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108回国会参議院1987/03/31

予算委員会 第2号

発言数
298
登壇者
29
会派数
8
開催日
1987/03/31

会議録

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。  昭和六十二年度一般会計暫定予算、昭和六十二年度特別会計暫定予算、昭和六十二年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。  審査を行う日は本日一日間とすること、審査方式は総括質疑方式とすること、質疑割り当て時間は総計百分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党二十分、日本社会党・護憲共同二十九分、公明党・国民会議十七分、日本共産党十三分、民社党・国民連合九分、新政クラブ、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党・参議院の会それぞれ四分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) このたび、昭和六十二年四月一日から五月二十日までの期間について暫定予算を編成することといたしましたが、その概要について説明を申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、今回の暫定予算におきましても、暫定予算期間中における人件費、事務費等の経常的経費のほか、既定の施策に係る経費について行政運営上必要な最小限度のものを計上することとしております。  なお、新規の施策に係る経費につきましては原則として計上しないこととしておりますが、生活扶助基準等の引き上げ、国立大学の学生の増募等教育及び社会政策等への配慮から特に措置することが適当と認められるもの及び既に成立した法律に係るものにつきましては、所要の経費を計上することとしております。  また、公共事業関係費につきましては、暫定予算期間中における事業の継続的執行を図るため、所要額を計上することとしております。  すなわち、一般公共事業につきましては、六十二年度予算額のおおむね七分の二を目途に計上することとし、その枠内において、積雪寒冷地の事業については、その円滑な実施を図り得るよう特別の配慮を加えることとしております。なお、補助・負担率の引き下げに係る事業についても計上することとしております。  災害復旧等事業につきましても、災害復旧の緊急性にかんがみ、過年発生災害の復旧等のため必要な六十二年度予算額のおおむね三分の一を目途として計上することとしております。  地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金として、六十一年度補正後予算の国税三税収入見込み額を基礎として算定した普通交付税相当額の四分の一を計上するほか、地方債についても所要の措置を講ずることとしております。  歳入につきましては、税収及び税外収入についての暫定予算期間中の収入見込み額並びに前年度剰余金を計上するほか、公債金について、暫定予算期間中において財政法の規定により発行を予定する公債に係る収入見込み額一兆五千八百億円を計上することとしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算の歳入総額は二兆五千三百七億円、歳出総額は八兆八千二百九十億円となっております。  なお、これは六兆二千九百八十三億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、十兆九千億円を限度として、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることとしております。  次に、特別会計及び政府関係機関の暫定予算につきましては、いずれも以上申し述べました一般会計の例に準じて編成しており、三十万人雇用開発プログラム、第八次石炭対策、産業基盤整備基金等に係る経費についても計上することとしております。  なお、財政投融資につきましては、中小企業金融公庫、日本道路公団等二十四機関に対し、総額二兆五千八百三十八億円を計上し、一般会計に準じて暫定予算期間中の事業が行われるよう措置することとしております。  以上、昭和六十二年度暫定予算につきまして、その概要を説明いたしました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、これより順次質疑を行います。野田哲君。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 まず、総理にお伺いをいたしますが、総理は四月の二十九日から約一週間アメリカを訪問される、こういうふうに報道されておりますが、この日米首脳会談に臨まれる総理としての考え方といいますか、日本としての課題、これについてどのようにお考えになっておられるか、まずその点からお伺いいたします。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) レーガン大統領から公式の招待がございまして、それに応じまして伺わせていただきたいと思っております。  私は、アメリカを何回か今まで訪問しておりますが、これはいずれも公式訪問ではなくしていわゆるワーキングビジット、仕事訪問といいますか、そういうことで行ってきたわけでありまして、レーガン大統領の方は、日本を公式訪問されて天皇陛下にお会いしたり、いろいろそれ相応の礼式をもって御待遇申し上げたわけであります。そういう意味で、アメリカの方で、一回ぜひ公式訪問止してそのお返しをしたい、そういう御意向がございまして、恐らく私の任期や何かを見たんじゃないでしょうか、それで秋には皇太子殿下御夫妻がいらっしゃるということで、両方でいろいろ調整しておる最中でもあります。そういうことで公式訪問の御招待がありましたので伺うことにいたしました。なかなか厳しいときでありますけれども、こういう世界経済並びに日米間の問題が厳しいときにこそ行って、体当たりでぶつかって、そうしてお互いに理解を深め、また協力と親善を増す、そういう機会でもあると考えまして訪問させていただきたいと思います。  現在の状況を見ますと、米ソの軍縮交渉の問題、特にINFの問題あるいは世界経済の問題、ブラジルそのほかにおける債務国の問題あるいは国際通貨の問題、それから日米間には貿易摩擦から来ます非常に憂うべき問題もございます。そういう問題につきましてこの際ざっくばらんに話し合いまして、そしてこれを調整し、さらに友好協力関係を固めてまいりたい、そう考えておる次第でございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 昨年の総理の訪米のときにはいわゆる前川レポートを持っていかれた。これは国会の中でも自民党の党内でも後からかなり議論になった。こういう経過があるわけでありますし、総理が最初に総理として訪問されたときには、四海峡の、あれは後で訂正されましたが、三海峡の封鎖とかあるいは日本列島不沈空母化、こういう発言もあって、これもまた大変問題になったわけでありますけれども、今回はやはり貿易摩擦も厳しい、経済問題、通貨問題あるいは国際的なIMFの問題などの重要な課題があるわけでありますから、できるだけ前もって総理としての訪米に当たっての所見というものを国会でも議論ができるように、コンセンサスが得られるように十分配慮すべきではないか、こういうふうに思うわけで、今のお答えも項目をずっと述べられただけで、日本としてどう対処するか、こういう問題について内容的には全く触れられていないわけでありますけれども、内容的にある程度まとまったものがあれば重ねてお聞かせいただきたい、こういうふうに思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 内容的にこれといって確定して申し上げるようなものはまだできておりません。いずれ四月に入りましたら固めてまいるつもりでございます。しかし、まずINFや米ソ関係の問題については、今まで申し上げました線に沿いましてこれらの軍縮問題を片づけられる問題から着々片づけていって、そして米ソ間の緊張を緩和し、世界平和への道を開くように、できるだけ早期に米ソ首脳会談が行われるように我々も側面的に協力してまいりたい、そう思っております。  世界経済の問題につきましては、やはり債務国の問題、発展途上国の問題というものがございまして、いわゆる世界的な、お金が還流するような方向に積極的に努力していくことが大事であると思っております。日本としましても、昨年の秋、約三十六億ドルに及ぶIMFのスタンドバイクレジットとか、世界銀行に対しまする約二十億ドルに及ぶ協力であるとか、あるいは第二世銀と言われるIDA8に対する二十六億ドルの協力であるとか、そういうことで率先して還流に向かって手を打っておるわけでございますが、やはり世界的にそういう潮流を起こしていく必要がある、そう考えております。ベーカー提案というものもございまして、そういう問題の具体化等についてもいろいろ相談して、いずれそういうものはサミットにつながれていくものではないかと思っております。  日米間の問題については、現下最も厳しい状況にありますが、日本の状況、我々の努力等も詳細に説明をし、また現下の問題に対する諸般の解決策等についても両方で話し合いをし、そしてこれが解決に向かって努力をしていくということを申し上げてみたいと思っております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、昨日の異常な円高、これについて一体どのように受けとめておられるのか、また今後の対応策についてどのようにお考えになっているのか、この点をお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの為替の相場の変動は、二十四日に百五十円を上回りましたときから始まったわけでございますが、その様子を見ておりまして、これは二月の末にパリで合意いたしました各国のいわゆるこの周辺で為替を安定させるという共同の決定に背くような動きであるというふうに考えまして、我が国としても介入をいたしました。また、米国、英国、ドイツ、フランス、スイスもおのおの自己の判断、自己の負担において介入をいたしまして、いわばパリ合意の共同介入が行われたわけでございます。その規模も相当大きなものでございました。  しかし、なお相場は変動を続けまして、これにはいろいろな原因があるであろうと思われますが、一つは、各国ともパリ合意の際に約束をしておりますおのおのの政策遂行について必ずしも十分なことが行われていないという市場における認識もあろうかと思います。我が国に対しましても、御承知のように六十二年度の予算案がいまだに成立しておりません状況等についても、そういう見方が国の内外に行われておることもやむを得ぬことだと思っておりますが、そういうこともございました。また、ちょうど年度末に当たりまして、機関投資家あるいは各企業において、いろいろな観点からこの際もし相場が先安であれば早く売っておいた方がいいといったような年度末独特のそういう心理も作用いたしたかと思います。  そういうことを背景に、私どもとしても過度な変動を排除するためにそれなりの対応をいたしてまいりました。きのうの午後あたりから今日にかけまして落ちつきが見えておるように存じますけれども、なお一、二日様子を見る必要もあろうと思っておりまして、いずれにいたしましても、今回のケースは、パリで定めました各国の共同行動を必要とする、それによって対応すべき事態であるというふうに判断をいたしております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 田村通産大臣に伺いますが、今、アメリカ議会で決定したという半導体の問題についての日本に対する制裁措置、これは日米経済摩擦に対するアメリカ側の並み並みならぬ決意を示している、こういうふうに思うわけでありますけれども、これについてどのような対応策を考えておられるのか。アメリカ側に対して主張すべきこと、注文すべきこと、日本としてやるべきことについてどのような対応策を考えておられますか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) おっしゃるとおり大変厳しい状態に置かれております。日米取り決めが、この日本側の努力を一生懸命やっておるわけでございますけれども、これにかかわらず、市場環境もございまして、米側が期待するほどのスピードで良好な結果を示していないという事情は確かにございます。ございますが、日本政府としてはもう可能な限りの措置はとってまいりました。  米側がこのような厳しい措置を発表しました背景には、何といっても巨額の対日貿易赤字を背景とする米国のいら立ちというものが底流にあると思います。それに加うるに、先端技術である半導体についての競争力の観点からの危機意識もあるのではないかというふうに思います。また、現在の巨大な貿易赤字の中で、日本側において十分な内需拡大が図られていないのではないかといういら立ちというものが見られるように思われます。  日本政府としては、今回の米国政府の決定は率直に言って意外でもあり、かつ非常に厳しく受けとめておりますが、取り決めの中にあります緊急協議を昨日提案いたしました。そして、今週中にとりあえず予備的な相談あるいは協議あるいは本格的な協議に対する枠組み等につきましていろいろと意見交換をするために、村岡通政局長と山本機械情報局次長と二人を派遣いたしまして、その後で黒田審議官に児玉機械情報局長をつけまして本格的な交渉に臨ませる、このような段取りで考えております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。福間知之君。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 そもそもこの半導体の貿易摩擦問題は数年前から起こってきたわけでありますけれども、特に、おととしから具体的に日米間の政府間折衝というものが行われまして、昨年九月に双方で覚書が交換され、いわゆる協定がなされたわけであります。その中身をここで申し上げるいとまはありませんけれども、幾つか重要なことがございます。それについて我が方、日本が誠実にそれを履行していないということが今度の大統領コメントでは表明されているわけですが、私はいささかの驚きと憤慨を覚えてこの大統領決定を見ておりました。政府当局としては誠実に履行したということが言えるのかどうか、まずその点をお聞きしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 日本国政府としてとるべき措置はもうとり尽くしておると言ってもいいと私は思っております。と申しますのは、日米間の直の貿易にはこれは何の関係もないんです。要するに、第三国経由の迂回輸出という問題、これは第三国へ日本国政府が立ち入って調査をすることは相手の主権上できません、簡単に。非常に難しい問題でございます。極端に言えばモラルの問題でございます。  それからいま一つは、向こうの物を日本が買わないということがございます。これも先般、主要ユーザー、メーカーでありかつユーザーであるわけでありますが、主要企業十社の社長を私は呼んでそして厳しく御注文申し上げた。とにかくアメリカ製の物のシェアを高めるということも強く申しました。率直に言いまして、アメリカ側の企業が日本のマーケットを十分熟知していないといいますか、なじんでいない面が大きな障害にもなっておるんじゃないかというふうにも思いますけれども、日本国政府としてはもうとり得るすべての措置をとり尽くしたというふうに私は思っております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私も大臣の見解と同様でありまして、いまだかつてないほど関係メーカーに対して具体的、直接にアメリカ製品の購入拡大についての要請を繰り返してこられたと私は承知をしております。  またしかし、今お話のありましたように、アメリカが得意とする半導体と我が国の需要の大宗を占める半導体、そこには違いがございまして、特に民生用の半導体を我が国は得意として、またそれが利用の中心でありますけれども、それに適合する製品をアメリカ側で必ずしもよい品質で適切な価格で日本側に、送り出すことができないという、こういう全く経済的、技術的な問題がそこにはあるわけでありまして、それを政治的なレベルで摩擦を、あつれきを拡大するようなそういう姿勢をアメリカがとっていることに私は非常に大きな不満があるわけであります。  昨年の当予算委員会でも、私はこの問題を一時間余り中曽根総理とも話し合った経過があります。現実に今、総理自身も指示をされるようでございますが、犬型コンピューターの導入を促進しようと、これは結構でございます。そのクレイ社の大型コンピューターの主要な半導体は皆日本製でございます。したがって、私はアメリカ側の言い分にかなり無理がある。それを焦りと先ほど称されましたけれども、政治的なレベルで解決しようとしても、すぐれて経済的、技術的な課題でありますから私は無理だと思うんですね。その点を私はアメリカに厳しくやはり我々の立場、見解を主張していただかなきゃならないと思うんです。  昨年の協定でできました、アメリカの半導体を日本で輸入を拡大するためにも大いに協力しようということでつくられた例の半導体国際交流センター、これは日本の各社は皆出資をして、そして動き出そうとしているわけですね。アメリカは一社も参加していないじゃないですか。協定を結んでおきながらアメリカは一社も参加しないというそういう極めて消極的な姿勢で、そして日本の市場のアクセスが開放されていないとかと言うのは当たらない。現にフランスのトムソンはこれに参加しているじゃないですか。こういう点も厳しく指摘をすべきだろうと私は思うのであります。  過般の報道によりますと、香港を経由したいわば日本の半導体がダンピングをしていると、ある人のインボイスまでつけて商務省に提出したと。しかもそれは上院の決議が行われる前日である。こういう事実があるのかどうか。そんなダンピングを日本のメーカーがしているのかどうか。通産省はそんな行政指導はしてきていないと私は思います。そういう事実はないと思うんです。これはアメリカ側で仕組んだわざだと私は指摘したいんですが、その事実のほどと、それからそういう指導監督というものが行われてこなかったのかどうかということ、この点をお聞きしたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) おっしゃるように、私はアメリカ側に対して言うべきことは率直に言うつもりでございます。  最近、貿易摩擦というと、すべて日本だけが悪いというような風潮があります。私はもちろん日本側も反省しなければならぬ点は多々あると思います、相手のあることでございますから。けれども、日本だけがすべて悪いというふうに決めつけられるいわれは私はないと思うんです。先般の香港における問題もそうでございますが、例えば、どういうわけか時期を合わせて、通産省の黒田審議官が全然言っていないことをワシントン・ポストともあろう世界の一流紙が書き立てて、しかもそれは公式の場でも何でもない全く私的な、俗に言う飯食い会、そこにおける発言と称して、言いもしないことをすっぱ抜きをやる、というより捏造をする。何か意図的なものを感じてなりません。  でありますから、やっぱりイエスマンであってはいけない、言うべきはきちっと言う、そして相手が開き直ったときに、こちらも耳を傾けなきゃならぬが、こちらもまた時には開き直る必要がある、私はこのように思っております。  なお、具体的なことがございましたら、担当局長を控えさせておりますからお尋ねを願いとうございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 関連で、質問がもう一問でございますので、総理にちょっとお聞きしたいんですけれども、松永駐米大使が帰国されまして今関係者と話し合いが進んでいるようであります。倉成大臣もお会いになられたようでございますけれども、けさの報道によりますと、もうアメリカ議会では対日批判の合唱が一般的なパターンになっておる、そしてまた、半導体の問題を初め、既に個個の問題での摩擦の解決ということを上回って、政治的に処理をしなきゃならぬ、こういうふうなことをおっしゃっているようであります。  この言葉は私はわかるのでございますけれども、しかし、先ほども触れたように、事柄は政治的なあつれきの問題じゃないのでございまして、そこを私たちは非常に重要視しなきゃならぬ。アメリカ側で工場の閉鎖、レイオフという問題が起こっているとすれば、同じことは日本でも今起こっているわけでありまして、必死になって日本の関係企業はそれに対応をしているわけでございます。もちろん、田村大臣がおっしゃったように、一〇〇%、一二〇%日本は間違いはないんだということも言い切れないかもしれません。しかし、それは徐々に今是正が進んでいる過程でございまするから、したがってアメリカ側としても冷静に事態というものをとらまえてもらわなきゃ困るんです。  私が総理に最後にお聞きしたいのは、松永さんのお話じゃありませんが、政府開発援助の抜本的な拡充とか援助条件の緩和、債務国への資金手当て、これら三つを一まとまりの政策として打ち出して国際批判にこたえるべきだというふうな趣旨のことをおっしゃっているようでございますけれども、半導体に関しましては、もう既に今までの経過があって、そして一定の双方での合意がなされている。そして、摩擦緩和のために事態は改善の方向に進んでいるんです。だから、みそもくそもごったくちゃにして処理することは双方の利益にとってマイナスである。現にアメリカが日本に進出して生産をしている。例えばテキサス・インスツルメントあるいはモトローラ社。あるいはまた、この間富士通が買収しようとしてアメリカから待ったがかかった。これも理にそぐわない話で、フェアチャイルド・セミコンダクター、これらの企業は日本で生産をし販売をしておりますが、何も文句は言ってないんですよ。今アメリカ側で日本に対して批判を浴びせかけてきているような、そんな雰囲気は何にもないんです。皆さん粛々として生産販売をやって業績を上げているんです。  この事実も忘れてはならないのでありまして、政治的に事柄をまとめて解決していこうという必要性も理解はできるけれども、だが、すぐれて経済的な問題、技術的な問題を政治的に解決するということでは、これは理が通らない、双方の将来の利益にならない、そういうことを私は特に強調しておきたい。総理もよくその点を含んでこれから対応を願いたいんですが、御所見を伺います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 半導体の問題は、長い間のいろいろな交渉の経過がありまして、両方の協定が成立して、その協定を今履行しておる最中で、そしてかなり成果が上がってきている。少なくとも日本国内に関する問題についてはかなり成果が上がって、値も上がってきております。ただ向こうからの輸入はそれほどふえておりません。これは競争力という問題も片一方にはあるわけであります。やはり向こう側も努力しなければだめなのであって、一方的に日本にだけ頼むというような形で経済が長続きするはずはないわけであります。しかし、向こう側も最近は競争力、コンペティティブネスということを非常に言ってきまして、産業自体の生産性、そのほかの問題に非常に注目して努力を払う体制にきております。  そういうような経済の基本的な条件というものを整えなければ、長続きのする正常な経済関係というものは成立しないんです。私は、そういう点はよくわきまえながら、当面の問題については緊急的な措置としていろいろやることはあるでしょう、これは通産省としてもいろいろ努力をしてやっておられる問題ですから。当面の問題は当面の問題として解決に全力を尽くしますが、基本的には、今言ったような基本的考えに基づいて双方の努力、競争力の問題、そういう問題が基本的な解決方策であるということを考えて処理していきたいと考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 ただいまの半導体に対する制裁措置の問題にいたしましても、あるいはまた最近の異常な円高の問題にいたしましても、結局その背景は、日本の内需主導型の、内需の拡大の政策が進んでいない、このことに対するいら立ちがあると思うんです。  けさの新聞を見ると、今の百四十四円とか五円とかということについての日本の企業のうめき声が聞こえるというような表現で報道されておりましたが、ここは総理、今まで中曽根内閣が進めてこられた緊縮財政路線を率直に転換されて内需主導型を、内需の拡大を促進する積極財政への転換を考えるべきではないか。与党・自民党の方でも主要な方々はそういう主張をされている、こういう点が報道されておりますが、総理はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今の予算が成立しましたら、かなり思い切った経済政策を展開したい、そう考えておりまして、近藤企画庁長官にはもう大分前からその研究、検討、施策を練り上げるようにと、そういうことで指示して、今各省とも協力して努力しておるところであり、かつまた自民党に対しましても、先般政調会長にお願いいたしまして、政府ともよく話し合いをして自民党としてのそういう政策も大至急練っていただきたいと、そのようにお願いしておるところでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私がお伺いしたいのは、思い切った経済政策をとるに当たっては、財政の発動を基本にした財政政策の転換というものがなければ限界があるのではないか、財政の発動のない経済政策には限界がある、それができるんだったら今までもできているはずなんだ、そういう点から財政政策転換の必要性、これを今認識せざるを得ないんじゃないかと思うんですが、重ねて総理の見解を伺います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく予算が成立するということが前提で、まず大至急この予算成立をお願いいたしまして、お金を使えるようにしていただきたい。お金が早へ使えなければ、景気に対してかなり支障を来してきておると、そういうことになるからでございます。でありますから、政府といたしましては、もう一日も早く予算の成立と、お金を使わしていただけるようにお願い申し上げているところです。予算成立の上に立って、今度は今の状況を見ますというと、民間だけに任じていくべき問題ではない、政府自体も出動して、かなり内需の問題について考えてやらなきゃならぬ、そう考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 予算の成立といったって、今の緊縮型の予算が成立したところで、これはいずれは成立するでしょう、それでいつ成立するかによって効果が変わるものではないと思うんです。  大蔵大臣に見解を伺いたいと思うんですが、私が聞きたいのは、昭和六十三年度の予算編成についても依然としてマイナスシーリング方式で今までの財政路線を踏襲していかれるのか。あるいはまた、大蔵省の試算が示されておりますけれども、昭和六十五年度までの赤字国債依存からの脱却、この仮定計算例、これはもうまさに実行不能な、それこそ仮定の数字を出されていると思うんです。例えば六十三年、六十四年と毎年一兆六千六百億円の国債を減らしていくという問題とか、あるいは税収が来年から六・六%ずつふえていく、これはもうだれが見ても実行不可能な数字なんです。そういう状態で六十五年度赤字国債依存からの脱却、この路線を依然として固執してマイナスシーリング方式をずっと続けていかれるということであるのか、それを変更されるということであるのか、そのどっちをとられるのか、大蔵大臣の見解を伺いたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣が、何よりも六十二年度の予算の成立をお願いして執行したい、そこから始めたいと言われますのは、まさにそのとおりでありまして、昨年度のことをお考えいただきましても、六十一年度の予算が成立し、その執行をいたしまして、その線上で必要な措置を秋に補正予算としてお認め願ったわけでございます。補正でお認めを願いました公共事業が現在まだ行われておりますが、今度六十二年度の予算の成立、執行をお願いいたしまして、そのまた線上に立ってと申しますのは、この予算には、御承知のように公共事業でありますとか、あるいは三十万雇用開発でありますとか、あるいはまた産業の転換でありますとか、いろいろなものを含んでおりますから、これをぜひスタートさせていただきまして、その延長線上においてまた必要な措置を必要ならば講じる、こういうことにぜひお願いをいたさなければ手順が立っていかないということを総理大臣も言っておられるわけでございます。  そこで、お尋ねは、そのようにしていきますと、当然ある時期に、昭和六十三年度の予算編成をどのように考えるかということになります。我が国の一般会計が国債に二〇%近く依存しておる、そして国債費は二〇%を占めておるという現状はどうも一向に改まっておりませんので、依然として財政の再建は急務でございます。同時にしかし、野田委員が御指摘のような内外からの内需拡大という命題を私どもは解決しなければならない。いわばそういう二律背反したような状況で問題の処理をしなきゃならぬわけでございますが、実は昨年の暮れに六十二年度の予算編成を終わりましたときに、その経験にもかんがみまして、六十三年度の予算編成にはもう一つ、財政が与えられた状況の中で精いっぱいのことはしたと言われるような工夫が必要であろうと考えまして、そのことは昨年の暮れに事務当局に実は指示をいたしております。  それが具体的にどのような形をとりますかはこれからの問題でございますけれども、財政再建の必要性はもとよりなくなるものではございませんけれども、そういう中で、現在の内外からの要請にこたえてどのような優先度、アクセントを予算の中でつけていくかということは構想を新たにして考えるべき問題であろうというふうに思っております。  なお、それとの関連で、ただいま昭和六十五年度までに赤字国債を脱却するということは事実上非常に難しいではないかと御指摘がございました。私どもも、ここまでまいりますとこれが容易でないということはよく存じております。ただしかしながら、今まで財政再建がやってまいりました、なし遂げた成果、つまり一般歳出を五年間にわたってゼロ、マイナスに置いたということは行政としてはかなり厳しい努力でありましたし、またそういうことの中から制度あるいは意識についての幾つかの改革も生まれております。  そういうことがございますので、ただ六十五年度赤字国債脱却という看板をおろしただけでは、むしろ害の方が多い。もしそれを変えるのであれば、それにかえて何を財政抑制の基準とするかということはどうしても必要でございます。したがいまして、まだ時間もございますので、今の点につきましてはもう少し、かわりにどういうものをもって財政のいわば規制のめどにすべきかということを考えていかなければならないと思っております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 まだ時間があるからということですが、大蔵大臣、四月の下旬に総理がアメリカへ行って幾ら体当たりでやると言われても、具体的な裏づけとして、日本は内需拡大のためにこういう財政路線の転換を行います、積極的な内需拡大策をとりますと、財政を発動した形での裏づけがなければアメリカではちょっと納得しないんじゃないか、私はこういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私がまだ時間がありますからと申し上げましたのは、実は言葉が足りませんで、六十五年についてのことでございますのでということを申し上げようとしたのでございました。  今言われましたことは、確かに財政がもう少し積極的な役割を果たさなければ、現在のような設備投資あるいは在庫投資の状況ではなかなか日本の経済というものは成長の道へ入っていけないではないかという批判は、そのとおりだと思います。限られてはおりますけれども、財政としてはその中で最大限のことはしなければならないということは御指摘のとおりと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理が手ぐすねを引いておられる税金の問題に移っていきたいと思うんです。  まず、今一番問題になっているのは、売上税の中身よりも、総理は言行不一致ではないか、このことが一番問われていると思うんです。  そこでまずその点に触れていきたいと思うんですが、これは金丸副総理も当時の党の幹事長として大変責任があると思うんです。去年の選挙のときの自由民主党の公約、「わが党の選挙公約」、これを私つぶさに検討いたしました。「所得税・住民税の抜本的改革と減税の断行」、こういう大きな見出しで税制のことについて触れているわけでありますけれども、財源のことについては一言も触れていないわけであります。これを見れば国民は売上税なんか全く予想するはずはないんです。自由民主党は昨年の選挙のときに、「所得税・住民税の抜本的改革と減税の断行」、こういう公約をして、売上税の導入については一言も触れていない。この事実を総理はどうお考えになっていますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 政府は、税制調査会に諮問いたしまして、その税制調査会の答申は尊重するという基本的態度をとっておりました。税制調査会はまず減税問題を討議してその後にこの穴埋めの処置という問題を審議する、そういう順序でやってまいりまして、そしてたしか四月の下旬であったと記憶しておりますが、減税に関する中間答申、中間報告というものを出したわけでございます。その中に、今我々がやろうとしている減税の内容が盛られて、例えばいわゆる専業の主婦に関する特別控除であるとか、あるいはサラリーマンに関する必要経費の控除であるとか、あるいはそのほかの諸般の措置が答申、中間報告として出ている。で、この穴埋めに関する部分については、まだそういうものは深い審議もしておらなかったのであります。  したがいまして、あの選挙の時点におきましては、そういう思い切った大幅減税を大体あの線に沿ってやるというので、中身もある程度書いてあったと記憶しております。しかし、それが終わってから、大体今度はいわゆる穴埋めの問題についていろいろ議論が行われまして、そのころはまだ売上税という名前も決まっておらぬわけです。そして、幾つかの案が出ておりまして、間接税についてA、B、Cという案も出て、いろいろ論議されて、どれがいいか、物品税をどうするか、そういういろんな議論がなされておったときで、売上税という名前が出てきたのはたしか十一月末か十二月ごろではなかったかと思うんです。  そういう意味でありますから、売上税というような名前は当然出てこないし、あのときは減税が中間答申で出てきていたと、そういうことを申し上げる次第なのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 それでは総理、総理は、減税の方が先に税調の方からも示されていたのでそのことを主張したんだ、で、穴埋めについては税調からもまだ審議中で何にも出ていなかったから触れなかったんだと、こういう趣旨を述べたんですが、それでは総理、当時私ども野党は、総理や自民党の主張する減税には必ず別の増税が隠されておりますよ、大型間接税が出てきますよ、こういうふうに国民に訴えたわけであります。それに対して総理はこういうふうに言っているんです。今、季節が六月だから、四谷怪談という話があるけれども、お化けが出るかもわからない。野党の言っていることはお化けたから、お化けの党利党略にだまされないようにしてください。あなたは野党の党首が主張したことにこういうふうに答えているんです。  穴埋めの財源措置について税調が何にも言ってないから触れないんだったら、野党が言ったことに対してなぜこういう非難、中傷を主張したんですか。この点どうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 選挙の最中ですから、いろいろ味のある話をお互いがし合うものであります。それで、いわゆる売上税という名前すら出てきていない、これからどういうふうにするか、しかし間接税に移行せざるを得ぬという方向ではありました。そういうような状況のもとに、これからいろいろ決めてもらう状況で、何も決まっていないんですからそういうものにとらわれないでほしいと、そういう意味で申し上げたのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 今の段階で、野党が主張したことと、総理が主張していた、野党が言ったことはお化けであったのかどうか明確になってきていると思うんです。  結局、選挙が終わって、総理の言ったことに言行不一致があった、こういうことで、以来のマスコミの報道を二、三紹介いたしますが、総理にとっては随分気分の悪い表現だろうと思うんですが、これはマスコミの表題でこう書いてあるわけですから、そういう理解でひとつ聞いてもらいたいと思うんです。  こういうのがあります。「”天下のウソつき”になるか 中曽根首相の「大型減税」と「大型間接税」の二律背反」、こういう見出しがあります。あるいはまた、「中曽根首相は「売上税」でこう「ウソ」をついた!!」「これでも公約違反でないと言い張る 詭弁政治の総決算」「中曽根葬送曲になった「驕れる売上税」」、こういう表現の報道がここに軒並み去年の秋から出たわけです。あなたが座禅を組んで座っている写真があって、「この顔をごらんなさい。私がウソをいえる人間だと思いますか。」、こうなっているわけです。  一国の総理がマスコミからこのような酷評を受けている。まさにこれは一国の総理の権威が地に落ちていると思うんですが、総理は一体こういう状況についてどうお考えになりますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 選挙中のいろいろな問題につきまして、私は、国民が反対し党員も反対するような大型間接税と称するものはやりませんと、そう申し上げたわけです。大型間接税と称するものはという意味は、この国会で皆さんに御答弁申し上げ、矢野書記長や大内書記長にも御答弁申し上げて、統一見解として申し上げたもので、いわゆる投網ではさっと全部取り上げてしまうようなそういうものを意味しておったわけであります。  そういうことでありますから、政府税調に対しましても、私はこういうことを言ってきておるから公約違反にならないように結論を出してほしいと言い、党の税調に対しても、公約違反にならないようにやってほしいと正式にお願いをして、これは当時新聞にも報道されたところであります。その結果、政府税調、党税調はそういうことを注意しながら結論が出て、その審議の結果をいただいて今我々は法案として提出しておるのであります。  そういう意味におきましても、例えば一億円以下は納税義務者にしないとか、あるいは消費物資の統計の中では三五%のものは課税するが六五%は課税しないとか、税率は五%にするとか、あるいは金額にいたしましても、フランスあたりは税収の四五%が売上税、ドイツは二九%、イギリスは二二%です。日本の場合は今度は三%であります。これを平年度にいたしましても四、三、十二で一二%になりますが、地方税との差し引きをやりますと八・七%ぐらいになります。日本の所得税が約十六兆、法人税が約十二兆、その中で今度の売上税は六十二年度は二・九兆、二兆九千億円です。  今のような比率を見ればこれは大型とは言えない、また私が申し上げてお願いした公約に違反しないようにということを守っていてくださると、私はそう考え、党の総務会もそういうふうに認定してこういうふうに法案として提出しておる。  政治家ですから、いろいろ漫画の材料になるというのは公職者の税金みたいなもので、これはやっぱり甘んじなければならぬ。しかし、漫画の中に盛られている意味というものは我々は戒心の材料にしなければならぬと、そういうふうに考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 金丸副総理にお伺いしたいと思うんですが、当時幹事長として七月一日に日本記者クラブで話をされております。報道によりますとこういう話をされたそうです。「首相はウソをつくから、公約はその場限りで、選挙が終わればまた(増税の)ふたをあけるのではないかという見方もある。しかし、衆院解散についてのウソはいいが、政策問題で国民にウソをつくことがあってはならない。そうした場合は、私が首相と刺し違える。」、こういうふうに言っている。その前の日には金丸副総理は、幹事長として六月三十日には広島におられたわけです。私の出身のところですから、私も広島のグランドホテルにいたわけです。記者会見でこういうふうに言っておられます。選挙は公約や政策を堂々と国民に披瀝するものだ、私は切々と政策を訴えている、大型間接税を導入しないという言明は誠実に守る、こういうふうに言っておられるわけです。  この間、金丸副総理は後藤田官房長官と二人で何か話し合われて、修正への方向を発言された、こういうふうに大きく報道されて、それから自民党はてんやわんやになったようでありますが、金丸副総理のこの修正発言というのは総理と刺し違える決意で述べられた発言ですか、どうですか。その真意を伺いたいと思うんです。

金丸信自由民主党国務大臣

○国務大臣(金丸信君) 前段の総理に対する御質問につきましては、総理が答弁されたとおりだと私は思うんですよ。  売上税の問題につきましては、私が幹事長をやめてからの話であって、ただ、最後のあなたの質問の中に修正というお話がありましたが、私は修正とは言っておらぬ。いわゆるこのような状況の中で、円高だ、あるいはドル安だ、そうして失業者は出る、あるいは倒産はあも、その他もろもろの問題が山積しておるというとき、国会がこのまま開かれておらないということは、これは政治はだれのためにあるのだ、政治は国民のためにあるということである。殊に、この予算が通らなければ、国民生活に及ぼす影響というものも考えて、後藤田官房長官に何か知恵はないか。知恵はないかと言ったその言葉に、記者がニュアンスとして、修正ととる人もあるし凍結ととる人もいる、強行採決ととる人もあったと私は思うんですよ。そういう意味で、そういうふうに御理解をいただいて、総理と私の間は一分だにすき間はない、こういうことであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理は、大型でないということで限定性を設けてある、こういうことが一つと、もう一つは、選挙中のまくら言葉で、国民や自由民主党が反対をするような大型間接税はやらない、こう言っているんですが、国民が反対しない、あるいは反対をする、この判断は何によってなさるわけですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 国会における審議の結果を見て、どういう反応が出るか、これは大蔵委員会におきまして税制として審議されるはずでございますから、大蔵委員会で慎重審議、時間をかけて大いに審議していただいて、その最終的な反応がどういうふうに出るか。やっぱり国会というのは、正規の憲法上の国民代表が国民の信託を受けてやる場所でございますから、その正式の審議を通じた結果どういうふうな反応が出るか、それが私は非常に大事である、重視しておる次第なのであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 今、県議会で撤回の決議八、反対の決議が八、慎重にやれ、これが二十。三十六の県議会がそういう決議をしている。知事は反対が六、賛成はわずか三、そしてその他の知事は慎重に、こういう意見を表明しているわけであります。県庁所在の都市の市議会、それから二つの県庁所在以外の政令都市、川崎と北九州、ここの議会は撤回二十二、反対は六、こういう決議があるわけでありますが、新聞の調査では、朝日新聞では、売上税反対の意向を表明したものが八二%、こういうふうになっている。あるいはまた岩手県におけるこの間の選挙、そして今行われようとしている地方議会の選挙、自由民主党の候補者が東京都かではほとんど全部売上税反対を唱えている、こういう状態。  総理、国民が反対をしていない、こういうふうにお考えになりますか、それとも国民が反対をしている、こういうふうにお受け取りになりますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) いろんな調査というものは、現時点におけるそういうものであると我我は一応受けとめる必要があると思います。しかし、国会におきまして売上税論議をもっとうんとやっていただいたり質問していただくチャンスがなかったわけであります。したがいまして、国会でいろいろ審議を尽くして、その間に誤解もあり、あるいは政府の考えが十分述べ切れなかったところを述べさしていただく、そういう形で私は次第に誤解は解け、理解は深まっていく。我々の努力が足りないということを非常に恐れておる次第なのでございます。ですから、やはり大蔵委員会におきましてこの問題を徹底的に論議していただきまして、そして解明していただく。  私の選挙区で、八百屋さんや魚屋さんまで反対しているという人がいて、いや口に入るものには売上税かからぬのだよ、ああそうですか、そういうような話も聞いておるんです。ですから、やはりそういういろんな具体的な問題についていろいろ論議を深めて御理解をいただくように努力していきたいと考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私が聞いているのは、方々の県議会や市議会で反対決議が自民党の議員も含めて決定をされている、半数を上回っている、そういう状態や、自民党の今度の選挙に出る人たちがみんな売上税反対を唱えている。国民や自民党が反対をするような間接税は採用しないという総理の見解に対してこういう状態が出ていることは、これはいかが受けとめておられるか、このことを聞いているんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ですから、そのとき申し上げたのは、大型間接税と称するものはというので、これは大型間接税でないと先ほどから申し上げているとおりです。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは自由民主党の、最近ずっと配布をされている自由民主党税制改革推進本部、このビラでありますけれども、ここに、「サラリーマンの大減税、断行します!!」、こうなっているわけです。今度の税制改革案で二兆何千億かの所得税の減税が予定をされておりますが、これがサラリーマンの大減税であるならば、約六兆円の歳入が見込まれる今度の売上税、これは大増税ではないんですか。二兆数千億のこの所得税の減税が大減税で、売上税は大増税ではないという理屈がつけられるのであれば教えていただきたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども総理のお話にもありましたが、歳入総額に占める売上税の金額、平年度におきましても一二%程度でございます。これはヨーロッパ各国における売上税、多いところでは四十何%でございますから、そういうことに比べましても、また我が国における現実の所得課税あるいは法人税に比べましても、金額としてはそういう意味では大きな歳入ではないということは申し上げることができると思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 所得税と住民税で減税額が二兆七千億、二兆七千億が大減税であって、年間六兆円になろうとする売上税が大増税ではないという理由がどこにあるのか明確にしていただきたい、こう言っているんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの所得税、住民税の減税は、合わせますと給与収入三百万円ぐらいのところで三六%ぐらいな減税でございます。給与収入千万円ぐらいのところで一九・何%、二〇%ぐらいの減税でございますから、これは直接税の減税としては確かに相当大きな減税であることは間違いありません。それを大減税というふうに言っておるのだと思います。減税の額そのものが歳入に占める割合、それから売上税の額そのものが歳入に占める割合、そういうことで申せば、それは売上税の占める割合の方がはるかに大きゅうございますけれども、それはおっしゃるとおりでございますが、所得課税自身としては、二けたの減税というものは、それはやはり我が国の歴史の中でも相当大きな部分に属しますことは、これは申し上げても間違いのないところであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 これは党の総裁でもある総理から重ねて答えていただきたいと思うんですが、ここに書いてある「サラリーマンの大減税」、これは所得税と住民税なんですね。何か自民党のポスターにも「国も地方も大減税。」、こういうポスターをつくって張られるそうでありますけれども、それは総額で二兆七千億なんです。それを「大減税」と、こういうふうにうたっておられるわけです。  そうすると、二兆七千億減税の対象になるサラリーマンを中心にして、国民が今度は年間約六兆円を売上税という形で負担をするわけですよ。これは自由民主党のビラで「大減税」と言っているこの所得税、住民税の減税額の倍以上の金額をかぶるわけですよ。それが大増税ではないという理由、理屈があるのであれば総理、聞かしていただきたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 五兆八千億の売上税の収入を一応見込んでおりますが、そのうち二兆九千億円の物品税の減税があります。差し引きますと二兆九千億円の売上税、そういうことになりまして半分になるわけで、物品税をやめてしまうということをお忘れなきようにお願いいたしたいと思うのであります。大体平年度にいたしまして所得税、法人税合わせて四兆五千億円、約四兆五千億円の減税でございますから、これはやはり戦後最大の減税に入ってくる、そう考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私はサラリーマンを対象にしたものを言っているんで、法人税まで含めたことを言っているんじゃないんです。二兆七千億が大減税ならば、物品税を差し引いたとしてもそれを超えるような金額は大増税じゃないですかと。こっちの方は大減税であって、どうして新たに取る方が、それよりも大きい金額になるのが大増税ではないんですかと、こう聞いているんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 売上税とそれから所得税の、あるいは法人税の差し引き等を見ましても、法人税についてはいろいろ議論がありますが、終局的には株主に行くとかあるいはボーナスに行くとかそういうふうな形で、終局的には還元されると。そういうような学者が認めておる計算方法によりましても、五十から五十四ぐらいの方は大体十六万円ぐらいの減税になる。それから、四十五から四十九までが十一万円ぐらいの減税になる。それから今度は六十前後になると、同じくこれは五十六から五十九までは十一万円ぐらいの減税になる。六十五になると、またさらにそれが十一万円ぐらいの減税になる。こういうふうにして、一番働き盛りの五十前後の方々を中心に思い切ったそういう措置を講じております。そういう意味におきまして、サラリーマンあるいは家庭の主婦というものを中心に減税をまじめに考えだということは貫いているつもりでおります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 私はね総理、これだけの大減税という宣伝をされるんだったら、その財源になっているものも大増税でしょうと。簡単なんですよ、私が聞いていることは。それを、どうなんですかと、こう聞いているんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私はこういうことではないかと思います。  お話を承っておりますと、いわゆる国の財政の立場からいえば、それは政府がしばしば申し上げておりますとおり、今度の税制改正は歳入中立的でございますから、片方に大きな減税があればそれに見合うだけの増収がなければこれは成立いたしません。そのことは別に、政府が正直に初めから歳入中立的と申し上げておりまして、プラスの側は売上税といわゆる利子課税等々が立っておるわけでございます。  しかしながら、恐らく党のその広報活動が申しておりますことは、減税、増税といえばおのおのの納税者の立場においてネット増税になるか減税になるかということが問題なわけでございますから、したがいまして、納税者は売上税を払っていただきますけれども、しかしすべての階層、すべての人々にとって税を払っていらっしゃる限りは所得税、法人税の減税の方が大きい、ネットとして減税になっておる、こういうことを言おうとしておるのだと思います。つまり、歳入全体の国の財政の話と一人一人の納税者にとってネットの減税になるのか増税になるのかといえば、党の言おうとしていることは、どなたにもこれはネットで減税でございますと、こういうことを言おうとしているのだと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 時間が参りましたので、河本さんが、自民党ではかなり有力な方ですが、凍結論を述べておられますが、これについては総理、大蔵大臣はいかがお考えですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 国会の御審議の関係等等もございまして売上税についての国民に対する広報活動が今のところ十分でないことはまことに残念でございますけれども、しかし施行が来年の一月でございますので、これからの私どもの努力によりまして、それは国民に理解をしていただくだけの時間はまだあるというふうに思っておりますので、そういう意味で施行を延ばす必要はない、また、ないように努力をいたさなければならないと思っております。  もう一つの観点は、恐らく我が国の財政、経済の運営からいって、この際やはり減税が先行すべきであると、こういう御観点があるいはあろうかと思います。しかし、そうなりますと、その歳入、歳出の差額はいかにして賄うべきかという問題に逢着せざるを得ません。今のままでございますと、それはそれだけの赤字国債を発行しなければならないということになってまいります。それでもいいというお立場もあるいはあろうかと思いますけれども、私の立場で申しますと、やはりそれは国の現実の負担、将来の負担を増すばかりでございますので、ただいまの財政からいえば、なかなかそれは簡単に決断し得ないところであるというふうに考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 総理。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じであります。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 一%問題、もう時間がございませんので一つだけ粟原防衛庁長官に伺いますが、洋上防空という体制を考えることが一%突破の大きな背景になっていると思うんですが、洋上防空ということは防衛計画の大綱のどこに触れておられるんですか。

栗原祐幸自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛計画の大綱にどこに出ているかということにつきましては後ほど政府委員から答弁させますが、防衛計画の大綱というのは、御案内のとおり軍事情勢あるいは周辺の動向、そういうものによってある程度弾力性のあるものである、それからいわゆる装備体系等が変わってくるとそれに基づきまして変化し得る、こういうものを含んでおると思うのです。  洋上防空そのものの意義でございますが、これはやはりシーレーンの中でやる作戦計画になると思いますから、そういう点につきましては、洋上防空の問題が大綱の中で洋上防空という言葉で出ていないけれども――出ているかどうかわかりませんが、しかし国際情勢その他いろいろ見ますと、これは当然そういうふうに時代の変化に伴って対応する、そういう意味合いで洋上防空というのが出てくる、私はさように考えます。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 二点お話があったと思いますが、一つ、防衛費の話と洋上防空の件につきまして申し上げますと、洋上防空そのものについては現在まだ研究中のものでございまして、防衛費その他には反映してないということは御理解いただきたいと思います。  なお、大綱と洋上防空というお尋ねでございますが、大綱といいますか、海上自衛隊そのものの任務そのものが大部分が海上交通の保護でございます。海上交通保護というのは、哨戒なり護衛あるいは掃海、もろもろのオペレーションを通じて海上交通の安全を図るわけでございますが、その際の海上交通を破壊する相手方としては潜水艦が一つはございますし、一つは機雷等がございますし、もう一つ非常に大きな要素として空からの脅威というものがございます。したがいまして、洋上防空というのは、海上交通保護のためのこちらの対応措置として、空を経て向かってくる脅威にどう対応するかということでありますので、当然のことながら海上交通の保護、つまり哨戒なり護衛なりもろもろの作戦機能の中に含まれておる機能というふうに御理解いただきたいと思います。  そういう意味で、従前から護衛艦に対空ミサイルを積むとか、対空火砲を積むとかいうようなことで洋上防空をやっておるわけでございますけれども、それらについての空からの脅威というものが今後ますます増大する傾向にあるということで現在研究いたしておりますが、まだその研究の結果は出ておりませんけれども、いずれにいたしましても、洋上防空というものの考え方は海上自衛隊発足以来あったものというように御理解いただきたいと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 そんなことは自衛隊発足以来あるはずはないんで、洋上防空という言葉は一言半句も防衛計画の大綱には触れていない。それをそういう形で膨らましてくることについては納得できない。これはまた、いずれ本体の予算審議のときに見解を求めたいと思います。  もう一つ長官に伺いたいと思いますのは、日米防衛協力のためのガイドライン、いわゆる指針、これは閣議決定、閣議に報告し了解をされている、こういうふうにずっと今まで答えてきておられるわけですが、閣議で本当にこれは決定をされているんですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○政府委員(西廣整輝君) 「日米防衛協力のための指針」につきましては、外務大臣及び防衛庁長官から閣議に御報告をし了承されたものというように考えております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 後藤田官房長官、我が党の志苫議員が質問主意書を総理あてに出しているんです。その質問主意書に対する中曽根総理大臣の答弁では、「日米防衛協力のための指針」、これについての閣議書はありませんと、こういうふうに答えておられるんです。  閣議については、閣議決定、閣議了解、閣議報告と三つの形態があるが、いずれの場合にも閣議書を作成して各閣僚が署名をする、こういうふうに内閣の方から私は答えをもらっているんですが、閣議書がないという答弁が出ている限りはこれは閣議決定はされていない、閣議報告もされていない、こういうふうになるんじゃないんでしょうか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 御質問の点でございますが、いわゆるこの指針につきましては、五十三年の十一月二十七日に開催をせられました第十七回日米安保協議委員会において了承せられ、また国防会議及び閣議に報告をし了承をせられておるものでございます。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 野田君、時間が来ております。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 じゃ、閣議書がないという答弁書がここにあるわけですが、これとの矛盾は一体どう理解すればいいんですか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまお答えを申し上げたとおりでございますが、あなたのお持ちになっているものを私は持っておりませんので、いずれそれを拝見さしていただきました上でお答えを申し上げます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 もう一つだけ。  環境庁の長官に伺いますが、昨日の水俣についての判決、これはもう長い間苦しんでおられるあけでありますから、この判決を率直に受けとめられて、控訴などをしないでこの判決に従って処理をされるべきだと思うんですが、長官の見解を伺って終わりにいたしたいと思います。

稲村利幸自由民主党環境庁長官

○国務大臣(稲村利幸君) 判決の内容をこれから詳細に検討いたしまして考えますが、昨日の判決を大変厳しく受けとめております。  当庁の水俣病の判断条件についてもこれが批判されたこと、まことに遺憾であるし残念であると、こう思います。  また、判決内容を詳細に検討し、関係省庁とも協議の上、環境行政の重要な課題の一つでもありますので、今後とも救済すべきは救済するとの観点から患者の方々の救済に最善を尽くしたいと、今この場で答弁さしていただきます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○野田哲君 終わります。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で野田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、吉川芳男君の質疑を行います。吉川君。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 本日、私は、昭和六十二年度暫定予算を審議するに当たりまして、自民党を代表して総理以下各大臣に質問できることはまことに光栄であり、御推挽をくださった先輩各位に感謝するものでございます。  さて、質問の第一は、今日、見られるような異常な国会の現状であり、議会の機能の一日も早い回復を願うがゆえに、国会自身の問題ではありまするけれども、あえて総理に所信をお尋ねするものであります。  きょうは申し上げるまでもなく三月三十一日であり、自然休会が終わりましてから一カ月以上もたつというのに、衆議院においては六十二年度本予算の総括質問がまだ完全に一巡していないという、異常というか、国民から見ればあきれ果てた状態に映っているのであります。  売上税が問題の焦点であることはよくわかりますが、この税に反対だからといって審議拒否を続けていることは、これはまさしく議会制度の自殺行為であると思います。議会制度は、私から今さら紹介するまでもなく、英国において税をめぐってつくられたものであり、議会、パーラメントという話源には話し合う場所という意味が川あります。そして英国の議会の格言に、議会は野党のためにあるという経過もあるのであります。今日、国の内外多事多難の中に一日も早い本予算の成立を願う国民の声を無視して、議会の中で質疑し討論すべき国会議員が院外活動のみに血道を上げておるという図は、漫画にもならなければ、救いがたいものがあると思うわけでございます。  それから売上税でございますが、大蔵省において何年もその構想を温めて、政府税調あるいは自民党税調で百八十時間もけんけんがくがくの議論をしているわけでございまして、そんなに悪いわけがないわけでございます。もちろん、人間のなせるわざでありまするから百点満点というものもないでしょうけれども、まず審議に入って、そしてそのよしあしを論じてみればいいわけなんでありまして、我が郷土新潟の佐渡に相川音頭という民謡がありますが、その言葉の出だしは「佳肴あれども食らわずしては酸いも甘いもその味知らず」、こういう文句で始まっているわけでございまして、きのうあたりの衆議院の一日だけの議論を聞きましても、その中でも売上税初めこれはいろいろと国民の知りたいところが数々明らかになっておると思うのでございます。  総理の所信をお伺いしたいと言っておきながら私の意見が長くなったようでございますが、この辺でひとつ総理の御所見を承りたいのであります。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) やはり国会というものが設けられましたのは、国民代表が諸般の問題について討議をし審議をし、その審議を通じて国民の皆様方に御理解を願う、そして審議を尽くした上でその採否を決する、そういう手続、これが議会主義でございますから、議会の外で物が決められたり動くのではなくして、議会の中で物が決められ動くということが厳然と守られなければいけない。これは戦前の日本のいろんな軍部の跳梁やそのほかの経過から見ましても、やはり議会の審議を大事にしてそれで物が決まっていくという点は死守していかなければならぬ大事な点であると考えております。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 私の議会政治に対する所見と同じであることを大変うれしく思うわけでございます。  次に、今最も今日的な問題でありまするところの、多事多難な経済財政問題について各大臣にお伺いさしてもらいます。  まず、大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、きのうの東京外国為替市場は、一ドル百四十四円台という円は棒上げの状態にあると思うのでございます。しかし、今日に至るまでに決して、政府は無策であったなどとは私は申し上げません。一昨年九月の一ドル二百四十四円以来四割、百円もの値上がりであり、大抵の輸出産業は、もう合理化は限度を超えて危機的状態にあると私は思うのでございます。  私は、大蔵省の提出されました円・ドル相場の推移表というものをつくづく見ますと、この下にコメントが書いてあるわけでございますが、いわゆるたび重なるG5、五カ国蔵相会議や、またたび重なる日米両国の公定歩合の引き下げをまさにあざ笑うごとく、それらの決定のたびごとにかえって反騰しているという状態が見れると思うんです。つい二月二十日にパリにおいて主要国蔵相会議が持たれて、各国とも協調して介入することが約束されておるわけでございますし、それぞれの国が出動されているということが新聞でも報道されておりまするけれども、私は、百五十円という攻防線が本当にあっという間に簡単に突破されているという状況を見ますときに、これは一体どういうことか、これはドルに対する不安感があるのではないか、あるいは日本の輸出の黒字が減らないのに対して懲罰的な操作がされているのでないか、またこの先は一体どうなるんだろう、政府はいかなる対策を施そうとなさっているのか、それらについて率直に承りたいと思うのであります。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにここに参りましてまた円が急に上昇しておりまして、これはたださえプラザ合意以来の大幅、急激な円の上昇に我が国の経済が非常に対応困難な状況でありますだけに、まことに私といたしましても心痛をいたしております。ただ、この点は我が国の貿易黒字が非常に大きい、それについての何らかの懲罰的な意図があるかというお尋ねだけは、これはそういうことではないと思います。つまり、どこかの国がそういうことを意図しておるかといえば、この点はパリ合意でございますように、これ以上の大きな為替の変動は我が国ばかりでなくすべての国にとって障害がある、こういうはっきりした認識がございますので、これはマルクにとってもあるいは米国にとっても、このような事態は自分自身が困る事態という共通認識がございますから、したがって、これが故意に仕組まれておるというふうには私ども考えておりません。  ただ、先ほどから仰せになりましたように、各国が約束しておりますいわゆる政策努力というものが必ずしも十分でない、我が国の場合もいろいろな事情がございますけれども、予算が成立しておらないというようなことが先ほど御指摘のようにございます。アメリカの場合には、もっと財政赤字の縮小なり貿易赤字の縮小が事実上ほとんど進んでいないといったようなことがございますので、市場がそこを見ておるという点はやはりなきにはあらずと思われます。  いずれにいたしましても、今回のような事態は我々としてはバリ合意で考えました共同動作をもって対処すべき事態であると考えておりますので、各国とも相当大幅な介入をいたしております。いたしておりまして、事態を鎮静させようという努力が共同で行われております。昨日の午後からただいまごろにかけまして東京の相場はやや落ちついておるようでございますが、年度末を過ぎるということにもあるいは関係があるかもしれません。いずれにしても、各国力を合わせましていわゆる市場に攪乱的な大きな変動が短時間に起こるようなことがないようにいたさなければならない、こう考えております。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 次に通産大臣にお伺いいたしますが、その一つは、六十二年政府見通しの経済成長率、実質三・五%達成にいかなる方途と自信をお持ちであるかお聞かせ願いたいのであります。これは本来は経済企画庁長官にお聞きするべきが筋かもしれませんけれども、非常に限られた時間でありますし、政策を実施する手段をよりたくさんお持ちの通産大臣からお伺いしたい次第でございます。  ちなみに、前二年の当初見通しと実績を眺めてみますと、昭和六十年では当初見込み四・六%の見込みが実質は四・三%、六十一年では四%当初見込みが実質は三%にとどまっている。つまり、かなり実績と見込みとの間に乖離が見られると思うのであります。また、三月十四日の日本経済新聞には、通産省の判断ではもう既に六十二年の三・五%達成は困難であるというふうに報じられておりますけれども、まだ始まったばかりの中で目標が修正されるなんということは私はあってはならぬことだと思うのでございまして、これがお聞かせ願いたいところの第一点であります。  それから二つ目は、これまたきのうから論議もありますように、降ってわいたような半導体対日制裁の問題でありますが、新聞の見出しだけ見ましても、一律一〇〇%の報復関税であるとか、あるいは報復の規模は三億ドルになるとか、あるいは電子、電気製品二十種の品目からどれこれ言わずに選択的に報復を受けるんだというような、大変、何というか、おどろおどろしたような報道がなされているのでありますが、通産大臣はいち早く談話を発表して、鋭意この問題に対しまして立ち向かう姿勢を示されておりますけれども、この予算委員会を通じまして、ひとつ今後のタイムスケジュールを含めまして対応策をお聞かせ願いたいのでございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 先ほどの御質問で三・五%が難しいという通産省の見解というお話がございましたが、それは若干ちょっとニュアンスの違いがあるのではないかと思います。我が国の経済は、おととしのG5以来の円高で大変デフレ状況が続いております。最近、これまで堅調に推移してまいりました個人消費にも陰りが出てまいりました。また、製造業を中心として設備投資の調整局面が依然続いております。こういうことを考えてみますと、三・五%の成長を達成させるためにはよほどの努力を必要とすると、こういうことでございます。  例えば一月の失業率が過去最高の三%というような数字を記録しておりますし、そこで、じゃどうすればいいんだと。私は、もう理屈抜きに思い切った内需の拡大だと思います。各社の重立ったところの動向調査を通産省でいたしましたが、ほとんどの企業が現在の為替レートのもとで大幅な収益減というような状況でございますし、また雇用問題も深刻化いたしております。六十二年度予算、これが早期に成立するということがまず第一の条件でございましょう。いろいろと御議論もあるかもしれませんけれども、私ども、産業という点で現場をお預かりしておる立場からいえば、何だかんだ言っても予算案がまず成立するということ、これはもう絶対的な祈りでございます。それからまた、同時に実効ある思い切った総合経済対策を講じて内需の拡大を大いに図っていただくと。このようにすれば、三・五%の成長率の達成というものは必ずしも不可能ではないと、私どもはそのように思っております。  それから半導体でございますけれども、御承知のような状況でございます。タイムスケジュールをというお話でございますが、昨日アメリカ側に対して緊急協議の申し入れをいたしました。それから、今週中に通商政策局長に機械情報産業局の次長をつけましてまず先行せしめて、本格的な緊急協議に対応するいろいろな枠組みその他の相談をさせることにしております。その上で、恐らく来週ぐらいになるかと思いますが、ハイレベルの緊急協議の場に臨みたい。本来なら私が行かなきゃならぬところでございますけれども、こういう国会の状況でもございますから、とにもかくにもバイスミニスタークラスとして黒田審議官を派遣して、それに児玉機械情報産業局長を同行させたい、このように考えておる次第でございます。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 次に、建設大臣にお伺いいたしたいのでございますが、六十二年度は暫定予算必至という段階で一番心配したのは、景気に与える影響がどうなるかということであったわけでございますが、従来暫定予算はごく基本的な経常経費のみを計上すると。公共事業の予算が組まれたのは、最近では過去十年前に一回あったきりだという話を聞いているわけでございます。その上、今度は補助率の改定もありまして、スムーズにいくのかなということを非常に危惧していたわけでございますが、建設大臣の御尽力やあるいは与党のバックアップあるいはこれは野党の御理解にもよって、当初予算の三〇%、一兆八千六百億円を盛られたということは、私は非常に高く評価してもいいんじゃなかろうかと思うのでございます。しかも建設大臣は、その上に、上半期の契約率を昨年よりさらに一〇%かさ上げして九〇%にせよという大号令を発せられているようでございますが、そのことは大変いいことだと思うのでございますが、一体そうなった場合に下期においてこの工事の息切れが来されないのかどうか、下期の工事量の確保はどうなっておるのかということをお聞かせ願いたいのであります。  民間、下世話には、朝飯と昼飯は早く食えと言っておきながらこれは夕飯の支度はあるのかどうかなと、こういう心配をしている向きがあるというのでございますが、その辺ひとつ建設大臣の御所見を承りたいと思うんです。

天野光晴自由民主党建設大臣

○国務大臣(天野光晴君) 御質問の内容ですが、まず来年度の六十二年度の執行方針ですが、これは私個人の、建設大臣個人としての話でありますが、スムーズにいくとすれば、当初予算の使える額全部を前倒ししたいと、そう考えておりました。いつになったらこれができるのか。予算が上がらなきゃこれは話にならないわけですから。それで今度の場合は、暫定予算を組むに当たりまして、私は野党の諸君に敬意を表しておるのでありますが、一括法案の審議をしていただいたということで相当やっぱりプラスになるんじゃないか。そういう観点から約二兆円近くの暫定予算に公共事業を組み入れることができたわけでありますが、この程度ではどうも執行上経済界に与える影響をよくするところまで持っていくのは非常に困難ではないか。  要するに、去年の状況を御説明しますと、去年三兆六千億という補正予算を組みました。がしかし、この三兆六千億の執行をするのに随分危惧したわけであります。いわゆる非常に雪寒地帯が多い我が国にとりまして、特に北海道のごときは経済的に非常に容易でないところでありますから、できるだけ多くの傾斜配分をしたいと思ったのでありますが、今申し上げました雪で容易でない状態の中で発注をしましたから、相当延びるんじゃないかという感じがしました。  ところが、おかげさまで雪が非常に少なくて、私随分災害関係を扱って約二十数年やっておるんですが、ことしほど雪の被害の少なかった年はありません。そういう観点から、工事がうんと進みました、執行状態が。あすから四月ですが、六十二年度に予算が、執行が相当延びると思ったんですが、それが非常に繰り上がっている状態でございますから、二兆円近くの程度のものを約二月間でカバーすることは非常に少な過ぎるという感じがいたしております。しかし、国会でお決め願うことでもありますから、それ以上頑張るわけにもいきませんので実は了承したという経過があります。  それですから、ことしの場合は、あと五十日間というと五月の二十日なんですが、五月二十日までに予算が上がってくれればその後の計画もあるのでありますが、またぞろ暫定予算を組むなんということになったらこれは、日本の経済をどうするんだと議論しておって日本の経済をみずから破壊するようなことになるのじゃないかと思うのでありますが、私は今年度の場合は昨年度の三兆六千億よりはるかに多く、こういうことを言うのは私、先ほど来総理も大蔵大臣もその発言はしておりませんが、私の個人的立場からいえば、来年度の執行に当たっては相当巨額な補正をやっぱり必要とするし、そうしなけりゃ内外の期待にこたえることは難しいんではないかという考えをいたしております。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 建設大臣から、先行き明るい御答弁をいただいたわけでございます。  次に、この項の経済、財政の最後に、総理に一問お伺いしたいのであります。  たび重なるこの円高、構造不況業種、国際公約ともなった内需拡大を克服するためには、いま一段の経済政策が要望されているところでありますが、総理は先日来、官房長官を通じまして、総合経済対策の必要性を示唆されているということを新聞は報じておるわけでございます。まことに私は時宜を得た指摘と歓迎するのでありますが、その中身をひとつ聞かしてもらいたいと思うのであります。そして、その対策の中に整備新幹線の着工を組み入れるべきだと思うのでございます。整備新幹線の財源問題等検討委員会が去る二十六日に総理官邸で開かれまして、財源の問題、収支見通しなどについて、条件整備のほかに、後藤田官房長官、宮澤大蔵大臣、伊東政調会長、細田特別委員長の四者と、橋本運輸大臣ら関係者も参加する小委員会が設置されまして、早急に結論が得られるべきだということで一致されたそうでございますが、総理はこの問題を含めまして内需拡大にいかなる方途をお持ちでありますか、お伺いしたいのでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) この問題につきましては、相当前に近藤企画庁長官に対しまして、予算成立後直ちに行うべき総合経済対策の検討を命じておるところでございます。先般、また党におかれて、お願いいたしまして、政調会長伊東さんにも直接いろいろ案を練っていただくようにお願いをいたしております。何としても予算を早く成立さしてそしてお金を使えるようにするということが大前提でございますが、その上に立ってかなり思い切った案をつくっていただくようにお願いをいたしております。恐らく来年度の概算要求をどうするか、あるいは夏か、あるいはそれ以後に出てくる補正予算という問題についてどう扱うか、そういう諸般の問題についても思いをめぐらして、思い切った総合政策というものを考えておる次第でございます。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 思い切った政策というお話でございましたけれども、整備新幹線のことに触れられないことについては残念とするのでございますけれども、これも立場上やむを得ないと思うのでございます。  次いで、雇用失業問題について労働大臣にお尋ねいたします。  今さら私から申し上げるまでもなく、円高不況と産業構造の転換というダブルパンチを受けまして、我が国産業は一部を除いて大変苦境に立っております。特に企業城下町、輸出関連産地はそれこそ町ぐるみ、地域ぐるみの崩壊さえ心配されております。こうした情勢を反映して失業率三%、完全失業者百八十二万人を超えたと報道されております。これは昭和二十八年、労働省が失業に関する統計をつくり始めて以来初めての数字と聞いております。加えて、企業内に抱えておる潜在失業者は八十万とも九十万とも報じられております。これに対して、労働省はいかなる施策をとられようとしていますか。特に、目新しいのに三十万人雇用開発プログラムというのがありますけれども、これで十分だと見ていられるかどうかお伺いするものでございます。  先日、私はある委員会で野党の議員が、三十万人の雇用開発と言うが実際は十一万五千人であり、その財源は挙げて雇用安定資金よりのものであるとの批判を聞きまして、早速労働省の職員を呼んで聞いたわけでございますが、確かに新たな雇用機会の開発は十一万五千人でございますが、職業転換の訓練助成制度の創設や失業の予防、雇用の維持を入れて三十万人ということもよくわかったわけでございます。また、金額的にも一千百三十億円に上っておりますが、これは確かに労働省プロパーの予算の持ち出してはなくて、雇用保険の積み立ての取り崩してあります。今日あることを予想してできた積立制度でありまするからこれを利用することは当然ではありましょうけれども、何かまだちょっと物足りない気持ちであります。私は、中長期的に見れば日本の雇用情勢はそれほど悲観的なものではないと思いますし、今日言われておるミスマッチの問題を克服するか否かが成否のかぎと思われますが、労働大臣の雇用開発、失業対策のことについての所信を承りたいのであります。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) お答え申し上げます。  現状の雇用不安と申しましょうか、これはもう今委員が申されましたような失業率その他雇用指標にも明確に出ておりまして、特に地域また業種に対するしわ寄せは相当憂慮されるものがある、かように考えております。したがって、労働省のこの三十万人雇用開発、これらを中心とした今後の対策はどうかということでございますが、今委員からも御指摘ございましたように、この雇用開発の柱というものが三つございまして、一つには、今後非常に就業が高度化また多様化していく中で、特に労働力のミスマッチ、労働力移動が非常に難しいという現実の中で、それに対応するために職業転換訓練に対する助成制度というものをこのたび創設したわけでございます。いま一つは、これは民間主導でございますが、産業雇用安定センターというものをつくりまして、これに対して労働省が運営費等を補助し、全国安定所を挙げて援助をしてまいるということが一つございます。  いま一つは、昨年来やっておりますけれども、雇調金制度を拡充し、指定基準を緩和していく。そのことによって失業を予防する、雇用の維持を図る、これは従来からの基本的な政策でございます。  いま一つ、三番目の柱は、つい先般皆様方の御理解を得まして成立いたしました地域雇用に対する開発等の促進法案。これはかなりな柱になっておりまして、このたびの暫定予算におきましては二千七百六十一億という雇用関係の御予算を認めていただいておりまして、この中でこのプログラムに対する経費は百五十八億ということになっております。  ただ問題は、やはり労働省の雇用対策だけがひとり歩きするわけでございませんで、基本的には、たびたび委員会等でも出ておりますように、何と申しましても、各産業界が望んでおりますこの為替の安定とまた抜本的なめり張りのきいた内需の拡大によって雇用機会、雇用そのものの増加ということがございませんと、いかに制度を懸命に運営いたしましてもなかなか十分な効果を発揮し得ない。きょうの閣議でございましたが、既に地域雇用開発等の促進法案、これに基づきまして地域指定を行いました。四月一日よりこれは思い切って実施をいたしたい。参考までに申し上げましたら、一般地域として百十二安定所、特定といたしまして四十三安定所、既に指定をしておりますが緊急雇用安定地域としては、これは市町村でございますけれども、百三十一市町村ということでございます。  せっかくできた法律制度でございますので、要は制度の運営いかんにかかっておろうかと思っております。そういう意味では、相当弾力的に地域の特性に応じてこの制度の趣旨が生きるようなそういう形でこの制度を懸命に周知徹底し、一つでも多くの中小企業に、また労働者の方々に利用していただくということで万全を期してまいりたい、かように考えております。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 制度を生かされまして、実績を上げていただきたいと思うのでございます。  最後に、中曽根総理に一問御質問申し上げます。総理の税とは何か、あるいは大型間接税とはという定義づけについて若干お尋ねしたいのでございます。  私は昨年初めてこの予算委員会に配属されまして、本当に身近に総理の答弁を聞く機会をいただきましていつも感じておりますことは、さすがやっぱり議会経験四十年、何を聞かれましてもたじろがない、よどまない、実に明快な答弁ぶりでありまして、私はそれを非常に驚嘆しておるわけでございます。そして、税とは公平、公正、簡素、選択、活力。大型間接税とは何かという問いに対しましては、普遍的、包括的、網羅的で多段階、縦横十文字で、最後に投網を打つような税金は取らないという言葉には、その表現の豊かさ、巧みさに感嘆久しゅうしたわけなんでございます。  しかし、今考えてみますと、このたくさんの定義づけというか形容詞の多用によりまして、国民に誤解を与えられたんでないかなという心配を実は私はしているのでございます。国民の名に転嫁するまでもなく私自身が、あれほどこういう間接税は取らないという定義づけをされたり、あるいは幾つにも縛りをかけられた上に、政府税調や大蔵省や自民党税調というものが総理の言われていることだから忠実にこれは守らなきゃならぬといった場合に、一体どんな税金ができるんだろうと私は非常に懸念したんですが、さすがは総理の希望されているのをクリアして売上税というのをつくられたわけでございます。ただ、投網のような税にしないために、すその方を一億円という各国にも例を見ないような高い免税業者をつくる、あるいは非課税項目といえば生活必需品の三分の二も非課税項目になってしまう、五十一品目も逃れられるというような、相当これ総理のこの定義づけを忠実に守るために無理をした、苦心をしているんでないかな、このために新たな不公平を生んでいるのではないかなということを私は思い悩んでいるんです。  端的に申し上げさしていただきますれば、売上税といったものができた以上は、税とは、あるいは大型間接税とはという評価とか形容はもう人にお任せになったらいかがですか。この辺のことについて総理のひとつ率直な御見解を承りたいのでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 吉川さんの御質問は、国民の皆様が疑問に思っていらっしゃるそのお気持ちを代弁されたものだと思います。  私は議会主義者と前から申し上げましたけれども、やはり議会における答弁というものが国民の皆様に対する答弁である、そういう考えにも立ちまして、大内書記長やあるいは公明党の矢野書記長の御質問に対して、そういうように政府統一見解を申し上げてきたわけでございます。しかし、国民の皆様方はそういう細かい内容等については余り御関心もないし、お忙しい方々でございますから、そういう点については御認識がないのは無理もない点でございまして、そういう意味において非常に誤解も受けまた御心配もかけているということについては、私は申しわけないと思っておる次第なのでございます。  しかし私は、かねがね申し上げておりますように、自分としては公約を忠実に守ろう、そう思って努力もしてきたし、また政府税調、党税調についても、これこれのことを言ってきておるから公約違反にならないようにということで申し上げたと。そういう点でああいうことになっておるわけでございますが、しかし、やはり野党の皆さんから御質問がありますように、間接税というものは逆進性がある。逆進性は何のために排除しなきゃならぬかといえば、弱者保護という点ですね。そういう意味におきますと、減税の恩恵に浴さない所得の低い方々、その面倒等も考えてみますと、社会政策的意味においても、社会正義感から見ても、そういう生活必需品のようなものはできるだけ排除するということは、私はやっぱり政治家として心しなければならぬポイントであると思うのであります。  それから中小企業者につきましても、これは大型店、スーパーとかあるいはデパートのような大資本でやっているところと競争という面も考えてみまして、やはりその人たちも我々は真剣に考えてあげなきゃならぬ、そういうような思いはかりもありまして今のような例外が多数つくられたのであると承知しておりますが、これは善意でやって、社会政策的な観点も含めて弱者保護のために実はやっておるところなのでございます。  しかし、そういう真意がまた正当に受け取られないで、余計煩瑣にしたとかなんとかという御議論のあることも承知しておりますが、どちらがよろしいか、そういう問題については大蔵委員会で篤と御審議していただきまして、そして皆様方の御議論の行く末というものを我々は虚心坦懐に見てみたいし傾聴していきたいと、そう考えておる次第でございます。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 吉川君、時間が来ました。一問だけ。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 一問だけお願いします。  大蔵大臣に、続いて一言苦言を申し上げたいのでございますが、この税の説明に大蔵省は、減税のための増税なんだ、これは増減税同額であってとんとんである。それからまた、歳入中立ですか、これ何か英語でレベニュー・ニュートラルと言うとなかなかいかにもありがたそうな名前になるんですけれども、そういう言葉で言われることも私はいかがかと思うのでございますが、どうも別々の税金なのにいつまでもこれ増減税同額という説明はいかがなものでございましょうか。  私は、今の国の百五十兆もの借金、我々の世代においてつくった赤字なんだから、借金なんだから……

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 吉川君、質問は簡単に。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 簡単にします。  後代にそのツケを延ばさないんだという方を主力にしてこの税を説明された方が国民にもっとわかりやすいんではないかなと思うのでございますが、この点いかがでございましょう。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに歳入中立的という言葉が少し技術的に過ぎた点はあろうかと思います。直接税の減税は非常に大事なときでございますのでぜひやらせていただきたいと思いますが、財政の事情から申しますとそれを公債で賄うわけにもまいりませんので、かたがた二十一世紀に我が国が非常に老齢化するということも考えまして、この際間接税をお願いしたい、こういうふうに考えておるところでございます。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で吉川君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。  昭和六十二年度暫定予算三案を一括して議題といたします。  峯山昭範君の質疑を行います。峯山君。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それでは、総理に端的にお伺いしたいんですけれども、その前に、午前中の質疑でもございました地方議会における意見書でございます。先ほどもお話がございましたように、たくさんの都道府県本部で意見書が採択されているわけでございますが、政府としてこの意見書をどういうふうに掌握していらっしゃるか、これは担当の大蔵大臣からお答えいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 申しわけありません、よく存じません。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 地方議会の御意見というものは、それなりに参考にさしていただきたいと思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これ、どのくらいの県でどういう意見書が大蔵省に届いているかということを御説明願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 申しわけございません、関係の政府委員からお答えいたします。

津田正自治省税務局長

○政府委員(津田正君) 地方議会におきます売上税に関する決議または意見書の状況でございますが、私ども地方団体のすべてについて把握しているわけではございませんが、都道府県におきまして、本年二月から三月の当初議会の状況について、採択された文面から判断いたしますと、売上税について明確に反対または撤回を求める趣旨の決議、意見書を採択した都道府県が十五、売上税について慎重審議を求める趣旨の決議、意見書を採択しております都道府県が二十一と、このように承知しております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 この意見書はどういう法律に基づいて出されているんですか。

津田正自治省税務局長

○政府委員(津田正君) 地方自治法におきましては、公益に関する事件につきまして議会は意見書を表明できると、このような格好になっております。それから先ほどのお答えでもいたしました決議ということについては、自治法上の特段の規定はなくて、議会がそれぞれ自主的に議会の機関意思をまとめておると、こういうものでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 地方自治法九十九条二項に基づいてこういう意見書が出されているわけでございますけれども、政府として、この意見書を受け取って、これはどういうふうに処理をしていらっしゃるか。これは自治大臣なんですか。大蔵大臣と私は考えていたんですけれども、どっちなんですか。

津田正自治省税務局長

○政府委員(津田正君) 意見書につきまして自治法の規定に基づきまして関係行政官庁に提出される、こういうようなものでございます。それぞれのその意見書の趣旨というものは、地方議会におきますそれぞれの立場におきます御意見の表明であるというふうに考えておるわけでございまして、政府と申しますか、自治省関係につきましては自治省に来るわけでございますが、国民の意見の一つとして参考にさせていただいておる、こういう状況でございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 先ほどの三十六の意見書というのは、今関係行政官庁に出されるというふうになっているんですけれども、どこへ出されているんですか、これ。

津田正自治省税務局長

○政府委員(津田正君) 地方自治に関しましては自治省なり、あるいは国税関係ですと大蔵省にも出されておると考えております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 だから、売上税は大蔵省に出されているわけですが、どう処理されましたか。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) 各種団体等からお出しいただきました意見につきましては、税制調査会にこれを御報告することになっておるわけでございまして、その事務は私どもと税務局とで所管をいたしておるところでございます。これにつきましては、そういったものをある段階、時期ごとに整理して税制調査会の方に御報告を申し上げておるというところでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 大蔵省はどのくらい掌握しているんですか。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) ただいまの突然のお尋ねでございますので、現在正確な数字は持ち合わしてございません。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 突然の質問とかいうお話ですけれども、これは各地方議会からきちっと意見書が出て、今自治省の方からお話ございましたが、反対、撤回合わせて十五の都道府県、慎重が二十一、合計で三十六の都道府県から出ているわけですよね。これをいまだに掌握してないというのはまことに私はけしらかぬと思います。これは大蔵大臣、早急にきちっとどうなっているか掌握して、それなりの対応をすべきだと思うんですが、どうですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 自治省に出されますとともに、同じものが私どもの方にも参っておるに違いないと思いますので、それはよく調査をいたしまして御報告をいたします。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これは大臣、参っているに違いないというそんなばかなことはないんです。  総理大臣、これは非常に私は大事な問題だと思っております。新聞でも何回も報道されておりますし、この売上税に対する反対、慎重、修正といった非常に大事な意見書が出されているわけです。したがいまして、現在の時点で国民の意向というのは今のこの意見書の方向に進んでいるんじゃないか、こういうふうに私思うんですけれども、総理どうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 一つの御意見として参考にさしていただきたいと思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 総理、この売上税反対あるいは慎重、今の意見書の扱いですけれども、この意見書について総理はどういうふうにお考えでございましょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 県議会という正規の機関でまとめられた一つの御意見である、そういうふうに我々としては考えて旧政上の参考にすべきものであると考えます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 大蔵大臣、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理の言われるように思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 自治大臣、いかがですか。

葉梨信行自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(葉梨信行君) 総理が言われたとおりで、十分に意見書を拝読して参考にしたいと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 総理、この意見書を紙切れだというふうに発言した人がいたとしたらどう処理しますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) やはり正規の機関の御意見でございますから、それなりに丁重に扱わなければいけないと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これは、総理、あなたの党の国民運動本部長さんが三月一日大阪市内のホテルで開かれた大阪府自動車整備業支部の大会で発言された中身なんですけれども、それに抗議した抗議文なんです。こういうふうに発言しているんですよ。「大阪市議会をはじめ、地方議会で(売上税の)反対決議をしているが、何の関係もない。紙切れと同じだ」、こういうふうな発言をしているわけてあります。これは一体どういうことなんですか。こんな発言を許していいんですか。これはやっぱり厳重に注意するなり、今皆さん方一人一人が発言をした趣旨とは全く違う反対の趣旨になっているわけです。私はまことに遺憾と思うんですけれども、総理のお考えをお伺いしておきたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私はその発言というものを承知しておりませんが、もしそのとおりであるならば注意をいたします。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それでは、ちょっと違う方向からもう一つ質問したいと思います。  総理、総理は選挙の最中に、これは何回も出た話ではございますが、多少確認の意味でお伺いしておきたいと思います。  売上税の問題につきまして、六月十四日には、国民や党員が反対するような大型間接税をやる考えはない。それから六月十九日には、内閣総理大臣として、大型間接税という国民が反対し党員が反対しているようなものはやりません。六月二十三日には、国民が反対し党員も反対するような大型間接税と称するものはやりませんと、こういうふうに発言をなさっていらっしゃいますが、このとおりでございましょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、国民や党員が反対するような大型間接税と称するものはやりません、そういう趣旨のことを言った記憶は十分ございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 そこでお伺いをいたします。  まず総理、総理の言うこの国民というのは一体だれを指していらっしゃるんでしょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本国民のことであります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 まず、この朝日新聞の世論調査によりますと、八二%の皆さんが売上税反対、売上税導入反対である、こういうふうに表現していらっしゃいますし、また売上税導入は公約違反であるという方が七四%いらっしゃいます。  私どもの党が売上税導入反対の署名運動、請願運動をいたしました。初め一千万名の署名運動を始めたんですけれども、どんどんどんどん集まりまして、千五百万はもうはるかに突破して、この間二千万名を突破いたしました。有権者四。五人に一人の方が売上税導入反対の署名をしてくださっているわけであります。こういうたくさんの方か署名をしていただいているわけでありますが、こういう方々は総理の言う国民と違うんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 国民のかなりの数であると思います。ただ、売上税の内容その他について政府側の努力が足りませんで、十分まだ御認識のない面もありあるいは誤解されている面も多多あるようでありまして、これらについては十分知識を、知識と申しますか、内容についてお知り願うように大いに努力してまいりたい。そういう意味におきまして、大蔵委員会におきまして十分いろいろ甲論乙駁の御議論をしていただいて、国民の皆様の前に聞いていただきたい、そう念願しております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 ですから総理、議論するとかそんなことを言っているのじゃないんです。総理が言った国民というのは一体だれのことなんだ、我々反対している人たちは国民と違うのか、そういうことです。これは明確にお答えいただきたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵委員会におきまするいろいろな論議の終末過程においてどういう反応が出てくるか、それが議会政治においては一番大事なことでございまして、私は、国民の世論というものも十分尊重しなければなりませんが、やはり議会における審議というものも議会政治のこれが生命であります。  議会の外で物が決まったというのが太平洋戦争のときの悲劇の原因でございました。やはり議会で物が決まっていくという、この根本だけは死守していかなけりゃならない。議会において十分論議をして、その意見を聞いた上で国民がどう御判定をなさるか。国民の意見、議論というものは、議会における十分な議論の上に立った御意見というものを私たちは期待しておるわけであります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 ですから、総理の言う、大蔵委員会でしっかり議論しましょう、それが議会制民主主義のルールだと、それはそのとおりでいいんです。そうしましょうと、私たちもそう思うんですよ。  しかしながら、総理が言う、選挙の最中にあなたが一生懸命おっしゃった、国民や党員が反対する大型間接税と称するものはと、あなたはおっしゃっておるわけです。国民や党員が反対するというこの国民は一体だれのことかと言っておるんです。二千万名の人たちが署名しています。世論調査で八二%の人たちが売上税反対と答えておるわけです。こういう人たちは国民と違うのですかと、こう言っておるんです。どうなんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) その時点における国民の一部の御意見であると我々は承ります。しかし、国民の御意見も、理解が深まり、あるいは議論をいろいろお聞きすれば変わり得るものでございまして、売上税については国会におきまして十分な論議をまだやっておりません。ほとんど入り口にもまだ入っていない程度ではないかと思うんです。中身についていろいろ御議論を願って、十分御議論の内容をお聞き願った上で国民の皆さんがどういうふうに判定するか、そのときの御議論というものもまた非常に議会政治の上からは重要視すべきことであると思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 いや、それは総理、私の言っていることはちょっと違いますよ。議論が深まってから云々というふうにおっしゃっていますけれども、そうじゃない。私が言っているのは、あなたが言っている大型間接税、選挙の最中に一生懸命言った国民というのは、これだけ八二%というと、それは理解が深まってない人も何人かいるかもしれません。しかしながら、現在ではもう大部分の皆さん方は理解が深まっているんです。大変な資料が今出ています。本屋さんに行ったらいっぱいですよ。どういう点に問題があるかという本はもうちまたにあふれています。  そんな中で、だんだん売上税の中身が深まってくればくるほど、この売上税反対の声は強まっているじゃありませんか。しかも、自民党の皆さんの中にすらどんどんどんどん広がってきて、選挙になっても総理大臣に来ていただきたいという人が少なくなってきたじゃないですか。そうじゃありませんか。  そういうのは多少余談にしましても、私は、この国民というのは一体だれのことを言っているのだと。我々反対している人や二千万名署名した人、あるいは世論調査の中に出てくる人たちは、これは総理の言う国民と違うのかと。私は地元でも、総理にちゃんと聞いてくる、総理がこういうふうに言ったと言いますと約束してきました。ちゃんとこの問題に答えてください、きちっと。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 我々の選挙区の何か内部等を見ますというと、先ほども申し上げましたように、八百屋さんや魚屋さん、税金がかると思っていらっしゃる方が多いようです。しかしそうではないんですと、口に入る物は全部それは除外されております。あるいは一億円以下の仕事をおやりになっている方でも、自分がかかると、そういうふうに考えていらっしゃる方もかなりおります。そういう意味におきまして、我々のそういう周知徹底の努力が非常に不足しておるし、誤解がまた非常に多いと思うのであります。ですから、正式な認識を得ていただくということが政府・与党が今やらなきゃならぬ非常に大きな仕事でございまして、その努力の上の考え方というものも私たちは考えていかなけりゃならない、そう思うわけです。  なるほど、峯山さんの党がいろいろ御努力なすって署名を集められたのは、それはそれなりの一つの御意見として我々は承っておりますが、しかし国民の御議論というものも、やはりいろいろな情勢の変化、あるいは認識の深まり、我々の周知徹底の努力というものによって誤解も解けていくという面も多々あると考えておるわけであります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これは委員長、全く総理は私の質問には一つも答えていませんよ。これはもう一つ、総理のおっしゃっていることについてもう一回申し上げますと、総理、地方議会の決議は先ほど自治省から報告があったとおりであります。反対、撤回十五、慎重二十一の県議会。これは昨年の選挙、あるいは昨年の年末のいろんな議会ではこういうことはなかったんです。この間岩手の選挙で自民党が大敗してから急に、売上税の問題や何やかやが浸透し出して初めてみんな反対の決議が大きく広がってきたわけです。そういう点からいきますと、私は、総理が考えていらっしゃることとは全く逆の方向に行っている、そう思いますよ。そういう点からいきますと、総理がおっしゃったこの国民という問題について明確にもう一回お答えいただきたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) その時点その時点でやはり国民の考えも変わってくるということは、世論調査が行われるたびによくわかっていることでございます。そういう意味におきまして、今の売上税に関しては非常に誤解が多いし、我々の周知徹底の努力が不足しておると、そのように認識しております。ですから、その時点における国民の世論あるいは世論調査、それはそれなりに我々としては参考にさせていただいておりますが、しかし世論というものは流動的でもあります。我々の努力が非常に不足しているためにそのような誤解を与えているということは申しわけないことでございまして、そういう努力を大いにしていきたいと考えております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 総理、総理がおっしゃっていることと私の質問していることは全く違うでしょう。政府の努力が足りなかったということと、総理が約束したこの国民というのは一体だれのことなのかということとは全く違うじゃありませんか。少なくとも総理であれば、この国民というのは、売上税に反対する人も賛成する人もすべて含めた国民じゃありませんか。そういうような意味では、私は総理がおっしゃっていることはもう詭弁も甚だしい。総理は、総理に就任された一番初めのこの議会で、「政治を支えるもの、それは、国民の信頼であります。」と、こうおっしゃっていますけれども、この総理が言う国民と売上税に出てくる国民と、これはどう違うんですか、総理。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) やはり日本の国民として我々と一緒に生活していらっしゃる大勢の同胞、これを私は国民であると思い、大切にしなきゃならぬと思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 そうすると、売上税に反対しているたくさんの同僚の皆さん方は、これは国民じゃないんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) いや、もう国民であると最初から申し上げているとおりでございます。ただ、国民の世論というものは変わり得るものであり、我々の努力が非常に不足して申しわけない状態にあると、そういうことは今申し上げたとおりであります。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。  中曽根内閣総理大臣から峯山君の質疑に対して再度御答弁を願います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 公明党の皆さんが署名を寄せられましたり、あるいは世論調査等の結果につきまして表明されている一つの考え方というものは、その時点における国民のお考えである、我々も参考にしなければならぬと思っております。しかし、国民の皆様方の御議論というものも、我々の努力の不足によって、まだ内容もお知りにならない方も多々あるようでもありますし、我々の努力の不足をみずから責むるものでありまして、大いに今後も努力をして、そしてよく認識を深めていただくようにいたしたいと思っております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。  峯山君に申し上げます。  御不審の点がございましたら重ねて御質疑を願います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これは委員長、聞いていただきたいんですけれども、私は、先ほどから何回も申し上げておりますように、総理が、国民が反対し党員も反対するような大型間接税は導入しない、国民が反対するような大型間接税は導入しないと。これは国民が判断をするわけですよ、大型間接税であるかどうかということも含めて。その中の国民というのは一体だれのことを言っているのかと私聞いているわけです、二千万名署名した人たちは一体だれなんだと。この売上税に反対をしているんじゃないか。もしそれが総理の言う国民ということになれば二千万人の人たちが反対している。こういう人たちはみんな売上税を大型間接税と受け取っておるわけです。ということは、明らかに総理は公約違反になるそういうふうな法案を出しているわけですよ。とんでもないと私は思うんです。  だから、総理が日ごろ言う国民というのは、要するに我々反対する者は含めない国民じゃないのかと、そういうことになるでしょう、総理。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げましたように、公約違反云々という事柄のお話でありますが、これは大型間接税と称するものはということで、大型間接税と心得ておりましたものは、矢野書記長にもお答えを申し上げたとおり、ここで正確に政府の統一見解として申し上げたものを大型間接税と申し上げているんで、それはやらないように非常に注意をしていろんな例外をつくったりして努力しておるわけで、公約違反ではないと考えておりますと申し上げているとおりなんです。  しかし、おっしゃいますように、公明党が署名を集められたり、あるいは世論調査の結果というようなものは、その時点におけるそのときの国民の皆様方のお考えで、それに応じた方々のお考えでございまして、それはそれとして参考にすべきである。しかし、政府の我々の側から見ると、努力の不足を責めなければならぬし、今後も努力していきたいと、そう申し上げているところなのであります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 私、総理のそうおっしゃっていることはもう全く納得できません。私が言っていることについては何一つ答えておられませんので、総理、これは聞いておきましょう。  あなたの党の河本さんは、売上税は凍結と派の意見として固めたというお話も新聞に報道されています。これは総理としてどうお考えですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 自民党の党議はもう総務会で正式に決定しておるので、河本さんのお考えがどういうものであるか私は確認したものではございませんが、党議というものは厳然として揺るぎなくあると、このように申し上げる次第です。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 だから、河本派で決めたこの意見についてはどう考えているかということ、その点きちっと答えてください。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 自民党の中にはいろいろなお考えもあり、それが自由民主主義の自民党の特色でございますから、そういう一つの御意見もあるのかなと。しかし、総務会に別に提議しているわけでもなし、私のところにも来ているわけでもなし、一つの御意見としてもしそういうことがあるとするならば受け取っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 総理は売上税が大型間接税でないということに二つの歯どめを設けておられます。一つは一億円以下の足切り、それからもう一つは五十一品目のいわゆる非課税項目、この二つがなければ売上税は大型間接税になりますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) そのほかに税率の五%というものが外国から比べれば非常に低い。それから税収の額におきまして、フランスあたりでは税収の四五%、それからドイツで二九%、イギリスで二二%、我が国の場合は六十二年度予算では三%である。それで平年度にした部分でも、これを中央と地方とネットにしますとたしか八・七%ぐらいでありまして、そして実際金額から見ましても、所得税が今十六兆いただいておる、法人税は約十二兆弱いただいておる、それから酒税が二兆円いただいておりますが、所得税、法人税というのは大型でしょう、税収からしたら。しかし、そういうような面から見ますと、二兆九千億、物品税を引きまして、これは大型とは言えないと、そう申し上げておるわけです。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 どのくらいから大型とお考えなんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これはだれが大男でだれが小男だというようなもので、何センチから幾らというふうなことはちょっと言いにくいんじゃないか。大体の全体のバランス、バランスの感覚から見て私は申し上げておるわけでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それは総理、大型間接税であるかどうかという判定をするのに、たった一つの売上税が大型であるかどうか、総理が歯どめをかけた問題を省いても大型であるかどうか判断のしにくいような、それをあなたは大型間接税はやる考えはないと、こうおっしゃっているわけですよ。それだけ考えても国民が理解に苦しむのはもう当然だと私は思うんですね。ですから、そういう点はもう少し謙虚にやっぱり国民の声というのを聞いていただきたい、本当に私そう思いますね。  当然私は、売上税というのは河本さんがおっしゃる棚上げあるいは廃案にきちっとした方がいい。売上税があるから予算もおかしくなっているわけです。現在の景気対策もできないわけです。売上税さえ総理が今これ撤回するなんて言ってみなさい、一遍にはっと進みますよ、本当に。そこが一番のネックになっているんじゃないかと私は思うんですよ。どうですか、総理。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今までいろいろ申し上げたとおりでございまして、遺憾ながら貴意に沿いかねます。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。鶴岡洋君。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 売上税の問題は、論議が深まれば深まるほど総理の方は理解が深まって反対が少なくなるというようなことですけれども、私はもう逆だと思います。いずれにしても、この論議をやっていたんでは平行線ですから、私はほかの角度から質問してみたいと思います。  政府が提出しているこの売上税ですけれども、いかに国民生活に酷税であるか、今までの論議で明らかであります。しかし、政府は売上税を撤回しないと今も強硬に言い張っているわけで、そこでこの売上税が創設されたら農家にとっては及ぼす影響は大変でございます。  農水大臣にお伺いしますが、農産物、畜産物は非課税、こういうことになっておりますが、農産物の生産に使われるいわゆる肥料、農機具、また生産資材、または運送、包装、これは当然売上税の対象になるわけです。その影響を受けることになるわけでございますけれども、そこで農家はどのように生産する農産物に価格転嫁をしていくか、これが問題でございます。端的に言えば、農家は容易に農産物の価格は農家自身では決められない、付加価値もつけられない、こういうことになっております。したがって農家にかかる負担というのは大変大きくなります。この農家に及ぼす売上税の影響、また税の負担額、これはどういうふうに見ておられるか、農林大臣お答え願いたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 鶴岡委員御指摘のように、飲食料品は生産、流通において非課税になっております。しかし、同じく御指摘のように、肥料、農薬、農機具、ダンボール等の資材や出荷の際の輸送、サービス等が売上税の影響があらわれることは否定できないことだと思っております。  ただ、計算してみますと、平均的農家というのは、農業所得が百七十万、それから給与収入が五百二十万、ここら辺の問題で、今回政府が提案いたしております所得税の減税、住民税の減税等の計算をやりますと、一戸農家当たりの平均減税額は十一万円、そしてこの売上税に関係するものが約四万九千円強ということになりますと、差し引き六万円ぐらい農家経営は楽になるのではないかと計算をいたしております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 もう一つ、この売上税は食料品等売上一億円以下は非課税、こういうことになっておりますけれども、農業関係でも一億円以上の大規模な生産者はおるわけです。特に養蚕業農家はこの売上税の対象になってくると思いますけれども、この養蚕業は、御存じのように今非常に厳しい状況にあることは大臣も御存じのとおりです。こういう業種に対しては政府は一体具体的にどのように対処されるのか、この点はいかがでございますか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) そういう生産性の向上と構造改善を行って、国際的にも競争力を持ち、国民に理解と納得をされる意欲ある農家を育成していきたいという立場でございます。そういう観点から見まして、一部酪農関係あるいは養鶏関係等一億円以上の売り上げの農家はありますけれども、これらが行うものは飲食料品ということになりますと、先ほど申し上げましたように、生産、流通において非課税でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 時間がございませんので、もう二点ばかりお伺いします。  食管法の趣旨は私よくわかりますけれども、いわゆる農家の再生産、それから消費者の保護、こういうことでございますけれども、現実には生産者米価が消費者米価より高く位置づけられておりますから、食管赤字がそこで発生しているわけです。これに対して、財政制度審議会、その後の臨調答申を見ても、この食管赤字の縮減を提言しております。したがって、末端逆ざや、売買逆ざやの解消に努めてまいりましたけれども、今後どこまで切り込めるのか、これが一点。  それから関連して食管制度でございますけれども、米の生産者価格の対外比較の面では、その乖離、アメリカと日本、それからタイと日本、これは大変格差が大きくなっております。米の輸入の声も出ておりますし、特に対日貿易赤字の大きいアメリカからは自由化の強要、さらに国内においては食管制度をやめたらどうだと、こういう意見まで出ておりますけれども、このような意見に対して政府は今後どんな対策をとるのか、食管制度をどうするのか、この点についてお伺いいたします。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 私が改めて申し上げるまでもなく、また昨年の臨時国会において当委員会においてもお答え申し上げたわけでございますが、米は国民の主食であり、我が国の農業の基幹をなすものでございます。また、水田稲作というものは、自然環境の保全あるいはまた我が国の長い伝統文化の形成に深く結びついておる極めて重要な作物でございます。そういう中で昨年暮れ農政審の報告をいただきました。それは生産性の向上と構造改善を図れということでございまして、国民に理解と納得される価格形成に持っていきなさいということ、あるいはまた衆参両院の本会議で決議されました米の基本的な需給体制を確立していけという決議等もございます。こういう過程を踏まえながら、食管制度というものは、生産者に対しましてはその再生産を保障し、消費者に対しましては安定的にその供給責任を果たしていくというこの制度の基本は維持しながら、国民各階層から理解と協力が得られるような適切な運用改善を図っていきたいと思います。  なお、米国、タイ等における米の生産者米価あるいは消費者米価における内外価格差の問題には、十二分に配慮しましてやっていきたいと考えておるところでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 最後に総理にお伺いしたいんですが、総理、訪米なさるそうですけれども、先ほどの野田委員からのお話で、向こうへ行っていろいろな問題が議題になる。金融問題もそうでございますし、それから貿易摩擦の問題、INFの問題もあると思いますけれども、半導体の対日報復措置がとられたということについて、また米も大きな問題になるのではないか。特に米の問題は、昨年アメリカは法案も出されましたし、またカットに提訴するという動きもございます。そういったことで米に関して議題に当然私はなってくると思うんです。この米に対して総理はどういう話をされてこられるのか、今どういうお考えでおられるのか、その点お聞かせいただきたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本における米の問題というのは日本独特の深いいろいろな問題があるということは、歴代の外務大臣、農林大臣が先方にもいろいろ申し上げておるところで、そういうような特殊性はある程度先方側にも御認識はあるだろうと思います。  しかし、今世界的に農産物に対する補助金の問題が大問題になってきておりまして、補助金による輸出戦争のあふりを受けてきておる。日本の場合には農産物の輸出というものはないわけで、七十億ドル以上の輸入国であって、輸出国とはまるっきり状況が違う国柄であるわけです。しかし、やはりガットの精神というものを盾にとられてまいりますと、日本としてもなかなか苦しい立場もなきにしもあらずでありますが、しかし日本農業における米の特殊性、今まで我々が申し述べてきたような点というものは十分強調いたしまして、そして国民が納得できるような解決案というものに持っていくように必死の努力をしてまいりたいと思っております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 終わります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 時間がなくなりましたので、あと経済問題について二、三お伺いしておきたいと思います。  最近の為替レートの問題でございますが、この二、三日非常に厳しい情勢にあるわけでございますが、この円高をどのように、見ていらっしゃるか、大蔵大臣からお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) やはりパリ合意で各国が約束しております政策努力というものが必ずしもおのおのの国いろいろな事情によって十分に行われていない。我が国の場合には六十二年度の予算が未成立であるというようなことがございますし、米国の場合には財政赤字、貿易赤字というものがどうも一向に改善の兆しが見えないといったようなことを市場が読んでおるという点が一つあろうかと思います。  それから我が国の場合に、年度末でたまたまありましたので、機関投資家あるいはその他の企業が決算との関連で先安を考えて売っておこう、そういうことが現実にまた低い相場、ドルの下落をもたらしたということもあったかと思いますが、いずれにしてもこれはパリ合意で各国が申し合わせましたいわゆる為替の攪乱的な市場の現状であるということに変わりがございませんので、各国が協調して大幅な介入をいたして安定を図ろうとしているところでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 通産大臣にお伺いします。  今回の事態は大変厳しい状態にあるわけでございますが、特に輸出関連事業並びに関連産業に強烈な打撃を与えていると私は思うんですけれども、政府として、通産省として特に輸出関連産業に対する対応、また通産省としてのお考え、対応策等をお伺いしておきたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) おっしゃるとおり大変厳しい状況下にあります。特に輸出関連事業、とりわけその下請等を多くしております中小企業においてまことにお気の毒な状況下にあることは御指摘のとおりであります。  通産省といたしましては、もちろん業種別、地域別等にいろいろな施策を講じております。と同時にまた、何といってもこの円高不況の基本的な解決策というのはやはり思い切った内需の拡大策ということであろうと思います。そのためにはまず、我々がお願いいたしました法律案、たくさん通していただきました。日切れ法案も、また新法も通していただきました。昨年来お願いいたしました法律等々中小企業対策も我々必死になってこれを執行しておるところでございますけれども、今度のこの暫定予算でもまことに残念ながら下請関係の対応が盛り込まれておりません。そういうことも考えますと、何としても予算を早く通してもらいたい。そうして思い切った総合経済対策を講じていただきたい。この総合経済対策を策定していく過程においていろいろなことを議論し合いたい。それももう時間を非常に争うというような状況下だと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 大蔵大臣、先ほどお話がございましたが、もうここまで来れば、ただ単に為替レートの協調介入だけではなしに、大臣からもお話ございましたパリ合意に基づく政策協力といいますか、協調ですね、これにやっぱり相当力を入れないといけない、そう思います。  これは新聞報道ですから正確かどうかわかりませんが、西ドイツはこのパリ合意に基づきまして今後四百四十億マルクの大幅減税をする、そういうふうに報道されているわけでありますが、四百四十億マルクといいますとこれはもう大変な金額になるわけですね。GNP比で計算してみますと二・二%、日本に当てはめますと七兆七千億円ぐらいになるようであります。こういうような点から考えてみますと、日本としてもそういうような意味で新たな内需拡大策あるいは経済政策を打ち出す必要があるんじゃないかと思うんですけれども、この点どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ドイツがかなり大幅な減税を考えておるということは私も聞いておりまして、それは一年、単年度ではないかもしれませんけれども、かなり大幅な減税を、しかしその財源対策等々についてまだいろいろ議論があるようでございますが、そういうことを聞いております。  我が国といたしまして、ドイツはドイツといたしまして、いずれにしても内需の拡大についていろいろなことをやはりやってまいらなければならない。しかし、それはやはりこの六十二年度予算が成立をして、その執行をするというところからスタートをして展開をしてまいりませんと、予算が御審議の途中のままで私どもそれから先のことをやるというわけにまいりませんものでございますので、ぜひともそのためにも予算の早期成立をお願いいたして、その上で政策を展開してまいりたいと思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 通産大臣、先ほどもちょっと質問ございましたが、例の半導体の問題で黒田審議官の話がワシントン・ポストに相当大きく報道されておるようであります。私も読ましていただきましたが、これは全く誤報だというお話が先ほどございましたが、どうしてこういうことになるのかという問題もあるんですけれども、そういう点を含めまして、特に、こういう個別製品の解決も必要ですけれども、もっと大幅な転換が必要ではないか。実際、これは財政の問題とも関係があるんですけれども、これは政府そのものの緊縮財政から積極財政への転換というのがどうしても必要になってくるんじゃないか。これはきょう時間がございませんから、はしょって申し上げておりますが、六十五年赤字公債脱却の方針も、これはここら辺で見直しをする必要があるんじゃないかとも私は思うんです。  そういう点も含めまして、特にこの半導体の問題につきましては通産大臣から、それから赤字国債脱却の問題につきましては大蔵大臣から、並びにこの問題につきまして総理からの御答弁をいただきたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 先ほどの黒田審議官の発言の問題でございます。  これをちょっと正確に申し上げますと、三月二十六日付のワシントン・ポスト紙が、一月末の日米非公式昼食会で黒田審議官が発言をした、これが対日報復論に拍車をかけた旨報道しておるわけであります。  報道によりますと、アメリカのメーカーが我が国公共部門へスーパーコンピューターを売り込もうとするのは、価格、品質のいかんとかかわりなく時間のむだと発言したということでございますが、これは全くの虚構でございます。スーパーコンピューター問題を含めて通商問題の解決に全力を挙げて取り組んでおります交渉の担当者がそういう発言をするはずがございません。この点につきまして、この昼食会を主催して同席した外務省の幹部も、報道されたような発言はなされていないことを確認しております。また、日米経済関係が困難に直面しておるときに、このような虚偽に満ちた反日感情をあおるような報道がなされたことは極めて遺憾でございます。率直に言って不愉快でございます。  日本政府としては、既に米国政府に対し、事実に反した報道がなされ、しかも本来非公式な昼食会でのやりとりがリークされたということは極めて問題があるとして抗議を申し入れたところであります。その後アメリカの国務省高官からも、黒田審議官発言が誤って伝えられていることを認めて陳謝の意を伝えてきております。今後はワシントン・ポスト紙へ反論掲載などをやって対抗をしていきたい、誤解を解いていきたい、このように思っておりますが、まことに残念なことは、一度新聞に、しかも大新聞にこういう虚偽に満ちた記事であっても書かれますと、それがアメリカの政、官、財界に非常な根強い誤解として残ってしまいます。でありますから、我々はなおさら一層この問題の打ち消しに必死になりたいと思っております。  繰り返して申し上げますが、黒田審議官の発言はさようなことではございません。何の責任もございません。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 財政再建がなお半ばでございますけれども、内需拡大についての内外からの要請は非常に強うございますので、既に昨年の暮れに、昭和六十三年度の予算編成等を含めて、その辺の問題をどう考えていくかを事務当局に具体的に考えるように指示をいたしております。最近に至りましてますます内需拡大についての内外からの要請が強くなっておりますので、事は急を要しておりまして、この昭和六十二年度予算の成立をお認めいただきましたら、その段階におきましてそれから後の政策展開をぜひ考えてまいらなければならないと思っております。  六十五年度赤字国債云々につきましては、六十五年度までの間に多少まだ時間がございますので、どういうふうに処理したらよろしいかをよく考えてみたいと思っております。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 半導体問題については、ただいま通産大臣が申し上げましたように、事実でない報道が行われましたからこれは大至急直すように関係方面にいろいろ手当てをさしております。財政の問題につきましては、今大蔵大臣が御答弁のとおりであります。と同時に、やはり総合経済対策を予算が成立したら直ちに実行したいと今経企庁を中心に準備さしていますが、その検討の一環としてもいろいろ勉強さしてみたいと思っております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で峯山昭範君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、沓脱タケ子君の質疑を行います。沓脱君。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは、本題に入ります前に、昨日熊本地裁で行われました水俣病の第三次訴訟の判決についてお伺いをしたいと思います。  国及び熊本県の責任をこの判決で認めだというのは極めて重要だと思うわけでございます。水俣病が公式に発見をされまして三十一年、いまだに救済をされない患者さんが一万人以上、そして裁判途上で亡くなられた原告の方が二十人を超える。認定申請中に死亡した人は五百人以上です。今回の判決を機に、本当に政府としては無条件に問題解決に当たるべきだと思うわけでございます。判決直後に細川熊本県知事は、今回の判決を厳粛に受けとめて国とともに問題解決を図る旨を表明しておりますが、これは当然のこととして政府も控訴をやめ、早急に根本的な解決を図るべきだと思うわけでございます。  この判決について、総理、御見解――御見解というよりも御感想をまずお伺いしたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 判決の内容は詳細に検討してみなければ確定的なことは申し上げられませんが、国に賠償責任があるとされたことにつきましては極めて厳しい判決であると考えております。今後の対応につきましては、判決内容を詳細に検討いたしまして、関係各省庁でよく協議をさせてみたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 環境庁長官も同じですね。よろしいです。  それでは、時間がありませんから本題に入りたいと思います。  総理は、今月二十三日に自民党本部の出陣式で、税制改革について、いろいろあぶくは立っておっても黒潮の太い流れが続いていくうちにはあぶくは消えていくものであるとお述べになっておられます。売上税やマル優廃止反対の国民の声あるいは運動をあぶくと言うんですか。あぶくは太い流れの中で消えると言いますが、消えるどころか、総理の言うあぶくに阻まれて、知事選真っ盛りというのに、総理は東京を初め全国遊説もなかなかお出かけになれないというところまで来ているじゃありませんか。  売上税、マル優廃止に反対する国民の声は同僚議員からもたびたび言われておりますし、また世論調査を見ましても七割、八割の圧倒的な多数に上っていることはもう周知でございます。にもかかわらず、総理が引くに引けない、断固としてやるなどと言っておられるのは、これは軍事費の財源づくり、対米公約、そして大企業への減税財源だからではありませんか。だから私は、総理はこの国民の反対の声をあぶくだなどと言って居直ったりしているのではなくて、むしろこの国民の声を本当にお認めにならなければならないのではないかと思いますが、総理の見解をお聞きしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) そのあぶくの言葉の後に、真理はやがて顕現すると、そういうことを申し上げておるのであります。つまり、誤解とか中傷とかプロパガンダというものは真理の前には弱いものである、そういう一般論を申し上げたのであります。  売上税の問題につきましては、ここで重ねて申し上げたとおりでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 総理、自民党は今度の第十一回統一地方選挙に、豊かな地方自治を築く我が党の公約というのを出しておられますが、ここではやはり売上税導入をする、マル優廃止を実施するということをうたっておりますね。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) その先に、所得税の大減税、法人税の大減税を実施する、特にサラリーマンや家庭の主婦の皆さんのための減税を実施すると大きく言っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ところが自民党の地方議員を見てみますと、例えば大阪でもそうなんですけれども、大阪府会、大阪市会で売上税に反対の意見書が議決をされていますが、自民党の皆さんも御参加をされて全会一致なんですね。これは公約違反だから撤回をしてもらいたいという意見書の決議がやられている。全国各地でこういった反対の憲一見書が出ているというのはもう御承知のとおりで、まあしかし、選挙目前でございますから、地方選挙目前になりますと全国各地では反対の演説をなさる自民党の議員の方がおり、公認の候補者がおり、大きな看板で売上税反対、マル優廃止反対、こういうポーズをたくさんとっておられる方がもう随所にいますね。これを見ますと、これは明らかに自民党の公約に違反することになるのじゃないかなと思うんですがね。総裁として、この党の公約と、それら自民党の議員あるいは公認の議員候補者がそういうことをなさるのはお認めになりますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 売上税とかあるいは所得税、法人税の減税とかいう税の問題は国会議員が権限を持っておることで、国会で決められることでございまして、地方議会の方々は、大阪府なり大阪市なりそういう地方自治体の建設を中心に、地方自治の本旨とい三言葉がありますが、あれは要するに身の回りのことは身の回りの自治体で片づけていくと、そういう意味で、大阪府の建設あるいは大阪市の建設、あるいは産業の振興、失業の防除、あるいは教育や福祉の増進、そういうようなものの腕前を競争するのが地方選挙であると、そう私は考えておりまして、地方議員の皆様は地方自治の本旨ということを考える、そういうことだと思います。しかし、国政についても御関心があることはまた考えられることで、それはそれなりにその人のお考えとして承っておきます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 余り時間がないからたくさん言えないんだけれども、これは自民党総裁として、自民党の選挙公約に反することをやっている候補者や議員がおっても、総裁としては適当にやっておけということなんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 権限のない方がそういうような意見の表明をしていらっしゃるということは参考にするということであります。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 総理は昨年の選挙で、大型間接税はやらない、マル優は廃止しないと言って、選挙が終わったら出したというので今国民の怒りを買っているんでしょう。今回はまた、自民党の候補者が反対だ反対だと言って、国民は安心して一票を投じたら、選挙が終わったら、我が党の地方選挙政策にはちゃんと書いてあるんだから受け入れられたんだと言って開き直る。これでは昨年の公約破りの二の舞じゃありませんか。国民を一体何回だましたら気が済むのかという気がしますよ。その点はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま申し上げましたように、地方自治の本旨にのりとり^地方の建設のために大いに努力していただきたいと考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 うそを言ってよいということとして承っておきます。  次へ行きますが、売上税ほど国民いじめ、弱い者いじめの悪税はないということが今天下に明らかにされている。私は、その一例として電気やガスへの課税を取り上げて一遍お聞きをしたい。  ちょっとお聞きしますが、現行の電気税、ガス税をやめて売上税にするというのは、使用量の大小にかかわらず五%の税率で税金をかけるということなんですね。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 売上税の対象になります場合には免税点というようなことが設けにくうございますので、おっしゃいますとおりになります。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それじゃちょっとお聞きしたいんですが、現行の電気税、ガス税の仕組み、それから税率、免税点がどのようになっているかをちょっとお開かせいただきたいと思います。

津田正自治省税務局長

○政府委員(津田正君) 現行の電気税及びガス税の仕組みでございますが、納税義務者は、電気またはガスの使用者、課税標準は、電気またはガスの料金を課税標準としております個別消費税でございます。税率は電気税五%、ガス税二%というようなことでございます。それから免税点でございますが、電気につきましては一月の料金が三千六百円、ガス税におきましては一月の料金が一万二千円、このようになっております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうしますと、一般の家庭の場合、ガス税の非課税世帯とかいうのが大分あると思うんですが、ガス税の非課税世帯はどの程度なのか、電気税の非課税世帯がどの程度になるのか、率でお聞かせをいただきたい。

津田正自治省税務局長

○政府委員(津田正君) 御質問の家庭というような観点ではなくて契約口数、こういうような統計になっておるわけでございますが、電気税におきましては四一%、ガス税におきましては八八%、これが免税点の比率でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうしますと、電気税が四一%、ガス税は八八%の家庭が非課税、これは売上税になったら全部の家庭に課税されるということになるんですね。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、冒頭に沓脱委員が言われましたように、免税点を設けるとか、用途によって課税、非課税をするということができませんので、言われますとおりになります。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 大体電気ガス税というものの沿革を調べてみましたら、昭和十七年に国税として創設をされているんですね。そのときの仕組みと免税の内容についてちょっと御報告をいただきたいと思います。

水野勝大蔵省主税局長

○政府委員(水野勝君) お話しのように、最初は電気ガス税は昭和十七年に国税として創設されたものでございます。税率は一〇%、それから家庭におきましては月三円の免税点があったわけでございます。しかし、この税は昭和二十一年には廃止されまして、その後地方税として創設された。地方税として創設されましてから昭和三十六年まではこれは免税点はなかったわけでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 これは時間があるとゆっくり聞いてもらうといいんですが、昭和十七年一月二十四日、当時の七十九帝国議会の衆議院の議事録で、賀屋国務大臣がこの税の創設について発言をしておられますが、そのときには十六燭光の電灯四つ、ガスの七輪二つ、これは三円以上であってもそういう御家庭は免税にすると明確に言っておられます。昭和十七年の一月といえば、それは十六年の十二月には太平洋戦争が勃発をして開戦直後、まさに戦費調達の大増税のときなんですね。そのときさえ電気ガス税は国民生活の必要な部分について課税をしなかった。  ところが、今度の売上税は、使用量の大小はもとより、所得税の非課税世帯、生活保護の世帯、弱いところも何にもかにも全部課税するというまさに国民いじめ、弱い者いじめの税になっていると思いますが、御見解はいかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもがこのたび売上税ということをお願いをいたそうとしておりますのは、何度も申し上げておることでございますけれども、一般論として、我が国の所得水準というものは非常に高くなった、また所得格差は小さい、そういう状況において、国民一般に広く薄く社会共通の費用を負担していただいてもいい、お願いできるという考え方に立っております。  沓脱委員が言われますように、生活保護を受けている世帯、あるいはいろいろな救援の手を差し伸べなければならない世帯がございますが、それはそれなり国の施策としてそういうことは行われておりますから、したがいまして、そういうことにかかわりなく売上税を広く薄くやらせていただく。ただし、飲食料でありますとか医療でありますとかいうものは非課税にしておりますし、また非課税業者ということも設けておる。  そういうことでございますので、今おっしゃいましたことを今度逆に何とかして救おうといたしましても、売上税の場合には電気、ガスについて免税点を設けるとか、用途によって課税、非課税を決めるということができませんから、したがいまして、これを非課税にしてしまいますといわゆる大口消費者等々についても非課税にせざるを得ないという、結果としてはそういうことになってまいりまして、かたがた、救援を必要とする家庭については社会保障等々の方途が講ぜられておりますので、そういう方々に対してこれだけ余計に、まあ免税の場合でございましたら、新たに負担をしていただくことになりまして、それは御負担をかけることはまことにどうもお気の毒だという感じはいたしますけれども、申せば、そう大きなことをお願いしているわけでもございませんし、それはそれなりまた別途の方法で政府の施策を講じさしていただいておりますので、一律にお願いしたいと考えておるわけでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 今もおっしゃったんですが、水も同じなんですね。直接は課税されないんですが、自治省の説明では、売上税で自治体の上下水道合わせて千八百四十三億円の負担増が迫られる。この売上税によるコストアップ分が国民にまた負担がかかってくる。水とかあるいは電気、ガスなんというのは人間が生きていく上で全く最低限必要な物質なんですね。これに課税するというようなことになる売上税というのはまさに天下の大悪税だと思うんです。  そこで総理、こういう国民一人残らずにかける電気、ガスの売上税、これは網羅的と言えないかと思うんだけれども、そこへ行くと時間が足りなくなるので、私はこの悪税は総理御自身の趣旨に反するのではないのかなと実は思っているんです。  といいますのは、昭和四十二年十月の拓殖大学で行われました総長講演という第二集を拝見したんですが、その中の「社会化された資本主義」という項目のところで住民税、電気ガス税に触れられているんですね。そこでこういうふうに言っているんです。「いま電気、ガスを使うということは、文明国においては、空気を吸うのと同じことです。空気を吸うのに税金をとらないなら、電気、ガス税も全廃したらどうだというのです。」「産業やその他で大口需要者が使うのは、これは税金をかけてもいいけれども、家庭で使う電気、ガスに税金をかけるのはやめたらどうだというのです。」「もう時代はそういう方向に移ってきている。」というふうにお述べになっておられます。今まで論じたように電気、ガスの売上税、おわかりだと思いますが、あなたのこの御趣旨に反するのではありませんか。だって空気と水、電気、ガス、人間が生きる最低限度必需物資です。こんなひどい悪税はやっぱりやめるべきなんですよ。どうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 理想的に言ったらそういうことをぜひ実現したいと私は今でも考えておりますが、あのころは私は拓大の総長をしておりましたが、高度経済成長のさなかで税金が続々入ってきた時代であります。そういうときに税金をそういう方向に使ったらどうかと、そういう意味で申し上げました。今のようにお金がなくてもう困り切っている、こういうときと状況が大分違うわけであります。ですから、理想も多少我慢しなくちゃならぬ、残念ながらそういう時代に入っていると申し上げるのです。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。神谷信之助君。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 総理、我が党に対して減税財源を示せないというような御批判をなさったんだけれども、これはけしからぬお間違いな話だと思います。何でそういうことを総理が言うのか。この売上税に反対する国民の世論と運動は、文字どおり燎原の火のように広がってきている。それに対して総理はさらに一生懸命理解を得るために説得をし、パンフを出したりビラを出したりやっている。それでも、言葉の魔術でいろいろごまかそうとしてみても、売上税問題に対するまともな反論ができない。その焦りが我が党にまで、減税財源が示せないという言いがかりをなさったのじゃないかと私は思うんです。この六十二度予算の編成の際の党首会談で我が党の不破委員長が、軍事費の一兆八千億円以上の削減、四兆円を超える大企業、大金持ちを優遇する不公平税制の是正で三兆円の所得税、住民税減税、この財源を確保することができるだけではなしに、社会保障の充実もできるということを明確に提案しているわけです。あれからまだ三カ月ぐらいですからよもやお忘れではない、私はそういうふうに思うんです。  そこで、具体的にお聞きをいたしますが、ここ数年来いわゆる九大商社中七大商社が一円の法人税、住民税も払っていない、この事実は御承知のとおりです。これは外国税額控除その他の優遇税制をフルに利用しているからであることはもう明らかだと思います。あるいはまた大企業の悪質な脱税も、そういう国際取引を利用してそれに絡んで大半を占めて起こっているというのが最近の国税庁の調査でも出てきています。だとしますと、国民が不公平税制を言っているというのは、ここにメスを入れろと言っているわけです。  それで我が党は、この外国税額控除の縮小とか海外投資等の損失準備金の廃止とか、タックスヘーブンを利用した脱税の取り締まりなど、多国籍企業化に対する課税制度、税務調査の抜本的見直しを国際化への対応の基本に据えるべきだと、これを今まで何回も国会でも主張してまいりました。そのたびに政府の方は、検討に値するとか、検討いたしますと答弁をしている。ところが、いまだにこれにメスを入れることができない。まさにそれは財界、大企業に物を言えない今の自民党政府の本質を示しているんじゃないか、こういうように思うんですが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、お言葉ではございますけれども、このたびの税制改正の提案におきましても、外国税額控除制度につきまして今の制度の問題点を是正するということで御提案を申しておりまして、方向としては御指摘のようなことを私どもも是正をしてまいりたいと思っております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 ちょっぴり、痛みのない範囲でやるわけですね。だから問題なんだ。  あるいはまた、もう時間がありませんからその他の問題を一括して言いますが、例えばトヨタ銀行とか松下銀行と言われるように、巨大企業は一社一兆円というような巨額の余剰資金を内外で運用する、そして利益を膨らませているわけです。これが今大蔵大臣が頭を痛めている円高のいわゆる機関投資家の策動になっているんでしょう。そういう為替相場の混乱とか、あるいは地価の高騰に拍車をかけている。こういう財テクの利益に対する追加課税をやっぱり検討すべき、実行すべきだ。さらに、株式時価発行差益の非課税あるいは受取配当益金の不算入あるいは特別償却など大企業の資本取引への各種の優遇措置、この廃止、縮小を行う。以上、先ほど申し上げた分も含めて、それからあとこの三点を追求することによって、少なくとも三兆円を超える新たな税収を得ることができる。あるいは大金持ちの、いわゆる高額所得者に対するいろんな優遇措置、これにメスを入れるということが何よりも必要だということを我が党は主張して、そうすれば売上税なんか必要ない、財源はある、こういうふうに言っているんですが、どうしてそれがやれないのか。この点を明確にしてもらいたい。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 企業の収益がどのような経済活動によるにいたしましても、仮にそれが言われますようにいわゆる財テクによる収入でございましても、それであるがゆえにそれに重課するということは私ども考えません。収入は収入、収益として課税を受けるべきである。もとより反社会的な行為はこれは税の問題としてではなく別途に処置をせらるべきものでありまして、所得の取得の方法いかんによって重課する軽課するということは考えておりません。  なお、もう一つの問題は、法人間の配当の受け取りでございますが、これについて今まで軽課を、益金不算入ということをいたしておりますが、これはある程度やはり課税をした方がいいというふうに考えまして、このたびの税制改正におきましてはこの見直しをお願いいたしたいと考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは、時間がありませんから最後に総理、国民の強い反対意見をお聞き入れになって、売上税それからマル優廃止、これはどうしても撤回するべきだと思います。最後に私、時間がありませんから、本暫定予算についての見解を申し上げておきたいと思います。  売上税導入、GNP一%枠さえ突破するような大軍拡を目指す本予算のごり押しを前提に編成された本暫定予算であります。政府は景気対策の重視と言いますが、対米公約の前川レポートの実行、あるいは異常円高を口実にした大企業の首切りを容認した上での受け皿づくりというべき雇用対策、また公共事業の補助率の引き下げの拡大、国民健康保険の保険料上限の引き上げなど、国民に新たな犠牲を強いるものであり、我が党は断固反対することを申し上げまして、質問を終わります。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で沓脱タケ子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、勝木健司君の質疑を行います。勝木君。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 まず、日米半導体協定で約束したことを日本が守っていないとしてレーガン米大統領は先般みずから声明を発表しましたけれども、その中で、一九七四年通商法三百一条によります制裁措置を発動して、日本のエレクトロニクス製品などに一〇〇%の報復関税を課すことを明らかにいたしております。この問題に関する米国議会、上院、下院での対日制裁決議にこたえ、経済政策閣僚会議が決定いたしました制裁措置の案をそのままレーガン大統領は承認したわけでありますが、このことは、米国議会及び政府の対日要求が民間企業の取引慣行にまで及んできており、異常としか言いようがありません。通産大臣のお考えをお伺いいたします。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) おっしゃるとおりでありまして、まことに厳しい局面に我々当面しております。とにかく、日本政府としてはこの問題についてはもうあらゆる措置をとったわけであります。これ以上の措置をとれと言われても、もう打つ手を見出すことができないと言っても過言ではありません。ところが、結局民間の営業問題にまで及んできたわけでありますけれども、通産省としては生産の自粛までお願いをしておる。日米の直の貿易ではそれほどの問題はないんですけれども、ほとんど問題はないと言ってもいいんですが、第三国経由の迂回輸出でダンピングが行われておるんじゃないか。先般、著名なメーカーでありユーザーである十社の社長方をお招きして厳しく私から御忠告申し上げたのでありますが、さりとて、これはモラルの問題でありまして、第三国へ日本政府から担当官が乗り込んでいって調べる、これは相手国の主権を侵害することになってできることではありません。また、日本の市場開放がまだ足りない、もっとどんどん買えと、こういう要望でございますが、これは大いに努力をしなきゃならない問題でありますけれども、それはそれとしまして、非常に厳しい対応を迫られておる。率直に言って、なぜあのような厳しい態度で臨んでくるのか、理解に苦しむところでございます。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 この問題が円高に与える影響についてどうお考えですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 直接に円高に影響があるとは思いませんけれども、このような一連の貿易摩擦というものはやはり円高とは無縁であるとは言いがたいと思います。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 円高問題についてでありますけれども、G7、G5の努力にもかかわらず円はまずます円高の方向に進んでおり、いまや百四十円台に突入するという事態であります。かつて貿易摩擦の激化が懸念され始めたとき、国の内外から輸出依存型経済から内需依存型経済への転換が強く求められましたが、我が国政府の施策といえば、人為的に為替レートを調整することによってのみ貿易黒字を縮小させ貿易摩擦を解消させようとしたところに今日の円高不況の元凶があると考えます。  そこでお尋ねいたしますが、内需拡大はまさに国際的公約であります。最大の課題であります。政府は、六十五年までに赤字国債の発行をゼロにするという財政再建路線を一時緊急避難的に棚上げするほどの決意を持って内需拡大に取り組むべきでありますし、またマイナスシーリングの撤廃を初めとした財政の本格的な出動を求められているときは今をおいてないと考えますが、政府の具体的な方針はどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま我が国の輸出と為替レートの関係についてお話がございましたけれども、確かに、統計を見ますと我が国の貿易収支の黒字は昭和五十五年度において六十億ドルでございます。それが六十年度に六百億ドルになっておる。わずか五年間にげだが一つ違っておるというのは、この期間がいわば非常にドルの高かった時代、極端に考えますと円の安かった時代であると思われます。そういう意味では、プラザ合意でドルを下げようということはこれは私は当然の努力であったように考えます。ただ、それがおっしゃいましたように非常に早く大幅に参りましたので我が国の経済の対応ができなくなった、大きく見ますとそういう経緯であったと思いますので、私はその為替調整が過去何年間か行われてきたということは方向としては間違っていなかったというふうに思いますが、いかにも今の状態は対応に苦しい。特に最近はさようでございます。  そこで、今申し上げましたような極端な貿易黒字の増大というのがこの昭和五十五年と六十年の間に起こったといたしますと、これを正常の方向に戻すためには、やはりそれだけの内需をつくらなければならない、内需を拡大しなければならないとおっしゃいました方向になるわけでありまして、そのための努力は財政を初め各方面でいたす、そうでなければそういう方向に動いていけない。今マクロでお答えをいたしておるわけでございますけれども、おっしゃいましたことはそういう意味で私はそのとおりだと思います。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 これ以上円高が進みますと、米国の財政赤字を補てんしているとも言えます日本の機関投資家による米国国債の購入が行き詰まることが予想されております。そのことが米国経済への悪影響を懸念する向きもあり、この点からもこれ以上の円高を回避すべきであると思いますが、このことを米国に対して強く申し入れるべきではありませんか。御見解をお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、アメリカのいわば資本不足の状態といいますか、あるいは債務国になりつつある状態に対して、我が国からの長期資本の流出がこれを補っておる、金利の上昇を防いでおる、あるいはインフレの発生を防いでおるというような役割を果たしておりまして、このことがドルの急速な下落によりまして為替差損を心配する立場から申しますと、従来のような資本流出、日本から申しますと流出でございますが、アメリカから言えば流入というものが妨げられる、とまるということを当局者は明らかに心配をし始めておりまして、それが先般のパリ合意によって、大きな為替変動は我が国ばかりではなくアメリカ自身にとっても実は障害があると、こういう判断になって、したがいまして協調介入が行われるようになったということと思います。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 先般のパリ合意に基づきまして日米欧五カ国協調介入がなされた模様でありますが、それでも円は百五十円を切ってしまっており、産業界は最悪の状態と深刻に受けとめております。協調介入をするに当たりまして、有効に機能し得るような体制を整備すべきではありませんか。見解をお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) このたびのいわゆる協調介入は、二月の二十二日に合意がありましてまだ幾ばくも日がたっておりませんときに行われました介入としては、各国ともその趣旨に従って、しかもかなり大幅にやっておりまして、その意味で合意の趣旨は守られておる、また実行されておると考えるわけでございます。まあ短時日のことで何とも申せないことでございますけれども、各国が協調していきますと相場の安定を再び確保できるのではないかというふうに思っております。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 このように、円高不況による影響というものが各方面にわたって深刻な問題となっております。我が国の一月時点での失業率は、戦後最大の三%という数字を記録いたしております。一部の予測では四・二%になるのではないかという観測もあります。  これに対して労働省は、雇用失業情勢の現状というものをどのように認識し、今後どういう見通しを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。  御指摘のとおり、雇用問題は非常に憂慮されるような現状になっておるわけでございます。昭和二十八年の労働力調査等々、これ以降の現在までの数値におきましてもかってない、一月で三%というふうなことでございまして、その他の雇用指標を見ましても、非常に現状を、今後の高失業時代に入らんとする一つの警鐘であるというふうに受けとめておるわけでございます。特にこのたびの不況、構造的なものの上に円高という非常に急激な為替の切り上げが参りましたので、特定の輸出関連、構造不況の業種とさらにはそれらが重なります地域、さらには城下町と言われるそういう特定の地域について雇用問題が集中して起こっておるということでございますので、政府の一応の政策目標といたしましては、今後、経済政策さらには産業政策、雇用対策一体となりまして、何とか年間平均で二・九%程度の失業率に抑えていかなければならぬというふうに考えております。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 円高不況の長期化する中で、産業界は各企業とも限界ぎりぎりのところまで雇用確保で頑張っているわけであります。  国鉄は明日より民営化が成るわけでありますが、民営化に当たっては政府は閣議決定してまで再就職を保障しております。使用者責任が国にある以上当然のことでありますが、民間の場合いかがでありましょうか。民間の不況企業が苦しい中でも労働者を離職させず責任を持って再就職を保障したような場合、国が賃金の一部を助成するシステムを導入すべきであると考えますが、この点、労働省の見解をお伺いいたします。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) 離職を余儀なくされている方々が再就職の先が確定するまでに企業においてそれなりの雇用を確保する、そういう保障をする、助成をする、そういうシステムはどうかということでございますが、この問題につきましては、このたび三十万人雇用開発のプログラムという総合政策を実施するにつきまして、特に地域の雇用開発等の促進法ということを全会一致でお認めをいただきました。  その中で、委員御指摘の問題でございますが、保障というまでには至っておりませんが、やはり一つには、不況業種事業主が他の業種や企業や専修学校等に委託して在職労働者の職業転換のための訓練を行う場合、賃金の高率助成、中小企業は五分の四までいっておりますけれども、こういう助成を行って、さらには訓練委託先にも訓練費用を支給する等、特別の助成制度を新しく創設いたしたわけでございます。  さらに、出向等に関する情報収集、提供を行う財団法人産業雇用安定センターの活動を援助する運営費の助成、さらにはあらゆる安定所の総力を挙げましての御支援を申し上げるということで、出向また不況業種事業主が行う再就職あっせんを通じた雇い入れに対する助成内容をさらに強化する。いま一つは、今後失業を伴わない、今委員の御指摘の問題でございますが、企業間移動の円滑化という御趣旨を十分踏まえまして、今申し上げたような施策を、これは今度まさしくあすから施行になります新法でございますので、全国の安定所総力を挙げてこの法律制度の趣旨を十分に御理解いただいた上でフルに活用していただくということで雇用の安定を図ってまいりたい、かように、考えております。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 次に、国内石炭産業の厳しい現状につきましては政府としても十分把握されておるところでありましょうけれども、炭鉱の離職者対策について政府の見解をお伺いしたいと思います。  あわせまして、今後の雇用失業対策というものは、経済政策や産業政策と一体となって総合的かつ広域的に展開することが必要になってくると思われます。この観点から地域雇用開発等促進法を中心とした、先ほども労働大臣が言いましたように、三十万人雇用開発プログラムについては私も期待を持って注目しているところであります。その中身につきまして、考え方、具体的な施策等をあわせてお伺いしたいと思います。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) まず冒頭のお尋ねでございますが、これも全会一致をもちまして石炭問題に対する離職者については既にこの三法が延長ということになっておりまして、先ほど申し上げたような開発プログラムに盛り込まれている諸対策を積極的に活用して失業の予防、さらには離職者の再就職の促進、さらに産炭地域の雇用機会の開発に努力をいたしてまいりたい。  例えば、あすから施行になりますけれども、既にこの産炭地を抱えております北海道におきましては、札幌市を除きまして全地域指定をいたしました。福岡におきましても、福岡市を除く全地域がそれぞれの指定の枠に入っておりまして、網の目から漏れないようにきめ細かく指定に踏み切っておるわけでございます。したがって、特に特定雇用開発等の産炭地指定になりますると、従来の三百日の給付にさらに九十日の給付が加わるという非常に手厚い形になっておるわけでございます。  先ほども一部申し上げましたけれども、やはり一つにはその不況業種からの訓練、そういうことに対しまして助成をするということが一つの柱でございまして、いま一つはやはり従来からの政策でございます雇調金の拡大強化ということで、失業の予防をでき得る限り図っていく。いま一つが新法でお認めをいただいた地域の雇用開発ということでございまして、いずれにいたしましても、法律制度だけではいかんともできない問題でございまして、とにかくできるだけ中小企業の方々また大企業不況業種の方々にこの法律制度の趣旨を十二分に御理解をいただくことで制度を生かしてまいりたい。特に来月十日には、全国安定所の責任者を集めましてこの趣旨の徹底、これを図って実施に踏み切ってまいりたい、かように考えております。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 時間の関係で次に進ませていただきます。  売上税についてでございます。売上税は御案内のように大変な悪税だというふうに思っております。問題点は山ほどありますけれども、時間の関係で二、三指摘してみたいと思います。  まず、売上税が流通に及ぼす影響でございます。我が国の流通構造というものは、欧米との比較におきまして極めて複雑であります。また、店の数は非常に多く、しかも規模は小さく、過当競争が激しいのが特徴でございます。このような条件のもとでは、政府が強調されますような売上税というものは、消費者が負担すべきものとはなかなかなり得ません。つまり、売上税を価格に完全に転嫁できないことは明らかであります。結局は企業課税となるものではないかと思いますが、お伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は私ども率直に申してそう考えてはおりませんで、もともとこれは最終消費者が消費者価格の形で負担すべき税金でございますから、もしこれが欧米などでございますと、それはそういうものとして途中の段階で転嫁をせずに自腹を切るというようなことは一般の商慣習としても起こらない、また現に起こっていないわけでございますが、我が国の場合には何となく抜け駆けと申しますか、ただそう言ってしまっては思うございますが、過当競争もあるのでございましょう、そういうことが一カ所で起こりますと起こりやすい。ただ、今回の場合には明年の一月一日に一斉にこの売上税が施行せられますので、そのときに各業界に同じことが一度だけ起こるわけでございます。そういう意味では、ぼつぼつあちこちで特殊事情で起こるというのでありませんので、転嫁ということがしやすいというふうに私は思っておりまして、このことは流通機構が長い短いということとは直接には関係がないように思います。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 私はそうは思いません。非課税事業者が中に入りますと、二重課税、累積課税が発生いたしまして、その結果、非課税事業者が取引から締め出される可能性というものがあるわけでありまして、卸売業者を中心といたします中間業者というものが排除され、結果として倒産の続出、そして失業者の増大というものを招き、内需拡大どころか、ますます内需縮小となるのではありませんか。お伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その御議論はよく承るところでありますけれども、非課税業者が消費者に直結して物、サービスを売っておる場合、まあ駅のターミナルの周辺の商店街というような場合でございますが、この場合も明らかに非課税を選択するのが得でございますから、問題は起こらない。ただ、今おっしゃいましたように、非課税業者が納入をする、例えばデパートに納入をするというようなことになりますと、今のような問題が起こります。率直に言いまして起こりまして、それは一遍そこで消費者が介在したような形になりますから、今度デパートではまだかなり高いところから売上税を取るということになって、その間に累積が起こるという、そういう御批判でございます。  そういう問題はこの税の仕組みとしては避けることができませんで、起こり得ることでございますので、そこでその場合には非課税業者が課税業者になっていただくことは一向差し支えないし、またその場合には恐らく零細な方が多うございますから簡便な納税方法、納付方法をとっていただいて結構だと、こういうことで救済させていただきたいと思います。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 百貨店協会の試算によりますと、売上税に加えて納税のための事務量及びコストというものが無視できないほどかかるという試算が出ております。それによりますと、導入当初は売上税の九〇%以上も納税コストがかかるという結果が出ております。一億円の売上税を納入するのに九千万円以上のコストがかかるという、まことに常識では考えられないことだと思いますが、どうお考えですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、そういう企業の社長さんのような方々から私どもそういう話を伺いまして、ちょっと詳しく承ってみますと、余り十分な御説明がない。何となくそういうことがどこかでお話が出て、十分に御検討のないままお話が伝播されているのではないかというふうな感じを実は強く持っております。そのプログラムを変えるのに十何億かかるなんということは、こんな難しくないことを処理できないプログラムは従来のプログラムに欠陥があるのではないかと思うぐらいな実は感じで私は承るんですが、全くコストをおかけしないということはありませんので、その点はコストをおかけいたしますと申し上げますけれども、世の中に伝えられているようなことは私には考えにくい。なお、もしこのためにしかし特別の資本支出がお要りになりますれば、それは今回の特例として一遍に償却をしていただいて結構だ、繰り延べ資産とは考えずに結構だということは、ぜひそうさしていただきたいと思っております。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 先ほども申し上げましたように、売上税を消費者に転嫁するということは非常に困難であるというふうに思います。新聞情報によりましても、アンケート調査の結果、売上税額の販売価格への転嫁問題ということでは税額の半分までしか転嫁できないという回答をした企業が六割以上もあることが明らかになっております。政府は売上税は一〇〇%販売価格に転嫁するものと決めつけておられますけれども、現実の経営に携わっておられる経営者が転嫁できないと考えており、果たして、本当に一〇〇%販売価格に転嫁できるとお考えですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、アンケートにお答えになる方々が、自分のところは転嫁したいんだけれども、あそこはやるまいな、そうすると勢い自分のところもやるわけにはいかぬなと。お互いにそういうような、よそが抜け駆けをするのではないかという疑心暗鬼から、それは過当競争があるからでございましょうけれども、出ておる点が多いように思いますので、この点はもともと転嫁が本筋であるというふうに皆さんに考えていただきたい。それが本筋でございますから、そうしていただくということで私どももその点は広報活動に一生懸命精を出しますし、また公取にも御了解をいただいておるところでございますので、これはそういうものとしてぜひ御理解をいただきたい。人がやればそれは自分もやらざるを得ないことになります。それは結局自分の不利益になることでございますので、どうぞそういう意味で納税者の方々の御理解を得たいと思っております。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 時間の関係で次に進みます。  国民というものの論議が先ほどもありましたけれども、売上税に関して国民はどう受けとめておるのかということでパネルを用意しましたので、時間の関係から余り深く説明はできませんけれども、見ていただきたいというふうに思っております。(図表掲示)  先ほどもありましたけれども、これは共同通信社の調べでありますけれども、一目瞭然、大体四十七都道府県議会のうちの七六・六%、三十六議会がもう慎重とか反対とか撤回とかいうことをはっきりしておるということでありますので、これもどう受けとめられておるのかということを後でお伺いしたいと思います。  それともう一つは、NHKの調査でありますけれども、今回の税制のひずみというものを、国民に信頼される税制にしたかということで、そうは思わないというのが七一・九%もございます。売上税の導入、マル優の廃止、中曽根首相の公約違反である、そう思うかということで、そう思うというのが七五・七%あります。それから、増税、減税のいずれも金持ち優遇をしていると思うか。そう思うが六八・三%ございます。また、今回の政府の税制改革案にあなたは賛成ですか反対ですかということで、反対というのが六六%ございます。  蛇足ですが、中曽根内閣を全体的にどう評価しますか。これについても、ひところは非常に高い支持率であったわけでありますけれども、余り評価しない、全く評価しないが五一・七%という状況でございます。こういう状況につきまして中曽根総理、今のこれはその時点だということでありましょうけれども、やはり謙虚に受けとめられるべきだというふうに思いますが、率直な御見解をお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) それなりに受けとめておりますが、しかしまだ我々の努力が不足で、売上税の内容あるいは税制改革の意義、そういうものについて我々の努力不足を大いに戒めていかなきゃいかぬと思っております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 勝木君、時間が来ておりますから一問だけ簡潔にお願いします。

勝木健司民社党・国民連合

○勝木健司君 いいですか、一問。そうしたら、簡潔に。  文部大臣に簡潔にお伺いいたします。  いわゆる足切り問題でありますけれども、足切りされた方が九万九千人おられる。七人に一人が足切りをされておるということでありまして、完全足切り者が三万人おられるということでありますので、この完全足切り者に対して受験料一万一千円を返していただきたいという受験生御父兄からの御要望がございますので、そういう考えがあるのかどうかということと、そしてまた六十五年から臨教審の答申を受けた新テストというのが実施されるわけでありますので、こういう混乱を避けるためにも、もっと根本的な問題から入試の改革について行っていくべきじゃないか。大学入試センターの問題についてもしかりでございます。そういう問題についてもっと受験生の身になった、本当にこれからの二十一世紀の教育を考えた入試制度というものについてどうお考えか、見解をお伺いしたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○国務大臣(塩川正十郎君) 時間がございませんので、簡単にお答えさしていただきます。  受験料の問題でございますが、これはたびたび申し上げておりますように、一次、二次合わせてセットになっておるものでございまして、私は一次だけでよろしいと言って試験を受けた方は一人もおらない、そういうことでございますし、またいろいろ契約上と申しましょうか、を見ましても、これは返還することがかえって混乱すると思っておりまして、返還する措置はとりません。  それから根本的改正でございますが、大体六十五年をめどにいたしまして新テストを導入いたしたい、こう思っておりますが、それまでに入試全体を見直していく改善の策をただいま直ちに発足さして検討さしていきたい。その際に、関係各団体、大学、高校並びに受験生、そして父兄の方方、こういう方々の意見を重点に聞きただして、少しでも改善に向かうように、努力いたしたいと思っております。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で傍木健司君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末君。    〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 私のところへは、いろんな方の御意見とかあるいは質問が寄せられるんです。その中に、総理や大蔵大臣のお考えを直接聞いてくれ、こういうようなものもありまして、きょうは私は四分ですから、ですからそういう国民の方の声を中継するという形で総理、大蔵大臣のお答えをいただきたいと思います。  まず最初の質問は、今回の地方選挙に関してですが、私たち有権者は売上税について賛否の意思表示をしたくても国政選挙がないので今度の地方選でそれをやるしかありません。そこで、この地方選はいわば売上税の賛否が問われる実質的な国民投票であると思う、こういうふうに考えているんですね。  そこで、総理はこの点についてどうお考えか、その辺の認識をお答えいただきたい、こういうわけなんですが、よろしく。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の統一地方選挙は、地方選挙と書かれておりますように、地方自治体の建設に必要な要員の選挙であります。いわゆる首長と言われる方々あるいは議会の議員と言われる方々、そういう方々をお選びになる。それは、地方自治の本旨にのっとりまして、その地方自治体の建設、例えば教育にせよあるいは産業にせよ、交通にせよ、福祉にせよ、そういういろんな問題について住民の生活が楽になるように、あるいは幸せが増すように、教育が充実するように、交通が開けるように、そういういろんな問題について腕試しを、選挙民の皆さんの前にお訴えなすって投票を得る、それが本旨であると考えております。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 建前はそうですけれども、どうも投票する側の気持ちとしてはそれよりも売上税の賛否を票に託したいというところだと僕は思うんですよ、ちょっと総理の認識と違うんですが。  二問目は、これはサラリーマンなんです。直間比率の是正は必要と思うが、売上税が五%でなくてもっと低率であれば国民も理解するのではないかと思う。これは定年後のサラリーマンで、元サラリーマンですね。なぜ売上税は五%なのか、なぜもっと低くてはいけないのか、総理の御意見を聞きたい、こういうことなんですが、よろしく。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、二つ理由を申し上げることができると思います。  一つは、所得税を中心に、法人税もそうでございますが、所得課税をこの際大幅に減税をいたしませんと勤労意欲、企業意欲等にも影響があり、またサラリーマンの税の不公平感というものも払拭できないと考えました。したがいまして、それはそれなりにかなりの大きな財源を必要とするのが第一の理由でございます。  第二の理由は、現在のところまだ日本は老齢化のテンポが低うございますが、二〇〇〇年になり二〇二〇年になりますと老齢化は非常に急速に進みまして、ごく少数の若い人に多数の老人をしょってもらわなければならない。三人に一人ぐらいの割合になると言われておるわけでございますが、そういたしますとこれは所得税をどんなに重くしましても若い方々にとてもしょえるところでありませんので、今のうちから老人もそういう負担を売上税の形でしていくという制度をつくっておきませんと先にいきまして本当に若い方々が図られる、目に見えておりますので、私どもが今からもう負担をしていくそういう制度をつくっておきたい、こう考えるのが第二の理由でございます。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 ですから、そこは多分この方もわかっているわけでして、それをもうちょっと五%よりも下であればいいんじゃないか、こういう意見だったんですがね。  それから、これは現役のサラリーマンなんですが、総理はサラリーマン大減税と言うけれども、その中身は新聞などに出ているとおり上に厚く下に薄いと思う。例えば、年収四百万以下という自分の場合あるいは定年後の人たちなどは、減税どころかむしろ負担増になる可能性が強い。これは多分僕もそうなると思うんですがね。減税率でいきますとかなり大幅ですけれども、額からいうと必ずしも四百万以下のサラリーマンは、ああよかった、減税だというふうには思えない。これは私の個人的な意見ですが。そこで、中堅以下のサラリーマンがもっと減税になるような仕組みだったらば、サラリーマンの声が総理の期待どおりになることもあると思うんだと。  そこで、総理、大蔵大臣にお聞きしたいんだが、中堅以下の平均的サラリーマンは、一方で増税があっても差し引き減税になるような、そういう税法改正であればこれは考えも変わるんじゃないか、なぜこういう税法改正にならないのか、こういうことなんです。これは総理にお聞きしたいと思いますね。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 我々の方の試算によりますと、三百万、四百万、五百万、おのおのの方々は売上税を差し引きましても減税になる、そういう報告を得て申し上げておる次第でございます。  いろいろな御議論があるようでございますから、大蔵委員会で十分いろいろな御議論をお出しいただいて、そして最終的にこれは大蔵委員の皆さん方でいろいろ樽爼折衝もしていただく、そういうことが適当ではないか、そう思っております。  政府としては、今出している案が最善の案である、こういうふうに申し上げているとおりでございますが、野党の皆さんやあるいは国民の皆さんの声も十分傾聴してまいりたいと思っておるところであります。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 じゃ、これは私個人の意見ですけれども、確かに自民党のビラなどを見ても、試算が違うと言えばそれまでなんですが、試算を抜きにして、年収三百万、四百万、五百万ぐらいがあと少し何万円かの減税になるような税法改正もできるわけなんですね。  今、中堅と総理はおっしゃっているけれども、実は中堅というよりも六、七百万から上の方がより減税になるんです。これは事実なんですね。ですから、もうちょっと下の方が厚くなるような方法はできないか、そういうことですが、どうでしょう。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは三百万のところはよろしいわけで、これは三六%でございますから。それからその次はおっしゃるように上の方もよろしいわけで、途中のところがいわば一四%ぐらいな減税になっています。ここが少し減税率が落ちるじゃないか、こういうことを言っておられるわけでありまして、しかし一四%は確かにございます。このことは野末委員もお気づきのように一〇%と一五%という、その二つの率に刻みを簡素化いたしました。    〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 このことはライフステージで刻みがどんどんふえないようにという、いわばいい施策だと私は思うのでございますけれども、途中に一カ所現行税率に一四%という刻みがございまして、それを簡素化のために一〇と一五に飛ばしております。したがいまして、そこのところで……

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 上がっているんです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 上がりはいたしません。決して上がりはいたしません。全体としては、決して上がりはいたしませんで、一四%の減税にはなるのでございますが、その前、後に比べて少しそこがいわばたるみがある、こういうことでございます。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 それは大蔵委員会に譲りましょうね。  それから次の質問は、これは実は割と多いんですよ。それで大蔵大臣と総理に一問ずつということになりまして、これが最後になると思いますが、質問者は、国会議員の例の無料パスが暫定予算で棚上げされたのは当然と思いますが、本予算でもこれを見送って無料パス分の予算は今後ともカットすべきであると思う、大蔵大臣に個人的意見でもいいからこれは答えてほしい。これが一問。  同じく総理に、この国会議員のパスは、国鉄民営化で法律的な根拠がなくなったと聞いております。ここらで無料パスの是非をめぐり、基本的な議論を公式の場で十分に与野党ともやるべきではないか、これが我々周囲の国民の声であると思っている、さて総理の責任のあるお答えをお願いしたい、こういうふうになっていますので、一問ずつお願いします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) この点はいろいろ経緯があっていることと承知しておりますけれども、結論を申し上げますと、国会側の御意向というものを私ども承りまして、それによって暫定予算あるいは本予算の編成に処しておるところでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じで、やはり国会のことでございますから各党のいろいろなお話し合いの結果を我が党は尊重し、また政府も尊重するということであります。  しかし、今回いわゆる国有鉄道あるいは公社制度から純民間組織に国鉄は移りまして、あしたからいよいよ新しい道ヘスタートするというときで、民間の会社になったわけで、言いかえれば私鉄と似てきたような、今大株主は国家でありますが、ステータスは私鉄になったと同じように考えていいのでありまして、そういう点から考えると、私は個人的には無料パスという制度はやめてしかるべきときに入ってきた、そういうように考えているものであります。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 それじゃ、もう一問あります。  今度は埼玉の下請です。次は売上税なんですが、大手企業やデパートとか大手の業者などが下請の取引先に対して、売上税で課税業者を選ぶか非課税業者にするかの選択を促す文書を今から出している例がありますと。私どものところには非課税業者とは残念ながら取引を断ることになるという締め出し通告のような手紙も来て実は非常に不安ですと。そこで、政府はこういう事実を知っているのか、それからまたこれでいいと思っているのか、もしこういうことになったらこれこそ本当の大型間接税ではないかというふうに考えるので、これについての総理と大蔵大臣の御所見を聞きたい、こういうことになっています。これで終わりに、しますが、よろしく。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実態によりまして判断が分かれると思いますが、もしその下請に対しての態度が非常に力関係を利用してやや公正を欠くといったような場合でございますと、公正取引委員会、あるいは下請代金支払遅延等防止法等によりまして、これも公取でございますけれども、不公正取引等々の疑いを免れない。しかし、そうでございません場合、平穏にかつ公然とそういう働きかけがなされておる場合といたしますと、それは結局一億円以下の方でございましょうから、非課税業者から課税業者を選ばれるということに商売上の考慮からなっていくかと思います。しかし、その場合にも決して特段の損失があるわけではございません。ただ、課税業者になられますと、その納税手続、それが複雑なことになってはいけませんので、特にその場合には簡素な方法を設けております。一つは、仕入れと支払いとの率で大体二〇%をマージンと考える、卸売業者でございますと一〇%でございます、そういう推定をなさって結構だということが一つ。もう一つは、納税の方法も年に二回でよろしい、そういう簡易な方法を設けまして煩瑣な手続はできるだけ省いて差し上げたいと、こう思っております。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じです。  私のところにも、一億円以上の取引額を持っていますか持ってないですかと、そういう質問状みたいなもの、あるいは課税業者になりますかなりませんか、そういうようなものもまたあると、そういう話は聞いてはおります。その処理に関しては大蔵大臣と同じです。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 ちまたの声を代表して、まず二つお尋ねいたします。ばかばかしいとお思いでしょうけれども、お答え願いたいと思います。  何で売上税と今度の通常予算とをドッキングさせたのか。売上税は売上税で別に出してきた方がいいんじゃないか。そうすればこんな国会の空転もなしに、なおかつ売上税に対しては慎重にそれこそ回数を重ねることによってみんなが納得のできるような審議ができたんじゃないか。これはちまたの声ですから、一緒に飲んでいる連中が言うんですから、腹を立てないで聞いてください。どうして別にできなかったのか。  いま一つ総理にお伺いします。その男が言うんですね。どっちみち自民党は数が多いんだから無理やりにやうだろう、こういう意見が出ています。要するに強行採決とか単独採決というような意味だろうと私は思うんです。それぞれにお答えください。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 所得課税あるいは法人税の減税ということが長い間の要望であり、また税制ももう四十年近うございますので、これ以上重税を続けていることは問題が多いと考えまして、そこから発想いたしたわけでございますが、御承知のような財政の事情でございますから、もしそれだけをいたしますと、それに相当する恐らくは歳入補てん国債、赤字国債を発行しなければならない、そういう事情にございました。したがいまして、この歳入そのものを、いわゆる中立化と申しますか、それだけの減税に該当する新税を国民にお願いせざるを得ないということになったわけでございますが、同時にまれこれは、近い将来我が国が老齢化いたしますときに、大変に少数の若い人に老人を背負ってもらわなければなりませんが、そうなりますと、どんなに所得税を重くいたしましてもしょい切れないということは目に見えております。この際、国民のすべての人が薄く広く社会共通の費用を背負ってもらうような税制をつくっておきませんと、今から十五年、二十年たちますと本当に若い方が図られる。その前に我々年寄りもそういうものを今から背負う制度をつくっておこう、こういう配慮がございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく減税をやらなければいけない。昭和五十二年以来与野党の間で大きな減税をやれということが予算委員会を開くたびに課題になっておりまして、政府も大減税をいずれやらなきゃいかぬ。そういうことでいろいろ苦心をして、そして政府税調に諮問をして所得税、法人税の大幅な減税をやりましたが、その穴埋めのお金がやっぱりどうしても必要だ、赤字公債にするわけにいかぬ、そういうことでこの売上税等の発想になってきたわけでございます。そういう意味において、一面減税という面におきましては恩典ではございますが、売上税という面におきましては御迷惑をおかけしているという点で、また非常に誤解や何かもあって、我々の努力不足で申しわけない点も多々あると反省いたしております。  ただ、今の予算の問題につきましては、我々はこれが最善のものと信じて提出しておるのでありまして、今これを修正するとか撤回するとかということは申し上げかねる。我々は、最善であると前からずっと申し上げているとおりです。撤回とか修正とかと言えば、そんな予算なんか審議しない、そういうことになるのは必定であり、また政府自体としては、最善のものであるとして今でも申し上げておる次第なのでございます。  しかし、売上税という税の問題につきましては、いずれ大蔵委員会におきまして十分御審議を願いまして、そうして各党の御意見、あるいはその間における各国民の皆さんの御意見にも十分耳を傾けまして、これはいろんな委員会でよくやるように、各党で詰めを行うという場は出てくるだろうと思うんです。そういう場合には我々も虚心坦懐に国民の皆様や野党の皆さんのお考えも承って、建設的ないい考え方というものについては我我もこれに十分耳を傾ける、そういう態度で処すべきであると考えております。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 そうしますと、今私のお尋ねしました無理押しにやるとか、数を頼んで強行採決するとかというようなことはない、こういうわけですね。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく建設的ないい案については我々は虚心坦懐に耳を傾けると申し上げておるので、最終的にはできるだけ円満に落着するように努力したい。要するに国民的合意を形成するために努力いたしますと、こういうふうに前から申し上げているとおりであります。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 これはもっとも、私は売上税に関しては余り総理はお好きではないんですけれども、障害者問題になりますと頼りでございますので、どうも質問する私の方もやりにくいんです。  小規模作業所をいろいろと御説明申し上げまして、総理の一言で助成がいただけるようになりました。これはまことにありがたいことだと思いますけれども、来年度の予算に計上されている小規模作業所の助成でございますけれども、その数と単価はどういうふうになっておりましょうか、厚生省にお伺いします。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) それは私から申し上げましょう。  あなたからいつも御質問を承りまして、私も関係省に厳命しておるところであります。助成費は一カ所当たリ七十万円、予算総枠は八千六百十万円、身体障害者につきましては七十五カ所分、精神関係の障害者につきましては四十八カ所分でございます。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 それじゃ少し足りないんですね。厚生大臣、もうちょっと細かく。

斎藤十朗自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤十朗君) ただいま総理が答弁していただきましたとおりでございます。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 総理にわざわざお答えいただきまして、本当にありがとうございました。  ただ、この小規模作業所というのは、実数におきましても千五百以上というふうになっております。今回の助成は、その数にしますと大体五分の一以下、こういうことになります。もちろん初めてのことでございますので、いるいろ不満も多うございますけれどもしかし助成されるということは大変ありがたいことで、ただその数あるいは額が将来に向かってどうなるのか、これを厚生大臣に。

斎藤十朗自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤十朗君) 御指摘の点は、今現存いたします、運営されておりますいわゆる小規模作業所というのが千カ所以上あるではないか、そういう中で今回の障害者の分といたしましては七十五カ所、こういうことになって少ないではないか、こういうお話だと思います。  この点につきましては、これまでも適所授産事業といたしまして、制度に乗ったものといたしましては二十名以上の作業所として助成をいたしてまいったわけでございますが、その二十名に満たないものについて先生の方から、この予算委員会やまた社会労働委員会で、小規模作業所という形で国の助成をしてはどうかということを非常に強く御要望いただいたわけでございます。でありますので、その二十名に満たない部分について、すなわち今私どもが考えておりますのは、十名ないし二十名ぐらいの、その間にあるぐらいの作業所についてまず助成をしてみてはどうか、こう考えておるわけであります。この数が大体私どもつかんでおりますのは今三百カ所ぐらいかというふうにつかんでおりますが、ことし七十五カ所ということでございますので、それについてもまだ少ないではないか、こうおっしゃられることだと思うわけであります。  この予算は、御承知のとおり本年度新規予算でございますし、大変予算編成の非常に苦しい中、格別の、全力を挙げての努力をいたした結果、このような新規予算を認められたわけでございます。小さく産んで大きく育てるというつもりでこれから一生懸命やらしていただき、将来拡大をいたしてまいりたい、このように思っております。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 予算編成の段階ではゼロ回答だったそうですが、厚生省の方で頑張っていただきましてここまで参りましたことは大変喜ばしいことで、私どもは喜んでおります。ただ問題は、この交付する場合なんですけれども、この分配方法でございます。これはどういうふうな組織で、どういうふうな形で分配なさるんでしょうか。

小林功典厚生省社会局長

○政府委員(小林功典君) この助成金の分配の手法でございますが、まず在宅重度障害者通所援護事業、つまり身障者の方の関係でございますが、この場合には、各県に支部を持っている全国的な規模の団体でありますところの社会福祉法人日本身体障害者団体連合会、俗に日身連という団体でございます。それからまた精神障害者小規模保護作業所、精神障害者関係の場合は、これも全国的な規模の団体であります財団法人全国精神障害者家族連合会、これを通じて配付をする予定でございます。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 せっかくこうしてできた制度を有効に使っていただきたいと思います。  それから当事者で、殊に認定されていない作業所の当事者がこの中に入っていましょうか、いろいろと御相談のときに。

小林功典厚生省社会局長

○政府委員(小林功典君) 新しい制度でございますから、認定という御趣旨はちょっとわかりかねますが、調査であらわれているものは、先ほど厚生大臣が答弁しましたように約三百カ所ございます。その中で予算は七十五カ所ということでありますので、その中から適当なものを選ぶと、今認定ということではございませんので。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 せっかく中曽根総理のツルの一声ででき上がった制度でございますので、とにかく皆さんが有効に喜ばれるような方法を、総理もひとつよろしく御配慮のほどをお願い申し上げたいと思います。  それから昨年十一月の補正予算の審議のときに、政見放送への写真や手話通訳導入のお話をさせていただきましたが、そのときに総理の方から、「広く国民全般に選挙の候補者の発言等がよくわかりますように、各省を督励いたしまして、平等の機会を与えるように今後ともいろいろな面で努力してまいりたいと思います。」と、こういうお答えをいただいたんですが、その後どういうふうになっておりましょうか。

葉梨信行自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(葉梨信行君) 聴覚や言語に障害のある方が立候補された場合に政見放送をどうするかということは、さきの国会で先生からも御質問をいただきました。政見放送でできるだけ候補者の政見が有権者にわかっていただくような方法としまして、いろいろ研究会を設けて検討してまいりました。先般中間報告か出まして、政見放送並びに経歴放送規程を改正したわけでございますが、あらかじめそれらの候補者から原稿をいただきまして、放送事業者が録画をして、それを政見放送に使っていただくと、こういうことで実施することに決めたわけでございます。  もう一つ先生のお話で問題は、今度は有権者の中でたくさん聴覚、言語に障害のある方々がいらっしゃる、それに対してどうやって手話通訳をつけていくか、こういう問題がございますが、これにつきましては、政見放送をできるだけたくさんの方に聞いていただかなければならない。それから候補者につきましては厳正に取り扱いをしていかなければいかぬ。それから政見放送をつくるにつきましては、放送上の技術上、制作上いろいろな問題がある。こういうことで、先ほど申し上げました研究会の先生方にこれからなお研究を続けていただいて結論を出したい、こう考えております。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 今大臣の前段でお答えくださったことは、もう既にやられなきゃならなかったことがやっとできるようになったというだけのことなんですね。  後の方なんでございますけれども、私もいろいろと聴覚障害の方々とお話をしたんですが、総理ね、手話通訳にも、通訳する手話の中にも方言があるんですね。ですから東京で通じる形、神奈川、大阪で通じる形、鹿児島の形、青森、全国それぞれその地域によって、その地域のなまり、あるいはその土地のそれぞれの特有の言葉があります。それが手話の形になるわけです。ですから、これは全国統一的ではないわけなんですね。したがいまして、この聴覚障害者の方々は全国に通用する通訳士、つまり、「国語元年」というこの間NHKでやっておりましたけれども、ああいうように全国共通の手話、どこでも通じる手話、そしてその通訳士が必要であると、こういうふうに聴覚障害者の方々が叫んでおられるわけです。殊に今の選挙のよう係な場合にはそれがまことに必要であるということになるわけで、しかもこの方たちは大勢いらっしゃいます、何十万といらっしゃいます。それだけに大変必要な事項なんですけれども、こういうことに対して総理はどういうふうにお考えでございましょうか、一言お言葉をいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) せっかく事態を改善するために一歩前進してきているわけでございますから、もう一息全国共通によくわかるようなそういう方向を大いに工夫してみたいと思います。

下村泰二院クラブ・革新共闘

○下村泰君 ありがとうございました。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。

青木茂サラリーマン新党・参議院の会

○青木茂君 税制改革全般についての御質問を申し上げます。  まず、資料についての御説明でございますけれども、表一は、これは政府提出の資料を月割りにしたものですね。法人税のミクロ家計へのはね返り分を除きますと、百人中五人あるかないかという超高給サラリーマン以外は軒並み増税になっておるというのが実態でございます。果たして法人税減税がミクロの家計にはね返るものかどうかということについては検証のしようがございませんけれども、たまたまいわゆる四十年不況ですね、四十年不況のときにかなり大幅な法人税減税があったんです。それを通産省の資料から、減税前五つの半期、減税後五つの半期を比較してみます。そうすると社内留保率は、減税前は二一・八七、減税後は三八・九五と社内留保率はふえて、配当性向は逆に下がって、労働分配率はやや下がる、こういう結果が出ておるわけですね。  そういたしますと、どうも法人税減税がミクロ家計にプラスになってはね返るというのは納得のいかないところなんですけれども、まずここを大蔵大臣の御見解を伺いたいんですけれども。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 今ちょうだいいたしました資料は、私どもがつくりました五分位で分けましたものの年額を月額に直されたわけですね。

青木茂サラリーマン新党・参議院の会

○青木茂君 そうです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これはこういう私どもの資料のとおりでございます。  そこで、法人税を除けば五分位階層の上だけで、あとはみんな減税にならないというお尋ねであると思います。おっしゃったことは、この企業の経営分析によりますと必ずしも政府の言っているようなことにはなっていない。四十一年のところでおっしゃっているわけでございましょうか。私ども、結局法人減税がすぐに配当の増加あるいは製品価格の引き下げに直接に向けられないにいたしましても、それはつまり内部留保になるとかいろいろな方法があると思いますが、しかし内部留保になりましてもやがてそれが株価の上昇になる、あるいは設備投資になれば、やがてその設備投資が製品のより安いあるいはより質のいい供給になる、コストダウンになるといったように、一定の時間を置きますと必ずそうなるはずである。いっときは法人の中にとどまりましても、それが永遠に法人という抽象的なもののところでいわば空中に浮くような形になることはないというふうに考えます。  たまたまこの四十一年のときになぜ内部留保が大きかったかということは、これはたしか好況期に向かう寸前でありまして、企業収益が好転いたしましたが企業は将来の経営あるいは投資を確保するために余計に内部留保をした時期であったという企業分析がこの年の企業分析としてございまして、この年はしたがって青木委員のおっしゃいますようなことがすぐには起こっていない。そのとおりでございますけれども、それはやはりそのときそのときの景気状況などによりまして、それが外に出てくる時間的なラグというものはそのときそのときによって違う。つまり結論として申しますと、多少の時間的な差を置きますとやがてそれは株主の形あるいは消費者に対する価格引き下げ、品質向上の形で還元される、そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。

青木茂サラリーマン新党・参議院の会

○青木茂君 今は深刻な円高不況だから、還元はもっと遅くなりますね。大蔵大臣のおっしゃることは、東京から西へ向かって歩いていけば、地球は丸いんだからいつかは東京へ戻ってくるというのと一緒なんですよ。いつのことやらわからぬ。  それはともかくとして、どうも実際は増税になるのに減税という幻想を与えたのはちょっと罪が深過ぎる。私は割合善意に解釈しているんですけれども、どうなんですかね総理。選挙のときは本当に大型間接税はおやりにならないと思った。ところが出てきたものを見ると、限りなく大型間接税に近くてびっくりなさっていらっしゃる。サラリーマンの減税を本気でやろうと思っていらっしゃった。ところが出てきたものを見ると、実際は増税に近い。二度びっくりなさった。ここら辺が本当じゃないんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 選挙のときの私の言動の公約問題については先ほど申し上げたとおりで、私はここで真っ当な議論として大内書記長や矢野書記長の御質問にお答えして、そしてそれを一番大事にしてきた一人であります。  それから減税の問題については、ともかく財源をどうするかという点で税調の審議を非常に見守っておりました。そして最終的に税調は政府でも党でもこういう選択をしましたので、それに従ったということでございますが、所得税減税あるいは法人税減税というものがかなりの額において出てきておる。なるほど三百万、四百万、五百万ぐらいの方は減税率は多少低い面もありますが、お年をとってくればそれは厚い減税に浴する。つまり五十前後になると大体十六万ぐらいの減税に浴する。そういうわけで人生を追っていくうちにずうっと軽くなっていく。そういうような面、そういう動態的な面でもお取り上げ願いたい、こう思うわけでございます。三十の人も必ず四十になり五十になっていくわけであります。

青木茂サラリーマン新党・参議院の会

○青木茂君 実質増税なんですよ、法人税のはね返りを除きますとね。議論がかみ合いませんが、時間がありませんからしゃべりっ放しにしますけれども、国家財政が大変だということは我々もわかっているんです。この国家財政を何とかするために何かでやらなきゃならないという、いわゆる宰相の苦悩というのもわかっているわけなんですよ。それだけに虚偽や欺瞞やごまかしでなしに、誠実に私は国民に訴えてもらいたいと思っておるわけです。政治には王道があるでしょう。その王道は僕は誠実さと責任だと思うんですよ。そうである限りにおいて、我々は少々内容に不満があっても御協力いたします。しかし、百歩譲って、いや干歩、万歩譲りまして、やっぱり現在の論理のすりかえ的な虚偽だったらこれはどうにもならないわけなんですよね。これをもし我々がのんだら、ちょうどドイツのワイマール民主主義の崩壊のときにヒトラーが出てきた、あのドイツ国民の悲劇をまたここで我々が再現することになるわけなんですね。そうですよ。とにかく我々は、わずかな利益と民主主義とどちらをとるかといえば、断固として民主主義をとるんですよ。そこら辺のところはもっと前向きに御検討いただきたい。  今政治不信は全国に満ちあふれていますよ。その中で今は円高、貿易摩擦。与野党ともに経済国難に一致して立ち向かわなきゃならぬ時期ですよ。それが政治家の言動を信用できないなんということで世の中が果たして進むだろうかと私は思うわけなんです。  この状況を踏まえて、もう時間が来ましたから最後に総理の御答弁をちょうだいしたい。この総理の一瞬の御答弁は、まさに政治に対する国民の信頼を取り戻せるかどうか、いいですか、日本の民主主義の運命がかかっていますよ。御答弁をお願いします。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今のワイマール云々というのは、状況がまるっきり違っているので、ちょっと表現が大げさであり、また時期を取り間違えていると私は思います。我が親愛なる青木さんのために申し上げる次第であります。しかし、税制の問題は本当に皆さんの財産や日常生活に関する問題でございますから、今後とも大蔵委員会において真剣な討議をして、聞くべき議論については十分耳を傾ける、誠実に実行していきたいと思う次第であります。

青木茂サラリーマン新党・参議院の会

○青木茂君 国民はどう思うでしょうか。  質問を終わります。

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で青木茂君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、これより暫定予算三案に対する討論に入ります。  別に討論の通告はございませんので、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  昭和六十二年度一般会計暫定予算、昭和六十二年度特別会計暫定予算、昭和六十二年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方は起立を願います。    〔賛成者起立〕

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桧垣徳太郎自由民主党

○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会      ―――――・―――――

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