農林水産委員会 第1号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/03/26
会議録
○委員長(高木正明君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る一月二十六日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として諌山博君が選任されました。 また、去る三月二十四日、諌山博君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(高木正明君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても農林水産政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木正明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(高木正明君) 次に、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
○国務大臣(加藤六月君) 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 松くい虫被害対策特別措置法は、松くい虫による異常な被害の終息を図るため、昭和五十二年に五年間の限時法として制定されたものであります。その後、松くい虫の被害が拡大したため、昭和五十七年に、各般の対策を総合的に実施することとした上、その有効期限を五年間延長し、今日に至っております。 この間、政府といたしましては、鋭意松くい虫の防除に努めてきたところであり、この結果、昭和五十六年度に二百七万立方メートルに及んでいた被害量は、昭和六十年度には百二十六万立方メートルにまで減少し、全体としては、松くい虫の被害の鎮静化に相当の成果を上げてきたところであります。 しかしながら、被害量は依然として百万立方メートルを超えており、地域によっては被害は拡 大傾向にあるなど、異常な被害が終息する状況には至っておりません。 このため、松くい虫被害対策特別措置法が、本年三月三十一日に失効するに当たり、これまでの防除の経験等を踏まえ、被害の実態に応じた効果的な対策を講ずるため、所要の改正を行うこととして、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 第一に、松くい虫被害対策特別措置法を昭和六十七年三月三十一日まで五年間延長することとしております。 第二に、防除を必要性の高い地域において重点的に実施するため、都道府県知事等が積極的に防除を推進する松林の範囲を変更することとしております。 第三に、駆除を効果的に行うため、被害木の伐倒とあわせて破砕、焼却等を行う特別伐倒駆除を命令することができる松林の範囲を拡大することとしております。 第四に、松くい虫の羽化直前に被害が発現し、命令の手続をとるいとまのない被害木について、的確に駆除を行うため、都道府県知事は、駆除命令にかえて、みずから伐倒して薬剤による防除を行うことができることとしております。 第五に、都道府県知事は、他の樹種等から成る森林への転換を促進するため、対象となる松林を公表し、必要な助言及び指導に努めることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(高木正明君) 以上で趣旨説明は終わりました。 次に、補足説明を聴取いたします。田中林野庁長官。
○政府委員(田中宏尚君) 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につきまして、若干補足させていただきます。 第一に、松くい虫被害対策特別措置法の有効期限の延長であります。 松くい虫被害対策特別措置法は、本年三月三十一日限りで失効することとされておりますので、松くい虫の被害対策を引き続き緊急かつ総合的に推進するため、その有効期限を昭和六十七年三月三十一日まで五年間延長することとしております。 第二に、高度公益機能松林及び被害拡大防止松林の範囲の変更であります。 高度公益機能松林は公益的機能が高い松林として、被害拡大防止松林は被害の拡大を防止する上で重要な松林として、それぞれ、都道府県実施計画に基づき、農林水産大臣または都道府県知事が命令等により防除を行う松林であります。最近における被害の状況等にかんがみ、防除を重点的かつ効果的に実施するため、高度公益機能松林及び被害拡大防止松林を、保安林等時に保護すべき松林に限定することとしております。 第三に、特別伐倒駆除を命令することができる要件の変更であります。 被害木の伐倒とあわせて破砕、焼却等を行う特別伐倒駆除の命令につきましては、従来一定の被害率以上の松林を対象としておりましたが、松くい虫の被害が未発生地域等へ拡大するのを防止するため、農林水産大臣または都道府県知事は、被害の程度にかかわらず、必要があるときは、特別伐倒駆除の命令をすることができることとしております。 第四に、緊急伐倒駆除の新設であります。 近年、冬から春にかけて五月雨的に被害が発現するいわゆる年越し枯れが拡大する中で、従来の駆除命令の手続をとっていたのでは、松くい虫の羽化までに的確に駆除を行うことが困難となる場合が生じております。このため、都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、高度公益機能松林または被害拡大防止松林につき、緊急伐倒駆除として、駆除命令にかえてみずから伐倒駆除を行うことができることとしております。また、これに伴い、緊急伐倒駆除を実施できる期間、実施の手続等に関し必要な規定を設けることとしております。 第五に、樹種転換の推進であります。 都道府県実施計画におきましては、他の樹種等から成る森林への転換に関する事項を定めることとされておりますが、これを積極的に推進していくため、都道府県知事は樹種転換すべき松林を公表し、必要な助言、指導を行うよう努めるものとすることとしております。 なお、このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。 以上をもちまして、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○委員長(高木正明君) それでは、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○上野雄文君 私から質問をしたいと思いますが、今度この法案を審議するに当たって、私は私なりに現地を見てまいりました。全国的に見て歩くなんということはとてもできませんので、我が栃木県内を見て歩いたんであります。というのも、ちょうどうちの県あたりが北と南の接点になっておりますし、今まであんまり目立った被害を受けていないというようなところであっただけに代表的な姿を示しているんではないのかなと、こう思って見て歩いたわけであります。 それで一番先に気がついたのは、かつて私が県会議員をやっておったころ、五十七年に最初の延長になったわけですけれども、そのころはまだまだそれほどひどくなかったんでありますが、最近では非常に目立ってまいりました。防衛線が約二十五キロから三十キロぐらい、北へずっと上がらざるを得ないという大きな変化が出てまいったわけです。こういう状況でありますだけに、私も、この松くい防除に関して、やはり早急な手を打っていかなきゃなるまいということを痛切に感じたわけであります。 そこで、まず最初にお尋ねをしたいと思いますのは、山の手入れが悪いというふうに一口に言われるわけですけれども、これはやはり材価の低迷、林家の林業経営への意欲の喪失、結局は山に入らないというような問題が起こってきたことに最大の原因がありはしないかなと、こう思うんです。 農水省で出しております最近の林産物の輸出入の統計月報によりましても、素材の輸入が減少傾向を示している。この統計でいきますと、去年の十一月までの月別のものが出ておりますが、ごく最近の資料でこういう傾向に変化がないのかどうか、輸入の実態についてちょっと教えてもらいたいなと、こう思うんです。この統計月報でまいりますと、八四年と八五年の対比で、価格で対前年比九一・五。円高の影響もあるかとも思いますけれども、その辺のこともひっくるめてひとつ実情をお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 我が国の木材需給の基本的な状況でございますけれども、我が国の木材需要は長期にわたり残念ながら低迷しておりまして、このため、近年におきます木材の供給は、国産材につきましてはトータルで全体として約三千万立米を上回る水準、それから輸入材につきましては六千万立米をやや下回る水準ということで推移してきたわけでございますけれども、去年から若干様相を異にしてまいりました。 その一つは、住宅の着工回復。去年百三十六万戸という着工数字に相なったわけでございます。そういうことから木材の需要というものが相当増加してきたということに加えまして、円高という問題で輸入材の価格競争力というものが相当高まってきたということがございまして外材の輸入量というものがふえてきているわけでございます。 具体的数字といたしましては、六十一年で輸入量が六千三百万立米。これに対しまして、国産材の供給は三千二百万立米ということでやや前年を下回っているわけでございます。特に輸入材の中で、ただいまお話ありましたように、素材といいますか、丸太という形では前年に比べて一〇一・五ということで、丸太そのものは減ってきているわけでございまして、丸太が全体の輸入量のボリュームとして半分でございます。その半分を占める丸太は減っているのでございますけれども、その他のものがいずれもふえてきている。その中で、チップでございますとかパルプも相当ふえておりますけれども、製材品あるいは合単板、特に合単板につきましては、絶対数量はまだ大したことはございませんけれども急激な伸びを示しているというのが、ここのところの木材輸入の状況でございます。 それから価格関係につきましては、そのときそのときの需給の動きというものもございまして単純に円高だけでは対比はできませんけれども、輸入材につきましては、年トータルで見ますと、例えば、米ツガ丸太では前年に比べて三割程度安くなっておりますし、それから米ツガ正角では前年に比べて約二割程度安くなっているというような現況にあるわけでございます。
○上野雄文君 これは後々、伐倒材の処分の問題とも絡むわけですけれども、チップのことについて、もうちょっと詳しく教えてもらえればありがたいなと、こう思いますが。
○政府委員(田中宏尚君) チップにつきましては、その年によって変化しておりますけれども、ここ数年間、大体千百万立米程度で推移してきておりますけれども、六十一年には千二百二十九万三千立米ということで、前年に比べまして四・一%という伸びになっております。これは過去五十九年にも七・三という高い伸びを示したことがあるわけでございますけれども、例えば五十七・五十八年はほぼ前年同で推移してきておりましたので、六十一年の四・一というのはここ数年の中では若干高い伸びというふうに認識しております。
○上野雄文君 輸入の価格の面ではどうですか、国内のものとの価格の対比。
○政府委員(田中宏尚君) 価格につきましては取引関係のいろんな問題もございますけれども、これは六十一年の数字でございますけれども国産材につきましては立米当たりで七千八百円、それから輸入材につきましては立米当たり八千二百円ということで、どういう紙に使うかということで材質ということも絡みますけれども、製紙業者等が従来から伝統的に国内の木をできるだけ使っていただくということもございまして、現時点では外材に比べまして国産材が若干落ちておりまして七千八百円ということに相なっております。
○上野雄文君 あと林業労働力の問題がいつも議論になっているんですけれども、最近の状況はどうでしょうか。最高のときに比べて現状どんなふうになっているのか、そのこともちょっと教えていただきたい。
○政府委員(田中宏尚君) 林業就業者の推移は、昭和五十年代の中ごろまでずっと減ってきていたんでございますけれども、五十七年ごろから大体十八万程度で横並びという形になっておりましたけれども、林業活動のいろんな停滞というような問題を反映いたしまして六十年に十五万人という水準になりまして、この水準でここのところ横ばい傾向で推移しているというのが就業状況の概要でございます。
○上野雄文君 よく炭鉱労働者と比較をされるわけですけれども、やっぱり物すごい減少を示してきているということ、一口に言ってそういうことが言えるのだろうと思うんですね。 そこで、松くいの原因の究明は一体どうなっているのかということをお尋ねしたいなと思うんですが、一番最初この法律ができたてのころ、五十七年の延長のとき、そのときに附帯決議がなされていますよね。その中で、徹底して原因の究明というものをやりながら、同時に、林産物ですから、天敵を見つけろとかあるいは誘引剤の開発に力を入れろとかということが入っておったと思うんです。その辺、資料もいただきましたからいろいろ御苦労をされているなということはそれなりにわかるわけですが、ただ歴史的にずっと松くい虫の経過をたどってまいりますと、補助金制度がとられたのが昭和十七年ですか、そのころからこの問題がずっと出てきておっただけに、それなりに相当進んだものが生まれてきてもいいのではないかなという、素人ながらにそういう感じを持っているわけです。 たしか二年ほど前だったでしょうか、我々農林水産委員会が筑波の林業試験場を訪ねまして、あそこでお茶の害虫の誘引剤などをテストして見せていただきましたが、ああいうようなものができないものなのかという、今度は逆に、あそこまでできたわけですからそれなりに大変な期待も我々実は持っておったわけでありますけれども、その辺の状況はどうなんですか。
○政府委員(田中宏尚君) まず、松くい虫の原因を究明した時期なりあれでございますけれども、御承知のとおり昭和四十三年から四十六年にかけましてうちの国立林業試験場で研究を継続いたしまして、その結果、マツノマダラカミキリの媒介いたしますマツノザイセンチュウによるものであるということが学理的に究明されているわけでございます。 そういう究明に従いましていろんな防除対策をとってきたわけでございますけれども、先生からも御指摘ございましたように、前回の当院の附帯決議におきましても、誘引剤でございますとかあるいは天敵でございますとか、こういうものを使ってのより有効な駆除方法についての研究開発ということにつきまして御指示があったわけでございます。当方といたしましても、国の林業試験場の特別研究でございますとかあるいは経常研究に加えまして、国の試験場と密接な連携をとりながら公立の林業試験研究機関の総力を結集してその研究の推進に努めてきているところでございます。 今、具体的に御例示ありました天敵の利用につきましても、いろんな形で、例えば公立林業試験場で大型プロジェクト研究といたしまして、松の枯損防止新技術に関する総合研究等々におきまして、いろんな検索、検出というものを重ねてまいりまして、現在、検索、検出されました天敵微生物なり生理活性物質というものがございまして、これの実用化試験をいろいろとしているわけでございますけれども、現段階ではまだ残念ながらフィールドで実用に供するという段階に至っておりませんので、この点につきましてはなお一層研究を深めてまいりたいと思っております。 それからなお、同様に重要でございます誘引剤でございますとかあるいは樹幹注入剤、こういうものにつきましては、利用の手間なりあるいはその価格というような問題はございますけれども、既に一部実用化されましてそれなりの効果を発揮しているという段階に相なってきております。
○上野雄文君 実は私、今度歩いてきたときに、俵藤太で名の知られている栃木県の佐野地方に唐沢山という山があるんですよね。これは県立公園に指定されているんです。三百年から三百五十年ぐらいのすばらしい松が全山にあるんですが、ここにも入りまして、宮司さんにもお会いしていろいろ話を聞いてまいりました。お宮の周りに百本ほどあるんだけれども、これを何とか守りたいというので今お話の樹幹注入などもやろうとしているんだけれども、「グリンガード」と言うんですか、何せ一本が二千八百円、手間を入れると三千円を超すのを三本から五本ぐらい使わないとなかなか間に合わないというようなことで、大変苦労されている話も聞かされたわけなんです。 この研究について、これは我々素人が外側からせっついたからといって簡単に決まりがつく問題ではないかもしれませんが、これだけの時間をかけてやってきているわけですから、それなりのめどなり何なりというものは立っていないものなんですかね。その辺の感触というか、長官どんなふ うに考えておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 試験研究の分野でございますので、ゴールをここと決めてかかるということがなかなか難しい性格にあることはひとつ御理解いただきたいと思いますけれども、少なくとも我が試験研究体制におきましては一番の最重点研究科目ということで、いろいろなジャンルの研究者を結集いたしまして取り組んでいるところでございまして、できるだけ早く先生から御指摘ありましたような点を究明し、それからいろいろな研究室段階で解明されてきております技術というものを現実の実用に供し得る段階までできるだけ早く高めてまいりたいと思っております。
○上野雄文君 原因が、挙げてマツノザイセンチュウとそれの運び屋マダラカミキリに全部集中しているかもしれませんが、そう言ってみても、山に人手が入らなくなったことが最大の原因ではないか。 私、子供のころ、農家の育ちでありますから、松林に行って燃料としての松を切ったり、あるいは松葉さらいをやったり、いろいろなことをやってまいりました。で、日にちをさかのぼってみますと、昭和十七年に補助金制度がスタートしたときに、そのころ我々が山に行ってそういう作業をやっておったころと比べてみますと、やはりそれだけではなくて、冒頭申し上げましたが、人手が山に入らなくなったということに最大の原因がありはしないか、あるはずだと私は思いたいわけであります。松材の積極的な利用とかなんかという面で人間が山へ入らざるを得ないような仕組みといいますか、そういうものについて何か考えていることはありますか。
○政府委員(田中宏尚君) 先生御指摘のとおり、従来は薪炭利用という形で結果的に現在で言います伐倒駆除に相応しますものを、薪炭の利用をするということを通じまして行われていたという点もあるわけでございますし、それから昔ですと、少し赤くなりますと人手ですぐ切りまして薪炭に即利用するというようなことで、機動的なそれぞれの地元での草木ごとの処理というものも結果的にいろいろとやられていたわけでございます。それが残念ながらこういう燃料革命ということで、松材に対する燃料需要が減退いたしまして、そういうきめ細やかなたくまざる防除というものができなくなってきたという点は確かにあろうかと思っております。 そういうこともございますので、やはり何といいましても、こういう病気の対策というものは、それぞれの地域の住民の方なりあるいは所有者、そういう方々の常日ごろの監視なり努力ということが息の長い防除ということにつながろうかと思っておりまして、それぞれの地域でも被害対策推進連絡協議会というような形で多くの関係者に御参集いただきまして、いろいろそういうPRなりをいたしますとともに、それから仕事の面でも、例えば移動チッパーでありますとか、現在の労働力なりいろいろな需給関係からいいまして、一々木を下まで持ってきて売るという形もコスト的に問題があったりあるいはかえって病気をばらまくというような問題もございますので、山の中でチップにできる移動チッパーというようなものもうちで行っております補助事業の一つのメニューとして採択いたしているわけでございます。 そういうようないろんな施策をきめ細やかに積み上げまして、何とか少しでも終息に近づくような努力を積み重ねたいと思っております。
○上野雄文君 うちの県のほらを吹くわけではないんですけれども、松くい虫防除へ地域ぐるみで林業事務所が音頭取りで全部集めて、松くい虫はこういうものだという学習会なんか計画して積極的にやっているんですね。わけても若い人たち、例の何といいましたかな、林業の関係の青少年の組織がありますね、それを集めたりしてやっているようですね。だから、こういうことについての積極的な取り組みができるような仕組みというものをやはりやってもらいたいなと、こういうふうに思っています。 実は、今度県の職員と一緒にずっと歩きながらいろんな雑談をしたわけですが、昭和四十四、五年代の古いフィルムがあるんです。炭焼き窯の炭焼きの番をしながら、プロパンガスを持ってきてお湯を沸かしてお茶を飲んでいるのが映っている、そういうフィルムがあるんですね。これはエネルギー革命からずっと来た問題ですから、一林野庁あるいは農水省だけで取り組もうといったってなかなか難しいだろうとは思いますけれども、今度は、角度を変えたそういう住民運動というか地域運動というか、そういうものを盛り上げるようなものをどんどんやってもらいたいな、そういう面にも積極的な金をつけるような仕組みを考え出したらいいのではないかなと思っていますが、こういうことについての皆さんの方での取り組みで、大変な成果がどこかで上がっているなんという事例がありますか。
○政府委員(田中宏尚君) 各地でいろんな知恵を出していただきまして、具体的な優良事例がいろいろ出てきておるようでございますけれども、国といたしましても、ただいま先生からお話がありましたように、地域住民の方々がどう認識し、常日ごろの生活の中で松をどう守っていくかということがまさしく一番肝要でございますので、来年度予算におきましても、そういうソフト面といいますか、協議をするなりみんなで雰囲気を盛り上げる、こういう面につきまして予算措置等も充実したところでございます。
○上野雄文君 いずれにしても、人手が入らなくなったというのはこれは大問題だ、こういうふうに認識をする必要があるんではないかなと、こう思うんです。 さらに、一緒に歩いていて、彼らの悩みは一体何なんだと、こう言ったら、所有者の確認というのが大変な手間なんですね。今度の特別伐倒、それからさらに緊急伐倒、これはやはり所有者の確認ということはつきまとうわけでしょう。うちのある林業事務所でもうどうしようもないから切っちゃったら、おれの木を勝手に切りやがったと言ってどなり込まれてきてえらい目に遭ったという問題なんかも実は起こっているんですね。最近はうちの県だけではなくて、関東近県そうなんでしょうけれども、山が投機の対象になっていますから、どんどん売られていっちゃって、もとの人のところへ行ってみても今はどうなっているかわからないというような話になりがちなんですね。この辺の取り組みについて、ひとつ一層の研究をお願いしたいということを要望しておきたいと思うんです。 それから、きのうですか、テレビで、何か、山陰地方での伐倒駆除をしている、切って薬をかけてビニールをかけて、さらにチップにして出すというので完全駆除だという、そういう放送があったというんですね。何人かの方々から私も聞かされましたが、あれが全部できれば大したものですね。それはやるべくしてやりようもない。ただ、チップにして、材料として引き取ってくれと言ってみてもどうもいい顔をして引き取ってもらえない、この悩みがありますね。ですから、この辺について、先ほどは外国産の物よりも国内のチップの方が安いという話なんで、その辺の手の打ち方が何かありやしないかというふうに思うので、それもぜひひとつやっていただきたいなと、こう思います。 それから、時限立法の問題にも及んでお聞きしたいんでありますけれども、これは先ほど来申し上げておるように、昭和十七年ごろからずっと問題が起こってきて、ここのところ十年間時限立法で二回対応してきた、今度さらに五年間延長という話のようですが、いろいろ話を聞いてみますと、それだけでおさまりがつくとは考えられないなと、こう思うんですが、この辺のことについて大臣どういうふうにお考えですかね。 それからもう一つ。今度はちょっと違いますが、同じ材木のことなものですから。 こういう材価の低迷で頭を抱えちゃっているのが木材業者ですよね。きのう宿舎へ行きましたら、売上税創設反対なんて言って私のところへダブルパンチを受けるような状態になりかねないという 切実な訴えが来ているわけですね。 こういう問題までひっくるめて、大臣ひとつお答えをいただければと思います。
○国務大臣(加藤六月君) 第一点は、恒久法として取り組む考えはないかという御質問のようでございますが、松くい虫被害対策特別措置法は、松くい虫被害の激甚な状況に対処して、被害対策を緊急かつ総合的に推進するための臨時特例的な措置を定め、そして一定の年限内に異常な被害の終息を図ろうとするものでございまして、今回もこうした考え方に立って時限立法としているところでございます。 松くい虫被害については、先ほど来もございましたが、なおいろいろあります。そして、異常気象の発生等不確定な要因はあるものの、往時に比べて半分程度にまで減少してきているところでございまして、今後被害の先端地域における対策の強化や保全すべき松林の対策の徹底等を図ることによりましてこの異常な被害をできるだけ早期に鎮静化させまして、経常的な被害状態とするよう全力を挙げたいという意味で時限法で今回もお願いいたしておるところでございます。 それから第二点の売上税に絡む木材の関係でございますが、私のところへ舞い込んできたビラには、ことしじゅうに三千万の木材家屋を建てると百五十万得をするから早く建てなさいというようなビラも来ております。立木に関係した場合は非課税になっておるわけでございますが、木材ということになりますと課税になっておるようでございまして、一日も早く国会で十分な御審議をいただきまして、いろいろな御意見等を十分議論していただきたいと考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 私、きょうは大変短い時間の中で審議をしなければならぬということになりますので、それこそ逐条で問題をいろいろとお聞きをしていく時間がないのは大変残念でありますが、それだけに考え方、やり方等について伺っていくということにしたいと思います。また、私は、この松くい問題というのは大変深刻な問題でありますので、それこそ一日も早くこれを克服していかなければならない、そういう観点を基本に踏まえておりますし、それから山の緑、森林、農業というものが極めて大事であるということを私自身はもう本当に思い知っているつもりであります。そしてなぜ農業、山の緑、森林が大切かということになれば、これはまさに人間の生きていくことに基本的にかかわっている大事な問題だからであります。 そういう観点を踏まえていろいろと御質問申し上げたいと存じますし、そしてまた、それこそ林野庁がいろいろの努力をしてこられた点もそれなりの評価をしながら、同時にまたいろいろと耳が痛いという形のことになるかもしれませんけれども、それはそういう立場を踏まえているということをひとつ御理解をいただきたいと思います。 それからまた、そうした時間の足りない中での質疑になりますので、私の方もできるだけ簡潔にしたいというふうに思いますけれども、お答えは、熱意の余り御丁寧過ぎることは必要ありませんので、できるだけわかりやすく簡潔にお答えをいただきたいと、このように思っております。ただし、今の売上税に対する大臣の答弁のようなことでは承服をいたしかねますので、その点はどうぞひとつしっかりと腹に置いておいていただきたいと思います。 そこで、最初に私は松くい虫による松の被害対策の経過について若干伺いたいと思います、上野委員からも少し出ておりましたけれども。 松くい虫の被害として確認されているのは一体いつごろからあるものでありましょうか。そしていわゆる大発生というのはその間に何回ぐらい起こっているのでありましょうか。そしてその大発生というのはどうして起こったのでありましょうか、あるいはそうした過去の大発生と今日の大発生ということについて何か違いがあるんでありましょうか、その辺をまずお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) マツノザイセンチュウによります被害につきましては、過去の文献によりますれば明治三十八、九年ごろに長崎市内で異常発生したという記録が、当時の枯損の態様なりそれから昆虫の描写というものから推測されているわけでございます。 それから、過去におきます被害の大発生の記録といたしましては、昭和二十一年から二十六年にかけまして西日本を中心にピーク時には年間百二十万立米というような被害が発生いたしております。この被害は、その枯損の態様も現在言われておりますマツノザイセンチュウによるものと全く同じでございまして、たまたまこの当時のマツノマダラカミキリの標本というものが若干残っておりまして、これを分析いたしました結果、その中かケマツノザイセンチュウのミイラが発見されたというようなこともございまして、この二十一年から二十六年にかけての西日本の大発生というものもマツノザイセンチュウが原因であるというふうに言われているわけでございます。 過去の大発生の経過はそういうことでございますけれども、そういう激害型の松くい虫、これにつきましては国立試験場で昭和四十三年から四十六年にかけまして松くい虫による松類の枯損防止に関する研究という特別研究を組みまして行ってきたわけでございまして、この研究の中で枯損松を取り巻きますいろんな条件について調査検討いたしまして、考えられる要因というものを一つずつ消去していった結果、マツノザイセンチュウというものがこの病気の原因であるということが研究成果として確定されたという経緯になっているわけでございます。
○稲村稔夫君 マツノザイセンチュウによる被害ということが確認できるのは昭和二十年代初めの大発生のときからということになりますね、今の御答弁によると。 それで、私が過去のものとの違いということを伺いましたのも、私はおたくからいただいた資料を見ていてちょっと奇異に感じているんでありまして、というのは昭和二十五年以降のグラフにした被害の一覧表がございますね。これを見てまいりますと、例えば今のお話のありました昭和二十五年からの被害については年々減少をしていっておりまして、要するに山のカーブがずうっと下降傾向をとっております。これはそれなりの対策が効いてきたということを意味していると思うんですね。 ところが、今のお話のマツノザイセンチュウの解明がされたのは昭和四十六年ですか、特別防除の実施を決めたのが四十八年、それで松くい虫の防除特別措置法が制定された、つまり今の体制の始まりが五十二年ということでありますけれども、ところがこれが今度五十三年からぼんとはね上がってふえているわけでしょう。五十三年からずうっと今度は同じ水準ですよね。要するに、下がっていないで高原で続いているわけです。そしてまた延長された五十六年、五十七年にちょっと下がっておりますけれども、そこからまたこうずうっと横ばいになっておりますね。どうも、何か特別防除を実施されたときからはね上がって、しかもそれが下がらないで被害が高原でずうっといっている。これはどう理解をしたらいいんでしょうかね。下がるのが普通です、対策を立てれば。カーブが緩いか急になるか、この効果のほどは別にしましてね。それが実施をされてからずうっと横ばいだというのは、これはどういうわけでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) まず、昭和二十一年から二十六年にかけて異常発生いたしまして、今、先生御指摘のようなうちで提出をしております資料で、その後、病原がまだ確定しないうちにどんどん下がっていったわけでございますけれども、これにつきましては、当時松材というものが非常に貴重な燃料資源でございましたし、それからその他の家具なりあるいは建築用材といたしましても現在以上に積極的に利用されていたということで、いわばこういう燃料に利用すること等を通じまして意図せざるを伐倒駆除が行われていたわけでございますし、それからそのころは地域単位での伐倒に加えまして、剥皮でございますとかあるいは焼却というものもやられていたようでござい ます。 そういうことがございまして幸いにして漸次減ってきたわけでございますけれども、四十六年に対線虫による被害であるということが松くい虫被害の発生機構として解明されたわけでございます。その後、そういう解明につれまして法律も出しましてせっかく手当てしたんでございますが、先生も御承知のとおり、この虫というものは高温少雨のときに異常発生するという形でございまして、そういう気象条件と運悪く重なり合ったということと、それから一度大発生いたしますとその後終息させるまでに相当の手間がかかるということでございまして、あれだけの大発生でその後ふえないで横ばいで、それから五十七年からがくんと減らしてこれたというのも、いろんな防除体制の成果じゃないかとは思っております。 ただ、残念ながら、ただいま御指摘ありましたように、せっかく法律を延長しながらいまだに百万立米を超える被害が発生しているという点につきましては、我々といたしましても今後新しい法律に従いまして、防除をする際には十分肝に銘じまして真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 本当に時間がすぐ足りなくなってしまいましてあれなんですが、私は、効果がすぐ出てこないということについてはその体制に何かいろいろとまだ問題点が残っておる、こういうことを意味していると思うんですよ。科学的な立場というのを踏まえるとするならば、そういう専門家の皆さんにいろいろと御検討いただくならばまたいろいろな問題が出てくるんじゃないかと思います。これでいいのかという疑問を常に持ちながら、どこかに問題点がある、それを解明していくという努力が私はどうしても必要なんだと思うんです。その辺のところが単純に、私は、今の高温少雨と燃料革命とかの関係だけで理解をするということにはどうも納得がいきません。むしろそのほかのいろいろな要因がかかわっているというふうに考えていいと思うんです。 そこでもう一つ伺いたいのは、第十三条に森林害虫防除員という制度がありますね。これは内容はどういう仕事をしておられるんでしょうか。そして人数はどのくらいでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 人数は全体で、正確な数字はあれでございますけれども、約四千人おりまして、予察でございますとかいろんな調査なり現場での資料収集ということに携わっておるわけでございます。
○稲村稔夫君 私は、これだけの大発生をしているとかなりの増員をして努力しておられるのじゃないかと思っているんですが、その辺はどうなっていますか。
○政府委員(田中宏尚君) こういう状況でございますので飛躍的にふえておりませんけれども、ほかの組織と違いまして若干の人員増はあるようでございますが、現在資料を手持ちしておりませんので恐縮でございますが……。
○稲村稔夫君 人数のことは、その点通告しておりませんでしたからあれですが、私は、今の御答弁を聞いていて、特に先ほどの上野委員の質問等との関連もありまして、やはり人間の目により人間の努力によって防除をしていくということ、これが今何としても肝要なことなのだろうと思うんです。それだけに、こういう時期でありますけれどというふうに言われたけれども、まさにこれほどの大発生をしているんですから、それに対して、やはり技術的に育てていくこともなかなか大変でしょうけれども、急速にこういう防除員などの体制をつくっていただくことが大事なんではないかというふうに思います。時間の関係もありますので、この辺は要望にとどめさせていただきます。 いずれにいたしましても、私の県の佐渡にまで被害が飛びました。佐渡はマダラカミキリはとても飛んでいける距離ではありません。そうすると、なぜこれが起こっているかといえば、言ってみれば人為的にそれが運ばれたというふうにしか考えられないわけでありまして、そうすると人間が運ぶということに対してどういう対応をしておられるのか、この点をひとつはっきりとさせていただきたい。
○政府委員(田中宏尚君) 遠隔の地に人間がその罹病木を運搬したり等によりまして間接的に虫運びの役をしているというようなことも過去再三指摘をされておりまして、そういうことにつきましての危険性なり問題というものを十分一般市民なりあるいは木材関係業者、こういう方々にもPRする必要があるということで、当方のいろんなPRを使いましてそういう宣伝をしているわけでございます。しかし、残念ながら一部にはそういう形で流れているようなのもございますので、今後とも、県を指導するなりそれから当方のいろんな広報組織を活用いたしまして、そういう罹病木の搬出なり何かにつきましては厳に戒めますよう十分な指導を今後ともしてまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 薬剤を散布して、そしてその虫を殺して、その後伐倒しないで置いておく、そこの中に虫が残っているという場合もあり得ます。完全に駆除できていないという場合もあり得ます。そして、そこからまたさらに虫が飛ぶということもあるでしょう。 それからまた、人間が運ぶということについても、これは、私はむしろいろいろと伺っている範囲では、過去の森林病害虫等防除法ですかの時代の厳しさというのが今はなくなってきているというふうにも聞くこともあるんです。そうなっていなければ幸いなんでありますが、要は、私は、薬剤散布ということに伴って、本来人間がきちっとしておかなければならないそういうところが手抜きになっては相ならぬ、こういうふうに思うわけでありまして、その辺を非常に問題認識をしておりますので、その辺のところが大変気になって今質問をしているわけです。ですから、今の人間の対応策というのは、もっと具体的に、そして厳しい体制というものを今後きちんとつくっていただく意思があるかどうか、その辺をもう一度確認をしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 現在も移動禁止措置を講じている県が二十二府県ほどございますし、それから各県なり市町村段階で松くい虫被害対策推進連絡協議会というような形で地域住民なり木材関係者を幅広く結集いたしまして、いろいろ問題点なり対策の協議に加えましてPRということをやっているわけでございますけれども、今後ともこういう体制づくりにつきましては全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 今の問題はそれだけではどうも納得し切れないものがあります。と言いますのは、要するに、都道府県の指導とか、都道府県によって対応が違うとかなんとかということだけでも一つ問題が起こってくるんではないだろうかというふうに思いますし、かなりの強制力を持った措置をとっていかなければなかなか難しいものがあるんじゃないかというようなことも考えます。したがいまして、それは一林野庁あるいは農林水産省だけの範囲の中で対応できない部分もかなり出てくるかもしれないけれども、それなりに、これだけの大事な問題なんですから、政府としての全体的な対応というものを考えていくくらいのことが必要だというふうに思っています。これは、そのほかの問題等も加えて後の方で私はまたもう一度その辺についての問題の提起をしていきますので、考え方を後で伺いたいと思います。 次へ進ませていただきたいと思います。次は、空中散布についてでありますが、これはカナダのナショナル・リサーチ・カウンシルでフェニトロチオン、つまりスミチオンについて百七十ページにも及ぶ報告書を出しておりまして、そしてさらにそのカナダのニューフランスウィック州のスミチオンの空中散布について、らい症候群と関係があるのではないかという疑いの声が上がって、それに対して正式な委員会を組んで報告書が提出をされております。このそれぞれの報告書の中には、スミチオンの空中散布についていろいろと我々が学ばなければならないあるいは我が国と比べ てどうなのかというような問題点があるわけでありますが、これは資料も差し上げましたし、お読みをいただいていると思うわけでありますが、まず、スミチオンの散布密度について我が国と比べてどうだというふうに考えておられるか。それから安全地帯、これは特に四百メーターという規定をしておりますが、我が国は前回の国会答弁等によって二百メーターという、これも必ずしも義務ではないようでありますから、その辺のところもいろいろと私は問題があるというふうに思いますけれども、安全地帯についての考え方をどういうふうにお持ちになっているか。あるいはカーバメート系の農薬、つまりNACに対する見解というのもこれに載っておりますけれども、そういうことについてどう評価をしておられるか、これをお聞きしたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生のお話のカナダのニュープランズウィックにおきますスミチオンの空中散布の問題、それに関連いたしまして、らい症候群との関連があるのではないかという検討が行われたということについて、先生御指摘の資料も私読ませていただきましたし、この点についての概要は承知をしております。 その点につきましてまず概略的なことを申し上げますと、ニューブランズウィックの報告の中では勧告等種々の提言がなされているわけでございますが、スミチオンとの因果関係というものにつきまして、その他の箇所等について私が読ませていただきましたところ、スミチオンとの因果関係は必ずしも認められないという結論になっているというふうに私理解しているところでございます。 現実に、カナダにおきましてはその後におきましても空中散布が行われているようでございますので、そういうことでスミチオンの因果関係につきましては、今申し上げましたように両者の関係は必ずしも認められないという結果になっているというふうに私ども読ませていただいているところでございます。
○稲村稔夫君 私の聞いたことをどう聞いていたんですか。私は、この中で今こういう提起が行われている、散布密度についてだとか、それから安全地帯についてだとか、それからNACに対する見解とかが出ていると言ったんですよ。らい症候群とのかかわりについて、これは確かにその因果関係はわからぬと言っているんです。それはそれでいいんですよ。だけれども、スミチオンの空中散布について問題が提起をされているが、それに対してどう考えているかと聞いているんです。
○政府委員(田中宏尚君) 安全地帯の点につきましては、現実に散布をいたしている当方の問題でございますので、私の方から答えさせていただきたいと思います。 特別防除につきましては、先生御承知のとおり、農林水産大臣が定めております基本方針で学校、病院等の周辺の松林等につきましては適切な防除措置が講じられなければならない松林等についてのみ防除を行うということで、原則として除外するという形をとっているわけでございます。 具体的にどの程度散布の際に距離を離せばよいかということについては、実はいろいろと問題なり検討すべき点があるわけでございますけれども、散布方法なりそれから散布する立地、そのときの気象条件等々によりまして非常に異なっておりまして、一律に何メートルというふうにはなかなか決めがたい話でございますが、実施に当たりましては、いずれにいたしましても風向きなり地形に十分配慮いたしまして少なくとも危被害が及ぶようなことのないように、散布を行います際にはそれぞれの地域での推進本部でいろいろそういう点を総合判断いたしましてするという体制もとっておりますので、そこの場で十分な間隔を保持して散布するよう生活環境の保全等には万全を期しているところでございますし、今後とも期してまいりたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 その点、長官の答弁だと、前の審議のときよりも少し後退しているんじゃないですか。というのは、前のときは大体二百メーターぐらい――衆議院の委員会では、土井議員の質問に対して、大体二百メーターぐらいが適当と思うというような御返事があったというふうに私は承知をしておりますけれども、今のあれだったら、場合によって二百メーターなくたっていいということになるんじゃないですか。
○政府委員(田中宏尚君) 過去に一応のめどといたしまして二百メートルと答弁さしていただいたことがございますけれども、今具体的な四百メートルなりというようなああいう調査報告との関連でございましたので、画一的に決められないという点を申し上げたわけでございまして、めどとしては別段変わっておりません。
○稲村稔夫君 この報告書でいきますと、今の安全地帯の考え方というのが私は問題がいろいろとあると思うんですよ、報告と我が国の状態とを比べていきましたときにね。言ってみれば、どんな場合でもこの安全地帯の四百メーターというのはカナダの場合はほぼ確保しろという意味のことを言っていると思います。カナダのように広いところでさえそうです。我が国のようなまく条件がうんと少ないところでそういう規定をしたら、それこそまくところが全然なくなっちゃうという心配もされるんじゃないかと勘ぐりたくなるわけでありますけれどもね。しかし、いずれにいたしましても、この安全地帯というのはきちんと守っていただかなきゃならないというふうに思っております。 それで、NACの使用というのについて疑問を提起しておりますけれども、この点についてはどうなんですか。
○政府委員(浜口義曠君) 現在のこのNACの毒性についての考え方でございますが、これは、私どもの考え方といたしましては、これまでいろいろな経緯がございましたけれども、FAOあるいはWHO等々におきましての一つの方向がこれまで出てまいっておりまして、基本的にそういった問題の上で考えていくべきであろうというふうに考えるところでございます。
○稲村稔夫君 多分そう答えられるだろうと思ったんですよ。FAOだとかWHOだとかということでやられると思ったんでありますけれども、しかしそのことにいろいろとまた問題がありますのでこれから伺っていくんですけれどもね。 そうすると、農薬の安全性のチェックというのは実際にはどうなっておりますか。これは、例えば地上散布の場合と空中散布の場合、あるいは農薬一般というものの散布とそれから大量散布をするとき、同じ薬剤であっても問題がいろいろと違ってくる、こういうような場合もありますが、そういう点についてどういうふうにチェックをしておられるのか。 それから、スミチオンとNACについて、空中散布に今林野庁が使っているのはこの二種類ですね。そうすると、これが空中散布に適しているというふうに判断をされたその理由は、やっぱりWHOとFAOで言っているからこれでいいんだ、こういうことなんですか。
○政府委員(浜口義曠君) 先生既に御案内のとおりでございますが、農薬の登録の問題でございますが、簡単にお話し申し上げますと、現在の毒性学の水準に応じまして、各種の毒性試験成績及び残留試験成績をもとに、農薬検査所で検査をいたしまして、そして農業資材審議会における学識経験者による評価を経ましてその農薬の安全性を確認するという仕組みをとっておるわけでございます。 ただいま先生のお話のNAC及びスミチオンの関係でございますが、これは、FAO及びWHOという国際的な場において、各国の毒性学等の専門家によりましてその安全性が確認をされておりまして、現在アメリカ合衆国あるいはカナダ、欧州等において使用されておるものでありまして、その安全性について問題がないという考え方に立ちまして現在この農薬の登録というものを続けているわけでございます。 ただ、先生のお話のように、空中散布等々、そのいろいろな使用の方法についてどうか、こうい う御質問でございます。これにつきましては、私どもの具体的な対応といたしましては、それぞれの使用方法についての規制というものを行っておりまして、そういったようなものについてのやり方というものを登録の農薬についてそれぞれ記載さして、表示さしております。そういうような形の中でそれぞれの態様に応じまして、先ほどのWHOあるいはFAOの許容範囲というようなものにおいての態様に応じたさせ方をしている、こういうことでございます。
○稲村稔夫君 私は、後でまたこれはいろいろと議論をしなきゃならないことになりますので、これ以上の突っ込んだ聞き方を今のここの質問ではいたしませんけれども、ただWHOとかFAOとか、そういう国際機関で認定をされているからそれで大丈夫なんだ、こういう考え方自身に問題があるということだけは私はよく主張をしておきたいと思うんですね。ということは、そこでもって大丈夫だと言っていたものがだめになったものだって幾つもあるんですよ。後でもって中止をしなきゃならぬということになってきているものがあるんですよ。そういうことを考えていったときに、言われているから大丈夫だというふうに常に考えること自身に私は問題がある、こう思うんです。この辺は篤と考えておいていただきたいというふうに思います。 そこで、これも植防の方には先にあれを差し上げておきましたけれども、このNACつまりカーバメート系の農薬というのが動物によってかなりいろいろと影響が違うということ、これが論文としてアメリカのブランチとかヤクーツという二人の医学者によって発表されているものがあります。これは動物によってかなり違いがあるということであります。ということになりますと、これは空中散布ということによって家畜にもいろいろな影響があらわれてくるのではないだろうか、こんなことが心配をされるわけであります。 そこで、畜産局おいでになっていますね。――家畜について、空中散布をされた後どんなふうな状況かということはお調べになったことはありますか。
○説明員(濱田幸一郎君) 農薬につきましては、ただいまもお話しございましたように、農薬取締法に基づきまして薬効、薬害、毒性及び残留性の観点から種々の検討が行われまして登録されたものでなければ販売してはならないというふうになっておるわけでございます。しかも使用方法等が定められておりまして、人畜に対する安全性の確保が図られているということになっております。 家畜の疾病及び損耗につきましては、その原因のいかんにかかわりませず、私どもの方では地域の家畜保健衛生所が、各種のいろんな事業があるわけでございますが、その事業を通じまして情報の収集を図っておりまして十分に把握しているところでありますが、現在までのところ農薬の空中散布が家畜に悪影響を及ぼしていたという事例についての報告は受けておりません。
○稲村稔夫君 それは今度少し勉強していただきたいと思うんですよね。というのは、今そちらの植物防疫課に差し上げた論文の中では、例えばラットとモルモット、あるいは豚、犬、牛、それぞれが反応の仕方にかなりの違いがあるんです。そして、これが散布をされたときに畜舎の中にいるからといって安心できません、霧になって入っていったりいろいろとするわけでありますからね。ということになってくれば、家畜の健康ということを考えていったときに、畜産を振興するのがあなたの方の役割でしょう。畜産を振興するという立場からいったら、家畜の健康を守るということには私は殊のほかに留意をしてもらわなきゃならぬと思うんでありまして、そういうところはもっともっと勉強してもらわなきゃならぬと思うんです。いかがですか。
○説明員(濱田幸一郎君) 家畜の疾病、損耗につきまして、先ほど申しましたように、現在、地域の家畜保健衛生所が中心になりまして情報収集、指導を行っているわけでございますが、今後とも農薬を使用する側との連携を密にいたしまして、散布後の家畜の健康、さらには畜産物の安全性等につきましても、これは重要な問題でございますので、影響について注視してまいりたいと思っているわけでございます。 また、仮に被害が認められたというようなことがございますれば、具体的な事例に即しまして速やかに対処するよう県を指導してまいりまして、さらに農薬による被害だというようなことが仮にありますれば、畜産局といたしましては畜産振興の観点から関係当局にいろいろと申し入れをしてまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 これからの問題として積極的に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、家畜の健康といっても、これは後で問題にしますけれども、遺伝性の物質にも変わっていくものがあるんですよね。人間は口で痛いとかなんとかいろいろと訴えますけれども、家畜は訴えないわけですからね。それだけに、いろいろと真剣に調査をしなきゃならぬということになります。 畜産振興という立場から、私は今の畜産行政にいろいろ疑問があるわけでありますけれども、こういう健康の方にせめて留意していればそれでも随分違うと思うんだけれども、その辺のところが非常に消極的なので私は大変残念であります。特に、畜産については菅野委員の方から関連で出していただきまして、こんなことで畜産振興になるのかなということをこれからもうちょっと聞いて確認をしたいというふうに思います。
○菅野久光君 松くい虫の空散の問題について、先ほど稲村委員の御質問に、学校だとか病院は一応原則除外というようなことで対応しているようなお話がありましたが、以前は校庭のそばの松に空散をするというような状況がありました。 私は、あの薬害の問題については、許容量許容量と言いますけれども、しかしそのものだけじゃないので、いろいろ複合されることでいろんな影響をもたらすのではないかというふうに思っておりまして、本来的には私は空散をすべきではないという立場でありますが、それでもという段階では、よほどこの点に留意をしていただきたいというふうに思います。これは答弁は要りません。 今、稲村委員の方から、こういうような空中散布の問題について畜産とのかかわりはないかというお話がありましたが、例えば薬害が出ないにしても、そういうふうにまいた地域で何か問題があったいうことを全然聞いておりませんか。
○説明員(濱田幸一郎君) 私ども、実は、情報といたしまして、静岡県の三万原におきまして空中散布の結果、肉用牛の雄の精子に異常が発生をしているというようなことを肉牛の飼養者が申し立てているという情報を耳にしたことがございます。 これについて申し上げますと、昭和六十年当時、当該地域におきます雄牛の飼養業者でございますが、その飼養している牛の一頭にそのような事実があったというような話が当事者からございまして、六十一年に県の家畜保健衛生所によります種畜検査を行ったわけでございますが、その結果によりますれば当該牛の精子に異常は認められなかったという回答を得ているわけでございます。 なお、その詳細な事実関係につきましては、さらに静岡県に対しまして早急に十分調査するよう依頼をしておるところでございます。ただいまの結論では、異常はなかったということになっております。
○菅野久光君 そのほか、直接的な形では出ないにしても、私どもの党で調査をしたところ、除草剤を空散したそこの沢から出る水を牛が飲まない。動物というのは、そういう自分の体にいいか悪いかというのは直観的に感ずるわけですね。そういうような状況等もありまして、薬剤の散布ということについては非常に問題があるというふうに私は受けとめております。畜産にとってもこの問題はやはり重要な関心を持って取り組まなければならない問題ではないか、ただ単に林野庁だけの問題ではないというふうに私は思います。 そこで、畜産の問題でちょっとだけ。ちょうど きょう畜産振興審議会の酪農部会が開かれているわけであります。松くい虫でありますが、最近は私は牛くい虫が大分はびこってきたのではないかというふうに思わざるを得ません。私もきのう、おとつい北海道をずっと回りました。牛を飼っていた畜舎、あの古い畜舎が朽ちて倒れかかっている。そこにサイロだけが、あれはブロックでつくってあるものですから、ちゃんと建っている。何とも言えない格好で、ちょうど松くい虫で緑のところにぽつんぽつんと枯れた木があるように、原野一面にそういうのがぽつんぽつんと建っておる。あるところは最近の近代的なサイロやらあるいは畜舎が建っている。そういうような状況がありまして、松くい虫の方も大事だが、今農畜産物の自由化だとか枠拡大だとか、あるのは円高だとか農業不要論だとか、あるいは後継者問題だとか、牛を食っていくそういうようないろんな要素がある中で、きょうは酪農部会が持たれるということで、新聞等でも加工原料乳保証価格など価格の全面下げ、限度数量の削減、こういったようなことが諮問されるやに聞いておりますが、そこの概略だけちょっとお話しできますか。
○説明員(濱田幸一郎君) 御案内のことだと思いますが、畜産物の価格につきましては、特に加工原料乳につきましては加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして加工原料乳の保証価格をそれぞれ会計年度ごとに決定することになっているわけでございます。その手順といたしましては、当該年度の開始前に農林水産大臣が畜産振興審議会の意見を聞いて決定をするということになっておりまして、本日、畜産振興審議会の酪農部会にお諮りをしたわけでございます。 なお、食肉につきましては、昨日、食肉部会にお諮りをいたしまして御答申をいただいたということになっております。 それで、本日諮問をしております内容でございますが、決定いたしますのは保証価格、それから指定乳製品、バター、脱脂粉乳等の安定指標価格、それから基準取引価格、限度数量、こういうふうな項目になるわけでございますが、順次申し上げますと、保証価格につきましては前年度に比べまして五円減の七十九円六十銭ということで諮問をしております。それから安定指標価格につきましては、バターが千百円、これは一〇・二%減でございます。これはキログラム当たりでございます。脱脂粉乳は一万三千百八十円、これは二十五キログラム当たりでございます。これは二・七%減。それから全脂加糖練乳八千三百六十円、これは二十四・五キログラム当たりでございます。六・六%減。それから脱脂加糖練乳七千五百円、これは二十五・五キログラム当たりでございます。五・八%減。それから基準取引価格でございますが、これは乳脂率三・五%ということで、これは従来、昨年までは三・二%でございましたが、三・五%で六十七円六十七銭で二・七%減。それから限度数量につきましては二百十万トン、こういう形で諮問をいたしております。
○菅野久光君 本来ならば時間をかけてずっとやらなきゃならないわけでありますけれども、きょうはこういう今の畜産と農薬とのかかわりを含めた関連質問ということでありますので、時間を私は余計はかけませんけれども、いずれにしろ畜産の問題というのは今大変な状況で、農水省の畜産局幹部は生産者の所得の分まで削ろうとしているのでは毛頭ない、コストが下がったのだから下げましょうという自然体だ、そういうことを言っているんですね。 そこで、農家にしてみれば、お金を借りるときには資金計画というものをきちっと立てる。そのときには乳価がわずかずつでも上がっていくあるいは乳量もそれにつれて出荷量を上げていく、そういうことで資金計画というのは立てていくわけですし、立ててきた。それも農林水産省の指導があって、そういう形で大量の資金を借り入れてやってきているわけです。ところが、こんな形で所得だけを下げられない、コストが下がったのだからいろいろな価格について下げるのは自然体だというようなことで言っておりますが、今までの指導の中では搾れ搾れということでうんと搾らしてきたわけですよ。今度は余り搾ったら困るから生産調整だということで、なるべく抑える抑えるということになってきているわけですね。そういう中では資金計画なんというものは成っていかないんじゃないですか、出荷量が下がるわけですから。だから、価格を上げるときにはなかなか渋りながら、下げるときにはばっと下げていく、これでは経営というのは成り立っていかないのはだれの目にも明らかなわけであります。 そこで、全国統計では六十一年で約百二十八万七千頭ですか、乳牛の頭数。それから戸数としては七万八千五百戸、これが六十一年の統計ですね。年々四、五千戸ずつ酪農経営農家というのは減ってきているわけです。 それで統計なんですけれども、一戸当たり何ぼ、一頭当たり何ぼといういろいろな経営状況の統計は出ておりますが、規模別の統計というのはこれは出ないんですか、出さないんですか。これは統計情報部が来ないとわからないかな、どっかで依頼しているのだというふうに思うんですけれども、その辺、なぜ規模別の経営状況というのが出ないのか、そこのところをおわかりでしたらちょっとお知らせいただきたいと思います。
○説明員(濱田幸一郎君) お答えいたします前に、最初例説明いたしました諮問の中で保証価格につきましてあるいは不明確な感じをお受けになったかと思いますので訂正さしていただきます。 もう一回申し上げさしていただきますが、保証価格につきましても従来の乳脂肪率三・二%でございましたのを三・五%換算にいたしておりまして、八十二円七十五銭というのが諮問価格でございます。この点を申し上げさしていただきます。 それから経営問題でございますが、農家の中におきましては最近急速な規模拡大を実施してまいっております中で、生産資材費等の変動に加えまして生産性の向上等のおくれによりまして負債が固定化をし、借金の償還が困難になっているというような状況もあるわけでございます。一部そういう農家も見られます。このため、対策でございますが、我々いろんな手を打ってまいりましたが、償還期限の延長等の緩和措置と相まちまして、五十六年度から五カ年計画で酪農負債整理資金の貸し付けを行いまして手を打っているということと同時に、農家みずからの経営、家計全般にわたる合理化、経営努力と、それから関係団体によります経営指導を通じまして経営の改善向上に努めておるところでございます。 なお、現在の酪農経営につきましては、規模が大きくまた取り扱います資金量がかなり大きくなっているということがございまして、このため一部におきまして固定化負債が発生するということがおるわけでございますが、基本的には生産技術の未熟さあるいは資金管理等の財務管理上の問題もあるという面も見逃せないわけでございます。 したがいまして、今後の対応策といたしましては、従来に増しまして農業改良普及員、農協の営農指導員等関係者と一体となりました営農指導や経営管理指導の強化を図ってまいることが必要であろうというふうに考えているわけでございます。そのようなことをいたしまして飼料自給率の向上、それから乳質の向上、それから飼養管理技術の向上、さらには乳肉複合経営の一層の推進等によりまして、積極的に諸般の施策と組み合わせて経営体質の改善に努力していく必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
○菅野久光君 規模別の経営状況というのがこのいただいた酪農関係資料でも出てないんですよ。規模別の経営状況。
○説明員(濱田幸一郎君) 六十年度の数字で申し上げますと、一人当たり家族労働報酬で申し上げますと……
○菅野久光君 いや、細かい一頭当たりとか一戸当たりというやつは出ているけれども、規模別、一頭から何頭、何頭から何頭までという規模別の経営状況というやつがこれには出ていないのです。これは後からでいいです、今時間がありませんから。ぜひ、これは今後別な機会に、農家の負 借対策の問題、それから酪農をこれから日本国内でやる場合に一体その規模としてはどのくらい、そして飼養頭数としてはどのくらいであれば国内で十分にやっていける、それ以上になると過剰生産だとかいろいろな問題が起きてくるということを大体の大まかな日本全体の問題として示して、それにどう国内の酪農状況というものを合わせていくのか。そうでもしなければこれは大変な負債になっていくんじゃないか、まだまだ先ほど申し上げましたような牛くい虫の状況があちこちに出てくるんじゃないか、そして始末にも困ってしまうというようなことになるのではないかというふうに思いますので、それはまた後からやります。 それから、先ほど、きょうの審議会にかけられました問題の中で、政府では一月から売上税を導入するということで今提案しておりますね。この部分についてはコストの問題をどのように考えられて審議会に諮っているのか、そこのところだけちょっと聞いておきたいと思います。
○説明員(濱田幸一郎君) 売上税の問題につきましては、まだ国会で御審議中でございますので、しかも国会提案中の問題でございますので、今回の試算の中には織り込んでおりません。
○菅野久光君 それじゃ売上税が通ったときには価格についてはどのようになさるおつもりか、お伺いしたいと思います。
○説明員(濱田幸一郎君) 政府の原案によりますとあれは一月からの実施ということになっておりまして、その時点で状況に応じまして考えてまいりたいと思います。
○稲村稔夫君 今の問答を聞いていましても、私は今の畜産振興というものについて、例えばEC並みという目標を一応立てておられたこともある、今はもうどうなっておるのかわからぬけれども。本当にEC並みになれるのかどうかということだって大きな問題だと思うんですよね、今の状況の中で。しかも、負債の問題やらいろいろとあります。それだけに、これで畜産振興が本当にできるんだろうかという疑義を持っているところに、心配をしているところに、今のような薬剤の影響などがあって家畜の健康を害するなどということがあったら大変だと、こういうふうにもなるわけなんでありますので、特にこれから質問をしていくことについては畜産局長もよく聞いておいてもらいたいと思う、ほかのところに今伺いますからね。そしてこれからの対策というものを真剣に考えていただきたいというふうに思います。 そこで、林野庁とそれから環境庁はお見えになっていますね。伺いたいと思いますが、これは内容を詳しく御説明いただく必要はありません。実際にやっておられるかどうか、そしてそこで一番のポイントになってくるものは何かということだけお答えをいただきたいと思います。 空中散布をやった結果のフィールド調査を含めまして、自然環境に対する調査をやっておられますか。 それから、国会の前回の審議の中でも随分問題になりましたが、生活環境に配慮しろということになっていますが、生活環境についての調査を具体的に何かやっておられますか。
○説明員(鏑木伸一君) まず、自然環境の点について申し上げます。 私どもは昭和五十八年度から四カ年の計画をもちまして「松くい虫被害対策として実施される特別防除が自然生態系に与える影響評価に関する研究」というものをやっております。これは松くい虫による松枯れ現象と松林の自然環境の保全の問題を長い目で考えていくため、松林生態系の基礎的な情報を整備するために行っているものでございます。目下取りまとめの段階でございますけれども、検討会がございまして、そこを通じて承知しておるところでは、明らかに薬剤の影響と思われる生物相の変化は指摘されておりません。ただ、自然生態系は大変複雑でございまして、また農薬は一時的にせよ害虫以外の生物にとりまして何ら影響がないとは言えないというように指摘されておりますので、薬剤の空中散布については安全サイドに立ってなお慎重に対応すべきものと考えております。
○政府委員(田中宏尚君) 林野庁といたしましては、自然環境、生活環境、これは両方をひっくるめまして環境全体についての影響についてできるだけ精査するということで、昭和五十二年度から薬剤防除安全確認調査というものを行ってきておりまして、これで特別防除の実施に伴います植生、鳥類、昆虫類それから土壌、水質、こういうものについての影響について調査しておるところでございます。 調査結果はいろいろ多岐にわたっておりますけれども、例えば昆虫類の生息数等について見ますと、その散布後は生息数が減少いたしますけれども約一カ月後にはほぼ原状に回復するという状況にございまして、全体的に自然環境等に大きな影響があったという調査結果は得られていないところでございます。
○稲村稔夫君 今それぞれ自然環境について出ました。 まず、その自然環境について伺いますけれども、そうすると、これは昆虫とか鳥類とかというのが今名前が挙がってまいりましたが、哺乳類については調査をしていますか。
○政府委員(田中宏尚君) 哺乳類についての直接的な調査はいたしておりません。
○稲村稔夫君 環境庁はどうですか。
○説明員(鏑木伸一君) 一般に、松林は哺乳類にとりまして水に恵まれないことなど植生が単純で食べ物が十分でないということなどもございまして、松林特有の哺乳類はいないというふうに私どもの調査では指摘されております。
○稲村稔夫君 松林特有の哺乳類はいないと言ったって、松林に出入りする哺乳類はいっぱいいるんですよ。そういうものをどうして調査しないんですか。
○説明員(鏑木伸一君) 今回の私どもの調査の直接的な内容でございますので、たまたまそういうところに触れたところがあるということを御紹介したわけでございます。
○稲村稔夫君 言いわけをしなければいいんですよ。今のように松林にいる哺乳類はなんということを言わなきゃいいんで、やってなかったらやっていないと、こう答えてくださればそれでいいんですよ。というのは、そういう考え方でもしやらなかったということであれば、そのことを問題にしてまた議論をしなきゃならないでしょう、そういう答弁が出てくれば。やっておられなかったならば、それに対してそれじゃ今後どうしなきゃならないかということを伺わなきゃならぬことになるわけですから、少し丁寧なつもりでお答えいただいたんだと思うけれども、余分なお答えをいただいたような気がいたします。 生活環境調査についてはどうなんですか、これは環境庁やっておられますか、林野庁やっておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 生活環境というのが、どういう内容で調査すれば生活環境かということはいろいろと判断としても難しい問題がございまして、当方といたしましては自然・生活を含めまして全体の環境の変遷というものをとらまえるということで、先ほど申し上げましたように植生、鳥類、昆虫類あるいは土壌、水質というものを調査しているわけでございますけれども、この中で一般的に生活といいますか、人間にかかわり合いの非常に強い要素といたしまして土壌でございますとか水質、こういうものについては生活そのものに密接な関連があろうかと思っております。
○稲村稔夫君 環境庁はやっているのですか、やっていないのですか。
○説明員(吉池昭夫君) 生活環境に対する直接的な影響についての調査でございますけれども、直接的にはやっておりません。
○稲村稔夫君 私は、最初にお断りをしておきましたように、農業と林業が非常に大事だ、それはやっぱり人間が生きていく命とのかかわりを大事に考えるからだというふうに申し上げましたが、生活環境調査は今のように全体を含めるとおっしゃられるけれども、人間の命に一番関係があると 思われる哺乳類は全然ほったらかして、その環境調査の中では調査の対象にしていなかったんでしょう。そういう意味でいけば、それはどうしても私は納得がいかないんです。 それから、命とのかかわりで生活環境が大事だというふうに提起をしているわけですから、それは生活環境の範囲をどういうふうにするかとかいろいろとあると思いますけれども、そういう中で具体的な調査をいろいろとしていただきたいわけです。このことはやっておられないわけですから、お答えをいただいても同じところを繰り返すばかりですから、時間がもったいないと思いますので、私はこれからのこととして要望として今申し上げておきます。 そこで、続きまして農薬関係について、特に農薬というよりも薬品、化学物質ということで厚生省にお伺いをしたいというふうに思います。 これは必ずしも農薬とは限りませんが、化学物質の人体に対する影響について、何か人体に影響が起こった場合に厚生省としてはこれに対応する場所があるんですか、どう対応されるんでしょうか。
○説明員(内山壽紀君) いわゆる農薬の関係につきましては、厚生省としましては毒物及び劇物取締法に基づきまして業務上の貯蔵、運搬、譲渡手続等について規制をしておりまして、また食品衛生法に基づきまして主な食品中の残留基準を定めまして食品の安全確保を図っております。 それから、今先生が言われました化学物質につきましては、化学物質審査規制法という法律がございまして通産省と共管しておりまして、その部分において難分解性それから蓄積性を有する化学物質については規制をしているところでございます。
○稲村稔夫君 そういたしますと、今の農薬の例でいきますと、先ほど私どもが伺っていたときにおいでになっていたかどうかちょっと私も確認ができておりませんから、もし聞いておられればその辺も御判断いただきたいというふうに思いますけれども、例えばNACというカーバメート系の農薬が人体に重大な影響を与えるというようなことがわかったとしたら、その場合は厚生省としてはどういう対応の仕方がありますか。
○説明員(内山壽紀君) 農薬のNACというものについては、私どもの方としましては昭和四十年代にいわゆる食品の残留農薬基準というものを定めておりまして、それぞれの野菜それから果実等についてはどれだけ残留していればいいのかということについて定めてございます。もしこういう点について問題がございますれば、私どもの方とすればこの基準をより一層厳しくするというような方途はございます。
○稲村稔夫君 食品、食べ物ということであれば残留農薬の関係でというのはわかります。ところが、例えば呼吸とか自然に唾液に入って嚥下をするとかというようなことが起こってくれば、これは人間の健康にとっても大事な問題ですね。こういう問題が仮に起こったときには、厚生省は受け皿はどこでやられますか。
○説明員(内山壽紀君) 先ほど申し上げましたように、現在厚生省が農薬という関係でかかわりを持っておりますものにつきましては毒物及び劇物取締法とそれから食品衛生法しかございませんものですから、それについて規制をしているということでございまして、先生が今言われたような問題について今これに直接かかわりを持つというような形にはなってございません。
○稲村稔夫君 ちょっとよくわからないんですがね。 そうしますと、質問を少し変えていきますが、NACについて、これは環境の中でNニトロソカルバリルという発がん物質に変わる、こういうことが世界の各地の研究で発表になっているということは厚生省は御存じですか。
○説明員(内山壽紀君) それは実は昨日先生からお教えいただきまして……。
○稲村稔夫君 植物防疫課の方はどうですか。
○政府委員(浜口義曠君) この点に関連いたしましては、私どもの考え方はFAOあるいはWHOとのかかわり合いということに関連しましては先ほど申し上げたとおりでございます。 先生のお話しの、カルバリルは言われているほど安全かと題する資料等につきまして、先ほども申し上げましたように私も読ませていただきましたし、この点については、既にこの議論につきまして植物防疫関係も存じております。 この点に関連いたしまして一言申し上げますれば、この点についての考え方は、いわゆるブランチ博士の問題でございますが、私が読ませていただいておりますところでは、この論文については新たな実験結果ということじゃございませんで、例えば一九八三年までにいろいろ報告された論文のレビューだというふうに我々は受け取っているところでございます。
○稲村稔夫君 だから問題にしているんですよね。それだからわざわざあなたに差し上げたんです。 論文のレビューということは、論文にいろいろとあるということでしょう。ブランチ博士の研究そのものではなくても、ブランチ博士がいろいろな論文を集めてきたらそれだけの問題がいろいろとあるということなんですよ。そうすると、それをいろいろとやっぱり検証しなければならない問題が人間の命の問題として提起をされているということになるんじゃないですか。 実は、これは「サイエンス」という日本でどこでも手に入る雑誌ですよね。「サイエンス」の別冊「がん」ですが、これの中で、例えば一九七九年の論文です。既に大分前になりますよね。ここでR・ドゥボレという人がかなり専門的な見地で書かれています。今、我々は今まで体験したことがないほどたくさんの化学物質にずっと取り囲まれている。その化学物質の複合したいろいろな形での影響というものは極めて重大になってきている。このことを、今までの動物実験だとかなんとかだけではとてもじゃないけれども確かめていくのにはもう間に合わない状況になっている。しかし、とにかくそれだけたくさんのものがあるから、例えば今のバイオテクノロジーの発達などでDNAを傷つけるかどうかということで因果関係をある程度的確に調べることができる、そういうようなことに積極的に取り組んでいくべきであるというようなことが提起されてきているんです。そして、言ってみれば、今の化学物質というのはすべて疑ってみる必要があるという意味合いのことが、この中で専門的な見地からいろいろと書かれています。 少なくとも人間の傘とかかわりを持つようなところのセクションで仕事をしておられる方は、この論文を読めとは必ずしも私は言いませんけれども、これに類したそういう立場というものはいろいろと出ているのですよ。ですからそれなりに学習をしていただいて、それこそいろいろと国際的に提起をされている問題に対しては重大な関心を持って調べてみるという責任と義務があると思うんですね。それを、今私の方から差し上げるまで例えばその論文についてのことは知らなかったというお話でありますし、さらにそれはただ単なるレビューであるというそういう評価のされ方というのは、私は本当にこれでいいのだろうかという感じがするんですよ。レビューであるだけに、それぞれみんな調べていただかなきゃならない、こういうことになるんじゃないでしょうかと私は思うんです。 実は、こういうことがあるものですから、私の知り合いの大学の先生に、今その先生のところでわかるだけでどれだけのものがあるだろうかと調べていただきました。そうしたら、私の手元に出されてきたものがこれだけで二十論文あります。NACに関してのことだけですよ。人体とのかかわりの問題だけで二十もあるんです。 その中から紹介をしていきますと、例えばアメリカのオークリッジ国立研究所のR・エレスプル、R・K・ライジンスキーという二人の方の研究の結果として、NACと亜硝酸とが環境の中で一緒になるとNニトロソカルバリルになるという論文があります。これを初めといたしまして、N ACと亜硝酸とが結びつくとNニトロソカルバリルになるという論文が六つありました。一つの論文の中に複数になって二つの課題が入っている場合もありますが、こういうものが六つあります。 それから今度はドイツのC・ジャンゾウスキーあるいはR・クライン、R・プレウスマンという人たちが研究をしたものとして大気中にある窒素酸化物、つまり排気ガスなんかみんなそうですね、その窒素酸化物とこのNACとが結合するとやはりNニトロソカルバリルになるということが証明された、こういう論文があります。 あるいはグダニスク大学やワルシャワの醗酵工業研究所のS・J・クバッキーとかG・クプリスゼウスキーというような人たちの研究では、人間の胃の中でこのニトロソカルバリルが形成をされるという危険性があるということを指摘している、そういう論文が二つもあります。 さらに、このNニトロソカルバリルというものは強力な突然変異を引き起こす物質であるということが証明された、こういう論文がD・シーベルト、G・アイゼンブランドというドイツがん研究センターやハイデルベルクの人たちの研究を初めとして七論文あります。 それからさらに、このニトロソカルバリルというのが強い発がん性を持つことも証明をされた、こういうのが今のドイツの人たちの研究、さらにアメリカの研究、その他を含めまして七論文あります。そしてその中でも特に注目に値するのは、R・ブロイスマンとかG・アイゼンブランド、D・シュマールというドイツがん研究センターの学者が出した論文の中には、一日の摂取許容量というものを国際的に決めなきゃならない段階に来ているというようなことが指摘されているんですよ。 さらに、J・D・レーガンとか、R・B・セットロフとかいう人たちの研究によると、遺伝子を傷つけるということがはっきりした、こういうのが二論文あるんです。 さらに、フランスのポール・サバチー大学の研究者によると、ニトロソカルバリルというのは肝臓のがんを起こす、肝臓の酵素を阻害するというようなことを指摘しております。 ですから、先ほど私が差し上げたのは、こういういろいろな論文がある中のレビューで、私がその中の論文を全部調べたわけじゃない。今手元にあるものを調べてもらっただけでこれだけあるんです。これだけのものが国際的にもう知見になって出てきているんですよ。私がさっきWHOだとかFAOが安全だからといってそれだけでいいんですかという提起をしたのはここなんですよ。厚生省にもこれはぜひ聞いておいていただきたいんですよね。厚生省自身はこういうことを御存じだったんですか。もしこういうふうなことが出てきたとしたら、積極的に前向きにこういう研究というものを調査をし、我が国における体制というものを考えてみることが必要だと両省ではお思いになりませんか、その点をお伺いをしたいと思います。
○説明員(内山壽紀君) 先生が言われましたように、ニトロソ化合物が発がん性物質であるということについては私ども当然承知してございますし、それからいわゆる食品を介しましての化学物質についての発がん性問題ということにつきましては私ども積極的に取り組んでおるわけであります。 ただ、先生が言われましたようなNACについてそのようなあれがあることについて学問的に不勉強で知らなかったということでございます。
○政府委員(浜口義曠君) 稲村先生がおっしゃるように、食べ物あるいは人体、そういったものの尊厳性といったようなことにつきまして私どもが毫も疑いを入れてないことは事実でございます。安全なる食物というものを提供していくということは極めて重要だということについて私ども何ら異論がありませんし、もとよりそういう考え方に立つべきだというふうに考えております。 ただ、今先生がおっしゃったように、各農薬ももちろん人間が発明して、いろいろな状況等に対しての自然の克服あるいは自然のいろいろなマイナス面を少なくしていこうという一つの営為、試みだと思いますが、そういうものに対する評価の問題につきましては、私は先ほどからWHOあるいはFAOについてのいろいろなそういう知見があるというようなことを申し上げました。これは、そういう意味ではそれぞれの分野あるいは私どもの農水省におきます審議会におきましても、ごらんのとおり毒性学、防疫の専門家の方がいらっしゃるわけでございまして、そういう方がかなり大きな分野を占めていらっしゃるわけでございまして、当然その方々は、例えばFAOの問題あるいはWHOの問題というところでも御議論をなさっておられるでしょうし、今先生御指摘の中のすべてというふうに私は申し上げませんけれども、そういった問題についてやはり十分認識をしておられるというふうに我々理解しております。 そういう意味で、具体的なこの問題につきましては、FAOあるいはWHOのいろいろなこれまでの経過等におきましても十分議論をされておりますし、例えば一日当たりの許容量といったものを犬あるいは人間の問題ということから減らしてきている、こういう状況でございます。 私どもは先生の御注意になられました点について重々服膺いたしまして、私どももできる限り情報を集め、そういったようなものの中でそういう反映をしていきたい、そういう努力を貫いていきたいというふうに考えるものであります。
○稲村稔夫君 今の前向きに一生懸命やっていきたいというそのお答えはそれで私も評価をしますが、しかし今までの経過からいって、例えばDDTがそうでしょう。BHCあるいは近くはダイオキシン、これは何で皆さんのところから問題が提起をされないで、外国の方で結論が全部決まってからやっと我が国がということになったんですか。
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘のようにDDTの問題あるいはBHCの問題でございますが、御案内のとおり、この問題につきまして農水省といたしましては昭和四十六年の公害国会におきましてそれに対します農薬取締法の改正等々の提起を行いまして、当時におきます知見等に依拠いたしまして、例えばBHCもごらんのとおりでございますが、世界で一番厳しい規制を行ったというふうに我々は考えておるところであります。
○稲村稔夫君 事後の処理がよかったかどうかということを今伺ったのではないんです。それはそれなりに事後の処理としては評価すべき側面もあるでしょう。しかし、人間の命にかかわる問題というのは、よそがどうなったからどうということではないでしょう。むしろ積極的に、自分たちの方から問題を解明していくという努力が必要なんじゃないですか。そういう努力が不足をしていたからというのはちょっと言い方がよくないかもしれませんけれども、やはり外国で方向が決まってきてから我が国が、第三者の目から見れば、やっと重いみこしを上げたとしか映らないそういう形になってきたということを今反省をしなきゃならないのじゃないですか。こんなふうにしていろいろと知見が今出てきているわけじゃありませんか。 そうすると、今お話があったその審議会のメンバーにその道の毒物の権威の方がおられるというなら、その点は積極的にあなた方の方からも問題を持ち込んで議論をしていただくということが必要だと思います。 〔委員長退席、理事宮島滉君着席〕 それから、先ほど私はそのメンバーを資料としていただきました。いただきましたが、しかしこの中でちょっと気になりますのは、例えば公衆衛生の専門の方々とかあるいは疫学関係の専門の方々とか、毒物学の範疇とみんな錯綜している部分はありますけれども、しかしそれはそれなりのその専門家、いろんな分野の者が幅広く結集をされるという形のものが私はいいのではないかというふうに思うんです。今の知識というのは一つの分野だけではなかなかいかないわけでありますから、そういう意味で言ったら、やはりもっとここ はメンバーを幅広く強化をされることが必要なんではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 先生おっしゃるように、現実におきますいろいろの科学の進歩あるいは生活の多様性といったようなことから、私の考え方でありますが、現在の科学は総合的、多様的あるいはいわゆる学際的と言われているような状況で進んでいるというふうに我々は理解しております。そういう意味において、先生の御指摘は極めて重要な問題だというふうに我々は理解しております。 今の審議会のメンバーでございますが、先ほどお手元にお届けしたとおりでございまして、これにつきましてはもちろん公衆衛生の問題あるいは代謝の専門家の方々等々を含めまして、直接的専門家の方に二十名の中で六名入っていただいておりまして、そういう意味ではそういう毒物的な専門の方にも十分入っていただいているというふうに考えます。さらにまた、医学の面につきましては、一人の方をお挙げいたしますと、例えば農村において著名なる(「佐久病院」と呼ぶ者あり)そういう方にも入っていただいておりますし、我々の中でのいろいろな経験の人たちも、女性の方でございますが入っていただいているというようなことでございまして、私どもこの審議会の中に、今、先生御指摘のようないろいろな方々に入っていただいているような状況でございます。そういう思想で今後ともやらしていただきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 伺いながら私はますますこの法案に対しても疑問が出てくるんです。と言いますのは、松枯れを克服するぞということの中でこれでいいんだろうかと、正直なところそういう感じがするわけであります。 〔理事宮島滉君退席、委員長着席〕 大臣、随分長い時間お待たせをして申しわけありませんが、最後のところで大臣のお考えを聞きたいというふうに思っております。 私は、いずれにいたしましても、例えば空中散布についての生活環境に対する調査というものについてはだれにでもわかるような、これが生活環境の調査でこういうふうでございました、だから全然問題がございませんというような形で説明ができる調査というのが現実にされていないというふうに思います。そういう調査も十分なものがされていない、しかもまかれる農薬についてはスミチオンはスミチオンなりにまたいろいろと問題がありますけれども、それはいろいろと今後にまだ課題を残しております。きょうはNACに集中した形になりますが、NACについてはいろいろと持っている問題点、特に大気中、環境中で発がん物質に転化をするというそういう論文等についても必ずしも十分に御承知になっていなかった。これは厚生省の方も御承知になっていなかったし、植物防疫の方も十分に御承知になっていなかった、こういうことになるわけでありまして、要するに調査も十分ではない上に、安全であるかどうかということについての問題点も必ずしも十分には明らかにされていない。 こういう形の中で、そしてしかも人間によってこれを監視していく、対応していくというための森林害虫防除員の方も若干ふえていますという程度のことで、言ってみれば、対応していくための人間が今度は移動することに対するいろいろなチェック措置というようなことについても極めて不十分だ。こういう状況の中で、空散ということについてはそのことだけが何か効果的に聞こえるような、見られるようなことについては、私はやっぱりどうしても納得をし切れないわけであります。 そこで、そこのところはそうだとしても、そうしたら今いろいろと問題点を出しているわけでありますから、しかもそれは人間の命にかかわってくる。例えば植物防疫の体制の問題だけではないんです。人間の命についてはもちろん厚生省も大事な役割を担っています。環境庁だって重大な役割を担っているはずであります。言ってみれば、こういうそれぞれの役所を超えた体制で新しいものに対応していくということをやらなければ、ここで今毒物に、化学物質に取り囲まれていてもう大変ですよ、何とかしなければなりませんよと、こういう提起がされているようなことに対応することはできないと思うんです。 そういう意味から、私は、カナダではたまたまらい症候群という訴えがあった、訴えがあったことに対してそういう幅広いメンバーを加えての、特に疫学者や医者たちが中心で多いのですけれども、そういう人たちを集めていろいろと正式な検討をいたしました、そしてそれの公表をきちっとしています、こういう形をとっておるわけでありまして、カナダでもスミチオンの散布については百七十ページにわたるような報告書が提出をされている。こういうような形になるわけでありますから、言ってみれば、こういう専門家の知恵をずうっと集めて、そして今までの受け身受け身、外国でそうなったから、こうなったからと、こういうことだけで対応せざるを得なかった体制から、むしろ積極的にこちらから人間の命の問題についてはこういうふうにしていきましょう、そしてそのときに空中散布については特にこういう点ではこういうふうにきちんとしていきましょうというような基準が、私は人間の命という観点からいったら極めて不明確な点がいっぱいあるから今こういう問題が起こっていると思うんです。 そういうことをやれるような体制というものをぜひ考える必要があるんじゃないか、専門家の英知をもっともっと幅広く結集していくことが必要なんじゃないだろうか、こんなふうに思うんです。この法律が、たとえ賛成、反対ということがきょうもし決まるとしたら、少なくともそういうことの体制ぐらいは大臣考えてもらいたいと思うんですが、いかがでございましょうか
○国務大臣(加藤六月君) 稲村委員のいろいろな御意見あるいは御質問を通じての研究あるいは憂慮、そういう問題を十分に承りました。 おっしゃいましたように、特別防除いわゆる空散の生活環境に及ぼす問題と散布農薬の残留性あるいは害性という問題等であったと思います。我々はこの自然を守り、そして日本人の心と文化と生活に大変密着しております松というものも守らなくちゃならない。しかし一方、我々人間というものもこういう自然の中に生きていっておるわけでございまして、生態系におけるいろいろな問題というものは当然この地球上に展開しあるいはまた繰り広げてきておるわけでございます。そういう中で我が日本の人々の生活というもの、緑を守るという環境保全の一つの目標を達成していくためにこの松くい虫の防除をやり撲滅を期していく。それが逆の効果があるようなことであっては大変なことでございますから、今後実施するに当たり、あるいはまた基本方針を策定し実施していくに当たりましては、各界、各方面の御意見を十分に聞きながらデメリットがないような方法に万全を期してまいりたい、こう考えておるところでございます。
○委員長(高木正明君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ―――――・――――― 午後一時一分開会
○委員長(高木正明君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○及川順郎君 まず初めに、本法改正案の提出の経緯に関する視点から、二、三お尋ねをいたしたいと思っております。 これまで、林政関係の重要な事項を審議する機関としましては林政審議会と中央森林審議会が設置されておりまして、そこで重要な案件については御審議をいただくというこういう認識をしておったんでございますが、この点に対する認識につ いてはいかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) ただいまお話ありましたように、林政審議会、中央森林審議会等いろんな審議会が当方にあるわけでございますけれども、松くい虫対策につきましては非常に専門技術的な点も、例えば農薬の関係でございますとかいろんな関係でございますので、正式の審議会とは別に、懇談会という形で松くい虫対策懇談会というものを設置いたしまして、林業、自然保護、環境問題、それから地方自治等各界にわたります学識経験者に御参集いただきまして、ここで精密な御検討をいただき、そこの検討結果を適宜中央森林審議会等に報告しながら案をまとめてきたという経緯になっております。
○及川順郎君 懇談会の状況についてはわかりましたけれども、中央森林審議会の中に松くい虫部会が設置されておりますけれども、ここ数年で同部会が行った審議事項、その内容について明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 松くい対策につきましては、毎年いろんな安全確認でございますとか、トレースを続けているわけでございますけれども、これにつきまして松くい部会に報告し御審議をいただいてきているわけでございます。
○及川順郎君 前回の五十七年の法改正の際ですが、三月の三十一日に国会審議が終わった後の四月六日に、たしか「松くい虫防除基本方針の策定について」という答申を中央森林審議会より出されている、このように理解をしておるわけですけれども、この審議会で出された答申というものがどのような形で諸施策に反映をされたか、この辺のところを御説明いただきたい。
○政府委員(田中宏尚君) 現行の特別措置法の第三条第一項で基本方針を定めることになっておりまして、この基本方針につきましてはただいま御指摘ございましたように中央森林審議会に意見を聞くという形で、五年前に法律成立直後にこの審議会に基本方針を御諮問申し上げまして、そこで御賛成の意見を得まして現在の基本方針を樹立しているという形に相なっております。
○及川順郎君 審議会の答申というのはむしろ立法されたものをどう具体化していくか、その具体的な実行過程における意見がどうしてもやっぱりこの法案が通った後ということになりますと、そういう印象を強く受けるわけでございますけれども、この点についての理解は大体そういう内容の方向で来ているんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 議論の過程では、法案体系自体に対していろいろ今後見直すべき点であるとかいうことがもちろん出ておりますけれども、審議会の基本的な審議事項といたしましては基本方針についての諮問、答申という形に相なっているわけでございます。
○及川順郎君 普通、政策決定、立法の過程ということから考えますと、やはりこの審議会の性格から考えまして、立法をするに当たって前の議論というものは極めて大事じゃないか。中央森林審議会でいろんな問題点を討議し、そしてそれをもとに改正案の立法措置をきちっとして、それを国会で審議をしていただく、そしてそれで最終的に詰まって決まったものを、さらに具体化していく上においてまた意見を聞く、普通こういう考え方が順当ではないかと思うんですけれども、この改正案ができる前にそういう措置がなされていない、答申もそういう意味で出していただくようなそういう検討の措置がなされていないということに何か理由があるのか、それとも通常活動の中でそれはやっているからという方向の中で意見を聴取しているのか、この点を伺いたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 松くい虫被害状況なり対策につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に専門技術的な点もあるということで、懇談会ということであらかじめ専門家の中で精緻な御検討をいただきまして、そこから出ました報告なり意見につきましてはそのたびごとに中央森林審議会に経過報告という形で提出いたしまして、それで中央森林審議会の御意見も踏まえて法案を従来からずっと検討してきたわけでございます。その結果出ました成案につきましては、本年の一月に法律改正案ということで御意見を中央森林審議会に問うたわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますのは厳密な意味での法律に基づく諮問、答申というようなことは、新しい法律をつくる際にそういう手続関係は法制度上踏んではおりませんけれども、実質上それと同じような審議を丁寧にやっていただいてきているということが経緯になっております。
○及川順郎君 松くい虫に対するそういう性格を踏まえまして懇談会を設けるということに対して私は異議を持っているわけではありませんですけれども、やはり松くい虫部会がある中央森林審議会のような正式機関があるわけですから、やはりここにきちっと政策決定の位置づけを明確にすべきではないか。そして、そこで審議されたものをもとにして、その決定に基づいて改正案の案文をつくっていく過程においてそれを尊重するという形をやはりとった方がいいんじゃないかという感じが私は強くするわけです。 と申しますのは、ここ数年、審議会のあり方、それから諮問機関の乱用ということである意味では国民からとかくの批判が出ている時期でございますから、そういう状況から考えましてもやはりその点に留意すべきではないかという感じを強くするわけですね。特に松くい虫被害対策というのは国民の権利義務に直接関係する法律であると思うわけでございまして、やはりこの種の論議というものは、もっともっと公的な性格を持つ審議会討議を優先して諸懸案を検討すべきではないか、今御説明をいただきましても私はまだそういう気持ちを強く持っておるわけでございますが、この辺の考え方をもう一回確認をさしていただきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 御指摘のように、国民の権利なり財産あるいは健康にかかわる重要な仕事でございますので、できるだけ幅広い御意見を聞きながら法律案やなんかをつくることは必要と思っておりますので、今後とも中央森林審議会のいろんな意見を反映させながら仕事をやってまいりたいと思っております。
○及川順郎君 それでは次に、松くい虫の被害対策のあり方に対して、午前中もいろいろと議論が出ておりましたが、関連する部分もあると思いますけれども、この点について見解を求めたいと思っております。 まず、本法改正案の提出の趣旨を考えますとかなり歴史的な経緯がございまして、今手元の資料を見ますと、政府が明治三十年に森林法の中に森林病害虫防除の規定を定めましてから今日までさまざまな処置をとってきておる、こういうことが記載されておるわけでございます。特に松くい虫防除につきましては昭和十七年、午前中にもちょっと触れられておりましたけれども、国庫補助の実施がなされている。その後二十五年、二十七年、そして四十二年、そして五十二年、五十七年、法改正をもって松くい虫の被害対策の強化に努めてきておるわけですね。 今回の提案理由の説明の中で「全体としては、松くい虫の被害の鎮静化に相当の成果を挙げてきたところ」と、こういうぐあいに記載されておるわけですが、果たしてそうだったのかなと。むしろその後の状況を見ましても、東北や北陸・東山地方においての被害は逆にふえているというこういう状況があるわけでございまして、従来の防除対策から見た場合このような地域的な被害増加をどのようにとらえているのか、少なくともこの半世紀に及ぶイタチごっこのような被害対策のあり方、こういうものをどのように認識をされているのか、この点につきましては担当省庁の加藤大臣からぜひその辺の御所見を感想も含めてお願いしたいと思います。
○国務大臣(加藤六月君) 松くい虫被害対策につきましては、各種対策の総合的な推進に努めてまいりました結果、ピーク時の五十四年度に比べ現在被害量が半分程度にまで減少してきたところでございます。被害の鎮静化に相当の成果を上げてきたものと考えております。 しかしながら、御指摘のように地域によっては被害は拡大傾向にあり、また寒冷地域においては年越し枯れなどの従来とは異なる被害態様が見られてきておるところでございます。 今後につきましては、このような状況に対応した防除対策がなお必要であると考えております。 今回、所要の改善を加え改正法案を提出しておるところでございます。提案理由にも申し上げましたが、激甚な災害を経常な被害にとどめるように何としてもやっていかなくてはならない、こう思っておるところでございます。
○及川順郎君 ただいまのことに関連しまして、この激甚な被害状況をおおむね終息の方向へ持っていくというこういう努力を今までずっと積み上げてこられているわけですけれども、長官としては今日までの努力に対する評価、また今までの対策に対する認識はどのようにお持ちなんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) ただいまも大臣からお話がありましたように、相当の成果というものは上げてきているわけでございますけれども、残念ながらそのピーク時のまだ半減、しかもその実量にいたしまして百万立米を超えるという状況になっていることは我々といたしましても非常に残念な事態と認識しております。 我々といたしましては、過去にも一度法律を延ばしまして、それまでの経験に即して伐倒駆除関係を大幅に取り入れるとかいろいろ総合的な対策をしてきたわけでございますけれども、ここのところの問題といたしましては、ただいま大臣からもお話ありましたように、被害が未被害地域にも拡大していっているというような問題もございますので、そういう先端地域においてより効果的な防除方法というようなものをこれからとっていかなければなりませんし、それから激甚地帯につきましては従来以上に徹底した防除ということにつきまして官民挙げての体制づくりということが必要になろうかと思っております。
○及川順郎君 先ほどもお話がございましたが、この激甚な被害を絶つためにということで五十二年に五年間の限時法としてこれは制定されておるわけです。それから五年たちまして、そして五十七年に総合的な見直しを行っている。その際、特別防除のほかに特別伐倒駆除、樹種転換等を含めた総合対策、こういう状況でこれを三月まで期限を延期しているわけですけれども、その際にもやはりこの五年間で終息をさせたい、こう言っているわけですよね。しかし、現実には終息どころか、高率の被害状況がずっと続いている。これは防除の難しさということもさることながら、現在の防除方法に問題があるのではないかというこういう意見が非常に強く聞かれるわけですけれども、なぜこのような、もう一生懸命やっているのだけれども繰り返すような事態を招いてしまっているのか、この点について、くどいようですけれども重ねて御答弁をお願いします。
○政府委員(田中宏尚君) こういう被害の性格からいいまして残念ながらその根絶ということは難しいわけでございまして、できるだけ通常の被害まで戻すということに向けまして全力の努力を傾注してきているわけでございますけれども、やはり一番の問題は、先ほど申し上げましたようにその地域が拡大していっているということ、それから激甚地域におきましてもいまだに終息を見ていないという点でございまして、これ以上被害が新しいところに及ぶことを何とか最前線で防ぎたいということで、今回お願いしております法律の中にもそういう方向に沿っての改正案というものをいろいろとお願いしているわけでございます。こういう先端地域における防除の徹底と、それから既往地区における今まで以上の深みのある防除ということを兼ね合わせまして、何とか通常被害への復帰ということをこれから五年の間に意図してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○及川順郎君 この五年間ということで、また五年前の繰り返しになるかもしれませんけれども、どうでしょうか、終息できるという見通し、もう五年先のときにまたこのような改定をして限時法として持続させる必要がない、そこまでこの五年間で努力をできる、その確信のほどはいかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) そういう先生の御心配のないように、何とか全力を挙げてまいりたいと思っております。
○及川順郎君 ぜひ、いろいろと問題をはらんで難しい状況もございますけれども、五年たちましたときにまた同じような繰り返しのないように御努力をお願いしたいと思うわけでございます。 現在の防除事業の主なものは、先ほど来出ておりますけれども特別防除、地上散布それから伐倒駆除、特別伐倒駆除等が挙げられておるわけでございますが、その中で最も政府が力を入れて取り組んでいる特別防除すなわちヘリコプターによる薬剤の空中散布のやり方、その効果、そしてその被害等を含めまして、これにつきましては今賛否両論があるわけでございますね。人畜に対する被害等を含めまして午前でもかなり突っ込んだ議論がされておりますけれども、私も現地でいろいろ聞く中で一部には、薬剤を使うために法律をつくっているのじゃないかというこういう極めて耳ざわりな御指摘さえもお聞きする状況があるわけです。 そこで、この点に対し地方公共団体等が窓口で前線で対処している状況の中で、現実に空中散布等をやった場合に、現地から空中散布はやらないでもらいたいということで要望を提出する、こういうことで都道府県ではある程度意見を聴取しているんじゃないか、実態を調査しているんじゃないかと、こんなぐあいに思うわけでございますが、地方自治体から当庁としてこの件に対する実態はまとめているんでしょうか。もしまとめておりましたら、今日までの被害件数、あるいはまた被害金額、どういうものに被害を及ぼしているかというような状況をできるだけ詳しく説明をしていただければと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 特別防除の実施に当たりましては、その松林の周辺のいろんな環境の保全に努めますとともに、今先生からいろいろ御心配ございました農業なり漁業なり、その他のもろもろのことに関します被害をできるだけ及ぼしませんよう必要な処置というものを事前にできるだけ十分講じて実施しているつもりでございますけれども、ただいまお話ありましたように地域によりましては若干被害というものが出ておりまして、その報告も当方で集計しているわけでございます。 昭和五十二年度からこれまで十カ年におきます被害の発生状況というものをその被害が出ております養蚕、養蜂、農作物等ということで県からの報告を集計してみますと、この十年間の前半でございます五十二年度から五十六年度までの間に百二件ございました。これが五十七年度から六十一年度というところでは三十二件ということで、初期に比べまして相当減ってきているわけでございますけれども、減ったからいいということじゃございませんで、この根絶を期しましてこれからも一層の努力を傾注してまいりたいと思っておるわけでございます。
○及川順郎君 金額についてはございますか。
○政府委員(田中宏尚君) 被害が発生いたしました際にその散布受諾者等が自主的に補償等を行っているわけでございますが、この補償を行っている金額が一応その被害に見合うということで答弁さしていただきますと、五十二年度から五十六年度までの間で六千四百万円、それから五十七年度から六十一年度までで約三分の一に減りまして、この五カ年で二千二百万円というものが危被害に対する補償等という形で支払われているわけでございます。
○及川順郎君 今申されました金額それから件数から見ますと、安全性に対して努力をしている効果があらわれているかなという感じもするわけでございますが、ぜひこの点は今後とも格段のやっぱり注意を払って、二次被害的な薬剤の被害等にさらされることのないように配慮をお願いしたい、午前中も出ておりましたが、私は重ねてこの ことを強く御要望をしたいと思っております。 次に、松くい虫の被害の原因でございますけれども、マツノマダラカミキリ及びマツノザイセンチュウが異常気象や保育作業の不備によって被害を大きくしている、こういう指摘もございますし、まあそれが主たる原因だということでずっと見てまいりますと、その観点からずっと焦点を当てまして、もう長い間やはりそういう原因論に基づいて今日まで対策を講じてきておるわけですね。 そういうことから考えますと、もっと被害はこれは減ってもいいんじゃないかという感じがするわけですけれども、この点の因果関係に対する認識はどういうぐあいに受けとめていらっしゃいますか。
○政府委員(田中宏尚君) 現在問題になっておりますいわゆる激害型の松枯れの原因につきましては、先生御承知のとおり、当方の国立試験場で昭和四十三年から四十六年にかけまして相当精密な調査研究というものを行いまして、一応予想されるいろんな原因というものを検証して除去してまいりまして、それで最後に残りましたのがマツノマダラカミキリを媒介といたしますマツノザイセンチュウによる病気ということが確定いたしまして、それに基づく防除体制というものをその役とってきているわけでございます。 もちろん、大気汚染でございますとかあるいは森林の手入れ不足、こういうような環境悪化というようなものも間接的に影響しているという場合も全く否定はできないわけでございますけれども、地域なり立地条件あるいは林齢、こういうものに一切がかわらずに広範に発生している現在の状況というものから見まして、先に解明が済んでおりますマツノザイセンチュウによる直接的な原因というふうに我々としては認識しているわけでございます。
○及川順郎君 今出ておりましたマツノザイセンチュウ、マダラカミキリに対する対応として、先ほど安全性ということで話題にいたしましたヘリコプターによるスミチオンの空中散布が、正常な森林の生態を破壊し、天敵までも消滅させていると。この指摘に対しては今までどのような認識を持ち、どのような研究をされ、そして対策を立ててこられたか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 空中散布で用いています農薬につきましては、農薬取締法の正規の手続によりましてきちんと検証され、登録を受けました基準に従って使っているわけでございまして、基本的に安全と認識しているわけでございますけれども、ただ生態系でございますとかいろんなことに影響するんじゃないかという御指摘がございまして、当方といたしましてもそういう点がより明らかになって安心して散布ができるという体制がしかれることにこしたことはございませんので、昭和五十二年度からその特別防除の実施に伴います影響、植生でございますとか鳥類、昆虫類の生存状況、それからさらには土壌、水質、こういうものに対する影響について十府県において調査を願っているところでございます。 この調査結果によりますと、例えば昆虫類の生息数というものは一時的には減少いたしますけれども一カ月でほぼ原状に復帰するというような調査結果が出ておりますし、その他の事項につきましても自然環境等に大きな影響を及ぼすというような調査結果は現在のところ得られていない次第でございます。
○及川順郎君 一カ月でもとへ戻るというこの同じ原理がマダラカミキリにも適用されるという考え方は、これは研究したデータがございますか。
○政府委員(田中宏尚君) マツノマダラカミキリの羽化なりあるいは飛しょうの期間、こういうことからいいまして、一般の年じゅう同じ状態で生息しているその他の昆虫類と違いまして、羽化直前に防除をして死滅させますと、その後同種のものが再発生というような形にはフィールドの面でも検証されていないようでございます。
○及川順郎君 それでは、少し視点を変えまして松枯れの原因論、こういうところに絞って見てみますと、今回のこの改正案、本法に盛り込まれました対策というのは、松枯れの原因というのが主にマダラカミキリとマツノザイセンチュウの生態メカニズムにあるという論拠に立っているわけです。ここからすべて出発している。マツノザイセンチュウが松を枯らすというこの生態について、具体的な学理データ等をきちっとまとめられておればまず伺いたいと思うんです。
○政府委員(田中宏尚君) マツノザイセンチュウが分泌します液によりまして松に病気を起こすという現象をあれしているわけでございますけれども、 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 その発病に至る生理的な因果関係なり要因ということにつきましては現在まだ技術的な解明が完了しておりませんで、その点については現在試験場段階においてさらに病理学的な面においての検討を深めている段階でございます。
○及川順郎君 松くい虫の状況が出ましてからもう久しいわけでございますが、この年月でマツノザイセンチュウが松を枯らしていくメカニズムが解明されなかった、されるに至らなかったその理由は何だったか。やはり私は取り組み方に問題があるのではないかという感じをどうしてもぬぐい去れないんですけれども、この点に関してはいかがですか。
○政府委員(田中宏尚君) 国の試験研究機関におきましては、樹病科なりあるいは昆虫科、こういうこれにかかわります関係の研究組織というものを総動員いたしまして最緊急研究テーマということで取り組んでいるわけでございますけれども、残念ながら、先ほどもお話ししましたように、マツノザイセンチュウが侵入いたしまして毒性物質を発生し、これが松樹体の生理学的な反応を引き起こすというところまでは幸いにして判明しているわけでございますけれども、この毒性物質というものがどのように病気に関連しているかという点につきましては現在まだ試験研究過程でございまして、できるだけ総力を挙げましてそういう病理過程の解明に努めたいと思っております。
○及川順郎君 松枯れの原因について、これは学者の一つの試験データから見ますと、材線虫だけじゃなくて青変菌とか黒変菌とか、こういう十七、八種に上る菌が摘出されたというような研究データも過去には出ておりますし、特にこうした菌による樹幹内のやわらかい細胞の変質に伴う樹脂の停止、こういうものを指摘する学説もあるんですね。当庁としてその学説というものを今まで具体的に研究の中に取り入れてその因果論を突き詰めたということがあるのか、そしてまた、もし取り組んでいたとしたならばそれによって得られたデータがあればお示しいただきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) ただいま御指摘ございましたように、いろんなほかの要因があるんじゃないかということは過去にも再三議論がされまして、当方の試験研究機関におきましてもマツノザイセンチュウに確定いたします過程においてたくさんの因子について検証し、それぞれ除去していった結果、マツノザイセンチュウということに帰着したわけでございます。 その中で、特に今先生から御指摘ございました黒変菌なりあるいは青変菌、これにつきましても議論がございまして、国立林業試験場というものがこれについての調査研究というものを行ったわけでございますが、この調査研究におきまして健全な松への接種実験というものを行ってみましたけれども、松の枯死に直接結びつくような強力な病原性を持った菌ではないということが試験研究結果としても検証されておりますし、その他のいろいろな線虫の性格でございますとかこういうものにつきましても、いろんな学説があるたびにそれに対応した試験研究というものを過去積み重ねておりますけれども、現時点でやはり激害型の一般的にここのところ問題になっている松枯れの原因というものはマツノザイセンチュウという以外にあり得ないんじゃないかというふうに試験研究としても認識しているわけでございます。
○及川順郎君 それでは、マツノザイセンチュウが主たる原因、こういう観点でちょっと論を進めさせていただきたいと思うんですが、当初私も山梨県内で被害の現地調査と、それからこのマダラカミキリと材線虫の生態メカニズムを専門家の方から承ったことがございます。いろいろとそのやり取りの中で、当初は南の方に多かったものですからこのマダラカミキリ、材線虫の生息というものは低温に弱いんじゃないか、こういう考え方もあった。この点については研究されたことがございますか。
○政府委員(田中宏尚君) 松枯れの分布状況からいいまして、御指摘のとおり暖かいところの方が今まで多かったわけでございまして、東北等の寒冷地帯についてはほとんどなかったわけでございます。ただ、ここのところ東北等につきましても徐々に広がってきておるわけでございます。 それで、その際の発病現象を見てみますと、年越し枯れでございますとか部分枯れでございますとか、従来の繁茂しておりました地域に比べますと非常に違う発現状況というものが多く見られるわけでございます。これから見ましても、暖かいところとそれから寒いところでは病気の状況は違うといってとは若干従来もわかっていたわけでございますけれども、当方の研究によりましても、特に年越し枯れ、年を越して枯れる東北地帯の寒冷地帯の松枯れ病につきましては、これはやはり病気が温度に弱いといいますか、温度が低ければ力を発揮するスピードが弱いということで年を越して発病してきているというふうに試験研究としては出ておるところでございます。
○及川順郎君 この松枯れの北上で、その最前線のところがやはり東北から遅かれ早かれ北海道もその被害の地域になってくる、こういうような状況で今懸念されている中で、この温度との因果関係について、今後、私はもっともっとやはり実験データをもとに研究し対処する必要があると思っているわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) マツノザイセンチュウの生活史といいますか、卵から成長いたしまして親となり、それから卵を産み始めるというこういう全期間というものと温度との相関というものは過去検証されているわけでございます。例えば、三十度Cでございますと三日間がその全生活史になるわけでございますが、逆に十五度ということになりますとその四倍の十二日間を要するということで、こういう温度が下がることによって生活史が極端に長くなるということが年越し枯れということの原因にもなっているということは現時点でも究明されているわけでございますけれども、なお一層研究については意を用いでまいりたいと思っております。
○及川順郎君 命とっておりますマツノザイセンチュウが主たる原因ということに対してまだ異論を唱える学者もいるわけであります。そういう状況の中で、逆説的になるかもしれませんけれども、一つの試みとしまして、実験林をつくって隔離をしましてそこのところにマツノザイセンチュウとマダラカミキリを生息させて、そして松が枯れていく生態を逆にきちっと実験データに刻み込んでやるというようなこういう試みは今まで考えられたことございますか。
○政府委員(田中宏尚君) 実験林という全くオープンなところではマツノマダラカミキリの飛しょうというふうな問題もございましてなかなかそういう実験は無理でございますけれども、現在もいろんな試験研究というものは試験場における苗木でございますとか、そういうものを使いましての屋外での実験というものを当然やっておるわけでございますので、そういう実験を通じまして研究成果というものは積み重なっていくものと思っております。
○及川順郎君 僕は実験林という表現を使いましたけれども、被害の実験ということで、私は、やはりその辺の松枯れの原因論に対してまだまだ徹底した論究をする必要が残っているんじゃないか、こういう感じがするわけでございますが、今後のこの原因論に対する対応を、確認のためにもう一度お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 先ほども申し上げましたように、林野関係の病害虫の最たるものでございますし、影響の大きさからいいまして研究テーマの最重点課題といたしまして通常的な試験研究等々を通じますとともに、それから国と地方公共団体の試験研究機関等との連携も図りながら今後とも試験研究については全力を注いでまいりたいと思っております。
○及川順郎君 原因を究明するというのは、人間が病気になりましてそれを治すためには、やはりその原因、病原体を死滅させるためにはどうするか、この原因究明が先行する。予防ということもございますけれども、できている状況に対してはそういう取り組みが基本的なパターンになるわけでございまして、やはりそういう立場からこの松枯れに対する対応というものを抜本的に組み立てていく必要があるんじゃないか。 あわせまして私は、先ほど来いろいろと問題提起をされておりますこの空中散布につきましても、人畜に被害のない、例えば伐倒駆除によってこれを排除するということがもう人手やその他物理的に難しいこういう山林、山奥のそういう松林に限定するとかあるいはまたそういう人畜に影響のない限定地域指定を明確にするとか、やはりこういう形でこの点の一般の人たちから見られる薬害に対する心配点というものを排除する努力ももっともっとやはりしておく必要があるんじゃないか。原因論とあわせましてこの点のことを強く要望を申し上げたいと思うんです。 それから、緊急伐倒駆除につきましても問題点をちょっと私は提起をしておきたいと思うんですが、今回のこの改正案では、松くい虫が羽化する時期から見てこの命令で対応しがたい場合、駆除命令にかえて知事がみずから伐倒駆除を直接実施できる方法を導入することと、こういうぐあいにしておるわけでございますが、これは見方を変えますと、山林等の公共性のある松林とかそういう状況ならばこれは結構でございますが、非常に難しいのは庭園木、まあ天然記念物的な価値を持っているそういう松、それから個人が所有しております庭園の松を、松枯れが始まったから、これは松くい虫の影響が出てきたからということで切ってしまうということですね。これは、ある意味では、私有財産を本人の嫌だという意思を乗り越えた上で伐倒することができるという状況が考えられるわけです。この点については、この立法の過程において問題点として御検討したんでしょうか。もししたとすればその経緯、そしてそれに対する所見を承りたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 実は、まさしくその点がこの立法過程で一番議論が闘わされた点でございます。ここのところ、先ほど来話が出ておりますように、東北等で五月雨的に被害が出てきまして適期防除を逸するというようなことが出てきているわけでございます。それから一方、所有者というものも非常に散在しておりまして、正規の手続をとっておりますとなかなか適期にできないという悩みもあるわけでございます。そういう中で、今回新しく緊急伐倒駆除というものを制度化させていただきたいと思っているわけでございますけれども、その際にやはり今先生からお話ありましたように、私有財産権との調整ということが頭の痛い問題だったわけでございます。 それで、議論の経過といたしまして、まとまったその案では、まず基本的に申し上げまして、その対象となる松というものは既に枯死しているということで立っている状態でも切られた状態でも経済的価値というものは変わらない、切ったからといって経済的価値が減価するものではないということが一つあろうかと思っております。ただ、減価しないといいましても、私有財産でございますので念には念をということもございまして、一つは、その実施の要件というものを必要最小限度なものに法律上も限定しております。 その一つは、高度公益機能松林なり被害拡大防止松林という公共的に緊急にやる必要のあるもの に限定しておりまして、それでただいま先生からもお話ありました個人の庭園松でございますとかこういうようなものはこのいずれの範疇にも恐らく属さないと思いますので、そういうものについては国なり県が出張っていって伐倒するという形にはならないかと思っておりをする。それからそういう対象松林でございましても、その駆除命令でございますとかほかの通常の手段では的確な駆除が困難であるということがはっきりしているものに限定する。それからその時期といたしまして、松くい虫の羽化脱出前の一定期間内に限るということに限定いたしております。それからさらに、そういう要件の限定に加えまして手続関係も厳正にしたいということで、緊急伐倒駆除を実施する期間につきましては都道府県の実施計画でもってきちんと定める。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 それから実際に実施する区域なり期間につきましては事前に公表する。それと同時に、松林の所有者等からの不服申し出の機会というものをきちんと与える。そういう厳正な手続をとった上で伐採した後には松林の所有者等に切りましたよというきちんとした報告、通知をするというような厳正な手続を踏ましているわけでございます。 こういう権利保護にも十分配慮しておりますので、いわゆる私有財産の不当な制限というようなものには当たらず、公益と私益というものが調和のとれた形で制度化ができたんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○及川順郎君 それでは樹種転換の問題点に移りたいと思いますが、今回の改正案では、これまでの規定に加えて都道府県実施計画の対象となる松林、すなわち今出ておりました高度公益機能松林または被害拡大防止松林、これにつきましても樹種転換を推進するための措置を設ける、このように言っておるわけでございますが、都道府県知事が樹種転換を促進すべき松林を選定してこれを公表するとともに、施業等に関する助言及び指導に努める、こういう新しい規定がございます。この指導助言の具体的内容についてはどういうことを想定なさっているのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 樹種転換すべき松林というものを公表しただけではなかなか所有者の方が相協力してくれないという場面も考えられますので、知事がいろんな手段を使いまして助言指導することを予定しているわけでございますけれども、具体的には、一つは樹種の問題として、どういう樹種に転換することがその地域として立地条件上合っているかというような御相談にあずかるあるいは助言するという場合もあると思いますし、それから転換するとなりますとそれなりの経費なり手間というものもかかってまいりますので、幸いにしていろんな助成制度というものも補助それから融資含めましてございますので、こういう制度を使ってやれば負担も軽く済みますからどうぞ御利用くださいというようなきめ細やかな指導というものをさせてまいりたいと思っております。
○及川順郎君 松林の所有者がほかの樹種つまり杉やヒノキ等への転換を図る際には、その樹種を購入する費用、そのほかにこれを植栽するための労働、またそれを育てていくためのいろんな負担が生じてくるわけでございまして、その場合に、国や地方公共団体、森林組合等が樹種転換のためにさまざまな助成措置を講じなければなかなか樹種転換というのは現実には円滑に進まないんじゃないか、こういう心配が出てくるわけですね。こうした問題に対してどのような対応策をお考えになっているのか、具体的にお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 樹種転換を推進するためにはいろんな助成手段があるわけでございます。 具体的に若干御説明いたしますと、一つは、松くい虫被害地等緊急造林事業ということで、これは造林事業とほぼ同じでございますけれども、造林補助事業の一環として人工造林等を重点的に実施するという内容でございます。これにつきましては、若干技術的なことになりますけれども、従来の査定計数というものを六十二年度予算で引き上げるというような手厚い保護というものもいたしております。 それから、樹種転換いたす際に感染源除去促進対策特別事業というのが別途ございまして、このうちで単に感染源を除去するだけじゃなくてそういう樹種転換を特別に推進するということで、これまた六十二年度から新しい項目として感染源除去促進対策特別事業の中に樹種転換円滑化特別対策というものを構築しているわけでございます。 それからさらに、こういう樹種転換等ということになりますと、そこの山まで入っていって手当てをするということで林道なり作業道というものの整備というものが緊要になってくるわけでございますけれども、これも六十二年度の新しい予算といたしまして松くい虫対策分の森林造成林道整備事業というものを新しく予算化いたしております。そのほかに、あと農林漁業金融公庫資金で林業基盤整備資金というのがございますけれども、これにつきましても今回対象になります林齢等についての緩和処置というものを行いまして、できるだけ樹種転換というものが円滑にできるよう補助金それから融資含めまして万全の体制をとっている次第でございます。
○及川順郎君 現行法では、都道府県知事が直接実施する特別防除及び特別伐倒駆除命令を出した場合の損失補償または代執行の費用等については国が補助する、こういうぐあいになっているわけですが、今回の改正案では、これに加えて緊急伐倒駆除を実施した場合、実施する費用について国が補助する、こういうぐあいになっておるわけですね。この場合、緊急伐倒を行う場合これで果たして十分かどうかという心配が出てくるわけでございまして、防除予算が不足した場合には補正予算等で対応する予定、そこまで考えて対応策を考えていらっしゃるのかどうか、この点を確認をしたいと思うわけでございます。
○政府委員(田中宏尚君) 防除関係の予算につきましては、全体厳しい中ではございますけれども、それぞれ新しい法律に基づく新しい光を当てました事業につきましては予算額をふやしているわけでございますので、何とかその範囲内で適正な実施というものは図れると思っておりますけれども、それ以上の事業量という段階になりますればその段階においてまた考えさせていただきたいと思います。
○及川順郎君 最後に、私は、今回のこの改正案、いろんな心配点がございます。特にやっぱり空中散布による地域を限定するとかあるいはこの被害等を絶対絶滅する方向への努力とか、こういうものを附帯条件として私たちもつけたいと思いますし、加えまして今回の改正案を五年たちましてもう一回また延ばします、こういうことのないように、今回の改正案をもって少なくとも激甚な被害は終息させた、あとは本法をもって森林全般に対する病害虫に対する対応で十分対応できる、ここまでのところへ持ち込んでいただきたいと思いますし、そういう状況ができますれば今回の薬剤散布等による人畜に対する被害とかあるいは発がん性に対する心配とか、こういうさまざまな問題点が一つ一つ山をクリアしてくるわけでございまして、ぜひそういう努力をしていただきたい。その点に対するこの五年間の取り組みに対する決意のほどを最後に大臣に伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(加藤六月君) 今回こういう延長改正案を出させていただき五年間延長させていただきたいというその裏には、今先生がおっしゃいました何としてもこの異常災害、激甚災害を防止したいという意欲のあらわれがあるのでございます。一生懸命やりまして御期待に沿うようにさせたいと考えておるところでございます。
○下田京子君 まず最初に明らかにしたいのは、五十七年の法改正のときに特別防除に加えて特別伐倒駆除、樹種転換、こういうものを入れて総合的な松くい虫被害対策をやろうじゃないかというふうになったわけですね。しかし、依然として百 万立米を超える被害があった、東北地方ではむしろふえているような状況もある、この反省に立って今回の法改正になったわけですが、はっきり申し上げますと、つまり特別防除中心の対策ではなくて、松林の機能や被害の状況に応じたより総合的な対策が必要だということをこの五年間教えてくれて、それを取り入れて今回の法改正になったというふうに理解してよろしいですね。
○政府委員(田中宏尚君) 御指摘のとおり、特別防除を含めまして全体の防除手段というものを総合してやるということがこの五年間の反省の上に立って方向づけられたというふうに理解しております。
○下田京子君 まだちょっと不明なんです。明確にもう一回。従来のような特別防除中心の防除だけではだめだ、だから伐倒駆除や特別伐倒駆除なんかの一層の拡大をやって、もって先端地域に見合った防除体制や樹種転換なんかというようなものをやっていかなきゃならないんだ、そこなんです。再度確認していただきたい。
○政府委員(田中宏尚君) 中心という概念がどういうものかちょっとあれでございますけれども、我々といたしましても別段あれが中心ということで従来固持したわけでございませんで、あれを全体の防除体系の有効な一つのワン・オブ・ゼムとして、ああいうものを含めて全体として何とか防除の万全を期したいという姿勢でございます。
○下田京子君 予算の推移を見るとわかるんですよね。特別防除がやっぱり中心的に予算が多く配分されていて、なかなか特別伐倒駆除なんかができないし、樹種転換も進んでなかったし、またそういう方向で予算がついてなかった、行政がなされてなかったと、これははっきりしているんです。ですから、そこのところの認識をはっきり変えないとまた同じようなことになりますよという意味で私は指摘しているんです。 そこで、総合的にやる際に大事なことなんですけれども、一つ今回の反省の中で教訓として学ばれたのが特別伐倒駆除を命令する際の要件の変更だと思うんです。過去五年は、一定被害率ということで条件をつけていました。その要件を変更して特別伐倒駆除がもっと今日的被害に合った形でやれるようにというふうに取り込んできたんだと思うんです。そうですね、
○政府委員(田中宏尚君) 御指摘のとおりでございまして、先ほど先生からもお話がありましたように、東北まで広がっていっているというようなことで、最先端地帯で何とか防除の徹底を図りたいということもございまして、被害率の要件というものを今回外させていただいているわけでございます。
○下田京子君 つまり逆に言うと、この特別伐倒駆除というのが非常に効果的だという御認識に立たれたというふうに思います。 大臣、そうしますと、実際にこの特別伐倒駆除を推進するためには一体何が必要なのか、どういう手当てをしなければならないのかということなんです。私は思うに、やはり補助率のアップあるいは冬季間の雇用対策というような形でもって仕組んで人とお金を手当てしていかなかったらなかなかこれはできないのではないだろうか。その辺の御認識をちょっとお聞かせいただきたい。
○政府委員(田中宏尚君) 特別伐倒駆除につきましては、先生からお話ありましたように、当然金をかけて人手を使うという点があるわけでございますけれども、その金の面につきましては、例えば六十二年度予算では前年に比べまして、こういう厳しい中でございますけれども一二三%の予算というものを組んでおりますし、それから人という点では、確かに最近の山村における人の問題というものは我々にとりましても頭の痛い問題でございますけれども、森林組合の作業班でございますとかあるいは森林のいろんな仕事の受託をやっていただいております事業体、こういうところの作業員の方々にも御協力、御尽力いただきまして、山全体として山を守るということに努めてきておりますし、これからもそういう方向で円滑な事業の実施を図ってまいりたいと思っております。
○下田京子君 精神はいいんですよ、食い違ってないんです。要は具体的な予算と人なんですよ。 現実にどうなっているかということなんですが、ちょっと大臣。(資料を手渡す) 福島県の事例なんですけれども、福島県の場合には東北の中でも急激に被害が広がっている市町村が目立つわけです。そのうち、私が今大臣のところにお持ちいたしましたのは四号線沿いで須賀川市というところ、人口六万人ほどなんですけれども、これが五十七年時点では四百七十七立方だったのが六十年には千五百九十立方という格好でふえているんです。実際にその須賀川市の松くい虫の対策費の予算がどうなのかというものをお示ししているんです。ちょっとごらんください。 五十七年度では、事業費全体が七百八十五万五千七百六十六円でした。うち市の持ち出し分というのは五十七万六千六百円だった。右の端を見てください。国庫補助が約九三%で地元持ち出しは七%であった。それが六十一年を見てください。六十一年の事業費の総額が五千百十四万七千七十七円と、実にこの五年間で約六・五倍に膨れ上がっております。で、負担区分を見てください。そのうち補助額が二千四百六十五万三千二百五十円。それに対して市費の持ち出しが二千六百四十九万三千八百二十七円。五十七年当時の市の持ち出し分に比べましてざっと四十六倍というような膨大なことになっておりまして、また右端を全部見てください。国庫補助が四八%、そして市の持ち出しが事業費全体のうちの五二%というふうに相なっているわけなんです。こういう状況をどこまで国がつかんでいるかということなんです。 特に、この中で問題なのは幾つかありますけれども、私は今、事細かく申し上げるつもりはありませんが、もう一つ、これは調べておいてということで林野庁を通して県を通して調べていただいたからおわかりのはずだと思うんですけれども、今の同じその須賀川市の場合に特別防除を約八十ヘクタールやっているんです。その金額、事業費が六百二十七万円となっております。しかし、国費は幾らかというと、その国費補助は九十二万円しかなかったんです。玉川村という場合には、五十ヘクタールの特別防除をやりましたが、事業費が二百四十万円かかっております。国の補助金はといったらゼロなんです。つまりこれで言いたいことは、県単事業にのせてそれでもって市町村の責任で県と協議をしてやったという事業の分野があるということが一つなんです。 それからもう一つ申し上げたいのは、実は五十九年、高率補助金カットということで、大臣、施行令を見ますと、この防除についての薬品は三分の二の補助と、こういうふうになっているわけです。それが六十年には十分の六に削られ、六十一年には十分の五・五に削られ、今またそのまま削られっぱなしと。六十二年との比較でその影響額がどのぐらいなのかということで、さっきちょっと調べてくれといったら、概算だけれどもそれは五億六千万円にもなると言っている。 特別伐倒駆除の問題で、確かに六十二年度の予算はふやしたと言っています。しかし減っているんです。トータルを見てください。過去から見ていったら、過去最高のときよりは減っているんです。六十一年に比べてふやしたというだけでしかないんです。そういうことも考えますと、本当に効果あらしめるためにはやはり予算とそれから人なんです。特に今農村の不況は大変です。冬場になると仕事がないんです。ですから、その雇用対策というような形ででもひとつこれは研究してみてくれませんか、大臣。
○国務大臣(加藤六月君) ただいま須賀川市の松くい虫対策費の五十七年から六十一年までのいろいろな数字をいただきまして、五十七年から六十二年に至る我が農林水産省の予算を考えますと、毎年千数百億円ずつ予算が減ってきておるわけであります。そういう中で何としても松くい虫は防除しなくてはならないということで一生懸命頑張ってきた成果がこの数字にあらわれておるんではないか。もちろん被害面積もふえてきております けれども、昭和五十七年の補助金七百二十七万九千百七十六円から昭和六十一年だけを例にとりましても二千四百六十五万三千二百五十円ということで、三・数倍補助金がふえておるというこの事実をひとつよくお考えいただきまして認識していただきたいということでございます。 なお、もちろん雇用の関係もございますが、またある面で申し上げますと、農林水産省の予算はこの数年毎年千人前後ずつ削減を食ってきておるわけでございますから、予算といい人といい大変厳しい中にありまして、昭和六十二年度予算は、先ほど長官がお答え申し上げましたように、何としても松くい虫を退治したいということで大変苦しい厳しい中にも予算をふやしたという点は御理解いただきたい、こう思うわけでございます。
○下田京子君 数字に強いでしょう、大臣。五十七年の法改正のときには、松くい虫の防除予算は全体額で七十一億八千三百万円だったんです。それで六十一年は六十億四千二百万円。トータルの数字で六十二年度は五十九億五千八百万円。減らしているんです。ですから、これじゃ頑張って減らしたという数字でしょう。
○国務大臣(加藤六月君) 他の農林水産省の全体の予算の中から見ていただきますと、削減のぐあいが非常に少ないということを御認識いただきたいと思います。
○下田京子君 こういう予算で本当に終息させていくような見通しというのは立つのかどうかなんです。だから大臣、かたくなにならないように。 では私申し上げますが、これで決して十分だとは思っていらっしゃらないでしょう。
○国務大臣(加藤六月君) 金も人も十分欲しいとは思いますけれども、制約された中で私たちは一生懸命努力していかなくてはならない、こう考えておるところでございます。
○下田京子君 制約された中でいろいろ考えるというそっちの方はいいんです。ただ、これで十分だというふうには、これは大臣だって思っていらっしゃらない。だから、お答えは避けて今のような答弁になったんだと思うんです。問題は、地域ぐるみのというふうにおっしゃりながら、現実にはこうやって自治体の持ち出しが相当部分ふえている中で国の努力というのはどうなのかということを厳しく問いただしているんではないでしょうか。提起しておきますので、大臣その辺を踏まえて対応いただきたいと思います。 次に基本方針の問題なんです。 今回のこの特別措置法第三条の規定に基づいて農林水産大臣は基本方針を定めるわけですから、当然基本方針そのものも変わっていくだろうと思うんです。どういうところが変わるのか。まず確認したい点は、現在の基本方針を見ますと、被害地域区分を微害、中害、激害の三区分であらわしておりますが、今回の法改正に伴って先端地域、既往地域というふうに大別して森林の機能に合わせた、大臣がしきりに言っている限られた中でも効果ある総合対策をしていこう、こういう方向で基本方針も変えられるんだなというふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(加藤六月君) この法案が通過、成立さしていただきましたならば、お説のとおり基本方針を決定しなくてはなりません。基本方針の策定、変更に当たりましては中央森林審議会の意見を聞くことにしておりますが、そういう皆さん方の意見を承り、またもろもろの関係行政機関とも協議しまして策定をしていきたいと考えております。
○下田京子君 内容がそういうふうに変わるという、その答弁だけちょっとはっきりしてください。
○政府委員(田中宏尚君) 法律が成立しました段階で内容を考えたいと思っておりますけれども、両院のいろんな審議の経過等を踏まえまして新しい基本方針の内容は確定したいと思っております。
○下田京子君 私が考え方として指摘したのは間違いないですね。
○政府委員(田中宏尚君) 先生が御指摘なさいましたように、先端地域なりあるいは既往地域というふうに分別いたしまして、それぞれについての指針ということを書こうという点においては御指摘のとおりでございます。
○下田京子君 そういう形で各方面から聞いて基本方針を立てる、その基本方針に基づいて県の基本計画あるいは実施計画というものが定められることになるわけでしょう。 私、実は五十七年の法改正の際に、その県の基本計画あるいは実施計画をつくる際に森林審議会のメンバーの中に自然環境保護団体の皆さんを加えてはいかがかと、こういうふうに申し上げました。そのときには四県にしかなかったわけですね。当時の田澤大臣は当初検討すると言っていましたが、わかりました、指導しますと、こういうふうに約束されたわけです。実際に今、自然環境保護関係の皆さん方が森林審議会のメンバーに入っている都道府県の数は幾らになったでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 先生の御要望もございまして、その構成員につきましてできるだけ配慮するようという指導通達も出してきたところでございますけれども、現時点では二十二の県におきまして環境保全関係の委員というものが参加する形に相なっております。
○下田京子君 五年間で四県から二十二県にふえたという点で一定の努力はありますが、四十五県が県の実施計画をお持ちになっている中で、いまだやっぱり自然環境保護団体関係の方というのは審議会のメンバーにも入っていないというようなことを逆に示しているのじゃないかと思うんですね。これはやっぱり一つ問題だと思いますよ。 環境庁に伺いたいんですけれども、環境庁が五十二年、五十三年と二年間にわたりまして調査して、五十四年に「森林における農薬空中散布の鳥類及びその生息環境に及ぼす影響調査報告書」というものをまとめていると思うんです。これは委託調査で山階鳥類研究所から出ています。その調査報告書を受けて環境庁は林野庁と話し合いを進めてきたと思うんですけれども、その進めてきた結果、五十八年度から実際にそれらが取り入れられた形で生かされているというふうに聞いております。林野庁と話し合って、特別防除をする際にこれは対象としませんよというふうにしたところの名前を具体的に挙げてください。
○説明員(佐野弘君) お答えします。 ただいまお話しのありました調査は五十二年、五十三年両年度にわたりまして私どもが実施したものでございますが、調査の目的は、松くい虫防除のための農薬の空中散布が生物等に及ぼす影響について調べるということでございまして、調査項目の主な内容は、植生への影響、それから昆虫相への影響、それから、最大の問題で私どもとしては関心の深い鳥類への影響、この三つでございます。 調査期間が非常に短いということもございまして十分な結論を得たわけではございませんが、昆虫相につきまして、やはり当然殺虫剤を散布するわけでございますので変化が見られるというようなことも踏まえまして、とりあえず私どもとして林野庁さんの方に自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全地域の中の野生動植物保護地区、それから私ども特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律という法律がございまして、それに基づきまして貴重な鳥を特殊鳥類として指定しておりますが、その特殊鳥類の生息地、それから国立公園、国定公園の特別保護地区、さらに鳥獣保護区の特別保護区、こういったところにつきましては特別防除の対象としないように私どもとしてはお願い申し上げた次第でございます。
○下田京子君 今言われた四点ですね、それが原則としては特別防除の対象となってないというふうに私の方に報告が来ているわけです。 それで、実際にその第三条に基づく基本方針の中身にどう生かされているかということを見ましたら、これがわかるように明記されてないんですね、私今読みませんけれども。だから一つは、もう少しわかるように明記しなさい、いかがですかということです、長官。
○政府委員(田中宏尚君) 文章の書き方の問題でございまして、考え方としてはただいま来御指摘があった方向に沿って基本方針が書かれているわけでございますので、基本方針を今度新たに樹立いたします際にその辺の文章を再度見直してみたいと思っております。
○下田京子君 今の答弁大事です。だったら、そういうふうに基本方針にもう少しわかる文言で書く、それだけにとどめないで、大事なことはその基本方針にもう定まっていますからいいですよではなくて、県がつくるこの実施計画の中にきちっとわかるように書きませんと、都道府県は四十五都道府県で実施計画を持っているわけですが、被害市町村全部がみずから計画をつくるということでもないですから、こういうのに基づいてやるわけです。 私、念のためにこれは林野庁からいただいたんですが、鳥取県の実施計画の中身を見ましたら、今のようなくだりが明記されていないんですね。明記するだけでなくて、問題は書いてあるかどうかだけでなくて、そういうものをきちっと対象地域から外して、トラブルを起こさないでやるというのはもう大前提ですから、周知徹底させるという方向で御指導をお願いしたいと思います。大臣よろしいですね。
○政府委員(田中宏尚君) 都道府県が自主的に定めております実施計画でございますが、当然国の基本方針に書かれております方向に沿って実施計画が立てられるということは国としてもこい望んでいることでございますので、そういう方向が実現するよう願っております。
○下田京子君 大臣、指導分野にかかわることはお答えください。 環境庁にさらにお尋ねしたいんですけれども、五十八年から六十一年の間にも財団法人日本自然保護協会において調査をしておると思うんです。その調査は「松くい虫被害対策として実施される特別防除が自然生態系に与える影響評価に関する研究」で、その中間報告が出て私のところにも届けていただきまして、つぶさに読みました。その報告を見ますと、ここは私の方で確認させていただきます。 薬剤の生物群集に及ぼす影響関係なんですが、いろいろと茨城、岡山両県を調査した内容があります。結論として、農薬は害虫を駆除して人間の生活を守る有益な働きがある一方で、一時的にせよ害虫以外にとって何ら影響がないとは言えないので慎重に取り扱う必要があるとの指摘が行われることとなるんでないかという推測での環境庁からのお考えをいただいているんです。なるんでなかろうかだけでなくて、私もこのメンバーあるいは林野庁の懇談会のメンバーにもお入りになっている東北大学の農学部の西口先生に直接お話も伺いました。レポートも読ましていただいたんですが、そういう方向で書かれております。これを踏まえて環境庁としては林野庁に次のような意見を今述べていると、こう言っています。 述べている内容ですが、確認してください。 ①特別防除を検討するに当たっては、貴重な野 生動植物の生育状況について、あらかじめ実態 の把握に努めること。 ②自然環境保全地域の野生動植物保護地区、鳥 獣保護区の特別保護地区、国立・国定公園の特 別保護地区、特殊鳥類等貴重な野生動植物の生 育地等は原則として特別防除の対象としないこ と。これ間違いございませんね。
○説明員(鏑木伸一君) 今回の法律改正に当たりましてそのような申し入れをいたしております。
○下田京子君 そういう環境庁からの申し入れを受けて、林野庁としては今どういうお考えなのか。
○政府委員(田中宏尚君) 法律作成の過程で関係省庁と協議なり重ねてきましたことにつきましては、十分その方向に沿いまして法律の運用に当たってまいりたいと思っております。
○下田京子君 そういう方向でいけば、私が申し上げたいのは自然環境保全審議会の皆さんからも当然きちっと意見を聞いたらどうなのかということを申し上げたいんです。 これは環境庁にちょっと確認したいんですけれども、自然環境保全法、この法律に基づいて第十三条では自然環境保全審議会が中央に設置されておりますね。それで地方には都道府県自然環境保全審議会、これは法律五十一条に基づいて設置されるようになっておりますね。私は、さっき環境庁が提言されている二つのうちの一つ、「特別防除を検討するに当たっては、貴重な野生動植物の生育状況について、あらかじめ実態の把握に努めること。」というこの提言を具体化していく上では、都道府県のこの審議会の方々の役割というのは大変重要ではないかというふうに私理解しているんですが、間違いないでしょうか。
○説明員(鏑木伸一君) 法律の規定にそのような条文のあることは確かでございます。環境庁といたしましては、その中に関係行政機関と協議するという規定があるわけでございますが、関係行政機関として基本方針につきまして協議を受けました場合には必要な情報収集にも努めまして、環境保全の立場から十分検討いたしまして適切に対処したいと考えております。
○下田京子君 大臣、お答えをいただきたいと思います。今聞いていてわかるように、関係機関から意見を求められるとそういう対応ができるような体制になっているわけですね。自然保護・環境の問題でいろいろと今までも問題が報告されてまいりました。そういう中で、私は、森林審議会の意見を聞くことはもとより、そしてまたそのメンバーに関係者が入っていくということも大いに結構なんですが、法律に基づいて設置されている重要な役割を担っている自然環境保全審議会の皆さんの意見を聞くということはむしろ結構なことで、聞かないということについて何か支障があるんだろうかというふうに思いたくなるぐらいなんです。そういう点で大臣のお考えを聞かしていただきたいと思うんです。
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど基本方針の策定に当たってのあるいは変更に当たっての私の考え方は申さしていただきましたが、まず中央森林審議会の意見を聞くことにいたしておりますが、その委員の中には環境問題についての学識経験者を含めております。また、きょうも出席していただいておりますが、環境庁等関係行政機関とも協議することにいたしております。このことから環境保全の面からの意見は適切に反映させることができると考えております。 したがいまして、ただいまの御意見のように、さらに自然環境保全審議会の意見を聞くことは殊さらにやる必要はないんではないかと考えております。
○下田京子君 大臣、話を聞いていましたでしょう。都道府県に行きますと反映される仕組みになっていないから、そっちの方の話を言ったんですよ。
○国務大臣(加藤六月君) 都道府県知事が都道府県の実施計画を策定、変更する場合についても、環境保全関係の経験者、さらに有識者の意見は当然今後聞いていくだろうと考えております。
○下田京子君 当然聞いていくだろうと考えるか考えないかは大臣の全く個人的な意思であって、法律体系上、今の体系では関係者の意見を聞く、特に森林審議会の意見を聞くことになっている。ところが、その森林審議会のメンバーの中に自然環境保護関係の方が入っていない、入っているのは二十二県だけだというふうに明らかになったわけですね。ですから、法的にもきちっと聞けるように、そういう整備をやっぱり地域的にやろうというんだったら、考えていってしかるべきじゃないだろうか。そこはひとつ今後実態を聞いて検討してみてください。
○国務大臣(加藤六月君) 十分検討してまいります。
○下田京子君 その検討が検討に終わりませんように。 私のところの修正案では、一つに、ちゃんと今問題になっているこの自然環境保全審議会の皆さんの意見を聞くようにしなさいと、こういうふう に提起しているんです。大臣それがわかっていてかたくなに拒否なさったのかなとも思わぬでもないですが、しかしこれからやっていこう、検討もしようと、こうおっしゃっていますから、それがぜひ実るように見守っていきます。見守るって、ただ見ているだけじゃないですよ。今後もずっと対応を迫りたいと思います。 それでは、私がなぜ自然環境保護関係のことを言うかというと、何も私だけじゃないわけですよね。特別防除の見直しということは、他の委員からも繰り返し繰り返し言われている、そしてまた法案の審議のたびにいろいろ指摘もされている、各研究者からも言われているんです。だからなんです。 そこで、私、一つ大変これはおかしいなと思うのがわかったんですけれども、さっき申しました基本方針の中に人間に関する問題についての明記があいまいなんですよ。原則的には禁止というふうに述べております。いいですか、ここのところは読ましてもらいます。お持ちになっていますでしょう。「特別防除は、次に掲げる松林については実施しない」と、こうなっているんです。その中でイのところですけれども、「家屋、学校、病院、水道、井戸、水源並びに鉄道、道路等の交通機関、公園地区等の利用者が集合する場所等の周辺の松林その他その所在地等からみて薬剤の飛散・流入により周囲の環境に悪影響を及ぼすおそれがある松林」は除くと、こうなっているんです。ところがしり抜けになっている。括弧書きで「(2に掲げる事項に即して適切な措置を講ずることのできるものを除く。)。」と、こうなっていまして、結果としてはここが大きなトラブルになっているんですよ。しかし、この基本方針の読み方からいったら原則禁止なんです。違いますか。
○政府委員(田中宏尚君) 例外が括弧書きになっておりまして、基本的な考え方というのが表に書かれておりますので、原則禁止と名づけることはそれなりに名づけようもあろうかと思っております。
○下田京子君 その原則禁止の姿勢を貫くべきだと私は申し上げたい。 実際にこれらにかかわっての調査がなされていないというのがまた不思議なんです。どうして今言った人家や学校や病院や人間に焦点を当てた調査というものがなされないのかということです。さっき申し上げました西口先生もこの点では不思議だというふうなことを申しておられました。だからぜひ、いろいろ関係する優秀な方がおるわけですから、そこに視点を当てた調査というものもおやりいただきたい、よろしいですね。
○政府委員(田中宏尚君) こういう人の集まるところ等への散布については細心の注意を払う必要がもちろんございますので、そういう悪影響を及ぼしている例というものは皆無と信じております。したがいまして、従来調査結果として集計等はなされていないわけでございますけれども、今後とも十分に見守ってまいりたいと思っております。
○下田京子君 被害がないと信じているとなると、これはもう神代の世界の話だものね。信じる信じないなんというものじゃなくて、現実がどうかということを見ないとね。今法律の議論をやっているんです。実際に行政の責任は何かということをやっているんです。信じるというなら具体的なデータがなければならないわけです。ですから調査をなさい。よろしいですね。
○政府委員(田中宏尚君) 常日ごろいろいろな形で特別防除の実績なりは把握してきておりますけれども、そういう今までに悪影響を及ぼしているという事例には県の報告から接しておりませんけれども、今後ともそういうことにつきましては厳正に対処してまいりたいと思っております。
○下田京子君 厳正に対処していただくということと調査するかというのを同じように見ていいんですか。 と言いますのは、いいですか長官、そういう事例がある、ないの話をしていくとやっぱり大変なんです。県を通してあるかないかは別にして、いろいろ問題になっているじゃないですか。福島県だって、あの福島市の信夫山周辺のことで随分反対の運動なんかもあって、いろいろ見直してきたじゃないですか。被害が起きているかどうかという影響の話になれば、実際そこに焦点を当ててやっていないんですから、出てこないといえばそれまでですよ。しかし、皆さん方が委託をしております農林水産航空協会、この定款に基づいていろいろと実施する際の注意事項なんかも出ておるわけですけれども、他の委員からも問題になっている例えばセビモール、NACの話ですね。これはどういう有効成分があるのか、あるいはどういう阻害が出るのかというのは、これは言うまでもなくわかると思うんですが、あえて申し上げますと、これは神経伝達に関与する酵素、コリンエステラーゼの活性化を阻害する作用があるということなんです。 ですから、散布の仕方によっては影響が出るんですよね。全くないということにならないわけです。だからその散布の仕方がいろいろ問題になってくるわけなんです。だから、本当に適切な散布がされているかどうかということでの後追い調査を行政はきちっとしなければならない責任があるだろうということを言っているんですよ。ちゃんとこの航空協会がいろいろやっています。そして散布の際のことなんかも書いております。どういうふうにあれかということでも、このセビモールの場合ですとミツバチに対しては毒性がきちっとある、あるいは水源池や養魚池や田んぼ、これは飛散・流入してはいけないと。だから散布の際にはマスク、手袋など散布液を吸い込んだり浴びたりしないように注意しろ、作業後は直ちに顔、手など皮膚の露出部を石けんでよく洗いうがいをするんだと、こう言っているんですよ。まき方によって飛散はどうするかということはわからないわけですから、風向きや何か出てくるわけです。ないにこしたことはないわけですね、そういう毒性を持っているわけですから。一般毒物だといっても、散布の仕方によって影響が全くないということを信じているなんという言い方じゃだめです、それは。どうだったかということで、ひとつ今度はどこか絞ってでもいいですから、ぜひ後追い調査をやってほしい。
○政府委員(田中宏尚君) 信じていると申しましたのは事故が出ていないということについてでございまして、飛散そのものについては少し舌足らずであったかと思っております。 飛散の調査そのものにつきましては、実はどういう技術的な手法できちんと科学的に調査をするかという点につきましては必ずしも公的に確立した手法というのはございませんし、それからただいま先生からもお話ありましたように、風向きでありますとかいろんなことでその調査の方法なり実態等が変わってまいりますという非常に難しい技術的な問題はございますけれども、そういう技術的な問題も含めましてこれから十分に検討さしていただきたいと思っております。
○下田京子君 前向きの答弁だというふうに受けとめさせていただきます。 環境庁に聞きたいんですが、さっきの調査は今集約中でございますけれども、その集約過程の中で既に今のような形での意見も出ているんですよね。西口先生は、提出してあるからその論文を使っても結構ですよと言われたから申し上げますと、ここまで言っているんですよね。「既往被害地では重要松林-高度公益機能林――を重点的に守るというが、松がなくても機能が維持できる林では、空散してまで松枯れを防ぐ必要はない。たとえば、水源かん養林は松が枯れて広葉樹林になってもさしつかえはない。場合によっては松枯れはそのまま進行させて、広葉樹林にかえたほうがよい。こう考えると薬剤を空散しなければならない松林は限られてくる。」んだと、こういうふうなことも言われておりまして、さっきの中間報告をずっと読んでまいりますと、やはり将来的には本当に日本の里山管理のあるべき姿という恒久対策の方向に向かいつつやっていかなきゃならない、また引き続いてそういう影響調査なんかはやらなけ ればならないというのが各所に見られるんです。 環境庁としては、今私が申し上げているような人間の生活に焦点を当てた形での調査のようなものを今後検討していくお考えがあるかどうか。これは私、通告してなかったから課長さん御答弁いただけるかどうかはあれなんですが、先生方はそういう提言をされていますから、とりあえず先生方の御意見を聞いてみていただけませんか。
○説明員(鏑木伸一君) 林野庁におきます「薬剤防除安全確認調査」の結果等を見ながら農林水産省や関係地方自治体とも十分協議し、必要に応じ環境庁といたしましても調査について検討してまいりたいと思います。
○下田京子君 これは調査すべきだと思いますね。 それで、あと特別防除の見直しの問題では、政府の資料を見ましても一%以下に終息をしたいんだというふうにおっしゃって、五十二年から定点をとってずっとやっておられます。その調査の仕方がどうかというところまできょうは申し上げるほど私も現地の実態を踏まえていませんが、しかし逆に、皆さん方がまとめられたこの資料だけを見ましても、五十一年からずっと十年間やってきて被害木の数率が十年にしてようやっと一%というような状況に相なっていますね。途中これは確かに減ったりしていますが、逆にふえているときもございますね。ですから、特別防除だけに頼るというのは松くい虫の対策上どうかなという点での問題提起を林野庁みずからがお示しいただいているというふうに思います。別に否定はなさらないでしょう。
○政府委員(田中宏尚君) 残念ながら防除全体として終息型の体系に至っていないという点は事実でございます。
○下田京子君 防除全体でない、これは特別防除の効果に関する調査結果でこうなっているわけですからね。そういうことだと思います。 それで、これは大臣に検討いただきたいんですけれども、金目の問題から見ましてもどうなのかという提起をしたいんです。実は、これは今まで林試なんかで研究なされてきた結果、樹幹注入剤が実用段階に入っているというふうに報告を受けました。その中でネマノーン注入剤、これの場合ですと立方当たり四、五千円でやれるというふうに開いております。こういった形でやはり特別防除より樹幹注入剤の方の適用であるとか、あるいはもっと総合的な対策の方向にお金を使うとか、大臣がおっしゃっているように限られた予算の中でより効果的な対策のあり方というものをぜひ御検討いただきたいと思うんです。
○政府委員(田中宏尚君) 樹幹注入剤につきましては、幸いにして実用段階ということに来ているわけでございますけれども、その薬効期間でございますとかあるいはこれを処理いたします際の専門的な技術の有無、それからさらに、安くなってきたとは申しましても三十センチメートル程度の直径の木一本当たり安いものでも五、六千円かかるというような問題がございましてなかなか全体的広域にわたって使うという形には現時点ではなっていないわけでございますけれども、当方におきましても、松くい虫被害対策促進事業の中では、その地域の特に名勝でございますとかあるいは境内の松というようなものにつきましてはこういうものの活用も現在認めているわけでございます。これからの方向として、やはりコストの引き下げとそれからできるだけ労力が少なくて済むような新しい技術の開発ということにつきまして、なお一層努力してまいりたいと思っております。
○国務大臣(加藤六月君) 私も、林野庁並びに関係者に、神社仏閣あるいは個人の家の松の木あるいは由緒のある松等について、そういう注入剤の安くて効果のあるものを一日も早く仕上げるように、自分のこととしていろいろ指導をいたしておるところでございます。
○下田京子君 ところで、それにかかわる研究の問題なんです。環境庁さん何度も恐縮なんですけれども、五十八年から六十一年の「松くい虫被害対策として実施される特別防除が自然生態系に与える影響評価に関する研究」、この中でこういう指摘が出ているんですね。「どうしてマツノザイセンチュウは樹体内に多く生息する穿孔性甲虫類のなかからマツノマダラカミキリを唯一の伝搬者として選ぶのであろうか。」、この点は未解明です、こういうふうに言っているんです。これはさっきも確認されたような感じがしますけれども、その未解明部分についての今後の研究見通しはどうなんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) ただいまお話ありましたようにマツノザイセンチュウがどうしてマツノマダラカミキリに乗り移るか、それから離脱してああいう伝播をするかということにつきましては、現時点では生態学的なメカニズムというものは解明されていないことは事実でございまして、現在研究が緒についたばかりでございまして、できるだけ早くそういうメカニズムの解明に努めたいと思っております。
○下田京子君 もう一つ、これもその中に書いてあるんですけれども、「マツノザイセンチュウとマツ属樹種の親和性」ということで「マツノマダラカミキリが後食したマツ属樹種がすべて発病するかといえば事実はそうではない。」というくだりがあるんです。これは通告してなかったからわかるかどうかなんですが、ただ読んでおいてくださいと言ったからお読みになっていると思うんですが、「マツノザイセンチュウとニセマツノザイセンチュウ」というのがあるんですね。そういうことで、逆に言うと「マツノザイセンチュウとニセマツノザイセンチュウでは寄生マツ樹体から発せられる異なった刺激を乗り移りの合図に使っていることが想像される。」というふうにこの研究をしている先生方は言っているんです。その辺の研究は林試ではどういう状態なんでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 現在のところ、林試の試験研究の結果としましては、ニセマツノザイセンチュウにつきまして病原菌は少なくとも現段階では発見されていないというふうに聞いております。
○下田京子君 いずれにしても、そういうことで研究はやっていると。マツノザイセンチュウが出す毒性が何かというのは、すべては解明されなかったけれども一部だけは解明されているというふうに伺っているんですが、その辺の解明されたポイントと、それから今後の課題で天敵の微生物利用は可能なのかどうか、誘引剤の開発は可能なのかどうか、それからさっき申し上げました樹幹注入剤の低コスト開発というのは可能なのかどうか、その辺の見通しをちょっとお知らせください。
○政府委員(田中宏尚君) まず、マツノザイセンチュウの病原としての解明でございますけれども、現在の研究成果といたしましては、マツノザイセンチュウの侵入に伴いまして一定の毒性物質を発生する、そしてこれが松樹体の生理学的反応を引き起こすというここまでは判明しているわけでございますけれども、この毒性物質と思われるものがどのような病原に関連しているのかという点が実はわかっていないわけでございます。したがいまして、この点を中心といたしまして現在生理学的な検討というものを深めておる段階でございます。 次に、その天敵でございますけれども、やはり天敵の利用ということが今後の防除の一つの大きな方向であることは確かでございまして、試験研究機関におきましてもいろんな試験研究が取り進められてきております。例えばボーベリアバッシアーナでございますとかメタリジュウムアニソブリアェでございますとか、実験室内ではそういう微生物を使っての防除ということが相当効果を発揮してきておりますけれども、現時点では野外実験というような形ではまだ効果が出ていないということでございますが、原理的なことは相当解明されてきておりますので、これから実用化の研究でございますが、現在の研究成果から分析いたしますと実用化の段階に到達するまでには相当手間暇がかかるんじゃないかという感じがいたしております。 〔委員長退席、理事水谷力君着席〕
○下田京子君 メカニズムそのものが今まだ解明されないで、それを解明するのには相当手間暇がかかるんではないかという一方で五年で終息させるというのは、これは何か一見矛盾している部分もあるんですよ。研究というのは、それは一晩で漬物みたいに仕上がるものじゃないんです。 特に、今後の研究の方向というところで、例えば微生物の問題にしても、今後はバイオテクノロジー技術の利用などによって環境条件に左右されにくい菌の作出に取り組んでいこうと。そういうことになると、天敵でも、微生物という点は非常にその可能性があるというふうに伺っているんです。毒性の一部についてもセルロースとかといったものがあるんだということでの解明も出てきているんです。 問題は、私前回も指摘したんですけれども、この辺は大臣、少ない予算でも効果的になんということじゃなくて、いやもうすごいですよ、この研究費が削られているのは。五十六年は八千七百三万五千円だった、五十七年の法改正のときに九千万になりました。ところが六十一年では五千六百六万八千円になっているんです。六十二年は幾ら見込んでいるんですか。
○政府委員(田中宏尚君) これは試験研究費全体の各場所の、それから各研究テーマにおける予算執行上の問題でございますので、残念ながらまだ来年度の当初予算というものも通過しておりませんので、各試験研究テーマごとの配分は現段階ではまだいたしておりません。 〔理事水谷力君退席、委員長着席〕
○下田京子君 研究費をこんなにけちっているということで果たして積極的、本気になっているんだろうか。さっきの高率補助金カットによる影響額は五億六千万円ですよ。研究費の予算はちょうどその一割ですよ、五千六百万ですから。本当にこれで重視して取り組んでいるなんて言えるんだろうか、私は問題だと思います。この点は大臣、確かに財政が云々だと言ったってふえているところはふえているんですからね。本気になって、本当にこういう点での研究促進ということに取り組んでいただきたいと思うんです。
○国務大臣(加藤六月君) こういう研究、科学技術全般あるいはバイオ全般の研究を促進することというのはこれからの我が日本の生きていく非常に重要な道であると考えておりまして、そこら辺については十分配慮いたしたいと思います。 なお、この病害虫に対する研究そのものとまた松そのものに対する、今の松くい虫に対する抵抗の強い松を大いに奨励していこうということで、そちらの方面も一生懸命にやりまして、総合的に科学的に技術的に英知を結集して頑張っていきたい。 念のために申し上げますと、バイオで新しくできております和華松という新しい松がございますが、これはまだやや南方向きではないかということと、それからもう一つはちょっと枝ぶりが悪いということで、我が日本では今五メートルぐらいまでにしかまだなっていないようでございますけれども、これも林野庁におきまして年間十万本ぐらい、まだ数としては少のうございますけれどもさらにこれをふやし、あるいはまた、やや寒い地域に適するものも大いに研究しましてこういうバイオの成果というものも活用していきたい、両方の面で大いに頑張っていきたいと考えております。
○下田京子君 最後に一言。 問題ははっきりしたのは、特別防除中心ではなくて総合的な防除方法を確立していくこと、それに対してやはり必要な予算なり人なりというものは手当てしていくんだと。そういう中で積極的な樹種転換あるいは被害材の利用なども行っていただきたいということを最後に申し述べまして、質問を終わります。
○三治重信君 私は、松くい虫のこういう問題については本当に素人であり、また別にそう研究しているわけではないので、本当の初歩的な見解あるいは質問になるかとも思うわけなんです。 私は愛知県の出身なんですが、沿道を車で知多半島や東海道沿線を回って歩いているときに、松がどんどん枯れていく。そのうち、見ていると、ほとんど伐採されたり一生懸命本当にえらい防除をやられているみたいだけれども、僕は愛知県なんか見ていると、そんなことを言うと愛知県に怒られるかもしれぬけれども、どうも松くい虫で枯れた松をそんなに防除されているような感じは受けていない。実際、道路の両側の松の木が枯れていく実態はずっと見ている。それから東海道新幹線で来ると、安倍川の付近まではさっと来て、あれを越すと若干ずつ残っていて、ああこの辺、静岡の半分ぐらいでとまったのかなと思って見ていたんです。これを見ると、どうも枯れた松の木にマツノマダラカミキリの幼虫がみんなそこへ種つけられておる、それから春になってそれが成虫になって飛び回る、こういうぐあいになっているんだが、そうすると松の枯れたやつを早くとらぬことにはこれはどんどこどんどこはびこっていくという理屈になるんだろうと思うんです。そうすると枯れたところや松くい虫が出たところではどんどん繁殖するんだけれども、ところが一方、おたくの資料なんかを見るというと、全国どこにも全部あるんだな、この松くい虫の被害状況というのは、多い少ないはあるけれども。だから広がっているところからやっているといっても、それは非常に急に愛知県みたいに広がるところもあれば北陸みたいにほとんど広がらぬようなところもある。実際に見ておられて、同じように松くい虫はおるにもかかわらずこのように被害が急激に広がるところと、関東が一番ひどいみたいなんだけれども、そうでもないところとの差というのはどういうところから出てきているんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 松くい虫そのものの生態にもかかわるわけでございますけれども、従来のあれで言いますと、やはり温暖なところでのばっこというものが生態的にも強いわけでございまして、日本の松くい虫被害の歴史を振り返りましてもやはり西の方から東の方へ、南の方から北の方へ進んできておるという形になっているわけでございます。そういう中で特に現在目につきますのは、平場地帯といいますか、海岸線でございますとかあるいは国道沿いでございますとか、そういう平場地帯で多発しておりまして、それでこれが山の方、奥地へ上っていくということを今懸命になりまして防いでいるわけでございます。そして同じ地域の中でも平場と山間部という差がございますし、それから国全体で見ますと、東北地帯というものが今まで未被害地域だったわけでございますけれどもここのところ岩手県の南部、それから秋田県の南部、ここまで被害が発生してきている。ただ、こういう寒冷地帯におきましては被害の発現状況というものが南の方と若干異なった様相は示しておりますけれども、松くい虫による被害であることにおいては変わりがないという状況になっているわけでございます。
○三治重信君 そういうふうで、どうも聞いていても、特別防除をやっていても広がるところはどんどん広がるし広がらぬところは広がらぬし、法律の施行をやったのは若干抑えるのには役立ったかもしれないけれどもそれほど松くい虫の蔓延防止には役立っていないというふうな素人考えに立つわけなんです。 そうすると高度公益機能松林というのは、松くい虫の広がるのを防除するよりか林そのものを保存しようということなんでしょう。それから被害拡大防止松林というのは被害が広がりそうなやつをあらかじめ特別防除して拡大を防ごう、そこから外へ出ないようにしよう、こういうことだろうと思うんだけれども、しかしその被害拡大防止松林や高度公益機能松林のその内側のところで枯れた木を切ってそして松くい虫がおらぬようにするのがもっと基本的な対策じゃないかというような感じを持つんです。特別こういうふうな二つの規定をして、防除に対してどういう機能があるのか。一つは、高度公益機能松林というのはほかのところは松くい虫が繁殖しても、何が何でもその林だけは防衛して残しておきたい。それからもう 一つは、被害拡大防止松林というのは一般的に拡大するやつを一つの防火壁みたいに壁をつくって防止をする、そういう解釈でいいんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 高度公益機能松林といいますのは、今先生からお話しありましたように、松林というものを何とか維持したいということで、例えば保安林でございますとか、それから保安林以外でございましても保安林と同程度に近いような公益的機能があってしかもその松林以外では代替できないというような松林を考えているわけでございます。そういうものといたしましては、例えば海岸防風林でございますとかあるいは景勝林、それから瘠悪地の土砂防備林というようなものを高度公益機能松林と位置づけまして、ここで何とか松林を守りたいということで基本的には考えているわけでございます。 それからもう一つの被害拡大防止松林といいますのは、そういう高度公益機能松林でございますとかに近接しているとかあるいは被害の最先端地区に所在しているという松林でございまして、そこを初めの段階において集中的に例えば伐倒するとかいうようなことで深度の深い防除をするということによりまして、そこからさらに被害が広がっていくことを何とかそこで食いとめたいという線でございます。
○三治重信君 そうするとこの二つを特別決めて、大体割合からいくとこの二つはどんな割合で考えておられるのか。全国的に、また地域によってその重点が違うのかどうか。
○政府委員(田中宏尚君) 全体で松くい虫被害対策を行いたいと思っている面積はほぼ六十万ヘクタールございます。このうちで国と都道府県がみずからやるといいますか、都道府県の実施計画に基づきましてこの法律で特別に特別防除でございますとかあるいは伐倒駆除というものをやる、こういう面積が全体の約半分の三十万ヘクタール、これがこの法律に基づいて特別に行う地区の面積でございます。その中で、高度公益機能松林と称しますものは約十七万ヘクタール、それから被害拡大防止松林と考えられますのが十三万ヘクタールというような内訳にそれぞれ相なっております。
○三治重信君 そうすると割合に狭い範囲で、松くい虫のあるところはどこでも防除をやるという発想ではないというふうに理解をしていいわけですね。六十万ヘクタールというのは松くい虫の被害を受けたやつのほんの一部じゃないですか。
○政府委員(田中宏尚君) ちょっと全体的な姿でございますけれども、松林の全体の状況といたしましては面積としまして二百五十万ヘクタールほど国全体であるわけでございます。このうち六十万ヘクタール程度が被害対策として頭の中で描いておるわけでございます。しかし、これもその六十万ヘクタールが全部軒並みやられているということじゃございませんで、松林の中で一本二本ごく早い段階でやられている、そしてそれを伐採いたしますればほかに波及しないというようなのもあるわけでございます。そういう点からどのぐらいの松の量、材積が松くいに侵されているかということでございますけれども、これは現段階では大体百万立方メートルをちょっと超える量が松くい虫被害木として推計されているわけでございます。それで、一方、国全体では実は三億立米を超す松の材積があるわけでございますので、国全体で見ますと三億を超える材積のうちで百万立米ほどが何らかの形で松くいにかかっている。これを集中的に防除いたしまして今後これ以上広がるのを防止すると同時に、これができるだけ終息型の徴害状況まで減ずることを願いまして防除に全力を挙げてまいりたいということでございます。
○三治重信君 そうすると大体の輪郭がわかってきたわけなんですが、どうなんですか、見通しとしては。前からの質問にもあるわけなんだが、五年ごとに延ばしていってもう本当に今度が最後かというような質問もさんざんあったようなんですけれども、この見通しもさることながら、松だけどうしてこんなふうにやられるかということですね。松くい虫だけの虫害、森林の被害というものが松だけ特別。ほかの木も相当松と同じようにあるんだったらこの法律に出てくるはずなんだがな。形とかヒノキとかいうものが松くい虫と同じように食い荒らされているんだったらその防除が出てくるわけなんだが、松だけ出てきているわけでしょう。そうすると、何か、今の気候と昆虫との自然状態の変化によって松だけが特別攻撃されるような自然環境の変化というものは、これは今のところ、先ほどから昆虫の研究やらいろいろやっていても原因がわからぬというように、自然の変化でなぜこの松くい虫がこんなに繁茂して松だけやられるのか、杉を食う虫やほかの林を食う虫は松くい虫と同じようにどうして繁殖しないのだろうかというようなことについては考えないんですか。松だけどうして食われるのか。 これに対して一つの考え方としては、全体の林として寿命が来るんじゃないか、ほかの非常に繁茂する木とそれから木の中でも何百年という長い間にその一つの木が衰滅する時期が来るのではないか。過去でもいろいろ大きな動物が衰滅したり大きな特別羊歯類が衰滅したり、そういうふうな大きな自然現象の変化によって松というものが何か劣性的な立場に急激に立ってきたような感じというものはないのか。もしもそうだったら、いつまでもこんなことをやっても、松くい虫に食われて枯れた松の後はほかの樹木でその時代に合った繁茂する木を植えていった方がいいんじゃないか、この方が経済的で効率的だと。松じゃなきゃどうしても耐えられないという海岸とかのいわゆる高度公益機能松林だと思うんだけれども、高度公益機能松林でも松じゃなくちゃどうしてもだめだとか、松じゃなけりゃそこは育たぬ海岸の砂地とか、そういう砂地でも生える、育つ木を林野庁としては荒蕪地や特別なところに適する新しい木を随分研究しておられると思うし、殊に最近はバイオテクノロジーというのがあって、新しい木をつくっていこうということになってくると一つの目標を立ててそういうことをやっているだろうと思うんですよね。 僕が、去年の夏イスラエルに行ったときに、砂漠に育つ木を一生懸命になって研究しているんですよね。砂漠だからあそこは結局水が出てきても塩気が多く、そうすると砂漠で育つ木というのは塩分を持っていても育つ木でないといかぬ。したがって死海では魚も育たぬ、その死海の水を引いて木を育てて実験をしているんですよね、何という木か忘れちゃったけれども。そういうことを恐らく林野庁もやっておられるんだろうと思うんだけれども、こういう松というものに対して防除も必要なんだけれども、松林にかわって自然の変化に対して適合する樹種を育てていこうと。これはこれでいいんですよ。これはこれでいいんだけれども、もしもこれがどうしても防除できなくなってきたときにはそれにかわる木を早くつくり、そうして松林にかわってそういう木を育てるというような計画も早急につくる必要があるのじゃないかと思うんですけれども、そういうことはどうなんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 松に限ってこれだけ繁茂しているわけでございますけれども、マツノザイセンチュウというのは名前からもそうなように松にのみ被害を与える病気でございまして、そのほかの杉でございますとかほかの樹種につきましてもそれぞれ害虫はいるわけでございますけれども、マツノザイセンチュウの場合のように繁茂はしていないという形になっているわけでございます。 歴史的にあれしてみますと、日本で明治三十八年、九年というものが文献上現在と同じような病気の文献というものが残っているわけでございますけれども、これは学者の研究等によりますと外国から侵入してきた病気というふうに理解されておるわけでございます。世界的に見ましても、例えばアメリカにも松はもちろんたくさんあるわけでございますけれども、アメリカの松はマツノザイセンチュウにもう既に抵抗性というものが確立しておりましてかからない。それから一方、例えば中国でも地域によりましては松くい虫に抵抗性のある松がございまして、これは南方系でござ いますけれども馬尾松という松がございまして、実は中国からこれの花粉等の提供を受けてうちの研究機関でこれと日本在来のクロマツとをかけ合わせまして、先ほど大臣からもお話がありましたように和華松という形でこれは六十一年度から九万五千本ほど全国的に供給できる体制ができてきているわけでございます。それから、別途在来のアカマツでありますとかクロマツ、これをそのままの形で抵抗性をつけたいということでここ十年間ぐらいその抵抗性の育種選抜事業というものをやってまいっておりまして、百八本ほど抵抗性のある個体というものを固定してきておりますので、これを使って採種ということに現在取り組んでおりまして、六十年代の後半ぐらいにはこれからできた苗木というものを全国的に供給できるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。 それから、松林につきましては、特に松の場合には瘠悪な土地にも生育できるという非常に強い性格を持っておりますし、そういう点で水源涵養でございますとかあるいは風の強いところ、あるいは砂のよく飛んでくる海岸線、こういうところの防風、防砂という点で古来大きな機能を果たしてきておりますし、それから白砂青松というふうに言われますように日本人の心の中にも松林の美しさというものがございますので、でき得る限り松林という形での保存ができれば保存をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○三治重信君 いろいろな事情があろうかと思うわけなんですが、確かに交通が世界的に開けてきてほかの国の害虫が入ってきたときにはばっと散るということもあるんだけれども、この松くい虫はそういうふうな外国から明治に入ってきた虫ですかね。
○政府委員(田中宏尚君) 昔は松くい虫という現象は日本で起きておりませんので、どういう経路でどの時点で外国から入ってきたかということの検証はもちろんできておりませんけれども、外国から入ってきたということは確実じゃないかというのが学者間の一致した見方でございます。
○三治重信君 そういう自然の状態であるところへ全然違った環境から虫なり違う木が入ってくることによって植生ががらっと変わったり栄枯盛衰が出てくるわけなんだが、そういう松くい虫に強い木をアメリカなり何なりから取り寄せて育種をしていく、一たんやられたらそれにかわるものを大至急つくっていくという知恵と実行力をつくっていくことが僕は必要ではないかと思うんです。これは農林水産省の補助事業とか価格政策ばっかりに力を注ぐのもいいけれども、やはり全体的ないわゆる科学技術やそれから世界から種や木やいろいろのいいものを取り寄せて、そうして日本の時代に合うものをつくっていくという研究開発努力というものをやらぬと、世界的に交通網が非常に発達して何が入ってくるかわからぬわけで、そういうときにぽんとやられたときにかわるものが用意されないとそれを防御するだけでは非常に金ばっかりかかって効果が上がらない。これはとてもじゃないが、こういう別のものをつくってそれで補っていこうという発想。僕は、この松くい虫についてもこれだけ苦労されていながらちっとも実際において余り効果が上がらぬところを見ると、松くい虫に荒らされた林をどういうぐあいに更生していき、日本の森林をどういうふうに保存していくか、それから長官が言われるようにいわゆる白砂青松のリゾート構想は、これはもう万難を排して高度公益機能松林として保存をしていくというふうな何か重点的なのをやるためにこんなわざわざ松くい虫の対策なんというものは要らぬだろうと思うんだが、そういうふうな効率的な立場をひとつぜひ考えてもらいたいと思います。 それから一つ最後に、この松くい虫のやつはほとんど国や府県の対策の費用のようなんだけれども、松くい虫の防除についていわゆる山林の所有者というものの負担を求めなけりゃできないというようなことはほとんどない。所有者みずからが防除をやるために出す金は別として、国や知事が積極的に松くい虫の防除をやっていくために山林所有者に特別に負担をかけなければやれないというようなことはない、こういうふうに理解していいですか。
○政府委員(田中宏尚君) 先ほどお話ししましたように、全体で六十万ヘクタールございますうちの半分程度を都道府県実施計画に基づく対象と考えているわけでございますが、これにつきましては緊急に整備する必要があるということから国の助成なりそれから県の持ち出しというようなことでやっておるわけでございます。ただ、その準備段階でございますとかそれから後始末でございますとか、いろんな関係でやはり所有者みずからがそういう病気から自分の木を守り、病気になった木を整理していくという取り組みということが一番必要でございますので、そういう点では所有者にもいろんな協力、御支援というものをもちろん得ながら指導を行っているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 私は、お尋ねしたいことがいっぱいありますけれども、持ち時間が短うございますのではしょってお尋ねいたしたいと思います。ひとつ簡明に答えていただきたい。 まず、大臣にお尋ねしたいことは、五十二年法制定以来、改正のたびごとに被害を速やかに終息、軽微の方向に持っていくと、こういう決意を示されたわけですが、成果は必ずしも十分上がっておるとは私は思いません。そこで、今後五カ年間で松くい虫被害消滅のための政府のまず決意を、姿勢を大臣に伺いたい。
○国務大臣(加藤六月君) 衆議院におきましても、また参議院の本日各委員の皆さん方から同様の御意見、御質問があったわけでございますけれども、ピーク時の五十四年度に比べますと現在被害量が半分程度までに減少してきたところでございます。被害の鎮静化には相当の成果を上げてきたものと考えております。 しかしながら、たびたびお答え申し上げておりますように、地域によっては被害は拡大傾向にあったり、あるいはまた寒冷地域においては年越し枯れなどの従来と異なる被害態様が見られるところでございます。したがいまして、今後このような状況に対応した防除対策がなお必要であると考えており、今回所要の改善を加えて改正法案を提出しました。激甚な被害を通常な被害に持っていくべく最大限の努力をするための法案が今回の法案でございます。
○喜屋武眞榮君 もう一点大臣に伺いたいんですが、過ちは再び繰り返すなということもありますが、過ちとは言いませんが、おっしゃったように努力が足りなかったのではないかという面からいろいろと要因があると、こう思うわけです。この法が本当にスムーズにその目的を達成していく近道を通っていくためには私は環境庁との緊密な連絡提携ということが尊重されなければいけないのではないかと思うんですが、その点、環境庁との緊密な連絡提携についてはどのように考えておるか、またどのようにやってこられたか、どのようにやっていこうと思っておられるのかお聞きしたい。
○国務大臣(加藤六月君) 今回のこの法改正を決意するに当たりましても環境庁並びに今までいろいろ御指摘のありました関係団体の意見を十分尊重し、そしてまた十分な連絡をとりながら今回の法改正に踏み切ったわけでございます。そして今後とも基本方針の策定その他におきましても、さらに緊密な連携を保ちながらやっていきたいと考えておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 今度こそ、ひとつその最短距離をスピードアップして目的に向かって前進してもらいたいということを要望いたします。 次に、もう一点大臣にお聞きしたいことは、二十一世紀の我が国の経済社会にふさわしい森林・林業を育成していくことが林政の最も重要な課題であると理解いたしております。その点から、一つは林業生産基盤の整備とかあるいは木材産業の体質強化等あるわけでありますが、特に私がここでお尋ねしたいことは林業生産の担い手の育成です。この担い手の育成についてはどのような具体 策を持っておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(加藤六月君) 我が国の森林資源の成熟化に対応しまして、これに必要な林業の担い手を確保するということは極めて重要な課題であると考えております。このため、林業の生産基盤の整備、構造改善施策等、各種林業振興施策を通じまして、林業と山村を魅力あるものにするということが第一でございます。 その次は、地域の中核となります若年林業労働力の育成確保施策、林業後継者に対する教育指導、交流学習の促進施策等を推進する考えでございます。 そして三番目には、昭和六十二年度からさらに新たに林業担い手の計画的な育成ということと労働安全の確保を図るために地域ぐるみの取り組みの醸成、指導活動、担い手定着条件の整備等を行う施策を実施することといたしております。
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねいたしたいことは、前回五十七年の法改正の際に特別防除、特別伐倒駆除、樹種の転換を含めて総合的な被害対策をとってこられたということでありますが、その成果についてはどのように評価しておられるか、そのことをまずお伺いしたい。
○政府委員(田中宏尚君) 先生からただいまお話がありましたように、五十七年にその前の法律を改正、延長いたします際に、新しく特別伐倒駆除それから樹種転換等の処置に加えまして被害の実態に応じて各種対策を総合的に推進するという体制をとったわけでございます。その結果、いろんな評価はあろうかと思いますけれども、被害という点で見てみますと、昭和五十六年度に二百七万立米というものに及んでおりました被害が六十年度には百二十六万立米というほぼ半分近い段階にまで減少してきておりますので、全体といたしましては五十七年に加えていただきましたいろんな対策というものの成果も出まして、被害の鎮静化というものに相当の成果を上げてきたというふうに理解しておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねいたしたいことは、先ほど大臣の御答弁の中にも含まれておる一面がありましたが、この松くい虫の被害は数年前に比べると全体的には減少の傾向にあるということは私も認めます。ところがやっぱり現状も高い水準にある、こういう部分が指摘されております。例えば東北、北陸・東山地方におきましてはむしろ増加、倍加の傾向にあります。しかもまだ、年越し枯れや部分枯れなどの従来なかった現象、異なった被害が発生してきておるようであります。このことを政府とされてはどのように受けとめ、そして対応しようとしておられるか、その対策を具体的に示してもらいたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 東北地方等におきましては、絶対量という点ではまだ少ないんでございますけれども、ここのところ残念ながら被害が拡大傾向にあるわけでございます。 その原因につきましてはいろいろあろうかと思いますけれども、ただいまも先生から御指摘ありました部分枯れでございますとかあるいは年越し枯れというようなことで新しい病気の態様ということが出てきておりまして、従来の知見だけではなかなか防除の徹底が期しがたいという面が一つございますし、それから新しい地域でございますので被害が非常に散在しておりまして、しかも早期、適期に発見するということがなかなか難しい点があるということ、それに加えまして五十九年それから六十年と、この二カ年にわたりまして高温少雨ということでマツノマダラカミキリ等の生息に一番好都合な天候条件というものに見舞われてしまったということも複合した結果、量がふえてきているということになっているかと思っております。 こういう問題がございますので、被害の先端地域におきまして従来行ってまいりました伐倒駆除、これに加えまして特別伐倒駆除を行うとかあるいはスポット散布を主体といたしました特別防除を行うというようなことを、新しくつくっていただきます法律に基づきまして総合的に実施いたしたいと思っておりますし、それから春先の枯れに対しましては、伐倒駆除命令にかえまして緊急伐倒駆除という形で都道府県が機動的に的確な時期にその駆除を行えるという仕組みも考案いたしまして、何とか被害の拡大というものを食いとめたいというふうに考えているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 次にお聞きしたいことは、今回の法改正によって第九条の二に「(駆除命令に代えて行う伐倒駆除)」の規定ということが新設されておる。この措置は松林所有者にとっては、国が松くい虫の被害を受けた松だから被害の蔓延を防止するために伐倒する、こういう意味を持つわけですが、ところがその松林の主は木を切られることによって損害をこうむるわけであります。この点について政府は、いわば伐倒駆除規定による損害補償といいますか、そのままほうっておくのかあるいはこれに対してどういう措置をとってくださるのか、そのことを確かめたいと思うんですがどうですか。
○政府委員(田中宏尚君) 一般の伐倒駆除命令に基づきまして防除を行いました際には、その所有者に対しまして伐倒費でございますとかあるいは薬剤による防除費、こういうものを補償することといたしておりますけれども、対象木の価値に対しましては、これが既に枯死しておりまして材価という点ではないということにかんがみまして、その損失補償という点は従来もしていなかったわけでございます。そして今度の緊急伐倒駆除についてでございますけれども、これにつきましても対象木の価値という点は、既にもう枯死しているものに限定しておりますので、立っておりましても切られましてもその価値には変化がないということでございまして、切ったからといって経済的価値が減ずるという状況にはないわけでございますし、それからその被害木というものが利用可能でございますれば被害材の利用の機会を確保するという観点から、切りました事後に直ちに所有者に通知するということにいたしておりますので、特に財産的な損失を所有者に与えるという心配もございませんので、格別の損失補償を行うということの必要性はないものと考えております。
○喜屋武眞榮君 そうすると松の主からのそういう場合の損害補償に対する要請はないとおっしゃるんですか、またそういうことはなかったとおっしゃるんですか。
○政府委員(田中宏尚君) 所有者の気持ちとしては理解はできるわけでございますけれども、既に枯死している木が立っている状態とそれから切られた後の状態で財産的に減るというようなことはございませんので、法律的な問題として損失補償の対象には該当しないというふうに認識しているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 次にもう一つお聞きしたいことは、今の質問にも関連があると思うのですが、国または都道府県が松くい虫による被害木の伐倒措置をとった場合、その松林は我が国にとって重要な資源である。樹木の被害の程度あるいは利用できる範囲の問題、いろいろ実際に即してはあると思うんですが、その被害木を有効に利用する、大いに活用すべきではないかと思うのです。そういった点から被害木の有効利用を図ることについて、農水省としてはこの点をどのように考えておられるのか、あるいはまた実際に活用されたこともあるのかないのか、その点お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(田中宏尚君) 被害木の利用が活発になるということは防除の面にとりましても非常に大きな効果があるわけでございますし、それからせっかくある資源というものを有効的に利用するということからいいましても国全体として積極的に推進する必要があるというふうに考えているわけでございます。 そのために従来からいろんな手段を講じてきておりますけれども、一つは、各県なり市町村段階で松くい虫被害対策推進連絡協議会というのを開きまして、ここに関係業界でございますとかにたくさん御参集いただきまして、その場でいろんな対策なりそれから被害木の活用の仕方というもの を御検討いただいておるわけでございますけれども、この場で関係業界に対しまして被害材の利用促進というものへの協力要請なり知恵出し要請ということを積極的に従来から行ってきているわけでございます。それと同時に、国の補助事業で松くい虫被害対策促進事業というのがございますけれども、この事業の中の一つのメニューといたしまして、例えば移動式のチッパーというものを助成いたしまして、山の中、現地で被害木をチップにいたしまして製紙業者等に提供するというようなこともしておりますし、それから被害木を利用いたします際に何といいましても搬出のための道路というものも必要になってきますので、山全体を育てるということとも兼ね合わせまして搬出作業道の作設というようなものにも若干助成いたしまして被害木の利用の促進に努めているところでございます。 それから六十二年におきましては、新しく松くい虫被害材の利用開発というものにつきましての手法についての試験研究というようなものにも取り組みまして、何とか被害木が積極的に活用されまして松くい虫対策の一助になるよう努めているところでございます。
○喜屋武眞榮君 今申し上げた点ですね、大いに利用・活用、また権力の行使という点で愛情を持って指導、親身になって激励をしていただくということ、このことが私は特に述べたいことであります。 次に、これは林野庁長官のお答えになると思いますが、松の枯損防止については林業試験場が研究しておられるわけですが、いろいろと例えば天敵微生物の検索とかあるいは天敵野鳥、昆虫の利用とかあるいは誘導物質による防除とか、薬剤の樹幹注入とか、抵抗性品種の馬尾松の開発とかこういうことが挙げられておるようですが、その研究の成果と応用の現状を承りたいのですが。
○政府委員(田中宏尚君) 松くい虫の被害対策にかかわる試験研究につきましては、国の林業試験場を初めといたしまして公立のいろんな試験研究機関、こういうものとも相連携いたしまして総合的な試験研究というものを推進しているわけでございます。いずれにいたしましても、さまざまな環境条件下にあります被害地域の実情というものに即しましたいろんな防除というものが可能になりますことが必要でございますので、防除技術の多様化というものに基本的に努めているわけでございます。 その中で一、二今御例示ありましたものに即しまして御説明いたしますと、天敵の利用なりあるいはマツノマダラカミキリの誘引物質による防除それから樹幹注入剤等の薬剤による防除というようなものをただいま御例示がありましたように研究開発を進めているわけでございますけれども、この中で誘引剤でございますとかそれから樹幹注入剤、こういうものにつきましては現時点で既に実用化しているわけでございます。しかしただ、それぞれにつきましてまだコストがかかるとかあるいは樹幹注入剤で申し上げますと注入に専門的な技術を要するとかいう実行上の問題もございますので、さらに現実に適した防除方法になり得るよう試験研究をこの面でも含めてまいりたいと思っております。 それから、天敵の利用につきましては、天敵としての微生物の研究につきまして試験室段階ではかなりの成果というものを上げてきているわけでございますけれども、まだ屋外で安定した効果というものを得られる状況には至っておりません。しかし、この天敵の利用といいますのが将来の防除体系といたしましては非常に重要な点でございますので、こういうものを含めまして何とか有効な手法というものを開発したいということで、今後とも試験研究の充実強化というものに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○喜屋武眞榮君 この法の趣旨を十分に生かしていくという面からも、また二十一世紀に向けてという視点からも、この林業試験場の総合研究というものは非常に大事にしてもらわなければいけない。そのためには大いに裏づけの金とそして適当な指導者の養成、そして技術を絶えず追求していく、この中から私はこの目的達成が生まれてくると、こう思います。 そういう点から特に林業試験場の総合研究についてはもっともっと金を、そして技術を高めてもらいたいということですが、このことに対して大臣ひとついかがでしょうか。
○国務大臣(加藤六月君) 防除に効果のあるあらゆる方法を総合的に科学的にまた技術的に検討いたしまして、ぜひ実効のある防除策をさらに促進していきたいと考えておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 それをひとつ期待いたします。 次に、沖縄における松くい虫の状況について尋ねたいと思いますが、まず現状をどのように理解しておられるかお聞きしたい。
○政府委員(田中宏尚君) 沖縄県の民有林におきます松くい虫の被害状況でございますけれども、四十八年度に約一万立米の発生を見ていたようでございますけれども、五十七年度には約一万七千立米と被害のピークを迎えております。その後いろんな対策を講じました結果、六十年度には三千七百立米とピーク時の約二割というふうに相なっております。
○喜屋武眞榮君 沖縄における松くい虫の問題についてこれから二、三お尋ねしたいと思うんですが、特にと申しますか、このことについては大臣もひとつ特に念頭に置いていただきたいということを前置きいたしまして、なぜ私が沖縄の松くい虫の現状についてお聞きしたかといいますと、沖縄におきましても松くい虫はかつて随分蔓延しておったが、現状においては終息のいい方向に進みつつあるということも私は知っております。そういう点ではありますけれども、沖縄の場合、松くい虫が基地の中、金網の中から発生して金網の外いわゆる一般の松林にそれが広がっていっておるというこのことを特に私は知っていただきたい。沖縄におけるいわゆる森林行政の困難さといいますか、金網の中にある松林から発生している。ところがそれの対策は、出入りが自由じゃありませんから常に阻まれて、予算の面からも、いろいろと苦難の折衝の道があったわけです。ところがタイミングの面からも、常に手の打ち方が遅い。こういうふうに沖縄森林行政の困難さは基地内から発生してきておる、このことをまず念頭に置いていただきたい。 このことと、さらに私がここで強調したい沖縄の森林保護の意義は、これはもちろん、日本全国、世界的にも緑を、森林をどう守るかということが地球的な大きな課題になっておるわけですが、私がここで申し上げたいのは、沖縄の森林は東洋のガラパゴスと言われておることは大臣も御承知だと思います。 そこで自然保護、その保護する森林の中に世界的な鳥類、昆虫類がいわゆる天然記念物、特別天然記念物という名のもとに次々と発見されておるし、また過去から現在までそのように位置づけられて特別天然記念物となっておる。こういう特別天然記念物の状況でありますので、特にひとつ沖縄の自然保護、これから自然破壊が、きょうここで申し上げも時間がありませんが、その破壊の現状も頻々と進みつつあるわけであります。そういう情勢の中で、ひとつこの松くい虫も含めまして自然保護の面を特に強調しておきたいと思いますので、大臣のコメントを求めて、あるいはもし長官のお答えもあればお聞きいたしまして、最後に大臣に決意をお願いしたい。 終わります。
○国務大臣(加藤六月君) 沖縄県におきます米軍施設内の松くい虫防除につきましては、原則として米軍が実施することとしております。米軍において実施し切れないものにつきましては防衛施設庁において実施し、防除の徹底を期すことといたしております。 沖縄県につきましては、米軍施設内の防除と民有林における防除とが調和して実施される必要があると考えております。今後とも、御存じのように三者連絡協議会を設置いたしておりますが、この三者連絡協議会の場を通じて緊密な連携、連帯 をとるよう沖縄県を指導してまいりたいと考えております。 また農水省といたしましても、関係省庁連絡会議の場を通じて関係省庁に対し松くい虫防除の徹底を引き続き要請してまいりたいと思います。 また天然記念物その他の沖縄における鳥獣保護の問題につきましても、先般沖縄大学、琉球大学の先生方並びに保護団体の皆さん方ともお会いしまして意見を十分承っておるところでございまして、自然環境を十分に守り育てていくようにいたしたいと考えておるところでございます。
○委員長(高木正明君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木正明君) 御異議ないと認めます。 この際、本案の修正について下田君から発言を求められておりますので、これを許します。下田君。
○下田京子君 私は、本案に対し、日本共産党を代表して修正の動議を提出いたします。 その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。 これよりその趣旨について御説明申し上げます。 前回の法改正以降もなお松枯れの被害量は百二十万立米を超え、これまで被害の少なかった東北、北陸・東山地方においては被害がむしろ増大する状況にあります。これは、薬剤の空散に頼る従来のような特別防除中心の施策では松くい虫被害を微害化することができないことを明らかにしています。 同時に、このことは伐倒駆除、特別伐倒駆除の一層の拡大と被害先端地域の実態に見合った防除及び広葉樹木を含む樹種転換の促進、被害松材利用対策の抜本的強化、さらに地域ぐるみの松林保全、あわせて林業施業技術の開発研究等総合的な対策が最も求められていることを示しています。 今回の政府案は、不十分ながらも被害先端地域に見合った防除及び我が党もかねてから主張してきた樹種転換促進対策の強化など、一定の配慮はうかがわれます。しかしながら、政府案では高度公益機能松林及び被害拡大防止松林の範囲を変更することとしており、従来国及び都道府県が防除を行ってきた面積の三分の一を市町村の地区計画の部分に移行することにし、市町村への負担を転嫁しています。あわせて、高率補助金カットということでかつて三分の二の補助であったものを十分の五・五に引き下げ、その影響額は六十二年度予算ベースで五億六千万円にも上り、自治体負担を一層拡大しています。また、特別防除による薬剤散布被害も依然続いており、自然・生活環境そして地域住民の健康に対し一層慎重に配慮をする必要があります。 さらに、今日松枯れ病を林業全体の問題として歴史的に見るなら、薬剤の空散に頼る暫定的被害対策から松林管理のあり方、林業全体のあるべき方向を明らかにした恒久的対策の確立が求められていると言えます。 林業関係者の生産意欲の低下、加えて最近の円高による外材の輸入圧力の増大など厳しい情勢の中で、政府案ではこれらの問題点の施策が明らかにされていないなど今回の政府案には重大な弱点があります。 我が党の修正案はこうした弱点を改めるとともに、日本の代表的な樹木の一つである松と緑、国土を守るために抜本的な対策を講じたものとなっています。 その概要は、第一に、松くい虫防除に関する国庫補助強化です。 松くい虫の被害対策を推進するために、松林所有者等が地区計画に基づく防除を行い、市町村がその費用を補助したとき国は当該市町村に対して政令の定めるところにより国庫補助をすることができるとすることです。 第二は、松くい虫の被害対策を総合的に進めるために、第三条の基本方針に松材の利用施策の推進と総合的研究の促進に関する基本的事項を定めることを明記することです。 第三は、自然生活環境の保全対策と地域住民の意見の尊重です。 基本方針、都道府県実施計画を定め、これを変更するときは自然環境保全審議会の意見を聞かなければならないこととし、特別防除を行うに当たっては住民の意見を尊重するために住民の不服申し出を認めることとします。 また、特別防除を実施する国及び自治体は人の健康に被害を及ぼさないよう必要な措置を講ずるとともに、特別防除によって人の健康や農林漁業等に被害が発生した場合は直ちに防除を中止し、その原因を究明しなければならないこととします。また、その被害については無過失責任による損害賠償規定を設けています。 以上が修正案の概要でございます。委員各位の御賛同をお願いしまして提案理由の説明を終わります。
○委員長(高木正明君) ただいまの下田君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
○国務大臣(加藤六月君) ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
○委員長(高木正明君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、下田君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高木正明君) 少数と認めます。よって、下田君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高木正明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 稲村君から発言を求められておりますので、これを許します。稲村君。
○稲村稔夫君 私は、ただいま可決されました松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、森林の機能向上に対する国民の要請が増大している現状にかんがみ、本法の施行に当たり、各般にわたる松くい虫の被害対策を緊急かつ総合的に推進することにより、松くい虫被害を早急に終息させるとともに、松林の有する機能を確保するため、次の事項の実現に努めるべきである。 一 松くい虫による異常な被害を早急に終息させるため、総合的被害対策について地域の被害状況を充分踏まえ、適切かつ効果的な防除対策が実施されるよう国、都道府県、市町村、森林組合等を通じた実施体制をさらに充実かつ強化するとともに必要な予算の確保に努めること。 二 被害対策について地域の自主的な取り組みの促進を図るため、地域住民の自主的な防除意欲を醸成するよう普及啓蒙に努めるとともに、地区実施計画の策定に当たっては、関係行政機関、森林組合、利害関係者等を構成員とする協議会の開催により、地元関係者の意向が反映されるよう努めること。 三 被害対策の実施に当たっては、除・間伐等 適切な森林施業の実施、松材の需要開発とその有効利用促進、被害松林の樹種転換等各種施策の総合的な推進を図るとともに、特に特別伐倒駆除の実施に当たっては、必要な労働力の確保、必要な施設の整備等に努めること。 四 緊急伐倒駆除については、森林所有者の理解と協力を得て円滑に実施できるよう、その手続き等に遺漏のないよう努めること。 五 特別防除の計画・実施に当たっては、関係地域住民の意見を十分尊重し、事前の周知徹底に努め、適正かつ安全を図る等慎重に実施し、被害が発生した場合には直ちに特別防除を中止し、原因の究明及び円滑な損害補償を行うこと。さらに、薬剤の飛散等生活環境及び自然環境に及ぼす影響について引き続き必要な調査・検討を行うこと。 六 松くい虫の被害防除に当たっては、特に、病院、学校、水源等の環境保全を図るため、その周辺の松林について原則として特別防除は行わないようにすること。 七 松の枯損メカニズムについて、その徹底究明に努めるとともに、天敵、誘引剤の利用等新たな防除技術の早期実用化に努めること。また、選抜育種、交雑育種の一層の推進と併せ、バイオテクノロジー等の導入による抵抗性品種の育成及びその供給体制の整備等育種事業の充実に努めること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(高木正明君) ただいま稲村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高木正明君) 全会一致と認めます。よって、稲村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの附帯決議に対し、加藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤農林水産大臣。
○国務大臣(加藤六月君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上善処してまいりたいと存じます。
○委員長(高木正明君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木正明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(高木正明君) 次に、森林法の一部を改正する等の法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
○国務大臣(加藤六月君) 森林法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 森林の保安施設事業は、森林の維持造成を通じて山地に起因する災害から国民の生命・財産を保全するとともに、水資源の涵養、生活環境の保全・形成等を図る重要な国土保全政策であります。また、漁港修築事業は、水産業の発達を図り、これにより国民生活の安定と国民経済の発展とに寄与するため、漁業の生産基盤及び水産物の流通拠点である漁港の整備を行う事業であります。 これら保安施設事業及び漁港修築事業につきましては、最近における社会経済情勢の推移にかんがみ、財政状況を踏まえ、事業費を確保し事業の一層の推進を図ることが緊要となっております。 このため、昭和六十二年度及び昭和六十三年度における特例措置として、二分の一を超える国の負担または補助の割合の引き下げを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、森林法の保安施設事業における都道府県の負担の割合を三分の一以内から十分の四・五以内とすること等であります。 第二に、漁港法の漁港修築事業における国の負担割合を百分の七十から百分の五十七・五どすること等であります。 第三に、この引き下げ措置の対象となる事業に係る地方公共団体に対し、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとすることであります。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(高木正明君) 以上で趣旨説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十二分散会 ―――――・―――――