可処分所得が非常に減っているということが言えるのではないかと思います。  それから、先ほどおっしゃいました専業主婦の控除ですね。あれは非常にいいような形で提案されておりますけれども、共稼ぎ家族においても主婦はやはり家事はやっているわけです。もちろん今両方で家事分担ということもございますけれども、専業主婦だけと言われると、その辺にも不満が出てくるということをともに申し上げておきたいと思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 先生御指摘のとおり、我々勤労者世帯は、税、社会保障関係を含めて、私の負担といいますか、非常に高いという実感を持っておるところであります。消費購買力比較等からいたしましても、我が国の勤労者の生活というのは、経済力は一流、しかし生活は三流というのが実態であります。先生の御指摘のとおりであります。  そういう観点からいたしますと、この税制改革ということはそういう点からもひとつメスを入れていただくという必要があり、特に我が国の住宅、土地事情、これは御案内のとおり大変今ミゼラブルでございます。私ども幾ら汗を流しても家を取得できるような状態になっておりません。そういう面では、先ほどありましたが、土地税制につきまして特に重点を置いていただきたいというふうに考えております。あるいは教育費問題につきましても、我々サラリーマン世帯にとっては今大変重くのしかかっております。そういう面では、教育費減税の実施、そういうものをあわせてぜひお力添えをいただきたい、こういうふうに思います。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 時間が参りましたので終わりたいと思います。今後ともいろいろな御意見をお寄せいただきますように、また我々にも教えていただきますように、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 金子参考人にお伺いいたします。  先ほどの御意見を伺っておりますと、今度のマル優を基本的に廃止する法案に御賛成の立場で、その中ですべての所得に公平に課税すべきであるということで、必ずしも今回の一律分離を全面的に肯定されているのじゃなしに、将来の見直しも含めて御賛成という立場のようですが、もしすべての所得に公平ということになれば、やはり資産性所得の中でキャピタルゲイン、株式の譲渡益に対する課税等を考えなければいけないと思うのですが、その点についての金子参考人の御意見はいかがですか。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 お答え申し上げます。  キャピタルゲイン課税の問題というのはシャウプ勧告で一番強調されていた問題の一つですけれども、その後キャピタルゲインも一般的に課税対象に含められましたけれども、また例外が設けられました。土地の譲渡益は、課税繰り延べ措置とかいろいろな特別措置がございますけれども、一応は課税対象に含められておりますけれども、有価証券の方は原則的には非課税で、ただ一定の要件に当てはまった場合は課税されるということになっているわけです。  私は、キャピタルゲインも担税力を持った所得であるという点では変わりはないわけでございますので、課税対象に取り込んでいくのが税制のあり方としては正しいのではないかというふうに考えます。アメリカではそうされておりますし、それがよろしいのではないかと思います。ただ、長い間そういう原則的な非課税措置が続いてきたということもございますし、有価証券取引税が有価証券に対するキャピタルゲインの課税が廃止されたときにかわる制度として導入されたという経緯がございますので、そちらとの関係をどう考えるかという問題も一つございます。そういうこともありますので、長期的には課税の対象に取り込んでいく方向でその辺のことをよく検討する必要があるかと思います。それから把握体制、これもいろいろと難しい問題があるかと思いますので、そういう点も総合的に検討しながら課税対象に取り込んでいくという方向がいいのではないかというふうに思っております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 キャピタルゲイン課税をきちっと行って有価証券取引税は軽課するという方が税制としては筋ですね。有価証券取引税の場合にはもうけがあろうがなかろうがそれに税金を課するということになっておりますからね。  次に、井上参考人に伺います。  今度の減税では課税最低限の引き上げが行われておりません。それで、大蔵省の減税であるという試算は、先ほども寺田参考人から御意見がございましたが、専業主婦控除ですね、四人家族で夫だけが働いておるという世帯を参考にとっての案なんですね。仮に同じ所得で同じマル優対象貯蓄を持っているものでも夫婦共稼ぎの場合にはどうなるだろうかということで私が試算しましておととい大蔵省に質問しましたら、大蔵省の試算では五万四千円の減税になる家庭が共稼ぎの場合には一万二千円ほどの増税になるという結果が出まして、主税局長も基本的にはそれを認めているのですね。給与所得者の中で専業主婦控除の適用がされるのは大蔵省も三七%と言っております。そうすると、それ以外の共稼ぎやあるいは独身の働く婦人はマル優の廃止と合わせますと必ずしも減税にはならないという問題が起こるということがございます。そういう点については井上参考人はどうお考えでしょうか。  同じ問題について、寺田、柿沼参考人にも一言だけお答え願いたいと思います。

井上定彦日本労働組合総評議会経済局長

○井上(定)参考人 今回の専業主婦控除の登場の経過というのは、恐らくは青色申告等によって自営業者の家族を従業員として認めるというところのいわば横並びとしてこのような制度が登場し、突然大きな姿で比重を持ってきたという経過があろうかと思います。本来的に言ってこのようなやり方がいいのかどうかということについて大変我々の中でも議論があるわけであります。今御指摘のとおり、共働き世帯で実質的な増税になるという問題もありまして、我々の中でもかなりこれについて議論をしながら、このようなことで望ましいことではないということについて、もっと二分二乗の本来的なあり方を含めて、さらにもっと当たり前の論理での人的控除の方法はないのかということについて論議を進めているところであります。

寺田かつ子東京都地域消費者団体連絡会代表

○寺田参考人 先ほども申し上げましたように、勤労ということにおきましてはそれだけ余計にかかってきているというのが共働きの主婦の場合だろうと思うんです。有閑マダムと言われるような本当に家にいて三食昼寝つきという方に減税が行われるならば、これはやはり不公平と言わざるを得ないと思います。

柿沼靖紀全日本労働総同盟政策室長

○柿沼参考人 私ども、配偶者特別控除の創設、これにつきましては、基本的にやはりやってほしいという考え方であります。ただし、今言ったように、所得制限は設けるということはやはり必要があろうか、このように考えております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 金子参考人に伺いたいと思いますが、みなし法人課税や総収入金額の問題について、クロヨン問題もあるのでというように御発言になったと思います。しかし、クロヨン問題については、小倉税制調査会長がエコノミストの昨年の十一月十八日に「近ごろ税調とは気分がなじまないよ」という論文をお書きになっておりまして、多分金子参考人もよく御存じだと思いますが、この中でこう言っておられるのですね。   クロヨンだとかいうのは、新聞があおっている。 これは私が言っているのじゃないのです。小倉さんが言っているのです。  今度の税調の答申には初めて「クロヨン」という言葉が入っている。それはジャーナリズム代表が主張して入れた。クロヨンがあると信じているんだから(笑)。とここで「(笑)」というのが入っておりまして、   たとえばこんな考え方がある。サラリーマンの給与所得控除が平均すると三割かなんかあるはずだ。サラリーマンはあれを知らんのではないかと思う。三分の一も税金がかからないようになっていて、クロヨン、クロヨンといっている。サラリーマンこそクロヨンのロクかヨンなんだ……(笑)。青色申告の関係の税制調査会の委員はだいぶ憤慨している。 云々ということを言っておられるのですね。これは税制調査会長の発言ですから、私は相当重みがあると思うのです。そしてその上で総合所得について述べておられまして、  実質上は、金持ちにとって日本は総合所得ではない。月給だけは総合所得になっているけれども、株の売買で儲けるとか、配当などは総合されていない。富裕階級はそういうものが主たる所得の源泉ですからね。そういうものを除いたままフラットにするなんていう議論は、日本では通じないんだ。ある論者は、それを通じるかのごとく錯覚を起こすんだ。あれはよくない。 という相当厳しい意見を言っておられまして、それで、  この二、三年来、税調の気分とどうもなじまなくなってきている。しばらくは我慢しているんだ。 というのが締めくくりの言葉ですね。これについて、金子参考人はどう思われますか。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 大変にお答えしにくい御質問でございます。  それで、まずクロヨンの問題でございますが、これは、小倉会長がクロヨンという言葉を言われる場合もほかの方が言われる場合も、括弧つきで「いわゆるクロヨン」という「いわゆる」という言葉が冠詞のようについているのではないかというふうに私は思っております。本当にクロヨンがあるのかどうかということはこれはわかりません。徹底的に調査研究してみないとわかりませんで、これはいわば給与所得と事業所得、それからその他もろもろの所得の間に把握格差があるということを象徴的に言っている言葉であるというふうに私は理解しております。  そういうふうに考えますと、給与所得の場合も、もちろんフリンジベネフィットとかいろいろ課税の対象にならないものはございますけれども、日本は非常に入念にできた源泉徴収制度で給与所得に課税しておりますから、九割とかそれ以上把握されているだろうということは一般常識的に言えることであろうと思います。それに対して事業所得、資産所得等の場合は、まあ資産所得でも源泉徴収の対象とされているものはございますけれども、そうでないものについて見ますと、いろいろと把握漏れがあるのではないか、これも常識的に納税者一般が感じているところではないかと思います。ただ、事業所得者の中にも正確に申告している人とそうでない人とがありますので、一概に六割しか申告していないというようなことは言えないと思います。ただ、最近経済がソフト化、サービス化しているということが言われますけれども、そうなればなるほど事業所得の把握というのが難しくなってきているということは確かでございますので、クロヨンという数字が正しいのかどうかわかりませんが、把握格差が平均的に見れば給与所得とその他の所得の間であるだろうというふうに私は考えざるを得ないというふうに思っております。  それから、給与所得者の場合は大変給与所得控除が大きいからそれも一種の制度的なクロヨン現象ではないかというふうな趣旨のことが今小倉先生からの引用の中にあったかと存じますけれども、給与所得控除の制度というのは長い歴史を持っているわけでございます。話が長くなって申しわけございませんが、日露戦争直後にいろいろな考え方が外国から入ってまいりまして、所得の中には労働性の所得と資産性の所得と資産と勤労の結合した所得があるので、勤労性の所得は一番担税力が低いから何とかしなければならないということで、たしか勤労所得の二割でしたか所得控除を認めたというところに発端があるわけでありまして、我が国では給与所得は担税力が低いということが通念のようになっておりますし、それから給与所得控除を課税最低限に含めて計算するという考え方が一般的に行われているわけですから、そういう意味ではクロヨンと同列に見るということはどうも私はできないのではないかというふうに思っております。  それから最後のフラット化の点ですが、それは、小倉会長がおっしゃりたかったことは、税率をフラット化するだけではなくて、課税ベースを広げるということが同時に必要なんだということをおっしゃりたかったのではないかというふうに思います。で、課税ペースを広げる一方で高い累進税率を下げるということがやはり納税者の不満を解消するためにも必要ですし、それから所得段階の幅を思い切って広くしなければサラリーマンの不公平感とか重税感というものはなくならないわけですから、そういう意味では、完全なフラット化には私は反対でございますけれども、より引き下げて、先ほどおっしゃっていた所得段階の幅をもっと思い切って広くするという方向は正しい方向ではないかというふうに思っております。  以上でございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 時間がございませんので他の三人の参考人にはこの問題について伺いませんが、私は給与所得控除をなくせというそんなことを言っているのではないので、小倉さんはこう言っているということを言っているだけでございますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。  最後に、雑誌「税理」というのがございまして、金子参考人が御出席で他の三、四人の方と座談をしておられますね。その中に付加価値税の問題について御発言されておりまして、これは申告手続との兼ね合いで御発言になったと全体の筋道で読み取れますので、付加価値税全体についての御発言かどうかわからないのですけれども、この雑誌の部分を読みますと、   付加価値税が事業経営者にとって非常に負担になるということが、よく言われますね。しかし、これはなれてしまえば、それほど負担ではないのですね。こういう御発言があるのです。 なれてしまえばそれまでよという言葉がありますけれども、そういう御見解ですか。

金子宏東京大学教授

○金子参考人 座談会というのは流れの中で発言するものですから、詳しく意見を述べるというわけにもまいりませんけれども、それは要するに客観的に全く白紙で見ますと、法人税の方が付加価値税よりもむしろ書面の作成とか経理とかの点で複雑だとさえ私は思っているということだけ申し上げておきたいと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 時間ですから終わります。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 これにて午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議

池田行彦自由民主党

○池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、所得税法等の一部を改正する法律案について、参考人として、主婦連合会副会長中村紀伊君、経済評論家井上隆司君、青山学院大学経済学部教授原豊君、税経新人会全国協議会理事長関本秀治君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位には、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。まず、各参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、中村参考人からお願いいたします。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 主婦連合会の中村でございます。全国の消費者団体が一本になって生活を守る運動を進めております全国消費者団体連絡会の代表幹事もいたしております。  私ども消費者団体は、大平内閣以来、一般消費税の反対、それから名前がどんどん変わりましたが大型間接税、売上税の反対運動をずっと続けてまいりました。そして、必ずマル優廃止反対運動も一緒に精力的に続けてまいりました。消団連関係、生協とか主婦連とかその他の多くの消費者団体で、今日までに国会にお出ししました請願署名は五百万人を超えております。先生方にも御紹介をしていただいて、たくさんの国民の声が国会に反映されていることと思います。そして、御承知のように前国会では、売上税関連法案は、一斉地方選挙で国民の強力な意思表示によりましてすべて廃案になりました。私どもは、国民の声を聞いていただけたということで非常に喜び、うれしく思ったわけでございます。  もちろん、マル優廃止法案も廃案となりました。にもかかわらず、それから三カ月もたたぬうちに、このように減税と抱き合わせでマル優廃止の法案が出てくるということは、あの選挙で示した国民の総意を政府はどう受けとめていられたのか本当に判断に苦しみ、議会制民主主義がどういうことなのかということを疑わざるを得ないのでございます。  今日、テレビや新聞の報道では、減税額一兆三千億円から始まって二千四百億円まで上積みを政府がのんだというようなことが報道されております。減税額が増加するのは結構でございますが、マル優原則廃止が抱き合わせで通るということは、国民は絶対納得しないということを申し上げたいと思います。  七月三十日に私どもの全国消団連主催で、マル優廃止反対と固定資産税の凍結を求める緊急集会を衆議院の第二議員会館で開きました。そして、ちょうど自民党の首脳会議で今日のこの所得税法の改正案提出を決めた次の日でございましたので、自民党からはおいでいただけませんでしたけれども、各野党の代表の方から大変力強い御発言をいただきました。これは夏のお化けのようなもので、まず減税を先行させ、マル優廃止は絶対やらせないと、力強いお話をいただきました。私どもは、全国から集まった代表がそれをはっきり伺いまして、この情報を流しました。そして、国会では頑張ってくださるのだ、我々の出した請願書は生きているのだということを申し上げました。そして、それからの国会の動きに注目しておりました。きょう出てきますときにも、ぜひ最後までその線で頑張っていただきたいということを必ず申し上げるようにと申しつかってまいりました。  それから、自民党の先生方もたくさんいらっしゃいますが、選挙のときにはマル優廃止反対だと公約された方々がたくさんいらっしゃいます。私どもがそれぞれの地方で請願書を持って伺いましたときに、はっきりこの耳で聞いてみんな記録しております。ですから、どうぞこの点もお忘れなく、公約というものは守られなければいけないということをぜひお考えいただきたいと思いますす。  さて、マル優につきましては、もうよく御存じで改めて申し上げるまでもないと思います。中曽根総理は、マル優は一番の不公平税制だとおっしゃいました。しかし、私どもからいえば、逆にマル優廃止こそ社会的不公平の拡大につながるものであるというふうに考えております。  少し前のことでございますが、マル優廃止反対の意見を政府主催のある委員会で述べたことがございます。宮澤大蔵大臣がその当時は党の要職にあられまして、そこの席にもいらっしゃいましたが、ある委員の方から、私の友人は猫の名前で預金している人もいる、そういう不正利用を防止するためにもこれは廃止する必要があるという質問をいただきました。私はこう答えました。私の周りには猫の名前で貯金するような人はいないんだ、第一庶民は、そんなにマル優の枠をはみ出すほど貯金はできないんだ。悪質な一部の金持ちのために、国民が老後の暮らしや子供の教育費のためにせっせとためたとらの子の利息に税をかけるというのは、本当に血も涙もないやり方であると思います。  そして逆に今回の改正では、大口の貯蓄者には三五%から二〇%に分離課税が減税になります。金持ち優遇の最たるものであると思います。そして、六十五歳以上または母子世帯、身障者、そういう人たちは例外にするんだというふうに政府は言っております。しかし、定年は五十七歳ぐらいから始まります。そして、もし再就職したとしても非常に収入は減っております。そして、年金だけで暮らせない人々は若いときから貯金をせっせとして、それが頼りで老後を生きていこうと考えております。そうした人たちのためにマル優は、税制面における一種の社会保障の性格を持っていると思います。悪質なものは限度管理を厳しくすることによって十分に対応できるということを考えますと、これは絶対やめていただきたいと思います。  弱い者から税を取るマル優廃止の前に、大企業や高額所得者の実際の所得を把握して、もうかっている者、支払い能力のある者から正しく徴税することを行うべきであると思います。さまざまな形で具体的に指摘されている不公平税制の是正をまず実施すべきだと思います。  また、マル優廃止を含むこの税制改正案を成立させる、このことが既成事実となって、名前を変えた売上税につながるおそれがあります。私たちは、どんな形でも売上税的なものは絶対導入させるべきでないと考えております。  ここ何日かの国会での与野党の話し合いの様子を外から見ておりますと、より公平な税制を実現するための本格的な論議なしに、減税幅をどうするかの取引のみに終始したように私どもからは見えます。今必要なことは、日本の財政を将来的にどうするのか、日本の税制のあり方を長期的展望のもとにどうするのか、国民の前に明らかにしてほしいと思います。そして、十分国民的な合意を得る時間をかけるべきだと思います。  この一年、売上税反対運動、大いに盛り上がりました。ですから、国民も税について大変関心を持っております。そして、国会の審議を非常に注目しております。弱者切り捨てではなく、国民の納得のいく税制を示していただきたいと思います。そしてまた、税金の使い方についても、防衛費突出増などを見直して、国民の暮らしを守るための予算をぜひ組んでいただきたいと思います。  時間も余りございませんので、マル優以外の税制改正案について一言、一言申し上げたいと思います。  現在の所得税の課税最低限は、夫婦子供二人で百三十二万円でございます。これの引き上げをぜひ行っていただきたいと思います。それから今回の減税は、中堅サラリーマンの重税感をとるためと言われておりますが、先日からの国会論議を見ておりますと、大蔵省が所得分位別に、マル優廃止と減税額とプラスマイナスしてどうなるか、全部減税になるという表を私もいただきましたけれども、その試算はすべて専業主婦控除が入っているのだということを、この間からの国会審議の中で初めて私どもは気がつきました。税制については、いつも標準世帯中心のデータしか出てまいりません。しかし、独身で、中高年で、安い給料で働いている女の人もおります。年金生活者もおります。いろいろな生活をしている国民がたくさんいるのに、いつでも標準家庭でそういう数字が出され、そして私どもは税制の仕組みがよくわかりませんので、何かそれでそういうものかというような見方をしてしまいます。  前回の売上税のときにも、売上税と減税とプラスマイナスしたら必ず減税になるという数字を大蔵省がお出しになりました。そして私どもが、いろいろ聞いてみたり、調べてみましたら、法人税減税が回り回って国民に減税としてはね返ってくるんだ、それを計算に入れたからこうなったんだということを大蔵省の方がお答えになりました。  私どもは、今、働く主婦の方が専業主婦よりずっと多くなっているこの時代に、きちっとした数字、実際に実情に合った数字も、国民がこの内容をはっきり知るために判断資料としてたくさん出していただきたい、そしてそういうものをたくさん見た上で、国民が十分判断できるようにしていただきたいと思います。  それから、先ほど申し上げました固定資産税、都市計画税の凍結ということを一緒に私どもは要請しております。各党にもお出ししておりますが、今都市の消費者が集まりますともうすべて土地の高騰、あれはどうなるんだろうか、政府は何をしているんだろうかということが必ず出てまいります。早く手を打たなければ取り返しのつかないことになるということでございます。そして、今自分が住んでいる家は親の代から住んでいる、幾ら地価が上がっても本人には何にも得にはならないんだ、ただ固定資産税が上がり、いろいろな問題が起こってくる、そして地代や家賃が上がってそこに住めなくなる。いろいろな問題が出てきております。まさに生活破壊につながる恐ろしい地価の高騰でございます。  相続税についても非常に不安が高まっております。今回の土地税制の改正案は、まだまだ不徹底であると思います。この問題については、特別な対策を早急に立てていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、医療費控除の足切り十万円引き上げも反対でございます。  その他いろいろございますが、きょうの私どもの発言が国会審議の中でまだ間に合うのだ、そしてぜひ私どもの要望をこの委員会の中でお取り上げになり、少しでも私どもの要求が実現したということをぜひ見せていただきたいということをお願いいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  次に、井上参考人にお願いいたします。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 経済評論家をやらしていただいております井上と申します。私は、マル優廃止は国益に反する、そういう立場でマル優中心にお話しさせていただきます。  まず、マル優廃止の当初の理由としては、マル優を非常に不正利用する、そういうことが言われていたわけでございます。ところが、先ほど中村参考人からも御説明がありましたように、貯蓄増強中央委員会の昭和六十一年調べでも一世帯あたりの平均貯蓄額は七百三十一万円でございます。しかし、いわゆるマル優、特別マル優、郵便局の非課税貯蓄、合計で九百万もあるわけです。ということは、一般の庶民がマル優を不正利用するだけのお金がないということになるわけでございます。そして、この平均貯蓄額七百三十一万円というのは、大金持ちから余りお金のない人までを足した数で割ったという数字でございまして、貯蓄増強中央委員会の調べでは、一番多い層は平均四百四十万円ということでございます。したがって一般庶民は、手続ミスで不正になるケースもあると思いますが、実質的には不正のしようがない。不正する大部分の方はある程度のお金持ち、そういうことでございます。  当初中曽根総理は、六十五歳以上のお年寄り、母子家庭、身体障害者などの弱者のマル優を守る、そういうことを総選挙前に公約されていたわけですが、私が先ごろ講演会でいわゆる非課税貯蓄のセミナーを開きましたら、ある年金生活者のお年寄りから、中曽根総理は公約違反だということを突然指摘されたわけです。私もびっくりして内容を聞いてみますと、定年退職後、退職金などをそっくり非課税貯蓄にしたけれども、それのオーバー分が当然のことながらあるわけですね、それについては二〇%の総合課税を選択して、翌年確定申告で、年金以外はほとんど所得がございませんので全額還付を受けていたというわけです。しかし、今度の税制改革法案によりますと一律分離課税ということで、オーバー分については確定申告で還付が受けられなくなる。そういうことで実質的に中曽根総理は公約違反した、そういう指摘を受けたのも事実でございます。  私は長年にわたって税理士等をやっておりまして、その指摘を受けてふっと気がついたのは、毎年その種のお年寄りなどの還付申告を数件ずつ行っていて、これは確かにそういうこともあるんだ、そういうことを感じた次第でございます。  廃止の理由の二番目としては、貯蓄率が高くて貯蓄奨励の必要がない、そこで非課税貯蓄をなくすということでございますが、先ほどの貯蓄増強中央委員会の平均貯蓄額は一世帯当たり七百三十一万円です。しかしこれについて、借金がある御家庭では住宅ローンの借入金等が五百七十万円あります。そうすると、差し引きますと百六十一万円でございます。しかし、この七百三十一万円には、生命保険とか損害保険の掛金まで百二十八万円含まれておる。それを清算しますと、一世帯当たりの平均貯蓄額がわずか三十三万円になってしまうわけです。これでは、一家のあるじが交通事故等で長期入院した場合は、いざというときはサラリーマン金融等に走らざるを得ないというのが、我が国のいわゆる平均的な世帯の実情かと思います。  先ごろ私は、四月に韓国に付加価値税の視察に行ったときに、ガイドから、日本は非常にお金持ちの国になったということを言われましたので、そのことをお話ししたところ、それでは韓国の人の方がもっとお金があると言われまして、私はびっくりした次第でございます。  それと三番目に廃止の理由としては、内需拡大になるということでございますね。ところが、だれが考えても、昨年から公定歩合が五回も引き下げられて、その上に利子に二〇%も課税されましたらば、これは日本の長年の文化、伝統、日本人の感情からすると、いわゆる可処分所得が減るということ自体で逆に財布のひもを締めてしまう、それが悲しいかな日本民族の培われた消費行動ではないかと思います。したがって、英国のサッチャー首相は、先ごろのベネチア・サミット等で中曽根総理に、内需拡大するためには非課税貯蓄、いわゆるマル優をなくさなければだめ、そのようなことがマスコミで報道されたわけでございますが、これは例えばアメリカあたりの陽気な民族ですと、可処分所得が減ればばかばかしいということで貯蓄をおろして物を買う行動に移りますが、我が国の場合はそれとは逆になって、むしろマル優を廃止することによって内需縮小に向かう、それを私はかたく信じているわけでございます。  いま一面のマル優廃止の理由としては、減税財源にするということでございますが、そのことによって内需拡大は図られるということで政府はお考えのようですが、私の独断と偏見では先ほどのお話のように、逆に我々日本人の平均的な考え方の人は財布のひもを締めて内需縮小になってしまう、そう考えているわけでございます。我が国が現在、世界各国との貿易関係で非常に摩擦を起こしている。それを解決する決め手はやはり経済成長率を高めることにある、これはだれしも認めるところでございます。御承知のように経済成長率の決め手は投資でございます。その投資のもとは貯蓄、そういうことで話はいささか古くて恐縮でございますが、二宮金次郎の勤倹貯蓄の精神、それを今こそ生かして国際的な摩擦解消を図っていただければと思っているわけでございます。内需拡大する最終的な決め手というのは、先ごろ政府等でもいろいろ見解が求められていますように土地税制の改革、その一言に尽きるのではないかと思います。  後で御質問等受けるとして、私のお話はこれで終わりにさせていただきたいと思います。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  次に、原参考人にお願いいたします。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 原でございます。今回の所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、時間も制限されておりますが、三点ばかり意見を具申したいと思います。  まず第一点でございますが、全般的なこの法案を通しましての私の意見でございますけれども、特に名づけますと税制改革の今回の理念についてということでございます。この法律の第一条にその趣旨が出ておりまして、ざっと読んでみますと、「国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみその一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、」云々となっておりますので、この趣旨はやはり税制の改革ということであるのであって、昭和二十五年のシャウプ税制以来しばらく改革しておりませんので、改めて今言ったような情勢のもとで改革しようという、かなり思い切った発想なりスタンスに立っているはずのものであると考えております。  しかしながら、その内容を見ますと、どちらかと申しますと内容は主として所得税の減税、税率構造の手直しと利子課税の強化、中心はマル優の改正、これにとどまっている感がいたします。この二つにつきましては、私は根本的に反対という立場に立つものじゃございません。しかしながら、これでは税制の改革という点につきましてはいささかその内容が矮小化されまして、税制の調整という段階にとどまっているのじゃなかろうかという感がしております。それからさらに、その内容で直間比率の見直しの問題、これは税制改革協議会に付託されているはずでございますけれども、その審議が進んでおりませんし、さらには法人税に対しても先送りになっている現状でございますのでなおその感がいたします。したがって、世上税制の改革と言っておりますけれども、今回はどちらかと申しますと社会経済の内外の変化に対応した一種の税制の緊急調整、手直しというのが妥当ではなかろうか、こういう感がしております。  それだけに私は、第一点といたしまして、このままで税制の改革が落着したと言えませんので、今後引き続きその改革について審議を重ねて内容を詰めていただきたい、このように希望いたします。第二点といたしまして、もし調整ないしは緊急手直しならばもっと思い切った措置がとれないものか。所得税減税の規模を初めといたしまして、いろいろ財源問題もあろうかとは存じますけれども、例えばことしの財政の余剰あるいはNTT株の処理の仕方いかんによりますと、戻し減税を含めまして時限立法的なものも考えることはできないであろうか、こういう感がしております。全体としての印象でございますけれども、これが第一点でございます。  次に第二点、その内容の大きな柱でございます所得税の減税についてでございますが、初めに政府案一兆三千億円ということでございましたけれども、伝えられるところによりますと、これに二千四百億円の上積みがされまして、一兆五千四百億円で一応の合意が成るうかというような段階に来ている。もちろん、野党の反対はございますけれども、そういうふうに聞いております。財源問題を初め、財政再建の問題も絡みましていろいろ御苦労がございますので、その辺の妥協点、落としどころを求めることは難しいとは存じますけれども、私は大体におきまして、この辺のところまで持ってきた御努力に対しては一応の敬意を表します。しかし、先ほど申しましたように、もしこの先さらに抜本的な改革が残されているとすれば、今回は規模についても少々不満がございますし、もう少し思い切ったことはできなかったであろうかということを感じております。  しかし、所得税の減税についてどういう点を手直しするかにつきましては、私は大体のところよろしいのじゃないかという感は持っております。どこを手直しするかということにつきましては、まず第一点といたしまして、生活の難易度を考えて、一番生活苦の集中する部分に手直しをする。さらに第二点は、垂直的な公平を図っていく。第三点は、水平的な公平を確保する、こういう観点があろうかと存じます。  第一点につきましては、これはもう御承知のことでございますけれども、日本の年功序列賃金制を前提にいたしまして、三十歳から四十歳までの中堅勤労者の生活が、教育あるいは住居ローンを初めといたしましてさまざまの必要経費がかかりますので、非常に生活苦が加重されておりますから、この辺のところを配慮しなければいけない。さらには、垂直的公平の立場に立ちましても、今申しました年功序列賃金に立ちますと、年がたつに従ってだんだんと賃金が上がっていく、しかもいろいろ経費がかかるわけで、生活苦が集中する年代に非常に税の累進度が高まるというような税率構造になっておりますから、ここを集中的に手直しする必要がある。  しかも、今日におきましても垂直的公平と申しますように、能力のある人間はそれだけ負担を高くしなければいけないということに立ちますと、高所得者を優遇するような形で税率構造の手直しは避けるべきである。ならば当然、この辺のところに集中的に税率構造の手直しを行うべきであるということになりましょう。  第三点といたしましては水平的公平でございますけれども、特に税制の不公平感の中心になっておりますのはこの点でございまして、ここに資料を持っておりますけれども、三、四十歳それから会社サラリーマンあたりの中堅層の一番の不満は税の不公平感、特に俗にクロヨンと言われております点でございまして、この辺の税の徴税の方法に相違があることが非常に不満である。昨年の総理府の調査によりましても、九二%の人が不満だということを述べているわけでございますので、この辺のところを中心にして是正すべきでございましょう。  今回の税率構造の手直しは、結果でございますけれども一応中堅層に手厚い軽減率になっております。けさの日経新聞によって見るところでも、五百万円の年収層で大体一二%の軽減率ということになっておりますし、その辺のところはかなりいい方向で是正に向かっているのじゃなかろうかと私は考えております。  ただ、前国会で税率構造の是正につきましては六段階の是正が行われました。この際は、かなり高所得層の軽減率が高いということで批判も出ましたけれども、今回は十三段階からさらに十二段階に直されておりますけれども、これでも多うございます。イギリスでは二九%から六〇%の税率構造で六段階でございますし、アメリカは八八年から一五%と二八%、もちろんこれにいろいろの例えば高所得者層に対しての付加税を加える等の手当てがございますけれども、二段階に少なくしておりますので、税の簡素化という点から考えましても、この辺のところ、特に中間層を中心にして税率が急坂にならないように構造を平たんにすべきだということが、もう少しあってしかるべきじゃないかと私は考えております。いずれにいたしましても、この辺を中心にした所得税の減税のねらいということにつきましては、私は賛成でございます。ただ、それに加えてさらに地方税も十四段階から七段階というふうに軽くされておりますので、この辺も方向としてはよろしかろうと存じております。  それから、これは垂直的公平の問題に対する対応ですが、第三番目の水平的公平につきましては、このクロヨンに対する対策というものはまだ不十分だと思います。今回の案におきましても、申告税制に対する対応ということで給与所得控除額を超える特定支出の場合には、その超える部分を控除するというような申告の制度をある程度加えられておりますけれども、これもこれだけでは十分とは言えませんし、また配偶者の特別控除が加えられておりまして、みなし法人との差でございます主婦に対する所得の分割ということにつきましての配慮がわずかされているということでございますけれども、これも不満といえば不満の点でございます。もう少し積極的にしていただきたかったと存じておりますけれども、一応の手直しはされている、こういうことでございますので、望むべきところはもう少し思い切ってこれを進めていただければよろしかろうということで、方向性としては私は賛意を表しておきます。  最後の三番目でございますけれども、これは利子課税その他についてでございます。所得税を中心にして手直しをするということでございますから、利子所得の課税は当然根本的に直す必要がございましょう。そういう意味ではマル優等々を問わず、利子から生まれた所得を問わず、その他の所得につきましては原則課税するのが適当でございます、妥当でございましょう。この点につきましては、もう少し根本的な検討をなさっていただきたい。  今回の場合にはマル優の改正というものだけが一本釣りされたような形で、しかも言葉を悪くして申しますと、今申しましたような所得税の減税の財源措置のために引っ張り上げられているような感なきにしもあらずでございます。といいますのは、そのほかにキャピタルゲインに対する課税とか土地譲渡所得に対する課税等々、所得課税につきましてはバランスよく取り上げるべきものがございますから、これらはバランスよく並行的、公平に取り上げるのが筋というものでございましょう。財源措置が早急に必要だという事情もございますから、その辺の政治的配慮があったかとは存じますけれども、本来筋からいえばそのようにバランスよく公平の観点から取り上げてほしかった、こういうことでございます。マル優の改正につきましてはそういう感がいたしますけれども、このマル優だけの改正にとどめておきますと、やがて財源問題がさらに出てまいります。貯蓄率がどうなるか、いろいろ疑問がある点がございます。  先ほど、消費が伸びるかどうかの議論がございましたけれども、これもアメリカのフェルドシュタインの実証研究を初めといたしましていろいろ出ておりますけれども、問題があります。これはもちろん、税金によって貯蓄がどうこうなるかだけではなくて、福祉政策との兼ね合いの問題でございますから、一方で福祉政策をさらに充実していただきますならば将来への不安がある程度軽減されますから、将来の高齢化のための貯蓄あるいはその利子の確保という点の役割は少しく軽減されてくることでございますので、いろいろ兼ね合いの問題がございます。まだ日本におきましてこれだという実証研究は、残念ながら出ておりません。したがって、私も確たることは申しませんですけれども、マル優だけに財源を頼っているというわけにいかないとなりますと、やはり間接税を広く検討するという課題が当然出てくる、こういうことになりましょう。これは今後の課題だと思います。  ともあれ、マル優につきましてはそういう感がしておりますので、これも財源といたしますならばキャピタルゲインにつきましても同様に配慮する必要がある。このたびもある程度配慮はされております。内容につきまして、年間五十回以上の株の売買を三十回以上に切り下げるとかいろいろ配慮はされておりますけれども、もう少し積極的に配慮すべきであるし、土地譲渡税制も、二年以内の保有土地につきましては非常に高い税率の課税が配慮されておりますけれども、こういうものも含めまして検討していただきたい。  特に土地の課税につきましては、かつて昭和四十四年に土地分離課税をいたしましたときに、再分配の効果はうんと変わってきたわけでございます。そういう失敗例がございます。下手をしますと、この点で、さっき言った所得の累進構造をせっかくうまくならしましても、この辺のところで分配のやり方をまたもとへ返すような動きが出るかもしれませんから、この辺のところは配慮されて、マル優だけじゃなくてすべてのその他の所得につきましても、特に資産所得に対しても配慮していただきたい。今回、政府が出されました経済白書にもそのことが指摘されております。経済白書の最終章に近いところでこう言っております。税制の改正につきまして「累進構造を見直すとともに、公平の観点から資産性所得等について課税ベースの拡大を図っていくことが肝要」だと白書も述べておりますから、この点も十分に配慮されて審議を進めていただきたい、このように考えています。  以上でございます。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  次に、関本参考人にお願いいたします。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 税経新人会全国協議会の理事長をしております税理士の関本でございます。現在、当委員会におきまして審議中の所得税法等の一部を改正する法律案についで、意見を申し上げたいと思います。  まず第一に、今回の所得税法等の一部を改正する法律案は、さきの百八国会におきまして全国民的な反対運動によって廃案に追い込まれました、いわゆる税制の抜本的改革に関する法案の一部を切り離しまして、細切れ的にほぼそのままの形で再提案されているものであるということを指摘しておきたいと思います。これは、去る四月の一斉地方選挙におきまして国民から不信任されたものの一部でありますから、中曽根総理の公約違反、議会制民主主義のルール無視という批判はどうしても免かれないものであろう、このように考えます。  去る七月三十日の日経等各紙の伝えるところによりますと、当初政府は、前回同様に、新型間接税の導入を含みとした所得減税、法人減税の最終目標を盛り込むことを予定しておられた模様でございます。しかし、売上税の失敗に懲りまして国民の反対を和らげるため、つまり国会対策を最優先するということで、その第一段階である昭和六十二年度の改正だけを分離して法案として提出されたことは広く知られているところでございます。ですから、新型間接税の導入、所得税減税の第二段階、法人減税、これらが来年度以降の改正案として提出されてくることになるであろうということは、ほぼ明らかであると思われるわけであります。  このような提案の仕方は、納税者国民に本年度以降の将来にわたって行おうとする税制改革の全容を秘匿して、国民を欺くものであるというふうに考えられるものでありますから、政府はすべからく税制改革の全体像を示した上で、十分時間をかけて国民の意見を聞くという民主的な手続をとるべきであると思います。特に、一連の税制改革の第一歩として位置づけられておりました法人税率の四三・三%から四二%への引き下げにつきましては、時限立法の期限切れということでございまして、本年四月一日以降終了する事業年度から既に年間四千五百億円ベースの減税が先行実施されてしまっているという点も、批判されなければならない重要な点であるというふうに考えるわけであります。  第二に、今回の所得減税が構造的にもその規模においても全く不十分であるということだけではなくて、その実態は表向きの中堅所得階層の負担の軽減という理由とは逆に、最高税率の一〇%の引き下げだとか利子に対する一律二〇%の分離課税の適用などによりまして、大資産家、高額所得者層中心の減税となっている点を指摘しておかなければならないと思います。先日の当委員会でも明らかにされたところでございますけれども、大蔵省のモデル試算とは異なりまして、給与所得者の六三%を占める人々が配偶者特別控除の適用を受けられない。加えて、マル優の廃止によって年収四、五百万円程度の中堅以下の世帯では、逆に二万円近い増税になるわけでございます。このことは、上に厚く下に薄いという今回の改正案の本質の一端を示しているということが言えるわけでございます。これに対して大資産家、高額所得者層は、最高税率の一〇%引き下げと利子に対する一律二〇%の分離課税の採用によりまして、絶対的にも相対的にも大幅な減税を受けられるわけでありまして、不公平はなお一層拡大することになるわけでございます。  第三に、今回の改正案の最大の争点の一つでありますいわゆるマル優廃止について述べさせていただきたいと思います。  第一点。利子は資産性所得であるから、マル優を廃止しても公平原則には反しないという意見がございます。しかし、我が国の貯蓄性向の高さというものは、既にたびたび指摘されておりますように、あるいは先ほど中村参考人から御指摘がございましたように、我が国の社会保障制度の貧弱さに対するいわば国民の自衛手段としての性格を持つものでございます。したがいまして、それは一種の社会保障制度的な側面を持っているということは否定できないわけでございます。ですから、やるならばまず利子配当の源泉選択分離課税だとかあるいは有価証券の譲渡益の非課税、土地等の譲渡に対する軽課措置、あるいは課税の繰り延べ等担税力の高い特例の廃止を行うべきであります。  例えば、具体的に申し上げますと、松下幸之助さんは、松下電器産業の配当だけで昭和六十二年分で六億八千万円強の所得がございます。これは総合課税をされておりません。三五%の分離課税で、わずか二億四千万円の源泉税がかけられるだけであります。本来ならば総合で七〇%の課税、四億八千万円の負担をすべきものでございます。これがこのような軽課で済んでいるというのが実情でございます。  第二番目としまして、改正案は一律一五%の分離課税という比例税率をとっていますので、高額所得者も低所得者層も一律の課税を受けるということになります。これは、担税力の高い人ほど高率の負担をすべきであるという憲法の応能負担の原則に反するものであります。  三番。一律一五%の強制分離課税は、本来所得税を負担する義務のない人、こういう人々に対しても新たに負担を強制するものであります。この源泉税は、先ほどもお話がございましたが、確定申告によって取り戻すことができないということでございます。  四番。源泉徴収によって受け取り段階で天引きされてしまいますために、これは納税者にとっては利率の引き下げということと同様の効果が生じまして、事実上間接税と同様の効果が出てくるわけであります。このことは、税痛を失わせ、ひいては税の使われ方、つまり政治に対する関心を薄れさせていくという、民主政治のあり方に逆行する税制である、こういうふうに言わざるを得ないと思います。  五番としまして、マル優廃止、一律一五%の分離課税の最大の不公平は、大部分の勤労者にはゼロから一五%への無限大の増税、逆に既に分離課税を利用している大資産家にとっては三五%から地方税を含めて二〇%へと、一五%もの大幅減税をもたらすという点でございます。これは恐らく、今回の税制改革の中の超目玉商品であろうと考えられます。この不公平の拡大が必ずしも国民に広く知られていないということは、大きな問題であろうと思うわけであります。  六番。マル優の不正利用が大資産家の税負担を相対的に軽減しているから、廃止によってかえって公平が確保されるという説明がされております。これは全く逆立ちした議論であると思います。マル優の不正利用は、現行制度で十分防止できるはずであります。本人確認の強化が図られまして、ようやく軌道に乗りつつあるところでありますけれども、その実績の推移も見ないまま次の制度へ移行するということについては大きな疑問がございます。現行の非課税貯蓄申告書、同限度変更申告書、同異動申告書、利子等の支払調書等が法定されておりまして、それが税務署に提出されておりますので、名寄せによりまして総合課税は十分できるという仕組みになっているわけでございます。所得税額が公示されるような高額の所得者というものは極めて少数でございますから、これらの人々や家族名義の預金を名寄せすることによって、総合課税は行おうとすれば十分できるということでございまして、要は国税庁当局がそれをやろうとする意思があったかなかったかという問題に尽きると思います。  第四に、課税最低限について意見を述べさせていただきたいと思います。  今回の改正案では、課税最低限の引き上げについては、配偶者特別控除の創設以外は全く触れられておりません。これは今回の所得減税の最大の欠陥でございます。課税最低限は、現行法では夫婦子二人の標準世帯でわずか百三十二万円、配偶者特別控除を加えでも百四十八万五千円にすぎません。現在、生活保護法による生活扶助基準は、大都市でまいりますと二百三十万円を超えております。生活扶助基準が、憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を保障しているというわけではございませんけれども、それよりもさらに低いこの課税最低限は明らかに憲法の保障する生存権を侵害するものである、このように言わなければなりません。したがって、所得減税は、何よりもまず課税最低限の大幅引き上げによるべきである、このように考えるわけであります。この点に関しましては、一昨年のレーガンの税制改革をもっと見習うべきであると思います。  最後に、以上申し上げましたように、どの点を見ましても、今回の税制改革が新たな不公平の拡大であり、税制や財政の所得再分配機能という基本原則の否定につながりかねないような重大問題を含んでいるものでございます。戦後培われました財政民主主義を根底から覆す危険性をはらんでいるということが言いたいわけでございます。したがって、これは減税額をどの程度上乗せするかというような量の問題で解決される問題ではない、まさに質の問題であるというふうに考えられますので、どうしても譲れないものを含んでいる、このように申し上げまして、私の陳述を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

池田行彦自由民主党

○池田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――

池田行彦自由民主党

○池田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 参考人の皆さんには、公私にわたり大変御多用の中、我々のためにおいでをいただきまして、心から厚くお礼を申し上げます。限られた時間でありますが、ここで皆さんにそれぞれ述べていただきます事項は、我々がそれを参考として今後またその審議に生かしていきたい、こういうふうに委員長も恐らく思っていることであろうと思いますので、意を強くしてひとつその所信を述べていただきたいと思います。  最初に、それぞれおっしゃっておられることが別々でありますが、主な事項から御趣旨をまた述べていただきたいと思います。  今度の税制改革の中で一番最初お伺いしたいことは、減税と、それからこの法律は来年度施行になっておるわけです。今お述べになられた場合は、それぞれ一緒の次元でお述べになられました。一兆五千億であれ一兆三千億であれ、減税は減税として独立して六十二年度施行である。また、あとのいろいろな増税の部分は六十三年度施行であります。もちろん御承知でお述べになったと思いますが、やはりこういうところへ来て一緒に一つの法律になって述べると言われますと、相関関係で述べざるを得ないと思うのでありますが、本来私たちは別個に取り扱うべきものであって、ことしの減税はことしの減税である、また来年のそれを補う、もし増税は増税である、こういうふうに理解をして論議すべきであると思っているわけであります。一緒にまないたの上にのせられてしまいますと、あしたの料理もきょうの料理も一緒に議論せざるを得なくなるという嫌いはあると思いますが、その点ひとつ中村さん、井上さん、原さん、みんな全部聞きますと時間が限られてきちゃいますから、とりあえず御三人の方からその点はいかがにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 減税が先行して、そしてマル優などの問題は来年になっても、四年の定期預金とか貸付信託とかそういうものがありますから、それは違うのだということはよく存じております。しかし、根本的には、マル優廃止が入ってしまうということは、ことしはことし、来年は来年とおっしゃいますけれども、将来的に見ればそれはもう、一つの税制の中でそれが入ってしまうということについては私どもは同じ。  そして、ことしは株だとか土地だとかのいろいろな自然増収があって、お金はあるんだというふうにもあちこちで聞かされておりますけれども、そういうものがどれぐらいあって、そしてそういうものはどういうふうに今度の減税に使われるのか、そしてまた、そのほかに大企業、法人税の問題とかいろいろ言われておりますところでどれぐらい増税ができるのか、そういうことがもっと国民の前に明らかにされないで、そしてマル優がここで入ってしまうということは、今ではない、来年の一月なのか四月なのか、いろいろ出ておりますけれども、だとしても、それは決まってしまえば、いずれ少し先に延びるというだけでやらされてしまうということで、ですから、我々は、絶対ここで入れてしまうことだけはやめてほしいということを申し上げているわけでございます。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 今、先生から御質問がありましたことは私も承知しておりまして、減税先行してその分の財源というのはずっと先送りということのようでございます。  私、ここへ来て強く個人的に痛感するわけですが、そういうことになりますと、いわゆる予定どおりに税収が上がってくればいいわけですが、上がってこない場合というのも考えられなくはないわけですね。そういうことで、今回の税制改革、いわゆるマル優廃止で、減税、それを補うということでございますが、どう考えても今回の税制改革の根本にあるものは、将来の大型間接税の布石にあるんではないか、私はそういうことを強く痛感しているわけでございます。ですから、以上申したとおり、今度の税制改革は、やはり大型間接税の導入の何かスタートというか、そういうことを強く感じているわけです。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 お答えいたします。  確かに、今年度施行のものと来年度のがございます。私の申した中では、地方税などは来年度のことになってまいりますので、同列に談義するわけにいかないことは確かでございます。ただ、割合法律ができますと落ちつきますので、やはり平年度とした場合の効果などは一応考えて話を進めているつもりでおります。  所得税についてはそういうことでございますが、やはり早く国会審議が進みますと、それだけ、今年度施行だけ早くなりますから、そういう点で、この際減税先行というような形になりましても、それなりに喜ばしいことではないかと私は考えている。実は、それ以前は減税と財源がセットになりまして、同額でやらなければいかぬとなりますと非常に硬直的になってしまうわけです。それが今回の議論では、最初から減税先行やむなしというような形で進みましたし、これは政府の意向だったかと存じますが、かなり弾力的になりました。  ですから、私は二つに分けまして、一つは緊急の手直しならば時限立法でもいいし、とりあえず戻し減税も構わないのじゃないかと申しましたのは、ことしは財源の余裕がありますから、そういうところは手当てして、実は私は国際関係を非常に重要視しておりまして、対外的にも、とりあえずこのことをやったらということで、外に対する政策をアピールするという意味もあるのじゃなかろうかということを考えておりますので、そういう意味も込めまして、税制のそういう経済政策効果を含めて、減税先行ということも意味あることじゃなかろうか、このように考えておりますし、政党的発想から抜けたことも結構じゃないかと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 また順次お伺いしますが、井上先生、あと中村先生もそうですが、土地税制についてはやはり改革を行うべきであるという御説も述べられました。  今のこの高騰していく土地の状況の中で、土地税制に対してどういう形で抑制の効果を上げていくか、あるいは今までの土地優遇税制を取りやめる、あるいは買いかえの年度を引き上げる、あるいはまた譲渡所得に対する税制の強化を図る、さらにあるいは特別に開発行為の規制を強化する、それぞれいろいろな方法があると思うのでありますが、中村先生なり井上先生、あるいは原先生はどうお考えになっておられるか。ちょっとで結構ですが、全部言われるとそれだけで時間がなくなっちゃいますから、例えばこんなところにというようなことでもしお考えがあれば述べていただきたい。  それから、特に私たちは、これは資産税である、相続の場合を特に申し上げますと不労所得である、こういう意見もございます。しかし、ささやかな親の代からつないだものが、土地が高いために固定資産税も上がり、あるいは売らなければ相続税も納められないということは極めてつらいことではないか、こう宮澤大蔵大臣にも今言っているわけであります。この点に対して、土地の抑制、あるいは固定資産税は地方税でありますが、これをどう据え置いて庶民のはね返りを防いでいくか、土地税制はこういう点に気を使ったらどうかということで、思いついておられることがあれば、二、三について項目を挙げて、こういう点考えたらどうだということを教えていただければ、これは今の最大の問題ですから、我々はこういうところとこういうところにひとつ注意してほしいということで御指摘をいただければ幸いです。それぞれ四人の方にお願いいたします。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 お答えいたします。  私どもの要望は、先ほども申し上げましたように、固定資産税、都市計画税が来年の一月一日に評価がえが行われます。これが非常に大きくなるであろうということです。で、根本的な土地対策というのは、これは専門家の先生方が十分手を打っていただく。しかし、早急に手を打っていただくとしても、まず我々に振りかかってくるのは来年の一月一日の固定資産税の評価がえでございます。ですから、それはぜひ凍結してほしい。そして基本的な手を早急に打って、今の恐ろしいような土地の高騰に何とか手を打ってほしい。  相続税についても、同じようなことを考えております。私ども、これは専門的にはよく説明できませんけれども、我々が生きていく上で住んでいる土地とか家屋にかかる固定資産税と、いわゆる商売で使っている、そして売り買いしてそれがまた収益として回っていく非生存的財産というのでしょうか、そういうものとは考え方を変えてほしい。今のような本当に恐ろしいような土地の狂乱物価の場合には、そういうことを考えて何か手を打ってほしい。そうでないと、我々は、親の今住んでいる家に本当に住めなくなるということを普通の庶民感覚で恐れているわけでございます。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 御承知のように、土地の価格も一般の商品と同じく需要と供給のバランスで決まるわけですね。これは経済学の原則でございます。  それで、なぜ土地の値段がこのように高騰するかといいますと、大都市もしくはその周辺では御承知のように、土地のいわゆる売り手、供給が不足しているのに一番の地価高騰の原因があることは、だれしも認めるところでございます。したがって、土地の価格を抑えるためには供給を促進する、これが一番の決め手になることは明らかでございます。そのためにはやはり土地の保有税を改定する。  二百平米ぐらいのごくささやかな土地に住まわれている方、これは固定資産税等は従来どおり、先ほどの中村参考人が述べたように据え置くかなどして、それを超える場合は固定資産税の重課税を行う。だれしも税金を重く課税されるということは嫌うわけでございますが、先ほどお話ししましたように、現在世界経済から見た場合、内需拡大の目玉としてはどうしても住宅建設の促進をしなければいけない。いわゆる天下国家の危急時でございますから、その点は我慢して課税にたえていただく。たえられない場合は、当たり前のことですがその宅地を放出せざるを得ません。  それでその放出をする場合、今みたいな、昭和四十四年以来いわゆる土地の重課税制度というか、そういうようなことできていますと、借金してまで固定資産税を払って、なかなか売りには出しにくいわけでございます。そこで、一般的に長期保有の土地についてはむしろ増税路線から減税路線に変えて、極論を申せば、大都市周辺のいわゆる宅地に類似する農地等は五年間ぐらいの時限立法で、売却した場合所得税、住民税ゼロとかそのような英断を持って税制改革を行っていただければ、非常に土地の供給促進になるのではないかと思います。  今国家の財政が非常に不足しているので、減税、税金ゼロなんということは不見識に聞こえるようでございますが、ちょうど昭和五十年当時、あの当時は割と土地税制が緩和されておりました。その当時、深川の木場にいらっしゃった長谷川万治さんという方が、木場の移転に伴って東京都に土地を大量に売ったわけでございます。しかし、その当時のマスコミ等は、非常な高額所得が発生したにもかかわらず譲渡所得税が安いということで、それは不公平だということを盛んに報道したわけでございます。  したがって、私の記憶では、昭和五十年、五十一年、長谷川万治氏がその当時の高額所得者の第一位を占めたわけでございますが、三年後に亡くなったときには、余り所得税とか住民税を支払っていなかったため今度は相続税の支払いの日本一になった。そういういきさつが私の脳裏にございますので、どうか今お話ししたようなことでおやりいただければ、内需拡大にはなり、結果的には国の財政収入の拡大、それと国際的に貿易摩擦解消になるということで、私はそのことについて非常に確信を持って今お話しさせていただいたわけでございます。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 お答えいたします。  土地税制につきましては、今までの参考人がお述べになったような、事業用資産と住居を分けるとか、さまざまなことがございますので、積極的にやっていただきたい。同感でございます。  しかし私は、税制だけでは無理だと考えております。土地問題、特に地価問題は東京問題、都市問題ですから、したがってこれは何とかしなければならない。一つはやはり規制緩和だと思います。土地の供給を増大するにつきましても、やはり規制を緩和しなければいけない。ただ、規制を緩和するということは自由にほっておけばいいということではないので、ほっておけばまた地価が高騰することもありますから、その辺のチェックは必要である。したがって、その場合の土地の供を増大させるためには、税制によってやっても限界がございますから、これは新しい土地をつくらなければ仕方がないと思いますので、例えばウオーターフロントをつくるにいたしましても、結局は交通機関をどうするかの問題になってくる。都心から一キロで一平米で三千万円ですか、これではとても無理ですから、そういう場合には自由にしては無理ですので、やはり公共の土地の収用制度というものを積極的に利用していくことが必要でございましょう。そしてそのもとで新しい土地を、そうした交通機関プラスの土地でございますが、そうした利用できる土地をつくり上げていく、こういう形が必要ではなかろうかと考えております。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 簡単にお答えしたいと思います。  私も基本的には、土地政策というのは税制に求めようと思っても、これは非常に困難である。というのは、過去の土地税制は失敗の連続であったと考えます。したがって、総合的な土地政策というものが確立されない限り、土地問題は解決しないというのが基本的な見解でございます。  それから第二に、それでも税制上どのような措置をとるべきかということでありますけれども、大法人の投機的な土地取得、土地売買についてはいわば禁止的な重課をすべきではないか、このように考えます。  それから、固定資産税につきましては、これはいわゆる庶民の生存権的な財産権と、それから資本的財産権あるいは投機的財産権、こういうものは峻別しまして、生存的財産権はいわば基本的人権の一部として保護する立場での立法が必要であろう、このように考えます。  それから、土地問題の基本はやはり住宅問題であろうと思いますので、これは大量の良質な公営住宅の供給というようなことで、これは内需拡大にもつながりますので、そういう政策によってこの住宅問題、土地問題の解決を図る方向が大事であろう、このように考えるわけであります。  以上、簡単にお答えいたします。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 では、マル優の方に入りますが、マル優で特例があることが、かえってそこにまた特殊な現象を起こして不正預金者が出てくるのではないか。公的書類を提示すると法律にはなっております。でありますが、そういう点に配慮しなければならないかどうか。六十五歳以上の者とか、あるいは身体障害者の手帳を持っているとか、あるいは介護を要する者だとか、二十何項目にわたりまして特例があるわけでありますが、そういう特例を残すことは、また違った意味の矛盾をつくりますよという一つの意見もあります。そうではなくて、この特例は六十五歳でなくて、定年は六十歳だから、六十歳からにもっと引き下げてやるべきである、あるいはもっと弱者というものもいるわけだから、その範囲は、例えば全体的に直せれば別として、今のままでもし直すと仮定した場合にはさらに拡大をすべきである、こういう両論があるわけであります。  もちろん、我々の言うとおりに、これが一応取りやめになって廃案になってもらえれば最高の理想なんでありますが、それを求めて我々は努力しますが、一歩違った立場になった場合にどちらを選択されることが望ましいのか、その点、大変恐縮ですが、中村さん、井上さん、原さん、ひとつお願いをいたしたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 お答えいたします。  大変難しい質問で、私はもう絶対やるべきでないという議論しか仲間としておりませんので、では条件闘争はどこでするかということは仲間と相談しないと、ちょっとここでは答えられませんので……。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 今回マル優について、一定のお年寄り等については特例を残すということでございますが、私が長年税理士等をやった実務経験から言わしていただきますと、やはり不正利用、借名行為等で従来と何か余り変わらないというか、そういう気がしてならないわけです。  今回のマル優問題については、特に金融機関が従来から税務当局の税務調査を受けたり、その結果マル優の不正が発見されて源泉所得税を負担させられてしまった、そういうようなことで、マル優があるからそういうことが起こるということで非常におっくうがっていたという面がありまして、そういうことがあって、途中で金融機関等はマル優廃止に賛成みたいなニュアンスに変わっていったわけでございます。  ところが、よく考えてみますと、いわゆる一部の特例マル優が残るわけで、その面では税務当局の税務調査というのは従来どおり行われると思うわけで、また行わないと、先ほどお話ししたように、お孫さんがおじいちゃんの名前を借りていわゆる不正マル優をするというか、そういうことも十分考えられますので、一番理想的なのは、全部総合課税に移行して源泉還付制度、そういうものに切りかえた方がよろしいと思います。ここで一時マル優を廃止して、小手先だけのことではなく、先ほども承りましたようにマル優を廃止しても、非常に長い期間かからないと税収効果が出てこないというか、そういう面もあるのでしたら、ここでマル優廃止だけを取り上げないで、将来の抜本的な改正に備えて、そのときに全体的な議論をなさった方がよろしいのではないか、そういうことを強く感じる次第でございます。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 簡単にお答えいたします。  私は、原則課税にしろという立場に立っております。原則課税にした上で、やはり急速に制度が変わるのは好ましくありませんから、しかもまだ高齢者に対する福祉政策というのが充実しておりませんので、その経過措置として少額利子の税額還付制というのをとったらどうか。例えば、年末調整で六百万円以下の預金に対しては税額還付をするという、そのくらいの手続は、これから高年齢者もいろいろ仕事をやらなければいけないので煩瑣だと言っておれないし、かえって徴税コストで考えますとよろしいんじゃないかと私は考えております。  以上であります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 ありがとうございました。  今度、いわゆるお医者さんの控除額が十万円に引き上げられますが、十万円以上でなければ減税になりませんから、今まで五万円以上であったものが今度十万円に引き上げられますと余計に領収証の請求が多くなる、こういう見方が一つ。それから、十万円になったのではとても及びがつかないから、あきらめちゃおうという人がふえる、それからまた税務署の方では、今まででも請求者が物すごく多い、だからそろそろやめさせたいという気持ちもあって、十万円に上げたのではないのかという推測もある。あるいはまたお医者さんの方からも、年じゅう領収証を請求されたんではかなわないから、少し高くすればあきらめてくれるから少なくなるので助かる、こういういろいろな見方があるのであります。  この点については、これも御相談いただかなければお答えできないかどうかわかりませんが、主婦の立場で中村さんの素朴な感覚として、十万円に引き上げたということについてはプラスなのかマイナスなのか。こんなのは本当はかからないはずなんですよ。完全医療であれば、これはかかるのが不思議なんです。お産や何かは医療保険に当たっておりませんから別ですが、常識的にはないのが当たり前なのに、これが出てくるということなんであります。これは女性の立場も含めて中村さんから、感じでいいですから、ひとつお述べいただきたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 いろいろ御配慮いただき恐れ入ります。  健康保険が本人一割、家族三割ということで取られるようになっております。そしてまた働き盛りの医療費、歯医者さんが非常に高いという問題もございます。ですから、医療費の控除というのはだんだん知られてまいりまして、みんな領収証をもらって何とかやりたいと思っております。しかし、それは長期入院をするとかということになればでございますけれども、なかなか十万円までいくというのは、大病でもしないとならない。  私は、五万円というのは、五万円の領収証を持っていけばそれを控除してもらえるのかと思ったら、五万円まではただで、その上に乗った分だけしか控除してもらえない。そうすると、これを十万円にするということは、普通の家庭ではなかなかそれだけの控除額をためるというのは難しいんじゃないかと思います。そういう意味では、十万円にするということは、普通の家庭にとっては非常に厳しい措置だ、お医者さんの方は面倒くさいかもしれないけれども、この部分についてはぜひカットしていただきたいと私は思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 念のためですが、これは昭和六十年度の国税庁の調査結果ですが、医療費控除の人員は百八万人いて、金額は千七百七十二億減税になっていたわけですね。恐らくこれが三分の一ぐらいに減ってしまうのではないかと、今私たちは推定しているわけです。そういう意味においては今の御意見で、ほかの先生方にもお聞きすればいいのでしょうが、大体同じではないかと思いますので、省略させていただきます。  なお、もう一つは専業の妻の控除十六万五千円なんですが、これは二乗二分の一とか、いろいろな意見がありますが、特に有閑なんという御意見もなくはありませんでした。言葉の表現が適切であるかどうかわかりませんが、そういう御意見もありました。専業の奥さんには十六万五千円あって、共稼ぎの人にはないというのは少し寂し過ぎるというか不公平じゃないか、こういう意見もあります。もう一つは、みなし法人における控除が事業所得の八割までいいという形になる。これと比較した場合に、若干バランスに問題があるのではないかという気がいたします。  では、これは大変恐縮でありますが四人の方から、専業主婦の関係と共稼ぎについて、八百万円という所得制限はされておりますから、その限度は同じに見ていく必要性があると思いますが、御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 先ほどの事業者の妻の問題もございますから、専業主婦控除があってもよろしいとは思います。しかし、私どもは国連婦人の十年で、全国組織の五十一団体が一緒に行動しておりまして、これは早くから、もし専業主婦の家事労働を評価したものであるならば、働く女性も家事労働をしているのだから同じように公平に評価してほしい、そういう意味では同様の考慮をしてほしいという要望を早くから出しております。全国組織の五十一団体でいたしておりますので、そういう意味で、どういう形にするかというのは組織の中でいろいろ議論をしておりますけれども、なかなか五十一団体で統一した見解というところまではまだいっておりませんけれども、やはりこれは公平にしていただきたい、女性の中で分断されるようなことのないようにお考えいただきたいということでございます。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 大体今の中村参考人と同意見でございますが、私はこの点研究不足というか、そういうことがございますが、専業主婦の特別控除が認められるというか、こういうことになりますと、逆に現在専業の夫というのもいるわけで、またその控除の問題が出てきて、何かいろいろごちゃごちゃしてくるのではないか、そういう感じがしないでもございません。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 この金額の多寡は別といたしまして、やはり日本の今までの歴史的経過なり日本の家庭生活の実態を見る以上は、私は専業主婦控除はあっていいのだ。先ほど中村参考人のお話ですと、女性はすべて同一に考えてということでございますけれども、外で働く人はそれだけの時間を外で使って所得を得ているわけであって、その間夫婦が協力して家庭を――今、私の教え子の男性などは、家へ帰って、奥さんが勤めている間は自分で食事をつくったり洗濯をしておりますので、帰って女性がいつも家事をするとは限らないわけですから、細かく言いますと切りがないわけでございますので、そういう点は私は古い男でございますから、日本の公序良俗から申しましてそれはあっていいのじゃないか。  ただ、八百万円という上限はございますから、したがって、うんと高所得層の奥さんにこれを充当するわけじゃございませんから。でも、もしできますならばもう少し金額を多くしていただいた方が、家にじっとして子供の世話をしている女性にとりましては、自分の価値を金額で評価されるのはどうかと思いますけれども、より望ましいのじゃなかろうか、このように考えております。  以上であります。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 まず、専業主婦控除、いわゆる配偶者特別控除の問題でございますけれども、これは非常にややこしいといいますか、こそくな手段ではないかというふうに考えます。というのは、これは給与収入で申し上げますと、五十七万円から徐々に減ってまいりまして九十万でゼロになる、こういうようなことになってしまいますので。それからもう一つ、実務上は、妻がこれを受けるとしますと、夫の年末調整時までには妻の年収が確定しないと、年末調整の再調整というようなことをしなくちゃならないということで、実務上一体どう扱うのだろうか、私ども非常に頭を悩ませているところでございます。これもこういうような形ではなくて、課税最低限の大幅引き上げというようなことで当然その中に吸収されるべきものではないか、このように考えるわけであります。  それから、これとの関係で、みなし法人の事業主報酬とのバランスはどうか、こういうお話がございましたけれども、これは私は多少次元の違う問題ではないかというように考えております。我が国の所得税法は、原則として同居の親族から受ける対価はすべて必要経費には算入しないという原則がございます。その例外が事業専従者控除と青色専従者給与の制度でございまして、これは欧米の原則として自家労賃を完全に認めるという制度と比べたら大変なおくれでございます。この辺のおくれを克服して自家労賃を完全に認めるという制度になりますと、こういう問題はほとんど起きてこないのではないか、このように考えますので、この点についてはそのような対処をお願いできればありがたい、こういうふうに考えます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 原先生にお願いしますが、給与所得控除についてお伺いします。給与所得控除というものが、今度年金関係等は八十万、四十万に一応変わりました。この給与所得控除が、クロヨンなりトーゴーサンなりの意見の場合に出てくる一つの大きな問題で、実額控除制度が導入されたわけであります。そのかわり、通勤費とか移転をした場合の輸送費とかいうふうに極めて限定された実額控除で、言うならば実効のない制度と言ってもいいと思うのであります。この給与所得控除というものを先生はどう解釈されておられるか、お伺いをいたしたいと思います。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 税制におきます控除のあり方というものは、本来非常に臨時的なものであるべきものであって、税制の根本からいえばおかしいと私は常々考えております。やはり所得において原則を立ててそれによって徴税をしていく、こういうことは所得税の筋でございまして、そこにいろいろ控除を含めますと、これはやはり不公正の源泉になってくる。ある点で控除を入れる、控除を入れないという差が出てまいりますし、そういう点ではいかなる理由があれ、この控除というものはなるべく少なくすべきである、こういうふうに考えております。  ですから、給与所得控除を従来からやってきておりますけれども、これも一つの便法でございまして、やはりすっきりしない。しかも、その金額の限度におきましてもしっかりした計算もできませんし、また基準もいささか恣意的に決められることが多いということになってまいりましょう。そういう点で、私は、この辺のところでどれだけのものが果たして妥当であるかということ以前の問題として、やはり控除はなるべく少なくしてもう少し税制をすっきりしたものにすべきだ、根本的にこういうふうに考えております。  今度の場合にありますけれども、やはり経過措置としてはそういう、抜本的と申しましてもすぐにやっていくことは無理でございますから、いろいろの控除、例えば年金、高齢者年金も出ておりますけれども、そういうものはやはりある程度は存続せしめながら、さっき申しましたような例えば生活の充実との見合いを考えながら、徐々にこういうものを減らしていくのが筋であろう、こういうことになりますので、通勤費を入れるとか入れないとか、あるいは今度申告制を入れたとか入れないとか申しましても、いささか小手先の感がしております。  以上であります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 手先のような形だということは、意味がないという意味なんでしょうか。それとも、そんなことはむだだという意味でしょうか。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 いやいや、そういうことじゃございません。私が申しましたように、経過措置という意味で認め得るなということでございます。一緒になくしてしまって何が出るかというと、何も出てきませんですからね。そういう意味で考えております。ですから、ない方がいいというのでは決してなくて、それだけの意味があるけれども、なくす方向に持っていくべきだ、そういうことでございます。  やるとすれば、クロヨンが一番問題になるところでございますから、そうした水平的公平の観点からすれば、同一所得に対しては徴税の方法なんか変えるのはおかしゅうございますから、事業者であれ勤労者であれ同一の徴税方法で取る、そういうのが筋でございましょう。さっきのみなし法人のことも、そういうことから出ることじゃないかと私は考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 これはシャウプ勧告以来から若干の修正はされてきておりますが、給与所得控除というのは、今でも大体百六十五万で四割とか、あるいは三百三十万で三割とか、あるいは六百万で二割とか、一千万で幾らとか、なぜ所得が高くなると下がるのかなという気が私たちはしているわけです。しかし、その当時の解釈は、個人の稼働力の消耗に対する対価である、余暇の犠牲に対する対価である、勤務に伴う概算的な投資経費である、把握率の違いである、それから要すれば体の減価償却である、こういうことが給与所得控除がつくられたときの原因で、今政府が言っている、実額的に、通勤費であるとかあるいは移転のときの移転費であるという限定されたものとは極めて質的に違った解釈をしていると思うのです。その点我々は、若干それは小さく解釈している。訴訟もたくさんありましたし、いろいろ判決も出ておりまして、先生方の服装なり本なりそういうものはどうなんだ、研修費という言葉が入っていますが、これもどこまでかということは極めて微妙だと思うのです。  それで、今度は経済の方の評論家でいらっしゃいます井上先生の方から、こういうものについて、給与所得控除について、クロヨンという見方もある、今言った本当にシャウプ勧告のときのいわゆる労働の対価、簡単に一言で言えばそういうもので控除すべきだという解釈もある、その点はいかがお考えになっておられますか。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 今度のサラリーマンの実額控除というのは、実際問題、私は推測するのですが、導入されても申告をなさるという方はごく少ないと思うのです。しかし、ローマは一日にして成らずという例えもございますように、今度の新制度というのはそれなりの意義があって、それから以後年代とともにいろいろ改定していけばいいものができるというか、何かそういう感じもしないではないわけです。ただ、我が国の場合欧米と違って、研修費とか、先ほど出た移転費ですか、それとか通勤費等はみんな企業から現物で支給されるわけですね。されないのは組合費ぐらいなものでございます。ですから、ちょっと先ほどお話ししたように、余り実効のないものではあるけれども、それを第一歩としてとらえていけば、それなりの効果はあると思うわけです。  ただ、私が思うには、この給与所得控除、いわゆるサラリーマンの必要経費でどの点までとらえるかというのは、実際問題、シャウプ勧告以来いろいろ非常に議論の分かれたところだと思いますが、収入の多寡にもよりますが、平均して収入の三割ぐらいは認められる。だけれども、実際よほどのことがない限り、厳密に考えた場合、例えば一般の事業所得者との兼ね合いから見た場合、三割いくというのは余りないような気が、実務的に今まで私がやってきた感じではするわけでございます。何かちょっと理論があっちこっち飛んだようなあれでございますが、私なりに何かそんなような感想を持っているわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 では、続いてで恐縮ですが、今度の税法の改正で加算税の引き上げが、いわゆる過少申告は今度は三〇%から三五%、無申告は三五%から四〇%、それぞれ重加算税体制というものがさらに強化をされたわけであります。これはうっかり見逃すところなんですが、なぜ今度の改正からいわゆる過少申告と無申告について高くしたのか。これは政府の方に聞かなければわからないことなんではありますけれども、皆さんから見て、いわゆる徴税大国ではありませんが、苛斂誅求のそしりを受けるようなことになるのではないかという危惧を持つものの一人です。そういう意味において、これは税制をやっておられる、実際に当たっておられまする井上先生、それから原先生、関本先生から、それぞれ一言ずつお聞かせをいただきたいと思います。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 今御質問の加算税の税率アップとか、先般行われたいわゆる税金の時効の問題、それとか処罰の問題、ここ五年ぐらいの間にいろいろ税の申告漏れ等については、いわゆる罰則規定等が強化されているというのも事実でございます。それについては、当局の今までの税務調査、そういうことの感触から、罰を厳しくすれば税の逋脱等が減るのではないかということで行われているのではないかと思うわけです。しかし、私が思うのは、実際税を少なく申告しようとか脱税をするとかそういう意図がなくて、ただ単に税法を知らなかったために過少申告してしまったとか、そういう方もいっぱいいるわけでございますね。  それで、先般東京国税局で問題になりました、いわゆるリースマンションの脱税問題というのが新聞紙上で大きく報道されたわけでございます。御承知のようにマンションを買いますと、従来の商慣習で契約書上土地と建物は一括して表示されている。しかし、それを実際賃貸した場合、減価償却する場合、建物の部分しかできないわけで、それをすくい出す方法というのは専門家の間でも、どういうような方法で建物部分を引き出すかということがなかなか難しい状態なわけだったわけです。したがって、この前当局から摘発された中には、税理士さんもいらっしゃると新聞紙上にも発表になっておりましたね。そのように、税制が複雑なために何かよくわからないで税金を適脱してしまう、そういう方には、税法がそうだからということでびしびし課税されたのではいろいろ摩擦も起こりますので、その点、十分に御配慮をいただきたいと思うのですね。  この前のマンションの件については、基準になるものが余りないので、御承知のように住宅取得特別控除を適用する場合、あれはローンの家屋部分しか適用にならないわけでございますね。しかし、では実際家屋部分をどのように拾い出すかということで、あれは措置令でもって四階建て以上のマンションの場合は七〇%と決まっているわけですね。したがって、一般の納税者は、その七〇%を頼りにすくい出して減価償却したらそれが結局水増したということで、何か新聞紙上に載っていたわけでございますね。  ですから、いろいろな罰則等も強化されるのもいいわけですが、そのように、一般納税者としてはどのように計算したらいいかわからない、そういう問題等の場合は、もしそれが実際と違っていた場合、税法にそのような罰則規定とかいわゆる加算税の規定があるからというのでそれをずばずば適用しないで、恩情を持った税務行政というものを今後ともおやりいただきたいとは思います。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 お答えいたします。  もともと、こういうものが新たに改正されて強化されたというのは、そのような不届き者がたくさん出たからでございましょうし、また、金額が非常に多うございまして、御承知のように土地を初めとして土地転がしでうんと利益を得たのに申告しないとか、あるいはこういう形で脱税をするのを、先ほどもいろいろお話が出ましたように、コーチするような職業が出たりするような現実に対応したものだと思いますけれども、こういう罰則を強化することによって罪を犯すのを防ぐというやり方は、本末転倒な面が多分にあるわけでございまして、死刑などをどんどんやった方が悪いことをするのが少なくなるから厳しくやっちゃえということと同じであって、もともと納税意識を高めて、そして積極的に納税するような雰囲気をつくっていくのが筋でございましょう。そういうことを抜きにして、いきなりこわもてにお上からこういうことをやるとけしからぬぞという形でやるというのはどうも好ましくないし、今も先生がおっしゃったようにそういう危惧を持ちますし、その姿勢が問題だと私は思います。ですから、国税庁あたりは、クロヨンのこともありますから、そのことよりも税を公平に徴収するような努力をやりまして、ごまかして得をするようなことをなくすことが先決問題だと考えております。  以上であります。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 加算税の一律五%の引き上げということでございますけれども、これには私も反対でございます。特に今回の改正は、専ら制裁措置の強化によって徴税の確保を図ろうという姿勢が非常に露骨にあらわれているように思いますので、本来税務行政に対する信頼あるいは納税道義の高揚というのはそういう形で行われるのではなくて、まず公平な税制の確立、それから適正な税務行政、これによって初めて納税者の信頼が得られるわけでありまして、決して制裁措置を強化すれば脱税がなくなるという簡単なものではないと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 時間が長くなりましたからあと二つぐらいで終わりますが、マル優をもし例えば政府の言うようにやったら預金は減るであろうか、現状にとどまるであろうか、逆に安心してふえるであろうか。郵便も都市銀行も国債もありますが、その点の見解はどうなんでしょうかということをお聞きかせいただきたい。  それと同時に、今度は傷害保険料、医療費用の保険料、これも一種の貯蓄なんです。こういうものを今度は控除の対象に入れていくという、これはある意味では生保業界の育成にもなるのだろうと思うのです。政治的な意味はあるのかもわかりません。しかし、純粋な論理からいくと、一方では課税をしていきます、一方では免税措置を深めます、こういう形は今の貯蓄制度に対応した今度のやり方の中で逆になっているのじゃないか、矛盾しているのではないかという感じも私はする一人なのであります。  だから、マル優が廃止された場合、ふえるだろうか減るだろうか、あるいはまた一方でこういうものを優遇していく措置は合理性があるのだろうかという疑問を持ちます。これは先生方それぞれからお答えをいただきたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 お答えいたします。  マル優が外されて悔しいから減らすと本当なら申し上げたいのですけれども、庶民はなおさらもっと貯金しないと老後が心配だとか、教育費が大変だということになるのではないかと思います。それから、今までごまかしていた方たちは、ごまかしていたわけじゃないのかもしれませんが、三五%から二〇%になるわけですから、そういう方たちはそれをもっと使うという形になるのじゃないかと思います。  それから、生命保険の問題でございますが、確かに先生おっしゃったように、マル優を外しておいてそちらをやるというのはちょっと矛盾があるように思いますけれども、庶民にとっては、今生命保険というのは、何か問題が起こったときにあとの家族のためにどうしても残しておかなければならないということで控除の対象にしてほしい。それからまた、マンションを買いますと、いやでも保険に入らなければ買えないという現状もございます。それは家の方にとられてしまいますので、あともう一つ今度は家族のために入っていなければならないという問題がございますので、それはやはり今の段階では控除にしていただいた方がよろしいと思います。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 最初に私がお話しさせていただきましたように、マル優を廃止しても今までの貯蓄は余り減らないと思っております。  先般、私はオーストラリアへいろいろ勉強に行ってきました。そのきっかけは、御承知のように、オーストラリア・ドル建て外貨預金とかニュージーランド・ドル建て外貨預金というのは、日本の定期預金と違って非常に高金利で、マスコミ等を使って預貯金が集められておるわけでございます。そこで、それじゃオーストラリアの金融事情はどうであろうかということで行ってきたわけでございますが、向こうのバンカーたちから逆に私に質問がありまして、日本のマル優はどうなったと言うわけです。それで、私はびっくりしまして事情を聞きましたら、現行税制では外貨預金についてはマル優が効かないわけです。ですから、マル優が廃止になって国内預金同様に一律分離になれば、当行の外貨預金が非常に集まるというので大変期待しておるわけです。  オーストラリアあたりの金利はインフレ的な要素もございますので、一年定期でも一〇%以上ついておる。そういうこともございまして、マル優廃止と同時に、お金は低利よりも高利に流れるから外国へお金がどんどん出ていってしまう。金投資もプラチナ投資もそれと同様でございます。したがって、ここでマル優を廃止することによってお金が外国へ一気に出て、産業の空洞化ということも今言われておりますが、私はこれをきっかけに金融の空洞化が起こるということを非常に心配しておる一人でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 委員長、時間は少しあるのですが、ちょうど一時間以上たちましたから、次の人の時間をとって休憩したのでは申しわけありませんので、ここで終わりにして少し休憩してもらって、その後で質問していただくようにお願いいたします。  以上で終わります。どうもありがとうございました。

笹山登生自由民主党

○笹山委員長代理 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

笹山登生自由民主党

○笹山委員長代理 速記を始めてください。  山田英介君。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 参考人の先生方には、大変お忙しい中を当委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。私どもといたしましても、先生方のいろいろな考え方をしっかり踏まえて参考にさせていただいて、今後の審議等に生かしてまいりたいと存じておる次第でございます。  そこで最初に、六十二年度の減税の規模につきまして、御案内のとおり、政府では一兆三千億円ということで法案の提出をされたわけでございますが、その後の経緯で今日まで二千四百億円上積みということになってきておるわけでございます。この一兆五千四百億円というのは、参考人の先生方から見まして妥当な規模であるのか。そしてこの財源につきましては、六十一年度の決算剰余金の一兆三千億円プラス、先日の当委員会における宮澤大臣の御答弁では、政府がいろいろとつじつまを合わせ、やりくりをしてそこは対応するようになるだろう、このような趣旨の御発言があったわけでございますが、この財源につきましてそれぞれの参考人の先生方からまずお聞かせをいただきたいと存じます。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 野党の方は、二兆円までは頑張るというお話だったと思います。それで私は二兆円に大いに期待しておりました。私どもの周りを見ておりますと、株でもうけた方、土地成金の方、円高の問題やら、脱税している方もあるし、いろいろある、そういうところをもっときちっと正せばまだまだやれるところがあるのではないか、国民はそういうふうに見ております。そして、マル優はやらなくていいのじゃないか、また重ねて申し上げますけれども、そういうふうに考えております。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 減税規模が多ければ多いほど、我々国民にとったはいいことでございます。それで、先ほどの数字が妥当なものかどうかということは、それらのいろいろな資料については当局が全部把握しているので、どのくらいがいいかという、その数字的には私はよくわからないわけでございます。  ただ、御承知のように、現在国債の発行残高が百五十兆円を超えているというか、そういうように国も財政が火の車、そういう中で減税を行うということでございますが、余り減税を多く主張しますと、それがきっかけになって大型間接税の導入というか、そういうことにもなろうかと思いますので、この問題については非常に難しく、結論めいたことは私自身なかなか考えつかないのが実情でございます。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 お答えいたします。  減税規模というのはやはり財源面で限りがありますから、したがってそれとの突き合わせが必要なので、何でもかんでも大きい方がいいとは言えないのですが、私が先ほどから申しておりますように、今の内外の経済情勢というのを前提にした条件を考えますと、やはり内需拡大、今言った減税がどの程度内需拡大と結びつくかというのは一概に申せませんけれども、方向性としては結びつく可能性が高いわけでございますから、やはり積極的な内需拡大策と対応せしめて、また国際公約である大幅な減税はやっていただきたい、こういうことでございますので、二兆円実現できるならそれに近づける努力は今後ともやっていただきたいと考えております。  今度の減税、これは昨日ですか一昨日ですか、お話し合いがあったそうでございますけれども、その形で整理しますと、平年度ベースで大体二兆二千億ぐらいにやがてなるだろうということになっておりますから、将来は二兆円に達するということがあるかもしれませんですけれども、現在はちょっとそれが達し得ないわけでございますけれども、そういう努力はしていただきたいと思います。そうした方が、やはり内需に好影響が出ることは確かでございましょう。  それから、その場合の財源でございますけれども、マル優問題が絡んでおりますが、日本の六十一年三月の貯蓄残高が五百兆円ぐらいございまして、その中で非課税になっております貯蓄残高が二百九十兆ぐらいと言われておりますので、その辺のところから先ほど申しましたような手直し、六百万円以下は税額を還付すればどうかと私は申しましたのですが、そういう弱者保護のための政策措置を講じた上でも、それに対して大体四%くらいの税率を考えましても二兆円近くは出ることが可能性としては考え得るということでございます。そういうこともあります。それから、NTTで三兆円くらいは何とかなる。四兆円とありましたけれども、そういうことは……。これは恒久財源としてはちょっと無理なんでございますけれども、そういうこともありますし、それからさらに、先ほど御指摘ございましたような一兆三千億の余裕財源というものが、これは補正予算で繰り入れした後に残として出てくるということがございましょう。これも恒久財源としては問題がありますけれども、現実に余ってきているということでございます。  その上に重要なのはやはり行革でございまして、幾らそういう形でやりましても、底のあいたざるみたいなものですくっては何にもならないわけでございますので、やはり財政支出を必要なところに行うというような形でやっていく、効果をねらうという形でやっていただきたいということでございますから、その辺、アングラマネーをできるだけ徴税効果を上げて吸収していく、同時に、今言った形でむだ遣いしないような制度を講じながら御配慮をしていただきたいというのが私の希望でございまして、二兆円に達すればいいの達しなければだめだというようなことはもちろん考えておりません。  以上であります。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 お答え申し上げます。  今回の減税規模がどうかという御質問でございますけれども、規模といたしましては、税率の手直しということだけではなくて課税最低限の大幅引き上げがどうしても必要である、そのためには一兆数千億というような規模ではなくて、少なくとも三兆円規模の減税はどうしても必要ではないか、このように考えるわけでございます。課税最低限が少なくとも生活保護法による生活扶助基準を上回らなければならない、こういう考え方が私の基本制な考え方でございますので、そういう形での減税ということになりますと少なくとも三兆円規模にはなるのではないかというふうに考えます。  なお、財源の問題でございますけれども、これにつきましては、現在ございます大企業、大資産家に対するいろいろな減免税措置を是正することによって、国税だけで少なくとも三兆円から四兆円の財源は十分確保できるわけでございますから、こういう不公平税制の是正によってこの所得減税の財源の確保は十分可能である、このように考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 この減税財源に関連してでございますが、原参考人からは、特にNTTの株式の売却金の一部など、確かに恒久財源ではないけれども、抜本的な税制改革というものがこの後に控えているということを前提にすれば、もう少し思い切った措置をすることができたのではないかという趣旨のお話があったかと思います。  NTT株式の売却金の一部を減税の財源とすることにつきましては、私どもそうすべきなのではないかというふうに考えているわけでございます。宮澤大臣は、よくおっしゃいますことに、社会資本として残らない減税財源として食いつぶしてしまうのはいかがなものか、そういうお考えのようでございますが、これは政策の選択の問題でございまして、絶対できないという趣旨のものではないわけでございます。この減税の効果というのは、御案内のとおり、可処分所得をふやす、それが個人消費の喚起につながり、景気全体の底上げにも影響を及ぼしてきて、回り回って国の税収増加にもつながってくるということで、ただ単に食いつぶしてしまうということにならないのだろうというふうに私は思っております。したがいまして、原参考人を除きまして、あと三人の参考人の方々の御意見をお聞かせを賜りたいと存じます。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 私も、そのように思います。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 お答えいたします。  NTTの売却益については、恒久財源ではないわけでしょうが、やはり諸外国から内需拡大を強く要請されている現状にかんがみ、NTTの株の売却益を減税財源に充てるのは緊急やむを得ない事態でよろしいのではないかと思います。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 お答えいたします。  NTTの株の売却代金というものは本来国債整理基金に繰り入れるべきものでございますので、これは減税財源に繰り入れてしまうということはいかがかというふうに考えるわけです。それでは財源はという問題がございますが、先ほどちょっと申し忘れましたが、不要不急の支出ということになりますと、何をさておきましても日本国憲法に違反した軍事費の大増額を削りさえすれば、かなりの額の減税の上積みは十分可能である、このように考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 関本参考人にお伺いいたしますが、利子配当所得は勤労所得よりむしろ担税力が大きい、そこに着目をして今回のマル優原則廃止というような形がいきなりまた再び持ち出されてきた。これは、実は税制調査会の一つの意見として、大勢を占める意見としてこういうような考え方がベースにあって、マル優廃止という形につながってきているわけでございますが、マル優利用の利子所得というのは当然可処分所得と一体不可分のものでございまして、営々と働き、そしてその中から病気のためとか子弟の教育費のためとか、あるいはまた老後のためとかというようなはっきりとした目的を持って貯蓄をしているわけでございます。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕  ですから、単純にそこだけ切り離した形で、利子所得というのは資産所得の一種であって、勤労所得よりか担税力は非常にあるのだからマル優は原則廃止していいのではないかという理屈は、私は、現実あるいは実情というものを全く考慮に入れていない考え方ではないのか、こういうふうに思えてならないわけでございます。御意見がございましたら伺いたいと存じます。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 私も全く同意見でございます。  一つには、同じ利子所得でございましても、勤労者の零細な利子所得と大資産家、高額所得者の高額な預金の利子というものはおのずから担税力に大きな差異がある、このようにこういうものを質的に区分して考える必要があるのではないか。そういう意味では、いわば勤労者の零細な預金、つまりマル優の対象になっております勤労者の預金でございますけれども、このようなものはまさに先生のおっしゃるように勤労者の重要な生活の原資になっているというように考えますので、これと大資産家の高額な預金利子あるいは株の配当等を同列に論ずるということは全く理不尽である、このように考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 同じ角度から中村参考人にお伺いしたいのですが、また税制調査会等の考え方の背景には、剰余によりまして土地を購入して獲得をする地代だとか株式を購入して得る配当金、そういうものと預貯金の利子というのは本質的に異なるものではない、したがって、マル優は制度として原則廃止していいのではないかという議論にもつながっていっているわけでございますが、いわゆる非課税限度枠をかなり残して利用をしている方々が大部分であるわけでございますので、現実にはみずからの居住用の土地あるいは不動産を持っている、それ以外に土地を剰余があるからゆとりのあるお金で買えるかといったら、私自身も含めて、私の身の回りを見ておりましてもそういう姿は一般的にないわけでございます。居住用の土地あるいはマイホームのローンの返済で四苦八苦をしておる。そういう中で預貯金の利子については、マル優制度の一つの大きなよい影響というものがあるわけでございます。  したがいまして、こういう理屈は、そういう高額所得者あるいは経済的に非常に余裕のある方々は全体から見れば少数だろう、小さな部分だろうと思うのです。そういう方々については確かに言えると思うのですが、実際にはこういうことはないのではないかと私は思っておるのです。実際に中村参考人のお立場で、現実にふだんからごらんになっておられる点がございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 お答えいたします。  全くお話のとおりだと思います。私どもの中でよく話が出るのですけれども、給料をいただいて税金を相当高く払って、その残りを営々として、暮らしの中に使った後何とか残してそれを貯金しているのだ、その貯金の利息に何でまた税金がかかるのだろうか、それは何としても納得がいかない。お金もうけのために我々は貯金しているのではないし、それを使って商売するわけでもない。それは我々の税金を払った後、暮らしの中から積み立てたお金なんだから、そこからまた取られるというのは二重取りのような気がする、そういう声がいつも話し合いの中で出てまいります。ですから、そういう庶民の感覚と、お金持ちがいろいろな形でやりとりする大きなお金と同じというのは、お金に色はないかもしれませんけれども、性格が違うのではないかというふうに考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 マル優制度の問題につきましてちょっと固めてお伺いをしたいと思います。  まず課税の総合主義といいますか、所得課税にありましてはすべての所得を一回総合してそこに税率を掛けていく、この総合課税主義というものが我が国の税制度の一つの大きな原理原則というふうに私は理解しておるわけでございます。それで、少なくとも現行の少額貯蓄等非課税制度の姿というのは、原則総合課税という形が残されております。そして、分離課税も選択できる形になっているわけでございます。ところが、今回政府が提案をし、これを強行しようとしているマル優原則廃止というのは、すべての預貯金の利子に対して一律に二〇%をいただこうということで、総合課税主義の原理原則から完全に離れてしまう形が出てくるわけでございます。  これは特に井上参考人から伺いたいのでございますが、一つの我が国の課税の原則のあり方からして、あるいは世界の一つの課税の理念といいますか、そういうあり方からいたしまして、この点はどういうふうにごらんになっておられるのか、お伺いしたいと存じます。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 お答えいたします。  日本の場合、原則総合課税ということでございますが、世界の先進諸国もやはり総合課税が基本でございます。今般、いわゆる非課税制度を原則廃止ということで、先ほどもお話ししたわけですが、英国のサッチャー首相がベネチア・サミットで中曽根首相に、内需拡大になるということで強く廃止を求めたということが一般に伝わっているわけでございます。しかし私、これはあくまでも推測なんですが、サッチャー首相自身、日本がマル優を廃止したら、当然のことながら世界の先進諸国と同様に総合課税に移行するんではないかというので、何か思い違いをしているんじゃないかと思うわけです。そういうような状態でマル優を原則廃止して一律分離課税に移行したということがわかると、またまた日米、日英等でいろんな意味で摩擦が起こるというか、そういう気がしてならないわけでございます。  ですから、その点についてやはり国際理解を求める意味で、サッチャー首相等に日本の税制のあり方というか、そういうものを事前にぜひお話ししておいていただきたいと、私は個人的に思っているわけでございます。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 ただいまの御答弁に関連するわけでございますが、現行では選択分離課税で三五%、これが仮に新しい制度に移行するなんということになりますと一律に二〇%。ただいまの御答弁にもありましたようなそういう一つの原理原則というのは、我が国においても、あるいは世界の大きな一つの流れといたしましても、総合課税主義というものが厳然とあるというお話でございますが、そうなりますと、今政府はマル優を廃止という言葉じゃなくて改組というふうにおっしゃっておられるわけですが、私はできる限り、改組にしても何にしてもなさるとすれば、この総合課税主義の原則に近づけていくという方向での努力というものが、必要不可欠なものであるというふうに思わざるを得ないわけでございます。  そこで、総合課税を残し選択分離課税の道も残しという、例えばそういうことであれば、選択分離課税の税率を三五%というレベルに置かないで、例えばそれを五〇%というふうにして、そしてやはり総合課税にできるだけ皆さんがそちらの方を選んでいく、あるいはそちらに吸収されていく、そういう一つのやり方、政策というものは私は必要なんじゃないかな、このように思うわけでございます。  私どもの立場というのは、マル優は、断じてこの制度は残していただきたい、残さなければならないという立場から、まあ応用編ではありませんがそういう角度から伺っているわけでございますが、よろしければ中村参考人から御意見を伺いたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 大変難しいことばかりお聞きになるのであれなんですけれども、総合課税ということを、総合累進課税ですか、それはやはり基本的にはやるべきだというふうに考えております。ただ、それを今おっしゃったように、五〇%とおっしゃいましたけれども、そういうような形がいいのかどうかというのは、ちょっと今突然でわかりかねますけれども、今度総合課税を、総合累進課税ですか、それがなくなってしまうということはやはり問題で、そこのところは何としても何とか考えてもとに戻す形を、もともと両方を選べるようにしたところに問題があったんだと思いますけれども、そこのところを何とかお考えいただきたいというふうには考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 それでは井上参考人にもう一度お伺いいたしますが、総合課税という形に一本化していくあるいはそこを確立していくことが、やはり税制改革という面から見ても私は正しい方向であろうと思うわけでございますが、例えば同じ改組ということであれば、分離課税を三五%ということじゃなくてもうちょっと高目に設定をして、そうしてできるだけ総合課税にした方がいいなという、そういう誘導を政策的に行うということはこれはいかがなものでございましょうか。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 今回の所得税法一部改正案、そのもとになるのは原則マル優廃止ということでございます。しかしこの問題については、先般売上税に関連して原衆議院議長のいわゆる裁定案にございましたように、直間比率の是正などを含めて税制全般を検討した上で、その一環としてマル優問題が出てくるわけで、今回のようにマル優だけを取り出してそれだけを小手先だけで廃止云々というのは、将来税制改正の上において余り好ましくないわけでございまして、いわゆる税制全般、直間比率の是正を含めた上でマル優問題は検討すべきで、これだけを抜き出して今回廃止云々というのはいわゆる小手先だけの税制改正というか、何かそういう気がいたします。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 原参考人に御意見をいただきたいのでございますが、税制中立というような立場から、できるだけマル優制度の改組といいますか、原則廃止等によりまして資金シフトが急激に起こらないことが好ましい。これは、関係御当局の責任者の皆さんからもそういう御答弁も出ておりますし、現実に我が国の経済社会を考えた場合にあるいは金融の現実等を考えてみても、それはそのとおりだろうと思うのです。  そこで、今回マル優が仮に原則廃止されると、では実際に資金シフトというのが起こるのかどうかという、この辺につきましてお伺いをしたいんですが、手元にある資料でございますけれども、例えば証券投資信託協会というところが調査をし発表した資料などは、昨年の例えば十二月中の投資信託の概況などで、非常に出し入れが簡単な短期性の中期国債ファンド、この利用者と利用額が非常に急増している、こういう事実があるそうでございます。  それから、これは日銀の調べでございますが、大変超低金利の時代でございますけれども、普通預金に法人及び個人が余裕資金を預ける、一番低金利の普通預金に法人、個人とも余剰資金を預け入れている、これが相当の伸び率になっておりまして、その傾向は今日まで基本的に変わっていないだろう、こう思われるわけでございますが、現実にはやはりこのマル優原則廃止が行われますと、相当規模の資金シフトが起こりまして、我が国の金融、経済、こういうところに与える影響が看過できないような事態も心配されるわけでございます。この辺につきまして御意見を賜りたいと存じます。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 お答えいたします。  確かに、御指摘になりましたようなおそれはございます。ただ現実には、その資金シフトが行われるかどうかというのは、例えばマル優の改正の場合に、ほかにどういう政策をとるかということですね。これとか、そのときのマネーサプライの動向、金融情勢いかん、それから国民心理的なものが大変影響するのだろうと考えます。  今回のマル優の手直しによりまして御指摘のような、例えば短期性の中期国債ファンドに対する資金のシフトが行われるという可能性もございましょうけれども、今回の場合にはそういう資金シフトをある程度チェックする意味で、例えば外貨建て預金の利子につきましても、それから一時払いの養老保険の利子につきましても税率を高めまして、いわばそういう方に流れるのを防ぐような一応の政策がとられておりますね、他の金融資産の利子に対する課税の税率を高めるという形で。ですから、その政策措置は今回の税制改正で一応とられているということで、雪崩的なシフトが行われることはそうないのじゃなかろうか。それは今言った政策と、それからもう一つは、現在のマネーサプライの状況を見ていきますと資金が非常に不足しておりまして、手元にある乏しい資金をこういうところに急いで運用しなければいかぬという情勢でも必ずしもない、こういうことでございます。  国民心理もそうでございまして、現在ですら定期預金の金利はそう高くないわけでございますから、したがって、そういう状況のもとで早くシフトさせなければ大損するんだというような心理にはそうなっていないということでございますので、それほど大きな資金的な流れはない、私はこう考えております。  それとまた裏腹の関係になるわけですけれども、そうしたわけですから、したがって慌てふためいて資金シフトをやらなくてもいいけれども、常に資金の流動性を高めようという心理があろうかと思うのですね。これは財テクばやりでございまして、かなりの人が関心を持っております。主婦であれ老人であれ持っております。自分の持っております金融資産をいかにして高利に運用しようかということで関心も高まっておりますので、そういう面から考えますと、少々の金利を手に入れるよりは普通預金にとどめておきまして、そしてチャンスがあれば株式を買うとか、あるいは場合によって今言ったようなファンドを買うというような形で、流動性を十分に生かして財テクを行おうという意識が強くなった。これは、ある意味では防衛的なものがあるかもしれませんから、必ずしも好ましいとは一概に言えないかとは思いますけれども、そういう動きも出ているということじゃないかと考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 今回の六十二年度の所得税減税にいたしましても、それからマル優原則廃止ということにいたしましても、これは政府にありましては全体の税制改革の一環である、こういう位置づけをされているわけでございます。ただしかし、では現実に全体の税制改革のプログラムというものが提示をされていて、そしてその中に明確な形でマル優の原則廃止というものが組み込まれているのか、位置づけられているのかといいますと、そうではないと私は思っております。  既に三カ月ほど前の前通常国会におきまして、売上税創設、マル優廃止を財源といたしまして法人税の減税、所得税の減税、これが中曽根総理が示された税制改革の全体像であったわけでございます。ところが、その一番大もとになる売上税の創設、関連してマル優の廃止ということもいわば国民の大きな反対の力等によりまして、これは三カ月前に廃案になったばかりでございます。そういう経緯からも明らかなように、冒頭申し上げましたように今回の税制改革の一環だと言いながら、現実にはその全体像が示されていない、そういう中でこのマル優の廃止ということが突然また出てきた。こういうことで私どもは、それがいい悪いは別といたしまして、総理が目指された税制改革というのは、キーワードというのは直間比率の是正であった、これは間違いないと思うわけでございます。ところが、今なさろうとしております、そしてそれは税制改革の一環だと位置づけられておりますが、直接税の中におけるいわゆる減税と増税という直直の間の調整にしかすぎない、こう言わざるを得ないと思うわけでございます。  したがいまして、私たちは、六十二年度の所得税の減税と、それから税制改革全体のプログラムをこれから改めて構築をしていく、その中に当然位置づけされるべきマル優の廃止、これは切り離すべきだ、そしてまた国会に切り離した形で提案をなさるべきだ、こういう立場に立っているわけでございます。そういうことを考えまして、ワンセットでこれを出してこられたわけですが、将来もあることでございますので、こういうやり方、あるいは税制改革の全体像が示されていないこの段階で、マル優だけここで取り上げて性急にこれを原則廃止にするというようななさり方、そういうことをちょっとあわせまして井上先生、ひとつ御意見を賜りたいと思います。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 先ほどもお話ししましたように、直間比率の是正を含めた全体の中のマル優問題として取り扱うべきであって、やはり切り離した形で、先生がおっしゃった直接税関係でプラス・マイナスというのは余りよくないと思います。  マル優問題については、売上税のときみたいに一般的な反対意見というのが余り表面に出てこない、そういう面も今現在あるわけですが、一般の主婦層に非常に関心が強うございます。その強さというと、売上税よりもあるのではないかと私は思います。私ごとで恐縮ですが、民放のテレビで毎週財テク講座等をやっておりますが、売上税の問題のときも毎週私は取り扱ってお話ししていたわけですが、特に時間帯が主婦番組なのです。ところが、売上税の問題を扱って毎週こういきますと、視聴率がどんどん下がっていったわけです。ところが、マル優の問題とか相続税の問題、これは非常に関心があるということで視聴率が上がっているというか、そういう実情でございます。  私ごとで恐縮ですが、売上税のときにもある出版社から本を出したわけでございますが、今度またほかの出版社からマル優についての執筆依頼がありまして、そこでいろいろ市場調査等をしましたら、一般の方は売上税よりもマル優の方が関心があるというわけです。したがって、井上さん、絶対に前の売上税よりも売れるから、いわゆる初版部数をふやすから本を出せというので、そういうようなことが今言われておる現状なので、この問題については、今お話ししたような私の二、三の体験で恐縮でございますが、売上税よりもマル優について一般の人は関心が絶対に高いと私は確信しているわけでございます。ですから、余計慎重にこの問題を取り扱っていただければと思います。

山田英介公明党・国民会議

○山田委員 持ち時間が来たようでございますので、最後に一つだけお伺いをさしていただきますが、今回の所得税法等改正法案の中には、土地税制についても改変あるいは新設その他いろいろ盛り込まれているわけでございますが、新設をされる土地税制の一つに、超短期の土地の譲渡所得に対する重課制度を導入するという部分がございます。二年以内の保有の土地を譲渡した場合には大変な重課をというところですが、先ほど井上参考人からもお話ございましたように、地価の高騰の大もとの原因というのは土地の供給が小さ過ぎるんだ、そのとおりだと思います。それからまた、いろいろな要因がありまして、今日の特に大都市部を中心とした地価の高騰があるわけでございますが、超短期の譲渡所得に対する重課制度の導入というのは、いわば転々売買をする土地転がしについての歯どめを図ろうというねらいがあるんだろうと私は思いますが、これが果たして有効に機能するのかどうかというところを心配をしているわけでございます。  といいますのは、ちょっと専門的なことになるかもしれませんが、所有権を移転をした場合には基本的には所有権移転の登記をするわけでございますが、現実には中間省略登記というものが認められ、存在しておりまして、私の調査したところでは大体二件に一件が中間省略の登記。すなわちそれは、AからB、BからC、CからD、DからEというふうにずっと転々流通していきましても、その取引の段階が例えば一カ月、二カ月で十段階の取引があったとしても、AとGで、最終の取得者との間で所有権の登記をすれば、それで転々売買その段階ごとに登記をしたことと同じ効果を持つという形になっております。  それで、二年というのは現実には実感としては非常に長いのです。数日のうちに五回、六回転売される、あるいは数カ月のうちに十回以上転売される、その都度に坪百万ずつ上がっていくとかというふうな実態はあちらこちらに見られるわけでございます。したがって、そこのところの転々流通のAから仮にGのこの取引が、実際にはその取引はないわけですが、中間を省略してもいいという一つの登記制度のあり方なども、不動産取引の世界の限りなく不透明に近い部分の基本をなしている一番の中心部分である。このいわばブラックボックスみたいなところを明らかにしていかないと、逆に限りなく透明に近づけていかないと、なかなか土地転がしによる地価のつり上げ、暴騰という、私権制限論とか出ておりますけれども、いろいろやっても結局そこに抜け道があると実効が上がらないのではないかということを、私は強く心配をしているわけでございます。そういう考え方を私は国会議員の一人として持っているということを、参考人の先生方にも念頭のどこかに置いておいていただくということで、御答弁は結構だと存じます。  長時間にわたりまして御答弁ありがとうございました。終わります。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 安倍基雄君。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 参考人の皆様、本当に長時間御苦労さまでございます。同僚議員がいろいろ質問した後でございますので、重複を避けてお聞きしたいと思いますけれども、特に最初の中村参考人、私はさっき言われた会合に出ておりまして、マル優についての意見を述べましたし、固定資産税についての意見も述べたのでございます。その際、私はお話ししたことと思いますし、地元なんかを回っても賛同を受けるのは、少なくとも一納税者一口とかあるいは一世帯一口とか、そのくらいは見てもらってもいいのじゃないかなということをしきりと主張してきたわけでございます。  その際に我が党は、マル優カードを使う、あるいは還付、つまり銀行から最終的にこのくらいの分だけはマル優扱いしてくださいという、還付をする方法がいいのではないかなという話をしているわけでございます。マル優カードというのは、背番号式と大分誤解されやすいのですけれども、一つのカードをそれぞれみんなが持って、マル優適用を受けたい人はそれを銀行の窓口に持っていく。例えば、二百万円ぐらいでまだ余っていれば別のところに持っていってもいい、二、三口でもいい。この制度が発足するときには、一店舗で幾らということで限定されておった。それが、金融機関が、大銀行にばかり集まってしまうからという話で、何口もできるようになった。その意味では、一番最初は限度管理が徹底されておったわけです。それができなくなって名寄せが難しくなった。しかし、我々としては、マル優カードの中に全部自分の預金を書き込む必要はないのだ、いわば特例適用を受けたい分だけ書き込んでいけばいい。それがいっぱいになったら、それ以外のものはマル優適用を受けないのだから、当然高い税率はかかる、それでもいいじゃないかという議論を展開してきているわけです。  これは背番号制度と非常に間違われやすくて、マル優カードというとすぐ例のグリーンカード――グリーンカードは、内容的にはそういった中身だったらしいのです。そのころ、すべての預金全部書かなければいけないというような印象をみんなが持ってだめになった。しかし、売上税でこれだけみんなの関心が高くなった状況のもとにおいて、マル優カードで少なくとも一世帯一口あるいは一納税者一口ということで、さっきも同僚議員から話がございましたけれども、その範囲内では特例扱いする、ほかのものは相当高い率を適用してもいいじゃないか。そうすると、また逆に総合課税を選択するか分離課税を選択するかということになる。でございますから、マル優カードの一世帯一口、一納税者一口という考え方について、私どもは二十分しか時間がないものですから、各先生に簡単にお考えをお聞きしたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 この前の会でも先生からそういうお話を伺いまして、私どもも基本的には限度管理をきちっとすればやれるのじゃないかと考えておりますけれども、それも一つの方策かもしれない。今クレジットカードが個人信用情報で、与信の問題を調べるのにコンピューターで名寄せをしておりますから、個人のプライバシーの問題が非常に言われておりますので、その点をどう担保するかということをきちっと考えて具体的にまたお示しいただければ、私どもも考えてみたいと思います。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 お答えいたします。  過去において廃止になりましたグリーンカードがいいか、今先生がおっしゃったマル優カードがいいかというのは、実際問題としてやってみなければわからないという面もございますが、昨年の一月から新マル優制度、本人確認制度ができたわけでございます。御承知のようにグリーンカード法案が通って、その結果予算案が執行されて埼玉県朝霞市には事務管理センターもでき上がっている状況でございます。それと同時に、現在税務行政においても、例えば法人とか個人でしょっちゅう確定申告をする場合は、当局の方で納税者番号をつけておる実情がございます。そういうことを勘案すれば、昨年一月以降実施したいわゆる新マル優制度が成熟するに従って、年を経るに従って限度額管理はできると私は確信しております。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 方法につきましてはいろいろあろうかと思いますが、私は、こういうのはほかの資産性のものと一緒にして総合的に検討しろという立場に立っておりますので、余り窓口を広げたくないので、やはり社会的弱者に対しての特例を講じた方がいいという考え方ですが、そうした人に対してもそういう方法でカードを発行するということができるだろうと思います。ただ、カードがいいか一律の還付がいいかということになりますと、これは徴税コストの問題になってまいりますので、その辺のところを検討しましていい方法を採用すればいい、そういう立場におります。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 この限度管理の問題につきましては、基本的には情報公開制度とプライバシーの保護に関する制度的な保障の確立が先決問題ではないか、かように私は考えている次第でございます。現在地方自治体では、既に情報公開に関する条例等ができているところもありますし、それによって成果を上げているところもありますので、こういうものを国政レベルでもどんどん確立していっていただきたい。同時に、プライバシーの保護も図られるべきである。そういうことが我が国の場合は非常におくれておりますので、これをそのままにして限度管理あるいは納税者番号のようなものが入ってきますと、現在でも官公庁による情報の独占、秘匿というようなことが非常に行われておりますので、そういう点でかなりの問題が出てくるのではないか。例えば、私どもいろいろ税制等について検討しようと思って情報を集めようとするのですけれども、大蔵省さん、なかなかガードがかたくて、統計的な資料もなかなか発表していただけないというようなこともございますので、この辺は公正な税制確立のために、大蔵省さんが勇気を奮ってどんどん情報公開をしていただきたいとお願いしたいわけであります。  ちなみに、アメリカでは租税歳出予算という制度がございまして、予算に例えば租税特別措置等によってどの程度の減税がされているかということが、項目別に全部議会に提出されております。したがって、どの項目を整理すると幾らの増収があるということが全部わかりますので、そういう点で非常に民主的な統制が行われているというふうに聞いております。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 いろいろあれの議論の過程でも出てきたのですけれども、今度のいわゆる老齢者の場合でも、さっきもお話が出たと思いますが、それを何口もやるということもあり得るのですよ。その面で、やはりマル優カードという方が本当の意味で限度管理がきちっとできるのじゃないか。それに何もかも書かなくてはいけない、ほかの預金まで書かなくてはいけないというようなことになりますと、それは本当に洗いざらい見せることになるけれども、そうじゃなくて、その特例を受けたい分だけ書けばということであれば、それ以外は全部隠せる。隠すというと悪いですけれども、その部分以外のものにはちゃんとした税がかかるわけですから、この制度は検討に値するのじゃないか。  一世帯がいいのか、一納税者一つがいいのかということで、私としてはそれを大いに主張しているのですけれども、じゃなければ、年末調整のときに、また例えば生命保険料控除とか損害保険の控除と同じような意味で、要するに三百万なり五百万の利子分のあれを持っていけば引いてくれるということが一つの案として考えられております。私どもは、それを今国会で主張しているのですが、多勢に無勢で実現しないかもしれないので、この辺はまことに残念でございます。  時間がございませんが、実はさっきの土地税制の問題、今お話も出ましたけれども、私たまたま「エコノミスト」に論文を書いたのです。ところが、表題は大都市災害と土地政策ということで書いたのが、保有税を上げて宅地の供給を図れというぐあいに非常にどぎつい表現になっているのでございますけれども、これとの関連で、保有税の問題というか、今いみじくも井上参考人が言われましたように、企業などがやっている大きなビルなんかがえらい安いのはおかしい、個人であっても、千代田区とかど真ん中にいる人々は、これはほかの人の犠牲においているようなものですから、むしろ土地保有税を上げれば高層化を図るとかマンション化を図るということで効率利用ができるだろう、まさに井上参考人と同じ意見でございます。  これとの関連で井上参考人にお聞きしたいのですけれども、今ちょうど前の同僚議員がちょっと提示されましたけれども、今度長期のを十年を五年にするわけですね。その今度の改正についてどうお考えになるか。私もその辺はちょうど同じ意見で、私は保有税を上げても譲渡税はむしろ下げるという感触を持っているのでございますけれども、今度の土地税制の改正、今たまたま前の質問者が言われた、短期の土地転がしじゃなくて、十年を五年にするという土地税制の改正についてどうお考えになるか。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 お答えいたします。  十年を五年にするその理由というのも、私、はっきり申しましてよくわからないわけでございますが、先ほどもお話ししましたが、土地は大都市周辺等においては供給が不足している。そういうことを踏まえて、ぜひその土地を買いたいという場合は、いわゆる売り手市場でございますから、売れば税金を取られるということで、必然的に譲渡所得税等を売却価格にプラスして販売されているというか取引されているのが実情だと思うのですね。  ですから、一般的に言われる長期保有の土地を売却促進させるためには、財政事情等もあると思いますが、むしろできる限り譲渡所得税を軽くする、それが一番土地の高騰を抑えて、なおかつ土地の供給をもたらす、そう思っているわけで、十年、五年のそれは小手先だけだと私は思います。やはり相当数売り出してもらいたい土地というのは大都市周辺の遊休農地等の供給促進、そういうものを税制の上から図っていただくことによって最終的に内需拡大になり、税収の確保になって、それによって国際経済摩擦というか、その解消になるということをかたく信じているわけでございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 土地問題ばかりになってあれですけれども、最近特に言われておりますのが、東京の都心あたりでごっそり物を高値で売る、そして郊外にそれと同じぐらいの値段で買えばともかく余り税がかからぬということで、買いかえで中心部じゃなくて周辺まではんと非常に上がってきているという話が大分問題となってきているのですが、それについて井上さんは、いわば譲渡所得税との関連でどうお考えになるか。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 お答えいたします。  俗に都心部の土地等を地上げ屋から買収されるというか、私、いろいろ見ていますと、売りたくて売るわけではないケースが多いのですね。何かいろいろな関係で無理やりに売却させられてしまっている。そこで、そのような状態で売って、後そのままじっとしていると譲渡所得税がいっぱいかかってしまう、それが実情なので、したがって今先生が御指摘のように、郊外へ売却した代金以上のものを買いかえすればいわゆる課税の延期が行われる、そういうことで、一般庶民の方は買いかえを行って、それが原因で郊外の土地が上がっているのも事実だと思います。ですから、そういうようないわゆる悪循環を避ける意味で、先ほどお話ししましたように土地の供給の促進を図るというか、それが一番その問題を解決するかぎになるのではないかと思っております。したがって、余り事業用資産の買いかえの課税強化等はなさらない方がいいわけです。それはいわゆる小手先だけの税制改正で、根本的には土地の供給増大、そういうことに税制改正の根幹を置いていただければと思います。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 それから、あと五分しかございませんが、さっきの中村参考人のお話で、減税をどのくらい上積みするということばかりに重点がいって、制度そのものについての検討が不十分じゃないか。実は私どもも同じような感じを持っているのですが、そんなこと我々が言うのもおかしいのですけれども、本当に事実そういう点があると思うのです。しかも、マル優廃止の問題も、全体の構成の上から直間比率どうするのだ、あるいは資産所得とのあれをどうするのだ。今度はまた逆に資産税、今保有税も含めてすべての全体の中で見ていかなくてはいけない。ただマル優だけ先行してぼんとやっちゃって、いみじくもさっき総合課税の話も出ましたけれども、総合課税をどうするのだというようなことがいろいろあるので、関本参考人には別の質問をいたしますから、最初の三人の方は今度何に大重点を置いてほしいということを、一言ずつお願いしたいと思います。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 お答えいたします。  何にと言っても、とにかく国民が一番感じているのは不公平感だと思います。ですから、それを解消するためには基本的に密室審議ではなくて、もっとみんなにわかりやすい形で税制論議をしていただきたいということをお願いいたします。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 お答えを申します。  マル優の廃止論議等は枝葉末節の論議でございまして、根本的には、先ほど来お話ししている土地税制に基本を置いて税制改革を行っていただきたいと思います。

原豊青山学院大学経済学部教授

○原参考人 もっと国際的視点を入れた税制改革を中期的に検討していただきたいと思います。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 ちょっと関本参考人を残したのは、課税最低限の問題なんですけれども、これは課税最低限引き上げというのもいいのだけれども、逆に独身貴族というかそういう面にちょっと、一番中堅の子供を育てる連中が苦しくて、課税最低限だけを強調しますと、独身貴族的なものがふえるのじゃないかというような議論もあるのですけれども、その点どうお考えになりますか。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 お答えいたします。  課税最低限の問題は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、この人的な控除からなっておりますので、独身の場合は当然、先ほどの百三十二万円とかいうような金額ではなくて現在三十三万円ということになっておりますので、その辺の課税はこの基本的な諸控除を引き上げても、通常の中堅サラリーマンと同じだということはないわけでございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 ですから、今度の配偶者控除の引き上げというのがその意味で実質を考えた引き上げた。そういったことではなくて、ただ基礎控除ばかりを引き上げていきますと、独身貴族の問題が起こってくるのじゃないかと私は考えております。  最後に、もう時間もないのですが、私は今一番問題となっているのは地方税と国税とのアンバランスだと思っているのです。例えば固定資産税というのは地方税ですから、東京はどんどん土地が上がるけれども、そういった大きなビルを持っている連中とかホテルを持っている連中というのはろくに払わないで済む。ただ、幾ら払っても東京はもうかるばかりで、要するに国のあれにならない。国税と地方税とのいわばボーダーラインをもうちょっと考え直さなければいけないのじゃないか。特に土地税制との関連で、そういう議論をしておるのと、もう一つは直間比率もいいけれども、いわゆる勤労所得、資産所得、そして資産税と、その全体のバランスというのを、今大蔵省に言って各国のものを調べさせているのですけれども、そういう見地から考えなければいけないのじゃないかと思うので、もう時間もございませんから評論家としての井上先生にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 先ほど来お話ししておりますように、マル優だけとか土地税制だけを取り上げるのではなくて、中曽根総理が以前に言ったように戦後、シャウプ勧告以来の大改正というか、そういうことでもございまして、全体的に我が国の将来が国際的に成り立っていくような税制改革、そういうものをしていただければと思います。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)委員 では、終わります。どうも失礼しました。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 中村参考人に伺います。  ただいま伺っておりますと、どうも利子課税というのは二重取りみたいな気がする。収入がありますとそこで一遍所得税を取られて、その残ったものの中から一生懸命貯蓄すると、そこからまた取られるという御発言がございました。実は先日の大蔵委員会の議論でも、大蔵省の先輩である徳田という人がいるのですが、野村総研の所長をしておられる人で銀行局長をされた人、その人が最近十年間、大体平均の物価上昇は四・六%で、利子の平均利率が四・八ぐらいだから、利子を加えてやっと貯金は目減りしないんだ、それを利子を全部使うと元本はものすごく目減りするんだから、タコの足を食べているようなものなので、それに何でまた税金をかけなければならないのかという議論をされているのです。それはあなたが今言われた疑問に答えるものだというように思うのですけれども、株だとか土地だとかというのはもともと元の値が上がりますから、それに対して貯金というのは絶対に上がらないのですからというように思うのですけれども、あなたもこの徳田説に御賛成ですか。

中村紀伊主婦連合会副会長

○中村参考人 お答えいたします。  賛成いたします。  私、この間アメリカへ行ってまいりましたら金融の自由化が進んでおりまして、少額の貯金をしますと、カードなどをつくると逆に利息がつくんじゃなくて元金が目減りするという話が出ております。そうすると、これからどんどん自由化で小口預金もそういうふうになってくると、一体それはどうなるんだろうかという感じもいたします。ですから、大金持ちの方といわゆる庶民とのそこのところを生活の実感で考えていただきたいと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 関本参考人に伺いたいと思います。  先ほどいろいろ意見の御開陳がございまして、同僚委員の質問にも若干お答えになりましたが、みなし法人課税に事業主報酬の制限を設けるというような改正が今度ございます。また白色事業の専従者控除、これが今度四十五万からたしか六十万に引き上げられると思いますけれども、これは専業主婦控除が十六万五千円引き上げられることに比べても少ない上に、自家労賃を正当に評価しているのかというような意見もございますが、この両者を含めて関本参考人の御意見を伺いたいと思います。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 お答えいたします。  事業主報酬制度というのは我が国に独特の制度でございまして、諸外国ではちょっと例がないのですが、ただ、我が国の場合は自家労賃に対する課税が諸外国よりも格段に厳しくなっておりまして、先ほど申し上げましたように、同居の親族に対する対価の支払いは一切必要経費として認めないというのが所得税の大原則でございますので、その例外として事業主報酬の制度、青色専従者給与の制度、さらにずっと格が下がりまして白色専従者控除の制度というふうになっているわけでございますけれども、この辺は欧米並みに少なくとも自家労賃については、雇われている人と全く同一に認める制度が確立されるならば最も望ましいことでありますし、またヨーロッパ諸国ではそれがまさに社会保障制度と連動いたしまして、それに基づいて家族専従者であっても年金も全く同様にもらえるという制度になっておりますから、そういう観点からいいましても、我が国でも少なくとも先進諸国のそういういいところはぜひとも取り入れて、法制化していっていただきたい。  それから、事業主報酬の制限が前三年間の八〇%を限度とするということですけれども、せっかく我が国に定着してまいりました自家労賃を、違う形でございますけれども認めるという非常にユニークな制度でございますので、私は根拠がないと思いますけれども、これをクロヨンということを理由にしてみだりに制限することは好ましくないことであると思います。  それから、白色専従者の四十五万から六十万への引き上げ、これはわずか十五万円でございまして、御指摘のように専業主婦控除の十六・五万円よりもさらに低いということでございます。最近の統計を今私持っておりませんが、青色事業専従者の平均給与額がたしか百四、五十万円どまりだと思います。でございますので、少なくともその程度の平均的な青色専従者給与の辺までは白色専従者についても認めることにならないと、家族労働に対して正当な報酬を認めることにはならないのではないかと考えます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 専業主婦控除についてはいろいろ御意見がございまして、参考人の御意見も多少分かれておりまして、それがいけないというわけじゃないけれども、共稼ぎ婦人とか業者婦人とか、働く婦人はやはり平等に扱ってほしいというのが、先ほど中村参考人から、五十一団体ですかの御意見での最大公約数的な意見だと伺いました。また参考人の中には、そういう制度よりは課税最低限を引き上げるのが筋ではないか、人的控除ですね、という御意見もございました。  この機会に伺っておきたいと思いますが、課税最低限を引き上げるべきかどうかという点での各国との比較について、関本参考人にもし御意見がございましたらお伺いしたいと思います。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 お答え申し上げます。  これはちょっと古い資料で申しわけございませんけれども、売上税が国会に上程された当時の資料でございますが、自民党さんが各国の課税最低限の比較を出しておられます。「税制改革Q&A」の中でございますけれども、それで見てまいりますと、あの当時百五十六円か九円で換算されて、日本の課税最低限は世界で最も高い水準にある、このようにパンフレットに書いておられましたけれども、その直前の昨年十一月でございますか、労働省から実質購買力で換算いたしますと一ドル二百三十一円くらいが適正な水準であるという調査が出ております。それに基づいて比較いたしますと、日本の課税最低限は、通常大蔵省では二百三十五・七万円という発表をしておられますけれども、これは給与所得控除あるいは社会保険料控除等をする前の金額でございまして、先ほど申し上げましたように、日本の課税最低限は夫婦子二人で百三十二万円、今度改正されますと、専業主婦控除がある場合には百四十八万五千円ということになるわけでございますが、これと比べますと、アメリカではほぼ三百万円程度、フランスでも三百万円近い金額、イギリスが多少低いと思いますけれども、各国とも我が国よりかなり高い水準になっておりますので、そういう国際比較をいたしますと、我が国の課税最低限はまだまだ非常に低いというふうに考えるわけでございます。今ちょっと資料を散逸いたしましたので申しわけございません。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 結構です。  同じ問題について、井上参考人はどうお考えでございますか。

井上隆司経済評論家

○井上(隆)参考人 それについては、きょう資料を持ってきていないので具体的な数字は全然申し上げられないわけですが、現行税法において所得税の基礎控除は三十二万円でございますけれども、三十三万円というのは一応本人の生活費ということでございまして、それ一つをとっても、三十三万円で生活できるという人は皆無に近いと思うのです。そういう点で、いわゆる税制改正でいろいろ手直しされるのはいいのですけれども、余り複雑多岐になると専門家でも、もちろん一般の人でもわかりづらくなるわけです。ですから、改正する場合はできるだけ簡素な税制改正というか、そういうものをやっていただかないとわかりづらくなる。一般の人は、よくわからないというと、後で当局の税務調査で何か怒られてしまうのではないか、そういう感覚が非常に強いわけです。私、長年税理士をやって恐縮でございますが、別に税理士が申告代理しなくても、一般の納税者で十分申告できるような簡素な税制改革にしていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 時間の関係でもう一点だけ聞かせていただきますが、今度の税制の法案では加算税が大分加重されておりますけれども、この点について関本参考人、税理士でもございますので、御意見をお願いいたします。

関本秀治税経新人会全国協議会理事長

○関本参考人 お答えいたします。  先ほども御質問がございまして私の見解を申し上げたのですけれども、私は基本的に反対でございます。なぜならばと申しますと、今回の改正に当たりましては、基本的な考え方として、制裁措置の強化によって徴税の確保を図るという徴税当局の姿勢が非常に露骨にあらわれている例である。これはつい先ごろ、時効の延長、それから申告納税制度の改悪ということで私どもは五十九年改正に反対したわけでございますけれども、等もございまして、最近とみにそういう意味でのいわば零細所得階層に対する税務行政上の締めつけが非常に強化されてきているという点で、これはぜひとも考え直していただきたい、このように考えております。  それから、大変失礼いたしました。先ほどの課税最低限の資料が出てまいりましたので、お答え申し上げます。  これは自民党さんの「Q&A」では日本が二百五十九・五万円、これは改正案によるものでございます。それからアメリカが二百六・七万円、それからイギリスが八十五・五万円、西ドイツが百四十九・九万円、フランスが二百五十九・○万円、このようになっておりますから、先ほど申し上げましたレートで換算いたしますと、日本が百三十二万円、アメリカが三百万三千円、イギリスが百二十三万七千円、西ドイツが二百四十・七万円、フランスが四百九万円。イギリスが多少低いんですが、あとはすべて我が国よりかなり高い水準にございます。  以上でございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 終わります。

池田行彦自由民主党

○池田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  次回は、明二十八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会

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