商工委員会 第1号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1987/07/28
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事城地豊司君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に奥野一雄君を指名いたします。 ――――◇―――――
○佐藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 通商産業の基本施策に関する事項 中小企業に関する事項 資源エネルギーに関する事項 特許及び工業技術に関する事項 経済の計画及び総合調整に関する事項 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項 鉱業と一般公益との調整等に関する事項以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○佐藤委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川元君。
○小川(元)委員 小川でございます。国会に出させていただきましてから初めて質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。 きょうは、お忙しいところ田村大臣に御出席をいただきまして、せっかくの機会でございますので、まず最初に産業構造の今後の変革につきまして、マクロの見地から政府としての施策を少しお伺いをしたいと思うわけでございます。 大臣が御就任になられましてから後も、日米貿易摩擦、特に半導体の報復措置あるいは今回の包括貿易法案等々、アメリカ、ヨーロッパを中心に大変な貿易摩擦が出ておりまして、大変御苦労をされておられることはよく承知しております。これはいろいろな原因があると思うのですが、一つには、やはり大きな面で日本の輸出型、輸出依存体質というものが問われている時期に来ているのではないか、このように考えておりまして、どうしても今後は輸出による成長は望めないのじゃないかということが一般的に言われておりますし、私もそう思っておるわけでございます。私は三月の末に、ちょうど半導体の報復措置が出ますときにアメリカを訪問いたしまして、政府、議会の関係者とも話をしたのですが、ともかく日本は市場を開放してそして輸出を抑制しなさいという一点ばりで、余りにも強硬な態度に非常に驚いたわけでございます。 日本としましても、今度の補正予算によりまして内需拡大を図っていくということで、これからその方向へ大きく転換をしていくことになるわけですけれども、公共事業といいますのはどうしても呼び水的な性格があって、やはり国全体、民間企業全体が内需の方向へ転換していくということが大変必要なことじゃないか。しがし、その内需が一体どういう方向へいくのか、あるいは今後どうなるのだろうかということについて、国民及び企業が目下のところわからないというのが正直なところの現状ではないかと思うわけでございます。また、それに対して今後はっきりした目標を示して、そして政策を打ち立てていくことが政府及び我々議会人の務めではないかと思うわけでございますけれども、この産業政策の基本的目標につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田村国務大臣 今、初質問ということを伺って、人間の縁というものは本当に何とも言うに言えないものがある感じで、我々の名前は割合に珍しいのですけれども同じ名前同士で、しかも御尊父とは肉親のようなおつき合いを願っておりましたから、そういう点でくしき因縁というものを感じます。 そこで、小川君にお答えを申し上げる前に、ちょっと日本の経済構造というものが今日どういうふうに変遷してきたかということを、簡単に申し上げてみたいと思います。 それは、かつて日本は富国強兵策でありました。それで戦後、外貨もなく、全国焼け野原になって、ただやみくもに日本人は働き、外貨の獲得に努力をいたしました。私が初当選をいたしましたのは今から三十二年半ばかり前のことですけれども、そのころでも円の実勢レートは一ドル四百円ぐらいでありました。そして日本人は、手っ取り早く外貨を獲得する、しかも資源を持たないということで生産部門、特に輸出関係の生産部門にいそしんだわけであります。それが、昭和三十五年に第一次池田内閣が成立して、そこで初めて昭和三十六年度予算から所得倍増計画というものに沿って拡大経済政策がとられた。例えば道路の五カ年計画でも二兆一千億円というような、当時としては考えられないような巨大な計画が立てられました。これは、単に道路ができていないというだけでなく、日本の産業を振興せしめるための産業関連のインフラストラクチャーとしての道路というものが重点的に取り扱われた、あるいは港湾が取り扱われだということが言えると思います。そのようにして日本は非常に成功をおさめました。ところが、それが今になっては逆に重荷になってきたということから、産業構造調整という大きな宿題をしょわされたわけであります。 今の経済情勢にかんがみますと、産業活力を維持しながら我が国経済を内需主導型に変革することを通じて、国民生活の質の向上あるいは対外不均衡の是正、こういうものに向けての構造調整を進めて、そして組織的に調和のとれた活力ある経済社会の構築を図ることが重要、これは前川リポートの示す方向でもあり、また日本が歩まねばならない方向であろうと思います。このために、円高の余りにも急激かつ行き過ぎ、これを抑えた適正かつ安定的な為替レート、それから内需中心の高目の経済成長、こういうものを実現していかなければならないと思います。構造調整を単に不況の産物というとらまえ方は、絶対にしてはならないのであります。 新規事業分野への転換の円滑化、それから技術開発の推進、雇用機会の創出等の各種の施策を通じて、産業構造の転換に伴う雇用、関連中小企業、地域経済への影響を緩和しながら経済構造調整、いわゆる構造調整が円滑に進むように努めなければなりません。また、現に我々はそのように努めておるわけであります。 輸出依存型の生産部門、特にその下請で泣いておる生産部門等々をどのようにして新しい分野へ転換せしめ、安定的な繁栄を享受させることができるかということが我々の今の非常な苦労の仕事でございます。しかし、やらなければいけない。具体的には、産業構造転換円滑化臨時措置法、特定地域中小企業対策臨時措置法というような法律がありますが、こういうような法律に基づく産業転換、いわゆる事業転換の円滑化、地域経済の活性化などの施策の活用によりまして、構造調整の円滑化を図ることにいたしたい。 特に、つけ加えて申し上げをならば、先ほど申し上げましたように、新しい技術開発分野、例えばハイテクとかバイオとかいろいろな新しい技術開発の分野、これを早く整備してそちらの方で雇用の創出を図っていく、それが構造転換と両々相まっていくというようにしなければならないということで、今通産省は必死の努力をいたしておる、こういうわけでございます。
○小川(元)委員 どうもありがとうございました。大臣のおっしゃるとおりの施策がこれから大変必要になってくると思うわけでございますけれども、現実には、その実施については数多くの難問あるいは国民全体の中で痛みを分かち合う精神等々、非常に難しい問題が含まれておるのではないかと思うわけでございます。 それで、大臣のお話の中にもございましたけれども、その中で私は二つばかり特にポイントを挙げて、政府の考え方をお聞きしたいと思うのです。 一つは、地域間格差という問題でございます。これは、七五年から八〇年ぐらいまでの間はかなり人口のUターンと申しますか地方経済の活況化というものが行われて、所得の格差の是正というものが進んだわけでございますけれども、近年に至りまして再び大都市、特に東京へ集中してきておる。データを見てみますと、大体七五年から八〇年の間で年間の県民所得の平均伸び率が、全国平均を一〇〇とすると関東は九九、中部が一〇一とか、大体九〇台から一〇〇台ぐらいでおさまっていた。それが八〇年から八四年になりますと、全国平均を一〇〇としますと、北海道の七四を初め、四国の八五、中国の八七とか、関東を除く各県が非常に伸び率が低下してしまった、こういうことが実態ではないかと思うわけです。 特に、最近の円高によりましてこの傾向は非常に大きくなっておりまして、第二の過疎化といいますか、高度成長時代に一時起こった地方社会の過疎化というものが再び起こるのではないかという危険性、企業城下町のようなところではもう既に完全に起こっておるわけですけれども、私の地元も精密工業を中心とする輸出の下請あるいは関連産業が非常に多いのですが、地元の市で税収が前年比二〇%も落ちるというような、極めて異常な事態になっている。あるいは、周辺に工場を展開した企業が全部それを閉めまして海外へ生産を移動したために一つの村で大半の人が失業の危険にさらされる、こういうような事態が現実に起こっているわけでございます。これ以上の東京一点集中というのはまことに無意味なことでもありますし、また、それをどうしても防止して再び地方経済が活況を呈して、地方の人たちも安心して構造転換に従事できるという方向へ持っていく必要があるのではないかというふうに考えるわけでございますが、この点につきまして政府としては具体的にどういうふうに考えておられるか、お答えを願いたいと思います。
○安楽政府委員 先生、今御指摘いただきました地域間の不均衡が拡大する方向にあるということは、御指摘のとおりでございます。そこで、こうした人口と諸機能が特に東京に集中してくるとか、これに伴って地域間格差がさらに拡大する、こういうことを是正することは国民経済の均衡ある発展のために不可欠でございまして、そのためにはやはり地域経済全体を活性化することが一番必要だということでございます。 それで、通産省といたしましては、従来から、まず工業の全国的な適正配置、このための工業再配置政策、それから高度技術に立脚した地域開発を目指すテクノポリス政策、こういうものを強力に推進してきているところでございますが、特に先生の御指摘の中にもございましたように、最近の円高等内外の経済事情の著しい変化によって非常に大きな影響を受ける疲弊の激しい特定地域に対しましては、先ほど大臣の方からも申し上げた二つの臨時措置法に基づきまして、中小企業に対しましては中小企業の活路開拓、新事業分野への進出それかも企業誘置、こういうものに対する支援を強化しているわけでございます。それから産業構造転換円滑化の方に関しましては、特に第三セクターの行う地域活性化プロジェクトの事業化に対しまして支援をするとか、あるいは工業の新規立地に対しまして支援を強化していくということをやっているわけでございます。 さらに、先般、緊急経済対策の決定が行われましたが、これに基づきまして、今申しました二つの法律の適用地域でございます特定地域の数を追加指定いたしましてこれを拡大いたしますとともに、全体の流れといたしましては工業再配置法に基づく地域産業基盤の整備ということを心がけておりますが、これを強化するとか、あるいはテクノポリス事業あるいは民活法に基づく特定事業等の事業につきまして従来の助成を一層拡大する、こういうことをやろうというふうに今考えておる次第でございます。 これらの施策を踏まえまして、通産省といたしましては、今後とも地域振興、地域経済の活性化につきまして各般の施策の拡大強化に努力していきたいと考えております。
○小川(元)委員 お話はわかりましたのですが、一つだけ御要望しておきたいのです。 今、地域というお言葉をお使いになりました。しかしながら、現実にはその地域の中で特に過疎化していく市町村も出てくるということがございますので、もう少し市町村単位まであれしたきめ細かい施策というものを将来においては考えていただきたい。お答えをいただく必要はございませんけれども、御要望だけ申し上げておきたいと思います。 もう一つは、今ちょっとお話に出ました中小企業対策について少しお話を伺いたいのですが、円高によりまして中小企業、特に規模の小さい企業というのは大変な打撃を受けておるわけでして、この中小企業庁の発行した白書でも、いわゆる中小企業、これは製造部門、商業部門、卸部門、すべてを通じて大企業に比べて生産指数も落ちているし、転廃業も多くなっているというのが実情だと思います。それで、その中で最近積極的に金融政策を中心とした中小企業対策が行われているということは大変高く評価できるわけでございますけれども、ただこれは不況対策という非常に緊急避難的な色合いが濃いんじゃないかと思っておりまして、この今後の産業構造の変化の中で、やはり力の弱い中小企業が犠牲にならないように、もう少し大きな長い目で見た中小企業対策というものをしっかり立てていただく必要があるんじゃないかと思うわけです。 例えば、たまたま私は日曜日に地元で、本当に小さな、どのくらい小さいかというと公庫の借りかえで月三万五千円の金利が浮いたと喜んでいるぐらい小さな企業の人たちの集まりがありまして、そこで懇談会をやってきたのですが、その中でこういうことを言われました。労働時間の短縮あるいは休暇を大幅にとるように、こういうことが言われておるけれども、現実にはこれからお盆の休暇が相当長くあるわけですが、親企業からお盆の翌日に納品をたくさんするようにと言われている、したがって我々はお盆は全然休みはとれないんだ、徹夜で働かなくてはいけない、だからそんなようなことで、休暇をたくさんとるとかそういうようなことは我々にとっては絵にかいたもちである。しかしその人は、ただ仕事があるだけ自分はまだましであると思っている、こういうふうに言っているわけですけれども、こういうのが実態であるということを頭に入れまして、もちろんこれは、企業の構造転換あるいは将来の方向は自分自身の努力によって決めていかなくてはいけないことが一番大切なことは事実ではございますが、特に力の弱い小さな企業は情報もなければ人材もない、もちろん資金もないというのが実情でございますから、そうしたハンディキャップを、例えば情報交換ができる場を与えるとか、助言を与えられる場をもっとたくさんつくるとか、そういった方向での実際的な施策というものを長期的な目で見てつくっていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、お考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○岩崎(八)政府委員 日ごろ中小企業問題について御関心と御理解の深い小川先生の実情に即した問題意識だと思いますけれども、確かに今、じゃどういう方向へ自分たちは今後新しい活路を見出したらいいんだ、これが中小企業者が持っている最大の悩みだと思っております。 ただ、これは中央で何か一律にこっちの方向がいいというようなことを、一言では言えますけれども、その具体的な事業活動のあり方まで含めて我々がそれを提示するような、そういうものではないんではないか、あるいはそれもできないんではないか。むしろ日本全国で何十万の中小企業者が、自分たちが新しい活路を見出す、その努力について、私どもとしてはそれの場を与える、あるいは技術なり資金なり必要な支援を与える、あるいは人材の養成等に努める、こういうのが私どもの基本的務めではないかというふうに思っております。そういう意味では、今回の円高に伴います対策として地域法をつくりましたけれども、あれでも、もちろん当面の金融問題、これは緊急の課題でございますけれども、やはり新しい方向に向かうための技術開発の援助、これをかなり重視しておりまして、年間五十億そのための用意をしておるというようなことがございます。 それから最近の新しい方向として、全然業種が異なった中小企業者の人たちが集まりまして、そういうお互いに相異なる経営資源を持ち寄ることによって新しい活路を開こうとする努力、私どもこれを異業種交流と言っておりますけれども、これが非常に盛んでございます。私どもがこの数年やってまいりました中で、既に二百数十件のグループができておりますし、そこに参画している中小企業の数は六千数百に及んでおります。したがって、こういう全然別の業種が相寄って新しい企業形態、活動分野を開くというようなことについても、今後できるだけの支援の方向はないかというようなことを今考えているところでございます。 もちろん人材開発につきましては、中小企業大学校というシステムを中心に現在その全国的な展開を図っているところでございます。
○小川(元)委員 どうもありがとうございました。いろいろ細かくお聞きしたい点もあるのでございますけれども、時間がなくなってまいりましたのでこのくらいにいたしまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。 最近、東芝機械のココム違反の問題が大変大きな問題となっておりまして、大臣も渡米をされて大変御苦労されたことだと思います。それに先立ちまして、ボルドリッジ商務長官が急死されまして、大変哀悼の意を表すると同時に、日米間のコミュニケーションギャップがそれによってできるようなことがないように、十分対策をとっていただきたいと思うわけでございます。 いろいろなことが言われておりますけれども、ともかく日本の一流企業が外為法、貿易管理令に違反して出してはいけないものをごまかして出した、このことが最も重要な問題ではないか。これは日本の世界に対する信用の問題でありまして、日本人というのはもうけのためにはそんなことまでするのかというような、今ですらそう言われているところへさらにまた追い打ちをかけるような、非常に大きな日本の信用を失わせるような問題になってしまったのではないかというふうに思うわけでございます。それから、もちろん日本の安全保障にかかわる問題でございますから、この点につきましても安全保障の点についての事実関係並びに今後の対策も十二分にやっていただかなくてはいけないと思いますが、このココム問題につきまして、大臣の御訪米のときの御報告と今後の対処の仕方についてお話を例えれば幸いでございます。
○田村国務大臣 大変残念な事件でありますし、同時に申しわけのない問題であります。 私は率直に言って、虚偽の申告をした、これを見抜けなかった。しかも、それには余りにも一人当たりの仕事が多過ぎた、だから不可能であった、物理的に不可能であったということを言う人もありましょうけれども、私自身は、虚偽の申告をした企業の罪はこれはもう問題にならない、まさに犯罪者であります。でありますから、これはもう申すに及ばない。問題は通産省の責任、私はいかに見抜けなかったといえども、これにひっかかったということは、組織としての通産省の責任はまさに重大であると思います。私は今、通産省が妙に責任回避の言いわけはすべきでないと思うのです。通産省という組織の責任は重大である。しかも、東芝機械がごまかしてまでもライセンスを得なければならなかった、なぜごまかさなければならなかったか、それほど重要な機械であったからであります。これがボルトやナットならこんなことはないわけであります。ですから、そういう点で影響の大きさというものもまた当然のことだと思います。 私は、実を申しますと、これが新聞報道されまして最初に耳にいたしましたときに、これは大変なことが起こった、すぐに登庁して役人を呼んで事情を聞きました。やはり通産省の責任だ、はっきり言って。その時期で――こういうことは、まだ私は公的に申したことはありませんが、小川君の御質問にあえて私が率直にお答えするとすれば、その時点で私は実は辞表を懐にしました。辞表を書きました、はっきり言って。そして、いつでも責任をその意味ではとる態勢をつくったわけです。心構えをつくったわけです。ただ、だからといってやらなきゃならんことがある。それは、まず訪米であります。 そこで、アメリカへ参りまして、いろんな方にお目にかかりました。これはもう本当によくまあ三日間であんなにたくさん会えたものだ。中には、私は査問委員会にかかるような惨めな思いもいたしました。しかし、総じて行政府は非常に理解を示してくれたし、起こったことはしようがないが、とにかく再発防止に専念してくれ。特に、今は亡きボルドリッジ商務長官が私に対して相談をかけてくれて、いろんな点で私の意見を非常に満足すべき意見であると言って新聞にキャンペーンしてくれた、あの友情を忘れることはできません。ワシントン・ポストに、私の説明したこと、日本政府の決意というものがボルドリッジを満足せしめたというようなキャンペーンまでしてくれたわけであります。それは本当にうれしい限りでありましたが、しかし議会筋は、保護主義を絶対排するという、そういう風潮も強くありましたが、中には非常に厳しい日本に対する批判もありました。批判というより、むしろ攻撃と言った方がいいでしょう。今ここに村岡君たちがおりますが、私どもはあたかも査問委員会に引き出されたような感じすらいたしました。私はそれに対して反論しようとして、通政局長が私に「冷静に」と書いた紙を回してきて、私はそこで今は感情を顔に出しちゃいかぬと思って、自分の心を静めましたけれども、それはひどいものでございました。 ただ、だからといって通産省の責任を私は回避しちゃいけないと思うのです。通産省がやらなきゃならぬ仕事は何か。それは、再発防止ということを徹底してやることだということです。今、一人一人の役人に、あれが責任がどうとかこうとか、こういう探索をする向きも中にはあるようでありますけれども、これは私は絶対に受け入れるわけにまいりません。通産省の役人一人一人を犠牲にして首を切ってみたところで何にもならないのであります。もしそれをどうしてもしなきゃならぬのなら、この田村の首を差し出します。私は自分の首を差し出してでも、通産省の官僚だけは守ってやりとうございます。それよりも、通産省の組織としての責任、これが大きいわけでありますから、今いろいろなことでお願いをいたしております。私がアメリカの行政府に一応の評価を受けた、そして議会の相当数の方々にも評価を受けた、この私のアメリカでしゃべってまいりました内容を早く実行するということが何よりも必要であろう、これが私たちの責任のとり方、このように考えております。 少し御答弁が長くなりましたけれども、非常に重要な問題でございますから、あえて私の心境も申し添えまして、通産省の責任問題についてお答えをしたわけであります。
○小川(元)委員 大臣から責任問題の御表明がありまして、本当に感銘を受けた次第でございますけれども、今後の不正輸出防止策というものをきちっとやっていただきたいということと、それからこれは、ココムというのは対象国以外にも全部承認品目になっておる。これが通常の日本の貿易活動の阻害にならないように、対象国以外について適切な処置を講じていただくことをお願いいたしまして、ほかにもいろいろ質問したいことがあったのでございますが、時間になりましたので私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 水田稔君。
○水田委員 私は、これは既に衆参両院の予算委員会で東芝機械のココム規制違反事件についてたくさん質問されておるわけでございますが、何としても納得できないのは、具体的な証拠はないが一定の因果関係は存在するという政府の統一見解でございます。そして、通産大臣はアメリカへ行かれて外為法の改正、いわゆる罰則の強化、こういうことを公約してこられたということでございます。普通の法律を考えれば、疑わしきは罰せずですね。しかし、この場合は若干の疑いがあってもとにかく罰する、そういう形に事が運んでおる、そういうぐあいに思うわけです。証拠が確実にあるということが国民の前に明らかにされ、国会の中でも明らかにされて、そしてこういう措置をするというなら理解できるのです。ですから、この政府の統一見解では、どうもこれは泣く子と地頭には勝てぬ、そういう形での問題の処理がされておるのではないか、そういう疑念がわくわけでございます。そこで、既に予算委員会でも質問のあったことかもしれませんが、一つ一つの問題について御質問をしていきたい、こういうぐあいに思うわけです。 第一には、ソ連の原潜の音が小さくなった、それは東芝機械のスクリューだ。それで、証拠はないけれども一定の因果関係はある、それで総攻撃をやられておる。大臣もアメリカに行って大変な攻撃を受けた、こういうことでございますが、通産省としては、これはアメリカ側ではなしに日本の政府としていろいろな資料を見て、いつから音が小さくなった、そういう認識を持っておられるか、まずお聞きしたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 潜水艦の音がいつから小さくなったかというふうなことにつきましては、これは通産省で調べる問題ではなくて、むしろ防衛庁の問題でございます。これまでの他の委員会における答弁等を見ましても、七〇年代から潜水艦につきましてはどこの国でも静粛化につきまして懸命な努力をしておるということでございまして、一般的に潜水艦の音がだんだん小さくなっているということにつきましては、防衛庁側からも累次説明いたしておるところでございます。
○水田委員 これが、例えば防衛庁がアメリカへ行って交渉したなら、私はこんなことは聞かぬのです。少なくとも大臣が行かれるのに、向こうから、因果関係ありというようなことで、東芝機械がつくられたスクリューによって音が低くなった、それだけを責められたわけですね。通産省はそのことを例えば防衛庁に聞いて、実際日本の政府としてはこうだったということを持っていかなければ、向こうの国防省へ証拠があるのかということを聞いたところで、これは水かけ論になるわけですね。ですから、これは大事なんです。これから日本の通商上の国益をどうやって守るかというのは通産省の責任ですが、そのために事実をはっきり確認した上で、そうかそれならこうしようということに。ならなければならぬですね。それを、通産省が調べることじゃないという言い方は、私は納得できぬのですね。なぜならば、通産大臣が向こうへ行ってこういう交渉をしてきたのです。外為法の改正まで約束してきたのですから、知らぬでは済まぬ。知らずに行ったなら向こうの言いなりになるということですね。こんな外交はないはずなんですね。だから、よその委員会で言った話じゃないのです。通産省自身が調べて国民の前に明らかにして、だから我々はこうするのだということにならなければならぬと思います。 時間の関係があるからこちらから申し上げますが、資料を読みます。これは公に出ておる資料ですから、当然通産省も持っておられる。ジェーン年鑑なりアメリカの国防総省の報告書、あるいはまたアメリカの海軍の出しておる「ソ連海軍ガイド」、これらに全部載っておるわけです。ですから、東芝機械のいわゆる研磨機が稼働を始めたのは一九八四年末だろうと言われておるのですね。ソ連の潜水艦の音が小さくなり始めたのは一九七九年、いわゆるビクターⅢ級の一九七八年に完成したものから音が低くなっておる。これはどこでも公に出ておるわけですね。それからマイク級が一九八三年、ですからこれも関係ない。シエラ級というのが一九八三年七月の進水、アクラ級が一九八四年の中ごろの進水。ですから、それは大事なことなんですね。大臣がアメリカへ行くのに、アメリカと一体因果関係があるか、証拠があるかということを、機密だというのなら我々に発表しないにしても、国民に言わないにしても、その点は公に出ておることについて国民に疑念がある、それに対して答えろぐらいのことは向こうでやってこなければならぬのですね。これは今まで一番問題になっておるところです、証拠はないけれども一定の因果関係があるというのは。これは事実なんですから。アメリカが公表しておる、ジェーン年鑑で載っておるわけですね。一九七九年ごろから、一九七〇年代の後半というのは一九七九年ということのようでございますが、そういう形で公表されておる。東芝機械の機械が稼働を始めたのは一九八四年末であることも、通産省は東芝機械を呼んで調べておるはずですね。どういうことなんですか、それは。知らないでは済まぬことですから。
○児玉(幸)政府委員 ただいまの水田先生のお尋ねでございますが、東芝機械の工作機械が輸出されましたのは、私どもの最近における調査によりまして一九八二年の暮れから八四年の五月ぐらいまでの間でございます。一方、ソ連の新型の原子力潜水艦につきましては、いろいろなタイプの潜水艦がございますけれども、例えばマイクの場合には八三年五月に進水をして八四年の後半から就役している。シエラ級につきましては八三年七月に進水をして八四年の後半から就役している。またアクラ型という潜水艦につきましては八四年の半ばごろに進水をした、こういうことになっているところでございます。
○水田委員 今の答弁からして、濃厚な嫌疑がある、因果関係があると言えますか。一九七〇年後半から音が小さくなった、東芝機械の研磨機は一九八二年に入った、それだけでは動きません。これは、一番大事なのはいわゆるソフトですから、それが据えつけられて動いたのは、東芝機械に聞いて通産省で調べておるはずです。そうすると、ほかのことはのけてそれだけ、今のいつ機械が入って動き出した、いつから音が小さくなった、その部分だけ。今後のやつは別ですよ。それで濃厚な嫌疑がある、因果関係があると言えますか。そのことだけ答えてください。 それからもう一つ、それでは東芝機械を調べられておると思うのです。機械が稼働するために、これはどこかへ据えつけに行っておるわけですね。どこの造船所へ据えつけられたのか、それも含めて答えていただきたい。これは全部東芝機械を調べたから、どこへ据えつけていつから稼働を始めたということは、明らかに通産省は持っておられるはずです。
○児玉(幸)政府委員 どこに据えつけられたかという点でございますけれども、これは現地に行って確認をするわけにもまいりませんので調査には限界があるわけでございますけれども、私どもの調査によりますと、レニングラードのバルチック造船所に据えつけられた疑いが強いと考えられております。なお、この造船所におきましては軍用の艦船及び潜水艦用のプロペラを製造しているんだという情報がございますけれども、これにつきましてもその事実は確認できてはいないわけでございます。これも確認のしようがないというなかなか難しい問題がある点は、ぜひ御理解をいただきたいところでございます。 それから、東芝機械の出しました機械につきましては、これはプロペラ等の工作を非常に効率よく、かつ精密な加工ができるという機械でございまして、そういったものが出ていったというところがそもそも私どもとしては非常に問題だというふうに考えているのでございます。
○水田委員 私の質問になぜ答えていただけぬのですか。一九七九年から音が小さくなった、機械が稼働を始めたのは一九八四年末、こういうのですね。それまでに音の小さくなった分は、因果関係はあるというよりはむしろない、嫌疑は極めて薄いというのが普通の判断じゃないですか。そうじゃないですかというふうに聞いておるのです。そのことに答えてないですよ。
○児玉(幸)政府委員 確かに、潜水艦の音の小さくなりぐあいの一般的な傾向と今度の機械の輸出との関係がいつからどういうふうにつながっているかということにつきましては、具体的な証拠はないわけでございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、潜水艦の静粛化というものは毎年毎年どんどん進んでいるわけでございます。一方、先ほど私が御説明いたしましたように、東芝機械により輸出されました工作機械というのは、プロペラの研削につきまして大変高い効率で高度の加工ができる機械でございます。したがって、そういうものがソ連の潜水艦のスクリューの製造に使われているであろうということにつきましては、これは非常に常識的に見ても十分考えられるわけでございまして、そういったことを踏まえて因果関係に関する嫌疑は濃厚であるという答弁が行われているわけでございます。
○水田委員 一九八四年末、いわば一九八五年以降についての答えをあなたはしておるのです。私は、一九八四年末まではどうだったんだという。これからはわかりませんよ、量産されるかもしれませんが、じゃ今動いておるのは、例えばマイク級とかシエラ級、アクラ級というのは一隻ずつなんですよ。これはジェーン年鑑に出ておるでしょう。あとはまだ建造中なんですよ。これはジェーン年鑑にちゃんと出ておるでしょう。その部分を私は言っておるんじゃない。あなたはそれで答弁をすりかえてはいけないと思うのです。日本の産業が大変な影響を受ける問題になっておる、この東芝事件の処理のいかんによっては。そういう中に通産省は置かれておるわけですよ。だから、アメリカに対して言えることはやはり言うという態度がなければならぬ。それを、アメリカの言い分をそのままあなたは口移しに答弁しておることになるじゃないですか。 それじゃ別の観点から申し上げますと、潜水艦の音が小さくなる低音化の技術というのは何があるのですか。スクリューだけかえれば音は半分以下に下がる、そういうものですか。
○児玉(幸)政府委員 潜水艦から出ます音というのはいろいろな種類のものがございます。例えば潜水艦が具体的に動きますときに、その船体に何か突起物があればそのことによって水の流れが乱されますが、そういうことから起きる音もございます。それから、艦内にいろいろな機械を搭載しているわけでございますが、そういった機器が回転運動するあるいは往復運動する、こういったことに伴いまして摩擦、接触による機械的な雑音も出てまいります。また、プロペラが回ります、これによりまして発生する気泡、泡でございますが、この泡が水圧によって壊れますときに出ますキャビテーションと言われる音もございますし、また翼が回転いたします際に共振いたしますとそれによる鳴音、そういったものも出るわけでございます。 どの音が何%というふうなことにつきましては、これはとても私どもお答えする能力はございませんけれども、そういったさまざまな要因によって発生いたします音につきまして、各国とも大変な努力をしながら音の低下のために頑張っている、こういうことであろうと認識しております。
○水田委員 その程度の認識でアメリカへ行ったのでは、アメリカでこてんぱんにやられるだろうと思うのですね。 これは参議院の予算委員会ですか、防衛局長は割に正直に答えている。どのくらいスクリューが関係があるかといったら一〇%ぐらいある、そういう記録を見ましたけれどもね。まさに言われるとおりに、一つは、例えば潜水艦の形による造波抵抗の問題がありましょう。あるいは、中におけるタービンなり冷却系統の歯車の関係で出る、あるいは防振装置をどういうぐあいにやるか、そしてスクリューから出るキャビテーションという総動ものでやるわけですね。スクリューだけでもう圧倒的に全部の音が小さくなるものでないことは、私は専門家じゃないけれども、どんな軍事評論家、専門家に聞いてもみんな言われますね。 そして、通産省も御存じだと思うのですが、その上に大変な技術開発がソ連で行われた。そういうことの方がむしろ低音化のためには大きなウエートを占めておると思われるのです。ジェーン年鑑の八五年-八六年版には、例えば、一九六五年に既に一九八〇年代に新しい電気エネルギー源ということで報告がなされておる。それが具体的にアメリカの国防省の報告にも、ソ連の潜水艦はチタン合金を使っておると。私どもも本当に日本の技術は高いと思っていたけれども、日本の鉄鋼は次の素材というのは一体何なのかというと、チタンという金属の製錬というのが一つの課題であろうと思っておる。ソ連は十年進んでおるという話を聞いておったが、現に潜水艦にチタン合金を使っておる。そういう中で、磁気流体発電機というのが予測としてあったのが既に使われておる。ですから、アメリカの海軍研究所のレポートにも、アクラはチタンの船体を持つと信じられておる、進んだ防音技術が導入されていることが報告されておる。また、マイクは明らかにアルファ級に似ておるけれども、チタンの船体を持ち、進んだ流体金属冷却原子炉装置を備えておる。これが画期的なんです。もちろんスクリューも関係あります。そういう中で、スクリューを小型化するということも可能になったわけですね。そういう点はみんな公に明らかになっておるわけです。 そういうものから見る限りは、どんなにしてもスクリューだけでこれだけの攻撃を受けなければならぬ――私は、もちろん東芝機械のいわゆる虚偽の報告によってやった、そのことは許されるべきことではないし処分されるべきだ、こう思いますけれども、それとは別に、起こった事態というものがどういう影響を与えたかということを冷静に受けとめながら、その中で日米関係あるいは諸外国との関係を考えて処理をすべきじゃないか、そういうことでこのことを申し上げるのですが、この現実をどういうぐあいにお考えなんですか。そういうことは主張できないのですか。これはアメリカ海軍あるいはアメリカの国防省も報告で全部それを出しておるのです。ソ連の潜水艦の音が小さくなった例は、全部そういう技術革新が行われた結果こういうぐあいになった。これが量産化される中で、東芝機械のいわゆるスクリューの研磨機が使われることは予測されるわけですけれども、いかがですか。 そういう理解をした上で、そして疑念を晴らすために大臣も、これはアメリカへ行って聞きます、こう言ったのですね。大臣はやはりそういう科学的な認識を持った上で対応すべきじゃなかったか。ですから、聞いたけれどもやはり濃厚な嫌疑がある、証拠があると向こうで言われたという。それはけんか――まあけんかという言葉は悪いですが、向こうどの外交交渉のやりようがないと思うのですね。どうなんですか、通産省は。防衛庁の方が、私は一〇%かどうか知りませんけれども、正直に答えていると思うのです。
○田村国務大臣 実は、米側に対して私は随分いろいろなことを申しました。その向こうの行政府の責任者に申しましたことを一々私がおしゃべりをするわけにはまいりませんけれども、随分私は申しました。私は、スクリュー音の問題その他と言ってもいいでしょうが、先方から説明も受け、非常に嫌疑濃厚という印象は受けました。私は実は、全くの素人ではございますけれども、曲がりなりに造航機械工学を出ておるものですから、旧制専門学校で、それでいろいろなことを聞いたわけです。 それはそれとして、私が向こうへ参りましたのは、とにかく日にちもありませんでした。向こうに滞在三日間、しかもたくさんの人に会うということは、もう夜もほとんど寝ておりません。それは、きりきりと因果関係を詰める、あるいはどういうような影響がいつあったかということを詰める前に、やらなければならぬ仕事があるのです。それは、要するに包括貿易法案、それに東芝グループに対する制裁も加えた上院の議決が目の前にある、それがどう考えても通りそうだ、現実には三分の二以上の絶対多数で通ったわけでありますが。しかも、その後すぐに両院協議会が行われる、これはもう目に見えております、上院と下院の法案が違うのですから。でございますから、もし仮に東芝グループに対して制裁措置を――これは法律でございますから、それが大統領が拒否権も行使できないような圧倒的多数で通されてしまっては、大統領は何といってもこれを執行しなければなりません。そういうことになればどうなるだろう。私は絶対これ以外にないと思っておりますけれども、もし仮に類似の事件が出てきたらどうなるであろう。もし仮に、これは言葉が悪いかもしれませんが、日本の大きな企業グループ、例えば三井だ、三菱だ、住友だ、松下だ、あるいはその他、そういうものに火がついたらどうなるだろう。日本経済は終わると私は思ったのです。大変なことだと思うのです。東芝グループがもし今締め出されたら、それだけで一割のマーケットですから、東芝グループは三千五百億円の仕事がだめになるのです。でございますから、日本経済に及ぼす影響、しかも日本経済は、申すまでもなく資源もない、そして売り手一方の商売でございますから、売り手ぐらい弱いものはない。 そこで私は、とにかく必死になって、日本の社会状態といいますか、一九四五年以来すっかり変わっていった日本の社会の姿、これは水田さんと私と基本的に考え方は違うかもしれません。違うかもしれませんけれども、変わったという認識は同じだと思います。そういうことも説明をし、とにかく鎮静化をさせる。そこで、さっきも小川君に申し上げたように、ボルドリッジのキャンペーンというものは、私はあの新聞を読んで思わず涙がこぼれたのですよ。そういうことで参りましたので、技術的にそのエビデンスを出せ、どうだと言われましても、三日間素人が行ってわかるはずはありません。 ただ言えることは、向こうからいろいろ聞いて、少なくとも私どもは、非常に嫌疑濃厚という印象は受けました。じゃどういうことだと言われたら、それは言うわけにはまいらない。あなたも昔の軍人さんですからおわかりと思いますが、それは、軍が機密を簡単に外国へ証明で出すはずはあり得ぬですよ。今、アメリカとソ連と両方の潜水艦あるいは工作機械を持ってきて、そうして、さあここで解剖してこういうことだ、あるいは時期的にこうだ、そんなエビデンスを求めること自体が私は不可能だと思う。とにかく日本経済を救いたい、どれが私の一念でございました。
○水田委員 大臣、私は日本のいろいろな産業のことを心配して、燃え上がった火を何とか静めたい、そういう熱意に燃えて行かれたということは理解するわけですね。ただし、これまで起こったいろいろな大きな問題を見ると、そういう点では客観的に正しいということを主張しないで、文句を言えば日本が一歩引くということを続けてきた、そういうことはやるべきじゃない、そういうことで申し上げておるわけです。 そして、私が提起しましたのは、政府の統一見解は濃厚な嫌疑がある、こういうのです。私が言ったことを客観的に聞いてください。聞いていただければ、むしろ嫌疑は極めて薄いということなんです。東芝機械を擁護する気はさらさらありません。これはいけません。だけれども、そういう前提に立って、どうやって火の手を消すかということが今日本の政府にとって必要なことじゃないかということで申し上げたわけでございます。 時間の関係であとは別な観点から、一体ココムというのは何だろうということで具体的な例を挙げて御質問していきたいと思うのです。 一つは、一九七二年の八月に、アメリカのブライアント社がミニチュア・ボールベアリングの精密研磨機を百六十八台、これはアメリカの商務省の輸出承認を得て出しております。ただし、ココムへの特例認可申請は出しておりません。この事実を御存じかどうか。そして、このミニチュア・ボールベアリングの精密研磨機が何に使われて、米ソの間あるいは日本を含めてでしょうが、安全保障上どういうことになったかということを通産省はどのように御理解なさっておるか、伺いたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 この事件は、私どもも大分昔のことでもございますので、いろいろ資料をひっくり返して調べてみたわけでございます。 確かに、七三年から七四年にかけましてブライアントグラインダーという会社がボールベアリングの研磨機につきまして正式のライセンスを申請いたしまして、これが認められてソビエトに百六十四台を輸出したということがあったように思います。正式の手続を踏んでおりまして、アメリカの輸出管理法の違反でもないということでございますので、もちろん制裁措置とかなんとかそういうことは一切なかったわけでございます。ただ問題は、それが向こうに行って何に使われたかという点でございますけれども、この点につきましては、正直申しまして私どももよくわからないわけでございまして、マスコミではいろいろなことが憶測されて報道されておるところでございます。
○水田委員 わからぬということを言われたのじゃ、通産省は仕事はできませんよ。 これは、アメリカの国会の中での論議で全部出ておるわけです。記録にありますよ。このことによって、これはいわゆるジャイロスコープの技術に転用されたわけです。これは御承知のように、ジャイロというのは航空計器にもありますけれども、これのベアリングの精度というのが日本とアメリカでは戦前は大変な差があった。それは日本の航空機の性能にも関係したわけでございます。それがソ連のSS18と19に使われて、着弾精度が極めて正確になった。そのために、アメリカのⅠCBMのミニットマンⅢ型の基地が正確に全部ねらい撃ちされるようになったのです。そのために、アメリカのいわゆる安全保障上は大変な脆弱の窓があけられた、そういう大変な問題になった。アメリカの国会で論議された記録はあるわけです。通産省もごらんになっているでしょう。 そういうことと今回の問題で、私が今まで申し上げましたように、私は確かに東芝機械のこの虚偽の申告による違反事件、これは認めるわけにいきません。しかし、安全保障という点で今アメリカから言われておる潜水艦の探知が少しやりにくくなったということと、これだけの正確ないわゆるSS18や19がつくられて脅威を与えるということとどっちが重いでしょうか。恐らくほとんど変わりはないんじゃないか。そういうことを通産省は十分承知をしてないというようなことで、ココム問題全体の流れを考える場合に、これは怠慢と言わざるを得ぬと思いますね。いかがですか。 アメリカの国会の論議のあれは、ここに原文全部あります。何でしたらごらんいただいて結構です。載っています。
○児玉(幸)政府委員 ココムでは、各国寄り集まりましていろいろそれぞれの立場から議論をいたすわけでございまして、ただいま先生御指摘のブライアント社の件は、いずれにいたしましてもアメリカが輸出管理法に基づきまして許可をしたものでございます。私どももお互いにココムに加盟しております国がどういうふうなものを輸出するかということにつきましては、それなりに気をつけて事実の把握にも努力いたしておりますし、また必要があればそういう委員会の場等でも議論をしておるところでございますが、この件につきましては何しろ古いことでもございますし、現時点において私どもで特に具体的にどうこうしたということはございません。ただ、いろいろデータもあるわけでございますから、引き続き私どもといたしましてもよく事実関係も究明し、今後の私どもの対応を考える場合の参考にいたしていきたいと思っております。
○水田委員 もう一つは、一九七二年にIBMです。これは多国籍企業ですからどこのIBMかわかりませんが、IBMが三六〇、三七〇型のコンピューターを、これは今度の東芝機械と同じように許可を受けずにソ連に輸出したわけです。今日のソビエトのリヤドというシリーズのコンピューター、これが全部つくられておるわけです。これは御承知でしょうか。
○児玉(幸)政府委員 七二年のことでございますが、IBMの三六〇あるいは三七〇シリーズというものがアメリカからソ連に輸出されたのかどうか、ちょっとその点につきましては、恐縮でございますけれども私どもとしては今の時点では事実が確認できておりません。
○水田委員 これもアメリカの科学技術担当の国務次官であるウィリアム・シュナイダーが国会の中で報告しているわけです。ココムというのはいわばこういうような運営がされておるので、まだ幾つか事例を挙げますけれども、それではこういうことがあったことは御存じでしょうか。 一九七九年の五月にいわゆる大型コンピューターを、これはアメリカのIBMでしょう、輸出しようとしたら商務省は許可しなかった。同じ容量のものをフランスがフランスの国益という判断でソ連に輸出した、こういう事実があります。これもアメリカの上院の国際財政小委員会で正式に報告されておることでございます。 それから、ココムの特例認可というのは御存じだと思うのですが、これの推移を見てみますと、一九六二年には百二十四件出て、アメリカは二件ですから一・六%。一九七八年には、特例認可の申請千六百八十のうち千五十、アメリカが認可申請を出して、これは全部認可になっておるわけです、これは全体の六二・五%。一九七四年から七八年までの間を調べてみますと、五千二百五十一件の特例認可申請が出て拒否されたのが百一件、これは一・九二%です。アメリカは全然拒否されていない、アメリカ以外が百一件拒否されておる、こういうこと。さらには、日本の日立が中国へコンピューターを輸出し上りとしたときにアメリカは拒否権を使った。その後アメリカのIBMが日立のコンピューターよりさらに容量の大きいものを出してきて、通産省がけしからぬということで拒否した、そういう事件がありましたね。そして最終的には相打ちということで、その後両方の輸出を認めたということがあります。あと幾つも例がたくまんありますけれども、一体ココムというのは何だということを私どもは疑問に思わざるを得ぬのです。 それからもう一つ大事なことを聞いておきますが、ナショナル・インタレスト・エクセプションということは、通産省、御存じでしょうか。
○深沢政府委員 お答え申し上げます。 先生御案内のところでございますけれども、ココムの場合、戦略物資の自由主義諸国から共産圏へ流出することを規制いたしまして、共産圏諸国の軍事力の増大を抑制するということにまさに性格、目的がございますけれども、ココムの場合に、これは御案内のとおりいわば紳士協定でございまして、それで自由主義諸国が協議、協調してやっていこうとしているわけでございますけれども、ここで申し合わせた話につきましては、各国の体系の中でそれをこなしていこう、規制していこうという性格のものでございまして、御案内のとおりでございますでしょうけれども、行政例外とか一般例外、そういったやり方等々におきます仕様というのはそれぞれにあるわけでございます。
○水田委員 質問に答えてもらってないです。国益上の例外措置というのは者国ともやっておるわけですが、特にこの点は通産省御存じですか。 アフガニスタンの事件が起きたときに、アメリカのカーター大統領は各国に対して、いわゆるココムリストに載っておるものは一切特例認可を認めない、こういう決定をさせたわけですね。ところが、この期間というのは一九八〇年から一九八三年までの間でございますが、どこの国とも相談せず小麦、穀類をソ連に一番に輸出したのはアメリカですね。これは御承知ですね。米の問題で日本を攻撃しておりますけれども、ソ連に輸出する小麦に約四〇%の補助金をつけて今日輸出していることは通産省御存じですか。そして、この期間にアメリカが、外国に対しては一切特認さえ認めないと言いながら、国益上の例外措置として数千件の輸出をしていることは御存じなんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。
○深沢政府委員 農産物の関係につきましては通産省の所管外でございますものですから差し控えさせていただきますが、先生御指摘の七九年-八一年、あの辺のアフガニスタンへの軍事介入、ポーランド事件などを契機といたしまして、確かに対ソ高度技術関連につきましてその輸出に非常に厳しい態度でアメリカは臨んでおります。ただ、アメリカは片方で例外をやっているという御指摘がございましたが、アメリカにつきましても我々は実態をつまびらかに承知しているわけではございませんけれども、アメリカ自身がココムの合意とかその辺のところを無視したり、そういった手続によらずに一方的にココムのいろいろなやり方、合意等を緩めたというふうな事実は、私ども承知してございません。
○水田委員 私は何も証拠のないものを言っているわけではない。全部裏づけの証拠を持って申し上げている。そんなことを知らずにココムの対応ができるのですか、通産省は。例えば穀類は農水省の問題でしょう。しかしココムということで考えれば、戦略物資ということで考えれば、例えば西ドイツの経済大臣は、けしからぬじゃないか、そこまでやかましく言うのなら、アメリカの小麦でソ連の兵隊を養っているのじゃないかという公然たる発言もしているわけですね。そういうことを十分知らないでやれるわけはないのです。 ですから、私が今例を幾つか申し上げたのは、一体ココムというのは何だ。答弁もありましたように、これは国際法上の条約や協定でないわけですね。紳士協定であります。そして実際に揺れ動いたものは、まさに技術優位の国が自国の通商上の利益を追求するために利用してきたものじゃないか。大臣、そういうぐあいに思われませんか。
○深沢政府委員 今、先生御指摘ございましたけれども、要するにココムにつきましては、本当に各メンバー国の共通のコンセンサスのもとにいろいろな輸出管理が行われておるわけでございまして、アメリカが言うなれば御指摘のような恣意的な運用ということをできるような形ではないというふうに承知しております。
○田村国務大臣 この問題は役人の答弁だけではいかがかと存じますから、私から一言申し上げておきたいと思います。 率直に言って、ココムということに限定しないでも日米問題については私だって言いたいことは山ほどあります。半導体の問題にしても何でも言いたいことは山ほどございます。我が国だけが一方的な被告の席に者かされることはありません。しかし、だからといって今貿易インバランスにいら立ちを感じておる、しかも自国の財政赤字の膨大さ、そして対外純債務の累増、そういうことで政府もつらいでしょうけれども、アメリカの議会のいら立ちというものは、これは実際に議会へ行ってみなきゃわからぬ。それは世の中に、日本の国会議員でテレビの前で外国の製品をハンマーでぶち割ったり、外国を名指しでののしったり、こんなことがあるでしょうか。ドイツはまた強いですよ。ECという膨大なマーケットを持っているのです。はっきり言って強いです。日本はどういうことなんでしょう。日米貿易量は千百億ドルです。それからアメリカとEC全体が千三百億ドルです。日・ECはわずか四百四十七億ドルです。つまり日本の貿易というものはアメリカとだけででき上がっておると言っても過言ではない。だからこそ私は三極分散しろ、そして途上国に対してもっと眼を向けろと叫んでおるわけです。アメリカだけに依存する日本の貿易の姿を変えろ、こういうことを言っておるわけなんです。けれども議会のいら立ち、しかもああいう、私どもから見ればとんでもない法案ですよ、それが三分の二以上の絶対多数で、大統領の拒否権すら発動できないような状態で通っていく。 私は、それはいろいろと御説明申し上げたいことはあります。率直に言って、因果関係でも私だけが聞いた話もあります。役人たちを遠ざけての話もあります。しゃべった人は死にましたけれども、あります。ありますけれども、それは国家間の信頼問題がありますから言えないのです。ただ、日本が居直ったらどうなるか。私は国粋主義者になりたいですよ、はっきり言って。それがなり得ない。今日のこの社会的、経済的な日本の混乱、パニックを何とか防がなきゃならぬという、とんでもないときに通産大臣を引き受けたと思っておりますが、とにかくこの我々の心情はお察しを願いたいのです。きりきり詰められて答えられる問題ではないという、これはもう水田さんが一番御承知、どうぞひとつ御理解を願いたいのです。
○水田委員 大臣にああ言われたら質問ができぬようになりますが、私も日米関係というのは日本経済にとって極めて大きなウエートを占めておると十分理解しております。しかし日本は、アメリカだけじゃなくて、多くの国々と関係を持っておるわけですね。そういう立場で、やはりココムというのはいわゆる条約になり得ないのはなぜかということも十分お互いに知っておるわけです。そこで、余りにもそれを逸脱するような、先ほど来言っWておるように少々じゃないのです。アメリカが特認でやったり国益上の判断でやっておるのはいっぱいやっておる。だから、これは国内の問題として対外的にきちっとやるということが大事なんですね。それ以上のことを言われる筋のものじゃないわけですね。だから、東芝機械という問題について国内できちっとやったらいい。 そこで私が申し上げたのは、そういう形でいわゆる技術優位の国が自分たちの利益のためにうまく利用してきたということが流れの中にあるじゃないか。だから、日本の通産省も、私はこれまではいいスタンスでやってきたと思うのです。というのは、いわゆる安全保障と通商上の利益という国益のバランスの上に対応してきた。ただ、ああいう虚偽の申請をするのが出てくるからいけませんけれども、これは企業のモラル、日本の財界のこれからの一つのモラルの問題として考えなければならぬと思います。ですけれども、アメリカで約束してこられたいわゆる外為法改正ということまでいきますと、これは今まで安全保障という問題と通商上の利益という、いわゆる日本のバランスをとった国益ということでやってきた、通産省はそういう態度だったと思うのです。今度はアメリカとこういくわけですね。これは、ヨーロッパの各国とアメリカではその点で大変な違いがあるから、片一方は条約にしろ、それはしないということでやってきた。今まではそういうヨーロッパ並みのココムに対する対応をしてきた日本が、まさにアメリカ一辺倒になるということになれば、これは確かにアメリカとの経済関係は大変深い。深いけれども、ヨーロッパとの間に経済摩擦がないわけじゃないのです。あるいは、例えば日本の隣、遠い国みたいだけれども、ロシア共和国というのが隣にあるわけですね。そことの関係等も、いわゆるグローバルに日本がこれから生きていくということを考えていけば、ただアメリカからしゃにむにやられるからそれだけしのげばいいということでは、これは日本の将来を誤るのではないか。そういう気持ちがするから申し上げるわけでございます。 そういう点について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○田村国務大臣 私は、今の水田さんの御意見はまさに通産省に対する頂門の一針だと思う。率直に言ってそのとおりだと私は思います。 この問題も、ここまで事が面倒になる前に、臨調もくそもあるか、この検査官だけはもっとうんとふやせと言う勇気を過去に持たなかったというところに、私は大きな失敗があったと思います。これから予見性を持ってどんどんと言うべきは言い、行うべきは行う必要がある。 ただ、私はもちろん人種差別があるとは思いません。絶対にそういうことはないと思いますけれども、ドイツの場合は同じ黒字国であってもECという大きなマーケットを持ち、かつ、アメリカ合衆国という国はヨーロッパの人々の集合体であるという特殊な事情も我々は認識しなきゃならぬと思うのです。決して人種差別があるとは思いません。アメリカは非常にデモクラシーの発達した国でありますから、それはないと思いますけれども、しかし今言ったようなより一層の親近感がある。例えばアメリカの閣僚なんかに会う。例えばクレイトン・ヤイターに会うと、楽しそうにうちの女房はアイルランドの出身でね、こういうことですね。アメリカへ行って大統領やミニスターが、向こうではセクレタリーと言うのだそうですが、それがうちの女房は日本自身でねと言うのがあるでしょうか。 しかも、その日本が一番大きなインバランスを抱えておるということ、そうしたアメリカのいら立ち、そういういろいろな点で、私はこれから通産省は予見性で勇気を持って、時には政府全体のその時点における基本政策に反してでも要求すべきは要求し、備えるべきは備えるということをしなければならぬのじゃないか、しみじみ今度はそれを感じてまいりました。なぜもっと早く人員を百人なら百人にしておかなかったかとつくづく思いました。外為法の改正なんて、こんなもの好んで出すものじゃありませんよ。私は、これから外為法改正の委員会を考えると本当にうんざりします。けれども、それをしなければならなくなったのです。これもひとつどうぞ御理解を願いたいと思うのであります。
○水田委員 そこで、国益を考える場合に安全保障と通商上の利益というものがある。そのバランスを考えなきゃならぬのですが、今東芝機械事件が起こって、まあこれは通産省も大変限られた人数で、実際には作業できないということですね。法案をつくったりなんとかそんな作業に追われて、エレクトロニクス製品や工作機械などの新規の商談が事実上ストップしてしまっておる。東芝だけで影響が三千五百億というのですから、これは松下その他のこの関連の工作機械を含めて言うと何千億円、恐らく兆になるのではないか。そういう経済的なマイナス、ダメージを現に今受けておるわけですね。これは大変なことなんです。ですから国益を考える場合、日米関係あるいは安全保障という面と同時に、これだけのことを受けておる、この国益をどうするのかということになるわけですね。 それで、例えば東芝機械が処分されることは仕方がない、悪いことをしたのですから。しかし、東芝は関係ないですよ。関係ないそこの労働者が、もう何人人員整理になるとかそういう心配をしなければならぬ。あるいは、新しい分野で今まで輸出しておったものも、どうもこれはひょっとしたらクレーム、今まではもうフリーパスでいくぐらいのものでも、とにかく若干のICが使われておれば、出してまた変なことになったら、東芝機械のようにやられたら大変だからというので、今まではフリーでいっておるものでも出すのを控える。 こういう形の中で、そこらあたりはいわばこれから日本が生きていく、シフトしていこうとする産業ですね。今、基幹産業を中心にこれだけ大変な産業構造の転換をやっておる。これからシフトしようというところが今の状態では、たちまちの問題と将来の問題で大変なことになる。そういうことについて、働いておる連中は全く責任はない。責任がないのにそんな目に遣わされる。こんなことが続けば、大臣は日米関係を大事にしたいと言うけれども、日本の国民の中には、最初の因果関係を含めてアメリカというのはむちゃじゃないか、理不尽なことを日本に何ぼでも言うじゃないか。世論調査してごらんなさい。恐らく日本の国民の中の今までの親米、大半がそうだったけれども、おかしいぞという形でどんどんアメリカは信用できぬというふうになっていきますね。そのことも、この日米関係を考える上で、ココムの処理の問題で考えるべきことじゃないかと思うんですね。 たちまちの問題を通産省はどういうぐあいに処理されるか、お伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 私が訪米して幾つかのことを彼らに言明してきた、まあとりようによっては公約と言えるでしょう。私は言明をしてきた。それはまさに今おっしゃったことに尽きるわけです。そのためにと言ってもいいわけです。 例えば半導体の場合、電動工具が何の関係がありますか。それが報復です。かわいそうに、電動工具で働いておる労働者たちは一体どんな目に遭いましたか。今度だってそうです。東芝機械がやられるだけでも困りますよ。ココムというものは国内法で処分するものであって、外国からとかく言われる筋のものじゃありません。ココムというものは、アメリカを盟主にしてつくられた、我々がその弟子どもであるという、そういう紳士協定ではありません。日本もアメリカもともに同じ立場に立った、加盟国が全部同じ立場に立った紳士協定でございます。ですから、先ほど申し上げたように、そういう点では言いたいことは山ほどある。けれども通用しない。だからこそ私は必死の思いで、松永大使と二人で本当に泣くようにして走ったのです。 例えば、考え方が違うのです。東芝の会長、社長がやめた。向こうがあんなのなぜやめたのだと言うから、私は、いや東洋人的な深さなんだ、関係はないけれども、責任はないけれども、いわゆる本家として、本家の大将として責任をとってやめたんだ、こう言ったら、ばかなことを言え、責任逃れで逃げたんじゃないか、今ごろはのうのうとゴルフでもしておるんじゃないかというとり方ですよ。全然違うのです。私はクレイトン・ヤイターに、おれがやめることによって少しでもアメリカの国民の感情が和むのならいつやめてもいいよと言ったら、おまえ、それだけはするなって、それをしたら通産大臣まで逃げたかとアメリカ人は言うよ、こう言うのです。生きるに生きられず、やめるにやめられずというようなことで、本当に地獄のかまゆでのようなものですよ、実際。 そういうふうに考え方の基本が違う。ですから、私はここではっきりと割り切りました。それは東芝グループだけじゃありません。先ほども言ったように、これからそういうことは万々あり得ないこととは思うけれども、もし仮に類似の事件が出てきたとき、経営者はそれはお金があって財産もあるからいいでしょうよ。やめたって、社長だか会長になった人はどのみちもう先の長い人ではないのだから、悠々自適でしょうよ。そこで働いておる労働者は一体どうなるのです。例えば今、過疎現象が激しいと言っておる。我々の郷里でもありますが、そこへ若者たちが失業して帰ってきたらどうなるのです。私はそれが恐ろしいから、通産大臣として割り切ってアメリカと交渉しておる。私があえて小村寿太郎だということを申し上げたのはそれなんです。 私は率直に申し上げます。日本の一企業のために奔走しておるのじゃありません。今後の日本の国益のために奔走し、それが派生的に日本の労働者たちを救うことになれば、それにつながればという気持ちでやっております。特定の資本家のために働いておるのじゃありません。これははっきりと申し上げたいと思います。資本家は何もしないでも食っていけるのです。これは全く水田さんと私と、今おっしゃったことと同意見でございます。どうぞ私の心中をお察し願いたいのであります。
○水田委員 高邁な理念と決意のほどは十分聞かせていただいた。現実にこうなっておるそこの労働者に対して、たちまちを通産省はどうされるか、これは局長、審議官で結構ですが、お答えいただきたいと思います。今、決意だけわかった。それでアメリカでやってきたことはわかった。では今、日本で起こっておることに対して、具体的にどう雇用不安を解消していくのか。あるいは今まで何にも関係ないのが、みんな企業が恐れて、フリーパスでいけるようなものまで抑えていくというような通商上の状況が起こっておる。そういう点で失われるいわゆる国益というものをどうやって確保していくのかということを、これは大臣でなくて結構ですからお答えいただきたいと思います。
○深沢政府委員 確かに、いろいろな申請が出てまいりました場合に、いろいろその反省に立ちますと、どうしても注意深く慎重に審査する等々の姿勢というのが出ざるを得ないことは正直なところでございます。 かといって、現在それにいろいろ対応するのに、人員の拡充等につきまして、これまでの間は四十数名ぐらいでございましたけれども、何とかほかの人員をかき集めまして六十数名ぐらいにし、それからまた先ほど大臣もお答えいただいておりますように、予算要求等におきましてもそれを倍ぐらいに拡充していくような方向でもって今後考えさせていただき、それでしかもやり方におきましてはやはりなるべく効率的に、それから重点的にやっていくべくこれから努めていく所存でございますし、要するに適正な手続で適正な輸出が行われる分につきましてはまさに円滑にやっていかなきゃならないというのがその本旨でございます。そういった方向に向かって努力してまいるつもりでございます。
○水田委員 実際には逆な方向で通産省の対応は行われておるわけです。だから、ほとんどとまったということなんですね。ですから、業界もそういう点では将来に対する不安、東芝機械みたいにやられてはかなわぬ、こういう思いがありますから、そこらをきちっと通産省の――これは大臣が言われたのですよ、国内法の問題なんですよ。条約で縛られてどうこうではないのですからね。そこを国内できちっとやる。業界もこういうぐあいにやる。それで問題ないものはどんどん出せ。これは国益を守るためのことですから、そういう点が全くされずに、まだ外為法の関係を改正しようというようなことでうろうろしておるから、そういう体制がきちっとできぬわけです。それが雇用に極めて大きく影響しているということを頭の中に置いて取り組んでいただきたいと思います。 そこで大臣、これは政府の公約ということになっておるようですが、大臣がアメリカへ行かれて外為法の改正をする、こういう約束をしてこられたようです。これはいつごろとにかく出されるのか。あるいはまた、新聞ではいろいろ報道されておりますが、改正点というのはどういうことを考えておられるのか、伺いたいと思うのです。
○田村国務大臣 まず内容でございますが、罰則を今の三年から五年にする。したがって、時効も三年から五年になる。それから行政罰を、今の一年を三倍程度にしたいということが大体骨子でございます。 提出は一日も早く、できれば閣議決定は月内にしてもらいたいということは、向こうにお盆はないのでしょうけれども、お休みになるのです。それで両院協議会に入る前に、両院協議会というかサマーバケーションで彼らが散っていく前に、日本の決定というものを――議会の決定は別ですよ。これはもう向こうも割り切りはいいと思います。日本の政府の決定というものがすべて公的になされるということになれば、それで彼らはそれぞれ選挙区に帰るでしょう。そして両院協議会に、いつになるか、八月の末か九月か臨むでしょうが、とにかくその前に何らかの決定をしておきたい。お互い国会議員というのは、特に下院議員というのは、選挙区へ行く前に何らかのインパクトを受けておかないと、帰ったら強いことを言いますからね。言ったら引っ込みがつかなくなりますから、その意味では私は一日も早く、総理には今月中に閣議決定できれば提案してもらいたいということを強く迫りました。
○水田委員 先ほど大臣は、外為法の改正はしたくないような御発言があったわけです。私は本当にやめた方がいいと思うのです。先ほど大臣の答弁にありましたように、これは国内法の問題であって、外国からとやかく言われてするんじゃない。それの管理運営の問題、今度の問題はそういう問題だと思うのです。 ですから大臣、そんなことをやりますと、外為法というのは御承知だと思うのですが、「外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、」制限をさらに厳しくするということですね。そして「我が国経済の健全な発展に寄与することを目的」としているわけですから、今でもココムの関係というのは、ココムということは一つも書いていない。リストがついているということでございますが、それをさらにとにかく規制をするということになれば、これはまさに先ほど来ずっと言ってきました、改正しないでも現実に通商上の利益、国益を失ってきておる。国益を守るという点では、これはすべきではないじゃないか。特にこの法律の中にも、通商上の利益を守ることを目的とし、規制は「必要最小限の管理又は調整を行う」、こういうぐあいに限定しておるわけです。外為法というのはそういうものなんですね。 その趣旨に反することになることは間違いないし、一九六九年のココム裁判というのは御存じだと思うのですね。事案は違いますけれども、この中でやはり基本的人権に反するという、ココムの問題はそういう判例もあるわけでございます。これは大臣、先ほど来言いたいことも全部言えない、そういうお気持ちもよくわかるわけでございますが、立場上出さざるを得ぬではありましょうが、今私が申し上げましたように、我々としてはこれは出すべきでない、反対である、こういうことだけ意思表示をさせていただいておきたいと思うわけでございます。 そこで、今度の問題を通じて、通産省は例えば今十人の安全保障貿易管理室、全体で六十三人、これを八十人にする。今度の事件のようなことを相手がうそをついて完全にごまかしをやった場合、これは恐らく見抜けぬでしょうね。同じようなことが起こってくるのではないかと思うのです。大事なことは、私は、いわゆるGNP一〇%国家になった、貿易収支の黒字が一千億ドルに達した、そういう経済力を持った国の企業なり財界というもののモラルというものが問われておるものじゃないか。それがなければ、通産省のこのココム関係の管理者を三百人にふやす、アメリカ並みに五百人ぐらいにしたって、これは絶対守れるものじゃないと思うのですね。ですから、本来法律改正とかあるいは人数をふやすということじゃなくて、これは我が国のこれまでのスタンスは間違ってないわけですから、そういう点からいえばむしろ通産省としては、個々の企業もしくは財界全体に稼げばいいという、社会的責任は税金払ったらいいんだということでは通用しない社会に日本の経済が今日あるんだということをもっと十分、これは政治の場面でもそうですね。ですから政界、財界を含めてそういうスタンスに変えていくことの方が大事なんではないかと思うのでございますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○田村国務大臣 まず最初に、私は外為法に余り賛成でないというような印象を受けたというお話でございましたが、印象でございますから、特に私が申し上げることもないのですが、過去において人員等の十分な対応をしておったならばここまで来なかったであろうということを申し上げたのでございますから、その点は御了解を願いたいと思います。 それから企業のモラルの問題、そのとおりでございます。率直に言いまして、日本の企業が金もうけ主義、特に大企業がシェア拡大主義をとっておる今日、もうだめです、これは。これはやはり企業に考えてもらわなきゃならない。例えば、どこのだれということを言うわけじゃありませんけれども、私がアンタイドのローンというものをどんどんと途上国に出した方がよいと思う、だから今度そういう政策をとったんだがと言いましたところ、ある大企業のトップの方が、アンタイドのローンとは何だ、銭もうけならひもつくのは当たり前じゃないかと私に食ってかかって、大げんかになったことがあるのです。私はやはり日本企業のモラルというか、要するに平たい言葉で言えば商売人としての常識といいますか、あえて良識とまでは言わぬけれども、常識というものは持ってもらわなきゃならない。これから通産省が仮に企業に接する場合に、必ずそのことは常に一言つけ加えて接するようにと私は申しておりますが、確かにおっしゃるとおりでございます。
○水田委員 ぜひそうお願いしたいし、それは単にココム問題だけじゃなくて、私はこれからの日本の経済を考えれば、海外経済援助の場合もやっぱり同じことがあるのですね。ですから、そういう点では通産省、これは外務省の関係が多いわけでございますが、ぜひそういうお気持ちで取り組んでいただきたい、こういうぐあいにお願いしておきます。 外務省おいでになっていますね。この外為法の一部改正について、外務省が法定協議を強く主張している。そして、けさの報道によりますと「法案盛り込み有力通産・外務両省の協議」、こういう報道もあるわけでございますが、一体外務省はどういう観点でこの法定協議をやろう、こういうぐあいにお考えになっておるのか、まずお伺いしたい。 そして、先ほど来ずっと論議をしておりますように、安全保障ということといわゆる通商上の利益というのは、国益ということを考えれば片一方がすべてじゃないわけですね。そういうバランスを考えなきゃならぬ。外務省が法定協議を主張してそれがもし法案の中に入るとしたならば、今後の日本の産業の将来あるいはまた貿易にどれだけの影響があるかということをちゃんとお考えになった上でそういうことをやっておられるのかどうか、お伺いをしたいと思うのです。
○赤尾説明員 私たちは、今回の東芝事件の発生というのは非常に遺憾なことであったというふうに思っております。で、果たして今までの輸出管理体制というものがよかったかどうかということをいろいろと考えたわけでございますけれども、何か国際的な平和と安全からの管理体制の面が弱かったんじゃないだろうかというふうに認識いたしまして、今度の外為法の改正というのはそういう視点も踏まえて検討されている、あるいは検討するのが望ましいのではないかということで通産省とも話し合っております。 その一環といたしまして、外務省は今先生御指摘のとおり、通産省に対して法定協議の条項を盛り込んでいただきたいというふうにお願いをしているわけです。その理由といたしましては、安全保障問題を含む対外政策あるいは外交面を担当する外務省と、他方において貿易あるいは国内の産業等を主管される通産省との間で、この二つの省の間で複眼的にバランスのとれたチェックを行う、そういう体制をしくのが望ましいのではないだろうかということであります。 ですから、法定協議といいましても、例えば輸出審査をされる過程で非常に国際的に見て外務省と相談をした方がいいというような案件が出てきたら、通産省の方から外務省の意見を聞いていただく、あるいは外務省の方におきまして、国際的な安全及び平和という点との関連、特に例えば外国の方からいろいろと情報等も入ってくるわけなんですが、そういう情報をキャッチしたような場合には即刻通産省にお伝えして、果たしてその特定の案件の承認がいいのかどうかということを御相談していただきたいということをお願いしているわけです。 もう一つ、余りその点を強化すると貿易が阻害されるのではないかという御指摘でございますけれども、私たちはあくまで自由貿易というのが原則でございまして、ただ安全保障の視点もそれに加味してやる必要があるということで、これは従来からそういうふうに運用されてきているというふうに思っております。今度の外為法の改正におきましても、あくまで安全保障面の体制の整備ということだけでありまして、先ほど通産省からもお答えがありましたように、適正な貿易はどんどんやっていただくということでありまして、今度の法改正によって貿易が一層阻害されるということはないと思っております。
○水田委員 時間がありませんから、私の意見だけを申し上げておきたいと思うのです。 外為法というのは、先ほども申し上げましたように、本来経済、貿易の健全な発達を目的としておる。安全保障という考え方というのは、本来これにはなじまないことなんですね。しかも安全保障というくらい、言葉はあってもその具体的な、じゃあ何と何をどういうぐあいにするかということがあいまいなものはないわけでございます。今まだ外為法の改正も何もされておりません。けれども、この東芝機械事件で、先ほど申し上げましたように恐らく一兆を超すような経済的な国益を損なうという事態が起こっておるところへ、あえて外務省がさらに健全な貿易を発達さすことにくちばしを出すということはむしろ国益を損なうものだ、私はこういう意見だということを申し上げておきたい。 むしろそれよりも、今度の東芝機械事件で外務省のとった態度、ノルウェーと比べて大変な違いがある。一つは、東芝機械事件というのは、情報としては通産省より外務省の方が早く持っておったですね。アメリカの国内の状況とその事態の認識というものとそれに対する対応というのが、ノルウェーに比べて日本の外務省は極めて悪いわけでございます。ノルウェーはすぐ国防大臣が訪米して、国内的な措置もすぐ行う。そればかりではなくて、アメリカ駐在大使がアメリカの全議員にコンダスベルク社の問題についての手紙を出す、そういう努力をしておる。日本の在ワシントン大使館はそういう点は何もしないで、田村通産大臣が行くまで火の手がぼつぼつと上がる、それを手をこまねいておる、そういうことの方がむしろ問題じゃないか。これは外務委員会ではありませんから、あす外務委員会がありますから、そこで外務大臣の責任は我が党の議員から追及していただきますが、私は、この問題について外務省が外為法にとかくの口出しをすることは日本の国益を損なうという意見だけを申し上げまして、この点を終わりたいと思います。 続いて、この点は一体どうなっておるのかというのは、東芝機械というのは東芝が五一%持っておるけれども全く別法人、それにもかかわらず親会社の東芝の会長、社長は辞任するということになったわけです。契約の商社、当事者は伊藤忠だということが報道されておるわけでございます。伊藤忠というのは通産省も調べられておるでしょうが、この事件に関してどういうかかわり合いを持っておると調べた結果、御判断なさっておるのかということをお聞きしたいと思うのです。
○深沢政府委員 先生御指摘のとおり、伊藤忠はこの機械の輸出のセラー、要するに売り手でございます。それで、買い手はソ連のしかるべき公団でございます。それで、国内におきまして東芝機械と伊藤忠の間でいろいろございますでしょうけれども、その間におきます技術的な責任につきましては東芝機械がすべて負うような体制になっていたようでございます、 いずれにしましても、契約の当事者としてその内容は、聞くところによりますと内容につきましての事実関係は伊藤忠として知らなかったわけでございますが、まさに契約の当事者としてこの問題にかかわっていたというところでございます。
○水田委員 そこまではっきりしておって、伊藤忠というのは全く何らの措置もないのですか。東芝という全くかかわりのない別法人が三千五百億の売り上げ減という大変なダメージを受けておるときに、言葉が悪いかもしれませんが、正式の契約をした当事者ですよ。機械的なことはいろいろあるけれども、いわばこの東芝機械事件、いわゆる九軸の研摩機を輸出した当事者なんです。共同正犯、この言葉はよくないですけれども、普通泥棒しても、これも例が悪いけれども、見張りをしても共同正犯ですからね。まして一番表に立ってやったところが何らのあれもなくて、そうでないところが大変な被害を受けるというのは片手落ちではないかというぐあいに思うわけです。
○深沢政府委員 その点につきまして、要するに不正にあくまで積極的に関与したのであろうかどうであろうかという点につきまして、明確な証拠というものが私どもとしまして確認はできなかった次第でございます。したがいまして、東芝機械に対しましては行政制裁にしろ法的な手続をとらしていただいておったわけでございますけれども、伊藤忠に対しましては法的な手続というよりは、まさに今申し上げましたような明確な証拠がなかなか確認はできなかったものの、先生も御指摘のように契約の当事者等々でございますので、行政的な指示を、三カ月間工作機械の輸出をストップしたというところでございます。
○水田委員 東芝という会社は全く関係ないのです。それでもアメリカからあれだけの攻撃を受ける。これはまさに東芝をたたくためにしつらえたあれじゃないのか。ロン・ヤスということをよく言われるのです。ロン・ヤス関係で伊藤忠はこらえてもらったのか。あそこに中曽根ブレーンの人が顧問でおられたわけです、今度は相談役か何かに変わられたか知らぬけれども。日米関係というのはそんなものかということを国民は思いますよ。ですから、通産省はその点は法律に照らして、例えば東芝の会長、社長は今度の事件に関しては全く関係ないけれども辞任した、そして片一方では、アメリカから法案までつくってこれから五年間にわたっての大変な制裁を受けるということになっている。だから、通産省としては知らぬといえども、東芝に比べれば関与の度合いというのは非常に重いですよ。それが何にもないということは、恐らく国民としては納得できぬだろう。ですから、これからの企業のモラル、財界のモラルという点からきちっとしたことをすべきじゃないか。これは答弁はよろしいです。 時間がありませんから、最後に大臣にお伺いしたいのです。 ずっと申し上げてきましたように、これまでにアメリカが日本へ、例えばIBMと日立、三菱の争いがあった。最近でいえば沖電気ですか半導体、これはどうも向こうからおとり捜査の形でやられたのではないかというようなことがある。しかし、日本はそれで大変な目に遭ってやってきた。そして米を含めた市場開放は、国民から見ると、それぞれ影響を受ける業界では強圧的と思われるような要求がされておる。SDIの研究参加もそうです。特に今度の東芝機械事件を通じて、ワインバーガー氏がおいでになって一番に言ったのは、東芝機械はけしからぬ、ソ連の潜水艦の音が小さくなった、こう言っておいて最後にFSXを共同開発、すべてそういう形で流れてきておるわけですね。こういう日本に対するアメリカの長い戦略というものがあるのではないか、それをちゃんと見きわめて対応しなければ、日本のこれからの科学技術なり産業というのは大変なことになるのではないかということを感ずるのですが、大臣はそういう点についてはお考えになったことがあるでしょうか。個々に起こる問題ではなくて、流れとしてもどうも何かあるのではないかということをお考えになっておられるかどうか、聞きたいと思います。
○田村国務大臣 これだけは、一番私の率直なお答えを申し上げれば、わからぬということなんです。実際に僕はわからぬのです、そういう戦略があるかどうか。アメリカという国は、退官をすると手記というのを出して秘密を暴く癖がありますから、その手記を読むまでしっかりわからぬ、率直に言ってそれしか言いようがないと思います。 ただ、東芝がやられて伊藤忠がやられないのはどういうことだとおっしゃる。国民感情としてはそのとおりだと思いますけれども、東芝は、日本政府は何もやっていません。アメリカ政府がというか、アメリカの議会ですね。それから、伊藤忠は警察の調べで証拠がつかめない、こういうことでございますから、その点はひとつ誤解のないように国民の皆さんの御理解を願いたいと思います。
○水田委員 どうも私の質問に対して十分御理解いただいてなかったんじゃないかと思います。 時間がありませんから私の方から申し上げますが、一九八二年の二月にアメリカの国防総省のある機関が、一九八〇年代後半にねらいをつけた「戦略と資源」、こういうことを出しておるわけです。その中に、対日政策については次のような指針が与えられているわけでございます。 我々(米国)は、インド洋の警戒に当たる太平洋艦隊の活動を容易にするために、日本が一層大きな対潜水艦戦と防空の責任をとるよう圧力をかけ続けるまた、 日本の政治的リーダーシップを高めるよう力をかし、日本との関係改善努力を続けつつ、貿易の不均衡と相対的地域防衛責任の不均衡を解決しなければならないこれが対日政策の目標となっておるわけであります。率直に言えば、貿易収支の不均衡を圧力にして、日本に対して強圧的ないろんな要求が出てくる。これを読んでみたら、なるほどこの数年の間にアメリカから日本に要求した多くの個別の問題というのは読めてくるわけですね。だから、それにそのまま個別に立ち向かっていくというようなやり方では、日本の将来を誤るだろうと思うのです。 ですから、日本が今GNP一〇%国家になって経済力を持った。大変な金が、私たちにはありませんけれども、何か日本にはあるようでございますが、そういうものをアメリカの要求に対してこたえるのじゃなくて、もっとグローバルな立場でアジアの諸国にその金を使っていく、あるいは地球上の環境問題でも何でもいいです。あるいは、紛争防止をするためのそういうものに使って、日本は世界の安全というものあるいは世界に名目の立ったことに金を役立てておるじゃないか、そういうような、いわゆる発想を変えたものを長期的な展望として持たなければ、これからの日米関係というのは幾らでもまたこういう問題が起きてくる。そういう長期的展望に立った戦略を持って対応すべきではないかと思うのですが、大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○田村国務大臣 アメリカが膨大な貿易赤字を盾にとって日本を責めておるかどうか、それは私にはわかりません。ただ、膨大な貿易赤字、日本の黒字、そしてアメリカの財政赤字等々で彼らが非常ないら立ちを感じて、そして本来――私が言いたいことは、これは国会という場で私が国務大臣の立場でこういうことを言うのはあるいは言い過ぎかもしれません。言い過ぎかもしれませんが、あえて私は率直に申し上げますが、本来、日本だけを責めることなく、アメリカだって努力したらどうだと私は言いたいのです。日本とドイツは、OECDで特掲をされた内需拡大策を今忠実に守っております。アメリカは財政赤字の削減、そして競争力の同役を義務づけられておるのです、特掲されたのです。ですから、これが三位一体になってこそ初めてできるのですね。ですから、アメリカはそれに対してもっと真剣になって、産業の空洞化を初めとして取り組んでもらいたい。人を責めるばかりが能ではないぞと私は言いたいのですよ、率直に言って。けれども、だからといって、日本は売り手であるという弱さがある。そこに私の悩みがある。先ほど申し上げたように、でき得ることなら国粋主義者になりたい。しかし、それによって、私のはね上がりによって苦しむ人々がどれだけ多く出るであろうかと思うと、冷静にならざるを得ない。まことに情けない思いをしておりますけれども、率直に言いまして、私はきょうこういうことを言っていいのかどうか、また物議を醸すかもしれませんけれども、私はもう覚悟はできておりますからあえて率直なことを申し上げました。私の真意をお酌み取りいただければ幸いでございます。
○水田委員 最後に、そういう立場で国益を守るためには、外務省が要求する法定協議というものは断じて受け入れてはならぬことでありますし、そのために外為法の改正が出ないことを我々は期待して、質問を終わりたいと思います。
○佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時六分休憩 ――――◇――――― 午後二時四十三分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。二見伸明君。
○二見委員 午前中ココムに関する質疑が行われましたので、私もココムについて、午前中の質疑にダブらないように考えながら質問をいたします。どうせこの問題は、外為法の改正案が出れば、この委員会でこれからいろいろな形で審議されていくだろうと思いますので、そのことを頭に置きながら、まず最初の一、二問はベーシックな問題についてお尋ねをしたいと思います。 私はココムをこういうふうに認識しておりますし、これは一般的な認識だと思いますので申し上げますから、それに対して内閣法制局、外務省、通産省の御所見を承りたいと思います。 ココムというのは、アメリカの共産圏諸国封じ込め政策という国際政治上の方針に由来して設置されたもので、共産圏諸国の潜在的戦力強化をスローダウンすることを直接の目的とする非公式の国際機関であり、その申し合わせは国際法上も国内法上も条約としての効力を有しないものであると私は考えております。これは私だけの考えじゃなくて、この考えは昭和四十四年東京地裁の判決文の中に出てきた考え方でもあります。 御承知のように、アメリカは第二次大戦後の東西冷戦情勢のもとで、一九四七年三月、いわゆるトルーマン・ドクトリンによりまして共産圏諸国の封じ込め政策というものを明らかにいたしました。そして、その経済的な裏打ち策と申しますか封じ込めとして具体化したのが、一九四七年六月のマーシャル・プランによる西欧諸国に対する大規模な経済援助であります。大戦によって荒廃した西欧諸国の経済力をつけることによってソ連を封じ込めようとするマーシャル・プラン、軍事面からの封じ込め政策としてはNATOだと私は思います。 さらに、アメリカは封じ込め政策の一環として一九四八年に安全保障輸出計画を作成し、アメリカの安全保障の見地から共産圏諸国への輸出規制に着手いたしました。しかし、アメリカだけが共産圏諸国に対する戦略物資の禁輸を行っても効果が十分でないので、一九四八年ごろアメリカから援助を受けている西欧諸国と協議をいたしまして、これは大変客観的な言い方をして協議ということになっておりますけれども、場合によるとマーシャル・プランを盾に西欧諸国をアメリカと同一歩調をとらせることになったのだと私は思います。そうした国々と協議をし、さらにこの措置を国際的に組織化するために一九四八年十一月から各国と外交折衝を行い、一九五〇年一月にパリに非交式の政策委員会が設けられ、そのもとに専門的な基準につき協議する目的でココムが設けられたというふうにココムのいきさつを私は理解しているわけでありますけれども、こんな理解でよろしいかどうか。 特に内閣法制局には、ココムでの申し合わせは国際法上も国内法上も条約としての効力を有しないものであるという、この見解はこれでよろしいかどうか、お伺いをしたいと思います。
○大出政府委員 いわゆるココムにつきましては、それがその条約とか協定によって定められたものではなくしたがいましてその申し合わせは国際法上も国内法上も条約としての効力を有するものではない、こういうふうに理解をいたしております。
○赤尾説明員 政府といたしましては、今の国際政治情勢あるいは国際社会というのは、いわゆる自由主義諸国と共産圏諸国というふうにイデオロギーをベースに二つの大きな力関係から成っているということでありまして、日本としましては前者の自由主義諸国の方に属するということで、そういう認識から共産圏諸国向けの戦争手段あるいは開発に大きく役に立つようなもの、そういう戦略物資を無制限に輸出することは、特に日本を含む自由主義諸国の安全保障に悪影響を及ぼすおそれがあるということから、戦略物資に限っての輸出規制でございますけれども、その必要性を認めているということであります。その場合に、それぞれの国がばらばらにやっているというよりは、ココム等で調整をしながらやっていくのが非常に効果的であろうということから、ココムにも参加しているということでございます。
○二見委員 それからもう一点、昭和四十四年七月八日の東京地方裁判所でのいわゆるココム事件についての判決がございますので、それに対して通産省はどうお考えになっているか所見を承りたいと思います。 この判決でもって、東京地裁はこういう判断を下しました。「輸出貿易管理令第一条第六項の趣旨とするところは、純粋かつ直接に国際収支の均衡の維持並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため必要と認められる場合、例えば需給の調整、取引秩序の維持などのため必要と認められる場合に限り、通商産業大臣において輸出を制限することができるというにあると解するを相当とし、経済外的理由による輸出制限は、それが間接的に経済効果を伴うものであっても、同条項の趣旨とするところではないというべきである。」こういう判決が下されました。 これは国が被告となって争った判決でございまして、そのときの通産省側の言い分というのは「ココムの申し合わせは国際法上または国内法上、いわゆる条約としての法的効力を有するものではないが、我が国を含む自由主義諸国間における協議調整の結果成立した多国間の合意であるから、我が国は右申し合わせの趣旨を尊重しなければならない。もしこれに反したときには、他の参加国から実力的、道義的種々の制裁をもって報いられることによりその効力が担保せられるのが常であり、我が国の外国貿易及び国民経済の発展に好ましくない影響を与える蓋然性が大きい」、こういう主張をして争ったわけであります。東京地裁の判決では「経済外的理由による輸出制限は、それが間接的に経済効果を伴うものであっても、同条項の趣旨とするところではないというべきである。」こういう判決が下されたわけでありますが、これに対する御所見はいかがでしょう。
○畠山政府委員 今、委員御指摘のような判決が四十四年に出たことは事実でございますけれども、その判決は傍論部分で出たということでございまして、本論の方では国側が勝訴になりました関係上、今御指摘いただいたような国としてのポジションは争うことができなかったというのがそのときの経緯でございました。 そこで私どもは、今御指摘いただきましたように、もしこの西側諸国との申し合わせに日本が従わないで、日本だけが東側へココム品目をどんどん輸出する、抜け駆けで輸出をするということになりますと、日本だけが経済的に有利な条件で輸出を伸ばしていくということになりますものですから、翻って他の西側諸国、ココム加盟国からいろいろ報復を受けたり何かする可能性があるということを考えておりまして、そういう観点からいたしますと、西側諸国との貿易というのは非常に我が国の貿易の大きな量を占めておるものですから、このココムの申し合わせに従うことがすなわち我が国の国際貿易の健全な発展に寄与するのだというふうに考えさせていただいておりまして、したがって、外為法で規制をするということは法の趣旨に従うものだというふうに今日でも考えております。
○二見委員 私も、例えば日本が今おぎゃあと産まれたばかりであって、これからココムに加盟するかどうかということを議論するならばいろいろそれぞれの考え方が出てくる。しかし、一九五二年に日本はココムに加盟をして、いわば西側陣営の一人として今まで行動してきた歴史もありますから、ココムそれ自体にはいろいろな問題はあるとしても、ココムから脱退すべきだとかなんとかということは、それは議論としてあり得ても現実的な対応ではないというふうに私自身も承知はいたしております。 ところで、さらにこの裁判の判決で問題になった点についてお尋ねをしますけれども、この裁判でまず原告側はこう言いました。「我が憲法二十二条は「職業選択の自由」、本件に即していえば貿易の自由を基本的人権として保障しており、国はこの権利について「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(憲法第十三条)のであるが、ココムによる禁輸統制に服するとなれば、当然に右の貿易自由の原則を制約することになるのであるから、国はココム参加の際にこの点についても違憲のそしりを受けることのないように配慮しなければならなかったはずである。また、ココムの申し合わせが不公表とされている点にも留意する必要がある。ココムの申し合わせによる輸出不承認の基準そのものは全く不明であり、輸出貿易管理令別表第一によってもこれを知ることはできないのである。」という主張をいたしました。 さらに原告は、「政府はココム参加の際に、ココム参加によって当然予想される前記のような違憲、違法の疑問を解消するために、ココム参加についての条約を締結するか、国内立法するか、いずれかの方法をとらなければならなかったはずである。」こう言っているわけであります。そして判決でも、「ココムの申し合わせ自体はココム統制物資の輸入制限をする法的根拠となし得ず、国民に対しココム統制物資の輸出制限をなし得るためには、ココムの申し合わせの趣旨、目的に沿った国内法が既に存在するか、新たな立法措置を要するといわなければならない。」というのが判決の考え方でございます。 私は、確かにココムができるときに、アメリカはこれを条約にしようと西欧諸国に働きかけた経緯もありますし、最近はレーガン大統領は、ココムを紳士協定ではなくて条約にしようじゃないかという意向を持っているように聞いております。ただ、私は、こういう一種の経済制裁ですね、そうしたことを条約というものでがちっと縛ることが果たしてなじむのかどうか。これは、対共産圏貿易というのは非常に各国の利害が絡む話です。ですから、やはり今の紳士協定でいいのではないかなというふうに私は個人的には考えておりますけれども、今のこの原告側の主張、それから判決に述べられた裁判所の見解、これについてはいかがでしょうか。 確かに法律体系として見れば、これを条約にして、それに基づいて国内法をつくった方が、いい悪いは別にしてすっきりするのです。その点については、通産省それから法制局、もし御見解があればあわせて承りたいと思います。
○畠山政府委員 まず第一点の、ココムの規制が基本的人権に反するのではないか、もっと正確に申し上げれば、外為法によるその規制が基本的人権に反するのではないかという判決の指摘でございますけれども、外為法の四十八条に、委員御案内のとおり「輸出の承認」という規定がございまして、一定の条件のもとで通産大臣の「承認を受ける義務を課せられることがある。」ということが書いてありまして、その制限は、我が国の「外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲をこえてはならない。」逆に言えば、そういう範囲であれば制限を課することができるというふうに書いてありまして、先ほどお答え申し上げましたような理由により、我が国貿易の健全な発展のためにこの規制が必要であるというふうに思われますので、そういった公益的な観点からの制限でございますので、基本的人権の制限には必ずしも当たらないというふうに考えているわけでございます。 それから第二点は、ココムの承認基準がはっきりしないじゃないか、それが不公表になっている。これは判決の指摘のとおりでございますけれども、ココムの全体が必ずしも秘密になっているわけではなくて、その品目につきましては、結局輸出令というところへ引き直してまいりますものですから、一応その限界がはっきりしておるということで、その中での承認について一応の確立した手続もございますので、不公表であるからといって直ちに非常に問題であるということではなかろうと考えております。 また、条約にするべきだという点につきましては、二見委員御指摘のとおり、それを条約にして、そしてそれに基づいて特別の規制法をつくるというのが論理的な筋道であるとは私も個人的に考えておりますけれども、ただ、今御指摘のようにいろいろな利害が絡みまして、また条約にいたしますと、経済活動に対して非常に固定的な制度を持ち込むことにもなりかねませんので、一概に条約にするのが望ましいというふうには考えておりません。
○大出政府委員 新たに国内法が必要か、こういうような観点からの問題でありますが、いわゆるココム規制につきましては、御指摘の判決があった後の昭和四十四年の七月九日の当委員会におきまして、当時の大平通商産業大臣が、この規制は貿易、経済の健全な発展を図るために行っているものであって、外国為替及び外国貿易管理法の許容する範囲内である旨を述べておられるわけでございますが、この答弁と同様の趣旨におきまして、現行の外国為替及び外国貿易管理法に基づいて規制を行うということは可能であるというふうに理解をいたしております。
○二見委員 それでは、先ほど議論もありましたし、今後恐らく外為法が改正されるとすれば問題になるだろうと思われますいわゆる安保条項に関連して、お尋ねをしたいと思います。 外為法第一条はこう規定しております。「この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展を期し、もって国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定しております。これは、外国貿易は原則自由になっているわけであります。 ところが、東芝機械事件を契機といたしまして、安全保障的な視野からのチェックが必要だという議論が出てまいりました。そして、四十八条のどこにどういう形で入れるのかまだ姿かたちはわかりませんから、美人なのかそうでないのか、あるいは食えるか食えないかちょっとわかりませんので大変困っておるわけでありますけれども、いわゆる安保条項が持ち込まれる可能性が強くなっておりまして、けさの新聞によれば、通産と外務の間で既にもう話が決まったとかいろいろ報道されているわけでありますけれども、安保条項というのはまさに経済外的要因ですね。経済的な理由ではない。経済外的な要因を持ち込むことによって、本来自由であるべき外国貿易がそうでなくなってくるのじゃないか。また、企業活動というのは本来企業の自主性にゆだねられるべきものだと私は思います。そうした経済活動が阻外されるのではないかという危惧を持っているわけでありますけれども、通産省としての御見解はいかがでしょう。
○畠山政府委員 安保条項と呼ぶのがよろしいかどうかという問題はございますが、現在の外為法の二十五条でも技術の輸出の規制につきまして、国際の平和と安全の維持の妨げになる技術については許可の対象になるという趣旨の規制が入っておりまして、これは具体的にココムの技術輸出を規制する根拠になっているわけでございます。 そこで、貨物については現在そういう規定が入っておりませんが、これは技術については昭和五十五年からたまたま始まりまして、その五十五年に改正がございましたものですから、先ほどのような規定を入れている。貨物につきましては一九五二年、昭和二十七年からずっとそのココムの関係の規制を行っておりまして、それは現在までのところココムの物資もそれから非ココムの物資も同じ条文に基づきまして、先ほどの外国貿易の健全な発展という根拠に基づいて制限を実施しておるところでございます。 それを今度、ココムの貨物輸出についてだけ罰則を強化ということになりますと、貨物についても、先ほど今まで技術に入っていましたような国際の平和と安全の維持の妨げになる云々というそういう条項を入れる必要がございます。しかしながら、これは現在の外為法におきましてもそういう規定が入っておりますことからもわかりますように、やはりそういった規定を入れつつも、先ほど御指摘の「目的」の中でございますような原則自由貿易という枠内でそれを運用していくということでございまして、そういうことが確保されれば、今御懸念の企業活動の非常な重大な制約ということにはならないのではないか。運用として今まで私どもココムをずっと運用してきておりますが、それを今回議論いたしておりますのは、罰則を強化するとか制裁を強化するということでございまして、それ以上に規制を強化するという観点は入っておりませんので、御懸念のような企業活動に対する過度の介入ということにはならないものだというふうに考えております。
○二見委員 今、貿易局長の答弁はちょっとここにおいておきましょう。 外務省、来ていますね。外務省に伺います。外務省は、この事件が起こってからどういう基本的認識を持っているかというと、我が国の輸出管理体制において安全保障の立場からのチェック体制が不十分だ、こういう認識を持っていますね。ですから、安全保障の立場から輸出管理体制をチェックするんだ、そのために四十八条に、いわゆるという言葉をつけさせていただきますけれども、いわゆる安保条項を入れろ、こういうお考えですね、外務省はいかがでしょう。
○赤尾説明員 お答えいたします。 この点につきましては、午前中にも一応お答えいたしましたので全部に触れる必要はないと思いますけれども、今度の東芝事件等をきっかけにして、日本の輸出管理のあり方というのは経済的利害、利益を優先させるのではないか、あるいは日本の企業の行動が経済的利益を優先させる傾向があるのではないかという批判等も内外においてありましたし、私たちといたしましてはもう少し国際的な、まあ安全保障条項といいますか、具体的には国際的な平和と安全の確保維持の見地から、今の輸出管理体制を整備することを検討する必要があるのではないかという考えを持っておりました。 かかる見地から、私たちとしてはいわゆる法定協議条項を入れていただきたいというふうに通産省にお願いをしてきたわけです。具体的には、通産大臣の方で個々の輸出案件等を審査される際に、特に二十五条及び四十八条の規定の運用について、外務大臣の意見を求める必要があると思われたときには意見を聞いていただくとか、あるいは外務省の方で別途の情報ソース等から情報があった場合には通産省に直ちに御連絡して私たちの意見も聞いていただく、そういう趣旨の法定協議をお願いしてきたわけでございます。
○二見委員 要するに、安全保障というか国際の平和と安全の立場からのチェックがどうしても不十分だという認識なんですけれども、今あれでしょう、日本の輸出貿易管理令別表の一というのは、ココムの申し合わせに基づいて規制品目が決まってくるわけでしょう。これは通産省に聞いた方がいいですね。 別表の一というのがありますね。ずっとある。それだけ見たのじゃどれがココムか何かわからないけれども、通産省では通産省広報とかというのを出して、別表の中の何番と何番と何番がココムの規制品目ですよと書いて、別表を見ただけではわからないけれども、それに付属する広報か何かでわかるような仕組みになっていますね。それをつくるときに、別表がずっとある、ココム規制品目が今百幾つですかありますね、これはココム規制品目ですよという。ココムの委員会での審議の内容は不公表だからできないけれども、ココムの申し合わせに基づいてできたものがあの品目なんでしょう。どうなんですか。まず、その事実を確認しましょう。
○畠山政府委員 ココムの場でココムのリストレビューの会議というのがございまして、そこへ外務省の人なりあるいは私どもの人が出張をいたしまして、あるいは外務省は大使館から出るかもしれませんが、そこで品目について各国間と討議をいたしまして、合意を得たものについて今御指摘のように輸出貿易管理令の別表の対象になってくるという仕組みになっておることは事実でございます。
○二見委員 それでは外務省さん、ココム委員会では年一回ココム・ハイレベルの会合がありますね。このときには、外務審議官が日本の主席メンバーとしてこれに出席をしておりますね。それからココム・リストレビューの会合、いわゆる規制品目の見直しの会合が行われますけれども、これにも外務省の書記官が常時出席しておりますね。さらに毎週行われているココム定例会合、いわゆる特認を審査するための会合が毎週行われておりますね。そのときも外務省の書記官がメーンとなって常時出席をしておりますね。 ですから、ココムの規制品目を決めるときに、何と何を規制しようかというときに議論するのは、本音はともかく建前は、各国の安全保障の立場からこの品目は規制するとかしないとかいうのがパリで行われるのでしょう。そうでしょう。そのときに外務省は、外務審議官がメーンとなって、外務省の書記官がその中心となって既にその作業をやっているのだから、それででき上がったものを日本語に翻訳したものが貿管令じゃありませんか。なぜ外務省が輸出管理体制にまでくちばしを入れなければならないのか、改めて伺いたい。私は必要がないと思う。
○赤尾説明員 ただいま先生御指摘のとおり、ハイレベル会合、これは毎年一回と言われましたけれども、定期的にあるわけじゃなく、必要に応じて開催されるということで、二年に一回くらい開催されておりまして、通常外審レベルの者が出ております。リストレビューにつきましては、これは外務省だけでなく、非常に専門的な知識も必要ですので、通産省の方あるいは通産省が特に依頼された調査員の方等に手伝っていただいてやっておりますし、確かにココムの通常の定例の会合、これも書記官等が出ておりますが、これにつきましては、安全保障あるいは国際の安全の観点からどういうリストを持っていったらいいかということは確かにチェックされるでしょうけれども、その過程で特に技術の進歩というのがありますので、あるいは共産圏諸国の技術も常に進展しておりますので、不必要な規制は入れない。ですから、新しい技術は規制すると同時に、古い技術はどんどん規制の対象から外したらいいじゃないかということでやっております。 その段階で外務省が十分関与しているから、国内の輸出管理の面では、これは非常に技術的なものだから外務省は関与する必要がないじゃないかという御指摘でしたが、私から少し補足させていただきますと、次のようなことが言えるかと思います。 外務省としましては、今通産省で年間二十万件と言われております輸出審査をやっておられるそうなんですが、この案件すべてについてチェックさせていただきたいとか見させていただきたいという考えは毛頭ありません。先ほども申しましたように、通産省の方におかれて二十五条及び四十八条の運用上、特に外務省と相談する必要がある、あるいは外務省の意見を求めた方がいいと思われるような場合にこちらの注意を喚起していただくとか、あるいは私たちが個々のケースにつきまして外国から得る情報あるいは外国の方から特に注意を喚起してくる情報もありますので、そういう点につきまして即刻通産省に御報告して、十分両省間で協議をしながら、特定の案件の扱いをお互いに協議して決める。そういうことは、過去何年かのこのココム規制の運用から見ても私たちは必要であると痛感しているわけです。 それでは、これはなぜ法律にする必要があるかということにつきましては、輸出の許可とか不許可という国民の権利義務関係にかかわることですので、国会で審議していただく法律にはっきりそれを書いていただいて、外に対しても内部に対しても、国内的にも対外的にも透明性を持たせることが必要ではないかと判断しているわけです。
○二見委員 外務省に対してちょっと異論があるのですが、その前に法制局に伺います。 日本国憲法には「公共の福祉」という文言があります。公共の福祉に反してはいけないとか、公、共の福祉という言葉で権利を制限する文言はあります。しかし、安全保障とかなんとかという、そのたぐいの文言はありませんね。そこで、伺いますけれども、例えば安保条約に関連する国内法、自衛隊法、自衛隊に関連の法律は別といたしまして、いわゆる国民生活に関係する経済法その他、その中でいわゆる安全保障条項を理由にして国民の権利を制限する法律なり条文なりはありますか。
○大出政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、憲法には「公共の福祉」というような言葉が出てまいりまして、基本的人権等について制約を加える一つの要素として書かれておることは事実でございます。 それから、いわゆる安全条項というふうにおっしゃられましたが、例えば外国為替及び外国貿易管理法二十五条におきましては「国際的な平和及び安全の維持」という言葉が出てまいりまして、これを「妨げることとなると認められるもの」について「主務大臣の許可を受けなければならない。」というような趣旨のことが規定をされておるわけでございます。 そのほかの法律におきまして、これと同様に国際的な平和及び安全の維持を法律上の要件としているというものがあるかということでございますが、現在私ども全部の法律を調べ切っているわけではございませんが、現在承知いたしておるものとしては、このような言葉が出てくる法律といたしましては研究交流促進法という法律がございまして、その第十条に当該法律の「配慮事項」としてこのような言葉が出てまいるというような例は承知いたしております。それ以外の法律にさらにあるかどうかということは、先ほど申し上げましたようにすべての法律について、私どもいろいろ調べてみましたけれども全部当たり切れておりませんので、あるとかないとかということを確言的に申し上げかねるということを御承知いただきたいと思います。
○二見委員 外為法二十五条の二号に五十五年改正で入った文言ですけれども、このときは当委員会じゃないので、他の委員会のことをがたがた言っちゃいけませんが、ほとんど論議もされずに通っちゃったものですから、そのときにきちんとした議論をしておけばまたいろいろ対応も変わったのだと思いますけれども、その点は大変遺憾だと思います。いずれにいたしましても、いわゆる安全保障条項というもので国民の権利を制限するというのは、これはなかなか探すのは大変ですね。 それで、もう一度また外務省をねらい撃ちして申しわけないのだけれども、あなたは先ほどいとも簡単にさらさらとおっしゃられましたが、私は、外務省がいわゆる安全条項というものを四十八条の中に入れて輸出管理体制にくちばしを入れる、いやちょっと通産大臣に意見を言うだけですよとかという簡単なものには結局はならないんじゃないかと思うのです。 例えばアメリカでは、ライセンスは商務省ですけれども、安全保障目的案件は国防省と協議しなければならないことになっています。外交案件、外交的な目的については国務省というふうにアメリカの貿易の管理体制はなっております。アメリカでも安全保障か経済がという議論がずっとあったわけですね。そして一九七九年輸出管理法では、国家安全保障上の目的のために規制されるべき技術と物資のタイプを確認するための第一義的な責任を国防長官に割り当てることになって、この面ではアメリカではペンタゴンが主導権を握ることになった。さらに一九八五年一月四日に、レーガン大統領はココム非加盟国に対する輸出承認の権限をペンタゴンに与えるという署名をしました。ですから、今アメリカの輸出管理体制というのは、法律の上でもペンタゴンが中軸になっていると私は考えます。 その結果、アメリカの禁輸品目というのはココム加盟国の中では一番多いですね。日本よりもある。イギリスよりもアメリカの方がたくさんある。これは、もともとアメリカとしては高度な技術がソ連あるいは共産圏に移転するのを防ぎたいという国家意思といいますか、国家目標がありますから、ココムで規制されたよりもより大きな範囲でもって品目を規制している。これは、ココムで規制品目を決める場合には参加国の全会一致で決めるわけですね。アメリカとしてはこれをどうしても規制に入れてくれと言ったって、日本や西ドイツやフランスがノーと言えば規制品目に入らない。ですから、アメリカは百入れたくたって、各国の承認が得られなければ泣く泣く七十とか八十で我慢しなければならぬ、ココムの場では。だけれども、アメリカの意思としては百やりたいから、ココムでは認められなかったものまで禁輸品目としてアメリカでは厳しいチェック体制をしいている。これがアメリカの実情でしょう。 そうすると、そういういわゆる安全保障条項の観点から管理体制をチェックするということになると、ただ単に外務省、いやちょっと報告するだけですよと言うけれども、もっとより多くのところまで関与してくるんでしょう。貿管令をつくるとき、これはだめだと、例えばココムでは百七十品目というけれども、それ以外にもこれとこれは、安全保障上困るからこれは規制してくれ、これは国内法でできるわけだから、そういうところにまで外務省は乗り出してくるんじゃないですか。どうでしょう。
○赤尾説明員 先ほど私が申しました外務省の通産省への法定協議についてのお願いにつきましては、まだ両省間で話し合われているところでございまして、その法律に入れるか入れないかも含めまして、規定につきましてまだ協議中であります。したがって、いわんや具体的な運用につきましては、その結果を受けて通産省と話し合う必要があるんじゃないかと思いますので、ただいまの先生の御指摘にありましたように、外務省が例えば具体的な輸出管理に非常に強く介入するのではないかということにつきましては、今私としましてはお答えする立場にありません。 ただ言えることは、アメリカの国防省は相当な人員と相当な機械、例えばコンピューターを含めていろいろな機械を駆使して商務省以上にあらゆるデータをインプットして持っておりますので、相当なことができると思いますけれども、私たちの体制は、けさ通産大臣からも御説明がありましたけれども、通産省自体も人員が不足している、いわんや外務省におきましては、その分野での能力というものはさらに限定されてまいりますので、その面から具体的にどの程度相談させていただけるかということについては、その点からも制約があるのではないかと思っております。
○二見委員 あなたは先ほど、ココムの委員会では、専門的な知識が外務省にはないので、通産省からも出向して出てきてもらっているというふうにいみじくも言われました。そうなれば、外務省がいわゆる法定協議にしてこれにがたがた言う必要は全くないんだよね、と私は思います。 実は、通産大臣はちょっと席を外されてましたので、基本的な見解としてお尋ねしますけれども、いわゆる安全保障条項をどうするかということが今両省で協議されております。いろんな話がありますけれども、確定したものじゃありませんですね。先ほど畠山さんは、今度ココム違反のものは罰則を上げたい、三年を五年にしたい。それは、三年を五年にするというよりも、これは答弁にはなかったと思うけれども、むしろ私の感じでは、それによって時効を延ばしたいという、こちらの方に主眼があるんだと私は思うけれども、時効だけ延ばすわけにいかないから、ココム違反だけは三年を五年に引き上げる、そうすると時効も自動的に五年になる。ただ、三年を五年に引き上げると、ココム以外の品目も全部五年になったのではバランスを欠くので、これはココム品目ですよということを何か形容詞をつけて言いたい、それに違反した場合は五年ですよ、そうでないものは三年ですよ、こういうふうに分けるために使うんだという御答弁がありましたね。私は、それだからそれは結構ですという意味じゃないけれども、それならばまだ私は全く理解できない話ではない。 ところが、外務省が法定協議と言い出した。そうすると、安全保障の立場からならば外務省だけではない、防衛庁だって安全保障という立場で一言言わしてくれということだって当然あるわけなんだ。経済外的な安全保障ということになればいろんな意見が出てくる。外務省も言いたい、防衛庁も言いたい、こうなりますと外国貿易というのが非常に阻害されてくるんじゃないか。またそれは、一種の安全保障というものを建前とした経済統制にもつながってしまうんじゃないかというおそれすら持っているわけでありますけれども、通産大臣としてのそこら辺の基本的な御所見、並びに防衛庁が何かココムの委員会に、通産省に出向させてそれから行ってもいいとか、あるいは防衛庁設置法を改正すれば審査体制に入れるんじゃないかとかという、こんな議論もあるようでございますけれども、私はそういうことがあっては絶対にならないと思っております。その点も含めて、大臣の基本的な御見解を承りたいと思います。
○田村国務大臣 今の防衛庁の問題は、私はまだ聞き及んでおりません。防衛庁設置法をどういうふうに改正するのかちょっと私も見当がつきません。第一そういう話自体を知りませんから、ちょっとこれは私もお答えのしようがない。 それから、外為法は、何といっても自由貿易の大原則というものはやっぱり守らなきゃいかぬわけです。ただ、先ほど二見委員がおっしゃったように、三年を五年にする、それが必然的に時効の延長につながるあるいは行政措置を強める、そういうようなことで何らかのけじめはつけなきゃいかぬのじゃないか。それでないと、今度はそうでないものにえらい迷惑をかけることも起こり得るんじゃないかというような意見もあるようでございます。 私は、実はこの問題はもう役人に任せてあるんです。任せてあるということは、とにかく自由貿易の大原則だけは守り抜かなきゃだめだよ、何のために我々がアメリカの保護主義と戦っておるのかわからなくなるよ、だからこれだけははっきりしておきなさい。あとは、役人というのは権限争いになると狂気のさただから、だからそこいらうまく話し合うがいいが、ただ主体性というものを失ってはいかぬよ、これだけは申し渡してある。あとは事務次官、局長レベルで、また事務次官レベルまでいったらどうか。今はまだ畠山君の段階かもしれませんが、それにしても事務次官レベルでは解決をするようにしなさい、こう言ってあります。
○二見委員 貿易というのは、貿管令別表の第一を見て、さらに通産省からの貿管令にかかわるいろんな通達を見て商社の方は判断するわけですね。この品物は規制品目ではないから大丈夫だ、これはだめだな、こう判断するわけです。これは規制品目ではないなと思っていた、それで商談を進めてオーケーになった。ところが、例えば外務省が、通産大臣と協議をするという言葉でもって、あの品物については規制外品目ではあるけれども、他に転用されると安全保障上まずいことがあるからちょっと考えてくれとかそんなことが出てきたら、これはまともな商売はできませんわ。この点はどうなんです。これは外務省と通産省、当事者同士の御意見聞きましょう。
○畠山政府委員 今御指摘のように、当然輸出が認められると思っておったときに、既に製造を開始してしまったような場合、そこに何らかの観点から突然ストップというようなことはあってはならないことだと思っております。先ほど、外務省の答弁の中にも透明性の確保という言葉がありましたけれども、ココムというのは元来のところが非常に透明性に欠けておりますが、政令段階以降はできるだけ透明性を確保してまいりたいと思っております。
○赤尾説明員 私としましては、今畠山局長の御調則に追加することは特にございません。外務省としましては、いたずらに輸出を抑えるとかいうことは全くありませんで、あくまで自由貿易というのは原則で、ただどうしても国際平和及び安全の見地から非常に慎重な扱いを要すると私たちが判断する場合に、通産省にいろいろと意見をお伝えするというのが趣旨であります。しかも、その件数も貿易の量とともに、あるいは相手の技術の進展の度合いとともに常に変遷すると思いますので、できるだけ柔軟な態度をもって対応する必要があると思っております。
○二見委員 いずれにしても、ココム委員会で全会一致で決めて、それに基づいて貿管令ができ上がるわけですから、それ以上つべこべ言う必要はないというのが私の基本的な考え方でございます。いずれにしても、これは法律が改正案として姿をあらわしておりませんので、今ここでいいとか悪いとかという議論をしても外務省もお答えしにくいでしょうし、私の方も質問しにくい。改めて出てきたときに、その顔を見ながら議論をさせていただきたいと思います。 もう一つ、私は今回のいわゆる東芝事件ですね、アメリカの議会の対応について非常に遺憾だと思っております、アメリカの態度が。確かに東芝機械事件というのは、これは第一義的には外為法で処理すべき、まさに日本の国内の問題です。ただ、アメリカとしてもそれはいろんないら立ちがあるのはわかる。大臣がけさ御答弁されておりましたけれども、アメリカの中にいろんな不満がたまって、それがこの事件で爆発したような感じはしますから、アメリカの持っている苦悩、いら立ちは十二分にわかるけれども、なおかつ例えば六月三十日に上院本会議で九十二対五でもって、いわゆるガーン修正法案が通りましたですね。これはこの間上院を通りましたけれども、日本の企業に対してアメリカがいろいろクレームをつけて批判をするのは構いません。東芝は何だ、けしからぬじゃないか、それに対して日本の通産省は何をやっている、文句を言うのは構わぬ。向こうは言いたいだろうから、そこまで言っちゃいかぬとは言わぬ。しかし、法律をつくらせるということになると、これは大変ですよ。この前例をつくりますと、一つ一つ全部やり玉に上げて、今度は東芝制裁法案、今度は日立制裁法案、日本電気制裁法案、次々にあらわれてくる。そうでしょう。 これは通産大臣がアメリカへ行かれて、この点については大変苦労されてきた。その心情は先ほど伺いましたけれども、同じように外務省はこれに対して物を言うべきでしょう、アメリカに対して。このまま放置しておけば、日米の友好関係というのは傷がつきますよ。日米だけではない、ヨーロッパだってアメリカの出方に対して不信感を抱きますよ。それは、いわゆる自由主義陣営における、私は亀裂になると思いますよ。この点について外務省としても、この法案が通らないというか、東芝制裁条項が入らないように、これは相当努力しなければだめですね。むしろ、私は国内の管理体制をどうのこうのというのじゃなくて、外務省は表なんだから、アメリカへ行ってやればいいんだ。それが外務省の本当の責務だと私は思いますよ。いかがですか、それは。
○赤尾説明員 先般訪米された通産大臣には、その面では非常に精力的に、特に行政府に対してもアメリカの関係議員の方に対しても、非常に精力的に働きかけていただきまして、私たち非常に感謝しているものです。 同時に、外務省としましても、その前あるいは引き続きその後も、特に在米大使館、大使以下大使館員が総動員でアメリカの行政府あるいは議会関係者に強く働きかけております。 今、アメリカ政府の基本的な立場は、ガーン修正条項には反対である。ただ、両院協議会の過程で完全にそれを落とせるかどうかというのは恐らく自信がないかもわかりませんが、極力ガーン修正条項の削除、どうしても不可能な場合には何らかの緩和、例えば大統領の裁量権をふやすというようなことも含めて、そのために努力するということは行政府としても約束してくれております。 引き続き、先生御指摘のとおり、外務省といたしましても、本省及び在外公館を通じ精力的に働きかけたいと思っております。
○二見委員 ココム外交ということについて簡単にお尋ねしたいのです。 例えばこういうことがありましたね。これは一九八〇年だったかな、日立製作所が中国向けのコンピューター、M一八〇というのを輸出したいと思ってココムに特認の申請を出しましたね。そうしたところ、アメリカが待ったをかけた。待ったをかけただけじゃなくて、アメリカはIBMの三〇三三かな、むしろM一八〇よりもより大型のコンピューターを、日本の日立製作所のコンピューターには特認の待ったをかけておきながら、自分の方のIBMのコンピューター、より精度の高いコンピューターの特認申請を出したでしょう。結局、これは一九八二年に両方ともオーケーということで認めたわけなんだけれども、これはいみじくもココムの内幕を物語っていると思うのです。 ココムというのは、ある面では安全保障という立場からの建前の議論はするけれども、安全保障を建前にしながら、実際にはお互いの国の利害がぶつかり合っているのがココム委員会の場だと私は思います。それがまた偽らざる人間の世界だ。こうなりますと、これから外務省がココム委員会でのメーンとなっていろいろやっていくんだろうけれども、私は、そうした配慮というか、要するに経済上の物の考え方というのはこれからも持っていかなければならぬだろうと思います。ココム三十何年間の歴史というのは、アメリカはもっともっと規制品目をふやしたい、それに対して西欧側はもっと減らしたい、これの争いだったと思います。品目をアメリカはふやしたい、他の国はノー、この連続だったと思うのです。 私は、外務省が安全保障という立場から、安全保障というものを重点にしなければならないということでもって、アメリカの立場に立ってココム外交を展開されたのでは困ると思う。その点について外務省の基本的なお考えを承り、田村通産大臣には、安全保障という名のもとに、昔の言葉で言えば軍部が経済にくちばしを出してくるような体制だけは絶対とっていただきたくない、このことを申し上げ、大臣の御所見を承ってこの質問は終わりたいと思います。
○赤尾説明員 具体的に先生が今挙げられました中国へのコンピューター売り込みにつきまして、どういう経済的な利害を意図してアメリカが最初待ったをかけて、その後IBMと一緒に日立も認めたかということにつきましては、具体的な利害関係あるいは理由につきましては私は今承知しておりませんが、場合によっては今先生が御指摘の点もあったかもわかりません。ただ、ある国が得して他の国が損するということのないように、できるだけ政策を調整していこうというのがココムの目的の一つでございます。 例えばリストについても、一般的な風潮はできるだけ合理化しましょう、ストリームライニングしましょうという方向でコンセンサスがありまして、これから作業もすることになっております。あるいは執行面、ココムの約束を執行する面でもできるだけ協力していこうということ、あるいはココムの参加国だけでなく、他の国が出し抜いたのでは我々がまた損をしてしまうということもありますので、第三国にも働きかけて協力を要請しようということで、できるだけ特定の国が損をしないように調整しようじゃないかというラインで努力が行われております。 ココムにおける日本の基本的な立場あるいは政策といいますのは、アメリカに言われたからやるということではなくて、あくまで日本の立場あるいは日本の置かれた国際的な平和及び安全保障の観点からの立場、あるいは日本みずからの安全保障の観点から私たちとしてはこれまで対応してまいりましたし、引き続きそういう方向で対応するつもりでございます。
○田村国務大臣 今御答弁申し上げた赤尾審議官、実は私と同行いたしまして、身をもってアメリカの対応を知ったわけです。私は、赤尾君が外務省の中でその厳しかった体験をきっと生かしてくれるであろうと期待をいたしております。 また、通産省としては、あくまでも通産省という役所はみずからは自由経済を守り自由貿易を推進する、そして他国に対してもまた同じことを求める、そのためにはみずからがそれを率先して守っていかなければならぬ、そういう点で基本的に自由経済、自由貿易というものに対して主体性を失わないで今後頑張る、これを基本理念にしていきたいと考えております。率直に言いまして、私もそう長く通産大臣を務めるわけではないでしょうけれども、私どものこの考えが通産省にずっと長く生き続いてくれることを心から祈っておる次第であります。
○二見委員 終わります。
○佐藤委員長 青山丘君。
○青山委員 大臣を初め皆さん大分お疲れであろうと思いますが、いましばらく質問の時間をお許しいただきたいと思います。 今回の東芝機械ココム違反事件については、四月に事件が発覚いたしましてから直ちに告発、行政処分がなされました。当の東芝機械はもとよりでありますが、親会社であります東芝本社の社長、会長の辞任というところにまで事態が発展してしまいました。またアメリカにおいても、先ほど来お話がありましたように議会は大変な反応を示しておりまして、つい先般は上院で東芝製品の輸入を禁止する内容を盛り込んだ包括貿易法案が制裁条項として可決されました。こういう大変厳しい情勢の中を大臣がアメリカへ赴かれて、日本のこれからの対応についていろいろお話をされた。けさもあのあたりで少し話をしておりましたが、今回田村さんが通産大臣でよかったじゃないか、よくやられたという評価をちょうどあの議席のあたりでしておりましたが、大変厳しい情勢の中を商工委員長と一緒に乗り込んでいかれていろいろ話し合いをしていただいた。その折にも、外為法の改正案を出して再発防止に向けての強い決意、これを今臨時国会に提出するかという強い決意を申し述べてこられたと聞いております。そのことによって、アメリカにはそれなりの評価をしてもらったのではないかと率直に私も評価しています。 ただ、本来ココム問題というものは日本の安全保障に深いかかわりを持っておるものでありますから、これは中期的、長期的に十分論議をして、幅広い観点で話し合いをしていくということが基本的な立場であろうと思います。ですから、今問題になっておる問題をできるだけ鎮静化していく、そういう取り組みであることが必ずしもいい取り組みだとは私は思わないのですけれども、しかし現実を直視してみますと、今まさに何か有効で適切な措置をしなければいけない、こういう状況であることも私は率直に感じております。そういうような判断を踏まえて、これまでの経過についてひとつ明らかにしていただいて、これから再発防止に向けての決意も明らかにしていただくという意味で少し質問をさせていただきたいと思います。 もう既に述べられておりますが、今回の事件は和光交易という会社の元社員がココムへ内部告発をした、そのことによってアメリカから日本に対して調査の依頼が来ておった、日本の通産省もその要請を受けて調査をしたけれども、違反の確認を得ることができなかったという経過がかつてありました。このことがやはり日本国民にとって大きな疑問として残っております。そのあたりの背景をひとつぜひ説明していただきたいと思います。
○畠山政府委員 和光交易の元モスクワ支店長でございますか、投書がございましたのが六十年十二月でございまして、その投書がございました後、私ども、外務省からそれを公電で連絡を受けまして、外務省主催の関係五省庁連絡会でまず検討に着手をいたしました。 それから前後十回にわたりまして、関係いたします企業の幹部からヒアリングを実施いたしました。その際に彼らが主張いたしましたのは、まず、この機械自体は九軸の機械であるけれども、同時制御をするのは二軸である、すなわち輸出令に該当するものではないという主張をいたしたわけでございます。それから二番目に、NC装置がございますけれども、これもノルウェーの会社からの説明書がございまして、それがまた二軸であるということになっておるというものを提示いたしたわけでございます。 それから同時に、プログラム、これは最初の九軸がふぐあいになりました際に改造をしたときの部分的なプログラムが無許可で輸出をされたわけでございますが、その断片がそのときあったわけでございますけれども、そのプログラムにつきましても二軸用であるという説明をいたしまして、いろいろそういった証明書でございますとか説明でございますとかそういうことがありましたものですから、特にプログラムなんかにつきましては、それが果たして二軸のものなのか、あるいは例えば五軸みたいなものなのか、そういうことを機械研究所などにも技術的に聞きもいたしましたけれども、向こうでも断定ができないというようなことがございまして、私どもとして、これが不正輸出の疑いが明白な根拠は見出されなかったという報告を六十年の十二月にいたしたわけでございます。この投書はパリのココムの事務局に行ったわけでございまして、その後、同じ投書がアメリカの方に今度は参りまして、アメリカが六月に問い合わせをしてまいりました。そのアメリカの問い合わせに対しましては、ココムに行った投書のときに答えたとおりの答えをいたしております。 そこで、さらに昨年の十二月になりまして、今御指摘の安全保障の観点から、これは重大な問題だというようなことも出てまいりまして、そんなことから、私ども本格的な調査を開始して精力的に調査をした結果、不法輸出を発見した、かような経緯でございます。
○青山委員 そのときの東芝機械の対応、当時はまだ貿易局長をやっておられなかったので、当時のことに詳しい方にひとつお話しいただきたいと思いますが、東芝機械の対応については、どんな対応であったのでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 当時のことに詳しい方と仰せでございますので、甚だ申しわけございませんけれども、私、機械情報産業局長でございますので、その立場から御報告をさせていただきたいと思います。 六十年の十二月に、先ほど畠山局長からお話をいたしましたような情報が入ってきたわけでございまして、都合十回にわたりまして東芝機械の担当部長その他から事情の聴取をしたわけでございます。しかしながら、東芝機械側の主張は、あくまでも輸出したものは同時二軸制御の工作機械なんだ、九軸、九軸と言われても、それをそういうふうに改良することは極めて困難な構造の機械である。それから制御装置、NCでございますが、これはノルウェーのコンダスベルク社から買ったものであって、現にコンダスベルクの方の、ちゃんと二軸に使うという証明書もありますよというふうな話でもございました。 それから、もう一つ別なタイプの機械につきましては、これは東芝機械自身が自分でプログラムをつくっているわけでございますけれども、これにつきましてもあくまで同時二軸用だという説明を繰り返し主張いたしたわけでございまして、今振り返ってみますと、大変残念でございますけれども、どうしてもその時点では通産省といたしまして不正を見抜くことができなかったということでございます。
○青山委員 本件は、不実の記載がなされたそうした申請書が提出されていたということなんですね。やはりそのあたりで、通産省として違反の確認がとれなかったという体制。これは後で少し触れていきますが、会社ぐるみで虚偽の申請をし続けてきておった、それを確認できなかったということに対する所感をぜひ述べていただきたい。
○児玉(幸)政府委員 所感を申し上げます前に、ただいまお尋ねの件で虚偽の申請だったのではないかという点でございますが、簡単に御報告を申し上げます。 九軸の工作機械と五軸の工作機械と二種類の機械につきまして輸出が行われているわけでございますが、九軸の工作機械の場合には、これは数値制御装置つき立て旋盤という名前の機械でございまして、現実にこういうものは幾らでもあるわけでございますが、そういったものについて、先ほども申し上げましたコンダスベルク社の数値制御装置をつける、これを全ソ技術機械輸入公団に輸出をする、用途は重電機器の部品の切削用だということでございまして、全体としてそれの説明に合致いたしますような膨大な資料があるわけでございます。 それから五軸の機械につきましては、これはマルチスピンドルドリリングマシン、ドリルの軸が二つあるような機械でございますが、そういったものでございまして、これもソ連邦のプロマシンポートへの輸出、最終的な使用目的は重電機用のフレームの穴あけ加工用ということだったわけでございまして、今振り返ってみますと、そもそも輸出貨物の形状あるいは性能、最終使用目的等に、いずれにつきましても虚偽があったのではないかと考えられる次第でございます。
○青山委員 アメリカから再三の指摘があったにもかかわらずなかなか違反の確認がとれなかった、そしてことしの三月になって再度アメリカの国防総省から、日本から輸出をされた機械によってソ連の原子力潜水艦のプロペラの音が小さくなった、そのために追尾が困難になってきておるというようなことをさらに指摘を受けて、ようやく再調査の結果違反が確認できたという結果になりました。そのあたりは、やはり通産省の対応が、いろいろの理由はあったにしても非常にまずかった。しかも、アメリカからそのような指摘が出なければ何ら違反の確認がとれなかったということになるかもしれない。そうなってきますと、通産省に対する不信感というのは、日本国民から見ても強くあります。 アメリカから動かぬ証拠というような指摘があったのかどうか、また、そういうものがなければ違反の確認はとれなかったのかどうか、その辺はいかがですか。
○畠山政府委員 アメリカから参りましたのは、当初、昨年の六月はそのココムへの投書が回ってきたということでございました。それから昨年の十二月は、これは今御指摘の潜水艦の音が小さくなったことと関係しているのではないかということで、これもその動かぬ証拠というようなものではございませんで、そういう疑いがあるよという指摘であったと思います。 それで、それに対して私どもは、アメリカ側として、ココムへの投書は別として何かアメリカ独自の調査があるのかということを要求をいたしました。それにこたえて、三月ぐらいにある程度の資料が来たということでございますが、それは動かぬ証拠というようなものではございませんで、自分たちとしてもこういうふうに思っておるというようなものでございました。 そういうものを見ながら私どもは、これは本当にそういう違法な輸出かもしれないという思いをたんたんと強めてまいりまして、ちょっと言葉が強過ぎるかもしれませんけれども、一応独自に調査をした。その結果、こういう違反輸出を辛うじて発見できた。確かに御指摘のように、当初からもっとそういう気持ちでやればよかったという反省は残っております。
○青山委員 一点お尋ねしておきたいと思います。 これまで違反の事実が確認できなかった、しかし、今回に限って違反の事実を確認することができた、そのあたりの調査の仕方に変化があったのかどうか。
○畠山政府委員 企業側が言っておりましたことはいろいろなことがございました。例えば、この機械は確かにハード本体は九軸であるけれども、同時制御をするのは二軸でしかない、したがって、輸出令に該当するのは同時制御であるから、同時制御が三軸以上でなければいいのだから、したがって違法ではないということをしきりに言いました。あるいは、仮に同時制御ができ得るとしても、ハードは同時制御はできるにしても、ついておるNC装置の方が二軸専門のものであって、それはノルウェーのコンダスベルク社からちゃんと証明書がついておるということも主張をいたしました。それらにつきまして、私ども今回はいろいろ技術的な専門家の第三者の意見を前もってよく聞きまして、そして会社側の主張に矛盾がないかどうか、徹底的に一つ一つつぶしていったわけでございます。 また同時に、今手法とおっしゃいましたけれども、念のため外為法に基づきます報告徴収命令というものも出しまして、もしこれに虚偽のことを書きますと罰則にもなりますものですから、そういったこともやったということでございまして、それで全体としまして、ちょっと恐縮でございますけれども、日曜日も含めて朝十時くらいから夜中までずっと何日も何日もヒアリングを重ねたということで、ようやく今回の辛うじての発見にこぎつけたということでございます。
○青山委員 もう少し通産省の立場というものに触れたいと思いますけれども、その前に、先般内部告発をされた方が文芸春秋にこれまでの経過について少し触れて出ています。恐らく読まれた方あるでしょう、読まれたでしょう。その中に、「あらゆるタイプの商社がソ連貿易に参画しており、そのほとんどがモスクワに支店や駐在員を置いている。これらの商社のうち、日本政府当局の輸出規制関係の法規を一度も侵犯していない商社は、おそらく皆無であろう。証拠があるわけではないが、永年ソ連貿易の現場に身を置いた者の、確信に近い実感である。」そういう背景の中で貿易が行われているということなんですね。 今回の事件についても、通産省はこれまで審査体制というものは決して十分なものではなかった、ただ、同時に通産省自身がココム遵守の気持ちが強くあったのかというと、私はこの点で少し疑問を持っている。昨年十一月にソ連で日本の貿易見本市がありました。そのことについて、私がさきの国会で質問をしたのですけれども、そのときに通産省のお答えは、ココム規制品目が六品目展示されております、ココムの規制品目をなぜ展示するのかと聞いたら、取引、貿易はいたしません。だけれども、貿易の展示、見本市であって、商いを前提にした見本市にココムに抵触する規制品目であるものを展示して、そしてそれは売らないんだというようなそういう姿勢がやはりいろいろな事件を逆に起こしてきたのではないか、私はそう思う。 そういう意味で、通産省自身がココムを遵守していくんだという決意があったのかどうか、この点についても私は大変な疑問を持っておる。もう少し後でもう一回これは触れますけれども、そのあたりの御見解はいかがですか。
○畠山政府委員 今回の事件にもかんがみまして、私どもなお一層ココムといいますか、安全保障の見地をもより重要に考えていくということについて今後努めてまいりたいと思っているところでございます。 それから、具体的なモスクワの見本市の点につきましては、青山委員からこの委員会の席で確かに御質問を受けました。それは六品目、いわゆる特認品が展示をされていたわけでございます。それで、これは展示をされておりましたが、持ち帰り条件つきということで展示をいたしておりまして、一応現在確認しているところでは、持ち帰り条件を果たして持ち帰りが済んでおるということでございます。ただ、御指摘のように確かに売りもしないものをそこへ展示するということは余り意味がないと申しますか、そう意味のあることでもございませんので、その後の運用の変化もございまして、今後はそういう輸出許可が出ないようなものは見本市には出さないという方針のもとに現在は運用しているところでございます。
○青山委員 では、後で聞こうと思ったのですが、ついでですからお尋ねしておきます。 昨年十一月の見本市に展示されたものは、何月何日から何月何日まで展示されたもの、そして日本へ規制品目は何月何日に帰ってきておるのか、きちっと明らかにして今発表していただきたい。できなければ、後で書類で提出をしていただきたい。
○畠山政府委員 今、手元に日にち入りの資料がございませんので、後で御説明申し上げます。
○青山委員 「ココム規制、貿易管理令をすり抜けて、戦略物資をソ連などのコメコン諸国に輸出するには、いくつかの方法がある。」と言って、八つほどあるのです。いろいろなやり方があるのだそうです。裏契約とサイドレターを用意すること、マスキングの方法がある、ハンドキャリーの方法がある、手で持ち込んでいく。いろいろな方法の中に、一番最後にこういうのがあるのです。「モスクワ見本市展示 モスクワの見本市に出品した規制品を、ソ連の研究所へ一定期間貸与し、ソ連の専門家の手で、徹底的に分解、分析し、高度技術の秘密を研究し尽くす、ということもハイテク取得の一方法として、おこなわれている。」このとおり私は決して信用しない。しないかもしれないが、この疑いも同時にあるということも理解していただけると思う。 したがって、ココムの規制品目を展示すること自体が、私は通産省の姿勢について、ココム遵守の気持ちといいますか精神が本当にあったのかなという点では、疑問を今でも持っています。その辺の責任をどう感じられますか。
○畠山政府委員 ただいまの問題につきましては、確かに御指摘のような向こうで貸与するとかいうことがありますと、特認物資について技術が流れていくというようなことが考えられるわけでございますけれども、ただ若干御説明をさせていただきますと、これは何も日本だけがそういう特認物資の見本市への出品ということをやっていたわけではございませんで、ココムの加盟各国の一致したやり方として、持ち帰り条件つきであれば特認物資を展示してもいいということに従来はなっていたわけでございます。それの一環として先ほど御指摘のものも実施をしたわけでございまして、ただルールが変更になりまして、それ以降はそういうものはやめになったということでございまして、その文章には確かに現在形で書いてございますけれども、一応過去はそういうことがございましたが、現在ではございません。
○青山委員 先ほど資料の提供をお願いしておきましたので、何月何日との品目が帰ってきておるというのを、ひとつきちっと出していただきたい。つまり、ココム規制品目がきちっと日本に帰ってきておるのかどうか、これはひとつ責任を持って確認をしていただきたいと思います。 それから、先ほども少し触れておきましたが、今アメリカあたりから日本に対して非常に厳しく見ております。したがって、日本も今日何らかの有効で適切な手を打たなければいけない。そうなってまいりますと、どうしても規制が強化されてくる。規制が強化されてきますが、しかし通産省も責任の所在をきちっとしていかないと、一部では東芝に対する同情論もあります。私は、不正をしていいとは言いませんし、その不正に対して怒りを持っています。ですから今日、この時点まで質問をしてきておるのです。しかし、通産省も反省すべき点はやはり反省していくんだ、こういうことで反省点をきちっと明らかにしていかないといけないのではないかと私は思います。いかがでしょうか。
○田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、私は、日本の対応、つまり通産省の対応を中心として日本の対応、またアメリカの対応、両方に割り切れない気持ちを持っております。先ほど申し上げたように、通産省の責任はまことに重大であります。組織としての責任、これは私自身もいかようの責任をとれと追及されても仕方がない問題だと思います。 ただ、アメリカ側が受けとめる、つまり感覚の違いというものは、東芝の会長や社長が辞任をしたことをむしろ彼らは悪感情で受けとめた。つまり逃げた、責任回避というふうに受けとめた。先ほど来御答弁申し上げておりました外務省の赤尾君もおるところで、私が東洋人の深さだ、責任のとり方だと何ぼ説明しても通用しませんでした。私が向こうのある高官に、もし責任をとって辞任すればアメリカの国民感情はいささかでも和んでくれるであろうかと聞いたところ、逆だ、通産大臣まで逃げた、責任回避して逃げた、こういうふうに受けとめるだろう、だからこの際、つらいだろうけれども職にとどまって再発防止のために全力を挙げるがよかろうかと自分は思う、きょうは日本のミニスターとアメリカのミニスターじゃなしに友人として君に御忠告を申し上げる、こういう話がありました。 考えてみれば、五十六年八月ににせの申請書でだまされてライセンスを発行しておるわけですね。そうしますと、田中六助君のときなんですね。それから今日までずっと、はっきり言ったら歴代通産大臣、私も含めて皆だまされっ放しというようなことなんですね、経過を見てみますと。しかも、恐らく歴代通産大臣はこういう事実があったことを知らなかったと思います。私も事実知らなかったのですが、知らないでは済みませんけれども、現実には知らなかったと思うのです。 そこで、こういうことがなぜ起こったか。結局、私の世代と今の世代の違いかもしれませんけれども、通産省だけではない、何省でもそうでしょうけれども、あるいは国民一般がそうかもしれませんが、防衛、安全保障、国防ということに対する考え方の厳しさというものが全然違うんだと僕は思うのです。私は終戦のときに二十一歳でありました。それだけに、国防というものの厳しさも身をもって体験しました。特に私は長崎で原子爆弾も食らっておりますから、体験しましたけれども、いろいろな面で考えるところもありますが、しかし一九四五年以降は国防という言葉すらタブーというようなことであり、教育もまたそういう方向。ですから、だれが悪いというよりもやはり防衛意識というもの、安全保障に対する意識が薄らいでいったということが基本的な原因だと思います。 ですから、二十万件も審査の案件があるにもかかわらず、わずか四十人やそこらでやってきた。四十人で二十万件なんてできるものじゃありません。本来なら、臨調がどう言おうと行政改革がどうあろうと、必要なものは徹底的にこれを要求するという姿勢があってよかったと思います。そういう点では、通産省の組織としての責任あるいは先人たちの責任というものも重いし、また当然今の役人もそうですが、とりわけ通産大臣であるこの田村の責任はまことに重いと思います。 同時に、今度はアメリカの場合、国内法で処罰するというのは当然のあれであって、ココムは条約じゃありません。先ほど来のお話のように紳士協定であります。にもかかわらず、これを外国によって制裁を受ける、しかも当該企業のみならずそのグループ全体が制裁を受ける、こんな理不尽な話はないと僕は思うのです。ですから、そういう点で今後通産省は思いを新たにして取り組んでいかなければならぬ。それには、当面はとにかく両院協議会というものが開かれるであろう、この法律が発効し行政府が厳しい措置をとらざるを得ない、そういうような事態を回避するために、まずとりあえずの対応があると思うのです。これが今私が申し上げておる外為法の改正であり、あるいはその他のもろもろの問題なんです。 同時に、我々が先長く日本の防衛あるいは安全というものを考えるときに、それはまたそれで与党野党を超えたコンセンサスを得ていかなければならぬのじゃないか、このように考えます。今とりあえず屋根がわらをふき直し、板を打ちつけてというような形でございますけれども、何とかこの風圧を避けなければならぬ、このように考えておる次第であります。
○青山委員 今大臣がおっしゃったような社会風潮もあったと、私は同感です。同感でありますが、日本が西側陣営の一員としてこれからも信頼を得ていくためには、やはり今回のこの事件については非常に重要な問題だという認識で内外に明らかにしていかなければいけないと私は思うんですね。 そういう意味では外務省も、今回の事件を通じて、西側陣営の安全保障確保に重大な影響を与えてきた、深刻な問題を投じた、こういう意味で、日本は信頼を回復していくために今回の事件を非常に重要視しているのだということを内外に明らかにしていかなければいけないと思うのです。そのあたりの御見解は外務省いかがでしょうか。
○赤尾説明員 今度の東芝事件は、私たち非常に遺憾と思っております。これは日本の安全保障の見地から非常に遺憾でありますし、さらに自由主義圏全体のためにも非常に遺憾であると思っております。そのためには、これにこたえる一番の方法は再発防止策の面で万全を期することであるということです。 これは、通産省と外務省の間でいろいろとその具体策等につきまして御相談しておりますが、その今一番重要な課題は外為法の改正ということで、既に本日も大分御質問が出ました。あと、通産省の方では輸出管理体制の具体的な強化策を検討していただいております。外務省の方におきましても、例えば関係省庁間で緊密に連絡をとるような体制が果たしてできるかできないだろうかということも、今検討しております。 他方、国際的なレベルでは、ココムにおける協力体制の強化、これは特定の国の犠牲で他国が利益を得るべきでないという点も含めてココムにおける体制を強化しなければいけないということで、日本としましてもできるだけココムでの審議には積極的に参加していくというようなこと等、いろいろと具体策を検討しているところであります。
○青山委員 これまでの審査体制にいろいろな問題があった、その反省点の上に今回新しい計画を立てて審査体制を整備していくんだ、こういうようなことが聞こえてきております。ところが、新聞等ではいろいろな数字が出ておりまして、どうもその辺が明らかでありません。今この段階で、通産省の方針を聞かしていただければ、ぜひ聞かしてください。
○畠山政府委員 確かに御指摘のように、新聞等には貿易局の数字が出たりあるいは全体の数字が出たりしまして、御迷惑をおかけして恐縮でございます。全体の数字といたしましては、現在ココムの審査人員は、本省中央を含めまして私ども四十二人でございました。これは七月九日まででございますが、七月十日に内部振りかえを大幅に実施いたしまして、現在五割増しの六十三名ということに相なっております。これを当面、来年度の要求におきましては倍増していこう、倍増といいますのは当初の倍増、四十二人の倍増ぐらいを考えておるというのが、審査体制の充実の人員面の体制の強化策でございます。
○青山委員 そのような計画でどれくらいの実効、効果を期待しておられますか。 それから、新しい審査基準あるいは審査方法、審査手順といいますか、そのあたりの見直しの計画はおありかどうか。また、相当な専門的な知識が要ると思うのですね。その点では専門家を中に入れていく、例えば防衛庁からも専門家に来ていただく、そして審査体制を強化していくんだというようなお考えがおありかどうか。どうでしょう。
○畠山政府委員 第一点の、これによってどれぐらいのめどで審査を行うということなのかという御指摘でございますが、この東芝機械事件以降、実は審査の期間が長期化いたしております。三カ月ぐらいの長さになっております。三カ月というと非常に長うございますので、それをできるだけ短縮する方向で努力をいたしたいと考えております。 それから、新たに審査方法なり審査体制、審査要領なり考えておるのかという御指摘がございましたけれども、この点につきましては、まず従来は二十万件をやや画一的に全部書類で審査をしたという体制でございましたが、今度はそのうち重点的に大口案件あるいは特に戦略性の高い技術、そういったものを、貿易局審議官をヘッドといたします審査委員会をつくりまして、そしてそういう条件に該当するものを毎週一回審査をしてみるという重点審査体制を一つつくりました。 それからもう一つは、現在は全部書類審査でございます。無論、立入検査を全部について実施するわけにはいきませんけれども、また立入検査自体もそれ自身に伴う限界もございますが、やはり立入検査が全くないということでございますると、企業に何と申しますかだましやすいというような感じが起こってもいけませんので、安心させてもいけませんので、臨時に立入検査を行える体制も今おいおい準備をしておるところでございます。 さらに、ココムの審査を行いますマニュアルといいますか要領といいますか、そういったものも早急に策定をして、まあ今も若干のものがございますが、それを抜本的に強化をして定式化をして、チェックポイントが抜けるようなことのないように体制を充実してまいりたいと思っておるところでございます。
○青山委員 防衛庁、来ていますか。――今の審査基準、審査手順の見直しを図っていかなければいけない、そんなようなことから専門家を養成したいというようなことにもしなっていけば、防衛庁としては審査能力を高めていく意味で専門家を派遣していくというような考え方はお持ちかどうか、どうでしょう。
○宝珠山説明員 御説明いたします。 防衛庁は、従来ココム規制ということで仕事にはタッチいたしておりませんので、現在その十分な要員とかそういう面では力がございません。しかし、多くの武器の調達者としての立場あるいはその開発というようなところから技術、知識というものがございますので、それが利用できるかということであろうと思います。現在、政府として再発防止のためにどのような体制がいいかという。ことで検討中であります。防衛庁はできる限りの協力をするということで、関係省庁と協議を申し上げているところでございます。その一環として、技術者を出向させるというようなことはある程度可能であろうと思いますが、十分な要員ということになりますればかなりな期間を必要とするものかと考えられます。
○青山委員 大蔵省、来ていますね。品物が外国に出ていくときに通関でチェックがなされるわけですね。現行通関チェックというのは、例えば麻薬であるとかけん銃であるとかそうした密輸入それから密輸出というのですか、そのあたりについては非常に経験も豊富だし力を持っておられると思う。ところが、ココムの規制品目であるかどうかということのチェックの能力という点では、失礼だけれどももう少し機能を高めていっていただかなければならぬのではないか。その辺の御見解はいかがでしょうか。
○植田説明員 税関におきましては、ココム物資については輸出通関における最重点審査対象項目といたしまして、審査それから現品検査を実施してきております。また主要税関、現在のところ東京税関から門司税関までの主要税関におきまして輸出通関調査室というのを設置いたしまして、ココム物資について専門的に調査検討をさせるなど、税関職員全体のレベルの向上を図って不正輸出の防止に努めておるところでございます。 さらに、専門技術的な面で問題があるのではないかというふうな御質問でございますけれども、税関職員の専門技術的な面の能力向上のために、税関での商品学研修のほか、通産省の輸出業務研修、これに派遣させまして専門知識の修得に努めておるところでございます。また、通産省との間では従来より緊密な連携を保ってきたわけでございますけれども、今回さらに両省審議官レベルの輸出管理強化対策連絡会を設けるなどして、連絡体制を強化したところでございます。 今後とも税関職員の専門技術的な能力の向上を図っていくとともに、各省庁間の連携を密にいたしまして、ココム物資の輸出規制の実効の確保に努めてまいる所存でございます。
○青山委員 次に用意した質問は、先ほど質問が出ておりましたので割愛をいたします。その次も、その次も割愛させていただきます。 通産大臣、最初にこれは聞くべきであったかもしれませんが、今回非常に厳しい訪米であったと思いますが、大臣の御所見、アメリカの政府に対する、あるいは議会に対する御見解はどんなものであったのか。それから、今回通産大臣と商工委員長が一緒に行かれましたが、例えば外務大臣、防衛庁長官あたりの訪米についてはどんな御所見か。 余りたくさん急に聞いてもなにですから、そのあたりの御見解、いかがですか。
○田村国務大臣 このたびの訪米は、国会が特に予算の総括のときでございましたから、とにもかくにも私一人で飛んで参りました。本来なら外務大臣等とそろって行くとか、あるいは交互に行くとかすべきであったと思いますが、大急ぎで行ったわけです。 向こうでは、とにかく行政府は総じて好意的でありました。好意的ということは、日本に対して好意的というのではなくして、こういう制裁法案は絶対に反対すべきであるという考え方を強く述べて、私の意見に耳を傾けてくれました。私がいろいろと説明をして、ワインバーガー初め皆非常に快く私の説明を了承し、私が言明した内容に対して高い評価を与えてくれました。とりわけ、亡きボルドリッジ商務長官は、私の言ったことが非常に評価できると言って、自分は満足だ、こういうことを言って新聞に対するキャンペーンまでうまくやってくれたわけです。たまたま今持っておりましたので、ボルドリッジ氏をしのびながらごらんに入れますが、ワシントン・ポストのビジネス版の一面にこういう写真入りで、そしてしかもボルドリッジを満足せしめた、サティスファイという言葉まで使ってやってくれた。これは本当に感謝いたしております。彼を失ったことは、日米関係にどれだけ大きな損失であったか、返す返すも残念でなりません。 さて議会でありますけれども、上院の方は賛否まちまちではありましたけれども、おおむね私の意見に耳を傾けてくれました。中には厳しい人もいないではありませんでしたが。ところが下院、特に軍事委員会というのは、最初三、四人に会うことだと思って行ったら、十五人ほどずらっと並んで、そしてあたかも査問委員会のごときものであった。ただ、私が彼ら全部に言ったことは、紳士協定なんだから我が国で処罰をする、そして我が国の処罰規定を強める、あなたの国から処罰を受ける、制裁、報復を受けるいわれはない、こう言って頑張ったのでありますが、結局、貿易インバランス、財政赤字、いろんなことでいら立ち、焦りがあるのでしょう、非常に厳しいものでございました。 そこで、我々としては、佐藤君も、また大木委員長も一緒でございましたが、この際はもう日本の経済を守るために我々の感情は顔へ出すまい、言いたいことも山ほどあるけれども、じっと耐えようということで帰ってきたのでありますが、私は率直に言って、今度のこの事件は災いを福に転じなければならぬと思います。日本人もここいらで安全保障ということにまじめに――まじめといいますか、厳しい眼を向けるべきだ。その認識をすべきだ。アメリカでもソ連でも中国でも、みんな非常に厳しく国の安全保障を受けとめているのです。それが自由主義国家であろうと共産主義の国であろうと、みんな厳しい受けとめ方をしておる。日本だけが昭和元禄の今のままでいいのだろうかとつくづく思います。 まあお答えになったかどうか私にもちょっと自信がありませんが、あえて青山君の御意見に対して私の経験と心境を申し述べた次第であります。
○青山委員 大臣は、アメリカから帰ってこられましてテレビのインタビューのときに、いや約束したわけではないんだ、プロミスとは言ってないんだというような発言が実はありました。ありましたが、しかし私の率直な感想では、これはぜひ公約と受けとめていただいて、アメリカに対して、なるほど通産大臣が約束したことはやったじゃないかと言ってくれるように、一つずつぜひひとつ取り組んでいただきたい。 その一つは、やはり審査体制の整備でありますし、いま一つは、やはり外為法改正の問題が出てくるでしょう。それから、ココムの機能を高めていくための日本としての協力をどのようにしていくことができるのか、あるいは対原子力潜水艦の探知能力を高めていくための技術的な協力を進めていかなければいけない、そういうような具体的な一つ一つをぜひ、これは仮に約束しておられなくても、アメリカ国民は日本の通産大臣が来て言ってくれたというふうに受けとめていると思いますし、私どももそんな印象を強くしておりますから、一つ一つ取り組んでいただきたい。その取り組む方針について、ひとつぜひここで聞かしていただきたいと思います。
○田村国務大臣 ココムに加盟しておる自由主義諸国は、皆同じ立場で加盟しております。でありますから、日本はアメリカの属国ではありませんから、私は約束という形でおじぎはいたしませんでした。けれども、私の強い意見を披瀝いたしました。でありますから、先方はこれを公約と受けとめたでありましょう。また、事実、日本の国務大臣が行ってあそこまで言った以上は、これを守らなければ国際信義にもとります。でありますから、私は、向こうで意思表示をしましたもろもろの問題について、とにかく私の責任でこれを実現いたしたいと思います。しかし国会の場へ、いわゆる議会の場へ出てまいりましたものは、私の責任でこれを通過せしめることは不可能であります。でございますから、どうか各党の方々におかれては、今の日本の置かれておる立場を憂えていただいて、よろしく御指導、御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。
○青山委員 時間がなくなってきましたので、急いでお尋ねいたしたいと思います。 これは資料の要求をいたしますが、ココム規制の強化について他の加盟国との足並みの調整、横並びの調整が必要でありますが、しかしそうは言うものの、今の段階で何らかの手を打たなければならないという感じを私自身も持っております。そこで、今日までの欧州諸国の規制の状況におけるトラブルの例、これをひとつぜひ調べて提出をしていただきたいと思います。今後、これは私どもの審査にも非常に重要になってきますので、委員長の方からもよろしくお計らいいただきますように、ぜひお願いしたいと思います。トラブルの例、よろしいですか。
○畠山政府委員 諸外国、輸出管理を必ずしもその違反事例等について公表していないケースもございますので難しい面もございますが、できるだけ集めてみたいと思います。
○青山委員 ぜひお願いします。 それから、防衛庁来ておられますが、対潜水艦探知能力向上のための技術協力の用意はおありかどうか、どうでしょう。
○宝珠山説明員 対潜能力向上のための日米の研究協力につきましては、日米安保条約の枠内におきまして、両国の対処能力を向上させるために情報交換を含めまして両国がそれぞれ研究し協力していくということで、中曽根総理とワインバーガー長官との間で合意いたしております。また、先般の通産大臣の訪米に際しても、その旨先方にお話しになったと承知しております。
○青山委員 時間がなくなりましたが、先ほど来いろいろ質疑させていただきましたけれども、このような事件が起きてきたのもやはり日本が、戦後おかげで平和に暮らしてきましたが、経済活動中心で今日までやってきたのではないか、私自身もそんな反省をいたしております。国の安全保障という問題を少しないがしろにしてきたこの国のツケが、今こういう形で回ってきているような気がいたします。 ただ、ココムによる規制の強化というのは、ヨーロッパでも少し批判的な面も出てきておりますから、そうした全体のバランスの中で、しかし日本が自由主義陣営の一員として、ココムに加盟している同盟国から信頼が得られるような誠実な行政運営というものが今こそ非常に要求されている。このことをひとつぜひ通産省も防衛庁も大蔵省も外務省もよく受けとめていただいて、再発防止のためにひとつ全力で取り組んでいただきたい、こう要望申し上げて質問を終わります。
○佐藤委員長 次回は、明二十九日水曜日午前十時四十五分理事会、午前十時五十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十四分散会