交通安全対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 253 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/07/30
会議録
○新井委員長 これより会議を開きます。 交通安全対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善之君。
○亀井(善)委員 まず最初に、日航機の事故の件についてお伺いをしたいと思います。 もう早いもので、五百二十人の亡くなられた皆さん方の三回忌をこの八月には迎えるわけでもございます。関係の皆さん方の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。 大変痛ましい事故でありまして、その後航空旅客が一時落ち込むなど大きな影響を与えたわけでございますけれども、航空の安全に関する信頼を回復するために運輸省及び日本航空はどのような安全対策を講じてきておるのか、その点についてまず最初に伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 ちょうど私が就任をいたしまして就任後最初に出席をいたしました公式行事が、今まさに委員が御指摘になりました事故の一周年の現地における追悼式でありました。また、私自身が数名の友人をあの事故で失いましただけに、大変複雑な思いを持ちながらそのときも参列をいたしたわけであります。 この事故の発生以来、運輸省といたしましては、ボーイングの747型機につきまして一斉点検を指示し、また日本航空に対する業務改善勧告、殊に、後部圧力隔壁が破壊いたしましても垂直尾翼などが破壊しないように点検口にカバーの取りつけを行うことの指示、また、尾部構造の損壊により油圧系統の機能が喪失することを防止するため自動遮断弁を取りつけることの指示などを内容とする所要の安全対策を講じてまいりました。また、日本航空機の事故に関しまして先般、航空事故調査委員会からなされました勧告等につきましては、七月二十四日付で所要の施策を講じたところでございます。 一方、日本航空におきましては、これらの運輸省の指示などに対応した措置を講ずるとともに、米州技術・品質保証部の設置、整備要員の増員、機付整備士制度の導入などの安全体制の強化策を講じておるところでありまして、これからも安全というものに対して全力を挙げて努力をしていくところでございます。
○亀井(善)委員 今も大臣からお話がございましたが、この事故につきまして、航空事故調査委員会は約二年間にわたって事故の調査を行ってきたわけでございます。六月十九日には航空事故調査委員会より報告書が提出されたわけでもございますが、運輸省はこの報告書をどのように受けとめておりますものか。その中でも、勧告、建議及び所見について運輸省はどのような内容の施策を講じていかれるものか、この件について伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 勧告、建議及び所見につきましてとりました対応につきましては専門家から答弁をしてもらうことといたしまして、基本的な点についてのみ私からお答えを申し上げたいと思います。 私は、運輸行政というものの最重点課題は交通安全の確保であると考えておりますし、常日ごろ、そのために万全の対策を各方面において講じていただくようにお願いを申し上げております。 今回、事故調から提出されました報告書によりますと、本件事故は修理作業の誤りが原因となって発生したとされておるわけでありますが、通常では考えられない原因でありまして、こうしたことから、かかる不幸な事故が発生したということにつきましては、まことに遺憾なことであるという以外の言葉を持ちません。今回の報告書により明らかにされました各種の問題点に対しまして的確な対応を図るとともに、二度と同じ過ちを繰り返すことのないよう最大限の努力をしてまいること、また関係方面にもその努力を願うことが私の務めであると考えております。
○中村(資)政府委員 事故調査報告書にあわせてなされました勧告、建議及び所見につきましては、七月二十四日付で航空事故調査委員会に対しまして、運輸省が講じた施策を通報したところでございます。その内容は次のとおりでございます。 まず、勧告に対する措置といたしまして、一番でございますが、大規模な構造修理を航空機の製造工場以外の場所で実施する場合の作業管理等につきましては、作業管理体制に係る指針を定めまして、定期航空運送事業者、修理事業者等の関係者に指導したところでございます。 それから、勧告の二番目にありました大規模な構造修理を行った後における安全性の継続監視につきましては、長期的な安全性の監視に係る指針を定めたところでございまして、定期航空運送事業者に対して指導したところでございます。 それから、勧告3が出ておりますが、これは、後部圧力隔壁等の損壊後における周辺構造のフェールセーフ性に関する規定を基準化することの検討ということでございまして、これにつきましては、米国連邦航空局長官に対しまして我が国において基準化の検討を行う旨通報いたしますとともに、技術的な協力を要請したところでございます。 次に、建議としてなされました項目が二つございます。一つは、乗員の緊急時の対応静力を高めるための方策の検討でございます。もう一つは、目視点検による亀裂の発見に関する検討でございます。これらに対する措置といたしましては、航空局内に検討会を設け、関係者の協力を得ながら所要の調査検討を進めていくこととしたわけでございます。 さらに、事故調査委員会の方から所見が出ておりますが、この所見の飛行記録装置の対衝撃性の向上あるいは音声記録システムの性能向上及び捜索救難活動能力の向上につきましても、それぞれ所要の措置を講じたところでございます。
○亀井(善)委員 それぞれまたこれから検討委員会等設置をされるという問題もおるやに感ずるわけでもございます。早急に万全の施策、また検討委員会等におきまして今後の対応というものをしっかりやっていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。 なお、五百二十名の御遺族の方々の遺族補償の進捗状況と申しますか、現在どのような状況にありますか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○山田(隆)政府委員 日本航空機事故の御遺族に対する補償につきましては、日本航空と御遺族との当事者間の話し合いによって決まる事柄でございますが、現在のところ、死亡された旅客五百五名、それから負傷された旅客四名、合計五百九名のうち、百五十五名の方については示談が成立したというふうに聞いております。日本航空といたしましては、事故機のJA八一一九号機事故ご被災者相談室というものを社内に設けまして、御遺族の世話をする担当者を置きまして、御遺族の気持ちを酌みながら交渉を進めておるところでございます。 運輸省といたしましては、本件は基本的には当事者間の問題というふうに考えておりますが、日航を監督しております立場として、日本航空に対しましてこの補償交渉に当たって誠意を持って進めるように指導しておるところでございまして、円満な解決を期待しておるところでございます。 なお、先ほど五百九名の乗客のうち百五十五名について示談が成立したと申し上げましたが、そのほかに御遺族から一部訴訟が提起されておりまして、現在、裁判係属中のものが訴訟件数で十三件、人数といたしましては八十五人というふうに承知しております。
○亀井(善)委員 ぜひ監督官庁として誠心誠意その問題が解決するように、引き続いて御努力をお願いしたいと思います。 次に、最近新聞で大変問題にもなっておりますAT車の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 クラッチの操作がないということでオートマチックの車の運転は、私ももう三十年近く車の運転をいたしてぶりますが、大変簡単になった、こういう感じを受けるわけでもございます。特に、今から十五、六年前はAT車の登録台数は二・六%ぐらいだった、こう聞いておりますが、昨年の新車の登録は五七%という普及をしております。したがって、東京で主婦の運転する乗用車が反対車線に飛び出して九人死傷者が出たとか、あるいは日本ダービーの当日、東京競馬場の近くの商店街で暴走事故で二名死亡されたとか、あるいは数年前はビルの駐車場から転落して運転しておった人が命を失ったとか、いろいろのAT車に関連をする事故が大変目立つわけでもございます。 先般、運輸省は、五十八年からここ四年間の百七十八件の車種別の事故の内容について、三十三件が一般走行及び徐行中の急加速、あるいは九十件が急発進の事故である、こういうことを発表されました。いろいろ事故の内容等を調べてみますと、これは後ほど警察庁にも伺いたいわけでございますが、運輸省は百七十八件というこのAT車関連の事故を発表されたわけでございますけれども、AT車の普及から考えますと、昨年の全死亡事故のうちAT車は一三%の事故、いわゆる急発進、走行中の関連の事故だけではなしに、全自動車の死亡事故の中ではそんな数字を承知しておるわけでございます。あるいは事故を起こされた方方は大変ベテランの方が多い。年齢で申し上げますと四十代、五十代の方々が五四%のようなことも聞いております。あるいは運転歴も十年以上、三十年ぐらい運転をされている方々が六二%、またAT車に乗りかえてから二カ月未満の方の事故が六五%、こんなことも新聞やいろいろなところから承知をしておるわけでもございます。特にAT車の事故に共通する問題は、発進時の事故あるいは駐車場から出るとき車が急に動き出して暴走した、こんな事故を承知しておるわけでもございます。 運輸省は、これらの問題につきましてどのようにお考えか、また今後の具体的な対策についてどのようにお考えになっておりますか、このことについて伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 AT車の事故につきまして一つ世界的に特色がございますのは、日本とアメリカにおきまして事故例が大変報告をされ、また問題となっておりますが、ヨーロッパあるいはオーストラリアにおいてAT車の事故をほとんど耳にいたしておらないということが一点ございます。これは、在外公館を通じて現地に問い合わせてみましてもそういう状況は変わっておりませんで、AT車の事故と言われるものが非常に大きな問題としてクローズアップをされておりますのがアメリカ合衆国と日本ということがまず一つの特色のようなことかもしれません。 これまで運輸省が把握をしておりますオートマチック車の急発進あるいは急加速にかかわる事故及び苦情については、車両の構造、装置の欠陥が直接的に事故の原因になった事例というものは確認をされておりません。しかし、急発進、急加速の事故及び苦情事例の中には、少数ではございますけれども、運転者の誤操作だけでは説明のしにくい事例も確かに認められております。 そこで、運輸省といたしましては、まず急発進、急加速の原因究明につきましては日本自動車工業会に対して調査を指示いたしますと同時に、さらに、中立公正な立場からの原因究明を図りますために、運輸省附属の交通安全公害研究所に対しまして、車両構造上の原因究明についての試験調査を依頼いたしております。また、急加速、急発進防止のための車両構造上の対策につきましても、先般、日本自動車工業会に対し検討方を指示いたしました。 運輸省といたしましては、オートマチック車問題の社会的な重要性というものにかんがみまして、その徹底した原因の究明並びに車両構造上の対策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○亀井(善)委員 ぜひ早急にその解明をお願い申し上げたいわけでございますが、大体いつごろまでにと申しますか、自動車工業会に要請をされた、あるいはまた運輸省の交通安全公害研究所でそれぞれ調査をされる、官民一体になって調査をされる、こういうようなことのようでございますけれども、事故の再現調査というのは非常に難しい問題ではなかろうか、あるいは人間と機械との関係、こういうような非常に難しい問題があろうかと思います。この辺、大変重要な問題でもございます。また、特に年配の方々も、あの新聞記事が毎日出るようなことになりまして車に対して大変不安を持っておられるわけでもございます。またその原因がどこにあるのか、これまた大変難しいことであるわけでもございます。その辺、いつごろまでにと申しますか、時期の設定もなかなか難しいかと思いますが、今後の運輸省、交通安全公害研究所等々の調査につきまして具体的におわかりになりましたら御説明をいただきたいと思います。
○清水(達夫)政府委員 お答えを申し上げます。 ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、オートマチック車の急発進、急加速問題に対する対応といたしまして、自動車工業会に対しましては、去る六月十九日に原因の究明並びに防止対策を指示いたしたところでございます。 それで、これの時期でございますが、自動車工業会といたしましては、本年中には対策の基本的な方向づけをしたいと考えております。また、この基本的な方向づけに沿いました対策の具体化のためには、これは技術的な問題でございますので所要の準備期間が必要かと思います。また、私ども運輸省の交通安全公害研究所の原因究明につきましては、今年度の予算でもって作業いたしておりますので、年度内には中間報告を取りまとめる、こういうことで作業をいたしております。
○亀井(善)委員 警察庁にお伺いをしたいわけでございますけれども、先ほど私もちょっと数字を申し上げました。運輸省からは百七十八件というこの問題についての数字のお示しがあったわけでございますけれども、AT車の事故、全般的自動車事故がどういう事故の状況にありますか、その数字的なものがおわかりになりましたら御説明をいただきたいと思います。
○内田政府委員 AT車の事故につきましては、事故の全般につきましてAT車がどうかという分析は行われていないわけでございますが、統計上、死亡事故についてのみAT車なのかMT車なのかという分析をいたしております。それによりますと、昨年中、自動車が第一当事者となった死亡事故が六千三百十七件あったわけでありますが、そのうち、その自動車がAT車であったというのが九百四件、一四・三%ということになっております。 その原因についてさらに見てみますと、認識の欠如といいましょうか、前方不注意で相手が前にいるということに気がつかなかったとか、そういう件数が一番多いわけでございまして、その次にスピードを出し過ぎたスピード違反あるいは飲酒運転とかいう故意の違反といいましょうか、そういう件数が多くて、運転操作の誤りというのが八十二件計上されておるわけでございます。これはハンドル操作の誤りとか、あるいはペダルの踏み違いとかギアの入れ違いとかいったものであるわけですが、その中で、特に最近よく言われておりますペダルの踏み違いというのが十一件計上されておるわけでございます。そのほか、車両の構造による事故原因ということにつきましては、例えばブレーキの不良だとか、ハンドルを改造、変形ハンドルにしたとかいうようなことがございますが、構造上の欠陥があるということについては現在報告を受けておりません。
○亀井(善)委員 今自動車事故のことにつきまして御説明を伺ったわけでございますけれども、やはりいろいろ不注意とがそれぞれの問題があるわけでございます。 そこで、実は私も車の免許を取りました三十年前はフロアシフトの車で免許を取りまして、実際自分で乗るようになりましたのは、その当時も横にチェンジレバーのついております車で運転をいたしました。最近は自動車教習所ではクラッチがあり、またMT車で運転をしており、そこで教習をしておるのが大半だと思います。そしてことしの四月からAT車を二時間教習時間に組み入れられた、このように承知をしておるわけでありますが、現在のAT車の普及から考えてみますときに、少々これは時間が少ないのではなかろうか。ほとんどの方々は、マイカーということになりますと簡単に乗れるクラッチのない車というようなことで、AT車をすぐお使いになるわけでございます。したがって、自動車教習所における教習時間を、AT車専門と申しますか、もっとふやすべきではなかろうか、私はこう考えるわけでございます。さらにはAT車専用の限定免許と申しますか、こういうものも考える時代ではなかろうか、こう思うわけでありますが、この点についてお伺いをしたいと思います。
○内田政府委員 先生御指摘のとおり、AT教習につきましてはことしの四月一日からカリキュラムの一部改正を行いまして、技能教習の中で二時間のATの教習を行うことにいたしているわけでございます。この時間が多いか少ないかという問題についてでございますけれども、何分にもこの四月から新しくスタートをしたということでございまして、この制度の成果を見きわめながら、その過程で今後の検討をしてまいりたいと思っておるわけでございます。なお、そのほかに、AT車の普及に応じましていろいろと教習面での改定を加えてまいりまして、その前年からはAT車の特性や操作上の注意事項等について、これは学習といいますか教習を行っておるわけでございます。さらに、AT車の練習を希望する者に対しましては、正規の教程時間以外に、AT車の教習を受けるような任意教習という制度もとっているところでございます。 それかうAT車の限定免許についての御質問でございますけれども、今後オートマチック車がさらに普及していくということが当然考えられるわけでございまして、今後ますますオートマチックの限定免許という要望が強くなってくるだろうと我々も思うわけでございますけれども、現在の交通事故が大変ふえているという状況下におきまして大変安易な免許であるというような受け取り方をされ、そういった者が現在の交通社会に送り出されるといった印象を国民に与えるということを大変我々としても懸念をいたしているわけでございまして、今後の交通事故情勢の推移だとか国民意識の動向等を見きわめた上で、免許制度上これにどのように対応していくか検討してまいりたい、こう思っております。
○亀井(善)委員 総務庁にお伺いをしたいわけでございますけれども、今もお話がございましたが、車を運転する段階におきまして、いわゆるMT車でございますと、クラッチを切ってそしてチェンジレバーを操作する、車の中で座席に座りまして、ハンドルを握った時点から基本的なことを一つ一つチェックをする中で発進をするというような感じを受けるわけでございますけれども、どうもAT車は簡単に乗れるという、アクセル、さらにはチェンジレバーをDに入れるというようなことで簡単に、気楽というものが先にいってしまうような感じがするわけでもございます。 そこで、これだけ問題が大きくなってきておるわけでございまして、また原因がどこにあるか、これからの問題とは思いますけれども、交通安全週間であるとかいろいろな段階でもっと基本的なマナーと申しますか、交通安全の基本、運転をする基本、こういうような観点で何か交通安全対策上PRと申しますか、そういうものがちょっとAT車につきまして欠けているようなところがあろうかと思いますが、この辺につきましてお考えがございましたらお伺いをしたいと思います。
○原田政府委員 お答えいたします。 御指摘のように、AT車の普及は年を追って進んでおりまして、この正しい使い方、乗り方につきましては、これまでも関係団体の協力を得ながら普及啓発を行ってきたところでございますが、今後とも関係機関、団体の協力を得ながら、交通安全運動を初め、さまざまな機会を通じて推進してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○亀井(善)委員 最後に、国家公安委員長、先ほど来、警察庁あるいはまた総務庁、運輸省にもAT車の問題につきましていろいろお伺いをしたわけでございますが、これら事故の問題あるいは原因の問題等々今日重要な問題になっておるわけでもございます。この辺につきまして、国家公安委員長の御見解を承りたいと思います。
○葉梨国務大臣 交通事故の原因が故障であるとかあるいは構造上の欠陥に起因するであろうという疑いがあります場合には、鑑定とか検査を受けるなど慎重な捜査を行ってきたところでございますが、これからも適正な捜査を続けて原因の究明を図りたいと考えております。 また、今交通局長が御答弁申し上げましたように、AT車が車両の五七%を占めるようになった。また事故が大変多くなってきた、その事故の実態等を踏まえまして、構造上の問題とかあるいは操作上の問題につきまして、十分な教育を積極的に行うように指導してまいりたいと思っている次第でございます。
○亀井(善)委員 大きな問題でもございます。原因究明には大変難しい問題がいろいろあろうかと思います。挙げてそれらの解明のために御尽力を賜りますようお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、終わりたいと思います。
○新井委員長 永井孝信君。
○永井委員 ただいまAT車の問題でかなり問題が提起されておりましたので、ちょっとその関連で私も質問しておきたいと思うのであります。 AT車の事故がどのような状態かということは、もう既に質問がありましたので省略いたしますけれども、このAT車の事故について、操作ミスによる過失がほとんどとなっているのか、あるいは構造上の欠陥が原因になっているのか、どこまでその区分が明らかにされているか。今までの捜査状況の中身についてちょっと教えていただけませんか。
○内田政府委員 お答えいたします。 AT車の死亡事故の件数は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、そういった中でいわゆる操作上のミス、ペダルの踏み違いとかいうのが十一件ございました。それから急発進と申しますか、発進時というものも十一件ということで統計上出ておるわけでございますけれども、いわゆる構造上の欠陥によるという結論になったものは出ておりませんので、現在、処分なりその結果どうなったかというのは十分把握いたしておりませんけれども、そういった事件につきましても、運転者を加害者として送致をいたしているところでございます。
○永井委員 せんだってある政党の自動車関係の議員の会合の席上で、運輸省の部長さんが次のような発言をしているわけですね。車両の構造、装置の欠陥が直接事故の原因になったケースは確認されていないが、運転者の誤操作だけでは説明しにくい事例もある、このように発言されていらっしゃるわけでありますが、このことは何を意味されているのですか。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の説明しにくい事例と申しますのは、例えば一般走行中にエンジンの回転数が急に上がる、加速する、こういったものはやはり操作ミスということでは説明がつきにくいのではないかと考えております。それで、具体的に申し上げますと、例えば一つの場合ですと、一般道路を約六十キロで走行中に前の車が減速いたしましたためアクセルを緩めた、しかしながら回転が下がらなかったため、慌ててブレーキペダルを踏みましてサイドブレーキを操作したがスピードが落ちず前の車に追突しそうになったという案件とか、もう一つは、一般道路を八十キロで走行中に、前方に段差がございましたのでスピードを緩めようとブレーキペダルを踏みましたがかたくて踏み込めなかった、そのときスピードが勝手に上がり出しましたためエンジンを切ってサイドブレーキでとまった。こういったようなケースにつきましては、操作ミスということでは説明がしづらいのではないかということを申し上げたつもりでございます。
○永井委員 なかなかこの因果関係というものは今の段階では断定できないと思うのでありますけれども、しかし、これから運輸省が第三者的な立場に立って調査をされると思うのですね。その場合、今の部長の説明ではありませんけれども、構造に起因して事故が起きたというケースが結果としては何件か出てくる可能性があるわけです。既に今までたくさんの事故が起きているわけでありますが、その事故の中で本人の操作ミスとして措置がされてしまっているケースの中にも、構造上の欠陥で事故につながったというケースが出てくる可能性が極めて高いわけですね。その場合に、例えば、加害者として既に一定の刑事処分あるいは行政処分を受けている者あるいはこれから受ける者、これらについては、その因果関係が明確になった場合はその救済措置は一体どうなるのか。例えば、加害者とされている運転手が再審請求をするとかあるいは行政不服申し立てをするとかということを行った場合、法務省あるいは警察庁はどのように対応されるのですか。
○石川説明員 刑事上の責任についての救済手段といたしましては、今御指摘のように再審が考えられるわけでありますが、判決確定前でありますれば上訴という方法もあるわけでございます。もっとも、これらの手続によって無罪の裁判を受けた者は、刑事補償法によりまして、身柄を拘束されておった場合は補償がされるということになっております。また、再審で無罪の言い渡しがありましたときは、官報等で無罪を報ずるということによって名誉回復を図る、手続的にはそういったこともなされることになっております。ただ、構造上の欠陥があるということが新たに判明したからといって直ちにそのことが再審事由になるかどうかは、これはまた個々の具体的な事案に応じて検討しなければならないということになろうかと思います。
○永井委員 今問題になっているのは、例えば一般の犯罪で死刑を宣告された、あるいは死刑が確定した、そういう人たちの再審問題と違いまして、日常的に起きる交通事故にかかわる問題でありますから、問題としての重さは違うかもしれない。仮に重さは違うかもしれないけれども、本人が警察の調べに対して、自分は運転ミスをやっていない、このようにして急発進したとか、調書をとる段階ではいろいろな問題があったケースもあろうと思うのですね。しかし、それでもその当時はこのAT車の構造上の欠陥が社会的問題にも政治的問題にもなっていないということから、結果的に本人の操作ミスで問題が処理されてしまっている。その本人にとればこれは大変な問題なんですね。これは再審請求するとか行政不服申し立てをするとか、そういう法律上の手続もさることながら、加害者にすれば非常に納得のいかない、割り切れないものが起きてくると思うのですが、これについてどのような考えを持っていらっしゃるかお聞かせいただけますか。
○内田政府委員 現在、交通事故が起こった場合の捜査に当たりましては、構造上の欠陥があるというようなことが疑われる場合、いわゆる運転者がそういう主張をされるとか、あるいは一見してそういうことが疑われるという場合には、鑑定をするとかあるいは検査を受けるとか慎重に対応しているところでございまして、我々としては御指摘のようなことはまず考えられないと思うのでございますけれども、ただ、具体的にそういう結論が出た場合にそれをまた一つ一つの交通事故に当てはめていくというのは、これまた大変難しい問題だろうと思っております。ただ、純理論的には、万が一にも処分執行後、事故の原因が純粋に構造上の欠陥のみによるということがわかった場合には、処分の瑕疵があったということで行政処分を取り消す、こういうことになろうかと思います。
○永井委員 もう一つだけ聞いておきますが、これからこのAT車による事故が起きた場合は、純然たる本人の過失によるものと初めから断定できるものはさておいて、構造上の欠陥に何らかの関係があるのではないかというような場合は、調書をとるときあるいは現場検証をするときも含めてですが、当然警察の対応はより慎重にあるべきだと思うのでございますが、どうですか。
○葉梨国務大臣 先ほども申し上げましたが、慎重に鑑定とか検査を受けて捜査を進めてまいりまして、適正な結論が出るように努力をしたいと考えております。
○永井委員 運輸大臣、いずれにいたしましても、このAT車の問題は今確かに大きな社会的不安になっておりますので、徹底的に調査をしてもらって運転者、ドライバーの不安を取り除く、こういうことをひとつやってもらいたいと思うのですが、どうでございますか。
○橋本国務大臣 全力を尽くすように努力いたします。
○永井委員 次に、日本航空の例の墜落事故の問題に関連をして質問をしてみたいと思うのでございますが、航空事故調査委員会から六月十九日に報告書が出されました。当委員会としても、あの墜落事故が起きた直後から何回も何回も、日本航空の方にも出席をしてもらって審議を進めてまいりました。そういう経過から、一応調査委員会から報告が出されたということで、ある意味では一つの締めくくりとして航空の安全対策についてお伺いをしておきたいと思うわけでございます。 まず、本件事故に関して、今も少し触れられておりましたけれども、安全行政を所管する運輸省として航空会社を監督する立場にあるわけでございますが、具体的にポイントを絞って、どのように安全対策を講じてこられたか、重ねてお伺いしておきたいと思います。
○中村(資)政府委員 お答えいたします。 運輸省といたしましては、事故後精力的に再発防止対策に取り組んできたわけでございます。まず最初に、現に飛行しておりました同型式機の安全を確保するために、ボーイング747型機につきまして一斉点検を指示したわけでございます。そして、同型式機で現に我が国を飛んでおります飛行機の安全を確認したわけでございます。第二段階といたしましては、日本航空に対しまして立入検査をいたし、五項目にわたる業務改善勧告をしたところでございます。さらに、後部圧力隔壁が破壊をいたしましても垂直尾翼等が破壊をしないよう点検口にカバーを取りつける、あるいは尾部構造の損壊により油圧系統の機能が喪失いたしますことを防止するために自動遮断弁を取りつける、こういうようなことを指示することを内容といたします所要の安全対策を講じてきたところでございます。 また、日本航空の事故に関連いたしまして航空事故調査委員会からなされました勧告につきましては、先ほども大臣の方からお話がありましたとおり、七月二十四日付で所要の施策を講じたところでございます。
○永井委員 運輸省が努力をされてきたことは私はそれなりに評価をしておきたいと思うわけでありますが、このボーイング747型機は、これまで生産された総機数は六百六十機程度だと私は承知をいたしております。もし間違いがあれば御指摘願いたいのでありますが、そのうち八十二機が我が国で使用されているわけですね。八十二機も国内で使用されている航空機の事故でありますだけに、当時から国民の747型機に対する信頼感というものには大変な疑念を持っておったと思うのですね。のど元過ぎれば熱さ忘れるで最近はそういうことに余り触れなくなってきたようでありますが、それだけにより運輸省としても責任が重いと私は思うのであります。 さて、その747型機の機能といいますか、これはもともと長距離国際線に使用することを目的に開発された飛行機だというふうに私は承知をしているわけでありますが、国内は何しろ狭いところでありますから、東京−大阪間でいうとわずか四十五分で飛行するわけです。仮に滞空時間が同じであっても、国内線は短い航路を運航するわけでありますから離着陸の回数が極めて多いわけですね。言いかえるならば、747という飛行機はそういう短距離用の飛行機ではないのだけれども、たくさんの乗客の期待にこたえるためにということで一挙にたくさん輸送する、こういう目的で使われているわけであります。その使い方にも問題があるのではないかと思うのですが、運輸省、どうでございますか。
○中村(資)政府委員 今先生がおっしゃいました機数についてはそのとおりでございます。 日本航空の一二三便の事故は、例の後部圧力隔壁への修理ミスが起因になったわけでございますが、後部圧力隔壁自体が破壊に至らぬ対策といたしまして、微小な亀裂でも発見し得るような渦電流を使用した非破壊検査の繰り返し等の対策を導入いたしましたほかに、当該隔壁が万一破壊をいたしました場合であっても飛行の継続に支障がないように、先ほど申し上げました点検口のカバーの取りつけだとか遮断弁の装備ということを指示したわけでございまして、ジャンボ機の後部圧力隔壁の破壊に対しましては万全の対策をとってきたというふうに考えておるわけでございます。さらに、ジャンボ機につきましては、立入検査の結果でございますが、早期に購入をいたしました若干の機数のジャンボ機に対しまして、小さな亀裂でございますが、そういう亀裂が発見されたということで経年化対策を行わなければいけない、こういうこともございまして、継続的に構造の安全性を確保するための補足構造検査プログラムと言っておりますが、こういうものを設定したわけでございます。 それから第二点目に、いわゆる747型機というのは長距離機専用に設計をされたものなので短距離機として使うには不適当ではなかったか、こういう御質問がございましたが、日本航空が購入をいたしましたジャンボ747型の国内線専用の飛行機は実はSRと称しておるわけでございまして、特に短距離用として設計の改善がなされたわけでございます。ただ、胴体そのものにつきましては特に大きな変更はなかったわけでございますが、主要な部分についての強度計算その他を再度いたしまして、SRとして、短距離用としてもつものだということの設計変更を行ったわけでございまして、私どもとしては問題がない設計になっていた、こういうふうに思っておるわけでございます。ただ、国内線に使用いたします場合には、飛行時間に比べましてどうしても着陸回数が多くなるわけでございますので、この747SR型機の六機に対しましては、着陸回数に応じまして特別な検査プログラムを設定するという処置をとっていまして、特に問題はないのではないかというふうに存じております。
○永井委員 航空事故の調査報告書を読ませていただきますと、しりもち事故の復旧作業中の修理ミスが原因であると断定をしているわけですね。これは当時私も事故直後の委員会で、しりもち事故が原因ではないかと指摘をしたことがございました。修理ミスについては、修理を実施したボーイング社もまたそのことを認めているわけであります。しかし、修理をしたボーイング社、そしてそれを点検した日本航空、さらに修理後の検査を行った運輸省も、実は修理のミスについて気がつかなかったわけですね。一番問題は、この検査方法に問題があるのではないかというように私は考えるわけであります。たまたま事故調査委員会から出された勧告の中を見ますと、いろいろなことが書かれているわけでありますが、あえて検査体制のことについては触れていないわけであります。事故調査委員会はこの検査体制についてなぜ触れられなかったのですか。
○藤冨説明員 お答え申し上げます。 先生ただいまおっしゃられましたように、今回の航空事故調査によりまして、事故機は、昭和五十三年の大阪国際空港における事故後の復旧修理の際に一部不適切な作業が行われていたことが明らかにされているところでございます。これにつきまして、報告書には「今回の修理作業では、作業工程における検査を含む作業管理方法の一部に適切さに欠ける点があったと考えられる。」こう記述されているところでございます。これに関連しまして、航空事故調査委員会といたしましては、同種事故の再発防止のために、航空機の大規模な構造修理を行う場合の作業管理等に対する慎重な配慮について指導の徹底を図るように、運輸大臣に勧告をいたしたところでございまして、直接的な対応といたしましてはこの内容でカバーするということでございます。
○永井委員 運輸大臣にお聞きいたしますが、私は、この検査方法に問題があるのではないかということは、執拗にこの委員会で繰り返して指摘をしてきました。ちなみに、私は八月二十八日の委員会と十一月二十七日の委員会の二回にわたってこの問題に触れているわけでありますが、最も怖いのは過信なんですね。検査体制にミスがなかったという過信なんです。だからその当時、私が幾ら運輸省の検査体制の不備を指摘しても運輸省はそのことを認めようとしなかった。例えば、どういうふうに大臣が当時答えているかというと、政府が一定の資格を与えております調査官によって厳重に決められた問題について点検の処理をしてきているから、これは不可抗力だ、こう言い切っているのですよ。不可抗力とは不穏当だと私は重ねて追及したのだけれども、これは不可抗力だったと言っているわけですね。そして、その当時の技術部長は七年前の大阪空港でのしりもち事故について、事故後の修理、それに伴う航空法に基づく修理改造検査において事故前の状況に原状回復しているということを確認して合格させましたと、こう言い切っているのですね。これは八月二十八日の私の質問であります。そして十一月二十七日に同じことを私は聞いているわけでありますが、同じことを答えているわけですね。運輸省の検査の方法は適正に行われたものと判断しているものでございまして、検査体制に問題はなかった、こう言い切っているわけです。 結果として、事故調査委員会が指摘したように、修理したボーイング社もその修理ミスをみずからが見つけることができなかった、点検をした日本航空も見つけることができなかった。まして、その検査証を発行するのは運輸省の責任でありますが、その運輸省が万全の体制をとって検査したのだと言い切ってきたけれども、結果としてそれがそうでなかったということが明らかになった。運輸大臣、これをどのようにとられますか。
○橋本国務大臣 大変不勉強で申しわけありませんが、私は、当時の質疑応答について細部を承知しておるわけではございません。ただ、今回提出をされました報告書によりますと、しりもち事故後の修理作業における不適切な修理が事故の起因となったとされております。私はその議論の経緯よりも、安全確保を最大の使命としなければならない航空機の修理においてこうした考えられないような不手際が発生したということ自体が極めて遺憾なことだと考えております。 そして、本件の修理作業におきましては、修理作業の実施者であるボーイング社、その修理作業の委託者である日本航空及び国の三者の検査の果たすべき役割というものがそれぞれあるわけでありますけれども、その当時の運輸大臣あるいは部長が申し上げましたように、航空法に基づく国の検査ということを法理論的に申しますならば、確かにその役割は果たしたということであろうと思います。少なくともみずからの企業で生産をし、そのみずからの企業で生産をした機体について事故が発生し、それを修理する際に、しかも、みずからが必要と認めた修理の方法を現場においてそれとは異なった修理をするというようなことを人間としては想定しなかったであろう。私は、当時の検査官をかばうわけではありませんけれども、そういうものは到底考えられないことと思っていたのではなかろうかという気持ちはいたします。これは委員のおしかりを受けるかもしれませんけれども、運輸省の担当官とすれば完成したものを検査しているわけでありまして、その修理の方法として提示をされました内容が勝手に変更されていて、それが報告されていないというような事態を想定していなかったことは私は事実だと思います。 しかし、だれがいい悪いではなくて、これら三者が立ち会って行われた検査というものの中で作業ミスが発見されなかったという事実は何人も否定できません。航空の安全を図るべき責任の重大さを痛感しておることでありますし、また運輸省の立場から申しますならば、同種事故の再発防止を図るためにこれまでも事故発生後さまざまな対応をしてまいりましたし、今回の事故調査委員会の勧告の趣旨を踏まえて、修理ミスの再発防止のための指針を定めて関係者を指導してきたところでございます。また、航空機整備の審査体制を強化するために航空局に整備審査官を置き、航空会社の整備体制に対してきめ細かい指導監督ができる体制を講じてきたところでありまして、今後とも万全を期してまいりたいと考えております。 しかし、私は実はこの事故調査報告を受け、そしてその勧告、建議をちょうだいいたしました後、しかし、みずからこう直さなければならないと判断をし、しかもそれが現場において変更を加えて欠陥を生じるような修理をして、そういう修理をしたという行為自体を報告せずに覆い隠してしまうようなととがあった場合に、人間としてどうやったらそういうものを発見できるのだろうと本当に悩みの気持ちを会見で申したことも事実でありまして、我々としては万全を尽くす、だれがいい悪いではない、事故が本当に起きたのですから、万全を尽くす努力をしてまいりたいと考えております。
○永井委員 大臣、大臣の御答弁にとやかく言うわけじゃないのですよ。その当時のことを振り返って、だから当時の大臣がけしからぬとか当時の技術者がけしからぬ、こう言って個人の責任を私がとやかく言っているわけじゃないのです。私が恐ろしいのは、今大臣も言われましたけれども、こういう仕組みになっている、こういう検査体制になっている、その検査体制は、報告する側も検査する側もお互いの信頼関係においてなされているとは思うのであります。しかし、そういう検査体制が結果としてこの重大な事故につながるような修理ミスを発見することができなかったという事実だけは厳然として存在しているわけです。そのために五百名からの人命が失われたわけですね。 だから、私がここであえて申し上げたいのは、前から言っているように、もし仮に検査体制に不備があったり、あるいは検査官の人手が不足しておったりという具体的な問題点があるとするならば、それを直ちに改善することが運輸省としてとるべき道だろう。その後それがとられたかどうかはこれから御答弁いただければいいのでありますが、しかし、一般的な検査と違っていろいろな検査がありますね。段階的にたくさんの検査があります。その検査と違って、しりもち事故のような事故を起こしたときに大修理を行っている。せめてそういう大修理を行ったときの検査ぐらいは直接確認するぐらいの体制がとれていいのではないか、こう思うのですが、どうでございますか。
○中村(資)政府委員 お答えいたします。 昭和六十一年度に四名の検査官増員をいただきまして、先ほど大臣からお話がありました整備審査官という格好で増員をいただいたわけでございます。この整備審査官を、定期的に関係会社との定例会議その他の場を通じてきめの細かい指導監督をしてまいるというような施策によって今後の対応を図ってまいりたいということでございまして、今先生がおっしゃいましたように、個々の検査についてすべて見るべきではないか、こういう御意見だったと思いますが、なかなかそこまで手が回るわけにはまいらないと思います。ただ、今回事故調査委員会から勧告が出ました。勧告の第一で、航空機の大規模な修理を当該航空機の製造工場以外で行った場合、その作業管理については修理業者あるいは定期の航空会社を十分指導するように、こういう勧告をいただきました。先ほど申し上げましたように、これに対します指針をつくったわけでございますので、この指針の中で非常に細部にわたる注意事項を書き込んでございまして、これによって今先生がおっしゃったようなふぐあいな点についてはカバーをしてまいろうという決意でございます。
○永井委員 要は、こういうことが二度と起きないようにというための体制をきちっと整備してもらいたいということでありますから、ひとつそのように御理解願って、二度と惨事が起こらないように、これが五百数十名の犠牲者に対する最大の供養だと私は思いますので、そのことをあえてもう一回申し上げておきます。 一言でいいのですが、事故調査委員会は運輸省が出されたこの施策について通報を受けていますね。これについてどのように評価されておりますか。
○藤冨説明員 お答えいたします。 航空事故調査委員会は、去る七月二十四日、「航空機の耐空性確保に関する勧告」に基づき講じた施策につきまして、運輸大臣から通報を受けております。この通報の内容は、当委員会の考え方を踏まえまして早期に対応されたものとして評価できると考えております。なお、この施策に従いまして今後具体的な対応が行われると考えられますので、委員会といたしましては、引き続き注目してまいりたいと考えているところでございます。
○永井委員 そこで、時間もなくなってきましたけれども、補償問題について聞いておきたいと思うのです。 日本航空を呼んでおりませんので運輸省にお聞きをするわけでありますが、この補償が、私どもが知る限りでは示談が締結されているのはまだ百五十五名にすぎない、こういうふうに聞いているわけです。大半の人は残っているわけですね。週刊誌にも出ていました。ついおとといですか、事故の起きた三周忌を目前にして特集を組んでおりますけれども、それぞれの遺族の方々の中では大変な問題なんですね、いろいろとケースは違いますけれども。したがって、速やかにこの補償がされなければならない。問題は、自動車事故や他の事故と違いまして、飛行機の事故だけは被害者は一〇〇%被害者なんですね。一般的な過失相殺なんということがあり得るわけがないのでありまして、それだけに遺族の皆さんの御納得がいくような補償がなされるように、速やかにそれができるように、政府としても積極的な対応を望んでおきたいと思うのです。 ただ、心配になりますのは、個々のケースによって違うのでありますが、本人の年齢とか職業とか、いろいろなことから命の値段に大きな格差が出るおそれがある。人間の命というのは、仮にそれが会社の社長さんであろうとあるいは一介の職人さんであろうとそのとうとさに何ら変わるところはないのでありまして、人間の命の重さというものに余り格差をつけることのないような、そういう立場でぜひひとつ補償が前進するように御指導願いたいと思うのですが、どうでございますか。
○山田(隆)政府委員 お答えいたします。 日本航空と御遺族との間に今補償交渉が進められておりまして、先生お話がございましたように、負傷者を含めまして五百九名中、百五十五名については示談が成立しております。 この補償交渉の進め方でございますが、日本航空といたしましては、基本的には一般の死亡事故の例によっておるところでございます。確かに先生おっしゃいますように、今の値段に変わりはないではないかという御議論もあるわけでございますが、一般的に死亡事故におきます損害賠償の内容といたしましては、葬儀費あるいは精神的な損害に対する慰謝料のほかに、逸失利益に対する補償、賠償というものが考えられておりまして、その逸失利益の補償につきましては年収あるいは年齢というものを基準にしておりまして、一般的にこれまでとられてきた方式というものが各人によってある程度の差があるということはやむを得ないのではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、日本航空に対して誠意を持って交渉に当たるように指導しておるところでございます。
○永井委員 最高裁の判例とか、あるいは今までの一般的な基準というものも存在することは承知しているのでありますが、だからといって余り命の値段に格差があるということは遺族の立場に立ては好ましいことではない。そういう意味で私は申し上げているのでありまして、金で解決できる問題ではないと思いますし、金をもらうよりも命を返せと言われたってもうどうしようもない話でありますが、結果としてその誠意を示すのは遺族に対する補償金になってくるということで、より積極的な御指導をぜひお願いしたいと思うのです。 もう一つは、この遺族の中で、遺児が勉強する場合に奨学金が支給をされていると聞いています。航空育英会で返還義務を伴わない奨学金の支給が行われているというふうに聞いているのですが、それはどの程度の人数で、金額でどの程度になっておりますか。
○山田(隆)政府委員 日本航空といたしましては、この事故で災害に遭われた方々の御遺児に対しまして返済義務のない奨学資金を支給しております。これは対象といたしましては幼稚園児から大学院生まで、予備校生も含めて行われておるものでございまして、現在の対象人員といたしましては、六十二年四月現在でございますが、幼稚園、小学校、中学校の対象者が百七十七名おられまして、一人月額一万三千円でございます。また高校、予備校、専門学校の生徒が七十一名おられまして、月額一人二万円でございます。また短大と大学在学中の方々が四十七名おられまして、月額一人三万円支給しております。また大学院の方が二名おられまして、これは一月五万円を支給しておりまして、合計対象者は現在のところ二百九十七名でございます。
○永井委員 そのほかに、示談が解決していない、補償交渉が解決していない遺族に対して、当面やはり生活が大変でありますから、その生活面を配慮した仮払い制度を行っているということでありますが、それは仮払いに限度があるのですか。それとも、その仮払いを受けることによって何が何でも補償交渉に入ってもらうという一定の前提条件がついているのですか、どうでございますか。
○山田(隆)政府委員 日本航空といたしましては、今回お亡くなりになられました方々の中に働き盛りの方々が相当数おられまして、残された御遺族の生活に重大な支障が生ずるであろうということが十分予測されますので、生活への不安を少しでも軽くしていただくという意味で、一家の支柱の方がお亡くなりになり生活にお困りになっておられる御遺族に対しましては、今先生おっしゃいましたような仮払いの制度を設けております。この仮払いの制度といいますのは補償交渉開始の条件ということにはしておりません。そういうふうに私どもは日本航空から聞いております。
○永井委員 補償問題ではこれ以上言いませんが、とにかく一日も早く補償が解決できますように、より積極的な対応をお願いしておきたいと思います。 もう一つ、警察庁にお伺いするのですが、事故調査委員会の報告が出されて、この刑事責任の追及はどうなっているのですか。
○広瀬説明員 お答え申し上げます。 日航機の墜落事故事件につきましては、事件発生以来、群馬県警察におきまして捜査本部を設置いたしまして、大量の捜査員を投入いたしまして、関係者等からの事情聴取、証拠品の検討など所要の捜査を実施してきたところでございます。これと並行いたしまして、運輸省航空事故調査委員会に対しまして事故原因等に関する鑑定を依頼しておったところでございますが、先般その鑑定結果の回答を得ましたので、同鑑定に基づく科学的、専門的意見と判断を踏まえまして、刑事責任の追及に向けてさらに所要の捜査をしてまいりたいと思います。
○永井委員 わかりました。罪人をつくることは目的じゃありませんけれども、ひとつ、この責任だけは明確にさせるという立場で対応していただきたいと思います。 その次に、最近の交通事故から若干の質問をしてみたいと思うわけでありますが、ついせんだって、愛知県の名鉄と大型トレーラーが衝突をして百六十六人の重軽傷者を出した事故がありました。このことから、同種類の事故の問題についてもいろいろ調べてみたのであります。たくさんの事故があるのですが、一昨年の八月七日に福岡県で、当時の国鉄の踏切で大型トレーラーがやはり同じように電車と衝突事故を起こしているわけです。ここに大変類似していることは、警察の調べでそのこともはっきりしているのでありましょうけれども、大型トレーラーが過積みで車が下へ下がるというのですか、結局踏切の上で腹をすって立ち往生してしまっているわけです。この最大の原因は過積みにあるわけですね。この過積み問題も今まで随分とこの委員会で議論がされてまいりましたが、一向になくなってまいりません。そのことはちょっと後で触れます。 その過積みとあわせて、福岡県の当時の国鉄の踏切における事故を見ますと、踏切の道路の勾配が二・五%を超えている。これは道路構造令に違反をしているわけですね。だから、直接の原因は過積みであるし、通っていい道か通って悪かった道かということも問題はあるのでありましょうけれども、踏切の道路構造にもそういう問題があるとすると、結果としてそれは複合的な原因による事故ということになってくる。このことに関して、まず、踏切道の改良については特別に法律もつくってあるわけでありますが、この踏切を管理監督する立場にある運輸省として、道路構造令に反するような勾配の踏切道がどの程度あるかわかりませんけれども、一応全国的に調査をして、もしそういう該当の道路があるとするならばそれを改善することがあっていいと思うのでありますが、それについて運輸省にお尋ねしておきたいと思います。
○林政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の踏切道の問題でございますが、一昨年の筑肥線で起きました事故でございまして、これにかんがみまして、私どもといたしましてはその後、当時国鉄でございますが、国鉄におきまして、緊急にこういうトレーラーの腹つき事故というふうなことについて要注意箇所を至急調査いたしまして、当時全国で約六百九十九カ所ございました。具体的にはこれは関係方面のいろいろな御協力が必要なわけでございますけれども、基本的には踏切道の構造改良、これは踏切道改良促進法に基づきまして一定の構造改良をすることになっておりますので、これをきちっとやっていくということが一つでございます。 ただ、しかし、全国に非常に多い箇所ございますから、そういうものについて直ちにこれを全部改良するというのもなかなか難しゅうございますので、そういう踏切道の改良を促進すると同時に、一方また交通規制、すなわち、道路管理者によりますところの一定の車両に対する通行許可とか、あるいは公安委員会による経路指定といったような交通規制を強化していただく、あるいは過積みといった問題についての取り締まりを強化していただくというふうなことを促進していく。さらには、万が一そういう形で立ち往生した場合には、踏切支障報知装置といったものを設置しまして未然に事故を防ぐというふうな対策も講じていくということで、こういう対策を緊急に講じようということで逐次実施をしてきておるということでございます。
○永井委員 予算の関係もあって非常に困難な面もあろうかと思いますが、少なくとも事故をなくするという前提では、そういう道路構造令に反するようなところは早急に改善を図るべきだ、それがまた任務だろうと思いますので、そこはひとつぜひ対応してもらいたい。 さて、その過積載の問題でありますが、この過積載の取り締まり状況というのをちょっと資料で調べてみますと、これは全部を全部取り締まれるわけではありませんからなかなか全部を掌握し切れないのでありますが、一九七八年に違反車両が十一万八千八百五件摘発されているわけでありまして、これが一九七九年になると一挙に六万八千四十件と半減しているわけですね。なぜ半減したかというと、当時、道交法の改正によってその背後責任の追及をすることが決まったために荷主や業者の方が注意をしたのでしょう、半減いたしました。しかし、それからはのど元過ぎれば熱さ忘れるでまたどんどんふえていきまして、ふえる一方で、一九八五年には十万六千七百五十六件という取り締まり状況になっているわけであります。また、交通事故件数でいいますと、これは警察庁交通局の交通統計から調べてみたのでありますが、営業用の大型トラックというのは極めて交通事故が多い。しかもそれが年々ふえてきまして、特定大型車両は、交通事故件数の中で営業用は六九・八%にも上っている。大型トラックは七〇・一%、トレーラーは八一・八%、このように営業用の大型トラックの事故が極めて多いわけですね。これは大変憂慮すべきことだと思うのです。もちろん、交通安全管理ということも業者の責任があると思いますが、ましてや過積みなど、そういう無理な運行をさせていることに大きな原因があるのではないかと私は思うのです。 時間がありませんから一方的に問題提起をいたしますけれども、例えば、昨年の八月に山形県で一家六人の乗ったワゴン車と大型保冷車が正面衝突いたしまして、六人の家族が死傷いたしました。これは当時新聞で大きく取り上げられた問題でありまして、ここにも新聞の記事を持っておりますが、大変悲惨な事故でありました。それは、大型保冷車が居眠り運転で対抗車線に飛び出て、衝突してから九十メートルもそのワゴン車は後ろへ押し戻されてぺしゃんこになってしまったのですね。こういう悲惨な事故がありました。こんなことはあってはならぬわけでありますが、ところがその事故の責任追及は、その後調べてみると、その運転手を使っておった運送業者、企業の側ですね、企業は罰金五万円で済んでしまっているわけです。運転者本人は禁錮二年、企業者は五万円の罰金であります。そして企業者は労働省から労働基準法違反で送検をしたのでありますが、結果として起訴猶予の処分になっています。労働基準法の関係でいうと起訴猶予処分になっています。そして道路運送法でいきますと、その企業は百五十日車、十台で例をとると、十台のトラックを十五日間運転するなという一部営業停止で終わっているわけです。 ところが、この事故の原因というのは、新聞にも大きく書かれておりましたけれども、函館から大阪へ行って七十五時間で帰ってこいという命令を出しているわけですね。積み荷を積んで出て七十五時間で帰ってこいという命令を出しているわけです。だから、運転者にすればその七十五時間以内に帰らなくてはいけないので、金沢でたった二時間休憩をとっただけでトンボ返りしているわけですね。明らかにこれは七十五時間という勤務時間を指定した、運行を指定したということがこの事故に直結をしていると私は思うのです。そうすると、事故を起こした本人の禁錮二年は、これは大変な事故を起こしたのですからやむを得ないといたしましても、それを命じた、その背後責任を追及されるべき業者がたった罰金五万円だけで済んでしまうということになると、私はこういう無理な運行というのはなくなっていかないと思うのでありますが、どうでございますか。
○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、過積載違反あるいは過労運転ということにつきまして、事業着がそういうことのないようにみずから運転者の指導監督を十分に行いまして、あるいは運送計画を策定するということが大切であることは御指摘のとおりでございます。しかし、御指摘のとおり、なかなかこの違反の件数が減らないという状況でございます。運輸省といたしましてもこれは大変重要な問題と心得ておりまして、特に今年度の監査計画におきましては、過労運転の防止とそれから過積載違反の防止を最重点項目としてとらえて、監査を強化しているところでございます。先般来、佐川急便につきましても大変問題があるということで、佐川関係の全社を監査いたしまして、それぞれにつきまして、過労運転の防止等についての道路運送法あるいは運輸規則の違反について指摘をいたしました。また、これについて威しく処分をいたしております。 そういうことで、監査を通じて法令の励行を図ってまいりたいと思っておりますけれども、さらに、これらの点については荷主の協力というようなことも必要でございますので、荷主懇談会というようなものを随時開催するとか、いろいろな方策を講じましてその防止に力を注いでいるところでございます。
○永井委員 この防止に力を注いでいただいていることはわかるわけでありますが、かつて認可運賃の問題を私がここで指摘をしたことがありました。認可運賃が守られない。認可運賃の三分の二とか、ひどいところになると二分の一くらいでもって輸送せい、それが嫌ならほかの業者に契約を変えるぞなんということも存在しているわけですね。だから、認可運賃の三分の二くらいの値段で運ぶということになるとまともな積み荷では採算がとれないから、そこに過積みが出てくるわけですね。これはもう私自身が随分と経験をしております。私の親戚にも運送業者がいますので、随分とそういう苦情を聞いています。ところが運輸省は、これだけ指導していますということでどさっと資料を私のところに持ってきたことがあるのですが、資料を出してもなかなか末端までそのことが届かない。なぜか届かない。だから私は、この運輸省の指導というものをもっと権威あらしめるために、もちろん警察庁とも連携をとらなくてはいけないと思うのです。取り締まりは取り締まりで厳しくやる。しかし、運輸省の監督業務として徹底をさせることは徹底をさせるようにあらゆる努力を積み重ねなげればいかぬと思うのです。現に昭和五十八年の四月二十一日には、参議院の方でありますが、わざわざ「貨物自動車に係る道路運送秩序の確立に関する決議」という決議まで委員会でされているわけですね。その決議の中に、過積載による交通事故を防止するためのこと、あるいは過労運転による事故防止を図るための安全管理、あるいは認可運賃の適正収受を図るための措置ということも盛り込まれておるわけでありますが、現状はこの決議を積極的に推進したということになっていないのではないか。だから、ここはひとつ不退転の決意でやってもらいたい。 警察庁に私がいつも嫌みを言うようで恐縮でありますが、四十キロ、五十キロの制限速度のところを十キロ程度オーバーしたということでスピード違反で摘発することも随分あります。そういうことも大事でありますけれども、むしろこういう過積載の取り締まりということなど、とりわけこれだけ物資輸送が盛んになってきたわけですから、高速道路もふえてきましたから、そういう重大事故につながるところに警察の取り締まりももっと集中すべきではないか、私はこう思うのです。 現に公正取引委員会も六十一年の十二月に、貨物運送取引に関する調査結果の報告というものを出しています。それを見ますと、荷主及び元請運送業者の優越的な地位の乱用ということでこれを厳しく指摘しています。そしてその対象として運輸省、通産省、農水省、全国のトラック協会、こういうところに改善方を要望しているわけです。ここまで問題になってきているのでありますが、運輸大臣どうですか。過積載の問題につながる認可運賃の問題については、安全管理とともに今までの取り組み以上の取り組みをしてもらいたいし、公安委員長には、この過積載とか認可運賃の収受に関する背後関係の責任追及についてひとつ決意のほどを示してもらいたいと思う。
○橋本国務大臣 今までも大きな問題として認識し、事務方としてできる限りの努力をしてきたと考えておりますけれども、これからも一層の努力をしてまいるようにいたします。
○葉梨国務大臣 過積載運転は重大な事故につながりかねない悪質な違反でございますので、また危険な違反でございますので、従来から重点的な取り締まり対象としてきたところでございます。こういう事案を防止するために運転者に対します取り締まりを行いますとともに、荷主のこのような背後責任を追及することが必要であろうということから、荷主に対しましても厳重に違反を追及しているところでございます。これからもこういう事案が起きないようにするために、運輸省、建設省その他の関係省庁とも連絡を密にいたしまして、一層努力をしていきたいと考えております。
○永井委員 その御努力をぜひお願い申し上げるとして、最後に一つだけ。交通安全とは直接関係ないのですが、どうも気になることが一つありますので、警察庁に御要望申し上げておきたいと思うのであります。 最近、私は関西でありますが、関西の方でも例の現金強奪とかいろいろな事件があります。あるいは誘拐事件もそうでありますが、私どもが新聞で報道されるのを見る限りほとんどが盗難車を利用するわけですね。だから、車が盗難に遭ったときは直ちに本人から警察にも通告をされることはもちろんでありますけれども、もし盗難車の発見ということが迅速に行われていくとすれば、盗難車を利用する犯罪行為は極めて少なくなっていくと思うのです。過激派の爆破事件もそうでありますが、全部盗難車ですね。この盗難車の対策について警察庁はどのようにされているのですか。
○広瀬説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、最近の捜査が困難な事案と申しますか重要事案と申しますか、そういうものにつきましてはかなりな程度盗難車が使われておるということで、私どももこの盗難車対策を重点に掲げなければいかぬという認識に立っております。第一線におきましては、いろいろな機器を導入いたしまして、職質等のとき盗難車両をすぐ発見できるような措置もとっておりますが、特に最近は現金輸送車の犯行がございましたので、これにつきましても、緊配等の処置につきましても検討してまいりたい。いずれにいたしましても、最重点課題であるというふうに認識いたしております。
○永井委員 以上で終わります。
○新井委員長 関山信之君。
○関山委員 私は、永井委員に引き続いて、AT車の問題を主としてお尋ねいたしたいと思います。 まず最初に、AT車の実態の把握について、これは苦情の段階のもの、事故のものを含めて一体どういう状態になっているのかということについて一通りお聞かせをいただきたいと思うのです。運輸省については、百七十八件というこの五年間における数字を文書でいただいておるわけでございますけれども、その中身について幾つか確かめておきたいことがございますので、申し上げることについて数字だけお聞かせをいただきたい。 一つは、この百七十八件は、苦情、事故、負傷、死亡という大体この四つの区分けに従うとどういう中身になっているか。二番目に、どういうところから報告があったのか。添付の文書を見ますと、ユーザーから運輸省に寄せられた苦情、自動車メーカーからの報告等合計百七十八件、これは具体的に報告者別にはどうなっているのか。それからもう一つは、発生形態のうち「その他」四十四件というのがございますけれども、この中身は何か。それからオートドライブ、クルーズコントロールというのでしょうか、こういう車両はこの百七十八件のうち何件あるのか。それから、これは六十二年三月までですけれども、これが新聞等に取り上げられて急速に関心が強まっているわけでありまして、事故の方はともあれ、最近のこの問題に対する苦情件数は急速に伸びているのではないかということが予想されるのですけれども、その辺の状況はどうか。以上、お答えをいただきたい。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 まず初めに百七十八件の内訳でございますが、事故の発生いたしましたものは、物損も含めまして百五十六件でございます。二件が不明でございまして、その他二十件は事故が起きていないものでございます。それで、死傷事故の発生いたしましたものが三十二件でございます。 それから情報の入手先でございますが、私どもの運輸省並びに運輸局、陸運支局等運輸関係に入りましたのが一三・六%でございます。それからメーカー、販売店に入りました情報が六九・一%でございます。それから警察とか報道関係、国民生活センター、ユーザーの方から直接というものが一七・三%、かようになってございます。
○関山委員 まだあります。オートドライブ。
○清水(達夫)政府委員 失礼いたしました。自動走行装置のついておりますのが二十六件でございます。
○関山委員 それから六十二年三月以降。
○清水(達夫)政府委員 六十二年におきましては、四月、五月、六月分につきましては現在まだ私どもの方にデータが報告されておりませんので、鋭意早急に収集するつもりでございます。
○関山委員 何でこの報告者別のものだけパーセントになるの。件数で出ないの。
○清水(達夫)政府委員 申し上げます。 運輸省が二十件、運輸局三件、陸運支局一件、これを合わせまして一三・六%でございます。それからメーカーが十一件、販売店が百十二件、合わせまして六九・一%でございます。それから警察四件、報道関係十一件、国民生活センター十二件、ユーザー四件、これを合わせまして一七・三%でございます。
○関山委員 数字のことについてのお尋ねはまた後にしましょう。 警察庁の方はさっき亀井委員の御質問に九百四件という数字がございましたが、これは六十一年だけですか。それから、これによる死亡者は何人ですか。
○内田政府委員 お答えいたします。 これは六十一年中の数だけでございまして、死亡者の数というのは今ちょっと手元にないのですが、車が死亡事故を起こした件数ということで分類していただいておりますので……。
○関山委員 それから重ねて、警察に持ち込まれている苦情件数というのはどのくらいあるか、掌握をされているのかどうか。 それからもう一つは、さっきの質問の中にございましたが、六十一年、AT車の割合は一四・三%という数字が出ているのですね。ところで、七月九日のサンケイ新聞と毎日新聞なんですけれども、これについては事故はいずれも二三・五%と出ていますから、どうも報道関係者の間違いだとは受けとめがたいのですが、この数字の違いはどこですか。
○内田政府委員 まず第一点の苦情の把握状況でございますが、現在、警察庁に対してAT車の事故に関する苦情は来ておりませんし、各都道府県警察からもそのような報告は受けておりません。 それから、パーセンテージの違いございますが、先ほど申しました一四・三%というのは全自動車の中のパーセンテージでございまして、二三・五%でございましたでしょうか、その数字は、普通乗用車の中におけるAT車の起こした事故のパーセンテージでございます。
○関山委員 それから、九百四件のうち、今問題になっております急発進、急加速といったような事例がこの中にどのくらい含まれているかという数字は出てきませんか。
○内田政府委員 事故の状況別に一応分類したものの中で発進時というのが十一件あるわけでございますけれども、ただ、それは急発進なのかどうかということじゃなしに、発進の時点で例えばちょっと前にいた人をはねたというようなものも入っているものでございますから、ちょっとそこの分類はできておらないわけでございます。
○関山委員 経済企画庁からもおいでいただいていますが、国民生活センターの方の数字はいかがでしょう。
○吉田説明員 御説明申し上げます。 国民生活センターに寄せられました苦情でございますが、五十九年度が二十七件、六十年度が二十九件、六十一年度が三十三件となっております。本年度は暫定集計でございますが五件、とうなっております。苦情内容といたしましては、急発進というものが多くなっております。処理でございますが、他機関紹介であるとか自主交渉のための助言、それから情報提供等になっております。 なお、寄せられた苦情に対しましては可能な限りのテストを行っておりますけれども、事故発生の状況を再現させるということは非常に困難でございます。そのため、構造的な問題点を現在までのところ発見するまでには至っていない、このように聞いております。
○関山委員 今の六十二年の五件というのはこれは何月までで、この問題が出てからの状況、数はいかがでしょう。
○吉田説明員 最近時まででございますが、まだ全部集計してないということでございますので、暫定集計ということでございます。
○関山委員 私はこの実態把握の問題について、これは運輸省にお伺いをすることになるのでしょうか、百七十八件という数字はかなり少ない数字ではないか、この問題をめぐっての現実のとらえ方としては。これは今の国民生活センターのものを取り込んでいるとおっしゃっていますけれども、それの数とも合わないし、警察だってこれの追跡といいましょうか、数字の分析はそれほど詳しく区分けをしていらっしゃらない現状のようでありますが、これだけ問題になっていれば、やはりAT車をめぐる実態について少なくとも把握する。このほかにも消費生活センターとか各自治体とか、警察にだって窓口に全然苦情がないとは僕は思えないのですがね。まあまあ聞いてそのままになってしまっている、統計の数字に出てこないというようなことがあるのじゃないかと思ったりもするのですが、いずれにせよこの時期、やはり実態把握というものをまず優先させなければならないだろう。 そのこととあわせて、いつもそうなんですけれども、関係機関のこういう問題についての数字合わせをきちっとおやりになれないものなのですか。それぞれの関係機関がそれぞれ同じ問題を取り上げて、きちっとした実情をまず把握するところからしか問題は始まらないわけですからね。いかがでございますか。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、確かに私どもでまとめました数字は、私どもに直接苦情として来たもの、さらには各メーカーにいわゆる品質情報としての苦情として集まったものでございまして、ユーザーの方がそういう申告をなさらなかったケースはもちろんあるかと思います。そういった意味におきまして、およその推定の数字だと考えております。 御指摘の関係の方との連携という点でございますが、こういった点につきましても、今後連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。
○関山委員 この問題はこれからしばらく問題になると思いますので、委員長の方から、どなたが適当なのかわかりませんが、この実態把握について、関係省庁全部集めて数字をきちっと整理をして当委員会に提出をするように要求していただきたいと思います。これを要望いたしておきます。 それからもう一つは、これは警察なんですが、先ほど申し上げました新聞のコメントを見ますと、全体の二三・五%あるいは一四・何%ですか、いわゆるAT車の普及率から見ると決して従来の車より事故率が高いわけじゃないし、むしろ安全性は高い、そういうコメントがくっついているのですね。私は、ちょっとこの御判断はいかがかと思うのですよ。今回AT車が非常に問題になっている一つは、発生件数が少なくても非常に死亡事故に結びつきやすい、あるいは大事故に結びつきやすいということがあるからなんじゃないかと思うのです。AT車の方が安全度が高いというふうにとても言い切れるような代物じゃないと思うのですが、この点について、数字の理解についてはいかがですか。
○内田政府委員 確かに安全率というのは、全体の走行キロに対してどうなのかとか、いろいろ分析を要する必要があろうかと思います。現在、AT車が大変重大な事故を起こすということでいろいろ問題になっておるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたパーセンテージというのは死亡事故を起こした場合の車のパーセンテージでございまして、そういった意味で、低いという言い方が適切かどうかはともかくとして、一般のMT車に比べて高いということはないという判断はいたしておるところであります。
○関山委員 そんなことでやりとりしている時間も余りないのですが、ただ数字の上で低いから、それでAT車の方が安全なんだという独断といいましょうか、そういう解釈をお持ちになることはいささか問題だと思いますので、そのことを指摘しておくことにとどめます。 ところで、私はAT車の問題の過去のいろいろな資料を集めてみて、この問題をマスコミが大きく取り上げるようになったのは今回が初めてじゃないわけですね。実はやはり暴走事故が契機になりまして、五十八年の末にかなり大きく社会的な問題になった。「突然発進、車が狂った」といったような状況があったものですから大変大きな社会問題として取り上げられたのでしょうが、このときにも、運輸省は資料集めその他、「「AT車不信」原因究明へ」、まあ断固たる決意とも書いてありませんけれども、ともかく腰を入れてやりますよということを書いてあるのですね。 このときに、国民生活センターでもやはり一定の見解を示していらっしゃいます。国民生活センターの方では、実にわずかなレポートですけれども、公式なものかどうかわかりませんが、相談部でお書きになった文書には、今この時期にいろいろと問題になっていること、今取り上げなければならない問題が全部指摘をされておるわけですね。例えば、「急発進の原因究明ができないため、メーカーおよびディーラーの「原因は操作ミス」との見解と相談者の申出とは対立したままであり、」とか、こういう問題については「メーカー各社は「原因は操作ミス」という観念を「原因は操作ミスではないかもしれない」と転換させ、原因究明のために自ら努力されるよう期待したい。」とか、この時点で「三十七件の相談総てが操作ミスによるものとは考えにくい。」とかいうようなことの指摘があるのですが、この後一体何をやってきたのかという思いひとしおなんですね。 あるいはこの時期に品川で警察官が同じ事故を起こしておりまして、先ほど伺いましたら、これは禁錮一年ということで警察官の身分も失ってしまうというような事故もあるわけですね。このときにも警察に対していろいろと問題提起があって、AT車の問題については、今のところAT車について系統的な把握はされていないという事実確認があってこういう問題も起きているので、その後もそういう問題について十分に追跡されてないというようなことになりますと、これは一体何をやったのだろうかという気がするのですが、運輸省、警察庁、それぞれいかがでございましょうか。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、五十八年当時、AT車の急発進につきまして問題になりました。したがいまして、私どもといたしましてはその時点から、AT車の急発進、急加速に関する苦情あるいは事故等の情報を、自動車メーカーに指示いたしまして私どもに収集するようにいたしました。それで、その内容につきまして個々にいろいろ検討いたしておったわけでございますが、この問題はなかなか現象が再現しにくいというような技術的な問題もございまして、現在までのところ、直接的に車両の構造、装置の欠陥が事故の原因となったということの確認がとれていない状態でございます。
○内田政府委員 確かに五十八年のころにはAT車とマニュアル車との分類というものが十分できてなかったわけでございますが、先ほど申し上げました六十一年の数字のように、死亡事故につきまして、現在AT車とマニュアル車とのいろいろな分析を行ってきているところでございます。それとともに、こういったAT車の問題についての問題意識を強く持ちまして、例えば教習所におきますカリキュラムの改正だとか、それからAT車の教育等につきましても逐次措置をしてきているところでございます。
○関山委員 そうとしかお答えにならないのでしょうけれども、ともかく私は、先ほどの永井委員の日航機事件の問題じゃありませんけれども、この委員会で何遍指摘しても問題の改善が進まなければ、何のために物を言っているのかということになるという意味で五十八年当時のことを申し上げているわけです。 それにしても、今回運輸大臣が、先ほども御発言がありましたので改めて確かめることもないわけですけれども、いわゆる操作ミス、誤作動だけでは説明できないものがあるというふうにお認めになったことの意義は大きいと私は思うのですね。大臣、自工会の方にはどなたかにお会いになっていらっしゃるのかどうか、それから、自工会の方としてもその大臣見解についてお認めになっていらっしゃるのかどうか。
○橋本国務大臣 実は、私は運輸大臣としては自工会に会っておりません。むしろ自由民主党の行財政調査会長時代並びに本院の環境委員会所属の立場で自工会にさまざまな話を聞いたときのテーマの一つがこの問題でありました。そして、運輸大臣を拝命いたしまして以来この問題がクローズアップされ、事務方の諸君から資料を取り寄せて調べております。本当に車両の構造、装置の欠陥が直接原因となったという事例も確認をされないのですが、確かに、どう考えてみても、これは運転をされる方が誤りの操作をされたということでは説明がつかないケースがあることは事実問題として認めるべきだと私は思っております。ただもう一つ、私自身非常にわかりませんし、また運輸省の事務方の諸君に聞きましても本当にその点は不思議だということになっておりますのが、アメリカ並びに日本においてこれだけ問題になっておりますAT車問題というものがヨーロッパ及びオーストラリアでは全くといっていいほど出てこない。我が国の在外公館を通じて調べてみましても、そういう報告事例が出てこないという問題でございます。 むしろ事務方の諸君というか専門家たちに聞いてみますと、誤りの動作というものを再現するのはなかなか難しい。いろいろな努力をして研究してくれておるようでありますけれども、それが恒常的に起こるようであれば誤りの動作ではないわけでありまして、むしろ何回に一回なのかあるいは何万回に一回なのか、誤って作動するケースを再現することの難しさというものが、私は今委員から御指摘を受けながら、五十八年当時から解明の努力をしましてもなかなかいい結論が出てこない原因ではなかろうか、そのように感じております。
○関山委員 簡単で結構なんですけれども、この際ですから、今後の対応の基本的なスタート点になるものですから、国家公安委員長、総務庁長官からも今の運輸大臣発言についてそれぞれ御発言をいただきたいと思うのです。
○葉梨国務大臣 現在までのところは、AT車に関係します事故につきましては、その事故の原因がAT車の構造とか性能の欠陥に起因するという報告は受けていないわけでございます。今後とも、事故の原因が車両の欠陥に起因する疑いのある場合には、鑑定などをいたしまして慎重に対応していきたいと考えております。
○山下国務大臣 AT車による事故の発生につきましては、交通安全対策上、極めて重要な問題であるということを私どももつとに認識をいたしております。ただ、自動車の車両の構造につきましては運輸省所管でございまして、既に各種の対応がなされておると伺っておりますが、私ども調整官庁といたしまして、今後とも関係省庁と緊密なる連絡をとりましてこれに対応してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○関山委員 公安委員長、やはりちょっと気になりますね。おっしゃるとおり原因究明が最終的に答えが出てないというのは、私も今のこの時点では認めます。しかし、今まで言われておりましたようなペダルの踏み間違いといったようなそういう操作ミスだけでは説明のできないケースが出ているということは、この際はっきりお認めをいただけないでしょうか。
○内田政府委員 例えば、AT車の事故につきまして昨年は六件ばかりそういった鑑定等を……(関山委員「いや、中身のことを聞いている」と呼ぶ)そういった事故が起こった場合に、もちろん当該運転手の方のおっしゃることを十分聞きまして、そして車両の構造に欠陥があると疑う余地があると申しましょうか、そういったものについては積極的に鑑定調査を行って、そういった原因の究明に努めてまいりたい、こう思っております。
○関山委員 疑う余地があるということは、つまりは必ずしも操作ミスによらない場合も事故が起こり得る可能性があるという橋本大臣の御発言を御確認いただいてもいいんじゃないですか。いかがですか。
○葉梨国務大臣 今まではそういう報告を受けていないわけでございますが、そういう疑いがあるような事故が起こった場合には慎重に対応し、鑑定を受けたり、あるいはその他必要ないろいろな対応をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
○関山委員 そこで、今既にいろいろな事件が、きょうもまた朝日新聞などでクーラーのコンピューターの関係で異常発進をしたケースなんかも大きく報道されているのですが、従来いろいろ起きている中で、私は三つの事件を申し上げてそれぞれ御見解をただしたいわけです。 一つは、今かなり有名になっております種市さんという御婦人が起こした事件です。六十一年八月二日、環七で五百メートル暴走して六台の車に接触して死亡三名、重軽傷六名という事件で、これは六十一年十一月十二日禁錮二年の判決で目下服役中。このケースはブレーキとアクセルの踏み間違いということで刑が確定したわけですが、これに不満だと称して御本人は控訴しようとしたわけですけれども、なぜか控訴を取り下げたというケースです。これはこれだけ人を殺しているわけですから、周りから連日電話や手紙で責められて、ここはもう二年我慢すればいいのだということで服役中。しかし、これはその後のさまざまなケースを見ましても、五百メートルも誤ってペダルを踏みっ放しということはない。ブレーキがきかないといって車の中から彼女が大声で叫んでいるというようなことも明らかになっている。あるいはサイドブレーキが引き上げられていたということも検証で明らかになっているというケースです。 二番目は、六十二年五月三十一日、この問題が新聞ざたになる直前です。これは府中の競馬場へ行くお客さんたちをはねて二人死亡、重軽傷者六、目下公判中。この方は事態の展開を見て、起訴事実を一部はね返して今公判で頑張っているというケースです。 そして、これは七月二十一日ですからつい最近なのですが、私の地元の新潟市での事件です。これは前田さんという三十五年のベテランの個人タクシー運転手が暴走して、一人死亡、一人重傷、小さな女の子ですけれども、こういう事件です。前二者はいずれにしろ逮捕され、身柄を拘禁されて、今処分を受けて片や刑務所に服役中、片や公判中。 この前田さんの事件で警察庁は立派だったと私は思うのですけれども、新聞記事を読みますと、こういう事態の変化に対応してここでは身柄の拘束もなければ、これは慎重に扱わなければいかぬ、当該車についてもこれは鑑定をして原因究明に当たろう、こういう姿勢を示されているわけでございまして、これは少しなまぬるいじゃないかといって本庁からしからないでもらいたい。むしろ、こういう時期ですから大変結構な話なのでございますけれども、いずれにいたしましても、今の二件を見ましても、警察サイドとしては非常に難しい問題を抱えることになるからそういう姿勢をおとりにならざるを得ないのかもしれませんが、これから幾つかこういうケースが出てくる場合に、被疑者に対する対応の原則、方針みたいなものをきちっとお持ちにならなければならないのじゃないだろうか。酔っ払いだとかわき見運転までAT車だから全部慎重になんと言うつもりはありませんけれども、急発進、急加速という今起きている事象についてだけでも、少なくとも一つの方針を持って全国的に対応をきちっとお出しにならなければならないのじゃないか。 それからもう一つは、鑑定に出す、こうおっしゃっておられるのですが、我が新潟の場合、この車を鑑定に出すとどこが鑑定することになりますか。
○内田政府委員 これは、新潟陸運支局の関係者と警察官が立ち会ってこの鑑定調査を行っておるところであります。
○関山委員 全体の被疑者に対する対応の問題はどうですか。
○内田政府委員 AT車の事故の問題、事件そのものについては個々のケースがあると思います。それから、急発進等の問題につきましても、先ほど来お話がございますように、それが構造上の欠陥があるのかどうかということも明確になっていないところでございまして、我々といたしましては、それぞれの事故の現場、そのときの状況で逮捕の要件があるかどうかとか、いろいろな要件のもとにこれからも捜査を進めてまいりたい、こう思っております。
○関山委員 非常に難しい問題ですからそうお答えになるのはやむを得ないかもしれません。しかし、こういう事態になっております以上は、少なくとも問題になっております急発進、急加速についての交通事故の扱いについては一定の方針をお持ちになるべきじゃないか。今直ちにその中身についてどうだということを求めるつもりもございませんけれども、そのことについてお答えいただきたいと思います。 それからもう一つ、この鑑定を新潟陸運支局でやると言うのですが、そんな能力がありますか。今運輸省が交通安全公害研究所でおやりになろうとなさっていらっしゃるけれども、私もまだそういう現場、研究機関の実態を見ておりませんから何とも申し上げかねる部分もあるのですが、単なる実地検分みたいなもので問題が片づけられてはこれまた困るわけですね。そんな能力が一体各県警にあるのかどうか。
○内田政府委員 これはケース・バイ・ケース、それから当然事故を起こした方の説明を聞いた上で疑問がある場合には調査をするわけでございますが、基本的には、事故が起こった場合、そもそもその事故に構造上の問題がなかったか、それはいわゆる整備不良という問題もあるわけですが、そういったものがないかどうか、必ず現場検証をやる警察官が見るわけでございます。そういった説明があるといいましょうか、そういうようなことで問題があれば、そのケースによるわけでございますが、陸運局の方に来てもらう、あるいはそこに持っていってやるという場合もありますし、さらにはそれぞれの県警の科学捜査研究所へ持ち込むようなケースも難しくなればある、そういう段階に応じて対応しているところでございます。
○葉梨国務大臣 事故処理につきましては一つの定型というのがあると思います。その定型に従って厳格に処理をしなければならないと思いますが、そういう可能性も踏まえて慎重に対応していくように指導したいと思います。また、構造上の欠陥があるかもしらぬという疑いがあった場合、地方、地方の陸運局の技官がおられるでしょうし、それで対応してもわからないというようなときには、それこそ運輸省の中央の専門家にまたいろいろな調査を仰ぐということも考えたらいいのではないかと思います。 いずれにいたしましても、AT車の事故の問題は非常に微妙な原因があるようにも思われるし、といって、今までのところはその原因がなかなか究明できないところにつらさがあるわけでございます。先ほどほかの先生からの御質問にもお答え申し上げましたように、一つは運転者に対しまして、AT車の構造あるいは今まで起きた事故の態様等について十分に指導して、事故の起きないようにお願いをしながら対応していきたいと考えております。
○関山委員 時間がなくなってしまったので、その鑑定能力の問題については、運輸省がこれから始める予算が千七百万という数字のようですけれども、これは暫定の数字のようなのですが、警察も含めて、この時期これだけの車社会ですから、各県にそういう能力を持てと言ってもそれはできないでしょうけれども、せめてそれぞれが、この車の問題については民間の機関に出さなくても自分たちで十分調べられる、そのくらいの権威を持った、鑑定能力を持った機関をきちっとしていただくようにお願いをしておきたいと思うのです。 時間がございませんので先に進みますが、リコールの問題なんですけれども、日本のリコール制度というのは、構造上の欠陥が明らかにならないと申請できないというシステムになっているのですね。それで、時間がないものですから結論的なところでお話か伺うよりしようがないのですが、構造上の欠陥があるというふうに事実認定をする根拠は保安基準ということになるわけですね。AT車に関する保安基準はありますか。
○清水(達夫)政府委員 お答えいたします。 現在の保安基準におきましては、自動車使用の大衆化等に伴いまして、運転者の誤操作を防止するため、変速装置の変速段の表示を義務づけるなどの措置を講じております。
○関山委員 何だかさっぱりわからぬ。AT車で今問題になっております、例えばAT車独自のそれぞれの機能については保安基準のどこに書いてありますか。
○清水(達夫)政府委員 AT車の構造、装置全般に関します規定につきまして具体的、詳細な規定はございませんが、第八条の「風動機及び動力伝達装置」並びに第十条の「操縦装置」というところで、一般的な規定として設けられておるところでございます。
○関山委員 ないということでしょう。はっきりしてください。ないと言ってくださいよ、ないんだから。
○清水(達夫)政府委員 具体的な規定としてはございません。
○関山委員 それで、保安基準がなければリコールもできないということになるのですね。
○清水(達夫)政府委員 先ほどお答え申しましたように、具体的なAT車の自動変速機についての定量的な規定はございませんが、一般的に、先ほど申し上げました「原動機及び動力伝達装置」並びに「操縦装置」のところにおきまして「運行に十分耐える構造及び性能を有しなければならない。」という規定になっておりますから、具体的にAT車に欠陥があった場合はこの条文に抵触する、こういうことになります。
○関山委員 私は苦しい話だと思うのですがね。電波障害についてはどうですか。
○清水(達夫)政府委員 外部から受けます電波障害についての規定につきましては、今のところございません。
○関山委員 これは、もう一つ改善体制というのもあって、リコール制度と相まって十分対応できるというように運輸省の方はおっしゃっているわけですけれども、現実問題、そこにちょっと不備があるのじゃないだろうか。先ほどトラック事故の問題の追及が永井議員からもありましたけれども、今、交通事故を何とか八千人にとおっしゃっているわけですね。車自体にかかわる死亡事故、特に大きな死亡事故というのはそういう問題の指摘もあるわけですから、これはやはり保安基準の見直しというものをこの時期おやりにならなければならないのじゃないだろうか。例えばトラックなんかについて言えば、私どもかねがね自重計を取りつける、そのことを保安基準の中に盛り込みなさいと言うのですね。しかしメーカ−の側から言えば、保安基準にくっつけばそれだけ余計な負担がかかるからなかなかやらないということなんですね。しかしここまで来て、交通安全、死亡事故を少しでも減らさなければならない、何とか八千人にと言っている状況の中で言えば、今回のAT車の問題も含めてですけれども、保安基準の見直しはやらなければならない時期に来ているのではないか。 特に電波障害の話は、御承知のように、自動車が発する障害については保安基準にちゃんと具体的に書いてあるのです。ところが自動車が受ける障害の保安基準、つまり、さまざまなパイプやコードのシールドの問題なんかについては何の具体的なあれもないわけですね。今、電波障害の問題は非常に大きいのじゃないか。例えば、イギリス大使館の前を通ると急発進したという例が具体的なケースの中に出てきたりしているわけですね。そういうことを考えますと、これはAT車だけじゃございませんが、トラックの問題なんかも含めて保安基準の見直しをおやりになる時期が来ているのではないかと思うのですけれども、最後に運輸大臣からその問題について承りたい。
○橋本国務大臣 私は法学部政治学科でありまして、どうも技術の方は非常に弱いのでよくわかりません。ただ私は、それこそ技術の進歩に伴って、必要なものがあれば追加されていくのは当然であろうと思います。 ただ、委員が今述べられたリコール制度との組み合わせでいきますと、私は、むしろ日本のリコール制度は非常によく運営されていると思うのです。というのは、アメリカのリコール制度のように、いわば日本の考えでいけばその商品性に入るようなものまで含んだリコール制度をとっておられる国で、ではそれが実行されている率がどの程度かというと、実は率的には非常に低いものであります。逆に日本のリコール制度は非常に強い効力を発揮しておりますし、リコール制度とあわせて運用いたしております改善対策制度の我が国における実効性、担保された実効性をお調べいただきますと、むしろアメリカの平均のリコールの効果よりは高い数字が出ておるはずだ、私はそう理解をいたしておりますし、制度的に、保安基準の問題とリコール制度の問題は一体としては議論を組み立てられない部分がある。むしろ保安基準というものが、技術の進展に伴ってそのときそのときに本来的には見直されるべき性格を持っておるということを私は否定はいたしません。
○関山委員 時間が来ましたので、そのリコール制度の問題についての議論はまた別の機会に譲りたいと思います。ただ私は、AT車の問題について保安基準に具体的な条項がないとか、あるいは電波障害の問題について一定の保安基準がないとかというのは早急にお改めになって、その他の問題と切り離してもおやりになるべき課題じゃないかと思うのですが、重ねてで恐縮でございますけれども、いかがでございますか。
○橋本国務大臣 今、交通安全公害研究所がこれらの問題についての調査をいたしております。その結果によって、必要なものがあれば当然取り入れられていくであろうと思いますが、技術的に無知な私にどちらと言われても、それはわかりません。
○関山委員 それではそちらからお願いします。
○清水(達夫)政府委員 ただいま交通安全公害研究所におきまして。急発進、急加速の原因究明を鋭意実施しつつあるところでございますので、この結果、具体的な基準として取り入れるものが出てくれば、基準の見直しについても検討をさせていただきます。
○関山委員 少々不満ですけれども、時間が来ましたので終わります。
○新井委員長 木内良明君。
○木内委員 きょうは、AT車の急発進、急加速というにわかに社会問題になっております問題について、本委員会で議論が進んでいるわけでありますが、これまでの質疑との重複を避けながらポイントについてお聞きをしてまいりたい、こういうふうに思います。 まず、近年における急発進、急加速の件数でありますけれども、苦情及び事故報告のあった件数百七十八件という数字が今ひとり歩きをしている、こう痛感せざるを得ません。こうした問題が顕在化していく中で、私のもとにも、百七十八件というけれども、実はドライバーである自分もそれに似た経験、あるいはまさに新聞で報道されているような走行中の異常事態に遭遇したという連絡が何本か入っているのでございます。運輸省の報告の資料によれば、苦情報告のあったものだけ百七十八ということでありますけれども、申し上げたような状況も考えますと、自発的に報告の行われていない類例等を加えますとこの件数以上のものが当然ある、こう判断せざるを得ないわけでありますが、この点いかがでしょう。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、私どもに集まりました百七十八件は、私どもで直接苦情として受け付けたものを含めまして、各メーカーが市場情報として各ディーラー等に入った情報を報告させたものを集計したものでございまして、ユーザーの方が申告されなかったもの等を含めますとこれ以外にもあるのではないかと推測されます。
○木内委員 その数はどの程度と推測されますか。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 その数につきましては、正確にはちょっと申し上げられません。
○木内委員 これは相当数あるということをまず認識をいたしたいと思います。 このAT車の発生形態別急発進、急加速の件数の内訳でありますけれども、昭和五十八年以来で申し上げて百七十八件、うち急発進九十件、急加速三十三件。この急発進の事故原因についても今後の慎重にして的確な究明が必要とされるところでありますけれども、走行中の急加速については操作ミスとは考えにくいのが一般的に考えて常識であります。しかしながら、一般走行及び徐行中の急加速の報告三十三件中、操作ミスとは考えにくいとするものは、運輸省の報告によれば六件とかなり絞り込まれているわけであります。この六件というところに私は疑義を感じるわけでありまして、一般走行中の中には徐行中というものが入っていない。すなわち、一般走行中の操作ミスとは考えにくいとするものが六件ある。 したがって、お聞きするわけでありますけれども、残り二十七件をこの対象から外した理由は何か。徐行中といえども、急発進時の特性に比較して操作ミスとは考えにくいケースが当然あるわけであります。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の六件につきましては、かなりな速度で一般的に走っているという意味合いにおきまして、考えにくいという代表例として六件というものが抽出されたわけでございまして、私ども、これから交通安全公害研究所で原因の究明をいたします場合には、百七十八件すべてにつきまして原因を精査いたすつもりでございまして、六件に絞るということについては考えてございません。
○木内委員 今の御説明ですと、六件にとどまらないというふうに考えてよろしいですか。
○清水(達夫)政府委員 百七十八件につきまして、どこまでが操作上のミスでは説明しにくいものであるか、その辺を交通安全公害研究所におきまして調べる、こういうことで、どこまでがとどまるか、それについて調べる、こういうことでございます。
○木内委員 私が指摘しておりますのは、運輸省から報告を受けた件数は説明しがたいケースとして六件である。しかし一般走行中ということであって、徐行と一般走行の比較論の中では、操作上まことに酷似をしている。いわば急発進時のケースとは違うわけでありまして、私はこの報告に対して今お聞きしているのであります。交通安全公害研究所等の原因究明を待つのは当然でありますけれども、少なくとも現段階で説明しがたいケースとして六件という報告があった、しかしこれでは手落ちであろう、一般走行中と徐行中というのは運転形態で言えばまことに類似している、私はこう考えるわけでありましてお聞きするわけであります。
○清水(達夫)政府委員 御指摘のとおりでございまして、代表例として六件を挙げたということでございまして、そういう意味合いにおきましては、その他のケースにつきましてもそういうことが言えようかと思います。
○木内委員 それでは、この六件についてはあくまでも縛りを持たない数字であるというふうに受けとめたいと思います。六件以上、今の答弁では、明確に説明しがたい、もっと裏を返せば構造上の欠陥が可能性として考えられるケースが既に指摘をされている、こういうふうに私は考えます。 そこで、この問題につきまして、今月十六日の衆議院予算委員会での我が党の草川委員の質問に対しまして、橋本運輸大臣は「少数ではありますけれども運転者の誤操作ということだけではどうやっても説明のつきにくい事例があることも事実であります。」と、明確な踏み込んだ答弁をされているわけでありまして、私はこの運輸大臣の答弁に対して高い評価を申し上げたい、こう思うわけでございます。逆に言えば、これは構造上の欠陥もあるいはなしとしないという発言であると私は承知をしております。 そこで、この説明しにくい事例の原因究明に対する具体的対応のあり方でございます。一つには、日本自動車工業会に対して構造面の原因究明における指示があった。その内容の確認でありますけれども、走行中の急加速の原因究明も含まれなければならないと私は考えているわけであります。けさトップに質問をされました亀井委員の質疑に対しまして、後ほど触れる交通安全公害研究所の中間報告が来年の三月という答弁があったわけでございますけれども、まず、日本自動車工業会に対する指示に対する報告が年内に行われるということでありますが、この報告内容がいかなるものであるのか。単なる対策と原因究明の方向づけが行われるのであればこれは報告の意味はなさない、こう思うわけでございます。 すなわち、今回のAT車の事故問題につきましては大変に難しい問題が横たわっているわけでありまして、大きく分けまして、基本性能把握のための実車試験も必要であろう、あるいは異常挙動確認のための実車試験も必要であろう、さらに、電波雑音の発生状況下における車載電子機器のふぐあい発生のための実車試験等も最低限必要でございます。短期間に半導体の技術というものが発達をしてまいりまして、便利さが先に走ってしまい、これに対する安全の確保というものが行われていない。これは相当に長期の時間をかけて安全確保が措置されなければならない状況でございます。特に、一般的な汎用機器における電子機器、半導体の置かれた環境とは違いまして、車の場合には非常に振動回数が多い、あるいは時には百度以上、大変な高温の中に置かれる、部品の劣化も非常に引き起こされやすい、また季節によって温度差が大変ございます。ためにこうしたそれぞれの部面からの細密な検査が行われなければいけないわけであります。 そこでお聞きするわけでありますけれども、まず、日本自動車工業会に対する原因究明の指示に対する報告の内容はどこまでを考えておられますか。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 私どもといたしましては、まず誤操作を防ぐための構造上からの方策について、年内を目途に具体的にどんなものが考えられるかというものの方向づけを出してもらうというのが第一点でございます。第二点目は、御指摘の、特に電波雑音あるいは電子機器のふぐあい、そういったものに伴います電子機器の誤動作に関する原因究明の具体的な方策について報告を求める予定でございます。
○木内委員 今の答弁を聞きますと、原因究明の具体的な方向づけについての報告ということでありますので、原因の本質部分についての解明であるとか報告ということには答弁として受け取れないわけであります。これはどうでしょう。
○清水(達夫)政府委員 原因の究明につきましては、電子関係は非常に難しい問題でございまして相当な日数がかかろうかと思いますが、それにつきましてどういう形で実施するか、どこに焦点を置くか、そういったことを含めまして報告を求めることにいたしております。
○木内委員 方向づけだけの中間報告があってもユーザーや国民全体の方々は安心できません。それでは信頼が置けません。年内にこの中途的報告があるということは結構でしょう。しかし、全体の解明に対するタイムスケジュールはどうなっていますか。
○清水(達夫)政府委員 この問題は、再々申し上げますけれども、技術的な非常に難しい問題を抱えてございますので、やはり所要の準備期間というものが当然必要であろうと考えられます。御指摘のとおり、この問題につきましては一日も早い対策の実施が望まれるわけでございますので、私どもといたしましても、対策そのものの信頼性についても十分確認をしながら対策を急ぐよう指導を強めてまいりたいと思います。
○木内委員 形容詞や説明はいいですからお聞きしたことに答えてください。タイムスケジュールはどうなっていますか。年内にとりあえずの報告をさせて、最終結論の出るのは五年後ですか、十年後ですか。こうして議論をしているこの瞬間にもAT車の事故は発生しているかもしれない。こういう緊急、喫緊の政治テーマを我々は今真剣に討議しているわけでありまして、いつになるかわからない、年内とりあえずその方向づけだけを行おうというようなことでは国民の皆さんの納得は得られないと思いますよ。
○橋本国務大臣 これは私が口を出すのは少々不見識かもしれませんけれども、委員御自身がお認めになりますように、極めて技術的に高度な内容を要するこの原因究明作業、その中間報告が委員の言われるような意味で国民の安心を担保するものにはならないことは事実でありますけれども、しかしそれでも少しずつの前進というものは出てくると私は思うのです。それと同時に、非常に高度な技術的な検討を要するものでありますから、例えば政治的な見地から見れば半年でも一日でも早い方がいい、そのとおりでありますが、やはり技術的な問題を検討するにはそれだけの時間というものは技術者に与えなければならないと私は思います。それだけに、むしろできるだけ早くそうしたタイムスケジュール等がお示しできるような努力を私たちはいたしますということでお許しをいただきたいと思います。
○木内委員 これは、私が平素尊敬する橋本運輸大臣の御答弁ということで高い評価を申し上げたいと思う。今の答弁の中にもあったように、年度内の報告のときには、いつごろまでにこの原因究明が行われるかという予定も報告できるだろうというようなニュアンスに聞きました。ユーザーは今、来年じゅうには原因究明が明確に行われるのか、二年かかるのか三年かかるのか、その解明結果が出るまで安心してハンドルも握れない。仮に一万件に一件でも二万件に一件の割合でも、突発的に電磁ノイズ等によって燃料噴射装置に異常を来し、いつ自分の運転しているAT車が事故を起こすかもしれないという不安に駆られての運転の状態が続いているわけでありまして、その意味から、今大臣が言われたように、今度の年内の報告のときにはいつまでにこの原因究明が行われるかということが明確になる、こういうことでよろしいですね、清水部長。
○清水(達夫)政府委員 具体的な方向づけの中でやり方等具体的なものが出てくれば、それに関連しましてどの程度の時間が必要かというようなものも出てこようかと思います。
○木内委員 その原因究明の時間がどのくらいかかるかについては今の大臣の答弁を私は尊重したいと思います。これ以上聞きますと、また清水部長の方からはどんどん答弁が後退してしまいますので。年内報告のときにそれが明確になる、これをまず私は確認をしたような次第であります。 次に、先ほどの亀井委員の質疑に対する来年三月の報告という点、これは、申し上げた日本自動車工業会に対する原因究明の実験内容と同じになりますか。私が先ほど申し上げたのは、この交通安全公害研究所における研究テーマについて触れたわけであります。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 私どもで計画しております内容と自動車工業会におきます内容につきましては、ペダルの配置以外は大体同じようなことを双方でやる、こういうことであります。
○木内委員 これは運輸省の方のいわば公正を期すための二本立ての研究の一環としての安全研究所の原因究明になるわけですけれども、三月にはどのような内容が報告されますか。
○清水(達夫)政府委員 来年の三月に予定いたしております報告書におきましては、現在計画をいたしております対象車についての基本性能実車試験それから異常挙動実車確認試験、電波雑音を発生させた場合におきます車載電子機器のふぐあい発生に関する実車確認試験、それぞれ三項目について中間的な報告が出される予定になっております。
○木内委員 今の答弁の研究テーマの中には、電子機器等の急激な発達を遂げたこの分野における原因究明も行われますか。
○清水(達夫)政府委員 お答えいたします。 二番目の異常挙動実車確認試験の中で、オートクルーズ機構、アイドルスタビライザー機構等につきましてもテストをすることになっております。したがいまして、電子部品について含まれております。
○木内委員 テストもするということで、結論は出ない、中間報告ということになるわけであります。そこで、これだけ重大な社会問題化しているAT車の急発進、急加速、一般論でも結構でありますけれども、こうした事故原因究明の場合、大体どの程度の期間があれば原因究明はできますか。
○清水(達夫)政府委員 この問題は技術的にまだ新しい分野でもございまして、非常に難しい面がございますので、どの程度かかるか正確に申し上げることはできません。
○木内委員 どうもわけのわからないような御答弁で私も業を煮やしているのでありますけれども、私は、これだけ皆さんに不安を与え、国民に心配をかけている問題について、まるきり何年かかるか原因究明の所要時間がわかりませんというのでは、余りにも行政の怠慢だと言わざるを得ない。少なくとも、最低一年はかかるけれどもそれまで中間報告を逐一報告していくから、ともどもにひとつ考え、同時に安全走行にでき得る限りの注意をお互い喚起しようじゃないか、こういう姿勢があってしかるべきであって、この国権の最高機関たる国会の本委員会において全く見当がつかないということでは、既にこの問題が発生して久しく時間がたっているにもかかわらず、私はまことに残念な答弁と言わざるを得ないわけです。大体どの程度か出ませんか。
○清水(達夫)政府委員 先生御指摘のように非常に重大な問題でございますので、来年の三月に中間報告を出しました以後も精力的に必要があれば検討を進め、早急に結論を出す方向で努力させていただきます。
○木内委員 私は素人の発想ですが、大体アバウトで結構ですから、五年かかるのですか、十年かかるのですか。
○清水(達夫)政府委員 五年であるか十年であるか、十年ということはないと思いますが、できる限りの努力をして早期に結論を出すように努力させていただきたいと思います。
○木内委員 この問題はこれ以上指摘をしても踏み込んだ答弁はないと思いますので、次に移ります。いずれにしても、精力的な原因究明の努力を重ねていただきたいことを申し上げます。 先ほど関山委員の方で言及がございましたリコールでございますが、私が今触れたいと思うのは、リコールの前の段階での法制化を行わないでも行政指導等によって行い得る措置をぜひ提案を申し上げたい。それは、欧米の先進諸国に比べまして著しくおくれている安全管理の我が国の行政の部面があります。すなわち、自動車部品の交換でございますとか改良が行われた際に、ディーラーなりメーカーは運輸省に届け出する義務に今なっていないわけであります。つまり、運輸省へ苦情が持ち込まれ、メーカー側へ検査をさせたときにはユーザーに交換部品等を知らせるよう指導しているけれども、何をどう改良したか、交換したかという具体的な事実、それと同じものを運輸省側に提出させるようにしてはいるけれども、これは義務化されていない、これが実態です。そのため、メーカーが欠陥を隠しているのではないかという推測も国民の間に今出てきているわけであります。この後触れる、みずからの所有する車への不安感を持って検査を要請した場合もそうでありますけれども、私は、交換部品の届け出義務を課しますと大変な労力が必要となって、事実上不可能であるという意見も一部にあることはわかります。しかし、この交換、改良部品等についての届け出義務は、この際、前向きに検討されることを提案いたします。いかがでしょう。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の部品の交換の問題でございますが、現在自動車は、御案内のように非常にたくさんの保有台数がございまして、五千万台を超えておるわけでございます。なおかつ、部品につきましても、一台の車に非常にたくさんの部品がついております。そういうものにつきまして私どもが直接細かいところを掌握するのは大変な作業ともなるわけでございます。そういったこともございまして、現在におきましては、自動車メーカーにおきまして品質管理というシステムにおいて各サービス工場でとらえたふぐあい情報等を自主的に品質システムとして管理をし、もしふぐあい等があってリコールあるいは改善措置に該当するような場合には当方に報告する、こういうシステムになっておりまして、その運用が適切に行われているかどうかを私どもが定期的に監査をいたしましてこの制度の適正な運用を図る、こういうことにいたしておりますので、御提案のようなすべての部品について私どもが掌握するのはなかなか困難な問題であろうかと考えております。
○木内委員 リコールに至るようなケースというのはかなり状況の悪い場合なんです。私は、そこに至らないまでもユーザーの不安を取り除き、本当に車の安全確保を行うための措置としての届け出義務を課して、そして政府がこの安全をチェックしていくということが大事であろう、こう申し上げているわけであります。それに対する答弁は、簡単に言えば、種類も多い、部品の点数も多い、物理的に不可能である、だからできない。これではやはり問題はあると思いますよ。したがって、これはぜひ検討してもらいたい。今日のこうした事務処理を初めコンピューターの導入等によってハイテクの分野も前進これあり、ぜひ研究されて、改良部品あるいは交換等については届け出の義務を課すべきである。今すぐ結論をお出しいただきたいとは言いません。しかし、その点についてもぜひ検討をする、場合によっては、あるいは前向きに検討しようじゃないかという答弁ぐらいはあってしかるべきじゃないですか。物理的に不可能だからできませんでは国民は納得しないのであります。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 確かに、御指摘のようなユーザーの保護といいますか、サービス向上のためにもそういうことは必要であろうかと思われます。そういう意味におきまして、リコールに至らないまでも改善措置ということで現在は自動車メーカーにも指導いたしまして、商品性にかかわる問題につきましても措置をいたしておるところでございます。物理的な非常に難しい問題がございますが、貴重な御意見として参考にさせていただきたいと思います。
○木内委員 参考にしただけではだめじゃないですか。私は検討なさったたらどうですかと言っている。
○清水(達夫)政府委員 非常に難しい問題でございますが、検討をさせていただきます。
○木内委員 今の答弁で私は十分であります。引き続きこの問題は検討されるという答弁がありましたので、検討の経過を引き続いて今後取り上げてまいりたい、このように思います。 それから、苦情の寄せられた車に対する運輸省の調査という問題でありますけれども、現状では、不安に駆られたユーザーが運輸省に車両検査の要請を行いましても、調査する施設または人員も限られているためできない。そのため、現形態ではメーカーに指示し、これを調査させるということになっているわけであります。しかし、今ユーザーの方々の率直な心境を伺いますと、ディーラーに持ち込むと倉庫に入れてしまって見せてくれない、仮に欠陥部品があったり品質が劣化しているとか指摘されることを拒みたくなるようなケースがあった場合には、これを無料で部品交換して、逆に、これは黙っていてくださいうちでサービスをいたしますからということで返されてしまう。いわば重大な原因についてふたをしてしまって、そしてしっかりとした原因究明といいますか、部品の善悪についての実情が知らされないままユーザーはまだその車を運転する、こうなっているわけであります。 したがいまして、今ユーザーの方々の意見というのは、そういう要請があった場合に運輸省でこれをチェックされる機能が一つは必要じゃないか。しかし、これは今早急には無理でありましょう。したがって、仮にメーカー工場あるいはディーラー工場における検査を指示される場合でも、全部とは言いませんけれども、一車種抽出した数件について運輸省側が立ち会うという程度の配慮がなされてもよろしいのではないか、こう思いますが、いかがですか。
○清水(達夫)政府委員 確かに先生御指摘のように、私どもで直接試験をするのは非常に難しゅうございます。しかしながら、御指摘のようにメーカーの方で実施する場合におきまして、私どもといたしましても人員等の制約もございますが、そのクレーム内容等の重要性などを考慮いたしまして、必要と思われる事案につきましては立ち会うことについても努力をしてまいりたいと思います。
○木内委員 重要な事案については立ち会うことも考慮されるということでありますので、私はこれも大変な前進だと思います。これまで随分門前払いに遭ったようなユーザー、ドライバーがいるわけでありまして、これはひとつ早急に進めていただきたい、このことをお願いしておきます。 きょうは法務省の方にも来ていただいておりますが、視点を変えまして、AT車の急発進、急加速にかかわる事故のため、現在加害者として刑に服されている方がおりまして、また裁判が進行中であるケースもあります。原因究明の結果、操作ミスではなく車両に原因があるとの報告が出た場合、これはいずれ近い将来ということで私は想定しているわけでありますけれども、こうした方々の名誉回復等が早急に行われなければならないと思います。 刑が確定している方にとっては、名誉回復の手段として刑訴法四百三十五条六号により再審請求をすることが一つの方法となるのでありますけれども、車両側の欠陥が明らかにされれば、原因究明が明確になればこの条文に言うところの「明らかな証拠」になる、このように考えるわけであります。すなわち、四百三十五条六号「有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。」こうあります。まず、この「明らかな証拠」としての位置づけをしてよろしいかどうか、法務省に見解を伺います。
○石川説明員 御指摘のとおり、確定判決を受けた者に対する救済手段といたしましては再審事由があるわけでございまして、今御指摘の刑訴法の四百三十五条六号に言う「明らかな証拠」に当たるか否かという点が焦点だろうと思います。この「明らか」に当たるか否かにつきましては、新証拠と確定判決で取り調べられた旧証拠とを総合的に評価して確定判決の事実認定の当否を判断すべきものというふうに解されております。これは有名な昭和五十年の最高裁決定、いわゆる白鳥決定と申しておりますが、この決定に基づきまして解釈をすることになろうかと思います。お尋ねの件につきましても、結局、個々具体的な事案ごとに個別的に判断せざるを得ない問題であろうというふうに思います。
○木内委員 今法務省の答弁の中で総合評価という言葉がございました。原因究明が明確になった場合、その事実は総合評価の重大な要素になり得ると思いますが、いかがでしょうか。個々の事案ということもありますけれども、個々の事案における総合評価ということでとらえていただいても結構です。
○石川説明員 事故原因がいろいろあると思いますのでにわかにそれにお答えできかねるわけですが、そういう要素になることは確かだと思います。
○木内委員 そうした総合評価における大きな要素になるということでございますので、明快な答弁として承っておきたい、こう思います。 さらに、これはAT車暴走事故全体にかかわってくるのでありますから、刑訴法四百三十九条によりまして再審請求を検察側からもできるという法律がございます。そして再審請求の際には、検察は第四百四十二条により刑の執行を停止するのが当然である、このように思うのでございますけれども、その点いかがでしょうか。時間の関係で条文は読み上げないようにいたします。
○石川説明員 検察官において任意にそういうことができるということになっておりまして、この場合も、結局は具体的な事案に即して判断せざるを得ないというふうに思います。
○木内委員 具体的な事案に即して判断ということですから、当然そういうこともあり得る、可能性としてですね、こう判断してよろしいですね。
○石川説明員 なかなか難しい問題でございまして、やはり具体的な事実に基づいて判断せざるを得ないわけで、これがどの程度の比重を持つかということにつきましては、事故の内容等を勘案して考えるということになると思います。
○木内委員 論理的可能性はありますね。
○石川説明員 全くないわけではないと思います。
○木内委員 そうですね。それで十分です。 次に、現時点においてはAT車の暴走の原因はいまだ明確になっておらないわけでありまして、運転者の操作ミスであると言い切れない状況である以上、急発進、急加速をしたことを単純に注意義務違反の事例としてとらえて運転者に過失ありとして起訴をする、あるいは判断をしてこれを扱うという現時点における問題でありますけれども、私は、こうした流動的な原因究明への流れの中で慎重な検討を要するのではないかへあるいはこうした事件の扱いについては国会でもこのように問題になり、同時に法文に照らし十分な、慎重な配慮が必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石川説明員 検察当局といたしましては、自動車による業務上過失致死傷事件については従来も慎重に取り扱っていたところでございまして、運転者の過失を認定するに当たりましては、今後とも慎重に捜査を遂げて判断していくということになろうかと思います。
○木内委員 これまでの経緯に触れ、さらに今後ともということでございますので、これまでのようにというふうに受けとめるわけでございますけれども、こうした事態の中で今後さらに慎重な配慮が行われるのではないか、こう思うわけでありまして、その点、もう一度御答弁願います。
○石川説明員 何分事件の捜査処理ということでございますので、個々的な事案に応じて慎重に捜査を遂げていくわけでございますが、おっしゃるとおりいろいろ科学の進展もございますので、諸事情を勘案しながら、いろいろな要素を考えながら捜査処理していくことになろうかと思います。
○木内委員 短時間でございますために、御出席の大臣への質疑も予定しておりましたけれども、残念ながら十分に御答弁いただくことができませんでした。さらに、本委員会で長い間その決議を行い、また法制化にこぎつけたシートベルトの着用後の今日までの死亡事故減少の経緯、今後への対応、さらにまた今問題になっております、特にその季節と言われております暴走族対策等々多岐にわたる質問を用意しておりましたけれども、本日は割愛するような結果になってしまいました。担当の方にはその点御了解をいただきたいと思います。 以上で終わります。
○新井委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 ————◇————— 午後三時二十五分開議
○新井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。山田英介君。
○山田委員 私は、三十分という限られた時間でございますが、運輸大臣も御出席いただいておりますので、特に航空機のニアミス問題につきまして若干質問をさせていただきたいと存じます。 岩手県雫石町の上空で全日空のボーイング727型機と訓練中の自衛隊F86F戦闘機が衝突いたしまして、百六十二人の死者を出したという大変悲惨な事故があったわけでございます。それから十数年経過いたしているわけでございますが、特に、年間六千万人を超えるという航空機の利用者の数を考えてみても、このニアミスとかあるいは異常接近とか、こういう事態というものは極めて重大な事態ではないだろうか。そういう事態が多発しておるというような状況を見て心配をしておる一人であります。 それで一つは、激増する航空需要ということで、現在着工されております羽田空港沖合の展開工事が完成をいたしますと、離着陸の可能な回数が現在の年間十六万回から二十三万回へと、そしてまた成田空港にありましては、二期工事が完成すると現在の年間七万九千回の離着陸回数が十八万回までそれが可能になる、こういうことでございまして、それだけまた航空における過密というものが増すわけでございます。また必然的にニアミス等も多くなるのではないか、こう懸念されております。したがいまして、航空につきまして大きな権限といいますか、あるいはコントロールされております運輸省におかれては種々の万全の対策をぜひ講じていただきたい、こういう気持ちからでございます。 まず、これだけ航空需要が飛躍的に増加すると見込まれる中にありまして、運輸省におかれては基本的にどのような方針で対処なさろうとしておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○橋本国務大臣 今、委員御自身から御指摘をいただきましたように、私どもは、羽田空港並びに成田空港、そして関西空港、この三つの工事を三大プロジェクトとして位置づけております。これは、我が国におきまして内外ともに航空に対する需要が極めて逼迫をしてまいりまして、今日本に定期航空路の開設を求めております国の数だけでも三十九カ国ございます。しかし、現在の我が国の持つ国際空港の能力でこれ以上の定期路線を敷く余力がもうほとんどございません。全くないとは申しませんけれども、ほとんどございません。それだけに空港の整備が急がれるわけであります。また伊丹の空港は、御承知のように騒音等等の環境問題からジェットにつきましては上限が課せられておりまして、これももうキャパシティーいっぱいであります。そして羽田にいたしましても、既に十六万回ですかの回数にそう余裕を残しておる状態ではございませんし、国内各地域から羽田への新しい便の設定、さらには既に設定されております地域からの増便の要望が大変強い中で、これにこたえ得ない状況が既に近づいております。 そうした中で、殊に運輸省の行政はいずれの部分もそうでありますけれども、航空につきましては安全というものが何よりも優先すべき課題でありまして、私どもといたしましても、空の安全には各分野から真剣な努力を払ってまいったつもりでありますし、またこれからも払い続けるつもりであります。そうした中で、委員が御指摘になりましたように、空の交通が頻繁になればなるほど航空管制業務というものの重要性はますます高くなる一方でありまして、この部門につきましての努力は今後なお一層払い続けなければならないもの、そのように考えております。御支援を心からお願い申し上げます。
○山田委員 少し具体的にお伺いしたいと思います。五十九年十一月、管制官の皆さんでつくられている全運輸省労組というところの調査で、これは管制官が運輸省に提出をいたしました報告をまとめたものということになっておりますが、五十三年五月に成田空港が開港されて以来、羽田空域で起きたニアミスあるいは航空機同士が高度差三百、前後左右五千四百メーターの最低安全間隔を割るほどに近づいたというコンフリクションが四十一件あったと出ているわけでございます。五十七年からの件数がずっと出ているわけでございますが、五十七年は八件、五十八年が九件、五十九年が十三件以上ということだろうと思いますが、出ておりまして、あと六十年と六十一年、六十二年の現時点まで、いわゆる全運輸省労組が運輸省に出した報告に基づいて、五十九年から年次ごとにどのくらいニアミスとコンフリクションが発生しているのか、数字がありましたらお伝えいただければと思います。もし具体的な数字がなければ、増加傾向にあるのか横ばいなのか、あるいは減少傾向にあるのか、それでも結構です。
○山田(隆)政府委員 お答えいたします。 ただいま先生からお話がございました運輸省の管制の労働組合で調査した件数というのは、私手元に持っておりません。ただ、航空局といたしましては、航空法に基づきまして、いわゆる異常接近と言われるものについては機長から報告を受けまして、異常接近と認められたものにつきましては年々報告をしておるところでございます。 その件数を近い方から申し上げさせていただきますと、昭和六十一年、昨年中にそのような異常接近の報告はございません。六十年は機長からの報告は一件ございましたけれども、私どもで調査した結果、異常接近とは認められなかったものでございます。五十九年は機長からの報告は三件ございまして、調査の結果としては一件が異常接近と認められるものでございます。五十八年が四件の報告のうち二件が異常接近、五十七年が五件の報告のうち異常接近と認められたものが一件でございます。あと各年次ごとに申し上げますのは時間の関係で省略させていただきますけれども、昭和四十年代の後半あるいは五十年代の前半は機長からの報告は比較的多うございまして、十数件から二十件程度ございました。ただ、実際にニアミスと私どもが判定いたしたものは多い年で三件程度でございまして、ここのところ二年間はゼロという状況でございます。
○山田委員 これは管制官の皆さんから恐らく毎年といいますか、定期的にニアミスあるいはそれに準ずるような事件につきましては報告がなされているのだろうと思いますので、運輸省におかれてもきちっと掌握をされておくべきだろうと思います。これはたまたま先日出したということであればまた別ですけれども、恐らくそういうことではないのだろうと思いますので、一度調べてみていただきたいと思います。 これとは別に、航空安全推進連絡会議という団体がございまして、ここでも毎年といいますか、適宜調査をされております。例えばアンケートに対して、五十九年中にニアミスを経験したと答えたパイロット等が八百十人中七十三人いました。全体の九%です。六十一年中はいかがですかというのをことしの一月に調査したその結果も既に発表されているわけですが、それも八百九十八人のパイロット等のうち七十二人がニアミスを経験したと回答を寄せている。これは二人から六人ぐらいで旅客機等に乗務いたしますから、恐らくダブリングもあるのだろうとは思いますが、いずれにしても、指摘された具体的な事例というのは二十九件とか、あるいはそれを前後する具体例が挙げられている。ただいま御報告いただいたところでは、六十一年は報告がゼロ、異常接近も当然ゼロという形になっておりますけれども、この航空安全推進連絡会議が行った民間パイロットに対するアンケートの結果に基づく数字と比べますと非常に大きな落差がございます。ゼロと言いますけれども、この回答では五十九年は七十三人がニアミスに遭いました、昨年一年間は七十二人が遭いました、こう言っています。その相手機は軍用機が五十九年に三十四件、昨年一年間では三十五件、小型機が五十九年に二十七件、昨年は二十四件、民間定期航空機が十四件、昨年が十六件、こういうふうに調査の結果が明らかにされているわけでございます。 全運輸省労組、それから航空安全推進連絡会議、もう一つあえて挙げれば航空法調査研究会というところの一定の調査によりましても、ニアミスあるいはそれに近い事例がかなり報告をされております。運輸省に報告をされている件数は昨年ゼロということでございますが、ここに非常に差があります。これはどういうふうにとらえるか、その基準によって随分違うのだろうとは思いますが、問題は、我が省では報告を受けておりません、だからなかったのですという、むしろそういうニュアンスを強くにじませるということは必要ないわけでありまして、各種の調査で現実にパイロットがそういう経験をしているという回答など寄せているわけでございますから、実際、運輸省に報告をされた数字の陰にはこういうことがあったのか、それではともかくさらに一層前向きにこれに対処していかなければならない、こういう姿勢でぜひお取り組みをいただかなければ話が前へ進まないわけでありまして、それはひとつ要望をいたしておきたいと思います。 それで、その前に、こういう民間あるいはその他の団体なりが調査をいたしました数字等につきましてはどういう御認識をお持ちでございますか、位置づけをされておりますか、一言ちょっと御答弁いただきたいのです。
○山田(隆)政府委員 いろいろな団体でもってアンケート等をとっておる、それぞれいろいろな数字が出ているということは私ども承知しております。ただいま先生からお話がございました航空安全会議のアンケート等につきましては、今おっしゃったような数字を私ども承知しておりますが、ただ、このアンケートのとり方につきまして必ずしも明確でない点がございまして、機長に対しましてニアミスを経験したかという問いでございますけれども、私どもの方では、先ほど申し上げましたようにニアミスというのはいわゆる俗称でございまして、航空機が空中で衝突する危険のおそれがあるときというようなものを報告させておりまして、そういう実態があるときにその件数を先ほど申し上げたようなものとして外にも発表しておるわけでございます。恐らくこの安全推進会議等の数字はそれよりもう少し広い意味の、ニアミスになるかもしれない、そういう事態も含めて報告がなされているのではなかろうかというふうに考えております。そういう面で、私ども、何もそういう民間のいろいろな調査が決して意味のないものであるというふうには理解しておりませんで、そういうものも十分参考にして安全対策を講じてまいりたいと思っております。 そもそもこの報告の問題につきましては、なるべく安全の問題につきまして関係者が自由に報告できるような体制をつくることが望ましいというふうに思っているわけでございまして、民間の航空会社等では、匿名でもってそういう報告を受ける、あるいは報告をしても責任を問わないというような制度をとっておるところもございます。結局、報告したためにいろいろな不利益をこうむるというようなことでありますとなかなか報告が出てこないというようなこともあるかと思いますので、そういう面につきましては、民間でもいろいろ検討されておられるようでございますけれども、私どもとしても、今後そういう問題につきましてはいろいろ勉強していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○山田委員 それで、航空法七十六条の二ですけれども、これは先ほど申し上げました雫石の空中衝突の事件を契機に法改正されたというふうに伺っておりますが、「機長は、飛行中他の航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めたときは、運輸省令で定めるところにより運輸大臣にその旨を報告しなければならない。」これが先ほど御報告いただいた昨年ゼロ、こういうことでございますが、いろいろあれやこれや考えてみますと、この法改正の七十六条の二の趣旨というものが必ずしも実効を上げていないのではないかという感じを強く持つわけでございます。したがいまして、問題は、ニアミスとか異常接近と運輸省では言われるわけですが、それは衝突の危険がある「おそれがあったと認めたときは」というふうに解釈しておられるようですが、具体的にはどういうことなんですか。それが何百メートル接近したとかいう一つの基準というものはお示しになられておるのですか。
○大竹説明員 お答えいたします。 私どもでは数値は持っておりません。一般的に航空機の接近による危険度は、関係航空機の姿勢、高度、進路及び対気速度等により異なります。そして、それとともに気象状態、太陽との位置関係、パイロットの技量の問題、相手機に関する情報のありなしによっても異なりますので、一義的に数値で定めることはできないわけでございます。
○山田委員 御答弁ですが、一般的には何か百五十メートルが一つの基準だ、目安だというふうにも伺っておるわけでございます。それは横の間隔か高度の関係がわかりませんが、いずれにしても、百五十メートルまで接近するとそれは間隔からいってニアミスであろう、異常接近だろう、こういうふうに私聞いておるのですが、後ほどまた一緒に答弁してもらっても結構です。 いずれにしても、今専門的な用語がたくさん出てきたように、このニアミスというのは、パイロットに対して義務づけた法七十六条の二が非常に茫漠としておる、あるいは非常に抽象的で、一概に定義できないとみずからおっしゃっておられるほどなかなか難しい問題だ。しかし、これでいいのかなという、この点はぜひ今後また議論していかなければならない点だろうと思いますし、この際、航空需要の激増という状況の中で、御当局におかれても真剣に定義づけといいますか、もっとわかりやすい形でこれを明示していくということが必要になるのではないかな、こう思います。 それで、伺いますと、同じ高度で飛行機が飛んでいる場合に、その間隔というものは十八キロを安全航行のためには確保しておかなければならないということで、その十八キロをどちらかの飛行機が割り込むおそれがあるというときには警報システムが作動するというか機能して、いわゆるレーダーの画面、ディスプレーに表示がなされて警報音まで出てくる。それに基づいて結局両機に通信を行いまして回避をさせる努力をなさるのだろうと思いますけれども、例えば時速八百キロで仮に飛行していれば、この十八キロなんというのは七十秒か八十秒ぐらいで到達してしまうということですね。それから超音速なら秒速三百三十一メートルということで、これはもう本当にあっという間でございます。それから、対向する両機の接近の秒速というのは二倍になりますから六百六十二メートル。ですから、わずか三十秒間で二十キロも飛んで行ってしまうという中の十八キロというのは、素人の考えでは随分長い距離があるように思いますけれども、それは極めて一瞬のまばたきするような間に到達でき得る距離になっているということを考えますと、そういう中から、ニアミス、異常接近の定義も現実的な判断からなされていいのではないかなというふうに私は思うわけでございます。それらも含めてぜひひとつ検討していただきたいと思っております、 それから、後ほど最後にまとめて大臣からお話しいただきたいと思いますが、その前に防衛庁に伺いますが、まず、フライト方式には二つあるわけですね。いわゆる計器飛行と有視界飛行と。それで、もう直接伺いますけれども、計器飛行は米軍機であれ自衛隊機であれ、小型機であれ民間航空機であれ、全部これは運輸省が一元管制ということになっていますね。 伺いたいのは、自衛隊機の場合には、訓練空域、演習空域というのが設定されております。ここにおいてはいずれのフライト方式で演習、訓練をなさるのか。これが一つです。それから、その演習、訓練空域に到達するまでの航空路というものが設定されていると思います。どこを飛んでいってもいいのだということではないのだと思います。航空路が設定されて、その空域に到達する場合はいずれのフライト方式が通常とられているのか。それから民間旅客機の航空路がありますが、この民間航空機の航空路をクロスする形で演習空域に行くそういう航路帯があるのかないのか。あると思いますが、それから、民間の航空路と一部並行して演習空域に向かうそういう航空路はあるのかどうか。それから高度の差でございますけれども、民間の航路帯に重なるような形で演習空域等に行くそういう航空空域があるのかどうか。時間がございませんので、ある、ない、ある、ないとか、それは有視界だ、これは計器飛行だ、それだけでお答えいただきたいのです。確認をしておきたいのです。
○柳澤説明員 たくさんございましたが、訓練空域内における飛び方でございますが、これは有視界の場合もございますし、それから計器で飛ぶ場合もございます。 それから訓練空域までの道筋の問題でございますが、ほとんど海上に設定されてございますので、基地から訓練空域までの間を平面的に見ますと、民間航空路と近づいたりクロスしたりということもあり得る。ちょっと今具体的にどこどこというような資料を私持っておりませんが、当然あり得ると思います。ただ、その場合には十分な高度差をとりますとかということで、これは地上の航空交通管制機関の指示なども得まして、ニアミス等がないような形で通るような工夫を十分やっておるところでございます。 以上でございます。
○山田委員 並行して訓練空域に至る航空路というのはあるのですか、民間航空路と並行して走る空域は。
○柳澤説明員 今資料そのものがございませんので……。
○山田委員 クロスすることは間違いなくあるのですか。
○柳澤説明員 クロスの方はあるはずでございます。
○山田委員 特に、有視界飛行で自衛隊機が訓練空域に到達しようとする場合に民間航空路とクロスする場合、これは地上の無線支援等を受けて高度差をつけて事故が起きないようにということですが、有視界飛行でクロスする場合には、運輸省の一元管制の中には当然これは入っていないわけですね。そう理解していいわけですか。これは運輸省に聞いた方がいいのかな、入っているか、入っていないかだけ。
○大竹説明員 有視界飛行のほかに、訓練空域に向かいますコリドーと一般的に申しまして、その空域に向かうための道を完全にある高度を決めまして保留して、それを自衛隊の訓練機の往復に使わせるというようなことがございます。
○山田委員 そういうこともあるということで、通常は一元管制のもとに置かれてない場合もあるわけでございましょう。僕の言いたいのは、民間航空機は定期航路を飛んでいる。これは例えば警報装置というものを持っておるわけですね。異常接近があった場合にはコントロールタワーの方で異常接近したという表示がつくわけでしょう。ブザーが鳴るでしょう。もし自衛隊機が接近してきた場合、これが有視界飛行であった場合にはどういうことになるのですか。こっちの自衛隊機の方にも何かコントロールタワーの方で警報がつくのですか、あるいは運輸省の管轄にある管制官から自衛隊機に通信がなされるのですか、それとも、別に防衛庁の管制の方から自衛隊機に注意を与えるのですか。これはどういう仕組みになっているのですか。
○大竹説明員 これは先ほども申し上げましたけれども、有視界飛行の場合にはどの管制機関とも連絡することなしに飛んでおるわけでございまして、それ以外の場合には各管制機関と完全な連絡をとってやっておりますのでうまくやっております。
○山田委員 時間が参りましたが、私、これは三十分なんかではできるような問題ではないなということを今改めて痛切に感じておるわけでございます。しかし議論をさせていただいたことは非常によかったなと思っております。 そういうことで、私が言いたいことは、民間の航路帯と自衛隊機がクロスする場合、有視界飛行の場合には、クロスする一定の幅といいますか時間帯というものはやはり何らかの形で運輸省の一元管制下に、例えば高度をきちっと運輸省の一元管制のコントロールタワーがつかんでおくとか指示を出す。あるいは並行するような場合には最低限それは必要なんじゃないか。そうしないと、そこに異常接近とかあるいはそれに近いような状況というものが出やすいのではないかなという問題意識を実は持ったものですから、今伺ってみたわけでございます。 最後に大臣、余りやりとりができなかったわけでございますが、それでも冒頭申し上げましたように、今年間六千万人からの利用者ということでその安全確保は極めて重大である、先ほどの大臣の御決意のとおりなんですが、幾つかの問題点があるようでございます。 一つは、空港周辺のニアミスみたいなものが非常に多くなっておりますから、羽田の場合には、特に西側にあります米軍の基地の空域を少し削って羽田空港の空域というものを広げないと、いわゆる面の上で拡大をして密度を緩和しないともうどうしようもないのじゃないかということが一つあります。それからもう一つは、管制官がうっかりしていて指示を出し忘れたみたいなことによって起こるニアミス、あるいはそれに近いような事例も結構あるようでございます。したがいまして、管制システムの見直しあるいは改善のための研究、これらをぜひやっていただきたい、例えばダブルチェックをするとか。それから、今申し上げましたのが三番目で、一元管制の問題、特に自衛隊機と小型機がクロスするような場合の管制です。それから安全報告制度の採用ですが、運輸省は先般、積極的にこれを導入したいという姿勢を示されたようでございます。 この四点につきまして、大臣、最後にひとつ前向きな御答弁をいただきたい、こう思っております。
○橋本国務大臣 ちょうど数日前に、私も久しぶりに羽田の管制を見て帰ってまいりました。そして本当に小型機が非常にふえている、管制の苦労というものを改めて感じて帰ってきたばかりであります。それだけに、今さまざまな角度から大変いい問題提起をいただいたと思います。個々の問題について一々は申し上げませんが、私どもとしては、より安全な管制というものを心がけて努力をしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○山田委員 ありがとうございました。ちょっと時間がおそくなりまして申しわけございません。
○新井委員長 玉置一弥君。
○玉置委員 久々に交通安全で質問をさせていただきます。いろいろな交通安全上の問題があるわけでございますが、交通安全対策委員会がなかなか開けないという状況が続いておりましたので久久ということになりました。特に、最近の話題として取り上げられておりますオートマチックつきの乗用車、この事故についていろいろな見解があると思うのでございますが、余りにもマスコミが取り上げておりますものでございますから、どういう対応をされて、またどういうふうにこれからなっていくのか、こういうことを含めてお聞きをいたしたいと思います。 私も免許を取りましてから二十七年になりますけれども、いろいろなことをやってまいりまして、車に関しては運転もそこそこできますし、構造的なこともある程度わかります。そういう面から考えますと、今回マスコミに取り上げられておりますいわゆるオートマチックつきの車について、なるほどなと思うところもあるし、ああ、こんなことはないはずだ、こういうふうに思うこともあるわけでございます。その辺で、より公的な行政機関といいますか、運輸省が当然管轄でございますし、警察庁もこの事故に関しては当然関与されているわけでございますから、それぞれの考え方なりあるいは状況というものをお聞きしたいと思います。 まず、今回マスコミに大きく取り上げられております、いわゆるAT軍とここに書かれておりますけれども、この事故の状況について運輸省並びに警察庁はそれぞれどういうふうなとらえ方をされ、またどういうふうな分析をされているのか。分析は後で結構でございますが、まず数字の確認からいただきたいと思います。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 私どもの方で掌握いたしておりますのは、AT車の急発進並びに急加速にかかわる苦情並びに事故につきまして、私どもが直接苦情として受けたものプラス各メーカーから調査、報告をさせたものでございます。それで、とれにつきまして昭和五十八年から掌握に努めておりますが、昭和五十八年が暦年で三十九件、五十九年が四十件、六十年が四十七件、六十一年が四十二件、六十二年一月から三月まで計十件、合計百七十八件の事例について私どもといたしましては掌握をしているところでございます。
○内田政府委員 お答えいたします。 六十一年中の、自動車が第一次当事者になりまして死亡事故を起こした中でのAT車の比率ということでございますけれども、全体で六千三百十七件ございまして、そのうちAT車が九百四件、一四・三%ということでございます。これをAT車の普通乗用車だけで見てみますと八百四十七件で、普通乗用車全体の事故の二三・五%、こういう数字になっておりまして、現在AT車は大体三三%と推定をしているところでございますが、それから見ると一般のMT車よりも低い、こう考えているわけでございます。 中身的に言いますと、この九百四件のうち、前方不注意といいますか、相手に気がつかないで事故を起こしたというのが一番多うございます。その次がスピード違反だとかあるいは飲酒運転とか、そういったような法令違反に基づきます違反、それから相手がとまってくれると思ったとかいうような判断の誤りといいますか、そういったものが続きまして、運転操作の誤りというのが八十二件ございます。これは急ブレーキとか急ハンドル、あるいはペダルの踏み違いとかギアの入れ違いとか、そういったものでございます。 以上でございます。
○玉置委員 我々通常考えた場合に、いわゆるマニュアルミッションつきの車でございますと、クラッチ操作あるいはブレーキがありまして、ブレーキが小さいですね。オートマチックというのは両足を乗せても踏めるようになっているぐらい広いわけでございますけれども、自分の経験からいいますと、足の位置というのは不思議なものでございまして、なれてくると必ず足がそこへいく。これは姿勢が一定の場合でございますね。私が戸惑いましたのは、例えば普通のいわゆるリア駆動の車に乗っておりまして、FFの場合はフロントのホイルハウスというタイヤを囲んでいる鉄板のところがございますが、あれが通常の車より中に入っているということで、アクセル、ブレーキ、クラッチが全部センター、車の中心に寄っている、大体そういう位置を占めております。そうなってくると、本来ブレーキを踏むつもりで踏んだところがアクセルにいくとか、あるいはクラッチを踏もうと思ってもちょうどブレーキとの間に足が入ってしまうとか、そういう場合が多々あるわけでございます。そういうふうに考えていきますと、運転操作というのは車の形状によっても変わりますし、特に駆動方式が変わった場合には位置関係が変わってくる。それから、オートマチックになれた場合とマニュアルミッションでなれた場合とではとっさの場合の動作がおのずから変わってくるということも私自身いろいろ体験をしてきたわけでございます。 そこで、まず警察庁にお聞きをしたいのでございますが、今回の事故といいますか、特に問題になっているオートマチック車の急発進事故について、どういう世代、どういう経験年数の方々の事故が一番多いか、あるいは全体的な傾向といいますか、そういうものがわかればお聞きをしたいと思います。
○内田政府委員 先ほども申しましたAT車の事故九百四件につきまして見てみますと、年齢層は七十歳以上まで散らばっているわけでございますが、十九歳以下あるいは二十歳から二十四歳、こういうところが大変多いわけでございまして、この両方あわせて、いわゆる二十四歳以下というのがオートマの場合で全体の四三・七%を占めておるところでございます。一方、これとMT軍とを対比してみますと、MT車の方では、事故を起こした数の今の二十四歳以下というところが二九・七%ということになりますので、対比から見ると若い層が多いということが言えるわけであります。
○玉置委員 それは経験年数でわかりませんか。
○内田政府委員 経験年数でいいますと、やはり経験年数の短い者がこのAT車の事故が多いわけでございまして、一年未満の者が一・五%、二年未満の者が一一・五%というような数になっておりまして、五年未満というところで見ますと、事故を起こした者の中でAT車の場合四八・五%、MT車の場合は三八・六%という数字になりまして、したがって、経験年数が少ない者が多いということが言えるわけであります。
○玉置委員 実はある雑誌に載っていた数字と同じでございますが、AT車の事故分析というデータがございまして、これでいきますと、参考までにちょっと数字を申し上げますが、ドライバーの年齢としては大体四十歳、五十歳、六十歳の方が多いという数字が出ております。これは、事故があったあるAT車のそれぞれのユーザーの方々を調べてみてこういう結果がわかった、こういうことでございまして、例えばドライバーの年齢でいきますと、二十代が七%、三十代が一五%、四十代が二八%、五十代が二六%、六十代が二〇%、こういう数字が出ております。それから運転経歴からいきますと、五年未満が一三%、十年未満が一七%、二十年未満が二九%、三十年未満が三三%、四十年未満が四%という数字が出ております。ここでもう一つ非常に興味があるのは、いわゆるオートマチック車に乗りかえてから何カ月目ということでございますが、二カ月未満で六五%、六カ月未満が一六%、一年未満が六%、二年未満が一〇%、三年未満が三%というように乗りかえた直後の事故が非常に多い、こういうふうに言われております。 そういうことを考えていきますと、オートマチック車の事故の件数は当然いわゆるマニユアルミッションよりも率としては低いわけでございますが、経験年数は非常にばらついていまして、かえって中年層といいますか、そういうところが多い。まして車を乗りかえる、こういうことでありますと、娘さんなり子供さんが一緒に乗れるような車に乗りかえたときに事故が非常にふえてきて、逆に若いころマニュアル車に乗っているころには事故がなかった、こういうふうなことも言えるかと思います。そういう意味で、事故分析は当然されておりますけれども、そこで警察庁に、さっきの数字から見て、いわゆるAT車とMT車の事故率あるいは事故の発生予想、こういうものをどういうふうに判断されているか、まずお聞きしたいと思います。
○内田政府委員 今先生の御指摘のあった数字と先ほど私が申し上げた数字とかなり違うわけでございますが、私の申し上げた数字は、急発進とかそういう分類ができないものですから、いわゆるAT車全体の九百四件でございましたか、その数の全体の分析をしたわけでございます。それから見ると若い層の者がAT車に多いということは、乗りかえるというよりも、若い人ですから初めからむしろAT車に乗っていた人が多いのじゃないかと見ているわけでございますが、急発進という特別の分類をいたしておりませんので、それについてはちょっと答弁をいたしかねるわけでございます。
○玉置委員 急発進というふうに分類しないで、例えば、純然たるMT車、いわゆるマニュアルミッションの事故とそれからオートマチックの事故との比較という面で見たらいかがですか。九百四件に対応する六千三百十七件の中の割合ですね、そういう中から見たら事故率というものはどういうものかということですね。
○内田政府委員 MT車と対比した事故率という問題でございましょうか。これは先ほどもちょっと申し上げたと思うのでございますけれども、全体の車両の中で現在約三三%がAT車だと言われているわけでございますが、事故が九百四件の一四・三%、乗用車だけを対比した場合でも二三・五%ということでございますので、AT車の方が事故が起こる率が少ないといいましょうか、ただ、これは厳密には全体の走行キロで対比をしなければいかぬと思いますが、それは事実上できないものですから、その車両数と事故ということから見ればそういうことが言えようかと思います。
○玉置委員 大体事故の状況についてはそういうことでございますが、やはりこれだけ話題になってきているというのは、一つはマスコミが取り上げたからということもあると思います。こういう取り上げ方をされますと、国民に与える不安というのは非常に大きいと思います。そういう意味でいわゆる類似要因といいますか、そういう事故が続発をしたということになってまいりますと、監督官庁としてそれぞれいろいろな対応をされてきていると思います。そこでまず運輸省、この事故についてどういう分析をされて、またどういうふうな対応を今されているのか、お聞きをしたいと思います。
○清水(達夫)政府委員 お答えを申し上げます。 私どもといたしましては、これまでの調査におきましては、構造、装置の欠陥が直接に急発進、急加速の原因となったものにつきましては確認をしておりませんが、一部に少数ではございますが、操作ミスだけでは説明のできないものがございます。したがいまして、私どもといたしましてはこの原因究明を行うということにいたしまして、先般、日本自動車工業会に対してその調査を指示するとともに、さらに中立公正な立場からの原因究明を図るため、当省の附属の交通安全公害研究所に対しまして、車両構造上の原因究明について試験調査を依頼したところでございます。また、急発進、急加速防止のための車両構造上の対策につきましても、先般、日本自動車工業会に対しまして検討方を指示したところでございます。
○玉置委員 事前に各省にいろいろお聞きしたのでございますが、どうも問題点の究明といいますか、これは今数字としては運輸省から出されまして、むしろ運輸省でこれからいろいろな対策をやっていこう、こういう姿勢でございます。我々、いつも思うのでございますが、例えば類似事故が続発するという場合に、本来でございますとメーカーサイドでクレーム処理というような形あるいはリコールという形で、ある程度数がそろえば、あるいは安全上の問題があるということであれば自主的にやっているわけでございますけれども、こういうふうに数字上見ると大したことない、言い方は悪いですけれども、余り大した数字じゃないのでございますが、社会的な問題として取り上げてまいりますとそれなりの対応をしていかなければいけないし、また事実これだけの事故が起こってまいりますと何らかの事故防止という形も確立をしなければならぬ、こういうふうに考えます。ところが、交通安全は、御存じのように運輸省を初め警察庁、総理府あるいは建設省と官庁が非常に多岐にわたって絡んでおりまして、ココムと同じで、みんな傍観者みたいにごらんになっているような感じがするわけでございます。それで、こういう問題が起きたときに、それなりの対応策を推進していく責任部署と関連部署、それぞれが連携をとれるようなプロジェクトでもないですが、例えば協議会のようなものをつくってやらなければいけないと私は思うのでございますが、運輸大臣としていかがお考えでございますか。
○橋本国務大臣 これはちょっと運輸大臣から脱線をいたしますけれども、私が与党の行財政調査会長として行政改革の責任者をいたしておりましたとき、たまたま行政管理庁と総理府の統合の問題が出まして、私なりの案をつくったことがございます。その時点で私が非常に処理に困りました部分の一つがこの交通安全対策の取り扱いでありました。そして私は、むしろそれぞれの問題点について各省に戻した方がいいのではなかろうか、あるいは総合調整官庁としての当時の総理府、現在の総務庁が対策室を持つよりも、例えば道路行政を中心としての建設省なり、あるいは取り締まりの主管官庁としての警察庁なりにその責任の中心を負ってもらい、それを各省が補完するような形態をとる方が効果的ではなかろうかと考えまして、実は私はそういう案をつくろうとしたことがございます。しかし、結果的にこれはうまく機能いたしませんで、いたずらに各省の権限争議に火をつけただけでありました。むしろこれは委員が御指摘になりましたような角度、いわば消極的な権限争議ではなくて、それぞれみずからが主軸であるということを主張されましたために、結果的に、やはり総合調整官庁としての総務庁にお願いせざるを得ないという結論に内閣としては方針を打ち出されたわけであります。それだけに、本日一日この問題が論議をされております間、大変複雑な気持ちで私はここに座っておりましたが、むしろ新たなプロジェクトをつくり、そこに各省庁の関係行政の機構を集約するよりも、私は、この際、内閣としてせっかく総務庁に存続させられました交通安全対策の総合調整機能でありますから、これを十分機能させるようにしていただきたい、運輸省ももちろんその中においてみずからの責任を果たしたい、そのように考えております。
○玉置委員 私も、これは言っていいのかどうかわかりませんが、交通安全特別委員会というのは要るのかな、ちょっとそんな気がしたときがありました。それはなぜかといいますと、今は四省庁がそろわないと委員会が開けないような形態になっておりまして、主管事項がその都度違うものもあります。例えば、今回は運輸省が大体メーンになりますけれども、運転免許制度とか安全対策とかになりますと警察庁並びに総務庁、あるいは駐車場問題なり自転車の駐輪場問題になりますと建設省というふうに変わってまいります。そういうふうに考えていきますと、確かに違う観点から見つめていくことは、行政のいろいろな不備を我々が指摘し、また前向きに取り組んでいただくことになるわけでございますが、法案を抱えてない弱みというのがございまして、なかなか交通安全特別委員会は、役所の方からぜひ一緒にやりましょうという雰囲気がないのです。ちょっと脱線しましたけれども、そういうことを考えていきますと、本来の各委員会で割り振ってもいいのかなという感じを持ったわけです。しかし、一元的に交通安全という目で物事を見ていき、いわゆるプロジェクト的な対応をやるためにはやはり必要だと最近は考えておりますので、大分変わってきたのですけれども、今回のように一つの省庁にウエートをかけながらあとはなかなか進まないという場合もありますから、ある程度の時期をもって進めていかなげればいけない問題だと思いますので、より積極的な対応をお願い申し上げたいと思います。 続く話でございますが、今回の事故の分析がそれぞれなされておりまして、今運輸省からもお答えがございましたように、自工会という業界に対しても既にいろいろな指示を出されているということでございます。ただ、我々考えますと、今回の事故は五十八年からいろいろ問題となっておりまして、延々と続いている、いまだに結論が出ない。当然事故の分析もございますけれども、今まではどちらかというとメーカーとユーザーの間でやり合いをしてきたことが主体でありまして、メーカーがこれは誤操作ですからということを言っても、メーカーの言うことでございますからユーザーの側はなかなか信用できないということになります。そういうことを考えていきますと、やはり運輸省なり第三者機関がこういう事故究明をやりまして一つの判定を出すことが、この問題の決着をつけるために大変重要なことだと考えるわけでございます。そういう意味で、運輸省で判定していただくかどうかを含めてお答えをいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 今そうした御論議が現にありますし、また私自身のところにちょうだいをした一般国民からの投書の中にも、具体的なケースとしてそうした声がございます。そうしたこともありまして、公正中立な立場ということから運輸省附属の交通安全公害研究所に対しまして、車両構造面での原因究明についての試験調査を依頼いたしました。ここにおきまして、車両構造また装置の観点からの原因究明のために実車を用いた試験調査を実施して、本年度内を目途に中間報告を出していただくというお願いをいたしております。私どもは、この中から今後に対する適切な対策の方向づけが可能になるようなものを期待いたしておりますし、また、そういう方向に向けての努力をいたしてまいりたいと考えております。
○玉置委員 それは一つの判定と見ていいわけですね、ことしじゅうに出される中間報告というのは。
○橋本国務大臣 本当は専門家が答えた方がいいと思うのですが、専門家が答えますと長くなりますので私なりのお答えをさせていただきますならば、我々としては、この実車を用いての調査の中から何らかの手がかりを見出せないかという願いをこの調査に込めております。そして、その中から将来に対しての適切な対応のための方策が見つからないかということを求めております。しかし、機械の誤操作というものは、これは何百回に一回、何千回に一回しか起こらないものを再現しようとするわけでありますから、目標を定めてと申しましても、時間的な見当はなかなかつけづらい性格のものであります。それだけに、現時点におきましては、今委員の言われたようなところまで到達できればという願いを込めているということでお許しをいただきたいと思います。
○玉置委員 ユーザーとメーカー間でやっておりますと、クレーム処理もそうなんですけれども、日常いろいろな細かい項目のクレームがあるわけです。一つは時間で区切り、距離で区切りということでやっておりますけれども、実際、社会的な問題というか社会的な責任がございますから絶えず追求をする、こういう形になっております。ただ、我々も実際の車の使い方なりいろいろな操作の仕方を見て、これは机上で考え、実際に使ってみてとても考えられないことが起こるというのはこれまた非常に不思議なことでございますが、実際いろいろなクレームの部品なり車なりを見ているとそういうことが事例として多々ございます。そういう面から考えると、机上で考える以外の使い方は結構やっているみたいでございまして、その辺も考えていき、逆に言えば、裁判所ではございませんけれども、行政機関が出す判定というのは非常に大きなウエートを持つと思いますので、そういう検討を時間的にも早くお進めをいただきたいと思います。 それから、先ほどの誤操作の話に戻りますけれども、オートマチックになれていないということ。私も不思議でございますが、運転歴が三十年ぐらいある方にオートマチックを持っていって乗ってくださいと言うと、乗れないと言う方がおられるのですね。というのは、なれていないから怖いというのがありますし、クラッチを踏むつもりですぐブレーキを踏んでしまうというのがあります。その逆の場合もあります。オートマチックに乗っている人がマニュアルを見せても乗れない、こういうのもございまして、これは車は車でございますが、車型の違う車というのですか、そういうような感じもするわけです。 これは警察庁の方でございますが、私も数年前からオートマチックの教科の時間をふやしてほしいという話をしておりましたけれども、これがどの程度変わってきたのかというのが一つと、それから、現在のAT車の事故の状況から見てさらにふやしていく可能性があるのか。それからもう一つは、これも従来から話が出ておりますけれども、AT車運転のいわゆる限定免許というものがぼつぼつ本格化していいのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、それぞれについてお答えをいただきたいと思います。
○内田政府委員 AT車になれるという意味におきまして、AT車がふえるに従いましてといいましょうか、その普及の度合いに応じましていろいろと対策も立ててまいったわけでございまして、既に自動車教習所におきます学科のカリキュラムの中で、AT車の特性だとか操作上の注意だとかといったものを講義をしていくということを始めております。それから昨年から、任意の講習ですけれども、AT車の勉強をしたいという人はその教習所へ来て免許を取ってから、あるいは免許を取ってしばらくたったいわゆるペーパードライバーなどの方でAT車へ乗られる方が自動車教習所でAT車の勉強ができるように、そういったことを各学校にやるように指導をいたして、それを広めてまいっているわけでございます。それからことしの四月一日から指定教習所で、これは義務的といいましょうか、規定の時間の中で二時間、AT車によります実地の技能教習を行うということを取り入れたわけでございます。この二時間が短いかどうかというお話があるわけでございますが、何分にも本年の四月一日から始めたばかりでございまして、この教習の成果をいろいろ分析して、そういったものを踏まえまして今後の問題として考えてまいりたい、こう思っているわけでございます。 それから、AT車の限定免許という問題でございますけれども、これも普及が進んでまいりますに従いましてそういう声が出てまいっております。我々もよく承知しておるわけでございまして、今後ますますそういう声が高くなるだろう、こう思うわけでございます。そういった問題についてもいろいろ検討はいたしておるわけでございますが、現在の交通事故がむしろややふえているといったような状況の中で、どうもATの車は簡単に乗れるというような意味でも、いわゆる簡易に取れる免許といった意味で、運転について未成熟といいましょうか、十分じゃない人が交通社会に送り出されるといった印象を広く国民の方に与えるということを非常に懸念いたしているわけでございます。しかし、今後の交通事故の情勢だとか、さらにオートマチックの普及の度合い、国民の皆さん方の意識の動向等を見きわめた上で免許制度に今後どのように対応していくかということを検討してまいりたい、こう思っております。
○玉置委員 限定免許を本当に許していいのかどうかというのはなかなか難しい問題だと思うのですね。実はこの新聞に、これは七月十日付のサンケイだと思いますけれども、俵萌子さんが何か最近免許を取られて初めて乗ったのがAT車で、何もしないで動いたというのです。こういう方がいるようでございますから、そういう方が多いのですね。だから、まさに車というのはアクセルを踏まないと動かないと思っておる方もおられますし、逆にブレーキを踏んでもとまらないと考えておる方もおられまして、要するに突然のことでございますから、手も足も出なかったということも起こりがちでございます。やはり訓練する、なれていただくということは非常に大事でございます。AT車だから非常に容易に運転ができる、我我もそう思っているのですね。ところが、乗り始め二カ月くらいの方でも事故を起こすくらいでございますから、そういう面で十分これから考えていかなげればいけない。しかし、やはりAT車のウエートが三三%でございますし、何台も車があっても全部AT車という場合もありますし、そういうことを考えていきますと逆にAT車だけでもいいのじゃないか。これは例年言っておりますけれども、そういう関係もございまして、ぜひ御検討いただきたい、かように思います。 時間が来たようでございますのでこれで終わりますけれども、特に、行政機関それぞれ横の連携をとっていただいて、なるべく早く原因がわかって、より具体的な対策がとれるようにぜひ御協力をいただきたいと思います。終わります。
○新井委員長 辻第一君。
○辻(第)委員 けさからAT車問題が繰り返し議論になっているわけでありますが、私もAT車の問題から質問をしてまいりたいと思います。 私も長年車に乗っているわけであります。もうかなり年もとってまいりましたのでハンドルを持つのはやめようかと思うわけでありますが、車というのはなかなか便利なもので、ハンドルを持つことをやめることができないという状況が続いているわけであります。しかし、今交通事故で亡くなる方が一年間に約一万人、負傷者が約七十万人というような状況であります。そういうときに、車の構造上の問題で死傷者が出ることはやはりゆゆしい問題だというふうに思います。そしてAT車の事故は、大別をいたしますと急発進と急加速ということであろうと思いますが、その原因については、電子機器の異常とか運転者の運転ミスとかいろいろ言われているわけでございます。これまでの運輸省の調査結果はどうなのか、お答えをいただきたいと思います。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 これまで私どもが調査いたしました結果によりますと、百七十八件のものにつきまして発生形態別に集計いたしますと、急発進にかかわるものが九十件、走行中に急加速したものが徐行並びに一般走行中を含めまして三十三件などとなっております。
○辻(第)委員 構造上の問題あるいは欠陥ということを指摘される方があるわけでありますが、この点についての運輸省の判断と対応はどうなっているのか、お尋ねいたします。
○清水(達夫)政府委員 現時点におきます私どもの判断といたしましては、一部ではございますが、操作ミスだけでは説明のつかないものが百七十八件の中には含まれておるのではないかというふうに考えております。
○辻(第)委員 対応はどうなっているのですか。構造上の問題あるいは欠陥という指摘に対する対応ですね。
○清水(達夫)政府委員 まず、私どもといたしましては、急発進、急加速の原因究明につきまして、先般、日本自動車工業会に対しまして調査を指示するとともに、さらに中立公正な立場からの原因究明を図るため、私どもの附属の交通安全公害研究所に対し、車両構造上の原因究明につきまして試験調査を依頼したところでございます。また、急発進、急加速防止のための車両構造上の対策につきましても、あわせ先般、日本自動車工業会に対して検討方を指示したところでございます。
○辻(第)委員 それでは、交通安全公害研究所へ調査を依頼されたということでありますが、結論が出るのは大体いつごろなのかお尋ねいたします。
○清水(達夫)政府委員 今年度の予算を使いまして原因究明のための実車を用いた試験調査を実施することといたしておりまして、本年度内をめどに中間報告を出すこととしております。
○辻(第)委員 中間報告が本年度内ということですか。(清水(達夫)政府委員「はい」と呼ぶ)メーカーにやっていただくということも一つの方法でありますが、やはり運輸省が公正中立な立場できっぱりとした判定をしていただくということが本当に大きな問題だと思いますので、ぜひ十分な対応をしていただきたいというお願いをしておきます。 それから、一昨年八月の日航機墜落事故のときに、いわゆるフェールセーフということが大きな問題になりましたね。ボーイング747ですか、フェールセーフということが神話のようになっていたわけでありますが、本当に吹っ飛んでしまいましたね。しかし、本当のフェールセーフというのは大事なことだと思うわけであります。一つの操作ミスや故障が生じてもそれが事故につながらない仕組みですね。AT車は操作が簡単な反面、フェールセーフに欠けているのではないか。例えば、既に一部でシフトロック装置の取りつけが始まっている車種もあるようでありますが、これも一つのフェールセーフの仕組みと言うことができると思います。さらに、運転者の操作や注意力に頼るのではなく、フェールセーフの確立が必要だと思うわけでありますが、車の保安基準にもフェールセーフの考え方を導入すべきではないか、このように考えるわけであります。この点についてお尋ねをいたします。
○清水(達夫)政府委員 御指摘のように、操作ミスを防ぐようなフェールセーフの思想というものは大変大事なことであろうかと思います。先ほども御答弁申し上げましたが、現在、私どもの交通安全公害研究所におきまして原因究明のための調査を鋭意実施いたしておりまして、その調査結果によりまして、必要により、現在の保安基準についてもそういったものを取り入れるべく検討することとしたいと思います。
○辻(第)委員 十分検討していただいて、ぜひ取り入れていただきたい、重ねて申し上げておきます。 今後の対応といたしまして、原因究明はもちろんのこと、車の欠陥を解明して改善することはもちろん、仮に運転ミスであるとしても、ミスを未然に防止する安全対策を講じることも大事であります。それから、安全対策のために寄せられた苦情を公開する必要があると私は考えるわけであります。米国へ輸出しておる我が国の某社の車が船積みの作業中に暴走事故が続発した、こういうことがあるわけでありますが、米国内のこの車種十八万台を回収し、シフトロック装置を無料で取りつけることを決めたというようなことがありました。構造上の欠陥を認めないため、定速走行装置には手をつけておらない。こういう問題も含めまして、との会社は六日までに、日本で販売されたその車の回収修理に応じることも決めだということです。米国内で同社の車の暴走事故については二百五件。うち死者五名もの苦情が集中していたことでこのような対応をした形になっているということがあります。そして、アメリカの運輸省の全米高速交通安全局の場合は、無料の電話ホットラインでドライバーの苦情を収集し、回収修理の指示や独自調査をして、これを余さず公開する体制をとっているということであります。また昨年、某社の定速走行装置の欠陥を同社に通告、回収修理させました。これも利用者からの六十四件の苦情、事故四十一件、うち死亡事故一件に基づいたというふうに言われているわけであります。 そこで、日本では運輸省自動車審査課がこの窓口だそうであります。そうですね。積極的な苦情処理の体制にはほど遠く、寄せられる苦情件数も毎年四十件程度と非常に少ないですね。一年間に四十件程度だというふうに聞いているわけであります。警察庁統計のAT車特有の死亡事故件数は昨年は七十件と聞いているわけでありますが、それよりも少ない、こういうことですね。極端に言えば、日本車の欠陥や問題点がアメリカでわかるというふうなことでは本当に大変だと思うのです。ディーラーにいろいろ苦情を言っていかれても相手にしてくれない、相談に乗ってくれない、こういうこともあるようですね。そういう状況でありますので、車種を含めて苦情内容を公開する制度をつくるだけでも大きな問題解決の手だてになるのではないかということであります。そういうことでありますので、運輸省としても、苦情を十分聞いていただくようなところ、それからそれを公開するということをぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。 現在、AT卓の急発進、急加速に関しまして私どもに寄せられました苦情及びメーカーからの報告などにつきましては、これらの事例の分析結果といたしまして、先般、メーカー別、車名別、さらには急発進あるいは急加速などの現象形態別の数値につきましては公表させていただいたところでございます。
○辻(第)委員 もっと積極的に受け入れする場所を決めてつくって、そして次々とそういう苦情を公開していく。こういう大きな問題になったときだけ公開をするということじゃなしに、適宜、一年に何回か時期を決めてでもいいですね、そういう体制をぜひとっていただきたい、重ねて強く要望して、次に移りたいと思います。 次に、交差点問題など交通安全対策についてお尋ねをいたします。 交差点の交通安全対策については、我が党は、本国会でも衆参両院の本会議や予算委員会でも繰り返しこの問題を取り上げて、政府の考え方や対応をただしてまいりました。先ほども申しましたように、一年間に死亡者が約一万人、負傷者が七十一万人という状況であります。しかも、交差点の死亡事故は二千七五二十件、全体の三〇・六%でありますから約三千人ですか、交差点付近を合わせますと四一・五%ということですから四千人ということになるわけであります。こういう事態を踏まえて、具体的な措置を個々の交差点の実情に合わせて講じることが必要だというふうに考えるわけであります。 時間がありませんので、総務庁にお願いをしておったのですが、割愛をさせていただいて次にまいりたいと思います。 交差点事故のうち六〇%が信号のない交差点で発生をしております。交差点への信号の設置は重要な課題だと思うのですね。全国の様子を聞いてまいりますと、また私の奈良県の状態もいろいろ聞いてみているわけでありますが、信号設置の予算が一つの警察署で一つか二つか三つぐらいのところが多いようですね、中には五つというところもあったようでありますが。大体私ともの地元でも、一つの警察署で一つ・二つ、三つぐらいの予算しか一年につけることができないというところへ十カ所も二十カ所もつけてほしいという切実な要望があるというような状況があるのですね。そうなりますと、最後のところは五年先、七年先というようなことになる。そういう状況であります。本当に設置が必要な箇所はたくさんあると私は思うのですね。何としても人命最優先という立場で、この信号設置の予算措置を含めて、信号機の設置の促進をぜひ図っていただきたい。警察庁、お答えをいただきたいと思います。
○内田政府委員 信号機につきましては、昭和四十一年度から始まりました第一次、第二次三カ年計画、さらには第一次から三次までの五カ年計画によりまして、全国で十二万を超える相当数のストックが現在あるわけでございます。なおしかし、交通情勢は大変厳しいものがあるわけでございまして、現在、第四次交通安全施設等整備事業五カ年計画に基づきまして、現場の状況の必要性に応じまして、信号機の設置だとかさらにはその信号機の高度化、管制システムの整備等を行っていきたい、こう思っておるところであります。
○辻(第)委員 まだ決まっていないのでございますが、来年度あたりどれぐらいふやしたいというか、警察庁はどのような信号機の増設を考えておられるのでしょうか。もしお答えいただければ。
○内田政府委員 来年度といって細かくあれしておりませんけれども、ただ、今度の六十一年からの五カ年計画で約一万一千五百でしたかが計画されておるわけでございまして、平均化すればその五分の一というのが一年間の数になろうかと思います。
○辻(第)委員 それじゃ、その前の五カ年計画に比べてどのぐらいふえるということでしょうか。
○内田政府委員 ちょっと細かい数字は持っておりません。
○辻(第)委員 また後日で結構です。 交差点における人と車の事故を考えるときに、運転者の注意力に頼っているだけではやはりだめだ。そういうことは大事なことでありますが、大変注意をして運転しているつもりでも、人間というのはなかなかそう万全にいかないことがあろうかと思いますね。そこで、道路標識だとか信号機だとか図示表示でありますとか、立体横断施設、立体交差、歩道増設、こういうものの充実改良をぜひやっていただきたい、このように考えます。その点での警察庁と建設省の考えを簡潔にお願いしたいと思います。
○内田政府委員 交通安全を図るためには、安全施設を含めました交通環境の整備、それと運転者、歩行者を含めて広く国民全般のと申しましょうか、安全教育、それから交通の実際の場における指導取り締まり、そういったようないろいろな対策が総合的に結び合って初めて効果を上げるものだ、こう考えるところでございます。そこで、交通環境の整備という問題につきましては、先ほど申し上げましたように、四十一年以来の数度にわたります年次計画で整備拡充に努めてきたところでありまして、現在も引き続いてこの第四次五カ年計画を推進いたしておるわけであります。今後とも安全施設の整備充実に努力をしてまいりたい、こう思います。
○藤井説明員 建設省といたしまして、交差点における道路交通安全の確保は極めて重要な課題だということで、従来から改築事業あるいは特定交通安全施設等整備事業でやってまいっておりますが、この第四次の特定交通安全施設等整備五カ年計画におきましても、例えば交差点の安全確保につきましては、全体の伸びが一・二六倍に対しまして交差点改良は四・三一倍というようなことで、私ども極めて重視してその事業の実施を図ろうと考えております。さらに、六十二年度、本年度からは交差点の立体交差をさらに別の形からとらえまして、ボトルネック解消事業、交差点がボトルネックであるというようなことで、そういう新しい重点事業も発足させております。さらに、六十三年度から私ども第十次道路整備五カ年計画を発足させますので、その中で先生のおっしゃる交通安全、特に交差点あるいは歩道あるいは立体横断施設等の問題につきましても重点的に取り込んで、そして幹線道路等における安全確保を図ってまいりたい、このように考えております。
○辻(第)委員 私は、昨年の十二月に、当委員会で高齢者事故対策の問題を取り上げました。その際、当時の八島交通局長は、高齢者対策について従来からも「調査研究をある程度進めてきております。これにつきましてはまだ完全に十分に研究ができているわけではございませんので、引き続きその種の委託をやりまして調査研究をやってまいりたいこのように述べておられます。その後どのようにどんな調査研究を進められたのか、高齢運転者対策をどう前進をさせられたのか、歩行者である高齢者対策をどう強化されたのかお尋ねをいたします。
○内田政府委員 高齢者の運転事故の防止対策を進めていくためには、高齢者の交通事故の特徴だとか、あるいは高齢者の心身機能等について十分調査研究を行っていく必要がある、こう考えておるわけでございまして、特に高齢者運転の問題につきましては、これまでにも財団法人国際交通安全学会に委託をしまして、運転免許適性試験のあり方に関する調査研究、これは高齢者が年をとるに従いまして視覚機能が低下をする、それと運転適性との関係に関する研究でございますが、そういうものを行いましたし、また、自動車安全運転センターで五十九年から六十一年までの三年間に高齢運転者の運転の実態と意識に関する調査研究とか、高齢運転者の事故、違反の特性に関する研究あるいは高齢運転者の心身機能の特性に関する研究というものを行っております。さらに本年度は、高齢運転者の具体的な事故データをもとに、事故の特性の解析を行う研究を行っているところであります。交通局でも必要な研究を今後とも行ってまいりたい、こう思っておるわけでございまして、これまでの調査研究の結果を踏まえまして、適切な高齢者対策を推進していくこととしておりまして、当面は、高齢運転者に対する更新時講習のカリキュラムにつきまして現在研究を行っておるところでございます。
○辻(第)委員 来年度は交通死者を千人というようなことを言わずに、絶滅をする、そのような気概で御努力をいただきたい。お願いをいたします。 次に、近鉄の奈良線新生駒トンネルの天井の壁が四月六日剥落をいたしました。縦横一メートル、それから厚みが一番厚いところで三十センチ、平均十センチ、結局二百キロのものがトンネルの天井から落ちました。上下車線のちょうど真ん中へ始発の電車が走る前に落ちておったということで、幸い事故は起こらなかったわけでありますが、しかし、電車が走っているときにこんなのが落ちるということになれば大事故になったのではないか、私は非常に心配をしたわけであります。 このトンネルというのは、一日に五百三便、上下の電車が走ります。それから、一日に五十五万人の方がこのトンネルを通るわけであります。そういうことで、私どもこの問題を非常に重視をしていろいろと取り組んでまいったわけでございます。近鉄当局も大変驚いたことだと思うのですが、しかし、近畿運輸局への報告が事故発生から七週間たった五月二十七日になったというような問題もあるわけであります。そして、この事故原因の調査結果を近鉄がまとめて報告をされたわけでありますが、これが六月二十六日だったと思います。その後、私ども近鉄さんに御協力をいただいて、私とそれから大阪の経塚議員と二人で、あれは夜中の二時から三時までの間だったと思いますが、トンネルの中を見せていただきました。私ども、専門家も入っていただいておったわけでありますが、そういうこともしていろいろ調査の結果を聞かしていただく、また見せていただく、それから落下したコンクリートの破片をいただいて、私どもも専門家に調査を依頼をし、いろいろ原因究明に携わったわけであります。 近鉄さんも大変御努力いただいたと思うのですが、この近鉄の報告書は、これは某大学の専門家に御依頼をなさって調査されたわけでありますが、この中では、コアを抜くと言うそうですね。私も余り専門ではないのでわからぬのですが、直径十センチぐらいのものを取って検査する。これはコンクリート工学の専門家からいえば当たり前の検査だそうでありますが、そういうものをやっておられないというようなことを聞きました。それから、アルカリ骨材反応の調査をやっておられないというようなことがありました。私どもは、コアを抜いて圧縮、引っ張り、曲げ試験というもので検査をすべきではないか、このように申し入れをいたしました。また、アルカリ骨材反応の調査をすべきではないか、このようなことを申し入れまして、それはやりますということになったわけであります。幸い無事故で済んだわけでありますが、事の内容というのは非常に重要な内容を含んでいるということでありますので、徹底的な原因究明がやられるべきだというふうに私は思うわけであります。 そういう徹底的な究明というところから見てまいりますと、コアを抜いて検査をされない、あるいはまたアルカリ骨材反応調査がやられていないというようなことはいかがなものかと言わざるを得ない問題ではないかというふうに思うわけであります。アルカリ骨材反応の外から見る反応というのは、何かカメの甲状に亀裂が入るというようなこともあるそうであります。そういうものがなかったからアルカリ骨材反応というのは大丈夫だろう、このように思いましたというようなお話があったわけであります。しかし、私ども何人かの専門家に、近鉄からその落下したコンクリート片を譲り受けて調べる、またトンネルの中へ一緒に入って実際の状態を見ていただきました。しかし現場のところはもちろんもうきれいに修復されまして、数百メートルにわたって竣工されて直接の現場のところは見ることができなかったわけでありますが、やはりコンクリート片にはアルカリ骨材反応の疑いのある反応リムが見られる、また発達したひび割れや浸出物、落下コンクリートに認められた反応リム、骨材が珪酸を含む砕石であること、セメントのアルカリ含有量が不明で多量含有の可能性もある、また地山からの十分な水分の供給があるというようなことから見て、アルカリ骨材反応についても十分調査すべき状態であったというふうに私ども考えているわけであります。そういう点で、いろいろと御努力はされたと思うのですが、こういう問題の後は本当に徹底的な原因究明をやっていただきたいというのが私どもの考え方であります。 それから、運輸省にも報告が出されているわけですね。運輸省はこの報告に対してどのようにお考えになっているのか、もう時間がありませんが、それをお答えいただけますか。
○清水(達夫)政府委員 お答えを申し上げます。 御指摘の近鉄新生駒トンネルの剥離事故につきましての調査は、近畿運輸局の指示に基づきまして、近鉄がトンネル工学についての権威者でございます学識経験者の指導を受けまして、現場のコンクリートの強度試験、成分試験、さらには変位測定などを実施いたしました。さらに、今後の安全対策といたしまして、現場付近のトンネル内内壁の補強を行いますとともに、検査体制の充実を図ることとしたものでございまして、当面の措置としては、私どもといたしましては妥当なものと考えております。 しかし、なお近鉄におきましても、これは重大な問題でございますので、今後も継続して調査を続行することにしておりまして、御指摘のコンクリートのコアによる圧縮強度試験、それからアルカリ骨材反応試験につきましても引き続き試験を実施する、かように聞いておりますので、当省といたしましても、これらの調査が確実、適切に遂行されるよう指導してまいりたいと考えております。
○辻(第)委員 アルカリ骨材反応の問題で申しますと、私どもが申し上げてからそういうことになったというのが実態だと思うのです。きょうは建設省の方もお越しをいただいているわけでありますが、もう時間が参りました。これまで私どもの同僚議員が六十年あるいは六十一年、アルカリ骨材反応の問題で山陽新幹線の橋梁の問題あるいは住宅公団の住宅の問題でも取り上げてまいったわけでありますが、コンクリートがこういうふうに剥落をするというような場合には一応アルカリ骨材反応をぴっと頭に浮かべていただいて、そのことも指摘をしていただく、そのようなことがもうやられてもいいのではないかというふうに私は考えるわけであります。そういう点で、建設省サイドでは昨年もう通達を出されておるという状況でもありますので、今後ともこのアルカリ骨材反応という問題が起こらないように、また既にあるものについては十分な対応ができるようにやっていただきたいということを重ねてお願いいたしまして、質問を終わります。
○新井委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十分散会