科学技術委員会 第1号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1987/07/30
会議録
○原田委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 科学技術振興の基本施策に関する事項 原子力の開発利用とその安全確保に関する事項 宇宙開発に関する事項 海洋開発に関する事項 生命科学に関する事項 新エネルギーの研究開発に関する事項以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたく存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○原田委員長 次に、科学技術振興の基本施策に関する件、特に光科学技術の展望とその研究開発の問題について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として理化学研究所サイクロトロン研究室主任研究員上坪宏道君、東京大学物性研究所助教授黒田寛人君、日本電気レーザー機器エンジニアリング株式会社社長内田禎二君の出席を求め、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○原田委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。 本日は、光科学技術の展望とその研究開発の問題につきまして、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、まず各参考人からそれぞれ四十分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。 それでは、まず上坪参考人にお願いいたします。
○上坪参考人 理化学研究所の上坪でございます。本日ここでお話をさせていただく機会を得まして、どうもありがとうございました。 お手元に資料をお配りいたしてございますので、それに基づきまして私のお話をさせていただきたいと思います。私のお話は、光科学技術の基本になります事項につきましてまず簡単に御説明申し上げまして、続きまして、その最も基盤的な装置でありますシンクロトロン放射光の施設について御説明いたし、最後に、それを使いました新しい科学技術の発展ということについて御説明申し上げたいと存じております。 最初に、第一ページでございますけれども、光とは何かということを簡単にまず御説明申し上げます。 光と申しますと、私ども日常すべての物を見るものとして考えられておりますが、実は光科学技術の振興という点で取り上げます光と申しますのは若干違っておりますので、それについて簡単に御説明いたします。 まず、こちらに絵がかいてございますが、電気を持ちました粒子、例えば電子、そういったものとか小さな磁石が力を受けて振動いたしますと、そこに書いてございますように波が、電気的な影響を及ぼすものが波となって進んでまいります。これを普通電磁波と呼んでおりますが、この電気を持ったものが非常に速く振動いたしますと実は波長の短い波が、それからゆっくり振動いたしますと波長の長い波が進んでまいります。この波の伝わる速さは、一秒間に地球を七回り半します、一秒間に三十万キロメートルの速さでございます。それから、一秒間にこの波の繰り返しを通常、周波数と呼んでおりまして、周波数が高いものは波長が短い。と同時に、この波はエネルギーが高いというふうに呼んでおります。 日常的なこういう電磁波の種類とその区分けを第二ページに述べさせていただきました。 第二ページで、一番上に通常の電磁波の名前が書いてございますが、一番波長の長い方からラジオ波、次にマイクロ波、次に遠赤外線、赤外線、可視光線、紫外線、真空紫外線、エックス線、ガンマ線というふうになっておりますが、このように名前が違いましても、性質はただ単に電磁波の波長が違うということになっております。その真ん中のところに光の波長が書いてございますが、波長が一ミリメートル近辺がマイクロ波でございます。それから一ミリメートルより短い方、ミクロンのところが赤外線、主として熱を伝える電磁波でございます。それからミクロンのところから短いところの辺に可視光線がございまして、それよりさらに短い方でエックス線、それよりさらに短いところでガンマ線というふうになっておりますが、比較のためにその一番下に自然界のいろいろな大きさを並べでございます。光科学技術と私どもが通常呼んでおりますときの光と申しますのは、この一ミリ程度より波長の短い遠赤外線、赤外線から短いところ、ちょうど名前で何々線とつくところを指していると考えていただければよろしいかと思います。 三番目に、これはまた全く基本的な話で恐縮でございますが、なぜこの光が今改めて注目されるかということを簡単に御説明申し上げたいと思います。 なぜ光かと申しますと、実はそこに書いてございますように物質はすべて原子の集まりでできていて、そして、その物質の性質を決めるのにはその外側の電子が非常に重要な働きをしているということが基本になってございます。そして、この電子が動き回ることで光が発生し、またその光を電子が受け取っていろいろ状態が変わってくるということが日常的に行われておりまして、これが光を用いていろいろな物質を調べる一番基本になっているというふうに御理解いただければと思います。 このページは、そういうことで、もう少し御説明申し上げますと、すべての物質は原子というものから成っておりますが、その真ん中に原子核がございまして、その外側を電子が回っておりますが、内側に回る電子は非常に速く回っておりまして、原子核に強く結びつけられております。外側の電子はゆっくり回っておりまして、結びつけられ方が弱いというのが原子の構造になっております。そして物質の性質といいますのは、どういう原子がどのような結びつき方をしているか、それからその中で電子がどういうふうな役割を果たしているかということで決まってまいります。 次の四ページでございますが、ではなぜ光がこういった物質の性質に重要な役割を果たすかと申しますと、そこに書いてございますように、光が原子のところにやってまいりますといろいろな作用を行います。まず一番基本的なのは、光がやってまいりますと、原子の中にあります電子に当たりまして光が散乱されます。と同時に、場合によりましてはその光を電子が吸い取って外側の軌道に移ることになります。こういった原子が光を受け取ることを原子が励起すると申しまして、この励起した原子はやがて、そのすぐ下に書いてございますように、別の光を出すことがございます。このように、光が原子とか分子に当たりますと、原子が励起したり光を散乱したり、あるいは光のかわりに電子をけ飛ばして出したり別の光を出したりという、非常に多様な現象が起こってまいります。このことは何を意味するかと申しますと、光を使いますと、いろいろな現象が物質の中で起こり、またいろいろそれを見る手段が多くできてくるということにほかならないわけでございます。そのほか物質がございますと、通常よくやられておりますように、光を吸収したり反射したり、それからあるいは物質の表面から電子が出てまいります。あるいは光が物質の中で曲げられる、回折する、あるいは光を使っていろいろな反応が起こる、こういったいろいろな現象を光を用いまして物質の中で起こすことができるわけでございます。 そういったわけで、次の五ページに光を用います物質の研究の重要性というのを取り上げでございますが、最近光技術が特に重要であると言われる大きな理由は、二十世紀の後半になりまして、改めて科学技術の中で新しい物質、材料、そういったものの開発が重要項目に取り上げられております。また、第二番目には、情報とか電子技術、こういったものが次の世代の学問のキーテクノロジーになるであろうというふうに言われていること。それから人間を取り巻くいろいろな生命現象の解明ということが非常に大きな課題になっていること。この三つのいろいろな分野におきまして、実は光を用いる物質の研究というのが重要な役割を果たしているということが、今改めて光科学技術の高度化が必要だと言われる大きな原因になっているのだと思います。これにつきましては後でまた簡単に御説明申し上げます。 と同時に、最近光科学技術の発展が非常に可能になってまいりました重要な要素といたしまして、そこに書いてございます新しい光を出す源、光源が開発されております。きょう私が後で御説明申し上げます放射光、シンクロトロン放射光というのは、こういった意味での一つの新しい光源でございます。そのほか、黒田参考人からお話がございますレーザーも、二十世紀の後半から非常に大きな役割を果たしている新しい光源でございます。 第二番目には、そういった光源の開発とともに、非常に多種多様な測定技術が発展してきたということが新しい局面を開いているということがございます。と同時に、そういったテクノロジーを駆使いたしまして新しい物質、これは金属、半導体、高分子、それから生体活性物質といった、いろいろな意味での新しい物質を合成する、またはつくり出す方法が発展してまいりまして、そして、そういった物質をつくり出した後のいろいろなものを調べるキーテクノロジーとして光を用いることが重要になってきている、こういった状況でございます。 以上が、光がなぜ今また必要になっているのかということの簡単な御説明でございます。 次に、先ほど申し上げました新しい光源の一つとしてのシンクロトロン放射光について御説明申し上げます。 第六ページにちょっと簡単な絵がかいてございますが、まず最初に言葉の御説明を申し上げます。 シンクロトロンというものについてまず簡単に御説明いたします。 シンクロトロンは、そこに絵がかいてございますが、粒子を非常に高いエネルギーにまで加速する加速器でございます。シンクロトロンには、陽子を加速します陽子シンクロトロンと電子を加速いたします電子シンクロトロンがございますが、放射光の光源として使われておりますのは電子を加速いたしますシンクロトロンでございますので、一応電子についてそこに並べてございますが、磁石をここに書いてございますようにドーナツ状あるいはリング状に並べまして、その中を真空のパイプでつなぎまして、そこを、一定の半径の軌道の上を電子を走らせながら徐々に加速していくことがシンクロトロンでございます。この場合、その絵の電子の子のところの上に白い箱がございますが、ここが高周波で加速する部分になってございまして、これで徐々にエネルギーを上げながらぐるぐる回していく。その場合に軌道を一定に保つために磁石の強さを強くしていくのがシンクロトロンでございます。 それに対しまして、最近は、ほとんど形はシンクロトロンと同じですが、エネルギーを上げないで、ただそこにため込む電子の数を多くする蓄積リングというのがつくられるようになりました。それが、二番目に御説明しておりますが、形は上のシンクロトロンと全く同じでございますが、ただエネルギーをだんだん高くしていくのではなくて、いつもエネルギーを一定にしながら中にため込む電子の数をふやしていくものを蓄積リングと申します。 放射光というのはでは何かと申しますと、その下に絵がかいてございますが、電子をこういうふうに磁石の中でぐるぐる回しておりますと、やがてエネルギーを失っていくことが重要な問題になっております。その理由は、下に書いてございますように、電子が磁石の中を通りますと、実は進行方向に直角の方向に力を受けます。先ほど一番初めの絵でお示しいたしましたが、電気を持ったものが力を受けますと、実は電磁波が発生いたします。その電磁波は、その走っております電子がほとんど光の速さと同じ場合には、実は進行方向に向かった非常に細い光線になって出てまいります。六ページの下の左側の絵でございますが、角度の広がりが大体千分の一度ぐらいの非常に細い帯状のところに強い光が発生してまいります。電子が力を受けて向きを変えますと、この光の帯はちょうどサーチライトのようにずうっと矢印の方向に移ってまいります。こういうふうに出るのを放射光と呼んでおります。実際には右側の絵のように回っておりますのが電子の集団でございますので、その電子の集団がたくさんの非常に強い光を進行の接線方向に出すというのがシンクロトロン放射光でございます。 第七ページにその放射光の特徴について列挙してございます。一番の特徴は、非常に広い範囲、第二ページで電磁波の分類を申し上げましたが、あそこのほぼ全領域の波長領域にわたって非常に強い光が出てまいります。しかもその明るさが、例えば普通のランプ、エックス線の光源その他に比べましても、けた違いに強いということであります。それから、前のページで御説明いたしましたように、電磁波の出ていく方向が非常に狭い方向に限られておりまして、指向性が非常によろしいということでございます。そのほか、偏光、これはちょっと専門的でございますが、電気的または磁気的な力を及ぼす面が一定の方向を向いているということでございますが、偏光であるということ。それから、前のページで御説明いたしましたように、電子の塊が磁石の中を通過するときだけ光を出すことができまして、そのために非常に短い時間の光ができる、それが何遍も繰り返していくという特徴もございます。それから、明るさとか波長分布が非常に正確に計算できておりますので、これを使いますとほかの光の強さの絶対構成ができるというような利点もございます。 それで、七ページの下にはその様子を書いてございますが、横軸には波長をオングストローム単位でとってございます。最近はオングストロームという単位は使わないようになりまして、三けたずつ区切ってまいりまして、ミリメートルの三けた下がミクロン、その三けた下がナノメーターと申しますが、ちょうどオングストロームに直しますと十オングストロームのところが一ナノメーターに相当いたします。ここに代表的な放射光の発生装置から出てまいります光の強さを挙げてございますが、最近、民間会社ないしはその他のところで小型の放射光施設の開発が進められておりますが、それの典型的なものが十億電子ボルトの小型放射光施設でございます。それから発生いたします光は大体十オングストロームぐらいのところが一番強くて、強さもその左側に書いてあるようなものでございます。明るさは左側に10の12乗、10の14乗というふうに書いてございます。これはただ目安と考えていただければよろしいかと思いますが、一日盛り上がるごとに強さが十倍になっております。現在日本にございます最もすぐれた放射光の施設でございます高エネルギー物理学研究所の放射光施設、通常フォトンファクトリーと呼ばれておりますものが二十五億電子ボルトのものでございまして、そこに二・五GeVと書いてあるのがそれでございます。一応一オングストローム程度までの光を非常に強く出すことができます。それに対しまして、最近さらに波長の短い方で明るさの強い放射光源が必要だということで検討が進められておりますのが、六十億電子ボルトの放射光施設でございますが、「六GeV SOR」と書いてあるのがこれに相当いたします。さらにそれに新しい挿入光源を使いますと、それに「+ウイグラー」と書いたものになっているわけでありますが、大体光の強さが高エネルギー物理学研究所のものの百倍から一万倍近くになることがおわかりいただけるかと思います。それにアンジュレーターという特殊な装置を使いますと、さらに二けたぐらい光を強くすることができるわけでございます。 このようなより波長の短い方に、より強い光が欲しいという要求が最近いろいろな分野から強く出ておりますけれども、それの一つの理由といたしまして、第八ページに、どのような使われ方がなされているかということで、簡単に御説明申し上げます。ここに書いてございますのは放射光の利用ということでございますけれども、波長の短い光がいろいろな分野でどういうふうに使われているかということの御説明というふうに考えていただければよろしいかと思います。先ほど申し上げました幾つかの主要な分野においてどのように使われているかというのを分類してここに挙げさしていただいております。 まず第一番目に、新しい物質とか新しい材料の開発の上でこういった光がいかに大事かという点を五点ばかり列挙してございますが、一つは、物質がどういうふうにできているのかということを調べることができるわけです。特に、先ほど申し上げましたような放射光が非常に明るくて非常に小さなスポットになって出てくるという点を利用いたしますと、実は非常に小さな材料、通常一ミリ以下、場合によってはミクロン単位の材料までとか、気体の試料のような非常に微小、微量の試料を使った構造解析ができるようになってきているということ。それから、超高圧、超高温、超強磁場あるいは超低温といった極端条件のもとでのいろいろな物質の性質を調べることが可能になっているということが重要でございます。それからもう一つは、光の強さが非常に強くて、しかも先ほど申し上げましたようにパルス、ある時間だけぱっと出てくるという性質を使いますと、時間を分けていろいろな現象がどういうふうに進んでいくかということを調べることができる。その一つの例といたしましては、例えば地球の中での鉱物の結晶がどういうふうに成長してくるかというのを超高圧、超高温の中で調べていくことができるわけでございます。それから、化学反応がいろいろ起こっていくときに途中の中間段階でどういうものができていくのかというようなことも調べることができるわけでございます。それからもう一つ重要なテクニックといたしまして、ある物質の中で特定の原子の構造がどうなっているかということを調べられるわけでございます。例えば最近では、血液の中のヘモグロビンというのは酸素を運びまして炭酸ガスを肺に戻すという重要な役割を果たしておりますが、その中にあります鉄の原子が非常に重要な役割を果たしておりますが、その周りがどうなっているのかというような、特に鉄の周りだけというようなことに中心を置いて見る場合には、この放射光というのは非常に有効な働きをいたすのでございます。 まあ同じようなことで、長くなりますので簡単にさせていただきますが、そのほか表面——最近、触媒だとかいろいろな機能を持った膜をつくっていくという場合のその膜とか、触媒の表面でどういう役割が果たされているのか、それから、二種類の違った性質の半導体を合わせた界面でどういったことが起こっているのか、そういったことも調べられますし、それから、十億分の一から一兆分の一程度の微量の成分の分析が可能になってまいります。十億分の一の微量の成分の分析と申しますと、ちょうど中国の全人口の中に一つだけ異分子がいるのを探し出すぐらいの精度のいい分析手段でございまして、これが今後放射光を使った非常に強力な分析手段となるのではないかと期待されているわけでございます。それから、最近は新しくいろいろな光を使いまして光化学反応を行う、それの一つの手段としても使われているわけでございます。 そのほか、例えば半導体の材料をつくりますときにどうしても途中で、きれいに並んでいるものの中に異端者が出てまいりましてそこに傷が出てまいりますが、そういった傷が実際にどのようにできているかというのを新しいテクニックで見ることができる。そういったいろいろな技術が進んでおります。 そのほか、情報・電子の基本素子の開発としては、そこに書いてございますような光を使ったいろいろな素材の開発、加工の技術が期待されております。 第九ページには、生命科学の分野でも非常に大きな期待があるということを列挙してございますが、一番大きいのはたんぱく質。これまで私たちがその構造をなかなか知ることができませんでしたたんぱく質の構造、特に巨大なたんぱく質の構造がだんだんわかるようになってきております。これは実は新しい酵素、いろいろな機能を持った酵素をつくり出す役割とかいうことも重要になっておりまして、最近たんぱく質工学というような分野で急に発展していこうとしておりますが、そのたんぱく質のいろいろな性質を調べるのになくてはならない役割を果たしております。それからもう一つ重要なことなんですが、筋肉の動きをエックス線で調べる、それの新しい方法が放射光を使って開発されておりまして、これが今後、筋肉にかかわるいろいろな病気の解明その他にも役に立つのではないかと期待されているわけでございます。 それからもう一つ、最近アメリカあたりで注目されておりますのが、三番目に書いてございます冠状動脈造影撮影法ということでございます。冠状動脈にヨードを流し込みまして、ヨードに吸収されやすいエックス線で写真を撮りまして、その後ですぐヨードに吸収されないようなエックス線で二枚写真を撮る、その差し引きをやりますと血管の部分だけがきれいに浮き出てくるというテクニックでございまして、これが外国では新しい循環器の診断になるのではないかと注目されているわけでございます。 そのほか、微量物質の分析等で重要な役割を果たしてございますし、最近はそのほかに自由電子レーザーの開発に使われるとか、エックス線顕微鏡を開発していろいろな分野に応用しようというようなことも考えられております。 こういったいろいろな分野に使われることが、実は一番初めに申し上げました、光科学技術の高度化の重要なキーテクノロジーに放射光がなっていることの大きな理由でございます。 次に、こういった放射光の利用を行う場合の技術的な開発課題につきまして、若干御説明申し上げます。 これはお手元に一枚別の資料として差し上げてございますが、これは高エネルギー物理学研究所の安藤、千川両教授がおまとめになりました高エネルギー研のレポートに出ております最近の統計でございまして、高エネルギー研のフォトンファクトリーのエックス線の領域の利用者がどのようにふえているかという年次の経緯でございます。大体縦軸を対数にとりまして直線でふえておりますので、これはある意味で何年かたちますと倍になる、倍々ゲームのようなふえ方になって、非常に需要が多くなっているということを示しております。 こういったわけで特に短波長領域、十ページに戻らしていただきますけれども、エックス線領域の需要がふえている。それからエックス線領域でさらに新しい仕事がどんどん開かれているということで、エックス線領域の非常に強いすぐれた光源をつくろうというのが一つの技術開発の重要な課題になっております。特に重金属に一番敏感なエックス線を出す波長領域が必要だということでございますが、この重金属というのは、最近の高温超電導の問題等もございますし、今後材料開発のかぎになります重要な金属でございますが、こういった金属に非常に敏感なエックス線を出すような領域、具体的に申しますと、〇・一から数十オングストロームが主となるような短波長領域が必要だということになります。 それから二番目に、さらに明るくしたいということであります。これは先ほど申し上げましたように現在は一ミリぐらい、筋肉なんかの撮影に数時間とか数十分とかかかっておりますが、明るくなりますとこれがもっと小さな試料で済む、さらにもっと短い時間で済むということが可能になりますので、明るさを上げたいということでございます。 それから、光というのは光源がじっとしているということが重要でございまして、そのためには光の位置、電子が走っております位置が一ミクロン程度以下の精度で安定にならなければいけない。これも非常に重要な技術でございます。こういった非常に高性能の光源をつくる技術の開発が必要になっておりますが、一方、後でお話があると思いますが、工業利用その他のためには、今度はハンディで簡便に扱える、こういった光源も必要になってまいります。四番目にそういった部分の開発が必要とされているわけでございます。 その次に、シンクロトロンだけではなく、先ほど申しましたアンジュレーターとかウイグラーとか、そういった新しい光源を入れてそこから特定の光だけを出す、この技術の開発も急がれているわけで、既に高エネルギー物理学研究所のフォトンファクトリーでは数台のアンジュレーター、ウイグラーが開発されて挿入されておりますが、こういったものを自由に駆使する技術というのが今後必要になってまいります。 そのほか、こういった短波長で非常に明るさの強い光源が出てまいりますと、それを使った光学素子、検出システムというものの開発が重要な課題になってまいります。 以上七点が今後緊急に行わなければいけない技術開発課題であろうというふうに考えております。 次に、時間がございませんので進めさしていただきますが、十一ページにこういった放射光の歴史を簡単に書いてございます。 放射光がわかりましたのは、先ほど申しましたように高エネルギーの加速器ができてからでございますが、高エネルギー加速器で七千万電子ボルトの電子シンクロトロンでアメリカで初めて観測されましたのが一九四六年、昭和二十一年から二十二年でございます。それの理論的な予測をアメリカのシュイシガーという方がやりましたのが一九四六年でございます。このシンクロトロン放射光の重要性を日本の科学者は非常に早くから注目いたしておりまして、一九六〇年代には高エネルギー加速器を、日本の場合ですと東京大学原子核研究所に電子シンクロトロン、これは十二億電子ボルトの電子シンクロトロンがございますが、これを使いまして放射光の実験を始めております。これが一九六五年、昭和四十年にやっておりますが、これは世界でも最も早い時期にやっております。その時代から後になりまして欧米では、高エネルギー研究用のいろいろな蓄積リングがたくさん出てまいりまして、これを使った放射光の研究が非常に盛んになっております。これはすべて実は高エネルギー実験用につくられました加速器をときどき使わしてもらうという寄生的な利用をやっているわけです。 その後、こういったものの重要性に着目しまして、それの専用の光源リングをつくろうというのが起こりまして、日本ではやはり東京大学の原子核研究所に三億電子ボルトのものがつくられました。これも世界では最も早い部類に入っております。この後、アメリカ、フランス等でもほとんど同時期にこういったものがつくられております。 一九八〇年代に入りますと、中型と呼んでよろしいのか大型と呼んでよろしいのか若干問題があるのですが、日本では、高エネルギー物理学研究所のフォトンファクトリーが二十五億電子ボルトの専用リングをつくりまして、これが先ほどの千川先生の統計でもおわかりいただけますように、非常に多くのユーザーを集めております。一方、アメリカでもブルックヘブンで二十五億電子ボルトの専用リングが建設されておりますし、イギリスでもダルスベリーで二十億電子ボルトのものができております。それから比較的小型でございますが、西ドイツではベルリンのBESSYというところでつくっておりますし、そのほか小型のものにつきましては、日本でも通産省の電総研にありますものと、それから文部省の岡崎研究機構の分子科学研究所にも小さいのがございます。こういった中型、小型の専用リングが使われるようになってまいりました。先ほど申し上げましたような技術の発展方向を踏まえまして、一九九〇年代には大型で高性能の光源リングが必要になろうということで、アメリカでは七十億電子ボルト、ヨーロッパでは六十億電子ボルトの計画が既にスタートしておりまして、昭和六十八年ないし昭和六十九年に完成予定ということになっております。 そこに、明るさとか、それからどういうふうに必要になりどういうふうに装置が改良されてきたかというのを、これも高エネルギー物理学研究所の小早川、安藤、神谷、北村、松下、中原の諸先生方のレポートから引用させていただいておりますが、高エネルギー物理学研究所も、先ほど私が何ページかに挙げましたものにいろいろな工夫を凝らしまして、明るさをどんどん上げてまいっております。既にフォトンファクトリーBM(ロー・イプシロン)と書いてあるところまで現実に来ておりまして、それからさらにマルチプルウイグラーというのがつくられております。こういったことで進んでおりますが、ヨーロッパで考えられております六十億電子ボルト、ESRFというのがその右側の方の楕円になっておりますし、その外側にあります八十億電子ボルトのニューリングというのは、例えばそういったものができますとそのくらいのところに来るという予測のカーブがそこに挙げてございます。これは一オングストロームの辺の放射光の明るさを指しております。 その次のページには、現在の日本ないし外国の主なSORの施設がございますが、一番下に先ほど申し上げましたアメリカの放射光施設、アルゴンヌの国立研究所につくることになっておりますが、それが七十億電子ボルト。完成予定の一九九〇年というのは先ほど申しましたように九三年ぐらいになっております。それからヨーロッパの連合でつくりますものがグルノーブルに既に建設作業が始まっております。 以上が放射光の現状でございますが、最後に、私の方から、光科学技術、特に放射光を中心としたものを進めるに当たりましてこういったことが必要ではないかと思っておりますことを、思いつくままに列記させていただいたのが十三ページでございます。 一番大事なことは、こういった光科学技術を進めるに当たっての基盤施設を整備することでございまして、しかも、世界の最先端を行くような施設の整備が必要でございます。こういったものは今後国でおつくりになるわけでございますが、こういったものの需要が、大学あるいは国立研究所だけではございませんで、だんだん産業界その他にも広がっておりますので、こういったものをつくります上では、産業界や国公立研、あるいは大学といったもの、あるいは省庁の枠を超えた新しい運営形態とか研究協力ができるような組織が必要なんではないかというふうに考えております。それから共同利用。こういったものを使うに当たりまして、我が国の科学技術はともすると施設をつくるというところには比較的予算がついてまいりますが、それを使う上では人員、予算とも窮屈になってくるというのが現状でございまして、新しい最先端の装置というのはできてからさらに磨きをかけるということが重要でございますので、そういった施設の整備ということも大事ではないかというふうに考えてございます。 それに関連いたしまして、実は三番目に挙げておりますが、こういったものをつくりましたときに、これは今や日本にとっては、アジアとか世界のいろいろな国々にも多く開放された施設であるということが重要なことになっているのではないかというふうに考えております。事実、こういった計画が発表されますと、アジア各国ないしは世界の各国から、できたら使わせてほしいという声が出てまいります。それと同時に、そういった類似の研究機関が外国にもございますので、そういったものとのギブ・アンド・テークがはっきりとできるような国際研究所間の非常に充実した協力体制、私は、ここにネットワークと書いてございますが、そういったものをつくり上げることが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。 次に、こういった装置ができましたときに大事になりますのが、それを使います研究者、技術者の養成でございます。私は現在理化学研究所におりますが、こういった国立ないしは準国立の施設で非常にすぐれた第一級の研究施設ができてまいりますので、そういったところでも今後大学院教育あるいは社会人教育ができるようなフレキシブルな体制をとるのが必要ではないかというふうに思っております。それと同時に、いろいろな研究者のリフレッシュをするという意味で、電池で申しますとときどき充電するというような意味で、ある一定期間研究者をデューティーから解放してこういった最先端のところで十分研究に没頭できるというような制度、ここではアメリカの大学の制度の名前をとりましてサバティカル制度と書いてございますが、実情はそういったある一定期間デューティーから離れて最先端の研究をやる充電期間を取り入れるということもいろいろなところで必要なんじゃないかというふうに考えております。それから、いろいろなところでよく叫ばれておりますが、最近いろいろなところの研究所の平均年齢が毎年上がっていくというようなこともございますので、もう少し若い人たちが入ってこれるようなフレキシブルな運営体制が必要なんではないかというふうに考えております。 以上、簡単でございますが、私の話を終わることにいたします。
○原田委員長 どうもありがとうございました。 次に、黒田参考人にお願いいたします。
○黒田参考人 東京大学物性研究所の黒田でございます。 私は、ここでSORと並んで今後の発展が期待されておりますレーザーについて意見を述べさせていただきます。まず最初に、簡単にレーザーの原理と現状を御説明させていただきまして、その次に、私たちが現在急務と考えておりますレーザーの短波長化、高輝度化及びその性能の高度化、そういうことを中心にお話しさせていただきたいと思います。 お配りしたブリーフがございますけれども、最初の一ページに書いてございますレーザーという意味は、皆様御存じのようにライト・アンプリフィケーション・バイ・スティミュレーテッド・エミッション・オブ・ラジエーション、誘導輻射放出による光の増幅、こういう長ったらしい名前でありますけれども、もともとはレーザーの概念は全くマイクロ波から来たわけでありまして、マイクロ波の領域には、マイクロウエーブ・アンプリフィケーション・バイ・スティミュレーテッド・エミッション・オブ・ラジエーション、メーザーという概念がございまして、実はメーザー、レーザー、それから後で述べさせていただきます軟エックス線領域のレーザー、こういうものは、先ほどお話がございましたように、光の周波数領域あるいは波長領域からずっと連続的に続いているものでございまして、特にそこで断絶があるわけでございませんで、メーザー、レーザー、短波長のレーザー、そういうふうにつながってまいります。そういう意味で、コヒーレントと申しますか、光の発振器をつくろう、こういうアイデアと申すより、むしろこれはマイクロ波を始めた方たちが、より短波長、より短波長へという発想から光を考えましたように、今の私たちレーザーに携わっております者は、より短波長化、よりエックス線の方へ、短波長化、高輝度化、もっと光をという意味でありますけれども、そういうことは当然の、昔からの現実的な欲求及びその要請でございます。 それで、光の発振器と申しますと、皆様方多分、光というのはどこにでもある、大昔から使っていて光というのは珍しくないと思われるかと思います。実はここにございます蛍光灯もそうでございますし、あるいはテレビもそうでございますけれども、いわゆる光の発振器、コヒーレントの発振器というものは全く存在しなかった。それが、例えば真空管ができまして、真空管を使いますと、皆様方もあるいは大昔に実験をやられたかもしれませんけれども、ぽんと信号を入れますとぽんと忠実に信号が出てくる。それで信号でラジオができてテレビができてきたわけでございますけれども、光の方はそういうことは全くできなかった。いわば光は大昔の煙と同じようなものを使っている、それは逆に、太陽がもともとあったために自然に使ってなれてしまったという面もあるかもしれないのですけれども、いわば位相の相関が全くない、エレクトロニクスからいくとノイズ、雑音であるという光を使って皆満足してきた、そういうことであります。ですから、そこには単なる強度の情報、何となく強さがこの程度という情報は使えますけれども、それがどういうコヒーレンス、コヒーレンスと言うとわかりにくいのですけれども、例えば海の波を考えていただけばいいのですが、どういうゆったりした波で大波が寄せてくる、波の谷の上と下とか、そういう情報が全く使われておりません。そういう意味で光は実に寂しい思いをしてきたというわけであります。ところが現在は、電気や音に関しては、例えば超音波も発振器がございますし、電子回路でもすばらしい電子発振管があるということで、発振現象は非常にノーマルで、エレクトロニクスあるいはそれに光を使ったオプトエレクトロニクスはもはや社会の中に融け込んでおるわけであります。そういう意味で、光は長い間信号ではなくて雑音状態であったわけで、その雑音状態のままでは、いわば車のエンジンをかけますとラジオががりがりと鳴るようなものでありまして、制御することはほとんどできませんで、いわゆるエレクトロニクスにはなり得ないということであります。 一ページの下に書かしていただきましたように、そういう意味でラジオ、電子レンジ、テレビ、光通信、レーザーができましてレーザー加工、レーザーメス、レーザーレーダー、こういうものが発達してきたわけでありますけれども、そこでの欲求、ニーズは、常に周波数をふやしたい、もっと一秒間にたくさん情報をとりたい。例えばレーザーですと、半導体レーザーなどを用いますと一ギガビット通信がいとも簡単にできます。ところが、これの短波長化が進んでいきますと、それにさらに輪をかけて千ギガビット通信というものも可能になります。それから波長が短くなる、いわゆるマイクロ波からレーザーあるいは短波長レーザーになってきますと、相互作用ができると申しますか、働きかけて情報を引き出せる大きさがその光の大きさと同じぐらいになってまいります。ですから、マイクロ波ですと電子レンジの程度でございますけれども、それがレーザーになりますとサブミリ、さらには数千オングストロームのところに働きかけて、物質の根本にかかわって物質がどういう状態であるかということを探る、その辺は先ほど上坪参考人の方からお話があったわけでございますけれども、そういうことをより原子、ミクロのレベルまで使ってやりたい。さらにそこに、シンクロトロンとはちょっとまた違う性質でありますけれども、レーザーの持っているコヒーレンスを入れますとさらにそれの情報あるいはできることが飛躍的にふえる、こういうわけであります。 次の二ページに簡単に書かさせていただいておりますけれども、これは大変難しい概念ではあるのですが、レーザーの基礎になっております自然放出と誘導放出をごく簡単に漫画としてごらんいただくための絵であります。 自然放出と申しますのは、ここに書いてございますように励起原子とでも申しますか、例えば光を当てるとか電子をぶつけるということで、ある程度興奮させられたような原子をつくる、すると電子が動くわけであります。そうしますと、それは外から全然信号を入れなくても、ある一定時間あるいは確率で、しばらくたちますとぽつんと落ちてもとへ戻ってくる。これはある意味では非常に好ましくない性質でありまして、エレクトロニクスで言いますと、アンプをつけて電源を入れておくと勝手にどこかでがりがりとノイズを出している、こういうことと同じであります。これはいわゆるエレクトロニクスからいくと大変好ましからざる性質でありますけれども、実はこれは、周波数が上がるに従って、光の持っているいい点でもあって悪い点でもあるわけで、これを自然放出と申します。 それに対しまして誘導放出と申しますのは、光の場合に光の吸収のちょうど逆過程になるわけでありますけれども、外から光を入れますと、その入れた光に応じて光が吸収される、あるいは光を入れた量に応じて、逆に誘導されて、光と同じ波長で、光と同じような性質を持った光で光を出してくる。これはちょっと不思議な気がするのですけれども、ラジオのエレクトロニクスでありますとかテレビのモジュレーションは実はこれを全部使っておるわけであります。そういう意味で格別不思議な現象でもない。ただ、これをきちんと導き出すには量子力学が必要でありまして、アインシュタインのころから言われましたスポンティニアスエミッション、これは実は量子雑音という概念とつながるのでありますけれども、これが量子力学の基本概念でありまして、いわば量子論を使いますと自然放出が出てくる。それに対しまして古典論と言われております、波でかく格好でいっている限りは誘導放出しか出てこない。そういう意味でどうしても量子力学が入ってくるわけでありますけれども、一たんレーザーが発振してしまいますと後はほとんど全部古典論で済んでしまいます。そういう意味で、レーザーが発振してしまいますと、後は古典論というよりも半古典論と言われておりますけれども、従来のエレクトロニクスと全く同じ考えでよろしいわけであります。 次の三ページに、もうちょっとわかりやすい、あるいはかえってわかりにくいかもしれませんけれども、その概念が書いてございます。上と書きましたのは、今申しました原子の励起された状態、例えば光を吸ったとかあるいは電子をぶつけられて何かちょっと状態が変わったとか、そういう状態であります。基底状態と申しますのは、一番下のところに電子がいっぱい詰まっているという状態であります。それに対しまして励起状態は、何らかの形で光を当てるか電子をぶつけて一個か二個か励起した、ただし圧倒的にまだ下の方が多くて、とても励起状態の方が多いとは言えないという状態であります。ところが、これがレーザーの概念につながるわけでありますけれども、反転分布状態、これはむしろ非常に異常ではありますけれども、基底状態の数よりも励起状態の数の方が多いというわけであります。ですから、例えば水力発電を考えていただけばいいのですけれども、電気を使うかあるいは水をバケツでくみ上げるかしまして、上の方のダムの高いところに水を上げた状態である。上げるためには何らかの形で、電気があるいは人力でもってバケツで運ばなくちゃいかぬ、こういうことであります。上がった状態というのはそう簡単にできませんで、これを負温度状態と呼んでおります。負温度というのはおかしいのですけれども、これは正常な温度ではそうはならないという意味で異常な温度。温度を仮定するとすればそういう逆転したような状態になるという意味であります。 いずれにしましても、こういう状態を一たんつくりますと、先ほど申しましたように、ちょうど相当する光が入りますと、上に行ったり下に行ったりする確率あるいはプロセスはその数によりますので、この場合には吸収よりも上から出てくる光の方が多くなる、これを誘導放出と言っております。そういう意味で、レーザーのポイントはどうやって上準位をつくるかということと、上準位の寿命と申しますけれども、その時間、例えば何秒ぐらい、あるいは何億分の一秒ぐらいそこにとまっていてくれるかということをしっかり規定してやりたい、そのためにはどういう物質を選べばいいか、あるいはどういう環境に置けばよろしいか、あるいはどういう光を入れればいいかということを議論してまいるわけてあります。それで一番大事なポイントは、下から上に行ったり上から下に行ったり、光になりやすさ、そういう概念でありますけれども、これをちょっと難しい言葉ですけれども誘導放出断面積と言っております。これは、光を吸って下から上に持ち上げられたり、また上から下に落ちてきたりするしやすさということであります。これは物質によって決まります。ですからレーザー開発の第一のポイントは、どういう物質を選んで、どういう波長に対してどういう仕掛けをするか、そういう意味でいわゆる物性、物の性質というものが大変にきいてまいります。 ところが、これがまた、後でちょっとお話ししたいと思うのですけれども、非常にややこしい点でありまして、例えばシンクロトロンあるいはコンピューターですと、設計がきっちりできて、これをこうすればこういいという非常なシステムをかけるわけでありますけれども、レーザーの場合には非常に多様性がありまして、この波長に対してはこれがいいということで、いわば特注の大変高度なものをつくるという面が常につきまとうわけでありまして、これが一つレーザーにとっていろいろ複雑な面を生んでおります。いずれにしましても、この上と下との大きさを大きくすることによってミリ波からマイクロ波、赤外、可視光、紫外、軟エックス線、さらにはガンマ線というぐあいに電磁波が定義できるわけであります。 次の四ページに参りまして、では増幅はどうやって起きるかということをちょっと書かせていただきましたので、ごらんいただきたいと思います。 ここでは、外から反転分布を起こしたところに小さい信号を入れますと、これはエクスポネンシャルで、センチ当たりのg倍になるとしますと、lセンチいきますとエクスポネンシャルで増幅します。ところが大入力を入れますと、これはエクスポネンシャルで増幅していたものが、結局そこに入っている原子の数が幾ら多くなってもn個は超えられませんので、最終的にはちょうど長さに比例するような形になってしまう、こういう増幅の過程をとります。ですから、レーザーの出力が非常に小さいときとレーザーの出力が大きいときでは、増幅過程にしろ設計にしろ、皆違ってくる。これがレーザーの大出力化、高輝度化に伴う一つの難しい点であります。いずれにしましても、レーザーを大出力化し高輝度化し、あるいは波長可変、短波長化にしようとしますと、どういう新レーザー材料、例えば固体でありますとかガスでありますとかプラズマでありますとか、そういうものを選んでまいりまして、それのエネルギーレベルがどうなっているか、量子力学に絡んだような分光学をやりまして、それの特性を決めてそれから設計にかかるという、非常に複雑な過程が入るわけであります。 次の五ページに、それの概念と申しますか、どんなことかという漫画をかいておりますけれども、これがシンクロトロンとは違いまして、レーザーの場合には——バウンドエレクトロンと言っておりますけれども、原子核の周りを電子がいっぱいくるくる回っております。これが普通の物質であります。卑近な例で、その辺にあります金でもそうですし、あるいはシリコン、どんな物質でもこういうふうになっております。それで一番外側のところ、最外殻と呼んでおりますけれども、電子は中から順番に、パウリの原理と言っておりますけれども、スピンの法則を満たしながらきっちり詰まってまいります。そしてそれを光かあるいは電子でもってたたき上げる。それがたまたまたたき上げたり励起されるところが一番外側でありますと、これはエネルギーレベルの関係で外に行けば行くほど電子軌道と申しますか、輪と輪の間隔が狭くなっておりますので、たまたま出てくる光が可視光あるいは赤外のところに来る、こういうことになります。ところがそれがちょっと中ぐらいになりますと、例えば真ん中ぐらいのところから最外殻に電子が励起されて、それがまた落ち込むとしますと、たまたま真空紫外から軟エックス線、そういう光が出てまいります。それが今度は逆に、一番インナーシェル、内殻と呼んでおりますけれども、内殼の電子がたたき出されまして、そこに外から電子が落ち込みますとエックス線が出てまいります。実はこのプロセスが医学で用いているエックス線、レントゲン線でございます。そうして、物質の中に例えば電子ビームをぶっつけまして内殻を励起してそこにエックス線を通す、こういう過程でもってエックス線を出すことができます。 いずれにしましても、光を当てるあるいは電子をぶっつける、こういう過程でもって今述べましたように反転分布、すなわち下側にいる数よりも上の方にいる数が多い、こういう状態が無事うまくつくれたとしますと、これをつくるためにはかなりの短い時間あるいは大きな出力を瞬間的に入れる、こういう努力からあるいは特殊な磁場をかけるとか、そういうことをやってコントロールするわけでありますけれども、無事外側にいる反転分布した状態がつくれますと、これで反転分布したレーザー媒質ができる、そういうことになります。 それで、こういう場合に、例えば軟エックス線の方まで持っていこうとしますと、後で述べますように多価イオンのプラズマというものを使えるようになるわけでありまして、これの配置は、例えば水素やヘリウムなんかと全く同じ配置をしている。ただし原子番号が少し大きくなってZナンバーがふえてくる、ただし電子配置は水素やヘリウムと全く同じ、こういう状態をつくります。 今までのは一般論でございますけれども、次の六ページに書いてございますものが初期のころのルビーレーザーの絵をかいてあるわけでありまして、これのエネルギーレベルは何で決まるかと申しますと、これは現実にはクロムの周りにどんなふうに酸素がいるかというようなことで、電子と格子の相互作用と呼んでおりますけれども、こういう結晶の中の電磁場、結晶の中の電子配置というようなことで、これが固体レーザーの基礎になっておりまして結晶場と呼んでおります。それがたまたま、全然関係ないと思っておりました最近の超電導のようなものでは、こういう概念が大変生きてまいってきているようで、大変それは一つのおもしろいと思っている例であります。 次の七ページにその実例が書いてございます。これはレーザーと申しますと実は非常に概念は簡単でございまして、一番上に書いてございますけれども、そういうレーザー媒質、例えばルビーでありますとか、宝石は何でもよろしいわけでありますけれども、そういうものを集光器の中に入れて励起用ランプを光らせる。一番簡単にはカメラのストロボを考えていただければよろしいのでありますけれども、カメラのストロボをぴかっと光らせまして、そのストロボの集光するようなところにルビーとかそういう固体を置いておきますと、先ほど申しました光励起を増幅して反転分布が起きる。そのところに両側に鏡を立てておきますと、鏡の中を光が何回も往復するわけであります。そうしますと、一回行くたびに反転分布を生じておりますと、数倍に増幅される。反転分布が起きてなければただ吸収されるだけ。ところが、何回も何回も行っておりますと、ちょうど鏡と鏡の間を平行に行ったものだけがうまく増幅されて横に行ったやつは何回か反射したときには抜けてこない、戻ってこない、こういうことでありますから、いわばそこを無限回に近く行きますと、そのたびに光がセレクションにかけられて非常に性質のいい光だけが生き残って、しかもそれが増幅される、そういうわけでエネルギーが一つのものに凝縮していくわけであります。これを一種の光のボース凝縮状態と呼んでおりますけれども、いずれにしましても、こうやってレーザー発振させることができるわけであります。そうして、例えばレーザーの特色の一つに超短パルスを出せるとか非常に変調をかけ得るという特色がございますけれども、その場合に、中にいろいろな光学素子を挿入しまして、それで電気的なモジュレーションをかけてレーザーをコントロールする、こういう方法をとっております。 八ページにレーザーの特徴を書いてございますのでごらんになっていただきたいと思うのであります。レーザーの特徴は、今もちょっとお話ししましたけれども、コヒーレンスがある。いわゆる光発振器である。そういう意味で非常に新しい光である。それから位相やモードの確定ができる。それから、これは大変言われているわけでありますけれども、スペクトルが著しく狭くし得る。単色光である。極めて高輝度である。大出力で明るい。それから超短パルスと申しますか、地球を一秒間に七回り半回るわけでありますけれども、それがコンマ三ミリ進む時間、一ピコ秒、10のマイナス12乗秒あるいはもっと短い三十ミクロン進む時間、その時間になりますとすべての物は凍って見えるようになるわけで、ちょうど物質の極限状態になるわけで、物質の根本が見える、そういう時間になるわけでありますけれども、そういうものも発生することができる。それから大出力で波長程度まで集光することもできる。そのために非接触で超微細加工もできる。それから指向性が強い。指向性が強いために、例えば月との距離がはかれて、月にミラーを置いておきまして、地球から光を発しまして、それで返ってくる時間をはかって月との距離が三十センチオーダーでわかる、こういうことがございまして、これによって天文学は大変な進歩を遂げたわけであります。 それからレーザーの特色としまして、超小型化も可能である。光集積回路というものも話題に上っております。それから、光周波数が確定するために量子レベルを使って時商標準にすることもできる。それから今度は逆に波長可変も、この波長可変というところが実はレーザーにとって長らく苦手であったわけでありますけれども、最近は逆に波長可変も非常に得意である、そういうレーザーも出てまいりまして、レーザーも波長可変はかなり可能な状況になってきました。ただ、そうは申しましてもすべてを兼ね備えることはなかなか難しく、その一つに、電気と光の交換効率が決してよくない。例えば半導体レーザーだけは別格で数十%、電気の半分くらい光になりますけれども、ほかのレーザーではなかなかそうはいかない。そういう意味で、それはやはり光のコストが高くつくということであります。 そういう意味で、レーザーの応用に関しましては、やはりレーザーでしかできないことをやる、普通の光で間に合うことは普通の光でやった方がよほどいいのでありまして、レーザーでしかできないことをやる、そういうときに最高性能を発生するということになると思います。 次のページにございますのは、これはただごらんになっていただければよろしいのでありますけれども、これは、先ほど固体内のルビーの話をしたわけでありますけれども、それからすぐにエネルギーレベル、これが希土類と申しますイオンでございまして、最近超電導の絡みで希土類は大変有名になっておりますが、実はこの希土類のスペクトル、こういうものはレーザーの発展の段階ではもう既に二十年以上前から詳細に調べられておりまして、これはディーケという人が調べたわけでありますけれども、こういうスペクトルを全部丹念に調べる、こういうことを通して固体内のエネルギーレベルを全部決めていく、こういう研究を通してレーザーの設計をやってまいるわけであります。 それで、例えば固体レーザーを今例にとっておりますけれども、どんなことが今話題になっておるかと申しますと、一つは、固体レーザーにしろ気体レーザーにしろ、波長域を拡大したい、可変化したい、こういうことで、十一ページに記載してございますけれども、例えば真ん中にクロムが入っているものはルビーだけではありませんで、似たような物質が二、三十種類開発されておりまして、ちょっとずつガリウムが入ったりスカンジウムが入ったり、その辺が大変超電導と似ておりましてあれなんですけれども、もともとレーザーの方ではその辺のスカンジウムを入れたりガドリニウムを入れたりガリウムを入れたりして、いわゆる先ほど申しました結晶の中の電場をコントロールするということを、これは結晶場と申しておりますけれども、エネルギーレベルに全部きいてまいりますので、これをやることによってレーザーの波長をコントロールして、レーザーの諸性質をコントロールしてまいったわけであります。 十二ページに書いてございますのは、じゃこういうことをして、今現在固体レーザーの例をお話ししておりますけれども、固体レーザーあるいは気体レーザーにしろ高効率化するときにどんなことをやられているかということであります。いろいろ地道な努力がありますが、根本的なことは発想の転換でありまして、例えば半導体レーザー励起という、半導体レーザーで固体レーザーをポンピングしたらどうなるだろう、そういう概念でございます。これは実は半導体レーザーは大変すばらしいレーザーでありますけれども、一つは大出力化とかモードの問題とか、やはり問題は残るわけであります。それとレーザーのいいところを結びつけてやれば実は数十%の効率の固体レーザーもできる、このようなこともございます。それから、スラブレーザーと申しておりますけれども、非常に薄板を使ったレーザーで、薄膜を使いまして熱の除去を図る、こういうことをやりまして、現在固体レーザーに関しましても波長可変化、高出力化あるいは場合によっては、今までいろいろなレーザーがたくさんあって、ある意味での始末に困っていたわけでありますけれども、それを一つや二つかのレーザーでもって波長可変と紫外まで含めての波長変換をなし遂げていこう、こういう新しい概念の研究も進みつつあります。 次の十四ページには、今紫外のレーザーとして話題になっている、エキシマレーザーの簡単な説明が、絵が出ております。これは固体レーザーと違いまして、ガスレーザーの場合には気体でございまして励起が光ではなかなかできません。放電でやることになります。それで上のところに書いてございますのはエキシマレーザー、エキシマと申しますのはエキサイテッドダイプレックス、エキサイテッドダイマー、そういうのの略でございまして、ふだんの状態ではくっつかないようなキセノンとキセノン、ふだんの状態ではくっつかないクリプトンとフルオライド、そういうものが、電気を放電して励起状態に上げているときに微妙に静電状態が変わりまして、ファン・デル・ワールス力と言っておりますけれどもくっついて、帯電しまして、それで励起状態をつくる、こういうフォーメーションになります。こういうものを用いますと、たまたまこれの遷移が紫外から真空紫外に参ります。それで現在非常に紫外から真空紫外が欲しい。例えば光CVDでありますとかあるいは生物の研究とか、そういうことに紫外の光が欲しいのでありますけれども、レーザーではなかなか困難であったわけであります。それがこういうものを使いますと、紫外が非常に簡単に出るということで、現在開発のピッチが上がっておりますけれども、いわゆるガスレーザーを使っておる関係上、なかなか寿命の問題でありますとか大出力化の問題とか、そういう点でいま一つ今後の開発が要請されているテーマであります。 それで十五ページに参りまして、下の図をごらんになっていただきたいのでありますけれども、これはそうやって短波長化の努力が随分進んできたわけでありますけれども、じゃどこまでできたかということを一年前までを含めて書いてあるわけであります。この絵で見ますと、波長が二百ナノメーター、これを二千オングストロームぐらいと言っておりますけれども、この近辺がいわゆる可視から紫外であります。これに関しては固体レーザーの非線形効果やあるいはエキシマレーザーによりましてかなりカバーできるようになったわけであります。ただし、この辺には光CVDあるいはマテリアルプロセシングあるいは基礎科学の面で随分強い光が欲しいのでありますけれども、それより短波長になりますと、なかなかいい光が出なかった。この辺は、そういう意味でシンクロトロンの大変にすばらしい成果を挙げた領域であるわけですけれども、現在はレーザーでもそれが出るようになって、むしろシンクロトロンではできないコヒーレンスの絡んだような光が出るようになった、そういうことであります。 それで現在は、ここに書いてございますように一番最短波長が、この表では二十ナノメーター、約二百オングストロームになっておりますけれども、アメリカの最近の研究ではこれが約百オングストローム、この絵で言いますと十ナノメーター、さらには八十オングストローム、八ナノメーター、六ナノメーターということで表をはみ出してしまいまして、ここ半年のうちに十から左の方に来てしまいました。短波長の極限としましては六ナノメーター近辺まで来ているということでありまして、いわゆるレーザー発振している領域が軟エックス線の方まで参りました。これが今後の開発の一つの大きなテーマであろうと私たちは考えております。 その次の十六ページに参りまして、現在までのレーザー技術について簡単にまとめさせていただきます。 現在までのレーザー技術では、ここに書いてございますように新固体レーザー、色中心レーザー、色素レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、自由電子レーザー、プラズマ再結合レーザーというものがございます。これが現在開発が急務であるわけでありますけれども、それぞれ開発の要素的技術の展開は随分されているわけでありますけれども、なかなか一つのレーザーでもって全部を網羅するというところまでは参っておりません。例えば新固体レーザーですと、先ほど述べましたようにブレークスルーはやはり半導体レーザーとのカップリングによってエフィシェンシーをうんと上げるということと、それからさらに軟エックス線のポンピングができるように性能を上げていくということがテーマでございましょうし、波長可変化の問題も残ってまいります。それから半導体レーザーに関しましても、半導体レーザーではやはり不満足な、よりレーザーらしさ、よりコヒーレンス、そういうものをどうするか、さらに二次元のアレー化によってコストをどう下げていくかとか結晶成長技術をどうやっていくかとか、いろいろな大きなテーマが残っております。それから特に気体レーザーに関しましても、エキシマレーザーは紫外レーザーとしていいレーザーでございますので、これをもっともっと伸ばしていって、紫外の汎用レーザーにして特殊な目的にも使えるようにしたい、こういう要求もございます。 それから先ほどのシンクロトロンでお話がございました自由電子レーザーでございますけれども、これはどういうものか、もうちょっとお話しさせていただきますと、先ほどシンクロトロンのお話が出たわけであります。シンクロトロンの場合には、単に光をぶち回してと申しますか、電子をぐるぐる回してそれが行ったところで光を出すという段階で、例えばちょっと不正確でありますけれども、雨の降った後に傘をぐるぐるぐると回しまして、傘の先から雨垂れが飛んでいってどこに飛んでいくか、飛んでいったところが光っている、そういう状況を考えていただければいいのです。そこでもうちょっと工夫をしまして、傘をちょっと揺する、これはいわば磁場をかけたりして電子を揺する、先ほど上坪参考人が申されましたいわばウイグラーをかけたり、ウイグルと申しますけれども、電子をぐるぐるとくすぐるとか揺さぶってやるわけであります。いわば傘をずっと回しながら手でもって少し調節して微妙に振動させてやる。そうしますと、たまたまそれをうまくやりますと、雨垂れが全部同じ方向に飛んでいって、二番目の雨垂れと三番目の雨垂れが全部同じところに飛んでいく。そうしますと、そこでは全部の光が干渉してくることになって強度が増しますので、そこでいわばレーザーに近いような光が出てくる、こういうものでございます。これをアンジュレーターと申しておりますけれども、こういうものを組み入れていきますと、いわゆるシンクロトロンのいいところを生かしながら、原理的には高効率で波長変換が可変なレーザーができる。現在は発振は実験室段階でフランスあたりでやっておりますけれども、可視光がやっと出たという段階であろうと思います。ただ、やはり原理的にすぐれたレーザーでありまして、私たちは今後やっていくレーザーの中に、大きなものは固体レーザーあるいは軟エックス線レーザーとともに自由電子レーザー、こういうものを大いにやっていかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。 それからプラズマ再結合レーザーと申しますのは、レーザープラズマを使いました多価イオンのレーザーでありまして、特徴は百から二百オングストロームくらいでレーザー発振が実証され、軟エックス線のレーザーとして現在発振している唯一のものである、そういうことでございます。 現在開発中のレーザーの概況を述べさせていただきましたので、次に、ではこれこれこういうレーザーを使ってどういう新しいことがあるだろうかというお話を少しさせていただきたいと思います。 十八ページに書いてございますのは、いわば先ほどレーザーはレーザーらしさを使わないとしようがない、レーザーでしかできないことをやらなければコスト的には勝てないし、またもったいないというお話をしたわけでありますけれども、じゃ例えばどんなものがあるだろうかということをちょっと述べさせていただきます。 例えば、極限条件というときに短波長を使うとどんなことがあるだろうか。紫外域になりますと一つ出てきますのは新物質、これはエキゾチックマテリアルと呼んでおりますけれども、こういうものの合成や制御ができるだろう。いわゆる普通に熱平衡の状態で炉でつくりますと、あるいは長い波長のレーザー、長い時間のレーザーでつくりますと平衡状態、いわゆる熱でもってした炉と同じようなものしかできません、ところが、非常に短い時間のパルスあるいは非常に短い波長のレーザーを当てますと、ごく表面だけで、非常に短い時間だけでいわゆる合金ができたり、表面の短い時間だけで化学平衡的にはあり得ないようものができる、これを新物質の極限条件における合成と呼んでおりますけれども、こういうことがぼちぼちできるようになってまいりまして、今後もっともっと短波長の、しかも先の強い、高輝度の光ができてくれば、こういうことがある程度産業的にも成り立つ。またこれのいい点は、逆に存在しなかった新しいものが人工的につくれるということでありまして、超LSIとの絡みでも大変期待されるわけであります、それから、例えば紫外の方になりますと、がんやウイルスの研究ということで、がんやウイルスを修復したりこういうものをコントロールしたりということが可能でありますので、そういう生体物理、生体医学への研究も非常な可能性がございます。 それから、先ほど述べましたように、超短時間でどんなことができるか。光がコンマ三ミリあるいは光が三十ミクロン進むという時間はおよそほとんど電子がとまって見える時間でありますので、物質の極限、物質がどうなっているかということがわかる、そういうことであります。 それでは、例えばもっともっと今のレーザーが高輝度化していって短波長化になって大出力になったらどんなことがあるだろうか。その一つは軟エックス線レーザーでありますし、核融合でありますし、レーザー加速、レーザーによる加速器をつくる、こういうことがございます。レーザーによる加速器と申しますと、多分おなじみではないと思いますけれども、電子を加速するのにマイクロ波でなくてもよろしい。先ほど述べましたようにマイクロ波は大変波長が長い。そうしますと、うんと波長の短いもので強力な光電場があればこれで電子が加速できる。そうしますと、場合によっては現在の加速器が非常にコンパクトになりまして、さらに加速エネルギーがふえる、こういうことも原理的には可能でありまして、そこに新しい物理、例えば相対論的効果とか場合によっては、フォトンロケットと呼ばれておりますけれども、レーザーでもってロケット推進をする、こういうことも可能になると考えられるわけであります。 それで、こういうことをちょっと一言でその一面を述べますと、地球の上にそういう非常に小さなミクロな星の世界をつくってしまう、超高温な星の世界をつくってしまう、そこでどういう新しい物理があるかということが研究できるということになります。これも一つのテーマであります。 それでは、もう少しあと残りの時間をいただきまして、皆様方では普通のレーザーに関しては多分もう御存じの先生方も多いと思いますので、あるいは余りおなじみでないかもしれない軟エックス線エリアについてごくごく簡単に御説明して、それであと、じゃ私たちはこれからどういうふうにすればいいと思っているかというお話をちょっとさせていただきたいと思います。 軟エックス線レーザーの研究の歴史が十九ページに書いてございますけれども、これは水素分子の分子レーザーの発振以来、非常に進歩がとまっていたわけであります。それが次の二十ページに書いてございますけれども、歴史は大体こういうふうになります。 それは、七四年ごろに反転分布というものがイギリスのアイアンとピーコックという人たちによって発見されまして、水素と同じような配置のカーボンということであったわけでありますけれども、大変利得は小さかった。それから七七年ごろになりまして、ソ連のツェリキンそれからやはり同じイリューキンという人たちが、クロルとかカルシウムとか、こういうものを使いまして五百オングストロームとか数百オングストロームのところで、発振ではないけれども反転分布によって増幅が起きているということを報告したわけであります。そして七四年から八四年まで、フランスのジグレという人たちがアルミを用いまして、百オングストローム領域のところで反転分布が起きている、レーザーの可能性があるということをかなり報告しております。 一番明確な報告は、「フィジカルレビューレター」とかそういう物理学のしっかりした雑誌に非常にクリアに出ておりますのは、やはりアメリカが八五年になって明確なレーザー作用があるということで、ネオンと同じような配置をしたセレンということで二百六オングストローム、二百九オングストローム。それから、やはり水素と同じようなカーボンで百八十二オングストローム。その後、先ほど述べましたように、ここ半年ぐらいのうちにセリウム、イットリウム、そういうもので希土類を主体にして種々の発振線が見つかりまして、約六十オングストロームから百オングストロームでかなりの発振に近いラインが出ております。そういう状態でございます。 そうして、時間もございませんので、どんなふうにしてその発振をしたかという漫画だけごらんになっていただければいいと思うのですけれども、二十二ページにございまして、これがそういうレーザーで励起した軟エックス線レーザーの実験をしたときの例でございますけれども、アメリカのデータであります。両側から約十テラワットぐらいのガラスレーザーでありますけれども、これを集光しまして、セレン、金属セレンを超高温、超プラズマ状態にしまして、その中で先ほど述べましたように反転分布をつくりまして、そこで発振させる。それでスペクトルを見て二百オングストローム近辺に非常に強い発振線があるということを報告しているということであります。 ただ、これの基礎には、やはり先ほど述べましたように、量子力学でありますとか分光学でありますとか、そういうことが大変に重要でありまして、このレーザー発振の結果を見ますと、従来の量子力学を修正しなくてはいけないような効果があるのではないか。いわゆる電磁量子力学の根本にかかわる問題というものが二、三あるということが指摘されております。 二十四ページに参りまして、では今まで述べたようなことを中心に、内外の研究状況はどうかということを簡単に御説明させていただきたいと思います。 それで、研究状況ということを、先ほどお話がありましたSORのように、これこれの装置で何GeVであって何アンペアである、そういうことで述べるのは大変難しいのであります。と申しますのは、レーザーの場合、ガスレーザー、固体レーザー、例えば固体レーザーだけでもレーザーは五百種類ぐらいはあると思います。それから、いろいろなポンピングスキームにしても、やはり何十種類もございます。それから、目的に応じて波長、出力、コヒーレンス、すべて違います。そういう意味で、一概にはディファインすることは難しいわけでありますけれども、それをあえて大ざっぱに全体の傾向がどうかということを少し述べさせていただきたいと思います。 例えば、アメリカでありますけれども、これはやはり極めて活発である。残念ながら、日本だけ特におくれているというわけではございません、日本を含めて、世界を含めて、アメリカは圧倒的な強みであるというふうに申し上げてよろしいかと思います。特に私が感じております、あるいは述べさせていただきたいのは、アメリカの場合にはとかく応用と見られがちでありますけれども、実は違う。基礎物理、原理を大変に大事にしている。特に、基礎物理、基礎科学の強みというのは大変なものでございます。そういう意味で、大学及び国立研究所にしろ、基礎物理に主体を置いた、基礎科学に主体を置いたオリジナルな研究ということをやっております。それと同時に、システム化も産官学の協同でかなりうまくいっているように思います。それでその特徴は、やはり研究者の層が極めて厚い。各領域のバランスがとれている。特に高出力領域ではバランスがとれているように思います。 それに対して、日本は活発であると思います。ただし、応用主体である、特に、この後お話があると思いますけれども、光通信、半導体レーザー関係は極めて活発であります。ただし、この主体はやはり民間でありまして、その応用のためのものが非常に活発になっている。そういう意味で、基礎的な、先端的なオリジナルな研究はやはりアメリカよりかなり劣っていると申し上げてよろしいと思います。それから、特に量産化をねらったもの、コストを下げるとか、そういうことに関してはいいのかもしれませんけれども、半導体レーザー以外で、やはり研究者の数が少ない。私の印象では、半導体レーザーも全部含めて研究者の数はアメリカの十分の一ないと思います。実際は、広いレーザーの領域を考えますと、研究者の数はもっと少ない。そういうことで、日本の場合にはレーザーに携わっている研究者のまず絶対数が少ないということで、人材の養成ということは、後で少し述べさせていただきますけれども、非常に急務であろうと思っております。 これに対しまして、中国は最近非常に活発化しております。特に固体レーザー関係の結晶育成、非線形結晶、そういうことに成果を上げつつあります。研究者の数も最近急速にふえております。 それから西ドイツでありますけれども、西ドイツは限定された特殊な分野でありますけれども、基礎を重視して研究を着々と進めている、そういう印象を持っております。数は多くないのでありますけれども、余裕があって、特定のテーマに関しては研究の流れをずっと続けてきている、そういう印象であります。 イギリスは、数は少ないのでありますけれども、特殊な分野に、あるところに強みを持っている。 フランスは、平均的レベルと言ってよろしいと思います。ただし、原子力関係、アイソトープだとかそういうことに関しては非常に大きな努力をされているように思います。 ソ連でありますけれども、ソ連はやはり基礎科学、原理的な研究を重視しておりまして、大変すぐれたものがあります。歴史も研究の歴史は随分あります。ノーベル賞をもらいましたバソフ、プロホーロフ、両氏を含めまして研究の蓄積は分厚いと思います。ただし、特定の技術に関しては未発展の分野も多いのではないかというふうに考えられます。研究者の層は大変に厚いと思います。 こういうことを考えまして、今後やるべきテーマということでありますけれども、二十五ページに少しキーワードを書かせていただきましたけれども、一つは、新しい物理、新しい科学の探索をやるべきではなかろうか。特に光によって起きる新しい現象、こういうものはレーザー全体の中での突破口でございますので、新しい光量子工学でありますとか、こういうものをどうしても研究していく必要があるだろうと思います。 その一つに、レーザーのコヒーレントで強力な光電場によって電子をコントロールする。電子を、単なる普通の、従来のエレクトロニクスの電場でなく、レーザーでもってコントロールする、これがある意味ではレーザーとエレクトロニクスが結びついたオプトエレクトロニクスの一つの行き方ではなかろうか。もちろんウイークの方ではいろんな行き方がありますけれども、一つのかなりのコヒーレンシーを生かそうとするところでは、レーザーのコヒーレントな電場でもって電子をコントロールする新しいオプトエレクトロニクスというふうに考えておりますけれども、こういうものが必要であろう。これに関しては実験や理論はまだほとんどございません。というのは、そういうレーザーが今までなかったわけでありまして、やっとそういうレーザーができてきて、実験も理論も進歩していける領域であろう、こういうふうに思っております。 それから二十六ページには、例えば軟エックス線レーザーがどういう分野とかかわるか、とかこういう意味で先ほどお話がございましたように、シンクロトロンの例を見ましても、より短波長化、高輝度化、より強いエックス線、より強い真空紫外、これは研究者の一つの夢でございますけれども、こういうものがどうやったら得られるだろうか。そうしますと、これにかかわる分野をちょっと挙げてみたわけでありますけれども、従来のレーザーとは大変に異なった分野が含まれるということにお気づきかと思います。例えば超微細加工、超薄膜の問題とか、例えばオングストロームの平面をどうやってつくるか。これは多分超LSIの問題とダイレクトに関係をするでありましょうし、それからプラズマ物理、自由電子レーザー、加速器、エックス線天文学、それから天文学、もちろん固体物理も絡みますけれども、高エネルギー物理、こういう従来のレーザーとはちょっと違った分野が非常に必要になってまいります。 それで二十七ページに、そういうことをいろいろ考えまして、今後の展望と課題ということで三つほどまとめてございます。 展望と課題は、やはり私は短波長化と高輝度化、もっと光をということであろうと思いますが、その一つとして、特に波長域の拡大のためには、単なるやみくもにやるというのではなくて、新しい原理に基づく新しいレーザー作用の発見、そういう基礎をもっと重視すべきであろうと思います。そういう新しいレーザー作用の発見は、逆に言いますと、非常に難しい面がございます。と申しますのは、何をやればよいかが明確でない。そういう意味で、新しいところを切り開いていくソフトと申しますか、構築しなければならないわけであります。例えば半導体レーザー、日本は大変進歩したわけでありますけれども、そこでは、不純物をなくすとか、装置をよくするとか、真空を上げるとか、非常に明確な目標があったように思います。その目標を一つ一つクリアしていくことが大変にうまくできてきているようでありますけれども、例えば短波長化したいあるいは何々したいというときに、何をどうすればよいかよくわからないというとき、やはり原理にのっとって一つ一つ着々とやっていくしかないというように私は思います。 それから、その次に自由電子レーザー、これもやはりレーザー作用の解明と、原理的に何をどうすればよいかという点をまず詰めるということであろうと思います。特に自由電子レーザーの場合は、先ほどお話ございましたように、シンクロトロン、加速器とのカップリングでございますので、高性能の加速器、そういうものの開発が急務であります。 こういうことがうまくいきますと、波長域の拡大として、例えば卓上に置けるような軟エックス線レーザーとかあるいは超小型な紫外から真空紫外域の自由電子レーザーによる波長可変レーザーというものの可能性も非常に出てまいります。いずれにしましても、こういうことをやろうと思いますと、周辺技術でございますけれども、基礎物理、基礎科学と電子工学、光先端技術の融合ということが不可欠であります。 それでは最後に、時間をほんの少しいただきまして、今後の施策への要望ということを述べさせていただきたいと思います。 今も述べさせていただきましたように、やはり大事な点は基礎、原理的研究の追求をやるということであろうと思います。例えば光とは何であるか、そういう本質的な問題を研究するということも、実はレーザーにとっては大変重要なことであります。特に日本の場合に、応用面あるいは量産面あるいはそれを使っての民生ということは黙っていても進歩する、そういう一つの流れがあるように思います。ところが、新しいレーザーをつくる、原理的にマイクロ波、それからさらに高性能化していく場合には、基礎を重視して何をどうすればいいかということ、分光学、量子力学、そういうことを含めての新しい取り組みが必要であろうと思います。 それから二番目には、レーザーの多様性を認めていただきたい。それはどういうことかと申しますと、例えば基礎理論は量子力学から始まりまして、レーザー媒質は物理、物性、化学それから励起プロセスワーク、パワーエレクトロニクス、電気工学、レーザーの発振はウイークな電子工学、それを実際に設計するのは機械工学、こういうことが全部入っておりまして、その辺がコンピューターを一つつくるなどということとはかなりニュアンスが違うわけであります。そういう意味で、レーザーの多様性からも、例えばレーザー媒質も、ガスがあって固体があってプラズマがあって半導体もあるというようなことで、非常に多様性があります。 それからもう一つ、レーザーの多様性としまして、レーザーをより一層高度化するときに、レーザーを代替物として使ったのでは、ほっておいたら育たないわけでありまして、やはりレーザーが本当に養成されてレーザーの役割を果たすには、私は社会の成熟度がかなりかかわっていると思っております。やはり社会が成熟してまいりまして、恐らくこんなものがあればもっともっとこうなってくるというときにレーザーが伸びるんであろうと思っておりまして、そういう意味では、今後レーザーを伸ばすとともにその周辺のソフトも伸びていかなければいけないのではないかと思っております。例えば、紫外とか真空紫外とか軟エックス線レーザーというものができれば使いたい、そういうものがあればこういう研究ができるというふうに多分皆様お考えだと思うのですけれども、一番大変な困難なところはやらない、どこかでできたら後は使いたい、こういうことであろうと思いますけれども、それではやはりこれからはいろいろな面でまずいのではなかろうかと思っております。そういう意味で、やはり現在は人材の養成が急務であろうというふうに考えております。 それから、もちろん人材の養成だけではありませんで、研究費の飛躍的な増加も必要であろうと思います。と申しますのは、やはり今までと違いましてある程度、ビッグサイエンスではありませんけれども小さなビッグサイエンスということになっておりますので、どうしても国の強力なガイドと施策が必要であろう。特に新しいところを開拓していって種をまくという時期には非常に必要であろうと思っております。 いずれにしましても、電子から光の時代、さらにより短波長へということは明確であろうと思います。必ず来る時代であります。そういう意味で、例えばシンクロトロンもその例でありますけれども、電子から光、さらに短波長、より高輝度ということでありまして、これをもし何もしないでいますと、ほとんど何もしないで見ていて、それで最後になって、十年たって、あのときにやっておけばよかったということがあるのではないかというふうに私は何となく恐れているわけであります。 そういうわけで、例えば大学における研究、教育の拡充、研究者の養成ということは重要でありますので、ぜひお願いしたいと思っております。例えば、これは仮称でございますけれども国立の光科学研究所の設立とかあるいは大学にリージョナルセンターと申しますか量子光学の研究センターをつくるとか、あるいは現在これだけ光が使われていてどうしてもっと大学に光工学科がないのであろうか、いわゆる電気工学、電子工学はございますけれども、光はこれだけ大事である、今後もっともっと大事になるというときに、光工学あるいは光子工学、フォトンエンジニアリングあるいはフォトンサイエンスというものがあってもしかるべきではなかろうかというふうに思っておりまして、産官学の協力と協同で今後こういうところを国策としてやっていただきたいというふうに考えております。 大変雑駁でありますけれども、私の意見を述べさせていただきました。
○原田委員長 どうもありがとうございました。 次に、内田参考人にお願いいたします。
○内田参考人 日本電気グループの内田でございます。 私は、お手元の資料にございますように「光科学技術の応用」、その中でもエレクトロニクスの分野への応用ということで、光エレクトロニクス関係を中心に御報告をさせていただきたいと思います。ただ、応用と申しましても多種多様で、一応お手元の資料に網羅的には書いておりますが、本日は、時間の関係上、重要なものを選択的に御報告させていただきます。 最初に、一ページでございます。光エレクトロニクスは一九六〇年、昭和三十五年にレーザーが初めて実現したわけでございますが、その後急速に発展し、現在ちょうど四半世紀、二十七年目でございまして、マイクロエレクトロニクスとともに光エレクトロニクスは現在の高度情報化社会を支える非常に大きな基盤技術になってきております。現在の日本の生産規模でございますが、後で詳細御報告いたしますけれども、昭和六十一年度にはついに一兆四百億円ぐらいになっております。さらに、十年後には十兆円のビジョンを描ける段階になっております。 次に、二ページの下の二−二図をごらん願います。これは、光エレクトロニクスというものが従来のエレクトロニクスとどういう関係にあるかということを示した図でございます。 一番上のカーブのC&Cと書いてありますのは、コンピューターと通信が融合しました情報化産業というものが一九七〇年代から急速に伸びてきているわけでございますが、実はこれを支えている技術が半導体に代表されるMEと書いてありますマイクロエレクトロニクスでございます。それから少しおくれまして、OEと書いてありますオプトエレクトロニクスがございます。ただ、今後九〇年代後半から二十一世紀を展望いたしますとこれでも不十分で、さらに私どもとしてはバイオエレクトロニクスというものがあらわれてくるのではないかと考えております。こういう位置づけにお考え願いたいと思います。 それから、三ページは省略しまして四ページに移らせていただきます。 この下の四−一図にレーザー技術の各種の応用分野を書いておりますが、一番下の根元から左の方になりますと時間の制御ということで、それは例えば光通信、現在北海道から九州まで日本全国光ファイバー通信網が完結されております。その上に月面測距、例えばテレビでもいろいろ出ておりますが、月までの距離が非常に正確に、現在数センチのオーダーまではかられるようになっております。その次のちょっと太い幹でございますが、レーザー計測、空間の制御というのでは光メモリー、例えば昨年度コンパクトディスクその他では三千億円ぐらいの産業になっております。さらに画像処理、ホログラフィー、この関係では立体写真などが出ております。その次のレーザー分光、光波の利用というところを見ますと、例えば同位体濃縮、ウラン235の分離の問題とかそういうのが出ております。最後に、光エネルギーの利用としましては、超精密加工関係あるいはレーザー核融合というような応用が出ております。 次の五ページをお願いします。その応用の中でも特にエレクトロニクスに関係あるものを五ページにまとめております。先ほど申しましたような計測、加工それから核融合利用がございます。その次には、最近非常に大きく伸びております光通信、今後大きな応用対象と考えられる光交換、さらに三番目としまして光情報処理・家電関係の応用、こんなことが今後大きく伸びるだろう。 次の六ページには、御参考までにレーザーには最近こういうものがあるということを書いておりますので、これは後でごらんいただければ幸いでございます。 それで、七ページに光エレクトロニクスの国内生産規模というふうに書いてありますが、これは一番下に書いてあります光産業技術振興協会というところが各関連企業に毎年アンケートを行っておりまして、それによる生産規模の統計でございます。先ほど申しましたように、昭和六十一年度にはちょうど一兆円に達しておりまして、その中の大きなものとしましては光通信関係、これはその表の中の光部品関係のところに発光素子というのがありますが、その半分ぐらい、それから光ファイバーケーブル、コネクタープラグ、そういうものを足しまして、下の欄の一番最後の光応用システム、光通信システムを足しますと二千五、六百億円ぐらいが昭和六十一年度の規模になる。それから、その次に大きい応用が、先ほど申しましたコンパクトディスク、いわゆるオーディオディジタルに代表されます光ディスクでございまして、これはそのほかにビデオディスクとか最近はコンピューター用のディスク、そしてさらにはコンパクトディスクROMといいますか、電子出版ということで大きな電話帳とか大きな辞書が一冊の光ディスクの中に入る、そういう大きな分野、これが約三千億円ぐらいの規模になる。それで、八ページの下の図にございますように、これも予測でございますからわかりませんが、十年後の昭和七十年度には一応十兆円ぐらいにいくのではないかと期待しております。 それで九ページに移りまして、一番大きなエレクトロニクス関係の応用につきましては、通信への応用ということがあります。通信への応用ということをちょっと詳細に述べさせていただきます。 昭和三十五年にレーザー発振が始まって以来大変大きな応用と考えられておりましたが、空中を伝搬させるものは霧や雨でなかなか応用しにくいということがありました。その後ガラスの光ファイバーができまして、ちょうど昭和四十五年に低損失の光ファイバーと送信源としての室温連続発振の半導体レーザー、そして高感度の光検出器の三要素が偶然にも〇・八ミクロン、可視の波長よりちょっと長いところで実現したために、光ファイバー通信の実用化というものは非常に大きく膨らんだわけでございます。 光ファイバー通信の特徴は、その下の六−一表に示してありますように、非常に損失が少ない。具体的な例を申しますと、四百メガビットの回線といいますと、ちょうど電話五千回線を電気の信号で伝送しますと、従来の電気の同軸ケーブル、テレビの同軸ケーブルを思い浮かべていただければよろしゅうございますが、同軸方式は一・五キロメートル間隔に中継器を置く必要があるのに対して、光ファイバー方式は三十キロメートルぐらい、最近では三百キロメートルぐらいまでのものができております。したがいまして、特に海底ケーブルシステムを考えた場合に、中継器の数が少ないということは経済的に非常に大きなメリットでございます。そのほかにいろいろな特徴がございますが、漏話がない、電磁誘導を受けないという特徴がございます。 十ページに移ります。この特徴を使いまして、昭和四十九年に東京電力、関西電力が、現在東京の中には二十五万四千の高圧のケーブルが地下に埋設されておりますが、それが発電所あたりに雷が落ちますと遮断されます、それの高圧ケーブルの遮断の電流が隣の信号線に影響を与えまして、約一万アンペアぐらいの電流が隣の信号線に流れます。それを従来の電気ケーブルを使いますと大変でございますので、それを光ファイバー化するということで、世界で初めて野外実証実験をやった。その後、昭和五十年ごろからNTTも本格的に光通信を取り上げてきました。 それで、次の十一ページをごらんいただきたいと思います。一番上の図で、左側に短波長帯〇・八ミクロンと書いてありますが、これが先ほど昭和四十五年にこの波長帯で光ファイバーの低損失のものができ、半導体レーザーもでき、検出器も非常に高感度のものができたと申しましたが、当初は、昭和五十年代前半は、この〇・八ミクロン短波長帯の光通信でございましたが、現在ではその右の方に書いてあります長波長帯の一・三ミクロンの光通信が全盛の時代でございます。これは海底ケーブルも含めてであります。といいますのは、先ほど申しましたように距離が相当に延びる。例えば短波長帯は十キロメートル間隔の中継器に対しまして、長波長帯ですと三十キロ、将来は百キロメートルというふうになる。 その次の十二ページをごらんいただきたいと思います。そこの第六−二回に書いておりますように、NTTの回線が旭川から鹿児島まで日本縦断ルートが昭和六十年二月八日に完成いたしております。 次の十二ページをごらんいただきたいと思います。これは日本に限らずヨーロッパ、アメリカも同じでございまして、アメリカでも、米国本土くまなく光ファイバー通信網が敷設されております。六−四図に書いておりますが、さらに最近では、太平洋横継海底光ケーブルシステム、トランスパシフィック・ナンバースリーでございますが、これもKDD、ATT間の契約ができまして、昭和六十三年度までには完成する予定でございます。ちょうどグアムとハワイがございますが、グアムのちょっとハワイ寄りのところに海中分岐とございますが、これから右の方がアメリカ側で、左側は、この海中分岐よりグアムを含めて日本側の担当になっております。同じく大西洋横断のトランスアトランティック・ナンバーエイトも、昭和六十三年には完成する予定でございます。すべて現在は長波長の一・三ミクロン帯の通信で、光海底ケーブルの場合は約五十キロメートル前後の中継器間隔になっております。 将来こういう光通信がどのように進展していくかということでございますが、その次の十四ページをごらん願います。先ほど申し上げましたように、昭和四十五年に発見されたときは短波長帯〇・八ミクロンでございましたが、現在は、そこに書いております一・三ミクロン帯の直接検波受信というものが中継間隔約三十キロメートルで、現在これが全盛時代でございます。ことしから来年にかけましてさらに一層中継距離が延ばせる低損失のファイバーが使える一・五ミクロン帯の直接検波受信というものが出てきますと、中継距離は百キロ近くに延びる。さらに五年先ぐらいを考えますと、一・五ミクロン帯の光ヘテロダイン受信という新しい受信方式が出てきますと、これがさらに百五十キロぐらいまで距離が延びる。 ここで持に言っておきたいのは、実はこの光通信は、一・三ミクロン帯の直接検波受信それから一・五ミクロン帯と言いましたが、これは確かに電気通信に比べまして距離が何十倍に延びるといいましても、原理的には非常にプリミティブな段階でございます。半導体レーザーから変調して、光ファイバー伝送路を通して受ける、光のダイオードで検波していますから、ちょうど戦時中使いました鉱石ラジオの段階でございます。ところが、やはり先ほど黒田先生からもお話がございましたように、レーザーが非常にいいものがだんだん出てきまして、非常にきれいなサインウエーブの波が発振するようになりました関係上、ちょうど戦後鉱石受信機、まあ再生受信機からさらにスーパーヘテロダインのラジオが出てきたと同じように、この光も全く光ヘテロダイン受信機というのがやっと今出てくる段階になった。これもそこに書いておりますように、同調可能な単一周波数の半導体レーザー、周波数が電気的に高速に変えられる半導体レーザーが出てきたためにこういうものが将来可能になる。そういうわけで、光通信は非常に特徴があると思いますが、方式的にはまだまだな部分がございます。 さらに、この光通信は現在の波長は一・五ミクロンでございますが、さらに基礎研究を進めまして、五ミクロン帯とか十ミクロン帯というあたりを研究しますと、例えばそういう超低損失の光ファイバーができますと、一千キロメートルが無中継で伝送できるというような遠赤外の光ファイバーということも現在基礎研究が行われている。そういうものが可能になれば当然それに必要な発振器、受信器の開発も行われるだろう。 光通信の最後に申し上げたいのは、一番最初に申し上げました、空中を飛ばせる光通信は地球上では問題があったわけでございますが、現在人工衛星間では、マイクロ波が非常に広がっていくのに対しまして、レーザーは非常に指向性を絞っていきますから、将来人工衛星間の通信ということで再び脚光を浴びるだろうというのが光通信の実情でございます。 次に十五ページに移らせていただきます。現在、日本全国、アメリカも含め、ヨーロッパも含めまして、通信の伝送路、光ファイバーの幹線網が完成しております。ところが、これは東名高速、東北自動車道路その他の高速自動車道路が完備いたしましても、けさもそうでございますが、瀬田のインターで非常にそこで狭くなるわけです。ですから、伝送路は広くても交換機に達しますと、交換機の速度は伝送路の数十分の一のスピードしか通しません関係上、将来この交換機も先のままでやれば非常に広帯域の、特にテレビ電話その他画像情報がふんだんに使えるような時代がやってくるのではないかというふうに現在言われている。それで、現在通信関係では交換の光交換ということが次期の大きな目標に挙がっておりますが、この関係は日本が世界の先頭を切っております。しかし、まだ基礎研究の段階であります。 それから次は十六ページでございますが、情報処理・家電への応用であります。これは十七ページの絵をごらん願います。まず右側のいわゆるコンピューター関係の演算というところがございますが、ただしこれに関しましては現在の半導体のデバイスが大変進歩しておりまして、特殊な場合を除いて光が入ったりディスクが入ってくることはかなり将来だと思います。ところが左側の幹にありますように、入力では例えば文字の読み取り装置とか、最近スーパーに行きますとバーコードをレーザーで読んでいる。さらに出力ではレーザープリンター、これは非常に最近漢字の歌も高速で出るようなものができております。さらにメモリーとしましては、その上に書いてありますような各種の光ディスク。コンパクトディスクをお聞きになった皆さんはおわかりでございますが、大変音質がいい。これは傷をつけてもほとんど何も変化はございません。それからコンパクトディスクとCD−ROM、これはリード・オンリー・メモリーでございますが、電話帳からいろいろな人事、一冊のものがこの中に入りますので今後電子出版という大きな分野が発展するということで、これは非常に大きな革新を与えると思っております。さらに、我々の世界はいまだ音声を中心にした世界でございますが、将来画像情報が入ってきますと、画像情報というのは大体音声の一千倍の伝送容量が必要でございまして、画像情報の蓄積には光ディスクというのが非常に不可欠です。これにはさらに、例えば〇・六ミクロン帯の、現在〇・七八ミクロンという赤の光の半導体レーザーをつくっていますが、もう少し短いところの半導体レーザーの開発が期待されています。 それから、十九ページに移ります。まず計測への応用では、先ほど申し上げましたようにいろいろな観測関係、計測に使われておりますが、一番記憶に新しいのは一九六九年にアメリカの衛星が月へ行きまして反射鏡を置いてきました。その反射鏡というのは立方体の角を切りましたような反射鏡でございまして、どんな方向から光が来ても必ず来た方向に光を返すという反射鏡を置いてきたわけです。それに地球上からレーザーを与えますと、約四十万キロの月面までの距離を最近では数センチの精度ではかることができる。それから、人工衛星を飛ばしておりまして、これにレーザーを与えてこれの距離を正確に何カ所かではかることによって正確に離島間、大陸間の距離がはかれる。それで例えば地震の予知などに使うことができる。まあ日本列島が十センチぐらいずつ動きつつある、そういうことにも使われるようになった。 それから二十ページに移ります。加工への応用でございますが、これは007の映画でよく鉄の扉をレーザーで切る、そういう応用もございますが、むしろそれよりも電子、半導体関係の応用、非常に超精密加工に使われております。これは非常に局所的な、しかも真空を要さないという特徴があります。今後セラミックのような、例えばセラミックエンジンなどもございますが、セラミックのようなものの加工、これは刃物で加工しますと割れてしまいますが、それをレーザーで加工するというような用途も一つございます。 それから二十一ページ、医学への応用でございますが、網膜剥離関係では、既にコアギュレーターということでアルゴンレーザーで網膜を癒着する、こういうことがやられておりまして、最近ではがんの診断、治療というようなことにも応用されております。 二十二ページに移ります。レーザーの核融合に対しましては、JT60のようないわゆるトカマク型、トーラス型に対しまして一つはレーザーの核融合、これは大阪大学のレーザー核融合研究センターでも行われておりますし、アメリカではローレンス・リバモア研究所で非常に大きなレーザー核融合の実験が行われております。さらに、ウラン235の分離に対してもレーザー法というような研究が行われております。 省略しまして二十五ページに移らしていただきます。半導体デバイスの製造プロセス等への応用と書いておりますが、まず十の一のレーザー光の応用でございます。従来のレーザー光の応用というのは、レーザーで半導体を、いわゆる光を単なる熱のエネルギーに変えまして、熱エネルギーとして半導体への応用を考えておりますが、そうではなくて、最近レーザーの持っておるいわゆるエネルギーレベルを使いまして、そこに書いてありますようなレーザーCVD、これは薄膜の化学的気相堆積とか結晶成長を通していろいろなことができるようになっております。これは何が特徴がといいますと、現在のLSIは局所的なところにだけ成長させることはなかなか不得意でございますが、これはレーザーをある部分に当てますと、周りに影響を与えなくてその部分だけに特別の結晶成長をさせることができるというようなことで、非常にこれが期待をされている。 それから十の二、放射光の半導体製造プロセス等への応用でございますが、先ほど来上坪先生からもお話がございましたように、この関係は私どもエレクトロニクス関係では大変注目しているわけでございます。そこにも書いておりますように、現在御指導を受けながら高エネルギー研究所の施設を共同利用させていただいておりますが、あれはいろんな基礎研究の多目的——直径数百メートルございますが、将来考えますと、直径が四、五メーターぐらいで十億円というような小型専用の放射光の発生設備を私どもとしては大変希望しております。 次の二十六ページをちょっとごらんいただきます。放射光がなぜ必要がでございますが、縦軸に集積度、例えばメモリーに一メガビット、四メガビット、いろいろ書いてありますが、現在十六メガビットぐらいまでの半導体、超LSIまでには水銀灯のg線が使えます。ところが十六メガビットというと大体〇・五ミクロンの寸法でございますが、それが〇・二五ミクロンぐらいになってきますと、レーザーの中でもエキシマレーザーというものを使ったパターンの焼きつけ装置が必要でございます。ところが、さらにこれが〇・一ミクロン前後になりますとSR、いわゆる放射光が必要でございます。では何でこんなに半導体関係が容量をふやしたいかというと、先ほど申しましたように将来画像情報を扱うとなりますと、どうしても一ギガビットぐらい、現在一ギガビットのいろいろな問題を起こしておりますが、一ギガビットぐらいのメモリー、メモリーに限らずそのぐらいの集積度の半導体素子がありますと、現在のテレビ情報を非常にふんだんに扱って簡単に各家庭で画像の処理ができるという時代になります。それにはこういう専用の放射光設備がぜひ欲しい。 二十七ページに移ります。このような関係で、現在エレクトロニクス各メーカー文部省の高エネルギー研究所の御指導を受けながら、現在あの設備の中の幾つかのビームを共同利用させていただいて将来の高精細パターンの転写技術を研究しております。 その他半導体への放射光の応用としましては、先ほど上坪先生からございましたように、(2)(3)制に触れてありますような各種プロセス、分析、評価への応用がございますが、これなども例えば(3)のところで、現在の半導体デバイスというものはそれをつくる化合物半導体などの結晶が非常によくないと、それの上につくったデバイスも高性能化が得られないわけでございます。そういう結晶材料の強化には、この放射光の非常に強い高輝度、位相のそろったものを使って最近の実験をいたしましても非常に大きな成果を与えて、将来のデバイスの高性能化に大きく貢献をするものと考えております。 最後に、(4)のバイオエレクトロニクスの応用。これも上坪先生からお話がございましたように、例えばたんぱく質の構造変化などがございますと、それは放射光を使いますと非常によくなる。そういう生体メカニズムが将来バイオコンピューターのようなバイオエレクトロニクスの方に反映することも考えられる。 二十八ページに移ります。これにつきましては、黒田先生からも御説明がございましたように、一応日本と各国の比較でございますが、かなり独断的な比較でございますが、通信関係では確かに日本は進歩していると申しましても、やはり医療、エネルギー関係、ハイパワーのものとか基礎研究に近い面に関しましては日本はかなりおくれておる、その辺ははっきりしております。 二十九ページに移ります。以上、レーザーを中心といたします光エレクトロニクスというものが現在一兆円の規模といいましても、先ほど申し上げましたように、昭和三十五年にレーザーが発明されてからレーザー産業が起きたのは、大体二十年たって一九八〇年ごろからです。ですから、サイエンスで大きな芽が出ましても、実際の大きな産業規模になるには最低二十年はかかるというふうに考えております。そういう意味では、多少具体的な例でございましたが、先ほどの筑波の放射光設備に関しても、あれができたときに、将来の超々LSIのようなファインパターンに使うということを我々エレクトロニクスメーカーは実は考えてはいなかったわけでございます。ああいう科学技術の大きな設備、ビッグサイエンスというものがあったおかげで我々はそういう利用ができる。これはやはり科学と技術の相関関係で、そして一方、そういう科学に根差した技術が伸びることによってまた科学がさらに一層促進される、そういう関係にあるのではないかと思っています。 それで、レーザー関連の技術に関しまして申せば、大出力化、短波長化、波長可変化、小型化、こういう基礎研究がさらに必要でございますし、もう一つ、それの利用技術、これの高度化技術も大変必要だと思っております。 最後に申し上げたいのは、やはりサイエンスを、現在、超電導のような場合もございますが、放射光の設備その他考えますと、ビッグサイエンスとはここでは言いませんが、やはり相当な金額を投じないと科学の芽も出ないという状況に、実はそういうものの中からまた幾つかが工業的に発展してくるというような段階になっていますので、ぜひこの放射光の設備に関しましては今後国の強化策をお願いしたいと思います。 以上でございます。
○原田委員長 どうもありがとうございました。 以上で参考人からの御意見の開陳は終わります。 —————————————
○原田委員長 これより質疑を行います。 この際、委員各位に申し上げますが、質疑につきましては、時間が限られておりますので、特段の御協力をお願いいたします。 また、御発言の際は、必ず委員長の許可を得てお願いしたいと存じます。
○中山(太)委員 放射光の研究装置に対する国の投資をぜひよろしく頼むという御発言がございましたが、大体必要な資金、それから研究者がどれぐらい必要なのか、そういうところのアバウトな話で結構ですから、ひとつお考えをお述べいただきたい。内田参考人に。——もう一度申し上げましょうか。 今お話を承りまして、ぜひ放射光の研究施設を国の投資でやってもらいたい、早くやっていただきたいというお話がございましたが、大体お考えになっているような構想で、構想をお持ちだと思うのですけれども、どれくらいの資金が必要なのか、あるいはまたどれぐらいの研究者が、ドクターも含めて、どういうふうな構想でやれば一番うまくいくとお考えでしょうか、もしお考えをお持ちでしたら、お述べをいただきたいと思います。
○内田参考人 これは最初の、例えばエレクトロニクス産業への転用というふうに考えますと、先ほど申しましたように、工場に置くとなりますと二百メーターというのは無理でございまして、五メーターぐらいで超電導を使いまして、そういうもので数百ミリアンペア前後のもの、当初十億円以下、それで販売価格で将来四、五億円ぐらいのを希望するわけですが、ただ、そういうものを研究するために最初にいろいろな大きな設備が必要でしょう。一例でございますと、私が伺うところによりますと、NTTでは約二百億円前後当初の設備に必要だと申しております。ですから、やはり数百億円ぐらいは最初のところへの設備投資には必要ではないかなというふうに思っております。 それから、研究者の数でございますが、これはむしろ上坪先生からお話しいただいた方がいいと思いますが、私どもは実は文部省の高エネルギー研究所に昭和五十七年以来お世話になっているわけでございますが、あそこは二十本弱のビームが出ておりまして、私ども実はナンバー九を借りておるわけでございますが、高エネルギー研究所の研究者の方々、みずからの研究のほかに私どもメーカーの御指導をしてくれますが、私ども御指導を受けながら一番気にかかっておりますのは、確かにつくるときの資金はありましても、運営する際の人数があそこは非常に少ないようでございますね。たしか二十人かちょっと。上坪先生から詳しく……。確かにそういう意味では、一つの設備をつくりましたら、それのオペレーションまで含めるとやはり三けた、百人は超えるような人間がいないとほとんど研究が進まないんじゃないか。これは私の、たまたま高エネルギー研の例を見ましての発言でございます。むしろこれは上坪先生からお答えいただいた方がいいと思います。
○中山(太)委員 上坪参考人から……。
○上坪参考人 初めの問題でございますが、今私が御説明申し上げまして、日本の研究者が検討しております世界の最先端を行くような放射光の施設と申しますと、これは先ほども御説明申し上げましたようにエックス線の方に重点を置いた装置でございますけれども、この部分にかかわりますものは大きさが大体直径三百メートルから三百五十メートルぐらいを考えておりまして、これに必要な建設費は建物と装置で大体六百ないし七百億円、それから、その周りにつけますいろいろな測定装置まで入れますと約一千億円ではなかろうかというふうに考えております。 それから、この部分に必要な人数でございますけれども、これはユーザー、使いに来られる方は現在の高エネルギー物理学研究所の放射光施設におきましても延べ千人を超しておると思いますので、産業界それから国立研、学界を含めますとやはり千人以上の方がお使いになると思いますが、今、内田参考人からお話がございましたようなメンテナンスする人数というのはやはり百数十人ということで、施設全体で三百人ぐらい必要なんじゃないかというふうに考えております。 もうちょっと具体的に申しますと、高エネルギー物理学研究所の場合ですとビームチャネル、光を取り出すところが十七本ございまして、その周りに実験設備が幾つかついておりますので、全体で四十から四十五ぐらいの実験設備がございますが、アメリカだとかヨーロッパでいいますと、大体実験設備一つ一つに一人ないし二人の人がついておる。日本はそれが今お話がございましたように非常に少ない人でやっておりまして、高エネルギー物理学研究所の方はそのメンテナンスと、それから外来のユーザーに対するサービス以外に御自分の研究もしなければいけませんので、非常なハードワークになっております。こういったことを考えますと、こういう大型施設をつくりますときには、そういった外部のユーザーのサービスに当たる部門と、同時に中でしっかり研究して装置を改良し開発していくチームとがある程度ゆったりと仕事ができるぐらいの人間が必要なんじゃないかというふうに考えております。
○竹内(黎)委員 まず、参考人の先生方には有益、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。お礼を申し上げます。 黒田参考人にお伺いしたいと思うのでありますが、先生、お話の結びで基礎重視を強調されまして、例えばと言って、光科学研究所とか、あるいは大学の側からいって光工学科とか、こういうお話だったのですが、東大ではこういうものをつくりたいということを文部省に申し出て、文部省の方では予算がないとか、まだ早いとかといって却下されたとか、何かそういうふうな最近の動きはないのですか。
○黒田参考人 私の知っている範囲でありますけれども、現実にこの問題を申し出たということはないと思います。と申しますのは、そのまた以前の問題でありまして、東大から申し出る場合には東大の中での調整ということがまたございまして、大変多くの、余りに多過ぎる関門があると思いまして、まだどなたもそれをお申し出になってない。非常に大事な問題であるということは皆さん認識をお持ちだと思います。
○小澤(克)委員 黒田先生に伺いますが、光工学、特に光工学科というものが必要じゃなかろうかというお話でございましたが、そういたしますと、現在はこういう光工学というのはどういった形態といいますか形で研究をお進めになっているのでしょうか。 それからもう一つ、今度は内田参考人にお尋ねをいたしますが、流れとして電子から先へというのですか、エレクトロンからフォトンへという技術の流れがあるように伺えたわけですけれども、最近の超電導のように逆にまた電子が脚光を浴びているといいますか、復権といいますか復活のような側面もあろうかと思います。そういたしますと将来的には、電子の得意な分野と光の得意な分野と分野を分けてそれぞれが組み合わせて利用されるということになろうかなと素人にも思うのですが、その辺の将来展望みたいなものはどうなのか。その二点、お伺いしたいと思います。
○黒田参考人 まず最初の御指摘にお答えしたいと思いますけれども、現在のところ、こういう光の先端的なことは、実はそれを専門にやる学科、研究所というのはございませんで、各学科、学部あるいは研究所なりそれぞれの方が個人の、自分たちの主体的努力でやっているという段階にとどまっていると思います。 よく私たち笑い話をするわけでありますけれども、現在、電子工学科は光をやる。ただし、光でも半導体レーザーとかファイバーとかそういう非常に限定されたものをやる。電気工学科は電子をやってコンピューターをやる。では、だれが電気をやるんだ。そうすると原子力だろう、そういう笑い話をするわけでありますけれども、一つ一つ何か境界領域がなくなってまいっているわけでありまして、特に先ほども述べさせていただきましたように、レーザーに関してはその境界というのが全くないわけであります。ですから、ある意味では縦割りが全く適さないと申しますか、むしろそうでない、学際的な、物理から化学から生物から医学から全部網羅したような新しいものが必要である。これははっきりしているわけでありますけれども、現在のところそのようになってないことは事実であります。
○内田参考人 ただいま御質問がございましたように、電気から光というすみ分けが必要である、まさしくそうでございまして、実は光通信、現在日本全国津々浦々に敷かれておりますが、本当に光の部分といいますのは、最後の送信機のところの半導体レーザーとそれから伝送路の光ファイバーと受けの光の検出だけ、あとは全部電気なんです。ですから、これは確かに光エレクトロニクスという技術は出ておりましても、おっしゃるとおりそれぞれが得意の部分を総合的に相助け合うように使っていくというのが現在の姿でございます。将来も、バイオエレクトロニクスが入りましてもやはりその姿は、その目的に一番いいものを使っていくというふうに考えております。電気のものを全部光エレクトロニクスに置きかえるのではなくて、そういうふうに考えます。 ちょっと私、説明を省略いたしましたが、資料の二十三ページの下から五行目のところに書いておりますが、「さらに光エレクトロニクスの将来の発展を考えた場合、光デバイスを電子デバイスと一緒に集積化する必要がある。」というふうに書いて、これはOEIC、オプトエレクトロニクICでございますが、やはり光だけを集積化するということは余り意味がなくて、電気信号と一緒に集積化するということが将来の、これがいみじくも先と電気が共存してお互いに助け合いながらやっていくという一つの姿だろうと思います。 以上でございます。
○貝沼委員 素人の質問で大変恐縮でございますが、黒田参考人にお願いしたいと思います。 一つは、この「「光科学技術の高度化に関する総合的な研究開発の推進について」に対する答申」というのが出ておりまして、ここにも「データベースの整備」というところがあります。ここの文章は読まなくてもよろしいと思いますけれども、このデータベースの整備、整備しなければならない部分がある、あるからこそ問題がある、そういうことだと思いますので、そういう不都合な点というのはどういう点なのか。整備を要する点はどういうことなのかということと、ではどういうふうに整備すべきなのか、ここのところを具体的に、お考えがあれば教えていただきたいと思います。 それから二点目は、国際協力の問題が先生から先ほどございました。この国際協力、具体的にどんな形態でやればよろしいのか。ただお互いの協力といってもいろいろな形があると思うのです。今までもいろいろやられていると思いますけれども、こんなのが特に望ましいということがございますれば教えていただきたい。特にこの点がどうも障害になって難しい面があるのだということがあればつけ加えていただきたいと思います。
○黒田参考人 御質疑のありました二つの点についてお答えさせていただきたいと思います。 まず最初に、データ整備の必要性でありますけれども、例えば先ほどのお配りしたところでお見せいたしました固体レーザー一つをとりましても膨大な数がある。そのエネルギーレベルがどうなるかということも、ちょっと中の成分を変える、例えばスカンジウムを入れる、あるいはガドリニウムを入れることによって量子力学的な計算をやると、エネルギーレベルが全部変わってまいります。そうしますと、そのたびにライフタイムでありますとか、先ほど申しました光になりやすさ、そういういわゆるレーザーの諸性質が全部変わってまいります。ですから、そういう意味で、例えば何か物質が決まっていてそれに対してやるということの以前に、レーザー材料として何が適切かということを評価する場合には、恐らく数万あるいはもっと多くの材料の中から適切なものを選んでくるということをやらねばならない。その場合にも、先ほど述べました波動関数がどうなっているか、あるいはその確率の場、量子計算からエネルギーレベルから、そういうデータが大変必要であります。それから、例えばエックス線領域にまいりましてもいろいろなものがあります。そういうもののエネルギーレベルの計算からすべての特性をやるためには、どうしてもデータベースが必要である。もちろん今のは固体レーザーだけの場合でありますけれども、そのほかにも半導体、気体、各種のレーザーが主流にありますので、どうしても必要であろうと思います。 それからもう一つ、国際協力の点でありますけれども、これは私たちはそういうことは門外漢でありますが、私たちの周りで感じておりますことをお話ししますと、現在は日米協力とかいろいろなことがあるわけですけれども、例えばスタンフォード大学でありますとかいろいろな日本の大学とかで、ある程度交互に行き来して学生の教育もやる、共同研究もやる、それからビジティングプロフェッサーとしても来れる、そこで同じテーマを議論していく、あるいは学生の教育もできる、そういう形態が一番望ましいと思っているわけであります。例えば何々とスタンフォードのジョイント・レーザー・インスティチュート、そういうものも可能ではあるかと思いますけれども、現実には、私学と国立大学の問題でありますとか、日本の中での会社との問題でありますとかいろいろあって、必ずしもストレートにはうまくいかないというふうに聞いておるけれども、もしそういうことがどこかの大学の中にでもできてリージョナルセンターとして活動すると同時に、外国の著名な大学とジョイントセンターをつくりまして、そこで教授レベルの交換もやって、学生も交換できる、あるいはそこに官庁の方も研究所の方も民間の方も参加して、非常に活動的な基礎から応用まで含めた研究ができる、そういうことが現在のところ法律的な問題、あるいはそれを乗り越えてできるとしますと、これは大変すばらしいものになるだろうと思います。
○矢島委員 きょうは参考人の皆様方、本当にありがとうございました。 黒田先生にちょっとお聞きしたいのですが、各国のこの分野の比較となりますとそれぞれの難しさがあるだろう、お三人の先生方から、状況についてはそれぞれの中でわかるわけなのですが、共通して言えることは、やはり基礎研究とか人材の問題とかそのような問題になってくると思うのですが、こういう場面で、先生の御専門以外のことなのでお聞きしていいのかどうかちょっとあれなんですが、高等学校における物理教育の問題なんです。私は長く物理を教えたものですから余計なんですが、可視光線の部分についてはいろいろと深めていくわけですが、それ以上の分野となりますと出てこない。そのことの専門的な研究というのはもちろん大学やあるいは研究者に任せるとして、その時点で興味を持つといいますか、この方面へひとつ勉強をさらに重ねてみようかなという興味を持たせるためには、ある程度量子的な部分にまで入る必要があるとは思うのです。ただ、少し程度が高くて今の高校教育の中では無理だとお考えか、ある分野では入れることもできるのじゃないかと私は思っているのですが、その点についてお考えを聞いておきたいと思います。
○黒田参考人 今の御質問の点でありますけれども、お答えさせていただきます。 私は、高校教育のもっと前から、例えばレーザーというのは大変しち面倒くさいことをいろいろ言うわけでありますけれども、現実には、先ほど申しましたように、カメラのストロボがあって中に結晶を置いておいて、両側に鏡を立ててどんと光らせれば発振するわけでありまして、それを子供に見せたとき、あるいはヘリウムネオンレーザーでも簡単なレーザーでも、子供に見せたときの感激というのはすばらしいものだと思います。そこでは、むしろレーザーの原理的なことももちろんでありますけれども、なぜ光が真っすぐ進むのだろうか、あるいはどうして光は広がらないのだろうか、そういうことを通して、実際に実物を見せることで子供の世界は随分広がると思いますし、私は決してレーザーの概念そのものが中学あるいは高校で難し過ぎるとは思っておりません。やはりそれは、そういうものを教えようといった熱意と、それとその周りの環境をつくる、そういうことではないかと思っております。やはり高校生、中学生にとって、レーザーを実際に見るということが最大の一つの向学心ではなかろうかと考えております。
○矢島委員 どうもありがとうございました。
○原田委員長 一つ質問させていただきます。私から黒田参考人にお聞きしたいのですが、十六ページ、十七ページの、新固体レーザーから始まって自由電子レーザーとかいろいろなレーザーが列挙されておって、こういうものを大いにこれから研究開発やるべしだ、こういうように承ったのですが、それと、この後に何か軟エックス線レーザーですか、こういったものがありましたね。これらについてそれぞれどういうところで研究開発をやっているのか。例えば自由電子レーザーなんというのは大変大事な分野だと思うのですが、日本の機関としてどこで進んでやっているのか、ちょっと教えていただきたい。 それから、軟エックス線レーザーというのはこれからどういうものに利用されてくるのですか。応用分野というのですか、これがどういうところを目指していくのか、それもあわせて教えていただきたい。これもどこで研究開発を担当しておられるのか。
○黒田参考人 お答えします。 まず、軟エックス線レーザーに関してでありますけれども、これは今後の応用に関しましては、上坪先生の方からお話ございましたように、シンクロトロンのところで使えるところは全部網羅できる。さらに、そのシンクロトロンと相補的でありますけれども、その中にレーザーのコヒーレンス、要するに概念を持ち込んで、非常に輝度が強く、なおかつレーザーのコヒーレンスを持ったものをつくろう。そういう意味ではシンクロトロンも、自由電子レーザーを使って、やはりできれば紫外から軟エックス線のところのレーザーに持っていこう、そういう努力をしているわけであります。ですから、ある意味ではシンクロトロンで非常に広い波長をカバーすると同時に、シンクロトロンもアンジュレーターなどを用いて軟エックス線レーザーの方にできれば持っていきたい、そういう希望がございます。そういう意味で、単なる普通の光でなく、やはりそれをレーザーとして持っていきたいということで、応用範囲はシンクロトロンと同じと申しますか、場合によってはもっと原子のレベルに迫る、レーザーの特質を使った新しい原子レベルの変調の問題とか、そういう応用が出てまいります。 それから、私の理解では、そのテーマそのものを取り上げでそれだけを研究しているという機関は日本にはないように思いますけれども、少なくとも東京大学とか大阪大学とかあるいは理化学研究所とかプラズマ研究所とか、あるいはまたその他にもあるかもしれませんけれども、そういうところで正直言いますと細々ながら純粋学問研究、基礎科学として手がつけ始められている、そういうところだと思います。
○原田委員長 もう一回質問させていただきますが、体系的にやっていないのですね。
○黒田参考人 体系的に、少なくとも予算面の措置だとかあるいは組織面でそういうふうにやるようにはなっておらないと思います。ただ、そういうことをやらなくてはいけないということである程度の研究グループができて、それで動き出しているところだと思います。 それからもう一つの御質問の自由電子レーザーをどこでやっているかということで、これも上坪先生からも補足していただければいいかと思いますけれども、これもやはり日本では完全にこれに取り組んでおるところはまだないと思います。ただ、今後やるということで電子技術研究所でありますとか高エネルギー研究所とかあるいは東京大学とか、そういうところでプロポーザルを出して研究に着手したというふうに私は了解しております。あるいは理化学研究所もお考えかと思います。
○上坪参考人 今の自由電子レーザーに関しましては、一番のネックは、やはり自由電子レーザーに発振させるに必要な電子ビームのきちっとしたものがないということがネックになっておりまして、黒田参考人のお話以外にも、原子力研究所でも自由電子レーザーの研究を始めたいというプロポーザルを検討中とお聞きしております。 いずれにいたしましても、シンクロトロンないしは電子ライナックで電子ビームの強度の強い電子、高いエネルギーの電子が必要なのでございまして、そちらの装置のアベイラブルになったところから実際には具体的な実験がスタートするのではないかというふうに考えているわけであります。
○原田委員長 内田参考人に伺いたいのですが、内田参考人の資料の最後、二十八ページに出していただいた表だと、レーザーを中心とするオプトエレクトロニクス技術では、例えば通信では日本が進んでおる。この表全体としては確かにアメリカはいいけれども、日本も相当のところに行っているというように、技術の面、応用分野では見えるわけです。しかし、今伺っていると、基礎のレーザー、いろいろな新しい形のレーザーを利用する前に、発振するというか、レーザーそのものの研究開発というものは何か非常に頼りないような感じがいたすのですが、いかがでしょうか。
○内田参考人 お答えいたします。 やはり民間企業の場合、例えば光通信でありますと、はっきりこれは膨大な需要があるということで、その範疇に含まれる各種の半導体レーザー、そういうものに関しましては膨大な研究投資が行われております。ところが、一歩それを離れまして、先ほどの自由電子レーザーとかは、現在のところやはりどういう応用に使うかということがわかりませんので、そういう基礎研究の部分は、企業の場合どの程度やるかというと、大体私どもの研究所の場合、私六月まで日本電気の研究開発担当の役員をしておったわけでございますが、普通一〇%前後はそういう基礎研究に注いでおります。ですけれども、レーザー全体を眺めますと、先ほどのコンパクトディスク、光ディスクみたいなものは、これもほとんど世界じゅうの市場を日本が握っているくらいでございますが、はっきり言いますといわゆるフィージビリティーでございます。技術的には実現性がチェックされて、それである程度マーケットがいくということが予測されたものに関しましては日本は非常によくやっておる。ところが一方、光科学技術から見まして、長い方の波長からエックス線のところまで波長を非常に網羅的にレーザーの総合的な研究をしておるか、そういう立場から見ますと、やはり日本はそういう総合的な研究は非常におくれている。非常にはっきり言いますと、要するにピークがちょこっちょこっとありまして、連山になっていないというふうに感じます。 以上でございます。
○原田委員長 どなたかありますか。——それでは、私からもう一つ。 それで黒田参考人のように光科学研究所というような構想が出てくるんだろうと思うのですが、先ほどの上坪さんの御提言で、例えば研究者、技術者の養成というのは非常に大事で、国立大型施設、仮に放射光の施設をつくろうという計画は今進んでおりますね。これができた場合、そういう大型施設を中心に大学院教育も可能であるような、これも先ほど黒田さんがおっしゃったような、本当に世界に開かれて産学官の共同研究がみんなのチームでできるような、しかも教育研修ができる、こういう機構にしていったらどうかという御提案だと思うのですが、そういうことは今の大学から見て大変難しいところがあるんですか。 それから上坪さんの方から何か、あるいは内田さんの方から今の実態について、具体的にかなりこれから進めようというときでございますので、この委員会としても皆さんの御提言をぜひ参考にさせていただいて強力に推進してまいりたいと思っておりますので、よろしくひとつ御開陳をいただきたい。
○黒田参考人 お答えいたします。 私の知っている範囲でございますのであるいは間違っているところがあるかもしれませんけれども、私は、理念としては、今委員長が言われましたようにそういうものをぜひつくらなければいけない。特にある程度の、完全なビッグではありませんけれども、スモールビッグサイエンスかもしれませんけれども、それのもとに各英知を結集して、特に学生の教育、人材の養成も図りながらやる、これは不可欠であると思います。 そういうことをやろうとしたときに、現在の大学の縦割り体制、官庁の研究者の縦割り体制あるいは民間との体制というものは決していいとは思っておりません。ただ、これは長い歴史があることだと思っておりますので、こういうことが出たことを契機に、各官庁を乗り越えてぜひそれを何とかやっていただきたい。現実には今のままではそれがスムーズにすっとできるとは思っておりませんし、例えば大学の中でも講座が必要である、本当に拡張が必要であるというときにすぐそれが定員化されていくというふうには私は思っておりませんけれども、絶対にこういうものが必要であるということは、私は急務であると思っておりますので、それを高い見地から、各先生方の御支持で、あるいは御判断をまぜ合わせながらぜひそういうふうに持っていっていただきたい、そう思うわけであります。
○上坪参考人 私は現在特殊法人に属しておりますが、大学院の教育に関しましては、日本の場合、大学及び国立直轄研究所では大学院の教育はできますが、それ以外の施設ではむしろ個人的に大学の先生との間の相談で学生を預かるというのが主体になっております。ですから、大学及び国立直轄研究所以外のところで指導教官になって本格的に大学院の学生の養成をできないというシステムになっておりまして、今後こういった省庁を超えたようないろいろな大きな施設ができてまいりますとそれが若干問題になるんじゃないかと考えております。
○原田委員長 理化学研究所ではできないのですか。
○上坪参考人 理化学研究所は大学ではございませんので、学生さんは、例えば私どものところですと、毎年ドクターの学生が一人か二人、私どものところでやりました仕事をベースにしたドクター論文を大学院に出してやっておりますが、その場合でもちゃんと大学に指導教官が別個におりまして、その指導教官の方から私どもの方にこの学生をよろしくとか頼まれて預かっているという形になっております。実態的にはそれでもよろしいのですが、責任を持った教育となりますと若干問題があるのではないかと考えております。 それからもう一つ、こういったところで学生さんを預かることをやるようになりますと、やはり学生さんの厚生面に対する配慮が重要になるのじゃないかと思います。例えば宿舎の問題、場合によってはある種の奨学金の問題とか学生の健康診断、そういったいろいろな厚生施設をかなり整えていく必要があるのではないかというふうにも考えているわけであります。いずれにいたしましても、大学の先生方それからそれ以外の研究所の方とのいろいろな交流が盛んになりますとだんだんそういった問題は緩やかになってくるのではないかと思いますが、現状ではなかをか難しい問題があるのではないかと思います。
○内田参考人 お答えいたします。 例えば光科学技術に関しまして省庁を超えました広範な一つの大きな研究所ができたといたしますと、私どもよく産官学の共同研究と言われておりますが、今度の超電導の例もそうであります。ある種の科学的なアイデアが出て、それをみんなが群雄割拠でばらばら研究するよりは、ある一定のレベルまで育て上げるまでは、それぞれの機関ということでなく、むしろそういうものは、人類の資産として大きなパイに育て上げるには、みんなが寄ってたかって共同してある程度の大きな組織、一つばかりでない、幾つかのそういう施設が必要だと思います。そして、そこを海外にも門戸を開けば非常に大きな意味で国際協力も可能だと思います。それである一定のパイにまで到達した後は、もちろん企業その他のフリーコンペティションという姿がいいのではないかと思っております。もしそういうふうな基礎に近い光科学技術研究所のようなところがありますと、私どもも喜んで若手の社員を参加させてそういう基礎研究の方をもっと強化していきたいと思っております。
○貝沼委員 蛇足みたいな質問で大変恐縮なんですけれども、研究という分野と開発という分野と両方あると思うのです。それで、ただいまの参考人の御意見のように、私は研究分野においては一貫してやった方がいいように思いますが、開発分野のところはおのおのの特徴を生かして切磋琢磨した方がいいようにも思っておるわけです。この辺どう考えたらいいのかということを内田参考人と黒田参考人にお願いしたい。 もう一点は、上坪参考人にお尋ねしたいのですが、国際的な貢献というところで、大型研究施設をアジア地区の研究者に開放するとなっておりますが、特にここでアジア地区というふうに書かれたのは、大体わかるような気もするのですけれども、御説明をお願いしたいと思います。
○内田参考人 お答えいたします、 研究と開発は、私は、はっきり分けた方がいい。研究の分野は、先ほど申し上げましたようにある種のアイデア、いろいろなものをみんな試行錯誤すると同時に、アイデアが出るとそれをある程度研究の範囲内でみんなで寄ってたかって大きなパイにまでする。これには全く自由に国際的にも窓を開くという態度でいいと思います。ところが、開発となりますとそこに工業所有権の問題その他が入りますから、これはそれぞれがフェアなフリーコンペティションということで、おっしゃるとおり研究のところは共同してやる。しかも海外協力もする。 ただ開発でも、幾つか例外はございます。エネルギーとか宇宙の問題というような場合は、予算規模からいって、それぞれがフリーコンペティションといいましても、この前のNHKのテレビを見ましても、ヨーロッパのエアロインダストリー、エアバスの問題、アリアンヌの問題、あれは私は開発だと思います。ですけれども、ヨーロッパですらも、ああいうもののビッグなプロジェクトの開発に関してはヨーロッパ諸国が協力していますから、やはり日本も、すべて開発は原則的にはフリーコンペティションなんだと思いますが、今みたいなビッグプロジェクトに関しましてはある種の協力も必要だということです。 以上でございます。
○黒田参考人 私は、研究はやはり主体的に大学あるいは大学の研究所がやるべきであろうと思っておりまして、そこはむしろ本当に基礎科学としてやる。その中から本当の芽を、大変難しいことかもしれませんけれども、見つける人がいて、それを開発に結びつけていくというのが筋であろうと思っておりまして、そういう意味で大学の研究所あたりを中心に教育と研究を受け持つ。 ただし、先ほども言いましたように、レーザーは非常に大きな範囲を網羅しております。それから、ある程度のビッグサイエンスになってまいります。ですから、教育もその中で一貫してやらなければ、なかなか本当の教育ができないと思っております。そういう意味で、教育と研究を一貫して、その中から出てきたものを開発に結びつけていくということが必要でございますので、開発のごく初期のフェーズ、それは例えばレーザーの場合は、先ほど言いましたようにうんと基礎的なところとシステム的なところが両方ございますので、うんと基礎的な原理を組み合わせていってシステム化していく、そういう開発の初期はやはり一貫してやった方がよろしいのではないか。ただ、それを大きく一つの目的に合わせて、いろいろな各産業界とタイアップしていろいろなことをやる、こういうことはやはり今内田参考人が言われましたように別の機関でやった方がいい、あるいは一つの機関の中に二つを網羅して有機的に結合する、そういうルーズカップリングの大きな研究組織をつくる。その場合はやはり国立研究所あたりの大きなものがいいかもしれないと思っておりますけれども、そういう二つのフェーズがあると思っております。
○上坪参考人 お答えいたします。 実はこの六十億電子ボルトクラスの最先端の放射光施設を、お話しいたしましたようにヨーロッパ連合で一つつくる。それからアメリカで一つ。日本からこういう計画があるというお話を向こうに持ってまいりますと、当然のように皆さんは、アジア地区に一つ、ヨーロッパ地区に一つ、アメリカ地区に一つというとらえ方をしております。現実にはアメリカとヨーロッパというのは非常に親しい関係がございまして、ヨーロッパの施設は、中でヨーロッパの関係の方たちの建設、利用に関して完全に一体となった共同利用の体制が整っておりますが、同時にアメリカとの間にも、必要に応じてしょっちゅう人が行き来して議論をやるような体制が整っております。 そういうふうに考えますと、もしも日本にこういった大型の施設ができますときには、これの位置づけとしては、やはり太平洋地区での共同利用の施設と同時に、そういった世界的な意味での大きな研究所との間に非常にギブ・アンド・テークの人的、学問的な交流が密になるようなネットワークをつくるという、その二つの側面があるのではないかと考えまして、先進国との間にはそういったネットワークという考え方での交流。それからアジア地区におきましては、アジアの方々の、特に最先端の学問をやりたいという方たちが非常に施設の貧困さでできない部分もございますので、そういった方たちがチームを組んで日本の施設を使いに来られるというようなシステムを何らかの形で日本がつくる必要があるのではないかと考えまして、あえてアジア地区での共同利用、そういうふうに申し上げたのでございます。
○原田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十四分散会