予算委員会 第5号
- 発言数
- 198 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1987/05/06
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 総括質疑に関する理事会の協議決定事項について御報告申し上げます。 総括質疑は七日間分とすること、質疑総時間は九百八十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党及び日本社会党・護憲共同それぞれ二百六十四分、公明党・国民会議百五十一分、日本共産党百十三分、民社党・国民連合七十五分、新政クラブ、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党・参議院の会それぞれ三十八分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。 右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十二年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君、日本貿易振興会理事長赤澤璋一君の両名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、これより総括質疑を行います。福間知之君。
○福間知之君 まず、中曽根総理、今般の訪米、首脳会談御苦労さまでございました。お疲れがとれたでしょうか。早速の総括でございますけれども、幾つか重要な課題について、国民の皆さんに今回の訪米の結果につきまして正確に率直にひとつ御報告をいただきたい。 そういう意味で、まず、レーガン大統領と二回の会談を行われましたし、あるいは議会筋の有力議員とも話し合いをされたと伺っております。また、プレスクラブでの演説についてもアメリカ側でも多少の反応が出ていると言われてもおります。今回の訪米の目的とレーガン大統領との会談の経過、そして総理自身この会談についての成果をどのように感じておられるか、冒頭に伺いたいのであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会中お許しをいただきまして訪米、公式訪問をいたしました。皆さんの御期待に十分沿い得ず、甚だじくじたるものはございますが、私といたしましては、日米間の非常に重大、困難なこの時期に当たりまして、私みずからが訪米いたしまして日本側の真意を説明し、かつ米側の考えも十分承りまして、日米関係をさらに強固に、そして協力関係を打ち立てようと思って努力した次第でございまして、ある意味におきまして双方の理解がさらに進み、また双方が行うべき諸点について確認を行い、幾つかの問題については今まで明らかでなかった点が多少明らかになったということであると思います。 まず第一に、レーガン大統領との会談におきましては、十月の皇太子殿下御夫妻の御訪米について合意を見た次第で、その日程その他については外交当局で相談するということを正式に決定いたしました。 それから日米間の重要問題をいつも隔意なき懇談を行い、疎通し、日米関係をさらに友好を強力たらしむるために大統領と総理大臣の間に年一回定期協議をやろうということも確認され、決定された次第であります。この点は、ヨーロッパとアメリカとの間では非常に緊密な連絡がいつもあります。日本とアメリカとの関係もございますが、必ずしもヨーロッパとアメリカの関係のようなわかにはいかない歴史的事情もありました。そこで、日米関係をさらに強固にするために大統領との間の定期会談が持たれることが決定しましたことは大いなる前進ではないかと思うのであります。 さらに、諸般の国際問題につきまして私から積極的に発言いたしまして、米ソ首脳会談、特にいわゆるINF、SS20の撤去の問題等について日本側の今までの主張をさらに強く確認いたしまして、これらはいわゆる世界的規模において行うということ、終局的には核兵器ゼロを目指すということ、暫定的にある程度の妥協が必要な場合も、常に暫定の期間をできるだけ決めて、そしてゼロを目指していくべきである、そういうことを強く私から強調いたしまして、米側も私の考え方につきましては賛意を表した次第でございます。 それから地域問題、朝鮮半島あるいはアフガニスタンや中東、中米等の諸問題についてもこれが解決について協力するということ、さらに、ベニスのサミットに向けて積極的に協力して世界の平和と安定にさらに資するようにしよう、そういう点についても一致したところでございます。 二国関係の問題につきましては、アメリカ側からは農業の問題そのほかが提起されましたが、アメリカ側としては、断固として保護主義に反対をし続けていくということ、それから第二番目に財政の赤字削減に向かって積極的に努力するということ、さらにアメリカ製品の競争力を強化するということ、そういう点が確認されました。日本側といたしましては、内需をさらに振興して、そして予算成立後におきましては、自民党と相談をしまして、自民党が既に決定いたしました五兆円を超える内需振興の緊急政策を政府は予算成立後に実施していく、そういう意思表示をいたしました。 そのほか、政府輸入の問題、あるいは二百億ドルに及ぶ発展途上国に対する経済協力を推進する、言いかえれば日本にたまっておる黒字を資金還流して発展途上国の経済活性化のために役立てるということ等について積極的に申しました。この点はかなり高い評価を国際的にもいただきまして、いわゆるひもつきでないということ、アンタイドということ。それから、このために投票権の増大を日本は要求しないという態度を示しまして、これらは国際的に非常に好感を持って迎えられた点ではないかと思います。 以上の点等について隔意なき懇談をし、さらに、いわゆる半導体問題、それから通貨の安定問題を重ねて私は強調して発言いたしまして、いわゆる半導体問題等については、アメリカとしてはできるだけ早期にこれを撤回したいという大統領の希望の表明がありました。大統領としては、アメリカ議会との関係があり、いわゆる貿易法案が今上院において審議中であるという微妙な段階でありますので、アメリカの立場も複雑な面があったのでありますけれども、ベニス・サミットというものを念頭に置いて、そして事態が改善されればできるだけ早期にこれを撤回するという言明を得まして、私は日本側の努力によって大統領の希望は達成されると確信をしておる次第でございます。 なお、農業問題等につきましては、従来の我々の考えを正確に説明をした次第でございます。特に牛肉、オレンジの問題については、来年四月から期限が切れまして新しい時代が始まりますから、それまでに両者において協議をするということ。それからいわゆる十二品目については、ガットのパネルにおいて今協議中であると。その間においてもまた二国間交渉も行い、そして適正な妥結に向かって日本側も努力をするということ。それから米については、これはニューラウンドにおいて、他国の補助金問題や農業政策一般についてと同様に、これがニューラウンドの議題に上るという場合には日本も米の問題についてテーブルにつく、そういう考えを表明した次第でございます。 以上が概要でございますが、一生懸命努力したつもりではございますけれども、必ずしも十分な成果が得られなかったことを残念に思っております。
○福間知之君 総理は、訪米の前に、ある意味では逆風の中だからむしろ自分が行って全力投球で解決すべきものはしてきたい、そういうふうにも決意を述べられたわけでありますけれども、ただいまの御説明は全般的な取り上げた課題についての御説明であって、例えば、総理がワシントンに著かれたその日にアメリカ下院は例の報復の決議案をこれ見よがしに可決をした。しかも、その中には我々として見過ごせない課題があるわけで、いわゆるゲップハート条項、一〇%程度の黒字の削減を強制するという、一つの国の法律でもってそのようなことをすることが果たして許されるのかどうか。国際的にもこれは認められないんじゃないかと思うんです。あるいはシューマー条項、公認ディーラーの資格を与えない、あるいはバイアメリカン条項。この種の極めて厳しいというか、貿易法案なるものが総理到着の日にぶつけられたということについて総理はどういうふうに感じ取られたか、お聞きをしたいと思うんです。 それから、ただいまの御報告の中でも、本当に解決できたと思っておられる事柄ばかりなんですか。半導体問題にしても、向こうのベーカー首席補佐官などは批判めいたことを言っているようですし、日本からの提案は何ら新味がないというふうなことを他の高官もプレスコンファレンスで発言をしたりしているというふうに聞いているんですけれども、本当にサミットまでに半導体問題が解決できるんだろうか、甚だ私は疑問だと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、アメリカの貿易法案でございますが、これは大体一カ月半ぐらい前から、私が到着する日、つまり四月三十日に採決を行うということが下院において議運で決定しておったことでありました。アメリカ議会の内部におきましては、中曽根が到着する日にそれが採決されるという予定が組まれてしまったことはどうかな、そういう議論もあったようです。これを多少動かしたらどうかという議論もなきにしもあらずのようでありました。私のところにも、その点については多少アメリカ議会に働きかけたらどうかということを言ってくる者もおりました。しかし、それはいけない、これはアメリカ議会が独自に決めることであって、我々がどうこうということは言うべきでない、そういうことをはっきり私は言いまして、そういうような働きかけはやめさせたのであります。 それで、この表決の結果がどういう差で出るだろうかということを非常に皆さん注目しておったようです。しかし、今まで大体二十票や三十票は開くであろう、そう見られておったのが、わずか四票の差で可決されたということはかなり大きな影響をアメリカ国内に与えたようです。わずか四票に縮まって、いわゆる保護主義的傾向がどちらかといえば敗北であったという評価を新聞などではしておりました。そういう面につきましては、ある人が言うには、中曽根が来たからできるだけ差を縮めておこう、しかしこれが破れるというとかえって逆の誤解を受ける、だからちょうどいいぐらいじゃないかなというような議論を言う新聞記者もアメリカの方にはございました。真相はわかりませんが、私自体ももっと二十票や三十票は開くだろうと実は思っておったのが四票であったというので、私は、アメリカ当局にも議会筋におきましても保護主義に対する反対というものは意外に強くなってきているんだなということがわかったと思います。 それから半導体の問題については、ただいま申し上げましたとおり、これは日本側も努力しなきゃなりません。努力の数字が出てくれば、ベニス・サミットという言葉がちゃんと大統領の声明の中にも出ておるのでありますから、必ずやこれは撤回されると確信いたしております。 もう一つ大事な点は為替の安定の問題でございまして、今までは宮澤大蔵大臣の努力等によって宮澤・ベーカー会談で共同声明等がなされたのでありますが、今度は私と大統領との間に正式にそれが取り上げられたわけであります。そして今回は、今のような為替の不安定あるいはドルの安さというようなものは経済成長にも悪影響を及ぼし、かつ貿易不均衡是正のためにも悪い、そういうことをはっきりアメリカ側が文書に書きまして、そしてドルの価値の安定のために両国はさらに努力し合うということを確認したわけでございまして、アメリカが今のように具体的内容にまで触れまして決意を表明したということは今までなかったわけでありまして、私はこれは一応の成果ではないかと思います。今後も努力したいと思っておる次第であります。
○福間知之君 総理はそうおっしゃいますけれども、現に円のレートは下がらないところか百三十八円レベルにまで若干上がりつつあります。市場が今回の総理の訪米についてそんなに期待できないというふうな要素を既に組み込んでいるんじゃないかとすら思えるわけです。現に、今のお話の例もございましたが、アメリカの財政赤字の削減ということは、確かに首脳会談で今までよりは双方が明確に確認されたようですけれども、それじゃ具体的に総理は削減のためにアメリカに何を要請されましたか。今、日米関係は相互依存という状況が深まっております。ということは、たび重なるG7あるいはG5、さらに首脳会談等を繰り返す中で、相互に政策上の協調をやらなきゃならぬということが常にうたわれているわけです。政策上の協調ということは、言葉をかえれば、ある程度、協調のためにお互いが率直に物を申すということだと思うんです。そうでないと協調は生まれてきません。だから、アメリカの財政赤字をあるいはまた貿易赤字を削減するために日本側としてはアメリカに具体的に何を要求するのかという姿勢がなければならないと私は思うんです。 また総理は、日本の立場では内需の拡大が国内的にも国際的にも最大の課題だと、こういう前提で今のお話にもありました五兆円規模の補正予算でも組んで早急に景気の拡大を図る、こうおっしゃったと言います。具体的にこの内需の拡大について後ほどまたお尋ねをしますが、聞きたいのは、アメリカに具体的な財政赤字削減の方途を話されたのかどうかをお伺いしたいのであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 内需の拡大は日本経済自体のために必要なことでございまして、我々みずからが自分で決めて、そしてこれは日本経済のためにも実行しよう、そういうことでみずから決めたことであります。アメリカ側に対して赤字削減の中身までいろいろ言うということは内政干渉になります。そういう内政干渉がましいことというものはやるべきではありません。これはアメリカが内部で、アメリカの議会人あるいはホワイトハウスがみずからお決めになることであります。内需拡大等の問題あるいは日本が政府購入をふやすとかという問題は、日本のために日本みずからが決めたことなのであります。
○福間知之君 いや、内政干渉がましいことを言えと私は言っているわけではないんです。常に総理がおっしゃるように、首脳同士で胸襟を開いて率直に話し合うんだ、こういうことを前提にして考えてみれば、なぜアメリカの赤字がそんなに大きいのか、しかも削減への実績がほとんど実を実らせないで、一方的に円高ドル安の舟をこいでいる。アメリカの財政赤字の中で一番大きな問題は、やはり膨大な軍備費だと思うんです。もちろんその軍備費を撤廃しろとは言えませんけれども、アメリカ自身が先ほどのお話のように赤字の削減を認めるとするならば、軍備費についても当然これは手を染めなきゃならぬということは必至だと思うんです。総理の口からはその話は出ましたですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、世界の平和のために、それはまた結局は軍事費の削減にもつながることになると思いますが、INFの問題、つまり中距離弾道弾、これを削減するというレイキャビクにおけるレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の会談、いわゆるこれを潜在合意と言っていますが、それを私は支持する、それでぜひあれを実現するように推進願いたい、そういうことはかねがね言いもし、かつ今回もこのINFの問題については特に発言もいたしまして、アジアの犠牲において行われてはならない、また世界的な規模においてこれは行わるべきである、終局的にはゼロを目標にして行うべきである、そういうことを強調したものであります。平和と軍縮というものは現在の国際的な大きな課題であり、全世界が挙げて取りかかるべき問題である、そういう考えに立って申したところなのであります。
○福間知之君 それは間接的な答弁のつもりでおっしゃったんでしょうけれども、だれしも今、レイキャビクの会談が一定の成果を上げ、反面失敗をした。その成果というのは総理のおっしゃるINF等の削減の合意であったのです。半分の失敗はSDI構想、これがその原因だと言われているんです。それらについては総理のおっしゃることも私たちは別に否定をしているわけじゃないんです。具体的にアメリカの財政赤字の問題を指摘するならば、だから一方においてそういうデタントを拡大していく、それと並行して膨大な軍備費というものをまずアメリカ自身が削減に向かっていくということでないとこれは軍縮と平和を進めていく姿勢にもとるわけでありまするから、その程度のことは一言はっきり言っておいてしかるべきだったと思うんです。 それから、どうも日本側が個別の問題を含めて一方的に攻めまくられたという感じがなきにしもあらずであります。今、日本の新聞報道、総理はきのう帰られて見られたかどうか知りませんけれども、こういうふうな風刺の漫画があるんです。(資料を示す)レーガン大統領さんが二百億ドルの開発途上国への援助の追加、あるいは五兆円すなわち三百四十億ドルの内需の拡大という手土産を抱えている。総理はすごすごと去っていく。まことに腹立たしい思いで実はこの漫画を見たのであります。概してしかし一般的報道は、アメリカ側の主張は今まで繰り返してきたことであって、それも目新しいことではない、むしろ日本の方が幾つかの手土産を用意して、そして合意を取りつけることに懸命になった。しかし、その割にはアメリカ国内でも評価が低いのであります。総理はそう思いませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何しろ日本は、この間の新聞によりますと千億ドルを超える貿易黒字を持っています。アメリカに対してすらも約六百億ドルに近い貿易黒字を持っておる。そういうような情勢のもとにこの黒字を削減するということを我々は言ってきて、そのためにも一生懸命努力してきておるわけでありますが、円ドルの関係とかあるいは競争力の関係とか、いろんな面でこれが我々が期待するような情勢で是正されていない、そういうような状況のもとにアメリカ側のいら立ちというものもあるわけでありまして、そういうようなことから日米関係がかなり困難な状態になりつつあるのを見て、私自体は厳しい環境であるがゆえになおざら自分で行って、この問題は両方の理解を深めておかなければならぬ、そういう考えで私は渡ったのでありまして、厳しい環境にあるということは覚悟の上で行ったわけであります。 しかし、アメリカでいろいろ聞いてみましたりテレビ等を見てみますと、意外にアメリカ国民という方々は日本というものを重大な国であると受け取っているように思いました。最初に着いた日は、ほとんどテレビは、ナカソネ、ナカソネとか、ニッポン、ニッポンというものが一日じゅう各テレビに出されておりまして、町へ行った我々の仲間の話を聞いてみても、日本というものが非常に大きな関心であって、それは必ずしもそう敵対的な感情は持っていない、ただ大きな関心の対象としてある、そういうようなものがあるということを私感得したのでございます。 そういう中にありまして、特に議会人は非常に鋭い目を持っております。選挙区を抱えておりまして、そして自分の国の輸出が伸びない、あるいは失業がどんどん出てきておる。そういう状況から見まして、議会はかなりいら立たしいものがあったので、それでああいう貿易法案も出てきておるという状態であったわけです。ですから、私はむしろ議会へ行こう、そう思いまして、議会の上院、下院の指導者にお会いいたしましたら、有力な各委員長、指導者はほとんど全部出てまいりまして、一問一答その他等もやりましたが、終わり際には非常にいい雰囲気で実はお別れできたと思っております。 これはアメリカ人という民族の持っておる固有の何か感情があると思うんです。つまり、逃げないでこの厳しい中をやってきた、これはけなげなところがあるじゃないか、そういうような感情が向こうにはあった。だから、市民が我々の随員等を見まして、町で道路工事をやっている皆さんが、ヘイ、ナカソネとか、ヘイ、ミスター・ナカソネとか、ジャパンとか、そういう言葉をかけてくれた。今まではそんなことは全然なかったというんです。それが、ヘイ、ミスター・ナカソネとか、ミスター・プレジデントなんというのもあったそうであります。これはテレビの影響だろうと思いますけれども、そういう空気があったというのは私が行って初めてであります。これは、厳しい困難な中にやつはよく来た、勇気のあるやつだ、そういうようなアメリカ人が持っておる、いわゆるウエスタンみたいな、西部劇みたいな気持ちがアメリカ国民にはあるんだなと、私は行って非常に強く感じた次第です。ですから、議会におきましてもとげとげしい発言はありません。それは厳しい、そういう発言はありますけれども、とげとげしい発言はなくて、そして、むしろ帰るときにはいたわりの言葉をいただいたというのが真相であったのであります。
○福間知之君 必ずしも私の質問にお答えいただけていないんです。 しかし、総理、その結果としてかなりの約束事をして帰っているわけですから、それを今度実行しなきゃならぬということですね。例えば内需の拡大にしてもそうです。具体的にこれからどう進めていくのか。あるいはまた農業問題にしても、サミットを控えて農水大臣もOECDの閣僚理事会に行かれるそうですけれども、これだって事前に我が国でも国会で議論をしておかなきゃならぬ緊迫感を今持ってきていると思うんです。あるいはまた、為替相場の問題として、先般の議論にも出ましたけれども、総理にぜひとも、アメリカが積極的に市場介入をして効果のある努力を果たしてもらわなきゃならぬ、そのために必要な手段としてレーガン・ボンドをこの際大幅に発行して活用する、そういうことは内政干渉でもないし、当然言ってもらっていいことだったと私は思っているんです。アメリカのメンツとかなんとかいう今時期じゃないんです、これほどの日本の産業、企業が速やかな大幅な円高でもってそれこそ打ちひしがれようとしているんですから。 そういうことを考えると、総理の今のお話じゃありませんが、向こうは大国ですから、一国の総理に対してそう下品な、不見識な扱いはしないですよ。特に陽気なアメリカの国民性からすればそうです。しかし、一方でアメリカの国民は、今の貿易摩擦の情報が毎日のように報道されている中で、日本はアンフェアだと言う、あちらの人にとってはアンフェアということは大変きついことでございますから。そういう意識を持っているという調査も行われているんです。ぜひひとつ総理としては、アメリカのこれからの出方について、首脳会談で行われたことを実行してくれるように引き続き努力を願いたい。 日本の国内の政策については、先ほど触れられた内需拡大その他、これからの段取りはどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が訪米しまして約束したことは、これは忠実に実行するつもりです。また実行しなければなりません。そのためにも議会の皆様方の御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。 内需の拡大の問題につきましては、予算が成立しました後で、政府・党で一体となりまして、いわゆる緊急経済対策を至急つくりまして、これは企画庁長官に命じて二カ月ぐらい前から各省との間で今策定しておりますが、正式に決定した上でこれを実行に移したいと思います。具体的な実行ということは補正予算編成、そういうような形になると思いますが、その仕事を大至急、急いでやる必要があると思っております。 また、アメリカ側におきまして一つ大事な点は、円ドル関係を維持する、安定させるということで、私は、今度の仕事の中で具体的な大事な点は、半導体の問題を撤回させるということと、それから円ドル関係の安定という問題についてアメリカ側の強い意思を世界に向かって表示させることである。この二つが具体的な大きな私の仕事だと、そう思って参りまして、半導体については先ほど申し上げたとおりでありますが、円ドル関係におきましても総理大臣と大統領の声明の中で今のように具体的な意思表示をしてもらった。こういうことは今までないと思うんです。そういうような形によりまして円ドルを安定させるという牢固たる決意を両方で表明したわけでございます。 もちろん、為替相場というものは、その日その日のドルに対する需要とか円に対する需要で、あるいは投機筋が行ったり来たりするものでありますから変動はするものでございますが、ともかくベースというものはこれでがっちりしておる、そういうことは言えると思うのです。また、そのために我々は円ドル関係を円安の方向に誘導する一つの仕事として短期金利の問題がございまして、これは日本銀行がやるべきことで、我々が干渉すべき問題ではございません。しかし、そういうアメリカの情勢は日本銀行においても把握されておりまして、恐らくこれは向こうの連銀と日本銀行の間でいろいろ連絡があるんでしょう。私が出発するときには、商業短期金利をできるだけ低目に誘導するという政策を日本銀行は既に実施しておりまして、今も実施しておるわけでございます。そういうような努力も我々は片方ではやっておるわけでありまして、今後ともそういう緊密な協調関係をやりまして必要に応ずる政策を推進してまいる考え方でおります。
○福間知之君 アメリカのレーガンさんは、新聞報道等では、まず冒頭に農業問題、建設問題、金融問題、ハイテク問題等個別の問題を積極的に取り上げて日本に訴えた、こういうことなんです。今いみじくも総理の口から話された短期金利引き下げの問題にしましても、先ほど申した問題にしましても、本来なら首脳会談の問題にするには決してふさわしい問題ではなく、関係の閣僚、次官クラスの問題でいいはずなのでありますけれども、しかし、そういうことが今話し合われなきゃならぬということですから、私は日米関係も基本的には友好が基礎の上にあると思うんですが、個別の問題についてはまさに貿易戦争前夜のような様相を私は感じないわけにいかない。 そこで日銀総裁、短期金利の引き下げということは具体的にはどういうことになるんですか。
○参考人(澄田智君) お答え申し上げます。 御承知のとおり、日本銀行は昨年年初以来五回にわたって公定歩合の引き下げを実施してきて、金融は既に十分緩和し、これは景気面へも効果を持つ、こういう状態になっている次第でございます。ただ、二月に公定歩合を引き下げたわけでございますが、それ以降の短期市場金利につきましては、時あたかも国鉄の民営化に伴い国鉄資金が民間資金化したというようなこともありまして、それをめぐって金融機関の競争が激しく行われた。そのために高目の金利で国鉄資金を獲得するというような競争も行われたというような事情、これは一つの事情で例示として申し上げましたが、こういうようなこともございまして、金融機関相互間の金利あるいはオープンマーケットの金利が必ずしも円滑に低下してこなかった面があったことは事実でございます。 日本銀行といたしましては、従来から公定歩合の水準と十分整合するような、整合的な市場金利が実現するように金融調節に努めてきた。これは基本的な方針であったわけでありますが、しかし現状、今申し上げましたようなことで短期市場金利が幾分高どまりしている状況にかんがみまして、現在、市場の需給に応じ、金融調節を通じまして公定歩合と十分整合するような市場金利が実現するように努めているところでございます。総理も言われましたように、既にアメリカの連邦準備制度と緊密な連絡をとりながら、そういうような市場金利の調節ということを始めたところでございました。 今回の日米共同声明にうたわれております「短期金利低下のためのオペレーション」というのは、まさに私どもの金融調節を指すものでありまして、そうした努力のもとで短期金利は今後もさらに低下をするものと考えている次第でございます。また一方、米国の連邦準備制度は、ボルカー議長の議会証言にもあるとおり、このところややきつ目の金融調節を行っているわけでございます。日米双方でこのような金融調節が相互に行われるという結果、これは円ドル相場に対しても影響を及ぼすものであるということを期待している次第でございます。
○福間知之君 日銀総裁、アメリカがここ二、三日のうちに債券の発行を二百九十億ドル水準と聞いているんですけれども、今まで日本の機関投資家がほぼ三割ないし四割を買っておった、それが最近少し消極的な傾向が出ている。けさの報道ではやや前向きに転じるようでありますけれども、仮に従来と同じようなペースでこれを買い込めば、日米双方で今言うところの短期金利の操作は必要はない、そういうふうな判断があるわけですか。
○参考人(澄田智君) ただいまお尋ねの、アメリカのクォータリー・リファンディンクと申します四半期ごとの資金調達、これにつきまして応札をするというのは、これは内外の機関投資家が応札をするわけでございますが、そのときの市場の状況等によっていろいろ応札状況というものは左右される面があることは事実でございます。 ただし、今申しました金融調節、これは今回の、昨日から始まっておりますクォータリー・リファンディングを目指したものではございません。これは金融調節のあり方、金融政策の運営のあり方として、日米双方が金融面の政策協調としてそういう金融調節を行っているわけでございまして、クォータリー・リファンディンクに影響はないことはないと思いますけれども、それと直接に結びつくものではございません。
○福間知之君 日銀総裁、その短期金利の引き下げ誘導と、アメリカは引き上げの措置をとる、しかしなお円ドルレートというものが好ましい状況にならないという場合には、アメリカ側は基本的な公定歩合のさらなる引き下げを日本側に期待し、要請しているというふうにも思えるので、公定歩合のさらなる引き下げにつながる、そういう見通しについてはいかがでしょうか。 この間、総理が向こうへ行かれたときに、それこそ総理のお話じゃないが、敬意を表して、アメリカの市場は円の一層の高値ということについては若干の遠慮をして、しかしそのかわりマルク買いに走ったと、こういう報道があったわけです。今また、総理が帰られた途端に円は百三十八円台に突入をしました。これから先、本当にこれはわかりませんけれども、どうも高目になお推移していくという可能性が強いんじゃないか。ならば、公定歩合はさらにまた引き下げの圧力が高まってくるんじゃないか。いかがですか。
○参考人(澄田智君) 公定歩合は、これはそのときの金融経済情勢を総合的に判断して決定すべきものでございます。総合的判断の要素といたしましては、景気、為替、物価あるいは内外の金融情勢、こういったものの総合判断をして、その上で機動的に決定すべきものであります。 これは建前として申し上げた次第でございますが、日本銀行は既に、先ほど申しましたように昨年年初以来五回にわたって公定歩合を引き下げてきております。そうして、この公定歩合の現在の水準というのは世界で最も低い水準であります。日本の過去においては今まで全く例を見ない低い水準である、こういう状態でございます。ただ市場金利が、先ほど申しましたようにやや公定歩合に比較をすると高目に推移しているというようなことがあって、低目の金融調節をこれからも行っていく、こういうことを申し上げた次第でございます。 ところで、これまでの金融緩和政策の結果、我が国においては金融緩和が十分に浸透いたしまして、諸金利は既に従来の最低金利をいずれも更新をしている状態でございますし、マネーサプライはこのところやや高目に推移をしておる次第でございます。そして、首都圏を中心とする地価の上昇あるいは株式市場、債券市場の高騰というようなこともございます。金融緩和に伴うもろもろの現象が目立っていることは御承知のとおりでございます。こういう金融面の状況については、今後細心の注意を払って政策運営を行っていく必要がある、こういうふうに考えているところでございまして、したがって、私どもは十分慎重でなければならない。公定歩合をさらに引き下げることは適当でない、こういうふうに考えている次第でございます。
○福間知之君 公定歩合の引き下げは適当でないし、当面必要はないと、私もそれには同感であります。なお事態の推移を見守る必要がありますが、しかし、先ほど来申し上げている、一方で積極的な経済政策というものが伴わなければ、期待に反して再びアメリカ等の要請が強まる可能性を忘れてはならない、こういうふうに思うわけであります。 総理、これは話は尽きないのでありますけれども、おいおいこれまた訪米問題についてはこれからも話題になると思うんですけれども、総理はハワイに帰ってこられまして休養をとられ、ゴルフも余りぱっとしなかったようでございますけれども、おめでたかったと思うんです。ところが記者懇談会で大変重要なことを総理は発言されました。渡部恒三同行議員が、新聞報道によると、これだけは言ってほしくないというふうにも報じられておりましたけれども、補正予算、内需の拡大、帰国すれば国会の議論はもちろん積極的に対応する、そういう話をされたわけですけれども、会期の延長ということに触れられたんですが、本当ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは事実無根であります。会期の延長とか、会期をどうするかとか、臨時議会をどうするとか、そういうようなことは一切言っておりません。これは非常に注意深く発言したのであります。 ただ、補正予算、つまり内需の拡大あるいは補正予算ということになると議会が要りますねと、議会がなければそれは補正予算は審議できませんし、成立できません、内需の拡大もできません、そういう意味において議会が要りますねと、そういう発言はいたしました。それにとどめておいたので、あとはこれは各党各派が議会の運用の問題についてはお互いが相談し協議すべき問題であって、私はそういうことは言いませんと、そういうことも記者の懇談では積極的に申し上げておいたところなのであります。
○福間知之君 ここでは総理の発言は額面どおり受け取っておきましょう、心の中はわかりませんけれども、受けておきましょう。これは後で、私またもう少し敷衍したいと思っております。 ところで、お忙しい参考人を一人呼んでおりますので、お聞きしたいと思います。ジェトロの理事長さん、ちょっとお願いしたいんですけれども、ジェトロはかつて輸出振興のための機関であったんですが、最近は輸入に積極的に努力をされているようでございますけれども、その結果、今日の大幅な貿易インバランスの解消に成果があるんですか、上がっていますか。
○参考人(赤澤璋一君) 私どもジェトロといたしましては、かつての輸出振興から今や輸入の促進ということを非常に大きな業務の柱にいたしております。具体的に、昨年一年間をとりましても、国内におきます大規模なインポートフェアあるいは国内各地におけるインポートバザールの主催等等もいたしましたし、また約二十回ぐらいの買い付けミッションあるいは海外におけるコンサルティングミッションといったものも派遣をいたしております。また、海外からも約四十件ぐらいのいわゆる輸出促進のミッションが参っておりますので、これらに対する具体的な商談会の設営等も行いました等々、今全組織を挙げて輸入の促進をいたしておりますが、こういったこともいささか寄与したのではないかとも思われますが、総体といたしまして、この円高下で各企業が輸入の促進ということを非常に大きな企業戦略に据えておられる。また輸入金融その他につきましても、政府も大変輸入促進の環境整備もしていらっしゃる。そういうことも相まちまして、昨年は日本の製品輸入は三一・四%、大変大きな伸びを示しておるところでございます。
○福間知之君 年間に一千億ドルからの黒字を出している我が国でございますから、理事長さんのところの御努力はもちろんあるんですけれども、なかなか目に見えるような効果が期待できないということはある程度理解できるんですが、もっともっと輸入をふやしたいというお互い皆気持ちを持っていながら、それがなかなかかなわないという理由、原因について理事長はどのようにお考えですか。
○参考人(赤澤璋一君) 日本の輸入は、先生も御承知かと思いますが、総体としては昨年一年で対前年二・四%減であります。ことしの一-三月も前年同期比で見るとマイナス三・五%、いわば大変停滞をしております。しかし、これは全体の輸入でありまして、主としてこの原因は全体の輸入の四割を占めておりますエネルギー関係のもの、油でございますね、主として。それから食料品等の一次産品、これが大変な値下がりをいたしておりますので、そういったことからなかなか、ドルベースで見ました輸入の金額そのものは大変停滞をいたしております。 今お話しのように、私どもはこの円高の中でもっと製品輸入がふえてもいいのじゃないかという期待を持っております。しかしながら、日本の市場というものにつきましては、いろんな意味で短期の間に効果を上げるにはやはりなかなか、これは商売でありますからそう簡単にはいかない、こういった面もあろうかと思います。また、国によりましては、そういった質のいい、あるいは日本市場にフィットした商品を必ずしも開発できていないというような事情もありまして、私どもが思ったよりも伸びていないのも事実でございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、輸入の数量そのものは昨年一年で一二・五%伸びておりますし、また製品輸入という面で見ますと、昨年は三一%増の五百二十八億ドルということでございまして、まあまあ先ほど申し上げましたような各種の施策、企業における努力等々と相まって、これから先さらに製品輸入を伸ばしていくように私どもも渾身の努力を続けていきたいと考えておるところでございます。
○福間知之君 インバランスが非常に多方面に影響を投げかけて、国会でも多くの議論が行われている昨今でございますが、今のお話しのように、円高でも輸入が思うようにふえない、また、円高でむしろ輸入価格は下がるとインバランス解消には多少その足を引っ張ることになる、こういうような状況がずっと続いてきているわけですね。 そこで、インバランスをある程度効果的に解消する上では、輸入をふやすと同時に輸出に対する一定の規制ということが考えられるわけですけれども、収支相償といいますか、均衡といいますか、こういう考え方、政策というようなものは果たしてどうなのか、どうお考えですか。
○参考人(赤澤璋一君) これは政策問題でございますから、本来政府の方から御答弁いただくのがよろしいかと思いますが、せっかくのお尋ねでございますから私の個人的な見解を若干述べさしていただきます。 御承知のように、世界経済あるいは世界貿易を発展さしていくという上で、今私どもは自由貿易主義というものは非常に大事であるし、これを維持し、かつこの方向で貿易を伸ばしていくべきだというふうに、これは日米のみならず世界各国がそう考えているところでございます。もし今ここで輸出規制という政策を日本がとるといたしますと、これはこういった自由貿易主義の原則に違反をいたしますのみならず、現在燃え盛っておる保護貿易主義を力づけるという結果にもなりかねない、かように私は考えております。さらにまた、いわゆる円高不況と言われているような現下の日本の経済状態の中で、言葉は適当でないかもしれませんが、首つりの足を引っ張るというような結果にもなるのではないか、こう思います。 収支均衡と申しますか、現在の膨大な経常収支の黒字というものを縮小さしていきますためにはやはり、時間もかかり痛みも伴いますけれども、基本的には前川リポートが示しておりますような、いわば内需中心型の経済への産業構造調整を進めていきながら、この間輸入を促進し、また海外に対する直接投資を増加させていく、こういう辛抱強い努力を重ねていくというのが本来政策の筋道であろう、かように私は考えておる次第でございます。
○福間知之君 最後の方のお話は私は同感であります。しかし理事長、かつて繊維がしかり、鉄鋼がしかり、今また自動車がしかりで、一定の自主規制というのはやっていないことはないんです。やっているんですね。好ましいことではないけれども、やむを得ずということでしょうがね。だから、そういうことを避けるためには、相手方の理解と協力を得られる程度に、より具体的な内需拡大策とインバランスの解消策を進める以外にはないのでありまして、縮小均衡に向かうということがもちろんあってはならないし、それには反対です。それだけに、国内でのお互いの経済活動のあり方が問われている、こういうふうに思うのであります。 そこで総理、一応我々は今回の総理の訪米に関しましては、率直に言って十分な効果を上げていない。日本側が一方的に負担を背負うことになった。円高ドル安や貿易摩擦などについて、解決への具体策について合意は必ずしもできていない。米国の貿易、財政の赤字、軍事費削減等について総理はほとんど言及していない。五兆円規模の内需拡大策についてもアメリカ側は必ずしも高い評価はしていない、そういうふうな印象を私たちは持っておるわけです。でないとするならば、それはこれからの日本側の具体的な努力の成果を上げてからのことでありまして、今総理が誇らかにおっしゃったような具体的な成果があったとは考えられないんです。これからの日本側の努力によってそれはまず何にあらわれるでしょう。円ドル相場にあらわれるはずであります。一日も早くそれを実現しなきゃなりません。我々も協力するにやぶさかじゃありません。 どうぞ、これは今からお尋ねする内需拡大の中身に関連して私は評価をしたいと思うんですけれども、内需拡大の具体的な中身、これは先般のこの委員会の議論でもまだ予算が上がらないから十分話ができないというふうなことでありましたが、アメリカへ行って約束されているんですから、総理という立場であれ、総裁という立場であれ、私は具体的な中身を説明願わなければならないと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今、本予算の審議中でございますから、政府としては予算修正にかかわるような発言はできないわけであります。そこで、四月の初旬におきまして、内需拡大に関する方針をまず決めました。そして私が訪米する前に、今度は要綱を党として正式に決めていただきまして、そしてこの予算が成立した後、いよいよこの要綱に基づきまして政府と党と一体となってこれを実行する緊急対策を正式に発表し、それを今度はいわゆる補正予算、内需拡大という具体的手続に前進させると、そういう段取りで今まで進んできたわけでございます。 そこで、総合経済対策要綱として四月の二十四日に自民党で決めました内容、これらがいずれいろいろ検討の上で補正予算の内容になってくると思うのでございますが、総合経済対策、党で決めましたものの内容の御説明を若干申し上げますと、まず基本的には「次に掲げる」「五兆円を上回る財政措置を伴なう内需拡大策を講ずる。」と、こういうことを言っておりまして、そしてまず第一に、公共事業の過去最高の前倒しを行う。少なくとも上期契約率八〇%以上を行う。配分に当たっては、不況地域や不況業種の実情を十分に配慮して行う。前倒しを思い切って今までに例のないぐらいやる。 それから大型補正予算の編成を行って、公共事業計画の進捗率を高めるなど公共事業を追加する。そのほか、研究開発とか教育等に係る施設の拡充等のためにも公共的投資の追加を行う。そういうことがあります。 さらに、投資的経費については、概算要求基準において見直しを行う。つまり、七月に概算請求をやりますけれども、一般行政費は今までのように小さい政府を目指して効率的に節約を続けるけれども、公共事業費や投資的経費、社会資本の充実については今までの基準を見直す、そういうことをここで決めたわけであります。 それから税制改革を実現し、そして減税促進を行う。「税制改革を実現し、」と、こう書いてありますのは、やはり包括的な税制改革の一環として減税を行う、そういう趣旨であると考えております。 そのほか、住宅政策であるとか住宅関連機器の導入であるとか、あるいは規制緩和をさらに推進して民間活力を推進する。あるいは政策金利の引き下げ、あるいは特定地域の追加指定等中小企業対策を強化する。あるいは週休二日制の推進等労働時間の短縮を図るとともに、三十万の雇用開発プログラムの推進等雇用対策を充実する。それから、円高差益の還元を強力にさらに進める。あるいは資金運用部の預託金利の引き下げ等金融政策の適切かつ機動的な運営を図る。 これらが内政事項ですが、対外政策については、輸入の拡大のために臨時特例の枠を政府としては設ける。政府調達の問題です。さらに政府調達制度を改善する。あるいは民間の一層の輸入努力を要請する。これは約三百以上に上る商社等について通産大臣が要請を行いまして、約六十億ドル以上を超す追加輸入を行うという、そういう見通しと約束を得たわけでございます。今まで以上に各商社等も協力してくださって六十億ドル以上を目標として政府に協力してくれるということでございます。製品輸入金融を拡充する。アクションプログラムを推進する。 それから国際的にはODAの第三次中期目標の繰り上げ、つまり七年計画を五年計画に繰り上げる。それから、開発途上国に対する輸銀あるいは海外経済協力基金及び民間の資金をあわせた資金還流計画を推進する。これは、アジア開発銀行とかあるいは米州開発銀行とか世銀とかそういうものと協力して行うということであります。あとは専門家派遣による技術協力であるとか、アフリカ等に対しては積極的な必要な措置を経費的にも資金的にも講ずる。 これが自民党の要綱でございまして、これらを検討の上、補正予算等におきまして実行して内需拡大を至急促進していきたいと考えております。(「本予算を審議しているんだよ」と呼ぶ者あり)
○福間知之君 今同僚議員からも苦情が出ているように、今本予算を審議しているこの国会で大型の補正予算の話をしなきゃならないというふうなことはやや異常だと思うんですね。(「欠陥予算だ」と呼ぶ者あり)まあ、欠陥予算だと言われても私は仕方がないと思うわけであります。 昨年の秋の三兆六千億円水準の大幅な補正予算、あのときに実は純粋な国費の出費は五千四百億円程度でありました。災害費を除くと実に千三百三十億円しか真水でなかった。だから、先ほど来言っているような景気状況であるし、円ドル相場が引き起こされてきているということでもあるわけでありまして、私は昨年の本会議で総理にこれをただした。成長率だってやはり目標を大きく下回ってしまっているじゃないですか。その上での六十二年の編成されたこの予算、昨年の暮れには私たち党としても総理に申し入れをしています、大型補正予算を組むべきだということを。しかし、そうなってない。そして、今この国会で予算がまだ上がっておらないにもかかわらず大型補正予算をアメリカとも約束していることでもあるし、我々は問いたださなきゃならない。だから、今お聞きしたんですけれども。 果たして大蔵大臣これ、今の総理のお話、五兆円規模とおっしゃいますけれども、その財源はどうするんですか。どの程度を真水で出すんですか。そういうお話になればお聞きしなきゃなりません。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、昨年の補正予算につきましてお話がございましたが、ある程度建設国債も出しまして公共事業の前倒しの後の処理をいたしたわけでございます。その結果といたしまして、年度末に至りますまでかなり公共事業は各地に行われてまいりました。殊に天候がよろしかったせいもありまして進捗率は相当速かったと思われます。したがいまして、この六十二年度に入りまして、本来でございますと四月にはもう六十二年度の公共事業の前倒し、先ほど総理が言われました前倒しの具体的な計画と実行が図られるのがこういう年でございますと普通でございます。しかしながら、参議院にこれほど遅く予算案が回付されたことは例の乏しいことでございますことからもわかりますように、政府としては公共事業の前倒しが現実にできない。事情はいろいろございましょうが、ともかく参議院がお受け取りになりましたのはこんなに遅くなっておりますわけですから、公共事業の前倒しすら実はできない状況である。 したがいまして、私どもとしては早く予算の通過をひとつお願いいたしまして、早速公共事業の前倒しを図り、そうしてその後の措置として先ほど総理が言われましたような、後をどうするかということを考えさせていただかなければならない。非常に気持ちが焦っておるわけでございますけれども、成立しない予算案の前倒しということはできないことでございますし、また軽々しくその計画を具体化することも控えなければならないという現実でございますから、それができましたらひとつそれをまずさせていただいて、その後のことを財政措置として、先ほど総理が紹介されました自民党の要綱等に従いまして、後のことを考えさせていただかなければならない。 本予算を御審議中でございますから、その後の財政措置をあからさまに申し上げることははばかられますけれども、しかし、現実に前倒しをいたしました後の処置は昨年度もああいう形でいたしておりますので、それは当然にその時期になりますと考えさせていただかなければならないことだと思いますし、財源につきましてもそうなりますと、内需拡大というのが非常に内外ともに大事な課題になっておりますから、財政再建の大枠を外れない範囲でかなり思い切ったことをいろいろ考えなければならないと思っております。
○福間知之君 何かこの予算の成立がおくれているのは私たち野党側の責任であるかのように受け取りましたけれども、その理由は何なんですか、だとするならば。 じゃ私は、税制問題に入りましょう。 もうちょっと今の大臣の答弁については聞きたいんです。大蔵省でも、建設国債主体で補正予算を組まなきゃならぬ、NTTの株の扱いも考えなきゃならぬ、こういう発表がなされていますよね、きょうの新聞で。検討されなきゃいかぬ、対米公約を実施するためには大蔵省も編成を急がなきゃならぬ。その中身をお聞きしたいんです。しかし、今の御答弁で、何か野党側がわざと予算の審議をおくらしているように思われてなりませんが、その理由は何ですか。これは税制問題の衆議院におけるいきさつがあったからだと思うんですけれども。 総理、税制問題は、私は、衆議院でああいう経過と議長預かりという結末になって、そして国民は今参議院の審議を注目していると思うんです。一体あれはどうなったんだ、参議院はっきりしてくれ、こういうふうに思っていると私は思うんです。私たちは、昨年の選挙の公約違反に端を発して、短期間にいささか密室的な審議で大きな改革をやろうとした総理の姿勢を国民が批判をした、そして衆議院でああいう結末につながっていったと、こういうふうに考えているんですけれども、総理はどうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院で予算が通過いたしましたときに内閣総理大臣談話を発表いたしまして、今回の税制、売上税の問題等につきましては、当方の努力不足等もありまして御迷惑をおかけしてまことに申しわけないということも申し上げたとおりであります。それで、各党各派で御協議いただきまして、議長のあっせんということになり、そして税制改革は必要である、それから直間比率の見直しもこれは必要である、各党各派は最大限にそのために協力する、そういうことを約束いたしまして、そして各党各派で協議会をつくってそれを実行するということに相なり、今、いよいよ六日から衆議院側におきましてその協議会の成立について努力がなされるやに承っております。できるだけ速やかにこの協議会をおつくりいただきまして税制の改革問題を推進していただきたい、政府はこれを見守るという考えでおるわけであります。
○福間知之君 あの議長裁定は、もちろん与野党の協議機関を設ける、そして審議を行うということはそのとおりでございますけれども、この国会で政府提案の売上税を審議するという約束にはなっておりません。ましてや、総理が先般のこの委員会でも、早急に最大限、そして直間比率の見直し、その部分だけを強調されたように私は印象を受けたんですけれども、そんなものじゃありません、あの議長の見解は。ああいういきさつになったことを議長としては極めて重大視して、もう一度これは慎重に国会が国民とコンセンサスをつくるために一定の時間をかけて議論をしなきゃならぬという、そういう前提が置かれているのであります。ましてや直間比率の見直しなど、総理の言うふうに最初からそれが目的であるかのようなことを言うのはこれは間違いでありまして、過去において大蔵大臣が何回も何回も国会で、直間比率の見直しというのは結果であって、税収は何のためにどういう方途で確保すべきかということを議論した上で、直間比率というものを結論として設定することになるんだと、これは歴代の大蔵大臣の答弁なんです。 私たちはそういう意味で、今回のこの売上税提案以降の経過は、まさに中曽根政権が強引に売上税を国会で成立させようという、そういう態度に対して厳しい批判が出たということ、これにかんがみて、議長預かりとはいえ事を慎重に運んでいく、一定の時間をかける、そういう意味では、この国会ではこの法案は審議未了、けじめをつけて与野党素直に白紙の立場で出直すべきだ、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、議長あっせん案の中にありましたように、与野党の今後の協議の推移を政府としては見守ってまいりたいと思います。
○福間知之君 与野党の協議はもちろんですけれども、あの議長裁定が成るまでの衆議院における与野党の約束事を御存じですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府としては、各党間で了承されそして議長裁定のもとに約束された合意というものを行政府としては見守る、立法府のことは立法府で推進なさる、そういう関係にあると思うのであります。
○福間知之君 衆議院でああいう混乱を経て、最終決着を議長にゆだねなきゃならなかったということですから、これはだれが考えても、もう一度仕切り直し、頭を冷やして協議しようということじゃないですか。私たち野党もその気持ちに変わりはないんです。だが、総理が内心期待しているやに感じまする今国会での会期延長、そして自分の手で税制改革をなし遂げる、そういう路線は到底考えられないと思うんです。客観的に見て、それは国民が否定する方途だと思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく、議長預かりということで、税制については衆議院に関する限りは各党各派でそういう合意がなされたわけでございますから、我々はこれを見守っていくと、そういうことでございます。
○福間知之君 では、あれですか、この二十七日で終わるまでもう幾ばくも日にちはございません。その中で、与野党の協議が仮になされたとしても、抜本的な改革に通ずるような税制改革法を国民の合意を得ながら成立させ得るとお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政府としては、ともかく議長さんまでお出ましになって各党各派が合意したことでございますから、これを見守るという態度以外にはないのであります。
○福間知之君 議長の裁定だからそれを見守るという、それはそれで当然ですけれども、私はその中身を言っているわけであります。国会としての扱いを含めて当然のことを言っているわけでありますから、まず時間切れで審議が十分に達成し得ない、もう一度出直しと、これは常識じゃないかと思うんですね。くどいようですけれども、もう一度。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたとおりでありまして、御意見として承っておきます。
○福間知之君 議長裁定の過程で、衆議院の越智議運委員長も出席された上で、いずれにしても時間切れで審議未了、廃案ということにこの国会ではなる、こういう与野党の話し合いがなされているわけです。だから、私たちは総理が考えておられるかもしれない会期延長をも辞さないで売上税審議をやるというふうなことは毛頭考えていないということを改めて申し上げ、総理の決意を促しておきたいと私は思うんです、決断といいますか。 では、若干内容に入りたいと思うんですけれども、法人税の減税、一・三%の上乗せ税率、これは日切れ法案の処理の際に行われて四二%へとなりましたね、大蔵大臣。現在の政府の税制改革法案はこれをさらに本則三七%とする改正が残されております。この四二%への引き下げそれ自体、減税先行じゃないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はこの一・三%の上乗せは暫定的な措置として御了承を得ておったものでございますので、したがって、その暫定期間が切れるという形で四二%に戻ったわけでございます。 なお、それに関連いたしまして私どもとしては、各種の引当金でございますとか、あるいはいろいろな経過措置でございますとかいうものをある程度調整いたしまして、もとの税率に返るのではございますけれども、ある程度増収分をそれに見合うように考えておりましたわけでございますが、その見合い分の方が税制としては通過をしておりませんで、その一・三%上乗せした分だけがなくなったという形で現在の状況になっておるわけでございます。
○福間知之君 一・三%の財源の中身はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、一つはただいま申しました引き当て等々の廃止、それから多少のいわゆる経過措置の撤廃と申しますか、やはり廃止でございますが、そういうことがございますが、しかし法人税だけの中で申しますと、それだけではいわゆる歳入中立的にはなりませんで、他の増収措置とあわせまして税制全体の中で歳入中立と、こういうことになっております。 したがいまして、法人税それ自身で申しますとネットの減税になると申し上げてよろしいと思いますが、ただ、先ほど申しましたように、この一・三はもともと仮に、暫定的に付加さしていただきました税率でございますので、暫定期間が過ぎたことによってそれは実は当然本来の姿に戻るというふうに申し上げるべきかもしれません。
○福間知之君 しかし、いずれにしても財源が要るわけでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制全体が歳入中立的でなければ、ならないという意味では、法人税を減税いたしますとその財源は必要になってまいります。
○福間知之君 私の試算では国税で約四千億円、地方税で四百十億円という数字。大きな間違いはないですか。
○政府委員(水野勝君) おおむねお示しの数字でございます。
○福間知之君 総理、こういうふうに財源がやはり四千数百億円かかるんです。財源の問題に合意が得られていない限り法人税の減税先行は無理じゃないかと思うんですけれども、その場合はこの法人税の減税は撤回されますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そもそもこの一・三%の上乗せというのは、先ほども申しましたように、財政との関連で暫定措置として国会でお許しを願った措置でございました。したがって、暫定期間が切れることによって別段の法的措置がない限りこれは当然になくなる、そういう経緯でございましたので、正直を申しまして、私どもとしては税制全般の中でその歳入減は補っていきたいという気持ちを当然のことながら持っておりましたが、しかし税制全般となりますと、先ほどのお話のように、国会としてはすぐにお認めいただくことはできないということでございましたゆえに、その暫定的に乗せました期限だけが切れまして事実上の減税が行われるに至った、こういう経緯でございます。
○福間知之君 いずれにしても、法人税を減税するということですね。当然ここで私たちとしては所得税の減税も先行させるべきだと、総理もアメリカへ行って内需拡大の約束もしておいででございまするから、何としても所得税の大幅減税を断行するというふうに考えなきゃならぬと思うんですが、総理はこれはいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それにつきましては、繰り返すようでございますが、まず法人税の場合には上乗せ措置が暫定措置であったということを御理解いただきたいと思います。これに反しまして、現在の所得税体系はこれは恒久体系になっておりますので、その点に一つ違いがございます。そうは申しましても、私どもも所得税の減税はぜひさせていただきたい。で、ただ、それに見合う、財政状態から申しますと、財源を新たに一つお認めいただきたい、こう考えております。
○福間知之君 総理が向こうへ行かれる前日の二十八日に自民党の四役は経団連、財界四団体と懇談をされて、思い切って内需拡大をするためには六十三年度に実施予定の所得税減税を繰り上げて実施することも考えなきゃならぬ、こういう発言をした旨報じられております。大蔵大臣は今四役の中におられるわけじゃないんですけれども、当然仲間として御相談もあったろうと思うんですけれども、大蔵省もそういうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 自民党の中にそういう考え方がございますことは事実であると存じますけれども、政府といたしましてあるいは大蔵省といたしまして具体的な相談にあずかっておることはいまだございません。
○福間知之君 これは大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、先ほどの直間比率の見直し、議長裁定の中にも入っているわけでございますけれども、これについて、私が先ほど申したように、そのこと自体を目的とするというふうなことは今まで公式には国会でも答弁はなかった、これは御承知ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどそういうことを仰せられたのを承っておりました。
○福間知之君 それは、原則論として税制というのは現在の制度が最良だ、こういう過去からの見解があるわけでありまして、だから税の中立性なども考慮すれば直間比率の見直しなどを軽々に言うべきじゃないと、こういう趣旨だと私は思っているわけです。 むしろ我々が与野党とも真剣に考えなきゃならぬことは、総理が昨年来からシャウプ税制以来の大改革だなどと口にされてきたでしょう、だとすれば私たちは、その結果が売上税というのは、これは甚だもって当を得たものじゃない、シャウプ税制にむしろ立ち返るべきだ、そしてその間やらなければならなかったことをやってきていないわけですから、もう一度シャウプ税制というものを読み直して厳正に日本の税制をそれに立ち返って見詰めるべきだ、こういうふうに思っておるわけです。としますと、一つは直間比率問題で、なかんずく現在の直接税の中にもあるいは間接税の中にも、比率を見直す云々の前に、もっと徹底して税の公正さを追求すべき事柄がたくさんあるではないか。今まで大蔵委員会でも私たちは、不公平な税制、高度成長時代に役割を果たしたがもう歴史的に役割の終わった税制、四十項目ほどあるじゃないかという主張をしてきておりまして、そういうものを思い切って見直すということ、そこから結果として財源も税収入も出てくるし、そしてその上でトータルとして財政需要がどれほど必要で歳入がそれに対して実はどれほど足らないのかということで、初めて税制改革論議というものは国民に理解される基礎ができると思っているんです。 この直間比率の見直しということは、そういう意味でまずその前に直接間接それぞれの税制の中で徹底した見直しが必要だという私の見解については、いかがお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに直接税の中にいろいろな問題がありまして、それを検討しなければならないとおっしゃっていらっしゃいますことは、私は異議がございません。いろいろ改めるべき欠点があろうと思います。 ただ、そこで、直間比率の問題でございますが、直接税が七〇を超えておる、したがって間接税は三〇に満たないというのは、今の我が国のように所得水準が高く、かつ所得が平均的に分配されておる、消費水準も結構高い社会においては、私はやはりもう少し間接税の比率が高いことが望ましい。殊に直接税が高くて企業意欲であるとか勤労意欲であるとかを阻害する、あるいは老齢化社会になりますので、どうしても二十一世紀になりましたらこの数多い老人を数少ない若い人がどれだけ所得税だけを上げてもなかなか支え切れるものではございませんから、今から私ども老人たちもやはりそれを何かの形で負担していくという制度をつくっておかなければ、これは先に行って若い人が困るということがはっきりいたしておりますから、そういうこともございまして、この際間接税にもう少し比重を移していくべきだと私どもは考えております。 シャウプ税制の行われましたころ、多分直接税が五五、間接税が四五ぐらいの比率であったと思います。その後に御承知のように所得がずっと倍増といったように伸びまして、自然に所得税の比率がずっと高くなってまいりまして、その関大幅な税制改正がございませんでしたために今日のようなことになってまいりました。諸外国で申しましても、アメリカ以外はこういう形の国はございませんで、今の日本の現状を考えこれからの老齢化を考えますと、この際何かの形での間接税への重点の移行ということは好ましいことでもあるし必要なことであるのではないかと思っております。 私は、気のせいかもしれませんが、いわゆる売上税という問題が衆議院の議長あっせんによりまして協議機関という一つの新しい段階に入りました後、世の中で、考えてみればやはり直間比率の是正というものは必要なんだな、間接税に何かの形でもう少し比重をそっちへ傾けていくということは必要なのではないかという議論が今度は余りこだわりなく行われているように、私の気のせいかもしれませんが感じておりまして、それは確かに客観的に私はそうではないかと思います。
○福間知之君 気のせいで判断をするわけにもいきませんので、言わんとする気持ちはわかります。 そこで、その直間比率の問題の前に、今必要な財源、改革すべき税目、これは一体何か、考え方として。 まず第一に、その財源を必要としている喫緊の課題は所得税減税です。間違いありませんね。 二番目に、今大臣も触れられた高齢化社会への対応のための財源確保であります。これは私たちも否定はいたしておりません。しかし、年金の財政需要が増大するのは今から七、八年後であります。一九九五年から二〇〇〇年のごろになって財政需要が急増するというふうに思っておりますから、先ほど来も言っておりますように、長期にわたる税制改革というものを今ひとときの短い期間でやることには無理もあるし、必要もないと言っているんです。 三番目には、これまた喫緊を要するかもしれません、財政再建のための財源であります。これはやや中期的に見なければならぬでしょう。 そういうふうに、私、三つ、当面の財源を必要とする課題というものが考えられる、短期的、長期的にですね。これには御異存はありますまい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 第一の所得税のところへさらに法人税の問題もつけ加えていただきましたら、おおむねおっしゃるとおりと思います。
○福間知之君 私は先ほど申したようなことで考えてみますと、所得税減税、これは後ほどちょっと具体的にお聞きをしたいと思いますけれども、これを今年度速やかにひとつ実現をする、そのための財源をどうするかという議論をしなきゃなりません。それから財政再建のための財源という観点から見ても、財政再建は今、六十五年度再建目標というのは建前としてはおろせないけれども、実態的には無理があるということは大臣もお認めになると思うんです。これをしたがって目標、ターゲットを延長して、しかも内需拡大その他で経済の活力と財政の健全性、積極性というようなものをもう一度見直してみる、そして中期財政計画というものを立て直してみる、こういうことが必要だと思っておるわけであります。 もとへ戻って、第一の所得税減税、法人税の減税、その他政策減税、それらの財源構想をどうするか、当面。先ほどもちょっと触れましたように、政府、大蔵省も六十三年度分を前倒ししてでも二兆円水準の所得税減税ぐらい考えなけりゃならぬ、こういうふうに報道されているんですが、だとすれば、その財源が要りますね。しかし、それは売上税を充てるということはこの国会で決まりませんね、こんなものは。どうするか。一定の構想を当然大蔵省としては既に吟味されていると思うんです。大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、先ほど総理が重ねてお答えになりましたとおり、衆議院議長のあっせんがございまして、協議機関においてこれから御協議が始まる。私どもは、協議機関が売上税の問題ばかりでなく税制全体についてお考えをいただける、それは、議長あっせん案の中に老齢化社会であるとか直間比率とかいうことが背景として書かれておりますことからも、しかも協議機関は税制改正について協議をすると述べられておりますので、減税だけをあるいは売上税だけを御審議になるということではないというふうに考えております。 したがいまして、すべては協議機関のこれからの御協議を待つということ、それに対して政府ができる限りのお手伝いを申し上げるということであろうと思いますが、もとより私ども自身としましていろいろ先のことを心配しておらないわけではございません。願わくは、協議機関におきまして一日も早く全体のこれからの税制改正の構想をひとつおまとめをいただきたい、これを期待申し上げておるわけでございます。 なお、先ほど所得税のさらに前倒しによる減税云々というお話もございまして、私ども実は、協議機関ができるだけひとつ、恐縮ながら、早く結論を出していただきたいと考えておりますのは、年末調整の時期を過ぎますと、減税といいましてもうまくこれをやる方法がございませんで、戻し税のような形になってしまわざるを得ませんで、そうなりますと、それは恐らく御期待のところと違うのではないか。願わくは、長期の立場に立たれて、その上で税源もお考えの上で今年度分の減税ということをひとつ協議機関でお示しを願いたい、これを期待申し上げております。
○福間知之君 協議機関での相談は野党もこれは約束をしているわけですから、いつの日か具体的な協議が始まると思います。早急かそうでないかは、先ほど来の総理の答弁を聞いていますと、どうも早急にはいかない。協議機関を構成、発足させるまでに時間がかかってしまう。売上税というものに固執しなければ私は早急という可能性は出てくる――いや、総理お笑いになっていますけれども、これは参議院の我々国対で相談しているんじゃないんです。現に衆議院で相談がきょうから始まると聞いておるんですけれども、その雲行きは、どうも総理の発言の影響は悪い方向に行くんじゃないかということを私は懸念しておるわけです。だからむしろ、所得税減税というもの、法人税減税というもの、そしてその財源というものは、あの売上税でのもくろみの延長線上で考えることはもうやめて、そして国民が期待していることに、それこそ戻し税減税じゃなくて、年度内にはっきりして国民に差し上げるということをやるためには、私は国会の責任は大きいと思うんです。 ああいういきさつの上での税制改革路線というもの、これにこだわっちゃならない。これにこだわっちゃ私たち野党まで国民に批判されてしまうと思うんですね。いや、本当にそうです。そのことは政府としても認識をしてもらわなきゃ困るのでありまして、それは確かに総理は、もうあきらめました、やめますと、これは簡単には言えないでしょう。だけれども、それは勇気と決断、一番それが必要だと私は思って、野党はむしろ総理の代弁をしているような気持ちで今私はしゃべっているんですよ。 総理、今大蔵大臣にも聞きましたけれども、この減税、大幅減税先行ということについて、この必要性と実現する決意のほどを聞かしてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 自民党が決めました二十四日の要綱の中に、税制改革を実現し、そして所得税法人税の減税を行う、そう書いてありまして、私は所得税法人税の減税を先行するということは検討に値することだと思っておるんです。ただ、「税制改革を実現し、」と書いてあるということは、税制改革の一環としてそれが先行される、ついてはそれに対する財源の確保というものもしかるべく見通しがついて確保されておらないというとそれは無責任になる、そういう意味であの文書は書かれていると私は考えております。
○福間知之君 大蔵大臣、今総理の御答弁にもありましたし、レベニュー・ニュートラルというようなことをかねがね言ってきているわけですけれども、平たく言えば、増税策もあわせてなければだめよと、こういう意味なんですね。その増税策は、売上税はああいう姿になったわけですからこれは一応別としまして、与野党協議で踏み出さなきゃならぬという課題ではあるんでしょう。しかし、それは一応別としまして、一般論で、仮にそういう増収策が決まっても、今年ひとつ早目に大幅減税の断行ということになりますと財源は間に合いませんわね。何か手当てしなきゃならぬですね、一時的にしろ。その場合の方法はどういうことになるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこが大事なところだと思います。今総理大臣が税制改正の一環としてと言われました意味を私なりに敷衍いたしますと、第一に、減税というのは恒久措置でございますから、その見合いの財源はいっときの財源であってはならない。いっときの財源ではこれは先の恒久措置、手当てができません。第二に、その減税は歳入補てん公債、赤字公債で賄われるということは適当でない。この二つの問題が大事であると思います。
○福間知之君 いや、それはそれとしてわかりますが、私のお聞きしたのは年度内に、いやむしろ年内に大幅減税断行ということを決意した場合には、だから財源が要るということ。その財源は赤字公債に依存することもだめ、いっときだけの財源じゃだめだといったら、ないじゃないですか。全然減税できないということじゃないですか。そいうことになるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうことにどうも理屈の上ではなってまいります。そこで、できるならばやや、大変長期ではなく、中期ぐらいの見通しの中において協議機関においてその辺のことをお考えいただけることがぜひ肝要であると思っております。
○福間知之君 二兆円水準の、私はこれは必ずしも今大幅減税とは思いませんよ、二兆円水準といったって。所得税だけとっても十年間減税措置がとられていないんですから、先進国で日本だけです、こういうお国柄は。本当に情けない思いなんですね。それだけになおさら、売上税の問題もこれあったけれども、ここは気持ちを持ち直して内需拡大というためにもぜひ必要な所得税、法人税減税というのは断行したいと思っているんです。今の大臣のお話によると、大きな財源はない、二兆円なんというのはとてもできそうじゃないという印象。そうしたら我々は千億か二、三千億で我慢しなきゃならぬのかなとも思うわけですけれども、それじゃこれは何のための減税かということになるわけであります。 そこで、私は一つの提言をしたい。 これは衆議院で売上税問題が困難をきわめておった過程で、私たちは他の野党さんともある程度のすり合わせをして、そうして税制改革特に当面のこの所得税減税を含めて考え方をデッサンいたしました。幻の野党共同提案と言われているわけでございますから、国民の中には、あるいはまた総理も選挙中でございましたが、野党は対案がないじゃないかということを言われたわけですけれども、私は国民の皆さんにも、野党の我々としてもこういう責任ある見解を裏づけにして税制改革に当たろうとしているんだ、あるいは所得税の減税の断行を政府に迫っているんだと、これを申し上げたいと思います。 ちょうど午前はこれで終わりだそうでございますので、午後に回します。
○委員長(桧垣徳太郎君) 福間君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時一分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に橋本孝一郎君を指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、福間知之君の質疑を行います。福間君。
○福間知之君 午前中の私の質問の中で触れました、衆議院における売上税議長預かり、そして与野党の合意、それと中曽根総理のハワイにおける記者会見の発言に関連しまして少しくただしたいということで、同僚委員から関連の質問をさせていただきます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。野田哲君。
○野田哲君 私は、予算委員会の理事として、これからの参議院における予算審議を進めていく予算委員会の運営の衝に当たる者として、午前中の福間委員の質問にさらに重ねて二、三点総理に確認をしておきたいと思うんです。 まず、ハワイ発言の問題であります。 総理は、今回の訪米に当たって、会期のことについては記者懇談会でも触れていない、こういうふうに午前中に答えておられるわけでありますけれども、私どもとしても国民としても、昨年来の総理の言動につきましては、やはり昨年の選挙のこと、あるいは売上税のこと、どうしてもまゆにつばをつけて聞かなければならない、こういう心境になっているわけであります。 そこで、重ねて聞くわけでありますが、会期延長のことは言っていない、こういうふうに総理は言っておられるわけですが、報道によると、夏ごろになるとセミが鳴くようになるが、セミに負けないように頑張らなければいけないとか、あるいは八月ごろをめどにアメリカと約束をした五兆円規模以上の大型の補正予算を成立させるとか、あるいはまたそのことに関連をして、一つの国会で二回予算を提案したことについても例があると、こういうことにまで言及をされているとすれば、総理の発言の細かいニュアンスはどうであったにしろ、特に一つの国会で二回予算を提案したことの例まで引き合いに出しておられるとすれば、我我としては、やはり総理はかなり長期の大幅延長を考えておられる、そして補正予算の審議にかこつけて売上税の復活まだもねらっている、こういうふうな疑惑を持たれてもしようがないと思うんです。その点についてもう一回明確に答えていただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、ハワイにおいて記者懇談をやりまして、そのときの御質問がいろいろありました中で申し上げたので、まず内需振興というものは急を要すると。今の円高不況に対応するためには内需振興をできるだけ早くやる必要があるし、それから円ドル関係、円高というものを直していくためにも早く内需をどんどんやる必要がある。そういう意味で、まあ遅くとも八月ぐらいまでに予算は早く成立させたい。さもないと、円ドル関係やあるいは景気振興に差し支える。そういう意味でできるだけ早くと申し上げました。ただし議会が要りますねと、そういう話をしたのであります。 それから同じ議会に補正予算を云々というのも、たしか私の記憶では、そういうことはあり得るかという質問があったと思いますが、そういう例はありますと、そういうお答えをしました。たしか昭和二十年代に、これは特別会計の予算等でもありましたが、五回ぐらいあるんじゃないかと思いますし、三十年代に入りましてもたしか一回ぐらいあったのではないかという、そういう記憶がありました。 このセミの話は、夏という意味で、それで私もこういう俳句をつくりましたよと。「くれてなお命の限り蝉しぐれ」、そういう私の下手な俳句を申し上げまして、セミに負けないように一生懸命やらぬといかぬなと、そういうことを申し上げたのは、内需振興とか円ドルの安定のためにそういう措置を早くやらなきゃいかぬ、そういう趣旨で申し上げたのであります。
○野田哲君 その八月ぐらいまでに大型の補正をやりたい、それには議会が要りますねという、その議会というのはどういう議会なんですか。これは通常国会の延長を念頭に置いておられるのか、それとも臨時国会を考えておられるのか、そこのところはいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは、やはり与野党でいろいろ相談をして、その結果、各党の意見を聞き、また政府と自民党とも相談をしてそういう関係が決まっていくのだろうと。今までの前例等もございますが、そういうような関係で決まるので、どっちというようなことで特に限定したわけではございません。
○野田哲君 四月の二十三日、売上税問題で「議長がこれを預る」、こういう各党の協議が合意をされた。そのときに、売上税問題のために会期の延長はあり得ない、こういう点と、そしてQアンドA――各党の合意ができないときにはどうするか。そのときは審議未了、継続ということであるが、この場合は審議未了になる。審議未了ということは一般的に言えば廃案ということですね。そのとおり今国会廃案ということだ。こういうやりとりがあったことを含めて総理はこの議長裁定を確認されているはずなんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは承知しております。 また、売上税の問題は、第三項に「売上税関連法案の取扱いについては、協議機関の結論をまって処理する。」と、そういうことで、協議機関の結論を待っている状態である。 それから一問一答につきましては、これは一つのケーススタディーである、そういうふうに考えております。
○野田哲君 野党が合意しない場合には廃案になる、こういうことが議長裁定で確認をされている。ケーススタディーではない。それはもう具体的な確認として私どもは受けとめているわけです。その点いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 審議未了とかいろいろそういうような、こういう場合にはこうなると、そういう意味の一般論として議長は答弁したと考えております。
○野田哲君 いや、もう質問のあれが食い込んでおりますから、委員長、ただいまの問題は、後日、私どもこれから審議を進めていく上について明確にしておかなければならないと思いますので、理事会で協議することを委員長において諮っていただきたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまの質疑に関する件につきまして、後日理事会において協議をいたします。
○福間知之君 午前に引き続いて税制の問題に入る前に、法務大臣、三日の日に西宮市で朝日新聞社の阪神支局の記者が、三人おりましたところ、暴漢に襲撃をされ一人が死亡、一人が重傷、こういう事件が起こりました。その事実とその後の捜査状況をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(遠藤要君) まことに遺憾な事件でございまして、今警察庁自体が必死となって捜査のさなかでございます。さような点で検察庁の方にはまだ正式な報告がございません。
○国務大臣(葉梨信行君) お尋ねの事件でございますが、去る五月三日夜、兵庫県西宮市内所在の朝日新聞阪神支局におきまして、同支局内にいました同社記者二名に対し、男一名が所携の散弾銃を発射し、一名を殺害、他の一名に重傷を負わせたものであります。兵庫県警察におきましては、事件認知以来、所轄署に百十名態勢の捜査本部を設置し、鋭意捜査中でございます。 この事件は、報道機関の取材拠点ともいうべき支局に侵入して記者二名を殺傷するという重大事件であり、社会的反響も大きいものがございます。地元の兵庫県警察におきまして犯人の早期検挙を目指して鋭意捜査中でございますが、私といたしましても、早期に犯人が検挙され、事件の全容が解明されるよう十分な関心を持って捜査の推移を見守ってまいりたいと考えているところでございます。
○福間知之君 この間もかつてのNHKの記者が自殺をされたという事件がありました、社会部の記者でございましたか。今回の朝日新聞の事件も、要するに言論機関の仕事に従事している、こういう方々に対する事件であることは共通しているわけですけれども、何かこの背後関係に、今回の場合、朝日新聞の記事というものについての個人的な恨みだとか、何かそういうものがあるんじゃないかと疑われるわけですけれども、いかがですか。
○国務大臣(葉梨信行君) 正確ではございませんが、朝日新聞社、時事通信、共同通信に対しまして、犯人と称する者からの、事件を自分たちがやったという連絡がございました。その名称につきましては、警察で調べましたところ、実在する団体名ではございませんでしたので、ただいま鋭意捜査中でございます。
○福間知之君 ぜひ厳正なひとつ捜査と対処をお願いしておきたいと思います。ゆゆしき事件だというふうに心得ております。 時間がございませんので、税制、一言二言で終わりたいと思いますけれども、私たちは、大蔵大臣に先ほど来申しましたように、野党としても当面の考え方というものについては具体案を持っている。長期にわたっては、国会の協議機関もできたことだし、私たちは先ほど申し上げたようなスタンスで国民と一緒にひとつ時間をかけて考えていきたいと考えています。 当面私たちは、総額二兆円水準の減税要求というものを何としても実現しなきゃならぬというふうに考えているわけでありまして、その具体的な財源について、一つは不公平税制の是正、こういうものを前提に置きまして、不要不急の経費の削減、補助金行政の改革等を前提にいたしまして、まずは有価証券の譲渡益に対する課税を強化する。これは多くを申し上げるまでもないと思います。キャピタルゲイン課税の強化、あるいはまた、政府の税制調査会も言っていますように、他の所得と同様に原則課税をするというふうな処置でもって税収約六千億円、これが捻出できるではないか。さらに土地の譲渡所得課税の強化、これも総額二千五百億円、過小に実は見ているわけであります。非課税貯蓄の限度管理の徹底、マル優の廃止、銀行預金の非課税制度、こういうものを、廃止じゃなくて、かつてグリーンカード制を我々が考えようとしたそういう時点に立ち戻って、限度管理を徹底すればほぼ五千億円程度不正利用している部分から徴税できるじゃないか。 あるいは貸倒引当金繰入限度額の適正化。六十年期末の残高が三兆一千二百四十四億円ございますが、繰入率を二〇%引き下げる。税率四二%とすれば二千六百億円程度、貸倒引当金の繰入限度額の引き下げといいますか、適正化によってそれだけ出る。タックスヘーブン対策、軽課税国の対策でございますが、外国税額控除制度の強化、これは、巷間言われています多くの企業が五十カ国近い海外の課税されない国へ籍を置いているという事実からしても、ほっておくわけにはいかない。一千億円程度の徴税が見込まれる。受取配当益金不算入の圧縮、六十一年分の受取配当益金不算入額は五千百七十一億円でありました。五〇%算入し四二%課税すればほぼ一千億円強であります。支払い配当軽課制度の廃止、これは六百五十億円程度少なく見ても見積もられます。その他、配当課税の改革によりまして八百五十億円、給与所得控除の頭打ち制度の復活によってほぼ四百億円。都合で私たちは二兆二千億円余りの税収を見込むことができる。 こういうものを直接税のさしあたっての是正という課題としてやることによって当面の減税の財源に資することができる、こういうように考えているわけですけれども、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお話しの考え方、つまり減税というものが必要であるが、そのための財源は何とかしてこの税制の中で生み出さなければならないという、総合的に考えなければならないというお立場での御発言と存じますが、その点は私どもも、ぜひいいかわり財源を考えなければならないという意味におきまして、そのようなお立場に敬意を表するにやぶさかでございません。 次に、非常に簡単に御説明になられましたので、よく伺ってから申し上げるべきことではございますが、お話の中で、方向としては私どもが同じように考えておりますものとして、例えばキャピタルゲインの課税を強化する、あるいは土地の譲渡所得についての課税強化、あるいはまたいわゆるタックスヘーブンの制限を強める、それから受取配当益金の不算入を圧縮していく、あるいは支払い配当軽課制度をやめてはどうか等々につきしては、方向としまして私どもも行政上同じようなことを考えている部分がございます。 ただ、それから生じます捕捉税額の大きさにつきましてはかなり、失礼でございますが、それほどすぐに効果があるだろうか、あるいはそれだけの強化ができるだろうかという感じを、伺っただけのことでございますが持ちました。例えばキャピタルゲインで六千億と言われましたが、これにつきましては、売り渡し価格がわかりましても取得価格がなかなかわからないという問題がございますし、キャピタルロスのこともあろうかと存じまして、公平に税制をやってまいるといたしますと、政府が今度御提案した程度の、つまり年間取引回数なりあるいは取引株数なりを締めていくという程度が、税の信頼を維持しながら徐々に進めていく方策としては限度ではないかという感じを持ちますので、六千億というのは果たしてどうであろうか。 また、土地の譲渡所得課税の強化は、おっしゃるとおりのことを私どももほぼ考えておりますが、二千五百億という収入は、増収効果はなかなかないのではないかというふうに考えております。 それから、この非課税貯蓄制度の限度管理の問題だけが私どもと福間委員の言われましたのと考え方が違っておりまして、これはどうしても私どもは、いわゆる社会的な弱者に対してはこの制度は残すといいますか、むしろ存続させておきたいと思います。そうでないところに対しては課税がむしろ適当である、むしろ大きな租税 脱の方法に、道になっておるというふうに考えておりますものですから。したがって、今の制度をそのままにいたしまして限度管理をやろうといたしますと、いわば国民背番号といったようなことになら、ざるを得ないということはグリーンカード云々のときに実は経験をいたしたところでございますので、ここのところの五千億余りの税収というのは、ちょっと私どもとしてはさようには考えがたいというところでございます。 それから引当金の限度額を締めていくということは、これも考え方としては私は間違いではないと思いますけれども、これは結局一遍限りの課税でございまして、廃止しますとそれでなくなってしまいますので、そういう難が一つございます。しかし、徐々に私どももこの引当金は整理をしてまいっております。ただ、二千六百億というのはあるいは少し税収としては多目かもしれないと思います。 それから受取配当益金不算入、これは今回も不算入率を低めることにいたしましたし、それから支払い配当の軽課制度の廃止も段階的にはこのたびやらせていただこうと考えております。したがいまして、これは考え方としては、方向は私どもも理解のできるところだと思っております。 なお、そのほかに行財政改革の徹底による相当の財源の節約を見込んでおられるようでございますが、これは私どもも努力を大分いたしておりますが、伝えられるようにさらに三千億というようなことになりますと、従来何年間がやってまいりました上のことでございますので、なお検討を要する点ではあるまいか。 総じて申しまして、御指摘のような、いわゆる税制改正の中から財源を生み出していこうというお考えには私ども共感をいたしますけれども、その幅ないしその限度、方法につきましては、さらにいろいろ詳細に検討させていただきませんと、にわかにはそれでいけるという感じにはなっておりませんで、また改めまして検討させていただきます。
○福間知之君 きょうは、野党としても具体的な考え方を持っているということを政府の皆さんに、あるいは国民の皆さんにやはり理解をしていただくということが必要だと思って一端を申し述べました。ただいまの御答弁で、肯定される部分も結構ある、すり合わせを必要とするところもかなりある、そういうものを持ち寄って税制協議会で今度は与野党で話をすれば、恐らく国民も共鳴をしてくれる策が浮かんでくる、こういうふうに私は思っております。 防衛問題に入る時間がなくなりました。一%問題について、まず一つは、政府の突破の企図をお聞きしたいこと。 それから防衛庁に、中期防衛力整備計画と大綱における独力対処行動というものについてその考え方をひとつお聞きをしたい。 さらにまた、中期防と大綱の日米共同対処行動に関する部分についてその考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛費が一%を超えたというのは、一つには、昭和六十二年度の経済成長、六十一年度の経済成長、それが非常に予測したよりも悪い。昭和六十一年度で言いますと成長率が四・四である。六十二年度は見込みといたしまして四・六。そういうことでございますので、防衛予算を組む時点におきまして、いわゆる前年度の防衛費から比べてみまして一%の天井が四・八%、非常に低くなった。今まででございますと大体七%か八%あるいは八・五%というような状況でございましたけれども、それが非常に低くなった。それが一つございます。 その上に、いわゆる正面と後方とのバランスをとるということがぜひ必要であります。その後方の部分でいきますと、指揮通信機能の充実あるいは練度の向上、あるいは隊員の宿舎とか隊舎の整備、そういうものを積み重ねていきますとどうしても一%の枠内ではおさまらないということでやむを得ず一%を超えて防衛費を組んだ、こういうことでございます。 残余の質問につきましては政府委員からお答えをさせます。
○政府委員(西廣整輝君) 御質問を正確に把握しているかどうかわかりませんが、御質問の趣旨は、大綱の我が国が独力で対処すべき対象としておる限定的・小規模の事態、それとアメリカと共同対処する事態との関係というようにお聞きしましたが、大綱ではまず、平時から我が国が整備しておくべき最小限の防衛力といたしまして、少なくとも限定的な、小規模・限定のような事態にはみずからが対応できるものを持っておくべきである。それでないと、仮に日米安保というものが有効に機能しても間に合わなくて既定事実ができてしまうということでございますので、そういうものについては独力で対応できる力を持ちたい。なお、そういった事態を超えるような状況になれば、これは当然のことながら、日米安保というものによりますアメリカの支援というものも得ながら対応していくということでありまして、日米共同対処する事態というものが、我が国が対応すべき事態、いわゆる専守防衛の防衛力と何ら差しさわりがあるといいますか、支障を来す問題ではないというように我々は考えておるわけであります。 なお、中期防の点についてでございますが、中期防衛力整備計画は、今申し上げました大綱の目標というものをできるだけ早く達成しようということでつくられておるものでございまして、この計画が仮に順調に達成できますれば、一部の点を除きましては大綱で考えておった防衛力の規模というものが達成をされるというように考えておりまして、中期防衛力整備計画におきまして格段に日米対処行動というものについて念頭に置いた計画になっておるということではございません。かえって、我が国の防衛力が少なければ少ないほど日米共同対処といいますか、アメリカの支援を得なければならない場合が多いということでありまして、防衛力がある程度整備されればそれなりに独力で対処できる部分がふえてまいるわけでありまして、日米共同対処行動というのは我が国の足らざる部分を日米安保によるアメリカの支援に期待するというように御理解いただきたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 福間君、時間が来ておりますから。
○福間知之君 時間がありませんので、私は申し上げたいことだけ申し述べて終わりたいと思うんです。 一%枠突破は、かねがね我々が指摘をし反対の旨を申し上げてきたところです。今回だって、一%を超える額は金額的に防衛費の中でわずかに百三十四億円であります。しかも、この編成過程で昨年年末に三百七十億円、これは不明確な政治的積み上げが行われたと私たちは見ております。そういう意味で、中曽根総理が言ってきた戦後政治の総決算の一つとして恣意的にこの一%枠を突破させた、こういうふうに私たちは考えざるを得ないし、またその背景は、今まで議論してきたこと以外に、今もお尋ねしました中期防あるいはまた防衛大綱、その関係だけでなくて、そのバックグラウンドに、アメリカのやはり世界的な、あるいは極東における戦略というものがバックグラウンドとして存在をしている。最近アメリカで問題になっています海洋戦略なるものも日本も一生懸命研究しているはずでありますから、そこらの背景において一%枠突破というものをとらえないと国民は理解ができない。まして今度の新しい十八兆五千億円余りの総枠は歯どめにならない、こういうことを実は明らかにしたかったのであります。 遺憾ながら時間がありませんので、他日に譲りたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で福間知之君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、原文兵衛君の質疑を行います。原君。
○原文兵衛君 私は、自民党を代表しまして、また都市選出の議員として、都市、特に東京のような大都市の住民あるいは中小商工業者あるいはサラリーマン等が持っております多くの意見とかあるいは疑問あるいは不満、こういうようなものも取り上げまして、総理初め関係の閣僚に御質問をいたしたいと思います。 まず、個々の御質問を申し上げる前に、この際二院制の意義と参議院の使命ということについて私の考えを申し上げ、御理解と御協力を得たいと思うのであります。 世界各国の議会制度を見ますと、近年は一院制をとる国が多くなってきていることは事実でございます。しかし、できるなら二院制にして、一院だけでは、何らかの理由で十分な審議が尽くせなかったり、時に早計なあるいは誤った意思決定がなされた場合に第二院に補完とチェックの役目を果たさせる方がよりベターであるというふうに私は思っております。 そして、今国会の衆議院における予算審議の状況を見ますと大変異例なものとなっております。審議も十分に尽くされていないと思います。そこで、今こそ参議院が独自の立場で審議に当たり、補完とチェックの使命を果たすべき重要なときであると私は思いますので、総理初め閣僚の皆さんも核心に触れた適切な御答弁をお願い申し上げたいと思いますが、総理いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回のような場合におきましては、参議院の存在及びその機能の重要性というものは改めて強調されておられるであろうと、そう思います。参議院は、今の日本国憲法が制定されますときにいろいろ議論があったところでございます。一院制の議論もあったわけでございますが、むしろこれは日本側の意見に基づきまして、参議院を置いた方がよろしい、衆議院だけではチェック・アンド・バランスの機能は十分でないという場合があり得る、そういうところで参議院が設置されたものであります。 その後いろいろな変遷を経まして、そして憲法調査会等におきましても参議院に関する議論はいろいろございました。一つの批判は、衆議院のコピーじゃないか、時間とお金のロスじゃないか、そういう辛らつな批判もございますけれども、しかし、目に見えないところにおきまして参議院の存在というものは、内閣あるいは衆議院というものに対して心理的にもあるいは政策的にも影響を与えているところは私がなりあると思うのでございます。 要は、やはり参議院が本来の機能を十分に発揮していただけるかどうか、そういう問題にかかっておりますが、参議院におかれましても、参議院の独自性あるいは参議院の機能につきまして皆さんでいろいろ御議論をしていただき、それに関するいろいろな御所見等もございまして、私は伺っておりますが、ぜひともそのような参議院の独自の機能を発揮されまして、国民から支持される参議院であるように願ってやまない次第であります。
○原文兵衛君 それでは本題の御質問に入りますが、まず総理に申し上げますけれども、日米首脳会談本当に御苦労さまでございました。いろいろな難問が山積しております中をあえて訪米され、レーガン大統領を初めシュルツ国務長官、ベーカー財務長官との個別会談、またブッシュ副大統領、ワインバーガー国防長官、ヤイター通商代表、ボルドリッジ商務長官、リン農務長官ら有力閣僚も加わった全体会議のほかに、上院、下院の有力議員との会談、さらにプレスリマークスあるいはプレスクラブでの演説など、まことにハードで重要で、しかも厳しいスケジュールをやり遂げられました御熱意と御努力に対しましては、深く敬意を表し感謝申し上げたいと思います。 そこで、二回にわたった首脳会談の後、一がドル安防止、通貨安定のための協力、二が大幅な貿易不均衡の削減、三が米政府の財政赤字削減や競争力強化への努力、四が日本の低金利政策や総合経済対策、構造調整など内需拡大策の実施、こういうことを骨子としたいわゆる経済問題に関する共同発表を公表されました。また、さらに中曽根総理とレーガン大統領はそれぞれ会談の成果を盛り込んだプレスリマークスを出されたと承っておりますが、まず日米首脳会談の成果につきまして、先ほどの福間委員の御質問にもありましたけれども、もう一度総理から詳しくお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日米問題が、主として日本の貿易黒字の累積によりましてドルが非常に安く下落し始めておるということ、それから日本の黒字の増大というものは世界経済に対して必ずしもいい影響を与えていない、そういうような事態を控えまして、アメリカ議会におきましては、主として日本を頭に置いた貿易制限法案、そういうものが下院において成立されようとしておる。そういうような状況を踏まえまして、時たまたまレーガン大統領から公式招待をいただきました。秋には皇太子殿下、妃殿下の御訪米の予定が実はございましたので、これは夏以前でないといけない。そうしますと連休のとき以外に議会を休ましていただく機会はない。そういうことでこの時期を選はしていただきまして、公式訪問で参るということになったわけでございます。 内容につきましては、先ほど福間議員にお答え申し上げたとおりでございますが、私がこの時期にあえて行きたいと思いましたことにつきましては、やはりレーガン大統領の公式招待というものの重さというものを一つ考えたわけでございます。私は五回参っておりますが、これは仕事の訪問でありまして、正式訪問ではございません。レーガン大統領は日本で正式招待いたしまして、そして宮中の晩さん会とか、しかるべき礼遇をもって我々は御接待申し上げたところであります。皇室におかれましても大変御配慮いただいたところでございます。レーガン大統領は、そのお返しがまだできてない、そういう意味におきまして、公式招待の話が春ごろからあったわけでありますが、国会の模様やらそのほかを考えまして慎重に考えておったところでございますが、貿易問題等がこういう状況になりましたのを見まして、私はあえてこの時期に行かなければならないと、そう考えた次第であります。 日米関係というものは、今や世界の平和と繁栄の基礎をなしておる最も重大な関係の一つになりました。特に経済問題に関しましては、日本とアメリカの経済が世界を動かしているとすら言われるぐらいになり、円ドルの関係というものが世界経済に甚大な影響を実は与えておるわけであります。円ドルの関係によりましてアメリカの金利が上がったり下がったりいたします。アメリカの金利が上がるということは、アメリカその他から金を借りている発展途上国が非常に苦しみに遭うわけであります。そういう点を考えてみますと、発展途上国が苦しみに遭うということは、貿易が縮小するという形になりまして、世界経済全体が不況に入るという原因にもなります。そういう面から、この円ドル関係を安定させ、しかもアメリカの金利が余り高くならないようにしておくということは、日本としても十分世界経済や途上国を考えて配慮しなければならぬところでございます。 また、日本は相当これだけの大きな黒字の蓄積を持っておりますから、この黒字を吐き出して、そして困っている南の発展途上国に資金還流をやって、そして経済を活性化させるということも今やまさにやらなければならぬときであります。アメリカは第二次世界大戦が終わりましたときに非常に大きな貿易黒字になりましたが、そのときはいわゆるマーシャル・プランというのをやりまして、困っているヨーロッパや日本にも対日経済援助や無償援助をやってくれまして、ヨーロッパや日本の経済が今日の復活した大きな原動力になったわけであります。また、サウジアラビアもあの石油危機で相当ドルがたまりましたときにはサウジアラビアみずからが国際的に資金還流の態度に出まして、そして途上国その他にお金を回した経験がございます。今日本が持っておる黒字という額は当時のアメリカに匹敵し、あるいはサウジアラビアは我々の半分ぐらいのものでありましたがそれだけの措置をやった。 そういう意味で、私は昨年以来、昨年の秋は百億ドルでございましたが、途上国そのほかに資金を還流するということをやりました。ことしはさらに二百億ドル、計三百億ドルをそういうふうに世界銀行やアジア開発銀行や米州開発銀行、あるいは日本とその国との直接の話し合い等によりましてこの三百億ドルの金を回す。で、今回はひもつきでなしに、回したお金は、日本の品物を買わなくてもよろしい、世国じゅうから安い物を買いなさい、そういうひもつきでないということにしたこと。それから、国際機関にお金を出しても、それで日本の株が多くなるからというので発言権を多くしなくても結構です、我々はそういうものを求めません、世界でお使いくださいと。そういう二つのことを中心にいたしまして約三百億ドルのお金を差し出して使っていただくようにしたわけでございます。 そういうような措置をアメリカへ行ってアメリカ大統領との間に話をし、そのためには世界銀行その他とも協力を求めなければできません。そういうわけでアメリカ側の了解も求めて、日本にそれをやらしてもらうということも実際にやり、アメリカも非常に大歓迎してくれたわけでございます。 そのほか、この黒字の問題については、これはもうアメリカに対する関係以上に日本国内の景気をよくしなければならぬ、そういうときでございまして、幸い自民党が補正予算というものを目途に案を決めてくださいましたので、それを持って安倍特使がアメリカへ参りまして地ならしをしてくれました。私は本物を持ってまいりまして、そして自民党の考えは我々の考えであり、予算が成立すれば、これを我々は至急党と相談をして緊急対策として、予算としてこれを実行していきたい、そういう意思表示をいたしまして、そして行政の最高責任者として責任ある発言をしてきた。そういうことでありまして、アメリカ側も多としたというわけでございます。 しかし、それ以外に現下の大きな問題は、一つは半導体の問題でございましたから、半導体の問題については随分粘りまして、そして両方の大統領並びに総理大臣の声明の中にはっきりとしたこういう方法でいくという方法を明示してもらいましたし、また円ドルの安定につきましても、先ほど申し上げましたようなことではっきりとした両国の意思を明示いたしまして、そして世界各国の協力も求め、世界経済発展の不安定要因をこれで取り除く、また日本の円高不況というものに歯どめをつける、そういう意味のことをやってきた、そういうことでございます。十分なる成果であるとは申されませんが、精いっぱいやってきたつもりでございます。
○原文兵衛君 ただいま総理から相当詳しくお伺いしたわけでございますが、私も今度の日米首脳会談、大変意義があったというふうに思っているのでございます。確かに日米の協力ということによって、非常に危機に瀕しているんじゃないかと思う世界経済をリードしていかなくちゃいけないという点におきまして、今度の中曽根・レーガン会談というものはそれが本当に実行されることを私は心から望んでいるわけでございます。 ただ、現実にはなかなかアメリカの国内のいろんな事情、殊に議会筋なんか非常に厳しいものがあるように伺っているわけでございますが、米議会の下院は四月三十日の午後にゲッパート修正案を含む包括貿易法案を二百九十対百三十七という大差で可決したというふうに新聞の報道で言っております。もっとも、これは先ほどもちょっと話に出ましたけれども、中曽根総理の訪米に合わせて四月三十日というふうにしたわけではなくて、総理の訪米が決まる前からのスケジュールであったというふうに伺っているのであります。がしかし、それにいたしましても米議会筋は非常に強硬だというふうに聞いております。これらに対しましての、これからもなかなか問題が多いと思うのですが、総理の御感想、また今後の見通しあるいは対策というようなことについてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカ国内におきましては約千四百億ドルの貿易赤字を持っておりまして、その中の約三分の一以上、五百八十億ドルというものが日本関係の赤字である。そういう点から日本に対するいら立ちがかなりあるわけでございまして、特に、アメリカの議員さんは選挙区を抱えておりますから、石炭をどうするとか木材をどうするとか米をどうするとか、いろいろな御要望を選挙区からも受けて、そして日本に対する輸出をもっと伸ばさなければならぬ、ところが一向に伸びない、そういうところで非常ないら立ちがあるという状況でございました。そういうところから貿易制限法案というものが出てまいりまして、特に、民主党が今度は去年の選挙で勝ちまして、下院も上院も民主党が支配するという形になって、民主党は従来からそういう性格を持ってきておったわけであります。そういうわけで貿易制限法案、言いかえれば、輸出がどんどん伸びてアメリカに対して輸出がどんどんあふれているような国に対する制限をやろうという法案が出たわけであります。 その中で一番大きな点は、その法案の上に、ゲップハートという議員が、特にどんどん伸びている国については課徴金をつけよう、輸入させないように関税をうんと高くしよう、ねらい撃ちしよう、そういうようないわゆるゲップハート条項というのをつけ加えてきたわけで、問題はこのゲップハート条項がどういう目に遭うかというのが注目の点であったわけであります。それ以外の本体については大統領にこれこれをやらせるという大体の法案でございまして、まあまあゲップハートよりは軽いという点であったわけです。そのゲップハート条項が二、三十票の差で通ると見られておったのが、四票のぎりぎりの差で通りまして、そしてレーガン大統領はこれで拒否権を行使すればこの法律は葬り去ることができる、そういうことで非常に勇気づけられて、もし通れば我々は拒否権を行使する、そういうことも、明権にそれを言ったかどうか知りませんが、ホワイトハウス筋からは出てきたわけであります。 こういう状況のもとに問題は今度は上院に移るわけでありますが、我々としては、そういう端境期に当たっておりますから、できるだけ日本が黒字の累積については削減の努力をする、そういう誠意も示しまして、またアメリカとの間の、議員さんが持っておる個別案件もできるだけ片づける方向を、あるいはすぐ片づけないにしても解決する軌道を設定し方法を話し合う、そういうことでアメリカ議会の理解を得て、できるだけ日本に対するいら立ちというものをこの際直してきたい、そういうことでいろいろ議論をいたしました。ホワイトハウスとの間も厳しい議論がありましたが、特に上院、下院の議員の皆さんとの間ではやはりかなり厳しい論議がありました。 先方の議員さんが持っておる問題というのは、よく新聞にも言われましたとおり、これはホワイトハウスでも同じようにしてきましたが、関西空港の問題、あるいはスーパーコンピューターの問題、あるいは半導体の問題、それから農業問題、それから石炭の輸入の問題、それからいわゆる第二KDDと言われる、海底電線をアメリカは太平洋に引くという許可の問題、あるいはいわゆるFSXと言われる日本の支援戦闘機の作製の問題、こういうような問題点がアメリカ側の問題点であると我々は想像もし準備もしてまいりましたが、おおむね大体こういうところが問題点で、これらにつきましては一つ一つ私は回答をしてきたところで、その回答の内容は、イエスもあればできないのもある、時間がかかる等もある、あるいは国際機関、ガットヘ預けるという問題もある。 そういういろいろさまざまな回答がありましたけれども、自分としては誠意を尽くした話をしたつもりでございまして、こちらの誠意は通じたと私自体はそういうふうに解釈いたしまして、一番厳しい上院、下院におきましても最終的には議員の皆さんは、やはり私も議員でございますから議員同士の気持ちもありまして、最終的には、おまえはこの厳しいときによく来たと、そういうところで、度胸のあるやつだというような話もあり、最終的にはいたわりの言葉もいただいた、そういうことで感謝した次第です。 特に、アメリカ側におきまして今度公式訪問を通じまして非常に温かい御礼遇、御接遇をいただきまして、私のみならず、私の一行につきまして大変な配慮をいただきましたことを、ここに改めてアメリカ政府、アメリカ議会に対してお礼を申し上げたいと思う次第でございます。
○原文兵衛君 今度の訪米の大きな目的の一つに半導体報復措置の撤回というのがあったと思います。これにつきまして私もいろいろと日本に報道された新聞をあれこれ読んだのですが、どうもいま一つはっきりしない面があるように思うのですね。六月のサミット前には撤回されるのではないかというような推測もあるというふうに聞いておりますけれども、この問題につきまして、総理、どんなふうになっているのでしょうか。もう一回お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は、日本政府とアメリカ政府の間で文書を、ステートメントを出すについて最後までもめたところでありまして、先方は、日米には半導体に関する協定、合意がある、日本はそれを守っていないじゃないか、そういうような趣旨で、その内容は、アメリカからもっと日本は買う、その買い方が少ないじゃないかと。それから第三国、例えば香港とかそのほかの市場についても日本がダンピングして安い物をやるから、それがアメリカへ回ってきてアメリカの輸出が阻害されていると。第三国市場に対してもできるだけ日本としてはそういうことが起こらないように努力する、そういうような趣旨の合意があるわけです。 しかし、日本がアメリカから買うといったって、これは民間が買うのでありまして、政府がああしろこうしろと数字を決めるわけにはまいりません。したがって、できるだけアメリカ側の物が入るように我々としては民間業者をエンカレッジする、勇気づける、そういうような趣旨のことで、大体この程度はふやしていきたいというようなこっちの懐に入れていも考え方はあるわけで、それに向けて努力しておったところです。 しかし、第三国市場については、日本はどうしても半導体業者は過当競争して非常に多いものです。しかも半導体というものは日進月歩で毎月毎月新しいものが出てくる。そうすると、過当競争ですから量産に入るともうぐっと安くなっちまう。古いものはもう捨て値同様のものになってくる。そういうわけで、そういうようなものは香港とかそっちへ回っておもちゃやその他に使われる。高級なところには使われない。そういうようなところからアメリカ側は、日本は約束を守っていないじゃないかというようなことが問題の発端であったわけです。しかし、第三国に対しては日本は主権は及ばないのでありますから、これをどうこうということは内政干渉になります。そういうような点から日本も第三国に対する安値の輸出については非常に注意をしておったところではありますが、手の届かぬところもあった。 そういうところで、半導体問題を適正に解決するということは非常に大事で、アメリカはそれで報復措置をとったわけで、もうほかの品物についても倍の関税で、ほとんど日本の品物を買わないというぐらいの強い報復措置をとってきましたから、一日も早くこれを撤回させるということが大事でありますので、参りまして、そして我々としての努力の状況を示し、アメリカ側に対しても、こういう状況で推移するのであるから速やかに撤回してくれるようにと、これは非常に強談判に及んだのであります。 ヤイターさんが来たときに田村通産大臣も強くこの問題をやりまして、それで私が参りましてこれも大分強く話しました。この問題と円ドルの安定の問題が政治家として取り上げるべき最大問題の一つだ、そう考えてやりまして、大体コミュニケに書く文章についても、初めはもっと大分いいところまでいったんです、ベネチア・サミット云云というところは。ところが向こう側もアメリカ議会の動向で、今上院へ今の貿易法案は移ったわけでありますから、したがって上院の反応を非常に心配いたしまして、そこでまた押し返されて逆戻りした。それをまたさらにこっちが押し返しまして、明け方までほとんど関係者は夜も寝ないで首脳会談までいろいろやりまして、そして発表されましたような態度に落ちついた。 しかし、ホワイトハウスや関係者の考え方はある程度推察できるわけですが、アメリカ議会の関係で表現がなかなかできない、そういうような苦心の作があの結果になりまして、そこで、ベネチア・サミットも来るのでできるだけ早期にこれを処理したい、そういうアメリカ大統領の希望が表明されまして、そして私も、日本側の事態が改善されればこれは早期に撤回されるということを山分は考えていると、そういう形で両方の話し合いが落ちついた。そういうことで、事態は必ず改善されて解決するであろうと私自体は考えております。
○原文兵衛君 日米首脳会談の御質問の最後でございますが、総理は、公式会談等が終わった後の日本人記者団との会見で訪米の成果などについて語られたときに、日米間のもやは晴れたと言われたということが報道されております。私ももちろんそれを望んでいるのでございますけれども、アメリカのマスコミの報道というのはなかなか厳しくて、例えばABC放送などは、通貨安定のための協調はあったが、障壁の除去など貿易関係の改善については成果は見られなかったなどというような報道がされているということでございます。もやが本当に晴れたのかどうか、総理の御所見と今後の対応等についてもう一度お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今までの黒字の累積、それから日本当局とアメリカ当局との話し合いの結果等を見たら、事態が改善されないではないか、だから言うだけじゃだめだ、実行がなければだめだというのがアメリカ側の基本的な考え方であります。言われれば、事態はそう改善されていないわけでありますから、これは非常に憂うべき関係にあったわけです。そこで、今までは局長レベルとか審議官レベルとか大臣レベルでいろいろ話がございました。半導体につきましても田村大臣とヤイターさんとか、円ドル関係については宮澤大臣とベーカー財務長官とか、いろいろ話がありましたが、やはり総理大臣と大統領が直接こういう問題について話し合いをして、そして責任においてこういう問題はこういうふうに処理しよう、そういうことを明らかにいたしたわけです。 それで、いろいろな懸案の問題については今すぐ解決したわけじゃありません。今後の努力を要する問題が幾つもあるわけでありますし、内需の振興につきましても、補正予算というのはこれから本予算が成立した後で我々はかかるという問題ですから未来の問題であります。ですから、アメリカ側からすれば、ジャーナリズムの皆さんは、これはまだあいまいな点が残っている、未来への不透明性もある、そういうことでございましょう。しかし我々としては、明確に我が方のやるべきことをちゃんと示してきまして、これでいくと、そういうことで言ってきまして、そういう意味においては当局間においては、最高責任者が話し合ったことでありますから、向こうも我が方を信頼してくれていると思いますし、我が方も向こうを信頼しておる。そのかわり誠実にこれを我々は実行しなければならない。そういう私は責任感を持って帰ってきたわけでございまして、これは政府、それから与党並びに野党、国民の皆様方にもこの機会を通じてお願いをいたしまして、公約を誠実に実行いたします、そのためにもぜひ御協力をお願いいたしますというのが私の真情でございます。
○原文兵衛君 次に、当面する経済危機、私はちょっと危機的状況だと思うのですが、こういう問題についてお尋ねいたします。 まず経済摩擦ですが、経済摩擦ということが言われまして既に非常に久しくなっていると思います。今やもう極限に来ているのじゃないかと思うんです。今度の日米首脳会談も専ら経済、貿易問題に終始し、レーガン大統領、中曽根総理の共同発表も経済問題に関する共同発表というふうに言われているわけでございます。レーガン大統領は四月三十日の中曽根総理の歓迎式典のあいさつの中で、農業、建設、金融、ハイテクの四分野で米産業界は日本の市場へ全面的に参入を望んでいると強調したというふうに伝えられております。米議会筋の猛烈な対日要求もしばしば伝えられておりますし、またこの間は、OECDのペイユ事務総長は来る五月十二、十三日のOECD閣僚理事会の基調報告としてこんなことを考えているということが伝えられております。それは、食糧安全保障を名目に農産物の保護政策を続けるのは適当でないということを言って、いわゆる過保護農政を厳しく批判しよう、これを基調報告で言おうとしているということが伝えられております。 私は一体この経済摩擦というのがどこまでいくのか非常に心配しているわけでございますが、農水大臣、通産大臣、その他関係の閣僚から御説明していただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) この貿易摩擦といいますのは、原因はたくさんあるわけですけれども、基本的に言えば、アメリカのみならずヨーロッパもそうでございますが、日本市場へ入りにくいということだと思うんです。いわゆる市場参入が非常に難しいということだと思います。特に日本の場合は、法制上、制度上におきましてはほとんど、農産物を除いては特に指摘されることはもうありません。例えば関税におきましても、鉱工業関係では二・一%という平均でありまして、これは世界の経済先進国の中でも最低の水準であります。でありますから、問題はやはり日本市場へいかに外国が参入することができるかという問題。これは、企業が外国の物を買う、あるいは買わない、それはとりもなおさず国民のニーズに密着するものだと思うのです。国民が求めれば買う、求めなければ買わない、これは当然のことであります。でありますから、外需中心であった従来の日本の産業の、あるいは経済の姿を内需に振り向けてもらいたい、こういうことから内需拡大を非常に強く求めてきておる、こういうわけでございます。 そこで我々としては、先般中曽根総理がアメリカへ行かれてレーガン大統領との間でよく話し合われた。また宮澤大蔵大臣がG5、G7等で合意をなさった問題、それは政策協調をやろうということでございますが、日本に課せられた課題は何といっても内需の拡大策であります。でありますから、日本がなすべきことをしっかりとやるということによって世界から厳しい批判を受けないようにする、これが貿易摩擦解消の基本であろう、このように思うのであります。それだけに、今度自由民主党が踏み切りました総令経済対策というものも中身の濃い大型のものであってほしい、世界じゅうから拍手を受けるようなものになってほしいと祈っております。 先般、ドイツでバンゲマンという人に会いましたが、バンゲマンは、これは経済、貿易を担当しておりますが、私にこういうことを言っておりました。あなたのお国も私の国もともに黒字国である、しかし、あなたの国と私の国との違いは、基本的な違いが一つある、それは我々の市場は完全に開放されておるということである、こういうことを言っておりましたが、まあ日本語というのはなかなか難しいものですから、外国人にわかるようにすっきりと説明をした以上は実行するということが必要であろう、このように思います。
○国務大臣(加藤六月君) 申し上げておきたいのは、我が日本は世界最大の農産物の輸入国である、そして世界農産物貿易の維持拡大に大変貢献してきておるということが一点でございます。それから世界の国々は、農業にはそれぞれの国の事情に従った保護制度というのをやっております。 原先生御質問の趣旨は、あるいは二十二品目、我が国は今非自由化品目は二十二品目ありますが、アメリカはウエーバーとかいろいろな問題で十九品目持っております。それからEC諸国は六十品目以上の非自由化品目、あるいは輸入課徴金制度、あるいは輸出奨励金制度をやっておるわけでございます。そういう全体の中で、世界における農産物の市場価格が低迷しておる、あるいは世界の農産物の生産が随分過剰になってストックしておるというところに今日世界農産物貿易の課題があるわけでございます。そういう中で、先ほど申し上げましたように、我が国は世界最大の農産物の輸入国であるという点から、当面はまず一番に調整してもらわなくちゃならぬのは世界農産物の輸出国間、この問題が一番急がれる問題ではないだろうか、こうも思っておるわけでございます。 念のためにさらに申し上げますと、百八十億ドルの農産物を輸入いたしておりますが、そのうちの三分の一、六十億ドルはアメリカから輸入しております。アメリカの農民や農業団体にとっては日本は最高のお客様であるということと、関税全般を比較しますと、世界の国々の関税よりか我が国の関税は随分低くなっておるということもあわせて申し上げておきます。
○原文兵衛君 田村通産大臣も加藤農水大臣も、十二、十三日のOECDの閣僚理事会においでになると聞いていますが、大変難しい局面もあると思うんですが、ひとつ御健聞いただきたいと思います。 次に、大蔵大臣と日銀総裁にお伺いしたいんですが、率直に言って私は金融とか経済の問題には大変弱い方でございます。それでも何かこうドルがどんどん安くなっていく。ちょっとこの間の首脱会談のときにストップしたと思いましたら、また百四十円を切っちゃったというように聞いておりますが、一体このドル暴落、ドル不安、世界恐慌というような、そういうような図式になるのではないかということを心配しておりますけれども、この辺について御説明いただきたいと思います。 今度の中曽根・レーガンの会談でドル下落防止のための日米の緊密な協力ができたということは結構なのでございますけれども、どうもこれもまだやっぱり、それだけで十分だというふうには言えないんじゃないか。いつまでこの小康状態が続くんだというようなことを心配している向きも随分あるようでございます。私としては、この為替レートの先行きは一体どうなるのか。アメリカの議会の中では、まだ日本をやっつけるのには円高しかないんだというような意識が強いということを聞いておりますし、ひどいのは一ドル百二十円でもいいんじゃないかというようなことを議会筋の議員の中には言う人もいるというふうに聞いておりますが、一体この為替レートの先行きというのはどこまでいくのかということが大変心配でございます。 どうかひとつ、この通貨安定のための具体的な方策ということにつきましていろいろ今までもやってこられたと思うんですが、これからの見通しとその方策について大蔵大臣と日銀総裁にお願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今般日米首脳会談が行われました直後でございましたけれども、アメリカのボルドリッジ商務長官がテレビで、これ以上ドルが下がるということは、日本にはもちろんアメリカのためにもならないということはアメリカの政府の考え方であるかという質問を受けまして、従来ですと、この人は役目柄もこういう問題についてはちょっと違う意見を持ったかと思われる人でありましたけれども、それは政府の考え方であるということを申しました。それはやはり大統領という人が、そういう考え方をアメリカ政府の名において日本政府の首相と確認されたということの意味合いは、そういう意味で大きいと思うのでございます。議会筋にはまだいろいろ議論がございましょうけれども、政府としては、アメリカがそういう考え方を最高の立場で確定をしたということは、今後に大きな意味を持つものと思います。 それから、しかし御承知のふうなG7各国あるいはそれ以上の国が今度の介入には共同で対処しておりますけれども、介入というのはやはりその都度その都度の乱高下を防ぐための処置でございますから、基本的には政策協調が各国の間でなければならない。それには、多少時間のかかることだと思いますが、今回アメリカの大統領が国内の財政赤字の削減と競争力の強化、これはいわば貿易赤字の削減ということになろうと思いますが、それについて所信を表明されたこともいわゆる政策協調のためのアメリカ側の努力の具体的な約束である、我が国の努力はもとよりでございますが、そういうふうに考えておりまして、何としても第一、第二の経済強国日米の間でこのような合意ができたということは、G7の協調体制をさらに強化するものというふうに期待をいたしておるわけでございます。
○参考人(澄田智君) ドル安円高の不安定な動きというようなものが今後なお続いていくというようなことになりますと、これはひとり我が国経済にとってのみならず米国経済さらには世界経済にとって非常に大きな障害になる、不均衡の是正あるいは経済構造の調整、そういうようなことに対しても重大な支障を生ずる、こういうような認識に各国ともなってきているということは今大蔵大臣も申されたところでございますが、これはルーブル合意あるいは四月のワシントン合意において確認され、さらに今回は日米首脳会議において、首脳の間に国の最高意思としてその点が確認された、このことは非常に大きいことである、こういうふうに思うわけであります。 為替相場の安定のためには主要国の間において政策協調ということが何よりも根本において必要でございますし、それから為替市場の状況に応じては緊密な協調介入、それも多面的に各国の間で協調介入を行うというようなことも為替市場対策としては有効であるということは申すまでもないところでございます。 なお、ドルの先行きについてお尋ねがございましたが、私どものように為替市場に直接関係を持っている通貨当局の立場で市場の予想あるいは為替の水準というようなことに触れますことは、思惑や投機というようなものを誘うことになりますので、この点は常に控えさしていただいているところで、御了承いただきたいところでございますが、ただ、現在そういうふうな各国の確固たる合意のもとに為替市場に対応していくということであれば、決して将来これがドル安がどんどんさらに累積的に続いていく、あるいはドル暴落とも言えるような状態になるというような懸念については、私どもは全くそういう懸念は当たらない、こういうふうに思っているものでございます。 ドルの暴落ということはどういう意味であるかというのは、必ずしも定義があるわけではございませんが、強いて言えばドルの信認が回復不可能なぐらいに失われるということだろうと思いますが、現在のように主要国一致して為替相場の安定ということを目指している以上、そうしてまたそれが市場で具体的に示されるような行動がとられている以上、そういうような意味のドルの信認が失われるということは今後とも絶対にないと思いますし、またあっては絶対にならないことでありますので、その点については今後とも最大の努力を払ってまいりたい、かように思う次第でございます。
○原文兵衛君 それでは次に、経済見通しということについて経済企画庁長官にお伺いいたしたいと思います。 政府の経済見通しの成長率は実質三・五%というふうになっておりますけれども、これは一ドルが百六十三円ぐらいのときに出してきた経済見通しなんです。今百四十円、きょうは百三十九円幾らというようなふうにも聞いておりますが、幅がもう二十円以上開いている。果たしてその三・五%というものの達成が可能なのか。どうも、三・五%が出たときも民町の研究調査機関なんかでは大体二%台からせいぜい三%ぐらいというのが多かったんですが、この点についてどうですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 六十二年度の経済見通してございますが、まだ五月の初めでございますからはっきりしたことを申し上げる段階ではございませんが、ただ、年初来の個人消費の動きを見ておりますとずっと堅調でございますし、住宅投資も昨年に引き続いて好調でございます。問題は民間の設備投資でございますが、先生御指摘のように、為替レートが、私どもが見通しをつくったときには百六十三円を一応前提としておったわけでございますが、これがもう二十円以上円高になっておりまして、このことは輸出関連の産業に非常な弱気の影響を与えておりますので、民間の設備投資が私ども当初考えたような伸びを示さないおそれは十分にございます。 先生御指摘ございましたように、民間の調査機関の成長率が大体二%前後ではないか、こういうことでございますけれども、まさに私ども政府見通しと民間見通しの差の大きなものが、この民間設備投資の伸び率がどうだと、こういうことでございますし、同時にこれと関連いたしまして、いわゆる輸出がどうか、輸入がどうか、これも民間と政府見通しとの大きな差でございます。 したがいまして、問題は今後円レートがどういう水準で推移するか、こういうことでございますので、これが現在のような状況でございますと政府見通しを達成できないおそれは多分にございますので、そのために、たびたび当委員会でもお話の出ておりますような相当大がかりな景気対策、経済対策をしなければならぬ、こういうことでございます。同時に、円が安定をしてまいりますためにも、やはり国際的に日本は真剣な内需拡大に踏み切ったのだ、そういう信認を得ることが円の安定のためにも、民間設備投資を増大させるために必要でございますので、そういう意味で、予算成立後には政府がどうしても相当規模の内需拡大政策に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 委員長から御要望を申し上げます。 理事会の決定に従った質疑の進行度合いから見ますと、今回の進行は甚だ遅延をしておるようでございますので、特に政府側におきます答弁は簡明にお願いをいたしたいと思います。
○原文兵衛君 私は、一月から二月、いろんな業界の新年会が連日、一日に何回もあるんですね。そういうようなところへ行ってあいさつするときに、政府の景気見通し、これを受け売りしまして、ことしも円高不況に明けたけれども、下半期にはよくなるのだというようなことを方々で言ってきております。とにかく下半期には大体上向いてくるでしょうと、総理もそういうような御発言があったように私は記憶しておりますけれども、そんなごあいさつをずっとしてきたのです。どうもしかし、もうじき下半期になるのになかなかよくなっておりません。 そこで、大蔵省は本年の三月十三日に法人企業統計調査を発表しまして、円高による企業収益の悪化は下げどまりとなり、反転する勢いになった、そういうふうに判断したという報道があります。また、日銀総裁は三月十一日の記者会見で、今年後半以降景気は上向く展望が開けたというようなことをおっしゃっている。そして、製造業の収益悪化に歯どめがかかった、円高対策や在庫調整も進んできている、非製造業は個人消費や住宅投資の堅調ぶりを背景に収益も良好で景況を下支えしているというようなことを挙げて、そういうようなことから今年後半以降は景気は上向く展望が開けたというふうにおっしゃったと言われておるわけでございます。 これらの景気見通しにつきまして、大蔵大臣、日銀総裁、現在もやっぱり同じようなことで、下半期はやはり上向くということをはっきりおっしゃっていただけるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) どういう法人企業統計を発表いたしましたか、それが一般論につながるかどうか私つまびらかにいたしませんが、恐らく減収、減益というその減益の度合いが少しよくなるのではないか、こういうことを法人企業統計を分析して発表したのかもしれないと思います。しかし、それは減益率が少し小さくなるということであって、利益状況がよくなるというほどのことでは当然ございませんから、殊に恐らくその統計がとられましたときの円レートというものを考えますと、今より大分まだ円が安い時期であったに違いないと思います。 殊に、その後に百五十円というものをいわば一つのこれからの企業計画のめどにしようと考えた企業が相当にございましたところなどを考えましても、現在の円の水準というものはさらにそれを上回ることになっておりますから、私は必ずしも企業側が景気の先行きについて自信を回復するに至ったとまでは感じておりません。いわゆるサービス業でありますとかあるいは一般的に非製造業はそう悪いとは思いませんけれども、何と申しましても製造業の状況はそういうことでございますから、現在の状況で楽観ができるとは私は考えておりません。
○参考人(澄田智君) 私が今年下期には回復の手がかりというようなものが望めるのではないかという趣旨の発言をいたしましたのは、二月に日本銀行は短期経済観測、これは全体で七千社に及ぶ全国の、大企業のみならず中堅、中小企業にその業況見通しその他をアンケートをしてそれを集計したものでありまして、それによりますと、製造業においては停滞感はなお根強いものの大体底に近づいている、底入れに近づいている、こういうような感じがその数字の上にあらわれたわけでございます。そして、非製造業それから個人消費、住宅建設というようなものにおいては底がたいものがある、こういう状況でございました。 そういう状況を背景にいたしまして、そしてさらに支店長会議も開きました。各地の支店によって地域差はございますが、大体今の企業の観測、予想のアンケートを裏づけるものが各支店長の報告にもございまして、そういうものを基礎といたしたものでございます。しかし、その折に、私も為替相場の安定ということを前提としてそのことをはっきり申し上げて、そしてそういう私の見方を申した次第でございます。 その後、為替相場は御承知のように四月の中旬以降さらに円高が進んだ、こういう状況でございますので、その水準が違ってきているということは確かでございます。そうして、そういう状況を背景に不透明感が強まってきているということは私どもも認識をいたしているところでございます。したがいまして、今後、上昇のきっかけをつかむのが後ずれをする、不透明感というものが若干増してきている、こういう感じを持っているものでございます。しかし、全体として見て、日本経済はどんどん累積的に悪化をしていくという状態にはない、そういうふうに考えておる次第でございます。
○原文兵衛君 私も、もちろんのことですが、三・五%の成長率が達成できればいいなと思います。そして下期の景気がよくなってくれれば本当にいいなと願っているわけでございますけれども、どうも今のままではとてもそれは無理だということだと思います。そこで一日も早く本予算を成立さして、それの思い切った前倒し、これを実行するということ、それから内需拡大、不況対策のための中身の濃い大幅な補正予算、これを早期に実現することが必要だと思います。この点についても御答弁いただきたいと思いますが、何か御答弁が長くて少し時間をオーバーしそうだということでございますからこの御答弁は御遠慮いたしまして、次に、こういうことで必要な内需拡大と積極財政という点について御質問いたしたいと思います。 内需の拡大というのはもう今日本の中では合い言葉のようなぐあいになって、どこへ行っても内需拡大内需拡大と言っておりますし、また国際的には、先日の日米首脳会談で総理もお約束されておると思いますし、また過般のG5、G7でもお引き受けになってきていると思います。いわゆる国際公約というふうに考えてもいいんじゃないかと思います。したがってこれからは、内需拡大の方策と、いかにしてその実効を上げるかということが問題だと思うのでございます。 内需拡大の方策を考える場合に、高度成長期のように民間経済分野の発展で内需が伸びるということができればこれは大変結構だと思うのでございますけれども、今の経済状態ではこれはとても望むべくもありません。したがって、今日の内需拡大は、やはり国の財政金融政策ということによらなければならないのではないかと思います。ところが金融政策は、公定歩合が二・五%で戦後最低、もうこれ以上下げるつもりはないと先ほども日銀総裁もおっしゃっておりましたが、金融政策でもって内需拡大に影響を与えるということはなかなか難しいんじゃないかと思いますね。今まさに資金も超緩和でございます。こういうことを考えますと、やはりどうしても財政面から内需拡大ということを考えなくちゃならぬ、いわゆる財政の出動ということになろうかと思いますが、この点について総理から最初にちょっと、財政の出動が必要なんじゃないかと思いますので。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は御指摘のとおりであるだろうと思います。また、党が過般決めました経済対策の要綱におきましてもその趣旨が述べられております。一方におきましては行政改革を推進するが、一方においては内需拡大の緊急事態に備える政策を思い切って財政を通じても行う、そのために、概算要求をことし行う場合には社会資本、公共事業、そういうものにつきましては従来の例にとらわれない、そういうことも党の政策には鮮明に出されておるところであります。
○原文兵衛君 そこで、まず問題は一般会計予算の公共事業費だと思います。一般会計予算の公共事業費は、昭和五十六年から五十八年度が伸び率ゼロ、五十九年から六十二年は各年度二%余り削減というふうになっていると思います。政府が財政投融資や地方自治体を使ってこの内需拡大に今までも努めていること、これは私も承知しておりますけれども、何といっても大黒柱は一般会計予算による内需拡大ということだと思うのでございます。 そこで、一般会計予算が七年間にわたって抑制ないし削減されてきたことは問題だと思うのでございますが、この際、一般会計予算の公共事業費の計上の仕方を転換いたしまして財政出動の要請にこたえることが非常に大事だと思うのでございますけれども、この点につきまして大蔵大臣と建設大臣の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃいますように、一般会計の公共事業関係費は、昭和五十五年度に六兆六千億でございましたが、六十二年度は六兆でございます。したがいまして、この何年間かにずっと減ってまいりました。ただ、そういう中で、事業量だけは、総体の事業費は何とか確保しようということで、昨年度は四・三%、今年度は五・二%の、これはいろいろ地方に御負担をかけたりいろいろなことがございますけれども、結果としてはそういうことはいたしてございますが、しかし一般会計の経常費に関する限り、おっしゃいますように漸減をいたして今日に及んでおります。 そこで実は、六十二年度の予算編成が終わりました昨年の暮れに事務当局の諸君といろいろ話をしておりまして、先ほどから原委員のおっしゃいますような内需拡大というのが今、日本の国内的にも国際的にもしなければならないことである、財政再建というものを放棄するわけにはいかないが、六十三年度の予算編成については、ここはどうしても一工夫しないと日本のそういう内外からの期待に沿えない、財政が苦しいのは間違いございませんけれども、やはりそこは工夫というものをしなきゃならぬだろうということを昨年の暮れに申しておりまして、具体的には、先ほど総理が言われましたようなところへ方針の転回を合いだそうと考えつつございます。 これは何といってもやはり、原委員が先ほどおっしゃいましたように、民間の設備投資あるいは在庫投資というものは期待できない、いかに金利を下げましてもそれは期待できないわけでございますから、殊に製造業につきましては。どうも財政がそういう新しい工夫をしなければならない段階である、基本的にはそのように考えておりまして、六十三年度の予算編成に際しましてはもとよりでございますが、もしその前後に補正予算の編成をするようなことがございますならば、そのときにもそういう考え方を何かの形で具体化をいたしてまいりたいと内々ではいろいろ検討をいたしておりますが、それはいずれにいたしましても今年度の予算を成立させていただきましてから具体化いたしたいと思っておるところでございます。
○国務大臣(天野光晴君) 原先生の御意見ですが、建設省といたしましては、執行機関ですから事務能力の範囲内においていかようにでも処置をするつもりでおります。本年度も昨年度と比べまして当初予算で五%ばかり多いという総理大臣並びに大蔵大臣の答弁があるのですが、それは当初予算だけの問題であって、要するに去年は三兆六千億という追加をやっております。その関係からくると、ことしは五兆円と言っているようでありますが、その五兆円を使うにしても、まず、今年度の当初予算がまだひっかかっているわけですから、この当初予算が議決されますれば、議決した当日、私のところではできるだけ最大限の前倒しをやる予定でおります。平均では八〇%ちょっとだと思いますが、私のところでは九〇%以上できるのじゃないかというので、今事務当局に命じまして、前倒しの執行のできる最大限をまず執行したいと考えております。そのためには、下期において相当な補正をしていただかないとバランスが崩れできますから、ひとつその点についてもよろしく御協力を申し上げておきたいと思います。
○原文兵衛君 内需拡大はもう本当に思い切った方策でもって私はやらなければならないと思います。そのために、私は、今大蔵大臣の御答弁にもございましたが、行政改革、財政改革・再建というようなことで一生懸命やってこられて、この筋道はできたと思うんですよね。筋道はできた、だからこの辺でもって、そういつまでもこだわらないで、もちろん放漫になってしまってはいけないと思いますけれども、内需拡大の方に重点を置く、積極財政に重点を置く、当面ですね。 例えば六十五年度赤字国債脱出というような目標を立てているわけですが、この目標にそんなにこだわらなくてもいいじゃないか、数年間その達成の年次を延ばしてもいいじゃないか、そういうような気持ちでもって積極財政に転換するということが今一番大事であると思いますし、また世間一般もこれを支持するんじゃないかなと私思うわけでございます。大蔵大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ゼロシーリングとかマイナスシーリングとかいうことは、ある意味におきましてはいわば平等に切ってしまうということでございますので、そういう意味では、何と申しますか一律の努力で済む。しかし、今度そういうことを脱却しようとしますと、本当に大事なものとそれからより優先度の低いものとをはっきり分けなければならないという、かえって難しい、しかしそうでなければ優先度の高いものに優先度を与えることができないという、そういうことになりますので、それで私が昨年の暮れから、ひとつ新しい努力をしようではないかと申しております。ぜひそういうふうに、大事なものには予算をつける、しかし優先度の低いものにはまことに済まないがひとつ我慢をしてもらうというようなことにしていかなければならないということかと思います。 なお、その六十五年度の点につきましては、実現が非常に難しく厳しくなってはおりますけれども、その旗をおろしましたときに、それならば新たにどういう目標を立てるかということになりますと、それなりの先に向かっての経済なりあるいは為替とかあるいは生産力とかいうものの展望に立ちませんと次の旗を掲げることが難しいという問題がございまして、なおしばらく検討させていただきたいと思っております。
○原文兵衛君 日本は経済大国である、世界一の金持ち国であるというふうに言われるんですけれども、本当にそうなのかということになると私は大変疑問に思うわけでございます。その大きな例がいわゆる社会資本、道路であるとか下水道であるとか、あるいは公園であるとかいうようなものがいわゆる世界の先進国に比べるともう大変おくれている。公園面積なんかも、東京は二・一平米ですかな、一人当たり。ロンドンあたりは三十平米とか、十倍どころじゃないほど違いがあるんですね。それはロンドンだけじゃございませんで、パリでもボンでもあるいはニューヨークでもね。とっても恥ずかしいような東京の公園率です。あるいは下水道、道路その他につきましても大変おくれているわけでございます。 そこで私は、この社会資本の整備充実、これにうんと力を入れる。宮澤大蔵大臣も資本倍増ということをよくおっしゃっているように私は記憶しておりますけれども、ひとつ内需拡大の大きな柱として、このおくれている社会資本を整備する、そうして大都市、地方中核都市、地方中小都市、地方町村がそれぞれの特性を生かしつつ快適な生活環境を整備できるように国のやり方を転回しなくちゃいけないじゃないかと思うわけでございます。私は、これは大変大事だと思いますので、ひとつ総理からも大蔵大臣からも御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国は所得水準は高くなりましたけれども、いかにもそれはフローでありまして、ストックにそれがなり切らない。だんだん高齢化社会を迎えますとこういう経済状況もいつまで続くかわかりませんので、今のうちに社会資本をきちんとしてしまいたいとかねて思っておりましたが、その問題がいわば外からも我が国に対する要請になってまいりました。今こそそういう努力をいたさなければならないときでありまして、これが社会資本が整備してしまっております先進国でございますと、こういう場合の経済刺激策は減税しかないということになるわけでございますが、我が国の場合には、幸か不幸かと申しますか、充実すべき社会資本がたくさんございまして、いわば内需を充実すべき部分がたくさんにある。我々はそのために努力をいたすべきときであると考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣が答弁したとおりであります。特に都市整備という問題は非常に急を要すると思います。住宅、都市整備あるいは緑地、公園あるいは下水道、こういうような点がやはり非常におくれているように考えております。
○原文兵衛君 そこで私は、社会資本の整備のために要する予算の財源は相当額の建設国債を発行して一向に差し支えないんじゃないかというふうに思うんです。道路とか公園あるいは下水道などは、資産として後世代の人々に利益を与えるわけですね、残すわけです。したがって、ちょうど親子二世代住宅ローンと同じような関係で、いわゆる借金のツケ回しにはならないと私は思うのでございます。しかも建設国債を発行しますと、ちょうど今金余り現象でもっていわゆる投機的な資金がいろんなところで災いをしているわけでございますが、そういうようなものの吸収に役立つというふうにも思いますので、こういう場合、政府の借金がふえて後世の人にツケ回しするからいけないんだというような考えがあるとすれば、その考えを改めて、私は、思い切って建設国債を出しても、この際内需拡大に一番役に立つ一石二鳥のような社会資本の整備をしっかりやっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の補正予算でも建設国債の多少の増額をいたしましたが、もし今年の補正予算という時期が将来参りますといたしますと、これは私ども自民党で定めております総合経済対策要綱の大きさから見ましても、昨年よりもかなり大きな建設国債の発行を必要とすることになるのではないか、これは将来の問題でございますが、そう考えておりますし、それはまたそれなりに意味のあることであろうと思っております。 ただ、金利負担を呼びますことは歳入補てん国債と同じでございますので、それに入ります前に、国民の過去の蓄積でありますところの例えばNTTの株式というようなものがございますけれども、これは一時のことに費消をしてしまうのはやはり本来からいっていかがなものであろうか。国債減額をいたしました後さらに余裕が出るといたしますと、そのときには法律の改正をお願いいたさなければなりませんが、殊に中央ばかりでなく各地方にわたりまして、社会資本でありますとかあるいは民活のお手伝いであるとか、何かそういうことのためにはそういうものをまず一部使わしていただいてはどうだろうかというようなことも、しばらく前から事務当局に検討をいたしてもらっておるところでございます。
○原文兵衛君 総理は、日米首脳会談でお約束された五兆円とも言われるところの内需拡大のための補正予算案を八月までにめどをつけるというような意味のことを、アメリカからお帰りの途中の記者会見で述べられたというふうに新聞紙上で拝見しています。ちょうどたまたま現在本予算の審議中でございまして、今の時点で補正予算のことを論ずるのはどうかとも思いますけれども、これは今余りもう時日がないんですね。当面非常に重要な問題でございますので、この辺のところを総理にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この内需の振興というものはアメリカのためばかりにやるのじゃなくて、むしろ日本人のために、日本経済のために必要であると前から申し上げているとおりでありまして、そこで党の要綱もできましたから、予算が成立しましたら至急政府、与党一体になって緊急経済政策を決めましてそれを実行する、結局それは補正予算という形になると思うんです。そういう意味におきまして、予算が成立したらすぐ補正予算の編成に取りかかりたい。そしてでき得べくんば、今のこの急激な円ドル関係あるいは国際的要請というものを見ますとそうじんぜん日をむなしゅうすることは許されませんから、できるだけ早期に予算を成立させる、補正予算を成立させる、その努力をしたいと思っておるんです。それには八月ぐらいまでにやらぬというといかぬじゃないだろうか。もっとも国会やいろんな関係がございますから政府や我々の考えだけではまいりませんけれども、しかし内外の客観情勢を見ますとそういう目算を立てておるということでございます。
○原文兵衛君 そこで、これはこれからのことでございますけれども、問題はこの補正予算の中身だと思いますね。内需拡大のために補正予算に盛られるこの五兆円、これが国費が五兆円だというような実のあるものでなければ実効を上げることはできないと思いますが、これにつきまして大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはまだこれから将来のことでございますし、事実上どういうことをいたしましたら一番効果的かということもその時点で判断をいたさなければなりませんので、できるだけの努力をいたしたいとは存じますが、ただいまそのことを具体的に申し上げる段階にはなっておりません。
○原文兵衛君 それでは税制改革に移りたいと思いますが、税制改革の論議の本筋に入る前に、これはちょっと筋違いの議論かと思いますけれども、東京の中小工業者の中にはかなりこういうことを言う人がいて、私もしばしばどうなんだというふうに言われるのでございます。 そこで、今申し上げますことを総理と農水大臣にお伺いしたいと思うんです。それは昭和二十五年のシャウプ勧告以来三十七年もたっているこの税制、当時とは産業とか就業構造あるいは所得水準、消費の多様化、こういうことから考えると社会情勢がすっかり変わっている、だから税制改革は大変必要なんだというようなことが政府の説明でも言われております。ところが、東京の中小工業者の中には、それなら戦時中にできた食管制度は四十五年たっているじゃないか、しかも食べ物もなかったそうした戦時中とは食糧事情にしても産業構造にしても生活様式にしてもすっかり変わっている、その食管制度の改正の方が先じゃないかということを東京の中小工業者は言うんですよ。この間の売上税問題のときにも盛んに言うわけです。 これはちょっと筋違いの議論かもしれませんけども、ひとつそういう方々を納得させるためにこの問題についての総理並びに農林水産大臣のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(加藤六月君) おっしゃるとおり、食糧管理法は昭和十七年に制定されたものでございますが、その後米の需給緩和等の事情の変化に即応しまして、昭和四十四年に自主流通制度の創設、昭和四十六年に予約限度数量制度の創設等を行ってきました。そして昭和五十六年には過剰、不足、いかなる需給事情にも対応できるような食管法の改正を行ったところでございまして、制度創設当時のような全量直接管理という仕組みから、民間流通の長所を持つ自主流通制度を包含した弾力的な管理の仕組みに変わってきておるところでございます。 食管制度については、米を政府が責任を持って管理することによりまして、生産者に対してはその再生産を確保し、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすという制度の基本は維持しながら、昨年の農政審の報告というのをいただいておりますが、この農政審の報告の線に沿って、今後とも事情の変化に即応し、広く国民各界各層の理解と協力が得られるように適切な運用改善を図ってまいりたいと考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 食糧、特に主食である米の問題は、一般の商品の問題と性格の違う点がございます。また、金融制度にかかわる円の扱いという問題もやはり同じように大事な点があると思うんです。もっとも性格は違いますが。しかし米の問題、食糧の問題というものは、やはりある程度の国民に対する安心感を与えるだけの措置をとっておかないというと、場合によってはインフレを誘発する、米騒動を誘発する、そういうこともあり得るものであります。もちろん現代においては、米をつくるには石油がなきゃだめじゃないか、石油が途絶したら農耕もできなくなるよと、そういう議論も言われますけれども、しかし日本人の観念においてそういうものが存在していることは事実であるわけです。したがいまして、米が安定的に供給される、そういうような消費者に対する安心感を与える。そのためには生産者に対してもある程度は政府がちゃんと面倒を見、買う。そういう両者の安定感を与えておくということが基本的には大事だと思うんです。 ただ、そのような食管制度の基本というものは維持しながら、それを具体的に改善し改革していくということは今や時代的な要請である、そういう考えに立って改革を進めていきたい。先般、農業に関する改革案が農政審から出ました。あれを農業団体と農林省、政府と一体になって推進していきたいと考え、これは大きな前進になるだろうに思います。
○原文兵衛君 それでは、税制改革の本筋に戻りたいと思います。 いわゆるクロヨンとかトーゴーサンとかいう表現がありますけれども、東京のような大都市の住民は非常に税に対する不公平感を持っています。そういうような観点からも税制改革は必要なんだということは、もうほとんどの人がそういうふうに思っていると思うんですね。それで、おとといでしたか日本経済新聞に、日本経済新聞の読者アンケートを出したその結果が載っておりましたが、それによりますと、政府提案の売上税に賛成する人は六%にとどまったけれども、九割以上の人が税制改革は必要というふうに回答をしている。そしてその理由として、不公平是正、これが第一の理由に挙げられている。 〔委員長退席、理事降矢敬義君着席〕 また、いわゆる政府提案の売上税に賛成するのは六%しかいないけれども、新型間接税そのものには理解を示す人は多かった。こういうこと、これは読者のアンケート調査ですが。ただ、これは大体サラリーマンを中心にしたアンケート調査というふうになっております。 今申し上げたように、多くの人が税制改革は必要なんだというふうに考えているんですけれども、どうも、なぜ必要なのか、どこが改正されたらいいのか、改正されなければならないのか。また、税制改革は不公平をなくすためなのか、あるいはいわゆる直間比率を改めるためなのか。そういうようなことになりますと、的確な考え方をお持ちになっている人は少ない。また、わからない点もたくさんあると思うんです。そこで、税制改革はこういうわけだからどうしても必要なんだという、その政府の基本的な考え方を大蔵大臣お示しいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは幾つかのことを申し上げなければならないと思いますが、やはり一つは、所得税並びに法人税が非常にきつくなりまして、国際的な水準から申しましても高くなっておりますので、勤労意欲あるいは企業意欲をそぐまでに至っておる。そこでこれを何とか軽減いたしたいというのが第一でございます。その第一の中に、原委員が言われました所得税の重税感の中に、クロヨンとまでは申しませんけれども、やはり給与所得の把握が非常に容易である、事業所得の把握は容易でないという問題がございますので、そこで重税感というものが勤労者の間にある。したがって、今度のようにライフステージをほとんど一つか二つの税率で歩けるような、そういう減税をいたしたいというのが第一の理由でございます。 第二の理由は、我が国がこのように大衆消費の、しかも消費水準の高い社会になりましたが、やがて老齢化社会を迎えますので、将来の若い人人のために、この際老人も将来に向かって負担をしておくことが必要である。それは間接税の形がいいのではないか。そういうふうに、たださえ直間比率が直接税の方に偏り過ぎておりますから、直接税を減税し、新しいあるいは何かの形での間接税をふやしまして、そして老齢化社会に備えていく。 主としてその二つの考え方を実現いたしますと、我が国の経済社会はいわゆる勤労意欲あるいは企業意欲をそぐことなく、また将来に向かっての老齢化社会に大きな困難なく移行することができるのではないか、そういう税制改正のそれが主なねらいであるというふうに考えております。
○原文兵衛君 いわゆる直間比率の見直しの問題はこの間の衆議院議長のあっせんの中にもはっきり出てきているわけでございますが、そこでお伺いしたいんですが、直間比率がシャウプ税制、昭和二十五年のころはどの程度であったか、その後どういうふうに推移してきているのか。今七〇対三〇とかいうようなふうに言われていますけれども、その推移。 それから日本の直間比率が国際的に見て非常に直接税が多過ぎるというんですが、国際的な比較、これも簡単でいいですがお伺いしたいと思います。 さらに、一体その直間比率の見直しはどの辺まで持っていこうとしているのか。例えばフィフティー・フィフティーまで持っていこうとしているのか、あるいは六〇%対四〇%ぐらいに持っていこうとしているのか、大体の見通し。将来どういうふうにしようと思っているのか。そういう点につきまして、簡単で結構でございますけれども御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、御通告がございましたので資料がここにございます。 我が国の場合、昭和九年から十一年度あたりでは直接税が三五、間接税が六五でございます。戦争の激しくなるに従いましてこれが逆転をいたしまして、昭和十九年には直接税が六六、間接税が三四でございます。それで、戦争後にまたこれがもとに戻りまして、ちょうどシャウプ勧告のございました昭和二十五年あたりは直接税が五五、間接税が四五でございます。その後、これは主として所得がずっと上昇をしていきまして、何度か減税をいたしておりますけれども、なお直接税が、いわゆる所得の上昇が大きかったからと思われますが、昭和四十九年に七〇を超えまして、それからずっとただいまのところまでほとんど、六十一年度は七三対二七でございます。これをどこまでということを正確に申し上げることができませんけれども、まず、直接税が七〇というところを割っていくことは必要なのではないかというふうに考えております。 外国との比較でございますが、ほとんどの国が直接税の比率と間接税では、直接税がイギリス、西ドイツあたりが五二から五六ぐらいまで。したがって、間接税は四三とか四七とか、その辺でございます。フランスはもっと間接税の比率が高こうございまして、六〇でございます。ただ一つの例外、先進国での例外はアメリカでありまして、ここは直接税が九〇、間接税が一〇でございます。
○原文兵衛君 所得税、法人税の減税、これはもうみんなが望んでいるところでございますが、所得税、法人税を減税すると景気の回復、内需拡大にも大変いい影響を及ぼすのだというふうに政府の方はよくおっしゃっているんですね。その辺の関係を簡明にひとつお話しください。
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり所得税が低くなりますとそれだけ自分が任意に処分し得る収入、可処分所得がふえるわけでございます。我が国は貯蓄の高い国ではございますけれども、それでも可処分所得が、任意に処分し得る所得がふえることによってかなりのものが消費に回るというふうに考えられます。それから、法人税が減税になりますと、その分だけ法人の税負担が軽くなりますので、それは投資になる、あるいは研究費になる等々、そういう効果が期待できる。いずれも経済成長に寄与することになる。このたびの場合、私どもは多少の間接税の増徴がありましてもそれを超えてなお効果があるであろうと考えておったわけでございますが、減税自身はそのような効果を持つと思います。
○原文兵衛君 それでは、税制改革の最後に、売上税の問題点についてお伺いしたいと思います。 先ほど来申し上げましたように、いずれ与野党の協議機関ができて、私は税制改革は軌道に乗ると思います。また、ぜひ税制改革はしてほしいというのが国民の多くのやっぱり希望だと思っておりますので、ぜひやってもらいたいと思うんですが、ただ、売上税につきましては、これはもう、殊に東京なんかでは大変な問題点が指摘されているわけでございます。したがって私は将来の税制改革、いずれ間接税、どういう名称になるかわかりませんが、これは入れなくちゃいけないんだろうと思いますが、その場合の御参考にいろいろ提起されている問題点について申し上げたりお伺いしたりしたいと思います。 第一は、売上税というもの。所得税、法人税の減税はこれは結構なんだけれども、その財源に売上税を導入するというのが余りにも性急過ぎたんじゃないか。所得税、法人税の減税に対する財源はもっといろいろ検討した、こういうものもあった、こういうことも検討したけれども、どうもやはりそれは実効性が上がらないんだというようなこと、そしてどうしてもこれ以外にないんだといういろんな方法、いろんな場合を検討したのかどうか。どうも一般にはわからない。いきなり売上税というものが出てきちゃった。こういうふうに検討したけれどもこれでやむを得なかったんだということをよく納得させてもらわないと、今度ま た税制改革をやるたびにもし間接税を、名前はわかりませんが、入れる場合にそういう点を十分ひとつ注意していただきたいと思うのです。 それからもう一つは、これは大蔵省に聞きたいんですが、売上税の課税対象業者を年商売上高一億以上の事業者とした、この理由がわからない。私にも理由がわかりません。また大蔵省は、年商一億円以下の事業者が八七%を占める、だから大型じゃないんだ、普遍的じゃないんだ、こういう説明をしているんですが、一体この八七%を占めるという数字の根拠はどこにあるのか、どこからこれは出てきたのか、これも私どもわかりません。まず、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 新しい形の間接税をお願いするに当たりましては、一定の小規模事業者の方々につきましてはこれは非課税とすることが必要である、こういった基本的な考え方につきましては去年の十月の税制調査会の答申にも述べられているところでございまして、納税コスト等の面から、これはある範囲の方々につきまして非課税とするということはいずれにいたしましても必要ではないかと思われるわけでございます。 それからまた、八七%といった納税者の数、規模別の分布、こうしたものにつきましては、私ども税務統計、事業所統計、法人企業統計、こうしたもろもろの資料を基礎にいたしまして積算をいたしたものでございまして、客観的な数字をあらわしているものであると私ども考えているわけでございます。
○原文兵衛君 今のことは私は党の税調のころも聞いたんですが、今の八七%、年商一億円以下、もろもろのことをあれしてというんですが、的確な数字がないんですね、これ、本当は。東京あたりはとてもそんなことじゃない。逆だ。東京の場合は一億以下が半分もない、東京の中小業者は。そういうことを言われる。しかし、これも的確な数字がわかっておりませんけれども、私はそうじゃないかと思いますね。私は靴下の業者のところへ行って聞いたら、いや、とんでもないうちだってあなた一億以上ありますよと、これは小さなあれなんですが言っていましたが、これが実態じゃないかと思います。そういう点もひとつ御参考にしておきたいと思うんです。 それからもう一つ、今度の売上税の最大の問題点というのは税額を消費者に転嫁できるかどうかという点にあったと思いますね。政府は、消費者への転嫁は当然である、転嫁を前提としてつくられた税であって、事業者は最終消費者が負担する税金を一時立てかえるようなものだ、こういうふうに説明している。果たしてそうかどうか、この点なんですよね、問題は。事業者の多くは、この激しい業界の販売競争の中で消費者に転嫁なんてとてもできない、税はもう本当に事業者、我々中小の、零細の事業者がかぶらざるを得ないんだ、だから反対なんだとみんな言っておりました。この点について大蔵省はどういうふうに考えているのか。これは一番問題点だと思いまするので、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、私どもが当初考えましたのは、この売上税が施行されるのはある時点、私どもは来年の一月を考えておったわけでございますが、一斉に施行されますので、したがいまして一斉に転嫁が行われる。何と申しますか、ぼつぼつ行われますと、業態により地域によって難しいわけでございますが、きょうからそういうことになるんだということで転嫁ということが一般的にも認識され、易しいであろう。かたがた、実は消費者物価が非常に落ちついておる点もございまして、消費者側の抵抗というのはそんなに強いことはなかろうといったようなことも考えておりました。また、それまでに、これは転嫁されるものです、決して途中の方が身銭を切るものではありませんということも十分にPRを申し上げてわかっていただきたい、こう思っていたしたことでございます。 ただ、今考えますことは、消費者物価が非常に落ちついているということは、ある意味で売上側の立場が余り強くないということでございますから、そういう意味では競争が激しくて転嫁をしにくいという事情が、同じ事情が逆に働くことはあり得ることでありますし、またもう一つ、売上税税率五%と言いましたために、多くの方が自分の負担になる、こういうふうに第一印象として受け取ってしまったという嫌いがございます。むしろ、消費税と言えば消費者ということになったかもしれません、あるいは付加価値税の方がまだ、わかりにくくてもよろしかったのかもしれませんが、そういう名前のつけ方で誤った正確でない第一印象を多くの方に与えたということはあるいはあったかもしれないといろいろ反省をいたしておりますが、しかし一般的にはこれは転嫁が原則で、そのことはやがてわかっていただけるものではないかと実は思っておりました。
○原文兵衛君 大蔵省は転嫁が原則だと考えているのだろうと思いますけれども、しかし業者は、売上税という名前でもって先入観的になったんじゃなくて、やっぱり消費税という名前を書こうが、今実際に事業をやっている者は、消費者にこれを転嫁しようったって競争に負けちゃってとてもそんなものはできないんだと、これはもうみんな異口同音に痛切に言っておりますので、ひとつぜひ御参考にしていただきたい。同時に、これは消費者が負担するものなんだ、最終的に消費者が負担するものだというならば、何も一億円以下の業者だって、その人が負担するのでなければ非課税にする必要はないんですよ。 だから、非課税業者とか非課税品目をこういうふうにたくさんつくったということは、大蔵省は消費者に転嫁するんだ、原則はそうだと言いながら、本音ではそうできないときもあるのじゃないか、やっぱり業者が負担する場合もあるのじゃないかというので一億円以下の業者を非課税にしたんじゃないか。その辺がどうも大蔵省自体も論理に矛盾があるんじゃないか。それはこれを拙速にした、あるいはいろいろなしがらみがあって、それをよけようと思ってこうやっているうちにおかしくなっちゃったというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一億円以下の問題は、これはむしろそれよりも、やはり納税義務者になりますと、いかに簡素にするとは申しましても、税額票でございますとかいろんなそういう記録の問題が残ってまいります。そのことはまことに煩瑣なことで、おじいさん、おばあさんだけのお店にそういうことをおさせするというようなことはまことに煩瑣なことでございますから、なるべく多くの零細な企業をそういう煩瑣な仕事から解放しておきたいというのが本来の動機でございました。 また、もしこれを全部納税義務者にいたしますと、実際に今度はその問題で全部のいわば事業の方々が大変な実は抵抗感を持たれるのではないかというふうに、むしろ原委員の言われますように、東京なんかは多くの方がもう一億円というのはそうそう難しいことでない。また、それだけの陣容も持っておられますからあるいはそんなに問題にされなかったのかもしれませんが、地方ですとそれはやっぱりかなりの負担になるのではないか、財政的にではなく煩瑣な負担という意味でございますが、そういうふうに実は考えておるわけでございます。
○原文兵衛君 もう一つの問題点は納税コストのことなんです。これは政府の方は、もう納税の仕組みは非常に簡単で、大したコストはかからないというふうにおっしゃっていますけれどもね。 〔理事降矢敬義君退席、委員長着席〕 私どもが知っている事業者なんかは計算してみているんですけれども、やっぱり納税処理のために一人人が必要だと、中くらいの業者ですが、年商七、八億ぐらいの業者です。どうしても一人必要だと。それからそれ以外にも、これはちょっと大きいところになると、コンピューターのプログラム作成がえの費用が必要であるとか、あるいは課税非課税品目の区分処理、これにも大変なことなんだとかというような、また税額票の発行だってそう簡単なものじゃないというようなことで、納税コストは大蔵省の言うようにそんな微々たるものじゃない。何というか、税理士にちょっと少し余計に礼金を出せばやってくれるというそんな微微たるものじゃないんだということを、実際に事業をやっている人たちが言っております。 この点につきまして、やはりこれは将来の参考だと思いますので、大蔵省の考え方、また将来この点を十分私は検討してもらいたいと思いますので、お聞きしたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 新しい税の創設でございましたらば、やはりこれまで納税義務者でなかった事業者の方につきまして何らかのお手数をお煩わせするということは、これは否定できないことであろうかと思うわけでございます。 ただ、御提案申し上げております売上税では、基本的には三カ月間の売り上げの税額、これから仕入れにつきましての税額を差し引くという、仕組みとしては簡単なものではないか。法人税でございますと、売り上げから仕入れを引き、経費を計算し、減価償却を行う、引当金を積む、いろいろな幾つかの段階を経て課税される所得が算出される。それに対比しますれば基本的には仕組みとしては簡単なものではないか、このように私どもは基本的には考えているわけでございます。それから税率は単一でございます。それからまた、税額票のまとめ発行もできるということ等々いろいろな工夫を凝らしておるところでございます。それによりましてコストがゼロであるとか、そういう全く簡単であるとは申し上げませんですけれども、最小限度のものにいたしますように工夫はさしていただいたところでございます。
○原文兵衛君 基本的にはこうだというような考え方でのお示しでしたけれども、やっぱり大蔵省はもっと実態に即した検討を十分してもらわないと私いけないと思うんですよね。原則はこうなんだとか、どうも頭の中でこういうふうになるんだということじゃなくて、実態はどういうふうになるだろうということを十分御検討いただきたいと思います。 税制改革の最後ですが、政府提案の売上税案は、多くの非課税業者や非課税品目をつくったり、税額控除システムが複雑であったり、大型間接税でないとするためにかえって不公平で煩瑣になってしまった。むしろ大型間接税と言われる点はこれは率直に謝ってしまって、例外なしで一律一%とか二%とかいうような低率の間接税にしたらどうかというような意見があります。閣僚の中にもそういう意見を持っていらっしゃる方もおるように新聞で拝見したことがありますけれども、これについての大蔵大臣のお考えをちょっと承りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もしばしばそういう御意見を伺っております。そこで思いますのに、そういうことになりますと例えば食べ物も水も薬も医者も教育もみんなだなと、そういうことになるわけでございますが、それはそういうものとして最初からいわば受け取っていただくということでありましたらあるいはと思いますが、いかにも今のように一つ一つ本当に水にまでかかるのかいというようなことになりますと、それはそれでまた随分にいろんな御議論が起こってくるのじゃないかということを、私はそういう御意見を伺いながらやっぱり片方で実は考えておりまして、ただ原委員の言われましたように、今のようなことになりますと、何にもかかるだれにもかかるということでしたらもう一種の不安がないわけでございまして、こうしようかああしようかということを考える余地がございませんから、極めて単純になるということでは一つのそれはメリットであったかもしれない。 ただ、ここまで来ますと、もう一つ今のような前段に申しました議論というのが果たしてうまくおさまってくれるものかどうか、なお幾らか危惧をいたしております。
○原文兵衛君 次に移ります。 大都市、特に東京の地価高騰ということについてお伺いしたいと思うんですが、御承知のように、東京都内の地価高騰は都心商業地の異常な高騰に端を発しまして今やもう都内全域に広がっております。例えば昨年四月国土庁が発表した昭和六十一年一月一日現在の地価公示価格の動向にはりますと、全国における宅地の全用途平均の上昇率は二・六%、東京二十三区は一三・〇%商業地にあっては全国が五・一%、東京二十三区は二二・三%となっております。ところが、ことしになってこれはもっとひどくなっている。ことし四月一日に国土庁が発表したことしの一月一日現在の地価公示価格の動向では、全国の宅地の全用途平均が七・七%であるのに対して、東京二十三区では七四・四%と約十倍近いわけでございますね。また商業地にありましては、全国平均が一三・四%であるのに対して東京二十三区では七六・二%。さらにこの発表では、地価高騰は多摩地域にも及びまして、住宅地で二八・二%、商業地で六八・八%の上昇率を示している、こういうことです。 また、同じく国土庁が発表した昨年七月一日を基準日とする基準地地価の動向におきましても、宅地の全用途平均の上昇率は全国が二・七%であるのに対して東京二十三区では三二・七%。全国の地価動向と比較して東京はかけ離れた動きを示している。これが実際でございます。また、東京国税局も発表しているんですね。東京国税局が発表した本年一月一日を基準日とする東京二十三区の三十八の税務署管内の最高路線価格は平均六八・九%という上昇率になっておりますが、この最高路線価格の平均上昇率は三年続けて二けたに達しておりまして、その間の三年間の上昇度合いは二・四倍に達している、こういう数字が出ているんです。 このように、最近の東京の異常な地価高騰は、今申し上げたように国土庁とかあるいは税務署とか、こういうような公の機関が発表した資料でもはっきりしているわけでございます。これに対して国土庁長官、これは一体どこに原因があるのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(綿貫民輔君) 国際化、情報化、サービス化、こういうことが言われますが、こういう機能が東京に集中してまいりました。例えばオフショアマーケットの創設とかそういうことによる事務所需要というものと、さらにそれに関連いたしまして、業務基地化いたしましたので住宅地への波及、それと金余り現象、こういうものが複合的に絡んで現在の土地高騰があらわれているというように考えております。
○原文兵衛君 国土庁長官のおっしゃったような原因もありますけれども、さらに規制緩和、今指定地域があれしておりますね、規制緩和されるんだというのでわあっと買いあさりになったというような現象もあるようでございます。そこで、やはり住宅地域あるいは商業地域、そういう指定地域のこれをもっと峻別しないと、商業地域と住宅地域の規制を、かえって逆に緩和じゃなくて、もっと厳しくすることが地価高騰を抑えるのに必要なんだと、こういう意見もありますが、この点ひとつ御検討いただきたいと思います。 東京都も地価高騰対策をやっているんです、御承知のとおりでございます。昨年の九月に土地取引適正化条例というものを制定して、五百平米以上の土地の取引に届け出義務を課したのでございまして、届け出を課して異常な地価をチェックしようとした。初めは都心部三区に適用したんですが、すぐ追っかけて二十三区とそれから三鷹、武蔵野両市に適用しました。しかし、さっき申し上げましたように、今や東京じゅうが地価高騰になってきたので、東京都では今年の七月一日からは適用地域をさらに多摩地区の十一の市に広げる。そして、二十三区と三鷹、武蔵野、あらかじめもう既に適用している地域につきましては、五百平米以上を三百平米以上に届け出義務を課すというような適正化条例を非常に一生懸命やっておるわけでございますけれども、地価高騰を抑えるのに地方自治体の力でやるというのはこれはもう限度があるわけでございまして、どうしても国の方で思い切った対策をしてもらわなくちゃならないということが要望されているわけなんですが、その思い切った対策について、国土庁、お考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(綿貫民輔君) 小規模取引の規制ということで東京都では条例をつくって今適用していただいておりますが、今度国土利用計画法を改正いたしまして、監視区域ということを自治体の皆さん方につくっていただく制度を今度盛り込んでこの国会に提出をさせていただいております。これによりまして、小規模取引の規制をすることによって地価の鎮静化を図る。また、短期の土地転がしを規制するための土地税制もこの国会に提出をさせていただいておるわけでございまして、これらの法案を速やかに可決していただくことによりまして、地価の鎮静化にある程度効果が得られるというふうに考えております。
○原文兵衛君 なかなか難しいと思いますけれども、ひとつ国においても思い切って実行していただきたいと思います。 それから地上げ屋というまことに不愉快な存在が横行しているんです。本当に札束でほっぺたをひっぱたくようなやり方でございますし、時々はおどしをかけるんです。おどしをかけて追い出そうということです。長年住んでいた連中のその土地を底地買いしちゃって追い出そう、こういうことです。そういうようないろいろなことが行われておるんです。 この間、ごく最近でございますが、警視庁でもって国土利用計画法というのを初めて適用して、地上げ業者の強制捜査に踏み切ったわけでございますが、この地上げ屋の横行の実態、またこれに対する取り締まりということにつきまして、これは国土庁長官あるいは自治大臣、国家公安委員長お願いいたします。
○国務大臣(葉梨信行君) 最近暴力団が地上げに介入いたしまして、建物に穴をあけましたり放火をいたしましたり、大変悪質な犯行が続出をしておりまして憂慮しているところでございます。警察庁といたしましては、積極的に検挙を行い、また強力に今後とも取り締まりを行っていきたいと考えているところでございます。 詳細につきましては事務当局より御答弁申し上げます。
○政府委員(仁平圀雄君) 最近不動産取引に暴力団等が介入いたしまして、市民が困っているという相談の件数が大変ふえているところでございまして、昨年一年間に警視庁では百九十三件に上る相談事案を受理いたしております。この中には、ただいま大臣からも申し上げましたように、地上げに絡みまして居住者を追い出すために、ビルの屋上にハンマーで穴をあけたり、あるいは建物に放火したりというような悪質な事案も発生しているわけでございますが、これらはすべて検挙いたしているところでございます。 このような暴力団等の介入する悪質事案に対しましては、既に昭和五十四年以降全国の警察本部に民事介入暴力担当官というものを設置いたしまして強力な取り締まりを行ってきておるところでございますが、今後とも市民等からの相談事案に対しましては積極的に対応し、関係機関との連携を密にしますとともに、あらゆる法令を駆使いたしまして検挙の徹底を期してまいりたいと考えております。
○原文兵衛君 もう一つ、これはほとんど自治大臣に対する質問になるんですけれども、今東京の住民の生活を脅かしているものの大きなものに、異常な地価高騰の固定資産税、都市計画税の負担に与える影響がどうなるのかということがあるんです。 御承知のように、明年が固定資産の評価がえが行われる年になっていると思います。こ のときに、これまでに上昇した地価に基づいて評価が行われて、固定資産税や都市計画税の負担が求められたのではこれはたまったものじゃないということなんです。そういうようなことで都民が戦々恐恐としているのが実態だと思います。その都民の心配にこたえるために、去る三月に東京都議会におきまして、固定資産税負担の増高を防ぐようにとの意見が強まりまして、固定資産税の税率の引き下げが望ましいが、それが行い得ないならば、東京及び他の大都市特有の地価事情に配慮した固定資産の評価制度を確立すること。また、場合によっては都市計画税率の引き下げを検討すべきである、こういう趣旨の意見書とそれから一般会計に対する附帯決議と二つ出ているんです。 そこでお尋ねしたいんですが、固定資産税には百分の一・四という標準税率がございますね。それ以下の税率を地方自治体が課そうとすると、地方財政法五条の規定によりまして地方債の発行を制限される、起債制限をされてしまうということがあるわけでございます。それでできないでいるわけですが、これは念のために聞くんですけれども、そういう地財法五条の規定があるけれども、それにもかかわらず地方の普通税の税率を下げた自治体があるのかどうか。私はないんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(津田正君) 固定資産税の税率につきまして、標準税率以下としているところというような市町村はございません。
○原文兵衛君 私は、本来、固定資産税に限りません、およそ地方税の税率をどう定めるかということは、全国的な負担の均衡を図りながらも、なお地域における特殊な事情、財政状況、行政需要、地域政策等の観点から、地方自治体の選択にゆだねられるべき分野ではないかというふうに思うんです。したがって、最近における地価の跛行現象のように、固定資産課税をめぐる環境の変化、地域社会の変化に的確かつ機動的に対応できるようにするために、地方税法上の標準税率の考え方に幅を持たせるか、あるいは地方財政法の起債制限条項を改正する、そういうような必要があるのじゃないかと思うんですが、自治大臣いかがですか。
○国務大臣(葉梨信行君) 固定資産税でございますが、これは市町村の基幹的な税目でございます。また、標準税率が、地方団体の提供するサービスにつきまして、標準的な行政水準を維持するために必要な住民の標準的な税負担の水準を示すものといたしまして設けられているものでございますので、御指摘のように、地方公共団体の裁量の幅を広くする方向で標準税率を見直すことは適当ではないと考えております。 それから地方財政法第五条についての御質問でございますが、第五条第一項第五号におきましては、普通税の税率が地方税法に定める標準税率以上である地方団体に限り、公共施設または公用施設の建設事業費等の財源として地方債を起こすことができると規定をしているわけでございます。これは、この意味するところでございますが、地方公共団体が地方債を起こすに当たりましては、まず目主財源たる税収入について標準的な水準までは確保すべきであるという趣旨のものでございます。それを確保しないで地方債に依存するということは、現在の住民の負担を軽くいたしまして将来の財政負担をより大きくするということになるわけでございまして、したがいまして、地方公共団体の財政運営の健全性を確保するという見地からしますといかがなものであろうか。そういう意味で、第五条によりまして標準税率以下の課税をしているようなところについては地方債の制限をすることは必要であろう、こう考える次第でございます。
○原文兵衛君 原則論は今の自治大臣のお答えのようかと思いますけれども、今度のような異常な地価高騰というようなことにつきまして、やっぱり例外的な、幅のある考え方をしていただきたいということを要望しておきまして、それで次に移ります。 次は、固定資産税の評価がえでございます。 昭和六十三年度の評価がえは、今申し上げましたように大変な地価高騰の中で行われるわけでございます。したがって、これを従来行われてきたような手法そのままでもってやりましたら、これは大変な税金になってしまうということでございます。そういうようなことで、今、新宿の高野フルーツパーラーの付近の地価高騰ぶりの数字があるんですけれども、もう時間がございませんのでそれはひとつ御遠慮したいと思いますが、急激な地価高騰が固定資産税、都市計画税の評価に反映することを防ぐために、東京及びその他の大都市に新しい評価制度を創設していただきたい。これは都議会も要望しているんですけれども、これに対する自治大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(葉梨信行君) 大都市におきます、特に中心部におきます地価の高騰につきましては、先生が先ほど指摘されたとおりでございます。 六十三年度の土地の評価がえについてでございますが、現在課税団体におきまして作業が進められておりますが、自治省におきましても、全国的な観点から、標準的な評価の基準となる地点につきまして適正な評価が行われるよう調整を行っているところでございます。特に、御指摘のような特異な地価の状況に十分に配慮しながら、課税団体と調整を図ってまいりたいと考えております。 それから固定資産税の負担と評価の問題についてでございますが、昨年十月の税制調査会の答申におきまして、このように述べておるのでございます。「その評価に当たって引き続き均衡化、適正化に努め、中長期的に固定資産税の充実を図る方向を基本とすべきである。この場合、多くの納税者に対し毎年課税されるという固定資産税の性格を踏まえて、負担の急増を緩和するためなだらかな増加となるような配慮が必要である。」、こう述べているわけでございまして、この趣旨を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○原文兵衛君 自治大臣の御答弁にありましたこと、私ども実は承知しておるわけでございますが、ただ、それで、今までのやり方では間に合わないと思うんですね、それはもうとにかく二倍、三倍に一遍に上がっちゃっているわけですから。何かいい方法をひとつ御検討いただきたいと御要望しておきたいと思います。 実は、雇用と失業の問題をお願いする予定だったんですが、時間がだんだんなくなってまいりましたので、高齢化対策の一環としての中高年齢者の雇用と福祉について一言お伺いしてみたいと思います。 ちょっと手前みそになって恐縮なんですが、実は私は十三年ほど前から、中高年齢者雇用福祉協会というものをつくりまして、中高年齢者対策をやってきているわけでございます。そこで一番重点を置いておりますのは、企業におきましても自治体におきましても、そのときの仕事はしっかりやりながら、定年になったときの先のいろいろなものを計画しておかなくちゃいけない。これは事業者の方も計画しなくちゃいけないし、本人も準備しなくちゃいけないというようなことで、退職準備生涯生活設計教育プログラムというものを開発いたしまして、それで企業あるいは神奈川県その他自治体にも、いろいろとこのプログラムについて私どもの協会に聞きにおいでになる方がいらっしゃいまして、かなり普及しまして利用されていると思うんです。 これに関連いたしまして、労働省その他の省庁でも、あるいは省庁の外郭団体におきましても、こういうような問題についてのいろいろな施策を今やろうとしているわけでございますが、一暦大事な問題になってきているわけなんですけれども、その場合に既に民間に先駆的にやってきたいろいろな団体があるわけですね。そういうようなものと協力するとか、あるいはそういうようなものを利用する、こういうようなことも大事じゃないかと思いますので、労働大臣ひとつお願いいたします。
○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。 お尋ねの中高年齢者の全般的に言えば雇用対策、さらには退職のための準備等々で、委員が御関係なさっております協会と申しましょうか、そういう民間の意見もともども組み入れてやっていくことはどうかということでございますが、まさしくもう既に我々高齢化社会の中に入っておりまして、特に御指摘の退職準備援助の問題というのは、これから我々が民間と協力してさらに力を入れていかなければならぬ問題、したがってやはりいろんな方から広く英知を結集すべき問題である、こういうふうに考えております。 ただ現在、労働省としましては、全国的にネットをいたしております高年齢者の雇用開発協会と十分な連携を図っているところでございまして、今後の問題といたしましては、ただいま御指摘いただきましたように、やはり民間と言わず適切な御意見があれば広い意見を聴取した上でベストの方策をもって今後全力を挙げて取り組まなければいかぬというふうに考えております。
○原文兵衛君 前島議員から関連質問がありますから、ひとつよろしくお願いします。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。前島英三郎君。
○前島英三郎君 今、原委員が高齢者の雇用問題に触れられましたけれども、まず健康な長寿社会の実現について私の方からも質問さしてもらいます。 我が国では世界に例を見ないスピードで高齢化社会、長寿社会に突入しております。この喜ぶべき事実が、ともすれば二十一世紀に向けて我が国の背負う重圧、社会問題としてのみ受け取られていることを私は深く憂えるものであります。なるほど寝たきり老人の問題あるいは痴呆性老人の問題、たくさんあります。将来の年金財政の問題も考えていかなければならないと思うんですけれども、しかし暗い面ばかり私は見てはならぬと思うんですね。昔から不老長寿の霊薬が夢見られたように、長寿それ自体は夢の実現にほかならないと思うんです。問題はどこにあるかというと、長寿はある程度我が国は達成されていると思うのでありますが、不老という部分が実現していないために今日社会問題とならざるを得ない、これが実態ではないかと思うんですね。 私は健康な長寿社会と初めに申しましたけれども、むしろこれは不老長寿社会をつくっていかなければならない、こう思うんです。人間はなぜ老化するかといいますと、これは学者の皆さんは老化のメカニズムの解明はもう一歩であるというようなことをよく述べられておりますけれども、そういう意味では日本の科学技術というのはもうその分野に立ち至っていると言っても過言ではないと思うんです。我が国がその英知を結集してこれを実現できるならば、お年寄りにとってのみならず、我が国の経済、財政に及ぼす利益も莫大なものになると思うんですね。例えば社会保障給付費全体で三十五兆円、この一割が削減されたらどうだろう、これは大変なものだと思うんです。こうした点からも、老化のメカニズムの解明に政府として私は今やもう全力投球するときに来ていると思うんですね。アメリカなんかではこの部分では大変進んでおりまして、NIA、NIHなどを私も拝見しましたけれども、予算も研究組織も日本の比ではありません。 こういう意味でも私は、我が国もこれから体制を整えまして、科学技術の、あるいは長寿社会のまず世界一の国であるという一つのリーダーシップをもとりまして、大規模なプロジェクトを組んでもらいたいと思うんです。来月はベネチア・サミットも用意されておりますが、総理がこうした意味での先進国のイニシアチブをとるべきだと、このように私は思うんですが、総理いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 老化の研究は非常に重要になってきたと思いますし、日本の各界におきましても非常な関心を呼んで勉強が始まっております。いわゆる痴呆性老人というような問題との絡みもありまして、なぜ老化が起こるかということを解明することは非常に大事なことのようになっておるのであります。例えばがんの研究等々の研究におきましても、これは老化と相通ずるところがあるんだと、そういうところで遺伝子の研究とかビールスの研究とか、あるいは環境の問題とか、一緒になって老化というものをきわめようという考えが学界に強まってきました。我々は非常にこれを歓迎いたしまして、厚生省を中心にして、また大学等との研究を共同いたしまして、これをさらに政府は積極的に進めるつもりです。特に国際的な連携を保つということが非常に重要でございますから、先進諸国とも連携して進めてまいりたいと考えます。
○前島英三郎君 そういう意味では長寿社会の当面の問題、これはもうがん対策もあるいは長寿というのも非常に接点があるというような科学の分析もできているわけですね。しかしそれは、当面の問題としても、今寝たきり老人の問題とか抱えている非常に重要な問題があります。そこにおける介護などに携わるマンパワーの質と量というのもこれも急務でありますが、その意味から、今国会に提出された社会福祉士あるいは介護福祉士等のこうした資格制度の法案は極めて大切だと思います。私は、福祉産業とは言いませんけれども、いわばこれからは心産業が重要であろう、このように思うんですが、その辺は厚生省いかがお考えになっていますか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 今前島議員がおっしゃられましたように、これからの長寿社会におきまして寝たきり老人等の介護等に携わるマンパワーを確保し、かつまた、それを受ける方々が安心して受けられるような資質の向上に努めていくということは非常に重要なことであるというふうに考えておりまして、そういう意味から、今御指摘がございましたように、社会福祉士また介護福祉士というものの資格を確立いたしたいということで法案を提出さしていただいたところでございます。 また同時に、同じような観点から、医療の高度化または専門化に伴いまして医療補助者の資格につきましても重要な問題でございますので、現在臨床工学技士の法律とまた義肢装具士の法律を提出さしていただいておるところでありまして、引き続き医療福祉士、いわゆるMSWでございますが、また言語聴覚療法士、STと申しておりますが、これらについても身分を確立するべく今詰めの作業に入っておるところでございまして、そういうようなこれからのマンパワーについてしっかりとした基礎固めをし、長寿社会に向かって備えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○前島英三郎君 じゃ最後になりますが、そういう意味でも私はやっぱりこの裏づけは財源だと思います。私は、この間回ってみまして、障害者とかあるいは社会的に弱い立場のお年寄りたちがこれから我々も国民の一人として政府に要求をしていく、要求していくには我々もタックスペイヤーになりたい、タックスペイヤーにはどういう形がいいだろう、今度の間接税の取り入れはそういう意味では我々も要求しやすい、自信を持てる社会の中の一員としていろいろやっぱりこれには税負担をみずからもできるという大変いい改革だという声があったことをもあわせて御報告しておきまして、単に売上税だけが批判されておりますが、そういうものも評価されている部分もあるのだということを一言申し上げまして、私の関連質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○原文兵衛君 これは予定外なんですけれども、実は天皇陛下がこの間の御誕生日の前に皇居の中で宮内記者クラブの方々とお会いしたときにそのお話しになった中にあったそうですが、中国残留孤児の肉親捜し、この調査について中国の方々に大変感謝をする、しかしまだ身元のわからない方もあるので、これはいろいろな困難があるけれどもひとつぜひ身元のわかるように努力してほしいと、そういう趣旨のお話があったというんですが、それで私、ちょうど斎藤厚生大臣がこのことで中国に行っていたし、またその他医療とかいろんなこともお話しされてきたと思うので、どうぞ御報告していただきたいと思います。
○国務大臣(斎藤十朗君) 国会のお許しをいただきまして、私も四月の二十九日から五月四日まで訪中をいたしてまいりました。 これは中国残留日本人孤児問題、その中でも特に昭和五十六年から肉親捜し、肉親調査を行ってまいったわけでございますが、本年の三月におきまして第十五次の肉親調査を終え、これまでの肉親調査を一応概了することができました。この間中国政府の格別の御配慮、そしてまた慈愛を持って養育をしていただきました養父母の方々を初めとする中国国民の皆様方に対して、日本政府と日本国民を代表して深甚なる感謝の意を表したい、こういう気持ちで行ったわけでございます。中曽根内閣総理大臣の趙紫陽総理あての感謝の意味を込めた親書も携帯をいたしてまいりました。 呉学謙外交部長、そして王芳公安部長等と会談をいたし、私から今申し上げましたような心からの御礼を申し上げ、また肉親がなお判明をしていない方々について引き続き肉親捜しを継続いたしてまいりたいこと、また新たに孤児と判明をした人についての調査も今後引き続きやりたいこと、また孤児の方で帰国を希望する方については早期に帰国をさしていただき、また私どももそれの受け入れについて万全を期すこと等について申し上げ、今後引き続きの御協力をお願いいたしたところでございますが、中国政府といたしましては、これまでの孤児問題についてはまさに人道主義の立場から、そしてまた日中友好の太いきずなを確立することができたということにおいてともに喜んでいただいたところであり、また今後引き続き諸般の問題解決に協力するということを約束してくださったところであります。 なお、引き続きまして、中国の崔民政部長、陳衛生部長とも会談をいたしまして、社会福祉、また医療保険等についてのこれまでのお互いの協力、そして今後一層協力を密にし日中友好の実を上げていこうということで一致をいたしたところでございます。おかげさまで所期の目的を達成できたのではないかというふうに考えております。
○原文兵衛君 それでは最後に、国際国家日本についてお伺いいたしたいと思います。 近ごろ国際国家日本ということがよく言われます。総理も施政方針演説の中でこのことを強調されておられまして、私もまさにそうでなければならないと思うのですが、実は本当の国際国家日本とはどうあるべきなのか、真の国際国家日本のあるべき姿というのはどうなのかということにつきまして、戦前、戦中、戦後のいろんな経験を反省しながら私なりに考え、また心配しているのでございます。 日本は今や、いわゆる一割国家に成長いたしました。日本の企業は世界じゅう至るところに進出しております。日本人も一年間に五、六百万人も海外に出ていると言われております。しかし、そんなことだけで国際国家日本と言えるのか。日本の技術、日本の製品には世界の人々が感心しておりますけれども、日本人あるいは日本については世界の人々が必ずしも好感を持っておりません。信頼や敬意を寄せていないのではないかと思うのです。私はこれは、物の面では確かに国際化したけれども、心の面での国際化ということに欠けるものがあるからだというふうに思うのでございます。 このことに関連して外務大臣にお伺いしますけれども、最近、海外で企業活動その他の活動に従事する人が非常に多くなっている。殊に若い人たちが非常にふえているんですが、その人たちの間には、ともすると日本の優越性を自慢し、優越感を露骨にあらわす者がいて、そういう者がどうも外国人の間でひんしゅくを買っているという例が少なくないと言われておりますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(倉成正君) ただいま先生お話しのとおり、今海外に渡航する人々の数は五百五十万に及んでおる次第でございますし、また海外で仕事をしておられる方々も随分たくさんあるわけでございます。それらの方々の中には、もう日本には外国に学ぶものはないとか、あるいは日本人が非常に勤勉であって外国はそれほどでもない、そういうことを言う方が一部にあることは事実でございます。しかしながら私どもは、そのもろもろの国がその国の歴史、文化、宗教、伝統、またその生活の態度についてそれぞれの特色を持って生きておるという事実を踏まえてまいりますならば、我々もまた多く学ぶ点があろうかと存ずるわけでございます。また、特に基礎研究の部分あるいはボランタリー活動というような部分については、一割国家日本としてまだまだやらなきゃならない点があろうかと思います。 こういう点については我々は深く反省をし、そして、教育の面においてもいろいろな面においてもそういうことのないようにいたしたいと思うわけでございますが、特に私は、若人の交流、若い人たち、これから二十一世紀を背負っていく人たちが交流を深めていくということが大切ではないかということで、文部大臣にも申し上げているところでございます。
○原文兵衛君 戦後しばらくの間、日本のものはみんなだめ、日本の歴史も文化もすべて悪というふうにして否定するような自虐的な風潮が起こりました。当時私はこのことを大変心配したのです。日本人の精神的な支柱がなくなってしまうのではないか、このままいったら日本は一体どうなるのかと本当に心配しておりました。しかし最近は、日本が豊かになり、経済大国とか技術王国とか言われるようになるのと時を同じくするように、自虐的の裏返しのような風潮、自信過剰、民族意識過剰の新しいナショナリズムとでもいうような風潮が目立ち始めたように思えて、私は別の角度、心の国際化という視点で大変心配をいたしております。日本民族としての誇りを持つこと、日本の歴史、文化に誇りを持つことはもちろん大切でございますが、過去にあった過ちを反省し、謙虚に他国に気を使うということを忘れると、国際国家としての道を誤ることになるのではないかと心配するのです。 それで、私は、実は昭和一けたに学生生活を送りました。その後警察官僚となり、陸軍にも応召をしました。また、あの悲惨な昭和二十年三月十日の東京大空襲も警視庁警察官として体験するなど、戦前、戦中のいろいろな経験を持っております。それだけに私は、日本は常に平和に徹する国際国家でなければならないと反省しております。今述べたような最近の風潮が人一倍気になるわけでございますが、真の国際国家日本はいかにあるべきかということにつきまして総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのことをお答えする前に、私が午前中答弁した中に、今回の成果は必ずしも十分でなく、じくじたるものがありますというのが外電で報ぜられて、リグレッタブルというよう恋言葉で表現されて、それで何か円ドルに多少の影響があったというような話があるそうですが、これは私は自分のそういう成果に対する気持ちを申し上げたので、円ドルの問題は私とレーガン大統領の間に特別の声明を出しまして、経済に関する共同声明で、これはがちっとドルの暴落を防止する、安定をする、そういう点をはっきりしてあるのでありまして、それとこれとは別でありますからここで改めて申し上げておく次第でございます。 それから国際国家の問題でございますが、二言で言えば私は、日本人と同じように外国人にもつきあい、また同胞と同じように外国人の痛みは痛みとし、喜びは喜びとし、胸をあけてお互いにつき合えるような日本人、自分だけが偉いと思うとかあるいは卑下するということはない、しかも積極的に窓をあけて、そして例えば商品を買うにしても文化を語るにしても全く同胞と同じように、緊張することもなく普通にお互いに人間としてつき合える、そういうところまで日本人がいかないとこれはうそだ。自分の国益を守ろうあるいは自分たちだけの利益を守ろうという狭い気持ちで、そして貿易障害を殊さらつくるとかなかなか開かないとか、こういうことになるとこれは国際国家とは言えない。国内でいろいろ物が自由に流通するように国際的にも流通し得るようにできるだけしておく。恐らく、国際国家と言われるアメリカとかイギリスとかフランスとか、そういう先進国は多分にそういう点がもうオープンになっておると思うんです。日本は長い間鎖国の関係がありまして、まだまだそういう点において足りない点があるんです。日本の文化や伝統には卓越した誇るべきものがございますが、日本人の心情におきましてまだそういう閉ざされた面が必ずしもなくはない。そういう点は直すべきである。 ただしかし、民族的な産業やその他で我々の生活に関する部分は、そう一挙にはすべて思い切った急激な改革というのはできないものです。特に農業の面におきましては、各国もそれなりの、農民生活というものをいたわるというところで、みんな多少手心を加えてやっている点もございます。そういう点は国際並みにある程度ちゃんと段階を経つつやる必要がありますけれども、国民の心の持ち方あるいは行政当局の心の持ち方あるいは経済家の心の持ち方において、もう自由にそしてスムーズに物が動いて分け隔てがない、そして国際社会に貢献する、そっちが今度は非常に大事になりました。国際社会とともにあるというのはまだまだ行き足りないんです。国際社会に積極的に貢献する、そういうところにいって初めて国際国家と言えるのではないかと考えております。
○原文兵衛君 総理、外務大臣からもお答えをいただきましたが、やはりこの問題は幼いときからの教育というものが大事だと思いますので、文部大臣、ひとつこの問題についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 仰せのように、学校教育も大事でございますし、同時に私は社会教育、家庭教育というものが非常に大事だろうと思っております。特に社会教育の中で大事なのは、私はマスコミではないかと思っておるんです。こういうことを総合的にやらなきゃいかぬ。おっしゃるように、東南アジア等においては日本人の独自性を主張しようという空気が強い。ヨーロッパの方に行きましたら、逆にちょっと遠慮しているというところがあります。 そこで学校では、小学校で社会科というのがございますが、社会科で世界の中の日本ということを教えておりまして、中学校へ行きますと地理だとか歴史でそれぞれ世界各地の地域別の教育をしております。高等学校に入りますと現代社会というところで世界の文化と日本の文化というのをやっておりますが、これなんかは学校で週に一時間や二時間じゃとても足らないと思いまして、何らかの方法でもっとこの面における教育を充実すべきだと私も思っております。
○原文兵衛君 防衛費の一%オーバーの問題もございますが、私はこれも国際国家日本という観点からやはり考えてみなくちゃいけないと思うのでございます。私は決して突破したと思っておりません。専守防衛という大方針のもとに最小限の防衛を整備していったところが〇・〇〇四%オーバーしたというふうに私は思っております。しかしこれに対して、国内はもちろんですが、外国でもいろいろな批判があります。ペンタゴン筋は大変喜んでいるけれども、案外シュルツ国務長官とか元国務長官のキッシンジャー博士がワシントン・ポストにこの問題について非常に長文の論文を寄せております。日本はもっとそういう面じゃなくて国際平和のために貢献すべきじゃないかというような趣旨のことでございます。 私は、国際国家日本としては防衛力整備の面で国際的な責任を問われることもありましょうけれども、しかし、より以上に、途上国への援助とかあるいは関係国への経済協力とか、また地球規模における持続的開発と環境保全、これは私が一生懸命やってきたところでございますが、そういうようなことで今まで以上に積極的に世界のために人類のために貢献する。これがより多く世界の平和のためになり、国際国家日本として信頼を得るゆえんではないかと思いますので、これにつきましての総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は全く同感でございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、世界とともにというところから世界に貢献する、そういうところまで前進しなければうそだ。その点は文化でも環境でもあるいは経済でもみんな同じことでありまして、我々としてもっとさらに努力してまいりたいと思う次第でございます。
○原文兵衛君 時間が参りましたので、以上で質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で原文兵衛君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十七分散会 ―――――・―――――