大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 88 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/05/14
会議録
○委員長(井上裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等の基本施策について、宮澤大蔵大臣から所信を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今後における財政金融政策につきましては、一月の財政演説において申し述べたところでございますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。 戦後、国民の勤勉と創意とに支えられ、目覚ましい発展を遂げた我が国が、今後進むべき道は、対内的には、豊かで活力のある経済社会を構築し、対外的には、国際社会の期待にこたえて、我が国の占める地位にふさわしい貢献をしていくことであります。 現下の経済情勢を見ますと、世界経済は、全体として見れば、緩やかな拡大を続けておりますが、大幅な対外不均衡がなお続いており、保護主義が高まりつつあります。 我が国経済は、急速な円高の進展により、製造業を中心に企業の業況判断には停滞感が続いており、雇用面も厳しい状況となっております。 他方、財政は、巨額の国債累積を抱え、その利払いが政策経費を圧迫する等、極めて厳しい情勢となっております。 私は、このような現在の諸情勢の中で、我が国が、国内にあっては、豊かで活力ある経済社会の建設を進め、外に対しては、国際社会への責任を果たすため、今後の財政金融政策の運営に当たって、以下に申し述べる諸課題に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 課題の第一は、内需を中心として、経済の持続的成長を確保していくことであります。 豊かで活力ある社会を構築し、また自由世界第二の経済大国として国際的役割を担っていくためには、我が国が長期にわたる成長を持続していくことが必要であります。特に今日の経済情勢にかんがみ、景気の拡大が重要な課題であります。 政府は、こうした見地から昭和六十二年度予算におきまして、厳しい財政状況のもとで、一般公共事業の事業費について、名目経済成長率見通しの伸びを上回る五・二%の伸びを確保することとし、財政投融資資金の積極的活用を図るとともに、民間活力の活用にも配意いたしました。また、住宅金融公庫融資を拡充する等の住宅対策など景気の維持、拡大に資する施策を講じております。さらに、急激な環境変化に直面している産業の構造調整等を推進するため、産業基盤整備基金を設けるなどのほか、雇用情勢の先行きにかんがみ、三十万人雇用開発プログラムの実施など雇用対策の大幅な拡充を図る等に努めております。 金融面におきましては、日本銀行は公定歩合をさらに引き下げ、二・五%としております。この措置により金利水準全般の低下が一層促進されております。資金運用部の預託金利につきましても、所要の改正法の成立を受けて、引き下げを図ったところであります。 持続的成長の確保のためには、為替相場の安定が重要であります。私は、各国との協調的な行動を通じて為替相場の安定を図るべく、諸外国との話し合いに努めてまいりましたが、本年二月のパリにおける主要国蔵相会議では政策協調と為替安定のための合意が行われ、四月のワシントンにおける会議でもこの合意が再確認されました。また、今般の総理とレーガン米大統領との会談におきましては、これ以上のドルの下落は日米両国の経済成長及び不均衡削減にとって逆効果であるとの意見の一致を見たところであります。今後とも、各国との政策協調及び適時適切な介入を通じて、為替相場の安定を図っていく所存でございます。 なお、政府は予算成立後、総合的な経済対策を策定すべく、鋭意検討を進めております。 第二は、財政改革を強力に推進することであります。 財政改革の目的は、できるだけ早期に財政がその対応力を回復し、我が国社会経済の豊かさと活力を維持、増進していくことにあります。このため政府は、昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努めるという努力目標に向けて懸命の努力を重ねてきたところであります。 しかしながら、このような努力を行いましてもなお、昭和六十二年度予算においては国債の利払い費が歳出予算の二割を占め、また昭和六十二年度末の公債残高は総額で百五十二兆円に達する見込みとなるなど、財政事情は一段と厳しいものとなっております。 今後とも財政改革を強力に推進し、これまでの努力が水泡に帰することのないよう、さらに一層の努力を払い着実にその歩を前進させていく必要があると考えます。 第三は、税制の抜本的見直してあります。 我が国税制は、戦後四十年間にわたる産業・就業構造の変化、所得水準の上昇と平準化、消費の多様化を初めとする社会経済情勢の著しい変化に十分対応し切れておらず、さまざまなゆがみ、ひずみを抱えております。 このような状況にかんがみ、また今後の我が国経済社会の展望を踏まえ、税制全般にわたり公平、公正等の基本理念のもとに抜本的な見直しを行うことにより、国民の理解と信頼に裏づけられた安定的な歳入構造を確立することが急務となっております。 政府といたしましては、税制調査会の「税制の抜本的見直しについての答申」及び「昭和六十二年度の税制改正に関する答申」を踏まえ、改革案の全体を一体として実現してまいりたいと考え、中堅所得者層の負担軽減を主眼に、最低税率の引き下げを含む税率構造の見直し、配偶者特別控除の創設等により所得課税の思い切った軽減合理化を行い、法人課税の税率水準を段階的に引き下げるとともに、間接税について物品税等の個別消費税制度を改め売上税を創設し、また少額貯蓄非課税制度及び郵便貯金非課税制度を老人・母子家庭等に対する利子非課税制度に改組する等を内容とする法律案を今国会に提出いたしました。 去る四月二十三日の衆議院議長あっせんでは、衆議院に税制改革に関する協議機関を設置し、税制改正について検討を行うこととされました。政府といたしましては、これに対してきる限りの協力に努め、税制改革の実現を期してまいる所存であります。 第四は、我が国が国際的な地位の高まりに応じた調和ある対外経済関係を形成することであります。 現在、大幅な対外不均衡等を背景に保護主義の圧力が高まっておりますが、こうした中で我が国としては、率先して自由貿易体制の維持、強化に努めるとともに、市場アクセスの改善、経済構造の調整等、我が国経済自身の国際化を進め、対外不均衡の是正を図っていく必要があります。 このような観点から、ウルグアイ・ラウンドについて積極的に推進していくとともに、昭和六十二年度関税改正におきましては、特恵関税制度の改善、紙巻きたばこ、アルコール飲料等の関税率の引き下げ等を行っております。 また、昭和六十二年度予算におきましては、経済構造調整の円滑化の推進に配慮しているところであります。 金融の自由化及び円の国際化は、我が国経済の効率化、国際化に資すると同時に、世界経済の発展に貢献していく上で有意義なものと考えます。つとに、自由化、国際化の措置をとってきたところでありますが、今後とも、環境整備を図りつつ、自由化、国際化を積極的に進めてまいります。 開発途上国の自助努力を支援するとともに、累積債務問題の解決を図り、もって世界経済の安定と発展に資することも、我が国の大きな国際的責務と考えております。 このため、政府開発援助につきましては、第三次中期目標の早期達成に努めることとし、また国際金融機関を通じた開発途上国等への資金協力についても、最大限の努力を図っているところであります。 次に、昭和六十二年度予算の大要について御説明いたします。 歳出面におきましては、既存の制度、施策の改革を行い、また補助金について引き続き整理合理化を行うなど、あらゆる分野にわたり経費の節減合理化に努めるとともに、社会経済情勢の推移に即応するため、公共事業の事業費確保、雇用対策の充実を行うほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしました。 この結果、一般歳出の規模は、三十二兆五千八百三十四億円と前年度に比べて八億円の減額といたしております。これは昭和五十八年度以降五年連続の対前年度減額であります。 これに国債費及び地方交付税交付金を加えた一般会計予算規模は、前年度当初予算に比べ、百二十四億円増額の五十四兆一千十億円となっております。 歳入につきましては、税制の抜本的見直しを図るため、さきに申し述べました諸措置を講じていくとともに、賞与引当金の廃止、有価証券取引税の見直し、登録免許税の引き上げ等を行うこととして計上しております。 なお、税制改正について、衆議院に税制改革に関する協議機関を設置し、検討されることとなりましたことは、さきに触れたとおりでございます。 税の執行につきましては、今後とも、国民の信頼と協力を得て、一層適正、公平な税務行政を実施するよう、努力してまいる所存であります。 また、税外収入につきましては、一段と厳しい財政事情にかんがみ、可能な限りその確保を図ることといたしております。 公債につきましては、以上申し述べました歳出歳入両面にわたっての最大限の努力により、その発行予定額は前年度当初予算より四千四百五十億円減額し、十兆五千十億円となっております。 また、昭和六十二年度においては、十五兆七千二百七億円の借換債の発行を予定しており、これを合わせた公債の総発行額は二十六兆二千二百十七億円となります。 財政投融資計画につきましては、内需の拡大、地方財政の円滑な運営など政策的な必要性を踏まえ、積極的かつ重点的、効率的な資金配分に努めたところであります。 この結果、昭和六十二年度の財政投融資計画の規模は二十七兆八百十三億円となり、昭和六十一年度当初計画に対し、二二・二%の増加となっております。 以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。 さきに御審議を経て成立した三件のほか、本国会で御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、昭和六十二年度予算に関連するもの八件、その他二件、合計十件であります。なお、その他に議決案件が一件ございます。それぞれの内容につきましては、逐次御説明することになりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 —————————————
○委員長(井上裕君) 次に、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 現行貨幣法は、金本位制度を前提として明治三十年に制定されたものでありますが、その後、我が国の通貨制度は管理通貨制度に移行する等大きく変化してきております。一方、昭和五十三年のIMF協定改正において国際的に金平価制度が廃止される等の状況のもとで、主要先進国は、金と自国通貨との関係を規定した条項を廃止するなどの措置を講じてきたところであります。 このような事情を踏まえ、我が国においても、貨幣法等の通貨関係法律を通貨制度の現状に即したものとするよう、所要の法整備を行うことが必要であります。また、最近の国民の記念貨幣等に対する需要にかんがみ、記念貨幣を一定の要件のもとに弾力的に発行し、さらに必要な場合には記念貨幣等の販売を行うことが望ましいと考えております。 このような趣旨から、貨幣法等の通貨関係法律を廃止し、通貨の額面価格の単位等について定めるとともに、貨幣の製造及び発行、貨幣の種類等に関し必要な事項を定めるほか、記念貨幣等の販売を行うため本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、円を通貨の額面価格の単位として規定することとし、金の一定量を円と表示するこれまでの規定を廃止することとしております。また、金額に一円未満の端数があるときの計算単位は、従来どおり銭、厘とすることとしております。 第二に、貨幣の製造及び発行の機能は従来どおり政府に属することとするとともに、その素材、品位、量目等については政令で定めることとしております。 第三に、貨幣の種類は五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類としております。また、国家的な記念事業として閣議の決定を経た場合には記念貨幣を発行できることとし、その種類は、以上のほか、一万円、五千円及び千円の三種類としております。 第四に、政府は、その素材に貴金属を含む等一定の要件を満たす記念貨幣等を販売できることとしております。 なお、これらに伴い、現在実際に通用している貨幣につきましては、この法律の規定により政府が発行した貨幣とみなすほか、現行の貨幣法等を廃止するなど所要の措置を講ずることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(井上裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 この通貨法がきょう提出をされて審議に入るわけでありますが、戦前におけるところの貨幣法、あるいはまたその後における臨時通貨法等が今回整理をされてこの法案になったようでありますが、抜本的な改革ということで提案されておると思います。この通貨法につきましては、申し上げるまでもなく国民の生活やあるいは国の内外における経済活動、まさにその根幹をなすものでありまして重要な法案だろうと思います。私どもが聞いていた経過では、この法案はもっと先へ行くだろうと言われていたんですが、大変早く提出されるに至っておりますが、審議その他いろいろ準備された経過があると思いますけれども、その経過がございましたら、まず最初に承っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま提案理由でも一部申し上げたところでございますが、現行の通貨法は、金本位制度を前提といたしまして、明治三十年に制定されたものでございますが、その後、赤桐委員もよく御承知のように、我が国の通貨制度は、いわゆる管理通貨制度に移行をいたしまして、金本位制度から大きく変化をいたしたわけでございます。一方、先ほども申し上げましたが、昭和五十三年にIMF協定の改定がございまして、国際的に金平価の制度が廃止されたということがございまして、それに伴いまして先進主要国も金と自国通貨の関係を規定した条項をおのおの廃止してまいりました。例えばフランスは昭和五十三年に、米国は昭和五十七年に、英国は昭和六十一年におのおのそのような条項の廃止を行っております。 そういう環境でございましたので、我が国でも所要の法整備を行うことが必要と考えてまいりましたが、これからの貨幣法制のあり方につきまして、この際、広く学識経験者の意見を聞く必要があると考えまして貨幣懇談会を設置いたしまして、貨幣懇談会でこの件につきましての御審議を願ったわけでございますが、速やかに貨幣制度の法整備を行うことが妥当であるとの意見が多数を占めるに至りました。また他方、最近の国民の記念貨幣等に対する需要にもかんがみまして、記念貨幣を一定の条件のもとに弾力的に発行し、また記念貨幣の販売等を行うことが望ましいと考えるに至りました。 このような諸般の事情から、この際、貨幣法等の従来の幾つかの法律を廃止いたしまして新たに法律を制定して、通貨の額面価格の単位等について定めますとともに、貨幣の製造及び発行、貨幣の種類等に関し必要な事項を定め、あるいは記念貨幣等の販売を行うため本法律案を起案いたしまして御提案を申し上げている、このような経緯でございます。
○赤桐操君 いろいろ時間の関係もありますので、若干の質問をいたしたいと思っておりますが、きのう記念金貨が発売をされたようでございますが、今回の金貨については当初五百万枚を予定されたようでありますけれども、その後の実績等を考えて百万枚に縮小をして、そのうちの七十万枚を販売されたわけでありますが、その経過等を御報告願いたいと思います。また、残ったあと三十万枚についてはどのようになるのか、これもあわせてひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(窪田弘君) 百万枚のうち七十万枚は昨日引きかえを行いましたが、初日でほぼ全量を引きかえ完了をいたしました。全体非常に平穏順調に行われたというふうに聞いております。また、残りの三十万枚につきましては、このうちの一部をプルーフ貨幣と申しまして表面仕上げにしたものにしたいと思っておりますが、これにつきましては、ことしの秋以降申し込みを受けまして、造幣局で頒布することを考えております。
○赤桐操君 これは事前の申し込みを受けてやるんですか。
○政府委員(窪田弘君) そうでございます。
○赤桐操君 余り問題もなく大変平穏に終わって結構でございました。 そこで、一つ二つ通貨問題を中心にして伺っておきたいと思うんでありますが、この通貨制度についての抜本的な見直しということで今回打ち出されておりますが、本案については日銀券の発行などを含めることが、本来は打ち出された建前からすれば当然のことではなかったかと思うんであります。この点については、発行単位のみを日銀券については出されているだけでありまして、それ以上のものには及んでいないと、こういう状況でございます。 現在の通貨流通高を見るというと、圧倒的に日銀券が多い。貨幣については全体の一割に満たない状況にある。そんな状況の中で、言うなれば日銀券の比重はもう圧倒的に大きいというわけでありまして、通貨全体ということになれば当然これが入るわけですから、貨幣のことだけの改正じゃないと思うんでありまして、そういう面についてもう少し基本的な条文とか考え方がこの中に盛られて、それを受けた形で日銀法の関連が持たれていくということが当然ではないだろうかなと、法律のあり方の問題に若干なりますけれども、性格からいっていささか疑問を持ったところでありますが、この点についてひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(窪田弘君) 日銀券、貨幣を通じて通貨法のようなものをつくるという考え方もございますが、これはそれぞれ沿革を異にしておりまして、御承知のように、中央銀行券はいわば自然発生的に銀行券から発展してきたものでございますし、日本銀行券につきましては日本銀行の業務と密接な関連がございます。つまり、流通の必要に応じて日本銀行が銀行券を発行していくわけでございますので、その日本銀行の業務の内容、それからその場合の発行保証をどうするかという日本銀行の業務の運営そのものと非常に関係いたしますので、これは日本銀行法の中に置いておいた方が適当ではなかろうか。また、貨幣につきましては、従来、金本位制からの沿革もございまして、別途の貨幣法でずっと定めてまいりました。これは一種の政府の権限を定める法律でございます。そういうことで、この際、その沿革を尊重しまして別建ての法律という体系は残しておいた方がいいんではないか。 ただし、通貨の額面価格の単位を円とするとか、あるいはその端数の計算方法でございますとか、通則的な条文は、新法をつくらしていただく機会でございますので、この新法の方に盛らしていただいたわけでございます。 先進主要国の立法例を見ましても、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア等、大体貨幣は貨幣関係の法律、銀行券は中央銀行関係の法律というふうに別建てになっている例が多いようでございますので、我が国もその例に準じているということになろうかと思います。
○赤桐操君 考え方はわかりましたが、通貨法として基本的な法律なんだと、私どもとしては通貨の基本法だということで聞いておりましたので、そうすると全体を見直したり、いろいろ整理統合するのは大変な時間がかかるのかなと思っていたわけでありますが、出てきたものがそうでなかったので、それで大変ちょっとこれは奇異に感じたわけでございます。しかし、基本法というものの法律の体系にもなるわけでありますから、そうした面で、これはやはり将来に問題を残さないうちに、考えるべき点があるならば考えておくべきだろうというふうに思いますがね。 次に、通貨の概念についてはいろいろと拡大をされてきておることも事実でありまして、現金通貨、預金通貨、あるいは定期性の預金、こうしたものを包括して通貨ととらえまして、金融政策上でも、これはそれらを含めたものが、マネーツー、M2さらにまた譲渡性預金、CDなどと最近はさらに拡大されてきている。こうしたものを全部合わしてマネーサプライということで統計や何かに使われてきているように思うんでありますが、このマネーサプライの動向を見ましても、昨年の状況から見ると九%を超える大幅な伸びを示してきている。低金利を背景としたこういう金余り現象といいますか、そうしたものが最近は拍車がかけられてきておりまして、余剰資金が株や特に土地などに回されてきていると、こう思うんでありますが、これが大変今の我が国の経済の基本をなすものについて混乱を与えているというように考えるわけであります。これに対する大蔵大臣、大蔵当局の御見解なり御説明をひとつ承っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに最近のマネーサプライはかなり大きくなっておりまして、御指摘のように、それが株式あるいは土地取引等におのずから流れまして、いわゆる財テクというような言葉もございますように、かなりそういう傾向が見えております。他方で、このような経済状況でありますために、製造業の設備投資は非常に停滞しておりますし、在庫投資もまた同じような状況でございまして、本来であれば将来に向かって新しい設備投資が行われるべき資金需要が生じていない。どうも両面から我が国の、これは我が国に限らないことでございますけれども、我が国の場合もどうももう一つ経済の運営が定常でないという感じを私自身も持っております。 殊に為替関係の問題が御承知のようにございまして、為替を安定をしておく必要がございますために場合によって市場に介入をいたしておりますが、この介入資金というものが結局市場にやはり出るということでございますから、このこともこのようなマネーサプライの増大に無関係ではないというふうに考えます。 もちろん中央銀行としてもこのような状況については十分配慮をしておりまして、過大にマネーサプライがならないようにということはいろいろに腐心をしてもらっておりますが、ただいまのような状況が一般的にありますことは否定できません。 ただ、幸いなことに、そうではございますけれども、それがいわゆる国民にインフレ的な気持ちを植えつけておるかと申しますと、そのような状況は幸いにしてございません。卸売物価がせんだってうちは長いこと二けたの前年同期に対しての下落であったわけでございますが、現在でも五、六%のまだ下落でございますし、消費者物価はゼロないしマイナスというところでございます。そういうことがございますので、いわゆるインフレ気構えというようなものは一切見られない。このことは幸せなことでございますけれども、そうかと申しまして、マネーサプライが際限なく大きくなっていくということ自身は決して好ましいことではございませんので、中央銀行とともにこの問題につきましては十分私どもも関心を持って対処していきたいと思っております。
○赤桐操君 私は、この際、少し大蔵大臣にお尋ねしておきたいと思うんでありますけれども、中曽根内閣が発足をいたしまして、今日までいろいろ経済政策等を打ち上げてこられたわけでありますが、特にこの財政政策としては、六十五年度を目標として財政の再建をするということで旗上げをされたわけでありますね。これは鈴木内閣の後を受けられたわけであります。そして戦後における政治のいろいろ総決算やるのだということで大変な意気込みでやられたのでありますが、ちょっとどうもこの点については大変なそごを来しているのではないかなと、こういうように考えております。特に今回の税制改革等につきましては国民の猛反発を受けたわけでありまして、とりわけ売上税等をめぐる混乱というのはかってない状況であったと思っております。そういう状況の中で、私はこの中曽根内閣の財政政策について若干この際まとめてみる必要があるだろうと、同時にまた大蔵大臣の御所見も承る必要がある、こう実は考えるわけであります。 中曽根内閣が国民へのサービス、行政サービスをいろいろ行うということで、特にその中の行政改革についてはかなり強力に進めてこられました。中曽根さんが当時就任されたころ行革の問題で打ち上げられたときには、これが実現されればあたかも財政再建はできるような印象まで国民は一時持ったと思うんですね。そういうようなところでスタートを切られたのでありますけれども、実際の状況を見ると、五十七年度に就任されたときの公債の依存度について見るというと二九・七%。これが今日になりますというと大体一九・四%、これは確かに低くなっておる。ところが、あと相対的に見ていきますと、この財政関連の指標についてはほとんどよくない状況になっていると思うんですね。 具体的に申し上げますると、公債の残高の状態、公債残高の対GNP比、それから利払い費、こうしたものについての状況を見ると、大変これはよくない状況にあると私は考えるのであります。それで、特にこの依存度については若干の数字的な表向きのいい状態は出ておりますが、申し上げた公債の残高や対GNP比、利払い費、一般会計におけるところの構成比、租税の負担率、こうしたものを見ると大変これは悪いように思うんでありますが、これをめぐる一連の数字的な経過をひとつ五十七年度からのものを御説明願いたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) 計数の問題でございますので私からお答えさしていただきたいと思います。 中曽根内閣が発足しましたのは五十七年秋でございまして、五十八年以降五年間連続、予算編成をしたわけでございますけれども、その間一般歳出を五年間連続マイナスにするという形で歳出削減を中心としていろいろ財政体質の改善に努めてきたというのは御指摘のとおりでございまして、その結果、新規の公債発行額は、五十七年度決算ベースでございますが、十四兆四百四十七億円が、六十二年度当初予算では十兆五千十億円というふうに三兆五千億円以上減っておりますし、御指摘のございましたように、公債依存度につきましても二九・七%、五十七年度でございますが、六十二年度は一九・四%と、特例公債を発行して以来初めて二割を割るというところまで改善してまいりました。 ただ、この間引き続き公債に依存した財政運営というものはやむを得ずこれを続けざるを得なかった結果としまして、公債残高につきましては、五十七年度におきましては九十六兆四千八百二十二億円でございますが、六十二年度当初予算の見込みでは約百五十二兆五千億円というふうに増加せざるを得なかった。その結果、公債残高の対GNP比につきましても、五十七年度は三五。四%でございましたが、六十二年度見込みでは四三・五%となる見込みでございます。 利払い費につきましては、五十七年度は六兆五千八百二十七億円でございまして、一般会計に占める利払い費の割合は一三・九%でございましたが、六十二年度におきましては利払い費の総額は十兆九千四百二十八億円。利払い費の割合というものは、一般会計に占める割合は二〇・二%というふうに引き続き上昇傾向を続けております。 租税負担率につきましては、国税、地方税を合わせた数字でございますが、五十七年度決算におきましては二三・三%でございましたが、六十二年度当初予算ベースでは二四・四%と若干上昇傾向にございまして、なお引き続き財政事情は非常に厳しい状況にあることは御指摘のとおりでございます。
○赤桐操君 私は、こうした状況というのは、これは率直に申し上げて今の数字は表向きの数字でありまして、このほかにまだ例の補助金の一括カットの問題以来の削減もありますし、健保の特会への繰り入れの問題あるいは特例公債の減額、いろいろ内面にそのほか関連するものがたくさん出てきておると思うんですね。そうしたものを見ると、この状態は決してよくないと思うんですよ。そういう意味合いからすると、大変財政政策全体から見ていってよいものではないというように私は認識をいたしております。 宮澤さんは、大蔵大臣就任される前には、積極財政論者でいらっしゃったと思うんですね。それで、かなりこうしたあり方に対する批判といいますか、別な考え方をお持ちのように私どもは認識しておった。ところが、実際いよいよ就任されてみるというと、なかなかそうはいかないということになってきているようでありますが、内外の情勢を見ましても、これはアメリカから言われるまでもなく、国内における内需の拡大についてはもう私どもが中曽根総理がこうした状況を打ち出して以来主張してきたところでありましたし、最近では貿易摩擦の大変厳しい中で諸外国からこのことを同じように指摘されることになっていると、こういう状況になってきております。しかも、これは論議の段階じゃなくてもう実行、結果がどうあったんだということを求められてきている。 そういう状況に来ているわけでありますが、宮澤大蔵大臣はかねがね積極財政論をお持ちであったように私は認識しておりますが、こうした状況等を踏まえられまして、これからの我が国の財政運営についてはどのようにお考えになっているのか、もう少し具体的にひとつ、所信でも示されておりましたが、具体的なお考えを示していただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、我が国の経済構造が一九八〇年ごろから、当時の非常なドル高を背景にいたしまして、過度に輸出依存体質に変わってきたという事実がございまして、よく申し上げることでございますけれども、一九八〇年の貿易黒字は六十億ドルでございますけれども、一九八五年には六百億ドルになっております。この過度の輸出依存体質を改めませんと世界各国に対して貿易摩擦という脅威を与える、なかなかその批判にこたえられないというふうに考えておりまして、また他方で、我が国自身の社会資本というものは経済大国と言われるにしては極めていまだに貧弱なものでございますから、やはり過度に国外へ出ていった資源、資金を国内で活用するということは、どうしても我が国自身のためにも、また国際的な我が国が受けております批判から考えましても必要なことだというふうに存じます。ただ、その際、民間の設備投資あるいは在庫投資等が高ければそれなりに資源、資金が国内に向くわけでございますけれども、いろいろな事情からそれは殊に製造業においては極めて低いという状況でございます。いろいろ考えますと、やはり財政がかなりの役割を果たさなければならないというのが現状ではないかというのが私の基本的な認識でございます。 ただ、先ほど政府委員が申し上げましたように、それなら我が国の財政はこの何年間かによくなったかと申しますと、必ずしもそうとは申せない。国債依存度は確かにかなり下がってまいりましたけれども、依然として利払いが二割を占めておるということは、将来、殊に老齢化していく我が国の社会を考えますと、財政が弾力的にそういう状況に対応し得るには、いかにも弾力性を欠いておるという問題は依然として変わっておりませんので、そういう状況の中で財政がぎりぎりいっぱい努力をして、先ほど申しましたような内外の要請にこたえてまいらなければならないという、いわばやや背反いたします二つの問題を持っておるということになろうと思います。 そうではございますけれども、しかし殊に最近になりまして、私は昨年の暮れにも大蔵省の諸君と話し合ったことでございますが、五年間ずっと一般歳出削減を続けてまいりました、それはそれなりの制度の改変にも通じましたし、また物の考え方についても非常に貴重な成果を残してきたと考えますが、これをこのまま昭和六十三年度に向けてやっていくということにはそろそろ無理が出てきた。殊に投資的経費について、やはり内外の情勢から考えれば、新しい発想をしなければならないのではないかということで事務当局の諸君も大変によく考えてくれておりまして、何か六十三年度には従来と少し変わったやはり行き方をしてみたい。ただ、それにいたしましても財政が決してよくなっておるわけではございませんので、投資的経費に重点を置くとすれば、その他の経費についてはやはり厳しい態度をもって臨まざるを得ないというのは、どうしてもそれはやむを得ないことでございます。 そういう状況の中で、この六十二年度予算を国会で成立させていただきましたら、その後の処置につきまして、六十三年度の予算編成方針も含めまして早急に具体化をいたしたいと考えておるところでございます。
○赤桐操君 大分昨今の状況の中では補正の問題が出ているようであります。既に大臣や大蔵当局ではこの問題についても検討を加えておるところであると思うんですが、若干伺っておきたいと思うんでありますけれども、この所得減税につきましてどのようにこれからお考えになるか。この間の租特の中でも法人税は一足お先に実施になっておりますね。我が党の同僚議員の志苫議員からの質問などもあったと思うんであります。所得減税がおくれちゃっておるわけなんです。ですから私は、もう一日も早くこれに入っていかなくては片手落ちになる、同時にまたこれから予想される補正の意味がなくなると、こう思いますが、基本的な問題としては協議機関にゆだねるということはわかっておりますけれども、大臣としてあるいは政府としての考え方はおありだろうと思うんでありますので、伺っておきたいと思うんであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来、政府としての考え方は、御提案いたしました税法六本、七本ですか、にも示されておりますように、この際税制改正を抜本的に行いたい。その中で所得税について、殊に中堅勤労者を中心に大きな減税を行いたい。また法人税についても減税を行いたい。ただし、それらは相当大きな減税でございますからそのための歳入を必要とする。また、直間比率がいかにも今の我が国としては七、三を超える七の方に重みがかかっておるわけでございますから、やはりそれらのことを考えましても幅広い消費税というものをお願いいたしたい。全体としていわば歳入中立的にしておきませんと、今のような財政状態でございますから、そうでありませんと財政の運営が難しい、これが政府の大体の基本的な考え方でございます。 この一連の税制改正は、先ほども申し上げましたように、衆議院の議長のあっせんによりまして協議機関にゆだねられることになるわけでございますが、それに臨みます政府の基本的な態度は、財政の事情がこういうことでございますと、減税にはやはりそれに伴う歳入がなければならない、それなりの増税分がなければならないということは、基本的には従来の立場と変わっておりません。 ただ、これから協議機関にお願いを申し上げたいと思っておりますことは、赤桐委員の言われますとおり、法人税の減税分だけが先行いたしましてそれに伴う増税措置というものは取り残された格好になっておりますわけですが、所得税につきまして仮に減税を先行することが必要だというふうに協議機関がお考えになります場合でありましても、それに伴うやはり財源、増税分というものは総合的にぜひお考えになっておいていただきたい。必ずきちっと両方が同じ日に足をそろえてとまでは申しませんけれども、全体のプログラムの中で、減税もありまた増税もあって、一定の時間の中で歳入が中立的になる、そういう大きな全体の背景の中で、もし所得税の減税の先行が必要だとお考えになりますならば、そういう背景を御検討の上で、その中のその一部としての所得税減税というものをお考えいただきたい。それが必要という御判断であれば、そうお願いしたいというふうに政府としては考えておるわけでございます。
○赤桐操君 法人の方はスタート切っているわけでありますし、所得減税の方も私は財源がないと思わないんですよ。今少なくとも六十一年度から始まったNTTの売却利益等考えてみてもこれは大変なものだろうと思うんですね。それで、六十一年が百九十五万株、六十二、六十三、六十四と四年間にわたって七百八十万株をとりあえず売ろうということでしょう。この状況等を見ますると、一株三百万円ほどになっておるようでありますから、これは株ですから若干の増減は当然考えられますけれども、かたく見ても、まあ六兆円はともかく、かなりの収益があるというように見てもいいんじゃないですか。そうすると、そこからは当然株の売却によって国債償還に充てるという取り決めがございますから、そのうちから国債償還に充てる金を引いていってもかなり残る。これは目の子勘定で計算しても出てくると思うんですね。そうすれば法人税と並行して所得税減税を行えるんじゃないんですか。そしてこれは目先だけの収益として、税収として見るだけではなくて、これから続いていくものだということを想定する。しかも、本当は三分の二売ってもいいんでしょう、三分の一を保有して。それをとりあえず半分ということでもって考えているわけですからまだ相当の余裕は残る、こういうことに私は考える。 国債に償還をし、なおかつ減税に回すことができるとすれば、当面私は、この財源はこれからの消費を拡大し、内需拡大の最も大きな比重を持つ政策に役立てることができる、こういうことに考え方を持つならば、具体的な裏づけとしてこれを採用することは当然ではないか、こういうように考えるんですが、これは私の個人の考えでありますけれども、そういうことで大臣の御所見はどうか。この点を、今いろいろの立場がおありになると思いますけれども、もう一歩突っ込んだ御所見程度は伺ってもいいだろう、こう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにNTTの株式は今の時価などを考えますとかなりの売却の利益が、収入があるというふうに思われますが、御指摘になりましたように、法律ではこれは国債の償還に充てるということになっております。 そこで、私が思いますのは、確かに相当大きな財源ではございますけれども、これからあと三遍、三年間にわたっての売却はできますものの、それであってもそれがいっときの財源であるということには変わりがございません。永久的な財源ではない。のみならず、これは過去の国民の努力の蓄積でございますから、できますならばこれは将来国民の財産となるような形で使っていくことが本当ではないだろうかと、基本的に私はそういう考えを持っております。国債の償還は負の財産を減らすわけでございますから、もしそれで余裕があるとしましたならば、これはいずれにしても法律の改正をお願いしなげればならないことですが、将来の財産になるような形で使わしていただくのが本当ではないかということを思っております。それは、一つには過去の国民の努力の集積であるということ、一つにはいっときの歳入であるということ、そういう理由からでございます。それを私は、自分としては原則論と考えておるわけでございます。 そこで次に、先ほどから言われますように、当面の状況として所得税の減税の財源が全くないかといえば、ここにこれだけの金があるではないかとおっしゃいます。そこのところが協議機関あるいは国会の御意思等々で全体の税制改正というものを総合的にお考えくださって、やがては減税分は必ず増税分でカバーされる、そういうプログラムをお考えくださっての上で、さてしかし当面は、ということでございましたら、これはまたいろいろな考え方が生まれてこようというぐらいのことは、私も頭のどこかで実は考えてはおります。おりますが、やはりそのためには全体のプログラムとしてはやがて増減税、いわゆる歳入中立ということで中立にできると、こういうことでお願いをしたいというのが政府の基本的な考え方でございます。
○赤桐操君 最後に、建設国債についても当然補正の中で大きな仕事になると思いますが、どのぐらいを今政府は考えておられるのか、お考えがまとまっておるようでしたら伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、補正のことを本予算がまだ成立しておりませんのにあれこれ考えることがいろいろな意味ではばかられるし、また現実的になかなか考えにくいのでございますけれども、いずれにしても、その時期が参りますとかなり大きなものにならざるを得ないと思いますので、そういう意味では、昨年十月に補正をいたしましたときの建設国債の増発などと比べますと、かなり大きなものを考えざるを得ないだろうというふうに考えております。 なお、先ほど申しましたことをお許しを得て補足をさせていただきたいと思いますが、減税の問題でございますが、いつそのような減税を行い得るかという時期の問題が一つございまして、それは協議機関にこの問題の御検討が一応ゆだねられておる関係もございまして、協議機関がどのくらいの間に全体のプログラムをお書きいただけるかという問題がございまして、それがおくれますようでございますと、私どもの考えからいえば、それだけ減税がやっぱりおくれざるを得ない。そう考えてまいりますと、先ほど申しました財源の問題との関連がそこで一つまた出てまいりますので、財源をどうするかということは、どういう時期に減税を行い得るかということにも関連いたすかと思います。 —————————————
○委員長(井上裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、吉岡吉典君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。 —————————————
○和田教美君 私は、ただいまの宮澤大蔵大臣の所信表明に関連をいたしまして、当面の円ドル為替相場の問題につきましてまずお尋ねいたしたいと思います。 ここ一週間ばかりの円ドル相場は、今月の初めに二百九十億ドルの米国債の入札、これについて日本の機関投資家を中心とする日本勢が相当大量に落札をした、特に三十年国債については日本勢が四十数%落札したというふうなことがあって、まあ円ドル相場は小康状態を保って、百三十九円から百四十円がらみのところで推移しているわけですけれども、先ほどの所信表明にもございましたように、さきの日米首脳会談でドル安防止について緊密に日米が協力をしていくということで合意をしたということが効いているんだ、というふうに予算委員会などで中曽根総理がおっしゃっているわけですけれども、基本的に大蔵大臣は同じようなお考えでございますか。 つまり、当面の円ドル相場の動きは大体ドル安に一応の底を打って、これ以上のドルの暴落あるいは円の急騰というふうなことはまずないというふうにお考えなのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日米首脳会談におきまして、アメリカの大統領自身がこれ以上のドルの下落というのは、我が国ばかりでなく、アメリカ自身のためにならないということ、逆効果であるということを言われましたことは、従来、通貨関係者は下落をしないようにということは言っておったわけですが、大統領という最高の地位にある人がそういうことを言われたということで、その後、見ておりますと、在来必ずしもそういう意見でなかった人たちがこれに同調するような発言をし始めていることを気がついておりますので、それなりにこのことの意味はあったというふうに考えております。そして、大統領自身が財政赤字の削減あるいはアメリカの競争力の回復ということについても言っておられるということも、アメリカの最高責任者の言われたこととして歓迎をすべきことだと思っております。 基本的にはそう思っておるわけでございますし、また、過去何回か先進国の蔵相・中央銀行総裁会議において必要な場合の介入あるいはそのための資金手当て等についても協調体制ができておりますし、また現実にそれは動いております。といったようなことから、何とか安定を図っていきたい、またそういう体制を整備しつつある、そういうふうに考えておりますが、具体的な相場につきまして申し上げることは本来難しいことでございますので、それは避けさせていただきますけれども、体制といたしましては整いつつあるというふうに考えております。
○和田教美君 確かにレーガン・中曽根会談の共同声明で、今おっしゃったような両国経済の成長及び不均衡の削減にこれ以上のドルの下落は逆効果だというふうなことがうたってあります。アメリカのベーカー財務長官初め政府高官が今まで意識的に円高・ドル安をあふるような発言をしてきたことも事実でございますけれども、そういうことはなくなるだろうというふうに思います。そういう意味での効果はあると私も認めるわけですけれども、しかし現在のドルの全面安というふうな状態は、基本的にはアメリカの経済のファンダメンタルズがまだ悪い、それが原因だというふうに見なきゃいかぬと思うんです。これが大きく改善されない限りはドル不信の基調というものは続くんじゃないかというふうに思います。 アメリカの財政赤字が二千億ドルを超える巨額に達しておる。そうして、今やアメリカは対外純債務を二千五百億ドルぐらい持っておって、世界一の債務国に転落をしているというようなこと。それから最近よく言われることは、双子の赤字ということが最近は三つ子の赤字になった。つまり、財政の赤字それから貿易収支の巨額の赤字、それに加えて家計まで赤字になってしまったというふうなことでございますけれども、そういう状態が改善されない限りドル安という状況は続くんじゃないかというように思うんですが、どうもアメリカ自体がこういう危機的な状況ということを、大国意識が邪魔をしてそれほど深刻に考えてないんじゃないかという感じさえ私は持つわけでございます。財政が赤字だったら、貿易の黒字を一千億ドルもため込んだ日本からとにかく大いに国債を買ってもらえばいいと、そしてその利払いも、基軸通貨国ですから特に利払いのために外貨を稼ぐという必要も別にないから、ドルを刷ればいいというふうなそういう安易な気持ちをまだ持っているんじゃないか。だから今大蔵大臣がおっしゃったように、確かに財政赤字の削減ということをアメリカもステートメントなどには常にうたうわけですけれども、本気でそういうことを考えているのかどうか。また、日本政府ももっとそれを強く言うべきではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、大統領がこの間中曽根総理との会談の共同声明で先ほどのようなことを言われたのは、実は理由があると思うのでございます。 それは確かに、和田委員の言われたようなそういういわばのんきな考え方というのがかなり久しい間続いておったと思うのでございますけれども、ここに来ましてアメリカの金利がかなり上昇を御承知のように始めました。それはただ玄人の間の金利という話ではなくって、住宅ローンといいますか、モーゲージでございますけれども、その金利がまた二けたになってきたというようなことは、これは実は国民の重大な関心事でございますし、政治家としてもまた関心を持たざるを得ないというところになってまいりました。 そして、先ほどお話しのように、五月の初めにございましたいわゆる四半期ごとの国債発行でございますが、日本がどれだけ落札をするだろうかということをこれだけウォールストリートが注目をしたということ自身が、アメリカ自身かなり金利というものに実は注目をせざるを得なくなった。かねてボルカーなんかが言っておったようなことでございますが、それが国民生活にまでやはり及んできたという意味で、だんだんのんきなことは言っていられなくなったという背景がこの大統領の声明になっておるんではないかというふうに思います。 他方で、それだけ金利差が出てまいりますと、我が国の投資家としても、多少の為替リスクはさることながら、金利差からくる投資の魅力というのはやはり出てまいりますということがまたございますので、あれこれ考えまして、昨年あるいは一昨年あたりの状況とは、まだかなり変わってきているんではないかというふうに私などは見ておるわけでございます。
○和田教美君 大蔵省は、きのう大手の証券会社だとか都市銀行、生命保険などの首脳を招いて、実需を伴わない為替の投機的な売買を自粛して、為替安定に協力するよう要請をした。また、通産省も同様の要請をメーカーなどにやったという報道がございますけれども、私もこの行き過ぎた為替投機というふうなものについては、ある程度大蔵省がこれをチェックして、場合によっては規制を加えるということも必要だというふうに考える一人でございまして、これは予算委員会でも塩出委員からもおっしゃったことでございます。まあいろいろな反応もあるだろうと思いますけれども、どういう考え方で大蔵省がこういう異例な措置をとられたか。また、今後そういうチェックなり規制なりについてどういう基本的にお考えで臨まれるのかお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳しくは後ほど政府委員から申し上げますが、市場経済というものにはメリットもありデメリットもございますが、私どもは終始メリットの方がはるかに大きい、長所の方がはるかに大きいと考えまして、市場経済というものを中心に経済運営をやってまいっております。 そのことは為替につきましても同様なことでございますが、さて、一般に投機というものも市場経済の一部だろうということ、一般論としてはそうであるかもしれません。しかし、為替についていわゆるディーリングによる投機、これは現実にヘッジというようなことと違いまして、極めて短い期間というか時間でございますが、短い時間の間でそのさやを稼ぐというような、これは投機と申さざるを得ないと思いますが、それは大豆や生糸を売ったり買ったりするのとはやはり違います。それによって為替を大きく変動させることは、国民経済ばかりでなく国民生活そのものに、まことに中小企業の人などがまじめに努力をしております。そういう努力を挫折させる。また、それはある意味で雇用の問題であり、あるいはその人たちにとってはいわば一つの人生の、人生計画の挫折にすらなりかねない。そういう要素がございますから、決して市場経済、自由な取引、自分の危険のヘッジといったようなことをしてはいけないというのでは全くございません。そうではございませんで、このいわば為替というものを、何と申しますか、自分のスペキュレーションの道具にするといったようなことはやはりよほど考えてもらいたい。そうでないと、今申しましたように、影響するところが大きいということをかねて私ども考えておりましたので、そのことをごく平明に昨日事務当局から機関投資家等との関係者にお伝えをしたところでございますが、詳しくはただいま政府委員から御説明申し上げます。
○政府委員(内海孚君) ただいま大臣から基本的なお考えを述べられたわけでございますが、そういった考え方に基づきまして昨日、証券界、金融界それから生保、損保の責任者の方々に対しまして要望をいたしました。 これは、大きく分けて二つでございますが、一つは、先ほど大臣のお話にもありましたように、為替のいわゆるディーリングというものが、しばしば最近の為替の市場の状況を見ておりますと、大きく円が動くということのいわば引き金になるというようなことが見られます。もちろん行政的なスタンスその他によってファンダメンタルズを変えるわけにはいかないわけでございますけれども、今申し上げたような事実が間々散見されましたこと、またそれが我が国の経済に対しましていわば雇用の面にまで影響を及ぼすことになってきているという事実にかんがみまして、そういう点につきまして市場関係者として良識のある行動をとっていただくようにお願いしたというのが第一点でございます。 それから第二点は、これは生保とか信託等の機関投資家がいわば既に投資したものについてのリスクを回避するという意味におきましてヘッジというのはまことに正当な行為であると思いますが、これがある時期に集中して行われますときには、いわばそれによってまた一層の円高をトリガーする。それによりまして、そういった機関投資家御自身の資産価値のいわば評価減も招くというように、いわば御自分の首をお締めになるようなことにもつながるということについても御注意を喚起しながら、その辺について慎重な御判断を、もちろんこれは投資家自身の御判断の中でございますけれども、お願いをしたということでございます。 なお、同様なことにつきまして同日、通産省の幹部から商事会社その他事業会社に対しても同じような要請が行われたということでございます。
○和田教美君 先ほども大蔵大臣が述べられたように、アメリカの三十年物国債、これについてかなり日本の機関投資家などが順調に落札したという背景に、日米の金利差が六%ぐらいもう開いているということで一つの妙味が出たからだというふうな御説明がございましたけれども、確かにそういうこともあるだろうと思います。しかし、どうも新聞の報道なんかを見ておりますと、日本側が予想に反して大量に落札した背景には、アメリカ側の要請を受けて大蔵省が機関投資家などに要請したのではないか。マスコミは一斉にこれは管理入札の色彩が強いとか、あるいはまた大蔵省の行政指導による政治的落札だというふうなことを書いてございますね。そういう事実があったのかどうか。 それと、きのうの会談で、アメリカの国債をどんどん買ってくれというふうなことを言うんだというふうな予測記事もございましたけれども、そういう要請もしたのかどうか。その辺をお聞きしたいと思います。
○説明員(関要君) 生命保険等の機関投資家の対外投資につきましては、そういった生命保険会社等の財務の健全性を確保するという観点から、保険業法等に基づきましての一定の規制というものをいたしております。しかし、この規制の内容は、あくまでそれぞれの投資対象に対します一種の大枠を定めるというやり方でございまして、その大枠の中では何に投資をするかというようなことについてはすべて機関投資家の経営の判断によってやる、こういう制度になっております。 したがいまして、この米国債の今御指摘のありました入札につきまして、新聞報道にありますように、これを買うべきであるとか、そういった行政指導、慫慂的なものは一切やっていないということが事実でございます。 なお、昨日の大蔵省の要請につきまして、これは全体的なことは国金局長からお答えいただいた方がいいかもしれませんけれども、ただいま申し上げましたような考え方をしておりますものですから、今後米国債等を買うようにというようなことは一切言及しておりません。
○和田教美君 アメリカの国債の発行総額は、これは大蔵省の調査でございますけれども、六十一年の四月からことしの三月まででトータル二千六十六億ドルということになっております。その中で、日本勢といいますか、機関投資家を中心とする日本勢が大体どのくらい買っているんですか、引き受けているんですか。
○政府委員(内海孚君) 私どもつぶさな数字としては必ずしも承知しておりませんけれども、大変大ざっぱに申し上げますと、アメリカの財務省の発行しております債券が、これは大きく分けて二年、三年というような短い物あるいは七年、十年というような中ぐらいの物、それから三十年という極めて長い物に分かれるわけでございますが、日本の投資家、機関投資家が主として興味をお持ちになっておられるのは三十年物でございます。最近、昨年の後半から今回までにかけまして、大体日本の投資家が三十年物については三割から四割に達しない程度というのが大ざっぱなところであろうかと思います。
○和田教美君 この前大蔵省の説明を受けたときには、大体アメリカの国債五百億ドルぐらい買っているんじゃないかというお話でしたけれども、大体そういうことでございますか。
○政府委員(内海孚君) 全体で言えば、そんなにそれとは違わない数字でよろしいかと思います。
○和田教美君 なぜ私がこの問題をくどくどと取り上げるかというと、一昨年秋のプラザ合意以来、急激な円高・ドル安によって米国債を大量に買ってきた機関投資家の為替差損がかなり膨大になっているということがあるからでございます。 最近の新聞報道によりますと、六十一年度決算、六十一年四月から六十二年三月までですが、生命保険の大手七社だけで一兆四千億円に上る為替差損、これは外貨建て資産の売却損それから評価損ですね。これを出したという報道が出ておりましたけれども、五十九年度、六十年度、六十一年度、これの生保及び損保の為替差損、これは大体どのぐらいになっておりますか。
○説明員(関要君) 生損保会社の為替変動によります損失分だけを厳密に取り出すことは難しいわけでございますけれども、生損保会社の内外投資分両方を含めまして、またいろいろな売却損、評価損、為替差損等ひっくるめますと、昭和六十年度決算で見ますと、生命保険会社で約九千四百億、損保会社で約一千億円強出ております。また、五十九年度につきましては、生命保険会社については約千六百億円、損保会社につきましては約二百億円強発生しております。
○和田教美君 六十一年度はまだわかりませんか。
○説明員(関要君) 昭和六十一年度分につきましては、まだ決算が確定しておりませんけれども、生命保険会社につきましては昨年度を相当大幅に上回ると予想されております。
○和田教美君 一つの予測によれば、大体生保で二兆円近いんじゃないかというふうな説もございますし、損保で二千億円ぐらいになるんじゃないかというふうな見方もございますけれども、仮にさっき私の取り上げました六十一年度の生保大手七社だけで差損が一兆四千億、そうなりますと七社の保険料収入、これは六十年度ですけれども、約十一兆六千億ですからその一割近い額が吹っ飛んだという計算になります。 大蔵省は、この差損について、こういう機関投資家が持っている株の含み益がかなり出ているから、それを売らせることによってその差損の償却をやるというふうなことで指導しているというふうなことも出ておりましたけれども、いずれにしてもこの為替差損はこの機関投資家の財務内容の悪化を意味しておるわけでございまして、決算のツケが結局配当率の低下などを通じて契約者の損害に結びつくということも考えられるわけでございまして、その辺はどういうふうにお考えでございますか。
○説明員(関要君) 為替差損等が相当大きくなるという御指摘はそのとおりでございますが、お答えに入ります前に、為替差損というものの意味をちょっとお話しさせていただきますけれども、生命保険会社等の機関投資家、これは資産運用をかなり長期の観点でやっております。一方、決算は単年度単年度で決算をしなければならない、こういう制度になっております。したがいまして、為替差損が発生したと申しましても、これは為替差損の大部分を今実際に証券等を売り払いまして損が実現しているというものではない。つまり、経理上でいいますと、評価上の損としてあらわれているものだということを、まず御理解いただきたいと思うわけでございます。 それで、保険会社の対外投資につきましては、いわば危険を分散して投資をするという観点、それから、先ほど委員自身おっしゃいましたけれども、内外金利差が相当五%から六%ある、それによって有利な投資であるという面もある、こういう点があるわけでございます。その有利性につきましては、既に今までの投資におきましてその有利性を保険会社として取得をいたしまして、それを契約者配当等の形で還元をしている、こういうことになっているわけでございます。ただ、御指摘のように、対外投資につきましては為替リスクが伴うことは事実でございまして、六十一年度決算におきましても、先ほど申しましたように、為替差損等が相当発生する見込みでございます。 私どもといたしましては、このような状況を踏まえまして、保険会社の経理の健全性を確保するという立場から、そういった為替差損等は先ほど申しましたように実現した損ではありませんけれども、それでもそういった為替差損等をできるだけ早く償却をしていくように指導しているということは事実でございます。そういった為替差損等を早日に償却をするということにいたしますと、どうしてもそれに対する見合いの利益というものが必要でございますが、その際、株式をどの程度売却してその為替差損の償却に充当するかというようなことについては、これはあくまで保険会社各社の経営の判断でございまして、ただいま先生御指摘のように、株式を売りなさいとかそういったことを申した事実はないわけでございます。 それからまた、六十一年度のように大変急激な円高というものが生じまして、単年度決算といたしましては相当額の為替差損を計上しなければならないといった事態におきましては、そういった影響が単年度に保険契約者等にすぐ及ばないように、そういった株式の売却等によって、それにその差損を償却することができるような体制になっているということは、これはまさに……
○和田教美君 簡単にしてください。
○説明員(関要君) 保険会社の長期の資産運用を計画的に行っていく、こういう観点から許容できるものではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○和田教美君 先日、来日しました西ドイツの前の首相のシュミットさんが、たしかこれは新聞社のインタビューの記事だったと思いますけれども、日本が将来の価値に不安のあるような米国の国債をいつまでも買っているのは問題だと、米国政府に資金を供給してSDIに協力することより内需の拡大に資金を振り向けるべきだ、というふうなことを述べておったのを私記憶しておるわけですが、大変鋭い指摘だと思うんです。 日本の今の状況で金余りだから、投資先がないから、あるいはまた日米為替安定ということからアメリカに協力して国債を買うということもある程度必要だというふうに思うんですけれども、もっとこの米国債だけでなくて為替リスクの問題から考えてもう少しその幅を広げたらどうか。例えばヨーロッパだとかその他に適当なものがあれば、そういうものに幅を広げたらどうか、そういうふうに指導したらどうかというふうにも思うのと、それからもう一つ、いわゆるレーガンボンドですね、円建ての米国債というか、これだと為替差損の問題は出てこないわけですが、アメリカは国威にかけてそういうことは出したくないと言っているというんですけれども、そういう問題についてもっと日本側から要求をしたらどうかというふうに思うんですが、その点は大蔵大臣はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) シュミットさんのそれは実は持論でございますが、それにつきましては、先ほど和田委員に政府委員から申し上げましたように、このボンドを買えとかいうようなことを私どもは絶対に申したことはございませんし、これからもまた申さない、申すべきことでないと思っております。この間の五月の初めの入札のときのことを先ほどお尋ねがございまして、そういうことはございませんし、したがってこれからもそういうことを言うつもりがございませんが、結局、したがいまして、投資家の金利差による運用ということに尽きるわけでございますね。ヨーロッパにそういうものがあれば当然そういう運用をいたすわけでございましょう。 そこで、シュミットさんの話になりますと、まさにそういう資金は国内で社会資本の充実に使ってくれますともう何よりありがたいわけでございますけれども、いかんせん金利差が大きゅうございます。そこで、ある意味で利子補給というようなことを考えてみましたり、割引債にしてみましたり、そういうことで幾らかでも国内に導入を図ろうという工夫、そういうことに問題はなってきておるんだというふうに思います。
○和田教美君 それから、郵政省の方が来ていらっしゃると思いますけれども、簡易生命保険ですね、この特別会計は前から外債による運用が認められているわけですけれども、米国債も買っていると思うんですが、今度も入札に応じたんでございますか、その点を確かめたいと思います。
○説明員(内海善雄君) 先日、新聞にうわさが流れましたけれども、そういう事実はございませんでした。
○和田教美君 買ってないんですね。
○説明員(内海善雄君) 前回の入札に参加はしておりません。
○和田教美君 それから資金運用部資金ですね、この資金運用部資金法の改正で資金運用部も今度外国公共債を買えるようになったですね。六十二年度予算の中でも予算総則にこの運用枠一千億円というのが載っております。今度は米国債もちろん買わなかったんだろうと思うんですけれども、資金運用部の資金量は相当膨大ですし、その一割は運用できるということだとすると、これは枠は相当広げることができると思うんですけれども、今後民間がどうも米国債離れをして買わないと、アメリカから要請をされるというふうなことになった場合に、政府資金というか、資金運用部資金を使って米国債を買うというふうなこともあり得るのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 資金運用部資金は安全有利に運用をしなければなりませんので、そう軽軽しくそういうことを考えていいと私は思っておりません。
○和田教美君 もう時間もなくなりましたから、最後に一つだけ、外貨準備ですね、外貨準備の問題についてお伺いしたいんですが、というのは、急激な円高ドル安によるドル建て資産の円換算による目減り、そういう観点から見ると、政府の外貨準備についても同様のことが当てはまるわけでございます。なぜかといえば、現在の外貨準備はそのほとんどがドルで保有しているからであります。特に最近は為替の安定のためにドルを買って円を売っているというふうな状況から、ドルがますますたまってきているというふうなことで相当ふえているだろうと思うわけですね。それで、ドルがもともと中心でほとんどだったわけでございますけれども、その構成は今のままでいいとお考えなのか。私が調べたところによると外貨はほとんどドルだと、金はごくわずかだというような状況ですけれども、そのままでいいのかどうか。数字も含めてひとつ御報告を願いたいと思います。
○政府委員(内海孚君) まず我が国の外貨準備の内訳につきましては、金が約千億ドルでございます。それから外貨が五百三十億ドル、その他、すなわちIMFとの関係でのリザーブトランシュ及びSDRが四十二億ドル、ほとんど御指摘のように外貨、それも外貨につきましても現在のドル中心の時代でございますので、ドルがほとんどのシェアを持っております。外貨準備がどのような構成であるべきかについては、ただいまのような御意見は私どもも大変よくわかるわけでございます。 他方、私どもが単なる民間の機関投資家であるのとちょっと違いますのは、我々がある行動を起こすことが、これはもう我が国は世界第二の経済になっておりますので、それが国際通貨情勢あるいは通貨制度にどのようなインパクトがあるかということも考えなければならないという点におきまして、必ずしも機関投資家のなさるような形でのビヘービアというのもできないわけでございますが、しかしその中にありまして、そういう御指摘のような配慮も加えながら運営していきたいとは思っておるわけでございます。
○和田教美君 終わります。
○近藤忠孝君 大臣所信表明に対する質問は次回に譲りまして、きょうは法案に即して御質問したいと思います。 まず六年前、臨時通貨法改正のときでありますが、私は現行の貨幣法の体系が全く実態に合っていないという点を指摘いたしました。要するに、一国の貨幣発行に関する基本的な規定、通貨の額面単位に関する規定が、金七百五十ミリグラムが一円という金本位時代の遺物を残した貨幣法や、当分の間臨時補助貨幣を発行できるという臨時通貨法など、全く現状と合っていないということでありまして、ほとんど死文化している。現行に通用するのは一つか二つではないかという点も申し上げたわけでありまして、要するに今までの法律は、貨幣制度の経過を示す歴史的な文書としては有効であるけれども、現行の法律では全くこれはもう大変な欠陥だということを指摘したんです。ようやくこれの改正、私の指摘したとおりになりましたね。だから賛成いたします。私たちは、意見をちゃんと受け入れれば、賛成するんです。選挙のときになると、何でも反対共産党だと言いますけれども、ちゃんとこれ賛成しますからね。ただ、残念ながら意見をなかなかくみ入れないものだから反対が多いんですがね。そのことはひとつ御認識いただきたいと思うわけであります。 ただ問題は、このとき私の指摘に対して当時の理財局長の答弁は、基本的には改正は必要だと言ったんですが、こういう点で時期尚早と言うんです。一つは、改正の内容いかんによって、経済取引あるいは国民生活に影響を与えるので慎重な検討が必要である、特に経済全体が安定して、これに手をつけることによっていろいろの思惑が生じないような環境が必要だ、これが一点。もう一つは、国際通貨制度との調和という点も大変大事な点だということなんです。 まず前半の点です。当時、このように経済情勢から見てまだ時期尚早と言ったんですが、今回、そういう考えでなくなったので改正に踏み切ったのか。私は率直に言えば、もうあの段階でそんな時期尚早なんという条件はなかったんじゃないか。むしろ経済情勢を見てみますと、円高、マネーゲーム、むしろ条件悪化しまして、逆にそういう点では条件は悪いんじゃないのか。あの当時、まだ時期尚早と言った条件はどう変わったのか、それをまず御説明いただきたいと思うんです。
○政府委員(窪田弘君) お答えを申し上げたのが昭和五十六年だと存じますが、先ほども大臣の御答弁にありましたように、昭和五十三年にIMFの金関係の規定が改正されまして、その後、各国もしばらく様子を見ておりましたが、アメリカは昭和五十七年に貨幣法を改正しておりますし、イギリスは昨年改正をしております。そういうふうにしばらく推移を見ていたということもございます。 それから、貨幣法の仕組み方いかんでございますが、先ほど赤桐先生からも御質問のあったような日銀券も統合したような貨幣法というふうなものの考え方によっては、この答弁にありますように、考え方によっては非常に大きなあれになるということでございますが、今回の改正は、現行の貨幣に関する法律五本の整理統合ということで、死んでいる部分を除き、生きているところを集め、かつ最近非常に問題になっております記念貨の規定を整備させていただいたということでございます。これは昨年、天皇陛下御在位六十年の記念金貨に関する法律をお出ししましたときに、こういう古い法律を放置しておくのはおかしいじゃないかという御指摘が参議院並びに衆議院でございまして、その後金融論の学者あるいは実務家を集めて御意見を伺いましたら、やはりこの際、至急この法律の整理統合をやるのが適当であるという御意見をいただきましたので、今回この改正に踏み切ったわけでございます。
○近藤忠孝君 国内経済あるいは国民生活への影響という面では、当時も今もほとんど変わりない。ということは、変わりがあったという答弁ありませんからね。そういう意味では当時でも時期尚早ではなかったわけで、もっと早くあってしかるべきだと。そういう意味ではやっぱりいい意見はもっと早くひとつ受け入れるように、これは要望しておきたいと思います。 国際通貨制度との関係では、私はやっぱりいろいろ問題があろうかと思います。 そこでまず第一は、一九七六年のキングストン合意によって、IMF協定の改正によって金の公定価格の廃止、IMF保有金、それから各国通貨当局保有金の売却を図るなど、いわば国際通貨としての金の役割を小さくしていく方向がとられたわけであります。金に関する当時の合意内容がその後どういう経過をたどっているのか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(内海孚君) ただいま近藤委員御指摘のとおり、一九七六年一月のキングストン合意によりまして金の国際的な通貨としての役割を縮小するような次のような合意が行われたことでございます。第一には、金の公定価格が廃止されまして、それから第二には、それまでSDRも金とリンクしておりましたが、これがそういうことでなくて、SDRというのは通貨のバスケットで価値が決められるようになった。それから第三に、IMFと加盟国の取引では金がいろいろな形で義務づけられておりまして、例えば各国がお金を払い込むときに、増資の二五%は金という規定でございましたが、これも廃止されまして、それから最後に、八五%の特別多数決でIMFの金というものを処分できるようにいたしました。委員もお聞き及びのように、その結果、一九七六年から七九年にかけましてIMF保有金のうち六分の一が売却され、それから六分の一が各加盟国に返還された、こういうことでございます。 このようにして、一九七八年の現行のいわゆるIMF第二次改正以降、金の役割は制度的にも縮小されておりますし、またその後の主要国の金保有額というものを見ましても、これは公的保有でございますが、むしろ縮小しているということであろうかと思います。
○近藤忠孝君 当時のIMFの金の保有量と、それから民間への放出状況、そして現在の保有量、これ数字はわかりますか。
○政府委員(内海孚君) IMFは、先ほど申し上げました合意以前、すなわち一九七五年末現在では約三千二百十七トンの金を保有しておりましたが、先ほど申し上げましたような処分の結果、一九七六年六月以降、千五百三十トンの放出を行っております。したがって、その残りのものが現在保有されているということでございます。
○近藤忠孝君 次に、我が国ではどうかという問題ですが、この点今も和田議員の方から外貨準備の話がありました。 そこで、国際比較をする意味で、外貨保有に対する金保有量の時価評価した場合の外貨準備に占めるシェア、これをお述べいただきたいと思います。
○政府委員(内海孚君) 金を時価評価した場合のシェア、これは一九八七年二月末現在でございますが、アメリカは七三・七%、西ドイツ三八・二%、それからフランスが五二・七%、イタリアが五三・一%、日本が一三・七%、英国が二八・五%でございます。
○近藤忠孝君 それから、全自身の保有量から見ましても日本は非常に少ない。例えばアメリカ、これは八五年で八千百六十九トンに対して日本は七百五十三トンと、その比率も大変少ないんですね。これは今も和田議員から指摘のとおり、大変やっぱり問題、心配があるわけですね。ただ一面、余りドル買いを勝手にするなというこういうことも言っているわけですから、今すぐということではないけれども、大きく見まして、金だけじゃないけれども、金などの保有率を高める必要があるんじゃないか。ドルだけで持っているということでなくて、もっとそういう金の保有率などを高める必要があるんではないかと私は思うんですが、この点大臣どうですか。
○政府委員(内海孚君) 最初に、ちょっといわば若干の経緯について御説明させていただきたいと思います。 我が国が第二次大戦後、昭和三十年代のころには、御承知のとおり、外貨準備が五億ドルを切るといって急に引き締めをやるというようなことを繰り返しながら、我が国の経済の復興の過程をたどってきたわけでございます。その間におきまして、それから四十年代に達しまして、ちょうどベトナム戦争等を通じまして、だんだんアメリカのドルというものが弱くなるということの背景のもとで日本の外貨がたまり出すという時期にかかったわけで、いわば一生懸命働いてみたらある程度外貨がたまったと、さて、それをどういうふうにしようかというときには、もうこれでうっかり行動を起こすと通貨制度について非常に深刻な影響を及ぼすという問題に差しかかってきたときに外貨がふえてきたと、こういう事情にあるわけでして、まあ例えてみると、一生懸命働いていてお金がたまって土地を買おうと思ったら土地の方は値上がりしてなかなか買えないと。またさらに、気がついてみたらもうこれだけ大きくなって、これでまた土地買いをやれば地価がまた上がって社会的批判を受けるであろうというような、いわば例え話で申し上げますと、そういうような経過をたどって現在に至っているわけでございます。 先ほどのような問題意識は、私どもの先輩もずっと持ってきたと思うんですが、そうかといってこの段階で、あるいは我々が体験してまいりましたいろいろな各段階を通じまして、なかなかこれは実際の行動という形になると難しい問題があるということであったんだろうと思います。 経過につきましては私から御説明いたしまして……
○近藤忠孝君 あともう一言。 次の質問をして大臣にお答えいただきたいと思いますが、一九七六年合意は、IMF協定の改定によって各国通貨当局は保有金を少なくするということだったんですが、アメリカは一九七五年に八千五百四十四トン、ほぼずっと変わっていないんですね、大量の保有金は。ほかの国ももっとずっと高い段階で変わっていない。日本だけが七百五十三トンという大変低い状況なんですが、この辺でやはり私は諸外国と違う状況を日本がちょっととってやしないかと、こういう点も一つ疑問に思うんで、それも加えて大臣からひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今政府委員が御説明しましたその前半の日本の貧乏時代とでも申しますかしら、そのころも随分国会で金の御議論がございまして、やはり私どもとしては、それは外貨というものは使って日本の経済成長を高めていく、産業の高度化を図っていくべきもので、金などは何の役にも立ちませんということをよく申し上げておりましたんです。そういう時代は確かにございまして、今になってみますと、今度は日本が金を買い出したというようなことになると影響が大変大きゅうございます。先ほどうまい表現を政府委員が申し上げましたようなことでございますので、今私は決してそれは悪いことだと思いませんのですけれども、そうしますと、またそれなりにあちこちにどうも影響も与える、こんな気持でございますね。
○近藤忠孝君 じゃ別の点を質問しますが、キングストンの合意以降もドル危機のたびに金の市場価格が暴騰しています。質問は、金の需要と金価格の見通しはどうか、それから円高。ドル安の中でドルから金へ急速な資産保有のシフトが起きると、こういう状況もありますが、その現状と見通しについてお聞きします。
○政府委員(内海孚君) 大体一般的に申し上げまして、先ほど近藤委員御指摘のとおり、多くの場合ドルが弱くなったときには金の価格が上がるという一種の定理のようなものがあったわけでございますが、ここ数年見てみますと、ちょっと必ずしもそうでもない状況があります。例えば昭和五十五年でございますが、このときはアメリカのドルが非常に強くなったわけです。大体円との関係では二百五十円ぐらい。このときまさに金は一オンス六百七十ドルぐらいというふうに非常に高騰した。したがって、どうも最近必ずしもそういうドルと金との関係というのが前のように単純にいかなくなったなという感じを持っております。恐らくその背景には基軸通貨としてのドルに対しまして、円とかマルクとかいうようなほかの通貨がいわば補足的な国際通貨として登場してきたことによるものであろうと思いますが、したがって、前はドルでなければ金というふうにすぐいったのが、今度は必ずしもそうでもない。 最近、金が若干値上がりをしておりますが、私は れほどそれは大きな根を持ったものかどうかは、これはいろいろ議論がありますが、今の程度ですと、ドルとの関係をそれほど言うということになるのかどうかというのは、若干の疑問は持ちながら情勢をウォッチしております。
○近藤忠孝君 次に、これはドルや金にかわる準備資金、資産としてのSDR、その果たしている役割、それから今後の重要性の見通し、我が国は一体どう対応するのか。あわせて欧州通貨単位であるECUの役割と今後の見通し、また我が国の対応、これについて簡単にお述べいただきたい。
○政府委員(内海孚君) SDR及びECU、いずれも二つの機能があると思います。一つはいわば共通の通貨単位としてのどの程度使われるかということと、それから決済通貨としてどの程度使われるかということでございます。 そのような二つの観点から見た場合、どうもSDRの方は若干元気がないんでございます。それはまず通貨単位としてもIMFとの関係の取引では使われますけれども、あるいは加盟国同士では使われますが、これがビジネスの世界でなかなか使われるに至らない。これはECUの方は、実はこれと対照的にビジネスの世界でも例えばECU建ての起債が行われるというような形で使われるということがあります。恐らくECUの場合には、ECの中での金融機関や何かがこれをバックアップしながら使っていこうということがあるんだろうと思います。 それから、決済通貨としてでございますが、これもSDRの方は決済通貨としての機能は、これは特に先ほど申し上げましたように、ドルだけではなくて、マルクとか円とかがだんだん役割が大きくなってまいりますと、それによって前ほどSDRがどうしても必要だという認識がやや薄れてきているという事実がございます。 したがって、IMFの議論でもだんだんSDRというのはいざという場合のセーフティーネットの役割にとどめたらいいのかなという感じが強くなっておりまして、この重要性については十年前とはやや認識が変わってきているということであろうと思います。 これに対しましてECUの方は、実際に民間銀行の間でも使われ、BISを中心としてそれの決済機構もできるというようなことでございますので、これはかなりバイタルな形での発展を遂げつつある。そういうことに着目しまして、今回提出しております予算におきましても、我が国の政府関係機関がECU建ての債券の発行を希望する場合には、それができるような規則改正もお願いしているというふうなことで、私どももその重要性に着目し、かつ注目しているところでございます。
○近藤忠孝君 最後に、デノミの関係であります。 イタリアでは現在デノミ法案を国会で審議しておりますが、我が国でのデノミの可能性ですね、今回のこの法律によってデノミがやりやすくなったと私は思います。もとより、やる場合には単位の関係でいろいろ法改正が必要ですから、それに対する賛否はその際に申し上げまして、それとは関係なしに今回の法案には賛成するんですが、しかし少なくともデノミがやりやすくなったという可能性があると思うんですね。 それを前提としてもう一面で見てみますと、インフレでこれ兆でも間に合わず京の単位も使う場合も出ていることが一つ。それから、イタリアでデノミ法が成立しますと、対ドルで三けたの通貨というのは円だけになってしまいますね。そうしますと、円の権威、三けたは円だけだということからデノミの可能性というのが出てきやしないかなと思うんですよね。その点大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日本経済たださえ問題が多過ぎますので、私はそういうことは考えておりません。
○近藤忠孝君 終わります。
○栗林卓司君 この際、二、三大臣にお尋ねをしたいと思うんです。 予算が成立した後で直ちに策定に着手される総合経済対策なんですが、この中身というのは、先般の日米首脳会談の合意、あるいは昨日終わりましたOECDの閣僚理事会の合意等に対する日本としてそれにこたえたものにしていかなければいけないと思うんですが、そこの中で減税というのはどういう位置づけになっていると考えたらよろしいんだろうかということなんです。 伺いますのは、日米首脳会談で総理がアメリカに行かれた、あるいは安倍総務会長がその前に行かれて、たしか自民党はそのときにどういう政策を持って行ってもらうかということを考えて、あのときにたしか減税が入っていたと思うんですが、それやこれやで、減税をするというのがいかにも日本の国際公約であるかのようなそういった味をにじませて今いるのではないんだろうかという感じがするものですから、お尋ねをするわけであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はその点が非常に難しい、ちょっと見通しのつけにくいことになっておりますのは、衆議院議長のあっせんによりまして協議機関で税制全体のことをお考えになるということでございますが、まだ協議機関が発足をいたしておりません。したがいまして、先ほども申しましたように、減税ということも税制改正の全体の一環としてというふうに私どもは考えるものでございますから、協議機関で全体のことを御検討を願った上でのことでないとにわかにどうも賛成しがたいと、こういうことでございますものですから、二つのことのタイミングがちょっとどういうことになりますのかよくただいまのところで見通しがつけにくうございます。 余り補正のことを今申し上げるのは慎まなければなりませんのですが、殊に補正が比較的早い時期であるといたしますと、その協議機関の御協議がそれまでに整っているかどうかというようなところのことがちょっと読み切れずにおる、正直に申しまして、そういうことでございます。
○栗林卓司君 原衆議院議長のあっせんで衆議院の協議機関がいずれできるでありましょうから、そこの協議を待っているというのは、これは国内の政治的にはよくわかる理屈なんですが、外から見ますと全然関係ないことなんですね。したがって、日本が減税をいたしますというのが半ば国際公約に近い味を持っておるとしますと、本当にやるかやらぬかということはサミットの場面では厳しく問い詰められると思うんですね。そうするとそのサミットの場面で、日本としては外聞まことによろしくわたって責任を果たしていこうと思うためには何としても減税を、規模は別として、実施をしなきゃいかぬ、そういったところに立たされているという私は気がするんですよ。時期的に見てそういった御認識なんだろうか。それを協議機関の諸君がどう認識、判断して行動するか別ですよ。ですが、今日本が立っている立場というのは、規模は別として、減税はサミットまでにはっきりしたものを出さないと、これはもう何とも世界を渡っていけないような場所に立っているんではないんだろうか、そんな気がするものですからお尋ねしているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 民主主義の国でございますから、どうも国内事情というものがございますので、よそがどう言おうとどうも国内の、つまりそれこそ民主主義の運営の中でできることとできないことが結果としてあるということは、私はそうなればそうなるでやむを得ないことだと、こういうふうに私自身は考える方でございます。
○栗林卓司君 減税もまた、お話を伺いますと、国際公約と言っておかしくないような色合いを持って、今国際場裏で話題にされているということだろうと思うんです。そうすると、民主主義だからいろいろあるわいということで実施をしなかったとなりますと、では国際場裏において日本はいかなるデメリットを受けることになるんでしょう。というのは、今日本について言葉より実行ということがこれほど言われているときはないですね。そのときに減税はとうとうできなかったと、これは相当日本に不利益をもたらすものだと思うんですが、その責任は衆議院のできるであろう協議機関のメンバーの、ということは各党も責めを分け合ってもらいたい、そうとしか言いようがないではないかということなんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうなってはいけないわけでございますね。そうなってはいけないわけでございますから、私どもはできれば早くやらしていただきたいということをもう本当にやまやま思っておりますが、しかしもしそうでなかったときにとおっしゃいますと、いやこれはよそで約束したんでございますからそうしていただかなきゃ云々ということは、そんなことは申し上げるべきことではないと私は思うんです。現にまたいつまでに減税をいたしますなんてことは、外国にだれも実は言ったことはないわけでございますから、早い遅いというようなことがございましても、それは結果としてベストを尽くして、やはりそうなるんならそれはもうよその人にわかってもらわなければならぬということと思います。ただ、誤のないように申し上げますが、できるだけ早く出願したいと考えておりますことはやまやまでございます。
○栗林卓司君 あと一点だけ減税についてお尋ねをしたいんですが、とにかく非常に今急がれているということは私もよくわかるんです。それで、減税と我々がこう申しますと、それは財源を持ってきてくれないととてもだめであるというお話がよく出るんですけれども、素朴に考えまして、減税のためには財源ということで増税が要るんだとこうなりますと、ここには減税がある、見合い財源はこの増税なんです。こっちは減税で喜んでいるわけです。こっちは増税でうっと言っているわけです。日本の社会でこんなことが政治的に成り立つとお考えになりますか。レベニュー・ニュートラルというのはこういったことなんですよね、こっちは減税だと、しかしこっちは増税だと。日本の社会で、こっちは減税でにこにこして左うちわで、こっちは増税だと、そんなことは政治的には到底成り立つものではないですよ。私こう申し上げても間違いないと思う。 では減税財源をどこに求めるか。それは増税には求められないんです。そうしますと、それは従来の既存税制の不備を是正することによって収入を求めるか、増収によるか、あるいは従来の徴税の不備を是正することによって増収をするか、この三つに一つしか残ってないですよ。それを減税の見合い財源はある種の増税なんだ、こうお考えになるとすると、それは早い時期の減税というのは到底できた相談ではないと思うんですね。したがって、減税をもしおっしゃるように急ぐのであれば、そうすると既存税制の不備を是正することを急がなきゃならない。これは人によって利害は単純でありませんから必ずしも賛成というわけにはいかないでしょうけれども、頭からこれを退けるというふうに事がいきません。従来の徴税システムを是正、強化することによって増収を図る、これも頭から反対はできない。それからさらには増収を図る、これができれば一番いいわけですね。この三つの一つを早くどれを選択するかを政府とすれば腹を決めて、既存税制の不備を是正することによって増収を図ろうというんであれば、よく言われる不公平税制を具体的に取り出して、はい、これで一兆円、こうしなかったら到底間に合わないと思うんです。 これは今の日本を取り巻いている険しい国際情勢を考えますと、このままで、いややっぱり民主主義というのは困ったものですなんてこぼしていたんでは日本は世界の孤児になって、とても一億一千万暮らせなくなる。それはもうそこまで来ている世界だと思うんです。そういった意味では、衆議院の協議機関というのはなまじできたおかけで問題解決を阻害する要因になったんではないかと思っておりまして一協議機関に対する論評は別にしまして、とにかく不公平是正か増収でやるのかあるいは徴税手続を是正するのか、この三つに一つしか出口はありませんよということを申し上げたんで、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭の国民の理解の問題でございますけれども、我が国は教育水準もこれだけ高こうございますし、国民が国の事情については最も世界のだれよりもよく知っている国民でございますので、財政の事情も決してわかっておられないわけではないと思いますんで、冒頭の点は、私はそういうふうに考えさせていただきたいと思っております。 いずれにしましても、この協議機関もやがて設置される。今の段階でこの補正ということを、まだ本予算が成立しておりませんときに申し上げにくいという事情もありますので、この国会が終了いたしました段階で、今のようなこともいろいろ検討してみなければならない、こう思っております。
○委員長(井上裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四分散会 —————・—————