科学技術委員会 第2号
- 発言数
- 189 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1987/08/25
会議録
○原田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として日本原子力研究所副理事長辻栄一君及び同理事工藤孝一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟山明君。
○粟山委員 私は、昨年の十月に当委員会において三ッ林長官ほか政府の方々に科学技術の基本施策について質問をさせていただきましたが、それから十カ月たちました。また、その間におきましても、いろいろな変化と申しますか、重要な問題が出ております。予算の面につきましては、六十二年度補正予算が組まれたわけでございますが、科学技術関係につきましては大きな配慮が特にございまして、御同慶にたえない次第でございます。また、今や六十三年度の予算の審議がこれから要求に向かって始まるわけでございますが、先般の概算要求基準につきましても、政府関係におきまして科学技術関係の重要性というものがさらに認識されまして、シーリング三・二%プラスというようなことが決められたということにつきましては、三ッ林大臣の大変な御努力によるものとまことに慶賀にたえない、こう思う次第でございます。 さて、今申し上げたような十カ月間におきまして、特に日米間におきまして科学技術に関するいろいろな問題が起きております。例の半導体問題における、これは貿易摩擦という面ではございますけれども、私は、アメリカが特に国防技術、科学技術という面につきましては常に世界第一という優位性が崩れつつあるというおそれがその根底にあるのではないか、こんなふうにも考える次第でございます。また、その後の東芝機械、そしてココム問題、これも当然のことながら科学技術という問題がそこに含まれております。 このような日本たたきという状況にまで、今、言い方によれば、大変険悪な状況になっているということは極めて憂慮すべき事態である、こんなふうに思われておりますし、さらには、今やフィーバーとでも言うべき超電導問題、これにつきましてもいろいろな面でこれから配慮をされていかねばならないかと思います。超電導問題につきましては後ほど御質問申し上げますけれども、そういう状況を踏まえまして、私は、本年の六月十四日から二十日、当委員会の原田委員長を団長としまして、衆議院派遣の米国視察科学技術委員会議員団という視察団の一員として訪米をいたしました。その中では、日米科学技術議員連盟の第五回の会合に出席いたしました。また、アメリカのエネルギー省のヘリントン長官あるいは全米科学アカデミーのフランク・プレス総裁、そういった方々にお目にかかりました。これは何といっても米国科学技術政策分野の要人の皆さんでございます。また、NASAとか国立衛生院、そして民間ではマグダネル・ダグラスあるいはGAテクノロジー、スクリップス海洋研究所、こういったいわゆる最先端の研究開発の現場を視察してまいったわけでございます。 本日は、特に日米間の問題、先ほど申し上げた科学技術議員連盟の第五回会合でいろいろ討論をされました内容についてひとつ質問を申し上げたいと思いますが、この会合においてはいろいろな問題が取り上げられました。特に宇宙ステーションとスペースプレーン、またエイズとか遺伝子配列といったライフサイエンスの問題、そしてエルニーニョ、地震といった地球科学分野、さらには超電導等のハイテク分野、そして科学技術全般にわたって日米両国間の人材とか技術の交流問題、シンメトリカルアクセスとでも申しましょうか、こういった問題で議論がなされました。今のような時期であるからこそ両国が協力するにふさわしい時期だ、ぜひ協力すべきだという合意に達したわけでございます。 そこで、それらのテーマにつきまして二、三御質問を申し上げたいと思います。 第一が、宇宙ステーションの問題でございますが、現在、日、欧、米、カナダ、これらの国々で宇宙ステーション計画が進められていると伺っております。これは大型国際協力プロジェクトとして最初のものではないかと思いますが、この計画における日米間の協議の状況、どの程度今現実に進められているか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 今の御質問にお答えをさせていただきます。 御案内のように、宇宙ステーション計画といいますのは、宇宙での有人活動をかなり長期にわたりまして続けることによって、地上では実現し得なかったいろいろの新物質の創製であるとかライフサイエンス上の種々の研究に役立てようという試みでございまして、五十九年のレーガン大統領の提唱に始まりまして、我が国とアメリカとの間では、昭和六十年から現在に至るまで、宇宙ステーションをどのように組み上げていくかということについての予備的な検討作業を続けてまいりました。先生御指摘のように、この計画にはヨーロッパは約十三カ国、それにカナダということで、先進諸国間で非常に莫大な研究投資を必要とする上に、多くの国が一つの目標に向かって歩調をそろえるという意味で、シンボリックな国際協力プロジェクトになっているところでございます。 現在進めております協議は、予備設計の後に続きます、いよいよ本格的に宇宙に上げますモジュール、実験用の施設等の開発を進めるに必要な諸手続あるいはその開発後の使い方をどのようにしたらいいかというようなことについての枠組みづくりの検討を始めているところでございまして、スタートは昨年の六月からでございましたが、現在幾つかの点で明らかになりつつある点があるわけでございます。しかし、何分まだ交渉途中でございまして、日本だけではなくて各国、アメリカとの関係もございますので、交渉の中身をつまびらかにここでさせていただくのは差し控えさせていただきたいと思います。 大まかに申しますと、開発自身は、それぞれの国がそれぞれの持てる力でそれぞれの国のお金でつくる、それを宇宙空間高度約五百キロメートルぐらいのところに打ち上げまして、そこで組み立てて合体するという、俗な言葉で言いますと一種の持ち寄りパーティー方式の開発をするというような方式でございます。それから、そのような結果でき上ったものをどのように使うかという利用に当たっての考え方をどのように整理するかとか、それから維持補修が必要でございますが、そういう運営管理を各国がどういう責任分担で行うかというようなことなどについて現在主な討議が行われておるわけでございます。私どもとしては、将来の日本の科学技術振興にとって、あるいは宇宙開発利用にとって重要な案件だと考えておりますので、交渉を鋭意、ほぼ毎月平均進めておりますが、アメリカ側の希望では、できればことしの秋にも決着をつけたいと言っております。その方向に沿って、私どもも現在鋭意交渉を進めているところでございます。
○粟山委員 これに関連していることでございますけれども、スペースプレーンについてであります。先ほど申し上げた会議の中で、アメリカ側から開発状況というものの説明がございました。アメリカのスペースプレーンの計画は、一九九〇年の中ごろまでに技術を実証することを目標にしている。フェーズⅠが終わって、これは概念設計でございましょうか、推進系とか機体系の技術開発がフェーズⅡ、これが現在行われていて、一九九〇年から実験機、フェーズⅢを目指しているというような説明もございました。我が国もこれはぐずぐずしているとおくれをとるのじゃないか、こういうようなふうにも考えられるわけでありますが、我が国の研究開発はこの問題に関してどの辺まで進んでいるのか、これをちょっと伺いたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 技術的な内容でございますので、私の方からお答えを申し上げます。 御案内のように、アメリカは既に有人で宇宙との間を往還できるスペースシャトルというシステムを持っておりますし、さらにより飛行機に近い飛行をするものとしてはX30というような実験機の構想もあるやに伺っております。それに対しまして我が国の場合、現在研究をいろいろ進めております機関としては、航空宇宙技術研究所、それに宇宙開発事業団、それから文部省の宇宙科学研究所といったようなところが国立あるいは国に準ずる主たる研究機関でございます。いろいろなアイデアを含めまして研究を進めておりますが、総じて見ますと、まだまだ基礎的な段階、極めて初期の段階にあるというふうに思われております。 ちなみに、昨年からスタートしました私どもの内部の各界の学識経験者にお集まりいただきましたいろいろの場で御意見が出されておりますが、それらを集約しますと、ここ一、二年といいましょうか、両三年程度は各機関あるいは各研究者のアイデアを中心にして基礎的な勉強をすることによって、二、三年後には日本流の一つのスペースプレーンといいましょうか宇宙往還輸送系についての技術的な概念がまとまるのじゃないか、そんなような段階というふうに評価されております。したがいまして、私どもとしましては、将来有人宇宙活動を本格的に日本が自由に行うためには一つの重要な要素として必要と考えておりますので、アメリカに比べて若干立ちおくれは否めませんけれども、明年度あたりから基礎的な研究に関係機関が総力を挙げて当たっていただけるように、いろいろ手だてを考えていきたいというふうに現在考えておるところでございます。 なお、大きい方向といたしましては、いずれ宇宙開発委員会等、国家政策を決めるような場の御審議も賜りました上で、その方向性等についても考えさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
○粟山委員 ざっとわかりましたけれども、宇宙ステーションあるいはスペースプレーンという問題については、スピードは余り速くないというふうなことにも考えられます。ちなみにスペースプレーンというのは、例のオリエントエクスプレスといった、商業用で、例えば東京からニューヨークまで一、二時間というようなことも俗に言われておりますが、もちろんそうなると、商業分野にも応用がきくというようなことも頭に入れながら進めておられるのでしょうか。
○川崎(雅)政府委員 究極のゴールになるスペースプレーンの概念というのは、今御指摘の、アメリカのレーガン大統領が提唱されたオリエントエクスプレスというふうな、弾道飛行を伴う、しかし離着陸は現在の航空機と同じような、しかも乗り心地も同じような、そういうようなものが一つの像として現在描かれておりますが、それに至りますステップとして、現在持っておりますロケットをそのまま垂直打ち上げで水平滑空着陸というような考え方で進めておるのが、例えばフランスのヘルメスといったような計画がございます。それから、日本はそれに近いわけですが、まだとても有人ではございませんで、貨物専用でそういうことを少し勉強させていただきたいというふうに考えているわけです。 それで、今申し上げました水平離着陸型の宇宙往還輸送システムをやりますと、まさに超音速航空旅客機の技術基盤ができるということもございますが、実験機段階等いろいろの研究開発の段階ごとにあるいはプロジェクトを将来分けていかなければならないようなこともあろうかと思いますが、現在の段階は、それら全体の基盤技術を形づくっていくという形で進めることが妥当ではないだろうかというような専門家の御意見をちょうだいしております。
○粟山委員 それでは次の項目に入りたいと思いますが、ライフサイエンスの分野でございます。 先般の日米会議では、エイズ問題も随分たくさん話題になったわけでございますが、これは省略いたしまして、遺伝子解析につきまして国際協力をすべきだという討議がなされました。この遺伝子解析と申しましょうか、ヒトの遺伝子地図、遺伝子マッピング、これは一国だけでやると大変時間がかかる、数年もかかることでもあるし、これはぜひ国際協力を推進しようというお話でございました。ただ、米国とドイツ等につきましては、双務的といいますかレシプロカルに行われている。日本との話ですと、アメリカの遺伝子を日本が解析するのだというようなことで、どうも日本だけが得をするのじゃないかというような議論もその会議の席上出たわけでございまして、やはり双務的に日本のそういった遺伝子配列、いろいろなデータをコンピューター化してだれでもが使えるというようなふうにデータベースをしっかりとつくっていくべきじゃないか、こういう面でぜひ我が国にもこれをやってもらいたい、こういうことで、これはこの会議の席上のみならず、エネルギー省の長官からもそういうお話が出ました。この国際協力、いわゆる遺伝子解析に対する国際協力については、窓口が日本側は科学技術庁となっていると理解しておりますけれども、現在の状況についてお聞きしたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 先生御指摘のとおり、ヒト遺伝子の中で、染色体の中には約十万個ぐらいの遺伝子が存在をしているわけでございますので、これのいわゆる塩基配列といいましょうか、配列を全部決めるというのは非常に莫大な労力を要するということになります。その意味で、御指摘のとおり国際協力が重要だというふうに私どもも考えております。 ただいま先生の方からお尋ねのありました日米の関係につきましては、昨年の十一月に米国のエネルギー省の健康環境研究部長が私どものところへ参りまして、種々関係政府機関の人たちと一緒に相談をいたしました結果、当庁のライフサイエンス課長が今後のコンタクトポイントとして研究協力を進めるに必要な情報交換を進めるという段取りに現在なっております。その意味で、まだ具体的にどういう分担で作業を進めるかというのはこれからの話というふうに承知しております。 一方、このような莫大な人力を要するものについてどのようにして合理化あるいは効率的に進めるかという見地から、実は私どもの理化学研究所におきまして科学技術振興費をちょうだいいたしまして、産業界の協力も得まして、昭和五十六年度からそのアナライザーといいますコンピューターと連動した塩基配列を自動的に決める機械の開発というのをやってまいりました。それが一応六十一年度まで、途中大きいタイトルは変わっておりますが、続いておりまして、単機といいましょうか、一つのシステム化されない機械レベルとしてはかなり成績のいいものができた。アメリカ側は、このような機械をさらに発展させて大型のシステム化された自動解析装置によって、日本も協力をして、お互いの国の力で埋まっていないギャップを埋めていこうというようなことを強く期待しているようでございます。 私どもとしては、何分まだ先端的な分野で十分知識もございませんので、科学技術庁長官の諮問機関であります航空・電子等技術審議会の中のライフサイエンス部会の中で、現在、ヒト遺伝子解析という問題について、我が国は日米の協力も含めましてどう取り組むかということも別途また御検討いただいておりまして、これら部会の御報告をちょうだいした後はそれに従い、それ以前についてはこれまでやってきております日米との連絡、それから情報交換、さらに理化学研究所等を中心とする解析機器の改善ということに努力をしていくという覚悟で、来年度から新たないろいろのお願いをしておるところでございます。
○粟山委員 わかりました。 そこで、関連して質問をしたいのですが、特許庁の方来ていますね。今のヒトの遺伝子解析の結果得られるDNAの配置、こういったことについてアメリカ等であるいはこれを大きく特許の網をかけて縛っていこうというような――特許の問題は後ほども出でまいりますけれども、科学技術に関する特許ということは非常に重要な一つの大きな要素だと私も思っております。が、ヒトの遺伝子に関するこういった特許の問題につきまして、今申し上げたような網をかけるということになると、これからの研究の推進とかあるいは医療、医薬、そして医療、治療、これの研究等について大変な阻害要因になるということが考えられますが、といって特許そのものが出された場合にどうなるのか、ちょっと我々素人にはよくわからないのでありますけれども、その辺について特許庁の考え方をお伺いしたいと思います。
○畑川説明員 ただいま先生御質問の、特許の網をかぶせるという動きがあるが特許庁の考え方いかんということでございますが、現在我が国におきましては、遺伝子自体に関する特許出願が何件あるかは承知しているところでございます。 それで、そういう特許の網がかぶってきた場合に、研究者等に何か阻害要因が出てくるんではないかということでございますけれども、特許制度というのは先生御存じのとおり、発明者に一定期間の独占権を与えるという一方で、その内容を公開してそれを利用させていくということでございまして、そういう制度があることによりまして技術の中身が公開されていく。同時に、それを産業界あるいは学界等の研究者が見て、それをもとにしてさらに研究を進めるというふうなことになっているわけでございますけれども、そういう特定の網がかぶった分野があったといたしましても、そういう観点からすると、その分野全体に対する研究の停滞があるというふうなことはないんではないかというふうに考えているわけでございます。 特に、研究とかそういう試験等の行為に特許権を及ぼすということになりますと、そのこと自体が研究阻害の原因になるわけでございますけれども、特許法自体は試験あるいは研究といったそういう特許発明の実施には特許権の効力が及ばないということになっているわけでございますので、そういう観点からすると、そのこと自体が試験研究等に阻害要因になってくるというふうには考えておらない次第でございます。
○粟山委員 特許の問題は何かちょっと素人でよくわかりませんが、いろんな面で科学技術によほど特許という面もしっかりと考えておいていただかないと、大きな問題も起こるんではないかと危惧する点を一応申し述べておきたいと思います。 次の問題として、地球科学の問題でございますが、今申し上げた会議においても、あるいはほかの場合にも大変話が出たわけでございますけれども、最近アメリカで全米科学アカデミーが中心となって防災の十カ年計画、これはあるいは国連の行事にしようかというような計画がなされておりまして、NASAとかあるいは全米科学財団、こういったところを中心として地球システム科学、地球的な変動をいろいろ調査しようというようなことが始めようとしているあるいは始まっているということでございまして、これは議員団の会議のほかにも、フランク・プレス全米科学アカデミー総裁からぜひ日本も協力してくれ、こういう話もありまして、さらには、日本は地震等の防災については先進国であるから、ぜひ日本からいろいろ教えてほしいというような話もあり、また、スクリップス海洋研究所でございましたでしょうか、そこでもそういう話が出まして、大変アメリカとしてもこの点について興味と申しますか、関心を深めているというふうに伺ったのであります。もちろんこれは日本とアメリカのみならず、世界各国広範囲に協力される問題でありますが、既に日本としてこれに具体的な何か取り組みが始まっているかどうか、あるいは日本としてのある程度その中には受け持ち分野と申しましょうか分担、これは一つの命題に関する分担とかあるいは地域に関する分担、そういった点があるかどうか、その辺の全体像についてお伺いしたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 大変広範囲な分野でございまして、お答えが尽きるかどうかなんでございますが、今御指摘のありました地球科学技術分野というのは、一つの大きいこれから人類が探求すべき科学技術分野だというふうに私どもも理解をしておりますし、米国が既にアース・システム・サイエンスというような言葉で本格的な地球的視野に立ったこの分野の観測調査研究を進めようとしているというのも承知をしております。 具体的に現在国際協力で進められておるものの中で一番ポピュラーなものとしましては、宇宙開発利用とも関係いたします気象衛星がございますが、これは日本、アメリカ、ヨーロッパあるいはソビエトがそれぞれ自国で気象衛星を打ち上げまして観測して得られたデータを相互に流用し合う、これはWMOというような国際機関を通じての協力というのもございます。それから、いわゆる大陸あるいは海洋についての深海ボーリングによって地質構造を明らかにするというような計画とか、種々の国際協力計画が学界あるいは政府間の話し合いによって行われております。これらについては私ども以外に既に学者レベルと申しましょうか学界レベルで、文部省の測地学審議会等においても種々の建議が出されて行われているという実態にございます。 具体的に私どもの科学技術庁としてアメリカ並びにそれ以外の国とどんなふうなことを現在進めておるかと申しますと、一つは、先般行いましたこれは私どもの海洋科学技術センターと気象庁が共同して行いましたエルニーニョの発生過程ということについての緊急研究がございます。これはちょうど日本が西部太平洋区域に位置しておるということから、西側、エルニーニョの発生に近いところを一つ調査をする。一方同じころ、アメリカ側は東側、東部太平洋区域をやるということで、現在それぞれのデータを交換し、詳細な解析を行い、エルニーニョ現象発生についての予知といいましょうか、そういうものにつなげていくというようなことを既にことしの二月にスタートさせております。 それからもう一つは、地震予知等にも大きくかかわりのございますプレートテクトニクスの分野で、ちょうど北西太平洋地域で三つのプレートが会合するところがございます。そのようなところについて海底地形の精密な調査を日米あるいは必要ならばその他の国の参加も認めた上でやってはどうかというようなことについての提案が、これは日米天然資源会議の中の海洋委員会というのがございますが、そういうような場でも出されております。現在具体的にどのように計画を進めるかということを日米間で話し合いをしているというのが実情でございます。 なお、このほか、ことしに入りまして六月に覚書を結ぶことができましたのが、日仏共同で南太平洋海域、これはフィジー島の近くでありますが、リフト系の調査をやろう。この場合、日仏の取り決めではありますが、これはフランスのノチールという深海六千メートル級のを使いますし、私どもが現在開発を進めております「しんかい六〇〇〇」というのができれば、それも参加をするということでございます。場合によれば関係する国、関心を持つ国の研究者の方にも乗っていただくというようなことも一応想定をした覚書になっておりまして、今年度から始めるというふうに考えております。 それから、主として日本は太平洋に位置しておりますので、太平洋に関することが多うございますが、一番大きい潮流であります黒潮につきましても、既に日中黒潮共同研究ということで、今年から本格的な共同調査研究を進めようとしておりますが、これらのデータを十分我が国がまとめまして、あるいはデータベースとして整理をいたしまして、国際社会に貢献していくということが結果としては大きい国際協力につながるのだというふうに考えておるところでございます。
○粟山委員 いろいろ飛び飛びになりますが、次の質問に移りたいと思います。 これはハイテク分野、特に超電導、今これはフィーバーのような状況になっておりまして、現在も日本において世界的な超電導の会議が明日まででしょうか開かれている。連日テレビでも報道されておりますから、単なる科学技術分野というより日本全体でいろんな面から注目がされているところだと思います。 そこで、今あのように大きく取り上げられている、さらには、特にアメリカにおいて冒頭に申し上げたような日米のいろいろな摩擦の次の一つの摩擦になりそうなと申しましょうか、という問題もあって、超電導の実用化ということについては、アメリカはレーガン大統領を初めとして大変大きく取り上げられている実情のようでございます。去る七月二十八、九日ですか、日本の新聞にも報道されております。超電導実用化日本に負けるなというようなタイトルで、しかも外国人はお断りをして、報道関係は入れたようでございますが、ある報道では二千人、ある報道では千人もの人を集めて大きな会議を開いているというように報道されております。特にこの中で、具体的には議会で超電導競争法案というものも出ている。またその中では、民間の研究開発については税額を控除するとか、あるいは研究開発の補助金をさらに出すとか、企業間の共同研究をやりやすくする、あるいは特許の法を改正してまでこれをひとつ強化しよう、こんなことが飛び飛びではございますが報道されていて、あるいはレーガンさんが国防関係の超電導分野の予算を三カ年でざっと五十倍ぐらいにするんだというような非常に衝撃的な発言も飛び出しているわけでございます。 そういうことを考えますと、日本の場合は、開発面さらには基礎的な研究の面でも、今までのいろいろな問題と違って、追いつき追い越せじゃなくて、むしろ日本が先頭を切って今頑張っているんだというような状況にも伺っておりますけれども、逆に言うと、今度は日本が追いつかれ追い越されるというようなことも考えられます。こういった超電導の問題に関するあるいは材料に関する開発、さらには、政府としてはむしろ基礎的な分野というのが政府の分担すべき非常に大きな部門だろうと思いますが、科学技術庁としてその辺はどういう取り組みをされていこうというお考えなのか、ひとつ長官からお話を伺いたいと思います。
○三ツ林国務大臣 まず先生には、先ほど御質疑に先立ちまして、科学技術全般につきまして御鞭撻をいただいたところでございますが、六十二年度予算等につきましても、私といたしましても全力を尽くしてまいりたいと思っております。 御質問の超電導材料の研究開発についてでございますが、先生からいろいろお話があったとおりでございます。特に、今回発見された酸化物超電導体、いわゆる新超電導体でございますが、仮に実用化されれば社会経済のインパクトは極めて大きく、その研究開発は極めて重要であります。しかし、この新超電導材料の研究は緒についたばかりでありまして、理論の確立さらには薄膜化、線材化等の基礎的、基盤的研究を多面的に推進することが重要であります。また、国際交流、国際協力を通じて広く世界に貢献していくよう十分に意を尽くしていくことが重要であります。科学技術庁といたしましても、産学官等内外に開かれた共同研究体制等により関係機関との有機的連携を図りつつ積極的に研究開発を推進する所存であります。
○粟山委員 長官の御決意と申しますか御方針を伺って、ひとつ、これはもうアメリカのみならず各国に負けずに、日本の科学技術をこの際大いに伸ばしていただきたいと思う次第でございます。 さて、具体的に、今もちょっと触れましたが、アメリカで、超電導に関する競争法案と申しましょうか、これはまだ審議中であると聞いておりますけれども、その内容によっては、これから日本の研究開発にも大きな影響が出てくると思われます。したがいまして、その内容については恐らくちゃんと当局におかれてもいろいろと検討はされていると思いますので、アメリカ側におけるそういった法案の内容について、もしもある程度わかっておられたらお聞きしたいと思いますし、日本にとって特に影響のありそうな問題等について御意見を伺いたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 事実関係でございますので、私の方から御答弁させていただきます。 まず、今先生御指摘のアメリカにおきます法案でございますが、一つは、三月三十日上院に提案されました一九八七年超電導競争法案、これはデュレンバーガー上院議員が提案者になっております。それから四月九日下院におきまして、同じ表題の法案でございまして、リッター下院議員が提出者になっております。これは上院、下院の違いはございますが、内容は同じでございます。それから、七月二十九日になりまして、先ほど申しました法案を一部修正したような内容のものが下院に提案されておりますが、一九八七年国家超電導競争力法案というふうに言われております。これはマッカーディ下院議員が提案者でございます。 いずれの法案におきましても、大きいポイントは、大統領が特にアメリカにおける超電導の国際競争力を強化するための方策を練るべき諮問委員会をまず設置するということが一つのポイントになっておりまして、さらにその中で、アメリカ政府内の関係省庁がそれぞれの分担に応じてどういうふうに強化をすべきかということが述べられておるわけであります。例えばNSFにおいては大学を中心としてそれぞれセンターをつくりなさいとか、そのほか、DOE、エネルギー省においては超電導室というようなものを設けて、そこでエネルギー省として進めるべき超電導分野の研究開発推進方策を具体的に詰めろというようなことが触れられております。七月に出されました法案には、それらに加えまして、大統領に対して、そういう諮問委員会をつくると同時に、五カ年の超電導研究開発計画を策定するという義務をつけている点が、七月二十九日の下院の法案の一つの大きい特徴になっている点だろうと思います。いずれも、例えば悪うございますが何となく国家非常時で、超電導について米国の政府の総力を挙げてこれに当たるということを態度で示すようなことを法案の条項にしている内容だというふうに私どもは受けとめております。 先ほど先生御指摘のございました日米関係とかその他の面では、レーガン大統領が招集しました一種のアメリカとしての超電導に対する緊急戦略会議というのがございましたが、この動きは、これは一部推測ではございますけれども、このような法案提出というのを頭に十分置いた上で政府として緊急に対応するためにとった大諮問会議というようなものではなかったかと思いますが、その中で、アメリカがそのように国力を挙げて進めるに当たっても、やはり国際協力というものについての必要性は認めておるわけでございますし、レーガン大統領の十一項目の提言の最後の方についても、日本との協力の可能性というのを模索するようなことも含まれていたやに承知しております。 以上がかいつまんでの内容でございます。
○粟山委員 今のアメリカのお話を伺っておりますと、言葉も国家非常時とか、いろいろ出てまいります。まさに戦時体制における一つの重要な問題というような感じがするわけでございまして、ことにレーガンさんのいわゆるSDI、これは戦略防衛構想、まさに国防上の問題でありますが、それと並ぶSI、スーパーコンダクティビティー・イニシアチブというのでしょうか、したがって、予算も国防予算の中で随分大きく力を注いでいるというふうにうかがわれるわけであります。ただ日本の場合は、もちろん基本的に違うことは、日本はそういった国防、まあ防衛というものは一つの大きな問題ではありますけれども、そういう方面からの取り上げ方ではなくて、いわゆる専門分野、科学分野として超電導というものを大きく進めていかなければならないということは間違いないわけでございますが、今伺ったように、向こうはエネルギー省あるいは文部省とか国防省、いろいろな省庁総力を挙げてこれに取り組んでいくとすれば、やはり日本も、基本的な取り組み方は違うとしても、ひとつ各省庁いろいろな面を集めて、総力を挙げた研究開発体制も必要ではないかと思うわけであります。そういった点について、もちろんその中心となるのは私はぜひ科学技術庁においてやっていただきたい、こう思うのでありますが、今何かそういうような構想なり何なりがあるかどうか、ちょっとその点、考え方をお伺いしたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほど御説明しましたアメリカの法案の中では、例えばエネルギー省に四千八百万ドルとかあるいはNSFに四千万ドルといったようなことで、大統領の十一項目の中では三年間で国防総省に一・五億ドルというような超電導のための研究費の額が明示されておりますが、それぞれもちはもち屋と申しましょうか、そういう形でアメリカでも研究が進められているというふうな状況にあろうと考えております。 私どもの方でも現在いろいろ関係省庁も御努力をされているのを十分承知しておりますが、たまたま私どもの方では、総合的な研究機関として金属材科技術研究所でありますとか無機材質研究所、理化学研究所、あるいは超電導を使う立場という形で核融合を進めております原研などがございます。そういうそれぞれの研究機関の中の得意なパートでこの超電導問題を総合的、多面的に進めていくのがよろしいのではないだろうか、また、そこへ日本の関係のあります産学官の研究される方々がいつでもお入りいただいて、場合によっては外国からも来ていただくというような形で、少しずつ基盤を高めていくという努力をしていきたいというふうに現在考えているわけです。 なお、幸いにアメリカ側の方からも関心を持たれておりまして、十二月になろうかと思いますが、アメリカの若手のドクターが金属材料技術研究所に超電導分野の研究ということで訪日をするということで、これは先般御承認賜りました研究交流促進法の援助によりまして金材研が採用するというような手続を今進めているというような次第でもございますので、名実ともに内外に開かれた形で、持てる力を存分に出し合う柔軟な研究組織というのも一つ重要なオプションとして伸ばしていきたいと考えている次第でございます。
○粟山委員 これは質問ではございませんが、この超電導関係について、今はアメリカと日本とがこれから競争だというような意識が非常に出てきておりますが、同時に、日米の協力、国際協力、これはこれから非常に問題になってくると思います。先般の会議におきましても、この問題については原田委員長から、特に超電導研究分野において共同の国際シンポジウムをやろうじゃないか、あるいはアメリカの研究者をもっと入れようじゃないか、こういう提案をされまして、向こうも非常に喜んでおります。そういうことで、ある面では競争をするとともに、そういう面の施策をひとつ大いに進めていただきたい、こう思う次第であります。 それから、時間もありませんので先に進みたいと思います。今の超電導の問題に関連して特許庁にちょっと伺いたいのですが、きのうのNHKのテレビでも言っておりましたが、日本のある企業が一企業で二月から現在までにもう超電導関係で七百件の特許を出している、そんなことがちらっとテレビに出ておりました。これは大変なものだと驚いたのでございますけれども、どんどんそういった特許が出てくると、こなし切れないのじゃないかというような心配もございますし、日本の科学技術を発展させ、また進めていく上にも、特許という面が非常に大事であると同時に、そういうことによって先はどちらっと申し上げたような阻害要因にもなるのじゃないかというような心配もあるわけでございます。この辺について現在の特許庁の考え方をちょっと伺いたいと思います。
○畑川説明員 先生御指摘の超電導に関しましては、まず特許出願というのは、原則といたしまして、出願の日から一年六カ月たった時点で公開をし、それに基づいて内容がオープンになっていくというシステムになってございます。先ほど御指摘の昨日のテレビ等でいろいろ報道されております超電導技術につきましては、従来は金属系材料に係る超電導技術に関するものだったわけでございますけれども、近年のものはセラミック系材料に関する超電導技術ということになっておりまして、ここら辺のものにつきましては、研究がなされ、話題になり始めたのがここ一年ほどのことということでございまして、中身的にはまだ公開に至っていないという状況にございます。 そういう状況でございますが、いろいろ数がたくさん出されているということにつきましては私どもとしても非常に関心を持っておりまして、そういう先端技術のものが審査のおくれを来すことのないように、特許庁はいろいろ案件を抱えておりますけれども、鋭意日本の最先端技術の保護という観点から審査に邁進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○粟山委員 では、時間もなくなりましたので、最後に一言だけお伺いしたいと思いますが、これも新聞にも出ておりましたし、先般の科学技術会議、アメリカにおいての会議におきましても大きな問題として取り上げられております。また、アメリカの科学技術関係の要人の方々が来られると常に出るわけでございますが、それは、日米間の人材あるいは施設、情報等が、ちょうど貿易摩擦と同じように、どうもアンバランスである、もう少し対等にやってほしいという、いわゆるシンメトリカルアクセスという件でございます。 これはいろいろな面から考えられると思いますけれども、やはり日米あるいはほかの先進国、さらには低開発国も含めまして、大いにこれから人材交流をもっとやっていかなければならないと思うわけでございます。一案として、例えば国際人材交流の基金というようなものをつくって、一元的にもっとその中でのいろいろな施設をつくる、あるいは語学研修もやる、ひとつそういうような大きな構想ができないものかどうか、こういった面を通じてこれからの日米技術協力を強力に推し進めてはいかがか、こう思うのでございます。そういった問題に対して、当局あるいは長官の御意見もお伺いしたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
○吉村政府委員 ただいま御指摘ございました科学技術情報の外国への提供とか外国人研究者の受け入れにつきましては、私どもとしては次に述べるようなことを今やっておるところでございます。 第一は、日本科学技術情報センターによります科学技術情報の海外への提供でございまして、海外の七カ国の代理店と提供契約を結んでおりまして、アメリカにつきましては、商務省の技術情報センターと契約をしておる六十四の企業や研究機関等が、日本科学技術情報センターの英文データベースとか日本語の文献データベースに直接アクセスができるようになっておるところでございます。 また、国立研究機関の研究者が国際研究集会に研究成果を発表するということを奨励するということで、その間の経費につきましても充実に努めておるところでございます。海外からの研究者の国立研究機関への招聘につきましてもいろいろな努力を重ねておるところでございます。さらに、外国人研究者受け入れのためには、やはりどうしても生活環境の整備が非常に大事であるというふうに考えておりまして、筑波研究学園都市の国立研究機関に招聘する外国人研究者及びその家族のために、宿泊施設をささやかながら本年度から開設をしたいということで準備をいたしておるところでございます。 今御指摘ございましたように、日米はもちろんでございますが、外国との間で科学技術情報の相互アクセスの問題、研究者交流についての不均衡については、いろいろ御指摘があるわけでございますので、今後とも日本科学技術情報センターを通じました国際的な科学技術情報ネットワークの整備とか英文データベースの充実といったものを進める一方、日本に来られます外国人研究者を対象にした日本語の研修とか、我が国の国立研究機関等でどういう研究をやっており、どういう招聘制度があるかといったことを紹介するような情報の提供、それから、先ほど申し上げました外国人研究者用の宿舎の拡充といったようなものに向けて一層の努力をしたいと考えておるところでございます。米側の意向もさらに把握しながら、私どもが考えております以上どういう対策を講ずればいいかということにつきましても、十分検討したいと思っております。その一環として、ただいま先生御指摘ございました人材交流基金といったものもその検討対象の中に含めてまいりたいというふうに考えております。
○三ツ林国務大臣 今の日米の科学技術情報または人材の交流についての対応等はお答え申し上げたとおりでございますが、私の方からは、日米の科学技術協力全般に対する取り組み等につきまして申し上げたいと存じます。 日米の関係はますます緊密かつ重要なものとなっておりまして、今年一月私が訪米の際にもこの点は痛感したところでございます。科学技術分野においては、原子力、宇宙、ライフサイエンスといった幅広い分野で積極的に協力を推進してきたところでございますが、国会議員の先生方におかれましても、従来から日米科学技術議員連盟の会合を重ねられておりまして、また、本年も特に原田委員長を初めとする議員の皆様方が訪米されまして、日米間の科学技術分野における協力について、率直かつ活発な意見の交換が行われたと伺っておりまして、科学技術行政を預かる者として、先生方の御協力に敬意を表する次第であります。 日米間の科学技術協力は、我が国科学技術の国際協力の中核をなすものであり、先生御指摘の点を踏まえつつ、政府においても、今後とも引き続き幅広い協力関係を築いていく所存でございます。
○粟山委員 ありがとうございました。では終わります。
○原田委員長 辻一彦君。
○辻(一)委員 私、福井県なんですが、御存じのように福井県の若狭湾一帯には今十三基の原子炉があります。それは容量で大体九百万キロワットを超えておりますし、加圧型軽水炉、沸騰水型軽水炉、さらに新型転換炉、高速増殖炉も建設中、また、今大飯三、四号で百二十万近いのが二つ、これが全部完成すれば十五基、千二百万キロワット近い原子力発電の一大基地がつくられようとしております。そういう意味で住民は、安全性と万が一のときの防災対策に非常な関心を持っておる。その点から私も、それらを踏まえて、過日社会党が派遣しましたチェルノブイル原発視察において少し時間をかけて現場をずっと見てまいりました。そこらを踏まえてきょうは二点について質問いたしたいと思います。 まず長官にお尋ねしたいのですが、スリーマイルの七年後にチェルノブイルという空前の原発史上の大事故があったわけですが、これはいろいろな形から分析、解析が行われております。我が国の原子力安全委員会も一つの報告書をまとめておりますが、その中身を拝見すると、これら二つの上に、特にチェルノブイル事故の上に立っても、特別に安全上あるいは防災上今までの対策を変えるべきものはないというような結論がおよそ出ておるように拝見します。私の率直な実感では、やはり原発は限りない安全性を追求しなくてはならないということと、起こってはならないのでありますが万一の場合に備えて防災対策に万全を期さなくてはいけないということが、現場を見ての率直な実感でありますが、我が国の原子力行政の最高責任者として長官から、ひとつどうこれらを踏まえて考えていらっしゃるか、所見をまずお尋ねいたしたいと思います。
○三ツ林国務大臣 ただいま御質問でございますが、チェルノブイル事故は大量の放射能が国境を越えて各国に影響を与えた重大な事故であると認識いたしております。本事故については、我が国の原子力発電所の安全確保対策へ反映すべき事項等について、原子力安全委員会において調査検討を行い、本年五月に報告書が取りまとめられたところであります。同報告書においては、我が国の現行の安全規制や防災対策について早急に改める必要のあるものは見出されないことが明らかにされているところでありますが、しかしながら、調査検討の結果、改めて心に銘すべき事項として摘出された七項目、さらにはそれを受けて今後原子力安全委係員会のもとで行われる検討の結果についても、十分尊重し、今後とも安全性の一層の向上に努めてまいる所存であります。
○辻(一)委員 まあ一般的な御見解は一応それで伺いましたが、具体的に二、三お尋ねしたいと思います。 まず、そういう結論を出された根拠として、どういう点から特別な対策、変更する点はないというように結論を出されたのか。これは詳しくやれば大変な時間になりますが、要点だけで結構ですから、ごく端的に要点だけお答えいただきたい。
○石塚政府委員 お答えいたします。 チェルノブイル事故の特徴といいますのは、設計における多重防護というものの適用における脆弱性といったものを背景といたしまして、運転員の多数かつ重大なる規則違反というものによって、設計者が予想もしなかったような危険な状態に原子炉を導いた結果、発生したものでございます。 そこで、我が国の原子力発電所におきましては、設計、建設、運転の各段階について調査検討いたしました結果、今回の事故の原因となるようなものは見出されないということ、また、これら各段階におきます安全規制当局、関係省庁、電気事業者等における真摯な努力がなされていることが確認されておりまして、したがって原子力安全委員会といたしましては、現行の安全規制やその慣行を早急に改める必要のあるものは見出されないという結論を行ったと承知いたしております。 また、防災対策につきましては、上に述べたように、我が国におきましてこのような事故の発生は極めて考えがたい。また、TMI事故の教訓を踏まえて、我が国の原子力発電所の炉型あるいは設置状況等の特徴を考慮して防災体制が整備されているとともにいろいろな防災対策が講じられ、これらが十分機能することから、原子力防災体制及び諸対策を更新する必要性が見出されないというふうに結論をしたということでございます。
○辻(一)委員 この報告書をずっと読むと固有の安全性ということが随分と強調されておりますが、チェルノブイルの黒鉛炉のボイド反応度係数が異なる点を言っておるのではないかと私は思うのです。チェルノブイルの発電所も、正常な運転では、総体としての出力反応度係数は負であり、暴走の条件はなかった。異常な低出力運転をやったところに非常に問題があった、こういうように思います。 ソビエトのザポロジェという発電所の所長さん、これは前のチェルノブイルの幹部職員であったのですが、転勤をしておった。そして事故発生の二日目に呼び出されて現場に直行して、起こり得ないと言われておった大事故が目の前に起こっていて愕然としたということと、そういう中から安全性や防災問題についていろいろ詳しい話を非常に率直にしてくれました。こう言っておったのですが、ソビエトでも黒鉛炉は非常に長い歴史、言うならば世界に先駆けて原子力発電を五千キロワットでやった、三十五年の具体的な運転経験がある、長い間積み上げたのがこういう結果になって非常に残念であると言っておりました。レニングラードの発電所、クルスクの発電所にも同じ実験を要請された。それはそこの発電所の所長が拒否をした。断った。ところがこのチェルノブイルは、ソビエト最優秀、最新鋭の黒鉛炉であるということと、それから長い自信といいますか、そういうものがあって、そこで実験をいろいろして、いろいろな規則違反からミスが積み重なって、とうとう暴走してしまった。三十五年に及ぶ苦労を思うと非常に残念でならぬと率直に言っておったわけなんですね。 こういう点を考えると、非常な低出力運転をやったというところに非常に問題があるのであって、そういうことをやらなければソビエトも十分な自信、確信を持ってこの炉を運転しておったし、これからもまだ建設をしてそれをやっていくのだということを言っておりますが、そういう点を考えると、単にチェルノブイルの黒鉛炉は固有の安全性が劣っておってこういう事故を起こしたというようには、なかなか言いがたいというふうにも思うのですが、そこらについての見解はどうか。
○石塚政府委員 事故の起きた原因といいますものはいろいろあるわけでございまして、正の反応度係数だけがもちろん原因であるというわけでございません。事故報告書でも述べておりますとおり、同事故の原因といいますものは、設計上の問題及び運転管理上の問題、この二つの問題が重なり合っておるわけでございます。すなわち、チェルノブイル事故の特徴の一つといたしましては、まず第一に、今申し上げました設計における多重防護の適用の脆弱性といったものが背景としてあるということ。この点につきましては、我が国の場合、安全設計審査指針によりまして、軽水炉のみらちず「ふげん」あるいは「もんじゅ」、東海一号炉等につきましても、すべての運転領域において負の反応度フィードバック特性を持つように設計されているということになっていることに対しまして、今回の事故を起こしましたソ連のRBMK炉におきましては、低出力運転領域での正の反応度フィードバック特性を有しておりまして、このような危険に備えるための対策として必要である警報あるいはインターロック等の設備面の安全対策等が不十分であるということでございます。こういった安全機能の維持ということが運転員に対する規則という形でしか担保されていないということがこの脆弱性の内容でございます。これは、炉型の相違というよりは、むしろ基本的に安全確保の上で前提となる安全設計思想そのものの問題であるというふうに位置づけをいたしております。 次に今回の事故の第二の特徴といたしまして、運転員の六つの重大な規則違反によって危険な状態に原子炉を導いてしまった結果発生したということがございます。さらに、この規則違反のほとんどが、単なる錯誤というようなものではございませんで、これは意識的なものであったということも大きな特徴でございます。 事故調査特別委員会は、この事故の特徴を踏まえまして、我が国のすべての型の発電同原子炉施設について、設計上の安全対策及び運転管理対策の現状を調査検討するとともに、品質管理活動など建設段階における対策にも目を配りまして、その結果、適切な対策が講じられているというふうに評価したものでございます。このように事故調査特別委員会報告書では、我が国の原子力発電所には、チェルノブイル事故に見られる事故要因となるものは見出されない、また、設計、建設、運転等の各段階において、我が国原子力関係者の真摯な努力の現状を踏まえ、今回の結論を導き出したものでございます。
○辻(一)委員 時間が限られているわけだから、質問したことに答えてもらえばいいです。逐次伺いますから。 結局あれですか、よく強調してある固有の安全性という点は必ずしもそうじゃないという見解ですか。例えば、我が国にATR「ふげん」がありますね。構造から言えば非常にこのチェルノブイル黒鉛炉に似ているわけです、圧力管等を考えれば。これら等も考えれば、報告書では固有の安全性というものが非常に強調されておりますが、必ずしも固有の安全性ということはそう強く考えてないということですか。要点だけで結構です。
○石塚政府委員 我が国の場合は、軽水炉及び「ふげん」あるいは「もんじゅ」等の原子炉におきましても、安全設計審査指針によりまして、原子炉の固有な特性というものがその要求内容を満たすように、各炉型の特徴を考慮した反応度フィードバック特性がすべての運転領域で常に負になるように設計されておるということであります。
○辻(一)委員 じゃもっと端的に聞きますが、「ふげん」で似たような同じような経過をたどって、言うならば、チェルノブイルの場合は端的に言うと自動車のブレーキを外したようなものですね。幾らうまく運転するといったって、ブレーキを外せばそれは暴走するのは当然で、そういうことが重なったわけですが、日本の「ふげん」というものも構造的にいうとかなり似ているのですが、これで、言うならばブレーキを外す、いろいろなバイパスをする、そういうふうにしてやったときにどういう経過が起こると思いますか。やはりチェルノブイルと同じような経過が起こると思うんだが、その点はいかがですか。
○石塚政府委員 事故調査特別委員会の調査におきまして、そのような状態といいますか、日本の「ふげん」につきましても、あらゆる人為ミスあるいは事故を想定いたしましてこの際再確認いたしました結果でも、チェルノブイルのような事故には至らないという結論が導かれたと承知いたしております。
○辻(一)委員 そうすると、固有の安全性ということは黒鉛炉の性格を指しておる、あるいは圧力との関係、圧力管を指しておるのですが、「ふげん」もよく似ているのだけれども、片方では固有の安全性といってそういう事故の可能性が十分あると言い、片方では、構造的に似通った「ふげん」であっても、日本の場合はそれはまたいろいろな対策があるから別だ、こう言うのですね。ちょっと私はそこは整合性がないと思う。同じように「ふげん」といえども、今言ったようにブレーキを外していけば似た経過、同じような問題が起こらないかどうか、この点はどうですか。
○石塚政府委員 一口に黒鉛炉と申しましても、その炉の設計によりまして負の反応度フィードバック特性というものの大きさが決まってまいります。例えば濃縮度が違うとか、そういった形でこのフィードバック反応度特性というものが規定されてまいります。事実、チェルノブイルの原子力発電所におきましては、その後、負の反応度係数を導くといいますか、正の反応度係数を小さくする観点から濃縮度を上げたというようなこともございまして、設計のあり方によってそこは変わってくるものである、黒鉛炉であるからどうということではないと思います。
○辻(一)委員 黒鉛炉だからというのは、一般的に黒鉛炉というのであって、圧力管様式というのはチェルノブイルの炉も「ふげん」も共通点があるわけですね。そういう点で、詳しくはなかなか聞けませんから、まず「ふげん」について私は、共通点がある、だから固有の安全性を云々するならば「ふげん」の十分な解析を行うべきである。だからどういう解析をしたかということを提出してもらいたい。いかがですか。
○石塚政府委員 ただいまの確認でございますが、「ふげん」におきましては炉物理試験によりまして……
○辻(一)委員 内容はいいから、どういう解析をやったかを資料で出してもらえばいい。それができるかどうか。
○石塚政府委員 計算の内容につきましては既に安全審査書等で公表されておりますので、その内容につきましては御提出申し上げます。
○辻(一)委員 この問題は、固有の安全性云々については、解析結果を資料としていただいて、それを見て勉強した上にいたしたいと思います。 第二に、原子炉の設計思想、さっきも触れられたのですが、格納容器の存在が非常に有効であったということ、私は、それはそういう面が言えると思いますが、考え方としては、圧力容器そして格納容器の中におさめて全体として押さえていく、封じ込んでいくという考えと、一つ一つの圧力管の中で、言うならば圧力容器や格納容器が一つ一つ小さく存在する、こういう設計思想というか概念の相違があると思うのです。 そこでソ連の現場で、また原子力使用委員会あるいは原子力省等々の第一次官や責任者ともずっと論議をし、現場の所長さんや技術者にもいろいろ聞いてみましたら、このくらいの規模の大事故が起こると格納容器があるかどうかということはもう余り問題にならない、こういう見解を示しておったのですが、これについてどう考えますか。
○石塚政府委員 日本の安全審査におきましては設計基準事象というものを考えまして事故評価を行うわけでございますが、そういった事故シークエンスを考えました場合には、日本の軽水炉の格納容器は十分その事故には耐え得る、しかも相当余裕があるということが確認されております。
○辻(一)委員 チェルノブイリクラスの事故が起きても、日本の格納容器はそれに耐え得るというわけですか。
○石塚政府委員 チェルノブイルの原子炉というものは全く日本の軽水炉と設計が異なるものでございますので、それを日本の格納容器の中に入れたらどうなるかということは検討もいたしておりませんし、意味のあることではないと思います。
○辻(一)委員 それはわかってはおることですが、あのクラスの事故が起きたとすれば格納容器があるかどうかはそれほど大きな問題ではないという見解があるわけで、それについてお尋ねしておったのです。 では日本の場合について、スリーマイルで三回爆発があって、そのうち一回の爆発で二気圧上昇した、こう言っておるのです。大飯原発一、二号炉は耐気圧は〇・八気圧というが、スリーマイルのような事故が起きたら大飯一、二号炉の耐気圧はどうなるか。これはいかがですか。
○石塚政府委員 TMI事故につきましては、加圧器逃し弁の開固着が運転員に長時間気づかれなかったということ、あるいは非常用炉心冷却設備の一つでございます高圧注入系を停止したりまた注水量を絞るなど、事故対策上の問題があったということでございまして、我が国では安全管理を徹底しており、またTMI事故を教訓とした諸対策も講じておりますために、TMI事故のような事故は十分防止できると考えております。 また、大飯一、二号炉の格納容器につきましては、設計圧力は約〇・八気圧でございまして、これを相当上回る耐圧性を有するということも確認をいたしております。 〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕
○辻(一)委員 いろいろなことをやっているから日本では起こらないという一点張りなんですが、TMIでは三回のうち一回の爆発で一気圧上昇した。そうすると、〇・八気圧では、耐圧性からいえば多少ふえるといったってこれは大変問題があると思う。それはどうなんですか。
○石塚政府委員 格納容器の容積とかいろいろな関係でその中の圧力というものが変わってくると思いますけれども、我が国におきます原子力発電所の安全評価におきましては、格納容器が耐えられないというようなケースはございません。
○辻(一)委員 〇・八気圧が基準なら、一気圧になった場合に耐えられるのですか。
○石塚政府委員 格納容器の設計といいますものは、弾性域での安全率を見込んだ設計をいたしておるわけでございますが、実際に破損に至るためには、それが降伏点を過ぎ、さらに塑性域に入ってようやく破壊するということでございまして、そういう観点から見ますと、相当の余裕があるということがTMI後の格納容器のいろいろな検討作業の結果明らかにされつつございまして、TMIの事故を教訓といたしまして日本の原子力発電所の格納容器をいろいろ検討いたしました結果でも、日本では破損するということは起こり得ないという結論が出ております。
○辻(一)委員 私の言っているのは、この場合はチェルノブイリではないんだ。スリーマイルのような一回の爆発で二気圧の圧力が出たときに〇・八気圧の耐圧性では問題があるのではないか、相応のゆとりがあったにしてもこれは非常に問題がある、その点はどうか、こう言っているのですね。
○石塚政府委員 格納容器はかなりの余裕があるということが明らかでございますけれども、どの程度のものかということにつきましては、現行の想定事象の範囲では格納容器が破損するということはあり得ないという結論を得ているわけでございます。さらに、シビアアクシデントというものが発生した場合に、それでも出てくる水素の量でございますとかそういった面でどの程度の余裕があるのかということにつきましては、今後また検討、研究が続けられると思いますけれども、設計、建設、運転、そういった各段階におきます安全確保の対策等の現状からいたしまして、我が国では設計事象を超えるような事故、そういうシビアアクシデントを想定した安全評価は必要ないというふうに結論がされておるわけでございます。また事故調査特別委員会では、シビアアクシデントの研究の国際的な動向も踏まえまして、その結果からもそういったリスクは十分小さいというふうに認識をいたしております。
○辻(一)委員 想定してないからそんなものは起こらないんだというような――現にスリーマイルでは二気圧という圧力が出たんだから、それを前提にして解析をしてみる必要がある。私は、大飯一、二号炉について、スリーマイルのような二気圧の圧力がかかったときに今の格納容器の耐圧性はどうなるか、これについての解析結果を求めたいと思うのですが、いかがですか。できますか。
○石塚政府委員 あの大飯の格納容器にどの程度の耐圧性があるかという定量的な数値につきましては今後の検討にゆだねなければならない部分もございますけれども、個々の施設の安全審査におきましては、その点は十分確認はできておるわけでございます。なお、格納容器の健全性の研究は、今後なお続けていくという方針でございます。
○辻(一)委員 それは解析して資料として出してください。できますか。
○石塚政府委員 格納容器の検討につきましては、現在原子力安全委員会の専門部会等で鋭意検討が継続中でございます。そういった専門部会等での報告が完成しました暁にはそれは公表されるというふうに理解いたしております。
○辻(一)委員 たくさんの解析をやるのならこれは時間がかかるけれども、この問題に絞れば、専門家を全部動員すればそんなこともできない日本の技術力ではないと思うのですね。それはしかるべき短い時間でやれるはずですが、いかがですか。
○石塚政府委員 TMI事故の後、格納容器の研究というものが相当精力的になされているということでございますが、その進捗状況、今どれくらいまで進んでいるかということにつきましては、私は今ちょっとここで承知いたしておりません。
○辻(一)委員 要するに、進捗状況はそれはそれで結構だけれども、十分時間をかけていいのですが、これは日本の専門家を動かしてやればそんな長い時間かかるはずはない、できると思うのですね。解析して出せますか。出していただきたい。
○石塚政府委員 研究の進捗状況等ともにらみ合わせまして検討させていただきます。
○辻(一)委員 出るのですね。 この格納容器はB型、沸騰水型でも非常に問題になって、去年もアメリカの、今度はかわりましたが、NRCのデントン規制局長が格納容器の改善命令を一部出したというようなことが新聞等にも報道されておる。日本の方もそういう検討をいろいろやっておると思いますが、ちょっと時間の点から、この問題はまた後で同僚に詳しくやってもらうことにして、B型、沸騰水型格納容器にも問題があるということを指摘しておきたいと思います。 それから、多重防護の問題ですが、ソ連もソ連なりに多重防護の考え方を持って、なかなか十分とは言えない点があろうと思いますが、かなり取り組んでおったのではないかと私は思うのですね。チェルノブイリのように、大事なところをバイパスするというか、安全を外していけば、それの結果として暴走すれば、結局格納容器、あるいは格納容器とは言えないと思いますが、上部構造が吹っ飛んでしまう。こういう中では、幾ら多重防護がいろいろあったにしても、これは用をなさないという状況になっていると思うのです。これはもう、あの規模の事故が出た場合には多重防護があったからなかったからということは余り問題にならなくなる、ああいうのをいかに起こさせないかということが大事だと思うのですが、その点いかがですか。聞かないことを余り長々と答弁してもらっても時間がなくなりますので、聞いたことだけ答弁してください。
○石塚政府委員 先生まさしく御指摘のとおり、多重防護といいますものは、事故を防ぐため、それから、事故が起きた場合にはその拡大を防ぐための措置でございまして、チェルノブイルの原子炉ではこの多重防護の設計思想に脆弱性があったというふうに認識いたしております。
○辻(一)委員 このINSAGの報告でも、チェルノブイリのような場合に、それに耐えられる格納容器が現在あるいは将来の原子力プラントで果たしてできるかどうか決めがたい、こう言っておるのですね。その点から、格納容器があるから、あるいはそれがなかったからということをもって決定的な事故防止、これを抑える要因とはなかなか言いがたい点もあると思いますが、これはさっきの解析の結果を待ってさらに論議をしたいと思います。 その点からいうと、ソビエトもスリーマイルの事故が起こった後には、自分のところは炉型が違うし設計思想も違うから安全なのでそんな事故は起こらぬ、こう言っておったのですね。しかし事実としては、スリーマイルをはるかにしのぐ大規模の事故が起きた。そしてまた、さっきちょっと触れましたが、三十五年という長い歴史を事実として持っておるということですね。そして、現在でも約半分はなお黒鉛炉をやっておる。 また、日本の場合、黒鉛を使っているコールダーホール、これは一番初期のですが、非常に健在で動いておりますが、これら幾つかをずっと考え合わすときに、炉型の相違をもって、一般的によく言われているように、日本のはもう心配がない、こういうことはちょっと言えない。やはり日本の場合にも、この軽水炉も黒鉛炉も一長一短それぞれあるわけでありますから、炉型の相違をもって、我が国には事故が起こらない、こういうことは断言し切れないと思いますが、その点いかがですか。
○石塚政府委員 原子力安全委員会の事故調査特別委員会におきましても、単に炉型の違いをもって日本では起きないというような指摘を行っているわけではございません。あくまでその多重防護の思想を貫いた設計がなされており、かつ、十分な運転管理がなされているということで事故の防止を図るということでございまして、単に炉型のみで、だから日本では起きないという結論を下しているわけではございません。
○辻(一)委員 それなら、電力業界で一般的に随分と説明会が行われてパンフレットが出ているけれども、一番のポイントは炉型の相違ということが言われているのですね、実際問題として。だから、それはひとつよく指導してもらって、炉型の相違をもってこの問題を割り切ってしまうということのないように、その考え方を具体的に原子力、電力関係に指導助言をやってほしいなと思います。 次に、機械と人間との関係について伺いたいのです。 今、チェルノブイリ、それからザポロジェという加圧型の百万キロワットの発電所を三つ動かして、四つ目がこの年内に動く、五、六が建設中という、加圧型としては最新鋭でしょうが、それが集中したところも見てまいりましたが、そこの所長さんがさっき言ったようにチェルノブイリの事故二日目に呼び返されたという所長であったのですが、そこでいろいろ論議をしてみると、いかに優秀な機械も人間以上のものはできない、将棋の世界選手権大会をやっても、優勝するのはロボットでなくして人間であるということですね。その人間もまた誤りを犯すということで、今この巨大科学、巨大技術の中で、例えばアメリカのスペースシャトルもしかり、日航のジャンボ機もしかりですね、それからスリーマイル、そしてこのチェルノブイリ等々、巨大科学、巨大技術の中で、人間と機械の関係、役割の分担という、ある意味では哲学的な、物理は終局哲学にもつながると思いますが、そういう問題が大きなテーマになっているようであります。 これらについてちょっと長官から、原子力行政の責任者として、巨大科学、技術の中で機械と人間はどういう分担をやっていくのか、どういう役割を持つべきなのか、それについての御見解をまず一度お伺いいたしたいと思います。
○石塚政府委員 現状の御説明でございますが、私からお答えさせていただきます。 チェルノブイル事故は、これは、運転員の規則違反が事故の引き金となったということ、そして設計においても反応度操作余裕というものの維持が運転員の監視にゆだねられておって、警報あるいはインターロック等の不備があるなどの問題が指摘されておるわけでございます。一方、我が国の場合、原子力施設は機器や系に異常がありましても自動的に安全側に作動するフェールセーフでございますとか、あるいは自動化された溶融の保護動作によって安全を確保するというふうに設計されているわけでございまして、このようなことからチェルノブイルの事故は、人的因子の問題とともに、どこまで機械にその役割をゆだねるべきか、どこまで人間にゆだねるのが最適であるか、すなわち原子力発電所の設計、運転、管理等におけるマン・マシン・インターフェースというものの最適化を図るということがいかに重要であるかということを認識させたわけでございます。このため、原子力安全委員会は本事故を踏まえまして改めて人的因子及びマン・マシン・インターフェースに関する研究の促進を指摘しておりまして、人的因子及びマン・マシン・インターフェースの問題は原子力発電所固有の問題ではなくて、これは巨大システムの制御に共通して当てはまる問題であるというふうにも認識いたしておりますが、航空機あるいは化学プラントなどの巨大システムの制御、こういったものをどのような事態に陥っても適切に行うためには、異常事象の発生にかかわる人的因子というものの影響を正しく把握し、この人的因子を的確に評価し、また随時必要な措置を講ずるということが必要でございます。 そのためには総合科学としての人的因子の研究開発の推進というものが不可欠でございまして、さらに人的因子の研究成果を十分に分析、評価することによりまして、このマン・マシン・インターフェースの最適化への道も進む、そしてより実用的なものになるというふうに考えております。 なお、付言いたしますと、人的因子に関する研究の成果をマン・マシン・インターフェースに応用する場合、近年における情報科学あるいはシステム工学、エレクトロニクス技術、そういった科学技術の進歩によりまして、マン・マシン・インターフェースの最適化を図る上での、マシンという部分が受け持つべき機能というものの一層の高度化が可能となりつつございます。このことによりまして、今後人的因子による原子炉、原子力の安全性への影響というものが緩和、低減されていくということが期待されると思います。
○辻(一)委員 この問題についてもまだまだお尋ねしたいのですが、非常に時間が限られてきておりますので、残念ですがあとちょっと、駆け足で質問いたします。 一々確かめられればいいのですが、時間がありませんから、その点私の方からちょっと問題を整理をして出します。 原子力の発電コストは今まで火力、石炭それから石油に比べて非常に安かったのですが、現在非常に状況が変わってきている。政府の方から資料をもらっておりますが、長い耐用年数を前提にして計算をすればなお原子力発電は単価が安いというように数字が出ておりますが、しかし、六十一年に、初年度に、もし全部新しくつくったのを比較したときに、この政府資料によれば、一般水力二十一円、石油火力十円、石炭火力十二円、LNG火力十一円、原子力十二円程度というように出ておるのですね。ということは、石油が下がっているということ、それから円高といういろいろな要素がありますが、必ずしも原子力が非常に安いというふうにはだんだん言えなくなってきた。耐用年数を長く計算してやったこれを見ると、石油は二〇〇〇年にはバレル当たり三十ないし四十ドルに上昇するというケースで計算をしているのですね。それは、二〇〇〇年になったときにバレル三十-四十ドルになるという数字もあると思いますが、この数字はかなり高目に見られて、その結果として原子力はなお安い、こういう数字が出ておりますが、一年目を見るともうその差はほとんどない。場合によれば、ないというよりも、石油火力は十円というふうに安くなっておる。 そこで、こういう状況の中で何とかしてコストを下げようというのは、これは企業からいえば当然の論理であると私は思いますが、しかしそのコストを下げるために、時間の点から質疑を通しては問題は明らかにできませんが、項目だけ挙げてみると、例えば運転時間、そして定期検査をやっている。運転時間は十三カ月以上オーバーしているというのは余りないようですが、定期検査の時間は、例えば二千時間くらい、中には三千時間といいますが、二千時間くらいやってきたのが二百数十時間というように、十日間くらいに随分、二百何十時間というと、十分の一くらいに短縮をされている。定検をやれば原子炉はとまりますから、これは電力を起こす方からいえば問題がありますが、こういういろいろな事情はあるにしても、定期検査の短縮化、あるいはこの間から問題になっておりますが、高浜の原子炉において、これは加圧型の原子炉ですが、定検の期間を短縮するために工事が行われている。それが原子炉等規制法に触れるか触れないかという問題が今いろいろ論議をされておりますが、そのことは時間の点からおいておきますが、そういう問題がやはりある。あるいは今冬電力会社のいろいろの状況等を見ると、とめるべき原子炉、例えば美浜の原子炉、敦賀の日本原電の原子炉に去年の八月二日に雷が落ちた。落雷ですね。片方の日本原電の敦賀原子炉はとめておる。ストップしておる。美浜の方は、一、二号炉は九三%出力を落として、極めて低い出力でこれを切り抜けている。そのときの様子を新聞、ニュース等で見ると、百からの点滅灯がついて警告をしている、制御室の。それを一つ一つつぶしていったというか解除してやった。離れわざをやっておるのですが、これはある意味では大変な技術であるとも言えるけれども、そういうことがいいのか。そして、そういう人は会社に損失を与えなかったということで表彰を受けている。こういうような形で安全ということで運転していくのがいいのか、あるいは敦賀の原子炉のように、事故、問題が起こったらまずとめよという規制にのっとってとめる、それは損失があってもやむを得ぬ、そういうのが本当の意味の安全対策として必要なのか、こういう問題が今コストを下げるという中で具体的にずっと出てきている。それを今全部明らかにするだけの時間がありませんが、これらをつづめて考えると、経済性のために安全性が後退をするということがあってはならないと思うのですが、その点についてひとつ長官の見解を伺いたい。 時間がもう来ておりますから、今の質問に対してごく要点だけひとつ答えてください。
○三角説明員 ただいまの御質問でございますが、第一点の、原子力発電における経済性の優先原則があるのじゃないか、こういうお尋ねでございますけれども、先生御案内のように、特に通産省は実用発電用原子炉を規制しているわけでございますけれども、原子炉等規制法それから御案内の電事法に基づきまして、審査だとか検査、これについては厳重にやっておるということでございまして、我々がやってございます設計許可に関しましても、またあわせて安全委員会にダブルチェックをお願いするといったようなことで、安全確保には万全を期していくということで、二、三の事例を挙げられましたけれども、経済性が優先されてやっておるということはございません。 それからあと一つ、定期検査のことをおっしゃいましたのでその点について敷衍いたしますが、定期検査の短縮で稼働率を稼いで、その結果コストの切り下げに無理をしているのじゃないか、こういうお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、定期検査の重大性と申しますか位置づけというのは十分認識してございます。 具体的には、先ほどお話ございましたけれども、一年プラス・マイナス一カ月の間で定期検査を義務づけております。また一方、最近では結果としてそういう定期検査の言ってみれば期間が短くなっているという御指摘でございますけれども、我が方としては、当面定期検査が重要な位置づけを検査の中で持っているということを十分体しまして、あわせて原子力発電所の信頼性の結果として、過去、実績を見ますと平均で三カ月前後ぐらいになってございますけれども、当然ながら一歩一歩実績を見ながら信頼性を確保するという前提で進めていく、こういう立場に従来どおり変わりはございません。 以上でございます。
○辻(一)委員 出された一覧表がありますね。これを見ると、時間で言うと非常に短いのがありますが、この数字を今やっている時間がありませんから、問題はまた次にしたいと思います。それで問題があることを私はきょうは指摘したということにとどめておきたいと思います。 最後に一つだけ伺いたいのですが、チェルノブイリでプリピアチというところが、原子炉があった町ですが、これは避難にかなりな時間がかかっておるのですが、四万人の人が三レムの被曝です。ところが、三キロから七キロ、同じ半径で描いた中で、同じ区域で、避難のおくれたところは一人当たり五十四レムの被曝を受けている。それから、七十キロでも四十六レム、十ないし十五キロでも三十五レムという被曝を受けている。これは政府資料です。これを見ると、プリピアチの方はまだ早く避難したから三レムにとどまっていると思うのです。いかに事故の場合に、短期しかも早期の避難が大事であるかということをこの数字はよく示している。 先ほど申し上げた、二日目に現地に駆けつけた元幹部職員、今ザポロジェの原子方の所長はこう言っておったのです。ああいう事故が起きたときには人間は心理的な余裕を全く失ってしまうということが一つ。それから次は、大事故が起きたときにどうすべきかを、何が起こるかということをまず従業員によく教えていかなければならない。第三は、地域の住民にこのことをよく知らせておかなくてはならない。第四に、定期的な防災訓練がぜひ必要であるということをみずからの体験から率直に語っておった。これを見て、日本の原子炉はそういう大事故は起こらないという前提に立っておりますが、それは非常に問題があるということを私は指摘しておるのです。アメリカでも、原子力を動かす前に住民の避難計画を、住民の承認を受けて住民参加の防災訓練をやっている。その段階を経て原子力が運転されている、こうなっているのですね。我が国の場合にはこういう義務づけも欠いておるし、この距離の点、いろいろな点から見て防災対策にはまだまだ非常な不備がある、このように思うのですね。 こういう中で、かつては原子力立地の市町村も、初めは防災計画や防災訓練等をやると無用の不安が住民に起こるからこういうことは避けたいということでありましたが、近時、全国の原発立地市町村の協議会におきましても、国の一元的な責任のもとにおける防災対策の必要ということを決議し、それに基づいて原子力の災害基本法、名前は別としまして、法に基づくところの、国の責任をどうするかをはっきりした立法化の要請を決議されている。私もそれを具体的に受けております。こういう立地市町村の考え方の状況変化等も含めて、私は、万が一に備えて我が国に防災対策の確立とそれを裏づける原子力災害立法の必要ありと考えますが、これについて長官の見解を伺いたい。
○三ツ林国務大臣 原子力の防災対策につきましては、災害対策基本法に基づき、国、地方公共団体等がそれぞれの責任及び役割分担のもとに防災計画の策定等の所要の措置を講じでいるところであります。また、中央防災会議決定及び原子力安全委員会決定に基づき、国の地方公共団体に対する指導助言等支援体制が整えられておりまして、また必要な財政上の助成も行っているところであります。したがって、原子力防災対策については現行の法制度及び予算のもとに必要な措置が講じられており、特別措置法制定の必要はないと考えられます。 なお、防災対策については、今後とも地方公共団体等の意見も承りながら、チェルノブイル事故の調査報告書の指摘をも踏まえ、その内容を一層充実するよう努力してまいる所存であります。
○辻(一)委員 これで終わりますが、答弁は極めて不満である。その点については納得しがたい。私は、近日スリーマイルにも視察に行く予定でありますが、帰ったらもう一遍この問題について時間をとって論議をしたいと思います。あくまで地域住民の安全性の限りなき要求と防災対策の万全を期する、この要望にこたえるためにも原子力災害立法の要求をこれから後も強くしていきたい、そういう気持ちを最後に申し上げておいて、質問を終わりたいと思います。
○粟山委員長代理 次に、木間章君。
○木間委員 この機会に科学技術政策の広い意味での問題について質問をしたいと思いますが、差し迫った問題もありますので、若干順序を入れかえまして、最初に「むつ」の問題でお尋ねをしたいと思います。 それぞれ来ていただいておると思いますが、原子力船「むつ」については、科学技術庁は、またまた五者協定を破って、大湊港においてバルブを動かしたり、昇温昇圧によるいわゆる漏れ試験などを実施しようとしております。あわせて船内の低レベル放射性廃棄物の陸揚げもやろうとしていますが、これは五者協定とその覚書を結ぶ時点で最初から予定していた事項であるのか、あるいは今緊急にその必要性が出てきたのか、まずこのことをお尋ねしたいと思います。
○松井政府委員 ただいまの先生の御質問の、原子力船「むつ」が大湊港で諸試験を行いたいということをお願いいたしまして、実は昨日、地元三者から同意を得た次第でございます。 それで、まず五者協定についてでございますけれども、五者協定におきましては、第三項で、大湊港における停泊は原子炉を凍結した状態のままということになってございますけれども、第四項におきまして、地元三者、具体的には県、県漁連、それからむつ市の三者が同意した場合にはその状態が変更できるという規定がございます。そういう意味で、私ども五者協定にのっとりまして地元三者に私どものお願いを申し入れまして、それにつきまして地元で協議の末御同意をいただいたというふうに考えております。したがって、五者協定の線にのっとってやっているというふうに理解しております。
○木間委員 いかなる協定、協約にいたしましても、それぞれ当事者が合意できれば変更することはできるものであります。しかし、案件が案件だけに、私は、そう簡単に変更というのは許されるものではない。特に、後ほど申し上げますが、新しい定係港も間もなく完成するわけであります。ですから私の判断では、今ここで差し迫ったものがあるはずじゃないだろうか、したがって、それがあれば初めてこれらの変更もあり得ると私は思いますが、今、一般的なそのような御返事では私どもは納得できません。
○松井政府委員 原子力船「むつ」に関しましては、政府といたしまして、昭和六十五年度に実験航海を行う、そこをもって解役にするという計画を立てている次第でございます。それで、この件につきましては地元へも前から重々御説明申し上げている次第でございまして、それをちゃんと実施するためには、やはり現在大湊港におきまして幾つかの作業が必要になってきたというふうな判断に至ったわけでございます。 具体的には、まず温態の予備点検でございますけれども、これは、大湊港から関根浜新定係港に回航いたしましてから、そこでふたをあけましていろいろとその中を点検するわけでございます。さらにその前に温態機能試験とかあるいはその出力上昇試験、そういうものがあるわけでございますけれども、そういうものを着実に進めるためには、やはり事前に大湊港において温態状態にしたことで点検をいたしまして、機器のふぐあい等を事前にチェックしておく、もしふぐあいがあればそういうものを先行発注する。したがって、それができれば関根浜新定係港に回航後順調にその作業が進む、こういうふうに判断してお願いしたわけでございます。
○木間委員 重要な問題でありますから、まず新しい定係港を準備して今建設に入っておりますが、関根浜港の完成はいつなんですか。
○松井政府委員 港湾施設そのものといたしましては、六十二年度いっぱいに完成ということで約束しております。
○木間委員 そうしますと、間もなくでございますね。あとわずか、三月いっぱい見ましてでも半年なんですが、そういった間もなく新定係港が完成するやさきに、しかも協定の精神は原子炉が凍結された状態であるということを確認しております。さらに、五者協定に基づく四者の覚書では、凍結された状態とは、原子炉の運転を行わず、冷態停止状態に保つものである、こう言っておるわけですね。したがいまして、現地の皆さんとこの五者協定を結んだのが昭和五十七年でございますけれども、そのときに、いずれにしても新しい港をつくるからそれまで大湊港に置いてください、とまったままでそこに置いておきます、こういう精神が、思想が流れておるはずであります。しかも、あとわずかで新定係港が完成して移ろうとするやさきに、いかなる理由があってそういうことをお決めになったのか、私はここに我が国の原子力行政の本質があるんじゃなかろうか、こう判断せざるを得ないのであります。 次に、協定書附属のこの覚書では、先ほども申し上げましたが、原子炉が凍結された状態とは冷態停止状態に保つもの、こう言っておりますが、当然このことは、昇温昇圧試験をやるわけでありますから、冷態停止状態ではなくて温態状態そのものであろう、私はこう思うのですが、いかがですか。 〔栗山委員長代理退席、委員長着席〕
○松井政府委員 ただいま御指摘のとおり、この「むつ」の覚書では、まず協定で言います原子炉が凍結された状態という意味の解釈が規定されておるわけでございます。具体的に申し上げますと、原子炉が凍結された状態とは、原子炉の運転を行わないということ、それから冷態停止状態に保つ、それから制御棒駆動試験を行わない、この三つが覚書で結んだ内容でございます。先生おっしゃるとおり、温度を上げるあるいは圧力を上げるということは冷態ということと反するわけでございます。そういう意味合いで、この五者協定によりまして、我々としてはこういう理由でこういうことをしたいんだという格好で地元の方にお願い申し上げまして、るる説明申し上げまして、それで協定の本条で言う第四項の方によりまして地元の方の御同意が昨日得られたという次第でございます。
○木間委員 私は四項の取り扱いをめぐってここで長々と議論をしようとは思いませんけれども、どうも皆さんのやっておいでることが心を心としないやり方で、私は非常に残念であります。不満であります。このことをきちっと胸に押さえておいていただきたいと思うのであります。 同時に、五者協定あるいは覚書では、クレーンの操作をうたっております。特にクレーンのかぎの扱いについて、「むつ」及びクレーンの補修、点検に必要な場合に限り、青森県の同意を得た上使用するものであると定めておるのです。この限りでは、例えば低レベルであるとはいいながらも、廃棄物の陸揚げなんかについては全くうたっておりません。これもきょうの新聞の一部にも出ておりますが、新聞等で見てみますと、現地でどういうやり方で説得をされたのか私はわかりませんけれども、長官も行っておいでるようでございますが、長官はどういうお考えで青森現地へ乗り込まれて、そしてどういう説得の仕方をされて、そして引き揚げてこられたのか、長官からお聞きします。
○松井政府委員 私がまず事務的な経緯を御説明申し上げます。 この件につきましては、私ども去る七月二十五日に青森県にお邪魔いたしまして、その必要性をいろいろと御説明申し上げました。具体的には県当局それから県漁連、それからさらにむつ市という格好で御説明申し上げました。そういう形で皆さんの御了解を得たわけでございます。私ども、事実をありていに申し上げまして御理解を賜ったというように理解しております。
○三ツ林国務大臣 局長から御説明申し上げたとおりでございますが、昨夜五者会談を行いまして、私どもの申し入れの点につきましては理解ある御返事をいただいたところでございます。
○木間委員 契約に反することを、同意を得たからできるんだ。しかも、最初の契約ではきちっと、かぎの操作はこれこれに使えますよ、その他は一切使えません、そううたっておきながらこのような行為に出られたというのは、非常に私は不満であります。ですから、先ほどからも議論をしておりますように、間もなく関根浜港に行って、予定されている機能試験とか出力上昇試験とかあるいは海上試運転とか実験航海へ向けての点検が来るわけでありますから、ここで改めて根本的にこの問題を再検討すべきである、私はこう申し上げます。 協定を破るだけではなくて、そこの裏には、大きな浪費を重ねることになりますし、そして一番問題になっております核分裂生成物、つまり死の灰を生み出すわけですから、あるいは汚れた海に、環境になるかもしれませんし、船体そのものが汚れたまま残るわけでありますから、私は、非常に大きな危険をもたらすものである、こう断ぜざるを得ないのであります。 したがって、もう一遍検討をすべきだと思いますが、その余地があるかどうか、確かめておきたいと思います。
○松井政府委員 先ほど申しましたとおり、昭和六十五年度の実験航海ということを、着実に政府の計画どおり進めたいというふうに考えておる次第でございます。そのためにはどうしても、具体的には七項目のお願いを申し上げたわけでございますけれども、それはやはり着実に実施させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。 幸い、昨日、地元三者と申しますか、県当局、県漁連、それからむつ市から御同意をいただいたわけでございまして、私どもはそのときにも出ておりましたけれども、この計画を安全性に留意をして着実に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○木間委員 今ほど申し上げましたように、さまざまな実験は大湊港ではなくて関根浜港でありますから、このことを私たちはこれからも追求していきたいと思います。 いま一つ、差し迫った問題で、原子力研究所の不当労働行為の問題がございます。原子力研究所と原子力研究所労働組合との間で、プルトニウムを取り扱っている東海村の研究施設、FCAと略されておりますが、ここの出入り管理方法をめぐって昭和五十三年以来おおよそ十年にわたって争われてきております。地方労働委員会、さらには今、中央労働委員会にかかっておるわけでありますが、中労委では、皆さんも御承知のとおり既に両者に和解の打診がされております。そして、その調査期日も九月四日となっておるのでありますが、ここへ来て原研の態度の変更といいましょうか、この和解も吹っ飛ぶような状況下に今なっておるのであります。それは、FCAの出入りをより厳重にチェックするためなのか、全従業員に写真入りのネームプレートを八月二十五日、本日でございますが、着用を強行しようとしています。 そこで、中労委の努力で間もなく今申し上げたような一定の結論が出されようとしておる矢先に、そして、この十年間意見対立はあったものの現場では何らトラブルもなかった、しかも、本件に関しては労使間の協議もないまま強行しようとするのはいかなる理由があったのか、明らかにしていただきたいと思います。従業員が自分の職場への出入りに一々チェックを受けなきゃならぬというのは、あるいはどこからか何がしかの圧力がかかったんじゃないだろうか、私はこのように判断せざるを得ないのでありますが、これは原研の立場から御答弁をお願いいたします。
○工藤参考人 原子力研究所の工藤でございます。 核物質防護対策と申しますのは、本来核燃料の盗取あるいは施設における妨害行為あるいは破壊行為、こういうものを防止することを目的としておるものでございます。したがいまして、核燃料物質貯蔵施設への出入につきましては特段の管理を行っているところでございます。 今回先生御指摘のネームプレートをつけて出入管理をしようとしているものは、東海研究所のFCAという施設についてでございまして、職員全員についてこのネームプレートを着用させようというものではございません。このネームプレートを胸につけるということは、一見して当該施設で働いているということを識別できるということで、原研が特別に厳しいチェックをするということではなくて、国内外の原子力施設で一般的に採用されている方法であるというふうに考えておるわけでございます。 それから第二点の中労委の件でございますが、中労委で再審査をお願いしているのは、原所労による身分証明書の回収事件というものがございままして、これについて目下審査が終了いたしまして、その後の調査が行われている段階でございます。当研究所といたしましても、誠意を持ってこの件については対処しているところでございまして、今回のFCAへの出入管理の問題と直接的な関係はないというふうに考えております。 しかしながら、この出入管理の問題、写真入りのネームプレートをつけるという件につきましては、労働組合の方にも説明いたしておるところでございまして、本日も実は労働組合の方の御要望にこたえて説明を重ねているところでございます。予定では二十五日というふうに申しておりましたが、その辺、十分説明を尽くして実施をするという考えでおるわけでございます。
○木間委員 労働組合に説明をしてきたし、これからも説明をしていく、こういうことでございますが、私はやはり民主的な職場の運営等々から考えますと、労使が意見が一致をして初めていろいろの変更があるものと――先ほど「むつ」の問題でも申し上げましたけれども、当事者問で話し合いをして一致点を見出してやらなければなりません。 そこで、今のお話を判断いたしますと、きょうから実施するということでございましたが、ただいまのところ実施しておるのかどうか、このこともひとつ明らかにしておいてください。
○工藤参考人 本日は話し合いをいたしまして説明を尽くしている段階でございますので、本日の実施は考えておりません。
○木間委員 どうも言葉がすっきり聞こえなかったのでありますけれども、し尽くしておるとなれば、きょうからやってもいいのではないですか。またこれからやるということなんですか、お互いに納得がいくまで。このことがないと、新しいものをまたぶち込むことになりますと、今まで十年間争ってきて、しかも労働委員会に手数を煩わせてこの案件について和解をしようということがまたまた水泡に帰すわけでありますから、やはりこれらについても労働組合とひざ詰めで、誠心誠意話し合っていただきたいと思います。 それと、今の答弁の中にもあったのでありますけれども、確かに新しい出入管理方法についての説明が若干されております。要約して申し上げますと、原研としては現行方式で不都合はない。しかし、国際的対応による、核物質防護対策検討委員会で原研の方式が国際的に通用するかどうか、見直しをやってきた。その結果、プルトニウム利用などで国際的に非常に関心が持たれておる今日であるから、FCAもIAEAのガイドラインに沿ってこの変更をやるのだ、こういう説明がされておるわけであります。つまり、現行方式で何ら不合理はないし不都合もなかったのだ。しかし何かの圧力があったということは、このことを指しておるわけであります。となりますと、次にこの問題は単に労使間の問題ではおさまらない、私はそう意識せざるを得ないのであります。つまり我が国の原子力政策の大転換を意味するものではないだろうか。先ほど理事もおっしゃったように、FCAを核ジャックから守るために、施設の周りには一面にフェンスが張りめぐらされております。そして侵入者があるかどうか監視するためのテレビあるいは光線式侵入検知器、超音波侵入検知器を据えておりますし、今またこのような出入者を一々チェックしょう。こうなってまいりますと、今我が国の原子力基本法では、平和目的に限って開発するのだ、そしてその担保として、原子力政策は民主的、自主的そして公開をするという三原則を取り入れております。国際的には国情の違い等もあるでしょうから軍事利用の国もたくさんあるでしょう。例えばアメリカでは軍隊が監視をしておるはずであります。同時に思想もチェックをしておるでありましょう。しかし我が国の場合には、原子力の平和利用の三原則をきちっと踏まえておるわけでありますから、このような形でどんどん進んでいくとなりますと、いよいよ根本的な変化だと私は言わざるを得ないのでありますが、今日まで進めてきた平和利用を放棄して軍事利用に大転換をしようとするのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○松井政府委員 先生の御懸念でございますけれども、私ども、原子力基本法に定めました平和の目的ということは断固貫くという決意でやっております。ただ本件のような場合につきましては、やはり核物質の防護という観点もございます。したがいまして、核物質の防護の観点から少し、厳重に管理をすることはある意味では国際的な通例になってございまして、その範囲ではやらせていただきたいということは考えております。ただこれは、それをしたからといって即その中を秘密にして軍事目的に転用するのではないか、そういうことは一切ございません。
○木間委員 皆さんがいかようにおっしゃられても、私は、いわゆる中曽根政治の「戦後政治の総決算」がここにも端的にあらわれておる、こう言わざるを得ないのであります。したがいまして私たちは、この種の扱いについては慎重を期していくということについてはもちろん異存はございませんけれども、そのようなやり方については断じて認めるわけにはまいりません。このことを明らかにしておきたいと思います。 次に、原子力発電の安全問題について、今ほど先輩の辻委員からもあったわけでありますが、少しお尋ねをしてみたいと思います。 私も当委員会に所属をいたしまして今度が初めての質問でございますが、この間いろいろ法律、制度等を見てまいりましたら、原子力発電を推進するために原子力委員会が設置をされて久しいのであります。原子力委員会がその任務を担当されてきたわけでありますが、いま一つ安全問題については原子力安全委員会が設置をされております。この安全委員会が設置された経緯とその任務、仕事の中身についてまずわかりやすく御説明をお願いしたいと思います。
○石塚政府委員 原子力安全委員会の設置につきましては、原子力に対する国民の信頼を確保し、国民の理解と協力を得るために万全の努力を払うことが必要であるとの考え方に立ちまして、原子力行政体制の基本的なあり方について検討するため内閣総理大臣のもとに設けられました原子力行政懇談会の意見を踏まえまして、まず、原子力委員会の原子力開発体制と安全確保体制の二つの機能を分離すること、第二に、行政庁における安全規制の一貫化を図ることについて関係法令の整備を行いまして、昭和五十三年十月に原子力安全委員会が設置されたものでございます。 原子力委員会及び原子力安全委員会設置法によりますと、原子力安全委員会の任務は、これから申し上げますいろいろな安全行政につきまして企画し、審議し、及び決定するということでございます。 すなわちその中身といたしましては、まず第一に、原子力利用に関します政策のうち、安全の確保のための規制に関する政策に関すること、例えば、毎年度原子力安全にかかわる基本計画を定めているということがございます。 第二に、核燃料物質及び原子炉の規制のうち、安全の確保のための規制に関すること、例えば、原子炉等規制法に基づいて行政庁の安全審査に対しますいわゆるダブルチェックを行い、またそれに必要な指針類の検討あるいは整備を行うということでございます。 第三に、原子力利用に伴う障害防止の基本に関することがございます。例えば、国際放射線防護委員会の勧告の国内法への適用等につきまして検討し、所要の措置を講じてまいっております。 第四に、放射性降下物によります障害の防止に関する対策の基本に関することというのが任務にございます。例えば、最近ではチェルノブイル事故によります我が国への放射性降下物の影響といったものにつきまして検討を行っております。 また、その他、原子力利用に関する重要事項のうち、安全の確保のための規制に係るものに関することといたしまして、例えば、TMI事故やチェルノブイル事故の教訓を必要に応じ我が国の安全規制に反映させるための事故調査特別委員会を組織して詳細な調査検討を行っております。
○木間委員 丁寧に説明をいただきまして恐縮しておりますが、原子力行政が行き過ぎないようにチェックをする機能を持っておる、私はこう結論づけております。したがいまして、この安全委員会のメンバーの方々にいたしましても原子力行政については申立的立場の方々がふさわしいんだ、そういった上で初めて安全性が確保できるんだ、こう実は判断をするものであります。ところが安全委員会は、私の思いとは若干違った方向にどんどん歩んでいる。先ほども議論がありましたが、例えばソビエトのチェルノブイリ事故との関連でございますけれども、長い論文も五月にまとめられたのでありますが、私の判断では、日本の原子力発電はいかに安全であるか、この安全の大合唱がそこに含まれておる。安全だ、安全だ。もちろん国民にも安心感を持ってもらわなきゃなりませんけれども、ただ安全だ、安全だという大合唱だけでいいのかどうか、私は非常に危惧をするものであります。 このチェルノブイリの教訓をどのようにして理解をされておるのか、改めて両委員会からお尋ねしたいと思いますが、まず原子力委員会の方からお願いいたします。
○三ツ林国務大臣 我が国の原子力開発利用は、原子力基本法に基づき、平和の目的に限り、安全確保を大前提に推進しているところであります。今日では総発電電力量の二七%が原子力発電により賄われるに至っておりますが、国内資源に乏しい我が国にとって、エネルギーの安定供給を確保するため、今後とも原子力発電を着実に進めていくことが不可欠であります。 昨年四月のソ連チェルノブイル原子力発電所事故に関しては、原子力安全委員会における検討の結果、我が国の現行の安全規制や防災対策について早急に改める必要のあるものは見出されないことが明らかにされているところでありますが、原子力委員会としては、同事故を謙虚に受けとめ、現状に満足することなく、今後とも安全確保に万全を期してまいる所存であります。
○木間委員 安全委員会の方からお願いします。
○御園生説明員 安全委員会は創立のときからいろいろな事故についてはこれを謙虚に受けとめて、何か教訓を学ぶということにずっと努めてきております。チェルノブイリ事故につきましても、何か学ぶべきところがあるであろうというので、直ちに事故調査特別委員会を発足させて検討してもらいました。その事故調査特別委員会が昨年九月に出した中間報告の中で、現在日本では原子力発電が順調に進んでおるけれども、こういうときにこそ謙虚にいろいろなことを反省しなければならないということをまず言っております。そのくらい皆さん方熱心に検討してくれたわけでございます。 ただ、安全委員会が発足しましてから約半年後の五十四年の三月にTMIの事故がございましたことは先生よく御承知のとおりでございまして、このときも特別調査委員会をつくりまして、このときは五十二項目にわたる学ぶべき教訓を引っ張り出しました。それによりまして、安全委員会を初め行政庁、それから地方自治体の方、あるいは電機メーカー、あるいは電気事業者、機械メーカーその他がこの五十二項目について非常によく研究をしてくれておりまして、実施に移してきてくれております。それからさらに、研究所その他におきましては、こういうふうなチェルノブイリ事故にしろTMI事故にしろ、いわゆる基準事象を超える事故でございますが、そういうことに対する研究にも一心になっておりましたので、だんだん経験を積んでまいっております。したがって、TMIのときと現在とでは、日本の学界あるいは産業界、電気事業者、地方団体、行政府の規制担当者も、当時からはレベルがやや上がってきていることは間違いのない事実であろうかと思っております。 したがいまして、今回の事故につきましても、もちろんソ連の発表その他によって大いに助けられたことは間違いございませんが、独自の解析をいたしまして、いろいろ自分たちのやってきたことから、こういうことが起こったのだろうというふうなことをまとめるに至った次第でございます。したがって、結論的には先ほど三ッ林原子力委員長がおっしゃいましたような、すぐに変えるようなものは見つからなかったというふうなことになっておりますのは、それだけの進歩が途中にあったからということと、もう一つは、炉型あるいは運転管理その他において差があるという点にあったと思います。 それでも、この事故調査特別委員会は七つの項目につきまして、この際こういうことについては、今までやっていることではあるけれども、さらにそれを促進するなり一生懸命でおやりなさいということを申しておりまして、この七つの事項につきましては、我々自身も検討しております。同時に政府の規制機関、電気事業者、メーカーその他も、それについて十分検討して受け入れてくれることを期待している次第でございます。
○木間委員 確かにソビエトの事故は、作業員の人為的ミスから起こった側面も持っておりました。しかし彼らは、原子力発電のパイオニアとしての自信を持っておりましたし、質の高さ、信頼性の確かさ、そして効率のよさを誇っておったのでありますが、そこへ先般の事故であります。 我が国の原発は、今までの経験も持ち、いい成績を上げているから我が国に限ってという、そういうことも間々耳にするわけでありますが、そのような慢心を持ったりあるいはなれていくということは極めて怖いことでありますから、両委員長におかれましても、今後の事務を進められる場合には、やはり襟を正して進めていただきたいのであります。 そこで、ソビエトの事故に際しまして謙虚に受けとめられたそのあかしとして、例えば、当時稼働しておりました原子炉を一たんとめて総点検をやろう、そういう姿勢をとっていただきたかったのでありますが、例えば両委員会の論議の中でそのような意見が出たのか、出なかったのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○御園生説明員 ただいま直ちにとめて云々ということをおっしゃいましたが、いかなることで起こったのかわからないときにとめても、これは余り意味があるとは考えておりません。やはり事故から学ぶべきものは、いかなることによってそういうことが起こったかということを十分学びまして、設計なり製作なりあるいは運転管理なり規制なりに反映させるべきであると私は考えております。したがって、そのようなお話は出ませんでした。
○木間委員 ここに監視試験片テスト結果表をもらっております。そこで、昭和四十五年十一月に運転開始をしました美浜一号の脆性遷移温度は、初期の段階ではマイナス五十度Cだったのですが、四十八年三月にプラス五十四度Cに移り、五十六年六月にはプラス六十四度Cと、初期の段階から見ますと百十四度Cも上昇をしております。仮に原子炉内での冷却水がレベルダウンしたとして、緊急冷却水をそこへ注入をすることになるわけでありますが、この注入する水の温度はせいぜい二十五度ないし三十度Cでありましょうから、かかった部分は急激に温度の変化を起こすわけであります。そうなりますとひび割れが起こるのではないだろうか、やがてはそれが炉の破裂につながるのではなかろうか、このように危惧をするわけでありますが、この危険性について通産省はどのように分析をされておるか、お尋ねをしたいと思います。
○山本説明員 我が国におきます原子力発電所の原子炉圧力容器等の安全性の問題でございますけれども、安全設計審査指針というのがございまして、この中の三十七というところで、先生御指摘のECCSも含めました、事故時等におきましても脆性的な挙動を示さず、かつ急速な伝播型の破断を生じない設計であることとされておりまして、これを安全審査のところで確認をすることになってございます。 具体的な内容でございますけれども、材料でございますが、破壊脆性を考慮しました選択を行う、それから設計、製作及び運転に十分注意をすること、それから国の基準に基づきました破壊靱性を確認いたしまして、適切な温度で使用をする。それから運転中でございますけれども、試験片を原子炉容器内に設置いたしまして照射し、これを計画的に取り出しまして、破壊靱性を確認するというようなことが基本設計段階で書かれてございまして、これを確認いたしてございます。 次に、詳細設計段階でございますが、この方針を具体化するというようなことで、例えば脆性遷移温度の初期値が低くなるような材料の選定を行う。それから運転期間末期におきます中性子照射脆化量を予測しまして、これをあらかじめ見込んで十分な破壊靱性を有することを確認するというようなことで、具体的設計が妥当なものであることを確認してございます。 それから、運開後でございますが、原子炉圧力容器に配置されました監視試験片、これを計画的に取り出しまして機械的試験を行いまして、脆性遷移温度を求めましてその上昇傾向を確認し、安全性を確認している。 このように、我が国のプラントにつきましては先生御指摘のようなことも含めまして厳重な安全審査を実施し、このような先生御指摘のようなことは起こらないと考えております。
○木間委員 脆性的挙動は示さない設計になっておるとか、あるいは急速な伝播型破断を生じない設計であるとかということでございますが、私は、緊急時にはそのような理論上あるいは設計上だけでいいのかどうか、つまり、炉内の水や蒸気は予想以上に乱れた挙動を起こすのじゃなかろうか、このように心配をするものであります。乱れできますと、直接炉壁にかからない工夫があるといってもかからない保証は私はないと思う。したがいまして、今おっしゃったような、例えば脆化の進んだ圧力容器をつくって実際に実験をされたケースがあるのかどうか、教えていただきたいと思います。
○三角説明員 御説明を申し上げます。 御指摘のような中性子脆化が進んだ実際のその炉でもっての実験というのは実は行ってございません。ただ、先ほど来お話がございましたように、実際の原子炉における監視試験片、これを確認することによりまして、例えば先生御指摘のLOCA、一次冷却材の喪失事故といったようなときの炉内のいろいろな状況の変化に十分耐えれるようなことになっておるということが我々としては確認することができるものである、こう思っております。 すなわち、実際の原子炉に取りつけられました監視試験片というのがございますが、これは実際に中性子を浴びるわけでございますけれども、当該の現に入っておる原子炉の圧力容器が受けた中性子の照射量よりもこれは数倍の照射量を先行的に受けるような配置のところに置かれてございます。すなわち、このような監視試験片におきましては、実際の圧力容器の材料がもろくなる、脆化の程度をこれは先行的な指標として把握しているといったようなことでございまして、先ほど御指摘の美浜等ございましたけれども、先行指標というのが例えば、リードファクターとかなんとかいってございますが、一般的には二倍であるとするならば、仮に三十年の状態が十五年目に取り出せばわかるといったようなことで、監視試験片によって寿命の末期以降の値といったようなことも十分把握できるといったことでございまして、御指摘の実機ベースというのが適当かどうかわかりませんけれども、現実にはそのような監視手法によりまして詳細な評価というのができるようになってございます。 以上でございます。
○木間委員 先日の一部新聞に出ておったのでありますが、アメリカでは七月十五日に加圧水型の炉の中で放射能漏れ事故が起こっております。蒸気発生器内の細管が破断したのだ、こういうことでありますが、この問題は従来起きないとされておった部分で、しかもひび割れができにくい、こういった部分で実は起こったのであります。蒸気発生器内には三千数百本の細管があって放射能を含んだ高温、高圧の水が通っています。炉心の熱をタービンに伝える加圧型原発の最も重要な装置の一つでございますが、ここでひび割れやそういったものが起こるということは大変な出来事でございます。点検で見つけては栓をして使用しておるのが現状である、このように伝えておるのでありますが、我が国では年に一遍の定期検査をされておるようでありますが、炉内はもとより圧力容器だけではなくて、その炉の外もひび割れがあるかどうか、そういったものを点検されておるかどうか、どういうスピードで点検をされておるのか、お尋ねをしたいと思います。
○三角説明員 御説明申し上げます。 どのような定期検査が行われておるのだろうか、ひび割れというのが十分に点検可能なのだろうか、こういうお尋ねでございます。また、今アメリカの例が出たのですが、我が日本の場合の御説明になろうかと思うのですが、日本の場合は、原子力発電所に設置されております容器だとか配管、パイプでございますね、そういうものの設計につきましては、第一義的には国による厳重な安全審査というのが行われてございますが、製作段階に至りましても十分品質管理が行き届くようにという配慮を行っておりますとともに、運転が一たん開始された後になるといろいろ問題が起こりますから、まず開始前に十分な使用前検査を行うということになろうかと思います。 さらに、供用の開始後、つまり運転が開始された後でございますが、各種の検査、それからあわせて自主点検がなされておるということで、異常状態を事前に発見するという体制を整えているわけでございます。特に今御指摘の例えばPWRにおける一次系、こういった部位につきましては、放射性物質があるといったようなことから特に厳重に我々としては臨んでおるところでございますが、具体的には特に御指摘の圧力容器だとか配管、パイプのたぐいにつきましては、まず第一に、つくるときに……
○木間委員 わかった。実際に稼働してからどのくらい……
○三角説明員 わかりました。はしょらさせていただきますが、定期検査の時期から具体的な容器の溶接部等、一定の頻度で非破壊検査を行うといったようなことになってございます。具体的にそれぞれの部位につきまして例えば、これは一定の検査の計画をつくるわけでございますが、一〇%ずつ十年間回る部分もございますし、ある部分は十年間で五〇%といったようなこともございますが、いずれにいたしましても一定の頻度で非破壊検査を行ってございまして、それは例えば圧力容器の内面の異常の有無についても水中テレビ等でもって確認してございます。あわせて、定期検査のときには耐圧検査を行うといったようなことで、一定の頻度で圧力をかけるといったような耐圧試験を実施しておりまして、健全性も確認しておるといったようなことに相なろうかと思います。頻度につきましては、たまたま十年に一〇%以上云々と言いましたけれども、これは圧力容器のそれぞれの場所場所につきまして一定の基準、規格がございまして、安全上意味のあるようなそういう頻度、回数、試験方法ということになってございます。 以上でございます。
○木間委員 十年にわたって検査をしておる、しかもある種のものは五〇%である、ある種のものは一〇%である、こういうことで背筋の寒いような検査状況を今お聞きしたわけであります。となりますとやはり私たちは気にせざるを得ません。脆化温度の進行度合いの一覧表でも、美浜一号は四十五年から五十六年、おおよそ十年余りで百十度ほど上昇したわけでありますが、大飯二号は五十四年に運転開始されておりますが、六十年の調査ではマイナス十八度だったものがプラス五十二度に、非常に速いテンポで進んでおります。ですから、十年間で半分しかやれないとか一割しかやれないというのは、私は大問題だろうと思っております。時間も迫っておりますので、そういったことをしかと胸に受けて点検に万全を期していただきたい。私たちもこれからぜひ追求、調査をしていきたいと思います。 そこでいま一つ、以前原子力研究所におられまして、今は高度技術開発研究所の代表取締役をしておられますが、藤村理人先生は雑誌原子力工業、昨年十月号に次のように書いておられます。 「問題は、圧力容器鋼材が高速中性子の照射を受けると脆化することである。その量は原子炉の寿命末期には相当大きなものになる。スリーマイル島原発は、運転して二年にならない原子炉であったのでよかったが、二十年も使った後であったら、破壊に関して、背筋の寒さをおぼえる思いをしたであろう。」「もし圧力容器が破局的な破壊をしたならば、その鋼材の破片はミサイルとなって瞬時に飛び散ることになるので、格納容器の数十ミリメートルの壁は難なく貫通してしまうであろう。格納容器は全く役立たず、ECCSなど緊急冷却設備なども無力化する。炉心は露出し、それこそ数万人の死亡者を出す大災害へと発展してしまう。」このように述べております。 このような事故は絶対に起こしてはならないのでありまして、そのためには、我が国でも脆性遷移温度をはかっておるわけでありますが、アメリカでは法律でこの温度を定めております。我が国では定めていないのでありますが、何度以下に規制するものであるのか、そういったことについてただしておきたいと思います。
○原田委員長 時間も経過しておりますので、簡単に答えてください。
○山本説明員 まず、脆性遷移温度の運転期間におきます上昇の程度でございますが、初期には脆性温度が急速に上がりまして後はなだらかになるというような性質がございます。 我が国におきます一部のプラントを除きまして、安全審査等におきまして、原子炉圧力容器の寿命末期におきます脆性温度につきましては九十三度Cを超えるものでないことの確認を行っております。 それから、比較的製作年度の早いプラント、これは美浜一号と高浜一号でございますけれども、九十三度を超えるものもございます。一応百三十二度以上を超えますと安全性の解析をする必要性があるというようなことでございますが、この二プラントにつきましては百十度というようなことで百三十二度を下回っております。しかしながら、念には念を入れてというようなことで安全側の解析を十分実施いたしまして、安全上問題のないことの確認を行っております。
○木間委員 時間が来ましたので、最後に要望だけ申し上げておきたいと思います。 つまり防災対策についてであります。先ほど辻委員も申し上げましたが、我が国の現状では、自然災害や一般災害と同じように災害基本法で根幹を持って、それぞれ市町村が第一義的に事故処理をすることになっております。原子力問題については一市町村だけで対応できることはないのでありまして、いわんや先般のソビエトの事故を見る限りは全地球を覆ってしまったわけでありますから、やはり国が対策を講ずべきであろう、そのためには原子力災害の基本的な法律を切り離してつくるべきであろう、こう考えておるものであります。こういった点について強く要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○原田委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開議
○原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
○貝沼委員 きょうは大体三つの点で質問をしたいと計画をいたしております。なお、時間の都合でできないことがあるかもしれませんけれども、一つは、先般報道で問題になりました放影研の報告に関する件、それからもう一つは、午前中もちょっと出ておりましたが、巨大技術の安全性の問題、それからもう一つは宇宙関係の問題、宇宙関係はもう概論的になって大変恐縮なんですけれども、一般質問ですのでやらせていただきたいと思います。 そこで初めに、放射線による死亡危険率の見直しは一体どう考えた方がいいのかという点でございます。報道によりますと、広島、長崎に投下された原爆の放射線量の新しい計算法に基づいて放射線によるがんの発生について見直しを進めてきた広島の放射線影響研究所は八月十七日、白血病と一般のがんに分けて新しい死亡危険率を公表いたしました。この死亡危険率は、原子力発電所で働く人やレントゲン技師など放射能に携わる人の規制基準のもとになっている国際放射線防護委員会、いわゆるICRPでありますが、この死亡危険率に比べて、白血病で約六倍、一般のがんで四倍以上高いことがわかった。要するに、本当は非常に低いところで発がんするということでございました。この結果は九月に開かれるICRPの会議に報告されることになっております。恐らく規制基準の見直しが求められ、規制値が大きく下げられるということは必至と見られておるわけでございます。 今までは一九六五年に米国の研究者の提案した暫定計算法が使われてきたわけでありますが、この計算には誤りがあることがわかりまして、一九八二年から日米合同で原爆線量再評価委員会をつくって見直し作業をやってきたはずでございます。その結果、広島ではガンマ線が従来の計算より二ないし三・五倍ふえる一方、中性子線量は十分の一に減るなどとした計算法が決まりました。そして、新しい計算法だと、屋内にいた被爆者一人が浴びた放射線量は、従来の数値に比べ一〇ないし四〇%少なくなり、被爆後三十日以内に半分の人が死ぬとされる半数致死線量は、従来の推定は四百ラドであったわけでありますが、今回の計算では大幅に低い二百二十ないしは二百六十ラドとなることも報告されたようでございます。このことは、今まで予想された致死線量よりも少ない線量で死亡する危険が高かったことを意味すると思うわけでありまして、また、今後の放射線防護の上からも重大な報告と受けとめられておるわけでございます。 したがいまして、これを踏まえまして、きょうは厚生省からもおいでを願っておりますので、厚生省から、この放影研の発表を厚生省はどういう関心を持って受けとめておられるのか、この辺についてお答えを願いたいと思います。
○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。 先生今お話のございましたとおり、七月の上旬でございましたけれども、昭和五十六年以来日米共同で検討を続けてまいりました原爆によります線量の評価検討委員会、田島英三先生が委員長をなさっていらっしゃいますが、この最終報告が七月にまとまりまして、原爆によります放射線量の推定方式というもの、従来六五年に制定をしておりましたT65Dということで、国際的な物差しではかってきたわけでございますけれども、これの見直しを行いまして、DS86と申しておりますが新しい計算方式を取り入れるということで、検討結果が日米双方で合意に至ったわけでございます。 これに基づきまして、引き続きの作業といたしまして、先生お話しの放射線影響研究所におきまして放射線の人体への影響ということにつきまして見直し作業に入ったわけでございます。お話しのとおり、先般、八月でございますが、がん死亡リスクの推定値というものを発表いたしたということで、これはまだ全体がわかっているわけではございませんが、これのまずがん死亡推定値のところを発表させていただいたということでございます。 この結果によりますと、これは放射線の影響というものを考えます場合に、その間の遮へい物の状況でございますとかいろいろございますので、なかなか一概に言えない部分がございます。それらをも含めて、どういう遮へい物の状況下でどういう形で被爆したかというようなことも含めて研究をいたしたわけでございますけれども、そうしたことで、まず皮膚線量、皮膚段階での線量で見ますと、白血病と白血病以外のがんの死亡リスク推定値は、新しい計算値の方が、つまりDS86でございますが、これによる推定値の方が従来のT65Dという値よりも約七五%から八五%高いという結果が出ておるわけでございます。一方、これはまたそれぞれによりますと、臓器レベル、臓器に達しますレベルでの線量で見なければならない部分もございます。そういう臓器線量で見ますと、このDS86とT65Dとの間にそう差はないという結果が出ております。これはあくまでもそういったいわば客観的な研究に基づく結果でございますので、今の放射線防護の関係について言いますならば、これらの結果を国際放射線防護委員会、いわゆるICRP等の関係機関に御検討願いまして、今後その結果を十分反映していただくものである、そういう意味で非常に貴重な研究ではあるというふうに思っております。その検討結果がどういうふうになるかは、やはり国際研究機関における検討結果を待たなければならないであろうというふうに思っております。 一方、厚生省の所管をいたしております被爆者行政との関係におきますならば、これも今専門家でいろいろ検討していただいておりますし、放影研の研究自体がまだそういうことで途中段階でございますけれども、被爆者行政全体を基本的に見直すというようなところまでの結果にはならないものというふうに考えておりますが、今のところで、例えば被爆者にがんの発生のリスクが非常に高いというようなことがございましたので、そういったことを踏まえて、やはり今後被爆者対策としてのがん対策の重要性というようなことについては、厚生省としても意を用いてまいらなければならないであろうというようなことを考えておるところでございます。 以上でございます。
○貝沼委員 がん対策としては大変重要だとは思います。しかし、今こういう報告書が出て、ただICRPの方に報告をし、それがどういう結論を出すか結論待ちということだけでは、これは厚生省としてはやはりちょっとぐあいが悪いですね。やはり日本の考えを持たないといかぬ。しかもこの報告書というのは、日本のある一部の人が勝手にやったものではなくて、ある意味では、日米合同でやっておることですからかなりの信憑性があると私は見ておりますので、むしろそういう防護の方からは積極的に取り組む姿勢が欲しいと考えるわけですが、この点はいかがですか。
○羽毛田説明員 この田島委員会あるいはそれに基づきます放影研の検討と申しますのは、あくまでもこれは科学的な知見に基づいてその放射線防護等のことはやられなければならないという基本的認識に立ちまして、いわばその客観的なありようというものを探ろうということを目的にやってきたものでございます。したがって、その結果というものにつきましては、その客観的データを放射線の防護基準等の側面でどうするかということにつきましては、そこはひとり日本のみならず国際的な基準に基づいてこういうことをやっていくことが一面非常に大事でございますから、そういう意味で国際的な検討の結果というものにまたなければならないであろうというふうに思っております。 なお、所管の関係で申し上げれば、放射線防護基準全体の所管につきましては科学技術庁の方の御所管にもなっておりますので、私どもの方としてさらにそこら辺について本日御答弁で差し出がましいことを申し上げることも控えさせていただいた方がよろしいのかなという気もいたしております。
○貝沼委員 それでは、科学技術庁の方はどういうふうに受けとめておられますか。
○石塚政府委員 放射線防護基準に関します我が国の法令改正につきましては、これまで国連放射線影響科学委員会、すなわちUNSCEARでございますとか、そういったところの総合的な評価、あるいは国際放射線防護委員会、いわゆるICRPでございますが、そういったところの検討にのっとりまして、さらには国内の放射線審議会、そういうところの検討を経ましてこれまで実施されてきております。したがいまして、本報告につきましてはまだそういった検討がなされていない段階でございますから、今すぐ法令改正につきまして議論する段階ではないと思うのでございます。しかしながら、今回の報告書を含めまして同研究所、つまり放射線影響研究所の作業結果に対しましては、当庁といたしましても関心を持ってこれを受けとめておりまして、今後これら国際的な検討の動向を踏まえまして慎重に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
○貝沼委員 関心を持ってというお言葉がありましたので、そこから先はもう恐らくないと思いますから私はこれでやめますが、ひとつ関心を持ってお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。 では、次の問題は巨大技術の安全性の問題でございます。 午前中も一部ちょっと話が出ておりましたけれども巨大技術、私がきょう言うのは、午前中は原子力発電所の話が多かったのですが、それだけでなく、例えば化学工場の事故であるとか宇宙の、チャレンジャー事故に代表されるような問題、航空機事故、ホテル火災、鉄道あるいは自然災害、防災、いろいろなものがありますけれども、いろいろな技術というものがたくさん集積したもの、これが大体巨大技術じゃないかと私は思うのです。ただ大きなものをつくってあるからそれを巨大技術というかというとそうではない。そして、そういうものはいろいろな安全性確保のための装置がなされてあるわけでありますが、それでもなおかつ問題が起こってくる。人間がつくったものを優秀な人間が運転するのだから、人間の信頼性に結局問題が出てくる。したがって、人間自身の判断、行動ということについて考えなくてはいけない、いわゆるヒューマンファクターと言われる部分でございます。 例えば最近の事故の比率を見ましても、二十年前にはヒューマンファクターがもとであるという事故は五〇%から六〇%と言われておりましたが、最近は八〇%にもなっておるという報告もございます。当然のことですけれども、人間の誤りが多くなったということではございませんで、技術面の安全性が確立されればされるほどヒューマンファクターの部分が相対的に目立ってくるということを物語っていると私は思います。要するに、人は誤りを犯すものであるという判断に立たないと、本当に安全なシステムというものは確立てきないのではないかという考えを持っておるわけでございます。 そこで、例えば米国における化学工場の事故二百件についての調査報告があるわけでざいますが、その中でヒューマンファクターに基づく事故はどういうものであったかという報告がございます。一番は、なすべきことを忘れた、あるいは操作手順を誤った、なすべきことを無視した。これは忘れたということとは違うのですね。それから操作手順を忘れた、しなくてもいいことをした、こういうものであったと言われています。したがって、人間というものは忘れるものだということを基準にしなければならぬと思いますね。いろいろな情報を人間に与え、そして人間は正しい判断を下すことができるものであるという判断に立つと失敗が起こってくるということを言っているわけでございます。 そこで、従来、巨大システムではぱっと電気がついたり音がしたりアラームシステムというものが多かったわけでありますが、そういう赤いランプを見て、原因を究明し、対応処置を講ずるということは人間に大変不親切なやり方ではないかという感じが私はするわけでございます。オペレーターは正常な活動ができるのだからという前提が結局おかしいのじゃないか。そこで、例えばアラームが鳴りライトがつき、そこから後は自分で判断しなさいというのではなくて、こうしなさいという指示が直接出てくるような体制でなければいけない。例えば火にさわって熱いということがわかってから自分で判断しなさいという安全性ではなしに、さわったときに手を引っ込めなさいと指示をするような、生理的に言えば条件反射的な安全対策というものが必要なのではないかと考えておるわけでございます。そういうような考え方、恐らく科学技術庁あるいは通産省も今ずっと持ってきていると思いますけれども、この辺の考え方について所見を伺いたいと思います。
○加藤(昭)政府委員 先生御指摘のように、科学技術は近年ますます複雑化、巨大化、高度化してきております。こうした中で、当然のことですが安全性の確保、機械や設備の面での安全性の向上、これが重要であるわけですが、特にこれからは人間側の重視と申しますか、ヒューマンファクターの重視というものが安全性の確保に極めて重要になってきていると認識しております。既に昨年の三月、科学技術庁におきましても、閣議決定されました科学技術政策大綱の中で人間と調和のある科学技術の振興ということがうたわれておりますし、今御指摘のような側面は、例えばマン・マシン・インターフェースの最適化あるいはヒューマンエラーのバックアップシステムの研究とかいう面で各分野でいろいろな研究が進められているところでございますが、今後とも先生御指摘のような、特に人間とのかかわりを重視した科学技術の進展を念頭において進めていきたいと考えております。
○貝沼委員 今私が言っていることは極めて当たり前のことを言っているわけですけれども、なぜ今これをわざわざ私が言うかということでございます。これは、今ロケット打ち上げをやろうとしておるさなかでありますが、ある水滴のためにそれを発見し中止した方がいい、これは一つのノーハウですね。そういうふうに、日本のロケットならロケット、初めから一生懸命研究し、そしてそこに失敗もあり成功もあり、いろいろやってきた方々が今まだ運転をしておるわけですね。あるいは原子力発電所にしても、初めから研究してきた人が今携わっておるわけです。したがって、この方々は書物にもない、あるいはどこのコンピューターにも入っていない、そういうノーハウを自分の体に全部つけておるわけです。しかし、ではこういう方々がいつまでおるのか、その人たちがいなくなったとき、今のように安全にそういう装置は運転できるのかということを考えたときに、私は次世代の問題としてこれは非常に大事であるという判断を持っておるわけでございます。 先般、横浜の検疫所に参りましたときに、こういう話がありました。ある優秀なお医者さんが患者を診て、幾ら勉強してもわからない。それで夜中に検疫所の方に、こういう病気の人がおるんだけれどもどうなんでしょうかと電話がかかってきた。そこでその人は電話で聞いただけですぐわかった。それはマラリアだった。今、優秀な医師であっても、日本でマラリアを見ることはできないわけです。したがって、そういうものは判断できない。今から二十年、三十年前であれば、マラリアを診断できない医者はほとんどいなかった。そのように本当のノーハウというものは残していくことが非常に難しいのではないかと私は考えておるわけでございます。 今こういう高度な巨大技術というものを、例えば原子力発電所は大変順調に運転していっておりますが、次世代のことを考えた場合に、果たしてそれだけで手放していいのかということを考えたとき、そういうノーハウをも身につけていない人たちでも安全に運転できる体制をつくっておく必要があるのではないか。まさにヒューマンファクターがそこに入ってくるということがありますので、今回は国会の場でこの話を一回出しておきたいという意図があるわけでございます。この点について、大臣、何か所感がありましたら……。
○三ツ林国務大臣 巨大科学技術の振興に当たって、安全性を確保するために人間的要因を重視すべきであるという御論議でございますが、政策局長の方からお答え申し上げたとおりでありますけれども、先生の御指摘のとおりでございます。 そこで、そのような事柄からいたしまして、政府といたしましては、昨年の三月に閣議で科学技術政策大綱を決定いたしまして、科学技術振興に当たっての基本方針の一つとして、人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間そのものに対する理解を深めながら、これと調和ある科学技術の発展を図ることが定められたわけでございます。今後とも、人間とのかかわり合いを重視した科学技術の一層の推進に努力してまいりたいと存じます。
○貝沼委員 先般、私どもアメリカの方に視察に行かせていただきまして、カリフォルニアのGAテクノロジーに参りました。そのときにモジュラーHTGRという高温ガス炉のお話を聞きました。これは質問するような話までいきませんので答弁は余りないと思いますが、この高温ガス炉の話を聞いて、私は次世代のものとして本当にこれがマッチしたものではないかという感じを持ったわけでございます。 と申しますのは、この高温ガス炉の設計の基本になっておる思想が六項目あります。その一つは、人間の過失にたえ得るものでなくてはならない。二番目は、いかなる状況下でも住民、環境を脅かす放射能を放出してはならない。三番目は、安全性は、複雑な工学技術に依存するだけでなく、むしろ単純な自然の法則に基づくべきである。四番目は、異常事態に際しては、それ自身で自然に停止されなければならない。五番目は、冷却材が失われても炉の溶融があってはならない。六番目は、いかなる化学爆発も火災も誘発してはならない。これらの条件を満足しておるのがこの高温ガス炉であるわけです。これは高温ガス炉だけでなく、例えば今東大で研究しておりますISERとかスウェーデンのPIUSとか、硼素を使っておるものですけれども、これが固有の安全炉なんです。こういうような炉が次世代のためには大変安全なものではないかと考え、こういう研究も進めなければならぬと思っておるわけでございます。 ところが、余りこれを強調すると、それじゃ軽水炉は危ないのかという議論になりかねないからその辺は注意してくれという話もあるのですが、これは軽水炉を悪いと言っているのではなしに、ただ一つだけでなくていろいろなものをやっていかなければならないのではないか。しかも、原子力研究所はこの高温ガス炉を一生懸命やっておりますし、先般私どもも公明党の議員団全部で勉強もさせてもらったわけであります。それからGAテクノロジーからはその説明のビデオもいただいてまいりましたけれども、とにかく次世代のものとしてこういうものもあわせて研究していく体制が必要なのではないか、軽水炉をやっているのだからほかのものは余りやらなくてもいいのだという姿勢でなしに、すべて安全性の高いものを追求していくということが大事なのではないかと考えるわけであります。この点はいかがですか。
○石塚政府委員 原子炉規制当局といたしまして、将来の固有の安全炉を研究していくべしということを申し上げる立場にはないのでございますけれども、一般論といたしまして、将来そういった安全性にすぐれたシステムが出現し全体としての安全性が高められるということであれば、安全規制の立場からもこれは非常に有意義なことであろうと考えます。したがいまして、そういった研究は推進は大いに図られるべきであると考えております。
○貝沼委員 大いに図らなければならないと言う裏には予算の裏づけが必要になってくるわけでありますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 それから、例えばこの国会でもそうですが、どこかで火災が起こったりいたしますと、ブザーが鳴ったりいろいろなことがあるわけです。あるいは東京で地震が起こっても、いろいろな鳴り物が鳴るわけでありますけれども、東京の人にはすべてそういう際は徹底しておるから防災体制としては万全であるという考えもあるかもしれません。しかし、こういう大都会というのは東京の人ばかりがいるわけではありませんで、よそからたくさん入ってきているわけでありますから、その人たちにその知識がなければ、ブザーが鳴ってもサイレンが鳴っても何で鳴ったかさっぱりわからない。それでは防災にならないですね。したがって、例えばホテル火災のときに端的にあらわれておりましたが、スイッチが切れておりました。こういうばかばかしいことをいつまでもやってはいけないのであって、その時間にスイッチが入ってなければスイッチを入れなさいという声を出すように装置することは簡単なことですから、スイッチが抜けておったらスイッチを入れてくださいと出るようにしておけばいいわけです。あるいは人間はいざというとき動転もするわけであります。ドアから入ってきて火災が起こっているのを見て、返ったらいいものをわざわざ窓をあけて飛び出していく人がいるわけです。そういうふうにいざというとき動転いたしますので、その人に正確な判断と指示を与えなさいと言ったって無理なんです。したがって、そういう場合に、例えばこの火災のときには何番のボタンを押しなさい、それを押せば地震ですから火を消してくださいとか、こういうふうに直接指示する体制でなければ防災というのは難しいのじゃないかと私は思うのですけれども、その点の考え方を教えてください。
○川崎(雅)政府委員 現在、私どもの科学技術庁では、国立防災科学技術センターを通じまして、主として自然災害の予知とそれに対する対応ということをやっておりますが、別途、科学技術振興調整費の中で、先生が御指摘のような地震時における交通渋滞問題とかいうような異常時に対する社会一般の対応、あるいは個人個人の行動をどのように考えるかというような点で、警察庁の科学警察研究所などで総合的な研究を、部分的ではございますが進めさせていただいておるところでございまして、御指摘のような、いろいろの種類の災害に対してどうするかということについて、当庁のみならず関係する機関もございますので、力を合わせて進めるよう努めてまいりたいというふうに現在考えておるところでございます。
○貝沼委員 安全性の問題は、以上で終わりたいと思います。 次は、宇宙開発の問題を少しやらしていただきたいと思います。 先般、私どもは宇宙開発基本法を国会に提案をいたしております。その中では、宇宙開発委員会をもっと強力なものにしろとか、いろいろ言っておるわけでございます。それで、この法律案の中では、そういう強化することと、それから予算の面に至るまで宇宙開発委員会が携わらなくてはならないというようなことや、それから宇宙開発事業団、いわゆる開発の部分と宇宙科学研究の方、これは別々、おのおのの特徴を生かしてやるが、しかしそのいろいろな技術、これは一体的にまた連なっていくようにした方がいいだろうというようなことも言っておるわけでございます。したがって、これは一本化とかあるいは一元化ということではなしに、一体的という言葉で言っておるわけでございます。 この法案については、科学技術庁で一回ぐらいは見ていただいたんじゃないかと思いますが、どんな感触をお持ちでしょうか。
○川崎(雅)政府委員 既に先般の国会において提案理由の説明も承らせていただきましたし、法案について十分に現在検討させていただいております。 御指摘のような宇宙開発委員会の強化ということで、閣僚をもって充てる科学技術会議的な性格に持ち込むことというような点については、現在既に宇宙開発委員会が内閣総理大臣の諮問機関である上に、国務大臣科学技術庁長官を委員長にいただいておりまして、学識経験者をもって構成しておりますが、予算の見積もり方針あるいは見積もりということを既に行っております。そういう面で、その辺が権限的にいかように変わっていくかという点でなお勉強をさせていただかなければいけないと思っております。 それからさらに、宇宙一般につきまして、現在大変進んだとは申しましても、日本の場合は宇宙開発事業団が発足いたしまして二十周年を来年迎えるという段階で、スタートいたしましたのがアメリカがアポロで人を送った年、そういうハンディがございますが、世界的にもその意味でおくれてはおるわけですが、一方、宇宙そのものの定義をどのように考えたらいいか、例えば五十キロから上が宇宙だとか、いや百キロから上が宇宙だ、宇宙開発基本法ということになりますと、宇宙についてもある程度そういう定義づけをしなければいけないというふうに思われますが、その辺については残念ながらまだ国際間での宇宙の定義というものが確定していない。それから、活動の多様性というのも、従来の無人の人工衛星から将来有人活動を含むというようなことなどがございまして、どういう概念で方向性を考えるかという点については、なお我々勉強の至らないところがあると思っておりますので、ぜひ国会の御審議を十分注意深く私どもも拝聴あるいは注視させていただきながら、勉強を深めていきたいというふうに思っているのが率直な意見でございます。
○貝沼委員 それで、時間が限られておりますのでだんだんはしょっていかなければなりませんが、まず初めに文部省の宇宙研の方からまいりたいと思います。 宇宙研で今上げることのできるロケット、これが昭和四十一年五月十二日の科学技術振興対策特別委員会、当時、宇宙開発に関する小委員長中曾根康弘君となっておりますが、その報告があるわけです。この中で「ロケットについては、東京大学は、昭和四十二年度まで、直径一・四メートルのミューロケットの開発を行ない、以後これを超えるロケットの開発は行なわないものとする。」こういう報告が出て、これが国会の場でなされておるために、いまだに直径一・四メートル以上のロケットは打ち上げることができないということになっておるわけでございます。 ところが、くどくど申し上げるまでもなく、時代はだんだん変わってまいりまして、二十年たちますとこのサイズではやるべきこともできない。しかも、今後予定されておる衛星を考えますと、この一・四メートルということではどうしょうもない、こういうことで、宇宙研あるいは文部省の方でもそういう御意見があったと思いますが、この点は文部省、いかがになりましょうか。
○山田説明員 宇宙科学研究所におきましては、自主技術によりまして開発してきました純国産のロケットにより、今まで十七個の科学衛星の打ち上げに成功しております。ハレーすい星それからブラックホール、太陽活動についで多くの研究成果を上げまして、いろいろ宇宙開発さらには固体燃料ロケット技術の育成に貢献してきたと思っております。また、この成果は諸外国からも高く評価されてきているところでございます。 しかしながら、今先生が御指摘ございましたように、今後エックス線天文学、それから電波天文学、プラズマ物理学等の分野で国際的主導権を確保し、さらに月・惑星探査等の道を開くために、一九九〇年代より二十一世紀初頭に現在より規模の大きい中小型科学衛星を打ち上げる計画を持っております。しかし、現在のMロケットの能力では打ち上げられない状況にございます。このため、文部省といたしましては、宇宙科学研究の振興に対応いたしまして、我が国が引き続き世界の第一線で活動していくために、従来より規模の大きい科学衛星を経常的に打ち上げを行う最も適切な打ち上げ用ロケットについて宇宙開発委員会に御検討をお願いしているところでございます。
○貝沼委員 そういうふうに宇宙研の方では時代の要請といいますか、もうこれでは大変だという状況になっておるわけでございます。 そこで、大臣にお尋ねしたいのですけれども、もう二十年もたてば大体何事でも考え直しが必要です。それからもう一つは、サイズで決めたというのがそもそも変わった発想で、事業団が一・六でいっているのだから宇宙研は一・四ぐらいかいというようなことも議事録のところにあるのですけれども、当時と今では全然違います。くどくど言ったら時間がなくなりますが、要するにそういう違いがあるわけですから、これは見直しした方がよろしい、すべきである、こういうふうに私は考えるのですけれども、大臣、率直にいかがでしょうか。
○川崎(雅)政府委員 先生御指摘の、昭和四十一年のこの委員会の前身であります科学技術特別委員会において行われたわけでございますが、そのような大型のロケットの開発については事業団で行うべきだという文脈が出てまいりますタイトルは、当時いろいろ御議論のございました大型プロジェクトである宇宙開発というようなものを一元的に行わしめるのにどうしたらいいかという文脈の中で、種々御議論が行われた結果の整理だったというふうに私どもまず受けとめております。 それから、本年の宇宙開発委員会の行います明年度の予算に向けての見積もり方針におきまして、ただいま文部省から御答弁がありましたような趣旨の御要求が出されました。それで、私ども宇宙開発委員会の中に予算の見積もりを担当いたします第一部会という部会を設けておりますが、そこで種々御議論をいただきましたが、宇宙開発委員会としては、単に技術的な問題のみならず政策的な問題、それから国民各界が持っているそれぞれの御意見、さらには昭和四十一年にさかのぼる一元化体制の問題、あるいは五十九年二月の宇宙開発政策大綱の方針といったようなものを種々勘案しなければならないというふうに考えておるわけでございますが、当面まず早急に進めるべきであると思いますのは、今お話しの宇宙科学研究所が科学目的とする大型のロケットをどういうようなリクワイアメントといいましょうか、技術的な内容といいましょうか、性能といいましょうか、そういうような点のニーズをまず勉強し、あわせて現在開発してまいりました宇宙開発事業団のこれまでの開発成果のロケット、それから宇宙科研のこれまでの開発成果であるロケット、それぞれの性能を評価いたしまして十分に吟味をした上で、より高次な政策的判断に立つべきではないかというふうな考えが部会から出されておりまして、現在その方向で両機関に対しましてまず技術的、経済的な詰めた議論を少ししていただきたいというようなことを考えておるところでございます。
○貝沼委員 そんなことばかり考えておったんじゃ、これは間に合わないですよ。宇宙研の方だって、僕は今言わなかったけれども随分計画が先まであるでしょう。今回のが既にもう一・四を超えているでしょう。だから何も一・四にこだわることはないじゃないですか。ただ目的とか、あなたが今おっしゃったようなことはやればいい。一・四という数字が問題なんです。ですから一・四という数字をやめて、それからどうするかはまた考えればいいけれども、一・四というのは今既にもう超えているわけです。ですから、これはやめるべきだと私は考えるわけですけれども、どうですか。
○川崎(雅)政府委員 先生御案内のとおり、過去、ハレーすい星だったかと思いますが、二回フェアリングの直径で一・四を若干上回る、しかし推力的には変わらないというロケットがいわゆるM3SⅡの中でできております。私どもも、そういう意味で厳密にそこに意味があるというふうには今御説明で申し上げたつもりはないんですけれども、ただ新しく、私どもが承っておりますと現在の能力の三倍程度というようなことでございますので、事は直径だけの問題ではないというふうに私ども承知しておるものでございますので、先ほども申し上げたように持てる力で相互に利用し合った場合に、より新たな開発に向かうべきか否かというような政策的な判断を検討させていただきたい、そのための技術的なバックグラウンドを先に勉強していただきたい、こんなようなつもりでおると申し上げた次第でございます。
○貝沼委員 ですから、いろいろな検討をするのは私は悪いと言っているんじゃない。一・四を取れと言う。要らないだろう、こんなものは。今、事実超えている。一・四という発想は間違いで、今あなたがおっしゃるようないろいろな整理の仕方で決めればいいけれども、一・四以上はだめだとかそれ以内ならいいとか、そういう考え方はおかしいじゃないですか。むしろ、今それはやめた方がいい。これは大臣に決断してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○川崎(雅)政府委員 まだ詰めた議論をここでいたすのはいささか時期尚早かと私自身思いますが、ただ、今議論されている中での一つのクライテリアとしての一・四であれば、おっしゃるとおりこれから考えてから直しますと申し上げることができると思いますが、何分歴史的な記述でございます。そういう意味で、今後の政策展開でどう受けとめていくかということで考えさせていただく以外はないので、歴史的記述そのものを無用にするかどうかということになりますと、五十九年二月にできました宇宙開発政策大綱そのものにもいろいろ影響が出てまいると思っておりますので、いずれ私どもとしては間に合うようなタイミングで判断をしなければいけない、あるいは宇宙開発委員会で統一すべき時期が来るだろうというふうに考えておりますので、いましばらく私どもの勉強なり検討を見守っていただけば幸いだと思っております。
○貝沼委員 今直ちには言えないが、そういうことも加味しながら検討するということですね。そう受け取ってよろしいですね。
○川崎(雅)政府委員 考慮する余地の中に先生御指摘のように直径も入っているでしょうということは申し上げられると思います。
○貝沼委員 この議論をやっていると時間がなくなりますから次へ行きますが、宇宙開発、今度は事業団の方ですね。 宇宙開発の方で、例えば宇宙開発関係の法律を見てみますと、原子力の方と同じような仕組みになっておりますね。宇宙開発委員会、原子力委員会、同じようになっておりますが、違うところが何点があります。例えば科学技術庁が同じように担当しておりながら、科学技術庁の大きな仕事は原子力と宇宙、原子力は局長がおるけれども宇宙は局長がいない。課が三つあるだけですね。これはどうしてそれだけの差があるんでしょうね。
○川崎(雅)政府委員 御指摘の点は事実でございまして、現在私ども宇宙開発を進めておりますのは、宇宙開発委員会及びその事務局と、当庁として進めるべきことをやりますのに研究開発局に宇宙企画課、宇宙国際課及び宇宙開発課の三課約二十七名をもって進めておるところでございます。 原子力との差につきましては、いろいろ歴史的な問題等もございますが、現実的な点で申し上げますと、原子力はそもそも昭和三十二年に既に発足をしておるのに対しまして宇宙が、宇宙開発利用を我が国の一つの国家プロジェクトとして取り上げました時期がそれより十五年おくれた先ほど申しました昭和四十四年、もう少しさかのぼりまして宇宙開発審議会時代を振り返りましても昭和四十年代ということで、そういう歴史的な差というのも一つあろうかと思います。
○貝沼委員 要するに力が入ってないですね。局がない。ところが宇宙は、これから日本がもうそれこそ世界に冠たるじゃない、長期政策懇談会報告書、大変勇ましいことをたくさん書いてあるわけですが、ここに書いてありますように、日本の国が「二十一世紀初頭において世界の宇宙開発における中核的一翼」云々とありますが、これじゃできませんね。課が三つしかない。局がない。これでどんな力があるのですか、一体。これは局をつくるのがいいのか僕は知らぬけれども、要するに外見から力が入っていない。これじゃだめですよ。そういう点、考える余地ありませんか。
○川崎(雅)政府委員 具体的な成案を持って臨んでいるわけではございませんが、許される条件の中で精いっぱい私どもとしては努力をすると同時に、うちだけでは足りない力を補うために宇宙開発事業団なり、あるいは現在開発を分担しておられます文部省の宇宙科学研究所なり、あるいは私ども傘下の航空宇宙技術研究所といったようなところと協力し合いながら努力をしておるんですが、なかなか行政部門の増強というのは現実の中では困難な面がある。ただし努力だけは怠らないでいきたいと考えております。御勘弁願いたいと思います。
○貝沼委員 それは、あなた役人なんだからそういうふうにやればいいけれども、これじゃ日本はもうおくれてだめです。しかも、自主技術の開発をやってノーハウをどんと持たなければならないでしょう。どうやってやるのですか。三課で二十七名、今あなたがおっしゃった。原子力関係は二百名ですよ。全然話にならない。しかも、これはリスクの多い、予算を獲得しなければならぬところですよ。それが片や大臣、片や局長、そこへ今度は課長三人でどうやってやるのか。僕は非常に難しいと思いますよ、力関係でも。それからさらに、例えばこれから宇宙開発をやって、そしてうんとノーハウを持って、そして世界の中核的一翼になるのだそうだけれども、これだって今の状況じゃできないですよ。例えば物、金、人という判断でいつでも。先ほどスペースプレーンの話も出ておりました。スペースプレーンをつくって飛ばすことはできるでしょう。ばっと飛んでいくでしょう。あれは帰ってこられますか、日本の技術で。帰ってくる技術がありますか。ちょっと答えてください。
○川崎(雅)政府委員 現在、具体的に大気圏内へ再突入して無事に着陸するというまでの技術を完成はしておりません。ただ、現在、来年度から、垂直に打ち上げました無人の貨物輸送機についてリエントリーと申しますか、大気圏への再突入と水平着陸で滑空しておりる、そういう技術を開発するための勉強を開始しようと考えておるところです。
○貝沼委員 ですから、景気のいいことが書いてあるけれども、一つ一つ見るとできないのですよ。スペースプレーンが飛んだとする。だれが乗るのですか。その有人飛行は、現在日本では研究することができるようになっていますか。
○川崎(雅)政府委員 先ほど午前中の御質疑にもございましたように、私どものところに各界のといいましょうか、学識経験のある方々にお集まりいただいて勉強会を開いてまいりましたが、そこの報告にもありますように、今先生御指摘のとおり、今直ちにお客を乗せるような有人宇宙輸送系というのをこんなアイデアでつくるのだというところまで詰まった技術的基盤はないと認識しておりまして、ここ両三年ほどはそれぞれの必要な要素技術の基礎研究を積み上げまして、その上で一つの目標とすべきいわゆる飛行機といいましょうか、輸送システムの技術的な概念を積み上げる段階ではないか、そういうような段階でございます。
○貝沼委員 いや、そうじゃなしに、例えば宇宙開発政策大綱の中に何と書いてありますか。私が見た範囲で読みましょうか。「我が国における有人計画は、当面、米国の有人宇宙船に依存してこれを進めることとし、」飛ばして、「我が国独自の有人サポート技術については、今後、さらに十分な調査検討を行い、その技術的見通し等が得られてから計画を進めることとする。」回収技術、いわゆる再突入技術については、「回収技術については、当面、基礎研究を進め、今後の情勢の推移を見つつ、その後の進め方を検討する。」今やらないということでしょう。どうなんですか。
○川崎(雅)政府委員 確かに、五十九年二月に定めました宇宙開発政策大綱では、先生御指摘のとおりの記述になっております。しかし、その後関係者及び関係研究機関の方々の御努力によりまして、少なくともロケットと衛星についての自主技術へのめどを一九九一年時点では確立てきるというところまでこぎつけました。これはHⅡと大型の技術試験衛星でございます。その中でここに書かれているような基礎研究をそれぞれ進めてきまして、例えば新しいエンジンとしてのエア・ブリーシング・エンジンというようなものへの研究の手がかり、あるいはHⅡの上に無人の貨物を乗せるような回収機を構想するに足るだけの基礎的な研究がようやく積み上がってきたので、私どもとしては、長懇の報告を踏まえましてより具体化をどのように進めるかということについてもっと詰めた議論をさせていただいて、今先生の御指摘のような誤解なりあるいは御不満を除去するように努めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○貝沼委員 いや、誤解でも何でもない。僕は今大綱を読んでいるわけです。この大綱のとおりだったらできないのですよ。例えば衛星問題にしても、精密誘導装置とかアポジモーター、各種のセンサー、こういうものは日本ではもう大体完成しておりますか。
○川崎(雅)政府委員 アポジモーターについては、先般打ち上げをちょっと延期しております今度の技術試験衛星V型で国産のアポジを搭載する、これは完全に設計責任を日本が持っておるものでございます。 それから、慣性誘導制御装置につきましても、当初はブラックボックスの輸入品でございましたが、昨年八月に上げましたHⅠロケットの試験機の際に搭載をいたしまして、その性能を確認したところでございます。 なお、センサーにつきましては、地球観測用のセンサーあるいは衛星の姿勢を決めます太陽センサーであるとか、あるいは地球を探すための目になります地球センサーといったようなものをそれぞれの衛星は積んでおりますが、これらの衛星についてはまだすべてを国産というわけにはまいりませんが、地球観測衛星関係のセンサーつきましては、例えば近赤外のセンサーであるとかというようなところについて、現在MOS1aに載っておりますものといったような、一部の開発が合成功裏に終わっておるところだと、ただしまだまだ開発目標としては多くのものが残されておるというふうに理解しております。
○貝沼委員 もちろんこれから開発するから、事業団とかいろいろあるわけですけれども、やらなくちゃならぬことがたくさんあるのですよ。にもかかわらず人はいない、金はない。それで、この大綱では、アメリカから買った方が安くていいみたいな考えなんですね。これでは、宇宙開発で世界の一翼を担う云々と言ってみたところで、言っているだけでできませんよ。 そこで今度は、ここに資金面の問題でも――なぜこういうことを言うかというと、日本はいかにも技術が進んでいるようだけれども、まだまだ中国とかほかの方がむしろ進んでいる部分があるでしょう。HⅡロケットが開発されたら一〇〇%国産になるのだと言っているけれども、それまでのうちにもうマーケットなんていうのは占領されてしまいますよ。しかも、例えばソ連あるいは中国からはいわゆる政治価格でどんどん売り込んできますから、日本がそのとき相当マーケットがあるんだなんて思っていたって、そう簡単にはいきません。一たんおくれたら、これはもうだめなんです。その点、宇宙開発に関するキャッチフレーズといいますか、国民がばっとくっついてくる、賛同する、そういうものがないのですね。初め、原子力のときはあった。この原子力を使ってというのがあった。平和利用というのがあったけれども、今宇宙開発になると、そういう目標、目的、そして国民の皆さんが、そうだ、みんなでやろうぜ、そういうものが見えないですね。何か材科があれば研究できるんだとか、いや何だとかかんだとか、そんなことはかり言っておって、要するに専門家でなければわからない宇宙開発に今なっている。それではだめだ。専門家ではなしに、国民、一般の人が、この宇宙開発に成功することが日本の生きる道であり、日本がこれから力を入れていかなければならぬ部分なんだということをみんなで認識しなければいけない、こういうことだと思うのです。 その点アメリカは、コロンブスがアメリカ大陸を発見してから今度はいよいよ宇宙に出ていくのだ、何かそういうキャッチフレーズをいろいろ言っていますね、フロンティア精神でと。そして、そうだというわけで、みんな一生懸命になっている。もちろん根底に国防問題があることは承知しておりますけれども、とにかくみんながわっと一致したものがある。そして、リスクは多いけれども、巨大な財政的援助をしながら成功させてきているわけでしょう。日本はそれがない。あるのかもしらぬけれども、わからない。そういう点はどう考えたらいいのですか。
○川崎(雅)政府委員 大変高次の御意見で、ややついていきかねるところがございますが、今先生御指摘のアメリカの場合には、大統領の宇宙開発諮問委員会のペインズレポート、昨年五月に出された「宇宙フロンティアの開拓」というようなのが一つの御示唆だと考えております。確かに宇宙開発を一言でこうだといういいキャッチフレーズというのは私どももいろいろ考えておるわけでございますが、そういうキャッチフレーズもさることながら、実態的に宇宙開発は何をやるのかということと、それから何をやることによってどういう反射利益といいましょうか、そういうことがあるのかということをやはりもう少し皆さんにわかっていただけるように我々が努力をしていかなければいかぬのだろう。その中でおのずと一つの目標意識といいましょうか、そういうものが固まってくるのではないかと思っております。 先般の宇宙開発委員会の長期政策懇談会の報告をちょっと引用させていただきますと、そこではそういう宇宙開発の意義というものについて四つの視点からとらえておりまして、これは今の先生の御質問に対する一つの回答の方向を示しているのじゃないかと、僣越でございますが、考えている次第です。 一つは、宇宙というのは永遠にわからない未知のものとしての科学的探求の対象で、わかればわかるほど奥が広がる、そういう意味での科学的探求の対象であるという点が一つ。それから、人類の活動領域をどのように拡大していくかという活動領域の第三の場所であるということ。そういうための挑戦を宇宙開発利用という中で続けていくことによって、我が国なり世界全体の経済社会発展の原動力たる技術革新を生み出すいろいろの潜在的な技術力を高めていく。さらに、そういうプロジェクトが巨大であればあるほど国際協調が必要となるという観点から、国際社会での協力ということが具体的に実現していく一つのジャンルじゃないかというふうに思われていまして、午前中も申し上げました宇宙ステーションなども、そういう意味でこの四つのゴールの中の幾つかを満たしている重要なプロジェクトだと思っている次第です。これからもいろいろ勉強させていただきまして努力をさせていただきたいと考えております。
○貝沼委員 それは、この「宇宙開発の新時代を目指して」という報告書を私は何回も読みました。大変結構なことを書いてあります。だけれども、できない。金がない。人がいない。どこから人を持ってきますか。今大学で宇宙工学の学科があるところ、どこにあるのですか。大体専門家は大学でどこで勉強して、一年間に何人ぐらい出てくるのですか。そんなものは微々たるものでしょう。それが全部宇宙開発事業団へ入ったって足りないですよ。ところが、実際はそれは入らないですよ、半分ぐらいはほかのところの職場へ行くのですから。したがって、そういう教育する、養成するところ自体がまずない。したがって、人間が出てこない。金、この金の問題もこれはもう微々たるもので、立花さんに言わせると、ある県の公共事業ぐらいしか出ていないということを書いてあります。これはやはり一つの投資ですよ、公共事業的なものですよ。したがって、リスクは多いけれども、どんと予算をつけなければこれはだめです。しかも、これは長い時間かけてでき上がったらいいというものじゃない。短期間に成果を上げなければ、おくれをとったらだめだということなんだ。急がなければならない部分がたくさんある。それに対してどう対処するかというものはちょっと現実的にはありません。それからさらに、経済的に見ましても、マーケットとしてどれだけの金が使われておるかと見ても、フランス、イギリス、西ドイツ、米国、これらと比べて日本はけた外れに少ないですね。こういうようなことでは、これは先を行くどころか後に行かない方がおかしいです。もっと抜本的な対策というものを思い切ってやらなくてはだめだと思います。僕はきょうは一生懸命応援演説をやっているわけですから、長官、いいですか。 それで、さらにそのためには今からどうしてもやっておかなくてはならない点、一つはどんな小さなことでもノーハウをきちっと押さえておくということです。これは一番大事だと思いますね。したがって、例えば宇宙開発事業団の方で情報蓄積という問題は力を入れてやるとは思いますが、どうも話によると予算獲得が難しい面もあるらしいのですね。ところが、そういうソフトの情報蓄積ということを今怠ったら、何かのときに、一つ事故を起こしたら、それこそ「むつ」の例ではないけれどもパアになりますから、あるいはアメリカのチャレンジャーの問題で今大変な打撃を受けている事実を見ましても、事故を絶対に起こしてはならない、ということは情報蓄積に予算を惜しんではならない、こういうふうに考えるわけでありますが、この点はいかがですか。
○川崎(雅)政府委員 ただいま先生の御指摘の点は最も重要なポイントだろうと思っております。ノーハウを世代世代に十分引き継いでいって、さらに発展させていくというためには、開発行為というのを中断することなくいかに効率的に継続するかというのも重要なファクターの一つと考えております。 それに加えまして、御指摘の情報問題につきましては、これは我が国のためだけではなくて、アメリカからも対等なシンメトリカルな情報交換という意味からも十分なデータベースの蓄積が要請されておりますので、やや遅きに失したかもしれませんが、昨年来勉強を始めておりまして、明年度から本格的に所要の予算上の措置も講じさせていただけるよう現在努力をしておるところでございます。
○貝沼委員 時間があと二分ばかりになりました。きょうは概説的なことばかりで恐縮なんですが、そういう産官学一体になった力の入れようでなければ日本の宇宙開発はできない、こう私は思うのですね。だから、そうすべきだということを言っているわけです。何もけちをつけているわけじゃない。 そこで、そのためには、例えば原子力の場合はそういう皆さんの意見、要望あるいはいろいろな考え方を述べる機関がございますね。例えば原子力産業会議というのがあります。ところが、宇宙の場合は、見ましたけれどもそういうのは見当たりませんね。やはりそういうものがあった方がいいのじゃないかと私は思うのです。そういうのを、だれかがつくればできるのでしょうけれども、政府の方からも何か少しばかり働きかけをして、そういうものができて、そして、いろいろな意見具申等がいただけるような方向に持っていくのも大事なことではないかと考えておるわけでありますが、この辺についてのお考えはいかがですか。
○川崎(雅)政府委員 ただいま大変貴重な御示唆をいただいたと考えております。宇宙開発委員会の参与会あるいは先般開きました長期政策懇談会もそのような趣旨を踏まえてやったわけでございますが、先生御指摘のような組織ではございません。そういう点も踏まえまして少し勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○貝沼委員 それでは大臣、一遍ぐらい答弁されてもいいと思いますから、今までの質疑を聞いておられまして、御決意のほどをお願いしたいと思います。
○三ツ林国務大臣 先生、この前私のところに参られまして、特に宇宙開発についての御提言をいただいたのでありますが、きょうはまた先生からの積極的な御論議を私もお聞きいたしまして、宇宙開発の重要性をますます認識を新たにしたところでございます。そういうふうな考え方で私も大いに努力したいと考えております。 局長の方からお答え申し上げましたとおりに、科学技術庁といたしましては、二十一世紀を目指して長期的観点に立った宇宙開発政策の充実が強く求められてきているところでありますので、このような観点に立って、宇宙開発委員会において長期政策懇談会を設け、我が国の宇宙開発の長期的なあり方について検討を進め、本年五月にその取りまとめを行ったところであります。今後これを踏まえて早急に具体方策について検討してまいるつもりでございます。 特に、長期政策懇談会の報告の中に、「我が国の宇宙開発の目標」ということで掲げてありますのは、「我が国の宇宙開発は、平和目的に徹し、自主的な宇宙活動を自在に展開し得る技術基盤を早急に構築し、先進国の一員としての国際的地位にふさわしい活動を積極的に展開していく」、「かかる観点に立ち、」「二十一世紀初頭において世界の宇宙開発における中核的一翼となることを目標」とする、実はこういうふうに掲げられているところであります。しかし、予算の関係等もございますので、研究開発の予算の面でも先生の御指摘のとおりに格段の努力をしてまいりたいと思っております。
○貝沼委員 終わります。
○原田委員長 矢島恒夫君。
○矢島委員 前回までこの委員会は山原議員が所属しておりましたが、今国会から私が所属することになりました。初めての質問をさせていただくわけですが、長官とは同じ埼玉の出でございますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。 午前中からいろいろと科学技術の各分野について質疑がされたわけでございます。とりわけ原子力発電問題等について質問がありましたが、できるだけ重複する部分を避けまして、原子力発電問題等についてお伺いしたいと思います。 チェルノブイリの事故の重大性につきましては、当委員会でも何回となく問題になったものでございますが、同時に、アメリカのTMIの原発事故というようなものがやはり何といいましてもまだ未成熟な原発技術というものを事実で示したという点では最大の教訓であろうと思うわけです。これを契機に国民の不安というものも高まりましたし、当然のことですが、世界の各国でも安全に一層努力する方向あるいは原発計画の見直し、そういうものがその後出されていると思うのです。 「原子力工業」の雑誌の中にも、いろいろとその後世界の各国で開発計画についての見直しがなされております。西ドイツの場合には、それ以降、安全管理をやっていくために原子炉安全省というのですか、そういうものが設けられたとか、イタリアにおきましてもチェルノブイリの事故の後原子力規制委員会を設定したとか、オーストリアにおきましてはツベンテンドルフですか、この発電所について一九八六年九月に廃止、解体を決めているとか、オランダの場合には二基の原発凍結、アメリカも昨年三基の原発運転許可を延ばしたとか、まだまだあるわけですが、スウェーデンの場合には、国民投票の結果、二〇一〇年までに現在稼働中の原子炉をすべて段階的に廃止するというようなことを決めておりますし、同じようなことがユーゴスラビアでもあるわけです。同時に、我が国におきましても朝日新聞が毎年いろいろな世論調査を行っているようでありますが、昨年の八月二十九日付の新聞を見ますと、この原発の問題についての賛否として賛成三四%、これに対して反対四一%と賛否が初めて逆転した、こういうような報道がされておりまして、原発の見直しが要求されているのではないか。そういうような国内の世論調査の状況やあるいはまた世界各国の傾向、このようなことを長官どのように受けとめていらっしゃるか、ちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
○松井政府委員 お答えいたします。 ただいま先生のおっしゃるとおり、チェルノブイリの事故の影響を受けまして、特に西欧でございますか、いろいろな余波があったというふうに承知しております。ただ、もちろんそういう余波のあった国もありますし、そうでない国もあるということも事実でございまして、最近そういうことにつきまして国民の各層がやはり神経質になっている点もあろうかとも思いますけれども、これにつきましては原子力安全委員会のチェルノブイリの事故の調査報告を受けまして、我々としては安全というのは念には念を入れてやるという姿勢で臨むことによってこういう問題は解決できると考えておる次第でございます。
○矢島委員 長官のお考えをお聞きしたかったのですが、また後ほどまとめてお答えいただいても結構かと思います。 ところで、六月二十二日原子力委員会が策定しました長期計画をちょっと見てみますと、引き続き原子力を基軸エネルギーと位置づけて、西暦二〇〇〇年までに発電設備容量を五千三百万キロワットにしていこうという大変な拡大計画を出していらっしゃる。現在稼働中のものが三十三基ですか、建設途中のものが十四基あって、計画になっているものが四基、五十一基ということになりますが、この計画でいきますと、さらに建設を進めて全体で大体六十基くらいの原子力発電所が日本列島の海岸を埋め尽くすというすさまじい状況じゃないか。 ところで、今日本のエネルギー事情をちょっと見てみますと、最近の電力需要は横ばい、停滞方向にあるのではないか。とりわけ昨年度は五千三百七十七億キロワットアワーという数字をお聞きしましたけれども、これは、一九七四年と一九八〇年の二回にわたるオイルショックの後、前年度比でマイナスになったのですが、戦後三回目の前年度比マイナスという状況であろうと思うのですね。ですから、こういうような電力需要などがちょうど緩和期あるいは停滞状況というときにこそ、この長期計画のように原発推進一辺倒でいくんじゃなくて、いまだ未完成のいろいろな技術を研究していく、そして同時に、国民の不安を取り除くためには何といいましても現在の原子炉の総点検とかあるいはまた新しい建設について安全性の確立という面から考えてみても一たん中止するちょうどいい時期ではないか、こういうふうに考えるんですが、この点はいかがでしょう。
○石塚政府委員 原子力の安全確保といいますものは、やはり電力の供給の余力いかんを問わず守られるべきことでございまして、原子力の開発利用の大前提であるわけであります。この基本的な考え方に基づきまして、原子力安全委員会を初め原子力の規制にかかわる関係省庁及び電気事業者等原子力関係者は、原子力の安全確保のために努力を続けてきておるところでございます。 今回のチェルノブイル事故に際しましては、原子力安全委員会はこれを他山の石として謙虚に受けとめ、事故調査特別委員会を設けて、その結果我が国の建設、運転といった各段階におきます安全対策について詳細な検討を行ってきておるということでございまして、今余力があるからということでそれに関連して点検をするとか安全性について見直すということではないと考えております。
○矢島委員 電力の供給状況いかんにかかわらずというわけでございますけれども、今火力発電などは稼働率は四一、二%というような状況ではないかと思うのですけれども、要するに私の言うのは、そういうような見直しあるいは総点検をするのには電力事情の関係からいえばちょうどいい時期ではないかということでちょっと質問してみたわけですが、質問の方は先へ進めさせていただきます。 私は、いわゆる核燃料サイクルのことで、特にダウンストリームといいますか下流についてちょっとお聞かせいただきたいのです。 核燃料再処理問題ですけれども、長期計画によりますと、科学技術庁からいただいた資料ですけれども、昭和七十五年には千百トンくらい使用済み核燃科が出てくるだろう、累積いたしますと一万六千トンになるという資料をいただいたわけですけれども、大変な量が出てくるということなんですね。しかも、この使用済み燃料の再処理を原則として国内で行っていこうという計画になっているわけなんです。現在の再処理状況の実績だとか安全性あるいは環境にかかわる問題というものを取り上げてみますと、どれ一つをとりましても大変困難な状況にある。これが今の再処理問題の重大なとこうだというように考えるわけですけれども、例えば東海村の動燃の再処理工場は最初は年間二百十トンくらいやる予定だった。ところが、実際に昭和五十二年から六十二年まで調べてみますと、わずかに三百二十トンということで、まさに大幅な狂いが出てきている。こういうのは、例えば十五カ月くらいにわたって操業を停止しなければならなくなったとかあるいは八〇年までの間に公表された事故件数だけでも三十八件ですか、こういう状態であるし、同時にフランスのラアーグ工場でもいろいろな事故の関係からこの処理実績というのが伸びない。一九八三年までの八年間で累計して七百三十一・五トンだと言われておりますし、平均稼働率は五四%というようなことが数値として出ています。 この二つの再処理工場の状況を見てみますと、核燃科の再処理に関する技術開発の困難さというのは原子炉部門よりもより一層深刻だということを物語っているのではないかと思うのです。特に、軽水炉の処理については相当進んでいると言われているフランスですけれども、この委員会でも出ましたけれども、フランス原子力委員会のキャスタン報告は、現在の再処理技術について検討すべき点がまだいろいろあるということを指摘しておりますし、同時に、再処理をおくらせる場合についてもいろいろな角度から検討すべきであるというようなことが報告されておるわけなんですね。 この長期計画によりますと、再処理によって得たプルトニウムをFBRで使っていこう。しかし、その計画つまり高速増殖炉の方の計画が、今度は二〇三〇年ですか、延びたわけなんです。ですから、何も拙速に大型の再処理工場を建設していく必要性というのはないのではないか、今むしろ再処理の基礎研究というものを抜本的に進めていくことが必要な時期ではないかということ、それから今私が申し上げましたように、高速増殖炉の方の計画が延びているわけですから、プルトを回収することが目的である再処理工場の建設をなぜこんなに急ぐのか、その辺お答えいただきます。
○松井政府委員 幾つかの御質問があろうかと思います。まず、基本的な考え方は、先生からも御指摘ありましたとおり、ウラン資源の乏しい我が国といたしましてはウラン資源を有効活用しよう、それには最終的にはやはり高速増殖炉で使うということが一番望ましいわけでございまして、そういうものに備えていろいろと再処理を進める必要があるという形で進めているわけでございます。 御指摘のとおり、再処理技術につきまして、動燃の成果を見ますと確かに当初計画したとおりはいっていないことは事実でございます。ただし、動燃事業団も昭和五十二年から運転を開始いたしましていろいろと所要の技術開発を行いつつ運転しているわけでございます。その間いろいろなトラブルも起きております。具体的に申し上げますと、主なものでございますけれども、酸回収蒸発缶のピンホールが発生したとか酸回収精留塔のピンホールの発生あるいは溶解槽のピンホール発生等々がございまして、そのために運転を中止して、その間修理をしたということがございます。そのためにかなり稼働実績が悪いことは事実でございます。ただ、これは日本の技術によって考えてやったわけでございまして、その結果、その後は非常にいい成果ができているということで、かなり自信を深めてきているというのは事実でございます。 それから、海外におきましても、御案内のとおりフランス、イギリス等におきましてもう既に二十年以上の実績がございます。そういうことで、現在かなり安定した運転を続けられるということ、さらに、フランスではUP3、イギリスではTHORP、それから西ドイツではバッカスドルフに新しい工場をつくるというような計画が進められている次第でございまして、そういった世界の大勢から見ますと、再処理技術は難しい技術であろうかと思いますけれども、着実に進歩して技術的には確立されていると見られるのではないだろうかというふうに私ども承知している次第でございます。
○矢島委員 再処理工場の建設を急ぐということについても全くそれと同じような理由ですか。もし何か追加することがあれば……。
○松井政府委員 先ほどちょっと答弁を漏らしまして申しわけございません。 再処理技術の開発を急ぐという理由につきましては、確かに原子力委員会の長期計画におきまして、従来高速増殖炉の実用時期は二〇一〇年と言っておりましたけれども、一つは技術的な問題もあり、もう一つさらに、実際実用化するためには軽水炉と経済的に対抗できるものでなければいけないということで、いろいろと調べた結果、二〇二〇年から二〇三〇年ごろという目標を立てた次第でございます。ところが、その時期においてそういう実用化をねらうとしても、その前に当然プルトニウム利用にかかわる広範な技術体系を確立することが必要であろうということで、そういうことにつきましては一つはATRがございます。それからさらには、軽水炉でもってプルトニウムを燃やす技術も積み重ねて、高速増殖炉に至る時代に向けて技術的に確立するというふうに持っていくべきではないだろうか、そういう視点で再処理につきましても現在のスピードで進める必要があるだろうという認識、判断に立っている次第でございます。
○矢島委員 十分納得する説明ではないのですが、とりわけ、世界の動向を見ますとイギリスでもフランスでも安定した方向でどんどん進んでいるというお話ですけれども、アメリカやイギリスにおいても軽水炉については既に再処理をやめている。それから、フランスも外国からの委託された注文には応ずるけれども、自分の分の再処理については今行ってないとか、日本などから委託された軽水炉のいわゆる使用済み燃料については、何かガス炉から出たものに十分の一ほどまぜてやっとこなしているということを聞いているのですが、その辺についてはどうなのかということが一つと、それから、この際、使用済み燃料を再処理することによって大変高レベルの廃棄物がふえてくるわけですね。ですからそういうような再処理を行うんじゃなくて、そのまま保存するというような研究開発が必要じゃないかと思うのですが、その二つの点について。
○松井政府委員 まず第一点でございますけれども、今詳細なデータは持っておりませんが、私の理解しているところでは、まずアメリカは再処理はしておりません。これは一回使い、ワンススルー方式をとっています。それでイギリスにつきましては、ガス炉につきまして、ガス炉の燃料の再処理はみずから行っているということは承知しております。それからフランスにつきましては、フランスが自分で使った軽水炉の燃料についても再処理を行っているというふうに私は承知しております。 それからもう一つは、再処理をしないでワンススルー、つまり再処理をすると高レベル廃棄物が出てくるということでの御質問でございますけれども、確かに再処理をすることによりまして高レベル廃棄物が抽出されるという問題がございます。それで、これにつきましては私どもいろいろと検討を進めまして、まだ少し先の話でございますけれども、幾つかのステップを経てこれは安全に地層に処分できるという確信を持って、今それに必要な研究を進めているという段階でございます。
○矢島委員 外国の状況ですが、イギリスの場合もちろんガス炉で、軽水炉はやってないと思うのです。それから、フランスは自分のところの軽水炉についてはやっているというのですが、恐らくガス炉のとまぜてやっているのではないかと思うのですが、この辺はまた何かありましたら後で教えていただきたいと思います。 そこで、今度はその後の部分、つまり処分の方向ですね、そういう方向でちょっとお聞かせいただきたいのですが、高レベルの放射性廃棄物の処理あるいは処分の問題で、我が国はイギリスに対して二千三百トンですか、フランスに二千五百トン、それぞれ軽水炉の使用済み燃料の再処理を委託していると思うのですけれども、これはいつごろから返ってくるか、どんな形でどれくらい返還されてくるのか、ちょっと教えていただきたい。
○松井政府委員 今ちょっと詳細な本数がございませんけれども、約束では一九九〇年以降、これはガラスで固めまして、それをキャニスターというステンレスの瓶に入れまして、そういう形で返還されるというふうになっていると承知しております。
○矢島委員 量についてはどれぐらいかということをまた教えていただきたいのですが、ただ相当の量になるだろうということはわかるわけなんですね。同時にまた、その間日本での再処理工場でもこれはもちろん出てくるわけですから、そういうものを合わせますと、二〇〇〇年くらいまでの間には、ガラス固化体にした場合、一万本とか何万本というような量になるんじゃないかというように考えられるわけなんですが、そうした場合、固化体自体が放射能とか熱に対して数千年とか数万年とか、そういう長期にわたって本当に安定なのかどうか。また、地下水との接触が行われるとかあるいは人工的に掘削が行われるとかによって危険というようなことが起こることはないのか。しかもこれはただ単に、今はわかっているから大丈夫だ、しかし数千世代後の子孫にまでかかわる問題ですから、この管理というものは本当に今まだ研究段階じゃないだろうか。 そのことについて国際学術連合、ICSUが一九八二年総会でこんな報告を出しているのですね。 処分サイトは今後数百万年にわたって地質変動や透水性の変化の起こりそうな証拠のない十立万キロメートルくらいのユニットが望ましく、現在、地震活動や火山活動がないというだけでは不十分で、ストレスの正確な測定が必要である。 さらにこういうように言っているのですね。 数千年のスケールでの安全性について科学者は答えを求められたことがない。最終処分技術が未確立の現状では子孫のためには性急な処分より待機を選ぶ方がよいかもしれない。 こういうふうに言っているわけですね。 ですから、こういう研究開発を進めていくことこそが急がれる問題で、処分よりも長期的展望に立って安定的な技術開発を進めるべきだということだろうと思うのですが、この点についてどんなふうにお考えですか。
○松井政府委員 まず高レベル廃棄物につきましては、先ほど申しました処分という段階、これは現在はガラス固化にいたしまして、それをキャニスターに入れて貯蔵する、それで大体三十年から五十年ぐらい冷却期間を置くというのが処分の期間というふうに考えてよろしいかと思います。それからさらに、その後は地層に埋める。これもいろいろと過程があるかもわかりませんけれども、大ざっぱに言って処分の段階、こういうふうになろうかと思います。 それで、処理の問題でございますけれども、ガラスというものは多種類の元素を均一に溶かし込んで内部に封じ込めることができるという特性があります。それから、比較的長期にわたって安定な物質であるということもわかっております。それから、製造プロセスの完熟度が高いというようなこともわかっております。そういう意味で、現在世界的に高レベル廃棄物につきましてはガラス固化技術でいこうというのが主流になっております。 それで、これにつきましては、日本だけではなくて、各国でもいろいろと研究が行われておりまして、特にフランスでは一九七八年から実用規模のガラス固化プラントが稼働しております。それで約千二百本のガラス固化体が製造されているという実績がございます。我が国におきましては、動燃の高レベル放射性物質の研究施設とか原研の施設とかにおいて実際の廃液を用いましたガラス固化体を製造いたしまして、そこでガラス固化体からしみ出すかどうか、浸出性、それから耐久性、長期浸出試験とか、あるいはガラスが長期にわたり熱的にどういう影響を受けるか、そういったいろいろな試験をやっている次第でございまして、そういったものを総合的に見ますと、ガラス固化体の健全性についてはもう既に大体確認を行っているというふうに理解されております。 〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕 それから、もう一つの処分の方の話でございます。 これにつきましては、おっしゃるとおり確かにまだ研究要素が多分にあろうかというように我々も考えておりまして、現在私どもの計画としては、まず第一段階といたしまして有効な地層の選定、これは既に終わりました。次に第二段階といたしまして処分予定地の選定とかそれに必要な研究開発、それから第三段階は処分予定地における処分技術の実証、それを踏まえて最終的に実際にやってみるということでもっていこうというステップを考えているわけでございます。 それで、その辺についての技術の見通しということでございますけれども、確かにまだ研究しなくちゃならない面がございます。それは否定いたしておりませんけれども、現在私ども原子力委員会の専門部会で関係の識者にお集まりいただきまして、そこでいろいろと検討いたした結果、地層処分としての安全性を確保できる見通しが得られるというような結論を一応得ております。 なお、これは私どものあれではなくて、ほかに、国際的にも例えばアメリカ、フランス、西独、スイス等においても高レベル廃棄物につきましては地層に処分するという計画で、現在所要の研究、立地選定等を進めているわけでございます。またさらに、OECD・NEAがまとめた世界各国の専門家の意見の集約としても、長期間の安定確保の目的に合致する地層処分システムを設計し運転することができるということについては十分な自信がある、そういうような結論になっている次第でございます。 しかし、いずれにしろ処分につきましてはまだ研究すべき要素があるというふうに承知しております。
○矢島委員 そこで、青森県の六ケ所村の核燃料サイクル施設、このことについてちょっと長官にお願いなんですが、青森県は八月二十一日付で環境保健部というところから「ウラン濃縮施設及び低レベル放射性廃棄物貯蔵施設に係る環境保全対策等の検討結果について」という報告書を出しているのです。ことしの春、日本原燃産業が青森県に「施設立地に伴う環境保全調査報告」というのを出しているわけなんですが、県がその報告に基づいて検討を加えた結果の報告書が、今私が読み上げた青森県の環境保健部で出した報告書なんです。この県の報告書の最後の部分なんですが、六番目に「検討結果」というのがございます。ずっと書いてありまして、「以上のとおり、ウラン濃縮施設及び低レベル放射性廃棄物貯蔵施設に係る環境保全対策等について、妥当なものと認められた」、青森県のこの報告書によりますと妥当なものだと言っておりますね。ところがこの検討の対象であるところの原燃産業がまとめた調査報告書というのが実は一般に公開されてない。国会にももちろんですけれども県議会にも提出されてない、こういう状況なんですね。これではこの結論を納得せよという方が無理であって、もとの原燃産業が出した報告書を抜きにしてこの結論だけを認めるということは重大な問題じゃないか。このサイクル施設立地計画というのは、単なる青森県だけの問題じゃなくて、もちろん国策としてこの計画を進め、そのために法律改正まで行った経過が今日までにあるわけですね。こうした基本的な報告資料というのは当然国会にも提出されて公にされるべきものだと私は思うのです。原子力委員長であるところの長官の責任でこの報告書の国会提出をぜひ図っていただきたいと思うのですが、この点ひとつよろしくお願いします。
○三ツ林国務大臣 御質問の核燃料物質の使用済みの再処理の件でございますけれども、お説のように原子力政策におきましての最重要課題だというふうに承知をいたしております。したがって、安全性を大前提として政策面でも技術開発でも十分に努力してまいりたいと思っておりますけれども、ただいまの青森県六ケ所村の関係につきましては局長の方から答弁させます。
○松井政府委員 原燃産業が取りまとめた環境保全調査報告書につきましては、これはあくまで原子力つまり放射能を除く普通の一般公害という視点からのものでございますけれども、それにつきましては県当局のお考えは、まずむつ小川原開発地区につきましては、県は既に第二次基本計画に係る環境影響評価、基本アセスを実施しておる。その後の例えば石油備蓄基地というような個別施設立地につきましても、環境庁の指導によりまして事業者に大気汚染、水質汚濁等の典型七公害に係る環境保全調査を行わせてきた経緯があります。それで県当局といたしましては、これにつきましては県が定めている環境保全目標に対する適合性を検討するための内部資料というふうに位置づけていると聞いております。したがって、そういう意味合いでございますものですから、科技庁としても直ちにこれについて公開すべきものというふうには了解しておりません。
○矢島委員 内部的なものだといいながら、青森県の方はそれをもとにしてつくった検討結果を出しているところが極めて重大だと思うのです。 同時に、原子力基本法は公開を原則としているということですし、また基本方針であるところの新しい長期計画の中でも「今後の原子力開発利用を円滑に進めていくためには、国民の理解と協力を得ることが極めて重要である。」こういうことを強調して、「第二部各論」の「第九章立地」では、「安全確保及び環境保全に係る地元理解の増進」をうたっているわけです。そしてしかもその部分にはこんなふうに書いてある。「この際、特に地域住民の関心が高い原子炉の廃止措置及び再処理施設、放射性廃棄物関連施設等の立地については、先進地事例が少ないことを十分考慮し、関連する技術の実証、周辺環境への放射能影響に関する安全性確認調査等を積極的に進め、地域住民の不安の解消に努めることとする。」こう書いてあるのですね。 つまり、環境調査をしても、その生資料が今言ったように内部資料だということで公表されずに、立地条件を満たしていると結論づけてしまうことは、地域住民にとりましてはそれで不安が解消するどころか、むしろ何かあるんじゃないか、公表できない何かがあるから隠しているのじゃないかということで不安に思っている方が多いわけなんです。ですから、長期計画を取りまとめた原子力委員会の委員長として、長官、地域住民、国民の不安を解消するということならばぜひ原燃産業の報告書を公開すべきだと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○松井政府委員 先生御指摘の点は、原子力の長計に書かれている事項、つまり原子力の政策としてそういうふうにした方がより地域住民の理解が得られるのではないか、こういう御指摘かと理解しております。 先ほど申しましたように、この報告書そのものは、青森県としては、原燃産業が作成したものであって内部資料として扱うというポジションでございまして、公開になじまないと言っているわけでございますけれども、私どもとしましてはPAの関係からいいますと確かにそういう問題はあるとしても、御指摘の報告書を踏まえて県はそれを客観的に評価いたしまして、私も見ましたけれども、かなり詳細な内容の当該施設に係る環境保全対策の検討結果を公表して地元の方々の周知を図っておるということを聞いております。そういう意味合いでは十分地元の方々も安心していただけるものではないだろうかと感じている次第でございます。
○矢島委員 地元の住民の皆さん方も、なぜ公表できないのか、隠し事をするからにはそれなりの理由があるのじゃないかということを言っているのです。 そこで、昨年の五月二十三日の日刊工業新聞に大分大きな見出しで「低レベル放射性廃棄物陸地処分に赤信号」、次の見出しのところに「通気層ない地質に問題 むつ小川原 浅層処分は断念か」、しかも一番最初の部分だけ読んでみますと、 青森県・むつ小川原に計画されている低レベル放射性廃棄物の浅層地下処分(陸地処分)計画が、地質調査の結果、変更を余儀なくされていることが二十二日までに明らかになった。これは低レベル放射性廃棄物を地中に埋め立て処分する場合、通気層と呼ばれる比較的水の少ない地層中に埋めるとされているのに対し、事業主体である日本原燃産業が行ったボーリング調査の結果、通気層がほとんど存在しない地質構造であることが分かったもの。 記者が取材したのだと思うのですが、これに対して原燃産業は、「コンクリートピット中に水が入ってもポンプアップすれば良いので、帯水層中でもかまわない」という驚くべきことを述べているのですね。これに対して科学技術庁の担当官は懐疑的な発言を行っているわけですけれども、同時に、先ほどおっしゃられましたように、あの地域はむつ小川原地域開発のための調査が行われたことも私は知っております。いろいろな地質だとか地層の調査が行われたわけですが、開発の方の関係でやった調査の結果についても、科学者の多くが放射性廃棄物の処分施設を設置するのは問題があるのではないかという意見を述べられていることもまた事実なんです。時間もありませんのでこの問題だけで、もう一つ長官にお聞きしたいことがありますので、今のところ資料提出についてはそういう事情で難しいということですが、疑いを晴らす意味からもぜひ、地質や地層について相当詳細に青森県のものが出ていると言いますが、これを読んでみますと、ボーリング調査結果を含めた地質とか地層とか地下水の挙動といった調査項目がないのです。詳細にわたってとおっしゃられますけれども、重要な部分が欠けていると私は思うのです。そういう意味でぜひ生資料を提出してもらうことを要求しまして、これは質問ではございませんので結構でございます。 最後に長官に、もう時間がありませんので一つだけお聞きしたいのです。 国連の環境特別委員会の報告が出ました。もちろん国連の環境特別委員会の設置については日本の政府も特に提唱して、国連決議のもとにできた特別委員会ですから非常に重要な日本の立場もあるわけですが、その報告書の中で、長官ももうお読みかと思いますけれども、第七章エネルギーに「Ⅲ核エネルギー――未解決の問題」という項目があります。その中に結論と勧告という部分があるのです。そこにこういう文章があるのです。「原子力発電は、それが起こす現在でも未解決の問題に対してしっかりした解答がある場合に限って、正当化される。」つまり、しっかりした解答がない場合にはこれは正当化されない、こういうものを出しているわけですが、こういうことについてひとつ長官の見解をお聞きしたいと思うのです。 〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
○三ツ林国務大臣 国連の環境特別委員会は、環境問題に関する専門家が長期的な環境保全について、個人の資格で審議したものであります。この委員会において、原子力について、安全性の問題などに対して賛否両論の議論が行われ、最終報告書が原子力について必ずしも無条件に積極的に推進すべきであるとの方向にはなっていないということは承知をいたしております。 しかしながら、国際原子力機関等の場においては、原子力が今後増大することが予想される世界のエネルギー需要に対応する重要なエネルギー源であると国際的に位置づけられております。また、今日、酸性雨等の地球的規模での環境問題が議論されておりますが、原子力開発利用長期計画において指摘されておるとおり、原子力発電は環境影響が少なく、大気汚染物質の総量を軽減するというすぐれた特徴も有しております。 このため、国内エネルギー資源に乏しい我が国としては、原子力をエネルギー供給構造の脆弱性の克服に貢献する基軸エネルギーとして位置づけ、安全性の確保に万全を期しつつ、その研究開発利用に積極的に取り組んでいくことが必要であると考えております。
○矢島委員 私は結論と勧告のことについてどうお考えかでよかったのですが、御丁寧に答弁をいただきました。 いずれにいたしましても原子力のこれからの政策というものを、再処理や処分の問題その他、安全性を十分に考えて再検討の方向でやっていく必要があるのではないかということを指摘いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。 ――――◇―――――
○原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 科学技術振興の基本施策に関する件、特に今後の科学技術政策のあり方に関する問題について調査のため、八月二十七日、参考人として学術情報センター所長猪瀬博君、科学技術会議議員山下男君及び前日本経済新聞論説委員堤佳辰君の御出席を求め、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明後二十七日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十六分散会