予算委員会 第14号
- 発言数
- 423 件
- 登壇者
- 52 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1987/05/18
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十二年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行副総裁三重野康君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 前回に引き続き、一般質疑を行います。馬場富君。
○馬場富君 最初に、外務大臣が所用があるとのことですから、外務の点について質問いたします。 今年は日中国交正常化十五周年を迎えまして、この秋にそのときを迎えるわけでありますが、今年に入って日中関係は好ましいものの必ずしも良好とは言いがたいものがございます。日本の防衛費一%枠突破、ズ・ダン号事件の処理、光華寮訴訟問題、北京での日本人記者の外国追放等という問題も起こっておりますし、七月七日はあの蘆溝橋事件五十周年ということもあり、中国側としては現在の日中関係に不満があるのではないか、特に中曽根内閣の姿勢に不満、不信があるのではないかと思いますが、外務大臣は、中国側の最近の情報、日中関係についてどのような認識、判断を持っているのか、まずもって質問いたします。
○国務大臣(倉成正君) 隣国中国との間において長期にわたる良好にして安定した関係を維持発展さしていくことは、我が国外交の一貫した主要な柱の一つでございます。国交正常化以来、日中両国の関係は、経済的面におきましてもすべての面で着実に発展いたしておるわけでございます。 しかしながら、今先生御指摘のように、両国間の緊密化に伴い、また種々の問題が生じていることも事実でございます。したがいまして、政府といたしましては、今後とも日中共同声明、日中平和友好条約、平和友好、平等互恵、相互信頼、長期安定の四原則に基づき、率直な意見の交換を通じて中国との間の各分野での友好協力関係の発展を図る所存でございます。
○馬場富君 ここで、中国の実力者である鄧小平党中央顧問自身が日本に軍国主義復活の傾向があると批判しているが、この最高指導者の発言をどう受けとめておるのか、御返答願いたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 我が国の防衛予算について中国は、日本政府が防衛力増強に限度を持たして、防衛の必要性を超えないこと等の希望を表明いたしておりまして、外交スポークスマン、あるいは日本の要人が参りました際に先方の要人からの懸念が表明されていることは御指摘のとおりでございます。中国のかかる立場の表明は、日中関係の過去の歴史等によるものと考えられますが、我が国としては、今後とも、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならない、この基本理念は不変でありまして、節度のある防衛力整備を行うとの五十一年閣議決定の精神を引き続き尊重していく所存でございます。 御指摘のような疑念がわかないように、我が国の防衛力が今後無制限に拡大するごときことがないことについて誤解がないように説明をしてきておりますが、今後とも必要に応じ説明していく所存でございます。
○馬場富君 中国側が重大な関心を持っている光華寮訴訟問題について、中国側の主張に無理があるかどうかという点と、日本側としては中国側の理解が得られる見通しはあるかどうか。また、中国側の主張、日本政府の立場、政府間のこの問題に対する話し合いの経緯を説明していただきたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 光華寮問題につきましては、中国側が要人発言あるいは外交スポークスマン発言等の形で批判を行っていることは事実でございます。我が方からは、先方のいろいろ法律の専門家を招聘し、我が国の三権分立の体制を説明いたす等々の努力をいたしてまいりましたけれども、三権分立体制下で、司法手続にのっとり争われている民事訴訟に対して行政府として介入したり論評を加えたりすることはできないこと、今後とも日中共同声明の立場を堅持するなど、日本側の立場を繰り返し説明するとともに、中国側の冷静な対応を希望いたしているところでございます。 したがいまして、政府といたしましては、今後とも辛抱強く我が方の立場を必要に応じ説明をいたしまして、中国側の理解を得るように努力をいたす次第でございまして、いずれにしても、本問題が日中関係に影を落とさないように最大の努力をいたす所存でございます。
○馬場富君 その立場からも、中国の対日政策が変化するのではないかという見方も実は出てきております。大変その点については心配しておりますが、中国側の一連の姿勢の背景には、やはり中曽根内閣の防衛費一%の枠突破という、中国、アジア諸国の感情、理念を無視した姿勢があるのではないかという点が、大変強くこれが心配されるわけですが、もう一遍この点について外務大臣のしかとした見解をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 日本の防衛力は日本が自主的に決めるべきものであろうかと思います。しかしながら、平和憲法のもと、専守防衛、また他国に脅威を与えることのないように、特に近隣諸国については不幸な経験がございますから、その点については十分配慮していくということが政府のとるべき立場であると心得ております。
○馬場富君 今年度の防衛関係予算については、円高あるいは原油安、さらには売上税の廃案等によって対GNP一%以内におさまる、対GNP一%枠は、GNPの動向にもよりますが、当初の見通しによれば守れるのではないかという考え方がございますが、防衛庁長官並びに大蔵大臣はどのように見てみえますか、お尋ねいたします。
○国務大臣(栗原祐幸君) これは再三申し上げましたとおり、昭和六十二年度の予算を組む時点でいわゆる経済成長が思っていたほど伸びない。その結果いわゆる前年度の防衛費に対しましてGNP一%との天井が四・八%しかない。そこへ持ってきまして、正面装備に呼応する後方の問題につきまして指揮通信機能の充実、あるいは練度の向上、あるいは隊員の待遇改善、宿舎、隊舎等のそういう環境の整備というようなことがございまして、一%を超えざるを得なかったということで、予算編成のときにお認めをいただいたわけであります。 その後、為替変動とかいろいろな要因が出てきておりまして、それにつきまして、そういうことでいくならば一%の枠内でおさまるのではないかと、こういう御質疑がございました。これはどこまでも予算執行上の問題でございまして、ある時点で予算執行上計算をするというときにどのような数字になるか、これはわからないわけでございます。いずれにいたしましても、それは予算執行上の問題でございまして、予算を決めるときには一%の枠を超えざるを得なかった、そういうことで一%の枠の問題につきまして見直しをいただいたということでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま防衛庁長官がお答えになられましたように、石油製品価格あるいは為替レート等がこの年度内にどういうふうに変化していくかということはこれからの問題でございますから、それは予算を執行していきます上での問題でございます。また、厳密に申しますと、分母でありますGNPについてもどういう確定をするかということはこれからの問題でもございますので、それらはこれからの問題であるというふうに申し上げなければならないと思います。
○馬場富君 お二方の答弁によりますと、予算上は突破をしたが、やはりこれを実施する上において、そういう状況いかんによってはこれは可能性もある、こういうふうに理解してもよろしゅうございますか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今大蔵大臣も申し上げたとおり、いろいろの変動要因がございますから、わからないというのが今のお答えでございます。
○馬場富君 次に、日中間の平和友好関係の維持は我が国にとっても極めて重要なことでございますが、その上で、栗原防衛庁長官が中国を訪問することになっております。また、六月末には第五回の日中定期閣僚会議が北京で開かれることになっておるのでありますが、こうした問題も話し合われるはずであります。日中関係が大変今心配の状況にありますので、これはやはり国として、政府として、場合によっては政府の特使をも派遣し、日中間で今ネックになっておる問題等について双方の考え方をよく話し合うという、こういう機会を持つことも必要ではないか。 外務大臣は、それらの点も検討されて、この点についてひとつ、そういう政府間の熱心な、しかも相手に対して心の通ずる外交というのが必要ではないか。これは個々に会われるのは別として、政府代表としてやはりそのような行動をされる方がいいことではないかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(倉成正君) 今先生のお話しのとおりでございます。日中閣僚会議もございますことでありますから、関係閣僚の皆様と御協力申し上げまして、日本の真意を先方に伝えまして、日中永遠の平和を確立するため最大の努力をいたす所存でございます。
○馬場富君 特に私が後半質問したのは、個々にはお会いになる機会があるでしょうけれども、やはり内閣として、政府として特使を派遣して日本側の誠意ある姿勢というのを示すべきではないか、この点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(倉成正君) 御案内のとおり、中国に日本の代表、大使を送っておる次第でございますので、絶えず連絡をとりながら日本の真意を説明いたしておりますし、我が方における駐日の中国大使に対しましても、日本の態度をその都度詳しく説明をいたしているところでございますが、現在のところ特使を送るという考えはございません。
○馬場富君 官房長官、今の特使等の問題について、政府代表を送るという問題については、ひとつ総理とも相談されて、そのような考え方を持たれてはどうかと思うが、官房長官どうでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 馬場さんの御意見はよくわかりましたが、本件につきましては、今外務大臣からお答えをいたしたとおり、今直ちに我が方から特使を派遣するという考え方は持っておりません。
○馬場富君 次に、先般行われましたOECDの問題に移りますが、我が国からは三大臣が出席されました。そして、内需拡大のために財政出動を公約したと言われておりますが、今回の会議の模様から見て、具体的にどの程度の財政出動が日本は必要だというふうに状況から推して認識されたか、通産大臣と外務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(田村元君) OECDの合意はもう御承知と思いますが、G5、G7あるいは四極貿易大臣会合等々、非常によく似た趣旨でありまして、これからは為替レート調整の努力だけではだめで、政策協調というものが前面に出なければいかぬと、マクロ経済政策というものが強く我々に義務づけられたわけであります。特にOECDの共同コミュニケの中では、これも御承知と思いますけれども、アメリカ、日本、ドイツがそれぞれ一つの項目を立てて、そこでこのようになすべきであると、つまりアメリカは財政赤字の削減、日本とドイツは内需の拡大、そういうことを義務づけられたわけであります。 そこで、我が国の場合を言いますと、先般自由民主党がつくりました総合経済対策、五兆円以上の財政措置を伴う総合経済対策、これが非常に高く評価されております。大きな期待を持って見守られておるわけでありますが、同時にまた相当疑いの目でも見られておる。つまり、その中身はあくまでも濃いものでなければならぬということで、各発言者の意見を率直に申し上げますと、中央政府が追加的に支出するものが五兆円以上であるんだろうなというようなことでございました。 ただし、財政措置というものがどういう措置がということについては議論がたくさんありますから、特に財政措置の定義というものは、狭義の定義は決められておりませんから、私はここでそれを述べることははばかりますけれども、いずれにしても、大きい、かつ中身の濃い内需拡大策でなければ、もう国際的に日本の信用は完全に失われるであろう、言うなれば今回がラストチャンスとも言うべき時期であろう、そして三・五%以上の成長を何とか達成しなければなるまいと、こういうことでございます。
○国務大臣(倉成正君) 通産大臣からお答えしたとおりでございます。着実に実効性のある政策を速やかに行うことが必要であろうかと思います。
○馬場富君 今回のこのOECDの合意から見て、ベネチア・サミットにおいても農業問題並びに内需拡大が大きな議題となると思われますが、我が国は厳しい対応を迫られることになるのではないかという心配もございますが、外務大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(倉成正君) 今回のOECDの閣僚理事会は、ある意味において経済政策協調という面で、サミットを控えての各国の意見の調整であったと思います。したがいまして、ベネチア・サミットにおきましても、先進国経済の持続的成長の確保、また、不均衡の是正のためサミット七カ国の間で緊密な連絡をとるということが主要な議題になるということは考えられる次第でございます。
○馬場富君 この会議では、特に農業保護の水準を段階的に引き下げることを申し合わせたようでございますが、貿易黒字一千億ドルを超える我が国に対して、市場開放の要求、農業保護の側面には極めて厳しい目が向けられたと、このように理解しております。また、国内の消費者の米が高いとかあるいは牛肉が高い、農産物が高過ぎるという不満も多くなってきております。農業改革が今となっては非常に緊急な課題になっておるわけでございますが、こうした内外の動きについて官房長官並びに農林大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(加藤六月君) 御趣旨のとおりでございますが、OECDの閣僚理事会は、農業改革の長期目標として、各国は協調しつつできるだけ市場原則に沿った農業生産や農業助成の削減を目指して努力していく必要があるという線でコミュニケが取りまとめられたものでございます。もちろんこれから始まりますサミット、新ラウンドでもいろいろ議論されていくと思われますが、我が国の農業の立場についてはさらに各国の理解を求めるように努め、日本の農業の将来に誤りなきよう最大限の努力をしていく必要があると思います。 今回のOECDの中身というのは、ある面で考えてみますと、昨年十一月の農政審報告の線と私は大分一致しておるのではないかと思います。そういう意味におきまして、農政審の報告に沿いまして、生産性の高い農業を目指し、内外価格差を是正することに誠実かつ着実に努力していく必要があると思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 御案内のように、農業問題は、各国それぞれの立場でやはりそれなりのその国特有の政策、方針というものが立てられていると思います。ただ、我が国についても従来から農業に対しては手厚い保護政策をとっておりますけれども、やはり最近は日本の農業に対する保護政策あるいは補助金政策等についても厳しい諸外国からの要求もあるし、市場の開放についての要求もあるということは事実でございます。そしてまた、御案内のように、国民の中にも、肉が高いとかあるいは米が外国と比べて高いとかといったような声があることも事実でございます。 それらの声にはやはり耳を傾けなければならぬとは思いますけれども、しかし私は、何と言っても日本のような国土の状況の中で、世界いかなるところにおいてどのような不作が伝えられても、我が国の国民の中に飢餓感がないというこの現実、これは社会の安定にとっては私は極めて重要な要素である、こういう認識を持っております。それはやはり、主食についての米というものについての日本の自給体制というものがあるからこそ、国民の間にいかなる場合にも飢餓感が生まれないということであろうと考えます。 そういう点はよほど慎重に考えながらも、内外からの要求もございますから、やはり農政審の答申を踏まえながら慎重な構造的な改革を漸次進めていくべき時期に来つつあるのではないか、こういう認識でございます。
○馬場富君 次に、農産物の価格の引き下げで市場開放の促進、補助金の削減を進めるという方針は既に政府としては決まっておるのか、どうですか。
○国務大臣(加藤六月君) 先ほどもお答え申し上げましたように、昨年十一月に農政審の報告をいただいております。その中で、内外価格差の是正を行っていけということでございまして、昨年暮れからことしにかけましていろいろな農産物についての価格制度を検討しまして、下げられるものは適時適切に下げさせていただいておるわけでございます。
○馬場富君 今回のOECDの理事会で、農産物の価格の引き下げと市場原則の導入並びに補助金削減のことについて日本は国際的な約束、義務を負わされてきたのではないかという点がございますが、この点についての農林大臣の見解をお願いいたします。
○国務大臣(加藤六月君) 共同してやっていこうということでございますが、義務とか何とかというものではないと思います。 前回もお答えいたしましたように、それに伴う報復的措置等はないわけでございますけれども、国際的な協調、協力という立場を考えますときに、我が国もコミュニケの線に沿ってやっていかなくてはならぬと思います。ただし、これは一律削減ではないわけでございまして、いろいろコミュニケの中で日本の立場、ある面で申し上げますと、日本は世界最大の農産物の輸入国であるということから、今日世界の農産物貿易の混乱というのは輸出国の間において起こっておるわけでございます。我が国は年間百八十億ドル純輸入をやっておるという世界最大の農産物の輸入国の立場から考えますと、本来は輸出国同士の間でそういう問題全体を考えなさいと言うところでありますが、そればかり言っておったのではいけないんで、それぞれの責任も世界各国にあるということで、我が国も同調するということでやったわけでございます。 なお、制限品目、市場開放等の問題がございましたが、我が国は二十三品目、そのうち農業関係二十二品目でございますが、世界各国それぞれ十八、力あるいは六十何件というような制限品目は持っておるわけでございまして、農業というのは一律に一方的に行われるものではございません。それぞれの国の地形、状況、食生活、いろいろな形態からあるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、それぞれの国が行う場合には弾力性を、政策の弾力性を持たすとか、あるいは一律にやらずに適時やっていくとか、いろいろな問題を加味しながら、日本もOECDの加盟国、重要な一員として今後やっていこうということでございます。
○馬場富君 いや、私の今聞いているのは、そこの点につきまして、農林大臣、やはり会議でございますからそういうことについて、国際会議でございますから、約束的なものはあったかないか、この点をもう一遍はっきりお願いいたします。
○国務大臣(加藤六月君) 閣僚理事会においてコミュニケを採択したわけでございますから、コミュニケに盛られておる中身については日本も、共同責任といいますか、約束に乗ったということになると思います。
○馬場富君 外務大臣の助言機関である新ラウンドに関する懇談会は、国内市場で米に価格メカニズムが働くよう食管制度を改革すべきであるとしているが、これを政府はどのように受けとめておみえになりますか。農林大臣お願いいたします。
○国務大臣(加藤六月君) 御指摘の懇談会は、外務大臣が主宰されます私的懇談会でございまして、それ以上のものではないと理解しております。したがって、特にコメントを申し上げることはございません。
○馬場富君 次に、経済審議会の特別部会は去る四月二十三日に、日本の高過ぎる生計費の是正を求める部会報告をまとめておりますが、その内容について経企庁より説明を願いたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先般、経済審議会の経済構造調整特別部会で報告を出していただいたわけでございますが、それに関連をいたしまして、日本の生計費が諸外国より高い、特にアメリカと比較いたしますと、日本の標準勤労者世帯の生計費用、アメリカの商品価格で行ったとすると、食料品については現在日本の家計が負担している額の半分で済む、全体として三割減で生活することができる、そういう調査をこの特別部会の報告との関連で発表した次第でございます。
○馬場富君 今報告にもありましたように、特に米など食料品の価格がアメリカ並みに安くなれば家計の食費は平均半分ぐらいになると実は審議会の報告では指摘しているわけでありますが、質的な比較という点もありますが、やはり貿易黒字、経済大国といっても生活小国の理由はこの辺あたりにも一つはあるのではないかと考えられますが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、現在の為替レートに換算いたしますと、日本の一人当たりのGNPは一万八千ドルを超える、こういうことでございまして世界最高でございます。 数字的にはそのようなことでございますが、私たち国民はその実感がないのは、今お話ししましたように、家計費の中に占める食料品の価格が高い、それから光熱・エネルギー費が高い、また住居費が高いということでございますので、私たちの生活実感が本当に国際的にも高いものにするためには、今申しました食料費や、また光熱・エネルギー費や住宅費を今後どうしたら下げることができるか、そのことのためにいろいろな政策手段を行使していかなきゃならない。それがいわゆる新前川レポートで言っております経済構造調整の基本的な方針である、考え方である、かように理解しておる次第でございます。
○馬場富君 もう一つ、民間調査でございますが、それによりますと、三菱銀行の調査によれば、米や麦、牛肉、豚肉など農畜産物の価格支持制度を撤廃した場合には、食料品への一世帯当たり年間約十二万円減少、全体で四兆六、七千億も節減されると試算を明らかにしておるわけでございます。これが消費に回れば実質GNPを一%押し上げる貿易黒字の縮小の力にもなる、また内需拡大にも役立つ、そういうように報告しておるわけでございますが、経企庁長官としてはこの数字をどう見ておられますか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、三菱銀行が、今農産物価格の支持制度を撤廃すれば農産物価格が減少いたします、全体として四兆六千から七千億円ぐらいの節約が可能だ、こういうふうに言っておるわけでございます。この面だけとらえますと、日本のGNPが全体三百五十兆でございますから、四兆数千億の中で消費に回るのを考えますと、それだけでもGNP一%を上げる計算にはなるわけでございますし、また食料品の価格が下がりますとそれだけ実質所得が上がりますから、これも消費の拡大また輸入の拡大になると思うわけであります。 ただ先生一つ問題がございますのは、こうして農産物価格を下げるわけでございます。その分消費者に転嫁されますが、家計に転嫁されますが、片方で農家の所得の収入減になるわけでございますね。ですから、こちらのプラスの面はプラスの面で効果はございますが、この農家所得の収入面が今度は農家の消費の減、また農家の経済活動の滅という形でマイナスの効果も持ちますので、やっぱり両方総合的に計算をしてみないとわからない面もあるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○馬場富君 ここで、最近話題になっております本年の生産者米価についてはどのような見通しなのか。もし生産者米価が下げられるようなことがあればこれは消費者米価にも反映されることになると思いますが、農林大臣、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(加藤六月君) 本年の生産者米価の取り扱いにつきましてはまだ何も決めておりません。しかし、いずれにしましても本年の生産者米価につきましては、昨年十一月の農政審の報告の趣旨、昨年の米価決定の経緯等を踏まえ、現下の需給事情を考慮するとともに、稲作の生産性向上等にも配慮して米価審議会の意見を聞き、食糧管理法の規定に従い、国民の理解と納得が得られるよう適正に決定する考えでございます。
○馬場富君 ここで農業問題の締めくくりとしまして、先ほど農林大臣も官房長官もいろいろ日本の国の状況のことも話されました。欧米農産物の輸出国からの圧力や、あるいはそういう問題での政策転換ではなくて、やはり日本農業の活性化とその展望の上に立って、日本の農業の歴史や国民の感情等もあわせた上で、先ほど来論議されました外国事管やあるいは国内での消費者の立場も考えなければならないときが私は来ておると思うんです。 そういう点で、そのためにもやはり食管制度のあり方あるいは農産物自由化、補助金、農畜産物価格等については国民的な良識ある議論が必要となってくるのではないか。そのためには農政臨調とかあるいは農業臨調等のそういう検討の場を設けて、そしてこれに対処していく必要があるのではないか。外国の圧力に屈した改革ということではなくて、やはり日本独自でそういう立場に立っての考え方を持つべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤六月君) 我が国の農業に関しまして、先生御指摘のように内外から多様でかつ厳しい指摘、要請がなされておるのは事実でございます。今後の農業施策の展開につきましても国民の関心が高まっておることは十分承知いたしております。 農林水産省としましては、これらの諸事情を踏まえまして、一日農林水産省の開催、消費者モニターの実施等により国民各階各層の農政に対する意見等を伺うとともに、昨年以来農政審議会の場におきまして今後の農政の課題について論議していただいておるところでございますし、そして昨年十一月には同審議会から「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」を報告していただき、さらに食糧管理制度の中長期的なあり方につきましても引き続き論議をいただいておるところでございます。したがいまして、御指摘のように特別の意見調整の場を設ける必要はないものと考えております。 さらに、追加して申し上げますと、先ほど来出ました構造調整、いわゆる前川レポートの線に沿ってやるべくいただいたのが農政審の報告である、こういう認識のもとに取り組んでおるわけでございます。
○馬場富君 次に、防衛問題に移ります。 防衛庁長官にお伺いいたしますが、FSXの問題につきましての選定を求める論議が活発に行われてきておりますが、これまでの経過について説明いただきたいと思いますし、また選定に当たっての基本的な考え方をあわせて説明願いたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) FSXの選定の経過並びに現状につきましては、政府委員から説明をさせます。 基本的にどういう態度で臨んでいるかということでございますが、これは我が国の防衛という観点から最善のものを選定する、専門的、技術的な観点から防衛について最良のものを選定する、これが一つであります。もう一つは日米の防衛協力体制、そういうものを踏まえる。それからもう一つは、内外の防衛産業の影響といいますか、圧力、そういうものは排除をする。これが三つの大きな原則でございます。 あとは政府委員より……。
○政府委員(西廣整輝君) FSX選定の経過について申し上げますが、一昨年、中期防衛力整備計画が定められて以来、現在使っておりますFlの後継機、これは十年後あたりから現在の見積もりですと装備が始まるものでございますが、これについて、国産開発、外国機の導入、現用機の転用という三つの選択肢で、その中から最も経費効率がよく我が国防衛のために役立つものを選ぶということで進めてまいりましたが、その後、米側から共同開発の提案もございましたので、国産開発というものを開発というふうに改めさせていただきまして、三つの選択肢で進めております。 現在、主として技術的な側面におきまして各種の提案なりデータが出そろいつつあるという状況でございまして、今後それらをもとに、今申し上げました三つの選択肢のどれを選択するのがいいかというような取捨選択なり比較検討というものが始まろうかという段階でございます。
○馬場富君 今説明をされましたが、基本線はわかりました。 その中で、やはりアメリカ側の要求もあったと思いますが、この導入には三つのケースがあると思うんです。一つは国内開発の問題、一つは今お話のあった米国との共同開発の問題、もう一つは外国機の導入という三つのケースが考えられますが、防衛庁長官としてはどのようなケースが適当とお考えになっておるか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) それはただいま政府委員から申したとおり、今どれにしようかということで技術的、専門的にいろいろ検討を加えておる、そういう段階でありますので、この段階で私がどれだと言うわけにはまいらぬわけであります。
○馬場富君 この問題につきましては、既にアメリカに調査団も派遣されており、その決定も間近だと思われますが、防衛庁長官としてはいつごろまでに機種を決定するつもりなのか、その点をお伺いし、またあわせて、六月にはワインバーガー米国防長官が来日されまして防衛庁長官との会談も予想されておりますが、このころまでには決着をさせるというような見通しもあるのかどうか、この点についてお尋ねいたします。
○国務大臣(栗原祐幸君) ワインバーガー長官が六月の下旬に来られる、そういう予定になっておりますが、その際にこのFSXについて結論を出す、そういうようなことでおいでになるとは私ども考えておりません。私どもは別におくらせるつもりはございませんけれども、特に早めるつもりもおくらせるつもりもない。今の研究といいますか、検討というものを慎重にやりまして結論を出したい。ただ、従来の経過もございますので、昭和六十三年度の予算にはいずれにするか決着をつけたい、こう考えております。
○馬場富君 報道等によりますと、このFSXについてはアメリカ側は貿易摩擦も絡めてきておるというようなことも言われております。長官は、純軍事的見地から客観的にすぐれているものを選ぶという基本線を表明してみえますが、今日の貿易摩擦についての米国側の要請も全く無視するわけにはいかないのではないかと思われますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私は経済摩擦と防衛問題とを絡ませるべきでないという考え方でございまするし、ワインバーガー長官もそのように言っていると思います。特に、私が三つの原則の中で内外の防衛産業の影響を受けないようにすると、それが私の基本でございますから。
○馬場富君 報道等によれば、アメリカ側はやはり日米の相互運用性を求めておりますが、防衛庁長官は、選定に当たってはアメリカの国防総省の理解できるものでなければならないという意見も述べておられますが、これは米国側の意向を尊重するということになるのか、自主開発ではなくて、先ほど要求のあった共同開発とかそういう問題になる可能性があるのか、その点もう一遍お尋ねいたします。
○国務大臣(栗原祐幸君) 日米安保の防衛上の協力体制というのはこれは必要でございますから、少なくともこういう機種につきましてはアメリカの国防総省の理解を得るということは必要だと思うんです。そのことは我が国の自主的な判断を抱束するというものではございません。最終的には我が国の自主的な判断で決める、そういうことでございます。
○馬場富君 もし仮に、先ほど政府委員の説明にありましたように、アメリカとの日米共同開発ということになった場合にも、共同開発の主体がどちらになるのかが大きな焦点になってくると私は思うんです。もしアメリカ側の主体ということになれば、やはり日本の防衛力整備上支障があるということになると思うが、この点はどうですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今まだそういうところまで来ていないんです。いずれにいたしましても、最終的には当然のことながら我が国の自主的判断で決めると、そういうことでございます。
○馬場富君 このFSXについて政府としては公開していないということをおっしゃっていますが、FSX運用要求、これはFSXを導入するに際して要求ぎれる性能の条件というものでありますが、これがアメリカ議員に漏れていたということが報道されておりますが、この事実関係はどうなっておりますか。
○政府委員(西廣整輝君) FSXの要求性能、我々としては、先ほど申し上げたように、これが十年先から配備をし、二十年、三十年先まで使うという航空機でありますので、要求性能を決めることそのものについていろいろ難しい面があるわけであります。そういう点で、我々自身がこういうものが必要なのではないかという一つの腹づもりというか、基準をつくりつつあります。一方、国防総省なり、統参本部等のアメリカ側の専門家の方も、FSXの運用要求性能としてはこういうものが必要ではなかろうかという彼ら自身の考え方も我々聞かしてもらって、意見交換をして、そのものを詰めていきたいというふうに考えておりますので、その種意見交換は重ねております。 その間、米側の議会で、日本側の要求性能といいますか、こういう希望を持っているらしいというようなことが出たことは新聞等を通じて私ども承知しておりますけれども、それが果たして日本側の考えておる要求性能が何らかの機関を通じて米議員に漏れたのか、そうでなくて、常識的にそういうものが当然あるものなのかというようなことについては、私どももつまびらかにいたしておりません。
○馬場富君 この問題について最後に防衛庁長官、機種選定等については非常にやはり国民の関心が厚いわけであります。そういう点では国民の疑惑のないように、納得できるようなことでなければならないと思いますが、国民の防衛に対する信頼を得ることもあわせましてやはり十分に理解し、誤りなきよう私は運ぶべきである、こう思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 仰せのとおりだと思います。 特に航空機につきましては、今までいろいろと国民の疑惑を招いたというような点もございますので、私はその点は極めて厳正に対処いたしたい、こう考えております。
○馬場富君 次に、税制改革の問題に移ります。 売上税論議の中で総理の公約違反という問題が随分取り上げられました。この売上税も実は国民に浸透いたしまして、事実上廃案となりましたが、税制改革を戦後政治の総決算の最大の課題と位置づけてきた中曽根内閣は、この問題については大きな失点を残したと思います。そういう点で、やはり国民の間に大きな混乱を招いたことについての責任は非常に重大である、こう私は思うわけであります。 これにつきまして、最近の新聞、世論等の調査によりますと、中曽根内閣の支持率もうんと、六十一年十二月の三三%から本年は一挙に二三%に落ちてきておるというような状況も出ておりますし、不支持は十二月の二三%から五二%に急上昇するというような、かつてないような不支持の状況になっております。この結果は当然売上税の反対の影響がもたらしたものだと我々は考えますが、特に売上税をめぐる総理の不可解を言動に対しての不信感が強いということが世論調査の中でもあらわれております。よくないと思う点で、やはり言動が信頼できないという答えが五四%にも達しておるという状況から見まして、国民の過半数から総理は信頼できないと、こうされておるわけであります。 最近のニュースの中で、アメリカの次期大統領選の最有力候補であったハート上院議員が女性関係のスキャンダルで出馬を断念しました。それに至った原因は、スキャンダルそのものよりも事実を隠ぺいしようとしたことに原因があったからだと言われております。もし事実が発覚したときにハート議員がそれを事実と認めていればハート氏も出馬を断念しなくても済んだろう、こう世論は言っております。アメリカはスキャンダルを容認するという寛容を持っておりますが、民主政治のもとで、うそ、すなわち虚言を弄するということは最大の悪であると、アメリカにとどまらず我が国の民主政治におきましてもこれは当然なことが言えると私は思うんです。 こういう点につきまして、やはりこの公約を軽視した中曽根内閣の責任は私は重大であると思います。これは総理にただすべきが本来でございますが、ちょうどここに税制担当の大蔵大臣がいらっしゃいますから、こういう点につきまして内閣全体としてこの問題についての態度をきちっと説明してもらいたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制改正の必要につきましては、過去を考え、また将来を考えますと、この際税制改正に取りかかるべきであるという考えは私は変わっておりません。政府もそういう考えは変えておりません。また、その問題がこの売上税をめぐるいろいろの議論の中から国民に深く認識されましたことは、これはやはり一つの私は成果であったというふうに存じます。 売上税そのものにつきましては、国民にもう少しいろいろ理解をしていただくような方法をあれこれ考えるべきであった、また国会においてそういう御審議が行われることを期待しておりましたが、それもなかなかそういうことにもならなかった等々については、いろいろ反省すべき点があろうと思います。 ただ、ゲーリー・ハートがどうとかしたという出来事、これは比較的簡単な出来事でございますが、この税の問題は私はそれほど簡単なことではないというふうに思います。
○馬場富君 大臣、私が最初に聞いておるのは、その例を引いたのは、いわゆる公約違反的に、こういう国会の論議の中でやるとかやらないとかという、そういう問題をやはり鮮明にしないその政府責任ということを僕は言っておるんですよ。民主主義とは、そういう虚言やうそ等については、はっきりとやはりこれを勝敗を決めていくのが国会の権威でありますし、その例として今アメリカを出したんです。だから、日本の国会においても、そのことだけが守られなかったならば、信頼がない政治とは何になりますか。その点もう一遍御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 売上税について中曽根総理大臣がいろいろ世の中に話をしておられたことと政府が御提案したこととがいわば約束の違反であるかないかということをおっしゃっていらっしゃるわけでございますから、その点につきましては、さしてそれは簡単に白黒と論評できるようなことではなくて、ハート氏の問題とは私は次元の違うことではないかと、こう考えておる。
○馬場富君 これは国民の皆さんが一番承知ですから、これ以上聞きません。 次に、税制改革の内容の問題につきまして中曽根総理が、売上税が議長あっせんになってからでも再三、あっせん案の中の直間比率をもって税制改革のポイントであるごとく答弁を繰り返してみえますが、大蔵大臣はこの点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に申し上げましたように、過去を考え将来を思いますと、やはり今が税制改正をすべきときであって、その一つの問題は、現状から判断いたしまして、やはり直間比率というものの見直しであろうと考えております。この点は議長のごあっせんにおいても問題の背景として述べられておるとおりでございます。
○馬場富君 間接税につきましては、確かにアメリカ等においては直税のウエートがはるかに高いという。アメリカでは直税のウエートが非常に高い。だが、そのアメリカですら、昨年の九月には税制改革においてこの付加価値税というのは実は見送ったわけであります。そういう状況がございまして、我が国においてもやはり直間比率の是正、すなわち現在言われている直税のウエートの引き下げ、間接税のウエートの引き上げが国民の要請となっているかどうかという点が私は問題だと思うんです。 まずその認識を大蔵大臣よりお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカが昨年間接税、売上税のようなものを連邦税としていたしませんでしたのは、多くの州においてこれが既に採用されておるということと関係があったように思います。 確かにアメリカの場合は、したがいまして非常に直接税の比率が高い。ただ、その他の先進国は押しなべて間接税の割合が我が国よりははるかに高いという構成でございますが、それは一つには、それらの国がやはりかなりの高い所得水準を持ち、ある程度の生活の必要が充足をされておる、そういういわば円熟した民主主義社会になりつつあるからであろうと思います。 我が国の場合も、それらの国々よりもむしろ所得水準が高く、また所得の分配が均等でございますから、しかもこれがやがて高齢化社会に入るという今の段階におきまして、やはり間接税の比重がもっと高い方がいい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○馬場富君 今大蔵大臣の言われたような認識を持って政府は売上税を提案したわけですけれども、しかし今回の売上税法案をめぐる混乱は、その認識が全く間違っておったことを立証したと言っていいと思うんですね。それは国民の大多数がこれに反対をした、そういう立場から、直間比率を見直すことによる大型間接税の導入についてはやはり国民の理解ができていないとこれは再認識する必要があると思うが、大臣どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院におきまして協議機関にゆだねられることになりましたのは、政府が御提案した売上税がこのままいきますと審議未了になる、そういう状況においてであったわけでございまして、直間比率そのものの見直しがこの際必要でないということではなかったと私は思います。
○馬場富君 ここで税制の抜本的な見直しが必要だと国民が意識し出したのは、現在の我が国の直接税のウエートが高過ぎる、したがって間接税を増税すべきだということではなくて所得税の減税、クロヨン等を初めとして余りにも税に不公平があり過ぎる、また中堅所得層の負担が重い。物価調整減税等も見送ってきたために実質増税が進行してきた。大幅な減税と同時に不公平、不公正の是正がどうしても必要だということから国民は税制改革を望んでおると私は思います。 したがって、国民は税制改革において直間比率の是正を求めているものではなくて、仮にも現在の直間比率であっても、中堅所得層の負担が軽減されない不公平税制が是正されなければ、その改正案は当然受け入れられないものと判断すべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今馬場委員が前段に述べられました国民の持っておられる不平不満というものは、私はそのとおりであると思います。政府もそれは十分に認識をいたしております。そこで、ですから国民は減税は望むけれども増税は望まない、簡単に言えばそれはもうそうであろうと実は思いますけれども、ただ現実の財政という問題がございますから、それでそのような減税を大幅に行いますためにやはりその財源を間接税に求めざるを得ない。その点の国の財政についての、あるいはこれから起こり得べき日本の財政状態についての国民の御理解を求めたい、こういうことでございます。
○馬場富君 もう一言だけ大蔵大臣に言っておきますが、直間比率はかなりいつも論議されますけれども、日本と外国との違いというのは直間の比率の問題でなくて、日本は外国に比較して所得税はほとんど一緒なんですよ。日本は法人税が多いということです。ここらあたりに一つの問題があった。三税総合の税制改革の体系をとらなければ本当の改革にならないということを僕は言いたいんですが、これはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 要するに、この際必要であることは所得税、法人税の減税であり、また所得税においてのいわば不公平感、重税感というものの是正である、こう思います。
○馬場富君 次に、金利の問題をお尋ねいたします。 先月、日銀総裁がボルガーFRB議長から公定歩合のいま一段の引き下げの検討を求められましたが、その際に総裁は色よい返事をしなかったと言われておりますが、この点についての事実関係と総裁の考え方をお尋ねいたします。
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。 中央銀行は、中央銀行同士情勢分析、意見の交換は緊密に連絡いたしておりますが、金融政策そのものは各国の自主的な判断によるものでありまして、他国にどうこうというような要請をする筋合いではございません。したがいまして、ボルガー議長から私どもの総裁に公定歩合引き下げの要請があったというような報道はございますが、事実はそういうことではございません。 ただ、公定歩合に対する日本銀行の考え方といたしましては、先生御案内のとおり、昨年の初めより五回にわたり公定歩合を下げてきておりまして、現在二・五%というこれは日本銀行始まって以来の低い水準でございますし、世界でも最も低い水準でございますが、ここまで参りますといろいろ注目を要する現象が出てきております。 例えばお金の量、マネーサプライでございますが、これは私どもはM2プラスCDの前年比をとっておりますけれども、これは昨年の年初には前年比九%であったものが逐次落ちついてまいりまして、年末には八・三%まで下がってまいりました。ところがことしに入って一俊とまた増勢が激しくなってきておりまして、一月八・六、二月八・八、三月は九で、四月はついに九・八%という非常に高いお金の量が出ているようになりました。それを背景にいたしまして、先生御案内のとおり、株が高いとか債券が非常にオーバーヒートしているとか、あるいは土地の値段が非常にまだ根強い騰勢を続ける、そういうような現象が起きてきております。 こうなりますと、私どもといたしましては、物価の先行きがどういうふうになるのか、あるいは金融機関、企業の経営に対してこのようなことがどういうふうに影響するのか等を細心の注意をもってやるべき段階に来ていると思います。したがいまして、この際は公定歩合をさらに引き下げることは適当ではない、こういうふうに考えております。
○馬場富君 六月のサミット前後には第六次の公定歩合の引き下げがあるのではないかという空気も見られて、一説では、レーガン政権がドル安定のためにやはり日銀にももう一段の引き下げ、あるいはFRBには引き上げを求めるとの話も出ておるわけですが、日銀としてこのような動きについてはどう対処されておるのか。また、現在の短期金利の低目誘導政策で為替安定に対応できると考えているのかどうか。日銀総裁とあわせて大蔵大臣にもこの意見を求めます。
○参考人(三重野康君) 公定歩合云々につきましては、ただいま御説明いたしましたとおりでございまして、今のところさらに引き下げる気は全くございません。 なお、先生の御質問のいわゆる低目誘導でございますけれども、これは先日の総理・大統領の共同声明の中にもございます。これは実は、一番最後の公定歩合の引き下げでございますが、二月に公定歩合を下げました。普通は、公定歩合を下げました後は日本銀行が日々の金融調節を通じまして市場金利の低下を図るわけでございますが、今回はコールレートは比較的順調に下がったのでございますけれども、CDとか手形というオープンマーケットの金利が比較的下げ渋っておりました。これは一つには一部の金融機関の業容拡張競争がございまして、大口定期に非常に高い金利をつけた。したがって、それがCDあるいは手形のレートを高とまりさしたわけでございまして、それは日本銀行もいろいろ工夫をいたしまして低目にやってきたわけでございます。それは特に大統領と総理が会ったからやったわけではございませんで、共同声明にも、「日本銀行により既に開始されている短期金利低下のためのオペレーション」云々と書いてあるのはそういう趣旨でございます。 なお、最後に先生の御質問のこの低目誘導で為替が安定するのかということでございますが、為替安定は単に金利のみで安定するものではございません。したがって、このような公定歩合引き下げの後の流れの低目誘導等によって為替安定に何がしかの効果はあるかと思いますけれども、本当の効果が出るにはやはりG7の合意に見られましたように、政策協調とそれから片一方に協調介入がございます。この両輪がそろって初めて安定の方向に向かうものというふうに考えます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公定歩合の問題は本来日銀総裁のお決めになることでございますが、その問題を含めまして、ただいま副総裁の言われましたことは私はそのとおりであると思います。 それから短期金利の低目誘導のことでございますが、今、副総裁が言われましたように、確かにちょっと特殊な事情もございました。そして長期金利との関係もやや正常でないことになってまいりましたから、日銀が低目誘導をなすったということはしかるべきことであったと思います。それが為替安定にどれだけの影響を持つかということにつきましても、ただいま三重野さんがお話しになられたとおりだと思います。
○馬場富君 昨年来五度にわたる公定歩合の引き下げによって、地価あるいは株式あるいは債券相場等が高騰するなど、潜在的なインフレ懸念というものも否定できないような現状になってきておるわけでありますが、そういうもとで、金融政策偏重にはおのずとやはり限界がありますので、この点についても、ドルの信頼を高めるためにも、むしろ米国自身がドル防衛を打ち出すべきだという時期に来ておると思うんです、アメリカがですね。そういうものについてやはりアメリカに強く訴えていくべきじゃないかと思いますが、大蔵大臣、この点はいかがでしょう。
○委員長(桧垣徳太郎君) 馬場君、時間が参りました。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点はごもっともな御主張だと思います。今回の中曽根・レーガン声明におきましても、アメリカ大統領が、財政赤字の縮小それからアメリカ企業の競争力の強化、これは貿易赤字の縮小ということにつながるわけでございますが、それについて述べておられますのはアメリカの決意を示しておるものと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で馬場富君の質疑は終了いたしました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
○安恒良一君 百七国会で政府は、整備新幹線問題については検討委員会を設けて六十一年度末までに結論を出すということでございましたが、検討の結果について、座長であります官房長官、報告してください。
○国務大臣(後藤田正晴君) 整備新幹線の問題は、一昨年の八月、事柄が大変重要な問題でございますので政府、与党の間で申し合わせができました。その申し合わせに従って諸般の準備も進めるといいますか、いろんな状況も検討をしておったわけでございますが、昨年の暮れの予算編成の際に、ことしの三月末までに一応の結論を出すべしといったようなことでございまして、三月の二十六日でございましたか、政府・与党のメンバーが集まりまして最終検討をいたしましたけれども、なおやはり財源問題あるいは在来並行線の問題、あるいはまた新会社発足早々でございますから、何といいましても新会社の意見をこれは尊重しなければなりません。そういったようなことでございますのでさらに小人数で、政府、与党双方からの小人数の代表者の間でさらに検討をし、そして同時にまた必要な資料等も事務当局で整備をしてもらうといったようなことで、今日に至ってまだ結論を出してないというのが実態でございます。
○安恒良一君 この検討委員会に検討の資料として収支の見込みが出されたというふうに聞いていますが、予測表が出されたというならその中身を説明してください。
○政府委員(林淳司君) 昨年の十二月に、予算編成の前に数回にわたって検討委員会が開かれたわけでございますが、そのときに提出して検討の対象にした資料がございます。 それで、需要、あるいは建設費、あるいは収支につきまして、これは確定したものではございませんで、その段階での中間的な試算結果ということでございますが、これによりますと、収支につきましては、これはいろいろございますけれども、全額借入金でやれば当然これは大きな赤字が出るわけでありますし、仮に借入金の割合を一〇%、あるいは全額助成、二つのケースにつきまして昭和七十年の数字というものを検討いたしましたところ、新幹線とそれに並行する在来線、これを合わせまして合計で申し上げますと、仮に借入金が全然ない、全部いわば助成金であるという前提を置いたといたしますと、四百二十四億円の黒字ということになるわけでございます。ただ、これにつきましては、助成金に係ります部分についてのいわゆる減価償却費、これを計上するかしないかという点についてはこれからの検討課題でございまして、仮に減価償却費を助成金に係る部分につきましても計上いたしますと六百三十一億円の赤字になるということでございます。 いずれにしましても、これらの数字につきましては、先ほど申しましたように、中間的な段階での数字でございますし、これからの建設費の精査、あるいはその他財源の内容等々不確定要素がございますので、そういう問題点等についてさらに引き続き検討して精査をしてまいりたいというふうに考えております。
○安恒良一君 資料をいただいていますが、もうちょっと詳しく話してみてください、そこのところを。
○政府委員(林淳司君) それでは若干補足させていただきますと、一つは需要でございますけれども、需要につきましては、これは各線別に予測をいたしまして、一番少ないのが北海道あるいは長崎、これは輸送密度で申し上げますと一万一千人、一日当たりですね。それからさらに北陸新幹線、これは一番輸送密度が高いわけでございますが、これが一日当たり二万五千人、こういうふうな一応の予測結果になっております。 それから建設費につきましては、五線全体で一応五兆三千億円程度、これは五十九年度価格でございます。ただ、これにつきましては、建設利子を含めますと開業時価格では七兆五千億になる。それからさらに、これらの建設費につきましては、従来の新幹線の建設事例を見ますと当初の計画より実績は相当上回るというようなこともございますので、その辺のところも勘案していく必要があるというふうに考えております。 それから収支につきましてはただいま申し上げたことでございますが、さらに若干補足いたしますと、ただいま申し上げましたような建設費あるいは輸送需要というものを前提として収支を試算いたしますと、新幹線単独の場合、それから新幹線と並行在来線を合わせた場合、この両ケースにつきまして、全額借入金で行ったといたしますと、七十年度で五線計で単独の場合は六千三百億円の赤字、それから七十五年におきましては七千六百億円の赤字。それから次に、新幹線と並行在来線、この収支を合わせてみますと、五線合計で七十年度は七千七百億円の赤字、それから七十五年度は九千八百億円の赤字ということでございます。 先ほど申しましたように、借入金の割合を仮に一〇%、残りの九〇%は助成というケースと、それからすべて助成、一〇〇%全額助成という二つのケースについて、同じく七十年度につきまして、新幹線単独の場合と新幹線と並行在来線が込みになった場合と、この二つについてのケースを試算いたしておりますけれども、まず新幹線単独の場合は、借入金一〇%という前提を置きますと、合計で九百七十一億円の黒字、それから減価償却費を計上いたしますと二十二億円の黒字、それから借入金が全くない、全額助成ということにいたしますと千八百二十八億円の黒字、それから助成金に係る部分についての減価償却費を計上いたしましても七百七十三億円の黒字でございます。ただしかし、これは新幹線単独の場合。 新幹線をつくりますと当然並行在来線の収支が悪化いたしますので、この二つをやはり込みにして考えないといけないということで、そのケースでいきますと、借入金が一〇%という前提の場合は四百三十二億の赤字、五線全体でございます。それからさらに減価償却費を計上いたしますと千三百八十一億円の赤字、それから借入金が全然ない、全額助成という前提を置きますと、五線全体で先ほど申しましたように四百二十四億円の黒字でありますが、減価償却費を計上してみますと六百三十一億円の赤字と、こういうふうな試算結果でございます。
○安恒良一君 今言われたとおり、大きな赤字が出るということを記憶にとどめておいていただきたい。 それで、議論しますが、どうも三菱総研の行った経済効果予測、これを根拠に建設促進派の人はいろいろ主張しているようですが、そのレポートの概要と、政府のレポートに対する見解を聞かせてください。
○政府委員(林淳司君) まずレポートの概要でございますけれども、これにつきましては、整備新幹線を建設した場合の地方における人口増加、あるいは産業の立地の変更ということに伴う経済波及効果、あるいはそれに伴う税収増効果といったような開発効果というものを中心に検討いたしておりまして、さらに新会社の全路線についての長期的な収支も検討しているわけでございます。 それで、要するに問題は、その財源というものについて、開発効果との関連でどういうふうに見るかというところがポイントでございまして、仮に整備新幹線の建設費の九割を建設国債で賄う、それから一割を地方債で賄う、こういうふうな前提に立った場合に、建設国債の償還期間でありますところの六十年、この間にはその新幹線の整備によります税収増、これの累計というものが建設国債の元利払い負担、これの累計を大幅に上回る。すなわち建設国債の六十年間の元利払い、これは五兆三千億が大体二十兆程度になりますけれども、その六十年間の税収増効果というものがそれを大幅に上回るという結果が出ております。それから地方債についても同様の結果となっております。その辺がこの三菱総研レポートのポイントでございます。 これに対しまして、政府といたしましては、この三菱総研の用いました地域開発モデル、いわゆる波及効果というものを計量化するための地域開発モデル、それからそれに基づく計算結果というふうなもの、それからそれに伴う開発効果の具体的な中身というようなものについての妥当性につきまして、いろいろと私どもとしては検討する必要があるということで、目下検討委員会レベルでその検討を行っているというところでございます。
○安恒良一君 運輸大臣にお聞きします、政府の見解ですから。 レポートに対する政府の見解ということで、新幹線実現の課題、建設主体についての考え、建設財源についての考え、望ましい実現方策等々が検討されているようですが、そのレポートの中にも指摘されていますが、これに対する政府としての見解を聞かせてください。これは政策問題ですから事務官じゃなくて、大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今事務方の方からお答えを申し上げましたような問題意識を持ちまして検討委員会の事務方の諸君が内容の検討をいたしているわけでございますので、細部にわたりましてはその検討結果を見ないと的確なお返事の大変難しい問題であります。 ただ、ここではっきりさせておきたいと思いますのは、私ども、これは運輸省としての立場でありますが、将来の交通というものを考えましたときに、高速鉄道輸送というものの必要性は非常に大きな効果のあるものと考えております。ただ、それが新たに発足いたしましたJR各社の経営に悪影響を及ぼすようなことは本当に困るわけでありますし、また経済開発効果その他については十分やはり自信の持てるところまで煮詰めなければなりますまい。その限りにおきましてこの三菱総研のレポートというものも私どもは重要な参考の資料の一つと考えておりますが、結論は出すところまで至っておりません。
○安恒良一君 整備新幹線の地域経済への影響、効果について政府自身はどのような予測を行っていますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 整備新幹線の建設というものは、国土の総合的かつ普遍的な開発に果たす役割というものを当然持っておるわけでありますし、国民経済の発展、国民生活領域の拡大に資するものであるということは間違いがありません。 細かく申し上げますならば、新幹線の開発効果と申しますものの中には、まず建設時の投資、また到達時間短縮による利用者の便益の増加等の直接効果、またそれらに伴う生産活動の活性化などの間接効果というものを考えることができると思います。しかし同時に、その開発効果の範囲というものをなかなか明確にできませんし、その的確な計測の手法が確定いたしておらないといった問題がございます。したがって、開発効果と申します場合に定性的に今申し上げたようなことは申し上げられるわけでありますが、定量的かつ確定的に把握するということになりますと、実はモデルの確定からインプットデータの特性など、まだ解決しなければならない問題の方が多くあるということもまた事実であります。
○安恒良一君 整備新幹線はこの需要増対応じゃなくて、今もおっしゃったように国土開発のための整備に重点があるというふうに私は見ていますが、その建設による経済効果予測調査、これは私は国が責任を持って行うべきで、しかもそれは定量的にもやるべきだと思いますが、その点行ってないというのはおかしいんじゃないですか。
○政府委員(林淳司君) ただいま先生御指摘のように、整備新幹線の建設ということにつきましては、確かに国土開発的な、いわゆる国土の普遍的な開発と申しますか、そういう一つのねらいがあることは事実でございますが、一方におきましてこれは鉄道事業という面から見ましても、これから航空あるいは高速道路といったようないろんな交通手段の中で競争が非常に激化していくわけでありまして、いわゆる都市間交通というものを何らかの方法で高速化していくということもこれは鉄道経営の経営面からも必要だという、両面があるのではなかろうかと思います。 いずれにしましても、先ほど大臣から申し上げましたようなことでありまして、開発効果というものの予測は非常に難しい問題がございますけれども、私どもとしましてはその辺についてできるだけ取り組んでいきたいとは考えております。ただしかし現段階では、先ほど大臣が申し上げましたように、早急にその辺のところについての定量化を行うということは非常に難しいという状況でございます。
○安恒良一君 運輸省だけ答えないで、自治大臣、経企庁長官等もそういう関係で来ていただいていますから、この経済効果についてどう考えられているか答えてください、数量的に。
○国務大臣(葉梨信行君) 整備新幹線問題につきましては自治省としましても関心を持っていろいろ検討を進めておりますが、特に地方の負担の問題につきまして財源問題等検討委員会でいろいろ御論議がございまして、そこに参加をいたしまして自治省としての考え方も述べたい、こういうように考えております。そういうことでございますので、特に新幹線を敷設した場合の経済的効果ということにはまだ検討が進んでおりませんし、私どもの立場ではやる立場ではないのではないか、このように考えております。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 整備新幹線が我が国経済社会の高速化、効率化には大きな影響を持つものと考えますが、地域地域においてのその採算性というような面等についてなお慎重に検討する必要があるのではないか、かように考えております。
○安恒良一君 結局、財源と収支問題が最後まで残っている、しかもその開発効果についての数量的なあれは何もやられていない、各省で。こんなことでやっていますといつまでも結論が出ない。しかし、六十年度以降行われているように、骨抜きもしくは場当たり的なやり方でどんどん既成事実がつくられるんじゃないかという心配をしますが、座長どうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 整備新幹線の問題は、六十年の八月の政府・与党の関係者の会合で出された結論によりましても、一応整備新幹線に着工はするということでございます。しかしながら、その前提条件がやはり非常に難しい。今おっしゃったような、国土開発にどういう影響があるのか、経費が果たしてどの程度かかるのか、あるいは経営が一体どうなるのか、運営主体をどうするのか、財源問題はどうするのか。殊にまた在来線との関係がございますから、在来線をそのままにしておけば共倒れになる可能性の方が大きいであろうというような一応の常識的な結論もありますね。そこで在来線を廃止する。在来線廃止については果たして今その在来線が通っておる関係地方団体が了承するのかどうかといったような、一方では前に進むようで一方では大変難しい条件がくっついておる。 さればといいながら、やはり今日新幹線が走っていることは事実ですから、軒下まで新幹線が来ておりながら隣の県には来ておらぬということになるならば、これはそういった関係の住民からいかにも片手落ちじゃないか、やはり新幹線というものができればそれだけの利便もあるだろうし、それからまた国土開発という面から見てもその地域の人にとっては非常な開発効果があるではないかといったような、熾烈な新幹線整備についての要求が出るのは私はもう自然の人情だと思いますね。 やはりこういった国民の要求といいますか希望といいますか、それに政治としては対応するというのが私は基本の立場だと思います。しかしさればといってここで再び、今日国鉄が民営・分割化せざるを得なくなったような状況、つまり言葉は悪いんですけれども、新幹線をつくるのはいいがこれで第二の国鉄をまたつくるといったような無責任なこともできないといったようなことを、おのずからやはり新幹線を推進すべしという論者の中でも、あるいはまたそれは無理だよという考え方の方の中でもひとしく考えている問題だと思いますね。 そういうようなことで、あなたから見れば、いつまで一体ほうっておくんだといったような御意見も出ようかと思いますが、私どもとしてはやはり、新幹線は整備をするという基本方針に立ちながらも、ならばこういった難しい条件についてどこまで一体きちんとした条件整備といいますか、それを確定して、そこでこれならば見込みありということでないとなかなか結論は出しにくい。しかし何とか今日の国民の要望にこたえるべくこれは前向きで早急に何とかしたいというのが今日の実情でございますが、いつやるかということはできるだけ早くということ程度でひとつお許しをいただきたい、こう思います。
○安恒良一君 本年度、六十二年度計上されています百五十億円の建設費はどのように使われるんですか。
○政府委員(林淳司君) 六十二年度の整備新幹線の建設費予算でございますが、百五十億円、東北と北陸と九州、これは鹿児島ルー十分でございますが、その建設費として計上されております。しかしこれは整備新幹線財源問題等検討委員会、この結論が得られなければその建設費として執行することはしない、執行されないというものでございます。また、この百五十億円というものは全額鉄建公団に計上されております。従来国鉄に計上されておりました建設費のときには在来線の駅舎改良といったものに、いわゆる新幹線の駅の周辺環境整備事業というものに使うことができたわけでございますが、今年度は全額鉄建公団に計上されておりますので、そのような周辺環境整備事業への流用ということはあり得ないわけであります。 そのような形で現在六十二年度の百五十億円は考えております。
○安恒良一君 ところで、工事実施計画の申請されている整備新幹線のルートはどことどこですか。それから、これの認可はいつするんですか。
○政府委員(林淳司君) ただいま先生工事実施計画とおっしゃいましたけれども、この工事実施計画につきましては、現在東北新幹線とそれから北陸新幹線、それから九州新幹線、これは博多-西鹿児島間でございますが、この工事実施計画の認可申請は、東北と北陸につきましては六十年の十二月四日、それから九州につきましては六十一年の八月二十九日、この時点で認可申請は出されておりまして、ただしかしこれにつきましては、五十七年九月の閣議決定で整備新幹線は当面見合わせるということもありました関係もございますし、それからさらに財源問題等検討委員会で着工の前提条件等がいろいろ検討されておるということから、現在、申請は受け付けておりますけれども認可はいたしておりません。 その申請の中身によりますと、東北新幹線のルートにつきましては、これは盛岡-新青森間でございますが、主な経過地は二戸、八戸、七戸といったところでございます。それから北陸新幹線につきましては、高崎から小松の間でございますが、主な経過地としましては安中市、長野市、それから富山市、金沢市といったところでございます。これは小松まででございます。それから九州新幹線につきましては博多-西鹿児島間でありまして、主な経過地は久留米市、熊本市、八代市、それから川内市といったところでございます。
○安恒良一君 今回の閣議決定で、新会社の判断を尊重すると言われていますが、どのような形で新会社の判断、意見を取り入れられるんでしょうか。また、新会社の判断とは具体的に何を言っているんですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 一昨年の八月の申し合わせの中に建設主体とか運営主体というものをどうするかということが決められておったわけですが、この運営主体は、国鉄が新会社になった以上はやはり新会社に運営をお願いするということにならざるを得ませんね。そうすれば、当然のことながら経営が果たしてどうなるのかといったようなことを考えなきゃなりませんので、新会社の意見というものを尊重しなければならない、そのことを決めたわけでございます。 その意見はだれが聞くんだという御質問でございますが、これは当然、今財源問題等検討委員会というものがございますから、そこで一応の結論等が出ますれば、これは事柄が重要でございますからまだ決めておりませんが、恐らくやこれは閣議等でも協議をしまして、その上で最後の決断をしてそして新会社に聞くというようなことになるか、あるいはその前段階で――閣議にかけたら終わりでございますから、その前に新会社にあなたのところの御意見ではどうだろうかというようなことを聞くことになるのか、恐らくや後者の方に私は、新会社の意見を聞くということにはなろうかと思います。いずれにしても、この決定はそう簡単に決められるべき筋合いのものではありません。 しかしやはり、先ほど言いましたように、何とかしてこれは住民の意向に沿って解決をしたいという気持ちは依然として持っております。
○安恒良一君 新会社の判断とは何でしょうかと聞いたんですが。
○国務大臣(後藤田正晴君) 当然これは新会社に聞かなきゃわからぬことでございますけれども、新会社とすれば経営上の判断、しかし同時に新会社も地域の方の意見というものはこれは私は十分尊重なさるのではないか、しかし主たる判断、予想としては経営上の問題になりはせぬかなと推測をいたします。
○安恒良一君 さっきの試算で六百三十一億の運営費の赤字が生ずると言われましたが、この赤字の処理はどうするんですか。
○政府委員(林淳司君) 先ほど申し上げましたように、現段階は検討委員会での検討途中でございまして、その中間的なものとして、いろいろな変動要素がございますが一つの試算として、仮に減価償却費を計上するならば六百三十一億円の合計の赤字が出る、こういうことでございます。 しかし、これは確定したものではございませんので、これを前提に整備新幹線の着工に踏み切るかどうかという判断をするわけではございませんで、あくまで新会社には、いわゆる経営上の負担と申しますか、現在前提としております新会社の収支試算、これを悪化させるような、そういう悪影響というものは新会社に当然与えるべきではありませんので、そういう前提でこれから収支試算あるいはそれに伴う財源問題というふうなものをさらに検討委員会の中で詳細に詰めていくということになろうかと思います。
○安恒良一君 減価償却を見込まないなんて、そんな素人の議論をしたらだめなんです。減価償却は当然見込む。 〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 そこで、大蔵大臣にもお聞きしますが、今言ったように、減価償却を見込むと赤字になることは間違いないんですが、例えば新会社は、それを国が持ってくれるならば建設にオーケー、こういうふうに言うと私は思いますが、政府はこれ、どうしますか。大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは大変論理的な御質問になるわけです。そういうことを考えながらいろいろみんなで協議をしておりますので、私が会議の席で申し上げておりますのは、建設費というものは確かに非常に大きなものでございますがある意味でそれは一遍限りのものでございます、しかしこの運営費の赤字がもし出ますとこれは恒久的なものだと考えざるを得ませんので、そういう意味では財政当局としてはその点について実は非常に大きな関心を持っているということを、たびたび実は会議で申し上げておるわけでございます。
○安恒良一君 運輸大臣と大蔵大臣に重ねて聞きます。 これは関心を持っておられてもだめなんですよ、数字ですから。六百億ぐらいの赤字が出ることはもう間違いないんです、これは。そのとき、運輸大臣はどうされますか。大蔵大臣、関心をお持ちだけじゃなくて、どう処理されるんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 新会社の経営に圧迫を与えるような形での建設は、私の立場としては困るということであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、大蔵大臣が関心を持っておると申し上げますと大体関係者にはおわかりいただけるのでありまして、毎年毎年永久にそういうものをもし財政が見てまいらなければならないということでございましたらこれはなかなか簡単なことではないと思いますので、何かその辺について運営の仕方なり何なりに御工夫はないかということも含めまして申し上げております。
○安恒良一君 今聞いてまいりますと、財源も不的確だ、地方の一部負担も何か研究中だ、在来線を含めた採算性の対応も全く未定、こういうことで、必要だということで着工に向けて既成事実だけ積み重ねられてはたまりません。 そこで、私は座長にお伺いしますが、新会社のいわゆる健全経営を確定する、それがまず先決じゃないですか。JRができたんです。それが、経営が確固になるということがまず先決じゃないかと思いますが、座長どうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今橋本運輸大臣が申されましたように、やはりこれは新しく発足しておる新会社の経営にこれ以上新幹線の問題で圧迫を加えるといったようなことは私は避けなきゃならぬと思います。その避ける方法が一体どういう方法にすればあり得をのかどうかということの結論を出すのに苦労をしておるというのが現状でございます。
○安恒良一君 座長に重ねてお聞きしますが、まず、国鉄の長期債務の処理もまだきっちり決まっていない、当てもですね。それから、国民負担に上乗せするだけで整備新幹線を強行されても、これもまた困るんです。そこで、どういう条件が整ったら本格的に着工にゴーのサインを政府はお出しになるんでしょうか。こういう条件とこういう条件と、それを整理して言ってみてください。
○国務大臣(後藤田正晴君) まことに返答になるやらならぬやらわかりませんけれども、それが明確にここでお答えできるようならばもうとっくの昔に着工にかかっておるということだろうと思うんですね。先ほど来申し上げましたように、乗客需要がどうなるのか、在来線の関係がどうなるのかいろいろありますが、建設費といいますか建設のやり方といいますか、これが果たして今までどおりのような――技術者はいいものをつくればみんないいんですからね。随分ぜいたくなものをつくっていますよ、それは、率直に言って。一体あれでなければ新幹線というものはできないのかというような点については、素人ながらの疑問も持つ。ならば、そういったような点についてももう少し検討する余地があるのではないのか。いろんな面から十分ひとつ検討して、そして本当に何とかこれで地方住民の需要にも応じ、そして新会社に迷惑をこれ以上かけるといったようなことのないような見通しが立つまでは、私は座長として、随分責められてはおりますけれども、結論を出すというつもりはございません。
○安恒良一君 三十九年に鉄建公団がつくられてから、以来地方新幹線を鉄建公団がどんどんどんどんつくったんですね。それが赤字ローカル線になって国鉄経営の破綻の大きな原因になったことはもうお互いに忘れられないこと。整備新幹線によってこのような二の舞を新しくできたJRにさしては私は絶対にいけないと思う。しかしながら、国民の方からはやはり建設の希望が特に当該地域ではありますから、できなければ、これはどういう条件が整ったらやるんだということの結論を出して国民に明示される必要があると私は思います。そして国民的なコンセンサスを得る必要があります。きょうはこれ以上官房長官を責めても進みそうにありませんからこれで終わっておきますが、また次の国会までにはきちっとしておっていただくことを言って、この問題は終わります。 国債問題について聞きますが、最近時における利付別国債の残高及び八から四%台までそれぞれの残高の全体に占める割合と利率の加重平均はどうなっていますか。
○政府委員(窪田弘君) 六十一年度末の数字で申し上げます。 国内普通利付債でございますが、利率八%台のもの約二十四兆四千億円、構成比一七・四%。七%台のもの約四十六兆一千億円、三三・〇%。六%台のもの約四十一兆二千億円、二九・四%。五%台のもの約二十四兆七千億円、一七・七%。四%台のもの約二兆九千億円、二・一%で、合計百四十兆九百六十億円でございます。平均利率は六・八%となっております。
○安恒良一君 五月発行の長期国債の発行条件を示してください。
○政府委員(窪田弘君) 十年物でございますが、表面利率四・〇%、発行価格九十九円、応募者利回り四・一四一%となっております。
○安恒良一君 発行総量は。
○政府委員(窪田弘君) 発行総量は六千億円でございます。
○安恒良一君 先ほど示された中の八%以上の国債の一年の利払い金額の総額は幾らになっていますか。その国債の利率をすべて四%とした場合の一年の利払いの金額は幾らになりますか。
○政府委員(窪田弘君) 八%以上の国債は、六十一年度末で二十一銘柄ございまして、残高は二十四兆四千三百億円でございます。利払い金額の一年間の額は約二兆円でございます。これを四%台のものに乗りかえた場合でございますが、額面で繰り上げ償還をいたした場合に、五月債、四%でございますが、今の利払い二兆円が一兆円になりまして、利払い費は約一兆円軽減に相なります。しかし、八%台のものは百十五円ないし高いものでは百二十二円いたしておりますので、市場価格により買い入れ償却をいたしました場合は、二兆円の利払い費が一兆一千億円で済むことになりまして、約九千億円利払いの軽減に相なります。
○安恒良一君 そこで、大蔵大臣にお聞きしたいんですが、現在の金利水準は非常に低い状態にあります。ですから、市場動向に合わせて積極的に乗りかえを実施して、国債費管理コストを低減するように努力をすべきだと私は思いますが、大蔵大臣の御見解をお聞かせください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 安恒委員の御提起になっていらっしゃる問題は、今後の国債の発行管理政策についていろいろな示唆を含んでおると思いますが、現実の問題として、額面で償還をするということは、これは現実に存在しております金融秩序からいいますと適当なことではございません。したがいまして、それは買い入れ償還をしなければならないということにならざるを得ませんが、その場合には、ただいま理財局長が申し上げましたように、時価というものは百十五円とか百二十円とかいうものになっておりますから、それだけのもので買い入れ償還をして、それで国庫として損になるか得になるかという問題がございます。今のところといたしましては、こういう金利の安い状況でございますから、なるべく長い国債をこの際に発行していくということはせいぜい心がけております。
○安恒良一君 そこで、買い入れ償還の方法について、額面額による購入のメリットとデメリット、それから市場価格で購入した場合のメリットとデメリットについて聞かしてみてください。
○政府委員(窪田弘君) 国債証券買入銷却法によりますと、額面金額を超過することを得ずとなっておりまして、額面での繰り上げ償還は国債の保有者にとっては不測の損害が与えられるというデメリットがございます。国にとっても、国債に対する信用を著しく低下させまして、以後国債消化を困難にいたしましたり、あるいは発行条件の悪化を招くことになりまして、今後も年々借換債を含めて二十兆円以上のものを発行する必要が見込まれておりますので、ちょっとこの方法は難しいのではないかと思います。 他方、国にとって計算上利益があるときは市場価格で買い入れることができるというのが国際整理基金特別会計法にございます。これは必要に応じその場合によって実施することも今後考えていかなければならないと思っておりますが、一般的にはクーポン格差現象と申しまして、表面利率の高い国債ほど価格が割高となっている現象がございます。したがいまして、その買い入れ償却をするためには多額の国債を発行してその高い利率の国債を返すということになりますので、計算をいたしますと必ずしも国にとって利益にならないというデメリットがございます。
○安恒良一君 そこで、八%以上利率が高かった五十五年度発行の二十七回から二十九国及び三十一回から三十四回までの利付国債について、今額面で買い入れ四%の国債に乗りかえた場合、各利付国債償還期限まで総額で幾ら節約できるのか、また、債券市場から市場価格で買い入れた場合どうなるのか、具体的な計算例を示しながら説明してください。
○政府委員(窪田弘君) 利率八%以上は二十七回から九回まで及び三十一回から四回まででございます。 五十五年に発行されたものでございますが、仮にこれを表面利率四%、発行価格九十九円の五月債で借りかえた場合の計算でございますが、償還期限までの利払い費の総額でございますが、まず御指摘のように額面で繰り上げ償還をいたしました場合、本来三兆二千億円利払いがかかるところを利払いは一兆五千億円で相済みますので、利払い費は一兆六千億円軽減になります。 他方、市場価格で買い入れ償却して借りかえる場合でございますが、この場合は市場価格が現在百十五円から百十六円いたしております。したがいまして、額面ベースの発行価格が一兆九千億円増加するということになりますが、利払い額が本来三兆二千億円必要でございますのが、四%でございますので一兆八千億円で済む、差し引き一兆四千億円軽減されます。ただし、元本の増加が一兆九千億ございますので、国としては五千億円の損、こういうことに計算上なるわけでございます。
○安恒良一君 今私が配った私の計算の資料と若干数字的に違いますが、これは一つ一つの積み上げその他だと思いますから、私が示した数字は御承知ですね。そう食い違いはありませんね。
○政府委員(窪田弘君) お示しの計算は例えば平均三・五年の残存というふうに概数で計算なさっていらっしゃると思いますが、こちらは一本一本積み上げましたのでほぼこのとおりでございます。
○安恒良一君 そこでもう一回大蔵大臣にお聞きしますが、市場価格で買い入れると確かに市場相場によって若干の、この計算を見ても損失が出る可能性があるわけです。ところが例えば今四%物は二十年以上四・八%になっていますが、例えば十年物は四%で乗りかえられるわけですね。ですから、長期に低い利回りの国債を維持することができて、私は中長期的に見れば市場価格で買い入れてやってもやはりメリットが大きいと思いますが、宮澤さん、この点どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、先ほども申しましたように、これからの国債管理をどうやっていくかということに実は関係をいたすわけでございます。ですから、問題を御提起になりました意味は十分に私どももよくわかって考えさせていただかなきゃならぬと思っておりますが、要はいい悪いというよりは端的に言って損か得かということになるわけでございますね、国庫として。そういうことがございます。 それで今ちょっと政府委員が申し上げかけましたのは、買い入れ償還をいたしますと当然今度発行する国債の額面はそれだけ大きくならなければなりません。百円のものを仮に百二十円で買うわけでございますから、それを安い利率の国債に切りかえましても、百円でなくて今度百二十円分だけ発行しなければならないということで、それだけ利子負担分が大きくなる、こういう問題がございますから、そこの計算は個々の場合でいろいろ違っておると思います。ただいまとしては、なるべくこういうときに例えば二十年というような国債を安く発行をしておくという、そこのところまではもうお互いの意見は合うわけでございますから、それから後のことは一つ一つのやはりメリットで決めていくということになろうかと思いますが、いろいろ検討させていただきます。
○安恒良一君 大蔵大臣、私はやっぱり大蔵大臣の政治の姿勢としてここは非常に、技術論のことはさておきまして、一般会計の国債の金利が一般財政でもう二〇%を占めている、そういうことで非常な百五十二兆円の問題。そこで、少しでも安い、一円でも安い利子でやっぱり私は借りるということに、今までの分についても、新規の分は今御努力されていることはわかりますけれども、考えられてもうしかるべきところに来ているんじゃないかと思います。少なくとも、例えば住宅ローンで私たちが借りても、住宅ローンが下がればこれは借りかえるわけです、率直に言って。それはメリットがあるからです。しかし僕は国のあり方として、新しく発行する分についてはできるだけ安い金利でという、このことはお互いにいい、しかし今まで発行したものについてもどうしたら一円でも安くなるかということをやっぱりお考えになるのが、どうも今までそういう発想が残念ながら大蔵大臣以下大蔵省になかったんじゃないか。そこのところはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう意味で有意義な問題提起をなすっていらっしゃると思っておるわけですが、ただ、ここでもし誤解を生ずるといけませんので一つだけ申し上げておきますが、いわゆる額面価格で償還をするということはこれは絶対にできないことでございます。そのことだけは、不測の事態を招くといけませんので明確にいたしておきたいと思います。 それからもう一つの問題は、こういう安い金利のときに幾らかでも実際金利負担を減らしておくべきではないかということは、もうまさにそのとおり私も思っておりまして、さらに問題を発展させますと、予算は単年度主義になっておりますが、国として先々しばらくの間はやはり借金をしていかざるを得ないだろう、しかしこのような金利の安い時代がいつまで続くかといったようなことはお互いに考えることでございますから、それでしたら、これだけ国債が品がずれて需要がある、これだけ金利が安いというときに、将来に向かって金を借りておくということは考えられないのか。合としてはそれはちょっと制度上無理なことでございますけれども、いろんなことをやっぱり考えるべき時期ではないかと思っております。
○安恒良一君 我が国の国債発行方式のあれでシンジケート団の引き受けがありますが、我が国ではなぜこのような方式を採用しているんですか。
○政府委員(窪田弘君) 四十年度から戦後国債を再び発行するようになりまして、大量の国債を確実かつ安定的に消化するためにこのシ団方式を取り入れたわけでございますが、我が国ではやはり予算単年度主義でございまして、各年度に予定されている歳入は確実に発行しなければなりません。特にまた借換債につきましては二月、五月、八月、十一月というふうな特定月に大量の償還がございます。その場合に備えて円滑に発行していく必要がございます。また特例債につきましては、国会の授権法をいただかなければならないわけでございます。こういったいろんな厳しい制約がございまして、その中で確実に償還をしていくというためには、やはりシ団をつくっていただいて、御相談をしながらその消化を図っていくことが最も確実な方法であるというふうに考えているわけでございます。
○安恒良一君 大蔵大臣、日本は非常に金が余っているんですよね。そのときに、シ団引き受けというこの過保護とも言える国債発行のあり方からこれもまた脱皮すべきところに来ているんじゃないでしょうか。どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは確かに今までやってきたことをいろんなときにいつもレビューしなきゃならないという事柄の一つなんでございますけれども、今政府委員も申しましたように、政府も実は金利の条件に従っていついかなる方法でも出せるということではないわけでございますね。予算でいろいろ制約を受けておるといったようなことがあるものでございますから、それもその市況に従って、かなり大きなものをあるときには出せる、あるときには出せないというようなことがございまして、政府自身が完全に自由な出し手、発行者と申しますか、ではなくて、いろいろ法律、予算上の制約を受けているというようなことがございまして、シンジケートと話をするということがいわば安定的に計画的に発行できるというメリットが大変に大きいわけでございます。 ただ、安恒委員のような御意見もありまして、殊に外国からは自分たちももう少し自由にそこへ入れないのかというような話も間々やっぱり出てまいります。合としてこの制度全体が変わりませんとこのやり方はなかなか変えられないと思いますけれども、全体のいわゆる国債管理の問題としてこれはやはり研究課題であるというふうに思っております。
○安恒良一君 そのことに関連しますが、大臣、金融市場に二つの国際化が進展する中で、国債のシ団の引き受けについても私はもう見直す時期が来ていると。その一つには、今あなたも触れられましたが、外国銀行からシ団に加入条件の緩和、それから外国の証券会社からのシェアの拡大について今後続けていかないと、またこれが新たな経済摩擦の火種になるおそれがあると私は思うんですね。そういう点について大蔵大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう批判が出ております。でございますから、それらを含めましてやっぱり国債の管理政策というものはいろいろに考えなければならない時期に来ておる、研究課題であるというふうに認識しております。
○安恒良一君 これもまた大臣にお聞きしたいんですが、日本の投資家が今日非常に大きな円高リスクを背負いながら米国債を大量に買っておる。なぜそんな危険を冒してまで米国債を買うのかというのが私はわからないんです。私は、多少金利差はありますよ、あっても、我が国の国債を買った方がこれはずっと安全だと思いますね。例えば生命保険業界ですか、これだけリスクが出るとか、いろんなのが新聞でも報道されていますね。かなり大きい金額に生命保険業界なんかは出ますが、こういう点ほどのように考え、どうされるつもりですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このことは、基本的にはもう外国投資は自由でございますから、政府としては投資家が自分で計算をしてどれが有利でありどれが不利であるという、そういう企業家の判断に任せるのが適当であるというふうに考えております。 過去に起こったことを見ておりますと、為替リスクはある。しかし安恒委員の言われましたように、金利差がそれを補って十分である。あるいはまた債券の値上がりがある。過去のように、アメリカの金利が下がってまいりました、下降傾向にありますときは証券価格は上昇傾向にございますから、したがってその値上がりも考えられるといったようなことから、為替リスクと金利差と値上がりの可能性とを考えて機関投資家が判断をしてまいった。値下がりになりますとこれはまた逆のことが言えるわけでございますが、現在はまた金利差の方が大きくなってまいりました。もう六ポイントに近いんじゃないかと思いますけれども。そういたしますと、それと生じ得べき為替リスクとを考えまして機関投資家が自由に判断をしている。私はそれに政府は干渉すべきものではないという考え方をいたしております。
○安恒良一君 ただ私は、例えばこういう投資の結果が生保なら生保の場合に為替リスクについて出たけれども加入者に迷惑をかけなければいいということだろうと思いますが、かなり大きいのが出ていますから、私はやっぱり監督官庁の立場からそういう問題についてのお考えを持ってもらわないと、資本主義経済だから金利が高ければいいんだということであって、後でリスクが出たときにどうするかということになるとこれ大変なことになりますからね、そこのところはどうなんでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、機関投資家が結局外国に投資をせずに我が国に投資をした場合、それから外国にリスクはあるが投資をした場合、それがどっちが企業として利益が大きいかということは即契約者保護にどっちがよろしいかということでございますので、企業家の判断が間違っていなければそれでいいわけでございますが、これは長い投資でございますから損が現実になる、現実に売り買いをして損をしたという意味ではございませんが、評価損というものが為替で出てまいります。それで私どもとしては、できるだけそれをいわばなし崩しにしないで、出ましたときに計算の上できちんと出しておく、そういうふうにいたしませんと、おっしゃいますように潜在的にそれが後になって大きくなることはいけませんので、そういう指導はいたしております。かなり厳しくいたしておりまして、今回も前回もそういうことになるかと思いますが、そういう形で契約者に損のいかないようにと考えて、不利益が生じないようにと考えております。
○安恒良一君 そこで重ねてお聞きしますが、まず一つは、金融市場の国際化が急速に進む中で、国債市場の国際化、それから大蔵省自身が市場実勢を反映した国債管理に努める、そして大蔵省自身が積極的に国債費削減に私は取り組むべきだと思います。 〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 それと同時にやはり、今も私は何点か問題を指摘しましたが、金融市場の動向を敏感に反映した国債の償還、乗りかえなど、機動的国債管理の方法を制度的にももう確立すべきときに来ているんじゃないだろうか、制度の検討と同時に。ですから、さらに国際化時代に向けてのシ団の引き受けのあり方についても私は検討すべきところに来ている。それらの問題について積極的にひとつ、財政制度審議会がございますからそこに大臣としては諮問をされて、そして積極的にお取り組みになるお考えはございませんか。大臣どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、今の財政法でございますが、財政法では、国債というものは本来発行をするというのは変則である、殊に特例公債という名前がついておりますように歳入補てんというようなことをしてはならぬ、そういう国債はしてはならぬのだというのが基本でございまして、それで過去何十年来ましたせいもございまして、国債発行管理についてのいわばこういう現実の状況になりました今としては本格的な取り組みの姿勢をいわばやや欠いたままで過ごしてまいりましたと思います。 しかしこういうのがまた現実になりましたし、ある意味で金融資産でもあるということになりますと、財政法の考えは考えとしながら、こういう現実になってきた事態にどう対処するかというのはやはり考えてみるべき私は問題であろうと思います。先ほどちょっと申しました単年度主義の予算との関連などもその一つだと思いますけれども、そういう問題はやっぱり根本的に検討すべき時期が来ておるように考えておりまして、事務当局にもだんだんそういうことを考えてみてほしいということを申しておりますが、そのいかんによりましてあるいは安恒委員の言われますように財政制度審議会等々をお煩わせすることが適当なことになるかもしれない。もうしばらく検討を進めましてそれは決めていきたいと思います。
○安恒良一君 大臣、重ねて僕は意見を言いたいのは、国債を出したときのあり方は建設公債か赤字国債かと。そのことについて野党もいろいろ意見があったんです。しかし、今日百五十二兆円残高がある。当分毎年発行していかなきゃならぬ。しかも金利状況がこうなった。そうすると、国民としては金利負担が軽い方がいいに決まっていますから、そういう従来の発想だけにとらわれぬ今の現状になっているわけです。そのときには私は大胆な発想の転換があって、しかるべき審議会にかけ法制化するものは法制化して、私たちの議論にお持ちになるべきじゃないでしょうか、これは。そういうところに来ているんじゃないかと私は思います。 どうも財政政策、金融政策、前回も議論しましたが、やや後手、後手に――こう言うとまた怒られるかわかりませんが、私はそういう心配をする。だから、この問題も私は少し大胆な発想転換をされて、そして法律改正すべきものはして、私は国会の議論にゆだねられる。当初国債を出しておった時代とは違うんですね、野党も建設国債をうんと出せ、こういう意見を持っているぐらいですから。その点で少し前向きに取り組んでもらいたいと思いますが、どうですか、そこは。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府が余りすばしつこい財テクをすべきだというほどには私は思いませんけれども、何といってもこれは国民の負担でございますから、おっしゃいますように。その点は十分に考えなければならないと思っております。
○安恒良一君 それじゃ、その積極的な取り組みをお願いして、次に行きます。 実は、予算書の付表の部分で、環境保全経費と物価対策経費の総括表が六十二年度から載らなくなったんですが、この載らなくなったことに対しての理由を大蔵大臣、それからそれぞれの関係大臣、この点についてどう思われますか。
○政府委員(西垣昭君) 今予算書とおっしゃいましたけれども、この「予算及び財政投融資計画の説明」のことではないかというように思います。この「予算及び財政投融資計画の説明」につきましては、国会における予算審議の便に供するために大蔵省において作成、提出しているものでございます。 御指摘がありましたように、環境保全経費及び物価対策関係経費総括表につきましては、六十二年度から付表から落としております、六十一年度までは載っておりましたが。これは、私ども技術的に考えまして、付表の資料を総論的な資料だけにとどめる。その方が整合性があっていいのではないかということで編集を行ったものでございまして、環境保全対策及び物価対策経費に対してそれを軽視するというような、そういった意味のものではないわけでございます。 ちなみに申し上げますと、この付表に載っておりますのは六十二年度の説明におきましては五項目ございまして、一が昭和六十二年度一般会計歳入歳出予算の概要、二が昭和六十二年度一般会計歳入歳出予算経常部門及び投資部門区分表、第三が昭和六十二年度一般会計歳出予算所管別対前年度比較表、第四が昭和六十二年度予算定員対前年度比較表、第五が昭和六十二年度経済見通し主要経済指標、こういうことでございまして、いわば総論的なものの中に各論的なものが入っているので、その整合性を整えた方がよろしいのではないかということで落としたものでございます。
○国務大臣(稲村利幸君) 環境保全に必要な経費につきましては、毎年政府の環境保全経費として取りまとめ、関係各方面にも説明し、関係省庁との十分な連携のもとに環境行政の総合的な推進を図っているところでございます。 このように環境行政には日ごろ積極的に取り組んでいるところでありますが、今後とも環境保全経費の関係各方面への説明には十分意を尽くし、いささかの懸念の生ずることのないよう対処してまいりたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 物価対策関係経費総括表の扱いにつきましてはただいま政府委員から説明があったとおりでございますが、経済企画庁といたしましては、従来から物価対策関係予算の確保に努め、物価の安定に全力を尽くしておる次第でございます。 ちなみに、総理の諮問機関として物価安定政策会議がございますが、経企庁も事務局として常時これを開いておりますし、また経済企画事務次官が主催いたします物価担当官会議、これも常時、例えば円高差益の還元等についても開いて努力をしておるつもりでございます。
○安恒良一君 予算説明の付表の部分に、今私が指摘したものが六十二年度から載らなくなっていることは事実なんですから。そうしますと、環境保全について政府の姿勢はこのところ基準見直し等で後退をしているというふうに国民の目に映っているわけです。また、物価問題についても、載らなくなると手抜きがあるのじゃないか、こういうふうになりますから、私は予算書の説明から削ったということがどうもそのことと軌を一にしているのじゃないかという疑いを持ちたくなります。 そこで、我が党の環境委員会の委員からもこの表の削除には実は異議が出ています。こういうものを削除することに異議が出ている。ぜひ来年度から復活をさせてもらいたいと思いますが、大臣どうですか、この点。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお聞き取り願いましたように、削除につきましては別に他意はなかったのでございましたが、その結果として今のような誤解を生じ、あるいは御審議に御不便であるということでございますれば、これは再検討をさせていただきます。
○安恒良一君 再検討していただきたい、今まで載せておったものを載せなくなってせっかく政府がやっておっても手抜きがあったのじゃないかと言われたら、担当大臣はたまったものじゃありませんからね。ですから担当大臣は、私はぜひ載せてくださいと言うだろうと思ったら、宮澤さんが怖いのかなんか知らぬけれども、わけのわからぬ説明だけであった。やはり我が省としては載せてもらいたい、こういうことだと思いますから、どうぞ宮澤さん……。 次は、運輸大臣にちょっと。項目を書いてありませんで質問通告をしておったんですが、実は港湾が今年度非常に長くストライキをやって、いろいろ運輸大臣にもお骨折りも願ったわけです。 ところが、港湾労働者をめぐる諸課題は、港湾の労使の当事者能力を超えた課題が非常に山積しています。そこで、どうしても四者協議体制が必要だと思いますが、労使ではそれの努力をしようということになっていますが、これはとても労使だけではできる問題ではありません。 そこで、ぜひともひとつ運輸大臣のお力添えによって四者協議体制ができて、そして港湾労働者が安心して港湾荷役ができるようにしていかなきゃならぬと思いますが、この点について運輸大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 初めに、ストの終息についての御協力にこの場をかりてお礼を申し上げます。ありがとうございました。 そこで、社団法人日本港運協会と全国港湾労働組合協議会、また全日本労働総同盟交通運輸協議会港湾部会が締結をいたしました約定書を私も見せていただきました。そしてその中には確かに今御指摘のように、今日の港湾労働をめぐる諸問題というものが、港湾労使の当事者能力を超えた課題が山積をしておるという認識が示され、その結果として四者協議という体制をつくることに対して日本港連協会が同意する趣旨のものがあることを承知いたしております。 ただ問題は、雇用保障とか労働時間あるいは年金といった雇用あるいは労働条件に関する問題というものは、私は本来的に労使間で協議、決定をすべきものであると思いますし、従来から労使交渉の上で協定をつくってこられたわけでございます。 そうなりますと、国としてはやはりちょっと、この場に入ってメンバーの一員となるという立場にはなじまないのではなかろうかという感じが私はいたします。運輸省の立場からすれば、所管監督官庁としての立場でそれぞれのグループに対して指導、助言の努力を怠るものではございません。
○安恒良一君 四者と言ったから国と言われたんですが、そこのところをおいても、それじゃとりあえず三者協議と言いますか、それと国が横におってそういうものをつくるためにも、ぜひひとつ大臣努力をしてもらいたいと思いますが。どうぞ、努力すると一言言って、それで済むわけだ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 安恒委員に一言で答弁をいたしますと、後で大変苦労することになりますので。 しかし、海運、港運双方が抱える問題につきまして海運、港運の両業界がよく話し合い、相互の理解を深めるということは大変大切なことであると私も思います。ですから、非常に困難な課題があることは御理解をいただいた上の御質問でありますので、御趣旨を踏まえて、両業界の関係が円滑に進むように努力をしたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で安恒良一君の質疑は終了いたしました。(拍手) 午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。 これより吉川春子君の質疑を行います。吉川君。
○吉川春子君 まず文部大臣にお伺いいたします。 臨教審の第一部会長代理の香山健一氏は、その著書「自由のための教育改革」の中で、前川レポートの推進の成否は第三の教育改革が断行されるか否かにかかっていると述べておりますけれども、大臣はこういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私も香山さんの本は読みましたけれども、ちょっと私たちとも考え方の違うところがございますし、前川レポートの実行と教育改革との関係というのは私たちもうちょっと判明しがたいところがございまして、私はあの意見とはちょっと違う意見をもまた持っておるということです。
○吉川春子君 前川レポートというのは財界のための市場開放、構造調整を進めるもので、このために教育改革を行うというのはとんでもないことです。教育を時の政府の政策遂行の手段にするなどということはやってはならないと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 教育はやはり絶えず国家百年の前方をにらんで行うべきでありまして、その意味において、経済政策であるとか、あるいはまた産業政策であるとかいうことと直接絡ます必要は私はないと思うのでございます。しかし、学ぶ者がそういうものを志向しておるということもまた否定はできないと思いますが、それに対応する時代に必要な教育の改革というものも必要でございます。しかし、産業経済あるいは何々の目的のために教育制度を改革するということではなく、やはり国家の将来を見通しての改革を行うべきだという信念であります。
○吉川春子君 臨教審は第一次答申の中で、学校開放についてはどう述べているんでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 生涯学習体系への移行を速やかに実行していくべきだという臨教審の答申、これに対しましては私は大筋として賛成でございますし、当然これからは学歴社会の弊害を是正するという意味におきましても、やはり生涯学習体制を必要とすると思います。その意味において、生涯学習をすることのためにもやはり、学校というのは教育機関ではございますが、同時に社会の人たちもこれを教育施設として利用し得る体制をとるべきであろうと思います。その意味において、私は適宜やはり開放していくことも必要だと思っております。
○吉川春子君 大臣の御意見を承りましたが、臨教審は具体的にどのように述べているか、事務当局から御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(古村澄一君) 臨教審の答申の考え方は、今大臣がおっしゃいましたように、生涯学習ということを進めていくということで、そのときには学校を十分活用したいというのが臨教審の答申でございますので、学校開放を積極的に進めるというのが基本姿勢でございます。
○吉川春子君 臨教審は、学校開放の目的の一つとして、学校のインテリジェント化のために学校開放を積極的に行うべきとしていますが、学校の教育、文化、スポーツ施設のインテリジェント化というのはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘の教育、文化、スポーツ施設等のインテリジェント化という提言は、このたびの第三次答申で提言をされている考え方でございます。 この第三次答申に示されておりますように、この考え方は、一つはこれからの生涯学習への対応という観点、もう一つは社会全体の情報化への対応という観点、さらには施設の有効活用という観点に立って、学校に限らず文化、スポーツ施設というものにつきましてこれの積極的な活用、地域に根差した活用を図っていきたいという考え方ではなかろうかというふうに思っています。
○吉川春子君 例えば小学校、中学校の地下に駐車場をつくるなどということも学校開放の一つと考えられるんでしょうか。
○政府委員(古村澄一君) 学校の運動場の地下に駐車場をつくるというのは、いわゆる私たちが言っております学校開放の概念の中には入っておりません。
○吉川春子君 今、東京杉並区で中学校の地下に駐車場をつくるという計画があるんですけれども、阿佐ケ谷中学の建てかえ、地下駐車場建設計画について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(古村澄一君) 阿佐ケ谷中学は杉並区区役所の庁舎の隣にありまして、ちょうど阿佐ケ谷中学校の校舎を老朽化しているので建てかえたいという話があり、片方、杉並区役所に来られる方の駐車場がないということからのその接点で、学校の運動場の下を駐車場にしたらという計画があるやに聞いております。
○吉川春子君 その駐車場の建設計画の全容は御存じないんでしょうか。
○政府委員(古村澄一君) これは杉並区の方で計画をされておりますが、具体的に細かいことまでは知っておりません。
○吉川春子君 阿佐ケ谷中学の建てかえは何のために行われるんでしょうか。
○政府委員(古村澄一君) 阿佐ケ谷中学校の校舎が老朽化したということから建てかえの話が起きているということでございます。
○吉川春子君 地下に三層の駐車場を建設するということですけれども、この工期等については御存じないんですか。
○政府委員(古村澄一君) 工期は六十二年の七月から六十五年の三月ということでございます。
○吉川春子君 今までに公立の小中学校の地下の敷地、校舎校庭の敷地全部に駐車場をつくる、こういうような計画があったんでしょうか。
○政府委員(古村澄一君) そういう例は今まで余り聞いたことはございません。
○吉川春子君 これは校舎の建築に二年、それから地下駐車場の建設に二年、合わせて四年間の工期で行われるわけですけれども、法律も予想していない初めてのことです。四年間全く校庭が使えない、そして二つの学年は入学から卒業まで一度も校庭を使えない、こういう状態になるわけです。一番活動的な子供たちがこれでいいんでしょうか。工事中の騒音の中、プレハブでの授業で、その授業の効果が上がるのか。交通事故の危険等もありますけれども、こういうことが教育上許されるんでしょうか。
○政府委員(古村澄一君) 聞いておりますのは、駐車場についてはシールド工法ということでやるということでございまして、それからその駐車場の出口の問題、あるいは騒音、排気ガス、そういったものについては学校教育に十分支障がないような出口の方向をつけるということでございますので、そういった計画で進められるというふうに聞いております。
○吉川春子君 四年間一度も校庭が使えないということについて、教育上の支障はありませんか。
○政府委員(古村澄一君) 校庭の問題は、私たちが聞いておりますのは、駐車場建設から来るのじゃなくて、学校の古い校舎を立てかえるときに仮設校舎をつくらにゃいかぬ、そういったことから校庭がつぶれてくる、そのことは通常学校のところで一応あり得ることでございます。それはもうやむを得ないことだというふうに考えております。
○吉川春子君 文部省は大変調査不足だと思います。校舎の建築が二年かかって終わった後、校庭を全部ひっくり返して校庭の下に駐車場をつくるので、校舎の建築と関係ないんですよね。そういうので校庭が使えないということは教育上の支障があるんじゃないですか。
○政府委員(古村澄一君) 先ほど申し上げましたように、駐車場の問題は、シールドという工法ですから、下から潜ってくる話ですから、それによって上から開いてというふうな話は聞いておりませんので、いわゆる駐車場が一時期運動場を占領する、駐車場建設のために、というふうなことは聞いておりません。
○吉川春子君 それは事実と違うんですね。校庭を全部掘り返してやるんですよね。横から入っていくところなんてないですよ、あの周辺の地理的な条件を見れば。そういうことをもう少し文部省、詳しく調べてみてくれませんか。
○政府委員(古村澄一君) 当然、区の児童生徒に対する教育は区が責任を持ってやることであり、それが学校教育に影響を最大限少なくするというのが区の教育委員会の仕事でございます。したがって、区もそういった工夫をしてやってきていると思いますが、なお都を通じて話を聞いてみたいというふうに思います。
○吉川春子君 工事が完成しますと学校の地下には二百台の車が置かれる駐車場になるわけです。僕たちはガソリンの上で遊ぶのかと子供たちは言っているそうです。区は、工事中この学校を災害の避難場所にせず、道路を避難場所にする。学校は本来第一次避難場所になっていますけれども、ガソリンを積んだ車がたくさんある上が避難場所として適切な場所がどうか。私は国土庁、消防庁などに聞いてみましたけれども、こんなケースは初めてなので即答できないと言っているんですね。 それで、千数百人の子供の学習、生活の場ですから、この安全性について文部省は各省守と十分協議して、安全かどうか確かめていただきたいと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(古村澄一君) そういったことを含めまして、区の教育委員会には学校教育上支障がないようにという指導はいたしたいというふうに思っております。
○吉川春子君 私は現地へ行きましてお母さん方から話を聞いたわけですけれども、皆さん非常に大きな不安を持っています。こんな中学校には入れたくないと。私立の中学校に入るために小学校一年生から塾に通わせている人もいます。地下駐車場が非行やいじめの場にならないかと、そういう心配もあるわけです。教育上こういう重大な支障が解決されない限り工事を行うべきではないと思うんですけれども、文部大臣、この件についていかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) それは御心配のことはいろいろあると思うのでございますが、しかし、事がそういうふうに計画が決まりましたについて、東京都並びに杉並区等が今まで長年にわたっていろいろ検討した結果、そしてまた学校当局に関係する方々、PTAとかの方々にも御了解を得てやっておるんだと思いますし、何もまた、それがため営利にやろうというんじゃございませんで、区役所の便利ということもございますし、そういういろんな総合的に考えて、余りヒステリックに私は考える必要はないと思っております。十分に検討はいたしますけれども、地元で決まったことを文部省から、その安全の確認をする責任はございますけれども、私は現在の計画でいいのではないかと思っております。
○吉川春子君 父母の納得を得ていると言うんですけれども、学校で集めて父母に説明会をやると反対意見しか出ない。区民全体は、この計画を知らない人が八三%いるということで、納得を得ているというふうにはとても言えないわけです。ぜひ、先ほど官房長が約束しましたように、十分調査して、教育上支障のないように、安全対策も十分確認してから工事に着工するということを私は要求します。 さらに、ここは区庁舎の建設とセットになっておりまして、でき上がった暁には校庭にほとんど日も当たらなくなる、こういうところなんです。臨教審は、経済効率を重視して、学校の施設も地域住民の共有財産だ、だからどんどん開放せよというようなことを言っていますけれども、まさに学校のインテリジェント化とか地域への開放、こういうことが教育の破壊につながるという一つのはしりのような例が杉並区であらわれているというふうに私は思わざるを得ないんです。だから、将来都内の小中学校の下がみんな駐車場になる、そんなことになったら大変ですし、こういうような問題について、初めてのケースですから慎重に文部省も指導していただきたい、そのことを申し上げたいと思います。
○政府委員(古村澄一君) 先ほどお答えいたしましたとおり、十分いろんな点を考えながら、都の教育委員会、区の教育委員会に対して指導をしてまいりたいというふうに考えます。
○吉川春子君 大学改革について伺います。 臨教審は、教育改革の突破口として大学改革を位置づけ、産官学の推進、大学審議会の設置などを打ち出しました。これらは、学問の自由の制度的保障である大学の自治、これを侵して、大学をして財界及び時の権力の意のままになる機関への変質を迫るものであると私は考えます。その一つとして、文部省は大学の再編を強引に押しつけようとしています。例えば東大の大学院重点大学構想についてもそうです。今重大なことは、東大内では、こうした構想が、文部省の後押しで進められている大学院大学をつくるならば予算もふやす、こういう指導をしているそうじゃありませんか。事実とすれば大変なことだと思いますが、どうですか。
○政府委員(阿部充夫君) 東京大学が大学院を充実したいという考え方で大学院問題の検討に着手をしたということについては聞いておるわけでございますけれども、具体にどういう内容でどういうものにするかというのはこれからということのようでございます。 なお、この点につきまして文部省から具体に、例えばこうしろああしろというようなたぐいのことを申したということは全くございません。
○吉川春子君 本来大学の自治に介入するようなことはやめるべきで、予算をえさにして陰からのそういう圧力というものをきっぱりやめるべきであると私は申し上げておきたいと思います。この案は、臨教審のねらう大学院大学の先取りとも言えるもので、我が国の大学のあり方を根本的に変えるものです。それは東大などごく少数の大学を特別に優遇して充実せよというもので、大学間格差を一層広げるものです。しかも、大学の自治を踏みにじってやられようとしておりますが、こういうことが行われれば大学の自治に対する大変な侵害である、断じて容認できない、こういうことを私ははっきりと指摘して、次の質問に移りたいと思います。 臨教審はいろいろな方向を目指しているわけですけれども、新しい国家主義の方向を目指すということか概要あるいは答申の中にちらちらと見えるわけです。 大臣に伺いますけれども、文部省検定の「新編日本史」、この指導書において、神武天皇の存在を否定できないなどと書いてあります。戦後このことについては学問的にもはっきり否定されていることです。文部省は、文部大臣はこんな皇国史観に立ったような記述についてお認めになるんでしょうか。
○政府委員(西崎清久君) 御指摘の点につきまして、二点に分けてお答えいたしたいと思います。 一つは、教科書自体、御指摘の「新編日本史」教科書につきましては、いわゆる日本書紀、古事記の内容となっておる神話等の取り扱いにつきましては、やはりそのまま史実とは認めがたいがというふうな表現をちゃんと入れておりまして、戦前の教科書は、先生御案内のとおり、記紀の内容、神話の内容を歴史的事実として教科書で記述されていた、そこに違いがあるわけでありまして、教科書自体につきましては、扱いとしては今申し上げたような扱いになっておるわけでございます。 それから第二点目として、指導書の問題でございますが、指導書につきましては、この教科書についてまだ全部の発行は行われておりません。ただ、古代編につきまして仮製本の形で配布をし、有料でございますが、行っておるという事実はあ各わけでございます。 この指導書につきまして、文部省は検定をしておらないわけでございますが、私どもでちょっとその内容を見てみますと、神武天皇の実在性という事項の説明の中で、神武天皇の存在自体についての否定論というものがいろいろある。その否定論の一々について、こういうことで否定をするというわけにもいかないんじゃないかというふうなことで書いておりまして、神武天皇の存在まで否定することはできないであろうと、否定論の個々についての注をつけておるわけでございます。したがって、この指導資科自体が実在性を論証しておるというふうにも読めないわけでございますが、やはり指導書は先生方の指導にかかわる書物でございますので、いろいろな立場での適切な表現がなされるべきであるということは当然であろうかというふうに思うわけでございます。 以上でございます。
○吉川春子君 否定を否定するということは肯定になるわけですね。 それから、いろいろな学説があるという理由のもとにこういうことが言われていると。確かに今御指摘なさったところで、神武天皇の存在を否定することはできない、こういうふうに指導書で書いてあるんですけれども、この点について大臣はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(西崎清久君) 神武天皇の存在自体についてはいろいろと学説が分かれるところでございまして、これは行政官の立場あるいは大臣の立場でお答えするというのもいかがかと思うわけでございますが、私どもが従来いろいろ通説として見ておる限りにおきましてのお答えを申し上げますれば、神武天皇の存在自体を肯定するということもなかなか難しいし、否定することも、全く否定することもなかなか難しいというふうなところがいろいろ学説として分かれておるところのようでございます。したがいまして、教科書につきましても、その辺については指導書においても慎重な表現であることが必要であろう、こういうふうに考えるわけでございます。
○吉川春子君 私はぜひ大臣のお考えを伺いたいんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(塩川正十郎君) これはそもそも教師用指導書というところに書いてあって、今取り上げておられると思うんです。私は、教師用指導書と教科書というものを、このあり方を、両方の一体感と申しましょうか、そういうふうなものをもっと検討していく必要が今後あると思っております。 この問題について、神武天皇の存在を否定するかしないかということは、教科書の方で書いておりますことは明確に書いておりますが、それは教科書にどう書いてあったか私も文言は忘れましたけれども、教科書で書いておることと指導書で書いておることと若干ニュアンスが違うように私は思うのであります。そこで教科書と指導書の関係をこの際検討すべき問題だと、こうとらえております。 これは何も「新編日本史」だけではございませんで、高校で現在使われております「現代社会」の教師用指導書などを見ましても、教科書ではちゃんと公平なことを書いてあって、指導書の中では、公害は資本主義社会だから起こるんだ、社会主義社会では一時は公害があっても、社会主義社会では公害はなくなるんだと、こういう荒っぽいことを言っております。こういうことも、指導書としてこれがいいんだろうかと私は非常に疑問に思っておる。ですから、教科書と指導書との関係を見直すことによって、きちっとすることによって、さっきおっしゃったような疑問も解明していくと思っております。
○吉川春子君 社会主義国というのはまた国民のためにある制度ですから、私はここでは触れませんけれども、神武天皇の実在説についてどうお考えなんですかということを大臣に伺います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、神武天皇という、肉体的に見た場合の神武天皇とおっしゃるから、おられたのかどうかということは、私は見ておりませんのでわかりません。けれども、神話として神武天皇というのが出ておるということは、日本の神話でこれは重要なことだと私は思っております。
○吉川春子君 神話としてあるということと、その実在性を否定できないということとは全く違うものです。非常に文部大臣の答弁も私納得できません。それで、臨教審も第二次答申の「二十一世紀のための教育の目標」の中で、国を愛する心、人間の力を超えるものを畏敬する心、不易なるものの重視など、こういう新しい国家主義の教育の意図を露骨に示しているわけで、こういうものと関係のあるものということを指摘しておきたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。佐藤昭夫君。
○佐藤昭夫君 関連して、国際日本文化研究センターの問題について質問します。 まず、本年度予算案に計上している金額及び内容、設立目的、御説明いただきたい。
○政府委員(植木浩君) 国際日本文化研究センターを昭和六十二年度に創設するということで、六十二年度の予算案に経費として三億八百万円を計上いたしております。 なお、この国際日本文化研究センターは、御案内のとおり、近年日本の国際的影響力が増大したこと等に伴いまして、日本に対する世界各国からの関心が非常に高まってきております。このため、世界におきます日本文化研究の現状と動向を的確に把握しつつ、日本文化を国際的、学際的、総合的に研究をするとともに、世界の日本研究者に対しまして、日本文化研究の研究情報の提供等のいわゆる研究協力活動、サービス活動を行うことも目的としておりまして、こういう趣旨で昭和六十二年度に創設したいということで予算案に計上いたしておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 現在十一ある国立の共同研究機関は、ほとんどすべて日本学術会議なり関係学会の勧告、建議に基づいてつくられてきたものだと思います。今回の日本文化研究センターについてはどうなっていますか。
○政府委員(植木浩君) 研究機関を創設いたしますときに、日本学術会議からの勧告がございまして、そういったものを踏まえながら学術審議会等でさらに具体的に検討をして研究機関をつくるという場合もいろいろございます。しかしながら、同時に、日本学術会議から勧告がない場合でも、学術審議会等で審議の上研究機関をつくることもございまして、この場合には学術会議からの勧告はございません。
○佐藤昭夫君 いろいろございますと言いながら、大部分は日本学術会議または関係学会からの建議、勧告に基づいてやってきている。ところが今回はそういうことになっていない。一方的に権力的につくろうとするものだということですが、例えば学術会議からの勧告はなくてつくった例として歴史民俗博物館、これを往々にしてお挙げになるわけですけれども、この場合は、準備会から設立するまで十四年かけて広く各界の意見を聞くという慎重なやり方をやってきているんですね。ところが今度のやり方というのは、まことに性急なやり方で事を進めようとしている。一体、現在どんな団体からこういうやり方についての反対意見が寄せられていますか。
○政府委員(植木浩君) 私ども、研究者からいろいろとこういう構想がございまして、研究者の間でいろいろと研究をされてまいりました。さらに調査会等を設けて検討し、また学術審議会でもこういったものが早急に必要であるということで創設をお願いしているわけでございますが、この国際日本文化研究センターの創設に反対をしているという方々は、私の知っているところでは、歴史関係の学会の一部の方々でこういったものについていろいろ疑義があると、こういうことを承知いたしております。
○佐藤昭夫君 一部の団体ではないと思います。歴史学関係の研究者組織、ここからの反対の、その団体名を挙げてください。
○政府委員(植木浩君) 日本史研究会あるいは歴史科学協議会などでございます。
○佐藤昭夫君 京都の民科歴史部会、歴史学研究会、意図的にそういう名前は外しているじゃないですか。 それならば逆に聞きます。賛成の意見を寄せておるような学協会はありますか。
○政府委員(植木浩君) 先ほど申し上げましたように、非常に新しい角度から日本文化というものを国際的、総合的、学際的に研究をするということで、これにストレートに対応する学会というものがない状況でございます。 そういうわけで、学会からこれに対して賛成であるというような直接の御意見はございませんけれども、先ほど申し上げました研究者がいろいろとこの構想を立てている間あるいは調査会等を設けている間、さらには学術審議会で審議をしている間に、多くの研究機関や内外の研究者の方々の意見を私どもとしては慎重に承りまして、なるべく早くそういうものを創設してほしい、こういう御要望に基づいて今回創設の要求を出しているわけでございます。
○佐藤昭夫君 はっきりしているように、今回の政府の提案に対して賛成意見を寄せているような学者、研究者の組織というのは一つもないということです。 四月二十二日、学術会議の第百二回総会において、歴史学研究連絡委員会から「討議のあらまし」として慎重な再検討を求める報告書が出ています。このことを大臣御存じですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 最近になって聞きました。
○佐藤昭夫君 学術会議事務局長、その報告の第一章、センターの学界的基盤について述べている部分を読んでください。
○政府委員(田中宏樹君) 最初にお断りいたしますが、学術会議の総会への報告はいろんな委員会、研連で百八十ございます。各委員会が総会開催の時点で日常の活動状況を総会に報告するものでございまして、学術会議の関係部、委員会等の見解でも審議の結論でもございません。 この報告では、第七回委員会の報告としまして、国際日本文化研究センターの問題については外部への意見表出を行うことを取りやめ、百二回総会への歴史学研連報告に研連における「討議のあらまし」をつけることということにしたものでございます。そういう性格の上で御指摘のところを読まさせていただきます。 一としまして、「「センター」の学界的基盤について」というのがございます。 本「センター」は、「日本文化研究」を標榜しながら、従来、日本文化研究の主要な部分を担当してきた歴史学、美術史学、思想史学、考古学、民俗学、文学、語学等の学者及びそれらの学問分野に関する諸学会、さらには、日本文化の研究に深く係わる社会学、法学、経済学等の社会科学者及びそれらの学問分野に関する諸学会等と、何ら関係がなく、いわんやそれら諸学者、諸学会の学界的基盤の上に構想されたものではない。このような学界的基盤をもたないということは、「センター」の目指す「日本文化研究」の方法と方向が学界全般の学問的支持をえられていないことを意味し、「センター」の将来の学問的発展にとってきわめて由々しい事態であると思われる。こういう内容でございます。
○佐藤昭夫君 第二章のセンターの設立経過に関する部分で、初めの六行ほど読んでください。
○政府委員(田中宏樹君) 二でございますが、 上記一で述べたように「センター」が、従来日本文化研究を担当してきた諸学会の基盤の上に構想されたものでないということは、「センター」の設立の経過に淵源する事態である。「センター」は、学界において、ほとんど全くといってよいほど学問的支持を得ていない特異な主張を持つ個人の研究者の構想を土台とし、この構想に共鳴した、時の有力政治家の強力な支持をえて準備され、昭和六十二年度より発足しようとしている。以上でございます。
○佐藤昭夫君 ただいまあった時の有力な政治家とはだれですか、大臣。
○国務大臣(塩川正十郎君) 有力な政治家だけでこういうのは決定しておらないと思いまして、それはいろんな学会の要請も実はございましたし、また学者自身の直接の要請もございましたし、また方向としては、国としてやはり日本文化を研究し国際交流の一つの拠点となるような研究機関が必要だという判断の上に立って設立へ踏み出したというものでございます。
○佐藤昭夫君 答えてないです。有力な政治家はだれだと思われますかと聞いているんですから、そこに答えてください。
○国務大臣(塩川正十郎君) それはいろんな有力な政治家おられます。筆頭に中曽根総理もおられますし、そしてまた安倍晋太郎もおりますし、それから竹下登もおりますし、(「塩川」と呼ぶ者あり)まあ私、塩川正十郎もおりますし、どうぞお見知りおきいただきたい。大蔵大臣の宮澤喜一先生もおられます。
○佐藤昭夫君 紛れもなく中曽根首相がその推進力になったわけでありまして、あの自民党軽井沢セミナーで、天皇在位六十年について述べつつ、日本のアイデンティティーを確立するためにこのセンターをつくると言い、本国会の施政方針演説でも同趣旨を述べるなど、総理の強引な指示で新国家主義を目指す特定の学問研究を権力的に推進しとうとするものであって、まことに学間の発展に有害だと私は思いますが、大臣の見解どうですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私はそれは一面の見方だと思うのでございまして、今日国際的に例えば日本学を研究しておられる学者が随分とたくさんおいででございます。そういう方々が日本へ来て、それでは日本文化の研究のセンターはどこにとったらいいかということでいろいろと我々にも要請がございます。また、国際的に交流をしたいということもございます。 そういうセンターは、やはり私は、日本が国際化を目指す、しかも日本の文化というものを国際的に正確に知っていただくという意味において、そこに中心となるようなものは何かなければならないと思うのでございます。もちろん歴史民俗博物館もございますし、これはこれなりで日本の古来からのずっと生活を中心とした日本文化の研究をやっておりますし、また一方これからつくろうといたしますのは、生活だけではなくして主として文化の面に重点を置いた研究所を設置しようというものでございまして、それぞれの研究所にその特色を持たせて発展させていくべきだと思っております。 その意味で私は、この研究所はぜひ日本としても、また国際社会から日本を見る目からいたしましても必要な研究所であると信じております。
○佐藤昭夫君 大臣がそれほどこのセンターはいいものだ、立派なものだと言われるんでしたら、関係する学会や学協会から一つでもいい、賛成団体が出てきてもいいはずじゃありませんか。それが一つもないじゃありませんか。それはやっぱりこの政府のやり方が大変重大な問題をはらんでいるという証拠だとお思いになりませんか。
○政府委員(植木浩君) 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては内外の研究機関や研究者、数多くから意見を聞いております。例えば国内では大学関連の研究所等を中心に五十二機関、海外では日本研究関連の研究所等を中心に二十二カ国八十三機関、合計百三十五機関から意見を承っておりますし、その他国内の関係の研究者等にもいろいろな機会に会議等でかなりの多数にわたりまして御意見を承った上で創設の要求を行っているわけでございます。
○佐藤昭夫君 幾ら言われようとも、賛成意見を出しておるそういう団体というのは一つもないということははっきりしている。この研究センターがいわば戦前の一九三二年、国民精神文化研究所が権力的につくられて、全国民を侵略戦争に総動員した現代版であるというふうに言わざるを得ないのであります。本センターのこうした予算、計画は撤回をして関係学会や学者の意見に真剣に耳を傾けるよう特に大臣に強く求めるものであります。大臣。
○国務大臣(塩川正十郎君) お言葉でございますが、私は撤回する意思ございません。 と申しますのは、先ほども学術会議の事務局長さんの報告の中にもございましたように、この取りまとめをされた報告書というのは、要するに一言で言いましたら、いろんな意見があった。意見があったことは掲載、お書きいたしますけれども、これをもって学術会議の決議であるとかあるいは委員会の結論であるということにしてもらっては困るということははっきりおっしゃっていますから、やっぱりいろんな議論があったということは事実私はわかっておりますが、その議論を踏まえて、そうか、それじゃこれ撤回しようかと、そう簡単な動機から我々はこれを発起し予算をつけたというものではございませんので、撤回する意思ございません。
○佐藤昭夫君 終わります。
○吉川春子君 先ほどの「新編日本史」の指導書に対する大臣の見解は真実の記述を偏向であるとすることで私は納得できませんし、神話上の人物を否定も肯定もしないような、こういうさっきの文部省当局の回答なども新しい国家主義を生むものだということを指摘しておきたいと思います。 臨教審は、行財政改革との整合性、国家財政全般との関連などといって、臨調行革の進めてきた教育費の削減の方向を一層推し進めようとしています。これは教育改革ではなくて教育の切り捨てであると言わなくてはなりません。 臨調行革の行われたこの七年間、例えば公立学校の施設整備費はどのようになってきていますか。
○政府委員(加戸守行君) 公立学校施設整備費につきましては、児童生徒数が減少いたしまして、そのために市町村等の事業計画も年々減少いたしております。そういった形で、この数年間の公立学校施設につきましては、予算が毎年七%ないし一〇%例年減少するという状態でございます。 ちなみに、六十二年度予算案には三千億弱の予算を計上いたしておりますけれども、現在市町村等で計画をいたします事業量は十分確保される金額は計上されております。
○吉川春子君 児童が減っているから予算が削減されたんじゃなくて、臨調行革だから削減されたんじゃないですか。 現在、大規模校、過大規模校の実態はどうなっていますか。
○政府委員(加戸守行君) 文部省といたしましては、現在、小中学校につきましては三十一学級以上の規模のものを過大規模校と呼んでおりまして、この過大規模校が、六十一年五月一日現在の数字といたしましては、現在千四百三十五校の小中学校がございます。
○吉川春子君 この過大規模校を解消して、建設費を十分とれればかなり内需の拡大にもなると思うんですけれども、学校建設の場合、どれぐらい費用がかかるのか教えてください。
○政府委員(加戸守行君) 学校建設の場合、いわゆる既設校で既存の用地を用いて建設いたします場合には用地費がかからないわけでございますけれども、新設校あるいは過大規模校の分離といったような状態の場合、新しく用地を求めるということで土地取得費がかなり経費がかかるわけでございます。 それで、先生の御質問の趣旨を首都圏におきます代表的な十八学級程度の規模の小中学校について申し上げますと、例えば六十一年度に補助事業として実施をしました埼玉県のある小学校のケースでございますと、校舎の建築費が五億七千二百万円、それから屋内体育館、運動場でございますね、屋内体育館でございますが、その建設費が一億八千百万円、そして用地費が九億七千万円というような状況でございます。それから東京都の中学校でございますが、一つの例でございますけれども、校舎の建築費が十三億四千二百万円、それから屋内体育館の建築費が二億五千九百万円、それから屋外施設といたしまして、これは小そうございますが六百万円、そして用地取得費が十八億二千百万円、こういうことで、これはいずれもいわゆる新設校のケースでございます。
○吉川春子君 体育館やプールの未設置校の実態、それから障害児関係の学校の体育館、プールはどうなっていますか。
○政府委員(加戸守行君) 現在、小中学校別の体育館の未設置数は、小学校でございますと千五百五十五校、全体の六%でございます。中学校につきましては五百十二校、全体の五%。それから盲聾養護学校につきまして申し上げますと、盲学校については全国で二校、全体の三%、それから聾学校につきましては四校、全体の四%が未設置でございます。なお、養護学校につきましては百六十三校、全体の二四%が体育館未設置でございます。 プールにつきましては、体育局長の方から答弁させていただきます。
○政府委員(國分正明君) 学校プールの設置状況についてお尋ねでございますので、お答え申し上げたいと思います。 小中学校でございますが、公立の小学校、設置率が七六・五%、それから中学校が六五・七%というふうになっております。それから盲聾養護学校関係でございますが、盲学校が五九・七%、聾学校が六三・八%、養護学校が三六・四%という状況になっております。
○吉川春子君 過大規模校や大規模校の解消、そして体育館、プールの建設などは、大臣、大分内需の拡大にも役に立つと思いますけれども、この際に、こういうものを一掃してすべての小中、そして障害児の学校に体育館、プールを建設すると、そういうことで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これはもう私たちも全く同感でございまして、一生懸命やっていきたいと思っております。今、義務教育関係でやっぱり重点投資をする必要がありますのは大規模校の解消、それと養護学校の施設が私は非常におくれておるように思っておりまして、これはかねてから当局にやかましく、今度の六十三年度予算の場合でも重点項目としろということでございますし、今度もし補正予算があるといたしまして、そこで公共的投資として学校の施設の関係を補充して認められるならば、これを重点に要求いたしたいと思っております。
○吉川春子君 大蔵大臣にお伺いいたします。 今お聞きのように、学校の施設設備の建設というのは本来教育に必要なのにもかかわらずまだ未設置校が大分ある。そのことが内需の拡大にもかなり役立つということなんですけれども、この際、例えば学校建設関係のシーリングを外すとか積極的に教育予算の方に国の予算を振り向けていただきたいと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 何といっても教育というのは我々の将来にとって一番大切なものでございますから、必要な金はどうしても確保しなければならないと思っております。ただ、そうであるからこれをシーリングから別にするということにつきましては、シーリングというのは、何も大事である、大事でないということで考えておるのではありませんで、今までありましたいろいろな硬直的な要素というのをこれによって何とか、いわばそういうきつい条件のもとにお互いに反省をしようという考え方でございますから、文教予算であるからといって特別扱いをするということは考えておりません。 それからもう一つ、前段の問題は文教施設の問題でございました。これを一般的な投資的な経費として考えていくことがいいかどうかという問題は確かにございまして、過去においてそういうふうな事実上の考え方をしたこともございます。したがいまして、この点は実際に応じて考えさしていただいてもいい問題が出てくるかもしれない。それはもうちょっと検討さしていただきたいと思っています。
○吉川春子君 文部大臣からようやく積極的な答弁をいただきましたが、大臣、そうしますと、特に障害児学校などについてはもう早急に、二、三年の間に少なくともプールは全校設置していただけると、このことをお願いしたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、ただ、ここで問題は、訓練の教師と申しますか、それとの関係が非常に密接なものがあると思っておりまして、そういう教育をされる訓練の教師、これの確保とあわせて進行していかなきゃならないと思っておりまして、その点でも積極的に進めてまいります。
○吉川春子君 事務当局にお伺いしますが、大臣が非常に積極的にそのことを進めていきたいと言っておられますが、プールや体育館の未設置校を解消する具体的な計画、そういうものを立てて取り組んでいくということなんでしょうか。
○政府委員(加戸守行君) 私ども例年予算要求を行います場合に、事前に各都道府県、市町村からの予定の事業計画を聴取いたします。そして、それの考え方に基づきまして都道府県、市町村の所要の事業量を確保できるように要求をさしていただくわけでございまして、先ほども申し上げましたけれども、ここ数年予算額は減少しておりますが、各都道府県、市町村の要望に沿える形の予算額を計上しておるわけでございます。例えば養護学校につきましても、主として都道府県でございますけれども、それぞれの所要施設の整備計画に従いまして私ども対応さしていただいているわけでございますが、なお先生の御趣旨を踏まえまして、各都道府県が一層整備に取り組むよう指導してまいりたいと思っております。
○吉川春子君 例えば、プールなどがある養護学校が一校もない県が、たしか島根と秋田だったでしょうか、二県あるんですけれども、地方の方から言ってくるのを待ってそれにこたえるという形で、マンモス校の解消なども計画をお立てになっておられるわけですけれども、なかなか各地教委の取り組み方にむらがありまして、積極的なところとそうでないところとあるし、なかなか困難な条件を抱えているところもあるわけで、そういう実情を十分に踏まえまして、学校教育施設にとって必ず必要な体育館、プール、そういうものがない学校が残らないようにぜひ全力を挙げてやっていただきたい。そのことを最後に要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で吉川春子君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、小西博行君の質疑を行います。小西君。
○小西博行君 まず、通産大臣と大蔵大臣にお伺いしたいと思います。 本委員会におきましても、我が国の重要課題、これは貿易摩擦の解消あるいは円高不況の対策、こういうところに焦点が集まっていたのではないか、このように考えるわけであります。何としても、国内の需要の拡大あるいは輸入をどうしてふやすか、こういうような大きな経済政策を、しかも具体的に進めていく必要があるのではないか。 ちょうど通産大臣はヨーロッパから帰ったばかりでありますから、特に、私は西ドイツのいろんな文献を勉強させていただきまして、ある意味では大変有効である。今回ヨーロッパの方へ行かれまして、西ドイツも輸出大国であるという観点からいろんな国々から相当厳しくやられたということも聞いておりますけれども、まず第一の目標としては西ドイツを見習うべきではないか、そのように思いますが、両大臣のお答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 今お話のあったとおり、西ドイツに対してやはり見習うべき点は多々あると思います。 私は先般来、西ドイツのバンゲマン氏を初めとしていろんな人にお目にかかり、また西ドイツの経済、産業の実態、とりわけ貿易に関する考え方あるいは実績等について詳しく聞いてまいりました。 西ドイツの一九八六年の貿易黒字、これは五百二十七億ドルでございまして、西ドイツの対GDP比が五・九%でございます。日本の貿易黒字が八百三十一億ドルでございまして、これが対GDP比を出してみますと四・二%ということで、むしろ西独の方が高いわけです。しかも、西ドイツは製品輸出国でありますと同時に、製品輸入国でもあるわけです。例えば、製品輸出二千二百十九億ドルに対して製品輸入が千三百三十億ドル、比率が一対〇・六、つまり十対六でございます。これに対して日本は製品輸出と比較して製品輸入が極めて少のうございます。製品輸出が二千五十六億ドル、製品輸入が五百二十八億ドル、比率が一対〇・二六でございます。これが特徴でございますが、貿易相手国産業に与える影響が異なり得るとの見方がございます。 また、対米輸出の依存度につきましても、日本は三八・八%、西独は一〇・四%、比較して極めて高い点が指摘し得るわけでございます。加えまして、西ドイツには国際的に実施すると約束したことは必ず実施するという、いうなれば国際的信用があるわけです。西ドイツはなかなか理屈は激しい、やり合うのも非常に激しいのですけれども、一たん約束したことは守るという民族性といいますか、国民的な習性がございます。それに対して日本の場合は、若干言葉が抽象的になってそれが誤解のもとになる場合も多々あるわけであります。 具体的に申しますならば、西独は貿易不均衡是正を目的として大幅な減税を内容とする御承知のような包括的税制改革を進めております。一九八六年一月一日から既に総額百九億マルク、日本の円にして八千九百三十八億円、レートで若干狂いはあるかもしれませんが、最近のレートでは八千九百三十八億円、この所得税の減税を実施しているほか、八八年に八十五億マルク、六千六百三十億円、それから九〇年一月一日には総額約四百四十億マルク、三兆四千三百二十億円の減税を行うことにしております。さらに、この四百四十億マルクのうち五十二億マルクは、これは四千五十六億円になるわけですが、ルーブル合意に基づきまして八八年に繰り上げ実施ということを予定しておるということで、国際的責務を果たしてきているということは事実言えます。 それに対して、我が国の内需拡大策につきましては、先ほど来申し上げましたように、OECDの閣僚理事会の会議冒頭から多数の国から高く評価もされた。また同時に、その内容、実施時期あるいは効果、経済効果、波及効果等に関して質問が集中いたしました。特に、この内需拡大策の中身について非常に評価と同時に疑念が表明されたということでありまして、中には、日本よ、国際信用を失わないラストチャンスだぞということまで言われたわけでございます。 先般、御承知のように、自由民主党が策定いたしました五兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策、いわゆる総合経済対策、この中身には非常に、つい先ほど申し上げたように評価も高くあり、強い期待が寄せられておりますけれども、私は、やはりサミット前にその内容を国際的にも納得されるような充実したものにしてこれを総理は持っていらっしゃるという必要があるんじゃなかろうか。 もちろん内需拡大策は我が国のために行うものでございます。外国のために行うものではございません。けれども、G5、G7等の合意を踏まえましても、先般の四極の貿易大臣会合を踏まえましても、今や日本の、あるいはアメリカの、あるいは西ドイツの、この三大経済国の経済財政政策について他国が論及することは内政干渉とは言えない、政策協調という点からいって必ずしも内政干渉とは言えない、我々には大きな責務があるわけでございます。特に先般のOECD閣僚理事会の共同コミュニケの中には、特別に三国の役割分担というものがそれぞれ特掲されたということも大きな特徴でございます。 ただ、言えますことは、従来西ドイツは、日本がやられる陰に隠れて余りやられなかったんですが、この間はむしろ日本以上に大分やられておったということでございます。それもしょせんは黒字ゆえということであろうかと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま通産大臣が西ドイツの製品輸入化率の高いこと、それから輸出の対米依存度が我が国に比べてはるかに低いこと等々について言われまして、まさにそのとおりだと思います。 それはやはりよって来るところが一つはございまして、ECというように先進工業国が周辺にあるということから、おのずから製品の輸入比率は高くなりますし、対米依存も低くなる。いわゆる分業化が行われやすい状況にあるということが、飛び離れて一つだけ工業国で沿革的にありました、また、そういう道を歩んでこなきゃなりませんでした我が国と違う沿革があると思います。またそのことから、マルク高になりましてもそのメリットは、最近でこそドイツはマルク高に悩むようになりましたが、はるかに大きくドイツ国民に我が国よりは均てんが見られましたのは、今のような事情、それから輸出、輸入におけるマルク建ての比率が非常に大きいといったような、何といっても全体の自由化、農産物を含めましての自由化というものが、マルク高のメリットが非常に我が国なんかに比べて大きく国民に均てんしたということが言えるのではないかと思います。 それから財政で申しますと、いわゆる国債依存度なども低うございますし、税制でも直間比率の税制構造は我が国なんかよりもうまくいっているように見受けるところでございます。 それからもう一つは、国民が非常に物価上昇、インフレに対して、もうある意味で極端に警戒的であるというようなことも、よきにつけ悪さにつけ一つの特色ではないかと思っております。ただ、ここへ参りますと、やはり西ドイツと我が国とでは経済の大きさが違う、そういう意味では、世界における影響力は我が国の方がやはりだんだんと大きくなってきているということが申せるかと思います。
○小西博行君 大変詳しく答弁をしていただきまして、感謝いたします。 とにかくこの問題につきましては、もう既にたくさん同僚議員の皆さん方も大変関心を持ってやっておられます。今おっしゃいましたように、約束を確実に守るとか、あるいは輸入の拡大を何としても具体的に、お約束を口だけではなしにやっていくしかもう方向がないんだと。ドイツそのものも経済的に大変苦労された国でありますから、私どもの日本ができないということは私はないと思いますので、積極的にひとつ進めていただきたい、そのように考えます。 まあ、当然輸入のアクセスの問題ですね。何としても輸入をできるだけできるような、例のアクションプログラム、これを実現するということとかあるいは内需拡大。内需拡大といいますと建築関係というふうにすぐ思うわけでありますが、それ以外にもいろんな、リゾートを地方の方に持っていくとか、あるいは大企業の優秀な企業をできるだけ地方の方に持ってきてもらう、そういうような具体的なものがなければ私はなかなか実現できないだろうと、このように思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 この問題はこの程度にさしていただきます。 それから何といいましてもやっぱりこの円高不況というのが地域の産業に物すごく壊滅的な影響を与えているというのは、もう私は事実だと思います。私も宮澤先生も広島県でありますから、特に造船、鉄鋼、殊に因島、前回もこのお話をさせていただきましたが、その後も大変厳しゅうございます。雇用問題でも、政府の方からいろんな法案を出していただいて具体的に進んでいるようでありますが、実際見てみますと、まだまだだめだというように私は思います。それから企業転換の問題なんかも、実は実際やりたいのでありますけれども、なかなか具体的に利益の上がるような企業、これができないというのがもう実態であります。 もう少し細かい問題を言いますと、例えば因島というのは、皆さんもう御承知のように、橋がかかっております。そういう意味では島民の皆さんも喜んでいらっしゃるわけですが、こんなに不景気なものですから、奥さんが何とかしてパートに出ようと尾道、福山に出るわけでありますが、自動車のいわゆる通行するための費用がかかります。これが大体二千五百六十円ぐらいかかるんです、往復しますと。ところが五百円で五時間やりまして二千五百円です。ですから、働きに行きましてもマイナス六十円という、ガソリン代も何も出ないというような状況がございまして、これはもう今後ともに労働大臣にも大いに頑張っていただきたいし、そして、いろんな法律がございますけれども、具体的にそれが進展しにくい。もう地域のいろんな能力もありましょう、企業の能力もありましょう。そういう意味で全力的にひとつ投球していただきたい。 これは広島県だけじゃありません。全国にそのような問題がたくさんあるのではないかと思いまして、労働大臣と通産大臣の御意見をいただきたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) 御指摘の点につきましては、当委員会でもいろいろな御議論をいただいたわけでございますが、おっしゃいますように、やはり一部不況地域、さらには不況業種、こういう業種の方々が事業転換、さらには多角化ということをお考えになります場合でも、もう御承知のようなこの低成長のときにおける事業転換というのは、これは言うべくしてなかなか容易でない。しからば政府はそこに対してどういう施策を持っていくか。当然通産省におかれましても事業転換資金等々の問題について大変な御配慮をいただいております。おりますけれども、基本的にはやはり産業政策、言うなれば経済運営も含めまして、総合的な景気の浮揚ということで雇用の創出を図るというやはり原則がございませんと、場当たりの手当てだけになってしまう可能性もあるわけでございます。 したがって、労働省では具体的にどうかということになるわけでございますが、御案内のような四月一日からの三十万人の雇用開発ということをやっておりまして、既に実施に踏み切っておるわけでございますが、ただ、時々御指摘があるわけですが、これは三十万人雇用開発という名前ではございますが、今後の制度の運用等々予算面の手当てもございまして、決して三十万人だけではございませんで、もう少し大幅な運用が私は可能だと考えております。 具体的にそういう転換に際しましては三つばかり労働省の政策、柱がございまして、一つには、特定の不況業種の労働者について他の企業やさらには専修学校等への委託訓練、これを中心に職業転換のための訓練を行う場合に、これは賃金の高率助成を行っております。同時に、訓練の委託先にもそれなりの助成を行うということ、これは新しい制度でございますが、これを創設しております。 二つ目には、中小企業が事業転換、また多角化に必要な教育訓練を行うことを促進するために新たな助成制度も創設しておる。ただ、何といいましょうか、用語の使い方で事業転換のためと言ってないだけでございまして、実質はもう同じでございます。 三つ目には、これはもう昨年からやっておりまして、企業内において基本的に雇用の維持を図っていただくというために、雇調金の助成率を昨年から大幅に引き上げておりまして、こういう制度をできるだけ御理解願って、これはもうフルに活用していただく。 ただ、御案内のように、この雇用情勢、非常に為替問題等も含めて流動的でございますので、何も現行の制度をもって労働省すべてこれ万全の態勢だとは決して申し上げておりませんで、流動的な一面がございますので、やはりある程度の実績を見ながら、地域指定の問題、またひいては、今後もまたこの助成の中身等々もある時点においては見直し、さらなる拡充強化ということも実態に即して考えなければならぬ、かように考えております。
○国務大臣(田村元君) 去る四月の一日に公布、施行せられました産業構造転換円滑化臨時措置法、ちょっと舌をかむような名前でございますが、これを通じまして基幹産業の事業転換とか過剰設備とか、いろんな面で支援措置を行っております。四月の二十八日に特定設備の指定などをいたしました。 そういうことでございますが、特に因島は中小企業の特定地域にもたしか指定してあるはずでございますが、何と申しましても、これから基幹産業のみならずどの産業でもそうでありますけれども、不況対策にしましてもあるいは構造転換にいたしましても、これを進めていこうとすれば、その担当省と労働省が完全に一体となってやっていかなきゃなりません。 私は先般、労働省へ平井労働大臣を訪ねてまいりました。事務次官を連れていきまして、そして御協力方お願い申し上げた。実は私は、今からもう十五年ほど前でございますが、労働大臣というのをしたことがございました。労働省がいつも通産省なんかのけつばかりふかされるというのでほぞをかんでおる。その気持ちがよくわかっておりますだけにお願いを申し上げた。そして事務次官を長とする常置機関をつくりましてお互いに定期的に協議をしていく、それからまた人事交流もしょうやということで、それも決めたりして、密接に連携をとりながら進めておるところでございます。
○小西博行君 私は前回も鉄鋼、造船という関係についてはもう質問させていただいたわけですが、特に非鉄金属ですね、去年の実績からいきますと、ことしはもう大変この国際価格、これが低迷しておりますので、果たして生き残っていく方法はどうあるべきなのかというようなことで私自身も心配しておりますし、特にこの百四十円台で果たして競争に打ちかてるような条件はあるんだろうかということさえ思うほど大変これ厳しい状況だと思います。昨年で既に十の山が閉鎖されておりますし、ことしになりましてもう二つ閉山というような状況がありますので、その辺の認識をまず通産大臣の方からお聞きしたいと思います。
○政府委員(野々内隆君) 非鉄金属鉱業が今円高で大変苦しいという状況にあることは十分承知いたしておるつもりでございます。そのように価格が国際的な外貨による相場掛ける為替ということで決まりますので、両方の変動がダブルで効いてくるということで大変苦しい状態でございまして、御指摘のように、昨年来相当数の鉱山が閉山をし、また従業員が減少、解雇されているという状態でございまして、できるだけ対応策をとりたいというふうに考えております。
○小西博行君 今、事務局の方からお話がございました。 ただ私は、金属の中にもいろんな種類がありまして、レアメタルとかベースメタルというような、ある意味では非常に日本にとっても大切な分野があるのではないかと思います。そういう意味で、私は何としてもそういう技術を国の中に残していく必要があるのではないか。単に価格だけで競争というのではこれはどうにもならない問題だろうというふうに考えるわけです。 その辺について通産省はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) 御指摘のとおり、レアメタルは今後先端技術材料の開発利用に不可欠のものでございますので、例えば超LSIでございますとかリニアモーター、あるいは核融合とか超性能磁石、レーザー、発光素子とか、いろんな超先端技術につきましてどうしても必要な物資でございますし、今後も利用が拡大されると考えております。 他方、国内の鉱山ではガリウム、インジウム、タングステン、クロムというようなレアメタルが存在をいたしておりますので、何とかこういうものを最も安定的な供給の担い手という形で私どもとしても重視をしたいと考えております。現在、地質構造調査、あるいは六十年度から新たにレアメタルの賦存状況調査というような形で総合的な対策を打ち出しつつあるわけでございますが、金属鉱山全体として非常に苦しい状況でございますので、金属鉱業経営安定化融資制度の拡充ということで、例えばタングステンを追加いたしますとかいろんな形でレアメタルの安定供給ということについても意を用いてまいりたいというふうに考えております。
○小西博行君 この点につきまして、通産大臣、とにかく政府から積極的なそういう態勢づくりの協力をお願いしないとどうにもならない状況ではないかと思いますので、その点の決意をひとつお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) やや専門的なことでございましたのでエネ庁長官に答弁をさせましたが、長官が申しましたとおりでございまして、この円高、はっきり言って今の為替レートでやっていけるはずがないわけでありまして、それだけに非常に苦しい思いをしておると思います。通産省としては全力を挙げて支援態勢をとっていきたいと考えております。
○小西博行君 問題を変えますが、政府は昨年いわゆる民活法なる法律を制定していただきまして、何としても地域の活性化、これを図れというようなことで、当初は三十三件の申し込みがございましたが、現実にそれが実行されているのはわずか三件というふうに伺っているわけです。法律をつくる場合にあれほど熱心だったこの問題が、いつの間にかわずか三件しか認定されない。非常に大きなトーンダウンをしているんじゃないかと、このように思いまして、その辺の理由をお聞かせ願いたいというふうに考えます。
○政府委員(末木凰太郎君) おっしゃるとおり、昨年五月に民活法が制定、施行されましてから今日までの間に状況の変化がございまして、率直に申しまして、私どもが予想していたテンポよりも出足はよくないというのが感じでございます。 どうしてそういうことになっているかでございますが、基本的にはやはり経済全体の状況の悪化でございまして、成長率も御承知のように下方修正をしておりますし、レートも、法制定時は百七十円台だったと思いますが、現在百三十円台に入ってしまっている。そういったことで、このプロジェクトを企画していた民間企業の方々が採算見通しにつきましてもう一遍少し考え直して検討してみたいということで、残念ながらテンポがおくれているというのが基本的な事情でございまして、そのほかに、各地の状況によりましてそれぞれもう少し固有の事情があるところもございますが、それはどちらかといえばマイナーで、全体はそういうことでございます。 しかし私どもとしましては、逆説的でございますけれども、そういうときこそ何とかスパイラルな状況の悪化を避けるためにむしろ民間活力を発揮していただきたいと思っているものですから、当初から定めておりました助成措置に加えまして、昨年の秋の補正予算で補助金制度を創設していただきまして、この刺激によって、後ろに倒れそうなものを何とか前倒しにしたいということで、各地の検討されている方にそういった施策の内容等の趣旨をよく話しまして積極的な取り組みを慫慂しておるところでございます。現在までのところ、その結果、御指摘のとおり三件の認定をいたしておりますが、引き続き今後そう遠くない時期に少なくとも十数件ぐらいが出てくるのではないかと思っております。
○小西博行君 広島県の場合なんかは、いわゆる造船、鉄鋼というのが非常に盛んなところでございましたので、新しく何か電子工学関係をやろうとしましても、やっぱりどこかの優秀な企業を誘致してそしてその周辺を整備していくという、こういうものがスタートだったわけです。ところが貿易摩擦というような大きな問題が出てきましたので、大手メーカーの方もその辺の様子を見ている、あるいは円そのものの動きをじっくり見ている、こういう情勢でありますので、一気にそれがすぐ実現にということにはならないのはよくわかるわけです。 もう一つは、やはり地方自治体に本当にそれだけの力があればまたいろいろな方法があろうかと思うんですが、恐らくどこの地方自治体も今厳しい状況でありますのでなかなか難しいのではないか、そのように思いますので、やっぱり私は公設民営といいましょうか、何かそういう条件設定というのをある程度国がやらない限りはなかなか難しいのではないか、そのように考えておるんですが、通産大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) ちょうどかつての建設省がやりましたレク都市というのがございました。これがアピールしかけたときにオイルショックが来まして民間が皆手を引いてしまった。それで宙に浮いたことがございました。制度としてはいい制度だったんですけれども。今度のこの民活プロジェクトも若干それに似た環境下にあります。私はこの民活法というものが間違っておるとは思っておりません、いい制度だと思っているんです。ただ、一つは、やはり景気がよくないということで企業にそれだけのバイタリティーがない、そこへまた地方公共団体も戸惑いがまだあるようです。 でございますから、今審議官が申しましたようにこれから相当出てくるだろうと思いますが、しかしいずれにいたしましても、こういう新しいことでございますから、何十年も経験してきたわけじゃございませんから、これは当然試行錯誤が繰り返されていってそのたびに改善されていくということであろうと思います。でございますから、今おっしゃったようなこともやはり参考にしていっていいんじゃなかろうかというような考えます。
○小西博行君 それでは、科学技術の分野に入りたいと思いますので、労働大臣結構です。 科学技術の分野で質問させていただきたいというように思います。 日本の科学技術の水準というのは一体どの程度なんだろうか、このように見てみますと、ある人は、非常に高い、一級クラスだと、ある方は、いやいやそうじゃないんだと、大変見方がさまざまであります。そこで、科学技術庁長官にその辺の判断、どのようにお考えがお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 我が国の科学技術水準は官民の挙げての努力によりまして大きく向上いたしておるわけでありますけれども、その水準ということでございますが、産業技術面で申し上げますと、欧米と肩を並べるようなことになったというふうに理解をいたしております。また、特に自動車工業、半導体工業などにおきましては高い競争力を有し、世界的水準にあると言えます。しかしながら我が国は、戦後主として基本的技術を欧米から導入し、これを改良発展することによりその技術水準を高めることに重点を置いてまいりましたため、科学技術の発展のシーズを生み出すような創造的、基礎的研究においてはなお十分とは言えないと存じております。 ちなみに、昭和五十九年度の民間企業動向調査の結果によれば、アンケート回答企業の四分の三以上が欧米企業に比べ同等以上の技術水準であると認識しているものの、将来の新しい技術を生み出す技術開発力については、欧米に比べて同等以上とするものは三分の二のみにとどまっているということであります。 科学技術庁といたしましては、昨年三月に閣議決定いたしました科学技術政策大綱に沿って創造性豊かな基礎的研究の強化を進め、次代の技術シーズを生み出すことにより一層の科学技術の水準の向上が必要と認識しております。
○小西博行君 今長官からお答えいただきましたように、いわゆる特許だとかそういうような応用開発技術というのは日本は相当高いと言ってもいいんじゃないかと思うんです。ところが一方、基礎的研究という分野では、昨年のデータでは八兆九千億というような大きな研究予算をいただきながら、現実には、例えばノーベル賞で比較いたしますと大変少ないわけです。平和賞であるとかあるいは文学賞というのを除きますと日本はわずか四名です。今までに四名の方がノーベル賞を受賞した。ちなみに、米国は百五十六名、英国は六十四名、ドイツが五十二名、そして七百五十万人しか人口がいないオーストリアでさえ八名、日本の約倍と、こういうような結果が出ているわけであります。もちろん予算そのものを見ましても、アメリカは二十六兆円、そして西ドイツが四兆円というふうに、かなりな大きな金額ではありますけれども、現実に先端技術といいましょうか、基礎的な研究というのが非常に弱いのではないか。 なぜ発明、発見というような分野が弱いのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 先生御指摘のように、我が国の基礎的な研究面で独創的なものが過去において少ないということは、いろいろ今先生御指摘されました、ノーベル賞等々の点では指摘されるところでございますが、これは、日本人が本来、生来的にそういう独創性がないとかいうことではなくて、むしろこれをはぐくんでいる環境に問題があったのではないか。人間の創造性を発揮するということについてはやっぱり余り適当でない封建社会から明治時代に入って、近代国家として日本が踏み出したときに、自然科学をベースにしました欧米とはもう相当な技術格差がございました。それから第二次大戦後もまた同様でございます。 そういうことで、我が国の研究開発体制というのが、どちらかといえばやはり基礎研究というよりか応用開発、早く技術を欧米に追いついて、それで経済力を豊かにするということを志向してきたということで、そういうことが社会環境あるいは制度とかいろいろな面で、そういう我が国の科学技術の状況をもとにした環境にあったわけでございます。そういう環境を背景にしたために、人材の育成の面あるいは研究の運営とか管理、そういった面でも、とかく、基礎的な面での創造性を発揮するというよりか、応用開発の面に力を注いでいくということになったことが一つの大きな理由ではないかと思うわけでございます。 ちなみに、研究の現場でこれをどのようにとらえているかということにつきまして、昭和五十八年度に科学技術庁で創造的な研究開発を推進するための条件調査を行いました。大学の研究者からは、大学では主体的な研究者が育ちづらい環境にある、研究サポート体制が弱くて研究者が研究に専念できないというようなお答えもいただいておりますし、国立研究所の方では、人事異動等が少なくて研究者の高齢化が進行して自主研究が困難であるというような答えが多うございました。社会文化的要因として共通しておりますのが、競争心が弱いのではないかという御指摘もなされております。 御紹介させていただきました。
○政府委員(植木浩君) 文部省関係では、大学を中心といたしました学術研究ということで基礎的な研究の促進を担当いたしております。 確かに、先ほど来お話ございますように、従来我が国の基礎研究は欧米の先進国の研究の成果を吸収して発展してきたという段階がございましたけれども、現在では、特に自然科学の分野におきまして欧米の先進国と肩を並べるような第一線の研究もふえてきておるわけでございます。 ちなみに、例えば昨年の秋に、大型の加速器でございますが、トリスタンという加速器が完成をいたしました。これは、この種の形としては世界で一番性能の高いものでございます。また、X線天文学という点では、日本の文部省関係の宇宙科学研究所が打ち上げました科学衛星には、日本の観測器のほかに、米国やイギリスからもぜひ観測器を載せてほしい、自分の方にはそういう衛星がないので載せてほしいというようなこともございまして、ようやくそういう段階になってきたということでございます。 このほかの例もいろいろございますが、ようやく世界の第一線級の研究もふえてきつつあると、このような段階と認識いたしております。
○小西博行君 私なんか考えますのに、もう今さらアメリカだとかドイツあたりから何も買うべき技術はないのではないかと、そのように考えておりましたら、具体的なデータがございまして、特に米国からは随分いろんなものを買っているわけですね。大体、年間技術輸入額というのがデータで出ておるわけですが、五千六百三十一億円、輸出額が千七百二十四億ですから、たくさん現在でも諸外国からいろんな技術を買って、そしてその技術を中心にして量産活動をして海外へ商品を売っていくというような形態にはほとんど変わりがないという実態が出ております。 ちなみに、米国の場合は、技術輸入の方は非常に小さくございまして、四百九十四億円、それに対して輸出が二千三十億円ということでありますから、どんどん技術立国として海外に貢献している、このように私は評価してもいいのではないか。 問題は、今までのように諸外国から技術を買ってそれを量産化して、そして海外に商品という形でどんどん売って貿易摩擦をつくる、そういうような形が実は今諸外国から批判されているわけでありますから、むしろ国内の中で基礎技術あるいは基礎研究という分野をこれから先も大いに進めてもらいたいという感じがするわけです。しかし、産業にいたしますとどうしても利益中心型にならざるを得ないという分野がございますので、現在日本がよそから買っているものは特にコンピューターのソフト関係というものが非常に多いわけです。それから商標関係ですね。 そういうような意味がございますので、これからそういうためにも大いに科学技術の研究を基礎的なものを中心にやっていただきたい。長官にその決意を求めたいと思うわけです。
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) お話しのように、基礎研究は極めて大事な仕事でございますので、科学技術政策大綱でも極めて重視しておりますから、仰せのとおり一生懸命やってまいりたいと存じます。
○小西博行君 百四国会で通過いたしました研究交流促進法という法律がございます。これは、国あるいは民間研究者が自由に交流ができる場を与えたい、そうしますと新しい研究のシーズが出てくるのではないか、このようなことから実際の法律ができているわけなんですが、なかなかその成果は上がっていないようなのでございますが、その辺の中身についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤咲浩二君) 研究交流促進法は、先ほど来お話のありますように、これから基礎研究などを推進していく場合に、組織の枠を超えて産学官の研究者が協力する必要があるということで、昨年の通常国会で制定していただきまして、その後半年、政省令の整備等準備期間がございましたが、昨年の十一月十九日に施行されております。したがいまして、ちょうど半年ばかり施行後たつわけでございます。その間、この研究交流促進法で、研究交流の見地から既存法令の隘路になっている点を特例法として決めた項目が七項目ございますが、そのうち既に実績の出ておるものが二項目ございます。 その一つは、交流促進法の第四条関係でございまして、研究者が年次休暇をとらずに職務専念義務を免除されて研究集会等に参加できるという規定がございますが、この法律に基づいて職務専念義務を免除されたケースが、実は電話等による聞き取り調査ですので多少の違いはあるかもしれませんが、私どもが把握している限りでは現在までに三百人強、ケースがあると思います。 それからもう一つ実例のございますのは、第五条の関係でございまして、研究者が退職手当上の不利益をこうむることなく民間等に休職出向できるという規定の適用でございますが、この規定の適用を受けた者が現在までに四人ございます。 いずれにしましても、まだ施行後半年ということですので、これからこの法律が大いに活用されるように努力してまいりたいというふうに考えております。
○小西博行君 文部大臣に聞いていただきたいんですが、実際に国公立大学の研究者あたりが民間に協力する場合、非常に厳しい制約があるわけです。例えば、私なんか私学へ行ったわけですが、非常勤講師で来ていただきたいといいましても、じゃ、一週間のうちで一日だけ認めようとかいうような、なかなか厳しい条件がありまして、民間に協力するという、言葉では非常にいいわけなんですけれども、なかなかその辺のところが大きなネックに私はなっているような気がしてならないわけです。したがいまして、産官学の優秀な人材が交流するということであれば、その辺のところも法律を多少改正してでもやらないと現実には出にくいということがございますので、その点はぜひとも考えていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
○政府委員(植木浩君) ただいま先生が御指摘の点は、臨時教育審議会の第二次答申の中でも、国公立大学の研究者等が民間等との研究協力に当たる場合にもっといろいろな措置を講じるべきであるというような御指摘もございまして、いろいろと今検討いたしているわけでございます。
○小西博行君 ぜひともそのようにしていただきたいというように思います。 それでは次は、通称流動研究システムという研究体制を科学技術庁が中心にやっておられます。これは、東北大学の西沢先生を初め著名な先生方がリーダーになりまして、五年間の経過で今四つのテーマが終わったというように聞いております。私は、この流動研究システムというのは、いわゆる省庁の縦割り社会というもの、そういう弊害というものを全部取り除くためにも、あるいは研究の成果を上げるために非常に有効な方法だというように考えておるわけですが、現在までの具体的な成果、そして今後の方向についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤咲浩二君) 先生御指摘になりました流動研究システム、これは昭和五十六年度から新技術開発事業団を実施機関として創設されました創造科学技術推進制度のことかと思います。 この創造科学技術推進制度は、五十六年度に発足して以来、年々研究テーマ等をふやしながら現在に来ておりますが、現在は特殊環境微生物あるいはナノ機構といったようなテーマで八つの課題が進行しております。また、現在御提案中の予算の政府原案の中では、六十二年度から新規三テーマを発足させるというような状況になっております。 具体的な成果でございますが、比較的早く、最初に五十六年度十月に発足した四テーマが既に五年間の期間が経過して終わっておりますが、この四テーマを中心にいろいろ成果が出ております。基礎的な研究でございますので特許等の形に必ずしもなるわけではございませんけれども、特許出願というようなことで数えましても、この創造科学技術推進制度の中で約三百八十件現在までに出ておりますし、それから学会等への発表論文の数でも八百五十件というような件数に達しております、 こういうことで、私ども非常に流動研究システムは成果を上げているのではないかというふうに考えておりまして、今後とも有望な新規課題等を発掘いたしまして一層制度の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○小西博行君 この流動研究システムは、当初五年間の予算が大体二十億から二十五億というようなことを言われていたわけですが、実績では十五億円程度ということになっておるわけです。私は、節約をしていただいてすばらしいアイデアが出てくればこれにこしたことはないのですけれども、しかしどこかでやっぱり研究が小さくなってしまうのではないかという心配があるんですが、そのような御意見は研究者からございませんか。
○政府委員(藤咲浩二君) 五年間経過いたしましたのは、先ほど御説明しましたように既に四テーマあるわけでございますが、この四テーマのうち、確かに御指摘のように二十億という水準に達しなかったものもございますけれども、多いものは二十四億円というような、二十億を超えたものもございます。いずれにいたしましても、研究費は一応のめどとして当時そういうことが言われていたかと思いますけれども、必ずしも一律の金額であるという必然性はないわけでございまして、テーマごとに必要な研究費を確保するという方向でこれからも努力してまいりたいというふうに考えております。
○小西博行君 この流動研究システムというのは、そのリーダーがどなたになるか、これによって随分その成果が違うように伺っているわけです。つまり、優秀なリーダーがそこにいますと、メンバーもその委員長によって集めるわけでありますから、成果も非常に具体的になるわけです。 ところで、外国人の研究者もそれぞれ何名かずつ入っているというのは既に私も理解しているわけですが、実際に海外から日本に入る場合には税金がかからずに入るけれども、出ていく場合にはえらいたくさんの税金を取られるというような不平不満が出ているというように聞いているんですが、そういうことはございますか。
○政府委員(藤咲浩二君) あるいは先生御指摘のようなことがあるかもしれませんが、御指摘のような問題について現在ちょっと私自身は具体的に承知していないわけでございます。ただ、実際に研究に参加していくに際しましては、当然十分この制度の趣旨を御説明いたしますし、それから我が国に来た場合のもろもろの契約上の条件とか環境とかいったものについては説明をした上で参加していただくということになっておりますので、その辺は御理解いただいているのではないかというふうに思います。 ただ、具体的にいろいろ調べまして、もしそういうことがあれば今後とも改善してまいりたいというふうに考えております。
○小西博行君 特に、これから国際化ということで外国人の研究者も大いに参りますし、あるいは日本人の研究者も随分海外へ出ているわけです。そういう意味で、外国人の研究者がどうもぐあいが悪い、もう日本へ行きたくないと、そのような感じを持たれることが非常に私は心配なわけです。留学生の問題につきましてもそのようなことがたくさんございまして、今までいろいろ議論をしているわけでありますが、特にその点は担当の省庁は十分注意をしていただきたい、このように考えます。 次の問題に移りますが、今度のサミットで総理が、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、こういう大きなテーマをひっ提げてあちらへ参るということを聞いているわけですが、このプロジェクトというのはひょっとするとSDI計画と同じような大きな研究の体制だというように伺っているわけですが、どのような姿勢でこれから取り組んでいくのか、その点を長官にお聞きしたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 小西君、時間が参りました。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 環境破壊とか資源の枯渇、高齢化社会の到来といったように、二十一世紀へ向けて人類が直面するいろいろな課題があるわけでございまして、これを解決して豊かで希望に満ちた人類社会を実現する、こういうことのためにはやはり科学技術の役割というのは非常に大きなものがあるわけでございまして、新たな科学技術をつくり出すということが一つのかぎになるのではないだろうかと考えておるわけでございます。 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの構想は、このような観点に立ちまして、今後の科学技術の発展に向けて多くの可能性が秘められていると期待されております生態、いわゆる生物でございますが、生態の持つすぐれた機能の解明を中心とする基礎研究を国際的に共同して行おうというものでございまして、このプログラムを推進することが同時に国際社会に貢献していくことにもなるというぐあいに理解しておるわけでございます。 昭和六十一年度におきましては、このプログラム実現のためのフィージビリティースタディーの一環といたしまして、科学技術振興調整費を用いまして、関連分野における内外の研究動向、重点研究分野などについて国内の著名な科学者を結集しまして調査検討を行ったところでございまして、今後さらに、これまでの国内の検討結果を踏まえまして、関係省庁が協力して国際的にフィージビリティースタディーを行っていく、こういう考えでおるわけでございます。
○小西博行君 終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で小西博行君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、秋山肇君の質疑を行います。秋山君。
○秋山肇君 きょうのNHK、おはようジャーナルでも地価高騰問題が取り上げられ、あす、あさってと、「何が地価を狂わせたのか」というテーマで具体的に現状を分析して解説をするようであります。例えば、都の公務員が四十年を超える勤務をして定年退職した退職金がほぼ三千万円、練馬の石神井の近くの土地が、これは安いと思うんですが、坪二百万円としてもわずか十五坪しか手に入れることができません。家が建てられないわけであります。今や東京は日本の首都のみならず世界の中の東京として急成長し続行でおりますが、この異常なまでの地価高騰の原因の一つに東京への機能集中が挙げられます。その一つとしてオフィススペースの不足があります。国際化に伴い外資系企業の新規参入もふえてきておりまして、現在のまた企業も業務拡大に伴うスペース不足が予測されます。政府としては、これらのオフィススペース不足にどのように対応するおつもりでございますか。
○国務大臣(綿貫民輔君) 私もけさテレビを見させていただきました。東京の異常な地価高騰の原因等についていろいろの分析が行われておるわけでございますが、需要供給のアンバランスとさらに金余り現象から、これを短期に転がしての利益を得ようというような動きが重なって現在の高騰が招かれておるということでございます。 この供給面の問題につきまして、今お尋ねの点につきましては関係省庁とも鋭意今話し合いを進めておるところでございまして、いろいろの信託制度の適用によって民間においても最近はそういうビルの需要にこたえるような動きも出ておりますし、国公有地につきましても、関係省庁と今新しい用地供給につながるような方向で検討させていただいておるということでございます。
○秋山肇君 今の長官のお答えにもありましたけれども、東京の地価高騰はなかなかおさまるというか、まだどこまでいくのかという状況でありますし、最近では買いかえ需要等で二十三区全域及び多摩の市部、さらには隣接県にまで急速に波及しているような現状です。首都圏全体として緑の保全、潤いのある都市空間づくりということからしても、これはゆゆしい問題だと思うわけであります。この点、私の住んでおります世田谷でも、五反歩、千六百五十平米あった立派な雑木林が、固定資産税の重圧でそれをひっくり返して畑に変えるというような逆な現象が出ております。この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(柳晃君) 御指摘のように、首都圏におきます緑の保全とか、そういうものについてどのように考えておるかということでございますが、申し上げるまでもなく、緑豊かな調和のとれた空間として首都圏あるいは東京が形成されることは大変重要な課題であると認識をしております。 政府におきましても、第四次の首都圏基本計画におきまして緑地等の適正な保全を図るため、近郊緑地の保全区域の指定等の促進を図る一方で、今後の市街地の整備に当たりまして、都市内の良好な自然的あるいは歴史的景観の保全に配慮しつつ、調和のある都市景観の形成を図りたいということにしておるところでございます。 今後とも緑地空間の体系的な確保や整備あるいは良好な都市景観の創出につきまして、国土庁としましても推進してまいりたいと考えております。
○秋山肇君 けさのテレビでも出ておりましたけれども、居住用資産の買いかえ特例制度が地価高騰の一つの原因になっているのではないかというふうに、それが絞られて放映されていたと思います。今国会で超短期土地譲渡益に対する重課制度案が提案されておりますけれども、これが売上税関連といいますか、この問題も含めまして、国土庁のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(綿貫民輔君) 御指摘のように、今回所得税法の改正案の中にこの土地税制が入っておるわけでございます。したがいまして、今回の売上税関連ということで廃案になるとすれば、我々の目指しております土地政策を盛り込んだ税制が実現しないということになると非常に残念なことだと思うわけでございます。しかし、財産に対する課税であるということからいろいろと税の整合性の問題からの理論もあるようでございますが、私どもは土地税制、いわゆる土地対策としてぜひ何とか実現する方法はないかなと知恵を絞っておりますが、いいお知恵があれば拝借させていただきたいと思っております。
○秋山肇君 国土利用計画法が東京都では五百平米、それからさらに三百平米というような、条例ですか、だんだん小さくしているわけですけれども、国有地及び国鉄清算事業団用地の処分について、ことしに入ってからも蒲田の駅前の積みおろし用地跡地が売却され、一般競争入札によって高値で売られたわけですが、周辺の地価に悪影響を与えております。 本来、国公有地の処分に当たっては国土法に基づく届け出等の対象とすべきだと思いますが、今回の国土法改正案は単なる配慮規定にとどまっており、今後汐留貨物跡地等ほかの用地が一般競争入札に付された場合高値となることが懸念されます。したがって、処分に当たっては地価の抑制及び適正な土地利用という観点から処置を講ずべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(綿貫民輔君) 今回の国土利用計画法の中に、国有地につきましては適正な地価の形成に努めるというような、訓示規定と言われますけれども、まず国有地というものを国土利用計画法の中に規定をさせていただいたということで、一歩前進というふうにお受けとめいただきたいと思います。 なお、この件に関しましては、地価対策関係閣僚会議におきましても、それぞれの関係の省庁の皆様方との申し合わせもいたしておりますし、今後周辺地価の高騰につながらないような、あるいは公共のためにできるだけ広範に御利用いただけるような方法をお互いに工夫をしていくという申し合わせをさせていただいておるわけでございます。
○秋山肇君 建設大臣は都市計画を進めていく上でいかがお考えでしょう。
○国務大臣(天野光晴君) いろいろ問題があります。私の一番心配しているのは、国公有地を処分することによって地価暴騰に悪い影響を与えるようなことがあってはいけないということなんでございます。そういう観点で、実は国土利用計画法を最初つくるときに、こんな結果になろうと思わなかったものですから、国公有地の問題について私たち触れないでつくってしまったわけでありますが、今になってみれば、やっぱりこれは失敗したなと思っておりますし、そういう点で、まだ表には出ませんですが、閣議で私強力にこれを今発言しているわけであります。完全に地価対策ができてから処分をする、そういう意味で二年か三年ぐらいはやっぱりストップすべきじゃないかという発言を――閣議の発言をここで言っては申しわけないかもしれないんですが、これはそういう意味で全閣僚も十二分御認識していただいていることだと思いますが、何らかの措置は講じないわけにはいきません。
○秋山肇君 ぜひ横の連絡、今閣議の話もしていただきましたけれども、お願いを申し上げたいと思います。 きのうの朝日新聞の「天声人語」にも地価の問題が取り上げられておりました。お読みになった方も多いと思いますけれども、東京に住む主婦からの投書で、二、三年前までは坪二、三百万だったのが今は八百万円にもなってしまったというようなことが内容だったと思います。土地の高騰により東京都区内では従来相続税を払う必要がなかった人まで納税しなければならない状況になってきており、打開策として、地価、相続税、路線価のいかんにかかわらず、居住用宅地あるいは駅前商店街も同じようなことが言えますけれども、相続税を免除するとか非課税限度額の拡充、例えば固定資産税の場合は小規模住宅の適用で四分の一になっているわけですから、この辺の措置について大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 相続税の負担水準が昭和五十年ごろからずっと据え置かれておりまして、その後に殊に最近地価の上昇がございますものですから、今おっしゃいましたような特に東京、大都市においてはそういう問題が出てまいりまして、本来なら相続税を少し変えなければならない時期に来ておると思います。今度もそれをお願いしようかと思いましたが、どうも諸般の事情でそうまいりませんでした。 ただ、御承知のように、居住用の、住んでおります家のところの土地二百平方メートルまでは三〇%軽減するということはやっておりますんですが、だんだんまたここで上昇がございますので、相続税のことはどうもやがて考えなきゃならないということを強く感じております。
○秋山肇君 今大臣のお答えに三〇%の軽減があるわけですけれども、ことしの路線価、この間発表になったのを見ますと大変な値上がりですから昨年とことしとの差、三〇%ではもうとても及ばない。ぜひひとつそれを固定資産税並みぐらいまで早く持っていっていただきたいというふうに思うわけでございます。 それから建設大臣にお聞きしますが、土地の用途地域変更による土地の高度利用を図ると、昨年九月の政府の総合経済政策に盛り込まれておりましたけれども、一つ、土地の高度利用の促進、二つとして用途地域の見直しに関する施策の実施状況はいかがなっておりましょうか。
○政府委員(北村廣太郎君) 昨年九月に方針が出ましてから建設省においても鋭意検討しました結果、土地の高度利用の促進につきましては、高度利用地区、特定街区及び総合設計の制度の活用を一層進めるために大幅な容積率の割り増しを認めることといたしまして、その通達を既に出しております。十二月でございました。 それから大都市の臨海部についても開発計画がただいま盛んに論じられているところでございます。これにつきましては、現在、広々とした空地がございまして周辺も海というような環境がございますので、特別の割り増しを認めるという方針も既に決定しておるところでございます。 現在その見直しを全国的に申しますと、六十二年の三月末現在で、用途地域の見直しにつきましては札幌、横浜、名古屋、京都、大阪、広島、福岡の、全国十一大都市のうち七都市で既に用途地域、容積率の一斉見直しを完了していまして、残りにつきましても現在手続中でございます。 また、東京都の環状七号線内の第一種住居専用地域について住宅需要にこたえるために二種に転換しろというような九月の御方針もございましたので、これにつきましては東京都と十分打ち合わせて、その方向でただいま見直し作業を進めておりまして、まだ一部地区ではございますが、完了した地区もございます。 以上でございます。
○秋山肇君 特定街区とがそれぞれの見直しをしていただくということは町づくりに大きく貢献があると思うんですが、その反面、特定街区、大きな区画をということで地上げ屋さんがこれに絡んでくるということもなきにしもあらずだろうというふうに私は思うわけです。この委員会でも各先生方から言われておりますけれども、東京は民活でやれというお声が強いわけであります。そういう中で民活の一つかもしれませんけれども、地区計画だとかそれから区画整理などというのは、民間、みんなが組合をつくったり、それぞれが協力をして町づくりをしようということでありますけれども、こういう地区計画、区画整理等について、それぞれの場所によって用途、容積も違うわけですけれども、こういう制度運用についてそれぞれ協力をする人が提供する、犠牲を払うと言ったらおかしいんですが、そういうものに対してプラスの面を考えてあげるということをぜひしていただくということをお願いしたいんですが、この辺についても当然先ほどの御説明の中にも入っているのではないかなと思うんですが、これはいかがでしょうか。
○政府委員(北村廣太郎君) 現在の取り扱いを申しますと、土地区画整理及び地区計画等にある程度周辺道路の整備等が完了いたしました段階でその容積率の見直し等の措置を行っているわけでございます。それまでの段階におきましては、一応方針だけはお知らせしておりますが、実施という段階には至っておりません。 以上でございます。
○秋山肇君 ぜひ民活を促進するという意味で、これは建設大臣、実力建設大臣ですから、大臣からひとつその声を聞かせていただくとかなり東京のそういう計画が進むと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(天野光晴君) 十二分に検討いたしましてそういう措置をとりたいと思います。
○秋山肇君 ぜひひとつお願いを申し上げたいと思います。 それから、それに関連して、一種住専から二種住専に用途地域を変更することによって土地の有効利用が大きく進むわけですけれども、一種住専から二種住専への変更に当たって道路、下水道などの基盤整備が重要な前提条件だと思いますけれども、基盤整備のおくれが一種住専の二種住専への変更の阻害になっているという事実はどうでしょうか。
○政府委員(北村廣太郎君) 東京都の例でお答えした方がよいかと存じますが、計画的にはっきりした線がございまして事業実施について基本的な住民の御同意が得られているという点につきましては、公共施設の整備前におきましても一種住専から二種住専への切りかえは可能と考えております。
○秋山肇君 先日も野末議員から質問をしたんですが、最近のマスコミ報道を見ておりますと、まじめに農業に取り組んでいる人とそうでない人が同等に取り上げられ、都市農家すべてが悪者扱いをされている感じを受けるんですが、もっと冷静に見て、まじめに取り組んでいる人にはきちんと対応し、まじめに取り組んでいない人には厳しく指導、措置を講ずることが必要だと思いますが、その点についてはどうお考えですか。先日大蔵大臣、総理大臣からも御答弁いただいていますが、自治大臣のお考えをひとつ。
○政府委員(渡辺功君) お答えいたします。 先日も総理からお答えがございまして、現在の制度も、五十七年に至りまして宅地供給の促進というそういう議論もございまして、宅地並み課税の強化という観点と、それからもう一つは、長期に営農を維続する、そういう方に営農が継続できるような配慮という調和の中で現在のような制度ができておりますものですから、そういう制度の趣旨にのっとって適正に運用されるということが大切である、こういうふうに考えているところでございます。
○秋山肇君 先日も御説明をいただいたんですけれども、もう一度農地の認定基準についてといいますか、農地の定義についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(渡辺功君) 固定資産税におきます評価上、土地に係る地目の認定につきましては現況主義ということをとっていることは御承知のとおりでございます。現況によってこれを認定する、こういうことでございます。 そこで、農地についての判断基準といたしましては、その土地が耕作の用に供されている土地がどうかということ、すなわち耕作の用というのは、耕うんであるとか――耕すということでございますが、これが基本でございますが、整地、播種、かんがいあるいは排水、施肥、農薬の散布、除草、こういったような一連の肥培管理を行って農作物を栽培する、そういう土地であるかどうかといった点につきまして客観的にその状況を観察いたしまして、それぞれの利用状況に応じて認定をする、こういうことでございます。
○秋山肇君 それは全国的に農業を位置づけるというのであれば今のお話でいいと思うのですが、先ほどから申し上げているいろいろな問題、東京の特殊事情というものがいろいろなものに絡み合ってきているわけです。 そういう中で農業を一生懸命やっている人とやっていない人というのがこの間も論議が出たのですが、実はちょっと先日の質問のときにもずうっと回ってきまして写真を撮ってきましたからごらんをいただきたいんです。(写真を示す)。 これはイチゴをつくっているんですね。イチゴをつくってこれを区民に二十株三千五百円で、先週の日曜日からもぎ取りをしているわけですね。 これは温室の中にバラをつくっている。これは地べたに、地に植わっているわけですから今の定義に合っているわけでしょう。 これは同じ農家でもバラの苗を養成している農家で、これは接ぎ木をした鉢を下に置いてあるわけです。それで今の説明からいくと農地じゃない、農業じゃないということになるんです。 東京にはこういういろいろな農業がある。みんな土地が高くなっているから、固定資産税は減免を受けていますけれども、需要がありますから。それで、これは神奈川県の栽培農家に逆に出しているわけですね。こっちの技術を生かして接ぎ木をして逆に神奈川県に出しているというわけですけれども、こういう東京は東京なりの、まだほかにも幾らもありますけれども、この点についてどうでしょうか。
○政府委員(渡辺功君) ただいまのお話は、農業としてまじめにやっているということ、そのことについては恐らく先生の御判断なのだろうと思います。しかし、先般宅地並み課税の場合のそのまじめにやっている農家とそうでない農家という議論がされますときのその前提となる問題は、まず土地が農地であるかどうかということが先にあるわけなんでございます。 それで、ただいま申し上げましたような定義でやっておりますので、例えば一時休耕地であるところに鉢植えを並べたということがあった場合にすぐに農地でなくなるかというと、それはそうでないと、私どももそう考えております。しかしながら、長く耕うん、つまり肥培管理ということが行われないという状態になった場合には、その農地としての性格はもうそこで失われるというふうに考えざるを得ない、こう考えているわけでございます。 端的に申し上げますというと、農地である性格を失わない段階において鉢植えを並べている場合に、鉢植えを並べたから農地でなくなるということではございませんが、逆に農地でないところに鉢植えを並べたら農地になるのかというとそうではないというような、そういう議論で……
○秋山肇君 そうじゃないですよ、農地のところに鉢植えが置いてある。
○政府委員(渡辺功君) ですから農地であるかどうかは、耕うん、肥培管理という状態が失われているか失われていないかということで判断すべきであって、鉢植えの存在で判断するということでなくて、その前段の判断ということであるわけでございます。
○秋山肇君 余りやっていると時間がなくなってしまうのですけれども、これはもう先生方は皆さんそれぞれおわかりだと思うんですけれども、今の御説明は余りにも役所的な説明で、やはりもっと血が通った、あるいはその地域に合ったことを考えなければ、いつまでも、これは何にでも言えるんですけれども、そういうことではないと私は思うんです。その点について回答をいただくことができれば、どなたかからお願いをしたいと思いますが。
○政府委員(渡辺功君) 先生が非常に疑問に思って御質問をいただきましたことは私どももよくわかります。といいますのは、かねてからこの問題につきましては、東京都だけではありませんでいろいろこの問題については質問も受けておりますし、私どもも何回となく、非常に時間的にも前からこの問題はああでもないこうでもないと考えてきたところだからでございます。 しかしながら、固定資産評価におきます地目の認定といいますのは、その対象となる農地が大変膨大でございまして、利用は多種多様であります。したがいまして、ある程度やはりその土地の利用の姿、つまり耕作なら耕作、その土地に係る属性といいますか、そういったもので分けておかないと、それを使っている人的な要素、農家であるとか中小企業者であるとか漁民であるとかということで区分するとか、あるいはその使い方がまじめであるかないかというようなことで区分するというようなことで地目認定を区分いたしますというと、これがまたもっと非常にその限界があいまいなものになるのではないかということになるわけでございまして、農地法上も「耕作」というような非常に重要なメルクマールもございますし、ぜひともこの辺は御理解をいただきまして、しかし非常に短期的な休耕地をいきなり農地でないというような認定をしているというようなことがあればこれは適切でありませんので、そういったことは具体の問題に即して地方公共団体が適切な運用を図るように私どもも注意してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○秋山肇君 それではそれに関連して、よく聞いておいてくださいよ、この土地の高騰も売り手と仲介業者と銀行と国がもうかっているときょうのテレビでもやっているわけですね。ですからそういうことで、それでありながら今度は住んでいる人たちは売りもしないのに固定資産税が上がっていくという問題が出てくるわけですね。 六十三年の固定資産税の評価が来年ですから、異常な値上がりでこれが多分高くなるのだろうと思うんですが、これは自治大臣が固定資産評価基準によって決めるわけですけれども、そういう状況を踏まえて、ばあっと上げられたらどうなるかというのは今の農家の話だけじゃなくて一般の住宅でも商店街でも同じことが言えると思うんですが、この辺、評価基準を変える、現状に即して、東京に合わせて見直すか、あるいは特殊な場合のところについては税率の基準というのをもっと下げるか、こういうことがあると思うんですが、この辺についてどうでしょうか。
○国務大臣(葉梨信行君) 先生おっしゃいますように、大都市の中心部の商業地が特に異常な値上がりをしている、御指摘のとおりでございます。 六十三年度の土地の評価がえにつきましては、各課税団体におきましてただいま調整中でございます。自治省におきましても、全国的な観点から基準となる地点につきまして適正な評価が行われるようにただいま調整を行っているところでございます。特に、おっしゃられたようなそういう異常な値上がりのある地点につきましては、十分に配慮をして評価がえをするように指導してまいりたいと考えております。
○秋山肇君 ぜひそれはお願いをしたいと思います。 それではちょっと視点を変えますけれども、世田谷の砧公園の隣に厚生年金のスポーツセンターというのがありまして、これが敷地が四万一千三百平米。これは固定資産税がかかっているかかかっていないか、どうですか。
○政府委員(渡辺功君) 御質問の世田谷区にあります厚生年金スポーツセンターにつきましては、固定資産税は非課税でございます。
○秋山肇君 それはどうしてなんですか。
○政府委員(渡辺功君) 地方税法に基づきまして、この土地、家屋は国有財産でございまして、第三百四十八条第一項の規定に基づき非課税とされているわけでございます。 国、都道府県等が所有する固定資産につきましては人的非課税、これだけが典型的な人的非課税なんでございますが、公的性格にかんがみまして、かつ国と地方公共団体相互間につきましては非課税ということの観念に基づきましてこうした非課税制度が法定されておりまして、この法律により非課税と、こういうことでございます。
○秋山肇君 その非課税のところでは、どういう商売をやってもいいわけですか。
○政府委員(渡辺功君) どういう商売をやっていいかどうかは、その商売の方に対してどういう規制をするかであって、税金の方は国と地方は相互非課税ということで人的非課税ということになっております。
○秋山肇君 これはゴルフの練習場、プール、テニスコートをやっているわけですね。これは一般の民間企業と同じ、このすぐ近くにもそういう施設を民間でやっているわけですね。四万一千三百平米、固定資産税をもし払ったら幾らかかると思いますか、おわかりになりますか。
○政府委員(渡辺功君) どれだけの固定資産税額になるか、ちょっとただいま私どもわかりません。
○秋山肇君 わかりませんで帰られる人はいいんですが、これは恐らく相当、一億ぐらいの固定資産税がこれだけだとかかると思うんですね、普通民間で持っていてやっていれば。 そういうことで私がもう一つ言いたいのは、娯楽施設利用税を払うということはスポーツでないという認定だと思うんですが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(葉梨信行君) 娯楽施設利用税でございますが、娯楽施設を利用する者の担税力、税金を払える能力に着目して、その利用に対して課する消費税でございます。ゴルフはスポーツとしての一面をもちろん先生おっしゃるように持っておりますが、一方で娯楽性に富む大変楽しいスポーツである。それから奢侈的な面も否定できない。奢侈――今はぜいたくと言ってはいけないかとも思いますが、比較的お金をかけたスポーツであるということも事実でございます。ゴルフをやる方には相当税金を払う能力もおありであろう、床屋さんもやるような時代ではございますけれども、やはりゆとりのある方がやっている、こういうことなどを考えまして課税対象としているわけでございます。 ゴルフ場に対しましての娯楽施設利用税は、娯楽施設利用税収入の七五%を占めております。また、その税収入の二分の一に相当する額がゴルフ場所在市町村に交付されておりますし、地方団体にとりましては貴重な財源になっていることなどを考えますと、これを娯楽施設利用税の課税対象から外すことは適当ではないと考えられるところでございます。 また、ちょっとつけ加えて申し上げますと、娯楽施設利用税全体の収入額のうち、今申し上げたようにゴルフ場から七五%、パチンコ屋さんから一〇%、ゴルフ練習場から五%、その他ダンスホールとかマージャン屋さん、それから玉突きですね、こういうところから残りを徴収している、こういう状況でございます。 先ほど私がちょっと適当でない引用があったかもしれませんので、その部分は非常にポピュラーになったという意味で申し上げましたが、取り消しさせていただきます。
○秋山肇君 そんなぜいたくなもの、スポーツじゃないと思うんですね、スポーツというか、遊びじゃないと思うんですよ。これはもうアジア大会、私都議会にいるときからボウリングだとかゴルフはスポーツじゃないかと。今度は沖縄国体でボウリングは参加種目になるわけでしょう。京都でさえ正式になるということになっていますね。そしてゴルフも国体の参加種目じゃない、オリンピックの参加種目じゃないというのが自治省のお答えであったわけですけれども、今じゃアジア大会の参加種目にもなってきたし、国体にも当然入ってくると思うんですが、この点さっきから言っている役所流の言い方じゃなくて、もうちょっと前向きに御答弁お願いできませんか。
○政府委員(渡辺功君) ゴルフにつきましてはかっての状況と違うではないかという御指摘につきまして、そういう時代の流れというものはあるなということは感じております。しかしながら同時に、大臣から御答弁申し上げましたように、スポーツ性というものを否定するものではありませんが、担税力という面がそこにあらわれているということもまた否めない事実であると思います。同時に、これは娯楽施設利用税の中でも非常に大きな部分を占めているだけじゃありませんで、ゴルフ場という広大な土地を市町村の市域、あるいは町域の中に持っている団体にとりましては非常に重要な財源になっております。 そういったことを総合的に考えますというと、先生の御質問ではございますけれども、娯楽施設利用税の中でゴルフにかかる課税というものを軽減するとか、あるいはこれを改めるということについては非常に私どもとしては慎重にならざるを得ない、こういうことでございます。
○秋山肇君 先日たしか公明党の広中先生からの質問の中で、林野庁の赤字を埋めるために国有地にゴルフ場をつくったらばどうかという質問があったと思うんですね。そういうときになったらこの問題と絡んでくるんですが、どうですか。
○政府委員(渡辺功君) ゴルフ場をつくることによって林野の会計に寄与するということは一つあるのだろうと思いますが、同時に地元市町村の財政需要ということについて、そこにやっぱり人が集まってくる、あるいはそういう施設ができるということによってその町村との受益関係というものを考えるというようなことがございますものですから、課税関係というものについてやはり理由があるというふうに私どもは考えているわけでございます。
○秋山肇君 私が言いたいのは、先ほどから申し上げているように、時代が変わってくればいろいろな情勢が変わってくるわけですよ。いつまでも昔つくった法律でそれを当てはめていこうということに無理があるというふうに思うんですね。 また大蔵大臣も先ほどの相続税にぜびひとつその点もお考えいただきたいですし、固定資産税の評価もそうだと思うし、今私があえてパネルを持ってきたのも、農地のところに鉢を置いている、そういう生き方もある。特にあの人なんかは息子さんが亡くなっちゃって、それで七十歳を過ぎたおじいちゃんとおばあちゃん、お嫁さんとで一生懸命にやってんですよね。そういう人たちをただ一律に、条文に合わせたらだめだというようなことではならないというふうに私は思うんで、ぜひその点血の通ったといいますか、心が通った行政というものを目指していただきたいと御要望申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で秋山肇君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 障害者問題についてまたお尋ねしたいと思います。 〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 ことしに入りましてから円高、円高、もうこれは去年からでございますけれども、それによっていろいろな波及されている産業その他がございます。で、零細企業、殊に私どもが一生懸命気を使っております小規模作業所とか、あるいは共同作業所とか、こういったところでは下請の下請、孫下請というのがあればやしゃごみたいなものだ、こういうところの現況をちょっと御報告申し上げたいと思います。 まず、共同作業所全国連絡会というのがございます。これは共作連というんですけれども、ここが昭和六十一年の十一一月から六十二年一月までに、加盟作業所二百九十一カ所中準備会や団体及び新設作業所を除きまして二百四十二カ所、認可四十一カ所、無認可二百一カ所を対象に調査を行いました。そのうち百六十二カ所、認可二十七カ所、無認可百三十五カ所より回答がありました。回答率は六六・九%でございましたけれども、全体の六三%が円高のあおりを受けております。そのうち認可施設は十七カ所、無認可作業所八十六カ所、全体の五〇%が無認可作業所が占めております。 こういったところでございますから、もう円高がすぐ響きまして受注そのものがとまってしまった作業所が二十六カ所、認可が二カ所で無認可が二十四カ所、これだけあります。そして影響のあった作業所の二五%を占めているわけです。 こういうところはどういう仕事をしているかと申しますと、細かく申し上げますとあれですけれども、自動車部品とか電気器具の組み立て。ですから、海外輸出品等に集中している点が特徴ですから、したがって円高がもうそのまま響いてくるわけです。ですから、共同作業所へ行っても仕事がないからといって全然行かない人もあります。 こういう共同作業所の運営というのは、どちらかといえば廃品回収とかそういったことによってほとんど運営をしているわけですね。ところが、この運営の一環である重要な事業収入なんですが、これがまあ大変な打撃を受けておりまして、昭和六十年九月と六十一年九月とを比較しますと、次のようになるんです。六十年の九月の収益で一万五千二百三十二円が六十一年九月では二千七百九十五円、こんな安くなる、八一・七%が減るんです、これが埼玉県。その他では、十一万円の収益から四万円に落ちたのが、これ神奈川県、六四%の減です。大阪の方のある作業所では、六十年九月に四・七トン、二万二千百円の回収があったのが六十一年九月は八・九トン、約二倍ですね、二倍の廃品で集まったお金が二万三千円、物すごいんです、これは。こういうような影響をまともに受けています。 円高の影響というのは作業所運営に限らず、埼玉や愛知の作業所では企業実習を行っていた障害者が実習から帰されてしまう、もう来なくていいよと、こういう状況にまでなっている、こういうことなんです。こういう状態で授産工賃も下がります。 したがいまして、ここでこの間も問題にしたんですが、費用徴収ですね。かつて局長は、いろいろ控除をしたり配慮しているから大丈夫だと言われていらっしゃるんですが、実際控除額を超えている程度の収入の人にとっては、これは働く意欲がなくなるわけです。ですから、この授産工賃をとりあえず凍結するというような方法というものは考えられないものでしょうか、まずお伺いします。
○政府委員(小林功典君) 昨年の十一月の国会でしたでしょうか先生から御質問をいただきまして、そのとき御答弁申し上げた記憶がございます。そのときお話ししましたのは、費用徴収額の算定基礎になる収入が前の年はかなりあったんだけれどもことしになると大変少なくなる、そうすると前の年の収入を基礎にしてはじきますので非常に酷ではないか、こういう御質問でございました。 その点につきまして私からお答えしましたのは、特例ではありますけれども、そういう場合には特例を適用してその年の収入を基礎に費用徴収額を決めますと、したがって収入が落ちていればそれだけ反映いたしますのでというお話を申し上げたところでございます。それはその以後もそういう取り扱いを続けておりますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。
○下村泰君 きょうは厚生大臣はいらっしゃいませんから、局長、厚生大臣のつもりで答えてください。責任持って答えてください、よろしいですね。 東京の江東区で、無認可の共同作業所からも徴収しようかと言われているという話があるんです。二十三区の厚生部長会議でもそういう話が出ているというふうに聞き及んでいるんですが、これは事実でしょうか、無認可の共同作業所からも徴収しようとしているという。
○政府委員(小林功典君) その話は私は聞いておりません。
○下村泰君 もしこれが事実だとしたら、これは大変なことですからね。せっかくわずかでも作業所へ助成が行われるようになってきています。そして、各自治体でもやっていらっしゃいますわね。このたび予算の方にも、大蔵大臣の配慮によりまして、まるっきり苦しい財政の中から幾ばくかがいただけるようになったんですけれども、もし自治体の方でこういう費用徴収の動きが出てくると、これ大変なことになるんですよね。こういう仕事に携わっている方々は大変残念なんです。費用徴収制度が続く限り、こうしたことも続くと思います。 社会福祉関係三審議会の合同会議において身体障害者更生援護施設の費用徴収制について見直しの検討に入っているというふうに聞いているんですが、現在それはどういう状況で、今後の見通しのスケジュール、それがどういうふうになりましょうか。 また、精薄施設の費用徴収制度も含めた検討と考えてよいのかどうか、これも聞かしてください。
○政府委員(小林功典君) お話ございましたように、現在、身体障害者福祉審議会、それから児童福祉審議会、それから社会福祉審議会、三審議会の合同企画分科会においてこの勉強をしておりまして、ことしの一月にそれを専門的に扱う費用負担問題小委員会というのを設置いたしまして、これをこれから動かそうということであります。一月でちょっと遅いようでございますが、実はそのときに企画小委員会というものも一緒につくりまして、きょう参議院の社会労働委員会で御可決いただきました身分法というのをやったものですから、ちょっとこの方は後回しになっていますが、この法案の方が成立しますと費用徴収の方の問題にすぐ移りたい、できましたら夏ごろまでには何とか結論を出していただきたいと、こういう感じでございます。 なお、精神薄弱の関係もこれに入ります。
○下村泰君 じゃ、まだ決まってはいないわけですね。見通しとしてはどうなんですか。
○政府委員(小林功典君) まだ本格的な審議が始まっておりませんので、今の段階でなかなか具体的なことは申し上げかねますが、夏ごろまでには何とか御意見をまとめていただきたいと……
○下村泰君 いい方へ行くか行かないか。
○政府委員(小林功典君) 結論はちょっと今の段階では御勘弁いただきたいと思います。
○下村泰君 できるだけいい方に傾いていただきたいと思います。 この制度は障害者の自立を阻害するものであって、決して私は自立を促すものじゃないと思うんですね。完全参加と平等の精神に反するものだというふうに私は理解をしておるんです。だからこそ見直しも行われることになったと思うんです。改革案をまとめていると言っているようですけれども、今まさに入所している障害者にとっては心理的に大きな負担となっています、これは事実。 とにかく、どこにいても食費や生活費がかかるのは、これは事実です。しかし、私らのように自由に外で暮らしていられる人間と違いまして、施設の中で選択の余地のない生活をしている障害者にとっては、我々と同列に見るということは非常にこれは問題だと思うんです。施設の中でメニューが選べるかというと、これは選べませんわね、中に入っている方々は。それだけにこの障害者の気持ちをもうちょっと理解していただきたいというのが私ら関係者の気持ちです。 この問題の最後に、私のところに来た一通の手紙がございます。これは養護施設に入っていらっしゃる三十三歳の脳性麻痺の女性なんです。 実は、ここに原文があるんです。これはどこそこのだれということを申し上げられません、これはプライバシーの問題でもございますし。これだけのもの、これは本当は、実はコピーをとって皆様方に見ていただこうと思ったんですけれども、誤字その他がひどいんです、これは。そういうわけで私どもの方で中から拾って文にしてまとめてみました。 私は、四歳で母の実家に預けられ、十一歳で子供の施設へ入り、十六歳で義務教育が終わり、一たん家庭在宅にはなったが、兄の結婚適齢期となり、親から、このような妹がいたらいい嫁は来ないと面と向かって言われたときほど憎しみを感じたことはない。 そんなとき私は考えた。親の老後だけでも障害者を持った引け目のない生活を過ごさせたいと、二十一歳のときあえて今の施設へ入園したのです。 でも、冬や夏に家に帰ると、自分がいる場所のなさに愕然とします。 幾ら血がつながっていても、兄弟の(結婚した)相手は他人であります。 (中略) 母が来ればうれしいんですが、年をとった母の手足をかりなければ生きられない私の惨めさは口には例えようがありません。施設の門を歩いて腰を曲げながら朝来た道を駅まで帰る母の姿には詰まるものがあります。母には三千円そっと渡します。これは見えでしょうか。障害者にも親を思いやる涙があるのです。 (中略) 親権者(扶養義務者)にどれだけのお金かかかるかわかりませんが、これを実施すると年老いた親も自殺しかねません。どうかこれ以上私たちの命を脅かすことだけはしないでください。この手紙の最後の方なんですが、書いても書いてもこの話には尽きません。生活全部を書いたつもりですが、まだまだかかっていることがありますが、書く方の足が痛れてきましたのできょうはこの辺で。お元気で。まだまだ何もわからず何かがあるたびお電話や手紙でまたお教え願えれば幸いです。ここに書いてありますとおり、書く方の足がなんです。足でこれはタイプを打ってきているんですよ。こういう状態でもこの方たちは生きようと努力しているわけですね。ですから、費用徴収という問題がこの子たちも〇・一%と書いてあります。どういうことなんだか本人はよくわからないんです。けれども親権者が取られるということはわかっているわけです。こういうふうな方たちが大勢いるということなんですね。ですから、これに対してどういうふうなお考えをお持ちでしょうか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(小林功典君) 何と申しましても心身に障害のある方でございますから大変にハンディキャップを負っておられる方ばかりでございます。したがいまして、そういう方についての施設への収容あるいは在宅の福祉あるいは先生今御指摘の費用徴収の問題、いろいろ問題があると思いますが、そういった温かい心を持ってこれからも対処したいと思います。
○下村泰君 今の言葉は厚生大臣の代弁として受けとめておきますから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。 次は、身障者の雇用促進法ですが、労働大臣にお伺いしますが、今国会に身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案が上程されましたけれども、どこがどういうふうに変わったのでしょうか、ひとつお願いします。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 今回の法改正におきましては大きく三つのポイントがございます。一つは、法律の対象を身体障害者から精神薄弱者、精神障害者を含みます障害者全般に拡大するとともに、障害者雇用継続助成金の創設等雇用の促進に加えてその安定のための施策を充実させること。それから二番目には、精神薄弱者を雇用率制度上実雇用率を算定する場合にカウントするとともに、身体障害者雇用調整金及び報奨金の支給対象とすることにより精神薄弱者の雇用対策の充実を強化すること。それから三番目には、職業リハビリテーションに関する規定を設けまして法律上職業リハの位置づけを行いますとともに、これらに関します施設の設置、運営の業務を日本障害者雇用促進協会に統一的に実施させまして、障害者職業総合センターを核とする職業リハの全国ネットワークを構築して、職業リハの一層の推進を図ること等を内容としております。
○下村泰君 この法律案の中で言うその他の障害者というところがございますが、そのその他の障害者というのはどういうことを指すのですか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 精神障害者でございます。
○下村泰君 その他の障害者というのは精神障害者だけですか。
○政府委員(白井晋太郎君) どこのところのその他がわかりませんが、精神障害者それから難病の方とかいろんな人を含んだ、等はそれらを含んでおります。
○下村泰君 昨年の二月十五日の予算委員会で私が、この法律の身体を取って障害者雇用促進法にできないのかとお尋ねしたときに、今お答えになった白井さんは「法律の成立の過程から名前だけを変えるのはなかなか難しいかと思いますが、中身そのものは総合的な対応としてやっていく所存でございます。」、そのときに林労働大臣でしたかね、「法律の名前を変えるということはなかなか困難な手続もあろうかと思いますので、その精神といたしましては、その中で私どもまた酌み取りながら対処をしてまいる」というふうにお答えになっておるんです。 それが一年ちょっとたたないうちに、ちょっとたったんですけれども、私の希望どおりになったんです。これは喜んでいいのか悲しんでいいのかちょっとわかりませんけれども、できないはずのものがよくできたなと思うんですけれども、これは大変私はありがたいと思うんです。ところが、今回の改正では三つのグループになるわけでしょう。例えば上が身体障害者、その下が精薄、その下がその他のグループ、そういうことになりますね。三つのグループになる。そうすると精神薄弱者、精神障害者、難病、てんかん、これはこっちへ入れるわけです。すると、この方たちもやはり同じょうに身体障害者という適用が受けられなければ本来はこの精神、名前を変えても何もならないように思うんです。 しかも七月には、現在の障害者雇用対策室が今度は室でなくて課に昇格するというふうに承っております。そうしますとなおさらに、今お答えになった精神というものを中に生かすには、こういう三つに分類、階段をつけるのでなく、これ全部がまとまった障害者雇用促進法にならにゃいかぬというふうに思うんですけれども、どうでしょうか、今後の見通し、大臣お答え願いたいと思います。せっかくおいでになったんですから。
○国務大臣(平井卓志君) 障害者対策において今御指摘のような点で格差があるのはどうか、やはり総合的にやるべきでないか、こういう御趣旨であろうと思うわけですが、今回の改正において、今委員がおっしゃいましたように、法律の対象を身体障害者から精神薄弱者さらには精神障害者を含むすべての障害者に拡大することとしたわけでございます。ただそこで雇用義務等については取り扱いを異にしておる。そして精神薄弱者や精神障害者の雇用の義務づけにつきましてはこれは必ずしも問題なしとしませんで、困難な側面がございまして、このための改正法も規定をしておりますように、必要な条件整備また調査研究に努めて将来その雇用に伴う諸問題が解決されていくことに対応して検討していく、審議会の答申もまたそういうふうになっておるわけでございます。 委員御専門ではございましょうが、さらに加えて申しますと、精薄者の場合に身体障害者と同じように雇用を義務づけられない理由は何かということになりますると、この審議会の意見書の概要について簡単に申し上げますと、一つには精神薄弱者に対する職業前教育、能力財発体制の条件整備の進捗状況は正直申し上げて現在決して十分とは言えない、そういう状況が一つ。いま一つは、精神薄弱者の就業が非常に困難な職種も多いということも一点。また個々の精神薄弱者の把握、確認がなかなかこれは難しい、難点があるということ。さらには社会生活指導の面で特別な配慮を必要とする方たちが多い。 もう一つは、委員も申されました精神障害者の関係につきまして、同じような雇用義務が課せられない理由は何かといいますと、これは一つにはどの程度医学的管理が必要であるか、ケースにおいてこれは必ずしも明確でない。一つには社会生活指導、雇用管理等の面で特別な配慮を必要とする方が多い。さらには判定体制がこれ確立されておりませんので、判定に当たって特に人権上の問題等々も配慮する必要がある。いま一つは、これは一般的な社会復帰体制が整備されておらない等々の審議会の御意見もございまして、一歩前進という御評価もいただいておりますけれども、このたびの改正で私は決して事足れりというふうには考えておりませんで、やはり受け入れ態勢、いま一つはよく言われますように、社会的なコンセンサスといいましょうか、こういう方たちの社会活動、経済活動に対する社会復帰の参加というのは、もう基本的にはその受け入れる社会そのものの連帯といいましょうか、そういう合意も必要である。 その他、ただいま申し上げましたような点で、今すぐ同じようにというふうな条件整備はただいま率直に申し上げればまだ進んでいない、これからの非常に御指摘のように重要な課題である、こういうふうに考えております。
○下村泰君 大変ありがたい御意見です。労働大臣自身が事足れりとは思っておりませんというそのお答えだけで結構なことだと思います。 次は、精神衛生法について伺いますけれども、精神障害あるいは精神障害者と聞いてどういうイメージを、その人たちをどういうふうに思いますか、連想するかというのがあるんですね。ここに、全国精神障害者家族会連合会、全家連というのがあります。これが中心になりまして、昭和五十八年度に「精神障害者の社会復帰・福祉施策形成基盤に関する調査」というのがありまして、市民、家族、有識者、専従者、この四つのグループに同じ質問を行いました。その中で、市民と専門従事者の答えが極めて違うんです。 例えば、「精神障害者はほおっておくと何をするかわからないのでおそろしい」、一般市民が五一・一%、専門従事者が七・五%。「精神障害者の行動は、まったく理解できないものである」、市民が四三・一%、専門従事者が四・一%。「精神病院が必要なのは、精神障害者の多くが乱暴したり、興奮して、傷害事件を起こすからである」、市民が五〇・一%、専門従事者は一〇・五%。「精神障害者が異常行動をとるのは、ごく一時期だけであり、その時以外は社会人としての行動をとることができる」、市民が二六・六%、専門従事者が六三・九%、こういうふうにいろいろ出ておるんです。 こういうふうなこのデータの出方をどういうふうに受けとめますか、厚生省は。このどちらの方が正しくてどちらの方が間違えているのか、この受けとめ方を。
○政府委員(仲村英一君) 精神障害者につきましては、それぞれの方たちの生活感情と申しますか、身近にそういう事件に遭遇した方とか、あるいは日常精神障害者をお世話しておられる方で今おっしゃったような数字の乖離があるのではないかと思いますが、精神障害者の方々といえども社会復帰が十分できる可能性の多い方が多いわけですので、私どもとしては今後精神障害者の社会復帰ということにもっと力を入れていかなくてはいけない、このように考えておるところでございます。
○下村泰君 それから、一九五〇年の精神衛生法制定当時の提出理由の第三条、定義について、当時の参議院の法制局参事の方がどういうふうに説明していらっしゃるか、お答え願えたらお答え願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 申しわけございませんが、その当時の資料を今持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねるわけでございます。
○下村泰君 それじゃ私の方でいきましょう。 この法律案が対象といたします精神障害者の範囲を規定しております。従来は精神病者、しかもその精神病者のうち社会生活に極度に弊害を及ぼす者だけを取り上げておりましたが、この法案におきましてはいやしくも正常な社会生活の発展の上に少しでも障害になるような精神上の障害を持つ者は全部対象といたしまして、精神病者のほかに精神薄弱者、精神病質者も加えたのであります。これによりまして、精神障害者は三百三十万云々と、こうなっているんです。 まるっきり最初から社会防衛があるいは保安思想というものを対象にしてこういうふうな定義をつけているんですね。これは人権じゅうりんも甚だしい。人権無視というふうに感じますけれども、どうでしょうか、法務大臣。
○国務大臣(遠藤要君) 先生にはいつも精神障害または身障者に対して自律精神を高揚するための公私どもの大変な御活躍、深く敬意を表しておきたいと思います。 精神障害者に対する差別とかあらゆる差別をなくすための啓発を行っているところでございますけれども、精神障害者にまたはその精神障害の経歴者に対して社会がなお偏見の存在であるということはまことに残念だと、こう思っておりますが、今後その解消のために一層努力をして、やはりその方々にも生きている喜びというのを、もっと自律精神を持てるような方向の政治的な仕向けをしたいと、こう考えております。さような点で、来月初旬に人権擁護の全国の理事会も開かれますので、その席においても先生のこの情熱をお聞かせして、みんなでひとつ差別をなくしていこうということにさらに努力してまいりたいと思いますので、御了承願います。
○下村泰君 なかなか難しい問題ですが、アメリカのある精神科医は、「社会が患者を排除すれば、患者もいやな反応を起こす。社会が温かければ、患者も温かくなる。不幸な事件は受け入れる社会の側の問題でもある」と言っている。アメリカの前大統領のカーターさんの夫人もこういうことを言っています。「一国の文明度をはかるには、その国が、その国民の弱き者、例えば老人、子ども、病める人、障害者、特に精神病者をいかに取り扱っているかということによって判定すべきである。アメリカでは、この精神障害者に対する取り扱い方は、まだ充分ではない。だから、アメリカは、もっと努力して文明国の水準に持っていきたい」と。日本の状況は三十年も四十年もおくれている、こういうことになるわけです。発展途上国の文明国みたいなものです、日本は。 こういうことについて、もう本当にせっぱ詰まってお話ししましたので、早口でちょっとおわかりにくかったかもわかりませんけれども、いま一度法務大臣、大変いいお言葉をいただきましたけれども、法務大臣、そして、ひょっとしたらば総理大臣になるかもわかりません宮澤大蔵大臣、今からでもちょっと聞かせていただきたいと思います、こういう問題に関して。
○国務大臣(遠藤要君) ありがとうございます。今先生のお話しのようなことでございますけれども、日本も御承知のとおり経済大国と言われ、貿易摩擦や何かで大変今は責められておりますが、やはりその面においても日本が世界になるほどなという差別のない国にしたいと、そういうようなことで努力をしていきたいと思いますが、一層先生のひとつ情熱を燃やしていただくことをお願い申し上げておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) かねてこの問題について積極的に御発言をされまして、私どもを啓蒙してくだすっていることに敬意を表しております。 こういう財政ではございますけれども、私どもとしてもできることはいたしまして、そういう方々が誇りを持って、希望を持ってこの人生を生きていかれますようにできるだけのお手伝いをいたさなければならないと思っております。
○下村泰君 ありがとうございました。
○理事(原文兵衛君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○理事(原文兵衛君) 次に、木本平八郎君の質疑を行います。木本君。
○木本平八郎君 私は、現在どんどん進んでおります老齢化社会に対応する問題をまず取り上げたいと思うわけです。 それで、現在日本の老人対策というのは不十分ながらも一応世界的水準に達していると思うわけです。特に、心身に障害がある老人対策というのは相当な水準まで進んでいる。ところが、心身ともに健全な老人対策というのが非常におくれているんじゃないか。特に私は今問題にしたいのは、自分もそのゼネレーションの代表であるわけですけれども、五十歳から七十歳までの実年層が抱えている問題というのは案外知られていないんで、ぜひここで取り上げたいと思うわけです。例えば私どもの仲間といいますか、もう後輩たちがどんどん定年退職しているわけですね、企業の場合。ところが、なかなか再就職が大変だという状況にあるわけです。その辺、再就職問題について労働省がどういうふうにお考えになっているか、まずお聞きしたいわけです。
○政府委員(甘粕啓介君) 現在、定年退職でやめられる方は大体年間十八万人程度というふうな状況にございますが、そのうちの大体四割程度の方はその後再雇用というふうな格好で同一企業に継続雇用になりますが、その他の方は再就職ということでございます。このために私ども、そういう人たちにつきまして、企業がみずから再就職のあっせんをするとか、あるいは私どもの職業安定所で再就職のあっせんにつきましては、特定求職者雇用開発助成金等その他助成措置を充実いたしまして再就職のあっせんに十分な努力をいたしているところでございます。
○木本平八郎君 傾向として、再就職が非常に楽になっているのか難しくなっているのか。それからその雇用条件、仮に再就職して、今まで三十万円もらえたのがどんどん減っているとか、あるいは企業のあっせんの難しさがどうなっているか。その辺はどういうふうに把握されていますか。
○政府委員(甘粕啓介君) 最初に再就職の場合の賃金の問題でございますが、これは私どもの賃金構造基本調査によりますと、大体再就職の場合の平均的な賃金は約二十万円ということで、日本的な雇用賃金慣行のもとにございますので、やめる前の大体五割程度というふうな状況でございます。 それから再就職の状況はどうかということでございますが、これは基本的には、現在のような経済情勢ということで、今のところ非常に容易になったというふうな状況ではなくて、むしろ困難な状況にあるのではないかというふうに思っております。
○木本平八郎君 余りそういうところをつっついていてもしようがないので、私の考えを申し上げますと、今非常に大企業の場合特に厳しくなってきているわけです。それから雇用条件も非常に悪くなって、言い方が悪いかもしれませんけれども、主婦のパート並みの給料しかもらえないというケースもあるわけですね。しかも、まだ子供が小さいとか、そういったことで働かなきゃいかぬという問題がありまして、この問題は、これはこれだけに限らないわけですけれども、今後政府として相当力を入れてもらわなきゃいけないのじゃないかと思うのですが、労働大臣、こういう方面についてどういうふうなお考えをお持ちですか。
○国務大臣(平井卓志君) 雇用対策全般の中で特に今御指摘の高齢者対策というのは私は一つの重要な柱でなかろうかと。特に、たびたび御議論になりましたように、やはりもうそう遠くない将来に五人に一人が高齢者である。単に個々の高齢者のためのみならず、やはりその段階における日本の経済社会活動等々に積極的に参加をしていただけるような、またそうでなくてはならぬわけですが、その条件整備等々が整っておるかということになりますと、私法して十分とは申しません。 ただ、高齢者のための、俗に六十歳定年法と言われる法律も施行されましたし、とにかく、六十歳定年を基盤としての六十五歳までの企業内活動等々いろいろな対策がございますけれども、これは今後、こういうふうな雇用調整の行われておる中で、場合によってはさらに失業問題等も厳しい中ではございますが、何とかここのところを総合的な施策でもって切り抜けていきませんとなかなか今後の日本の経済社会はうまくいかないのじゃないか。したがって、今担当部長も答弁申し上げましたように、決して十分ではございませんけれども、今後また各般の御意見もいただいて、とにかく、今後の雇用対策の大きい柱として本腰を入れてこの問題に取り組んでいかなければならぬ時代が、来るのではなくてもうその中に入っておると、このように理解しております。
○木本平八郎君 雇用問題は、今現在日本経済全体が大きな転換をしているわけですから、これはもう若い人も大変な問題になるわけですね、これからは。しかし、やっぱり高齢者というのは今のところいわゆる弱者ですから、特別に政府の御配慮をいただかなきゃいけないと思うわけです。 それで、この問題はまだまだあるんですけれども、大臣が何か御用がおありだそうなんで、ちょっと大臣の関係の質問だけ先に進めさしていただきます。 次は、私は職務分析をもう一度やり直す必要があるんじゃないか。現在の職務概念というのは十九世紀のときの肉体労働を中心にした職務分析なわけですね。例えば山を崩してもっこで運んで、そして埋め立てて、くわでならす、これは重労働なわけですね。こういうものは非常に若年労働が貴重だし、賃金も高かったわけです。ところが、今そういう仕事は機械で全部やっちゃうわけです、皆ボタン操作だけでか弱い女の人だってダンプの運転をやっているわけですから。そういう状況になってくると男女の能力差というのが本当に昔のままのことでいいのかどうか。まして高齢者と若年労働者の職務は分析し直す必要があるんじゃないか。 例えば、非常に粘りの要る、辛抱の要る仕事というのがありますね。例えば一晩じゅう計器を見て、テレビを見て、びっとも動かないのをじっと見ていなきゃいかぬという仕事はむしろ高齢者の方が向いているのじゃないかと思うんですね。そういうふうな職務分析をやり直さないと、先ほど言いました男女雇用平等法なんかも骨抜きになってしまうし、高齢者用の職務開発というのも限界があるのじゃないか。その辺は労働省どういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(平井卓志君) これもまた大変重要な御指摘でございまして、高年齢者の雇用を確保するためには、その職務内容またその職場環境につきまして高年齢者も十分にその能力を発揮できるようなものとしなければならぬ。これはぜひとも必要である。そのためには、人に仕事を合わせるといいますか、職務再設計の考え方を導入することが今後必要だろうと。 このため、労働省としましては職務再設計の普及奨励をただいま図っておるところでございますが、特にME化等の科学技術の進展がございますので、これは絶えざる進歩をしておるわけでございますが、特に高年齢の方が避けることのできない聴覚、視覚、体力等の機能低下ということもございまするし、今後ME機器を利用しました職務再設計、職域拡大の研究、これに特に力を入れてやってまいりたい、かように考えております。
○木本平八郎君 日本全体がこれからはだんだん働く時間が短縮されていくという状況にあるわけですね。しかも今度、外国との間の国際分業というふうな点も出てくるわけです。したがいまして、日本人の総労働時間というのは今後減っていかざるを得ないという状況においてやはり高齢者がいろいろな一番大きな被害を受けるんじゃないか。 この問題はまた引き続いて締めくくり総括の中でも取り上げていこうと思いますけれども、最後に労働大臣に私ぜひお考えいただきたいのは、賃金の問題、生活費の問題もありますけれども、生きがいの問題が大変なわけですね。六十歳というのはまだぴんぴんしているわけで。朝起きてきょう一日することがないという状況が非常に残酷なんですね、生活費はまあやっていけるにしても。私は、結論的には、これから日本というのはやっぱりボランティアの仕事を相当拡充しなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。今までのようなボランティアじゃなくて、三倍も五倍もボランティアの仕事を置いてそっちの方に生きがいを向けていく。特に高齢者の場合はそういうことが必要じゃないかと思うんですけれども、大臣どういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(平井卓志君) 生きがい等についてお触れになりましたけれども、私もつい先般墨田区の高齢者対策事業所に参りまして、高年齢の方々がそれぞれその能力、年齢に適応した範囲のお仕事、決して高収入ではございませんが、大変活気のあふれる職場であったということを拝見したわけでございまして、御指摘をまつまでもなく、このシルバー人材センター、またこういう環境は今後さらに強化する必要もございましょうし、いま一つは、ちょっと委員がお触れになりましたように、今後やはり避けて通れないのは労働時間の短縮という流れでございますので、やはりその中で、本委員会でもたびたび御議論がございました、日本の実情に合ったようなワークシェアリシグの本当に可能な分野は発展的に見てどういう方向であろうかということ等も総合的に考えて今後施策に力を入れていかなければならぬ、かように考えております。
○木本平八郎君 今おっしゃいましたワークシェアリングの再検討というのは非常に大事なことだと思いますので、ぜひ今後ともそっちの方に脚注力いただきたいと思うわけです。 大臣、どうぞ、結構でございますから。どうもありがとうございました。 それで、そういうことで話がばらばらになりますけれども、政府委員の方にいろいろお聞きしたいわけですが、まず、二千百時間ですか、そういう労働時間を千八百にするにするとか、外国は千六百のところもあるわけですけれども、私はこの際相当思い切って削減するということをやらないとこの雇用問題というのは解決できないんじゃないかと思うんです。それで私は、これはいろいろ問題があると思いますけれども、週休二日制を法律でもってやるぐらいの蛮勇を振るうということがこの際必要なんじゃないかと思うんですが、その辺はどのように受けとめておられますか。
○政府委員(甘粕啓介君) 実は私、高齢者対策部長でございまして労働時間の問題は所管外でございますが、基準法関係につきましてはただいま法案を国会に提出いたしまして、その審議をお願いしているところでございます。 ただ、全体としての労働力の供給ということを眺めてまいりますと、昭和七十年以降になりますと生産年齢人口、十五歳から六十四歳人口が、これは我が国の歴史始まって以来ではないかと思いますが、マイナスになるというふうな状況もございまして、私ども高齢対策を預かっている者といたしましては、そういう状況の中でも一層高齢者の能力を十分に活用する、生かしてもらうということが非常に重要なテーマではないかというふうに考えてございます。 〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
○木本平八郎君 それでは、時間の配分がございますのでちょっとばらばらになりますけれども、次に厚生省にお聞きしたいんですが、例えば年金を一年間辞退したら、今六十五歳から七十歳までの場合は一・八八ぐらいになるというなにがありますけれども、私は、それを思い切って一〇%ぐらい、一年辞退したら翌年からもらえる年金額は一〇%上げてあげる、十年だったら二倍になる。そうなると、六十歳からもらって七十ぐらいになって、来年から二倍になると思ったらそのときに御不幸が起こってしまうというふうなことで、年金財政としては非常に助かるんじゃないかと思うんですね。しかも我々受給者の方もそういう保障があればいいわけですよ。年金をもらわずに一生終われば非常にハッピーなわけですね。そういうふうな考え方で、むしろ年金というのを生活費と老後の不安保障というふうに二つに分けまして、不安保障を大きくした方がいいんじゃないかと思うんですが、その辺いかがでございますか。
○政府委員(水田努君) お答え申し上げます。 大変おもしろい御提案だと思いますが、さきの年金改革では、高齢化社会が進展してまいりますと二十歳から五十九歳までの方の総人口に占める割合というのがどんどん落ちてまいりますので、六十歳前半の方にはむしろ今後働いていただくということが必要ではないか、こういう認識のもとに、国民全部に共通いたしますところの基礎年金につきましては開始年齢を六十五歳という形で設定をいたしまして、六十五歳になりますとサラリーマンも自営業者も年金制度から全部離脱しますので、その同じ条件のもとで先生御提案の年金の繰り上げ、繰り下げ、この両制度を設けているわけです。 恐らく今先生の御提案は、現在六十歳から出しておりますところの厚生年金の場合のことではないかと思うんですが、一応厚生年金は現在の雇用の実態にかんがみまして六十歳から六十五歳までは老齢厚生年金というものを特別支給するようにいたしているわけですが、厚生年金はこれはサラリーマンのための年金制度でございまして、六十五歳に至るまでの間の所得を失うことに対する補完として出しているものに繰り下げ増額を認めるというのはいかがなものか。リタイアすれば出るわけでございますし、リタイアした人で生活に困るということで支給しながら繰り下げ増額を認めるというのはいささか制度的に仕組みに無理がありはしないかということと、それからもう一つ問題は、現に働いている、六十歳から六十五歳まで働いた人と、六十歳からもらって繰り下げをした人の年金額というのは繰り下げした方が得になる、こういう矛盾が出てまいりますので、せっかくの大変いい御提案ですが、直ちには採用しにくい側面があろうかと考えております。
○木本平八郎君 六十五歳まではこれからは働かないようにしようじゃないかというのが先ほどの私の提案の一つでもあるわけで、その辺も加味して御検討いただきたいんです。 ちょっと時間がありませんので簡単に。 あと一つは、老齢者の単独の方が再婚される。ところが、これは相続権の問題があるんで皆子供たちが反対するわけですね。それで今、同棲だとかおつき合いだとか、何かややこしい、陰湿なつき合いが多いわけですね。これをもっと相続権を伴わない結婚を認めて、堂々とこういうところへも、公式の場所にも出られるようにした方がいいんじゃないかと思うんですが、その辺いかがですか。
○政府委員(千種秀夫君) 御指摘のことは民法に関係のあることと思いまして私から申し上げますけれども、確かにそういう再婚の問題が陰湿になるというのは非常に好ましくないことでございまして、それはいい考えがあればそういうふうにやればよろしいのでございますけれども、民法のレベルで問題を考えますと、普通、配偶者というのはやっぱり相続権がある方がよろしいんじゃないかと思うわけでございまして、そういう特殊な場合は相続を放棄するとかあるいは――大体相続ということにつきましては相続人が協議をして決めるというのが一番の理想でございますから、今いろいろな諸情勢が変化しまして協議がしにくいという社会情勢が出ておりますためにそういう変わった現象が出てきているわけでございまして、その変わった現象を原則としてとらえますと少し本当の配遇者が迷惑をするというようなことにもなりますので、そこは新しい現象としていろいろ考慮をしていきたいと思います。 現在の制度におきましては、なるたけ遺言というものを活用していただいてその実質的な公平、平等を図っていただきたいと思っております。
○木本平八郎君 それで、今おっしゃいました遺言についてなんですが、これから高齢者社会になって、寝たきりになると皆子供たちがいろいろ介護するわけですね、政府もいろいろ設備をやられますけれども。そのときに、子供によっては非常に一生懸命世話をした人と、知らぬ顔をしている人と、それで亡くなったら財産だけ平等によこせということになってくるとぐあいが悪い。それから例えば、これが高齢になりますと、息子や娘はもうだめになっているけれども孫が一生懸命やってくれたという場合、孫に対する相続というのはこれは一段階落ちますから、それがある。 それからもう一つは、私は、脳死の場合、私個人はもう脳波がとまったら捨ててくれ、一切やらないでくれということ、それから例えば臓器はどうぞとっていただいて結構ですというふうなこと、そういう尊厳死の権利を本人が提言で書いておけばちゃんとそれをやってもらえる、相続もその遺言を非常にウエートを大きくしてもらうというふうなことにこれからしていかなきゃいかぬじゃないかと思うんですが、その辺はどういう御見解ですか。
○政府委員(千種秀夫君) 被相続人の意思を尊重する、遺言の機能を重視する、大変重要な御指摘だと思います。私どももそういう点では一向に違った見解を持っているわけではございませんし、現に遺言が非常に活用されてきております。 仰せのとおりに、特に最近の家族生活におきましては小家族が分散していきまして、家族以外の者が世話をするというようなことも出てまいりますので、そこのところは法制度を全部改正するということにはいろいろな問題もございますが、とりあえずは遺言の活用によって公正を期していくのが適当であろうと思います。事実、これは以前にあった改正でございますけれども、相続人がなくて国庫に財産が帰属してしまうような場合に、やっぱりそういう世話をした人がいる場合には相続人でなくても特別縁故者として相続財産を与えた方がいい、そういう見解で改正がなされたこともあります。そういうことを考えてまいりますと、相続権が本来ある人でなくてもしかるべき人にはしかるべき財産を与えた方がいいというようなこともだんだん出てまいると思います。外国においてはそういうことを立法で考慮しているところもあるようでございまして、これからの問題として研究すべきことと考えております。
○木本平八郎君 ぜひ御研究いただきたいと思うわけです。 それで、農水大臣に御出席いただきましたので、ちょっとそちらの方に質問を変えさせていただきます。 まず、OECDの閣僚理事会に出られまして、農業問題に関して、今度のサミットだとかウルグアイ・ラウンド、今の日本の農業の政策で切り抜けていけるという御感触をお持ちになったかどうか、それを含めて御感想をまずお伺いしたいわけですが。
○国務大臣(加藤六月君) 切り抜けていけるとかいけないとかという立場は余り考えておりませんが、私は昨年十一月いただきました農政審の報告、この線をOECDのコミュニケの中に盛り込むべく最大限努力した、こう考えております。そうしてまた、ベネチア・サミットにつきましては、したがいまして先般のコミュニケでおおよその土俵をつくることができた。それからウルグアイ・ラウンド、いわゆるニューラウンドについては各国全部熱心でございまして、何としてもウルグアイ・ラウンドの成功を期すための各国の意見は完全に一致しておったと思います。そういう中で、我が国の今後の農政に対する考え方というのも今回のコミュニケの中にほとんど盛り込むことができたという感触は持っております。
○木本平八郎君 それで、農水大臣、ずっとリン長官だとかヤイター代表とかいろいろお話しになっておりまして、アメリカの今現在高まっている保護貿易主義ですね、これに対しては何か文句を言われるというか、抗議されましたか。
○国務大臣(加藤六月君) OECD閣僚理事会が始まる二日前に、アメリカ政府はソ連に対して小麦九十万トン、トン当たり四十四ドル十八セントの補助金をつけた輸出をした。世界農産物貿易の問題が大変微妙なときに、そしてレーガンさんは農業に対する補助金を削減しようとしておるときにこういうことをやったのはと言うたら、四百万トンソ連とは契約がある、この問題をぜひうまくやっていって、農産物過剰解消のために我が国は踏み切った、こういう説明をされておりました。 また、OECD加盟国の多数の皆さんは、米国議会における保護貿易主義の台頭を抑えるためには今回のOECD閣僚理事会のコミュニケを何としてもまとめなくてはならないという認識では一致しておりました。
○木本平八郎君 これはまた締めくくり総括のときにやりますけれども、それで大臣、今こういう厳しい国際情勢になってきて食管法をいつごろまで維持できるというふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(加藤六月君) 私は、食管法もそのときの経済状態その他によって改正すべき点は改正しなくてはならぬが、その根本、基本は守っていきたい、こう考えております。 ただ、今回もカナダ、イギリス、フランス等が米の問題について、日本の保護措置あるいは国内における農業の保護措置のシンボル的な発言をせられたのは事実でございました。しかし、それに対しても私はいろいろ反論、反撃はしておきました。 実は、食管制度の問題もありますが、今私が心配しておるのは、食管制度の中には米と小麦があるんですが、木本先生も国際的には活躍された方でございますが、去年の小麦の相場で、これロイターの月報値でございますが、小麦が去年の六月八十九ドルがことしの五月、月報でいきますと百十二ドルになって二五・八%上がっておる。それから、トウモロコシが去年の九月に対して十四ドル上がりまして、アップ率は二三・三%である。あるいは、大豆は去年の十月百七十四ドルがことしの五月は二百十一ドルになっておる。このアップ率も二一・三%ということ等を考え、そしてまた昭和四十七年から小麦が暴騰したときに我が国としてはいわゆる食管で二千四、五百億円やって小麦の暴騰を防ぐということをやってきたりなんかしたわけでございます。 こういう世界の、自給率の一〇〇%を大幅に超えておる国々は輸出するための食糧をつくっておる、我が国は国民に対する食糧の安定供給という基本がある。そしてまた自給率が、穀物でいいますと三二%、カロリー計算でいいますと五四%という中で、これ以上の自給率の低下を国民が許すか許さぬかという問題等を考えていきますと、御質問の食管制度の根幹、基本は今後とも維持していきたい、そして日本のそういう考え方というものは今後国際的にも一生懸命説明し努力して理解してもらうように努めてまいりたい、こう考えております。
○木本平八郎君 値段の暴騰という問題は、これは自由経済のもとではもうある程度仕方ないと思うんですね。例えば今の土地の値段も、政府は必死になってやっていてもあんなにぼんぼん上がっちゃうわけですね。これはやっぱり国際ルールの中に入っていくかどうか。閉鎖していればそれはコントロールできるのは当たり前なんです。 そこで、実は私、これ非常に逆説的になるんですけれども、食管法を廃止してしまうのに今が一番いいチャンスじゃないかと思うんですよ。これだけの問題があるからこれは大義名分にもなるし、それからこれだけの大義名分があれば農民の人たちに、私は例えば三年間なら三年間、米なら米の、計算すると七十一万円ぐらいの所得があるんですね、それを三年ぐらい私、補償すればいいと思うんですね。補償してそれを転業資金に、三年間で転業をいろいろ考えてもらいたい。その間に少しは値段が下がっても、売れるわけですから、プラスアルファの収入があるわけですね。それをやれるのにチャンスじゃないかと思うし、もしもこれをやるということを決めれば、私はサミットだってウルグアイ・ラウンドだって、もうあらゆるものを全部クリアできるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(加藤六月君) 私は農業というものと一般の産業とは違うということをはっきり認識しております。また、今回参加した二十四カ国の中でも産業と農業は違う、それぞれの国がそれぞれ大変農業に対しては困難な問題を抱えておりまして、それがある面ではいろいろ議論の中にあったわけでございまして、そういう意味からいきまして、単にサミットやウルグアイ・ラウンドを乗り切るために食管制度を結びつけるというのは私はおかしいのではないか。政治の基本の一つは国民に安定的に食糧を供給していくことであるという、これは衣食住の食という国民にとって一番大切な問題でございますから、そこら辺を十分考えて我々は臨まなくてはなりませんし、またそういう中で今申し上げました米というものは我が国の主食であり、そしてまた我が国農政の根幹をなしてきたものであり、また古い文化と伝統に根差したものでございまして、いろいろ効能はありますが、そういう点から考えましても、私は軽々に食管制度を廃止するということは口が腐っても言えない気持ちでございます。
○木本平八郎君 もちろんいろいろ理由があると思うんですがね。その問題は私も一つ一つ反発できるんですけれども、これは反発を今やっていると時間がなくなりますので、私のもう一つの提案だけさしていただきたいわけです。 それは、今度食管制度を仮にやめたとすれば、小さい農家はどんどん農業をやめていかざるを得ない。その農地をどうするかという問題なんです。私は農地証券制というのを、私が名前を勝手につけているんですけれども、それを提案したいわけです。 この制度は、現在農家は土地執着とそれから財産保全希望が強い。それから値上がり期待、これは特に大都市のなにでは農家が多いわけです。こういう欲望、希望を満足させながら国による農地の有効利用をねらうということなんですけれども、それで、まず農家は自分の持っている農地を国に貸して、国はそのかわり農地証券を交付するわけです。これは金額は入っていないわけです。どこどこの土地何平米というだけしか入っていないわけです。それで、農家はいつでもこの証券を提出すれば公示価格で政府が買い取ってくれる、それで換金できると。また、公示価格による等価で物々交換できるわけです。ここの土地と茨城県の土地を等価交換ができる。したがって、農業を本当にやりたければ、こんな狭っ苦しいところでごちゃごちゃやらずに、茨城県に行って大農式でやれるわけです、等価交換ですから。 それで、その証券の換金は小口分割を認める。だから、十坪ずつ換金していってもよろしいということにするわけです。それから、譲渡所得税は換金した分に対してだけかかる。それで固定資産税や相続税は免税にしてやる。紙切れ一枚だという解釈にするわけです。そうすると、将来その土地に工場や団地などができた場合は当然値上がりするわけです。値上がった値上がり益はその証券所有者に帰属させる。で、開発利益は二十五年間に割って四%ずつにずっとしていくということです。農地の場合の小作料は、その土地を今度政府がだれかに貸して、そこから小作料を取った分、その範囲内においてその証券所有者に払ってやる。 そうすると、これは農地の場合はそういうふうになるんですけれども、逆に都会の土地なんかの場合は、これを政府はデベロッパーに売るわけです。売って、地主から請求がない限り、政府はその金を運用するわけです。そうすると、五%でも何でも運用益があるわけです。で請求されなけりゃずっとそのまま政府はその金を運用できるということになるわけです。そうすると政府としては、今度仮に五%の金利だと、五%以上値段が上がると、公示価格が上がるとこれはえらいことだから、一生懸命地価を抑制する努力もするだろうということなんです。 そういうことでやれば、私は農地あるいは都会の農地はみんながもう手放すんじゃないか。何も無理して管理せずに、無理して耕さなくても、これを持っていればずっと値上がりを待っていられるということで、私はこれがいいんじゃないかと思うんですがね。加藤大臣いかがですか。
○国務大臣(加藤六月君) ただいまの先生が御提案をされた件、大蔵大臣がおられるのですが、相続税や贈与税の関係等もありますし、これらに対するいろいろな問題があると思いますが、私は今の提案、去年も提案されたようでございますが、じっと私なりに考えました。先生が言われた方式は、実は農地解放をやるときに台湾が実施しております。したがって、日本のように後から、解放した地主に対する補償問題なんか一切起こらなかった。非常にうまいやり方をやったなということを勉強して知っておったのでございますが、先生はそこら辺にヒントを得られたのかな、それとも全然新しいのかなと思ったのでございますけれども、我が国には今御提案のような類似した制度はなく、またこれを実現することは種々困難な問題があり、慎重な検討が必要でないかと思います。 考えられる問題点というのは、もう先生の方も御存じだと思いますから余り申し上げませんが、農地証券の所有者、すなわち地主が農地を自由に転用できるような制度にしますと、耕作者の耕作権が長期に安定したものとはならず、経営規模の拡大が達成されないというおっしゃるのとは逆の問題も起こってくるのじゃないか。逆に耕作者の耕作権を保護するため耕作者の同意がないと転用できないような制度にすれば、農地の転用が制限を受け、農地証券の所有者にとって魅力のある制度とは逆にならなくなるのじゃないだろうか。 それからその次の問題は、通常の市中金利の水準並みまたはそれ以上の一定の利回りが保証されないと農地証券の買い手が出てこないと思われますが、通常の地代ではこのような利回りは期待できません。例えばこれは全国平均でありますが、実勢水田小作料全国平均は約三万七千円です。水田の価格は全国平均で百六十六万円。としますと、超低金利時代でありますけれども、この分では割合は二%になるということです。農地証券の発行や個々の賃貸借に国が関与するということになりますと、相当の人も必要となりまして、行政簡素化の折からどうなるかなという感じも持っておるところでございます。
○木本平八郎君 今おっしゃいましたことについては、全部一つ一つ反論もできるし、議論もしたいと思うんです。それで大蔵大臣、ちょっと今御意見をお伺いしたいのは、先ほどのような農地証券的な考え方でこれを実施すると、私は大都市の住宅問題というか土地問題というのは一遍に解決するのじゃないかと思うんです。本当のいわゆる農地はいろいろまだ問題はあるでしょうけれども、それよりも都会地の農地の転用というか利用が非常に進むのじゃないかと思うんです。私の申し上げたことが簡単だったものですから御理解が十分できていないかもしれませんけれども、御感想のようなものがあればお聞かせいただきたいんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今伺っておりましたんですが、一つ非常におもしろいアイデアをお出しになったと思いましたけれども、実はもうちょっとよく伺いませんとあれこれ申し上げられませんので、また役所の者を伺わせますので、ひとつ詳しく御教示をいただけましたらと思います。研究させていただきます。
○木本平八郎君 もう時間がだんだんなくなってきたものですから、それで、私今回この農業問題というのはやっぱり国難の一つだと思うんです。これはもう農水省だとか農家の問題じゃなくて国民全部で考えなきゃいかぬ問題だと思うんです。 私は、やっぱり先ほど申し上げましたように、逆に言ったら、外国から見た場合、日本の食管法を廃止する、米の自由化が数年後というふうなプログラムを示されますと、かえって輸出国の方は、対日輸出の準備をしてやってくると思うんです。今はっと抜き打ち的にやれば彼らはなかなか対応できないわけです。 したがって、私はそういう点でも非常に奇襲戦法、逆襲なんですけれども、そういうことで考える必要があるのじゃないかと思うんですが、最後に大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(加藤六月君) 私はまだこれから衆議院の農水へ出るのでありますが、今まで衆議院の農水で、私が日本の農業は血を流してほしいと言ったことで大変なおしかりをいただいておって、おまえ血を流すといっても日本の生産者、いわゆる農業生産者がこれ以上血を流す余地があるのか、もうないところまで来ておるのに血を流せとは何ということをおまえは外国で言ったんだといって今おしかりをいただいておったところでございますが、要は食管制度云々ではなくして、内外価格差というものを是正していくということが一つの大きなねらいでございます。 私は実は、そういう意味におきまして内外価格差、生産者、いわゆる農業生産者も国民、消費者に信頼を失ったらすべてにもうパアになってしまいますと。そのためには、一つは、我々が一生懸命指導するのは、生産性の向上、あるいは先ほどおっしゃった経営規模の拡大、こういうことを必死でやるとともに、そして一部言われておるような農産物の内外価格差というものを徹底的に是正していくということをしないと本当の安定供給はできないという立場で、生産者の皆さん方にもそういうお願いをしておるわけでございまして、食管制度そのもの云々というよりか、今日の国民的関心の一つは、今申し上げました内外価格差であります。この是正をいろいろな方法を試みながらやっていく。それをやっていったときに食管制度がどうなるかということは改めて議論していただけばいいわけでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、今日の時点においで食管制度云々は、私は口が裂けても、拷問にかけられても申し上げるわけにはいかないという気持ちでございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で木本平八郎君の質疑は終了いたしました。 これにて一般質疑はすべて終了いたしました。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十三分散会