予算委員会 第4号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1987/04/28
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。 公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十二年度総予算三案審査のため、来る五月十四日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、質疑を行います。鶴岡洋君。
○鶴岡洋君 最初に総理にお伺いいたします。 二十三日の与野党合意についてでございますが、二十二日、衆議院において、共産党を除く与野党間で売上税関連法案の取り扱いが決まりました。ここに至るまでの政府・自民党の責任は私は非常に重いと思うわけでございます。衆議院では強行採決をやり、そして徹夜国会等によって国民の政治不信というものは非常に高められた。この責任を総理はどのように感じておられるか、最初にお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会は正常に審議をすべき場所でございまして、与野党が委員会あるいは本会議において、国民の前に論議を尽くす、国民がそれをお聞きして判断をする、それが主であると思うんです。そういうようなことが行われなくてああいう混乱が起きたということは甚だ遺憾でございます。 議長さんのあっせんによりまして、各党間に話し合いができまして、そして正常化いたしましたことを高く評価するものでございます。
○鶴岡洋君 論議を尽くすところはこれは承知しておりますけれども、あのように混乱になったのは、いわゆる売上税問題でああいうことになったということはよく御承知だと思います。 ところで、総理はこの二十三日、六十二年度予算案の衆議院通過に当たって談話を発表しております。そこで、その談話でございますが、選挙中の私の発言に照らし公約違反との批判を受けたが、発言に意を尽くさぬところがあり、国会論議のいきさつについての説明も不十分で必ずしも納得を得られなかったことは私の不徳のいたすところであり、まことに申しわけないと、こういう談話を述べております。総理はこれまで、売上税は大型間接税ではないと、こう突っ張ってきたのでございますけれども、公約違反であるという批判に謙虚に耳を傾ける、こういうことですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その総理談話に書いてあるとおりでございまして、選挙中の私の発言に関しまして公約違反という批判を一部から受けまして混乱をいたしました。これは私の言葉について十分意を尽くさないところもあり、あるいは国会における論議の経緯等についても説明が十分に行き渡らなかった点もあり、ともかくこういうことになったことは私の不徳のいたすところでありますからおわび申し上げますと、虚心坦懐に申し上げた次第であります。
○鶴岡洋君 次に、この合意事項の中で、与野党協議機関を設置し税制改革を進めていく、こういうことになったわけです。この税制改革を進めていく場合に最も重要な視点は不公平税制の是正だ、こういうふうに私は思います。 総理はいつも言っておりますけれども、税制改革の基本として公平、公正、簡素、選択、活力、こういうふうに言っておりますけれども、今回の売上税についてはどうであったか。公平が不公平であり、そして簡素の面については極めて複雑怪奇、だから国民がああいうふうに反発をしたわけである、こういうふうに私は思います。ということで、これから始まる与野党協議機関での税制改革、いろいろありますけれども、一番肝心な基本的なことは不公平税制の是正、こういうことだと私は思いますけれども、総理の御認識はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 税制改革につきましては、かねてから申し上げておりますように、三十七年間シャウプ税制というもののもとに我々は置かれて、非常なひずみあるいはよじれ、そういうものができまして、その中において特にサラリーマンの皆さん等については非常な重税感を受けるに至った。こういうようなひずみを是正し、重税感を克服するということは、やはり大事なことは公平ということであると思います。そのほか幾つかの点を申し上げておりますが、やはり公平、公正ということは非常に大事なポイントではないかと思っております。 では、どうして公平、公正を回復するか。財政が厳しい折でございますから、どこかから、公平、公正を維持する、回復するというために所得税、法人税の相当な減税をやらなければできません。その減税をやるためには何が大事か、財源をどこから得るかという点についていろいろ論議もあったのであります。いろいろ国会で御議論がありましたが、最終的には議長さんのごあっせんということで今までの総括が行われたと私は考えております。 それによりますれば、高齢化社会を前にして、日本といたしましてはやはり税制の改革を思い切ってやらなければならない。その税制の改革という一つの重要アイテム、重要項目というのは直間の是正ということ、これがやはり明確に出ておるわけであり、そのために各党各派は全面的に協力し合おう、そして協議機関をつくろうと、そういう趣旨のことが与野党で約束されたことでございます。この趣旨に沿いまして、できるだけ速やかに衆議院において協議機関がつくられ、参議院は参議院独自のお考えに基づきまして御処置を願いまして、そして今の趣旨に沿った税制改革、公党の公約でございますから、これをぜひ実現していきたいと考えておる次第であります。
○鶴岡洋君 私が、不公平税制の是正、これが最大のテーマになって、これがなぜ視点となるか、こういうふうに申し上げますのは、まあ見解の相違でしょうけれども、総理は今回の税制改革についてサラリーマンの反応の悪さを嘆いていたそうですけれども、サラリーマンの多くが現行税制に多くの不満を持っていることはこれは事実でございます。それは、税金が高いということとあわせて、現行税制が給与所得と他の所得との間に多くの不公平が存在しているということであるわけです。今回の税制改革のように、給与所得と他の所得の不公平をそのままにして、逆に先ほど言った不公平を拡大するような、いわゆる売上税の導入、マル優廃止を財源にして所得税減税を行うといっても、これは共感を得られるものではない、当然だと私は思うんです。 私は、今回の与野党協議では、有価証券譲渡益課税とか土地譲渡所得課税など、いわゆるキャピタルゲイン課税の適正化や固定資産税などの資産課税の適正化について本格的に協議をすべきであると考えますけれども、この点については総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これから各党が御協議をなさるわけでございますので、政府としてはそれをまず承るべき立場かと思いますので差し出がましいことは余り申し上げるべきではないと思いますが、ただいま言われましたような土地の譲渡所得についての重課、あるいはいわゆる有価証券のキャピタルゲイン等につきましても、政府の提案でも実はかなりのことを考えておったわけでございます。固定資産税の問題、資産課税につきましては実はいろいろな問題がございまして、いわゆる富裕税というようなことになりますと課税がかなり偏るというような問題が別途にございますけれども、ただいま言われましたようなことは、恐らくこれから協議会で御検討の対象になるのではないかと思っております。
○鶴岡洋君 それでは大蔵大臣にもう一点聞きますけれども、サラリーマン減税というのは、これは総理の強い公約であったわけでございます。与野党協議の中で、六十二年度の所得税減税についてはどのように考えておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) どのように考えると言われますのは…。
○鶴岡洋君 要するに六十二年度の所得税減税をやるかやらないか、こういうことです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の提案では、御指摘のような給与所得の課税につきまして不公平感を是正するための新しい考え方を実は導入したつもりであったわけでございます。いわば生涯のライフステージで一〇%ないし一五%というところでほぼ累進が終わるようにと考えておりましたことは御承知のとおりでございまして、これは私は一つの考え方であるとなお思っておるわけでございます。 六十二年度の所得税減税をどうするかということは、私どもとしては本来、政府の提案を御審議いただきたい、こう考えておるわけでございますが、他の税法による歳入との関連もございますので、一応一括して協議会の御審議の対象となるもの、こういうふうに考えますので、政府の提案は実はそのまま国会において御審議をいただける状況にあるわけでございますけれども、協議機関が協議機関のお立場で御検討をなさるのをしばらくの間政府としては見守るということにあるいはなっていくのではないかと想像いたしております。
○鶴岡洋君 そうすると、簡単に言うと、売上税の問題はこれで廃案、こういうことになったわけですけれども、それとごちゃまぜにして考えているのか。それとも、減税は必ずやる、こういうふうにここで約束できませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) こだわるわけではございませんけれども、売上税の問題は廃案になったというふうに今の段階で考えておるわけではございませんで、この国会におきまして協議機関が御協議になると、なおかなり日にちがございますので、そういうものとして考えております。 それから所得税の減税の問題は、これは政府としても御提案をしたわけでございますが、御承知のような財政の状況でもございますので、全体の税収、歳入との関連でどのようにお考えになられるか、それはしばらく協議機関の御協議にゆだねるべきかと思っておるわけでございます。
○鶴岡洋君 それでは次に進みます。 公明党は、四月五日矢野委員長が、今回の税制改革と切り離して、六十二年度は現在の見積額よりも二兆円以上上回ると見られるNTT株の売却益を財源に、現行税制によって例えば戻し税のような方式で所得税減税の実施をするよう提案しましたけれども、この提案についてどう大臣はお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府としましては、基本的な税制の抜本的改正を考えておりまして御提案をいたしたわけでございますし、そのこと自身は恐らく各党各会派におかれても基本的に御異議がある問題だとは思っておりませんので、したがいまして、ならば戻し税という形によらずに抜本的な改正の第一段階ということでお考えをいただけないものかと思います。
○鶴岡洋君 このNTT株の件ですけれども、宮澤大蔵大臣は、NTT株の売却益をいわゆる減税財源に充てる、この点については非常に考え方が後ろ向きというか消極的であるというか、そのように思われます。その理由というのは、 大臣おっしゃるように、恒久的な財源にはならないと、こういうことでございますけれども、NTTの株は六十一年度から始まって六十二、六十三、六十四と続くわけでございますし、さらに言うならば、NTT株というのは国民共通の財産であるわけですから、そうである以上減税財源として何ら私は不都合はない、こういうふうに思いますけれども、宮澤大蔵大臣の見解は、もう一度お伺いしますけれども、どんな見解を持っておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの法律によりますと、NTT株の売却益は国債整理基金に属するわけでございますので、それ以外のことに運用いたしますとしますと法律の改正をお願いいたさなければなりません。その点は、仮にそのような立場でお考えいただけるといたしまして、私はこれは、仰せになりましたように、国民の過去の努力の蓄積でございますから、まずその債務の返済に充てるのはよろしいといたしまして、できるならば今後の資産になるような形で運用することが本来ならば望ましいのではないかという考えを持っております。及び、ただいま仰せになりましたように、確かに今後何年間かはございますけれども、いっときの収入であることはそれに違いありませんので、減税ということになりますと、できれば恒久的な財源を考えておいた方がいいというふうに傾いておりますことは仰せのとおりでございます。
○鶴岡洋君 総理、もとへ戻って大変恐縮ですけれども、この二十三日のいわゆる衆議院を予算が通過した時点のことですが、売上税関連法案については衆議院議長の預かりとした、衆議院に税制改革に関する協議機関を設置して税制改革について検討を行う、こういうふうになったわけです。そこで、結論を待って処理するということでありますけれども、議長の発言によって、各党の合意が不調に終わった場合には今国会廃案ということが確認されております。総理もこの議長発言に従うということには異存はございませんね。どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは、問答の中におけるいわばケーススタディーの一般的回答であると考えております。
○鶴岡洋君 それじゃ、書いたものと言ったものは違うと、こういう意味ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いや、そういう性格のものであると申し上げたわけです。
○鶴岡洋君 わかりました。 次の質問ですけれども、常識的に考えれば今国会は五月二十七日で終わるわけでございます。私はこの時点までに結論が出ることだと思っておりますけれども、一部には大幅な会期延長とか、すぐ臨時国会を開くとか、こういう話を私は報道されて聞いております。我々はこうして一生懸命令審議をやっているわけですから、開会中に、現在の審議中に、会期延長をするとか、また終わったらすぐ臨時国会を開くとか、こう言うこと自体私は不謹慎だと思いますけれども、総理は、最終日までに合意が不調であった場合でも、そのために大幅に会期を延長するというようなことはしないとここで約束できますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 参議院で大事な予算を審議している最中に、会期問題とかそういうような問題は口にすべきではないと思っております。
○鶴岡洋君 そうすると、お偉方が会期延長をやるとかなんとかと今盛んに言っておりますけれども、その点については総理はそれじゃどういうふうに考えられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり時期が来たらそういう問題は与野党で話し合うべき問題であると考えております。
○鶴岡洋君 次に、総理の任期は本年の十月末までであるが、伝えられるところでは、総理は税制改革は自分の手でやりたい、まあ死んでもやりたいと言ったかどうか、これは私はわかりませんけれども、とにかく強い、かたい決意を持っておられる、これが事実かどうか。もし事実だとすればそれは独善に等しい考え方だ、こういうふうに私は思います。非常に危険を伴うものであります。税制改革というような重大なテーマは数年かけて国民の合意を得ながら行うものである、こういうふうに私は思います。イギリスの例もそうですし、アメリカの例を見てもおわかりのとおりであります。ここまで来たら、じっくりと時間をかけて国民の合意をつくり上げ、その国民合意の上に立って私はやるべきだと思いますけれども、総理はどうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議長のおとりなしで各党が意見一致して約束したことは、「税制改革問題は、今後の高齢化社会に対応する等、将来のわが国の財政需要を展望する時、現在における最重要課題の一つであることは、いうをまたない。従って直間比率の見直し等今後できるだけ早期に」、これ「早期に」と書いてある。「これを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらう」、「最大限の努力」ということが書いてある。そして、この第二項の協議機関の設置という点についても各党「速やかに協議すること。」、非常にこれ議長さんお急ぎになっているということはこれでもわかるし、各党もそれに賛成したということも明瞭にここへ出ておるわけでございまして、そういう意味において、税制改革は今や内外の情勢を見ますともう緊急の課題である。国民の皆さんは、特にサラリーマンの皆さんは減税を待望しておりますし、あるいは物品税を支払っている方々も物品税が安くなればいいと、そういうふうに熱望していらっしゃる面もある。そういう意味におきまして、この税制改革というものを早くやって、そして御要望におこたえするということが政治家及び各党の国民の皆さんに対する公約であり、かつ緊急の課題である、私はそう考えております。 したがいまして、私は前から、施政方針演説でも申し上げましたけれども、この税制改革の実現について熱情を持って今でもこれを行わんとし、初心忘るべからずとも申し上げておる次第なのであります。
○鶴岡洋君 「早期に」と、こういうふうに書いてはありますけれども、じっくりとやらなきゃいけないんじゃないかと、なぜ私がこういうふうに言っているのかは、売上税を見てもわかるように、あの売上税の問題でも早急に突如と出てきた。大型間接税はやりませんと、総理は昨年の同日選挙でこうおっしゃいました。やらないと言ったものをやる。やらないと言ったものを突如として持ち出す。しかも中身は国民の大反発に遭うようなああいう売上税。また総理自身も、税制改革というのはおっかないものだと、こういうふうに言っていると私は聞いております。 したがって私は、じっくりと国民合意を得てやるのが一番国民に対する政治家のあり方ではないか、こういうふうに思うんですけれども、もう一遍じっくり考えてやるかどうか、やるべきであると私は思いますけれども、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公明党の皆さんも税制改革はたしかお約束なすっておりますし、また、今の議長さんの裁定のもとに、衆議院におきまして今申し上げたような各党の合意が成立しておるのでございまして、私は事は急を要すると。ただ、各党間において協議機関をつくって、今までかなり論議もありますから、それらの基礎の上に立って出直して、そしてじっくり話はするけれども、早く結果は上げないと国民の方がじりじり待っている、こういう状態だろうと思います。
○鶴岡洋君 それでは、次の問題に入ります。防衛費GNP比一%枠についてでございます。 最初に総理にお伺いしますけれども、私は、国の防衛について一番大事なことは国民の理解であり、国民の協力であり、そして国民の支持を得ることだ、こういうふうに思いますけれども、総理はこの点どうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は同感でございます。
○鶴岡洋君 さて、六十二年度予算において防衛費は昨年度比五・二%増になっております。しかもGNP比一%を突破しました。総理は、〇・〇○四%だからこれはちょっとだけよと、こういうふうに言っておりますけれども、数字はちょっとだけかもしれませんけれども、この防衛費の対GNP比一%枠を突破したということは重大な問題である、こういうふうに私は思います。昭和五十一年の三木内閣以来、政権政党が国民に約束し、厳粛に守ってきたものであり、防衛上の重大なこれは歯どめであります。さらに、平和国家を守り、平和憲法の精神から見ても、この歯どめはいかに重要であるか国民も認めでおりますし、加えて、今世界を見ますと、世界は挙げて軍縮、そして核廃絶を求める声で充満しております。この国際情勢に照らしてみても、我が国が軍事力を増大させ、歯どめをなくすることはこれはどうしても異常であり、将来に危険をもたらすことは明白であります。 私は、政治は国民のためにあるものだ、こういうふうに思っております。我々もたくさんの国民の支持を受けて今この席にあるわけです。したがって、世論というものを背景に国民の声を代弁し、国民福祉、そして国民生活の安定のために努力しているわけでございますけれども、総理、国会議員として、世論というもの、また世論調査等をどのように受けとめ、また理解しておられるか。総理、この世論調査、世論というものに対してどんな認識を持っておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 世論調査というものは、問題に対する国民の感触をうかがって、そしてこれを参考にする、そういう性格のもので、統計的な手法に従って行われているものだろうと思います。それはそれなりに参考にさしていただく、そういうことでございますが、しかし与えるデータによって感触が非常に違います。それから時間的経過によって、その資料が手元に届くとか認識が深まるとか、そういうことによってもまた結果は違ってまいります。したがいまして、世論調査というものはある程度流動的に考える必要もあると考えております。
○鶴岡洋君 今総理のおっしゃることは私わかります。時間差もあるしタイムラグもあるし、それから統計のとり方、いろいろあると思います。 それではお聞きしますけれども、最近の世論調査によりますと、防衛費がGNPの一%を突破したこと、その枠を撤廃したこと、これに対して二カ月前、二月二十五日、これは毎日新聞でございますが、反対が七七%、賛成が一六%。約一カ月前、三月十四日、朝日新聞では、その枠を突破したことに反対が六一%、賛成が一五%、こういうふうになっております。これを見ても、明らかに国民は一%枠の撤廃に対して反対または危惧の念を抱いておるわけでございますが、これで本当に国民の理解と信頼が得られるとお考えになっておられるのか。さっき、防衛というものは国民の信頼がなければならない、はい、そのとおりですと総理おっしゃいましたけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 平和条約をつくるときにも、国民の世論というものは全面講和があるいは部分講和がというので割れまして、必ずしも圧倒的に強く支持が全面的にあったわけではありません。しかし、その後の事態の経過を見ますと、今や国民は圧倒的に支持しております。それから安保条約を改定したときにも、同じように国民は厳しい目で見ておったのであります。しかし、その結果、今日になってみれば同じようです。自衛隊をつくるときも同じことであります。理解が深まるにつれて、なるほどこういうものかというふうに国民の皆さんは納得していかれる。 初め問題が与えられたときには、国会議員の皆さんほどよく内容を御存じではないわけでありますから、また見通しもそれほどきくわけでもございません、毎日の日常生活にお忙しい方々でございますから。したがって、結果的にどういうふうにこれが動いていくかという点も政治家としては大事な見どころであります。その瞬間瞬間の断面ばかりを考えてそして政治を動かされるようになりますというと、これは重大政策というものは必ずしもできないという危険性があるわけです。過去の今までの例を見ましてもそういう実証があるのでございまして、ですから流動的に考える、流動性もあると申し上げたのであります。
○鶴岡洋君 もちろん何をやるにしても反対というのはおりますし、それに賛成する人は当然あるわけですけれども、さらにこの世論調査で見ていきますと、自民党支持者の中でも反対の人が多いのはそれじゃどういうわけですか。野党が反対するというのはわからないでもないけれども、朝日新聞でいきますと、自民党支持者層でも反対が四八%、賛成が二五%、毎日新聞でいきますと、もちろん自民党支持者層でありますけれども、反対が六三%、賛成が二七%、こういう数字が出ております。新しい歯どめとしたいわゆる総額明示方式ですか、これに賛成なのはわずか八%です。この世論を謙虚に受けとめるべきである。参考にする、それは流動的であるから参考にする、こういう御返事でございましたけれども、謙虚に受けとめて再考すべきだ、私はこういうふうに思いますけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、政府が声明を出しましたように、昭和五十一年の三木内閣の一%に関する閣議決定というようなものは精神的にこれをやはり尊重していく。それから、国民の皆さんが願っているのは、軍事大国にならないように節度のある自衛力でいきなさい、そういうことであると私は思い、政府はそういう方向でやりますと申し上げているので、ある段階を経ますればその世論調査もまた変わってくるだろう。今までの例を見てもそうです。公明党でも、安保条約につきましては非常に批判的でございましたが、今は賛成でいらっしゃいますね。やはり時間の経過とともに変わってくると思うのであります。
○鶴岡洋君 それではお聞きしますけれども、このGNP比一%について、その果たした役割、この点については総理はどんなお考えを持っておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはやはり、我々も申し上げましたように、節度のある自衛力というものの一つのメルクマールとして機能を果たしてきた、こう考えております。
○鶴岡洋君 それでは、昭和五十一年以来守られてきたGNP比一%でございますけれども、これは国民的合意に伴って守られてきたわけでございます。また、防衛に対するいわゆる安心感というか、そういうのも与えてきたのがいわゆるこのGNP比一%だ、私はこういうふうに思うわけでございます。それを今なぜ、それはちょっとかもしれないけれども、撤廃し、そして突き抜け突破したのか。この合理的な、いわゆる整合性のある、納得のいく御答弁をいただきたいんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 御案内のとおり、防衛計画の大綱水準の達成を期するというので中期防ができておる。これは継続的、計画的にやっていく。これを達成するためには一%でおさまらないという事態が昭和六十二年度の予算編成で出たわけです。 それは、一つには、経済の成長が非常に鈍化してまいりまして、六十一年の経済成長が名目で四・四%、六十二年度は見込みとしても四・六%だ、こういうことでございますので、防衛費のいわゆる一%枠の天井が前年の防衛費に比べて四・八%の伸びしかない。今まではこれは七%とか八%とか、あるいは八・五%あったのが四・八%である。そういうことで非常に窮屈になった。その上に、正面装備はだんだんと充実してきましたけれども、後方の方がおくれている。特に指揮通信関係、あるいは隊員の宿舎とか隊舎とか、そういう生活環境といいますか、そういうものが非常におくれている。この際にそれをどうしても整備をしなきゃならぬというようなことから一%を超えざるを得なかった。私どもは、突破ということよりも超えざるを得なかった、そういう認識でございます。
○鶴岡洋君 そうすると、軍事的合理性というか整合性、これはあるということですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛計画の大綱に基づきまして中期防というのはいわゆる防衛的な整合性がある、そういうふうに思います。
○鶴岡洋君 それじゃ、その中期防、大綱、これは合理性があるというのですが。どういう理由で合理性があるんですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 大綱というのは、御案内のとおり、一言で言うと、限定かつ小規模の侵略に対応する、そういう防衛力ですね。これは必要最小限度でやる、そういうことでございますので、それなりの合理性がある。
○鶴岡洋君 これを議論していたらいつまでたっても、時間がたってしまいますので…。 それでは、この一%突破ということでございますけれども、この突破したことについて先ほど言いましたように反対者もおりますし、また、特に隣国の中国等においてはこの点について非常に危惧の念を抱いております。北京放送にも、これはいつですか、三月六日の夜に北京放送で「不安を抱かせる日本の防衛費問題」、こういうことで時事解説を伝えております。日本の防衛費の対国民総生産比一%枠突破は日本の軍事力増強の歯どめがなくなったことを意味する、こういうふうに指摘して、今後思うままに軍事力を増強する糸口をつけたことになり、事実上軍事大国への門を開いたことになる。こういうことで、東南アジアを含め非常に不安を抱かせている、こういうふうに思うわけでございますけれども、防衛庁長官、この点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今御指摘のとおり、東南アジア、特に中国の問題等ございました。そういう報道は私も承知をしております。しかし、率直に申し上げまして、これはある意味で誤解があるんじゃないかと思うんです。というのは、過去の戦争の体験から見て日本という国は軍国主義なんだ、油断をすると軍国主義にすぐに返ってしまうんだと、そういう考え方が非常に強いんじゃないかと思うんです。御案内のとおり、戦争中はいわゆる天皇の軍隊でございまして、統帥権というのがあって、もう軍事がすべて政治を牛耳ったということです。ところが、戦後は民主社会になりまして、議会によってコントロールされる。三自衛隊の統括責任者である総理大臣も国会議員の中から選ばれる、国民から選ばれた国会議員の中から選ばれる、そういうことでございまして、いわゆる文民統制でございます。政治体制がすっかり変わっておる。その点に対する理解がまだ足りないのではないかと私は思います。 余談になりますけれども、私も中国から招聘を受けておりまして、国会の方のお許しをいただきましてしかるべき時期に中国に参りたいと考えておりますけれども、その際にはそういったことにつきまして十分にお話を申し上げ御理解をいただけるように努力をいたしたい、こう考えております。
○鶴岡洋君 確かに、侵略した国と侵略された国、こういう立場から考えれば、その国民の考え方というのは今おっしゃるような考え方もあるかと思いますけれども、国を治める為政者というものはそんなに私はばかじゃないと思うんです。いかに一%突破というのは恐ろしいものであるか、一%枠におさまっているから今日の平和があるんだ、こういうふうに私たちも思っておりますし、だから、突破したということは、わずかであるけれどもそれがわずかではなくなってくる、こういう危惧を持っているから今言ったような近隣諸国が脅威を感じているんじゃないか、こういうふうに私は思うんですけれども、もう一回御答弁いただけますか。
○国務大臣(栗原祐幸君) そういう考え方もあるかと思いますけれども、先ほど来申し上げたとおり、私どもは防衛計画の大綱水準の達成を期する、必要最小限度の防衛力の整備をするということでございまして、それ以上の何物でもない。しかも政治体制が大きく変わっておる、こういうことを御理解いただく、その努力をすべきである、こう考えております。
○鶴岡洋君 総理にお伺いしますけれども、昨年の衆参同日選挙で、国民に対して防衛予算、GNP比一%枠の撤廃についてどう公約されましたか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会でも申し上げましたように、これを守りたい、できるだけ努力をいたしたいと思っていますと、そう申したと思います。
○鶴岡洋君 それは国会では私聞いておりますけれども、同日選挙のときに公約されたのかどうなのかということを聞いているんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 自民党自体としても選挙公約があのときに一連のものが出されましたが、もう一回点検しないとわかりませんが、守りたい、そういう趣旨のことは言ってきたと思っております。ただ、国を守ることは重大である、そういう点は大いに強調した。しかし節度のある防衛力でいきます、そういう点も明らかに言っていると思います。
○鶴岡洋君 全く公約していない、公言していない、私は聞いたことがございません。大型間接税はやらないとは聞きました。この顔がうそをつく顔でありましょうかなんて言ったことも私は聞きました。そこまで大型間接税については総理は言いました。しかし一%枠を撤廃するとは全然言っていない。あなたは、先ほど言ったように、言ったことはやらない、守らない、言わないことは突如としてやる、これでは両方とも国民をだますことになるんじゃないか。国民はよく見ています。だから今回の売上税についてもあんな結果になったんだ。 そこで、今、防衛費GNP比一%枠を守れということは国民の世論でもありますし、平和原則にもなりつつあるわけです。それを国民をだまし、知らない密室の中で撤廃するということは政治家としてあってはならないことだ、こういうふうに思いますけれども、このことについての総理のお考えはいかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私は、自民党の公約というものをその点についてよく見ておりませんけれども、ただ、こういうことだけは自民党の公約の中にもあると思います。それは防衛力の整備ということをする、これはちゃんとあると思います。詳しいことはわかりませんけれども、防衛力の整備をするということは自民党の公約の中にあるはずであります。その防衛力の整備をやっていく上で一%の問題が出てきた。昨年の臨時国会等で私が申し上げたことは、どちらを優先するかというと、防衛力の整備を優先するんだということを申し上げてきたわけでございまして、別にこれは公約違反でも何でもない。隠れて密室でやった、そういうふうには考えておりません。
○国務大臣(中曽根康弘君) 選挙のときに自民党は公約の文書を出しておりますが、私の記憶では、やはり節度のあるそして効率的な防衛力の整備を図る、そういう趣旨の言葉ははっきりあったと私は自分の記憶に残っております。私はそういう趣旨の話をしてまいってきた、そういう次第でございます。
○鶴岡洋君 これはまた、総理が明日から訪米されるそうですから、帰ってきてからうちの塩出委員がお話を聞かせていただきたいと思います。 最後になりますけれども、一%突破のことですが、どうも昨年暮れの予算編成時のいきさつから考えて、一%突破というのは、最初に一%突破ありき、こういうふうに決めてそこから数字を合わせてきた感が非常に強いように、私はそういう感じがするわけでございます。そうでないというならば、また本当に一%を守るという強い姿勢があれば私はできないことはないと思うんです。それが政治というものである、こういうふうに私は思うんです。ところが、一%突破ありき、ここから出発をしているから自然崩壊的な言葉が出てくる。先ほどの防衛庁長官の答弁もそうです。そして予防線を張る。ある自民党首脳は、一生懸命やっているが超えたら仕方がない、こういうことを言っておる。防衛庁長官、あなたはあれこれ考えると厳しい様相だと。総理大臣は守りたいが難しい情勢だと。こういう発言はみんな守るということに消極的な姿勢だと私は思います。もっと積極的に取り組んで、そうして予算でふやさなければならないところもある、しかし反面減らしてもいいところも当然あるわけです。もっと積極的に一%粋を守るということに取り組めないのか。 どうしても突破せざるを得ないその理由は何なのか。もう一回防衛庁長官、答弁してください。
○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほど言ったように、経済成長というのが非常に落ちてきた。それから前年度に比べてみまして防衛費のいわゆるGNPの天上枠というのが四・八%、低くなった、これは明瞭に今まで七%か八%か、八・五%あったかわかりませんけれども、非常に財政的に苦しくなったということです。その中で、先ほど申したとおり後方部門、指揮通信、隊員の宿舎、隊舎等の改善、そういうものに積んでいくとどうしても超えざるを得なかった、突破しようというのじゃなくて超えざるを得なかった、これが心境でございます。
○鶴岡洋君 超えざるを得なかったということでございますけれども、それではそれに関連して、昭和六十二年度予算の編成は一ドル百六十三円で計算されている、こういうふうに聞いております。それで計上されているわけです。この防衛費関係予算の中で外国から購入するものの総額は幾らか、ドル建て分でドルで幾らか、円に換算して幾らか。さらに、円が今急騰しております。きのうは終わり値が百三十八円十銭、こういうふうに聞いておりますけれども、細かい数字ですから百四十円と計算したならばどういうことになるか、教えていただけますか。
○政府委員(池田久克君) 六十二年度予算の外貨関係のドル建ての経費という御質問でございますが、総額二千九十六億円を予定してございます。これはいずれも日本円で予算を計上いたしております。
○鶴岡洋君 百六十三円ね。
○政府委員(池田久克君) 支払うことを百六十二円の支出官レートを前提にするということで計上してございます。
○鶴岡洋君 百四十円で計算したら幾らになるか。
○政府委員(池田久克君) 為替相場等につきましては、これは一年間を通じていろいろ変動するものでございまして、予算の編成上は支出官レートで設定いたしまして、それを前提にして、そこで差益が出るということになればそれぞれ法令の手続に従って処置するわけでございまして、我々は、あくまでも六十二年度一年間を通じてどういう状況で執行していくか、そういうところに非常に関心を持っておりまして、百四十円で計算するという状況には、計算できない、適切じゃない、こう考えております。
○鶴岡洋君 そんなことは私はわかっているんですよ。為替相場がフロートしているんですから変動するのは当たり前じゃないですか。だから、私の聞いているのは、ドル建てでやった場合に換算して幾らか。今現実に百三十八円十銭なんだから、その百三十八円十銭というのは細かいから百四十円で計算したら幾らになるかということを聞いているんです。そんなものはすぐ出るでしょう、計算。
○政府委員(池田久克君) ただいま申し上げましたように、外貨建てのドル建てにつきましては、他の経費も同様でございますけれども、予算を支出官レートで編成いたしまして、一年間の為替相場の変動等に対応いたしまして、その前提で、段階段階で適切に処理してまいります。しかも、この外貨建ての総経費につきましては、単純に一本で計算するというわけにまいりませんで、例えば歳出化の経費もいろいろございますし、FMSの問題もございますし、そういうことを個々に計算をしてまいっております。しかしあくまでも、これからどうなるかということは、今後の推移を見なければ何人といえども断定できない状況でございますので、支出官レート百六十三円、過去のものについてはそれぞれの段階の歳出化等を予定して計上している、こういう性質のものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○鶴岡洋君 あなた、ごちゃごちゃ言わないで、外国から購入する分の総額は、私が言いますよ、二千二百三十八億円。そのうちドル建て分が二千九十六億円とあなたは言ったでしょう、これは百六十三円で計算して二千九十六億円でしょう。百四十円で計算したら幾らになるかというと一千八百億二千六百万になるんですよ。小学生じゃないんだからこんなものは計算できるじゃないですか。 もう一つ、これに加えて、売上税が導入されるものとして計算していたいわゆる防衛関係予算は、すなわち売上税相当額は幾らになるのか、六十二年度分だけ。売上税が導入された場合には幾らになるのか。六十二年度分ですから、来年の一月から三月分まで幾らになりますか。
○政府委員(池田久克君) 六十二年度の売上税相当分としては百十六億円を予定しておりますが、そのうち売上税分として新たに予算計上したのは九十三億円でございます。
○鶴岡洋君 そうすると、ドル建て分二千九十六億、それで百四十円に換算をすると一千八百億二千六百万円、それからそれを差し引くと二百九十五億七千四百万円、これは単純計算ですけれども、それだけドル安でもうかったというか不用になった、現時点ではですよ、こういうことになるわけです。そうして売上税相当額が百十六億円あるわけです。両方合わせると四百十一億七千四百万。突破額が総理はちょっとだけよという、その〇・〇〇四、百三十四億、これを引くと二百七十七億七千四百万、約二百七十八億、一%枠内におさまる、こういうことになるわけです。 もちろん円高になるか円安になるかこれは流動的だ、こんなことはわかっております。現時点では正確には計算できませんけれども、そうなると、ことしは実質一%は十二分に守れる、こういうことになるわけでございます。実質GNP比一%枠は守れる、こういうふうになるわけです。したがって、ことしは実質一%枠を守ることができた、売上税もないことですし、来年も一%を守る、こういう約束はできませんか、長官。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今の売上税とか円高の問題は予算執行上の問題ですね。ですから、これは今その瞬間瞬間をとらえてどうこうということ自体が果たして適当かどうかということがございます。しかし、予算執行上の問題でございますから、剰余が出た場合はこれは不用として処理することは当然であります。そのことと枠を見直すということは別なんです。枠を見直すというのは、予算の編成時においてこの枠ではおさまらないということで見直したわけでございますから、そのことと現在の御質問とは直接関係がない、こういうふうに思います。
○鶴岡洋君 そうしたら、六十二年度の三月末、このときに一%枠内に実質上、事実上おさまった場合には、あなたたちは何と言うんですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 何もくそもないんですね。そういう事実を確認するだけのことでございます。
○鶴岡洋君 枠内におさまったということじゃないですか。そういうことでことしは枠内におさまったんだから、来年も、六十二年度ですか、予算は守るように努力をする、こういうことにはなりませんか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 一%の枠の問題は、その予算編成時に政府としてどうするかということを決めたわけです。その後、決めた予算が一%の枠内でおさまればそれはそれで結構であるし、そのことを云々はしないんです。ただ、六十二年度について、一%の枠内でおさめろ、そういう議論にはならないわけでございまして、必要なものをやはりいただく、こういうことでございます。
○鶴岡洋君 今までの議論でずっと言っているように、この一%枠というのは国民的合意にもなっているし、平和原則にもなりつつあるし、またそれが一番いいとデータにも出ている。国民もそういうように思っている。そういう人が多いんだから、何もそれを逆なでするように一%突破することは私はないと思うんです。おさまればおさまったでそれでいいじゃないですか。また来年もそれに従ってやっていく、努力すると。それじゃ努力するつもりはないと、こういうことですか。一%枠におさめる、こういう努力はできないと、こういうことを言っているんですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛費はできるだけ少ない方がいいんです。その点については同感なんです。ただ、防衛計画の大綱でやっていきますと一%の枠を超えることがあるということで、そういう場合で今度は超えたから枠を直したわけです。したがいまして、今度は一%におさめる、こういうことになりますと、継続的、計画的な防衛力の整備をどうするんだ、この問題に入りますので、六十三年度は一%以内におさめますなどということは言えるはずがないわけであります。
○鶴岡洋君 それでは、まだありますので、先へ進みます。 総理は明日訪米されるわけでございますけれども、今回の総理の訪米というのは、過去五回ですか、それに比べて非常に大変な厳しい訪米になるのではないか、こういうふうに予想されます。何となれば、日米間の貿易不均衡のこともございますし、また経済摩擦も、さらに今問題になっている半導体問題だけをとってみても、日米間は友好関係にあるといいながら、いわゆる一〇〇%の関税をかける、こういうことは私は正常ではないと思うんです。それやこれやで難問がたくさんございます。そこを訪米されるわけでございますから、私は大変だと思いますし、また御苦労だとは思います。 そこで、あなたは先日都内のこの訪米に対する結団式で、こういう時期だからこそ私は訪米するんだ、アメリカとの話し合いでは虚心坦懐に話し合いをし、レーガンさんとは胸襟を開いて話し合いをしてくるんだ、こういうことをおっしゃっておりますけれども、厳しいと予想されるこの訪米に際しての決意をお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 二十九日から行かさせていただきますが、何しろこういう厳しいときでありますから、行政の最高責任者としましてこの状況を打開するために行かなければならない責任感を持っておるわけでございます。ベストを尽くしてまいりたいと思っております。 しかし、日米間というものは、今や世界の平和や繁栄の基軸をなしてきている重大な関係の一つになっていると思います。経済問題のみならず、あるいは政治あるいは科学技術、あるいは国民間の交流、文化あるいは経済、さまざまな面でもう非常に深く結びついておるわけであります。経済的な問題が、これらの非常に太い日米友好親善協力という世界の平和、繁栄の基軸をなしているということを阻害してはならない。しかし、経済的摩擦は速やかに両国の協力によって解消しなければならない。そういう意味におきまして、その太い線を確認し、さらにこれを大事に育て上げていくと同時に、二国間の問題等についてはこれを解決する、さらに世界的な諸問題についても胸襟を開いて世界の平和と繁栄のために協力する、そういうことを実行いたしたいと思う次第でございます。
○鶴岡洋君 総理、日米間の太い線を確認しと、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、総理は就任以来日米友好関係を非常に強調されてきましたけれども、実際の結果は今日のように逆に日米関係を危機的状況に陥れてしまったのではないでしょうか。日米経済摩擦については、米国側にとってもかなりの問題があるということは事実でございますけれども、それにしても日米関係をここまで悪化させた総理は重大な責任があると私は思います。この責任を総理はまずどういうふうに認識されておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日米両国は、市場経済、自由主義経済を持ち、かつまた自由貿易の推進を両方とも今国是としておるわけでございます。統制経済はやっていない。そういう面で、しかも世界経済を発展させるというためには拡大均衡に持っていこう、内外均衡を達成する、そういう方向で今懸命の努力をしておるところでございまして、そういう意味において今日の摩擦は甚だ不本意であり、遺憾でございますけれども、自由主義経済をやっている限りにおいては問題は幾つも次々に生起してくる。問題はそれを解決する方法を知っているということなのであり、今回もそういう意味におきまして両方の協力によって解決していきたい、そう思っておるのであります。
○鶴岡洋君 総理が就任されてから四年四カ月、五カ月ですか、たっておりますけれども、アメリカとのいわゆる貿易関係、経常黒字は拡大をたどってきているわけでございます。数字で言いますと、五十七年度の経常黒字は九十一億ドルであったけれども、五十八年は二百四十二億ドル、そしてこれが年を追うごとに拡大してまいりまして、六十一年度は実績見込みで八百八十億ドルであります。これは異常なふえ方だ、私はこういうふうに思わざるを得ません。この中で対米貿易黒字はどうかというと、五十七年が百二十二億ドル、五十八年が二百十億ドル、五十九年が三百三十八億ドル、六十年が四百三十三億ドル、六十一年が五百二十億ドル、こういうふうになっております。 それでは、世界的貿易はどうなっているのか。いろいろな経済統計資料によると、世界貿易の推移というのは一九八〇年、これがピークであります、いわゆる七年前。それから世界貿易というのは減少傾向にある。こういう数字がどの資料を見ても統計資料ではっきりしております。その中で、それじゃ輸出額が大きくふえ続けた国はどこなのかというと、日本だけてあります。ただ一つ日本だけであります。しかも、どこの国に向かってその輸出ドライブがかけられたか、これを調べてみますと、産油国への輸出は減少、非産油国への輸出は横ばい、ECへの輸出は同じく横ばい、共産圏への輸出は減少、こういうふうになっております。 ということはどういうことかというと、世界貿易が全般的に減少傾向にあるにかかわらず、日本の輸出はふえ続けているということ、これが一つと、そのふえた分がそれではどこに行っているのか、専らアメリカに行っている、こういうことになるわけです。このため日米間は先ほど言ったように大きな不均衡を生じている。したがって、今問題になっている日米貿易摩擦の根本はこの日米貿易不均衡にあって、この上に個々のいわゆる問題が噴出してきている。 この日米貿易不均衡がここまで拡大してきた原因はどこにあるのか。今私が数字で申し上げましたけれども、総理はどう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま過去の数字をお挙げになりましたが、もう二年ほどさかのぼりますと、五十五年には我が国の貿易収支はたしか六十六億ドルぐらいのプラスでございますが、それが六十年には六百億になるわけでございますから、わずかの年の間に十倍になった。五十五年には経常収支はたしか七十億ぐらいのマイナスであったと思いますから、それが五百億とか六百億ドルになった。この五十五年から六十年までの間に起こったことが結局きょうの問題のもとだと思いますが、それはやはり異常なドル高がありまして、我が国の経済が非常なドル高のために輸出の態勢が大変にとりやすかった。したがって、その間に過度に輸出依存的な体質に、お互い気がつかないうちに、後から振り返りましたらなっておったということになると思います。 ただいま御指摘のように、かつては対米貿易というのは三割を割っておりました。二八%ぐらいまでいっておったわけですが、それがほとんど四〇%に近いところまでなりましたのは、いかにもこのドル高の時代に我が国の経済が過度に輸出依存、殊に対米輸出依存になった、そういうことであったと、今過ぎでみますとはっきりそれがわかる、そういうことではなかったかと思います。
○鶴岡洋君 それでは宮澤大臣にお聞きしますけれども、四月八日のG7における共同声明の中で、従前を上回る大型補正予算を執行する、こういうふうに言っておりますけれども、あなたは日本の国の代表としてG7に臨んだわけです。 その前に総理にお聞きしますけれども、今回の訪米でも最大のテーマは今言った日米貿易不均衡問題である、こういうふうに思いますけれども、その中で一番問題なのは我が国の内需拡大策である、総理が持っていかれるそのかばんの中に総合経済対策要綱、こういうものがあるようですけれども、これは自民党の考えなのか、それとも政府の方針なのか、どちらなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは自民党の考えでございまして、この考えをもとに、予算が成立しましたら緊急経済対策をできるだけ早期に打ち出しまして、それが実施に入る。そのもとになっているものは自民党の要綱である、こういうふうに認識しております。
○鶴岡洋君 それでは、宮澤大蔵大臣、今言ったようにあなたは日本の代表としてG7に臨んだわけです。総理が今言ったように、自民党の決定といっても、対外的には日本政府の公約になるんじゃないか、こういうふうに私は思いますけれども、この点が一点。 それから二点目は、本予算を審議している段階で大型補正予算の編成を口にするのは極めて問題である、私はこういうふうに思います。あなた自身が三月三十日の予算委員会でこういうふうに言っていますよ。「私どもは補正という言葉を決して口にいたしてはならない立場でございます。」、こう言っていますけれども、こうなると、この発言と大型補正予算を組む用意があるという発言、これはもう矛盾もいいところ、大矛盾じゃないですか。この二点についてどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十二年度予算が参議院に回付されましたのがつい先週のことでございまして、これはまことに異例な遅延であったと申さざるを得ません。その間にいわゆる円高というものが進み、市場としては予算が成立いたしませんから政府がこれに対して有効な手が十分打てないということも恐らく読み取っておったという状況のもとで、四月八日のワシントンの会議が開かれておるわけでございます。しかしながら、参議院でまだ予算をお受け取りになっていない、衆議院に予算案があるという状況のもとで、おっしゃいますように補正ということを私が申すわけにいかない、いきませんけれども、こういう国際会議において、仮に政府与党と言わせていただきますが、としては、予算が成立したら直ちにこういうことはやるつもりであるということを申さなければ、介入に同意をしております各国としても、また現状を見ております市場としてもなかなか納得をしないことである。そういう状況のもとでこの四月八日の声明にも、与党である自民党によって声明されたというやや異例なことを実は書いてもらわざるを得なかった、書かざるを得なかったということでございます。 通例でございますと、この四月八日という時期でありますと予算が成立をいたしておりまして、政府はと当然に言えるところであったと思いますが、それが言えませんでしたがゆえにこのような表現になっております。
○鶴岡洋君 異例で、現実に今参議院で審議をやっているわけです。もう桜の花も散っちゃったし、夏になろうとしているわけです。それは異例かもしれないけれども、これは矛盾をしている、こういうふうに私は思うわけです。 〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 それで、今日本が本腰を入れて内需拡大をやらねば大変だ、また、日米間だけではなく世界経済に、もしそういうことにならないと大きなひびが入る。したがって、大型補正を組むというならば、本予算が今ここに審議中ですから、あなたも異例だったら異例に審議中に組み入れればいいのではないか、こういうふうに思いますけれども、五兆円とかなんとか私は聞いておりますけれども、そういうことはできませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 技術的なことから申しますと、既に一院において、衆議院において政府提案を御可決いただいて参議院に回付になっておりますから、今のようなことをいたしますとどうなりますか、ちょっと前例もないし想像も難しゅうございます。それよりもやはり、本予算というのは次の、その年の一番の基本になる物の考え方、施策でございますから、これがまず動き出しましてその後に要すれば補正ということになりませんと行政というものは正常に動いていかない、そういう要素がございますものですから、お話のような点がもし起こってまいれば、それは本予算が執行されました後において考え、また御提案を申し上げてお許しを得る、それが私はやはり本当であろうと思うのでございます。
○鶴岡洋君 異例のことをやったんだから、私は異例として、おくれたんだからやってもこれは構わないと思うんです。 それじゃ、この審議というのはどういうことですか、我々がこうやってやっておる審議というのはどういうことですか、どういうふうに解釈しますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ御審議の中から政府の考え方をお聞き取りいただき、またそれについて御批判も政府に対してお寄せになる、また国会としての、あるいは参議院としてのこの予算についてのいわば成否の御決定もその結果なさる、こういうものと承知をしております。
○鶴岡洋君 要するに、ここは悪い、ここはこうでいい、これが審議でしょう、これが国会審議でしょう。そうすると、悪かった面、これはみんな同じ立場ですから、国民にとっては同じ立場ですから、悪かった面はこれは直すというのが私は審議の結果だと思うんです。今あなたの話によると、結論からいけば予算の修正はできない、やってはならない、こういうふうにとれますけれども、予算の修正はやっちゃいけないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの御趣旨は、政府として今言ったような要素を加えて出し直してくる意思はないかと、こういうお尋ねでございますので、そういうふうには考えておりませんと申し上げたのでございます。
○鶴岡洋君 総理にお伺いしますが、これまでの総理訪米でも何回も内需拡大という約束をしてまいりましたけれども、結果としてどうだったかというと、この約束は果たしてこなかった、することができなかった、いわゆるペーパーの上の約束だけであった、こういうふうにきのうもテレビで言っていた人がおりましたけれども、我が国が思い切った内需拡大策を実施するというのであれば、まずこれまでのいわゆる緊縮財政の明確な転換が必要であると私は思います。昨日、新行革審会長談話が発表されまして、その中で「臨時・緊急の対応」という言葉がありましたけれども、こういうようなあいまいな形ではなくて、我が国経済を安定成長路線に乗せるために、この際我が国のいわゆる財政運営を積極的に転換する、こういう方針を明確にすべきだと私は思いますけれども、これは大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は昨日も申し上げておるところでございますけれども、現在の我が国の置かれております状況、いわゆる内需拡大等々は国際的にも国内的にも緊急のことでございますので、その点は十分私どもとしても承知をいたしております。財政再建という問題はございますからそれは忘れ去ってしまうわけにはまいりませんけれども、その中でこの緊急の課題にこたえなければならないということは十分に考えております。
○鶴岡洋君 それに関連して、それでは、六十三年度予算案の概算要求基準については積極財政をやる、積極財政へ転換する、こういうことになるならばマイナスシーリングは解除すべきだ、こういうふうに思いますけれども、大蔵大臣、この方針は示してもらえますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点はこの予算を御承認いただきました後の推移を見て考えなければならないところだと思いますけれども、予算の中でいわゆる投資的経費につきまして五年間これをゼロ、実はマイナスでございますが、をしてまいりまして、それはそれなりの制度的な改変あるいは物の考え方についての新しい示唆を十分与えるものであって、大変なメリットがあったと私は考えております。ですから、そういう物の考え方は今後とも大事であると思いますけれども、同時に、現実のそういう投資的な行政におきましてはかなりのデメリットを生じたことも否めませんので、昨年の暮れ、六十二年度の予算編成を終えました際、事務当局に対しては、六十三年度については少なくとも投資的経費について今までの発想を一遍考え直してみるように申しておりまして、そのようなことで事務当局が検討をただいま続けております。
○鶴岡洋君 時間もなくなってきましたので急ぎます。 新前川レポートについては、報告内容の方向そのものは私は大きな異存を挟むものではございません。しかし、その具体性については極めて何というのですか乏しい、こういうふうに思わざるを得ないわけです。総理がアメリカに行って説明するというのであれば、これは抽象論では済まされないわけです。 先日、安倍特使が帰って来られて、政府にやっぱり具体性がないと向こうも聞きませんよと、こういう報告がなされたときに、大蔵大臣は、きちんと予算措置もいたします、こういうふうに言っているようでございますけれども、私はそのとおりにしなきゃいけないと思うのです。レポートでは、内需拡大策として住宅、社会資本整備、土地対策、それから設備投資、消費を挙げていますけれども、住宅、社会資本整備にしても地価問題がネックになっておって、特に土地問題が私は重要な問題になってくると思うのです。 レポートでは、土地対策として、特に重点項目として、一つ、市街化区域内農地の優遇税制の是正、二つ目、線引きの見直し、三つ目、公有水面埋め立てによる宅地造成、これを挙げております。これらについて我々は賛成でございますけれども、政府としては具体的にどのように進められていくのか。まず市街化区域内農地の優遇税制の是正については農林大臣、それから線引きと公有水面については建設大臣、御答弁をお願いします。
○国務大臣(葉梨信行君) 市街化区域内の農地の宅地並み課税制度につきましては、長期に安定的に機能するように改正を行ったところでございます。その際創設いたしました長期営農継続農地制度でございますが、その制度を運営しながら、徴収猶予制度それから支払い義務免除制度等につきましては、ただいまそれが運用中でございますが、この運用につきましても厳しく行われるよう地方公共団体を指導しているところでございます。宅地並み課税制度の今後につきましては、政府税制調査会の御審議を待ちながら、政府等においても十分に検討を加えていきたい、このように考えております。
○鶴岡洋君 農林大臣の立場からどうですか。
○国務大臣(加藤六月君) ただいま自治大臣がお答えになりました趣旨でございますが、その線に従いまして、また昨年いただきました政府税調の御答申もあります、そして今回の新しい御報告もございます。ここら辺を検討しながら建設、自治と十分相談してまいりたいと考えております。
○国務大臣(天野光晴君) 線引きの問題につきましては、鋭意地元の自治団体の意思を尊重してやらせるようにいたしたいと考えております。 それからただいまの農地の問題でございますが、これはちょうど五年目になりまして、営農を続ける農地であるかどうかというものの調査、今でき上がりつつあります。それによって十二分の措置をいたしたいと考えております。
○鶴岡洋君 公有水面はどうするのですか。
○国務大臣(天野光晴君) 新前川リポートというのを、不勉強で申しわけないのですがまだ見ておりません。ですから、まだ政府ではそれを全部承認しているわけではありませんから、そういう点で、役所の方でつくってきた原稿がありますから、それを読ませていただきます。 建設省としては、大都市圏において職住近接の良好な町づくりの促進の一環として、既存の埋立地の再開発による高度利用の推進方策について検討を行っているところである。また、新たなる公有水面の埋め立てについても、既存の埋立地を含む後背地の土地利用との関係、環境条件等に配慮しつつ、その推進を図るべきものと考えております。 なお、事業主体のあり方、交通施設等公共施設の整備費用を開発利益から吸収する方策等については、今後検討を進めてまいりたいと思っております。
○鶴岡洋君 総理、皆さんもお聞きしていただきたいと思いますけれども、今、日本はこういうことで困っているんだ、内需拡大をやらなきゃいけないんだと。今まではその内需拡大が抽象論に終わってしまって、またアメリカとの約束も、先ほど言いましたようにペーパーの上だけのことになってしまって——結果はそうですよ、そうなっているんですから。だから、内需拡大をやらなきゃいけない、もう本腰を入れてやらなきゃいけないということでみんな取り組んでいるわけでしょう。そのときに、今言ったように、まだ見てないとか聞いてないとか。それじゃなくて、見でなくとも内需拡大はやらなきゃならないんだから、そうだったら建設大臣として、具体的にこういうふうにすると、こう言うのが私は当たり前だと思うんです。聞いていると、人ごとのように思っている。それではいけないと私は思うんです。 〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 そういうことで、私はそういう内需拡大をやらなければ日本の今の経済を活性化することはできないんだと、これは内外ともにそういうふうに思っているわけです、事実そうなんですから。ですから、そういう面でもっと真剣に取り組んでもらいたい、こういうことを私は申し上げているんです。 総理にお聞きしますけれども、こういう土地問題がいわゆる緊急の課題でございます。そこで私、提案でございますけれども、国会にこの問題を議論する特別の機関、例えば土地対策特別委員会、こういう委員会等を設置したらどうか、こういうふうに思うんですけれども、総理のお考えはいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まずその前に申し上げますが、内需拡大に一番熱心なのは建設大臣なんです。それはもう閣議におきましても政府・与党の場におきましても、私や官房長官に食ってかかって、そして予算を今度やるときには真水を多くしろ、いわゆる増量剤を入れてはならぬと、とどめを刺すように一番うるさいぐらいに言ってきているのが建設大臣でありまして、その点は誤解でありますから、ここで私から改めて申し上げておく次第であります。 それから今の土地問題でございますが、確かに土地問題が大問題であります。それについて、どういうやり方でやるか。我々の方は土地問題の閣僚会議を既につくっておりまして、これは各省の協力を得て推進しないとできないものでございます。これは建設大臣も一番言っているんですけれども、ともかく土地をつくらなきゃだめだ、要するに供給をふやさなけりゃだめだ、特に東京の場合はそうだと。そういうわけで、今の東京駅、あれを立体化して相当なビルや事務所をつくったらどうかと、そういう積極的提案をやっているのは建設大臣であります。今各省庁でそのフィージビリティースタディーをやる調査会をいよいよつくることになりました。供給をふやすということがやっぱり基本ではないかと思います。 それから、やはりこれは投機的に物が処理されるということを厳に戒めていく方策を講ずる、これがまた第二に大事で、これらはまた今既にいろいろやっており、東京都知事も熱心に条例等でやっておるところでございますが、今のような新しい組織をつくるということについては、国会内部におきましてお決めいただくことでありますので、私の方からとやかく申すべきことではないと思います。
○鶴岡洋君 それでは、もう時間が来ましたので、最後の問題としますけれども、総理大臣にお伺いしたいんです。 今度の訪米で、個々の問題についてもいろいろな問題が提起されると思います。けさの新聞を見ますと、米の問題についてもレーガン大統領が特に取り上げてその対応を表明されている、そういうふうにけさの新聞に載っております。こういうことで、米の自由化問題を初め、今年度で輸入枠の期限が切れる牛肉、オレンジの自由化、さらにガットの審査対象となっている残存品目十二品目の輸入の自由化等が恐らく今回の訪米で問題になってくると思います。 この農産物市場開放問題については総理はどんな考えを持っておられるか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 基本的には、我が国は農産物の最大の輸入国でございまして、アメリカとの関係を見ましても約六十二億ドル農産物を輸入しておる最大の輸入国であり、アメリカから見れば日本が最大のお客様であります。それで、日本が外国へ農産物を輸出するということはほとんどない。いわんや補助金をつけて輸出するというようなことは全然やってない。そういう意味においてアメリカ、ECと日本のポジションはまるきり違うのでありまして、その基本的なポジションの差というものをよく認識してもらう必要がまずは第一にあるんです。 それから第二番目には、農業改革ということは外国に言われてやることじゃなくて、我が国のためにみずからやるべきことであります。そういう意味において、我々はこの間農政審の答申をいただきましたが、あれを農林省と農業の諸団体と協力し合いながら前進させていく。あの中には国際価格との差を縮めていく、そういう方針も打ち出されておるわけで、そして価格政策よりも生産政策、そういうものを非常に重要視するという方向も打ち出されておるわけでございます。また減反につきましても、農業団体みずからの仕事としてこれは積極的に取り組んでいただく、そういうことも約束されておるわけでありまして、そういう諸点に沿って我がみずからのこととしてやるべきことはやっていかなければならない。 しかし、外国との関係におきましては、やはり農業というものは各国ともみんな特殊性を持っておるものでございます。米の場合なんかは特に日本の場合はそうでございます。そういう意味におきまして、単に経済性のみならずそういう社会性とか、あるいは農業というものは国民生活全般に及ぼしておる物質的、精神的な貢献やら意義というものもまたある程度政治としては考えなけりゃならぬところもあるのでございまして、外国との調和をうまく計らいつつ、そういう面を我々は確保していきたいと考えているわけであります。
○鶴岡洋君 以上で終わります。ありがとうございました。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、沓脱タケ子君の質疑を行います。沓脱君。
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、特に総理訪米前日ということでもありますし、そういった問題に限りましてお尋ねをしていきたいと思います。 まず最初にお伺いをいたしたいのは、マル優の廃止なんですね。マル優の廃止というのは、昨年の四月七日のいわゆる前川レポートで「貯蓄優遇税制については、非課税貯蓄制度の廃止を含め、これを抜本的に見直す必要がある。」とされて、これが直後の四月十三日の中曽根・レーガン日米首脳会談でアメリカへの公約に格上げをされて、したがって廃止が約束をされてきたわけでございます。 総理はあす訪米をされるんですが、レーガン大統領にお会いになって、マル優廃止については約束どおり廃止しますと言うのか、それともやれなくなったという御報告をなさるのか、まずどちらなのかということを端的にお伺いしておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) マル優廃止をアメリカ大統領に公約したなんということはまるっきりありません。そういう事実無根のお話は迷惑千万でありますから、ここで明らかに否定しておきます。 それから税制の問題の一環でありますから、これはこの間の衆議院議長のあっせんの内容、税制改革問題の中の一環として、各党でいろいろお話し合いなさる問題の一つであると考えております。
○沓脱タケ子君 そんなことをぬけぬけ言われたら困るんで、前川レポートにはちゃんと書かれているじゃありませんか。この間、シュルツ国務長官が韓国からの帰りにお寄りになったときに、今やっていますと言うたといって新聞に報道されていたじゃないですか。だから、そういう約束どおりやります、廃止しますと言うのか、あるいはこれはやれなくなりましたと言うのか、これは非常に大事なところだからお聞きをしているんです。ごまかしちゃ困りますよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカ大統領との間で、そんなマル優廃止というような一つの具体的な語なんかするはずがないんです。そういうことは全くないんですからね。共産党もひとつ、どうもこれは宣伝がましく聞こえるんです、そういうことはないんですから、事実無根、はっきり申し上げておきます。
○沓脱タケ子君 これは了承いたしません。前川レポートをちゃんと公約してきているんだから、それは事実無根とは言わせません。時間の都合があるからしようがないですね。 選挙で示された、特にこの地方選挙で示された国民の意思というのは、やはり売上税もマル優廃止も当然やめるべきだというのが示された意思であります。さきの衆議院議長のあっせんによってマル優廃止は売上税とともに議長預かりになっているのかいないのか。マル優廃止は廃止になったと言っている人もいますが、衆議院議長が我が党にあっせん案の説明を行った際には、対象に入っていないんだと答えておられますし、いわゆる問題の新前川レポートでも非課税貯蓄制度の改組は具体化が進められているという文言が出ております。一体どちらなのか。総理はどちらだと受け取っておられるのか、明確な御答弁をいただきたいんです。というのは、国民の大変関心の深い問題、あの衆議院での議長あっせん以後国民の各層から随分お尋ね合わせがあるんですよ。ですからまず、非常に国民の関心の深い問題として、総理はどちらと受け取っておられるのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 議長あっせん案におきましては、我が国が今後高齢化社会になること、それから直間比率の見直し等々を背景に述べられました上で、税制改革に関する協議機関を設置し税制改正について検討を行うことと述べられております。したがいまして、ただいまの点は当然税制改革の一環であるというふうに私どもは考えております。
○沓脱タケ子君 そうすると、売上税法案については事実上廃案になることになったわけですね。ところが総理は、そのあっせん案の合意の直後に、今回のあっせん案によって売上税法案は事実上廃案になったという見方もあるが私はそうでないと解釈している、今後は与野党でつくる協議機関の場で十分話し合ってもらいたい、税制改革についての勝負はこれからだとお述べになった。それから宮澤大蔵大臣は協議機関について、売上税だけでなく所得、法人税減税なども一括して取り上げる、各党の専門家が集まるんだから減税の方だけやって財源はほっておくような整合性を欠いた結果にはならないと述べたと報ぜられています。これは、このあっせん案の文言にあります直間比率の見直しと言っていることと関係をさせて、減税と同時に新たな形の間接税を検討するのは当然だというお考えなんですか。それをちょっと聞いておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはただいま御紹介くださいましたとおりのことを私は思っておりますし、また申し上げております。すなわち税制改正全体を協議していただく。となりますと、仮に減税部分があればそのための財源措置等々についても恐らく背景としては御議論になるのが当然のことであろうと考えております。
○沓脱タケ子君 そうしますと、売上税が事実上廃案になったと言われているわけですが、同時にマル優廃止も廃案になったと理解してよろしいか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともと売上税が当然に廃案になったというふうに私どもは今の段階で考えていないわけでございまして、まだこれだけこの国会の会期が残っておるわけでございますし、協議機関は急いでやれという議長のあっせん案でございますから、売上税そのものが今廃案になった、既になったというふうに私どもは考えておりません。したがいまして、政府の御提案いたしました税制改正案そのものは現在まだ国会に提案された状況にあると、こういうふうに考えております。
○沓脱タケ子君 選挙で示されました国民の声というのは、新たな課税ベースの広い間接税導入に対してはノーの回答をしたんですよね。売上税に反対というのはそういう意味ですね。そういうことを銘記するべきだと思うんです。ですから、名前をかえた新しい間接税の導入というのは、国民の意思からいえば絶対許されない。さきの衆議院議長あっせんは、売上税にかえて福祉税など別の名称で同種の付加価値税を導入するという火種を残すものである。選挙で示された国民の声とは相入れないものではないですか。だから、我が党はこのあっせん案を受け入れなかった。ですから、国民の声を無視した新たな間接税導入は断じて許さないことを再度強調しておきたいと思います。 次へ移ります。 次は、円高不況問題についての質問をいたしたいと思います。 四月の二十四日に円相場はついに市場空前の一ドル百三十円台に突入をいたしました。これは狂乱円高としか言いようがありませんよね。これは輸出の地場産業関係はもちろんのこと、中小企業、国民全体に大変大きな衝撃を与えております。田村通産大臣は四月八日のG7以降の百四十円台突入という事態について、十日の閣議で、一ドル百四十円台の為替相場はまともに考えられないことだと。また二十四日の記者会見では、百三十円台突入について、えらいことになってきたと述べておられます。この点につきましては私も全く同感であります。 ところで、宮澤大蔵大臣は昨年末、一ドル百六十円のときに、もう十円安くならないと企業の立場からすれば水準そのものがいいとは言えないだろう、それは無理のない話だと述べておられたようですが、ことしに入ってから円はさらに暴騰して、こういう事態はどこから見ても異常だと私は考えるんですが、総理、こういう事態というのはあなたはどのようにごらんになりますか。その見解をまずお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 為替の安定、長期的安定というものは非常に大事なことでございまして、今までサミットにおきましてもあるいはG7におきましても、各国の協調政策、協調行動ということを約束しておるので、ますますその実を上げていかなければならぬ事態であると考えております。
○沓脱タケ子君 異常円高だと考えておられないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは非常に急激にまた大幅に参りましたから、我が国の経済としてはなかなか対応しがたい難しい事態だというふうには思っております。
○沓脱タケ子君 大変な事態だという点では一致するわけですね、御見解は。その場合に、妥当と考えられる水準はどの程度だと考えておられるのか。総理自身が、昨年の三月の本院の予算委員会で、一ドル百七十五円になったときには、百七十五円は行き過ぎだと言明をしておられますが、大体妥当と考える水準はどの程度だと考えておられますか。——いや、総理が言うたんだから総理に。
○国務大臣(宮澤喜一君) それにお答え申し上げることは難しゅうございますし、またお答え申し上げることによって不測のいろいろ影響を与えることもございますと思います。ただ言えることは、プラザ合意以来もう十九カ月たちますので、これだけドルが低下いたしますとアメリカの国際競争力、したがって国際収支というものはもう改善をしなければおかしい、そう期待するのが当然だというふうに思っております。
○沓脱タケ子君 当然だと思っておられると言うんですが、円高倒産はやっぱりふえ続けておりますね。三月には月間最高を記録いたしましたが、百四十円台に突入して、三月下旬以来さらに増勢が強まっています。 中小企業庁が昨年の十二月に行った輸出産地の調査では、ほとんどの産地が採算レートを一ドル百八十円と言われておりますね、調査の結果。ですから、百五十円でさえ全く経営が成り立たない。そこで総理、私お聞きをしたいと思うのは、ドル百四十円とか百三十円台とかいうことでは、中小企業には死ねということではないかと思うんです。今すぐ購買力平価の水準である二百二十円とか三十円というようなところに戻すのは一挙には難しいといたしましても、せめて中小企業の経営の成り立つぎりぎりの線ですね、百八十円あるいは百九十円に戻す手だて、これは今すぐとるべきではないかと思うんです。大蔵大臣だっておかしいという意見になってきているんだから当然やるべきだと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、これだけ大幅にまた急激にレートが変化いたしますと、中小企業ばかりではございませんが、殊に中小企業には輸出関連の方はなおさらきついということはもう私どももよくわかっております。でございますから、やはり基本的に各国の政策協調、我が国にとりましては何よりも早くこの予算を執行させていただきたいと思いますし、またその後に考えていることもございます。また、アメリカに対しても貿易赤字あるいは財政赤字を縮小してもらいたいという基本的な政策調整のほかに、要所要所で必要な介入を共同でやっておる、こういう状況でございますけれども、なかなかその政策調整そのものも各国おのおのの事情があって思うように進んでいないというところを市場が見ている点もあると思います。やはり基本的にはその努力が大事だと思っております。
○沓脱タケ子君 各国と会議をやっているとおっしゃるんだけれども、一昨年のプラザ合意以後、会議をやるたびに円高になっていますな。だからうかうか会うてもらうとまた上がるんとちゃうかと、いや、そこまで国民の中では言っていますよ、笑い事じゃない。 そこで田村通産大臣、さっきおいでやなかった。十日の閣議で、七カ国蔵相会議の内容は国辱的なもので了承しがたい、G7の結果では日本の中小企業はやっていけないなどとの発言をなさったと伝えられております。通産大臣ね、状況はさらに悪くなって、百三十七円台になったり、やっと百三十八円になったとかいう状況ですが、一体これでは中小企業はどうやっていけというのか。これはどうにもやっていけないというのが生の声なんですね。だから、こういった情勢についての御見解を伺いたい。
○国務大臣(田村元君) 閣議の発言というのは外へ漏らさないことにしておりますから、これは私はそのルールを破るわけにいきませんので、どうぞお察しをいただきたいということで失礼をしますが、ただ率直に言って、今の為替レートでは中小企業はもう大変です。これはおっしゃるとおりです、大変です。百八十円がいいか百九十円がいいか、それは私には何ともわかりませんけれども、少なくとも百七十円プラス・マイナス十円ということを私はかつて言いましたが、それは今もって間違っておると思っておりません。もちろん業種、業態によって異なりますから一概にも言えないし、その後進んだ合理化というものもありますから、そういうことも踏まえて考えなきゃなりませんから、私が以前に言いました数字にある程度数字上の変更があるかもしれませんけれども、大筋において私は今もって自分の言ったことは正しいと思っております。 ただ、協調介入だけではこの円高是正はもう不可能だと私は思うのです。やはりその意味で、パリにおけるG7、正確にはG6になったわけですが、この合意の中の各国の政策協調で、我ら何をなすべきや、なんじに何を求めるべきやということを極めて明確にしたという意義は私は大きかったと思うのです。そういうふうに、できものができたといってそれだけ治しておるよりも体質改善をしていかなきゃならぬということは、素人の私なんかが言うのもおかしいけれども、その意味でパリの合意は私は評価しております。
○沓脱タケ子君 通産大臣のお話のとおり、今のレートがいかに現実離れしているかという点については、これは明らかでございます。ともかく、中小企業の経営が成り立たないような水準というのは、いろいろ理屈をつけましょうとも異常としか言いようがないんですよ、やっぱりね。産地の中小企業の採算レートについて見ますと、一昨年のG5以後の最初の調査では二百二十円、産地自身の採算レートですよ。その後二、三カ月ごとの調査のたびに、二百円になり百九十円になり百八十円と、次々上昇してきているんですね。これは一体なぜかといいますと、中小企業がまさに血の出るような努力をしていること、それはございます。しかし、多くは価格競争力が弱まってついていけないということで、もうこの円高ではついていけないというところが倒産したり廃業に追い込まれた結果、だんだんと産地の採算レート、要求する採算レートも上がってきたものだというふうな状況なんですね。 もう一度聞いておきたいのですが、せめて中小企業の経営が成り立つぎりぎりの線、百八十円から百九十円に戻すべきではないかと思うのです。これは今日の状況というのは、総理ね、現状では大変な状況の円高だという点では共通の認識なんですから、そうだったら、円高是正を図るんだ、我が国は円高是正をどうしてもやらなくちゃならないんだということを内外に宣言して、その立場から諸外国に協調を求めるべきだと思うのですけれども、総理どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、いわゆる一昨年の九月のプラザ合意というものはもうここらで十分達したということは昨年の十月に日米間では合意をされておるところでございますし、各国の間でもことしの二月にはその合意があるわけでございますから、その点は各国ともはっきりわかっておるわけであって、それ以後のものはすなわちプラザ合意の意図したどころではない。むしろ各国ともみんな困ることであるということは各国ともわかっておりまして、そのための政策協調をやっておるということでございます。
○沓脱タケ子君 いや、私は、目標なしにやっているから、会議へ行ってくるたびに言われるとおりに円高が次々高騰していくという結果になっていると思うんです。プラザ合意以降四回ともそうでしょう。これは難儀なことですよ。プラザ合意の後すぐに二百円に上がって、さらに昨年の十月、宮澤・ベーカー会談の声明で一ドル百六十円前後、ことしの二月のG5では一ドル百五十円前後、四月八日のG7では一ドル百四十六円前後。これは、みんな認めてくるから行ってくるたびに上がる。これではあかんと思うんです。やっぱり日本の産業と経済を守っていくためには百八十円、百九十円という、せめてその目標を明らかにして、単に乱高下を安定させるというだけではだめなんだという点をはっきりしなきゃいかぬと思うんですよ。だって、一昨年のプラザ合意のときにはドル高を是正するために協調してちゃんとやったんだから、今度は日本がここまで大変なことになっているんだから、せめてここまではということで明らかにして対応しなかったらこれは話にならぬのじゃないか、いつまでたったって一緒だというふうに思うんですが、その点について総理どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、プラザ合意のときに、どこまででいいかということは実ははっきり合意がなかったわけでございますけれども、もうここでいいんだということが昨年の十月に日米間で合意され、さらにことしの二月に各国間で合意された、こういうことでございますので、それはそういう意味では一つの考え方がはっきりした。したがって、これから先はお互いにドルが下がるということは困る、アメリカを含めて困るということが共通の認識になっておる。 沓脱委員の言われますように、もっともっと円安の方に行けば我が国としていいだろうと言われることは、それは私はそのとおりだと思っておりますし、また全体としてプラザ合意が行き過ぎたのであるから政策協調し介入をしてもう少し安定的なところへ戻そうということは各国が努力をいたしておる、我が国もそうでございます。
○沓脱タケ子君 さっぱり効果が上がってないという点で、国民から言うたらいら立ちがある、本当のところ。だから、きっちりやる気でやっているなということが見えるようにやっぱりやるべきだということなんです。国民は率直にいら立っていますよ。総理、はっきり言ってください、レーガンに会うんだから。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今のような円レートで中小企業の皆さんが非常な苦しみにお遭いになっているということはよく知っております。この事態を何とか改善したい、そういう熱意に燃えていることもここで申し上げる次第でございます。 ただ、為替相場の問題につきましては、これは各国が一緒に協調してやりませんとなかなかこれは改善できないものなのでございます。ですから、何回かG7をやって、そして各国が協力し合おう、そういう意味で、最近の事態を見れば、みんな各国が自分の金を出し合って、そしてドルが安くなるのを防ごう、そういうことでプラザ合意の国のみならずそれ以外の国ですらもそういう協調行動に出てきておる。そういう情勢なので、この協調行動の姿勢を崩してはなりませんし、ますます強めていくべきである、そのように考えております。 しかし一方、お困りの中小企業に対しましてはやはりできるだけの国内政策等をもってお報いしなければならない、そういうことで法律も出しておりますし、金融的措置もいたしておりますし、最大限の努力を今やりつつあるところでございます。
○沓脱タケ子君 それで、この大幅な何というかこの今日の円高の原因の重要な一つというのは、やっぱりアメリカの財政赤字と産業の空洞化にあるというのは、これはもう既に共通の認識になっていますよね。 例えば、あなたが今度アメリカへ持っていこうとしている新前川レポートですか、これにも米国における財政赤字削減、産業の競争力の回復が不可欠であるというふうに書かれています。何よりも総理、あなた自身がこう言っているんですよ。この間、八六年三月の本院の予算委員会で、「最近における円が強くなりドルが安くなった、かなり急激な変動が起きておるという根本的な原因は、やはりアメリカが債務国に転落した、」「それからもう一つは、アメリカの財政がやはり二千億ドルぐらいの赤字財政が続いている。やっぱりこの二つが非常に大きな原因として存在していると思うのであります。」と、はっきりお述べになっているんです。 ここに原因があるという点はこれは総理も認めておられる。だから、アメリカが病気になっているのに日本だけ苦い薬を幾ら飲んでもこれはよくならぬですわ。そういうことになっておる。総理、せっかく訪米なさるんだから、大統領にアメリカの財政赤字の削減をはっきりともっと約束をさせるべきだと思うんですよ。御答弁を聞いておると、いや、いろいう言ってますとおっしゃる。しかしアメリカは、何遍口で削減を約束したり努力をするというふうに取り決めをしても赤字は全然減らない、むしろ拡大をしているんですね。具体的な削減策をやはり約束させるべきではないかと思うんです。当然軍事費等も含めてそうだと思いますが、その御用意はありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はレーガン大統領に会うたびにその問題は言っておるのです。それから、宮澤大蔵大臣や田村通産大臣がG7とかあるいは四極で会うときにも常に日本はそのことを強調しておるし、アメリカ側も一生懸命努力すると約束をして、文書でも約束をしておるので、我々としては常にそれを言ってきておるわけです。 アメリカ政府もこれは一生懸命努力をしているし、議会でもグラム・ラドマン法というような法律まで出して削減の努力はしておるんですけれども、やっぱり議会というところは非常に日本と似て複雑なところでありまして、それで国民の声を聞いてみると、この金は切れない、これは残しなさいと、これはどこの議会もよく似ている現象を持っていると私は思いますね。だから、そういうようなところで非常な抵抗にも遭って思うとおりいかないというのは、やはり我々としては同じ議会人として多少は同情もするし想像もつく。といって、我々は、アメリカが我々に約束しておるこの財政赤字の削減あるいは競争力の強化、こういう問題については、はっきり強く先方に対して要望してきたいと思っております。
○沓脱タケ子君 アメリカの議会の御都合がどうなっているかは別としまして、とにかく言うべきことは言ってきたとおっしゃるんだけれども、実効が上がってないというところに国民のいら立ちがあるんですよ。その辺をはっきりしてもらいたいと思うんです。こっちは言われることをどんどんどんどんやっているんです、苦い薬を飲まされている。肝心の、根本的な原因とまで総理はおっしゃっているアメリカの財政赤字、さっぱり減らないところかどんどんふえている。こんなことをいつまでも黙って見ているという手はないと思うんですよ。やっぱり具体的な実効を上げるように、せっかく会うんだからきちっとしてきてもらいたい、このことを特に申し上げておきたい。 私、全国各地へ行きまして、今ほど政府に対する不信や不満の声を聞くときはありません。こんなひどいことは生まれて初めてだと中小企業の皆さんがおっしゃいますよ。円高は中曽根内閣がつくった人災だと。何の責任もない自分たちがどうしてこんなひどい目に遭わなければならないのか。仕事は減らされる、工賃は切り下げられる、赤字を出しながら何とかして持ちこたえてきたけれども、もうだめだ、打つ手がない、さっぱり先が見えない、こういう声というのはちまたに満ち満ちていますよ。特殊な人たちじゃないです。特に下請関連の中小企業は大企業の圧力を受けて大変な事態に追い込まれています。時間の関係があるのでたくさん申し上げられませんが、神戸製鋼という会社ね、神戸製鋼の大阪のある下請の場合は、ことしの三月までの単価が四月一日から一挙に五〇%以上切り下げられておるんです。そのやり方もなかなか巧妙になってきまして、電話で一方的に通告されるだけ。証拠を残さぬというやり方ですわね。これは明らかに法律違反でしょう。下請代金支払遅延等防止法に違反するんじゃないかと思いますが、公取委員会どうですか。
○政府委員(佐藤徳太郎君) お答え申し上げます。 個別具体の問題につきましては、私ども今お話を伺いました段階でございますので、答弁を差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますれば、大企業が下請の中小企業者に対しましてあらかじめ定められた金額を、下請代金を減額させるというような行為につきましては、下請法あるいは独禁法の不公正な取引方法というものに該当して問題になるおそれがある、こういうことでございます。
○沓脱タケ子君 だから、調査して改めさせますか、これは。
○政府委員(佐藤徳太郎君) 具体的な申告等に接しました場合には、調査をいたしまして厳正に対処いたしたい、かように考えております。
○沓脱タケ子君 これはむちゃくちゃな工賃の引き下げを押しつけられた業者はこう言っていますよ。こんなに値下げをさしてメーカーは安い値段で輸出をして、さらに円高の原因をつくっている。円高と工賃引き下げの悪循環、これではもうどうしようもないと言っております。まさにそのとおりだと思うんですよ。 大阪の泉州とかあるいは福井、石川の機屋さんあるいは紡績屋さん、これはもうやればやるほど赤字が出るんだけれども、機械はとめられない。どうしてですかと聞いたら、通産省だとか商社だとかいろいろの御指導もあって新しい機械をどんどん入れているんですね。みんな相当な借金を抱えている。だから、一遍機械をとめたらもう銀行ががっとハゲタカのように襲いかかってくる、機械をとめたくてもとめられない、ここまで来ているんですと。だから、借金の元本なんてとても返せないし、金利を支払ったら生活費ところじゃない、生活費も出てこない、借入金の返済を何とか凍結してもらえないのか。これが共通の声なんですよ。政府がおつくりになった円高融資を借りた人も、その後円相場がどんどん上がって状況は悪くなる。悪くなっているのにもう返済しなきゃならない、とても返せるわけがないというのが今日の状況です。 総理、円高で苦しめられている中小企業者に、せめて国民金融公庫とか中小企業金融公庫、商工中金融資の返済を三年間猶予、延期する、それから金利の支払いも三年間免除する。通産大臣も中小企業がやっていけないと言われる厳しい状態なんだから、私はせめてこんな緊急措置ぐらいは直ちに実行しなきゃいかぬのじゃないかと思うんです。特に、あわせて我が党が繰り返し要求してきておりますが、金利三%以下の円高の緊急融資についても、これもやる気にさえなればすぐ実現できるわけですから、ぜひやるべきだと思います。この点についての総理の御決意をまず聞いておきたい。
○国務大臣(田村元君) 政策金利等につきましては、金利引き下げを今財政当局との間で詰めております。 それから下請いじめと言われるような場合、六十一年度上期で親事業所が一万六千ぐらいだったと思いますが、事業所で。それから下請が一万二千ぐらいだったと思いますけれども、ちょっと数字が正確でないかもしれません、大体当たらずといえども遠からずですが、これを調べまして、そして下期において四千どれだけという事業所に立入検査をしました。それから、六十二年度におきましても、うんとど厳しくやるつもりでございます。
○沓脱タケ子君 ぜひやってもらわなくちゃならないと思います。中小企業の苦しみというのは多くを申し上げる時間がありませんが、それなりに政府がいろいろと対応をしておられることは私どももよく存じております。しかし、今の対策というのは一ドル百六十円のときに立てられたものですね。今日百三十円台に暴騰してきているという中では、これはもうとてもじゃないけど大変ですね。返済猶予なども、今やられているのはせいぜい一年ぐらいやられているようですが、このまんまでいったらあとの返済が膨れ上がるから何にもならぬと業者は言っていますよ。 通産大臣、あなたはさっきもおっしゃったように、日本の中小企業はこれではやっていけないとおっしゃっておられるんだから、今日の時点で改めて対策の強化というのはやる気になったらやっていただけるんだから、金利を三%以下に引き下げるとか利息の支払い猶予あるいは元本の支払い延期等先ほど申し上げた点をあわせてぜひ強化を直ちにやるべきではないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(田村元君) 通商産業大臣の仕事というのは半分以上が中小企業対策でございます。私は一方において通政、つまり外国との問題で苦労しながらこれもほとんどは外国とやり合っておる。私のことをヤイター代表は、おまえはナイスガイじゃない、タフガイだとこう言いましたけれども、何と言われようと日本を守りゃええわい、中小企業をしっかり守りゃええわい、円高是正に向けて突貫すりゃええわいと、私はそう思って割り切っておりますが、中小企業対策におきましてもどの党にも負けないくらいの気持ちでやっております。私がいかに無理難題を吹っかけておるかということは、どうぞ財政当局の担当者にお聞きをいただきたいと思います。
○沓脱タケ子君 期待をしますからぜひ対策の強化を望みます。 中曽根総理、総理の訪米に当たって自民党では二十四日に決めた総合経済対策要綱というのがありますが、これによりますと、対外経済対策として、アメリカの要求に沿った輸入の拡大を掲げていますね。我が国の対米貿易黒字の大きいのは確かですよね、これはみんなが認めるところですが。しかしアメリカが、この原因を日本市場が閉鎖的で日本がアメリカのものを余り買わないからだとして、市場開放、輸入の拡大を押しつけてくるというのは筋違いも甚だしいんじゃないかと思うんです。時間の都合があるから中身は言いませんけれども、これは年来私どもも言っているし、政府統計等でも明らかですね。日米貿易摩擦をこれ以上日本市場を開放して解決するという問題ではないと思う。 原因は、多国籍企業化が余りにも進んだアメリカ産業が空洞化していること、そしてアメリカの財政赤字にあるということは総理もお認めのとおりです。これは、この問題に関しては、日本の問題ではなくてアメリカ側で解決しなければならない問題ではありませんか。だから、さっきも言うたように、アメリカが病気になっているのに日本が苦い薬ばっかり飲まされておってアメリカの病気が治るかと言うたのはそこなんです。 ですから、政府が市場開放という名前でこれまで随分牛肉、オレンジなど農産物や中小企業の製品の輸入を拡大して、農家や中小企業つぶしを進めてきた。こういう事態というのは許せませんよ。今後もこれを進めようとしているということでは、これは認めるわけにはいかないんです。先日もアメリカのリン農務長官とかヤイター通商代表などという方々が相次いで日本に来られて、米の輸入自由化を迫っています。米の輸入が自由化されたら、日本の農業は大打撃を受けるだけではなしに、国民の主食をアメリカの手にゆだねるという大変な事態になると思う。 総理、あしたからアメリカへ行かれるのですが、まさかこのアメリカの圧力に屈して米の輸入の自由化というのは認めないでしょうね。先ほどからの御答弁を聞いておりますので認めないという御答弁は出るだろうと思いますが、国会で前日は認めないと言うたけれども帰ってきたら認めてきたというようなことにならないように、これはひとつはっきりとお答えを聞いておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 米の問題については、前から申し上げているとおり、非常に日本人の重大関心を持っておる大事な作物でございまして、きのうもここで御答弁申し上げたとおりであります。
○沓脱タケ子君 しかとやってきていただきたいと思います。 それでは、あと問題を変えまして、軍事費のGNP一プロ枠の突破についてお伺いをしたいと思います。 軍事費のGNP一プロ枠の突破問題については、もとより我が党は軍事費がGNP一プロ枠以内であればそれでよいという立場でないということはもう御承知のとおりですが、しかし一プロ枠の突破、撤廃というのは、今まで政府が国民に軍事大国にならない歯どめと言って説明をしてきたものです。ところが、みずからこれを取っ払うということで、まさに歯どめなき軍拡への宣言ですよ。そういったことについては我が党は断固反対でございます。そういう立場で聞いていきたいわけでございます。 まず第一に、アメリカの八八−八九年の国防報告では、日本の防衛予算は全般的な歳出抑制傾向にもかかわらず実質で年率五%以上増加してきた。日本がこのように防衛支出を引き続き実質ベースでふやしてきたということは、日本が民主主義諸国の一員としての責任を認めたことを示す一連のステップの一つであり、中曽根首相によって公式に引き受けられた義務であると述べているんです。これはアメリカの国防報告ですよ。 ことしの二月三日の衆議院本会議での我が党の不破委員長の質問に対して総理は、義務と書かれているのは間違いで不適切であると答弁をいたしました。しかし、アメリカ当局の公式の国防報告で、総理を名指しにして、中曽根首相が公式に認めた義務とまで言っているんですから、これが本当に間違いだというのならどういう措置をとったのか、これが一つです。あしたから訪米なさるんですから、これは抗議をして訂正を求めるのか、その点ひとつはっきりと聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は既に御答弁申し上げましたが、あの文章は、日本が自由世界の一員としての責任をとるようになった。まず自由世界の一員としての責任、そのことを中曽根首相は義務としてと。そういうふうにしたので、防衛費をふやすということが義務というのではないんです。自由世界の一員としての責任を同じようにとる、それを彼は義務として感じて一生懸命やっていると。そういう意味で、あれをよく調べてみるとそういう文脈になっておるので、別に直す必要はない、そう思っております。
○沓脱タケ子君 いや、日本がこのように防衛支出を引き続き実質ベースでふやしてきたことはというふうに主語がなっていますよ。だかるこれは話が違うんじゃないですか、総理がおっしゃるのは。解釈によって何にも言わないというんだから、そのままお認めになるということなんですね。 昨年の十二月二十九日に、政府が中期防衛計画の着実な達成を図るためにはやむを得ないといって、三木内閣のときに決められた一プロ枠を突破して、昨年度比五・二%アップの予算案を決定いたしましたが、その際にワインバーガー国防長官は記者会見で声明を発表していますね。GNP一%突破、大幅増の日本の防衛予算についてワインバーガーは、すべての点で歓迎をする、中曽根首相と栗原防衛庁長官は自国防衛について約束以上のことを達成してくれたと称賛をしている。一プロ枠突破を特に取り上げた上で、一つは、この防衛費によって中期防衛計画の二年目分は十分賄える。二は、これは自由主義社会の防衛に十分貢献するものだ。三つ目は、これは米国のアジア・太平洋地域における負担を軽減するものであって非常に喜ばしい前進と考えると述べたと報道されていますね。 明らかに、中曽根内閣が行った対米約束を十二分に、約束以上に履行したということでお褒めをこうむっているわけですね。まさにその点では、総理は文言の解釈が違うとおっしゃったけれども、国防報告と同じではありませんか。GNP一プロの枠突破の大軍拡予算を組んで、対米約束を十二分に履行したといって褒められているんですよ。ですから総理、はっきりしてもらわなくちゃならないと思いますよ。どうですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) ワインバーガー長官のコメントを私見ましたけれども、私はそんなに褒められるようなことをやっていないんです。私は前から言っているとおり、防衛計画の大綱水準の達成を期する、そのために中期防をつくっているんだと。この中期防のもとになります五九中業は、私が前の防衛庁長官のときに必要最小限度のものとしてこれをやる、やるのが当たり前だ、そういうことを申しているんです。それで今こういうふうになっているわけです。 もしワインバーガー長官が私に対して評価するならば、栗原祐幸は言うことは言う、しかしやることもやると。しかし私の方は、アメリカが望んでも、こちらが考えてみて必要でないということには応じない、こういうことでございますから。
○沓脱タケ子君 それはあなたの御主観はどうか知りませんよ。ワインバーガーがちゃんとそう言ってお褒めになっているんです。自国防衛についての約束以上のことを達成してくれたというんですね。それから、米国のアジア・太平洋地域における負担を軽減するものであり非常に喜ばしい前進と考えている、そう述べられているんですよ。だから、これは先ほどの質疑もありましたけれども、一プロ枠突破というところに、アメリカの約束を履行するという大前提があったということを示しているじゃありませんか、そうでしょう。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私、御案内のとおり、変な約束はしないんです、これ。ですから、防衛計画の大綱水準の早期達成を期する、これを言っておりますよ。それ以上の何物でもないわけです。向こうさんが褒めてくださるのは、今も申したとおり、言うたことは必ず行う、できないことは言わないという私の態度に対して評価しているんじゃないかと思う。
○沓脱タケ子君 いや、総理もこれははっきりなさらないといけないと思うんですよ。国民は非常にこのGNP一プロ枠の突破について懸念を感じているということもこれはもう御承知のとおりですよね。軍事大国化の道をひた走るという点で懸念を感じておるわけです。それがアメリカとの約束で枠を取っ払って大軍拡の道を進むんだということが明らかにされてきているんですから、それはやっぱりはっきりなさらないと困ると思いますよ。だって、今度だって総理の訪米について、せんだっての黒人だとかプエルトリコ人だとか人種差別発言で総理訪米が大変無理だと言われていたけれども、一プロ枠突破予算を組んで訪米ができるようになったなどとまで報ぜられているんですからね、やっぱりはっきりなさっておく必要があろうと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の防衛は、日本の防衛目的のために日本人が自主的にやっておるんです。御心配は無用です。
○沓脱タケ子君 政府は軍事費の歯どめについて、中期防衛力整備計画で、五年間で十八兆四千億程度と、これは六十年度価格でしたかね、こういうふうに金額を決めてありまして、したがってこれは厳重な歯どめになる、今までよりも厳重な歯どめでありますと総理自身が衆議院本会議で言っておられます。 しかし、これは全く国民をだますような結果になりますよ。だって中曽根総理が一昨年決定をされた中期防衛力整備計画では、五年間で六十年度価格で十八兆四千億に上るんですね。これは中曽根内閣に先立つ田中内閣、三木内閣、福田内閣、大平内閣、鈴木内閣の五代の内閣が十年間で使った軍事費の総額の合計というのは十七兆七千億ですからね。ですから、この十年間五代の内閣で使ったこれさえも上回る軍事費倍増の大軍事計画なんですね、中期防の十八兆四千億というのは。この計画を完遂していくということが前提で一プロ枠の撤廃の根拠にしておきながら、その計画そのものが歯どめだ、そういうふうに本会議等で発言をされているんですけれども、まさに欺瞞だと思うんです。歯どめどころか、新たな歯どめのない軍拡のてこになるというのはもう明らかじゃありませんか。その点では、これは我が党はGNP一プロ枠の撤廃の閣議決定の撤回を要求したいと思う。だってそうじゃありませんか。軍事費は大幅に削減をして国民の要求にこたえるという立場をとるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 予算編成を行いましたときに政府は声明を出しましたが、今後も引き続いて節度ある防衛力の整備を心がけてまいります。
○沓脱タケ子君 ちょっと時間が余ってきましたけれども、我が党はGNP一プロ枠の撤廃というこの閣議決定を撤回することを要求すると同時に、軍事費の大幅削減を要求したいと思う。一兆八千億、正面装備の費用、日米合同軍事演習の費用、米軍への思いやり予算などを中心に一兆八千億を削減要求したいと思います。いかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 御意見として承っておきます。
○沓脱タケ子君 それじゃ、時間が余りましたけれども、これで終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 午前はこの程度にとどめ、午後一時四十分から再開することとし、休憩いたします。 午後零時三十分休憩 —————・————— 午後一時四十一分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。田渕哲也君。
○田渕哲也君 総理は、この国会における施政方針演説の中で、戦後の我が国の民主政治の歩みについての反省とともに、今後その発展に努力を続ける決意を表明されております。総理が頭の中に描いておられる理想的な民主政治とはどういうものか、まずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 民主政治の基本にある考え方は、人間の尊厳というものが基本にありまして、その上に立って、いわゆる人民による人民のための人民の政治という思想で、現実的には最大多数の最大幸福ということを目標にして政治を行っていく、そういうような形のものが我々が教えられた民主主義であり、そういう方向が正しいと思っております。
○田渕哲也君 今回総理が推進しようとされました売上税の問題をめぐって一連の出来事が起こっております。まず、その売上税に対する世論の反対、それから選挙、またそういうものを通じて、終局的には衆議院において売上税は議長預かり、各党の協議機関にゆだねるということになったわけでありますけれども、この売上税をめぐる一連の出来事の経緯について総理はどう考えておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 売上税というものを減税との連関において考えましたということは、やはりシャウプ税制以来の三十七年にわたる日本の税の歩みを見まして、このひずみ、ゆがみを是正し、特にサラリーマンあるいは家庭の御婦人の皆さんの重税感、不公平感というものを是正しなければならないし、また高齢化社会がもう迫ってきておりまして、将来を考えてみるというと、それに対応できるような財政構造も将来的には考えておかなければならないし、また国際的にも外国から、どんどんあれだけの減税をやっているときに我が国が何にもしない状態ではこれは産業の空洞化を招く、そういう危険が非常に出てきて国際競争力を失う。 さらに、これからの仕事を考えてみますと、やはり公共事業とかあるいは地方を充実させるためにはどうしても財源が必要です。それに所得税、法人税の減税をやった場合に財源をどこから求めてくるか。交付税にしても所得税、法人税、酒税の三二%ですから、もとの所得税、法人税が減税されて減ってしまった場合に、じゃ地方に対する交付税をどこから供給するか。そういうことも考えてみますと、やはり今やそういう税の基本に関する構造改革をやるときに来た。 そういうところで政府税調に諮問し、また政府税調の答申をいただき、党でも検討していただいてあのような仕組みを考えたわけでございますが、それらの必要性あるいは歴史的意義という問題についても必ずしも国民の皆さんの御理解を十分得られなかった。かつまた、税の内容につきましてもいろいろ説明不足の点等もありましてあのように混乱を招いだということは甚だ遺憾でございます。しかし、税制改革はどうしてもやらなきゃならぬ今のような状況下にあると思いまして、議長のあっせんによりまして先ほど申し上げましたような方向が、軌道が設定されたわけでございますから、与野党虚心坦懐にこの税の改革というものをできるだけ早期にし遂げていただきたいと念願してやまな。いものであります。
○田渕哲也君 私は、この売上税をめぐる一連の動きと、それから民主主義のあり方ということについて若干考えさせられるところがあるわけであります。といいますのは、売上税に対しては、理由はいろいろあるでしょうけれども、これは公約違反である、あるいはその他の理由によって、世論調査の結果では国民の七割から八割の人が反対しておるという結果が出ております。しかし国会では、衆議院では自民党が三百議席を超える多数を持っている。そしてその推進を党で決められておる。参議院でも自民党が安定多数を持っております。もし国会でこれを採決すれば可決されるということになるでしょう。つまり、国民の七割から八割の人が賛成しないことを国会では通してしまう。これは国会の意思と国民の多数の意思とが食い違うわけであります。こういう乖離が今回の問題でははっきりしたわけです。 私はそこで、憲法に定めてある総理の解散権は何のためにあるかということを総理にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治は生きておるものですから、そういう場合に国民の意思というものも、世論の動向というものも多数党といえどもしんしゃくしつつ、そして与野党でできるだけ話し合いのチャンスを持って適切な処理をしていく。大体健康保険とか年金とか、そういう福祉に関する問題等については与野党でいろいろ話し合いをしまして妥協して、そして野党の皆さんは、反対ではあるがまあ成立やむを得ぬ、そういうような解決の仕方が今まで随分行われておりました。 税についても同じであって、やはり大方この辺という線を出せないものかなと、ここで私はそういう答弁もしてきておるわけで、決して自民党だけが独善的に多数があるからといって何でもやろう、そんな考えは毛頭持たなかったし、党の幹部も相当な修正を頭に置いているそういう発言もあったとおりであります。これがやはり議会政治というもののあり方の一つである、そう考えております。 解散という問題は、これは内閣に認められておる憲法上の重要な機能でありまして、そして民意を問う必要がある場合に政府が行い得る憲法上の重要な国権的機能である、そのように考えております。
○田渕哲也君 私は、このような国民の意思と国会の意思と大きくずれてしまうというような結果が起こった原因というのは、やはり総理の公約違反にあると思います。選挙のときは、総理が大型間接税を導入しないと思うから国民は支持をし、そして自民党を支持したわけです。それで自民党が大勝して三百を超える議席をとったわけであります。ところが、一たん選ばれてしまうとその公約を翻して売上税等を導入されようとした。そこに国会と国民の意思の乖離が生じたのではないかと思いますが、総理の見解はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点はここで何回も繰り返して申し上げたとおりであります。大型かどうかという問題についてはここで、国会におきましてもその定義について政府は統一見解も申しておりました。しかし、選挙中十分言葉が足りないで、説明も不十分で国民の皆さんの誤解をいただいたということは、これは不徳のいたすところで申しわけないと申し上げているとおりであります。
○田渕哲也君 公約に違反しておるかどうかというのは、総理は大型間接税の範疇には入らない、自分はこうこう考えるし、税調にもそういうふうに指示をした、それで公約違反が免れるものではないと思うんですね。やっぱり総理がどういう公約をしたと国民が受け取っておるか、それが問題だと思うんです。そうすると、このように国会の意思と国民の意思が乖離した場合にこそ解散権を行使してそれを一致させる必要がある。そういうためにこそ私は内閣の解散権があると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 解散権というものは内閣に所属する重要な機能でございますから、やはり非常に重要に扱う必要もあります。国政上どうしても国民の皆さんの御意思を聞く必要がある、そういう段階でやるのでありますが、その状況に応じて政府が重要性というものについて判断をすべきものであると考えております。
○田渕哲也君 売上税は、本来これは国政の問題であり、国会で審議をし決めるべき問題です。ところが、今回は地方選挙がありました。もちろんその前に岩手の参議院の補欠選挙がありました。岩手の参議院の補欠選挙は国会の選挙ですから、当然でありますが売上税の問題が争点になって、そして自民党は惨敗をした。それから統一地方選挙は、本来国政の争点であるべき売上税がやはり争点として争われた。その結果、やはり国民は売上税を拒否しておるという意思が選挙の結果明確になったと思います。だからこそ総理も国会で多数をもって押し切ることは不可能だ。こういうようなことで私は議長預かりというようなことになったと思いますが、そうではありませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう御解釈も一つの見識のある御解釈であると思います。
○田渕哲也君 総理の御解釈はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治は生き物ですから、そのときそのときに我々が考えている政治の目的等を達するために、ある場合には我慢しなきゃならぬところもあるし、ある場合にはドライブをかけるという問題もありましょうし、それが生きた政治というものでありまして、今回はそういう意味においてブレーキをかけた、そういう場所であったと思います。
○田渕哲也君 私は、今回たまたま統一地方選挙ということがこの時期にあったからよかったと思うんです。もし地方選挙がなければどうなっておるかというと、ちょっと肌寒い思いがするんです。なぜかというと、国会で自民党が多数を持っておるんだというので押し切られたかもわからない。地方選挙の争点になるべき問題ではないけれども、一応国民のそういう意思表示があったために政治的に無視できなくなった。ところが、これがなければやっぱり国会で多数を持っておるということで押し切られたのではないかという気がします。 こういうことはなぜ起こるかというと、民主主義制度といってもこれは人間のつくった制度でありますから不備があるわけです。やっぱり去年のダブル選挙のときと現在とは状況も変わっておる。売上税という新たな問題も出てきた。本来はそういうときにもう一遍解散をして、民意を問うてこそ民主政治というものはうまく機能すると思うのでありますけれども、解散権は総理の胸の中にあって、やりたくないときはやらなくてもいい、やりたいときはいつでもやれる、これも私は不備だと思うのでありますけれども、中曽根総理のやり方はこの制度の不備に乗じて独善を押しつけようとするものではないか、私はそういう気がするわけです。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その認識には同意できません。自民党は多数を持っておっても、常に国民の皆さんのお考えを伺って、そして最終的結論というものは、国民の皆さんがまあまあと、きついことでもまあまあこの程度というような結論で持ってきたものであります。これは健康保険や年金の問題をお考えになればわかるとおりであります。税法のような問題については、国民の権利義務に関する非常に重要な問題でございますからもちろんそうである。地方選挙あるなしにかかわらず、常に国会の審議を通じ、国民の皆さんの反応等も考えながら我々は寛厳おのずから適切な処置を今までとってきたのであって、これは実績が示しております。多数を持っているからといって独善的に何でもものをやるというような考えは毛頭ございません。
○田渕哲也君 私は、総理が議会制民主政治というものを重要に考えられたからこそわざわざ施政方針の中で取り上げられたと思います。しかし、先ほどから申し上げましたように、制度には不備がある。やはり実際にこの衝に当たる人の民主主義の精神というのが大切だと思います。そういう点で、今回はたまたま地方選挙があったからさすがの中曽根総理も折れざるを得なかった。地方選挙がなければどうなっておったかわかりません。 そこで、先日の新聞に、今回の売上税を議長預かりにしたことでいわゆる公約違反問題は決着したということを政府首脳が言われたことが記事として載っておりました。私はこれはおかしいのではないかと思うんです。公約というのは総理だけのものではない。総理が公約されたことは自民党も公約されたと同じである。また、税金については議員それぞれがやっぱり何らかの形で公約された方が多いのであります。議員にも責任がある。だから、大型間接税は導入しないと言って公約をして当選された政党も議員もやっぱり責任があると思うんですね。国会に預けたからこれが公約問題がなくなったというのは誤りではないかと思いますけれども、総理はどうお考えですか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題につきましては、ですから、総理大臣談話を出しまして私の考えを率直に申し述べた次第なのであります。
○田渕哲也君 総理大臣として談話を発表されて、まことに申しわけないと言われましたけれども、しかしそれで公約違反問題が片づいたわけではないと思うんですね。この公約はやはり今後とも重くのしかかっていくだろうと思いますが、そうではありませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その問題は、私が関係者でありまして、とやかく言うべき問題ではないと私は思うのであります。
○田渕哲也君 関係者でないというのはどういう意味ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) つまり、違反であるかないか、終わったか終わらないか、そういう問題は国民の皆さんがお考えになることで、そういうことを言い出した私自体がどうであるかということを考えるべき問題ではない、そう思っておるんです。
○田渕哲也君 いずれにしても、税の大改革、今回売上税が別の形で、どういう形になるかわかりませんけれども、広く国民の利害に関係するような形になった場合には、私はそれを実施する前に税制改正の案を国民に問うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 去年ダブル選挙をやったばかりで、そのダブル選挙の際にも税制の大幅改革ということは訴えておるのでありまして、その内容については、減税あるいはその減税を補う財政措置その他の細かい点までは当時は進んでおりませんでしたけれども、しかし税制の大改革、直間比率の是正というような方向は演説でも申してきたところでもあります。
○田渕哲也君 それから、総理は同じく施政方針演説の中で衆議院の定数の抜本的是正に触れられております。今の定数是正は不十分とお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは百四国会でしたか、決議がございまして、それで昭和六十年における国勢調査の結果を待って抜本的改革を行うと、そういうことを院で決議をして、国民にも公約しているところでありますから、これは六十年の国勢調査の結果はもう明確に出てきているわけですから、やはり思い切った改革を行うべき責任を国民に対して持っていると私は思います。
○田渕哲也君 ということは、ダブル選挙の前の改正は、ダブル選挙をやるための間に合わせのものであったということではありませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、あのころ小さい改革ではございましたが、定数是正というものが実行されて、そして一日も速やかにその選挙法、定数の改革に沿った新しい院の構成が要請されておった。そういう状態のもとで、何にも増して民主政治の基礎である国会の構成に関する部分はこれを是正すべきである、そういう考えに立って解散が行われたものなのであります。
○田渕哲也君 総理は演説の中で、定数の抜本的是正について政府としても最大限の努力をすると言われております。いつをめどに是正しようとされますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは与野党でお話しを願って、議長裁定でこれは出てきているものですから、院、議院というものが中心で動くべき性質のもので、したがって与野党で大至急協議をしてあの決議を実行する体制をつくっていきたい、そういう意味のことを考えて、それに政府は協力いたしますと、そういう意味で申し上げておるのであります。
○田渕哲也君 自民党の総裁としてお尋ねしますけれども、自民党としては次の解散までには改正される意思ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけ速やかに改正する方向に我々も各党と一緒に協力したいと思います。
○田渕哲也君 次に円高問題に移りますけれども、総理は昨年の初め、円高は悪い面でなくいい面もある、そして六十一年度後半には円高のデメリットを円高のメリットが上回っていい状態になるだろうと言われましたけれども、現状は全然そうはなっておりません。これは総理の見通しが間違っていたのではありませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 円高のメリットというものは合しんしんとしてしみ込んできておるわけです。約二兆円に及ぶ電気料、ガス料の引き下げが行われましたし、それからガソリンも安くなったし、そのほか消費物資についても輸入物資は非常に安くなり、物価は超安定、マイナスぐらいに卸物価はなりました。 こういうふうに物価が超安定になっているということは、実質賃金の上にもプラスの作用をなしてきておるわけであり、また会社にいたしましても、生産を行う場合に原料費が非常に安くなってきた、電気代も安くなってきた、金利も今までから見ると思い切った金利の安い時代に入ってくる。そういう意味においては、生産コストは非常に下がってきておるわけでありまして、だから、必ずしも収益率の落ちない会社もあります、業態によりますけれども。そういうような意味で、必ずしもこの円高というものがマイナスばかりではない。しかし輸出産業等については非常にマイナスに及ぶ部面もありますし、またそれに関連するところにつきましても同じような苦難に見舞われているところも多々ある。そういう意味において、緊急的な対策を必要として、去年の私もやりましたし、今もやろうとしておるところでございます。
○田渕哲也君 円高のメリットが全然ないということを私は言っておりません。総理は円高のデメリットを円高メリットが上回っていい状態になると言われたんです、経済全般について。ところが現在は逆です。経済全般は悪い状態にある。円高不況が深刻化して失業率がどんどん上がっておる。それから経済成長率も政府の見通しが達成できない。下方修正をどんどんされてきておる。貿易不均衡の改善は一向に進まない、ますます拡大しておる。貿易摩擦も拡大しておる。全体が悪くなっているわけです。これについてどうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 円高がこれだけ進むとは実は予期しておりませんでした。そこで、去年の春の観測というものはやや楽観的に過ぎたと、そのように反省しております。
○田渕哲也君 それから、その後国際的にも、また我が国の政策面でもいろいろのことがされてきたけれども、国際的に見てもG5、G7ということが繰り返し行われた。しかしこれも余り効果をあらわしていない。また、我が国の経済政策はこれは全く失敗ないし無策であったと私は思うんです。この点はどうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日米間でこの問題を初めてプラザ以降話し合いましたのは昨年の九月でございます。そして、十月には共同声明を出しまして、ここで政策協調、あるいはこれでプラザ以来のドルの下降というものはもうほぼ目的を達したので、場合によって今後はこの安定のために協調しよう、そういうことは昨年の十月からでございます。それがことしの二月にルーブルのG7の多国間の合意に発展していったわけでございますが、行ってみますと、各国間の政策協調というものが約束しておりましたとおりになかなかはかばかしくはまいらない。そういう意思は各国が持っておりながら、それだけのテンポと規模で行われてこないということが、残念ながら我が国についても、これ今年度の予算御審議、衆議院で起こりましたような状況からも申せることでございますけれども、いろんな事情で思ったようになっていないということがやはり一つあったと思います。 それからもう一つは、どうもプラザ合意以来ここで十九カ月になりますが、いわゆるJカーブというものがこんなに続くということは恐らく何人も予想しなかったであろう。総理大臣が昨年のある時期から円高というもののメリットがデメリットを打ち消すだけのものになるであろうと言われたのは、やはり普通の考え方ではJカーブというのがもうその辺ではとまらなきゃならないはずであったと思うのでございますけれども、どういう理由か今日までそれが直っていない。この点もひとつやはりたびたびの合意が、いわば期待をしながら、しかし期待が実現をしていないという一つの原因ではなかったかと思います。
○田渕哲也君 Jカーブの効果がこれだけ続くとは考えられなかったとおっしゃいましたが、予想よりもその効果がずっと続いている原因はどこにあるとお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはまだ何年か時間がたって振り返ってみないとよくわからないことだと思いますけれども、一つはやはりアメリカの財政赤字というものが改善をしない。それだけ高い需要が維持されておって、しかもその需要をアメリカの産業が自分の輸出力で稼げない。なぜ稼げないかというところは、一つはやはりアメリカの産業構造が実はかなりの部分変わったのかもしれない。その辺は少し時間がたちませんとよくわかりませんけれども、そういうことがやはり幾つかの原因として挙げられると思います。
○田渕哲也君 今おっしゃったアメリカの問題も私はその一つだろうと思いますが、もう一つあると思うんです。これは我が国の問題です。我が国の貯蓄超過というものが依然として大きい存在である。しかも政府の予算が緊縮予算であって、民間に余っておる金が民間投資に使われない分がいわゆる金余りとなってだぶついておるわけですね。それで、緊縮財政をそういうときにとれば、いわゆる貯蓄超過分が経常収支の黒字になるというのはこれは経済の一つの定説であります。だから、アメリカの政策も悪いけれども我が国の政策も悪い。これが原因ではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の側にも原因がないわけではない。しかし私は、我が国の側の一番大きな原因は、午前中にもちょっと申し上げかけましたが、とにかく昭和五十五年にはわずかに六十億ドルであった貿易収支が五年間で六百億ドルを超えたという、その間の、つまりいわばドルが不当に高い時期に、円が必要以上に安い時期に、我が国の経済の過度の輸出体質がその間に進んだということにやはり問題があるだろう。その五年間を振り返ってみますと、どうもやはりそう考えるのが相当であって、とすれば、その輸出体質を、過度に輸出に依存する経済体質をいわば構造改善で直さなければならないというその問題ではなかろうか。 田渕委員は日本経済の貯蓄が非常に多い体質についておっしゃっていらっしゃるわけでございますけれども、この貯蓄の多い体質はこの数年に始まったわけでは御承知のようにございません。もうかなり長く日本経済はそういう体質を持っておって、それが必ずしもいわば需要過小というような、そういう形ではかりあらわれたとは限りませんで、設備投資になってプラスになってあらわれていた段階がかなり長うございますので、貯蓄過剰そのものが即今の日本の問題だというふうに私は考えるよりは、やはりこの過去数年の間に、非常にドルが高かった時代に我が国の経済が過度に輸出依存、それも対米輸出依存になっていったというところに問題があるのではないかと思います。
○田渕哲也君 貯蓄が多いことがすなわちこういう状態になったというふうに私は申し上げていないのでありまして、貯蓄が多くてもそれが国内において民間設備投資その他で使われておればいいわけであります。ところが、民間設備投資も使われなくなってきて金余りの現象が出ておる。そのときに、政府が国債発行なり何らかの形で、民間で使えないならば政府が公共的にそれを吸い上げて使わないと、いわゆる貯蓄超過という問題が出てくる。貯蓄超過はやっぱり経常収支の黒字につながっていくわけでありまして、そういう面では、せっかくこのプラザ合意で為替レートを調整したにもかかわらずその効果があらわれない。それは、プラザ合意の為替調整と、アメリカの政策、日本の政策がマッチしていない、ちぐはぐなんだというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 概括して、おっしゃいますようなことは私は言えることだと思います。
○田渕哲也君 総理は今回訪米されるわけでありますけれども、訪米でどのようなことをされるのか。というのは、やはり現在のような為替レートの問題あるいは貿易摩擦の問題、こういうものに対する改善の方向へ何らかの前進をされるようなことになるのではないかと思いますけれども、具体的にどういうことをされるのかをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり世界の今最大の関心事の一つは平和と核軍縮の問題で、レイキャビク以来、米ソ間でかなりINF等を通じて前進しております。それで、シュルツ長官はこの間モスコーにも行き、かなり話は進めたものもあるらしい様子です。NATOにも説明し、我々の方にもロウニーさんが来て説明を聞きましたが、非常に重要な段階ではあると思います。特に、INFにおける極東の配置問題という問題は我々の最大の関心事であります。こういう問題について我が方の考えを述べ、また今どういう状況に進んでいるか、今後はどういうふうになるか、ヨーロッパにおけるSRINF、つまり短距離INFの問題をめぐってNATOの国々がどういうふうな反応を示すか、それはすぐまたアジアに響いてくる問題でございます。 そういうような非常に重要なときでありますから、そういう問題について隔意なき話をしてくるということぐらい今日大事なことはない。案外これが表に出ないで、そして経済問題だけが大きくクローズアップされ過ぎている。 第二は、世界経済の現在の停滞状態をいかに打破するかという問題であります。これも我が国としては昨年来IMFや世界銀行を通じて約九十五億ドルぐらいの資金還流をやりましたが、さらに我々はこれを拡大しようと思っております。しかし、我が国だけではならぬのでありまして、これは先進国がともに取っ組むべき問題であります。 それから二国間の問題がございます。二国間の問題、特にアメリカが保護主義に向かおうとしているのを何とかこれをロールバック、押し返さなければならぬ。アメリカ大統領は非常にその点については熱心でありますから、我々もアメリカ大統領がやりやすい方向に物事を持っていって、保護主義を防圧するという大きな仕事に我々は協力していかなければならぬと思うんです。そういうためにも二国間問題を片づけていく必要があります。 そういうような諸般の問題についていろいろ話をし、打開すべきものは打開したい、そう思っておるわけであります。
○田渕哲也君 平和の問題いろいろ重要ですけれども、私はやっぱり最大の課題は経済問題だと思います。やはりアメリカのドルが非常に危険な状態にある。また我が国の経済これまた危機に面しておる。そこで私は、日本の政策、アメリカの政策、これがやっぱり協調してこの難局に向かわなければならないと思うんです。 私はそういった面から考えても、我が国の六十一年度予算並びにこの国会で審議しております六十二年度政府予算は、非常に大きな政策的な過ちを犯したのではないかという気がします。これはやはり内需拡大に結びつかないという予算であります。また、そういうことが一層この円高を招いておると思います。特にこの内需拡大ということは、恐らくアメリカの大統領にもよほどしっかりした内需拡大策を総理が行って説明しなければならないと思うんですね。これは安倍特使が行かれた結果を聞いてもそういうことを言われておるわけであります。常に外圧がないと動かないというのは困ったものでありまして、アメリカとの関係をよくするためにやるのだというのでは本末転倒ではないかと思うんです。 そこで、内需拡大について申し上げたいのでありますけれども、この予算審議の中における総理の発言を見ても、やっぱり緊急的にやるんだとか臨時的にやるんだというニュアンスが非常に強いのであります。緊急対策というのは最近は年中行事である。去年も緊急対策で補正予算を組んで三兆数千億円のものを追加した。ことしはどうか。五兆円を上回る緊急対策をやるんだと。年中行事になるなら、これは緊急対策なんて言わなくてもいいのであって、臨時のものではないわけであります。また安倍特使も、臨時のものでなくて継続的にやることが必要だということを言っておられますね。だから、内需拡大は緊急や臨時でやるべきものではなくて、基本政策として中長期的に腰を据えて取り組むべきものだと思うんです。となれば、やっぱり本予算の中で内需拡大についてしっかりした計画をつくらなければだめではないか。 けさほども論議されておりましたけれども、とにかく内需拡大については、貧弱な予算だけれどもまず予算を上げてもらわないと話にならない、予算を上げてくれたら内需拡大について物を考えるんだ、これこそもう本末転倒も甚だしいのではないかと思うんですね。やはり本予算の中でしっかりした内需拡大の基本方策を立てなければだめではないかと思いますが、総理大臣並びに大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の経済社会が、いわゆる社会資本というものが非常に貧弱であるということはこれはどなたもお認めになる事実でございますから、仮にこのような円高の問題がなくて外からいろいろ言われることがなくても、やはりこの社会資本の充実というのは必要なことであると考えます。そういう意味では田渕委員の言われることに私は全面的に共感をいたしますが、同時に、御承知のような事情から財政は一般会計の二〇%が国債の利払いに充てられているという極めて弾力性のない状態でございます。こういう財政を長くやっておりますと、我が国が老齢化をしますときに財政はもういよいよなすべきことができないという状況になりますから、それで財政改革というものが進行しておりますことも御承知のとおりでございます。 そういう意味では、そういう財政改革と内需拡大というのがいわばややお互いに相背反するような課題になっておるわけでございまして、結局そこのところは、できるだけ優先度の低い経費は何としても削っていく、そして優先度の高いものに、主としてそれは投資的な経費になると思いますけれども、十分な優先度を与えるということにならざるを得ないかと思います、財政の現状からいたしますと。そうしますと、やはりある意味で今までやってまいりました厳しい財政の路線というものは緩めることができない。ただし、その結果として優先度の高い方へ傾斜をさせていくということにならなければならないわけでございますから、そういう意味で、財政全体がまあまあ比較的豊かであるからというわけにはまいりませんで、当分やはりそういう厳しい選別をしながら進んでいかなければならないのではないかと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり石油危機であれだけ膨大な国債を出しまして、それはそれなりに意味のある仕事でもありました。景気を維持し失業を防止するという効果を見まして、ヨーロッパの国に比ぶれば日本の経済のパフォーマンスはいいとあのころ言われました。しかし、結果的に見ますと、これだけ膨大な百五十兆を過ぎる大きな国債の累積を持ちまして、これはGNPの約五〇%以上に今なりつつあるわけで、世界最高の借金をしょっている国に日本は国内的にはなってきておるわけです。 そういうような情勢を見ますと、これをさらに悪化させる状態で子孫に引き渡していいかと言われますと、だれでもそれはよくないとおっしゃるのじゃないでしょうか。田渕さんなんか真っ先におっしゃる方ではないかと思いますね。そういうことも考えてみますと、こういうような段階になってきますと、そのためにつくった土光臨調、それから今いよいよ発足しました行革審、こういうようなものが果たしてきた役割は絶大なものがあったと思うのです。そして、国民の意識もそれを支持していただいて耐乏に我慢してくだすっておるわけです。そういうような貴重な成果というものを一朝にして崩してはならぬのであります。 しかし、社会資本そのほか内需振興のために必要なことは、これは今度は思い切ってやらなきゃならぬ時代に入ってきました。そこで物事を整理して、維持すべきものは維持する、しかし新たに加うべきものは新たに加える、そういう考えに立ちまして、合いよいよ内需振興という段階に入ろうと、そうしております。しかし、維持すべきものはやはり厳然として維持していかなきゃならない。それは小さな政府、そしてむだを節約してできるだけ一般行政経費を少なくしていくという努力であり、機構を簡素化していくという努力であります。
○田渕哲也君 もちろん内需拡大と要らない経費を節約する行政改革というのは、私は両方ともやらなくてはならないと思うんです。 ただ、財政の状況もわかりますけれども、子孫にツケを回すという意味がやや違うのではないかと思うんですね。といいますのは、国債をたくさん発行しておるというのは、今の国民がぜいたくして国債を発行しておるわけではない。みんな節約して貯蓄したもので国債を買っておるのであって、今の世代がぜいたくして国債を残すわけじゃありません。国債というものは国民と政府との借り貸しの問題であって、今の日本人の世代がぜいたくをしておるから国債が多いわけじゃないんですね。それから国債残高があるということは、国民の政府に対する債権もこれは受け継がれるものでありまして、別に子孫にツケを回すというようなものではない。そういう政府と国民との借り貸しの問題であるし、財政における分担の問題であって、これは国民の合意さえあればいつでも改善できるものである。ところが、世界経済の中におけるいろんな問題というのは今手をつけなければならない問題である。やはり優先順位というものをしっかり考えてやるべきではないかと思うんです。 それから内需拡大についてお願いしておきたいことは、やはり何が何でも間に合わせ的に金を出して、公庫事業さえやればいいといった発想はおかしいと思うんです。やはり二十一世紀を踏まえて、二十一世紀の国民生活に夢を与える、豊かにする、ビジョンを持ったちゃんとした計画のある内需拡大をやってもらいたい。 具体的に言うならば、やはりこれからの新しい都市づくりをやるとか、住宅投資が進むようにするとか、生活環境を豊かにするとか、あるいは均衡ある国土の発展とか、こういった見地から二十一世紀の日本を築くための内需拡大策というものを出してもらいたい。各省が、今までのシェアに従って公共予算はおれのところはこれだけ取らぬといかぬとか、各省の縄張り争いとかあるいは分捕り合戦とか、こんなことでは困ると思うんです。それからまた総論賛成、各論反対でも困ると思うんです。そういうやはり基本的に日本のための将来を踏まえた内需拡大に国民の貯蓄をどう使うか、そういう観点から考えていただきたいと思います。 時間がなくなりましたので、総理の御答弁を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり公債を膨大に残しますとその利払い費用というものは子孫に及んでいくわけでありまして、その利払い費用が増高していくということはできるだけ避けるというのが我々の子孫に対する配慮ではないかと思うのであります。 しかし、今申し上げましたように、維持すべきものは維持する、新たにつけ加えるものは新たにつけ加える、新しく展開していくことは新しく展開していく。さもないと国家は伸びてまいりません。そういうような区分けをしっかりして努力してまいりたいと思っております。
○田渕哲也君 終わります。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末君。
○野末陳平君 先ほど円高差益に関する質疑がありましたけれども、いわゆる円高差益というものが我が国経済にどのくらいここのところ発生しているのか。ここ一年余で結構ですから、まず経企庁からその数字を、簡単で結構です、お願いします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) お答えいたします。 経済企画庁が一昨年の十月から昨年十二月まで円高差益がいわゆる水際でどれぐらい発生したかというのを月別集計いたしますと、大体十四兆一千億円発生したという計算になってございます。
○野末陳平君 これは去年の末までですから、ことしの数字が入ればもっとあるわけですが、この十四兆で結構ですから、この中でどれくらいが国民生活に還元されたか、この数字もお願いします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) これはさしあたって電力、ガス料金の値下げで二兆円還元になっておりますが、一般的に言いまして、消費者物価が安定し卸売物価が安定をしてまいります。こうしたものを計算いたしますと、大体七兆五千億円ぐらいこれまで還元された計算になっております。
○野末陳平君 つまりその十四兆のうち約半分ちょっとが還元されている、こういうわけですね。そうしますと、今度その残りの半分ですね、まあ七兆にちょっと足りませんが、これは一体どういうふうになっているとお考えですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは、一月以来依然として卸売物価が前年同期比一割前後下がっておりますし、また消費者物価も一%前後下がっておりますので、こうした円高差益の還元がさらに現在進行中であるというふうに考えます。ただ、一部輸出等の値段の差額に参っているものもございますので、円高差益還元のスピードが当初よりはだんだん落ちている、こういうふうに解釈をしております。
○野末陳平君 その部分だけでなくて、どうも輸入品がはかばかしく値下がりしていないというそんな実感もあるので、むしろ流通段階にたまっているというか、もうけ過ぎの部分ですね、そこが一番大きいのじゃないかという気がするんですけれども、それについてはどうですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 例えばヨーロッパから輸入しているようないわゆる銘柄品も値段が下がっているわけでございまして、これは円高差益が発生をしておりますのが円とドルの関係でございますから、ヨーロッパ通貨との関係はそれほど理論的には差益がないわけでございますが、こうしたものも一般的な円高差益のムードの中で下がっておりますし、私ども、輸入段階の製品の値下げと現在小売段階でどれだけ下がったかを比較いたしますと、むしろ輸入段階、水際で下がった額よりも末端の小売段階で下がった額の方が多い商品がたくさんございますので、相当程度流通段階においても輸入品については円高差益ムードの中で下げられておる、むしろ実態は発生した以上に下がっている商品もある、こういうふうに理解をしております。
○野末陳平君 しかし、同時にそれは、やはり今まで輸入業者のマージンといいますかね、その辺が大き過ぎたという部分もあったわけですね。それでここのところどうもはかばかしい値下がりが見られない、つまり還元率が高くなっていかないような傾向が出ているのですが、この数字ですが、七兆まだ還元されていない。しかもことしになってまた何カ月かでかなりそれがふえておりますから、この円高差益がさらに数兆円加わるとして、これがさらに還元をされなければおかしい。どう考えてもこのままにして自然に任しておいたのではこの程度が限界じゃないか、そういうふうに考えるんですね。 長官のお話にありましたけれども、ヨーロッパの品も何も含めて、洋酒とかあるいは一流ブランド品とか、あるいはゴルフ用品を初めとするスポーツ用品ですね、そういうものがさらにもっと還元される、値下がりの余地が当然ある。もっときちっと関係省庁が積極的に差益の還元を督促して指導するということが必要だと思うんですが、それはどうなんでしょうかね。
○国務大臣(近藤鉄雄君) お話ございましたように、流通段階で相当大幅マージンがあった輸入商品がこの円高差益ムードの中でさらにマージンを吐き出しているという面がございますし、こうしたものを進めるためにも、経済企画庁は関係各省といろいろ御協力をいたしまして、そうした円高差益ができるだけ末端消費者に還元するように、例えば並行輸入を進めるだとか、デパートやスーパーにおいて円高差益還元フェアを進めてまいるだとか、またいわゆる輸入牛肉の小売価格を安くするためのモデル店をさらに数を広げるだとか、そうした各般の努力をしてまいっておりますが、最近円高がさらに進んだ面もございますので、こうした従来からの努力をさらに一層促進をしてまいりたい、かように考えております。
○国務大臣(田村元君) 今企画庁長官が申したことで大体尽きておりますが、野末委員の御質問とややかみ合わせができていないようでございますから、ちょっと私から補足して申し上げますと、確かに洋酒等のマージンは大きゅうございます。これは私ども今計算しておりますが、この改善は図っていかなきゃならない。ただ問題は、輸入量との絡みがありますから一概には言えませんが、確かに大きいと思います。それからブランド商品等は、これはなかなか下がらないというのは、一つには安いと売れないんですね、ブランド商品というのは。私どもの松阪の肉みたいなものでありまして、高いから売れるというところがあるんです。でございますから、確かに野末君御指摘のとおりの面がございます、これは大いにやっていかなきゃならぬ。 それから消費者に対する価格情報の提供なんかどんどんと今進めております。さっき長官からお話のありましたインポートフェア等も、我々だけで全国で約二万カ所ぐらいやっております。
○野末陳平君 通産大臣にお答えいただきましたので、ではそのついでというわけじゃありませんけれども、先ほど出ました二兆円の電力やガス料金の還元、これも前回の還元の料金値下げは百八十円ぐらいのときだったと思うんですけれども今やこれが百四十円突破ということで、これが今後どうなるかは別として、この電力とかガス料金のようなものはもう一度値下げというものを検討するのかどうか。それはいかがでしょうかね、通産大臣。
○国務大臣(田村元君) 確かに前回——前回といいましてもついこの間でございますけれども、一月の元旦からですから、あのときの積算の基礎の為替レートというものと今とでは相当離れております。ただ、逆に油は十八ドル内外で安定しておりますから、やや高くなっておるかもしれませんが、それはそれとして、今のところ為替レートも非常に不透明でございまして、そういう検討に入らなきゃならぬのかもしれませんが、まさか我々がこれ以上円が高くなることを期待して計算するというわけにもいきませんので、しばらく為替動向等あるいは油の動向等、そういう面を注目してまいりたいと思っております。
○野末陳平君 仮に今後とも円高差益がたくさん出たとしても、まあ常に料金値下げがベストだとは思いませんが、仮に値下げ以外にその差益を生かすことがあるとすれば、この業界ではどういうことが考えられるのですか。また、それを何をすべきだと思われますか。
○政府委員(野々内隆君) 公共料金でございますのでできるだけ長期安定が望ましいと考えておりますので、実は現在のところは、為替レート百五十九円、それから原油価格十五ドルで計算いたしておりますので、為替レートにおいてプラス、それから原油価格においてマイナス、トータルにおいてマイナスというのが現状でございます。したがいまして、どうも差益が発生したという前提で計算ができません。差損が発生いたしておりますが、もし将来差益が発生すれば、とりあえずは長期安定のために内部留保に回すということは考えております。 実は前回、できるだけ設備投資をふやそう、内需拡大に貢献をするということで設備投資の促進について指導いたしましたが、最近電力需要の伸びが低下いたしておりますので、発電設備についいて投資促進というのはいかがかなという感じがいたしておりますので、設備投資につきましては質的な改善について可能な範囲で指導したいと思っておりますが、当面はできるだけ長期安定ということが必要であろうかと思っております。
○野末陳平君 次に、円高差益とは直接関係はありませんけれども、運輸省の関係で、例の航空運賃ですけれども、日本で買う場合のチケットと、それから米国で買う場合のチケット、今これが余りにも差がありますね。ますますこれが乖離がひどくなってきているんですが、それがどの程度今開いているのかわかれば、例えば東京とニューヨークとか、一例でいいです。同時に、それがわからないにしても、今、日本発の航空運賃の場合は一ドル幾らの換算になるのか、その辺をちょっと運輸省の方にお願いします。
○政府委員(山田隆英君) 国際航空運賃は発国通貨建てとなっておりますので、日本発の旅客について円建ての運賃が設定されております。それから他方、アメリカ発の運賃についてはドル建てで運賃が決まっております。したがいまして特定の為替レートというものは決まっておりませんが、現在、東京発ロサンゼルスまでの往復運賃につきまして、日本発とロサンゼルス発とを比較いたしますと、日本発が三十五万七千三百円というふうになります。それからロサンゼルス発が千七百九十ドルということになりますので、この日本発運賃をロサンゼルス発運賃で割りますと百九十九・六円という数値となりまして、これは現行の為替レートとはかなり乖離がございます。
○野末陳平君 かつて運輸省に聞いたときは二百四、五十円だったかな、ちょっと記憶があいまいですけれども。それにしても一ドル百九十九円でしたね、二百円というのはちょっと実情に合わない。もちろんドルに連動しているわけじゃありませんから、これは今お答えのように計算法は違いますけれども、少なくとも乗客の立場としては余りにもアンバランスである。ですから、これを調整する努力が必要であって、一刻も早くある程度まで調整して運賃を下げるべきだというのが常識的な考えだと私は思うんですけれども、運輸大臣の立場としてこれはいかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員がよく御承知のように、確かにそういう状況がありますので、昨年も実はアメリカに対しては日本発の普通運賃を一〇%引き下げますと同時に、米国発を一〇%引き上げるという措置をとってようやく今の状態をキープしている状況です。この状況が決して望ましい状態でないことは申し上げるまでもありません。ただ、これは相手国側も絡むものですから、その理解も得ながら、求めながら事態を進めているところでありまして、こういう状況をいつまでも放置しておくというつもりはございません。
○野末陳平君 それでは次に、減税の話をちょっとしていきたいんです。 税法改正については総括質疑でたっぷりと質疑させてもらいますが、減税なんですけれども、財源としてとりあえずマル優の廃止とそれから売上税が考えられておりましたが、これがどういうふうになるかわかりませんが、この二つの増税がうまくいってこそ増減税同額だったわけですが、これがもう既にやや予定が狂いかけているとして、これはどうでしょうかね、この二つの増税ともにうまくいかなかった場合には、ほかにどんな財源をもって減税をするという、そういうことになるんでしょうか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは全く仮定のお尋ねで、うまくいかないということが、今年度はうまくいかないということであって、将来はそれがカバーされるということであるかどうかにもよると思うのでございます。つまり、歳入の欠陥が一時的なものであるか、ある一定の時期になれば他の税でそれがカバーされるかどうかという見通しによることでございましょうと思います。やはり全くほかに財源がないといたしますと、その分は歳入補てん国債を用いざるを得ないということになるかと思いますが、それも将来の見通しいかんで、そうなりましたらいろいろな工夫をしてみなければならないと思っておりますけれども、これからのことでございますので、にわかにただいまお答えがちょっと申し上げられないようなことでございます。
○野末陳平君 それでは総理にお伺いしたいんです。 今の話なんですけれども、例えば私の知る限りでは、サラリーマンなどは、これは減税はどうなっちゃうんだというようなことをよく言うんですね。そうしますと、これは財源はとにかく何とかする、減税だけは六十二年、六十三年ですね、予定どおり断行するんだと、こういうふうなお考えなのか、それとも財源次第では必ずしも期待したとおりの減税にならないということになるのか。その辺があいまいだと非常に困るんですが、これについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議長の裁定に基づきまして与野党で協議していただきまして、そして我々が満足できるような案をおつくりいただけば非常にありがたいと思うんです。その際に、減税に対する国民の要望というのはかなり強いわけであります。我々の案でも、四月から十二月までは減税先行という案になっておりました。それから一年近くたってから売上税が追っかけてくるという体系でありましたが、しかし、全体構想というものはしっかりして、そしてその上に立って減税が先行するというのがやはり正しい態度ではないか、そういうふうに思っております。
○野末陳平君 とすると、予定どおりに減税を断行するということではないんですね、今のお答えは。かどうかはちょっとわからぬということですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) つまり、議長裁定を受けて与野党の協議を待つ、ここで何回も申し上げました。それが我々の基本的な態度であります。
○野末陳平君 そこで、一番今回問題になりました売上税なんですけれども、総理がどこかで、売上税にはこだわらない旨の何かそういう発言をなさった。けさの新聞でしたか、ちょっと読みましたですが、売上税にこだわらないというようなことを総理がどこかでお話しになったというのがあったんですが、それをちょっと確かめておきたいんです、事実関係を。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことは言った覚えはありませんですね。やっぱり政府原案というのは生きているわけでありまして、この議会中厳然として法案は提出されてそして生きているということであります。そんなこと言うはずがありません、
○野末陳平君 たまたま新聞に出ていたのでまず確認をさしていただいたんですが、さてこの売上税ですけれども、いろいろごたごたあったわけですが、一つ総理にお聞きしておきたいのは、売上税というネーミング、この名前ですね、これにもいろいろ問題があったんじゃないかという気がしてならないんですね。ネーミングというのは非常に大切なんですが、売上税というのは、売り上げた人が税金を負担して、しかも売り上げにかかってくるというような初歩的な誤解をした人も随分いたんですね。でも考えてみれば、これは負担をする人の立場で言えば消費税ですから、売上税と言うべきなのか消費税と言うべきかというと、消費税と言うべき性格のものですね。それから同時に、これは質疑にも出ましたけれども、来るべき長寿社会に備えるための財源という立場に立ては、これは主に福祉に使われるということが考えられますから、やはりこれは内容からいうと福祉税という面もありますね。 ですから、売上税というネーミングそのものに非常に問題がある。これはこれからも随分大事なことじゃないかと僕が数カ月の動きを見て感じたわけですが、総理自身はそういうことはお感じになりませんでしたか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 売上税という名前が出てきましたときに、私はこれは余りいい名前じゃないなと率直に感じました。しかし総理。総裁が余りそういうことに干渉するのはよくないからあえて言いませんでしたけれども、なぜかといえば、これは付加価値税なんです、実体は。それで、各段階においてその粗利に対して五%かけられるというので、売り上げ全般に対してかけられるのでもなければ、いわゆる一般消費税的なものでも、国会決議でやられたものでもないわけなんで、そうすると売上税というとやっぱりアメリカやその他でやっている売上税というものが頭にありまして、そしていわゆるヨーロッパ型の付加価値税とは違うということは明らかにならない。そういう意味で、あのネーミングは実体とは遊離したネーミングになっておる。付加価値税というものは転嫁が前提になっておるわけですから、そういうような面から見ましてそう思いましたけれども、皆さんがそういう名前をつけたなら私一人で言うのはよくないから黙っていたということを、野末さんだから申し上げる次第であります。
○野末陳平君 そうなりますと、総理がそういうお気持ちだとして、売上税という名称にはもうこだわらないと。仕組みは付加価値税でも、それはまだ生きているわけですからいいんですが、やはりほかの消費税なり福祉税というようなわかりやすいイメージをペースにしたネーミングを今後考えるべきだという気がするんですが、もちろん与野党協議の場でそれをやるかどうかは別として、そういうふうに個人的に思うので、最後に総理にその売上税という名称にはもうこだわらないのか、それだけお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私がこだわらないと言ったってみんながこだわったらだめなんで、与野党の折衝を見守るというのは前から申し上げているとおりでございます。
○野末陳平君 終わります。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 私は、中国残留孤児問題についてお話を伺いたいと思います。 その前に、私は非常に中曽根総理に悲しい思いがあるんです。と申しますのは、三月三十一日に私はこの場で、総理は数を頼んでごり押しはしませんねとお尋ねしました。そうしましたところが見事に予算委員会で、これは砂田委員長の単独であったのかどうか知りません、手続上は間違いなく採決したんだというふうに活字にもあらわれております、しかし結果的にはやはり数の上でごり押しをしたという感じは国民全部に与えたわけなんです。この席で私が総理にお尋ねしたときには、そういうことはしませんよとおっしゃった。昨日も本日も伺っておりますると、初心忘るべからず、私は税制改革には断固たる心でぶつかっていくんだというふうにおっしゃってもいました。そうしますと、私らにお答えになったのと大きな党の方にお答えになったのとは違うのかと、何か非常に私は寂しい思いがしました。悲しい思いもしました。男と男というのはこんなに簡単に約束を破るものかなと、こうも思いました。おまえなんか男と見ていないよと言われればそれっきりですが、でも私はホモの気はありませんから。やっぱり総理は男として私は見ております。そのことについてもし御弁解があったら一言お願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は下村議員は男の中の男であると尊敬しております。しかし、予算委員会のあの状況を見ますというと、これは意に満たないところではありますがまことにやむを得ざる異例の措置であったと、そう考えざるを得ないのは残念であります。
○下村泰君 何かそれだけじゃちょっと納得できないんですね、私自身は。しかし、国会の仕組みというものを私はよく存じませんし、そういうふうになってしまっても仕方がないものかなと、こういうふうに半分以上はあきらめております。でもやはり総理のお言葉をしっかり私は聞きたかったんです。もう一回お願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 甚だ残念な、遺憾な措置ではありました。しかし、国全体を考えあるいは円高その他等も考えますというと、やむを得ない措置であったと思います。
○下村泰君 これ以上痛める気持ちはございません。でもやはりこういうところで、しかも最高の国民の討論をすべき場所でお約束をお破りになるということはまことに寂しいことだと思いますので、どうぞひとつ今後はないようにお願いしたいと思います。 厚生省に伺いますけれども、第一次から第十五次までの中国残留孤児で帰国した実数をひとつ教えていただきたい。
○政府委員(木戸脩君) お答え申し上げます。 残留孤児の方で帰国した方々のうち厚生省で把握をしておりますのは国費を支弁して帰国をした方の数でございますが、約四百五十名でございます。
○下村泰君 そのうち、完全就業者とそれから生活保護を受けている方、これはわかりましょうか。
○政府委員(木戸脩君) 先生の御質問に完全にお答えする資料がございませんわけでございますが、実は昨年の二月一日の日に国費で帰国をした方々の実態を調査した資料がございます。これは二百六十世帯の孤児の方について二月一日に調査を行ったわけでございます。 この調査によりますと、孤児のうち御本人の就労している者の割合は男性が六九%、女性は四八・六%ということでございまして、その他の方々は就業していない、こういう状態でございます。
○下村泰君 そうしますと、生活保護を受けている世帯数というのはどのぐらいになりますか。
○政府委員(木戸脩君) 調査時点で生活保護を受給しているというふうに回答があった世帯は、二百三十四世帯のうち百一世帯、約四三%となっております。
○下村泰君 その生活保護を受けている世帯数というのは、どうして就業ができないのか、仕事ができないのか。それはどういうふうにつかんでいますか。
○政府委員(木戸脩君) 具体的にどういう事情で就労をしていないかという調査は行ってございませんけれども、一番大きなのは、やはり自分に適当な職がない。その中には日本語がまだ余り上手でないから自分の望むような職業がないというものを含めまして、適当な職がないという方が一番多いかと思います。それから、病気やけがという理由の方も若干おられます。
○下村泰君 労働省の方に伺いますけれども、例えばそういう未就業の方たち、あるいは就業したくてもなかなかできないというような状況の方もいらっしゃると思いますけれども、労働省の方としてはこういう方たちにどういう手当てをなさっていらっしゃいますか。
○国務大臣(平井卓志君) この帰国者の定着促進策、これはかねて非常に重要な問題となっておりますけれども、やはり雇用の場の確保というのがすべてに優先するのではないか。じゃ今御指摘になったようなことでなぜ必ずしもうまくいかないか。これは現在まで一応言われておりますことは、やはり日本語が不自由という、語学の壁が我々の想像以上に大きい。いま一つは、やはり体制も違いまするし、我が国の社会慣行、雇用慣行等々非常にふなれである。さらには、選択する職種によっては技能の修習等がございます。これもまた技能修習が必要な職場が非常に多いということでございまして、いろんな企業に対する助成措置その他の制度はございますけれども、現状を細かく見てまいりますと、やはりもう少し丁寧にきめ細かく追跡しまたお世話する必要があるのじゃないかというふうなことで、今年度から、一応語学研修のセンターに入りましたとき、同時に労働省から相談員を並行的に中へ入れまして、研修をやりながら順次あらゆる御相談に乗っていく、さらにまた、研修所を出まして安定所からお世話申し上げた先までも、果たしてどういうふうな形で就業なされておるかということもすべて追跡調査するというきめの細かい制度の運用に踏み切りまして、今後最大限努力をしていかなければならぬ。やはり受け入れる側にとっての相当の理解がございませんと、先ほど申し上げたような雇用の場の確保と言葉で申し上げましてもなかなかそれなりのハンディがあろうかと、かように考えております。
○下村泰君 最初こういう方たちを迎えたときに、お互いにいわゆる試行錯誤の時期があったと思います。もう大体落ちつきかげんになってきたんですから、そろそろこういう方たちにも余り悲しい思いをさせないようにしていただきたいと思います。今の大臣のお答えは大変すばらしいと思いますので、どうぞそれを完全に実施してください。そして、この方たちに少しでも自分の国へ帰ってきてこんな悲しい思いをさせるというのは大変これはよくないことなので、大いにひとつお願いしたいと思います。 厚生省の援護局からこういう書籍を出しましたね。この中を拝見しましても、孤児たちの「帰国後の感想」というのがあります。その感想としては、全体の七八・一%が帰国して「よかった」としていましたが、その理由としては、三七・六%の者が自分の「祖国だから」というんですね。ですから、完璧にいいというわけじゃないんですね。祖国だから、祖国に帰れたからと言っています。「やや後悔又は後悔している」としている者が三・九%いるんです。その理由としては、まず「日本語ができない」「生活習慣の違い」「老後に不安がある」、こういうことを挙げているわけです。 事実、私もいろいろとお尋ねした件数がありまするけれども、例えば、身元引き受けをしてくださった方の御意見と帰ってこられた方々の意見と全然食い違う場面があります。それから、自分が生まれて育った中国の慣習がもう四十年も身についています。そうしますと、その中国の慣習で日本へ帰ってきて日本の生活の慣習の中になかなか溶け込めないというようなことで、引受人、実際、親族の方たちの間でも意見が食い違うために、中には自殺などという悲しい事態も起きています。それで、こういった身元引き受けをなさる方も、よほどのことを考えていただかないと完全な引き受けができないということなので、どうぞひとつ、こういうことの意見の徹底もしていただきたいと私は思います。日本人というのは私も含めて熱しやすく冷めやすいですからね。毎日毎日あのテレビのいわゆる電気紙芝居の画面でどんどんどんどん孤児たちの肉親は肉親はと言っているときはその気になりますけれども、それが過ぎてしまうと、後はもう野となれ山となれという感じがございますので、そういうところをひとつ考えていただきたいと思います。 私の知り合いに山辺昌憲さんという方がおりまして、この方はもともとは大陸の方なんですが、戦前に日本へ参りまして御自分で事業を興して食品関係のお仕事をしていたんですが、この方はもともと向こうの方ですから、こういう中国残留孤児の引き揚げの状態を見ていて、これではいけないということで、飛鳥学園、飛鳥菜館、これをくるめまして飛鳥総業というのをつくりました。飛ぶ鳥の飛鳥と書きますけれども、この方が飛ぶ鳥の飛鳥と名づけたのは、日本と中国との間に心のかけ橋をつけにゃいかぬ、それには祖国を日本に持っている人は、祖国に帰ってきてもまた養父母のいる自分の育ってきた国へ心を飛ばす、そして中国の養父母の方も、自分が育て上げた子供、日本へ帰っている子へ心を飛ばす、お互いに日中のかけ橋になろうというので飛鳥という名前をつけたとおっしゃっておりました。この飛鳥総菜というところに今度飛鳥菜館というのをつくりました。 これはどういうのかと申しますと、中国の本当の技術を生かして——日本人のつくっている例えばギョーザなどはニンニクが入り過ぎているんだそうですね、向こうの方に言わせると。もっと軽いものなんだそうです。そういうことや何かで本場の味を日本の皆様に、祖国の皆様にというので今飛鳥菜館というところがございまして、これは厚生大臣に一緒に行っていただきました。そしてそこの方々のおつくりになったものを味わいました。大変おいしゅうございました。そしてその方たちの訴えもございました。それで、そのときの感想を厚生大臣ひとつ聞かしてください。
○国務大臣(斎藤十朗君) 中国残留孤児の帰国定着促進につきましてまずお答えを申し上げたいと思いますが、これまで主に訪日肉親捜しに重点を置いてまいりましたが、一応この三月で概了をいたしました。この六十二年度からは定着促進という面に重点を置いた施策を一層強力に推進をいたしてまいりたいと考えておりますが、その際に、これまで約二百六十世帯ぐらいの方が定着促進センターを卒業しておられるわけでございますけれども、これまでの過去の経験、実績等を十分調査し、またその方々の御意見をお聞きをして、そしてこれから進めていくカリキュラム等についてきめ細かく配慮をいたしてまいらなければならないということで、ただいま作業をいたしておるところでございます。 そういう中で最も気をつけなければいけないことは、何といいましてもそれは、日本語の問題、また生活様式の変更の問題はさることながら、就職の問題であろうと思いますし、定着促進センターを卒業されるときには就職が決まっているか、もしくはその方向が決まっているかというようなところまで持っていくように努力をするような内容のカリキュラムにしていくべきであるというふうに考え、一層充実をいたしてまいりたいと考えております。 そういう就業の中で、ただいま先生がお話しをいただきました飛鳥グループとでも申しましょうか、これは下村先生御自身が互助会の会長をしていただき、いろいろお世話をいただいておるとお聞きをいたし、先生に連れていっていただきましてつぶさに視察をさせていただいたところでございます。まことに近代的な衛生的なすばらしい食品加工製造工場であり、またそれを維持されますには帰国されました孤児の方々が、現在は三十名のようでございますけれども、皆が力を合わせてこの会社を維持し、またそれに対して、今お話がございました山辺社長を初め日本の各企業の方々、有志の方々が力を合わせてこの企業を盛り立てていただいておるということでございまして、このような事業なりこのような形の就業の場がますます広がっていくということであるならば孤児の帰国した方々の就労というものも非常に容易になるのではないかというふうに、私は大変感銘をいたしたところでございます。 同時に、味の方も大変おいしゅうございまして、このようなすばらしい味でございましたら非常にこれから売れて、この事業もますます発展をし、そして孤児の方々の就労も容易になるだろうというふうに、大変うれしく思った次第でございます。
○下村泰君 この事業をやっていらっしゃる方は、ほとんど借金でございます。そして十年以内にこの借財を全部返すつもりで今努力していらっしゃいまして、六十三年度には、現在大体四十人ぐらいの就業ですけれども、二百五十名。ですから今、日本へ帰ってきたのはいいんだけれども、仕事もできない、中には、皆様方も御存じかもしれませんが、零細企業に多いんですね、就職する場合は。大きなところへ就業できないんです、日本語がうまくいかないから。そのために皿洗いですとかそういった細かな仕事の方に行く。こういう仕事先というのは倒産するんです。この飛鳥菜館にも、先月、倒産したために行くところがないといって来た家族がもう二世帯あるわけです。これから先もこれはどんどん出てくると思います。そういう人たちを何とかして引き受けるためにもこの飛鳥菜館というのは頑張っておるわけです。 この現状は今厚生大臣もよく把握していらっしゃるはずでございますけれども、その方たちが今一番心配しておりますのは、帰ってきた年齢がもう四十過ぎです。子供たちは意外と同化が速うございますからよろしいんですが、親御さんたちが今心配しているのは、私たちの老後はどうなるかということなんです。これに関して厚生省は何か国の手当て的な方法というのは考えていらっしゃるんでしょうか、伺わせてください。
○政府委員(水田努君) お答え申し上げます。 かねてから下村先生初め関係者の方から、中国から引き揚げでこられた方が無年金にならないようにという声が高く出されておりまして、さきの年金改革で御案内のとおり国民年金制度のできた昭和三十六年四月一日以降、中国での二十歳から日本に帰ってくるまでの期間を国民年金の資格期間として認めるようになりましたので、日本に帰られてからの加入期間を合算すれば無年金者はなくなるわけでございますが、問題は日本に帰った後の加入期間が短いために年金額が必ずしも十分でない、こういう問題点があるわけでございます。さきの年金改革で、そういう点に配慮するために、基本的には六十まででございますが、六十から五年間延長して任意加入するという道も開かれましたし、また従来からございます付加年金の制度を御活用いただくとか、あるいは自立して厚生年金の適用をお受けになりますと厚生年金に加入しておられます期間に対応しまして基礎年金の上の二階建て部分の給付も出まずし、また六十歳から六十五歳までの特別支給もあるわけでございます。 要は、こういう制度を私ども行政の努力が足りなくて引き揚げてこられた中国孤児の方が十分御存じないために、不安がっておられる面が多々あるのではないかと反省している次第でございまして、私ども日本の年金制度を十分今後PRすることに意を用いますとともに、一日も早くやはり自立をしていただいて、先生の今お話のありますような、就職等によって厚生年金等にお入りいただきますと基礎年金にさらに上乗せした年金がもらえるということでございますので、そういうこともあわせて厚生省として努力してまいらなきゃならぬ問題ではないか、このように考えておる次第でございます。
○下村泰君 あの方たちはよくそういうことがわかりませんので、ひとつ徹底してください。お願いします。 総理、こんな文章があるんですけれども、 ソ連軍、攻めて来たときね、私の家族、佐渡開拓団の中あた学校の部屋にいた。お父さんと二人のお兄さん、外に出ていていなかた。部屋にいたのは、お母さんとお姉さんと私。最初にドーンともの凄い苦して部屋のガラス全部壊れた。私のお母さん「外に打っちゃ駄目よ、危ない…」そう言て何回も止めようとした。でもね、私、怖くて外へ飛び出してしまた、そのとき、外に開拓団の人いっぱいいたね。村の周り壁あるでしょ。そこ行て壁の外見たら、ソ連兵、もういっぱいよ。 ソ連兵、村の中に入てきたのお昼ごろだた。大砲撃てから、今度は小さい銃で、ダダダダ、ダダダダ…女も子どもも生きているもの皆、撃ち殺したよ。 これはポツダム宣言で日本が戦争に負けたずうっと後の話なんですね。もう御存じだろうと思いますけれども、これは八月二十三日ごろなんです。大虐殺を日本が受けたわけです。そのときのこれを書いた方が、今この飛鳥菜館の社長としてお仕事をしておるわけです。 総理も海軍の経験がおありだそうですけれども、こういうひどい経験はなかったんでしょう、ちょっと伺いますけれども。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう非人道的な光景を見たことはありません。
○下村泰君 したがって、こういう境遇にいた人間でなければこの物すごい状況というのはわかりません。私もビルマで戦ってまいりまして、その際に幾たびも敵の飛行機から逃げ回ったことがあります。それはもう人間の、あれは何といいますか、置かれている状態じゃありませんよね。その中から生きてきた人が今一生懸命やっておるわけです。 そこで、ここで一つお尋ねしたいんですが、もう時間がなくて済みませんけれども、厚生大臣、明日向こうへ伺いますな。行きましたらどういうふうになさるのか。あとまだ千人もお帰りになる。そうしますと、御主人が帰ってくるとすれば、あるいはお母さんが帰ってくるとすれば、家族は四、五人おりますね。四、五千になります。さあこれからどういうふうになさるのか、ちょっと聞かせてください。済みません。
○国務大臣(斎藤十朗君) これからの残留孤児の帰国は、私どもの推定でなお千世帯ぐらい帰国するであろうというふうに考えておりまして、これを考えますと約五千人ぐらいの方々になるわけでございますけれども、現在までございます所沢の定着促進センターは今までの収容人員を倍にいたしまして、年間百八十世帯を受け入れられるように昨年の十月いたしたところでございます。同時に、本年度の予算でいわゆる民間の施設や民間の方々のお力をいただいてサブセンターといたしまして全国に五カ所設けまして、ここで百五十世帯の方々を受け入れられるようにいたしてまいりたい。合計年間三百三十世帯でございますので、おおむね三年間で下世帯の方々を受け入れられるようにいたしたいというふうに考えております。 また、内容等につきましても、先ほどカリキュラムの問題等を申し上げたところでございますが、そのほかに、これまで帰還手当というふうにいたしておりましたのを自立促進のための手当といたしまして、小家族の方々にも有利な手当が支給できるようにいたすとか、また生活指導員制度をこれまでしいておりましたが、これも自立指導員制度というふうにいたしましてこれまで一年間の指導期間を二年に広げるというようなふうに改善をいたしまして、いろいろな角度から定着促進のために全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
○下村泰君 ありがとうございました。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
○青木茂君 税制改革全般にわたって御質問を申し上げます。 税制改革というのはぜひやっていただかなければならないし、それから中曽根総理の税制改革に対する信念ですか、あるいは情念かな、大変驚いているし、ある意味では非常な敬意は持っておるわけでございます。しかしながら、内容はよくないし、それから手順はまことに悪いと言わざるを得ないわけなんですね。それがいろいろな衆議院の方の事情でオールクリアになって、そして与野党の協議が始まる。これはこれで非常に結構だと思います。思いますけれども、どうも参議院の方はこれへ参加できるのかできないのかわからないし、それから参議院が仮に参加できたとしても、我々小会派なんというのは加われるか加われぬかこれはわからないわけですから、きょうあるいはこの次、あわせで私ども考え方を伺っておきます。 きょうは、議論というよりむしろ税制改革のオリエンテーション的な物のお考えを伺っておきたいと思うわけでございます。 まず大蔵大臣に伺いたいんですけれども、巷間言われておりますクロヨンという言葉ですね、クロヨンという言葉は現段階においては実像なのか虚像なのか、そこら辺のところは今どうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実際にクロヨンという比率であるとは思いませんけれども、給与所得が非常に捕捉が楽であるのに比べましてその他の所得がそうでないためにその間に捕捉の違いがありまして、納税者間に不公平感が存在しておるということは事実であると思います。
○青木茂君 国民生活白書、これは政府刊行物ですね。これに初めてクロヨンという言葉が出てきておるわけなんですね。そういたしますと、とにかくクロヨンという、割合はともかくとして、職業間にいわゆる水平的に税の不公平というものが存在するということは御認識ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 法制の上ではないはずでございますけれども、現実の税務行政の面ではあるということをどうも否定できないように思います。
○青木茂君 ありがとうございました。 とにかく税制改革の基本は、このクロヨンをできるだけなくすることだと考えておるわけなんです。ただ、一口にクロヨンといいましても、今大臣がおっしゃいました徴税技術的なクロヨンとそれから税制度におけるクロヨン、この二つがあると思うんです。それで、この徴税技術的なクロヨンというのは、マル査だとかミニマル査だとか、そういうところで頑張ってもらうよりしょうがないわけなんですけれども、税制度の中における不公平というものはこれからどう改善なさろうと大蔵大臣お思いでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事業におきまして、例えばみなす法人なんというのがそのいい例と思いますけれども、家族労働者と申しますか、仮に配偶者の給与の扱いにつきまして、その課税の関連でいわゆる事業をやっていらっしゃる方はかなりの恩典を受ける。それに対して勤労者の場合にはそういうことが従来ほとんどないわけでございますので、例えばそういう問題がございまして、このたび御提案いたしましたのも、その種の問題につきまして一つの解決策を制度の上で見つけようといたしたということは御承知のとおりかと思います。
○青木茂君 確かに制度の上で前進はございます。前進はございますけれども、実質ということになれば、小さい小さい、ミニ小さいということで、ほとんどもう役に立っていないという感じがあるんですけれども、ここら辺のところは総理がお帰りになりましてからのこの委員会でまたいろいろと論議をしたいと思っておりますから、そこら辺のところはこれで終わります。 その次に、ちょっと総理にお伺いをしたいんです。総理はずっと言っていらっしゃるんですけれども、減税をやるんだ、そのために財源が要るんだ、これが今度の税制改正の一つのベースだというふうにずっと言っていらっしゃいましたけれども、その点は現在もお変わりはございませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり所得税また法人税、特に所得税の減税問題は与野党の長年の懸案でございまして、いつも国会が始まれば、減税を早くやれ、大型でやれという御要求もあり、いろいろ政調会、政審会でも話が進んできておるわけで、長い長い懸案であったんです。ですから、この際思い切って大型減税を与野党の話し合いの線に沿って実行しよう、しかしそれについて、赤字公債でやるというわけにはいかぬ、それについては何か税源を見つけなけりゃならぬ。やっぱり選挙で一番大きく公約したというのは、大きな減税をやります、そのために財源を探すことも、これはあのころはレベニュー・ニュートラルという表現を使っておりましたが、増減税ゼロにする、そういうことでひとつお願いいたしますというふうに申し上げてきたわけです。
○青木茂君 そういたしますと、とにかく減税をやる、そのための財源措置がマル優撤廃であり、売上税である、こういう流れですね。これは間違いないわけですね。 ただ、そういたしますと、大体この減税規模というのもほほ明らかになってくるわけなんですけれども、減税規模が明らかになってくれば、その財源というのもこれからどうなるか、衆議院の協議会で御論議があると思います。ただ、そうなりますと、いわゆる到来する長寿社会、あるいは国債に抱かれた経済、あるいはこれから五兆円規模による補正予算、そういうようなものを考えますと、そういうものの財源は一体どこへ、どう求めるプランニングなのか、御計画なのかということをちょっと大蔵大臣に伺いたいんですけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) 片方におきまして特例公債は六十五年度には依存体質から脱却するということを目標に掲げておりますが、逆に申せば、それまではまた幾らかは出し得るということでございますし、建設国債につきましてはそういうことは申しておりません。なるべく少ない方がいいとは思っておりますけれども。そういったような財源の調達方法。それから、昨日も申し上げましたが、いかにも今の我が国の経済成長は潜在力よりも下回っておるという感じがいたしますので、経済の運営がもう少しいい軌道に入りますと多少の自然増収も期待できるのではないかと思います。
○青木茂君 この数カ月の売上税騒動のときに非常に私どもが混乱をいたしましたのは、総理は減税をやるんだ、そのための財源なんだ、こうおっしゃるし、それから自民党の幹部のある方は、もう長寿社会がやってくるじゃないか、そのための手当てというものを税制改正の中でやらなきゃならないんだ、そういうおっしゃり方をするし、あるいは国債償還、もう百五十兆円あるんだ、これを何とかしなきゃ後世の国民が困るじゃないか、そのための税制改正なんだと。そこら辺のところがかなり入りまじりまして、受け取る国民の方は混乱をしたという現実があるんじゃないかと思うわけなんですけれども、総理、そのお感じは持たなかったですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はやはり選挙のときにははっきりと、減税をまずやります、しかしそれに見合う財源というものはレベニュー・ニュートラルで考えていただかなきゃなりませんと、そう申し上げておったわけです。それは一貫しておりました。しかし、そういう財政構造の改革をやること自体が将来長寿社会に備える、あるいは今のような減税をやるということが国際対抗力を増す、そういうことにもつながっていると、そういう点も申し上げた。しかし、減税が中心で申し上げてきたというのが私の意識の中心であります。
○青木茂君 あのとき受け取る側が非常に混乱をして首をひねったのは、総理はそうおっしゃった。おっしゃったけれども、その長寿社会の問題であるとか国債償還の問題であるとかいう声がいろいろ出たものだから、何だ、それじゃ今度の税制改正というのは増税含みではないか、つまり自動増税装置が実際問題としてついているんじゃないかという国民の不安というものが私は明らかにあったと思うんですよね。そうすると、現段階においては、とにかく減税をやっていただける、そのための財源措置としていろんなものを考えなければならないというふうに現段階においても理解していいわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 結構なんです。それで、私はこの席上におきましても、今度の税制改革というものは財政の増収を目的とするものではありませんと、そういうことをはっきり申し上げておるわけです。しかし、そういう構造改革をやること自体が将来こういうものに備えられる体系とはなりますと、そういう意味のことは申し上げておりました。
○青木茂君 体系とはなると。金額の問題ではないわけですね。そこのところはこれ以上伺いませんけれども——どうぞ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 社会が老齢化するということは申し上げるまでもないことでありますけれども、老齢になるに伴いまして所得税の納税者から脱落をしてまいります。残った若い人だけが納税者になる傾向がございますから、売上税でございますと、老齢になりましても売上税の納税者から脱落するということは非常に少のうございますので、そういう意味でも計数的に将来の財源を確保することができる。それからもう一つは、それによって所得税、法人税の減税ができますと可処分所得がふえる、あるいは企業意欲が大きくなることによってある程度経済の成長が期待できて、それによる自然増収ということもあり得る、そういったようなことが幾つかございますが、いかなる意味におきましても、売上税の税率を将来上げるということを考えたわけではございません。
○青木茂君 売上税につきましてはクリアされたのかされないのか、衆議院レベルで御協議を願うということで結構だと思います。 それからもう一つ、これは事務当局ということになるのかな。どうもサラリーマンの特殊控除である給与所得控除が、あるときにはAという解釈、あるときにはBという解釈、いろいろあって混乱をしておるわけなんですけれども、これは過去における国会答弁その他で見て、給与所得控除の内容というものは、必要経費概算控除プラスサラリーマンの担税力の弱さのカバーであるというふうに理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(水野勝君) 今お示しのおおむね二つの観点で設けられているもの、そういうことでよろしいのではないかと考えております。
○青木茂君 これはいつごろでございましたか、自民党の方で各戸に配布なさった資料によると、給与所得控除、これだけサラリーマンに必要経費あるんですよと、何か給与所得控除全体が必要経費であるかのごとき表現が実はあったんですけれども、それは大蔵大臣ごらんになりましたですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、ちょっと…。
○青木茂君 ああそうですか。これはこの次の総理がお帰りになってからのあれにいたしましょう。 ちょっと税制問題と少しずれますけれども、通産大臣にお伺いをしたいんですが、かつて石油価格が非常に暴騰いたしたときがございますね。そのときに非常に不況になりましたね。しかし、今やバレル当たり三十五とか三十六ドルとか言われていたものが今十二ドルぐらいに下がってまいりましたね。そうすると、暴騰したときに不況になったんだから、下がったときにはもう少し景気がよくなってしかるべきじゃないか。とにかく、バレル当たり二十ドルぐらい他国に払わなくてもいい金ができたんだから、それが一体日本経済の中でどこへ行っちゃったんだと。これは例の円高差益、円高メリットの問題とも絡んで非常に不思議な点なんですけれども、日本経済のメカニズム自体に、浮いた金が国民のところまで届かないというようなメカニズムがどこかにあるんじゃないかという感じがするわけなんですけれども、どうでしょうね、通産大臣は。
○国務大臣(田村元君) 流通機構の日本的なところは、確かに御指摘があるかと思います。しかし、一般論で言いますと、円高や原油安というのは輸入代金の支払い減、それからこれを通じた物価の安定というメリットがございます。こういった差益の還元というものは相当進んでおります。これは先ほど来の御議論のとおりでございます。 ところが、その金がどこへ行っちゃったんだということでございますが、この円高というのが今度は逆に輸出代金の受け取り減、それから輸出数量の減、輸入数量の増ということで、やはり大きな外需マイナスになるということで、これが国内の設備投資の減にもつながっておりますし、大きな不況要因になっておる。こういうことでございますから、確かに輸入業者の面において、あるいは輸入品の価格の低落によって受けておる差益還元のメリットというものと、輸出型の製造業並びにその下請をやっておる中小企業の受け取り減を中心としたデメリットということで、やはり今必要なものは思い切った内需の拡大じゃなかろうか。そのようにして内需をより強くして外需と今の姿よりアンバランスにするということじゃないだろうかと思います。
○青木茂君 内需拡大の必要性はこれはもう論議の余地のないところなんですよ。ただ、内需拡大というものが、かつては公共投資一辺倒というのか、公共事業を広げれば内需は拡大されるということだったんですけれども、これは建設大臣も御承知のとおり、今、公共事業といったって土地代が八割もかかってしまうと景気刺激効果はそう高くない。そうなると、どうしても公共投資プラス減税というもので内需拡大の二本柱が形成されなければならない。だから、余り先のことをお考えにならずに減税だけは早くやるというふうな御決意を、御明言を伺いたいんですけれども、総理、どうですか。——総理じゃないですか、大蔵大臣ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 内需拡大のために減税が一つの有効な手段であることはよく存じておりますし、政府原案におきましてもある程度売上税の施行をおくらせておったわけでございますが、それは、こういうような状況になりまして、改めまして衆議院では協議機関で御協議になるわけでございます。それいかんにもよりますが、さあその場合に、今お話しのようなことでございますと、それが一遍限りの減税であるかあるいは将来に向かって続くものであるかにもよりますが、財源措置をどうするかという問題が当然起こりますので、このような財政状況でございますから、現実の事態に立ちましていろいろ考えてまいらなければならないと思います。
○青木茂君 そうすると、減税は内需拡大の有力な武器である、この一般論はいいですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論としてそれは申せることと思います。
○青木茂君 最後に、総理があしたからいらっしゃるわけなんですけれども、これは口に出していいことかどうかちょっとためらってはおりますけれども、私は、どうもアメリカが自国内におけるインフレを決意したんじゃないかという危惧があるわけなんですよね。もしそうだとするならば、日本が持っているドル債権なんというものはえらいことになってしまって、日本経済は大崩壊につながる。そこら辺のところ、これは正面からインフレ御決意なさったんですかなんて聞いたって、それはとてもじゃないが向こうもお答えにならないだろうけれども、そういうようないろいろな兆候がなきにしもあらずということをひとつ総理胸に秘めていただいて、その感触を探ってきていただきたいということをお願いしたいんですけれども、どうですかね。
○国務大臣(中曽根康弘君) その必要は全くないと思います。アメリカがインフレを決意したなんということは、全然兆候もないし、また我々は責任者からも聞いておりまして、ありません。ドルの価値の信認を維持する、そして経済を健全にしていく、生産活動をふやしていく、それがアメリカが今懸命の努力をしているところで、我々はそういう政策が正しいと思うし、それに協力していきたいと思っておるわけで、全然御心配は要りません。
○青木茂君 十五秒。
○委員長(桧垣徳太郎君) 簡単に。時間が来ました。
○青木茂君 ただ、裏の世界では心配しています。それだけ申し上げて、終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) これにて二日間にわたる国際経済及び通貨問題等に関する集中的な審議は終了いたしました。 次回は来る五月六日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十二分散会