大蔵委員会 第3号
- 発言数
- 319 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/03/26
会議録
○委員長(井上裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、特恵関税制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出いたしました。 以下、この法律案の内容につきまして、御説明を申し上げます。 第一は、関税率等の改正であります。 外交交渉の結果等に基づき、清酒等を除くアルコール飲料、紙巻きたばこ、合板、アルミニウムの塊等の暫定関税率の引き下げ等を行うことといたしております。 第二は、特恵関税制度の改正であります。 鉱工業品に対する特恵関税の適用停止方式の改善及び適用限度額等の拡大を行うとともに、特恵関税の便益の受益国間の均てん化を促進する措置を講ずる等所要の改正を行うことといたしております。 以上のほか、昭和六十二年三月末に適用期限の到来する暫定関税率及び関税の減免税還付制度についてこれらの適用期限の延長等を行うとともに、所要の規定の整備を行うことといたしております。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、内需の拡大等に資するため、産業構造調整の円滑化、民間活力の推進を図るとともに住宅税制を拡充する等所要の措置を講ずる一方、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から租税特別措置の整理合理化等を行うこととし、本法律案を提出いたしました。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、内需の拡大等に資するための措置であります。 まず、産業構造調整の円滑化、民間活力の推進等を図る観点から、産業構造転換用設備等について特別償却制度を設けるほか、特定地域中小企業対策関連税制、中小企業等基盤強化税制を創設する等の措置を講ずるとともに、民間事業者の能力の活用により整備される特定施設に係る特別償却制度の償却割合を一二%から二〇%に引き上げることといたしております。 さらに、住宅取得者の負担の一層の軽減を図ることとし、住宅取得促進税制について、税額控除の対象期間を三年から五年に延長する等の措置を講ずることといたしております。 第二は、租税特別措置の整理合理化等であります。 まず、企業関係の租税特別措置等につきましては、連年厳しい見直しを行ってきておりますが、昭和六十二年度におきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行い、無公害化生産設備の特別償却制度を廃止する等特別償却制度及び準備金制度の整理合理化を行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。 その他、中小企業者の機械等の特別償却制度、住宅用家屋の登録免許税の税率の軽減措置、たばこ消費税の税率等の特別措置等適用期限の到来する租税特別措置について実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。 以上が、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(井上裕君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 ここ二、三日来、円高問題が大変な問題として内外ともに非常に心配される状態が続いております。各新聞の記事や論説を見ましても、恐らく最近これだけトップで、大きな見出しで連日続いて各社が取り上げている問題というのはないと思います。 それで、まずこの問題について大臣の考えを十分お聞きしておきたいと思う次第でございますが、今度の火つけ役になったのは、先日の米国のベーカー財務長官の、パリG7で確たる取り決めがない、ドル相場の望ましい範囲について合意しなかったと、こういうふうなことが投機筋の動きに拍車をかけたというふうに言われております。しかし、その次の日、宮澤大蔵大臣は衆議院で約束はあったというふうな御答弁をしております。 ただ、ここではっきりしておきたいのは、ベーカー長官はG7で確たる範囲についての合意がなかったと、それから宮澤大蔵大臣はパリ会議においてある程度の、円の百五十円というふうな一つの限度の約束があったんだというふうな御答弁の趣旨だったと思いますけれども、これはよく考えれば、ベーカーの発言は、G7の席でなかったということは、ほかであったということを否定しておりません。ですから、パリ会議ではもっと別な形でそうした約束、合意がなされておったというふうにも私は考えられるわけですが、そこら辺をもう少し、衆議院の答弁を踏まえて、踏み込んで大蔵大臣のひとつ見解をお願いしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ベーカー財務長官がそのような発言をしたと伝えられたことが一つの相場の変動のきっかけになったのではないかというお尋ねでございまして、実はその言明がどのようなものであったかが必ずしも明確でないのでありますけれども、その後になりまして、これは我が国で申しますと昨日と申すのでございましょうか、ベーカー長官が上院の銀行委員会で、為替レートに関する米国の立場はパリ合意にあり、そこでは今の水準での安定強化のために緊密に協力することになっていると発言をいたしました。恐らくこれは、伝えられました前の発言が正確に伝えられなかったか、あるいは誤解を生んだかといったようなことを考慮の上で、改めてこういう発言をベーカー長官がしたものと思われます。この点は私自身の見解と同一でございます。
○丸谷金保君 実は昨日、日銀総裁が円急騰の問題について、口先介入で円急騰が起こるようなことは困るというような、極めて異例とも言える強い立場で批判をしておる記事が載っております。私が大臣にお尋ねしたいのは、ベーカーはマッチポンプをやったんじゃないか、ずばりその点についての大臣の見解をお願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 恐らくそうではあるまいと思っております。 と申しますのは、先般のパリ合意に至りました経緯が、これ以上の大きな為替変動が我が国であるとか西ドイツにとって好ましくないというばかりでなく、アメリカ自身にとってもはや好ましくない、そういう認識のもとに合意がなされております。したがいまして、責任者であるベーカー長官の認識はそのようなものであって、恐らくマッチポンプといったようなことから得るものはないと考えておるだろうと私は思います。
○丸谷金保君 確かに大臣おっしゃるように、例えば為替の変動によって国内の生保の受けておる対米、対外投資あるいは債券の購入等の赤字が一兆円というふうに最近言われております。だから、これ以上円を高くすることによって、日本の証券市場その他の赤字がふえれば米国に対する投資を日本の機関投資家がちゅうちょするんではないか。こういう点で、赤字に悩むアメリカとしては日本からの資金の導入を欲しているということは、ですから余り円高になることも米国にとっても決してプラスでないというふうなことは常識的に考えられます。しかし、そのこととベーカーの最初の発言とはどうもちょっと考えられない。いかにも、円高を誘発しておいて、それからその後に連銀が介入する、あるいは西ドイツ、イギリス、フランスと対立するというような形をとる裏には、何か大きく仕組まれた円に対するアメリカの戦略といいますか、この問題は貿易赤字全体、そうした大きな戦略の中で仕組まれた一つの、何といいますか、あり方としてベーカーがああいう発言を自分自身だけの考えでなくやったんじゃないかというふうにも私は感じられるんです。 というのは、日本の大蔵大臣とアメリカの財務長官、これはポリシーは大分違うと思うんです。日本は議院内閣制の中における大蔵大臣です。アメリカは大統領制の中において任命された行政官の財務長官ですね。そうすると、アメリカでは国会の中における財政委員会などというものの比重は、日本の大蔵大臣に対する国会とはもっと違った意味で大きな力を持っているというふうに考えられるわけなんです。そうしますと、財務長官——日本の大蔵大臣と同じようなポリシーを持っていない者がああいう発言をやって、それは個人の、あるいは財務長官としての立場だけでやれるものじゃないというふうな気がするんですが、こういう点については大蔵大臣、認識いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点につきましては、米国において為替の問題で有権的な発言ができるのは大統領と財務長官だけであるということを大統領が言明しておられまして、その点は私どももそう承知をしておるわけでございます。しかしながら、おっしゃいますようにこの問題についてはいろんな人がいろんな意見を持っておりますし、殊に議会におきまして議論が行われますと貿易問題、貿易赤字が非常な関心の的でございますから、そういう観点から発言をし、あるいは質問をする人もあるだろうということは、これは想像にかたくないことでございます。ただ、正式にアメリカ政府の立場を言える者は、この問題については大統領と財務長官ばかりである、二人であるということは明瞭になっております。 そこで、伝えられたような発言がどういう関連でなされましたか正確に私存じませんけれども、恐らくはこのパリ合意というものについて質問をされまして、答えようによっては、そうすると、いわゆる介入点と申しますか、どういうところから介入をするのか、その範囲はどうなのかというような質問を受けますと、非常に答えに窮するわけでございまして、これは我が国の場合でも実は同じなんでございますけれども、そこまで問題が展開しますと非常に答え方としては難しい、あるいは答えることが有害であるというような感じになってまいりますので、それを防ごうという気持ちがあってした発言が、そういうふうに受け取られたのではないかと想像いたしております。いずれにいたしましても、その後、昨日でございますかこの発言によりまして、その点は誤解をなくしておこうとベーカー氏が努めたのではないかと思っております。
○丸谷金保君 どうも私の質問が御理解いただけないのですが、ずばり申しまして、それじゃ大臣、何かそうでないかとか、こういうふうなことをおっしゃっていますけれども、これだけの大きな問題になってきていて、ベーカーには直接あの発言はどうだという真意は聞いていないんですか、大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはもう聞くまでもなく極めて明白なことで、パリ声明にも出ておりますから別段聞いておりません。また、聞く必要がなかったことは、その後このような訂正発言が行われていることで明瞭だと思います。
○丸谷金保君 聞くまでもないという大臣のお考えよくわかりましたので、それではそれだけの問題を踏まえた上で、これからの円高問題で、従前に大臣の御発言のように、百五十円を割らないようにというふうなことで円の先高、こういうことは抑え込んでいけるというふうに自身を持ってお答えいただけますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) このパリ合意というのは、まさにそういうことで各国が協力をしようという合意でございますから、我が国といたしましても、もちろん最善を尽くしますし、またこの合意をいたしました各国においても、そのような努力を現実にいたしておるところでございます。
○丸谷金保君 国内の経済界も大変その点についての不安感があるところでございますので、大臣ひとつそういう点、今御答弁のように毅然として心配するなというふうに胸をたたいていただきたい。 それで、法案に関連してくるわけでございますけれども、どうも私は、例えば今度の法案の中でたばこの関税を無税にする、これについてはいろいろ説明を受けている中で、これを無税にするか日本の国内で米国にたばこの製造をさせなければ、通商法三百一条の大統領の権限による報復措置も行うかもしらぬというふうな極めて強い働きかけがあって無税にしたとこういうふうなことを聞いたんですが、そういうことは事実なんですか。これは趣旨説明によりますと外交交渉の結果ということなので、あるいは外務省の所管かもしれませんが、どうなんですか。
○政府委員(大橋宗夫君) 御承知のとおり、今回の日米のたばこ協議は、米国側からいたしますと、米国の通商法の三百一条というものを根拠にして我が国との協議に入ったわけでございます。この最終の段階におきまして米側は、たばこの関税率を無税にするか、製造独占を廃止していくか、いずれかの選択を迫ってまいったわけでございますが、その交渉の過程におきまして私どもといたしましては、このいずれをも拒否するということを日本側が申しました際には、米側としては報復措置をとる手続に入っていくという認識を得ていたところでございます。
○丸谷金保君 外務省もそういう認識ですか。
○説明員(平林博君) 外務省としても同じような認識でございます。
○丸谷金保君 これは関連してくるんですが、通産省も同じような認識に立ったんですか。
○説明員(田島秀雄君) お答えいたします。 私どもとしては直接関係をいたしたわけではございませんが、通産省としても同様なふうに承知をいたしております。
○丸谷金保君 この大統領の報復措置、事あるごとにこれが最近出てきますわね、日米の関係。私は先ほども申し上げましたように、マッチポンプでないかと言ったのは、いろんなこういう問題に円高問題等も絡めてアメリカ側が総合戦略としての日本攻勢をかけている、こういう認識を持たないと、個々の問題だけでいつも一つ一つ押せ押せでアメリカの言い分をのまされてきている状態というものを、ここらでもうしっかり考え直す必要があるのではないか。その点で、例えば財政委員長が民主党のベンツェンになりましたですね、大分変わってきた。彼はテキサス出身で一番の日本に対する強硬論をもともと持っている。議会の影響というのは極めて強いことからいっても、ベーカーがああいう表現をしたり変えてみたりというふうなことは、やはりそういう対議会をにらんでいろいろやっているんじゃないかという気もするんです。 それで、米国の関税収入それから日本の関税収入、ドル建てでどうなっているか、八三年、八四年について御報告願いたい。
○政府委員(大橋宗夫君) ちょっと手元に今資料あれしておりますので……。
○丸谷金保君 じゃ私の方で読みましょう。 一九八三年はドル建てで日本で三十二億ドルですね、それから米国は八十七億二千七百万ドル。それから八四年は、日本は三十三億七千七百万ドル、それから米国の方は百十四億六千三百万ドル、大体三倍程度アメリカの関税収入が多いんです。ECもそうです。ですから、これは量が違うといえば量も違いましょうけれども、日本だけが特別に関税障壁が多いんじゃなくて、アメリカは日本の三倍も関税を取っているんですよね、外国から。私たちの聞いている範囲でも、ニュージーランドなんか日本に売ってくるチーズよりも、アメリカの方で倍くらいの関税とかそんなもので高く売らされていると言っているんです。 大臣ね、だから報復措置ってね、例えばたばこの問題なんというのは国会で全会一致でたばこの関税については無税にしないということを昨年附帯決議で議決してますね。これが国会に何らのそういう点での報告なり話がなくて、今聞いてみますと、それぞれアメリカからそういう強硬な措置があった、強硬な申し入れがあったし、そういうふうに報復措置に発展するという状況だということになれば、これは政府としては少なくとも衆参の国会に、こういう状態になっていて附帯決議をそのまま忠実に守っていきたいと思ってもなかなかそうならないような状態であった、と言うくらいなことがあってしかるべきじゃないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今御指摘がありましたように、関税率で申しますと、我が国の関税率は決して世界の水準から見て高くはございません。工業製品は恐らく世界で一番低い方の国でございます。農産物は必ずしもそうでございませんけれども、突っ込みでも決して見劣りがするような高い関税ではございません。したがって、これは人様からとやかく言われることはないと思うのでございますけれども、アメリカの通商法三百一条の報復措置というのは、私自身はどうも余り感心しない制度だと思っておりますけれども、主権の発動でございますから、それは各国ともそのぐらいな、何と申しますか、自主的な判断はやろうと思えばできるということであろうかと思います。 今回の場合そのおどしに屈したのかといいますと、そういう状況にあったことは確かでございますが、私が最終的に考えましたことは、たばこ産業を守るということもさることながら、葉たばこの耕作者のことを一番大切に考えてやらないといけない。したがって、アメリカが申すように、関税をゼロにするかあるいは製造独占をやめるか、こういう二者択一の状況に交渉は最後の段階で展開をいたしまして、御承知のように製造独占というのは、我が国はアメリカと違う制度を持っておりますものですから、アメリカとしてはこれは自由経済でないという基本の見方がありまして、これをやめるかと、こういう二者択一を迫られるようなことになりまして、製造独占をやめるということは葉たばこの生産者に非常に大きな影響がございますので、その二つのうちいずれもいたしたくないことでございましたが、やむを得ず関税率をゼロにするという選択をいたしたわけでございます。 これにつきましては、当委員会が御決議をなさっておられますので、今御指摘がありますと、国会開会中ではございませんでしたが、あの段階でやはり委員会に対して経緯の御説明をいたすべきであった、それは落ち度でございまして、お許しをいただきたいと思います。
○丸谷金保君 大臣に素直にそうやって謝られるとどうもあれなんですが、落ち度だったということであれば、これからはひとつこういうことのくれぐれもないように御注意をいただきたいと思う次第でございます。 それにしても、二者択一を迫られるということが、日本のたばこ産業に及ぼす影響と申しますけれども、これはおどしでないと言っても、やっぱり二者択一を迫られるということはおどしですよ。この一連のずっと最近のアメリカの言い分は、いろいろベーカーだけではなくて言っていることでも、もう何といいますか、非常にぶれが多くてちぐはぐなことが非常に多いという気がいたすんです。今大臣がお話しありましたように、農産物の関税が高いというふうなことを言っていますが、アメリカだって決して安くないんです。自分のところではよそから来る分については高くしておいて、日本の関税だけ安くせい、安くせいというふうなことというのは、そういう勝手なところが多過ぎるという気がいたしますので、こういう点はこの三百一条でおどしにかけてきても、もう少し何とか対応の措置があるんではないか。 例えば報復措置にはまた報復措置が行われますわね。もし日本が今アメリカから食糧を買わないで、対外債務のあるブラジル、そちらの方の産業をもう少し育成して小麦でも何でも大量につくってもらって買うというふうなことになれば、アメリカだって困る点はたくさん持っているはずなんです。一体、アメリカが報復措置をしようとしているその報復措置とは、どんなことなんですか。その報復措置、どういう報復措置をされる懸念があり、そしてそれによって日本は困るんですか。
○政府委員(大橋宗夫君) 今回のたばこ交渉の中では、報復措置をとる手続を進めるという認識を私どもは得ておりましたけれども、具体的にどういう報復措置をするという説明は受けておりません。ただ、最近たばこ交渉の経緯等につきまして、ヤイター代表が記者会見などで示しているところによりますと、このたばこの問題に関してはアメリカ側は十億ドル程度の貿易ロスがあったというような説明もいたしておりますので、十億ドル程度の日本の対米輸出品目につきまして、相当禁止的な関税引き上げというようなことを行う計画もあったのではないかというふうに想像はしております。
○丸谷金保君 想像だけですか。
○政府委員(大橋宗夫君) これは先方からそういう正式の説明を受けたわけではございませんので、想像といいますか、サイドの情報等ではそういう情報が流れてはおりましたけれども、確認はしておりません。
○丸谷金保君 たばこだけじゃないのですが、特にたばこの場合は国内のたばこに関連する働く人たちもたくさんおりますし、農民の問題もあるから衆議院でも附帯決議ついておりますけれども、国内の葉たばこ産業及び製造等に支障のないように、大臣ひとつ特段の配慮をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのように努力いたします。
○丸谷金保君 それで、法案の中にあります特恵関税の問題について御質問したいと思います。 この特恵関税は韓国、シンガポール、インド等が特恵関税国で入っておりますね。どうもこれは国際金融機関等でこういうランクをつけているんだと思いますが、インドも経済小国かもしらぬけれども、核大国ですね。それから、韓国についてはもうまさに今経済大国に向かいつつある。シンガポールも国民一人当たりの所得は極めて高い。こういうところが特恵国にいつまでも入っているということに私は疑問を持つのですが、韓国なんかはどうなんですか、どういう基準でこういうふうになっておるんでしょう。
○政府委員(大橋宗夫君) 特恵関税につきましては、広く開発途上国の経済発展に資する見地から供与されているものでございます。我が国の特恵制度におきましても、経済が開発途上にある国連貿易開発会議、UNCTADでございますが、UNCTADの加盟国から要望があればこれを原則として認めるという考え方をとっているわけでございます。この要望があればという原則につきましては、一九七〇年にUNCTADで合意されました特恵制度の枠組みにおきましては、受益国となるのは当該国が選択するという原則に従うこととされているわけでございまして、これに従っているわけでございます。 御指摘の韓国、シンガポール、インドにつきましてもこのような考え方から我が国特恵制度の受益国といたしているところでございますし、またこれらの諸国は、米国、EC等の他のすべての特恵供与国におきましても受益国とされているところでございます。
○丸谷金保君 そうすると、諸外国がやっているからやっているんだということですね。
○政府委員(大橋宗夫君) これは諸外国といいますか、諸外国が個々にやっているということではなくて、特恵制度に関する国際的な共通の認識ということに基づいてやっているわけでございます。
○丸谷金保君 大臣、大韓民国ですね、もうそういう意味で後進国でしょうか、大臣どう思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるNICSと言われる国になってきておるわけでございますが、私は、やはり日本の周辺の国でもございますし、できるだけ向こうのいいように計らうべきじゃないかという気持ちを持っておりまして、かなり所得水準は上がってきておりますけれども、我々の周辺の国々にはなるべく尽くしておいた方がいいという気持ちを持っておりますものですから、殊にUNCTADで言えば、今局長が申し上げましたように、発展途上国の中に入っておるわけですので、なるべくいわば甘く考えておきたいというふうに私は思っております。
○丸谷金保君 韓国からの輸入で、もちろん日本からの輸出もありますから、差し引きすると貿易は韓国が赤字になっておるということはよく承知しておりますけれども、それでも最近は何か靴の業界が大変だということで、数量制限などを通産が行おうとしているようでございますし、それから繊維業界、これは当委員会で数年前京都へ行きましたときに、京都の繊維業界挙げてそういう点での大変苦しいという意見供述がありました、韓国の。その状況はますます大きくはなっていても小さくはなっていないんです。こういう日本の国内の重要産業を直撃していもほどのところに、特別に関税を安くしなきゃならないという理由がどうして起こるんだろうか、しかも、もう相当な国になっておるわけです。一面からいえば、日本からいろんな機械類や何かをたくさん買ってくれるからこれを外せば韓国の方でも、それじゃ日本から買うのをやめる、こういうふうなことになって日本の輸出が伸び悩むことになるので仕方がない、そういう懸念もあるかと思いますよ。しかし、それは別の問題でして、日本から安い部品を仕入れて韓国が組み立てたものをどんどんアメリカやヨーロッパへ出しておるということで、やはり日本でいいものを安くつくっていれば、そういうことがあったとしても私は売れるものは売れていくと思うんです。 ちょっとこういう点での、特恵国のこの法案が出てきていますけれども、現在のとり方、これは韓国だけではなくてシンガポールについてもそうですし、核大国のインドについてもそうですが、何かもう少しきちっとした基準のもとに見直すというふうなことにはならないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、確かにこの二十年ぐらいの経緯の中で考えてみますといろいろ難しいことがあるのでございますけれども、最近になりまして、この制度はずっと昔からやっておりますが、問題になっておりますのは、実はやはり円高の関係が大きいのでございまして、御承知のように韓国も、例えば台湾にしてもでございますけれども、ほとんど為替が動いていない、ドルにペッグされたような形になっておりますから、相対的には我が国に対して非常に輸出しやすい態勢になっております。その動きが、幅が非常に大きいものでございますから、ちょっとやそっとの関税あたりではどうも実はならぬような大きな向こう側の優位な立場にこの円高のせいでなっておると私は思っていまして、それは長い目で、ゆっくりそれが進みますればそういう国々もだんだん工業化をするので、その国々にとったはいいことでございましょうが、余りに急激に大幅なものでございますから、今おっしゃいましたような我が国の各業界が実は難儀をしておる、こういうことだと思うのでございます。 特恵の制度そのものは長いことこうやってまいりましたし、これだけの力を持っておる我が国でございますから、なるべくその周辺の国々には、どう申しますか、寛大にと申しますか、できるだけ配慮をしていきたいというふうに私は思っております。
○丸谷金保君 近隣の国々にできるだけ配慮したいということを私は何も否定するものじゃないんです。ただ、GNPが非常に高いシンガポールであるとか、あるいは日本の繊維産業というふうな非常に重要な産業その他を直撃しているような、そういう国内の配慮もやはり考えていかなきゃいけないんじゃないだろうか。シンガポールが今そういう状況になっているから、結局あそこを通して入ってきているものがありますわね、たくさん。それなども直に買ってやった方が本当はそれぞれの低開発国が助かるのを、わざわざあそこへ集めてあそこから入ってくる、こういうふうな物資も間々あることを私たちも聞いております。 そういう点で、この点については今後の検討課題として、特恵国の問題はひとつ大蔵当局でもお考えをいただきたい。これは大蔵だけで決まる問題でもないでしょうが、関係省庁と十分御協議もしていただきたいし、もう少しそういう基準も考えていただきたいと思うんです。 それから次にビタミンの問題を一つ。 栄養補助食品として入ってくるビタミンが、今度は税率が二分の一に切り下げになりました。しかし、これは医薬品として入ってくると、もっと税率がうんと安いんですね。そこで、ビタミン、特にCとEですが、これがMOSS協議の結果、現行のような医薬品と食品という分かれ方をして、それぞれ関税率が違って入ってきているわけなんです。 厚生省にお伺いしたいのですが、日本ではビタミンCやビタミンEは医薬品ですか、それとも食品ですか、一体どっちで取り扱っているのですか。
○説明員(太田義武君) お答え申し上げます。 日本ではビタミンC、Eとも医薬品でもございますし、食品でもございます。
○丸谷金保君 それで結局、両方になっているんですね、だから両方で輸入できるわけです。これが税率が違うのはどういうわけなんですか。なぜ同じにできないんですか。
○政府委員(大橋宗夫君) 医薬品としてのビタミンにつきましては、これは純粋のビタミン剤というものでございますが、それ以外の栄養食品ということになりますと、食品にいろいろな形で添加してあるということにもなりますので、食品に関する関税率というものも考慮した関税率を定めなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
○丸谷金保君 厚生省、今の関税局長の答弁でよろしゅうございますか。
○説明員(太田義武君) 若干基本的なことになりますが、ちょっと御説明申し上げます。 御指摘のビタミンのような食品と医薬品と両方に使われるようなものの区分の問題でございますが、薬事法上は第二条に医薬品の定義というのがございまして、それによりますと、医薬品とは疾病の予防、治療、診断に使うことを目的としておる、あるいは身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的としている、すなわち目的を持ったものによって判断するというような規定になっております。具体的には……
○丸谷金保君 それを聞いているのじゃない。ちょっともう一回質問します。 そのことを聞いているんじゃないんです。厚生省、今局長の言ったように、医薬品としてのビタミンは純粋なビタミンだし、それから食品として認めているのはいろんな添加をしてきているからだ、そういうものがあるので食品だと、その答弁でいいのかと聞いているのです。その医薬品がどうだこうだということはよく知っていますので、今の答弁について厚生省はそれでいいんですかと聞いているんです。
○説明員(太田義武君) 通常ビタミンの場合には、効能をうたえば医薬品となるということでございまして、そういう効能をうたって医薬品になるわけですが、実際——実際といいますか、薬事法十四条の規定がありまして、承認を受けて医薬品になるということになります。
○丸谷金保君 厚生省、今局長は純粋なビタミンは医薬品だと言っているのですよ。それから、いろいろ食品に添加してくるものは食品だ、だから関税率が違ってもいいと言っているんです。それでいいのかと聞いているんです。そこのところ——いや、厚生省に聞いているんですよ。言い直しですか。
○政府委員(大橋宗夫君) ちょっと補足させていただきます。 私どもの関税率表の考え方と医薬品の取り締まりの考え方とでは若干御説明いたしますニュアンスが違う、これは当然のことではないかと存ずる次第でございます。 私どものほうは、ただいま御提案申し上げておりますビタミンの食品につきましては、ビタミンをもととした栄養補助食品というものにつきまして、これは医薬品としてのビタミンと違った関税率を設定しようとするものでございまして、それはあるいはその効能を明確にした場合には医薬品であって、効能を明確にしない場合は食品であるというような御説明があろうかと思いますけれども、効能を明確にしないというだけでなくて、現実に販売されている実態等から見ましても、ビタミンを純粋な形でなくて、補助的にほかの食品ともまざったような形で販売している場合も含めた関税率の分類が私どもの今回御提案のものでございます。
○丸谷金保君 厚生省ね、厚生省のビタミンの取り扱いの医薬品と食品との考え方というのはそういう分類でなくて、要するに一日の摂取量を基準にした上限ですね、これによって決めているんでしょう。添加してあるとか、してないとかじゃないですよね。例えば純粋のビタミンだけを持ってきても、それは食品である場合もありますわね。取り締まりの方でどうなんですか、厚生省どうですか。
○説明員(太田義武君) 取り締まり対象としてのビタミンの医薬品につきましては、形状とかそれから今申し上げました効能、効果とか用法、用量とかを総合的にやって判断するということになってございます。したがって、ビタミンCであっても場合によっては医薬品になる。そういうことが全然表示がない、あるいは形状もそうでないというようなことがありますれば食品となりますし、あるいは効能、効果、形状から判断して、用法、用量も含めまして判断して医薬品になる。で、医薬品になりますと承認、許可の申請をし、承認、許可を取ってもらわないと流通できない、このような形になっております。
○丸谷金保君 どうもちょっとかみ合わないんであれなんですが、WHOでもって一日摂取量の上限を決めて、それらを基準で医薬品とそれから食品との一つのラインというものを厚生省の方ではつくっておりますね。ですから、私がこれをおかしいと思うのは、同じものでも医薬品として入ってくれば安い税率だし、食品として入ってくれば高い税率。じゃ医薬品という形で入ってきて、それを食品として売って別に差し支えはないんでしょう。
○説明員(太田義武君) 医薬品として日本に合法的に入ってくるというのは承認、許可を受けたものしか入ってこれませんので、承認、許可で入ってくる。つまりビタミン製剤、ファイナルな製品として入ってくるものを、これを食品として売るという場合には、容器、包装を変えるとか、あるいは場合によっては中身を変えて売るという格好になるんだと思いますが、医薬品として承認、許可を得たものをそのように直して売るということはちょっと通常は予想しがたいんですが、仮にそういうことがありますれば、やはり医薬品として承認、許可を受けておるわけでございますから、私どもは承認、許可を受けた医薬品として流通するように指導しなきゃいかぬ、このように思います。
○丸谷金保君 私は指導の問題聞いているんじゃないんです。それはできますでしょうと言っているんです。
○説明員(太田義武君) 通常の場合、くどくなりますけれども、承認、許可を得て製品として入ってきたものを変えて流通させるということは、製剤についてはちょっと想定しがたいわけです。仮にそういうことがあるとしますと、例えば全然別なものをつくったという格好で食品らしい形態、食品らしい形状、食品らしい言い方でもって流通される場合は、それは薬事法に抵触するということはちょっと難しいかと思います。
○丸谷金保君 ようやくいい答えが返ってきたんですがね。結局、それで今どういうことになっているかというと、ビタミン類は原材料で輸入して、国内で加工しているんです。大体がそういう形をとっているんですよ。これはそれこそアメリカあたりからはいろいろクレームがついてきているんです。例えば今のWHOの一日摂取量なんかにしましても、ノーベル賞の受賞者のポーリングという博士は、これは五十ミリグラムなどというふうなことでなくて、グラム単位でとっても別に差し支えはないという、ビタミンの権威者としてノーベル賞をもらった人が去年の四月にも日本に来てそういう講演をしているんですが、アメリカだってそんなにかっちりしたものじゃないんです。ですから、これは下げたといって文句言うのはおかしいんですが、薬品と補助食品として入ってきた場合の、だから、今局長が言ったような認識だけではない問題を含んでいるんだという問題意識としてひとつとらえておいていただきたい、これは添加食品だけじゃないんですから。まあそれで、その問題はそういうことにいたしておきましょう。 それから次に、食品と売上税の問題は、けさお断りしたようにこれは質問から抜かしますのであれして、円高差益の問題で、実は私は乳価の問題いろいろやっておりまして、先日も大蔵省にも参りました。これは売上税にも関連してくる問題ですが、そこのところを抜いて申し上げたいと思います。 実はトラクターが円高差益でどれだけ下がったかということを調べてみたんですが、そうしますと、これは六十年と六十一年、北海道で具体的なもので当たってみました。ファーガソンの七十九馬力、七百八十万したのが七百四十八万、それから同じように七十馬力で七百五十万したものが七百三十万と、大体四・一%下がった。しかし、逆に六十年と六十一年の一台当たりの輸入価格はどうかと。これはトータルですから、これの方は一台一台でなくて、総体のトータルの中でそう違わない数字だと思いますが、トータルの中で割りかえてみますと、円高差益で五割以上下がっているんです、七十馬力以上の農業用トラクター。ところが、実際の末端で買う農民のところでは四%から五%ぐらいしか下がってないんです。円高差益がちっとも行っていないんです。 で、私たちがこれを問題にするのは、実は、にもかかわらず、牛乳をつくっている農民は円高差益で生産費が安くなっただろうからといって、きょうあたり決まっているはずなんですがね、きのうからきょうにかけて決まるんですが、計算の中ではやっぱり円高差益でたくさん下がるようなことで計算しているんです。農水省来ていますね。——そういうことになっていますでしょう。
○説明員(能勢稔君) 農水省でございます。 私ども、貿易関税課でございますが、本日、畜産局の方で、畜産振興審議会で、先生おっしゃるとおり、乳価の問題を現在検討しております。
○丸谷金保君 それで大体、輸入の大型トラクター、まあこれはカナダが多いんですけれども、何か三月の末くらいにはもっと下げるという指示をするという話を聞いたんですが、それは通産ですか、農水でやるんですか。通産は来ていませんですか。——どっちでやるんですか、そういう指示を出すというのは。
○説明員(田島秀雄君) 通産省の通商関税課長でございますけれども、ただいまのお話、私承知をいたしておりませんので、帰りましてから調べてみたいと思っております。まことに申しわけありません。
○丸谷金保君 それきのう聞いて、電話でも打ち合わせしたんだけれども、私はそれを通産から聞いた話ですよ。していないんですか。
○説明員(田島秀雄君) 私が承知をいたしておらないということでございます。
○丸谷金保君 そういうふうに明快に御答弁いただくとまことによくわかるんです。 大臣ね、だから円高差益の問題が消費者から強く出ております。この間生活協同組合とお話ししたら、円高差益を我々に還元すべきだという消費協同組合の人たちの意見も聞いてみればごもっともだと思うんです。思うんですが、末端まで差益が行き渡るのには随分時間がかかるんですよ。ところが、政府の関係機関がいろいろやるときには、もうそういう下がっているんだからということで、これはえさ代が下がっているという面もありますけれども、えさ代だけではないんです。というのは、外国から入るこういう大型トラクター、農機具類が安くなれば国内のメーカー品も安くなるんです。ところが、これがそんなに安くならないから国内のメーカー品だってそんなに安くならないわけですよ、現況では。しかし、安くなった計算が出てくるんです。こういうのは主計局の方では、今度は農林省に、安くなっているんだから安くせいと農林省に行くと、大蔵省がもうとても強いもんだから我慢してもらわなきゃならぬと、こう言われるんです。だから、大蔵省がやっぱりこういう実態を、円高差益がどういうふうに消費者に還元されているのか、生産者である農民も農機具の場合は消費者ですから、もう少ししっかり把握して、こういう乳価の問題もやってもらわないと、せっかくここで何とか一息ついて、借金払い終わったやつがまたこれ借金になるんですよ、今のような乳価になってきますと。ここら辺を十分ひとつ目配りをきちっと実態に合うようにしていただきたいことを要望いたしまして、きょうの私の質問を終わりにいたします。
○志苫裕君 この委員会は税制改革については議論をするようにセットされていないので、いずれかの機会に譲りますけれども、私もこの委員会は初めてだし、大臣とも初顔ですから、今後のことに備えるためにも若干伺っておきます。 この間、NHKの討論会を聞いておりましたら、大蔵大臣の発言を聞いておりますと、シャウプ以来と言われる今度の税制改革の一番大きな背景は、所得水準が上がってきた、所得の平準化も進んだと言うんですね。そこで、それにふさわしい税制が求められておる、そういう趣旨のように伺いました。そこで、広く薄く均等に負担を求めると説明をしておる税制も、いや金持ち優遇だ、資産軽課だと言って批判される税制も、大臣の言う前提を置けばつじつまが合っているようにも見えます。 問題は、所得の平準化が進んでおるのかどうなのかという検証になるわけですが、これまでの租税は、御存じのように最低生活費には課税しない、あるいは所得の能力に応じて公平に負担するという普遍的な原理、原則があったわけですが、大臣の話によると、応能原則から均等原則へとでもいいますか、あるいは公平の概念を累進性から比例性へとでもいいますか、そのような転換を試みておるというふうに見られるのですが、私はNHKの討論会であなたのお話を伺っただけで詳しいことは聞いてないんで、まずその辺の考え方を聞かしてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が申そうといたしましたのは、我が国の所得が、終戦直後と申しますか、シャウプ税制が始まりましたころと現在との比較あるいは我が国と諸外国との比較において、所得の格差が我が国は諸外国との比較では一番小さい、平準化している国だということを確かに申しましたわけでございますが、五分位階層で見ますと、一番上の第五階層と、一番下の第一階層との格差が二・九でございますから、アメリカでは大体力ぐらいだと言われておりますが、したがって、諸外国に比べて非常に所得格差が現実に少ない。また、国民自身が中流意識をかなりもう、調査によりますと、ここ何年かそういう結果がいつも出ておりますが、中流の中であるといったような意識、そういう意識からも、また統計的にも我が国は所得格差が先進国の中で一番小さい国であるというふうに思っております。
○志苫裕君 所得の平準化が進んだということが背景になっているようだけれども、まあ率直に言って、過剰流動性資金が狂乱しているような、こういう動きなどを見ておりますと、自分の暮らしと比べて、とっても庶民はそのような感覚にはありませんね。フローの面でもストックの面でも果たして所得の平準化が進んでおるのか。終戦直後というお話もありましたが、あの時期というのはごちゃごちゃしておった時期で何がどうなっておるかわからない時期でありますから、少し落ちついたころと比べると一体どうなっておるのか。経済もそれぞれ十年単位ぐらいでいろいろ波がありますから、それぞれの節々と比べると今はどうなっておるのか。そういうものをやっぱり丁寧にデータを持って論議しませんと、言っていることが庶民感情に合わないんですよ。 そこで、所得の平準化が進んだというデータを出してくれと言ったら、この総務庁統計局家計調査年報によって、昭和二十六年と六十年と比べて、第一分位、すなわち三百万程度の人と、第五分位ですから七百万ぐらいですか、そのほかもっとたくさん収入のある者はたくさんいるわけですが、これと比べて縮まったというデータぐらいしか出てこないわけですが、もう少し土地の保有や譲渡所得や金融資産、特に有価証券などの保有量等々あるいは貯蓄率とかそういうさまざまなものを全部総合的に持ってきて、こういうようになっていますというデータの説明を求めたいわけですが、説明できますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和二十六年の今同じ数字で申しますと五・八であったと言われております。現在が二・九というようなことでございますから、時系列的に見ましても所得格差は縮まってきたということは申して差し支えないだろうと思います。 現在のちょっと異常な経済状況におきまして、今お話しのような財テクとかいろいろなことがございます。雇用状況も非常に悪くなっていますし、この経済状況は確かに余り好ましいことじゃございませんので、ごく短期間、一年とか二年とか三年とか、その間にどうなっているかということはまた別途に観察しなければならないかもしれませんけれども、大数的に見ましてずっと所得格差が縮まってきたことは間違いないし、諸外国に比べてそれが小さいことも間違いないだろうと思っております。 なお、ただいま言われましたことで、私の申し上げておりますのは所得の格差を申し上げておりますので、資産ということになりますと、恐らく我が国は資産から見ても格差は少ない国に入っておると思いますけれども、その点はちょっと別の観点かと思います。
○志苫裕君 それはやっぱり資産所得、何も勤労性所得じゃないんで、捕捉されていないキャピタルゲインも含めて、それは土地を一万坪持っている人が税金を百万円納めるのと、土地も何もないのが百万円納めるのとでは、同じ百万円でも全然響きが違うわけでして、痛みも違うわけですから、それはやっぱり総合的に所得というものをとらえなければ比べたことにならない。余り論議をする気はないんですよ、時間もないですから。 ただ、大蔵省さんが言っておる第一分位と第五分位だけ見ましても、昭和二十六年と五十九年なり六十年を一本の棒に結ぶからそうなるので、しかし昭和四十五、六年、すなわち経済がそろそろ高成長の矛盾が出てきて少し風向きが変わってくるころと、例えば六十年と比べてみますと、それまでは一本調子で所得格差が縮まっていたのが、逆にそのころから所得格差が開くようになっている。同じ皆さんのデータはその真ん中を抜いて初めと終わりだけ出すから何となく説明したように見えるが、子細に見ると必ずしもそうもなっていないわけですね。あるいはまた、ジニ係数と言われる係数があるようですが、それなんか見ますと、やっぱり所得格差は紛れもなく開いておるというデータも出ておるんだし、これはこの次の機会までにもう少し細かいデータを出してほしいと思うんです。 あなたは今、いわゆる資産所得のことは入っておらぬ、つかんでおらぬというようなお話でしたが、例えばそれは土地——土地そのものは売ってないんだから未実現利益のあれでしょうが、それでも土地の譲渡益が所得階級区分に応じてどうなっておるのか、有価証券、株の売買が所得区分に応じてどうなっておるのかぐらいはわかるでしょう。 株式の場合には、何せ税金を取っていないんだから、だれのところへ所属しているかわからないという問題等は仕組みの問題であるでしょうけれども。しかし、私らが調べてみただけでも、例えば土地の譲渡所得を見ますと、年間所得二千万円以上の人はたった二%だけれども、譲渡所得の約七割持っているんでしょう。三千万円以上の人はたった一%もいないんだが、譲渡所得の五割以上持っているでしょう。これだけ見たって、所得の高い階層のところに譲渡益が集中しているということはわかっているじゃないの。株だって三千三百億の売買益があると言われていますけれども、これだって見ましても、所得階級一千万円以上の人が株の保有は七割以上でしょう。やっぱり所得の高い人の方にそれの譲渡益、売買益が集中するということもわかるわけであって、そういう状況を全部横に置いてしまって、所得格差が縮まってきましたので応能原則から均等に今度いたします、あるいは累進をやめて広く薄くみんな持ってもらいますという論理転換はないんじゃないですか。
○政府委員(水野勝君) 株式につきましては、現在、委員御指摘のように原則は非課税でございますので、課税ベースから見ましたところの資料は私どもも詳細なものは持ち合わせないわけでございます。 それから、土地につきましても、原則これは分離課税となってございますので、土地だけの譲渡所得につきましての階級別といったものは把握できるわけでございますけれども、その人の所得水準と関連してどうかということとはちょっと離れてまいろうか。その発生した譲渡所得につきましての所得階級別といったものはございますし、その場合には、高額な譲渡益の部分が件数は少なくてもかなりな部分を占めている、その点は御指摘のとおりでございますが、それが所得階級そのものを示すことになるかどうかにつきましてはちょっといろいろ問題もあろうかと思うわけでございます。
○志苫裕君 キャピタルゲインの帰属が高い所得階級にほとんど七割だ八割だと集まっているということだけでも、所得二、三百万円の者と二千万円の者との間がどんどん縮まっていると、そういう説明できる材料じゃないということを私はそういうトータルの数字から言っているんで、大体世の中がキャピタルゲインでうはうは言っているときに、その実態を掌握もできておらぬ租税当局がどこの国にあるか、そういう感じなんだな、それはそういう仕組みもあるからだけれども。一方では財政危機だ何だといってウの目タカの目になっているときに、この世の中うはうは言っている者の実態もつかめていませんと。大体そんなこと答弁できる柄じゃないんだな、本当に、もっときちっと資料をもって対応しなきゃ。このような点についてはひとつしっかりデータをまとめてくれますか。大臣いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、株式の取引についてのいわゆるキャピタルゲインというものは、例えば五十回以上あるいは二十万株といったようなことはやっておりますけれども、一般的には課税の面ではいたしておりませんから、それについてのデータはございませんということを先ほど局長が申し上げておるわけでございます。
○志苫裕君 土地の譲渡益は出るんでしょう、土地の譲渡益は。
○政府委員(水野勝君) 土地の譲渡所得そのものにつきましては、その土地の譲渡所得の大きさによりますところの階級別のデータ、こういったものはできます。ただ、非常に所得の少ない人がある年に大きなと申しますか、持ち家を売ったとか、そういう場合には、その人の所得水準とかかわりなく譲渡所得の階級として出てまいりますが、そういったものとしてでございましたら整理をいたしまして御検討願えるかと思います。
○志苫裕君 ぽっくりおやじが死んで田んぼ一枚売ったとか、そういうのは例外だけれども、全体の中には大きい位置は占めないんです。 大臣、この問題はここのところで打ち切りますが、平準化という話はおよそ私は納得もできないし、納得をさせられるだけのデータも集まらぬだろうというふうに思うんです。仮に、大臣がおっしゃるように、そういうふうにだんだん縮まってきたとしましても、それは応能原則であるとか所得再配分機能を持ったこれまでの税体系の成果なのであって、これからそれを取りやめる、その原則の転換を図るということは、再び格差と不公平に向かって進むということだ、昭和二十年代に向かって走るということだよ。こういう論理矛盾はないんじゃないでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、所得格差が縮小したことについては、過去、終戦後の三十年余りの間の税制も貢献いたしたと思いますし、財政も貢献いたしたと思いますし、また我が国の経済成長全体が貢献をいたしただろうと思います。
○志苫裕君 いずれじっくりやりますのでデータの提出をお願いします。 二つ目は、いみじくも中曽根総理は、羊が鳴かないようにもを刈るという、この場合は迷い言の迷言を引用なさって売上税の効用を説いたようですが、宮澤さんもそう思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣がどういう前後の関係から言われたか私存じませんので、何とも論評ができません。
○志苫裕君 存じませんって、あなたそばにいるんじゃないの。 まあ税金は、私言うまでもないんで、痛いものですよね、その痛みを感じながらデモクラシーを基盤とする政治にみんなが参加をして、そこで社会共通の共同負担をみんなで持とうというものじゃないんでしょうか。シャウプ以来の改革というのは、実はそういうところにも物の考え方や理念の転換が行われようとしておるのか、この点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもが今度御審議をお願いいたしたいと思っておりますのは、いかにも所得税、法人税、いわゆる直接税の負担が大きくなり過ぎまして、企業意欲あるいは勤労意欲をそぐに至っている。しかもその反面、先ほどから申し上げ、御異存があるようでございますけれども、私どもの見方では所得格差がこれだけ小さくなり所得水準がこれだけ高くなった。したがいまして、社会共通の費用をある程度薄く広く国民に持っていただくことができる、そういう両方の観点から税制の抜本的改正を御提案いたしたということでございます。
○志苫裕君 税痛も、税の痛みも痛いには痛いがなるほどな、という痛みと納得のできない痛みがあるわけですわな。不公平などというものはなかなかなるほどなとは言えない。納得がいけばまあそれだけの費用がかかるのならしようがないだろうと。その辺の点、十分配慮してもらわぬとだめだと思うんですが、ともあれこの論議はもう少し後日に譲りまして、もう一つだけこの全体の問題で聞いておきます。 行革審の報告によりますと国民負担率、今三六・一%ぐらいでしたかね、これを五〇%以下に、できれば四五%程度にするのがまあ望ましいというようなニュアンスのレポートが出されております。というと、これだけでも今より一〇%程度のアップということになるわけですが、宮澤大臣はこの一〇%というのは主としてどのような原資で、財源で充足されていくべきものというお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは答申の中でも明確にはなっていないわけでございますけれども、少なくとも社会保障負担が今後どうしても大きくなっていかざるを得ない。今一一ぐらいでございますか、税の方は二五とかその辺になるんでございましょうが、税の方も場合によってはと思いますが、やはり大きな伸びは社会保障の負担であろう、それで四〇何がしといったようなお話が出てきておるんではないかと思っております。
○志苫裕君 売上税はこの間を埋める財源として考えたわけでもないんですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) そうではございませんで、先ほど申しましたような現状から見て、いわば歳入中立的なということを目的としておりますので、直接税の減税分の財源を求めたということでございます。
○志苫裕君 それでは前半の問題はその程度にして、租税特別措置に入ります。 この租税特別措置、正確な表現かどうかわかりませんが、所得税法や法人税法等に含まれておる特定の政策目的を持った優遇政策を含みますけれども、これはシャウプ税制の成立のもう直後から既に始まって、それぞれの時代の経済的、社会的背景を持っていろいろ変遷を重ねてきたというふうに承知をしておりますが、ごく大づかみでいいですから、それぞれの時代といいますか経済社会といいますかというものと、特別措置というものがとられた政策目的というふうなものをひとつかいつまんで話をしてくれませんか。短い時間で、つまり模範答弁を要領よくやってください。
○政府委員(水野勝君) かなり委員御指摘のように、そのときそのときの社会経済情勢に応じまして講じられてきたものでございまして、シャウプ税制から昭和三十年代、この時代におきましてはとにかく資本の蓄積と申しますか、それから戦後の経済の復興と申しますか、そういった点に重点が置かれておったわけでございます。また、国際化に備えまして、大いに当時といたしましては輸出振興と申しますか、外貨獲得と申しますか、そういった点にもかなりなウエートが割かれていたようでございます。しかしながら、四十年代に入りまして、経済も高度成長から安定成長に移行してまいった時代におきましてはそうした輸出振興税制、そういったものにつきましては国際的な関係からむしろ整理縮減されてまいりまして、かわりまして公害防止でございますとか住宅対策でございますとか、そうした生活的な面につきましての配慮へとウエートはシフトしてまいっておるわけでございます。 その間一貫して行われてまいりましたのは預貯金の利子の優遇措置と申しますか、資本蓄積の、まあいわばその残りはまだございましたんでございますけれども、その後そういった点につきましてはいろいろな見直しも行われてまいって、今年度の改正におきましては利子所得の少額非課税貯蓄制度を老人等への非課税貯蓄制度に改組するといった方向への見直しも行われてきてまいっておるというのが、極めてかいつまんで申し上げれば、これまでの戦後の流れではないかと思うわけでございます。
○志苫裕君 それなら、いずれまた勉強さしてもらうつもりです、この点は。 今もちょっとお話がありましたように、二十年代の後半から三十年代のといいますかね、それから三十年代後半から四十年代の大体前半にかけ、それから五十年代。ただ、六十年代に入りますと、特に国際関係等で随分模様も変わってきておるわけなんですが、それにしては随分古い、戦後まさに二十年代にそういう時代的背景を持って設けられたものがずっとまだ生き長らえておるといいますかね、今日の時代との整合性がないんじゃないかなという感じもしないわけじゃないんですが、そういう点についてはどんな感じを持っておられますか。
○政府委員(水野勝君) 確かに戦後一貫して三十年以上特別措置が講じられてきておるわけでございますが、その中心をなしてまいっておりました企業関係の租税特別措置につきましては、例えばこれを法人税収に対する割合からいたしますと、一時は二けた台に近い数字もあったわけでございますが、その後整理縮減もされてまいりまして、現在は三%程度の規模のものに下がってきておる、そういったことになっておるわけでございまして、やはり大きな流れとしては、企業関係につきましては整理縮減されてきておるということは申し上げていいかと思うわけでございます。 一方、それにかわりまして、住宅でございますとか公害防止でございますとか、あるいはちょっと先ほどの、今若干見直しの時期にございますけれども、貯蓄関係、こういった個人関係のものにいわば少しずつウエートは移ってきていると申し上げられるかと思うわけでございます。
○志苫裕君 いや、今局長のお答えの三%という数字に私は納得がいかないんだが、これは今のその三%って何、租借法にいう特別措置だけなの、今の三%というのは。租税特別措置法で減免等の措置を講じておる額が三%でしょう。私の言っているのはもっと幅が広いのであって、それを租税特別措置というか、優遇措置というか、ともあれ、一定の政策目的のために特定のものに対して減免あるいはその他の、いわば一種の特恵を与えているものというふうに私は広い概念でとらえておるわけですが、あなたの言う三%というのは何、その租時法の額のこと。
○政府委員(水野勝君) 租税特別措置によりますところの減収額と申し上げるときには、例えば先ほどのマル優などにつきましては所得税法そのものに規定されておったわけでございますが、そういったものを入れて申し上げることもございますけれども、企業関係につきましてはこれはもう専ら租税特別措置法にございます特別措置によりますところの減収額、これが六十一年度の数字で申し上げますと、四千億円程度のものとなってございまして、これが十二兆円の法人税収に対しまして三%程度のものである、こうした事柄につきまして申し述べたわけでございます。
○志苫裕君 そうだろうと思ったんですが。私は話を広げて財政全般をあるいは税制全般を見直そうというような発想で物を言っているんだから、あなた狭い枠に閉じこもっていないで、話を広げて合わせなさいよ。そういう意味で、これもちょっと後ほど少し細かく聞きますが。ともあれ、租税特別措置あるいは特定のものに対する一定の政策目的を持った措置とでもいいますか、そういうものがそのときの時代時代の経済なり社会を支えていく、これは一面で否定はいたしません。で、今日深刻な財政危機に直面をしているわけですが、いわば経済あるいは景気の調整とでもいいますか、そういうものに財政なり税制が出動したことがその大きい原因に挙げられるわけですが、その結果、大きな企業を中心にして不況あるいは厳しい中にも異常な高収益、高蓄積を続けてきたわけでして、それに特恵的な租税特別措置が役割をまた演じたと言ってもよいと思うんです。 こういう事情を考えると、道義的にもこれらの企業が財政破綻の責めを負ってもよいのではないのか、発想法としては私はそうあってもちっとも間違いじゃないと思うんです。いろんなことがあった。税財政が出動をしてそれに対応をした、その結果、その当の相手はおかげさまで高蓄積や高収益も上げることができた。ということになれば、一方の出動した財政の方がひどい目に遭っているんですから、これはやっぱりそれに責めを負ってもよいという意味で、私は高蓄積優遇政策とでもいうか、そういうものはもう思い切ってやめていくし、あるいは高度成長政策や赤字国債政策によって行われた企業の蓄積はそれ相当に社会に還元をしてもらう、そういう税財政というものを、宮澤さん、日程に上せるときじゃないんですか、売上税を考えてないで。どんなものでしょう、これは。
○政府委員(水野勝君) 確かに昭和三十年代は輸出振興にも、場合によっては、あるいは増資をした場合には、それによる所得増加額は免税するとか、かなり思い切った企業に対しますところの租税特別措置を講じてまいったところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、四十年代以降そうしたものは逐次整理縮減されまして、現在は三%程度、また先ほどの数字でございますが、でございます。 また、全体として申し述べますと、日本の税収の中では法人税は約三割を占めているわけでございますが、これはヨーロッパあたりでございますとほとんど八%前後、アメリカでも一三、四%でございまして、法人税のウエートと申しますか、その規模と申しますか、これはかなりほかの国に例のない程度のものになっておりますので、これが従来いろいろ講じてまいったいろんな措置によるところのまた効果かとも思われますが、この三割以上を法人税に依存しているというこの税体系そのものを前提として、さらにそこから御負担をいただいていくというのは、今後の国際化の中ではなかなか難しい面もあるのではないかと思うわけでございますが、しかし、特別措置につきましてはやはり長引いて特権化することのないように、常に見直しを行ってまいるべきことは御指摘のとおりでございます。
○志苫裕君 私の申し上げているのは一つの物の考え方、道理として述べているわけで、政策の発想にそういうものがもっと強くにじみ出てもいいじゃないかという意味で申し上げたのですが、大臣どうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに高度成長期あるいは輸出をしなければいけないと考えられた時期に、その主たる担い手でありますところの法人に租税特別措置法等々でいろいろないわばインセンティブを与えたことはそのとおりでございましたが、今となりますと、先ほど政府委員から申し上げましたように、法人税そのものの三%程度になってしまった。これは目的を達したらなるべく早くやめるということも大事なことですし、新しいニーズがあればまたそれをある短期間見ていく、やはり余り特別措置のようなものが大きくなることは好ましくないと思います。
○志苫裕君 ちょっとつかぬことをお伺いしますが、これわかりますか。私の申し上げている広い意味で、あなたの言ったような狭い話じゃないですよ、租税特別措置とでもいいますか、特定の政策目的のためにそういうある特定のものに特恵を与えたといわれるものの始まって以来ずっと今日までの総額はどれぐらいになるのでしょうか。何十兆円とか何百兆円とかという数になるのでしょうか。
○政府委員(水野勝君) まさに昭和二十年代、三十年代からございますが、そのころのものでございますと税収規模も余り大きくないわけでございますので、例えば昭和二十六、七年あたりでございますと百億、先ほどの先生の御指摘のように狭い範囲なものであるかもしれませんけれども……
○志苫裕君 広げて言いなさい、広げて聞いているのだから。
○政府委員(水野勝君) 広げたものにつきましては、ちょっと私どもも現時点で整理したものはないんでございますが、先ほどのベースで申し述べますと、二十年代におきましては百億とか二百億とかそういう数字でございますので、全部足しても金額としてはそれほど大きくならない。しかし、五十年代に入りましてからのものでいたしますとかなりなものになってまいりまして、十年間を足せば相当なものになる、それはある程度の金額になることは確かでございます。
○志苫裕君 相当のものというのは相当のものでして、これはぽっと言ったので、またいずれ租税特別措置法や所得税法等の改正でもじっくりやらなきゃなりませんし、一般調査でもじっくり大臣とも話をしてみたいと思っていますので、それらまとめられるところでいいですが、後刻資料をください。 ところで、今私が審議の対象にしているのは租税特別措置法の一部を改正する法律案なんですが、所得税法等の一部改正案にも、第何条でしたか、租税特別措置の改正というのが何項目か入っていますね。租税特別措置の改正があっちにもこっちにもあるというのは、これはどういう相互関係があるんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 確かに今回お願いいたしております税制改正におきましては、租税特別措置法を二つに分けさしていただきまして、本日御審議をお願いいたしておりますのは租税特別措置法固有の改正でございますが、別に先ほどお話のございました法律の中で租税特別措置のかなりなものにつきましての改正も御提案申し上げているところでございます。 今回の税制改革に当たりましては、先ほどから大臣から申し述べておりますように、シャウプ税制以来の社会経済情勢の変化に即応しまして、所得、消費、資産、この間での均衡がとれた税体系を構築するという趣旨でまとめさしていただいておるわけでございます。 そこで、租税特別措置につきましては、こうした基本的な所得、消費、資産の間で均衡のとれた税体系を構築するというこの観点からの改正といたしまして、所得税、法人税等々各税目の負担の軽減合理化やその仕組みの変更と密接ないしは一体の関係にある改正事項は、租税特別措置法に規定されております事項につきましてもこの一括した税制改革法の中に含めさしていただき、一方、先ほどからお話のございます。その時代時代での各種の政策税制に関係いたしますところのこれまでございます措置の期限の延長でございますとか整理縮減、こういった措置、それからまた、現時点で求められております産業構造調整の円滑化など当面新しく講ずべき措置、こうした措置の創設等につきましては、これは租税特別措置法の中で対処をさしていただくという観点から二つに分けさしていただきまして、その後者の部分を今回御提案し御審議をお願いを申し上げているところでございます。
○志苫裕君 長々と言うからわかりにくいんだけれども、あっちの方は抜本改正と言われる部分、こっちの方は普通の改正と言われる部分、普通の見直しといいますか通常ベースの見直し、あっちの方は抜本的な見直しというふうに受け取った方がわかりがよくていい。きっとそうだろうと私も思って見ているんです。しかし私は、租税特別措置はもうまさにあっちもこっちもないんで、みんな抜本改革だというスタンスなんですが、法人税率の改正も私は抜本改正の重要項目だという認識なんです。 ところで、この四十二条から四十二条の三までの現行法人税率の特例は、三月三十一日をもって切れますね、これは日切れになる。ということは、四三・三%の税率が四二%になるということで、所得税法等の一部改正、すなわち抜本改正が行われようと行われまいと、一足お先に法人税率だけは現行よりも一・三%下がる。こういうことになりますと、世の中騒いではおるが、法人減税先行という答えが出ますね。これは承知でやっておるのですか。
○政府委員(水野勝君) 今回の法人税率につきましては、所得税の思い切った減税とともに、法人税率につきましても基本税率としては三七・五に段階的に下げていくということを御提案申し上げておるわけでございます。その中の先ほど御指摘の一・三%分の上乗せはことし三月三十一日で切れる、そして法人税法の本則にございます四二%に戻ってまいるわけでございますが、これが抜本改革の中の一つの改正の中の一環として盛り込まれておるわけでございます。一方、こうしたものに対しますところの財源措置といたしまして、賞与引当金の廃止等々につきましても一緒に抜本改革の中でお願いを申し上げておるところでございます。 ただ、御指摘の税率の点につきましては、これが期限が到来と同時に自動的に下がってまいりますので、そこにおきましては財源的にも若干そこを来す。そういうことからいたしまして、私どもといたしましてはぜひともこれらの改革法が一括して御審議をいただき、一日も早く成立をさせていただいて、その間にそごの生ずることのないようにぜひお願いを申し上げたいと思っておるわけでございます。
○志苫裕君 いやいや、それは皆さんのあれだ。大臣、ちょっとここのところ、私の言っている意味わかるでしょう。 皆さんは法律を二つ出して、これが大体くびすを連ねて上がるということを前提にすれば、賛否は抜きにして整合性はありますよ。だけれども、もう一方の法案は御存じのような状況になっているわけですね。で、それは率直に言っていつになるかわからないというような状況がある。しかし、こっちの方はそのことを予定して法律に書いたから、ほかの項目と同じように期限延長しなかったから三月三十一日で切れますというのはほかに何十項目もあるんですから、それは一部改正したり単純延長したりしておりますけれども、この部分というのは所得税法等の改正との絡みで削って、後の始末は向こうに任せたと、段階的に下げていくとかですね。というふうになっているんだが、向こうの先行きはわからない。この法律だけは通る。ということになると、法人減税一足お先に失礼じゃないですか。これはどういうことですか。そうでなくても法人優遇で個人をひどい目に遣わしておるといって評判の悪いときに、法人だけということはないだろう。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは政府の意図しているところでは実はございませんので、そのようなことになりませんようにひとつお願いをいたしたいと思います。
○志苫裕君 いや、あなた方が暫定予算出して、これだけは何とかしますと今やっているのですね。例えば、向こうの先行きが怪しければこっちの方も延長、単純延長にしておいて、それで向こうの法律で、この間通った法律はどうだけれども今度下げてこっちに書けばそれで幾らでもできるわけだが、向こうはできない。これは切れると四月一日から途端に一・三下がるわけですよね。さかのぼってよこせということにいかなくなりますわな。 とすると、私はこれに何らかの手を加えないと、これは何ぼ何でもあなた、法人税というようなのは抜本改正の中の重要な柱立てになっているわけですから。それはまあ本則に対して一・三上げたというのが諸般の状況を考慮しての例外だったのだと、確かにそうですね。その例外を取り除くほどの財政状況に今あるわけじゃないのでね、あの当時よりももっとひどくなっているのだから。おかげさまで一・三を入れたときよりも楽になりましたと言っているんじゃないのだから。そうすればあれをもぐ理由はないわけ。抜本改正という脈絡の中でのみ一・三をもいでさらに下げていくという論理がある。あれがない限りこの一・三を下げる論理は出ないかもしれないということを考えると、これは矛盾だよ、あなた。そうじゃないの。何とかしてくれぬかね。
○政府委員(水野勝君) 私どもとしては、この一・三はその方向で下げていく。そのかわり、その財源措置としてはもろもろのものを御提案をするという四本の法律をお願いいたしておるわけでございますので、その部分を部分的に手を加えて暫定的に措置を講ずることをお願いするというのは、政府提案のものとしてはそこはどうも限界があるのではないか。ぜひともここはひとつ一括してお願いをできればというのが基本的な立場でございます。
○志苫裕君 これは皆さんそれ以上言わぬでしょうな。わかりましたと言うわけにもいかぬだろうし、ただこっちもわかりましたとは言わないんだが、これはうちの理事さんもお聞きですが、これは非常に矛盾なんですよ。まあひとつ今後しかるべく相談してください、委員長にもお願いをしておきます。私はそういう矛盾はちょっとそのままようござんしょうと言うわけにはいきませんですね。 それで、日切れ法案が通りませんと大変なことになりますよと言って、これは大蔵省がまいてくれたんだわね。この中にそういうことでも書いてあればすぐわかったんですが、日切れ法案が通らないと向こうはどうでこうでというようなことになる、そういう矛盾も出ますよと言って、せめて親切に書いておけばいい、こういうところへ。これも書いてないし、皆さんの方は抜本改正が成立してもせぬでも一・三下げるのは既定の方針だと、おかげさまで財政も楽になりましたなと、こういうことかね、大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこで、先ほども政府委員が申し上げましたように、賞与引当金を段階的にやめまして、そういう財源を考えておるわけなんでございますが、その方が抜本の方でございますものですから、私どもはそういうことで歳入の落ちがないようにお願いを申し上げたいと思っておるんでございますけれども、片っ方がおくれますと結果としてはその見合いかないままの減税が先行するということになるわけでございますが、願わくはそうでないようにお願いをいたしたいと、こう政府は考えておるわけでございます。
○志苫裕君 どっちみち昼休みがあるから。私の質問を続けますが、一応問題点の指摘だけはしましたんで、政府の答弁もわかりましたが、そうかなということで、後でまたもし理事会等で相談いただけることだったら相談してもらいたいと思います。 少し時間も詰まってきまして、この機会に租税特別措置というものについて少し洗いざらいしてみたかったんですが、ちょっと時間もないので記録にだけとどめておきますが、御苦労でしょうが、租税特別措置というのは一体どういう項目でどういう種類でどれだけあるのかというものを少し整理したいと思っているんですが、何せ多いので、一つは所得税法や法人税法など各法ごとに、これらを含めて幅の広い意味で特別措置の種類といいますか性質といいますか、非課税とか特別償却とかという、そういう性質ごとにどれだけの項目があってどれくらいの額があるのか、あるいは租時法による特別措置について、これは種類とか項目、額ごとに。多くは減免なんですが、特例増額とでもいいますか、特別ふやすという、大体特別措置というのは減らす方ですが、特別にふやすというのもあるようですね。そういうふうなものなども種類、項目やその額。 それから、できましたらこの租税特別措置を受けている個人と法人の区分けができるかどうか。法人分のうち大企業と中小企業とに分けられるか。所得税のうち給与所得、事業所得、資産所得等に分けられるかですね。それぞれの額や割合等について、すぐありましたら鋭意お出し願いたいし、なかったらひとつまとめてもらいたい。これは記録だけにとどめて要望します。よろしゅうございますか。
○政府委員(水野勝君) 所得税、法人税、そのほか登録免許税等もろもろの税目につきまして租税特別措置法は講ぜられておるところでございまして、今回御提案を申し上げております前の昭和六十一年度、現年度でございますと、項目といたしましては百六十八あるというふうに私どもは計算をいたしておりまして、所得税四十七、法人税七十七、登録免許税関係二十九、その他十五項目、百六十八項目でございます。その中の大半のものは減収措置でございますが、増収措置といたしましては交際費課税の特例によりますところの損金不算入の特例が、ございます。 それから法人税の中での企業規模別——失礼しました。その前の段階のお話といたしまして昭和六十一年度、ただいまのは項目でございますが、減収額といたしましては一兆五千六百二十億ございますが、このうち一兆八百十億円は所得税でございまして、法人税が四千六十億円、その他の税目が七百五十億円ございます。それから、これは専ら減収の措置でございますが、ただいま申し上げましたように、交際費課税の特例、これは増収措置でございまして、これによります増収は七千八百三十億円ございます。したがいまして、差し引きといたしましては七千七百九十億円の減収となってございます。 それから、所得税につきましての勤労者と事業所得者といった点につきましての区分はただいま持ち合わせておりませんが、法人税につきましては、これは大法人と中小法人とに便宜分けさせていただきますと、先ほど申し上げました法人税関係四千六十億円、このうち二千三百二十億円は大法人のものと見込まれ、千七百四十億円は中小法人向けのものと推計いたしてございます。
○志苫裕君 今お話しいただきましたが、後で記録を見ますが、できればちょっと何か表にしていただければありがたいと思います。 その点お願いしておきまして、今提案されている法案の、これは単純に特例措置を延ばすもの、あるいはやめてしまうもの、あるいは期限延長のついでに例えば特別償却などの割合を変えるもの、新しく特別措置を講ずるもの、その地法の整備や附則、経過規定というふうな内容のようですが。 ばかばかしい質問かもしれませんが、こんなこと聞いた人いませんかね。このような特別措置の延長とか廃止とか新設とか、そういうものはどのような手続と基準によるものなのか。この租特の経済的な実質あるいは効果などを考えると、察するに、国庫補助金やあるいは無利子の融資と似たようなものだから、補助金のようにいろんな業界や政治家などがくっついて、そういう圧力を背景に関係省庁が要求をして、大蔵省がそれに査定をする、これはいいとか悪いとか、もっと期間縮めるとか延ばすとか、やめるとかこの次まで待てとかというふうなことでもするのかなと、その結果、廃止あるいは延長、一部改正、新設あるいはペンディングというふうなことになって法案ができるのかなと思うんですが、大体そういうことなんですか。
○政府委員(水野勝君) おおむね委員御指摘のとおりでございまして、大体予算要求と時期を同じくいたしまして各関係省庁から租税特別措置を中心といたしました税制関係の御要望がございます。これを九月ごろからお聞きをし、年末までいろいろ検討させていただきまして、予算の編成時期の直前におおむね各省との間でセットをさせていただいておるわけでございます。そのセットいたしました中身につきましては、一月の中旬に税制改正要綱としてまとめまして閣議決定をお願いいたしてございまして、これでもって政府としての意思が統一されるわけでございます。 その閣議決定のされました要綱の中から法律でもって対処をすべきものとして盛り込んだものが現在御審議をお願いしております租税特別措置法の改正の内容となっておるわけでございます。
○志苫裕君 そうすると、今度何項目出たのか、そこまで聞きませんが、大蔵省が、はいこれは採用、これは不採用、これは一部切り込め、これはやめてしまえ、これは来年まで待てとか、そういうような、俗に言う査定という表現でも使っておきましょうか、査定をする基準は何なんですか。簡単でいいですから答えてください。
○政府委員(水野勝君) 昭和五十年代以降におきましては、厳しい財政事情のもとでございますので、この租税特別措置によりまして新しく減収を生ずることのないようにという、いわば歳入中立的な観点からまず基本的に御審議をさせていただいているわけでございまして、いわばスクラップ・アンド・ビルドという観点でございます。五十年代におきましては、むしろスクラップ・アンド・ビルドにとどまらず、極力圧縮をさせていただいて一般財源の充実を図るという観点にも努めさせていただきましたが、おおむね財源的にも、また項目といたしましても純増にならぬように、そういう観点で検討させていただいているわけでございまして、時代とともに終わったものは廃止をさせていただき、そのかわりにこういったものを新しく講じさせていただくというような観点で折衝をさせていただいてきているということでございます。
○志苫裕君 言葉で言えばそうなんだけれども、大蔵省の気持ちの持ちようだというんじゃこれはちっとも基準にならぬわけです。 私は、まことにばかばかしい質問をしているのかもしれませんが、この租特を読んでみますと、あるものが一六%とか、あるものが一八%とか、あるものは三〇%とか、あるものは二〇%。今度も一六を一七にするとか一二を二一にするとかなっていますね。一体、一三だの一四だの一七だの一八だの二一だの、やたらと一%程度の刻みで分布がありますよね。やっている連中には意味があるんだろう。だけど、例えば補助金を例にとれば、災害のような不可抗力のようなものでわっとやられたら九割何分とか、普通の奨励的なものなら二、三割とか、そんなに差がないよね。それこそそんなにバラエティーに富んでないでしょう。私は一七も一八も似たようなものじゃないかと思うんですが、そんなものは基本的にやめろという意味なんだけれども。それはやっぱり人様が納得されるだけの大まかな物差しが要りますよ。これは何で一七なのか、何でこれは一二なのか、何で一八なのかわからぬ。これは皆さんの方はわかってやっているの、悪いけれども。
○政府委員(水野勝君) 現在ございます措置はおおむね昭和四十年代の終わりから五十年代にかけましてつくられたものが多いわけでございまして、昭和五十年代の初めにおきましても、まだ特別償却と申しますと五〇%の償却、これが一番優遇された措置と言えようかと思うわけでございます。二分の一特別償却。それからちょっと下がりまして、政策的な重要性の観点でございますけれども、三分の一償却、四分の一特別償却、こういったものがあったわけでございますが、昭和五十年代以降におきましては、特別措置は原則として二年という期限をお願いをし、二年経過した時点におきましてはその措置の意義等に顧みまして少しずつ縮減させていただくという過程をたどってきておるわけでございます。したがいまして、それが例えば五〇%、二分の一償却でございますと、二年たったところではそのまた一割を減らしていただいて四五%にする。それが三〇%になり二〇%になりますと、思い切って五%下げるということもなかなか難しくなります。二〇%まで参りますと、後は、その一割を縮減をお願いをするということになりますと一八%というようなことになるわけでございまして、そういった点を御指摘いただきますと、確かにこれとこれとの一%の差とかいろいろ御議論はあるわけでございますが、一つ一つのものにつきましては、それぞれ措置を講じまして、それから延長さしていただき、あるいは中身を見直しをしていただく、それぞれ関係省庁との間で綿密な検討をさしていただいて現在の数値になっておるわけでございます。
○志苫裕君 いや、まあ中曽根さんが一言しゃべったら非課税品目ができて、非課税品目であるものとないものとの差がなかなか説明面倒ですがね、それと似たような説明を聞いてもおれにはわからぬ。それはまあ皆さんまじめにおやりになっているんだから、一%にも意味があるんでしょうが、租税特別措置の期限が来たものといったって、期限の来たものはまた延長、延長、延長で、御丁寧に何遍も繰り返して、事実上無期限に近い延長だってあるわけでして、それらは触れる時間ないですよ。私はむしろ、補助金のことが頭にあるものですから、もう少し大まかな、人を納得させられるような大きい区分があってもいいんじゃないかなあと。どの場合に償却にするのか、どの場合に何にするのかという問題もあるんでしょうがね、期限もどうするのかといういろいろ基準があるんでしょうけれども、この感じというか、意見だけは申し上げておきます。 ところで、この特別措置と言われるものの効果測定というのは皆さんはやっているんですか。補助金であれば行政監察がある、会計検査がある、省庁独自の監察や評価が試みられる、ODAでも評価報告書が出る。特別措置についても、費用すなわち減収ですが、そうすると費用と効果の測定というのは行われているんですか。税金五千万円まけてやった、そのまけてやった税金でその業界はどうなるのか、その企業はどうなるのか、社会経済にどういう影響を及ぼすのか、雇用はどうなのか、そういう効果測定というのはどこがやるんですか。
○政府委員(水野勝君) 先ほど申し上げました、九月ごろからいろいろ関係者からお話を承りますときに、そうした制度——新しい制度の御要望もございますけれども、延長の問題ももちろんございます。その際に、そうした制度がどれだけ利用され、どれだけの効果があったか、効果測定というのはなかなか難しゅうございますけれども、少なくともその実績がどう推移してきているか、その率を動かしたことによってふえたか減ったか、そこらの点につきましての実績につきましては、できる限りの範囲におきましてそれを承って、その次の年度の改正のための議論の出発点にさしていただいているところでございます。
○志苫裕君 でも、具体的な例えば評価基準とかそんなものはないわけですね。私はこの点は、それは補助金と特措は違いますけれども、先ほど言いましたように、経済的実質や財政的効果というのは似たようなものじゃないかというように言いましたので、補助金でやつを頭に置いて、それはそれなりのいろいろな評価の仕組みがあるということを引き合いに出して、何か特別措置はくれっ放しじゃないかなという、大蔵の方は、仕事じゃないんでそれは所管の省庁がやれということでも言っているのかもしりませんがね。そういう意味でもちょっと納得がいかないんで、もう少し特別措置について、大幅にやめろというのが私の立場ではありますけれども、しかし、必要なものは特別措置を講じなきゃならない。それにはやっぱりそれなりの評価の物差しというものを持っていないと、あっちから言われたんで償却分を認めてやったけれどもそれは一体どうなったものやら、ということじゃ何のことだか。税金まけてやったというけれども、その部分の穴埋めをほかの納税者がやっておるということなんですから、皆負担しているということなんですからね、これは。その点はそのような仕組みを考えるべきだということだけは申し上げておきます。 時間がなくなりましたので、ただ一つだけちょっと聞かせてください。 登記税率のうち七十七条の三と七十七条の四及び七十八条の二だけは税率の変更が行われていますね、ほかのところは単純延長で。これはどういう理由ですか、ひとつ聞かせてください。
○政府委員(水野勝君) これらはいずれも所有権の移転登記に関連するものでございますが、所有権の移転登記は本則は千分の五十でございます。こうしたものが新しく特別措置が講ぜられるときには大体千分の一とか二とか三とかというあたりから始まるわけでございますが、最初におつくりさせていただきましたときには極力低い税率でございましたけれども、だんだん年数がたちますとその効果というか、あるいはそういう施策を早くやっていただくという点からの効果も小さくなるわけでございますから、年数がたつに従いましてこれはひとつできるだけ本則に近づけさせていただくという観点から、二年ないし三年置きに見直しをさせていただいているわけでございます。 本則が千分の五十でございますので、できれば二十五なり三十ぐらいまでは特別措置でございましてもお願いをいたしたいところでございますけれども、なおその政策の効果が期待されておるというあたりからいたしまして、二十ぐらいにひとつまずとどめておいてほしいという御要望も強いわけでございますので、千分の二十というところまで来てとまっている登録免許税の特例措置がかなりあるわけでございまして、こうしたもの、したがいまして今回の改正におきましても十六のものはひとつもう一段階お願いをいたしまして二十にお願いをいたす、二十に参っているものはある程度そこで御活用いただく、しかし二十のものにつきましてもできれば時間がたつとともに二十五なり三十にお願いをする。 そうしたもろもろの観点から、その創設時からの経緯、期間等も踏まえまして改正を行わせていただいているということでございます。
○志苫裕君 最後になりますが、たばこ消費税の特例、八十七条の三と八十七条の四ですが、これは専売改革法審議のいきさつあるいは附帯決議等からいって、現行法の特例そのものが不当で約束違反だったんですよ。しかもその理由というのが補助金カットの地方転嫁の財源というものなんです。だしぬけに決めたものなんです。補助金転嫁の地方財源ばっかりかと思ったら、そのついでに、じゃ私の方もいただきますというので、国の方も半分同じ額をもらうというちゃっかりしたものです。それだけでもけしからぬなと思っていたのに、それでも法律で期限を今度は切った。昔は口約束みたいなもの。今度は法律で期限を切ったその特例を補助金カット分と一緒にさらに延長しようというんだから、これは二重、三重の約束違反で認められないですよ。国会の審議権は一体どういうことになるんじゃという気持ちが非常に強い。これは与党、野党の問題じゃない。 やらぬと言った——どこか売上税でありました。やらぬと言ったことをやっちゃだめですよ、あなた。やると言ったってできぬことはたまにあるけれども、やらぬと言ったことはやらなきゃいいんです。うそついた総理大臣がいるけれども、総理大臣になろうという者がうそついちゃだめですよ、あなた。この点どうですか。大臣、あなたはなろうという人なんでしょう。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これもどうも御指摘のようないきさつのあった問題と承知しておりますが、結局、昨年この補助金を下げましたときに地方に負担がかかるので、今御指摘のような事情からこれを上げさしていただいたわけでございますが、そのときに税制の抜本改正が考えられておりますので、先の問題としてはその税制の見直しとの間で検討をさしていただこうと、こう考えておったということのようでございます。 そこで、そうしておりますうちに、補助金の削減措置が続いて行われるようになったことも別途ございまして再度お願いをするということになったわけでございまして、財政の事情から歳出歳入両面においてそのような措置をとらざるを得なかったということでひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。
○志苫裕君 それは御理解はできぬね。御理解はできぬといっても先が進むものじゃないんですが。わかりました。 しかも、これは六十二年十二月末までということになりますが、察するに、六十二年十二月の次は六十三年一月で、これはかの有名な売上税につなぐというので切っているんでしょうね。しかし、断っておきますが、その売上税の先は、見通しはないわけでして、そうなりますと、この税率の特例は十二月以降で切れる。いろんなことがあってもこれを延長することはございませんと、これは断言できますね。今までのことはいいと言いませんが、ちょっと目をつぶるにしても、これは断言できますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしましては、売上税を提案いたしまして御審議をお願いをし、成立さしていただきたいと考えておりますので、それとの一体的な関連で十二月三十一日までを考えておるわけでございます。
○志苫裕君 いやいや、そのことは書いてある。だから、そこから先のことは私は言いませんが、じゃ質問変えましょう。 そこから先ですね、この税率を延長することはございません、また近い将来にたばこ消費税を引き上げたりすることはございません、これは約束してください。これはいいですね、大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 志苫委員がそれから先のことは言えないんだと、こうおっしゃいますわけでございますが、私どももどうもそれから先のことは、この売上税をお願いいたしたいというふうに申し上げるしかないんでございます。
○志苫裕君 法律で十二月末と書いてあるんだから、それを延長することはないね、こう言っているんです。一方の方は成立に一生懸命になるのは構いませんが、延長しませんね。
○委員長(井上裕君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十八分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(井上裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩出啓典君 まず最初にお尋ねしたいことは、衆議院の予算委員会の審議もなかなか円滑にいっていない、こういうことは当初から予想されたことではありますが、私は、公約を無視した税制改正を非常に短期間で強硬にやろうという、こういうやはり姿勢が一つの混乱の原因ではないか。税制改正というものはある程度国民の理解を得ながら時間をかけてやるべきであって、そういう政府のやり方は非常によくない。そういう点を大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今回御提案をいたしております中でいわば新しい税と申せば売上税ということでございますけれども、これにつきましては、私どもお願いを申し上げたいと考えておりますのは、国会においていろいろな詳細な御審議を両院でお願いを申し上げたい。それを通じまして国民各位もこの税についての理解を深められるであろう。もちろん政府といたしましてはまた政府なりの広報活動はいたしますけれども、国会の御議論を通じて国民に知っていただきたいということをこいねがっております。しかし、これは最初の試みでございますから、施行そのものは一年置きまして来年の一月一日からと、こういうことに考えておりまして、十分な時間をとって国民の御理解を得た上で施行いたしたいと考えてまいったわけでございます。
○塩出啓典君 そもそも中曽根首相の残りの任期中に何もかも片づけてしまおうという、そういう考えに無理があるわけでありまして、そういう点で私は、こういうものはやっぱり断念をして出直すべきだ、こう思いますが、その点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、このたびは直接税、間接税を含めまして全般の税正改正、シャウプ以来ということでございます。直接税減税の要望は非常に強うございますし、また実際、三十何年骨格が変わらなかったこと自身の方がむしろ不思議なほどでございますから、やはりこの際、この抜本的な改正をして二十一世紀に向かって体制を整えておきたい。こういう考えでお願いをいたしておりまして、今がその時期ではないかというふうに私どもは思うわけでございます。
○塩出啓典君 これは衆議院でもこういう話が出たようですが、大蔵大臣の尊敬する大平元総理大臣は、ちゃんと選挙の争点として堂々とやってきたわけであります。そういう点を考えると、最近の与党の姿勢は、かつての柔軟性のある自民党からはかなり変わってきておる、何か反対意見にも耳を傾けようとしないでいろいろ圧力を加えている。今までであれば、党内でいろんな意見があってそしてバランスをとって柔軟に対応していたのが、そういう姿勢がやはり失われておる。こういう点私は、中曽根首相も悪いけれども、やはりその周りも非常によくないんではないか。 そういう意味で、ニューリーダーの一人とも言われ、大蔵大臣の要職にある宮澤大蔵大臣の責任もあるんではないかと思うわけでありますが、そういう点で勇気を持って、世論の動向等を見てもこれは断念をして、もっと仕切り直しをすべきじゃないか。こういうお考えはございませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ御配慮の上の御発言であるとは思いますけれども、政府といたしましてはやはり現状から考えますと歳入中立的な税制改正を考えざるを得ませんし、といたしますと、あれだけ大きな直接税の減税をいたしますとそれなりの財源も要る、かたがた、三十何年税制を改めていないといったような等々の事情から、最善と信じますものを御提案をいたしたわけでございまして、願わくは国会におきまして御審議の上、御可決をいただきたいと念願いたしておるのが私の立場でございます。
○塩出啓典君 それでは次に、御存じのように一昨年の米国における先進五カ国蔵相会議、これは前の大蔵大臣の時代でございましたが、あの合意以来、予想を超える、しかも非常に短期間に円が急速にレートが上がる、そういうようなことで日本の経済にも非常に大きな影響を与えておるわけでありますが、しかしこの円が非常に円高になってもなおかつ日米の貿易のアンバランスは解消されていない、また米国の経常収支の改善もされていない。 このような状況をたどってきたわけでございますが、最近の推移についてどうなのか、それに対して大蔵省としてはどう考えているのか、今後の見通しも含めて御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(内海孚君) 御質問の前段につきましてお答え申し上げます。 すなわちG5プラザ合意以降の貿易収支ないし経常収支の推移についてでございますが、一昨年のプラザ合意以降、ドルベースで見る限りは、委員御指摘のように、我が国の経常収支、貿易収支は依然としてかなりの大幅な黒字が続いていることは事実でございます。 ただ、これも委員御存じのとおり、いわゆるJカーブというものの効果がずっと続いているわけでございまして、例えば昨年の輸入、輸出で見ますと、数量ベースの我が国の輸出は一・三%ぐらい対前年に比較いたしまして減っております。それから輸入のサイドでございますが、原粗油を除いて見てみますと一三%ぐらい輸入はふえているということでございまして、数量ベースでは明らかに効果が出ているということは言えるわけでございまして、いわゆるJカーブ効果が剥脱してくる過程におきまして、これは必ずやドル表示での国際収支にもあらわれてくるものと思っております。 これに対する対応につきましては、別途お答え申し上げます。
○政府委員(足立和基君) 円高にもかかわりませず、なかなか貿易の不均衡が解消されないのはどういうことかというお尋ねについてお答え申し上げたいと思います。 今申し上げましたように、近年の我が国の大幅な経常黒字の原因といたしましては幾つかのものが考えられるわけでございます。一昨年までのドル高、あるいはアメリカ経済は非常に急速に拡大成長を遂げてきまして、これは原油価格を初めといたします一次産品価格が低迷しておったというふうなことが大きく寄与していると考えられるわけでございます。このうちの為替要因といたしましては、顕著なドル高是正ということが進展いたしてございますが、今申しましたようにJカーブ効果でありますとか、あるいは最近までの原油価格の低下、こういうことによりまして我が国の経常収支黒字というものが依然として高水準であるわけでございす。数量ベースで見ますと減少を示しておるということは今御説明申し上げたとおりでございます。 対外不均衡是正につきましての対策でございますが、やはり我が国といたしましては市場の開放、そして輸入の促進、また内需の拡大を図っていく、それからまた為替相場、レートの問題、さらには基本的な経済構造の調整というような方策が考えられるところでございまして、これらを着実に実施しておるところでございます。したがいまして、今後こういったものの効果があらわれまして経常収支黒字が縮小に向かうのではないかというぐあいに考えております。 ただ、いずれにいたしましても、対外不均衡是正の問題につきましてはなかなか一朝一夕では解決できない問題でございますので、今後とも息の長い対応を図っていかなければならないのではないか、このように考えております。
○塩出啓典君 今いろいろ今後の対応についてお話がありましたが、Jカーブという話は大分前から聞いておるわけでありますが、なかなか結果に出てこない、こういう点について大蔵大臣は心配をしておりませんか。そういうのはなかなか結果が出ないから、今回のようにまた百五十円を切るというような、こういうような状況になっておるのではないか、そのように思うわけでありますが、その点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) プラザ合意が一昨年の九月二十二日でございましたと思いますので、ちょうど一年半たったことになりますか。確かにJカーブの出方としては極めて遅々たるもので、アメリカ自身も歳出削減の努力も一生懸命やろうとはしておるようでございますけれども、おのおのの国には事情があるのでございましょうが、もう少し早くその辺の貿易赤字、財政赤字とか、我々の期待に沿ってもらえないものかという感じは持っております。
○塩出啓典君 今回、円が百五十円を切って高騰したわけでありますが、その際の各国の対応は、さきのパリ合意に沿ったものとして大蔵大臣としては評価しておるのか、我が国の予想どおりやってくれたとお考えなのか、その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般のパリ合意の精神を関係各国が現実の処理にあらわしていてくれるというふうに考えております。
○塩出啓典君 しかし、市場においては非常にドルの先安感が強い、また米国政府内あるいは議会内にも一段の円高を求める空気が強い、このように言われておるわけであります。これは米国の財政赤字も減らない、あるいはまた、やはり米国が債務国に転落してこの額が大きくなっておる、そういうようないろんな面からそのように言われておるのではないかと思うのでありますが、大蔵大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 米国にも人おのおのの立場でいろいろな意見がございましょうと思いますが、この問題の責任者であり当事者である財務長官自身は、これ以上通貨が大きく変動することは米国自身にとっても不利である、ためにならないと考えておりますことはパリ合意にもあらわれておりまして、そのような立場からパリ合意の精神に沿って米国としても現実の事態に対処しつつある、こういうふうに考えております。
○塩出啓典君 OECDの報告によりますと、我が国の円は購買力平価で一ドル二百二十三円で、現在のレートはOECD加盟国の中で最も過大評価されている、このように指摘をされておるわけであります。そういう意味で我が国の通貨政策が効果的に機能していないんではないだろうか、こういう意見があるわけですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(内海孚君) ただいま塩出委員御指摘のOECDの数字でございますが、いわゆる購買力平価というものはどういうものを対象として指数の中に入れてくるかとか、あるいはどの時点をとるかというようなことによって大変いろいろな考え方がございます。OECDの数字自体は、工業品だけではなくて例えば消費者のマーケットバスケットみたいな考え方がかなり入っております。実際のレートを決めるものが一体何なのか、工業品を中心として価格を見て競争力を見るのか、あるいは輸出品となっているものを中心として見るのかとかいろいろな考え方がありまして、これはどれが正しいというものがなかなかないわけでございます。そういうことで、結局だれもが正しいと思うような平価というものが見出しがたいというようなことから、変動相場制ということでマーケットにゆだねる、そのマーケットの力を通じまして経済ファンダメンタルズが適切に反映していくことを期待するというのが現在の変動相場制であるわけでございます。 もちろん、変動相場制をとっている間におきまして、マーケットのいろんな見方が経済ファンダメンタルズと違って思惑的に動くときもあります。そういうときにいかに関係国が協力しながらファンダメンタルズに合致させつつ安定的に推移させるか、というのが現在の変動相場制及びこれをマネージしていく場合の基本的な考え方でございまして、それ以外に何らかの平価というものの考え方というのはなかなか決め手がなくて、私どももこれはそうだなというものがないわけでございます。 OECDについても同じような見解を持っております。
○塩出啓典君 これは私自身も広島で、大蔵大臣も広島でよく御存じだと思うのでありますが、広島にマツダがございまして、広島市内にも関連企業がたくさんあるわけですね。そして円が二百四十円からどんどん急速に上昇するにつれてまさにコストを五〇%ダウンする、そういうことで必死になってコストダウンに努力をしている。そしてアメリカ国内における売り上げを落とさないためには本来ならば円のレートが上がっただけ値段を上げればいいわけですけれども、それはなかなかできない、大体一割ぐらいしか値上げできない。そういうようなことで、結局一番先端を進んでいる産業が一番コストダウンに努力をして輸出を落とすまいとする、そうするとまたさらに円が上がる。そして一方、もっともっと国際的な競争力から見てコストダウンしなければならない例えば農業部門等は、あのマツダの関連企業ほどの真剣な努力をしているかというと、私はそういう努力は余りしていないんじゃないか、していても足りないのじゃないか。 そういうことでだんだん日本の産業が二極化して、そして為替レートというのは前へ進んでいくものだけを反映して国全体を反映していないんじゃないか、そういう点で今の状態ではますます矛盾が拡大していく。そういう意味では為替対策にはもっと抜本的な別の方法を考えなければいけないんじゃないかなと、そういう感じがするんですけれども、そういう点についての大蔵大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和五十五年の貿易収支の黒字は六十七億ドルでございますけれども、それが昭和六十年になりますと六百十億ドルになっておりまして、この間の貿易収支の拡大が非常に大きい。これは振り返って考えてみますと、非常にドルが高かった時代であると思います。つまり円が極端に安かったそういう状況の中で、我が国の産業がやや過度に輸出依存体質になったと申しますか、つまり非常に輸出がしやすい、過度にしやすかったという、ちょっと言葉に語弊がございますが、そういう五年間があの間に起こったような気がいたしておりまして、したがいまして、なかなかつらいことではございますけれども、そのやや過度に過ぎると思われましたような輸出体質をもう少し正常のところへ戻していくということが、それがまあ同時に、日本の経済の構造改善であるとか内需の拡大とかいうものとちょうど一対になる考え方でございますけれども、そういう努力がやはり中長期的に必要であるというふうに考えております。 私自身は就任以来、円が高いということも、日本の経済にわずか一年余りで対応できないほどの大きな値上がりをしたわけでございますから、これは容易ならぬことであり、高いということも困りますが、しかしどこまでいくかわからないということの方が企業としてはさらに対応策が立てられないということになりますので、そのめどをつけようと考えたわけでございます。 結局、プラザ以来のドルを切り下げていく努力は大体もうここらでいいじゃないかと、もういいなというのが私とベーカー氏との昨年の九月の合意であったわけで、それからその延長線上で、同じような考え方で先般のパリ合意が生まれた。したがいまして、ここらでいわば経済のファンダメンタルズを反映するようなところになったと、これ以上通貨が大きく動くことはお互いに有害である、こういう合意になったという経緯であると思います。
○塩出啓典君 そこで、内需拡大ということが先ほども今後の我が国の対応として言われておるわけでありますが、六十二年度予算における内需拡大策をいろいろ政府も考えておられるわけでありますが、今この予算の成立がおくれて非常に国内景気に影響があると、そういうようなことから早期成立という意見もあるわけでありますが、しかし我々から見れば、内需拡大に逆行して、輸入をもっと促進しなければならないのに輸入に五%かかるというような、まさに時代逆行の税法による税収が入っておるわけですから、予算案はそう簡単に通すわけにはいかぬと、こういうことで今まで来ておるわけであります。 政府はいわゆる暫定予算を今組んでおるわけでありますが、きょうあす参議院においてもそういう内需振興、雇用対策に関連する法案は全部成立をするわけでありますが、そういう意味で暫定予算にもそういうものをちゃんと組み入れて、暫定予算だから景気対策がおくれたと、そういうことのないようにすべきじゃないかと思うのでありますが、その点は大蔵省としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、ただいま暫定予算を編成中でございますが、国会で成立をさせていただきました限りにおきまして、そのような制度は暫定予算の中に取り込むことができるわけでございますので、そういうことで編成をさせていただきたいと思っております。また、こういう難しい経済状態でございますから、したがいましてなるべく暫定予算という性格が許す限りで内需の振興に役立つように編成をいたしたいと思っております。 ただ、塩出委員もよく御承知のとおり、暫定予算というものの性格が、国会におかれて根本的には御異議がないと思われるような種類のもののみを計上するのが行政府としての国会に対するやはり心構えでなければならない。つまり財政法上は、暫定予算が万一成立いたしませんときにはどうしろという規定が全くございません。したがって、暫定予算というものは国会でお認めいただける種類のものでなければならないというのが財政法の考え方であろうと思いますので、そういたしますと、どうしてもやはり暫定というものの持っております性格は、本予算を成立さしてそれを執行するといったようなものとは径庭がある。なかなかそういうわけにはまいらないという本来的な制約がありますことももう事実でございます。
○塩出啓典君 国内のいろんな景気対策等においてはそう与野党の意見の対立もないわけですから、そういう点はひとつよく事前に野党とも話し合いをして、今までの慣例にとらわれないでやっていただきたい、このことを要望しておきます。 そして政府は、いわゆる総合経済対策というものをこの予算成立後に考えると、こういうように言っておったわけでありますが、こういうような事態を迎えて、この総合対策を早めるべきではないかと、こういう意見があるやにお聞きしておるわけであります。公共事業の前倒しとか、あるいは金利を低下させるとか、あるいは円高差益を還元するとか、こういうようなことが報道されておるわけでありますが、この総合経済対策について大蔵大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このような経済状況でございますので、いわゆる総合経済対策をなるべく早くかつ大幅にいたしたいという気持ちはやまやまでございますが、ただいまも御指摘になりましたように、例えば前倒しというようなことを一つ考えましても、予算が成立していない状況において、行政府としてそういうことを考えることはもう明らかに不謹慎でございますから、やはり予算の成立を待ちませんとそのような本格的な総合経済対策がとれないという状況にございまして、現状から見ますと、何とか早くいたしたいと非常な焦燥感を持っておりますけれども、しかし予算が成立しない限りは、どうも何ともそれが思うようにならぬというのが実は実情でございます。
○塩出啓典君 まあしかし、総合経済対策も財政の面でやるということにはおのずから限界もあると思うんであります。例えば金利の低下の問題ですね、これは大蔵省の範疇にあると思うんですが、公定歩合も二・五%という、そういう史上最低にはなっておるわけですが、しかしなかなか末端金利までそれが低下しない。特に銀行等の取引においては、優良企業は比較的下がりやすいわけでありますが、非常に経営基盤の弱い中小企業等の金利はなかなか下がらない。こういうやはり状況があるわけでありますが、政府としてはこのような金利の低下についてはどのように指導をされるのか。 それと、先般、資金運用部資金法の改正が緊急で成立いたしましたわけですが、その結果、政府関係機関の金利等の低下はどういう状況になっておるのか、この政府関係それから民間、両方についてお尋ねをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、資金運用部の関連の法律案を御可決いただきましたので預託金利を下げまして、したがいまして政府関係機関の貸出金利を下げなければなりません。住宅金融公庫等々大変に国民生活に関係が多いものが多うございますので、これは年度内、今月うちに最終的に決定をいたして金利を下げたいと考えております。民間の金利の方もだんだんに約定金利がずっと下がってきておりまして、資金需要が実は非常に弱いのでございますけれども、かなり金利は民間も下がってまいりました。したがいまして、国債につきましてもさらに事実上利下げをするというような状況になっていくかと思っております。
○塩出啓典君 私が相談を受けている問題の一つにも、昭和五十年前後に八・五%で約五千万ぐらいのローンを借りて、そして数年後にこれを九・九五に上げて、だから公定歩合を上げるときは上げておきながら、後で下がったら全然知らぬ顔をしておるという、これは一般論ではないわけですけれども、やはり弱い立場の人はなかなか言うことも言えないと言うんですね。そういう点で、金融機関においてもやはり下げるものは下げてもらう。特に最近は金融機関の経常益が製造業を上回ると、こういうように三月十日の日経新聞にも載っておるわけで、余りこういう景気の悪いときに金融機関だけが利益を上げるのはいささか私はどうかなと、こういう気がするわけであります。そういう点、今後指導を強化していただきたい。この点はどうでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今二つの御質問があったと思いますが、最初の具体的なお話でございますが、調べてみませんとわかりませんが、通例この短期貸し付けの場合ですと、金利が変わりますとそれに合わせて貸出金利も上げていくという処理をするわけでございます。したがって、そういうふうに通例は変動して金融機関も対応しているというふうに我々は考えておりますけれども、具体的な問題ですので、それについてここでお答えするわけにはいかないと思います。 それから、第二の方でございますが、今委員がおっしゃいましたように、このところ金融機関の収益状況もかなりの程度いいわけでございます。ただ、その中身を見てみますと、この通例のいわゆる利ざやで収益がよくなっているというよりも、むしろ株とか有価証券が上がりまして、その売却益がかなり出ているという面が非常に強いわけでございます。これはまあ金融情勢の波の中での一時的な収益増という側面もあるわけでございます。したがって、今後金利が上がってくるとか株が下がってくるというようなことになりますと、そういう意味での売却益等が逆に損に立つということもございますので、そういう側面もあるということをお話し申し上げておきたいと思います。
○塩出啓典君 最近の金利の低下が必ずしも新しい設備投資等に結びつかないで、一方では土地の買い占め資金とか地価高騰の因になっておるんではないか、こういうことは前々から言われてきておるわけであります。それに対して大蔵省としても昨年十二月に土地関連融資の規制に関する銀行局長通達を出しておるようでありますが、いささか遅しと、そういう感もあります。また、そういうことで効果があるのかどうか。銀行局長の通達だけで地価高騰がとまるというそういう効果があったのかどうか。私はもうちょっとこれは抜本的な方法を考えなきゃいけないんじゃないか。これは大蔵省の所管外のことになると思うんですけれども、大蔵省としてはこういう融資規制が本当に効果があったのかどうか、その点はどのようなお考えでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいましたように、昨年、地価の高騰等もございまして、国土庁の方からも銀行行政上何らかの指導をしてくれということから通達を出したわけでございます。過去においても何度か通達を出しております。ところが、委員おっしゃいますように、その後の地価の情勢は依然として上昇の状況が続いておることもまた事実でございまして、やはり金融面だけのそういう措置以外にも総合的な地価対策というのが必要だというふうにも考えている次第でございます。
○塩出啓典君 次に、先般ブラジルのモラトリアムが起こりまして世界的に大きな問題になっているわけでありますが、我が国に及ぼす影響はどうなのか。また、さらにこれがメキシコ、アルゼンチン、パラグアイ、そういうような非常に債務を抱えておる国々に波及するおそれはないのか、このあたりはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(内海孚君) ただいま塩出委員御指摘のとおり、ブラジルでは民間銀行に対する中長期の債務につきまして金利の支払いを停止するということを宣言したわけでございます。したがって、まず問題は民間銀行との間に起こるわけでございますが、ブラジル自身が民間からの円滑な資金の流れがとまるということは一番困る立場にあるわけですし、その点はブラジル当局者もよく知っているわけでございます。そういうこともありますし、また、かつて一九八二年にも同様なことが起こりまして、そのときもIMFあるいは世界銀行、関係国が一緒になりまして対策を講じて乗り切ってきたという経験もありますので、そういった経験等を生かしながら道を見出していくしかないだろうとは思っております。 具体的に、民間銀行の持っております債権につきましてのモラトリアムでございますので、まずは民間銀行とそれからブラジル当局との間の話し合いという形で進むわけでございますが、この中で民間銀行は、当然ブラジルがIMFとかそういった国際金融機関とよく話し合いをして、これならばブラジルの経済が大丈夫だという気持ちで貸すことになるというのが民間銀行の気持ちでござ いましょうし、他方、ブラジルの方にしてみますと、なかなかそういう国内の政治とか社会の状況から見ると、これがなかなか難しいというような状況にありますが、お互いにそういうことを話し合いながら、民間銀行が安心して協力できるような環境が一日も早くできるといいなというふうに思っておるわけでございます。 なお、アルゼンチン、メキシコにつきましては、既にIMFとも話し合いができまして、自分の努力を通じまして経済の立て直しという計画を着実に進めていくという前提で民間銀行もこれに協力するという体制ができておりますので、ブラジルとは違う道を行っているということは当面申し上げられると思います。
○塩出啓典君 銀行のそういう国々への融資もこれはやっぱり国民の資金でございますので、こういう事態が広がると大変大きな影響があると思うんです。いわゆる海外投資等損失準備金制度、こういう制度があってある程度の危険には対応できるようにはなっておるようですが、関係者の意見では、非常にこれは不十分である、また国によって危険度も大分違うし、そういう点をもっときちっとした制度をつくるべきではないかとこういう意見があるわけですが、政府としてはいろいろなことを考えているやに聞いておるわけですが、その点の対応はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(内海孚君) ただいまのように、民間銀行が債務累積問題にどのように協力していくかということにつきましは、一方において塩出委員御指摘のとおり当然慎重な配慮が要るわけでございます。それは、安心して貸せるという状況になることが必要でござますし、他方におきまして、世界経済がこういう問題を解決していくためには、そういった形で円滑に資金が流れていくということも必要なわけでございます。 そういう観点から、現在海外投資等損失準備金制度というのがございまして、民間銀行が世界的に他の債権国と協力いたしましてリスケに応ずる、あるいはニューマネーを出すという場合にその一%が積める制度がございます。 諸外国に比べてこれについていろいろな意見もまたあるわけでございますが、最近民間銀行の中でいろいろ相談をいたしまして、銀行の財務の健全性を維持しながら健全な資金協力ができるような制度を検討するということも行われておりますので、そういった世界全体の動きを見ながら民間銀行が協力する体制が整備されることは大変結構だと私どもも考えているわけでございます。
○塩出啓典君 これは、金融機関も国際化時代ですから、やっぱり諸外国とそういう点で余り差があってはいけないと思うんです。 また一方、例えば退職給与引当金とか貸倒引当金とか、そういうものは必ずしも実態に合わない、もっと少なくしてもいいんじゃないかという、そういうものは今までもあるわけですけれども、もっと積み増さなきゃいかぬのはなかなかそうはいかぬ、やっぱり既得権というか。そういう意味で私は、不必要なものは削るし必要なものはつける、そうして時代の流れに対応していかないと金融機関としてもやっていけないんじゃないか、そのように思う。そのあたりは大蔵省はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは確かに、今の累積債務国の問題などを考えますと、塩出委員のおっしゃいますことは一つの私はやっぱりポイントであると思います。ただ、いろいろの制度の問題でございますので、従来のいきさつもあり、まだこれからの見通しもありまして、その都度その都度いわば目まぐるしく変えるようなわけにもなかなかいかないものでございますから、その辺のことも考えながらまあまあというところで決めていかなければならない問題だろうと思っております。 今、政府委員が申し上げましたような銀行同士で何かそういう債権をしかるべく処理する仕組みを考えようといったような動きもございまして、そういうことも見ながらいろいろに考えてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 今回の法案の中に、先ほども意見のありましたたばこ消費税の税率等の特例について、期限到来とともに廃止するものが一年の期限でありながらまた延長する、こういう点は非常によろしくない。 それからもう一点は、今回土地・住宅税制につきまして、六十一年度改正で控除期間三年としたものを六十二年度改正では五年に延長する。このように三年を五年に延長するということは非常にいいことでありますが、しかしこの措置も結局一年間で、余りにも朝令暮改というか、住宅の政策等ももっと長期的な、もっと腰の入った政策を考えるべきではないか、これについての御意見を承りたいと思います。 それともう一つは、今回の改正案でいろいろ租税特別措置というものが、例えば特別償却制度等が縮小されるというのが何もかも一律に行われておる。船舶の特別償却制度、これは百分の十四が百分の十二になる、航空機の特別償却制度も百分の十が百分の九になる、それからまた、障害者を雇用する場合の機械等の割り増し償却制度も百分の二十三が百分の二十一になる。こういうふうに全部削減されておるわけですが、航空機と船舶とを考えれば、今航空機はどんどん需要が伸びておる。それから船の方はなかなかこういう不況で荷物が少ない、そういうものが何か一緒に取り扱われておる。また一方、こういうような状況になると障害者を雇用するということは非常に大変なわけでありまして、そういう関係は多少ふやすんならいいけれども、そういうものも全部一律にカットされておる。これはやめるものはあっさり全部やめるし、必要なものはちゃんとやる、こういうようにもう少しめり張りをつけてやった方がいいんじゃないか。 以上、この三点について御意見を承って終わります。
○政府委員(水野勝君) 住宅税制につきましては、六十一年度の改正におきまして、それまでの住宅対策を住宅取得促進税制として新しく御提案を申し上げ、お認めをいただいたところでございまして、確かに御指摘のようにその一年目でございますが、やはり住宅対策の重要性にかんがみまして、この控除期間を三年間を五年間にさせていただくことを御提案申し上げておるわけでございます。現時点におきましては、税制なり財政上の事情からいたしますれば、私どもとして精いっぱいの措置であると考えておるわけでございます。現在の情勢でございますと、住宅は年間百五十万戸ぐらいの趨勢を示しておるところでございますので、現時点での財政事情と政策の内容からいたしますとこのあたりが精いっぱいであり、また適切な水準のものではないかと考えておるわけでございます。 それから船舶、航空機、障害者の特別償却制度につきましても少しずつ縮減をお願いをいたしておるわけでございますが、特に一律にこれをお願いし縮減をしたということでもございませんで、それぞれの措置につきましてきめ細かにいろいろ事情をお伺いし検討をさしていただいているところでございまして、航空機につきましては一〇%を九%にいたしておりますが、船舶についてもいたしております。しかし船舶につきましては、その対象となる船舶につきまして、あるものは追加し、あるものは要件を付加する等きめ細かく中身を検討さしていただき、それぞれ所要の措置を講じさせていただいているところでございますので、一律ということではございませんで、御指摘のように、それぞれの政策に応じめり張りをきかさしていただいているつもりでございますが、かつてのような四十年代、五十年代のような大幅な措置を推進したりできた時代とは違いまして現時点での財政事情でございますので、こうした事情のもとでは精いっぱいのめり張りはつけさしていただいているのではないかと考えているわけでございます。
○多田省吾君 私は、主に関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について質問いたしますが、法案に触れる前に二、三大臣にお伺いしておきたいと思います。 初めに、一昨日から円がまた急上昇しております。さきのG7、G5というものは一体何であったのか。ベーカー財務長官初めアメリカの高官がテレビ等で発言するたびに為替の乱高下、また円高というものが急速に進むわけでございます。一昨日もニューヨーク市場におきまして円が急上昇したのでありますが、そのアメリカの対応、介入が非常に遅かった。報道によれば一千万ドル程度介入した程度だったので、アメリカの態度が弱いというので急激に百四十八円台まで円が急上昇したということが伝えられております。まあ、きのうきょう協調介入というものが行われたようでございますが、やはり百五十円を切って、きょうの十一時半でも百四十九円三十九銭ですか、協調介入とあるいは投機筋との綱引きがなされているようでございます。 そういう意味で、このパリ合意というものがどの程度のレートで安定させようとしたのか、合意されたのか、その辺の大臣のはっきりしたお考えをお尋ねしたいし、また円高に苦しむ日本の中小企業業界等の声、国民の声を本当に大臣は理解されているのか、まずその御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカのベーカー財務長官が、これはアメリカの二十五日でございますけれども、けさほどもちょっと御紹介をいたしましたが、上院の委員会でパリ合意について述べております。これはその前に、前の前の日でございますか語ったと伝えられたところが誤り報道されたか、あるいは誤解されたかということについての訂正をしようとした発言だと思いますが。したがいまして、パリ合意そのものを各国が尊重し、この際それに従って行動しつつあるということは事実に徴して明らかでございます。まあ、早かった、遅かった、あるいはもう少し大幅であれば、小幅であればというようなことは申せましても、しかし基本的にパリ合意の精神を尊重して共同行動に出ておることはもう明白でございます。 パリ合意が何であったかというお尋ねでございますけれども、まあ申せば、ああいうことがございませんでしたら、今度のような各国間の共同行動というものがこのようにとられたかどうかということは問題でございますから、やはりそういう意味で合意の意味合いというものが今回実際の行動になってあらわれておるというふうに考えております。 で、こういう高い円のレートが日本の経済界にとって非常に厳しいものであるということは私自身よく存じております。よく存じておりますから、昨年来何とかこの上昇に歯どめをかけたいという努力をいたしてまいっておるわけでございまして、決して事態を安易には考えておりません。
○多田省吾君 近々G7が開かれるとお聞きしております。また、宮澤大蔵大臣も行かれるとお聞きしておりますが、その見通しはいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 四月の初句にIMFの暫定委員会がございます際にほぼ慣例的にG7が開かれますので、ことしもそういうことになろうかと思います。で、国会のお許しがあれば出席をいたしたいというふうに考えておりますけれども、まだ最終的に決定をいたしたわけではございません。
○多田省吾君 宮澤大蔵大臣としては為替相場はどの程度で持ちこたえたいと、このように思っていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはお尋ねそのものが非常に難しいお尋ねでございまして、お答えすることも容易ではないんでございますが、また、何か申し上げますと、そのこと自身が結果として思わない事態になったりいたすこともございますので、その点もあわせまして、どうかひとつその点は御容赦をお願いいたしたいと思います。
○多田省吾君 私は少なくとも、もう少なくともパリ会談で合意が行われたあのときの一ドル百五十三円程度、その辺で安定させなければならないという御決意は大蔵大臣として持っておられたと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは為替レートのことでございますので、我が国とアメリカ、我が国と西ドイツ、あるいは西ドイツとアメリカ、そういう多角的な関連になってまいりますものですから、一方的に申し上げることが難しゅうございますけれども、あの声明の中にございます、当面の水準の周辺に安定させたいということにつきましては、関係各国が全部合意をいたしましたわけでございまして、その中には私も含まれております。
○多田省吾君 売上税問題でお尋ねいたします。 私どもは売上税は絶対反対でございます。なぜならば、やはり昨年の衆参ダブル選挙の際の中曽根総理の、大型間接税は導入しないという、その公約に違反したものであります。また、非常に逆進性が強くて所得の低い方々が大変な犠牲をこうむる、あるいはだんだん大きな物価高を生ずる、国民が苦しむ。その上に内需拡大、景気回復に逆行する、あるいは流通業界や中小企業が円高不況で苦しんでいるのに、さらにまた追い打ちをかけて大変な重圧になる、いろいろな問題がございます。また、不公平税制を残しておいて何だという反対も強いわけでございます。 さらには流通業界等では非常に納税コストがかかる。百貨店の意見なんか聞きますと、もう今までのコンピューター、計算機あるいはレジ等全部入れかえなければならない。何百億円もかけなければならない。あるいは簡易税額票を何千万枚も発行して七年間も保存しなければならない。また、レジなんかも課税品目、非課税品目が非常に複雑でございますので、その仕分けが大変だ。今までの何倍も時間がかかる。また、スーパー等でもレジを今度は二つ置かなければならないとか、今でさえ大変行列で支払いが大変なのに、もっともっと時間がかかるとか、いろいろ反対も強いわけでございます。 また、総理は衆議院の予算委員会で、大型間接税の定義だとおっしゃって、多段階あるいは包括的、網羅的、普遍的で投網をかけたような大型間接税はやらないと。今度は、五十一品目が非課税になっているし、年商一億円以下の業界は非課税なんだから網に穴があいているんだ、中型だと、こんなことをおっしゃっておりますけれども、結局教育に税金をかけないといっても授業料と教科書だけでございまして、あと参考書だとかあるいは学用品だとか運動靴だとか、全部そういうものには税金はかかるし、塾も大きなものになりますとたちまち税金がかかるという仕組みでございます。また、食品にかけないといっても、缶だとかあるいは包装あるいは運搬、そういった周辺に随分税金がかかりますから、食料品だって全体としては税金がかかる、結局このように言わざるを得ないので、その辺幾ら考えても、やはり多段階、あるいは包括的、網羅的、普遍的なものでございまして、まさに投網をかけたような姿になっております。非課税業者も、やはり取引段階から排除されるということを恐れてどんどん課税業者に転換する、このような姿になりますとなおさらでございます。その複雑性、その不公平性がますます強まる。 ですから、今国民の間からもこのたびの売上税は総理の公約違反だという声が、世論調査等によりましても七七%程度占めております。国民の八二%が売上税反対だ、自民党支持者の中でも七三%程度の方は反対だ、このようにおっしゃっているし、また各地方自治体においても、売上税反対の意見書、決議案等が続々と全会一致で可決されている。あるいは今回の統一地方選挙に際しまして、各候補が、自民党の候補も含めてほとんどの候補が反対を叫んでいる、そういう状況でございます。私はそういう状況から見て、やはり国民の声を素直に聞いてこの売上税は撤回すべきである、このように強く主張するものでございます。 ヨーロッパ等においては付加価値税があるではないか、このように言われておりますけれども、ほとんどが第一次大戦、第二次大戦のときに戦費調達の手段として国民に無理やりに押しつけた税制でございまして、その後、戦後少しずつ変えてまいった、こういう経過もあります。日本と同じような税制をとっているアメリカでさえ、三年間の研究の結果、この付加価値税を取りやめた、こういう経緯もあるわけでございます。 また、政府は所得税減税を加味すれば中堅サラリーマン層は減税になるんだ、このようにおっしゃっておりますけれども、とんでもないことでございまして、政策構想フォーラムの学者あるいは経済学者の言をまつまでもなく、年収六百万あるいは年収七百万以下のサラリーマンの方は今度の税制改革ではすべて増税になるという試算結果も出ておりますし、また大蔵省では、法人税減税を加味すればそれが結局サラリーマンに転嫁されるんだからそうではないとおっしゃいますけれども、この前の全民労協の調査によっても、ほとんどの大企業は法人税減税を賃上げに加味することはない、このように否定的な答弁をしております。そういった姿から見ても、私はこの売上税は国民やあるいはサラリーマンや、また中小企業の皆様に大変な打撃になるものであり、また本やあらゆる文化に課税する、そういう姿から見ても文化国家にまさに逆行するような反国民的な税制である、このように言わざるを得ないと思います。 そういう意味で、私は速やかにこの売上税は撤回すべきだ、そして不公平税制を是正いたしまして、この六十二年度の税制改革を行っていくべきだ、このように思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども塩出委員に申し上げたことでございましたけれども、やはり戦後四十年近くやってまいりましたシャウプ税制もいろんなところで問題が出てまいったわけでございますし、殊に所得税、法人税についてはそれが非常に負担が重いということ、勤労意欲、企業意欲を妨げるような制度であるということの認識が高くなってまいりました。他方で、我が国の所得水準も高くなり、また格差も少ないということでございました。 かたがた、二十一世紀になりますと急速に国民が老齢化いたします。六十五歳以上が二〇%というようなことになってくる日がもう目に見えておるわけでございますが、そうした場合に、若い人たちだけでこの多くなった老齢層を到底背負い切れない。今の所得税体系では非常な重税になりまして背負い切れないことがわかっておりますから、今のうちにやはり六十五歳以上の者もそれを間接税の形で負担をしておきましたら、将来若い人に余りに過重な負担を負わせることはないというような問題も今処理しておく方がいいといったような、あれこれのことから御提案をいたしておりまして、また国民各位に対しましても、この施行は来年の一月でございますので、十分理解もし納得もしていただける、国会の御審議を通じてそういう機会も与えられる、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
○多田省吾君 私が最も我慢できない原因の一つは、やはり金持ち優遇税制改革である、このように言わざるを得ないわけです。所得税減税でも所得が高い人ほど大変な大幅な減税になる。アメリカ等においても税制改革をやっておりますけれども、この日本のような金持ち優遇の税制改革ではないわけでございまして、少なくともキャピタルゲイン課税等の強化によって金持ちも増税、そういう方向でございます。 ところが今度どうですか、今はちょっと国税庁の発表が違いますけれども、数年前までは高額所得者の所得の発表がございました。そういった第五十位、第百位までの高額所得者の減税分はどのくらいになるか、計算いたしますともう何百億となる、百億円を超えるような減税になっております。第一位の人なんか、たしか二億円内外の減税になるでしょうね。このように所得税減税といっても、大高額所得者には大変な減税になる。しかし、少額所得者はむしろ増税です。こんな反国民的な所得税減税はありませんよ。これがアメリカと全然違うところです。 それからまた、マル優廃止等の問題もありますけれども、今まで高額所得者が三五%の分離課税を払っておった、これが二〇%に減税される。これも大変な金持ち優遇でございまして、こういった日本の所得税の税制体系というものが、税体系というものが非常にパーセントが高いと言われておりますけれども、実際は高額所得者は勤労所得だけに頼っているものではございませんで、いわゆるキャピタルゲインの方が数倍多いわけでございます。そういう意味で、なるほど税は高率でありましょうけれども、実際払っている税額は大したことはないわけです。 また、法人税だって、先ほど塩出委員が申しましたように、もう法人税本法の中に貸倒引当金とかあるいは退職給与等引当金とか、そういった外国にないような優遇税制がありますし、その他いわゆる準備金等の租税特別措置等も相当まだ残っております。そういう意味で私は、税率はなるほど所得税も法人税も日本の場合は高そうに見えますけれども、また実効税率も高いと言われておりますけれども、実質的に国や自治体に払っている税額は本当に高いんだろうかということを考えますと、私は決して高くないと思います。それをまたさらに減税しようというんですから、私は金持ち優遇がますます強まるのみだと。それで、増税減税プラス・マイナス・ゼロというんですが、高額所得者やあるいは大法人が大減税になれば、その増税分はどこに来るかといえば、低額所得者や中小企業に全部かかってくるんです。こういう税制改革は私は大変な金持ち優遇の税制改革だと、このように言わざるを得ないわけです。 また、対外的に見ますと、今回の売上税導入によりまして、アメリカの高官等も言っておりますけれども、これは日本の内需拡大に逆行するものだと、このように反対を表明しておりますし、また輸入の段階ですべて五%課税されるということになりますと、ますます対外批判が私は強まるんじゃないかと、このようにも思います。これはいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの税制改正が金持ち優遇だと言われますことは私には理解ができないところでありまして、このたびの税制改正で最も利益を得ますのは、申すまでもなく給与所得者、それも今度は社会に出まして会社勤めをしてほぼ会社をやめるまでの間をわずか二本の税率にしよう、一〇%と一五%でございます。一五%が適用されます上限は給与収入にして八百八十八万円でございますから、会社をやめるぐらいの年になって八百八十万円の給与所得をとっている人が私は金持ちだとは言えない。それはそれだけ、もう五十ぐらいになるわけでございますので、この給与所得者、いわば現在昇給をするとどんどん税率の刻みが上がっていく、そのことを改めようとしておりますので、この人々こそ最大の受益者でございますから、私は金持ち優遇ということは全く当たらないという感じがいたします。同時に、税率構造も改めましたので、最高税率も確かにそれは下がります。下がりますが、それでもなお我が国の所得税、住民税合わせました最高税率はフランスと並んで世界で一番高い。なお一番高うございますから、金持ち優遇ということは私はどうも当たらないという感じがいたします。 それから次のお尋ねは、売上税というものが今世界的に求められておる内需振興に邪魔になるではないかという点につきましては、それは減税だけでございましたらその方がベターであることはもう間違いございませんが、財政の事情で歳入を中立的にいたさなければならないということでございました。私自身は、このように殊に所得減税が並行しておりますから、それによる可処分所得の増大というものの方が売上税負担よりもむしろ消費にはプラスになるであろうというふうに私自身は考えております。
○多田省吾君 私の先ほどの質問に対する明確な答弁とは私は言えないのではないかと、このように思うわけです。 私申しましたように、今度の税制改革は増税減税ともに同額、プラス・マイナス・ゼロだと、このように政府はおっしゃっているわけです。です から私は、所得税におきましても減税される分は金持ちが大幅に減税されるのじゃないか。じゃその増税分はどこに行くか、全部低額所得者に来るんじゃないですか。それから、売上税を含めればはっきりそうなりますよ。高額所得者はあれですから、所得税や、あるいは株式売買、これは全部そういった所得を含めて大変な減税になるんですから。大法人もそうです。そしたら全部押しなべて見た場合に、じゃ減税分がそのように金持ちの方にずっと大きくなるんだったならば、増税は一体どこに行くだろうかと考えれば、売上税等を中心にみんな低所得者層に来るんじゃないですか。これは小学生だって計算してみればわかりますよ。アメリカ等においてはキャピタルゲイン課税等がきちっとしているんです。だから、最高税率なんか低いようでも、それ相応のやはり税金払っているわけです。この委員会においても法人税の問題で十数年前にやはり引当金とかあるいは準備金とかそういうものがたくさんあるために大法人ほどいわゆる実際払っている税額は少ないんだと、こういう論議が高まりまして、貸倒引当金とか退職給与等引当金の留保分を相当圧縮したと、そういう経緯もあったわけでございまして、それがまた私は続いていると思います。ですから、野党各党が言うように、やはりキャピタルゲイン課税の強化と、そういう方面をはっきりやっていかなければ本当の私は公平な税制改革にはならないと、このように思うわけでございます。 で、もう一点質問いたしますが、これからの経済にとりまして重要な問題でありますが、大手証券四社の経済研究所による企業業績見通しが先日出そろったわけでございます。それによりますと、六十一年度は全産業ベースで三十二年度以来二十八年ぶりの減収だと、二年連続の経常減益になるということでございます。加えて、製造業の経常利益の落ち込みが前年度比三七%から四〇%と言われております。また、我が国産業は極端なまでに好不況業種がはっきり分かれております。それに今回は一昨日以来の円が百四十八円台をつけるというような極めて厳しい状況下にございます。その上また、売上税を導入するということになりますと、企業だけではなくて、それに勤める人を含めまして国民生活にそれこそ複合的な、また相乗的な大きな影響を与えることは必至でございます。 そういうことで、やはり経済界にとっても私は売上税導入は大変なマイナスになる、こういう考えでございますが、いかがでございますか。
○政府委員(水野勝君) 今回の税制改革は、売上税もその一つの柱でございますが、所得税二兆七千億、法人税一兆八千億、合わせまして四兆五千億の減税がございます。一方、利子課税の見直しと売上税の導入で同じ額の増収が平年度ベースでは見込まれるわけでございますが、所得税の減税、法人税の負担の軽減、これによりまして勤労意欲、事業意欲等に好影響がもたらされ、これによって経済が活性化されることを私どもは期待しておるわけでございまして、これをまた経済企画庁のモデルによりまして算定いたしましても、経済全体としては実質成長を押し上げるというふうな結果も出ているわけでございますので、全体としての改革をごらんいただきますときは、経済にとってもプラスになるのではないかと考えておるわけでございます。
○多田省吾君 私はそれは大変な詭弁だと思うんです。売上税の税収額一つとっても、政府は平年度五兆円ちょっとだとおっしゃっておりますけれども、いろいろ非課税業者が課税業者に変わるとか、またいろいろなデータ等を細かに調べますと、一部においては七兆円を超えるだろう、あるいは九兆円を超えるかもしれないというような税収もあるかもしれない。こういう状況でございまして、私はそういう大蔵省とかあるいは経済企画庁の本当に国民をだますような試算、これは信用できません。また、先ほどの質問で私は大蔵大臣にお願いしたはずでございます。日本の経済界にも大きな打撃を与えるんじゃないかと、いろいろな試算を通じて申し上げたわけですが、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この売上税というのを、事業をやっていらっしゃる方々が自分で負担をするんだというふうに誤解しておられる向きがまだまだございまして、もとよりそうではありませんで、これは消費者が負担をする、価格に転嫁されると、その度合いも最大限に考えましても平年度で一・六%程度の消費者物価の値上げに等しいと、こういうことでございますから、経済界全体がこれによって何か大きな影響を受けるというふうにはどうも私ども考えておりません。そのことは売上税をいたしました国、我が国の周辺にもございますわけですけれども、見ておりましてもそういう結果にはなっておらないように思います。
○多田省吾君 私は消費者物価の上昇が一・六%程度にとどまるとは考えておりません。やはり一回ならず二回、三回、四回と私は物価上昇が到来するのではないかと、このように思っております。その上に納税コストなんというのが大変ですよ。百貨店やスーパー業界なんかに聞きますと、それこそ売上税の五%程度の納税コストがかかるんだとはっきり言っておりますよ。 それから、この前岩手県の参議院選挙区の補欠選挙がございましたが、その際も今まで自民党を支持していた印鑑業の方が言っておりましたけれども、もうゴムやあるいは木の材料にも売上税がかかる、写植にもかかる、その上にもう納税の事務が非常に煩雑になって、もう一人事務員を雇わなければならない、こんな売上税導入されたら商売上がったりだ、倒産だ、こう言って同志を集めて反対に回ったと、このようなことが報道されておりましたけれども、やはり納税コスト一つ考えてもこれは大変なものがあると私は思います。 また、税務署の方々も国鉄から来られた六百人の方だけで済むのか。イギリスも二年間準備して、しかも八千人余の税務署員をふやさざるを得なかった。そういうことを考えますと、今度の売上税は業者の方に全部納税を押しつけているようでございますけれども、大変な納税コストもかかるし、また人員も雇わなければならない、そういう姿になるんじゃないかと非常に私は心配しております。 時間もだんだんなくなりますので本案の方に入りますけれども、今度アメリカ議会には数多くの貿易法案が出されておりますが、いわゆる包括貿易法案のうち下院の歳入委員会では、下院の最も厳しい法案が通過したそうでございますけれども、随分速いと思うんです。今後の見通しと政府の対応をお聞きしたい。
○説明員(田中均君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、非常に情勢は厳しいということにおきましては私どもの認識も同じでございます。御案内のとおり、下院の歳入委員会で昨日包括貿易法案が成立いたしました。この法案自体につきましては、今後規則委員会、そういう一連の規則の改定を得まして本会議にかけられるということでございますが、私どももいつ本会議にかかるかということは定かではございませんけれども、四月の末ごろには本会議を通過するんではないかということが言われておるわけでございます。もちろん、アメリカの議会の中で最終的に貿易法案が成立いたしますには、上院の法案の審議も得なければなりませんわけでございまして、上院の方につきましては恐らく五月以降具体的な審議が行われるのではないか。これは上院自身にも包括貿易法案というのが提案されておりまして、その法案に基づく審議というものが行われることになろうかと思います。 私どもも、委員御指摘のとおり、法案の中にはいろいろな問題点がございまして、機会あるごとに議会あるいは行政府の要人に対して問題点を指摘してきておるということでございますけれども、もちろん我が国としての立場を主張するということは当然でございますが、他方、今の非常に巨額の貿易不均衡という中にあって、やはりいろんな意味で個別問題の着実な対応ということも含めまして、きちんとした対応をしていくということが基本であろうかと考えております。
○多田省吾君 それからもう一つ、十九日の上院本会議で日本の半導体メーカーが第三国市場でダンピング販売しているというようなことで、第三百一条に基づく対日報復を求める決議案というものが全会一致で可決したわけでございます。続いて下院でもわずか十分でこれを可決しているということでございます。この前第三国でいわゆるダンピングの状況をおとり調査でつかまったというようなことも報道されております。それ自体もいろいろ複雑な問題がありますけれども、半導体業界におきましては、やはり日進月歩だと、技術がすごく速く進んでいる、古いものはどんどん安くなるというのが我々も常識として知っておりますけれども、そういったことまでダンピングだと言われるということはちょっと大変なことではないか。もっと経済の面でよく話し合うということが必要ではないか。すぐそれが政治問題としてこういった国会決議になるというのは問題ではないかと思いますが、これはどのように考えておられますか。
○説明員(渡辺修君) お答えを申し上げます。 今先生御指摘のとおり、日米半導体貿易をめぐりましては、かねてより種々問題があったわけでございますが、昨年の九月以来、日米半導体協定というのを結びまして、日本からの輸出に関するダンピングを防ぐための各種のモニターをする、さらには日本へのマーケットアクセスを促進するといったような観点から、両国の半導体産業の共存共栄を図るための一つのアグリーメントができたわけでございますけれども、その後の経済状況の各種の変化もございまして、我々といたしましては極めて誠実に協定を遵守をいたしておるわけでございますが、当初予定した効果というのが出てくるスピードが非常に緩やかであると、こういうことで、今先生御指摘のとおり、アメリカの議会において上院、下院でそれぞれ決議が行われておるわけでございます。 本件をめぐりましては、現在アメリカ政府の部内で極めて近々いかに対処するかという議論が行われておるようでございまして、我々といたしましては、通産大臣からのレターあるいはその他各種のルートを通じまして、外交ルート等々を通じまして、我々がいかに誠実に履行しておるかといった内容をよく相手に伝えるとともに、これからもよく話し合って、おっしゃるように経済問題として本件を処理していく、それが両国にとって一番ためになる方法ではないかと、こういうことで今真剣に対処しておるところでございます。
○多田省吾君 おっしゃるように、アメリカ製品は故障が多いとか、あるいは逆にアメリカのコンピューターメーカーからは日本製品が満足に買えないという苦情が殺到しているとか、あるいは日本にもいわゆるアメリカ等の多国籍企業の半導体メーカーが大分あるわけでございまして、その輸出もあるわけでございます。ところが、ヤイター米通商部代表なんかは半導体問題でもう既に貿易戦争に突入するかのような発言もなされておりますし、貿易摩擦がますます半導体問題を通じて激化するような姿がありますので、今通産省のお考え聞きましたけれども、ひとつ大蔵大臣の御見解も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 直接の問題は半導体でございますので、今通産省から御説明がありましたように、通産大臣御自身も非常に関心を持たれて、これについての処理をなさっておられるようでございます。やはり一つ一つの問題について理性的に対応していくということが必要であろうと思いますし、我が国全体の開放体制といったようなものも推し進めていかなければならない。 同時に、やはり背景にありますのは、対日貿易赤字が非常に大きく、なかなかそれが減らないということがいら立ちのもとになっておるわけでございますから、我々としても国内の内需振興等々の方法によりまして、やや過度に輸出におぶさった形になっております我が国の経済のあり方も直していかなければならないと思っております。
○多田省吾君 今回の改正の中で輸入たばこの関税率をゼロにするということが提案されております。今までは現行一〇%プラス千本について三百四十二円ですから約二〇%であったわけでございます。この点に関しましては、さきの専売改革五法案採決のとき、それから昨年度の租税法案の採決に際しましても、製造たばこの関税率水準の維持については本委員会でも附帯決議を行っているところでございます。ところが、この附帯決議に反して今回の提案が行われている。既に昨年十月の日米協議のときに恐らく無税の方向が明らかになっていたにもかかわらず、その報告も説明もなく、突如としてこの法律案という形で出されたわけでございますが、我が国たばこ産業への影響、その対応を含めましてその経過をお聞きしたいと思います。
○政府委員(大橋宗夫君) 日米たばこ協議につきましては、一昨年九月に米国が我が国のたばこ市場に不公正があるということで、通商法三百一条を発動いたしましたことを契機といたしまして、昨年三月以降、両国間で行われてきたわけでございます。 政府といたしましては、我が国のたばこ市場に不公正があるというふうには考えておりません。また、現行の製造たばこの関税率の水準及びたばこ事業法の製造に関する規定について、これを維持するよう努めるという趣旨の決議を、これは衆参両院の大蔵委員会でいただいておりますので、その趣旨も踏まえまして累次の協議に当たったところでございます。しかしながら、米国側は、大幅な対日貿易の不均衡が生じていること、また我が国市場に占める外国たばこのシェアがたばこの輸入自由化、これは六十年の四月でございますが、その後も依然として二%台にとどまっていたこと等を背景といたしまして、一層の市場アクセス改善のため、関税率の無税化と製造独占の廃止のいずれかを実施するよう強く要請してきたわけでございます。 このような状況のもとで、政府といたしましては、保護貿易主義の台頭を防圧し、自由貿易体制の維持強化を図るという大局的見地に立ちつつ、また我が国たばこ産業の現状も踏まえまして、葉たばこ耕作農家を含む我が国たばこ産業を支えております製造独占につきましてはこれを維持することといたしまして、関税率を無税とすること等により、昨年十月に決着を図ったものでございます。 関税率を無税といたしますと、輸入たばこの価格競争力が強化される、これを通じまして我が国たばこ産業に影響を及ぼすことは否定できませんが、その影響につきましては、今後の推移を注意深く見守りまして、仮に将来輸入が著しく増加する等によりまして我が国たばこ産業に深刻な影響が生ずるような場合には、情勢に応じ適切に対処してまいりたいと考えている次第でございます。 この間、国会に対して御報告をしなかった点につきましては、先ほども大臣から、おわびといいますか、遺憾の意を表明されたところでございまして、今後は十分気をつけてまいりたいと存じております。
○多田省吾君 それから、アルミ三品目についても関税率引き下げが出されました。国内のアルミニウム製錬産業はこれらの措置で対応できるのかどうか、雇用悪化まで影響が及ぶのではないかと思われますが、どうでしょう。
○説明員(河面慶四郎君) お答え申し上げます。 御指摘のアルミニウムの塊及び板、帯の関税につきましては、日米関係の全体への悪影響を避けるというふうな大局的な見地に立ちまして、昭和六十二年度からの引き下げにつきまして、一昨年十二月とそれから昨年十月、米国側と話し合いをいたしまして合意した次第でございます。 我が国のアルミニウムの製錬業は従来から構造改善努力を行ってきておりまして、政府としましてもそのための各種の支援を行ってきたところでございます。しかしながら、引き続きますアルミニウム地金の市況の低迷、それから円高の進行といったことでございまして、国内のアルミニウム地金生産は縮小せざるを得ないというふうな厳しい状況でございます。 雇用面でございますけれども、縮小していきました製錬企業におきましては、他の事業部門への配転とか親会社への吸収、あるいは関連企業への再雇用等、そういうふうな努力を行っておりまして、雇用への悪影響は避けられるというふうに考えております。
○多田省吾君 最後に大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、毎年私もお尋ねし、また附帯決議も出ておりますけれども、輸出入貿易の振興に伴って税関における業務量が非常にふえております。加えて昨今は、覚せい剤、鉄砲等の取り締まりも、大量化、巧妙化が進みまして、大変な混乱の中に目覚ましい実績を上げておられますけれども、その強化と対策のための業務量も増加しているわけです。税関職員の特殊な職務を十分考慮されて、その要員確保それから処遇改善、これを最善の努力をお願いしたいと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点につきましては毎年御関心をお寄せいただきまして、ありがたく存じております。 貿易がふえ、また出入国の人々もふえ、さらに、ただいま御指摘のように、いわゆる社会悪等々に関する、密輸取り締まりの重要性も大変に増してまいりまして、税関の職員は非常に多忙をいたしております。業務運営の効率化あるいは機械化等につきまして十分心がけまして、なおやむを得ない部分につきましては、要員の確保について努力をいたしたいと存じます。
○近藤忠孝君 今回の税制改革につきまして、大臣は先ほど来、この税制改革は消費にプラスするという発言があるわけでおりますが、その根拠は、要するに問題は、どの階層に減税の効果がいき、また増税の影響がいくのか。そういう意味では、所得階層別負担の試算が大変大事だと思うんです。その点につきまして、私は、昨年十一月のこの委員会で、十七階層に分けたものを示しました。大体年所得九百万のところでとんとんで、それ以下は、所得が少なければ少ないほど負担割合はふえる、あとは、一千万を超えますと負担の割合が減っていくという、こういう試算を示しました。それに対して、大蔵省側の反論としては要するに法人税はすべて個人に帰着する。二分の一が消費者、要するに価格の引き下げ、そして二分の一は株主へ行ってやがてこれも個人に行くとこういう前提で計算をいたしまして、それでほとんどの世帯で負担が減るという、こういうことなんですね。その後の国会での議論も進みまして、大蔵省が前提にしている理論的根拠はマスクレイブあるいはベックマン、そういう学者の研究によったものだと言っておるんですが、この学者の研究の結果がどうして二分の一が消費者へ、二分の一が株主へ、そして個人へと行くのか、その点まずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 法人税の転嫁論につきましては学説としてもいろいろあることは御指摘のとおりでございます。 今回の税制改革に当たりましては、その中での法人税の扱いにつきましては、転嫁の理論、経路、そういったものにつきまして、帰着の経路等につきましていろいろ議論はございますとしても、結局すべての租税負担というのは個人に帰着するという極めて基本的な財政学の出発点から出ておるわけでございまして、法人税も経済の中でこれが軽減になり、それがいろいろな経路をたどって最後は税負担がすべて個人に帰着するとすれば、法人税も個人にそれを配分して税負担の変動を検討していただく。その場合に、確かに半分ずつという学説もございますし、三分の二と三分の一といったような学説、あるいは六〇%、四〇%という学説もございます。そこらの点につきましてはいろいろ実証分析もあり諸説あるわけでございますが、これが個人に帰着すべきものであるという前提からすれば何らかの形で割り振ることが適当であり可能ではないか。そういたしますと、一番典型的な財政学の教科書でございますマスクレイブの一つの仮説をかりまして半分ずつに割り振っておるということでございます。
○近藤忠孝君 今主税局長の言われた財政学という確かに教科書ありますね、それは「アメリカの財政構造の帰着」という、その章の中で、これもあくまでもそういう仮定を置いた試算なんです。しかし、そのすぐ後では配当所得に帰着の場合など五つの事例です。ですから、その場合は五つありまして、一つが二分の一資本所得、二分の一消費——今言ったものですね。二番目が配当所得。三番目が全部資本所得に行く。四番目が全部消費に行く。五番目は二分の一は資本所得、四分の一が消費、四分の一が賃金。いろんな場合があってそれぞれその影響計算をしているんですね。これはあくまでも一つの試算にすぎない。 それからもう一つ、ベックマンの場合もその著書でやっぱり五つの可能性を挙げています。ところが、その中では二分の一が資産所得、二分の一が消費へという、その仮定は最も累進性の低い極端なケースだと仮定しておるんですよ。 ですから、私はこれらの学者の理論から、大蔵省がとっている二分の一云々、二分の一ずつ行くと、これは二分の一がどちらへ行くかで相当違ってきますからね、影響というのは。ですから、そういう点ではこれらの学者の説からは二分の一ずつというのは出てこないんです。どうして出てくるのか、この点御説明いただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げましたように、最終的な帰着についての経路、割り振り等につきましてはもろもろの説あり、実証分析ありということでございますが、今回はとにかく何らかの形で大ざっぱにしろ割り振ってみる必要があるということから半分半分といたしたと。これは直ちにこれが六十二年度なり六十三年度なりに個人にその分が帰着してまいるということではございませんで、経済の中にこの新しい税制が定着した結果としてすべての税が個人に帰着した場合のその効用、非効用をどういうふうに見ていただくかという、ある意味では回り回っての話でございますから、半分と半分、あるいは〇・二五、〇・二五で〇・五というベックマンのような考え方もある。いろいろございますが、そこは余り精緻にやりましてもめぐりめぐっての話でございますからいかがと。そういう意味におきましては、マスクレイブがまず典型的なものとして対象としております半分ずつというのにいわば簡単な形で割り振らしていただいてお示しをいたしておるということでございます。
○近藤忠孝君 これは私は後で申しますけれども、どの割合でどこへ、例えば資本の方に行くのかあるいは消費者の方に行くのか。その計算でこれは随分結論違ってくるんです。これは後で申し上げます。 それからもう一つは、だんだんに上がっていくというので、それは一昨日、衆議院の我が党の工藤議員の質問に対して学者の説は定説がないことを認めると同時に、これは転嫁ではなくて帰着だと、帰着は一年では無理で完全に計算どおり還元されるには十年ほどかかると、十年ほど先の転嫁じゃなくて帰着を今のこの税制改革で問題にしておるんですよ。十年たったらまた情勢がらっと変わっちゃいますよね。今問題は、国民にとっては今回の税制改革がことし、来年、あるいは再来年、今の生活にどう関係があるか、そういう点でみんな判断するんですから、十年も先の帰着——転嫁じゃなくて帰着と。転嫁と帰着がどう違うのか、その御説明をいただきたいけれども、十年先の話を今ごろ持ってきて、それは全然説明にならぬじゃないですか。
○政府委員(水野勝君) 十年と申し上げたのは、これは法人税について申し上げたわけではございませんで、今回の四本の柱の中で例えば利子課税、これは完全に平年度化するのは十年かかる。と申しますのは、郵便貯金の最長の預入期間が十年でございますから、そういったものも考えますと、利子課税につきましては十年かかる。でございますから、お示しいたしておりますのは、全部が六十二年度なり六十三年度に個人にその分だけ懐に入るという、正確にはそういうことではない。それは利子であり法人税であるという例として申し上げたわけでございますが、十年というのは法人税につきまして申し上げたわけではございませんで、利子について申し上げたわけでございます。 しかし、その中ではっきりいたしておりますのは、所得税は一番はっきりしているわけでございまして、これはお示しいたしておりますように、六十二年度、六十三年度には必ずそれは懐に入るということで、その点においては法人税、それからまた利子課税というのは若干違う点のあることを申し上げるために十年と言ったわけでございますが、決して法人税のことも十年と申し上げたわけではございません。
○近藤忠孝君 私は所得税のことを問題にしているんじゃなくて、法人税の転嫁の問題で、今のは問題だと思うんですね。先ほどのは、私はアメリカの例で申したんですが、アメリカの例がそのまま私は日本に当てはまるわけではないと思います。アメリカと我が国とでは、企業の市場支配力、それから産業構造、それから株式の保有形態なども違いますよね。日本の場合の株式保有形態というのは法人が三分の二、個人が三分の一ですから、個人に配当になったってやはりそれは三分の一が個人のところに行くんで、三分の二はまた別のルートをたどりますからね。そういう意味では、やがて最終的には十年か二十年か先に行くかもしれぬけれども、そんなものは今の税制改革には関係ないことだと思うんですね。そういう意味では学者のそういう仮説を、アメリカの例を日本に持ってくるという、そういう点が大変問題だと思うんです。 それはそれとして、じゃ仮に大蔵省の言うように法人税がすべて個人に転嫁、あるいは帰着するという、そういう仮説が正しいとしますと、法人が現に抱えている法人税、これはすべて個人に転嫁もしくは帰着しますね。そうすると、要するに法人は何ら負担をしていないと、そういうことになります。これが法人税の転嫁の問題です。大蔵省はそういう理論をとって、そしてそれを試算に使っている。となりますと、これは私は中曽根さんの自民党の税制改革推進全国会議においての発言と違ってくると思うんです。中曽根総理が言ったことは、法人税が高くなるとみんな大企業は外国に本社を持っていってしまう、企業が流出しちゃう。ということは、その前提としては、要するに法人税はその企業が負担をする、それが高いから打っちゃうんでしょう。しかし大蔵省は、中身はいろいろ今問題はあるけれども、基本として転嫁もしくは帰着という理論に立ては、企業が法人税負担しないんですから、幾ら法人税上げましても、それは全部消費者におっかぶせればいいんだから、またおっかぶせるんでしょう、大意省の考えからいけば。そうしたら中曽根さん——余り中曽根さんは税に強いとは申せませんけれども、それは別として、それは全然間違ったことを、大蔵省とは違った見解を堂々と述べられたということになりませんか。
○政府委員(水野勝君) その点は委員から先ほど御指摘のございました転嫁と帰着の話とも関連をしようかと思うわけでございます。もう先生御承知のように、間接税と直接税とがございますが、間接税はあくまでその御負担をおかけしたときに、立法する側の考え方としてこれが直ちに次の他の個人と申しますか、他の機関にその負担を移していただくことを予定しておる、これが間接税であろうかと思うわけでございます。それに対しまして、あくまで立法者は、それがどこへすぐに移されるかということにつきましての考え方は示していないのが直接税であろうかと思うわけでございますが、と申しましても、法人税なりあるいは所得税なり、社会保険税がそのままその人の御負担に最終的にとどまるかどうかということは、これはまたいろいろな経済諸情勢によって変わってくる、それが帰着の問題であろうかと思うわけでございますので、一般的に言えば直接税というのは、やはりまずは第一次的にその御負担をお願いした方の負担になる。 そういう意味からして直接税、間接税の議論があり、先ほどの法人税の議論にもなろうかと思うわけでございますが、この時点におきましてかなりな抜本的な税制改革をお願いをしようというときには、最終的にはすべての負担が個人の効用に影響するとすれば、個人に分解してやはりお示しを申し上げるのが私どもの責務であろうかということから、帰着の結果として、どのように落ちつくであろうかという姿をお示ししているというふうにおとりいただければと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 答弁者が違っておったようです。中曽根さんが自民党の集会でしゃべったことを主税局長に答えさせても、責任の問えない問題だから、それはやっぱり大蔵大臣から今の話はお答えいただきたいと思うんです。 今の問題、要するに中曽根さんは、法人税は結局企業が負担する、余り税金高くしちゃうとみんな外国に逃げちゃうからそこそこにしているんだ、むしろ減税するんだと。だけれども、今私と主税局長で議論をしているのはそうじゃなくて、転嫁か帰着がはいろいろあるし、その中身は必ずしも明確でない。明確でない問題はまた後で私は指摘をしたいと思うんです。これは別の問題だし、大体大蔵省の試算の根拠のなさを自白したようなものだから、それはそれでいいと思うんだけれども、しかし今言った、ある意味では間接税的な要素が一間接税とは申しませんよ、しかし全部結局はその法人が負担をしないで消費者の方へ行くわけですから、間接税的な要素があるんですね。となりますと、大蔵省よく言う直間比率の関係は間接税の比率が少ない。これはやっぱり税制改革の一つの理由になっていましょう。転嫁できあるいは帰着して法人が負担しないんだったら、そんなことを心配する必要はもともとない。大体、今回売上税などで間接税をそんなに増税する根拠そのものが崩れていくのではないのかと思うんです。この二つの矛盾、ここでどうお答えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 法人税の減税分が個人に最終的には帰着をするんだという理論を申し上げましても、いやそれはおかしいという御反論の中に、法人というものは一つの人格として存在しているのだと、仮に新日本製鉄なら新日本製鉄。それは一つの最終的な存在であるというそういう御理解があって、なかなか申し上げることをお認めいただけないんだろうと思いますが、そのことは即、言ってみますと、その法人にとっては法人税減税というのは何となく自分たちが減税を受けたというふうに考える。実際経営者の方はそう考えるでございましょう。ですから、それはその法人の経済活動にとって非常に有意義でございますから、法人税の減税というものを求められる、あるいは歓迎されるということであると思うんです。 経営者の意識の中には、ひょっとすると毎日毎日、御自分の会社であるというふうに思っていらっしゃる方が少なからず私はおられると思います。今度アンケートがありましたときに、その法人減税が個人に行くと思うかということに対して、そんなことはないだろうと答えられた経営者はたくさんおります。だからそんなことはないんだとおっしゃるので、私はそこは違うので、経営者はそういう意識でいらっしゃる方が確かにおられましょう。しかし、この自由経済の競争社会においてはお互いに日本人同士が競争しておりますから、結局減税があったときにそれは価格の引き下げになるとか、あるいは配当がふえるとか、あるいは雇用、賃金に関係があるとか、あるいはその研究費でもよろしいのでありまして、研究費になったとしても最終的にはそれは何かになっていくわけでございますから、経済的な現象としては、つまり経営者御自身の意識とある意味でかかわりなく、経済現象としては明らかにこれは個人の方に時間がかかりますけれども帰属していくんだ。その法人というのはこれは株主のものだということを申し上げましたら、そうでないとおっしゃる経営者はいないはずでありますから、そこからも私は明らかなことであろうというふうに思います。
○近藤忠孝君 経営者の意識の問題だという、これは民間労働組合のそういう調査結果に対して大蔵省は、今大臣言われたように、意識じゃなくてやっぱり実態が問題だと、実態としてはやはり個人個人がそういう負担をするんだということですね。だとしますと、今度は自民党の大蔵大臣として聞いてほしいですね。中曽根さんはそれは全部法人が負担をすることになるんだから、みんな法人税を高くすると外国に逃げちゃうので、だから法人税はむしろ下げるんだと。中曽根さんはちょっと宮澤さんとは違うお考えですね。その点は、これは主税局長にちょっと無理な答弁だから大臣にお願いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは結局二つの見方というんでございましょうか、恐らく総理大臣が言われましたのは、法人というものはやっぱり一つの存在である、したがってその経営者は法人税が減税されるということを有意義だと考えるし、また法人の経済活動が活発になる、そういう点に着眼して言われたものと思うんです。それは別段間違いではない。ただ、その法人というものは最終的に何か空中にあるものかといえば、それは結局やっぱり一人一人の株主が持っているものだということは、これは否定のできないことではないかと思うんです。
○近藤忠孝君 この法人税の額が企業活動にどういう影響があるかというのは、私はまさしく法人税の転嫁の問題だと思うんですよ。今までずっと主税局長と議論してきたように、また今大臣も認められたように転嫁できる、あるいは帰着ということでもいいんですが、個人が負担するような一企業としては負担しないんだから、あとは時間の問題です。十年も先のそんな帰着なんというのじゃ私は全然問題じゃないと思うけれども、一定の時期に帰着をするというんですよ。だからこそ大蔵省の試算では、各家庭で多くの世帯で負担が減るんだと、税制改革の結果、ということになるんですかな。しかし中曽根さんはそういう考えじゃないんですよ。そういう考えでは、中曽根さんのようにそんな企業はみんな外国に逃げちゃうぞというようなことを言う必要ないんですよね。そうでしょう。だから私は、宮澤大蔵大臣——宮澤さんは私も認めますが、まさしく大蔵出身であるし、税の専門家だと思うんですね。中曽根さんは、その点は素人だから恐らく宮澤さんの方に軍配を上げるべきだと思うんだけれども、となれば、大蔵大臣の口から中曽根さんは間違ったことを言ったというのは言いにくいかもしれぬけれども、それはやっぱりそういうことになるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは例え話をしてそれでは申しわけございませんけれども、株主総会で経営陣が株主に弊社はと言うときに、やっぱり経営者は何となく自分の会社であるという意識を持っていらっしゃるんじゃないでしょうか。外国のようにユアカンパニーと株主に言うときは、これは株主のものであるという意識なんじゃないでしょうか。両方とも両方の意識が私はあるんだと思うのでございますが。
○近藤忠孝君 大体例え話を言うときは逃げるときの……。経営者の意識の問題ではないということは大蔵省自身が否定されているんですから、私は今の答弁は中曽根さんをかばう余りの窮地に陥った答弁と、こういうぐあいに受け取って次に進んでいきたいと思います。 私は、今の学者の見解等々との関係で、大蔵省がこの税制改革で国民に示すべきことはそんないいかげんな、またあるいは外国の例のいわばこれは片言隻句ですよ。そいつを引き写して国内に、消費者に二分の一、株主に二分の一というようなことで試算をして、国民にあたかも増減税同額が逆に負担減なんだというようなことを思わせることは、私は正しくないと思います。むしろもっと具体的に、ここからが大事なんですが、この租税の転嫁の理論、私は確かにあると思うんです。また、大事な理論だと思いますが、この学説をむしろ発展させまして、そして租税政策でそれが転嫁の結果、どういう所得分配効果を持つのか、むしろ実証的に研究すべきだと思うんですが、大蔵省はそういうことをやっておるのか。まあやってないと思うけれども、やっているのかどうか。それから日本にそういう問題について研究している実証的研究はあるのがないのか、この点はどうですか。
○政府委員(水野勝君) 先ほどの点につきましては、総理のお話、それから今大蔵大臣の申し上げましたことも同じことでございまして、まさにそのように経営者としては考え、考えるだけでなくて、法人税がふえたらそれは税引き利益がどうなる、そこらを出発点にいたしまして、いろいろ経営者としては判断をし、あるいはそれに対応する努力もしなければならない。そういうことからすると、全く自然の経済の流れの中で転嫁するなり帰着していくのであれば、問題なしとして腕をこまねいているわけではございませんので、やっぱり法人税制というのは企業にはいろいろ大きな影響を及ぼすということは、これはこれで否定できないことでございますので、私どもの申し上げていることは、すべて一貫しているのではないかと思うわけでございます。 それから転嫁の点につきましては、今回の分析も一つでございますが、法人税の性格論なり、その負担の帰着の姿につきましては、長い間の一つの検討課題として、この二十数年来いろんな角度から検討が行われておることは事実でございますが、世界の学説でもそうでございますが、日本の学説、分析でもはっきりした、確定した経路、その計数等につきましては必ずしも得られていないというのが実態ではないかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、二分の一消費者へ、二分の一株主という論拠もこれは怪しくなってくることになりはしませんか。
○政府委員(水野勝君) おっしゃるとおり、日本の学説でも株主には六〇%、消費者には四〇%という説も少なくございません。これは先ほど申し上げたところでございますが、今回は端的にいわば簡明な姿でお示しをするということからしますと、どの説によったと、こういう分析結果によって、よったということで申し上げますよりは、一番典型的な教科書に従ってお示しをしたということではなかろうかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 私は法人税の転嫁の問題を勉強しまして、私なりの結論を申しますと、転嫁する部分があると、これは認めます。今までの議論はどちらかというと、転嫁するという大蔵省に対して、転嫁しないと、いわばあるかないかというようなそういう議論で、それで大蔵省は徹底抗戦をして、あるんだあるんだと、中身はわからぬけれどもあるんだというような答弁だったと私は思うんですが、私も勉強した結果、そういう硬直的な議論ではなくて、私はあると思います、大蔵省と考えが全く違うんですがね。 私の到達した結論を申しますと、法人税について増税の場合は転嫁される、そして減税の場合には転嫁されない。それは全くそうなんです、どうですか。じゃ近藤学説でもいいんですが、この近藤学説が全くの暴論で、全く珍論であるかどうか、どうですか、大臣。
○政府委員(水野勝君) 委員のような御見解を学者としても持っておられて、これが可逆的なものであるかどうかについて確かに御議論のあるところでございますが、しかしいずれにいたしましても、法人税の増減によりまして税引き後利益が増減するということは事実でございまして、それが配当の支払いに向かうのか、税引き後利益一定という企業行動からしますれば、賃金なり物価の方に向かうのか、とにかくそれでもってすべての事態が今までと同じということではございませんので、賃金にも配当にも回さないということであれば、内部留保が充実される。それはそれで設備投資に向かえばまた利益の増加になり、全体としての景気を上げることにもなるかもしれない。それからまた、内部留保が大きくなればその分だけ株価の上昇に反映されるとすれば、いろんな形を通じてとにかく法人税率の変更があれば、経済全体なり個人へ影響があることは、これは増の場合も減の場合も否定をできないのではないかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 私の到達点が決して暴論ではなくて、有力なる学説とは言わなかったけれども、まあそれなりの到達点であるということをお認めになって、これは常識だと私は思うんです。ところが、これが極めて有力なる学説なんです。これから御説明いたしますがね。 常識的に考えまして独占企業はやっぱり市場支配力が強いですね。これはいろんなコストと同じように法人税についてもこれを価格に実際に転嫁しています。増税のときは、さらに価格引き上げなどによって消費者に転嫁することが容易にできます。逆に今度減税の場合、これが価格引き下げに回るかどうか。これはやっぱりもう独占企業の今度は経済上の力からいきますと、要するにいわば市場支配力ですから、市場支配力で転嫁する。となると、逆に市場支配力から見ますと、下がった場合にはそれは価格には反映しないで、むしろそれは内部留保その他に回っていくことになる。場合によってはそれは配当の方へいくかもしれませんね。となりますと、消費者、国民という面から見てみますと、要するに減税の場合には転嫁はしない。むしろそういうのが、私は例外があると思うんですよ、例外はあるけれども、大きな方向としては、増税の場合に直ちに転嫁される。主税局長が言うような帰着のような問題、何年先かわからないんじゃなくて、それはもうほぼ確実に、特に大企業の市場支配力によっている場合はそれは転嫁します。それに対して逆の減税の場合はそれはむしろしない。ということは、これはやっぱり私は一つの経済法則上出てくることだと思うんです。これが法人税の転嫁に関する非対称性という一つの考え方なんですね。これは私は有力なる学説と言ったのは、マスクレイブ自身も主張しています。ここにその著書がありますが、これはマスクレイブとクルジザニアクの共著ですが、一九六三年に書いた書物の中で、法人税の増税は一〇〇%以上の過剰転嫁を示すが、減税の場合は転嫁ゼロである。要するに非対称性の結論をこれは出しておるんです。この事実またこの理論、これはお認めになるでしょうか。あわせて私の指摘がこれはまさしく有力なる学説と一致しておるということになると思うんですね。
○政府委員(水野勝君) 確かにマスクレイブ、クルジザニアクの分析の検討結果は、そういう数字が出ているというあれもあるわけでございますが、これにつきましてはリチャード・グードその他のまた批判もあるわけでございまして、その対象となった期間が大戦時とかかなり需要過多の背景を持っておる、そういった点を十分うまく区分できているかどうかについては必ずしもはっきりしないという批判もあるようでございます。 また、日本におきましてもかつてこれと同じようなモデルをつくりまして分析いたしましたところ、昭和二十年代から三十年代の半ばにかけまして、二〇〇%転嫁しているというふうな結論を出された分析もあるわけですが、これもまさに日本が高度成長時代で需要過多の時代であったのではないか。それに対しまして、現在のような時点と申しますのは、むしろ需要過多というよりは物が豊かな物余りの時代、こういう時代とはまたまたその背景はかなり異なるのではないか。先生のお話ですと、増税と減税という対称性、非対称性の点を言われておるわけでございますが、むしろそれは背景となる経済情勢ではなかろうかと思うわけでございまして、そういう点からいたしますと、なかなか一言で簡単には申し上げられない。しかし、先ほど大臣から申し述べましたように、結局は今の社会が非常に完全に近い自由競争社会であり、需要と申しますよりは軌しろ供給側の競争が激しい時点におきましては、それだけ転嫁しやすい、シフトしやすい環境であるとも言えるのではないかと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 ちょっと答弁を先走ってもらっては困るんです。それは、私の次の次の質問に対する答弁です。私が質問したのは非対称性、局長が答えたのは逆対称性ですよ、そうでしょう。増税の場合には二〇〇%転嫁し、減税の場合には二〇〇%逆になっちゃうんだから、それは逆対称性と言うんです。そういうことを主張する学者もおる。私が今言った非対称性ということじゃないですよ。 私の質問は、そういう非対称性の理論が現にあるし、しかも極めて有力な学説一まあ外国では幾つか反論があるかもしれぬけれども、日本の場合に当てはめて、この非対称性というのはやっぱり十分認められるだろう。だから、増税の場合には負担が転嫁できるけれども、減税の場合には、あるいはそのままでもいいですけれども、あるいは株主に行く、これでもいいけれども、一般消費者関係では、むしろ転嫁あるいは帰着が行かない、これが非対称性ですが、こういう理論があり、極めて有力であり、またそれは十分考えられる。その段階でひとつとめておいてほしいんですが、どうですか。
○政府委員(水野勝君) まさに、先ほどお話にも出ておりました経営者の意識と申しますよりは背景となる経済情勢でございますので、転嫁が増税と減税でそれが非可逆的であると言えるのかどうかにつきましては、私どもにわかにはどうもという感じでございます。
○近藤忠孝君 にわかにはどうもだけれども、しかし真っ向から否定はできないでしょう。これは間違っている、そういう理論はとり得ないという確固たる信念があり、理論があるのなら言ってくださいよ。
○政府委員(水野勝君) それは逆に申しますと、非常に好況で、法人企業の利益が伸びているどきには、むしろ立法者としては増税をお願いすることが多いわけでございまして、そういう場合には増税をお願いしても余り利益が減らないということは、それは転嫁されているんだと、結果的、事後的に見ると、そういう分析をされる。先ほどのマスクレイブの分析は多分にそういうことが影響されているんじゃないかというのが批判者の一つの考え方のようでございますので、増税だから、減税だからということで言えるのか、端的にはやはりその時点での経済動向であり競争状態ではなかろうかという気がいたしますので、減税、増税で割り切られる先生の御説にはどうも御賛同いたしがたい気がするわけでございます。
○近藤忠孝君 賛同できないだけの話であって、それは完璧には論駁できないですよね。大蔵省にこれは昭和三十九年税調起草問題小委員会の専門委員の報告書があります、古田精司さんの。この古田精司さんは、あなたが言われた逆対称性を——現にこれはマスクレイブの理論を発展させて日本で展開されている方ですね。その古田精司さんの法人税転嫁と法人税制のあり方という報告書が出ていると思います。それから、これは木下和夫さんがまとめたものでして、法人課税に関する意見調査報告書、この資料を要求したんですが、お出しにならないんですよ。大臣、せっかく税調内で議論され、これだけの、しかも私が今言ったことに関係する部分だと思うんですよ、それを幾ら主張しても出さないというのは、大蔵省は不利な資料は全部隠しちゃって外へ出さぬとしているのかどうか。大事な時期ですから、これをひとつ出していただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 税制調査会の中のまた専門小委員会といったような形で、極めて個々の学者の先生の方々の部内的な検討資料でございますので、これはそうした検討に参加された方々のかなり個人的な色彩も強いところでございますところから、公のものとしてこれを扱ってお示しをするということにつきましては、御理解を賜ったところでございます。
○近藤忠孝君 大蔵省が今二分の一消費者、二分の一株主という立場でいろいろ計算していますから、そういうことは論拠がないんじゃないかということで、今言ったようなことを私は申し上げたんです。逆対称性あるいは非対称性、これに対して、それを否定されるだけの論拠はなかなかないようです。経済情勢を反映する、それはそれでいいと思います。しかし、税調でそういうことが議論になったし、この古田精司さんは、最近の税調でも、専門委員ですから恐らく発言していると思います。そういったことが十分税調の中で議論が出ているにもかかわらず、それを尊重しないというのはやっぱりおかしいんじゃないかと思うんですね。そういう議論があれば、税調内あるいは政府の中では必ずしも二分の一、二分の一なんという態度をとり得ない。これがやっぱり実情じゃないかと思うんですよ。 特に消費者側にそれが転嫁されるなんというそんな前提で計算をし、国民は負担が減りますなんという、いわばこれは今日の税制改革の一番中心的な問題の一つじゃないですか、そんな論拠に使うことは私はとんでもないことだと思うんです。この資料を出すことと、今言った私の質問に答弁していただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 先ほどから申し上げておりますように、租税負担は、結局抽象的な法人なり、そうしたものが最終的に負担をすることでなく、あくまで租税負担と申しますのは個人の問題であり、いかにして犠牲を最小にしつつ最大の効用を得るように個人からお願いをするか。そのお願いの仕方としては、企業にお願いする場合もあれば、流通、取引段階にお願いをすることもあれば、もろもろの取引のいろんな形のところでお願いをする場合がある。しかし、最終的な御負担というのは、結局は個人個人に帰着するものであるというのがどうも財政学の基本的な考え方のようでございますので、税制の本格的な、抜本的な改革をお願いをする以上は、そこはどのように個人に配分されるか、帰着されるかという点につきましては、やはりお示しをしないと私どもとしてもいかがなものかということで、一つの方法を選択して試算を申し上げているということでございます。
○近藤忠孝君 その大事な試算が決して論拠のあるものじゃない。大蔵省が言っているマスクレイブなどの意見とは必ずしも一致しないし、大事なことは、マスグレイブや古田さん自身が非対称性を主張している。これは単に私が先ほど言ったような近藤忠孝の学説じゃなくて、こういう有力なる人が先ほど言ったことと同じことを言っている。これはお認めになるでしょう。そこだけ答弁してください。
○政府委員(水野勝君) いろいろな分析におきましても、結局は具体的なある一つの時代をとらざるを得ないとすれば、増税がずっと行われた時代をとっている、それが減税の場合にそのまま当てはまるのかどうか、そこはなかなか問題のあるところではないかという気がするわけでございます。
○近藤忠孝君 いや、学者がそういうことを言っているかどうか。
○委員長(井上裕君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(井上裕君) 速記を起こして。
○近藤忠孝君 私は学者がそういうことを言っているかどうかを聞いたんですが、それに対する率直な御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) そういうお説の方もおられると思います。
○近藤忠孝君 いや、それは有力なる学者であるということは、もう今までの議論の中で明らかです。一応それを前提にして私なりに、法人税は転嫁されると、その点では大蔵省の主張を認めてあげているんですから、そういう立場で計算をしてみました。 要するに、非対称性を前提にします。そこで、法人税減税額一兆八千億円、これは消費者ではなくて、すべて企業利潤あるいは株主に帰着する、こういうぐあいに考えた場合の所得階層別影響を配ります。試算してきましたので、ちょっとこれ。 〔資料配付〕○近藤忠孝君 株主に帰着を認めたからというので大臣、喜ぶのはちょっと早いんでね。この計算は、これは去年お示ししたものをさらに補充したものでございます。私の試算は、法人税減税一兆八千億円を東証の時価発行総額三百兆円で割って、時価一円当たりの減税額を算出します。これはその表の一番下にあるとおり〇・〇〇六になります。それを各階層別の株式保有額に乗じて計算したものであります。これで見てみますと、下から四番目のところがまず株式保有額、そして株主への帰着、年所得二百万以下はゼロ、二百万から二百五十万で百円、だんだんふえてきまして、年所得八百万から九百万で六千百円、そして一千万を超えた階層では一万七千円という帰着が生じます。これはある意味では法人の株保有三分の二、個人三分の一というところにほぼ見合うんじゃないかなと思うんですが、ただその結果、法人株主への還元分は、これはずっと先に将来出るかもしれぬけれども、今問題は現在の税制改革の影響はどうかということだから、これは考えません。そういう点で計算をしてみたところ、今言ったような結果になるんですね。そしてあと所得税、住民税の負担減は、これは前回のとおりです。マル優廃止、そして売上税の負担増、マル優廃止は前回と、若干違ってますけれども、ほぼ同じ計算になります。売上税の方は、去年の十一月段階ではまだ非課税品目がはっきりしていなかったこともあって余り詳細でなかった。今度それも法案に即して実際に計算をしてみた結果、税の差し引き増減税、下から三番目のところで出てますね、ゼロから百五十万のところで四万四千四百円の負担増、若干下がったところがあるけれども、また上がっていって、年所得三百万ぐらいのところから大体五万円台、そしてちょうどとんとんぐらいになりますのが前回と同じように年所得九百から一千万のところで若干減り、あと一千万を超えると大幅に負担が減っていくという、結局この法人税の帰着を考えましてもやはり低所得者には負担は重く、所得がふえればふえるほど負担は軽く、そして一千万を超えれば大幅にそれは軽くなっていく。こういう結論が出ることは、これは明らかなんですね。 そこで大臣、やっぱり今回の税制改革が消費者にプラスになるということは本当に言えないんじゃないか。大蔵省の言うようなものを、個人の帰着を考えたってやっぱり言えないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(水野勝君) この分位の数字をもとにいたしました分析といたしましては、前回も申し上げましたが、そのサンプル数やその配分、それからまた年間収入のとり方、これらの点につきまして私どもとしてはかなりな疑義があるということから、この階層による分析につきましては私どもとしてはどうも御賛同できないということは、前回申し上げたとおりでございます。 それから、売上税につきましても、前回もあるいは申し上げたかと思いますけれども、大体現在の税率、非課税取引の範囲等からいたしますと、年収の一%内外の純増になる傾向が多いんでございますけれども、その点からいたしますとかなり大きな金額に算定されているのではないか。これはここで今拝見いたした感じでございますので、正確なことは申し上げられませんが、引き続きそうした印象が強いわけでございます。 それから、問題のただいまの法人税につきましては、ただいまお話してございますと三百兆円の時価総額で配分しておるということでございますと、今お話しございましたように、法人株主の部分が相当な部分を占めておるところでございますから、これはその時点での直ちにの転嫁でなくて、個人への負担の帰着の問題を考える場合には時価総額でその部分のうちの個人保有部分にだけ割り振るような計算、試算が果たして妥当かどうかという疑問を感ずるわけでございますが、いずれにいたしましても、ただいまのお示してございますので、正確な点につきましては留保さしていただきたいと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 私が使用した総務庁統計の十七階層、これは大蔵省は、これは資料として今言ったような欠点があるんだから、大蔵省としてはこの計算、この資料は使っておりませんか。
○政府委員(水野勝君) 前回も申し上げたような考え方を持っておりますので、いかがかということて扱っているかと思います。
○近藤忠孝君 大蔵省はその資料を計算に使ってないかどうか、その点どうですか。
○政府委員(水野勝君) この階層によるものは使ってないと申し上げたいと思います。
○近藤忠孝君 それは間違った答弁です。確認したところによりますと、これは大蔵省がつくった「税制改革の家計の負担に与える影響に関する仮定試算」で、これは五分位ですがね、特に法人課税についてはこの十七階層、これを使っておるんですよ。これは私がこの質問準備する中でちゃんと認められたんです。現に使っているんじゃないですか、どうですか。
○政府委員(水野勝君) その法人の減税分の配分に当たりましては、家計調査報告と貯蓄動向調査があるわけでございますが、株式の保有状況は端的には貯蓄動向調査からまいりますけれども、収入区分が違う点がある。その点を調整をする際にはもろもろのデータを使っておるところでございますけれども、端的にこの区分による負担の配分変化といった試算はいたしておらないわけでございます。
○近藤忠孝君 補足であるわけですね。使っておるんですよ。それは当たり前ですよ、政府の統計だから。それを頭から否定してかかること自身が私は問題だと思うんです。しかも私が今申し上げたこの資料は、サンプルが少ないと言いますが、四人家族のいわゆる標準家庭が少なくなっていることを反映して、総務庁の統計でも他のサンプルに比べて少ないことは事実です。しかし、この標準世帯の数字を、サンプル数の多い一般の勤労者世帯の数値と比べると勤め先収入をとっても、消費額をとってもほぼ比例しています。ということはやっぱり信用が置けるんじゃないですか。信用が置けるんだったら使ったっていいじゃないですか。大蔵省は補足的に使ったかもしらぬけれども、私が使ったことに対して文句をつける必要ないじゃないですか。どうですか。
○政府委員(水野勝君) 私どもはこの階層区分につきましては疑義があるということでこうしたものを根拠にはいたしてないということでございまして、こうした御分析、御試算をされる点につきましては、私どもが何らかを申し上げるという点はございません。
○近藤忠孝君 大臣、それでは信用していただいて、やっぱりそういう意味ではずっと議論を聞いていただきまして、法人税の転嫁の理論からずっといって、大蔵省が今とっている態度はかなり無理があると私は思うんです。だから今言ったように、私のように法人税は全部転嫁さしているんですから、ただし株主の方にね。やっぱり大きな流れ、低所得者ほど負担がふえ、所得がふえれば負担割合が減るという、それはいろんな計算やサンプルの数字の計算の仕方によって違ってきます。違ってくるけれども、今言った大きな流れは変わらないんですよ。せいぜい増減税ゼロが若干移動する程度であって大きくは変わらないと思うんです。となりますと、やはりそういう間違った数字で、国民に対して負担があたかも軽くなるような、そういったことを言うこと自身は問題じゃありませんか。今主税局長も私がそういうサンプルでやること自身についてとやかく言う立場でないということをお認めになったわけだから、これはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 別に政府が間違ったことをやっておるわけではないと思いますので、便宜ひとつ半々に分けてみますとこういうことでありますと、こう言っておるんでございまして、それは必ず現実がそうなるとかいうことを言ったわけではございません。ただ、法人税の減税を全く勘定しなくていいんだというわけにいきませんから、ああいう場合ですとこうなるということを申し上げたわけであります。近藤委員のこれにつきましてはよく勉強さしていただきます。
○近藤忠孝君 それじゃ今大臣認めたとおり、二分の一、二分の一というのは一応便宜なんですね。幾らでもまだ私のやったような計算方法だってあるし、いろいろな計算方法があるので、それはやっぱり国民に正確に税制改革の中身を知らせるという意味で、私の計算も十分尊重してこれから対処されたいと思いますし、大事なことは、一応の問題提起にすぎないということをお認めになったんだと思います。 次に、関税の問題に入りますが、基本的にお聞きしたいことは、先ほど大臣も発言をされましたけれども、例えば関税率といい、あるいは輸入制限について、相当大幅に開放してきている状況ですね。関税などは、先ほど大臣言ったように、平均すれば関税率の平均は外国と比べてむしろ一番低い状況ですね。となりますと、私は、日本としては今関税率についても輸入制限についても、もうなすべきこと十分やって外国に決して引けをとっていないと思うんです。その点大臣の見解どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは我が国として自由化の努力、関税率引き下げの努力を随分いたしまして、今外国に劣るとは思っておりません。
○近藤忠孝君 ただ、にもかかわらず、毎年のように関税の法案の審議に当たるんですが、毎回指摘してきたように、アメリカからの圧力に押されてやっておるというぐあいに言わざるを得ないし、それで毎年反対しました。幸いことしから他の党も反対になられるということで、大変結構なことだということを私は申し上げておきたいと思います。 で、きょうここで指摘したいことは、さらに関税が下がったことが果たして国内の物価に響くのかという問題なんです。 その一つとしてスコッチウイスキーの価格の問題ですね。大臣、お酒やられますかな。そこで、プレミアム物を一万円で売っているその輸入価格、要するに関税あるいは酒税がかかる前の価格は幾らか御存じですか。
○政府委員(十枝壯伍君) 酒類の価格は自由価格でございまして、それぞれの輸入価格というのは必ずしも同一ではございません。同一ではございませんけれども、先生の御指摘の高級スコッチといいましょうか、プレミアム物のいわゆるCIF価格というのは大体六百円から七百円ぐらいというのが多うございます。これは出荷額そのものでございまして、輸入価格といいますとそれに関税、酒税その他手数料がかかるということでございます。
○近藤忠孝君 私の方で調べてみましたらば、輸入価格八百九十円、それに対して関税プラス酒税が千八百二十三円、引き取り諸経費が五百円、そういうのはまあまあなんですが、それがなぜ一万円で売られておったのかというと、一番大きいのは輸入マージンで四千円ですよ。輸入したとき入ってきたものが八百九十円なのに輸入業者のマージンが四千円です。当然卸や小売もそれに従って当然大きくなってきますね、それが一万円になっておったということなんですね。これは私がこの委員会でまだ渡辺大蔵大臣のときにそのことを指摘しましたらば、さすがに渡辺さんもお酒好きなものだからそれはけしからぬと、よくチェックをして下がるようにすると、今まであんまり下がってないですね、最近下がり始めたのですけれども。問題は、今度たしか円高等の影響で八百九十円のものが七百三十四円になりました。したがって、関税プラス酒税が千七百五十九円、あとはほぼ変わらないと見て大体今それが八千円で売られているんです。ただ、物によりましては輸入業者によって随分違ってくるんですね、輸入総代理店が扱っているのは大体八千円ぐらい、並行輸入になるとまあ場合によっては四千円になったりするということで、並行輸入が最近大分ふえてきたことが価格を下げていることにつながっていると思うんですが、それにしたって大臣、七百三十四円のものがまだ四千円ですから、これ何とかならないのか。もっとも私は価格が下がれば下がるほどいいとは思っておりません。それは国内の清酒メーカーその他の中小メーカーの人を守らなければ いけませんから、下がれば下がるほどいいというものではないけれども、七百三十四円のものが四千円から八千円で売られている、まだ八千円で売られているものが多い。この事態についてこれはまさしく不当な、特に輸入業者のマージンですね。これにやっぱりメスを入れるべきだと思うんですが、お考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(十枝壯伍君) 御指摘のように、輸入ウイスキーの小売価格の中に占めるマージンの額というのは非常に大きい割合を占めておるわけでありまして、私どももこの点についてはっとに意識をいたしておりまして、一昨年秋以来、円高差益の還元その他の見地から輸入ウイスキー価格の実態について調査をいたしてきておりまして、業者からのヒアリングあるいは協会を通じた指導を行ってまいりまして、その中身、価格の構成などについてもヒアリングをしてきているわけでありますけれども、その過程での業者の言い方は、やはりプレミアムウイスキーということになりますと、非常にロットが小さくて回転率が非常に低い、したがってそういう意味ではマージンも上がってくる。さらには輸入総代理店になりますと並行輸入物とは違いまして、総代理店みずから日本国産のお酒でございますと、国産のメーカーが広告宣伝、販売促進活動をやるわけでございますけれども、輸入ウイスキーの場合は輸入総代理店が、輸入業者がいわば広告宣伝をやる。そういう経費等がかかるものですから国産酒に比べてもかなり高いマージンにならざるを得ないということを業者等は主張しているわけでございますが、私どもはそのほかにそういう輸入業者としての価格政策、販売政策というのが入っているようであるというふうに考えております。 御承知のように、我が国におきまして高級スコッチウイスキーなどはいわば贈答品市場等で主として売られているということでございまして、ギフト商品として考えますとやはりブランドイメージを維持して、しかもジャストプライスといいましょうか、八千円とか一万円とか区切りのいい価格で売るということが一般的でございまして、そういうことの中でいわば輸入価格そのものと最終小売価格との差はどうしても大きな差が出てきている。そういうのが実態であろうかと思います。私どもとしてはそういうような実態を踏まえまして、一昨年秋以来各企業個々にヒアリングをするとともに、協会、業界全体に価格の引き下げ、円高差益等あるいは関税の引き下げ等が消費者に還元されるように努力を続けてきておりまして現実にかなりの程度下がってきているということでございます。
○近藤忠孝君 まあ広告費を輸入総代理店が、輸入業者が負担をするといっても七百三十四円のものについて四千円ものマージンをその中から出すということはどう考えたってこれはおかしいですね。七百二十四円のものをそんなに千円も二千円も広告費がかかるのかどうか、非常におかしいと思うんですね。 それから、いろいろ言われたけれども、そういうやっぱり常識的に見ておかしいことが起きている。これは下げる気になって政府がその気になってやればこれはもう下がるべきものだと思うんですね。実は先ほどお話しした昭和五十七年四月にここで質問したその後、これは業界紙ですけれども、摩訶不思議な輸入洋酒ということで、高いマージンですからね、出て渡辺さんがメスを入れると、入れたかどうかわからぬけれども、いまだに下がってないということは入れてこなかったんじゃないかと思うんですが、やっぱり宮澤さんの代にひとつこれは大いにメスを入れて、具体的に下がっていくことが明確になるような方策をひとつお示しいただきたいと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も物価行政というのはかつてかなりやったことがありまして思うことでございますけれども、一番いいのはやはり競争条件を具備することで、政府が調べたりなんかしましても、いっときのことはあるんですけれども、余りうまくいきませんで、競争させてしまうのが一番いいというふうに思いますので、したがってただいまのような御指摘の場合にはやっぱり並行輸入が一番いい。私もかつて並行輸入というのを行政として始めた経験がございますが、これが一番よろしいんじゃないかと思います。
○近藤忠孝君 実際、並行輸入によってこれは大きく進んでいるんですが、ただそういうことがわかっていながらも、ずっとそのままきたというところにやっぱり問題があるので、これは大いにここで推進してほしいということを申し上げて次に移ります。 通産の方から来ていただいておりますが、あと五分しか時間がないので質問を端的に申し上げて答弁をいただきたいと思います。 法案の一つは、これは租特の方ですが、産業構造調整の円滑化に資する税制上の特例措置であります。これは通産省が先日発表しましたが、鉄鋼、造船、石炭、非鉄金属、こういったところで大変な人員削減計画、もう数字を言う余裕がありませんが、これがあって地域経済に大変な影響を及ぼしてその地域全体がもうだめになっている。それで、今後予想されますのは大変な失業ですね。そこでお答えとしては、今後の失業の見通しをお答えいただきたい。そして政府としてはこの大量の失業者を他の産業で吸収したいと、他の産業として考えているのが例えば商業サービスその他でありますけれども、果たしてそこで吸収能力があるのかどうかという問題ですね。商業サービス、これはきのう通産省から資料もらいましたけれども、そこ自身の収容人員も減っておるんですね。だからとてもそれは吸収能力なんかないし、もし今後方が一売上税など導入されますとそこはさらに不況になっていって、そこから失業者が出る。今、日本の他の産業でいえばそんな吸収能力はないんじゃないか。となると物すごい高失業状況が起きるけれどもどうなのか、その問題については国務大臣としてお答えいただきたい。通産から簡単にお答えいただいて、後大蔵大臣に答弁いただきたいと思います。
○説明員(江崎格君) 失業率の問題でございますが、今後の失業率の具体的な数値につきましては、為替レートの推移だとか、あるいは今後の経済情勢の変化のために予測することはなかなか難しゅうございますけれども、先般三月十一日に臨時円高対策本部の検討結果を取りまとめまして、その中で一定の前提を置きまして試算いたしましたけれども、これによりますと、昭和六十五年度には失業率が四%台に達するおそれがあるということでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう状況の中で売上税……
○近藤忠孝君 いや、私が言ったのは、大変な高失業状況ですね、しかし今まで主要産業だったところに高失業が出る、政府としてはそれを別の産業、例えば商業サービスなどで吸収すると言ってきたんだけれども、まあ所管は違うかもしれませんが、そこで国務大臣ということで伺ったのは、他の産業で吸収できるのかどうか、そしてさらに売上税などが導入されたらば、商業サービス——吸収するはずのその産業自身がさらに失業者を出すんじゃないか、となれば大変な事態ではないかということに対する認識と基本的考え方です。
○国務大臣(宮澤喜一君) やはりそれは第三次産業で吸収するという形にどうも勢いなっていくというふうに思いますが、それはしかしよほど気をつけてやりませんと、雇用状況は不安定になりやすうございますし、賃金もどうやら少しやっぱり第三次産業は低いというようなことになりやすいので、これはよほど政府も注意をしておく必要があると思います。形としては、アメリカもそうでございますが、我が国もそういうことになっていくのだろうと思いますにつきましてそういうことを注意する必要がある。 もう一つは、しかしそれが売上税とどういう関連に立つかといえば、先ほど申しましたように、売上税の反面に所得税の大きな減税があるわけでございます、法人税もそうですが。そういうところからくる可処分所得というものはやはり相当なものでございますから、そこで第三次産業が受ける利益、税制改正から受けるプラスマイナスというのは、私は決してマイナスではないだろうというふうに思っております。
○栗林卓司君 大臣にお尋ねをいたしますが、内需の拡大それ自体を考えてみましても、あるいはG7の声明の忠実な履行という観点から考えてみましても、六十二年度予算の早期成立がありませんといかような対策も打ちようがない、これが今の状況だと思うんです。したがって、一日も早い予算成立をということでございましょうが、なぜあれがあんなに紛糾するんだろう、問題は。去年の暮れ昭和六十二年度予算編成に着手したころであっても、この予算が早く通らないと内需の拡大という面でも、あるいは諸外国との国際通貨の交渉の面でも非常に困ったことになるので、したがってこの予算案は一日も早く国会で処理をしてもらわなければいかぬ、これはもう去年の暮れであろうと今であろうと何ら変わったことではないわけです。 そこで、去年の暮れ、六十二年度予算を編成されるときに、なるべく紛糾しないような予算案にしてお出しいただく、これは当然の配慮ではないんだろうかという気がするんですが、問題は紛糾の種が幾つかあるんです。防衛費の一%突破問題はこの際触れません。本当はあれもそうなんです。あれだって一%頭を出すまいと思ったら出さずに済んだはずなんです。しかしこれはおきます。問題は今の売上税なんですが、これがなぜこんなに紛糾をするか、これはこの種税制に対して我が日本国民は全くなれてない。ヨーロッパと比べてこれが際立った違いだ。全く新種の税制が提案されるわけですから、これは紛糾することは理の当然なんです。したがって、それを予算案の中に組み込んでしまうということはこの際はやめておくべきではないか。そういった配慮をされるのが財政当局として当然のことではなかったのかなと。今予算案が衆議院でいつのことになるやら見通しも立たない状況でぶら下がっているわけですね。あれを見ながら与党と野党で、とりわけ野党の方が反対してやってみえますけれども、そうじゃなくて国民そのものがどうもけげんな顔をして売上税を見ている。加えて選挙公約違反の問題もある。 したがって私が伺いたいのは、昭和六十二年度予算をおつくりになるときには君子危うきに近寄らずという態度をおとりになるべきではなかったのか。今紛糾している原因というのは一見表面は野党との争いのように見えますけれども、実は紛糾の火種を抱えた予算案をお出しになった財政当局それ自身にあるのではないんだろうか、御所見を伺いたいというのが質問の第一点であります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在の我が国の経済状況、また内外から寄せられております期待からいいまして、一日も早く予算を成立さしていただいて執行をさしていただきたいと切願をしておりますことは御指摘のとおりでございます。他方で、売上税を御提案した場合にいろいろ御議論があるであろうと、初めての税でございまして、それは予測をいたしておりました。ただ、しかしそのために予算案の審議が衆議院で今日に至るまでほとんど行われないということ、両者の関連については予測をいたしませんでしたし、今日でも何ゆえそういうことになったのか十分に理解をいたしておりません。
○栗林卓司君 選挙公約に違反をするということは決して小さな問題ではないと私は思うんですが、この点は大臣も御異論はあるまいと思います。 そこで、問題はいわゆる大型間接税論議で、ここでやりとりをしたくないんですが、やっぱり一遍これをやっておかないと次に進まないものですから触れざるを得ないんですが、大型間接税をやりませんと中曽根総理が言われたこの大型間接税というのは、多段階、網羅的、縦横十文字に投網をかけると、こうおっしゃるんですね。選挙公約というのは日本語でやってくれなきゃ困るんですよ。大型間接税というときに、いやこれは、私の辞書では多段階、網羅的とこうなっているんだということを幾ら言われましても、有権者が持っている常識に照らして、大型間接税というのはどんな意味なんだろうか。これは、申し上げてみれば大型の間接税ということですね。じゃ大型とは何だ。どの辞書を引いたってありませんよ。ないけれども、一般の有権者が国民の常識として持っているその常識に照らして、これをどう受け取ったのか、これが問題なんです。そのときに国民が、有権者が受け取ったことが実は重い意味を持つんでありまして、言ったことからすると、いや私の大型間接税というのは、多段階、網羅的、縦横十文字に投網をかける、それは国会でおっしゃった事実はありますけれどもね。だからといって、有権者がこの大型の間接税ということにある一致したイメージを持っているということまで打ち消せないわけですね、問題は。したがって、公約違反ではないということは、突き詰めて言いますと、有権者の皆さんがちょっと早とちりをしたんだなとか、こういったことを言っていることと実は同じことなんですよ。ところが、一般に大型間接税というのはどういった意味で世の中を流通しているかといいますと、専門の学者等いろいろな本をひっくり返してみますと、大型間接税という言葉はあちこちにあるんですね。どういった意味で使われているかというと、課税ベースの広い間接税という意味なんです。そして大型というのは、そういった意味で国民の皆さんが受け取られたのだろうと思うんです。そこで、課税ベースの広い間接税というのは何かというと、この売上税そのものなんです。有権者がそんなに早とちりしたわけじゃないという一つの例を出しましょうか。 〔委員長退席、理事大河原太一郎君着席〕 これは、大蔵財務協会で出している「緊急速報売上税」というパンフレットです。これは、裏を見ますと、裏書きに「当協会は、大蔵省の唯一の総合外郭団体としての自覚のもとに、財務、金融、税務に関するもっとも新しくまた必要な知識について、もっとも権威ある執筆陣をもって、」云々とこう書いてあるんです。これはこの協会の心意気ですよね、結構なんです。ところが、このパンフレットの一番はしがきのところに、「この税は」、売上税はというんですね、「この税は、政府税制調査会の抜本改正答申で提案された新型間接税」……、これではだめなんだな。とにかくそれはよろしいんでしてね、問題は、有権者がどう理解したかということだと思うんですが、その点で公約違反と言われることも筋道がないわけではないなと、そうお考えになるかどうか。そうだとすると、公約違反というのは、そう小さな問題じゃないわけですから紛糾することは必至だな、そういった予見はお立てになったはずではなかったんでしょうか、実はこれをお聞きしたかったんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういう経緯であったと思うんでございます。 総理大臣が、選挙を済まれました後、政府の税制調査会に対して、また大蔵事務当局に対してもそうでございましたが、自分の選挙中に言明したことはかくかくであるから、これから政府に答申せられるであろう案、あるいは政府がさらに立案するであろう案については、自分の発言をよくわきまえてそれに違背しないようなものにしてもらいたいという御注意がありまして、それは政府税調でも御存じであり、私どももとよりそれに従って立案をいたしたつもりでございます。 〔理事大河原太一郎君退席、委員長着席〕 大型かどうかということ、問題の御指摘がございましたから申し上げるわけでありますが、まず納税者の数でいえば全事業所を相手取ればそれはもう六百何十万でございますが、実際は七十万ぐらいに、その一割何分に絞ってしまった。これが一億円以下というところでございますけれども、そういうことをいたしました。これで納税者の数は、つまりやや煩瑣な手続を必要とする事業者の数は非常に少なくなったわけでございます。 それから課税の対象となります品物、サービスにつきましても、経済企画庁の消費者物価を計算いたしますときの品物、サービス計一万でございますが、一万のうち六割五分に近いものは非課税になっておるわけでございます。そういうふうに考えますと、納税者の数も課税対象も極めて限られておる。 で、消費者から言えば御負担を物価の形でおかけすることはそのとおりでございますけれども、別に消費者が煩瑣な手続をやられるわけではない。物価が上がるということはこれ事実でございますから認めますけれども、その間に煩瑣な問題があるわけではない。しかも上がり方が平年度においても消費者物価で一・六%を超えることはないであろうと、こういうことでございますから、どこをとりましても栗林委員の言われた非常にベースの広い、大きいという感じでは私はないだろう。強いて申しましたら、非課税というものは確かに非常に広いんでございますけれども、国民経済の全般にこれは影響をする、それはそのとおりでございます。 ただ、それは例えば電気税であるとか、あるいはガソリン税であるとかというようなものはまことに国民経済全部に影響をしておるわけでございますけれども、そうかといって、それが消費者にとって大変な不便になっておるかと言えばそういうことではございませんので、そういう抽象的な意味での、何といいますか、国民経済全体に影響があるということは、消費者の立場から見て、だからこれは大型な間接税だということには私はならないだろうといまだに思っておるわけでございます。
○栗林卓司君 この問答をやっていますと何となくこんにゃく問答めいてくるので余り好きじゃないんですが、ただ平たく言いまして、我が国民にはこの課税ベースの広い間接税の経験が全くないんです。したがって、物価上昇でいったってこの程度で済みますと言われても、はあそうですかって受け取るだけの経験がないんです。経験がない新税が出てきたときに、それはどういう段取り、いわく因縁で決まったのかということも逐一確かめてかみしめてみないと是非の判断もできない、そういった状況にあるということを申し上げたんです。そのときに選挙公約違反とか、そういった悪くするとこの議論をやっているとこんにゃく問答になりそうなその部分が有権者にとっては大きな問題に見える。だから途中は抜きにして結論は、これは紛糾するぞと、その予感がなかったんですか。むしろその予感があるのが本当で、だったらこの際六十二年度予算案からは外しておけば、もともと増減税同額、レベニューニュートラルじゃないか。そういったことを御選択になる方が、予算の早期成立にいかなる意味においても迫られている日本の財政当局とすると御選択になるべき道ではなかったんだろうか。重ねての御質問になりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民各位にとってこれが初めての税金でございますから、なかなか理解ができない、あるいは不安を持たれるということはこれは十分あり得ることだと考えましたので、したがいまして施行を一年先にいたしておきまして、私どもとしては国民がこの税についてのいろんな疑問なり何なりを国会の御議論を通じて理解をされる、あるいは解消される、あるいはさらに疑問を持たれる方もあるかもしれないんですが、いずれにしても国会というところがそういう場であって、国民はそれを通じてこの税についての賛成にせよ反対にせよ理解を深められると、そういうふうに私どもは期待を実は申し上げておりましたし、いまだに期待をいたしておるところでございます。 それによって国民が理解をしていただいて、そうして来年の一月からはやらしていただきたい。こういう心づもりでおりましたわけでございまして、全体の税制改正を今持ち出さなくてもよかったではないかということでございますと、やはりそれは所得税にせよ法人税にせよ、もうここまで来ましたらなるべく早い減税をいたすべきであろうということもあわせ考えまして御提案をしたようなことでございます。
○栗林卓司君 国会で十分御議論をいただいて、それを国民の皆様にお伝えをして、その経過をごらんいただきながら最終的に御判断いただくというのはちょっとやっぱり無理なんです。なぜ無理かといいますと、全く新しい税金でしょう。それで、税制調査会とするとA案、B案、C案というやつを出して、どれでもいいから選んでくださいと。だけれども、選ぶについてはというのでコメントがついているんです。それは何かというと、どのような形の新しいタイプの間接税を導入するかについては「世論の動向を見極めつつ幅広い観点から検討する必要がある。」、当たり前のことですね。「世論の動向を見極めつつ幅広い観点から検討する」これがないんです。国会で御議論いただきたいといったって、そのときに国会にはもう案は出ちゃっているわけです。案になる前に国民の「世論の動向を見極めつつ」というこれが欲しいんです。じゃそういった十分なリードタイムをとって検討してきたかというと、政府税調でさえ一年、自民党税調は一カ月、公聴会はたった四回、それはとても無理ですよ。こうしたことが一つ一つ有権者とするとひっかかりの種になって、中身がよくわからないからではなくて、わかればわかるほどやっぱりおれは嫌だと、こういった声は全国に充満している。今野党が先頭に立って反対の旗を振っているように見えますけれども、違いますよ。反対する声があって、いわばそのお手伝いを野党各党はやっているだけであって、何もないところに火をつけてあおっているんではないんです。私が申し上げたいのは、予算を早く通さなきゃならない、そういう観点からすると余計なことをなさったんではないんだろうか。これがお聞きしたいことでありまして、お答えは結構です。わかりましたと言うわけにはいかぬでしょう。いかぬでしょうけれども、紛糾することがわかり切っている火種をなぜ予算に入れたのか。 今、私は話の外に置きましたけれども、防衛費の一%だってそうですよ。ほんのちょっと顔を出しただけだって総理は言ってますけれども、ほんのちょっとだけだったら抑えりゃいいじゃないですか。問題は、予算を早く通すことが先決なんですよ。これがうじうじやっているのを一体諸外国は、主要各国はどういった目で見ているのか。しかもこのままいきますと、失業者がふえることはもう間違いないと言われている。そのときに失業者はどこへ吸収されていくのか。それは第三次産業であります。その第三次産業が今回の新種の税で元気になるのか、だめになるのか。ここで必要なのはそういった各産業の実感でして、価格転嫁をすることになっていると仰せですけれども、そんなのができるんだったらだれも苦労はしません。日本の産業体質で涙が出るほど情けないのは過当競争体質です。これがある意味では日本の産業の強さになっている。そのときにそんな転嫁ができるものじゃないですよ。できるとすれば、もうかってしょうがないようなそういった経済にしていかなきゃいけない。 話は戻りまして、じゃあ総合経済体策、それをまた戻って予算の早期成立。暫定予算出してくる、暫定予算ではだめなことは大臣おっしゃるとおりですよ。何か好んで今の苦境に立たしているような気がしてならないものですから半ば意見を交えて申し上げました。 あと質問をかえまして、国税職員と税関職員の定員と処遇改善問題でお尋ねしたいんですが、実は毎回三月の終わりになりますと日切れ法案、税関係の法案が当大蔵委員会でもかかってまいりまして、そのときに国税職員あるいは税関職員の定員問題について各委員から発言をされて、そのたびに竹下前大蔵大臣は努力をしますとお答えには一応なるんですけれども、なかなか実が伴ってこない。そこで、大蔵大臣としては初めてのこの件に関する質問になるわけですけれども、国税職員、税関職員の定員、処遇改善問題について大臣に御所見を承りたいと思うんです。 その前に、お尋ねする意味を申し上げますと、賛否は別にして売上税はいずれ可決、成立するものとこの際考えておきます。そのときに当然国税職員は相当な規模の手当てをしておかなければいけない。これはヨーロッパの例を見ても明らかであります。そこで、今回の昭和六十二年度予算では数百名の規模を配置をされたと伺っているんですが、問題はそれで十分なんだろうか。しかも国税職員の間でも高齢化は進んでおりますし、高齢な職員がやがて職場を去り、フレッシュマンが入ってくる。そこの中に全体としての国税業務の水準を落とさない努力というのは並み大抵のものではないはずでありますし、それをひっくるめながら定員というのはどうあるべきか、しかもフレッシュマンを連れてきてすぐ第一線で仕事ができるか、それはとてもできません。やはり時間がかかる。国税職員というのは、事税に関して日本を代表している顔でありまして、その顔を通して納税者は税とのかかわり合いを持ってくるのでありまして、その意味では十二分の配慮を、定員問題、さらには処遇改善問題について日々心を配っていただかなければいけないのではあるまいか。 また、税関職員について言いますと、だんだん関税が水準としては下がってまいりました。税関の職員が果たしている仕事は、もちろん関税に絡んだものはありますけれども、それ以上に物の動きについて日本の国境でどう守っていくかという仕事の方がはるかに比重が高くなってきた。それは麻薬、覚せい剤であれ、あるいは銃砲であれ、水際でとめることがまず先決であることは申し上げるまでもありません。ところが、国内で麻薬、覚せい剤あるいは銃砲に対してそれを取り締まり、社会の平和を守っている警察官はどうか。私は横並びで議論をここでするつもりはありませんが、あえて参考に申し上げれば、警察官は同様に定員削減という枠の中にありますけれども、増員は抑制されておりますが、減員はされていないんです。では税関職員は一体どうであるのか。輸出入の扱い量を見ると、過去十年を振り返って倍増であります。それに見合って税関職員はふえてきたんだろうか。しかもここでも十分な手当てと配慮が必要だと思いますが、以上、前置きが長くなりましたけれども、大臣としてのこの問題に対する御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国税並びに税関職員の勤務問題に関しまして御理解のあるお話をいただきましてまことにありがとうございます。政府といたしましては、御承知のように、やはり政府職員の定員の管理を縮減をいたしたいという、そういう考え方を持ち、またそれを実行してまいっておるわけでございますから、そういう基本の方針のもとで問題を考えざるを得ません。しかし、そうではあっても、御指摘のような理由から国税職員についても関税職員についても新しい仕事がふえつつございます。 国税につきまして、殊に売上税をやらしていただくということになりますと、これは全く新しい仕事でございますから、一部は従来ありました間接税のある幾つかは廃止されますので、その人たちを転用することは当然できると思いますが、新規に採用した人をいきなり売上税をやらせるということは、それは恐らく事実上難しいことでございますから、中のやはり配置転換等を考えなければならないと思います。そして、この税についての指導なり広報なり、あるいは相談なりということを二、三年はやっぱり中心に考えて運営してまいりたいと思いますので、いろいろ合理化等々の努力もいたしますし、みんな一生懸命やってくれますが、それでもなお足りないという部分につきましては新しい要員を確保しなければならないと思っております。 税関につきましても、今御指摘のように貿易の数量もふえておりますし、出入国者の数も随分ふえてまいりました。その上に、おっしゃいますようにいろいろ社会悪関係の取り締まりをこれはぜひぜひやらなければならない。我が国にとって一番これから危険な大事な問題であると思いますものですから、そういうことについても大いにやってもらわなければなりませんし、ここにも売上税の問題もあるわけでございますから、機械化、合理化等図りながら最小限のものはひとつ補充をし確保をしてまいりたいというふうに考えております。
○栗林卓司君 ここで中曽根総理大臣のおっしゃったことについて御所見を伺うんで、何も総理の批判をやってくださいということで伺うわけじゃないんです。 お尋ねする理由を申し上げますと、税についての一番の問題は何かというと、税負担は国民の当然の義務である、この意識がどうも我が社会では強いとは言えない面がありまして、聞くところでは、欧米に参りますと、脱税をすると社会的制裁は非常に強いものがあるということなんだそうですが、日本では脱税をしますと、いや、うまいことやっちゃったということで、罪悪感はさほどあるんだろうかと自問自答したくなるような社会相であることは、今さら改めて私が申し上げるまでもありません。そのときに売上税を導入する、最初の二、三年ぐらいは厳しくやるなよ、適当にやれとは言わないまでも、徴税当局は厳しく追及しちゃだめだよ、そう受け取れるような趣旨の発言を総理がされたと伺っているんですが、この発言に対する大蔵大臣の御所見と、それからもう一つ、こうしたことを国政の最高責任者がわざわざつけ加えなければいけないような税というのはやっぱり問題があるということを総理御自身でお認めになったと、そう私は受けとめるんですが、御所見いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは総理大臣、為政者のお立場から、これだけ新しい税金をやるということになれば国民もいろいろ戸惑われることもあるであろう、事が税金でございますから。したがって、できるだけ国民によく納得をしていただいて、きちんと税金を納めてもらうようにしなければならない。とかく新しいことは不安でございますから、その不安を助長するようなことはなるべく避けるべきであろう。したがって、私も先ほど申し上げましたその指導であるとか広報であるとか相談であるとか、そういうことにできるだけ力を注いで、両三年でございますか、どう言われましたか正確でございませんけれども、そこのところはそういうことに重きを置くべきではないか。そうすればやはりこの税が国民に受け入れられて定着をするであろうから、それまでの期間というものは特に注意を税務当局としてもすべきである、こういう趣旨だと私は承知をいたしておりまして、それは税務を執行する者としても十分心がけるべきだと思っております。
○栗林卓司君 次にします。結構です。
○野末陳平君 法案の中身に入ります前に、売上税関係で二、三お聞きしたいんですけれども、御承知のように、いろいろ世論調査をやってももう反対という人がかなり多くて、何やらこの売上税は反対の機運一色という感じになっておりますが、大臣としては、ここまでこじれてきてしまった、反対の声が盛り上がっちゃったという原因はどこにあるという反省をお持ちですか、まあ反省という言葉がいいかどうかわかりませんがね。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは新しい税でございますから、とかく不安を持たれやすいし、それから、やってみればそんなに複雑なことでなくても、解説などを読んでおりますと、こういう新しい機械やなんかも同じでございますけれども、説明書というのを読むと何か大変難しい、しかしいじってみたら案外そうでもなかったということはしばしばございますから、今の解説の段階では、何か非常にこれは複雑なものではないかという思いも国民が持たれたとしても無理はございません。 それで私どもはいろんな機会に、殊に国会でございますが、国会の御議論を通じて国民にこの税の実態を知っていただく、それが非常に大きな国民に対するこの税のいわばPRである、広報の機会であるというふうに考えておりましたし、今日もそれを期待いたしております。その上で、実施は来年の一月一日である、こういうふうに考えておるわけでございますが、今この税についての解明の場がない。国民がよくこの税について、いわば御存じないままに何となく不安な状態、その不安を解明するような場、これは国会がその大きな 場でございますけれども、そこでそういう議論が行われていないために、ますますどうも正直を言ってよく国民におわかりにならぬというようなことがあるのではないかと思います。
○野末陳平君 それは、不安が起きてしまったこの時点では、確かに国会が、大臣の期待するように、予算委員会で売上税を解明するという役割は大きいと思うんですけれども、しかし不安を起こす以前に手を打つべきではなかったのか、という反省が大蔵省にあるかどうか確かめたかったわけですよ。 というのは、栗林委員の話にもちょっとありましたけれども、初め四タイプ出まして、税調の答申などもあって、世論の動向をよく見ろ、幅広く検討する必要があると言って、そこから売上税に絞られるまでの期間が余りにも短かったという気がするんですね。その辺がちょっと、新税に対する不安とおっしゃいましたけれども、余りにも唐突に出てきて、しかも総理が言うようにシャウプ以来の大改革というんでしょう、この大改革をやるにしては余りにも拙速といいますか、時間が短くて、何といいますかこの手続のミスがここまで不安を大きくしたんだ、そういうふうに私は思っているんです。これはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府税調がずっと研究をしてまいりました過程というものは、新聞等々を通じてはかなり早い機会から報道されていたわけでございますが、今、野末委員の言われることも一理私はあるとは思いますものの、実は、いざこれをやることになるんだということでありませんと、国民が本当に深い関心を持って議論されるということはやはりないのではないか。何か一つのアカデミックな話としてA、B、Cがあるというような段階でございますと、本当に真剣な議論というのはやはり起こりそうなものですけれどもその段階では起こらずに、いざ一年たつとこういう税が行われるんだそうだというところから真剣な議論が始まるということは、私はどうも事実としてはそういうものではなかろうかと思います。
○野末陳平君 ここまで来てしまったので、これまでのいきさつをあれこれ言っても始まらないと思うんですが、一つ心配なのは、大臣がおっしゃっても、不安におびえている人たちに向かってリーズナブルな議論をしたところでなかなかこれはわかってもらえないと思いますからね。どうも手続の失敗、もちろん公約違反というような問題もありますけれども、これは新税の不安を取り除き、理解してもらうという作業はそう簡単ではないだろうと思っているんです。 大臣としては、国民の大多数が売上税に反対だというその理由ですね、さまざまあるような気がしますが、大体集約して、そちらでは反対理由は、これとこれとどういうふうに整理なさっていますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その一つ一つに十分理由があると思ってお答えする意味ではございませんで、どのようないわば反対論があるかということで、まず私が思っております最初は、この税の理解が十分でないために、売上税の税率は五%だというと、売り上げについて五%取られてしまうのではないかと、非常にこれはいわば初歩的な誤解でございますけれども、そういうふうに思っていらっしゃる方がまだまだあるように思います。売り上げの五%取られてしまっては、これは確かに大事件でございますから、何となくそう思っておられる方がある。 それから次には、そうではないんだそうだが、しかし今の経済情勢ではとても転嫁はできないから、やはり自腹を切ることになるのではないかと思っておられる事業者があります。 それから、逆に今度は消費者からいいますと、これは物価が大変に上がるんではないかというふうに考えておられる方もあるようであります。転嫁の問題どこの問題とは実は相反するわけでございますけれども、しかしお立場によって相反する疑問があったとしても別に不思議はないわけでございますから。 それから、事業をやっていらっしゃる方の中に、大変これは複雑な手続を必要とされる、それに耐えられないと、そのための人員の確保、費用等々を問題にされる方もあります。 それから最後に、これによって税務当局がいろいろ直接税の課税に必要な資料を入手することになるのではないかといったような心配を持っておられる方もある。 全部を言い尽くせませんけれども、私がひょっと今気がついておりますのは、幾つかそんなようなことがあろうかと思います。
○野末陳平君 かなり出まして、大体そういう意見がかなり多いということも知っていますが、一つ大事な公約の問題が抜けていますね。あれは、言葉で違反じゃないと言っても、やはりムードとしてはもう完全に違反と受け取られていますから、あれも相当大きいと思いますよ。だから、理屈でなくて、そういうものが事実あると、これは反対理由の中で相当大きい。あれで選挙をやって三百何議席とったんだから、これだけはやはり重大な問題だという意見が相当多いんです。それはおわかりでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 野末委員のようにおっしゃる方もおいでになります。
○野末陳平君 大体これが普通のようですね。ですけれども、これはもちろん中曽根総理の問題でもありますけれども、今大臣のおっしゃった反対理由のほかにもう一つ、ちょっと違うんですが、直間比率はもう当然変えるべきで、間接税が必ずしも悪くはないんだけれども、今の売上税はもろもろの理由でどうもよくないと、こういう意見の人も特にサラリーマンの中にはいるように思えるんです。もちろんそれは数からいってどのぐらいか全くわかりませんですけれども、それをもし重視するならば、やはり反対理由の一つに、今の大臣の受けとめ方につけ加えるとすれば、やはり税率が高いとかあるいは非課税のものを少し多くつくり過ぎたんじゃないかとか、その方も反対理由としてかなりあるように僕は受け取っているんですが、どうでしょう、これは。
○国務大臣(宮澤喜一君) 税率の問題になりますと、これは先進国が持っております税率よりははるかに低いわけでございますし、しかもこれが中間の事業者が負担するのではない、消費者の価格になっていくんだというその度合いは平年度でも一・六%云々ということは申し上げましたが、そこらから考えますと、私は税率が高いとは思いません。ただ、売り上げの五%といったような短絡した理解でございますと、これはまあそうなりますけれども、事実そうでございませんから。 それから、非課税の問題は、これはそうおっしゃいますけれども、もし、原則として非課税というものはないんですと、万般のものに、悪いけれどもみんなかかりますということになりましたら、これは私はもう総反対を受けたのではないだろうかと思います。 それから、一億円以下の売り上げの人はいいんですよという話も、これももしございませんでしたら、七百何十万という事業者が、本当におじいさんおばあさんのお店まで納税者になるということですと、これもどうもえらいことではなかったかと思いますので、今程度のことはやはり必要なのではなかったか。それがやや事態を複雑にいたしまして、何が非課税で何が課税かという、ややクイズの種になりそうな話題をいろいろに提供していることもよく知っておりますし、それを完全に説明できない場合もあろうと思いますが、それは一般の納税者には現実には余り御関係のないことではないかと思うのでございます。
○野末陳平君 いずれにしても、非課税もある程度は必要だと思いますけれども、ここまでいろいろな立場を違えた反対ですね、もちろん誤解に基づくものもあるのも私も承知していますけれども、ここまでの反対をこれ一つ一つ説得していくというのは非常に時間もかかるし、また逆に、来年一月から仮に実施されるとしたら、当初相当な混乱も覚悟しなきゃならぬだろうと、こう思うわけです。 そこで、大臣にお尋ねするんですが、このままの状態で来年実施ということになりますと、そうですね、いろいろな混乱が予想される中で、要するにまじめに売上税を納めていく人と、それからわからない、あるいはちょっとずるしたとか、いろんなほかの理由で納めない人とか出てるたりして、そういう意味の、不公平と言っていいかどうかわかりませんが、そういう好ましからざる混乱というのが起きるような気がしてしようがないんで、そこはいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私は、来年の一月一日、この日から売上税が実施されるということは、その日にいわば全国一斉に行われることになるわけでございますから、何と申しますか、この税の性格上、自分は何となくこの話からうまく逃れているといったような、何といいますか脱税というんでございましょうか、そういうことはちょっとなかなか起こりにくいように考えておりますのですが。
○野末陳平君 いずれにしてもまだ先のことだし、私も来年一月からやれるとはとても思えないので大臣のお考えをお聞きしたいだけなんですが、これはどうでしょう、これだけの反対をどこに重点を置いてこれから説得していくおつもりですか。それを聞いて法案の方に入りたいんですがね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一番重点を今置くべきだと思いますのは、これは事業をやっていらっしゃる方々が自腹を切ってお払いになるのではございませんで多少のお手数はおかけいたしますけれども、自腹を切っておやりになることではございません。最終的に消費者に転嫁されるものでございます。消費者に対しましては、そういうことでございますから、何がしか物価が上昇いたしますけれども、政府はそれに対しまして所得税、法人税等々の大きな減税を考えておりますので、皆様方にとって決してネットの増税になるということではない、むしろ可処分所得がふえるということでございますと、こういうふうに申し上げたいと思っております。
○野末陳平君 それに関連して一つ、総理がどうもサラリーマンの声がまとまらないということをぼやいておられたようですけれども、それについては大臣、今のお答えと関係が大いにあると思いますが、サラリーマンの声は聞こえてこないですか、あるいはどうしてまとまらないと、そういうふうにお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、減税というのはサラリーマンもおわかりになっていらっしゃるんでしょうけれども、まあそれは、もらったものはもうもらったものであって、それだけで済めばなおよろしいわけでございますから、この両方を比較考量して、結論はしかしこの方がいいさ、とまではなかなかおっしゃっていただけないんじゃないかと思うんです。
○野末陳平君 そうなると、これはサラリーマンの声が総理や大蔵大臣に味方するとはなかなか思えませんですけれどもね。きょうは私は自分の意見を言うんでなくて、大蔵大臣のお考えを聞いたわけですから、それを参考にして今後自分でも勉強しますけれども。 今度は法案の中身ですけれども、先ほど午前中の質疑で出ておりましたですけれども、志苫委員から出ました話の中で、法人税の基本税率一・三%の上乗せですけれども、これが日切れになりますね。これはいわば自然消滅なんですけれども、この分の減収はどのくらいの額になりますか。
○政府委員(水野勝君) これは私どもとして四月から一・三ということを御提案しつつ、そのほかのものにつきましては、賞与引当金でございますとか、有価証券取引税でございますとか、いろんなものもまた一括してお願いをいたしておりまして、一方所得税減税もございます。そうした中で歳入中立的にお願いをいたしておりますので、この分だけという点につきましての計算はいろいろあるわけでございますが、端的に一・三が一年間ということでございましたら、それはそれとして数字はございますが、どの時点でのどうという……
○野末陳平君 それでいいですから。
○政府委員(水野勝君) これは大体四千億台のものを一・三%のときにお願いをいたしておりますので、それの裏腹になろうかと思うわけでございます。
○野末陳平君 もちろんこれはそちらで御提案中の法案との関係があるわけですけれども、この一年で四千億台というお答えでしたけれども、多分これが今回の四兆何千億の大幅減税の一部だと思いますけれども、そうなりますと、結果的にこの時点では、仮に成立すれば、法人税だけが減税先行とこういうことになるわけですね。
○政府委員(水野勝君) これはまだ六十一年度でございますから、六十二年度までに極力お願いをしておるわけでございますから、今の時点で具体的にどうということは私どもとしてはちょっと申し上げられないわけでございますが。
○野末陳平君 この減収額ですね、一年になるやらどのぐらいの期間になるやらわかりませんけれども、この減収額は、先ほど幾つか言われましたけれども、そういうもので結果的には埋め合わせがつくんですか。
○政府委員(水野勝君) ことしの減収額といたしましては、先ほど来申し上げております四本の柱がございますが、そのほか、四本の柱で初年度におきましてはいろいろなお過不足もございますので、もろもろのものを六千億円ぐらいお願いをいたしておるわけでございます。その六千億円ぐらいのものは四月からお願いしているものもあり、六月からお願いしているものもあり、それ以後のものもございますので、時の経過とともに違うわけでございますのでなかなか簡単には申し上げられないところでございます。
○野末陳平君 そうしますと、仮に法人に関する増税措置を含んだ関連の法案がこのままずっと成立がおくれていく、ましてや売上税などがどうなるかわからない。もちろん強引におやりになればそれはそれでいいんですけれども、これは仮にこのままで成立がずっとおくれてくると、結果的にはこの法人の減税分、つまり一・三%が日切れになった分だけ法人は減税を先取りしていくんですが、万一の場合、結果的にその穴埋めはどこでやるんですか。
○政府委員(水野勝君) それはそうした改正を盛り込ましていただいております一括法と申しますか、所得税法等一部を改正する法律、この中の御審議のときにどのようにお考えいただくか、今の時点でございましたらまだ特段考える必要はないわけでございますが、それぞれのその時点での御審議のときに、その点もあわせて御検討をいただくということではないかと思うわけでございます。
○野末陳平君 そうしますと、今後検討するとして、それは新年度へ入ってからですから、この時点で所得税法について審議する時点では、たばこの場合はこれは延長、売上税との調整で延長してますね、それならばこの一・三%の上乗せもこの時点ではやはり延長しておかないとおかしいんじゃないか。というのは、税法の抜本改革が成立した時点でまた一・三%どうするのか考えればいいんですから、ちょっとこれはここにそのまま日切れにしてしまうというのはわからないんですが、それは大蔵大臣どういうふうに考えますか。
○政府委員(水野勝君) この点につきましては午前中の御審議の際にも申し上げましたが、私どもといたしましては、四本の柱を含みますところの税制改革を一体としてお願いをいたしておるわけでございまして、その中には法人税の税率水準、六十二年度におきましては自動的に四二に下がるという面もございますが、四二にいたすという、そこに立法の意図を含んだものを御提案しているということでございます。そういう政府提案をお願いをしているわけでございますので、その中で一方におきまして、それをまたある期間継続するということを御提案を申し上げるということは、政府提案のものとしての一体性からいたしますと、それはできない話ではないかと考えておるわけでございます。
○野末陳平君 ですから、初めにこの法案をおつくりになった時点ではそれでいいんですけれども、事態がこういうふうになっておりますと、やはり法人税の減税だけが先に成立してしまう、そしてその財源手当てというのがずっと今後の検討に待たれるというのはおかしいというふうに、そういうふうに思っているんです。ですから、ここに今までどおり日切れにしないで延長をしておくべきではなかったかと、こう考えたわけですがね。
○政府委員(水野勝君) この税率につきましては四月一日以降終了する事業年度から適用になるわけでございますので、それは大半は四月の月末でございますし、そのほかのものにつきましてもいろいろな適用時期、施行時期を措置させていただいておるところでございますので、そこらの点につきましては一括法と申しますか所得税法等一部改正する法律案、その中でいろいろ御審議を賜る点でなかろうかと思うわけでございます。
○野末陳平君 提案理由の中にも、適用期限の到来するものは実情に応じて延長するとかあるんですが、どうもここだけが実情に応じでないような、延長してないからちょっとおかしいと思って聞いてるんですけれども、これ以上言っても大臣がお答えならないから次に行きます。 もう一つ、今度ちょっと法人税から違う方をやりますが、一つだけちょっと気になってるんですが、住宅の方、住宅取得促進税制の方なんですけれども、これが適用三年から五年に今度なってますね。三年から五年に二年対象期間を延ばしますとどのぐらい内需拡大に役立つかと、いわばここで着工件数がふえるとか、まあいろんなことがありますでしょうが、どういうふうな見積もりで三年から五年に延ばしたんですか。
○政府委員(水野勝君) これは昨年の昭和六十一年度税制改正におきまして、住宅取得促進税制として新たに発足することを御提案し御審議を願ったところでございますが、その時点におきましては、この新しい制度によりましてたしか二万戸程度がこれによって増加をするであろうということを申し上げたことがあろうかと思うわけでございますが、今般は制度そのものを新しくさらに変えるということでございませんで、三年の控除期間を延長するということでございますが、去年の申し上げた効果をさらに上回ってその効果があるのではないかと考えておるわけでございます。 現実に現在の住宅着工ベースから見ますと、年末から年初にかけましては年率百五十万戸程度の着工になってございますので、相当の効果が現時点で発揮されているとも言えるのではないかと思っておるわけでございます。
○野末陳平君 これは三年から五年というのも確かにことし家建てる、買う人にとってはプラスだと思いますけれども、もしこれを内需拡大でもっと住宅取得を促進しようという積極的意図を持つならば、むしろこの辺はほかのところを直した方がよかったんじゃないかと思うんですよね、借入残高の一%というのをさらに上げるとか、あるいはこのごろではかなりローンを借りる人がありますから上限を、今二十万円になっていますね最高限度、これを上げるとか、期間の延長よりもむしろすぐ実益に結びつく方がわかりやすいし、それから動機になるだろうと、何かその辺でどうもこれは半端だと、果たして効果があるのかどうかという気がしちゃって、ここが余り賛成できないというか、納得できないんですが、いかがでしょうかね。
○政府委員(水野勝君) これはやはり去年ここで従来の制度を住宅取得促進税制として新たな形でお願いをしたばかりでございますので、そこはもうローンはすべて引くと申しますか、あるいはパーセンテージを広げるということでございますとか、そこらはかなり制度の性格に影響するところであろうかと思うわけでございますので、まだ発足一年と申しますか、現在がまだ一年目と申しますか二年目と申しますか、そういう時点でございますので、余り大きく内容を変えるというのもいかがかと。やはり一定の促進措置があるということを前提にいたしまして納税者の方は考えておられると思いますので、余り毎年大きくいじるということはいかがかと思いますが、現時点でなお拡充の必要がありということであれば、この中の一つの方向になっております控除期間を延長することでことしは対処をさせていただいたらいかがかと御提案しているわけでございます。
○野末陳平君 効果を少し見てからまた考えたいと思いますね。 それからもう一つ、居住用財産の買いかえ特例ですね、今回これについて触れてないようですけれども、これは当然地価対策、対策と言っていいかどうか、ここのところ一、二年の地価の暴騰の原因の一つになっているんではないかと思われるのですが、それも含めて今の買いかえ特例、これは青天井になっている、これは検討なさったんですか、そしてその結果どういう理由で今回はこのままにしておくことになったのか、その辺の説明をしてください。
○政府委員(水野勝君) 確かに委員御指摘のように、現在の地価問題の中の背景の一つにそうした点があるという問題提起があり、その点につきましても検討はさしていただいたわけでございます。例えば買いかえの場合でも、その次に買いかえで取得した場合のその価格が少し異常に高い場合でございますとか、そういった場合には適用を制限する。そうした案もつくっていろいろ検討さしていただいたわけでございますが、税制上また独自な全国一円に適正なものを設定して対処していくということはなかなか限界があるとか、いろいろな問題点がございまして、今回その点につきましては改正はいたしてないわけでございますが、一方、二年以内に取得して譲渡した場合の超短期重課措置とか、そういった点では対処はさしていただいているわけでございます。
○委員長(井上裕君) 他に御発言もなければ、両案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより両案の討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○志苫裕君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案におし反対の討論を行います。 まず、急激な円高のもとで、内需拡大が重要な政策課題になっているとき、昭和六十二年度本予算の成立のめどが立ってないことは異常であり、まことに遺憾なことであります。 このような事態を招いたそもそもの原因は、政府・自民党が衆参同日選挙における公約を一切無視し、これに違反した税制改革を強行しようとする数のおごりにあることは火を見るよりも明らかであります。 したがって、売上税などの税制改革を撤回し、事態を正常に回復するよう強く要求するものであります。 さて、一定の政策目的のために特定の者に対して減免税などの特恵を与える租税特別措置の多くはいわゆる不公平税制の根源となっており、その抜本的見直しは税制改革の中心課題となるべきものでありますが、それが行われないまま本法律案のように一部分だけを抜き出して、とりあえず一部改正等の措置を講ずることは、他との整合性の面でも不合理であります。このため例えば法人税率の特例廃止によって、税制改革の大きな課題である法人減税だけが先行してしまうような矛盾を生じ、容認できません。 次に、本法案の内容について若干申し上げます。 第一に、円高不況は企業の厳しい雇用調整をもたらし、産業の空洞化と相まって雇用不安を助長するなど我が国産業構造の抜本見直しが緊急の課題となっておりますが、本改正案をもってしてはこれに有効に対処ができるとは考えられません。とりわけ円レートが百五十円を割り込む状況のもとでは、税制面のみならず、金融面においても適時適切な対応を早急に実施すべきであります。 第二に、最近における地価高騰により庶民の用地取得は一段と難しくなっており、政府の地価対策に重大な欠陥があることを指摘せざるを得ません。この状況で形だけの住宅促進税制を拡充しても庶民の持ち家は高ねの花にすぎず、一部の地価高騰のメリットを享受する者との不公平は拡大するばかりであります。 第三に、法人の租税特別措置の廃止は三項目にすぎず、二十六項目を縮減することにはなっておりますが、例えば一部電力会社のみに活用されている渇水準備金などが手つかずに温存されるなどまことに不十分であります。 第四に、一年限りとしたはずのたばこ消費税率の特例を売上税とリンクさせて再延長することは、国会の審議権をも無視する暴挙であって、断じて容認できません。 以上、総じて本法律案は、公平、公正、簡素な税制を構築すべきであるとの国民の期待を裏切るものであって、反対であります。 以上で、私の討論を終わります。
○梶原清君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し賛成の意見を表明いたします。 今次の税制改正におきましては、現行税制のゆがみやひずみを是正して、税の重圧感を払拭し、国民の理解と信頼に裏づけられた望ましい税制を確立するため、別途、税制の抜本改革案が提出されているところであります。 本法律案は、その抜本改革とは別に、当面の内需拡大策、税負担の公平化・適正化を一層推進するため、所要の措置を講じようとするものであります。 その内容について見ますと、急激な円高への対策として、産業構造調整の円滑化を図るため、その転換用設備等についての特別償却制度を設けるほか、中小企業者等の事業基盤強化設備の特別償却制度の創設を初めとして、民間活力を推進するため、特定の施設の特別償却制度を拡充し、さらに、住宅の取得促進を図るため、税額控除の対象期間を三年から五年に延長して、住宅取得者の負担軽減に資するための措置が講じられております。 これらの措置は、厳しい財政状況のもとで、変転する社会経済情勢に即応するための不可欠の施策であり、早急に法制化されることが要望されていたものであります。 また、従来より引き続いて見直しが行われてまいりました企業関係の特別措置についても、今回さらに三項目を廃止し、二十六項目を縮減合理化することとしており、税制の公平化・適正化の観点から評価し得るものと考えます。 以上をもちまして、本法律案に対する私の賛成意見といたしますが、政府におかれましては、今後とも税の公平、公正を一層推進するため、各種特別措置について不断の見直しを行い、整理合理化に向けて尽力されんことを切望いたしまして私の討論といたします。
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。 反対理由の第一は、たばこ消費税の税率等の特例措置の適用期限を延長しようとしていることであります。 このたばこ消費税の特例措置は、昨年の税制改正で補助金の削減に伴う地方財源の穴埋めとして急浮上し、一年間の時限立法としたものであります。 にもかかわらず、この現行特例措置を昭和六十二年四月一日からたばこを売上税の課税対象とするまでの間延長、存続させようとするもので、補助金の整理合理化に伴う財源として千三百億円にも上る税収をこれ以上国民から取り続けることは賛成できません。 反対理由の第二は、租税特別措置の縮減合理化に当たって、適用期限の来たものをすべて一律に縮減しようとしていることであります。 今日の円高に伴う国内産業への諸影響は産業によってまちまちであります。円高によって利益を受ける業界もあり、反対に不況と雇用不安が広がる業界もあります。したがって、特別措置も全廃すべきものもあり、一方では縮減ではなく増大させるべきものがあります。本法律案はこれらの点に配意せず、一律に削減することは賛成できません。 例えば、障害者を雇用する場合の機械等の割り増し償却率を百分の二十三から百分の二十一に引き下げることは現下の雇用不安対策に逆行するものであります。また、不況にあえいでいる繊維業界についても機械の割り増し償却率を百分の二十七から百分の二十四に引き下げられているのも問題であり、賛成できません。 反対理由の第三は、現下の重要課題である内需拡大のための措置が不十分である点であります。 政府は、住宅建設を内需拡大の柱と位置づけておりますが、今回の住宅促進税制の控除期間を三年から五年に延長しただけではまことに不十分きわまりないと言わざるを得ません。 我が公明党は、かねてより、所得税に住宅家賃控除を創設し、住宅取得控除の拡大等あわせて住宅費控除の拡充を要求しておるところであります。 さらに、鉄鋼を初め造船などの不況業種においては大幅な合理化が計画されております。これは円高の急速な進展、定着により我が国産業の構造調整に向けての動きの一環であります。 政府は、そのために構造転換法や特定船舶製造業などに税制上のさまざまな助成措置が講じられていますが、今回の改定内容ではとても円高不況に対応できるとは考えられません。 最後に、政府・自民党は、貿易不均衡是正、内需拡大という現下の緊急課題に逆行し、しかも、明らかな選挙中の公約違反の売上税等法案を一方的に導入し、予算審議を混乱に招いた責任はまことに大であり、深くこれらの法案を撤回することを要求し、以上申し上げた理由により租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対し、私の討論を終わります。 以上。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。 まず第一に、特恵関税制度の拡充についてであります。 特恵関税制度の拡充について我が党は、発展途上国の要望に沿うものと評価しつつも、特恵拡充要求がむしろアジアNICSなどへ進出した我が国大資本の要求となっている現状や国内の中小零細企業への影響を考慮して無条件に賛成する立場はとっておりません。 今回の改正は、国内の中小零細企業へ重大な打撃を与えるものとして反対せざるを得ないのであります。 第二に、紙巻きたばこの暫定税率の無税化、ウイスキー、ワイン等の関税率の引き下げについてでありますが、これは、国内葉たばこ生産農家や中小酒造メーカーなどに重大な打撃を与えるもので容認できません。 第三に、アクションプログラム、日米交渉等に基づく関税率引き下げについてであります。既に、我が国の関税率は先進資本主義国の中でも最低の水準にあり、今回の措置は大企業の利益擁護のため不当な対米譲歩を重ねるものであり、断じて容認できないのであります。 第四に、暫定税率の延長でありますが、これはアメリカの不当な市場開放要求に屈し、犠牲を中小企業、農民に転嫁することで大企業の利益擁護を図ったアクションプログラムなどによる減税措置の延長であり、賛成できません。 以上、今回の改正は、多国籍企業として繁栄する新たな戦略を推進している大企業の要求に沿って、アメリカへの市場開放とアジアNICS等からの開発輸入を促進し、中小企業、農民に犠牲を転嫁するものであります。 次いで、租税特別措置法の一部を改正する法律案についてであります。 まず最初に、産業構造調整の円滑化を名目に、鉄鋼、造船などの過剰設備処理、事業転換等に対して特別償却制度の創設、登録免許税の税率軽減等の新たな税制上の優遇措置を講じようとしていることについてであります。 新日鉄を初め鉄鋼大手五社で四万五千人、造船業界では二割の設備廃棄など、大企業は円高不況を理由に十万人をはるかに超えるというかつてない規模の人減らし合理化を強行しようとしております。このため、大規模な失業、雇用不安だけでなく、中小企業の倒産、廃業が多発し、いわゆる企業城下町などの地域経済は崩壊の危機に直面しているのであります。 加えて、今大企業は、異常円高のもとで、国内の労働者、下請中小企業を切り捨てながら海外現地生産を急速に拡大しているのであります。 今回の措置は、こうした大企業の円高不況を口実にした構造調整、人減らし合理化を税制面から支援しようとするものであり、容認できないのであります。 本法案では、このほか、民活推進税制、テクノポリス税制などの大企業優遇税制の拡大、六十一年度限りの臨時措置とされていたたばこ消費税の税率引き上げの恒久化が盛り込まれていますが、これは税制の不公平の一層の拡大、大衆課税強化による国民への負担増をもたらすものであり、賛成できないのであります。 なお、本法案に盛り込まれている中小企業向けの措置については、いずれも、異常円高を前提として事業転換を迫るもので、極めて不十分であると指摘せざるを得ません。 最後に、私は政府に対して売上税法案の撤回、一ドル百五十円をも突破するという異常円高の是正、対米追従、大企業奉仕の構造調整政策の中止、国民本位の内需拡大への転換などを強く要求して、反対討論を終わります。
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対理由の第一は、特別措置はなければないほど税体系の全体は均斉のとれたものになるはずだという、租税特別措置それ自体が持っている基本的な問題点であります。現在税制の抜本改正が政府より提起されておりますが、その理由として、シャウプ税制施行以来長い年月が経過し、さまざまなひずみやゆがみがたまってきたからだと言っておりますが、シャウプ税制をゆがめ空洞化してきたのは、ほかならぬ租税特別措置そのものでありました。元来シャウプ税制は、課税の公平を最も重視し配慮をして構築された税体系でありました。今我々がまずしなければならないことは、シャウプ税制への回帰であり、再評価であります。租税特別措置もこの立場に立って徹底的に見直すべきであります。毎年の税制改正は、政府税制調査会の議を経ているとはいうものの、実際の立案と決定は自民党税調で行われていると言ってよいでありましょう。そして、そこで行われる改正案の決定に当たって、課税の公平という点でどの程度配慮された審議が行われているかについて、国民の間に深い疑惑と不信があります。まずこの問題について、国民と税金のかかわり方について、私たちは初心に立ち返った検討を行うべきであります。 シャウプ税制発足時には特別措置らしい特別措置は全く存在しなかったことを想起し、反対の討論といたします。
○委員長(井上裕君) 他に御意見もなければ、両案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認めます。 それでは、これより順次両案の採決に入ります。 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 赤桐操君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐操君。
○赤桐操君 私は、ただいま可決されました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一、世界経済における我が国の立場にかんがみ、国際的協調特にウルグアイ・ラウンドの推進、開発途上国への協力等を通じ、自由貿易体制の維持・強化、世界経済の活性化に引き続き貢献するよう努めること。 一、関税率の引下げに当たっては、国内産業への影響を十分考慮し、特に農林水産業、中小企業の体質改善を併せ考えつつ、国民生活の安定に寄与するよう努めること。 一、紙巻たばこの関税率の無税化に伴い、我が国たばこ産業の国際競争力の強化に努めるとともに、たばこ産業に深刻な影響が生ずる場合には、適切な対応に努めること。 一、伸長する輸出入貿易に伴う税関業務の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の社会悪物品の水際での阻止・取締りが社会的要請となっていることにかんがみ、業務処理体制等の一層の見直しを行うことにより、税関業務の効率的、重点的運用に努めること。また、税関職員の特殊な職務を考慮して要員の確保と処遇の改善に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(井上裕君) ただいまの赤桐操君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上裕君) 多数と認めます。よって、赤桐操君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 赤桐操君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐操君。
○赤桐操君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一、準備金、特別償却等各種の租税特別措置については、今後ともその見直しを行い、整理合理化に努めること。 一、今後のたばこに対する課税のあり方については、現行の負担水準に配意し、過度の税負損を求めることのないよう努めるとともに、日本たばこ産業株式会社の経営については、その自主性を尊重しつつ、事業範囲の拡大による経営基盤の強化について適切な配慮を行うこと。 一、複雑、困難であり、かつ高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性、業務の一層の複雑化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、処遇の改善、職場環境の充実及び要員の一層の確保等に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(井上裕君) ただいまの赤桐操君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上裕君) 多数と認めます。よって、赤桐操君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの両案に対する決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの二つの御決議につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
○委員長(井上裕君) なお、両案の審査報告書の作成はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十四分散会 —————・—————