P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
108回国会参議院1987/05/14

予算委員会公聴会 第1号

発言数
96
登壇者
23
会派数
7
開催日
1987/05/14

会議録

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会公聴会を開会いたします。  昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、昭和六十二年度総予算三案について、お手元の名簿の六名の公述人の方からそれぞれの項目について御意見を拝聴いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  肥後公述人、小林公述人におかれましては、御多用中にもかかわりませず本委員会のために御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。  本日は忌憚のない御意見を承りまして今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度の御意見を順次お述べいただきまして、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、順次御意見を承りたいと存じます。  まず、財政・税制につきまして肥後公述人にお願いいたします。成蹊大学教授肥後和夫君。

肥後和夫成蹊大学教授

○公述人(肥後和夫君) 成蹊大学の肥後でございます。  六十二年度総予算について意見を申し述べたいと思います。  六十二年度予算案を評価するに当たりまして、私は、日本経済当面の急務である内需拡大と、六十五年度を目標として赤字公債依存から脱却しようと努めている財政再建の年来の課題との調和が可能なのかどうか、それとも内需拡大のために財政再建の努力は棚上げすべきなのかどうか、最初にこの問題に対する意見を申し述べたいと思います。  第一に、内需拡大の問題でありますが、六十一年度十四兆円余、一ドル百四十円で換算いたしまして一千億ドル余に及ぶ大幅な経常収支の黒字は、六十二年度以降漸減するとはいえ、ここしばらく続くものと予想されますが、これに起因し、アメリカを中心として激しさを加えつつあります国際的経済摩擦を改善することは、国際社会で生き残るために我が国に課せられている最大の課題であります。大きな経常収支黒字によって加速する円高に耐え、それを克服して国際競争力を保持するためにコストの節減を図るという個別の企業努力に頼るだけでは円高の悪循環を繰り返すばかりでありますから、輸出依存型の我が国産業構造を転換し、比較劣位産業の保護にかわって輸入の増加を図るとともに内需の拡大に努め、あわせて、対外経済援助等により対外債務に悩む途上国にも経常収支の黒字が還流する道を積極的につけていくことがこの課題を解決する根本的な方策であることは言うまでもありません。  第二に、財政再建の課題でありますが、我が国の一般会計は六十二年度末で百五十兆円余、対GNP比四三・五%に及ぶ巨額の債務を抱えており、このため、六十二年度予算で国債費は十一兆三千億円、一般会計予算総額の二〇・九%を占める最大の経費となっておりまして、国債費の中で元本の償還費を除く利払い費が十兆九千億円と予算案総額の二〇・二%を占め、ついに六十二年度予算案における公債発行額十兆五千億円を上回ることになっています。  言うまでもなく、巨額の債務の累積は、五十年度以降続いております大幅な財政収支の赤字によるものであります。その原因は、高度成長から安定成長へ経済基調が転換したことによる税収の伸びの低下と、高度成長時代の惰性もあって、今なお続いている大きな政府の体質によるものでありまして、五十五年度来政府は財政再建の大目標を掲げ、財政硬直化を打開するために、当面赤字公債への依存を解消することを目標に努力しております。  何はともあれ、財政硬直化を打開しなければ政策手段としての財政の弾力的対応力が確保できないこと、長期的には、高齢化社会に対応できる底力をつけておかなければならないこと、これが財政再建を必要とする理由であると考えられます。  第一の内需拡大でありますが、経常収支の黒字を減らすために第一に必要なことは、輸出主導型の経済構造の転換を促進することであり、現在の経済構造を前提としてそれを温存するように機能する内需拡大ではなく、国内経済に浮力をつけ、経済構造転換の摩擦や苦痛を和らげ、転換を促進するように機能するものでなければなりません。  また、内需拡大のために国の財政に何ができるのかという点では、国の一般会計は硬直し、機動力を欠いておりますが、財政投融資計画の原資の伸びには比較的余裕があります。また、現在最も豊富な資金を抱えているのは民間であり、大都市圏の有力な地方団体もやり方次第ではかなりの機動力が期待できます。  第二に、国の財政再建でありますが、一般会計の傷は国際比較から見でもなおかなり深いものがあります。公債依存度、利払い費の歳出総額に占める割合、長期政府債務残高の対GNP比、いずれを見ても主要国では極めて高いものがあります。一般会計の財政基盤を無視した財政政策は、五十四年のボン・サミットにおける機関車論の失敗によって明らかでありまして、ひとり積極財政で独走したレーガノミックスがアメリカの経済に長期的には問題を残すことになっていることを考えましても、避けるべきではないかと思います。  また、財政再建の努力が行政改革の進展に大きく寄与していることも大いに注目すべきであります。  そこで、一般会計の財政健全化に引き続き努力し、行政改革の進展にも努めながら、財投の利用、地方公共団体及び民間活力の利用等によって内需拡大を図っていく道をとるのが望ましいと考えます。もちろん、そのために地方財政の基盤が損なわれることのないよう慎重に配慮する必要があることは言うまでもありません。  以上のことをまず申し上げた上で、六十二年度予算案についての所見を申し上げます。  六十二年度予算案の注目される特徴で第一に挙げるべきものが二つあります。  その第一は、財政再建の努力であり、一般歳出は五十八年度以来五年連続で前年度以下に抑制され、一般会計歳出総額も六十二年度における対前年の伸びがゼロに抑えられました。そのため公債発行額も四千四百五十億円の減となり、公債依存度は二〇%台を割ることになっております。  第二の特徴は税制改革でありました。サラリーマンの重税感を緩和すること、及び法人税負担の軽減を図りながら財政再建との調和を図るために増減税同額が基本方針となったわけでありますが、そのために導入を図られました中心の売上税が凍結され、税制改革のあるべき姿については改めて議会の委員会において検討をされることになったものと承知しております。売上税及び売上譲与税の凍結によりまして六十二年度地方財政計画が動きがとれなくなっており、ひいては内需拡大にも支障を来しているようでありますが、速やかな御審議と妥当な結論が明らかにされますよう期待しております。  なお、その際、減税を先行させ、税制改革はゆっくり審議すればよいということも考えられますが、高齢化社会を遠からず迎えなければならない現在、減税を先行させるという短期的な景気政策には問題があろうと思われます。しかし、内需拡大の急務という観点からいたしますと、財政再建の枠内で公共事業費のシーリングを抑制して、公共事業費の八〇%前倒しや、財政投融資や、地方単独事業との連携に工夫を凝らすというだけでは量的に不足すると言わざるを得ません。その点で、日米首脳会談で総理が約束されたと伝えられております五兆円規模の補正予算の策定といったようなものが望ましいと思われます。  しかし、当面の内需拡大策としての補正予算で公共投資を行うにしましても、一般会計の長期的な視点での健全化と両立できるよう、一般会計の別枠として、その効率化を図るために、従来の各省に対する配分枠にとらわれることなく、地域的な活性化その他重点的な計画が必要であります。それによって各省の役割、縦割り行政の弊害を改め、総合的な視点での事業執行を進展させるように役立たせるべきではないでしょうか。  この補正予算の財源としてNTT株の問題がありますが、この内需拡大の政策が長期的な財政健全化と十分に両立できるようにするためには、一応現在決定されておりますように、国債整理基金へのNTT売却益の繰り入れによる公債の減額を基調としつつ、建設公債の発行によって公共投資の増加は賄われるべきであろうかと思います。そういたしまして、もし必要な減税につきましては、これは長期的な税制と両立できるような御検討が願わしいと思っております。  以上のような視点で六十二年度予算案の速やかな成立を望むものでありまして、その成立後に新しい視点でさらに内需拡大の施策を講ぜられることが望ましいと考えております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  それでは次に、産業構造調整・雇用につきまして小林公述人にお願いいたします。法政大学教授小林謙一君。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) 小林でございます。  私の課題は、今日、円高などの理由で日本の産業構造が大変転換をしておりまして、また主体的にこれを調整しなければいけないという局面に入っておりまして、それに伴いまして雇用失業状況が大変御存じのように悪化してまいっております。最近、三月の完全失業率が発表されましたけれども、一月の三%は季節調整でちょっと下がっておりますが、現数値は三%を上回るというぐあいに向上、高まってきております。それからもう一つは、昨年の夏ぐらいまではトータルにいたしますと日本の雇用は百万前後ふえておりまして、私なども安心していたんですけれども、秋あたりからこのテンポが急激におっこちてまいりまして、このところはほとんど雇用は純粋、ネットふえていない、こんなような状況に立ち至っております。  時間もございませんので、こういうふうな雇用失業状況にどういう政策的対応をしたらいいのかというふうな点を少し考えてみたい、このように思います。  第一点は、今日の大体三%ぐらいの失業というのを二つに分けて考えることができるかと思います。  一つは、量的な、成長率が低いために労働力需要が少ないために起きている完全失業の部分と、そう截然とは切れないんですが、考え方としてはもう一つは、一方で人を雇いたい、現に企業の中にこういう欠員がある、それに対してそれと同じぐらいの失業が一方であって求職をしているんですけれども、さまざまな理由でこれがマッチングしない。これは求人もあり求職もあってそれが均衡していますものですから均衡失業というふうに我々は言っておりますけれども、そういうふうに分けてみますと、一つの点は、労働力需要の足りない部分、これは恐らく今ふえておるでしょうけれども、趨勢的に見ますと三%の中の一%ちょっとという感じではないかと思います。  完全失業者は百八十万を上回りまして三月の数字では百九十万に乗っておりますが、したがって、その三分の一の大体六十万ちょっとというところはこれは景気失業、成長率を高めることによって吸収しなければいけない、こういう数字ではないかと思います。たまたま一致するんですけれども、この六十万ちょっとという数字は、現在の完全失業者の中で世帯主が失業しているのが大体それぐらいになります。  それからこの失業の中には自発的に、勝手に、先ほど申しましたような事情で失業している部分もありますし、それから雇用調整などで非自発的に嫌々ながら失業させられているという部分がございますが、この非自発的な失業が大体六十万に近い、こういう数値になっております。そのほかにも実は潜在失業などがございますのですが、これらの部分は大体六十万ちょっと、この部分は量的な拡大によって吸収されなければいけない部分、このように考えていいと思います。  それから第二点。先ほどの均衡失業、大体三分の二ぐらいあるというふうに考えていいわけなんですが、実は趨勢的にだんだんふえてまいりまして、これは原因がなかなか難しいんですけれども、一つは、せっかくそういうぐあいに欠員があって求職者がいるのに双方の雇用情報がうまく伝わっていないという原因。それから、今日の失業は非常に地域的に偏在しておりますけれども、したがって、地域移動をしなければいけないんですが、それが容易にはできない、こういう原因によるもの。それから、先ほども触れました、産業構造が転換しておりまして、それに伴って需要側の職種と供給側の職種がうまく対応しない。そのほか、労働条件が悪いとか、まあ若者ですとその職業は格好悪いとかいうふうな事情に基づいて、欠員があるのにそれが就職に結びつかない、こういう均衡的な失業がかなりの部分を占めている。この部分は単に量的な拡大政策をいたしましても、下手をすると特定の賃金だけが上がってしまって賃金インフレの原因になりかねない。ですから、これは量的なことではなくて質的なさまざまな雇用政策、さっき申しましたような原因を除去していくような雇用政策を展開しなければいけない、こういうことを示唆していると思います。  時間もございませんので、以上のような現状に対応した政策のあり方を少し考えていきたいと思います。  一点は先ほど申しました雇用情報の問題でございます。  今日雇用情報については、御存じのように雑誌とか新聞とか口コミとか、いろんな形でもって展開しておりまして、職安の提供する雇用情報にさまざまな問題を投げかけているわけでございますが、確かに職安は、一部これから雇用情報の処理をコンピューター化してスピードアップをしたり、広域化をしたり、メモリーが大変ふえたりという点で改善されておりますけれども、この雇用情報について多少調べてみますと、どうもインプットされる雇用情報の内容が、求人側が本当に欲しがっているものが与えられていないとか、求職者が本当に知りたがっている雇用情報が得られていないとかいうふうな問題を残しているように思います。  したがいまして、金をかけていろいろのことをやることが必要なんですけれども、この雇用情報の内容について、恐らく民間で先行していることにいろいろ学ぶ点が多いのではないかというふうに思いますが、いずれにしても知恵を絞って改善をしていくというふうなことが必要ではないかというふうに思います。  それから第二点は、先ほど申しました失業の地域の偏在ということでありますが、これは皆さんも御存じのように、企業城下町を初めとしてさまざまな深刻な問題を起こしておりまして、特に単なる失業問題、今日国民のみずからの失業を補償する力も大分ついてきておるんですが、こういう特定の地域におきましては家庭崩壊をもたらしている、発生させているような深刻な事態になっておりまして、これはもう特定の集中的な地域の雇用失業政策が展開されなければいけない。これはその地域だけというのはなかなか難しいのでもう少し範囲を広げて、それから地域移動できる人たちは、先ほど言いました雇用の機会のある方に移ってもらうということができるような政策も必要ですけれども、ある程度地域を広域的に広くとらえて、そこでの地域の再開発を本格的にやるというふうなことを考えなければ速効性のある対策は望めないのではないか。  そういう視点から考え直してみますと、東京も相当なものですけれども、全体、各地域で我々の生活環境にかかわる社会資本の不足というものは、既に早くからいろんな形で指摘されているとおりでございまして、そういう点を根本的に改善していくような公共事業なり何なりを興して、雇用を開発し失業を吸収していくということが非常に急がれなければならないのだと思います。  それから第三に、今日起きている産業転換にかかわる論点でございますが、これは新しい産業ということで、MEを初めとして新しい素材の開発であるとか、それから新しいエネルギーの開発であるとか、さらに海洋や航空、宇宙といったような分野、先ほどの私の指摘も含めて都市システムの開発の問題、それから我々の生活が変わってきておりますから、そういうライフスタイルに関連したさまざまな新しい製品の開発ということは既に指摘されておりまして、現に動いてもいるわけですが、その点については、通産省で何とかこういう新しい分野への転換のガイドラインのようなものをつくろうというふうにして進めているはずでございます。  この場合、先ほどの御指摘もございましたように、ぜひともこういう新しい産業分野というものを、とりわけ内需型のものについて振興していくということが必要ではないか。同時に、これは我々もしなければいけませんけれども、内需型のこういう新しい産業と対応した具体的な雇用計画を立てる、それからさらに、それと関連して地域計画を立てていくということが必要ではないか、このように思います。  それから第四に、それと関連いたしますのですが、今日、常用三十人以上ぐらいの事業所を調べた労働省のデータに従いますと、その事業所の半分近くは何だかんだ雇用調整をしなければいけない事態に立ち至っておりまして、御存じの残業規制を初めといたしまして、さらに、それも日本的なんですけれども、配置転換や出向という形で雇用調整が展開しておりまして、よりハードな雇用調整としては鉄鋼などの一時帰休あるいは希望退職、こういうふうなハードな雇用調整まで展開しておるわけでございます。  この雇用調整を見ていく場合に、先ほどの産業転換という視点でとらえ返してみますと、こういう新しい内需型の産業に前向きに転換していくのと、それから今までの産業を維持するタイプの、言ってみれば後ろ向きの雇用調整と、両方考えられると思います。この後ろ向きの雇用調整で、それからさらに、この雇用調整は賃金の調整を伴っておりまして、これもまた内需拡大に大変マイナスになっているわけでございますが、そういう後ろ向きのコスト調整では、先ほど肥後教授も御指摘のように、ますますまたこれが円高に追い込まれていくというふうなことになりますので、この点は何とかそうでなく前向きの、先ほど申しましたような産業転換に転換していかなければいけない。  企業にいたしますと、後ろ向きの雇用調整はやるな、前向きにやれ、こう言うんですけれども、この前向きの点をうまく誘導いたしませんとどうなるかといいますと、これは今進んでおりますような生産投資の海外移転、海外進出ということにならざるを得ない。これは輸出産業でもそうですし、輸入と競合する産業でもそうならざるを得ない。それに伴う雇用の減少というのがまた予測されているわけでありまして、ぜひともこの前向きの新しい産業調整の方に誘導していくということがとりわけ必要ではないか。  あと少し言い残しましたけれども、後で補充させていただく機会を与えられれば幸いと思います。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

金丸三郎自由民主党

○金丸三郎君 私は、肥後先生に財政の問題それから税制の問題等を中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  端的に私がお伺いいたしたいと思っております要点を申し上げますと、先生が冒頭におっしゃいました内需拡大と、ことしの予算の状況から見まして、六十五年に国債の発行をゼロにするという財政再建を棚上げすべきではないか。結論をおっしゃいませんでしたけれども、この関係が第一点でございます。それから第二点は税制の改正の問題。第三は地方財政。さっき地方単独事業も大いにやるべきではないかという趣旨の御意見もございましたので、この三点を中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  まず、財政再建との関連でございますけれども、ここずっと長い間ゼロシーリングが続いてまいりました。ことしの予算編成ももちろんゼロシーリングであったことは、もう既によく御承知のとおりであります。ところが、構造調整の論議が起こってまいりましたことも御承知のとおり、党として四月に緊急の総合経済対策を作成し発表しておりますことも御承知のとおりでございます。  今日はもうナショナルエコノミーはなくなってしまった。どちらかといいますと、財政の事情も国と地方を合わせますと二百兆を超す債務を持っておるわけでございますから、それを非常に根本に置いて予算が編成をされ、みんなそれを我慢してやってまいったわけでございますけれども、昨日のOECDの閣僚理事会の模様をテレビで見ておりましても、アメリカは双子の赤字、日本と西ドイツは双子の黒字国、アメリカは財政の赤字を減らせ、日本と西ドイツは黒字をいわば減らして内需振興をせよ、あるいは減税をせよ、こういうような世界的な趨勢になっておることも、先生も私はよく御承知のとおりだと思います。  まだ六十二年度の予算が通っていないのに、既に五兆円という補正予算が論議されること自体が非常に異常でございますけれども、どうもこれは、ナショナルエコノミーがなくなった、新しい世界的な経済秩序をつくっていかなければならない、非常に深刻な危機だということもまた世界じゅうに言われておるような現状のもとで、どうしても我が国も日本だけの財政の都合で予算を編成するとかなんとかやっていけなくなってきたんだ、このような感じが実はいたしておるのであります。内需振興を中心にした予算をどうしても編成をして、いわば国際的な責任を果たさなければならなくなってきたというのが、私は一面の実情ではなかろうかと思うわけでございます。  ところで、補正予算を組むといたしますと、内需型であればどうしても公共事業中心になってまいります。公共事業はここ数年来マイナス、マイナスでやってまいったわけで、もしそのような補正予算が組まれるとしますと、非常に大きな転換点に立つわけであります。そうしますと、六十五年の財政再建という目標とこれをどのように考えあわせるのか。政府が決めます対策には、慎重に財政再建の目標はもちろん堅持する、行革も実施していくんだと、これは言われておりますけれども、果たして今までどおりの財政再建の計画のもとにこのような国際的ないわば責務が果たしていけるんだろうか。この点につきましての先生の率直な御見解をお伺いいたしたいと思います。  第二は税制の問題でございます。このようにして、積極財政とまでは申しませんけれども、国際的な責務を果たしていく上に、輸出型の日本国民経済から内需向けの国民経済へいわば調整をしていかなければならないということになりますと、やはり恐らく相当程度の国及び地方の財政あるいは投融資が必要になってまいるのではないか。そうしますと二百兆を超す国、地方の債務というのはふえざるを得ない。先生も、国の財源としては建設国債を発行するのもやむを得ないじゃないかという趣旨の御発言であったように思います。これを何で返還していくか。返還なしには国としても野方図な財政運営はできないわけであります。一方には国際的な責任、一方には財政上の困難性、その財政上の困難性は、外国に言いましてもなかなかこれは外国は私は簡単に理解は示してくれぬだろうと思うんです。  何でこのふえる歳出を賄いつつ将来国、地方とも財政が破綻しないようにしていったらいいのか。私はやはり税制に求める以外にはないのではないかと思います。その前提として、行政改革によってむだを省く、これも当然でございましょう。しかし、ここ数年来、中曽根内閣としても自民党としても相当に努力をしてまいったと私は思います。これには限界があろうと思いますので、そうであれば、民間活力の活用とかいろいろ方法もあるかもわかりませんが、やはり税制ではなかろうか。これについてどのように先生がお考えになりますか。  私の個人的な感触としましては、やはり一次産業、二次産業から三次産業の時代へ変わってきつつある。三次産業についてもやはりどうしても課税の必要がある。国民生活の趨勢から見ましても私はそうだと思います。そういう意味で、やっぱり間接税がどうしても必要ではないか。  それからもう一つは、キャピタルゲインに対する課税であります。NTTの株が百万円で売り出された。それを三株買っただけで六百万もうかった。これが家庭の主婦の間であちらこちらで行われているのが現実であります。六百万もうかるというのは、今日の中小企業者から申しますと大変なことです。だから間接税、売上税に対する抵抗も強かったわけであります。いわば会社はもうすべて財テク、個人もそうであります。私は、これに対してやはり課税を考えるべきじゃないか。五十回以上やれば税金をかける。四十九回までの株の売買は税金をかけない。だから、どうしても私はこれらの問題についてぜひ課税をすべきではないかと思うわけでございますけれども、その点についでのお考えを伺いたい。  それから地方は、今日は都市を除きましては財政が非常に困難しております。だから、単独事業によって事業をやらせるということもさることながら、地方財政の実態についてどのように先生はお考えになっていらっしゃいますか、お伺いいたします。

肥後和夫成蹊大学教授

○公述人(肥後和夫君) 金丸先生の御質問にお答えしたいと思います。  私も、財政再建と内需拡大の関連をどういうふうに考えたらいいかということをかねてから随分問題にしておりまして、大分一時考えが揺れたこともあるわけですが、先ほど申し上げましたような意見に現在落ちついているわけでございます。  それで、一応内需拡大の目標として、GNPの成長率を実質で現在三・五%程度を維持するという目標を経済見通しては持っておりますが、実際は円高の加速によりまして二%台も維持できるかどうかという悲観論も一部にあるようでございます。そのような意味で、内需拡大が急務であると考えられるわけでございますけれども、経済摩擦の根本的な要因はやはり大幅な経常収支の黒字でありまして、その経常収支の黒字に内需拡大がどのくらい寄与するかということになりますと、もう十分に諸先生御承知のように、それほど大きくない。ということは、経済構造の転換には相当やっぱり時間がかかるということであろうかと思います。  ただ、要するに、巨大な日本の生産力を国内で使い切れないで余った分を外国に輸出して、しかも大分ドル安で減価するというような、そして迷惑をかけているというのであれば、やはり国内で使ったらいいじゃないかということでございます。ですから、そういう意味で、一つの経済大国の責務として、金丸先生のお話のように、日本はかなりの努力をする必要があるということは御指摘のとおりであります。  これは一般会計の再建とどのように両立させるかということでございますが、一般会計の赤字の意味というのは、先ほども申し上げましたけれども、やはり長期的な視点で一般会計の傷を治しておかないと本当の財政の対応ができない。財政の体質を強化するという意味では一般会計だと。しかし、これは長期的な問題でありますから、金丸先生が先ほど御指摘のように、税制改正と密接な関連があるのであろうと思います。  ですから、長期的に、我々の一般の家計でもそうですが、家を建てるためにローンを借りますと、ちゃんとローンの返済ができるような収入があるかどうか、これを十分に考慮してやるわけでございます。そのような意味で、そのローンの返済ができる十分なめどがつけば、幾ら借金しても、そしてその借金が将来の世代の利益につながるような事業に使われるのであればそれはよろしいのではないか、そういうことでございます。  ただ、高度成長からの惰性としての大きな政府の体質がございますので、これは財政再建という目標をもし外したときに、そこでこの体質の改善はとまってしまうんじゃないかという問題がございますので、一般会計の健全化という目標は堅持して、なおやはり行財政の改革は進めるべきであると私は思うのでございます。例えば補助金の問題一つにいたしましても、あるいは各省の縦割り行政のいろんな問題点にしましても、まだ直っておりません。こういう点をまだ直していく必要があると思うわけでございます。  そういう意味で、当面、数年をかけての内需拡大の政策は、これは臨時的な収入をもとにして一応計画を立てることが必要ではなかろうか。幸いにして、例えば先ほど一例を挙げましたNTT株でございますが、これは相当長期にわたって売却のできるような予定になっていて、六十二年度に予定されているものはその一部であるということでございます。これは当初考えられたよりもかなり今値上がりしておりますが、これはそのときになってみないと一体幾らの財源が確保できるかは言えないから、政府とされましては今明言をするということを控えておられると思いますが、基本的にやはり臨時収入でございますから、これはまず借金の返済に充てて借り入れ能力をふやしておいて、それでとにかく将来長期にわたって後代の世代にもプラスになるような基盤整備あるいは社会資本の充実等に使っていく。  まあ五兆円という話がいろいろうかがえるわけでございますが、五兆円というのは、土地代を引きますとその半分ぐらいになるおそれもありますので、それで足りるかどうか。地価の上がっているところと上がっていないところで地域的に差がございますし、あるいは大都市周辺は上がっておりますが地方ではむしろ地価はまだ鎮静化しているということでございます。ですから、大都市圏での公共投資の進め方と、それからそういう農村部その他地方の公共投資の進め方にいろいろ工夫をして、違いがあってもよろしいのではないかと思っているわけでございます。  私は、東京都の地下鉄十二号線の問題で経営調査会の財政部会長で取りまとめをいたしましたが、やはり東京都のようなところですと、必ずしも公費一辺倒でなくても工夫次第によってはかなりの仕事がやれると思うのです。しかし、今度は例えば金丸先生の鹿児島でそれがやれるかというとやれないわけでございますから、公費はできるだけそういうところで使って、要するに、経済力の集中している大都市圏ではまたもっと別の、公費をなるべく使わないような、民活をもっと積極的に利用するようなやり方をやるというようなことが必要ではなかろうかと思う次第でございます。  それから税制改正につきましては、私も税調の特別委員として審議に参加したわけでございますが、おっしゃいますように、消費が高度、多様化しておりまして、従来の商品を中心にして個々にかけるかけ方では追いつかないという問題がございますので、やはり消費一般にかける税金を考える必要があるのではないか。これは個別消費税にかわってでございます。ただ、従来の所得税、法人税、いわゆる所得をベースにする税体系をそれによって全部廃止するというのではないわけでございまして、あくまでも消費に対する課税は所得と財産を中心にする税の補完税ではないかと思います。  その所得課税でございますけれども、五十年代の前半までは総合所得に課税する努力を一生懸命やったわけでございますけれども、グリーンカード制の凍結、廃止によりまして挫折したという経緯がございます。それで我々は大分気落ちをしたわけでございますが、先生がおっしゃるように、今やっぱり金持ちは、むしろ土地の値上がりで目立っている金持ちよりも株を持っている金持ちは目立たないけれども、本当は大きいんじゃないか。それで、できればキャピタルゲインに課税するということは、利子所得とともに株のキャピタルゲイン課税に進展が見られるならばそれは望ましいことではないか。しかし、それにはグリーンカード制ないしはソーシャル・セキュリティー・ナンバーのようなものを導入することについて合意が得られませんと不可能でございます。その点について国民のコンセンサスが成熟して道が開かれることを私は期待しております。  それから地方財政については先ほど申し上げたとおりでございまして、やはり地方財政の健全性を確保するということは大事でございますが、現在、地域によってかなりの差があります。首都圏とそれから鹿児島県や青森県ではやはり違うわけでございますから、その点公費を重点的に導入する、あるいは優良な地方債を重点的に利用するのはむしろこういうような周辺の地域にして、首都圏のようなところはもっと民間活力を利用できるようないろんな工夫の道があることが私もだんだんわかってまいっておりますが、それには今までの制度についての考え方を変える必要があります。そういう考え方を変えまして、お金は今、国よりも政府よりも民間にあるわけでございますから、これを積極的にやはり活用するような道を開いていただきたいと思う次第でございます。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 小林先生、肥後先生、大変御苦労さまです。  私は小林先生にまずひとつ質問をしたいんですが、政府が今度三十万人雇用開発プログラムを出していますが、相変わらずこれまでどおりの賃金助成が中心で旧態依然としていると思います。ですから私は、このような給付行政によって、今先生が御指摘をされた、大きく産業構造が転換をしょうとしているときに雇用問題にこれで対応できるんだろうかどうか。この点について先生の御見解をひとつ聞かせていただきたい。  それから先生が六十万人ぐらいは量的拡大が必要だという御指摘をされましたが、そこで私が質問したいのは、構造調整と完全雇用という課題を達成するためにはどの程度の経済成長が必要だろうかと。私は、政府が今目標として掲げていることではとても無理で、いま少し経済成長率を高めなきゃならぬのじゃないかなと感じておりますが、そういう点について先生の御見解を聞かせていただきたい。  最後には、私はやはり何といっても今必要なのは雇用をどう創出するか、どうつくり出すかということだろうと思います。こういう点について、これから雇用が伸びるだろうと思われるのが住宅、情報化、研究開発、ニュービジネス、教育、余暇、高齢化社会対応等々、かなり十分な潜在需要が見込まれる分野があると私は思います。先生も一部雇用の創出について触れられましたが、時間も足らないので後で補充と、こういうことでございましたので、以上の三点について、まず小林先生からお答えをお願いしたい。  続いて、肥後先生でありますが、これは二十四分の間に両先生に答えていただくので時間の割り振りが大変だと思いますが、肥後先生には、税の改革を急げという御指摘がありますが、今度なぜ中曽根内閣が失敗をしたかというところに問題があると私は思うんです。というのは、私も肥後先生と一緒に税調におったこともあるわけですが、そうすると、今の不公平感というものは国民の七、八割が持っているわけですね、これをまず一掃することじゃないか。それからその次には、信頼と合意の形成ということで、やはり国民が税改革議論に積極的に参加する中で税改正をやっていかなきゃならぬのじゃないか。そして三番目の課題としては、高齢化とか国際化の中長期的な課題に対応する税のあり方はどうあるべきか、こういうことが議論をされなきゃならぬ。  ですから、私から言わせると、税の改革というのは急がなきゃならぬけれども二段階にやらざるを得ない。一つは、税における不公平を一掃する。例えばあなたも今説明されましたように、キャピタルゲインの問題なんかは、これはやはり解決しなきゃならぬ問題ですね。ところが、そういう問題は不十分なままいきなり売上税と、ここに今度の税改正について、国会でもこれだけ大議論になるし、国民の総反対に遭ってほぼつぶれた。  ですから、私が肥後先生にお聞きしたいのは、この税の改革を高齢化社会に向けて、二十一世紀に向けて急がなきゃならぬのだけれども、それにはやはり道筋というものをきちっとしないと大変になるんじゃないか、こういうふうに思いますが、この点についてどう考えられるか。  続いて、これも肥後先生に少しお答えをお願いしたいんですが、いわゆる内需拡大の中で、第三次産業部門の中で流通業とか金融証券業、こういうものが今非常に盛んになっていますが、本来、財サービスの生産と消費あるいは資金の供給と需要とをこれは媒介するものでありまして、財サービスの生産を行う産業部門の繁栄の上に成り立つ部門だと思いますね。そうしますと、一億二千万の人口を持つ我が国が国際的な商品あるいは資金のブローカーとしての役割だけで経済を維持していくことは困難だろう。ですから、現在の我が国の最近の投資活動は、経済の健全な拡大再生産の投資とは言えない。いわゆるマネーゲーム、財テクが非常に今問題になるんじゃないかと思いますが、こういう点について先生の専門的な分野からいってどうお考えか。  以上の点について私の質問を両先生にお願いをしたいと思います。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) 安恒議員の御質問にお答えいたします。  第一点は、既に労働省などから三十万人の雇用開発のプランニングが出ておりまして、大体一千億ぐらいの予算を計上されているわけでありますが、この点について御質問は、単に賃金助成だけで十分な対応かと、こういう問題でございますが、これを考えます場合に、緊急の措置として助成の比率も大変高めておりまして、例えば中小企業などでは従来人件費助成の三分の二からだったんですが、これをさらに四分の三にするという大変大幅な賃金助成をいたしております。これは過去にも多少急場しのぎに例がございますが、これはまあ急場とすればやらないよりかやった方がはるかにいいわけであります。  ただ問題は、これを一年間ぐらいやった後一体どうなるか、こういうことになって、その助成が終わったら解雇してしまったというのではもとのもくあみでございますので、この一年間ぐらい与えられている猶予というものをどう考えたらいいかということですが、その間に、先ほど指摘しましたような産業転換や事業転換、それに対する労働者の能力的な適応ということを積極的にこの一年間でやっていくということが行われなければいけない。  この点についても、単に行われねばいかぬということを企業や労働者に要請しているだけではしょうがありませんから、そういった転換のうまいモデルのようなものでもつくって、これは業種ごと、職業ごとにきめ細かく対応しなければいけないと思いますが、これもある程度行われ始めてはいるわけですし、先行して民間の中にもいい例がございましょうから、そういうものを吸収してモデル化して進めていって、一年たってもとのもくあみだというふうなことにならないように進めていくということがきめの細かい雇用政策のサービスとしては重要ではないか、このように思います。  それからもう一点は、私が、量的拡大で六十万人ぐらいは吸収されなければいけない、そのぐらいを吸収させるような拡大政策をとってもインフレなどのマイナスは発生しないであろうということを申し上げたんですが、それならば、六十万人ぐらいを吸収さしていくための実質成長率が何%必要かと、こういう御質問です。  これはなかなか難しいのでありまして、仮にそういう経済成長を一%したときにどれぐらい雇用を吸収するかという係数の置き方でいろいろ違ってくると思いますが、これまでの日本経済を見てまいりますと、いろんな人が明らかにしつつありますけれども、実質四%を下回るとかなり大変なことになってしまう。さしあたり実質四%以上でなければいかぬということは過去の経験からも言い得ることだと思います。しかし、今日の局面を申しますと、産業転換、職業転換をやるわけですから、一方では失業を発生させながら一方では吸収していくという厄介なことをしなければいけませんので、この構造政策をちゃんとやりながら、まあ少なくても四%は優に上回るというふうな量的拡大が実現するのでなければなかなかこの六十万も吸収できないであろう、このように思います。  それから第三点は、雇用創出についての問題ですけれども、先ほどちょっと言い落としましたけれども、今出ております労働省の三十万人雇用開発プログラムでも、これはネットに雇用創出をする部分というのは意外に少ないんですね。大きな数字で言いますと、三十万近くの中の十何万、十二、三万というものは失業を予防して何とか雇用を維持しようという守りの政策でございまして、雇用開発についてはこういうものじゃなくて、安恒議員も御指摘のような、今まで残されている住宅とか新しい産業とか、そういう先ほど私も言ったような分野に向けてもっと大々的な雇用創出をやらなければいけないと思います。  その場合に、多少言い残した点を一つ二つ申し上げますと、一点は、今日問題になっております労働時間の短縮の問題でございます。  これはもう国際的にも問題になっておりますし、国内的にも大変なんですけれども、御存じの労働基準法改定についての動きを見ていますと、大変小幅な漸進的なアプローチをされるようなので残念に思っているんですが、ここは思い切って大幅な転換をしなければいけないのではないか。これはもう労働白書などでも明らかにされていることですけれども、労働時間短縮に伴って我々の例えば消費需要やなんかも拡大いたしまして、その施設も必要だとか、その消費が拡大するということで、労働時間短縮で相当波及効果も含めて大きな経済のプラスの効果が予想されているところですので、単なる時間短縮ではない。まさしく我々の生活構造も経済構造も変わるいいばねになる問題ですので、積極的に取り組んでいかなければいけないと思います。  先進国などで時間短縮、特にワークシェアリングをやるために頑張っておりますので注目されますのは、それまでは時間短縮しても賃金収入は減らないようにとやっていたんですけれども、いよいよ困ってまいりますと賃金収入を減らしてもやるというふうな取り極みも見られておりますが、我が国の場合、できるだけ賃金収入は維持し、かつふやすようにしながら労働時間短縮を進めていく。そうすると、これは一方では時間短縮をやりながら生産性を上げなければいけないということが出てまいりますのですが、時間短縮のために生産性を上げなければいけないというんですけれども、逆にしかし、時間短縮の今までの例を見ていきますと、時間短縮したからおのずと生産性が上がっているという例が随分あるんですね。  それから例えば中小企業などでは、労働時間が短縮して、今までの嫌がって就職してくれなかった人たちが就職して、あるいは今まで雇っている人が非常に定着がよくなって、中小企業としての人を募集する費用とか採用するコストとかいうものが少なくなりまして、生産性向上と同じような効果も随分上げているというようなことですので、この時間短縮には思い切った取り組みがぜひ必要であるという点が一点。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、今日の失業の大部分が職業能力やなんかの転換を必要とする失業であるわけなんで、労働省の三十万人雇用開発プログラムにもこの職業能力の開発、転換について相当考慮されておりますけれども、今まで程度の半年とか一年足らずぐらいの雇用転換訓練ではとても不十分な事態であるわけですから、もっと長期的の職業能力の転換に教育訓練、いろんな機関を使ってやっていく必要があると思いますけれども、大学もそういう役割の一端を担う必要があるかと思いますが、職業能力の教育訓練の根本的な大々的な展開ということがぜひ必要ではないか、このように思います。

肥後和夫成蹊大学教授

○公述人(肥後和夫君) 安恒先生にお答えいたします。  税制改革の道筋のことでございますが、今度の売上税問題で、とにかく国民がこの売上税の問題に関心を集中したということは、これは大変な収穫であったんじゃないか。要するに税金が身近な問題になったということでございます。  税制改革のスタートは、私の感触ですとまずクロヨン問題があって、クロヨンをどうやったら解消できるか、サラリーマンだけが税金を払うような現在の税制をどうやったら解決できるかというような問題と、もう一つは、やはり高齢化社会はもうすぐ間もなくやってくるわけでございます、これに対する備えをどうするか、この二つの問題であったと思います。  それで、今度の国会の御審議でも——余り具体的な御審議はまだ伺っていないわけでございますけれども、いろいろの会合での御発言を伺っておりまして、公平の問題についてまだ十分に議論が熟していないという点は私も感じております。クロヨン問題をどういうふうに解決するかという問題については、政府の税調は一つの提案をいたしまして、これに対して現在のような税制改正の提案が六十二年度予算案との関連で提案されたわけでございますけれども、先ほど金丸委員も御指摘のようなキャピタルゲイン問題とかあるいはマル優の廃止に絡む問題とか、いわゆる資産課税の問題について、まだ国民が公平という観点から必ずしも納得していないんじゃないか。この点は十分にやはりもっと議論を尽くすべきであろうかと思います。ただ、経済構造が変化して現在の個別消費税がそれに追いついていけていないということも事実でございまして、これに対してどのような対応をするのかということも、今度議会に設けられます協議会で御審議になられまして、これを国民の前に提示されまして、十分に国民の、世論の反応を見ていただきたいと思うのでございます。  ただ、このキュピタルゲイン課税では、先ほども申し上げましたように、これを有効にするためには何らかの納税者番号なりソーシャルセキュリティー番号なりを導入するか、あるいはグリーンカード制のようなものが必要になるわけでございますので、その点もあわせて具体的に実行可能な案が国会で御審議、御提案いただければ非常に幸いだと思っております。  ただ、とにかく税金はだれも払いたくないわけでございますので、減税が先行して税制改正はいつまでたっても日の目を見ないということですと、やはり長い目で見て、もう高齢化社会はすぐやってまいりますので、十分にこれにたえ得ないんじゃないか。あるいは今、経済大国としてのいろいろな基盤整備も急がれるわけでございますが、これにかかる膨大な公債の償還財源が確保できないということになりますと、やはり災いが後に残るということでございます。そういう意味で、税のモラルの問題、税を国民が義務としてとにかく正面からこれを考えられるかどうかという点についても、前進が望ましいと思っております。  それから内需拡大について、サービスと言うけれども金融や証券でもうかるというのはあれは一種のあぶく銭じゃないか、実体の生産というものを軽視しちゃいけないんじゃないかという御指摘でございますが、まさにそのとおり私もそう思います。やはり実体の生産力があってその上にお金の問題はあるんだろうと思いますが、ただその場合に、日本は今まで重厚長大産業を基盤にして発展をしてきたわけでございますけれども、例えばこれらの鉄鋼にしても造船にしましてもあるいは石油化学にしても、ある程度途上国に門戸を開放しなければならない面もあります。  したがって、その生産といいます場合に、いわゆるエレクトロニクスでありますとか高度の素材作業でありますとかバイオでありますとか、こういった面の先端の技術開発にとにかく相当な財政資金もつけて、常に生産技術の先を行くような努力が要るんじゃないか。その生産力の上に物が充足し、ゆとりが出てくればサービスに対するニードがふえてくるということでありますし、また、先ほどの私の意見陳述では直接触れませんでしたけれども、住宅等についてもやはりこれから積極的に改善していかなくちゃならない。これは一つの内需拡大の大きな柱であろうかと思いますが、そういうことをあわせてお答えにしたいと思います。

安恒良一日本社会党・護憲共同

○安恒良一君 もう時間がありませんが、それで、先生は盛んに民間資本を今後十分な潜在需要のところに振り向ける必要があると言われていますが、その具体策はどういうふうにお考えですか。肥後先生。

肥後和夫成蹊大学教授

○公述人(肥後和夫君) これは先ほど申しましたように、基盤整備事業とか都市開発事業等はこれからの内需拡大の大きな柱になろうかと思うのでございますが、この場合に、余り民間の資本の充実していない周辺の地域と首都圏のようなところとは違っていいんじゃないかと思うのでございます。  それで、これは私、自治省の方で地方公営企業研究会というものが設けられまして、地方公営企業のあり方を来年の三月までに研究して答申をすることになっているのでございますが、その研究成果を待たないで申し上げることはあくまでも私一人の個人的な責任である。これは地下鉄十二号線の経営調査会でいろいろ苦労をしたときに感じたわけでございますけれども、どうもやっぱり直営という考え方でなくても首都圏では相当な仕事がやれる。例えば地域開発事業でも、例えば地下鉄を建設するにしても、地下鉄を建設するのと地域開発とをセットにしまして、その地域にビルを建ててそこに入ってもらって、その上の方は例えば事業者に回してもらって、それを貸せばそれで十分にペイするとか、そして収益性があれば民間も相当出資もしますし融資もする、そういうような面でいろいろ、これはもう国の公共企業体についてもそうでございますけれども、かなり多角的にやれる余地があるし、大いに知恵の出し方があるというふうに思っております。  何か今、時間が来たから簡潔にということでちょっとまだ意を尽くしませんが、これで一応お答えにさせていただきます。

中西珠子公明党・国民会議

○中西珠子君 小林先生に質問させていただきます。  先生は政策的な問題として雇用情報の問題をお取り上げになりましたが、職業安定所の雇用情報の内容を向上させる必要性、これは全く同感でございます。それから第二に、失業の地域的偏在をなくすために集中的に地域雇用対策を展開する必要があるとおっしゃいまして、労働力の地域移動を容易にする措置が必要だし、また広域的な地域再開発の必要性、特に社会資本の不足を根本的に改善するための公共事業を興し、失業を吸収する必要性というものを御指摘になりました。これは緊急の対策として全く賛成なのでございますけれども、このほかに中長期的な対策として、やはり新しい産業の振興をも含めたそれぞれの地域の開発のビジョンというものを各省庁の縄張りを超えて関係各省が地方自治団体と一体となって考えていかなければならないと思いますが、この点に関してはいかがでございましょうか、どのようなお考えでございますか。  労働省の三十万人雇用開発計画についてお聞きしようと思ったんですけれども、安恒議員が既にお聞きになりまして先生のお答えをいただいたわけでございますから、これは重複を避けます。  それから第二点といたしましては、産業の転換ですね。これは通産省が御指摘のように新素材とかバイオテクノロジーとか、新エネルギーだとか都市システム、環境整備、新しいライフスタイル製品などというものを打ち出しておりまして、それについてのガイドラインをつくると言っているそうでございますけれども、その中で先生は、とりわけ内需型のものへの転換の必要がある、そしてそういうものを振興させるというふうに誘導していかなければいけないということをおっしゃったわけでございますが、全くそのとおりなんですけれども、事業の転換とか新事業への進出ということは、大企業にとりましてはさほど困難なことではございませんけれども、資本や技術に限界がある中小企業にとっては非常に難しいことだと思うのでございます。  これは円高で打撃を受けている、殊に輸出中心の中小企業の人たちと話し合いをしましたり、またそこへ行きまして実情を見たりしたわけでございますけれども、そこの人たちは、通産省はとにかく事業転換をしなさいよ、こう言いますけれども、なかなかそれは難しい、何をやっていいかもわからないし、資本的にも技術的にも難しい、また労働力の訓練という点でも非常に難しいことだと言っているわけでございますね。それで、大体のところがどういうことをやっているかというと、先生御指摘のとおりに残業規制、内部的な雇用調整だとか、また解雇も含む外部的な雇用調整、そういったことをやるほかに、最低限の労働力を残しておいて労働力の賃金などの労働費用を調整したり、コストを切り下げたり、また輸出価格を切り下げて円高に対応しているという状況でございまして、結局円高のメリットというものがちっとも転換されていないということもあるし、また貿易黒字というものが全然減らない、輸出数量は減っていないということになっている。  それは結局賃金などの労働費用の調整ということでそういうことを行っているという状況にあると思うのでございますけれども、通産省の産業構造転換円滑化臨時措置法、これは衰退していく産業はしようがない、生き残りの意欲のあるものだけを支援していこうというふうな、そういうことで構造転換を図ろうとしているのではないかという印象を受けるのでございますけれども、この点に関して先生の御意見を伺いたい、それが第二点でございます。  それから第三点でございますが、産業構造の前向きの調整をやっていくことによってとにかく海外への進出というものを防ぐということをちょっとおっしゃったような気がしたのでございますけれども、現在は海外直接投資がどんどんふえて、現地生産というものがふえているわけでございますし、また、いろいろの調査によりましても、これは官庁も民間も含めた調査によりましても、海外へ進出する企業、現地生産をする企業が非常にふえているという状況のもとで産業空洞化のおそれということが言われておりますし、それに伴う雇用の空洞化のおそれということも指摘されているわけでございますが、先生はその点に関しましてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。また、海外直接投資の雇用に及ぼす影響についてはどのような見方をしていらっしゃいますか。こういった点をお伺いしたいと思います。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) それでは、ただいまの中西議員の御質問にお答えいたします。  第一点ですけれども、地域の問題につきましては、御存じのように今四全総を検討中でありまして、これは我々見ておりましてもいろいろぎくしゃくしておりましたから、実は今度の統一地方選などでは地方ごとにそういう議論が随分出るのではないかというふうに期待しておりましたけれども、余り出ないということで、これからひとつやっていただかなければいけませんが、御指摘のように特定の地域については緊急的な手当てが必要ですけれども、それは同時に、ここで中西議員も御指摘のような産業転換も地域で行われなければいけないということを含んでおりまして、先ほども産業転換にかかわる地域計画をつくらなければいけないというふうに私が申し上げたのは、まさしく御指摘の短期の処置だけじゃなくて中長期の地域の産業の転換というものを進めていかなければいけないことであるというふうに思います。  この第一点は御指摘の第二点、中小企業ではそう簡単に産業転換できないだろうということと絡んでおりまして、まさしく中小企業の転換というのは、そういう地域ぐるみで、自分じゃなかなかプランも出ないでしょうから、みんなの知恵を出し合って転換をしていく中長期の問題であろう、こう思います。ただ、産業転換を無理してでも少しやりませんと御指摘の円高差益もなかなか生きてこないんですね。今日本でつくっていてもうとてもコストが合わないというふうな部品を一生懸命頑張ってつくって、労働条件も悪くして倒産すれすれになるというようなことをやっておりますよりか、これは第三点にもかかわりますけれども、適当な外国でつくってもらってそれは輸入して、安いものをまた使って新しい日本の産業をつくっていくというようなことをしないといかぬのだと思います。ただ問題は、転換に伴ういろんな摩擦や犠牲が出てまいりますから、それは先ほど申しましたように人間が適応することができるような時間に合わせてタイムテーブルをつくっていく必要がぜひあるのではないか、このように考えています。  それに関連して通産省の産業転換の円滑法案についてもお話がございましたけれども、これにはぜひ雇用計画と結びつけて一緒に考えてもらいたいものだというふうに思っております。  それから第三点の生産の海外投資の増大の問題ですが、先ほど申しました論点から申しましてある程度これは避け得ないというふうに思っています。ただ、これは前川レポートなんかでも空洞化をそう恐れるなと言っていますけれども、恐れるなと言ったってこれは恐れないわけにはいきませんで、できるだけ空洞化をしないように、一方では雇用を創出しながら国際分業の新しいシステムをつくっていかなければいかぬ。ただ、学者の中では、空洞化なんかはそもそも起こらないと。大企業を中心として今海外投資を進めていますけれども、日本の大企業の生産システムというのはもう中小企業と一緒にでき上がっているわけなんで、そんなに大企業だけが移っていくなんというのはとてもできないと。  それからもう一つは、中小企業との関係、それから空洞化は起こり得ないというふうに唱えている人たちというのは、日本の場合は労働者が自分の職務だけじゃなくて前後関連の職務とか自分で働きながら自分の検査をするとかというふうな労働システムをとっているので、外国じゃとてもそんなものはできっこないというふうなことを言っておりますけれども、しかしそれもある程度そうで、そんなに今予想を立てているほど海外への直接投資がわっともうふえるというふうにも私は思えませんけれども、ただ先ほど申し上げましたように、日本でつくったんじゃとても合わないというふうなことがございましたり、それから海外のマーケットを直接投資で確保しなければいけないという面があることはよくわかりますが、その場合に全体としての空洞化を何とか防ぐようなやり方で一つ一つの件について労使が実はそういうことを詰めて個々にやっているようでありますが、そういう取り組みがぜひ必要であろうと、このように思います。

中西珠子公明党・国民会議

○中西珠子君 どうもありがとうございました。  海外直接投資、現地生産に当たりまして、現地の労働力を使うということによって起きてくる労使関係とか労務管理の適応とか、それから現地の住民との摩擦の可能性もあるわけでございますね。そういった面での行政指導というものは、私は直接に投資をして海外進出をしていく企業に対しては必要なのではないかと思っているんですけれども。  それから今労働者の方のお話をなさいましたけれども、やはり労働組合の組織率は減ってはおりますけれども、労使の事前協議とか海外進出協定というふうなものも進めていく必要があるのではないかと思いますが、先生どのようにお考えでいらっしゃいますか。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) 実は、私も日本の企業が海外に出ておりましてどういう問題が起きているかというようなことを調べて回って、自動車とか電子産業とか見てまいりましたけれども、これはもう本当に大変なんですね。問題を起こすというよりかいろんな摩擦がありまして、とても日本的な生産のシステムとか労働のシステムではもうできないということで大変苦労しております。  それにどう適応していくかということを民間の企業ではいろいろ苦労しているところだと思いますが、ただ、それに対して公的に何かをするというのはこれはなかなか難しいんじゃないか。例えば、外国でも私が詳しく見ましたのは特にオーストラリアでしたけれども、これはアメリカ以上に労働慣行や何か違っておりますし、労働政策そのものが違っておりまして、外国も今産業構造がそれこそ変わっておりますから、労働慣行や何かも変えなければいけないという必要を政府の人たちとか労働組合の幹部の人たちはよくわかるんですけれども、その問題の地域にいるショップスチュワードや何かの人や、それをオルグしている人たちにはなかなか浸透いたしませんでぎくしゃくしておりますから、そういう点については政府レベルで進めて、それでどんなモデルに変えていった方が、日本だけいいんじゃなく相手さんにもいいというふうなことがだんだん明らかになるでしょうから、そんな点を詰めて、いい例とかモデルとかそういうものを、我が方もこれは変えなければいけない問題がございますけれども、日本の慣行や何かを即そこで実現させなければいかぬというので無理してやって摩擦を多くしているという例もございますから、我が方の反省も必要ですし、先方さんの反省も、こっちからこうしなさいとは言えませんから、いろんな情報や討議をして、向こうさんでそれじゃこうやりましょうかというふうなことを公的なレベルでも調整していく、そういうふうな労働外交というか経済外交みたいなものも大いに必要であろうと思います。

中西珠子公明党・国民会議

○中西珠子君 ありがとうございました。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 先生方どうも御苦労さまでございます。大変限られた時間でございますので、私、小林先生に二、三点お伺いをしたいと思っております。  いろいろと御見解を伺っておりますが、異常円高のもとで今日、とりわけ政府の経済構造の調整の名のもとで大企業の生産拠点の海外移転、いわゆる産業の空洞化の問題というのが大変深刻な情勢を生んできております。私、大阪でございますので大阪の事情を見ておりましても、例えば電機産業の三洋電機などというところは、これはせんだって国会でも問題にしたんですけれども、いわゆる正社員はまだ首は切ってないわけです。ところが、定勤社員という正社員よりも一時間だけ労働時間の短いそういう雇用形態の労働者、これはもう五年も十年もそれを繰り返しやっている労働者ですが、そういう人たちが一挙に千二百人もぼんと解雇されるというふうな事態が起こってきているわけですね。よくよく調べてみたら、既に三洋電機では海外生産、海外での労働者数と日本の労働者数と比べますと、これはもう海外の方が五〇%を超すというところまで来ているわけです。  松下電器でもこれを調べてみますと、松下の場合はまだ三十数%ですけれども、海外の労働者の方が多くなっている。海外で労働者がふえるということが、つまり生産拠点が海外でどんどん発展していくということが国内での労働者の解雇、首切り、失業という問題に結びつくというふうなことが、大阪などでもそれは典型的な事例ですが出てまいっておるわけでございます。  私ども今日の経済摩擦の国内的な大きな原因というのは、やはり大企業が大量の輸出を、いわゆる集中豪雨的と言われましたが、そういう輸出を支えてきたのはやっぱり労働者の低賃金、それから長時間労働、とりわけ下請へのしわ寄せによって国際競争力というものを、うらやましがられるほどの国際競争力というものを持ってきたと思うわけですよね。  そういった中でいろんな問題がありますので、いろんな問題についてお聞きをしたいんですけれども、時間の制約がありますから、先生もおっしゃられました、私は一番大事だなと思ってお聞きをしていたんですが、我が国の労働者の労働時間の短縮と賃金のアップ、そういうことをせめて一挙にいかなくてもヨーロッパ並みに早くやるということが、やはり一つは内需の拡大にもなり雇用の創出にもなり、そして経済摩擦の解消にも役立つのではないかというふうに思うわけです。そういう点についての御見解を伺いたい。  それからもう一つは、中小企業の問題なんですが、これは中西先生からもお話がございましたが、そういった中での中小企業、海外進出との関係でも大変な問題、影響を受けております。コストダウンのときの話というのは、これを韓国でつくれば、あるいは台湾でつくればコストは半額になるんだということがコストダウンの理由として押しつけられるというふうな事態まで来ております。そういう中で生き延びている中小企業というのは本当に血の汗を流すという思いをしておりますけれども、政府の施策の中での中心的な事業転換ですね、事業転換というのは中小企業は簡単にできないんですよ。情報はなかなかない。何をやったらいいのかわからない。そうして資金がない。人材がない。そういう状況の中で大変な苦労をしておりますけれども、そういった点でのきめ細かい対策というのが非常に望まれていると思いますので、そういった点で御見解があればお伺いをさせていただきたい。  それから最後には、これは企業城下町の事例で出ておりますけれども、私も大阪で鉄鋼や造船関係の大幅な撤退をめぐりまして随分大変なことになっている事態を見ております。新日鉄でも高炉を来年の下期には全部取っ払うというふうなことになっておりますし、日立造船も大阪工場は全部取っ払うというふうなことになってきておりますが、そういう中で労働者はどうなっておるかというと、退職した労働者は転職をしようと思っても、失業保険を受けておりますね、失業保険の金額を上回る職場というのは得られない。それが圧倒的な労働者の声です。したがって、失業保険が切れたら後が大変だという事態になると思うんですが、そういう点で私は、大きな企業あるいは城下町、そういうところでの企業が大規模な生産の変更をするという場合には、地方自治体あたりの合意あるいはせめて報告をして、よく相談をするとかなんとかそういうことが必要ではないかというふうに思うんですが、その点についての御見解を、時間が大変乏しくて申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) お答えいたします。  一つの点は、三洋電機なんかは、海外に出ているところに私も行って見てまいりましたが、確かに進んでおるわけです。そして正社員以外の人たちの大量整理なんかが進んでいるのも国内でそうだと思いますが、この点については労働組合としても恐らく自分たちの組織でなくてもいろいろコミットして条件をつけているのではないかと思いますが、この実態はちょっとわかりませんのでコメントを差し控えます。  御質問のこういう海外進出を起こしてきた理由というのは、下請や労働者の比較的安い労働条件で輸出競争力をつけて、それだけではありませんでしょうけれども、輸出競争力が大きな要因になって今日の事態を迎えているということは御指摘のとおりだと思います。したがって、労働時間も短縮する、賃金も上げるというようなことをやっていかないと同じ問題を繰り返す。ですから、これから新しい産業に転換していくときにその点を十分実現させるようなやり方で新しい産業と労働のシステムをつくっていかなければいかぬというふうに私も思います。  それから第二点、中小企業の問題ですが、先ほども出ましたのですが、確かに中小企業に事業転換をしろといってもさまざまなネックがあるというのはよくわかります。せんだっても私、やはり関西の方にいろんなことを調べに参りまして、尼崎などに行きましても、あそこは金属関係のところだったものですから今非常に困って転換を模索しているんですけれども、ああいう中小企業が多い地帯では中小企業の大きな団体が集合した立派な建物やなんかもできておりまして、盛んに情報をかき集めては必要な情報を中小企業に渡して主体的に転換するようなことに取り組んでおりますが、お金の手当てやなんかというのはやろうと思えば多分できると思いますので、問題はそういう情報を受けとめて中小企業がいかに転換するプランをつくっていくか。  特に大事なのは、私は人材の問題だと思うんですね。ですから、そういう人材をどうやって手に入れそれから育てていくか。つきましては、日立造船の話も出ましたけれども、日立造船は事業を転換するために去年金従業員にアイデアを募集しましたら八千件がなんか出てまいりまして、去年だけで二、三百の事業を転換しておりますけれども、中には高校の先生になって転身していくというふうなものもありました。中小企業の人材不足を補うというふうな役割もかなり持つはずなんです。ですから、同じような地域なんでしょうからそういうことを進めていけば、中小企業は過去にもいろいろ転換してまいっているわけで、いざ始まるとなると大変小回りのきくすばらしい転換をするんじゃないかと私なんかは思っております。  それから三点目は失業保険の問題なんですが、皆さんの御努力やなんかもあって雇用保険の失業手当の水準はかなり高いところに来ているんです。したがって、そういう高い失業保険をもらっていますと再就職先に行くとダウンしてしまう、こういう問題があるんですが、それはそれで解決しなければいけませんけれども、考え方とすると失業をしていて——職安の人に聞きますと、人によってもいろいろですけれども、三カ月、半年とたってきますと窓口にあらわれてくるのもだんだんよれよれの感じになってくる。特に中高齢者の場合そういうのがよくわかるんだそうです。ですから、収入は今高いんでしょうけれども、そうやって失業保険を受けて仮に何もしていないとすれば、労働の意欲も能力もさびついてしまうというようなことのないように、先ほど申しました教育訓練やなんかを失業保険ともっと合体させて、失業保険を受けて何もしていないというのじゃなくて、職業訓練なり何なりをやって能力の再開発や転換をするような、そういうふうなシステムに積極的に変えていかなければいかぬのではないかというふうに考えております。  以上です。

橋本孝一郎民社党・国民連合

○橋本孝一郎君 先生、御苦労さんでございます。  時間が七分しかございませんので、小林先生にまず一点だけお尋ねしたいと思います。  雇用創出の分野とそれに必要な政策ということでお尋ねしたいんですけれども、かつて昭和三十年代の初期、いわゆるオートメーション化という言葉が出てまいりまして、当時の経済は非常に規模が小そうございました。もっと簡単に労働需給の関係でいきますと、非常に就職がしにくい時代でありました。そのときにオートメ化、そして生産性向上という問題が提起されてまいりまして、反対、賛成でいろいろ議論したことがありました。その当時、私ども賛成の立場ですけれども一番心配しましたのは、いわゆるそうでなくても就職がしにくい、にもかかわらずどんどんオートメ化されていったら職場がさらに雇用が小さくなるんじゃないかということで心配しました。  当時の先生がおっしゃられたのは、いやそれはそういうことだけれども、いわゆる一つの変化としてこれからは高学歴化になっていくだろう、ですからすぐ高校を出て就職じゃなくて、そちらの方へも若い人口が動いていく。それからもう一つは、オートメ化によって新しい産業分野がどんどんできていくだろうという、この二つにかすかに期待をしながら賛成したわけなんであります。ところが、当時の池田首相の所得倍増論、それに基づく重厚長大を中心とした日本の産業のオートメ化と発展、まさに私は言われたとおりになってきたと思ったのです。大まかな言い方をすれば、当時の先生たちがおっしゃられたいわゆる高学歴化、それから産業のそういった拡大によってむしろ今のような状態になったわけなんであります。  今現在の時点で、雇用創出の一つの政策として、先ほどのお話の中の労働時間短縮、これはシンプルな一つの政策だと私は思います。先生のおっしゃられたような理由で雇用もふえるし、あるいはまたワークシェアリング、交代勤務等においての増員ということでふえていると私は思います。問題は、新しい分野がどう展開していくか。いろいろと第三次産業という言葉がよく言われておりますけれども、そういうものに誘導していく政策としてどういう政策が必要であるのかという点についてお考えがあったらお尋ねしたいと思います。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) お答えいたします。  新しい産業分野へ向けて雇用創出なり雇用の誘導ということでありますが、先ほども申し上げましたことを多少進めるんですが、それは、こういう分野があると今通産省がガイドラインをつくっておりますけれども、通産省では多分またそれを雇用に展開していないと思いますけれども、そういう分野があって、そこの職種構成みたいなものはこんなふうになる、研究者はこのぐらい必要なんだ、こういう性格の研究者が必要だ、技術者はどのくらい必要だ、それをするための管理のシステムはこんなふうだというふうな雇用計画に展開をしていって、これもみんなで議論しないといかぬことですけれども、そういった情報を広くまず流すということが一点。  それからもう一つは、これまでも申し上げてきましたけれども、恐らく今でも実はそうなんですね。私も大学で計算センターのことを預けられておりますけれども、情報処理関係の人材というのは非常に足りないんです。内部でなるべくあれをするようにしていますけれども、急場はしのげないものですから人材派遣会社やなんかに依存したりしておりますけれども、そういう分野が足りない。それから、もういや応なく国際化してきておりますから、国際要員が非常に足りないんですね。銀行や金融機関でも国際要員を中途採用して話題になっておりますけれども、そういう人材をどうつくっていくかということが非常な決め手になっていくと思います。やっぱり方向性をはっきりさせて、こういうタイプの技術者をどのようにどのテンポでつくっていくか、それから方法はどうするか、今の大学院の教育などでいいのかどうなのかなとというふうなことを詰めていく必要があろう。  それからブルーカラーの分野でも、これも労働省がある程度明らかにしておりますけれども、日本の労働者はそもそもそういうところがあるんですが、半分技術者的であって半分オペレーターだ、こういうふうな、テクニシャンというふうな言葉を使っておりますけれども、そういったタイプの労働者が、これは第三次産業まで含めまして、二・五というふうな言い方もありますけれども、広がってくると思うんですね。ですから、そういうふうな分野の人材の養成、転換を含みますけれども、そういったことが非常に重要になってくる。  とりわけ高齢化社会になってまいりますと、当面は今も大学をふやさなきゃいかぬというようなことがあって、団塊世代の子供さんたちが今ふえているんですけれども、その後は物すごく若年労働力が減るんですね。そういたしますと、そういう新しい分野に適応性を持った若い人たちが減るわけですから、とりわけそういう既存の労働者の、うんと高齢者になっちゃったら難しいんですけれども、それでもそうは言わずにいろんな挑戦をするという転換のことが非常に重要になってくるであろう、こういうふうに思っています。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 限られた三分間でありますので、単刀直入に小林先生にお尋ねいたします。  平和で豊かな国家社会という前提で、産業構造のバランスのことについてお伺いいたします。第一次産業、第二次産業、第三次産業の調和のとれたバランスということにはある程度基準があるんでしょうか、先生の御高見をお伺いします。  もう一点は、完全雇用ということが望ましいわけですが、実際問題として完全雇用ということは無理だと私は思います。そこで、いわゆる平和で豊かな国家社会における失業の率はどういう基準であるでしょうか。  以上です。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) 喜屋武委員の御質問の第一点、一国の産業構造のバランスのようなもの、とりわけ平和で豊かな社会のためにと、こういうことですが、これは平和というものをどう定義するかなどというとしかられるかもしれませんが、あるいは豊かだということを我々がどう合意を持ってイメージをつくるかということによっても違ってまいりますし、それから、ひとしく平和で豊かな社会でもその産業構造をどういうふうにするかというのは、公式みたいなものがあってこれがバランスだと、こういうふうには言えないんだと思うんです。  これはもういろいろと議論をしていく以外に、例えば今日、第一次産業というのは減らなきゃいかぬというような圧力がかかっておりますけれども、一体どの程度第一次産業を減らしていくのか、今までの第一次産業だけじゃなくて、さまざまな観光資源やなんかを持っている地域でもありますから、観光産業的な要素を、あるいは保養地的な要素を含めてどういうふうな地域に持っていくかというふうな、これは公式がございませんから、我々が求めている豊かさのこういう点が大事だ、そうだとするとこういうふうな産業が必要だということをみんなで議論していく以外にないのではないか、こう思います。そういう議論抜きで今行われていることは、こういうふうになるだろう、ああいうふうになるだろうというふうな計量的な予測だけが先行していて、御質問のやらるべき議論が少しおくれているということを今伺っていて思いました。  それから第二の完全雇用なんですが、完全雇用はどういうふうに考えるかというのでこれまた学者が議論してきておりますけれども、これはそもそもその完全雇用について考え方を提出しましたイギリスのサー・ベバリッジも触れていること、イギリスの実態に即して言っていることなんですが、完全雇用といっても完全失業率ゼロになるということじゃないんですね。ゼロにいたしますとかえって賃金インフレやなんかが起きてしまいまして、ある程度変動にたえるような、イギリスですと季節変動とか、当時言われたのは貿易の変動とか、それから産業転換に伴う変動にたえ得るような失業をある程度持っていかなきゃいかぬというふうなことを言われていますが、日本の場合、先ほど申しました均衡失業二%ぐらいは、入れかわり立ちかわり職業転換なんかをしてうまく吸収された、どこかで変動が起きてまた発生したというふうなことで、二%弱ぐらいは許容しないといかぬのではないか。  そんなふうな完全雇用のイメージを持っております。いかがでしょうか。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 私も小林先生にお伺いしたいんですが、先生はどうも産業の空洞化というのは望ましくないというふうな御意見なんですね。確かに望ましくはないんですけれども、これからの日本はもう避けられないんじゃないかと思うんです。それで、今現在の貿易摩擦とかあるいは円高デフレの問題も、日本が二次産業から三次産業に移行がおくれているんで、そのためのシャッフルだというふうに私は受けとめているわけです。したがいまして、今後は日本が三次産業化していくとともに世界の中でも日本は三次産業を担当する。二次産業、一次産業はNICSだとかあるいは発展途上国が担当していくんだ、それで我々は三次産業を担当すると。  そこでひとつ、三次産業の中で今後日本は海外に対する投融資の利子とか配当で、いわゆるキャピタルゲインで食っていく、それからあるいは海外進出した企業のノーハウとかロイヤリティーの収入で相当部分賄っていくんじゃないか、極端に言えばですね。私は一億総楽隠居の時代になるというふうに極端な言い方をしているんですけれども、そういう解釈について小林先生の御意見を承りたいのです。  それで、最後に肥後先生に。  そういうふうになりますと、外国からの送金は向こうで税金がかかっちゃうわけですね。こっちではもう租税協定でかからないのです。そうすると、日本の租税収入が減るんじゃないか。現実にアメリカではそういうことで租税収入が減っているんじゃないかと思うんですけれども、その辺肥後先生の御見解を承りたいと思います。  以上です。

小林謙一法政大学教授

○公述人(小林謙一君) それではお答えいたします。  日本が第三次産業だけ引き受けてほかは全部つくってもらう、これもそういう考え方で再構成いたしますと、それでもいいのだと思います、第三次産業も産業ですから。この空洞化で一番恐ろしいのは、いざというときに、今も世の中は変わっておりますけれども、変革の主体になっていく技術者もいない、経営者もいない、労働者もいない、やる気もないというふうな事態になるのが一番困るんですね。ですから、我々が選択してそういう国際分業で——過去にもそういうのがございまして、イギリスなんかもそんなふうになっちゃったんです。レントナー国家になっちゃって、それでケインズがあわてて直接投資を国内でやらなきゃいかぬということを言ったわけなんですが、もし我々の合意が成り立つならば、ケインズには悪いんですけれども、第三次産業だけでやっていくということも不可能ではないと思います。  しかし、今、生産業の方でそれじゃ何もやることがないか、日本人のお得意のことがないのかというと、それは私違うと思うんです。生産業で相当日本人がこれまで上げてきましたし、なおこれからも追求していっていい課題がたくさんある。先ほどからも、新しい産業分野、バイオテクノロジーとかいろんなことについて、可能性のある分野について既にもう研究投資もしておりますし、進めているわけなんで、そういう国際摩擦を起こさないような、新しいどこもやってないような分野に向けてどんどんやっていかないと、僕はちょっと日本の未来はないんじゃないかというふうに思うんですね。そこは、我々みんなの中で議論をしていくということが必要ではないかというふうに思います。

肥後和夫成蹊大学教授

○公述人(肥後和夫君) 経済の国際化が進みますとどうしても国際的な二重課税の調整の問題は必要になります。ですから、向こうで取られればこちらで取らない、こちらで取ったものは向こうで取らないというような形になるのはやむを得ないと思います。ですから、その所得の流れがどういうふうになるか。木本先生がおっしゃったような動きになれば御指摘のような問題が起こるかと思いますが、税金の問題も国際的な視野でこれから眺めていかなくちゃならないということは痛感しております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  以上で財政・税制及び産業構造調整・雇用に関する意見聴取は終了いたしました。  一言お礼を申し上げます。  肥後公述人、小林公述人お二人には、それぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして衷心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)  午後一時から公聴会を再開することとし、休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時開会

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会公聴会を再開いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  香月公述人、庭田公述人お二人におかれましては、御多用中にもかかわりませず本委員会のために御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。  本日は忌憚のない御意見を承りまして今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度の御意見を順次お述べいただきまして、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、順次御意見を承りたいと存じます。  まず、教育につきまして香月公述人にお願いいたします。放送大学学長香月秀雄君。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) ただいま御紹介にあずかりました香月でございます。  私は、教育関係の予算につきましていささか意見を述べたいと思います。  六十二年度の文教予算は四兆五千七百三十七億でございまして、六十一年度の当初予算に対しまして十五億四千三百万、率にしまして〇・〇三%の増額ということでございます。厳しい国家財政の中でもって、率にしては決して多いとは言えませんけれども、いろいろ配慮をしていただきました大変貴重な金額だというふうに受け取っております。文部行政に対する政府の姿勢というものを評価いたします。  なお、五十九年の八月に発足いたしました臨時教育審議会は、三年にまだいささか足りませんけれども、この短期間の間に、教育に関する大変多岐にわたる問題を見事にいろいろ検討をされまして、それをまた受けまして六十二年度の予算には、文部省が、取捨選択という面はございますけれども、重点事項を柱に立てまして約二千億の予算を組んでいるのでございます。これもまた文部省の姿勢は高く評価されるべきだというふうに考えます。  時間の関係上、文教予算の全般にわたって意見を述べるということはできませんが、臨教審の一次から三次にわたる答申に関しまして、二、三の点を取り上げて意見を述べたいと思います。  まず最初に、初等中等教育の改革でございます。  この問題は、徳育という問題が大変社会的に強く取り上げられまして、その効果の重点というものが、小中学校のレベルから幼児教育、さらに家庭教育というところに入ってきたということがうかがわれます。この点は大変結構なことだと思いますが、もう一歩進んで、家庭教育からさらに母性の教育ということに踏み込んでいくべきではないかというふうに私自身は考えております。最も効果があり理想とすべき教育者は、特に幼児の教育者は家庭の母性でございます。母親でございます。もちろん父親も、男性もその責任なしとは申しませんが、特に母性は大事だというふうに思います。  私事に触れて恐縮でございますけれども、私が今責任を持っております放送大学の学生にしましても、これは男女ほぼ同数でございます。それで、しかも大変興味を引く点は、女性の三十歳代、四十歳代の学生の数が非常に多うございます。また、この方たちが学習を続けている態度を見ますと、大変に感心をいたします用意欲に満ちた非常に熱心な態度がうかがわれます。また、御質問がありましたら細部にわたってお話をいたしますが、そういった点を見ましても、家庭の婦人というものが教育に対する関心を非常に深めているという気がいたします。  話があっちへ行ったりこっちへ行ったりいたしますが、いわゆる幼児教育という幼稚園の教育というのは、大体七五%が私学に頼っております。私立学校に七五%の子供が受け入れられて教育を受けております。たまたま同じ数字が出ますけれども、大学の教育も七五%が私学に頼っております。教育の出発点と社会に入っていく、今の教育段階では終着点と言われております大学の両方、頭と一番最終のところを私学に頼っているという現状は、改めて強く認識をしなきゃいけないと思います。事教育に関する限り、民活が今とにかく強く叫ばれておりますが、これは言わずもがな、教育の面では私学は大変な力を昔から注いでいるということを認識すべきだというふうに思います。  次は、二、三の具体的な問題に触れてまいりますが、今度の予算に取り上げられ、臨教審も強く主張しております教員の初任者研修という問題がございます。これは大変重要な問題でございます。人間、生身の人間を対象にする教育、それから医学といったようなものは、大学を卒業した段階でもって実地にほうり込まれるというのは大変難しい問題をいろいろ抱えております。  私は本来医学を専攻した者でございますが、医学部では、特に臨床の教室というのは、教授になったから患者を診ないなんということはございません。一年生から三十年、四十年たった教授まで、一緒になって患者を診ます。そういったことが結局、医師の教育というばかりじゃありませんで、医学の研究にしましても大変大きな力になっております。大学教育で足りなかったところ、あるいは研究の進め方といった全般の問題について、こういった機構というのは、今医学を一つ例にとっておりますけれども、ほかの分野でもあると思います。  たまたまインターン制度というものはこれは廃止されましたけれども、また、大学紛争という中でもって医局制度というものが大変非難を受けました。インターン制度は廃止されましたけれども、医局制度は依然として残っております。また、インターン制度にかわりまして研修医制度というのが発足をしましてほぼ定着をしております。これは、今お話をしたようなことがやはり医師というものの養成にはどうしても必要だということかと思います。  医学と教育という問題を全く並列して考えることはできませんけれども、しかし同じような考え方が一部にございます。大学を出た教員の諸君がすぐ実地に入って、宝のような子供たちをすぐ教育をする、家庭を持ったこともない、あるいは子供を持ったこともない若い諸君がすぐ教育にタッチをするということについては、私自身の考えでございますが、いささか抵抗がございます。やはりこれは先輩の教員の諸君といったものと一緒になってとにかくやっていっていただかなきゃいけない。たまたま研修というような言葉を使いますと大変かた苦しくなりますけれども、当然これは指導を受けて一緒に実地でもって経験を積み重ねていく、知識を重ねていくということが必要だというふうに思います。  そういったためにいろいろな方法が講じられていくと思いますけれども、まずこの研修制度というものは基本的に賛成をすべきだというふうに私は考えます。ただ、その研修の仕方ということになりますといろいろ問題が出てまいります。  人を教育するには、人間を、自分を教育する人間に近寄せる。指導者に近寄せてくるというふうな方法と、こちらから出かけていくという方法があります。相対的な問題でもって、これは実質的には大変違うものでございます。さっきお話をしました、患者から離れると臨床の教授のいわゆる実績というものが積み重ねることはできません。資格を云々されます。同じように、教育学部といいますといろいろ問題があると思いますが、教員を養成している教員の諸君、その諸君たちが、大学の中に、あるいは教育機構の中に入ったままでもって、実際のところを身をもって感じているか、いささか疑問がございます。やはり呼び寄せると一緒に自分が出かけていくということが必要じゃないか。研修制度の中でもってそういう点をやはり考えるべきじゃないかというふうに思います。まあこれはいろいろ代替人の問題だとかいろんな問題があると思いますけれども、やってできないことではないというふうに理解をしております。  その次には、四十人学級の問題を取り上げております。これは大賛成でございます。大体日本は少しおくれております。先進諸国では四十人がいいのか三十人がいいのか二十人がいいのか。大体教育というものの基本は個対個でございます。なるたけ少ない者に対してのとにかく教育というのがまずその人間の、特に初等中等といった段階では個の特性を生かしてやるということが絶対に必要だと思います。そのためにはなるべくクラスの編制というものを小人数にしていくということが必要ではないかというふうに思っております。  それから大学院の改革の問題でございます。大学院というのはそもそも学部の附属品ではございません。これは今やむを得ず便宜上大学の学部の上に積み重ねていくというような格好をとっておりますけれども、しかし、大学院というのはやはり大学院としての組織を早く確立すべきだ、財政上の問題がいろいろあると思いますけれども。そういった点からいいますと、ちょうど大学の志願者が減ってくる六十七年ごろ、大学の、今臨時に学生の増募をしておりますけれども、六十七年ごろになりますと減ってくる時期がございます。そういったような時期をちょうど目標にしまして、それでいわゆる大学院大学あるいは独立大学院といったものを早急に整備をすべきではないかというふうに思います。  今は、御存じのとおり四年制大学では二年間を教養部に使います。専門の学部の教育というのは二年しかございません。したがって、大学院の修士課程というのはほぼ学部に連続するものとしてとらえられております。ドクターコースは大学院の性格をあらわしているというふうにもとれますけれども、決してこれは本来の姿ではないと思います。特に、後継者の育成と研究の内容のとにかく促進といった点からいいますと、大学院の整備というのは大変早くやらなきゃいけません。  日本の大学院というものは、やっぱり諸外国に比べると大変弱いのでございます。一つには、これは少し言い過ぎかもしれませんけれども、一部の人が、私学は教育でもって、国立大学は研究の責任分担を持てなんということを言われる人がおりますけれども、全くこれは反対です。国立も私学もございません。大学、大学院に対する態度というものは全く同等でございます。ただ、そういう話がなぜ出るかといいますと、これはさっき七五%の学生を抱えているといった私学の現状というのは、教員の諸君にしましても、とにかく研究に費やすいとまが大変制限をされます。そういった意味から、大学院は持っているけれども、しかし大学院の実を上げていないという点がいささか目につくかと思います。したがって、大学院の整備という問題も、総花的に整備をすべきではない、重点的に整備をする。その取っかかりというものを、大学院を独立したものとして、独立の大学院だとか総合大学院とか大学院大学とかいったようなものをとにかく進めていくべきではないかというふうに思います。  どうも大変はしょってどんどん先へ進みますが、大学の改革の問題というのは、いろんな面でもって大変たくさんの人が取り上げてお話しになっているし、本に書かれております。これの重点というのはどこに置いたらいいか。これは人によって考え方がいろいろ違いますが、大学のやはり質というものを上げるのは、これは国公私立を通じて教員の評価でございます。国立は一たん就職をいたしますと終身雇用というふうに言われております。終身雇用のいいこともありますけれども、学問の分野では必ずしもそれは適当ではございません。ある程度のやはり評価というものを大学自身が教員の一人一人に、大学全体としての評価というものをやはり時間を置いてやっていくべきではないか。  ただ、身内の評価というのは大変当てになりません。やはり人間ですから情がございまして、一緒に仕事をやっている連中に対して余りひどいことは言えないという気持ちもございましょう。この評価というものは、研究はもちろん、教育に関しましては大学外の人。また、学生の評価というものをこの評価の内容に盛り込むべきだというふうに考えます。大学の連中にしてみますと、大学の紛争でもってさんざん学生にいびられましたから、私もその一人ですが、学生が評価するなんていったら大変なことになるだろうなんて、これはやはり堂々と受けて立つべきだ。それでこそ——教育を受けている者は学生でございます。ひとりよがりのとにかく教育というものは通用いたしません。そういった意味から、学生の評価も取り入れて、それでそれが集まった大学の評価というものに自分でもって手をつけていく時期ではないか。そういうことによって教員の資質というものが上がってくると私は思っております。  また放送大学に話が入りますが、勘弁してください。  放送大学では、初めて教員の定年に加えて任期制というものをとりました。任期制というのは、なかなかみんなやろうとしてもできないんです。だれかが手をつけなければいけない。私はもともと非常に乱暴な男でございますから、これを実行に移しました。五年間でもって評価をいたします。それでなおこの人は十分大学の教員としてたえ得るという場合には改めて雇用をいたします。成績の上がらないのはみんな首を切ります。大変な騒ぎがございまして、特に助教授連中につるし上げを食いました。そうでしょう。後を保障してくれるのかというような話が出ましたけれども、保障は一切いたしません。ただ、人間というのは情を持っているから。長年一緒に机を並べて勉強していれば何かとにかく、何もやらないという人間は恐らくいないだろうぐらいにいいかげんな話をしております。  それから大学の中でもって教養部というのがございます。この教養部の問題について臨教審も深く立ち入っておりません。四年制大学の中の二年間は教養部でございます。大学の実質を決める大変大事な制度でございます。これに対する配慮というものは、みんないろいろ考えていらっしゃるんですが、形になって出てまいりません。甚だ不満でございます。  それから大学の入学試験の問題、これについて篤と述べようと思ったんですが、時間がないというので、皆さんの質問にまちましょう。ただ、大学の入試という問題は、共通一次というものがいささか誤解をされているという気がいたします。この共通一次というものは、高等学校の履修程度というものを知るためにつくられた制度でございます。これは大学が便宜上それを参考にはいたしますけれども、大学の専門性の選択ということについてはちゃんと二次試験でもって、自分の考え方でもって各大学がやっていらっしゃるはずです。共通一次が大学の試験だというふうに直結をする考え方があるのは大変残念でございます。  それから科学技術についても大変問題がございます。基礎的研究を推進するというのは決して不賛成どころじゃなくて大賛成でございますが、ただ、基礎的研究という表現、この中にはいろんなものが入っております。今科学技術といって、ナカチョンも入れないでもって科学技術と書いております。技術というのは科学に立脚したものだというふうにみんな理解をしておりました。ところがこのごろはナカチョンも全部とっております。それはやはり理由がございまして、恐らく技術はあるいは基礎的研究というものの発展に、推進に大きな力を与えているのではないかというような面が多々ございます。生命科学とか理工系学部とかいったようなものがそれを表現しております。  それから国際交流の進め方、これについては、言うまでもなく今学問分野では国際交流なくしては何も仕事は進んでいきません。ただ、我々は少し昔に返ってフンボルトとかフルブライトとかいう制度を思い起こしてみますと、大変世話になっております。日本の黒字が多いとかなんとかいって大変いろんなところからいじめられておりますが、いいチャンスだと思います。ひとつ外国人の研究者、学生をどんどん日本に呼んで、もうそれほど引けをとるような学問分野というのはそう多くございません。その連中に、一緒になって勉強しようと。ただ、留学生というばかりじゃございませんで、学校もひとつこっちに、日本に呼んでこようじゃないか、研究機構もそのままこっちに呼んでこようじゃないか。それには政府の援助というものも当然必要になってまいります。  それからその国際交流の中に英語教育といったものが入っております。この英語教育というものをなるだけ早く普及さしていこうじゃないか。日本語を普及させるのも結構ですけれども、国際交流に欠かせない英語教育、このために留学生をこっちへ呼ぶ。向こうに、海外に派遣をするということを盛んにやってまいっております。これはとにかく大事なことですが、できましたら英語の教師というのを、英国人、米国人、向こうにも人が実は余っております。その人たちをひとつ日本に呼んで、それで、今まで中学校程度までしか考えておりませんけれども、小学校の四年生以上というものに英語の教師を、日本人の話学の教師を決して軽べつするわけじゃございませんが、やはりおぎゃあと言ってから英語を使っている人間を英語の教師として小学校から配置すべきではないかというような、これも留学生対策、英語教育に関係することでございます。  今、教育というのは生涯続けるものだ、生涯を通じてのものだと、いわゆる教える者と教えられる者というのが、大体どの人が教える専門の者だ、どの人が教わる専門の者だという垣根がとられてくる時代じゃないかというふうに思っております。  以上をもって私の意見を終わらしていただきます。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  それでは次に、社会保障につきまして庭田公述人にお願いいたします。慶應義塾大学教授庭田範秋君。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) 御指名をいただきました庭田でございます。  社会保障というものの現状並びに今後のあり方ということにつきまして私見を述べさしていただきます。  予算その他編成のときには必ず出てまいりますが、社会保障の費用をどうするか、このままで行きますとどんどん膨らんでいきまして、社会保障は福祉のための制度である、その福祉のための制度の重みで国がゆがんだり、それから福祉そのものが破壊をするような、そういうおそれもなきにしもあらずと、そういうような指摘が毎回出るわけであります。そして、とかくこれを節減しよう、あるいは切り捨てるとか圧縮するとかということはないまでも抑制をしようと、そういったような御意見が毎回出るようでございますが、どうも社会保障に関しましてはこれはなかなかそういかないだろうと私らは思います。  なぜかと申しますと、これから人口構成の高齢化という時代が参ります。そうしますと、もちろん年金はどんどんかさんでまいりますし、同時にお年寄りがふえ出すわけであります。で、お年寄りは大体、御病気と言ってはよろしくないかもしれませんが、若い者よりは病気になる可能性は非常に大きく、そして一たん病気になられますとなかなか治るということがございません。つまり老衰と病気がより合わされた状態のお方たちになりやすい、こういうことになります。  そして、このお年寄りがどんどんふえていくのでありますから、当然医療費用というものは膨らみまして、この当然というところが予算編成その他で当然増とか自然増とかというものになるのではないかと思います。これを抑制する、こういうことになりますと、例えば年金を費用が膨らまないように、そういうことは年金の給付を削るとか、まあ非常に乱暴なことを言いますとこれ経営努力、こういうことになります。医療保障で経営努力というのはこれは大変結構でございます。なぜかといいますと、健康診断をきちんとし、それから健康指導をする、ヘルスサービスを行う、予防措置を講ずる、こうなりますと病気が減りまして、したがって医療費が節約できる。つまり、経営努力というのは医療のところでは成り立つわけでありますが、これを年金のところで経営努力をすると、このようなことを言いますと大変問題になります。  なぜかといいますと、皆さんがお丈夫で、そして長生きをされればされるほど年金費用というのはかさむわけであります。経営努力で減らす、こうなりますと、これは冗談になりますけれども、なるべく早く余り高齢化しない方がよろしいということになりますと、これは福祉でも何でもなくなりまして、福祉の制度が反福祉の発想をしてしまう、こういうことになりますから、事年金に関しましては経営努力というようなことはあり得ないわけでありまして、ここに予算、その他当然増とか、自然増とかということがどうしても出てまいります。したがいまして、予算編成その他でどうも社会保障というのは別扱いではないか、完全に別扱いをすることは問題かと思いますが、それでもほかのものとは少し違うんじゃないかと、こういうような点をまず指摘してみたいと思います。  ところで、社会保障は福祉の制度でありますから、福祉は極端に言いますと国家並びに国民の最終目的ではないか。あらゆる政策というのは、みんなが幸福で、最大多数の最大幸福を求めるものではなかろうか。ですから、福祉の費用を増すというような要求は大変出しやすいわけであります。そして、過去におきまして福祉の推進ということはさしたる抵抗なしにどんどん行われていって、さしたるといいましても、その都度大きな問題にはなっていたかと思いますが、なおかつ福祉はひとり歩きしているんじゃないかと思われるくらいにどんどん伸びていった、そして今日本は世界でも有数の社会保障国になった、こういうことになるわけであります。しかし、これを裏返しますと、その分だけは国民負担がふえる、こういうことでございますが、この国民負担がふえるというのはこれまた反福祉だ、こういう考え方もできるわけでありまして、ですから、乱暴な表現をとりますと、負担のふえるのは一切お断り、給付がよくなるのはことごとく賛成、こういうような傾向になりがちなのであります。  ある時期はこれでも結構なんじゃないかと私は思います。と申しますのは、ほかのあらゆる点を犠牲にいたしましても、とにかく国民生活がぎりぎりのような時代にはこれはもう福祉最優先ということになって問題はなかろうかと思いますが、一方におきましては安定成長あるいは低成長の時代が来た、他方においては世界一の高齢化社会が来た、こういうような状態の中で、何の見直しもなしに福祉の問題、社会保障の問題を論ずるのはどういうものだろうか。しかも一方におきましては、ぎりぎりの自然増といったような圧迫もあるわけでございますから、大変難しいことに今なりつつあるのではなかろうか、このように私は考えるわけであります。難しいといいましても知恵がないというわけではありません。難しければ難しいなりに我々はあらゆる知恵を絞らなければいけないんじゃなかろうか。  そうなりますと、福祉の重複部分の調整なんということも我々は考えてよろしかろう。これは現に、年金ですと厚生年金をもらいながら遺族年金をもらうとか、いろいろの重複をしておりますから、これを一つに整理しようと、こういうことも言えます。それから不急不要な部分はこれは少し抑えた方がよろしいのではなかろうかと、こういうようなことも出ます。福祉に不急不要な部分があるか、こういうふうに問われますと、なかなかあるとは言えませんけれども、例えば大資産家が福祉年金をもらっておるというような問題は、資産の一部を処理すれば十分老後も耐えられるではないか。ところが、千坪にも及ぶような土地を持ちながら、なおかつ年金を受け続けるというようなのは、これは不要ではないけれども、不急だろう、急ぐことはなかろう、そういうようなものは後回しにしてもよろしいのではなかろうか、こういったような考え方もできるわけであります。  それから高齢化が進みますと、年金というのは期間比例という部分がありますから、ほうっておきますとどんどん年金は膨らんでまいります。これですと、とてももつわけがありませんから、期間比例の分にメスを入れまして、そして給付水準を圧縮するのではない、切り捨てるのではない、抑制をするんだ、せいぜい今の程度ぐらい、これ以上伸びないように抑制をしようと、こういったようなところもひとつ考えられてよろしいのではなかろうか。それから効率的運用というようなこともあってよろしいのではなかろうか。例えば病気で寝たきりのお方をおふろに入れる、これはもう大変重要なことでございますけれども、どうも民間でやるよりも公的な方法でやりますと倍ぐらい費用がかかっておる。これはひとつ効率性において劣るんじゃなかろうか。そういうときには、例えばお年寄りをおふろに入れるといったようなことは民活でやったら費用が節約できるのではなかろうか、これが福祉の効率化とか合理化とか、こういったようなことにもなるのではなかろうか、こう考えるわけであります。  一国の国民所得とか国力そのものが大いに伸びているときは、福祉の費用というのはかさんでもそれほど問題はないだろうと思います。なぜかと申しますと、福祉がかさんでもそれを受けとめて処理するだけの成長があればよろしいわけでありますが、どうもそんなうまい話はそもそも、国際関係からいっても日本だけがそういうことができる時代は終わったような気がいたします。  そうしますと、ここに試算がされておりますが、例えば社会保障の負担というのが出ておりまして、これが昭和五十八年は国民所得の比で一〇・二%、六十一年が一一・〇%、そして経済成長が六・五ぐらいですと、昭和八十五年というのが一五・五%、経済成長の国民所得の伸びが五%ぐらいですと一七・五%と、こうなっておりますが、昭和六十一年の国民所得の伸びというのは四・九%でありますから、この昭和八十五年の一七・五%というのは恐らく二〇%を超すであろう。このままで行きますと税と社会保障の負担で四〇%に抑え込むということはもうできない、もうどうしてもこれはあきらめる以外にない。このままですと四五%、場合によっては五〇%を超えるだろう、五〇%を超えますと、この福祉の重みが逆に一国の成長を抑えてしまいまして反福祉のような状態も出かねない。こういうわけで現在は税と社会保障の負担をせめて四〇%に抑え込むという、この辺のところに向けて大いに頑張らなければならないのではなかろうかと、こう考えるわけであります。  そして、社会保障と申しますと年金問題ということでございますが、昭和百年、二〇二五年には六十五歳以上のお方が四人に一人と、こういう計算が既に出されております。この四人に一人ということは三人でお一人見ればよろしいということではありません。この四人の中には当然子供も入っているわけですから、一人で子供も見れば、場合によっては夫たる者、妻も見て、そして年寄りも見る、こういうふうに考えますと、六十五歳以上が四人に一人ということの重みは断然すさまじいものだと、こう考えざるを得ないわけであります。また、経済企画庁の試算ですと、老夫婦は、昭和五十九年度の貨幣価値でどんなに少なくても、どんなに少なくてもというより平均ぐらいということですが、二十五万円はかかる。ところが年金は十五万ぐらいですから十万ほど不足するんだ、こういうような数字も出ているわけであります。  こういうものを踏まえまして今回の年金改正が行われまして、これがそのときの現役男子の平均標準報酬月額六九%ぐらいの年金に抑え込むとなっております。これ大変我々は何となく見落とします。六九%というのは、現役男子の平均標準報酬月額ということですから、例えて言いますとサラリーマンの最終給料の六九%ではないわけであります。一生の取り分を今の貨幣価値に換算いたしまして、そしてそれを平均したもの、このくらいにお考えになれば、公的な年金だけではどのくらいどすんと生活水準が落ちるかということになります。しかも月額の六九%ですから、年収に直しますと五〇%ぐらいに落ちるんじゃないか。といいますのは、ボーナスその他が入るからであります。さらに、ひとり者ですとそれから配偶者の基礎年金五万円が抜けられる、こういうことになるわけであります。そして夫婦者ですと、夫婦それぞれ二人分の掛金を出しまして、そして相互に五万円ずつ配偶者の基礎年金が落ちますから、これは大変損というとおかしいんですが、少なくも貨幣の、お金の問題でいきますと共稼ぎは余り得にならない、こういうようなことにもなるわけであります。  しかも、こういうようないろいろ痛い思いをしながらも、なおかつ年金改正をし、国民がこれに賛成したというのは、このままでは年金はもたない、もたなければ元も子もない。したがいまして、年金制度防衛の必要上から政府もこれを立案し、そして国民も了承したのではなかろうか。このように挙国一致の措置だったと私は思うわけであります。  そして、これをようやく達成して、ほっと一息入れたんですが、年金数理の専門家の皆さんが試算いたしますと、どうも年金の支給開始年齢はどうしても六十五歳になる。そして六〇%ぐらいになってしまわないとこれは数理計算上はもたないんじゃないか、このような計算値というものがちらほら出るわけでありまして、国民は大変おびえておるのじゃなかろうか。国民が一方でおびえて、そして自助努力ということで貯金に励んでおる。そこに今度は内需拡大でお金を使え、これはなかなか無理な話のような気がいたします。つきましては、年金は引き受けた、だから後はもう少しお金を使って、少しアメリカの物も買ってやれ、こうですと我々は非常にリラックスしてお金を使うことができる、こういう気がいたします。  次に、医療保障でありますが、これも六十二年の国民医療費推計が十八兆百億円ということであります。一人当たり十五万円弱、こういうことでありまして、これは随分大きなお金になります。このふえ方は対前年度比五・五%、ただし人口増による影響O・五%、高齢化による影響一・二%、医療の高度化その他が三・七%、こうなっております。ですから、今後ますます医療技術が開発され、高度医療になりますと、この三・七%がもっと大きくなるだろう。そして、そこに高齢化でお年寄りがふえる、そしてお年寄りは概して慢性病化しやすい、こう考えますとこれはまたなかなか重大な問題であると、こう思います。  ここで老健法の改正ということになりまして、一つは、みんなで医療の問題の痛みを分かち合おうということで、これが老人保健法の制定を機に制度間財政調整ということになったわけでありますが、さらに中間施設に重点を置く医療体制、こういうことが言われたわけであります。この中間施設というのは、結局はっきり言いますと、どうもお年寄りや長期療養のお方を家庭に帰して、家庭で見ながら随時病院その他が手助けをしよう、こういうわけであります。したがいまして、医療保障における家庭とそれから地域の密着、そして協力体制が大変必要になるわけなんであります。  しかしながら、家庭で病人を治せと、こう申されましても、今の住宅事情で、お年寄りを抱えて、日当たりのいいところで治させる、それだけの実力のある家庭環境のよさを確保しておる家庭は東京都内なんかでは余りないんじゃなかろうか。医療保障問題は、これは住宅問題なんかとも絡んでくるんじゃなかろうか。それから、廊下と部屋の段差があるとか、玄関が大きくまたを開かなければ上へ乗れないとか、こういうようなところで足腰の弱い、慢性病化した特にお年寄りを家庭で治せと言われても、これも相当きついんじゃなかろうか。どうしても一つには地域が総力を挙げてこれを支えてくれると同時に、やはり病人を抱え込んでくれるような国の温かい姿勢はそう簡単に清算されては困る、どうしてももう一踏ん張りひとつ国にお願いいたしたい、こう考えるわけであります。  そして、ここに一元化という問題が出てまいりまして、あと十年ぐらいのうちに、あるいは十年以内に、もっと早く言えばあと七、八年のうちに医療保障を一元化しよう、こうなるわけであります。そして、一方におきましては被用者の健康保険、他方におきましては自営業、自由業、農林漁業者の国保、こういうものと、そしてその中間のところに老人保健の施設、こうなるわけでありますが、どうもここで問題になるのは、国保の体質を強化しなければならないんじゃないか、今の国保ではなかなか一元化できない、こう考えます。国保の体質をもう少し整理し強化してくれてこそ一元化が可能なのではなかろうか。  例えて言いますと、どうも国保は未払いのお方が多い、我々の被用者保険よりはどうも多そうだ、それから保険者の規模が小さ過ぎてどうも医療の制度に耐えられないような小さな規模のものもある、こうなります。そうしますと、国保は国保で再建努力をして、それから被用者保険、組合健保の方は健保の方で再建努力をして、そして国保、それから被用者の保険、老人保健、それぞれが自立できるような体制になってそこで一元化と、こうなるわけであります。弱い者は弱い者なりに自立努力を少し怠って、そしてこちらがこちらにただ肩入れをするという形の一元化というのはなかなかサラリーマンの方も言うことを聞かないんじゃなかろうか。この際国保の方にも痛みに耐えていただきまして、ひとつ自分の力でも立ち上がるというところをお示しいただかないと一元化というのはなかなかできないんじゃなかろうか、こういうようなことを考えるわけであります。  社会保障といいますと、もう一つは労災保険というのがございます。これもなかなか問題があります。なぜかと申しますと、労災事故、労働災害というのは第一次産業、それから第二次産業のあるもの、鉄鋼、造船とか繊維とかそういうものなのでありますが、大体それらは構造的不況産業であります。構造的不況産業ですから、労災事故抑止の努力がなかなかできない。できないけれども、そういうところから事故が起きて費用がかさむ、こういうようなジレンマがあります。やはりここは、予防措置を講ずるための融資措置とかいろいろあろうかと思いますが、もう一つは、業種間財政調整といいまして、調子のいいところと不況なところ、こういうところでお金のならし合いをして勤労者全員で労災事故の費用負担に耐えようと、こういったような相互扶助の精神もここで呼び起こすべきではなかろうか。  失業保険、これは今余りないようでありますが、実は危険性は十分ございます。なぜかと申しますと、企業内失業といいまして、もう企業内でもってそれほど仕事がないというようなお方もおります。概してそれが高齢者のところに多いということもひとつ問題かと思います。この企業内失業がいつの日か顕在化するのじゃなかろうか。それから今の技術革新ですと、どうも中高年のお方がなかなか新しい生産体制に溶け込めない、こういう問題も出てくるわけであります。そうしますと、ここは生涯教育をどうしても本格的にやらなければならない。そして、少なくも技術革新にはおくれないようにしなければならないんじゃなかろうか。同時に、高齢者雇用ということも一緒に行ってくれないとこれから失業の問題も深刻化するであろう、こう考えます。  いろいろ問題を並べましたけれども、要するに社会保障という問題は、これはなかなか時の勢い、自然増といったような要素がありますので、数理計算的にきちんと割り切ることができない。そして、社会保障に求められますのは冷静な判断とそして温かい心だ、クールヘッドとウオームハートだと。こういうものをぜひ我々国民、特に政治の衝に当たられる皆さんに持っていただきまして、時にはクールな頭でもって事の是非、善悪を割り切っていただきながら、なおかつそこには温かい思いやりの心をひとつお持ちいただけたらと、大変僭越でございますが、そのようにお願いをいたします。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  委員長からお願いをいたします。  予定の進行のスケジュールよりはかなりおくれております。つきましては、質疑者はなるべく簡明に御質疑を願いたいと存じます。また、公述人の先生方には、できるだけ簡明にお答えをいただければ幸いでございます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

竹山裕自由民主党

○竹山裕君 両先生、御苦労さまでございます。自民党の竹山であります。  私は、香月学長に教育関係で二、三御質問させていただきたいと思います。  先生のお話の中に、初等中等教育から幼児教育へ、ひいては母性教育、聞いているうちに、ああ、胎教から始まって人生八十年、まさに長い長い生涯学習、生涯教育の時代が来たんだなと思うことを強く感じるわけであります。  実は私の地元は静岡県でありますが、掛川市に大変教育に造詣の深い若い市長がおりまして、市の記念行事の一環で、もう八年前になりますが、生涯学習都市宣言というようなアドバルーンを上げまして、当時はまだそれほどこの生涯学習という話彙が人口に膾炙しておりませんでした。しかし、もうそのころから日本列島各地から見学あるいは聴講にということで、市役所はうれしい悲鳴を上げるぐらいな対応だった。特に今回臨教審の第三次答申で、「生涯学習体系への移行」というようなこともありまして、ますます市長さん、やることばかりだということと同時に、答申の中にも、特にそうした特異な教育に熱意のある地域についてモデル地域としての指定をしていこうというようなことも出ております。  この辺について、もちろん学校教育も大事でありますが、そうした都市ぐるみの人づくり、地域づくり、あるいは定住圏構想、四全総でも言われておりますような国土の均衡ある発展という意味では、やっぱりそうした各地元での熱意、何とかして地元に若者を引き寄せておこうという強い願望に近いようなものも感じるわけであります。  この辺、特に学長先生、放送大学という、今のところは関東エリアでありますが、そうしたオープンユニバーシティーのトップとしてのお立場で、地域のはぐくみという点で何かお知恵をおかしいただければということが一点でございます。  いま一つは、入試の問題が出ました。民活が大事だ。私学に七五%負うところがある。私の同僚議員にも地元から私学の経営者も出ていらっしゃいますが、大変な力だと感じると同時に、入試と塾といいますか、民間教育産業の最近のダブルスクールというような表現で言われるあのあり方ですね。この辺についてはどんなお考えをお持ちか。  いま一つは、やはり生涯学習という中で、学窓を終えて企業に入り、あるいは団体に入り、それからまた、現場から社会人としての体験を経てまだ学窓へ戻って勉強をするというような、最近の言葉ではリカレント教育と言うんでしょうか、そんなような諸外国の実態、隣の中国でも大分そういう点では試行錯誤の中で努力をしているようでありますが、我が国に合ったそういう対応ができるのか。この辺はお話が余り出ませんでした放送大学を含めてお話が例えればと思っております。  以上でございます。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) 今、竹山議員から三つの点についてお尋ねがございました。  掛川市は生涯学習というものを一つのモデル地区にしようじゃないかと大変熱意を示していらっしゃって、これの具体的な例は、ことし発足をしました、諏訪という市がございます。あそこに初めて関東地区から脱皮をいたしまして学習センターを一つつくりました。大変熱心に、いわゆるケーブルテレビを設置しまして、その準備をやりまして二年ばかりそめ試験をやっておりまして、もう大丈夫だということで正規の学制としての認可をしました。そのほか九州、熊本にも、今これは電子黒板というものを使いましてやっております。そういうようなあれでもって、何らかの方法でもって御期待に沿う方法があるのではないか。具体的にこういうふうにしたらどうだというようなことについては十分御相談に応じたいと思います。  それから、もう一つの点の入試の問題でございます。塾とかいうような問題、それから受験産業、これは大変問題がございます。勉強する機会はいろんな種類でも多いのはいいことなんですが、しかしこれが企業化していくときには大変問題が生じてまいります。家庭の負担も重くなりますし、それが当たり前だというふうに理解をされるようなことは大変怖いことだと思っております。そういう点でもって、私学の諸君に大変負担をかけている以外に、受験産業というものにどうも少し傾いている、それに引っ張られているんじゃないかという気が私もしております。これは大学の入学試験のあり方そのものに対する批判でもあると思います。  さっきちょっと触れましたけれども、大学の入学試験というものと共通一次というものの取り扱いは別種のものだというふうにお受け取りいただきたい。どんな方法をやっても、とにかく今企業が参入しないことはないというふうに思いますので、参入しないという方法で考えるというよりは、参入をした場合にどういうふうに取り扱うかということの方が大事だというふうに思います。  第三の点はリカレントの問題でございます。放送大学では、大体一番初めに大学、大学院を卒業した者が学生の一〇%ぐらいでございまして、それが今一五%ぐらいにふえております。その傾向が大分強うございます。その点は私これからの、放送大学ばかりじゃありませんで、生涯教育の中には大変大事なことじゃないかというふうに理解しております。

竹山裕自由民主党

○竹山裕君 放送大学のことにつきまして私どもも不勉強な点がありますが、放送大学といいますと、放送関係の勉強をしているのかなというような、若干実はそんな声も聞いた経験もございますので、その辺のPRと申しますか、あるいはその地域の拡大、それから今学長からもお話がありました、いろいろ新しい試みでございましょう。その初代学長としての御苦労、あるいは国としてもっとこういう点を考える必要があるのではないかというようなことをお聞かせいただければ勉強させていただきたい、こんなふうに思います。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) お答えいたします。  PRが足りないんじゃないかと。タクシーの運転手に、放送大学というのはタレントをつくる大学かと聞かれた、今聞くのはいなくなりましたけれども。NHKの附属施設かということを聞く人はまだおります。大変PRが足りないという点は申しわけございませんが、これは四年生の正規の大学でございます。  ただ、学部は教養学部というのを一つ持っているだけでございます。初め、いろんなライセンスを取る、例えば教員のライセンスを取るとかいったようなものをつくったらどうだという話がございましたが、私がちょっと先ほども触れかけましたけれども、大学でもって一番今とにかく問題になるのは教養部でございます。今なぜ教養部が問題になるかと申しますと、学問の柱がピュアに、きれいに立っておりません。みんなが一緒になったような学問分野というのが基盤にあってそれで新しいものが出てくる。これはどうしても教養部でもっていろんな分野の人たちが集まってつくっていかなければいけないものだというふうに思っております。そういう点で、うちは教養学部しか置いていないと言うと、何だ、ほかのものもどんどんつくれなんと言うが、そんな簡単なものじゃございません。  苦労というお話が出ましたが、私は苦労と思っておりません、大変楽しみにしております。と申しますのは、国立大学に四十年近くおりまして勉強させていただきました。大変とにかく私は感ずるところが多うございましたが、放送大学に行って初めて大学というのはこうあるべきだということを、外から見て初めてわかりました。そういった点でもって、いわゆる大学というものの改革というのはここでもって出発点を求めなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。  放送というようなことについては全くど素人でございまして、私、東京タワーが政府のものかあるいはNHKのものかなんということを考えていたぐらいですから。あれは株式会社なんて知りませんでした。それで後発部隊というのは苦労します。十二チャンネルのところにおまえの方の放送施設をつくっていいよと、発信装置をつくっていいよと言われました。ところが四面の、四面体はとにかく十二チャンネルがもう既に使っているから角なら使ってよろしいと。それで二分の一の模型をつくりまして実験をやりました。そういうことも初めての経験でございましたが、これが意地が悪いとか何とかいうことじゃないんです。浮世というのはいろんなそういう人間の集まりでございますから、自分の権益というのを一生懸命守ろう、入ってくるものに対してはなるたけ自分たちは侵されないようにしょうという気持ちがあるので、そういうことがあってしかるべきだと思います。  それからまた、大学の体質というものをやはり変えていかなきゃいけない、いろんな面でもって変えていかなきゃいけないというところがたくさんございます。それが大学改革に結びつくんですが、先ほどもお話をしましたように、これは使い捨てではございません。教員のとにかく任期制というのは代謝でございます。人間の体で言う代謝という機能がありませんと活性というのは出てまいりません。そういった意味でもって、これは一人だけやってもだめです、ほかの大学が一緒になってやっていかないといけないと思います。みんな大学の連中に聞きますと一人一人が賛成だと言います。総論賛成、各論反対です。私のところはそんなことをやったら大学の大騒ぎが起きるからだめだと言ってなかなかやりません。  それから国立に準ずる放送大学という特殊法人でございますが、これは国立がきっととにかく一緒になっていろんなことをやってくれるだろうと思ったら大間違いです。やりません。国立大学にとにかく関心はありますけれども、やはり現状から脱皮するというのは大変難しゅうございます。したがって、全国にいろんな場を広げていくと、一番協力をしてくれるだろうという連中はなかなかそうはいかないということはおわかりいただけると思います。かえって私学の連中の方が一緒になってやってくれます。甚だ残念でございます。  以上です。

竹山裕自由民主党

○竹山裕君 終わります。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 最初に香月先生にお伺いをいたします。  今、御提議をされました予算についても、政府の姿勢は評価するというお話だとか、臨教審答申についての先生のいろいろな御指摘について私もまた反論があるわけでございますが、こんなことをやっていたらお二人の先生に往復で二十四分ではとても間に合いませんので、触れなかったことについて一、二お伺いをいたします。  私も、イギリスのオープンユニバーシティーに行っていろいろお話を聞いてまいりました。そこでは卒業生の評価が非常に高くて、就職をするにしても、働きながらこういう勉強をして大学を卒業したということで、大変引っ張りだこであるというようなお話も伺ったんですが、学歴社会のこの日本ですね、放送大学の評価というものはどのようになされておりますでしょうか。まだ発足をしたばかりですから、そういう具体的なお答えはいただけないというふうに思いますけれども、肌でどのようにお感じになっていらっしゃるかについて伺いたい。  そして、臨教審答申では、生涯学習社会において開かれた大学ということが大きく叫ばれているわけであります。そのこと自体でそれぞれの大学はやっぱり大学も開放していかなければならないとこう思っていらっしゃるんだと思うんですけれども、いろいろと開放していくためには困難な問題といいますか、難題があろうかというふうに思います。例えば、学校教育法の六十九条の二項には、公開講座について必要な事項は監督官庁がこれを定めることと、こうなっていますけれども、もう何十年もたっていますけれどもちっとも定まっていない、こういう部分がありますので、この開かれた大学というものに対する国民の期待にどのようにこたえていくか、そのためには何が問題であるかということをお伺いをしたい。  それと同時に、放送大学は特殊法人だと思いますが、臨教審が、特殊法人の形態に国立大学をしてもいいのではないかというようなことをちょっと言及をしているわけであります。今先生が、国立大学にいたときよりも放送大学に来た方がうんと楽しいというか、やりがいがあると、こういうふうにお話をなさったので、この辺のところは一体どのようにお考えになっていらっしゃるか。  そして、あわせて、大学改革というのは大学人みずからがやっていかなきゃならない問題だというふうに私は思うのですけれども、いろいろなことがあるのでしょうか、なかなかみずからの改革にこたえられないという部分があったのではないか。この辺のところをどのようにお考えになっていらっしゃるか伺います。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) 粕谷議員の御質問にお答えいたします。  オープンユニバーシティーは、卒業生が大変高率にいろんなところに招かれて就職をする。そうでしたね。サッチャーさんもそうです。オープンユニバーシティーであれば単位を取っております。放送大学の学生が将来どうだろうかと、これはわかりません。まだ二年しかたっておりません。ただ、私は出発の当初、新聞記者諸君に四年たったときに何人ぐらい卒業生が出るかというふうに聞かれましたが、二、三人だろうという答えをしました、何か記録に残っていると思いますけれども。とんでもない話でもって、恐らく千人近くの卒業生が出るだろうという話でございますが、調べてみますと、今二年間ですから、今のところ百二十四単位の中の半分の結局六十一単位以上取った者は何人という計算はしております。それで、今のような数が出ておりますが、これが卒業までに百二十四単位を取って、卒業研究をやって、千にはとても行かないと思いますが。  ただ、就職のことについては大学は何か考えているのか、これもとにかく当初から質問がありましたが、考えていないと言っております。大学は就職をあっせんするところではないというのが私の信念でございます。ただ、先ほども一、二触れましたが、人間というのは教える方と教えられる方とは情がつながってまいります。したがって、学生が、先生何かいいところないかなあというような話がきたときにはきっと無残に切り捨てるということはしないだろうという程度でございます。  それから現状はほとんどの学生諸君が仕事を持っております。仕事にもうついております。仕事と一緒に大学の勉強ができるというのがこの大学の特色でございますから、そういった点についても、しかし就職という問題も、転職、就職あるいは大学院に入る、あるいは自分の志望する専門学部に入っていくといったようなことの世話はやっぱり必要になると思います。  それから開かれた大学という問題でございますが、これは公開講座一つも実績が上がってないんじゃないかとおっしゃいますけれども、私はそう思っておりません。公開講座というのは、大学の方に公開講座をとにかくどういう形式でもやれということは文部省から言ってまいりますけれども、その開く時期にしても形式にしても内容にしても、一切というか、これは制限がございません。したがって大学の自主性でもってやっております。それから、放送大学はその点全く公開されております、放送を使いますから。大体学生は今二万一千人ぐらいでございますが、本の売れ行きから見ますと、恐らく隠れ学生というのが十五万人ぐらいいるだろうという、これは想像でございます。相当程度の人たちが授業を聞いてくれている。あるいは本を読んでくれているということで、これこそ本当の公開講座の意味を果たしているだろうというふうに思います。  それから入試改革の問題でございますが、これは大学自身が決めるということは当然でございます。それに対する努力が足りないというお話がございましたが、努力が足りないのではありませんで、入学試験というものに対しては大変たくさんの人がいろんな意見を述べることができます。御本人も親御さんももちろんですが、友人、知己、先生たちも、すべての人が意見を述べることができます。これほど取り扱いの難しいものはございません。それぞれ理由がちゃんとあって計画が立てられたものは直すことができます。そういった意味でもって、今ある現象というのをそれしかないんだというふうにおとりにならないようにお願いをしたいと思います。  ほかにもう一つ、何でしたか。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 国立大学の特殊法人。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) これを臨教審の連中にもさんざん聞かれましたけれども、私わかりません。特殊法人でいいのか、学校法人でいいのか、国立でいいのかわかりません。ただ、特殊法人というのが非常に自由濶達にいろいろなことができるというふうに思ったら間違いでございました。今、国費で八〇%補助を受けております。国費の補助が八〇%ぐらい、六十億ぐらい補助を受けております。これは大変何といいますか、国立のいいところとそれから学校法人のいいところと両方とってうまくやっていけるだろうというふうに単純に考えがちでございますけれども、いいところもあるでしょう。あるでしょうけれども、私の経験した範囲の中では余りいいところはありません。全部の大学が特殊法人化するというようなことについては決して勧めません。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 私は、大学改革、例えば終身雇用制の問題なども含めて任期制にしたらいいんじゃないかなどということが、よそから来ないで我が内部で改革をするという動きがあってよろしいのではないかという意味で質問を申し上げたのですが、時間がありませんから結構でございます。  それでは庭田先生にお伺いいたします。  先生のおっしゃることを伺っていますと、なるほど、なるほどと、こう思うわけですね。そのとおりに素直に伺っていますと、女が八十一歳で男が七十四歳で、何か女性の方がいっぱい年金をもらったり医療費を使ったりして悪いような気にもなるわけですね。そんなことも含めながら、私は、先回の医療制度の改革それから年金制度の改革、私たちこれ改革と言わないで私自身は改悪だというふうに思っているわけですけれども、日本の社会保障と福祉の制度というのは、家族制度の遺風と家族主義的企業経営によって著しく立ちおくれてきたという歴史を持っているというふうに思っております。中でも女性の処遇は問題が多い、こう今でも考えております。  先ほどの改革について考えてみますと、例えば国民年金の改革につきましても、女性の加入者が予想をはるかに超えたというこの見込み違いが一つあったんじゃないか。それから、これからは女性の社会進出がどんどん進んでいくわけであります。そして、数の上でも大体男性に準ずるくらい、あるいは同等くらい、また賃金の面でも、機会均等法も通りましたので、それにすぐ対応するというふうには考えておりませんけれども、それでも賃金の面でも随分高くなっていく、勤務年数も随分長くなってくる。そうすると、年金をいただく期間というもの、額というものも随分今とは変わっていくんじゃないかというわけですね。こういうような状況がまた年金関係に与える影響というのは非常に多いと思うわけです。  そんなことを含めながら、質問としては、今のような制度の改革、掛金の引き上げというだけで社会保障というものがもっていけるものなのかどうなのか。つまり、新しい税の制度を取り入れなきゃいけないという考え方が一つあろうかと思います。それから、今回提案された売上税あるいは一般消費税みたいなものを入れて、余り苦痛に思わないで税金を取っていって、その税金は必ず社会保障の方に来るというふうには思いませんけれども、やっていかなければならないというようにお考えになっていらっしゃるか、その辺をお伺いいたします。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) お答えをいたします。  女性が八十一歳、男性が七十四歳、これは七十五歳で、男性を余り早く死なせないようにひとつお願いをいたしたいところですが、医療保障、年金ともに改悪というような御説明といいますか、御意見がございました。これは見ようによってはそういう説も成り立ちます。とにかく給付水準が抑制されまして、あるいは一部負担が導入されまして、そして負担はふえるわけでありますから、出すのがいやで、もらうのが多ければ多いほどいい、もしこういう人生観に立ちますとこれは間違いなしに改悪になろうかと思います。しかしながら、とにかく一国の経済がここまで来まして、国民生活も大分向上をした、その結果が実は高齢化社会、こういうわけであります。  ですから、よく世間の人が高齢化社会というのを嫌なような、何か悪い恐ろしい黒雲が空いっぱいに広がったような表現をとるのは私は大変反対でございまして、高齢化社会になったということの裏には、国民生活水準がよくなったという実績があるわけですから、この実績もひとつ忘れないで老後問題を考えなければいけない、こう思います。  そして、改悪と、こう申しますが、この国民がみんなで享受した長生きというのを、これを経済的に裏づけようといいますと、年金であり医療保障ということになりますが、とにかく余りに急だったというところだけに問題があります。フランスなんかですと二百年もかけてだんだんと高齢化をいたしましたが、日本はほかの国の三倍、五倍、八倍という速度で高齢化をいたしました。ですから、どんなにありがたいことでも、それそれ、それぞれとおぜんの上に並べられますと食べられない、体を壊すといったような、ごく幼稚な例えになろうかと思いますが、そういう状態が今の日本ではなかろうかと、こう思うわけであります。  そして、とにかく制度を守らなければこれは元も子もないと。ですから、制度を防衛する、二十一世紀の医療並びに年金にソフトランディングをする。そういう意味での改革ということになっております。決して改革案そのものは急激なものではありませんで、年金もそれこそ二十年もかけて乗率の千分の十を千分の七・五におろそうとか、それから少しずつ女性の掛金も上げていこうとか、みんな相当な時間と移行措置を加えております。ですから、今から急にばんと結論のところにいくわけじゃありませんで、少しずつ移っていく。つまりソフトランディングですから、そんなに神経を高ぶらせることはないんじゃなかろうか。  そして、その後ろには、とにかく食うや食わずで老後のことの準備もできなかったあの終戦当時の社会ではなくて、世界でもとにかく足を引っ張られるような、そこまで国民の生活とそれから国の力がいったわけですから、こちらの蓄えたものを上手に生かしながら、そしてソフトランディングで二十一世紀の医療、年金、高齢化に軟着陸をする。こう考えますと、私はやはりそれなりに高い評価ができる今回の改正である。現に外国から見学に来るくらいの改正であるということは言えるかと思います。  しかしながら、話の途中でもちょっと申し上げましたけれども、今のままでもなかなか問題が出るんじゃなかろうか。例えば年金でいきますと、いずれは六十五歳支給にして、そして六〇%ぐらいまで落ちるのかな、こういったようなことが一部の人の間によってささやかれております。かといって負担をどんどんどんどんふやすということはもうできません。恐らく国民負担はこの辺が限度ではないかと、こう考えます。そうしますと、御提案のような新しい税金、特に福祉目的税のようなものをもし慎重に御立案になって、そして十分国民の間にPRでもしていただくなら、あるいは国民は、税金というのはいやなものだけれども、納得するんじゃなかろうか、こう思いますが、ただその前に、もう少し制度をきれいに整えればまだまだお金の点で軽くなるのではなかろうか、こう考えられます。  例えば、医療保障ですと、入院は余りに日本は長過ぎる。とにかく常識では考えられないくらい、アメリカの五倍とか七倍とかというくらい長く入院をしてしまいます。日本のお医者さんにはそれだけ治す力がないのか。どうもそうでないらしい。やはり何か入院していると得のような意識もあるんじゃないか。  それから年金でも、下さるものはどんどんどんどんもらっちゃうというような要素もあるわけでありまして、受給の重複を修正するとか、あるいはいろいろ福祉の問題でも、必要のない、あるいはさしあたって急いで必要のないようなところを整理するとか、あるいは一部のところにだけうんと負担がかかるのをやめて負担の公平を図るとか、それから制度の効率化を図るとか、そういうようなことをやって制度自体をきれいに整えながら、さてその段階でもう一度財政を見直したらどうだろうか。財政の方にのみ目を向けて、ほらどうやって取り上げよう、ほらどうやって集めようというと、真ん中のところの整理整とんがおろそかになりますので、私は、これほどの大改革をした後だから、余り次から次へと提案をするよりは、この実効がどの程度上がってどの程度定着するかということをゆっくり見ながら、小さな手直しとしての程度の整理、こういった手続の方がよろしいのではなかろうかと、このように考えております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 よくわかりました。  そうしますと、そういうふうな高齢化社会の推移だとかいろいろな条件を織り込み済みで先回改革をしたんだから、急いで福祉目的税だとかその他の税だとかいうようなことに取り組む必要はないという御判断と承ってよろしゅうございましょうか。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) なかなか際どいところでございまして、急いでというのは、その急ぐというのを二十一世紀ぐらいにということなのか、あと数年のうちにということなのか、この辺のところで急ぐという言葉の内容が出てくると思いますが、私はそれは数字その他を相当、厚生省その他関係の部署を集めまして、そしていろいろのパンフレットやなにかをつくりまして、年金の掛金をどのくらいにするとどうなる、支給開始年齢をいつにするとどうなるというようなグリーンの表紙のペーパーなんかが出たりなにかいたしておりまして、ある程度は間違いなしに将来展望は織り込んであるわけであります。決して、今の問題をどう解決するか、つまり俗に言う初めに予算ありきで、予算のつじつまを合わせるために当面解決をしたというような、そのようなものでは断じてない。それは私も若干お手伝いをした経験上といいますか実態上からいって、十分将来のことも見込んである程度入れております。  しかしながら、改革というのは、だからといって、早い話が、腕が悪いからそれじゃ根元から切っちゃえばいいのにといってすっぱり根元から切るなんということは、切られる方になるとなかなかそれは了承いたしませんので、じゃあひじから切ろうと。そしてだめだったら、じゃあしょうがないから根元から切ろうと。そこで考えるように織り込んではあろうかと思いますが、一〇〇%織り込んでいるとは言えないのじゃなかろうか。したがって、例えば医療保障は第二の改革を考えるべきだ、それから年金も二十一世紀に向けてもう一度財政計算をひとつ緻密にやってみようという声は十分上がっております。  その意味におきましては、織り込みながらも一〇〇%それに応じた改革ではなかった、そのように解釈する程度のところじゃないかと思います。問題が全然ないとは決して言い切れないと思います。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 私の方は、時間が余りないようでございますから、最初にお二人に二点ずつの質問をさせていただいて、時間を適当に案分して御返事をいただきたいと思います。  まず香月先生ですが、一つは、さきごろ米国の批判ということで、日本の大学生の四年間の教育は無意味なのではないか、こういう批判、無意味なものではないかと。何もしないでレジャーランドで遊んでいるのではないかという批判があったわけです。これと、先生が論文というのかコメントで指摘しておられる、文部省の教育制度は保守的である、大学人も依然として保守的であるということと、この大学四年教育が無意味であるということと関連があるのかどうか。あるいは先生はどうお考えか、これが一点でございます。  二点目は、先生も大学紛争のころを思い出しておられて、私もちょうど御一緒のころで、先生とはその意味では同期生みたいなものでございますが、あの大学紛争のころに大学教員の任期制度が言われましたね。だけれども、あの大紛争の中であの大学人の反省の中でもついに何にもできなかったということで、本当にこれをやれるのかなと臨教審は指摘しております。しかし、もしやるとすれば教員のマーケットがオープンでないと、つまりアメリカのように全国一斉に雇用問題、教員の雇用というものもあって、契約制度で動いていけばできるかもしれない。これが一つ。  もう一つは、今言われているのはどうも教授ではなくて講師以下の任用を考えている。それでは教師のオールマイティーで動いていくのではないかということが懸念されるわけでございます。以上の二点でございます。  それから庭田先生には、一つは福祉の基本は保険と年金とおっしゃっておられましたが、全くそのとおりで、私は特に医療保険が問題だろうと思います。もう二十年以上も前になりましょうか、武見太郎先生が保険を三つにくくれと。一つは職域、一つは地域、一つは老人、この三つということを指摘されて、その一元化を図れということを言っておられて、今大勢はそう動いているだろうと私も思っております。  ただ、個々に考えてみますと、職域保険では退職者医療制度が何だか予定どおり動いていない、あるいは地域医療計画が中心であるべきものを、老人保健の場合、老人保健法が出て、この中で老人保健施設というものが、本来地域のベッド数に算入すべきものを、これは地域医療計画なしにこれが動いている。それから国立病院の統廃合も地域医療計画と無関係に動いているということは、これはやっぱり一元化の方向とはまた別に勝手にそれぞれ動いているのではないか、これが一点でございます。  二点目は医療負担、何でもこのころは公負担は自助努力をということが言われております。医療についてもそういうことが言われつつあるように私は思いますが、このところに、医療産業、その前に健康産業というのがありますけれども、医療産業が介入してくる。例えば保険なんかもこういうことで穴を自助努力で埋めるということを言っているわけですが、自助努力というものは福祉と並行するものかどうか、こんなことを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) 高桑議員にお答えいたします。  一番初めの問題では、アメリカがいろいろ日本の大学のことを批判をしている、それをどういうふうに受けとめているのかというきつい御質問でございますが、高桑議員も私も恐らく心中同じだと思います。  それから大学の任期制はどうだということでございますが、大学の紛争の当時からその話はありましたし、手をつける勇気がないんですね。それで臨教審も、講師、助手というところからやり始めたらどうだと。一番堅固な城というのは、王様の回りの金、銀を取っ払って、それから攻めるというのは将棋の常則でございますから、そういう意味も兼ねていると思います。  以上。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) お答えをいたします。  何か大学教授の身分のことがいろいろ出てきまして、そっちの方に気が引かれてなかなか気もそぞろというのが実感でございます。  まず第一の御質問からお答えいたします。  一元化をすると、これは一本化ではないわけなんであります。今後いろいろ社会保障の改革をする場合に、社会保険方式をとるということが原則になっております。社会保険方式というのは、もとのところではみんな一体にいたしますが、その上にそれぞれの団体とか程度に応じまして創意工夫と財政の余力に応じて上積みをしてもよろしいと。年金で言えば基礎年金、そして医療で言えば基礎医療のようなものになるのではないかと思います。この基礎の部分において一元化をして、その上に社会保険方式で、例えばたくさん出せばたくさん給付が来る、たくさん負担することを覚悟すればよりよい医療が来る、こういうような形で、一元化で全部を一本にする、なかなかそういう案ではないわけであります。  しかしながら、医療保障につきましては、全国民を八割給付にいたしましてこれを一元化しよう、こういうようなことになっております。しかし、八割給付というのはこれは大変福祉の点では躍進でありますが、随分多くの問題を持つのではなかろうか、こう考えます。なぜかと言いますと、なるほどサラリーマンは今まで九割給付が八割になるんですから、お医者に行くと今までよりも少なくも一割は余計取られるわけですから、なかなか活発にはお医者に行かなくなります。これが初期医療、初期診療を阻害するというまた隠された問題を生み出すわけでありますが、とにかく医療費抑制効果は出るかと思います。しかしながら、被扶養者とかそれから国民健保の方は給付率が上がるわけでありますから、大いにこれは促進をするんじゃなかろうか。そういうわけで一元化は必ずしも給付の費用の抑制にはならないんじゃないか、こういうような心配がされております。  そういたしますと、地域医療で中間施設というものをつくりまして、在宅型の施設とか入所型の施設とかというようなものをつくる、そして病人はここに帰す、同時に巡回看護婦とかそれから家政婦を派遣して家庭の医療の手助けをすると、こういったような案も出ております。    〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 そして病床、病院の入院のベッドというのは年間三万床ぐらいふえるんですが、一つのヘッドは大体一日一万円費用を食うわけであります。ですからこれが三百六十五倍で、そして三万床ということになりますと、ベッド数がふえればふえるほど実は一千億ぐらいの費用がふえていくわけであります。ですから地域の自治体の方やなんかは、権限を振るいまして、ベッドが余りふえるのを抑えようではないか、こういうようなこともあります。  ですから、こう見ていきますと、どう見ても、制度は一元化しながら医療を実施するのはこれはだんだん地域になってまいります。ですから、その地域地域の医療福祉に対する取り組み方と熱意、こういうものがこれからの医療保障の決め手になるのではなかろうか。そういう点で実はちぐはぐになってしまうのではないかという御心配、まことにもっともでございますが、ぜひこれをちぐはぐにしないで、地域ごとに目的を達成するような地域ぐるみの努力が必要なのではないか、こう考えます。  それから自助努力であります。ある程度きりぎりのところは国が見てやろうと、まあぎりぎりよりもっとよろしいんですが、年金も医療もとにかく見てやろうと、こういうわけであります。しかし丸抱えで国に見てもらえるといったような考えは捨てなければいけない、そしてよりいいものが希望だったら自助努力をしなさいと。ところが、医療の場合ですと高額療養費制度なんというのもありますから、何も限りなく自動努力が求められるわけではありません。それから年金も企業年金なんというものだってあるわけでありますから、これも加えますと、そんなに限りなく自助努力を強いられているわけでもないわけであります。しかし、人それぞれ自分の好みと希望に合った十分な保障が得たいというと、これは自助努力ということにならざるを得ないわけであります。  自助努力にも確かに効果はあります。例えば年金なんかですと今自助勢力の一種だろうと思いますが、変額保険なんというのが民間の保険会社から売り出されておりまして、これはいいか悪いか疑問でありますが、とにかくファンドマネージャーなんて言いまして、若いお方が年金資金を活発に運用いたしまして、あっと驚くような効率運用、年率換算にいたしまして相当にいい数字を上げております。ですから、このままでいくと民間の年金の方が公的なものより安くつくんじゃないかなんて、そんなうわさまで出るくらいであります。そういう意味で、活発なことをやるという点では自助努力はそれを分担する企業体に期待することができます。そのかわり今度は失敗をするというおそれも十分ありますし、同時に、自助努力、自助努力といったって、もうかるもの以外は手はつけたくない、こういったような企業側の姿勢も完全に払拭することはできないでしょう。  何よりも問題は自助努力と。例えば年金が少ないからあとはおまえは自助努力でと、こう言われますが、もともと年金の少ないのは、収入が少なくて掛金が少なかったから年金が少ないわけであります。そうすると、所得が少なくて年金が少ない人に自助努力で買え、もっと自分で備えろということがそれほど意味があるだろうか。一番年金が必要な、もっと必要な人たちのところはどうも自助努力にはなかなか進めない。そして、お金も余っている、したがって高い年金も来る、だから財テクも込めてひとつ年金で高金利商品の年金とか保険とか買って、これは一面高金利を追求しながら一面自助努力でもあるから、とてもいいと、こういうことにもなりまして、自助努力はとにかく一番必要とする人のところにうまく作用するかどうか、この保証は余りないんだ。ですから、基礎になるところの国の社会保障というものにぜひしっかりしていただきたいと国民が希望しておるんだ、それが不動のものになったところで自助努力と言いますとこれは大変効果を上げるだろう、このように考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ただいまの御答弁とも多少関係するかと思いますが、福祉の問題に集中して庭田先生にお尋ねをいたします。  今年度の予算を見ましても、社会保障関係費が二・六%増、防衛費の伸びの半分に抑えられている。お話しの当然増経費もばっさりと削られて、実質大幅マイナス予算という形になっておるわけです。中曽根内閣のもとでの五年間を見ましても、軍事費の伸び三六%に対し社会保障予算はわずかに一一・一%だ。こういうもとで医療、年金、福祉の全分野にわたって制度が次々と改悪をされてまいりました。  そして、例えば社会福祉施設の費用徴収基準の引き上げや各種の所得制限強化など次々と出てまいりましたが、中でも特養ホームの場合、費用徴収の上限は毎年二万円ずつ引き上げられて、五十九年に六万円であったものがわずか四年間で二倍の十二万円に上げられようとしている。こういう姿が、今ありました自力自助、たくましい福祉、こういって福祉の対象を一部の貧困層に限る、こういう方向へどんどんと動き出しているんじゃないかということを私どもは非常に憂慮をするわけであります。  いわば権利としての福祉を十九世紀的な救貧的福祉、こういう方向への性格の変質が始まっているのではないかというふうに懸念しているんですが、この点についての先生の基本的な御意見をまず第一にお尋ねをしたいと思います。  二つ目には、こうしたことともかかわりまして福祉切り捨ての突破口になってきたのがいわゆる老人医療費の有料化であります。続いて、お年寄りですら負担してもらうのだからということで、今度は健保に本人負担が導入をされる。矢継ぎ早に医療、年金の改悪がどんどん進む。一回りしますと、今度は若い人に比べて老人の負担が低いということで、昨年の老人保健法の改悪が持ち出されてきた。こういう点で、福祉切り捨ての悪循環を食いとめるためにも、さっきお尋ねをしております福祉の根本理念に照らしても、いま一度、お年寄りの医療費は無料に戻すという、この根本問題をよく考えてみるということが大切なんじゃないかというふうに思いますが、この点についての御意見はどうかということです。  それから三つ目には、今日地方自治体へのいわゆる高率補助金の大幅カット、これが三年目に入っていますが、社会保障の関係でもこの三年間のカット総額は一兆三千億円に上る。この結果、保育所の父母負担、特養ホームの自己負担等々次々出てきているということでありますが、こうした社会保障についての国の責務をいま一度はっきりさせるということで、こうした補助金カット、こういう措置は直ちにやめて国の責任を明確にするということが本来のあり方ではないかというふうに思いますが、御見解をお尋ねをいたします。  以上です。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) お答えをいたします。  大変全域にわたる問題でして、短時間でうまく答えられるかどうか、その点ひとつ御容赦を願います。  まず、福祉の理念、こういうことでありますが、恐らく、全国民的な相互扶助という制度によってみんなでもって生き抜いていこう、こういったようなことになるのではないかと思います。したがいまして、福祉というのはどこまでも相互救済であり相互扶助である、これは間違いございません。しかしながら、救済であり扶助であるということは、それとは別に本来の生産活動というものが当然あるわけでありまして、これを忘れることは我々としてはできないわけであります。福祉のために生産活動というものを実は阻害してもいいのだろうかということは随分問いかけられる問題でありまして、これを俗語で言えば、パイの大きさの拡大を図らずして福祉の拡大があり得るだろうか、こう思います。しかしながら、私はそれほど単純には考えておりません。  大分昔でございますが、西独の厚生大臣だったお方が、これはもう大分前でお名前は忘れてしまったんですが、福祉は防衛である、こういうような言葉を西独の国会で述べたことがあります。つまり、福祉がなぜ防衛だ。敵が攻めてきたって福祉が弾になって飛ぶわけでも何でもございませんが、福祉がきちんと行われているということを国民が信じ、そしてそれにありがたみを感じているからこそ愛国心が出るので、愛国心がなければ、いかに武器を持ってもそれは軍隊にはなるまい、こういうわけで福祉というのは国民の愛国心を生む。そういう意味においては実は最も基本的な防衛なんだ、こういうようなことも言っております。  したがって、この場合、日本は戦争をするわけではありませんから、福祉というものが公平にしてかつ十分に行き渡れば我々は安心し、かつ喜んで日常生活を行う。それは必ず生産性の向上にも反映するであろう。そういう意味におきましては、福祉は単なる分配政策ではなくて生産政策の要素十分あり。特に現在のような高度の技術下におきまして、精神的な安定がなければ精密機械の運営とかそういうことはできません。そういう意味におきまして、福祉は生産の一翼を担う、このように私は思っているわけであります。  そして、福祉がだんだんと切り捨てられて救貧になっていくのではなかろうか、こういうことでございますが、この救貧という概念は、十八世紀ごろの資本主義の初期あたり、あるいはもうちょっと前の、イギリスですと囲い込み運動なんといって、お百姓さんがみんな土地を追われて、土地は全部羊の牧草地になってしまって、イーストエンドなんというのが出たころであります。あのころの救貧と今の救貧とは少し違います。あのころは食うや食わずであります。仮に我々が昭和の終戦前あるいは戦争中の貧というのを考えますと、結核であるとかそれから幼児の早い死に方であるとか、女性ですと売春であるとか、みんなこれ貧乏から出てきた社会問題であります。  しかし、最近の社会問題は何か。麻薬であるとか、どうして麻薬が吸えるのかわからぬ、買うお金がないからなんて私ら言うのですが、あの高い麻薬を毎日吸って病気になるとか、それから家庭内暴力とか、あれは物が少なかったら壊せるはずがないのでありますが、あれは豊かさが生んだ一つの社会問題であります。こう考えていきますと、早い話が離婚も、貧乏だったら離婚なんてそんなことを言っていられません。夢中になって稼ぐようになると思います。  ですから、救貧という言葉の内容が少し変わってきたのじゃないか。そして、そういう目で見ると、どうも今回の改正が社会保障を救貧にもう一度追い込む。例えば結核患者を救うとか、乳幼児の早期死亡を何とかしようとか、行き倒れを防ごうとか、そういうものとは少し違うのだ、こう考えますと、私は今の社会保障の改革が救貧に堕したというような印象は実は余り持っておりません。  それから有料化、無料化、こういうことであります。これも一つ問題でありまして、よく、老人から税金を取るのかとか、所得のない老人から医療費を取るのかなんという言葉で食い下がられることがございますが、国民皆年金下で多かれ少なかれ老人は皆さん年金をいただいております。したがって無所得ではありません。多いか少ないかはこれはまた判断の外でありますが、無所得ではない。してみますと、何がしかの負担をすることは私はやむを得ないと思います。そしてそれが医療費の節約になる。そのことは後代負担を軽くして、子供や孫の時代に医療費の重さでつぶれてしまうことを防ぐということであれば、お年寄りも何がしかの負担はひとつこの際耐えていただくのはあながち無理を申しているのではない。お年寄りといえども年金という所得もとにかくあることゆえ、このように私は考えるわけであります。  それから高率補助その他が打ち切られまして、地方の問題をどう考えるのか、こういうわけでありますが、地方もかってほど貧乏ではありません。これは旅行をされてみるとよくおわかりかと思いますが、一番貧乏なのは東京じゃないかなと思うくらい東京はちまちまとした汚い家が続いて、そして皆さんうごめいておりますが、地方は昔のような貧乏だというような先入観もそろそろ修正していいんじゃなかろうか。そう考えますと、地方の補助金というものも少し削りまして、そしてひとつ地方は地方なりに努力をしてみたらいかがだろう、こういうことも考えるわけであります。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 勝木ですが、香月先生にお尋ね申し上げたいと思います。先生は国大協におられまして、入試改革のプロジェクトで大変な手腕を発揮されたとお聞きいたしております。  そこで第一点でありますけれども、入試改革についてお尋ねいたしたいと思います。  先生のお話でも、共通一次試験というものが大変誤解を受けておるということでありますけれども、さきの共通一次試験におきまして、いわゆる足切りによって大量の受験生というものが受験機会を奪われるなどかなりの混乱が生じております。大学入試改革の進め方につきまして一貫した政策というものが文部省当局とかあるいは大学側に配慮が足りなかったように思われますけれども、今後の大学入試改革についてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねしたいと思います。  また、臨教審答申を受けて六十五年度から実施される予定の新テストにつきましてもあわせて御見解をお伺いしたいと思います。  次に、先ほどもお尋ねされておりましたけれども、先生のお話にもありましたように大学改革についてでございますが、教養部の問題点あるいは教員の資質の問題等々が指摘されておりましたけれども、国際化という大きな流れの中で、閉鎖的で自己改革能力に欠けるという社会的な批判が高まっておるようにお見受けいたします。大学改革についての基本的な考え方なり、あるいは政治の枠内で積極的に取り組むべき課題がありましたら御教示を願いたいというふうに思います。  最後に、第三点でありますけれども、生涯教育についてお聞かせ願いたいと思います。  現在、放送大学のエリアというものは首都圏に限られており、またその講義の内容というのも、従来の大学の講義をそのまま電波に乗せられたものが多いように見受けられます。先生のお話の中にも、幼児教育、母性教育の重要性についてございましたけれども、生涯教育に対するニーズの多様化にどう対応して、このオープンユニバーシティーでもあります放送大学のあり方につきましてどのようなお考え方をお持ちか。特にニューメディアを積極的に活用して、より多くの国民に学習の機会というものを与えるべきであるというふうに考えますけれども、そういった意味での放送大学の機能というものを、生涯学習のセンター的役割というものを果たせることができますものかどうか、先生のお考え方をお聞かせいただきたいというふうに思います。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) 大学の入学試験の問題でございますが、共通一次の理解の仕方というものが少し間違っているんではないかということに対する反論かと思います。これは簡単に私が話をしたものですから、かえって誤解を深めているかもしれませんが、共通一次は大体大学の紛争の当時に提案されました。その前にも二、三、種類が違いますけれどもそれに類したものが行われましたが、なぜそれが失敗をしたのか、どういう形がいいのかということで十何年いろんなことを御論議をいたしました。  それで、大体入学試験というのは、先ほどもちょっと言いましたけれども、ベストというものはないんです。ベターというものはありますけれども、ベストというものはありません。ただ、今考えて、今の社会情勢の中で、大学の対応というのはこの程度であろうというようなものからやっていって、間違ったらどんどん直していきゃいいというのが私の考えでした。十何年も同じことを繰り返し繰り返し論議をしているというようなものから新しいものは生まれてこない。まず今までさんざん検討した問題を一応整理をして、それで共通一次に踏み切っていこう。  ただ、そのときの考え方というのは、先ほどお話ししましたように、高等学校が自分でもって自分を評価するということが共通一次でございます。これは大学がとにかく使わせていただくという立場でございますが、大学の入学試験というのは、二次が大学の入学試験でございます。それが往々にして反対にとられまして、共通一次プラス二次が大学の入試というふうにみんなが理解をするようになったというところにどうも少し間違いがあったんじゃないかというふうに思います。  足切りの問題が出ました。当時も足切りの問題が大変ありました。ただ、大学の入学試験というのはこれは専門性を選別するというところでございます。共通一次は高等学校の履修程度というものを見るんですが、大学の入学試験というのは御存じのとおり各学部ごとにやります。問題も違います。したがいまして、これは自分が、学生が将来こういう方向に行こうといったものに対してのとにかく選別をするところでございます。選抜試験でございます。したがって、だれでもとにかく、私は医者になりたいんだけれどもと言っても医者になることができない。工学部の電気をやりたいけれどもそれには行けないということがあると思います。したがって、それの平均値というものが足切りという状態で出てきたのが実際の現象でございます。    〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 今回はちょっと少し種類が違いました、組み分けをしたりなんかしたものですから。そういった意味でもって、いわゆる共通一次の出発当時の足切りとは少し種類が違ったんじゃないかというふうに理解をしております。  それから大学改革の中で国際化というものをどういうふうに考えているか。大学というのは国際化がないと大学じゃないんです。学問分野というのは国際的な交流がなければ進んでいきません。したがって、それが個人的なものであったりするところに問題があるわけなんです。あの人のとにかく関係というのは、大学の某教授のあれというのはこの国にもこの国にもとにかくブランチを持っていて、それで一緒に共同研究をやっているんだ、それが比較的少ない人がいるとか、それからあの学部は多いけれどもこの学部は少ないとか、そういったような偏りがありました。したがって、それを一律にあれするということはなかなか難しゅうございます。  だけれども、結果的には私は、これはちょっと雑談を入れます。一分しかないから雑談入れる時間がないけれども、昔は、大学教官になりますと、そうすると丸善に行って、入ってきた専門書を全部教授が買い占めるんです。この中にもきっとそういう御経験を持っている方がいらっしゃるかもしれない、ほかの方に知恵を漏らさないということ。だから、自分がタッチをしている国際交流のブランチというものをほかの人に渡さないといったような、つつましいというか、気持ちを持った人がおりましたのは確かです。こういうようなことは時代の流れと一緒に変わってまいります。国際化というのはもう日常茶飯事の問題で、これはどんどん広がっていくと思います。  それから放送大学は将来どういうふうにしていくんだ、国民の生涯教育に対するニーズはどんどん広がっていくぞと。最終的にはこれは放送衛星を使うことになります。ただ、国家予算というものを大分食いますから、そう簡単にいつだというふうなことはなかなか言えませんが、放送衛星を使って全国に波を出す。本はとにかくもう行っておりますから、地上の施設というのはそんなに金はかかりません。ただ、学習センターの講師の確保ということは大変です。関東地区だけでも専任の教官が今うちには七十人しかおりません。客員の教授、客員の助教授百五十人です。これはほかの大学に勤めている人。そのほかスクーリングをやっている非常勤講師というのが三百五十人おります。人のふんどしで相撲をとっているんです。それで、これが全国的に広がりますとこの非常勤講師の確保というのは大変なことになります。  そういったようなことが悩みの種でございまして、それをどういうふうにしていくかというようなことについては、現在非常にとにかく一生懸命に検討しております。ニューメディアの利用というものは当然いろんな方法、さっきもちょっと話が出ましたけれども、いろんな方法がありますので、一つの方法に固執しない。放送衛星が打ち上がるまでは、使えるまでは地上のあれをいろいろ使っていきたいというふうに考えております。  以上。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 一問ずつお二人の先生にお尋ねいたします。  まず香月先生。日本の教育は、視聴覚教育が発達し過ぎまして、その反面、書字能力、読む能力、これが反省されております。そこで図書館の教育充実が強調されておるということでございますが、そのことに対する先生の御見解。  次に庭田先生。高齢化社会における難病対策についてどのようにお考えか。  以上二点をお願いします。

香月秀雄放送大学学長

○公述人(香月秀雄君) おっしゃるとおりでございます。視聴覚の問題が取り上げられましてから大変その害も出てきております。したがいまして、書物から離れるということに対して私は大変警戒しております。放送によって授業を行うという場合も、まず講義をする人が本を書く、それはその教員の原著であるということを出発にしております。その原著ができない間は放送というものはつくらないということです。なかなか言うに易しく行うにかたいというところもありますけれども、でもその方針は貫くつもりでございます。  また、今は視聴覚というのは絶対に必要でございます。ただ、その使われ方というものに問題があります。例えば、盛んにこのごろは学会等でもって映画を使ったりスライドを使ったりしてやります。そうすると、話が耳に入らなくて絵が邪魔をいたします。あれが視聴覚の大変な欠点でございます。それに専念をしている人は、絵でもって全部が語れるというふうに思いがちでございますが、それは大変に行き過ぎだと思います。私はやはり、古いかもしれませんけれども、書物というものをとにかく大事にしなきゃいけない。放送大学の学生を見ていただくとよくわかりますが、放送大学の印刷教材には余白が横と下につくってありまして、それに必ずとにかく自分が考えたこと、スクーリングで習ったことをノートなしに書き込めるようになっておりますが、真っ黒になっております。読むということは書くということでございます。そういう点について十分配慮をしております。  以上。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) 簡単にお答えをいたします。  私は先ほど中間施設というものを申しまして、これが老人保健施設、こう言われております。この中間施設は在宅型と入所型とありますが、これは、入院の必要はないが病弱な寝たきり老人を介護する施設、こうなっております。そしてここで、老人病院と特別養護老人ホームの中間的なものだ、こうなるわけでありまして、難病のお年寄りとか重病のお年寄り、もちろん老人病院でお引き受けをするわけでありますし、それからリハビリやなんかそういうものですと特別養護老人ホーム、そして入院の必要はないが病弱な寝たきり老人は中間施設、このように三つに分担いたしまして、難病の方もお引き受けをする。そして、この難病の中に長期療養というようなお方もありますと、概して中間施設の方に移りながら、地域医療も中心になって、みんなでこのお年寄りの回復に力を尽くす、こうなっております。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 まず、庭田先生にお伺いしたいんですが、先ほど先生、年金に関しては経営努力というのは困るというふうなお話だったんですけれども、どういうケースはどうでしょうね。例えば、受給資格ができたけれども、今当面年金が要らないので辞退する。そして→年辞退すると翌年からの支給額は一〇%上げる。十年たつと倍になるわけですね。そうしますと、いよいよこれからもらおうといったときに、ちょっとお気の毒でしたということになりかねない。そうすると、国は年金丸々得するわけですね。私は、年金というのを、いわゆる生活費の補給ということじゃなくて、将来の不安に対する保障だという性格を強めることができるんじゃないか、これが経営努力だと思うんですが、この点どうかということをお聞きしたい。  最後に香月先生にお聞きしたいんですけれども、私はもう国立大学というのは全部私立にした方がいいと思うんです。理由はちょっと省きますけれども、最後に先生の御感想をお伺いしたいと思います。  以上です。

庭田範秋慶應義塾大学教授

○公述人(庭田範秋君) お答えを申し上げます。  経営努力というのは、ちょっと冗談話に類するようなわけでありますが、年金で経営努力といいますと、一般には資金の効率運用、有利運用ということを申すわけであります。そして、例えば今受けないで後日受けたら金額が大きくなる、これは余りこうやるお方はないんじゃないかという気がいたします。  なぜかと申しますと、どうもその間にぽっくりいっちゃいますと、取らずじまいで大変残念がる。これはもう人間の心理でありまして、なぜそんなことを言うかといいますと、私的年金でも保障期間十年というのが売れるわけなんですね。その十年のうちに死んだら年金原資の使い残しは遺族のところに行く、こういうわけでありまして、それを皆さん選んでいるところは、取りっぱぐれを恐れるという心理があるんじゃなかろうか。現在、どちらかといいますと、例えば国民年金なんか六十五歳から出るのに、もっと早くもらい出してしまう、そういうケースの方がよほど多いわけであります。そして、いよいよその年になって、隣の方が同じ年に年金に入っているのに、こっちの人が多いのになぜ自分は少ないんだなんて文句を言うお方があるくらいでありまして、どうも後にずらしても余り応ずるお方はないんじゃないか。やはり財投協力一本の年金資金運用をもう少し有利運用の方に回した方が、これが経営努力と言えば言える、このように考えております。

香月秀雄放送大学学長

公述人(香月秀雄君) 国立大学を全部私立にしろというお話でございますが、反対でございます。理由は、あなたも申し述べられなかったので私も申し上げませんつもりでおりましたが、だんだんしゃくにさわってきたので、一部理由を申し上げます。  今の私立大学の現状をよく御存じで御発言になったと思いますが、ある数の私立大学というのは大変立派でございます。数の割合にとにかくだらしのない大学はたくさんございます。ああいう状態をもっと広げろということかということになりますと、大変問題がございます。国立大学というのは、国民の平均的のとにかく知能水準というもの、教育程度というものを保持する組織でございます。私立大学には大変ハイレベルのものと、そうそうでもないものと、いろいろあって結構です。建学の精神というのがございます。これはその私立大学の創始者という者が心魂を込めてつくり上げて、代々通じていくものというふうに思っております。国立大学には国立大学の精神がございます。以上。 ○

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  以上で教育及び社会保障に関する意見聴取は終了いたしました。  一言お礼を申し上げます。  香月公述人、庭田公述人お二人には、それぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして衷心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)  速記をとめて。    〔速記中止〕

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。     —————————————

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 一言ごあいさつを申し上げます。  福山公述人、原公述人お二人におかれましては、御多用中にもかかわりませず本委員会のために御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。  本日は忌憚のない御意見を承りまして今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度の御意見を順次お述べいただきまして、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、順次御意見を承りたいと存じます。  まず、外交・防衛につきまして福山公述人にお願いいたします。日本平和委員会代表理事福山秀夫君。

福山秀夫日本平和委員会代表理事

○公述人(福山秀夫君) 福山でございます。  貴重な機会をいただきましたので、外交と防衛、安全保障の問題につきまして常日ごろ考えてまいったことの要点を端的に申し上げたいと思います。  まず第一に、今の世界の大勢をどうとらえるかという情勢把握の基本問題について述べたいと思います。  私は、今世界は軍備競争をさらに激しくするか、それとも軍備縮小に向かうかという極めて重大な歴史的な岐路、分かれ道に立っていると思います。そして、世論の大きな流れは軍縮に向かって動いているということを強調したいと存じます。第二次大戦の直後、国連総会の決議の第一号が核兵器の廃絶ということであったわけですが、その後四十年間、核兵器をすべてなくしてしまうという問題は現実の国際政治、現実の外交政策の日程には上らなくなってまいりました。それが四十ぶりに世界の政治の中心問題として今脚光を浴びて登場していると思います。  昨年の十月にレイキャビクで行われた米ソ首脳会談では、ゴルバチョフ書記長が小型の戦術核兵器も含めてすべての核兵器の廃絶を提起しまして、レーガン大統領も直ちにオーケー、賛成だ、すべての廃絶で行こうと合意した一幕もあったということをニューズウィーク誌などが報道いたしております。しかし、このニューズウイーク誌が書いておりますように、レーガンはとらの子のSDIに固執して、歴史的とも言うべき軍縮上の合意を取り逃がしてしまった。SDIは申すまでもなく戦略防衛構想でありますが、これがあの会談の到達点でありまして、会談そのものはこうして決裂し失敗したわけでありますが、あの超タカ派と言われたレーガン大統領が核兵器の廃絶を口にするようになったのは、一九八二年の米国の中間選挙で共和党が下院の議席を二十八も失う、そういう大敗北を喫してからのことであります。  その中間選挙の五カ月前、六月の十二日には、ニューヨークの町に百万人以上の人たちがアメリカ全土から集まりまして、国際的にも参加しておりましたが、反核デモをやっております。この大デモンストレーションが示すようなアメリカ国民の反核、平和を求める運動と世論こそ、レーガン大統領が時にはハト派のように振る舞わなければならなくなっている、そういう根本的な力であると存じます。これこそ歴史上の大きな流れを軍縮の方に向ける原動力となって、これからも働き続けると考えます。ことしの二月四日、アメリカの民主党の下院議員団の総会で、全員一致してレーガン大統領に今後の核実験の停止を求めるそういう決議を採択いたしましたが、これもそうした国民的な運動と世論の力だと存じます。  ヨーロッパでは、一九八〇年代に入ってからNATO諸国、北大西洋条約のあの諸国で、アメリカの陸上発射巡航ミサイルとパーシングI、中距離核弾道ミサイルの配備に反対する歴史上かつてなかった反対運動が盛り上がりました。今ヨーロッパは一見静かですけれども、四月下旬の、つい最近のあの「シュピーゲル」、西独の雑誌が掲載しております西ドイツの世論調査によりますと、西ドイツの市民の九二%が欧州のINF、中距離核戦力の全廃を支持しているということを報じております。反核、平和の世論というのは深く静かにヨーロッパでも広がっていると考えます。四月十日付の平和・安全保障研究所の「RIPSレター」というのを見ますと、在欧米軍、ヨーロッパにおりますアメリカ軍は三十二万五千人に上るわけでありますが、そのうち十万人の撤兵が行われるのではないかと、そういう見方が強まってきているということを報じております。  また、ソ連に関しましては、ブレジネフ書記長の時代にはアメリカとソ連の核兵器の抑止力の均衡、このバランスで平和が保たれている、そういう立場でありましたが、ゴルバチョフ書記長の時代になってからは、核兵器廃絶を現実の外交交渉の目標として掲げるようにこれははっきりと変わってまいりました。これまでソ連脅威論というのがアメリカでもヨーロッパでもまた日本でも常に強調されまして、だから軍拡が必要だと、そういう議論が行われまして、実際に我が国の軍事費というのは、アメリカの要求もあり、ふえ続けてきたわけでありますが、こうした前提そのものが今根本から変わりつつあるというふうに見るべき、そう言うべき状況と思います。  そうした国際情勢の大きな変化の認識に立ちまして、私は第二に、この世界的な軍縮の世論に逆行してはならないというだけではなくて、もっと積極的に日本の外交政策、安全保障政策をその根底から決定的に転換すべきだということを強調したいと考えます。  これまでとかく政府・与党の側からは、安保条約も自衛隊も日本の平和と安全を守るためのものだ、みずからの国をみずから守る気概が必要だということが叫ばれ続けてまいりました。しかし、元在日米軍の司令官でありましたギン中将がアメリカの議会で証言しております。日本だけが攻撃され、単独で対応しなければならないような事態はあり得ない、日本へのソ連の限定攻撃は米ソの世界的な対決の中でのみあり得る。そういう証言であります。また当時のウェスト国防次官補も、一九八二年の三月のことでありますが、アメリカ上院の外交委員会の公聴会で、日本だけが孤立した形で攻撃されるということはありそうにない、いついかなる場合でも日本が単独で本土防衛をするという事態を米国は想定していない、そうした事態は起こらないであろうと、同じ趣旨の証言をしております。  さらにまた、マンスフィールド駐日アメリカ大使は、一九八五年に同じアメリカの上院議員にあてた手紙の中で、日本は既にアジアにおいて最大かつ最良に装備された軍事力を持つ国家の一つである、日本は米国防衛の最前線であると書いています。これはまさに本音だと思いますが、こうした本音は米国のさまざまな人が述べておりますが、ごく最近ではアメリカの国防総省きっての日本通と言われておりますジェームズ・アワーという日本課長が、これはことしの三月九日に行われましたセミナーで、日本が効果的な制空権、対潜能力、対潜能力は潜水艦に対する能力ですが、これを持てば北海道から九州まで一千マイル以上の対ソ・ピケットラインになるということを述べております。最前線の阻止線になる、ソ連に対する阻止ラインになるというわけであります。  私は、アメリカで一九七八年十二月の七日、アメリカでは真珠湾の日は十二月七日ですが、その日に開かれたアメリカの第一回の核戦争会議というものの全議事録を翻訳して「核戦争!」という名前で出版したことがありますが、これの討論の中でパネリストの一人になっていたミラー提督、アドミラル・ミラーが言っておりますが、アメリカの軍隊で、これはアメリカだけではない、かと思いますけれども、露営地に砲列を展開するなということわざがあるわけですね。兵隊さんが天幕を張ってみんなが寝ているようなそういう露営地に大砲を一緒に並べておくと、いざというときに大砲を撃ってきた弾で兵隊もごろごろ死んでしまうということで、これは鉄則として露営地に砲列を展開するな、兵隊の寝るところに大砲は置くな、そういうことわざがあるようであります。大型の武器というものは守るべき対象からなるべく遠く離しておくのが常識だということを述べているわけでありますけれども、アメリカ側として言えばこれはごく自然なことでもあろうかと思います。しかし、それを身近に置かれる側、つまり防衛最前線にされる側、日本の側から言えばこれはたまったものではないと言わざるを得ないと思います。  日米安保条約と、安保条約を実質的に改定したのに等しい一九七八年のあのガイドライン、日米防衛協力のための指針、あれによりまして、既に御承知のように日本有事の場合、またシーレーン防衛、この二つの場合についての日米共同作戦の計画は完成されております。また今、極東有事の際の共同作戦計画が練られている最中でありますが、この既につくられた作戦計画の内容につきましては、中東やヨーロッパなどでアメリカとソ連の対決が起きたときにアジアと日本にもそれが波及してくる、そういう想定で書かれていることが新聞などにスクープされております。  つまり、そういう事態が起こったとき日本は、日本の方は平時であっても安保条約とガイドラインによって直ちに自衛隊が米軍とともにアジアで対ソ攻撃の共同作戦をするわけであります。その中で日本の分担する役割は、ソ連のSLBM原子力潜水艦、潜水艦から弾道ミサイルを発射するあの原子力潜水艦ですが、あれを破壊することが日本の分担する主要な役割となっております。これは全面核戦争における極めて重要な役割でありますが、これにつきましてはアメリカの国防情報センターの副所長のキャロル元海軍提督が、極めて早期の段階で核交戦に突入する段階だと言っておるとおりのものであります。  これは日本を核戦争の最前線基地とし、自衛隊を米国の核戦争を補完する部隊として日本を核戦場にするものであります。これは日本民族を破滅させる道であり、軍縮に向かう世界の大勢に逆行するものであり、何としてもストップをかけ、根底から大転換させなければならないと存じます。そのために、直ちに軍事費の歯どめのない大増強をストップさせる、大幅に軍事費を削り、米軍基地をなくして、速やかに日米安保条約を終わらせる方向へ確固として足を踏み出すべきであると私は信じます。  最後に私は、今から六十二年前、大正十四年に高田、豊橋、岡山、久留米の四個師団が廃止されまして、そのちょっと後、数年後、五十七年前の昭和五年には、米英仏伊とそれに日本も加わりましてロンドンで海軍軍縮条約に調印したことを思い出したいと思います。あれからずっと日本の国策があの方向で、軍縮の方向で進んでいれば三百二十万の同胞がとうとい命を失うということもなかったと存じます。しかしあの調印の翌年、昭和六年、暴走する陸軍の一部があの十五年戦争を始めまして日本は戦争の泥沼にはまり込みました。今の日本の姿は、敗戦後押しつけられた軍事同盟のもとで半ば占領された状況が続いている、自国の運命を自分で決めることもできない、他国の防衛最前線に成り下がって常に核戦争の際の核ミサイルの吸い取り紙になる、そういう運命にさらされている、歯にきぬを着せないで言えば真相はそういう惨めな状況だと思います。  しかし、第二次大戦後につくられた数多くの軍事同盟のうち、METO、CENTO、SEATO、これはいずれも中東や東南アジアの軍事同盟ですが、これはすべて今や雲散霧消しております。北大西洋条約機構、NATOにつきましても大分ひびが入っていると言えると思います。本当に日本と世界の前途を憂えて子々孫々の生存を願うならば、日本国憲法の持つ歴史的な画期的な意義を再認識、再確認しまして我が国の外交、防衛、安全保障政策を決然として非核、非同盟の道へ決定的に転換する以外にないと申し上げたいと存じます。軍事ブロックの力を競い合うことによっては安全保障どころか危険が増すばかりであると信じます。真の集団安全保障は、いずれの国の軍事同盟に加わらず、外国の軍事基地を撤去し、外国軍隊を撤退させ、国際間の紛争は政治的に話し合いを通じて解決するということによってのみ確保されると信じます。  以上をもって私の陳述を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  それでは次に、対外経済摩擦・通貨問題につきまして原公述人にお願いいたします。青山学院大学教授原豊君。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) 原でございます。  私に与えられました課題は、対外経済摩擦と通貨問題、こういうことでございますので、ここでは最近のそういう情勢のもとで今度の予算案を見ました場合どういう感慨を得たかということを中心にしてお話ししてみたいと思います。  申すまでもなく、貿易摩擦は激化しておりますし、同時に円高も非常に不安定ながらだんだんと高い方へ高い方へと動いているわけでございまして、私、率直に申しまして、ここしばらくが日本経済にとりまして非常に重要な時期であろうと考えております。そういう観点から今度の予算を見ますと、どうもそうした緊急の事態を前に置いた予算としては政策スタンスの転換というものが必ずしも明確ではないというような感じがしております。税制改革の問題が含まれておりましたのでまだしもという感があったんですけれども、それも今回また別途な形で審議される形になりましたから、そういう意味では、なおその上にどうも性格がはっきりしなくなってしまった、こういう環境に対してはどうも予算の力強さは感じられないという感慨を持っております。  そういう認識でございますけれども、現実に半導体の報復関税がアメリカにおいてとられました。しかも、半導体と関係ない電動工具にまで及んでいるというこういう事態でございます。考えてみますと非常に荒っぽい話になっておりますけれども、こういう荒っぽい事態までも招いたというそういう背景とか環境を我々は考えてみなければならないと思います。  それからさらに、御承知のようにアメリカの包括通商法案がゲパート条項を含めて下院で可決される、こういう状況でございます。上院に回されまして修正を受けることでございましょうけれども、今言ったような状況を前にいたしますと、恐らく今度はかなり日本に厳しい形で一本化されるんじゃないかと心配をしております。  そういう状況のもとでまた最近我が国の六十一年度の貿易収支の黒字が一千億ドルを超えるという数字が発表されましたし、また対米黒字も五百億ドルを超えるというような数字が発表された。こういう点を考えますと、いろいろやはり我が国を取り巻く情勢は厳しくなっていると考えざるを得ないわけです。もちろんこれに対して我が国といたしましては、前川委員会、昨年四月に出ました報告書がございますし、さらには最近出ました新報告でございますか、三年以内にもっと政策努力を重ねるという一応タイムリミットを課しました上で七項目ですか、いろいろ具体的な提案もなされているようでございますけれども、そういうものもなされておりますし、また政府におきましても緊急な総合経済対策を検討する、あるいは公共事業の前倒し等々で対応なさっておられます。そのことは重々知っておりますけれども、どうもやはりもっとこの厳しさを認識した上での予算編成をしていただきたかった、こういうふうに考えております。  また困ったことに最近は、そういう情勢が厳しくなる反面で、アメリカが悪いんだ、アメリカがこの問題の原因だと、そういうことを強硬に主張する意見が強く出てまいりました。私は確かにこの中には正論側の部分がかなりあると考えております。しかし、やはり国際環境というものは一国だけでできるはずはございませんで、政策の問題を考えてみましても、アメリカの今批判されておりますレーガノミックスの減税それから財政赤字の拡大というような方向をとりました時点と対応いたしまして、我が国は少し早かったんですけれども、財政再建のための路線を歩んでまいりました。ですから、片方ではどちらかといいますと需要を拡大し消費を拡大するような政策がとられている、片方では逆に締める政策がとられて、しかもその両国が非常に緊密な関係にあるし、しかも困ったことに両国の産業構造というものが補完的になっておりますので、片方にとりましていいことが片方にとって悪いという形になっているようなそういう形でございます。  ですからこの場合確かに、アメリカに対してその問題点を指摘し、早急に例えば財政赤字の削減を初めといたしまして政策転換要求をすることは当然のことと思いますけれども、同時に我々といたしましては、国際的な責任のもとで我々に何ができるかを考えて我々自身の対応もとらなきゃいかぬ。先ほど既にとっていると申しましたけれども、それだけじゃやはりまだ不十分じゃないだろうか、このように考えております。  今の状況を見ますと、例えば悪いかもしれませんですけれども、どうも日本とアメリカという両家がありまして、その二つの家の間に火が燃え上がっている。そして両家とも火がついている。ところが日本におきましては家が傾いておりまして、一生懸命にナーバスになりましてその傾きを直そうとしている。片方は、火がついておりますから、まずその傾きを直すより先に、この傾きは放置しておきましてもすぐ倒れるわけじゃございませんですから、したがってその傾きを少しずつ直しながらやるということよりはむしろ先に火を消すという、あるいは水を持ってきて火を消すという、そういう対策を早急にとるべき時点に来ているのに、何となくその傾きを直すことに中心を置いているような気がしてならないわけでございます。例えが悪いかもしれませんですが、そういう感を非常に持っております。  そして、こういう形で進んできまして放置しておきますと、為替レートはこのままでは非常に不安定でございますし、昨今のいろんな調整のもとでも、これは安定はなかなか難しいわけでございましょう。一千億ドルから二千億ドルに達するようなドルが投機的に動いている中で三十億ドル、四十億ドルの介入を行いましても、これは到底安定させる力はないわけでございます。  そうした状況でございますので、やはり大きな経済の流れというものが通貨の安定の方に向かっていかなければならないのであって、介入といったような、もちろんこれも必要でございましょうけれども、いささかテクニカルな形だけで安定させようと思っても無理だと。下手をするとドルの暴落ということにもなりかねないものですから、それだけはぜひとも避けたい。しかし現在の状況というものは、既にアメリカもドルが安くなって金利が上がる傾向を示しておりますので、こうなりますとアメリカでもインフレ懸念どころじゃなくて、アメリカ経済の停滞という懸念も出ておりますし、アメリカ経済が停滞しますとまた日本にはね返ってまいりますと同時に、ヨーロッパ、近隣諸国すべてが影響を受けるごとになってまいります。やはりこれは避けたい。  それから日本におきましても、アメリカ経済がそういう形で弱体化いたしますとなお円高になる可能性が強くなりますから、そうなりますと現在ですら円高不況といわれておりますように、これはもちろん円高によってプラスになっているところもございますけれども、地方を回ってみますとかなりの部分で非常にダメージを受けている地域が集中的に出ているということ、こういったところはなお一層の被害をこうむる形になる。そうした形で悪い方に悪い方に一潟千里の形になって流れていく傾向はぜひとも避けるべきだし、避けるタイミングは今だと私は考えております。  巷間では世界恐慌が来るかというような物騒な声も聞かれますけれども、一九三〇年代と違いまして現在のこの国際化した状況のもとで、国際的な交流も行われておりますし、政策技術もかなりよくなっておりますから、現在ではそのような心配が一挙に来ることはないと考えております。殊さら不安感を助長するような表現は避けたいと思いますけれども、しかし放置しておきますとそういう可能性なきにしもあらずということを考えます。  そういう点からこの予算を見ますと、やはり不十分な感じがいたします。もっと私はこうした国際経済上の危機感というものが何か読み取れるような予算であってほしかったという気がいたします。もちろん毎年毎年予算が、その年その年の基本方針が大きく変わるようじゃ困るわけでございますから、ある程度の継続が必要でございますし、また予算の経費の中には継続しなければいけないものもたくさんございます。重々承知しておりますけれども、そこをなおかつ工夫するのがやはり政治のあり方じゃなかろうか、このように考えているわけでございまして、そうした意味では国際経済上の危機感がもう少し反映した予算であってほしかった、現在はむしろ財政上の危機感の方が表に出ているんじゃないかという、これは口が悪うございますけれども、そんな感じがしてならないということでございます。最近の売上税をめぐるいろいろな議論におきましても、何かそういう感じがしておりました。  そして今度の予算でございますけれども、編成の基本方針を読みましたけれども、これは毎年大して変わっていない。実は私、一応毎年読みますし、予算委員会もここ数年間に数回出ておりますので関心を持って読んでおりますし、その内容もある程度見てきたつもりでございます。読み方が浅いかもしれませんですけれども、今申しましたような環境が変化しているにもかかわらず予算の基本方針というものは、片方では行革路線をしっかり守って、経費を節約して、そして安定的な経済の発展に寄与するような予算を組むというような方針でございまして、まことに立派な文章でございますけれども、どうもやはり食い足りない。しかも、余り変わりばえがしないという気がしてならないんです。  私も行政改革の必要性は重々存じでおりますし、従来も景気と行革の両にらみでやってもらいたいということを強調してまいりました。現在でも必要だと思います。それから財政再建の必要なことも重々承知しております。今回の売上税法に係る問題あるいは国民の反応を見ましても、あれだけ国民の反応が強かったということは、単なる新税は悪税なりというような新税拒絶反応だけじゃなくて、やはり国民が行政のむだを省いてしっかりと行政を組み直ししなければ増税一本やりになってしまうという危機感を持っていた、そういうことがあの強い反対にあらわれた側面があったというふうに考えておりますので、その点はしっかりと踏まえると同時に、行政のむだを省くという姿勢は変えてはならないと思います。しかし、そのことと、こういう時期に至って積極的な予算を組んでこの危機に対応した積極的な行動を起こすということとは決して両立不可能だとは考えたくないわけであって、その辺の工夫を皆様方に要求したいわけでございます。  財政再建につきましても、経費の削減合理化、確かに必要でございますけれども、ここのところずっとマイナスシーリングを課すとか、あるいは中期の財政展望というものが出ておりまして、一九九〇年度までに赤字国債発行ゼロの目標を示すという、そういう方向は変わっていないわけでございまして、この辺のところはやはり従来と大きな変化がない。したがって私は、ことしにかけまして、本にも書いておきましたけれども、緊急時ですから、この中期の展望にしても財政再建路線にしても、一時棚上げをしてしばらく後に延ばす、緊急事態に備えて何かをやるという、国民は事情を知っておりますから理解できると思いますので、その辺のところをはっきりとして何か積極的な政策を組めなかったかどうか。  財源にいたしましてもそうでございまして、もちろん財源を伴わないようなやり方もございます、規制緩和とか市場開放などはそれほどたくさんの財源は必要といたしませんでしょう。しかし、それだけでは現在のような状況に対しては不十分でございますので、やはり場合によっては建設国債、さらには場合によっては赤字国債も発行して、そして積極的に何らかの形でアクションを起こしたという、そういうことを内外に実証し示すということと同時にその効果に期待するという、そういう方向をとっていただきたかったということでございます。  しかも時期は、今金利が安くなっておりますから、発行した場合の負担は非常に少ない時期でございます。したがって、今発行いたしまして将来状況が変わって高くなりましたときは少なくするというような形で、少し長いレンジで見て国債の償還を考えていく。そういうことも場合によっては許されますし、緊急時には許されるんじゃなかろうか、こういうことでございます。  また、税制改革につきましては、もちろん私は直間比率を見直す必要性は感じておりますから、じっくりと審議なさってやはり立派な改革案をつくっていただきたい、拙速は避けてつくっていただきたい、こういうことでございます。  それから、さらにいろいろ工夫ができるかと思われますので、行政のむだを省くことを含めましてさらにはNTT株をどうするかということ。今非常に株価が高うございます。一千万株あたり手持ちになるわけでございますから、私どもにとりましても。毎年約二百万株近くを放出されるわけなんで、それならもう少したくさんお売りになって、今株価が高い時期でございます、三百万円超えておりますから、NTT、この際売っておきますとそれだけ差益が出てくるわけでございます。だから安くなって売るよりも今高く売っておきますと、株価が高騰いたしましてかえって困るような事態もありますから、少し熱を冷やすという意味でも意味があるという、そういうところでこの辺のところを、二・二兆円という数字が出ておりますけれども、もう少したくさんお売りになりますと、売上税でも一兆何千億というレベルでお考えになっているわけですから、そういった形でやればもっと政策もできるんじゃなかろうか。  そうなりますと、片方で公共事業支出と減税というものを二本の柱にいたしまして、どれをどうするかという技術的な問題は省略いたしますけれども、そういうものを中心にして積極的な財政が組めるんじゃなかろうか。それで公共事業支出も、これは効果は確かに昔に比べて少のうございますけれども、これも一般的なことじゃなくてやはりやり方次第でございます。地方の非常に落ち込んだ地域に対しては重点的に配分し、しかもその効率、乗数効果が高く出るような使い方をするというようなことですね。私は、都会よりもむしろ公共事業は地域に配分する、都会は規制緩和を初めとするようなそういう金のかからない政策をとるというようなことも考えられるんじゃなかろうかというふうに考えております。  具体的な話は省略いたしますけれども、そのようにしてやると同時に、減税もできるなら先行していきたいし、投資減税を初めとして産業構造の転換に役立つような減税は積極的にやっていただきたい、そういうことでございます。  そうやりましても経常収支の黒字というのは一遍には減りませんし、これは無理でございましょう。背後に構造的なものもございます。また、為替レートで調整するということもどだい無理でございます。日経のNEEDSの計算によりましても、GNPの一%、約三百五十億ドルぐらいですか、そこまで持ってくる場合にはやはり百十円ぐらいのレートに下げなければいかぬ、そうすると成長率は一%そこそこかゼロに近いようになってしまうという。そうまでしてやる必要はございませんし、そうやりますと日本経済自体がおかしくなってしまう。これはちょっととれない政策でして、逆にアメリカもそれほどドルが急落いたしますとこれは大きな問題点が出てまいりますし、かえって自分の首を絞める形になってくる。  したがって、この辺のところは、やはりある程度日本の経済の体質を今のような形で積極性を外に示すと同時に、ある程度市場メカニズムを生かしながら随時介入、大きな役に立たぬにしても介入するとか、今度なさったようにちょこちょこと文句を言う。私は去年あたりから言ってよかったと思っていましたけれどもね、あの投機とかいろんな形でドル売りに走る企業とか機関に対して。余り介入しますと、これは自由経済に対する挑戦になりますから困りますけれども。そういうところで落ちつくところにある程度落ちつかせていく。適正為替レートもいろいろ問題、考える点がございましょうけれども、そうした形でやっていただきたいと考えております。  そうこうしているうちに、円高ドル安になっておりますので、アメリカも数量的には輸出は伸びてきております。それから海外直接投資、日本から出ております場合でも、今まで原材科は日本から輸入しておりましたけれども、それが現地で調達するような形になってきましょう。その場合に、雇用問題が出てまいりますからそれはまた雇用政策でやるといたしまして、いろんな形で円高ドル安の効果がやがては出てまいります。それまでのつなぎですから、やはり小手先の調整だけはこれは適当にやりまして、あとはもうどうにでもなれといって開き直った方がかえっていいんじゃなかろうか、レートにつきましては。私はそのように考えております。そうして、アメリカだけではなくて海外、ヨーロッパもございましょう、中国もございましょう、アジアもございましょう、その国々に対してもやはり要求すべきところは要求し対応すべきところは対応する。アメリカばかりに顔を向けておりますとかえって他国の反発を招きますから、そういう点を配慮なさって対応していただきたい、このように考えております。  どうも失礼しました。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

吉村眞事自由民主党

○吉村眞事君 本日は両先生大変御苦労さまでございます。ありがとうございました。  私は原先生に御質問を申し上げたいと存じますが、まず、今回の予算は何か少し配慮はしておるようだけれどもちょっと物足りないと、こういうお話でございました。先生のお話の中にもお触れいただきましたように、現在、行革路線と、それと両立する格好でのいろんな工夫を盛り込んだ予算でございますが、やはり行革の方に片方で重点を置くということのために、先生がおっしゃるほどの思い切った施策になっていないという嫌いを御指摘になったものと思います。  この予算が編成されましたのが去年の暮れ、それから事態がいろいろとまた変わってきております。ですから、最近におきましてはさらにそれを補完するような政策の必要性が強く論ぜられておりますし、また現実に自由民主党の中でもそういう政策を現在検討しておる最中でございます。その点は御存じのとおりでございますが、最初に、内需の振興というものをもう少し大幅にやる方がよろしいという先生の御指摘、これは私も全くそのとおりだと思っておりますが、ただ、その内需の振興というものが、これも先生がお触れになったところでございますけれども、直接にすぐに貿易のインバランスに響いてくるものではない。もちろん若干の効果は材料の輸入とかそういうもので効いてくる、あるいは直接に公共工事に入れろというような話もありますから直接に響く点も若干ありましょうけれども、なかなか直接に響いてくるというものではないように思います。したがって、かなり時間をかけていかないと、力強い政策を盛り込んでもこの貿易インバランス問題というのはすぐに解決するものではないように思うわけでございます。  先生も先ほどこの円高ドル安の効果が出てくるまでのつなぎというような意味も含めてというお話がございましたが、そういうことで、まずこの効果が徐々にあらわれて、どれくらいの期間がたては安定的なところへ落ちつくというふうにお考えでいらっしゃるでしょうか、その点をひとつ最初に伺いたいと思います。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) 吉村先生にお答えします。  まず、いろいろ後のことをお考えになっていることは重々承知しておりますけれども、今出ました予算でございますので、一応それを中心にしてお話をし、その後のことで私の心配している点はある程度カバーされるんじゃないかと考えております。  それから内需振興の点につきましても、これは私は経常収支には効かなくともと言いましたけれども、これは経常収支だけをねらいにしておるわけじゃございませんですから、したがって、積極的な予算を組んだという、政策を執行したということで対外的にもある程度説得力を持つわけですね。効果がない場合には向こうにも責任が出てくるわけなんで、ですからそういう意味が一つあるし、同時に、内需拡大のためにそれだけ何兆円でも投資いたしまして、それが重点的に行われますと、国内における構造転換とか、それからいろんな形での摩擦を避けるのに役立ってくるわけで、何も外だけの問題じゃないと、こういうことでございます。  それで、調整するための時間ということでございますけれども、私は三年ぐらいを見ておけば十分ではなかろうかというふうに考えております。

吉村眞事自由民主党

○吉村眞事君 そういたしますと、三年ぐらいかかってだんだんに効き目があらわれてくると。その間に、先ほどこれも先生がお触れになりましたけれども、円高ドル安というのが、これは経済的に申せば貿易に直接に影響をして、そしてその効果で貿易収支が縮小するのがこれは経済的な常識であろうと思うわけでございますけれども、若干その効果があらわれ始めた気配も見えると先ほど先生おっしゃいましたが、今回の為替変動ですね、これが経済的に非常に効きが鈍いといいますか、これだけの円高ドル安になっておりながら貿易インバランスの解消がなかなかはかばかしく進まない。この原因というのは先生どのようにお考えでございましょう。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) よく言われますJカーブ効果というのがございますから、これは、日本におきましては黒字はなかなか減らないような形に、一時的に膨らむという形ですね、ドルで。逆にアメリカの場合には赤字が一時的に膨らむ、そういう形になりますので、ある時間を経なければということがありますけれども、それに加えまして、やはり我が国産業、企業の調整能力とか弾力性はものすごくあるわけですね。ですから、かなり高くなって大丈夫かなと思われる段階になりましてもそれなりに合理化とか費用節約とか工夫をなさいまして対応される。それで輸出が減らないという形で、だから、そうなりますと、また黒字は減りませんから円高要因もなくならないという形で、何か頑張れば頑張るほどだんだん円が高くなったから頑張り損みたいな形になりましたなんというような形も背景にあるようでございます。

吉村眞事自由民主党

○吉村眞事君 確かにおっしゃるとおり、私も以前造船の会社に伺いましたら百八十円が限度だと。それで垂れ幕がかかっていまして、百八十円目標に生き残るために頑張ろうとか書いてありました。ところが、私どもが行きましたときはもう既に百八十円を割っておりまして、ここまでは幕を掲げて頑張っていたんだけれどももうだめだと、こうおっしゃっていました。しかしその後も、先生今御指摘のように懸命の努力でさらにまたコストの引き下げをやっている。これはまあイタチごっこで、どんどんどんどんいけば先ほどの先生のお話のように百二十円までいくというようなこともあるいはあり得るかもしれないし、そこまでいけば百二十円でとまらないでいわゆる大暴落というところにつながりかねない。こういう問題が非常に懸念されるわけでございます。  そうなりますと、やはり基本的には、前川レポートが指摘しておられますように日本の経済構造を変えなくちゃいけないと。経済構造を変えていくのは非常に私は時間がかかることではないかと思います。先ほどの内需振興の政策と同じようにアナウンス効果というのは、日本がある種の政策をやればその効果があらわれなくてもやっているなあという意味で国際的な評価を受けるという意味では確かに大変意味があると思うんですけれども、実際の効果があらわれてくるのは大変時間がかかると思うんですね。先ほど先生おっしゃいました円高ドル安の効果が三年程度であらわれてくるであろうというお話ですけれども、これは先ほどの短期的な政策といいますか、内需の振興策が功を奏して、それが世界に認められてというような格好での短期的な成果の時間だろうと思うんですけれども、実際に構造変化ができ上がってきますのには大変時間がかかると思うんですね。  そうしますと、タイムラグといいますか、その間に日本が国際的に生き残っていくためにさらに何か手が必要なのか。内需振興というようなことを地道にやっていくこと、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、そのこと自体はインバランスに直接に響く部分は少ないわけですから、国内景気が振興され、そしてその結果国内の構造変化がだんだんに進みという、非常にゆっくりはしているけれども着実な、そういう方向でやっていけばそれで大体いいだろうというお考えですか。もう少し何かトラスチックなといいますか、政策が必要だというふうに先生はお考えでございましょうか。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) どこに目標を置くかということでございまして、経常収支の黒字をなくして均衡するまで持っていけということになりますと、これはもう産業はころっと全く変わらなければいかぬし、日本だけ変わってもだめでございまして、アメリカも変わらなきゃいけない。これはもう期待しても無理でございます。ですから、現在、ことしの春にGNPの四%を超えたと言われるような経常収支の黒字ですね、これはかってどこの国にもなかったような状況ですから、これをいつまでも続けるということはまずいんで、それをどの程度まで減らすか、あるいは減らす傾向がはっきり出るかどうかというところだと思うんですね。だから、そのことが出ることによってかなり説得力が出ると思います。  ですから、先ほどの例でもありますけれども、百円から以下に下がるということよりも、ある程度まで下がりますと、今度はやはりドルに対する見直しが出ようかと思います、アメリカもやはり自分なりの対応をやがてやっていくでしょうから。だから、この間近藤企画庁長官がおっしゃいましたですね、GNP二%という。これもこれで結構でございましょう。その線に近づけていくというふうな段階を考えますと、それほどドラスチックな政策をしなくとも、アメリカ側の反応ですね、何かと政策要求もやりまして、アメリカもやってもらうことによって両国が努力しますとある程度早い期間にできるんじゃなかろうか、こういう気がいたします。  そして、構造転換というのは何も対外的なものだけじゃなくて、この内需拡大というものはとにかく経常収支の黒字を減らすためにということだけを問題にしているんじゃなくて、やはり国民生活を向上するためにどうすればいいか、二十一世紀の高齢化社会を展望してどうすればいいかということが基本になきゃいかぬということでございますので、その点におきますと、拙速はこの点でも避けるべきでありまして、やはりドラスチックな思い切った政策をやってもかえって効果が出ない。二十一世紀のそういう社会に軟着陸できないで、かえって非常にハードな着陸になって機体を壊すようなことになりかねないというふうに考えております。

吉村眞事自由民主党

○吉村眞事君 大変よくわかりました。  内需といいますか、非常に簡単に言いますと、今まで輸出がどんどん出ておる、輸出がどんどん出ておって日本の生産物が消費をされておった。それを、内需を振興してその結果直接に向こうからの輸入がふえなくても、今まで輸出に回っていたものを内需で使用すればそれで効果があらわれる、こういうことになろうかと思いますが、さてそうなりますと、日本の内部でそういう意味の、構造的な内需振興といいますか、そういうものをやるためには、いわゆる産業構造ということだけでなくて社会とか消費とか、そういったものの構造が相当変わってくる必要もあるんじゃないかという気がいたします。  端的に言えば、例えば労働時間短縮に伴う余暇利用、その余暇利用のあり方といいますか、余暇利用に対する国民の物の考え方、そういったことがある程度変わってくる、消費というものの内容に対する今までにない方向が出てこないと、先ほど来申し上げたようなそんな内需の振興によってインバランスがほほ解消するというような大きな効果は出てこないように思うわけでございます。今回の予算の中にはそういう意味合いで、例えばリゾートの振興というような形で国民の余暇利用の考え方を今までと違った方向に持っていく、と言うと非常に強い意味がありますけれども、そこまでは行ってないと思いますが、それの萌芽みたいなものが出ているように思うわけでございます。この点についての先生の御評価はいかがでございましょうか。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) おっしゃることは同感でございまして、そういう方向で内需も拡大しますし、国民生活のあり方も変わってまいります。その萌芽は私既に出ていると思います、サービス化、情報化というような変化とか、あるいは余暇を利用するという方向に。例えばどういうところのGNPが伸びているかを見ればわかるわけでして、やはりそれに関連したところが伸びているわけなんです、東京なんかそうですけれども。しかし同時に、やはりそういう政策をなさいます場合に、お金をつけて事業をなさいましても、国民がそれを喜んで利用する気持ちにならなきゃならないわけでございますね。ですから、そういう点では今二つネックがあると思うのですね。  一つは、おっしゃいましたような政策で解消できますけれども、そういう余暇を利用する場合に余暇を利用する対象物の値段が物すごく高いということです。それから運賃も高うございます。泊まっても高うございます。連休にホテルに泊まりますと、やはりどうしても一人二万円以上取るでしょう。四人家族で行きますと八万円なんですね。二日泊まりますと十六万円ですよ。旅費を合わせますともう三十万円ぐらいになってしまう。これなら何にもしないで寝ていた方がいいやというような感じになりますので、そういう点では、そういう物的なネックをなるべく解消し、それから値段を安くするような政策をとっていただきたいし、そういう形でやっていただけたらそれで結構だと思います。  もう一つは、気持ちの問題だと思うのです。その前にそういう余裕の時間を与えなきゃいけませんで、それは大分進行しておりますけれども、余裕時間を与えることと同時に気持ちを与えること。その点で明るくするような政策を——減税もその一つでございましょう。これは減税したらどういう効果が出るか、そういうことよりも、全般的にいろんなところに灯をつけて明るくする、全体が明るくなるというような、そういう気持ちが重要だと思うのですよ。ですから、そういうところで気持ちを明るくするような政策を考えていただきたい。今の政策を見ていますと、そういう何か全体を明るくするようなところは出ていないんで、あと部分的にはわかるのですけれども、どうも何か見ているうちにめいってしまうようなところが全体として感じられるので、先ほど申しましたように。その辺の御配慮があれば、そういう方向は大賛成でございます。

吉村眞事自由民主党

○吉村眞事君 ただいま具体的な政策としては減税の必要性を御指摘いただいたわけですが、これも先ほどお話の中でちょっと触れていただきましたけれども、行政のむだを省くということはもちろん当然やりまして、経費の削減を図りながら、今いろいろ出ておりますような内需振興に直接、間接にかかわる政策を実行していくと。そのときのその財源というのには、先ほどは建設国債等、あるいはNTTを今売ったらどうかというようなお話もございましたけれども、先生は先ほど税制改革はぜひ必要だという御趣旨の御発言もありましたが、その建設国債とかNTTは一時的な収入でありますが、建設国債を発行いたしますとこれは当然償還しなければいけないわけで、こういうものはやはり将来の税制の改革というものを前提としてといいますか、そういうものがあるということで建設国債を発行しても一時的にはいいんじゃないか、こういう御趣旨でございましょうか。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) 再建自体については私は賛成でございますけれども、やはり政策の優先度というものは当然なきゃいけないわけでございまして、場合によっては、再建のターゲットあるいはホライズン、期間を少し延ばしてもそれまでにやらなきゃいけないものがあるんじゃなかろうかということでございます。  ですから、それはきれいにし立派にすることは必要ですけれども、そのために肝心かなめの健康状態がおかしくなっては何にもならないわけであって、やはり財政というものも一つの手段でございまして、最終的には国民生活ということでございますから、それが内外におけるさっきもおっしゃった状況のもとで非常に危険な状況に近い状況に陥っているとすれば、当然政策の優先度はそこに置く。しかし、ある程度めどが立ては、もちろんのことそういう路線に戻すということは、またそのときの優先度としてまず持ってくればいい、こういうことでございましょう。

吉村眞事自由民主党

○吉村眞事君 大変ありがとうございました。終わります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 私は福山先生に最初お話を伺いたいと思いますが、先ほど、世界の大きな流れとして軍拡か軍縮かということで軍縮の流れが動いていることをお話しいただきましたが、米ソの核軍縮の現状についてはいろいろな報道もなされておりますが、今後の見通し、展開などについて第一にお話しをいただきたい。  それから二番目には、中曽根総理がしばしば言っているのでありますが、グローバルゼロを目指したいと。グローバルゼロ、つまり、ヨーロッパのINF等の中距離核戦力の撤廃が進んで、しかしアジアに残ってしまうということでは困るということを盛んに言うのでありますが、アジアでこのグローバルゼロ、核軍縮を求めるための条件というのは一体何なのか、日本として考えるべきことはどんな点に留意する必要があるのかというようなことについてまずお話しをいただきたいと思います。

福山秀夫日本平和委員会代表理事

○公述人(福山秀夫君) まず第一点、軍縮の流れ、米ソの核軍縮の今後の展開という点についてでございますが、はっきり申しまして、世論の大きな流れというのは、決定的と言ってもいいぐらい軍縮を強く求めるという方向に今流れているということが言えると思いますけれども、それに対しての逆流と申しましょうか巻き返しと申しましょうか、それもちょっと歯にきぬを着せない形で本音がいろいろ出てきているという面もこれはこれであるというのは事実だと思います。  例えば、イギリスの場合にしましても西ドイツの場合などにしましても、政権の座にある方からはやはり核兵器は必要だというようなことが言われているわけでありまして、サッチャー首相やコール首相の発言というのもこれはこれであるわけでありますけれども、そうしたものが一方にあり、レーガン大統領の言動というのも、先ほど申しましたようにアメリカの国内の世論の動向、あのニューズウイークの記事などを見ますと、彼はドリーマーだ、夢想家だというようなことをレーガン側近の高官が言ったというような記事があるのでありますが、実際は決して夢想家だからそう言うというようなことではなくて、やはり非常に緻密な政治的な計算の上で彼も発言しておると思うわけであります。  そういう点で、今後の展開にそういった国内の要素というのがやはり非常に絡んでまいるということがこれは避けられない一つの事態だと思うんです。私ども平和運動の分野でいろいろ、アメリカの生存のための動員という組織だとかいろいろなところと友好的な関係もございまして、行き来もございます。アメリカの平和運動にしても、あの八二年、ちょうど国連の第二回の軍縮特別総会が開かれたときでありますが、あのときには百万人を超えるニューヨークの歴史的な大デモというのがありまして、あれほどの規模のものは確かにその後ございませんけれども、別な形では、一年近くかけまして昨年もアメリカ大陸横断の平和行進というようなものも行われておりまして、そういう平和を願う反核平和の流れというのはやはり脈々と強くアメリカ国内にもある。  そうしたものが今後どう大きな影響力をさらに強めていくかというようなことがこの今後の展開につきましてはやはり大きく左右する力になってまいると思いますし、イギリスにおきましてはCNDというのがございます。キャンペーン・フォー・ニュークリア・ディスアーマメント、核軍縮運動、これは私十年ほど前にイギリスに行ったときにはわずか数千人ぐらいということでございましたが、今個人会員だけで四十万人と、去年行ったときに書記長のメグ・ペレスフォード女史がそう言っておりました。ひところのように、例えばロンドンで数十万人の集会をやるとかいう動きはないのですけれども。労働党そのものが大きく政策を非核の政策の方向へ出してきている。これが今度の選挙でどうなるかということについていろいろな見方もあるようでありますけれども、はっきり言ってCNDが衰えた、力を失ったというようなことではないようでございます。非常にやっぱり根を深く広く張って動いていると。  西ドイツにおきましても、戦争抵抗者同盟といったような組織がこれは長い歴史を持っているわけでありますけれども、平和の世論というのは強く根を張っている。そういう反核平和の世論の高まりということ、これがやはり政治の場にもどう反映していくか。これには選挙における反映というのも、レーガン政権の場合に限らず、やはり非常に大きな力を持ってまいるということだと思うのですが、流れといたしまして、私はもう世界の平和への動きというのは非常に決定的と言っていい方向に今やはり動いているというのが大局的に見た流れであろうかと存じます。  これは東側の動きにつきましても、私どもも世界平和評議会というのに加わっておりまして、今まで核兵器の廃絶ということを正面に掲げない運動に対しては鋭い批判をずっと続けてまいったわけでありますが、そういった東側の平和運動の流れもやっぱり核兵器緊急廃絶という方向に流れが大きく動いてきている。そういう点から申しまして、私どもは今世紀中というようなことよりも、もっと早い時期にこれは核兵器廃絶、本当になくす。例の、先ほど申しましたように、レイキャビク会談でさえ、歴史の一瞬としましては米ソ首脳会談がもう核砲弾に至るまでなくすということでの合意を一応した、そうした一瞬さえあった。ただ、それがリップサービスであったかどうか、やがてSDIの問題などでそれがアメリカの方で取り下げるということになるわけでありますけれども。そうした国際的な大きな世論の盛り上がりということによりましては、今世紀内決して遠くない時期にやってくるということだって可能性としてあり得るのではないか。  来年はたしか第三回の国連軍縮特別総会を開く、そういう可能性も、各国の意見を集めて近いうちにどういう形でやるかというようなことも発表になるかと思いますけれども、まさに今そうした国際世論というものが国際政治の場にも強く反映しつつある。一方では核がなくなったら大変だといったような議論も本音として出てきておりますけれども、さらにそれを包んでいくようなそういう世論も今いろいろな形で盛り上がりつつあるというところで、今後の展開としては私は決して核戦争になだれ込むのではなくて、核戦争を食いとめ核兵器を廃絶するという流れというのは必ず今世紀内の時点で、あるいはこれは運動次第でありますけれども、遠からぬ、私どもが生きているうちに必ず実現される、させなければならないというふうに考えております。  それからグローバルな問題につきまして、アジアに核ミサイルが残っては困る、SS20などが残っては困るという点につきましては、全く同感でございますが、これは私どもは均衡論と申しましょうか、核兵器のバランスを保つ議論というのには決して賛同いたさないものでございますけれども、どういう問題が今現にあるかといいますと、これはハワイにおります平和運動の仲間に聞きますと、真珠湾のございますハワイ諸島のオアフ島、あそこにウエストロックという、真珠貝をとるので海は浅くてきれいなんですが、西側に突き出た部分がございますが、そこだけで三千発の核弾頭が貯蔵されているということで、写真なんぞも見せてもらったことがございます。  どういう中身なのかということまでは地元の人たちもつかんでいないようですが、一応三千発というのがあそこにあると言われておりまして、それをヘリコプターなんかで、ヘリコプターの種類はバートルの107という、これは木更津のヘリコプター団などでも使っているあの機種ですが、あれが運んだり積み込んだりして、潜水艦やら軍艦やらがその貯蔵庫からいろいろ持っていくということのようでありますけれども。  そして、ヨーロッパと違うのは、アジアにおきましては海が核兵器を、アメリカの方としては自由自在に持ち歩いている本場であるということが言えると思います。一番アメリカの新しい型の潜水艦、トライデント型原子力潜水艦というのは一万八千七百トンですか、昔の戦艦がいわば海に潜ったようなものでありますけれども、ソ連もそれに対抗して二万数千トンのタイフーン型というのを何隻かつくったようでありますが、あのトライデント原子力潜水艦の基地もワシントン州、ですから太平洋岸、大西洋のワシントンDCではなくて太平洋岸のワシントン州にその基地がある。この広い太平洋がまさに、陸上の基地はミサイルの精度が高まってねらい撃ちにされるおそれがある。海に潜って動く潜水艦こそもう核時代の決定的な戦力だということになっている。  それが動いていく中でのソ連の方のやはりバランスの観念というのがあってアジアの方には残すという問題があると思うのでありますが、そういう点から申しまして、やはり太平洋に関しましてはトラテロルコ条約というので中南米については既に、まあしり抜けではありますけれども、ラテンアメリカは非核地帯だということがこれはもう大分前に一応国際条約になっているわけであります。ついあれは昨年でございましたか、もう批准した国があるレベルまでいきまして南太平洋の非核地帯条約は発効いたしました、御承知のとおりでございますけれども。まだアメリカはどうもあれは批准してないようでございますが。やはりああした条約を北太平洋にも適用させていく。  また、これは朝鮮民主主義人民共和国などは南北の非核化ということを大分言っているようでありますけれども、アジアの非核地帯化ということもこれは大事な問題であろうと思います。そうしたやはり全体の流れを、国際世論を大きく高めていく、そういう非核地帯を広げていく。日本では非核宣言都市が既に一千をはるかに超えまして、人口のこれは過半数が非核地帯に属するということになってきているわけでありますけれども、それを実効のある、実際に効き目のあるものにしていく。そうしたことによりまして核軍縮の条件というのをアジア的な規模でつくり上げていく、そういう道は開かれておりますし、必ず私ども、皆様方の御支援によりましてそうした状況はつくり出せるものと確信いたすものでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 時間がありませんので、福山先生の方はその程度にいたしまして、ありがとうございました。  原先生に伺いたいと思うのでありますが、先ほどからもお話がございましたように、急速かつ異常なまでの円高で、日本の経済、特に輸出関連の中小企業などは深刻な痛みを今感じているわけでありますが、にもかかわらず、一方で貿易の黒字幅は依然として減らないところかふえ続けておる。顕著な効果があらわれていないというふうに言われているのですが、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) お答えいたします。  先ほどの吉村先生へのお答えの中でもちょっと触れておきましたけれども、急速に円高になりまして、従来、理論的なことで申しますとやがては調整されてくるということになりますけれども、一つはJカーブ効果というものとか、それから我が国の産業の持っております適応能力というものが割合強かったということもあります。ただ、御指摘のように、その適応能力の強さの中にやはり問題があるのはございます。中小企業とか下請というものが費用節減の犠牲になって対応せざるを得なかったということもございますから、必ずしもこの適応能力というものは問題が全然ないとは申せません。その点は我々も大いに配慮しなきゃいけないと考えておりますけれども、そういうことはございます。  それから普通は調整される場合には徐々にレートが変わっていくのが普通なわけでございましょう。ところが急速どころか急激な円高でございますので、これはやはり投機筋といいますか、やむを得ないというようなヘッジの問題もございますから、全部が投機とは言えませんですけれども、自己防衛的なものもございましょうけれども、そうしたドルの売り買いとか円の売り買いとかいうようなものが急速に集中的に行われるというような市場の状況というもの、こういうものが余りにドラスチックなために対応できなくて結果の出方が遅くなったという、そういう面も多分にあると考えております。  以上であります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 先ほど貿易摩擦等々に関連をして、日本の内需拡大策、経済政策の転換等について御指摘がありましたが、もう一方の側であるアメリカの構造的とも言える財政赤字がずっと続いておるわけであります。これはいろんな指摘があるわけでありますが、一つには先ほどの平和問題とも関係するんですが、レーガンの軍拡政策がより一層赤字の構造的要因をつくったのではないか。そこで、財政赤字の解消策を日本も指摘はするわけでありますが、どうも中曽根さんの政治姿勢は、軍拡には一言も物を言えないというところにまたまた問題があるのでありまして、その辺アメリカの財政赤字と軍拡との関係などについてはどんなふうにお考えでしょうか。最近のアメリカの財政赤字解消の努力等などについても言及していただければありがたいと思います。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) 財政赤字というもの、これは非常に大幅なものでございまして、確かにレーガン以来出た現象でございます。これにつきましても、赤字だからいけないという指摘は我々できますけれども、しかも野放しの、生産以上に消費が伸びている、こういうことなんだから、少しアメリカも自己規制をやれということを言えるんですけれども、実は日本経済の復興、景気停滞からの回復の過程を見ますと、あれは八二年の十月にアメリカの自動車を初めとした住宅投資などがレーガノミックスあたりを契機にして拡大しまして、それが翌年三月の我が国のアメリカへの輸出の拡大につながりまして日本経済が回復したということがございますので、アメリカの赤字が悪いから全部一遍に解消しろと言いますと、かえって困る問題も出てくる、現実の問題がございます。しかし、余りにこれ大幅なことでございますし、一方的にそれを無視して我が国に対して要求ばかりされますと、やはり我々としてもアメリカに対してある程度の自制を要求するのは当然のことと思います。  それと関連しまして、軍拡との関係でございますけれども、カーター時代の米ソ軍事バランスが欠けたということ、これはアメリカ国民にとりましてもやはりいろいろ感慨を持ったことではないかと存じますけれども、強いアメリカ、強いドルというようなレーガンの政治姿勢に対してかなりサポートしてきたという事情もございますので、そういうことも手伝いまして、どうもレーガンの軍事バランス回復への熱意というのがかなり強かったという、そういうものが財政の赤字ともつながりを持っているということは私は否定いたしません。ただ、そのために財政赤字が出てきたというような因果関係でとらえることはちょっと経済的には問題であろう、こういうことでございます。  それから防衛、安全保障と軍拡の評価につきましては、私も個人的意見がございますけれども、経済とはちょっと関係が離れますので省略さしていただきますけれども、次に、努力はどうしているかということでございますが、既にグラム・ラドマン法で、どの程度実現できるか問題がありますけれども、一応財政赤字の削減をしていくという方向性を出しておりますし、また、それらを迎え入れられるようなアメリカの一応の雰囲気は出てきております。アメリカにおきましても、やはり野放しの財政赤字というものがアメリカにおきますいろんな問題の大きな原因であるという認識が出ているようでございます。これからももう少しこの辺の自制が出てくるのではなかろうかと私も踏んでおります。  以上であります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 時間がありませんので最後の質問になりますが、アメリカの財政赤字に対する努力、日本の内需拡大のもう一つ努力ということが実質論になるわけでありますが、それらの動きいかんにもよろうかと思いますが、やっぱり、かなり効き目が出てくるのには時間がかかろうかと思うのです。いつごろになったらどんなふうに展開するのか、円高ドル安の今後の見通しなども含めて先生の認識なり見解なりをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) 先ほどちょっと三年間というお答えをいたしましたけれども、これもやはり政策的対応いかんによって違ってくるわけでございまして、特にアメリカが積極的に財政赤字を、グラム・ラドマン法はございますけれども、縮小するように思い切った政策をとるんだ、実現するんだという姿勢を示しますと、それに応じて対応も変わってくるわけで、経済的な動きも変わってくる、レートも変わってくるということでございましょう。ですから、そういう留保条件をつけなければ何とも言えないんですけれども、私は、構造を変える、あるいは財政にいたしましても継続性がありますので、やはり三年ぐらいの年限は当然かかってくるというふうに踏んでおります。  以上であります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 本日は両先生本当に御苦労さまでございます。  私は原先生にお伺いをいたします。私が質問しようと思っておりました問題が幾つかダブってしまいましたので、はしょって二つ、三つお伺いいたします。  一つは円高ドル安の問題ですけれども、これは長期的に見ましてもやっぱり我々円高で推移するんじゃないかなと、こう思っているわけであります。そんな中にありまして、我が国の経済のファンダメンタルズから見て、為替相場というのは大体どのくらいが妥当であるとお考えになっていらっしゃるか、非常に難しい問題ですけれども、御意見としてお伺いしておきたいと思います。これが第一点です。  それから第二点としまして、先般の日米首脳会談でも日本の公定歩合の引き下げというのを要請されているわけであります。しかしながら、現在我が国の公定歩合は既に御存じのとおり二・五%というように史上最低の水準にあるわけですね。それを再引き下げするということにつきましてはこれはいろんな問題があるわけでございまして、国民に対しましてもインフレの懸念を生じさせるとか、そういう問題もあるわけでありますが、こういう点については先生とういうふうにお考えになっていらっしゃるかというのが第二点目であります。  それから第三点目が、これは公定歩合の問題と関連をいたしまして、現在史上最低の金利水準にあるわけでございまして、したがいまして預金の金利とかそういうようなものもすべて最近低くなっているわけであります。そういうような意味で資金が株とかあるいは土地に投機されているんじゃないか、そういうふうに言われておりまして、最近の土地の騰貴の原因の一つじゃないか、こういうふうに私たち考えているわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えであるかというのが第三点であります。  それから最後に、内需拡大の問題であります。先ほど先生からいろいろ御意見をお伺いいたしまして、非常に大事な問題だと私は思っております。先生の初めのお話の中にも、昭和六十二年度の予算は国際経済上の危機感が読み取れるような予算になっていないんじゃないかというふうな雰囲気のお話がございましたが、確かに私たちこれ予算委員会で審議をいたしておりまして、こんな予算審議は大変異常な予算審議なんです。御存じのとおり売上税の問題が一つはありますし、それからもう既に御存じのとおり、先般の日米首脳会談でも五兆円という補正を組むということがほぼ明らかになっているわけですね。そういうものを控えての予算審議でありますから、これは非常に我々予算審議をする上におきましては問題が多いと思っております。そんな中にありまして私がお伺いしたいのは、内需拡大の問題であります。  先ほど先生のお話をお伺いいたしておりましたら、内需拡大を進めていく上において国民生活を向上させるための問題、あるいは拙速は避けるべきだという問題、そして二十一世紀に軟着陸をするような内需拡大策をやるべきだという問題、こういうふうな点を踏まえまして、内需拡大をするためにはどういうことをすればいいかというのはほぼ我々わかってはいるわけでありますが、先生の頭の中にある内需拡大策、こういうこととこういうことは絶対やるべきだというのが幾つかあると思うんですが、私、あと時間が十一分しかありませんので、全部使っていただいて結構ですから、要するにこういうことをやったらどうかというのを幾つか、前に時間が出ておりますので、十分になりましたけれどもあれを全部使っていただいて結構ですから、そこのところをちょっと教えていただければと思います。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) それでは、お答えいたします。  第一点、円高ドル安になっております、妥当な相場はどうかということでございます。御指摘のようにこれはなかなか難しいことでございます。いろんな考え方がございます。それによって違ってくるわけでございまして、例えば、一つは経常収支が均衡するような相場ということになりますと、現在の状況を前に置いての話になりますけれども、これ、アメリカ流の発想でもあるかもしれませんけれども、どんどんと円高にしていくという、まだ黒字だ黒字だということになって、行きつくところになるとかなり円が高くならざるを得ないということで、こういうことは、経常収支を均衡しなきゃいけないという至上命令があるわけじゃございませんですし、そういう形で経済がうまく機能するわけじゃございませんから、先ほど申しましたように。ですから、こういう場合の適正レートというのは私問題があろうと思いますのでとりません。  それから同時に、適正というのを見る見方も随分違いまして、例えば産業なんかになってまいりますと、大体私が実際に経験したところでは百七十円見当あたり、できたら百八十円ぐらいなら何とかできるということを皆さんおっしゃっていますね。おっしゃっていますけれども、実際なさっているのは百六十円ぐらいの目標のもとでなさっている。さっき申しましたような形でいろんなところにしわ寄せが出ていますけれども、とにかくクリアしようと努力なさってある程度の答えは出ている。しかし厳しい。この先はだめだというようなことでございますね。それから為替レート、実際にトレードしている連中あたりに聞きますと、やはりみんなで妥当な、この辺ならいいだろうという見合いの相場というのは出てくるんだそうですよ、ある期間を置きましてね。だから、時間時間で少し違ってくると言うんです。  ただ現在のところはどうかというと、百五十円から百四十円の間ぐらいのところで安定すればいいんだ。だから、自分たちもいろいろポジションを見ているんだけれども、それより円がうんと高くなってしまうと今度はちょっとこれは買い戻せばいいという形で買い戻す。その場合に、従来のように個別的に投機をするとかあるいは売り買いをするというようなことじゃなくて、非常にサラリーマン根性と言うと語弊があるかもしれませんけれども、みんなで渡れば怖くない方式みたいに左右を見ながらやりますので、その辺でおのずから大きく動ける、何とかまとまりがあって幅ができちゃうんだ、そういうことを言っておりますね。  そういう実際の為替の売買の実態から見ますと、私はやはり今のところ百三十円というのはこれはかなり、先々二十円に向かう方向というのはそうした一事例をとってもかなり厳しいんじゃないかという、恐らくまたドル買いの方に返ってくるというふうに考えておりますので、安定させようと思うならばそういう百四十円あたりからの前後のところで、三十円、余り下になると困るというところだろうと思います。百五十円を逆に切って百五十円台から六十円に向かうというところになる場合には、やはり今申しましたような人たちのみんなの心理というものが、これはもうドルが高くなるぞという心理にみんな傾いてしまってみんなで赤信号を渡っている時期だ、こういうふうに考えております。  どうも不得要領でございますけれども、今のところはかなり投機的な要素が入っておりますから、そうした点でいろいろ考えていかざるを得ないような状況だと私は考えております。  それから公定歩合の再引き下げでございますけれども、現在既に御指摘になりましたように金利が非常に低うございまして、しかもマネーサプライ、通貨の供給も九%ですか、かなり伸びてきております。ですからこういう状況で、しかも後、三の御質問とひっかかりますけれども、実物的なものへの資金需要というものではなくて、そのだぶつきがマネーゲーム的なものに走っているという状況のもとで、果たして通貨供給をふやし、また金利を下げるような金融政策というものが経済的な効果を持つかどうかということですね。それはもう逆にインフレの懸念も出てまいりますし、決して有効な効果も期待できない。  ただ、今アメリカは高金利で日本は低い金利という形で、やはりある程度金利差があればまたドルを買う方の動きも出ますから、したがって日米金利差が広がっている方が好ましいからもう少しなんていうこともありますね。それからまた、アメリカもある程度資金流入しなければ困るしということで、そういった点で国際的にまたアメリカから金利の運営につきましていろいろ言ってくるようでございますけれども、私はそうした意味で、我が国におきましては直接のそうした大きな効果は出ないし、かえって余りいい効果は出ないんじゃなかろうか。国際的に見ても、今金利を下げたからレートがどうこうなるという日本側の事情は私はないと思います。したがって、日銀さんがなさっているような話を聞きおく程度で過ごすのが一番無難なやり方じゃないか、このように考えております。  それから三番目の最低金利、先ほどちょっと関連して話をいたしましたけれども、そうですね、だぶついているお金ですので、やはりどこかに向かって利益を上げるということになると株、土地の投機しかないわけでございますね。しかも、これで利益が上がるわけなんであって、企業にとりましてはこれは一つの合理的な行動でもあるわけなんですね。それで、またある側面ではそれが片方では、これは必ずしもいいことばかりじゃございませんですけれども、例えば産業、企業が実際の本職の面での赤字をかなりカバーしているという側面もあるので、だからこういう効果自体を一概に投機だ投機だとだけ言って片づけるのは問題があろうかと思います。  ただ、こういうことから生ずる波及効果とそれからこういうメカニズムが一たん断ち切られた場合の衝撃的な効果ということを考えますと、やはり行き過ぎにならないようにある程度チェックする必要がありはしないかということでございます。この波及効果と申しますのは、やはり株や土地でどんどん値上がりする、もうけたという話が出てまいりますと、人々の勤労意欲にも響いてくるし、それからやはり所得の不平等な分配にもつながってくるということですね。長者番付を見ましても土地成金の人がずっと上を占めているという形で、真っ当に働いているならともかく、そういう形が出てきているんで、やはり国民に与える影響というのは必ずしもよくないということが言えるかと思います。  それからまたさらに、働いて土地を買おう、家をつくろうという意欲を持っておりましても、これじゃ先行きはもうだめなんだといって、そういう形でそれが別な面の消費に向かえばいいわけなんです、先ほども御質問がありましたけれども、それじゃ自然に出て自然を味わおうなんて気持ちでレジャーを楽しんでいただければいいんですけれども、やけのやんぱち的に使われますとこれはだめなんで、そういう点を考えましてもやはり問題がある。  それから、さっき言いました衝撃的といいますのは、いろんな金融のメカニズムというものがこれである程度サポートされていますけれども、これが例えば株や土地価格が急落いたしますと崩れてしまう。そのことによって実体経済に大きな影響が出てくる可能性があります。先ほど申しましたように、企業はこれで利益を得ているので、利益がなくなればどうするか。かなりの余裕資金をつぎ込んでおりますし、金融機関から借りてまでつぎ込んでいる企業もございますから、そういう点を考えますとやはり過剰にならないように何らかの形で誘導する必要はある。強く規制するのは自由経済として問題がございまして、影響も出ます。ですから、その辺のところを何とかしていただきたいと私考えております。土地政策もその一つでございますね。土地に関する運用益なんかについての課税をするとか、そのことが土地価格にもはね返らないようにするとか、いろいろ配慮があろうかと思いますけれども、ぜひやっていただきたいと考えております。  四番目の内需拡大につきまして、国民生活。先生のお考えと大体変わらないと思いますけれども、やはり社会資本というものを中心にして充実させていくということでございましょう。従来は社会資本の中でも、社会的な基礎基盤投資にいたしましても産業中心でございましたけれども、あるいは成長中心でございましたけれども、これからは国民生活の内実、これを充実させるような投資を中心にしていくという。先ほど申しましたように、きょうも雨が降っていますとテレビのニュースで、小貝川のところで心配があるという話がすぐ出てくるわけでございますね。ちょっとこのぐらいの雨が降って、この雨が降ったために非常に皆さんが喜んでいるわけなんで、渇水期でしたから。にもかかわらず、片方ではもうはんらんが心配であるという。しかも首都圏のすぐ近くで、首都圏と言ってもいいようなところなんですね。こういう実態があるわけです。  ですから、やはり使うところはたくさんあろうかと思います。何も東京の一番スマートなところでハイテク設備を持ったビルを開発するばかりが社会資本の充実じゃないわけでございますから、そのおくれたところとか、特に下水道とか、それから緑、公園をつくるとか、そういうところで、地方自治体も一緒にやる場合には苦しいところもございましょうけれども、なるべく負担を重くしないような形でやっていただきたい。そういうものはやはりいろんなところの間接的な需要に響いてまいりますですね。  それから、あと住宅に関連するものなんで、例えばいろいろもう既に政策として出ておりますから新しいアイデアというものはございませんですけれども、地下室を利用するためのいろんな法制を緩めていくとか、そういう構造物をつくらせるとか、重化学工業に。いろんな方法が細かく考えるとあります。そういう点を細かくいろいろ検討すればおのずからできる範囲内が限られてまいります。大型プロジェクトも結構でしょう。ただ、大型プロジェクトが都市周辺とか一部の者だけに均てんするような形での需要効果になりますと、これはやはり円高の悲劇を、被害をうんと受けたところには問題ですから、そういうことのないようにしていくというような方法を考えるべきだと。  余り具体的な話になりますと長くなります。大体十分過ぎましたので、これでもって失礼をいたします。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 どうもありがとうございました。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 時間が限られておりますので、原先生には大変失礼になりますが、福山公述人に二点についてお伺いしたいと思います。  第一点は、一九七八年の日米防衛協力の指針、いわゆるガイドライン、あのガイドライン以降日米共同演習が非常に頻繁に行われるようになってきています。演習といってもこれは単なる訓練じゃなくて、かつて関東軍の大演習が十五年戦争の口火を切ったという歴史もありますし、最近でも中東の緊張激化が起こればアメリカの海空軍が周辺海域に展開をする。これも演習と言ってやっていますね。だから極めて危険なものだと思うんですが、その実態と危険性についてまず第一点お伺いしたいと思います。  それから第二点の問題は、いわゆるレーガン大統領が進めている海洋戦略の問題ですが、これに基づいて日本の軍備が強化をされて、自衛隊の戦力強化が進められているというように見ています。それは、日本の平和と安全にとって非常に重要な関係がありますが、この点についてお話しいただきたいと思うんです。  前にありますように九分でございますので、大体その範囲内でお答えをいただきたい、こういうように思います。

福山秀夫日本平和委員会代表理事

○公述人(福山秀夫君) お答えいたします。  まず、七八年のガイドライン以降日米共同演習が非常に回数も多くなりまた時間も長く行われるようになったわけでありますけれども、どういうことが特徴的か、その実態と危険性という点についてでありますけれども、警察予備隊の発足、保安隊から自衛隊というその経過そのものが、これははっきり申しまして、占領下でもって警察予備隊が朝鮮戦争の最中に、始まった途端につくり出されるというようなことで、手とり足とりと申しますか、初めは陸上関係、警察予備隊そのものが英語直訳の教範によって訓練されたといったようなこともあったわけですが、最初は戦技訓練、個々の、例えば潜水艦をどう追い詰めるかとかいったようなそういった訓練、あるいはドッグファイトというんでしょうか、空中戦をどうやるといったようなことを日米共同でやっていたというのが主体だったわけでありますけれども、それがやはり七八年のあの日米防衛協力のための指針を一つの契機としてがらりと様相が変わってくる。  特徴の一つは、まず参加する単位が大きくなった。連隊単位から師団が加わるといったようなことで規模が大きくなってくる。それから、演習の内容が極めて実戦的な、戦争を本当にやるのに近い、そういった部隊を共同で指揮していく。インターオペラビリティーとか言うようですが、アメリカの方が日本の自衛隊を指揮できる、日本の幹部も米軍を指揮できる。そういった、相互に指揮の乗り入れをやる、そういう内容が出てくるような変化がこれははっきり出てまいったわけでございまして、しかもそれぞれ陸は陸、海は海、空は空ということでそういう規模が大きくなってきたわけですけれども、それが一昨年には三軍統合、日本の陸海空三自衛隊と在日米陸海空三軍、これが指揮所演習ということで、どう実際に動かしていくかということを共同で練り上げる。  これは防衛庁で一緒に練り上げて、そしてとうとう昨年の秋には御承知のように実動演習ということになりまして、北海道から東北にかけてを舞台としながら実戦さながらの演習を共同でやるというところまで来たわけでございますが、その内容たるや初めての実戦演習、これは日本の歴史を振り返ってみましても、日本とアメリカとが軍事同盟のもとで共同で演習をやるというのはこれが初めてになるわけでありまして、戦後初めてというだけじゃなくて史上初めてというところだと思うんですが、これは公然たる対ソ威嚇攻撃の演習だったわけですね。  二番目の御質問の海洋戦略の問題ともこれは深くかかわってまいりますのでまとめてお話し申し上げたいと思いますけれども、海洋戦略の中では千島、サハリンヘの上陸作戦というのが採用されているわけでありまして、この点についてははっきり海洋戦略そのものの中に、ヨーロッパでアメリカとソ連の戦争が勃発したら空母戦闘群、航空母艦はソ連の空の脅威、海の脅威をなくする。そのために同盟国の対潜水艦部隊というのはソ連の海底、海中の部隊を探し出して壊滅させる。ノースケープだとかバルチック海東岸、黒海沿岸というのも出てきますが、千島列島へ、あるいはサハリン島へ上陸する。後続軍として米軍と同盟国が導入されるのに備えるといったことが出てまいるので、アメリカのソロモン国務省政策企画局長によりましても、ヨーロッパで戦争が勃発した場合極東で第二戦線を開く能力を持つということをはっきりソ連に思い知らせるというような言葉を公言しているわけでありまして、そうしたシナリオに立って史上初めての日米三軍統合演習が行われるところまでついに来てしまった。事態はまことに重大だと思います。  特に昨年、戦艦ニュージャージーが、第二次大戦の終わりごろに就航したあの戦艦が、しばらく油づけで保存されていたわけですが、トマホークの発射装置を持ちましてあれが日本海に入って航空母艦のレンジャーと合流いたしまして、ウラジオストクの目と鼻の先、本当に多分目で見えたと思うんですが、四十・六サンチ砲でもってウラジオストクを砲撃できる三十五キロの距離まで迫っていく。ソ連側も反応しまして出撃機が百機に達した。  こういう演習をやるようになりましたのは、八一年にあのはえ縄切断の日本海の大演習がありましたが、八二年の十月にハワイからアリューシャンに行って、あそこから夜陰に乗じて津軽海峡を通過して、空母機動部隊がやっぱりウラジオストクに接近する演習をやる。大体毎年一回、多いときには三回ぐらいそういう演習をやってきたわけですが、ついに核トマホークを装備するその戦艦ニュージャージーがウラジオストクの鼻先まで行って攻撃、上陸の演習をやるというところまで来ておるわけであります。これは、しかも海軍長官レーマン氏は、我々は戦争のときはこうしたいと考えているとおりに訓練するというようなことも言っておるわけでありまして、それと海上自衛隊の演習、これがセットになって行われるというところまで事態が参っているということを強調いたしたいと思います。  八六年度海上自衛隊演習、八六海演と言われておるものですが、これはニュージャージー、レンジャーが日本海で行った演習に引き続いて九月の二十一日から二十九日まで行われて、このレンジャーが終わった後で全期間参加する、そういう日米合同演習が行われる。事実上日米の海空の合同演習ともなっている。そして昨年はキーンエッジと言われる三軍統合演習が初めて行われたわけでありますけれども、二年に一遍今、米韓合同演習のチームスピリットというのが毎年二十万の大軍で米韓合同で行われておるわけでありますが、これは日本の沖縄、それから東京の横田基地、これが空と海の大きな中継基地、輸送基地になっておるわけでありますけれども、それに匹敵するような日米の合同実動演習というのが一歩を昨年踏み出したという事態に対して、私どもはこの事実をもっと多くの国民に知っていただくことが非常に必要になっている、まさにそのような事態であろうかと思います。  ちょうど赤ランプがついたようでありますので、以上で終わらせていただきます。

橋本孝一郎民社党・国民連合

○橋本孝一郎君 私、原先生にお伺いしたいと思います。  両先生御苦労さまでございます。  適正な経済の成長の維持という観点から二、三お尋ねしたいと思いますけれども、我が国の経済は高水準の貯蓄率やあるいは労働生産性などによって中長期的には五%程度の成長を維持する力を有しているというのが一般的に言われております。そのために内需拡大の施策が必要になってくるわけでありますけれども、この適正な水準というのはどの程度のものがいわゆる適当なのか、先生のお考えをお聞きしたいと思います。  そういった場合に予算の、経済政策を含めて、縮小型と拡大型があるわけでありますけれども、こういった適正な維持をしていこうとする場合における積極的な政策をとっていく場合に、現在日本が持っておるいわゆる、行財政改革に反するという反論もあるわけなんでありますけれども、先生のお考えをお聞きしたいと思います。  それから、ちょっと先ほど先生のお話の中で、内需拡大としての公共事業のプランですか、都市じゃなくてむしろもっとローカルの方にいろいろと垂れた方がより全体的に効果的だというお話があったんですが、もし時間がありましたらもっと具体的にひとつお話しいただきたいと思います。  以上です。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) お答えいたします。  適正な成長、適正という意味はいろいろございますのですけれども、一応経済を安定的な状況に維持しながら成長できる、雇用もある程度維持できた、こういうことであろうかと存じます。五%ぐらいというのは私も同じように考えております、四から五%という水準で。またこれは適正という意味は、一つは、これならば能力的に可能だという意味と、またそのぐらい成長しなければ雇用等々を安定的に維持できないという意味がございますので、そういう両方の意味からいって大体このぐらいが適正ではなかろうかと、私も同感でございます。それにつきましては、やはり貯蓄率のあり方の問題でございますけれども、貯蓄率等々で見ていきますと、中長期的にもどんどんと減るという形じゃございません。漸減していくでしょうけれども、このくらいの成長を実現できるほどの水準には維持できるんじゃなかろうかと、このように考えておりますので、この辺のところは何とか確保できましょう。  ただ、その場合に、需要の側面でございますけれども、やはり外需依存型の成長はできませんから、これから内需に転換していかなきゃいかぬということでございます。そうしたときに従来と違った形で内需中心型で成長できるかということでございますけれども、ざっとした計算でも、現在のような形で見ますと今、そうですね、一千億ドル、これは貿易収支ですけれども、ちょっと少な目で経常収支の黒字を見ますと、百五十円ぐらいで見て約十二、三兆円になりましょうか、そのぐらいのギャップがございますから、そういうものをかなりの程度内需でカバーしていかなきゃいけない、こういうことになりますですね。  これは今の時点ですけれども、これから先はこの同じ状況が維持できるかどうかはまた別問題ですけれども、現在でもそうであるしこの先もやはりかなりの部分は内需でカバーしていかなきゃいかぬ。だから、そのための対策を適当に講じなければ、供給的な側面は何とかカバーできますけれども需要的側面で問題が出てくるんじゃなかろうかと、このように考えます。  ただ、その需要的側面も、ただ単に物的なものだけじゃなくてやはりこれからは内容的なものが中心になりますから、高齢化社会に備えた、高齢化社会のニーズの高いもの、そういうものを生産していく形になってきますならば、それについて需要の方もある程度ついてくるということでございましょう。そのように誘導するのがやはりこれからの政策のあり方だと考えております。  それから次の第二ですが、私はこのように考えているんです。地域は、さっき申しましたようにいろいろ円高の影響を特に激しく受けておりますね。東京なんというのはそんなに受けておりません、はっきり申しまして。むしろ東京の人なんかは海外へ遊びに出ましてメリットを受けていますからね。だから、地域が非常に困っているところがあります。そういうところは規制緩和とかなんかというような形ですぐにニーズが出るとか需要が出るというものじゃないわけです。ですから、そういうのはやはり政治の力とか何かの力で需要を喚起するようなてこ入れが必要である。そのために、やはり地域的なものを重点的、効率的な面も考えながら、公共事業は地域重点的にやってほしいと、こういうことでございます。  それで都会は、これは転換は自動的にやりますから、それだけにニーズの転換の可能性を持っておりますし、現在既に転換しておりますので、自由に。そういう点を考えますと、規制緩和でありますとか何か、あるいは民活利用というような、実際に政府財政資金を直接投入しなくてもいいようなところだと私考えているんですよ。むしろ誘い水とかあるいは何らかの形で誘導する方式で、そういう民活的なものを生かすのが都会だと。ですから、そういう大プロジェクトもそういう方向でやっていただきたい。ただ、野方図にしておきますとコマーシャルベースでいいかげんなものをつくられるおそれがなきにしもあらずでございますので、そういう点のチェックはやはり政治の力でうまくやってほしいと、こういうことでございます。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 私、福山先生にひとつお尋ねいたします。  今日の国際情勢からして、ソ連脅威論よりも日米安保を強化する考え方が日本国民にとってはより脅威である、こういう声もあるようであります。でありますから、このあたりで安保を見直して、日本国憲法を盾に平和親善外交、等距離外交を展開すべきであると、こういう声もございます。  そこで、先ほどの先生のお話にも、日本はアメリカ防衛の最前線になっておる、こういうお話もございましたが、沖縄基地も含めて先生の御意見をお聞かせ願いたいと思います。

福山秀夫日本平和委員会代表理事

○公述人(福山秀夫君) 何と申しましても我が国にあります米軍基地、数からいくと百何カ所と、占領中に比べますと、初め二千何カ所ということですから随分減ったようですけれども、重要な基地は依然としてちゃんとアメリカが押さえていると。しかもここ二、三年来は、自衛隊の基地を日米共同使用するというケースがふえてまいっている。数は少ないですけれども面積からいえば非常に広大な、自衛隊が二千八百カ所ですか施設、基地を持っているわけですけれども、その基地の演習場や何か重要なものは全部共用になっているということで、今米軍の日本における基地というのはやはり非常に大変なものだということは事実でございます。  しかもその大部分が、特に面積からいえばまさにその米軍基地の半分以上が沖縄県に集中しているということで、もともと沖縄につきましては施政権も返さない占領状態がずっと本土と違って続いたわけですが、その中で間違いなくあすこには核兵器が配備されまして、その部隊がおりまして、またメースBといったような、今で言えば巡航ミサイルということになるわけでありますけれども、そういう核専用のミサイルの基地が四カ所に置かれていたと。  しかし、今それではどうなのかということになるわけでありますけれども、やはり核兵器を積んだ軍艦や飛行機がトランジットと申しますか、一時通過についてはこれは自由にできるというそういう密約の問題、この存在の問題が大きくクローズアップされたわけでありますが、朝日新聞の例の石川記者などもこれについて、特に沖縄に関しましては写真なども撮って証拠を提示しております。「核探しの旅」というような本にも書いておりますが、そういった核戦争の最大の危険を担った基地として沖縄が今も大きな国民的な負担があそこにしわ寄せ、集中されているということも含めて、私どもは基地問題というのを本当に今真剣に国民的課題として解決しなければならない。これは日米安保条約と深く絡み、安保条約の終了を必ず実現していくという問題と一体となった最も中心的な問題だというふうに考える次第です。  時間を超過しましたので、まだ言いたいことはいっぱいありますが終わらせていただきます。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 原先生にお伺いしたいのですが、問題は、ドイツと日本が同じような状況にありながらドイツは余りたたかれていない、日本がたたかれているという問題を先生はどういうふうにごらんになっているか。これは人種の問題とか、あるいは集中豪雨的に日本は特定の品物を輸出しているとかいろいろありますけれども、先生の御意見を承りたい。  それから今度中曽根総理がベネチア・サミットに行かれるわけですけれども、今のままでは五兆円の補正予算程度では相当たたかれるのじゃないかということがあるわけですね。日本は国際ルールを守らないとか公約違反をしょっちゅうやっているとか、そういうことで信用が全然なくなっている。ところが日本側の受け取り方はどうも狂っているのじゃないかという見方が外国からはあるわけなんですけれども、その辺は先生はどういうふうにごらんになっているか、お伺いしたいと思います。

原豊青山学院大学教授

○公述人(原豊君) お答えいたします。  西ドイツとの違いは、西ドイツの場合には日本のように原材料を買って加工してうんと出すというような形ではなくて、比較的製品間の水平的な分業的な貿易が多いということでございます。その点で抵抗は少ないのですが、実は西ドイツの場合にはECという同じような圏内にありますので、その点日本に比べてはるかに有利な条件にありますし、やはり歴史的に見ましても生産のあり方がはっきりそういうふうに違っておりますし、市場のあり方も違っているので、やはり同一のラインにすることには問題があります。  それから第二の五兆円ということにつきましては、ちょっと最後の御質問の意図がとりにくかったのですが、公約をした以上はやらなきゃいけませんけれども、できないものを言いますとかえってまた悪くなりますから、その点で、これはできないならこれ以上はできないんだ、そのかわりこういう形で実現するんだということはかえって言った方がいい。今までは割合言葉に出した方々もいらっしゃいましたけれども、必ずしも実体的な裏打ちがなかったものですからかえって批判を招いたことがありますので、やはり金額が出ました以上は、なおふやすというようなリップサービスよりもその内実を詰めるということをやっていただきたい、このように考えております。  以上であります。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) ありがとうございました。  以上で外交・防衛及び対外経済摩擦・通貨問題に関する意見聴取は終了いたしました。  一言お礼を申し上げます。  福山公述人、原公述人お二人には、それぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして衷心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)  明日は午前十時から予算委員会を開会することとし、これにて予算委員会公聴会を終了いたします。    午後五時三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗