予算委員会 第11号
- 発言数
- 278 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1987/05/13
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、総括質疑を行います。野末陳平君。
○野末陳平君 私は、税の不公平についていろいろな角度から質問していきたいと思うんです。宅地並み課税あたりからやろうと思うんですが、その前に大蔵大臣にお聞きします。 五兆円規模の補正予算の話がちらちら見えてきたようなんですが、この補正の方針とそれから概要について簡単にお話ししていただけますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 補正予算につきまして、内々はいろいろ考えておりますのでございますけれども、ただいま六十二年度予算審議中の当委員会におきまして不謹慎な発言をしないようにという心構えでおりますことをまず御了承いただきたいと思います。 私ども自由民主党の中で、四月下旬に、予算が成立いたしました後のいわゆる内需振興策等々について、党としての要綱の決定をいたしました。また、総理大臣が過般訪米されましたときにも、自民党としてはこういうことを考えつつあるということを米国の首脳に伝えておられる経緯がございます。ただし、これらはいずれも政府のという公の立場でなく、委員会の御審議との関係を考えながら、内々でいろいろ準備を考えておるという段階でございます。 私どもが内々考えておりますことは、六十二年度予算を成立させていただきましたら、まず公共事業の前倒しを、建設大臣のお考えでは事務的に可能な最高限度までやりたいという御意向のように承知をいたしております。その場合には、それは前半における前倒しになりますので、年度後半にどうするかという問題に当然対処をいたさなければなりませんが、それはやはりそれなりの財源を探しまして追加をするということになろうかと思っております。 その他、党の要綱に示されました幾つかの問題点がございまして、それらをできますならば補正予算の形で考えていきたいと思っておるわけでございますが、他方で、政府が今国会に御提案しております税法が、衆議院議長のごあっせんによりまして、衆議院に協議機関を設けて、もし今国会審議未了になりました場合には協議をされるということになっておりまして、歳入面の実は情勢が非常に読みにくいことになっております。したがいまして、補正予算を考えます場合に、歳出面の要素はかなり目鼻だちが見えるわけでございますけれども、それをどのように歳入面で処理すべきかということがただいまの段階でははっきりいたしておりません。 本来、政府は、本年度中に一部の直接税の減税をお願いしたいと考えておりまして、法人税の減税だけはいろいろないきさつから既に出発をいたしたわけでございますけれども、個人の所得税につきましては、税法全体がそのようなお扱いになるということがござい土して、帰趨がはっきりいたしておりません。したがいまして、私どもとしましては、この国会がいわゆる協議機関を含めましてどのような終末になるか、恐らく協議機関はその後も続けて御協議をいただくことになるのであろうと想像いたしますが、その御協議にどのくらいの日数がかかるものであるかということと、それから仮に補正予算を考えますといたしますと、その時期というものとのタイミングも見きわめる必要がございまして、国会が終了いたしました時点でそれらのことを総合的に判断いたさなければならない、かように考えております。
○野末陳平君 私は、補正の中で減税がどういう形でどのくらいの規模行われるか、それをお聞きしたかったんですが、お答えはちょっと無理のようですから本題の方にいきたいと思います。 宅地並み課税ですけれども、私、東京におりますから、東京の二十三区内においても非常に農地が目立つわけですが、市街化区域内の農地がどのくらいあるか、この面積ですね、これをまず知りたいんですね。東京全域、それから二十三区に限って農地面積をお願いします。市街化区域内です。
○政府委員(津田正君) お答えいたします。 東京二十三区内の農地は、戦後農地改革等の時分には約八千万坪程度あったわけでございますが、六十年度の調査によりますと五百六十八万九千坪と一割弱になっております。同じく昭和六十年度で東京全域でございますが、二千六百五十五万六千坪。先生の方のサゼスチョンで坪で申せと、こういうことでございますので、便宜坪で申し上げた次第でございますが、二十三区で五百六十八万九千坪、東京全域で二千六百五十五万六千坪でございます。 区ごとで申しますと、二十三区のうち農地が残っておりますのは十一区でございます。一番大きなところが練馬区、大体百八十万坪程度でございます。足立が百三十万坪程度、それから世田谷が九十万坪程度、江戸川が八十万坪程度。ここいらの四区で大体八〇%以上の農地を占めておるような状況でございます。
○野末陳平君 たまたま私は練馬におりますから目立つわけなんですね。これだけの農地が宅地にどんどん供給されるとしたら、土地の値段についても随分いい影響があるだろうと当然期待されるわけでございますけれども、国土庁はどういうふうに考えますか。
○国務大臣(綿貫民輔君) 土地の値段は需要と供給によって決まるわけでございますから、新たな供給が出てまいった場合には土地の値段はバランスするというふうに考えられるわけでございますが、今のこの農地の転換の問題につきましては、良好な住宅地を計画的に供給していくということが大切であるということで、農住組合制度の活用などによって誘導方策等が進められればなお結構である、こういうふうに考えております。
○野末陳平君 出てくれば、農地がどんどん宅地に供給されれば当然いい影響が出てくるんですけれども、出てこないんですよね、いろんな理由がありますけれども。 そこで、東京二十三区だけじゃなくて、大都市圏では似たり寄ったりの状況だと思いますけれども、農地が宅地に転用されてくる、そうすると土地、住宅問題の解決にかなり前進があると思う。そういう期待と同時に、一つ対策を間違うと今度は計画的な町づくりという点で物すごく弊害も出てくるので、非常にここが微妙で複雑なんですね。 ですから、私はとりあえずきょうは不公平というところだけに絞って質問をしていきたいんですけれども、二十三区にこだわりますが、この場合、宅地とそれから宅地並み課税を猶予されている農地とで固定資産税が余りにも違うんですね。どの程度違うか、その比較を、自治省ですか、ひとつお願いします。
○政府委員(津田正君) 東京二十三区におきまして、昭和六十年度の実績で見ますと五十七分の一程度でございます。
○野末陳平君 つまりこれは、農地であれば宅地並み課税を猶予されている結果、普通の人のいわゆる宅地の五十七分の一で済む。反対に言えば、五十七倍の固定資産税を普通のお宅では負担している、こういうふうになるわけですね。これは常識ですね。かなり前からの常識ですが、この税収減は大体どのくらいになっているんですかね。
○政府委員(津田正君) 御承知のとおり、宅地並み課税につきましては、長期営農継続の方々に猶予措置というものが講ぜられておるわけでございます。二十三区内の農地におきまして猶予措置が講ぜられておる額が四十一億円程度でございますので、宅地並み課税で営農継続を認めないということになれば四十一億円の増収になる、このように考えられます。
○野末陳平君 これは二十三区だけですから、大都市圏というよりも、市街化区域内の農地の猶予措置による減収はどのくらいですか、それも含めて。
○政府委員(津田正君) 四百億円程度が徴収猶予されている、このように解しております。
○野末陳平君 先ほどは、負担の不公平が五十七分の一である、そういう話だったんですが、最近、世田谷とか練馬とか、特に地価が急騰するいわゆる高級住宅地に近くなってきたところですね、そういうところの比較は、課税実情というものはもう五十七分の一ところじゃありませんで、例えば私が知っている世田谷の用賀に三百坪の土地がある。現在は農地ですけれども、これを宅地の場合で固定資産税を計算しますと年額約五十万円。宅地だったら五十万円。ところが現実に農地ですから二千五百円。三百坪で固定資産税が二千五百円ですからね。となると、宅地と農地では五十七分の一だが、もう一部では二百分の一、ですから宅地は二百倍の税金を負担しているわけですね。こういう例は二十三区内の特に土地が急騰したところにはざらにあると思うんですけれども、自治省、これわかりますね、一部ではあっても。
○政府委員(津田正君) 個々具体的な事例につきましては完全に把握しているわけではございませんが、私も若干現地を見てまいった経験もあるわけでございますが、例えば先生おっしゃるように、環八通りに農地があって、これがガソリンスタンドなりドライブインになる、こういうような形のものであれば、おっしゃるような倍率ということも考えられると思います。
○野末陳平君 さてこの固定資産税、保有の段階ではこれぐらいの格差がある。今度は農地を売るときに、農地を売るんですよ、そのときには宅地と比べてどうかというと、もう今や二十三区では何百万円というのはざらですけれども、農地といえども売るときには宅地と同じ値段で売れるんですよ。これは当たり前ですよ、そうですよね、建設省。
○政府委員(牧野徹君) 市街化区域内の農地につきましては、農転が届け出だけで許可されるということでございますので、売ります場合には実際の利用条件に応じた価格が形成されます。
○野末陳平君 つまり、売るときは同じ値段ですから、だから価値としては全然変わらないんですが、保有段階では宅地と農地で固定資産税が五十分の一あるいは五十七分の一あるいは八十分の一、二百分の一と、こういうふうになるんですから、一般の方は二百倍もの固定資産税を負担しておるという。当然同じであるべきなのになぜこんなに農地が優遇されるかというのは、これは絶対にだれが見ても不公平なわけですが、さてこの負担の不公平をいつまでほうっておくんだと、これは前から問題になっておる。いつまでこれを放置するのかというのは、もうこれは建設大臣の所管ですからね、お願いします。
○国務大臣(天野光晴君) この問題は今始まったことじゃないんです。今から七、八年前に問題になりまして、当時、土地の買い置き、値上がりを待つという風潮が非常に多かったものですから、そういう点で土地保有税という税金をつくったわけでございます。その段階において農地はどうするかということで今の法律ができ上がったわけでありますが、農業経営を永久にやるという者について、おまえのところ商売やったって大したことないんじゃないかと言うわけには今の憲法の建前からいっていけないんじゃないか。そういう観点で、法律の上で、五年間様子を見て、営農できる、やるという見通しのあるものについてはこれはやむを得ないんじゃないかという法律がようやくことしで五年になりまして、調査が今できた段階でございますから、どう処置するかは今ここわずかの期間のうちに決定が出ると私は思っております。
○野末陳平君 これは緊急の課題なんですよね。ですから、最近では宅地の供給を絡めまして、この宅地並み課税というものを完全実施しなきゃいけないという声が高まっているのはこれは当たり前だと思うんですね。私、実際どうなのかという、実際というのは、宅地並み課税の制度がありながら猶予を受けている、つまり例外扱いをされている農地が一体どのくらいあるかというのを、くどいようですけれどもきちっとしておきたいと思うんですね。 そこで自治省に聞きますけれども、大都市圏並びに二十三区あたりの数字で結構ですから、宅地並み課税の猶予を受けている農地はどのくらいの率ありますか。
○政府委員(津田正君) 長期営農継続農地面積の特定市街化区域農地面積に対する割合、いわゆる徴収猶予措置を講じておる割合でございますが、昭和六十年度で宅地並み課税が実施されております市全体で約八六%……
○野末陳平君 それが猶予でしょう。
○政府委員(津田正君) 猶予です。東京二十三区で七九%が猶予されておるのが実情でございます。
○野末陳平君 ですから二十三区でも七九。八割ですね、猶予されている。つまり、大部分の農地が営農という名のもとにべらぼうに安く固定資産税をまけてもらっているということになるんですね。 念のために聞きますけれども、二十三区で農家というか農業世帯というか、どのくらいあるんですか。ちょっと農家の戸数などを。
○政府委員(鴻巣健治君) 六十年の農業センサスによりますと、東京二十三区の全体の農家は四千三百十戸、そのうち専業が二百四十二戸、五・六%、第一種兼業農家、つまり農業所得の方が兼業所得よりも多いのが五百八十一戸の一三・五%、それから第二種兼業農家、つまり農業所得よりもサラリーマン所得のような他産業所得が多い二種兼農家が三千四百八十七戸、八〇・九%になっております。
○野末陳平君 つまり、二十三区は特別この傾向が著しいわけですが、営農の名のもとに負担はかなり楽になっていながら専業農家というのはほんのちょっとしかないんですね。あとは兼業農家。しかも、兼業農家のうちの八割ちょっとは農業収入よりもいわゆるほかの収入、お勤め人であれば当然そちらの方というので、これはもう農家とは言えない、営農と言えない、こういうふうに常識でだれが考えたってわかってしまうんですが、現実はそうではない。私が言いたいのは、大都市圏全部にはこういうことが当てはまるんですけれども、要するにこの土地を農業として生活基盤には使っていない人たちの方が圧倒的に多くて、純粋の農家は少ない、まじめの農家はね。とりあえず農地、そのとりあえずの農地に何でこれだけの優遇を続けていかなきゃならないか、だれが考えても当たり前のこと。それが一向に改善されてこないという。 そこで、この仕組みをもう一度振り返ってみたいんです。この宅地並み課税を猶予されているというのは、どういう手続をして、どういうふうな資格があれば猶予されるのか、ちょっとその辺の事情を教えてください。
○政府委員(津田正君) この制度は、宅地供給というような政策的な意義と従来から農業をやっておられる方への配慮・この調整というような制度でつくられておるわけでございます。法律的には地方税法附則第二十九条の五の規定に基づくものでございまして、その仕組みにつきまして申し上げますと、まず、長期営農継続農地に該当するかどうかの認定は、所有者が首長に農業委員会を経由して行う申告に基づき、農地課税審議会の議を経て首長が行うものとされておるわけでございます。この農地課税審議会におきましては、委員構成といたしまして、農業に関し学識経験のある者だけでなく、都市計画に関し学識経験のある方々も参加してやっておるわけでございます。 このような審議会の議を経て決定するわけでございますが、ただ、この場合に、決定する場合にも一定の要件が定めてございまして、一団の農地面積が九百九十平米以上、三反歩でございますか、それ以上、あるいは営農単位として九百九十平米以上というような面積要件を満たすというようなことが一つ。それから現に耕作の用に供されているという条件が一つ。しかも十年以上営農を継続することが適当である。このような三つの要件に該当するものにつきまして長期営農継続農地として認定をいたします。この認定をすることによりまして、認定後五年間またはその後五年間の長期営農継続農地に対する税額といわゆる農地課税相当額との差額を徴収猶予をする。そして、それぞれの期間長期営農継続がされた場合におきましては、その差額というものを免除するというようなことであります。 なお、営農が継続されないこととなった場合には、原則として徴収猶予税額をすべてさかのぼって徴収する、このような仕組みになっておりまして、ある程度の期間営農継続ということを確保した措置といたしまして、農家に対する配慮も講じておるような状況でございます。
○野末陳平君 仕組みは今のとおりで、かなり厳しいように思えるんだが、実は何をやっているか。本人が申告すればもうこれは原則、ほとんどじゃなくて全部認められているわけでして、この厳しい審査で、おまえはだめ、こちらはいいと、そういうのが現実にあるのかどうか。そこなんです、問題は。ですから、いかにも厳しいように見えて実は全くざるなんです。 しかし、今の説明でありましたが、営農をきちっとしているというところが非常にポイントだったですな。やっているかどうかですよ。それじゃ営農の定義というのは何ですか、今の場合の営農の定義。
○政府委員(津田正君) 営農の定義でございますが、どうも役人的に申し上げて恐縮でございますが、耕作の行為を反復、かつ、継続的に。行うこと、こういうようなことでございます。 なお、先ほど答弁いたした中で、九百九十平米、三反歩と申しましたが、一反歩でございます。
○野末陳平君 今の定義は現実に当てはめなきゃとてもわかりませんから、どんな仕事をやっていればその定義に当てはまって営農なのか、それを説明してもらいましょう。
○政府委員(津田正君) 現に耕作の用に供しておるというものの判断でございますが、耕うんであるとか整地、播種、かんがい、排水、施肥、農薬の散布あるいは除草等の肥培管理を行っておるというようなことでございます。 なお、本人の主観的な営農継続の意思のみならず、土地自体が周辺の土地利用の状況あるいは用排水という農業に必要な施設というものが整備されておるかどうか、そういうような客観的な条件も考慮いたしまして認定をしておるわけでございます。
○野末陳平君 目に見える範囲で聞かないとわかりませんね。 例えば私が知っている練馬にも世田谷にも、ブロッコリーとかキャベツとかコマツナとか、サツマイモとかジャガイモ、トマト、イチゴでありますね、きちっと耕作して農業を営んでいる。それは市場にも出している。それから周辺の住民に家庭菜園として開放しているとか、確かにこういうのがありますよ。まじめな農家というべきか、まじめな農耕利用の農地というべきか、ありますが、そっちが少ないんですね。むしろ目につくのは荒れほうだい。あるいはカキ、梅、クリ。クリが一番多い、あれ簡単ですから。しかもぽつんぽつんとやればいい。練馬はそればかり、はっきり言いまして。つまりクリとかカキとかそういうものを植えている。あるいはもう荒れほうだい。あるいはキャベツとかいろいろつくってはいるけれども、きちっと収穫もしていない。これをすら営農という名のもとに認めているわけです、現実に。これが営農ですか、違うんじゃないですか。
○政府委員(津田正君) 営農の判断基準は、先ほど申し上げましたところに従いまして各地方団体におきまして実際に管理していただいておるわけでございますが、確かに現状におきましていろいろな問題があると存じます。 荒れほうだいということにつきましては、これは私どもも営農をしているということは到底言えないわけでございますが、実は先日テレビでこの宅地並み課税の問題が放映されたときに、たまたま何にも耕してない農地が映った。ところがその農家の方々に言わせれば、冬場に農作業を休んでいるところを映されたんだというような実は意見というものを私ども聞いておるわけでございます。 それから御承知のとおり多摩川べりなどはナシが現在でもやられておりまして、いわゆる観光農園的な利用というものがございます。それから梅、クリというようなお話もございましたが、実際問題としまして、例えば京都周辺でございますが、宇治茶など、これは立派な産業として成り立っておるわけでございますし、また梅、クリ等やはり肥培管理というものは十分やっていただく必要があるわけでございますが、そういうものについて農業をしていないというような認定はなかなか難しいものではないか。特にツゲだとかツツジの類を植えているという例をどうするんだというような議論もあるわけでございますが、やはり都市近郊産業としてそのような緑化作物というものも一つの営農形態になるのではないか。 いずれにしましても、まじめに営農していただくということが条件でございますが、クリあるいは梅等が植わっているからこれは営農していないということは一概に言えないのではないかと思います。
○野末陳平君 しかし、兼業で農業収入がほとんどないという実態から見て、政府が農家をかばうほど一艇の人はなるほど営農だからやむを得ないとは思いませんから、その辺のギャップが大き過ぎる。これはもうくどくど言っても始まりませんで、要するに見せかけの農地が多い。税金を払いたくないばかりに農家のふりをしているお義理農家、不良農家、そういうのがもう圧倒的ですよ。だからこそまじめな農家は迷惑をしているし、周りのサラリーマンたちは頭にくるわけで、これを放置しているというのはもう怠慢以外の何物でもないと私は思うんですよ。 そこで、きちんと営農しているかどうかのチェック、それすらも、まあ説明によりますとある程度行っているようですが、実態はそんなものじゃありません。少なくも五年ごとに、今度は五年で見直すと言っておりますけれども、どういう形でやるようになるんですかね。厳しくしてもらいたいと思うんです。それはそれでしてもらいたいんですが、私はもっと根本的なこの宅地並み課税の不徹底、不公平というものをもうこれ以上放置できません。ですから一日も早く、さっき大臣のお答えにもありましたけれども、これを具体的にどうするんだと、運用強化をするのか、完全実施をするのか、いつごろがめどなんだと、もうちょっと政府の方ではっきりした方針を打ち出してもらいたい。このままじゃ法律が泣くということになります。ですから、どういうふうに具体的にするか、そのスケジュール、プラン、これを示していただかないとちょっとおさまりませんが、どうですか。
○国務大臣(葉梨信行君) 今まで先生からの御質問に対しまして事務当局からお答えをしてまいりましたが、市街化区域農地に対します課税のあり方につきましてはいろいろ御論議があるところでございます。現行制度に至るまでも、先ほど建設大臣は五年ほど前からというお話ございましたが、実は市街化区域内農地の宅地並み課税制度につきましては、ちょっと振り返ってみますと、四十六年度にA、B、C農地を決めまして宅地並み課税が実施されるようになったわけでございます。四十七年の税制改正におきましては、自民党、社会党、公明党、民社党の共同提案によりましてその実施が延期された、こういうこともございました。四十八年にまた税制改正が行われ、五十一年にもまた細部にわたります手直しが行われ、五十七年になりまして現行の制度に改まったわけでございます。 現行の長期営農継続農地に対しまして、先ほどのようないろいろな欠陥があるじゃないかという御指摘がございましたけれども、徴収猶予とかあるいは納税義務の免除制度ができたわけでございます。この市街化区域におきます宅地供給促進という先生がおっしゃっている御趣旨と、それから農業をどうしても市街化区域の中でも続けたいという農家もおありになるわけでございますが、農業経営の継続という二つの課題の調整策としまして長期営農継続農地という制度ができたわけでございます。その制度は現在運用中でございまして、徴収猶予とか納税義務の免除というような特典が与えられておりますだけに適正な運用がされなければいけない、不公平が増幅される、こういう観点から地方団体を指導してきたところでございます。今後とも引き続き適正な運用がなされるよう指導してまいりたいと考えております。 市街化区域農地に対します宅地並み課税のあり方につきましては、先生が今おっしゃった二つの論点のほか、負担の公平あるいは宅地供給促進という観点のほかに、土地利用のあり方としまして、都市農業をどうするのかという問題、それからもう一つは、この間広中議員からも御指摘ございましたが、都市における緑地をどうするか、緑地地帯の確保をどうするかという問題、あるいは都市施設の整備状況等々の関連等いろいろの観点からの御論議があるわけでございまして、こういういろいろな広い観点からの論議を踏まえまして、今後税制調査会におきます御審議をいただきながら、いろいろな観点を踏まえた上で政府・与党で結論を出していきたい、このように考えているところでございます。
○野末陳平君 ですから、早くきちっといろいろな角度からの検討をまとめてほしいと思っているわけですが、総理、今宅地並み課税を不公平の観点からちょっと触れましたけれども、こういう大きなテーマがありながら、今度の税制改革の中でなぜこれが前向きにメスが入れられてないかという、それを一般の人が非常に不思議に思うんですがね。総理はこれどうなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 都会地の農地に対する宅地並み課税の問題については、非常に最近議論が沸いてまいっております。私らも注目しておるところであります。しかし、五十七年の改正で、長期営農継続の意思がありしかも実行しているという農家というものは、これは尊重しなければならない。要は、それがルーズに行われていはしないか、そういう意味において、見せかけでやっているというようなものについては厳格にこれを排除する、そういう措置が必要であるだろうと思います。 そういうように、まじめにやっているのとそうでないのとやはり厳格にこれを区別して、それに対する取り扱いを考えていくということが当面は大事でありますが、長期的観点からしますと、いろいろなさまざまな要因等も考えまして、税調あるいはいわゆる前川リポートの中でもその問題に言及したところもございます。また世論もございます。そういうような面からこれをひとつ検討する、そういう課題に登場しつつあるように思うのであります。
○野末陳平君 私個人の考え方から言うと、市街化区域の農地、これは固定資産税は宅地と一律にするのは当たり前で、今の農家はそのくらいの負担能力はありますしね。それから、一方において土地の値上がりがすごいですから、そちらの方で我慢もできますからね。営農をしたいという個人の意思をどうするかという問題と、市街化区域の農地はどうあるべきかという根本的な都市計画との絡みの問題はありますが、固定資産税は少なくも一律にしてもそれほどの打撃はないだろうと思うんですよ。むしろその方が土地の有効利用を早めることにもなるかもしれない。それはいろいろ複雑な問題はありますから、考え方としてだけ言っておきますけれども。 もう一つ土地に関して言うと、相続税の問題も絡むんですよ。宅地並み課税に似固定資産税の面から今まで触れましたが、相続税の面から絡むので、これがまたちょっと時代おくれの優遇なんですね。 都心の実例からいきますが、都心に土地を持っている人が相続税のために土地を売る、これは仕方がないと思うんですね、資産家であれば。しかし、一般のサラリーマン家庭までがいずれそうなりそうな心配が出てきた。つまり、御主人が亡くなった場合、未亡人が持ち家を相続する。その場合にも今までは相続税はかからなかったんです。だけど、ここのところ評価が上がってきましたから相続税がかかる心配が出てきたと私は思うんで、現実にはそうでしょう、そろそろかかりそうな感じになってきましたね、大蔵省。
○政府委員(水野勝君) 相続税につきましては、昨年の税制調査会の抜本答申におきましても、昭和五十年以来負担水準が据え置かれているところから、見直しの時期に来ているのではないかという御指摘もあるわけでございます。その点につきましてはそのとおりでございますが、六十二年度の抜本的税制改革といたしましては、財政事情その他等に基づきまして今回の改革案の中には織り込んでおらないところでございます。
○野末陳平君 だから、未亡人が持ち家を相続する場合にもそろそろ、今のままで改正しないんだから、税金がかかりそうな心配が出てきたでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうふうに言えると思います。
○野末陳平君 実例を聞いていただいた方が早いと思うんですね。 杉並、中野あたりを想定しますと、ここにサラリーマンの定年退職後の老夫婦が割と居を構えておりますから。そうしますと、六十坪ぐらいあったとしましょうか。ちょっと坪で恐縮ですが、六十坪の土地がありましてもう古い家が建っている。定年後のサラリーマン老夫婦がそこに住んでいる。そうすると、去年この土地の評価は平米当たり二十万ですから大体六十六万円ですか、この評価でいきますと六十坪が約四千万円の評価になりますから、未亡人がこの自宅をそっくり相続するという場合には、ほかにさしたる財産がないとすれば、これは相続税はどうだったですか、これ去年もしあったとしてですが。
○政府委員(水野勝君) 四人世帯で相続をされますと、三千二百万円というのが現在の課税最低限と相なっておるわけでございます。ただ、その中で居住用の宅地につきましては、二百平米でございますから、ちょうど先生御指摘の約六十坪、ここらまでの宅地につきましては三〇%の減額という特例措置が講じられているところでございますし、また相続税の評価額はおおむね市価の現在六割程度であるという実態もございます。 また、未亡人と申しますか、配偶者につきましては二分の一の免除といったものもございますので、御指摘のような数字でございますと、それによりまして相当な相続税が生ずるというところまでにはなってはいないのではないかという気もするわけでございます。いろんなさまざまなケースがあろうかと思うわけでございます。
○野末陳平君 相続税はかかりませんよ、今のはね。今ので言えば、去年だったらば評価が低かったですから。ことしになりましてこのあたりは評価が大体五割アップになりましたから、平米当たり路線価格で言って三十一万から三十三万になっています、中野、杉並あたりのサラリーマン世帯の住んでいる土地は。そこで六十坪を評価しますと土地だけでもう六千万をちょっと超えちゃう。今度、六千万を超えた持ち家、マイホーム、これを未亡人が仮にそっくり相続する、丸々相続することになれば、さて、ことし以降だったらもうこれは相続税がかかるでしょう。まして二年、三年、五年先ですから、相続が発生するとして。これはかかりますね、現実に。未亡人は丸々一人で相続するんですよ、法定相続人が仮に二人、三人いるとしても。どうですか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘の価格が課税標準としての相続税の評価額であるということ、それから三〇%の居住用宅地の軽減の特例を適用したものであること、その他そうした前提を置けば、また御指摘のような未亡人でございましてほかに余り相続人がおられないということでございますと、お一人だけの課税最低限は二千四百万でございますから、それは課税されるケースも出てまいろうかと思うわけでございます。
○野末陳平君 問題はここなんですね。要するに、都市部に暮らすサラリーマン老夫婦でも、未亡人が持ち家をもらう、もうそれ国もそろそろ課税がある。まして五年、六年、十年先だったら評価は当然上がっていくわけですから。こういう実態というのはちょっと気の毒だと、その心配がつきまとうのでは、と私思いますよ。ですからサラリーマン家庭、もちろん商売をやっている人はまた別の評価がありますが、サラリーマン家庭で持ち家を未亡人がそのまま相続したい、また御主人も大抵そういう気持ちなんですね、いろんな調査を見ますと。そういう場合には、相続税の心配はなく相続ができるというような配慮を当然もうしなきゃいけないと私は考えているんで、これは大蔵大臣も同感でしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、このたびの税制改正を御提案するに当たりまして、今おっしゃいましたような土地の評価が高くなることが主たる原因になりまして相続税がかなり重くなってきている、限界的な納税者がどうしても新しく出てくるというような感じでございましたので、税制調査会でもいろいろ御検討はございました。それは概して野末委員の今言われましたようなことが背景になっておるわけでございますけれども、このたびはいろんな事情から相続税の改正の御提案を見送らざるを得なかった事情はございますが、問題は、おっしゃいますように、地価が上昇してくるに従いまして現実の問題になりつつあるというふうに申さざるを得ないかと思います。
○野末陳平君 ですから相続税の改正も急がれると。急がれるけれども、その場合にはやはり未亡人の持ち家ぐらいには税金をかけないというのがいいなという気がして、その趣旨で今後また別の委員会で検討していきたい。 私、きょう言いたいのは、要するに、一般の家庭の持ち家の相続にも税金がかかりそうなところまでもう来たんだ。ところが一方、隣接する農地の相続はどうなっているかと、これまた比較したいわけですよ。ですから、中野、杉並でいいですから、中野の方が農地は多いですね、鷺宮とかあの辺に多いですね。実例でいきますと、三百坪ぐらいあるとしましょうか。もっとあるけれども、計算がこの方が簡単ですからね、一反で。申しわけにクリの木がぽつんぽつんと植わっている。クリばかり責めているんじゃないですよ。練馬から来るともう目立ってしようがないんだ、あっちこっち。ですから言うんです。仮にクリ林に相続が発生したとしましょう。息子は勤め人ですから、ここで農業相続人となる。農業相続人の資格——資格というほどじゃないけれども、農業相続人であってこのクリ林を相続することにしたとしましょうか。この場合、課税上の評価は先ほどの宅地に当てはめた路線価格なのか、それとも別の物差しを当てはめるのか、そこのところはどうですか。
○政府委員(門田實君) お話のございました市街地のクリ林でございますが、これは畑ということになりますが、これを相続した場合には、農業相続人として相続すると否とにかかわらず、相続財産としての評価はいわゆる路線価を用いて宅地並みに評価いたします。しかし、農業を営んでいた被相続人から相続しまして、農地を取得したその相続人が引き続き農業経営を行うというような場合には、その取得した農地の価格のうち一定の価格、いわゆる農業投資価格でございますが、これを超える部分に相当する税額の納税を猶予する、こういう制度になっております。 ちなみに、その農業投資価格でございますが、これは農業の用に供される農地としての価格なので、全国的に平準化していまして余り差がないわけでございますが、東京都の場合には、お尋ねの三百坪当たり、田であれば九十五万円、畑であれば八十四万円となっております。
○野末陳平君 ですから、クリ林は畑ですから三百坪八十四万円というと坪当たり二千八百円の評価でもって農業投資価格、この物差しで価値判断される。これを農業相続人にならないで宅地で相続すると、これは路線価格ですから、これは何千円じゃありませんよ、もう百万を超えていますから。となると、この農業投資価格というのは低過ぎないか。営農の条件を満たしているかどうか。こんないいかげんに利用されている農地で、何でこんな安い価格で相続税を計算して、後は猶予してあげるからと、こんな大甘なことは常識では考えられない。これは低過ぎませんか、農業投資価格というのは。
○政府委員(水野勝君) サラリーマンとの比較での御議論でございますが、その同じ場所でサラリーマンと農家が並んでおられましても、農家もやはり宅地は持っておられる。同じように宅地を比較する場合は、農家の場合でございましても、農家の宅地はやはり路線価で評価されるわけでございまして、そこはアンバランスであるという御議論になるのかどうか。ただ、農家の場合には事業用資産を持っておられる。サラリーマンの場合は全部宅地でございますから事業用資産でございませんので、事業用資産でないサラリーマンの宅地と事業用資産である農地との比較ということでどのようにバランス論を言えるのかということは、なかなか難しい問題ではないかと思うわけでございます。 それからまた、御指摘のように、農業相続人として納税猶予の適用をいたされます場合には農業投資価格としての評価額になるわけでございますが、これは、それぞれ各国税局に設けられております土地評価審議会の御意見をお聞きして決めているところでございます。 その基本的な考え方としては、恒久的に、とにかく恒久的と申しますか、今後ずっと永久に農業を継続される、そういうことを前提とした場合に成立する価格であるというふうに法律的にも定められているところでございまして、そうした観点からすれば、それはあくまで途中で売るわけではない、恒久的、永久的に農業を継続するという観点からの評価としては、評価審議会の御意見を聞いて定めております投資価格としては適正なものではないかと思うわけでございます。
○野末陳平君 説明を聞いているとこんがらがってわかりませんよ、これじゃ。つまり、そんなに難しく言う必要のない話なんですよね。簡単に言えば農地の相続、クリ林でも何でもいいですが、農業相続人となって相続をすればこのぐらい広大な土地も相続税は払わなくて済んじゃうんですよ、基礎控除の中におさまるし。結果的に相続税は猶予されて一円も負担なしに相続ができると、そういう意味で間違いないでしょう。
○政府委員(水野勝君) 相続の時点での負担関係はそういうことでございますが、そうした形としての相続税の方式を選択された方は恒久的に農業をされる。法律的には、二十年間農業を継続されない場合にはもとの税負担額にプラス六・六%の利子がかかって割り増し分がかかった御負担をいただく。やはりお売りになるわけじゃなくて、二十年間は農業をされるという前提がございますので、その時点だけでの御比較はいかがかなと感ずるわけでございます。
○野末陳平君 じゃ、そこまで言うなら聞きますよ。猶予されていると、その時点の負担は私の言ったとおりなしたと。じゃ農業だというんなら二十年クリを植えておくことにしましょうよ。二十年クリを植えるのは簡単だ、手入れは要らないんだから。それをやって、その間は相続税も猶予される、それから固定資産税も宅地並み課税の猶予を受ける。ですから負担はもうほとんど、ただとは言いませんが、それに近い。さあそこで、二十一年目にそれじゃ売ろう、その当時の時価で売れる、その場合には今まで猶予された税金はどうなっちゃうの。
○政府委員(水野勝君) 二十年を経過した場合には、すべてその相続税の債務は消滅するわけでございます。ただ、単にクリを植えておられるとかということでございませんで、この制度を適用される場合には、農業委員会からこの方が本当に農業をやっておられるという証明書も添付していただいてやるわけでございますので、そこは問題のないように運用されているものと私どもは考えておるわけでございます。
○野末陳平君 だけれども、余りにも実態と離れた答弁をされると、一般の人が見たらばかばかしくなっちゃいますよ、そんなことで執行しているということを聞けば。ですけれども、総理も大蔵大臣も閣僚の皆さんもこれはおわかりのことを改めて私くどくど言っておりますけれども、結論は実に簡単なんです。本当に営農していてくれればまだしも、そんな実態がないんですね。ないのにもかかわらず地元に営農のチェックその他を任せているもので、全くざるになっているというこの事実を強調しておきたいわけですよ。 いずれにしても、未亡人はマイホーム一軒でもかなりの相続税を納めなきゃならないわけですね。ところが、農家は三百坪、まあクリにこだわったけれども、ほかのでもいいんですよ。つまり、相続税を払わないで猶予されるという優遇がある、こういう不公平が東京だけでなくて大都市圏ではざらにあるわけだ。このざらにある例をほうっておくということが税の課税の公平の見地から許せるかと。 そこで、私は大蔵大臣にお聞きしたいわけですよ。この相続税の猶予はやめてもいいんじゃないんですか。何ら政策的なプラスの面を持っていないと思うんですよ。むしろ、二十年間営農しなきゃいけないというんで、自分の首を絞めるように何も使えないという苦しい立場じゃないかとも思うんで、この相続税の猶予制度というのは今や全く意味がないからやめるべきであると思うんです。どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういうことではないかと思うのでございます。 その営農という事実が、まじめに営農が行われているという事実があるといたします。その場合に、農業でございますから、農地の所有と経営というものは一体でなきゃならないという考え方は御承知のようにございますので、したがって、これが相続税の納付によってばらばらに分割されてしまうということになりますと、所有と経営の一体化というのは失われます。そういう意味では、やはり営農である以上、これはいわば本来憲法上の職業の自由ということにも関連いたしますし、我が国の農業政策ということにも関連があると思うのでございますが、まじめな営農である限りは、その農地をばらばらにしてしまったのでは営農が行われないということになるという現実があるわけでございますね。 野末委員の先ほどからしばしば言われますのは、いや、その営農というのはしばしばまじめなものではないということの御指摘であって、それはあるいはそうかもしれない。しかし、審議会を設け等々して認定をする場合に、営農とは何であるかということの定義は現実にはそんなに簡単なものでございませんから、あなたのやっていることは営農でないと否定するのはこれはなかなか簡単なことではなかろうと思います。 したがいまして、そういう建前に立ちます限り、つまり農地の所有と経営というものが分けられないと考えます限り、その営農を立ててやりますためには、それが相続税で分割せざるを得ないというような状況は避けることが必要だというのが農業政策上の要請である。現実の問題としてはそういうふうに私ども受けとめておりまして、したがって、もとへ返りますと、問題がないわけではない、確かに御指摘のようなケースが現実にあるであろうと思いますが、それならばどのように対処すればいいかということに実は私どももこれという名案が浮かばないでおるというのが正直のところ現実と思います。
○野末陳平君 僕はまじめな営農をいかぬと言っているわけじゃなくて、それが余りにも少ないのにこの制度を残しているのはおかしいじゃないかということなんですね。 総理、次に行きたいんで、あと一問でやめますけれども、要するに、この相続税の猶予制度は、都市部で土地を持っているいわば資産家農家の優遇、過保護だけなんですよね。むしろ宅地供給がこれで妨げられているので、僕はむしろ現実的な対処が必要だと思うんです。農業相続をしちゃった人は持てる土地を売るに売れません、二十年間はね、相当な相続税を取られますから。だから売りやすいようにする。買う人もそこに目をつけても買えない。いずれにしても、これは何かそこで自分の首を絞めてもてあましている人もいるんで、農業相続をしたけれども売りたいという人にゃはり売りやすくなるような知恵を出してやらないと、かえって自縄自縛になっていると思うんです。ですから、これがまた新たなる優遇と言われるかもしれませんが、少なくも宅地の供給ということを考えたら、二十年間ずっと縛り続けておくのがいいのか。なかなかいい知恵がないんだと、まじめな営農とそうでないのを区別するのがなかなか難しくてということばかりを繰り返してもだめだと思うんですが、現実的対処を考えた方がいいんじゃないですかね、総理。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり相続の問題は非常に難しい微妙な問題もございますが、一般論からいえば、農地を、本当にまじめにやろうという人については、これが分割されて零細化されるということは避けなきゃならぬ、これが我が国の農業政策でもあります。しかし、今のように、都会地でおっしゃるような例があるいはないとは言えないかもしれませんが、非常にそれはまれなケースじゃないかと思います。 しかし、いずれにせよ、最近は信託制度というような制度もいろいろ考えられてきており、農業自体につきましてもそういう信託の導入という方法も考えられると思うので、いろいろ御提言につきましては非常に我々も考えさせられる内容のものがございますから、よく研究してみたいと思います。
○野末陳平君 じゃ、宅地並み課税については私の最終的に意見を聞いていただくことにします。 何でも宅地並み課税を強化すれば事は解決するというほど簡単じゃありません。強化したら土地がどんどん出てくるか。そんなわけじゃありません。しかも、土地が吐き出されても受け皿というものが、だれが買うんだ、どう利用するんだ、これがはっきりしなげれば何にも意味がありませんから。ですから、これは非常に難しいんですけれども、しかし政府や国会だけに任すのではなくて、やはり世論を背景にして各省庁がいい知恵を絞る、早急に絞らなきゃいけない、都市計画という点から。それをお願いしておきます。 それで、次へ行きましょう。次は土地税制についてですけれども、これはもう簡単に行くんですが、今提案中の売上税の一括法案の中に、土地転がしてもうけた分に対する超短期の重課とか、あるいは長期譲渡の十年を五年にする、そういう部分がありますね。一体これらの改正をどういうふうになさるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしましても、ある程度の重課をしようと考えまして御提案をいたしたわけでございますけれども、税法は一括して先ほど申し上げました衆議院議長のあっせんによる協議機関の協議にゆだねられるということにただいまなりつつあるわけでございます。
○野末陳平君 それは、内需に関する部分は税法改正を部分的にそれだけ取り出して早く成立させることを考える、その工夫を出すことも必要なんじゃないかと思うんです。売上税でもって全部一緒になってだめになりましたというんで済みますか。僕は、売上税はよくない、これはもう廃案、結構ですよ。だけれども、それと一緒に必要なものまで葬られるというのは困るので、その辺は大蔵大臣どうでしょう、部分的にでも成立させるような工夫が早期に必要なんじゃないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう意味では私どもは全部成立させていただくことが必要だという立場でございますし、それを譲りましても確かにこれは急ぐのだなということはいろいろございます。ですけれども、そこらのことをあわせて協議機関ということになっておりまして、しかも協議機関がまだ設けられておらないというのが現状でございます。
○野末陳平君 それからもう一つ、建設大臣に聞いておきますが、市街化区域を広げるというような動きがあるやに聞いておるんですが——宅地供給でしょうね。ですから、線引きの見直しといいますか、その辺についての構想は今どのくらい固まっているか、それだけをちょっと説明しておいてください。
○政府委員(北村廣太郎君) ただいま線引きの見直しにつきましては第二回目の見直し中でございまして、全国で今までに約三万二千ヘクタールをその線引きで市街化区域の中に取り込んでおります。これを三大都市圏で申しますと一万三千ヘクタールでございます。さらに、その市街地の需給の動向によりまして随時市街化区域に編入できる候補地といたしまして全国で三万ヘクタール、三大都市圏で八千ヘクタールの土地を保留しておりまして、これは随時その市街化の動向により市街化区域に編入できる、こういう取り扱いをしておるところでございます。
○野末陳平君 それらを含めて宅地が供給され、地価が早く安定してほしいと思っておりますから、頑張ってください。 さて、税制改正にまだ行くんですが、マル優に絡んだところで幾つか行きたいんです。マル優ですが、今、非課税貯蓄は郵貯全部ひっくるめてどのくらいありましたかね。これはおさらいの意味で確認しておきます。
○政府委員(水野勝君) 六十一年度末の数字で二百八十七兆円という数字がございます。
○野末陳平君 そのうち、不正に利用されている部分はどのぐらいあると見ていますか。
○政府委員(門田實君) 税務当局におきましては、六十事務年度に金融機関の全店舗の一一・五%に相当いたします四千七百八十二件について調査等を行いまして、大部分の店舗で不正利用を把握したわけでございます。その際に追徴した税額は加算税を含めて四百二十一億円でございますが、お尋ねのこれに見合う元本額が幾らかということは計数的には把握していないわけでございます。ただ、この追徴税額をもとにしまして、仮に預金金利六%、追徴期間二年、税率二五%としましてマル優制度の不適正利用に係る元本額を推計いたしますと、約一兆四千億円ということになります。
○野末陳平君 この元本の一兆四千億は、要するに調査した、一一・五%でしたか、その部分だけなんですが、そうすると先ほどの二百八十七兆という非課税貯蓄のどのくらいが不正利用と見られるか、これは推計が難しいところですけれども、当局はどういうふうにつかんでおりますか。
○政府委員(門田實君) お話にありましたように、私ども悉皆調査を行っていませんのでそこの数字ははっきりできないわけでございますが、仮に先ほどの一兆四千億円、これを全体にその密度で推し広げますと大体十二兆円ぐらいというような数字になろうかと思います。
○野末陳平君 これは正確なところがわかりませんから、どちらにしてももっとあるような気もするんですが、とりあえずはこの十二兆という数字で結構です。これがまともに課税を選んでいたとすればどのぐらいの税収がここで落ちているということになりますか。
○政府委員(門田實君) 十二兆円を前提にいたしまして、預金金利六%、税率二〇%、こういう仮定を置きまして税額を算定いたしますと千四百四十億円、こういう数字が出てまいります。
○野末陳平君 利子課税でこれだけ一部の人が税金逃れをしているという実態なんですけれども、この不公平は当然是正されなきゃいけないと思います。思いますけれども、その場合に一般の人のマル優までも含めて一律二〇%課税にする、これについてはいろんな意見がありますから与野党の協議機関の結論などにも任せたいと思うんですが、仮に非課税貯蓄を一律二〇%課税にしてどのぐらいの税収を見込んでいたんでしたか。
○政府委員(水野勝君) 今回の利子課税全体の改正の増収額としては平年度国税、地方税を合わせて一兆六千億円、初年度としては約一千億円という数字に相なってございます。
○野末陳平君 平年度一兆六千億なんですが、その中には非常にいろいろな層から一律二〇%課税ということになりますから、幾つかの不安な声もあるんですね。六十五歳以上は六百万円を残すということになっていますが、六十五歳以下の、少なくも六十を過ぎて定年退職したサラリーマンですね、大体この層は。商売をやっている人はほかに収入もあったりしますから。この定年退職後の六十歳から六十五歳までの間、これをまるで若い人たちと一緒に扱って、これは全部ゼロですよ、一律二〇%課税ですよというのはどうかなという気がするんですが、これに対する配慮というものを何か大蔵省は考えておりますか。
○政府委員(水野勝君) 今回の利子課税の改正におきましては、極めて大づかみに申し上げまして老齢者、身体障害者、母子世帯、そうした所得の稼得能力がない、あるいは極めて低下した方、この方々の貯蓄される利子につきましては非課税、現役で働いておられるサラリーマンの方が財形制度を利用される場合の貯蓄利子につきましては一〇%、その他の一般の利子につきましては二〇%という三段階の課税をお願いしようというのが原案でございます。 そこで、稼得能力が減退された方の部分につきましては非課税にするといった場合に、現実にその方がもう定年退職でおやめになっているのか、いろんなお仕事になおつかれているのか、そういったことの実情に配意してその扱いを決めていくということも確かに一つのお考えであろうかと思うわけでございますが、何百万、何千万人という方々を相手にいたします貯蓄課税、利子課税でございますので、そこは割り切らしていただく。それからまた、税法上は老年者控除を六十五歳以上の方々に適用さしていただいているといった観点から、割り切りとして六十五歳ということで割り切らしていただいているというところでございますので、御理解を賜ればと思うわけでございます。
○野末陳平君 しかし、それはもう少し何か配慮があった方がいいと思うんですね。マル優の廃止についてはいろんな意見がありまして、反対の声もかなり高いわけですから、もう少し配慮があればどうかなという気もしますから、検討してほしいと思いますね。 さあそこで、マル優問題は決着はまだ先として、総理と大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、全体の税体系がはっきりしてこないうちは減税はやれないということをずっとおっしゃっておりましたが、そのとおりなんです。そのとおりなんですが、先ほどの大蔵大臣のお答えで、法人税の減税はもう先行しちゃっているわけですね、例の基本税率の一・三%の上乗せがもう切れましたから、三月の末で。法人税は既に四千億円の減税が先行した、四月決算の企業ではもう当然減税になったと、こういうふうに見ていいわけですか。大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうでございます。
○野末陳平君 そうしますと、もう法人は一部減税されている。じゃ、その財源はどこから出すんですかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはもともとこういう一部だけが先行したというのは政府の意図したことではございませんでしたので、法人税の減税については、まず法人税内部におきまして、例えば引当金の問題であるとかあるいは配当分についての軽課をだんだんやめていくとか、法人税内部における増収措置というものを実は考えておったわけでございます。ところが、それはそのままで法人税が行ってしまったということなんでございますが、さらに申しますと、その法人税減税は税制改革全体の一部というふうに私ども考えておりましたので、全体で歳入中立的になる、こういうふうな仕組みを考えておったわけでございます。
○野末陳平君 ところが、現実は皮肉にも増税の方が実施されておりませんが、大臣のおっしゃるように法人税の中だけで賞与引当金などを入れれば確かにとんとんですね。四千億の減税があった、こちらで四千億の増税になる。実施されればだけれども、今は全然そうなっていないわけですよ。そうすると、この調子で推移しますと、法人税の減税だけはどんどん先行して、今度六月期の決算の企業もまた減税になる、こういうことになりますね。これはもう予想されるでしょう。
○政府委員(水野勝君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、税率の引き下げ分に対応いたしまして引当金等もろもろの改正を御提案してその大半を補てんすることといたしておるわけでございますので、一刻も早くそちらの全体の改正の審議の方を私どもとしてお願いをできればと思っておるわけでございます。
○野末陳平君 いやしかし、お願いとおっしゃいますが、これは非常に難しい問題になると思うんですね。 要するに、今後どういうふうになるか私どもわかりませんが、企業の決算はどんどん近くなってくる。となると、減税の恩典を受ける企業もある、それから増税後に決算をして結果的にとんとんになるとか、とにかくわかりませんが、その辺の現実的な処理というのはどういうふうにするお考えですか。もうそろそろそれは考えないとおかしいんじゃないですか。
○政府委員(水野勝君) その点も含めまして協議機関で御協議をいただき、それに従いまして適切に早急に処理をしてまいりたいというのが私どもの気持ちでございます。
○野末陳平君 それなら別の角度で。 法人税の減税は既にもう先行しちゃった。じゃ、個人はどうする。個人だってそれなら先行していただかないとこれは不公平というか、困りますね。総理、これはもう個人も減税しなければなりませんよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) それも政府の御提案の中では考えておることなんでございますけれども、どうもいかんせん立法府の御意思によりまして今のような結果になっておりまして、どうも私どもとしては、したがってできるだけ早く全体を実現さしていただいてバランスをとらしていただきたいと思っております。
○野末陳平君 しかし、できるだけと言うけれども、補正の話も七月以降であるとなると非常にこれは難しい問題になってくる。でも、それはそれとして頭のいい専門家がうまくやってくれるんでしょうが、個人の減税もこれ、夏過ぎても秋過ぎてもはっきりしてこないということになりますと、法人税は減税でどんどん企業は喜ぶ。このアンバランスを続けるということはいかに何でも矛盾していると思いますよ。 そこで私、個人の所得減税も至急やらなきゃならない。財源がどうのと言うのじゃなくて、もう財源は後から宅急便で送り込む。そのぐらいしないと。だって、法人税を先行さして個人はちょっと財源がありませんと言ったら、法人税の財源だってないじゃありませんか。どうしますか、それ。
○国務大臣(宮澤喜一君) その宅急便がちゃんと来てくれるということがわかりますと、今のようにある部分だけ先ということもできることになるのでございます。
○野末陳平君 そこで、やっぱり知恵を使っていただかなきゃ。 ですから、例えば先ほどのマル優だって平年度で一兆六千億あると。これはそのほかに有価証券関係、登録免許税関係でもってかなりの減税財源になると思います。これはまだこれから国民に理解を求めてからでなきゃできませんけれども、しかし先にその程度の所得減税だってやればできるということで、あれこれ欲を出さずにね、とにかく欲を出して何でもやってしまおうったって無理ですよ、もう。ですから一つ一つやっていくわけで、例えば、先に二兆円規模の減税をやってその後マル優などの理解も求め、それを求めつつ税制改正をやっていくという手段しかもう今はないだろう、その方が現実的だろうと思うんで、それが宅急便なんですね。だめですか、それは。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはもう、私どもでもそうでございますけれども、減税という話は非常に合意が得やすい話でございますし、増税という話は合意の得にくい話でございます。これは人情で、どこでもそうだと思うのでございますが、それに協議機関にお願いいたしておりますのも一体でございますから、減税が確かに必要で緊要でございますから、全体としてそれに見合う措置もひとつ御検討いただきたい、こうお願いを申し上げようといたしておりますので、減税の方だけどんどん行ってしまいますと、後の宅急便の方のお話がなかなか何度御催促申し上げても来らずということになってしまっては困ると思っておるわけでございます。
○野末陳平君 しかし、法人税はもう四千億の減税ができちゃったという事実を一般のサラリーマンや国民が知ったら、これは個人のだってとりあえずやってくれと。法人の方の財源が確定していないんだからね。だからちょっと今のお答えも、はいそうですかとは聞けないんですけれどもね。 ちょっと角度を変えますが、税収が最近伸びているかのごとき話を聞きますが、これはどうですか。ここのところ税収は伸びているんじゃないですか。
○政府委員(水野勝君) 現在判明いたしております三月末までの税収でございますと、前年対比六%を超える伸びになってございまして、補正後予算の伸び三・二%は上回っている点はございます。しかしながら、なお三月決算法人という法人税収が極めて規模の大きいものでございまして、これが民間でよく言われておりますもろもろの経理状況から推計いたしますと厳しい面も予想されるところでございますので、一概にはなかなか申し上げにくいところでございます。
○野末陳平君 確定した数字じゃないですから私どもは聞いた話というふうにしておきますが、税務署単位で聞いてみますと、自営業とか中小企業とか、そういうところの税収が伸びているというんですよ。景気が悪いのに何で伸びているのかなというので原因をいろいろ考えているわけですが、主税局長、そういう事実は感触としてはありませんですか。
○政府委員(水野勝君) ことしの三月の確定申告でございますと、先ほどのお話の土地の譲渡所得の伸びがかなりございましたこともございまして、全体としては悪くないわけでございますが、それは譲渡所得の面がかなり大きいところでございます。中小企業の営業所得につきましても、まずまずの数字を示しているようでございます。また、法人税につきましても、中小法人の方がどちらかというと堅調な申告状況を示しているようでございます。
○野末陳平君 これは確定数字が出てきてから言いたいところですけれども、どうも最近、やはりプラスの面として税務調査が厳しくなったこともプラスでしょうし、それから例の売上税問題でやはり申告に、申告というか過少申告ですね、過少申告にブレーキがかかってきたか、あるいは例の「マルサの女」のようなああいう映画の影響もばかになりませんからね。あのお客さんは自営業の人とか、ふだん映画を見ない人がいっぱいいましたからね。となりますと、そういうプラス効果もある。あれやこれやで、クロヨンの是正とはいきませんけれども、結果的に過少申告が少しはよくなって、前に比べて是正されてきたんじゃないかなという気はするんですよ。気はするんですが、なぜこれを取り上げたかというと、いろいろな事情で自然に成果が上がっているんじゃなくて、さらにこれをクロヨンの是正というか不公平の是正というか、それにやはり努力をするその姿勢をもっと示していかないと、簡単にお金がないから増税ですと言うのはちょっと通じないと思いますよ。どうでしょうか、それについては、主税局長。
○政府委員(水野勝君) 執行面につきましては、委員御指摘のような最近の申告状況で、逐次と申しますか、執行当局の努力によりまして申告水準は向上しつつあるものと私どもは期待をしておるわけでございまして、今後ともそういう努力が続けられるものと思っておるわけでございます。 しかしながら、やはり制度面におきましても、そうした面におきまして極力適正な執行、把握とのバランスのとれた税制度のあり方というものにつきましても検討は必要でございますし、今回の税制改革におきましても、所得、資産、消費、これらのバランスのとれた税体系が構築されるような考え方で御提案を申し上げているわけでございます。
○野末陳平君 ほかにちょっと予定している大事なことがあるのでここらではしょりますが、住宅ローン関係の減税なんですけれども、これは非常に大事なところだと思うので特に聞いてほしいんです。 今までは住宅取得促進税制、これは住宅ローンの減税、新築とか中古とか、そういう持ち家取得ですけれども、これはどうなんでしょう、最近は増改築というのが非常にふえている。銀行までがリフォームの資金を貸す、金融公庫までが増改築資金を貸すというようになってきた。やはりここらがこれからの内需のかなりの柱になるので、今までのような、単に持ち家促進というような政策目的の減税はそれだけでは十分ではない、とういうふうに考えるんです。 そこで、実態を聞きたいんですが、金融公庫が増改築にも資金を出すようになった背景、理由、そういうようなものを簡単にちょっと説明してください。
○政府委員(片山正夫君) 住宅水準の向上を図りますためには、新規に適切な住宅を供給することはもちろん重要なことでありますけれども、同時に、ストックの改善でもって居住水準の向上を図ることもまた重要な側面がございます。特に最近はそういうストックの、住宅リフォームと言っておりますけれども、そういうことが重点的になっておりますので、そういうことを勘案いたしまして従来から増改築に対しましても住宅金融公庫として融資の対象にし、年々その金額の増額を図っておるところであります。
○野末陳平君 土地の値段などのことも含めまして、やはりこれからの住宅政策の中心というか、今まで以上に力を入れていかなきゃならないのはこのリフォームの問題だと思うんですよ。 そこで、このリフォームに関係したローンが今は減税の対象に全くなっていないんですけれども、なぜこれが減税の対象になっていないんですか、住宅取得促進税制においては。
○政府委員(水野勝君) 現行税制の考え方といたしましては、税負担を減免いたしましてそうした政策的措置を推進するという観点からいたしますと、やはり公平の観点といったものがそこに基本とされるわけでございます。住宅取得促進税制におきましては、既に何らかの形で住宅をお持ちになっている方、それはそれなりの資産、所得をお持ちになっているという方々でございますので、やはり新しく住宅を取得される方、こうした方に措置を適用させていただくという考え方で参っているところでございます。
○野末陳平君 そこで、時代が変わって内需内需と叫ばれている場合に、新規着工件数はどのくらい伸びているか知りませんが、いずれにしても一般の人たちは、今までに持っていたがもう古くなった、増改築をしなければいけないと思っている。そのために公庫までがリフォーム資金を貸す、銀行まで貸しているんでしょう。となると、住宅取得促進税制というのは新築、中古の持ち家取得だけに限ってきましたけれども、これからはむしろ質のいい増改築あるいは建てかえ、そういう需要にこたえていかなければならないと私は思う。 そこで大蔵大臣、これからは、今からやっても来年ぎりぎり間に合うかどうかですけれども、増改築もローン減税の対象にしていくというのが当然ではないか。そうしなければ、内需内需と言っても住宅面からの内需の盛り上げに少しやはり中途半端になって心配なんです。その辺どうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 調査によりますと、新築の場合に自己資金でこれを行う人はほぼ一割だそうでございますけれども、増改築の場合には五割以上の人が自己資金で行っておるそうでございます。また、増改築の場合の借入金の平均というのが大体百七、八十万円というふうに聞いておりまして、それでございますから私ども今まで、とにかく自分の家を持つということが国民的な緊急の課題であって、それを充足したい、必要な減税額はそういうところへ集中したいと考えてまいりました。増改築というのはどちらかといえばもう一つさらにぜいたくとは決して申しませんけれども、とにかく家をまず持つことが最優先、こう考えてまいっております。 野末委員の言われるようなことがだんだん今時代の要請であるかもしれないと思いますが、ただいままではそういう考えでやってまいりました。及び、この増改築というときに、さあそれがうまく増改築というものがちゃんと定義できるものであろうか。その辺のこともいろいろありそうに思いますので、少し研究をさしていただきたいと思います。
○野末陳平君 これは先ほど自己資金の話が出ましたけれども、やはり増改築でも減税の対象になるなんというようなことになりますと、どんどんローンを借りてやっていくと思いますよ。そのぐらいに今はストックの質の向上、家をきれいにしていきたいという欲求がすごく強くなってきた。今、買うものが余りないんですね。買うものがないけれども、家だけは貧しいという実感を持っていますから、どうしてもそこをきれいにしていきたいという欲求で、そこにはお金を使うはずなんです。 ですから、自己資金のある人もそれからローンの人も増改築はふえているが、少なくもローンを使って増改築に踏み切る人には何らかの優遇をしてやるというのが僕は時代の要求だろうと思うので、税制の上でもそういう発想転換を大幅にしていかないと内需拡大とかけ声をかけてもなかなかだめだ、そういうつもりで言ったんです。総理どうでしょう、一言だけ。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは税制に関する一つの哲学的な基礎の変化が出てきていると思うんです。つまり、今大蔵大臣が申されましたようなのは公平の概念というようなものでしょうが、今、時代的に要請されるのは質の向上とかあるいは内需の振興とか、そういうような別の政策観点からの要請が強く出てきておる。そういう面から見ると住宅の増改築という問題は非常に有効な一つの手段で、別に土地を必要としないで需要が出てくるという面がございます。そういう別の観点からこれは検討課題であると私は考えておりまして、よく検討してまいりたいと思います。
○野末陳平君 今やはり税法改正でやるべきは、国際的に評価を受けるという改革と、もう一つは国内的に不公平はこれで是正されている、この二つの観点が一番大事だろうと思うんです。ですから、総理のお答え、ひとつ実現していただくようにお願いしておきます。 それで、もうこれが最後になってしまいますけれども、売上税がつぶれたのは、いろいろな事情があるにせよ、政府にここで随分大きな反省をもたらしたと思うんです。ところが、予算委員会の答弁を聞いていますと、売上税はだめになったがしかし間接税は新たに検討したいというお答えです。私自身は、間接税というものはいずれは必要になるし、それを国民の理解を求めながら考えていかなきゃならぬというところまではわかっているんです。ただ、大蔵大臣の頭の中にあるこれから新しく考える間接税、これは結果的には今までの売上税と仕組みは大差ないものになるんじゃないかという気もしますが、それについてはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) つまり、基本的には財政の現状というものがありまして、かなり大きな直接税の減税をいたさなければならない、いたしたいと思っておりますときに、その財源をどういうふうに求めていくかというその基本の問題が変わらずに存在をしておるわけでございますから、それをどういう形で充足するかという問題はなかなか解消しないというのが私の気持ちの中にございます。
○野末陳平君 ですから、その場合に考えられる間接税は福祉目的でもそれは構いませんが、それにしても仕組みは今の売上税とそれほど変わらない付加価値税的なものにならざるを得ないのではないか、そういうふうに大蔵大臣の頭の中にあるのじゃないんですかとお聞きしたんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、いずれにいたしましても協議機関ということになりますと、与党ばかりでなく各党のお話し合いになることでございましょうから、その御協議の推移をしばらく見させていただきたいと思います。
○野末陳平君 私は、間接税もいずれは必要であるし、その研究もしなきゃいかぬと思っておりますが、しかし、きょうもほんの一部しか不公平という問題を指摘できませんでした。あと、宗教法人もあればいろいろあります。そういうものにもっと目に見える形でメスを入れないとなかなか国民の理解は得られないということを最後につけ加えて、これで質問を終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、喜屋武眞榮君の質疑を行います。喜屋武君。
○喜屋武眞榮君 日本の平和と民主主義を論ずるには、沖縄を避けては語れないと私は思います。こういう基本的な考え方に立って、私は沖縄問題を中心に質問を進めていきたいと思います。 総理、あさって五月十五日は沖縄が復帰して十五年の節目を迎えます。その今、沖縄の現状に対してどのような認識を持っておられるか、まずそのことをお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 本土復帰は沖縄の皆さんの悲願でございました。佐藤内閣の御努力により、また皆さんの御熱心な運動によりまして、十五年前に本土復帰が実現しましたことを心から喜んでおります。 しかし、その後沖縄の皆さん方の生活向上、文化の向上等のために我々も一生懸命努力いたしまして、特別立法を行い、開発振興の計画を進めておりますけれども、必ずしも御満足のいくような発展は見せておりません。やはり産業の振興あるいは失業問題の解決あるいは基地問題等、そういう諸般の問題がまだありまして、我々としては誠意を尽くして今後も努力してまいらなければならないと思っております。
○喜屋武眞榮君 ところで、沖縄問題はもう済んだ、沖縄を甘えさせるな、こういった声もちらほら聞こえるのでございますが、そのことについて総理はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう考えはないと思います。いろいろな統計等を見ますというと、沖縄はやはり統計的にはいい数字は出ておりません。特に失業問題等については我々としては心を痛めておるところでありまして、今後とも努力いたしたいと思っておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 さらにもう一点、今度は沖縄現地の立場からの声が主であると思いますが、沖縄県民の犠牲と差別の上に立って今日の日本の繁栄、発展をもたらしておるんだ、そして今また新しい差別が始まっておるんだ、こういう声もあるのでありますが、このことについて総理いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 差別ということはないと思いますし、我々もとよりそういう考えは日本人にはないと思うのでございます。 ただ、かなり膨大な米軍の軍事基地もございますし、また本土から非常に離れているという点におきまして、教育とか文化の面におきましても、東京や日本の大都会の文化等々から見ればおくれている面もございます。そういう面におきまして、我々としてさらに努力すべき問題点が多々あると思うのであります。
○喜屋武眞榮君 今、総理の御答弁を受けて、私の質問の裏づけをこれから具体的に明らかにしてまいりたいと思いますので、率直な、明快な御答弁を求めます。 戦後四十二年、復帰十五年の節目を迎えた今日、沖縄はいまだに戦後処理が十分なされておらないという現状であることは、今さら申し上げるまでもありますまい。戦争のつめ跡が余りにも深いために、その後遺症がいまだに水面下に沈んでおる面がいっぱいあるわけなんです。 そこで、私、厚生大臣に戦後処理の立場からまず第一点。遺骨収集の現状は、そして収集遺骨と未収集の遺骨、そしてその処理計画、そしてその見通し、このことについて厚生大臣に求めます。
○国務大臣(斎藤十朗君) 沖縄におきます戦没者は約十八万六千五百人に及んでおります赤、沖縄県民並びに沖縄県当局の御協力を得まして、昭和三十一年以来三十一回にわたって御遺骨の収集を実施いたしてまいりました。これまでにその九八%を超える約十八万二千九百八十柱について御遺骨の収集を終えたところでございます。残された二%弱の約三千五百柱につきましては、その存在が明らかでなく大変難しい問題でございまするけれども、埋没こうの中にあるというふうに推定をいたしておりまして、この埋没こうの遺骨収集を沖縄国体が行われますまでに概了すべく、昭和六十年度から計画的な実施を行っておるところでございます。本年六月下旬から七月にかけまして実施予定をいたしております遺骨収集によりまして、一応概了できるのではないかというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 厚生大臣に聞きますが、その今の予算措置はどうなっておりますか。
○政府委員(木戸脩君) 特に沖縄地域という限定はしておりませんが、本年度は二億八千万の遺骨収集あるいは慰霊巡拝の経費を計上しているわけでございまして、さらに六十二年度以降等に及ぶ場合につきましても所要の予算は確保してまいりたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 国体をめどに完全に収集という、それは結構でしょう。余りにも遅かりし四十二年、そして復帰十五年の節目の中でこういう状態であるということをまことに遺憾に思います。 さて今度は、陸上の遺骨収集は今述べられたとおりでありますが、私は次に海中に眠る疎開学童船、いわゆる対馬丸の沈んだ児童生徒の遺骨がいまだに海中に眠っておる。遺族はもう七十、八十のじいちゃんばあちゃんになっている。自分たちの目の黒い間に、生きておる間に何としてもこの子供の遺骨をお墓に、そして霊前に、こういうせつない思いで今日まで来ております。そのことについて私はたびたびたびたび襟を正して、真心を込めて質問をいたしました。私にはね返ってくる答弁は、まことに不満そのものであります。 そこで私は、その経過を語る時間を持ちませんので、厚生大臣と科学技術庁長官に次のことを。科学技術の進歩した今日、この船の所在、A点、B点、C点、D点までは回答が出ておるが、そのどの位置なのかという位置を決めることさえも拒んでおられるということに対してまことに不満。どこに政治があるのか、主権在民の幸せを守る、また守らなければいけないという国の責任がどこにあるのかと疑いたくなる。どうか厚生大臣、科学技術庁長官の緊密提携によって、ぜひひとつこの位置を定かにしていただきたい。いかがですか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 海底に眠られる御遺骨、またその御関係の御遺族の皆様方の心情はいかばかりかと御拝察を申し上げておりますが、これまで艦船の沈没等におきます遺骨収集につきましては、その御遺骨が人目にさらされるということによって御遺骨の尊厳を著しく失う、またその御遺骨を引き揚げることが可能であるというような、そういうような場合に原則として御遺骨の収集を行っておるわけでございますが、たびたび先生からもこの御遺骨なりまた御遺族の御心情に基づいてお話があるところでございますが、この御指摘の対馬丸につきましては、深海の八百メーターというところに沈没をしておるというふうに聞き及んでおりまして、その御遺骨の引き揚げということにつきましては大変技術的に難しい問題でございまして、今日まで来ておるわけでございます。 今御指摘のように、せめてもその沈没地点を正確に把握する調査をしてはどうかというお話も従来からいただいておるわけでございますが、この点につきましても技術的に可能であるかどうかということについて鋭意検討をいたしておるところでありますが、まことに残念ながら、今日までまだそれが可能であるというところに至っていない現状でございます。 なお、引き続きその技術的な問題等について、また財政的なことも含めて検討をいたさしていただきたいと考えておりますが、同時にまた、そういった御遺族の御心情を考えまして、本年度、昭和六十二年度には南西諸島における対馬丸を含めた沈没艦船等の御遺骨に対する慰霊巡拝を計画さしていただいているということでございます。
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 対馬丸のことに関しましては、先生永年御心配をいただいておるところでございますけれども、先生の言われますとおり、対馬丸とともに沈んだ方々の遺骨に対する御遺族の心情につきましては、私といたしましても十分理解をいたしておるところでございます。御満足なお答えができないことを私も残念に存じておるところでございますが、科学技術庁といたしましては、従来から広い範囲に応用できる海洋科学技術の研究開発を進めてきたところでございますが、対馬丸の沈没位置の確認に関する技術的見通しにつきましては、現在の沈船の状況等不確実な要因があることから、一概に可能であるとか不可能であるとか断言はできないということを御理解願いたいと存じます。 いずれにいたしましても、科学技術庁といたしましては、海洋科学技術に関する研究開発の総合調整と実施が本来業務でございますので、本件に関しましては厚生省の考え方を尊重してまいる所存でございます。
○喜屋武眞榮君 あえて科学技術庁長官に求めました私の意図は、実は前の国会で河野洋平長官が厚生省にその意思があるならば前向きでこれを検討する用意があると、こういうことを私に答弁されたのであります。そういうことを私は信じてきょうこの質問を発したわけでありますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 今の先生のお考え方につきましてはわかりますが、今後厚生省の方から具体的に科学技術庁に対し申し出があれば、その時点で十分な技術的検討を加えていきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 冒頭に申し上げました厚生大臣との緊密な連絡提携のもとに、ひとつこの問題を前向きで検討して前進をさせていただきたいことを重ねてお願いいたします。 次に、不発弾の処理。 沖縄県民は、爆弾をまくらにして戦後四十二年、復帰十五年の間過ごしておるという、こういうことなんです。そこで、開発庁長官、不発弾の処理状況、未処理不発弾の数、今後の処理方針、そうして完了の時期、予算の裏づけ、この点からひとつお尋ねいたします。
○政府委員(小谷宏三君) 数字のことでございますので私からお答えさせていただきます。 不発弾でございますが、沖縄の不発弾対策につきましては、先生御承知のとおり、昭和四十九年三月に那覇市小禄におきまして下水道工事中に爆発事故が発生し、死傷者三十八名を出したのを契機といたしまして、現地に国“県、市町村等を構成員とする沖縄不発弾等対策協議会が設置されまして、これが中心となり地元民からの不発弾等の埋没箇所についての情報の収集及びこれに基づき毎年度計画的に探査発掘の上処理すること、また土木工事等に際しましては事前探査実行の行政指導、及び不発弾が発見された場合はその都度自衛隊による緊急処理対策を講じ、不発弾の処理促進に努めてまいりました。 昭和六十年度末までの不発弾等の探査、発掘計画に基づく処理箇所は約四百十六カ所、六十四トンでございます。このほか、土木工事等により発見されました不発弾等、合わせて昭和四十七年度から現在までに一万三千八百九十三カ所、これは全国比二九%でございます。量にして約七百六十二トン、同じく全国比で三九%でございます、を処理しております。沖縄県にはまだ多くの不発弾等が地中に埋没しているものと見られますので、沖縄不発弾等対策協議会を中心といたしまして、県、市町村その他関係団体と連携を密にしつつその安全対策に万全を期すよう、今後とも努力してまいりたいと存じております。 なお、予算でございますが、昭和六十二年度予算約一千二百万円でございます。 また、今後何年たてばこれが終わるであろうか、現在どれだけの不発弾が埋没されているであろうかということにつきましては、私ども正確な資料を持っておりませんので、あと何年たてば終わるということは申し上げられないわけでございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 喜屋武君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、喜屋武眞榮君の質疑を行います。喜屋武君。
○喜屋武眞榮君 戦後処理の問題のまた一つを開発庁長官にお尋ねします。 沖縄のつぶれ地の問題、つぶれ地をどう処理しておられるのか、方針、そして解決、完了の時期、予算措置、お尋ねいたします。
○政府委員(塚越則男君) つぶれ地の処理でございますが、先生御承知のとおり、復帰対策要綱その他による基本方針に基づきまして、国道、県道の買収を四十七年度から、また幹線市町村道の買収を五十四年度から開始いたしてございます。以後、早期完了を目標といたしまして毎年重点的に予算の配分を行ってきたところでございます。 この結果、国・県道につきましては六十一年度末までの達成率が全体計画の約九四%となっております。六十二年度は残事業の処理を鋭意進めるものといたしまして、その所要額二十三億四千万円を予算案に計上いたしております。また、幹線市町村道のつぶれ地につきましては、六十一年度末の達成率が約七八%となっております。今後とも引き続き鋭意事業の促進を図ることといたしまして、六十二年度予算案ではその所要額六十四億五千八百万円を計上いたしております。 また、その他市町村道のつぶれ地処理につきましては、残された戦後処理の一つでございまして、その処理につきまして関係省庁間で協議を進めてきたところでございますが、このたび幹線市町村道の見直しによる一部幹線市町村道への格上げ、それから見直し後の残余のその他市町村道つぶれ地につきましては、地方財源措置を講ずるというようなことで計画的に買収をすることにいたしております。 以上でございます。
○喜屋武眞榮君 つぶれ地の問題につきましても、戦後処理の問題を含めてですが、これは現地側の責任もありましょうが、政府の責任が最終的な責任だ、こういう理解のもとに進めてもらわなければいけない。 次に、地籍明確化作業の問題。これは沖縄の特殊事情、基地の金網の中と金網の外と使い分けがありますね、基地内は防衛施設庁、基地の外は開発庁、この両方の作業経過、現状、完了時期、予算措置、報告してください。
○政府委員(小谷宏三君) 開発庁からは、さくの外の位置境界不明確地明確化の現状について御答弁申し上げます。 沖縄開発庁長官が位置境界不明地域として指定いたしましたのは、二十五・〇九平方キロメーターで十九市町村にわたっております。昭和五十二年度から五十六年度までに明確化調査を実施しておりますが、その過程におきまして、地主の方の合意が得られない未合意地域が発生しております。これらにつきましても、昭和五十七年度以来合意促進対策を推進した結果といたしまして、昭和六十二年三月末までに二十三・四平方キロメーター、調査実施地域の九四・二%につきまして、内閣総理大臣による認証に準ずる指定を受けております。いわばこれが完了したものでございます。残りの未合意地域の多くにつきましては、関係所有者の利害の対立、物証の乏しさ等により関係所有者の協議が円滑に進まないので、今後引き続きこの作業を継続したいと思っております。 なお予算でございますが、昭和六十二年度予算約七千万円でございます。
○政府委員(宍倉宗夫君) 防衛施設に関します位置境界不明地域は約百十七平方キロございました。その中で現在九七・五%の百十四・一平方キロメートルの名筆の土地につきまして明確化措置が完了しております。残りの土地につきましては、基地の使用につながるので反対だというようなお方がいるとか、公簿面積に比べまして面積が少ないとかいうような御不満をお持ちの方等がいまして、約三平方キロ弱の少ない土地でございますが、まだ済んでおりません。今後とも関係所有者間で円満に解決が図られますよう努力してまいりたいと存じております。
○喜屋武眞榮君 以上、戦後処理の面から幾つか申し上げましたが、今までの問題の結論として私が申し上げたいことは、最高責任者であられる中曽根総理は、所信表明の演説の中で、政治の原点は国民生活における安心、安全、安定の確保こそ政府の責任である、こう述べておられます。全くそうだと思います。だが、沖縄の現状と結び合わした場合に、この演説がむなしいものに聞こえてなりません。総理、あなたのおっしゃったこの演説を名実ともに裏づけていくことこそ本当のこの所信が生きていくことだと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 喜屋武さんのおっしゃるとおりであると思いまして、冒頭にも申し上げましたように、大いに努力してまいりたいと思います。
○喜屋武眞榮君 次に、基地の整理縮小という観点から質問いたします。 沖縄の振興開発を阻んでおるものは膨大な基地であることは今さら申し上げるまでもありません。在日米軍常時専用基地の七五%が沖縄に集中しておる。県土の一一%、沖縄本島の二〇%、しかも市町村単位になりますと最高八五%の率を基地に取られておる。こういう情勢の中で、沖縄基地の整理縮小は、県民の強い要望であると同時に、これは政府がまともに公約しておられる点であります。政府は昭和四十八年、四十九年、五十一年、三回にわたって日米安全保障協議委員会で、件数にして六十三件、面積にして五千七百四十二ヘクタールの返還合意をしておられますが、現在三四・九%の返還にしかすぎておらない。この事実からしましても政府の怠慢と責めなければいけません。その遅延の理由はどこにあるのか、まずお聞きしたいんです。
○政府委員(宍倉宗夫君) 今先生御指摘のように、五十七平方キロ強の地域につきまして計画を立ててまいってきているわけでございますが、現在のところ二十・八平方キロ、三六%程度が進捗いたしているわけでございます。残りが六割強あるわけでございますが、これが進んでおりません理由は二つあるかと思っております。一つは、施設の移設先の選定が困難であるということが一つでございます。もう一つは、土地所有者等の御意向がございまして、その御意向が計画の遂行に支障を来しておる。こういう二つの理由があろうかと存じておりますが、私どもとしては、引き続き計画の円滑な実施に努める所存でございます。
○喜屋武眞榮君 この問題に関連して、私は政府の姿勢について疑いを持たざるを得ません。 今、沖縄の国頭村の北の山の手のバリアーの基地建設をめぐって村ぐるみの闘争が展開されております。そして米軍の基地構築が中止されております。ところが、事もあろうに、防衛施設局の出先でありますこの沖縄における事務局の責任者がこういうことを述べておるんです。やめなさいと言うなら、どこに移すかということを決めないでおいてやめなさいと言うのはおかしいんじゃないかという、こういうあべこべの発言をしておるんです。まことに県民を侮辱する責任転嫁も甚だしい主客転倒、どこの政府であるかということを私は追及したいのでありますが、この一事をもってしても、いかに政府の姿勢が沖縄問題の取り組みに筋の通らない、そういう姿勢で今日までやっておるという、このことを私は追及したいんです。 次に、米軍基地強化の動きについて尋ねたいことがある。具体的にハリアーパッド建設の件で、これは国頭安波の地域であります。これは撤回させるべきであると思いますが、防衛施設庁、いかがでしょうか。
○政府委員(宍倉宗夫君) 米軍の方はハリアー機の訓練の必要性を満たすために数年前から候補地を探しておったわけでございますが、その結果、安波ダムの建設の際の土捨て場として使っておりました場所を選定いたしまして、そこにハリアーの、いわゆるハリアーパッドと言っておりますが、その離着陸場をつくろうと、こういうことを実施しようとしたわけでございます。その場所は立木の伐採もございませんですし、形質を、地質を変えるというのも極めて小規模でございますし、米軍としては、集落から比較的離れているというようなことの条件を考えまして、その上に立って、貯水池の汚濁防止でございますとか、自然環境の保全でございますとか、騒音の防止でございますとか、周辺の安全確保に十分注意をしてやりたい、こういうことであったと聞いております。 しかしながら、工事に着手しかけましたところ、地元住民と米軍との間でトラブルが起こりましたので、私どもから、事態を冷静かつ円満に解決いたしますために工事の着手をもう少し慎重にやってくれと、こういうことで今工事は中止をしている状況でございます。 私どもといたしましては、米軍の練度の向上、それが安保条約の目的達成に資するということでございますので、私どもとして米軍にハリアーパッドの建設を中止して、もうやらないと、やらないでくれというふうに申し入れる立場にございません。私どもといたしましては、米軍と地元との間でできるだけ早く円満な解決が行われますように希望しているところでございます。
○喜屋武眞榮君 民意を十分反映してもらうよう要望します。 次に、ホークミサイル部隊の配備のことについて、その動きがありますかどうか。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。 ホークミサイル大隊を沖縄に配備するという構想がございまして、既に本年の三月、司令部はキャンプ・ハンセンに設置されております。約百五十名ぐらい来ておるようでございまして、その後、しかるべき代替地を司令部は見つけるということで予定しているようでございます。さらに今後、本年の七月までには一個中隊、これも約百五十名ぐらいでございますけれども、参るという予定のように聞いております。一九九〇年の九月までにはさらに一個中隊と、合わせて計四百五十名という、これによりまして一個大隊が配備されるという予定のように聞いております。
○喜屋武眞榮君 恩納通信所は、民間に近いということと、さらに学校に近い距離にあるという点からも当然中止させるべきである、こういう世論、村長を初め村ぐるみ立ち上がっておる状況でありますが、このことについて政府としていかに今受けとめておられるか、お聞きします。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま御指摘のように、この配備が考えられ得ます一つでございますけれども、キャンプ・ハンセンの司令部の付近は確かに学校に非常に近接しております。そのあたり、よく現地の方々のお話も聴取しております。で、一方では、米軍がその既存の基地の中におきましてどのような配備を行うかということにつきまして、これは地位協定上の権利であるということがございます。他方、我々は常にアメリカ側に申しておりますけれども、同時に、そういう権利は権利であるとしても、できる限り現地の住民の方々の環境とか要望とか、そういうものに配慮して対話を重ねていってほしいということも言っておるわけでございます。 いずれにいたしましても、本件につきましては、いまだ、今後どこに司令部を持っていくか、あるいは配備をしていくかということは全く決まっていないというふうに承知しております。
○喜屋武眞榮君 まだ決定未定であるということであれば幸いであります。どうかひとつ、この県民の生命、財産、人権を守り、その要望にこたえて、安心、安定、安全のこの願いを通してもらうよう重ねて強く要望しておきます。 次に、自衛隊の基地強化の一連で、一つは対潜作戦基地建設計画の件、本部町におけるこの計画は、防衛庁長官、事実であるかどうかお尋ねしたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 現在のところ、自衛隊の対潜作戦機能について沖縄県における強化の具体的な施策はございません。
○喜屋武眞榮君 この本部への今の建設計画もまだ具体的になっておらぬということですので、どうかひとつ県民要望、地元要望、また喜屋武の願いをぜひ入れてもらう方向に進めてほしいということを強く申し入れておきます。 次に、OTHレーダー建設計画の件、これは伊江島における計画でありますが、これも事実かどうかお尋ねしたい。
○政府委員(西廣整輝君) OTHレーダーにつきましては、昨日も本委員会でお答え申し上げましたように、現在OTHレーダーというものの装備をするかしないかという基礎的な研究をいたしておる段階でございまして、まだ採用そのものについて検討が続いておるということでございます。したがいまして、これをどこに配置をするかということになりますと、これはまた今後の問題になろうかと思います。 ただ、一般論から申し上げまして、OTHレーダーによって本土周辺の海空域の情報をもしとるということになりますと、硫黄島を含む小笠原諸島であるとか、あるいは南西列島であるとかといった島嶼部に置かないと役に立たないものであるということは事実でございます。
○喜屋武眞榮君 このように一つ一つ取り上げてみましても、復帰十五年後の節目を迎えた今日、沖縄の現実はこのように願いとは裏腹に今進められつつある。そこで、このことが日米安保を優先し、沖縄県民を犠牲と差別に追いやることだ、こうとらえても政府としては返す言葉がないのではありませんか。あるとするなら返してください。反論してください。 そこで、今立ち上がりつつある沖縄県民は、沖縄闘争の新たな起爆剤にしよう、こう決意を込めて、人間の鎖で十七・四キロのあの嘉手納飛行場基地を包囲して、六月二十一日嘉手納基地包囲行動をとるのだ、こういうことで、既にこのようにマスコミで報道されておりますことはよもやお知りにならないはずはないでしょう。さらに、国際世論に訴えるという願いを込めてアメリカの情報機関を通じて全世界に訴えると、こういう計画をいたしておるということを申し添えておきましょう。 次に、総理にお尋ねします。日米安保について、日米安保条約を見直すべきだという声がありますが、総理、いかがでしょうか。
○政府委員(藤井宏昭君) 少なくとも日本政府からはそういう声はございません。
○喜屋武眞榮君 詳しく論争する時間を持ちませんので、端的に申し上げます。 日米安保条約は日本にとってどのような利益をもたらしておるのか、日米安保条約はなぜ必要なのか、この二つの質問から答えてください、総理。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の憲法のもとにおきまして日本の主権と独立と平和を維持していく、そういうために、必要最小限の防衛力を整備しつつ、しかも今の平和と独立と安全を確保していくという考えに立ちました場合に、今のような安保条約と自衛隊並びに国民の協力というやり方でこれを行うのが最も合理的であり、能率的であり、かつ憲法に沿うゆえんである。日本が軍事的に超大国にならないように、かつ憲法の求めている平和主義、あるいは国連憲章の指示している諸原則、こういうものを守りまして、そしてできるだけ効率的な防衛を全うするという意味において日米安保条約は極めて有効であると考えております。
○喜屋武眞榮君 その日米安保条約の目的を達成するためにそれ以外の道は考えられないのであるか、もう一遍総理にお尋ねします。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は吉田内閣のときから考えられ、また実行されてきたものでございますが、その後の経過を見ますと、やはりこれが日本の平和と独立、安全を維持するのに極めて効率的であり、かつ日本の憲法の趣旨にも沿うと、そういう意味において、これだけの大きな実績があり、日本の平和と独立が守られてきたというこの経過も考えてみまして、国民の支持も最近は非常に強まってきておるという状態でありまして、私はこのような状態がよろしいと考えております。
○喜屋武眞榮君 私がなぜこのことを申し上げるかといいますと、歴代の総理や大臣がアメリカ参りをされて帰ってこられてのお言葉の中に、日米安保は強化する、このことを必ずおっしゃいます。それを聞くたびごとにショッキングな気持ちになるのは沖縄県民であります、喜屋武も含めて。それはなぜか。日米安保のかなめ、基地は沖縄にすぐはね返ってくるということなんです。そういうことで、主権在民、憲法のもとに平等の立場にある沖縄県民が、アメリカの世界戦略に追随せずに独自の平和外交によって国際社会に貢献する道は一体ないのであるか。平和憲法のもとに親善外交を進めていく、こういうことを私は訴えたいのです。 三万三千八十五ヘクタールの基地の中で二万四千八百四十九ヘクタール、七五・一%の基地が沖縄に占められておる。いわゆる基地の中の沖縄という言葉があるのはそのゆえなのです。そこから起こるところの人権無視、生命財産の侵害、一体これでいいのであるか、総理、もう一遍お尋ねします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄県民の皆様方には御迷惑をおかけしている点も否定できないと思います。しかし、政府としてはできるだけの努力をして、沖縄県のためにできるだけの、法律的にもあるいは経済的、財政的にも努力をしてきておるところでございます。やはり、日本全体あるいは極東あるいは世界の平和等々の問題も考えてみまして、現在の体系を維持していくことはやむを得ないというふうに考えておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 もう一遍お尋ねします。 今、やむを得ないというお言葉がありましたが、いわゆる日米安保のためには、あるいは日本国民の立場を踏まえて、沖縄県民が犠牲になるのもやむを得ないという、このやむを得ないというお言葉ですが、もう一遍お聞きします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今の体系を維持していくことはやむを得ない、そういうふうに申し上げたので、沖縄県民の皆様方のいろいろな御苦労については非常に感謝もし、また政府としてもできるだけの手だてを講じて、県民の皆様方の御納得のいくような政治を実行し、行政を実現していかなければならないと考えております。
○喜屋武眞榮君 できるだけのことということについて具体的に追及したいところでありますが、時間がありませんので今後にそれは譲ります。 そこで、この発想に、裏づけとしてもう一つ思いやり予算について、この思いやり予算もいつ、何の目的でできたのか、今日までどれだけの予算化があったのか、それはいつまで続く予定なのか、そのことをどうしてもお伺いしなければいけない。このことはまた沖縄の基地強化に重大な影響を及ぼしておるからであります。
○政府委員(宍倉宗夫君) 私ども防衛施設庁で行っております提供施設整備の問題についてお尋ねでございました。提供施設整備を始めました年度でございますが、昭和五十四年度でございます。 それから、なぜこの提供施設整備を始めたのか、こういうお尋ねでございましたが、昭和四十年代の末から御承知のように日本では物価、賃金の高騰があり、またかつ国際経済情勢のいろいろな変化がございまして、在日米軍の駐留を円滑かつ安定的に行っていきますためには、住宅等々の提供施設の整備を日本でやっていこう、こういうことがその理由でございます。 それから次に、各年度の予算がどうなっているんだ、こういうお尋ねでございました。五十四年度は百四十億、五十五年度が二百二十七億、五十六年度が二百七十六億、五十七年度が三百五十二億、五十八年度が四百三十九億、五十九年度が五百十三億、六十年度が六百十四億、六十一年度が六百二十七億、六十二年度の予算額が、今御審議をお願いしております金額が七百三十五億ということでございます。
○喜屋武眞榮君 いつまでですか。
○政府委員(宍倉宗夫君) それから、いつまでかということでございますが、いつまでということにつきまして、その限度といいますか終期というものについては設けておりません。これは、先ほど申し上げましたような理由に基づきまして、地位協定の二十四条の二項というのが法的根拠になっておりますが、その地位協定に基づきまして毎年度、米軍の必要性、それから我が方におきます財政事情等々の諸般の事情を勘案いたしまして、私どもが自主的に判断をし、国会に御審議をいただき、国会の御審議を待って執行する、こういうことでございます。
○喜屋武眞榮君 この問題につきましてはまた機会を改めて追及したい、お尋ねしたいと思いますが、ここで一言申し上げておきたいことは、防衛費の聖域化という言葉が言われるのでありますが、このことを国の全体予算の枠の中でどう位置づけていくのか。このままでいくというと、これが限りなく膨張して大変なことになる。その被害は、すべてとは言いませんけれども、大部分が沖縄の基地の恒久化につながりつつあるということと重大な関係があるからであります。 次に、沖縄の平和的発展の方策という観点からお尋ねします。 沖縄の平和的開発の目標が平和で明るい豊かな沖縄の創造ということで明記されております。ところで、県民所得は全国平均の約七割、失業率は全国平均の常に二倍以上、こういう実情を踏まえて三次振計の必要があると思うわけですが、開発庁長官、二次振計の後半に入っておりますが、三次振計に向けてどのように考えておられるのかお聞きしたい。
○国務大臣(綿貫民輔君) 沖縄は復帰十五年でございますが、社会資本の充実を初め着実に伸展をしておると思います。私も先日、宮古、八重山に参りましたけれども、案内をしていただきます市町村長さん方から、本当に復帰してよかった、復帰していなければここまでとても今日こういう状態になっていないだろうというような言葉が返ってまいりまして、大変うれしく思っておる次第でございます。 ただいま二次振計を進めるべく、また海邦国体に向かってそのインフラ整備等を初め、いろいろと充実した施策を実行中でございます。御存じのように二次振計は十年のうちの半分、今折り返し点に立ったところでございまして、この二次振計を着実に実行する中から次のことを考えてまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 この二次振計の後半が三次振計とどう結びつくかということは大変重要な問題でありますので、今長官が述べられたとおりにひとつ振計の内容を実らせていただきたい。 それと関連のある行革審の方針として、沖縄開発庁、国土庁、北海道開発庁、いわゆる三庁統合の問題が起こっておるわけでありますが、私が申し上げたいことは、単に行革、財政再建の視点からのみ論すべきではない、政府の沖縄施策の基本にかかわる重要な問題であると私は理解いたします。 そこで総理、総務庁長官にお尋ねしたい。この三庁統合の問題と沖縄開発庁との問題をどのように考えておられるかお聞きしたい。
○国務大臣(山下徳夫君) 臨調におきましては、国土にかかわる行政体制のあり方につきまして、整合的あるいはまた効率的な行政の展開という立場、そしてまた国土開発の三庁の企画調整という、その実を上げるという立場からしましてもやはり統合した方がよかろう、こういうお考えもあるのでございますけれども、さはさりながら、やっぱり北海道あるいは沖縄というのはそれぞれ地域的な特殊性がございます。したがいまして、それらを十分検討して、臨調のお考えもまた私どもも検討しながら進めていかなければならぬと思っております。 なお、政府におきましては、臨調答申の趣旨も踏まえながら、現在、国土開発行政関係三庁連絡会議、こういうものを設置いたしまして、そして計画の円滑な調整と整合的な、あるいはまた効率的な運営、こういう面について検討を進めておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 さっき申し上げたとおりに、実情に即した本当に実りある組織が、機構が最も大事であると思いますので、どうかひとつ、ただ抽象的なこういった行革という立場から締めくくってもらわぬように強く要望いたしておきます。 次に、沖縄の農林水産業の面から農水大臣にお聞きしたいことがある。日本は今農産物の輸入自由化圧力に直面しておることは皆さん御承知のとおりであります。来月のベネチア・サミットでも議題になると言われておるのでありますが、そこで気になりますことは、沖縄農業の基幹作目であるパイナップルとサトウキビ、これが今日までも常に風前のともしび、揺れてきたのでありますが、さらにその深刻さを増しておるのであります。けれども、まさか見殺しにはしてくださらぬであろうと、こういう気持ちも持っておるわけなんです。 そこで、沖縄農業を守る基本的な方策はあるのかないのか、どのように方策を持っておられるのか、承りたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、沖縄の農業というのは、我が国にとりまして唯一の亜熱帯地域であって、それだけに非常な特徴を持っておると思っておりまして、まずは基本方針としては、その特徴を確実に発展させていくということでございます。すなわち、冬、春季、こういう時期の日本本土向けの野菜の基地として沖縄農業の振興を図っていきたいということと、花卉園芸並びに肉用の牛の生産というものに重点を置いていきたい、こう思っております。 なお、お尋ねのございましたサトウキビの問題あるいはパイナップルの産業、こういうようなものは沖縄の基幹の農業でございます。これにつきましては、まず農業基盤の整備が最重要でございますので、圃場整備、これは三十アール前後の区画として、要するに生産性を高めるという観点から圃場整備をいたしていきたいということと、それから畑地かんがい、これは水がややもすると不足いたしますので、干ばつ対策をするためにも畑地のかんがいの方法を講じる、地下ダムの造成をするとかいうようなことを積極的にやっていきたいということでございますし、もう一つは農道の整備でございまして、これは集落の要望もございますし、この農道整備を進めていきたい。これが三つの基本方針として今農業対策を整備しておるところでございます。 なお、先ほどサトウキビのことについてお尋ねがございました。確かに沖縄の農家の九〇%がサトウキビ生産に従事しておられますし、その耕地の七〇%はもう既にサトウキビの生産でございまして、まさに基幹農業でございます。それにつきまして、サトウキビの生産性向上を高めるということから省力化をどう進めていくかということにつきまして、今、県と相談いたしておりますし、甘味資源特別措置法等の適用をフルに利用いたしましてこのサトウキビの保護に当たっていきたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 今のお話を聞きまして基本的に共鳴いたしております。 私はいつも言うんです。沖縄の特に無限の太陽エネルギー、亜熱帯地域というのは沖縄だけしかないはずなんです。そこを、国土開発の一環という立場から国の金と技術を投入すれば一億二千万日本国民の食糧資源の生産地として大いに役立つという、こういう発想から沖縄を見ていただいて、沖縄を救ってやるんだとか、これは結果的にはなるでありましょうが、日本国民の生活資源を確保して沖縄を国土開発するんだ、こういう見地から今後も力を入れてほしいということを重ねて要望いたします。 次に、観光立県と自然保護の立場から環境庁長官にお尋ねします。 貴重な動植物が存在する山原の環境破壊が懸念されておる。国際的にも今注目の的になっております。環境庁長官は先ごろ山原を視察されたが、その御感想と、山原の自然保護をどのようにすべきであるかという決意のほどを承りたい。
○国務大臣(稲村利幸君) 喜屋武先生の御質問、私もちょうどこの正月中ごろ、一月、山原の方を視察してまいりました。 沖縄の自然は、サンゴ礁を初めとするすぐれた自然の景観やノグチゲラ、イリオモテヤマネコなど貴重な野生生物に恵まれております。世界野生生物基金の総裁であるエジンバラ公をして、世界のガラパゴス、こういうふうに言わしめたとおり、我が国を代表する大変重要なものでございます。こうした観点からこの自然を守り、育て、国民共有の財産として次の世代にバトンタッチすることは私どもの責務でありますので、環境庁としても自然保護にこれからますます力を入れてまいりたいと思います。
○喜屋武眞榮君 大いに期待いたします。事実は何よりの真実である、そのことを私は申します。 次に、保養基地の建設についてこれまた申し上げたいと思います。 四全総の中間報告の中身と三全総の中身を比較した場合に、そこに落ちこぼれが出ておるということを私は気づいております。それは、三全総の中には、沖縄の開発を阻んでおるのは基地である、その基地は整理縮小を急がなければいけない、こういうことが明確に打ち出されております。ところが四全総の中にはこの基地を云々ということが欠落しておる何一体それはどういうわけなのか、それをお聞きしたい。そうして、どうしてもこれを三全総のあの中身を受けて復活さしてもらいたい。いかがですか。
○国務大臣(綿貫民輔君) 三全総の中におきましても沖縄の第二次振興開発計画の中におきましても、基地の問題は明確に位置づけされておるわけでありまして、四全総におきましてもその精神は十分取り入れていくつもりでございます、まだ四全総を発表しておりませんから。
○喜屋武眞榮君 中間報告ということをよく理解いたしております。ですから、ぜひこれは三全総に右へ倣えして復活さしていただきたい、このことを重ねて申し上げておきます。 次に、沖縄が保養基地として国際的にも日本的にも非常に重要な意義を持つ土地である、こういうことが四全総の中間報告の中では、沖縄地方は「国民の余暇ニーズの増大、長寿化の進展に対応した国際的規模の保養地としての発展の可能性が高い地域である。」と位置づけられておりますね。このことを実らせることが大事である、こう思うのであります。そこで、ポスト二次振計を検討する際にもこれは重要な要素であると思うんですが、総理、この見解、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄が持っておりまするリゾートとしての貴重な資源というものを最大限に活用して、今いろいろお悩みの沖縄の失業問題そのほかについても十分資するように今後とも努力してまいりたいと思います。
○喜屋武眞榮君 次に、教育問題に若干触れてみたいと思います。時間も迫りましたので深入りするわけにはまいりませんので、基本的な立場を踏まえて申し上げたいと思います。 哲学者カントは、人間は教育によって初めて人間になるということを言っておられます。ところが日本の現状は、学園における児童生徒のいじめとかあるいは自殺とか、あるいは暴力とか、こういったことが今大きな問題となり、大きな悩みとなり、大きな関心となっておることは申し上げるまでもありません。これは日本列島右へ倣えと言っても過言ではないでしょう。 そこで私は文部大臣に、日本の教育が直面しているこの危機は一体何が原因でしょうか、このことをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 現在日本におきます教育の荒廃と言われておりますことは、いろいろございましょうが、私は基本的には大方三つあると思っております。 その一つは、高度に学歴社会というものが進行してしまって、これが社会を、そして学校をゆがめてきておると思うのでございまして、何としても今後の教育改革の重点を学歴社会の弊害の是正というところにまず置かなければならないと思っております。 それから二番目の問題といたしまして、私は、社会と家庭の教育に対する関心が薄れてきておること、これが大きい原因であろうと思っております。したがって、子供の教育は、ただ単に学校だけではなくして、家庭も社会も一体となっていかなきゃならない、そういう体制を早急につくっていくべきだ、こう思っております。 それから三番目におきましては、基礎学力の充実、この問題があろうと思っておりますし、それとあわせて、学校環境をよくするために、義務教育並びに高等教育機関すべてに通じまして、教師のあり方、資質の向上、さらにはそれに対する教育行政としての十分な財政力付与、こういう点が問題になってこようと思っておるのでございます。 そのいずれをとりましても、それぞれ基本問題でございますだけに、今後具体的なものを持って対処していきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたいことは、原因はいろいろあるでありましょうが、要は、飲みたくない馬に水を飲ますような愚かさ、角を矯めて牛を殺すというたぐい、こういった権力にあぐらをかいて押しつけ、強制するところには教育の成果はないということを申し上げまして、それではどういう対策を持っておられるのであるか。今ありましたお話の中にも幾分触れられましたが、もう一遍お聞きしたい。文部大臣として一体どういう対策を今熱烈に考えておられるのであるか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 一つは、一番基本となりますのは先ほど申しました学歴社会の是正でございますが、これにつきましては、まず青田買いをやめてもらいたいということでございまして、青田買いと言ったらえらい語弊がございますけれども、企業が採用するにつきまして学校を指名しておるということ、こういうことは私はよくないと思っております。いかなる企業もやはりその企業にふさわしい人材を採用してもらいたい、こういうことの是正をまず手始めにやってもらいたいと思うことと、それと過熱な受験勉強、受験競争を何とかして緩和していく方法をとりたい、こう思っております。 それと、学歴社会を是正する根本は、やっぱり生涯学習の体系を一刻も早くとることだと思っております。特に、生命が長寿化してまいりましたに伴いまして、就職の機会というものがいろいろたくさん出てくると思うのでございまして、それに対応するための学習の機会を与えていかなきゃならない、こう思っておりまして、それが私たちが今やっております学歴社会是正への努力でございます。 それからいじめの問題につきましては、何としてもやっぱり当該学校の教師がPTA、父兄と一体となって子供の十分な指導をしてもらう、きめ細かい指導をしてもらうということが必要であろうと思っておりまして、それがためにはぜひ一刻も早く四十人学級を実施していきたい、こういう念願を持っておるのでございます。 私が最近思いますのに、アメリカ並びにヨーロッパにおきましてもこの教育の危機というものが非常に叫ばれております。アメリカにおいて、一昨年でございましたか、その状況の報告が出てまいりました中において、社会と家庭の責任というものが非常に強く打ち出されております。ついては、ただ単にそれを社会的にアピールするだけじゃなくして、学校教育の中において、社会あるいは家庭がどのように協力し得るかということをこれから真剣に取り組んでいってその実現を期していきたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 この人づくりの問題、いわゆる教育の問題は、全日本の立場からも世界的にも共通の認識がなければいかぬと思うんですが、日本の最高責任者としての中曽根総理にこのことに対して私どうしてもお尋ねしなければいけない、こういう気持ちであります。総理、日本の人づくりの問題いかがお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本が割合に資源がなくしてこれだけ伸びてきたという大きな原因の一つは、明治以来教育に非常に熱心であったという点であると思います。 戦後におきましても、ほかの国から日本は教育に熱心な国であると言われております。しかし最近は、いろいろ時代の変化等に伴いまして教育が必ずしも時代とマッチしない、時代とかけ離れたようなところに今来つつあります。それがいじめであるとかあるいは今指摘したような学歴社会であるとか、そういういろんな問題に出てきておるわけでありまして、現代のこの社会の動向をよく把握しつつあるべき教育の姿というものをもう一回把握し直して、そして二十一世紀、もう間近でございますから、その時代に十分たえ得るだけの教育体系というものを準備する必要がある。そういうわけで、今臨教審において鋭意努力もしていただき、答申もいただいておるわけであります。やはり教育は、長い目で見まして、国の政策の中の最も大事な政策の一つであると考えまして、今後とも重点を入れてまいるつもりでおります。
○喜屋武眞榮君 もう一言総理にお尋ねしたい。 時の流れは、好むと好まざるとにかかわらず二十一世紀に向けて歯車は進むわけでありますが、二十一世紀を担う人間像、日本の青年像、このことについて、二十一世紀を担う日本の若者の心は二十一世紀になって種をまいたって遅い。今種をまかなければいけないでしょう。それじゃどういう種をまくべきだとお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は今臨教審でやっていただいて、夏に最終答申が出ますが、その最終答申の中にそういうものが盛られてくるであろうと期待しておるところでございます。 私は、個人的に考えておりますのは、一言で言えば、やはり世界的な日本人になるということが大事ではないかと思います。
○喜屋武眞榮君 時間が差し迫ってまいりましたので多くを申し上げませんが、私は思います。二十一世紀に平和な世紀をつくり上げていく若者の使命は、今その種をまかなければいけない。その種の中身は三つあると思います。思いやりの心、助け合いの心、分かち合う心、この三つの心を今育てることが二十一世紀を担う若者に対する大きな期待であると、私はこう思っております。 次に、災害遺児育英制度のことについて申し上げたいと思います。 人類の進歩発展あるいは日本の向上発展のこのコースの中から必然的に事故の確率はスピードと量に比例して生まれるということは、これ自然の確率であります。そういうことから、災害遺児というものは必然的にふえていく、減ることはないと思っております。それに備えて、今日は災害遺児奨学金という名目で交通遺児それから船舶遺児が対象になって、六万五千人がその対象になっておるわけであります。その他、今ここで申し上げたい点は、飛行機による、鉄道による、地震による、災害による、この面からの事故との関連において災害遺児が生まれることももうあらわれつつあるわけでありますが、この中身をふやしていくということについて御要望申し上げておるわけですが、いかがでしょうか、総理。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私たちも育英会の増設というものに大いに賛成いたし、またそれを積極的に働きかけております。お尋ねの育英会の種類でございますが、現在全部で五つございます。そのうちで一番大きいのは交通遺児育英会でございまして、これを積極的に基金もふやしていきたいと思っております。 なお、お尋ねでございましたので、今、日本育英会がやっております育英事業につきまして、これは高等学校以上の生徒が対象でございますが、この分がどんどんとふえてまいります。したがって、先ほど申しました五つの基金、それぞれ重点的に資金をふやしていただきたいのでありますけれども、特にこの交通遺児の育英会等につきましては案件が非常に多いものでございますので、これを重点にして強化育成を図っていきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 それで、百尺竿頭一歩を進めるという言葉もありますが、一歩も十歩も進めまして、災害遺児育英制度の御計画があられるというのですね。そうでありますね。それじゃ、ぜひひとつこの問題は法制化をして、将来に備える安定的な組織を確立していただきたいということを強く要望申し上げておきます。よろしくお願いをいたします。 次に、国家秘密法案に対する問題について申し上げます。 中曽根総理は、常に世論を大事にするという、こういうことをおっしゃって、それなりに吸い上げてくださったと思うんですが、遺憾ながら、売上税の問題一つとらえますと、どうも国民世論を認識、理解されることについて、時間的にもまた熱意においても足りなかったのではないか。そのことがああいう結末になったと、私はこのように失礼ながら思うわけでありますが、今日国民世論の中でほうはいとして起こりつつあるのが私は国家秘密法案に対する問題ではないかと、こう思っております。 そこで、僭越ながら、転ばぬ先のつえということわざもありますが、またこのことを、これは前国会からの問題もありますので、名称はどうあろうが、これに対する国民世論を十分にとらえて裏づけていただくならば大変いいがな、こう自問自答しながら思っておるわけであります。幸いに私は中曽根総理のその真意を見つけることができまして、大変ほっとしておる、喜んでもおるわけでありますが、きょうこの場でぜひ中曽根総理にこの問題をお尋ねしたい。 結論を申し上げる前に、実は第百八回国会における中曽根内閣総理大臣施政方針演説をつぶさにめくってみますと、二十ページにこう述べておられます。「私は、今や、戦争の最大抑止力は、長い目で見て人権尊重と国の内外における自由な情報交流であると信じます。」と明確に所信で述べられております。これなるかなと思っております。 こういうことで、中曽根総理のお気持ちはこれで十分読み取れますので、このスパイ防止法案に対する御見解と、そして一歩進めて私は情報公開法をぜひ実現すべきであると、この主張を込めまして、最後に中曽根総理のこの問題に対する御見解を承って、終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国が存立します場合には、やはり外交なり防衛なりの守らなきゃならぬ秘密というものが存在することは十分あり得ると思いますし、外国もそれを保護しているという例が多うございます。日本も同じようなそういうものがあると思います。しかし、これは人権の問題とか、あるいは知る権利とか、基本的な憲法上のそのような大事な配慮というものがまた片方で重視されなければならぬ、そういう面がございまして、その間の調和をとるということが政治家としても非常に重要であり、この問題の処理についてはあくまで慎重に処理していきたいと考えております。 なおまた、情報の公開は近代国家としての針路でありまして、私は積極的であるわけであります。今地方の公共団体において既に実施しているところもございますが、それらの実績等もよく検討いたしまして、この問題については各省庁で今検討中でございますが、さらに検討を進めたいと考えております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で喜屋武眞榮君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
○青木茂君 まず、地価の高騰対策の処理について伺いたいんです。 御承知のように、今大都市並びにその周辺は、サラリーマンの一年分の収入をぶち込んでも一坪の土地が買えないというような異常事態になっておるわけですね。これはもう何とかしなきゃならない。それに対してまず国土庁の長官にお伺いしたいんですけれども、この異常な地価高騰に対してはっきりした対策をお持ちでしょうかどうか。
○国務大臣(綿貫民輔君) お答えします。 御存じのように、地価高騰といいましても、全国的には安定いたしているわけでありまして、東京を含む一部の都市で暴騰しておるということでございます。これに対しましては、供給と規制と、二本柱だと思うわけでございまして、供給面についても、鋭意今各省庁と協議をいたしているところでございます。規制面につきましては、この国会に国土利用計画法の改正あるいは短期の転がし等を規制いたします税制の改正案、これらを提出しておるところでございまして、これらが成立いたしますれば相当の効果があるというふうに考えておる次第でございます。
○青木茂君 どうも抽象論でちょっと具体的にははっきりしないんですけれども、地価抑制ということになりますと二つの側面があると思いますね。一つは、暴騰している地価をどう抑えるかという直接の対策と、それから、これだけ土地が高いにもかかわらずサラリーマンを中心として一生懸命マイホームの努力をしている、その努力に対して政治はどうバックアップするのかという、この二つの側面があると思います。 そういう意味で、まず第一の側面について伺いますけれども、午前中非常に問題になりました農地の宅地並み課税ですね、これはやはりもうやってもらわなければいけないことだと思いますけれども、さらに自治大臣の御見解はどうですか。
○国務大臣(葉梨信行君) 市街化区域の農地に対します課税問題でございますが、いろいろ御議論がございまして、昭和四十六年から何回か法の改正が行われ、昭和五十七年に特に長期に安定的に機能できるようにということで大幅な改正が行われたわけでございます。そして、そのときにできました長期営農継続農地制度でございますが、これは徴収猶予とか納税義務の免除というような特別の制度がございますが、市街化区域におきます宅地供給促進という要請と、それから農業経営の継続という二つの課題を調整するための機能を持っていると理解をしているわけでございます。私どもといたしましては、その制度が適正に運用されるよう地方団体を指導してきておりますが、引き続きそのような線で法の運用が行われるよう見守っていきたいと考えております。 市街化区域農地に対しますこの宅地並み課税のあり方につきましては、そのほかに、先ほど午前中も御議論がありましたように、負担の公平という面でどうであろうか、あるいはそのほかに土地利用のあり方、都市計画のあり方、都市における快適な生活をし、あるいは安全性という面からも一体現在の農地をどう考えるかというように、多面的な面から検討をしながら制度の改善を図っていかなければならない、このように考えているところでございます。
○青木茂君 そこまでは確かにみんなわかっておるわけですね。問題は、そこから実現に向かってどう踏み出すかということだろうと思うわけなんです。 そういう意味において、突然ですけれども、何か後藤田官房長官はこの問題に非常にユニークな御見解をお持ちだというふうに伺っているんですけれども、御披露願えますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 何で私に御指名があったのかよくわからないんですよ。ただ、これ国務大臣ですからね、せっかくの御質問ですからお答えをいたしたいと思いますけれども、別段ユニークな考えでも何でもありません。要はこれはあめとむちの政策、これをどのようにうまくかみ合わすかということだと。そして一般論としては、先ほど来野末さんですか、いい御意見も出しておられました。恐らく青木さんも同じになるんじゃないかなと、こう思うし、この間はまた台湾が最近新しい制度を、成功しているかどうか私は必ずしも検証しておりません。いないが、ある意味においてユニークな制度をおとりになっておると、これは菅直人君からの提言を聞きました。 同時にまた、私は今から十数年前に、昭和四十七年当時に、いわゆる宅地並み課税、これに真剣に取り組んだ一人でございます。結局は五十七年になって今のような制度ができた。やはり一般論としてはどなたも異論がない。いよいよやり出した場合には、これほど反対する政策はありません。これは代議士は落選覚悟でやらなきゃならない。私は本当に、先ほどの野末さんの話を聞きながら立派なことを言っていらっしゃると、聞いていらっしゃる皆さんももっともだと思う面が多かったと思う。いざやってごらんなさい、どれくらいこの仕事が難しいかと。したがって、この背景にある基本的な政治家としてのこういう問題に対する心構えが、これが国会議員を初めとし市町村議会までこれまで徹底せぬ限りは、この制度だけは私はなかなか容易でありませんよと。 そこで、いろいろな政策があります。しかし、とりあえず本当にやる気があるのならば、あめとむちのうちの少なくとも都市の介在農地ぐらいは何らかの処置がとれなくて、一体今日、銀座の土地が坪二億円、どこそこが坪一億円、ゴルフの会員権が五億円、こんな、経済の問題でなくて、まさにこれは社会問題になっているじゃありませんか、これが放置されて一体社会の安定が果たして期せられるのか。これこそ本当に与党もありませんよ、野党もありませんね、これは。真剣にひとつ国会でお互いにこの打開策を検討して、みんながやれば選挙は怖くないんですよ、みんながやれば。そうなんです。いや真剣にこの問題だけは何とか本当に道筋をつけたらありがたいなと私は思うんです。 私は実は——いいですかこれ、長くかかって相済まぬね。相済まぬけれども、これは私は、例えば命と財産を守る政治がおくれている問題であるとか、あるいは今言った土地の問題であるとか、あるいは代替エネルギーとか、あるいは国際教育とか、五つばかりの基本問題は私は第一回の選挙から訴え続けているんですよ。しかし、そのうち全然手がついていないのが私は土地の問題だと思うな。これはやはり個人の財産権に関するだけに非常に難しい。難しいが放置できないから、これから青木さんの御質問も聞かしていただいてまた教えていただきたい、こう思います。
○青木茂君 ありがとうございました。そこが聞きたかったんです。我々は、それは有権者の方の御意向というものを吸い上げなきゃここへ出てこれない。これないけれども、同時に、有権者の方にこびを売るというのかな、利益誘導というのかな、票欲しさのために、そればかり考えておったのでは政治は何も進まない。恐らく官房長官おっしゃりたいことはそこだろうと思いまして、この問題は本当にみんなの決意でなければこれは進まないと思ったわけでございます。 それから土地問題につきまして、もう一つは例の買いかえ特例ですね。何か、売った値段より同額か高いやつを買えば税金がかからない、こういう問題がまた地価を突き上げるということがあるわけなんですけれども、これは大蔵省ですかね。どうでしょうね、こういう今のあり方というものは。
○政府委員(水野勝君) 昭和四十四年度の改正までにおきましてはもうほとんど無制限な買いかえが、特に居住用も含めましてあったわけでございますが、それがかなり問題が多いということで一度廃止されたわけでございます。しかし、その後なおいろいろな御要望も強く、五十七年度の改正でまた復活をいたしておるわけでございますがやはりいろいろ問題点はあろうかと思うわけでございます。 事業用買いかえにつきましては、そういった観点から、ことしの改正におきまして買いかえの限度を八割に圧縮するということも原案としては御提案申し上げておるわけでございますが、居住用につきましてはなおしばらくはさらに様子を注視してまいりたいというところでございます。
○青木茂君 これも買いかえ特例が本当に地価を突き上げているということなんですから、これはやっぱりその面で御検討をいただきたいと思うわけです。 それから、これはある意味においては少し乱暴な提案かもしれませんけれども、かつてイタリーにあったんですけれども、土地に対しましては、未実現の利益に、もちろん一般の庶民が働いて得た二百平米ですか、それぐらいのものは免税点として引かなきゃならないけれども、持っていて価格が上がる、それに対するある程度の課税というものをすれば土地が耐えかねて出てくるんじゃないかと思いますけれども、こういうやり方についての大蔵当局の御見解はどうですか。
○政府委員(水野勝君) やはり所得や消費に対する課税でございますと、そこに所得の稼得行為がある、お金が入ってくるわけでございますし、また消費に対する課税といたしましては物やサービスにそのお金を支出されるというお金の動きが現実にあるわけでございますけれども、資産の保有に対しまして単に値上がりをしたということから課税をお願いするというのは、やはりそこに経済的な利益は発生いたしておりましても現金といったようなものの動きがない。そこに御負担をお願いするということにはどうもおのずから限界がある。したがいまして、どうしても資産に対する課税としては薄いものにならざるを得ないという限界はあるのではないかと思うわけでございます。 思い切ってそうしたものに対しまして例えば再評価をお願いするとかということもございますけれども、やはりこれは相当な物価変動のとき、例えば戦争直後の時代でございますとか、そういった場合にはそういったことも社会的に許容される面もあろうかと思いますが、逆にその場合にはフルに課税をいたしますとかえって問題でございますが、かえって税率は引き下げたりするわけでございますから、そこは負担の配分としてはまたいかがかという点も出てこようかと思います。保有課税というのは主としては現在地方税でお願いをしているわけでございますけれども、特に未実現の問題を取り上げますときにはなかなか難しい問題があると私ども考えておるわけでございます。
○青木茂君 何をやるにも難しい問題は確かにあるわけですけれども、土地高騰自体が異常なんだから、それに対する対策もかなり理屈を外しても異常にやらないと追いつかないと思うわけでございます。 議論しておると時間がございませんから次に進みますけれども、さらに国土庁長官お願いしたいんですけれども、例の短期譲渡所得の重課、特に二年以内に転がすものにはたくさんの税金をかける、これは非常に有効だと思うんですね。有効だと思うんだけれども、何か先送りにされてしまうような感じもあるんですけれども、一刻も早い実現が欲しいということで、これは先送りですか。
○国務大臣(綿貫民輔君) 今問題になっております所得税法の改正案の中に入っておるわけでございまして、私どもはぜひ成立させていただきたいと心から願っておるところであります。
○青木茂君 切り離すお考えはございませんか。切り離すことを御主張なさるお考えはございませんか。
○国務大臣(綿貫民輔君) いろいろとやっぱり財産に対する課税ということで横の整合性があるようでございまして、そのようなことだけを抜き出してやるということがなかなか難しいと言われておりますが、私どもとしては何かそういう手法があれば教えていただきたいと思っております。
○青木茂君 大蔵当局で手法を教えていただけますか。
○政府委員(水野勝君) 今回の税制改革の案といたしましては、所得、消費、資産に対するバランスのとれた課税のあり方ということを御提案申し上げておるわけでございまして、資産に対する課税といたしましては、ただいまお話しの超短期土地重課の問題のほかに、先ほど申し上げました事業用買いかえの特例の圧縮でございますとか、登録免許税の税負担の見直しとか、一連のものとしてお願いをいたしております。資産に対する課税としてもこれが一括されたものとして御提案申し上げ、それがさらに所得、消費に対するものとして全体として御提案を申し上げておるわけでございますので、私どもとしては一括したもので御審議を願いたいと思っているわけでございますが、税制改革につきましては協議機関で検討されることになってございますので、その御協議を注視さしていただいているところでございますということでございます。
○青木茂君 何か税制改革全般が協議機関にゆだねられたからあとのものは全部知らぬぞというふうに聞こえるんだけれども、早くやらなければならないものは切り離して早くやるという姿勢が必要だと私は思いますがね。とにかくどうも暴騰する地価に対する対策というものが何となく遅々として進んでないということは困るわけなんですけれども、問題を一歩進めれば、その中でもサラリーマンが一生懸命マイホームづくりに励んでいる。つまり政治のカバーが足らぬことによって地価が上がっている。その中で国民がマイホームづくりに励む。そうしたらその面に政治の援助が必要じゃないかと私は思います。 経済企画庁長官に二つお伺いをしたいんですけれども、ローンの税額控除、あれを何か一%から三%に上げると、非常に画期的なことをおっしゃっている、これはぜひ実現していただきたい。それとともに、第二点としてその中に住宅金融公庫を何か低くせずに同じ三%に持っていってもらいたい。さらに言えば会社のローンも同じように扱ってくれる、それで非常に助かるわけなんですよ。この点についての御見解を伺いたいんですけれども。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先般発表していただきましたいわゆる新前川レポートの中にも、「住宅の質的改善は内需拡大の柱であり、」したがって「国民生活の質の画期的向上をもたらすため、この分野に政策資源を特に重点的に配分をすべきである。」、こういうことでございますので、今経企庁事務局に命じまして、建設省や大蔵省といろいろ従来の対策を一歩踏み越えた画期的なことが考えられないかと、こういうふうにしているわけでございます。 その考え方の中で、先般も当委員会でお話しいたしました利子の所得控除、こういったことを考えたわけでございますが、これは多少新しい発想でございますので、そこまでいかないで現在の借入金の額の一%を税額控除するというこういう措置でございますが、これを一%を二%、さらにもっと上げるかどうか、こういう形の考え方も住宅優遇税制としてあるわけでございますので、こういうことについていろいろ検討を進めてまいりたいと思いますが、問題は、現在全国で三千五百万世帯ございますけれども、実際の戸数は三千八百万戸でございますから、計算上は三百万戸余っているわけでございますね。ですから、現在も年率で大体百四十万から百五十万ぐらいの戸数の建築が進んでおりますけれども、数でふやすのは多少、これ以上そう多くはないかもしれません。そうしますと、むしろその既存の住宅の増改築かリフォームについて、それを積極的に進める。数じゃなしに質で国民生活の向上を図っていくということも十分推進しなければならない政策であると思うわけであります。 そういたしますと、今の借入金の一%税額控除、それを上げるという議論もございますが、その方式の中にそうした増改築、リフォームを取り込んで考えるとか、それから住宅金融公庫の融資の対象の中にこれも取り込むだとか、そういったこともいろいろ検討をすべき課題である、かように考えているわけでございます。 ただ、先生御指摘ございましたように、いわゆる住宅金融公庫の借り入れについても〇・五じゃなしに一%税額控除しろ、こういうお話でございますが、これにつきましては、住宅金融公庫が既にこの金利に対していわば利子補給した形になっているわけでございますので、一%税額控除はいわば一%利子補給という考え方になるわけでございますので、そうした住宅金融公庫については既にやっておりますからどうかなと、こういう議論もございますし、同時に、これは私の考えでございますが、住宅金融というものについて住宅金融公庫は立派な役割を果たしてまいりましたし果たしておりますけれども、しかし、一般の金融機関がもっと積極的に国民の住宅建設に協力するような姿勢、態勢がこれからはより望まれるのではないかと、かように考えますので、いずれにしてもいろんな観点から真剣に検討して結論を得たいと考えております。
○青木茂君 住宅金融公庫は既に利子は安くなっているんだから国から補給されているんだという議論は、もう今まで何回伺ったかわからぬわけなんですよ。それはそれで一理あるといたしましても、私が言っているのは、これだけの地価高騰の異常事態においてみんな努力しているんだと、それに対して単なる論理だけでなしに——まさに思いやり予算ですよ、これは国民に対する。それをやってもいいではないかということをお願いしておるわけです。ひとつ十分受けとめていただぎたいと思います。 時間がたちますものですから建設大臣にお伺いをしたいと思います。ただ、建設大臣、何回かお呼び立てするのは大変失礼だと思いますから、まとめまして申し上げておきたいと思います。 一つは、今までは核家族で世帯が分散された。ところが、こういう状態になって二世代住宅、三世代住宅というようなふうに逆に収れんが行われつつあるという状況。だから、この二世代住宅、三世代住宅についてはかなりな割り増し融資というんですかね、住宅金融公庫の。あるいは五十年ローンでなしに七十年ローンぐらいまでやってもいいのではないかということについての建設大臣の御見解が一つ。 それからもう一つは、東京なんかで、これは大阪でもそうでしょうけれども、土地を探しますときに、一種と二種の区別がありましてね。一種は延べい率五〇%、容積率一〇〇%なんといったら、もう手に入らないというのか、使いものにならない。まあ、いい土地なんですね。二種は六〇の一五〇だから非常にうちが建てやすい。ところが、どれが一種でどれが二種だなんというあれはないんです。だから、一種、二種の区別をなくして、全部二種ぐらいに、広い住宅が建てられるように持っていってほしいということ、これが第二点。 それから第三点は、土地が狭いんだから、上へ伸ばすか下へ伸ばすかよりしようがないんですよ。それで、下へ伸ばすと地下をつくる。地下をつくった場合は、高いんだから、ここでも住宅金融公庫の割り増し融資というものが必要なんじゃないか。あるいは地下にはもう容積率の制限を抜いちゃったっていいんじゃないかというようなことを私は住宅対策として考えていただきたいと思うわけなんですけれども、建設大臣、まとめてひとつお願いいたします。
○政府委員(片山正夫君) まず、二世代、三世代住宅関係の措置でございますけれども、公庫融資住宅の面積条件につきましては、三世代同居の推進等のことも考慮をいたしまして順次引き上げを図ってきておりまして、六十年度におきましても、以降二度にわたって引き上げを行いまして、現在のところ二戸当たり二百平方メートルとなっております。この水準は三世代同居にこたえ得る水準であると現在考えておりますが、今後ともニーズの動向には十分留意してまいりたいと考えております。 それから割り増し融資額につきましては、六十二年度予算案におきまして、従来のものにさらに三十万円の増額を図りまして二百十万円とすることとしているところでありますが、今後ともこの拡充には努力をしてまいりたいと考えます。 それから親子の承継償還の期間の問題でありますけれども、これは今回も期間の延伸を図りまして、木造住宅につきましては四十年、耐火構造のものにつきましては五十年と、期間を延ばしているところであります。 それからその次の、問い三の方のお答えを私の方から申し上げますが、住宅の地下室の関係でありますけれども、この地下室に関しましては、規制といたしましては、住宅、病院などの居室につきましては衛生上の措置を講ずることを制限として課しておりまして、これは健康の保護の観点からは必要なものと考えております。このほかには地下室固有の規制というのは現在ございません。 また、容積率の問題がいろいろ取りざたされておりますけれども、容積率に関しましては、容積率のまず算定の仕方としましては、これは建築の床面積の合計を敷地面積で割ります。ただその場合に、駐車場の問題でありますとか、建物の中につくります駐車場、それから電話交換施設あるいは変電所等の大規模な機械室、そういうものは控除をすることとしまして、原則は床面積の総合計を敷地面積で割る。その数字を都市計画におきまして各用途地域に応じまして、例えば一種住専の場合ですと二〇〇、商業地域の場合ですと一〇〇〇というような数字を上限といたしまして指定をいたしまして、その中で個々の建築が行われる。 この容積率の指定の考え方と申しますのは、都市におきまして行われます社会活動と、それから道路でありますとか下水道でありますとか、そういうものの公共施設の均衡を図るためにそういう規制がありまして、その指標を建築の床面積でもって代表している。この場合、その建築の床面積の個々の敷地におきますありざま、これは地上にありましても地下にありましても、どういうあり方かは問うておりません。ですからその個人の自由によっておつくりになる。ただ、現実のところといたしましては、地下につくりますときには構造的にも費用がかかり、先ほどお話ししました住宅とか病院の場合ですと衛生上の措置を加えなくちゃいけませんから、換気施設でありますとか防湿施設も講ずる、そういうことで費用がまたかさむというので、現実におきましては、商業地域等で非常に高度に利用するときは地下室も大いに利用されておりますけれども、一般の住宅地ではそういう費用の観点で余り利用が見られていない、こういうような状況でありまして、ですから規制の関係としましては、地下室の容積率を向上することはなかなか難しい、こういうことでございます。
○青木茂君 現実がそうなっていることは、今長長と御説明を願った、これはみんな知っているわけですよ。 もう一回言いますよ。この地価高騰の中でサラリーマンは一生懸命住宅をつくるために努力している。だから政治は現実より一歩進んだバックアップをしてほしいというのが私の願いなんですよ。建設大臣、申しわけないけれどもお願いできますか。
○国務大臣(天野光晴君) いろいろ御意見がおありのようですが、私も多年この問題を検討しております。それですから、住宅金融公庫の貸し出しにしたって、大きいのには貸さない、小さいのには貸すというようなことではなしに、最近のような経済事情になってくればできるだけの措置を講じたいと思っております。規制をすることは決していいことではないですけれども、秩序を守るという意味である程度の規制は必要でありますが、どうしても必要であるという問題につきましては十分に検討して御期待に沿うようにいたしたいと思います。
○青木茂君 ありがとうございました。とにかく本当に土地問題、住宅問題の解決というのは、ある意味においては戦後政治の総決算の重要なところなんだから、ぜひお願いを申し上げたいと思います。 それから今度は大蔵省に伺いますけれども、売上税騒動の陰に隠れまして、小さなことですけれども、医療費控除が今まで五万円以上、その他の条件はございますけれども、一般的に言って五万円以上。それを何か十万円以上にするというような案が出ておるようですけれども、これはまだ国民に全然知らされてないというような感じがあるんですよ。これについて大蔵省のちょっと考え方、なぜそうするんだということを伺いたいんです。
○政府委員(水野勝君) 医療費控除は、普通の医療費といたしましては課税最低限の中で、生活費の中で処理していただく、ただ一定の規模以上のものにつきましては担税力の減殺というものに対して配慮するという点から設けられているものでございまして、シャウプ税制当時は所得の一〇%という一本の限度でございましたが、その後これを五%に引き下げる、あるいは一定の金額としての定額控除を入れるというふうなことで配慮してまいったわけでございますが、昭和五十年に現在の五万円という金額が定められて以来十二年たつわけでございまして、その間の家計の平均的な医療費負担の水準、それからその後におきますところの執行面から見ましたところの医療費控除の適用を受けるための還付申告件数の激増状況、こういった点を配慮いたしまして、税制調査会の答申にも盛られました趣旨に即しまして五万円という定額控除を今回十万円に引き上げていただくように御提案を申し上げているところでございます。
○青木茂君 これは後からも触れたいと思っておりますけれども、税金というのは、取る側の論理ですね、取る側の論理だけでやられたら困るんですよ。五万円にしておくとわっと押しかけるから、とても事務が煩瑣になるから十万円にしようというふうに今聞こえたんですけれども、そういうような考え方ではもう本当に税に対する国民の信頼はなくなってしまう。これはぜひもとへ戻していただきたいと思うわけなんです。 それからもう一つ、小佐野さんがお亡くなりになったときの相続税のあれが案外低いものだなと我々思ったんですけれども、その点はともかくとして、相続税逃れのために何か財団か社団をつくって、そしてその財団、社団が一年間にろくな仕事をしない、しかし役員には相続人がなるというような実質的な相続税逃れが散見されるわけなんです。具体的に例を知っていますけれども言いませんけれども、散見される。これの規制について大蔵当局はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(門田實君) お尋ねの件でございますが、個人が公益法人に対して財産の贈与をした場合それが真に公益的活動に使用されるということが大切でございまして、お話のように、その贈与によって贈与者の親族等が贈与税の負担を不当に減少する結果だけになったというようなことがあってはならないわけでございます。そのために、公益法人につきましては役員につきましても親族は三分の一以下でなげればいけないとか、親族が特別の利益を得てはならないとか、いろいろ規定がございまして、これに反する場合はその公益法人を個人とみなして贈与税を課税すると、決まりはこういうふうになっております。 ただ、お話のように公益法人、いろいろなケースがございまして、確かにそこは千差万別でございましてなかなか実際の適用には難しさがあるわけでございますが、御趣旨を体しましてより厳正な運用に努めたいと思います。
○青木茂君 要するに、そういうふうにしてできた財団、社団が目的どおりの活動を精力的にやっているかどうかということが決め手なんだから、それをしっかり調査をしてもらわなければ困る。とにかく、税金逃れでいろんなことが認められてしまったら、本当に源泉徴収で一〇〇%払う者はたまったものじゃないですからね。そこら辺をぜひお願いします。 次のテーマに移ります。これは総理が御訪米になりまして表明されたことで、大変対外的には評判がよかったことなんですけれども、例の三百億ドルの資金還流につきまして、それが一体どういう金で行くのかということの概要を御説明願いたいんですけれども。
○政府委員(内海孚君) お答え申し上げます。 大きく分けて三つのカテゴリーに分かれると思います。 第一のカテゴリーは、世界銀行その他の地域金融機関に対しまして財政資金を一部拠出いたしまして、それで例えばプロジェクトの開発をお手伝いする、そうやって資金需要がふえましたものを今度は東京マーケットで民間資金で協力するという形での、官民両資金の還流というものでございます。これで大体八十億ドル程度、三年間というふうに見込んでおります。 それからその次は、経済協力基金あるいは日本輸出入銀行、これら国際金融機関との協調融資というような形で開発途上国に協力するというものが大体九十億ドルぐらいを見込んでおります。 それから残り三十億ドル程度は輸出入銀行の単独バンクローン、これはいずれも前のものを含めまして全くアンタイで、それによって世界のどこからでも物品あるいはサービスを購入できるということを考えております。 これで大体二百億ドル以上になるわけですが、さきに発表いたしました百億ドルと合わせて三百億ドル、こういうわけでございます。
○青木茂君 日本が対外的に非常に大きな黒字を持っておる債権国家であるということで、発展途上国に対してもう本当に全力を挙げての支援をしなきゃならないということはこれは非常によくわかるわけです。ぜひやらなきゃならないし、やっていただきたいと思います。 ただ、輸銀ですね、輸銀のアンタイドが入っているということがちょっと私は疑問なんですけれども、輸銀というのは大体全額政府出資だし、それから毎年財投から金が補充されているわけですね。財投というのは我々の郵便貯金だとかなんとかいう庶民の金なんだから、それがいかに輸銀を経過しておるとはいえ、対外援助の方へ回っていいのかという感じがするんですよ。これは大蔵大臣、いかがですかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今度こういうことを総理が決められたことの一つの意味は、従来タイドになっておることが多かったわけでございます。そういう意味で、それは実は日本のいわば物を売るための方便ではないかということを言われておりましたが、もうそういう時代ではありませんのでアンタイドにしようということと、それからもともと御承知のように輸銀の起こりは輸出入銀行でございますので、我が国を中心にして我が国からの輸出、我が国への輸入を考えておったわけでございますけれども、最近は、第三国間の物の動きにでもファイナンスをするようにすれば世界の貿易全体の増大に寄与できるであろう、こういうふうに考えたものでございますから、我が国に直接関係ないところでも輸銀が役に立とう、そういうふうに最近かなり運用方針を広げておりまして、そういうあたりに特段の意味を見出していただきたいと思うのでございます。
○青木茂君 少し細かくなりますけれども、その三百億ドル、これがなぜラテンアメリカに集中されるんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは実はラテンアメリカに大変に大きな重点があるような理解のされ方になりましたのは多少誤解もございまして、それは世界銀行であるとか、あと地域銀行と言いましたときに、アジア開発銀行もそうでございますし米州銀行もそうだということを申しました、またそれは事実なんでございますが。それから世銀との協調融資というときに、やはり世銀もラテンアメリカにもございますので、したがってラテンアメリカも無論入りますということの意味であったと私は思っておりまして、特にアジアやなんかを、あるいはアフリカを無視してラテンアメリカに非常に大きなウエートを置くようになった、こういう意味ではないというふうに私は、いずれにしてもこれからのことでございますけれども、考えております。
○青木茂君 ラテンアメリカは、それは日本は非常にお世話になっているけれども、直接戦火を交えた国ではない。むしろそういう金は直接戦火を交えて御迷惑をかけているアジア諸国重点の方が私は正しいと思うし、それからもう一つ、御承知のようにモラトリアムがしかれるかしかれておるかわからぬというような非常に返済の不安を持っている国ですね、それにそれだけの資金還流があっていいかどうかということが大変心配だということ。そうすると世界じゅうが誤解していますよ、みんなラテンアメリカと言っていますもの。これ、ブラジルの新聞です。「三百億ドル・クレジット・パラ」、これはポルトガル語だからよく読めませんけれども、見出しは大体わかりますわ。ラテンアメリカに出ている。ワシントン・ポストでもそういうような書き方をしておりますよ。そうすると、ラテンアメリカだけではないということなんですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もラテンアメリカについてのワシントン・ポストの四月二十四日の、これは社説の一つでございますけれどもございまして、これは青木委員の言われますようにアメリカにとっては今フテンアメリカの累積債務というのは非常に大きな問題でございます。我が国にとってもそうです。それで安倍特使が、あるいは総理大臣がアメリカでこれを言われましたときに、日本は何もアジアばかりやっているわけじゃございません、とかくそういう今までの実績も評判もございますのでそうではございませんということを、アメリカ人としてはラテンアメリカのことと、そこに一つ自分の関心の的があるものでございますから、受け取ったと思います。 それからこれは、今青木委員のお話ではございますけれども、やはり累積債務国が多いということは、それは何がしかの危険はあるということではございましても、それだけに、しかしそれについては我々もできるだけ救済に努力をしなきゃならないという面が確かにございますので、世銀と協調融資とかいうようなことでございますとそれはやはり我々としても力を入れていい地域だというふうに考えます。
○青木茂君 それはその御理論はわかります。 そうすると、念を押しますけれども、あの三百億ドルというのは必ずしもラテンアメリカのみを含まない、そういうことですね。 もう一つ私がこの資金還流計画で持ちました疑問は、なぜアメリカへ行って御発表になったか、こういうことなんです。訪米の一つの何か、せっかく発展途上国を一生懸命我々がバックアップしようというのが、アメリカで発表があったために、日本が何か考えているんじゃないかというような、これは勘ぐりで済めばそれで結構なんですけれども、そういうものがあるわけなんです。日本の国内で堂々とおやりになった方がよかったんじゃないかと思うんですけれども、これは総理いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、我が国がこれだけ貿易外で大きな資金を稼いでいるということが世界から見た方が非常に大きな問題に見えるわけでございまして、当然のことでございますけれども。ですから殊にアメリカから言いますと、えらい日本に貿易の黒字を稼がせている、かなわぬという気持ちがアメリカにございます。しかし我我はそれは、ただ稼いでいるんじゃなくて世界に還流をしようとしているんだということは、やはりそういうアメリカなんかに行って申しました方がよくわかってもらえますし、ただ我々は稼いではかりいるんではないんだということを申す場としては、やはり我が国の立場を間違いなく理解してもらえる場としてふさわしい場ではないかというふうに考えております。
○青木茂君 ただ、これは我々の意図と逆の結果が出るというのか、結果において中南米諸国に対するアメリカの民間銀行の債務が日本の公的資金で肩がわりされたというようなことを言う人もあるわけなんですよ。これはやっぱり私は、何かあれが発表されたらアメリカの銀行の株が上がったというような話もありますから、それはちょっと筋としてはおかしいんじゃないか。私は発展途上国援助は大変これは結構だと思っているんですから、これはこれからの問題として大蔵大臣に伺いたいんですけれども、日本で余った黒字というのですか、それをどういう方向に、どういうふうに持っていったら、つまり何かよその国の債務を肩がわりするような形でなしに、例えばアメリカの民間銀行のあれを肩がわりするような形でなしに、あるいはそのために日本の公的資金が投入されるというようなことに対して、財政を預かる大蔵大臣としての御認識をお伺いしたいのですけれどもね。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはごもっともな御指摘だと思います。ラテンアメリカの累積債務国を米国政府が何か救おうとしますと、アメリカの議会は常にそれはニューヨークの銀行の救済ではないかという受け取り方をするのでございますから、青木委員のおっしゃいましたような物の考え方は確かにあると思います。そういうふうなとられ方をしましては迷惑なことでございますから、それで我が国としては、できるだけ世界銀行であるとか米州銀行であるとか地域銀行との協調融資であるとか、あるいは輸銀の融資にいたしましてもなるべくアンタイドでやっていくとか、それからさっき政府委員が冒頭に申しましたカテゴリーの第一というのは、実はそういう各地域銀行、世界銀行なりが東京で起債をしたいというときにはできるだけひとつその起債に応じようではないかとか、そういうなるべく国際的な機関を通じてということがいいのではないかと思います。
○青木茂君 日本がこれだけとにかく一生懸命世界に対して協力をしようとしている、それに対してどうもアメリカ側の対応というものが必ずしも十分でない、日本の努力をアメリカ側は抽象論でなしに具体論でもう少し評価してもらってもいいんじゃないかという不満はどうしても残ります。 〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 それで、しかもワシントン・ポストのミニ社説の最後のところで「バットフォースフルアクションツーアボイドアリセッションアドホーム」、つまり自分の国内景気を浮揚させる、つまり内需拡大こそ「ジャパンズファーストアンド モストアージェントレスポンジビリティー」だと。日本の最も緊急かつ第一の仕事なんだと、世界に対してですね。そういうことで締めているんですよ。これだけこっちが、何というのか、一生懸命やって、最後には、何だ、それよりも日本の内需拡大をやる方が大切ですよと。日本版マーシャルプランよりも日本版ニューディールの方が大切ですよと、こう言っているわけです。 そうすると、どうしても、これを受けて日本版ニューディールというのを積極的に我々はやらなきゃならないんじゃないかと思うんですけれども、これはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この社説は私も読みまして、おしまいのところで確かに今おっしゃるようなことを言っているわけなんですが、結局言えばどっちもだと思うのでございますね。私どもは内需拡大をどうしてもしなきゃならないということは、日本のためでもありますし、国際的なまた公約でもある。それから、これだけ貿易でたまりました資金をできるだけ還流しようということは、これはまた我々の世界に対する務めでもあるし、その努力はまた知ってもらいたいと思うわけでございますので、結局両方なんでございますけれども、内需振興ということになりますと、これはもう専ら、ほとんど、民活はございますものの、財政支出の問題になってまいります。 それに対しまして、世界的な資金還流ということになりますと、国際機関についての出資でございますとかあるいは起債の引き受けとかいうことで、非常に大きな財政資金がすぐに出ていくわけではないのでございまして、だから易しいと決して申しておりません、それはそれなりに苦労があるのでございますけれども、外為会計の金を例えばIMFに低利で預ける、これは決してただでくれてやるということではございませんで、それでも歓迎されるのでございますからよろしいのでございますけれども、内需振興になりますとやっぱりまさに直接の財政支出になるという、そういう問題があるということだと思うのでございます。
○青木茂君 とにかく、確かに日本は対外貿易によりまして大きな黒字を出しました。しかし、それはそれなりに日本の労使が物すごく頑張って働いた結果だと思うんですよ。もう今や大きな企業は、ウイークデーに休んで土曜、日曜に出勤しろと言っているんです、電力が安いから。鉄だってあんなことでしょう。円高不況でみんな苦しんでいるわけでしょう。 だから、そうなりますと、発展途上国援助はぜひやらなきゃならないけれども、三百億ドルといったら四兆円以上ですからね。それのどれだけが一体自分たちの国に、これだけ必死に頑張っている日本の国民に返してもらえるだろうか。日本版ニューディールというものの必要はまさに僕はそこにあると思うわけなんですよ。だから、国富み民貧しくじゃしようがないんで、国貧しくても民官みならそれは国の貧しいことを我々は誇りに思いますからね。そういうことでもって、このこと自体はそれは結構ですよ。結構ですけれども、我々の公的資金が、税金なり財投なりがそっちへ回っていると。そういう厳然たる事実を背景にして、とにかく日本版ニューディールを懸命にやっていただきたいというのが願いでございますね。 それで、総理はきょう何も答えてくださらないんだけれども、今度はひとつ税制改革で行きますから。 こんなことで、けさの新聞を見て私は質問の内容を全部切りかえなきゃならぬなと思ったわけなんですけれども、今度の税制改革、総理は、どうも道筋をつけることに必ずしも成功なさったとは私は思っておりませんけれども、税制改革の扉を開いたと。これは偉大なる功績ですよ、本気で。ただ、どうもはっきりしない点が三つあるんですね。何のための税制改革だったのか、ねらいは何だったのか。それからもう一つは、改革の部分像はわかっても全体像がどうしてもわからなかったということ。それから不公平解消への視点というものがどうもよくわからなかったと。ここのところなんですけれども、総理がお考えになりました税制改革のねらいですね、これをもう一回、つまり本音でもう一回語っていただきたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一言で言えば、サラリーマンのためですよ。いろいろ私は最初から申し上げているとおり、シャウプ税制以来三十七年の間に大変なひずみ、ゆがみができてしまったと。これがために給与所得者等には非常に重税感がわき、クロヨンであるとかトーゴーサンであるとか、毎回もう青木さんから質問を受けている。これは何とか直さなけりゃいけない、これは与野党一致した意見でもありました。 そういうような面から、この辺で資産、所得、消費、これの全般についてもう一回よく見直しを行って、何が公平で公正でそうして能率的で、そして民間活力あるいは選択性、そういうような時代の要請に合う税制であるかということで、税制の抜本的見直しを政府税調にしてもらい、またその答申をいただき、そうしてそれを党でもいただき、検討して、法案として提出してきた。ポイントは、シャウプ以来のゆがみやひずみを是正して、サラリーマンそのほかの重税感を解消しよう。これは税収を目的とするものではありませんと、これは前から申し上げているとおりです。 その中で、じゃ焦点がどこにあるとか、重点がわからないじゃないかとかおっしゃいますけれども、これは、だって委員会で審議してくださらないから申し上げる余裕がなかったわけです。これは今度税制の協議会でしっかり審議していただいたらいいと。その際には青木さんの御意見も十分承らせていただきたいと思っております。
○青木茂君 どうも、あれは衆議院の問題で、参議院、特に小会派は出してもらえそうもありませんからここで申し上げますけれども、サラリーマンのためとおっしゃいますけれども、サラリーマンの立場で言えば、何か、がんを治してやるからエイズのウイルスを飲めと言うのと一緒なんですよ。 いいですか。なるほど所得減税がある。同時に、消費増税があるわけですよ。売上税、転嫁しなさい、転嫁しなさいと言っているんだから、転嫁は、消費者の大多数はサラリーマンなんだから、消費増税があるわけでしょう。それからマル優の撤廃で貯蓄増税があるでしょう。だから、それを差し引き計算してみると、あの法人税の減税分がすぐサラリーマン家計にプラスになってはね返るという無理な論理を除けば、百人中九十六人が増税になっちゃう。そこがサラリーマンがこの問題に対して不満であったし、首をひねったところなんですよ。サラリーマンのためにやったことになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点はいろいろ議論したところでありますが、各党の御協議によってさらによきものが出てくれば私は幸せであると思い、またさらによきものをみんなでつくりたいと思っておるわけであります。
○青木茂君 どうも協議機関ができてしまってからは、かつては税の問題を聞くと今税調が審議中だからといって断られちゃって、それからこの前は党税調が一生懸命原案を練っています、今度は協議機関だというと、踏み込みようがないわけなんですけれども。 もう一つの御質問は、例の直間比率の問題ですね。直間比率という言葉が何かファーストバリューのようにひとり歩きしてしまった。僕は間接税がなぜ直接税よりいいのかの理由がよくわからないんだけれども、ここは大蔵大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いついかなる場合でも間接税の方が直接税よりいいんだというようなことは私はないと思うのでございます。そういうことは言えないと思うのでございますが、今の我が国においては、殊にこれだけ直接税の比率が大きくなっておりますときには、もう少し間接税の方にそれを動かした方がいい。その今のというようなことにいろいろ意味がございますけれども、たびたび申し上げますけれども、所得水準が相当高いということ、しかも所得の配分が均等であるということ、それからやがて老齢化社会を迎えなければならないといったようなこと等々を、今のということで申し上げているわけでございます。
○青木茂君 そこら辺が、何のための改正かということについて、総理のお考えと大蔵大臣のお考えが若干ずれるんじゃないかと思います。サラリーマン減税のための財源が必要であるということ。ところが、一方においては長寿社会があり、他方またいわゆる国債洪水があり、内需の拡大もやるなきゃなるない、そのための非常な巨額な財源も要るわけです。そうなると、もうこれからはそういう巨額な財源のために国民に負担をお願いしなきゃならない時代なんだと、その前提として直接税の不公平、サラリーマンが直面している直接税の不公平を正さなければならない、そのための税制改革なんだ、ねらいはそこなんだというのが納得しやすいですし、それが本当の部分じゃないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、二つのことが背反したり矛盾したりする関係に私は立っていないんだと思うのでございます。当面、勤労意欲からいいましても、また法人でいえば企業精神からいいましても、直接税が高過ぎるということはやはり非常に問題であるということで、この減税をしたいということがございます。そこで、財政が豊かであれば減税のしっ放しでよろしいわけでございますけれども、そうでございませんから新しい財源を探さなければならなかったという事情が一つあるわけでございますが、さてそこで、新しい財源を探すことにつきまして、これは売上税のようなああいう一種の間接税がいいと考えました一つの理由は、税収が相当入るということでもございますけれども、やがて老齢化社会になりましたときにはどうしても年寄りは所得税をもう払わなくなりますし、所得が小さくなりますから、そういう事実の上にさらにその年寄りの数がふえるわけでございますから、若い人だけの所得税ではとても養い切れない。今のうちから老人も一緒に、間接税という形でならこれいわば死ぬまで負担できます、負担をいたしますししますから、そういう意味で老人にもそういうものを負担していってもらうことにしておかないと先々若い人が大変な苦労をするということも一つの考慮に入っているわけでございます。
○青木茂君 保護をしなければならない人に負担を求めるという発想は僕は感心しないんですけれども、それよりもこういうことでしょう、減税をするために財源が必要だ、これは中立だ、つまりその中立の税制が将来長寿社会その他の問題に役立つということになると、中立である増税案の中に実は自動増税装置が埋め込まれていたと解釈しないと、ちょっと将来の財政需要どうにもならないんじゃないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこのところは大変注意をして申し上げなきゃならないところでございます。で、税率をどうとかするということを考えておるわけではございません。しかし、GNPが年にもよりますけれども実質でもう三%とか四%とかずつ伸びてまいりますから、消費の割合を一定とすれば実際消費の割合はだんだんふえていくと思うのでございます、それは大きくなると考えるのが相当だと思います。したがいまして、税率を変化いたしませんでもそこから来る自然増収というものはやっぱりあると考える方が普通だと思うのでございます。
○青木茂君 これからGNPが順調に期待するほど伸びる世界経済の情勢であろうかという点につきましては私は大変疑問ですけれども、それはそれとして間接税の問題に入ります。 間接税は確かにいいんですけれども、タックスペイヤーとしての自覚が間接税というのは失われてしまうんですよ。ここでちょっと大蔵省の方に伺いたいのですけれども、物品税法四十二条ですね、あれは生きていますか。
○政府委員(十枝壯伍君) お答えをいたします。 現在、物品税法四十二条におきまして物品税額の区分表示の規定があるのは御指摘のとおりでございますけれども、この規定が入りましたのは占領下の昭和二十六年の改正で入ったわけでありますが、今日までほとんど実行されないままに至っているというのが実態でございます。
○青木茂君 いみじくもおっしゃいましたように、物品税法においては本当の価格と上乗せ税金分は区別して消費者にわかるようにしろと、こういう規定になっているんですけれども実行されていない、そういうところに間接税の持つ僕は問題点があるんだというふうに思っています。そしてやっぱり税のよしあしというものは、広く浅くとおつしゃいますけれども、私は、担税力のある者はたくさん出し、担税力の少ない者は少ししか出さないということが税のよしあしを決める問題だと思うんですよ。そういう意味においては直接税の方が間接税より私ははるかにすぐれている、その意味でシャウプ税制は私は立派だったと思うんですけれども、これはどうでしょうね大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) あのときに五五対四五ぐらいであったと思いますけれども、やっぱり七〇、三〇を超えて直接税が重くなるということになりますと、先ほどのことを繰り返すようになりますけれども、さあどうであろうか。先ほど、年寄りはこれからいわば社会が助けなきゃならない人なんで、それに負担をさせるというのはよくないとおっしゃいました。それはできればその方がよろしいんだろうと思いますけれども、何といっても私どもが年をとりますと、自分が出すより社会からもらう方がはるかに大きくなるわけでございますので、若い人にそれ以上の負担ができないとなれば、多少のものはやっぱり自分が出していくということでないといかぬのではないかと思います。
○青木茂君 その問題は、年寄りもそれは確かにいろいろありますからね、えらい大金持ちの年寄りはたくさん山さにゃならぬ、そういう意味においても私は直接税の方がいいと思うんだけれども。その問題はともかくとして、時間がもうたちつつありますから次の問題へ入ります。 私、総理が訪米なさる前のこの委員会で、消えた案ですけれども、提示された税制改革案で、給与所得控除の全額と実額、特定支出控除ですか、実額との比較だとこれはおかしいではないか、だから給与所得控除というのは必要経費控除と担税力控除の二つがあるんだ、仮にそれが半々であるとすれば二分の一、給与所得控除の二分の一と実額控除、これの比較なら話はわかる。話はわかるけれども、それがいつの間にか全額との比較になってしまって、給与所得控除全体が必要経費みたいな誤解が出てきている。これを実はぜひ聞きたかったのですけれども、これはひとつ専門家の方から。
○政府委員(水野勝君) 抜本税制改革の税制調査会の答申の当時におきましてはそうした方向の議論も出ておったわけでございますけれども、現実にこの問題につきまして現時点で対処をいたしますとすれば、やはり明治二十年以来の日本のサラリーマンにつきましての課税のあり方としては概算控除で来ているという現実を考えざるを得ない。とすれば、一挙に実額経費との選択控除を導入するというその前に、特定の支出、だれの目から見ましてもはっきりした特定の支出をとらえてこれをサラリーマンにつきましての担税力の調整のポイントといたしまして負担の軽減、調整を図るというあたりがまずは現実的ではないか。 その際に、サラリーマンの担税力の減殺に響く程度を何とをもって比較するかというところで給与所得控除額を持ってまいったわけでございまして、特定支出控除、これが必要経費の項目であり、一方、それを給与所得控除の中にございます必要経費の概算額と比較したということではございませんで、担税力の一つのメルクマールといたしまして給与所得控除を使わしていただいている。一方、特定の支出項目につきましても、これは必ずしも必要経費と割り切ったものでもございません。家計費とも若干ダブる面もありましょうが、とにかくサラリーマンとして生活をされるときに余儀なくされる支出を拾い出した。明確な基準でもって算定できるものを拾い出して特定支出といたし、給与所得控除と対比をお願いしておるというのが原案の考え方でございます。
○青木茂君 だんだん説明の論理が最初のときと違ってきていますね。サラリーマンの必要経費、これぐらいはあるでしょうということでもって出てきたものが、いつの間にか特定支出経費というふうになってしまった。だれの目から見てもこれは仕方がない。しかし、どうなんですか。また売上税の問題に戻りますけれども、売上税の非課税品目が最初非常に、もう十以下であった、六つとか七つであったものが、あっという間に四十幾つになり、あっという間に五十幾つに拡大した。それに対してこのサラリーマンの必要経費問題は最初からどんどん後ずさり一方なんですよ。こういう現実をサラリーマンが見た場合、一体日本の税法はサラリーマンに対して冷た過ぎるじゃないかという、感覚的にしろ気持ちを持つのは当たり前の話なんですよ。 だから、何というのか、冷たいお役人的答弁、これもさることながら、所得税納税者の大多数を占める者の重税感に対しては、これは幾ら税金が減ったという金額の問題よりも、そういうサラリーマンのことを一生懸命やってやったという実感を僕は与えるシステムをつくることの方がはるかに重要だと思うわけなんですよね。それがなかったものだからサラリーマンは首をひねったんじゃないか、今度の税制改正に。これは大蔵大臣からひとつ、そういうふうな考え方がありますよと、これから。
○国務大臣(宮澤喜一君) 売上税の非課税品目が七つから云々というのはそれはやや誤解でございますのでまた時間がありましたら申し上げたいと思いますが、今の特別控除でございますね。確かに、この議論が税制調査会等々でなされまして世の中に紹介されました最初は、非常にいろいろ考えてくれるんじゃないかという印象があったように思います。しかし、最後にまとまった形は、単身赴任のときの旅費であるとか講習費であるとか、かなり例外的なといいますか、みんながということでないことになってしまった印象は私も実は正直言って持ちましたんですが、それはやっぱりいろいろ私どもの党内の税調でも議論がありまして、いろいろ議論の末に多数意見に落ちつくところになったのではないかと思っていまして、率直に言いますと、ちょっとあれは初め大きな期待を大変に与えた嫌いがあるということは私もやや反省をいたしております。
○青木茂君 大蔵大臣は率直、素直、誠実で結構ですね。それはそのとおりだと思います。 日本の英知を政府税調に集めて、税法改正を審議してもらって、その政府税調が、サラリーマンの実額控除は給与所得控除の二分の一との比較なんだというふうに決めて自民党へ持っていったわけです。それを自民党の方で全額との比較にすりかえちゃったわけなんです。僕は、あれだけ権威を持つと言われている税制調査会に対して党はちょっと失礼だったんじゃないかと思うんですが、それも御同感ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、そこは必ずしもそうでもございません。二分の一というのも、これも人、人によって意見のあるところだと思いますので、それが正しいというふうにも私、別段思いません。そこのところは必ずしもそうは思っておりません。
○青木茂君 私が生きておる間に、とにかく我々年来の主張である背広、靴、ネクタイ、そういうものまで必要経費に認めてもらうというサラリーマン的税制ができることを期待いたします。 それからもう一つ、サラリーマンの立場から見ての税法上の不公平の問題は、所得分割ですね。サラリーマンは一〇〇の所得に対して丸々高い税率をかけなきゃならぬけれども、サラリーマン以外の人は、所得が分割できて、低い税率の税金を合計すればいいと。ここのところなんですけれども、ここのところを専業主婦控除という名前で、内助の功評価ということで表現をされたわけです。されたわけですけれども、一つ伺いたいんですが、内助の功は専業主婦にあって共働き主婦にはないのか、まずここの一点。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは両方でございます。
○青木茂君 フルタイムの共働きですよ、税法上。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税法上、男女を区別しておりません。つまり、差別をいたしておりませんという意味でございます。つまり、片方に一定以上の所得があるかないかという問題はございますが、それは男と女とかいうことには関係がない。
○青木茂君 いや、男と女の問題ではないんです。専業主婦控除で、いわゆる専業主婦に対して十五万円の控除がある、ところが共働き主婦、それの控除がないとか、どんどん減っていく、これがどうなんだと。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは専業主婦とおっしゃらぬで配偶者と言っていただきませんと。そうでございましょう、男と女、どちらでもいいわけでございますから。それで片方に所得が一定以上あるときにはそれは働かないということは、そのどちらであろうと差別がない、こういうことです。
○青木茂君 しかし、自民党さんがお出しになったパンフレットに「税制改革は「主婦の味方」です。」と、それでここに「なんと二十七万円!主婦に特別控除」と書いてありますよ。これは男女差別だな。 もう一つ、所得八百万円で切っていますね、この控除を。いいですか、配偶者ですね、内助の功評価とした、そういう位置づけをした場合、八百万円で切るという理由はどこにありますか。
○政府委員(水野勝君) 今回の配偶者特別控除は、御指摘のように家庭の主婦と申しますか、内助の功と申しますか、世帯としての負担の調整を図るという点が最大のポイントではないかと思うわけでございまして、そういった意味での税負担の調整を図る、世帯としての税負担の調整を図るという趣旨からいたしますと、どのあたりまで負担の調整を行うのが適当かという問題があるわけでございます。一方、今回の抜本改革におきましては、累進構造につきましてはかなりな緩和がされているところでございますので、こうした点を総合勘案いたしまして、年間所得八百万円というところで適用限度を設けておるところでございます。
○青木茂君 要するに、この専業主婦控除を内助の功評価と位置づけてしまうから難しくなったわけですね。内助の功が共働きの配偶者にない、それから所得八百万円以上にないというような論理に展開をしてしまうわけですよ。だから、内助のの功評価というより減税の一つの方法だというふうに考えてしまえばこういう問題は簡単に片づくと私は思っていたんですけれどもね。 もう一つ伺いたいのは、所得税が十五万円ですね、住民税十二万、同じ内助の功が所得税と住民税で十五と十二と、こう違う理由はどこにあるのですか。
○政府委員(津田正君) 所得税と住民税におきましては、所得計算は所得税と同様にしておるわけでございますが、税率あるいは基礎控除等に差を設けております。これは実は所得税と住民税の税の性格、このような点から設けておるわけでございまして、住民税というようなものはやはりその地域の行政サービスの財源を住民が負担する、また住民のために仕事するというような観点から、現在でも町村になりますと就業者のうち住民税を納めている方が六割程度でございますか、これをさらに国税のそのような基礎控除、今回の実は配偶者特別控除等も同じ問題なんでございますが、その比率というのは少なくなってしまう。そうすると、やはり共同で地域社会を支える方がそんなに減るのはぐあいが悪い、こういうような関係で、従来から基礎控除等の考え方と同様な意味におきまして、所得税と差を設けまして、若干下回っておるような状況でございます。
○青木茂君 ほかのものが、いわゆる人約三控除その他が所得税、住民税で違ってくる。 〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 これは私は問題にしているわけじゃないのです。いわゆる今度の所得分割のためにやった、しかも内助の功と評価された控除が所得税と住民税でなぜ三万円違うのだということを聞いているわけなんです。
○政府委員(津田正君) 配偶者特別控除も差があるのでございますが、もっと基本的には配偶者控除自体でも実は差を設けておりまして、これは先ほど申しましたような考え方によっておるわけでございます。
○青木茂君 私はあくまでも今度の新控除のことを問題にしているのですけれども、十五万あるいは十二万という金額が出ました。それで、十五万控除がなくなりますよと、こういうことなんですけれども、仮に主婦のパート収入あたりを考えてみて、それが仮に八十万円であった場合はこの控除は幾らになりますか。
○政府委員(水野勝君) パートの方でございまして年収八十万円の場合、この場合には配偶者特別控除といたしましては五万円でございますが、別途三十三万円の配偶者控除がございますので、御主人からは合計三十八万円が控除されるということになっております。
○青木茂君 いや、いわゆる今問題にしている控除が八十万円の場合幾らになるかということです。今、問題にしている控除。
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げました五万円でございます。
○青木茂君 だから、簡単に十五万円というふうなPRがなされても、計算していくとそれが五万円になり、だんだん減っていくわけですね。つまり、パートにしろ所得があるからそうなっていきますわね。なっていくけれども、まあパート問題、もう安心と言うには少しおかしいと思うわけですよね。PRというものはとかく誇大広告をやりますからこれはしようがないですけれども、そういう感じがいたします。 それからもう一つ私、税制改正の問題点としては税制改正の全体像。全体像というのは所得と資産と消費のバランスなんです、三分野バランスなんです。この三分野バランスについて、どう計算してみても資産の方は甘いんですよ。これをこれからどういうふうにお考えいただくか。また与野党協議機関と言われてしまえばそれまでだけれども、大蔵大臣、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 例えばキャピタルゲインでございますけれども、これも過去において行政をやってみましてなかなか公平な行政ができないということから、このたびもいわば六割方と申しますか、強化を、回数にしましても金額にしてもしておるわけでございます。だんだんにいろいろな資料を整え体制を整えまして強化をしていくべきものと思いますけれども、なかなか、自信のある行政をするためには、いろいろ背番号とかいう問題がございますので、慎重に進まなければならないと思います。 それから一般的な資産課税については先ほどもお話がございましたんですが、やはり実現しない所得について重い税金を課するということはなかなか問題があるだろうと思うのでございますね。ですから、どうしてもそれは軽度のものにならざるを得ないのではないか。 ただ、譲渡所得にいたしましてもあるいは土地の保有にいたしましても、行政上不公平にならないような範囲で少しずつやはり強めていくということは大事なことではないかと思います。
○青木茂君 かつて、お亡くなりになりました池田総理大臣が所得倍増ということをおっしゃって、それがやはり当然所得税倍増につながって、そのしわがサラリーマンに寄った。これは歴史的経過ですね。宮澤大蔵大臣は資産倍増ということをおっしゃっている。この資産倍増がアングラ長者とか土地成金とか、そういうところに偏ってまた税制がゆがんでしまうということのないように、ひとつ資産倍増論の中でも特にその点を御留意いただきたい。これはお願いです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 資産といいましても、私は社会資本というふうに実は考えておるものでございますから、確かにそういうアングラの金は表へ出てきてくれまして税も払ってくれる、また民活で社会資本のためにも働いてくれる、こうでなければならないと思います。
○青木茂君 時間が来てしまいそうなんですけれども、こういう新聞記事でもわかりますように、本当に頑張り抜いている。収入は鈍り、税は重く、地価高騰で家賃上昇、パート口は減って、教育費はずっしり。これが九割中流と言われる日本の庶民の生活実態である。それに対して一体政治は本当にどうこたえるのかということがこれから大きな問題だろうと思うわけなんですよ。 最後に、行政改革についてちょっと質問をいたしますけれども、人によりますと今度の税制改正が何か行革ギブアップだと言われるわけなんですけれども、まあ三%失業時代。国鉄はあれだけ犠牲を払った。しかし中央官庁は何ら減っていない、そうすると、まだ行革とは言えないんじゃないか、こういう議論もあるわけなんですけれども、これは総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革はあくまでさらに前進しなければならぬと思っています。それで、これからやる大きな仕事については、臨調がやったこと、それから行革審がやったこと、それぞれをもう一回トレースしまして、さらに残っている仕事は何があるか、そういう点もよく精査していただいて、新しい大槻行革審においてまたお示しいただけるだろうと思っております。
○青木茂君 特にこの新行革審において広範囲に、例えば特殊法人、要るもの要らないもの、補助金、要るもの要らないもの、そういうもののサンセット的な見直しをやって抜本的に考えていただきたいと思います。 もう時間が参りましたから最後に申し上げますけれども、行革を言う以上、やっぱり政治の世界、国会がのほほんとして人に行革を押しつけるわけにはいかぬであろう。そうすると、社会経済国民会議、出ましたね、衆議院を比例代表にして定員を減らす、そうしたら参議院も減らしていいじゃないかというようなあれが出ましたけれども、これは総理が総理としてではなく、議員個人としてああいう案についてどういうお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) どんな案。
○青木茂君 衆議院の定数を減らして、そして衆議院の一部に比例代表制を持ってこい、こういうことです。
○国務大臣(中曽根康弘君) えらい案が出てきたと思いましたね、正直に申して。比例代表制とか数の削減とか、あるいは最終的には参議院廃止みたいなものにつながるところもあって、これはなかなか重大な案だ。しかし、結局こういう問題は各党各派でいろいろお話を願ってそしてまとめていくのが正しい、そういう意味で、一つの刺激剤としてああいう案が出てきたということは我々は留意しておく必要がある。やはり国会改革という問題は、我々共通の国民に対する重大な責任でありますから、各党協力して進めなければならないと思っております。
○青木茂君 本当にこれからの二十一世紀を展望しまして、国会が痛んでそれから官僚が痛んでという痛みをまず我々が先にやらないと国民にお願いできませんよ、痛みを。そういうことがどうしても必要だ。 いろいろなことを申し上げましたけれども、ひとつ立派な税制を大きな将来計画でつくっていただきたいということ。しかし今、当面やらなきゃならないのは、まず減税を先行させて、午前中はいわば宅急便という話でしたけれども、まず応急財源手当てをやって、それからやっぱり理想的な——もうこの際でなきゃやれませんからね、税制改革は。理想的な税制改革を与野党でやっていただいて、それでサラリーマンがああうれしいと言うような時代を早くつくってほしいということをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で青木茂君の質疑は終了いたしました。 これにて総括質疑はすべて終了いたしました。 明日は午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十二分散会