環境委員会 第2号
- 発言数
- 311 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/08/18
会議録
○林委員長 これより会議を開きます。 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に滝沢幸助君を指名いたします。 ――――◇―――――
○林委員長 次に、第百八回国会内閣提出、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府より趣旨の説明を聴取いたします。稲村環境庁長官。 ――――――――――――― 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○稲村国務大臣 ただいま議題となりました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 公害健康被害補償制度は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁の影響により健康が損なわれた人々に対して、その迅速かつ公正な保護を図るため、汚染原因者の負担に基づき、各種補償給付の支給等を実施し、これにより公害健康被害者の救済に大きな役割を果たしてきたところであります。 ところで、我が国の大気汚染の状況を見ると、硫黄酸化物による汚染は改善される一方、窒素酸化物及び大気中粒子状物質による汚染は、近年やや改善が見られるものの、長期的には、ほぼ横ばいで推移するなどその態様に変化が見られております。 このため、中央公害対策審議会において、昭和五十八年十一月以来、近年の大気汚染の態様の変化、その健康への影響に関する科学的知見等を踏まえ、検討が進められた結果、昨年十月、公害健康被害補償法の第一種地域のあり方について答申が取りまとめられたところであります。 この答申は、現在の大気汚染の状況のもとでは、新規に患者を認定し、大気汚染の原因者の負担に基づき個人に対する補償を行うことは、民事責任を踏まえた本制度の趣旨を逸脱することとなるため、現行の第一種地域をすべて解除することが相当であり、今後は個人に対する個別の補償を行うのではなく、総合的な環境保健施策を推進することが適当であるとしております。 今回の改正は、本制度をより公正で合理的なものとするため、中央公害対策審議会の答申を踏まえ、第一種地域の指定がすべて解除された場合に対応できるように、所要の改正を行うものであります。 次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。 第一は、法律の題名及び目的の改正であります。 現行の法律は、大気の汚染または水質の汚濁の影響による健康被害についての補償を行い、被害者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的としておりますが、今回新たに大気汚染の影響による健康被害の予防のために必要な事業を実施し、健康の確保を図ることとしているため、法律の題名を公害健康被害の補償等に関する法律に改め、あわせて目的について同様の趣旨をつけ加えております。 第二は、費用負担に関する規定の整備であります。 これは、第一種地域の指定がすべて解除された場合においても、指定解除前に認定を受けた既被認定者に対する補償を継続することができるように、その費用負担の仕組みを汚染原因者負担の観点から整備するものであります。 具体的には、第一種地域の指定解除前のばい煙発生施設等設置者から汚染負荷量賦課金を徴収することとし、賦課金の額については、指定解除前の排出量を基本に、指定解除後の排出量をも勘案して算定することとしております。 第三は、公害健康被害補償協会の業務等に関する改正であります。 現在の大気汚染の状況に応じて、今後は、総合的な環境保健施策を推進することとしておりますが、このため、公害健康被害補償協会の業務に、大気汚染の影響による健康被害の予防に関する調査研究等の実施及び地方公共団体に対する助成に関する業務を新たに加えております。あわせて、協会の名称も公害健康被害補償予防協会に改めることとしております。 協会が助成する地方公共団体の事業としては、健康被害の予防に関する計画の作成、健康相談、健康診査、機能訓練、施設整備等を定めております。 また、これらの事業に必要な費用をその運用によって賄うため、大気汚染の原因者等から拠出される拠出金を財源として、基金を設けることとしております。 なお、基金が積み上がるまでの間は、協会は、拠出金の一部を事業費に充てることができることとするとともに、政府は、協会に対して、基金に関する財政上の措置を講ずることができることとしております。 この法律案の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内の政令で定める日としております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○林委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 質問の前に申し上げたいことがございます。 私は、十五年前になりますけれども、本院に初当選をして、公害対策並びに環境保全特別委員会に所属をいたしました。その心、その所信は、私の選挙区、川崎における公害対策を一歩でも二歩でも前進させることによって市民の健康と生命を守っていきたいということでございました。この十五年間、政府あるいは自治体あるいは企業を含めてそれぞれの立場で、被害者の要求を中心としてさまざまな公害対策に取り組んできたことは否定をするものではございませんけれども、その歴史の重さというものを振り返って考えてみると、確かにSOxの面では改善の措置が見られたことは事実でございましょう。そして環境基準が多くの地点でクリアされたことも現実でございましょう。しかし、公害病のいわゆる認定患者という人々の数は決してそれほど減っているわけではございません。なかんずく、私自身もその委員会でこの法案の審議に当たったときに指摘をしてまいりましたNOxの指定の問題などについては、十五年の歳月の中で、例えば国会において何遍決議が行われたか、あるいは環境庁自身もこの問題について真剣に取り組まざるを得ないという態度を表明されてきたということから考えてみて、NOx自身は改善をされるどころかさらに悪化しているという状況にあることを忘れることはできません。こういう状態のもとで指定地域を解除するということは一体どういうことなのかということを、私なりの短い期間でございますけれども政治生活の経験を通して深刻に受けとめざるを得ません。 それで、この法改正に至る経過を振り返ってみると、かねてから経団連を初めとする経営者の団体、つまり発生源の側からさまざまな指摘がなされてきた。そしてそれが、いわゆる臨時行政調査会といいましょうか、臨調の課題にされてきた。正直なところを申し上げて、何で公害健康被害補償法というのが臨調の課題になるのか。臨調の課題というのは、言うまでもなく行政の簡素化の課題であり能率化の課題である。それが企業の利益を代弁して臨調の議論になり答申になって、そして法改正にたどり着いてきたという経過を考えてみると、どう見ても、最初に解除ありきというところからいろいろな理屈、つじつま合わせをしてきたということにしかどうも見られない。これはもうまさにさたの限りだと私は言わざるを得ないわけであります。 また、中公審の専門委員会の報告と、いわゆるあり方委員会というふうに言っていいのかもしれませんけれども、これの関係を見ると、医学的にも大変な問題があるということを私なりに受けとめざるを得ない。素人目でもそのことが歴然とするようなことをおやりになることについて、一体環境庁長官はどんなふうにお受けとめになっていらっしゃるのか、私は最初に長官の見解なるものを承っておきたいというふうに思います。今からでも遅くないから、法案を撤回なさるおつもりはないかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
○稲村国務大臣 今、岩垂先生の当選以来、環境行政に真剣に本当に情熱を傾けて取り組んでこられて、この時点での公健法改正について私に対しての御質問でございます。 環境行政は、申し上げるまでもなく国民の健康の保護を使命としており、健康に係る行政については当然疫学等の医学的な判断を基礎として行われるべきものであると私も考えております。この公健制度は、民事責任を踏まえ、汚染の原因者の負担により健康被害者に対し個別の補償を行うというもので、制度を公正かつ合理的に運用していきたい、こういうことが基本で、今回中公審の答申を受けて私どもも改正に踏み切った次第でございます。
○岩垂委員 では、諮問と答申との関係について、今長官からも御答弁をいただいたわけですが、お尋ねしてまいりたいというふうに思います。 昭和五十八年十一月十二日の環境庁長官から中央公害対策審議会への諮問の内容というのは、公害健康被害補償法第二条一項に係る対象地域のあり方というふうに受けとめておりますが、その点間違いございませんね。イエスかノーかで結構です。
○目黒政府委員 そのとおりでございます。
○岩垂委員 その諮問の趣旨については、昭和六十年三月二十五日の衆議院環境委員会で、当時の長谷川環境保健部長が指定要件あるいは解除要件の明確化だというふうに答弁していらっしゃいましたけれども、これをわかりやすく言えば、大気汚染にかかわる地域指定の基準、すなわちその物差しとでもいいましょうか、というものを諮問したというふうに考えてよろしいかどうか。
○目黒政府委員 五十八年十一月の諮問当時では、環境庁といたしましては、制度発足当初知見が十分でなかった二酸化窒素とか等々といったようなものを含めた大気汚染と健康被害の科学的評価、これを行いまして、これを踏まえて現在の大気汚染の状況に対応した今御指摘の指定要件または解除要件といったようなものを示していただきたい、こういうふうなことを諮問したのは事実でございます。
○岩垂委員 つまり、それはあくまでも地域の指定あるいは解除の基準についての諮問で、どこを解除するとかどこを指定するかということについては諮問の範囲には含まれていないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 私ども、五十八年の十一月の諮問は、このあり方ということについては御指摘のとおりでございますが、指定要件とかあるいは解除要件、こういうものを示してない点で諮問時の環境庁側の考え方と御指摘のとおり違っているということがあるのでございます。しかしながら、中公審では科学的に十分に検討を行いました上で地域指定の今後のあり方ということで解除相当という先生御案内の結論を出したわけでございまして、中公審の権限の範囲内で今回の答申が行われたというふうに私ども理解しているのでございます。したがいまして、直接の解除要件等々ということではなくて、指定地域の今後のあり方という点につきましては、私ども諮問の範囲内で御答申をいただけたというふうに思っております。
○岩垂委員 そうすると、昭和六十一年の四月八日の専門委員会の報告が出ましたけれども、この報告書ではこの諮問の趣旨である、大気汚染にかかわる地域指定の基準は明らかになったというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 この辺につきましては、当時の専門委員会報告によりますれば、はっきりとした基準とかそういうものについては触れておらないのでございます。
○岩垂委員 今おっしゃったように解除が相当というのが結論でしょう。その前提となる、どういった基準のときに地域指定をしてどういう基準のときに解除するのかということについては何も言っていませんよね、いろいろ読ませていただきましたけれども。
○目黒政府委員 そのとおりでございます。その点については触れてないのでございますが、この当時の専門委員会報告あるいはその後に引き続いて出ました中公審の答申の内容等から申し上げますと、先ほども申し上げましたように現行の大気汚染の中では主たる原因でない云々という、今の制度では合理的でないという前回ずっと御説明申し上げましたような理由から今のような結論に到達したわけでございます。 特にこの解除要件につきましては、恐らく先生今の御指摘の点かと思いますが、四十九年の御答申では、地域指定の解除要件として著しい大気の汚染がなくなるということが一つございました。それからその影響によります疾病が多発しなくなるということ、この二つのことが考えられておったのでございまして、具体的には相当期間にわたって大気汚染の程度が環境基準を満たす程度に改善されるということ、かつまたその地域における新しい患者の発生率が自然発生率程度に低下するというふうに、この四十九年の答申の中での解除の考え方があるわけでございます。 それで、四十九年当時におきましては、大気汚染による健康被害の状況が改善される過程におきましても、その健康への影響の程度が定量的に判断されるような状況が維持されるのだというふうなことを想定いたしましてこのようなことを出したのでございますが、しかしながら、現在の状況では我が国の大気汚染によります健康影響の程度というものを定量的に判断するということは大変困難でございまして、四十九年度に出しました中公審の答申が想定した状況とは異なってしまったというのが現状でございます。このために、今回の答申におきましては、四十九年の答申の解除というものについての考え方につきましては現在の大気汚染の状況のもとでは適切ではない、こういうふうに判断されたのでございまして、環境庁といたしましてもそのように受けとめている、このような経緯があるのでございます。
○岩垂委員 ちょっと長い文章になりますが読み上げますと、答申というのは今目黒さんおっしゃったように、「本制度において、一定の地域を指定地域として指定し、補償給付を行うことが合理的であるためには、① 人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断でき、」これが一ですが、「② その上で、その影響が、個々の地域について、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすことに合理性があると考えられる程度にあること、が必要である。」というように、地域指定のための二要件を提起していますね。そして、これはかなり長い文章になっちゃうので私も読んでいる時間ももったいないくらいなんですが、ここは非常に重要ですからあえて読み上げてみますと、「しかしながら、専門委員会報告から判断すると、現行四十一指定地域における大気汚染も含めて現在の我が国の大気汚染は、地域の有症率を決定する様々な要因の中で主たる原因をなすものとは考えられず、人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断することができない。したがって、個々の地域について、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすこともできない。このような状況下においては、地域指定を継続し、又は新たに指定して、地域の患者集団の損害をすべて大気汚染と因果関係ありとみなし、大気汚染物質の排出原因者にその填補を求めることは、民事責任を踏まえた本制度の趣旨を逸脱することとなり、よって、現行指定地域については、その指定をすべて解除し、今後、新規に患者の認定を行わないこととすることが相当と考える。」こうなっていますね。 この結論づけなんですけれども、この二要件というのは余りにも現実離れをした非科学的な要件じゃないのかということが一点。 特にNOxの裁判のときに、鈴木武夫氏、専門委員会の委員長ですけれども、かなりはっきり答えていらっしゃるのは、「私はこれをお書きになった人に逆にそれを質問したいです。大気汚染以外の病気、疾病のことを付け変えても結構です。それから疾病というものをこういう表現で表現できるかどうかこの原文をお書きになった人に質問したいです。この事故以外はあり得ないです。」そして「事故以外はあり得ないので非常に。」という質問に対して、「現実を御存じない方が頭の中でお考えになったことでしょう。」そして「だから医学的真実に反する文章ということになりますね。」という質問に対して、「私はそう思います。」というふうにこの専門委員会報告を作成する責任者であった鈴木先生が御答弁になっています。医学的真実に反する文章だというふうに肯定なさっていらっしゃる。この点については環境庁はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○目黒政府委員 この中公審の答申につきまして今の鈴木先生のいろいろな御発言等々に関連した点でお答えを申し上げます。 中公審の答申は、現時点でまず可能な限りの知見、科学的な知見を集めて検討を行ったということで、この専門委員会がこういう討議を行って科学的な評価を行ったわけでございますが、その専門委員会の評価を踏まえて、専門委員会の主要なメンバーを含んでおります医学、法律等に関する専門家によって十分検討され、同時に、総会等を開催いたして慎重な手続を経てこのような結論に到達したものでございまして、まず科学的に問題があるというふうには思われないのでございます。 それからさらに、この鈴木先生の御発言でございますけれども、この環境の基準訴訟で証人に立っておられた鈴木先生がこの答申について言及されたということについては私どもも聞いているのでございますが、この公害健康被害補償制度は、大気汚染によります患者に対して汚染原因者の負担によって補償を行うという制度でございまして、医学的な面、法制的な面、この二つの面があるのでございます。この制度では、医学的には大気汚染以外の原因によっても生ずるぜんそく等の患者を制度発足当初の大気汚染の状況のもとではすべて大気汚染による患者とみなしたわけでございます。また、東京、大阪等の指定地域以外の地域を含めました全国のばい煙排出者を汚染原因者とみなすという二つのみなすをいたしまして、その負担によりまして東京、大阪等の指定地域の患者に補償を行う、こういうふうな制度的な割り切りというのを行っているのでございます。この鈴木先生の発言というのは医学的な面についてお述べになっているわけでございまして、私どもそのように理解をしておりまして、中公審の総意として取りまとめられた答申の内容というものを否定するものではない、このように私ども考えているのでございます。 それから次に、先生が御指摘になりました二つの条件と申しますか、合理性の条件として示されている点についてでございます。まず、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすということにつきましては、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、個々の一人一人の患者について臨床として医学的に大気汚染との関係を明らかにすることはまず不可能であるという、ぜんそく等が非特異的疾患であるということについて、この指定地域と暴露条件と指定疾病、この三つの要件を満たせばそのような患者をすべて大気汚染の影響によるんだというふうにみなすんだ、こういうことをまず前段の方は指しているわけでございます。 〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕 そしてその認定を行いまして、この大気汚染原因者の負担で補償するんだという割り切り、先ほど申し上げたものに到達するわけでございますが、まず前段はそういうことでございます。 それから後段のこの文章でございますが、このように今申し上げましたような制度で割り切りをいたしておるわけでございますが、この割り切りを行いますためには大気汚染等による影響が明確にかつ強いものである必要があるということでございます。その程度というものが合理的であるほどになければいけないというのがこの後段の方の文章の意味なんでございます。そういたしますと、今申し上げました「合理性があると考えられる程度」、こういう程度につきましては、四十九年度の答申では大気汚染の影響が過半であると認めれば制度的にその地域におりますぜんそく等の患者はすべて大気汚染によるんだというふうにみなしても合理的である、こういうふうに考え、そして具体的にそのような地域を指定しておったのでございます。しかしながら、現在の状況では大気汚染が地域のぜんそくといったようなものの主たる原因とは言えなくなっているということから、指定地域として維持をいたしまして今後ともその指定地域内にありますぜんそくの患者等を大気汚染によるものとみなして認定をいたしまして補償するということの合理性がなくなっている、こういうふうに判断しておる、こういうことでございまして、この答申の考え方は、今申し上げましたように合理性、それからみなしている、この二つのことから来ているというふうに私ども考えているのでございます。
○岩垂委員 そうすると目黒さん、四十一地域を含めてというふうな文章がございますが、四十一地域全部調査したんですか。
○目黒政府委員 この専門委員会報告におきましては、この結論が、先ほど来申し上げましたように今我が国の大気汚染の程度ではということで、四十一地域を含めてすべて全国的に広範な調査を行った結果そうなったということで、個々の指定地域ということではございませんで、全体的に見てそのようになっている、こういうような考え方をいたしておるのでございます。
○岩垂委員 四十一地域だけではなくてといったって、四十一地域は調査の対象ではなかったんですか。その点をはっきり答えてください。
○目黒政府委員 私ども行いました疫学調査等の中には、全国的に見まして今の大気の状況から患者の発生の状況というものが客観的に妥当であるかどうかを判断いたしますために全国から地域を選びまして、大気汚染の程度のいいところ悪いところあるいは指定地域内等も含めまして入っているのでございます。したがいまして、指定地域の中に調査対象となった地域もありますればそうでない地域もあるのでございます。 いずれにいたしましても、この調査をいたします前提といたしまして、いろいろなレベルの地域をピックアップいたしましてこれを対象としていたしたのでございまして、先生御質問の、すべてをしたのかということであればすべてはしてないのでございます。
○岩垂委員 それじゃ、指定地域何カ所やっていますか。
○目黒政府委員 三十三地域をピックアップしておるわけでございますが、そのうち土地域ほど一つの調査では入っております。もう一つの調査では、五十一地域のうち十四地域が入っているのでございます。
○岩垂委員 五十一地域の調査の中で幾らですか。
○目黒政府委員 十四でございます。
○岩垂委員 四十一地域が解除が問題になるわけでしょう。そこのところをきちんと押さえないで、全国的な水準でございますから割り切ります、こういう議論が科学的と言えますでしょうか。なかんずく、科学的であるとあなたが主張するにしても、そこに住んでいる人たちにとってみれば、おれのところはどうなっているのだ、本当に納得ができる水準がきちんと示されなければ安心できませんよ。被害を受けている人は個々の人なんですよ。日本じゅうの状況じゃないのですよ。後ほど日本じゅうの話もお尋ねしますけれども、日本じゅうで調べてみたら大したことはなかった、だからあなたのところも我慢しろ、この理屈なんです。こういう点はやはり多くの問題が残るだろうと私は思いますが、その点はいかがですか。
○目黒政府委員 今の環境庁が調べました二つの疫学調査でございますけれども、内訳といたしましては三十三地域のうち例えば千葉、川崎、四日市、大阪、守口というような一つのグループが入っております。それからもう一つのグループは川崎、東海、吹田、守口、東大阪、八尾、豊中、富士といったようなところが入っておるわけでございますけれども、この二つの調査では、我が国の大気汚染のレベルが低いと考えられる地域から東京、大阪と我が国の最高濃度レベルの大気汚染と見られる地域まで全部含めてしたわけでございます。つまり、最高のものは入っておるということでございます。したがいまして、この調査等を含めまして評価いたしました専門委員会の結論と申しますのは、全国的な高いものから低いものまで含めたものということで評価をいたしたものというふうに私ども理解をいたしておるのでございます。
○岩垂委員 私も余り細かいことがわからないのですけれども、今目黒さんのおっしゃったのは、環境庁が調査をした、環境保健部の行った調査と大気保全局の行った調査の二つという意味ですね。私の聞くところによれば、例えば環境保健部がやったaという調査は、ATS方式に準拠した質問票を用いて太平洋側九都府県三十三地域を対象地域とし、昭和五十七、五十八年度に小学生の両親、祖父母のうち居住歴三年以上かつ三十から四十九歳の者三万三千九十人を対象として実施した調査だ。調査のbは、同様の質問票を用いて全国二十八都道府県五十一地域を対象地域とし昭和五十五年から五十九年に小学生の両親、祖父母のうち居住歴三年以上で二十歳から六十五歳までを含む全年齢の十六万七千百六十五人を対象者として実施した調査だというふうに伺っているのですが、環境保健部の方でいえば五十歳以上は含まれていない。それから大気保全局の調査対象も五十歳以上は実際の年齢構成と比べて非常に率が低いものになっている。お年寄りの皆さんの調査はなさらないのですか。
○目黒政府委員 今の御指摘の点でございますけれども、老人、子供、大人と至るまで年齢構成別にやっていくわけでございます。それは技術的な問題としてある程度一定の地域に全国的な意味で年齢階級補正というのを統計処理上いたすのでございますが、そういたしますと当然老人等の年齢につきましては数が減ってくるということが出てくるわけでございます。数が減ってきておりますので、調査対象として全国的なレベルでとりますと、老人に云々ということではなくて、年齢階層別全体からいいますと先ほど申し上げたような結論になるのでございまして、老人については、老人全体の人口が日本全体の人口比として少ないわけでございますので、当然少ない数ということで調査をしていくわけでございます。その場合に統計処理上、非常に数が少な過ぎる場合には切っていくということが出てくるのでございます。
○岩垂委員 そういうことをあなたが幾ら言っても、受けとめる側から見ると、五十歳以上の大気汚染に関する感受性の強い層、せきだとかたん症状の有症率の高い年齢層は意図的に排除されているのではないかという意見もあるのです。意図的かどうかは別として、五十歳以上をカットして、実際の年齢構成とあなたはおっしゃったけれども、年齢構成から見てもお年寄りの皆さんの数が少ない調査は実際問題としての影響が出てくる、調査の結果に関連していろいろな問題が出てくるのではないだろうかというふうに言われても仕方がないと思うのですが、その点はどうお考えなんですか。あくまでもそんなことはないとおっしゃるのですか。
○目黒政府委員 現行の認定患者の年齢別構成から申しますと、圧倒的に子供さんが多いわけでございます。それからもう一つは、一つのテクニックでございますけれども、この調査対象としてピックアップいたしましたのが、先ほど先生がおっしゃいましたように小学校を単位として調査をしていく、そうなりますと今度は子供さんに同居している老人がかなり減っている、少なかったということで結果としてそのようなことになったと私ども理解しているのでございます。
○岩垂委員 結果としてそうなったとおっしゃるのだが、調査結果について言えば年齢構成をきちんと押さえたものではない、特に高年齢層についてはカットしたというふうに言われても仕方がないし、その結果についてもなかなか信憑性を持ち得ないという弱点はありますよということを私は申し上げているわけです。 内容のやりとりはまた後ほどすることにして、さっきやりとりをいたしましたけれども、今回の答申の前提となった諮問は公害対策基本法第二十七条二項二号に基づくものだと伺ったわけですが、公害健康被害補償法第二条第四項では、地域指定をした政令を改廃する場合に内閣総理大臣は中公審並びに関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聞かなければならないとなっています。この補償法第二条四項に基づく中公審への諮問はなされたのですか。
○目黒政府委員 御指摘の二条四項は政令等の改廃に当たりまして地方公共団体並びに中公審の意見を聞くというふうになっておるわけでございますが、前回私どもいただきました答申は二条四項ということではございません。しかし、私ども二条四項に基づく答申についてはこれからいただくことになろうかと思っております。 しかしながら、審議会といたしましては、もう既に地域の指定のあり方について先ほど来申し上げておりますような一つの考え方を出しておりますので、そう大きな違いはないと私ども理解をいたしておりますが、いずれにいたしましても先生が御指摘するように、第二条四項の中公審の意見を私どもこれからいただくということになろうと考えておるわけでございます。 〔戸沢委員長代理退席、委員長着席〕
○岩垂委員 民主政治というのは手続が大事なんです。その手続は法律に基づいて行われなければなりません。だから、補償法二条四項の要件が満たされないままに、つまりあなたはこれからとおっしゃっているわけですから、今回の法改正を国会に出したのは私はちょっとおかしいと思うのです。それはちゃんと手続が終わって法律になってこなければ、この法律で議論するといろいろ問題が出てくるとあえて言わざるを得ませんが、その点はいかがですか。
○目黒政府委員 この点につきましては、私ども解除するという一つの前提に立っておりますけれども、これはもちろんそういう考え方のもとに私どもこの二条四項によります御意見をこれから伺うわけでございます。したがいまして、私ども法律案を提出いたしまして、そういたしました場合に私どもが判断を――先ほど来申し上げたように一つは指定地域を解除するという問題、あるいは今の認定患者に対する給付を続けるという問題、あるいは新しい事業、予防的な事業を行う等々、先ほど提案理由で御説明申し上げましたようなことを行うということ、こういうことは今申し上げたことを行うために必要な法改正というふうに私どもは理解しておるのでございます。 したがいまして、政令等の改正というのはそのような準備が整いまして行われるのでございます。そしてまた二条四項のこのものも、この政令の立案までにはすべてのおっしゃるような法律的な手続を完了させたい、こういうことで今考えておるのでございます。
○岩垂委員 この改正案は四十一指定地域の全面解除というものの法案なんですよ。その他のこともありますけれども、そこがポイントなんです。それが前提なんです。だから、これが成立すれば、実質的にはこの法案によって解除ということは既定のものになってしまうのです。これはなってしまうのです。 私が言いたいのは、補償法二条四項の趣旨というのは指定地域の解除というような重大な政策決定を行う前には中公審と関係自治体の意見を聞いておけ、こういうことだというふうに思いますが、その点の認識はどうなんですか。
○目黒政府委員 その点につきましては、私ども先ほど申し上げましたような環境庁が今度の法律改正をいたしますまでに至りました判断の中には、昨年十一月に出ました中公審の答申というものも当然踏まえておるのでございますし、また、この二条四項に基づきまして地方自治体の意見等も伺っておるわけでございます。また、ここへ来るまでにさまざまの関係者からの御意見も聞くといった手続は踏んでおるのでございます。いずれにいたしましても、私どもはこの二条四項に基づきます次の答申というのは恐らく同じことであろうとは思っておりますけれども、この答申そのものは、既に審議会の御意見というものは私どもいただいておるというふうに判断をいたしております。もちろん形式的には二条四項に基づいてもう一度とらなければいけないというふうには考えておりますし、また、そのようにするつもりでございます。 いずれにいたしましても、私ども今の時点では、この政令の立案ということで先生おっしゃるとおりの、実質的には解除というふうにおっしゃいますけれども、形式的には政令の立案までに済ましたい、こういう考え方を依然として持っておるのでございます。
○岩垂委員 先ほどからあなたのお答えを聞いておると、そうなるだろうと思う、だからこれからそういうことでやっていくのです、そうなるであろうということを前提にして中公審にかけますというのは、言ってしまえば中公審というのは何か環境庁がこういうふうにやって後はそのとおりにしてくださいよという気持ちがあなたの一言の中にありありと示されておるのです。私はそんなものじゃないと思うのです。例えば、地方自治団体に意見を聞いたと言いましたけれども、結果はどうなっておりますか。私の調査によっても、積極的に賛成をしたという数は決して多くないですよ。どういうふうに分けていらっしゃるか。賛成が幾つで、慎重にしろというのが幾つで、反対が幾つであったということを言ってください。
○目黒政府委員 先生御指摘の前段でございますが、御指摘ではございますけれども、私どもは中央公害対策審議会の意見が昨年出ますまでは、各方面の意見を聞き、あるいは専門委員会報告を踏まえ、三年間四十二回にわたっていろいろ御議論をいただいたわけでございます。また総会におきましても、さまざまの議論の中で総意としてあのような結論が出てきたのでございます。 したがいまして、その答申をいただきました昨年十月のころの現状と、それから今の、仮にこれから二条四項でかけるとしましても、そう大きな客観情勢の違いはないんじゃなかろうかというふうに私は考えておりましたので、先ほどのようなお答えを申し上げたのでございまして、決して私どもが中公審を先生御指摘のようなことで考えているというのではないのでございます。相当御議論いただいた結果の意見がそう急に変わるとは思われないというような考え方で申し上げたのでございます。 それから、地方自治体の意見がどうなっているかという御指摘でございます。これは、今回、二条四項に基づきまして地方自治体の意見を聴取したわけでございますが、各地域の実情、それぞれの自治体におきまして地域の実情を踏まえまして慎重に検討をいただいたのでございます。そして、地域の住民の健康確保と環境保全の第一線に立っておられます地方公共団体の方々の立場から、非常に広範な御意見が回答されているのでございます。 特に、東京とか神奈川とか大阪といった大都市圏の地方公共団体では、ほぼ共通いたしまして幹線道路等において二酸化窒素等にかかわる環境基準が達成されておらずなお改善を要する状況にあること、あるいは、窒素酸化物等の健康影響についての科学的な解明が十分には行われていないといったようなことなどを理由といたしまして、慎重な対応を求めるものが多く見られたのでございます。また、窒素酸化物等によります汚染、とりわけ幹線道路の沿道の汚染がなお改善されていないことについて強い懸念があるということから、私どもといたしましては、今後この健康被害防止事業等々といったような予防対策をやっていこうというふうに考えているのでございます。 いずれにいたしましても、この都道府県からいただきました御回答にはさまざまな背景あるいは理由といったようなものがございまして、そういう理由をもとに私ども御意見を賜ったというふうに理解をしているのでございます。
○岩垂委員 私、数を聞いているのですよ。これは二条四項に基づく意見の聴取ですから権威のあるものだというふうに見てもいいと思うのですが、私がいろいろ拝見をしたものによれば、お尋ねをして返事があった五十一自治体、そのうち反対というのが二十一自治体。それから慎重というのは、慎重に検討を、あるいは慎重な対処が望まれるというのは、つまり指定解除について慎重にしてほしい、それは気持ちの憂いは多少ありますよ、けれども慎重論というのが二十四ですね。賛成というのは、つまりやむを得ないとか反対する理由がないとかあるいは条件をつけてやむを得ない、あなたもさっき触れたけれども、そういう団体は六団体。大体合っているというふうに見てよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 この自治体からいただきました御意見というものはいずれもかなり長文で、先生御指摘のとおり非常に広範な内容を持っておりまして、一概に賛否が決めつけられるものではないというふうに私ども受けとめておるのでございます。特に、自治体におきましては、先ほど申し上げましたNOxの汚染等の懸念から慎重な対応を求める多数の意見が出ておることは事実でございます。 また、この趣旨でございますが、私どもが自治体から意見を聴取いたしますという趣旨でございますが、私ども単純に自治体の賛否をとって多数決によって物事を決するということではございませんで、関係自治体の意見というものを参考にいたしまして、この制度の適正な運営を期するということであるというふうに私ども理解をしているのでございます。したがいまして、環境庁といたしましては、広範な、非常に膨大な内容を有する自治体の意見があるわけでございますが、その結論のみならず、その結論を導き出してきた背景となっております理由とか状況といったものも含めまして、この長文の意見を十分検討してまいったところでございまして、私どもの方といたしましては特にこの賛否といったような考え方をいたしておらないのでございます。いずれにいたしましても、地方公共団体のいろいろな御意見を慎重に受けとめているということでございます。
○岩垂委員 私の聞いているのは、慎重にということは当然のこととして、大体数がこんな数になりますかということをお尋ねしているのでございますので、イエスかノーかをお答えいただきたい。
○目黒政府委員 その辺につきましては、いろいろな御意見があることは私ども承知をいたしております。
○岩垂委員 いろいろな意見があることを承知しているというのじゃなしに、私は数を挙げたのです。だから、大体そんなところだというふうに受けとめていらっしゃるかどうか、その点を聞いているんです。
○目黒政府委員 私がいろいろな御意見と申し上げましたのは、先生のおっしゃったような数字、この数字につきましてもいろいろな数字がございます。これはマスコミ等含めたものでございますが、その数字があるということは私どもも承知をいたしております。
○岩垂委員 承知を聞いたんじゃない。あなた方が意見を求めたわけでしょう。答えたわけでしょう。受けとめたわけでしょう。調べたわけでしょう。その結果、だれが見てもこういう数字が、これはマスコミのこともありますが、私も拝見をいたしましたよ。長い時間かかりましたよ。いろいろありましたが、こんなふうに区分けできるのはまあまあだなという認識を持ったわけです。その私の判断が間違っているかどうかというのを聞いたんです。大体こんな数字の割合でしょうと言っているんです。
○目黒政府委員 私どもの考え方といたしましては先ほど来申し上げたようなことでございますが、先生の御指摘のような考え方も一つのデータといいますか、二条四項に基づきます地方自治体からの御回答に対する一つの受けとめ方というふうに私ども理解をいたしております。
○岩垂委員 だとすると、地方自治体に意見を求めて反対が二十一、これは間違いないですよ。それで保留というか慎重論が二十四というのですよ。区分けの仕方はいろいろ。ありますよ。しかし、少なくとも五十一自治体というバランスで見るならば、過半数はこれはやめていただきたいという気持ちを込めた地方自治体の意見であったということは否定できないですよ。先ほど言いました二つの要件、つまり中公審にかける、地方自治体に聞く。この地方自治体に聞くという部分について言えば、環境庁は聞いていらっしゃらない、あるいは聞いたとしてもそれに耳をかさなかったということにならざるを得ないと思いますが、いかがですか。
○目黒政府委員 先ほど来申し上げておりますように、環境庁といたしましては、この地方公共団体の意見につきましては結論だけじゃなく、その背景あるいは理由あるいは状況といったようなものを十分検討していたものでございまして、無視したというふうなことではないのでございます。 また、この地域指定の解除につきましては、地方自治体が挙げておられます理由の中の、懸念するNOx等の問題あるいは幹線道路の問題等につきましては中公審において十分検討されているのでございます。地方公共団体の意見を十分検討した上でも、この制度が公正かつ合理的な運営をするためにはやはり解除が必要だなというふうに私ども判断をしたのでございます。 特にいろいろな御意見の理由となりましたものの中の一番大きなものは、懸念をいたしておりますNOx等の汚染についてでございまして、これらについて地方公共団体から非常に強い要望があったのでございまして、こういうものを私ども受けとめまして予防的な観点から健康被害予防事業の実施とかあるいは大気汚染防止対策の強化等々をするという考え方をいたしたのでございまして、私どもこの意見を無視しているということではないのでございます。
○岩垂委員 東京都知事の鈴木さんが十月三十日の中公審総会の直後に談話を出しておられますけれども、それを読んでいただけますか。――いいです。時間がかかるから私が言いましょう。 今回の答申は、窒素酸化物を中心とする複合大気汚染の現状や健康への影響などの点について十分解明されないまま、指定解除の結論を急いだように見受けられ、関係住民や自治体が納得できるものとは言い難いのではないか。答申で示されている指定地域の考え方や、今後の環境保健に関する施策についても、実効性や具体性に問題があるのではないかと聞いている。国は、これらの点について、総合的視点からさらに慎重な調査・検討を行うとともに、負担方法の改善についても考慮すべきではないか。自治体など関係者の意見も十分きいたうえで、対処していくことを期待したい。 となっています。これは解除に賛成の意見でしょうか、反対の意見でしょうか。
○目黒政府委員 極めて慎重に解除に対応するようにという御意見というふうに私ども受けとめておるのでございます。
○岩垂委員 慎重にというのは、指定解除の結論を急いだようにも見られる。それは、複合大気汚染の現状や健康への影響などの点について十分解明されてないままやってしまったというふうに言っているんですよ。これは、私、鈴木さんのお立場ということについてあえて申し上げるつもりはございません。しかし、私は少なくとも東京都民の気持ちを率直に代弁した言葉だと思うのです。そういう意味では、地方自治体の意見というものを本当に真摯に受け入れたものというふうには考えられませんし、言ってしまえば、環境庁が恣意的にそれを解釈して、そして、いやこれは自治体の諸君も大体納得していただいたんだという形でスタートしたものだというふうにしかとられないけれども、この点についてもう一遍、目黒さん御答弁をいただきます。
○目黒政府委員 東京都の御意見でございますけれども、これは私さっき取り違えましたが、意見を出したときの都知事のコメントというふうに取り違えたのですが、東京都の意見、東京都の正式の意見でございますけれども、それを見ますと、 一 窒素酸化物を中心とする都市型複合大気汚染がいまだ改善を要する状況にあり、健康への影響が懸念される現状にあっては、窒素酸 化物による幹線道路沿道の局地的汚染等を考慮することなく、「公害健康被害補償法施行令別表第一 二の項から二十の項まで」を一律に削除することは、適切でないと考える。 二 制度の見直しに当たっては、費用負担等のあり方について検討するとともに、大気汚染の実態に即した公正かつ適切な対策を講じる必要がある。 三 窒素酸化物対策は環境行政の重要な課題であり、国は、真に実効ある具体的対策を強力に推進すべきである。 云々と、こういうふうな御意見でございまして、やはりこの前段の幹線道路等の局地的汚染を考慮することなくやるのは適切でない、こういうふうに私ども考えているのでございまして、やはり慎重にというふうに私ども受けとめたわけでございます。
○岩垂委員 じゃ、幹線道路の対策というのはできているんですか。できてないでしょう。できてないじゃないですか。 それじゃ、三大都市のNOxの環境基準がどんなふうになっているか、答弁してくださいよ。長いやりとりがありますからね、これは、申しわけないけれども。
○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。 いわゆる総量規制三地域の環境基準の達成状況でございますが、これは一般局、自排局とそれぞれあるわけでございますけれども、六十年度の数字で申し上げますと、東京におきましては一般局は二十三分の四、自排局が二十八分の二十一、神奈川におきましては二十九分の八、十六分の十一、大阪が四十四分の四、二十二分の十六ということで、トータルで申し上げますと、六十年度におきまして、一般局は九十六局あるうち十六局が〇・〇六ppmを超えておるという状況にございます。それから自排局におきましては、六十六局のうち四十八局は〇・〇六ppmを超えておるという状況にございまして、環境基準達成がなかなか厳しい状況にございます。
○岩垂委員 こういう数字なんですね。それが急速に改善されるどころか、むしろ悪くなっているのですよ。そのことを前提にして解除について慎重であってほしいという意味は、申し上げるまでもなく反対だということですよ。これは私も総会の後の知事の談話というふうに申し上げたことが、あるいはあなたが誤解をしたのかもしれませんけれども、私は、少なくとも自治体の気持ちというものをもう少しきちんと受けとめてほしいなというふうに思うのです。特に一月の末が締め切りの意見聴取でしょう。回答が二月に入った自治体もあったわけでしょう。ところが、実際には二月の初め、二月十三日に今度の改正案というものの閣議決定をしているわけでしょう。だから、何のために聞いたのかという姿勢がまずそこに出てくるのですよ。答えが出て精査をする前に、事実上法律はできて、改正案ができて、閣議決定までしちゃっているのですよ。これじゃ、自治体の意見というものは聞く耳を持ちませんよということを言われても、これはしようがないのです。 特に今言ったように、数の合わせ方はいろいろあるでしょう。しかし、過半を上回る自治体がこれに対して反対ないしは慎重であってほしいという意思表示をしているのを無視しているわけですね。無視しているとは言いません、皆さんがそれを受けとめたと言っていらっしゃるけれども、現実、結果にあらわれてきたものは無視と同じではないですかということを私は強調しておきたいのです。 最初に賛成意見を出したと言われた三重とか四日市とか、これは楠町というのですか、これは賛成ではなくて反対に回ったということを実はお伺いしているのですが、その点は調べでございますか。
○目黒政府委員 私ども、当初いただいたとおりの御意見というふうに受けとめているのでございますが。
○岩垂委員 だから、今おっしゃったのは一月末の意見ですね。その後自治体は態度を変えているわけです。そのことはもちろん環境庁にも連絡をなさったわけですけれども、それは一つの区切りですから、それはいいでしょうけれども、何でそういう地方自給体があえて態度を変えたのかということなども考慮しなければならない。だから、地方自治体の意見というものがどうも十分生かされていないというふうにあえて強調しておかざるを得ないことを私は大変残念に思います。 ここでちょっと私、やや原則論を承っておきたいと思うのですけれども、原則論というのは、私は昭和四十八年の七月の当委員会で、公害健康被害補償法案を審議したときのやりとりというものに関連して、余り細かくは言いませんが、このときに、やりとりを含めて言いますと、この法案というのは、昭和四十七年の四日市大気汚染裁判の判決が確立された疫学的因果関係論に基づく、疑わしきは救済するという立場に立ったものであるというふうに御答弁をされておられますが、この立場は今後とも変わらないというふうに、これは常識ですけれども、そう考えてよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 この四日市の判決当時は、先生御承知のように、やはり大変な大気汚染の激甚な状況下にあったわけでございまして、その当時は先生今御指摘のような考え方というものもある程度合理性がありまして、第一種地域にかかわります公健制度もこのような考え方を基礎としておったということは、これは事実でございます。しかしながら、現在の時点では、やはり基本的な考え方というものについては、私ども、ともかく現在の大気汚染の状況になりますと、昭和三十年代、四十年代という……(岩垂委員「いや、基本的な考え方を聞いている」と呼ぶ)現時点では、やはり私どもは制度の公正合理性という。ことについて、この運用をしなければいけない、こういったような観点から、民事責任を踏まえた制度でございますので、公害患者に対して適切な補償をするというためには、制度の公正かつ合理的な運用の観点からは、このような考え方は適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。
○岩垂委員 今日では、裁判で示された結論が合理的でないということですか。 私があえて言ったのは、基本的な立場というのには変わりはないのでしょう。裁判の権威とか、裁判の決着に至った経過だとか、そのことが背景となってこの法律が生まれてきた背景であるとかいう立場は、当然のことながら尊重されないと変なことになりますよ。
○加藤(陸)政府委員 若干裁判の関係でもございますので、私の方から補足させていただきます。 基本的には、先生のおっしゃる趣旨は、四日市判決当時のような著しい大気汚染の状況において出た判決でございます。そういう状況のもとでのこの考え方というのは、先生がおっしゃるような趣旨は続いておる。ただ、ただいま部長から答弁いたしました趣旨は、ちょっと時代の変遷を申し上げておるのだということで御理解いただきたいと思います。
○岩垂委員 では、同じように四十八年の中公審答申、汚染のレベルと疾病の発現との関係を疫学的手法を用い確率論的に究明し、蓋然性があれば足りるという法的因果関係の考え方を基礎とするという立場は変更されたというふうに見ていいのですか。
○目黒政府委員 先生御指摘の、因果関係というものについての蓋然性があれば足りるとするようなこの四十八年の中公審の答申の考え方と今回の答申、今の考え方と違うのかというふうな御指摘と私ども承ったわけでございますが、この四十八年当時の答申と今回の答申において因果関係に関する基本としております考え方については基本的に同じなのでございます。そういうふうに考えているわけでございます。 それで、四十八年の答申では、因果関係につきましては、この関係のいわゆる諸分野、諸科学の分野のすべてにおきましてこの因果関係が厳密に立証されなくとも、大気汚染のレベルと健康被害の発現との関係を疫学的手法を用いて確率論的に究明して、この因果関係については蓋然性があれば足りるとする、こういう法的な因果関係の考え方を基礎としているのでございます。 今回の中公審におきましても、この民事損害賠償におきます、今申し上げました因果関係に対する考え方、それから、この十年余りの間におきます科学的知見の発展を踏まえて中公審でも検討が行われましたが、その結果、総合的に見ますと、大気汚染と健康被害との間に因果関係がありと判断することはできなかったというのでございます。 さらに、現在の大気汚染がぜんそく等の主原因とは言えなくなっている、これまでのようにぜんそく等の患者をすべて大気汚染による患者とみなし、汚染原因者からその費用を徴収する云々、そして補償を行うといったような、民事責任を踏まえた本制度の趣旨を逸脱するようなことになるのではないだろうかという、先ほど来申し上げたような中公審の結論に達したのでございます。 いずれにいたしましても、この基本にいたしております因果関係の考え方については同じというふうに私ども受けとめているのでございます。
○岩垂委員 これはこの前の国会のやりとりなんですが、補償の問題について民事的な責任を踏まえてこの損害をてん補するための補償、今までは社会保障的なものあるいはそういう性格を持っていたがそういうものではないというふうに橋本さんが当時答弁をされているのですが、今度はまた民事的な損害賠償の考え方を社会保障的なものに戻すというふうな解釈をしている人もいますが、そうではなくて、あくまでも民事的な責任という筋道は生きていると理解してよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 先生、そのとおりでございまして、私ども、先ほど来申し上げましたように、当初とっておりました民事的な、橋本審議官が前にお答え申し上げましたような考え方、そういうふうな考え方が今も生きているのでございまして、私どもはあくまでも、先生御指摘のとおり、民事的なものを考えていくということでは変わりがないのでございます。
○岩垂委員 指定地域の要件というのは先ほどから言われましたし、それはそれでわかるのですが、解除の条件も当時のことがいろいろあって、そして異常に患者が多発することがあるということ、もう一つは大気汚染がずっと継続している場合ということ、いろいろ細かいことは言いませんけれども、行われているわけですね。SOxについて言えば確かに改善はされましたけれども、患者の方が減っているという認定をなさった背景をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○目黒政府委員 今の患者の状況でございますが、御指摘のように、年々ずっと増加をしているのでございます。そして今認定患者の総数は約十万弱、先生御承知の九万数千といったような数になっているのでございますが、いずれにいたしましても、この患者の状況を踏まえまして、一体これをどのように考えるのかということについてはいろいろな御意見を私どもも賜っておりますし、この点についてもいろいろ御指摘があったことは事実でございます。私どもの方はやはり気管支ぜんそく、ほとんど気管支ぜんそくで代表されるわけでございますが、全国的にも増加している。しかしこれで、一番一つの御意見としてあるのが、大気汚染が認定患者の増の主因ではないかといったような御趣旨の御質問と私ども受けとめているわけでございますが、この患者の増加ということにつきましては、厚生省等の患者調査によりますれば、全国的に気管支ぜんそくの患者が増加の傾向にあることは事実なのでございます。またこの十年間で平均年率六から七%程度の水準で全国的に増加をしていっているのでございまして、また一方認定患者数の増加をもたらしている気管支ぜんそくによります認定患者の増加率も五十年代の後半からばほぼ年率五から七%で、同じような水準になっているのでございます。 それで、私どももこの中公審の委員会等におきましても、委員会の科学的知見等を踏まえまして検討を中公審でもいただいたわけでございますが、現在の大気汚染がぜんそく等の主原因ではないと判断されたということでございまして、こういうふうなこと等々を考えてまいりますと、私ども、認定患者数が増加するということはむしろ全国的な気管支ぜんそくの患者の増加というものを反映したものじゃないのだろうかと考えているところでございます。
○岩垂委員 細かいことを言いませんけれども、全国的にふえたから、したがって患者がふえたのは大体同じもので、したがって患者が因果関係でふえているわけじゃないという立論はおかしいと思うのです。日本じゅう大気というのは拡散しますから、日本じゅうの空気が汚れてくれば一定の地域だけでなくてもっと広いエリアで患者が生まれますよ。空気というのは隔離することができませんからね。 問題は、比べ方の問題は、それは医学的にかなりしんどい疫学的なことがあるのかもしれません。しれませんが、そこのところだけ強弁しますと、全体として大気が汚れていますよ、したがってそういう病気が出やすくなっていますよということを頭に置かないとどうもならぬのではないかということを、きょう細かくいろいろやりとりをする時間がございませんが、そういう点は頭にあるのですか。
○目黒政府委員 私ども、先生御指摘のように、ぜんそく等の患者の発生の要因についてはさまざまのものがあるわけでございまして、もちろん大気汚染もその中の因子の一つであることは間違いない事実でございます。これは専門委員会報告等でも出ているのでございますが、そのほかに、やはりこの気管支ぜんそくの患者の増加の原因というのはいろいろなことが考えられているのでございます。 例えば、国民の健康意識だとか、あるいは医療水準が向上してきたとか、あるいはアレルギー素因者が増加してくるとか、あるいは都市の生活様式が拡大してくるとか、あるいは食生活とか住居の環境が変化するとか等々といったようなことがあるのでございますが、いずれにいたしましても、このような患者がいろいろな多原因で出てくるのでございます。その多原因で出てくるために、大気汚染だけでというふうになかなか合理的に言えなくなってきたというところが私どもの考え方でございまして、この患者さんがふえている、これはもう間違いないわけでございまして、その患者さん自身がその一定の指定地域の中で云々という合理性があるかどうかというところに議論が絞られてしまったわけでございまして、私どもやはり患者さんがふえているということについてはそれなりに受けとめているものでございます。
○岩垂委員 これは割り切っちゃって解除しちゃうわけでしょう。これから患者は出ないというふうに判断するのですか、これから患者が出た場合、どうなさるおつもりなんですか、その点をお答えをいただきたいと思います。
○目黒政府委員 もちろん私どもは、過去も出ておったわけでございますし、現在も出ているわけでございますし、それからこれからもぜんそく等の患者さんが出てくる、あるいは発病してくるということについては、これはもうそのとおりだと思っておるわけでございますし、発病してくるというふうに私ども考えているのは当然でございます。 問題はやはりこの大気汚染との因果関係で、やはりその辺が、補償をするほどの合理性があるかどうかというところが、先ほど来御指摘いただいた点を含めまして一つの議論になっているところでございまして、この点について、私どもは専門委員会報告等を踏まえた中公審の答申を尊重いたしまして、やはりこの辺の合理性がなくなってきたというところに一つのポイントがあろうかと思っておるわけでございます。 したがいまして、患者さんがふえているということは私どもも当然そういう事実というものを受けとめているのでございますし、また先ほど来申し上げますように、四十一指定地域以外にも全国で患者数はふえてきているということはまた事実なのでございます。
○岩垂委員 目黒さん、お医者さんだからわかると思うのですが、低濃度で長期暴露をした場合に、慢性影響の、遅発性といいましょうか、十年ぐらいたって出てくるというケースについてどのように御判断をなさっていらっしゃいますか。
○目黒政府委員 御指摘のような、かつて非常に激甚な大気汚染のある地域に住んでいた方々が、十年とか五年とかある一定の年月がたってから後で発病してくるという点についてはどうかということですが、これにつきましては、専門委員会報告等を踏まえまして、審議会の中でも御議論があったのでございますが、この点についてはそのようなことは立証されてないというふうな結論でございます。私どももその専門委員会の結論を受けとめまして、そのように考えているところでございます。
○岩垂委員 立証されてないから私どももと言わぬで、あなたがお医者さんだからと言った意味は――患者を診たことがあるかどうか知りませんけれども、そういう現象というのは現実にあるわけですよ。かなり時間がかかって、地域から離れて、そして診てみたら公害病であったというケースがあるわけですよ。こういうのは、こういう方方は、今度は切られちゃうわけですね、実際問題として。こういうことはどうかという点も指摘しておかなければならぬのです。 それからもう一つは、科学的な知見が進んできて、例えばがんなどの疾病が起きる可能性というのがあるという点もかなり指摘をされたいろいろなものがございますが、そういう点はカバーしていらっしゃるのですか、これで。
○目黒政府委員 がん等の問題につきましても、これは専門委員会報告の中では今後研究を続けるべき一つの課題ということで出ているのでございます。
○岩垂委員 これはちょっと順序が変で申しわけないのですが、加藤さん、あなたの問題ですけれども、サーベイランスの項に、再び著しい大気汚染が引き起こされる懸念も完全には払拭できない、万一の事態が発生をすれば直ちに行政措置をとる必要があるというふうに述べておられますが、行政措置というのは、また再び地域指定をすることだというふうに考えてよろしゅうございましょうか。
○加藤(陸)政府委員 先生のお尋ねは、前提条件をどういうふうに考えてお答えすべきか、今ちょっと考えておったところでございますが、先生御承知のとおり今回の答申の中で公害健康被害補償制度というものは存続すべしと言っております。その趣旨は十分体していくべきものと思っております。 サーベイランスで云々というところになりますと、私ちょっと技術的な細部にわたるお答えには適当ではございませんけれども、考え方として申し上げますと、そういうものだけを目的にしているものとは思わないわけでございますが、しかしいろいろな調査なりあるいは知識、経験なりによって、世の中の今後の推移でございますのでいろいろなことがないとは言えないわけでございますが、その場合の適切な措置は行政庁としてはとらなければならないと考えております。その中の態様はもちろん一つだけではないと思いますが、いろいろな形のものがあり得ると考えております。
○岩垂委員 加藤さんの答弁になるとどうもなかなかまともでないのですな。万が一事態が発生すれば直ちに行政措置と書いてあるわけですから、それは万が一だろうと思います。だけれども、その場合は再び地域指定という考え方に立つのでしょうねと、また現実にある席上で加藤さんはこのような答弁をなさっていらっしゃることを承っておりましたので、実は私はあえてそのことを加藤さんにお尋ねしたわけでございまして、再び地域指定をすることはあり得べしというふうに考えてよろしいですね。
○加藤(陸)政府委員 そのとおりでございます。
○岩垂委員 これは変な話なんだよね。環境庁自身が大気汚染が起こるということを一方で懸念して、一方で指定地域の解除をじゃんじゃんとやっちまう、こういうことがやはり国民の非常に強い不満というものを巻き起こしてくる理由なんですよ。 率直に申し上げて、私は、この解除という話題が出てきたときに、まあ現在の指定地域の一部の解除、そして同時に自動車対策の強化というようなことが行われるか、そうでなければ現行制度を大体温存して、少し時間を置いて状況を見て、そして皆さんの御理解と御協力がいただけるようなデータをもとにして、まあそれならばというふうにしていくのか、つまり一定の観察期間を置いていくというぐらいのことは行われるだろうと、実は甘く判断していたんです。私の判断は全く間違ってしまった。まさか一挙に環境庁が全面解除なんというところまで踏み切ってしまうなどということはゆめ思わなかった。それは患者の皆さんもそうだろうと思うし、同時に恐らく公害問題に関心を持ってこられた方々というのは大体そう思ってきたと思いますよ。一挙にこういう形に持っていったことについてはどうしても私は納得ができない。 しかも、サーベイランスという項目だけれども、ひどくなったらまたやりましょう、制度は制度として残すということが明らかになりましたけれども、またそこまで指定をするということもあり得るということは、やはりそれなりの懸念を持っていらっしゃるということだと思うのですよ。だから、本来この制度というのは、環境庁が加害者である企業と被害者である患者とその間のいわば和解みたいなことを取り持った形の法律なんです。裁判でいつでも和解なんです。そういう制度の中で何か環境庁が今まで果たしてきた和解の役割というものをさっと手を引いてしまって、手を引いただけならまだいいのですよ、当事者で話ができるから。手を引いてしまって、加害者の方、つまり企業の方に免罪符を与えるという結果になってしまっているのです。こういう点はこの制度自身が、やはりこの法律案を審議する前提として私はあえて申し上げなければならぬと思いますが、率直に申しますけれども、目黒さん、こういうことを予測していましたか。私がさっき言ったような、せめて一部で、あとは自動車対策を強化する、あるいはそういうことを予測したことはないですか。
○目黒政府委員 私、今御質問の二つの点についてお答えをしたいと思いますが、後段のそういうふうなことを予測したことがあるかということでございますが、私も参りましたときに、これは中公審の御議論、拝聴をしていたわけでございます。専門委員会報告が出て、それから中公審の答申ということになってさまざまの御議論があり、さまざまの方々、関係者からいろいろな御意見を賜り、そういう中で私ども考えておったわけでございますが、やはり先ほど申し上げましたような因果関係と申しましょうか、そういう合理性ということも考えなきゃいけないな、こういうふうに思っておったわけでございます。 それで、やはりこの条件というものについては、当初ある程度の割り切りでスタートしたのでございます。しかしながら私ども、この結論の中に今の法律はそのまま残すということ、あるいは既存の認定の患者さん方にはそのまま補償を続けるといったようなこと等々を踏まえながら今の結論に到達した、この経緯については私ども議論を拝聴しながら、この審議会の意見、経過を見ながら、このような考え方もあるというふうに受けとめておったわけでございます。いずれにいたしましても、そういう中公審の答申を私も受けとめまして、一つの考えとして私ども判断をしたのは事実でございます。 それからもう一つは、このサーベイランスということなんでございますが、今申し上げましたことと若干関連はございますが、このサーベイランスシステムというのは、中公審の答申にもございますように、見直しということに当たりましてはこのサーベイランスシステムを早急に構築するということがやはり一つの非常に大きなポイントではなかろうかというふうに私は思ったのも事実でございます。むしろこのサーベイランスシステムが、長期的にかつ予見的な観点を持って地域の一定の人口集団、そういうものの健康状態とそれから大気汚染の関係といったようなものを定期的にかつ継続的に観察していく、こういうような措置、こういうサーベイランスのシステムというものはやはり非常に大切なものではなかろうか、私はこういうふうに思っておりますし、ぜひこれは進めていきたいという点では私ども一致しているわけでございます。 また、万一先ほど御指摘ございましたような著しい大気汚染の問題等ということになりますと、これは現在と過去とが違うといったような等々のことから私どもはこのサーベイランスシステムを実施いたしまして、そしていろいろな大気汚染によって起こってくる事柄を早期に把握するということが最も大事ではなかろうか、このように考えているところでございます。
○岩垂委員 まだ質問は続けますが、今まで申し上げた一つの区切りとして、現在の患者の救済は続けていくのだというお答えが今ございましたし、それはそのとおりしていくのだろうと思いますが、実は全面解除の動きを見ますと、お金を払いたくない、減らしたいという願いがありありとしてあるわけですよ。要するに、そっちの意見の方が責任という点よりも勝ったわけです。その思想でいくと、現在の患者でさえ、その制度を維持します、救済は続けますと言っても、一体どこでどうなっていくのか、やはり心配でならないと私は思うのです。 現実に、例えばある雑誌で拝見しますと、これは大阪の例でございますけれども、かつては認定申請をすれば九八%から一〇〇%ぐらいが認定された。五十四年になったら認定率が急に六七%になった。五十五年になったら六四%になってしまった。こんな極端に減るということは当然常識じゃ考えられないわけですよ。何かの手心なり手だてがあるわけです。それは、認定だけじゃなくて方針だとかあるいは等級判定などという面でも認定患者をだんだん絞り込んでいく、できればゼロにしたいというスケジュールの上で進んでいる作業じゃないのかというふうに私は思わざるを得ない。所要の財源を減らしていくということなんですからそういうことも念頭にあるというふうに考えなければならない。とりわけ経団連などはそのことをあからさまに言っている、ここで読みませんけれども。 ですから、私がお願いをしたいのは、審査会の実務を含めて、患者の切り捨てというふうなことはしない。例えばの話でございますけれども、認定要件を新しくつけ加えるとかあるいは新しい検査項目を加えるとか、そういうようなことを現実にやってきたわけです。あるいは主治医の意見というようなものを尊重しないとかいうようなケースがあるわけです。こういう恣意的なことは今後なさらない。これは、目黒さん、お約束できるのでしょう。
○目黒政府委員 先生御指摘の例、大阪の認定率でございますけれども……(岩垂委員「いや、そういう懇意的なことはしないと」と呼ぶ) そういう点についてでございますが、既被認定患者に対します補償、これは先ほど申し上げましたように、今回の改正案では、地域指定の解除後も認定されている患者に対しては従前どおりの補償給付を支給することができるように所要の費用徴収規定といったようなものを法律案で示しておるのでございます。環境庁としては、患者が健康を取り戻すことが最も望ましい、こういうことを考えておるのでございます。認定の更新とか障害等級の見直しといったような点については、先生が御指摘になるような、意図的に絞り込むといったようなことは私どもも毛頭考えていないのであります。また、従来から公正で統一的な事業をずっと行ってきているのでございまして、今後も引き続き努力してまいりたい、このように思っているのでございまして、やはり何か意図的に絞り込みを行うといったような先生の御指摘のようなことはこれまでもなかったし、今後もそのようなことはないというふうに私どもは考えておるのでございます。
○岩垂委員 これまでもなかったと言うので、私はそれを信頼し、今後もないということを信頼したいと思います。 ちょっと話が飛んで恐縮ですが、この法案が閣議決定をされた直後に、一週間ぐらいの間に環境庁と通産省の間でこの法改正に関して覚書が締結されたというふうに聞いておりますが、それはありますか、ありませんか。
○目黒政府委員 私ども、先生御指摘のような通産省とのものはないというふうに考えておりますが……。
○岩垂委員 その覚書の一項目には、今後の制度見直しに当たっては大気汚染の状況を反映して双方が柔軟に対処するという趣旨の内容がありますが、本当にないのですね。
○目黒政府委員 私ども、通産省とは先生御指摘のようなものはないのでございます。ただ、私ども法律が共管でございますから、したがいまして法律改正に当たりましては事務的にはいろいろ連絡もし、あるいは協議も行うことは当然のことでございます。
○岩垂委員 その中で、協議の中になるのかもしれません、しかし通産省は通産省、あるいは環境庁は環境庁というそれぞれのいわばどっちにも読めるようなそういう文章というのは本当にございませんか。いわゆる協議の経過についての文案を、通産省と協議した文案をお示しくださいますか。
○目黒政府委員 協議と申しましても、文字どおり担当官同士がそれぞれの話し合いをすることでございまして、私どもそのような文章については承知をしておりません。
○岩垂委員 環境庁は、大気汚染がひどくなったような場合には再度地域指定を含む前向きの対処を想定をしていたけれども、通産省の方は通産省の方で、逆に一定の時期を置いて制度の再縮小を想定している。例えば既被認定患者が減った場合、一万人といったふうになった場合にはこの制度の廃止を考えている、そういうやりとりというものはございませんでしたか。
○加藤(陸)政府委員 ちょっと私の方から、これは行政の運営の実態並びに常識的なことを踏まえて先生御質疑のように存じますので。 いろいろな議論は確かにあり得ると思いますが、考え方というものもいろいろあり得ると思いますし、両省で考え方をまとめていくわけでございますので、これは確言申し上げますが、そういうことを決定といいますか、こういうことにしようやというので確定といいますか、そういうことはございません。これは断言いたします。議論は、これは前も、今後だっていろいろあり得ると思いますけれども、そういうことにしようやというわけには、これはもともとそこでもしそう決めたとしてもそういくかどうかわからない話でございますので、いずれにいたしましてもそういうものはあり得ないわけでございます。ただ、共管官庁でございますから議論はいろいろといたしますし、今後ともいたします。
○岩垂委員 通産省も環境庁のお答えのとおりですか。御答弁を願います。
○安藤説明員 お答えいたします。 ただいま先生から御指摘のあったようなことについては我々存じ上げておりません。ただ、法の運用等についていろいろ相談を受け、我々も御意見具申し上げたことはございます。
○岩垂委員 少し中身の議論をする前に、私何回か中公審のあり方についていろいろ御意見を申し上げてきたことがございます。 具体的に人の名前を挙げるのは大変恐縮ですけれども、例えば環境保健部会の委員の中に岩村さんがいらっしゃる。経団連の環境安全委員会の委員長。この方は、聞くところによれば川鉄の代表者だ。川鉄は、御存じのように今千葉と岡山の倉敷で裁判の当事者になっている、被告になっている。鉄鋼連盟立地公害委員会の委員長小林さん。この方も環境保健部会の委員の一人に入っていらっしゃる。御存じのように鉄鋼関係というのは今まで大気汚染の主たる原因の一つでございました。あるいは自動車技術会の常任理事だとか日本商工会議所、まあ商工会議所はちょっと性格が違うだろうと思いますが、そういうところの団体の代表が入っていて被害者の代表が一人も入っていない、何とかしなければいかぬじゃないかと何回か申し上げてきたことがございます。 ところが、今日に至るもその事態は改善をされていない。のみならず、私大変意外なのは、今あっちこっちで、例えば四十三号線の道路公害だとか、千葉の川鉄の大気汚染の訴訟であるとか、西淀川の大気汚染の訴訟だとか、あるいは最近私の選挙区の川崎の大気汚染の訴訟などに企業側の証人として有名な学者の先生が名を連ねていらっしゃる。実はこういう方々が例えば専門委員会のメンバーの中に入っている。こういうやり方はやはり考えないと、加害者プラスアルファみたいな形で議論をしていく、それが専門委員会の結論でございますという形、まあ専門委員会の中では真摯な議論が行われたことは私なりにも理解はしますけれども、こういう問題はどこかで改めていかないと、これは中公審自身あるいは各部会を含めて国民の信頼というか、とりわけ患者の皆さん、被害者の皆さんにとってみれば、何とも我慢のならぬことだと思うのです。加害者が山ほどメンバーの中に加わっている、被害者は一人もいない。出てくる結論ははっきりしていますよ。例えばそれが科学的に導かれた結論であったとしてもやはり疑いたくなりますよ。まさに李下に冠を正さずという言葉じゃないけれども、こういう中公審のあり方というものをどこかで――今までのことを言っても仕方がないと思いますけれども、実は今までのことを言いたいのですよ、何回か言ってきたから。 環境庁長官、中公審のあり方について、例えば被害者の皆さんの気持ちを十分代弁できるようなそういう仕組みに改組するというか、そういうふうに考えていくことについて、これは長官の決断にもかかわる問題でございますから、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
○目黒政府委員 先に事務的にちょっと御説明させていただきます。 今の先生の御指摘の点につきましても従来からお答えはしていることでございますが、この中公審の委員と申しますのは学識経験者でございますし、また特に大気汚染による健康被害についての研究者や患者の認定などに従事しておりますお医者さんも入っていることは先生御承知のとおりでございまして、そういう点も含めまして、そういう方々から患者の実態を十分に踏まえた、患者の方々の意見というものもそこで出てくると私どもは考えておるのでございます。 それからまた、この総会の結論も、先生御承知のようにいろいろな意見のある中で総意としてまとまったということは、十月三十日に会長が談話を出しておりまして、その中でも、先生御指摘の、一方に偏った意見だけということではございませんで、意見についてはいろいろな意見がある中でまとめたんだという趣旨のこと、またこういう点に留意しなければいけないというふうなことも含めて会長の談話というのも出ているのでございまして、もちろん先生御指摘の部会の構成という御意見もありますけれども、専門委員会、部会、それから総会というような手順を踏んでまいってきたというのが経緯でございます。
○稲村国務大臣 中公審のメンバーの構成につき、岩垂議員の御意見、十分承らせていただきます。 しかし、今私大気汚染による健康被害についての研究者、患者の認定などに従事している医師等の意見を十分尊重し、公正な結果が生まれるように、私どももそういう配慮をしていかなければならない、こういうふうに思い、今のままでも十分患者さんの意見も生かされているというふうに考えております。
○岩垂委員 思っただけじゃだめなんで、思われる方が納得しなければだめなのでして、やはりこの種の委員会の運営に権威を持たせるためにも、これは私は利害関係人という立場でなくていいと思うのです。もうちょっと広い立場で、患者の中にもやはり医学的な知識や科学的な認識を持っておられる方もいらっしゃるわけです。そういう人たちが入ることによって、それは何対何という議論になれば話は別ですけれども、これはやはり中公審の公正のあかしというものだというふうに私は思うので、長官、ぜひその点を検討する、私が言いっ放しで何回か言ってきてもさっぱり壁が厚いものですから、この辺でこれらの問題に関連をして検討するということをぜひお答えをいただきたいと思いますが、いかがですか。
○稲村国務大臣 今後の課題として、先生の意見を踏まえて検討いたしたいと思います。
○岩垂委員 目黒さん、鈴木武夫先生という先生をどのようにお考えですか。
○目黒政府委員 このような席で特定の先生方について私ごときがどうこう言うというふうなことはとても僭越でございますので、差し控えさせていただければな、こういう気持ちでおります。
○岩垂委員 公害問題にかかわった人なら、あの先生が残された業績やその実力というのは、もはやどんな方でも認めておられるだけでなしに、尊敬をしていると私は思うのです。公害という言葉自身があの先生が命名をした言葉だと言っても差し支えないほどの歴史的なやりとりを担ってこられた方ですよ。だから差し控えるのではなしに、やはり後輩として先輩に対する尊敬の念や畏敬の念を表明することは当たり前じゃないでしょうか。その点はどうですか。
○目黒政府委員 私ども後輩としても当然そのようなことは考えておりますし、そういうふうに信じておるのでございますけれども、それをこういう席でというのは、私ども、さっきも申し上げましたように、大変何か僭越のような気がいたします。先生が御指摘のようなことも、当然私ども医学を学ぶ者の一人として考えているのは当然でございます。
○岩垂委員 その先生が、とにかく専門委員会の委員長をお引き受けになったときの苦しい気持ちを含めて、しかし、それにもかかわらず、科学の立場あるいは先生の研さんなさったいわば学者としての良心といわれるものを精いっぱい生かし続けようと努力なさったことについて、私は何人といえども耳を傾けるべきだと思うのです。いろいろなことをお書きになっていらっしゃる中で、どうも鈴木先生がお考えいただいたこととは違う方向に行っているなということを御指摘いただいているさまざまな文献がございます。裁判所における証言もございます。少なくとも中公審の専門委員会の委員長という立場をお引き受けになって、高齢を顧みずに頑張ってこられたその人の言葉の重さというものを、環境庁はもう少し謙虚に、誠実に対応すべきだと私は思いますけれども、その辺は、これは目黒さんでなくてやはり長官に承らなければいかぬな。
○目黒政府委員 もちろん、私ども審議会の専門委員会の委員長としてお願いをしたのでございますから、私どもは当然それなりの敬意と信頼を持ってお願いをしたのでございます。また、先生は十分各分野の専門的な知見を踏まえまして、このような結論を出されたのでございます。もちろん、専門委員会あるいは各界の中でいろいろな御意見もあったろうと思います。また、事実私も耳にしたものもございますけれども、そのようなものをまとめられて、そして一つの報告を出されているのでございます。したがいまして、この鈴木先生の専門委員会報告というものを私ども十分尊重し、また審議会も、中公審もそれを尊重し、踏まえてこのような御意見になったのであるというふうに私ども認めているのでございます。私どもも当然そのように考えておるのでございます。
○岩垂委員 じゃその専門委員会の報告について少しお尋ねします。 報告書の二百五十四ページから二百五十五ページにかけて、大気汚染の状況について、「我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であると考えられる。」という記述と、要約をすると、二の「現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないと考える。しかしながら、昭和三十~四十年代においては、我が国の一部地域において慢性閉塞性肺疾患について、大気汚染レベルの高い地域の有症率の過剰をもって主として大気汚染による影響と考え得る状況にあった。これに対し、現在の大気汚染の慢性閉塞性肺疾患に対する影響はこれと同様のものとは考えられなかった。」という、さっきもやりとりしたのですが、そういう記述が専門委員会の結論だというふうに、うんと圧縮して言うと、考えてよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 先生おっしゃったとおりでございまして、この二百五十四ページから二百五十五ページに至るところが、専門委員会の報告の一つのポイントでございます。
○岩垂委員 じゃ、現在の大気汚染の状況はどのような状況になっているか、ちょっと概括的にお答えくださいませんか。非常に大ざっぱで結構です。
○長谷川(慧)政府委員 一般測定局は全国に千三百九局あるわけでございますが、この千三百九局のうちに環境基準のゾーンでございます〇・〇四から〇・〇六の範囲内にありますものが全体の二一・六%、〇・〇四ppm以下のところが七六・九%、それから〇・〇六ppmを超える局は全体の一・五%というのが六十年度におきます一般局の測定結果でございます。 なお、自排局につきましては、同じような割合でございますが、〇・〇六を超えますところが全体の二三・二%、それから〇・〇四から〇・〇六の間が五八・二%、〇・〇四未満が一八・六%という全体の概況になってございます。
○岩垂委員 局長、NOxだけ聞いたのではなくて、SO2もあるいはSPMも同じように言ってくださいませんか。大ざっぱで結構です。
○長谷川(慧)政府委員 どうも失礼いたしました。 まず二酸化硫黄につきましては先生のお話にございましたので省かしていただきますけれども、SPM、浮遊粒子状物質につきましては、環境基準の達成率を見ますと、六十年度は全般的には五二・一%というぐあいになっておりまして、依然として低い状況にあるというぐあいに考えております。
○岩垂委員 こういうことを仮定のことで申し上げて恐縮なのですが、いろいろなやりとりを本委員会でした経過がございますからあえて申しますと、NO2というのを、仮に昭和五十三年の改定前の基準である日平均〇・〇二ppmというふうに抑えたら、全国の環境基準達成率というのはどんなことになっているだろうか。これは推定で結構ですが、長谷川さんの御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川(慧)政府委員 御指摘の、旧環境基準でございます〇・〇二ppmをベースに置いて数値を見てまいりますと、〇・〇二ppm未満は六十年度におきましては一九・六%、それから五十九年度が一八・一%という結果になっておるところでございます。(岩垂委員「これは一般でしょう」と呼ぶ)二酸化窒素の年間九八%値の分布の状況をランク別に分けているわけでございますが、〇・〇二未満が全体で一九・六%、それから〇・〇二から〇・〇六の範囲内が八一%ぐらいという形になっております。
○岩垂委員 旧基準だとほとんど達成できませんね、実際問題として今御指摘いただいた数字をもってしても。 長いやりとりの経過で申し上げるのは恐縮なのですが、実は、環境基準を緩和したときに、私は随分この委員会でやりとりをいたしました。それで、率直に言って、あのときの状況を言えば、私ども強く反対をし、抵抗したのですが、環境基準の緩和というのは、しかも中公審にもかけない形で緩和されましたね。そのときに、私ちょっと考えたのですよ。恐らく、NOxについて、環境基準を一方で緩和しながら、しかしとりわけひどいところ、例えば東京とか、あるいは大阪でいえば西淀みたいなところ、これはNOxについても地域指定をしなければいかぬぞ、あるいは救済措置を講じなければいかぬぞということが念頭にあって、これが数字はともかくとして念頭にあって、いわば緩和の言いわけとして、言いわけと言ったら言葉が過ぎるかもしれません、皆さんの側から見ると。私どもはそう受け取るけれども、やはり緩和をしてきたというふうに思うのです。というのは、この昭和四十八年の国会におけるやりとりを見ますと、例えば、自動車重量税というのは何ですかと言ったら、これははっきりNOxです、NOxに対する負担ですと船後さんが答えているわけです。これは議事録を見てもいいですよ。それから、もっとはっきり言うと、橋本さんは、もう二、三年たてば健康被害補償法のルートにのせられます、のせるつもりですという答弁さえきちんとなさっていらっしゃるのですよ。 だから、前後いたしましたが、緩和ということと、最初にNOxも早くやらなければいかぬというのは、これは橋本さんの答弁、四十八年ですから、ずっと来た。ところが、環境基準がなかなかクリアできない。だから緩めた。緩めたが、緩めたものの、それだけでは済まないぞ、そこらあたりから、沿道についての地域指定なりあるいはそれに伴ってのいわば補償措置というものを考えざるを得ないな、この文脈の中で環境庁は来ているのですよ。皆さん方まだ環境庁にお見えになる前のことですから、それなりの抑え方というものを、今私は振り返ってみて考えることができるのです。環境庁はそういう認識に立ってやってきたというふうに、私の今の言い方というものをお認めいただけますか。
○長谷川(慧)政府委員 先生のお尋ねに直接お答えになるかどうかわかりませんけれども、五十三年のNO2の環境基準の改定に当たりましては、たしか先生と当時の橋本局長との間でいろいろな議論を国会の場でおやりになったということも私ども承知いたしておるわけでございますが、その当時におきましても、環境基準の改定と申しますのは公対法、公害対策基本法の趣旨にのっとりまして当時であります科学的根拠となる判定条件等について中公審で御審議をいただいたものでございまして、その時点の科学的条件といいますものをいろいろ検討した上で、その科学的知見に乗っかってこの新しい現在の環境基準は国民の健康を適切に保護できるという判断のもとにつくられたものでございますので、そういう面で、先生、緩める、緩和するというお言葉をお使いになられたわけでございますが、数字の上からいったら確かに〇・〇二から〇・〇四ないし〇・〇六というゾーンという形になっておるわけでございますが、その基準値そのものにつきましては科学的根拠に基づいて国民の健康を適切に保護できるという判断のもとに基準をつくられたものだというぐあいに思っているところでございます。 そういうことで、それ以降、大気局といたしましては、この環境基準を守るべく、単体の自動車個々の規制なりあるいは工場等の固定発生源に対する規制なり、あるいは最近でございますけれども、交通流の検討といいますものをいろいろやりながら、何とか早く環境基準の達成に向かって努力いたしているところでございます。
○岩垂委員 私の言っているのは、環境基準緩和のときの橋本さんとのやりとりじゃないのですよ。昭和四十八年のこの法制定のときの橋本さんとのやりとりなんです。それは、例えば、これは自民党の当時の理事をやっていました菅波さんがNOxを大気汚染の物質とすることについての見通しはいつごろと考えているか、こういう御質問をなさっていらっしゃいますよ。それに対して橋本さんは、 NOxのほうはまだ早いのではないかということでございますが、この点につきましては中央公害対策審議会の医療分科会あるいはこの審議会の費用負担部会において非常に熱心に御検討になったところであります。その検討の結果を申し上げますと、確かにデータはSOxよりは少ないが、NOxの影響というものは、これは現段階においては無視できないところでございまして、そういうことでNOxも取り入れていくべきである、こういうことでございました。 こう言っているのです。 ただこの場合、いま申し上げましたように、データとして少ないということは事実でございますので、四十九年度にこの制度が発足するといたしましても、四十九年度にすぐさまSOxのほうはこれを基準として地域を組むことはできますが、NOxを主体として地域の範囲をとうきめるかということには、まだすぐさま踏み切れないのではないか。 幸いNO2につきましての環境基準がすでに設定されております。これに伴いまして、つい先ごろ、大気局のほうも規制の方針を出しておられますので、ここ一、二年のうちにはNOxを制度に載せるということができるのではないかというように考えておる次第でございます。 中公審の医療分科会、費用負担部会の審議の結果、こういう結論を出していらっしゃるわけですから。ところが、NOxの方は、それが延々とどうにもならなくなっているという状態で、もっとひどい状態になってきている。この歴史を踏まえて見るならば、私は、環境庁はNOxについてもやはり制度の中に組み入れていかなければいかぬぞ、その後私が言ったのは緩和のときのやりとり、あれは別のやりとりでございまして、長谷川さん今言ったけれども、そのやりとりはちょっと筋の違ったやりとりでございまして、そのことの延長線上ではないのですが、しかし、当時の橋本さんのお気持ちを含めて、やはりもうしなければいかぬぞ、緩和はしたが、しかしひどいところは〇・〇六というような数字のことも伺ったことはございますよ。経団連がそのような意向をちょっと表に出したこともございましたよ。自動車のことはやむを得ないよという気持ちになってきたことは事実なんです。しかし、なおかつ自動車に対する対策というものがここではない。これは、やはり環境庁として怠慢だというふうに言われても仕方がないと私は思いますが、これはいいですよ、その文脈全体、私の判断ですから、それは特定の人たちとのやりとりを通して私が知り得たあるいは認識し得た理解ですから、このことを全部オーソライズしてそのとおりでございますと答えなくていいが、環境庁の問題意識というのはこの辺にあったな、にもかかわらずそのことに至ってないのは怠慢ではないかとあえて言いたいというふうに申し上げたいわけですが、その点とう思っていますか。
○目黒政府委員 今先生御指摘の橋本審議官の答弁があったわけでございますが、確かに制度の発足当時にNOx等を指標といたします指定等といったようなことはこの制度の重要な課題としていろいろ質疑もされたことでございます。私どもは、その後環境庁といたしましては、先生もちょっと触れておられますけれども、諸般の調査とか研究とかというものはしてきたのも事実でございます。いろいろ私どもなりのATS調査等もしてまいりましたし、そのほかの研究等々を集めまして、そして専門委員会報告ではこのNOxを含めていろいろ御議論を賜ったこともまた事実でございます。これは三年、四十二回というこの流れの中でしているのでございまして、急に諮問の当時からということではございませんで、その前からいろいろ調査研究をなし、あるいはその前の時点で行われていた研究論文とか、そういうものも集めながらこれに私ども取り組んでまいったのでございます。その結果今回の中公審の答申になったというような一つの経緯がございます。そして、この中公審の答申の中でもやはり局地的なものということで大きくとらえておりまして、先ほど御議論をいただきましたサーベイランスを行うべきであろうといったような一つの御提言もこの延長線上の一つの結論ではなかろうかというふうに私ども受けとめているのでございます。 以上、お答えになったかどうかわかりませんが、そういうふうな経緯と考え方を示唆しているところでございます。
○岩垂委員 過去のやりとりをいろいろしていても仕方がないと思うのですが、私はどうもそういう受けとめ方を実はしていたのですよ。だから、国会で附帯決議なんか扱うときにそれらのことも踏まえて多くの点で私が文章を書かせられたこともございましたけれども、そういうやりとりを踏まえてやってきたつもりなんですが、行けども行けども、行けば行くほど遠くなるという感じがしてならなかったのであえて申し上げたわけでございます。 ちょっと本論というか、専門委員会の答申に戻りますが、「現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないと考える。」と書いてありますね。これは現在の大気汚染の状況が健康との関係でまだ危険な状態にあると受けとめていい言葉遣いでございましょうか。
○目黒政府委員 この辺の専門委員会の御審議の経過等からあるいは報告等から見てみますと、私ども、この文章はこの現状は望ましいものだというふうに考えているのではないと受けとめているのでございます。むしろこの大気汚染というもの自体と健康との因果関係ということではいろいろな御意見、考え方があろう、しかしながら現在の大気汚染の状況というのは好ましいものではないというふうに考えているということは、私どもそのように受けとめておるのでございます。
○岩垂委員 もうちょっとまじめに答えなさいよ。 影響を及ぼし得る可能性というものを否定できないというのですから、影響があるというふうに見ていいかと素直に聞いているのですから、それに対してそう思っていますなら思っていますというふうにお答えいただければ結構です、別に揚げ足を取るつもりはございませんから。
○目黒政府委員 御指摘のとおり、その可能性については報告で触れておられるとおりでございます。
○岩垂委員 先ほども読んだのですが、「しかしながら、昭和三十~四十年代においては、」という部分は、どういうふうに解釈すればいいのですか。
○目黒政府委員 やはり、先ほど来時々議論に出ておりました、昭和三十年代、四十年代という非常に激甚な公害のあった時点と現在とは違う、こういうふうに私ども受けとめているのでございます。
○岩垂委員 昭和三十年代、四十年代の大気汚染の状況と現在の大気汚染の状況とを比較して、現在の方が健康との関係で汚染の状況は改善されたというふうに言えるわけですか。
○目黒政府委員 そのとおりでございます。 その当時の状況といいますのは、先生御承知のとおり、SOxについては、先ほど申し上げましたように大変な状況でございましたし、あるいはNOxについては若干横ばいというふうな感じということで、特にSOxを含めて当時とは非常に大きな遠いがあったということは事実だというふうに私ども受けとめておるのでございます。
○岩垂委員 NOxについては、改善をされないで横ばいなんですね。だから、非常に改善されたという言葉は、言葉遣いとしてもちょっと科学者のお言葉とは受けとめない、私はそういうふうに思います。 この専門委員会の報告の中に、「しかし、燃料消費事情、汚染対策、発生源の変化、特に交通機関の構造変化によって、我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であると考えられる。」というふうになっていまして、つまり、汚染の質が変わったというふうになっているわけです。これは御存じのように、SO2よりもNO2あるいはSPMの方が人体に対しては有害ではないかというふうなことも言われているわけでございますけれども、健康との関係でいうと、こっちの方が深刻になっているということは健康との関係が改善されたとは言えないと思うのですが、どうですか。この文章を素直に読んで、私はそういうふうに受けとめてよろしいでしょうか。
○目黒政府委員 この専門委員会報告の今先生が御指摘になった点でございますが、少なくともSOx、二酸化硫黄、二酸化窒素、それから大気中の粒子状物質、この三つが代表的なものとして考えてよろしい、またいろいろな科学文献とかいろいろな考察、知見等も、ほかにいろいろあるけれども、やはりSOxとかNOxというふうなもので代表されるという趣旨のことをまず書いているというふうに受けとめているのでございます。 次に、全体を総体としてとらえたものとして、私ども先ほど来申し上げておるような影響を及ぼしている。この影響は、その後に「昭和三十~四十年代においては、我が国の一部地域において慢性閉塞性肺疾患について、大気汚染レベルの高い地域の有症率の過剰をもって主として大気汚染による影響と考え得る状況にあった。これに対し、現在の大気汚染の慢性閉塞性肺疾患に対する影響はこれと同様のものとは考えられなかった。」というように書いてございますが、この点については、私ども、この文章にありますように、当時と今と状況が変わったというものとして受けとめているのでございます。
○岩垂委員 本文の中に、昭和三十年代、四十年代の疫学調査と現在の疫学調査とを比較検討をしてそのようになったのですか、そういう部分はありますか。
○目黒政府委員 昭和三十年代、四十年代にこのSOxを中心といたします大気汚染が非常に強い健康影響を与えて被害を出している、こういうことについてはもう当時のいろいろな文献、報告あるいは臨床的な知見等々から見て当時の常識だったわけでございます。また、そういう状況を知り、あるいは各種の調査に参加された方々、この主な方々が専門委員会に入っておられるわけでございます。そういう専門委員会がそういうものを全部承知しておられる、あるいはそういうものをディスカッションされる方々が入った上でこのような結論に到達したのでございます。したがいまして、特に文章の上でどうこうということではなくて、この専門委員会の先生方の中では今申し上げたような状況というものは常識的というと言葉がいかがかと思いますけれども、そういうものについては先生方が承知しておったものをもとにして現在の状況について述べられたものと私ども理解をいたしております。
○岩垂委員 どうも、先生方の頭の中で考えたことでそうなったのが常識的に考えたものだと言われても、これは困るんだな。そういうものは直接的なものでなければ困るのですよ。その点はどうなんですか。直接的な資料というものはなかった、ただ専門委員会の先生方の頭の中にあった、それで常識的に対応したということですか。
○目黒政府委員 当然そのころのいろいろなデータなりいろいろな報告がございましたから、そういうものは先生方も読んでおりましたし、それを文章として専門委員会報告の中に何々によればというふうな形で表現はしてないのは事実でございますけれども、そういう文献は当然ありましたし、そういうふうな文献を中心にしたやりとり等も当然専門委員会の中ではあったものと私は理解をしております。また、そういう報告をもとにしてさらに新しい知見というものを求めて、いろいろなその当時なかったものを求めて集めていた結果が今言ったような科学的知見になったわけでございますので、その辺は私ども、今申し上げたように、頭の中にあったから云々というふうな意味でございませんで、やはり先生方は当時の文献をきちっと踏まえ、データも踏まえた上でこのような結論に到達された、こういうふうに理解しております。
○岩垂委員 比較対照するわけですから、先生方は常識的にそういうふうに承知していることと考えるというのじゃなしに、やはりデータはデータとして客観的な判断にたえるようなものは出さないと、三十年代、四十年代というとかなりもう時間が経過していますから、少し恣意的にやられたのではないかというふうに考えられる余地はあると思いますので、それはやはりいろいろ問題が残っているなと言わざるを得ません。 三十年代、四十年代の疫学調査と今回の検討の対象となった疫学調査とは、対象者の選定方法や対象者数あるいは調査の地区だとか数だとか、調査の方法というのも違っていて、単純には比べられないのじゃないかという説も実はあるわけです。だから、そういうことになればなるほど余計それに対して答えができるようなきちんとしたものでなければならないと思うが、資料が過去のものと、現在のものはいろいろあるかもしれませんけれども、どうも比べることの根拠が疑わしいなと言われていることについて、どのように思いますか。
○目黒政府委員 疫学調査あるいはそのほかのいろいろなデータが法制定当時あったことは事実でございます。これはいろいろディスカッションをされておりますし、当時も学会等で報告したり、いろいろあるわけでございます。そういうものと、それから特に手法が当時は御案内のようにBMRCといったような一つの手法をとっておりましたし、それから今はそれに対応したATSというようなものになっているとか、あるいは大気汚染そのものの把握の仕方もいろいろ変わってきていることは事実でございます。さらに、新しい動物実験とかいろいろなものを含めました科学的な知見というものも加わってきたわけでございますので、単純に今先生御指摘の疫学調査のいろいろな細かな内容等々について合ってないとか、あるいは同じものがないということだけではなくて、もう少し幅広く総合的な観点から御判断を下されたものと私どもは理解していたのでございます。
○岩垂委員 先ほど今回の専門委員会の資料の議論の対象になった環境庁の二つの調査の年齢構成のことは触れましたからそれ以上は言いませんけれども、そういう点でもいろいろな問題が今の議論の延長線上にあるのですよということをあえて申し上げておきたいし、その点はあなたとのやりとりの中でも問題は残っているなと私は思います。 では、専門委員会報告の留意事項のところ、一の「検討の対象としたものは、主として一般環境の大気汚染の人口集団への影響に関するものである。したがって、これよりも汚染レベルが高いと考えられる局地的汚染の影響は、考慮を要するであろう。」二として「従来から、大気汚染に対し感受性の高い集団の存在が注目されてきている。そのような集団が比較的少数にとどまる限り、通常の人口集団を対象とする疫学調査によっては結果的に見逃される可能性のあることに注意せねばならない。」二つ書いてありますね。この最初の方の「局地的汚染」というのは道路、沿道の汚染の問題というふうに見てよろしいですか。
○目黒政府委員 この留意事項の中で「局地的汚染」、これにつきましては先生おっしゃったとおりの幹線道路等々といったような道路、沿道の問題というふうに私ども受けとめておるところでございます。
○岩垂委員 二番目の「大気汚染に対し感受性の高い集団」というのは何を指していらっしゃるのですか。
○目黒政府委員 留意事項に示された「感受性の高い集団」といいますものは、私どもこの報告から承っているところではかなり学問的なレベルのものでございまして、通常の疫学調査において検出し得ないような少数の集団というものがある、こういうことがあり得るというふうなことでまずそういう集団を考えているのでございます。この集団というのは、児童とか老齢者とか呼吸器疾患の患者等は疫学調査においては通常配慮されている集団でございますからいろいろ入ってくるわけでございますが、それにもひっかからないようなものがあり得る、そうすると、通常の人口集団を対象といたしました疫学調査によっては結果として見逃されてしまうような可能性のある集団というものが学問的に見ると、一つの仮説というほどでもないけれども、一つの考え方としてあり得るということを指摘したものでございます。したがいまして、この専門委員会報告で指摘している「感受性の高い集団」ということは、そういう非常に感受性の高い今までのいろいろな調査とかいろいろな知見でひっかからないようなものにも配慮しなければならないというふうなもので、こういうものがあるかないかを含めて今後とも研究しなければいけない、こういうような趣旨の留意事項というふうに私ども考えているのでございます。
○岩垂委員 感受性の強い集団というのは児童だとか老齢者だとか呼吸器疾患の患者を指すわけではないのですね。
○目黒政府委員 この専門委員会報告の留意事項で示しましたのはそうではございません。先ほど申し上げましたように、そういう通常の調査でひっかかってこないものがある、そういうものについても留意しなければいけないというものでございます。これは、私もその点いろいろ御質問あるいは御指摘等も過去にございましたのではっきり確かめましたところ、そういうものであるということで私ども理解をいたしております。専門委員会報告にもそのように記載されているのでございまして、児童とか老人というものを指すものではないのでございます。児童や老人や例えば過密地帯とかそういうものも当然入ってきてしまう、そういうものは調査の対象になるから幾らでも対策の立てようもあるけれども、そういうものにひっかかってこない、これは言葉が適切でないかもしれませんが、例えて申し上げますれば体質に近いような形のものが何かあるのかないのか、そういう何か調査にひっかかってこないようなものも今後とも留意して研究していかなければいけない、こういう趣旨であるというふうに私ども伺っております。
○岩垂委員 そういうのは原因というのは一般的には何だととらえられた上で言っているのか、それとも漠然として何が何だかよくわからぬがそういうことに配慮しなければいかぬというふうにおっしゃっていらっしゃるのですか。
○目黒政府委員 これは原因としていろんなものや考慮すべき因子というものはあるけれどもそういうものにひっかからないという、何が何かわからないという意味が果たして適切かどうかわかりませんが、そういうような範疇に入るようなもので今後これについて例えば調査の方法の中でつかまえられるようにしなければいけないとか、そういうふうな今後の研究課題だということで指しておられるものでございます。
○岩垂委員 東京都の調査というのがあって、特に幹線道路の問題、これは調査の中身を私ちょっと要約して言うと、幹線道路からの距離に依存して呼吸器症状有症率に差が生じているとみなすのが妥当であること、それから年齢、居住年数、喫煙状況など呼吸器に関連すると見られる要因別に検討しても有症率は同様の傾向を示していたことから得られた有症率の差をそれらの関連要因の差によって説明することは困難であること、すなわち、大気汚染(自動車排ガス)以外に原因の考えられないこと、それからその次に、幹線道路から五十メートル以内の乳幼児において呼吸器疾患の罹患率が高く、症状もやや強い傾向が見られたとされている、このように受けとめてもよろしゅうございますか。
○目黒政府委員 この東京都の調査につきましては、二つのことがございます。一つは東京都の調査自体が単一の調査ではないということですね。五十二年度から調査全体はやっているわけでございます。調査の目的としては窒素酸化物を中心とする複合大気汚染の健康影響を科学的に解明するという目的で始めまして、一つは症状の調査、それから一つは疾病の調査、三つ目が患者の調査、四つ目が死亡の調査、それから五つ目が基礎的な実験的な研究、この五つから組み立てられている調査でございます。 この調査でそれぞれ今、先生がおっしゃいましたことを含めまして報告が出ているのでございますが、その報告につきまして、さらに東京都の公害衛生対策専門委員会、これは東京都の審議会に相当するようなレベルのものでございますが、この専門委員会がその調査について評価をいたしております。 その評価の概要を見てみますと、この専門委員会では、幹線道路からの距離に依存して呼吸器症状の有症率に差が見られることから自動車排出ガスの影響が示唆されたことなどが注目されるとした上で、窒素酸化物等を中心とする複合大気汚染と健康影響との関連を示唆するものであると思われると評価しているのでございます。しかしながら、ただしとつけておりまして、大気汚染と健康影響との因果関係については未解明な分野が残されているので、なお調査し検討を加える必要があるということで、五つの調査報告全体につきましては、どちらかというと因果関係その他ということにつきましては相当未解明なところが多いという趣旨の委員会の報告が出ているのでございます。
○岩垂委員 これはいろいろ読み方がありますから、どの部分をどういうふうに強調するかということになると思うのですけれども、やはり沿道の健康被害というものがもはや放置することができないということを裏づけるようなデータだと私は思います。それは大方の皆さんもそのことをお考えをいただいていると思うのです。 問題は、私実はこの委員会で質問したことがございました。東京都の結論が出たじゃないですか、それは中公審の議論の中で十分反映されるのでしょうねと。ところが、東京都が三月に発表すると言ったら環境庁がそれはちょっと待ってくれというやりとりがあった。いやそれはなかったとあなた方は答えたけれども、あった、なかったという議論がありました。それで結果的に五月に発表ということになったわけです。五月に発表ということになったときには既に専門委員会の議論というのは結論が出ていて、それにのせることはできなかった。しかし、あり方委員会の中ではそれは検討したとは言いながらそれを見事に切り捨てた、こういうことなんですよ。いや、これは事実の経過なんです。だから、私はやはりその辺のところはしっかり皆さんに受けとめていただきたいと思うのです。本当のことを言ったら、東京都のあの調査の結果というものをもうちょっと真摯に受けとめて、中公審の議論、専門委員会の議論の中にそれをのせていくぐらいの時間的なあれはあったはずですから、それをのせて、その上で、しかしなおかつというならなおかつでしょう。そこのところを時間的な競争で先に駆け抜けちゃって、片方はちょっと黙ってろと言っておいて――言ったか言わないかは別として、その辺のところはそれ以上言いませんけれども、とめておいて、専門委員会の答申だけ走った。しかし出ちゃった。いろいろ意見が出た。したがってこの議論というものはあり方委員会で議論をしましたとは言っているが、実際はどのように生かされたかということについても跡形もない、こういう感じなんですよ。 そこで、私はぜひこの際一つの要望というか意見を申し上げたいと思います。本当はこれは撤回してほしいのです。やり直してほしいのです。しかし、先ほどのやりとりの経過を見るとそういうお気持ちはないようです。 まだ時間があればいろいろやりたいのですがもうだんだん時間もなくなってしまいましたから、ある種のまとめみたいな議論に入りたいと思うのですけれども、中公審の議論からあり方委員会に至る経過、この中でもいろんな問題がある。疑わしきは救済するじゃなくて疑わしきは払拭できない、不明朗さがある。その上に地方自治体に対する諮問の手続や方法などについても問題がある。歴史的な経過を振り返ってみれば、NOxの指定ということは待ったなしの課題として環境庁が背負っていたはずだ。改善の措置が全く見られない、にもかかわらずその辺のところは時間がいたずらに推移してきている。それなりの努力はなさったこともわかりますが、その努力の効果は決して十分な成果を上げ得ていないというふうに思うのです。 私は実は反対ですから何とかしてこの法律を食いとめたいと思う。思うけれども、頑張ってみても国会は数の力だという面もある。非常に悔しい思いをしている。しかし、せめて皆さん方に良心があるとすれば、これを打ち切ってしまった、後患者が出る、それを切り捨てるわけにはいかないという良心があるとすれば、そして同時に民事訴訟の上での損害賠償という建前、あるいはPPPの原則というようなことを考えてみると最低限なさなければならないことがあるはずだ。それは何か。それは言うまでもないけれども、沿道の健康調査に直ちに着手することです。因果関係をはっきりさせるべきです。そのことは環境庁の責任においてやるべきことです。データの蓄積はあります。今、東京都のことだけではない。そういうものをやってみた上で一体どうするのかという道筋がないと、断ち切ったままで後は野となれ山となれといったことでは、公健法の制度自身、加害者と被害者の和解的条件を環境庁が取り持ってきたこの歴史的な役割と責任を踏襲することはできないと私は思う。確かにSOxは改善されたということは私も認める。被害者がどんどん出ているということは、皆さん方のやりとりの中で多少の意見の食い違いがある、しかしそれがすぐれて複合汚染であり、すぐれてNOxにかかわる、あるいはNO2にかかわる健康被害という事実は否定できないと思う。だから私はこれはぜひ一つ一つ御確認をお願いしたいと思うのです。 長官、大都市における気管支ぜんそく等に関する調査を直ちに始める。特にその目的というのは、大都市や幹線道路の沿道において大気汚染によるところの健康影響というものが心配されているわけですから、こういう地域の慢性閉塞性肺疾患の患者の臨床的データを収集するだけではなくて、保健指導、これが問題なんです。つまり地方の行政と公害対策というものがばらばらになっているところに大きな問題があるのです。片方で保健所は行政改革で整理統合だというような議論が出てきている。それらを結びつけたシステムをこの際確立すべきだ。それで沿道に起こるところの健康被害の原因を究明して、患者の救済あるいは健康回復、こういうものを促進するという意思はないかどうか。長官、私は率直にこのことを訴えたい。これは私は患者の立場に立っても訴えたいし、患者の皆さんが体の不自由なのを押しても雨や雪の降る中で環境庁の前で座り込んでいる姿を私は涙なくして見ることはできない。考えてみれば、自分たちは守られるんです。自分たちは守られることを承知の助で、しかし、やがて起きてくるであろう患者たちのために、子供や孫たちのために何とかしなげればいけないという気持ちで精いっぱい頑張っていらっしゃる患者の皆さんあるいは患者の会の皆さんたちの気持ちも何らかの形で生かさないことには、この問題に対する解決というのは出ない。それですべてがいいというわけではない。私は法律それ自体に反対だ。しかし、最低限このくらいのことはなさったらどうですか。このことについて環境庁長官の良心に基づいた御答弁をいただきたいと私は思います。
○稲村国務大臣 先生の今本当に真心を込められて訴えられた貴重なとうとい御意見、十分私どもも心にとめて勉強しなければなりませんし、幹線沿道のNOx対策についても至急取り組むようこれは当然指示する。私どもやはりヒューマニズムにのっとってそうした弱い者に対する責任というものも当然考えなければならないことだと私も思います。先生の貴重な御意見をよく承らせていただきました。
○岩垂委員 今長官から言われましたけれども、私は私なりの一つの見解を私的に申し上げたことがございます。だから、その気持ちがどんな形でこの法案審議の中で明らかにされるのか、そのことを私は見詰めたいと思うのです。だから、今すぐ詳細について答案を出せとは言いません。私は午後の再開までの間にできれば、三時間半の本会議の時間もあるわけですから、沿道調査の要領あるいは実施の方針というものを――これは申しわけないけれども、あっちこっち持ち回ったらだめになります、はっきり言っておくけれども。だから、長官の決意でぜひひとつ皆さんと相談をしてまとめていただきたい。これは、さてどうしましょうかという議論が始まったら、それじゃどこがどういうふうに銭を持つかというようなところから議論が始まってしまうのです。そうしたらこれはだめになります。何かでつないでください、良心をつないでください、私はこのことを心からお願い申し上げますので、長官から、大変恐縮ですが午後の再開冒頭でも結構ですから御答弁をいただきたい。それは私一人の成果ではなくて、きょうは一巡で質問をいただいていますから、各党の皆さんがそれらに対してどのように受けとめられるかということも含めてそれぞれ各党の委員の先生に御答弁をいただければ、それまでの準備をしていただきたい、そのことをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○稲村国務大臣 今の先生の御指摘、御意見を踏まえてそのように努めたいと思います。
○岩垂委員 ぜひ私はこれをお願いしたいのです。こういう形で何かぶっちぎりみたいな議論にさせたくないのです。環境庁の力がうんとあるとは言いません。しかし、今置かれている状況の厳しさというものも承知しています。承知していればなおかつ、この問題をここでぶっちぎってしまって後はゼロから出発しますというのでは環境庁という名が泣くと私は思います。だからそれでいいと言っているのではないのですよ。私は指定解除は反対です。それはなぜかといえば、私の選挙区なのです。私は患者の皆さんとずっとそれなりのおつき合いをしてきました。その人たちのお葬式なんかにも参加をさせていただくとそれなりに身につまされるものを覚えますよ。だから、そういう点でぜひひとつ御答弁をいただきたい。そしてそれは、各党がきょう順繰りで質問をなさるとすれば、その中でみんなで努力をしてたどり着いたものだということが言えるようなささやかなものかもしれません。しかし、その誠意は示していただきたいと思います。 ちょっとまだ五分ですが時間がございますので、大変世の中を騒がせた感じがございますが、私はアスベストの話を質問したいと思います。 文部省の夏休みの間の調査、それからこれからどうなさろうとしていらっしゃるのか、それから防衛施設庁が独自に調査をなさったわけでございますので、その辺の調査の経過とこれからどう対応なさろうとしているかということについて伺った上で、厚生省もお見えでございますが、廃棄物の問題とも非常に深いかかわりを持っておりますので、どのような対応をなさるおつもりかということと、それから建設省お見えですか、これは建築基準法にかかわるいわば素材の扱いになるわけでございますので、確かに禁止されていないことは事実ですけれども、ここまで社会的な問題になりここまで大きな問題になっているわけですから、ぜひその辺に対する対応を、きのう御連絡申し上げておきましたが、それぞれ短くて結構ですから、もう時間がございませんので御答弁いただきたいと思います。
○遠山説明員 お答え申し上げます。 公立学校についての吹きつけのアスベストの使用状況でございますが、その状況を把握するために本年五月に各都道府県に調査を依頼したわけでございまして、調査の締め切りは十月になっておりますので、まだ最終的な結果は出てきておりませんが、各県で夏休みでやっている状況について把握している県は二、三ございますが、全国的な状況はまとまっておりませんので、できるだけ早く集計を進めてまいりたい、このように思います。文部省としましては、老朽化したアスベストにつきましては、早急に撤去、改修するようにということで、各都道府県、市町村を指導しているところでございます。
○岩垂委員 どのくらいになるか見当つきませんか、学校の数は。
○遠山説明員 昭和五十年まででございますので、学校数で何校というのは……(岩垂委員「おおよそ」と呼ぶ)まあ全国小中高、特殊合わせて四万校でございますので、また田舎の方から都会の方まであるものですから、私どもまだちょっと何校というところまでは予測もつかない状況でございます。
○岩垂委員 撤去の場合に都道府県がやるわけでしょう。その費用負担その他については、文部省として十分手当てをするというふうに考えてよろしゅうございますか。
○遠山説明員 一応撤去については、現在大規模改修という補助制度があるわけでございますが、その補助制度を活用してアスベストの撤去、改修をやっていただきたい、このように思っております。 それで、条件といいますか、要件がございますので、大体の学校はその要件に該当すると思いますけれども、該当しない学校についてもできるだけ補助が受けられるように来年度の概算要求においてその要件を緩和するということでやっていきたい、このように考えております。
○岩垂委員 これは現場で私見たのですが、処理の仕方は大変技術的に、防護服をかぶったりいろいろなことをやらなければならぬわけです。何かアスベストの工事をしたところが、アスベストを壊す方も専門的、技術的にやらなければいかぬというのではマッチポンプみたいな感じがしないわけではないのです。技術の面でそういう面もあります。けれども、できるだけやはり中小の業者の人たちにも犠牲をかけないように、例えばみんな安く押しつけられて、そしてやらなければならぬというようなケースもありますので、予算的な裏づけを含めて中小企業の業者の皆さんにも十分に対応できるような親切な御指導と対応を予算的な措置の面でもお願いしたいということをあえて申し上げておきます。
○遠山説明員 大規模改修につきましては、補助単価等を細かく決めておりませんので、実際に必要経費としてかかった経費について補助する、こういう制度でございますので、先生の御趣旨は十分生かされるものと考えております。
○柴田説明員 御説明いたします。 防衛施設庁が昭和四十九年度以前に学校等の防音工事の補助を行った施設の中に御指摘の吹きつけ石綿を内装吸音材として天井などに使用したものがありますが、当庁は現在これらの施設の使用実態を調査中でございます。調査結果につきましては秋ごろまでに取りまとめまして、取りまとめた上で関係機関と調整の上処理方針を決めてまいりたい、そのように思っております。
○岩垂委員 処理していくという方針には変わりないわけですか。
○柴田説明員 そのとおりでございます。
○岩垂委員 どのくらいになるか、見当はつきませんか。
○柴田説明員 ちょっと見当はつきません。
○三本木説明員 厚生省といたしましては、従前より廃棄物処理法の所定の基準を守るようにということで指導してきているわけでございますが、最近個別ケースの相談が各都道府県から参っております。私どもといたしましては、個別ケースに対しては現在二通りの処理方法が実例としてございますので、それらの処理方法を紹介することを通じて指導をしてきておりますし、今後アスベストを含む産業廃棄物が他の建設廃材とは別に排出されるということが一般化することも予想できるわけでございます。したがいまして、このような個別のアスベストを多量にといいましょうか高く含有するようなものにつきましては、それの処理の仕方についてこれからも実態の把握に努めるとともに、処理の方法についても検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 建築材料としてのアスベストは非常に防火性能が高いということに着目しまして、かつて非常に簡易な方法といたしまして吹きつけによる工法が採用されたことがございますが、これが現在老朽化、劣化した結果、いろいろ粉じん等の問題が起きているわけです。 ただ、先生御承知のように、昭和五十年、労働安全衛生法に基づきまして、吹きつけ作業については実質的に禁止されたため、現在これでは行われていない実態、こういうふうに承知しているわけですが、かつて行われた吹きつけのものにつきまして解体時または現在劣化していろいろ問題を起こすということで改修等の問題があるわけでございますが、これらについて的確に行われるように、私どもといたしましては解体技術や改修技術に関するマニュアルを関係業界に直ちに作成するように指示しておりまして、これができ上がり次第都道府県の建築担当部局に送付いたしまして的確な指導ができるようにしたい、こういうふうに考えております。 以上でございます。
○岩垂委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○林委員長 この際、休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ――――◇――――― 午後四時五十七分開議
○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。斉藤節君。
○斉藤(節)委員 まず私から最初に御質問申し上げますのは、いわゆる公健法の成立についてでございます。つまり、指定要件についていろいろと御質問申し上げたいと思うのです。 まず、この公健法の成立過程でありますけれども、これはちょっといろいろ法案など見ますと、この解除要件というものが見当たらないのですけれども、実際ないのでございますか。
○目黒政府委員 公健法の法制度の上におきましては、解除要件というものは明示してないのでございます。その点につきましては、法制定当時の中央公害対策審議会の答申の中に明記してあるのでございます。
○斉藤(節)委員 私は、指定要件を満たさなくなったときとあらかじめあった方がよかったのじゃないかなと思うのですけれども、その辺いかがでございますか。
○目黒政府委員 これは法制定当時、いろいろな御議論があったというふうに私ども議事録等から承知しているわけでございますけれども、やはりこの辺の問題につきましては、科学的な知見とか、その当時の大気の状況とか、あるいはその当時の関係者の方々の御意見、そういったようなものを総括いたしました結果として、現行制度のようなものができたのでございます。特にこの制度の中では、先生御承知のように割り切りというものをいたしておりまして、指定地域の中で発生したぜんそく等の患者については、これは大気汚染によるものというふうに一つの割り切りをしたということ、それから指定地域以外を含めまして、全国の煙突から煙を出す企業、そういうものを原因者というふうにした、この二つの割り切りを中心に組み立てられた制度でございまして、それぞれの費用負担のあり方とかあるいは徴収の仕方等々を含めましたものでやっておるのでございます。 法制度の上では、政令の改正に当たりましては、二条四項というところにそれぞれ地方自治体の意見を聞くとかあるいは中公審の意見を聞くといったような手続的な面はあるのでございます。
○斉藤(節)委員 まずそこで、今回の公健法の改正に至った理由でありますけれども、その理由の中には、「近年における我が国の大気汚染の態様の変化を踏まえ」て云々と、こうあるわけでありますが、その「態様の変化」とはいかな出ることか、その根拠をお示し願いたいと思うわけでございます。
○目黒政府委員 この「大気汚染の態様の変化」というものでございますが、これはこの大気汚染が主として二酸化硫黄、いわゆるSOxというもの、あるいは二酸化窒素、NOxあるいは大気中の粒子状物質といったようなものを規定しているわけでございまして、このような大気汚染の物質というものについて、それぞれ大気の状態が変化をしてきたということでございます。 具体的に指定地域内の大気の状況を申し上げますと、まず二酸化硫黄について申し上げますと、現在の測定法であります溶液導電率法というものでは、昭和四十年ごろからこれが普及をしておるのでございますけれども、現行の指定地域においても必ずしも十分な測定体制が整備されていたわけではないのでございますが、種々の資料から判断をいたしますと、各地域とも四十年代前半に汚染のピークがあったということが考えられるのでございます。この当時、例えば川崎の大師保健所では年平均値が〇・一ppmを超えるような汚染が見られているのでございます。しかし、近年は各地域とも〇・〇一ppm程度にまで減少するなど、二酸化硫黄につきましては約五分の一から十分の一に減っているというような状況でございます。 それから、二酸化窒素につきましては四十年代半ば以降測定が開始されたものでございますけれども、各指定地域内の一般環境大気測定局のうち、各年度の最高濃度局の年平均値を地域の汚染状況であるとみなしましてこの全指定地域の平均をとってみますと、おおむね横ばい状態で推移しているのでございます。 それからまた、大気中の粒子状物質につきましては、昭和三十年代に汚染が非常に激しかったと考えられているのでございますが、測定体制が整備され始めた昭和四十年代初頭には東京、大阪等の測定局で年平均値〇・三五ミリグラム・パー・立方メートルといった程度の汚染が見られたのでございますが、その後昭和四十九年ごろには〇・○七ミリグラム・パー・立方メートルといったようなところまで減少しているのでございます。各地域ともおおむね〇・〇五ミリグラム・パー・立方メートルというふうなことで推移をしているのでございます。このように指定地域の大気の状況というものが変わってきた、こういう今申し上げたようなところから諮問をするというふうな形になったのでございます。
○斉藤(節)委員 そこで、本法の第二条の四項についてお伺いいたします。 これは「政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中央公害対策審議会並びに関係都道府県知事及び関係市町村長の意見をきかなければならない。」というふうに文言があるわけであります。この重みについてお伺いしたいと思うわけですけれども、どのくらいの重みを持っておられますか。
○目黒政府委員 この法の二条四項の重みということでございますが、この二条四項によりまして自治体から意見を聴取いたします趣旨と申しますものは、単純に地方自治体が賛成とか反対とかという賛否をとって多数決によって物事を決するというふうなことではないのでございまして、関係自治体の意見を参考にいたしましてこの公健法の制度の運営の適正を期するということと私ども理解をしているのでございます。したがいまして、私ども環境庁といたしましては、非常に広範な内容を有します地方自治体の意見については、その結論ということのみならず、その背景となりましたいろいろな理由だとか状況というようなものも含めて十分に検討を行ってきたのでございます。
○斉藤(節)委員 そのように参考にするという程度で、余り重みを感じていないのじゃないかという感じがするわけであります。私も本会議においても総理に質問をいたしましたように、大多数の地方自治体は反対しているという状況にあるわけです。 ここに環境庁からいただきました「地方公共団体の主たる意見と環境庁の考え方」という資料がありますけれども、これについて少し質問を申し上げたいと思うわけでございます。 まず、「NO2(二酸化窒素)及びSPM(浮遊粒子状物質)の環境基準が未達成で、なお改善を要する状況にある。環境基準が達成されるのを待って解除を行うべきではないか。」という公共団体の意見があるわけですけれども、これに対しまして環境庁といたしましては、「環境基準の未達成をもって公健法の指定相当と考えることには無理がある。」このように考え方として述べておられるわけですけれども、基準値の何倍になると患者の発生があると考えておられるのか、また指定相当と考えるのはどの辺か、その辺を御答弁を願いたいのであります。
○目黒政府委員 御指摘の、NOxが環境基準に達していない、どの辺になったならば指定をするのか、この問題につきましては、法制定当初にもNOxの問題、SOxに加えてNOxをどのように加えていったらいいかということについては御議論があったということを私ども承知しているわけでございます。当時もそうでございましたが、NOxの基準とかそういうものを制度として取り入れるための十分な科学的知見とか報告といったようなものあるいは技術上の問題等々がありまして、なかなか現在に達するまでできてなかったというのが現状でございます。 なお、私どももNOxに関するこの問題について何もしていなかったということではございませんで、この点につきましては各種の調査を行うとかそういうようなことをしたのでございまして、いずれにいたしましても、このNOxのどの程度の基準値でということについては、現在の科学的な知見からはそういう考え方をはっきりさせるということについては大変難しいと私ども考えているのでございます。
○斉藤(節)委員 このNOxにつきましてはまた後ほど議論させていただきたいと思いますので、これ以上進めません。 次に、またこれもNOxが出ておりますけれども、公共団体の主たる意見によりますと、「中公審は、NOx(窒素酸化物)の健康影響を十分解明しないまま、指定解除の結論を急いだように見受けられる。」こういう意見につきまして、環境庁といたしましては、「現在の大気汚染はNOxを含め総体としてぜん息等の主たる原因とは言えなくなっていることが明らかにされた」、今保健部長が御答弁なされたと同じことでありますけれども、これにつきまして中公審はこのようにはっきりとは言っていないのではないか、そんなふうに私は思うわけであります。つまり、「総体としてぜん息等の主たる原因とは言えなくなっていることが明らかにされたことから解除相当としたものである。」という考え方でありますけれども、私は、中公審はこのようにはっきり言っていないのじゃないかな、そういうふうに思うわけでございます。特に、専門委員会においてはNOxの疑いは晴れていない、そんなふうに思うのでありますけれども、いかがでございますか。
○目黒政府委員 専門委員会報告では、先生がおっしゃいましたように、現状の大気汚染のもとでは、大気汚染がぜん息等の主たる原因とは言えない、こういうふうな結論をはっきり出しておられるわけでございます。さらに中公審では専門委員会報告等を踏まえましてこれの検討をいただきまして、制度として合理性を保つためには、先ほど一番最初に申し上げましたように、一定地域の患者をすべて大気汚染の原因によるとみなすということ、それから、指定地域以外であっても全国の企業から取るというこの二つのみなすをするためには相当の合理性というものがなければいけない、こういうふうに判断をしているわけてございますが、その合理性が保たれる程度のはっきりしたものがないというのが専門委員会報告を踏まえた中央公害対策審議会の御意見なのでございます。 したがいまして、私どもそのような御意見を踏まえまして、公害健康被害補償制度の基本的な考え方でございます原因者とそれに対する補償を受ける側、この二つの側が一つのルールにのっとって補償を行っていくためには一つの合理性がなければいけない、ここに重点が置かれているわけでございまして、この点から中央公害対策審議会の御結論をいただいたわけでございます。なお、ちなみに専門委員会報告でも四十二回、三カ年間にわたって御審議をいただいたわけでございまして、我が国の最高の権威者である審議会の先生方を含めて十分御討議をいただき、このような結論に達したというふうに考えておるのでございます。 私どももこの中公審の考え方を踏まえまして、指定地域を解除する、あるいは今の既存の認定患者の補償は続ける、あるいは地方自治体から今二つございましたNOxに関することも含めましてこれからの対応をしなければいけないといったような新しい予防的な事業、そういうふうなものを取り入れた方策をとるというふうに考えておるのでございます。
○斉藤(節)委員 それじゃ、公共団体の意見につきましてはまた後ほどにして、残りの方をやらせていただくことにします。 まず指定地域の大気汚染状況、先ほども大分保健部長からお話がありましたけれども、指定地域内の大気汚染の状況の推移について御答弁願えればと思うわけです。これは私もかなり検討させていただきました。いただいた資料によりますとSO2の減少状況、現在は一〇ppb以下といったような状況になってきておるとか、二酸化窒素が依然としてフラットな状態になっているといったような状況であります。そのほかいわゆるSPMだとか一酸化炭素、カーボンモノキサイドあるいは光化学オキシダントなどはどういうふうになっているのでございますか、
○目黒政府委員 御指摘の点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、二酸化硫黄につきましては非常に急角度で減少しておる。それから二酸化窒素につきましては横ばい。浮遊粉じんにつきましては漸減。それで、私どもはこの大気汚染の状況につきましては、特に専門委員会報告では、いろいろ先生御指摘のあったCO等ございますけれども、こういうものはさておきまして、SOxとNOxと浮遊粉じん、この三つで代表できるのじゃないかということで専門委員会報告は終始してきたのでございます。 それから、御質問のCOでございますけれども、大気中のCOは主として自動車の排ガスに起因するものでございまして、その測定も自動車排ガス測定局で行われております。現行の指定地域内で継続して測定を行っております自動車の排ガス測定局の測定結果から見ますと、一貫して減少を続けているということでございまして、すべての局で現在環境基準を達成している、このような状況にあるのでございます。 それから、光化学オキシダントにつきましては、これは短時間値が問題になるわけでございますが、これの注意報等の発令延べ日数で見ますと、近年は四十年代後半に比べて少なくなっている、こういう程度のことが私ども指定地域内については承知しているものでございます。
○斉藤(節)委員 そこで、私が問題にしたいのは、NOxがフラットである、しかも四〇ppbぐらいにフラットであるということとオキシダントの発生日数が、いろいろ日数が出ておりますけれども、比較約六十一年まではだんだん減ってはきておりますけれども、このオキシダントとNOxとの間に非常に問題があるのじゃないか、私はそんなふうに考えているわけでございます。 これも先日お話ししました「エンバイロンメンタル・ケミストリー」、この本によりますと、いわゆるNOxでもNO2の環境への影響はかなり濃度が高いところでないと影響がないわけでありますけれども、しかしここにオゾンだとかPANといったような――PANはオゾンとの反応で、NOxとの間に反応してできるわけでありますけれども、こういったものがあるとかなり植物に対してあるいは人体に対しても影響があるのではないかと思うわけです。 それから、「国立公害研究所 十年の歩み」、これは非常に詳しく私調べさせていただきまして、この中に大気関係の研究が大分発表されております。大変たくさんの論文が発表されておりまして、私大変敬意を表しているわけであります。この中に「大気汚染物質の生体影響について」という論文、業績内容の概要について報告がありますけれども、この中で興味を持ちましたのは「NO2の低濃度慢性暴露実験」、こういうものをやっております。これはこの中の七十ページのところにあります。それによりますと、 慢性実験には、呼吸器の病理学的観察、血液の臨床生化学値の測定、肺及び血液の抗酸化性物質量の測定を基本的に行い、さらに呼気中の酸素量及びエタン、ペンタン量の測定、肺の過酸化物代謝系の活性と脂肪酸組成の測定を急性、亜急性影響研究の成果の応用として行った。また、病理学的観察の結果を定量化する試みとして形態計測法を導入した。 暴露実験は九か月及び十八か月二回と二十七か月間一回を行った。暴露濃度は、従来影響が明確でなかった〇・四ppmを中心として影響が明らかな四ppmと全く影響の認められていない〇・〇四ppmの三濃度で行った。また、二回の慢性実験において〇・四ppmで影響が認められた項目を中心として〇・〇四、〇・一二及び〇・四ppmの暴露濃度で第三回目の実験を行った。 ラットを用いた特記すべき主要な成果は以下のとおりである。 ずっとありまして、これは長く読んでいきますといろいろありますから省略しまして、最後に、 以上のように、新たに確立された影響指標を中心にして多くの検索項目についてNO2低濃度での慢性影響を明確にした。 このように書いてあるわけでありますけれども、このようにNOxというのは、ここで行った実験は四〇ppb、〇・〇四ppm、この濃度でかなりこういった影響があったということを報告しているわけです。実際にこの濃度を見ますと四〇ppbあるわけですから、大体同じような、近い濃度で実験をやっているわけです。そういう意味でかなりNOxというもの、特にNO2に着目してこれから相当考えていかなければならないのだな、そんなふうに私は思うのでありますけれども、その辺、保健部長いかがお考えでございましょうか。
○目黒政府委員 御指摘の動物実験、これにつきましては、専門委員会報告におきましても触れているのでございます。発表いたしますまでにいろいろな内外の文献を取り寄せて、この実験データ等を考えていろいろ御検討をいただいたわけでございますが、原則的には、今の我が国の大気汚染の状況で低濃度の長期暴露実験というものはやはり大事な実験だというふうには記載しているのでございます。その結果幾つかの、先生が今おっしゃいましたけれども、いろいろな実験の結果を全部総合いたしまして、この専門委員会報告では、先ほど来申し上げているような現在のNOxを含む総体としての大気汚染がぜんそく等の主たる原因にはならない、こういうような御結論をいただいたわけでございまして、私どももこの動物実験が大変大切であるということも承知しておりますし、またこの専門委員会報告の中でも、十分これについても御議論をいただいているということを承知しているわけでございます。
○斉藤(節)委員 NOxにつきましては後ほどまた議論させていただきますが、いずれにしましても、ぜんそくの主たる原因にはなっていないという御答弁でありますけれども、ぜんそくばかりじゃなくてかなりいろいろな面で問題になるのではないかな、そんなふうな感じを受けているわけでありますから、もう少し後でまた議論させていただきたいと思います。 そこで次は、指定地域における公害病患者の疾病についてお尋ねしたいと思うわけでございます。 これには環境庁が行った二つの疫学調査、すなわち昭和五十六年度から昭和五十八年度にかけて三十歳から四十九歳までの人々約三万人ですか、ここに私資料をいただいておりますからそれはまたあれしますが、約三万人の方を対象とした調査、これはいわゆる質問票を用いた呼吸器疾患に関するもの、これを仮に今A調査というふうにいたしますけれどもこのA調査と、それから昭和五十五年度から五十九年度にかけて行った大気汚染健康影響調査、これをB調査というふうに言いますと、こういうA調査とB調査を行っておられるわけであります。そこで、中公審の専門委員会だとかあるいは同環境保健部会の今回の答申の有力な基礎資料となったのはこれら二つの疫学的調査であると考えてよろしいのかどうか、いかがですか。
○目黒政府委員 御指摘の二つの調査はそれぞれ環境庁がいたしたものでございます。先生の御指摘のとおりのものでございますが、この専門委員会報告の基本になっておりますものは、これらの疫学的な調査というふうに我々呼んでおるわけでございますが、疫学的なものと、それからもう一つは、先ほど先生が御指摘になりました動物実験あるいは人体暴露的な人への影響を直接調べた報告とか、あるいは臨床報告、個々の医療の現場におられるお医者さん方がいろいろ臨床的な立場から一つの研究報告をされているわけでございますが、こういうふうなものを医学として総合してこの結論を出したのでございまして、この疫学調査だけをもって決めたのではないのでございます。もちろん一つの考え方の中に入っているのは事実でございます。それからまた、この疫学調査につきましては、制度発足当初にこのような疫学的手法をもととして一つの割り切りを行うというようなことがございましたので、その一つの考え方としてはもちろん私どもこういう調査も行っておるわけでございますし、この調査についてもウエートを持って見ているわけでございますけれども、あくまでも専門委員会の報告ではすべてを総合した形で御結論をいただいたというふうに私ども考えておるのでございます。
○斉藤(節)委員 そこで、私はこれらの調査を見さしていただきましたが、大変膨大な調査でございまして、私本当に敬意を表しているわけでございます。これだけの労作業というのは確かに大変であったろうと私思います。そういう大変な労作を見させていただいたわけでありますけれども、この調査はいわゆるサンプルの抽出の仕方に問題があるのではないか、そういうような指摘があるわけでございます。 すなわち、どういう指摘かと申しますと、先ほど申しましたA調査におきましては、大気汚染にいわゆる感受性の強い五十歳以上の人々を除外しているということ。これは小学生も対象にしていますから、その親子の関係でやられたということでわからぬわけでもないですけれども、五十歳以上の方というのは、だんだん年をとってきますと大気汚染に対して非常に敏感になってきているといったようなこともありまして、そういうような人を故意に除外したかどうか私は別に問いませんけれども、除外されているということ。それからB調査におきましては地理的、社会的条件の上で非常にばらつきの大きい地域を対象地域として選定している。大気汚染の影響を見るのであれば、気象因子だとかあるいは社会的、経済的因子を排除した対象を選定すべきであるというような一部の専門家の指摘があるわけでありますけれども、これについてはどう考えられますか。
○目黒政府委員 この二つの調査でございますけれども、先生がおっしゃったA調査と申しますか、私ども環境保健部調査と言っておりますけれども、五十六年度から行ったもの、これはまず対象の地域から申しますと、いわゆる群馬県から宮崎県までの太平洋側を中心といたしました九都府県三十三地域を行ったものでございます。成人はそのうちの二十八地域というふうなことで行っておるのでございますが、この調査の場合には、対象としますのがあくまでも児童を中心として小学生を持つ親ということで調査をいたしたものでございます。したがいまして、その結果として五十歳以上の者が少なくなってしまったということからこの解析の中からこれを除外してしまったというような経緯はございます。 それからB調査ということで御指摘をいただきましたものにつきましては、対象地域が北海道から鹿児島県までの日本海側を含みます二十八都道府県五十一地域で行いましたもので、児童、成人同時に単年度の調査として行ったものでございます。 そういうことでございまして、この対象地域等につきましても大気汚染の程度が非常に悪い、高濃度の大気汚染のあるものから非常に低いものまで、そういう最高、最低を含めました地域を選んだ、こういうふうに考えておるのでございます。
○斉藤(節)委員 確かにそういうような関係で、小学生とその親といったような関係でおやりになっているということ、わかりました。そうだろうとは思っておりましたけれども、専門家の中には故意にそれを除いたのじゃないかといったような考え方を持っている人もおりますので、この際そういう五十歳以上の人もやってみる、そういうようなことは考えてはおられないわけですね。
○目黒政府委員 この調査についてでございますが、現在の認定患者の年齢分布、構成ということから見ますと、非常にやはり子供といいますか、若年者が多いわけでございます。当然そういう比率というものも考えたわけでございます。私ども、現在の時点では、老人だけを取り出して調査をするということについては考えてないのでございます。中央公害対策審議会あるいは専門委員会等で御議論をいただいたのですけれども、その中でこの二つの調査、これは非常に規模の大きい調査でございまして、こういうような疫学調査というのはなかなか日本全体としても珍しい調査であるということでございます。 それから、五十歳以上、先ほど解析の対象から除いたというふうに申し上げてはおりますけれども、この五十歳以上についても、データはすべて報告書には書かれているのでございまして、そういうものも含めて御議論をいただいた中でございます。
○斉藤(節)委員 大変よくわかりました。そういうことで、誤解だったということがはっきりしたわけでありますけれども、そこで、今度は認定患者数について、環境庁からいただきました資料について御質問申し上げたいと思うわけでございます。 これによりますと、「認定患者数について」という資料でありますけれども、「認定患者の増加をもって現在も大気汚染による疾病が多発していると考えられるものではない。」その証拠として、「すなわち、「気管支ぜん息」等の疾病は、ダニ、カビ、喫煙など大気汚染以外の多数の原因によっても生ずる病気であるが、個々の患者についてその原因を明らかにすることは医学的に困難であるため、公害健康被害補償法制度においては、大気汚染であるか否かの原因は問わず、指定地域内に居住等する患者はすべて公害病患者として認定しているものである。」ということでありますけれども、この気管支ぜんそくでございます。 これは日本弁護士連合会の方でも言っております。「大気汚染以外の喫煙・素因等の多数の因子があり、大気汚染のない地域の人口集団においても、通常ほぼ一定の割合で閉塞性呼吸器疾患が存在していることも医学上の常識とされている。」こういうようなことを述べているわけであります。確かにこの気管支ぜんそくというのは、いわゆる一応大気汚染によっても起こるし、また、ダニ、カビ、喫煙などによっても起こるということでありますが、ここでちょっと疑問に思うことは、私よく知りませんけれども、病気というのはいわゆるマクロ的にしかとらえられないものかもしれませんが、しかし原因が異なれば、また条件が異なれば、病気というのはミクロ的にその症状が異なるのではないかな、そういうふうに私は思うわけでございます。例えば、この気管支ぜんそくに特異な合併症があらわれるとか、また異なった症状がミクロ的に起こるのじゃないか、そういうような、何かそこに微妙に違っている点があるように思うわけであります。 いわゆる大気汚染によって気管支ぜんそくが起こったという場合と、ダニだとかあるいは喫煙だとかそういったものによって起こった場合と、同じ気管支ぜんそくという病名で症状も似ているとしても、それはマクロ的にそういうふうに言えるのであって、ミクロ的には、どこかまた大気汚染の場合には別な病気が併発しているとか、あるいは何かあるような気がするわけです。私は医者でありませんから病気についてよくわかりませんけれども、私たちの化学実験なんかやっていますと、ちょっとの実験の条件の差によって出る結果もかなり違いますし、あらわれる現象も違ってくるわけであります。そういう点で、人体とそういった条件設定したものの実験は大分違うと思いますが、しかし、大気汚染によって起こる気管支ぜんそくと、ダニだとかカビだとかあるいはそういった喫煙によって起こる気管支ぜんそくにはどこかそこに差があるんじゃないかなと思うのです。そういうような研究はこれからやっていただきたいと思うのですけれども、どんなものでしょうか。
○目黒政府委員 御指摘の認定患者さんの中の、特に例えばぜんそくとした場合に、大気汚染以外にもぜんそく等の指定疾病があって、やはり今先生御指摘のようなダニとかあるいはカビとかあるいは感染症とかいろいろなことで起こる、こういう原因はあるわけでございます。 これについては臨床的に見ますと、例えばアレルギー説というものが臨床家の間では非常に大きく取り上げられておりまして、そのアレルギーの原因としても、花粉だとかあるいはダニとかカビとかいったような、また、そのほか杉の葉とかいろいろなものがございますけれども、そういうふうなものをアレルギーの原因というふうに考えて、臨床の場では例えばそういうものを一つ一つチェックをして試験するようなものはあるわけでございます。例えばこの人は花粉なら花粉というふうなものをチェックするような臨床的な検査の手法というものはあるのでございます。しかしながら、大気汚染というものではないわけでございます。また、臨床の場でも、ぜんそくの原因というものが一体どういう原因だということについては、今申し上げましたようなものははっきりしてくるわけでございますけれども、それに大気汚染がどういうふうに絡み合っているかということになりますと、これは例えばの話でございますので適切かどうかちょっとわかりませんけれども、例えば高温とか低温というようなことでも影響はくるわけでございまして、それじゃ、そういうものが例えば肺炎にどういうふうな影響があるか、こういう例えで申し上げますと、そのような関係もあり得るわけでございます。したがいまして、大気汚染とそれ以外の原因とをはっきり分けるということは臨床の場ではなかなか困難なことも事実でございます。しかしながら、この制度発足当初には非常に激甚な、SOxが今の十倍近いような形のものがあったわけでございまして、その当時は大気汚染との関係がはっきり出てきているわけでございます。非常に急性期の症状もございます。したがいまして、その当時は、先ほど先生がおっしゃいましたような二つの調査、疫学的な手法というものを取り入れて、大気汚染が地域にかなり大きな影響を与えているというふうなことについてもはっきりいろいろ言えていたということはあるのでございますが、今のような低濃度になってまいりますと、その辺はなかなか難しくなってきている。特に、低濃度では、先ほど申し上げましたように、いろいろな疫学的手法プラスいろいろなものを勘案いたしまして、そして先ほどのような結論に到達したということでございます。しかしながら、どちらにいたしましても、このぜんそく等の問題につきましては、特に小児ぜんそくといったようなものもございますし、こういうふうなものについては、専門家の間でいろいろなぜんそくの治療に関する研究あるいは原因に関する研究や検査法に関する研究は現在も各方面で行われているというふうに私ども考えております。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○斉藤(節)委員 確かにそういう微量の濃度の場合になってきますと、その影響というのはなかなかはっきりしてこないと思いますけれども、先ほど御披露しました「エンバイロンメンタル・ケミストリー」、これの中にも、NOxが微量でも、そこに何かオキシダントの原因の例えばオゾンだとかいったものがあるとPANだとか何かができるわけです。そういうできた状態で影響が変わってくる。したがって、NOxだけによって植物などの葉が被害を受ける場合にも、その斑点の出方が違うとか、それから葉っぱの裏側が非常に輝いてくるとか、そういったようなことでいろいろ違ってくるというわけですね。そういう意味で今お聞きしたわけですけれども、そういうミクロの研究も必要じゃないか、NOxで気管支炎が起こる場合とダニとか喫煙によって起こる場合とではどこか違ってくるのじゃないか、素人の私ですからはっきりわかりませんけれども、その辺の研究も必要じゃないかな、そんなふうに考えてはいるわけです。 そこで、それに関連するわけでありますけれども、このいただきました資料の③のところに、ちょっと読んでみますと、 むしろ、中央公害対策審議会における科学的な検討結果によれば、昭和三十ないし四十年代とは異り、現在の大気汚染状況下では、ぜん息等の多数の原因のうち大気汚染は、主たるものとは考えられないとされている。 一方、それでは全国的な気管支ぜん息の増加が何に起因するかという点については、 ア 広義の都市化による食生活・住環境・精神環境等の変化 イ 国民の健康意識・医療水準等の変化 ウ 高齢化の進展 等が定性的に考えられているが、必ずしも定量的にはっきりするまでには至っていない。 これは当然定量的にははっきり言えないと思うわけでありますけれども、ここに私は微妙な差があるのじゃないかなと考えるわけです。今すべて一律に気管支ぜんそくという一つの病気形態で呼んでいるわけでありますけれども、こういう状況で、定性的にはある程度こういう原因によって少し違ってくるといったことが考えられるというわけですが、何かひっかかるように私は感ずるわけであります。その辺、いかがでございますか。
○目黒政府委員 原因につきましては、先生が先ほど御指摘になりましたようにいろいろな原因があるということでございますが、やはり気管支ぜんそくの患者さんが全国的に増加している、こういうことにつきまして、むしろ大気汚染が認定患者の増加の原因になっているのじゃないかといったような考え方でいる方もおられるわけでございます。あるいはまた、全国的に大気汚染が非常に広域化したから被害が拡大してきたんじゃないかといったような御意見があることも事実でございますが、先生が御指摘のように、厚生省の患者調査によりますと、全国的に気管支ぜんそくの患者が増加の傾向にあるわけでございます。これを具体的に申し上げますと、この十年間で平均年率六から七%程度の水準で増加をしているのでございます。それから一方、認定患者の方はやはり増加をしているのでございますが、この気管支ぜんそくによる認定患者の増加率というものも、五十年代後半からは年率五から七%というふうなことで、同じような水準になっているわけでございます。 このようなことを含めまして、中央公害対策審議会の専門委員会におきましては、科学的な知見を踏まえて先ほど来申し上げているような結論に到達しているわけでございます。現在の大気汚染がぜんそく等の疾病の主たる原因とは言えない、こういう判断になっているわけでございますが、私どももこの専門委員会の考え方についてはそれと同じ考え方をしているのでございます。いずれにいたしましても、これらの考え方を踏まえて考えてみますと、患者数がふえるということは、むしろ制度的な見直しによって患者さんが認定されるということのために全国的な気管支ぜんそく患者の増加を反映したというふうに考えているのでございます。
○斉藤(節)委員 確かに今保健部長が御答弁されましたように、認定患者数を見てみますと、気管支ぜんそくだけが七万名を超しているということであります。昭和六十一年ですね。それに対して慢性気管支炎は大体一万名から一万五千名くらいですか、ずっと平らになっているわけですね。昭和五十五年から六十一年までほとんど一定値である。それからぜんそく性気管支炎を見ますと減ってきているわけですね。五十三、五十四、五十五年あたりがピークで、後ぐっと下がってきているわけですね。また肺気腫はほとんど一定値で変わってない。そういうような値になっているわけでありますけれども、これを見ると、指定地域で気管支ぜんそくだけがふえてきているわけですね。その辺私、ちょっとひっかかるのですけれども、どんなふうに解釈されますか。
○目黒政府委員 この点につきましては、全国的な傾向に並行して気管支ぜんそくというものがふえている、そういうふうなものを反映しているというふうに私どもとらえているのでございます。
○斉藤(節)委員 私もそういうふうに感じておるわけです。と申しますのは、二番目の「気管支ぜん急患者等の全国的動向」を見ますと、やはり昭和四十六年あたりからぐっと上がっていっているわけですね。必ずしもこれがぜんそく患者とは言えないかもしれませんけれども、このように一直線に上がってきている。これと指定地域における認定患者数のぜんそく患者と何かパラレルのような感じがするわけでございます。やはりその辺も考えなければならないな、私はデータの上からこのように考えているわけでございます。 次の質問に入らせていただきますけれども、今度は費用負担の面についてお伺いしていきたいと思うわけです。ちょっと難しい質問をいたしますけれども、御答弁願いたいのです。 これはいただきました資料でありますけれども、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の要綱ですね。これで第一、第二とあって、第一が「題名及び目的の改正」、そして第二が「汚染負荷量賦課金に関する規定の整備」です。そして「汚染負荷量賦課金の徴収」ということで、「第一種地域の指定がすべて解除された場合にあっては、その解除があった日(以下「基準日」という。)の前日の属する年度(以下「基準年度」という。)の初日において、基準日前に政令で定められていた物質(以下「対象物質」という。)を排出するばい煙発生施設が設置され、かつ、最大排出ガス量が基準日前に政令で定められていた量以上であった工場又は事業場を基準年度の初日において設置していた事業者(以下「ばい煙発生施設等設置者」という。)から汚染負荷量賦課金を徴収すること。」ということになっているわけですが、この方法で行いますと従来法による場合とどれぐらい変わることになるのか、その辺教えていただきたいわけであります。例えば、これはいただいた資料でありますけれども、「昭和六十一年度汚染負荷量賦課金都道府県別申告状況」というのがあります。単位が件、千円ですね。これによりますと北海道は七十五億九千百二十三万七千円、こんなふうになるわけですね。青森などは五億九百三万五千円、こんなふうにいろいろずっと出ているわけでありますけれども、これはどんなふうに変わるか。この賦課金が下がるのかどうか、その辺教えていただきたいと思うのです。
○加藤(陸)政府委員 お答えさせていただきます。 先生からただいま御質問のありました規定、特に要綱でございますが、非常に理解しにくいのを丁重に御理解いただきましてありがとうございます。非常に難しい言い方をしておりますけれども、これは俗に言う年度初めのところの事業者でとらえますということを言っておるわけでございます。 さてそれで、今回の法改正に伴いまして企業の負担は具体的にどのように変わるのかという点でございますけれども、法律改正そのものはお金の取り方といいますか、賦課金と言っておりますが、賠償義務的な賦課金でございますね、これの取り方を、過去に排出した煙の量によってそちらにウエートをかけていくというような法律改正をいたしておることは御理解いただいておるとおりでございます。ただ、そういう要素がございまして、個々の企業体についてどう変わるかということについてはいろいろな変動があり得ます。つまり、過去に排出量が多くて現時点ではその量が、まあこれは景気の動向ももちろんございますけれども、非常に変化してきているというような個体変化がございますので一概にはなかなか申し上げ切れませんが、先生の御質問の趣旨の全体としてどうなるかということについてお答え申し上げます。 その場合に、法改正だけではございませんで、これは地域指定の解除ということがその法改正も踏まえて行われた後どうなるか、こういうことで、そうしますと企業が負担すべきものは、総額で考えますと、認定されておられる患者数が徐々にではございましょうけれども減少いたしますので総体としては徐々に減少することになると存じます。もっとも医療費等の問題につきましてはもちろんこれは徐々に上昇、単価アップ等の問題もございますが、認定患者数の減がございますと総体としては徐々に減少する。そのカーブが相当先になってどんなふうになっていくかについてはなかなか難しい推定でございますけれども、減少傾向は徐々に大きくなっていく、こういうことが申し上げられると思います。したがいまして、個々の企業体にとっては、先ほど申しましたように若干の変動がございますので一概には言えませんが、総体としては減る、個々の企業体にとっても減りが大きいところと比較的少なくしか減らないところとあると存じますけれども、減少することにおいては変わりがないであろう、ごく例外を除けばそう申し上げられると思います。
○斉藤(節)委員 だんだんと減少してくるということでありますけれども、今の負担金を払っている企業といいますのは、聞くところによりますと、だんだん大企業が改善していって中小零細企業の方に負担が多くいっているというようなことを聞くわけでありますが、その辺はどうですか。
○加藤(陸)政府委員 これも難しい分析を要するわけでございますが、まず大きく負担の様子をかいつまんで申し上げますと、大企業と中小企業とどの辺で分けるかがなかなか難しゅうございますけれども、この排出ガスで見ていきます場合には、先生が先ほどお読み上げになりました要綱にも一定数値以下のところを除いてと書いてございましたところで御理解いただいておりますように、これはある水準以下のところはまず除かれますのでその問題を頭に置いていただきたいと思いますが、しかし残った、つまり賦課対象になっておるところ全体で見まして、いわゆる大企業がほとんどでございます。これは過去も現在もそうでございます。非常に大きなウエートは、例えて申し上げますと電力でございますとか鉄鋼でございますとか、あるいは石油、ガス等の業界でございますとか、こういうところが圧倒的に多うございます。 しかし、先生が中小企業とおっしゃいました分のウエートが徐々に上がってくるのではないかということはそのとおりであるというふうに申し上げるべきだと思います。といいますのは、もともと全体の中ではウエートは少ないのですけれども、おっしゃいますように大企業の場合、もちろんやってもらって当たり前なことではございますが、煙の排出量を削減する、あるいはSOx分の少ない燃料を使うという努力を徐々にされてきております。中小企業の場合にはそれがなされていないというとサボっておるようでございますが、そういう意味だけじゃなしに、例えば中小企業のガラス工場であるとかいうような、もうどうしようもない、火は使わざるを得ないというようなところのウエートは相対的には若干ではございますが上がらざるを得ない。それがどの程度の厳しさかというのは個々の企業によって違うとは思いますけれども、やはりそれは無視してはいけないことだと考えております。
○斉藤(節)委員 そこで、この患者に対する指定地域における給付でございますけれども、どのくらい、どういうふうに配分されてどうなっているのか、その辺の給付の問題について御答弁願いたいのであります。現在どんなふうになっているか。
○目黒政府委員 給付の状況でございますが、具体的な数字は今用意をさしておりますが、患者さんに対する給付といたしましては、一つは医療費に対する給付でございまして、これは患者さんの医療に要したものについて支給をいたしておるのでございます。今の医療費につきましては、現在全額四百五十億円出しているのでございまして、さらに詳しく申し上げますと、一人一カ月平均、入院の場合でほぼ三十二万円、それから通院の場合で三万円程度というふうなことで、診療報酬の単価といったものは保険の平均の約一・四倍というよう係な医療費の給付を全額いたしております。 それから二番目は年金に相当する給付でございまして、障害補償費と呼ばれているものでございますが、これは三百二十億円でございます。これは年齢等に応じまして、一番低いので月額二万四千九百円、高いので二十八万一千三百円といったような形の障害補償費、年金に相当するものを出しているのでございます。 それから、この間に療養手当というのがございまして、これは入院並びに通院にかかります費用に充てるために支給するものでございまして、総額約百二十億円でございます。この中身を申し上げますと、入院の場合でございますが、十五日以上入院をした方には月額二万九千四百円、それから通院を四日以上十四日以内した者につきましては月額一万八千八百円の給付をするということでございます。 そのほかに遺族補償費とかあるいは児童補償手当といったようなものが総計百十億ということでございます。総計約一千億余りといったような形の給付を行っているのでございます。
○斉藤(節)委員 莫大なお金が費やされているわけでありますけれども、そうなりますと患者平均一人当たりどのくらいになりますか。
○目黒政府委員 これは個々の方々、入院あるいは通院、いろんな場合で異なるわけでございますが、ならしてみまして、おおよそ一人年額百万円といったような額になるのでございます。
○斉藤(節)委員 なるほどかなりのお金がかかっているということはわかるけれども、患者の側から考えますと、大変苦しんでおるわけでありますから、それは当然していかなければならぬと思うわけであります。 そこで次は、また後で議論するようになるかもしれませんけれども、その前にまず環境庁として、私どもは公明党としては反対しておりますけれども、本法案が可決された場合、今後の環境対策はどのようにやっていこうとしておられるのか、二、三質問してまいりたいと思うわけでございます。 まず、先ほどの「地方公共団体の主たる意見と環境庁の考え方」のところにまた戻らせていただくわけでありますけれども、地方公共団体の主たる意見の中で「幹線道路沿道等の局地的汚染を中心にNOx等の健康影響について未解明な点が残っており、解除は時期尚早ではないか。」ということに対して、先ほども申し上げたのでありますが、環境庁の考え方として「今後とも大気汚染の健康影響等の解明については、新たにサーベイランス・システムを構築する等一層の努力を払う。」というふうに言っておられるわけであります。確かに幹線道路では、東京の環七なども住民がかなり健康被害をこうむっているようでありますけれども、このサーベイランス・システムの構築というのは一体どういうようなことをやろうとしておられるのか。
○目黒政府委員 サーベイランス・システムについて、また今後の実施方法ということでございますが、私どもこのサーベイランスと申しますのは、長期的にかつ継続的に大気汚染の状況とそこの一定地域の住んでおります人口集団の健康影響というものを持続的にチェックしていく、こういうようなシステムを考えているわけでございます。特にサーベイランスという言葉の意味が、監視とかそういうような意味もありますので、そういうふうな形で監視というとちょっときついのでございますけれども、そういう相関関係、一定地域内の人口集団の健康の状況といったようなものが大気汚染との関連でどういうふうになっていくかということを常時継続的に調査していくというのが一つのサーベイランスの考え方でございます。このサーベイランス・システムにつきましては、中央公害対策審議会の答申でも今後の課題としてはっきり挙げておるものの一つでございまして、私どももこの点については六十二年度も予算をつけまして、今検討中のものでございます。 しかしながら、サーベイランスのシステムと申しますものは、方法論がはっきりこういうような形というものがまだ固まっておらないのが現状でございます。したがいまして、例えばどの程度の指標をとるのかとか、あるいは健康影響全般といってもどういう形のものをどういう方法で把握するのかといったようないろいろな問題点がございまして、この総合検討会の中でサーベイランスに関する研究班のようなものを設けておりまして、そこの中でパイロット調査を行うということなど、現在いろいろな具体的な方法あるいは内容等を含めて検討をしている段階にあるのでございます。しかしながら、このサーベイランスのシステムというのは先ほど来申し上げておりますように大変重要なものでございまして、私ども、この大変重要なサーベイランスのシステムというものを一つの大きなフォーメーションとしてこの方式というものを実施するように今後とも努力していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○斉藤(節)委員 では、サーベイランス・システムの中にはその地域の方の集団健診みたいなものも入るのですか。
○目黒政府委員 先生御指摘のものにつきましては、中央公害対策審議会の答申の中にもございますけれども、新しく一つの地域に対しまして個別の補償をするということではなくて、地域全体について、例えばこのサーベイランスでございますけれども、一つの方式をつくってこれを予防するということが大変大事だというふうな指摘を受けているわけでございまして、私どもも新たに設けております基金の事業の中で予防的な事業というものを、各種のものを行っておるところでございます。その中に先生御指摘の健康診断というものも入っているのでございまして、こういうようなものもこの手段の一つとして使うことは当然可能性があるわけでございます。また、このほかにも死因統計とか、いろいろな統計的なものとか、現在あるいろいろな健康指標、そういったものをどのように取り入れていったらいいかというようなことを今やっているわけでございます。
○斉藤(節)委員 これはいずれも二十一世紀に向けてのRアンドDについての問題だと思うのですけれども、「認定患者がなお増加している現状にあり、解除に納得できない。」という地方公共団体の意見に対しまして、「全国的にもぜん息患者は増加しており、指定地域に特有の現象ではない。」先ほどもいろいろと議論しましたところでありますからそうだと思うわけでありますけれども、私ここで考えますのには、全国的に患者が増大していることはやはり私は問題じゃないかなと思うわけです。指定地域だけじゃなくて全国的というところに私は重点を置きたいわけでありますけれども、つまり我が国全体の大気質の悪化のためではないかなという気がするわけであります。その辺いかがでございますか。
○目黒政府委員 この点につきましては先ほども関連の御指摘の中でお答え申し上げたのでございますけれども、やはり全国的な患者の増加というものは、特にぜんそく等の者は、先生御指摘のように、並行して同じような水準で増加してきておる。しかしながら、認定患者の増加と申しますものは、この制度が割り切った形で出しておりますものですから、やはり直ちに大気汚染にかかわるものとして、原因によって起こるというふうには一概に言えないという考え方を私どもとっておるのでございます。また、現に大気汚染が甚だしくない指定地域以外においても非常に増加しておるということでもございますし、また現実に大気汚染がそれほど高度でないところでもそのような状況が起こっているのはこれまた事実でございます。また、先ほど申し上げましたように、特に小児科の分野では、小児ぜんそくといったようなものが一つの時代の病気といったようなことで大きく取り上げられているのもまた事実でございます。 こういうふうなものを考えますと、私どもの方といたしましては、やはり中公審の答申等もちろん踏まえまして、一概に大気汚染による増加と受けとめるわけにはいかないのじゃないだろうか、このように考えておるのでございます。
○斉藤(節)委員 そこで、またさらにこの意見書があるわけでありますけれども、地方自治体の「更に適切な健康保護対策を講ずることを要望する。」ということで、これに対しまして環境庁としては「大気質を改善するための事業を行うこととしており、」というふうにあるわけであります。このように大気質の改善のために一層努力されるということは大変ありがたいことと私は思うわけでありますけれども、私はここで行政研究はやるべきじゃないかなと思うわけでありますけれども、いかがでございますか。
○目黒政府委員 この大気全体の問題に関する研究ということにつきましては大気保全局長の方からお答え申し上げることになろうかと思いますが、調査研究に今後どのように取り組んでいくのかということがあるわけでございます。これは先ほど申し上げましたようにサーベイランスもその中の一つでございます。そのほかに御指摘のいろいろな形の予防的な事業とか、NOxの原因究明とかあるいは治療法の解明とかいろんな調査あるいは研究というものがあるわけでございまして、私どもはそういうような調査を、あるいは研究というものを今後も続けていく必要があるというように考えておるのでございます。これは中公審からもそのような指摘をいただいておるわけでございますし、また地方公共団体からもその必要性については十分いろいろ御意見を賜っているところでございますので、この点については私どもはこれを行うということで、六十二年度の予算におきましても健康影響調査手法の検討といったようなもの、あるいは先ほど申し上げましたサーベイランスといったようなものの予算措置をいたしまして、各種の調査研究を進めているというのが今の段階でございます。 今後とも、この改正案を実施するといったような場合になりましても、この健康被害予防事業というものを改正案の中に挙げているわけでございますが、新しい事業の中でも積極的に調査研究というものも一つの柱として進めていきたいということで法律改正をしているものでございまして、この点につきましても法律の中でも記しているところでございます。
○斉藤(節)委員 大いにそういう研究をやっていっていただきたいと思うわけであります。 そこで、公害対策基本法にもあるわけでありますけれども、公害防止対策の計画は五年ごとに見直しておられるようであります。ここにおいていわゆる二十一世紀に向けまして大局的な立場から公害対策というものをやるべきだと思うのでありますけれども、いかがでありますか。
○加藤(陸)政府委員 お答え申し上げます。 公害対策につきましては、御指摘のように、確かに長期的かつ大局的な見地から取り組んでいくべきものだと考えております。御質問の中にもございましたように、公害防止計画というものがございます。これはもう先生御承知のとおりでございますが、今から十五年前に始まっておるわけでございまして、実は環境庁より歴史が古いものでございます。これを環境庁設置後は引き継いでやってきておるわけでございますけれども、この中でどういうことに重点を置くべきかということは、もちろん今までは産業公害がございましたし、これが現時点でも重要なテーマであることは論をまちません。 ただ、ことしの一月にちょうど中央公害対策審議会から意見具申をいただいたわけでございますが、公害防止計画というものの持っていき方について、これは五年ごとに見直すことになっておりますので、それは前と同じことをやっておるだけというのではいけませんよということから意見具申をいただいておるわけでございます。いろんな意見をいただいておりますけれども、その中でただいま先生がおっしゃいましたようなことを念頭に置いて考えてみますと、その中で触れておられることを幾つか御紹介申し上げますと、一つは、産業型公害というものに対する対策は怠りなくやるべきはもとよりであるが、今後の問題として人口の都市集中に伴う交通公害対策、それから生活雑排水による水質汚濁対策、これらが今後中長期的観点も含めて重点的に取り組むべき課題であるという御提言をいただいておるわけでございまして、先生これまでもいろいろと御質問いただいております中にもございましたが、交通公害対策につきましては、御指摘いただきましたような諸研究等も踏まえながら、将来にわたって中長期的な展望を持って進めていかなければならないと思います。 しかも、公害防止対策は、先生御承知と存じますが、関係省庁、ほとんどの省庁の大臣をもって構成される総理大臣をキャップとする閣僚会議のような組織がございまして、そこで決めてまいりますので、関係省庁とも協力しながら進めるというようなものになってございます。
○斉藤(節)委員 今局長から大変心強いといいましょうか、そういう御答弁をいただいたわけですが、環境庁でございますから、今局長が御答弁されました交通公害の問題は、やはり交通対策をやっていかなければならないと私も考えております。例えば渋滞などによっていわゆる大気が汚れる。私も渋滞に遭ったことも数え切れないぐらいあるわけでございますけれども、そのときの排気ガスの汚染というのは考えられないほどで、身にしみてこれは何とかしなければならぬと思っているわけであります。渋滞のないスムーズな流れを確保しなければならぬと思いますし、また、まだ舗装されてない道路もございます。そういう意味では、道路対策、舗装化する、あるいは悪い道路などを直していく、そうすることによって交通も非常にスムーズになるわけでありますし、また、物流機構というのは非常に問題だと私は思っているわけです。例えばどこかに拠点をつくってそこへ大量に送って、そこを支点に配分するといったようなこと。今は何か全部トラック輸送で生産地あるいは大都市から大都市へ走っているという問題がありますので、環境庁が主体になって、大気汚染防止という観点からこういうような交通対策あるいは道路対策あるいは物流対策を関係省庁に大いに働きかけていっていただいて、ひとつ日本の国全体の大気汚染対策というものを考えていってみてはどうかなと思うのでございますが、その辺いかがでございますか。
○加藤(陸)政府委員 全く御卓見だと存じます。そのとおりだと存じます。 それで、先ほどもちょっと御紹介申し上げましたが、この公害防止計画というのは、もうほとんどの省庁の大臣を含めたところで論議されることになっておりますし、そのキャップは内閣総理大臣、取りまとか役は環境庁長官、事務方は私ども、こうなっておるのでございまして、この中にもその精神は組み込まれておると言うべきでございますが、環境庁は力がないというおしかりはこうむると思いますけれども、それは一生懸命にやってまいりたいと思っております。したがいまして、今後も政府全体で取り組むべきようなテーマにつきまして、関係省庁においても積極的な施策が講じられるよう引き続き働きかけていきたいと思っております。 先生一、二例示をされましたが、例えば物流対策、つまり物流施設の適正配置による乗り入れ交通量の抑制、あるいはバイパスとおっしゃいましたが、環境保全に配慮したバイパスの整備あるいは交差点構造の改良とか、これは警察当局との御協力になりますが、交通管制の高度化等による交通の分散円滑化、さらには緑地帯の設置等による沿道土地利用の適正化などなど、並べますと、先生御指摘になったところから敷衍してまいりますとさらにいろいろな施策があるわけでございまして、これらの施策を公害防止計画に、地域の実情、特性がございますので、地域の実情、特性に応じて公害防止計画を策定する際に積極的に盛り込んでいただくよう、これは総理大臣から都道府県知事に策定を指示するものでございますので、指導と申し上げるとちょっとおこがましゅうございますが、サゼスチョンあるいは協力しながら進めてまいりたいと思います。
○斉藤(節)委員 今局長は環境庁が力がないなどと言われましたけれども、そんなことのないように大いに力を発揮して、関係省庁を督励して、日本の国全体の環境改善、大気汚染の改善でありますから、大いに力を入れてやっていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。 そこで、この研究についてちょっとお伺いしたいと思うわけであります。 先ほども御紹介しました国立公害研究所、十年来のを見せていただきまして私大変感心いたしているわけでありますけれども、この研究所における特別研究、いろいろありますね。ずっと調べますと大変な論文数でございます。よくよく見ますと、研究所内での報告は比較的公害――まあそういった公害問題について取り組んでいることは事実でありますけれども、かなりの部分が一般の国立大学と同じようないわゆる基礎研究が非常に多い。中には東京工業大学へ学位論文申請したということも載っておりますが、それは私悪いとは言いませんけれども、公害研究所の研究というのは、大学の研究所あるいは大学の学部の研究とは少し違ってもいいのじゃないか。公害研究所は相当いろいろやっておられると思うのですけれども、大体どのような研究をおやりになっておるのですか。その辺ちょっとお聞かせ願いたい。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤(陸)政府委員 国立公害研究所は、先生お話しいただきましたとおり、相当高度な公害問題を中心とする研究機関として非常に立派なものをつくっていただいたと思っております。 その辺はさておきまして、そこの中で行われている研究が大学でやっている研究と同じかどうか、これはなかなか難しいところでございますが、いずれにいたしましても学問研究でございますから、大学でも行いますしこういう政府関係の研究機関でも行われることになります。ただ、一般の大学の研究とはおのずから設置目的も設置理念も異なりますので、それぞれの特性を出しておるものでございます。これは俗に学際的な研究と私ども理解いたしておりますが、公害問題という面からそれが活用できるような学際的な研究、したがいまして、部分をとりますと何か大学の勉強と余り違わないような部分も間々あるかとは存じますけれども、そういう特徴を持っております。特に近年におきましては、公害問題についての研究は大分基礎を積んでまいりましたので、行政に役立つような研究に相当手が伸ばせるといいますか力がついてきたと申しましょうか、そういう努力をされておりますし、私どもの方からもいろいろとお願いしておるわけでございます。 そこで、どのようなといいますと、私その点では非専門でございまして、むしろこれは先生の方が専門家でいらっしゃいますのでリスト等も恐らく御承知だと存じますが、どんなことをやっておるかという点について、年度は省略させていただきますが、最近特にこれはというものを一、二申し上げます。 大気汚染の分野では、大型レーザーレーダーを持っておりますので、これを用いましての汚染の発生メカニズムあるいはその影響に関する基礎的な研究でございます。 それから大気汚染の防止対策の分野では、植物による大気汚染浄化能力に関する研究、詳しい中身が必要でございますれば、御指摘いただけば御説明いたします。 それから沿道のNOx汚染を防止するためのいろいろな対策がございます。例えば道路構造を高架にする場合であるとか掘り割りないし半地下式にする、極端に言えばトンネル化の場合もございますし、そういう場合におけるその影響評価を、本物をつくって風洞実験という手ももちろんあるわけですが、そうではなしにシミュレーションでやっていくという手法も最近のコンピューターを活用しまして勉強しておる。さらには、それを画像表示して説明することによって比較的わかりやすく、あるいは比較しやすくするというようなことも開発しておるようでございます。 必要とあればさらに詳しく御説明申し上げますが、時間の関係もございましょうからまずはここまでにいたしますが、その内容につきましてはこの四月と今月の初めごろと二回発表いたしまして、一部新聞、テレビ等でも取り上げていただいておるものもございますので、御紹介申し上げました。
○斉藤(節)委員 確かに公害研究所でありますから、公害に関する研究をおやりになっているということは、私も論文リストなど見まして大体わかるわけであります。大気関係の方だけずっと見せていただきましたけれども、かなりのテーマを持ってやっておられます。 例えば大気関係だけについて申し上げますと、特別研究では五件。これは六十二年度、今までついているもの。大気環境部では六十件、そういったあれをやっておりますし、既に終わってしまっている研究もかなりあります。もっともこれは十年のときの論文のあれですから、今新しくかなりやっておられると思います。あとは、環境保健部では十二テーマ、生物環境部では六テーマ、技術部では五テーマ、科学研究費によるもの、これが四テーマぐらいやっておって、症例研究も六件ばかりやっています。そういうふうなことで大体九十八編ですか、こういったテーマについてやっておられるわけですけれども、今局長から御答弁いただきましたようにほとんどが基礎研究でございます。最近のあれによりますと、具体的なNOxについての植物のそういった研究があったやに聞きましたけれども、その辺御説明願えればと思います。
○加藤(陸)政府委員 植物の例についての研究、名称は大気汚染の防止対策の分野の中で、植物による大気浄化機能に関する研究、正式にはもっと長い名前でございますが、特別研究、植物の大気環境浄化機能に関する研究、これは昭和五十七年度から六十年度というものでございます。その成果はどんなことを言っておるか、長いものがございますけれども、かいつまんで申し上げさせていただきますが、まず二つのことを特に報告しておるようでございます。 その一つは、植物の葉の温度からNO2等の汚染物質の吸収速度、どの程度のスピードで吸収するか、吸収速度を求める研究をいたしております。その手法といたしまして画像計測システム、絵でとりましてその色を感知して計測していくという方式のように聞いておりますが、画像計測システムを開発してそれをやっておるという点が一点でございます。これはむしろ手法の説明を申し上げました。 さて、その結果ですが、落葉広葉樹七十八種類、常緑広葉樹三十五種等について調査しました結果、浄化能力は樹種によって差がありますけれども、ツバキとかアオキといった常緑樹よりはポプラ、ケヤキ等の落葉樹の方が相当強いというような結果が明らかになっております。ほかにも相当長い研究論文になって公表されておるようでございますので、必要でございますればお届けするようにいたします。
○斉藤(節)委員 大変いい研究だと私思います。こういう広葉樹がNOxを吸収する、特にNO2を吸収するということは大変すばらしいなと思うわけでありますけれども、このように公害研究所というのは、国民のために、日本の環境をよくするということにもっともっと力を入れてやってほしいというのが国民の願いじゃないかなと私思うわけでございます。そういう意味でRアンドD、開発研究を大いにやっていただきたいと思うわけでございます。 もう時間もなくなってまいりましたので最後になりますけれども、長官、この指定地域、四十一地域を一遍に解除するということは、政治的にはそういうことになるのかもしれませんけれども、健康、疫学的な観点からいいますとやはり問題だろう。このデータを見ますと、非常にきれいになった都市もあるし、また余り改善されていない都市もあるようでございます。そういう点で、長官、一遍に解除するというようなことをやめて、もう少し御検討されたらどうかなと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○稲村国務大臣 先生の御意見もごもっともだと思いますが、環境行政は申すまでもなく国民の健康の保護を重点、基本に置いておりますことは当然のことでございます。 公健制度は、民事責任を踏まえ、汚染の原因者の負担により健康被害者に対して個別の補償を行うという制度で、制度を公正かつ合理的に運用していく、こういう基本に立って考えねばならない、こう思いますので、先生の御意見も参考にはさせていただきますが、この際この方針どおりお認めいただけたらありがたい、こう思います。
○斉藤(節)委員 時間がなくなりましたのでこれ以上の質問はやめますけれども、いずれにしましても患者を大事にしていく、国民の生命を大事にしていく、これが環境庁の義務じゃないかと私思うわけでありますので、その辺を篤と御考慮の上よろしくお願いしたいと思います。 長い時間、どうもありがとうございました。
○林委員長 滝沢幸助君。
○滝沢委員 委員長、御苦労さまです。長官初め執行部の皆さん、どうも御苦労さん。 夜になっての審議ですからなるべく簡単にまとめたいと思いますが、この会議に入ってくる前に、全国公害患者の会連合会幹事長森脇君雄さんという方から申し入れ書というのをちょうだいいたしました。公害被害者や広範な国民の声を無視して、本日、衆議院の環境委員会で公害健康被害補償法の改悪案の審議入りが強行されたことは遺憾である、こういうのであります。 これは余計な話でありますけれども、いつの昔に改正なんという言葉を考えたのか知りませんが、役所の方で改正案と言えば、反対なさる方で改悪案、こういうふうにおっしゃっているわけであります。しかし本当は、あしきを改めるというのだから改悪すればよくなる、正しきを改めるというのですから改正すれば悪くなる、これが言語学的には正しいのでありますが、いつの昔に愚かなる言葉を使い初めたものか知りませんけれども、それにしても改正と言えば改悪となる、事ほどさように国民世論の分断といいますか、残念なことだと思います。私は、環境庁がこのことを、つまりはこの公害健康被害補償法を、いわば改正であろうが改悪であろうが、いわゆる手直しをして新しい制度に改めようとおっしゃるには、それなりの論理と見通しないしは責任もお持ちであろうと思うのであります。一面からいいますと、しかし患者の皆さんが御自分の御健康を案じておられまして、切なる叫びだと私は承っているのでありますが、これらに対しての説明が足りないのじゃないですか。結論としてのことになりまするが、ここまで来まする間に、もっともっと真心込めて説明し、御意見も承って、吸収し得るものはこれを吸収して、法文に生かすということが必要でなかったのかどうか、これに対してどのような説明の過程があったのか、ひとつ承りたいと思います。
○目黒政府委員 今回のこの制度の見直しにつきましては、先生御指摘のとおりのお考えあるいは御意見等があったわけでございます。 今回の改正の一番の発端は、やはり我が国の大気汚染の状況というものを見てみました場合に、硫黄酸化物による汚染が著しく改善されるとか、あるいは窒素酸化物等はほぼ横ばいに推移しているといったような大気汚染の状況の変化というものがまずあったわけでございまして、それを踏まえて中央公害対策審議会に諮問をしたのでございます。これは五十八年十一月に行ったわけでございまして、それ以後環境庁は、これまで行ってまいりました各種の調査あるいは科学的な知見というようなものを集めまして、中央公害対策審議会の中に専門委員会を設けたということで、その中央公害対策審議会の中の専門委員会から、先生が先ほど御指摘いただきましたような答申をいただいたわけなのでございます。 その経過でございますけれども、この経過の中にはやはり各方面の御意見というものが当然入っているわけでございます。例えば専門委員会、この専門委員会のメンバーの先生方の中には、これは直接患者の治療に携わっている方もおられれば、あるいは公害にかかわる科学的知見の専門家、こういうものが集まった中で専門委員会報告がなされたのでございます。さらに、中央公害対策審議会全体といたしましては、例えば昨年の六月であったと私記憶いたしておりますが、この途中におきまして、患者の団体の代表の方々に中央公害対策審議会においでをいただきまして、そしてこの患者の団体あるいは費用負担者の側等々から御意見をちょうだいしておったわけでございます。また、そのほか一昨年、昨年と、私ども患者団体の方々ともいろいろお会いをいたしまして、私どもの方の考えもるる御説明申し上げ、また御意見もいただき、そういう機会を持ってきたわけでございます。私ども事務当局のみならず大臣も会うというような形で、いろいろな場を利用いたしましてそれらの御意見をいただいているのでございます。またこのほか、いろいろな科学者あるいは各種のこのほかの団体からもいろいろ意見書をいただいておりまして、これらも中央公害対策審議会の場へ私ども伝達をいたしますと同時に、私どももこの御意見を検討したというのも事実でございます。 いずれにいたしましても、私どもは私どもなりに考え方を御理解いただくべく努力をしてきたのでございますが、先ほど先生から御指摘いただいたようなこともあるわけでございますし、やはり今後とも御理解を賜りたい、また私どももこの御理解をいただくための各種の努力をこれからもしてまいりたい、このように思っているのでございます。
○滝沢委員 経過を承れば、御苦労さまと一応申し上げさせていただきます。しかし私たちは、いわゆる中曽根政治の手法を、いろいろの公的、私的諮問機関等をつくって、そして議会に諮る前にいろいろの学者やそういうものを委嘱して委員会に諮った、そうしましたら委員会がこのようにおっしゃった、それによってこの法律案をつくったということをなさる。いわば御自分の御都合のいい意見を具申するであろう委員を任命して、そして果たせるかな自分のお考えどおりの答申をちょうだいして、そしてそれをひっ提げて法案として議会に臨むという手法はけしからぬ、極端に言えば、議会軽視の手法でもある、私たちはこういうふうに批判をしてきたのであります。 もちろん中公審がそうかどうかということはにわかに言いがたいものもございますが、ここで、今のお話で私は二つに分かれると思うのです。中公審ないしはその中の専門委員会がいわば答申をされた、それによってこの法案の骨子が決まったと承るわけであります。その中にはいろいろの立場の委員がいらっしゃるし、御意見を聞いた、またそこに、中公審にいろいろの方々、患者の代表の方々をもお招きをして御意見を聞いたという部分ですね。しかし、これはあくまでも中公審が諮問に答える過程の努力であって、私は、これは政府の努力と言い得るかどうかは甚だ疑問だと思うのです。もう一つの面は、つまり、この中公審が結論を出す出さぬにかかわらず、いわんや出してから今日に至るまで、もっともっと環境庁そのものが提案者としての立場で、何も審議会が出した結論というものをそのままうのみにしなければならぬ義務はないわけでありますから、これをうのみであろうと手を加えようと、採用されて提案されるに当たっては、提案者としての立場でもっともっと、それこそ国民各層、なかんずく病に苦しんでいらっしゃる患者の皆さん等に対する説明、説得が必要でなかったのか、こういうふうに私は反省されてしかるべきと思うのでありますが、大臣は、この公害患者の皆様にどのくらいの回数、どのくらいの時間をお割きになってお会いになっておりますか。
○目黒政府委員 事務的にちょっと先に。 毎年、公害デーに当たりまして患者の代表の方々と大臣は会うということ、それからそのほかに、適宜機会を見てお会いをしているというのが状況でございます。
○稲村国務大臣 私自身公害患者の皆様の御意見を聞いたのは一回でございます、直接には。しかし、中公審の答申を勉強させていただいたり、あるいは企調局の皆さんの御意見を聞き、自分なりに、足らないなりに勉強させていただいている、そういうつもりでございます。
○滝沢委員 一回だから足らぬと言っているわけじゃありません。回数でどうかは知りませんけれども、しかし実は大変ないわば反対運動等のあらしの中で、この法案が結局は多数決で通るのかもしれませんけれども、それにしてももう一つ親切な対応があってしかるべきではないか、私は今こう思うのですよ。 結論として承りたいことは、大臣、患者の皆さんをこの改正法は見捨てるのですか、それとも、今日までと同等があるいは今日まで以上に患者の皆さんを温かく医療して差し上げようというのであろうか、これはどっちですか。
○稲村国務大臣 先生の今の御意見ですが、従来どおり認定患者に対してはこちらの側で責任を持つ、従来の法律にのっとりましてやらせていただく。そして、今後の問題につきましては、先生御承知いただいているとおり個々にではなく地域、あるいはそういうものに対する改良の方向、予防の方向で将来長い目で見てよかったという方向を打ち出す、そういう方針でございます。
○滝沢委員 既に認定された患者に対しては今までどおりということであれば、いわゆる認定済みの患者さんにはよく御説明をすれば安心していただけることでございましょう。しかし、問題は新しく認定を受けようとしていらっしゃる人、これから病気にかかる方々が非常に不安だとおっしゃるわけで、さもあらんと思いますが、これに対する救済の道は、この法の骨子等を拝見しますると、公害が起きないようないわば環境の整備というようなことに国も企業も、あるいはまた地方自治体も努力をしようではないかということだろうと思うのでありますが、ここのところがやはり不安のあるところじゃありませんか。ですから、今は認定に至らないけれども、今の法がそのまま続いていたら今後認定を受けて治療されるであろう方々に対する措置、ここのところが一つきちんとしないというところじゃないでしょうかね。この点についての説明はどうなさいますか。
○目黒政府委員 これから起こる可能性のある患者さん方ということでございますけれども、これらの方々につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように予防という観点から、個々の方々に個別の補償ということではなくて地域全体に一つの事業というものを行って、そしてこの事業によって対応していこう、こういう考え方でいるわけでございます。 この理由というのはいろいろございましたけれども、一つは、やはりこの制度自体が一定の地域に発生した患者たちは大気汚染のものとみなすという一つの割り切り、それからまた、一定地域以外の全国の煙を出す企業を負担者とするというふうな割り切り、この二つの割り切りの上に成っている制度であるわけでございます。その割り切りがどうも合理性がなくなってきたというところに、今度の私どもが指定地域を解除する一つの考え方といいますか、根拠があるわけでございます。 この根拠に基づきまして、新しい事業の中では、具体的に申し上げますと例えば保健婦による健康相談をやるとか、健診を行うとか、あるいは新しく患者さんになった方々についても今までの認定患者さんに行っていたようなある種のリハビリテーション的なものを積極的にやるとか、各地域の医療体制を充実するとか、こういった形の人の健康に関連のある事業というものが一つの柱としてあるわけでございます。このほかに、地域全体の大気汚染を軽減させるための環境保全的な事業、二種類の事業を考えておるわけでございます。このような事業を中心にして、新しく、今後大気汚染に基づいて起こる可能性のある患者さん方に対しては個別の対応というのではなくて集団として対応してまいりたい、このように考えているのでございます。特に補償をするという考え方は非常に合理性が乏しくなってきたというところが一つの大きなポイントになるのでございます。
○滝沢委員 難しいところですが、一つは、予防を幾ら完全にしても、既に病気になっていらっしゃる方で認定に至らぬという方については救済になりませんね。ですからむしろ不安は、これから本当に予防をきちんとやって、いやしくもこれからは新しい患者は出ないということができるかどうか知りませんけれども、仮にできたとしても、既に罹病していらっしゃる、しかし認定に至らざる人、そういう方々はやはり不安におののいていらっしゃるのじゃないでしょうか、そのことが一つ。 もう一つは、割り切りとおっしゃいますが、そもそも割り切りだと私は思うのですよ、最初から。本当は公害なんというのは世の中にないのです。もしもあったならば、公というのは国家でしょう、県、市町村でしょう。公が犯した害が仮にあるならば、道路の設計が悪くてそれによって交通事故が起きるとか、こういう建物の工事が悪くてそのために健康を害されたりけがする人があったりしたならば、これは公の書かもしれません。本当は皆さんが考えていらっしゃったこういう法律の発想の原点である公害という概念は最初から間違っているのですよ。あれは複合私害、私の善なんです。カネミ何とかがどうしたというのははっきりわかるが、これは複合しているだけで私害ですよ。何とか工場、何とか工場、幾つも出てくる、だから公害だというのは、これは逃げですよ。戦後の公害に関する考え方は、日本だけじゃないかもしれませんけれども、急速な経済成長、科学の進歩発展の中で、そうした企業が出してきます私害の複合なんですよ。ですから最初から公害じゃないのです。 公私の別をはっきりしろというのでしょう。公私の別という立場に立つ公の概念というのはまず国家であり、地方自治体です。それが直接に犯した害は先ほど申し上げたようなことですね。これはしかし、いろいろの補償制度の中で随分と救済されています。公害という形の中で一緒くたにされてしまったのは、本当は私害なんですよ。私の害の複合したものなんです。そこのところにおいて既に最初から公害という概念は割り切りであり、逃げではありませんか。それをここでその割り切りをやめようというところにしょせん無理があるのじゃないですか。そうじゃないでしょうか、いかがですか。
○目黒政府委員 まず、前段の患者さんの問題について申し上げますと、もし新しく病気になる方が出たとしますれば、やはりその方々がどこへ行ったらいいかとか、どういうふうな対応をしたらいいかという相談を受けるのは、これは予防というよりは、そういう方が出たとすればそういう方方にどういう適切な医療がいいといったようなことを私どもは指導するということがあるわけでございます。また、その後適切な医療機関に行かなければいけませんので、その医療機関を充実拡充したい、私どもそういうような公健法の病気にかかわります呼吸器疾患の外来の充実といったようなことを含めたものを新しい事業の中で考えているのでございまして、そういう医療体制をある程度きちんとするとか、あるいはどこへ行ったらいいかをはっきりさせる道案内人的な相談といったようなものも当然必要ではなかろうか、こういうことで申し上げておるのでございまして、単に予防ということではなくて、そういう方々には個別の補償というのは非常に無理がある、しかしながら個別の補償というよりは地域全体としてカバーするような方策でそれに対応をしたい、これが私どもの考え方なのでございます。
○滝沢委員 結核予防法、精神何とか法というのがありました。つまり、そういう特殊な病気を決めてそれを特別に国が根絶するために手当てをした思想もありましたよね。そうならば、これは厚生省から見えていただくとよかったのだけれども、厚生省の立場と相協力して健康保険法やその他の手直しによって、こうした本当に気管支ぜんそく等で苦しんでいらっしゃる方でこの改正によって不安におののいていらっしゃる方々にお会いになって、その方々がまじめに役所とお話をなさる、役所もまたその患者さんの立場に立って、その心の中に踏み入ってひとつこれを救済してあげようというお気持ちがあったならば、他の関係法律の整備によってそれらの不安を除去する方法はありませんか。
○目黒政府委員 それぞれの四十一の指定地域を持っております地方公共団体は、当然先生の御指摘になりましたような、例えば子供の問題であれば母子保健法とか、あるいは老人の問題であれば老人保健法といったような所定のさまざまの法律のもとに厚生省が行っております施策、例えば保健所とかそういう体制を組んでおるのでございます。私どもが先ほど申し上げました新しい事業というふうに言っておりますものの相談とか健診とかあるいは医療体制の充実、これは当然厚生省が所管をいたしております。そのようなものとオーバーラップしながらやっていくものでございます。 具体的に申し上げて恐縮でございますが、例えばそのようになるかどうかは地方公共団体のお考えによろうかと思いますが、例えば三歳児健診というのがあるわけでございます。あるいは一歳児健診というのがあるわけでございます。そのような機会に、私ども積極的にいろいろな健診を行ったり相談をするということによって未然に予防できたりあるいは既に発病している方々については適切な指導を行っていく、あるいはまた医療機関については、これはもう当然厚生省が所管をいたしておるものでございますけれども、この厚生省が所管をいたしております医療機関についても、公害あるいは今の大気汚染によって起こりました健康被害、こういったもの、これは病気という観点から申しますと同じものであるわけでございます。 例えば小児ぜんそくということでございますれば、これはもう今小児科の中で一つの非常に大きな問題として取り上げておるのでございまして、これに対する体制の整備といったようなことも当然必要なことでございますし、研究も行われているのでございます。厚生省の所管でございますけれども、当然そういう医療機関の中でタイアップしながら対策を進めていくというのが私どもの考えでございまして、御指摘のとおり諸般の、いろいろ関係いたします対策と相協力しながら進めてまいりたい、このように考えているのでございます。
○滝沢委員 大臣、今のようなことで将来必要ならば、そうした他の法律との兼ね合いにおいて制度の見直しはありますか。
○稲村国務大臣 これはいろいろ先生のような御意見を体して研究しながら、見直しはあり得ると思います。
○滝沢委員 ありがとうございました。 視点を変えてちょっとお伺いしますが、今情報公開という時代でございまして、そこで、中公審の会議録というのは秘密文書ですか。秘密文書ではないですよね。いかがですか。
○目黒政府委員 中央公害対策審議会の議事録、これは公正な審議を行っていくという場合には、だれがどういうふうな発言をしたとかそういうような具体的なこと、あるいはそういうものを公開するということは、公正な審議という建前から、中央公害対策審議会の運営方法につきましてはこの審議会自身が決めるといったようなことでございます。それで五十年十二月、数回にわたる総合部会の審議の結果行われました決定でございますが、中央公害対策審議会の運営方法については、総会において了承されたのでございますけれども、これによりますと、会議の公開の問題につきましては非公開を原則とする、それから当該会議が必要と認めた場合には公開とする、また議事録は委員以外の者は閲覧できないとされている、こういうふうに審議会の方で決められたのでございます。
○滝沢委員 それは法的根拠はありますか。それを秘密にしなければならぬという法的根拠、ないしは秘密にしてもいいという法的根拠はありますか。これは私の考え方ですが、いやしくも公から委嘱されて国政の重要なことについて意見を述べよう、諮問に応じようというほどの人物は御自分の信念において発言なさるでありましょう。しかも、それが一つには世間大衆に明らかになることによって御自分の主張を確認されるでありましょうし、一つにはこれが記録となって歴史に残ることによって御自分の思想が誉れあるものになることを念じていらっしゃるのではないかと私は思うのですよ。私たちのごときもまさにそのとおりであります。議会等で発言いたしましたことは、それはそのとおりに簡単に受け入れられるものではありません。しかし広く国民のどなたかは理解してくださるであろう、ないしは今日はだれ一人理解するものはなくとも、歴史の将来において私のこの思想というものは評価されずにあるまじきものというだけのものがあってここに参じておりますよ。 そういうふうに思いますときに、仮にこれを公開しなくたって、もう既に新聞が何人反対、何人賛成、何とか博士はこうおっしゃって、何とか教授はこうおっしゃったと書いているじゃありませんか。うそか本当かわからぬ――新聞記者の皆さんに言っているのではありませんよ。そうじゃありませんが、新聞等でおぼろげながらそういうふうに書かれるよりは、きちんと資料が出されて、それが問われた方がかえってその先生方に対する親切というものではありませんか。そうして皆さんの立場から言うと、あるいは審議会の皆さんから言うと、痛くない腹を探られるのですね。そういうことじゃかえって御迷惑じゃありませんか。どうかひとつ、この審議会の会議録というものは公開されるのが本当だろう。公開されることによっていかなる被害がありましょうか。その先生方がそれを恐れられるならば、私はこのような公的な審議委員等はお引き受けなさらぬ方がよろしい、こう思うのですが、酷でありましょうか。大臣、いかがですか。
○加藤(陸)政府委員 まず国会の例を引かれましたけれども、国会は国会法、その基礎に憲法的な基礎があるわけでございますが国会法、それから議事運営規則等々できっちりとでき上がっているもちろん日本最高の機構でございます。これについての例と個々の審議会の運営とをまず直接に対比というのは私、いかがなものかと存じますけれども、ただ法的根拠があるかとお問い合わせでございますので、これは審議会の運営については審議会に関する法律がございまして、そこの運用についてはルールが決まっております。議事運営規則というものもございまして、今のお話しになっておりますような部分の運用につきましては、それぞれの審議会においてみずからが決めるというふうに法律上の根拠はなっております。
○滝沢委員 裁判の結果、これが提出を迫られたら、出すほかありませんよね。そうでしょう。
○加藤(陸)政府委員 ちょっと私も研究してみないと正確なお答えになるかどうか、しかし、裁判をもってして強制できる話、筋合いのものかどうかは、私いささか疑問に思います。
○滝沢委員 いやしくも公費を使って公のことを議論するのに、何とか審議委員様になって、そして言いたいことを言いまくって、これは秘密だよ、世の中に出してはいかぬよというのならば、学者というのはいい商売だ。やはりこれは公開に踏み切られた方がいい。だからバイパスだとか議会軽視だと言われるのですよ。隠れみのだと言われるのですよ。何人の人が賛成し、何人が反対した、何とか博士がどうこうと、ちゃんと世間はみんな知っていますよ。こういうものに対してきちんとしていかないから政治が国民から信頼されない。そして何か秘密のベールの陰でいろいろと揣摩憶測が飛ぶのです。 大体審議会を開いたときに、これは公開するかしないかというときも、皆さんの方で、いや実は法律はこうなっておりまして、先生方が秘密とおっしゃるならばこれは秘密にできるのでありますと誘導するのでしょう。こういうやり方がいかぬと言っているのですよ。すべからくこのようなものは、何もこれに限りませんよ、国がやりなさる、公がやりなさる、このようなことはすべて公開して、ガラス張りの中で議論され、意見が発表される方がよろしい、それが民主主義だ、私はこう思うのですが、いかがなものでしょう。 〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕
○目黒政府委員 今のお答えになるかどうかちょっとわかりませんけれども、環境保健部会が終了いたしました後で、一つの部会長の先生からいろいろお話があったわけでございますが、そのときにこの部会長の方のお話の中に、これは中間的なものでございましたかちょっと失念いたしましたが、審議会の途中で部会の公開の話がやはり出たことがあるのでございます。そのときにこの部会長の先生がおっしゃっておりましたことは、やはり審議会の審議の過程というものは賛成もある、あるいは反対もある、いろいろな異なった意見もある、そういうものが、当初はこうであったけれども次第次第に固まっていってそして一つの結論へと導かれるものでありまして、それが総意として固まるのだ、こういうふうな御意見を申しておられたわけでございます。その意見を、どの先生がどうということではなくて、部会全体の総意、結果というものとして発表したらいいのじゃないかというようなことを申されたという事実が一つあるのでございます。 それからもう一つは、会長が最後にこの答申をいたしますときにやはり会長の談話というのを出しておられまして、全文は時間の関係で省略をいたしますけれども、その中に賛否のいろいろな意見があったということも付して、いろいろな意見があったけれどもということで談話を出している。こういうような事実もああわけでございまして、先生御指摘のことも一つの御意見でございますけれども、私どもの方といたしましては、先ほど来申し上げておりますような、あるいはまた審議会の先生方はそういうようなお考えを持って非公開ということで御審議をされておるというふうに受けとめているのでございます。
○滝沢委員 その中公審の委員を委嘱するに至ります選考等の作業の過程はどういうふうになっているのですか。
○目黒政府委員 中公審の委員の選定につきましては、例えば部会でございますと、当然部会長と相談をし、あるいは私どもの中で、任命権者は大臣でございますので大臣の御意見ということで、私ども環境庁全体として一つの判断を下すというような作業過程に相なるのでございます。
○滝沢委員 ちょっと省略し過ぎているのじゃないですかな。いろいろなジャンルに分けてそうしたところに推薦を願うとか、あるいは何とか課長が原案の名簿を、五十人だったら六十人ぐらい書いてきて局長が何人か削るとか、何かそんな実際の作業はあるのじゃないですか。もう少し親切に教えてちょうだい。
○加藤(陸)政府委員 そういう意味での実態的な関係でございますれば、若干御説明申し上げておいた方がよろしいかと存じますが、これは各種審議会大体似ておりますけれども、大きく分けますれば、利害関係者構成とか三者構成とか言っております厚生省等でいいますれば医療協議会というようなタイプのものと、公益委員構成と言われるものとに分かれるかと思いますが、私どもの方の中公審は公益委員による審議会でございます。 そういう審議会の委員を選びます場合には、それぞれいわゆる利益代表という形では当然ないわけでございますが、いろいろな各界を代表する方方というような割り振りと申しますか物の考え方はございます。それもグループによって、分野によっていろいろ分かれますけれども、お医者さんであるとか、いわゆる論説関係、マスコミ関係でありますとか、いろいろ分類といいますか、考え方、分野はございます。そういう分野を代表する方をお選びするときにはその関係の、例えば法曹界関係であれば法曹界のしかるべき事務局あるいは会長さんというような方々の御意見を承り、御推薦をいただいて選んでいくという過程は確かに先生お察しのとおりございます。
○滝沢委員 この審議会だけではありませんけれども、とにかく選考、任命の方法から会議のあり方等をもっと公明正大にした方がいい。私はそうされるように切望してやみません。 さて、時間がないですからはしょりますが、新法の九十八条によります基金、これはどういう内容で積み立てでどのように運用されていくものか、ひとつ大ざっぱに御説明してちょうだい。
○加藤(陸)政府委員 基金の考え方につきましてはもう省略させていただきます。条文でまいりますと九十八条の二でございます。それに、ちょっとこれは読み上げさせていただいた方がいいかと思いますが、「協会は、第八十八条第四号及び第五号に掲げる業務」俗に新事業と言っております「に必要な経費の財源をその運用によって得るための基金を設け、大気の汚染の原因となる物質を排出する施設を設置する事業者その他大気の汚染に関連のある事業活動を行う者から拠出される拠出金をもってこれに充てる」、したがいまして、基金の充足といいますか拠出は、「大気の汚染の原因となる物質を排出する施設を設置する事業者」、いわゆる排出する煙突、煙突グループと申しておりますが、そういう事業者の方、「その他大気の汚染に関連のある事業活動を行う者」から拠出されたお金で基金をつくりまして、その運用によって、利息でございますね、それで事業をしていくという構成でございます。
○滝沢委員 その運用は、運用する委員会等があって、今おっしゃったようないろいろの立場の方方の代表等が運営の委員等になって運用していくんですか、それとも役所サイドだけで運用していくんですか、いかがですか。
○加藤(陸)政府委員 この基金の設けられる場所は、ただいま法律の条文を読みました中で出ましたように協会でございます。これは特殊法人として設けられております協会、今回名称を補償予防協会という名前にする協会でございます。この協会の中に設けられる基金でございます。したがいまして、直接の運用は協会が行うことになるわけでございますが、もちろんこれは特殊法人たる協会でございますので、環境庁の指導と申しますか、環境庁と連絡をとりながら運用をされていくことは確かでございます。 その運用の仕方、それからどういう中身をどうやっていくかという具体的なその運用機構といいますか、それにつきましては、またこれは法案御審議をいただきました上で細目さらに詰めなければいかぬ部分もあると思いますが、大まかに申し上げまして、運用の形態は環境庁の指導、指示のもとにといいますかを受けながら協会の責任者、つまり会長が方針を決めていく。ただし、現実にこの果実、基金から生み出されるものによって事業を行っていくのは主として多くは自治体になりますので、その辺との相談なんかで現実が動いていくことは確かでございますけれども、この辺の細目につきましてはさらに今後の検討ないし最終確定を待ってからでないと明確なことはちょっと申し上げかねますが、仕組みとしてはそういうようなものでございます。
○滝沢委員 いや、実は私が申し上げておるのは、協会なんといっても、本当はこれは縫いぐるみを着た役所みたいなもので、これはすべてそうなんです。すべてそうなものだから、何とか協会、何とか事業団なんというけれども、要するにあれは役所が中に入っていて、縫いぐるみを見て国民は何とか協会様と思っているようなものだから申し上げているわけでありますが、どうかひとつ、金を出してくださる方々はもちろんでありますし、またそれによっていろいろと影響を受けなさる患者の皆さんないしはその地域の方々の意見を反映して運用できるようなシステムを工夫してほしいものだというふうに実は申し上げたかったわけでございます。 最後に、その事業の手始めでしょうかどうか知りませんけれども、先ほど承りますと、気管支ぜんそく等に関する調査研究を行う、五年間で何人かの方々を選んでこの調査をするのだ、こうおっしゃっているわけですが、これは何人ぐらいを検体というのでしょうか、その研究の対象にされるのでしょうね。
○目黒政府委員 先ほどの資料でございますけれども、あそこに書いてございます範囲内の地域とかあるいは対象ということでおりますが、これをどの程度ということについては、対象地域等ももう少し明確にしませんとなかなかカウントしづらいのでございます。しかしながらこの数につきましては、やはりどちらかというと大都市、要するに指定地域を有する大都市といったようなところがどうしても中心になろうかと思いますので、そういうところから逆算をいたしますと、これはまだ私ども詰めておりませんので明確な数字ということは申し上げかねるのでございますけれども、まあどちらかといいますと、今後もしそういう患者さんたちというものが同じような比率で出てくるとしますれば、今まで毎年何千人かの新規の患者が出ているわけでございますので、そのような感じのものが対象になる可能性はございます。しかしながら私ども、何分にもどういうふうにという具体的なことをまだ今の時点で何も詰めておりませんので、この辺のことについてはいましばらくお時間を賜りたい、このように思っておるところでございまして、先生御指摘の点も含めまして今検討中というところでございます。
○滝沢委員 先ほど斉藤先生の質問の中にも出てきたように思いますが、この患者さんの罹病の原因がいわゆる大気等の今日までの公害的範囲のものであるかないしはその他の原因によるものであるかのことはきわめがたいとはいいながら、今日の高度な医学の中でこれが明らかにされ得ないはずはなかろう、ないしは相当的確なる測定ないし推定ができ得るだろう、私はこう思うのですよ。さればこそこの新しい制度の中で研究をしよう。その研究される検体というのですか患者さんというのでしょうかを選ぶには、今まで認定の方法とほぼ同じ方法で選ぶ、こういうふうにこれは書いてありますから、そうならばそれに仮に五百人なりというような方が出てこられた、そしてそれらを調査していきました結果、これは明らかに今日までのいわゆる公害患者と同じような大気汚染等、私に言わせれば複合私害、皆さんの立場から言うと公害によるものだということになりましたならば、それを救済する道はやはりその個々の方方を医療してあげる以外にはないのではないか、私はこう思うのですがね。それが明らかにわかって、五百人の方を調べた、そのうちの二百五十人は他の原因、二百五十人は大気の汚染等いわゆる公害患者だということになった場合にも、一番最初に承ったように、その予防をきちんとして公国もつくるしというようなことで説明がつくものじゃなかろう。 つまり私は、調査研究と言うのだけれども、本当に今日までのいわゆる公害患者と同じような方方については、今後も個々の救済を結局するほかないのではないかと思うのですが、いかがなものですか。そうした中で今後必要ならば、この法の、五年間研究するとおっしゃるわけですから、そうした結果五年目、六年目にこの法の再改定ということが想定されるのじゃありませんか。長官、いかがですか。
○目黒政府委員 ちょっと事務的に御説明申し上げます。 ただいま先生の御指摘の研究でございますが、これはいろいろな可能性というものは先生御指摘のとおりあるわけでございます。しかしながら科学の問題でございますので、また現在、小児ぜんそく等時代のはやりの研究ということでいろいろな角度からあらゆる方々がやっておられるわけでございますので、一つの科学的な知見ということで出た結果を見て対応することに相なろうか、このように思っておるのでございます。今の段階では、その研究結果を事前に予測いたしまして、こう出たから御指摘のようなことをやるとかあるいはやらないとか、そういうふうなことについて事務的な段階として申し上げるということについては大変難しいのではなかろうか。特に科学的な問題でございますので、これを一つ一つ丁寧に積み上げていき、そして一つの大きなデータとしてまとめて、本当にそのような原因が大気汚染によるのか、あるいはダニとかカビとかアレルギーとかによるのか、はっきり仮にわかるような時点というものについては私ども努力しなければいけない、また努力をお願いしなければいけないのでございますけれども、今からこういう結果が出たときにはこういうふうに考える、あるいはこういう結果が出たら御指摘のような制度を考えるといったことについては、まだ現在の段階では私どもそのようなことは用意はないのでございまして、お答えになるかどうかわかりませんが、事務的にはいましばらくお時間を賜りたい、こういうように、考えておるところでございます。
○稲村国務大臣 先ほども申し上げましたが、先生の御示唆を踏まえてそのときの状況をよく研究し、ケース・バイ・ケースで熱意を持って国民の健康を守る、この基本的な観点から対処しなければならないと思っております。
○滝沢委員 時間が参りましたが、しかし、仮に先ほど申しましたように五百人のうちの何百人かが今までの患者と同じ原因によってこの病気にかかっていらっしゃるんだというはっきりしたデータが出ましたならば、これに対して見捨てることはできないじゃないですか。そして、そうした研究の結果が法の再改定等に結びつく可能性がないならば、そんな研究なんかする必要ないじゃないですか。いかがですか。
○目黒政府委員 特にこの資料にございますように幹線道路における大気汚染の健康影響ということに着目をいたしておるわけでございまして、いずれにいたしましても、この患者さんの研究調査のみならずNOxに関する問題等もございます。そういたしますと、先ほど来先生がおっしゃっているような自動車あるいは沿道といったような問題で、原因である、そういうものが仮にあったとしても、それに対して個別の補償をするかどうかということについてはさらに広範な議論が私は要るのではなかろうか、このように考えているのでございます。と申しますのは、自動車はだれもが利用しているものでもございますし、これから出てくる結果を予測いたしまして云々するということについては今の段階では、たとえとして申し上げたのでございますけれども、そういうようなものもございまして、なかなか難しい、このように考えているのでございます。
○滝沢委員 大臣もだめですか。役人としては将来のことは言えないというのは、それはいいでしょう。しかし、大臣としては法の再改定の必要性もあり得るであろうということが想像されるのじゃないですか。いかがですか。
○稲村国務大臣 仮にそういうふうに同じというようなことが起きた段階で善意を持って再考しなければならない、合理性、公正、公平、こういう基本を踏まえて対処しなければならないと思います。
○滝沢委員 委員長、御苦労さまでした。
○戸沢委員長代理 岩佐恵美君。
○岩佐委員 私は、たびたび当委員会におきまして患者さんの大変苦しんでおられる実態について述べてまいりました。自分が何も悪いことをしないのに、なぜこんなにぜんそくだとかあるいは慢性気管支炎だとかで苦しまなければいけないのか。家庭が破壊をされたり、子供たちが元気に学校へ通えないとかあるいはプールにも入れないとか、他の子供たちと差別をされる、落ちこぼれる。そして夜になれば本当に苦しくて眠れない、あるいはいつ発作が起きて死ぬかわからない、そういう恐怖にさいなまれる。こういう思いというのは本当に筆舌に尽くしがたいし、私たちが幾ら紹介しても紹介し切れない、そういう苦しみであると思います。 私は最近ある婦人と出会ったわけでありますけれども、五十四歳の方であります。患者会の皆さんと来られていらっしゃるのですが、事務局の方で、患者さんではないと最初思っておりました。ところが、話を伺ってみると、その方自身が二級の患者さんであるというのでびっくりいたしました。非常に元気に見えるのです。私などよくにせ患者だと言われるのですよと苦笑いをされておられましたけれども、この方は、実は尼崎の国道四十三号線から北へ七十メートルのところに住んでおられます。平面ではなくて、四十三号線が通っている、その上に直進の陸橋があり、その上にまた阪神高速がある、三重層の大変な地域に住んでおられるわけであります。夜中になるとたんがとれなくて、息がとまるのじゃないかというような思いをするのです、私は起きているときは元気に見えるのだけれども、大体寝込んでいるところは人が見たことがないから、私の苦しみというのはなかなかわかってもらえないのですと言っておられました。この方はかつては四人世帯であったそうであります。この方のお父さんは四十六年に肺気腫で亡くなられているということであります。一時期、息子さんとこの方とお父さんと三人が患者さんだった。一人が発作を起こしますと連続的に皆さん発作が起こる。疲れて帰ってこられた御主人が三人の面倒を見るので本当にくたくたになる。家庭が崩壊する寸前だった。あのころのことを思い出すと、今はどんなに苦しくてもまだあのころよりはましたということで精いっぱい生きておられるということを伺うわけです。 最近、子供さんのぜんそくもふえている、あるいは慢性気管支炎等がふえています。よく話になるのですが、子供は注射が嫌いであります。ところが、発作が起こると自分で小さな腕を出して、注射をしてくださいと子供から言うというような事態もあるわけです。こういうふうに公害によって苦しめられている患者さんというのはひたすら病と闘っておられますけれども、幾らお金をもらったって、幾ら注射を打ってもらったって、本当に自分のもとの健康な体を取り戻してほしい、これが私たちの最高の願いなんだということで悲痛な叫びを上げておられるわけであります。ところが、現実には公害の認定患者は毎年ふえている実態であります。最近五年間の新規認定患者のふえぐあい、これは大変な勢いであると思いますけれども、念のために五十六年から六十一年までの数字を挙げていただきたいと思います。 〔戸沢委員長代理退席、委員長着席〕
○目黒政府委員 年度別に五十六年から申し上げますと、新規の認定患者の数、これが五十六年度に八千九百九十六名、五十七年度に九千八十一、五十八年度に八千八百三十七、五十九年度が九千三百五十六、六十年度が八千八百九十八、六十一年度はまだ概算でございますけれども九千二百十一、こういうことでございます。
○岩佐委員 大臣、このように毎年毎年九千人もの新しい公害患者が発生をしているわけですね。ところが今度の法律というのはこういう患者さんを全くばっさりと切り捨ててしまうわけです。私はどうしてもこのことについて納得がいかないのです。大臣の、患者さんの気持ちに立った、実態に立った、そういうお考えを伺いたいと思います。
○稲村国務大臣 ぜんそくでお苦しみの患者の皆様にはまさに御同情申し上げます。今回の改正において、既に認定を受けておられる患者の皆様には従前どおり補償給付の支給を行いその保護に欠けることのないよう配慮してまいる所存でございます。また、健康被害を生じさせないことが環境行政を進める上で最も大切なことでございますから、今後は健康被害予防事業の実施等総合的な環境保健の施策を推進し、大気汚染による健康被害の予防に万全を期していく、こういう決意でございます。
○岩佐委員 今の予防事業等についてはまだ後で議論をいたしますけれども、こういうことで患者さんが救われるというふうに私どもは全く思っていませんし、また環境がこれからよくなるという具体的な対策についても非常におぼつかないというふうに思っています。九千人もの新しい公害認定患者がふえているのになぜその地域指定を解除するのか、この点について具体的に何か数字上の主張がいろいろ繰り返されているわけですけれども、全国的なその調査の概要について説明をいただきたいと思います。
○目黒政府委員 患者がふえ続けているという今先生御指摘の点でございますけれども、ぜんそく等の指定疾病といいますものは大気汚染以外の原因でも出てくるということでございまして、現在の大気汚染がぜんそく等の主原因とは考えられないという先生御承知の例の中公審の御意見というものがあるわけでございます。公害健康被害補償制度におきましては、大気汚染以外の原因によっても生じますぜんそく等の患者をすべて大気汚染によるものとみなして補償を行ってきたわけでございます。したがいまして、この認定患者の増加の原因が即大気汚染のみの影響であるというふうに結論づけることはできないというふうに私ども考えているのでございます。 なお、御指摘の気管支ぜんそくの患者はこの十年間全国的に増加の傾向にあるわけでございます。この原因につきましては、全国的に、指定地域を含めまして全部、指定地域外もあるわけでございますが、国民の健康意識とか医療水準の向上とかアレルギー素因者の増加、あるいは都市の生活様式が拡大したことによる食生活とか住居環境が変わってきたといったようなこと、あるいは高齢化とかといったようなことが考えられているわけでございますが、いずれにいたしましても、認定患者の増加率が大体年率五から七%でございまして、これも全国ベースのぜんそく患者の年率六から七%とほぼ同じでございまして、その原因も同じようなものではないか、このように私ども考えているのでございます。
○岩佐委員 最近十年間の全国の気管支ぜんそくの患者数の推移ですけれども、このもと資料、これは一体どういう資料なのか、御説明をいただきたいと思います。
○目黒政府委員 これは厚生省の患者調査からとってきているのでございます。
○岩佐委員 この調査について専門委員会では検討しているのでしょうか。
○目黒政府委員 この専門委員会報告では、これまで出ましたいろいろなぜんそく患者の原因とかそれにかかわります文献等々も皆さんいろいろ調べておられますので、公開されている厚生省の情報でございますので当然そういうものも一つの資料になっていると私どもは考えておるのでございます。しかしながら中公審の方では、専門委員会だけでなく中公審におきましてもこの資料については同じように議論をして、これまで申し上げたような結論に到達したというふうに考えているのでございます。
○岩佐委員 どうもちょっとはっきりしないのですけれども、専門委員会で検討したのかどうかということをまず伺っています。中公審では検討したのですか。
○目黒政府委員 私のとらえておりますところでは、専門委員会報告の中でもこの患者の数というものについては当然議論されたというふうに理解しております。それから、専門委員会以外に中公審におきましても議論されている、このように私どもは受け取っております。
○岩佐委員 この最近十年間の気管支ぜんそくの患者数の推移という資料、これが本当に専門委員会で議論されているのですか。大体専門委員会の報告の中にこういう資料の評価、分析というのは出てこないわけですね。そこのところをはっきりさせてください。
○目黒政府委員 御承知のように、専門委員会報告をつくる過程では、小児のぜんそくといったものについてはその原因とか臨床的な方向とかいうものを含めて議論されているわけでございます。したがいまして、私どもはそういう傾向というものについても先生方は当然御承知の上で議論されているというふうに考えているのでございます。ただ、それが疫学的な結論とか動物実験によります結論といったものと直接結びつくかどうかということになりますと、今の報告書の中には記載はないのでございます。
○岩佐委員 これは非常に重要な問題なんですね。つまり、最近十年間の気管支ぜんそくの患者数がふえていると先ほど目黒部長はとうとうと言われました。患者さんのふえと同じなんだ、そういう患者さんがふえているのは別に大気汚染によるものでないという否定するための資料となって、この最近の十年間の患者数の推移というのが非常に重要な役割を果たしているわけですね。この数字について専門家の皆さんは、この資料は、厚生省の資料ですよ、もともと有症率を調べるための調査じゃないのではないか、だから有症率を示すものなんじゃないんだ、間違った引用だ、あるいは統計派が見るとおかしいと言っているのです。当然専門委員会で本当にこれを議論していたなら何かの所見があるはずなんです。それがないのですね。要するにそういう専門家が見るにたえないというかおかしいと思うような資料引用というのを、医学的な知見に責任を負う専門委員会が放置をするわけがないのですね。私は、これは出ていないというふうに思うのです。それは目黒さんは出ておられると言うのですか。
○目黒政府委員 私も、四十二回にわたる小委員会の中で全部にわたって出席したわけではございませんし、私ども今のこのデータとか考え方というものについては、当然一つの方向を出すためには、今先生が御指摘になりました疫学的な手法を使った有症率、あるいはそういう患者の比率といったものをとらえたいというところで先生方は御意見を交わしているわけでございます。ところがこの有症率というものはなかなかない。そういうことで受療率ということになりますと、これは当然国民健康保険の調査とか、あるいはここにございますような、今申し上げましたような厚生省の調査というものを含めまして、当然そういうふうなものは御信用され、あるいは先生方の頭の中に当然あった、こういうふうに私どもは理解しているわけでございます。 といいますのは、この小児ぜんそくの問題が全国的に……
○岩佐委員 いいです、時間がありませんから。ちょっと争点をそらさないでもらいたいのですね。ここは非常に重要な論点なんですよ。わかっておられてそらすというのは非常に心外なんですね。 要するに、専門委員会でこの数字をちゃんとこれはどうだという分析、評価をする、した上でそれを皆さんがいろいろと使われているというのだったら、またそれはそれで専門委員会の問題だと思うのですけれども、しかし、専門委員会でこの重要な調査について分析もしていないし評価もしていない。ところが、皆さんの方で勝手に全国的な有症率は上がっているのだ、だから、患者の有症率が上がっているのもこれは同じようなものなんだから他の原因に違いないということで、患者さんを切り捨てる資料なんです。だから先ほどから私も理事会で主張してますけれども、それほど言うのだったら専門委員会の会議録をちゃんと公開したらどうですか。私はここのところは納得できないですね。専門委員会でこれが議論されたというようなことはあり得ないと思っております。 それはなぜかと言うと、専門家の方々が、有症率を示すために厚生省調査を使うなんというのは考えられないと言っているわけですから、ここはおかしいと思うのですね。私は、その資料、専門委員会の会議録の公開を要求します。納得できません。
○目黒政府委員 私は別にそらすという意味で申し上げたのではなくて、一つは、専門委員会報告の中では当然議論されたであろう。それからもう一つ、中公審の小委員会を含めて部会の中では、そういう調査報告を含めてそのような議論がはっきりとあったことは承知しております。それでよろしゅうございますか。 それで、今の有症率の問題で……
○岩佐委員 聞いたことに答えてください。 それで問題は、専門委員会では検討されたであろう、そして部会ではそれははっきり検討されている、つまりここに一番大きな問題があるわけですね。医学的知見に責任を負っている専門委員会でこういう資料がきちんと議論されているかどうかということについて、だろうでは困るのですね。そうじゃないんだと思うのですね。それで、その後の部会だとか作業小委員会だとか、つまり医者がいない、法律家とか行政官とか、そういうところでこういう資料を勝手に使ってきて、それを環境委員会などのこういう議論の中で、あたかも既に医学的知見でオーソライズされたかのように資料が使われるというところに大きな問題があるわけで、私は、この点については資料がはっきりと専門委員会にかかったのかどうかということを要求をして、次回の委員会にきちんと出してもらいたいというふうに思います。 次に行きます。 指定地域外で患者がふえている。それが皆さんの、患者が指定地域の中でふえているのは他の原因によるのだというような逃げ道になっているわけでありますけれども、指定地域外で患者がふえたとしても、それが大気汚染のせいではないということは一つも言えないわけですね。そうでしょう。自動車の排ガスによる汚染が指定地域外の道路沿いに広がっている結果だということが十分考えられるわけですね。 例えば八王子市とか日野市とかは指定地域ではありません。これは私の地元でありますが、調べてみて驚いたのです。東京都の条例によりまして十八歳未満の人たちが認定患者として指定をされますが、八王子には千六百人いるのですね。日野でも五百人もいる。患者の人口比で、細かい調査は時間の関係で省略いたしますけれども、二十三区の指定地域と余り変わらない、そういう結果が出ているわけです。八王子とか日野というのは、中央高速だとか国道二十号線、十六号線、幹線道路が多くて大型トラックの交通量が多いところなんです。だからこそ患者がふえているというふうに言えるわけですね。指定地域外の患者の伸び、これは指定地域の拡大の理由にはなるけれども解除の根拠にはならないと思うのですけれども、この点明確な答弁をいただきたいと思います。
○目黒政府委員 私どもがこのような判断に至った一つの根拠に中公審があるわけでございまして、先ほど来先生おっしゃっておられますけれども、中公審の中でもそのような意見は出て御議論はいただいたということを繰り返して申し上げます。 それからもう一つ、現在の大気汚染の状況の中ではぜんそく等の主たる原因とはなり得ない、これは専門委員会の方の報告の一つの結論でございます。この結論に到達いたします前に、当然小児ぜんそくの専門家である委員の方々はその状況等を知っておられるわけです。したがいまして私ども、中公審のそのような御意見あるいは御審議の状況を踏まえまして、先生がおっしゃるような方向の考え方はいたしてないということでございます。
○岩佐委員 二酸化窒素の環境基準の達成について先ほどから話になっております。昭和六十年度の東京二十三区、川崎、横浜、大阪、この市内の結果について、先ほどから出ておりますので繰り返しませんけれども、東京の場合には二三%しか達成していない、つまり七割以上が未達成である。川崎も横浜も同じで、大阪の場合には六十年度はゼロである。全体として一九%しかこれらの地域で基準を達成していない。ですから、八一労、八割以上が未達成であるというふうに言えると思います。六十一年度について川崎、横浜それぞれどういう結果になっているか、お示しをいただきたいと思います。
○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。 ただいま先生がお話しされました東京二十三区等の問題につきましては、自排局のデータというぐあいに受けとめております。 お尋ねの川崎市及び横浜市につきましては、今年七月九日に公表した結果によりますと、十六自排局があるわけでございますが、六十一年度でそのうち基準に達している局は一局、前年に比して二酸化窒素の環境基準の適合状況はやや悪くなっておるという状況にございます。これは、関係自治体におきましてその原因等についていろいろ検討をいたしておるわけでございます。冬季の気象条件が悪かったことが大きな原因ではなかろうかというようなことで判断いたしておるところでございますけれども、今後とも私どももその原因については究明を続けてまいりたいというぐあいに思っております。
○岩佐委員 横浜は。
○長谷川(慧)政府委員 失礼いたしました。 ただいま申し上げたのは、川崎と横浜合わせて自排局では十六局のうち一局が達成ということでございます。
○岩佐委員 川崎が九、横浜が八ですね。 これらを見ると、結局改善どころかますますひどくなっている。東京も、まだ資料が出ていませんけれども、もっと悪くなるだろうということが言われています。今の大気汚染の状況は、五十三年の緩和規制値さえ守られていないということだと思います。五十三年に規制値を緩めたときに、七年以内に達成するというふうなことを言っていたわけですけれども、もう今七年どころか十年になるわけです。一体どうされるおつもりですか。
○長谷川(慧)政府委員 NO2にかかわります環境基準の未達成の原因あるいは今後の予測ということにつきましては、六十年十二月に公表いたしました「大都市地域における窒素酸化物対策の中期展望」というところでお示ししたところでございます。この中におきまして、この環境基準が未達成であった理由等について御説明申し上げまして、今後の見通し等についても、六十三年度東京都を例にとりまして予測いたしましたところかなり厳しい状況にあるということで御報告申し上げているところでございます。そういうことで、現時点におきまして環境基準の達成がなかなか厳しい状況にあるわけでございますが、私どもといたしましては、自動車それぞれのいわゆる単体の規制といいますものを逐次強化をいたしておるところでございまして、本年の一月にも新たな規制強化を行っているところでございます。 それ以外に、先ほど来いろいろ御議論が出ております物流、交通流につきましても、京浜、阪神地区におきまして、関係自治体あるいは関係省庁を加えました検討会において今後のそういう物流、交通流対策の計画についての検討を進めておる、あるいはいろいろ御議論ございますけれども、道路構造等の改善についての検討もやっておるというようなことで、多角的にいろんな形での交通公害あるいは沿道問題につきましては検討を現在進めているところでございまして、関係省庁あるいは関係自治体とともに今後とも十分連携をとりながら環境基準達成のために努力してまいりたいというぐあいに思っているところでございます。
○岩佐委員 いろいろな対策を講じられているというふうに言われても少しもよくならないし、間尺に合わないんじゃないかというふうに思うのですね。例えば東京の場合、二酸化窒素の七割から八割が移動発生源、つまり自動車排ガスによるというふうにされています。道路がつくられて車がふえれば汚染が広がり深刻化します。これは当たり前のことです。今東京は四全総、首都改造計画等によって東京湾横断道だとか首都圏中央連絡道だとか外環道路、道路計画がメジロ押しなんです。みんな道路ができて汚染がひどくなったらどこか逃げたいと思ったって逃げ場がないというような状況に今追い込められている。こういう状態を一体どうするのかということがあると思うのです。 例えばディーゼル車、東京では全走行車両に占める割合が一九%あります。それがNOx排出量では五二%を占めるのですね。ディーゼル車はガソリン車に比べて乗用車で五倍のNOx排出量です。直噴式の五・五トントラックは十九倍にもなるわけです。ところが、昭和五十二年から五十九年にかけて全トラックに占めるディーゼルトラックの比率というのは二四・二%から四五・四%と倍増しています。大型普通トラックの九六・一%がディーゼル車です。これは昭和五十九年の調査です。根本的な適切な対応がなければ被害は拡大をする一方だと思います。一方で被害の拡大を野放しにして、他方新規患者を全く認めない、切ってしまう、そういうやり方というのは私は人間のやることじゃないと思うのです。本当に非人間的なやり方だ。ですからこんな公健法の改悪、こういう法律は直ちに撤回をすべきだというふうに再度要求をしたいと思います。そして汚染をなくす課題にもっと真剣に取り組むべきであるというふうに思うのですが、これは大臣の答弁をいただきたいと思います。抜本的、総合的な対策が必要だと思うのです。
○稲村国務大臣 二酸化窒素、NOxによる大気汚染に対しては自動車からの排出ガス規制の強化、自動車交通の抑制、分散、交通対策の実施、工場、事業場からの排出対策の強化を三本の柱として対策を進めることが必要である、こう考え、これまでこうした考え方に立ってディーゼルトラック等の排出ガス規制の大幅強化を実施するとともに、京浜地区等を対象とする交通の抑制、分散のための具体的な計画づくりなど諸対策を進めてきております。今後はこうした諸対策を一層着実に進めていくとともに、直噴式のディーゼルトラックに重点を置いた規制の強化、立体交差化などの道路構造の改善、従来より一歩進んだ対策について検討を急がせます。結論を得たものから逐次その着手を図り、環境基準の一刻も早い達成に取り組んでいく決意でございます。さらに、御審議いただいている本法案が成立した後には、新たに設けられることになっている基金も活用してNOx対策の一層の強化を図ってまいりたいと思います。
○岩佐委員 私は今の答弁を伺っていても、やりますやりますと言ってからもう既に七年、十年もたってこんな状態ですから、それこそ相当大変な決意をしなければこの問題には取り組めないと思いますね。一方で公害はなくなりましたよということを言って、そして一方では強めます、これは本当に自己矛盾だと思うのです。私はそういう点、今のような姿勢ではこれはどうしようもない、抜本的にきちんとやっていくべきだということを、結局公健法の改悪というのは、これから道路公害等をなくしていくということについて非常に悪い作用をするということを指摘をしておきたいと思います。 次に、環境庁が実施をしたATS方式の質問票による二つの調査についてでありますが、これは専門委員会で分析をしています。成人の慢性気管支炎の基本症状である持続性せき、たんについては、環境保健部の調査では男女とも、大気保全局の調査では女性について大気汚染物質との間に相関があると認めています。児童のぜんそくの症状については、男と女で若干の違いがあるが、これも大気汚染との関連性が認められる、報告二百四十九ページから二百五十三ページにそう書かれています。成人の慢性気管支炎については「現状の大気汚染が持続性せき・たんの有症率に何らかの影響を及ぼしていると示唆される。」児童の気管支ぜんそくについても、現状の大気汚染が何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できない、つまり影響がある、こう指摘をしています。これは先ほどから当委員会でも取り上げられてきているところです。環境庁が行った不十分な、これは後から議論をさせていただきたいと思いますが、不十分な調査からでさえ大気汚染が病気の原因である、そういうふうに専門委員会は結論づけています。それを一挙に指定地域を解除するのはおかしいというふうに思いますが、この点いかがですか。
○目黒政府委員 御指摘のように環境庁の行いました二つの調査、ATSの調査については一部の項目について関連がある、一定の傾向があるということは事実でございます。しかしながら、大気汚染以外の因子の影響を受けるぜんそく等につきましてこうした統計的な関連があるということについては認めているわけでございますが、直ちに因果関係あり、このように判断することは困難であり、中公審におきましてもこれをもってして因果関係あり、このような判断には至らなかったということで、再々先ほどから繰り返しておりますような主たる原因ではない云々というような結論に到達したのでございます。
○岩佐委員 他にも原因があるということはこの法律ができたときかもわかっていたことなんですね。何も最近わかったことじゃないのです。 ここに昭和四十七年の公健制度を検討した中公審の損害賠償負担制度専門委員会の医療分科会の報告がございます。この中で、公害と健康被害の基本的考え方として、「公害問題の法的処理にあたっては、加害者に法律上の責任を追求できるような要素が働いている限りにおいては、科学的な寄与度を定量的に明確に分離しえなくても法的因果関係があると判断することができる。」こう言っているわけですね。その上で、「大気汚染以外の喫煙・素因等の多数の因子があり、」大気汚染のない地域でも患者が存在するが、「指定地域内の患者群は、指定地域内の大気汚染に曝露されることにより、病状が増悪したり、治りにくくなったり、併存症をおこしたり、死亡したりする危険性が高く、必ず影響をうけているとみてよい。」とはっきり言っているわけですね。つまり、他にも原因があったとしても、大気汚染が影響を与えている、これが確かならば補償する、これがもとの考え方なんですね。他に原因がある、だから解除する、これはおかしいじゃないですか。
○目黒政府委員 この点につきましては、先ほど来再々当委員会におきましてもお答え申し上げているところでございますので簡便にお答え申し上げますが、先生が今御指摘になりました制度発足当初は、一定の地域内でも大気汚染が原因でなくても大気汚染の原因とみなす、これはそのとおりでございます。その根拠になるものといたしまして、その当時使っておりました疫学的手法等から見まして、この当時の激甚なる環境条件の中ではそのような因果関係というものを示唆できるようなものがあった。合理的にも法的にも、法的因果関係という見地から見ても、その点については合理性がありと判断されるような状況であった。しかしながら現在の状況では、これはもうはしょりますが、現在の大気汚染の状況では主たる原因ではない、今の状況ではそのような患者の状況というようなものについてははっきり言えない、こういう合理性がなくなっている、こういう趣旨の結論があるわけでございます。 これは読み上げると長くなりますので、趣旨だけ申し上げます。要するに、一番の問題は先生が御指摘になりました点でございまして、大気汚染が非常に激甚なる時代にはその合理性があった、しかしながら非常に低濃度の現状のような大気汚染の場合にはその因果関係が非常に難しい、確かにいろいろな関連というものは示唆されるけれども、はっきり因果関係とは言えないという趣旨のことが出て、そこが違ってきたというふうに御理解賜ればと思います。
○岩佐委員 それは昭和三十年代、四十年代のように顕著には影響があらわれていない、これはずっと一貫して主張されておられるところですね。三十年代、四十年代、これはどういう調査なんですか。
○目黒政府委員 この点につきましても、当時専門委員会に入っておられます先生方は、制度発足当初あるいは三十年代、四十年代に参加せられた方々でございまして、当然その当時は幾つもの資料があったわけでございます。また、その当時激甚なる状況のもとで、この公害にかかわる研究者はすべて常識としてそのような資料、学会発表あるいは科学的な知見ということについては承知しておられたわけでございます。このような知見がある、ないということについて先ほども御議論いただいたのでございますが、私どもお答え申し上げましたように、報告書には記載はされていなくても、そのようなものについては各先生方が当然常識として持っていた情報の中でこのような結論に達した、このように私ども理解しておるのでございます。
○岩佐委員 常識として頭の中にあるのかあるいはどこにあるのか知りませんが、そういうものを使いながら判断したということが繰り返されるわけですけれども、どういう調査が、これもはっきりさせてもらいたいのですね。ちゃんと特定して出してもらいたいと思います。 それで、三十年代の調査というか、その当時はいろいろあると思うのですね。これは確かにあるでしょう。四日市や大阪などの大気汚染の非常に激しかったときでありますから、三十年代は事故による災害のような汚染状況だったと思います。しかし、公健法がつくられた四十年代末は、慢性的な汚染による被害もその救済の対象としてこの制度がつくられているわけですね。三十年代の四日市などのような汚染と比べてそれほどひどくないという四十年代の資料、四十年代後半はそういう状況であると思いますけれども、三十年代、四十年代というのをごっちゃにして、激甚だ、激甚だと全部ひっくるめてそう言うのですが、そこら辺は二つに分けて考えられるのだと思いますけれども、どうですか。
○目黒政府委員 そのとおりでございます。三十年代、四十年代の激甚な時代と、この法制定、四十九年でございますけれども、もちろんその何年かの差はございますけれども、当然二つ、先ほどお答え申し上げましたように特にSOxを中心に濃度が急激に下がってきておりますので、先生御指摘のとおりの差はございますが、それにいたしましても現在よりも甚だしいということは事実でございます。
○岩佐委員 それでは、四十年代に行われたそういう調査と現在の調査との比較、これは同じ方法でやられた、そういう比較なんですか。
○目黒政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、先生御承知のように当時の調査の方法がだんだん変わってきておることは事実でございます。これは例えばBMRCとATSというふうに申し上げておりますが、変わってきたことも事実でございます。また臨床的な対応も変わってきておるのも事実でございます。また動物実験とかいろいろな形の科学的な知見も集まってきたことは事実でございます。いずれにいたしましても、当時の四十年代のものと現在のものとを比較しながら専門委員会はこのような結論に到達したというふうに私ども理解しておるのでございます。
○岩佐委員 大体四十年代に行われた調査と今回の環境庁の二つの調査のやり方は違うわけですね。先ほどからこの二つの調査についてもいろいろと議論がありました。一つは、地域の選び方の問題です。北の寒いところから南の暖かいところまで、気候の違うところがごちゃまぜになっている。もう一つは、対象者の年齢、小学生とその父母を対象にしている。ですから、小学校入学前の幼児、また大気汚染の影響を受けやすい高齢者、そして患者の多いところ、そういうところが除外されているわけですね。これでは四十年代後半の資料、いろいろ比較をしたといっても傾向がはっきり出てくるわけがないわけですね。一体今回のような調査が四十年代の末にあったのですか。あるいは四十年代末の調査方法で現在の資料があるのですか。
○目黒政府委員 この指定時と比較して有症率その他を含めてどうかという御指摘でございますが、疫学調査というものは先生御承知のように二つの傾向の比較でございます。したがって、同じようなものではなくても、BMRCという一つの手段、あるいは今持っておりますようなATSという一つの手段、いずれにいたしましてもこの方法をもってして一定の傾向は出るのではなかろうか、このように思っております。 それからちょっと一言だけ。疫学調査の違いというもののみならず総合的な見地から結論を出した、このように御理解を賜りたいと私ども思っております。
○岩佐委員 そこが一番問題なんですね。要するに、大体物差しの違う、私どもから言えば不十分な調査をあれこれ継ぎはぎをする、そして総合的に判断して指定解除する、これでは全く筋が通らないですね。要するに解除の結論に持っていくためのいろいろな資料を駆使する。今回の環境庁の二つの調査は、全国四十一の指定地域のうち十六地域しか対象に入っていないのですね。地域指定したときには、地域指定をしている地域のみならず多くの地域指定を含んだたくさんのそういう調査をしているわけですね。今回外すときになると十六しか対象にしない、こういうやり方というのはどう考えたって本当におかしい、納得いかないというのが当たり前じゃないですか。
○目黒政府委員 まず最初に二つの調査についてでございます。 もう多くを申しませんが、少なくともこれは七万人あるいは十二万人といったような非常に巨大な数をやっておるのでございまして、世界の疫学調査の中でも非常に有数な調査の一つであることは間違いのない事実でございます。御指摘のような抽出の方法、地域の取り出し方等についてはいろいろ御意見があることは承知しておりますが、この膨大なるサンプルから出てくる調査結果というものについては、専門委員会を含めまして私ども非常に大きな信頼を寄せているところでございます。 それからもう一つは、十六地域しか調査しないで云々というお話でございますが、先ほど申し上げましたように総合的に判断したのでございますけれども、少なくともこの大気汚染の濃度の低いところから高いところまでを含めて、すべてを含めた上で専門委員会は判断をいたしているのでございまして、私どもはこのような考え方が妥当であろうというふうに考えているところでございます。
○岩佐委員 かつての調査を、それはもう世界的にも非常にすぐれた調査だ、そういうふうに自慢されるのはいいと思うのですが、現在のそれと比較する調査というのは本当にお粗末なものである、これは専門家が指摘をしているところであります。それに加えて、東京都の複合大気汚染にかかわる健康影響調査、これについていろいろ今までも当委員会で議論があります。環境庁はこの調査についていろいろとけちをつけるわけですね。との調査そのものについて、「東京都公害衛生対策専門委員会の評価」があります。この評価は、「本調査が採用した調査手法は有用であり、国際的にも優れた調査であったと言える。」東京都はこういうふうな評価をしている立派な調査結果なんですね。その中で自動車排出ガスによる影響が示唆をされているということを述べているわけです。先ほどから何か「大気汚染と健康影響との因果関係については、未解明な分野が残されているので、なお調査し検討を加える必要がある。」これがあるので、この調査そのものが何か全くだめなような説明が何度となく繰り返されてきているわけですね。しかし国際的に評価をされる、そういう手法をもってこの調査を行われ、「他の生活環境因子の影響を受けるとしても、窒素酸化物を中心とする複合大気汚染と健康影響との関連を示唆するものであると思われる。」というふうにはっきり結論づけているわけですね。 きょうはもうこれで時間が参りましたので、大分遅くなっておりますのでこれでやめたいと思いますけれども、委員長、私いろいろと調べてみますと、調査資料一つとってみても納得がいかないあるいは資料が出てこないというようなことで、この問題についてはもっともっと十分審議を深めていかなければいけないということを痛感しますし、その点で、私はこういう不十分な中で軽々に結論を出すべきでないということを最後にこの質問では主張して、終わりたいというふうに思います。 ―――――――――――――
○林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案審査のため、来る八月二十二日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時二十五分散会 ――――◇―――――