社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/08/26
会議録
○堀内委員長 これより会議を開きます。 第百七回国会内閣提出、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。 御出席を願っております参考人の方々は、評論家橋本司郎君、日本労働組合総評議会生活・社会保障局長前川哲夫君、全国自治体病院協議会会長諸橋芳夫君、国立療養所新潟病院職員労働組合執行委員長山崎將宏君、以上でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。 なお、議事の順序は、初めに参考人の方々から御意見を十五分ほどお述べいただき、次に委員諸君からの質疑にお答えを願いたいと存じます。 それでは、まず橋本参考人にお願いをいたします。
○橋本参考人 おはようございます。橋本でございます。こういう席にお呼びいただいて意見を述べさせていただくことを大変光栄に思い、また感謝もいたしております。 私、今評論家ということにしておりますが、昨年まで朝日新聞におりまして、社会保障担当の編集委員をやってまいりました。その当時から、実は国立病院・療養所問題にいろいろ関係をしてまいりました。と申しますのは、国立病院・療養所再編成問題等懇談会というのが六十年二月一日に意見書を出しましたが、その委員に加えていただいております。それより前に、やはり国立病院・療養所のあり方を基本的に考えようという会がございまして、その両方に参加をさせていただいたわけであります。 そこで、私の立場としては、それらの懇談会を代表して云々という立場ではございませんので、そこに参加をしながらいろいろ皆さんの御意見を伺い、また勉強もさせていただいた過程で私なりにまとめた考えを、私の個人的な印象と意見ということでお話を申し上げたいと思うのでございます。 議題になっております国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に対しまして、総括的に申しますと、私は賛成の立場から御意見を申し上げたいというふうに思っております。 実は、今申し上げましたような勉強会、懇談会の過程で私が考えましたことを最初にまとめて申し上げますと、これからの国立医療機関というのは、その役割、そのあり方を明確にして、その責任を果たせるような体質に強化を図っていかなければならないというのが総括的な結論でございます。 国立病院・療養所がこれまでどんな姿でまいったかというのは、先生方御案内のとおりで、ここで繰り返すまでもないとは思いますけれども、ざっと振り返ってみますと、国全体の医療の中で、国立病院あるいは国立療養所といった国立の医療機関が何をなすべきかという視点で配置されたのではないということが根本にあると思います。御案内のとおり、旧陸海軍病院などを引き継いで、これを国立の医療機関として経営してまいったという歴史があります。余り適切な表現ではないかもしれませんが、いわばそこに病院があったからそこで経営するという姿でまいった。それだけに全国的な配置あるいは一つの県内、一つの地方に限ってみましても、配置にいろいろ問題がございます。偏りがある。したがって、それを運営するということにつきましても、若干の無理があるというふうなことは否めない事実であったのではないかと思います。 戦後の医療資源の乏しい時代では、あるいは結核が国民病だったという時代、こういう時代には直接の医療資源を供給するという意味での役割も十分果たしてまいりました。しかし、次第に民間の医療機関が充足してまいりますと、あるものはがんセンター、循環器センターといったようなナショナルセンターとなっていく。あるいはてんかんとか精神とか脳卒中リハビリ、難病とかいった各種部門への積極的な取り組みを展開してきたというのも事実であります。こうしたことは、それなりに評価されてきたことではありますけれども、私の立場からやや皮肉な言い方をさせていただきますと、国立の医療機関が生き残る道を模索していたというふうな感じは否定できないことではなかろうかと思います。 ところが、時代は変わってまいりまして、今や医師の過剰時代、さらには全国的に病院のベッドの過剰時代ということが言われております。こういう時代になってまいりますと、自由開業が基本原則である我が国の医療体系の中では、国立病院はどうしても方向転換が必要になってまいります。そこで公的医療機関、特に国立の役割は何かということが改めて問い直されなければならない時期にただいまなっているというふうに私は認識をいたしております。 そこで、公的な機関、特に私の扱ってまいりました社会福祉、社会保障分野で考えますと、公的な機関の役割というものは一体何か。特に公的な、国あるいは地方自治体といったものが直接行う事業という面から考えてみますと、こんなことが言えるのではないか。これは全く私の私見でありますけれども、ごく大づかみな原則としては、こういったことではないかなと思うことがございます。 それは、第一には、国民の最低生活の保障である生活保護、あるいは老後の生活の基盤になります年金制度、こういったようなものは国あるいは自治体の責任において行われるのが全く適当であり、まさにその責任にあると思う。 しかしながら、もう一つの部門、国民生活にとって必要ではあるけれども、まだ民間がそれに手をつけてこない、あるいは手をつけてきていても十分ではないといったような分野につきましては、例えば具体的な例で申し上げますと、重度の障害児あるいは障害者の施設とか特別養護老人ホームなどの老人の施設、そういったようなものはまだ民間が十分に伸びてこない、あるいは非常に手がつけにくい。これは経済的にペイする、しないという問題もありましょうし、その他もろもろの問題から民間が十分に伸びてこないという分野でありますが、こういう場合には、当然国とか自治体とかが直営あるいは助成策を講じて推進していっていただかなければならないというふうに思うのです。 ただ、民間が伸びてきた分野では一体どういうふうになっていくのか。これはちょっと私の独断的な考えかもしれませんが、公的機関の方は民間に場を譲ってもいいのではないか。民間の自由な発想に任せ、あるいは利用する側の自由な選択に任せるということができるならば、その方向に進めるのがむしろ適当ではなかろうかというふうに私は原則的に考えております。これからの社会保障の展開というのは、そういう方向に行かざるを得ないのではないかというのが基本的な考え方でございます。 そうしますと、それに沿って考えまして、医療の分野でも大体同じような感じで考えてよろしいのではないかというふうに思います。病院のベッドあるいは医師、これは今やもう絶対量としては充足状態になってきております。もちろん地域的な偏りがあり、そこに重大な問題があるということは事実でありますけれども、総量としては十分に足りてきている。そういう状態になりましたときには、国立病院・療養所の役割というのは、昔のように直接の医療資源の供給ということばかりではなくて、むしろそういうものから離れて、別な考え方で運営されていかなければいけないのではなかろうか。つまり医療機関が必要であるということと、それが国立でなければならないということとは、問題はおのずから別個ではないかというふうに考えるわけであります。 そこで、国立の医療機関はどんな仕事を担当すべきかということでありますが、これは六十年の二月一日に懇談会の意見が出されておりますので、繰り返す必要はないと思いますけれども、その中から幾つかのポイントを拾って申し上げてみますと、国立医療機関として分担すべき分野の第一は、まず政策医療であろう。政策医療の内容としましては、現在のナショナルセンターが担当しているような高度かつ先駆的な医療というのが一つあると思います。それから筋ジス、ハンセン病など、国が中心的に取り扱ってもらわないと、民間の医療機関ではなかなかやりづらいというふうな分野がございます。これは当然国がしっかりやっていっていただかなければならないというふうに思うわけです。それから治療法のまだ確立していない難病、これもなかなか民間に任せきりというわけにはまいらない。これも国でしっかりやってもらわなければならない重要な分野。それから老人性痴呆、末期医療、それから人口の高齢化に伴うさまぎまな問題、こういったような医療のモデル実施というのもぜひお願いしたい。それから外国からの研修生の受け入れとか、国際医療協力とか、さまざまな分野で国立医療機関の行うべき政策医療というものがあるのではないか。 そういう政策医療を担当することになりますと、それに必要な臨床研究というのも当然必要になってまいります。 それから第三番目には、地域の開業医、勤務医などへの病院の開放、それから高度医療機器の共同利用、専門検査を引き受けること、こういったようなことを、これは現在の段階では必ずしも十分に行われているとは思いませんけれども、これからはこういうことが非常に重要になっていくであろう。 そのほかに、医療スタッフの養成、生涯研修といったようなさまざまな国立医療機関の担当すべき分野があると思います。 こういう方向に国立の医療機関の方向づけをいたしますということになりますと、現在のままの国立病院・療養所のあり方ではやや問題がある。そこでこれを何らかの方向で改革をしていかなければならない。この改革をするに当たっては、二つの方向が必要になるというふうに考えております。一つは、国立でなくてもよい分野、これはできるだけ早くしかるべき経営主体に引き継いでいただくということを積極的に進める必要があろうかというふうに思います。それと同時に、国立医療機関の体質の強化ということをぜひやっていただかなければならない。つまり一方では、国立でなくてもよい分野というのは国が手を引く、そのかわり、残ったものについては体質を強化して、本当に国立の、なるほど国立だと言われるような体制にしていかなければならない。この二つのことを同時並行的に実施していかなければならないというふうに考えます。 そこで、その第一の、国立でなくてもよい分野をしかるべき経営主体に引き継いでいくということをやりますのには、現在の姿から変わるわけでありますから、これには当然激変緩和ということを考える必要がある。余り荒っぽいことを急にやるということはよろしくありませんので、現実を考慮した経過的な措置も当然必要になってまいりましょうし、また経営を引き継いでもらうということになりますと、初めて病院を経営するという部分も出てまいりますので、これには一種の助成措置が当然必要になってまいるだろうというふうに思います。 現在、医療法の改正に基づきます地域医療計画の作成が各都道府県で進んでおりまして、聞くところによりますと、今年度じゅうに七割ないし八割程度の策定が終わるのではないかと言われておりますが、この地域医療計画というのは、地域の医療の確保の第一義的な責任者である都道府県、この都道府県という場合には、行政主体ではなくて、そこにあります医療機関、それから医師会等の方々のすべての関係者の知恵をまとめた医療資源の確保のための設計図というふうなものに地域医療計画はなっていくであろう。ということになりますと、その中で国立医療機関はどういう位置づけをされなければならないのか、あるいはいろいろな経営主体に引き継がれたものは、その中でどういったような位置づけをされるのかということも大変重要な問題になってくると思うのです。ということになりますと、できるだけその地域医療計画の作成が進んでいる段階で国立病院の統廃合の行く末もかなり見通しがつくというふうな格好でやっていただくのが大変ありがたいのではなかろうか。地域に密着した医療ということになりますと、例えば今結核を主としている国立療養所を、地域としては老人保健施設に転換してやった方がいいなどというようなさまざまなその地域特有の考え方が出てくるであろうというふうに思います。 それから、移譲あるいは譲渡に当たっては何かと優遇策を講じてあげないと、これを後で引き受けた者が必ずすぐうまくいくというわけにもまいらぬ場合もあると思いますので、しばらくの間は、これを何とか支援していくという体制もきちんととっていただかなければならないだろうと思います。そしてこの法案が国会に提出されましてから、もう既に一年半になりますので、その間にあちこちの地域では、この法案の成立を待って早速やろうというふうな格好で、既に待ち構えているところもあるということも考慮していただきたいと思います。 ところで、もう一つの問題点の国立医療機関らしい役割、これをきちんと果たすような状態に現在の国立医療機関があるかというふうに考えますと、残念ながらすべてが十分と言える状態ではないというふうに考えます。 それの一つの原因と申しますか、予算と定員ということがございます。これでがんじがらめにされた硬直した経営では余り好ましいことではありませんので、これからの医学あるいは医学関連技術の進歩に十分に対応した国立医療機関としての使命を果たせるような運営のできる柔軟な体制を築いていただきたいというのが私の希望でございます。 先ほど申し上げました高度先駆的な役割というふうなことが、一次医療を担当する一般医療機関と同じような基準で定員あるいは予算を考えるというふうなことで一体できるのだろうか。国立病院だから、公務員だからという視点で、ただ定員法の適用をしていくというふうなことで本当に高度先駆的な医療という役割を果たせるのかどうか、これは考え直す必要があるのではなかろうか。 また、先ほど申し上げました地域への開放とか高度の医療機械の共同利用とかいうふうな面、これはこれからの医療資源を有効に活用するという、高齢化社会になりますれば、医療費がかさむのも当然でありますから、それを防ぐ一面でもそういうことが期待されるわけなんです。それには地域の開業医とか勤務医が国立病院に期待を寄せられるようなものでなければならない。つまり地域の開業医、勤務医から余り期待されないような状態のままに国立の医療機関を置いておいて、それでそういうことをやれと言っても、これまた無理な話であります。そこで新しい機械を入れるとかなんとかというふうなことについても、医学及びその周辺技術の進歩に十分に対応できるような機動的な運営をしていかなければいけないのではないかというふうに思います。 実は、こういった国立医療機関の強化ということをやりませんと、いわゆる統廃合のための統廃合ということに終わってしまうと思いますので、この点を十分にお考えになっていただきたいというふうに思うわけでございます。 勝手なことを申し上げましたけれども、これで私の意見を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○堀内委員長 どうもありがとうございました。 次に、前川参考人にお願いをいたします。
○前川参考人 総評の前川でございます。国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に、私は反対する立場から意見を述べさせていただきたいと思います。 実は、ことしの五月二十八日だったと思うのですが、厚生省の首脳が厚生省の記者クラブの会見の席上で、国立病院等の再編成に関する特別措置法に関して、関係者に一部誤解があるようだが、これによって国立病院の再編成が云々されるというものではなく、関係者、特に公的機関その他に対する財産の払い下げ、移譲についての割引などの特典を盛った法案である、これで国立病院の再編成がすぐに進められる、そういう法案ではないのだということを強調なさっているわけですね。 実は、私はこの記事を見て大変にびっくりしたのです。それはどういうことかといいますと、先生方も御承知のように、三十九の県議会でこの法案に対する反対の決議がされていますし、二千九百九十八の市町村議会でも同様な決議がされているところです。もちろん地方自治法に基づく意見書も数多く政府に提出をされていますし、先生方のところにも多くの人たちが陳情にお伺いをしていると思います。私は、こういった異常な事態になっている、その中でこの発言があったことを極めて重視をしているわけです。問題は、割引を自治体が問題にしておるのではなくて、この法案が出てきた背景になっている昨年の一月九日に厚生省が発表いたしました「国立病院・療養所の再編成について」のあの内容を問題にした、そういう自治体の意思だと言わざるを得ません。 この再編計画の中で問題なのは、国立病院の果たすべき役割を政策医療に集中をし限定をしていこうという方向が基本的に出ていることが最大の問題なのではないだろうかと考えております。特に今回の再編計画が国立病院・療養所のごく若干の施設を対象としたものでなく、全面的再編合理化であり、淘汰縮小であり、地域医療からの撤退とさえ見ざるを得ないような性格を持っている、ここのところに最大の問題があると考えています。 同時に、こういった方向というのは、もしこれが実施されるということになりますと、医療の公共性がどうなるのか、あるいは営利化に拍車がかかりはしないか。国民がいつでもどこでも安心して医療を受けられるという条件にいろいろ問題が出てこないか。また医療機関を選択する国民の立場からは、権利の侵害というような心配がないのかどうか。こういったさまざまな問題を前提に置いての地方議会の反対決議だと私は思っています。 また、こうした厚生省の国立病院に対する考え方が、実は一部自治体の中で私は誤解をされていると思うのです。ある県立病院の経営診断の中で、県立病院の果たすべき機能を、県の医療行政上特に推進すべき政策的医療に重点を置く、こういう経営診断の結果報告が出ています。こんなことが蔓延をしていきますと、地域住民にとって最も大切な地域医療を、これでは民間医療に全面的にゆだねてしまうことになりかねません。言葉をかえるなら、二十一世紀の高齢化社会を目前に、国が今進めようとしている保健医療政策、このことに自治体あるいは住民、国民が大きな反対を持っていることのあらわれであって、厚生省首脳が五月二十八日に言われたような誤解からの反対でないと言わざるを得ませんし、私もそういった立場であることを初めに明らかにしておきたいと思います。 橋本先生からもお話がありましたが、国立病院・療養所が現在の姿で存在するに至った経過はさまざまだと思います。お話のように、軍の病院が今日国立病院になった例もありますし、あるいは昭和の初期の結核が蔓延した時代に、地方の篤志家あるいはお医者さんが小さな病床をそこにつくって、それが国立病院になっていった。自治体が伝染病の隔離病舎をみんなで金を出し合い、つくり、それが国立病院に発展をしていった。さまざまなケースがあると私は思います。しかし、今回の再編計画で統合あるいは移譲の対象となっている施設は、比較的規模が小さいことや離島の施設あるいは温泉病院などが対象となっています。これらの施設の中には、やはり自治体の多年の努力あるいは財政負担の積み上げ、それが今日の施設になっている、こういうことを無視するわけにいきません。同時に、こういった施設については、地域住民や地元の自治体の立場からは、形は国立であっても、気持ちの上ではまさに自分たちの病院という認識と言わざるを得ません。このような地域住民の感情を大事にして、地域と一体になって地域医療を守るとりでとして国立病院や療養所をより充実をしていってほしい、こう願っているものです。 それから、六十一年度の国民医療費は、御承知のように十六兆円を超え、老人医療費が四兆円を突破いたしました。さらに硬直的な増加傾向を示していますが、国立医療機関が基本的、一般的医療から撤退するのではなくて、評価の基準となる規範的医療を実現して、この発展の上に標準的医療のあり方を示す、あるいは国民の医療に対する要求に積極的にこたえる。九月一日から松戸病院に新たにがん患者の末期医療の対象の病床が二十床開設をされるとか、さまざまな努力がされていることも承知をしていますし、そういったものに対しては評価をするものですけれども、ぜひそういった意味で多くの今日緊急の課題に国立医療機関として対処してほしい、こう思うところです。 また、国立医療機関は全国的な組織を持ち、かつ営利というものを超えて、山間僻地あるいは離島の医療、救急医療を含む地域住民の日常医療を基本として、地域社会に密着した医療機関として発展してほしいとも願うものです。同時に、最近の老人医療、とりわけ在宅治療等の問題も含めて、往診や訪問看護などの保健活動の必要要員の確保も含めて確立をし、この部分での先進的な指導的役割を果たしてもらいたいとも考えるところです。 さらに、高度、専門医療体制についても、地域の総合医療体制を高める立場から、自治体などが経営する公立病院や民間病院、診療所との連携を強化して、高額医療機器の共同利用等の実践と普及あるいは病院の開放、臨床研究の共同化、医療従事者の養成などについても積極的な役割を担うべきだと思います。 医療費増大の最大の要因となっています老人医療、老人性慢性疾患あるいは老人性痴呆症や脳卒中リハビリ、各種難病、重症の心身障害児あるいは障害者医療、精神疾患等長期慢性疾患についての専門的医療機能も充実をさせるべきだと思います。 以上のようなさまざまな期待は、国立の医療機関だから何でも国に要求し、国の責任で事を済ませればよい、こういった考え方ではありません。人口の高齢化、長寿化は社会の成熟というふうに言われますが、こうした社会はコストの高い社会であることも事実です。ことし出されました厚生白書は、「未知への挑戦」というタイトルがつけられていますが、このタイトルが示すとおり、これまで我々が過ごし親しんできた社会制度や仕組み、考え方、これが高齢化社会の中では通用しないのではないかというふうに私も考えています。 高齢化社会はコストの高い社会ですから、必要な負担には私どもも応じていく、こういう決意を持っています。しかし同時に、苦しい家計の中から拠出される金が本当に効率的に使用されているのかどうかに疑問を持っていることも事実です。医療法改正の契機と言われる富士見産婦人科病院事件、十全会病院問題、診療報酬の不正請求、あるいは毎年発表される各税務署ごとの高額所得者リストにおける病院経営者や医師の所得の現状は、額に汗して働く一般の国民には、率直に言って納得しかねるものがあることも事実です。こうした状況のもとで、国民が国立の医療機関に寄せている信頼は極めて大きなものがありますし、むだをなくしていくという立場から、国立医療機関がその先頭に立って努力をし、そういった全体の気風をつくり上げていく、こういうことを私どもとしては強く期待をしているわけです。そういった立場からは、国立医療機関が一般的、基本的医療を放棄をするあるいは縮小をするということでなく、やはりしっかりとこれを守って、質のよい医療を効率的に供給をしていく、こういうことではないでしょうか。 次に、地域医療計画と国立病院・療養所の再編計画との関連について若干述べたいと思います。 六十年十二月の当委員会における医療法改正等の御審議の結果、現在では全国で地域医療計画をまとめるための作業が行われていますが、来年中に七〇%以上の計画ができ上がる、こういうふうに聞いています。既にできたところの計画等も取り寄せていろいろ見させていただいていますが、この地域医療計画、地域では保健医療計画という表現をしておるところが多いようですが、作成に当たって厚生省は、再編計画の中で統廃合や移譲の対象にしている医療機関については極めて厳しい注文をつけているというふうに聞いています。本来、地域の実情に応じて将来を見据えて自主的に作成されなくてはならない地域医療計画をゆがめたものとしかねない圧力がかかっている、こういうふうに私は受けとめています。 その結果、例えば新潟県の例で申し上げますと、それぞれ保健医療圏が設定されていますが、新潟保健医療圏の場合には、既存病床が六千三百五十二ありまして、必要とする病床数は五千三百七十三で、九百七十九がオーバーをしている、こういうふうになっています。ここは西新潟国立病院があるわけですが、それに寺泊の施設を統合するということになっていますが、寺泊の施設が対象になっています長岡保健医療圏では、必要病床数三千六十に対して、現にある病床数は二千四百八十二で、五百七十八が不足をしています。不足している地域からオーバーしている地域の機関に移していく、こういう計画が例えば出てまいります。こういった点から見ても大変に問題があるし、地元の自治体やあるいは住民がこぞって存続を願っている施設について、これらの計画の中身を見てみますと、従来からあるその施設の機能の存続が必要だということで、大変に抽象的な表現で現地の意思を表明をしているとか、そういう問題がございます。私は地域医療計画の策定に対して、国立医療機関の再編成計画を前提として、この計画を推進する立場から圧力をかけてゆがめるということがあってはならないだろう、こういうふうに思います。 最後に、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案の内容について、重要な部分である移譲、譲渡の相手先については、公的医療機関以外の選定あるいは譲渡する資産の内容、経営移譲先への運営補助、経営移譲、施設の譲渡を受けた施設を売却する場合の規制措置など重要な事項がすべて政令にゆだねられています。国民の財産を処分するという法案であるにもかかわらず、具体的内容が国民に明らかにされていません。またこうした重要事項をすべて政令で決定をするという法案の出し方は、国会軽視と言わざるを得ないのではないか、こういうふうに私は思っています。 また、経営移譲の場合に、職員は移譲先に移行が前提になっていますが、職員の身分や雇用を初めとする労働条件についての規定が全く欠落をしています。法制上極めて大きな問題であり、国立医療機関で働く職員を無視するものだと言わざるを得ません。とりわけこの法案は、昭和二十七年の移譲法と異なり、全職員が移譲先に移行することになっていません。政令によってその範囲が定められることになっていますが、伝えられるところによると、過半数の職員が移行する場合が経営移譲となると言われています。当然この過半数ラインは、職員の受け入れに当たって相手先の意向に沿って選別なり選考なりが行われることは必至だと言わざるを得ません。経営移譲の対象になる三十四の施設には医師、看護婦を含めて約四千五百人の職員が働いています。国家公務員の身分を含めて重大な労働条件の変更を強いることになり、特に事務、現業職員に対しては厳しく選別、選考があらわれるのではないかと思います。このため、山間僻地あるいは離島では転勤が不可能であり、事実上失職することになりかねません。また職員の移行を伴わない譲渡の場合であっても、転勤困難者は事実上国家公務員としての身分を維持できずに失職することになる人も出るものと思います。たとえ転勤が可能であっても、移りたいと思うところの定数がオーバーしている場合に転勤を保証するのかどうか全く不明です。こんな乱暴な提起が労働者保護の立場から許されるかどうか、私は大変に大きな疑問を抱きます。当委員会が労働者保護の立場で多くの努力をいただいている、そういう立場からも、この点についてはぜひとも明確な対応策を講じていただきたい、このことを強くお願いしておきます。 いずれにしろ、この法案は、問題が多過ぎるだけでなくて、一つ誤ると、国民の財産である国立医療機関を売り払うことによって、将来特定の者に莫大な売却利益を与える可能性や地域医療を困難にするなどの危険性を内包していると言わざるを得ません。重ねて三十九の県議会と二千九百九十八の市町村議会が反対の決議をしているという極めて異常の事態を重視されて、この法案については廃案としていただくことを強くお願いし、意見としたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○堀内委員長 ありがとうございました。 次に、諸橋参考人にお願いをいたします。
○諸橋参考人 全国自治体病院協議会会長の諸橋でございます。国立病院・療養所再編成については基本的には私は賛成であります。国立病院・療養所の問題点を挙げて、賛成の理由を説明したいと思います。 まず第一に、国立病院・療養所は、戦前、軍病院あるいは傷痍軍人療養所でありましたのが、戦後、マッカーサーの命令によって国立になったのでありまして、地域とは直接な関係はないのでございます。自治体病院はそれぞれの地方自治体の住民の要望によって議会で議決されてつくられたものでありますので、地域住民と直結しているのでございます。この国立病院・療養所は、終戦後の引揚者、戦災者、傷痍軍人あるいは当時蔓延しておりました結核医療に対しては大きな貢献があったと思います。しかしながら、結核につきましても、昭和二十五年の死亡率第一位から漸次下がりまして、現在では結核はほとんど問題視するに足らない疾患になってきたのであります。この間、疾病構造が御承知のように大きく変わってまいりました。そのために、療養所につきましても、リハビリとか療育医療とか難病とか、それぞれの名目をつけて変わってはまいりましたけれども、本質的な部分につきましては、時代に対応できなくなったと思うわけでございます。戦後四十年を経過した現在、スクラップ・アンド・ビルドで新しいプログラムに切りかえる必要があるのは当然だと思うわけでございます。 国立病院・療養所の使命は、民間の医療機関あるいは公的な医療機関では担当することができないような困難な、主として広域を対象とした高度先駆的、専門的医療あるいは医師の卒前卒後の教育あるいは生涯教育等々を担うべきでありまして、公私の病院の指導的立場に立ってほしいと思うわけでございます。しかしながら現実にはそのようになっていないのでございます。 その一つには、国立病院のスタッフ、人員の配置が余りにも少ないのでございます。稼動ベッド、すなわち訓令病床で見ますと、国立病院は百人の入院患者当たりに職員数で七十八人、療養所は七十二人であります。自治体病院ははるかに多うございまして百十四人、日赤でも百十一人、私どものような千葉県の田舎の自治体病院でありましても、入院患者七百五十人に対しまして一千九十一人の職員を持っております。したがって、百床当たり百四十五人と国立の約二倍になっております。外国では四百人−五百人という例も多々あるのでございます。大学病院、東京都立の駒込病院は百五十人を超えております。このような少ない人数でナショナルホスピタルと言われるような機能が維持できるわけはないと思うのでございます。医師数につきましても、国立病院では、その一四%、療養所では五一%が十人以下でございます。医師が十人以下で果たして国立病院にふさわしい機能を維持できるであろうか、大変疑問に思うわけでございます。国立医療センターと言われるところは一般の国立病院よりは二〇%程度多い職員を配置してあると言いますが、手術室について見ますと、十三の手術室に配置されておるのは看護婦二十、助手四でございます。年休、公休等を差し引きますと、これを三交代にいたしますと、常時出てくるのは十四、五名であります。これでは十二の手術室を動かすことはできません。したがって、その半分程度しか常時動いてないというふうに聞いております。入院しましても手術を受けるための待ち時間が長くなる、このようなことが言われております。 なおまた、救命救急の問題につきましても、全国に九十八カ所ございますが、国立病院はわずかに十二カ所でございます。自治体病院は四十一でございます。 次に、整備状況でございますけれども、国立病院・療養所に対して年間一千四百億円以上の一般会計からの繰り入れがございます。しかしながら、この繰り入れにしましても、国立病院百をとってみますと、本年度の医療機械の整備費は一病院当たり約八千万円でございます。私のような田舎の病院でも年間約五億円の医療機械を整備しておるのから比べますと、国立病院の整備ははるかにおくれておると申し上げても過言じゃないと思うわけでございます。 教育病院として見ましても、大変おくれてございます。臨床研修指定病院二百十七のうち自治体は七十五であり国立は四十四。また内科学会専門医教育病院に例をとりますと、二百五十四のうち国立は二十九であり自治体は六十二。新設の医科大学の関連教育病院につきましては、国立病院は一つも入ってございません。自治体は十六でございます。 一体何がゆえに国立病院が今日のように衰退したのか。本日、いろいろ問題を提起されてございますけれども、これにつきましては、一つには院長に権限がない、あっても極めて少ないということでございます。したがって、労働組合と交渉するときにも権限がありませんので、いわばロボット的な存在でございます。その反面、労働組合は大変強うございます。その交渉に院長は時間をとられまして、非常にむだな努力をしていると言っても過言ではないのでございます。病院というものは、地域住民の、あるいは国民の健康を守るためにあるのであって、病院並びに職員のために患者があるのではないということ、また企業の繁栄なくして職員の福祉なし、このような精神が足らないのじゃないかと私は思うわけでございます。 人員の配置が少ないことについては、先ほど申し上げたとおりでございます。 また、医療機械の整備につきましても、その病院が本当に必要としているものが来なくて、それほど必要としていないものが厚生省の指示によって来る。ですから、五千万円なら五千万円やるから、その病院で勝手にこれを整備したらよろしいというふうにやられればもっと効果的だと思うわけでございます。 昭和二十年代あるいは三十年の初めまでにつきましては、国立病院は自治体病院にとっては夢にまで描いた先駆的な施設でありましたが、今日ではその面影はないと言っても言い過ぎじゃないと思うわけでございます。 以上のことにつきましては、国立病院の体質に幾つかの問題がございます。それは親方日の丸と言っても言い過ぎじゃないと思います。地方公営企業法によって、公共性と経済性を相ともに発揮して地域住民の医療に奉仕するように決めてあります地方公営企業法というものが国立病院には適用されてございません。私の知っている自治体の長は、実は国立病院を引き受けたいんだけれども、あのように非能率的な運営をやっている職員が一緒では、あのように働きの悪い職員が一緒では受け取ることができない、このように言われているのでございます。事業は人であります。あの人ならもらいたい、私はそうあってほしいと思うわけでございます。なぜこのようになったかというのは、私が見たところ、厚生省が甘やかし過ぎたんじゃないだろうか、ストをやったならば、直ちにこれは処分すべきだったと私は思うわけでございます。 第二には、サービス精神が欠如しております。ある国立病院では、労働組合が、入退院は一日十人以内にしていただきたい、これは職員の労働強化につながるから、このように昔言ったとかということを聞いております。私ども田舎の病院では、一日入退院が、入院と退院入れますと百名以上突破する日もございます。先日、新聞で見ましたけれども、まだ夕食が四時半である、このようなことで患者が大変迷惑をこうむっている、このようなことがあります。しかしながら、国立の病院の中にも、がんセンター、循環器センターは別格といたしましても、神戸、大分、栃木、水戸、三重、横須賀等においては、地域に信頼され、すばらしい医療を行っているところもございます。 次に、スクラップ・アンド・ビルドの問題でございますけれども、私は、その懇談会におきまして、一応三百床を基準とすべきだということを申し上げたのでございます。それは日本内科学会の教育病院にしましても、あるいは臨床研修指定病院にしましても、新しい制度の医科大学の関連教育病院にしましても、三百床以上を一応対象にしてございます。そのようなことでございます。 そこで一体、その再編成、統廃合をしたならばどういうふうにするのか。もっともっと院長に権限を与えて、地方公営企業のようなものを見習って、その病院が公共性と経済性を相ともに発揮して、成績が上がったならば、さまざまな形で職員並びに施設に還元することが大事じゃないかと思うわけでございます。成績が上がっても上がらなくても同じようなことでありましたならば、社会主義国家の農業政策のような失敗になると思うわけでございます。病院間でも協調及び正当な競争がなくてはいけません。日本は自由主義国家である以上、努力してよい病院をつくっていくべきであります。新日鉄でさえ経営悪化するような時代に、病院だけがぬるま湯に浸っていてよいということは許されないと思うわけでございます。 なおまた、この再編成を引き受ける病院のことでございますが、私は、国立病院・療養所は統廃合され、再編成されたならば、住民の健康を守る観点からいえば、その地域に必要な病院であれば積極的に地方自治体は引き受けるべきだと思います。しかし、それがいろいろな点でできないとなったならば、第三セクターのようなものをつくって住民の医療を守るべきであります。しかし、その町、その地域だけが利用している国立病院であったならば、これは廃止をするということであれば住民が反対するのは当然でございます。赤字は国で持ってもらって利用だけするというのだったら、どこの地方自治体も歓迎するわけでございます。したがって、病院を持っている市町村は財政的に相当負担して運営しております。国立病院が存在することによって地方自治体の財政負担を免れるという考えでは困ります。たまたま軍病院がそこにあっただけの理由でもって、実際に市民しか利用していないならば市立病院にするのが最大の利点じゃないかと思います。あくまでも地域住民の健康を守るのが目的であることを忘れてはいけないと思うわけでございます。 このようなことを申し上げまして、国立病院の再編成につきましては、ただに廃止するだけじゃなくて、廃止されたものは、二つのものを一つにする、三つのものを一つにすることによって、真に国立病院にふさわしいような、我々公的あるいは民間の医療機関の指導的立場に立つような病院になっていただきたいと私は思うわけでございます。 以上でございます。(拍手)
○堀内委員長 ありがとうございました。 次に、山崎参考人にお願いをいたします。
○山崎参考人 山崎將宏でございます。国立病院・療養所職員労働組合の代表といたしまして、本日参考人に呼ばれました。非常に光栄でございます。私どもの職員労働組合は、国立病院・療養所、全国三百幾つある多数の中のただ一つの同盟傘下の組合でございます。そんなこともありまして、百二十人ばかりの一労働組合の代表でありますが、この重要な会議の参考人として出席をさせていただき、発言をさせていただきますことは非常に光栄でございます。 今ほど三人の参考人の方がるるお話しなさいましたが、私は今も申し上げましたとおり百二十人ばかりの労働組合の代表でしかございません。また今話題に上がっております病院・療養所の一職員でもございます。したがいまして、日本の医療はどうあるべきかなどという非常におこがましい見識などは申し上げるべくもございません。ただ、一職員といたしまして、三十年になろうとします職員の経験から——国立病院は少ないですけれど、療養所は多いです。私は療養所でございます。その療養所のたどってまいりました道を申し上げまして、先生方のきょうの審議の参考にいたすことができますならば幸いだと思います。 まず、行革による国立病院・療養所の再編成問題は、懇談会の意見に基づいて統廃合の具体的例が発表になったわけでございますけれども、私といたしましては、これは赤字ローカル線廃止の病院版であると新聞にも書いてありますとおり、経費の削減のために二つを一つにし、あるいは三つを一つにして数を減らして、総体の予算は変わりないというような、非常にぶった切りの方法だと思いまして、反対を表明するものでございます。 先ほども申し上げましたとおり、少し療養所の実態を申し上げたいと思いますが、私どもの国立療養所は、戦前昭和十四年に傷痍軍人療養所として開院、発足いたしました。柏崎の人里離れました米山のふもとの寂しいところに建ったのでございます。一番多いときには七百床のベッドがございました。御承知のとおり、結核といいますと、人に嫌われ、近くで呼吸することさえも避けていた実態がございます。それが国立療養所の多くが使命といたしました結核撲滅で、昭和三十年代に入りますと急速に減少いたしまして、死亡一位から十位以下に転落するというありさまでございます。そうしますと、結核療養所の多くは空床になるわけでございます。百五十から二百くらいのベッドでございますと、例えば結核患者が半分に減少いたしましても百でございますから小回りがききます。ですけれども、我々療養所の七百近いベッドでございますと、同じ半分が三百五十です。 三百五十の空床をどう転換するかということでございますけれども、まず隘路になりますのは、先ほど申し上げたように、結核は怖いイメージがございますし、町の外れに追いやってございます。そのあいたベッドにおいそれと入ってくる疾病というものは限度がございます。それからもう一つは、先ほども御指摘された先生がございますけれども、病院はおおむね患者さん四人に一人の看護婦、療養所は七人に一人ということで、もちろん結核は当時大気、安静、栄養ということで手もかかりませんからそれでよかったのでしょうけれども、さて違う疾病を入れるといたしましても、その基準を破ってまで受け入れる疾病がなかなかなかったのでございます。 今のイメージと人員不足と地域外にあるというこの三点が大きな悪条件になりまして転換が遅くなったのでございます。でも、そういう悪条件の中から何とか脱却を図りながら、施設も老朽化したのが永久建築化されますとともに、個々でその転換を模索していたわけです。この辺に国の政策医療というものが十年あるいは十五年くらい前に行われていたならば、療養所の多くは今のような赤字だという非難を受けないで済んだのではなかろうかと思います。 それでも個々にその生きる道を模索し今日に至ったわけでございますけれども、私の療養所で申し上げますならば、小児慢性疾患病院ということで機能付与いたしておりますが、そこに至るまでには、重症心身障害児を収容いたしました。それから筋ジストロフィーを収容いたしました。そのようにして空床を生かすべく努力をしてまいりました。それがようやく功を奏しまして、二年前に院長みずから小児科の先生が着任いたしました。それによりまして七人の小児科のスタッフが集まられました。 よく社会は人が動かすと申しますが、病院も人が動かします。まずはお医者さんでございます。かつてはうちの病院の重症患者がよその病院へ転院する場合もあったわけでございますけれども、最近はよその病院からうちの病院に転院してくるケースが多くなりました。さきおとといも、私がこの参考人として出頭するに当たり原稿をまとめております十時過ぎに、隣の柿崎町から高熱患者が来るので髄液の検査をするから出てきてほしいという呼び出しがございました。十時半から検査に入ったわけでございますけれども、その成績が出ようとするころ小児科の先生が来られまして、おい山崎、寝ようとしたところ大変だったなと言われたのですが、いいえ先生、実はこうこうこういうわけで国立療養所の再編成問題で参考人として呼ばれ、発言してきたいというお話をいたしましたら、二人の小児科の先生から、病院の設備が不十分で自分たちが思うように動けないから、そういうものに対して予算をつけてくれるよう頑張ってきてほしいというふうに励まされてまいりました。 例えば、てんかんで診断するとすれば脳波が一番でございますけれども、そのいい先生が診られますと、大学附属病院では脳波が込んでおりまして十日も二十日も待たなければだめだ。私たちの病院は幸いまだ脳波はそれほど力を入れておりませんでしたので、すぐとれるというようなことで、大学附属病院からうちへ転院してくるケースもございます。したがいまして、最近の例で申し上げますならば、私が担当しております脳波検査は、一月二十名そこそこだったものが、今は六十名にも及んでおります。 それから次に、採算を度外視した病院をどこに求めるか、これからのいわゆる国立療養所の使命は何であるだろうかということにちょっと触れたいと思うのです。 先生方がもう触れられたとおり、民間と同じ医療をやったのではだめだと思います。先ほども新潟県の医療圏の話が出ておりましたけれども、十三の医療圏でございますが、その十三の医療圏、一つ一つに本当は国立病院が欲しいと私は思います。大きくなくてもいい、百から二百でも結構ですから、各医療圏に一つずつの国立病院が欲しいと思います。そして難病であろうと採算に合わない患者さんであろうと地域の方をそこに収容すべきだと思います。 と申しますのは、ある特殊な疾患を集めますと、例えばてんかんということでてんかんの患者さんを収容いたしますと、患者さんの心理といたしまして、そこへ入りたがらないのであります。そこの病院に入っているということはてんかんということが証明されるわけでございます。それよりは一般病院の中でてんかんの治療を受けたいというのが患者さんの心理でございます。 それから、私の小児病院で申し上げますならば、小さいお子さんが入られますと、当然お母さんも一緒に付き添われます。その兄弟が乳飲み子の方もおられます。そうしますと、遠い病院に通院あるいは入院しなければならないとしますと、病気になった患者さんばかりでなく家庭にも悲劇が及びます。そういう面からも、一つの医療圏の中で国立もしくは公立の病院にかかれるような医療体制が望ましいのではないでしょうか、そんなふうに思います。 設備の不十分な点につきましては、柏崎にはそれこそ完成いたしますと世界一と言われる原子力発電所がございます。それから今のコンピューターの先端をいきます日本電気のグループ会社もございます。たまたまことし両方を見学することができました。コンピューターを駆使したすばらしい設備でございます。ああ病院にもあの一部でもいいからコンピューターが入って能率が上がったらいいなと思ったのが偽らざる感想でございます。そんな大それたことを申し上げるまでもなく、もっともっとひどいのが実態でございまして、もう二十年近くもかかるでしょうか。 二・八体制が今でもまだ完全でございません。まず病院が一〇〇%目標、療養所はまだ七五%が目標というありさまで、目標でその状態でございます。一日も早く二・八体制を確立していただきたいと思う。 最近、新聞をにぎわしております四週六休問題につきましても、人事院勧告の中で意見書として出ましたとおり、一割のところがまだ試行しておりませんが、その一割は国立病院と療養所でございます。その点からも劣悪な労働条件にございます。 それから、療養所には外来の定員が確立しておりません。うちの場合ですと、一人だけ、婦長だけが認められている状態でございます。外来患者は現在は一日に百十人から二十人、多い場合には百六十人でございます。もちろん一人では対応できませんから五、六人で対応しておりますけれども、各病棟からの応援態勢というような極めて不規則な状態で賄っているのが現実でございます。 それから、二・八どころか、重症心身障害児でございますと、夜間は二人ではもう対応できません。三人あるいは四人にしなければならないような状況がございます。 これら劣悪な中で我々国立療養所が国としての使命を果たせといってもなかなか無理でございます。反面、御指摘のありますとおり、公務員は親方日の丸だという批判もございます。確かに企業努力が欠けている面もあります。それにつきましては率直に認め、これから謙虚な気持ちで進まなければならないと思っておりますが、何しろ設備等に不備がございます。医療機器も非常に高額になってきておりますので、先ほど申し上げました各医療圏に一つずつ病院が欲しいという場合に、その一つ一つに同じ機械を全部入れる必要はないと私は思います。最近の高額機器は検体処理能力が非常に高まっております。したがいまして、新潟県でいいますならば、県に一つ国立のセンターを置いて、例えば私の担当の検査ならば、そこで集中して処理をするということも当然あり得ていいのではないだろうかと思います。それから先ほどの各医療圏において、それぞれの疾患が五人、三人とおった場合には、専門の医師が巡回で診療してもいいのではないだろうかと思います。 それやこれやざっくばらんになりましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、全体の予算を変えず病院を縮小することによって再編成を乗り切ろうということではなくて、一つ一つの病院を充実させまして、患者さんとしては遠くの病院には行けない、行くことによって家庭の悲劇が大きくなるわけでございますから、その辺を御賢察の上、この法案に対する考察をお願いしたいと思います。 以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○堀内委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○堀内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山成彬君。
○中山(成)委員 本日は、大変お忙しい皆様方、時間を繰り合わせて御出席いただきまして本当にありがとうございました。またそれぞれの立場から大変貴重な御意見をいただきまして、心から感謝申し上げる次第でございます。これからこの法案の審議の参考にさせていただきたいと思います。 私も少し時間をいただきましたので、皆様方のお話を聞きながら二、三御質問させていただきたいと思うわけでございますが、まず橋本参考人にお聞きしたいのでございます。 先生は、医療が必要であるということと、それが全部国立である必要はないと言われました。そして国立の病院というのは、高度先駆的なもの、また補完的なものに限るべきだ、こういうような御意見をいただきました。私も全くそのとおりの考えでございますが、全体として見ますと、確かに日本の医療体制は十分整いつつあると思うのですけれども、地域によってはまだまだ不足しているところがございます。その点で、補完的なものに限るべきだということになりますと、地域医療、特に山間僻地の方々もひとしく医療を受ける権利があるわけでございますから、そういった山間僻地に対しましては、とても民間の病院でもうまくいきませんし、地方公共団体もなかなか手が回らない、そういったところに対して国の病院あるいは国からの十分な補助が出るようにすれば非常にいいのではないかと思うのですけれども、この辺についてどういうふうにお考えか、御意見を聞かせていただきたいと思います。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○橋本参考人 ちょっと私見でございますけれども、お答えいたしたいと思います。 一次医療を充足するというのは、やはりその地域に一番近い責任者が考えるのが一番その地域に密着することになるのではないかと思うのです。ただ、辺地とか離島とかいう場合に、そう言われても、自治体でも十分に対応できないということは十分考えられると思います。その場合に、そこに国立病院を配置するのか、それとも自治体でおやりになる場合に国が十分な援助をするのか、二つの考え方があるのではなかろうかと思うのです。私は、それは国立病院でなくてもいい、むしろそういう場合には国が十分に応援するという政策の体系をしっかりさせて、そして自治体に責任を持ってもらうという姿をはっきりさせる方がよりベターではないかというふうに考えております。
○中山(成)委員 次に、諸橋先生にお聞きいたします。 お伺いしますと、先生は千葉の旭中央病院の経営をうまくやっておられるという話でございますけれども、私は宮崎県の出身ですが、地元の自治体病院等あるわけでございますが、赤字で大変困っております。この前もレントゲン機器が壊れた、何か補助の高い予算はないだろうか、そういった話を聞くわけでございます。特に地方は、これから高齢化がどんどん進んでまいります。保険料も高くなっていく。そういったことを考えますと、これからの自治体病院の経営というか運営は非常に大変になってくるのではないかと思いますけれども、その辺の見通しについてどういうふうに考えておられるか、ひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○諸橋参考人 自治体病院の経営状況は決してよくない現状でございます。しかしながら、地方公営企業法によりまして、公共性と経済性ということで厚生省、自治省からの指導を受けてやっているわけでありますが、国立病院と会計方式が違うのは、私どもは減価償却をやってございますが、国立病院はやっていない。減価償却をやってなくてなおかつあのような経営状況だということと、私どもの減価償却をやっての上では比較が違うわけであります。しかしながら、この自治体病院の経営については、私どもは最大限の努力を払うように、院長並びに幹部職員のセミナーは年に二回、またきょうも午後から新任事務長の研修会がございます。あるいは病院幹部の総婦長講習会、請求漏れとか医療過誤の問題とか、あらゆる手を使って最大限の努力をしておりまして、その効果は相当出てきていると私は思うわけでございます。 しかしながら、私どもにとりましても、高度不採算あるいは山間僻地、離島等をひっくるめて、その町その村にたった一つしかない病院が二百十二ございます。これらの病院を黒字にせいといってもとてもできるわけではございません。一つには行政的な使命を持っているわけでございますが、赤字になりやすい体質は多々あるわけであります。しかし、そうだからといって漫然と赤字にすべきではなくて、最大限の努力を払って、一般の診療報酬では賄い切れないような高度先駆的不採算医療に対しては、一般会計から持っていただく、その一般会計で足らないところについては、厚生省の特殊診療分の補助金あるいは自治省からの特別交付税、普通交付税をもって一部を補てんしていただく、このような体制でやっていることを申し上げておきます。
○中山(成)委員 どうもありがとうございました。 次に、総評の前川参考人にちょっとお聞きしたいのですけれども、話を聞いてみますと、医療費が十六兆円を超えた、これからのことを考えるとますますふえていくだろう、それに対しては自分たちも負担に応じていくのだという決意を表明していただいたのですが、しかしできるだけ医療を効率的にやってほしい、もちろんそれはそうだろうと思うのです。そうでなければ、しょせんは国民の負担に回ってくるわけでございます。そういう意味で医療全体あるいは国立病院の運営等も効率的でなければいかぬと思いますが、であれば、国立であろうと効率の悪いものについてはスクラップ・アンド・ビルドでだんだんやっていくべきではないかと思うのですが、どのようにお考えですか。
○前川参考人 お答えをしたいと思います。 まず第一番目に、国民負担の問題については、申し上げましたように、高齢化社会がコストの高い社会である。しょせんは国民自身が全部背負っていかなければいけないわけですから、そういう負担の仕方については、私どもとしてはいろいろ負担を受けて立つ覚悟を持っていますが、そういうものをいかに平等に、公正にするのか。税制問題もそういう意味では一つの重大な問題だと考えておりますが、現在のあり方についての改革というものはどうしても必要だろう。そういうことが前提にあっての私どもの決意だということを補足をしておきたいと思います。 それから不採算部門、いわゆる効率の悪いという問題ですけれども、赤字だから即効率が悪いのかどうかという問題、とりわけ努力がされずに赤字が累積をしている、こういうものについては、まずその具体的な本質にメスを入れて、どう改善をするのかということをきちんとすべきだ。もちろん佐渡やその他にもずっと現地に入って見ていますけれども、実際にはいかに努力をしてみても限界があるという施設もあるわけですし、今回の移譲対象といったものを見ますと、規模が小さいあるいは山間僻地、温泉病院だとか離島だとか、こういったところが大変に移譲の対象になっているという特徴があるわけですから、そういった面で、先ほどからの諸橋先生その他からの御意見も含めて考えると、経営改善の努力は大いにしなければいけないけれども、それでどうも解決がし得ないような条件のところを切って捨てる、こういうことになっている点に大変に問題意識を持っているということを申し上げたいと思います。
○中山(成)委員 どうもありがとうございました。 時間がございませんので、あと最後の質問をさせていただきたいのですけれども、橋本参考人は前にマスコミにおられたという話を聞いたものですから、その点で一つお伺いしたいのです。 この法案に際しましても、三十九都道府県、そして二千九百九十八の市町村が反対決議をやる、また私のところにも相当の反対の署名が来ておるわけでございます。しかし、きょうの参考人の皆さん方の話を聞きましても、基本的なところでは一致するものもあるのではないかという気がするのです。今総評の前川さんが言われましたように、税制問題についてもそうでございました、売上税の問題についてもそうでございましたけれども、どうも政府というのはPR不足ではないか。地元からいろいろな方が来られますので、いろいろ説明したりします。統廃合といってもなくなるのではないんだ、話がつかなければ存続するんだというふうな話をしますと、納得して帰られるのですけれども、その辺のところでどうも政府はPRがちょっと足りないのではないかという気がするのですけれども、マスコミにおられた立場から何か一つ御意見をいただければと思います。
○橋本参考人 どうもPRのことは、私も実は余りわからないのですけれども、ただ再編成に対する反対の意見をおっしゃる中にいろいろな内容があるのではなかろうかというふうに思うのです。その中には、例えば再編成されると、そこに医療がなくなるというふうな理解の仕方をしておいでになって、必ずしも再編成即病院がなくなるということではないので、その辺に大分誤解もおありになる、あるいは反対される中に非常に人間的などろどろしたものが絡んでいるケースもありますし、反対の内容もよく検討する必要があるのではなかろうかなというふうに私は思っております。 大体そんなところでございます。
○中山(成)委員 どうもありがとうございました。
○浜田(卓)委員長代理 池端清一君。
○池端委員 日本社会党・護憲共同の池端清一でございます。本日は、参考人の皆さん方、大変御多用中御出席を賜りまして、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。厚くお礼を申し上げる次第でございます。時間の関係もございますので、二、三の点についてお尋ねをしたいと思いますが、まず最初に橋本参考人にお尋ねをいたします。 先生先ほどお話がありましたように、先生も委員になっておられます国立病院・療養所再編成問題等懇談会の昭和六十年二月一日付の意見書によりますと、「国公私医療機関の位置付けと役割分担の明確化」というところで「「国・公・私」の医療機関の役割分担を明確にし、地域医療システムの中での基本的・一般的医療は私的医療機関及び自治体立その他の公的医療機関に委ね、国立病院・療養所は、主として、より広域を対象とする高度専門医療を担当するなど、以下、第三のような国立医療機関としての役割を重点的に果たしていくべきであろう。」こういうふうに規定をされておりますし、先ほどもそのような趣旨のお話がございました。そしてこれが厚生省の再編成合理化の基本方針の柱になっているように思うわけでございます。 そこで、私ちょっと疑問に思うのですが、国立の医療機関と言うのならば、単に国立病院・国立療養所だけに限定さるべきではないのではないか。例えば国立大学の医学部の病院あるいは国立医大の附属病院、これも国立でございますし、全国に十六カ所ありますところの逓信病院、これも国立でございます。これとの関連については一言もこの意見書では触れられておらない、そこに私は若干の疑問を感ずるわけであります。それは権限が違う、文部省のことは厚生省のあずかり知らぬことと言うのであれば、真に二十一世紀を展望する医療機関のあり方とは言えないのではないか、その点は懇談会等でどういう御意見があったのか、また先生はこの点についてはどういうお考えなのか、お答えをいただきたいと思うのでございます。
○橋本参考人 御指摘のとおり、やはり公的医療機関全体を考えるのが僕は当然だろうと思います。ただ、あの懇談会という場は、要するに国立病院・療養所問題について考えてほしいということでありましたので、専らそこに議論が集中したということであります。ただ、御指摘のとおり、二十一世紀の医療ということを考える場合には、当然すべての医療機関について考える必要があるというのは、全く私は同意見でございます。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○池端委員 重ねて橋本参考人にお尋ねを申し上げますが、今回の厚生省の再編成計画を見ますと、移譲の対象になっております病院・療養所が山間部や僻地、離島に集中している、これが一つの特徴だと思うわけでございます。とりわけ佐渡や対馬、壱岐という離島所在地の病院はことごとく移譲の対象になっております。このことはいかに厚生省が説明されようとも、地域医療からの撤退ではないか、それを意味するのではないか、こういうふうに私は思うのでございます。もちろん高度先進医療の充実も必要でございます。しかし、地域医療を守るということもまた国の責任である、私はこのように考えるわけでございますが、先生はどういうお考えでございましょうか。
○橋本参考人 地域の医療体制を確保するというのは、第一義的にはやはりその地域の自治体の責任に属することではないかというふうに私は考えております。 そこで、もう一つは、地域医療から撤退する気ではないのかということでございますが、厚生省の意見と私とは違うと思いますけれども、私はむしろ撤退すべきだと思うのです。それが一次医療等であれば、それはむしろその地域に任せるということの方が自由開業制の医療体制のもとでは、当然そういう方向であっていいのではないか。ただ、それが先ほどもお答えを申し上げましたように、そういう理屈を言っても、それでは実際に運営できないんじゃないかというふうな状況があると思います。それは何も国立病院をそこにつくらなくても、政策として、例えばいろいろな補助、援助の手段があると思います。そういうことできちんと対応していけばいいのであって、そこに国立病院がなければならないということではないというふうに私は考えております。
○池端委員 ありがとうございました。 次に、前川参考人にお尋ねをいたします。 実は、先ほど橋本参考人からもお話があったわけでございますが、移譲対象施設、病院・療養所を老人保健法で言う老人保健施設にこの際転用してはどうか、こういうような意見がございます。これは私は決して橋本先生ばかりではなくて、一部にそういう御意見があることを承知しておるわけでございますが、この点について前川参考人はどういうような御見解をお持ちか、お聞かせを願いたいと思います。
○前川参考人 お答えをいたします 私は、やはり現在の国立病院は国立のままで残して充実をしていただきたい、こういうことを基本に考えていますから、そういう意味でお答えを申し上げますと、老人保健施設に現状で転用するということは、国立の状態での転用は、今の仕組みでは不可能ではないのだろうか、そんなふうに理解をしております。 私も実は老人保健審議会の方に参加をさせていただいています。施設の部会の方もいろいろ参加をしているわけですが、将来的に、今それぞれの地域医療計画が策定をされておる中で、地域保健医療圏等の作業の中で、老人保健施設についても一定の位置づけが将来なされるだろう。そしてそういう施設の必要性について、住民の皆さんを含めてかなり具体的な中身が出てくるものだというふうに考えています。そういう際に、そういった現地の保健医療体制の全体配置の中で、将来的には今先生が指摘されるようなことが関係者の合意の中でなしとはしませんが、そのためには現在の制度についても手直しが必要であろう。 なお、老人保健審議会の中では七つのモデルについてもいろいろ意見を伺っていますけれども、とりわけて私が今老人保健施設について感じていますのは、七つの老人保健施設をつくって数カ月いろいろやってきた。その中で大変に施設の入所者の皆さんの目の色が変わって、早くうちに帰る、そのためのこれは一定の期間なんだという認識の中で、病院治療ではなかなか期待できなかったような効果が大きく出てきている。それは言葉をかえてみますと、先生がおっしゃるのですが、従来の病院医療、自分自身が行ってきた病院医療というものがよかったのかどうかを改めて検討し直さなければならないような問題まで含んでいるということを、率直にこの数カ月の経験の中でおっしゃっている先生があります。 それから、精神病棟等の精神科病院に入院されている痴呆の皆さんの場合には、なかなか家族の皆さんが見舞いに来ない。それが同じ施設の中の階の違うところに痴呆性の皆さんを収容する老人保健施設をつくったら、非常に家族の訪問回数が増加をしてきている。こういった具体的な幾つかの事実を今お聞きをしながら結論を出すことを急いでいますけれども、そういう意味で本当にいい施設になるように、この面でも国自身が積極的な対応ができる余地を将来的には開くことが重要だろう、こういうふうに考えていることもあわせて申し上げたいと思います。
○池端委員 重ねて前川参考人にお尋ねをしますが、先ほど参考人もお触れになっておりましたように、経営移譲の場合、職員の身分の問題や雇用の問題がどうなるのか、法制上全く規定がございません。これは私は極めて重大な問題であると思うわけでございます。移譲対象三十四の施設、現在お医者さん、看護婦さんを初め四千五百名の職員の方がおられるというお話でございましたが、こういうことであれば、将来選別採用というような問題が起きたりあるいは僻地、離島では転勤不可能ということで、事実上の失職というような事態、さらには転勤可能であっても、定数がオーバーしておって、これまた失職する、こういう事態が起きかねないと私は心配をするものでございます。こういうように雇用や身分の保障が全く不明であるということでは、労働者保護の観点からも、今度のこの法案は多くの問題を内包しているのではないか、私はそのように理解をするわけでありますが、重ねて参考人の御所見を承りたいと思います。
○前川参考人 私も労働組合の方に籍を置いている一員として、実はこの点大変に気がかりでございます。特に諸橋先生の方からは、労働組合が強いというお話がありましたが、問題が多ければ労働組合は強くならざるを得ないのです。いろいろ機能の面なり制度の面あるいは病院長さんの権限の面で、日常の病院経営の中に問題が山積をし、職場の矛盾を解決するためには、組合が強くなる以外に私はいい医療を供給する条件も生まれてこないし、そこで働いている人たちの生活を守っていく条件もできない。これはある意味で、全く手のひらと表の関係にあるのではないだろうか。こういう考えが一つ。 同時に、今先生から御指摘がございました問題について考えてみれば、四千五百人の皆さんについてはどうなるんだろうという不安が非常にございますし、こういった対象になっている施設の状況を見てみますと、山間僻地、離島の場合の看護職員の皆さんやなんかは地元の人たちがほとんど大多数でございます。しかも女性職員がかなり多い。ほとんど家庭を持っておられるという条件の中では、一般的に国鉄の職員の皆さんの広域配転の問題とはかなり性格を私は異にしていると思う。あの場合でもいろいろな困難はありましたけれども、家庭を持っている女性の皆さんを単身赴任をさせるのは事実不可能に近いわけですから、そういった意味では、とにかく一人も犠牲者を出さない、このことを厚生省当局も基本にして、十分に労使間で具体的な内容について合意をするまでは、これらの実施をしないという、その基本だけは当委員会の審議の中でもきちんと確認をいただいて、それが末端まで浸透するようなひとつ体制をつくるための、いろいろな意味で御努力をいただきたい、こういうふうに思う次第です。
○池端委員 ありがとうございました。 次に、諸橋参考人にお尋ねをいたします。 実は、ここに、本年五月の「新医療」という雑誌がございまして、先生がインタビューに答えておられる記事がございます。先ほども若干引用されておったようでございますが、その中で、「がんセンター、循環器センターは別格として、中には国立・水戸、三重の津、岩渕院長の横須賀など地域に信頼された素晴らしい医療を行っている病院もある。私は横須賀病院が何故、統廃合対象になったのかいまだに理解できないでいる。」こういうようなくだりがあるわけでございます。 そこで、先生は、今度の厚生省が計画いたしております再編成計画あるいは全体計画と申しますか、これについてはどのような御所見を持っておられるのか、一言お尋ねを申し上げたいと思います。
○諸橋参考人 岩渕先生は大変立派におやりになりまして、岩渕先生が赴任されてから臨床研修指定病院の指定も受けました。一般には三百床以上の臨床研修指定病院は地域の中核病院ですから、当然残るべきものではなかったか、私はこのように思ったわけでありますが、その「新医療」の五月号に出ましてから、厚生省の方から詳しく説明がございました。 と申し上げますのは、なるほど聞いてみれば、それも一つの理由だなと思いましたのは、あそこには横須賀市立病院もある、それから横須賀の共済病院もある、そのようなことで同じような医療をやっている病院が幾つかあるのであって、あえて国立がそこになくとも、その程度の病院、共済病院も、これは臨床研修指定病院でありますが、そのようなことで、そこは用が足りるから、そのようなものは市立病院なり共済病院なりほかの公的病院に任せて、そしてほかのところを重点的に整備をしても一向差し支えないのじゃないだろうか、そういうふうな返事を受けまして、そういう考えもあるのならば、これもやむを得ない、私もこのように思った次第でございます。 以上でございます。
○池端委員 重ねて諸橋さんにお尋ねいたします。 参考人は全国自治体病院協議会の会長の要職にもつかれております。私の出身の北海道では、北海道議会を含めて二百十三の道市町村議会が国立医療の存続、拡充を求める決議、こういう決議を全議会が行っておるわけでございます。先ほど前川参考人からもお話がありましたように、全国的にも九割の地方議会が同様の決議を行っている。この事実について自治体病院協議会の会長としてどういうお考えを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○諸橋参考人 お答えいたします。 北海道には道立病院が一番たくさんあります。なおまた市町村立病院もありまして、自治体病院協議会の北海道支部の会員は百人に達するわけでございますが、今お話がありましたような道議会あるいは市町村議会が反対の決議をしている、これは当然のことだろうと思うのです。 北海道の状況を聞きますと、市町村立病院は相当な赤字である。しかし赤字であっても、その地域の住民の健康を守るためにはやむを得ずやらざるを得ないのだ、地方自治体の住民の健康を守る責任は地方自治体にある、このような精神でおやりになっておる。ところが病院があるところにつきましては、利用はするけれども、赤字のものはすべて国が補てんしてくださる、こういうふうになりますと、同じ市町村であり、同じ道民であっても大変不公平になるのじゃないだろうか。しかし、それを廃止するのではなくて、あるいは市町村に引き受けてもらう、あるいは第三セクターのようなものに引き受けていただく、あるいはその地域によって老人人口が非常に多い、寝たきり老人等が多いならば、これを中間施設的なものに変えていただく。時代がどんどん動いているわけでありますし、疾病構造も変わってきているわけでありますので、廃止するのじゃなくて、そのように転用を図られたならば、その地域にとっても国にとっても、医療資源の効率的活用からいってもよろしいのじゃないだろうか。 重ねて申し上げますが、赤字になったならば、負担金を国が出す、そのようなことであれば、ないよりはあった方がいいのは当然でありますので、地方自治体が反対するのは私は申すまでもないことだと思うわけでございます。したがいまして、できるだけ地方自治体なり第三セクターなり、あるいはほかの日赤、済生会、厚生連、民間の医療機関、医師会立病院でも結構ですが、そういう方に引き受けていただくような努力をこれからすべきだろう、このように思う次第でございます。 以上でございます。
○池端委員 最後に山崎参考人にお尋ねをいたしますが、山崎参考人の所属されております新潟病院も統合の対象になっておるわけでございますね。そしてまた、私、過日の委員会で新潟の村松病院の問題を取り上げまして、これは昭和六十年十一月に巨費をかけて老朽施設を建てかえたばかりである、これが統廃合の対象になっておるのは、言わんとするところの行財政改革にむしろ逆行するものではないか、税金のむだ遣いではないかという趣旨の質問をしたのでございますが、参考人はこれらの問題についてどういう御意見をお持ちか、簡単にお願いいたします。
○山崎参考人 先ほどの中でも申し上げましたが、新潟県を十三の医療圏に分けて県の方が策定いたしました。私は、その医療圏の一つ一つに国立が、百でも二百でもいいからベッドがあるべきだという主張をさっきいたしましたが、せっかく整備いたしました村松病院、地方に委譲することなく国として立派に守っていってほしいなとつくづく思います。 私も村松病院に昨年行ってみました。本当によく整備されております。うわさによりますと、私たちの職員の間ではああいうふうにきれいに整備すると民間に移すのだという陰の声がございますけれども、そんなことなく、一つ一つを整備いたしまして、国立病院としてあるいは療養所として機能を果たさせていただきたい、このように思います。
○池端委員 時間でございますのでこれで終わりますが、参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
○堀内委員長 沼川洋一君。
○沼川委員 参考人の諸先生方、大変御苦労さまでございます。時間が限られておりますので、何点かにわたって御質問いたしたいと思います。 まず最初に橋本先生にお伺いしたいと思います。 先ほど先生からいろいろお話をお聞きしたわけでございますが、特にこれからの国立病院のあり方についていろいろと御意見を伺いました。国全体の医療の中で国立病院は一体どうあるべきか、そういう観点に立って、そもそも今までが配置されていない、ですから言ってみれば、これからの役割、そういうことについて国立は高度、専門医療、そういう分野を明確にしながら進むべきだ、こういうお話をされました。反面、特に地域医療の点につきまして、民間の分野がどんどんふえてきている、そういう分野については思い切って民間または公的医療機関にゆだねるべきだ、もっと端的に言いますと、そういう分野は国は撤退せよ、こういうことを明確にお述べになったわけでございます。 私もそれなりに考え方として理解できるわけでございますが、今回の法案を見ますと、非常に難しい分野がございます。確かにそういう高度医療を目指して国立が充実強化されることは結構でございます。ところが、それをやるためには、今まで長い歴史があり、特に地域医療の中核となってまいりました廃止される病院等を一体どうするのか、そういう分野が完全に整うまでは、幾ら国が責任を持たないと言ったって、これは国に責任があるわけでございますから、この辺が完璧に進まない限りは統合はあり得ない、そういう法案じゃなかろうかと私なりに理解いたしております。 そういう面で見ますと、厚生省の説明あるいはこの委員会のいろいろな論議の中で、高度化、専門化、そういう分野に進むという話は非常に明確なんです。しかし、具体的な一つ一つの病院について、やはり長い歴史があるだけに地域の心配が多分にございます。そういう分野に対する移譲または譲渡の条件等を見ましても、とてもじゃないけれども、ちょっと現実離れしたような、そういう条件が付せられておりまして、その辺を見る限りにおいては、統廃合というのは非常に難しいのではないか、率直にそういう気がいたしますが、先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○橋本参考人 私、行政官じゃありませんので、移譲の際の条件その他ということは余りはっきり知っておりません。ですから、ちょっとお答えしにくいと思いますが、いかがでしょうか。
○沼川委員 ちょっと私の聞き方が悪かったかもしれませんが、厚生省の幹部のいろいろなところでの発言を聞きますと、この統廃合については、すなわち患者の処遇あるいは職員の勤務条件などの諸問題が解決しないと再編成はできない、そういうふうにおっしゃっております。ですから、新しい方向へ進むのは結構ですけれども、それを進めるに当たって、国が撤退するといっても、やはり地域医療を今後どうするかという責任が非常に不明確だ。ですから、先生のお話を聞きながら、その考え方、その方向、私は賛成でございます。そういう方向へ進むべきだと思いますが、では現在のそういう諸問題をどう解決して進むのか。先生も懇談会の委員であるということを先ほど伺いましたし、相当論議がなされたことと思いますが、内容を見る限り、とてもじゃないけれども難しいのじゃないか。非常に現状無視といいますか、そういう形でただ高度化、専門化という方向だけが進んでいる法案というふうに私も受け取れますので、あえてお聞きしたわけでございます。
○橋本参考人 私が最初に申し上げましたのは、かなり理想論的なところがあるわけです。例えば国立病院はかくあるべしというのは、考え方としては整理できると思うのです。ただ、おっしゃるように、現実にそこに既にしっかりした医療機関があり、地域の中で運営され、そしてそれが非常に重宝に利用されているという状況があるわけです。最初の意見の中でもちょっと申し上げましたけれども、青写真をかいたからいきなりやるというふうなことではとても物が動かないだろう。ただ、方向としては、国立病院の本来あるべき姿というのをしっかり考えて、そちらの方向に行くべきであって、その過程で現実の問題があるわけですから、これは相当の時間をかけて、その後の状態がその地域にとって非常にぐあいが悪いという状況にならないように、当然その地域との話し合い、あるいはどこにどういうふうに引き受けてもらうのが一番適切であるか、そしてその場合に、そこに入っている患者の皆さんが一体どうなるのかというふうなことは順番にきちんと話をつけないと、それは動くものではないというふうに私は思います。 ただ、方向としては、やはり国立病院——まあ、病院があるということと、それが国立でなければならないということは、やはり違うんだということはきちんとしておいていいのではないかなと考えております。
○沼川委員 私が一番申し上げたかったのは、理想は高く、現実はやはり一歩一歩でございます。どうも理想論だけが表に出て、現実の解決策が非常に弱いというふうに、私は実は受けとめておるわけでございます。 そういう意味で、これは前川参考人にお尋ねしたいと思いますが、国は、この法案が通ったからといって一挙にやるものじゃない、十年かけてやります、地元の意見も聞きます、いろいろと話し合いもいたします、そういうことをいろいろな説明の中で使っておるわけでございますが、今みたいな形で本当に引受手があるのかどうか、非常に私は疑問に思いますけれども、率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○前川参考人 先生おっしゃるように、私どもも、時間をかけて、いろいろ関係者との間の意見交換を十分行った上でという意向であることは、間接的に聞いております。 しかし、率直に申し上げて、今回の移譲対象になっている地域等を回ってみますと、例えば佐渡の療養所を見てみますと、この療養所には佐渡のたしか一市七町一村だったでしょうか、その全域からみんな入院患者が来ているわけですね。そういう状況の中で、地元の真野町ともいろいろ話をしてみますと、とてもとてもうちではと。また佐渡には両津に大きな病院等ありますし、例えばどこにそれを移譲するかということについても、離島なんかの場合には大変複雑になっています。 それから横須賀の病院についても、例えば市議会も市長も医師会さんもみんなそれを受ける考えはないというふうな条件が幾つもあるわけですね。 一方、地元の人たちは、佐渡なんかに行ってみますと、これは結核の療養所から二十名ほどで出発した病院ですけれども、中高年の皆さんが両親をみとって、あるいは女性の皆さんが夫をみとって、将来私たちがここでお世話にならざるを得ない、それがただ一つのよりどころだということで、ぜひ国立で残してもらいたいという切実な要求がありますし、職員の方も、他のモデルになるようにということで、本当にきれいに、一切の付き添いその他をつけずに少ない人数の中でやっております。 そういった面を見てみると、これはまだまだ関係者の努力で国立として十分に機能させ、地域の中核的な医療機関として存在させていける、そういう条件は私はあると信じておりますし、やめるということのみを前提にするのでなくて、どうしたら続けられるのかということも含めた論議をぜひ願いたい、こういうふうに思うわけです。
○沼川委員 諸橋参考人にお尋ねしたいと思います。 先ほど先生からも賛成の立場ということから国立の今までの現状をるるお述べになってお話を承ったわけでございますが、その中で特に引受手について先生から、これは地方自治体が絶対引き受けるべきだ、また第三セクターでもやるべきだ、こういう御指摘がございました。ただ私、非常に心配しますのが、譲渡の条件なんか見ましても、自治体に移譲の場合は無償、譲渡の場合は五割引き、あるいは特例地区は七割引きと条件緩和の内容がうたってあるようでございますが、現実に私も地方をずっと回っておりまして感ずることですけれども、今の地方自治体がこういう非常に財政の厳しい中で、病院経営に対して率直に言って非常に心配がございます。これは先生もそちらの方の御専門でございますから、よく御承知かと思いますが、極端な言い方をしますと、無償でも嫌だというのが現実じゃなかろうかと思います。それを引き受けるべきだとおっしゃっても、ちょっと現実にはそういう厳しい状況があるということについての先生のお考え、御認識、お聞かせいただきたいと思います。
○諸橋参考人 お答えいたします。 現在のような国立病院・療養所の職員の考え方では、地方自治体は引き受けるのをちゅうちょせざるを得ない。しかしながら、このように国の経済も苦しくなった、あるいは新日鉄にしてもあのような状態になった、あるいは造船にしてもこうなった、こういうふうな状況を踏まえてそこに働く職員が意識の改革をしていけば、無償で下さるということ、あるいは譲渡五割引き、こういうことになれば、当然引受手はたくさん出てくるのじゃないだろうか。現在のままの状態では大変難しいと私は思います。 しかしながら、民間企業は決してそんな生易しいものではございませんし、国鉄があのような形に民営化されてから大変サービスもよくなってまいりました。私のような者が朝出かけるときには、国鉄の切符を切ってくださる方が「行ってらっしゃいまし」、帰ってくると「お帰りなさいませ」、このようなサービスもしてくださる。こういう状況でありますから、やはりこれは国立病院・療養所を預かる院長並びに職員が意識の改革をしていけば、そう難しいことじゃないだろうと私は思うわけです。 と申し上げますのは、自治体でも赤字の病院がありますけれども、院長がかわって、職員の福祉というものは企業の繁栄がなくしてはできないのだから、こういう精神で労使協調して立派に再建した病院もありますし、また私が紹介して院長になっていただいた病院でも、見違えるようによくなって、今まで赤字の病院が黒字になって、市民にはサービスがよくなったと喜ばれ、開設者に喜ばれ、住民には喜ばれ、病院の職員もいい病院に就職したと喜ばれる、こういう状況があって大変感謝されているのがありますが、そのように人に頼るのではなくて、みずからが努力をしていく必要があるのじゃないだろうか、このように思うわけでございます。
○沼川委員 山崎参考人にお尋ねをしたいと思います。 今回のこの法案について、厚生省の方では、これは赤字対策じゃない、財政対策じゃない、医療機関の機能分担といいますか、役割分担といいますか、そういうのを明確にするための法案だと非常に強調されておりますけれども、私らが気になりますのは、発端が五十八年の臨調答申から、いわば行政改革ということで出ておりますし、最近の一連の医療改革、五十九年の健保改正、それから六十年の医療法改正、さらに先般の老人保健法、一連の流れを見ますと、やはり医療という問題がどうも財政対策が先行した形で進んでおるという感じを持つわけでございまして、この国立についてもその一環としてとらえているわけでございますが、そういう問題についてどのようにお感じになりますか。率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山崎参考人 全く先生のお考えと同じでございまして、金がかかるから、予算がかかるから縮小するという感じで反対しておるわけでございますけれども、現在ある国立の施設、ベッド数でさえも全体の医療の中に占める割合は五%に満たないわけでございますので、それをさらに少なくするということは、国の政策医療というものが果たしてそれでなし得るものであろうかという懸念がいたします。難治の病気、不採算の病気は、やはり国家予算で賄ってやるのが至当だ、このように思っております。 そういう場合、職員の親方日の丸的なことも指摘されております。当然我々自浄能力というものを失ってはならないと思いますし、皮肉にもこの再編成問題がマスコミに取り上げられるようになりまして、一般国民といいますか地域住民の方は、自分が病気になったときだけ行く病院じゃなくして、健康なときにも地域の病院はどうあるべきか、自分が病気になったときにはどうすべきかということに目が向いてきておりますので、その点にも先生方は目を向けられまして、国の医療というものを二十一世紀に向けて展望を持って進めていただきたい、このようにお願いいたします。
○沼川委員 もうちょっと時間がありますので、橋本先生に再度お伺いしたいと思います。 特に、この国立病院等の資産の譲渡の条件で、自治体、それから日赤、済生会、厚生連等の公的医療機関が対象になっておりますが、この中身が、片一方は無償で片一方は七割引き、片一方は五割引きで片一方は三割五分引き。国が地域医療から撤退するのでしたら、今度は民間または地域の公的医療機関にお願いするわけですから、それなりにランクをつけておること自体非常におかしいのじゃないか。現に今いろいろ聞きましても、引受手がいない。まして自治体なんかもう全く嫌だ。それならば、少なくとも厚生連とか日赤、済生会となると、何で差をつけるのだ、そういう面でこういうランクがあることは非常におかしいのじゃないかと私は思うわけです。言ってみれば、今まで国がやってきた医療分野を、今度は民間または地域にお願いするわけですから、極端なことを言いますと、金を出しても後はひとつ医療の後退にならぬようにしっかりやってくれ、そういう配慮があっていいはずなんですが、これは大蔵との絡みがありますので、また国民の国有財産でもございますので、いろいろと難しいかとは考えてみましたけれども、率直に言って、こういう点はおかしいのじゃないかと思います。最後に先生の御意見を一言お聞かせください。
○橋本参考人 国有財産の処分の問題だろうと思いますので、その点について別に平等であっても一向構わないと私は思うのですけれども、これはどうなんでしょう、国有財産を処分するルールがあるのではないかなと思うので、その点について私は余り知識がございませんので——。
○沼川委員 時間が参りましたので、以上で終わります。どうもありがとうございました。
○堀内委員長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 橋本参考人にお伺いいたします。 医療福祉というものは、一つには国の政策としてそれぞれただ採算ベースだけのものではないのじゃないか、こんなふうに考えているわけでありまして、そういう点では、専門病院なり地域の医療というものと、あるいはまた一般の地域の小さな病院であっても、山間僻地のような形のものも、国の一つの政策として存続する必要があるのではないか、私はこんなふうに思うわけでありますけれども、その辺についてまず一問お伺いしたいと思います。 もう一つは、先ほど来お話がありますように、三十九の県、あるいはまた二千九百九十八の市町村が反対をしている。それは地方自治体としての病院そのものも現在赤字財政である、こういうことから一般会計から補てんするわけでありますけれども、こういうものが今日の財政事情からしてみますと補てんもなかなか難しくなってくる。累積赤字が大きくなる。すなわち、それをすぐ国が補てんを肩がわりするかというとなかなか難しい。こういう実態を踏まえてみますと、現在機能しているもの、そして山間僻地にあるもの、これからつくるのじゃないわけですから、そういう病院というものは存続させておくべきではないか、私はこんなふうに思いますけれども、その辺を含めて御見解をお伺いしたいと思います。
○橋本参考人 最初に申し上げましたように、国立病院・療養所自体が、ここにつくろうと言ってつくったものではないところに非常に問題があるのではなかろうか。例えば、地域によっては、そこに国立医療機関があることで非常に利益を受けておる。御指摘のように、経営の非常に成り立ちにくい地域も当然ある。しかし、考えてみますと、ナショナルセンタークラスの病院でも非常に地域性があるのですね。それでその地域の人たちだけがそこに来るという、大体病院というのは通える範囲内ぐらいのところがシェアになるわけですから、当然そういうことになってくると思います。そこで、国立の医療機関をそういうところにこれからもどんどん全部配置していくんだ、むしろ医療というのは国営の方向にいくんだということであれば、それなら積極的にどんどんつくっていって強化していく、それが採算がとれないということであれば、診療報酬の支払いの問題、むしろそっちの方に問題があるということにもなっていくのではないかなと僕は思うのです。ですから、そこにあるから、そのまま存続させるというのは、もし必要ならば、その地域でしっかりやっていただくような方向へ行くのが筋合いではないかなと思うのです。 ちょっと独断めくのですけれども、何でも国に頼るというのは、私は余り好きではない、むしろ頼れば支配されるという関係も当然あるわけですし、その辺は、その地域の自主性、それから地域の判断、そこの地域にどういう医療の姿が必要なのかというのは、むしろ地域の責任で解決していくという方向に徐々にでも向かっていくべきではないかなと私は考えているのです。ただ、そこにあるから存続させるというのは、国全体のバランスから見ても、余り公平ではないのではなかろうかという気持ちもまた別な意味であります。
○田中(慶)委員 時間の関係もありますから、もっと詰めたいわけですけれども、その辺はまた別の機会に勉強したいと思います。 そこで、前川参考人にお伺いしたいわけですけれども、最近、統廃合が問題になってから私も幾つかの病院を回ってまいりました。従来まで赤字だったのですけれども、統廃合が浮き彫りにされてから、病院が経営努力されたせいもあると思いますが、黒字に転換されている。そうしますと、こういう問題が十年くらい前にもっと積極的になれば、あるいはこの統廃合問題というのはもっと慎重になったのではないかと思うのですが、もっと病院そのものの経営改善も要求されているような気がいたしますし、また今一生懸命やられている実態を見たときに、この辺をどのようにお考えになっているのでしょう。
○前川参考人 私も実は総評本部でこの仕事を担当するようになってまだそう長い期間ではございません。かなり過去の国立病院の実態等は十分に認識をしていませんが、先生おっしゃるように、やはり自分たちの職場ですし、こういう高齢化社会に向かって医療というものが非常に重要な局面に入ってまいりましたし、そういった意味では、本当に職場でいかに質のいい医療を効率的に供給するか、こういう面では、国立病院の労働者自身も、これはドクターも看護職員も全部含めて責任を持っているわけですから、そういった意味では、今回のこの計画を受けて、職場に大変重要な刺激を与えておるということは否定できない事実だと私は思います。 そして、先ほど諸橋先生の方からもお話がございましたが、院長さんのいわゆる当事者能力の問題、それから予算上の規制の問題、今大変にがんじがらめの中で、先生がおっしゃるような効果が出ているのは、これはもう少し仕組み自体を改革すれば、まだまだいい効果を期待できる、そういう要素を含んでいると私は理解をいたしております。
○田中(慶)委員 諸橋参考人にお伺いいたします。 先ほど横須賀の問題が出ましたね。私そばなものですから、あれは横須賀だけの問題じゃなくして、横須賀市、三浦市、逗子、葉山という広域にわたってただ一つの国立病院だし、そういう点では若干考え方が違うのじゃないかなと考えております。 そこで、実は先生にお伺いしたいのは、スクラップ・アンド・ビルド、私も基本的には賛成なんです。ところが医療とか福祉が単なるスクラップ・アンド・ビルドという発想でよろしいかどうかということです。これから福祉というものが二十一世紀にどうあるべきかという前提に立ったときに、単なるスクラップ・アンド・ビルドだけではよくないような気がいたします。そういう点で、先生のおっしゃられる経営努力とかいろいろなことは当然やらなければいけない。しかし、医療という問題については、それでなかなか解決できない問題があるのではないかと思います。その辺についてお伺いをしたいということが一点。 もう一つは、先ほど第三セクター、地方自治体等々含めて統廃合問題について賛成の意を表明されたわけですけれども、例えば今回第三セクターの問題一つとっても、あるいは先ほど来申し上げたように、地方自治体は大変赤字で、私も地方議会におりましたが、一般会計からそれぞれ補てんをされております。そういう中で払い下げあるいは移譲という問題について大変消極的、私もそれはよくわかっておりますけれども、第三セクターにいったらもっと消極的になるのじゃないか。それは例えば地方自治体と一般の第三セクターの払い下げの条件が違いますね。もし第三セクターに払い下げをするならば、条件は同じくすべきではないかと私は思いますけれども、先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○諸橋参考人 スクラップ・アンド・ビルドの問題ですけれども、先ほど申し上げましたように、国立病院、ナショナルホスピタルと言っていながら医師が十人いない。私どもも医師八人のときから出発しまして、現在百五人おりますが、その経験から申し上げましても、とても十人以下では国民に現代の医療を満足していただくようなサービスはできかねると私は思うわけでございます。医学技術もどんどん進歩してまいります。また分化して専門化してまいります。そのようなことを考えますと、もしできるのであれば、同じ地域に同じような病院が、十人以下の医師を抱えた病院が三つあるとすれば、それを一つにすれば三十人近くの医師が集まるわけでありますので、臨床研修指定病院程度あるいは三百床程度の病院ができて、真に国民が満足するような国立と言ってふさわしいような医療ができるのじゃないだろうかと思うわけでございます。ただ、壊してしまって後はほったらかしという意味では決してございません。より機能のよい、より国民に国立としてふさわしいサービスができる病院をつくり上げていきたい、このようなことでございます。 なおまた、移譲と譲渡の問題でございますけれども、私はこのように解釈しているのであります。自治体についての払い下げの場合において、ほかの公的医療機関と比べて条件がよろしいというのは、国家公務員と地方公務員は身分が割愛できます。したがって、今まで国家公務員であられた方が十五年なりたって、あと五年も勤めれば年金がつぐというようなことでありましたならば、恐らく地方公務員になって年金をいただけるという有利な点があります。また地方自治体にとってはそれだけ退職金等もかさむわけでありますが、このようなことから考えて、日赤、済生会にはそういう割愛の制度はございません。このようなことからいけば、ある程度条件がよくても一向に差し支えないんじゃないだろうか、このように思っている次第でございます。 以上、御返事申し上げた次第でございます。
○田中(慶)委員 時間もありませんから、最後に山崎参考人にお伺いしたいと思います。 現場で御努力をされておられるわけでありますけれども、先ほどのお話にも、設備の問題、人員の問題、こういうことがそれぞれ訴えられたわけであります。現在の職場の中で設備の問題や人員の問題が改善、確保されていくならば、今後の病院経営として赤字経営だったものが黒字経営に転換をできる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○山崎参考人 私はやり方によってはそうなると思います。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、最近の医療機器というのは非常に高額になっておりますし、反面また処理能力が多いですので、確かに全部の機器をそれぞれの病院に全部配置するというようなむだをなくしまして、県なら県、その処理能力に応じて二つなり三つの共同利用という形、あるいは場合によっては、一つの医療圏の中で民間に機器の開放をしてもいいのではないだろうか。それが国立の一つの使命でもあるのではないだろうか。そういう機器を整備することによって、コンピューター時代でございます、横の連絡を密にすることによって、行政改革の目的である、例えば千円を千円の価値あるものとして使うのが行政改革だろうと思います。今まで千円かかっていたものを五百円にしようというのではなくて、千円の価値あるものを千円にするというのが行革の本当の目的ではないでしょうか、私はそんなふうに思いますので、これから二十一世紀に向けての高度医療というものは、そういう機器と相まって、もちろん人間の企業能力も問われると思いますけれども、そういうことによってやはり黒字になっていくと私は思います。
○田中(慶)委員 時間が参りましたようでございますので、私の質問を終わらせていただきますが、参考人の皆さん大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。
○堀内委員長 田中美智子君。
○田中(美)委員 私は、共産党・革新共同の田中美智子でございます。きょうは四人の先生方の御意見を伺いまして、本当にどうもありがとうございました。その御意見に基づきまして、もう一つ御意見を伺わせていただきたいと思います。私の持ち時間が十分しかございませんので、橋本先生と前川先生に御意見をお伺いしたいと思います。 先ほどからの橋本先生の国立病院のそもそものあり方ということに対しての高い見識ある御意見、大変参考になりまして心から敬意を表したいと思います。その御意見の最後に先生は、統廃合のための統廃合になるおそれがないようにということを言われましたけれども、まさに今度の法案は統廃合のための統廃合になっているのではないかと私は思っているわけです。二十日に社会労働委員会が開かれまして、ここで各議員からの質疑が行われましたが、その中で明らかになりましたことは、今度の計画が非常にずさんであるということです。残ります百六十五施設、これを政策医療に転換するというふうに言われるわけですけれども、その職員増、高度な医療になれば当然人員増も必要ですし、財源というのは相当要るんだと私は思います。それに対しての試算さえ全く国会には出てこないし、計画していないのではないかというふうに思いました。 なぜそれができないかという理由に対して、地域医療計画ができる段階でやるんだ、こう言われるわけですが、四十七都道府県の中でわずか五県しかまだ地域医療計画はできていない、そういうことです。その上に、先ほどもお話がありましたように、新潟県のように、厚生省のガイドラインでもってベッドがどうかという計算をしますと千六百六十床も不足をしている。こういうところで統廃合が行われる。過剰のどころではなく不足のところでもやられるということや、また高知県の統廃合に至っては言語道断といいましょうか、造船で不況になった、それで県がたまたまある地域を地域開発して何とかやりたい。それはいいわけですけれども、ちょうどその真ん中に療養所があった。これは邪魔なんだということで、自動車もなかなか入りにくいようなところの国立病院に移してしまう。それも狭いところに押し込んで中身を削ってしまう。こういうことさえも起こっております。 それから、厚生省が出しております「再編成・合理化の基本指針」、これにはそういうところの管理者や職員団体に理解を求めることをやって、計画がスムーズにいくように、こういうふうに書かれているわけですが、私ども四県にわたりまして実地に団を組みまして視察をしてきました。そこはすべて管理者もまた職員団体も正式には何の話も厚生省からは聞いていない、うわさでは聞いているけれども。こういう実態で驚いたわけです。その上に、きょうの前川先生のお話を伺いまして、不足の地域から過剰の地域に移転する話だとか、地域計画に厚生省が圧力をかけているとか、また職員の身分というものが全く不安定で、その計画さえも示されていないというのをお聞きいたしまして、ますますこの法案の計画のずさんさに驚いているわけです。 こういうことをすべて勘案していきますと、本来国立病院というものをどうすべきかということではなくて、初めから七十四施設切り捨てありきということから今度の計画が進んでいるのではないか。もっと俗な言葉で言いますと、国民の健康に国がなるたけ金を使わない、経費を節減するというところから、切り捨てありきという計画ではないかというふうに感ずるわけです。まさに統廃合のための統廃合だ、こういうふうに感じますので、橋本先生の非常に見識の高い御意見には敬意を表しますが、結論としては私は反対なのですが、統廃合のための統廃合のおそれがあるのではないかということについての御意見をお聞かせいただきたいと思います。 それからもう一つ、時間がありませんので、一緒に前川先生にお尋ねしたいことは、地域計画の段階で厚生省がいろいろなものに圧力をかけているということは私も聞きました。文章などにもいろいろ書き方まで圧力をかけているということも聞きましたけれども、前川先生の御存じな具体的なことがもしありましたら、こういうことをぜひお聞かせいただきたいと思います。 お二人の先生、続けてどうぞよろしくお願いいたします。
○橋本参考人 私が統廃合のための統廃合になってしまうと申し上げたのは、やはり基本には国立病院・療養所がいかにあるべきかというところに向かっての政策の展開がないといけないのではないかということを申し上げているわけで、それには例えば今の国立療養所・国立病院の姿を見ておりまして、全部が現状のままでいいとは決して考えられない。特に人員の問題とか予算の問題とかいろいろ制約があるものですから、機械を入れるにしても、民間の病院が全部入れた後でないと入らないとか、それがすべてだとは申しませんけれども、そういうような状況が一方では確かにあると思うのです。ですから、国立医療機関として堂々と胸を張って言えるようなものにするというためには、やはり行政の側で国立医療機関に相当肩入れをしていただかないといけない。そのためには、規模からいっても地域からいっても余り一次医療が中心になっているようなものとかの場合にはやめて、その人間をこっちの方にもし集中できればよりよいものができる、そのよりよいものをつくるということをやっていただかないと、これはつぶしただけじゃないかという話になってしまう。そこで残った国立の医療機関への相当な肩入れをぜひ国にもお願いしたいし、当委員会の皆さんにもぜひお願いしたいというふうに思っているわけです。
○前川参考人 先生御存じのように、まだ五つしか出ていませんし、私どもも五つ全部取り寄せて目だけは通しております。それから総評の立場では、今回のこの地域医療計画の策定に当たっては、私ども自治体の公的病院の職員であるとかあるいは国立病院の職員だとかかなり組織の中に医療関係の労働者を抱えていますから、この医療計画の策定の中に委員として加えていただいて、ぜひともいい医療計画をつくるための努力をするようにということでの全国的な取り組みを今しております。 そういう中で、実は地域医療計画の策定に加えていただいている仲間を集めていろいろ相談をしたりその他しております。既に策定をされたところでは、その状況等聴取をしているのですが、その中で、例えば、県名は控えますけれども、厚生省の方からは、国立病院のそれぞれの医療計画の位置づけについては、県の段階独自での位置づけは困る、こういうことできつい御要請があって、そして五回も六回もそのための表現をどうするかということでのいろいろなやりとりがあり、その結果、こういう表現にしかならなかったというふうなことを、そこに参加した委員あるいはそこにかかわっている県の自治体職員、そういう人たちからいろいろな意見を聞く中で、これは相当に国立病院の統廃合計画に沿った方向で厚生省としては圧力をかけているなということを感じ取っている、こういう状況です。
○田中(美)委員 どうもお二人の先生ありがとうございました。 時間がなくなりましたので、最後にいたしますが、参考人の先生方のこの法案に対する賛否というものよりも、賛否の結論を出すプロセスというもの、そこからいろいろなことを私たちはきょう学ばせていただいたと思いまして、大変感謝いたしておりますが、その中に一つ、特定の労働組合や働く人たちに対する多少冷静を欠いたような御意見が感じられましたことは、やはり参考人の冷静な、公正な御意見を立場が違ってもお聞きしたかったという点から多少残念な点があったことを感想として述べまして、私の発言を終わらせていただきます。 四人の先生方、どうもありがとうございました。
○堀内委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 次回は、明二十七日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十五分散会