商工委員会 第3号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1987/03/27
会議録
○委員長(前田勲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十六日、対馬孝且君、永田良雄君が委員を辞任され、その補欠として山本正和君、松岡滿壽男君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(前田勲男君) 産業構造転換円滑化臨時措置法案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 私は、産業構造転換円滑化臨時措置法の審議をするに当たり、まず政府の責任をただしておきたいと思います。 今日の産業構造調整の現実には、大量失業の発生、地域経済の崩壊となってあらわれております。多くの労働者、中小企業者の生活破壊につながり、その家族、子供たちにまで犠牲が及んでおります。一刻の猶予もできない重大な事態になっております。一昨年九月のG5以来の急激な円高は政策的に行われたものであり、その原因をたどれば日本が外需依存型の経済運営を行ってきたからであります。しかし、政府はいまだに内需拡大に向けた抜本的な対策を打ち出していません。その結果、この数日間の一ドル百五十円突破という形になってあらわれております。 大臣は、政府としての責任をどう考えておられるのかお伺いしておきたいのであります。特に、輸出依存型のいびつな産業構造にしてしまったことは、通産省としても責任はないとは言えません。通産大臣として、その責任をどう考えておられるのか、まずお伺いをしておきます。
○国務大臣(田村元君) 経済は御承知のごとく生き物でございまして、常に世界的な変化があるものでございます。 日本は、戦争という廃墟の中から立ち上がって、そして資源のない国として製造部門に大きく依存していったということは、これはやはり一つの日本がたどる宿命的な道であったと思います。 その点で、私はこれが間違っておったとは思いませんけれども、しかしどうしても景気のよいときには、これの厳しい転換ということは、国家公権力をもってしてはこれは不可能なことでございます。今日、アメリカの経済の競争力の弱体化、また財政赤字の激増、特にアメリカのような巨大な経済大国が世界一の債務国に転落したということによって、まず第一にドルがその値打ちを大幅にみずから落としてしまった。ところが、日本や西ドイツの場合は、逆にそれが円高あるいはマルク高につながった、こういうことでございまして、今日まで確かに外需依存型であった日本経済というものについて、今になっては御批判もあろうかと思いますが、しかしやはりこういう事態が予測されなかったということも事実でございます。 でございますから、とにかくこれから我々はどうすべきか、それは英断をもって内需の拡大策を展開する、それも先般来申し上げておりますように、本来ならば予算の成立の時点における経済状況を踏まえて総合経済対策は判断、策定されるべきものでありますが、今もう緊急避難的に、大きなしかも中身の濃い総合経済対策、すなわち内需拡大策を予算案審議と並行して策定していくということは、国会も恐らくお許しいただけると思いますから、これを勇気を持ってやっていくことである。そのようにして外需中心から内需中心へ移行せしめると。移行することによって雇用あるいは消費その他の支えをしていくということが必要だろうと思っております。
○本岡昭次君 大臣は、経済は生き物であるからということでもって御説明がありましたけれども、もちろん私たちもそういう基本的なことはわかっております。しかし、この外需依存型から内需拡大へ政策転換をしなければならぬというのは、きのうやきょうの緊急的な問題ではなくて、かなり以前からそうした日本の産業構造の持っておるいびつな形というものは論議をされてきたわけで、やはり私はそれに対して的確な政策、対応が欠けていた。それはやはり通産省の、すべてとは言いませんが、一応責任を持たざるを得ないものである、こう思います。そういう意味で、今の大臣の答弁は甚だ不満なんでありますが、その点ばかりにかかわっておれませんので、次に質問を進めてまいります。 そこで、今おっしゃいましたように、大胆に産業構造そのものを転換していかなければならないという立場からこの法案を見ていったところ、残念ながらそうしたことを本当に期待できるのかという法案であります。我々の内部の話の中では、ないよりもある方がまし程度ではないかというふうな極端な意見も出るような始末であります。つまりこの設備処理を中心としたスクラップ化優先の対策になってしまっているんではないか。スクラップ・アンド・ビルドと一つのセットの言葉で使われます。しかし、この法案はビルド案が極めて少ない、これを指摘せざるを得ません。そしてまたこの程度の、法案に盛られている程度の財政措置で対策できるのかという問題もございます。事業の転換先のビジョンも示されていませんし、雇用の場をふやすような具体策が一体どこにあるのかという問題もあります。 今求められているのは、この雇用をふやすことと、輸出型産地や企業城下町での産業振興の見通しを示して地域経済を立て直すことであろうと思うんであります。この法案による対策で当面の事態に対する対応は十分であると考えておられるのかどうかお尋ねしたいのでありますが、企業がスクラップに対してビルド案を、ビルド策をどのくらいの規模でこの法案によって実施しようとするのか、またそのスクラップ化によって起こってくる雇用不安の問題に対して、どれほど雇用を確保し、あるいはまた新しい雇用をつくり出そうとするのか、あるいはまた不況地域で新しい産業をどれほどこの法案を契機にして生み出せるというふうに考えておられるのか、そうした問題をまずお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 二点のお尋ねがあったというふうに承知をいたしますが、まず第一点は、この法案ではスクラップが優先をしておる、ビルドの部分が欠けておるではないかと、こういう御質問でございますが、確かに産業構造の転換と申しますのは、一方で縮小を図っていくような産業がありますとすれば、他方ではそれを補い、新しい雇用分野を提供するという意味での産業分野の開拓をしなければいけない、これは当然のことでございます。 この点につきましては、実は私ども、この法案でそのビルドの部分をカバーするということではございませんで、むしろビルドの部分につきましては、従来から通産省がやってきております各種の技術開発、例えば基盤技術研究促進センターによりますところの基盤技術の開発に対する助成でございますとか、大型プロジェクトあるいは航空機産業についての新しい航空機の国際的な共同開発に対する助成等々の問題についで力を入れてきておりますが、むしろこれからはそういった部分にさらに力を入れると同時に、また一方では脱工業化の時代とも言われておりますが、情報化対策を進めるということでの新しい情報処理サービス産業の育成、さらには国民の多様化したニーズにこたえるための新しいサービス産業の育成、こういった面につきましてもそれなりの対応をやってきておりますし、これからもその努力をさらに拡大をしていかなければならないと考えております。 今回御提案申し上げておりますのは、そういったビルド面については従来の対策を拡充するということでありまして、むしろその縮小をより円滑にするという観点から、この法案で各種の対策を提供しようということを考えているところでございます。 また、ビジョンについても欠けているではないかというお話でございますが、このビジョンにつきましては、昨年の五月に私ども「二十一世紀産業社会の基本構想」というのを出しておりまして、ここでは二〇〇〇年に向けての産業構造転換の大きな道筋というものをお示ししたつもりでございますが、ただ、二〇〇〇年というのは余りにも遠いではないか、こういう御批判も一方にはございます。そういう意味におきまして、ちょうどこれから二〇〇〇年にかけての半ばの時期になります五年ないし七年程度先の中期的なビジョンについては、もう少しより具的体な形でお示しする必要があるのではないかということで、これは現在省内でこの六月ぐらいに大筋をお示しできるような方向で急いで今作業をやっているところでございます。 それから、この法案で、これからどの程度の雇用効果をこの措置で実現できるかということでございますが、甚だ申しわけございませんが、今この席で定量的にどの程度の雇用機会を新しくこの措置によって提供できるかということについては、確たることを申し上げることができないわけでございます。私どもはいろいろ御利用いただきます助成手段を提供申し上げるということでございますが、これを実際にお使いいただきますのは事業者のサイドであり、また地域の問題でございます。それと同時に、まだこれからの経済情勢というものも大きくこういったことについて左右するようなことになろうかと思います。 ただ、これまで公表されておりますような幾つかの各企業の計画を見ますと、例えば新日鉄では六十五年までに高炉の廃止等を伴いまして一万九千人程度の余剰雇用が生ずる、そのうちの約六千人はこれを新しい事業分野への転換によってつなぎとめるというような計画をお持ちでございます。全体の余剰雇用の三分の一程度に当たるわけでございますが、それなりに各企業とも合理化計画の中では雇用のつなぎとめに努力をしておられますし、また疲弊の著しい地域におきましては、地元の地方公共団体が中心になって地域振興のための幾つかの計画も既に構想されているというふうに承知をいたしております。私どもこういったことについては全力を挙げて応援を申し上げ、できるだけ企業内で雇用をつなぎとめ、また地域を振興することによって新しい雇用機会の場を提供申し上げていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○本岡昭次君 きょうは法案を審議しておかなければなりませんので、基本的な問題まだまだ論議したいのでありますが、またそれは別の機会に譲らしていただいて、この法案の一番中心であります特定設備の問題なり事業者の問題、あるいはまた特定地域の問題等々について具体的な問題にきょうは入っていきたいと思います。 それで、まず第一に、第四条にある「特定設備」について伺いますが、この法律の示す特定設備とはいかなる設備を想定しているのかお伺いします。この法律では主務省令で後ほど定めようとする、こうなっているんでありますが、できれば一体どういうものを特定設備として想定されているのか御提示いただきたい。
○政府委員(杉山弘君) 四条二項では、特定設備につきまして三つの要件を定めております。需要が減退し、その需要との関係で供給能力が著しく過剰になっておる。ただ、それと同時に長期間にわたってその状態が続くおそれがある。こういう三つの要件でございまして、これにつきましては各産業の実態を今把握をいたしておりまして、それに基づいてこれから法律が成立、施行されました段階で省令で指定をしたいと考えておりますが、例えばということで申し上げてみますと、鉱業関係では非鉄鉱山、さらにはその非鉄鉱山に関する製錬事業、非鉄の製錬事業といったようなものでございますし、また、例えば製造業の段階で申しますと、鉄鋼なんというのもその候補の一つには上がり得ると思いますし、また、繊維産業の場合には、化繊の紡糸機といったようなものも対象になってくる。化学繊維の紡糸機——糸を紡ぐ機械、そういったものも候補に挙がってくるだろうと思いますが、別にこれらに限定することなく、広く範囲を今絞って調査をいたしておりまして、その調査結果に基づいて、法律の要件に当てはまるものにつきましては指定をしていきたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 それでは、いつごろまでにそれを確定するおつもりですか。
○政府委員(杉山弘君) この法律、公布されますと直ちに施行するというふうに附則ではなっております。実際には、この助成の中心になります産業基盤整備基金、これは公布の日から起算をして一月以上四月以内にその関係規定を施行するということになっております。したがいまして、この法案が成立をさせていただきますと、なるべく早い機会に公布をいたしまして施行し、私ども心づもりといたしましては、五月の初めにはこの産業基盤整備基金、これを発足をさせたいと考えておりますので、それまでの間にこの特定設備につきましても指定し、また特定地域についても指定をするということを考えて早急に作業を進めているところでございます。
○本岡昭次君 特定設備を持っているところが申請によって承認をされると、いわゆる特定事業者となるわけであります。あるいはまた、この提携事業者というふうな関係であれば、それは提携事業者となります。 問題は、その計画に従って特定設備を処理することになった場合、下請業者を含む関連中小企業は当然そのあおりを受けることになります。 いろんな資料があるわけですが、通産省が出しておられる調査で一九八一年のものなんですが、それをちょっと見てみましても、製造業の三分の二がやはり下請中小企業という関係になっている。そして、その八二%が結局大企業との下請取引に依存しているという資料が私たちの手元にあります。そしてまた、今度逆に千人以上の大企業の場合をとると九〇%が下請、外注を利用している。そして、大体一社平均百三十社の下請会社を持つ、こういう大体ピラミッド型の形態を構成しているというのが明らかであります。 また、鉄鋼労連が調査しておる一九八一年のを見ましても、鉄鋼大手五社で請負比率が四九%と、こうなっておりますし、そして本社の工員が五十一万一千二百十五人、社外工が十四万五千三百十二人、ほほ同じぐらいの数で本社従業員と下請という関係がある。全体の四十五社という鉄鋼産業をとらえてみても四四・六%の下請比率を持っている、こういうことでありまして、設備の廃棄ということは特定事業者が廃棄したことだけではおさまらない。要するに、ずっとすそ野を広くそれに関連をしていくということが考えられるのであります。 そこで、一体この法案は、そうしたすそ野を広く展開されている下請業者を含む関連中小企業者を含めて手当てが講じられるようになっているのかどうか、そういうメカニズムになっているのかどうかという点を私なりに見たときに、そうなっていないんではないか、こう思うのであります。それでは本法の随所にうたっている中小企業者への配慮という言葉に何か反することになりはしないか、また矛盾はしないかということを考えます。 したがって、私の意見でありますけれども、本法に基づく事業適応計画には、特定事業者への経営依存率が、例えば五〇%以上のものは、第一次、第二次ずっとあっても、それは自動的に特定設備を持つ特定事業者というふうに指定をしていかなければ、上がとまれば下もとまるわけでありますから、縮小すれば下もそれで縮小せないかぬということになる、こういう関係を私はきちっとしておくべきではないか。この法律に盛り込まれなくとも、今後の特定設備を決定していく段階でやはりきめ細かく対応を通産省としてやっておく必要があるんではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(広海正光君) 親事業者の構造転換によりまして、下請中小企業を含みます関連中小企業者に大きな影響を及ぼす可能性があるという御指摘がございましたけれども、私どももまことに御指摘のとおりだというふうに考えるわけでございまして、このような影響を受ける下請中小企業者におきましては、その技術力あるいは経営基盤等の強化に努めるとともに、その取引先親企業の多角化だとかあるいは新分野進出などの積極的な事業転換によりまして、下請中小企業者あるいは関連中小企業者がみずから構造転換、構造調整を行っていく必要がある、このように考えている次第でございます。 したがいまして、当省といたしましては、六十二年度予算に主として盛り込んでいるわけでございますけれども、下請中小企業が構造調整を円滑に進められるように、下請企業テクノフェア開催事業を創設したり、あるいは下請中小企業アドバイザーの抜本的拡充等を図りまして下請取引のあっせん体制を充実させていこうというふうにまず考えているわけでございます。それと同時に、新分野進出等のための技術開発補助事業というものを新たに設けますとともに、また低利融資制度というものも創設したいと考えているわけでございます。さらには事業転換のための積極的な投資を促進するために、中小企業等基盤強化税制といった税制措置も講じよう、このように万般の施策を講じまして、下請中小企業みずからが構造転換、構造調整を円滑に行っていくような体制を整備していきたい、このように考えている次第でございます。
○本岡昭次君 別の法律でそういう対応がしてあるということのようであります。しかし今私が特に申したのは、この事業転換の円滑化法案の中で起こってくることに対しても的確に対応できるかどうかと、こう言っているんでありまして、端的にそれは大丈夫ですと、特定設備を指定して、そしてそれを縮小、廃棄していくことに関連して第一次、第二次、第三次等の下請が同様に縮小し、設備を廃棄するように関連してなった場合は、それは別の法律できちっとカバーできますと、こういうふうに今のお答えを私は受け取っていいのかどうか。
○政府委員(広海正光君) ただいま申し上げましたいろいろな対策につきましては、これは当然今回御審議いただいております法案に基づきまして親事業者が構造転換を行う、それに伴って影響を受ける下請中小企業者も当然対象に考えているわけでございます。したがいまして、私今申し上げましたのは、それ以外の下請中小企業の構造転換そのものを対象にした対策でございますのでより幅広いわけでございますけれども、当然その中には、本法案に基づきまして親事業者が構造転換を行う、それに伴って影響が出てくる下請中小企業者に対しても十分な対策を講ずることができるということを申し上げた次第でございます。
○本岡昭次君 もう一度端的に尋ねますが、例えば大企業のところで特定設備という形で指定されますね。それに関連する下のいろいろ外注を受ける、あるいはまた下請の仕事をするために同じように施設、設備を持つわけですね。そうすると、上が縮小されたときにそれに関連するものも同時に特定施設として指定をされているというふうに理解していいわけですか。
○政府委員(広海正光君) おおむねそのとおりでございます。
○本岡昭次君 それでは次に、特定施設について伺っていきたいと思います。また特定地域の対策についてもあわせて伺っておきたいと思うんであります。 まず、特定地域を定めるについて、昨年成立した特定地域中小企業対策臨時措置法によって定められた特定地域との関係についてお尋ねしておきます。この中小企業対策臨時措置法による特定地域は四十三地域を今指定されておりますが、これをそのまま土台にしてさらに新しい観点で見て拡大していく、こういう方向で指定されていくんではないか、こう思うんですが、大体そういうことでありますか。
○政府委員(杉山弘君) 御質問のとおりでございまして、この二つの法律は、地域対策につきましては同一の地域を対象にいたしまして、特定地域中小企業対策臨時措置法におきましては当該地域の中小企業対策を、この法律ではごらんいただいておりますように、その地域に対して第三セクターによります地域振興事業を助成し、また当該地域におきます企業の設備の新増設等を助成することによって新しい雇用機会を提供し、地域全体を振興していこう。両々相まって特定地域の経済の活性化に努める、こういう趣旨でございますので、御質問のようなことで運用してまいりたいと思っております。
○本岡昭次君 それでさらに突っ込んだ質問をしたいんであります。 本法の特定地域が先ほど述べました特定地域中小企業対策臨時措置法が主として地域として定めていった一つの概念のようなもの、つまりそれは企業城下町的なもの、あるいは輸出型産地、地場産業的な、そういうようなものを念頭に置きながら、それを地域として考えている。しかし私はこの法律の特定地域はそれをもう一歩進めたもので考えていかなければ本当の対策ができないんではないかと考えておるんであります。それはどういうことかといいますと、第四条三項に「その地域」という言葉があるわけで、「その地域」という言葉にちょっとこだわるわけなんであります。何とか「その地域」というものを弾力的に考えていけないかということであります。 例えば一つの例を挙げさせていただきますが、兵庫県に姫路市がございますが、姫路市の広畑地区というところに所在する新日鉄広畑工場というのがございます。鉄鋼産業、先ほども例を挙げられましたが、全体で合理化する、新日鉄も随所でやっているわけでありまして、この新日鉄広畑工場でも御多分に漏れず要員調整ということで、関連も含めて三千二百人の雇用問題がこれから起こってくるのであります。隣接する飾磨地区というところもさまざまな鉄鋼産業が集中しておりまして、鉄鋼産業の一連の問題がその地域に集中する形になっております。その結果、有効求人倍率も既に〇・二六ということで、年々下降をしてきておるんでありますが、今後の新日鉄広畑の事業活動縮小により、新日鉄広畑の企業城下町として発展してきた広畑地区、昔は広畑町であります。合併して姫路市何々となったのでありますが、人口が四万八千、そこが直接的に、直撃的にその地域が地域経済と雇用の問題について大きな打撃を受ける、こういう形態をそこにもたらします。 従来のように、地域を人口四十五万の姫路市というふうに見ていった場合は、それは非常に部分的な問題ということで「その地域」という概念からはやはり外れていくということになるわけでありますが、私は今日の起こっている状況に的確に対応するためには、今言いましたような、こうした広畑地区のような地域も「その地域」と見なして、そしてきめ細かい対策をすることが求められているんではないかと思います。そして、新日鉄広畑という一つの事業者も、あるいはその自治体である姫路市も責任を持って、そしてその地域の活性化の問題、雇用の安定の問題等について、第三セクター活動なりさまざまなものをもってやっていくという裏づけを、法律的な後押しをこの産業構造転換円滑化臨時措置法というものによってやっていただけるように、ぜひとも私は要請をしたいと思うんですが、「その地域」というものを、私の言うような形でもって弾力的に通産省の側にぜひとも考えていただきたいということを要請したいんですが、いかがでありますか。
○政府委員(杉山弘君) 確かに、御指摘のございましたように、四条三項では「その地域」としか書いてございませんで、「その地域」というのは一体どういう単位で見ていくのかということについては必ずしも明確になっておりませんので、あるいは弾力的に運用できるのではないか、こういう趣旨からの御質問であったと思いますが、従来からこの種の法律につきましては、先ほどこの法律と一体的に運用をするというふうに申し上げました特定地域中小企業対策臨時措置法等もさようでございますが、やはり最小の行政単位でございますし、また最小の地域経済単位といいますものは、どうしてもやはり行政区画を単位として判断をせざるを得ないということで、既に中小企業の地域指定もそのような観点で行われておりますことは御承知いただいていると思います。両法同様の趣旨で運用をしていくことによりまして、先ほど申し上げました地域の振興のために役立たせようということから考えますと、こちらの法律だけを先生おっしゃったような格好で指定をしていくということはなかなか難しいと存じます。 ただ、中小企業の地域法の場合と違いまして、こちらの地域では、御設問のありましたような新日鉄の広畑の工場が、当該地域で事業転換をしてそこに過剰雇用を吸収されようという場合には、この特定地域としての助成とは違いまして、ちょっとランクは落ちますけれども、例えば設備資金に対する融資等の道も開かれることになりますので、むしろそちらの方を御利用いただくということになるのではないかと思います。したがいまして、この地域に指定されないからといって事業転換について全く助成が受けられない、こういう筋のものではございませんし、事業転換をいたします場合の設備に対する特別償却等につきましてもやはり同様の措置が用意をされておりますので、ぜひそちらの方の御活用をお願いをしたい、かように考えております。
○本岡昭次君 いや、私は何も新日鉄広畑の代弁をして物を言うとるんでないんで、私が言いたいのは、地方自治体が、私もここに姫路市の資料を持っておるんですが、いろんな形でそこに起こりくるものについて対応しょうとしておるんですよ、地方自治体が精いっぱいに、よろしいか。それで、今度の法律の地域対策の中には第三セクターとか、後ほど質問しますが、そういうものがあって、そしてその地方自治体の対応について一定のバックアップ体制をとろうとしておるんです。人口四十五万、五十万抱えた大都市だから自分のところでやりゃええじゃないかといえばそれまでであります。 しかし、どう言うか、その地域の中の一定のところがまさに企業城下町的な様相を示して、そこで起こってくる雇用問題とか地域経済という問題は、その地域に特定して起こり得る要素があるというときは、ある意味では臨接しておる相生市の石川島播磨というのと、あそこも人口四万何ぼですよね、似たような形態がその地域に起こるんです、行ってみられたらわかると思うんですけれどもね。それは、町並みは全くさびれてしまうのですよ。一万人近くおったところが六千人、やがて四千人と、こうなっていくんでありますから。だから、そういうところも弾力的な運用としてひとつ検討をしていって、地方自治体のやっていることと、それから企業が責任を持って、みずからの設備廃棄をどうするじゃなくて、そこで放出する雇用を、調整する雇用を吸収するものを地方自治体と一緒になってその地域でつくっていくということに対するバックアップをなぜできないのか。余り機械的にやらずに、そういうきめ細かさが今求められているんじゃないですか。 私は、企業責任の問題と自治体と両方が責任を持ってやる体制をつくるのがこの法律ではないかと、こう考えたものですから、今までのような企業城下町的な、あるいは輸出産業の地場産業的なものだけに限定をしていくと、重厚長大な装置産業がさまざまな形で起こってくることにきめ細かく対応できないんではないかという心配をするから、その弾力性をやっぱり通産省として持つべきではないかというふうに思っておるんです。企業がその設備の償却をどうこうするというようなことを私は念頭に置いて質問をしているんじゃないのです。田村通産大臣、いかがでございますか。ちょっと通産省の弾力的な運用というものを、今すぐここで答弁しろと言いませんが、やはり今後検討をしていただかなければならぬ問題があるというふうに思うんですが、いかがです。
○国務大臣(田村元君) こういう問題は、こういうふうにやってきたから、あるいはこういうふうに決めたから、将来もこれでなければならぬという問題ではないと思うんですね。でございますから、やはり今おっしゃったような問題につきましては、今後の検討課題ということで受けとめたいと思います。
○本岡昭次君 できれば大臣答弁と通常言われるような検討課題じゃなしに、ひとつ実質的にこの問題の検討をお願いしたい、こう思うんであります。よろしくお願いをいたします。 それでは次に、今私が言いました第三セクターの関係で私はそのことを強調したかったのであります。第三セクター問題、最後にこれ質問したかったのですが、時間がありませんからここで質問をさせていただきます。 産業基盤整備基金の業務の一つに、特定出資法人事業、いわゆる第三セクターであります。これに必要な資金の出資というのがあります。そこで、その出資比率について特に上限はないのかという問題であります。というのは、本年度の場合五十億円というものが計上されて、これが出資の原資になるわけでありますが、例えば特定地域四十三地域がございまして、それがそれぞれ第三セクター的なものをやったときに、もしばらまいたとしたら一地域について一億円強ということに出資金がなるわけでありまして、果たしてこの程度のもので何ができるのかという気が一つするわけなんですが、その出資金の上限問題等、またその各地域が第三セクターをつくったときに、その出資問題について、ことしは五十億だけれども、将来、それ以後どんどん出てくるものについて、そういうものは拡大して十分対応できるようにするという通産省の考えがあるのかどうか、そこのところをお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 第三セクターへの出資につきましての上限でございますけれども、これにつきましては私ども一件、一つの第三セクターにつきまして国からの出資の最高額は五億円ぐらいにしたいと思っております。それで、国からの出資と申しますのは、既に御承知いただいていると思いますけれども、地元の地方公共団体、さらには地元の経済界からの出資に対する呼び水というようなつもりでございますから、それぞれ地方公共団体の出資ないしは地元経済界からの出資、そういうものを超えるというのはよろしくないと思います。そういう意味におきまして、呼び水的で、ただし全体としての規模が大きい場合は五億円までは出そうと、こういうことでございます。私ども今いろいろ各地の自治体で御研究になっております具体的な構想について調べておりますけれども、中にはやはりこのリミットに近いところまでの出資を希望されるような案件もございますが、どちらかといいますと数千万円オーダーのところもございますし、これはこれからやってみませんとわかりません。 それから、五十億円の出資といいますのは、あくまで六十二年度のこのスタートに際して要求をしたことでございますので、全体の事業の規模が拡充をしてくるというような場合には、そこでまた改めて検討もさせていただく余地は十分あるわけでございますので、そういう意味におきまして先生御心配のような事態には、地元でいろいろ熱意はありながら、こちらの方の資金がないためにというようなことにはさせたくないというのが私どもの気持ちでございます。
○本岡昭次君 それで、特定地域対策の第三章ですね。第三章は「特定地域対策」ということでくくってございます。その十五条が私は非常に気にかかるわけであります。そしてまた、非常に期待をそこに寄せるものであります。そこはこう書いてございます。「国は、特定地域の経済の安定及び発展に資するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」、こうあるわけであります。「国は、」その「必要な財政上の措置」と、こう書いてあるわけでありますが、私は非常に重要視すると言ったら、ある人は、本岡君、君は素人だからそう言うんだ、大体法律には体裁があって、これは法律の体裁を整えるために入っているんだというふうに言った人があるんで、まさかそんなことはないだろうと言って私は議論したんですが。 私はここで、まさか法律の体裁を整えるためにこんな文言が入っているんではないでしょうねということを申し上げながら、それでは具体的にどのような財政上の措置をこれから講じようと通産省としてお考えになっているのか、そこのところをお聞きしておきたいんであります。
○政府委員(杉山弘君) この十五条の規定につきましては、とりあえず具体的な措置といたしまして、先ほど来御質問のございましたことでの産業基盤整備基金に対します産業投資特別会計を通じての出資、これが国が講ずる財政上の措置というようなことの具体的なあらわれになるかと思います。したがいまして、六十二年度の予算におきまして五十億円の産投からの出資を計上いたしましたけれども、事業を行っていく上におきましてこの五十億円では不足というような事態等がもし生ずるようなことになりますれば、またこの規定に従って私ども必要なものについては財政当局に要求もしたいなということを先ほど御答弁申し上げたところでございます。
○本岡昭次君 まあ趣旨はわかりました。 そこで、通産省からもらった資料で、全国的に地域活性化のために第三セクター方式を導入して、いろんなプロジェクトを今実施しておりますね。四十三地域に指定された兵庫県の中でも、大屋町ふるさと振興プロジェクトとか、相生市海洋スポーツ中心地域活性化プロジェクトというふうなものがありまして、いろんなことが書かれてございますが、あくまでこれはプロジェクトの段階であります。これからであります。 そこで、例えば大屋町、相生市等にしても、本法律の特定地域に仮に指定された場合、進行しつつあるこれらの第三セクター方式による事業に対して具体的な財政上の援助というのは、出資——先ほど御説明ありました民間と地方自治体で少ない方の額を上回らないとおっしゃいましたが、そういう金額の出資をやる、あるいはまた融資をして、利子補給ですとかいうふうなものをやっていくということがそこにあるんでありますが、具体的に私たちが期待するのは、地方自治体がかなりそれについててこ入れをせにゃいかぬと思うんですよ、今見ておりますと。だから、その地方自治体に対してのてこ入れが財政上の援助として、先ほどおっしゃったようなことじゃなくて、例えば地方特別交付金のような形態あるいは別名目の補助金とかいうふうな、具体的に行われることについてのそういう直接的な、文字どおり国の財政援助というものが何とか期待できないかということを私は強くここで考えるんです。 だから地方の活性化といっても、これは通産省が全部カバーできませんよ。結局のところ地方自治体が私は責任を持たにゃいかぬと思うんです、持たせにゃいかぬと思うんですね。そのときに、やはり地方自治体に財源を見でやるということと権限の移譲を大胆にいろいろやっていかなければ、何をやろうとしても一々あっちこっちにお伺いを立てにゃいかぬ、さあ、お金のこともというふうな金縛りに遭ったような状態で、地域の活性化に本当に自治体が立ち上がるかどうかという点にいろいろ危惧を持つんであります。したがって、財政上の措置というものが、この法律に今あるそれを指すというんじゃなくて、さらに第三セクターを進めるというふうなことを中心に、地方自治体に対して積極的な財政援助を呼び水的にやっていくというふうなことを政府としてお考えできないか。自治省もそのためにきょうおいでいただいておるんでありますが、その点についてひとつお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 御質問にございましたような、本件第三セクター事業についての国と地方自治体との財政上の関係につきましては、自治省からお答え申し上げるのが本来だと思いますが、私ども承知しております限りにおきましては、むしろ地域の問題であるだけに各自治体が極めて御熱心でございまして、先ほど先生お挙げになりましたような幾つかの具体的なプロジェクトにつきましても、各自治体が私どもの方にいろいろと事前に御相談にお見えになっている、こういう状況でございます。したがって、地元としての地方自治体については、私ども大いに熱意があると思っておりますし、また、そういった熱意をさらに大きくする意味においては、先生おっしゃるふうな方向での対策がもし実現可能であるならば、これは国としても援助を申し上げようという私どもの立場からしても非常に心強いことだというふうに考えております。 直接的にはむしろ自治省からのお答えをお聞きいただいた方がいいかと思います。
○説明員(二橋正弘君) 先ほど来お尋ねがございますように、最近各地の地方自治体におきまして、地域経済の活性化ということに積極的に取り組んでおるわけでございまして、そのためには地域におきます総合的な行政主体でございます地方団体の自主性がより強まりますように、権限の移譲その他地方団体の自律性が高まるような制度の改善ということがもっと推進される必要があるというふうに私ども考えております。それに即応いたしまして、必要な財源の確保ということも当然必要になってくるわけでございます。特に私どもといたしましては、一般財源の充実に今後とも努めていきたいというふうに考えております。そういう方向でこれまでも地方制度調査会等からも答申をいただいておりまして、そういうことに沿って私どもとしては努力してまいりたいというふうに考えております。 それからもう一つ、先ほど来第三セクターの問題についてもいろいろお尋ねでございますが、この点につきましては、どういう形で第三セクターにどの程度かかわりを持っていくかということは、それぞれの第三セクターの行います事業の公共性でございますとかあるいは採算性でございますとかいったようなことにつきまして、十分な検討が必要であると思っております。それから、地方団体がどういう程度の財政的なかかわりを持つかということは、それぞれのプロジェクトによってさまざまでございまして、先ほど来話がございますように、億単位から千万単位までいろいろございます。母体となります地方団体の財政規模もさまざまでございまして、それに対する財政的な対応というのは個別に判断をしていきたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 最後になりましたが、労働者の地位を不当に害しないという非常に我々にとっては関心を持つべき事項があります。これについて御質問いたします。 労働者の地位を不当に害することを防止するために、第五条、第七条の事業適応計画の記載事項内に、「設備の処理又は事業転換等に伴う労務に関する事項」という項の挿入が修正によって行われました。きのう説明を受けました。この修正については私は高く評価いたしますし、通産省がこれを受け入れていただいたことについて非常によかったと思っております。 そこで、これをより実効あるものにするために、一つはこの「労務に関する事項」という事柄の内容として、労使双方の協議による合意書というふうなものをやっぱり内容とすべきでないかという点が一つであります。 それからさらに、設備の廃棄、縮小、あるいは事業転換等を行っている事業所の中で労働争議が生じている場合、あるいはまた労働委員会あるいは裁判所に提訴して係争がある場合、係争中のものについては、事業所が事業設備にかかわるさまざまな承認を求めてきても、当然これは従業員の地位を不当に害することになると考えてこの事業計画の承認は留保されることになるであろうと、こう私どもは判断するのでありますが、この点についてひとつ的確に御答弁いただいて、私の質問は終わりたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) ただいま御質問ございましたように、設備の処理、事業転換、さらには事業提携ということになってまいりますと、雇用、労務と密接な関連を持ってまいります。こういう観点から衆議院の方で法文修正等も行われました。 私ども考えておりますのは、承認基準といたしまして、従業員の地位を不当に害するものであってはならないということにつきましては、その実態的な判断といたしまして、まず計画作成の段階で労働組合等と十分自主的なお話し合いがされているかどうかということを見ていきたいと思いますし、またその計画の具体的な中身について、雇用についで十分な配慮がなされているかどうかということを判断をしていきたいと思っております。したがって、そういうことでない場合には、むしろ計画それ自体の承認をしないということであろうと思います。 今お尋ねは、労使の合意書がなければと、こういうようなお話でございますが、むしろここはそういった形式的な問題よりは、むしろ自主的な判断を優先をさせた方がいいんではないかと思いますし、これまでの各種の合理化計画等につきましても、労使で十分お話し合いをされて、実際問題として合意があった後発表がされるというようなことにもなっているようでございますので、労使の間で、お話のありますような紛争が生じているような段階で計画承認申請がなされるということは、実際問題としてもまずないんではなかろうかと思っておりますし、また先ほど申し上げましたような、承認に当たっての判断で自主的に十分な話し合いが行われているかどうか、また計画の内容について十分配慮されているかどうかということにつきましては、承認の段階で判断するだけではなくて、事前に組合等との十分なお話し合いをするようにということにつきましても、事業者に対して私どもとしては指導もしてまいりたいと、かように考えているところでございます。
○本岡昭次君 これで終わります。
○梶原敬義君 後ほど日米半導体摩擦の問題について少しお聞きしますので、アメリカの経済政策閣僚会議の方針というのが恐らく決まったと思いますが、そのときまでに、あと何分か後ですが、ひとつその内容が明らかにできるように準備をしていただきたいと思います。 最初に、きょうは経済企画庁もお見えでございますので、通産省と両方にお聞きしますが、この法案の提案趣旨の冒頭に、「我が国貿易収支の黒字幅は、昨年一年間で九百二十七億ドルにも上っております。このような大幅な対外不均衡の是正を図り、我が国経済の中長期的発展基盤を確立していくためには、我が国産業構造を国際的に調和のとれたものに転換していくことが極めて重要であり、」云々と、こうなっております。 私は、大幅な円高が続けば、当然日本の海外輸出というのは数量的にも減る理屈になるわけでございますが、それが一向に、もうJカーブ理論も言われて久しいんでございますが、貿易黒字が今、昨年の数字も申し上げましたように、大変大きなものになっておりますし、一体これはどういうことなのかよくわからぬ。この点について説明をしていただきたいし、また先の見通しについても教えていただきたいのであります。
○政府委員(田中努君) Jカーブ効果についての点でございますが、いろいろモデル等によりまして計算をいたしますと、Jカーブ効果は大体一年ないし一年半は継続をするという結果が得られておるわけでございます。 そういたしますと、プラザ合意以降円高が急速に進展いたしましてから現在約一年半ほど経過をいたしておりますので、Jカーブ効果もその最初の部分につきましては次第に剥落をしていく時期に近づいているというふうに考えるわけでございますが、円高がその後順次進展をしてきておりますので、まだ今後円高の効果がJカーブ効果という形である時期継続をする、そういう見通しになるかと思います。 このJカーブ効果と申しますのは、数量の面では効果が出るけれども、価格の面では効果がなかなか出るのがおくれるということでございますが、現実の動きもそのとおりになっておりまして、数量ベースでは貿易収支あるいは経常収支は円高の進行とともに割合急速にこれが頭打ちに転じまして、現在かなりのところまで縮小しているわけでございます。これに対しまして、ドルベースで見ますと、やはりかなり金額が膨れ上がっているということでございまして、こういう傾向は今後次第におさまってきまして、経常収支、貿易収支ともに黒字幅が漸次縮小に向かっていく、こういうふうに考えておるところでございまして、六十二年度の経済見通しでも貿易収支、経常収支ともに、それほど大幅ではございませんけれども縮小の方向に向かう、こういうように見通しを立てておるところでございます。
○梶原敬義君 具体的に円高で九百二十七億ドルになったのは一体何ですか、貿易黒字の中身ですね。例えばどういう商品が出て、どういう商品が伸び悩んだのか。
○政府委員(畠山襄君) まず輸出数量の伸び率で申し上げますと、伸びた品目は化学品、これが暦年ベースでございますが、九・三%伸びております。それから機械・機器の中の、一応この分類で申し上げますと、一般機械というものが三・四%伸びております。この一般機械の中には事務用機器でございますとか、コンピューターとか、そういったものが入っております。それから精密機械、これが一・三%伸びておりまして、この中にはこの分類でございますとVTRが入っております。その他雑品も一・五%伸びておりますが、以上が伸びている品目でございまして、あとは食料品、繊維品、それから非金属鉱物製品、金属品、それから機械・機器の中の電気機器、輸送用機器、いずれも数量としては減っているわけでございますが、先ほど御説明がございましたJカーブ効果、ドル価値の下落に伴う価格の引き上げということが貿易面に出て、九百数十億ドルというふうな黒字になってきておるところでございます。
○梶原敬義君 ちょっと経企庁、昭和六十二年度の貿易黒字の見通しを教えてください。
○政府委員(田中努君) 六十二年度の貿易収支の見通してございますが、円ベースで申しまして十三兆……
○梶原敬義君 円じゃない。
○政府委員(田中努君) ドルベースで申しますと、八百十億ドルでございます。
○梶原敬義君 Jカーブで減ると言うけれども、そう減ってないじゃないですか。どうですか。
○政府委員(田中努君) ただいま申し上げました数字は、ドルベースの国際収支のIMFペースの数字でございまして、六十一年度の実績見込みは九百四十億ドルということでございまして、そこから減少する、こういうことでございます。
○梶原敬義君 日米貿易摩擦の原因になっているのは、やっぱりドルじゃないんですか。円の手取りが減るということが問題じゃないんじゃないですか。
○政府委員(田中努君) 日米間で申しますと、確かにアメリカは自国通貨でございますドルで問題を提起してまいるということであると思います。 ただ、私どもは経済見通しを立てるという立場から考えますと、どこの国でも大体自国通貨で見通しというものはつくっておるわけでございまして、そういう意味でまず円で申し上げたところでございます。
○梶原敬義君 通産大臣、八百十億ドルの見通しというのは、これまた当たるか当たらぬか、今まで余り政府は当たりませんけれども、これは大変な金額ですよ。これは円でもドルでもいいですわ、経企庁いろいろおっしゃいますけれども、これは貿易摩擦の対象になるんですか、ならぬのですか、この額自体は。
○政府委員(畠山襄君) やはり貿易摩擦は本来あってはならないことではございますけれども、米国は二国間の貿易収支を現在のところ気にいたしております。しかしながら、その背景には日本の膨大な黒字、グローバルな黒字ということもございますので、そのグローバルの数字自体が問題になるわけでございますが、これを百三十億ドル改善するということは、改善した後の八百十億ドルが米国を満足させるという意味じゃございませんけれども、改善の方向に向かっているという説明は私どもとしてはできるというふうに考えております。
○梶原敬義君 八百十億ドルの貿易黒字、六十二年度の見通しと言うが、これは国際的に見て、日本の立場じゃなくて、これはどういうことを意味するんですかね、大臣。
○政府委員(畠山襄君) 確かに八百十億ドルの黒字というのは、国際的に見ると、梶原委員御指摘のように相当な規模でございまして、過去の例で見ますと、サウジアラビアが記録した黒字がそんなような金額になっておったのが最近の例でございます。そのときのサウジの黒字の世界全体の黒字に占める比率というのが相当な比率であったわけでございますけれども、具体的に申し上げますと、五十六年サウジアラビアは七百八十億ドルという黒字を記録いたしまして、それが世界の黒字に占める比率が五四%ということでございました。 八百十億ドルに相当する世界全体の黒字が幾らかわかりませんので、その比率がどうかということはよくわかりませんけれども、相当な黒字のシェアを占めている、ここは事実でございます。
○梶原敬義君 私は、二月の二日から十一日の間、特にアメリカの西海岸へ農業問題の視察に行ってきたんです。米と畜産、これはコロラド州のデンバーに行ってきました。それからロサンゼルスのちょっと奥に入ったサンキスト社とオレンジの生産地。ずっと行ってみまして、先ほど経企庁が数量も減っているというような話をしましたが、自動車の輸出台数あたりも、聞きますと、あるいは今私の持っている数字から見ましても、対米あるいは対EC関係についてはそんなに減ってないんですね。それで、一方価格の面もせいぜい上がって一〇%かそこらじゃないですか。この円高で向こうの売り値が余り——もっと上がっているかもわかりませんが、大体九・六%ぐらい、一年間で自動車のまあいろいろモデルチェンジや何かやって。Jカーブ、Jカーブと言っているけれども、自動車やあるいはOA機器やあるいは半導体もそうかもわかりませんが、そういう先端輸出産業の我が輸出商品というのは、そんなに言われるように円高でも減ってないんじゃないか。そういう感じを、回りながら、いろんな人から話を聞きながら受けたんですが、この点はいかがでしょうか、少し間違っていますか。
○政府委員(山本雅司君) 今、先生御指摘のように、自動車につきましては来年度も二百三十万台の台数にしようという自主規制の決定をいたしまして、大臣が発表されたわけでございます。それからOA機器あたりにつきましても、数量ベースで見ますとそれほど減っていないというのが事実でございます。 これはなぜかと申しますと、価格そのものは非常に高くなっておりまして、自動車などの場合では、輸出価格そのものはやはり三割近く上がっているのが事実でございますが、現地での販売は非常に競争が厳しくなっております。かつては、日本車というのは現地に持っていけば飛ぶように売れたという時代がございましたが、現在ではアメリカにおきましても、企業によっていろいろ差はございますけれども、なかなか販売競争が厳しくなっている状況でございまして、必ずしも円高分だけ上がっていないという事実がございます。したがいまして、総体として見ますと、自動車の輸出につきましては六十二年度も減らない。多少金額で、ドルベースでございますが、ドルベースではふえる、円ペースでは減るという状況でございます。それから、OA機器につきましても、品目によって違いはございますけれども、アメリカ市場においては、数量としてはそれほど減らないものがあることは事実でございます。ただ、VTRとかCDとか、そういうものは非常に需要自体が落ち込んでおりまして、在庫がたまっているというような状況もございます。
○梶原敬義君 先ほど経企庁の話では、Jカーブの効果があらわれて減るだろうと、こういう話でしたが、しかし私が今言いましたように、また今の答弁でありますように、随分経企庁の物の考え方と、あなた方が言っていることと私が見ていることとの差があるような気がしてなりません。今貿易黒字の最大の原因というのは自動車でしょう。あるいは電気製品、OA機器、それからVTR、こういうものでしょう。こういうものがどんどん出ているから結果的には黒字がどんどんたまるんでしょう。そうすると、そのもとの自動車なんかの量が減ってない、価格も——価格の問題は後で議論しますけれども、そういう状況なんです。どうもわからないので、この点もう一回整理してください、経企庁。
○政府委員(田中努君) 貿易統計によりますと、ことしの二月の輸出の数量は、ちょうど円高が始まりました六十年の七−九月期に比べますと八九・三%ということでございますから、約一一%ほど数量で低下をしているわけでございます。これはやはりドル価格の引き上げに伴いまして輸出の数量が減少に向かったということでありまして、今回の輸出価格の引き上げの状況は、従来の円高のときほどではなかったわけでございますけれども、現在のところ約五割程度の引き上げ率になっていると、これはあくまでもマクロ的な数量指数あるいは価格指数の動きから申し上げておるわけでございますが、平均的に申しまして五割ぐらいの引き上げ率になっている。過去はこれが七割ぐらい実はあったわけでございまして、今回はNICSとの競争が非常に激しくなっているとか、あるいはアメリカのインフレが非常に低下をしているとか、いろいろな状況によりまして、どうしてもこの円高率ほどには引き上げられない、その半分程度にとどまっているということがございますために、価格の急激な上昇による数量の非常に急速な調整という状況は、実はまだ出てきておらないわけであります。 しかしながら、これが価格がもっと引き上げられたということになりますと、数量ももちろん減るわけでございますけれども、Jカーブ効果の方はかえって大きく出る要素が働くわけでありまして、ドルベースでの金額はあるいはもっと膨らんでいたかもわからないというふうに考えられるのではないかと思っております。
○梶原敬義君 だから、価格の問題ちょっと後にしますけれども、それでもこれは新聞の数字、これは間違っておることはないと思うんですが、日本自動車工業会が発表した数字ですが、ちょっと読んでみますと、六十二年一月三十日の記事ですが、 昨年のわが国の自動車(四輪車)輸出は約六百六十万五千台、前年比一・九%減と四年ぶりに減った。日本自動車工業会によると、全輸出台数に占める北米向けが五六・三%(前年五〇・三%)、欧州向けが二三・七%(同二〇・三%)と二大市場向けが八割に達した。自動車輸出の「米欧依存度」は五十六年に六四%、六十年には七〇・六%と上昇しており、昨年は途上国・産油国の不況で日本車の米欧集中に一気に拍車がかかった。 こういう傾向がさらに進むだろうというような記事になっておるんですね。だから、理屈で経企庁が言っていることと実際に進んでいることとは、がらっと中身が変わっているんじゃないですか。この点いかがですか、通産省。
○政府委員(山本雅司君) 自動車輸出については、今の御指摘は正しいものと考えております。と申しますのは、今、産油国も東南アジアも中南米も、非常に国内の景気状況が悪くて、なかなか日本車を購入できない状況で非常に輸出が落ち込んでおります。それに対しまして、アメリカは昨年割合好調でございました。ただ、全体の数量は二百三十万に抑えられておりますけれども、アメリカ市場は割合好調。それからヨーロッパ市場が大変に好調でございまして、これは一つにはヨーロッパの景気自体が割合よかったということと、もう一つは、ドルと比べますとヨーロッパ通貨は、比較の問題でございますが、日本の円との関係で輸出しやすい環境があったというような特殊要因もございますが、確かに今御指摘のような状況になってきております。
○梶原敬義君 そこで、さっき自動車の販売価格の話がちょっと出ましたけど、当然円高で四割なら四割円高とすれば、向こうから見ますとそれは四割ぐらいの価格が上がって当たり前だという感じをしますですね。逆に向こうから入っている、アメリカから日本が買っている製品というのは、円ベースで言いますと相当下がっていますね。逆に日本の輸出商品というのはそんなに円ベースで比較しても下がっていない、下がり率が少ない。要するに、アメリカでの価格転嫁が、これ間違いないと思うんですが、これはある筋から自動車工業会に聞いた話によりますと、自動車販売価格は円高によって三、四回の値上げを行った、しかし一〇%程度、したがってその結果の自動車の上昇というんですかね、そういうことに落ちついていると、こういうことを言っているんですが、これは間違っていますか。
○政府委員(山本雅司君) これは、実は具体的な販売価格あるいは価格政策の問題もございまして、なかなか微妙な点はございます。と申しますのは、ドルベースでは相当上げております。大体三割以上の上げ率になるかと思います。ただし、現地の販売状況は、先ほどもちょっと触れましたように、なかなか厳しい競争条件になってきておりまして、必ずしもこちらの輸出価格と同じような現地の販売価格の引き上げは難しい状況でございます。したがいまして、今御指摘の一割というのは、私ども感触としてはやや小さ過ぎる感じはございますが、これについてあんまり明らかにいたしますと、逆にダンピングとかいろいろ問題が出てまいりまして、とにかくそういう嫌疑を受けないように気をつけて正々堂々と輸出するようにというのは、常日ごろ強力に要請している次第でございます。
○梶原敬義君 大臣、経企庁さっき言われました数字とやっぱり随分食い違っているんですよ、政府の中で。だからもう少し現実に近い話をこれから進めていっていかなければ私はいけないと思います。 私はこう思うんですよ。円高だから下請工賃やなんか、自動車も電機もVTRもそうなんですが、物すごくたたくんですよ。それで自分のところも企業努力するんですよ、合理化やって。そしてコストを下げて対応するわけですよ、海外市場で。そして、そこでまたどんどん稼ぐものですから、円高相当分の値上げしなくてそれで稼ぐ、また黒字がたまる、それで貿易摩擦、再び円高、こういう状況の繰り返しになっていると思うんですよ。悪循環ですね。これを一体どこで断ち切るか。これは私のところの地元の新聞で、百四十円台に落ち込んだときにすぐ出た記事です。「円高加速 悲痛な声」「自助努力にも限界だが忍の一字あるのみ」と、こういう見出しになっているんですがね。 県下中小企業団体を傘下に置く県中小企業団体中央会の菅原茂会長は一ドル=百五十円割れについて「たまったもんじゃない。一層の円高の中で、産業の空洞化に拍車がかかり、ひいては国内の雇用問題が深刻化する。日本の国力に見合った円高ではない。景気に暗雲がたれ込めており、なんとかしてくれないと困る」 とこういう険しい表情で語っておるという記事が出ている。 だから、この円高、合理化、低価格輸出、そして大幅な黒字、貿易摩擦の拡大、さらにまた円高、合理化と、この繰り返しで、最後に行き着く果ては産業の空洞化に通ずると思うんですけど、これをJカーブと言うんならJカーブと言ってもそれはいいかもわかりませんが、最後に行けばそれは産業空洞化して、日本の経済もめちゃくちゃになれば、それはまあそう言うのかもしれない。しかし今までのあなたたちが言っているJカーブなんというのはもう信用できませんけど。この点について私はどうも納得がいかないんです。 半導体もやっぱりそれに似ていると思うんです。半導体もどんどん記憶能力の大きなやつをつくっていって、とにかく何でもいい、競争で勝てはどんどん出すという、とにかく何というか、競争で勝ては経済理論に合っているんじゃないかという、どんどん経済侵略をするようなやり方というのは、これは考え直さなきゃいけない時期にきているんではないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) 自動車の場合は、アメリカに対しては三年間の継続の自主規制で、二百三十万台で抑えておりますが、これはいわゆるインフレ率というものを考えますと、三年間毎年減らしたということになるかと思います、数字はイコールでありましても。それから、ヨーロッパについては若干ふえております。自動車問題は、二百三十万台の自主規制というのは、米側としては非常に高く評価しておるようでありますが、問題は部品購入、そういう問題でいろいろと悶着が起こっておる。 それから半導体の場合も、実は日米の半導体の貿易という点では問題はほとんど起こっていないんです。日本からの売り込みという点では、ダンピングもありませんし。問題は、日本側がスーパーコンピューターを初めとして、アメリカのものを買わないというところに問題があると彼らは言うわけです。 それからもう一つは、日本の半導体等が、確かにアメリカへは適正に売られておるけれども、第三国、特にアジアNICSを通じて迂回でダンピングをしてきておるではないか、こういうことで先般も問題が起こったわけでございますけれども、そして今御承知のようなアメリカの政界での問題でございますけれども、しかしこの迂回の輸出という点では、日本からまず船に乗せて出ていく、そして先方へ着く、その先方のいわゆる買い取り主が日本の企業の関連会社であるというような場合には非常に実態がつかみやすいのですけれども、今度はそれから先ということになるとわかりにくくなるし、そういう点で、実は第三国における追跡調査というものが、その国の内政の問題もありますから実際につかみにくい、こういうようなことでございます。 まとめて言いますなれば、第三国を経由してのダンピングということを非常に問題にしておる。いま一つは、日本が売り込みはするけれども、その売り込み方は確かにアメリカには直に売る場合は適正ではあるけれども、それはそれとして評価するが、日本はもっとアメリカのものを買ったらどうか、こういうことが問題になっておる、こういうことでございます。
○梶原敬義君 私は自動車の場合、これは多分半導体もそうじゃないかと思うんだけれども、ちょっと行って聞いてみますと、日本の本田とかトヨタとか、そういうところの企業間競争、輸出業者の二百三十万台の中での勝負、それはNICSの自動車の追い上げもあるでしょうけれども、これは日本の企業同士の競争も多分にある、半導体もそうだと思うんですよ。ここのところはもう少し行儀のいい指導を、競争に勝ては何でもやったらいいということになれば、私はそんな理屈が、一つの世界の、州の中でやるなら別ですけれども、何でも競争に勝てばいいということ、そういうわけにはいかないと思うんです。だから、そこのところをひとつきちっと指導すべきじゃないかと思う。やっぱり円高に相当する分だけは価格は当然上げる。そんなに上げぬでも、一〇%やそこらだったら、それは怒りますよ、アメリカは。 それでカリフォルニア、これは日本の面積の一・一倍です。カリフォルニア州というのは国で言うとGNP世界第六位。そんな誇りを持った州政府に行って、農務局の次官のゴメスという人と会った。それで米の話をしたんです。米の輸入問題については、日本という国が自然の調和を保てるというのは、田舎に行っても地域に行っても、たんぽがある、保水能力がある、自然を保っておる。だから、米を全部輸入されたりして崩された場合には、日本は大変なことになるだろう。そう言ったら、ううんと、こうやっている。では牛はどうかと、牛も余っておる。それから、では乳製品はどうかと言ったから、乳製品も余っていると、こう言ったんです。そう僕が言ったら悲しい顔をしておりました。 私は大分県で七名の調査団をつくって、私が団長で行ったんですけれども、非常に悲しい顔をしていた。では、段々畑でウナギが何か飼ったらどうか。ウナギだってもう日本はいっぱい余っているんだと。淡水魚は何かないかと、淡水魚も、コイや何かもそんなにもう要らない。ではエビはどうかなんて言って、非常に暗い、悲しい——悲しいじゃないけれども、やっぱり何か買ってくれるものはないかと一生懸命言うんです。そこで彼らが言うのは、こんなに自動車や半導体や何かがどんどん出てきて、電気部品や自動車部品や何かをどんどん輸出されて、アメリカは企業の倒産や失業者がどんどんふえておる、これはアメリカにとっては大変なことですよと、こう言うんです。 そこでやっぱりアメリカのことも理解をしなければいけない、あるいはECのことも理解しなければいけない。だからそこで、何でも安ければどんどん入っていくというような業界のあり方、しかも安いといっても、皆さん方はファンダメンタルズの反映と言っているけれども、アメリカは週休完全二日制ですからね、学校は土曜日も休みますよ。日本は週休二日制どころじゃないでしょう。とにかく朝から晩まで働いて、特に部品工場やあるいは下請関連というのは低賃金で大変ですよ。VTRのそういう部品というのは、ほとんど農家や田舎の婦人労働力で、小さく組み立てて出しているんです。こういう状況なんです。まともな競争をしていないんです。 しかも、競争力があるということでどんどん出しているような状況なんですけれども、何でも内輪のことは汚いところは伏せていて、後は競争で押しつぶしていくというやり方に対しては、長い日米関係あるいは日本やヨーロッパの関係を考えた場合には、もうちょっと私は考えなければいけないと思う。だから政府として一体どう考え、指導するかという問題じゃないでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) おっしゃることはよくわかりますし、また通産省としては、時に内々で、時に公に随分注意はいたしております。先般も半導体関係のメーカーでありかつユーザーである大手十社を呼びまして、私から強く御忠告も申し上げたし、御要請も申し上げた。 今、対米配慮という点でいろいろお話があって、そのとおりだと思いますが、ただ一つ私から申し上げたいことは、日米貿易というとすべて日本が悪い、私はそうは思わないんです。日本だけが悪いとは思わないんです。アメリカにもまた改めてもらわなければならない点があるんじゃなかろうか。どうも最近の風説といいますか、日米関係、日米貿易は、日本が悪者であって、か弱きアメリカを泣かしておるような風潮があることはまことに残念なことです。レーガンが一般教書で正直に言いましたが、アメリカの体質の改善、産業に強いアメリカにもう一回つくり直すんだということを言っておりますが、かつての、ほんの一年半ほど前までは、アメリカは強いアメリカ、強いドルを呼号しておったわけです。でございますから、私どももまた努めなきゃならぬ点は努めなきゃならぬが、これはもう当然のことでございます、日本のあこぎな商法というものが全世界に許されるものじゃありませんが、しかし、だからといって、アメリカにもまた努力をしてもらわなきゃならぬ点が多いんじゃなかろうか。 その一つの例がG5、G7の合意でございまして、日本や西ドイツは内需の拡大ということに努力をし、アメリカは財政赤字の削減やまた経済力を強めるということの義務を負ったわけでございますが、そういう点で、言いたいことはたくさんございますけれども、しかし、だからといって日本のやっておりますことがすばらしいことであるとは思っておりませんから、その意味では確かにおっしゃることはよくわかるような気がいたします。
○梶原敬義君 内需の拡大の具体策を、きのうからも聞いておりますが、私はやっぱりもう少し示すべきだと思うんです。総理大臣がアメリカに渡る前には何とかやって一人百ドル買えとかあるいは何回も何とか会議をやって、いろいろやったけれども全部失敗しているんですよ、四回。私はいつか、奇妙な行動と、こう言って質問したことがあるんですけれども、また何かやろうとしているんですが、ほとんど効果のないことを繰り返し繰り返しやって、それは信用しませんよ。だから私は、もう少しいろんな知恵を、地方自治体なんかにもよく聞いて、四全総や何かの関係もありまして、もっと地方を重視するような形で内需拡大の具体策を考えていただきたいと思うんです。要望しておきます。 問題は、週休二日制は、大臣、やっぱり法制化をしなきゃだめです。完全週休二日制を今ここで我が国が法制化をきちっとやれば、中小企業も困らぬです。中小企業は、労使でやれと言うと困ります。用意ドンでやれば、どこもここも休んでいるから、それはそんなに困らぬ。一軒休んで一軒が動いていれば、そこは売り上げがどっと集中しますから、それは困るでしょう。だから完全週休制を思い切って法律で制定する。そのくらいのことを大臣ひとつやってもらいたいと思う。 まだあと、中小企業対策や何かもありますし、法案の問題なんかありますが、時間が参りましたので、内需拡大に対する大臣の考え方と、私は、週休二日制は、アメリカに行っている外務省の領事館の連中から、帰ったら週休二日制を法制化してくださいという意向をこそっと聞いておりますよ。私は、フランスや西ドイツもこの前見てきました。日本は大変な労働時間じゃないですか、差がついているじゃないですか。だから、いいですか、それはひとつやってください。 それから、アメリカの経済政策閣僚会議ですか、その結果がきょうもう結論出ていると思うんですが、日本の半導体摩擦についてどういう結論を出したのか、お聞きして終わります。
○国務大臣(田村元君) まず、内需の拡大問題でございますが、ずっと私が申し上げておりますように、本来ならば、総合経済対策は予算が成立した時点での経済状況を判断して立てられるべきものということでございましょうが、今はこのような急激な円高現象でもありますし、企業が非常に苦しい、特に中小企業は苦しんでおりますから、緊急避難措置として大きな、中身の濃いものを速やかに策定すべきであるということを私は申しております。 しかし、現実にはそれが予算案の審議に影響しやせぬかという心配があるようでございます。私は、与野党を通じて、内需の拡大策を今具体的に出しても国会で問題にはなさらぬだろうと思う。それと今の予算案との絡みを追及されるということはないと思うんです。それは私は良識を信じております。でございますから、通産省の役人たちには、他省庁のことに関してでもいいから、内々で、どういうふうにしたらいいのか、それを一遍考えてみろ、私のところヘリポートを持ってこいと、こう言ってございます。 それから、いま一つは週休二日制の問題でございます。これは実は、私が労働大臣のときに初めで言ったんです。今からもう十五年ぐらい前になりますけれども。私が労働大臣のときに申しましたのは、週休二日制ともう一つ何だったか——要するに、週休二日制をやるには法制化がいいのかどうか、とにかくそれは私が今コメントする立場にはありませんけれども、例えば金融機関を完全に週休二日制にしなければ週休二日制はできない。また、官庁が週休二日制を先んじてやらなければできない。いわんや国会が、例えば役人たちが、今、夜遅くまで作業をしておる、徹夜状態になっておりますが、国会が質問要旨を二、三日前に教えてやれば、かわいそうにこんな徹夜しないと思うんですよ。週休二日どころか、かわいそうに徹夜しているんですよ。ですから、これはひとつぜひ、与党も野党も、お願いでございますが、質問要旨をせめて三日ぐらい前に教えてやっていただきますと昼間作業ができると思います。 それからもう一つは、例のアメリカのEPCの問題でございますが、これはまだ何のニュースも入ってないんです。私どもちょっといらいらしておるんですが、何ら公表もなく、日本政府への通報もまだ今のところございません。こうしてしゃべっておるうちにあるいはあるかもしれませんが、今のところありません。それから内容もさっぱりわかりません。情報収集に努めているところでございます。アメリカにおいて松永大使を先頭に一生懸命に努めておりますが、わからないというようなことでございまして、きのう松永大使がヤイターに会ったというんで、そらっというんで色めき立ったら、違うことで話し合っておったというようなこともございまして、これは何ともまだわかりません。わかりませんから、中身を見なければコメントのしょうがないということでございますので、もうほんの何時間かの問題でございましょうから、しばらくひとつ御辛抱を願いたいと思います。
○杉元恒雄君 この法律案は、我が国の産業構造が、国際経済環境と調和のとれた方向で活力あるものに転換していくことを目的としておりますので、この法案の提出の背景にあります国際関係について御質問をさしていただきます。 先ほど梶原委員からも御質問がございましたが、昨日から今朝にかけて、テレビ、新聞などは、半導体貿易に関して報道しております。最近、米議会では対日非難決議が出るなど、米側の不満やいら立ちが高まっているようですが、そもそもこの問題は、昨年九月の日米協定について、特に第三国でのダンピングと日本市場での外国製の半導体のシェア拡大に関して、この日米協定を、日本はこれを忠実に遵守しているのにもかかわらず、米側がこれを理解せず、一方的に我が方を非難しているところに根本の問題があると思うのであります。 先ほど梶原委員の質問について内容の御説明がありましたが、私がお聞きしたいと思いますのは、こういう米側の姿勢について、今後通産大臣はどういうぐあいに対応していこうとしておられるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。 また、これも先ほどお話がありましたが、米政府が、我が国が日米半導体協定を遵守していないとして、それに対する報復措置を決定するための経済政策閣僚会議が今未明に開かれた。この内容、結果については、今お話を聞きますとまだ今の時点ではわからない。しかしこれは国民が非常に関心を深く持っておると思いますので、なるべく早い、できれば私の質問が終わるまでに情報が入りましたらば、加えてお知らせをいただきたい、こう存じます。 さて、最近の米議会の動向を見てみますと、下院における八七年国際経済改革法案や上院の八七年包括貿易法案など、日本を初め対米貿易大幅黒字基調国に対する報復措置導入の義務づけ、あるいはいわゆる不公正貿易慣行の是正措置等、保護貿易主義の法案が次々に提出され、既に百本を超えていると聞いております。一方、最近の総理府の世論調査によると、日本人がアメリカに対し親しみを感じると答えた者はこの調査開始以来最低である。そして親しみを感じないと答えた者はその最高を記録しております。このことは、同調査のこれに関連する調査項目の答えから類推して、貿易摩擦をめぐる米側の対日批判の高まりに対し、一般の日本人がこれを外圧と感じ、これに反発し、あるいは不快感さえ持つようになってきている、その一面を浮き彫りにしたと思うのであります。 さらに続けますが、私は一般的な日本人は、日本は西側の一員として日米関係を基軸とした政治経済を運営し、その国際的責任を果たすべきであるということをよく認識していると思います。また、日本人の大部分は、我が政府は貿易摩擦に対処して市場開放、内需拡大、輸入の増大、海外直接投資等、懸命な努力を重ねていると思っております。国民もまた血のにじむ苦痛に耐えて協力してきている、このように一般の日本人は認識していると思っております。 そこで、このような一般的日本人から見ると、貿易摩擦解消のためには、アメリカも財政赤字、経常収支等の赤字を解消する責任がある。それにもかかわらずその努力はそこそこにして、一方的に日本側の責任を追及する姿、日本側の努力を正しく評価せず、日本に圧力を加え、保護貿易主義に傾きつつある姿にある種の恐ろしささえ感じていると思うのであります。一九二九年の世界大恐慌もアメリカの保護貿易主義の台頭が火つけ役になっていることを思い出し、今日の為替の不安定、累積赤字、株式等投機の過熱、一次産品価格の下落などその当時と類似した世相も重なり合って、その危惧がますます強くなっています。 通産大臣は、日米貿易摩擦について、今一連の幾つかの質問を続けさせていただきましたが、現状をどのようにお考えになっておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 御指摘のとおり、まことに困惑をする場合も多うございます。 アメリカの場合は、日本と若干、若干というか、基本的に政治行政の組み立て方が違いますのは、アメリカの議会は議員立法オンリーでございます。でございますから、政府が国会に提案しようと思っても、与党の議員の名をかりて議員提案をするというような形式をとっておりますから、どうしても議員提案ということになりますと厳しいものが出てくる。しかも御承知のように保護主義に関する法律案というものは随分たくさん出ておるわけでございます。 そういうことでありまして、アメリカの議会のそういうあり方自体、いわゆるあり方といいますかシステム自体が、ややともすれば、貿易のみならずあらゆる面において保護主義の高まりを醸成しやすいような形になっております。これは私は事実だと思います。ちょうど我が党内で年末の予算編成のときに大騒ぎが起こる。ところがそれはあくまでも対政府折衝の騒ぎが多うございますけれども、アメリカはそれがストレートに議員立法として提案をされているというような面が多うございます。そういうことで、我々非常にアメリカにおける保護主義の台頭というものに対して懸念をいたしております。 ガットの定義というものも、ガットというのはあくまでも自由貿易の建前の上に立った規則の場であって、結果とした利益を問う場ではないということを明確にしておりますけれども、まことに心配でございます。そのアメリカの保護主義の高まりの一つは、日本の売り込みの激しさもさることながら、日本の内需拡大策が積極的でないような印象を彼らが受けて、それに対するいら立ちというものがやはり基本的には一つの大きな要因になっておるのではなかろうかと思います。でございますから、我が国としては、もちろんアメリカに奉仕するという意味でありませんけれども、為替レートの根幹に触れる問題としても取り上げて、また国民の生活水準の向上等も考えるという点においても、当然大きな内需拡大策を今展開しなければなりますまいか。その点で私ども、これから声を大にして対応していきたいと思っております。 それから、今おっしゃいました市場開放の問題でございますが、これは日本は相当やっておるのでございます。また例えば関税一つ例にとりましても、御承知のように鉱工業関係では、もう既に経済先進国最低の水準で二・二%ぐらいまで下がっております。問題は、日本は売るには売るが、なかなか買わないというところに一番大きな問題があるのではないだろうか、そのように思いますが、いずれにいたしましても、やはり秩序立った節度ある姿勢をこれから示していくということは何よりも必要かと思っております。 それから半導体のことでちょっとお尋ねがございましたが、御指摘のとおり、日本政府は日米協定上の義務を完全に履行しておるのみならず、協定の趣旨を実効あらしめるためにとり得るすべての措置を講じております。具体的に申しますならば、外国系半導体の購入拡大につきましては、半導体の全体の需要の低迷等厳しい環境の中で、私自身、メーカーでありかつユーザーであるわけですが、主要ユーザー首脳をお招きして直接お願いをするなど最大限の努力をいたしております。 第三国ダンピングの防止につきましては、グレー輸出など難しい問題がある中で、需給見通しに沿った減産、それから輸出承認の際の価格のチェック等、最大限の努力を行っております。 米国内におきましては、巨大な対日貿易赤字や先端産業の来たる半導体産業についての競争力の観点からの危機意識を背景として、協定を遵守しているか否かについても、実体論より感情論が先に立っておる。私は具体的にここで時間がございませんから申しませんが、ワシントン・ポストの黒田審議官を誹謗する記事なんというのはひどいものでございます。これは事実無根をああいう形にして、しかもEPCのいよいよというときになって、それに焦点を合わせてああいう記事を書くというようなことで、非常に感情的になっておるというのが実情でございます。 当方としては、米側に対して経済実態を踏まえた冷静な理解を求めるように、でき得る限りの努力を払っていきたい。しかし、何といっても日本とアメリカとは最も深い関係にある友好国でございますから、その友好関係を損なわない範囲内において私ども言うべきははっきりと言い、そのかわり守るべきは率直に守るというふうに努力をいたしたいと考えております。
○杉元恒雄君 外交問題で権威が認められております外交小委員会の最近の調査によりますと、アメリカの一般国民は、アメリカにとって死活的に重要な国として、イギリスに次ぎ日本をカナダとともに第二位に挙げています。また、好ましい国としてもカナダ、イギリス、西ドイツに次いで日本を第四位にしております。これは最近上昇してきたわけであります。米議会などで高まっている反日機運の中で、草の根レベルのアメリカ人の日本への意識は安定度を増しているわけです。通産大臣はこの草の根レベルのアメリカ人の意識と米議会のそれとのギャップについてどのようにお考えになられますか。 また、米国の議員は、自分の選挙区のことだけを考える傾向が非常に強いという、そして国際的に公平な判断について心配する向きも日本ではありますが、これとあわせて大臣がどう御認識になっておられるか、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 議員が選挙区のことに思いをはせるのはいずこも同じでございまして、実は私も、今通産大臣でございますから客観的に物を申しておりますが、私の選挙区は三重県の南部で紀州ミカンの産地であり、私のふるさとは牛肉の松阪でございますから、なかなか頭の痛いところもあるわけでございます。 そういうわけでございますが、私はアメリカ国民の、つまりアメリカ人の日本に対する非常な友好的な感情というものと、議会の日本に対する厳しい感情というものとは、極めてはっきりとかけ離れておるというふうに思っております。
○杉元恒雄君 次に進ませていただきますが、対外貿易摩擦の激化する中で、我が国の産業構造を国際的に調和のとれたものとし、また現に深刻な影響をもたらしている円高不況を企業が乗り越えていくために、内需型への事業転換や海外直接投資が必要であることは言うまでもありません。しかし、このことによっていわゆる産業の空洞化が心配されていることもまた事実であります。 そこで、以下数点について質問をしたいと存じます。 まず、現在我が国の海外生産比率は四・三%で、アメリカの一七%、西ドイツの一九・三%と比べれば極めて低く、空洞化はまだ心配する段階にはないと言われています。しかし、今のまま推移すると、一年間に資本が前年比一四%ほどずつ海外に出ていき、二十一世紀の初めには日本の海外生産比率は約一〇%になる。こうなれば、空洞化現象は現実のものとなります。そして、我が国の産業競争力が落ち、国民経済は活力を失い、国民の生活水準も低下せざるを得ない。こうなってからでは遅いのであって、そうならないための施策が極めて重要であります。このことについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 海外直接投資につきましては、中長期的に着実に増加するものと見込まれておりますけれども、現在のところ、我が国海外生産比率、御指摘のとおり四・三%、これはアメリカの八二年統計でございますが、一七・三%、西ドイツの八四年統計の一九・三%に比べると、確かに極めて低い水準にございます。でございますから、今にわかに日本の国内生産基盤が弱体化するというふうには考えておりません。 しかし、海外直接投資の伸展は、中長期的な我が国の経済活力を低下させるという御指摘があることも事実でございます。そうした事態が生じないように、今後とも内需主導型の経済成長、それも高目の経済成長を図りますとともに、新たな技術革新、あるいは情報化の成果を生かすこと等によりまして、産業の新しい発展分野を開拓していかなきゃなりません。また、多様な雇用機会の創出を図っていくことが基本的に重要であると考えておりまして、このための政策措置については万全を期してまいりたいと考えております。
○杉元恒雄君 親企業が新しい分野に事業転換をするときに、技術的にこれについていけない下請中小企業は、生産高の大幅な減少と、これに伴う従業員の解雇等企業の存立を脅す、そういうことばかりでなく、社会の大きな不安の種にもなりかねないと思うのであります。このことにつきまして、大臣は対策をどのようにお考えになっておられますか。 なお、このようなときに、私は、親企業が下請に新しい技術を与えることによって、下請関係をなるべく切らずに、技術を下請に与えることによって一緒に連れていく、こういうようになるように、親企業の方に何らかの力をかすと同時に、そういうぐあいに行政指導をしていく、できるだけそういうぐあいになってほしいと考えていますが、大臣はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(広海正光君) 親企業の事業転換等に伴います下請企業の問題でございますが、今先生が御指摘のとおり、親企業が下請企業に対しまして技術指導等を行って、できるだけ抱えていくようにしたらどうだと、こういう御指摘がございました。私どももまさにそのように考えておりまして、先生も御承知だと思いますけれども、下請振興法に基づきまして、親企業と下請企業が遵守すべき事項を下請振興基準という形で定めておるわけでございます。その中に、親企業に対しまして下請企業の要請に応じて技術指導員の派遣あるいは下請企業の従業員の研修の受け入れ等々の対策を講じまして、下請企業の技術力向上のための協力を親企業がやってもらいたいと、こういうことがこの基準に定められておるわけでございます。私どもといたしましては、その基準にのっとった形で、できるだけ親企業がそういうことで行動してもらいたいということで、この基準の普及に鋭意努めているところでございます。 同時にまた、国といたしましても、親企業の構造転換によりまして影響を受けます下請中小企業に対しまして、できるだけの構造調整のためのバックアップをしていきたいと、こういうことで、六十二年度予算には下請中小企業の技術あるいは設備面での指導を国が行う、あるいは地方自治体が行うという形での下請中小企業アドバイバー制度ということも設けてございますし、また技術開発のための補助制度あるいは低利融資制度、さらには構造転換のための設備投資促進のための税制措置といった各般の措置を盛り込んでいるところでございます。
○杉元恒雄君 産業構造の転換によって解雇された従業員の再雇用は極めて困難なものだと思います。これが中高年齢の者についてはなおさらその感を深くするわけであります。政府は、雇用機会の創出についてはそれなりに努力をしておられると思います。本法案についても、雇用維持について配慮がされていることが理解できるわけでありますが、しかし、きのうまで北海道の炭鉱で働いていた者を、きょうから東京のホテルでというわけにはまいりません。離職者の再雇用について地域的、技能的なミスマッチがいつまでも解決されない状態にいますと、社会的な不安、加えて失業保険等の財政的な負担にもなるんですよね。その解決は極めて重要で、しかも現実的には極めて深刻な問題だと思いますが、労働大臣の経験を持たれる田村通産大臣、国民はその手腕に大きな期待を寄せているわけでございますが、この際御所見を伺いたい、こう思います。
○国務大臣(田村元君) おっしゃるとおりだと思います。
○杉元恒雄君 それだけでございますか。
○政府委員(杉山弘君) 先ほど大臣御答弁申し上げましたように、全体といたしましては、内需主導型の高目の経済成長を図ってまいりましたり、技術革新なり情報化の成果を生かして新しい産業分野をつくってまいりますと、マクロ的には雇用バランスは何とか維持できるだろうと思いますが、おっしゃいますように、地域的とか職種的にはいろいろ雇用のミスマッチが出てまいります。そういうことにつきましては、やはり労働省におきまして従来から行われておりますような職業訓練でございますとか、労働力の流動化に対する対策ということがますます必要になってまいると思います。 私どもこの法律案におきましては、過剰雇用をできるだけ外に吐き出さないような格好で、企業内につなぎとめておくためには、いろいろ通産省としても努力をするということで、各種の措置を御提案申し上げているわけでございますが、私どもの対策と労働省の対策が相まって実効が上がるものと思います。 労働省との間では、次官をヘッドといたします連絡会議等も設けまして、大臣の御指示によって連絡を密にいたしましておりますので、そういうことで御指摘のような点が起こらないように十分努力をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(田村元君) 実は、私は労働省は縁の深い役所でございまして、政務次官もやりましたし、大臣もやりました。党の労調もお引き受けしたことがございます。そういうことでございますので、本当のことを言いますと、いろいろ抱負を述べたいところでございますけれども、今通産大臣という立場でございますので、私が余り自分の考えております労働問題に対する知識をここで開陳するのもいかがかと思いまして、実はそこに労働政務次官がおりますから、そこでちょっと遠慮をしたのでございます。 実は今、産政局長が申しましたが、私はこの不況に対応するために、特に石炭、鉄鋼等にはですね、私が福川事務次官を連れて労働省へ参りました。そして、労働大臣に手をついて、ぜひよろしくお願いしたいとお願いをいたしまして、そこで事務次官を長とするハイレベルの協議機関を常置していただくことになりました。大変ありがたいことだと思っております。 私は、実はなぜわざわざ自分が行って頭を下げたか。それは通産省の役人としては、自分のところの大臣が他省へ行って頭を下げるのは嫌だと思うんですよ。けれど、私はあえて行ったんです。といいますのは、それは労働大臣の経験を持っておるからでございます。労働省というのは、いつも他省庁のしりふき、特に私が労働大臣時代でも、結局通産省のしりふきばっかりさせられておりました。そういうこともございまして、こちらからお願いをするということはいいことだと、こう思って実は参ったということでございます。労働大臣からは、特にそれじゃというんで、最近人事交流の御提案までございました。本当にありがたいことだと思っております。 そういうわけで、私の考え方を余り述べることはいかがかと思って、ちょっとそっけなく聞こえたかもしれませんが、ああいう答弁になりましたが、労働政務次官がいなければもうちょっとしゃべったんですが、いかにも目の前におったものですから、ちょっと御遠慮申し上げたわけで、あしからずどうぞお許しを願いとうございます。
○杉元恒雄君 時間が参りましたから。
○委員長(前田勲男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 —————・————— 午後一時二分開会
○委員長(前田勲男君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 産業構造転換円滑化臨時措置法案を議題といたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田代富士男君 まず初めに、報道によりますと、御承知のとおりに、アメリカの上下両院におきまして対日半導体の報復決議がされたことが伝えられておりますけれども、これによって米政府において何らかの決定がなされることになるわけでございますが、このことをどのように受けとめていらっしゃるのか。また、政府としてその影響回避についてどのように対応していかれるのか、今後の見通しとあわせて伺いたいのでございます。 また、ここに来て、御承知のとおり円高が一層進みまして、協調介入の結果、百四十九円台を支えておりますが、百四十九円を突破したという、そういうニュースもございますが、この点について田村通産大臣はどのように展望していらっしゃるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 今の為替レートの水準というものに対して私は非常な危機感を抱いております。何とか早く適正なレートに戻ってもらいたい。しかし、それは努力が必要でございます。G5、G7で合意されました協調介入、また政策の協調も合意されたわけでございますが、日本や西ドイツは内需の拡大に鋭意努力する、アメリカは財政赤字の削減を図り、経済に強い体質にこれから努力する、そういうもろもろの努力が相まって適正なレートに戻るということでございますけれども、いずれにいたしましても当面は、第一に協調介入で守ってもらわなければなりませんし、同時に、一日も早く日本の実を示すという意味において、総合経済対策を大きな中身の濃いものとしてこれを世に出すということが必要かと思っております。 それから、半導体でアメリカの閣僚会議があって、ところが、まだその内容が掌握できておりません。レーガン大統領がどこかへ旅行中だそうでございまして、大統領の承認はまだ得ていないというので、一切外に漏れておりません。しかし、もうぼつぼつ公表されるんじゃなかろうか。その中身を見た上でどのように対応するかということでございまして、今、皆目見当のつかない時点でございますので、あえてコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
○田代富士男君 やむを得ない面もあるかと思いますが、今大臣が申されましたとおりに、今後は経済的に強い体質をつくるように努力していかなくちゃならない、それと同時に、日本の総合経済対策を中身のよいものとして国際的にも示していかなくてはならない、こういう今からの展望についてのお答えがございましたが、今のこの円高によりまして、国内基幹産業たる製造業が私は国内から欠落をしてしまう、いわゆる産業の空洞化を引き起こすのではないかという心配をしておりますし、大臣も同じ心配をしていらっしゃるかと思うわけなんですが、そこで通産省はこの点について、今懸念されている空洞化の性格をどのような見方をしていらっしゃるのかということをお尋ねをしたいと思います。 それは、単に経済発展の過程で見られる比較優位の現象であり、さほどのものではないという、こういう見方をされるのか。それとも御承知のとおりに、米国の製造業が見舞われておるような深刻な現象、適宜的確な投資の欠如と同質のものと見ていらっしゃるのか、ここらあたりの見方をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 例えば就業構造等の面で申しまして、第二次産業の就業者のウエートが徐々に減ってまいりまして、三次産業の就業者のウエートがふえてくるというようなことをもって空洞化という議論をする方もいらっしゃいますが、むしろこれは、いわゆるサービス経済化というようなことの大きな流れであろうかと思うわけでございますし、また、知識集約化というような言葉にも示されますように、単にハードだけではなくてソフトを含めて製造物の価値を高めるというようなことになってまいりますと、こういう傾向がますます進むことは当然のことであろうかと思うわけでございます。 ただ一方では、国内の製造業が盛んに海外投資をして、それで国内の製造業が徐々にウエートを減らしていく、こういう面での心配から空洞化ということが議論をされているケースもございます。確かに、最近の状況を見ますと、急速な円高が進んでおりますので、我が国からの海外投資というのもかなり加速化されておりまして、こういう面から当然国内におきます雇用への影響というものも出てまいるということは考えられるわけでございますが、現在の我が国の海外生産比率は、最近時点では四%台でございますし、二〇〇〇年にかけましても、国内の経済の状況いかんにもよりますが、およそ一割ぐらいまで海外生産比率が上昇する程度ではなかろうかというようなことでございますので、海外投資によりまして国内の製造業が欠落をするというような形にはならないのかとは思います。 ただ、いずれにいたしましても、国内の雇用機会がそうでない場合に比べれば少なくなるということについては、これは認めざるを得ませんので、むしろそういうケースに備えまして、技術革新、情報化の進展等によりまして新しい産業分野を開拓いたしまして、産業全体の活力を維持していくということは当然のことでございますし、そのために通産省としては今後も大いに努力をしてまいりたい、かように考えております。
○田代富士男君 昨年の十二月に経済審議会が中間報告をされておりますが、その一つは経常収支の黒字幅縮小、二つ目には、内需主導型国内経済への変革、三つ目には、産業の空洞化にこだわり構造調整をおくらすべきではないという趣旨の報告が出されましたけれども、通産省の見解に従いますと、今後の我が国の産業構造の全体像は、今も新しい産業分野の開拓とかそういうものを努力していかなくてはならないという答弁がございましたけれども、全体像はどのように描かれておるのか、もう一度お尋ねをしたいと思います。 あわせて、その後の円高が予想を超えて急速に進んでいることから、やはり昨年五月に通産省がまとめました「二十一世紀産業社会の基本構想」で示されました新分野開拓のバラ色の未来像の実効性についても危惧されておると私は思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○政府委員(杉山弘君) 通産省としての将来の産業構造につきましての全体像、これはただいま先生からも御指摘のございました、昨年五月に発表いたしました「二十一世紀産業社会の基本構想」というものの中に大枠をお示しをしたつもりでございます。ただ、これにつきましては、二〇〇〇年という先のことでございますので、むしろその過程におきます、例えばこれから先五年ないし七年程度のいわゆる中間時点において日本の産業構造がどういう姿になるのか、ここらあたりについてはかなり現実的な姿として各方面から関心が寄せられておりますので、この点につきましては、ことしの六月ぐらいには大筋をお示しできるような方向でということで、現在省内で作業を急いでいるところでございます。 それから、「二十一世紀産業社会の基本構想」が出た段階では、まだ円レートもそう円高にはなっていなかったはずで、最近のレートの状況からすると、このビジョンに盛られているようなことに果たしてなるのかどうか、そういうような御指摘、これもごもっともであろうかと思います。むしろ、ビジョンが発表されましてから今日までの急速な円高によりまして、ビジョンで想定しておりました以上に産業構造転換というのが加速化されてきておりまして、それが雇用の面とか地域経済の面に相当大きな影響を与えている。これをできるだけ少なくしていく、そういうことが必要ではなかろうかという観点から、今回の産業構造転換円滑化臨時措置法案を御提案申し上げているところでございまして、このラインに沿って、二〇〇〇年に向けての産業構造の転換が円滑に実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。
○田代富士男君 ただいまも大臣から御答弁をいただきましたとおりに、今、この円高傾向になお協調介入が求められるところでございますけれども、いずれにいたしましても、我が国の産業構造の調整は不可避であると見なければならないのではないかと思います。 そこで、今回政府が産業構造転換円滑化臨時措置法案を提出されるに至ったのでございますけれども、この法案の内容に入る前に、構造転換の前提となります経済成長についてちょっとばかりお尋ねをしたいと思います。 御承知のとおりに、前川レポートでは、構造転換のためには四%の経済成長が必須条件とされておりますけれども、六十一年度は、四%の政府見通しに対しまして、三%にすら届かないと見込まれております。この問題は、前の委員会等においても何回も質問したところでございますが、六十二年度の政府経済見通し三・五%に対しましても、多くの民間機関が二%台を予測しているわけなのでございまして、その達成には否定的な見方がされております。これは御承知のとおりだと思います。 ところで、田村通産大臣は、国際的にも期待された公約ともなっている経済成長が達成されないその原因をどのように見ていらっしゃるのか、まずお尋ねをしたい。それと同時に、構造調整推進のために四%達成は不可欠であると思われますし、さらには構造調整の成果としても四%達成を望みたいが、通産大臣のこの問題に対する見解をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 六十一年度三%成長を遂げますためには、本年一−三月期に前期比二・六%の成長をしなければならないと思います。その達成は大変厳しいものとなっておることは率直に認めざるを得ません。この原因としては、急激な、また大幅な円高ということから、輸出の円手取りが減っておりますし、またその数量も減少しております。外需が減少していることと同時に、また内需につきましても、企業収益の悪化によりまして製造業の設備投資が減少する、特に冬のボーナスが低調であったということも大きな原因であろうかと思いますが、とにかく個人消費にも陰りが見られた。そういうことでございますが、よほどの努力をしなければならないということでございます。 そこで、後段お尋ねの構造調整推進のためには四%程度の経済成長の達成は不可欠ではないかというお尋ねでございますが、思い切った内需拡大策を講ずることによりまして、内需中心のおおよそ四%程度の高目の経済成長を図ることは、現下の円高デフレを克服するためのみならず、産業構造の転換を円滑に行っていくためにも必要であろうかと思っております。このために実行力を伴う充実した総合経済対策を早期に策定しなければなりません。先ほど来しばしば申し上げておりますように、この総合経済対策は、本来ならば予算成立時の経済動向を踏まえてということになりましょうけれども、今や緊急避難行為として急がなければなりませんから、国会の御協力を得て、政府が思い切った総合経済対策を早く策定するということがぜひとも必要であろうかと、このように存じます。
○田代富士男君 次に、国際的に調和のとれた産業構造ということが言われておりますけれども、どのような産業構造を描いていらっしゃるのか、例えば国際分業を前提とするような産業構造を意味するのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。 もしそうであるとするならば、御承知のとおりに資源が乏しく、加工と貿易によって築かれてきた経済大国と言われるようになった我が国の分野では、高度の技術を駆使する産業分野を中心とすることになると思いますけれども、この点に対しての考え方をお聞かせいただきたい。 特に国際的な調和を強調していくことは大変大事であると思いますけれども、問題は、我が国の利害と国際的な利害の一致を見出すことが一層難しくなってくるのではないか。この点私も一番気にかかるところでございます。このことを一つの例えで申し上げるならば、できのよい子に優秀な家庭教師をつけるようなことになりはしないだろうか。そうすると、我が国の産業構造の転換のあり方によっては、今考えられない新たな貿易摩擦が生じてくるおそれはないのか。こういうことが心配されるわけでございまして、もし心配しているようなことがあるとするならば、どのような産業構造の転換の方向と考えられるのか。ここらあたり将来のことでございますけれども、見込んだ上で考えでいらっしゃる点をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) まず、私どもが考えております国際的に調和のとれた産業構造と申しますのは、現在の我が国の産業構造が、輸出が伸びやすく輸入がなかなか伸びにくいというような状況になっております。そういう観点から、比較的競争力が強い産業分野につきましても、国内で物を生産して輸出をするということではなくて、海外に投資をして、海外の労働力その他の資源を使って一部生産をしていただくことによって輸出を比較的穏やかなものに抑えていく。一方では、競争力の優位が失われつつあるような産業につきましては、国内の産業調整を円滑に進めることによりまして輸入を拡大していく、そういう方向に持っていきたいと思っているわけでございます。 ただ、これだけでございますと、いずれにいたしましても海外投資、輸入の増加とも国内の雇用の機会をそれだけ少なくすることになりますし、産業の活力をそぐことにもなりますので、むしろそれを避けるためには新しい製造業等の産業分野を興していかなければいけない。そうなってまいりますと、これは御指摘のように、これからの基盤的な技術開発を中心としたいわゆる技術先端的な分野というものが中心になろうかと思います。 ただ、こういうことだけでまいりますと、また先生御心配のように国際的な摩擦を起こすことになりはしないかという懸念がございます。また、この製造業の分野だけで国内の雇用全体をバランスとっていくというわけにはまいりませんので、むしろ産業構造の中で内需中心的な産業、これはサービスの分野でございます。サービスの輸出は、これは難しゅうございますから、サービス産業といいますのはすぐれて内需的な産業でございます。現在までの、いわゆる物離れと申します国民の需要の変化、これは高学歴化、高齢化、さらには女性の社会進出というような事態でますます進んでまいりますので、こういうような社会経済的な変化に対応いたしました新しいサービス産業等を中心といたします内需型の産業を一方では育成していく。そういうことで、全体として、先生御指摘のように資源の少ない国でございますから、経済協力その他をいたしますためには、やはりある程度の黒字は必要でございますけれども、現在のような大幅な黒字は避け、できるだけ内需を中心とした産業構造に移行していきたい、これが私ども考えております国際的に調和のとれた産業構造の姿であろうかと考えております。
○田代富士男君 次に、この法案の大きなポイントは、何といいましても事業転換の成否ではないかと思うわけでございますが、これまで通産省が取り組んできました中小企業の事業転換策は、努力はされましたけれども、必ずしも十分な成果を上げ得なかったのではないかと思います。この点どのような認識を持っていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。 また、現行産構法に基づく設備処理政策につきまして、昭和六十一年七月現在で見てみますと、電炉が、目標六十二年三月三十一日に対しまして四八%、段ボール原紙が、目標六十二年六月三十日ですが五五%、洋紙が、目標六十一年九月三十日に対して六一%、進捗率がはかばかしくないものがありますけれども、この点どのように認識をしていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。 それと、今回の法案は、いわば大企業向けでありまして、その意味からも企業の規模の大きさを生かしつつも、その事業転換を実効あらしめるためには、例えば企業分割とか子会社の設立とかが容易に行われる必要があるのではないかと思いますけれども、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(広海正光君) ただいま幾つか御質問がございましたけれども、一等最初の中小企業の事業転換対策の成果につきましてお答え申し上げたいと思います。 御指摘のとおり、事業転換と申しますのは、言うべくしてなかなか実行が難しいというのは事実でございますけれども、現下の厳しい情勢からしまして、事業転換と申しますか、新しい活路を開拓しなければ事業を継続できないという企業もたくさんあるわけでございまして、私どもも、このような情勢のもとにその転換をできるだけ円滑に進められるよう、できる限りの支援をしていこうという考えで各般の措置をとっていることは御高尚のとおりでございます。そのような考えで、昨年の二月に、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法という法律を施行させていただいたわけでございますけれども、施行後、ことしの二月末までの約一年間に、この法律に基づきまして事業転換計画の承認を受けた件数は百二十三件ということになっております。 この法律ができる前に、昭和五十一年から約十年間、いわゆる旧転換法というのがございましたけれども、その旧転換法に基づきます事業転換計画の承認件数は、約十年間で二百九十三件でございました、年平均で三十件。それに対しまして新転換法、先ほど申し上げました法律でございますけれども、それに基づきます承認件数は百二十三件ということで、約四倍のスピードでこの一年間進んでいるわけでございます。 また、同法によりまして、事業転換というところまでは着手できないけれども、非常に経営危機に直面しているので、同法に盛り込まれております緊急経営安定対策を受けたいといって認定を受けた件数は一万九千六百十六件、これまでの約一年間に約二万件この認定を受けているわけでございます。この約二万件の企業の中では、事業転換のためには、やはりそれなりの準備期間が必要だということで、転換までには立ち至っておりませんけれども、やはり経営の危機に直面している企業がこれだけいらっしゃる。ですから、時間がたてばこの中から事業転換へさらに一歩進めていこうという企業も相当これからは出てくるのではないかと、このように私どもは観測しております。 さらに、昨年の十二月に新地域法を制定させていただいたわけでございますけれども、この法律は、地域を絞りまして、その地域にさらに構造調整のための上乗せ措置を盛り込んでございますので、この新地域法を利用いたしましてまた転換を進めるものもかなり出てくるのではないか、このように見ているわけでございます。
○田代富士男君 次に、この法案の内容について伺いたいと思いますが、ただいまの答弁の中にも、事業転換を進めていこうとする企業は今からも出てくると、このように思うということでございましたけれども、そこで、事業転換の成否を決める国等の責務についてお伺いをしたいと思います。 第一番目に、今回の政府案においては、特に第二条において、「国及び地方公共団体の責務」について規定するとともに、第三条においては、「情報の提供」についての国の努力規定が設けられておりますが、これらは、これまでの政府の施策が金融あるいは税制にかけられていたことに対する反省からとも考えられますけれども、この点どのようなお考えを持っていらっしゃるのか、ちょっとお尋ねをしたい。 あわせて、では果たして国や地方公共団体が、転換に必要とされる経営診断等の基礎的要素や幅広い産業知識や情報等をうまく提供し、指導することができるのかどうか、これもまだなるほどというところまではいかず、疑問点が残るところでございますが、具体的にはどのようなことを行おうとしているのか、新規に対策として用意したものはあるのか、これらの点についてもお答えいただきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 国等の責務でございますが、第二条で新しい産業分野の開拓でございますとか、雇用機会の確保、中小企業者の新たな経済環境への適応の円滑化等の関連施策を講ずるとともに、全体としての国民経済の持続的な成長が確保されるようにということで、実は、この法律で国が直接助成措置を用意しておりますほかに、国として努力しなければならないことを書いております。 さらに、特に先生御指摘のように、従来の金融、税制上の助成措置のほかに、むしろ情報提供という形での産業構造転換の円滑化についての国としての果たすべき役割にもかんがみまして、第三条というものを設けているわけでございます。これにつきましては、従来からも、先ほど御答弁の中で申し上げました「二十一世紀産業社会の基本構想」のようなビジョンという形でも幾つか具体的な情報提供をしてきておりますが、今後はそういった問題のほかに、海外におきます我が国の企業の事業活動等についても積極的にデータを収集いたしまして、そういうものも提供申し上げるということにしていきたいと思っております。 それと同時に、先ほどもまたお答え申し上げましたが、二十一世紀よりもより近間の、いわば二十一世紀への中間過程におきます産業構造ビジョンにつきましても、これも御提供する方向で今鋭意検討をしているところでございます。 それから、先ほどの先生の御質問の中で、産構法の成果の評価についてお尋ねがございました。ちょっと答弁おくれまして失礼を申し上げましたが、産構法につきましては、先生御指摘のように、幾つかの業種で基本計画に定めます目標に対するおくれがあるのも事実でございますが、全体といたしますとかなり順調に目標を達成しているというふうに考えております。例えば一〇〇%目標を達成した業種が既に九業種ございますし、八〇%以上の目標達成率ということでカウントいたしましても、二十二業種中十五業種もございます。一、二の業種につきまして残念な事態になっておりますが、こういったものにつきましては、これからもまだ私ども指導のような形で、できるだけ目標が達成されるような方向で努力を続けたいと、かように考えております。
○田代富士男君 次に、特定事業者が鉱業と製造業に限られておりますけれども、これらに限る理由は何であるのか。また、現在のところは鉱業と製造業に限られるとしましても、幅広い業種に対応できるようにしておく必要があるのではないかと、これは将来展望として思うんですが、この点に対してのお考えいかがでしょうか。
○政府委員(杉山弘君) 本法の特定事業者を鉱業または製造業に属する事業者に限定いたしました理由でございますが、三つほどございます。 本法は設備の処理というものからスタートをしておりますが、いわゆる生産コストに占める設備の費用のウエートが高い業種、これはやはり鉱業、製造業ということになろうかと思います。したがって、そういうウエートの高い設備を処理いたします場合の処理の負担というものも、こういう業種については他の業種よりも重くなるのではないか。 それから二番目が、今回の円高で大きな影響を受けておりますのは、これらの業種を中心といたして集中をいたしております。これが二番目でございます。 それから三番目の理由は、この二つの業種は、他の分野の事業者に比べまして、国際協調の観点からの産業調整の必要というのが極めて大きいというふうに判断をいたしておりまして、こういう観点から、鉱業または製造業に属する事業者のみを特定事業者として指定できるようにいたしたわけでございます。 ただ、今後の事態の進展あるいはこれ以外の業種というようなことも全く想定されないわけではございませんので、その辺は事態の推移に応じてまた考えてまいりたいと思います。
○田代富士男君 通産省がとってきた今日までの構造改善事業と、今回とろうとされているこの事業とはちょっと異なっている点があると思いますが、この点についてお尋ねをしていきたいと思います。 これまでは御承知のとおりに、業種指定というように、何といいますか、業界ぐるみ、すなわちカルテルの結成によらなければ構造改善の効果は望めないという、こういう考え方で構造改善の事業を推進してこられたと思うんでございますが、今回の法案ではどうかといいますと、主務省令において定める特定設備を事業の用に供する特定事業者が、その特定の設備の処理のための事業適応計画を主務大臣に提出するのは個々の特定事業者の自主的判断にゆだねられている、このようになっておりますけれども、どうしてこういうことになったのかという、まずその理由をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 先ほど来申し上げておりますような、急速な円高を中心といたします内外の経済事情の変化に対応いたしまして、産業調整が必要とされる業種におきます各事業者の判断というものがこれまでとは大分変わってきているように私ども見ております。鉄、造船等の例にも見られますように、むしろ各社とも自社の生き残りをかけまして相当思い切った合理化計画を立案をしておられます。これまでのように、国が全体としてその業種の立ち直りを図るために計画をつくって、設備処理の目標等をお示ししなければならないというようなことではなくて、各事業者の市場機能に基づきます自主的な判断でそれぞれお決めになるようなのが、最近の一般的な状況ではなかろうかと思うわけでございます。 そういうような状態に即して考えますと、国として考えた場合に、過剰状態が長く続くと思われるような設備を指定いたしまして、その該当する設備について各事業者の自主的な判断に従った設備処理計画及びその際の過剰雇用等を吸収するための事業転換計画、こういった各事業者の自主的な判断を尊重するということで十分目標は達成できる、そういう考え方から従来のような業種指定ということをせずに、設備指定というようなことにとどめた次第でございます。
○田代富士男君 ただいまお答えをいただいたのは、事業者の判断がこれまでと変わってきているという点を御説明いただきました。それは自社の生き残りを考えた立場での合理化を立案しているし、そういう立場で自主的な判断をするということを尊重しているんだというそういう態度、そのためにこういうことになったんだという、これわかりますけれども、そのために私はちょっと心配な点があるわけなんです。 それは今も申し上げたとおりに、特定設備の処理のための事業適応計画を主務大臣に提出するのは個々の特定事業者であるわけなんです。その事業計画書を提出すべき企業相互間で、斯業界における、言うなれば生き残り、あるいは相手がその作業をしたら自分が生き残れるぞというような、そういう生き残り、あるいはシェアの拡大をもくろんで牽制作用が働くのではないかという、こういう点が心配されるわけでございまして、そういうことになりますと、今回のこの目的とされた意図と反することになりまして、産業構造の円滑な転換という所期の目的は達成されないと思いますけれども、尊重されるのはよいけれども、こういう心配な面がありますが、どうであるのかという、これお尋ねしたい。それと同時に、事業転換のみでは承認しないというが、しっかりした雇用対策あるいは就業機会が保障されれば、事業転換のみでも対象とすべきではないのか。設備処理を前提とする理由をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) まず第一点でございますが、競争が激しいので、企業相互で牽制をし合って実際に設備の処理等も進まないおそれはないか、こういう点につきましても、我々立案の過程では十分検討もさせていただきました。 先ほど申し上げたことの繰り返しになるようでございますが、実際の最近の企業の行動を見ておりますと、例えば、直ちにこの本法の対象になるということにはならないと思いますが、造船業の場合におきましても、審議会での設備処理の目標は二〇%程度ということでございますが、むしろ社によりましては、それよりも大きな設備能力を処理するというような計画も進められておりますし、鉄鋼でも高炉各社については既に合理化計画が出そろうというような状況でございます。 ただ、これから対象設備の指定をいたしますが、その中には、先ほど先生がお話しのように、産構法のようなことで一部の業者の動きによって全体の動きが撹乱されるケース、こういうものが全く生じないということでもなかろうかと思いますが、そういう場合につきましては、現在の産構法でも法的に強制するという権限がないわけでございまして、行政指導等によらざるを得ない。そういうことを考えてみますと、今回の法案では、各社の自主性に任せるということで十分で、もし攪乱的な動きが出てまいりましたら、そこはやはり行政指導という形で、全体がスムーズに進むような形で誇っていくような努力はすべきである、こういうふうに考えております。 それから、設備処理を伴わない事業転換計画につきましても対象にすべきではないか、こういうお話でございます。産業構造転換を進めるということから、あるいはそういうことも必要かと存じますが、むしろ私どもは、この設備処理の過程で出てまいります雇用対策という観点から助成対象を絞らせていただいたわけでございまして、設備処理をし、それに伴って過剰になる雇用の行き先をつくり出すために新しく転換をされるこういう方々を、むしろこの法律によります金融、税制上の助成措置によってその新分野進出を容易にして差し上げようと、こういうことでございますので、設備処理を伴わない場合まで本法の対象にするのはいかがかと、こういうことで対象から除いた次第でございます。
○田代富士男君 時間もありませんから、ちょっとそこらあたりひっかかる問題がありますけれども、次に進みます。 特定設備、第四条第二項についてお尋ねをしたいと思いますが、まず最初に、主務省令で定める特定設備とは何であるのか、また高炉などがそれに含まれると思いますけれども、その他にはどのような設備が考えられるのか、産構法指定業種との重複はあるのか、さらに一たん主務省令で定められた特定設備が、その指定が解除されるケースもあり得るのかどうか、その場合どのような対応がなされるのか、まとめてお答えをいただきたいと思います。 また、法案によりますと、特定設備として指定される場合、需要の減少あるいは生産能力の余剰等、長期にわたり継続することが条件とされておりますけれども、具体的な基準があったならばこれを示していただきたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) 特定設備の指定の要件は、法案の四条の二項に書いてあるとおりでございます。 詰めて申しますと、構造的な理由によって過剰設備になっている。一時的な景気変動によって過剰になっているものではない、こういうことでございます。どういうものが対象になり得るか、これはまあ各業種の実態を現在精査中でございます。それに基づいて最終的に法律が施行になりましたら、早急に決めさせていただきたいと思っておりますが、先生おっしゃいましたような業種以外では、例えば非鉄金属関係さらには繊維関係でもあろうかと思います。ただ、他の設備処理に関します法律の対象になっている業種もございます。御指摘の産構法、それから今回造船業につきましては運輸省から別の法案が提出をされておりますが、そういうものにつきましては、個別の法令によって設備処理をやっていただくということになりますので、本法で二重に指定するというのは現段階では考えておりません。 それから構造的な過剰状態と申しますのも、この本法の有効期間が九年でございますので、その間、あるいは設備処理が急速に進んで構造的な過剰状態が解消するといったようなことも考えられると思いますが、そうなりました場合には、状況をよくフォローいたしまして、設備指定の解除をするということは私どもも考えているところでございます。
○田代富士男君 次に、事業適応計画についてお尋ねをしたいと思いますが、まず最初に、事業適応計画の策定に当たりましては「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」、これは第五条に規定されてございます。これは非常に重要なことでありますが、具体的にはどのように保障し、確保するのか、お答えをいただきたいと思います。 第二番目には、特に事業適応計画に事業転換計画が含まれない場合、また例えば事業転換計画が含まれていたとしてもその規模が縮小する場合、従業員の地位を不当に害することなく、いかに確保するかは非常に難しいと思いますけれども、この点は労働省の施策であるいわゆる三十万人雇用開発プログラムとのリンケージを図ることが重要でありますけれども、具体策をお尋ねしたいと思います。 三番目には、労働省の施策は大事であるが、従業員の確保策だけではこれは後ろ向きの政策であって、前向きではないと思うんです。単に従業員の地位の確保だけでなく、従業員の再教育による就業の確保、さらに雇用の拡大などが事業転換計画に盛られるべきであると思いますが、この点は労働省にお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) それでは、三点の御質問がございましたが、私どもに関係いたします最初の二つにつきまして御答弁を申し上げたいと思います。 「従業員の地位を不当に害するものではない」という承認基準がございます。これでどういうことを判断するかということになりますが、私どもといたしましては、その事業適応計画等が計画立案の段階で関係の労働組合等と十分に話し合いが実質的に行われたかどうか、またその計画の中身について従業員の雇用安定のための配慮が払われたものであるかどうか、こういう点を十分に審査をいたしまして、こういう点について不十分だという場合には承認をしないつもりでございます。 また、設備処理だけで事業転換計画がない場合どうするか。これは設備処理に伴って過剰雇用が出ましても、その過程では事業転換によって雇用をつなぎとめるということができないわけでございます。極めて残念な事態でございますが、場合によってはやむを得ない。ただしこの場合でも、離職される従業員の方々については、その再雇用等について十分配慮がされなければならないと思いますが、こういった点につきましては、御指摘の、労働省が現在お考えになっておられます三十万人雇用対策等におきまして、職業訓練、再就職の促進、その一助といたしましては、私ども特定地域におきます新しい雇用機会確保のための第三セクターの事業とか、企業の設備の新増設に対する助成ということで少しでもお手伝いをしていきたい、こういうことで考えているところでございます。
○説明員(松崎朗君) 三点目について御説明申し上げます。 企業が労働者の雇用の安定を図りながら新しい経済環境に適応していくということのためには、御指摘のとおり、労働者の能力開発が非常に重要でございます。そういったことで、従来より労働省では、業種指定はございますけれども、雇用調整助成金制度でありますとか、また生涯能力開発給付金制度といったような制度を活用いたしまして、企業が労働者の能力開発をするようにということで積極的な指導援助というものを行っております。したがいまして、本法案に基づきます事業適応計画に基づきまして企業が事業転換等を行う場合におきましても、従来どおり通産省と連携をとりながら、新しい給付金を含めましていろいろな制度を活用するよう、事業主に対しまして積極的な指導というものをしていくということにしております。
○田代富士男君 時間がまいりましたから、最後ですけれども、独禁政策との調整についてお尋ねをしたいと思いますが、第九条に「承認の申請を受理した場合において、必要があると認めるときは、その申請書の写しを公正取引委員会に送付する」とありますけれども、必要があると認めるときとはいかなるときであるのか。 第二番目には、主務大臣が必要があると認めるときでなければ公正取引委員会への申請書の写しの送付はなされないことになっておりますけれども、これでは独禁政策との調整について目こぼしが出たり、おくれることが起きるのではないかと心配いたしますけれども、この点はどうであるのか。 それと最後に、本法の施行に当たる田村通産大臣の決意をお聞きいたしまして私の質問を終わります。
○政府委員(杉山弘君) 九条一項についてお尋ねがございましたが、この条文は、先生先ほど来御質問の中でたびたび挙げておられます産構法と同じ規定でございます。まず、そういう意味から、現在までの産構法の運用について申し上げてみますと、事業提携について承認申請を受けましたのが四十四件ございますが、そのうち三十三件を公正取引委員会に送付をいたしております。事業の提携をいたします事業者のシェアがごくわずかな場合というようなことになってまいりますと、これは独禁法との関係におきまして明らかに問題がないと思われるケースでございますので、そういう場合についてまで公正取引委員会に申請書の写しを送付すると、そういうことは必要ないんではないかという観点からこの規定が設けられたものと思われます。 したがいまして、先ほど申し上げた産構法の運用の四十四件中の三十三件以外、約十一件ございますが、これについてはそういう問題がないというふうに私ども判断をいたしましたが、これも実は運用上は事前に公正取引委員会と事実上お話をいたしまして、こういうことなので正式の送付はいたしませんということを申し上げましてやっていないということでございますので、ほほすべての件について正式の送付ではないにいたしましても、実際上公正取引委員会とは連絡をしてきておりますし、この本法の九条一項の運用につきましても、私ども同じようにやってまいりたいと考えております。
○国務大臣(田村元君) 最近の円高のさらなる進展によりまして、雇用、地域問題と、一層深刻になることが予想されます。このような状況のもとで、通産省といたしましては、抜本的な内需拡大、ファンダメンタルズを反映した適切な為替レートの実現等に最大限の努力を尽くしますとともに、本法に基づく対策を、中小企業関連施策や労働省と関係省庁の施策とも緊密な連携をとりつつ積極的に講ずることによりまして、雇用や地域問題の悪化を防止し、国際的に調和がとれ、かつ活力に満ちた我が国産業構造の構築に向けて努力してまいる所存でございます。
○市川正一君 本来この法案は、いわゆる日切れ法案といったたぐいのものではなくて、必要な時間もかけ、十分な審議を尽くすべき重要な案件であると考えます。わずか数時間で、私どもの会派に至っては二十三分というような制約された枠内で審議するようなものでないということを私は冒頭指摘しなければなりません。 そのことを前提に、昨日来の論議も踏まえつつ以下の質問を行うものでありますが、まず、田村大臣とは昨日のお約束のやりとりもありますので、冒頭一点だけ承りたいのです。と申しますのは、大臣は昨日私の質問に答えられて、銀行や商社などのいわゆる為替投機は目に余るものがあるというふうに述べられました。ところで本日、朝日新聞の朝刊を見ますと経済同友会が土地、株式などの投機、いわゆるマネーゲーム的な財テクを自粛するよう提言いたしておることを報じております。余りのひどさに、財界内部からもさすがにこういう自省の声も出ていることは私注目すべきだと思うんであります。 そこで昨日の、目に余るものがあるというふうにおっしゃった田村大臣に、私の提案であります。政府として、こういう経済運営に大きな影響を来す為替投機についてはその実態を調査していただきたい。第二は、特に悪質な企業については、その内容を公表するということなど具体的な対策をとっていただきたい。この二点を私として要望いたしたいのでありますが、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(田村元君) 私が申し上げましたのは、俗に言う機関投資家のことでございます。貿易関係の業者につきましては、通産省で幅広く調査をいたしましたが、これは動きはほとんどありません。問題は、新聞にも出ておりますように機関投資家の問題でございます。 私は現に、機関投資家と言われる人々何人かに会いまして、その人々の為替市場に対する対応というものの生の声を、一杯飲みながらの話ではありますけれども、私の知り合いの者などに聞いてみたんです。聞いてみましたら、やはり相当なことがあるように思われますが、ただ、機関投資家と言われる人々は、これは通産省所管じゃないんです、大蔵省所管なんです。でございますから、私から大蔵省に対して、あなたからこういう御質問があったと、御要望もあったということをお伝えいたしたいと思います。通産省の所管はさすがに妙なことはいたしておりません。
○市川正一君 私が言っているのも、また経済同友会が言っているのもこれは企業です。企業経営について言うでいるんであって、私は、大臣がその点はやっぱり目をそらすんじゃなしに、もう一度改めてやはり実態を調査していただくことを重ねて要求いたします。これはきょうの本論ではありませんから、引き続きこの問題はとことん明らかにいたしたいと思います。 さて、法案についてお伺いいたしたいのでありますが、今までのいわゆる特安法また産構法では、平電炉、アルミ、合成繊維、石油化学、造船など、いわば業種指定をしております。そして主務大臣による合理化計画のもとで設備廃棄等を実施してきたんですが、今回はなぜこれが特定事業者による特定設備の処理にした方式をとったのか、私は対日批判などの外圧によるものだと思うんでありますが、その点いかがですか。
○政府委員(杉山弘君) 産構法のように業種指定をとらず、設備指定にいたしました背景でございますが、急速な円高を中心といたします内外の経済情勢の変化に対応するために、過剰設備を抱えておる企業におきましてはむしろ積極的な合理化策が立案をされております。 産構法等におきましては、御案内のように政府が業界全体についてどう構造改善をすべきかということにつきまして、設備処理を含めて包括的な計画をつくりまして、それを指針として、また自主的な設備処理の努力だけでは不十分な場合には、合理化カルテルの指示等もするというような建前をとっているわけでございますが、最近のような状態になってまいりますと、政府としてそこまで積極的な対応をしなくても、むしろ市場原理のもとで各事業者の自主的な判断で十分な設備処理が可能である、こういう判断に立ちまして、業種指定をせずに、単に過剰設備の指定、特定設備の指定というものをするにとどめた、こういうことでございます。
○市川正一君 具体的に聞いていきますが、第四条二項の「特定設備」を定める基準の中身はどういうことなんですか、明確にしていただきたい。
○政府委員(杉山弘君) 法案では四条の二項で三つの要件を定めておりますが、設備の能力が需要に対して過剰になっている状態が長期にわたって継続することが見込まれる、いわば構造的な過剰設備状態というものを持っている設備を「特定設備」として指定することにいたしております。したがって、まずその設備を用いて生産されます物品についての需要が、過去一定期間において一定比率以上減少しているかどうかというような判断が必要でございますし、また設備の生産能力が過剰かどうかというのは、例えば稼働率等が一定期間にわたって適正稼働率を下回っている、一定以上下回っているというようなことも判断をいたさなければならぬと思います。また、そういう状態が景気変動の一時的なものではなくて、かなりの長期間にわたって、この法律では、法律全体の期間が九年でございますので、少なくとも三年とか五年とか、かなりの期間にわたって過剰状態が継続する見込みがあるというようなことから判断をしていきたいと思っております。 ただ、そういった基準に該当するものについてすべてここで指定するというわけではございませんで、例えば産構法等で、既に他の法律体系で設備の処理等が行われているようなもの、さらには、中小企業性の高いような業種につきましては、中小企業の事業転換法その他で対策も講ぜられておりますので、そういったものについては本法の適用にあえてするまでもないというようなこともあわせていろいろ考えて、法案が施行になりましたら早急に設備を指定したく、現在各業種の実態を精査中でございます。
○市川正一君 私は具体的に基準を示せと言っているんで、一定の基準とかそういうことなら、何を聞いているかわからぬじゃないですか。 私が承知しているのは、需要が例えば五%以上減少し、五%ないし一〇%以上の生産能力が過剰で、その状態が三年から五年続くものなどを想定しているというふうに理解しているんですが、そういうことでいいんですか。
○政府委員(杉山弘君) 確かに、私ども今先生がお挙げになりましたような数字を頭に置きまして内部で検討しておりますが、またこれは検討過程の数字で、ここでそういう基準で具体的に指定いたしますということを申し上げるまでに確信が持てなかったもので、一定の比率というようなことを申し上げたわけでございますが……
○市川正一君 大体こういうことですね。
○政府委員(杉山弘君) 内部ではそういうことを頭に置きながら検討をしているところでございます。
○市川正一君 そういうふうに初めから言ってくれぬと困ります。 そこで伺うのは、例えばこういう腹づもりの基準からいうと、高炉、転炉、圧建設備というのを見ますと、これは鉄鋼業ですね。そうすると、鉄鋼といえば我が国のいわば輸出品目で常に一、二位を金額で占めております。輸出比率は三十数%、いわば花形産業。その粗鋼生産量が大体九千六百万トンから一億トンです。それが九千万トンということに相なった。言うならば五%ないし一〇%落ち込んだだけでこれが対象条件を満たすことになるわけです。 つまり五%以上の需要の落ち込み、生産能力過剰で救済されるのに対して、ならば中小企業の方はどうかということを見てみると、中小企業の円高対策は、去年二月のいわゆる新事業転換法で売上高が二〇%減少している業者だけしか対象にしないということと比べると、極めて格段の優遇策ではないかと思うんですが、そういうふうにお考えになりませんか。
○政府委員(杉山弘君) 先ほども申し上げましたように、先生おっしゃったような具体的な数字を頭に置いてはおりますが、そういう状態が一定期間、三年ないし五年というふうな中期のことを私御答弁申し上げたわけでございますが、そういう期間にわたって継続する見込みがある、こういうことでございますが、むしろ中小企業等の場合には、円高等によります一時的な現象として相当急速な落ち込みがあったものを対象にするということで、そこらあたりは性格がちょっと違うのではないか。したがって、同一に論ずる必要もないのではないかというふうに考えるわけでございます。
○市川正一君 頭にあるか腹にあるかは別として、思惑は期せずして出てきたわけです。しかも、私はっきりさせたいのは、今回の産業構造円滑化法案の第一条の「目的」の中には、特安法あるいは産構法の「目的」のところで明確に述べておりました「雇用の安定及び関連中小企業者の経営の安定に配慮」するというのが欠落しておる、なくなっておる。その上に、第二条の「国及び地方公共団体の責務」として、「雇用機会の確保、中小企業者の新たな経済的環境への適応の円滑化」を義務づけております。これでは鉄鋼とか非鉄金属などの大企業の設備処理に基づく人減らし合理化あるいは関連中小企業や下請を切り捨てていく、これを促進させるものというふうに言わざるを得ぬのです。しかも、あとは十二条の三項、それから四項のところで国や自治体で面倒見てくださいというんでは、これは大企業の社会的責任を全く免罪する、言うならば欠陥法じゃないかというふうに私は思うんですが、この点いかがですか。
○政府委員(杉山弘君) 先生十分御存じの上おっしゃっているんだと存じますが、たしが御指摘のように、特安法、産構法では、一条に雇用への配慮、中小企業への配慮というのが目的規定の中に入っております。 ただ、その際には、私ども今回御提案しておりますような第二条に相当するような規定は存在しないわけでございまして、むしろ私どもは、雇用の安定、中小企業の経済環境への適応の円滑化ということに特に配慮をする必要があるということで、その他の配慮事項とあわせまして、この新しい二条では、「国及び地方公共団体の責務」ということで、より具体的にその必要性について規定をした条文を設けたわけでございます。したがいまして、規定の仕方は産構法、特安法とは違っておりますが、むしろ私どもといたしましては、気持ちの上では産構法、特安法以上に雇用の問題については配慮し、中小企業問題についても重要視したつもりでございます。
○市川正一君 第一条の目的条項にそれが消えているというのが重大だと思う。あなたのおっしゃる第二条というのは、「国及び地方公共団体の責務」というところです。国や地方団体が、大企業がいろいろ今円高不況や何かで困っておる部分について面倒を見るという、そういう条項なんですよ。だから、全然意味が違うんですよ。十分承知して私はそういう意味で質問しているんです。 そこでお聞きしたいのは、例えば新日鉄の場合、今日一万九千人の合理化による影響というのは各方面に今広がろうとしております。釜石に行ってまいりましたが、同市の六十年度の税収が五十一億円ですが、その約三割を新日鉄が占めております。そこで今回の合理化がもしやられるとすると一万人以上の人口減になるおそれがあり、市の職員だとかあるいは小中学校の教育施設の四分の一以上を削減しなければならぬということが、現地の朝日新聞でも報道されておりますし、大きな社会的問題になっております。そうしてみると、こういう問題の後始末を自治体にしわ寄せをするというのが結局第二条以下の規定に相なっておるんじゃないんですか。
○政府委員(杉山弘君) 第二条におきましても、まず一項では国の責務を規定いたしておりまして、第二項では地方公共団体が国の施策に協力するように努めなければならないということで書いてございまして、あくまでもこの第一義的な責務というのは国にあるというのが私どもの基本的な考え方でございます。
○市川正一君 どんどん問題の指摘をしながら進んでいきますが、私はそれだけではないと思うんです。例えば十四条見てください。十四条でいきますと、「施設の整備」ということがありますが、特定地域の経済安定や発展のためにということで、工場等の新増設、新分野開拓事業の円滑のために、十四条は国や自治体に必要な工場用地、工業用水道などの施設整備を義務づけております。 本委員会が去年の秋に、前田委員長以下調査に参りました住友金属和歌山製鉄所の場合です。ここをいろいろ私もかかわり合いがあるので調べてみましたが、この住金の和歌山製鉄所に対して和歌山県や和歌山市は、工業用水を中小企業がトン当たり七円の当時に、半分の三円五十銭という格安の優遇をいたしておりました。さらには、住金は、スラグ処理場などの工場拡張を、公害防止のためだということで三千億円の計画で海岸を埋め立ててつくりましたが、県や市もこれに全面的に協力をしました。こういうふうに自治体側は至れり尽くせりのサービスを尽くしてきておるんですね。ところが、今度の合理化計画あるいは生産の縮小、さらには撤退も伝えられておりますけれども、これによる地域社会に大きな影響を及ぼす、言うならば食い逃げ的な企業活動という場合に、なおかつそれでも自治体が工場等の新増設、新分野開拓事業のために整備をしてやらなければならないということを私はこの和歌山の例からもあえて言いたいんですが、政府の方の御見解はいかがですか。
○政府委員(杉山弘君) ただいま御指摘のございました和歌山のようなケースで、もう既に存在をしておりますいわゆる産業インフラによりまして十分新しい企業の立地なり既存企業の設備の増設等が可能な場合には、あえてこの十四条が必要になってくるということではございませんで、むしろ新しく対応を講じないと、従来あります産業とは違った種類の産業がそこに立地するには不十分であるというような場合には、国、地方公共団体でもそういう問題について努力をしなければいけない、そういうことで規定を置いたわけでございますので、したがって、従来ありますような施設が、従来の企業の縮小によって余裕ができていて、新しく対応をしなくても十分やっていけるんだと、そういう場合には特別必要はなかろうかと思いますが、そうでないようなケースも相当あると思いますので、そういう場合に備えての規定でございます。
○市川正一君 ところが例えば、じゃその住金が今どんなことをやっているかということの一つの例でありますが、合理化が進む中で出向問題が出てくるわけですね。その際に、住金が全額出資して住金和歌山ゼネラルサービスという、いわば出向を受け入れるような会社がつくられています。スタート時点では、これは三十二名で四業種であったのが、六十年には三百五十名そして十六業種、現在は二十一業種で数百名という強大な体制になっておりますが、ここに広告を持ってまいりましたが、その事業内容というのは、新築、増築、内外装さらには造園、車検、クリーニング、シルク印刷等々のいわば事業を行っているわけですね。そうしますと、これは単に企業内のことではなしに、和歌山の市内から直接こういう仕事をとってくる。そうしますと、地元の関係の零細業者にとってはその営業権、生活権をも脅かす事態になってきておるわけですね。私はこういう事態を放置してはならぬと思うんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(杉山弘君) ただいま御指摘の住金和歌山ゼネラルサービスにつきましては、他の委員会でも御質問があったというふうに承知をいたしておりますが、御指摘のようなケースにつきましては、まずこの法律の運用の段階におきまして、そういう他の中小企業者の事業活動に大きな影響を与えるような事業転換計画でございましたら、それは私どもの承認の際に十分配慮をするつもりでございます。 また、念のために申し上げる次第でございますが、大企業ないしはその子会社の中小企業の事業分野への進出の問題につきましては、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律、いわゆる分野調整法という法律がございまして、ここで調整ができることも当然のことでございますので、こういった法律の運用なり他の分野調整法の運用というようなことで、御指摘のような問題については十分対処が可能ではないかというふうに考えております。
○市川正一君 時間が参りましたので、もう一問申し上げて終わりたいと思いますが、今の点では、住金ゼネラルサービスについては実態調査をやっていただけますかしら。
○政府委員(長瀬要石君) ただいま先生から御指摘がございました住金和歌山ゼネラルサービスにつきましては、私どもある程度実態は把握をいたしているところでございますが……
○市川正一君 ここで詳しいことはよろしいけれども、調べて私の方へ知らしてくれまへんか。それで結構です、もう時間がおまへんので。
○政府委員(長瀬要石君) それでは先生の御指摘に従いまして、できる限り実情、事実関係につきまして調査をさせていただきたいと思います。
○市川正一君 お願いします。 私、最後に大臣にも要望いたしたいんですが、こういういろんな大企業の今の行動について、去年の十二月十八日、本委員会で、自治体からの優遇措置を受けてきたこういう大企業や誘致企業の食い逃げ的行動に対して、社会的責任を果たさせるべきだということを要求いたしました。杉山さんはそのときに大きな関心と努力を払っているということを述べられたんですが、私は、今こそ必要な対策を、こういう法案をお出しになるような状況なんですから、具体化すべきであるということを、重ねてこの際所見を承って質問を結びたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 重要な問題でございますから、よく勉強いたします。
○井上計君 本法案についてはいろいろとまだ問題点もあるようにも感じます。必ずしもベストというふうには考えておりませんが、しかし、現在の経済状況また特に特定産業の状況等からまいりますと、一日も早くこの法律が施行されることが好ましい、このように考えておりますだけに、急いで提案された通産当局に対しては敬意を表しておきます。 そこで、若干お伺いしたいと思いますが、けさほどの質疑の中で、杉山局長から当面本法施行によって考えられる特定企業は、鉄鋼、造船あるいは合繊、非鉄等々お話がありました。近い将来といいますか、まだこの程度では済まないであろう、こういうふうに感じるんですが、この後になお続いて特定企業として指定されるような業種はどのようなものをお考えになっておるのか、お考えになっておればまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(杉山弘君) けさほど来の御質問の中でお答えをいたしましたのは、例えばというような趣旨で申し上げたわけでございまして、そういうものに限定をするという趣旨ではございませんで、むしろ広く各産業の実態を調べまして、特定設備として指定する必要があるものがありましたら、これは弾力的に指定をさせていただくつもりでおります。 ただ、先ほども御答弁申し上げましたように、これはあくまで一般法ということでつくっておりますので、設備処理につきまして個別の他の法令がありますような場合には、そちらで優先的にやっていただくということは当然であろうかと思います。そういう意味でいきますと、かなりの分野については、例えば中小企業の事業転換法等の対象になるような業種もございますので、むしろそういった他法令の対象になり得ないような分野を中心として今私ども調査をいたしております。したがって、そういう調査の範囲内におきまして、要件に合うようなものにつきましては、繰り返しで恐縮でございますが、弾力的に指定させていただく、こういう方針で臨みたいと思っております。
○井上計君 もう既に急いでというふうな業種と、それから当然このような特定業種にして事前にといいますか、早く手を打つべきというふうな業種がかなり最近多くなっておる、こう考えますので、それらの点についても十分御考慮をいただきたいというふうに、これはお願いしておきます。 そこで、昨年十二月に施行されました特定地域中小企業対策臨時措置法の指定地域と今度の特定地域とが当然のように重なって、重複するといいますか、同地区指定というものと、あるいは今度の特定地域だけが別に指定されるというふうなものと分かれるであろう、このように考えるんですが、今のところでは大体どうでしょう、特定地域のみの指定地域というのはやっぱり幾つか出てくる可能性がありますか、どうですか。
○政府委員(杉山弘君) むしろ本法のみの特定地域として指定される地域というものが出てくるということは、私ども現時点では考えておりません。地域対策では、特定地域中小企業対策臨時措置法では地域の中小企業の対策を、この法律では第三セクターなり当該地域への企業の新増設ということを通じて地域経済の振興なり雇用機会の確保ということでございますので、二つの法律が一緒になって初めて効果が出てくる。そういうことで、同一に指定をするということを考えておりますので、現在の中小企業の対象地域になっていないところについて、あるいは今後指定の御希望等がある場合には、この両方の指定を同時に行うような方向で考えていきたいと思っております。
○井上計君 それを承って了といたします。 というのは、もし万一この特定地域だけの指定になった場合には、中小企業の地域指定のところと違って、中小企業対策について格差が出るおそれがある、このように考えたものですからお伺いしたわけですが、今の局長の明快な御答弁で、この点については大変安心をいたしました。 それらを伺っておりますと、既に先ほど同僚議員からの質問もありましたけれども、産業基盤整備基金に対する予算が百億円程度というのは大変少な過ぎる、こんな感じがしてならないんです。今後これは積極的に御努力いただいて大いに増額をしていかなくては、せっかくのこの法律が、言えば隔靴掻痒とまではいきませんけれども、そういうふうな感じになるおそれもあるんではなかろうか、こんなふうに考えるんです。これはひとつ大臣に特段にまた今後御努力をいただきまして、この予算についての増額を大いにお考えをいただきたい。これはお答え結構でございます。 そこで、難しいことではありますけれども、従来、戦後、長原重大型の産業の発展によって今日をもたらした。しかし、この長厚重大型の産業の現状、さらに将来がこのようなことになってくる。といって、いつまでも軽薄短小型の産業が発展をするかというと、必ずしもまたそうでもないというふうな状況にあるわけです。特に中小企業にとっては、将来の産業構造あるいは将来のそれぞれの産業の前途に不透明感、不安感が非常に強いんですね。もう今大変だと思うんです、円高の関係もありますけれども。何か的確なというと、経済は生き物でありますから難しいんですが、通産省がそういうことに対しての将来の見通しというふうなものをもう少し何か明確に打ち出して、そういうふうな人に封ずる期待と安心感というふうなものを指導する必要に今や本当に迫られておるんですが、どうでしょう、そういうふうなことについての何か指針をお出しになるようなお考えはありませんか。
○政府委員(杉山弘君) 二十一世紀を展望してというかなり長期の姿につきましては、私どもの「二十一世紀産業社会の基本構想」なり企画庁の経済審議会経済構造調整特別部会等のレポートで出ておりますが、むしろもう少し近間のと申しますか、一九九三年ぐらい、今から六、七年先、ちょうど二〇〇〇年への中間段階ぐらいにおきます産業構造の具体的なビジョンというものを出してもらえないかという声が私どもの方にも各方面から寄せられております。 現在、機械情報産業局それから基礎産業局等におきましては、具体的に幾つかの業種を挙げましてビジョンの検討も行われておりますので、そういうものの成果を踏まえまして、二十一世紀への中間段階におきます産業構造ビジョンを、できますればこの六月ぐらいに大筋お示しできるような方向で現在省内で作業を進めているところでございます。ただ、これも具体的に業種の分類をどこまで細かくというようなことになってまいりますといろいろ問題もあろうかと思いますが、できるだけ具体的な姿をお示しできるようにということで作業をいたしておるところでございます。
○井上計君 本法で、この特定事業者等に対しては、各種の税の特別助成、租特等によってのいろんな調整がなされるようになっておりますけれども、率直に言って、少々のことではなかなか効果が薄いんではないか、こんな気がするんです。だから、特別償却等についても一五%、それからこの特定地域が二二%ですけれども、大体今の我が国の機械設備等に対する法定耐用年数が実は長過ぎるんです。現在の産業界の実態に全く合っていない。これは大蔵省の問題ですけれども。特に予想される業種、鉄鋼あるいは造船等の設備は、たしか長いのは十五年ぐらいのがまだありますよね。大体十三年、十一年であろう、こう思うんです。だから、この長い耐用年数のものに対する特別償却が仮に一五%、あるいは特定地域二二%になっても余り効果がないと、ないとは言いませんが、薄いという気がするんです。 だから、これは本法だけの問題ではありませんが、今後ぜひ、このようなあらゆる機械設備等々の法定耐用年数の短縮については、従来もいろいろと御努力いただいていることは承知しておりますけれども、もっと積極的にひとつ大蔵との間で、これは大臣の出番だと思いますけれども、御努力をいただかないと、このようなものについての特償等々の効果がやっぱり薄くなってくるとこう考える。 それからもう一つは、例の残存価額の問題にしても、本来は償却した残りがさらに五%残存価額があるなんということは、企業経理からいうとおかしいんですね、税制上は当然だと大蔵省は言いますけれども、これなんかもやはり残存価額がゼロになるような、そのような耐用年数の短縮のあり方が必要になってくるんではなかろうかと、こう考えます。この点についても大いに御努力をちょうだいをいたしたい、これは要望しておきます。 それからもう一つ、きのうも石炭跡地の利用の中で、ちょっと私的な意見を申し上げて、これは大臣も大変御共鳴いただいたんですけれども、やはり今後の動向等からして、広大な跡地あるいはこの本法によっての造船、鉄鋼等々のそのような転換の場合の跡地利用ということになってくると、やはりレジャー産業というものが相当重きを置かれるんではなかろうかと、こう思うんですが、この関係資料の中にある「第三セクター方式を導入したプロジェクトの実施による地域活性化への取組みの例」なんかを見ても、これもほとんどレジャー産業、レジャー基地になっていますよね。 そこで、こういう考え方を私ちょっと持っておるんですが、今大都市から転出をする企業、これが土地を売る、あるいは建物を売りますが、この買いかえ資産の特例があるわけですね。ところが、買いかえ資産の特例の場合には、売った土地の五倍以内。五倍以上はもう買いかえ資産として認めていないわけです。例えて言いますと、東京の都心で百坪の土地を持っておった中小企業といいますか、これが坪仮に一億円なら百億円になる。といって、五倍以内では実際に何も対象がないわけですね。だから、こういうような特定地域等へ進出をして、いわばそういうふうなレジャー産業だとかその他いろいろ広大な土地を必要とするようなものに進出をする場合には、特例として五倍とか十倍とかと言わないで、かなり広い地域を認めるというふうなことが私は企業誘致の面から見て必要ではないかと考えるんですね。 今のでいうと、買いかえ資産で郊外へ行きなさい、しかし実際には、土地は五倍以内、事実上何も買えない。自分で転換をする意思があり、転換をしたいという業種があっても、実は事実上転換できない、こういうふうなことがたくさんあると思うんです。これらも難しい問題だと思いますけれども、今後これらの本法が本当にきめ細かく施行する、また効果を上げるためにも、そのような点もひとつお考えいただいて、これは特に大臣にまた御努力をいただかなくちゃいかぬと思いますが、ひとつお考えをいただきたい、御努力願いたいと、こう思います。 それからもう一つは、これは思いつきのようで恐縮でありますが、今、都市近郊では水耕栽培が非常に発展してきているんですね。今後ますます発展するであろうと、こう言われておりますが、水掛裁培に入るために、かなり建物、設備等々が必要なんですが、私はこういうふうな特定事業を今後転換する場合に、かなり水耕栽培に転換でき得るいい条件があるんではなかろうかと。これは農水省の問題にもなるでしょうけれども、それらの転換も大いにひとつ奨励するというか、考えていくこともいかがであろうかと、こんなふうに思います。 若干細かいことになりましたが、本法の問題等についてはもう既に質問が出尽くしておりますから、私の要望といいますか、意見を申し上げて、大臣に特に、今買いかえ資産等との問題、特例等についても今後努力をいただきたい。このことをお願いをして私の質問は終わります。何かお答えがあれば——なければいいですよ。
○国務大臣(田村元君) 今の買いかえの問題等につきましても、余り硬直的な考え方だけで臨まないで、やはり弾力的に考えた方がいいんじゃなかろうか、私も同感でございます。私なりに可能な限りの努力をいたしてみたいと思います。 その他の問題につきましても、おっしゃる御趣旨はよくわかりますので、一度また改めて御意見を承って勉強してみたいと思います。
○木本平八郎君 私は、またしつこいようですけれども、基本的な問題をこの機会に繰り返したいと思うんです。 それで、まずもって産業構造転換円滑化法案ということなんですけれども、杉山局長にお聞きしたいのは、この産業構造転換というのは、どこへ転換するつもりなのかということをまずお聞きしたいわけです。もう少し詳しく説明しますと、先ほど市川理事あるいは井上議員から提起されておりますけれども、一つの企業なり業種が転換していこうとしても、そっちの方満杯じゃないかという感じがするんですけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(杉山弘君) まず、この法案について産業構造転換円滑化法というふうに名称をつけました理由でございますが、日本の産業構造を、輸出が伸びやすく輸入が伸びにくい構造から、できるだけ輸出がモデレートなものに、また輸入がふえるような格好のものにしていかなければいけない。その過程におきましては、特に比較優位を失いつつありますような産業については、国内での産業調整というものを円滑にする必要がある。たまたま最近は、急速な円高によりまして国内での産業調整が相当急速に起こりつつあります。またそれに伴って雇用、地域問題等いろいろひずみが出ております。 これをほうっておきますと、むしろ国内の産業調整それ自身が阻害されるおそれがある。したがってそこの問題をできるだけ解決をして差し上げるお手伝いができないかということでございまして、そういうことをやっていくことが我が国産業の構造転換を円滑にする道ではないか、こういう趣旨から産業構造転換円滑化法という名前をつけたわけでございます。 どこに転換をするかということでございますが、これは構造調整を受けている企業ということよりは、産業構造全体としてということになろうかと思いますが、一つはやはり産業の、製造業でいきますと技術開発の成果を用いました新しい産業分野、最近でございますればマイクロエレクトロニクスの分野でございますとか、新素材とかバイオテクノロジーとかというような分野があろうかと思います。また、それだけではなくて新しいサービス産業、国民のニーズが、物離れ、サービス志向ということになっておりますし、そのサービス志向というものもいろいろな分野にわたっております。そういった国民の要望に応ずるような新しいサービス産業を育てていくということも、やはりサービスの場合には内需中心でございますので、内需中心の産業構造という観点からは必要であろうかと思います。 それで、むしろ今構造調整を迫られている企業が転換しようと思っても、もうパイがいっぱいではないか、ではどこへ転換したらいいのか、こういう観点からの御質問であろうかと思いますので、むしろ私どもとしては、そういう製造業の新しい分野を開拓し、また新しいサービス産業を育てていくという面に積極的な努力をしていかなければいけない。そのためには、まず何よりも経済全体がもう少し活気を取り戻さなければいけない。そういう意味で先ほど来大臣が申し上げておりますような内需中心で四%程度の高目の成長、こういうことで全体の経済運営にもフォローしていかなければいけないものと、こういうふうに考えております。
○木本平八郎君 私の申し上げたいことを先に言っていただいたんで非常に楽なんですけれども、今おっしゃいましたような新しい産業分野を積極的に育成していくということが必要だと。それからもう一つ、経済全体を活性化していくということが必要だと今おっしゃったわけですね。 これがないと、例えばクリーニング業に転換しても結局そこで食い合いしちゃってどっちかが倒れると。その企業、企業にとっては生きるか死ぬか、生き残ったら勝ったということで済みますけれども、国全体としては決して解決にならないということなんで、この法案が通ったとして、私はこれだけではもう解決にならない。しかし、もうこれは緊急避難措置だから、とりあえず火事に水一杯かけておくということで、やはり本格的には消防自動車が出てこないとこの火事は消えないと思っているわけなんですね。 そこで、この問題を振り返って考えてみたいんですけれども、どうしてこういう問題が出てくるかというと、結果的には円高ですね、今の状況は。この円高がどうして発生したかといえば、やはり貿易摩擦の問題、インバランスの問題だろうと思うんですね。九百三十億ドルですか、ことしもまた出ています。これは秋の商工委員会でも申し上げましたように、九百三十億ドルというのは今のなにで換算すると約十四兆円ぐらいですか、十四兆円分の生産というのをなくさなきゃいかぬわけですね。輸入をふやすか輸出を減らすか、両方あわせてやっても日本の生産高というのは十四兆円なくさなきゃいけないわけですね。これをなくすことによってメーカーの倒産も起こるだろうし、それから失業も起こってくる、そこまで行くまではこの問題点解決しない。ほっておけばどんどん円高が進むだけなんですね。円高が進むということは、もっともっとこういう問題が深刻化していくということなので、さてそれではそういうふうなところに、これはもう必ず絶対命題みたいなものですから、いかに軟着陸するかという方法論の問題だと思うんですね。 そこで、ちょっと意地悪くなるかもしれませんけれども、この法案がきょう通ったとして、一年後までにあとどういうことをやらなきゃいかぬだろう、あるいはこの法案が通っただけでそこそこ何とかはしのげるというふうにお考えなのかどうか、その辺からまずお伺いしたいんですが。
○政府委員(杉山弘君) 日本の産業構造を内需中心のものに転換をしていくためには、この法案で用意をしている対策だけでは不十分なことは御指摘のとおりでございます。その観点から、この法案の二条では、先ほど来御議論のございました雇用機会の確保とか中小企業の新たな適応の円滑化という問題のほかに、産業の新しい分野の開拓、さらには国民経済の持続的な成長の確保ということに対して国が努力しなければいけないということもうたっているわけでございます。 そのための具体的な対策につきましては、法案の形はとっておりませんが、私ども通産省といたしましては、従来からやってまいっております技術開発の対策を強化し、また情報化推進のための施策も拡充をいたしております。それから、これまではともしますと物をつくることを中心とした産業に対する助成でございましたが、サービス産業、ニュービジネスにつきましても、債務保証その他の新しい対策も用意をさせていただいておりますが、そういった対策、さらには、それだけではなくて他省庁の所管分野にもわたりますが、労働省の分野におきましては労働時間の短縮問題でございますとか、それから建設省等の分野につきましては社会資本の充実の問題とか、そういった各方面の施策努力が一体となって日本の産業構造の転換が円滑に進むことになるのではないかと思います。したがって、そういう意味におきましては、通産省はもとよりでございますが、政府一体としてこの問題に取り組んでいかなければいけない、そのために総理を中心とした政府・与党経済構造調整推進本部というものもつくってせっかく努力をしているところだと考えております。
○木本平八郎君 まさにそのとおりだと思うんですね。 それで、きのうも大臣が御答弁になりましたように、やはりこの問題については、私は政府を挙げて取り組んでいただかないとだめなんじゃないか。それで、こういう法案、もちろんこれはもう最低限必要なんですけれども、先ほど同僚議員からも話がありましたように、これは日切れじゃないんじゃないか。しかし、それが緊急に上程されているというのは、やはりそれだけの緊迫性があるからだろうと私は思って、それは賛成なんですけれども、肝心のそちらの方の金をつけていく、こういうわずかな金じゃなくて。そういう対策がおくれればおくれるほどこれは相当深刻な問題になるんじゃないかと我々非常に危惧しているわけですね。 そういう点で、私はこれに続いてぜひ大臣にお願いしたいのは、きのうからの繰り返しになるんですけれども、政府としてすぐ対策を講じていただきたい。それで、私は秋に、まあこれは非常に乱暴な言い方したんですけれども、赤字国債を出してでもこの景気対策をやらなきゃいけないんじゃないかということを申し上げました。それが今どういう事情があるか知りませんけれども、どんどん対策が予算とともにおくれているわけですね。これおくれていると私は相当深刻な事態になるんじゃないかという感じがするんですが、大臣はその辺どういうふうにお考えになっているか御意見をお聞きしたい。
○国務大臣(田村元君) 先般、私は母校の慶応義塾で三田祭というのがありまして、それで経済学部で呼ばれまして講演をさせられました。終わって出てきまして、親しいある教授が私に、あなた、まあ今立派なことを言ったが、財政再建という旗を高々と掲げて、そして一方において内需の拡大を叫ぶというのは、後ろを向いて前へ走れというのと変わらぬと思うが、どういうことかと、経済学者から見れば愚かなことという感じで実は見守っておるが、どうじゃと、こういうことでございます。私も答弁のしょうがなくて、まあそういう意見もあるわなという程度で別れてきました。大変親しい親友なものですから、おれ、おまえの間柄ですから、そういう話をしてきましたが、私はここで彼の意見に賛成とか反対とかというのではありません、これは政府の大きな基本的な方針にかかわる問題でございますから。ただ、非常に深く考えさせられるものはございました。 要するに、今これは与党が悪いの野党が悪いの、与党がいいの野党がいいのという問題じゃなくて、国民、とりわけ産業界、そのうちでもとりわけ中小企業から見れば、昭和六十二年度予算案の成立がこのように異例なほどにおくれておるということは、これは非常な悲劇だと思うんです。私、三十二年余り代議士生活しておりますが、五十日の暫定予算というのは聞いたことがないんです。これは、政府は困った困ったで済むかもしれませんが、現場の中小企業の人は本当に苦しんでおると思います。もうはらはらして国会を見ておるんじゃなかろうか、このように思うんです。で ございますから、とにかく一日も早く予算案を成立せしめると同時に、もう国会の完全な免責を受けて、予算案審議と並行して総合経済対策を策定する作業を進めてもらう、それは大きくて中身の濃いものでなければならぬ。見てくれの総合経済対策では何にもならない。要は、結果が出なければ何の改善もできないのでございますから、よく効く薬を今与えなきゃならない。 そういうことでございますから、私は私の考えに基づいてこれからもどんどんと発言をしていき、行動をしていきたいと思っておりますし、同時に、通産省の役人にはもう既に私から、他省庁の問題でもよい、内々で具体的に君たちの考え方をまとめてみろということを指示してございます。
○木本平八郎君 非常に力強い御答弁をいただきまして私も非常に感激いたしました。私はその辺の国会運営というのはよくわからないんですけれども、予算案も確かに大事なんですけれども、今年度に関する限り、景気対策というのがもう本当に焦眉の急じゃないかということを私は今感じるわけです。これがおくれますと、おくれればおくれるほど傷が深くなるし、あるいは致命傷になるんじゃないかという気もするわけです。したがって、先ほど申し上げました、二つありましたけれども、まず第一に経済のパイを大きくすると。この辺はもう少し勉強しなきゃいかぬわけですけれども、先ほどの四%程度の成長では私はだめだと思うんです。やはりもう二けたに近い一〇%程度の高度成長をやると。非常に悪性インフレになる危険性のぎりぎりまで冒してでもやらないと、これは解決しないし、また外国もそれを求めているんじゃないかと私は思うわけです。 したがいまして、今例えば土地だとか株が非常に高くてインフレの傾向があるというふうなことを言うエコノミストもおりますけれども、私はあれはスタグフレーションだとかそういうものとは全然関係なくて、インフレとデフレが混在して、同時にじんま疹のように発生しているということであって、これはもう別々に解決すべき問題で、中で関連しているとは思えないわけですね。したがって、この際の景気対策というのはもうきれいごとでは私は済まないと。 それで、今大臣から非常に力強い御答弁をいただいたんですけれども、非常に悪い言い方をすれば、今まではどうしても役人任せというか、問題が起こってからフォローするというスタイルで来たわけですね。しかし、今回のこの問題だけは私はそれじゃえらいことになる。したがって、政治家というんですか、国会というんですか、政府というんですか、それが本気になって先頭に立ってやっていただかなきゃいかぬと思うものですから、こうしてしつこいようですけれども、繰り返して何回も同じことを申し上げているわけです。 それからもう一つの問題で、先ほどどっちへ転換していくかということを申し上げたんですけれども、これもただ単なる抽象的な問題じゃなくて、バイオテクノロジーでも結構ですし、マイクロエレクトロニクスでも結構なんですけれども、そういうハイテク、しかしこれは前提には、例えば先ほど例が出ましたけれども、製鉄所なら製鉄所の余剰人員というのですか、転換したそれだけの人間を受け入れるような産業というのはちょっと考えられないと思うんですね。したがって、これはよほど数多く準備しないとちょっと間に合わない。新幹線の一列車のお客さんを運ぶのに、バスだったら何十台と要るというのと同じことですね、一台や二台じゃもう間に合わないと。その辺を考えた場合に、やはり本当に積極的に政府として新規分野の開発ということを考えていただかなきゃいかぬのじゃないかということがあるわけです。 それから、きのうに引き続きもう一度申し上げますけれども、例えが悪いかもしれませんけれども、今まではいわゆる江戸時代と同じで、宵越しの金を持たずに職人がみんなで働いていたと。ところがだんだん充実してくると、一部の人は横町の御隠居になって、小金をマネーゲームみたいなことをやって生きていく階級もふえてくるわけですね。そういう点で、私は今までの製造にかかわった人たちが相変わらず製造業においてやっていこうとしても、これはやはり日本の経済構造上無理なんじゃないか。したがってソフト分野というか、そういうサービス産業ということに——どういうことがサービス産業なのか。それで世界におけるサービス業種ということに日本自体がなるということも非常に必要じゃないかと思うんですね。 そういう点で、ぜひ通産省の方で早くビジョンを発表していただきたいんです。研究はなさっているということは知っていますけれども、早く発表していただいて、国民にも、それから政府自体も自分で縛られると。産業界全部がそのビジョンに基づいてやろうということが必要なんじゃないかと思うんですが、その辺の御予定というか、考え方を局長からお伺いしたいんですが。
○政府委員(杉山弘君) 先ほど来申し上げておりますように、一九九三年ぐらい、今からいきますと二〇〇〇年への中途段階におきますより具体的な産業構造のビジョンという声が各方面から上がっておりますので、省内で今鋭意検討いたしております。六月ぐらいには、完全な形ではございませんけれども、大筋の姿というものをお示しできないかということで、せっかく省内での検討を急いでおるところでございます。できるだけ各方面の御意見も伺い、また主要な産業についてはその産業についての具体的なビジョンも踏まえまして、オールオーバーな産業構造のビジョンという格好でお示しをできたらいいんじゃないかということで今検討いたしております。
○木本平八郎君 最後に、また繰り返してお願いなんですけれども、私は非常に時期的には緊迫しているということで、これは私が申し上げるまでもないと思うんですけれども、その辺はぜひ国会にも逆に説明していただいて、皆さんのやはりコンセンサスを得て、至急手を打っていただきたいということを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○委員長(前田勲男君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○市川正一君 私は、日本共産党を代表し、産業構造転換円滑化臨時措置法案に対し、反対の討論を行います。 本案に反対する理由の第一は、中曽根首相がその実行をアメリカに公約した前川リポートに基づき、国際的に調和のとれた産業構造への転換を図ることを目的として、大企業の海外直接投資、海外進出によって我が国産業の空洞化を一層促進するものであるからであります。 第二は、過剰設備をつくり出した政府、大企業の責任を棚上げして、国の承認のもとで過剰設備の処理を実行し、大量の人減らし、中小企業の切り捨てを強行するものであるからであります。例えば鉄鋼高炉五社の場合、既にこの十年間に国内の従業員を三万八千人減らす一方で、海外での従業員を三万五千人ふやしておりますが、本法案はこうした合理化を促進するために国のお墨つきを与えるものと言わざるを得ません。 第三は、地域経済と住民に重大な打撃と新たな負担を与えるものであるからであります。本法案には、これまで地方自治体から税制、金融上の助成措置を受けてきた大企業が、過剰設備を処理するに際して、地域経済への配慮が定められていないばかりか、今回の特定地域対策において、地方自治体に雇用対策、工場用地、工業用水道等の整備を押しつけるなど、自治体や住民が期待している内容とはおよそほど遠いものであります。 第四は、過剰設備処理から新分野進出に至るまで、税制、金融上の新たな助成策を拡大しているばかりか、事業提携を認め、独禁法を骨抜きにするおそれがあるからであります。本法案の対象となる鉄鋼などの産業の寡占化、同調値上げ等を容易にできることを可能にするものであり、容認できるものではありません。 以上で反対討論を終わります。
○委員長(前田勲男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 産業構造転換円滑化臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前田勲男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。
○福間知之君 私は、ただいま可決されました産業構造転換円滑化臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読します。 産業構造転換円滑化臨時措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講すべきである。 一、産業構造転換の円滑化を図るため、将来の指針となる産業構造の中長期的ビジョンを早急に策定すること。 二、特定設備及び特定地域の指定またはその解除に際しては、関係者等の意見を十分に考慮しつつ、その実情を踏まえ、適時適切に行うこと。 三、雇用の安定を図るため、承認事業適応計画あるいは承認事業提携計画の推進に当たり、関係労働組合の意見を十分に聴取するとともに、関連中小企業等の労働者の雇用の安定にも最大限の考慮を払うよう指導すること。 四、産業構造転換に伴う失業の予防及び離職者対策に万全を期するとともに、雇用機会の創出に努めること。 五、承認事業適応計画及び承認事業提携計画の実施により関連中小企業者が直面する新たな経済的環境に適応するため、所要の措置を講ずること。 六、特定地域の活性化を図るため、特定出資法人事業、工場等の新増設及び新分野開拓事業等に対する財政上の支援措置について万全を期すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(前田勲男君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前田勲男君) 多数と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田村通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣。
○国務大臣(田村元君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、産業構造転換円滑化対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存でございます。
○委員長(前田勲男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後三時三分散会