大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/02/19
会議録
○委員長(井上裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 議事に入るに先立ちまして一言申し上げます。 本委員会の委員であられました岩動道行君は、去る一月二十五日逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。 ここに、委員各位とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。 どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷を願います。 〔総員起立、黙祷〕
○委員長(井上裕君) 黙祷を終わります。御着席ください。 —————————————
○委員長(井上裕君) まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、吉岡吉典君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。 —————————————
○委員長(井上裕君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認めます。 それでは、理事に大河原太一郎君を指名いたします。 —————————————
○委員長(井上裕君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、租税及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(井上裕君) 次に、昭和六十一年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を議題とし、提出者衆議院大蔵委員長池田行彦君から趣旨説明を聴取いたします。池田行彦君。
○衆議院議員(池田行彦君) ただいま議題となりました「昭和六十一年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案」につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。 この法律案は、昨十八日、衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出したものであります。 政府は、昭和六十一年度におきまして、米の生産抑制の徹底と水田利用の再編成を図るため稲作転換を行う者等に対し、水田利用再編奨励補助金を交付することといたしておりますが、本案は、この補助金に係る所得税及び法人税について、その負担の軽減を図るため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。 すなわち、同補助金のうち個人が交付を受けるものについては、これを一時所得の収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は一時所得の必要経費とみなし、また、農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には、圧縮記帳の特例を認めることといたしております。 なお、本案による国税の減収額は、昭和六十一年度において約八億円と見込まれるのでありまして、衆議院大蔵委員会におきましては、本案の提出を決定するに際しまして、内閣の意見を求めましたところ、稲作転換の必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。 以上がこの法律案の提案の趣旨とその概要であります。 何とぞ速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(井上裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○赤桐操君 まず私は、本年度をもって終了いたします水田利用再編対策に引き続いて、六十二年度からは水田農業確立対策が講じられようといたしておるわけでありますが、顧みてこの九年間の経過を見て、水田利用再編対策についての農政当局としての評価はどのようにしておられるか、これをまず冒頭ひとつ伺っておきたいと思います。
○説明員(川合淳二君) ただいまお話がございました水田利用再編対策は、米の需給問題が発生いたしました四十四年以来、四十四年、四十五年と過渡的な暫定的な対策をいたしまして、四十六年以降本格的な稲作転換対策を実施してきた経験と実績のもとに、五十三年から実施してきた事業でございます。 この水田再編対策におきましては、需要に即応して米の生産を計画的に調整するということとともに、需要の動向に安定的に対応し得る生産構造の確立を期するということを大きな目的として実施してきたわけでございます。 本対策は、五十三年以来、今お話しのございましたように、九年間実施してきたわけでございますが、この間毎年度転作等の目標につきましては達成されるということで着実に実施されてきております。その結果、次のような成果を得たというふうに私ども考えております。 一つは、古米の在庫数量が減少いたしまして、米の需給均衡の回復が図られた、同時に過剰米の発生防止によりまして、国の財政負担の増大を未然に防止してきたというふうに考えております。 それから二番目には、自給率の低いと言われております麦、大豆につきまして、転作作物として推進してきた結果、転作の作物についての割合でございますが、麦については約三割、大豆については約六割というところまでいっておりまして、自給率の低い作物の生産にとって転作作物は重要な地位を占めるに至っております。 また、転作作物の四分の一を占めます飼料作物につきましては、その大部分は大家畜農家によって作付られており、畜産経営にも転作が取り組まれて、その経営の安定に役立っているというような点があります。また、野菜などにつきましては、高い収益を上げている実例も各地で見られるようになってきたということでございます。 また、一般的に申しまして、転作に真剣に取り組んでいる地域におきましては、中核農家への転作田の集積というようなことを通じまして経営規模の拡大が図られてきたというような地域も見受けられております。 しかしながら、何と申しましても長年かんがい農業を基本的な体質として進めてまいりました我が国農業の生産構造を転換するという大きな課題に対しまして、なかなか難しい面が今なお残っております。定着性のある転作営農の確立ということには、これから先なお相当の努力を要するというふうに考えておるところでございます。
○赤桐操君 私は余りよくわからない点もありますが、転作を拒否をして大分抵抗をしておる地域がいまだにあるようでありますが、特に政府の奨励によって稲作をスケールメリットを求めて大型なものに奨励をした時期があったようでありますが、その後、過剰米という形の中で大変反動が出たように聞いております回そうした地域に対しては、これからはどういう方式をとるようにするんですか。
○説明員(川合淳二君) 米の潜在的な需給につきましては、今なおこのギャップが拡大する方向にあるというふうに私ども認識しております。したがいまして、米の需給調整ということが必要なわけでございますが、同時に、最近におきます内外からのいろいろな情勢の変化というものは、私ども土地利用型農業と言っております水田を中心とした農業のより一層の生産性の拡大を図っていかなければならないということであります。 この二つの大きな命題を、やはり日本農業の体質強化という観点から今後進めていかなければいけないわけでございますが、ただいまお話しのような湿田地域というところで今後の農業をどういうふうに進めていくかということは非常に難しい問題だと考えております。 しかしながら、今の需給事情を考えてみますと、米の計画的な生産は必要でございますし、基盤整備の確立あるいは機械の導入というようなことを通じて、そういう地域でも転作が進められることが必要だと考え、それに向けての政策を進めておりますが、同時に湿田、あるいはどうしても米しかつくれないというふうな地域につきましては、この水田利用再編対策の第三期におきまして他用途米制度というようなものを導入して、価格は安いわけでございますが、つくりやすい米をつくってそれを加工用等に向けていくというような政策を取り組み、推進してきているという現状にございます。
○赤桐操君 九年間という長期にわたった中で、稲作からの転作を奨励金を出してもなお今日米の状態というのは過剰基調から脱することができない、こういう状態にあるわけであります。そこで、新しく六十万ヘクタールの減反面積を六十二年度からは七十七万ヘクタールに拡大しようと、こういうわけでありますけれども、水田利用再編対策から水田農業確立対策に転ずる理由といいましょうか、両者の具体的な相違といいますか、こうしたものをひとつ端的に御説明願いたいと思うんですが。
○説明員(川合淳二君) 先ほど申しましたように、水田農業につきましては米の計画的な生産ということが今後なお必要でありますとともに、構造改善による生産性の向上ということが必須の課題となっているわけでございます。 他方、これまでの転作対策、本年度までやってまいりました水田利用再編対策におきましては、稲から他作物への転作ということに力点を置きまして私どもやってきたわけでございますが、ここにおきまして稲作の生産性向上という視点につきましては、もうひとつ十分でなかったというような御指摘があります。 こうした諸点を踏まえまして、水田農業確立対策といたしまして来年度から私どもが実施しようと考えております事業、対策につきましては、今申し上げましたような我が国の水田農業の現状にかんがみまして、これまでの対策の経験を踏まえて実施していきたいと思っているものでございまして、一つは水田を活用して生産される作物、これは稲作とともに転作作物も含めまして生産性の向上を図るということとともに、地域におきまして農業の基本であります輪作というようなものをもう一度見直して、いわば地域輪作農法というようなものの確立を図る、同時に、需要の動向に即した米の計画生産を一体的に推進するということを考えているわけでございます。 したがいまして主な相違点は、米の計画的な生産と同時に、そのための他作物への転換につきまして一体的に稲作、転作を通ずる生産性の向上、それから地域輪作農法の確立といった体質強化を中心に据えまして、需要の動向に応じた計画生産と一体的に進めてまいりたいということが第一点。 それからもう一つは、従来ともすれば行政主導型と言われていたこの政策の推進に際しまして、生産者と生産者団体、こうしたものの主体的責任を持った取り組みを基礎にいたしまして、生産者と行政とが一体的に推進するということを第二点に考えております。 第三点は、従来の米から他作物への転換ということを重視した奨励措置にかえまして、構造政策を重視した助成措置ということにいたしたい。また、この転作を進めていく上には将来とも我が国の農業、稲作を担う地域、担い手において米生産が担われるように配慮するといった点を大きな柱といたしまして、来年から実施する事業を推進してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○赤桐操君 今そういうような形でこれから始まるわけでありますけれども、転作に対する補助金の総額を見まするというと、六十一年度で二千三百五十億円から六十二年度においては千八百二十六億円と減額をされることになっている。要するに、単位面積当たりの補助金額は減額する、しかし対象面積は先ほどのような形でもって大きくしていく、拡大されようとしている。こういうわけでありまして、全体的に単位当たり補助金額は大きく下がるわけでありますが、果たしてこういう形で目的が達成できるんですか、今後六年間で。 〔委員長退席、理事大河原太一郎君着席〕
○説明員(川合淳二君) 来年度から実施しようと考えております水田農業確立対策におきましては、私どもは目標面積といたしましては、米の需給ギャップの拡大によりまして、本年度が、六十一年でございますが、平年作であったといたしますと七十三万程度になるということ、同時に六十一年の作況が一〇五ということで、当初の予想を大幅に上回るというようなことで、在庫が四十万程度発生するというようなことを考えまして、一方で生産者団体による自主調整保管というようなことも考えているわけでございますが、こうした背景から七十七万ヘクタールというふうに決定いたしたところでございます。 助成につきましては、先ほども申し上げましたが、従来の米から他作物への転換を重視した奨励措置という考え方にかえまして、構造政策を重視した助成措置ということとするという考え方に立ちまして、各地域におきます農業者あるいは農業関係者の主体的な取り組みを期待いたしまして、望ましい水田利用形態に可能な限り誘導するというような見地で助成体系を組んだところでございます。 助成金の内容及び数字につきましては、基本額と加算額というような二本立てになっておりまして、加算額は、望ましい生産形態に向けて誘導するということを考えておりますので、こうした望ましい形での水田営農を展開した場合には、従来の転作の奨励金と比較して約八割程度というようなことを考えております。 いずれにいたしましても、水田農業確立対策ということで私どもが取り組もうとしている点は、日本農業の基本に関する問題でございまして、この課題が解決を図られることなくして日本農業の体質強化ということは図れないわけでございます。私どもこうした厳しい環境のもとで最大限の努力をいたしまして所期の目的を達成するように努力しなければいけないというふうに考えているところでございます。
○赤桐操君 今何といっても米の問題ということになるというとアメリカでも大変な問題になっているわけです。昨年九月にアメリカの精米業者協会がアメリカの通商代表部に提訴をいたしまして以来、これが却下されたとはいいながら、米の問題が日米摩擦問題の焦点の一つとして浮上してきていることは、これはもう重要な政策課題でありまして、避けて通れない問題になってきているように思います。 そこで、このRMAの提訴は十月に却下はされたんでありますが、問題が解決されていない。そうした中で、日本側が米の輸入に関して本年半ばごろまでに何らかの対策を示さなければならない。これは米政府としては対応を示すことを求めてきているわけでありますから、そういう立場に日本も追い込められてくると思いますが、ガットの新ラウンドの場で米問題を取り上げる意向だと伝えられておりますけれども、政府としてはこれにどんな形でもって対応しようとしているのか、アメリカとの関係を少し明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(日出英輔君) 今先生お話しになりましたように、昨年の九月にアメリカの全米精米業者協会が米国通商法三百一条の発動を求めた提訴に関しましてアメリカ政府が却下を決定いたしました。これは私どもとして一応の評価ができるというふうに申し上げたわけですが、同時に農水大臣が談話という形でも申し上げましたように、我が国の米の問題をガットの新ラウンドの場において取り上げる意向を表明したことは、今後に大きな問題を残すものであるというふうに申し上げたわけでございます。 米につきましては日本国民の主食でございます。大変大事なものでございますので、我が国としましては米については国内自給を基本方針といたしまして、また米の貿易制度は、ガット上容認された国家貿易制度であるというふうに考えた上で新ラウンドに臨むわけでございますが、新ラウンドの場において取り上げたいというアメリカ側の意向につきましては、我が国としましてはガット新ラウンドにおいて農業貿易に関する新たなルールづくり等に積極的に参加していく考え方ではありますけれども、交渉の具体的内容等につきましては今後多数国間で決定していく問題であるというふうに考えておるわけでございます。 我が国としましては、米が日本農業の根幹をなす最も重要な農産物でありますことから、今後とも米の国内自給という基本方針のもとにアメリカ側の理解をさらに深めるよう全力を傾注するとともに、今後の対処について誤りなきを期してまいる所存でございます。
○赤桐操君 このRMAの提訴問題は、これはただ日本の米が国家貿易品目という位置づけに置かれているということで自由貿易主義の立場から批判しているというだけのものでない、もっと深刻なものだと、こういうように私どもは認識をいたしております。米国の米産業の存亡にかかわる大変重大な問題である、こういうように見られてきているわけでありますが、農水省としてはどのように受けとめられておられますか。
○説明員(日出英輔君) 先生お話しのように、日本にとっては米は日本国民の主食でありますし、日本農業の根幹でもございます大変大事な問題でございますので、アメリカ側の方の稲作の事情も十分考えながら慎重に対処してまいりたいと思っております。
○赤桐操君 こういう米の輸出問題をめぐっての提訴という形まで発展した背景というのは、大分アジアにおけるアメリカの米の締め出しが大きな原因だというように言われておりますね。アメリカはタイとの米の競争に負けたんだと、こういうようにいろいろ一部報道されておるわけでありますが、そうした形でアメリカがアジアにおいて市場を失ったものを、今度は日本にこれを求めようとするものだと、そうでないとアメリカの米は成り立たない、こういうことになってくるとこれはいささか大変な問題だろうと思うんです。こういう見方はどうですか、農水省はどのようにお考えですか。
○説明員(日出英輔君) 全米精米業者協会の提訴の背景としましては、いろんな立場のいろんな方々がおっしゃっております。私どもとしても先生お話しのようなアメリカの米の伝統的な市場でございました韓国でありますとかインドネシアが米の自給というのを確立しました結果、アメリカの市場がそれだけ狭まったという問題。それからタイとの関係でいいますと、アメリカの米のコストが高くなってきたということで、アメリカとタイとの関係でいいますと、アメリカが少し分がなくなってきたといったことも背景の一つとして言われていることについては十分承知をしておるわけでございます。
○赤桐操君 アメリカもかなりいろいろと価格を低くするために補助政策を国内で行っているようでありますね、日本に対していろんなこと言っておりますが。 それで、私の認識がこれは正しいかどうかわからないけれども、少なくとも米国はタイとの輸出競争でマーケットローン方式によるところの補助を行ってきている、こういうように聞いておるわけであります。 〔理事大河原太一郎君退席、委員長着席〕 そういう中で価格比についてもかなり接近をさしたというように聞いておりますが、米国の補助政策の内容と補助金の額、総額と標準的な生産者への補助金交付額、こうしたものを明らかにしてもらいたいと思いますが、明らかにされる範囲で結構でありますけれども、お願いしておきたいと思います。 それからまた、多額な補助金がこうして出されてきているようでありますが、これからもこういう状態がアメリカの国内で行われていくのかどうなのか。この私どもの認識が正しいのか、実はそうじゃないのか、その辺のところを少し明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。 アメリカの米についての支持のやり方についてのお尋ねでございますが、その前に、米も含めましてアメリカでは主要穀物につきましてかなり独自の価格安定制度をとっておりますので、それについてまず申し上げたいと思います。 アメリカでは穀物の生産農家に対します所得を支持するという見地に立ちまして、目標価格というものを毎年定めております。それとあわせまして、それよりも低い水準でございますが、ローンレートというレートを定めているわけでございます。農家は目標価格とローンレートの差額を政府から不足払いとして所得の支持を受ける、これがアメリカの穀物農家に対する支持の第一の特色でございます。 それからもう一つの特色は、ただいま申し上げましたローンレートが最低支持価格として果たす役割でございます。農家は出来秋に穀物ができますと、通常はこれを市場に売っていくわけでございますが、市場価格が非常に低い場合には、政府の定めたローンレートによりましてアメリカの商品金融公社、これは英語でCCCと略称いたしておりますが、政府の一機関でございます、このCCCに例えば一ブッシェル当たり何ドルというあらかじめ定められたローンレートによって金融を受けるわけでございます。その金融の担保としてみずからの生産物である小麦でございますとか米を担保に供するわけでございます。そして市場の動向を眺めながら有利に販売する見込みが立った場合には、そのローンレートを返しまして、担保で供出をいたしました穀物をCCCから再び取り返しまして、これを市場により有利な値段で売るという二段構えの不足払いとローンレートを最低下支えとする、いわば二重の支持を受けるという仕組みになっているわけでございます。 もし市場価格がローンレートを下回るような非常に低い水準で推移をする、最近の非常な過剰状況のもとではそういうケースが多いわけでございますが、そういう場合にはローンレートの返還を断念いたしまして、それをギブアップするわけでございます。そのかわり既に担保として提供していたものの所有権を政府側に完全に最終的に移してしまうということになります。したがって、その段階でローンレートは借金の性格がなくなりまして、そのローンレートが最終的な農家の所得になるわけでございます。 大変回りくどく申し上げましたけれども、そういうことで目標価格とローンレートという二重の価格、行政価格によりまして不足払いとローンレートによる最低支持機能という二段構えの支持を受けているわけでございます。 これが一般的な穀物についての価格支持の仕組みでございますが、さらに米とそれから綿花につきましては、特に市場の状況が大変厳しいという判断にアメリカの政府が立ちまして、実は昨年から特別の支持制度を設けているわけでございます。それがただいま先生からお尋ねのございましたマーケットローンという仕組みでございます。 米について申し上げますと、例えば一九八六年のローンレートはトン当たりで百五十九ドルというふうに定められているわけでございます。通常ですとこの百五十九ドルが政府による米農家に対する最低の支持になるわけでございますが、マーケットローン制度が導入されたことに伴いまして新たにもう一つ下の段階でリペイメントレートというのが定められることになっておりまして、農家はリペイメントレートでの水準で最終的にはローンレートを返却すればよいということになっておりまして、そのリペイメントレートは、これはかなり頻繁に変更がされるわけでございますが、ごく最近の数字で申し上げますと、トン当たり七十九ドルというのが米についてのリペイメントレートになっております。したがって、農家はこの七十九ドルの水準、あるいはそれ以下の水準で米を例えば世界市場に向かって輸出をいたしました場合にも、百五十九ドル借りた借金のうち七十九ドルまで返せばよいということでございますので、その百五十九ドルと七十九ドルの差額部分につきましては政府が財政補てんをするということになっておるわけでございます。 さらに、米につきましては一九八六年度に目標価格が二百六十二ドルというふうに定められておりますので、米農家は結局一トン当たり二百六十二ドルの所得が補償されて、先ほど申し上げましたリペイメントレート七十九ドルとの差額部分のトン当たり百八十三ドルが最終的に財政の負担になるわけでございます。大変高い比率の財政負担によって農家の支持が行われているということでございます。
○赤桐操君 これはどうも聞けば聞くほど大変な内容なんでありますが、補助金の内容がアメリカでは大体一億単位でもってもらっているということを聞いたんですけれども、聞けばそういうことになるようでありますね。そうすると、こういう状態がこれからなお続いていくということになりますというと大変な問題になりますが、アメリカの国内情勢はそういう状況にあるんですか。
○説明員(塩飽二郎君) 今申し上げたような非常に手厚い保護がございまして、全体で昨年度は約二百六十億ドルぐらい穀物を中心にいたしました価格支持に要する財政負担がかかっているわけでございまして、大変アメリカの全体としての財政赤字の中でも農産物の支持に要する財政負担が巨額になっているという問題が出てきておりまして、それを何とかしなくちゃいけないという反省に立ちまして、先ごろレーガン大統領が新しい議会に提出をした新年度の予算、あるいはそれに裏づけをされました新しい農業法の考え方が提案されてございますけれども、その中では、例えば目標価格を一年間に一〇%ずつ、三年間に三〇%切り下げていくといったような新政策が発表されて、今後そういう政府の提案をベースに議会で審議がなされていくことになると思いますが、現在世界的に農産物が過剰でございまして、とりわけアメリカの農産物の輸出が非常に低下をいたしまして、それが農家の経営を非常に圧迫しておりますので、財政負担の厳しさは一方にございますけれども、農家の所得の維持を図っていくという見地から、果たして政府提案のような思い切った改革が議会の審議においてどういう推移をたどっていくのか、現時点では必ずしもはっきりはいたしていない状況でございます。
○赤桐操君 ちょっと伺いますが、そういう状況の中でアメリカの米が日本へやがて上陸すると仮定しますね。そういう状態になったときの日本の情勢はどんなふうになっていくんですか、米の状態は。私は余りよくわからないからお尋ねするんですが。
○説明員(塩飽二郎君) 先ほど企画課長から申し上げましたように、私どもの考え方は、米についての国内の生産あるいは消費の重要性から見まして、RMAの提訴問題を契機とするアメリカの考え方は承知をいたしておりますけれども、そしてかつまた本件については今後ニューラウンドで取り上げたいというアメリカの意向もございますけれども、先ほど企画課長から答弁申し上げましたような日本の米の重要な位置づけを念頭に置いて対処をする所存でございまして、輸入されたらという仮定の問題について現時点でお答えできる立場でないわけでございまして、これ以上申し上げられませんということを御了承いただきたいと思います。
○赤桐操君 わかりました。そうするともう一歩具体的なものになりますが、これもお答え願えないかな。 米国の場合、日本人の口に合う米というのは加州米だと言われておるんですね。私もこれはアメリカですしを食ったことがあるんです、加州米を。向こうへ行っていると、腹が減っても米の飯が食えないものだから、大変うまく感ずる面もあるかもしれませんけれども、それは一応割り引いて考えても、加州米が日本人の口に合うということはみんなが言っていることですから間違いないでしょう。その場合、具体的に消費者の手に渡ってくるのには、そうしたものを基礎ベースにしてでき上がった価格で日本に入ってくることになると思うんですね。その場合に日本の価格とアメリカの価格では、これは日本の場合は食管制度やらいろいろありますから別になるかもしれませんが、これは大変な実は事態になると思うんですけれども、この辺のところはお答えいただけませんか。
○説明員(日出英輔君) ある種の仮定の議論で加州米の値段が単純に輸出価格として幾らぐらいになるか、こういうことはある程度私どもの方も把握をしているわけでございますが、これとても日本の国内でどんなルートでどんな形で売るかということによりまして、日本の国内での価格の問題はまた全然別な問題になってまいります。そういうことだろうというふうに思っておりますが。
○赤桐操君 そういたしますと、いずれにしてもこれは大変な問題でありますので、また別途ひとつこの問題だけで本格的に取り組みたいと思います。 そこで、今度日本の現状の問題に戻りますが、稲作はこれはすぐれてスケールメリットが反映しやすい分野だと、こう言われておるわけであります。米の国際価格もこれを反映しているものと思われますけれども、主要な稲作を行っている国の一農家当たりの経営面積、これはどのくらいになっているのか、おわかりでしたら御答弁願いたいと思います。
○説明員(日出英輔君) 主要な稲作国といいますと、アジアの開発途上国が中心でございます。これらの国の水田の面積はある程度把握しておるわけでございますが、残念ながら農家数が大変わかりにくいような状況になっております。 例えば、経営的にどんなふうなことかということを数字がきちんとわかりますのは実はアメリカぐらいでございます。ちなみにアメリカの場合には、先生も御案内だと思いますけれども、一農場当たりの平均稲作作付面積が百十四ヘクタールということで、我が国の約二百倍ということになるわけでございます。
○赤桐操君 水田農業確立対策ということでこれから入るわけでありますが、これは経営面積の拡大をも相当志向しているものなんですか、本当の意図するところは。
○説明員(川合淳二君) 私どもやはり今後水田農業を確立するということを考えます場合には、何と申しましてもそこで生産される作物の生産性の向上ということが一番重要な課題でございます。そのためには規模の拡大ということが一番重要だと思います。 ただ、我が国の農業は国土資源の制約というようなものもございまして、個別経営の規模を拡大するということだけでこの規模拡大を進めることは非常に難しいというふうに考えております。したがいまして、集団化を図り、そこにおきまして分散錯圃というような耕地の所有形態から脱却いたしまして、適正な機械作業単位を確保するというような方向も取り入れて規模拡大を図っていかなければいけないんではないかというふうに考えております。
○赤桐操君 それから、現在の食管の赤字の問題でありますが、水田農業の確立対策と食管制度の問題はこれからの大きな問題でありますが、この中の食管の赤字について約四千五百億とされておりますが、今の政策としては、米全体に対して政府が管理をしていく、こういう建前になっておるようでありますね、全量管理制といいますか。これがやがて部分管理になっていくのではないだろうか、そういう中で政府の負担分その他についても削減されていくんではないだろうか、こういうことが農村で大分ささやかれているようでありますが、この点についてはどんなふうに考えておりますか。
○説明員(日出英輔君) 先生おっしゃいました全量管理ということを事実今食管でやっておるわけでございますが、この全量管理という意味は、主食用でまいりますと五割強の政府米については直接売買をする、それから四割強の自主流通米については、政府は売買はいたしませんが、適当な助成をいたしまして価格の安定なり供給の安定ということを図るということで、全量管理と申し上げましても全部を政府が買ったり売ったりするというやり方じゃなくて、それぞれの米の特質に応じましてコントロールの仕方を変えたものを言っているわけでございます。 先生おっしゃるように、食管全体としますと今先生もお話しになったようなお金がかかっているわけでございますけれども、これは今申し上げましたように、直接政府が売買をして必要な経費と、それから約一千億強の自主流通助成を合算したものでございます。 部分管理論という議論につきましては、先生お触れになりましたけれども、この部分管理という言葉自体、実はいろんな使われ方があるようでございます。私どもが承知しておりますのは、政府が管理しております米のウエートをなるべく小さくして、残りは全部自由流通してしまえといいますか、政府としては手をかけないようにするというようなことを意味して部分管理とおっしゃっている方が多いと思いますけれども、それでは米がやっぱり相場商品なり投機商品なりということになります。政府米のウエートが相当ありませんと、価格の安定なり需給の安定ということがなかなか図れないというのが米の世界の問題だと思っております。そういう意味で、米を相場商品とか投機商品という形でするような管理方式に変えるという考え方は今のところ全くございません。
○赤桐操君 いろいろと伺ってまいりましたけれども、いずれにしても将来の稲作というのは、望むと望まないとにかかわらず、経営面積の拡大、省力化、こうしたものを推進していかなければ成り立たなくなってくることは明らかだろうと思います。しかしその当然の帰結として、米作農家の大部分が農業から排除されていかなければならない結果が生まれてくるわけであります。農家の八割を超える人たちが兼業農家だと、こう言われているわけでありまして、この人たちが米作を離れて自活していけるかどうなのか。あるいは兼業農家の労働者は一般の労働者に比べて企業との雇用関係についてはどういう立場に置かれているのか。こういうことはこれから将来の問題として今考えなきゃならぬ段階に来ているように思います。 この辺の状況について、農水省としてはどんなふうに認識をしておられるのか。兼業農家が多いだけに、私は大きな問題ではないだろうかと思っております。
○説明員(中村光弘君) 御指摘のとおり、我が国の兼業農家は非常に多いわけでございます。特に農業外の所得の方が農業所得よりも多い第二種兼業農家、この割合は総農家数の七割弱を占めておるわけでございます。 この第二種の兼業農家でございますが、これは自給的に生産をする、あるいは資産保有という観点から農業生産を行う、趣味的にやるということで生産をする、そういう農家が非常に多いわけでございますが、一般的に申しますと、そういう農家は技術的にも水準が低く、かつまた農業労働力としても脆弱であるというような面があるわけであります。ただ、御指摘のように広範に存在するということでございます。 そこで、こういう農家は農家単独ではなかなか片づかないと申しますか、農外の所得というものが非常に割合としては高うございますけれども、御指摘のような農外所得の安定性という面もございます。そういう点はございますが、農家のお互いの地域の中での協力体制、地域農業の組織化と申しますか、そういう点を推進いたしまして、地域の話し合いによって兼業農家の農地の利用、これを中核的な農家に集める、そういう方向で担い手の規模拡大に資してまいりたい。 一方、兼業農家におきましては、そういうどうしても自家保有米、あるいは自分のホビーというような、そして一定の農業を続けながら農外の所得の確保に努めるという点で、あるいは地域の工業導入なり、あるいは職場の創設なり、そういう点での確保、こういうことに努めていく必要があると考えております。
○赤桐操君 最後に一つ伺っておきたいと思うんですが、集荷団体の自主調整保管というのが今度はとり行われるようでございますね。そういう動きが出ておるようでありますが、いずれにしてもこういう形が出てまいりますというと、超過米、自主流通米ですか、これの調整保管制度が導入されて、そこには保管料が伴ってくるといわれております。これはどのような程度に考えられているのか。また、生産者価格その他にはこれは影響があるのかないのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○説明員(日出英輔君) 今先生がお話しになりました自主調整保管でございますが、政府の米管理の役割といたしまして、需給の調整なり備蓄という問題がございますが、特にこの備蓄という問題につきましては政府の役割は非常に大事な問題だと思っておりますけれども、これは私どもは、一年持ち越し米を常に新米がとれましたときまで持っているということで備蓄をやって転がしておるわけでございます。 この量につきましては一応百万トン程度が適正だろうということで考えておるわけでございますが、昨年の米、またまた大豊作でございまして、作況指数一〇五、千百六十万トン実はとれたわけでございます。このままでまいりますと、ことしの十月末の政府米の一年持ち越し米、つまり六十一年産の持ち越し米が百九十万トンを超えるような状況になりまして、これをことしの十一月以降の米穀年度に売り切るというのはなかなか難しい。先ほど申し上げましたように、百万トン程度ぐらいが売り切れるとしますとスムーズに売れる。私どもとしては百五十万トンまでは政府の備蓄の責任という点で、一年持ち越し米をこの十一月以降売っていこうと思っておりますが、百九十万トンとなりますと、これを四十万トン以上オーバーいたします。そこで、生産者団体といろいろ協議をいたしまして、この四十万トンについては政府米という形ではなくて、自主流通の方で一年持ち越し米という形でこの十一月以降売っていく、それまでに自主的に調整する、これを先生おっしゃったように自主調整保管というふうに言っておるわけでございます。 この経費については、今集荷団体の方が約百五十億、金利、倉敷等のために百五十億円をみんな各団体で集めておりまして、政府に面倒をかけずに自分たちでやっていこう、こういうことを言っているわけでございます。この前提は、平年作よりも約五十万トン多くとれておりますから、農家の実質的手取りの増というのは千五百億ぐらいは豊作による実は恵みがあるわけでございます。その点が百五十億円を出す、スムーズに出せる一つの背景になったかと思っておりますけれども、この経費負担でございますけれども、今申し上げましたように、農家の実質手取りは六十一年産一〇五という作況で実質的にふえております。負担経費はその一部だということでございますので、実質的に消費者の方にしわ寄せするとかなんとかという話は今のところ全く聞いておりません。
○赤桐操君 終わります。
○塩出啓典君 過去九年間、水田利用再編対策が続けられてきたわけでありますが、その評価について今農水省の方からお話がありましたが、今も論議がありましたように、農業はこれから規模の拡大もしていかなければならない。けれども、いわゆる水田利用再編対策というのは大規模の農家も小さい農家も同じように水田を減らして、そういう意味では規模の拡大に逆行をしているんではないか、こういう意見があるわけでありますが、今農水省のお話では非常に在庫が減ったとか、そういうような財政的な面のみの成果の話があったわけですが、農業の効率化とか、そういうような点についてはどのように考えているのか、今のような規模拡大等には逆行したんじゃないかという、そういう点の反省はありますか。
○説明員(川合淳二君) 五十三年度から水田利用再編対策を実施してきたわけでございますが、御承知のように、今なお米の潜在的な需給ギャップというのは拡大する傾向にあるということでございます。したがいまして、米生産を計画的に実施していく必要性は今なおあるわけでございます。 一方、日本の農業の体質を強化して、生産性の確立を図るということもまた非常に重要な課題でございます。こうした課題に対処するために、私ども来年度から実施しようといたしております水田農業確立対策におきましては、水田におきまして、何と申しましても水田は日本の農地のうちで最も生産力の高いものでございますが、稲作と転作を通じます生産性の向上を図る、また、地域の輪作農法といったものを確立いたしまして、同時に、需給の動向に応じた米の計画生産を一体として推進するということを考えているわけでございます。米だけで生産性を上げるということはなかなか難しい情勢でございますので、水田の上に展開されます水田農業を通じまして、規模拡大を図るとともに生産性を上げていくという取り組みをしていきたいというふうに考えております。
○塩出啓典君 私は、いわゆる水田利用再編対策が農業の規模拡大に逆行していたんじゃないかという、この点についての反省はあるのかとお聞きしたんですけれども、その点どうなんでしょう。
○説明員(川合淳二君) 水田利用再編対策は九年間にわたりまして推進してきたわけでございます。私どもはこの対策を通じまして、地域によりまして団地化あるいは中核農家への転作田の集積というようなものによりまして規模拡大が進められ、生産性の高い地域農業が展開されているというような事例もかなり見られるようになってきていると考えております。また、転作を契機にいたしまして集団の組織づくりというようなものも進んでおります。 したがいまして、この水田利用再編対策というものを通じまして、決して後ろ向きの流れということではなく、こうした非常に難しい問題ではございますが、問題を契機といたしまして、地域によっては将来への芽となるような生産性の高い集団組織、あるいは経営規模の農家というようなものが生まれてきているということも事実ではないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 それから、このポスト三期対策として水田農業確立対策においては、今もお話しありましたように、今後六年間、水田農業確立対策として奨励金からの脱却を目指すと。六十一年度と六十二年度を比較しましても既に減反面積は六十万ヘクタールから七十万ヘクタールに拡大するけれども、転作奨励金の総額は二千三百五十億から千八百二十六億と二三%の減少になっておる。私たちも今の内外の情勢から見て、こういうように農業への補助金が減少の方向にあるということは、これは非常に望ましい方向だとは思いますが、これが六十七年度までにゼロにしていくような見通しがあるのかどうか。今のお話ではいろいろ並べておられますけれども、どういう方法でやるのか、その根本的な考え方というか、それをお話しいただきたいと思います。
○説明員(川合淳二君) 私ども来年度から実施しようとしております水田農業確立対策は、昭和六十二年度から六年間の期間をもって実施したいと思っております。この対策の期間中に構造の転換等を図りながら転作の定着を推進していくということでございます。 先ほど来申し上げておりますように、私どもはこの対策の基本は四つの柱を考えておりまして、水田におきます稲作、転作を通ずる生産性の向上、地域輪作農法の確立、それと同時に米の計画生産を一体的に進めるということ、それから生産者あるいは生産者団体の主体的な取り組みを基礎に生産者団体と行政がいわば車の両輪のごとく一体となって推進する、さらに対策推進のため、従来は米から他作物への転換を重視した奨励措置というふうに考えておりましたものを構造政策を重視した助成体系とする、またもう一つといたしまして、七十七万ヘクタールを実施するわけでございますが、この配分に当たりましては将来とも農業及び稲作の生産を担う地域あるいは担い手というようなものに十分配慮して行うという四つの柱を考えているわけでございます。 この場合、本対策終了時に奨励金からの脱却ということができるのかというようなお話でございますが、私どもといたしましては、あくまでも本対策終了時には、全国の水田におきまして稲作と他の作物とが合理的かつ有機的な組み合わせによりまして、生産性の高い水田輪作営農というものが確立されるということを目指しまして、奨励金からの脱却を図っていくということが私どもの一番大事な努力を要する点ではないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 そういう点、非常になかなか難問でございますが、ぜひひとつ農林省の御健闘を期待しております。 それから、この転作奨励補助金に対する今回の税制上の特別措置に対してその効果についてどのように考えておるか、あれは三百万農家が対象になっておるわけですが、金額的には減税額は今八億円というようなお話で、非常に配賦農家の数から見れば金額が非常に余りにも少ないような気もするわけですが、そういう点、この法案の政策的な効果というものをどのようにお考えでしょうか。
○説明員(川合淳二君) 五十三年から実施してまいりました水田利用再編対策に際しまして、水田利用再編奨励補助金を交付してきたところでございます。本対策につきましては、先ほども御報告申し上げましたように、九年連続して目標が達成されておりまして、これは各種の転作案件の整備対策あるいは推進事業と加えまして税制上の特例措置についての御配慮があったことが、地方公共団体を初め農業団体が積極的に取り組む姿勢を強めるとともに、農業者の理解と協力を得るための大きな手段になったというふうに私は考えております。 特に転作を大規模に実施している農家は、何と申しましてもその地域で中核となるような専業的農家でございまして、本制度の適用がこうした大規模に転作を行っている農家に、より恩恵が厚く加えられるというような制度でもございますので、そうした農家を励ます意味で非常に効果があったというふうに私は考えております。同時に、こうした農家が農業を担っていくように今後も進めなければいけないという農政上の方向にも沿った措置であったのではないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 農産物貿易摩擦の解消策を検討中のOECD、経済協力開発機構がペイユ事務総長試案を作成中とのことであります。その内容は、過剰な農業生産の縮小に向け、OECDが開発した農業保護指標をもとに、国別の保護政策縮小目標を立てるものであり、過剰をもたらすほどの自給率向上政策は正当化されないとして、暗に日本の米保護政策を批判したものと聞いておりますが、これに対する農水省の見解はどうか。 しかし先ほどもお話がありましたように、アメリカもかなりこの米には日本以上の保護政策があるわけでありまして、そういう点で日本だけが矢面に立つこともおかしい。これはやはり世界各国がそういう過剰な保護政策を改めていくという、そういう方向でやっていくべきではないかと思うのでありますが、この点についての見解はどうでございますか、お尋ねします。
○説明員(塩飽二郎君) OECDで最近、今先生がお話のございましたペイユ事務総長を中心にいたしまして、最近の世界の農産物貿易の、率直に言いまして大変な過剰、価格の低下、あるいは在庫の累積という形であらわれてございますが、そういう問題にOECDとしても取り組むべきだということで、事務総長を中心に検討が過去三、四年間継続的に行われてきております。多分ことしの五月のOECDの閣僚会議でも本件がかなり重要な問題として取り上げられるんじゃないかというふうに予測をいたしております。 現在、OECDの事務総長がこの問題を検討している内容につきましては、大変膨大なものなんでございますが、一口に申しますと、現在の過剰問題、これはいろんな原因がございますが、OECD加盟国を中心にした世界の各国が、農業者の所得支持という目的ではございますが、農業に対するいろんな形の支持政策をやっていることがやはり過剰を生み出し、需要にマッチしない市場条件をつくり出してきているという認識に立って、したがってこういう問題を今後片づけて需給の均衡を回復していくためには、各国の支持政策について協調して、これを何らかの形で削減の方向で努力をしていく必要があるというような内容のものが中心になっているというふうに理解をいたしております。 こういう問題についての問題の認識の仕方については、私どもも事実に即して考えますと、ある程度首肯ができる内容ではないかというふうに判断をいたしますけれども、そういった問題の原因になっております各国の農業支持政策の運営につきましては、各国のそれぞれの農業の置かれた実態、あるいは農業がそれぞれの国家の中で果たしている社会的、経済的、あるいは地域の経済の発展に果たすいろんな多面的な役割、位置づけを持っているわけでございまして、そういうものを度外視いたしまして、一律に支持を引き下げていくとか、あるいは助成をカットすればいいという考え方はなかなかとれないんじゃないか。 それで、余計なことでございますが、日本は、御承知のように、農産物については世界で最もネットでは輸入の多い国になっております。反面、自給率は先進国としては最も低い部類の国になっているわけでございまして、食糧の安全供給、安定的な供給の確保、あるいは地域の健全な発展なり国土の保全といったような農業の果たすべき役割を直視しますと、日本の農業についてこれ以上の縮小を迫られるということは大変望ましくない事態でございまして、そういうことにならないように、このOECDの検討に当たりましても、日本の農業が置かれた実情を十分踏まえて対応できるように私どもとしては対処していきたいと考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 最後に、私は広島にいるわけでありますが、大蔵委員長も広島で、御存じだと思います。広島にはマツダという自動車産業がありまして、大変な円高の中で自動車産業の関連企業というのは物すごくコストダウンを強いられていますね。そういう中で本当にもう生きるか死ぬかという死ぬ思いで、そうしてまた百五十円でも耐える体制に努力をしておると。それが農業の場合は、ある学者は農業で見ると一ドルが百五十円ではなしに七百円だと、こういう意見もあるわけですが、むしろ本当に国際的にコストダウンの努力をしなければならない農業の分野が、本当にあの自動車産業の先端産業がコストダウンに努力しているほどのそれだけの真剣さでやっているのかどうかという、そういう点でだんだん日本の産業の格差が出てくるんじゃないかなという、そういうようなことを私たちも心配するわけでありますけれども、これは一遍に急に転換もできないし、いわゆる護送船団方式がよくないんだとか、いろんな論議もありますが、しかし農業がつぶれてもいけません。そういう意味ではやっぱり早くから方向を示して、それに誘導していくということが非常に大事じゃないかと思うんでありますが、そういう点で農水省としてもそういうコストダウン、やっぱり世界の競争にある程度太刀打ちできるようなそういう農業の確立を目指して努力をしていただきたい。だから農業等も、先ほどの話にありましたように、趣味的にやっている農業と本当に生活のためにやっている農業と、そのあたりを差別をする、あるいは本当に農業を集団的にやっていくところにはもっと税制面、いろんな面で優遇していくとか、そういうような点も加えるべきだということを、小倉税調会長のそういう話も私読んだわけですけれども、そういうような一つの新しい方向をいろいろ努力をしていただきたい、こういう点についての御意見を承って質問を終わります。
○説明員(川合淳二君) 私ども昨年農政審議会から「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」という御報告を受けております。ここには、現在置かれている内外の情勢のもとでできる限りの農業の体質強化を図れ、ということが書かれております。私どもはこの答申を踏まえて今後施策の具体化を図るということを考えております。
○近藤忠孝君 まず最初に申し上げておきますことは、水田農業確立対策という新しい減反政策についてでありますが、これも既に指摘がありましたように、減反面積を六十万ヘクタールから七十七万ヘクタールと大幅に拡大する一方で、転作関連補助金は大幅に削減するということで、これまで以上に米つぶしを進めるという、さらには今まで重視してきた、建前としては重視してきた転作対策をも放棄するという、こういう点で反対であります。しかし、この法案は水田利用再編奨励補助金に係る税負担の軽減を図るということで賛成ということを申し上げておきたいと思います。 中身に入りますが、この新減反政策の結果、十アール当たり平均の転作関連補助金は三万六千円から二万三千円と、これは三六%も大幅削減されております。この新しい減反政策のねらいは何であるか、まずお答えいただきたいと思います。
○説明員(川合淳二君) 私どもが来年度から実施しようと考えております水田農業確立対策は、水田を活用いたしまして生産される作物の生産性の向上を図る、同時に地域輪作農法の確立を通じまして需要の計画に応じた米の計画生産を実施する、これを生産者、生産者団体の主体的責任を持った取り組みを基礎に一体的に推進するということを考えているわけでございます。 本対策の主な内容は、水田における稲作と転作を通ずる生産性の向上を通じまして水田農業の体質強化を図るという、生産者と行政がいわば車の両輪のごとく一体的に推進していく。さらに、従来の転作作物への転換を重視した奨励措置にかえまして構造政策を重視した助成体系をとるということによりまして、水田農業の体質強化を図るということを最も重要な柱といたしまして進めていこうとしているものでございます。 したがいまして、今回の配分に当たりましても、将来とも我が国の農業の稲作生産を担う地域、担い手というようなところについて十分配慮をしたというようなことを通じまして、この政策の従来にも増しての構造政策への推進に資してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○近藤忠孝君 今までよりも十七万ヘクタールも多い七十七万ヘクタールの減反をしますと、これは平年作でも一年間で見た場合に国民の需要量を賄うことができなくなるんではないか。こういう点はどうですか。
○説明員(日出英輔君) 水田農業確立対策をつくります前に米の需給計画を私どもとしてつくりましたが、大体この水田農業確立対策の前期の平均的な需要量を千二十五万トンというふうに置きまして、潜在生産量その他を計算しての七十七万ヘクタールという数字をつくったわけでございます。 ただ、お断りしておきますと、この七十七万ヘクタールのうち約四万ヘクタール程度のものは、先ほどお話も出ておりました四十数万トンの自主調整保管、いわゆる超過保管分の解消を二年間でやるということで、約四十万トンと考えまして、これを二十万トンずつ減らすということで大体四万ヘクタールずつ各年転作を強化するという分が入ってございます。ですから、七十七万ヘクタールのうちで四万ヘクタールは超過保管の解消分、それから七十三万が通常の分と、こういう形になるわけでございます。
○近藤忠孝君 しかし、不作にでもなりますと古米を食べなきゃならない、あるいは不作が続くと当然輸入しなきゃならない。既にこれはもう二年前に韓国米の緊急輸入があって大問題になったところでありますが、そういうことから見ると結局米の輸入自由化に道を開くことになるのではないかと、今回のこの政策が。この点どうです。
○説明員(日出英輔君) 先ほどお答え申し上げましたように、この七十七万ヘクタールの前提といたしましては、既に政府の在庫として百五十万トン、一年持ち越し米を持っていく。平年作でまいりますとこの百五十万トンが毎年残るような形になりますが、そのほかに一年持ち越し米としてはなかなか処理し切れぬ分、これが自主調整保管分ということで四十数万トン出るわけでございます。ですから、百五十万トンについては備蓄分ということで持ってまいりますので、少々の不作が続きましてもそう簡単に需給が逼迫するといったようなことは、通常はないものだというふうに考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 ところで、この補助金はどういうところに使われているんでしょうか。
○説明員(川合淳二君) 水田利用再編対策におきます奨励金は、転作を実施することを補助条件として農業者に交付されるということでございまして、その使途について特別な制限は加えてございません。交付された奨励金が主としてどこに使用されているかというような具体的な調査は行っておりませんけれども、農家は稲作から他作物への転換を行うため、排水条件の整備とか、あるいは転作作物の栽培用の機械の導入、あるいは乾燥調製あるいは出荷というようなための共同利用施設の整備等を行っておりますので、このような整備への交付金の支出ということが考えられると思います。 いずれにいたしましても、転作の定着化、生産性向上を含む農業経営の改善に充てられているというふうに考えております。 なお、六十二年度から実施する水田農業確立対策におきましては、農業者に交付いたします水田農業確立助成補助金につきまして、農業者が組織する集団等へ一括して交付するというような道も開くことにいたしておりまして、これを通じまして、極力地域ぐるみで行う小規模な土地改良とか、あるいは共同利用施設の設置というような転作案件の整備、あるいは水田農業確立のための相互扶助の体制づくりというようなものに誘導していきたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 今言われた転作の定着化あるいは生産性向上、また先ほども言われた体質強化ということを考えますと、この補助金がどう使われておったのか、これは全部じゃなくてもいいと思いますよ、それは幾つか取り出してでも調査をしておくことというのは、これは大事なことじゃないかと思うんですが、その点どうです、今後の問題も含めて。
○説明員(川合淳二君) 私どもこの奨励金につきましては、特にその使途について制限を加えないということで実施してきているわけでございますが、それは何と申しましても、日本全国にわたります農業の展開が地域によって各種各様であるということ。特に、地域の実情に合わせてこの奨励金を活用し転作営農の定着を図るということを進めてきております。私ども事例的にはそうした営農の展開について幾つかの事例調査は行っております。そうした過程で奨励金の使途というような視点でこれを見ることは可能だというふうに考えております。
○近藤忠孝君 じゃ、その今見た部分的でも、あるいは視点でも、それはどうですか。
○説明員(川合淳二君) 今先生お話のありましたような視点に立って、今後いろいろな調査の中ではそうした点についても留意していきたいと思っております。
○近藤忠孝君 次に、この補助金、三六%も大幅に削減することは、安心してつくれる作物が米以外にない、こういう現状のもとでは農家の生産意欲を奪うことにならないのか、農業生産全体の縮小をもたらすことにならないか、こういう点についてはどう考えていますか。
○説明員(川合淳二君) 先ほどから申し上げておりますように、私ども今回の水田農業確立対策の推進に当たりましては、生産者、生産者団体の主体的な責任を持った取り組みを基礎に、行政と生産者とが一体となって推進するということを考えております。さらに、従来の転作というものを重視した奨励措置に変えまして、構造政策を重視した助成体系としております。こういう観点に立って、生産者、行政が一体となって、いわば車の両輪といたしまして今後の我が国の農業の確立、体質強化ということで、地域ぐるみでこの問題に取り組んでいくという体制のもとで私どもの課題を解決していきたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 次に、これは日経連の「内需拡大問題についての意見」、昨年十二月十一日です。その中にこういう指摘がありますね。 「この際、思い切って市場開放を含めたコメの定全自由化を進めるべきである。農業改革の最終目標は、産業として自立しうる農業の確立であるが、その際のテコとして早急に実施すべきことが食管制度の抜本的見直しである。」こういう指摘がありますが、これについてはどう受けとめ、どう考えていますか。
○説明員(日出英輔君) 食管の問題、さらには米の輸入自由化の問題につきましては、今お話しになりましたようないろいろな議論が最近出ておるわけでございますが、一つ、まず輸入の完全自由化について先生お触れになりましたけれども、現実に米の国際的な貿易事情を考えますと、米は小麦とかトウモロコシ、大豆その他と違いまして、そもそも商品生産といいますか、貿易を前提にした生産が行われてないというふうに言ってよかろうかと思います。主な輸出国はアメリカとタイ、それから貿易量が生産量の四%ないし五%ということで、ほかの小麦とか大豆に比べますと一けた小さい数字になっております。つまり、アジアの米作国は全部自給を前提にした生産をしておるということでございます。そこで、日本のような一億二千万人を抱える国が、そういった商品生産を前提にしておりませんような米の状況の中で完全貿易自由化ということ自体はどうかという議論がございます。 それからもう一つ日本の場合には、御存じのとおり、先ほどお話しありましたような七十七万ヘクタールという膨大な生産調整をやっているわけでございますが、その中で、例えば他用途利用米といったような形で従来の農家手取りの半分ぐらいのところでつくるような低コストの米づくりなんかも別途非常に努力をしておるわけでございます。そういう状況のもとで自由化ということについては大変好ましくないというふうに考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 好ましくないというのはわかりましたが、ただ例えば農政審、これがごく最近やはり食管制度の見直しに取り組むことを決めた。となりますと、今の日経連の提言、また先ほども指摘があったアメリカからの米の自由化要求、そういうものの中で進んでいくんですね。となりますと、今心配されているのは日本経済の空洞化、日本の資本が海外に行くのと逆に、日本の弱い産業、エネルギーそして農業、やっと支えられている米さえもこういう大きな圧力、あるいは国内からもそういう指摘がある。となりますと、今好ましくないと言ったんだけれども、それで本当に空洞化を野放しにすることになってしまいはしないか、こういう心配があると思うんですが、それについてもう一度お答えいただきたいと思います。
○説明員(日出英輔君) 食管制度に関係しますいろいろな提言一つ一つございますのでそれにつきましては割愛させていただきますが、御質問の中にございました例えば日経連の提言でございますが、これにつきましては例えば農業の現状とか役割とか米の位置づけ、そういったことにつきましてはかなり幅広い検討を重ねてつくってございます。そういう意味で大変私どもとして評価ができる面も実はあるわけでございますが、食管については五年以内の段階的な部分管理への移行ということで、これにつきましては種々私どもから言いますと、技術的な問題点かもしれませんが、米の需給なり価格の安定という面でどういう制度を考えているのかということについては幾つかの大きな疑念があるわけでございます。 そういった問題は別途ありますが、私どもの方としましては、実は農政審議会でこの食管につきましての勉強も、その他の価格政策の問題、それから構造の問題と並びまして、これから農政審の企画部会の小委員会で実は勉強するという一つのテーマになっていることは事実でございますが、特にどこからどういうことが出たからこういう農政審の企画部会で一つのテーマとして勉強するというわけではなくて、農政審自体として食管の米管理の基本的枠組みにつきましては、今後中長期的にさらに検討を深めるべき問題であるということ自体を農政審の報告の中で触れておりますので、これを引き続いて勉強し検討を深めていく、こういうことで小委員会をつくって勉強するというふうに考えてやるつもりでございます。
○近藤忠孝君 終わります。
○栗林卓司君 これまでの質疑と重複しない範囲で二点についてお尋ねを農水省にいたしたいと思います。 問題は生産性の高い水田農業をどうつくっていくかということなんですが、行政と生産者が一体になってやり抜くんだというお話でありますけれども、気持ちはわかるんですけれども、そのときにどういう手段を使って生産性の高い水田農業をつくっていくのか、そのときの手段というのは一体何なんだろうかという点をまずお示し願いたいと思うんです。 もう少し申し上げますと、価格政策を使うのか、補助金を使うのか、あるいは限度数量管理を使うのか、いろんな行政手段があるわけですけれども、生産費所得補償方式の価格政策を使ってまいりますと、これはもう生産性向上が反映されない制度、仕組みでありますから、これはとてもだめだと。じゃ補助金はということになりますと、これもまた生産性向上に対するインセンティブとしてはほとんど働いてこない。では限度数量管理は、これもまた生産性向上に対してはほとんど刺激する役割を果たさないように私には思えるんですが、この生産性の高い水田農業の確立というのは確かに目下の重要課題だと思うんです。 今転換作物をつくっておりますけれども、麦にしても大豆にしてもそれを含めて価格支持をしながらやっていこうとしますと、これまで米が中心だった食糧管理制度が転換作物を含めた大型の食管制度に変わっていくだけであって、とても維持できないことは火を見るよりも明らかであります。したがって、米と転換作物を合わせたこの輪作対策なら対策で結構ですが、全体としての生産性をどうやって高めていくのか、そのときの行政のツールというのは一体何なのか、これは今非常に考えておかなければいけない問題ではなかろうかと思いますので、この点をまずお尋ねします。
○説明員(川合淳二君) 私ども内外の厳しい社会経済情勢の変化の中で、一方お米の潜在的な需給ギャップが一層拡大するというようなこと、同時に、今御指摘のような土地利用型農業部門の規模拡大と生産性向上ということが緊急の課題であるということでございます。 その場合に、先ほど私が申しましたように、水田の持つ生産力を高めて、これを最大限に利用して今後の水田農業確立対策を進めるということでございますが、そのための政策手段といたしましては、それぞれ各種手段といたしまして構造政策、生産政策そして価格政策ということがございます。私どもはこの一つ一つがどれが一番大事で、どれが要らないということではございませんが、今後の方向といたしましては、構造政策と整合性をとった上で生産対策なり価格政策を進めていくということが今後の方向ではないかというふうに考えております。
○栗林卓司君 ひとつ意見を含めて申し上げますけれども、自発的に生産性を向上させるということは、どうやって生産者が自発的にコストを下げていくかということだと思うんです。そういう環境をどうつくるかというと、これはだれしも思うのは、市場メカニズムをどうやってそこに導入していくかということになるわけでありまして、そういう市場価格政策によらないで生産性が本当に向上できるだろうか、私は非常に疑問に思うんです。そこで市場メカニズムを日本の農業にどの程度入れることができるか、難しい問題でありますけれども、私は前向きにもう検討する時期でございますよということを申し上げておきたいと思います。 あと伺っておきたいのは、例のウルグアイ・ラウンドの問題でありますけれども、この農政審の「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」の中でもそれに触れて書いてはあるんですが、必ずしもよくわからないものですから、一応この記述のとおり今後進んでいくのであろうかという点をお尋ねしたいと思います。 これは「ガットにおける新しい農産物貿易ルールづくりの状況を踏まえ、現行の農産物貿易制度について、例えば関税による措置のように国際的な市場価格が国内にも反映され得るような方向で、我が国農業に占める当該品目の」途中抜かしまして「市場アクセスの一層の改善に積極的に取り組んでいくべきである。」こう書いてあるんですが、おおむねこの方向に沿って今後ガットの多角的交渉には臨んでおいでになるのでありましょうか。こうなりますと、実はこちらの面からも先ほど申し上げました市場価格への接近ということは、これはもう逃げられないのではないだろうか。 しかもウルグアイ・ラウンドは、焦点は農産物と知的所有権でありまして、ここで日本がどれだけ大きな貢献ができるかということが、このラウンドが成功するかしないかの分かれ道になっているような気が私はしているんでありますが、そこで従来の伝統的なこの問題に対する政府の姿勢を大きく脱皮をして、農政審のここに書いてありますような形で踏み込んでいかれるのでありましょうか、この点を伺います。
○説明員(日出英輔君) 先生お尋ねの前半の価格の問題でございますが、特に米価との関係のように聞こえたものでございますから、一応私どもの方の立場を御説明さしていただきますと、生産性向上を図っていく、ないしは生産性向上を価格に適切に反映していくということだろうと思っております。これにつきましては当然のことだというふうに思っておるわけでございます。 米価の算定につきましては、いわゆる基本的には生産費方式を使っておりますから生産性が上がってまいりますとそれだけ価格が下がってくる、こういう関係がストレートに出てくる算定方式でございます。その中でどんな形で生産性向上をより的確に反映していくかという宿題が当然あるわけでございます。 農政審の報告では、生産性向上を的確に反映するという立場だけじゃなくて、もう一つ、やや言い方は違いますけれども、同じことを指しているというふうに理解しているわけでございますが、今後の稲作の担い手に着目しました価格政策をやっていく、これも今先生おっしゃったようなお話と一つ通ずる面があろうかと思っております。生産者米価の算定方式につきましては、昨年米価審議会でこれを見直し検討するようにというような宿題も出ておりますので、私ども今そういう面で、農政審の報告も出たことでございますので、事務的でございますけれども、勉強を今やっておる、そういう状況でございます。
○説明員(塩飽二郎君) ウルグアイ・ラウンドについての我が国としての考え方についての御質問にお答え申し上げます。 御案内のように、昨年の九月に閣僚会議がウルグアイ・ラウンドのスタートとその基本的な枠組みについて合意をしたわけでございまして、ことしになりましてその基本的な枠組みに基づきまして具体的な交渉分野についての今後の当面の交渉の計画がほぼ決まった段階でございます。農業につきましても、ちょうど今ジュネーブで第一回の実質的な交渉が、農業グループを場といたしまして交渉が始まったわけでございます。 ただ、お尋ねがございました今後農産物のウルグアイ・ラウンドにおける進展は一体どういうふうになるんであろうか、それに対して日本としてはどういうふうに対応していくのかということでございますが、基本的には、やはり輸入面についてのいわゆるアクセスの改善、あるいは輸出補助金などを中心にいたしました輸出競争の秩序化といったような抽象的なことは今後の交渉の基本的な枠組みとして決まっておりますけれども、具体的にどのような進展になるのか、まだ始まったばかりで予測は難しいわけでございますが、一つは、やはり過去のガットの交渉の最も典型的な形でございます関税をお互いに下げていくというようなタイプの交渉も当然農産物については予想されますけれども、現在の農産物の需給事情、大変過剰で市場の状況が厳しい実態にございますので、輸出国あるいは輸入国双方にとりまして、やはりガットの農業面でのルールをもう一度しっかり見直そうというルールの見直しの取り組みというのが一つ大きく想定されるんではないかというふうに見ております。この点では、日本はやはり何といいましても世界第一の農産物の輸入国でございます。そういう立場を基本にしながら、現在のガットの輸入面でのルールが実態に即したようなルールが実現するように、日本の立場を十分踏まえながら対応していく必要があると思っております。 それからもう一つは、ルールの改定というものに必ずしも包摂されない先ほどお話がございましたような各国のそれぞれが講じております農業支持政策自体を問題にするような動きもあるいは出てくるんではないかなという気がいたします。 それからまた、これは比較的ECがそういう立場をとっておるわけでございますが、それぞれの問題別にいわゆる商品協定的なものを締結いたしまして、それをベースに世界農産物の一層の秩序化を図っていくというようなタイプの交渉も予想されるところでございます。 しかし、何分にも今始まったばかりで、どういう点に各国の力点が置かれて交渉が展開していくのか予想が難しいわけでございますが、日本の農業の実態を踏まえながら、一方では日本として新ラウンドに基本的には積極的に貢献をし対応していくという基本的な立場はございますが、日本農業の置かれた特別の立場というものを十分踏まえて交渉をやっていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。 —————————————
○委員長(井上裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、岡部三郎君が委員を辞任され、その補欠として野沢太三君が選任されました。 —————————————
○委員長(井上裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 昭和六十一年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(井上裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時七分散会 —————・—————