予算委員会 第9号
- 発言数
- 576 件
- 登壇者
- 63 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1987/05/11
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、総括質疑を行います。近藤忠孝君。
○近藤忠孝君 総理に単刀直入に質問いたしますが、報道によりますと、補正予算は売上税関連予算そのままにする、そのため、廃案になっても売上税関連法案はそのまま臨時国会に再提出するという報道です。これは事実ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この国会に提出申し上げました税制改正につきましては、衆議院の議長のあっせんがありまして協議機関が設けられ、それで御審議をいただく、御検討をいただくということでございますので、しばらくそちらの御検討をお願いすることで、できるだけ早く全体の結論を出していただくことを期待いたしております。 なお、補正予算の件でございますが、ただいま本予算を御審議中でございますので、補正予算につきましてかれこれ申し上げることは差し控えたいと思っております。
○近藤忠孝君 しかし、この委員会でも補正予算についていろいろ議論されておるんですね。総理は八日の当委員会で、六月中に補正予算の骨格をつくりたいと答弁しておられます。またイタリアのファンファー二首相に、七月には補正予算を成立させたいと述べておるんですね。このように、早期編成するには売上税関係予算をそのまま組まなければいけないと言われておるんです。どうで すか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 補正予算について言及することは、この間この委員会でも御注意を受けまして、これは慎重にした方がいいと思っております。また、衆議院におきまして、税に関しては議長さんお預かりの与野党協議がございますから、それも見守る必要もございます。
○近藤忠孝君 五月二十七日は会期末であります。閉会になれば売上税関係法案は廃案になること、これは議長あっせんで明らかであります。それを受け入れた自民党総裁が、総理として、もしこれを再提出するとなるとこれはペテンであります。本来、廃案となる売上税関係予算を含む六十二年度予算そのものが、これは本案で否決されて改めて組み替え提出すべきが当然のことなんですね。仮に本予算案が成立したとしましても、補正予算の段階ではこれは合意を得られず廃案となって売上税法案の再提出はあり得ないこと、そういう前提にあるべきじゃないのか。その点今明言できるんじゃないでしょうか。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の議長あっせんにおきまして、もし売上税法案が審議未了となるときは、それはいわば廃案であるということを言っておられることをよく承知いたしております。しかし、協議機関が設けられまして、それからどのような御審議になるかこれからの問題でございますので、それをあらかじめ私どもが先取りをしてあれこれ申し上げることは適当でないと思います。
○近藤忠孝君 原則はそういうものがなしにやると。廃案になったんですからね。もしそれがなしに編成できないというのであれば、これは総理退陣ものですよ。その点についてお答えいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) もしと言われましても、これから協議機関でいろいろ御協議をなさることであって、それを私どもがあれこれ先取りして議論をすることは適当でないと思います。
○近藤忠孝君 大事な問題はまたごまかして次へ進もうというようなことだと思いますが、これは私は強く抗議して次へ入ります。 そこで次の問題は、これは総理も大蔵大臣も、与野党協議の中で売上税類似の関接税が再浮上する可能性がある、これは否定しておりません。その場合には、個別間接税引き上げはもうしない、新しい間接税ということでありますと一般消費に課税する間接税ということになります。そういうことになった場合、仮にこれは税率を下げるなどということをいたしましても、結果的には、現在の売上税による税収見積もり、トータル五兆八千億円、うち純増分二兆九千億円、余り変わらない税収になるんじゃないかと私は思うんですが、総理、そういうことにならないとこれは断言できますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは、協議機関が御協議をいただく対象は税制改正全般である、議長のあっせんはそのような趣旨であると考えておりますので、したがいまして、どのような御協議になるかを予測するあるいは予断することは差し控えなければなりませんが、直接税の減税額が大きければ大きいだけ、それに見合う増税措置というもの、あるいは新税措置というものは同じような規模でありませんといわゆる歳入申立というものは実現しない、そういう予測をいたしております。しかし、これは協議機関のこれからの御協議を予断するものではございません。
○近藤忠孝君 私はこれは税収見積もりの問題だと思いますので、また改めて質問いたしますが、これは衆議院の予算委員会で我が党の工藤議員が、トータルは五兆八千億円じゃなくて八兆円だという試算を示しました。売上税の税額計算というものは、大蔵省がやった付加価値を総体として計算する方法、それから工藤議員がやったような最終支出から計算する方法、二つありますが、そのとおりですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは、付加価値から推計をいたしまして、いろいろ統計を使いまして結局百十六兆、その五%という計算をいたしましたが、観念の上では最終消費をもとに計算する方法もあり得ることだと思いますが、統計がそろいますかどうかは別問題でございます。
○近藤忠孝君 その場合に、対象にする支出はどういうものがありますか。
○政府委員(水野勝君) 御提案申し上げております売上税の税収見積もりにつきましては、私ども、税務統計、事業所統計、法人企業統計等々の統計を使わしていただきまして、積み上げ計算によって算定をさしていただいているものでございます。 御指摘のような需要項目とかもろもろの経済資料からの積み上げということも考えられないことはないわけでございますが、やはり税収といたしましては厳密な積み上げによらしていただいている。そうした数字につきましていろいろな資料からサイトチェックをいたすことは、これは私どもとしてもその確認のためにやってはございますけれども、あくまで私どもは基本は見積もり、積み上げによるべきものと考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 これはやっぱり消費に対する課税ですから、消費に着眼するということはいいと思うんですね。その場合に、これは国、自治体の支出が一つ、それから民間住宅が一つ、それからあとは家計最終消費支出、この三つだと思うんですが、どうですか。
○政府委員(水野勝君) 需要項目によるか、供給項目と申しますか、生産活動の中身から推計するか、それぞれ概念のとり方が違いますので、どういうものをとうて最終支出項目からのチェックをするかどうかということは、それはサイドチェックの場合の技法の問題になりますので、私どもとしてとやかくお答えを申し上げる立場にはないわけでございます。
○近藤忠孝君 答弁になっていないですよ。大臣、消費に着眼した場合には今言った三つが対象だろうと言っているんですよ。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 考え方としてはそういうことであろうと思います。
○近藤忠孝君 では、まず国、自治体でありますが、大蔵省、売上税が導入された場合、国の負担は幾らになりますか。
○政府委員(西垣昭君) 六十二年度歳出予算におきまして売上税が課税される物品、サービス等にかかる売上税相当額は、一般会計が八百六十七億円、特別会計が七百十五億円でございます。ただ、一般会計、特別会計相互間の繰り入れ等の重複という問題がございますので、それを差し引いた純計ペースの相当額は約一千二百億円かと存じます。 なお、現実に歳出において負担する売上税相当額は、その執行の態様等、例えば時期等もございます、で異なってまいりますので、今申し上げました金額と一致しないこともあり得る、こういうふうに思います。
○近藤忠孝君 全体を合わせると三千八百九十億円ぐらいになるというこういう計算もありますが、どうですか。
○政府委員(西垣昭君) ただいま申し上げましたのは六十二年度予算額でございまして、三千八百九十億円と言っておられますのは一般会計分の平年度分の推計でございます。
○近藤忠孝君 では、地方自治体の売上税負担はどうなりますか。
○政府委員(矢野浩一郎君) 売上税が導入されますと地方団体も、直接財貨サービスを購入する場合に、その歳出予算の執行を通じて購入した財貨サービスにかかる売上税を負担することになるわけでございますが、昭和六十二年度の、先ほど大蔵省の方からお答えございました国の予算における売上税の計上の売上税額の負担の考え方に準じまして、つまり、直接課税対象となる財貨サービスを購入するための経費に含まれる売上税相当額を積み上げたものの各経費に占める比率を用いまして地方団体の普通会計における税負担を計算してみますと、昭和六十二年度におきましては一千九百億円程度、平年度は七千四百億円程度になる ものと見込まれます。
○近藤忠孝君 これについても、総額一兆百九億になる、こういう計算がありますが、どうですか。
○政府委員(矢野浩一郎君) ただいま申し上げましたのは、国の予算の計算の仕方に準じまして計算をした場合にそのようになるということで、計算の仕方というのはいろいろあろうかと思いますが、私どもといたしましては、国の予算との整合性という観点から見ましても、今言ったようなやり方をもって計算をした場合、平年度で七千四百億円程度、このように計算をいたしております。なお、これは先ほどお答え申し上げましたけれども、普通会計でございます。 そのほかに公営企業の面がございますが、公営企業につきましては、これは普通会計のように地方財政計画をつくりませんので、実績等をもとにして六十二年度ベース等を推計して計算いたしますと、六十二年度で約七百億円程度、平年度におきますと二千七百億円強、これくらいの数字になるものと推計いたしております。
○近藤忠孝君 結果的には私の言った数字になるわけですね。 そうしますと、国や自治体のうち現行個別間接税とダブる部分があるのかないのか、どうですか。
○政府委員(西垣昭君) 御指摘がございましたように、物品税等の個別間接税は従来から予算の中に織り込まれてきているところでございますが、個別間接税が課税対象とする物品は、その大部分が庁費、補助金等の中で執行上課税物品等の購入の形で対応する形となっております。したがいまして、それを予算面から個別に把握するということは現実にはほとんど不可能に近い状態でございまして、既存の物品税等の廃止に伴う予算面での負担減、これを差し引いたネットの売上税負担がどの程度になるかということにつきましては何とも申し上げかねるということでございます。
○近藤忠孝君 国、自治体合わせて一兆四千億円と考えても大した間違いじゃないと思いますね。 そこで次に民間住宅です。 住宅は非課税といいますが、建設資材には課税されますが、土地代金を除く住宅建設費のうち資材費は私は六割ぐらいだと思うんですが、どうです。
○政府委員(片山正夫君) 住宅の構造でありますとかそれから住宅の生産方式によってかなりの差がございますけれども、標準的な場合としまして木造住宅の百二十平方メートルのもので試算をいたしますと、約六〇%であります。
○近藤忠孝君 次に経企庁ですが、昭和六十年の民間住宅建設実績は幾らか。そこには用地費は含まれているかどうか。
○政府委員(勝村坦郎君) 国民経済計算によりますと、六十年度の民間住宅建設投資は、名目と申しますか、その現在価格によるものでありまして十四・八兆円であります。なお、いわゆる実質と申しております五十五年価格によりますと十四・一兆円というふうになっております。 なお、六十一年度の統計はまだ出ておりませんが、戸数の伸びで申しますと一一・九%、着工床面積で申しますと八・八%の伸びということになっております。
○近藤忠孝君 用地費はないですか。
○政府委員(勝村坦郎君) 用地費の統計はちょっととっておりません。
○近藤忠孝君 ですから、民間住宅関係の税金は、今言った十四兆掛ける六〇%掛ける五%、約四千四百億円になります。 そこで、大蔵省の計算した税収二兆九千億円から今の国、自治体の一兆四千億円、それから住宅建設四千億円を差し引きますと、家計が消費する負担は一兆一千億円、これは国や自治体の支出よりも、負担よりも少ないというこういう奇妙な計算になるんですが、どうですか。おかしいと思いませんか。
○政府委員(水野勝君) 先ほども申し上げましたように、サイトチェックの場合に需要項目とまさにその場合が、何と申しますか、生産項目とダブることになるわけでございます。ただいま御指摘の例えば公営企業関係につきましては、これは一部は消費サイドにその部分が消費支出として出てくるわけでございますから、それを単純に合計されて一兆四千億云々ということになりますと、そこはダブってカウントをされているのではないか、こうした私ども問題点も感ずるわけでございますので、どうもそうした方式による積み上げと申しますか見積もりはいかがかな、そんな感じがいたすわけでございます。
○近藤忠孝君 私は、今マクロの計算をしておるわけで、大筋としては変わりないと思うんですね。やはりこれは工藤議員の計算によりますと、そんなものじゃなくて全体で八兆ということに私はなるんじゃないかと思うんです。 そこで今度は、あとの残った消費に対する税金ですが、売上税導入による物価上昇率は幾らですか。
○政府委員(海野恒男君) 消費者物価に与える影響は一・六%というふうに推算しております。
○近藤忠孝君 その一・六%は要するに税金分ですね、売上税の。
○政府委員(海野恒男君) 税金との関係は直接私どもつまびらかにしておりませんけれども、大部分はそうではないかと思いますが、ただ消費者物価に入らない項目が幾つかございますので、必ずしもぴったり一致するとは限りません。
○近藤忠孝君 これもマクロの計算として一・六と見て、そしてこれ最終消費支出に掛けるということで国内家計消費が負担する税額がおおよそ出てくると思うんですね。そうしますと、この昭和六十年の国内家計最終消費支出は幾らですか。
○政府委員(勝村坦郎君) 申しわけございません。ちょっと御質問の通告がございませんでしたので、ただいまちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが…。
○近藤忠孝君 いや、国内家計最終消費支出、これはちゃんと質問通告したですよ。
○政府委員(勝村坦郎君) ただいますぐ数字を用意いたします。
○近藤忠孝君 それじゃ、いいよ。 これは要するに百八十兆ですよね、大体。
○政府委員(勝村坦郎君) どうも失礼いたしました。 名目のGNP三百二十兆の約六割といたしまして、大体ただいま御指摘の額に近いものと考えます。
○近藤忠孝君 それが全部一・六の対象になりますか、掛ける。どうですか。
○政府委員(海野恒男君) 消費者物価の場合では、大体五百四十品目程度の品目を集めましてつくりました指数でございますので、全部が対象にはなりません。
○近藤忠孝君 恐らく持ち家のみなし家賃、それから医療費の社会保険負担など二十兆ばかり引いた百六十兆ぐらいがこの一・六の対象じゃないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(海野恒男君) そのほかにいろんな装飾品等物価に入っておりませんものがかなり今度のあれには入っているというふうに聞いておりますので、百六十兆でちょうど合うかどうか、それはちょっと私どもチェックしておりません。
○近藤忠孝君 しかし、そんなに大きな差はないと思いますね。 そうしますと、百六十兆掛ける一・六は二兆五千六百億円。大蔵省の計算から出てくる家計の消費負担一兆一千億円と全く違うんです。これは細かなものはあるけれども、大筋で見ると相当、二兆五千六百億と一兆一千億の違い、これどうしてこういう数字が出てくるのか。
○政府委員(水野勝君) そうした計算方法はとらないということは申し上げているところでございますが、今のお話のような線の中におきましては、やはり国内家計消費支出の中の帰属勘定、この点の見方が一番大きな差ではないか。私ども、その点からの見方をいたしますと、どうも十兆円、二十兆円ぐらいが過大な数字をお示しになっ ているのではないか、こんな感じがいたすわけでございます。
○近藤忠孝君 だから、十兆、二十兆の見積もり過大があっても税額はそんなに大して変わりませんね、一・六掛けるんだから。まあ大蔵省、自分に都合悪いからこういう計算方法をしないとしか私は考えられないんです。 そこで、今までのをトータルしてみますと、国、自治体関係で一兆四千億円、民間住宅四千四百億、家計二兆六千億、合計は四兆四千億円になります。これは昭和六十年度の計算ですから、六十二年度ベースで計算してみると四兆八千億円。そうしますと、政府計算の二兆九千億円を約二兆円も上回るんです。これ税額ですよ。これは前にやったのは、工藤議員のは我が党の試算ですが、これは今も言ったとおり全部政府の使っている数字。しかも一・六ももっと上がると思うんだけれども、まあこの際だから妥協して一・六にしたんですが。ですから、そうなりますと、増減税同額なんというのは、これはもう二兆も違ってくるんだから、全くごまかしじゃないんですか。どうですか。
○政府委員(水野勝君) 先ほども申し上げましたように、みなし勘定と申しますか、帰属勘定で約二十兆円ぐらいが過大が、これによりまして一兆円違うわけでございます。それから公営企業勘定、先ほど申し上げましたように、これは重複いたしておりますから、これが三千億円ぐらい重複すも勘定も見受けられるのではないかと思うわけでございます。 また、一・六%と申すときには、税率全部五%ということと見るのか、自動車につきましては一一%という、かなり税収としては約三千億円近いものを見込んでおるわけでございますので、これによりましても三千億は違うわけでございまして、いろいろ御指摘の点を考えましても、私ども、過大である、過小であるという御議論は当たらないのではないか。また、私どもが別にこの税収を都合のいいように計算をしていこうという意図は全くないわけでございまして、その点はよろしく御理解を願いたいと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 局長、そんな詳細な反論するんだったら自分でやってみたらどうですか。自分でやったらいいんですよね。やらぬということは、ずうっとやってみれば結果的に私と同じことになるんですよ。だからやらぬことだと思うんです。 大臣、消費に対する課税ですから消費の面から見ていくべきだと思うんですよ。今言ったように大変詳細な反論を用意しているんだから、やればもっといろいろな問題が出てくる。しかしそれをやらぬというのは、やってみたらばどうも我が党の試算の方に近づいてしまう結果がやっぱりあるんですね。我が党の計算ではトータル八兆ですから。でも、今政府の計算でもこういう計算なんです。となりますと、消費一般に課税という考えを捨てない限りは、今後の与野党協議の中で、結局やってみたけれども間接税二兆九千億円、こんなことになってしまうんじゃないか。そうならないと本当に断言できるんですか、この計算から見て。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に申し上げましたように、方法論としては工藤さんのようなお考えはあるだろうと思いますけれども、十分な統計がとられるかどうかといったようなところにも問題があるということを申し上げましたので、今のお話を、これだけの御議論では十分にどこがどうということを申し上げられません。別の機会にまた御教示をいただいたり、私どもの考え方を申し上げることができればと思います。 いずれにいたしましても、衆議院の協議機関におきまして税制改正全体を御議論いただくということになりますと、今日の財政の現状からいたしまして、やはり歳入面では歳入申立的な税制改正をお考えいただきたいと私ども思っておるわけでございまして、そうなりますと、財源が少なければ直接税、法人税、所得税の減税の幅もそれだけ小さくならざるを得ない。また、どうしても直接税の減税を大きくするということをお考えであれば、それなりの財源を別途にお探しいただくことにならざるを得ないのではないか、こういうふうにいわば予測をいたしております。
○近藤忠孝君 消費に着目する税金である限り、結局大きなものになって結果的に変わらない、こういうことになるんじゃないかと、私これを憂えるものですね。そうなったら全くペテンだということを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。 直間比率の見直し、これ間接税導入の論拠となっている所得水準の平準化の問題、よく宮澤さんが言っている言葉ですね、これについて質問いたします。 そこで厚生大臣、所得分配に関する指標としてジニ係数というのがありますが、これはどういうものですか、御説明いただきたい。
○政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。 ジニ係数は、全国の世帯を各所得の水準別に分類をいたしまして、横軸にその累積をとりまして、縦軸に所得の分布をとるわけでございます。この対角線になりますと、全所得階層においての分配率が一番平均されているという状態でございます。で、現実にはそれが一つの曲線になるわけでございますが、その曲線とその対角線との差の面積をとりまして、現状におきます平等度をあらわすものというふうに理解をいたしておりまして、少ないほど平等度が高いということであると思います。
○近藤忠孝君 今の前半の説明はなかなか大臣諸公もわからなかったと思うんですが、要するに、所得格差の大きさを示すもので、数字が大きけりゃ所得格差の差が大きいと、端的に言えばそういうことなんです。 そこで、これは一九六二年以来三年ごとの調査結果と、そしてあと、これも厚生省の同じ資料で十分位階級別当初所得構成比の年次比較がありますが、これを説明していただきたいと思います。これは、最低所得層の第一・十分位と上の方と、この二つについて年次別に、これ七二年ぐらいからでよろしいですが、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 私どもで実施をいたしております所得再分配調査によりましてお答えさせていただきたいと思います。 まず最初のジニ係数の推移でございますが、私どもは昭和三十七年以来調査をいたしておりますが、昭和三十七年の当初所得、つまり租税及び社会保障によります給付による変更がない以前の所得をとりますと、三十七年時点におきましてジニ係数は〇・三九〇四でございますが、昭和四十七年調査におきましてはこれが〇・三五三八、つまり縮小いたしましたが、昭和五十年調査の場合には〇・三七四七へと上昇いたしまして、その後再び低下をいたしました後に昭和五十九年調査では〇・三九七五と増加をいたしておりまして、年次によりまして当初所得は若干の変動が見られるわけでございます。 次に再分配後の所得、つまり租税及び社会保障の影響を入れました所得でございますが、これのジニ係数で見ますと、昭和五十九年調査では〇・三四二六と、昭和五十年調査の〇・三四五五、昭和五十三年調査の〇・三三八一とほぼ同じ水準の〇・三四前後の値を示しておりますが、昭和五十年代前半と比べまして再分配所得においては格差が拡大しているということは言えないように思います。 もう一つ先生のお尋ねは、十分位階級別所得構成比の当初所得におきます第一・十分位、上の二つでございますね。第九・十分位、第十・十分位というものについてのお尋ねかと思いますが、当初所得で申し上げますと、第一・十分位におきます当初所得の割合は、昭和四十七年の二二%から一度低下いたしました後に昭和五十三年に上昇に転じ、再び低下いたしまして昭和五十九年には〇・五%となる等、変動いたしております。第九・十分位におきましては、昭和四十七年の一五・二%から若干増加または減少を繰り返しまし て、昭和五十九年には一五・八%と昭和四十七年とほぼ同程度の構成比となっております。第十・十分位におきましては、昭和五十九年には二八・四%と構成比は若干上昇いたしております。 今申し上げましたように、総体的に第一・十分位の構成比は低下しておりますが、この点につきましては、高齢化の進展に伴って高齢者世帯の比重が高まっているということではないかと私どもは思っております。
○近藤忠孝君 一番最終で大変数値は上がっているということと、それから十分位で見ましても一番下の方が〇・五と、これは大変少ない数字になっていますね。それから上の方の二階級合わせて、全所得の半分近くを二階級で占める。となりますと、この厚生省の数字から見ますと、これは最近です、所得格差の広がりを示している数字じゃないかと思いますが、どうですか。これは大臣お答えいただきたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘のように、当初所得のジニ係数は確かに増加をいたしておりますので、一般論で申し上げましたように、ジニ係数が少ない場合に格差が縮小ということでございますので、格差が広がっているというふうに見えるわけでございますが、これにつきましては、先ほどちょっと申し上げたわけでございますけれども、内容的に見ますと高齢者世帯の比重が大変高まっておるということが第一点。それからもう一つは、専業主婦の世帯と共稼ぎ世帯との格差の拡大が第二点の原因として考えられるのではないかと思います。つまり、高齢者世帯の比率が三十七年金世帯に占めます比率が二・六%でございましたのが、六十年には八・四%に上昇いたしております。年金だけで生活する高齢者世帯が四割を超えておるというような実態になりますので、当初所得は極端な場合ないにもかかわらずお二人だけで暮らしているという御世帯がふえるわけでございます。 こういたしますと、先ほどのローレンツ曲線の下の方はやや底辺の方に近づく傾向があるわけでございまして、全体としてのジニ係数はそういう意味では大きくなるという可能性を持っておると思います。
○近藤忠孝君 高額所得者は大体資産をあるいは所得を隠す傾向がありますから、この数字は私はもっと大きいんだと思うんです。大事なことは、今言われたように高齢者世帯あるいは母子世帯、こういう弱い階層がずっと今比率が少なくなっている。反面、資産所得が大変ふえていますから、その意味では格差が広がっている。要するに上位二階級で全体の半分近くも所得を占めるということでありますから、これはどう見ましても平準化じゃないんですよ。どうですか、厚生省、この数字から今平準化しているということが言えますか。
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいまも御答弁申し上げましたように、ここ最近の核家族化の進行とか、また老人世帯が独立する形で世帯の所得としてこの統計にかなり多く挙がってきているとか、また専業主婦の問題等、そういったような問題を勘案いたしますと、当初所得のジニ係数におきましてはそれほど改善をされておらないわけでありますけれども、こういった要素を含めますともっと大きな格差が出るのかもしれないという感じがいたします。 しかしながら、年金や医療保険等の社会保障等を加味いたしました再分配後のジニ係数で見まするとそれほど大きな変動がないということもあるわけでございまして、そういったことを考えますと、そういった社会保障制度等によって、その格差が広がらずに、今の統計のとり方の違いが出ることをカバーしてなおかつ所得の開きが出ないで済んでおる、こういうふうに解釈できると思っております。
○近藤忠孝君 では、ここで総理にお答えいただきたいと思うんですが、要するに平準化しているから逆進性の強い間接税を導入しでもよろしい、むしろ導入すべきだというのですが、決して平準化してないんですよ。今の説明でも、いろいろ要素はあるけれども決して平準化しているという結論は出ていないんです。むしろ私に言わせればこれは逆に格差が広がっておるんですからね。ですから、まさしくこれ間接税導入の有力なる論拠の一つが崩れるのじゃないか。どうですか。これは総理。もう宮澤さんとはしょっちゅう大蔵委員会でやっているから。
○国務大臣(宮澤喜一君) 平準化ということは私が何度も申し上げておりますので、私からまずお答えをさせていただきます。 私が申し上げましたのは、このたびの税制改正というのはシャウプ以来の大きな改正でございますということから申し上げておりまして、したがって、この平準化ということをこの二、三年の傾向としてとらえておるのではございません。過去言えば四十年近いわけでございますが、そうまで申しませんでも、日本の過去、終戦後今日までの大きな傾向としては、所得格差というものは明らかに平準化をしてきた。それが最近のいろいろな情勢によって、例えば今政府委員が言われましたように、老人世帯がふえてくればローレンツ曲線の下の方は下へ下がりますから、それだけ面積が大きくなります。再配分をいたしましてもそういう傾向はなおあるだろうということはそうだろうと思いますけれども、これは社会の老齢化ということからくることでございます。 したがって、それは再配分政策によって変えていくべきことであるが、この数年、最近そういうことが見えたとしても、日本の社会そのものが戦後の大きな傾向として平準化に進んできたということは間違いがないということが一点。それからジニ係数で言えば、我が国のジニ係数というのは恐らく先進国の多くの国のジニ係数よりも低いはずでございまして、それらの国よりも平準化が進んでいるということを申し上げることができると思います。さらに第三に、もし申し上げるならば、ここに来て平準化がやや違う方向に行ったということが、政府委員の御説明しましたように老人世帯がふえてきたということ、大きなこれが原因だと思いますが、その傾向は今後ますますそうなるであろうと考えなければなりませんが、それに対処するための再配分政策というものは、したがって強化をしなければなりません。 そのための財源をどこに求めるべきかということを政府としては考えておかなければなりませんが、ますます若い少数の人々がたくさんの老人世帯を抱えていくとすれば、それは若い人たちの所得税だけでそれを負担させることはどう考えてもできない。今のうちから薄く広く我々老人もそれを背負っていく制度をつくっておきませんと、将来ますますふえるであろう、いわゆるローレンツ曲線の下の方が下へ下がるであろう、そういう傾向を防止することがなかなか難しいではないか、そういうことを考えまして今回の提案をいたしておるわけであります。
○近藤忠孝君 最後の今の議論、ちょっと横の道ですからね。それからシャウプ税制の時代と比べてこれは所得格差は縮まって当たり前ですよ。それでは比較にならぬと思うんです。それから外国との比較をしていますが、日本の場合給与世帯のジニ係数ですから、外国は全世帯で、これやっぱり比較にならぬと思うんです。 総理、今までの議論をお聞きになっていただいいてお答えいただきたいんですが、総理としては所得格差は広がってもいいとお考えかどうか、そのこともあわせてひとつお答えいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 我々は、日本の社会がちょうちん型になってきて真ん中が膨れてきている、それを非常に喜んでいるわけであります。
○近藤忠孝君 ちょっと委員長、答弁になってない。
○委員長(桧垣徳太郎君) 続いて質問してください。
○近藤忠孝君 だって答弁になってないから。禅問答のようなものだよ、これは。
○委員長(桧垣徳太郎君) 不明な点は引き続き質疑をしてください。
○近藤忠孝君 まともに答えられないので禅問答 的な答弁をされたんだと私は思いますが、ともかく、宮澤さんが言うように、要するに所得格差が平準化したなんという状況にはないという事実はこれはもう明確だと思います。要するに間接税導入の直間比率見直しの論拠は私は崩れていると思うので、ひとつそういった立場からの検討を要求いたします。にもかかわらず固執するのは、やっぱり別の財源、要するに軍拡財源と言わざるを得ないんですが、次に進みます。 次は、直間比率見直しより、基本税制である所得税、法人税の不公平是正こそ必要だと思うんですが、まず法人の受取配当益金不算入問題であります。 主要大企業で受取配当の多い順に上位五社の受取配当金の類とそれに対する税額、どうですか。
○政府委員(日向隆君) データが受取配当の額を基準に整理されていないため、便宜、資本金百億円以上の全法人を対象に検討したことについて御理解をいただきたいと思いますが、直近の昭和六十年二月一日から一年間において終了した事業年度について、受取配当の多い上位五法人の受取配当の合計額は千三百四億円でございます。また、当該五法人の法人税額は二千三百三十億円でございます。
○近藤忠孝君 個々に具体的に言わなかったんですが、じゃこちらで示しますと、三菱商事四百七十二億円、日産自動車三百五十一億円、松下電器二百六十九億円、三井物産二百六十四億円、トヨタ自動車百九十八億円、間違いないと思いますが、どうですか。
○政府委員(日向隆君) 大変恐縮でございますが、個別の法人について言うことは差し控えさせていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 だって、これ有価証券報告書に出ていませんか。
○政府委員(日向隆君) 有価証券報告書の数字については、委員のおっしゃるとおりでございます。
○近藤忠孝君 企業によっては経常利益にも匹敵する受取配当を得ながらこれに対する税額がほとんどなされていないんですね。税額の点どうですか。
○政府委員(日向隆君) 個別の法人の税額につきましては、言うことを差し控えさせていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 しかし、一般論として受取配当にほとんど課税されていない。ちょっとはあるかもしれぬけれども、ほとんど課税されていない。この点認めるでしょう。
○政府委員(日向隆君) 受取配当益金不算入という制度がございまして、その制度にのっとって処理が行われておりますけれども、他方、負債利子控除という制度がございまして、その点は受取配当益金不算入の額が控除されている、制限されているということについて、御案内と思いますが申し上げさせていただきます。
○近藤忠孝君 それはわずかなもので、基本的には課税されていないわけですね。しかも受取配当の九〇%が資本金十億円以上の法人に集中しています。約一兆円、これは国税庁資料です。まさしくこれは盲点なんですね。なぜこれ課税しないんですか。
○政府委員(水野勝君) 御承知のように、諸外国を見ますとほとんど圧倒的に益金不算入という制度が多いわけでございますが、アメリカにおきましては八〇%を益金算入にするという税制となっておるわけでございます。我が国におきましては、先ほど御答弁がございましたように、益金不算入ではございますけれども、負債利子控除がございますので、益金不算入割合としては四割程度になっているわけでございますので、まずその点が全額益金不算入ということではないということでございます。 それから、やはり現行のこうした制度につきましては、現在の法人の企業財務状況から考えまして若干の見直しは必要ではないかということで、今回の税制改革の中の一環といたしまして、我が国におきましても八〇%益金不算入制度への改正をお願いいたしましたらどうかということで、御提案を申し上げているわけでございます。
○近藤忠孝君 今まで大蔵省はなぜこれ課税対象にしないかという理由として、これは法人擬制説という全く擬制的な本当に存在しないような論拠で説明してきた経過があったわけですね。しかし今度二〇%でも算入する、それはそれで結構です。一部でも算入するということは、今まで法人擬制説に立って課税してこなかったという論拠は大蔵省みずからこれ崩したわけですから、それはそれで結構なんです。となれば、一部であれ全体であれ、それ大臣どうですか。理論的にはもういいんだから、やっぱりこれは政策的な問題ですよ。そんな盲点で、しかも一兆円もあるんだから、ひとつここへ思い切って課税したら税収はぐっと上がるんですよ、どうです、大臣。
○政府委員(水野勝君) 私ども、法人税制につきまして擬制説、実在説といったようなことで御説明を申し上げてきていることはないわけでございます。 また、その中におきましても、法人間の配当につきましては、法人の間を配当が転々とする際に常に全額をフルに法人税で課税さしていただくというのは、やはり法人間のそうした取引から見ますと問題はあるのではないか。そこでアメリカ以外につきましては、法人間につきましてはいわば益金不算入にしておるというのが実情ではないかと思うわけでございますが、現行のもろもろの会社の株式の保有状況等や取引状況等からいたしまして八〇%にいたしたい。しかし、常に法人間の配当につきまして何段階行われようと完全課税というのは、それはまたそれでいろいろな問題があろうかと思いますので、御提案申し上げているような線が当面限界ではないか、私どもこう考えるわけでございます。
○近藤忠孝君 当面妥当ということは、おいおいだんだんとやって最後には一〇〇%という可能性もあると聞いてよろしいんですかな。現にこれはマネー狂乱と言われるほど大変な状況なんですよね。まさしく盲点だと言われておりますし、それから、大体国内で税金を納めない大商社に経常利益に匹敵するような受取配当があるんですから、それが非課税なんというのは国民は納得できないと思うんです。 そこで総理、まさしく一つの盲点に対してこれは大胆に、一歩踏み出したんだから、あと二歩も三歩も十歩もどうですか。そういう方向性は考えられませんか、総理。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、長年やってまいりましたことと、それから今いろいろ仰せになりましたようなこととの関連を税制調査会においても随分御議論になりまして、この際あえて八〇%ということに踏み切ったわけでございます。それは、かつての考え方あるいは多くの諸外国が考えておる考え方からいえば、かなり私は思い切った踏み切りだというふうに考えておるわけでございまして、実情から見ましてこの辺が一番適当なところだというふうに決断をいたしたわけであります。
○近藤忠孝君 今後は。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今後状況が変わりません限り、これを特にさらに引き下げていくということを私は今考えておりません。
○近藤忠孝君 次に、これは個人の有価証券譲渡益も課税を免れていますね。どうですか。
○政府委員(水野勝君) 現在の有価証券譲渡益課税につきましては、原則は非課税といたしておりますけれども、継続的取引その他につきましては一定の範囲で課税をお願いすることとしておりまして、今回、この継続的取引の基準等につきましては、現行の基準を六割程度にさらに縮減するというような方向で御提案をさせていただいているわけでございます。 完全課税にまで到達すべきであるという御指摘も多々あるわけでございますが、非常に流動性に富む株式を初めとする有価証券の取引の世界におきましては、完全に個人個人の方の取引を正確に把握しない限りは、かえってどうも不公平を増す のではないかという気がするわけでございます。 先般のアメリカの税制改革におきましても、財務省報告によりますと、アメリカにおきましてはキャピタルゲイン課税は完全総合課税ということになっておりまして、また、その取引の都度社会保険番号を証券会社に登録するとそれが税務当局に資料化されて送付される、そういう建前になっておりましても、財務省報告それ自体の報告におきましてもその申告率は五九%である、半分程度であるというふうに認めておるところでございまして、こうした実情を考えますときに、やはり地道に継続的取引等の基準の拡大を図って適正化を図っていくということが私ども適当ではないかと考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 今まで課税対象があったということですが、それではそれの申告件数、五十八、五十九年で幾らか、今後改正によってその申告件数はどれぐらいふえる予想か。どうです。
○政府委員(門田實君) お尋ねの五十八、五十九年でございますが、有価証券譲渡益の課税状況全体につきましては、五十八年分が三百八十件、五十九年分が五百三十五件でございますが、その中で継続的取引に係るもの、これは五十八年が八十二件、五十九年が五十九件となっております。
○近藤忠孝君 今後、改正によっては。
○政府委員(水野勝君) 例えば継続的取引で申し上げますと、二十万株というのは十二万株に、五十回というのは三十回にというふうに半分近くにまで圧縮をいたしておりますので、私どもこの改正によりまして相応の効果が発揮されるのではないかと考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 局長、相応の効果といいましても、天文学的数字の取引の中でわずか八十件とか、二けたですよ。これスズメの涙にもならぬわね。ですから、ともかくこれは今回の改正によっても大した効果は期待できない。 そこで、どの階層が株を保有しているか、この利益を得ているかということで、十分位階級別株式保有状況をお示しいただきたい。
○政府委員(水野勝君) 家計調査等に基づきますところの、あるいは貯蓄動向調査等に基づきますところの資料としてはもろもろの保有状況の調査がございますが、私ども正確な数字は現在手持ちはいたしておらないわけでございます。
○近藤忠孝君 株式保有状況はわかるでしょう。
○政府委員(水野勝君) 私どもの持ち合わせておりますものの中の貯蓄動向調査、総務庁の数字はわかりますけれども、それが御指摘の数字になりますのかどうか、この点が若干私ども自信がございません。
○近藤忠孝君 それでいいです。
○政府委員(水野勝君) 貯蓄動向調査の中の株式保有状況でございますと、十分位に分けてみますと、第一分位の百四十九万円から、第十分位と申しますか、第十階級と申しますか、三千三百万まで分布しているようでございます。
○近藤忠孝君 同じ資料によりまして、第九、第十の上位二階級で全体の六二・二%を保有しておるわけです。したがって、譲渡益もここに集中するということも明らかだと思いますね。だからまさしくこれは金持ち優遇なんです。 そこで、問題は捕捉の問題だけだということになると思いますね、課税しないのは。そうしますと、私は把握困難というのはこれは理由にならぬと思います。総理、これは先進国として恥ずかしいことじゃないかと私は思うんですね。証券会社の持っている顧客名簿、これを提出させれば可能だし、アメリカでは現に把握しているといいますしね。それから、実際コンピューター導入などをしますと把握度は飛躍的に高まります。私も証券関係をずっと調べてみて、大変コンピューターで把握度が高まっていますということを言いますのは、捕捉が可能だという状況に来ておるんです。その捕捉状況、どうですか、コンピューターで。
○政府委員(水野勝君) アメリカのように、先ほど申し上げましたように、完璧な把握体制、取引の都度社会保険番号で管理をしておりますアメリカにおきましても把握率は五割強であるというふうに財務省自身も報告しているところでございまして、大変難しい問題であろうかと思うわけでございます。 また現在、私どもの税制におきましては、譲渡所得課税とともに有価証券取引課税が行われておるわけでございまして、これが六十二年度予算におきましては一兆二千億円程度の取引税として収入されている点もまた考えていい点ではないかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 私は、これは政府としては把握の努力をより一層やっていくべきだと思いますね。 そこで総理、先ほどからずっとだんまりなんですが、多弁な総理が黙っているのは大体都合が悪いときなんですね。今までの、金持ち優遇だという今指摘した二つの問題について、これはやっぱり是正し、特にこの譲渡益課税については総合課税にしてしっかり把握していく、こういったことはどうですか、御答弁いただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 税制の改革は、これは施政方針演説でも申し上げましたが、シャウプ税制以来のゆがみやひずみを直そう、三十七年間の大きな社会的変動に対応できる税制改革をやろう。そうしますと、第一分位、第五分位の差というものが、昭和二十五、六年から見て、今日に至るまでは非常に大きな変化があって、所得は平準化してきた。その上にまた老人社会というものが急速に現出しつつある。そういうようないろんな社会情勢の変化に対応する税制改革をやろうとしておるので、この大きな方向というものは正しい、またこれはあくまで実行しなければならない、そう思うんです。 いろいろ株式の問題等について御指摘がございましたけれども、これは、大蔵省から説明がありましたように、国民背番号制みたいなことでもやらぬとなかなか把握しにくい。これは、今あなたがおっしゃったように、コンピューターで全部登録で洗い上げる、そういう形になりますというと、一々株式の行ったり来たりというものを店頭のものまで入れてやらなければ不公平になります。そういう面を網羅的にやると、これは国民背番号制で、相当国税庁の役人もまた増員して目を光らせてやらぬととても公平にはできない。そういうような点に問題点があるので、我々としては非常に消極的になっておるわけなので、あなたがおっしゃるように、貧富の差を増大させようなんという考えは毛頭ないのであります。
○近藤忠孝君 すぐ国民背番号制のところへ達しちゃうので、私は大変危険だと思うんですね。そこまでいかなくたって、特にこの証券関係でこれは可能なんですから、可能な努力はすることを求めます。 次に、マル優廃止、一律分離課税問題に入ります。 これについて総理は、これは不公平税制の是正だと、それから宮澤さんは、実際の負担は所得の大きい人の方が余計になると、こう言っていますが、これはとんでもないことなんです。資産性所得優遇の一層の拡大でありますし、むしろこれは不公正へ私は一歩踏み込んだものと考えざるを得ない。 そこで大蔵省、四人家族で貯金保有額一億円の場合、十億円の場合、百億円の場合、こういう世帯では今回の改定によって税額はどう変わるのか。ふえるのか減るのか、とすればどの程度か。いかがですか。
○政府委員(水野勝君) 貯蓄の金額を仮定いたしましても、それがどのような貯蓄をしておられるのか、マル優を使っておられるのか、マル優を超える部分につきましては源泉選択課税をしておられるのか、割引債の分離課税を用いておられるのかによりましていろいろな態様が考えられますので、簡単にお答えをすることはできないわけでございますが、仮に非課税貯蓄をフルに活用され、その残りにつきまして割引債で使っておられた、それからもう一つは源泉選択で使っておられた、それぞれの組み合わせもまたもろもろでございますが、そうした大胆な推計ということは一応の計算はできるわけでございます。 例えば一億円でございますと、これにつきましては、マル優をフルに使われた後割引債でやっておられたという方は、割引債の分離課税の税率が上がりますので四十二万円の負担増加になるわけでございますが、一方、丸々源泉選択を使われていたというケースでは十二万円の減になる。十億円の場合におきましては、割引債でやっておられた方につきましては百三十二万円の増税になる。まるっきり源泉選択で使われていたということでございますと、六百八十万円ぐらいの負担減になる。百億円でございますと、割引債を使っておられました場合には一千三十二万円程度の負担増になる。一方、まるっきり源泉選択で利用された方につきましては七千万円ぐらいの減になるわけでございます。 この源泉選択制度の利用状況を見ますと、必ずしも所得水準とは連動しておりませんで、各所得階層にわたりまして割合ひとしく利用されているというのが実態でございますので、丸々全部がすべて源泉選択で利用なさっておったという仮定は、私どもやや大胆過ぎるのではないかと考えるわけでございます。
○近藤忠孝君 大胆過ぎるとおっしゃいますが、自民党「Q&A」の計算方式によると、今言った負担が減る方――あれこれ弁解しなくたって、この自民党「Q&A」は結局大蔵省がつくったんだから。大胆な計算をやって、国民にはこうなりますというぐあいに言って、この場合にはしかし、五百万円と五千万円を比較して五千万円の方が負担が重くなりますよと、こういう計算をしているけれども、一億にいったら逆になっちゃって、今言ったとおり資産が多ければ多いほど負担が減るんです。 そこで、一方低所得者の場合には、一律二〇%課税は大変な増税になりますね。今までゼロが二〇%になる、あるいは総合課税で少なかったものが今度一律二〇%、これは明らかに負担がふえますよ。これはやっぱり家計に対して大変なことだと思うんですが、どうですか。こういう傾向になるということ。
○政府委員(水野勝君) 利子所得課税につきましては、現在の非課税貯蓄制度によりまして個人貯蓄の七割以上がこの適用を受けるということで、多額の利子が課税対象から、金額で申しまして十三、四兆円のものが非課税になっておるという結果になっておるわけでございます。現在の法人所得が約三十兆円で、この倍程度でございます。その中から十六、七兆円の国税、地方税を御負担いただいている。こういったことからいたしましても、現行制度というのはかなり問題があるという御指摘も多いわけでございます。それからまた、結局これだけの高額の貯蓄、高額の利子所得、それはやはり高額所得者により多くその恩典をもたらすものになっているのではないかという御指摘もあるわけでございます。しかしながら、委員御指摘の老人とか母子世帯、こういった方につきましては、やはり引き続きまして貯蓄優遇制度を継続する必要もあるわけでございます。 こういったことからいたしまして、一般的な貯蓄につきましては二〇%の源泉分離といたしつつ、老人、母子家庭、身体障害者等々の家庭につきましてはなお非課税貯蓄制度を継続する、それからまた、サラリーマンの方の財形貯蓄制度については一〇%の源泉分離課税をお願いする、その他の部分につきましては二〇%ということで、ゼロ、一〇、二〇といういわば大ざっぱな三段階の段階税率で課税をさせていただくということによりまして、実質的に公平な利子課税制度に移行するのが私ども適当ではないかということで御提案を申し上げているところでございます。
○近藤忠孝君 質問をしないことには答弁しないでほしいんです。 私の聞いたことは、さっき言ったように、ともかくゼロが二〇になるんだから、総合課税の恩典が低所得者になくなる、そういうことを言ったんですよ。 ところで、中曽根総理と宮澤大蔵大臣、あなた方の個人の預金、それは自民党の「Q&A」の計算方法によると今度の改正で税負担がふえるのか減るのか、それぞれお答えいただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 先ほど申し上げましたように、どのように運用しておられるのかによって負担の変動はかなりばらつきがございます。普通預金でございましたら、今も二〇%のほとんど申告不要制度でございまして、変わりませんわけでございますし、非課税貯蓄制度部分、その部分もどの程度利用されているのか、また非課税貯蓄制度を上回る部分につきまして割引債の御運用もございますし、源泉選択の御利用もございますので、そこはもう極めて多種多様ではないかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 総理、答えてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の財産申告はたしかこの前公表した次第で、余り内容をよく記憶しておりません、大分昔のことでありますから。ですから、よくわかりません。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の場合は余り変わらないのではないかと思います。
○近藤忠孝君 わからないほどたくさんお持ちなんでしょうかな。 私が自民党の「Q&A」方式で計算してみますと、総理の場合には負担減十六万円、宮澤さんは、変わらないんじゃなくて五十二万円の負担減。 なぜ総理より宮澤さんの方が負担減が多いのか、なぜだと思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 恐らく源泉税率が下がったということをおっしゃりたいのではないんでしょうか。
○近藤忠孝君 総理ぶりも宮澤さんの方が貯金が多いんですよ。だから、要するにさっきの一億、十億、百億で計算したように、預金が多くなればなるほど負担が減る、こういうことになりますね。 総理、じゃこれ宮澤さんが、所得の多い人ほど、要するに大きい人ほど余計負担がふえると言うんだけれども、その答弁は間違っていましょう。あなた、預金が多いから逆に負担の減り方が多いんだから答弁は間違っていますよ、どうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、私の場合とおっしゃっていただきますと適当でないし、正確でもないので一般的に申させていただきますけれども、今近藤さんのおっしゃいましたのは、預金の多い者は恐らく源泉選択をやっているであろう、源泉選択の税率が三五から二〇に下がるからそれだけ負担が減るよと、こうおっしゃっていらっしゃるんだと思いますね。しかし、その預金の多い人がマル優を一体どれだけ利用しているかといったようなことは、あれをうまく利用いたしますと相当大きな利用の仕方ができますことも御承知のとおりですし、それからさらにいわゆる割引債に運用いたします、この問題もございますから、なかなかそこは一様に私は言えないと思うんです。一般論でいえば、恐らく預金がかなりある方々はマル優をいっぱいに利用されると考えますと、それは家族構成にもよりますが、九百万円掛ける四までいけるわけでざいますからね。そうなりますと、なかなか今のような計算にすぐにならないのじゃないか。私の場合を申すのじゃございませんけれども、一般にそういうことが言えるだろうと。
○近藤忠孝君 それは四人家族で約五千万程度のところまでのことだと思うんですね。宮澤さんの預金は八千五百五十六万円、総理は三千五百十三万円、このぐらいになりますと、もう目いっぱい使ってそして計算してみたんです。これは自民党の「Q&A」の方式ですから、大蔵省の方式ですからね。これで計算するのは、私は一般論として、所得額が多いほど負担が減るのかふえるのかという目安としては大事なことだと思います。 そこで総理に、この議論をお聞きになっていただいて、結局要するに所得の多い人、利子所得の多い人ほどこの原則的な計算によれば、目いっぱい使っておった人も計算しまして、ふえればふえ るほど減税の額が多くなってくる。これが総理の言う不公平税制の是正なんですか。お答えいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) マル優制度の運用についていろいろ議論はあります。しかし、この中で節税とか、あるいは悪用している人がかなり多いと言われているのはもう事実であります。 あるパンフレットを見ましたら、ある政党のパンフレット、社会主義政党のパンフレットでは青色申告、いや青色申告ではありません、例の背番号制のあれで徹底的にやって、約七千億円程度税金を余計ひねり出そう、財源を出そう、そういう案を私見ましたけれども、七千億円の税収を新たにそこから得るということは、根っこにはどの程度のそういう不正利用あるいはそれに近いものがあるかということを予想させられるものなんですよね。 そういう実態、それが実態であるかどうかは私知りませんけれども、そういうものすら出ているということを見ますと、そういうものをやっているのは割合に所得の多い人がおやりになっているのではないかと推定されますね。そういう人たちが今度は参ってしまうわけですから、そういう意味において、私はある程度これは不公平税制問題に役立ってくるんだろうと、前からそれは私も考えていたところであります。
○近藤忠孝君 不正利用の問題はまさしく一つの大きな問題で、この後指摘しますが、私が今お二人に質問をしたことは、総理よりも宮澤さんの方が減税額が多いという、要するに利子所得が多ければ多いほど減税額が多くなるという、これが総理の言う不公平税制の是正なんですかという、これに対して端的にお答えいただきたいんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこがなかなか理論と実態と違うことだと思います。私の場合には、閣僚でございますので、財産を公開するという意味で預金を報告いたしてございますけれども、世の中の多くの人はどれだけ預金を持っているかということは言わなくてもいいのでございますし、また郵便貯金等々の数から申しますと、その預金がどういう形で預けられておるかということも、すべてが合法、法律に合って行われているとも思えない証拠がいろいろにございます。そういう人たちは今まで全部いわばこの制度で税を払っておらないわけでございますから、今回はそういうことがなくなるのであって、そうなりますと、それはそういう人たちに対して一番いわば大きな打撃になると申し上げて私は間違いでないと思うんです。他方に今度、その制度を設けましたときに、本当にお助けしなければならない方々には非課税を設けておるわけでございますから、取っていい方からはちょうだいする、それから取らない方がいい方にはもうはっきり免税にする、こういう分け方をしましたのは私は進歩だと思っております。
○近藤忠孝君 問題の中心の一つが不正利用にある。これは間違いない。今指摘します。それから、年をとってから非課税にしましても、年をとってから貯金ができるのじゃないんだから、それまでに貯金しなきゃいかぬ、これが庶民です。 問題は、何度も指摘していますように、利子所得がふえればふえるほど減税額が多くなるというのは、今まであなた方が言っておった、二人とも言っておった答弁とは違うんじゃないか。それが私の質問なんですよ。お答えいただきたいと思います、総理。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今申し上げたことをもう一遍申し上げますが、利子所得が大きくなれば大きいほどということは預金をたくさん持っていれば持っているほどということでございますが、そういう方々が果たして従来ちゃんと法律どおりに税金を納めていらっしたかといえば、いろんな統計から考えますと、それらの預金がかなりいろんな形で隠れておって、課税の対象になっていないという事実がございますから、そういうことを考えますと、今度の制度は実質的にそういう人々に対して相当大きないわば新規の課税をすることになる。実態はそうだというふうに思っておるわけです。
○近藤忠孝君 答弁可能な問題について何度質問されてもほかに問題をはぐらかして答えないということは、こちらの主張をお認めになったことというぐあいに理解をして、もう時間の関係で次に入ります。 問題は、その不正利用の問題なんです。一体だれが不正利用しているのか。そこで大蔵省、全国の金融機関に対する昭和六十年度税務調査、マル優の実態調査をやりましたね。その結果を報告していただきたい。
○政府委員(門田實君) お尋ねの六十事務年度、六十年の七月からの一年間でございますが、におきましては、金融機関の全店舗の一一・五%に相当いたします四千七百八十二件に対して調査等を実施いたしました。 その結果は、大部分の店舗におきましてマル優等の不適正利用を把握しております。その結果、金融機関から追徴いたしました税額、これが加算税を含めまして約四百二十一億円ということになっております。
○近藤忠孝君 その追徴額から逆算すると、脱税貯金は約十二兆円ということになるとまあ言われております。 問題は、だれが不正利用しているのか、この話です。どうです。
○政府委員(水野勝君) 税務調査の結果から見るところの不正利用といった点もあるわけでございますけれども、マクロで見まして、昭和六十年度末の民間マル優の非課税元本額は四百八十兆円に上っておったわけでございます。四百八十兆円と申しますと、全部の人口の方が必ずお一人ずつ利用されても、お一人が約四百万円ぐらいの元本を非課税として申告しておられる。仮に貯蓄をしておられる方が六割、七割ぐらいの方であるということにいたしますと、お一人当たり五、六百万円の非課税貯蓄元本を、申告額を持っておるというようなことでございまして、やはり何千万人というこうした貯蓄者を対象に適正な課税を行うとすれば、このような元本管理の現行の非課税貯蓄制度というものはおのずからどうも限界があるのではないかということでございまして、部分的に不適正なあるいは悪用しておられるという方だけの問題ではないのではないかという気がするわけでございます。
○近藤忠孝君 だれが不正利用しているのか、これが問題なんですが、お答えがない。 そこで、勤労世帯の一世帯当たり平均貯金残高、それから最頻度、これはどうですか。
○政府委員(三浦由己君) 昭和六十一年貯蓄動向調査結果によりますと、昭和六十一年十二月末の勤労者世帯一世帯当たりの貯蓄現在高の平均値は七百三十二万九千円、最頻値は百九十二万七千円になっております。
○近藤忠孝君 そこで総理、先ほどから不正利用不正利用と大分強調されましたが、ここで言う平均七百三十二万の人、それから最頻度は百九十二万ですか、要するにこの層が、平均以下が圧倒的多数の国民なんですよ。この人々は不正利用する預金さえない。したがって、これは不能犯ですよ。この人々に不正利用する可能性があると総理はお考えですか。
○政府委員(水野勝君) 不正利用をされる方というのは、不正利用をされる所得なり貯蓄をお持ちの方であるということかと思われますけれども、先ほども申し上げたように、今回の利子所得課税制度の見直しは、不正利用、そういった点の防止、適正化、あわせて現行の社会経済情勢に即応いたしましたところの利子所得課税制度の見直しということでございます。
○近藤忠孝君 先ほどから、主税局長の答弁は全く質問に答えていませんよ。委員長、御注意いただきたいと思います。 そこで総理、問題は圧倒的多数の国民、四人家族で三千六百万以下の方、この人々には可能性がない。ということはそれ以上の人々ですよね、不正利用する可能性があるのが。それ以下の人はまさしく二〇%負担増となる。不正利用しているの は要するにそういう上の方なのに、その犠牲をこういう下の人々が受ける。こんなものを公平と言えますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょうど私がさっき一生懸命申し上げようとしていたことを、すっかり今度逆におっしゃっているような話になりますのですね。不正利用しているのは上の方の人なんで、ですから今度の制度は大変いい制度だと私は申し上げているわけなんでございます。 それで、普通に申しまして、利子所得であるからこれは課税しなくてもいいんだということは、もともとおかしいことだと思うのでございます。あらゆる所得は同じ課税を受けるのが本則でございますから。それで利子所得の七割もが課税されていないというのはもともとおかしいことでございますから、ある程度課税をさせていただきたい、しかし社会的に救いの手を差し伸べなければならない方々に対しては、これはもうはっきり免税にいたします、そういうことにいたしましたわけでございます。
○近藤忠孝君 要するに、悪いやつはごく少数、今圧倒的多数の人々が犠牲を受けようとしている。だから悪いやつをつかまえればいいんで、これは可能なんですよね。これは可能だということで国税庁でも準備をしてまいりましたよね、ADPシステム。これで姓名、住所、生年月日、この組み合わせでコンピューターに入れれば、名寄せが簡単にできて九九・九%把握可能だというわけです。現にこの準備を進めたんでしょう。
○政府委員(門田實君) ただいまADPシステムの話が出たわけでございますが、非課税貯蓄申告書の名寄せ、これは貯蓄者が複数の店舗に提出しております非課税貯蓄申告書の非課税枠の合計額が三百万円を超えているかどうかを確認するためにやるわけでございますが、これを従来手作業でやっておりましたものを、ADPシステムによって処理する方向で効率化を図ろうということでございます。 しかしながら、マル優を不正に利用しておりますパターンというのが実はいろいろございまして、仮名や他人名義を利用して非課税貯蓄申告書を提出し、事実上非課税枠を超えている者、あるいは実際の残高が非課税枠を超えている者、あるいは住所の移動申告書の提出をしない者、いろいろございます。こういうものにつきましては、やはり税務職員が実際に調査をしなければ不正の実態を把握することができないわけでございまして、一方で金融機関の指導あるいは限度管理によるといたしましてもおのずから限界がございます。そのADPシステムを導入します場合にも、国民総背番号制あるいはグリーンカード、こういったようなものと一体でやりませんと完全は期しがたい、どうしても不正利用を完全に防止することは難しいという実感を持っております。
○近藤忠孝君 だから、完全でなくても九九・九%そういう方向で進んでおったんですよ。我々もそういう方向でいくと相当把握可能性が出てきますと、そのための予算もつけるという方向が出ておったんでしょう、これをなぜやらないのか、これは不正追及をあきらめたんじゃないか。
○政府委員(水野勝君) コンピューター処理を導入いたしましても、先ほど答弁申し上げておりますように、やはりその根っこのところでのまず厳密な、厳正な本人確認と、それからまた限度枠管理、これが原点になるわけでございます。そうした点を織り込みまして昭和五十五年度の税制改正でグリーンカード制度を御提案申し上げ、成立さしていただいたところでございます。その当時におきましてはいろいろ御支持もいただきましたが、先生のところからは御支持はいただけませんでございました。しかしその後、こうした厳正な本人確認、限度管理制度といったものにつきましてはやはり社会情勢になじまないということから、五十八年度税制改正で停止をお願いいたし、六十年度改正で撤回さしていただいておるわけでございます。 こうした厳密な本人確認制度が前提でございませんと、大部分の方は適正に管理されると申しましても、一番端的に弊害があらわれてまいりますのはいろいろな手段をお使いになって不正利用される方でございまして、そうした方々が野放しになるのでは結局は正直な方だけが適正に管理をされるという大きな問題につながるわけでございますので、今回のような、三段階の分離課税制度で実質的な公平をお願いするというのが適正な方法ではないかと私ども考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 要するに、やりかかったんですよ、やればできたんです。それを途中で不正追及をあきらめた。そしてこれは宮澤さんの先ほどの言葉をまた逆にお返ししますよ、やればできたんだから。それをやらないで多くの国民のわずかな貯金に課税を強化する。 総理、こういった点、本当に不公平をむしろ助長するんじゃないか、もう一度最後に御答弁いただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げました理由によりまして、やはりこれはマル優問題というものについて手をつけるときに来ている。ただし、お困りの方や弱い方々については十分面倒を見さしていただく。今のやり方、改革案では千五百万から二千万ぐらいの方はそれに適用される、それ以外の所得の高い人々が今のような改正になって不公平税制が是正される、そういう形になると考えております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。沓脱タケ子君。
○沓脱タケ子君 それでは、婦人問題について質問したいと思います。 売上税反対の世論というのは、さきの地方選挙で非常に明確に示されました。婦人議員もたくさん進出をいたしました。総理、婦人はネクタイばかり見ているんじゃなくて、政治もなかなかよく見ていますね。この際認識を新たにして婦人対策にお取り組みをいただきたいと思うのです。 そこで、今後の婦人施策の基本点について総理にお聞きをしたいわけです。総理、政府は婦人の地位向上のための諸施策を立案し実施していく場合に、当然女子の差別撤廃条約やナイロビ将来戦略、ILO条約などの国際的に確立をされております理念や政策水準、この達成に向けて努力をしていくということ、これが基本でなければならないと思うわけでございますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は同感でございます。国連婦人の十年の結果もあり、それから私は企画推進本部長として責任者でもあり、いよいよ二十一世紀を目指して今のような婦人の地位の向上の問題について一歩一歩着実に前進さしていきたいと念じております。
○沓脱タケ子君 総理、国連婦人の十年というのを十年やったわけですが、我が国でもその間に一定の成果はありました。しかし、前進をしなかった面もある。 労働省にお聞きをしたいんですが、我が国の労働者の賃金の男女格差はこの十年間逆に拡大をしてきている傾向がありますが、ちょっと計数的に報告をしてください。
○政府委員(佐藤ギン子君) 労働省の毎月勤労統計調査で男女の賃金格差を見ますと、確かに一月当たりの平均月額で見ました場合、昭和五十一年の五六・六から昭和六十年には五二・九へと格差はやや拡大いたしております。ただ、こうした男女の賃金格差は、先生御承知のとおり年々女子のパートタイム労働者がふえておること、それから女子労働者は男子に比べてやや規模の小さいところに偏っていること、それから技能、技術等が必要でないところに就業している場合がかなりあること、勤続年数が男女で比較しますとかなり短いことですとか、学歴構成が違っていることなど、さまざまな要因が関係しているわけでございます。 男女の本当の意味での賃金格差というものを比較する場合には、やはり学歴とか勤続年数が同じグループで比較した方がよろしいのではないかということでございまして、そういうもので比較い たしますと、女子の賃金は、二十歳代では男子の九割、特に最近の若い方たちにつきまして見ますと九五%を上回っておるわけでございますし、一番格差のございます五十歳代でも七割ということで、特に近年は若年層の格差が縮小の傾向にございます。
○沓脱タケ子君 十年間、いずれにしても逆に格差が拡大をしているわけですね。 先進諸外国ではどうですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 諸外国と賃金を比較するのはなかなか難しい点がございます。特に、統計をとっております対象の範囲ですとか、賃金の定義、賃金の慣行というようなものが違っておるわけでございますけれども、ILOのイヤーブックなどで大まかな比較をいたしてみますと、アメリカの場合は男子賃金を一〇〇にいたしますと六割台でやや上がりぎみということでございますが、フランスでは八割台、西ドイツでは七割強でほぼ横ばいでございます。なお、イギリスでは七割ちょっとのところから六割台というところに格差が拡大しておるというような状況でございます。
○沓脱タケ子君 先進諸国は大体この十年格差は縮まっている。我が国だけが五%近く広がっているんですね。この実態というのはいわゆる平等の前進とはほど遠いわけで、この格差解消をどう図っていくかというような問題ですが、労働省どうですか。――大臣ですよ。こんな政策的な問題は大臣ですよ。
○政府委員(佐藤ギン子君) では、とりあえず私からさせていただいてよろしゅうございますか。 先ほども申し上げましたように、男女の賃金格差の違いというのはさまざまな要因があるわけでございまして、特に私ども問題だと思っておりますのは、より高い賃金を得られるような職種に女子がアプローチできるようにするということが重要だと考えております。そういう意味では、六十一年の四月から施行されました機会均等法によりまして女子により多くの機会が与えられ、女子自身も努力して学歴が上がり、あるいは勤続年数が延び、より難しい仕事に挑戦していくというようになりますと賃金格差は縮小していくのではないか、そういう傾向を助長するように私どもさらに努力をしてまいりたいと考えております。
○国務大臣(平井卓志君) 原則的には今局長からお答えいたしましたとおりのことであろうと思いますけれども、今、賃金格差、統計等でも特に我が国の場合それなりの格差のある理由等々を申し上げたわけでございますが、均等法の精神等にのっとりまして制度の改革、さらには女子自身の職場に対する自覚また自己研修等々あらゆる総合的な諸施策で改善していかなければならぬ、かように考えております。
○沓脱タケ子君 均等法成立をという御意見もありました。しかし、均等法が成立した後もコース別賃金などで男女の格差というのは温存、むしろ拡大をされてきている。問題は、企業が勝手にコースや仕事の違いということを理由にして実質的な男女別の賃金体系を決めることを野放しにしてきている、ここにメスを入れなければ男女の格差は絶対に縮小しません。この点を厳格に指摘しておきたいと思います、 総理、国際水準の尊重というのは非常に大事だという点は同感のようですが、我が国はILO条約の批准率というのは非常に低いんですね。婦人関係条約に絞りましても九十八号、百三号、百四十九号、百五十六号条約等がまだ批准されていない。国会では女子差別撤廃条約の批准に際して六十年の六月に衆参両院の外務委員会では、未批准の条約は「可及的速やかに批准すること。」と決議されている。「可及的速やかに」ということになっているんですが、過日決定をされました二〇〇〇年の新国内行動計画の中には全然触れられていない。この関係条約を二〇〇〇年までに批准する、そのために国内法令の整備をするという御決意をお持ちかどうか、これを伺いたい。
○政府委員(中平立君) お答えいたします。 政府といたしましては、批准することが適当と思われるILO条約につきましては国内法制の整備等を行いまして批准する方針でございます。婦人関係のILO条約につきましても、先生御指摘の国会の決議等を踏まえまして、今申し上げましたような方針に従いまして今後とも検討してまいりたいと思うわけでございます。 現に昨年の国会におきまして、いわゆる百二十二号条約及び百四十二号条約、前者につきましては雇用政策条約と言われておりますし、後者については人的資源開発条約と言われておりますが、御承認いただきまして批准した次第でございます。このように我々といたしましては今後とも努力してまいりたい、こう考えている次第でございます。
○沓脱タケ子君 時間がありませんので厚生大臣に最後に聞きたいんですが、今度の行動計画には「留守家庭児童対策の充実を図る。」とあります。これはいわゆる学童保育対策の充実に努めるということなのかどうか、これをお聞きいたします。
○国務大臣(斎藤十朗君) 留守家庭児童の対策につきましては、その健全育成の観点から児童館の整備等を全国に図ることをいたしまして、一般児童等を含めてその健全育成を推進いたしております。また特に、都市部におきます児童館の整備等も考慮いたしまして、特に都市部における都市児童健全育成事業、児童育成クラブ等を中心といたしましたそういった活動を助成し、これを振興していくことによりまして留守家庭における児童の健全育成を大いに進めてまいりたいと考えております。
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、終わります。
○近藤忠孝君 では最後に、公害健康被害補償法の認定地域を全面的に解除し、新規認定を打ち切るという問題について質問いたします。大変な私は暴挙だと思います。 そこで、まず環境庁、幹線道路、沿道などの高濃度や東京、大阪の市、区部、こういう大都市部の複合汚染は深刻だと思うんですね。この点で東京都の複合汚染健康影響調査報告書、これは大変重大な事実を明らかにしております。そこでまず、その第六節はまとめです。その1「幹線道路の健康影響に注目した調査」、1、2がありますが、これはどういう指摘がありますか。
○政府委員(目黒克己君) 東京都の調査報告でございますが、大気汚染と健康影響との因果関係につきましては、未解明な分野が残されているので、なお調査し検討を加える必要があるという東京都の公害衛生対策委員会が評価をしているものでございます。この御指摘の部分につきましては、ひっくるめまして、例えば死亡調査の部分につきましては、都の専門委員会は、死亡調査について直ちに大気汚染と死亡現象との因果関係を論ずることは困難であろうというようなことを専門委員会が言っている調査でございます。 御指摘の点につきましては、まず幹線道路の健康影響に注目いたしました調査、この点につきましては、幹線道路からの距離に依存して呼吸器症状有症率に差が生じているというふうにみなすのが妥当であろう等といったようなお答えがあるわけでございます。また、「学童の健康影響に注目した調査」につきましては、非ぜんそく児童の気道疾患罹患率に区部と市部に差がある、あるいはぜんそくの有病率は区部に高かった等々といったような調査でございます。
○近藤忠孝君 それでは、その4に「死亡に関する調査」というのがありますが、その(1)と(2)、これはどういう指摘がありますか。
○政府委員(目黒克己君) 先ほど申し上げましたように、この死亡部分に関する調査につきましては、東京都の専門委員会が直ちに大気汚染と死亡現象との因果性を論ずるには困難であろう、こういう判断を下している調査の結果でございまして、私が申し上げましたのは、ここに先生今御指摘の調査の結果を、東京都のさらに上部の委員会でこれに対する申し上げたような判断を出したという前提で私申し上げたいと思っております。 この大気汚染の測定局の一キロメートル範囲内の累積の粗死亡率といったようなもの、あるいは粗死亡率が高い大気汚染観測測定局の周辺とそれから中程度の測定局の周辺で、女子の気管、気管支及び肺の悪性腫瘍物とそれからNO2との相関係数が高かったといったようなこと等を述べているのでございます。
○近藤忠孝君 聞いたことに対して正確に答えないで、評価ばかり言っているんです。もう一回読みなさいよ、正確に。全然正確じゃないじゃないか。(「知っているんだからいいじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、みんな知らない。
○政府委員(目黒克己君) もう一度申し上げますと、ただいま申し上げましたような前提を含めましてここに書いてある調査結果でございますが、「死亡に関する調査」におきましては、粗死亡率が高い大気汚染測定局の周辺と中程度の測定局の周辺で女子の気管、気管支及び肺の悪性新生物とNOxとの相関係数が高かったといったようなことについて調査結果が出ているのでございます。
○近藤忠孝君 一番大事なところを読まぬじゃないですか、基本の。都合のいいところはかり言っている、本当にけしからぬ。 総理、ああいうぐあいにもう都合のいいところしか言わなかった。その中でも大事なことが指摘されておるんですよ。一つは、道路に近いほど有症率が高い。それから特に児童への健康影響がひどい。女性の肺がん死亡率がNOx汚染地域で高くなっている。それからNOxと死亡率や死因との関係がある。関係があるんですよ。こういう重大な事態なんですね。総理はこういう事実は御承知にならないで、環境庁のあんな報告だけを恐らく受けておったんだろうと思うんですが、私は、こういう事態が指摘されておりながら、指定地域を全面的に解除しちゃう、これはとんでもないことだと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(稲村利幸君) 公害健康被害補償法の指定地域の解除は、中公審における東京都調査を含めて十分科学的検討を経た上の答申に沿うものであり、大気の現状に対応して制度を公正かつ合理的なものとするため必要な措置であると考えております。
○近藤忠孝君 その中公審答申が、そうでない、むしろ重大な欠陥がある、これが問題なんです。中審答申をまとめる基礎になったのは中公審専門委員会であります。その中で、局地汚染に関する警告、あるいは児童、老齢者等の保護を強調した留意事項、これは中公審の方では不採用にしているんですね。これがとんでもない非科学的なことだということを、何度も指摘してきましたよね。長官にも何度も会って言ってきました。 それで重大なことは、その今まで指摘してきたことが、専門委員会の委員長であった、要するに専門家中の専門家の鈴木武夫氏がことしの二月五日、東京高裁第七民事部で、宣誓の上、間違っておると、こう言っておるんですね。長官、どんな証言をされたか御存じですか。部長は都合のいいことしか言わぬから。
○政府委員(目黒克己君) 先生、今御指摘の裁判はNOxの環境基準に関する裁判でございましたが、この中で、中公審について先生触れておられるわけですが、中公審の答申と申しますものは、鈴木先生を含めましてこの分野の医学者あるいは法律の専門家等から成る審議会で審議の末総意としてまとめたものでございます。鈴木先生は、中公審の答申の中で相反するような御意見を持っておられないというふうに私ども理解をいたしているところでございます。 この答申の中で専門委員会報告の留意事項というのがございますが、この点について先生は、「大気汚染に対し感受性の高い集団」という留意事項について述べておられるのが一つございます。これにつきましては、老人とか子供とか病人を指すのかどうかということがその当時論じられたのでございますけれども、先生は、老人、子供、病人を指すものではなく、ごく少数の特別に大気汚染に感受性の高い集団へ影響があるんだということについて触れていたというふうに私ども理解をしているのでございます。 それからまた、この答申におきましては地域を指定し…
○近藤忠孝君 当たり前だよ。答申のことは聞いていないんだよ、証言だよ、証言。
○政府委員(目黒克己君) 答申の中のそこの部分を先生は裁判のところで御議論いただいたわけでございますので、それで御説明を申し上げているところでございます。 それで、この裁判の中の答申の部分について御議論をいただいたわけでございますが、その中で、地域を指定いたしまして補償給付を行うことが合理的なものであるためには、人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断できる。二、その上で、その影響が個々の地域について地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすことに合理性があると考えられる程度にあることが必要である、こういう点につきまして述べられたわけでございますが、大気汚染以外の原因でも発病いたしますぜんそく等の患者をすべて大気汚染によるものと、こういうふうにみなすことは医学的に無理であるという趣旨の御発言があったわけでございます。 さらに、この点に関しましては、医学的に当然そのとおりでございますが、答申は、こうした医学的な知見を前提といたしまして極めて先ほど来申し上げたように妥当なものでございますが、その具体的なことは、このような医学的な知見を前提といたしまして、一定の地域に一定の期間居住いたしますぜんそく等の患者はすべて大気汚染によるものとみなす、そうして補償を行うという公健制度の適用の条件について、これは先ほど先生は、このみなすということについては医学的に無理があるんじゃないかというふうな趣旨の御発言があったというふうに私ども承知いたしておるところでございます。
○近藤忠孝君 持って回った言い方をするからだれもわからないんじゃないかと思うんですね。 要するに、言ったことはこういうことなんですよ。今回の中公審答申の特徴は、大気汚染の影響の程度を現在の段階ではこれは定量的に示すこと――一定量的に示すことは現在不可能なんですよ。にもかかわらず、中公審はそのことを地域指定の条件としている。そして影響を定量的に示すことを求めたんです。そしてそれがないからといって解除。で、専門家中の専門家である鈴木先生は、法廷で、その定量的なものを求めるなんということは、こう言っていますよね、ここを読んでほしかったんですよ。現実を知らない者が頭の中で考えたことであり、医学的事実に反すると専門家中の専門家がそう言っているんだから。これは中公審が専門家の批判にこたえられない、こういうことが一つです。それからまた、感受性の高い集団の中に老人、子供、病人のことを指すのは常識的なのにこれを無視したということも指摘していますね。そういう意味では、とんでもない答申だということを鈴木先生は証言しているんです。 私が言ったようなこういう証言、これがあったのは事実でしょう。それだけ答えてください。
○政府委員(目黒克己君) 先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
○近藤忠孝君 今度は簡単過ぎて全然質問に答えてないんです。 私が言った証言をしたかどうか、これが質問なんです。
○政府委員(目黒克己君) 鈴木先生のおっしゃったことは、私が先ほど申し上げたとおりでございます。
○近藤忠孝君 この重言の中にあるんですがね。これは間違いないことなんですよ。鈴木先生はこれは全く非科学的なことだと証言ではっきり言っておるんです。 そこで総理、ここが問題なんです。専門家中の専門家ということで任命した人が法廷でそれは違うんだと言っている。そんなものに基づいて今地域指定を全面解除しようと。これは総理、問題と思いませんか。これは総理に伺いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり報告とか証言というのは、全面的にバランスがとれて、その結果を表明すべきでありまして、一部だけ何か我田引水的に言うということは必ずしも証言なり報告というものを正確に表明したことにはならぬではないかと、問答を聞いておりましてそう感じた次第でございます。
○近藤忠孝君 ちょっとこれお読みいただきたい、ちゃんとあるんですからね。そういう意味では、私、総理も含めて非科学的な立場に立ってこれを進めようとしているということを指摘せざるを得ない。 これで最後になりますが、関係自治体に意見を求める、これは当然一番地域でよく知っているからこそ求める、だから尊重すべきであると思うんですね。自治体の意見を求めた結果はどうでありましたか。
○政府委員(目黒克己君) 今回、公害健康被害補償法の第二条第四項に基づきまして意見を聴取いたしたわけでございますが、地方公共団体においては各地域の実情を踏まえまして慎重に検討をいただいたところでございまして、地方公共団体の立場から広範な意見が寄せられたところでございます。 その内容といたしましては、大都市の地方公共団体を中心に大気汚染についてなお改善を要する状況にあること、及び窒素酸化物等の健康影響についての科学的解明が十分でないことから、指定地域の解除に対し慎重な対応を求める意見が多く見られたところでございます。また、今後の新たな健康被害防止事業あるいは大気汚染防止対策等についても強い要望が寄せられていたところでございます。
○近藤忠孝君 賛成、反対の内容は。
○政府委員(目黒克己君) 地方公共団体からは、先ほど申し上げましたように、窒素酸化物等の健康影響についての科学的解明が十分に行われていないことを理由としたり、あるいは要望というようなものを理由といたしまして、慎重な対応を求めるものが多く見られたわけでございます。 しかしながら、ここで慎重な対応の理由として挙げておられます窒素酸化物等の汚染については、例えば例を申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、中公審におきましても十分検討をいたしました上で御答申をいただいたものでございまして、現在の大気汚染の状況のもとでは、指定地域をすべて解除するという方針は妥当であると考えるというふうなことでございます。いずれにいたしましても広範の意見があったということでございます。
○近藤忠孝君 あなたが答弁すべきことは、反対は二十一、慎重は二十四、そして賛成はわずか六、こう答えなきゃいかぬ。 長官、しかし長官はこういう結果があるにもかかわらずこう言うんですね。全面解除をしてはいけないという意見があるとは受け取っていないと。反対が多くて賛成は少ないんですが、どうしてこういうことになるんですか。
○国務大臣(稲村利幸君) 今、保健部長の答弁のとおりですが、地方自治体の意見も大変よく聞いておるつもりでございますので、その意見を踏まえ、中公審が三年にわたって四十数回大変な時間をかけて審議している。鈴木先生は、委員長で大変な経験、学識を持っておられますが、ほかの公害に対する権威者の意見も十二分に踏まえて総合的に判断して、この辺で予防的な未来へ備えての方向で踏み出したらどうか、こういうことで断を下しておるわけだと思います。
○近藤忠孝君 時間が来たので終わりますが、反対二十一、賛成わずか六、これで反対がないなんというこういう態度で進むこと、それから鈴木さんの証言、全く非科学的だということを無視して進むとこれはとんでもないことになるということを私は申し上げて、質問を終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で近藤忠孝君の質疑は終了いたしました。(拍手) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。 これより山口哲夫君の質疑を行います。山口君。
○山口哲夫君 質問に入ります前に、毎日新聞の五月九日付の夕刊にこういうことが載っております。「政府は九日、その場合、補正予算提出を審議する臨時国会に今国会で審議未了、廃案となる売上税法案など税制改革関連六法案を原案のまま再提出する方針を固めた。」と、こう書いてありますけれども、一体、今度の国会の方が終わったらまた改めて売上税法案等を本当に出す気持ちなのかどうか、その点についてまずお伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 売上税法案を初め税制改正につきましては、衆議院議長のごあっせんがございまして、各党において協議機関を設けられて御検討をいただく、こういうことになっておりますので、政府といたしましては、その協議機関の御検討に全面的に、私どもできますことはすべてを挙げて御協力を申し上げることはもとよりでございます。速やかに御協議の結果を示していただきたいと念願をいたしておりまして、ただいま御指摘のような記事にございますようなことは考えておりません。
○山口哲夫君 考えていないことが、どうしてこういうふうにはっきり提出することを決めたと出るんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっとその点は私もお答えいたしかねます。
○山口哲夫君 これは毎日新聞だけじゃないんですよ。朝日新聞にも出ておりますしね。総理もそうですけれども、大蔵大臣もそうですけれども、国会の中ではなかなか本音を言わないでしょう。一たん国会を出ると、国会審議の約束事まで破って勝手なことをお話しになる。とても私はこれでは政府を信頼して質問を続けるわけにはいかないんです。この真相を明らかにしてほしいことと、それから本当に提出するのかどうなのか、その点をはっきりしてください。それでなかったら質問できません。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の趣旨につきましては、ただいま申し上げたとおり、極めて明快でございます。 なお、報道につきましては、どうも私からは何とも申し上げようがございません。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。安恒良一君。
○安恒良一君 宮澤大蔵大臣はそう答えられていますが、ちょっとひとつお聞きしたいんですが、報道では、九日、参議院予算委員会の休憩中にあなたと官房長官が、臨時国会の開催を前提に今通常国会で廃案になる税制改革法案と補正予算の関係について意見を交換した。売上税関連法案を臨時国会に再提出しないと補正予算が編成しにくいという見解をあなたが示した、こういう報道が一つあるわけですね。それから、今山口委員が言ったように、おたくの事務次官の吉野さんがやはりそういうことを述べたというふうに各紙がすべて、これは扱いは大きいか小さいかはありましてもあるわけですね。 ですから、まず私がお聞きをしたいことは、九日の参議院予算委員会の休憩中にそういうことを官房長官とお二人でお話し合いされたのかどうか、このことをはっきりしてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのようなことはございません。
○安恒良一君 それでは新聞が全くうそを書いたということですね。 それではその次に聞きますが、今六十二年度予算を審議しています。これが成立をいたします。そうすると、既に今山口さんが指摘したとおり、 今国会に提出されている売上税法案などの税制改革六法案は、衆議院議長のあっせんによって会期切れと同時に廃案に決まっていること、このことは御承知ですね。会期が終わったときには廃案になる、それまで協議が調わなかったら、そう御承知ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院議長のあっせん並びにその後の議長と各党とのいわば質疑応答によりますと、売上税法案がもし今国会において審議未了となる場合は、それは廃案であるということはそのとおりでございます。
○安恒良一君 そうしますと今度は、臨時国会に補正予算をお出しになることもしばしばここで議論をされたことですが、問題になりますのは、いわゆる税収のベースとなる法案がなくなるわけですから、その場合はこれしかないと思います。現行税法で計算をし直す、なおそれでも足らない場合には、例えば国債の発行であるとかNTTの株を売却する等々で。予算は成立した、ところが予算の歳入の部分についてはこれはなくなるわけですから、それをどうしてもやっぱり補正で埋めなきゃならぬわけですね。その場合、大蔵大臣、どうされますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 議長のこあっせんにおきまして、税制改正についてこの協議機関が御検討をいただいて結論を出していただくということでございますので、諸情勢急を要しますので、この協議機関において速やかに御結論を出していただくことを政府としては念願をいたしております。
○安恒良一君 いや、念願をしておっても、まだ協議会の発足すらできていない、しかし補正については急がなきゃならぬ、臨時国会の開催の時期が非常に迫られている、そういう場合に、そう簡単に協議会の結論はなかなか出ないと思う。ですから私は、この国会が終わった途端に、予算は成立した、六つの法案は廃案になってその部分は穴があいている、しかし六月ないし七月にもう臨時国会、そういうことで補正と、こういうことにこれはなるわけですから、その場合はそこをどうするかということ。 それじゃこう聞きましょう。少なくとも一遍廃案になったものを再び臨時国会にそのまま出す、こういうことはあり得ませんね。このことだけは明確にしてください。税制法案ですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 補正についてのお尋ねでございますけれども、先般委員長からも御発言がございまして、私どもいろいろの心配はいたしておりますけれども、補正予算について余り申し上げることは適当でないことと思います。 ただ、安恒委員の言われましたように、事態は非常に急いでおりますので、この協議機関におかれましてもそういう事情はよく御存じでございますから、しかも、そのことといわゆる補正との関連も今安恒委員の言われたような関連がございますから、協議機関におきまして税制につきましての結論をそういう状況の中で速やかにお出しいただけるものと政府としては念願をし、期待をいたしておるわけでございます。
○安恒良一君 時間がありません。ですから私は、この点はやはり明確にしていただかなきゃならぬ重要なところですから、この点を理事会の方に預けますのでひとつ十分御協議願いたい。これは非常に重要なことですから、その点をお願いしたいと思います、委員長。
○委員長(桧垣徳太郎君) 本問題の取り扱いにつきましては、理事会において協議をいたします。
○山口哲夫君 私からもその点についてもう一言だけ言わしてもらいますけれども、これは大蔵省もとにかくそういう売上税を編成したいということを考えている、こういうことが出ておりますので、大臣として、事務当局にそういうことのないように十分にひとつしっかり注意をしておいていただきたいと思います。 それで、総理にお尋ねいたしますけれども、ことしは憲法と地方自治法が施行されてちょうど四十年になります。この間、地方自治が地方自治の本旨に基づいて本当に確立されてきたかどうか、その辺の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 地方自治は確立されたと私は思います。なぜなれば、地方公共団体の業績かるいは住民の意識、そういうものが四十年前に比べて格段と前進をし、そうして岩盤のように定着してきた、こう考えるからであります。
○山口哲夫君 確かに四十年前に比べればそうかもしれませんけれども、残念ながら私は、地方自治の本旨に基づいて考えるならば、今日の地方自治というものは必ずしも総理がおっしゃっているようにはなっていない、そんなふうに思います。例えば、制度的には自治体警察が廃止になりました。教育委員の公選制も廃止になりました。そして今度は裁判抜き代執行も提案をいたしております。そういう点で、いわば自治体の権限というのがだんだん縮小されております。しかも一方、国と自治体との関係について見ますときに、どうも政府の方は自治体に対して一つ一つ介入、干渉を強めているように思われてなりません。 自治大臣にお伺いいたしますけれども、この国と自治体との関係について一体どういうふうに基本的に考えていらっしゃるのか。
○国務大臣(葉梨信行君) 先生御指摘のように、地方自治法が施行されましてことしはちょうど四十周年目に当たる節目の年でございます。この間、関係者の御協力また国民の御理解によりまして、地方自治が我が国におきましておおむね定着しつつあると考えているところでございます。 国と地方自治体との関係でございますが、これは国民福祉の向上という点につきましては同じ目標を持っておりまして、その責任と機能を分かち合いながら相協力していくという関係であろうと考えているところでございます。ただ、国の地方自治体に対します権力的な関与とか事務配分等につきましては、いまだ解決すべき問題が多々あるというのが現実の姿でございます。そこで、これらの問題につきましては、地方制度調査会におきます御審議を踏まえながら、身近な行政はできるだけ身近な地方自治体で解決していくという方向づけを行うように、自主的、自律的に処理できるよう地方分権を推進し、地方自治の確立のために今後とも努力をしていきたいと考えているところでございます。
○山口哲夫君 この点について総理のお考えを、国と自治体との関係についてお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革の理想から見まして、また臨調答申、行革審答申等も見ましても、権限の委譲ということは強く指摘されております。そのために、機関委任事務の委譲であるとか、あるいは政府支分部局、例えば運輸局とか農政局とかそういうふうな支分部局の統合も行われつつあり、今後もますます地方自治の本旨に沿いまして、中央と地方との関係を整理して簡素化していきたいと考えております。
○山口哲夫君 自治大臣がおっしゃったように、基本的には相協力をしていかなければならない、そして自治体の分権というものを努めて尊重していかなければならない、こういう考えですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりでございます。
○山口哲夫君 そうしますと、昨年の十一月十日のこの委員会で私が質問したことに対して、総理はこういうふうに答えております。「自治省としても、その監督権に基づいて、その地方行革大綱及び各自治体がおのおの自主的におやりになっておる行革を推進するようにいろいろ指導助言しておるのではないかと思います。」、監督権が国にあると、そういう考え方がこの答弁の中に出てきているわけですけれども、この点については、そうすると訂正されますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 指導助言というところにそれは重点を置いた答弁であると御理解を願いたいと思います。
○山口哲夫君 それでは、監督権というのは完全に訂正をしたというふうに受け取りますし、また指導助言にいたしましても、政府にはそういう指導権という権限的なものはないのでありまして、総理のお答えを聞いておりますと、総理は内務省 に昔いらっしゃったので、どうも昔の内務省的な感覚がいまだに抜け切らないんじゃないか、そういう心配がどうしても募りますので、この点だけはひとつ十分今後そういうことのないように、ちょうど四十周年に当たりますので、地方自治の本旨にのっとって、ぜひひとつ今後地方自治体の権限強化のために努力をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
○国務大臣(葉梨信行君) ただいま総理から御答弁申し上げたとおりでございますが、私からもちょっと申し上げてみたいと思います。 地方自治法でございますが、地方公共団体の自主性、自律性を強化するために、戦前の強力、広範な国の後見的監督権を廃止したわけでございます。しかし、地方自治、地方公共団体の行政といえども国の全体の行政の一翼を担っておりまして、先ほども申し上げましたが、国との有機的な協力関係のもとに運営されるべきことは当然でございますので、地方自治の本旨にのっとりながら国もまた助言、勧告権や財務監視の権限のほか内閣総理大臣の措置請求権も認めているということを申し上げておきたいと思います。
○山口哲夫君 必ずしも基本的な考え方はそういうふうになっておりません。技術的な勧告とか助言はあるでしょうけれども、それはあくまでも技術的だという問題でありますので、そういうことにはなっていないと思っております。それで今時間をとっているわけにまいりませんので、先に進みたいと思います。 自治体の権限強化の中で、特に財政力をもう少し自治体につけて自主性を尊重させるということが必要だと思います。それで、補助金カットの問題についで、六十年度の自治体の補助金カットの影響額は五千八百億、六十一年度は一兆一千七百億、六十一年度のカットによる六十二年度に与える影響は一兆二千八百億と膨大な金額であります。 ところで、六十一年度の補助金カットに際しまして、大蔵大臣と自治大臣の間に覚書が取り交わされておりますけれども、その内容について要点だけ説明してください。
○政府委員(矢野浩一郎君) 昭和六十一年度の補助負担率の引き下げに際しまして、自治、大蔵両大臣の間に交わしました覚書でございますが、二点。ざいまして、第一点は、「この措置は、今後三年間の暫定措置とする。」、第二点は、「暫定措置の期間内においては、国・地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないものとする。」、この二点でございます。
○山口哲夫君 これに関連いたしまして、昨年二月十七日の衆議院予算委員会で我が党の細谷議員から質問されております。それに対して当時の小沢自治大臣、竹下大蔵大臣が答弁をしておりますので、その分だけ、どういうふうに答えているか、説明してください。
○政府委員(矢野浩一郎君) 昨年の二月十七日の答弁でございますが、昨年の二月十七日、先ほど申し上げました第二点のところでございますが、この点につきまして自治大臣は、これは「この三年間は補助率の引き下げ等によって国と地方の負担を変えない、そういう意味であると解釈いたしております。」と、このようにお答えを申し上げておるところでございます。
○山口哲夫君 竹下大蔵大臣の方。
○政府委員(西垣昭君) 竹下大蔵大臣の御答弁は、この三年間は「例えば今回のような、国、地方間の財政関係を基本的に変更するような補助率の変更は行わない」と、こういうものであるということを言っておられます。
○山口哲夫君 その後。
○政府委員(西垣昭君) この意味が必ずしもはっきりはいたしませんが、読み上げますと、「覚書において「国・地方間の財政関係を基本的に変更するような措置」――としておりますのは、例えば今回のような補助率の重大な変更を念頭に置いたものではない、こういうことであります。」と、こういうふうに述べておられます。
○山口哲夫君 覚書でも、自治大臣、大蔵大臣の答弁でも、三年間は補助率の変更は行わないということを言っているんですよ。ところが、六十二年度の財政を見ますと、また補助率のカットが二千百七十億出てきたんです。この答弁、覚書とことしのカットのこれとの関係は一体どういうふうになるんでしょうか。大蔵大臣、自治大臣、お答えください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のようなことがございましたが、六十二年度の予算編成に当たりまして、御承知のように経済情勢が非常に激変をいたしました。しかし財政事情は好転をしないということから、そういう状況の中で公共事業の事業費を何とかして確保しなければならないという状況が生まれてまいりまして、財投を活用するとかあるいは民活をするとか、いろいろいたしましたが、どうもそれだけで所期の効果が上がり得ないと考えましたものですから、私が自治大臣にいわばお願いを申し上げまして、前年のような経緯ではあるけれども、今度状況も違った状況なので、ひとつ補助率、負担率の引き下げをどうもお願いせざるを得ない。それにつきまして、今回のこの措置は、昨年は公共、非公共を通ずる補助・負担率の総合的な見直しをいたしたのでございますが、今回はそれとは性格が異なっておるものと考えます、また、地方財政に支障が生じないように昨年以上に手厚い財源措置を考えさしていただきます、また事実そういう措置をいたしたわけでございますけれども、そういう意味で国、地方間の財政関係を基本的に変更するような措置、そういうことはしないという、その措置を講じないという従来の覚書の趣旨、それとは反していないということで、ひとつ御了解を願いたいということを申し上げました。自治大臣としても、非常に自治体のことをいろいろお考えになれば困難なお立場であったと思われますけれども、こういうことで御了解をいただいたわけでございます。
○国務大臣(葉梨信行君) 今後三年間の措置として覚書で申し合わせておりました国庫補助・負担率につきまして、昨年十二月二十三日に、ただいま大蔵大臣からもお話ございましたように、大蔵大臣、自治大臣の間で見直しを行ったことは事実でございまして、これに対して御批判があることも承知しております。 第一には、今回の補助・負担率の引き下げは内需拡大の要請にこたえるためほほ公共事業に限って行うことにしたこと。第二には、財投、民間活力の活用等、公共投資の拡大のためさまざまな工夫を凝らした上で、やむを得ざる範囲内で補助・負担率の引き下げによります事業量拡大を図ることとしたこと。第三には、補助・負担率の引き下げによりまして国費減少相当額は地方債で補てんし、その元利償還費を全額地方交付税で財源措置することとしたこと。第四には、この交付税措置に必要な原資につきましては、国が将来全額負担する措置を講ずることとしていることなどによりまして、地方財政に実質的な負担増が生じないよう手厚い地方財源措置を講じておりますことから、先ほど先生も言われましたように、国、地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないといたしました一昨年十二月の覚書の趣旨に実質的に背くことにならぬよう最善の努力を払ったつもりでございますので、御理解いただきたいと思う次第でございます。
○山口哲夫君 いずれにしても、三年間は変更しないと言ったのを変更したんですから、これは覚書あるいは竹下大蔵大臣の答弁を踏みにじっていることだけははっきりしていると思うんです。 それで、宮澤大蔵大臣にお聞きしますけれども、大変失礼な言い方になるかもしれませんけれども、宮澤大蔵大臣もニューリーダーと言われておりますし、竹下さんもニューリーダーと言われているわけでありますが、いわばライバル同士だと思います。その竹下さんの答えたことをあなたがひっくり返す。どうも竹下大蔵大臣には余り財政的な先見性がない、そういうふうにお考えになってあなたはこの答弁をひっくり返してこういった覚書まで無視したのでないかな、そういうふうに思われてならないわけです。もしそうでないと するならば、六十三年度の補助金カット、来年度以降補助金カットはこの覚書からいきましても絶対にそういうことはしないということだけは、これはお約束をしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段のお尋ねでございますが、そういう誤解があるといけないと思いましたので、今回の措置は「国・地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じない」とした一昨年の覚書の趣旨に実質的には反しないということで両省で了解をいたしております。 六十二年度のことでございますが、今回非常に自治大臣、自治体にもいろいろこういうことで御辛抱願った経緯等々から考えますと、もうこういうことはなかなかやれることではないというふうに私自身は痛感をいたしております。
○山口哲夫君 宮澤大蔵大臣の人格を尊重いたしますので、ぜひそういうことのないように今後ひとつ努力をしていただきたいと思います。 それで総理にお伺いいたしますけれども、内閣を代表いたしまして、今後、六十三年度の補助金カットはしないということをやっぱり明言していただかないと全国の自治体は大変不安でたまりませんので、そこをひとつ明言していただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今御言及の両省の申し合わせは守るようにいたしたいと思います。
○山口哲夫君 円高不況それから構造不況でもって実は地方自治体の財政というのは想家以上に苦しいんですね。一番いい例が、自治体財政、これ以上になったら危険だよというその危険信号に公債費比率があります。二〇%以上はこれは危険だ。それが何と五十九年度の決算でも全市町村の三分の一近い一千三十三団体です。年々ふえているんですよ。それだけ財政が苦しいんですけれども、六十二年度の地方財政についても十二分にひとつ配慮をするということについて、総理、いかがですか。
○政府委員(矢野浩一郎君) 御指摘のとおり、地方自治体、大変苦しい財政の状況になってきておるところでございます。補助・負担率の引き下げに当たっては、先ほど来大臣からお答え申し上げたような手厚い補てん措置を講じ、地方団体の財政に支障が生じないよう対処したところでございますが、景気対策、経済対策の問題、御質問でございますけれども、この点につきましては政府としてはまだ具体的に内容を決めていない段階でございますので、そういった点についてはまだ明確にお答えはしがたいところでございます。ただ、仮にもしさまざまな事業の追加というようなことがなされます場合には、所要の地方財源を適切に講じまして、事業の円滑な消化が図られるよう、また地方自治体の財政に支障のないように措置してまいらなければならない、このように考えておるところでございます。
○山口哲夫君 そういう事務的なことを聞いているのではなくして、とにかく大変な自治体の財政事情下に今あるんだ、経済不況の中で。だから努めて六十二年度の地方財政に当たっても十分ひとつ政府として配慮をしていくんだという、その決意のほどを総理にお聞かせいただきたいと言っているわけです。もしお答えできないのであれば、地方財政はどうでもいいということですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 車の両輪と言われるように、地方自治あるいは地方財政も大事でございます。個々の市町村によりましていろいろ状況も違うと思いますが、いわゆる都会地でない市町村は大変苦しい状況にあるのではないかと考えられます。そういう面にも配慮いたしまして、できるだけ財政が健全になるように今後とも努力してまいりたいと思います。
○山口哲夫君 それでは、次に六十二年度の地方財政対策についてお伺いいたします。 今年度の政府税制改革案につきまして、大蔵大臣と自治大臣の間で覚書が交わされておりますけれども、その内容について、読んでいただきたいと思います。
○政府委員(西垣昭君) 昨年十二月二十二日に覚書が交わされております。その内容は四件ございまして、 一 税制の抜本的見直しに伴う税財源配分については、国・地方それぞれ申立を基本とし、個人住民税及び法人住民税の減税による減収並びに売上税との調整により吸収される地方税について生ずる減収については、地方税の増税及び売上譲与税の創設により補填するとともに、国税三税の減税に伴う地方交付税の減収については売上税(売上譲与税相当額を除く。第三項において同じ。)を交付税対象とすることにより補填する。 二 売上税については、その税収額の七分の一相当額を人口等一定の基準により地方公共団体に譲与する。 三 交付税率については、現行の国税三税に係る率は三十二%に据え置き、売上税に係る率を二十%とする。 四 税制の抜本的見直しに伴う増減税措置が平年度化するまでの各年度において、前二項により算出される地方税財源によっては地方財政の運営に支障が生ずると認められる場合には、大蔵・自治両省間で適切な対応措置を検討するものとする。以上でございます。
○山口哲夫君 ということは、この覚書は、税制改革におきまして地方財政の運営には支障を与えないと、そういう趣旨と解していいですね。
○政府委員(矢野浩一郎君) 今回の税制改革に当たりましては、税収中立を前提に、国税、地方税を通じまして税収のゆがみ、ひずみを是正するということを主眼といたしまして、税財源配分については税収の変動によって国、地方の財政運営に基本的な影響を及ぼさないように配慮すべきであるとする税制調査会の答申を受けまして、税制の抜本的見直しにおける地方税収への影響のみならず、国税の減収に伴う地方交付税への影響についても配慮し、地方歳入の中立性が維持されるよう措置するということとしているものでございます。
○山口哲夫君 自治大臣にお伺いしますけれども、今の答弁からいきましても、これは地方財政には基本的には影響を与えないんだというそういう趣旨の覚書ですね。
○国務大臣(葉梨信行君) そのとおりでございます。
○山口哲夫君 それでは総理にお尋ねいたします。 総理は、訪米に際しまして、減税を実施するということを含む緊急経済対策要綱、自民党で出しているやつですけれども、これを持ってまいりましたけれども、これは国際公約と理解してよろしいですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 要綱自体が国際公約ということはありませんが、要綱の中身を自分で考えて、内需の振興、大体五兆円を超すと我々は考えておる、そういう内需の振興策等々については先方に話をして我々の考え方として説明したわけであります。それを了解とかなんとかという、かた苦しい意味の公約という意味ではありませんが、しかし政治的な私の意思表示と、そういうふうに受け取っておると思います。
○山口哲夫君 その中には減税も含まれているわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) この五兆円の内容につきましては余り細かい内容は申しません。しかし減税につきましてはぜひやりたいと。それで、税制全般の体系がはっきりしてくれば減税先行ということも十分考えてしかるべきであると、そういうことも言ってまいりました。
○山口哲夫君 少なくとも一国の総理がそういう、今おっしゃったように、政治的な意思として述べられたわけですから、相手の方としてもやっぱりそれは国際的な公約である、そういうふうに私は受けとめるだろうと思うわけですけれども、それではこれはいつ実施するんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 補正予算に関することは、言うとここではもういけないと言われておるので、いつやるとか中身をどうであるとかと言 うことは、本予算審議中の今日でありますから、慎重にしなければいけぬと思っております。
○山口哲夫君 これは、政府の与党としての当面の日米経済対策の一環としての私は公約であると思うわけですね。とするならば、年内実施が前提と思いますけれども、また、年内実施ということになりますと、これは補正予算がタイムリミットになるのではないでしょうか。どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく補正予算に関することは十分注意していなければいかぬと思っております。
○山口哲夫君 それでは観点を変えまして、自治大臣にお伺いいたします。 閣議では、七月補正というのが随分有力だというふうに言われておりますけれども、もしそうだとしますと、地方財政計画の歳入の確定は七月ということになるわけですか。
○国務大臣(葉梨信行君) 地方税法及び交付税法等の改正法案は、このたびの税制改革の取り扱いによりましてその内容が左右されるものでございます。したがいまして、その結論、これはこれから設立されます協議機関の結論によりまして、地方財政計画に見込んだ地方歳入の見込み額どおりか否かも決まることになるわけでございます。今回の税制改革の取り扱いにつきましては、さきの衆議院議長のあっせんによって示された線に沿って進められることとなるものでございますので、政府といたしましてはその推移を見守っている状況でございます。 なお、補正予算の取り扱いにつきましては、いまだ政府としての方針を決めておりませんので、そのように御承知いただきたいと思います。
○山口哲夫君 通常、歳入というのは八月末最終確定、こういうふうになっていますね。それで、地方財政計画の中には売上譲与税、それから売上税の二〇%の交付税への算入、これが含まれているわけです。それで、もし与野党協議が調わないときには、これはもう売上税は廃案になるわけですね。そうすると当然税目はなくなるわけです。そうですね。そのときでもこの交付税の概算交付というものはできるんでしょうか。
○政府委員(矢野浩一郎君) 地方の歳入が八月末に確定をするというのが普通だと、こういう御指摘でございますが、御指摘の点は、御質問の中にもございましたような地方交付税の決定が八月末までに行われる、したがって地方団体は、この部分は地方歳入の基幹の一つでございますから、これによって初めてその年度における地方の歳入の見通しがつく、こういう意味で御指摘になっておられることと思うのでございますが、交付税の決定そのものは八月末までに行わなきゃなるないということにしておるわけでございますけれども、約九兆円を超える交付税の交付につきましては、これは委員御承知のように、八月の決定前には四月、六月と概算交付をし、八月の決定後、この決定額に基づいてその残りをおおむね二分の一ずつ交付する、こういう仕組みになっておるわけでございます。 したがいまして、もし交付税法の成立が未確定、まだ決まっていない、成立をしていないという状況のもとでございますと、地方交付税に盛り込みましたさまざまな総額に関する改正の内容、これらに関する部分については除いて、その部分を除いて概算交付をしていく。例えば、次は六月の概算交付でございますが、その際にはそういった方法をとらざるを得ない、こういうことでございます。
○山口哲夫君 売上税が廃案になれば税目がなくなるわけでしょう。そういう税目がなくなった中でも概算交付というのは可能なんですか。
○政府委員(矢野浩一郎君) 交付税法が成立をしていない状況のもとにおける交付税の概算交付は、その交付税の改正案に盛り込まれました、特に総額の改正に関する内容、この部分を除いた部分、それを基礎として概算交付をしていかざるを得ない。交付税法が成立をいたしますと、その改正内容を含んだものについて交付ができるわけでございますが、そうでなければそれを除いた部分について概算交付をしていく、こういうことでございます。したがいまして、予算に盛り込みました額よりは概算交付の基礎となる額が少なくなる、こういうことでございます。
○山口哲夫君 ちょっと疑問な点がありますけれども、次に自治大臣にお伺いいたします。 この税制改革は、地方財政に影響を与えないという視点で出発したことは先ほどの覚書でもそのとおりだと思うのですけれども、ところが既に今日の時点ではそれがもう崩れているのではないかと思うんですね。地方債の許可方針というのは四月末に出さなきゃならないんですけれども、これはまだ出していないんでしょう。それから、財政運営に対する事務次官通達というのはこれは五月末に出さなければならないんだと思うのですけれども、ちょっと無理じゃないかと思うのですね。一体これでは地方はいつ歳入が確定するのか一向に見当がつかないので財政上混乱が起きると思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(葉梨信行君) 今回の税制改革の取り扱いにつきましては、さきにお答えを申し上げましたとおりで、衆議院議長のあっせんによって示された線に沿って進められることとなるものでございますので、政府としてはその推移を見守っている状況でございます。 私は今回の税制改革はぜひ実行しなければならないものであると考えておりまして、この協議機関において税制改革の実現が図られるよう検討が進められ、また、御指摘のありました地方団体の財政運営への影響も重大なものがございますので、この点につきましても十分御配慮がされまして、速やかに結論が得られますよう御期待申し上げているところでございます。
○山口哲夫君 与野党協議がこれはそんな簡単にまとまるものじゃないわけでしょう。大分先のことになるんじゃないですか。そういう中では、いつまでたってもこの歳入部門が確定しないということになったら一体どういうことになるんでしょうか。地方財政に対するその分の交付税の配分等についても当然私は影響は出てくるのではないかというように思いますのですが、その点についてはどうでしょう。
○国務大臣(葉梨信行君) 先生お触れになりましたように、そういう意味では、これからの税制改革につきましての与野党の協議が、地方財政、これはもう国の財政についても当然でございますが、地方財政には大変死活の場面をもたらすと考えておりまして、ぜひ早急に御協議を調えていただきたいと希望しているところでございます。
○山口哲夫君 しかも、対外公約で減税を実施すると言っていますね、今総理がお答えになったように。それからまた、増減税同額とも言っているんですけれども、法人税の減税というのはもう先行してやっているわけですね。だから、今日の時点で仮に増減税をやめると言っても、法人税の分はもう既にこれは地方に影響が出ているんじゃないかと思うんですけれども、そういう点はどうでしょう。
○政府委員(矢野浩一郎君) 御指摘にございましたように、税法関係のいわゆる日切れ事項、これにつきまして、過日国会で御議決をしていただいたことによりまして、法人税につきましてはこれは税率の引き下げが行われており、そのはね返りの影響が地方の法人住民税並びに法人税でございますので、地方交付税、これについても生じておるところでございます。 そういう意味では既に減税分の影響が生じておるわけでございますが、先ほど来大臣からお答え申し上げましたように、衆議院議長のごあっせんに基づく協議において、この影響額を踏まえた上で地方財政に影響が及ばぬよう整合性のある望ましい税制改革の実現に向けて御協議、御検討が行われることを期待しておる次第でございます。
○山口哲夫君 今までの答弁のように、歳入がはっきりしない、しかも減税もやらなければならない。だから、地方自治体にとっては、そういうものがはっきり確定しないうちは一体今年度の歳入はどうなるのか見当がつかないというようなこと で、自治体財政は非常に私は今混乱をしていると思うのです。 そういうことから考えますと、総理、一日も早く歳入見通しを確定する必要があると思うのです。しかし、与野党協議もそれは確かにするということになっているわけですけれども、それを待っていたのではこれは大変長い話ですし、その協議を早く進めるためにも私はやっぱり総理自身が売上税の導入をまずここではっきり放棄をするということを言うことがこういった問題を促進させることになると思うのですが、そういう点についていかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 山口委員は直接に地方自治の責任をお持ちになった御経験がおありになりますので、ただいま御心配のような問題が実際現実になろうとしておりまして、非常に心配をいたしております。そこで、しかし税法全体が、税制改正全体が議長あっせんということになっておりますので、それと別に、あるいはそれに先んじて私どもが勝手なことをあれこれ考えましても、申しましても、ほとんど意味のないことでございますので、まずその協議機関において早急に結論を出していただく、そのことをお願いし、念願をいたしまして、それに即しまして後のことを考えてまいるということであろう。 売上税につきましては、議長あっせんの中に、もしこの国会会期中に審議未了になる場合はそれは廃案であるなということをおっしゃっておられまして、その点は私どももそういうものとして承知をいたしております。
○山口哲夫君 いずれにしましても、売上税がすべてのガンになっているんですよ。これをはっきりさせれば一潟千里に進むのではないんですか。 だから私は、そういった地方財政に混乱を来さないためにも、まずやっぱり総理が、こういうもう事実上放棄したようなものなんですから、売上税をはっきりここで放棄するということになれば、冒頭言ったような売上税をもう一回出そうかなんという話というのは現場の方から出てこないはずなんですよ。私はやっぱり、この内閣の責任者である総理が、まず御自身がこれをはっきりここで売上税は廃案にいたします、やめますということを言うことが安定する一番大事なことだと思うんですけれども、どうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 議長あっせんに従いまして与野党間で協議機関が発足をいたすということになりますと、それは恐らく議長あっせんそのものが背景になってそういうことが行われるということであろうというふうに私どもは考えております。
○山口哲夫君 総理はこういう答弁をしているんですね。全体としての税体系の全貌が見えれば減税先行もあり得る、こういうふうに言っているんですけれども、私はやっぱりこの際所得税、住民税の減税をはっきりと明言すべきだと思うんです。それで、税体系の全貌なんというのは、これはもう与野党協議に相当時間がかかると思いますので、やはり今年度は特別の歳入をきちっと考えるという腹をくくることが一番大事だと思うんです。 そういう点で要望をしておきたいと思いますけれども、六十一年度の増収が約一兆円くらいありますね、予想外にふえるそうですから。そういう問題だとか、あるいはNTTの株だって政府の考えているよりも二兆円から三兆円も増収になる、こう言われているわけですから、そういったものを使えばこれは減税もはっきりできるでしょうし、売上税も断念しても何も歳入に困るわけではない。やっぱりそういう腹をまず総理自身がくくることが私は今の混乱しているこの政治状態というものを安定させる第一の道であろう、そんなふうに考えておりますので、その点を強くひとつ要望をしておきたい、こういうふうに思います。 それで、自治大臣にお聞きしますけれども、六十五年度の地方財政計画、さっき言ったように税目もなくなっているんですし、一体これは出し直す考えですか。
○政府委員(矢野浩一郎君) これは、これから行われることになります税制改革の取り扱いいかんでは地方財政に影響を及ぼすということもこれはあり得ると思いますが、政府といたしましては、衆議院議長のごあっせんに基づくところの協議機関における検討を見守っておるという段階でございます。この検討において地方団体の財政運営への影響にも十分配慮がなされ、速やかに結論が得られるよう御期待を申し上げておるところでございます。 したがいまして、こういった検討がまだなされていない現段階におきまして、現在の地方財政計画そのものについての見直し云々という点については、これはお答えをいたしかねるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○山口哲夫君 いずれにしてもこの策定は見直さなければならない時期が来ると思うんですけれども、その最終時期は、最終限度といいますかね、そういう期限はいつごろですか。
○政府委員(矢野浩一郎君) いずれにいたしましても、今回の税制改革の内容が地方公共団体の財政運営を左右する極めて重大な内容を持っておることは事実でございます。そういう意味では、できるだけ速やかにその御結論がいただけるよう御期待を申し上げるということでございます。
○山口哲夫君 次に、地方税の改革について質問をいたします。 自治大臣にお伺いをいたしますけれども、政府全体として、今回の税制改革はシャウプ以来の抜本的な税制改革、そういうふうに考えているようです。それならば、地方税の改革について三つの答申が出ております。これは地方財政審議会それから地方制度調査会それから政府税調、この三つの答申が出ているんですけれども、その中で一つだけ共通して出されている問題に、事業税の社会保険診療報酬課税の特例措置の見直しというものが出されております。これは三つとも審議会全部共通しております。なぜ盛り込まなかったんでしょうか。
○国務大臣(葉梨信行君) 社会保険診療報酬に係ります事業税の特例措置は、昭和二十七年度に創設されまして以来長期間を経過いたしまして、この間、医業等をめぐる社会的、経済的環境は著しく変化いたしましたし、また税制調査会の答申におきましても、税の公平の観点からその撤廃が指摘されてきているところでございます。 このような状況を踏まえまして、昭和六十二年度の税制改正に当たりましてもこれを廃止する方向で検討したところでございますが、この問題は他の事業に見られない医業の特殊性を考慮すべきであるという御意見や、老人保健制度の見直しに伴います医業経営の実態の変化、推移を見きわめるべきであるという御意見、さらには、医療体制の整備等保健医療上に関係します諸政策との関連において総合的に検討すべきであるという御意見等がございまして、これを廃止するには至らなかったところでございます。 この特例措置につきましては、引き続き保健医療政策との関連を考慮しながらその見直しの実現に努力してまいりたいと考えております。
○山口哲夫君 これは審議会の答申だけじゃないんですよ。自治省の税務局長らが監修している「改正地方税制詳解」という本の中にこう書いているんです。この特例措置については今日では創設時と大きく異なっている、その見直しは速やかに実施されなければならない、これは自治省の統一見解でしょう。自治省はもう当然やらなきゃならないんだというふうに思っているんですけれども、これが行われていないということは私は極めて遺憾なんです。 それで自治大臣、これは国の方は既にやっているんですよ。一体国と自治体との、国税との均衡ということについてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(葉梨信行君) 国税との均衡もひとつ考えなければならない問題でございますが、同時にやはり、事業者と申しますか、医業に従事する先生方の御意見、特に先ほども申し上げましたように、老人保健制度の改革等もございまして、診療体系、経営内容等についても激変を与えてはい けないというようなそういう観点もございますので、このような今年度は、今年度と申しますか、このたびは結論に達した次第でございます。
○山口哲夫君 大蔵大臣にお伺いしますけれども、国税との見合いにおきまして、この今の問題になっている地方税とのひずみですね、国ではやっている、地方はやれと言われているのにやらない。このひずみをどうお考えでしょうか、社会保険の診療報酬の話。
○政府委員(水野勝君) 社会保険診療報酬の課税の特例につきましては、国税の場合につきましては、昭和三十年代以降たびたび税制調査会の御指摘もあり、最終的に昭和四十九年末の税制調査会の答申におきまして具体的な改正の方向が提示されたわけでございますが、なおその後それの実現に至りますまでには約四、五年を要したところでございます。そうした経緯でもちまして、国税としては一応の解決がされておるというところでございます。
○山口哲夫君 大蔵大臣おわかりになったと思うんですけれども、どう考えてみてもこれはひずみがありますね。だから、このひずみを直すお考えを持っていただきたいと思うんです。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員が申し上げましたような経緯が国にも実はございましたわけでございます。問題はまだ全部片づいているというわけでは確かになかろうと思いますので、今後の御検討を待ちたいと思います。
○山口哲夫君 総理にお尋ねしますけれども、今自治大臣は、医療従事者の先生方の意見なんかも聞かなければならない、こうおっしゃっているんですけれども、私は当事者の意見を聞いていたんじゃこの問題は進まないと思うんですよね。総理自身がいつも税のひずみを問題にされておるんですけれども、こういったひずみをどうお考えになるか、どうして手をつけられなかったのか、ぜひ私は手をつけてほしいと思うんです。あなたのおっしゃっているとおりやっていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり税の問題は関係団体の御意見をよく承って円満に調整してやるのが望ましい。特に地方税に関するような問題は注意深くやる必要があると考えております。
○山口哲夫君 あなたのおっしゃっているのは、そういった国と自治体の税のひずみというものはやっぱり直さなきゃならない。税のひずみを常に問題にされているんですから、こういうひずみはもう一番はっきりしているひずみなんですから、ぜひひとつお考えになって、これは実現するように努力をしていただきたい。要望しておきたいと思います。 自治大臣にお伺いいたします。 シャウプは、地方自治を尊重し、その基盤としての地方の自主財源確保を目指したわけですね。ところが今回は逆に、売上税は地方自治体の自主財源である電気税をやめましたですね。これは国税に吸収してしまったわけです。そして逆に今度国のひもつきの譲与税にしたわけですね、売上税というもの。利子課税もそうです。これは都道府県から市町村へ交付をするという格好をとっているわけですね。これでは地方税の充実強化には私はならないと思うんです。この税制改革と地方税の充実対策についての所見を大臣からお伺いします。
○国務大臣(葉梨信行君) 地方税財源を充実しなければならない。現実にそのような地方自治体の財政の窮乏状態がございますことは、もう先生と認識を同じゅうしているところでございます。 利子課税につきましては、国税におきまして利子課税を行い、地方においてもまた利子課税を行うということは事務手続上大変煩雑になるので、そこで国において一括して納めてもらって、それを地方に与える、与えるといいますか、持っていく、こういう仕組みの方が事務手続上よろしいのではないか、こういう判断からあのようなあり方を決めたわけでございます。――大変失礼をいたしました。私の考え違いもございましたので、事務当局から答弁をさせます。私の先ほどの答弁は取り消させていただきます。
○政府委員(津田正君) 今大臣、入り組んで申し上げましたので、私から補足して申し上げたいと思います。 今回の税制改革におきまして、いわゆる間接税の見直しということで売上税という問題が出たわけでございます。その場合、地方の現在ある間接税との調整というようなことで政府税調等で議論をしていただきまして、その結果電気税、ガス税、それから木材引取税、これは売上税を導入するとなりますと重複課税というような問題が起こってくる、そういうことで吸収する。 それから利子課税の問題につきましては、実は所得税以上に従来住民税で取れなかったと。これは、取れないというのは、預金した場所とそれからその預金をした住所が違うというような地方税特有の問題もあったわけでございます。そういうようなこともございまして、国税と同様に利子課税をする、しかしその住所地と預金先との問題を解決するために都道府県課税としてその一部を市町村に交付する、こういうような解決をとったわけでございます。 売上税関係あるいは利子課税関係両面におきまして、いわゆる地方税におきましても税収ニュートラルというような観点に立ちまして、売上税につきましては譲与税というような形、それから利子税につきましては先ほど申しましたように都道府県課税で市町村に一部を交付するということで、それぞれ税収ニュートラル、このような解決策を出して御提案をしたわけでございます。
○山口哲夫君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。要するに、何で自治体の自主財源を切ってしまって、そして交付税のような形で国のひもつきのものにしていくんですか。電気税なんかそうでしょうと言っているんです。それから利子課税でも、これは都道府県から市町村に交付するという、要するに地方自治の、さっき冒頭にお話ししたように、自治体の権限を強化するためには財政強化しなきゃならないでしょう。それをだんだん自主財源を減らすようなことだけはやめてくださいということを言いたかったんです。まあいいです、これは。 税制調査会について質問します。 大蔵大臣にお尋ねいたします。売上税に見られるように、税の論議が非公開のために非常に混乱が起きたと思うんです。税制調査会を私は公開すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制調査会にはなるべく各方面の方々においでを願うようにしておりまして、そういう意味では国民各層の御意見を伺っておるわけでございますが、ただ、お一人お一人がいわば狭い意味での利益代表にならないようにということはこれは大事なことでございますし、税というものはとかくどちらかといえばない方があるよりいいという性格のものでございますだけに、非常に議論をなさる方々のお立場というものもいろいろ考えまして御議論をいただかないといけないという点もございます。そういう意味では、大所高所から御自由に発言をしていただくということで、現在のようなやり方をいたしております。 なお、回が進みますと、時宜に応じまして御議論の大要というものは記者会見等々で申すこともございますけれども、どなたがどういうことを言われたということになりますと、やはり大所高所からの御議論をなさるのに現実に差しさわりがある、こういう見地から今のようなやり方をいたしております。
○山口哲夫君 日本は先進国だと言っていますけれども、こういうことは全然先進国じゃないですね。外国ではもうほとんど公開してやっているんですよ。昭和四十六年まで日本でも審議の内容と経過の説明は公表していたんです。今日はそれすら出していないんですけれども、どうして出さなくなったんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 私ども主税局と自治省税務局とで税制調査会の事務当局として務めをさせ ていただいているわけでございます。 昭和四十六年まで、中期的な答申が出ますと、その審議経過とその内容といったものが一緒に公にされるのが例でございましたが、その次の三年目の四十九年の所得税の減税を中心といたしました答申が出されましたときには、答申そのものでかなり詳細な報告をお出しになったところでございますので、それでもっておおむねの審議の内容等は明らかにされているというところから、四十六年の答申に当たりましては審議経過その他につきましてはまとめられておられないわけでございます。その後の答申におきましても、かなり詳しい本答申が出されておりますのでその後も出されていないようでございますけれども、今回の昨年十月の答申におきましては、答申それ自体かなり膨大なものでございましたので、答申本文の要約をおつくりいたしましてお示しするということもいたしておったわけでございます。それからまた、本答申それ自体が膨大でございますが、その関係資料として約二千ページぐらいの資料集も公開されておるところでございますので、おおむね、従来と申しますか、四十六年以前に審議の経過の説明といったものが取りまとめられておった時代と内容の御説明につきましては同程度になされているのではないかと考えておるわけでございます。
○山口哲夫君 終わってからどんな膨大な資料を出されたって、それは意味がないと思うんです。それで委員の中にも公開でいいじゃないかと言っている方もいらっしゃるわけです。 私は、やっぱり一番肝心な間違いというか、違っているところは、一番大事なのは一体だれですかと。それは主権者である国民でしょう、納税者でしょう。だから納税者が十分に議論に参加できるように、委員がいろいろと論議した経過というものは逐次報告をして、できれば公開するというのが私は大事だと思うんです。憲法に書かれている主権在民の精神というのがこの税制調査会の中ではひっくり返っているんですよ。だからそこを基本的に改めなさいと。外国はみんなやっておるじゃないですか。日本だって先進国なんだから、そういうことは当然考えるべきでしょう。 憲法四十周年の今日に当たって、どうですか、一つくらい、わかりました、じゃ公開しましょう、主権在民ですと言ったらどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は先ほども申し上げましたが、国会において御審議をいただくわけでございますから、これがいわゆる主権在民の一番本当の場であろうと思います。その前段階における行政府のいわば起案の段階で、正直を申しまして減税というものは非常に国民に受け入れられやすいものでございますけれども、増税とか新税とかいうことになれば、本来、本当の意味においてはともかく、普通の意味においてはなかなか歓迎されるものではございません。 そういう意味で、しかし全体的な見地から大局的にいろいろ発言をし、考えてもらうということになりますと、いわばだれが賛成、だれが反対というようなことが一つ一つわかりますようでは、いわば言いにくいことが言えなくなるといったようなことは人間の社会でございますからあることでございまして、答申あるいは中間報告は、これはいろいろな意味でいたしますけれども、お一人お一人がどう言われたというようなことはやはり非公開である方が私はよろしいのではないかと思います。
○山口哲夫君 そんな方を委員に私はされない方がいいと思いますよ。自分の意見を堂々と述べるんですから、むしろそういう考え方を持っている人はおやめになっていただいて、本当に公開の中でやりましょうという賛否両論の立場の方たくさんいらっしゃるんですから、ぜひひとつ考え直してください、これは。 それでは次に、人種差別、人権問題に入ります。 まず、アイヌの問題ですけれども、三月の二十七日、我が党の五十嵐広三衆議院議員が国際人権規約B規約に基づく第二回人権報告書の少数民族の記述に関する質問主意書を提出いたしております。それに対して中曽根総理から四月の十四日に答弁が出されておりますけれども、国連提出の時期は昨年の十月末だというふうに思いますけれども、まだ出されていない。このおくれた理由を示してください。
○政府委員(中平立君) お答えいたします。 委員御指摘のように、この報告書の提出時期は実は昨年の十月末であったわけでございます。しかしながら、国連事務局からの連絡によりますと、各国から出されておりまする報告書を検討いたしますいわゆるB規約人権委員会というものがございますが、この人権委員会の審議が滞っておるようでございまして、既に提出済みの諸外国からの報告書を検討し終わるまでにはまだかなりの時間が必要である、こういうふうに連絡してきておる次第でございます。 したがいまして、我が政府といたしましては、最も新しい事態を踏まえた報告書を作成することが最も有意義であろうか、このように考えておりまして、国連事務局と相談しながら提出する時期を検討しておるわけでございます。
○山口哲夫君 この報告書の審議をする人権専門委員会は八月に行われるというふうに私どもは聞いておるんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(中平立君) お答えいたします。 先ほど申しましたB規約人権委員会と申しますのは、通例は年三回開かれておりまして、私どもの承知しておる範囲では、次回は本年七月に行われる予定でございます。
○山口哲夫君 本年。
○政府委員(中平立君) はい。
○山口哲夫君 それなら六月末までにはもう既に原案が全部できていなきゃならないんじゃないんですか。
○政府委員(中平立君) 御指摘はごもっともでございますが、先ほど申し上げましたように、現在七カ国の報告書がたまっておりまして、それから順番に検討しなきゃならないと、こういう状況でございます。したがいまして、国連事務局からの連絡によりますと、現在、仮に今、きょう、またあす出しましたとしましても来年の委員会にかかるのではないか、こういうふうな情報でございます。
○山口哲夫君 十月末が期限だったわけでしょう。たまたまおくれて七月になっています。そうしたら七月までに出すのが当たり前じゃないですか。先の方にまだあるから、それじゃ一番最後に入れてくださいと言っているんですか。
○政府委員(中平立君) B規約人権委員会が昭和五十六年でございますか、五十六年に決議案を通しまして、五十六年以前に第一回の報告を提出した国につきましては、第一回報告の検討後五年ごとに報告提出時期として決定しておるわけでございまして、したがいまして五十六年十月から計算いたしまして五年後の昨年十月というのが御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほど来申し上げましたように、各国からのそういう報告書がずっと累積しておりまして、日本が提出したものを先に検討してほしいということは言えないわけでございまして、やはり七カ国の報告書がたまっておる関係上、その後になるということでございます。
○山口哲夫君 日本が早く出していれば早く審議されたと思うんですよ。 それで、もし出した後に状態が変わった、国会で論議してそういう方針がおかしいといった場合にはどうするんですか。追加報告するんでしょうか。
○政府委員(中平立君) 先ほど申し上げましたように、政府といたしましては最も新しい状況を踏まえた報告書を作成したい、こう考えておるわけでございまして、この七カ国の報告書がたまっておる状況を踏まえながら、できるだけ早急に作成して出したい、こういうふうに考えてまいっております。
○山口哲夫君 ちょっと総理にもお聞きしますので目を覚ましてください。 要するに、私は外務省は困っているんだと思うんですよ、結論を出せなくて。それで、総理が私の昨年の予算委員会の質問にこういうふうに答えているんです。今政府内部において専門家で研究してもらっているんだ、こう言っているんですね。私どもは政府がどういう方針を出すのか非常に重大な関心を持っているわけです。もしこれが、一たん出した後、これはおかしいということでその方針が変わるということになると、また追加して国連に出さなきゃならない。そんなぶざまなことはできないと思うんですね。そういう点では、この審議経過というものは私どもは極めて重視しております。 ところで、この私に答えた、政府内部において専門家で研究しているというんですけれども、どこで研究しているんですか、政府部内というのは。それで専門家というのはどういう方々なんですか。
○政府委員(中平立君) お答えいたします。 この報告書の作成に当たりましては、御指摘のように、政府部内の専門家の意見を聴取しながら現在報告書の作成に当たっておるわけでございまして、かつ、昨年総理が言われましたように、政府部外の専門家の意見も聴取しながら現在報告書の作成に当たっておるわけでございます。
○山口哲夫君 どんな人ですか。担当はどこですか。
○政府委員(中平立君) この問題に関しましては、従来からお答えいたしておりますように、関係省庁が多数ございますが、具体的な名前は差し控えさしていただきたいと思います。
○山口哲夫君 どうして言えないんですか。どこで担当して、どういう省庁が入っているんですかと聞いているんです。そんなことはわかるでしょう。
○政府委員(中平立君) 昨年もお答えいたしましたと思いますが、アイヌ問題の福祉に関する関係省庁の連絡会というのがございます。これは外務省は入っておりませんが、ここで基本的に今検討しているわけでございますけれども、この報告書の作成は、外務省が現在は中心となってやっておるわけでございまして、十省庁ぐらいございますけれども、その十省庁がすべての会合に出ているとは言えないわけでございます。
○山口哲夫君 その担当はどこですか。
○政府委員(中平立君) 先ほど申し上げました連絡協議会の幹事は北海道開発庁でございます。
○山口哲夫君 専門家はどういう人ですか。
○政府委員(中平立君) 外部の専門家ですか、内部の専門家でございますか。
○山口哲夫君 両方です。
○政府委員(中平立君) 内部の専門家は、関係省庁の方がおられますので一々名前を覚えておりませんが、外部の専門家は、若干の学者の方に意見をお伺いしました。しかしながら、学者の方は、その方々の立場もございますので、自分たちの名前を言わないでくれというふうに要請されておりますので、名前を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○山口哲夫君 そんな秘密主義でどうして論議できるんですか。後から大問題になりますよ、これ、そんな経過を踏んで出されたら。そのときに直すんですか。はっきりさせてくださいよ、それ。だめですよ、そんな。秘密主義じゃないですよ、そんなものは。
○政府委員(中平立君) 秘密主義をとっているわけではございませんが、やはり事柄の性質上、諸先生方の意見を十分聴取するために、現在の段階ではまだ申し上げられる段階ではないと、こういうふうに判断しておる次第でございます。
○山口哲夫君 それはだめですわ、全然。そんな秘密主義の問題じゃないでしょう。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。 本問題に関する取り扱いは理事会において協議いたします。
○山口哲夫君 それでは関係する各省の名前だけでも出してください。
○政府委員(中平立君) お答えいたします。 北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議の構成員でございますが、総理府、北海道開発庁、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、労働省、建設省、自治省、以上でございます。
○山口哲夫君 その連絡の窓口は北海道開発庁、そういうことですね。
○政府委員(中平立君) そのように理解しております。
○山口哲夫君 そうしますと、今後一切アイヌ問題全体の審議機関は、この窓口はすべて北海道開発庁というふうに理解していいんですか。
○政府委員(大串国弘君) 先ほどからウタリ問題で紛糾しておりますけれども、北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議、これは昭和四十九年の五月に政府部内に設けられております。これは、北海道が計画的に進めておりますウタリの福祉対策、これを国としても円滑に進める必要があるということで設けられた連絡会議でございます。 この中では、ウタリの生活水準の向上、それから道民との格差の是正等を目的としておりまして、教育、文化の振興、生活環境整備、それから産業の振興等、そういうふうないわゆる福祉対策にかかわる問題を協議して目的を達成しようということで連絡会議を設置しているところでございます。そういう意味で、人権問題についての協議を打ち合わせる、そういう仕組みにはなっていないと我々は理解しております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○政府委員(中平立君) 先ほど申し上げました十省庁は、私が申し上げましたように北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議というものでございまして、先ほど来委員が御指摘になっております人権問題につきましては、窓口省庁というのは決まっておりません。たまたまB規約に基づく報告書を外務省が作成しなければならないという観点から、外務省がとりあえずその報告書作成という観点から関係省庁に、その全部ではございませんけれども、一部集まっていただいて討議している、こういうことでございます。
○山口哲夫君 こんな重大な問題、もう半年たっているんですよ、昨年私が質問してから。窓口も決まってないということはどういうことですか。だめですよ。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○国務大臣(後藤田正晴君) 山口さんの御質疑を段々聞いておりまして、政府の対応についてこのままではいけないと、私も率直にそう思います。したがいまして、御意見等も踏まえながら、政府として今後これにどの役所を人権問題については中心にするか、あるいはウタリ対策自身を進めておるのは、たしか私の記憶では北海道の知事を中心じゃなかったかなという記憶もあるんですけれども、いずれにせよそういう点をはっきりさせまして、もう御質疑以来相当な月日がたっておりますから、結論を出させていただきたいと思っておりますので、それまで御猶予を願いたい、こう思います。
○山口哲夫君 それじゃ参考までに聞いておきますけれども、今まで半年間にこの審議会は何回開きましたか。
○政府委員(中平立君) 関係各省の連絡会議は二、三回開きましたし、それから外部の専門家の意見も数回にわたって聴取しております。
○山口哲夫君 総理、お聞きになってよくおわかりになったと思うんです。こういう状態なんですよ、これだけ重大な問題が。とにかくしっかりして、早く窓口を決めて急いでもらいたい、こう思います。 最後に、五十嵐広三議員の質問主意書によりますと、民族自決権の保護についても質問をしております。それに対する答弁書として総理は、自決権の完全な実現に努力をする、こう言っておりま す。それで、アイヌのすべての問題について本格的な審議をするために、まずアイヌの代表を中心にした審議会をつくるべきだ、こういうふうに思いますけれども、所見をお伺いします。
○政府委員(味村治君) 恐れ入りますが、私にとっては突然の御質問でございまして、ただいま御指摘の答弁書を用意しておりませんので、御勘弁願いたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの答弁書は、関係各省とも相談をしまして、内閣を中心に練り上げたものでございますが、詳細については今手元にございませんので、よく検討いたしまして、また改めて私の考えを申し述べる、そういうふうにさしていただきたいと思います。
○山口哲夫君 強く要望しておきますけれども、民族自決権ということが一番大事な問題なんです。ですから、当事者であるアイヌの人を中心にした審議会をつくらなければなりません。これはもう十二年前の齋藤厚生大臣が、審議会をつくることについて今私が言ったと同じようなことについて努力すると言って、もう十二年たってやってないんですから、ぜひひとつやってください。これだけは強く要望をしておきます。 それでは、次にアパルトヘイト問題について質問をいたします。 総理、四月の二十日に来日された南アフリカの黒人解放運動組織、アフリカ民族会議タンボ議長と会談をいたしまして、アパルトヘイト政策を六月のベネチア・サミットの議題に取り上げ、経済制裁などを協議する、こういう意向を表明されましたけれども、このアパルトヘイトに対する所見をお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) タンボ議長との話は、私が積極的に取り上げるという意味で申し上げたのではないので、これは経済制裁をもっと各国強化すべきである、日本もその点においては同調してほしい、そういう話がありましたので、これは各国が協調してやらないというと成果は上がらない。そういう意味においてはベネチア・サミットにおいてそういう議論が出る可能性は十分ある。そういう場合には皆さんとよく相談をいたしましょう、日本としてはアパルトヘイトの問題については最も大きな関心を持ち、また最も厳格な態度を持しておる国の一つであり、今後もそういう考えで進むつもりである、そういうことを申し上げたところです。
○山口哲夫君 それでは、経済制裁をやる以上は当然日本の財界に対してもそういうことは総理の方からお話ししている、そういうふうに考えていいですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本は南アとは外交関係を持っていない珍しいぐらいの国であります。総領事館を置いておるだけであります。それから諸般の政策におきましても非常に厳しい措置をとっておりまして、そういう意味におきましては先進各国の中で一番きつい態度をとっている国の一つであると考えておりますし、それは私は正しいことであると考えておるんです。 ただ、経済制裁その他の問題になりますと、これは国際的な広がりを持つ問題でございます。日本自体でとっているところはあります、いろんな部分につきまして。しかし、ほかの国ともそういう問題については話し合う必要もありますから、そういう点で、ベネチア・サミットでそういう話が出てくる場合には自分も積極的に参加して発言もしたいし、また、そのアパルトヘイト反対の趣旨に沿うように私は言動をしてまいりたい、そう考えております。
○山口哲夫君 確認しますけれども、経済制裁は当然やるべきだというそういう姿勢だ、こういうことですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 経済制裁という言葉がどういうふうに定義づけられるかという問題にもよりますけれども、各国は各国なりにやっており、日本も日本なりにやっております。そういう意味におきまして、各国が主権の範囲内においてやっておるということで、日本もその範囲内において経済的措置をやっておる。それは外国から見れば制裁ととられるものもあるでしょう。我々としては厳格な態度をとってまいりたいと考えております。
○山口哲夫君 日本もやっているというお話ですけれども、実は南アフリカのアパルトヘイト反対運動指導者のブーサック師が来日いたしまして、朝日新聞との会見の中でこういうふうに言っているのですね。あなたはなぜ日本に来られたんですかということに対しまして、「どうしても訴えたいことがあった。経済制裁強化を求めて欧米を回っているとき、各国財界が必ず持ち出す口実があった。「制裁に踏み切っても、それで生じた経済空間にいつも日本が入り込んでくる。だから制裁を強められない」」とヨーロッパの人たちは言っているというのです。これじゃ何にも制裁なんということはできないのじゃないですか、日本の財界がそういうことをやっているのでは。どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いや、外国がやっているのをすきに乗じて日本が得をしているというようなことは絶対ありません。
○山口哲夫君 それじゃ、今後そういうことのないように十分ひとつ日本の企業関係に対しましても強力に指導性を発揮してもらいたいということを要望しておきます。 次に、国内における外資企業の倒産と雇用対策についてお伺いいたします。 まず、労働大臣にお伺いしますけれども、最近アメリカの一流企業と言われるUSラインズ社が倒産をいたしまして、日本人従業員の解雇予告手当、退職金も全く払わないで、何か責任者は夜逃げ同様に本国に帰っだということが報道されております。その全貌をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) 今お述べになりました当該会社でございますが、これは米国の海運会社でございまして、その日本支社の代表者は、本年三月二十六日に労働組合に対し、日本支社を閉鎖し従業員は全員解雇すること、解雇予告手当及び退職金は支払わないことを通告し本国に帰国、これが一応概要でございまして、未払いとなっておる退職金等の額は、労働組合の計算によりますると、解雇予告手当約四千五百万円、これは百二人分でございます。解雇予告手当が四千五百万円、退職金が約十一億四千五百万円、これが百五人分でございます。 ユナイテッド・ステーツ・ラインズ社が労働基準法に定める解雇予告手当、また退職金の支払いを行わないまま国外に退去をしてしまっておることは極めて遺憾でございます。現在日本国内にはユナイテッド・ステーツ・ラインズ社の責任者はだれもおりません。直接行政的な措置を講ずることはできない状態でございますので、外務省と協議し、米国政府に対しユナイテッド・ステーツ・ラインズ社が労働組合と誠意を持って話し合い、解決するよう援助を要請いたしております。労働組合は、退職金等の労働債権確保のだめに会社の日本国内の資産の差し押さえを求める訴えを起こしておりまして、こうした民事的な手続によってできるだけ労働債権の確保が図られますことを期待いたしております。 以上が概略でございます。
○山口哲夫君 私は、外務省と運輸省、それから通産省、労働省、それぞれにお願いをいたして、それぞれ動いていただいているんじゃないかなと思うのですけれども、特に外務省あたりはいかがですか。
○政府委員(池田廸彦君) お答え申し上げます。 外務省としましては、二つの行動をとっております。 第一は、四月二十八日、我が方の在米大使館あてに訓令を発出いたしまして、次の内容を米側に申し入れろと指示いたしました。本件米側関係者が我が国の法制、慣行に照らし誠意ある取り組みを行うよう、米国政府としても側面からの援助をしてくれるよう期待したい、こういう訓令を発出いたしました。回答はまだ参っておりませんけれども、近日中には受け取れるものと期待しており ます。 第二の行動としましては、五月一日、在京のアメリカ大使館の関係者に対しまして背景その他を説明の上やはり同趣旨の申し入れをいたしました。私どもの受けた心証でございますが、心証といたしましては、在京アメリカ大使館の関係者は我が方の考え方に理解を示し、自分たちとしても本国政府にしかるべく側面援助方、意見を述べてみたいというように申しておりました。ただし、これはあくまでも私どもの得た心証でございます。 以上でございます。
○山口哲夫君 責任者は帰国してどのぐらいたつんですか。そしてまた来ないんですか。
○政府委員(平賀俊行君) 日本支社の責任者がアメリカに帰国したのは三月の末か四月早々というふうに聞いております。その後日本に来たという話は聞いておりません。
○山口哲夫君 要請しているんですか。
○政府委員(平賀俊行君) それは、先ほど外務省から答弁がありましたように、日本のアメリカ駐在の大使館及び在京のアメリカ大使館の関係者を通じて援助方を要請しているところでございます。
○山口哲夫君 従業員に対する支払い総額、さっき十一億ちょっとと言っておりましたけれども、ちょっと少ないんじゃないかと思いますけれども、その確認と、それから関連業界。随分影響しているんですね、トラック業界、倉庫業界。これは通産省どうですか、どのくらいの影響が出ていますか。
○政府委員(岩崎八男君) 私どもがその顧問弁護士であった人から聴取したところによりますと、今御指摘の倉庫あるいはトラック業者等、約十億強というような債権残があるということのようでございます。
○山口哲夫君 それは労働の方ですか。
○政府委員(岩崎八男君) 違います。
○山口哲夫君 通産の方ですか。
○政府委員(岩崎八男君) そうです。
○山口哲夫君 もっと大きな損害額が出ているというふうに私どもは聞いておりますけれども、総理、お聞きになっておわかりだと思うんですけれども、USラインズというのはこれはもう大企業ですね。世界をまたにかけて事業をやっていらっしゃる会社です。それが夜逃げ同様に帰って、幾ら催促しても責任者が日本に来ないんですよ。そうして日本の従業員が大変な苦しみを持っているわけですね。そして関連産業まで大変な影響が出ているわけです。私はこんなことが許されては絶対ならないと思うんです。こういうことをよくひとつ注視していただきたいと思うんですけれども、こういう事例はほかにもあるんでしょうか。
○政府委員(平賀俊行君) 退職金その他を残して責任者が帰ってしまったと、こういう事例は聞いておりません。
○山口哲夫君 二度とこのような事件が起こらないように政府として何らかの対策を講じてほしい、強く私は要望しておきたいと思います。これは、日本でも外国で随分企業を営んでいるところが多いと思います。こんなことが起きますとこれはもう国家の信用が失墜すると思いますので、そういうことのないように日本から外国に進出している企業に対しましても十分ひとつ注意を喚起していただきたい、こんなふうに思います。 最後に、地域経済の中で、特に円高不況、構造不況に対する地域経済対策、雇用対策の概要を通産省と労働省からちょっとお聞かせください。
○国務大臣(平井卓志君) 労働省の対策といたしましては、総合的に三十万人雇用開発のプログラムの実施、推進ということでやっております。特に地域問題に関しましては、地域雇用開発等促進法案が成立いたしましたので、四月一日の施行に合わせまして対策を講じる必要がある地域として、雇用開発促進地域、また特定雇用開発促進地域、さらには緊急雇用安定地域、この指定地区は市町村に直しまして千六百六十二市町村、全国の約三分の一でございますが指定をいたしております。 この内容でございますけれども、新たに創設されました地域雇用開発助成金の活用、そして雇用の開発を促進する。いま一つは、職業能力開発の促進、失業の予防など雇用の安定の確保。他の通産その他の政策もございますし、密接な連携をとって、地域の実情に応じて総合的に対策を推進してまいりたいと考えております。
○政府委員(加藤昭六君) 通産省の対策でございます。 昨年十二月、特定地域中小企業対策臨時措置法が施行されました。これに基づきまして中小企業の活路開拓、企業誘致の促進などの支援措置を講じております。また、本年の四月でございますが、産業構造転換円滑化臨時措置法が施行されました。これに基づきまして特定地域の地域活性化プロジェクトなどの支援措置を講じているところでございます。
○山口哲夫君 地域雇用開発助成金制度、約六億円、この中には第三セクターの事業所の設置についても入っているのですか。
○国務大臣(平井卓志君) 第三セクターも助成の対象といたしております。同時に、第三セクターも含め、安定所の紹介により多数の求職者を雇い入れる場合、地域の雇用開発に特に資すると認められる事業主に対して特に手厚く助成してまいりたいと考えております。
○山口哲夫君 できれば金額も教えていただきたいんですけれども、こういう第三セクターをつくる場合に当然出資金が自治体として必要になるわけですね。そういう出資金についてはどう考えていらっしゃるか。それから自治省としてはこの点についてどうなのか、この点ちょっとお答えください。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 第三セクターの労働省側の助成といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたように、第三セクターができましてそこで雇用増を図った場合に賃金助成その他の助成を行っていくということでございまして、特に出資金についての助成を考えているわけではございません。
○政府委員(矢野浩一郎君) 地域雇用開発等促進法に基づきまして地域雇用開発助成金という措置が行われるわけでございますが、この中に地方公共団体が出資する第三セクターも含まれておることは先ほど労働大臣からのお答えのとおりでございます。第三セクターを設立するかどうかということは、当然地方公共団体がそれぞれの地域の雇用事情にかんがみて行うことになろうかと思います。 この第三セクターに地方団体が出資する場合の財源のあり方でございますが、これは出資の目的なり事業運営の見通しなり、あるいは地方団体の財政事情等を踏まえ個別に判断すべきものと考えますが、必要に応じ地方債措置によって財源の手当てを行うということもあり得ると考えております。
○山口哲夫君 出資金に対する手当てはどうなっておりますか。
○政府委員(矢野浩一郎君) 出資に対する財源措置としての地方債の活用もあり得るということでございます。
○山口哲夫君 幾ら。
○政府委員(矢野浩一郎君) これは、それぞれの地方公共団体がそういう第三セクターをつくるかどうかということをそれぞれ判断し、それによって地方団体が政策の決定をして、その上で第三セクターに対する出資について、もしこれを地方債によって措置してほしいというお話があるかどうか、これによって判断をしていくということでございます。
○山口哲夫君 今自治体はこの円高不況でもって崩壊寸前なわけですね。それから構造不況で石炭産業なんかを抱えている自治体は本当に大変な事態が生じているわけですね。そういうところでやっぱり自治省として根本的に、そこに住んでいる人たちが本当に安心して暮らせるような政策というものはもっと自治省が私は真剣に考えるべきだ と思うんですね。 自治省ではほとんど予算を組んでいないでしょう、こういうものは。第三セクターをつくったら出資金に対して融資するというのですよ。こんな借金して第三セクターをつくったってどうなりますか。これはもう第三セクターは真剣に自治体でやってください。自治省としては全面的に協力して、出資金についてはある程度金を出しましょうというくらいのことを考えなかったら崩壊寸前の自治体はどうなるんですか。そういう点もっと真剣に、労働省だ通産省だなんて言わないで、完全に自治省がもっと自治体を守るんだというそういう全面的な姿勢を示してほしいと私は思うんですよ。そういう政策についてどうでしょう。
○国務大臣(葉梨信行君) 先生のおっしゃる御趣旨はよくわかりますが、同時に、自治体自体の財政の健全性というものを守りながら、しかもそういう事業目的を実現するということが大事であろうと思うわけでございまして、お聞きになりましてやや慎重に過ぎるという感じを持たれるかもしれませんけれども、決して慎重一方ではございません。
○山口哲夫君 第三セクターの出資金一つ組んでいないんですよ。金が必要だったら言ってください、金ぐらい貸しましょうと言っているんです。こんなことで自治体なんか守れるものではない、私はそう思います。 とにかく自治体が今崩壊寸前にあるというのに、そういう自治体を真剣に救っていこう、守っていこう、町づくりや村おこしをひとつ全面的に政府としてバックアップしようじゃないか、そういう姿勢がどうしてもこれは受けとめられないんです、私は。そういう点で、労働省や通産省に任せるのでなくして、もっと自治省が、今地方自治が施行されて四十年なんですからいい機会じゃないですか。どうかひとつ自治大臣、真剣になって、総理にもお願いしておきたいと思いますけれども、自治体に対する財政援助をもう少し温かくやっていただくことを強く要望して、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で山口哲夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、広中和歌子君の質疑を行います。広中君。
○広中和歌子君 公明党・国民会議の広中和歌子でございます。 きょうは予算委員会での処女質問でございます。しかし、この処女は大変に年を食っておりまして、長年日本の政治、また社会のあり方についてさまざまな素朴な疑問を持っておりましたので、それを一政治家としてよりもむしろ消費者、一市民の立場から発言させていただければと思っております。そして、私のこうした質問がこれまで政治の中に反映されることの少なかった一般消費者、つまりサイレントマジョリティーの声なき声をできるだけ反映するものであることを私は謙虚に願っている次第でございます。 まず、総理に、このたびの御訪米大変に御苦労さまでございました。日米の経済摩擦が政治問題と化している中でさぞお気を使われたことと存じます。総理のアメリカにおける人気は絶大であり、過去五年の長きにわたって総理として日米関係改善に尽くされた努力に心から敬意を表するものでございます。 しかしながら、日米関係は一夜にして成ったものではなく、明治維新以来さまざまな分野のさまざまな人々の友情、交流の積み重ねの上に築かれたことは言うまでもございません。政治、経済のみならず、芸術、学問、スポーツ、そして市民レベルの交流の厚みを思いますときに、最近の貿易戦争といった言葉で表現される経済摩擦が両国の関係にゆがみを生むことは実に残念なことと言わなければなりません。 その直接の原因は、当然ながら日本の経常収支の大幅な黒字であり、アメリカ、ECなどが抱える対日貿易赤字でございます。日本側としては、一生懸命働き、よい物を安くつくった結果売れるのだから仕方がないという言い分も当然ありましょう。諸外国も日本並みの努力を払うべきだと主張することもできます。現実にはアメリカは大幅な貿易並びに財政の双子の赤字を抱え、それらを解決できぬフラストレーションから、アメリカ国内では日本に焦点を当てた保護主義がはやり、有力な一下院議員の言葉をかりれば、ワシントンでは今や胸を張って自分は保護主義者だと言える雰囲気がある、アメリカの産業を保護し、アメリカ国民の声を保護する、そういう大義名分を政治家は振りかざすことができる、そのように申しております。 さて、こうした雰囲気の中でこれからの円の動向はどうなるのか、総理にお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) おっしゃいますように、日米間には経済問題がございますけれども、それよりももっと深い、広い、大きな紐帯が両国にあるわけでございまして、これは政治、経済、文化、科学技術、すべてを通ずるもっと深い友好親善の紐帯があります。今般の私とアメリカ大統領との会談におきましても、あるいはそれを象徴するように、正式晩さん会の両方のあいさつの中におきましても、この伝統的な長い国民間の友情と強い紐帯が目前の経済的現象によって傷つけられてはならない、これはお互いに戒めていこうではないかという趣旨の内容が偶然にも盛られておりました。私は、この点は非常に大事な点であると考えておるところでございます。 しかし、最近におきましては、アメリカ自体におきましても問題はアメリカ側にもあるという意識がだんだん出てまいりました。私が会いました有力なアメリカの元通商代表をやった方、民主党系の方ですが、この方でも、やはりアメリカには六、七〇%ぐらいは責任があるんだ、自分は個人的にはそう考えていると。したがって、アメリカ自体が競争力ということを言い出しまして、そして人を責めるだけではなくして自分の方ももっと積極的に努力しなければならぬという意識が出てまいりました。 今ちょっと保護主義者であるというお話がございましたが、近ごろは保護主義者という名前は人気がなくなってまいりまして、むしろ公正貿易主義者である。プロテクショニストという言葉はだんだん選挙民から嫌がられてきているようです。ということは、物価高につながる、そういう反発が出てきておるようです。そのかわり公正貿易であって、アメリカは世界じゅうから何でも輸入できるようにしてある。しかし、ほかはアメリカから輸入する場合に障壁を設けている、こんなアンフェアな態度はないじゃないかと。その一つに日本というものが実は登場してきておるので、そのアンフェアと言われる言葉は私は身を切られるようにつらいのであります。日本人はやはり品位を重んずる国民であり、名誉を重んずる国民でありますから、アンフェアと言われるような言葉は消したい、そう思って今までも努力してまいりましたが、今後も一つ一つ点検しまして努力していきたい。 アメリカにおきましては、世論操作のいろんな方法を考えてみますと、象徴的なものを一つとらえて、そしてわあっとアメリカ全土にわかるようないろんなメディアでそれが知られる。そうすると、そのこと一つによって全部がそのような現象だという錯覚を与える。例えば半導体の問題が摘出されるというと、ほかのものも全部ああいうふうになっているんだろう、そういう印象を与える。そういう意味において一つ一つの問題を丹念に解決していく、そういう努力が必要であるし、そういうことが起こりそうになったら先につぶしてしまう、そういう問題を起こさせない、そういうような配慮が政治的にも必要である、そういうことをこの際申し上げたいと思います。
○広中和歌子君 しかしながら、アメリカ人の日本への感想というものは、日本はこれまでツーリトル・ツーレート、余りにも小出しに、そして余りにも反応が遅かったではないか、そういういら立ちがあるわけでございますけれども、そうした中で貿易黒字というのはどんどん日本の場合累積 されております。一部には円が百二十円またはそれ以下と、そういう説もあるわけでございますけれども、そういうことはあり得ないのでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近アメリカ内部におきましても、有識者の間では、これ以上のドルの暴落はアメリカ経済自体のためにもよくないし、また貿易の不均衡是正のためにも役立たない、そういう意識が非常に強くなってまいりまして、ですから、私と大統領の異例のコミュニケの中におきまして、いわゆるドル防衛と申しますか、これ以上の低落を阻止する強い決意を二人で表明した、そういう結果で、きょうは多分百四十円ぐらいになっているだろうと思います。
○広中和歌子君 もしそれが事実で百四十円台でとまれば大変結構だと思いますけれども、例えば百二十円を割ったらどうするか、そういったような経済政策、長期にわたる見通し、対策、そういうものをお持ちでいらっしゃいますでしょうか、大蔵大臣お願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在の水準でありましても日本経済にとりましては非常に対応が難しいというのは事実でございますから、やはりお互いの政策協調をやっていき、また必要があれば協調介入をするということで安定化を図ってまいらなければならないと思います。どの水準が適当であるかというようなことを政府が申しますことは余り好ましいことではないと思いますので申し上げませんが、現在の水準ですら非常に日本経済にとっては対応が難しいと思います。
○広中和歌子君 黒字削減の具体的なタイムテーブルというものはお持ちでございましょうか。そういうことなしに円がこれ以上上がらないという保証はあり得るのでしょうか。もちろんトップレベルでの友情とかさまざまな配慮、そういうものもあると思いますけれども、このまま黒字がふえ続けましたときに、政治的な対応ではどうにもならないような、国民感情に火をつけるところまでいきかねない、そのような心配もあるわけでございます。一たん国民感情に火がつきますと、例えばアメリカの側では反日運動がございますでしょうし、当然日本側といたしましても反米感情、そうしたときにそれの収拾というのは非常に大変なものでございます。いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるプラザ合意がございましたのが一昨年の九月二十日過ぎでございますから、ここでほぼ二十カ月たっておるわけでございます。そういたしますと、Jカーブ等というようなことを申しましても、当時二百四十二円であったドルが現在百四十円がらみになっておるわけでございますから、これだけドルの競争力がふえてなおそれがアメリカの貿易収支にいつまでも反映しないということは考えがたいことであります。そのゆえに大統領も中曽根総理大臣との共同声明でアメリカの競争力ということを言われ、あるいは財政赤字の削減ということを言われたのでありますから、そういう意味での努力というものは必ずある段階で出てまいりませんと、百円も通貨が自分にとって安くなりましてなおそれが貿易収支に何もあらわれてこないということは、私は考えにくいことであるというふうに思っております。
○広中和歌子君 ただ、アメリカ人の場合、私はアメリカをよく知っているわけではございませんけれども、しかし、例えばアメリカ人が具体的と言ったような場合には、ゲップハートの条項のように、例えばことしはどのくらい黒字を減らすといったような具体的な数字ではなかろうかと思いますけれども、そういったものはないんでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは御存じのように、財政赤字について、グラム・ラドマン・ホリングス法は一定の比率でもって財政赤字を減らすという発想でございますけれども、自分の国の問題ですらなかなかそれはうまくいかない、その意図は社といたしますけれども、のでございますから、対外貿易の赤字、黒字を毎年一〇%ずつ削ろうといったようなことは、それは現実の政策としては大変に、人ごとではございますけれども、難しい政策であって、そういうことを現実にどのようにしてやるのか、好ましくないと思っていることはもちろんでございますけれども、実現性について私はかなり疑いを持っております。 恐らく、これは恐らくでございますが、そのままのことであれば大統領としてもそれは現実の法律にすることについてちゅうちょをされるのではないかと思いますが、一つの何と申しますか相手国に対する意思表示と申しますか、そういうことであればともかく、現実にそのことを計画的に、つまり二国間の貿易関係を、赤字、黒字を律していくということはそう簡単なことではなかろうと思います。
○広中和歌子君 そういう中で、いわゆる投機筋などの活躍もございましょうし、本当に難しい事態だろうと思いますけれども、私どもとしては本当に危機感を持っているわけでございます。ただいま総理もおっしゃいましたように、アメリカでは、アメリカ自身が何をするべきかということを意識し始めている。例えば政府の包括貿易法案など、私二月に伺ったときに聞いたわけでございますけれども、つまりアメリカはアメリカ自身、これは包括法案には書いてございませんでしたけれども、増税をし消費を抑え、そして日本人のように勤勉に働き、しかも教育レベルを上げていく、そのような形で国際競争力を高めていくということを彼らは知っていても、今大蔵大臣がおっしゃいましたように、なかなか実現しない。 一方、日本の場合でございますけれども、日本も何をするべきかということを前川リポートとかいろいろ書かれております。しかし、日本がそれをしなければまた危機的な状況になるということで、非常に私は心配しているわけでございますけれども、新前川リポートとか自民党政調会のいろいろなものを読みましても、三つの方向、つまり市場開放、内需拡大、海外援助、このことを言っていらっしゃいます。しかしながら、今までもそうでありましたように、具体論になるとできない理由というものが非常にたくさんあってなかなか実現できないという部分があるのではないかと思います。小出しにし過ぎるということがあったのではないかと思いますけれども、それで、市場開放について私としては具体的な質問をさせていただきたいと思います。 ここには通産大臣はいらっしゃいませんので、どなたかお願いいたします。 この前アメリカに行きましたときにいろいろ物価を調べてまいりましたのですけれども、カメラとか自動車、それがなぜアメリカの方が安いのか、あるいは割安なのか、それについてお教えいただきたいんでございますけれども。 もっと具体的に説明申し上げますと、カメラに関しましては約三割から五割高になっております、日本の方がでございます。この値段は、例えばこういうところに載りますのは大抵アメリカのディスカウントストアでございますので、私もヨドバシカメラのような日本のディスカウントストアで調べたわけでございます。それでも三割から五割方日本の方が高いという事実がございます。それからアメリカの自動車でございますが、アメリカにおける日本車の値段でございます。大体日本の中級車で一万四千ドルぐらいで売られております。一ドル百五十円と換算いたしましても約二百十万でございますので、日本での同じような型、中型車の値段とほとんど違わないのではないかと思います。日本での値段、それは百五十万から約二百五十万の間でございます。一方、アメリカでアメリカ車を買いますと同じような、例えば一万四千ドルの車、これが日本に入ってまいりますと三百九十八万円になるわけでございます。 ということで、日本の車はアメリカに輸出された結果としてもそれほど値段が上がっていないのに、なぜアメリカ車は日本に入ってくると二倍半またはそれ以上に値段が上がってくるのか。この三百九十八万円という値段は、並行輸入が奨励され、また円高差益が還元された後の値段でございます。ですから、かつてはもうちょっと高かっ た。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず前段の問題だけ私からお答えを申し上げますけれども、前川リポートとの関連でございますけれども、今振り返ってみますと、一九八〇年の我が国の貿易黒字は六十億ドルでございます。しかし、わずか五年たちました八五年には六百億ドルになった、十倍になっております。この間にいろいろ問題があったということが大体振り返ってみて明らかだと思いますが、その間に、一つの問題は、ドルが非常に高うございます。一九八〇年のドルの平均は二百十七円でございます。そして、いわゆるこれがドルが不当に高い時代、プラザ合意に向かって直しますけれども、非常にドルが高くて円の輸出がしやすかった時代でございます。 また同時に、一九八〇年の石油の値段は三十四ドルでございますから、我々としては何とかしてこの石油を買えるだけの輸出をしなければならないという国民的な合意がございました。そういう合意に乗って日本の経済が過度にこの間に輸出依存体質になったというふうに思われますので、前川リポートの言っておりますことは、この過度の依存体質を直していこうということで、まさしくそれは今から振り返りますと、これに戻るというのではございませんけれども、ともかく対米輸出が四割もあるということは、低いときには二八%ぐらいまでいっておったわけでございますから、ここにやっぱり問題があって、それは日本の経済構造をいわばノーマルなものに変えていくといいますか、そういうことが求められているのではないかと思います。 それから今の品物の問題につきましては、通産省の政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(末木凰太郎君) まず、輸入消費財の価格につきまして、円高になる前に先生御指摘のような問題意識から内外の価格の調査をしたことがございます。そのときの調査によりますと、押しなべて全般的にすべて日本の国内価格が高いというふうな結果ではない調査結果が出ておりますが、その後円高が非常に急激に進んだものですから、従来の内外の価格、日本とアメリカのような内外価格を前提にしまして、それをそのまま相手国の価格に換算いたしますと、円に換算した場合アメリカの価格水準は非常に下がった数字が出てまいりますし、逆にドルに換算した日本の価格は高く映ってくるわけでございます。そして、現実の価格はそういうふうに換算した価格になかなか追いついていないという面はございます。しかし一方、輸入品についての価格の追跡調査を昨年来四回ほどやっておりますが、この調査によりますと、だんだんに円高差益の還元も進んでおります。 それかう日本製品が輸出先でどうなっているかにつきましても、これも全般的に申しますと、個々の品目を離れまして言えますことは、一般的に、まず第一に、もう少し円安の時代に輸出契約をしたもの、つまり海外のバイヤーからすれば有利な条件で買いつけたものがまだ自市場にあるということ、それから先ほど申しましたように価格改定が一挙には行われていないこと、あるいは物品税の取り扱いの違い等で差が出る面もございますが、そういった点もあるにしても、一部の商品につきましては外国の安売り店等で我が国よりも安く売られている例があるということも事実でございます。 いずれにしましても、通産省といたしましては、円高差益の還元については今後とも努力を続けてまいる所存でございます。
○広中和歌子君 輸出で安く出しまして、そして日本の消費者がそのために損をしている、そのような事実はございませんでしょうか。
○政府委員(末木凰太郎君) 二つに分けまして、安く出しているということがどの程度安いかということの問題かと思いますけれども、世界じゅうのすべてのマーケットで全く同じで売られるということは恐らくないんだろうと思いますが、いずれにしても日本の消費者の負担において外国で不当に安くするというようなことはあってはならないことでございます。私どもとしては、そういう意味ではそういうようなことのないように日ごろからウォッチをしているところでございます。
○広中和歌子君 私、二十年ぐらい前でしたか、ヨーロッパで車を買いまして、三カ月ぐらいドラィブをいたしまして、ドイツの車でしたけれども、そのまま私どもと一緒に船に乗ってニューヨークの港に着きまして、そしてそのままアメリカ国内をドライブできた。そのように非常に簡素化されております。 ところが、同様なことが日本にできないわけでございます。さまざまな関税、重量税もございますし、そのほか、非常に時間もかかり、そしてさまざまな改定をしなければならないわけですけれども、自動車王国でありましたアメリカにおきまして、自動車というのは安全に走ればいいということなのでございますけれども、日本では日本の一つの型にはまらなければ輸入は許さない。そういうことで非常に時間がかかるということがあるのではないかと思いますけれども、このことについていかがでございましょうか。
○政府委員(畠山襄君) 確かに御指摘のとおり、我が国の場合、自動車を外国から持ち帰るのが持ち帰りにくいという実態がございます。ただ、一番大きな理由として言われておりますのは公害の規制でございます。これが御案内のとおり日本の環境基準の方が今やアメリカよりも厳しくなっておりまして、そのためにそこのところをつくりかえなくちゃいけないということがございます。 それから値段の問題は、恐らくそれを超えて日本の方が高くなってしまうということがあると思いますが、それは物品税の問題、ここに向こうの売上税との差があるとか、そういう問題がございますのと、それからやっぱり、何と申しましょうか、ロットが、これは鶏と卵の関係でございますけれども、日本の場合はロットがまとまらないものですから、その総括経費みたいなのが一台一台に割り掛けていくと高くなってしまう、アメリカにはうんと売れるからそういうことは安くなっていくというような問題もあろうかと思います。
○広中和歌子君 日本側としてはそれぞれ理由があると思うのでございますけれども、通産省のこれまでの、入るのは難しくし出るのはやさしくするといったような政策は、やはりこれから変わっていくのでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、田村通産大臣がちょうど留守でございますので、私の存じておりますことをかわって申し上げるつもりでございますけれども、やはり我が国はこういうことになりますと、何といってもいわば輸出過多であり、しかも製品を初めとする輸入についての市場開放が十分でないということを何度も何度も言われまして、中曽根内閣になりましてから随分それはアクションプログラム等で努力をいたしました。それは私は数年前の日本と今の日本と随分大勢としては違ってまいっておると思いますけれども、それがまた世界各国に十分理解されておらない点もございます。 ジェトロというのはもともと、名前のように輸出振興のために設けられたものでございましたけれども、今はいかにして輸入を振興するかということに大きな力を注いでおりますことで象徴的にわかりますように、我が国としてはさらに門戸を開いて、各般の輸入についてできるだけ輸入がしやすいような状況をつくり出す。輸出を人為的に抑制するということはむしろ縮小経済になるのでございましょうから、それよりは輸入を多く受け入れていくということ、これはいわば内閣の方針と申しますか、国の方針としてそういうふうに努めておるつもりでございます。
○広中和歌子君 一つの案といたしまして、例えば空港に免税店がございますけれども、そこで外国製品を免税で売るとか、あるいは大阪の堺とか長崎の出島でもどこでもいいんですけれども、フリーポートみたいなものをお設けになるような案はいかがでございましょうか。経済企画庁長官にお伺いいたします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘のような 考え方は、私ども、民間の方々にお集まりいただいていろいろ議論をするときに出てまいっておりますので、考えなければならない問題の一つであると思いますけれども、いろいろ技術的な問題もございますので、関係の各省とも御相談をしていかなければならない。アイデアとしてはいろんな方々からそういうお話を承っております。
○広中和歌子君 先ほど総理は、日本人として、アンフェアだと言われるということは本当に恥ずべきことだ、そのようにおっしゃいましたけれども、私も同感でございます。アメリカにとりまして自動車というのは、日本の米に、農産物に当たるものではなかろうかと思います。しかしながら、日本の車はかつて十数年前、サンフランシスコの坂をよう上がり切らなかった時代から自由に入れてもらっていたわけでございます。 それで、農産物の自由化についてお伺いしたいわけでございますが、農林大臣がおいでになりませんので総理にお伺いいたします。ある上院議員は、日本の閉鎖性のシンボルとして農産物をとらえているわけでございますけれども、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) 農林大臣不在でございますので、代理大臣で失礼でございますが、実はこれはもう何遍も加藤大臣から言っておりますように、農は国のもと、しかも農業は国民生活にとって基礎的なものでございますし、また同時に食糧の供給という重大な責任を持っておること、同時に農業は自然の環境を保全するという重要な役割を持っておる。したがって、そういうことを勘案いたしますと、これはまさに政治の基本につながる問題でございます。とはいえ、やはりできるだけ自由化の枠を広げ、そしてでき得るものは輸入をしていって、豊富でおいしいもので安いものを供給するというこの姿勢は基本方針として持っておりますけれども、しかし完全に自由化をしていく体制というものは我が国の政治全体の基本問題にも触れてくるものでございますので、アメリカが言っておるほどはそう進まないといいますけれども、しかしその努力というものはアメリカも非常に私は評価はしてきておる。しかし、アメリカとしてはいらいらしておって、これをやはり絶えず日本にぶつけてきておる、そういう状況に現在あるのではないかと思っております。
○広中和歌子君 私は、アメリカのプレッシャーがあるから農産物を自由化しているということではございませんで、少し消費者の立場、また農民の立場からもお考えいただいたらどうかと思います。 まず消費者の立場でございますけれども、日本人は非常に高いものを食べております。アメリカの例えば食糧の値段を一〇〇といたしますと、日本では二五二でございます。 それからもう一つ、農民の立場と申しましたけれども、日本人としての創意工夫、適応力、そういうものを過小評価されていらっしゃるのではないか。私も、水路その他自然に与える農業というものは非常に大切だと思いますし、特に水田は我々の心の原点みたいなものがございます。しかしながら、今のような減反政策、そうしたもので保護していくということ、それは結局は、農業の健全な発展それから農民に夢と希望を与える、そういったことにはならないのではないか、そのような気がいたしますけれども、御意見をお伺いいたします。
○政府委員(眞木秀郎君) 今後の農政の指針とも言うべき農政審議会報告が昨年十一月に行われたわけでございますけれども、この中で、国土条件等の制約のもとで、可能な限り消費者の方々に納得をしていただける価格で安定的に供給を図るために生産性の向上を図っていくことが必要であるという提言が行われたわけでございます。政府といたしましても、この報告を踏まえまして、我が国農業の構造改善と生産性の向上を図るために真剣に政策努力を行っているところでございます。 また、農産物貿易問題、特に自由化の問題でございますけれども、これにつきましてはガットのニューラウンド、ウルグアイ・ラウンドにおきまして、各国の持つ輸入制限的な制度、アメリカのウエーバーとかECの輸入課徴金等がございます。こういうものを含めまして、日本の輸入割り当て制度ももちろんその一つでございますけれども、より効果的なルールづくりを目指しての交渉が既に開始されたわけでございます。 我が国といたしましては、今申し上げましたこの報告を踏まえまして、またニューラウンドにおきます新しいルールづくりに積極的に参加いたしまして、そういう状況を踏まえながら、我が国農業の健全な発展との調和を図ることを基本に、国内においても一生懸命頑張ってまいりたい、このように考えております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質問を許します。鶴岡洋君。
○鶴岡洋君 総理大臣にお伺いします。 今お話しあったように、急激に農業問題それから農産物市場開放、この問題が国際的、世界的に大きな課題になってきているわけでございます。先日総理が訪米されたときも当然アメリカから市場開放の強い要望があったと聞いておりますし、これからの国際会議、十二日からパリで行われるOECDの閣僚会議にも当然出るでしょうし、それからまた総理が行かれるベネチア・サミット、これにも農業問題は必ず出てくると思いますし、さらにガットの新ラウンド、こういうところで話題になることは当然だと思います。 先日は米国のリン農務長官、それからヤイター代表が来られまして、その訪日のときにも加藤農林水産大臣と会談をして、牛肉、オレンジ等の問題、完全自由化、さらに米の一部開放、こういう要求もあったわけでございます。この点については、加藤農林大臣、きょうおられませんけれども、その会談で最後まで突っ張っておりました。最後に二国間で話し合いはどうだということでございましたけれども、それも困難であるということで、いわゆる米国と日本との間では対立状態が鮮明になったような格好になっております。 米については農林大臣が、米というものは日本のいわゆる主食である基幹作物である、また国会で完全自給のいわゆる決議もした、それから米は国家貿易品目である、三十三年のときに日本がガットに報告をした、そのことはアメリカも承知しておる、こういうことを言って突っぱねておるわけでございますけれども、その突っぱねるのは私はしてもらいたいと思いますけれども、今いろいろな世界的な情勢から考えて、そのままで突っ張り切れるのかどうなのか、こういうふうにも考えます。 今、広中委員からお話あったように、消費者の立場からすれば、安くていいもので、そして量があるもの、こういうことになるわけでございます。これからの多国間の話し合いの中で日本がそれを説明し、実情を納得し切れるかどうか、私は非常に難しい場面に来ているんじゃないか、こういうふうに思います。 〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 もちろん、私は一遍に完全な自由化とかそういうことは考えてはおりませんけれども、この残存輸入制限品目の中の関係品目について関係を持つ地域の経済に及ぼす影響も配慮しながら、その地域の振興計画、こういうことも配慮して、自由化による悪影響の解消、当然これを図りつつ、思い切って自由化のための段階的なスケジュールを明示すべきときが私は来たのじゃないか、こういうふうに思うのでございますけれども、総理の所見をお伺いしたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農業問題は今度のベネチア・サミットの大きなアイテムの一つになるだろうと思います。現にファンファー二・イタリー首相が来まして、土曜日に会談いたしました。彼は今度のベネチア・サミットの議長国で、そのために真っ先に日本へ相談に来たわけであります。言うには、ヨーロッパにおいては今やワインの湖、それからバターやチーズの山、こういうものができてきて、もうお金がかかって困っておると。アメリカも、レーガン政権においても輸出補助金等で約二百五十億ドル――二百五十億ドル といいますと、日本の防衛費三兆五千億円ぐらいの費用を農業補助に使っておる。それで競争し合っている。しかも農産物は過剰になりつつあると。しかし、一部の最貧国で困っている国もある。こういう矛盾をやはり良識で解決していくべき大事な段階に来た。そういう意味でベネチア・サミットというものが大事なんだと。 確かにこれはもうウルグアイ・ラウンドであのガットの相談をしましたときから農業をどうするかということは課題であり、今農林大臣や通産大臣が行っているOECDにおきましても、この問題をどうしてベネチア・サミットにつないでいくかという下相談を実はしておる。そういうわけで、実は農業問題というものは非常に大きな問題になってきました。日本は幸か不幸か輸入国であって、輸出国ではない。輸出補助金なんか出しておりません。我々の方の農業政策は、大体において緑の保全とか、あるいは農業の持っておる地域性や文化性や、そういう大事な精神的要素を非常に重要視しておるわけです。そういう面もOECDにおいても理解力はあるんです、これはどの国でも農村というものは大事だとわかっておりますから。しかし、といって、余りにもこれはひど過ぎるじゃないかということなんです。 日本の国内の状況を見ますと、やはり日本は日本なりにも行き過ぎた面があるんじゃないかと。それが最近いろんな雑誌や新聞で批判されてきている面である。そういう面から農政審議会の答申が去年の秋出まして、そういうものにこたえるべく漸進的に改革をしていく、一言で言えば国際価格との間を狭めていこう、それを段階的に進めていこうと。そして補助金というものは向上心を曇らせる原因になる、これはもう世界じゅうのそういう決まり文句みたいになってきております。そういうような緑もやはり農政審の基本精神には入ってきているように思います。そういう意味において、あの農政審の答申を農協の団体と一緒になって農林省が共同でこれを前進させよう、そういうことで話が一致しまして、その努力を始めている。その手始めに、減反という問題も今までは政府が主になってやっていましたが、これは農民の問題なので自分でやるべきである、同僚たちで話し合って推進すべきである、そういうところに切りかわってまいっております。そういうふうに一歩ずつ前進さしてまいりたいと思うのであります。
○鶴岡洋君 それでは、時間がございませんのであと一点だけお伺いします。 貿易摩擦の問題にはいろいろ要因がございますけれども、内外格差、価格に格差が出る。それはなぜ出るのか。これはいろいろありますけれども、詰めていくと、やはり国際競争力が私は足りない、こういうところになる。じゃ、それはどうするか。規模拡大をする。規模拡大をするためには合理化する、省力化する、さらに生産性の技術の向上、経営規模の拡大と、こういうふうになっておりますけれども、この数字で見ますと、昭和三十六年の基本法ができたときに稲作面積の平均が〇・八ヘクタール。それが、先日農水省の方からいただきましたけれども、六十年現在で現状平均が〇・八七ヘクタールとわずか〇・〇七ヘクタールしかふえていない。十アール当たりの労働時間が五十四年のときに七十時間。それを農政審で、六十五年には大体三十時間ぐらいに見込まれると。それから五十四年の現状平均でトン当たり生産費は二十二万円。これも十一万円ぐらいにしたい、こういう見込みをしていたわけですけれども、現実には全然そこまでいってない。ということになると、規模拡大、規模拡大と言われて今日までもう非常に長い年月がたっております。 なぜその規模拡大ができなかったのか、その理由と、これからそれではどうするのか、この二点だけお伺いいたします。
○政府委員(鴻巣健治君) 平均的に見ますと、今お尋ねのように、一口一当たりの経営面積は二十年前で〇・九ヘクタール、六十年でも一へクタールと、ほとんど零細なままであります。それはやはり農地を農家が資産として考えている。御先祖様のものを手放すのは御先祖様に大変申しわけないとか、少なくとも自分の食べ物ぐらいは自分でつくれとか、それから今の農業技術はかなり高くなっておりますので、相当な経営規模までも土曜か日曜日の簡単な労働時間で稲作ができるというような、いろんなことが重なっている制度とは思います。ただ、そうばかりは言っておられませんで、最近土地を借りたり規模を拡大したりという形でぼつぼつすぐれた経営が出てまいりまして、私たちそれを地域農業の担い手でありますいわゆる中核農家と呼んでおりますが、その中核農家というのは稲作単一経営で見まして大体三・五ヘクタール。ですから、普通の一ヘクタールに切れば約三倍半ぐらいです。これが大体私ども統計で見ますと、約三十二万戸成立していると思っています。 そこで、今農用地利用増進法を中心に流動化政策を進めておりますが、これからも地域ぐるみでやはり農地の貸し借りをする、あるいは作業の受委託をする、やっぱり兼業が進む、それから老齢化が進む、中にはだんだん農業から足を洗いたいという者も出てまいりますので、そういう人の土地をできるだけ中核農家といいますか、地域農業の担い手に集めていくということを、地域の話し合いの中でやっていくということをしたいと考えております。現にそういう農地の貸し借りをやっております団体への農家の参加戸数も全農家戸数の三六%の百五十七万戸、それから面積で言いますとやはり全農用地面積の三七%の百九十八万ヘクタールが農用地利用改善のための話し合いの団体に参加をいたしておりますので、これからもそういう地域農業の組織化を鋭意進めてまいりたいと思っております。
○広中和歌子君 外国人と話しますとよく言われるんですけれども、日本には消費者の声はあるのかなんて言われます。消費者の立場に立っていろいろ見ますと、不便なことがいろいろございます。例えば銀行なんかですと、入るは歓迎、出るのは渋い顔みたいなところがございまして、例えば短期金利はほとんど〇・二%か三%、ほとんど利子がつかなくて、定期になるとつく。つまり定期にするようにという作戦だろうと思います、貯蓄奨励策ではなかろうかと思います。企業の場合には短期の金利は自由化されているようでございますけれども、アメリカの場合は大分前から自由化されておりまして、短期と長期、つまり定期と普通預金との金利差というのはせいぜい〇・五%ぐらいしかなかった、そういうふうに記憶しているわけでございますけれども、この部分で日本も変わるのでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の場合、金利の自由化というのは確かにこの三年ぐらい前まで非常におくれておりまして、殊にこれは日米間でいろいろ問題になりまして、ここ急速に自由化を進めておるわけでございますけれども、我が国の金融機関のでき方が御承知のように非常に複雑でございまして、向こうで申せばセービングズ・アンド・ローン・アソシエーションみたいなものが我が国の場合でございますと信用組合、信用金庫、しかし我が国の場合にはこれはもう絶対に金融機関というものは倒れない、また倒してはならぬというふうな信用もあり、制度として持っておりますので、そういう人、機関がつまり経営をしていかなければならない。資金コストがどうしても高いわけでございますけれども、そういうところを立たせていかなければならない。アメリカのようにつぶしてしまっていいということでございませんから、そこでそこのところへどうしても金利の船足の遅い方へ合わせなきゃならないという難しい問題がございまして、今まで何となくこの面がおくれておったと思います。 しかし、だんだんだんだんに金利の自由化というものを進めてまいりました。大口の方から進めてまいりまして、小口の方へそれをできるだけ早く波及させていきたいと思っておりますわけですが、今のような問題を片づけながら処理をしていかなければならないという、そういう要素が一つございます。
○広中和歌子君 企業内の調整、つまり弱い者を助けるという名目でそのような非常な気配りがなされるということは、私は大変に結構なことだと思いますけれども、ついでなら同じような気配りを例えば海外への輸出に関しましてもなさっていただければ、このような過度な貿易摩擦というのは避けられたのではないかと思うわけでございます。 ついでに消費者ローンの金利について伺いますけれども、これなどは公定歩合の引き下げに準じて下がっているのでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今カードローンがようやく一一になったところでございます。ここしばらくの間に一三・何がしから一一に下がりましたから、二ポイント下がったわけでございますが、それにしても一一という金利は我が国としては非常にやっぱり高い。それはカードローンというのが比較的経験が薄いものでございますから、何といいますか、貸す方にすると危険が多いと申すのでしょうか、あるいは危険の、リスクの取り方が多過ぎるのかもしれませんけれども、一一でございます。これはここのところは割に順調に下がってまいりました。ただ、それにしてもという感じはまだまだございます。
○広中和歌子君 そのほか、庶民の立場からもっと自由化していただきたいことがいろいろあります。例えばキャッシュカード、週末とか、それから夜も銀行を遅くあけていただきたいとか、つまり働く女性がふえ始めて、主婦が家庭にいるということが非常に少なくなっている時代でございます。時代に応じたサービスをもっと自由化していただきたいし、また大型店の出店規制とか営業時間の規制などについても、もっと消費を拡大するという意味で御配慮いただきたいんですが、御意見を伺います。経企庁長官お願いいたします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 大蔵大臣からお話ございましたように、消費者ローン金利は銀行協会も非常に協力をしてくれておりまして、まだまだ不十分でございますが、下げてもらっておるわけであります。 経済成長の大きな役割を果たしますのは国民の消費でございまして、GNPの六割が消費でございますから、これをどういうふうに大きく促進するかということが私は大事な政策課題であると思いますし、そういう意味で、消費者ローンや、また今与野党側協議いただいている減税の問題、税制全般の問題なんかも大変大きな役割を持ちますし、どうも今までの日本の経済運営というのは、どっちかというと物の不足時代からサプライサイドで物をつくることにいろんな政策を考えてまいったわけでありますけれども、その結果が見事に成功して、その結果が大幅な輸出の拡大、そして黒字、こうなっておるわけでありますので、そうした日本の経済力をまさに日本の消費者、奥様方の生活の向上にどういうふうにUターンさせるか、振り向けるか、それこそが私ども政治が取り組まなければならない大きなこれからの課題であると、かように考えていろいろ検討しておる次第でございます。
○広中和歌子君 それでは郵政大臣にお伺いいたします。 ともかく自由化の波が少しずつ日本にも入ってきているということは大変に評価いたしますわけですが、電気通信サービスにおきましても昭和六十年四月から自由化になり、企業向けのサービスが始まりまして料金も下がった、二割から三割下がったというふうに伺っております。 私は、アメリカで電話なんかをあちらでは自由化しておりまして、サービスも非常に多様でございますし、料金も多様であったことを記憶しているわけでございます、これは個人向けでございますが。ことしの秋個人へのサービスも自由化されると伺いましたが、個人の場合でも企業同様多彩なサービスと、それから料金も安くなる、そういうことを期待してよろしいのでございましょうか。政府の基本方針をお伺いいたします。
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 電気通信の民営化の成果というお尋ねでございますが、まずNTTを民営化いたしました。事業部制をとりましたり、企業意識を徹底して合理化に努めまして、NTTは御承知のような成果を上げております。六十年度も三千億、六十一年度も三千億以上の利益も計上できるだろうと思っております。 そして国民へのサービスでございますが、昨年七月からは土曜日も割引料金を採用するようになりました。それから、ことしの四月からポケットベル、今までは音しかなかったんですが、今度はこれに数字が出るようになった。秋にはさらに文字が出るように今一生懸命研究をいたしております。さらに自動車電話、それから同じようなものですが、ショルダーホンでございますが、これも四月に小型軽量のものを出しまして、いずれは先生のハンドバックに、御主人様のポケットに入るような携帯用の電話を今開発中でございます。そういう意味で、電気通信改革の目的でございましたできるだけよいサービスを安く提供するという今までの企図は着々と今実現しつつございますが、さらにこの改革の目的が実現されますように今後とも環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
○広中和歌子君 長距離電話なんでございますけれども、非常に料金が安くなることが望まれるわけでございます。つまり非常に核家族化しておりまして、例えば両親が田舎にいて子供の世代が都会にいるというようなこともございます。それから単身赴任といった個人的な理由もございますし、それから企業の分散化、地方分散化といった意味におきましても長距離電話というのが非常に安くなることが望まれるわけでございますけれども、そういうことについてのサービスの競争というものも自由にやっていく方針でございますか。
○国務大臣(唐沢俊二郎君) NTT以外の新規参入の方も、第一種通信事業者としてもう十社以上、第二種は三百社以上参入をいたしております。それで、第一種通信事業者はもう昨年夏から秋にかけて企業化をいたしまして、既に専用線サービスは先生おっしゃるように開始をいたしておりまして、秋には電話サービスも開始するという予定でございます。毎度申し上げておりますように、電気通信改革はできるだけ安い料金でということをモットーにいたしておりますので、そういう方向で進めさせていただきたいと考えております。
○広中和歌子君 大いに期待しております。 それで、今度内需拡大について具体的にお伺いさせていただきます。 内需拡大の大きな柱として挙げられておりますことの一つに住宅建設があるわけでございますが、いろいろ問題も多いようでございます。アメリカと比較して大変恐縮でございますけれども、戦後アメリカが最大の債権国でありましたときに住宅政策で非常に内需を喚起したということは既に御案内のとおりかと思います。つまり道路を整備し、そして広い敷地に一戸建ての住宅を建てる、それも二百平米といったような広いもので、それも年俸の二倍から二・五倍ぐらい、そして非常に安い金利でございました。そしてその中には電気製品などいっぱい買うわけでございますから、さまざまな分野での波及効果があったわけでございます。こういうものを称してアメリカンドリームの一つと言ったわけでございますけれども、今債権国になった日本にとって、住宅に関して非常に貧しいと言われる日本でございますが、庶民は同じような夢を持てるのでございましょうか、経済企画庁長官にお伺いいたします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに現在の日本というのは、あり余る生産力の結果が輸出に回り、そして大幅な黒字になっておるわけでございますから、単純に言って現在対外債権が二千億ドルあるということは三十兆円でございますので、日本のGNPの一割近いものをいわば債権という形で海外に持っているわけでございます。これを物にかえて日本に持って帰りますと、単純に計算いたしますと日本の国民の物質的な生活水準が一割上がるわけでございます。 しかし、それは持ってきても置く場所がない。 それが住宅で、まさに住宅をきちっとすれば内需拡大、いろんなものが買えるし置ける。こういうことだと思うわけでありますので、私どもは今総理から御指示を受けて内需拡大を中心としたまさに緊急経済対策を準備中でございますけれども、その大きな柱に何はともかく住宅を持ってまいりたい。こういうことでございまして、現在もいろいろ住宅金融公庫の融資の制度だとか、また借入金の、上限がございますけれども、一%税額控除ということをやっておりますけれども、この種の優遇措置をもっと本格的に拡大していく。そうすることで日本の経済力を、衣食は済んだからまさに住の改善向上に本気で使うように振り向ければ私は相当なことができる。いろいろ今検討中でございますので、国民の御期待に沿えるものを出したいと、かように考えている次第でございます。
○広中和歌子君 家を建てたい人、お金も使いたいと思っている人はあると思うのでございますけれども、余りにも土地が高くて、本当に土地に建設費の八割ぐらいとられてしまうというような状況があるわけでございます。土地問題は政策の問題であるという指摘があるわけでございますけれども、これについてどのようにお考えでございましょうか。どなたでもどうぞお願いいたします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私は山形の代議士でございますが、山形は土地が下がっているわけでございますので、住宅というか、日本人の生活環境を地方に持っていけば私は幾らでもまだまだ土地があると思うわけでありますけれども、いわゆる土地問題は大都会が問題だと思いますが、大都会につきましては、先般まとめていただきましたいわゆる経済審議会の経済構造調整特別部会の報告の中でも、いわゆる市街化農地の宅地並み課税をすることによって土地の供給をふやせ、ふやそう、こういう御指示もございますし、そういうことだとか、また土地の売買をいたしますとやはり相当大きな金で、売買ができないということでございますから、売買じゃなしに信託というものを利用して、そしてその利用権の移転をする、こういう形でやればそんなに大きな土地代金でなくて済むのではないか。 また、これはもうかねてから言われておりますが、容積率の見直したとか、高速道路の上にさらに住宅をつくるだとか、また地下を掘るだとか、いろんなことが言われておりますし、そういった問題を検討することによって、住宅と同じように日本の経済力、技術力を使えば私は土地の供給は決して不可能ではない、かように確信を持って今いろんな施策に取り組んでおる次第でございます。
○広中和歌子君 それが具体化することを期待しているわけでございますけれども、今最初に御指摘になりましたように住宅問題、土地問題というのは確かに地域格差があるわけでございます。 日本人の住宅取得率、持ち家比率というのは七割ぐらいでございますからかなり高いとか、それから広さも平均八十五・九二平方メートルということで、それは決して悪くないというような、特にヨーロッパ諸国に比べて悪くないというふうに言われますけれども、しかし三大都市圏に限りますと、東京都が持ち家率四三・七%、平均広さが六十七平方メートルでございます。三大都市圏、六千万人、日本人口の半分がいるわけでございます。特にこれは東京の問題かもしれませんけれども、非常な、異常なる土地の値上がりでありまして、住宅取得の可能性はないといっていいのではないか。例えば西戸山団地、あそこに家が売り出されましたときにすごい行列で、そして最高倍率は七百倍近くであったというふうに伺っております。 こういうような夢、都市の住宅を持たない、親から譲られていないそういう人たちは新しい社会的な弱者ではなかろうかなと思います。この社会的弱者というのは、決して低所得者でもなく、失業しているわけでもなく、非常に平均的な中堅サラリーマンであり、日本の経済を支え、きちんと税金を払っている人たちなのでございます。こういう人たちに、年棒の二倍とは言いませんけれども、せめて三倍、四倍ぐらいの住宅を供給できないというのは、これは本当に政府の責任ではなかろうかと思うのでございますけれども、中曽根総理いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 住宅問題は一番我々として胸を痛めておるところでございます。よく言われているのは、土地問題というものがこれに随伴しているのでなかなか打開しにくいということでございますけれども、やはり土地問題も解決していかなければいけない。そういう意味において、土地問題解決の要請はやはり供給をふやすということである。供給をふやすにはどういうことがいいか。そういう点について今いろいろ案が出ておりまして、それらについても我々は積極的に推進していきたいと考えております。 もう一つは、やはり質の向上という段階に入りまして、数は割合にもうそろってきておりますが、いかにも質が外国から比べると貧弱である。そういう意味において、質の向上という点についてこれから税制面やそのほかの面においても特段の考え方をしていかなければならないと思っております。 経企庁長官が先般来、お台所の改善をまずやろうじゃないかと。キッチンリフォームと称して、銀行その他と連携をして特別に安い金利でお台所の改善をやれるような連動を起こして今実践中でございますが、これも一つの部分的なアイデアでありますが、あらゆる知恵を集めまして前進させていきたいと思っております。
○広中和歌子君 先ほど経企庁長官がおっしゃいました農地の宅地並み課税ということについて、私の考え方を言わせていただいてよろしいでしょうか。 私は、むしろ緑地化とか公園化を推進するような方向で行った方がよろしいんではないか。例えば私が生まれ育ったこの東京を見ておりましても、比較的緑とか空間が多いのは山手線の中でございまして、外、特に環状八号線に至るまでというのは狭い道路に家が密集しており、中には、いわゆる高さ制限などを少し緩めますとペンシルビルみたいなマンションが建って非常に質が悪い。そして環境もよくないわけでございます。そういうところに仮にでも農地があるのであれば、緑の供給率というのは非常に少ないわけでございますので、むしろそれを、例えば樹木を植えることによって緑地化し、そして住民たちに憩いの場として提供するのであれば農地並み課税あるいは免税でもよろしいのではないか。そしてある一定の期間それを国に、地方自治体に貸し与えるのであれば造園費を払ってもいいし、もちろん賃貸料を払うとか、さまざまな工夫ができるのではないかと思いますけれども、この三大都市圏の農地の宅地並み課税、いろいろ言われておりますけれども、このことについてはぜひ慎重にお考えいただきたいと思うわけでございます。 それにつきましても、東京都心でございますね、大変にすばらしい住環境だろうと思います。それはまず第一に、先ほど申しましたように公園とか神社とかいろいろございまして、そういう緑もございますし、それから道路も広く、歩道がございます。私の生まれ育った祖師ケ谷大蔵などというところでは危なくて歩けないんです。昔の農道に車も通り人も通っている。ところが都心の道には歩道があり、ゆっくり散歩もできる。最高の住宅地でありますのに、今何が起こっているかというと、やたらにビルが建っております。そのうちに、今のところ昼間の人口は夜の人口に比べまして倍であるということでございますけれども、空洞化するような都市政策というもの、今放置したらそれが起こるのではないかと思うんですが、御意見をお伺いいたします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) まず、宅地並み課税の問題で緑地を残したらどうかという御意見でございますけれども、そのお考えには私ども基本的に賛成でございまして、そういうことで、例えば生産緑地とかそういう形で緑地を残すという基本的な話であればよろしいわけでございますけれども、率直に言って値上がり待ちの農業をしておら れるのが結構たくさんいらっしゃるのじゃないか、こういうことでございますので、私どもが承りましたこの経済構造調整特別部会の御報告の中には、原則として宅地並み課税をする。しかし、そういういろいろな条件で都市計画その他の中で生産緑地その他で残すというものについてはこれはそれなりの配慮をさせていただく、こういうことでございます。 都心部が、ビルが建って日中は大勢人が住むけれども夜は全く空洞化してしまう。この問題は諸外国においてもいろいろ考慮されておるようでございまして、だからむしろ職住接近という形で、下はオフィスにして上は住宅にしようという、こういうことで都市計画を進めているところもあるわけでございますので、これからの都心部の開発等につきましては、今後そういう昼間人口だけでなしに夜間人口をどういうふうに確保して都心部の空洞化を避けるかということも十分配慮していかなければならないし、そのことがある意味では住宅の都心部における供給にもなる、こういうことでございますので、いろいろ検討させていただきたいと思います。
○広中和歌子君 具体的に安く住宅地または住宅、ビルの中の住宅で結構でございますけれども、そういうものを提供できる、そういう政策はございますのでしょうか。今のままですと非常に高いから、小さくて単身者しか住めない、あるいは大金持ちしか住めない。そういうような大都会というのは、例えばサンフランシスコなんかは非常に単身者が多くて問題があるわけでございます。健全な都会というのは家族持ちが住めなければ魅力ある都市とは言えない。そしてまた、そういう家族がさまざまな文化施設を楽しめる、そういうようなことによってすばらしい都市というのは出てくるのではなかろうかと思いますけれども、その点についで。
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは先生、考え方が分かれるところでございまして、東京のようなところで家族で都心部に住むことができるかどうかということがございまして、最近いろいろ、銀行なんかでもツインハウス構想と称して、都心部は小さなアパートで、仕事をやって、そして家族は郊外に住んでいただいて、週休二日、週休三日になればむしろ郊外で快適な生活をしていただく、こういうことでございますので、このあたりはいろんな議論があってそれぞれ分かれるところだと思うんです。
○広中和歌子君 いや、だから、だれが田舎のネズミになりだれが都会のネズミになるかということだろうと思いますが、私は郊外に住んだことがあり、それなりに楽しんだわけでございますけれども、夫が都会に住み、私と子供が田舎に住むというのは余り健全な家庭の形とは思えないのでございますが。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、理想は、家族でございますから一緒に住むことだと思うのでありますけれども、ですから私は、一概に大都会、都市生活と申しますけれども、率直に言って東京は特殊事情であって、東京のこの過密状態を解決するためにはそれなりの考え方を持って対応しなければならないんじゃないか、こういうことだと私は現実論として考えておる次第であります。
○広中和歌子君 済みません、天野建設大臣のことをすっかり忘れておりました。どうも。
○政府委員(片山正夫君) 都心に住宅を適正に配置するということは、先生御指摘のように大変重要なことだと私ども考えております。しかしながら、いかんせん住宅費の中に占めます土地費の割合というのは大変大きくて、これは現実の問題、大きなネックであります。しかしながら、都心の住宅の立地を促進しまして職住近接を図っていくことは、引き続き政策としても推進していかなければいけない。これは自明のことであります。 そこで、私どもの方もできるだけそれを促進するために、まず一つは都心部におきます再開発を大いに促進していきたい。未利用のところ、あるいは低利用しているようなところ、そういうところを主体にしまして再開発を推進する。その場合、特に住宅のプロジェクトにつきましては、通常の再開発よりは国の助成の方を大きくしておりまして、おおむね倍ぐらいの補助金が入るような仕組みに一つなっております。 それからさらに、大きな工場跡地でありますとか、倉庫の跡地でありますとか、そういうところはひとつ総合的に住宅の再開発を推進していこう。この場合につきましては、住宅の立地のみならず、住宅に必要な商店を初め各種施設もあわせて整備いたしまして、さらに必要となります道路でありますとか公園でありますとか、あるいは場合によりましては橋も対象になりますけれども、そういうものも関連公共施設の整備の補助金をあわせてつぎ込みまして適正な住宅地をつくり、高層住宅をつくっていこう。 それからさらに、公的住宅団地も都心部にかなりこれはございます。公営住宅の大変古いものでありますとか、あるいは公団住宅の古いものが相当量ございます。そういうところにつきましては、既に公営住宅を中心にいたしまして建てかえ事業を推進しております。ちなみに、公営住宅の新規供給のうちの半分の住宅戸数は建てかえ団地に建てられているというぐらいに効率利用を図っております。さらに、これは公団住宅につきましても、六十一年度からですけれども取りかかりまして、既に二団地でありますけれども、大変居住者の皆様方の御理解を得ながら推進を図っております。こういうさまざまな手法を駆使しながら、大変都心の住宅立地というのは困難なことでありますけれども、推進してまいりたいと考えております。
○国務大臣(葉梨信行君) 少し前の御質問の中に、都市の農地とか緑地空間を維持して緑地をふやした方がいいではないか、こういう趣旨の御質問がございましたので、ちょっと私の方の関係で申し上げてみたいと思いますが、現行地方税法上、個人の所有地を無償で市町村等に貸し付けこれらの市町村が公園その他の公共の用に供する場合には固定資産税が非課税となる、こういう制度がございます。地方税法第三百四十八条第二項第一号でございます。ただ、無債で緑地空間を確保するという考え方は、先ほどの住宅をどうやってつくるかという一つの課題と、もう一つ緑地をふやしていかなければいけないという、都市には二つの課題があると思います。 〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 片方の課題にこういう税法上の特例があるということを申し上げておきますが、ただ土地の所有者が無償で長く貸してくれるかどうか、こういうことになってまいりますと、地方公共団体としては緑地をふやすということが望ましいけれども、それだけではふえないのではないか、こういうことで、どうしたらいいかということを実は事務当局といろいろ相談をしているわけでございます。ちょっと御報告申し上げます。
○広中和歌子君 現状、民有地でございましたらもうどんどん上がっておりまして、そしてそこに住宅なりビルなりを建てると、もっと安く提供しろと言ってもそれはできない相談ではなかろうかと思いまして、私もっと安い土地がないかと思って山手線に乗ったり、それから足で歩いてみたりしたわけでございますけれども、工夫によってはあるのではないかと思って御質問させていただきたいと思います。 私がまず見つけたのは、鉄道とか道路とかどぶ川、公園、そういったところの地上権、空中権ですか、それとまた地下権、それが使えるかどうか。パブリックスペース、こういうパブリックスペースが使えるかどうか。鉄道なんかは今民営でございますので、パブリックと言えるかどうかわかりませんけれども、こういうことが可能なのかどうかということでお伺いしたいのです。 まず、空中に、例えば道路の上に建てることに関して法制上の規制があるのでしょうか、法制局長官にお伺いいたします。
○政府委員(北村廣太郎君) 道路関係につきましては、ただいま道路占用という形で対象としておりますのは地下関係が中心でございまして、ただ いま例えば都市内の道路につきまして非常に地価が高騰いたしまして、環状二号線あたりは、例えば二、三十億で工事をできるようなわずか二キロの区間に五千億の用地費を要するというような点がございまして、ただいま道路審議会及び都市計画中央審議会道路部会におきまして、道路とそれから建物を両立させる、つまり道路の上を利用して建物を建てながら道路も通すというようなことを検討中でございます。
○広中和歌子君 大変にすばらしいことで、ぜひ推進していただきたいのでございますけれども、今度は鉄道の上はどうなんでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは委員がよく御承知のように、アメリカの場合空中権という概念がある程度確定し活用されておるということは私どもも聞いております。ただ日本の場合に、まず第一の問題点としては空中権というものが法的に確立をいたしておりません。同時に、道路の場合と異なりまして鉄道のレールの引いてありますいわゆる敷地、これはそれぞれの鉄道会社の所有にかかっておることでありますから、本来的にこの上空を含めた有効活用というものはそれぞれの企業としての経営判断の中にゆだねられるべきであると私どもは思います。ただ、例えばこれは建設大臣が随分前から提起をされまして、国土庁の調査費を活用し、私どももその調査に同意をいたしておりますのは、東京駅周辺というものに着目をし開発をする場合、その中に例えばレールの上が活用できるかどうかといったものがこれからのテーマとして出てくるものであります。 それともう一つ申し上げなければなりませんのは、鉄道の場合には、これは私どもは何を言いましてもまず安全輸送というものを重点に置かなければなりません。その場合、例えばアメリカのように比較的地震の、多い地域もありますけれども地震の少ない国と、日本のように非常に地震の多い、そしてその地震の心配というものを常にしなければならない国、こうした違いがやはりどうしても出てくるということは、殊に公共性の強い、私企業に経営のゆだねられている鉄道事業というものについて、考慮に入れていただきたいと思っております。
○広中和歌子君 この点に関しまして、法制局長官の御見解をお願いいたします。
○政府委員(味村治君) 空中権につきましては、民法に地上権の一種としての規定がございます。空中または地中におきまして、その部分を限りまして地上権、一種の他物権でございますね、所有権者と契約をいたしまして、それに基づきまして利用する権利というものを設定することはできることになっております。ただこれは現在のところ余り、殊に空中では利用されておる例は少ないというように聞いております。 なお、アメリカ等で空中権と申します場合には、そういったような地上権、空中地上権というほかに、いわゆる容積率というのがございまして、土地の一定の割合、これを掛けました建物を建てられるという場合に、その容積率いっぱいの建物を建てることは所有者として必要がないのだけれども、しかしその容積率いっぱいまでほかの人と一緒に利用する、こういう形態のものも空中権と称されているようでございます。
○広中和歌子君 橋本運輸大臣もおっしゃいました点を踏まえ、そして法制の点におきましても前向きに考えていただくことが非常に望まれるわけでございます。と申しますのは、地価の高騰というのはやはり供給をふやさなければ抑えられないというふうに思います。庶民が都心またはその周辺に住宅を取得する可能性というのはもうこれは非常に少ないのではないか。(図を示す) これは山手線を仮定いたしまして、これは民営でございますからこんなことを勝手にしていいかどうかわからないのですけれども、ちょっと話しましたら私の友人の漫画家の徳広さんという方がかいてくださいまして、大変に夢があるのではないかと私は思っているのですけれども、これが宮城らしくて、これが何でしたか、ともかく国会はここにないんですね、どこかへ行っちゃって。 それは冗談といたしまして、ともかく何か我々に夢のあるプランというのでしょうか町づくり、東京で始まれば大阪でも始まりますし、あらゆるところで、既に始まっているところがあったら失礼でございますけれども、本当に立体的に多様に土地利用というものを考えていただければと思うわけでございます。 それからもう一つの可能性として、今既にお話がございましたけれども、国公有地が結構ございまして、住宅公団、例えば青山周辺に非常に広いところがあるので、しかも坪にしたら何千万円という土地に非常にゆったりと公営の住宅が建っております。三ヘクタールはあるのではないかと思います。そのほか公務員住宅にいたしましても二百ヘクタール、それから都営に関しましては十四万戸ぐらい二十二区の中にございまして、広過ぎて全部でどのくらいあるかはかり切れない、そのようなことでございました。 そういうようなことで、使いようによっては、本当にその気になってやればできることがいろいろあるわけでございまして、内需拡大の要請がある中で、ぜひぜひできないとおっしゃらずにやっていただきたい。非常に知恵のある方が集まっていらっしゃるわけでございますし、それにテクノロジーの点におきましても今はさまざまなトンネル、橋がかかる時代でございます。できないという言葉は、私は素人でございますので私の辞書の中にはないのでございますけれども、どうぞ皆様方も発想を転換されまして、できないとまず決めてかからずにお取り組みいただきたいとお願いする次第でございます。 それから、そういうようなことを考えますときにしみじみ思いますのは公共性と私権ということでございます。 公共事業の土地代というのが非常に高くついているわけでございます。例えば京都市の学校予算の二割が土地取得費になっておりますし、一つの学校を建設いたしますのに九割までが土地取得戦争に費やされると言っております。つまり京都の学校の場合ですと土地が七割ぐらい、建物が三割でございます。千葉の場合でも四割から五割が土地にとられてしまう。これはもう本当に情けない状況だと私は思うのでございますけれども、私権の制限ということについて、中曽根総理、どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは自由主義経済や日本の憲法の現状から考えましてなかなか難しい問題です。公共の利益というものをどの程度優先さすべきかという問題で、これは一般的にはなかなか言い得ないで、ケース・バイ・ケースで、そのケースについてどちらが重いかという判定をして行うべきである。しかし、東京のような過密地帯において土地やその他が極めて不足しているというような場合には、これに対してある程度我慢してもらうというのも、公共性が優先されるという考え方からそういうふうな考え方も生まれてくるんでしょう。しかしこれは抽象的に言える問題ではないのであって、やはり具体的な問題を一つ一つとらえながら解決していくべきではないかと思います。
○広中和歌子君 ついでと言っては恐縮ですけれども、文部大臣の御見解を。それに関する教育ですね。
○国務大臣(塩川正十郎君) 小学校の道徳におきまして福祉とそれから私権の関係ということを言っております。これは基本的人権というものが現在の憲法を貫く基本精神でございますが、しかし基本的人権というものがいかに公共の福祉と融和していくかということを小学校で教えておりまして、中学校、高等学校等におきましても、教科書に具体的に、例えば権利と義務、それから自由と責任というような形において、ただ単に基本的人権のみではなく、公共性と協調性の相まった上において基本的人権が保障されていくのだという、そういうことを中、高等学校において具体的に教科書によって教えておるというところでございます。
○広中和歌子君 どうもありがとうございます。 では労働時間の短縮についてお伺いさせていただきますけれども、週休二日制の実施、これはどの程度進む予定なんでございましょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 国家公務員の週休二日制につきましては、現在四週六休を試行しておりますが、従来国家公務員の開庁日と申しますか、国家公務員が事務をとっている日というものはこれはもう長年にわたって、長い間にわたって国民に定着しているということでございますから、まずこれを大きく変更するためには国民の理解を求めなければならぬということで、その方もまた進めていくということでございますが、あわせてまた現在は、予算の範囲内における事務、予算の範囲内とそれから予算定員の範囲内でやるわけでございますから、やはり事務処理方法について見直しも行わなければなりません。四週六休を当面試行いたしまして、週休二日制の、民間が相当行っておりますからそれらを参考にしながら、あるいはまた関係官庁、例えば人事院等ともはかりながらさらに進めてまいりたいと思っております。 結論から申し上げると、やっぱりこれはやらなければならぬ、事務能率もそのことによってむしろ上がる面もありますし、また労働時間の短縮という面から見ますと国際協調という面からもやらなければならぬという結論に立って、その方向に向かって今進めておる、このように御理解をいただきたいと思います。
○広中和歌子君 労働大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(平井卓志君) ただいま総務庁長官からもお答えございましたように、週休二日制と申しましょうか、全体的にとらえますと労働時間の短縮ということに相なりまするが、この必要性につきましてはもう当委員会でたびたびやりとりがございましたし、基本的に一日も早くこの問題を処理しなければならぬと考えております。 ただ、実態に即して考えました場合、過去十年間なかなかこの実態が進んでおらない。したがって、これも既に御案内のように、今国会に四十時間労働制を段階的にやっていこうという基準法の改正をお願いいたしておるところでございまして、当面の労働問題につきましての重要な政策課題の一つでございます。
○広中和歌子君 学校の週休二日制について文部大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) 基本的考えといたしましてこれはいずれ実現すべきだと思っておりますが、現在のところ教員の定数の問題がございますし、そしてまた土曜日をたとえ休ますといたしましても児童の指導というものをどうするかという具体的な問題が出てきておりません。したがいまして、教員の面につきましては教員養成審議会におきまして検討していただくこととし、そしてまた一方、休みました日の児童の管理等につきましては各教育委員会と文部省との間で今協議を進めておるというところでございまして、そういう下地ができましてだんだんとこれを実現していきたい。しかし現在は、先ほど総務庁長官のお話がございましたように、国家公務員の一つの一環として週休二日制の試行に入っていったというところでございます。
○広中和歌子君 私は、親も子供も一緒に休めるような週休二日、休めるような社会を希望しておりますが、もう時間がございませんので急ぎまして、国有林を民間に開放するということについてお伺いいたします。 まず国有林の特別会計の実態についてお話しいただければありがたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 六十一年度決算がまだ出ておりませんが、六十年度決算で申し上げますと、長期借入金が一兆三千三百五十億ほどになっておりまして、累積欠損というものも六千数百億という段階になっております。
○広中和歌子君 ゴルフ場なんでございますけれども、これは若者だけではなくて老人もできるスポーツということで私も最近始めたいと思っているわけでございますけれども、大変に高くてやりにくい。そういうようなことで、ぜひ地域社会への貢献、発展というのでしょうか、そういう見地からもぜひこの国有林を、非常にたくさんあるわけでございますので利用し、地域発展のために、そしてまた余暇社会になった高年齢層を含む多くのスポーツ愛好者のためにもお考えいただきたいと願って、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で広中和歌子君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、稲村稔夫君の質疑を行います。稲村君。
○稲村稔夫君 私はきょうは内需拡大問題を中心に総理を初め関係大臣の御意見が伺いたいと思っておりますが、本題に入ります前に、それとも関係がございますのでぜひ伺っておきたいということがございます。 それは、グアムの前知事の汚職事件に日本の企業が関与していたという報道があるわけでありますけれども、この事件につきましては政府の方ではどの程度の掌握をしておられるのでありましょうか。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。 グアムのボルダリオ前知事は一九八六年の九月に再選資金を得るための違法活動の容疑でグアム地裁に告訴されたわけでございますが、本年の二月にまず判決が出まして、それから四月の三日さらにグアムの地裁で判決がございまして、さらに四月十四日に至りまして刑に服するように命令が出た、これに対しまして現在ボルダリオ前知事はサンフランシスコの第九巡回控訴裁判所に上訴中であるというふうに存じております。その過程におきまして日系の企業がこのグアム前知事の収賄に関連いたしまして関係しておるということでございます。 なお、この点につきましていろいろ新聞等で情報を得ておりますが、通常の捜査でございますと捜査協力とか、あるいは司法関係では司法共助とか、そういう公式のアメリカからの連絡は本件については一切ございませんので、捜査という意味におきまして外務省としては本件を把握しておるというわけではございませんで、あくまで一般的な我が国の企業が関連しているというそのビヘービアと申しますかということでの情報の把握でございます。
○稲村稔夫君 日系企業がこうした海外の汚職に関与していたということは極めて重大な問題だと思うわけであります。特にケミカルゴールという名前が出ているわけでありますけれども、日本の企業が現地の日系企業を通じてこうした事件を起こしているということについて、これは今、新聞の情報を得ているなどということだけでは済まされないと思うんですけれども、いかがでございますか。
○政府委員(藤井宏昭君) あくまでこの企業自体はアメリカの企業でございますけれども、それに対しまして日本の出資が行われているという意味で、我が国の海外における投資のビヘービアという意味では非常に問題があるかと思いまして、外務省といたしましても、さらに詳細に調査いたしまして、一般的な意味でのビヘービアという意味で本件をさらに詳細に検討していきたい、こういうふうに思っております。 ただ、先ほど申し上げましたのは、あくまで本件は現在なお裁判中の事件でございまして、捜査あるいは裁判という意味におきましては、我が外務省といたしましてもあるいは出先公館といたしましても、それを把握するという立場にはないわけでございまして、一般的な我が国の企業のビヘービアといたしまして、判決も出たことでございますし、これをさらに調査いたしまして、関係の各省とも話をいたしまして、今後さらに参考にしていくべきことがあれば参考にもしてまいりますし、さらに何らかの手を打つ必要があれば手を打っていきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 そうすると、これは具体的にいろんな暗号文を出していろいろとやったというようなことが新聞情報等ではあって、いろいろと問題 があると思うんですけれども、これはほかの関係省庁と何か御連絡にもう既になっておられますか。
○政府委員(藤井宏昭君) 本件については、先ほども申し上げましたように、四月十四日で判決が出たわけでございます。これにつきまして、それを十分検討いたしまして、関係省庁とも必要があれば話したいということでございまして、いまだ関係省庁とは話をしておりません。
○稲村稔夫君 本件は、もう御承知だと思うんですけれども、グアムで半永久的な土地の借用権というものをねらって、大阪に本社のある会社の子会社、アメリカ系の子会社がわいろを知事に贈った、こういう事件なわけでありまして、今のようにもう既に最初の判決が出たということでもありますけれども、要は私はこれから先、我が国の企業がどんどん海外へ投資をしていくという傾向が強まれば強まるほど、こうした事件が起こってくることを大変恐れるわけでありまして、心配をするわけなんでありまして、こうした事件を未然に防ぐということも非常に大事だと思いますけれども、特に指導に当たられる立場の通産省はどのようにお考えになりますか。
○政府委員(杉山弘君) お答えをいたします。 本件につきましては、私ども五月十日付の毎日新聞で初めて事実を知ったわけでございます。一般的に、本件を離れますが、我が国からの海外投資の問題につきましては、投資相手国との間で投資摩擦を引き起こさないということが必要でございますし、むしろ積極的に相手国の社会経済に溶け込む、融和するような形で海外投資が行われることが望ましいというふうに承知をいたしております。そういう観点から、民間におきましても、経団連など七団体で海外投資に関する行動指針というものをおつくりいただいておりまして、今、私申し述べましたようなことがその基本姿勢として書かれております。 そういうことに照らしますと、これはこれからの事実関係の解明にまたなければならないところがあるわけでございますが、もし仮に新聞報道で伝えられているようなことで。ざいますと、刑事事件になるかどうかは別といたしまして、我が国の企業の海外投資の基本的な姿勢としては好ましくないものというふうに考えますので、こういった問題につきましては、事実関係の解明と相まちまして、関係団体とも連絡をとりまして、これから遺憾のないように私どもとしても指導もいたしてまいりたい、かように考えております。
○稲村稔夫君 かなり具体的にいろいろと報道もされているわけでありますから、そして会社の名前もはっきりとわかっているわけでありますから、それこそ能動的に調査をされてしかるべきだと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○政府委員(杉山弘君) 事実関係につきましては、私どももこれから外務省等とも御相談をしながら積極的に努めてまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 これはまだ事実関係をもう少し詳しく調べなければならぬ、こうおっしゃるんですが、問題は、こうした事件が今後起こらないようにするために、やはり緊急に対応をしていただくということが非常に大事だと思うんです。当該事業所等に対する調査を積極的に今やられた方が、今後そういうことがほかの企業でも起こらない、発生を未然に防ぐ、そういう意味でも非常に大事だと思うんです。その辺は要望をしておきたいと思います。 そこで次に、内需拡大策の構想と産業空洞化の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。 そこで最初に、総理はアメリカへ行かれまして、そして大統領との間で意見が一致をされた、いろんな意見が一致をされたその中で、我が国が内需拡大に努めるということ、このことを総理も大変重視をしておられるようであります。しかし、そこで我が国がこうした内需拡大に努めるということは、そうするとそれの拡大分というのは輸入に求める、こういうことで輸入の自由化の拡大、こういう意味にそのまま受け取ってよろしいわけでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本国民の生活の質の向上に使う、つまり外へ出ていくものは国内で消費できるように、しかも国内で消費できるものも質の高いものにこれを転換していく。それと同時に、いわゆる輸入のアクセスをさらに容易にする、そういう効果を生むようにしたいと思います。
○稲村稔夫君 そういたしますと、まずこれは政府から率先垂範、いろいろとやっていただいているのではないかと思うわけであります。総理の意向も受けられて積極的にやっておられると思うんですが、各省庁がそうした輸入製品を使うというんでしょうか、内需拡大のために輸入製品を大いに使っていく、こういうことをどの程度やっておられるのか。文部省、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 文部省におきます物品調達の総額、昭和六十一年度でございますが、六百二十億一千三百万円でございまして、そのうち外国製品の比率は百七十九億四千四百万円、率にいたしまして二八・九%が外国製品となっております。
○稲村稔夫君 それじゃ、それぞれ伺います。 科学技術庁、衛星などの問題もありますし、衛星ということになれば郵政省もこれは民間のもので、直接じゃありませんけれども指導の関係ということがございますし、あるいは運輸省、防衛庁、それぞれどういう御努力をなさっているか、お聞かせください。
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 科学技術庁におきましては研究の推進に必要な物品について外国のすぐれた製品の調達を図ってきたところでございますが、昭和六十一年の外国製品の調達実績は科技庁自体は四千二百万円でございます。しかし、お話しのようにロケット、そういうふうな関係がございますので、特殊法人等が百十九億四千百万円で、合計で百十九億八千三百万円ということになります。 あと内容もちょっと…。調達物品の具体の一つの例でございますが、ロケット及び人工衛星の一部、宇宙開発事業団でございます。それから原子炉用燃料、それからIBM電子計算機、それから照射試験、片強度評価装置、こういうものでございます。
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 六十年の四月に電気通信事業法が施行されまして、民間企業も通信衛星を購入して事業を営むことができました。六十年六月に第一種通信事業の許可を得ました日本通信衛星と宇宙通信、二社でございますが、それぞれ米国の企業の通信衛星と購入契約を締結いたしまして、その事業開始の準備をいたしております。 こちらの方はよろしいわけですが、実は郵政本省の輸入額でございますが、これは本省の契約額でございますが、六十一年におきまして、主要な物品調達額五百億円に対しまして、輸入実績はカード自動発行装置及び封入封緘機等でございまして、二億円でございまして、〇・四%でございます。これは二万三千あります郵便局のガソリンを入れておりませんので、これを入れますともっと高くはなるんですが、本省はかようなわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 六十一年度実績百九十六億に対し、航空機及びその附属装置等々で約十八億であります。そのほかに油がまさに約十億ほどございます。以上です。
○国務大臣(葉梨信行君) 自治省の直接購入物品には一件二千九百万円以上という基準に該当する事例はこれまでございませんが、基準以下のものにつきましても外国製品の購入を検討してまいりたいと思っております。 それから地方団体につきましては、政府調達と同様の努力をするよう当省からも要請をしております。 それから当省の消防関係補助事業のうち消防用ヘリコプター、はしご自動車につきましては外国製品の購入が行われておりまして、今後ともでき る限り努力するよう要請しております。
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛庁としましては、装備品等の輸入という場合、やはり我が国の装備品を整備する場合は我が国の防衛に最も適しているというそういう観点からいたさなきゃならない。いわゆる貿易摩擦とかそういうような意味合いでは装備品の不足を整備することは適当でないと考えております。 ただ、どの程度になっておるかということについては事務当局から説明をさせます。
○政府委員(鎌田吉郎君) お答え申し上げます。 防衛庁の装備品等の調達額でございますが、現在大体年間約一兆五千億円でございます。このうち九割強が国内調達でございまして、一割弱が輸入調達、こういう数字になっております。
○稲村稔夫君 まず科学技術庁、ロケットというのにちょっと触れられましたけれども、これは国産で努力をしておられる分もあるというわけでありますが、これを順次輸入の方に力を傾けていって、そして輸入による内需拡大の方に努めるという意味合いですか、そのことをひとつ伺いたいと思います。 それから防衛庁、九割強国産というふうに言われましたが、そうすると輸入というのは主たるものはどういうものですか。
○政府委員(矢橋有彦君) 宇宙の自主技術の開発という線は堅持をいたしますけれども、それを堅持する過程で可能な限り輸入できるものは輸入をするという方針でございます。
○政府委員(鎌田吉郎君) お答え申し上げます。 陸海空それぞれいろいろございますが、例えば航空機の関係でいいますと、輸送機C130H、これはFMSと言っておりますけれども、アメリカの有償援助で取得いたしております。それから誘導弾の関係でいいますと、例えば対戦車ミサイルのTOWというのがございますけれども、これらもFMSで輸入いたしております。 そういった、二つほど例を挙げさせていただきましたけれども、そのほか例を挙げればかなり数はございます。
○稲村稔夫君 けさの朝日新聞に、アメリカの国防総省が何か今後の次期支援戦闘機についてアメリカの戦闘機を買えと、こういう要請をしたという記事が載っておりますけれども、これは事実ですか。
○政府委員(西廣整輝君) 先般アメリカの技術なりあるいはオペレーションの方の専門家のグループが参りまして、向こう方が次期戦闘機において必要であろうと思われる技術的なりあるいは運用上の研究成果あるいは日本における航空産業の状況等の視察、そういった点で調査団が参りましたが、国防総省から物を売り込みに来たというようなことはございません。
○稲村稔夫君 そうすると、この新聞記事に具体的にいろいろと機種を挙げて要請をされたということが書かれておりますけれども、これはあくまでも当てずっぽうということですか。
○政府委員(西廣整輝君) 技術なり運用の専門家同士の会議でありますので、私自身出席しておったわけじゃじざいませんが、来ておる顔ぶれからいいまして、技術の専門家、それぞれの分野の専門家なり、そういった人たちが参っておりますので、物を売り込むとかそういう立場の人、業界の人でもありませんし、そういう者はおりませんので、そのような事実は全くなかったと思っております。
○稲村稔夫君 今具体的にまだ例えるような状況ではないと思いますが、私がこんなことを伺いましたのは、それこそ要請をされている機種を買うとすればかなり金額はさらに高いものになるというようなことも言われているわけであります。それだけに、防衛問題は別に議論をしなければなりません。この場で私はするわけではありませんけれども、問題は、新しいそういう機種を今度は変更して積み上げていくとまたさらに金額がふえたなどということになってもらっては全く困る、こういうことが一つございますし、貿易摩擦がこれで積極的に解消していくためにということで防衛問題とリンクをされるということがあってもならない。こんなふうにも思いますので、その点を特に念を押したかったのでお聞きいたしました。
○国務大臣(栗原祐幸君) それですから、私先ほど冒頭申し上げたんです、貿易摩擦、そういうものと関連をして装備品を購入するようなことはしないと。
○稲村稔夫君 それで、それぞれ伺ったわけでありますけれども、これは政府全体でどれだけの努力をしておられるかということをトータル的にはどこが掌握をしておられるんでしょうか。
○政府委員(畠山襄君) 貿易局でございますので御質問にお答えいたしますけれども、内閣の外政審議室でおまとめいただきました資料によりますと、政府全体で四百三十三億円という数字を承知いたしております。
○稲村稔夫君 金額を聞いただけじゃちょっとわからないんですけれども、どういう評価をしたらよろしいんですか。
○政府委員(畠山襄君) 全体の調達額が三千三百二十七億円、物品の調達額でございますけれども、その中で四百二十三億円でございますから、一三%ぐらいの比率ということでございます。
○稲村稔夫君 さらにこの問題は私は政府の方で率先垂範でいろいろと努力をしていただくということ、強力に進めていかなければ全体的に国民の理解をというふうに言ってもなかなか難しいと思います。そういう面でひとつ今後の御努力をいただきたい、こんなふうにも思います。 そこで次に、内需拡大策ということは、これは国産品で拡大をしたのでは余り意味がないということになるんでしょうか。その辺はいかがなんでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともと我が国の過度の輸出体質を直そうという、いずれにしても社会資本が不足でございますから、そういうことでございますから、つまり、しからずんば、輸出に向くであろう資源なり資金なりが国内のそういうことに向くということ自身はやはりひとつ貿易摩擦の解決に役立つと思うのでございますが、同時に、我が国がそこで開放体制をとっておりましたら、そのような国内投資に対しても外国からの参加、あるいは外国製品による寄与というものが可能になるわけでございますから、両方の意味があると思います。国産品であってならないというわけではもちろんございませんけれども、そういうふうにいたしますと、両方の意味で我が国の開放体制、貿易摩擦の解消に役立つと思います。
○稲村稔夫君 それでは、内需拡大策ということで今度五兆円の補正がどうだとかこうだとかという話でいろいろとやりとりがありました。内需拡大策としての公共事業の波及効果についてどの程度の効果ありと見込んでおいでになるのか。特に、これが中小零細企業にどういう影響をもたらすというふうに見でおられるか。あるいは農業にはどういう影響があるというふうにお考えになっているか。どの程度雇用創出に役割を果たすことができるというふうに考えておられるか。さらに、内需拡大というのは個人消費拡大とのかかわりというのはどういうふうになるか。この辺のところを経済企画庁長官はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 公共事業によります内需拡大効果、直接的にはGNPにどれくらいの影響を与えるかということにつきましては、公共事業を行うときのいろんな経済状況や対外との関係がいろいろございますのでなかなか一概に言えませんが、私ども経済企画庁の経済研究所で開発をいたしました世界経済モデルによりますと、初年度が一・四七、そして次年度が二・二五、三年度が二・七二、それぞれの累積効果をマクロとして持つ、こういうことでございます。 また、いわゆる産業連関表で分析をいたしますと、当然これは一番大きな影響、需要創出効果を持ちますのは建設でございますが、それ以外にも電機、機械とか、金属第一次製品とか、紙パルプ、木製品とか、さらに商業とか、そういったものを中心としてそれぞれの効果を持つと分析をし ております。 中小企業はどうかというお尋ねがございましたが、これは政府調達に一つの基準を設けておりまして、四〇%は中小企業から調達をする。建設事業もそうでございますしそれからいろいろの物品の調達もそうでございますので、支出の四割は中小企業向けに流れてそれぞれの効果を生むと、かように考えております。
○稲村稔夫君 農業にどう影響するか、雇用創出にどれだけ役に立つか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 雇用創出につきましてちょっと後で事務的に答えてもらいますが、農業に対しましては、まさに公共事業の項目の中に農業の基盤整備を含んでおりますので、そういう形で需要効果と並行して、まさに国際競争力のある高生産性農業をつくるための地盤を創出することになる、かように考えております。需要効果という点から考えますと、全体として所得が増大すればそれなりに食糧に対する需要がふえる、高品位の食糧に対する需要が伸びると、かように考えていいと思います。
○稲村稔夫君 まだお答えいただいてない雇用の問題と、それから内需拡大というのは個人消費とのかかわりではどういうふうに理解をしたらいいかということについて、先に答えてください。どうも今のお答えだけでは私にはわからないことばかりですので。
○政府委員(田中努君) 産業連関表によりまして計算をいたしますと、公共事業が一単位ふえますといろいろな産業に対しまして幾段階かの波及的な効果が及ぶわけでございまして、それを累計いたしますと約二倍に相当する生産の効果が生ずるというふうに計算をされておりまして、したがいまして、それに伴いまして各産業においてそれぞれの雇用係数に従いまして雇用も増加をするというふうに考えられるわけでございます。 農業につきましては、生産誘発係数は〇・〇二ということで、ほかの産業と比べまして必ずしも高くはないという結果になっております。また、農業に対する影響といたしましては、生産あるいは雇用の誘発の効果のほかに、公共事業において発生しました需要がいろいろな過程を経まして生産それから所得、雇用といった増加につながるわけでございますから、農林業におきましてもそれらが回り回って農家の所得の増加になるという形で均てんしていくものであるというふうに考えられるわけでございます。
○稲村稔夫君 先ほど長官がお答えになりました中で一番わからないことから…。食糧の需要がふえるというのはどういうことですか。たくさん食べるようになるということですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 所得がふえれば当然食糧の消費は拡大するものであろう、かように考えますし、いわば所得の向上につれて食料品の需要の内容が高度化してくる、このことを申し上げたつもりでございます。
○稲村稔夫君 農林水産省は日本型食事のあれを推進しているんじゃなかったですか。
○政府委員(甕滋君) 日本型食生活ということで、我が国で生産できます米、蔬菜その他動物たんぱくあるいはそのほかの栄養素のバランスのとれた食事を推奨しておるところでございます。
○稲村稔夫君 経企庁長官の答弁はますますそうするとわからなくなるわけですね。所得が高くなるとおっしゃる。農家の所得は上がっていませんよ、今は。そうすると所得がふえるというのは、どういうところが所得がふえて、そして食事の内容がいろいろと変わるようなそういう状況になるんでしょうか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 最初に申しましたように、公共事業の所得創出効果が一年間で一・四七%と申しました、二年で二・、そういうことでございますから。その中で消費に回る割合が六割でございまして、その中でさらに食糧に回る割合が全体の中の、ちょっと私数字を持ってまいりませんでしたけれども、考えてまいりますと、まさに一単位の所得増大に応じでそれなりの食糧消費が増加をするわけでございますから、それが農家の収入になることを申し上げたつもりでございます。
○稲村稔夫君 農家の収入とストレートに結びつけて御答弁になっているとか、いろいろ私は、経企庁長官の農業問題については、少なくともかなり不勉強のために起こっているいろいろな誤解などもあるのではないかというふうに感じます。農家の所得がストレートに、お話しになったような形でふえると私はとても思えませんし、逆に食糧の輸入がふえていけば農家の所得は落ちるんですから、そういうこともみんな計算していただかなきゃなりません。こういうことにもなります。 さらにもう一つわからないというのは、四〇%は中小企業から調達をされるというけれども、その中小企業というのはどういう種類の中小企業ですか。
○政府委員(田中努君) 公共事業に従事する建設業者の中での中小企業、それから公共事業に原材料あるいは製品等の物品を提供する業者の中に含まれる中小企業、それらでございます。
○稲村稔夫君 ということになりますので、我が国の経済の底を支えていると言っていいそういう中小企業に波及効果がもたらされている部分というのはごく一部にしか限られていないんじゃないか、そう私は思うんですけれども、その辺はどういうふうに理解しておられますか。四〇%もあるように言われると、何かどの中小企業もおやよかったなというふうな感じになってもいけません。
○政府委員(田中努君) これは公共事業から生じます需要の発生の過程の第一段階におきまして、政府が直接買い付けるあるいは契約を行うという段階におきまして、その四〇%が中小企業に行くということでありまして、公共事業の波及効果はその後も第二、第三というふうに順次波及をするわけでございますけれども、その一番の大もとにおきまして四割が中小企業関係にまず流れる、こういう考え方でございます。
○稲村稔夫君 何か入り口のところでうろうろしているような形になってしまいましてまことに残念なんでありますけれども、それで時間が経過をしていきます。 中小企業を中心にして議論が始まりましたから、もう少し中小企業についてのことを伺いたいというふうに思います。 それは、今円高不況などということでかなり中小零細企業が厳しい状況の中に置かれております。そうした中で特定地域が指定をされそして融資制度などが行われておりますけれども、この特定地域の融資制度というのはどの程度の実績があって、そしてどの程度の効果をもたらしていると、このように御判断ですか。
○政府委員(岩崎八男君) 御承知のとおりこの法律の施行、昨年末十二月の五日から施行いたしました。現在百七十五市町村を指定しておりますけれども、その後、三月までの累計で申しますと、環境適応計画の承認を求めてきた、既に承認をしております件数が三千百四十七件、それからこの特別融資の貸し付けをいたしました実績が三月末現在で千四百八件、二百六十九億でございます。
○稲村稔夫君 私は実績とどういう効果をもたらしているかということを伺っています。
○政府委員(岩崎八男君) これは今四カ月を経過しましたところで、なおこれから地元とともに努力していかぬといけませんけれども、この三・五%の低利融資については千億を当初予定しておりましたけれども、今は二百六十九億貸付実績があると申しましたが、直近で申しますと、これはほとんど既に需要の見込みがあるような状況に今なってきております。それから、特にこの地域の今後の新しい生面を開いていく、これが重要でございますけれども、そのために用意いたしましたいろいろな技術開発の支援策、これもようやく四月から軌道に乗りまして、今二十九県においで約三十六億の技術開発の予算を今年度消化しようとしております。
○稲村稔夫君 この特別融資の場合に、融資を受けようとする者はこれは信用保証協会の保証が必要ですか。
○政府委員(岩崎八男君) この融資と信用補完、これは必ずしも一義的にはつながりませんで、担保を別途持っておる人、そういう人は当然に信用保証とのつながりなくそういうあれが受けられるわけでありますし、またそういう担保面の補完のために各県にあります保証協会等を利用してその信用面の補完をする、こういう制度も利用されるわけでございます。
○稲村稔夫君 その場合に、それは言われるとおりなんですけれども、既にいろいろと努力をしていて金融機関に借りられるだけ借りてきたというようなことで、もう担保能力もなくなってきておる、こういうケースが結構あるわけでありますけれども、その場合は保証協会もそれは保証してくれないということになっているようでありますけれども、こういう企業に対しては何か救済の対策はあるんですか。
○政府委員(岩崎八男君) 確かに、信用力の問題、これが今限界に来ている企業をどうするか、これは非常に大きな問題だと私どもも考えております。昨年秋の総合経済対策におきましても、そのための信用保証システムに対するいろんな出資の増強をいたしましたけれども、しかし、政府系の信用保証といえどもやはり金融という常識の中での各個別の判断でございますので、そういう中で、各現場におきまして本当に必要であるけれどもなかなか保証が得られない、そういうケースが時々出てきておるということは私どもも承知しておりまして、そこらについてさらに一層の支援策があるかどうか今後とも真剣に検討したいと考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 さらに、今の低利の融資制度のその新しい融資を受けたいということでいきましても、既にもう政府金融機関から借りている場合でも、その低利のものに切りかえをしたいと願ってもこれができない、こういうのが実情だといいますけれども、そうですか。
○政府委員(岩崎八男君) 確かに、この急速な金利水準の低下がございまして、いろいろ現在借り出されている長期融資、これは八%台、そういうものも残っておりましょうし、それから新規に今政策融資として三・五%も用意されておるわけでございます。したがって、そういう既往高い金利で借りております融資の金利についてこれを何とか引き下げられないか、こういう要請が非常に強いということも私ども承知しております。 ただ、御承知のとおり金利という、持に固定金利、これはいわば金融という商品に対するそのときの対価でありますので、それがそのときにそういうことで契約されセットされた、それが今全体の金利水準が安いからといって当然にその金利水準が引き下げられる、こういうことはなかなか金融の常識からすると難しゅうございます。したがって、私ども昨年から、特に赤字企業で非常に現在の水準からすれば高い金利で借りられたもの、赤字企業でそれが負担になっている、そういう企業についてのみその各年度、今年度なら今年度のその金利負担の軽減、こういう個別の救済策は現在とってきているところでございます。
○稲村稔夫君 民間金融機関の場合ですと、利息が下がっていく、お互いの競争もありますからね、そういう中で古いやつは借りかえをしながら、やってくれなきゃほかの銀行にかわるよと、こういうことを結構聞いていまして、そういうことがやれるということになってきますが、政府関係金融機関はそれができない、こういうことが、これがかなり今長期のものを借りている人たちの桎梏になっているので、これは何とかしてもらわなきゃならぬと思いますが、今の程度のお答えじゃ、個々のと言われるけれども、特に高いとかその辺のところもちょっと判断の問題もありましょうし、何かこれは救済するもっといい方法というのがありませんか。
○政府委員(岩崎八男君) 特に高いと申しましたのは、現在の制度では七・四%超の貸し付けについて、特にそれが赤字企業で返済が難しくなっている場合に、今年度のその返済について七・四%まで金利を軽減する、こういう制度でございますけれども、その後さらに長期プライムレート等が下がってまいりました。そういう中で一般的な金利水準というのが非常に下がってきて、そこにまた経済界の常識的な感覚の違いも出てきておると思いますので、そこらについて今後どうするか真剣に検討しているたいと思っております。
○稲村稔夫君 本当に大変な状況になっている企業が多いわけでありますから、ぜひ真剣に検討して、いい結論を早く出して対応をしていただきたいというふうに思っております。 なお、最近は商工中金が預金を要求する、普通の一般民間銀行と同じような傾向が出てきているというふうに伺っておりますが、それは事実ですか。
○政府委員(岩崎八男君) いわゆる歩積み両建て的なものは政府系金融機関としては厳に慎むべきでございますし、実態においてそういうことは万々ないと思いますけれども、いろいろ個別的な事情がございましたら調べてまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 万々ないと言っても、そういうふうにさせられている人が結構おりますので、これはぜひ早急に御調査をいただきたい。これは専ら、もう民間金融機関に移行されるので既にそのための前の準備をしているのではないか、こんなふうに言われておりますので、その辺のところも十分に御調査をいただき、そして、これは民間金融機関に間もなくするというお考えをお持ちになっているのかどうか、それをお聞かせください。
○政府委員(岩崎八男君) 商工中金は昨年の法律改正に基づきまして既に民間金融機関になっておるというふうに考えております。
○稲村稔夫君 そうすると、民間金融機関になっているからほかの銀行と同じように預金を要求してもよろしい、こういうことになりますか。
○政府委員(岩崎八男君) 先ほどの私の答弁はちょっと不正確だと思いますが、政府系金融機関であるけれども民間金融機関並みの業務をできるようにした、こういうことでございますけれども、そういうところにおける今の歩積み両建ての問題が、だからといっていいということは、民間金融機関も既にそういうことではないように大蔵省からの随時の通達、指導もなされておるところでございますので、そのことによって直ちにそういうことがいいというふうなことにはならないと考えております。
○稲村稔夫君 ぜひ御調査をいただき、適切な御指導をいただきたいというふうに思っております。 次に、中小零細企業の下請に対する買いだだきの実態について伺いたいと思います。これは、かなり手広くこうした買いだだきが行われているという実態だと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(岩崎八男君) 現在このような厳しい状況でございますので、親企業ともどもそういった単価面におけるコスト切り下げ、これは努力せざるを得ない状況にございます。したがって、私どもがことし二月時点で調査いたしました下請調査で、一年前に比べてその受注単価がどうなっていますかという調査に対して、回答企業の五九・九%が一年前に比べて受注単価は低下した、こういう答えをしておりますので、そういう意味で、そういった受注単価の低下というのが特に輸出産業等に関連する中小企業において広範にあるということは事実だと思います。 ただ、いわゆる下請代金法に基づくいわば不当な買いただき、こういうものはいわば法律に違背するわけでございますけれども、これについては私ども公正取引委員会と協力して毎年親企業は全数調査、それから下請事業者についても二万あるいは三万の下請事業者についての調査をしておりまして、そこの中から違反容疑があるようなものについては立入検査等を行い、そこで違反が確定したものについては原状回復をさしておりますが、その実績を見ますと、六十一年度中において、約五万六千ぐらいの調査の中から違反容疑ありというようなことで検査を実施いたしました数 は三千七百六十九でございます。そのうち違反なしと最終的に確定いたしましたものは四百九十七。それで、違反親事業者数は三千二百七十二でございますが、このうち買いただきということでこれの違反を指摘し原状回復させましたものは二十七でございます。
○稲村稔夫君 これの調査の中にはいわゆる協力金という形のものがなければ受注できないという、そんなものまで含めて調査しておられますか。
○政府委員(柴田章平君) 今中小企業庁長官の方から御答弁申し上げましたが、調査のやり方は全く同じようなやり方をとっておりまして、私どもで毎年親事業者約一万社、それから下請事業者五万社に対して書面調査を実施いたしております。この調査は、やはり下請企業の場合に継続的な取引でございますので、私どもからすべての下請事業者に一律に調査票を回すという形で違反実態の端緒をつかむというようなやり方をとっておるわけでざいますが、私どもの方で実際に買いだだきというふうに昨年度措置をいたしましたのは五十一件でございました。その中には、今先生がおっしゃいました協力金、私どもは協力値引きというふうな表現をとっておりますけれども、このような行為をしているものも入っておりまして、やはりこういう形で下請代金を減額することは、下請法四条一項三号、下請代金の減額に違反するということでございます。個別のケースの中には、確かに先生おっしゃったような、いろんな名目のもとに親企業の収益がもう一つ思わしくないので減額をしてくれというような協力依頼があったことは事実でございます。
○稲村稔夫君 自分の個人的な所見だけで恐縮でありますけれども、私の住んでおるところはそれこそ中小零細企業の町になっておりますので、その中で、これは三条市役所で調査をいたしまして報告書をもらったものの中に大変重大なことが書かれております。それは、いわゆる単価の引き下げは、協力金という形で二〇%以上の値引き要求を受けているものを最高にして、これはもう大体一般的になっておる、こういうことが指摘をされております。そういう状態であり、そして、ただいまも中小企業庁の御答弁の中にありましたように、調査をされたものの中の三千七百六十九のうちで四百九十七だけが違反がなかったというような状況、しかもその違反しているものをいろいろと指導されても二十七件しかもとへ戻すことができなかったというような状況等、それから今の公取の御報告の中に、そういう不当な買いたたきというようなものが調査の中にあるわけでありますから、こういう状況というのはいわゆる中小零細企業というものの一般的な今置かれている状況だ、こういうふうに理解をしていいと思うわけであります。 そこで、総理に伺いたいのでありますが、今このように中小零細企業の状況というのは大変厳しい状況の中にあります。ここで新たに投資をしようとかなんとかといっても、もうぎりぎりの努力をしてきて、投資の拡大だとかそういうようなこともなかなか容易ではございません。こういう状況の中で内需拡大というのは、こうした中小企業等に対する影響というものをお考えになってアメリカとの合意をしてこられたのでありましょうか。その辺私は今大変心配になってきているのでありますが、いかがでありましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) もとより今回我々がやろうとする措置は日本のためにやろうとしておるので、その中の一つの重大な問題は、円高の打撃を受けている中小企業に再生の息吹を復活させる、そういう強い目標があるのであります。
○稲村稔夫君 今のこのような状況の中で再生の息吹というのはどうやったら出てくると総理はお考えになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、内容については補正予算の内容にわたりますから慎重にやる必要があると思うのでありますが、今までいわゆる中小企業対策として言われている諸般の対策を強化すると一言で言い得ると思います。
○稲村稔夫君 中小企業対策と言われて、特定の地域に手当てをするという形でやられても、結果としてはやはり中小企業の中でも余力を多少は持っている優良なものだけしかなかなか対象にできないという状況の中にあると思います。先ほどの実態を伺っている中でその辺のところが出てきていると思うわけでありますけれども、そうすると、中小企業のかなりの部分は、これは今のそういう競争の中で倒産、廃業ということもやむを得ないということになるんでしょうか。
○政府委員(岩崎八男君) まずちょっと補足させていただきますが、先ほど二十七仲買いただきを原状回復したと。これは三千二百七十二件の違反事業者すべてに原状回復をさせました。しかしその違背事項というのはいろいろございまして、例えば値引き、これを四百十六件原状回復させました。そういうもので、法律に言う買いたたきということに当たるということで原状回復させたものが二十七、こういうことでございます。 それから私は、中小企業全般は、すべてが悪いということではないと思います、非常に大きな部分が非常に頑張っていただいている。そういう中で、特に輸出産地を形成していたものとか、あるいは構造不況業種の下請ということでこれまで従事してきた分野とか、そういうところが今この大きな構造変化の中で影響を受けている、そのように考えておりまして、そういうものに対応するものとして昨年来私どもはいわゆる新転換法それから新地域法、そういうものをつくりましたし、今御審議いただいておるこの六十二年度予算におきましては、下請中小企業対策の強化ということを大きな眼目として盛り込んでいるつもりでございます。こういう構造改革というものはかなり期間を要します。特に技術の開発等は相当な期間を要しますので、これからがそういう分野の構造改革に直面している中小企業者の正念場である、そのように考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 私は随分、のんきという言葉は当たらないかもしれませんけれども、楽観過ぎるのではないかというふうに今受け取りました。私はすべての中小企業者が全部が厳しいとは申しません。中には一生懸命頑張ってうまくいっているところもある。それはもう事実だと思いますよ。しかし中小企業の、特に中小零細企業と私は言うわけでありますけれども、その中小零細企業の非常に多くの部分がそれこそ今厳しい状況の中にあって、しかも業種を転換したいといっても転換できるような要件になかなかない、そういう業者が非常に多いわけでありまして、そのことを考えていただいて対応していただかなければ、それは長官のようなことを言っておられたら中小企業者の中で残るのはほんの一部だ、こういうことになってしまうんじゃないですか。
○政府委員(岩崎八男君) 確かにそういった輸出産地あるいはいわゆる企業城下町、こういうところの中小企業者は非常に今厳しい状況にございます。そういう企業に対しての支援策、これは私どもとして最大限努力をしていきたいと考えております。
○稲村稔夫君 輸出産業、直接輸出に携わっている企業それから企業城下町の企業だけではないです。中小零細企業というのはそれこそ、直接構造不況産業とは関係がなくても、あるいは円高の直接のあおりを受けなくてもそれぞれがみんな相当厳しい状況になっている、そういう事実をやはりきちんと踏まえてもらわなきゃならないと思うけれども、いかがですか。
○政府委員(岩崎八男君) 日本の中小企業は、世界の中でも非常に特殊に創造的かつ機動的にみずからの活動分野を今までも維持し確保してまいりました。そのときどきの環境変化あるいはニーズの中でむしろ全体として言いますと非常に的確な対応をしてきたと思います。私どもは、そういう中小企業の基本的な対応力、これに信頼を置かざるを得ないと考えておりますが、先生おっしゃるとおり、現在はそういう環境変化が非常に急激であり厳しゅうございます。そういう中で今後の対応を模索している中小企業者に対する支援、これ は最大限私どもも誠実に実行してまいりたいと考えております。
○稲村稔夫君 時間がなくなってまいりましたので…。中小企業対策というのは言ってみれば、企業数の上で言っても従業者の数の上で言っても日本経済の中で占めている比重は非常に大きいわけでありますので、それだけに日本経済という観点に立ったときも非常に重大なものだと思いますので、ぜひ積極的な対応策を立てていただきたい、このことを要望して次へ進みたいと思います。 次に、農林水産業と内需拡大とのかかわりについて伺っていきたいというふうに思っております。 きょう私が御質問申し上げたいと思っておりました通産大臣も農林水産大臣もそれぞれOECDの閣僚理事会の方へ行かれまして、きょうは、それ以上に熱意をお持ちになっているであろうという方が代理でおいでになりますので、ひとつ的確なお答えをいただきたいというふうに思います。 まず、事務的なことから伺いますが、水産庁では、昨年の北洋から撤退をした約六千人の職を失った漁民の皆さんがどのような就労をしているのか、それの実態を掌握していたらお聞かせいただきたいと思います。 そして労働省には、漁臨法に基づく実績はどうなっているか、伺いたいと思います。 あと運輸省も、同様に漁臨法に基づいて受け入れていただいているはずでありますから、それはどうなっているかお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(佐竹五六君) 御指摘の約六千名の船をおりた漁業者がおるわけでございますが、これらの再就職先につきましては、運輸省の調べによりますと、本年三月末現在で漁業離職者求職手帳の受給者が約二千五百名となっておりまして、残る三千五百名は既に再就職あるいは自営業への転換あるいはリタイアしているというふうに推定されるわけでございます。従来の例で申し上げますと、その多くは他種の漁業に就業しているのではないかというふうに想定されるわけでございますが、現在その詳細は把握しておりません。六十二年度に調査を予定しておるわけでございます。
○国務大臣(平井卓志君) 昨年における日ソ、日米の両漁業協定によって約五百隻の減船、そしてただいま御指摘のあった六千人の離職者が生じたわけでございまして、これに対し政府といたしましては、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に基づきまして特定漁業を指定し、これら離職者について船員保険失業給付金の個別延長職業転換給付金の支給等を行いまして、求職中の生活の安定、再就職の促進を図っておるわけでございます。 労働省としましては、これら漁業離職者のうち陸上産業部門希望者につきまして再就職の促進に努めておるところでございますが、六十一年度におきましては新たに百六十二名の希望者がございまして、その多くはこの船員保険を受給中でございまして、現在のところ就職をした方は二十五名と相なっております。さらにその就職先を業種別に見てみますると、水産加工、建設土木等の企業が多いというわけでございます。いずれにしましても、これらの離職者につきましては、今後とも運輸省初め関連省庁と十分連携をとって促進に努めてまいりたいと考えております。
○政府委員(増田信雄君) いわゆる漁臨法によりまして職業転換給付金の交付を申請いたした者が二千五百余名でございます。このうち約百五十名の者が安定的就職をいたしまして、離職者船員手帳を返還いたしております。
○稲村稔夫君 水産庁がこれから調べられるというのは、ちょっと私は何か随分遅いなという感じなんでありますが、実績は随分少ないですね。今の運輸省にしても、それから労働省、特に労働省の場合は少ないですね。どうしてこういうことになったというふうにお考えになりますか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 労働省の数字につきましては今大臣が申し上げたとおりでございますが、やはり非常に海の就職が厳しくなっているわけでございますけれども、従来からなかなか陸転を希望される人は少ないということで、陸転を希望されている数字は、先ほど大臣が申し上げましたとおり百六十二名であったというのが現状でございます。
○政府委員(増田信雄君) 北洋漁業について申し上げますと、減船が昨年の七月から十二月にかけて行われたわけでございます。その後、私どもはいろいろな機関とタイアップしながら職業訓練をいたしまして、約二百名の方が訓練を受けておられます。今後、この方たちが陸上に、あるいは海上に職を求められるものと考えております。
○稲村稔夫君 農林水産省に伺いたいのでありますけれども、今後、漁業で働く人々の就労の場を確保していくことというのはこれは非常に大事な問題になってくる、大変な問題になってくる、これから先広がるものは余り考えられませんということで、何かそれに特別な対策を考えておられますか。
○政府委員(佐竹五六君) 先ほども申し上げましたけれども、船をおりられた方々は、長年の勤務の習慣と申しますか、そのようなこともございますので、大体やはり他の漁業種類に就労されるということが多いようでございます。例えば六十年の一月一日に減船いたしました北転船でございますが、就業者が約七九%、八割弱でございますが、その中で九割は他の漁業に就労されているわけでございます。そうしますと、その玉突き現象というようなことが起きまして、終局的には老齢者が漁業の外にリタイアされる、こういうことになるわけでございまして、私どもこれらにつきましては、沿岸構造改善事業等を利用いたしまして、例えば養殖業とかそれから水産の加工とか、そういうような就業の場を比較的住居に近い漁村につくり出すことを考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 漁民については極めて厳しい状況だということになるわけでありますけれども、これは総理、内需拡大にこれらの漁業の皆さん方が貢献できるという分野はどういうふうなものだとお考えになっておりますか。
○政府委員(佐竹五六君) 私、先般塩釜へ参りました。これも北洋減船のあったところでございます。ここの水産加工業者が申しておりますのは、公共事業があると非常に我々の商売も繁盛する、こういうふうに申しておりました。なぜかと申しますと、やはり東北新幹線等の工事があった際には非常に労働者がたくさん来てもらえる、そうすると夜一杯やる人がふえて、そうすると水産加工品がふえる、これは実際にその加工業者がそういうふうに申しているわけでございます。 先ほど来経済企画庁等から御答弁がございました公共事業の水産加工業等への影響というのは、やはり現地のそういう加工業者、水産関係者もそれを痛感しているわけでございまして、私どももそのような点から、御指摘のように大変漁業が厳しい情勢にございますけれども、全般的な内需振興策というのは私どもにとっても大変プラスになると、かように判断しているわけでございます。
○稲村稔夫君 もう時間の関係で余り聞けませんけれども、長官のそのお話は余りにも夢の夢みたいな話なんで、今の現実の中で本気にそう思っておいでになるとしたら私は非常にゆゆしい問題だというふうにも思いますけれども。 そのことはさておきまして、漁業者がそういう厳しい状況の中で今、内需拡大に現実に役割を果たしていけるというようなことには所得の面ではなかなかいっていない、こういう問題があることをお忘れなく胸に置いていただきたいというふうに思います。 次に、アメリカから牛肉の自由化要求が強まっているわけでありますけれども、我が国の牛肉との関係でこれはどういうふうになりましょうか。もし仮に百トンの牛肉が今よりも多くアメリカから入ってきたとすると、今度我が国の牛を減らすということになるんでしょうか。減らすということになればそれだけえさの輸入を減らさなきゃならない、こういうことになります。それから、え さの輸入を減らすのはいけない、だけど輸入をふやせ、こういうことだったら、牛をもっとたくさん食べると、こういう要求になるわけですけれども、それはどっちになるわけですか。
○政府委員(京谷昭夫君) 牛肉の輸入につきまして、米国側から御承知のとおり自由化の要求がありましたことは事実でございますが、現在、御承知のとおり、一九八四年から八七年の四年間につきまして、個別の協議を行いまして、その合意に基づいて現在の輸入を進めておるわけでございまして、八八年度以降につきましては本年度中に改めて協議をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 御指摘のような外国からの牛肉の輸入が過大に行われるという事態になりました場合に、国内の生産の縮小を余儀なくされ、そのことを通じて、現在大量に依存しております輸入の飼料の数量が減少するというふうな事態も考えられるわけでございますが、その問題については、実は今回のアメリカ側の要求の際に特別の話はございませんでした。いろいろこの問題につきましても、これから協議をする過程で必要に応じまして論議をしてまいりたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 そうするとアメリカの側は、牛肉の輸入がふえればアメリカ側からえさの輸出が減るということ、その因果関係については理解をしているんでしょうか。ちなみに、今百トン仮に牛肉が余分に輸入をされたとしたら、えさはどのくらい輸入が減になる、こういうふうになりますか。その因果関係はどうなりますか。
○政府委員(京谷昭夫君) 先生御指摘のございました牛肉と輸入飼料の因果関係については、アメリカ側もそれなりの因果関係を認識しておると思います。具体的に、百トンの、これはまあ部分肉で国内生産が縮小した場合に、所要のえさの量としまして、トウモロコシに換算をしますと、百トンに対しまして大体二千トン程度の飼料所要量が減少をするというふうな因果関係になっております。このうち輸入に依存する割合が大体九割程度ではなかろうかというふうに私ども推定をしております。
○稲村稔夫君 そうするとアメリカ側はえさの輸入が減るということを承知いたしますでしょうか。もし仮に百トンの肉を入れるとしたら、承知をすると思いますか。
○政府委員(京谷昭夫君) 具体的にこの問題につきましてアメリカ側と論議をしたことがございません。私ども、そういった問題も含めまして、今後双方必要な協議なり論議をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○稲村稔夫君 要するに、アメリカ側がえさの日本に対する輸出が減ることを認めない、そして牛肉をもっとたくさん買え、こういうことになると、私は日本人はますます胃潰瘍がふえるという、まあ胃潰瘍なんということはないが、消化不良を起こす、こういうことにもなりかねないというふうに思いますので、そういう観点からもぜひひとつ頑張っていただきたいというふうに思っております。 ちょっと話題が全然変わってしまいまして恐縮でありますが、今公共事業がいろいろと話題になりましたから、建設省あるいは文部省あるいは自治省等で、学校建設やあるいは道路あるいは公園の建設等で土地代金というのは大体どんな位置づけになりましょうか。割合はどんなふうになりましょうか。
○政府委員(牧野徹君) 建設省の所管事業で申し上げますと、事業費の中で、土地代金とおっしゃいましたが、いわゆる用地補償費だと思います。この割合は非常に安定的に推移しておりまして、大体ずっと二割でございます。もう少し厳密に申し上げますと、一九%から二一%程度で推移をしております。 それで、道路と公園というお話でございましたが、道路で申し上げますと、街路も道路も含めたマクロで申し上げますと、これは二〇%から二三%の範囲でございます。 それから公園で申し上げますと、これは先生御承知のとおり、公園は土地を買って上物を整備するわけですから、公園で申し上げますと、毎年若干の差はございますが、約五割程度が用地補償費、こういうことに相なっております。
○政府委員(加戸守行君) 学校建設に占めます土地費の割合でございますが、新設校の場合でございますと、五十五年から六十二年までのサンプリング調査によりますれば、約五八%を土地費が占めるという状況でございます。しかしながら、学校の場合には、その他に、例えば増改築あるいは大規模改修といいました既設校の建築費等もございますので、その総トータルといたしました学校建設費の中におきます土地費の割合は、例えば五十九年度の調査によりますと、小中学校が二八・四%、高等学校が二九・一%、その他の年度の平均も二十数%から三〇%の幅でございまして、約三〇%弱が学校建設費の中に占める土地費の割合ということになっております。
○政府委員(持永堯民君) 私どもの方は、地方公共団体の行います事業にてのお尋ねかと存じますが、これは、地方団体はいろんな事業をいたしておりまして、今お話がありました道路をつくったり、あるいは公園の建設、あるいは学校の建設がございます。それらについてはそれぞれ今所管の省庁からお話があったとおりでございまして、地方団体のいろんな事業全体を通じて土地代がどのくらいあるか、用地費率がどのくらいあるかということについては掌握をしていないところでございます。
○政府委員(甕滋君) 農林水産省の関係で申しますと、まず農業基盤整備事業でございますが、用地取得費の割合、過去の実績等からいたしまして、その性格上極めて小さい数字でございます。約三%でございます。そのほか林業関係あるいは水産の関係、これがやはりさらにわずかな率でございまして、〇・何%といったところでございますので、全体をならしますと約二%という数字でございます。
○稲村稔夫君 ちょっとついででありますから、ちょうど基盤整備の話が出ましたが、第三次土地改良計画、あるいは漁港整備計画、あれは第七次ですか、それから治山事業五カ年計画、それぞれ進捗状況はどういうふうになっていますか。
○政府委員(甕滋君) まず土地改良事業につきましては、第三次土地改良長期計画でございまして、昭和五十八年から十カ年間に総額三十二兆八千億円を目標としておりますけれども、達成率といたしましては、六十一年度まで四カ年間で約二二%でございます。 それから漁港につきましては、第七次漁港整備計画、これは五十七年から六十二年度まで二兆百億円というのが総事業費でございますけれども、五年度目の六十一年度末で約六二%という数字でございます。 それから治山につきましては、第六次の五カ年計画を五十七年度から六十一年度まで実行いたしたわけでございますが、総額一兆七千六百億円、国の負担、補助等に係るものが一兆四千七百億円、こういうことでございますが、最終年度の六十一年度末につきましては、実績額が一兆九百六十四億円ということで七五%にとどまっておるのが現状でございます。
○稲村稔夫君 私が土地代金というか、その土地にかかる費用をそれぞれ伺いましたのは、こうした農林水産関係のものは土地にかかる経費というのは非常に少ないものが多いわけなんです。それこそ極めて効率的に費用が活用できるということになるのではないか、こんなふうにも思うわけでありますし、特にそこの場で、例えば農村で農家の皆さんというようなものをそのまま労働力として利用するとすれば農家の雇用の面でも役に立つ、こういうことに相なるわけであります。そういたしますと、この効率的な効用があるものがそれぞれ達成率が低いというのはこれはどういうわけなんでありましょうか。
○政府委員(甕滋君) これは農林水産関係ばかりではないかと思いますけれども、最近におきます厳しい財政事情等からいたしまして、予算上の制 約も当然関係してまいっておるのが実態でございます。
○稲村稔夫君 苦しい財政事情と言っておられますけれども、そうすると大蔵省はこれにかなり何か厳しい注文をつけておられるのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特にそれについてそういうことをやっているとは思いません。
○稲村稔夫君 そうするとわからないのですよ。財政的には厳しい注文をつけていない、それなのにどうして財政的理由ということになるのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特にその基盤整備を、何と申しますか、冷遇すると言ってはいけませんが、そういうことをしているかというお尋ねでございましょうから、そんなことはございません。全般的には財政はマイナスシーリングをやっておるのでございますから、そういうことは申し上げざるを得ませんけれども。
○稲村稔夫君 そうすると、私は先ほど効率的な活用ができるのではないかというふうに申し上げましたが、今後そういう方向というのはとる可能性がありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはしばしば補正予算などを組みますときに殊にそうでございますけれども、農業基盤整備が一番土地の部分が少ない、二、三%と今言われたとおりで、金の効率がいいというのはもう実はそのとおりでございます。そのことはよく認識をしておりまして、ただ、同時に波及効果というのをやはり考える必要があるものでございますので、それも両方あわせながら判断をいたしたいと思うのでございます。
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたから、波及効果もかなりあると思いますので、ぜひひとつ真剣に考えていただきたいと思います。 さてそこで最後に、先ほどの同僚委員の質問の中でいろいろとあった中で、特に国際価格との差を詰めていかなければならないというようなことを総理は言われましたけれども、農畜産物について国際価格というものを詰めていくというのは、今の農家の実情の中で果たして農家所得を大幅に下落させるということにならないものであろうかどうか、この辺を大変危惧しておりますけれども、その辺は御承知の上で御答弁になったんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農政審の答申の中にも、生産性を向上させてそして国際乖離をできるだけ少なくしていく、そういうような趣旨の言葉があったと思います。
○稲村稔夫君 その原則はそういうふうに読まれたとしても、具体的にそうすると、例えば米にしてもあるいはかんきつにしても、本当に国際競争力にある程度耐えられるようなものになり得るとお考えになってお返事になっているわけですか。
○政府委員(甕滋君) 先生も御承知のとおり、日本の国土条件が基本にございますので、農業のコストの面でハンディキャップを持っておるという事情がございます。しかしながら、そういった中におきましても、土地を利用して生産する農産物についてなるべく消費者サイドに納得のいく努力をして、合理的な価格になったもので供給をし喜んでいただく、こういうことも基本的に必要でございますので、与えられた諸条件の中で生産性を向上させコストダウンを図ってまいるという考え方で取り組んでおるわけでございます。
○稲村稔夫君 OECDでも農業問題はかなり厳しい状況の立場に立たされるというふうになっておりますが、我が国は最大の買い付けの国、食糧輸入国でありますが、普通常識的で言えば、買い手、お得意さんというのはかなり、お客様は何とかですなんというようなあれもありましたけれども、有利な立場に立つのではないかと思いますが、にもかかわらず今厳しいところへ追い込まれていっているというのはどういう理由だとお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は代理で十分なことはわかりませんが、しかし、ずっと農政を私たち政治家として見ておりまして今一番必要なのは、日本の農家の中で農家の専業の者、この方には国際競争力をつけるほどの生産性向上をさす必要があるのではないか。そのための施策をこれから十分に講じて、そのことがやはり日本国内におきますところの農産物価格を引き下げることにもなるし、そして食糧の日本国内におきますところの安定供給にもつながっていく、そういう努力をこれからやっていかなきゃならぬだろうと思うのでございまして、そのために農業政策の新しい展望、それが農政審にもうたっておる精神ではないか、このように思っております。
○稲村稔夫君 努力をしなきゃならないというのはわかりますけれども、本当に国際競争力を持てるようになるとお思いになっていますか、どうですか。本気のところを聞いている、本音を聞いています。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、農産物はその国の国民の嗜好の問題もございますから、ただ安いだけで需要があるとは思いません。したがって、その嗜好に合うものであって、そしてそのものを、農業も専門家として生産性を向上して安くしていくことが、それは私は十分に対抗し得る力があると思いますし、また日本の農業基盤を確保するという意味、農業基盤はまさに国政の規範でございますから、これを確保し、そして国土の保全も確実にやっていく、そして農民の生活を保障するという意味においては、やはりそういう努力を重ねなきゃならぬと思っております。
○稲村稔夫君 さすがは農水大臣の代行、代理ということでございますが、しかし同時にまた、なおわからなくなってくる面もないわけではございません。そのことでまた論争している時間はございませんので、最後に総理にお伺いをしたいわけであります。 それは、我が国の農業は今こんな状況の中に置かれて、農民そのものは、農家所得もここ六十年からは今度停滞ないしは下降という形になってきております。農業所得そのものはもっと前から落ちていますし、農家所得そのものもそういうふうになってきております。こういう状況の中で果たして内需拡大の役割を農家農民層というのがどの程度担えるというふうにお考えになっているのか。そうして、それをもし個人消費という形で担わせるとしたならばどういう対応をすべきだと基本的なものとしてお考えになっておりますか。その辺をお伺いして終わりたいというふうに思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 非常に難しい質問でございまして、これはやはり、今稲村さんは農業の今後の基本問題を問うておられると思っております。したがいまして、こういうことで代理がうかつなことを言うこともいかがかと思いますし、農林大臣が帰ってまいりましたら確実に今後皆さんに納得していただくようなお答えをいたすようにいたします。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で稲村稔夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時八分散会