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108回国会参議院1987/03/26

商工委員会 第2号

発言数
287
登壇者
23
会派数
6
開催日
1987/03/26

会議録

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨二十五日、小山一平君、松岡滿壽男君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君、永田良雄君がそれぞれ選任されました。     —————————————

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び輸出保険法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  まず、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近の我が国石炭鉱業をめぐる環境は非常に厳しいものとなっております。すなわち、国際エネルギー需給が緩和基調で推移している中、昨年来の円高の進行もあり、国内炭と海外炭の価格差は大幅に拡大しております。また、これまで国内炭の引き取りを行ってきた需要業界の多くが円高等によりその経営について厳しい対応を迫られている状況にあります。  このような現状を踏まえ、昨年十一月、石炭鉱業審議会の答申が出されたところであります。答申では、今後は、需要動向をも十分勘案した生産体制とすべきであるとし、このため、地域経済・雇用への影響を緩和しつつ、国内炭の生産規模を段階的に縮小して、最終的にはおおむね一千万トンの供給規模とすることが適当であるとされております。  政府といたしましては、答申の趣旨を尊重し、国内炭の生産体制の円滑な集約化を行うこととしておりますが、第八次石炭政策の実施に当たっては、現行の石炭関係四法について、期限の延長等所要の改正を行う必要があるため、このたび本法律案を提案いたした次第であります。  次に、法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正であります。  その改正の第一点は、同法の廃止期限を昭和六十一年度末から昭和六十六年度末に変更することであります。この改正は、さきに申し述べました国内炭の生産体制の集約化を円滑に行うためには、五年程度の対策期間が必要であるという趣旨に基づくものであります。  第二点は、貯炭管理制度の実施に必要な規定の整備であります。今後生産体制の集約化を円滑に進めるためには、貯炭管理制度を創設し、一時的な需給ギャップに適切に対処することによって、国内炭の適正な供給の確保に資する必要があります。このため、同法の目的に「石炭の適正な供給の確保に資する措置を講ずること」を追加するとともに、石炭鉱業合理化基本計画等において本措置に関する事項を定めることとし、また、新エネルギー総合開発機構の業務に貯炭管理会社に対する資金の出資及び貸し付けの業務を追加することとしております。  第三点は、石炭鉱山規模縮小交付金の交付に必要な規定の整備であります。これは、新エネルギー総合開発機構の業務に石炭鉱山規模縮小交付金の交付の業務を追加するものであり、国内炭の生産体制を円滑に集約化していくため、一定以上の規模縮小を行う炭鉱に対して規模縮小交付金を交付することとしております。  第二に、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正であります。  同法は、石炭企業の経理の適正化を図るため、所要の規制を行うことを内容とするものであり、今回、同法の廃止期限を石炭鉱業合理化臨時措置法にあわせて昭和六十六年度末まで延長するものであります。  第三に、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正であります。  同法は、終閉山等の際に地元中小企業者に生じる影響を緩和するため、一般の中小企業信用保険の特例等を定めるものであり、同法の廃止期限についても昭和六十六年度末まで延長することとしております。  第四に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の一部改正であります。  同法は、石炭対策、石油対策、石油代替エネルギー対策を実施するため、所要の財政措置を定めるものであります。今回の改正の第一点は、同法の廃止期限を昭和六十六年度末まで延長することであります。第二点は、事態の推移に弾力的に対応しつつ第八次石炭政策を円滑に実施するため、昭和六十二年度から昭和六十四年度までの各年度に限り、石炭勘定の負担において借入金をすることができることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について趣旨説明を聴取いたします。平井労働大臣。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  石炭鉱業の合理化に伴い発生する炭鉱離職者に対しましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者求職手帳を発給して、特別な就職指導、就職促進手当の支給を行うなど各般の施策を推進することにより、これら離職者の再就職の促進及び生活の安定に努めてまいったところでありますが、この法律の廃止期限は、本年三月末となっているところであります。  しかしながら、炭鉱の閉山等によって現に多数の炭鉱離職者が発生している状況及び昨年十一月の石炭鉱業審議会の第八次答申に基づき、今後石炭の生産を段階的に縮小する過程で炭鉱離職者の発生が予想される状況にかんがみまして、政府といたしましては、炭鉱離職者対策を引き続き強力に実施する必要があると考えている次第であります。  この法律は、このような事情にかんがみ、石炭鉱業の合理化に関する他の施策との関連も考慮して、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限を現行法に規定する昭和六十二年三月三十一日から五年間延長し、昭和六十七年三月三十一日に改正しようとするものであります。  以上、この法律案の提案理由及び内容を御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。  以上であります。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 次に、輸出保険法の一部を改正する法律案について趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国企業が行う対外取引は近年ますます多様化しつつあり、かかる対外取引の円滑化を図る必要があります。  具体的には、現在輸出保険法の対象となっている輸出取引以外に、前払い輸入、仲介貿易に伴うリスクをてん補していく必要性が高まっております。  さらに、海外投資についても、そのリスクをてん補する範囲を拡大する必要が生じております。  他方、九百億ドルを超える貿易黒字を有する我が国としては、一兆ドルを超える累積債務に悩む発展途上国に対して、その黒字を還流することが内外から要請されております。  我が国企業が行う対外取引に伴うリスクをてん補する範囲を拡大することは、我が国の黒字の諸外国への還流にも寄与するものと考えられます。  これがまさに、輸出保険制度の拡充を図るべきゆえんであり、ここに本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、法律の題名を輸出保険法がら貿易保険法に改正することとしております。これは、本法律の対象にこれまでのものに加えて、次に述べるような前払い輸入、仲介貿易を対象としたためであります。  実体的な改正内容として主要な点は、次の諸点であります。  第一は、前払輸入保険の創設であります。  本制度は、輸入者が輸入代金を船積み期日前に前払いしたにもかかわらず、貨物が到着しないため前払い代金の返済を請求したときに、輸出国における外貨送金制限、戦争、革命、輸出国企業の倒産等により、その前払い代金が回収不能となるリスクをてん補するものであります。  第二は、仲介貿易保険の創設であります。  我が国企業が、外国間で貨物を移動する仲介貿易を行った場合に、仕向け国における外貨送金制限、戦争、革命、仕向け国企業の倒産等により、その代金が回収不能となるリスクをてん補することとしております。  第三は、海外投資保険の拡充であります。  現行海外投資保険では、主として戦争、収用、外貨送金制限といった非常危険をてん補し、投資先企業の破産といった信用危険については、資源開発輸入のための融資のみを対象としております。これに対し、今回の改正におきましては、信用危険のてん補対象を、製造業投資等に拡大することとしております。  第四は、多数国間投資保証機関その他の海外保険機関との再保険制度の創設であります。  なお、輸出金融保険については、国内金融環境の変化に伴う当保険に対するニーズの減少等にかんがみ、一年後にこれを廃止することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 以上で三案に対する趣旨説明聴取は終わりました。  輸出保険法の一部を改正する法律案の質疑につきましては後刻行うこととし、これより石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 ただいま石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の二案につきまして私から質疑をいたしてまいりたいと思いますが、今回、改正要綱としまして四案を一括して提案をされているわけでございます。我が党としましては、石炭鉱業経理規制臨時措置法、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法、これは全く賛成でございます。ただ、合理化臨時措置法について我々は反対の立場をとっておりますので、この点を含めてひとつ質問をいたしてまいりたいと思います。炭鉱離職者臨時措置法につきましては賛成でございます。  ただいま率直に、第八次の石炭政策の答申の尊重を踏まえまして通産大臣から趣旨説明がございました。これまで田村通産大臣を中心にして、鋭意石炭政策に努力を払われておることにつきましては深く敬意を表したいと思います。  問題は、このエネルギー政策の展望についてまず第一点、お伺いをしなければなりません。それは、第八次は御案内のとおり、今も説明ございましたが、昭和六十二年度から六十六年度までという五カ年間でございます。六十六年度が最終的な年度でございますが、従来七次政策でいきますと二千万トン体制ということでございました。第八次は残念ながら五年間にして一千万トンに書きかえなければならない。まさに総撤退をするということであり、極めて遺憾であり、残念であります。  そこで問題点は、第八次で、今もございましたように、最終年度は一千万トン程度の体制を堅持をしていくという答えが出ておりますから、いわゆる展望は、通産当局としてはどういう考えをお持ちなのかということが問題であります。これは石炭企業の活力はもちろんであり、産炭地地域社会における住民の声にもこたえてもらいたい。加えて炭鉱労働者が、これから五年間で終わりであるとするならば、労務倒産も出かねないということになるわけでありまして、そういった炭鉱労働者の意欲、住民の意欲、加えてまたこれからの国のあるべきエネルギー政策の基本的考え方に立ったとしましても、第九次石炭政策の展望があっていいのではないか。この認識と考え方について所信をお伺いをしたい、大臣の答弁をお伺いしたい、これが第一点であります。  第二は、エネルギー政策における国内炭の意義について、かねて昨年の十二月十七日のエネルギー調査会で私も質問いたしておりますが、当時の向坂小委員長もこの点に触れておりますけれども、これから一番大事なことは、エネルギー政策における国内炭の意義というのがどういうふうにあるべきなのかという点について、ひとつ率直な考え方をお伺いをしたいと思います。  以上二点でございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) まず、第八次策以降も国内炭を維持していく方向を明らかにすべきではないかという御意見でございます。  答申では、第八次石炭政策においては、「生産を段階的に縮小し、最終的には概ね一千万トンの供給規模とすることが適当である。」と言われております。答申は、第八次石炭政策の期間を昭和六十二年から六十六年まで、大体五年程度としております。その間の政策のあり方を示したものでありまして、それ以降の問題については、答申には「むすび」において、「政府は、石炭業界の最大限の自己努力を前提として、その時点での経済的諸環境を勘案しつつ、適正な生産体制の確保に努めることが必要である。」としております。  通産省としましては、その時点において、第八次石炭政策の実施状況を踏まえながら、そのエネルギー情勢、内外炭の動向、その中における国内炭の役割などを総合的に勘案して、答申の「むすび」の中で指摘されておりますように、「適正な生産体制の確保に努めることが必要」との観点に立って対処してまいる所存でございます。  なお、二番目の御質問の国内資源の有効活用、セキュリティーの確保の点であります。八次答申も、国内炭がエネルギー政策上、セキュリティー確保の観点から相応の役割を担うべきことを指摘しており、また御指摘の国内資源の有効活用という観点も重要な点であると認識をいたしております。しかしながら、大幅な価格差による海外炭との競争条件の悪化、国内需要業界の動向等を考慮しつつ国内炭を取り巻く内外の環境の現状及び将来の展望に立ては、今後とも国内炭はエネルギー政策上相応の役割を果たすべきものとは考えられるものの、その程度は従来に比べて変化していると言わなければなりません。これはまことに残念ながら、現実の問題としてこの認識はいたし方ないと思います。  そういうことで生産規模の円滑な集約化ということになったわけでございますけれども、私は個人的に申し上げますと、対馬議員よく御承知のとおり、随分石炭に縁の深い男でございまして、今から二十数年前に労働省の政務次官を仰せつかり、それが石炭との取り組みの始まりで、労働大臣のときにも離職者対策等で苦労をいたしました。まあ今回もそうでございますが、第八次策の終わりますころ、つまり第九次策が策定されますころには、私はもちろん通産大臣ではないと思いますけれども、それはそれとして、何とか石炭、国内炭、とりわけ山で働く人々の将来のことを考えて、生きていけるような方途を講じていただけるように、そのころはいわゆる石炭族議員ということになっておると思いますけれども、努力をしていきたい。また、通産省にはそれなりの私の考え方を残していきたいというふうに思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 今、大臣からお答えがございまして、一つは第九次への展望ということについては、適正な確保という一つの考え方に立って進めてまいりたいと、また石炭にそれだけの情熱をこれからも燃やしていきたいという考え方は、情熱は多といたします。  なぜ私こういうことを申しますかといいますと、実は第八次検討期間中に、五年間という八次策の期間はちょっと問題があるんではないかという議論を交わされているわけです。それは学識経験者からも出ておるわけでありますが、なぜそういうことになったかといいますと、五年ということでは今の急激な円高に伴って相当雪崩閉山にやっぱり急激につながる、それをある程度なだらかに、いわゆるフランス型に、あるいは七年とか十年とかという長期的にやることが雪崩閉山を阻止する道ではないか。むしろ五カ年計画というよりも七カ年計画ということを実は検討されている。これは事実でありまして、恐らく当局も知っておると思いますが、そういう議論を交わされたことは事実であります。  それだけに、私は、今ここで問題を申し上げたのは、第八次というのは一応の五年のサイクルでは決まっているが、そういう経緯を踏まえた場合に、今の第二点に関係がございますけれども、いわゆる国のセキュリティー、安全保障、加えて国内資源の有効活用という考え方に立っている。しかし、その後の状況変化があると。これは客観的な事実ですから、そのとおりだと思います。そういうことを踏まえていった場合に、展望としては、適正確保ということは、将来第九次に、意欲的な石炭政策というものにこれから政府側としても取り組んでまいりたい、こういう考え方であるというふうに私も考えておりますが、この点いかがでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) ただいま対馬先生からのお話で、五年間というのは短いのではないか、五年間であるとすれば、その後の考え方をこの際明らかにすべきではないかというお尋ねでございます。  石炭鉱業審議会の審議の過程におきましても、この政策期間につきましてはいろいろと議論がございまして、例えば七年間という議論も、議論の過程ではあったわけでございます。しかしながら、一つには、やはり行政の対象として政策期間をとる場合に、不透明な状況の中である程度見通しが立てられるというのは五年ぐらいではないかという議論に加えまして、昨年来の石炭をめぐる非常な厳しい状況から見て、やはり五年間の中に段階的縮小を急がなければいけないというような議論に相なったわけでございまして、その結果といたしまして、六十六年度までにおおむね一千万トンということになったわけでございます。  その後の考え方につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、いずれにいたしましても、その時点におけるいろいろな状況を踏まえまして、行政としても適正な生産水準というものを検討していかなければいけないわけでございますが、その際、私どもといたしまして、先ほど来対馬先生から御指摘のございます労働者の気持ち、あるいは地元の考え方、さらには先生御指摘の国内炭の意義その他について十分念頭に置きながらやらしていただきたいと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 今、部長からも答えが出ましたが、大臣の考え方はよくわかりましたけれども、今言ったように、私はその時点で適正確保ということはよくわかります。ただ、やっぱりそこに九次への展望があるんだと、またそうしなきゃいかぬのだという意欲というものも大臣から先ほど言われましたので、ひとつその時点では国内資源の有効活用ということを基本にしながらこれからの石炭政策というものについては鋭意取り組んでもらいたいと、こういう考え方にはお変わりないと思いますが、一応そういう考え方で取り組んでもらいたい。  特に、これから貿易摩擦にこの石炭も重大な関係もございますので、あわせてけさのニュースでちょっと流れましたが、アメリカの下院の包括貿易法案が歳入委員会で通過をしたというニュースが流れました。これからの石炭を含める全般の貿易摩擦にも関係もございますが、どういう見通しになっているかということの我が国の対応にもつながってまいりますが、あわせて大臣のお考え方があればお聞かせ願いたい。  それから、前段の取り組みについて、いま一歩そういう姿勢で、第八次から第九次への展望というものを意欲的に示していただきたい。この二点でございます。大臣ひとつ。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) まず最初にお尋ねの米国下院包括貿易法案の歳入委員会の通過について事実関係を御説明申し上げます。  下院の包括貿易法案は、米国時間の三月二十五日、つまり日本時間の二十六日の未明でございますが、米国下院歳入委員会、これはロステンコウスキという委員長でございますけれども、この委員会を通過いたしました。通過した案は、ロステンコウスキ委員長、ギボンズ貿易小委員長の二人が共同提案をいたしまして、三月十二日に歳入委員会貿易小委員会を通過した案をベースに、若干の修正を付加したものでございます。  当初、下院に提出された法案と比べましてゲファート条項、すなわち過剰貿易黒字国に毎年一〇%ずつの黒字削減を義務づけるという問題でございますが、これの緩和等で若干改善が見られましたものの、依然、三百一条のクロ決定が出たときの大統領への対抗措置の原則義務づけ、関税法三百三十七条の被害立証要件の削除等極めて保護主義的な条項を含んでおります。今後他の委員会で審議された結果と合わせて、四月中に本会議通過を目指すというのが下院民主党首脳のシナリオであるようであります。ただし、ゲファート議員が、ゲファート条項修正に意見を留保して、本会議で巻き返しを図る意図を有していると伝えられまして、引き続き本会議で議論が行われる見通しであるというふうに報告を受けております。  米国下院歳入委員会において、こういう共同議長修正案をペースとした包括貿易法案が本日未明通過したわけでございますが、共同議長の修正によりまして改善されてはいるものの、通商法三百一条の対抗措置の原則義務づけ、関税法三百三十七条の被害立証要件の削除など、極めて保護主義的な条文が含まれておりまして、このような法案が歳入委員会を通過したことは極めて残念でございます。  米国議会における情勢はまことに厳しいものがあります。当省としましても、今後の議会、行政府の動きを従来にも増して注視していくとともに、米国の良識によって保護主義的な貿易法案が成立するような事態にならないよう期待をしておるということでございまして、一応この事実関係の御報告と、我々の今の段階での対応ぶりということで申し上げた次第であります。  それから、なおる炭問題につきましては、若干事務的な問題も含まれると思いますから、エネ庁長官から答弁をさせたいと思います。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 八次策以降の取り組みにつきましては、実はこの答申で最後までもめた点でございます。供給側それから労働者側は、八次策以降も一千万トン体制を保持すべきであるという意見であり、また需要側は八次策以降はむしろゼロになる展望を示すべきであるという意見でございまして、経緯を御承知の方は十分御存じのとおり、実は答申原案には先ほど大臣が御説明申し上げました「むすび」の部分はございませんでした。八次策というのは五年間の政策であるので、それ以降のことを書くべきでないという中間意見もございましたが、しかし、いろいろな立場のことを考えてみますと、八次策以降について全く何にも書かないということは、山で働く人たちにとって大変不安なことであるということで、先ほど大臣が御説明申し上げました「むすび」の言葉が入ったわけでございまして、そこは需給両業界の妥協の上ということではございますけれども、一つの展望というふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 「むすび」の項は私も経緯をよく知っております。  今言ったように、私は前段なぜそういうお伺いをしたかといいますと、やっぱり国内資源の有効活用、セキュリティーという考え方がないと第九次につながっていかない。これは向坂小委員長も私の質問に十二月十七日に答えておりますから、やっぱり今後とも石炭というのは、安全保障と国内資源の有効活用を含めて生かされるべきものである、この基本的態度がないと第九次、第十次にならないんです。  ただ、経済合理性で今のように二千万トンを一千万トンに切り捨てちゃうということにつながっていんもんだかる、私はあえてこれを申し上げているわけです。この点をひとつ踏まえて対処してもらいたい。エネ庁長官いいですね。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 国内炭の持つ意義につきましては、先生も御指摘のとおり、私どもも十分これを認識するものでございます。  ただ、経済問題を全く無視していいかというとそうはまいりません。したがいまして、十分そのあたりも勘案しながら、今後の政策を進めていくべきであろうかと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 経済問題を全然度外視せいなんて言ったって、これは日本の自由主義経済の中でそんなこと通るわけがないのであって、私が言っているのは、基本の問題を踏まえて、しかと対処してもらいたい、これは明確に申し上げておきます。  そこで、次の問題に入りますが、きょう本当は、私はもう大臣答弁で、一点一点確認したいという気持ちで来ているのでありますが、時間もあれですから、一つ一つそういう気持ちで答弁してもらいたい、こう思います。  それは、日切れ法案という性格上、これ一括何でもかんでもぱっと処理するという段階になっちゃったもんだからね。これは異例中の異例で、私も国対を長年やっているんだけれども、今回は異例中の異例なもんですから、こういう結果になりましたけれども、そういう気持ちで、あえて修正という気持ちで私は質問しているのであって、それだけひとつ踏まえて答弁を願いたいと思います。  そこで、第二点は、政策火力発電所の役割についてお伺いします。これは衆議院段階でもやりとりありますから、私はくどくど申し上げません。  北電の今回の九十万トンの切りかえ問題について確認の意味で申し上げたいんですが、これは政策助成経費として苫東一号機というのは四十八億近くの政策経費を入れた。なぜ入れたかというと、海外炭じゃなくて国内炭が割高につくという政策目的をもってつくったんですね。これ間違いありませんね。  したがって、それが今度他の電力会社に肩がわりしたと。そこがいい悪いじゃないんだよ、肩がわりしたと。そうだとすれば、私は問題が残るのは、この国民の政策経費を入れて国内炭専焼のためにつくった火力発電所が、たとえ五十五万トンであろうと、他電力に切りかえるということになると、政策目的として出した助成金の性格、政策目的でつくった電力の性格が問題に残るんではないか、通産としては。当然そうだと思うんですよ。だから、その点が私は第一点確認をしたいということです。この政策の考え方に立ったとするならば、このままずっといっちゃうのか。これは恐らく六十二年度だけかどうかわかりませんよ。まず第一点、それをちょっとお伺いしたいんですよ、性格づけはどういうふうに考えるのか。

岡松壯三郎資源エネルギー庁公益事業部長

○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御質問の点は、北海道電力の苫東厚真発電所の第一号機の件であろうと承ったわけでございますが、御指摘のとおり五十二年度から五十五年度まで石特会計から産炭地域の石炭火力発電所建設補助金として三十二億円、それから、その後電源特会の方から石炭火力発電所の建設補助金として十四億円、都合四十六億円の補助金が交付されておるところでございます。  このような補助金が講ぜられたということから、同発電所は五十六年度の運転開始以来六十一年度までに総計約五百九十万トンの国内炭の引き取り協力が得られているところでございます。したがいまして、上記の補助金の趣旨に照らしましても、国内炭の需要を確保して石炭鉱業の安定を図るという産炭地の石炭火力政策の目的に十分寄与しているものというふうに考えられるわけでございます。  今後どうなるのかという点が先生の御質問のポイントかと存ずるわけでございますが、従来のこのような経緯及び第八次石炭対策の趣旨にかんがみますと、今後とも一定量の国内炭の使用を期待するのは適当である、かように考えておる次第でございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 五百九十万トン、今日まで苫東一号機で国内炭を使用した、そのことはそのとおり。だからそれを言っているんじゃなくて、今後とも、政策経費を入れた目的をつくった火力発電所であるから、今後国内炭を他電力に移せばそれでいいんだというものではないだろう。その目的を最後まで貫くか貫かないかということを私確認している、そこが大事なところですよ。ただ、今九十万トンを東電あるいは関西その他に取っていただいたということを悪いと言っているんじゃないんだ。そうでなくて、政策目的でつくった限り、今後ともそれがずっと国内炭の基本に立って、やっぱりこの電力が活用されてしかるべきものではないか。それをけしからぬと言うとおかしくなるんだよ。それはどうなんですか。

岡松壯三郎資源エネルギー庁公益事業部長

○政府委員(岡松壯三郎君) ただいま御説明申し上げましたように、第一号機につきましては、従来五百九十万トン強のものを取ったということは事実でございます。  それで、今後の点なんでございますけれども、第八次石炭対策中に、電力業界といたしましてどれだけの需要を確保できるかということであったわけでございますけれども、この点につきましては、大臣から直接、那須電気事業連合会会長に要請を行いまして、その結果、同業界として最終的な回答として当面一千万トン、それから最終年度である六十六年度八百五十万トンの引き取りの協力が得られておるわけでございます。このような電力業界全体の国内炭の引き取りが円滑に実施されるために、この苫東一号機もその中で一定の役割を果たしていくものというふうに期待しておるわけでございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 確認の意味で申し上げたいのは、今回が九十万トン肩がわりをしたのは、私が把握しているのは東京電力が四十万トン、関西電力が二十八万トン、中部電力が二十二万トンと、間違いであればこれ指摘して結構ですが、そういう肩がわりをしました、いいね。  それが六十二年度はこれで決まっているけれども、六十三年度以降は一体どうなるのか。それから六十六年度までのいわゆる今度の第八次政策の期間中の需要の扱いというのは一体どうなるんだと。あなたは一千万トンという枠の中ではそれはそのとおりだけれども、私が言っているのは、苫東一号機というのを政策的な目的でつくったんだから、そのプールの中でやればいいじゃないかという考え方も一つあるけれども、北海道という地域性を私言っているわけですよ、北海道という地域性をね。その意味で私は言っているんであって、北海道の地域性から考えた場合に、一番近い苫東一号機に石炭を吸収するのが一番いいわけです。そうでしょう、常識的に言って。道内で吸収すれば一番いいわけだ。はるばる三池の果てから、九州から、ほかから持ってくる必要はないんだ、これ。海外炭に切りかえるにしたって、国内炭を優先に考えてもらいたいという考え方があるから、山の延命のために。そういうことを考え合わせれば、私が申し上げたいのは、それじゃ六十二年度以降六十六年度までに、今言った東京電力、関西電力、中部電力ということで、全部九十万トン肩がわりが六十六年度までいくのか、そういう保証があるのかと、これ言っているんです。  第二は、それでは先ほど言った政策的にぶち込んだ苫東一号機の性格からいくならば、道内炭を優先的に扱っていくという考え方はどうなるんだと。この二つを確認したいんだよ。

岡松壯三郎資源エネルギー庁公益事業部長

○政府委員(岡松壯三郎君) 二点のお尋ねでございます。  まず第一点、今年度九十万トンが三電力会社、東電四十、中部二十二、関電二十八万トンずつそれぞれ引き取られることになるという面、今年度、六十二年度についてそのような調整が行われるということが業界内部で決定しておるというふうに承知いたしております。これは石炭の引き取りを行うに当たりまして、業界内部の負担の平準化を図っていくということが大事であるという観点から、電力業界の中で行われた調整であるわけでございまして、今後これをどういう形でつないでいくかということにつきましては、先ほど申し上げました全体の引き取り量の中で、毎年度電力業界の中で調整するということになっておるわけでございまして、六十三年度以降につきましては、現時点では残念ながら決まっていないという状況でございます。  しかしながら、繰り返しになりますが、電力業界全体といたしまして、第八次期間中、国内炭の引き取りを当面一千万トン、最終年度において八百五十万トンという石炭鉱業審議会の答申の精神に即して適切な調整が行われるということを承知しておるわけでございまして、御指摘の苫東一号機におきましても、その全体の中で一定の役割を果たすということを期待しておるわけでございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 長官にもう一つ再確認で。今の答弁では、六十二年度決まったことはやむを得ないと思うんです、私はね。だめだと言っているんじゃないんです。札幌通産局なり、関係者が全部集まって北電と合意をしたことですから、これは道も入ってやったらしいですから、それはいいと言うんです。私は、六十二年度以降六十六年度までの間は平準化ということはいいけれども、問題は、これが今言ったように、東電あるいは関西、中部というような、そういうところに全部肩がわりという位置づけでこのとおりいくのか、そうではないんだということを、私申し上げたいのは、苫東一号機というのは政策火力発電所ですよと。そのことをしかと頭に置いて、平準化をするにしても、そこを念頭に置いた六十三年度以降の対応というのはしてしかるべきものではないか、このことを聞いているんですよ。ここが大事なところだ。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 八次策を検討し、実行する過程におきまして、電力業界の引き取りというのが基本でございますので、これをいかにしてスムーズに引き取っていただくかということが大問題だったわけですが、現状では、九電力の中でも比較的力の弱い北海道電力に半分行っているというのは余りにも酷ではないかという感じがいたしました。もちろんこれにはいろんな歴史的、地理的な問題もございますからいたし方ないと思っております。したがいまして、六十二年度について一種のテスト的にこういう方法をとってみたらどうであろうかと。これが非常にうまくいけば今後もやるし、もしこれがうまくいかなければ、何かほかの方法でより円滑な引き取りが進むようなことを考えざるを得ないのじゃないか、こういう観点から、電力業界との間では、何しろ六十二年度にひとつテストをやってみょうじゃないかという感じでやったのがそもそもの発端でございます。  政策火力としての位置づけは、当然今後も引き継ぐつもりでおりますけれども、今言ったように、やはり最も大事なことは、いかに円滑に電力が石炭を引き取るか。これが崩れますと八次策全体が崩れてしまいます。したがいまして、そこに最も重点を置いて進めてみたいというふうに考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 だから、政策火力ということを含めて平準化あるいはもしくは延ばしていくということが大事であって、そこを全然外しちゃってということになると、これ我々容認するわけにはいかぬので、そこだけは明確にこの際しておきたい。むしろ政策火力という目的意識をこれからも、六十三年度以降も生かしていく。そういう基本に立ちながら、全体の一千万トン体制という平準化の中でどう扱うかということは、これ当然のことですから、そういう認識でやってもらいたい。これいいですな、そういうことで。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) くどいようですが、政策火力の目的は国内炭の需要確保という点にあろうかと思っております。したがいまして、私どもは国内炭の引き取りをスムーズにやるというのが大前提であるというふうに思っております。  政策火力発電所における国内炭がゼロになるかどうかということ、これはちょっと今議論すべき問題ではないように思っておりますが、何とか国内炭の需要を確保したいという観点から政策を進めるというふうにお答え申し上げるのが適当かと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 それで結構です。そういう考え方でぜひひとつ生かしてもらいたい、こういうことです。  そこで、これは政策課題が、ひとつぜひ私は政策火力発電所を強化すべきだと。これは前にも申し上げたんですが、残念ながら日本ではこれ採用されていない。あえて私はもう一回申し上げるんだが、西ドイツのコールペニヒ制度というのを私しばしばここで申し上げました。いま一度我が国もこれを考えるべきだと思うんです。同じ自由主義陣営で、自由主義国でもなぜこれができないのか。だから、私は一遍にこれが実るとか実らないは別にして、この考え方が間違いなら別にして、現実に国内炭と海外炭の格差を埋めるために、西ドイツではコールペニヒによって一千百万トン埋めているわけだ。そうでしょう。そのために西ドイツの国内炭というのは生きているわけですよ。生きているということは、雇用も生きているわけだ。私は大事なことは、雇用と需要の関係を言っているんだ。今一遍にコールペニヒを採用することは無理だとするならば、あえてコールペニヒ型の火力発電所形成があってしかるべきである。  それはどういうことかというと、端的に申しますよ、ここに資料ありますけれどもね。今日本のは九千八百万トンでしょう。去年の海外炭は大体六百七十万トンぐらいいっている。計算してみたって、仮に二百円の手数料があったとして何ぼになるんですか。相当なぺーパーマージンで、三百円だってまだ数字の違いが出るんだから、三百円掛ける約一億トンというのはこれどういう計算になりますか。相当な財源が出るでしょう。例えばそれは一定の利益だとして、私はとやかく言うんじゃないんだ。そういうものをこの際政策的に吐き出させるということが必要ではないか、端的に言えば。  そういう生かし方をすれば、私はコールペニヒに一遍に踏み切るのは困難であるとすれば、そこまで行く到達の段階として、私の考え方を申し上げたいんだけれども、国内炭専焼の火力発電所をこの際九電力という位置づけの中で投資をして設置をすべきである、ここだと思うんだね、私は。これが国内的に六十六年度一般炭一千万トンが一千二百万トンになるか、あるいは一千万トン最低確かな確保の数字になるか、こういう問題のためには、今から僕は展望を政策的に考える必要がある。私はあえて言わせてもらうなら、コールペニヒ方式を日本も採用すべきである。できないという理由はどこにあるんだと私は申し上げたい、本当のことを言えば。  ただ、たまたまそれが電力料金にはね返る、それが問題だという一つの見方もあるでしょう。あえてそれを言うなら、私の考え方は、これは私の持論です。これは前から一貫して僕はしゃべっているけれども、将来は九電力プール計算方式を採用すべきものである。どこの国だってそれはやっている。九電力プール計算をして、九州に住もうと北海道に住もうと、一キロワット扱う電力は全部同じ金額である。これは当然の政策的に考えることであって、そこまで今私はいけと言っているんじゃないんです。コールペニヒなりそういう方向の前段として、最低であっても国内炭専焼の火力発置所を九電力の中で位置づけをして、一定の国内炭をふやしていく、この考え方があってしかるべきじゃないか、こう私は思うわけです。  これは提言しますよ。そういう考え方をこの際ひとつ取り上げてもらいたい。これはどこにも出ていませんから、衆議院段階でも出たこともないし、私はあえて今これを提言します。コールペニヒは何回も申し上げていますから、今具体的にぜひ九電力の中で国内炭専焼の火力発電所を設置して、そこで一定の国内炭の需要の増加の方向をひとつ検討してもらいたい。この点いかがでしょうか。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 八次策の検討の過程で、コールペニヒ構想につきまして実は議論もされておりました。私自身も関心を持って勉強をいたしました。そのほかにもいろんな方法があって、いかにして円滑に電力に国内炭を引き取っていただくかという観点から、いろんな方策が検討されたわけでございまして、コールペニヒもその一つの有力な方向ではございましたが、結論的に、先ほど申し上げましたように、とりあえず六十二年度については九十万トンの国内炭を振りかえるという形でまずひとつのテストをやってみたというのが結論でございました。  ドイツのエネルギーにおける石炭のウエート、日本のウエートというのは、御承知のようにやっぱり違いますし、こういうものは歴史的あるいは制度的な問題も十分考えなきゃならないというふうに思っております。したがいまして、先生の御発言も、いかにして国内炭の需要を確保し、またスムーズにそれを引き取らせるかということにあろうかというふうに考えておりますので、そういう観点から、今後もいろんな方策を考えてまいりたいというふうに思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 今のいろいろな方策を検討していきだいということですから、ひとつぜひ積極的な課題として私はこれを取り上げてもらいたい。  それは今言ったように、コールペニヒを研究されておるからあえて申しませんけれども、何も私は全部やれと言っているんじゃないんだから。全体を言うと三千三百万トンでしょう、西ドイツがやっているのは。私が言っているのは、二千二百万トンは石油と国内炭の格差に対する補助、一千百万トンとあえて言ったのは、そのうちの三分の一だけ国内炭と国外炭の価格差助成をしていると、ここですからね、私が言っているのは。せめて一千百万トンというのは、ちょうどいいベースなんだよ、私に言わせると、そうでしょう。大体今六十六年度が一千万トンだ。そうすると、日本的に物を言うと、私に物を言わしてもらうと、この西ドイツ方式を採用すればこれ二千万トンになるんだよ。現状第七次政策の二千万トンを本当は維持できたんだよ、これをやれば。政策的にやってやれないことではないんだよ、私の言うのは。その点を私は申し上げておるんでね。  あえて私は、これから平準化ということも、一千万トンもいいけれども、この一千万トンだって、情勢変化によってはまた七百万トンになったり八百万トンにならないという保証だってないでしょう、これ、はっきり言って。そういう場合に備えて、私は今から国内炭専焼の火力発電所というのはぜひひとつ検討してもらいたい。やがてはコールペニヒの一環として扱うかどうかは別ですよ、私はあえてそこまで申し上げません。ひとつ日本の事情に合った観点から、これは不可能ではないということを第一点に申し上げます。  あわせて、私は産炭地域の需要をどうやってふやすかということは、政府だけに私言っておるんじゃない。北海道庁にも言っています。産炭地の公共施設は国内炭専焼にせいと。まずそこから始まるべきじゃないか。それで需要をふやすといったってそうはいかないということを私は道にも言っております。これは政府にだけ言っているんじゃない。これもあわせて、私は行政指導になるけれども、産炭地の地元の公共施設、率直に言わしてもらうと市役所、これが石油たいているというのは全くおかしな話であって、私も率直に言うと、道にも夕張にも言ったことがありますけれどもね。そういう点はやっぱり見直していきたいということを現に言っています。だから、そういう例を私は申し上げたんで、産炭地域の公共施設は最優先的に国内炭専焼の行政指導をしていくというようなものはいかがなものか。こういう点で、需要をふやすという考え方に立っていいんじゃないか。これいかがでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 御指摘のとおり、北海道におきましても、大体暖房エネルギーは灯油ということでございまして、なかなか石炭を使う量が少ないわけでございまして、最近一年間の実績では三十万トン程度というところでございまして、何とかそういった暖房炭その他の需要がふえないかということで、私どもも注目をしてきているところでございます。ただいまの先生の御提言につきましては、私どもも全く同感でございます。  ただ、何と申しましても、地元の主体がどう考るかということが先決でございますので、この問題、地方公共団体、北海道庁あるいは地元の市役所等々とも今後相談をしてまいりたいと思います。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 考え方が一致するということでございますから、ひとつ産炭地に限らず、スタートは産炭地が中心ですけれども、ぜひそういう方向でひとつ積極的に取り組んでもらいたい、このことを申し上げます。  そこで次の問題で、鉄鋼関係で、衆議院でもやりとりありますから、同じことを繰り返すことはいたしません。ずばっと聞きたいことは、この間一部の新聞であったけれども、鉄鋼はいわゆる通産大臣も努力をしていただいて、当時百七十万トンで抑えたと、その後今度二分の一、二分の一という減産の方向でくる。こうなると大変なこれ雪崩閉山になっちゃうものですからね。やりとりはあったようですから、私はあえて申し上げません。申し上げないが、ここで確認したいことは、そういうことは聞いていないとか、聞いていないなら聞いていないでそれで結構ですから。  問題は、鉄鋼からそういう提案が仮にあったとしても、政府の責任において今生産計画、需給計画を立てて、このことによって雪崩閉山になるようなことはいたしませんと、そういう責任ある立場をとってもらいたい、このことを私は聞いているんです。聞いている聞いていないはどうでもいいから、要は仮に鉄鋼からそういう考え方が提案されたとしても、そのことの解決をいたしまして、そのことによって石炭企業に——我々は四分の一と認識しておりますからね。それが二分の一になって、八十万トンにしたらまた閉山出る。真谷地炭鉱だとかあるいは原料炭使っているところは早まることは明らかでしょう、南大夕張にしたって。私はそれを言っているんですよ。だからそういうことはないようにいたしますというのであれば結構ですから、その点いかがですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 先般の一部新聞報道にございましたような、鉄鋼業界から六十二年度の引き取り量について、前年度の半分にするというような方針について、当省としては一切報告を受けた事実はございません。また、六十二年度の鉄鋼等の引き取り量の問題につきましては、八次答申が決められた際の需給両業界の合意に基づきまして、今後需給両業界で話し合いが行われ、漸減の方向で定められることになるわけでございますが、御指摘のように、私どもといたしましても、短期集中的な閉山というものはぜひとも避けたいということでございますので、何とかなだらかな縮小に向けて鉄鋼業界の引き取りが確保できるように今後とも注目をしていきたいと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 そこは部長にはっきり申し上げておきますけれども、聞いている聞いていないはいいんです、私はとやかく言う必要ないんだから。  ただ、政府の態度として、例えば仮にそういうことが、出てくるか出てこないかわからぬが、出たとしても、そういう問題は政府の段階で責任を持って解決をいたしますので、当初の方針どおり、今の答弁ありましたけれども、なだらかな生産計画、需給計画で進めていきたいということでいいですね、ここは。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) なだらかな縮小に向けて政府としても努力をいたしたいと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 それではこれは確認をしましたから、次に、貯炭買い上げ機構の問題についてお伺いいたします。  貯炭買い上げ機構、これも衆議院でやりとりあったことを私は重複いたしません。これもしかと確かめる意味で、政府の考え方をはっきりしてもらいたいんですが、六十二年度貯炭買い上げ機構、鋭意努力されて設置をすることになりました。通産の努力は多といたします。いわゆる六十二年度は五百三十億と、こう聞いておるわけです。五百三十億ということは、西川課長にもこの間ヒアリングを受けたときにいろいろお伺いをしましたが、大体これは三百四十五万トンという数字になる。五百三十億というのは、三百四十五万トンの買い上げ数量になると、こういう認識でよろしゅうございますか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 予算の積算上、六十二年度の平均的な過剰貯炭の状況を三百四十五万トンと計算しております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 わかりました。ことしは、昭和六十二年度五百三十億、今言った平均して三百四十五万トンと、こういうことはよくわかりました。  それでは、今これから貯炭買い上げ機構が発足するという段階になりつつあるわけでありますが、その場合、ことしは大体三月末、あと何日もありませんけれども、どのくらいの貯炭の数量を決めるんですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 六十一年度末の在庫につきましては、おおむね三百九十万トン程度になろうと思っておりまして、適正在庫がおおむね百二十万トンと思われますので、二百七十万トン程度が過剰在庫という格好になろうかと思います。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 わかりました。  それでは、六十二年度の買い上げは幾ら、政府としては、現段階でもしこれだけの買い上げをするという数量が一応確定しておったら、これをお聞かせを願いたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 新年度に入りまして国会におきまして法律を制定いただき、また予算が執行が可能となるようにしていただきますれば、早急に貯炭管理会社を発足させたいと思っておりまして、そうなりました場合に、まず六十二年度には六十一年度分の過剰貯炭を買い上げるというようなことから業務が開始されるわけでございます。これが先ほど申し上げました数字でございまして、おおむねトータルとしましては二百六、七十万トンというような数字に相なろうかと思っております。  その後、六十二年度の過剰貯炭がどうなるかということでございますが、これは各社の適正在庫を上回る部分ということになるわけでございまして、今後の需給両業界の話し合いによりまして需要のレベルがどのくらいになるかということによって左右されるわけでございます。ただ、予算上は一応一定のフレームで計算をいたしまして、さらに百万トンを買い上げる積算になっておりまして、その百万トンにさらに安全率を見まして先ほどの五百三十億という数字は出てきているわけでございますので、現在の状況から見まして、各社の生産計画の検討状況あるいは需要家との合意のフレーム等から見て、この五百三十億で十分対応できるものと考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 予算上はいいんだけれども、そうすると三百八十万トンぐらいと考えていいんだね。どうですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 予算上は三百六十万トン程度というふうに思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 大体わかりました、三百六十万トンということで。  そこで、次の質問になりますけれども、そうしますと、次のことにちょっと関連してくるんですが、これお聞きしますと、六カ月ごとに買い取りをすると。六カ月、六カ月で決着をするということですね、買い取りをするということは。六カ月ということは、どういう根拠で六カ月にしたんですか。これをまずお聞かせ願いたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 御答弁申し上げます前に、先ほど三百六十万トンと申し上げましたのは、六十一年度の分の二百六十万トンに六十二年度の百万トンを足して三百六十万トンという計算になるわけでございます。  そこで買い上げの期間でございますが、やはり石炭の物性その他から見て、一定の期間というものが貯炭の滞留期間に当然あろうかと思っておるわけでございまして、また一方、この貯炭管理会社の経営の健全性というものも確保していかなければいけないということで、買い上げる各社には買い戻し条件をつけさせていただきまして、またその買い上げたものの買い戻しについての保証についても一定の保証をとらざるを得ないというふうに考えております。  そういうことから一応六カ月というのが出てきたわけでございますが、しかしながら、この会社は過剰貯炭を一時的に解消するために設立される会社でございますので、六カ月たちまして各社が依然として過剰貯炭の状態にあるというふうに認められます場合には、さらに引き続き新しい六カ月の貯炭買い上げという格好で、結果的には貯炭買い上げを継続するという事情も十分考えられると思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 そうしますと、六カ月というのは一応買い取り、引き取りのある程度の目安というものを出したという意味で出したというだけですね。そうしますと、問題はこの六カ月、六カ月というと、単年度契約でいけば一年サイクルというのは、これはどこの会社だって株主総会は一年、一年で区切るわけですから、だから一年間の決算で処理するのが一番いいと、私はこう思いますけれども。だから、六カ月でどうしてもその場合過剰だというならまた継続していくということですから、考え方はわかりますけれども、まあ六カ月より一年の方がベターである、私はそう思います。そこは申し上げておきます。  それからもう一つは、それじゃ、どうしても途中でもってその企業がやめざるを得なくなったという場合はどういうふうになりますか。経営をやっていったけれども、その会社がどうしても企業をやめざるを得なくなったという場合の処置はどういう形になるのかということが一点です。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) お尋ねのような場合につきましては、貯炭管理会社が直接ユーザーに売り渡すというような努力をすることになりますが、場合によっては他の石炭会社にも協力を求めることもあろうかと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 そこで、私はこの問題についていろいろ政府側ともやりとりしたことがあるんですけれども、これは目的はあくまでも雪崩閉山を食いとめるということに大きな目的があって、これは我々は強調したわけですよ。我々も主張したわけですよ。その認識は一致すると思うんだけれども。  第八次政策が、生産と需要の関係がこれコンスタントにずっとうまくいけばいいですよ。もしそれが結果的にやっぱり残る——私は残るのが本当だと思っているんですよ、これ、私に言わせれば。本当だという言葉は悪いけれどもね。そういかないと、これは雪崩閉山にいかざるを得ないんだね、率直に申し上げて。だから、雪崩閉山にいかせないためには、ある程度この貯炭買い上げ機構というものは、トータルとして、これはもちろん努力はするんだけれども、仮にその時点でもって残ったと、貯炭が残りましたとなった場合に、これは一体どうなるのかということになるわけですよ。  だから、その認識は、私は雪崩閉山を食いとめるための一つの抑制策としてこの貯炭買い上げ機構をつくったと、しかし、生産と需要の関係がアンバランスができ上がって、結果は六十六年度について三百万トン余りましたと。いや、どうも余すということでやるわけじゃないけれども、余ったときには、残ったものについてはその時点で、どういう形にせよ私は処理しなきゃならぬと思うんですよ。それは貯炭買い上げ機構の責任だからそこでやれよということなのか。いや、そうではないと。もちろん原則は、これはゼロにするということの考え方に立っているからそれはわかるんだけれども、その場合、一番大事なことはここなんですよ。  この貯炭買い上げ機構の認識について私はいま一度これ確認したいんだけれども、あくまでも雪崩閉山を食いとめるための一つの措置としてこの貯炭買い上げ機構はつくったと、我々はその主張で政府側に求めたわけです。政府もそれで立ち上がっていただいたと。もちろん、これは株式会社ですから、トータルはこれ単年度ごとにゼロでなきゃならぬと思うんですね、決算は、これ。しかし、結果的に残ったと、万やむを得なくして残った場合の政府側の態度なり考え方というものは一体どうなんだと、ここが非常に大事なところなんで、ひとつお伺いしたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の貯炭管理会社の創設の目的につきましては、ただいま対馬先生がおっしゃったのと全く私どもも同様に考えておりまして、需給ギャップから生じます貯炭によりまして、短期集中的な閉山を回避するための措置であるというふうに考えております。  それで、万一貯炭が残ったらどうなるかということでございますが、私どものイメージといたしましては、需要が、ガス用の原料炭については現状の水準を当分維持しまして、最終的にはゼロという姿。それから鉄鋼やコークス用の原料炭、それからセメント、紙パ等の産業用の一般炭、こういったものは漸減の方向で毎年少なくなっていく、最終的にはゼロとするというような需要の動向、及び生産者が現在生産計画を検討しているイメージを考えますと、この八次期間中に大体この貯炭会社の需給はバランスするものと見込んでおりますが、おっしゃるように万一残った場合はどうなるかということでございますが、やはり現在進められております貯炭管理会社についてもその経営の健全性というものは確保しなければいけないということでございますので、仮にそうなった場合には、その時点における過剰貯炭の問題として政府としても考えていくことになろうかと思います。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 万一そうなった場合に、過剰貯炭として政府として処理していきたいという受けとめでいいですね。いやいや、それ以上いいから。そういうことでよろしゅうございますか。私が言ったとおりでよろしいというのであればそれで結構なんでございます。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 万一そうなった場合は、その時点の過剰貯炭問題として、政府として改めて検討することになろうかと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 わかりました。その点はそういうことで、政府の態度を、万が一のことを言っているわけでありますけれども。私はその時点で問題になることは、貯炭買い上げ機構へのしわ寄せというと言葉は悪いけれども、貯炭買い上げ機構だけの犠牲になってもらっては困るということを私は懸念するわけです、はっきり申し上げて。それとまた、そのことを望むわけではありませんよ。望むわけではありませんが、結果論としては、そういうふうにいかなければ、今の政府の考えている考えでは雪崩閉山につながる。私は、少なくとも一定のこの数量が残るような形でないと、やっぱり需給ギャップの歯どめというのはなかなかかかっていかないなと。これは私の考えですから、あんた方がどう思おうと勝手だけれども、私はそう思っているんだ。だから、それを思って今言っているんだから。ただ、その時点でということの考え方はよくわかりましたから、ぜひそういう方法でひとつその時点で十分に配慮してもらいたいと、これは答弁は要りません。申し上げておきます。  それでは次の問題につきまして、規模縮小交付金の問題でありますけれども、生産数量の五%だと、私もこれは問題だ、こう理解しながらも、これ最終的な私の結論として申し上げておるんですが、生産数量の五%というのはどういうことなのか。それから、炭鉱労働者の百五十人削減と、閉山交付金の二分の一退職金云々と、三つのこういう条件を定めたという基準の考え方がちょっと私ぴんとこないんだ。これは少なくとも私がここで考え方を質問したときには、とにかくできるだけ雪崩閉山をさせないように、仮に百万トンの山は三十万トン減らすと、七十万トンでそれじゃ三百人減らしていくと、千人いたら。それで、残ったものが細々と生きていくためには、何とかこの閉山交付金——当時、閉山交付金という名前を使って、縮小というのは使わなかったから。そういうものを会社に援助することによってその山はずっと細く長く生きていく、いかがでしょうかと。いや、認識は全くそのとおり、検討さしてもらいたいと。こういうやりとり、これ会議録持ってきていますけれども、ここにあるから。  そういう考え方に立ったとすれば、どうもここに言う生産数量の五%、労働者百五十人、閉山交付金の二分の一退職金云々と、こういう三つの条件がそろわなきゃその金が出ていかないんだといったら、それに該当する山が一体あるかということになるんだ。僕は、ちょっとこれ、実体論としてその基準の考え方についてどういう考え方で、果たしてそういう山が生かせるだろうかと、そういう山が出てくるだろうかという実体論だよ、私の言っているのは。これではちょっと問題があるんじゃないかという気がするんだけれども、まあ基準をどういうふうに定めたかということ、ちょっとそれを聞かしてください。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の石炭鉱山規模縮小交付金の基準の問題でございますが、御説明を申し上げます前に、ただいまの対馬先生のお話で、閉山をして残ったものが細々と生きていくと、それに対する助成ということでということでございましたが、実はそれにつきましては、一方で安定補給金の中に減産加算制度を設けておりまして、この減産加算によりましてもかなり残っていく企業に対する助成にはなろうかと思っています。  そこで、規模縮小交付金の基準でございます。まず生産の五%でございますが、これはやはりこれから規模縮小をしていくという方向で考えます場合の縮小の最小単位は五%であろうということで、五%を持ってきたということでございます。  それで、百五十人の方は、この五%の生産数量減という場合に、大体この程度の人数に対応するのではないかという計算上の問題でございます。  さらに、二分の一というのはいかがなものかというお尋ねでございますが、これにつきましては、閉山の場合には、全く会社がなくなりまして会社の経営上も大きな負担になるわけでございますが、この規模縮小の場合には会社がまだ存続しているわけでございますし、また退職者の数も相対的に規模が小さいわけでございますので、一応閉山交付金の場合の二分の一と定めさせていただいたわけでございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 一応の考え方はわかりましたが、目的はやっぱりこれを延命することにあると思うんだね。山をできるだけ細々と長く、どうやって延長していくかと、いわゆる延命策なんだね。そうだとすれば、この基準に合わなければこれ縮小交付金が出ないということになるわけであって、生産数量の五%はまだいいにしても、労働者の百五十人というのはこれ大変なことですよ、労働者の百五十人ということは、簡単に言うけれどもね。だから私は、この実体論もあるんだけれども、こういうところでは余り言いたくないんだけれども、例えばある会社が希望退職募集しました。これ生産量を仮に二〇%落としたいと、その二割の相当額を希望退職募集でやりました。その中に、いろいろやり方あるんですよ。  余りこういう場所で言いたくないが、官公労だってやっていますけれども、肩たたきというのがあるわけだ。あと二年間あるけれども、対馬君、君早くやめてもらった方がいいよと、極論言えば、はっきり言ってしまえば。いや、そういうことだって現実にある。それからまあ長期に、坑内でけがしたけれどもなかなか回復が困難だと、それは在籍であると。私は、実体論だから、現実に知っているから言うんです。そういう方々もこの機会にひとつどうぞ御遠慮、御勇退願えぬでしょうかというようなこと、これたくさん出てくるんだよ。しかし、あなた方のあれでいけば、百五十人という考え方があくまでも合理化による解雇、馘首というものだということになると、これとてもじゃないけれども百五十人なんというと大変なことになりますよ。そういう問題がこれあるわけです。こういうことを、基本的人権にかかわることだから余り言いたくないし、会社側のやり方もどうもえげつないんじゃないかということになるから、これ余り言いたくないんだけれども、そういうことは実体論としてあるんですよ、これ。  私は、この考え方は、一応いい悪いは別にして、これを運用する場合にかなり弾力的に運用していかないと、せっかく山を残すつもりで延命するためにやったものだけれども、制度はつくったけれどもさっばりこれ生かされない、山はつぶれていくということであってはならないんじゃないかと思うんです。だから、こういうことを余り言いたくなかったけれども、あえて私が今具体的に申し上げたのは、そういうことで言ったわけですよ。そういう苦労をしてやっぱり山でやっておるんですよ、現実に。  ただ、あえて私が言うのは、百五十人というのはあくまでも合理化による解雇、首切りでなければ、百五十人という者の削減がなかったら認めないんだとか、そんなことじゃ困るよと、私が言っているのは。そういう弾力的に山の実態に合った現状というものをよく検討すれば、実態認識を踏まえていけば、かなり弾力的に運用しなければ、せっかく細く長くという延命策につくっていただいたが、この制度が当てはまらないというのでは、これは制度をつくって生かされなかったということになるわけであって、そういう点は最大限弾力的にひとつ考えてもらいたい、運用すべきではないか、いかがでしょう。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) この制度については、ただいまお話のございましたように、弾力的にかつ公正に運用をいたしたいと思っておりまして、お話の中にございました具体的事例につきましては、労働者の数の減少の方に計算をするように検討してまいりたいと思います。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 今、答弁がございましたから、ぜひそういう点で、積極的に弾力的に公正に考えることは結構だけれども、やっぱりこの制度を生かしていくという考え方でひとつぜひ検討してもらいたい、このことを申し上げておきます。  次に、保安体制強化の問題で、しばしば私どもは持論としては、従来の炭鉱の重大災害で、山はねあるいはガス突出あるいは炭じん爆発ということが今まで大きな災害として、とうとい我々の仲間が犠牲になって奪われていった。あえて人災であるとはっきり私は申し上げて、幾つかの今までの事故に対して申し上げたことがございます。  そこで、そういう点を克服するためには、ある一つの山を試験炭鉱ということで位置づけたらどうだということを私は申し上げてまいりました。なかなか今の情勢でそれは非常に難しいという現状認識も、私は今だからやるべきだという意見を持っていますけれども、これは財政措置が伴うことであってなかなか実現困難ですけれども。  そこで私は、今でも一応の対応はいたしておりますけれども、白石の防爆研究所を私も去年見せていただきました。それなりのこともやっています。それで、谷山ごとに、私は試験切り羽、試験現場を位置づけることが必要ではないか、また重大災害の研究を強化した方がいいんではないかというのが私の考え方なんです。そうしないと、これが保安体制の強化策に、それですべてではないけれども、当面そのことを非常に重大視しなければならないんではないか、こう思いますので、この点についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。

加藤昭六通商産業省立地公害局長

○政府委員(加藤昭六君) 現在、保安技術の向上を図るために、国を初めといたしまして関係業界あるいは関係研究機関あるいは大学などが有機的な連携を図りまして、鋭意研究活動を行っております。  具体的に申し上げますと、基礎、応用段階の研究、これは工業技術院の公資研、公害資源研究所でこれが中心になりながら行っている。実用化段階の研究は、当省から石炭技術研究所へ委託して行っておるということでございます。先生御指摘の現場における研究、これはこの中で行っておるものでございまして、関係業界と協力いたしまして、各炭鉱の坑内の現場試験を行っておるものでございまして、例えばガス突出あるいは山はね、自然発火、坑内火災など、各炭鉱に即応いたしました災害防止技術の高度化、実用化の促進を図っていくということでございます。  先生御指摘のように、当省といたしましては、生産現場での試験というのが非常に重要であると考えておりまして、今後とも積極的にこうした試験研究は展開していきたいというふうに考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 今、積極的に取り組んでまいりたいという答弁ですから、結構です。ぜひひとつそういう方向に、これは財政措置が伴うんですけれども、やっぱり重大災害ということの位置づけからいけば、これは本当なら一つの山を試験炭鉱に位置づけるべきだという意見を私は持っていますけれども、あえてそれはきょうは申し上げません。とにかく試験現場、試験切り羽という関係で、ぜひひとつ重大災害の研究の強化策を進めてもらいたい、このことを申し上げておきます。  次の問題でお伺いをいたしますが、売上税問題について、ひとつこれは石炭がどうなるのかということをここでぜひ聞いてもらいたいという意見が私の手元に来ておりますので。この売上税問題は、石炭関係で言いますと、二つの性格があると言いますね。基本的にはもう皆さんも御存じでありまして、大臣のお立場もそれぞれあると思いますけれども、私はこの売上税は天下の悪税である、したがってこれは撤回をすべきであるというのが我が党の方針でございまして、これはここで申し上げておきますけれども。  それは別にして、お伺いしたいのは、炭鉱で言う場合に、石炭そのものにこれは課税ですね、流通ですから。石炭を売ると、今、仮に二万三千円とした場合についてはトン当たり五%でいきますと千百五十円ということになりますね、これは課税だと。誤りであればこれ指摘してもらいたい。これ課税だと。石炭を売った場合の課税ということは一つ考えられる。  それからもう一つは、現在の石炭経営をしていく場合に、現実に私も炭鉱マンですけれども、調べてみたら、火薬、ダイナマイトにこれかかると。それから、今、自走枠使っていますからね、坑内機械やなんか。自走枠にかかる。あるいは坑内に電動機が入っている。それから、センサーがこれは溝に備えつけてある。調べてみたら全部これは対象になりますよ。それから保安帽はもちろん、救命器はもちろん、考えてみると全部これはかかる。非課税になるものはないんだ、これちょっと私なりに調べてみたら。この場合、基本的にはここでやりとりするつもりはございません。ここでお伺いしたいのは、石炭を販売した場合の課税、それから今私が個々に具体的な例を挙げましたけれども、石炭経営上必要欠くべからざる、経営を維持するための、また作業を維持するための物品は全部課税対象になる、こういう認識は間違いありませんか。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 売上税につきましては、物品とかサービスの取引の各段階で課税をされるわけでございまして、この場合非課税になりますのは、特定の指定されたものだけということになっております。したがいまして、石炭につきましては課税になりますし、また石炭企業が購入をいたします機械設備等につきましても課税をされるというふうに理解いたしております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 課税されるということを今確認いたしました。  そうだとすれば、これは課税をされるわけですから、今の売上税というのは、流通、流通でかかっていって、最終消費者にツケが回る、こういうことですね。その場合、これは鉄鋼とか電力とかという関係は問題は起こらぬと思うけれども、小さい企業の関係で、例えば比較的量が少ないとか、そういう小さい関係で取引が行われた場合に、それはもうお断りしますということ、それであなたから買いませんよと、こういうことを生じた場合に、これは大変なことになる。ただ、基準炭価ですから、まあ後で申し上げようと思ったけれども、原則基準炭価は据え置く、こういうことですから、ただ基準炭価ですから、よもや鉄鋼だとか電力じゃないと思うけれども、例えば小さい大きいは別にして、その他の民間企業サイドで石炭を買っている。どうもそんなのじゃお断りする、おれはちゃんと我が社で見つけてくるからあなたのところ要らないよと、こうなったんじゃ、今でさえ需要が大変だと言っているときに、重大な需要の関係に響くし、先行き不安だということになるわけですよ。この点どういうふうに考えますか。  そういうことがなければいいけれども、そういうことのないようにもちろん政府側はやってもらわなければいかぬけれども、そういうことがこの内容では考えられることですから、だから基準炭価という性格には問題はないけれども、個々の企業によってはそういうことが出る可能性もある。その点について、そうならないようにひとつ、仮にだよ、我々は基本的には反対です、これは撤回せよという要求ですから。それを企業の関係で聞いてきておいてくれというものだから、素直に私は聞くんですけれども、我が党としては基本的に撤回をすべきであると考えるんですが、この点はどういうふうに考えておられますか。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 売上税が実施されます段階で、これが具体的に価格の上昇を通じてどのように転嫁されていくかという問題がございますが、当然取引の中でこれが決められていくことになろうと思います。私どもとしましては、この売上税が価格の上昇を通じて需要家に転嫁されるというのが売上税の基本的な性格であるというふうに認識いたしておりまして、そういう観点から需給両業界の話し合いを見守ってまいりたいというふうに思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 見守ってまいりたいのはいいけれども、そういう企業にその分をしわ寄せすることのないように措置をしてもらいたい、ここが一番大事なんで、例えばトン当たり千百五十円かかるんだと、トン当たり二万円であれば五%で千円かかる。一万円じゃ五百円かかるよと。例えば今言った救命器だあるいは自走枠だ、機械だと、そういうもの全部計算してみたら、コスト当たり五百円かかると。この五百円を税金取られておったら、経営上トン当たり五百円かかったと同じですから、今でさえ四苦八苦しているのに、閉山かどうかとしゃべっているときに、そのしわ寄せが企業に行ったんでは大変なことになる。そういうことにならないように措置をするという御認識でいいですか。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) これは石炭のみに関することじゃなしに、広く課税物品全部にかかることですが、通産省としましては、産業界に対してこの売上税というものは価格を通じて転嫁されていくものであるという認識を広くPRをし、理解を求めるということをやる必要があるというふうに思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 そういう認識で、経営にしわ寄せにならないように、最悪の場合でもひとつ措置をしてもらいたいということだけ申し上げておきます。  それから、次の問題で、IQ制度の割り当てについて、IQ制度は存置をするという考え方は間違いありませんね。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の第八次石炭答申の中におきましても、当面輸入割り当て制度は維持すべきだというふうにうたわれておりまして、私どもといたしましても、需要確保の一つの措置として、八次期間中これを実施することとしております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 そこで、先ほどもちょっと触れましたけれども、IQ制度があって一千万トン担保したと、結果論を言うとね、経過はいろいろあるよ。結論を言ってしまえばそうだと思うんだけれども。私は、もうちょっとIQ制度を活用して、つまり需要を伸ばす道はないのかというあたりをもう少し検討したらどうだと。  さっきはあえて露骨なことを言ったけれども、一億トンの海外炭を買って、円高で一定の利益が上がっておる。それは、電力業界は通称十兆円と言われて、五兆円程度電気料金、ガス料金に差益還元をした、これは結構なことですから。そこを言っているのじゃなくて、そこを間違えぬでもらいたい。私の言っているのは、輸入割り当て制度の流通関係の段階で、俗に言わせてもらうなら、三井、三菱あるいは住友という大会社、親会社の関係で、ペーパー商行為の取引によって一定のあれが出ている。そういうものを何とか積極的に国内炭の需要なり、国内炭を活用するような方法ができないのか、この点なんだよ、私の言っているのは。  いや、輸入割り当て制度があるから一千万トン担保できましたよと、そんなこと私知っていますよ。知っているが、もう一歩そこを、親会社の関係でIQ割り当てをした、電発を初め、もちろんそうだけれども、親会社の関係を含めて何らかもう少し需要を伸ばしていくという、引き取りを強化をしていくということはできないもんだろうかという点は、これはだれかとは言いませんよ。この間も、私これエネルギー調査会でちょっと学識経験者とやりとりしたときにも、私が言ったのじゃなくて、学識経験者も言っているね、そのことについては。もっとそういうことを生かす道を考えたらどうなんですかと。商社がもうけることが悪いと言っているんじゃない、商社のもうける中で一定の需要を伸ばすという道があってしかるべきではないかという見識者の、参考人の御意見があるんだけれどもね。この点についてどうですか、どういうふうに考えますか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) お尋ねの、IQを通じて需要を増大すべきではないかというお話が、IQを強制的に割り当てて国内炭の需要を確保すべきであるというふうな方策に使うべきであるとするならば、その点につきましてはやはりIQ制度の運用というのは、国内炭の需要家の理解と協力の上で実施すべきものと考えておりまして、今回の八次策の策定に当たっての合意に基づいてあくまでも引き取りは実施する、そのためのいわば担保措置としてこのIQ制度を活用するという考え方でございまして、IQ制度を通じて強制的に需要を拡大するというのは困難なことかと思っております。  なお、円高の利益を国内炭の需要拡大の方に使うべきであるという点につきましては、その円高の部分につきまして国内炭の高い部分を強制補正するというために使用する対策を講じたらどうかというお話かと思うわけでございますが、これにつきましても、やはり海外炭輸入に伴う円高差益というものは、本来市場メカニズムを通じて最終的に消費者に還元されるべきものでございまして、国内炭対策の財源は別途考えるべきものと考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 これは、私が言っているんじゃないんだ、この間の産業・資源エネルギー調査会で、学識経験者の参考人の方々から、むしろもっとIQ制度というものを生かしながら石炭の需要を伸ばす道があるんではないかという提言があるんだから、私はこれ申し上げておるのであって、それと、何も円高差益を使えと言っているんじゃないんだよ。円高差益は消費者に返してもらわなければいかぬ。そういう中にあって、一つの流通の関係の中で何とかいい方法がないのかという提言がございました。そこを今言ったように申し上げておるのであって、もちろん話し合いでやるということは当然だけれども、もう一歩そういう提言があるわけですから、これをひとつ検討してもらいたい。これはもう時間もありませんから、申し上げておきたい。  それから次に、通産関係はこれで最後にしますが、例の第八次石炭政策によって、これは通産省の案でも二百万トン閉山計画というのが計画にのっているわけです。どういったって本当はそういうことをしてもらいたくないんだけれども、好むと好まざるとにかかわらず現実に出ることははっきりしておるわけです。その場合、やっぱり問題になることは、どうも町ぐるみ町が崩壊をするということの場合に、いつも率直に申し上げるんだけれども、通産大臣は労働大臣の経験者でもあるし、長年のベテランですから、先ほどの意欲が僕にもわかるんだけれども、閉山をするまでは結構これ熱が入るんだが、閉山してしまったらどうぞこれ労働省の責任ですと、こうなったんじゃ、悪いけれども葬式を出すまでは誠意を持ってやるけれども、葬式を出してしまえば後はどうぞ御勝手にと。これ私が言うんじゃないよ、産炭地の住民なり労働者の率直なそういう声なんですよ。それでは困る。やっぱり少なくとも閉山をする段階では受け皿が必要だと。それにかわる企業の、町の活性化が必要ではないか。  現に、今各地域から実はずっと出てきています。私これ持っていますけれどもね。ここにあります。北海道全空知管内のあれも全部出ています。ありますけれども、これによると、観光基地とかゾーンだとか、あるいは宅地整備基地とか、いろいろな構想を持っていますよ。持っているけれども、ただ問題は、抽象的な話であって、これも企業誘致ということであって、そこらあたりもうちょっと、閉山をする、そのことが町が崩壊をするんだ、そのために明日審議される今度の産業構造転換円滑化法もそのための一助である、これはわかりますよ。これは認めます。ただそれだけでは決め手にならない。だから、私は政府として、通産省として、町ぐるみの閉山に対して積極的な企業誘致なり産業の立地に、いま一歩積極的に取り組んでもらいたい。このことを申し上げたいんですが、いかがでしょう。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御承知のように、八次答申におきましては、「各地域はその地域特性を踏まえつつ、相互に連携をとりながら、広域的な視野に立って地域の振興に主体的に取り趣むことが重要である。」とうたっておるわけです。同時に石炭企業、親会社及び関連グループ、この関連グループ企業の積極的な貢献、それに関係道県といいますか、府はありませんから、関係の道県の積極的な取り組み、それから政府の方においても関係各省庁挙げての支援、こういうことを求めておる。おっしゃるとおりでありまして、もう仮に閉山でもしたら後は労働省というようなことであっては、これは無責任極まりないこと。でございますから、私はまず雇用問題につきましては、既に御承知と思いますが、事務次官を連れまして、そして平井労働大臣のところを訪問して、もちろん石炭だけではありませんけれども、この際労働省、通産省が一体となって、とりわけ不況に悩んでおる産業に対応するためにということで、双方事務次官をキャップとしたハイレベルの教育機関、これを常置していこう、ちょいちょいやっておるようですが、常置していこう、こういうことでお願いもし、快い回答も得たわけです。  特に平井労働大臣から御提案がありまして、百尺竿頭一歩を進めて、この際両省の若干の人事交流もして、お互いの仕事も慣れさせようじゃないかということ、非常にありがたい話で、私も賛意を表した次第ですが、そういうふうに雇用問題についてはお互いに連携をとり合いながら完璧を期していきたい。  それからもう一つは、我々の問題としては、やはりその地域の特性を生かしながら、その地域の新たなる活性化ということを図らなきゃならぬ。そのためには石炭終わったら石炭の会社はもうドロンだよというんじゃ困るんで、炭鉱が閉山しようとすまいと、今はとにかく閉山しないでも苦しいんですから、石炭企業の関連グループ等が中心になってやってもらいたい、我々も大いに協力しましょう。関係各省庁が協力するのは、ちょっと長くなって恐縮ですが、私はとにかく各省庁が全部協力しないと、例えば空知を見ても、一番欠けておるものは何かといえば、僕はアクセスだと思うんですよ。道路にしても何にしても、私も党の開発委員長等やっておったものですから、しばしばあっちの方へは行っておりますが、夕張線とか万字炭山線という汽車にまで乗っておりますけれども、ですからそういうアクセス問題についても建設省へお願いしなきゃなりますまい。また、我々もいろいろな面で企業の立地条件をよくするための努力もしなきゃならぬ、このように思っております。  ただ、じゃどうかと、それはもうその場所、場所のケース・バイ・ケースになりますから、それこそ山の中へ臨海保養地つくるわけにもいかないんですから、だからそれはもうケース・バイ・ケースになりますが、さようなことで大いにこれからも努力をしていきたい、通産省挙げての努力をしていきたい、単にエネ庁だけではない、こういうことでございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 私は、もう時間もありませんから、ひとつ実りある地域活性化のためのやっぱり閉山跡地の対策ということを重点対策として、今大臣も申されましたけれども、ぜひ取り組んでもらいたい。これは強く申し上げておきます。  それじゃ労働省にお伺いをします。  平井労働大臣、かなり積極的に雇用対策に取り組んでいただいておることについては敬意を表しますが、問題は、衆議院でもやりとりしておりますから重複を避けます。私は端的に言って、就職促進手当、これは下限から上限から、下限で二千五百七十円、上限で四千七百四十円。二十二段階、この内容も全部持っています。私も社労の委員ですからわかっています。ただ、問題はこれをスタートしたときのベースが低かったんです。これは部長、そこを間違わないで。スタートしたときのベースが低かった。その後は確かに春闘、物価上昇でアップ率こう来ているんだけれども、九州、北海道等の限られた地域にこれが適用されるわけです。だから、やっぱり北海道で言えば、今も話が出たけれども、暖房用灯油だけでも二十三万もかかる、こういう状態ですから、一冬二十万から二十三万かかると。だから、今すぐではなくて、私はせめて、地域格差、地域の実情ということを加味しながら、何らかそういう諸手当、この基礎的なものを変えることは難しいにしても、諸手当、積雪寒冷地手当とか暖房用手当とか、そういうものを加味しながら、就職促進者の一定の水準というものを上げていくということを一つは考えてもらいたい、これが第一点でございます。  それから第二は、これはあわせて申し上げますけれども、この範囲の問題なんですよ。就職促進手当の範囲、炭鉱労働者の範囲とは、これ私持っています。炭鉱離職者とは掘進、採炭、充てん、仕繰り云々、全部私も炭鉱マンだからわかっていますけれども、一番問題なのは関連企業なんだよ。ちょっと衆議院で出たけれども、もっと言いますけれども、これは前は全部直轄でやっておった。今はもう炭鉱経営を合理的にやらなきゃならぬということで、どんどんとにかく廃休止は分離しちゃうし、機械関係も分離して、鉱害関係も分離しろということでもって別会社にいっちゃっておるわけだ。以前は全部これ直轄としているんだよ、正確に言うと。労使が一致した考えを持っているのですから。これ全部該当しているんだが、会社が勝手に経営を維持するために万やむを得なく分離会社にしちゃっているわけだ。それで問題が起きているわけだ。これ以前なら問題ないんだ。  私は時間もありませんからくどくは申し上げませんけれども、そういう範囲を弾力的に運用してもらわぬとなりませんよということを言っているのです、はっきり申し上げて。そういうものはだめですと言うんじゃこれ問題が起きるんだ。だから、少なくとも炭鉱でその山が閉山して、直接間接に、現実にそのために犠牲になった関係の労働者については、黒い手帳は交付する、適用してやる、こういう措置をとってやらぬと、それこそあなた、労働省の立場からいっても、私は何も拡大解釈せいとかそんなことを言っているんじゃない。弾力的に運用して最大限の措置を講じてもらいたい。  この二点についていかがでしょうか。

甘粕啓介労働省職業安定局高齢者対策部長

○政府委員(甘粕啓介君) まず最初の就職促進手当の問題でございますが、先生十分御存じのとおり、これにつきましては雇用保険と同様に離職前の賃金に対応して決めてございます。それで、確かに先と言われましたように、上限を切って頭打ちにしている。これはやはり雇用保険の拠出制度と違いますという制度の趣旨論があるということで、私どもも先生御承知のように毎年引き上げに努力してきまして、六十二年度につきましても二・四%の引き上げを予定しているところでございます。  そういう中で、もう少し工夫をしろというお話で、地域手当みたいな、例えば北海道の場合は寒冷地手当というふうな御趣旨でございますけれども、これはやはり前職賃金に対応して決定しているというふうな性格がございまして、雇用保険と同様の日額表を使っている。そういう中で、例えば寒冷地等の手当がその前職賃金に含まれている場合には、それに反映されているというふうな仕組みになってございますので、確かにこういう地域手当というのも一つの構想でございますけれども、今の制度の中では非常に困難な問題というふうに判断してございます。  それから、二番目の炭鉱離職者求職手帳の発給対象者の範囲の問題でございます。  先生の言われるとおり、そういう合理化過程等で、下請関連企業に分離されたという過程の中で、こういういわゆる黒手帳の発給の対象にならないという方が、従来に比べましてふえているということは事実承知してございます。ただ、これも先生の方が十分御存じだと思いますが、こういう黒手帳を発給いたしまして、三年間にわたりまして就職促進手当の支給等を含めながら再就職の援助活動を続けるということにつきましては、やはりそういう職業の特殊性ということが大きな要因になってございます。そういう意味で、関連下請企業のところにつきましては、基本的な坑内作業とそれに関連する工程ということに絞っているということで、どうしても黒手帳の対象から外されるというふうになってございます。  ただ、私どもといたしましては、昨年十一月に石炭鉱業を不況産業ということで指定いたしました。その結果、不況産業からの離職者の求職手帳、いわゆる緑の手帳というふうに言ってございますが、これが発給されるということになりましたので、これに伴いまして雇用保険の給付日数の延長あるいは求職活動費、移転費あるいは特定求職者雇用開発助成金、こういうものの支給の対象が、昨年十一月から、そういう黒手帳の発給の対象にならない関連下請企業のいわゆる坑内業務以外の方々にもこういう措置がとられるということになりましたので、こういう措置を活用をいたしまして、再就職の促進に全力を挙げたいというふうに考えてございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 部長の答弁もわからぬわけじゃないけど、やっぱりただ絞っていくというこの範囲の限定だけでは困るんだよ。例えばここに三の項あるでしょう。事務所、診療所、浴場、配給所、当該炭鉱に附属する施設における業務、それから石炭処理加工施設にわたって炭鉱に附属するものにおける業務、請負業者に雇用される者云々と、こうあるんだけど、これは以前は鉱業所で全部一括しておるんですよ、これ。請負だってそうですよ。今請負だって下請、孫請、組までいっているんだから。例えば三井建設がある。三井建設で一括取り仕切ったのが、今は全部その下請ができて、孫請までできているんだ。直轄で、掘進までやっているんだ、現実に。本来なら掘進というのは、坑内は坑内で作業ができなくなっているんだ。しかし、現実に今炭鉱が直轄ではできないから坑道維持のためにやっているんだ、これ。保安上問題があるんだよ、正確に言えば。  しかし、私はそういうことを知っているから言うんであって、だからあんたの答弁では、それだけではこれ解決しないんであって。だから、大臣これ聞いてわかると思うけれどもね。一応理解ある大臣だから、ひとつこの問題について、何も拡張せいと言っているんじゃない。こういう以前の状態からいけば問題がないはずなのに、今経営形態が全部分離しちゃってそうなっているものだから、以前だったらこの範囲では問題ない解決ができるはずなのに問題が残っていると。まだその他にやっぱり問題があるんだと。そこを私は個々のことを今ここで一々聞こうと思いません、大臣ですから。ひとつここは弾力的に、私が言っているように最大限確保してやるというような方向で、大臣これ検討してもらいたい。ぜひ善処してもらいたい、いかがでしょうか。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) ただいまの御指摘でございますが、黒手帳の範囲拡大という問題、私なりに今経過をお聞きして理解できるわけでございますが、現状において黒手帳の範囲拡大というのは、部長がお答えしたようなことでなかろうかと考えるわけです。  ただ、全国的に非常に雇用情勢厳しい中で、特に北海道はもう申し上げる必要もないんでございまして、やはり非常に不況産業が集約されて、今後非常に深刻な事態になるという憂慮をいたしておるわけでございます。特にこの炭鉱離職者につきましては、従事する業務の特性から考えまして再就職は極めて困難である。そういうことで、再就職の促進策を強力に推進する必要が最もある問題じゃないかと。一言で申し上げますと、こういう観点から、今申されました御意見を十分に踏まえまして、それなりに対処してまいりたいというふうに考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 大臣のお答えでございますので、ぜひそういうことで、大臣の認識がまさにそのとおりでありまして、再就職が非常に困難だという実態。北海道はもう知っているとおりですよ。国鉄だ、やれ北洋漁業だ、今度は鉄鋼だ、造船だということで全くもう、この間、私室蘭に行ったんです。求人倍率は〇・一七ですよ、今室蘭は。大変なことになっている。私も十三日に行ってきたんです、現地調査に。そういう状況ですから、大臣御認識されておりますので、実態を把握をされておりますので、ぜひひとつそういうことで処理方を善処してもらいたいと、特に申し上げておきます。  それから次の問題は、これは今も出た問題ですが、原則として炭鉱に、再雇用をぜひさしてもらいたいと、そういうことで、通産にもさっき話したわけですが、現地を中心に再雇用開発というものを企業関係で維持してもらいたい、このことを何回も強調してきたわけです。  そこで問題は、そう言ってみても、北海道的に物を言うと、やっぱり雇用の流れというのがありましてね、平井労働大臣は何回も札幌へ行かれて、北海道へ行ってわかっておるんです。松岡事務次官も、私と去年一緒に北海道へ調査に行っていただいておりますので、非常に理解していただいております。問題は、やっぱり札幌にどうしてもたまると。たまるというか、寄ってくる。それはなぜかというと、第三次産業が札幌に比較的あるものですからね、どうしても山にない場合は札幌に出る、あるいは江別、札幌近郊に移動してくる。これはけしからぬというわけにいかぬのでね、どうしても。  ただ、そうなった場合に、体を隠すところがなければどうにもならぬ。大体札幌あたりでも、見ると、三次産業で、ビルメンテナンス業界の掃除夫とかあるいは守衛とか管理とか、そういうものが比較的多いですよ、流通産業ですから。したがって、私は雇用促進事業団の宿舎を最優先にひとつ札幌は札幌近郊に確保してもらいたい。これはしばしば大臣にもお願いしておりますし、白井局長にもお願いしてきておりますけれども、何とかこれ財政も厳しい状況下にありますけれども、あえて炭鉱離職者のための緊急対策というふうな認識で、大臣にひとつ最善を尽くして取り組んでもらいたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) 炭鉱の離職者につきましては、再就職に当たって、住宅問題の解決というのは非常に重要な課題だと理解をいたしております。このために、労働省としましては、既設の移転就職者用宿舎、これ約千二百棟、御案内のとおり約十三万戸でございますが、これを当面積極的に活用していただく、そういうことで離職者の再就職を円滑にやらなければならぬ。  ただ、今後の問題といたしまして、今御指摘のございました移転就職者用の宿舎、雇用促進住宅でございますが、この建設につきましては、既設の住宅の活用状況並びに離職者の発生状況、これらを十分に考慮いたしまして、前向きに検討いたしたいと思っております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 ぜひひとつそういう方向で。特にどこの山と私は申し上げませんけれども、ことしは先ほど申しましたように、これは何とか避けてもらいたいというのがいまだに私の考えですけれども、どうしても避けられないとすれば閉山になり得るわけでありまして、その場合、その時に対応したっておくれてしまいますので、もうこれは、北海道は十月になれば白いものが、雪が降ってくるという季節になりますので、今からそういう対応をぜひひとつ、大臣から前向きにお答えをいただきましたので、取り組んでいただきたい、お願い申し上げます。  それから、次の問題は職業訓練の問題で、かねて労働省の方にも職業訓練問題について提起をして検討してもらいたいということを申し上げておりました。私は、何といっても、やっぱり炭鉱閉山ということになると、かなりこれ、町工場やなんかと違って何百人ということになるんですから、その場合は、少なくとも臨時の職業訓練校といいますか、分校はここは別として、そういう開設を現地にすべきではないかという、私のこれは持論なんです。これは野見山局長にもいろいろかねて努力をしてきていただいて、検討していただいておりますが、何とかその場合、そういう町ぐるみ閉山になった地域に対しては、臨時の職業訓練学校、これをぜひひとつ開設をして対応してもらいたい、こういうふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

松岡滿壽男自由民主党労働政務次官

○政府委員(松岡滿壽男君) 大臣も御出席でございますけれども、私の方から答弁さしていただきたいと思います。  実は、総理の御意向もありまして、労働大臣、通産大臣からも御指示いただきまして、二月の十九日、北海道を皮切りにしまして、全国八ブロックの雇用対策協議会に通産省の中川、小島両次官ともども出てまいりまして、昨日関東ブロックで一応終了したんです。その中で、いろいろな御要望もございましたが、特にやはり為替の安定の問題でありますとか、あるいは予算関係法案の早期成立でありますとか、内需の拡大でありますとか、各般の御要望もございましたが、特にやはり円高の影響を受けまして構造転換が予想以上のスピードで進んでいるという中から、産業間の移動に伴う職業訓練でございますね、これについての御要望も数々ございました。  労働省といたしましても、職業能力開発につきましては当面の大きな課題として位置づけて取り組んでおりますし、特に高齢化社会を迎えておるということもあるわけでありますけれども、三十万人雇用開発プログラムでもこれを一つの大きな柱にいたしております。  御指摘いただきました炭鉱離職者の職業訓練でございますけれども、これはもとより重要かつ緊急の課題として従来から取り組んでおることは御承知のとおりであります。この炭鉱の閉山に伴って多数の離職者が発生する場合には、緊急能力開発対策といたしまして、公共職業訓練施設内において既設の訓練科への積極的受け入れ、定員の拡大、特別講習の設定等により訓練の規模を弾力的に拡大することにしておりまして、これらによっても受講希望者のニーズを十分に満たすことができない場合には、工場の建物や公民館等の施設を借り上げ、指導員を公共職業訓練施設から派遣して行う職制訓練や専修各種学校等への委託による訓練等を機動的に実施することにしておりまして、これによって対応することとしておるわけであります。  なお、御要望の臨時の訓練校設置につきましては、閉山に伴って発生する訓練受講希望者の数、実施すべき訓練の内容、既設校への通校の利便等、個々の条件を勘案しつつ、現地の都道府県とも十分に協議した上で検討してまいる所存でございます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 それで、松岡次官から今お答えございましたけれども、ぜひひとつ、これはどこだ、ここだということを言っているんじゃないんだ、何でもやれと言っているんじゃないんですよ。私は、少なくとも町ぐるみ、とにかく山が、城下町と同じで閉山をして閉鎖をしたと。そこは全くもう壊滅的な打撃になるという場合は、これは実際これをやってもらわぬと、これは短期でなくて、私が特にお願いしたいのは長期的に考えてもらいたいということである。例えば三年なら三年間考えてもらいたいということもあるし、それから、私もこの間北海道をずっと、函館は高等訓練学校見てきましたし、銭函も行ってきました。去年もずっと見て歩いていますが、どうも科目が現実的じゃないんじゃないかという指摘が随分あるわけですよ。  溶接だとか塗装だとか配管だとか、そういうものが多いんだけれども、やっぱり今の時代にマイクロエレクトロニクスという、なかなか炭鉱離職者にこれがなじむかという問題もあるが、科目をもう少し現実的な今の産業構造の流れの中で考えていった場合に、MEとかOAとかエレクトロニクスとか、こういうことへの一定の訓練の設備、機構というのが必要ではないかといつも言うと、それは対馬先生そのとおりなんだけれども、なかなか指導員がいないんだと、こういう話がすぐ出るんだ。札幌に東海大学もありますし、ちょっと私も面識がありまして、因果関係ありましていろいろ懇談したことがあるんだけれども、そういうことならできるだけ協力しますよという話もこれあるんです。  いずれにしても、大事なことは就職に結びつくこと。職業訓練はしたけれども就職がないというとどうにもならぬわけだ。一定の訓練を受けた科目によって、私なら私がそこに就職の道につないでいけると、ここに言うまでもなく職業訓練学校の意義があるわけでありまして、そういう意味で労働省も最近努力しておることはよくわかるんだけれども、何とかそこらあたりひとつ、これからの科目の内容の充実、そしてこれが自分の将来の職業につながっていくんだと、こういう目的が当然だと思いますけれども、そういう実態になるような職業訓練というものを充実してもらいたい。これはいかがでしょうか。

野見山眞之労働省職業能力開発局長

○政府委員(野見山眞之君) 今御質問いただいたとおりでございまして、私ども現在訓練科目について、産業界のニーズに合った形の内容に再編しているところでございまして、今回の炭鉱閉山に伴う離職者につきましても、地域のニーズに合った形の職種等を中心に必要な受け入れ態勢を考えていきたい、かように考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 今、野見山局長から答弁ありましたが、そういうことで、職業訓練学校の実現方にぜひひとつ全力を尽くしていただきたいと特にお願いしておきます。  そこで、最後になりましたが、いわゆる緊急就労、開発就労というのが九州にありますね。これは北海道にないから言うんでなくて、私の言いたいのは、とりあえず先ほど言った一定の企業誘致とか一定の産業立地ができない間の暫定として緊就とか開就ということは、これ九州も行ってきているわけであります。現実に私も全部資料持っています。  よくいつもこれ言われるんだよ。北海道の国会議員というのは、政治家というのはどうも能力ないなと、能力のない国会議員が多いから、やっぱり結果的に開就、緊就できなかったなんて指摘受けるのは結構ですけれども、それは別にして、そう言われてもこれ仕方がないんだ。現実に緊就、開就が北海道にないんだから、そう言われても私もやむを得ないと思っているその一人でありますけれども。私はこの緊就、開就を今すぐどうだということを言っているんじゃないんだ。緊就、開就は、労働省も今の段階でこれを新たに設置する、あるいはそういう方向を拡大していくという考え方はないようであります。できるだけ避けたいというのが率直な意見でしょう。  そこで、私は申し上げますけれども、それであるならば、現実に北海道の実体論として幾つかあるわけだ、これ。北海道には季節労働者というのがあって、これは私もこの問題を十年間手がけてきたから、五十一年から私これ手がけてきたので、それはそれとしてあるんだけれども、それとは別に、山で例えば企業誘致をすると、はっきり言って右から左へ来るわけじゃないんだから。今一つありますよ、例が、ある目的でもってやると。ところが来年の九月でなきゃできないと言うんだ、九月でなきゃ。九月まであんたどうやって—雇用保険でつなげって言うでしょう、あなた方は。あるいは離職者求職手帳あるじゃないですかと、こう言うんだけれども、そういうもので生活するということは労働者の本意でないんだよ。汗水流して働きながら、一日も早く家族が一緒に暮らすということ、こういうのが炭鉱労働者の心髄なんだ、労働者は全部そうだけれども。  だから、その間暫定的にどういうふうに、雇用保険の切れた段階で、あるいは再就職できるまでの間どうするか。そういう意味では、僕はこの開発就労、緊急就労というのは非常にやっぱりいいアイデアだと思っているんだ。私も九州に行ってきたけれども、実態はそうなんだよ。ただ、あなた方は、これは後からもう荷物になるからいやだというだけの話であってね。だから私はこの点を何とかひとつ、緊就、開就にかわる何もかのことを検討してもらいたいと。いわゆる雇用保険が切れる、次の再就職につなげるための目的を持ったものは何かないかということを私は感じているわけですよ。この点ひとつ検討してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

甘粕啓介労働省職業安定局高齢者対策部長

○政府委員(甘粕啓介君) 先生の方から言っていただきました、暫定的な就労の場ということでそういう事業は考えられないかというお話でございましたけれども、実は労働省といたしまして、そういういろいろな失業対策の、国や地方公共団体が失業者を直接吸収するということを目的といたしました事業でございます。これを実施しておるわけでございますが、これはすべて本来的には民間企業に再就職するまでの暫定的な就労の場を提供すると、こういう性格づけをいたしまして、そういう事業を行っておるわけでございます。  ただ、どういたしましても、そういう事業を興しますと、結果的には民間の雇用への就職ということが進まないし、それから暫定的ではなくてやはり長期化してしまうと。そういうことで非効率の問題ですとか、やっぱり失業者の滞留ということが結果として生じてしまったと。そういうことで、労働大臣の諮問機関でございます失業対策制度調査研究会の方から五十五年と六十年の二回にわたりまして、事業方式はとるべきではないということが指摘されておるところでございます。  そういう意味で、私ども確かに先生のおっしゃるとおり、早く何とか民間の雇用の場をつくるということが基本であるというふうに考えてございます。そういう意味では、通産省の方でもいろいろな従来の施策に加えまして新規の施策が考えられてございます。また、通産大臣の方からもそういうことが御説明ございましたけれども、私ども労働省の方といたしましても、特に雇用情勢が厳しい北海道、九州、こういうところを念頭に置きまして、新たな雇用機会の開発をするという意味での地域雇用開発等促進法案、これを今国会に提案して御審議いただいているところでございます。これによりまして労働省の方といたしましても、そういう民間における雇用機会の場をつくるということを中心に今後そういう対策を講じていきたいというふうに考えております。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 これで終わります。  今答えがありましたけれども、部長の答えは私の考えていることとは違っておりまして、私はそこまでいく間の、ただこれ、通産省だとかどうだとかということを言うんじゃなくて、何らかの措置が、対応が必要だと、こう私言っているんですから、それは時間がありませんから結構です。  大臣にこれあす、なお申し上げますけれども、今度の地域雇用開発等促進法の中で、今私が申し上げたような実態に即した現実的対応は、私はできると思っているんですよ。きょうは時間がありませんからこの場で申し上げません。あす申し上げますけれども、それはどういうことかと申しますと、第三セクターというのが幸い今回の法案の中にありますから、あの中で、最大限地元の実態に合った第三セクターによる雇用の開発あるいはそれに伴う将来の雇用維持ということは可能だと私は踏んでおりますので、これもこれからの基準がどうなるかということを、あす質問しなきゃなりませんけれども、そこらを含めて、今の趣旨を最大限生かすようにひとつ努力をしてもらいたい。  以上申し上げて私の質問を終わります。大臣から一言だけちょっと。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) 御指摘のように、北海道、大変な情勢でございまして、今御指摘のございました地域の開発等の促進法、これをお認めいただいた後で、実態に即して実効の上がるような弾力的、機動的な運営ができるかどうかということについて十分検討さしていただきます。

対馬孝且日本社会党・護憲共同

○対馬孝且君 以上で終わります。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 今の大臣にはまだ御質問する機会を余り持っていなかったと思うんですが、私は元科学者でございまして、商工委員会には余り適当した人間ではないと思うんですが、言いわけといたしましては、商はわからないけれども工なら幾らかわかるということで入らさせていただいているわけなんですが、きょうのお話は商の方が専ら重きがあるようでございまして、私といたしましてはいささか戸惑いながら質問をいたしますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  私の質問の大体の姿勢をまず最初に申し上げておきますと、日本の石炭というものは非常に不幸な状態に置かれておりまして、したがって私は早く日本の石炭はあきらめる方がいいという根本的な考え方を持っているんです。ただ、あきらめるについては附帯的ないろいろなことが起こりますので、それがないようにしていくということだと思うんですが、その根本においてはむしろ早目に安楽死させる方が私はいいと思っているんです。そういう立場で御質問を申し上げたいと思っているわけです。  それで、まず石炭というものが日本のエネルギー事情の中でどういう位置づけを持っているというふうにお考えになるのか。特に、今まではどうであったかということを簡単にお示しの上で、これから石炭は日本のいろいろなエネルギー源の中でどういう位置を占めるかというお見通しをまず伺いたいと思います。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 近年国際石油需給は緩和基調で推移しておりますけれども、御承知のように発展途上国を中心とする石油需要が非常に増大いたしております。また、非OPEC地域における生産量の減退等もございまして、九〇年代になりますと再度の石油需給の逼迫化が予想されております。また、日本の国は依然として脆弱なエネルギー供給構造を有する特殊の国でございますが、何としてもセキュリティーの確保を基本として、エネルギーコスト低減への要請にも配慮しながら石油の安定供給ということを図っていかなきゃならないというふうに思っております。  石油代替エネルギーの開発、導入あるいは省エネルギーの推進からなる総合エネルギー政策を着実かつ計画的に推進することによりまして、エネルギー制約の克服を図っていく所存でございますが、実は先般、私、日豪閣僚会議に参りました帰りにASEANを回ってまいりまして、インドネシアヘ参りました。  先生御承知と思いますが、インドネシアのエネルギー鉱山大臣をやっておりますスブロトという大臣、この人はOPECの前の議長であります。私がいろいろ教えを請うたわけですが、OPECの中に二つの流れがあって、一つはイランを中心とした国々が当面十八ドルを目指すけれども、二十八ドルというのが目標であると、もとへ戻すと。またサウジ、インドネシア等は当面十八ドルというところで安定さしたい。固定料金といいますか、固定価格で安定さしたいということを言っておりましたが、いろいろと話を承りますと、OPECの中も、どうも必ずしも意見の一致を見ていない。ただ、生産なんかに対する削減でみずからを守るという点では一致はしておりますものの、将来展望というと必ずしも一致していない、そういうことも聞いてまいりました。  それだけに九〇年代を我々考えますと、やはりいささかちょっと心配なきにしもあらずと、相当な石油逼迫がくるんではなかろうか。でございますから、代替エネルギーの開発あるいは確保、それからまた国内炭の問題でも、やはり若干は国内需給という点で我々はこれを無視することはいかがなものであろうかというような感じがいたしております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 今の大臣のお話で、大体石油に関するお話が基調であったと思うんです。日本といたしましては石油も輸入するわけですが、石炭もますます輸入量がふえてきて、国内炭はその輸入してくるものと全然勝負にならないというのが一般の認識だと思うんです。特に円高ということになりましてからは、急速に国内の産業が、輸入するものに比べてみんな高くなりまして、ほとんど競争ができなくなっているというのが実情であろうと思うんです。  私が特にエネルギー見通しでもって石炭を早く安楽死させた方がいいと考えるのは、つまり三、四年前には、これだけ円高になるというようなことを予想なさる方が極めて少なかった状態じゃなかったかと思うんですね。その当時でも、日本の石炭というものは先行きが非常に危ぶまれていた状態なのですが、そこへ思いがけない変化が起こって、さらにまた悪いところへ追いやられてしまったということではないかと思うんです。  そういういろいろな事情の変化ということを考えますと、究極においては就職させる者はできるだけ早く就職させてしまった方が、むしろそれに御関係の方々に余り惨めな思いをさせずに済んでしまって、早く別の職業に転換していただくということの方がはるかに大事ではないかと思っているんです。その観点で、特に前川リポートというのが出ておりまして、日本のまたいろいろな国内の企業のあり方を議論されておるわけなんですが、その前川リポートと石炭政策というものとはどんな関係があるのか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今御指摘のいわゆる前川レポートでございますが、総理の私的諮問機関として御研究をなされまして、昨年の四月にレポートをまとめられたわけでございますが、その中でやはり、今後の我が国の産業構造が国際協調型に国際社会の中で対応していくためにはどうしても産業構造の調整を図っていかなければいけないという観点から、石炭についても、国内炭については大幅な縮減、輸入の転換を図るべきである、こういう御見解を述べられているわけであります。今回の八次政策、石炭政策でございますが、これは通産大臣の正式の諮問機関でございます石炭鉱業審議会において一年余り検討されてきて、昨年の十一月に答申を大臣あていただいたわけでございますが、審議会の審議に当たりましては、さきの前川レポートについてはこれを参考としつつ、審議会としては独自の審議、見解のもとにこれを取りまとめたという関係にあるわけでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 審議会としては独自の立場でもちろんお考えになったのだと思うんですが、前川リポートの精神というものは相当組み入れて取り入れられて結論をお出しになったんだろうと思うんです。  この第八次答申というのを拝見いたしまして、まあこれは常識的な結論であろうとは思うのでございますが、ひとつ私として問題にしたいのは、五カ年というめどでもって一千万トンの線へもっていくという、その時間の長さですが、私は先ほど申し上げたような理由から、またさらにいろいろな条件が変化してまいりますので、五カ年というのはむしろ長過ぎる、例えば三カ年で一千万トンへもっていった方がいいのではないかと思うんですが、そういう観点はどんなものでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 御指摘のとおり、前川レポートの趣旨につきまして、審議会でも参考にして審議をしました結果、その答申におきましても前川レポートのラインと軌を一にするという考え方でございまして、今回の国内炭の問題については、エネルギー政策上の観点と同時に産業構造調整の一環として位置づけるべきであるという認識をしているわけでございます。  ところで、お尋ねの五年では長過ぎるのではないかという点でございますが、前川レポートにおきましても、また今回の石炭鉱業審議会の答申におきましても、諸種の情勢から段階的な縮小はやむを得ない、しかしながら、その場合に、地域雇用に及ぼす影響に十分配慮すべきであるということがございまして、そのような地域雇用に与える石炭鉱業の持つ意味合いを吟味いたしますと、答申にも言っておりますけれども、五カ年程度が適当であるという結論になったわけでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 三年がいいか五カ年がいいかといったような判断はもちろん経験豊かな方の判断で決まることで、私なんかにはわかりませんのですが、私がただ申し上げておきたいと思いますのは、保護政策というものはしばしば逆効果を生むということがありまして、つまり、むしろ非常に厳しい条件を課すれば御当人たちが本当に突き詰めて考えて、転職なり何なりを本当に真剣にお考えになる、下手に保護するためにその真剣さがいわば足りないというようなことがしばしば起こりがちでございまして、保護政策というもののマイナスの面というものもあると私は思うのでございますが、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 一般的に申し上げまして、経済の分野におきましては資源の最適配分という観点から、自由に生産、流通、消費が行われることが望ましいと思うわけでございますが、やはり国民経済的な観点から、他方においてある程度の保護政策が実施されていることは先生御承知のとおりでございます。  特に石炭の場合には、先ほど来申し上げました地域雇用への影響ということについて申し上げますと、特に現在残っております炭鉱が主要炭鉱で十炭鉱ございますが、そのうちの八つは北海道でございまして、しかも釧路にございます太平洋炭鉱を除きますと、七つは空知地方に集中的に存在しているという状態でございまして、その地域の炭鉱依存率というものも極めて大きい。大ざっぱに申し上げまして、人口が空知地方で五市一町で十三万人ございますが、その中で炭鉱に何らかの形で依存している関係者が約八万人ぐらい、それに加えまして一般の商店街あるいは地方公務員というようなものを考えてまいりますと、いわばほとんど全体が炭鉱に依存しているという状況にあるわけでございます。  これが仮に経済合理性だけで物事を処してまいりますと、一気にその地域が崩壊するという状態になりまして、これはやはり日本にとりまして大きな経済社会問題であるという観点があるわけでございまして、そのような観点も踏まえて段階的になだらかに縮小していくことが適当であろうという結論になったわけでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 第八次答申の中に三つの柱が立ててございまして、石炭企業自身の自助努力、セルフヘルプと言うのかな、それから石炭を買う方の方々の国内炭をできるだけ引き受けていただくような努力、それから政府の適切な施策という三本柱があるのでございますが、石炭企業自身の自助努力というのは例えばどういうことが期待されているのか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) これは答申では、御指摘のとおり、まず第一に石炭企業あるいはそれを支配します親会社あるいは関連する関連グループの自助努力を求めているわけでございます。石炭を取り巻く現状は極めて厳しいものがあります一方、生産にはどうしても外国に比べて高いコストがかかるわけでございまして、そのコストの切り下げについてまず石炭企業関係者は努力をしなければいけないということでございます。  今回の八次答申におきましても、原則として今後価格は据え置きということが決められているわけでございまして、他方コストは年々上がっていく。また、我が国の石炭鉱業の場合にはなかなか合理化の余地というものが見つけにくいわけでございまして、またそこに企業努力を一層導入していかなければいけないわけでございますが、いずれにいたしましても、石炭企業グループが最大限の努力をしていかなければいけないということになるわけでございます。  また、一方におきまして、今回の方針に従いまして段階的に縮小していく場合には、どうしても規模縮小あるいは閉山という事態が出てくるわけでございますが、この閉山とか規模縮小についても、まず企業及び関連企業において最大限の努力をして、円滑なるその部分についての撤退をしていかなきゃいけないということで最大限の努力をしてもらいたい、こういう趣旨でございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 自助努力の前半の方で、できるだけ仕事を合理化して少しでも費用の少ない、掛かりの少ない石炭を掘るべきであるという命題は、これはもう現実に合わなくなっているんではないかと私は思いますですね。  私、国会議員になりましていきなり大きな事件にぶつかったのは石炭の山の大事故でございました。それがこの三年数カ月の間に三度も大きな山の事故が起こって、毎回百人にはならないにしても百人近くの何十人という方がお亡くなりになっているわけですね。つまり日本の山というものは、余りにも無理なところを掘っているという現象ではないかと私は思うんですが、これから先さらに掘り進めるとすれば、さらに費用がかさむことは目に見えて明らかだと思うんですね。ですから、そういう意味の自己努力でなくして、むしろ閉山してほかの方へ転換するという意味での自己努力というものを期待する方が私はまともではないかと思うんです。  こんなことは話の種だけですけれども、夕張では夕張メロンというものが大変はやっているそうで、つまりそういう意味の職業転換といったようなものをむしろ積極的にお進めになるべきではないか、そちらに重点を置くべきではないかというふうに私は考えたいのです。  その八次答申の三つの柱の中の二番目のことについてちょっと伺いたいと思います。  石炭が今日のような非常な不況に陥っている一つの大きな原因は円高だと思うんですけれども、その円高で同じく苦しんでいる企業と円高でもうけている企業と両方あると思うんでございますが、この石炭の苦境を救ってもらうためには、同じ円高で苦しんでいるところをできるだけ解放なすって、円高でもうけているところに負担をしょってもらうというのは非常に自然な論理だと思うんでございます。具体的に申しますと、鉄鋼関係に売りつけるのはできるだけ少なくしていただいて、電力関係にできるだけたくさん売っていただくというのは非常に自然な論理だと思うんですが、その点いかがでございますか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の第八次石炭政策におきまして、御指摘のように需要家の協力を依然として求めているところでございます。しかしながら、需要家の立場からまいりますと、企業経営のいかんにかかわらず、最も合理的な燃料なり原料選択をするというのは企業の当然の論理でございまして、それに対しまして石炭政策あるいはエネルギー政策の観点から、最小限度のぎりぎりの協力を各需要家に求めてきているわけでございます。そういう中で特に今御指摘の経営環境が非常に苦しいと、鉄鋼あるいはセメントにつきましては、まさに先生御指摘のような方向で政策も考えておりまして、六十六年度には最終的にこれらの国内炭の引き取りをゼロにするというふうにいたしましたのもそういう趣旨でございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 また同じことを繰り返して申し上げますが、石炭産業に対する保護政策の中に、全体の流れとして経済情勢、世界情勢が、どんどん周辺の条件が変わっているということをいわば無視して、昔ながらのやり方をただそのまま続けていればいいという、何といいましょうかね、変化を避けてしまって、すべて今まで繰り返したことをただそのまま持続するといったような、人間のこれは本性かもしれませんが、その線が強過ぎて、情勢が変化したときにその変化に対して新しく対応するという、姿勢を変えるという、そういう面がどうも少ないような感じがいたします。そういう抽象的な質問をしてみても難しいと思うんですが、まずなだらかな縮小ということと、それから段階的な縮小という二つの言葉がございますが、これは同じ意味で使われているんでしょうか、どうでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の八次答申の中では、段階的縮小という言葉が使われておりまして、それを俗になだらかな縮小と言っているわけでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 段階的ということは、やはり山を終息させるときにはその事業規模をだんだんに小さくしていくということではなくして、あるときには思い切って閉山にすると、そこで段階が起こるというふうに私は理解しております。そういうことだろうと思いますが、やっぱりある時点まで来れば、それを細々と続けるという姿勢よりは、思い切ってそれをやめてしまうという決断をしなけりゃ私はいけないと思っているんですが、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 石炭鉱業の場合には、製造工業の場合と違いまして、なかなか部分的に縮小していくということが難しい面がございます。しかしながら、今回の対応におきまして、石炭企業においては部分的な縮小も合理化を考えながらやっておりますけれども、基本的には、やはりある程度まとまった縮小を考える場合には閉山ということも考えなければいけない事態が出てくるわけでございます。その場合に、何と申しましても、先ほど来のお話で、地域に対する影響が大きいものでございますから、そのあたりを十分に考えながら、いわば段階的に企業がその経営の方針について将来を考えていくということでございまして、状況によりましては、ただいま先生がおっしゃったように、一どきに例えば百万トンの規模の閉山も起こり得るということがあり得るわけでございますが、そのあたりをできるだけなだらかにするために貯炭買い上げというような制度もつくっていただきまして、部分的に需給のギャップを調整していこうという考え方でございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 先ほどの石炭の引き取りの話で伺うのをちょっと忘れてしまいました。鉄鋼関係の方の御相談があって、とても八次方針で示されたような額は引き取れないという意味の意思表示が新聞の上では拝見したんですが、それは当局の方ではどう受け取っておられるか、そういうことになっても差し支えないのかどうかということをお伺いします。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 一部新聞に報道されておりましたような、六十二年度に鉄鋼の引き取り量を前年度の半分とするというような通産省への申し入れは一切行われておりません。そもそもこの引き取り問題については、基本的には需給両業界で話し合って決めるということになるわけでございます。これから六十二年度の分の話し合いが始まるものと承知しておりますけれども、その際に、私どもとしてはやはり短期集中的な閉山は回避するという方向で話し合いが行われていただきたいという期待を持っております。  また同時に、需要業界も極めて苦しい状況にございますので、その協力はぎりぎりの協力にならざるを得ないということでございまして、なかなかその答えを一気に求めるのは難しいかと思うわけでございますが、十分に需給両業界で話し合っていただきまして、必要があれば私どももまた乗り出しまして、適正な水準に引き取り量を決めてもらいたいと思っております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 それで、鉱山の方の都合と引き取りの方の都合とで石炭が売れないときに、それを引き受ける何か貯炭会社というのをおつくりになるというお話でございますが、この貯炭会社というのはどういう趣旨のものであるか、ちょっと説明していただきたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の八次答申におきまして、引き取りが漸減していく方向にあるわけでございまして、他方、短期集中閉山を避けたいという趣旨から、生産の方はなだらかに落としていくということになりますと、一時的にどうしても需給ギャップが生ずるわけでございまして、その需給ギャップを解消するために貯炭会社をつくるということでございまして、各会社の一定の過剰在庫を貯炭会社が買い上げ、そして需給ギャップが解消した暁にこれを売り戻していくということによりまして、生産と需要のトータルとしてのギャップを埋めていこうという考え方でございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 一番初めに申し上げましたように、私は商売のことはわからないのですが、私の常識ですと、もしそういう御趣旨のものでございますと、単に石炭の山を担保にして融資するということで済んでしまうんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 確かに、無利子の融資を各石炭会社に行うことによりまして貯炭のコストは一部解消するわけでございますけれども、そのほかに管理費のようなものもかかるわけでございまして、トータルとして非常に資金繰り及び山の経営に圧迫要因となるわけでございます。  もう一つは、石炭業界として、やはり今回の需給ギャップというものは政策によって生じているという認識もございますし、また私どもとしても、需要業界が非常に厳しい状況の中でこういった方向を出してきたわけでございますから、政策的にも需給ギャップの解消に関与していくことが必要であるというふうに認められるわけでございます。業界の方からも政策的にこの需給ギャップに関与してほしいという希望があるわけでございまして、そういう観点から、NEDOが出資をする会社によって買い上げて需給ギャップを解消するということにいたしたわけでございます。  管理会社の管理費用は、もちろんもし必要であればそれは政府の方から徴収をした上で管理のコストに充てなければいけないわけでございますが、いずれにいたしましても、業界としては、政策の中で今回の需要の段階的な供給規模の縮小というものが起こっているわけでございますので、新エネルギー総合開発機構という格好で政府が関与することで貯炭問題を解消してほしいという希望の中でこの問題が進んでいるというふうに御理解いただきたいと思います。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 一般的に申しまして、新しい制度というものは余りつくらない方が私はいいと思うんですね。既存の制度の中のやりくりで済むことはそうした方がよろしいと思うんですが、今の貯炭管理会社が本当に管理面でも責任を負うというようなことになりますと、少し技術的な疑問が出てまいりますが、石炭の山は、ほうっておきますというとだんだん酸化が起こりまして劣化してまいりまして、しまいには自然発火も起こすというようなことがあるわけですね。  午前中の御質問を伺っていますというと、六カ月には限らなくて、一年にも二年にもなるというお話もございますが、そういう長期間にわたって石炭の山をほうっておきますというと、いろんな変なことが起こると思いますね。そういうものが起こらないようにするためには、相当ちゃんとしたことをしなくちゃならないので、貯炭会社といったような別の制度が面倒を見るということは、私は非常に面倒なことになるのではないかという疑問をさえ持つんですが、根本的には新しい制度をつくらず、今までの制度の中で、政府が例えばお金を貸したときの利子を補てんするとかなんとかというやり方で済むことじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の政策におきましても、御指摘のように新しい制度をつくるという意味で政府がこれを買い上げるとか、そういうことはしていないわけでございまして、あくまでも民間会社がそういう需給調整機能を果たす場合に、政府としてもNEDOを通じまして関与するという格好になっているわけでございます。  しかも、御指摘のように、新しいものをつくる場合にはなかなかコストもかかるということでございますので、ただいまの動きといたしましては、既存の会社を定款上拡大改組をすることによりましてその貯炭機能を果たさせようということで動いておりますので、そういう意味でコストは余りかからないというふうに考えておるわけでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 ほうってある山の劣化問題はどういうふうになっていますか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 在庫の管理につきましては、御指摘のような問題も出ますので、実際にこの貯炭管理会社が各会社の異常在庫、過剰在庫を買い上げるわけでございますが、それの管理につきましては委託管理と申しますか、会社の方から見ますと受託管理でございますが、実際には山元において各会社が受託しこれを管理して、そのような問題が起こらないように措置していくこととしております。  六カ月の間に買い戻しができればよろしいわけでございますが、それを超えてまた異常貯炭ということで会社が買い上げ、かつ各会社が管理するということになった場合には、場合によってはその炭の品種を入れかえるというようなこともあろうかと思いまして、いずれにしましても、そういった自然発火、あるいはもともと石炭の品質がどうしても時間がたつに従って風化し、そのカロリーが劣化するというような状況があるようでございますので、そういったことについては十分に各会社の管理のもとで気をつけていくようにしたいと思っております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 技術的な話がちょっと出ましたので、もう一つそっちの関連で伺いたいことは、石炭そのものを燃料として売るんではなくして、石炭に加工をして付加価値をつけて、もっと高い製品にして売れば、原科がもう少し安い、高いということが最終値段には余り響いでこなくなるという感じがいたしますのですが、そういういわば石炭に加工をして、もう少し高く売れるものをつくるという方向の技術的研究というものはなされているんでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 石炭を原料といたしまして、これを化学的に変化させまして化学工業の原料とするということで、いわゆるC1化学のような分野についても大いに研究がなされているようでございますが、私どもの守備範囲におきましても、石炭の需要を拡大する、石炭の利用を拡大するという観点から、石炭にいわば付加価値をつけた格好で開発をしていくという研究がかなりなされておりまして、例えばCCSという分野がございまして、コール・カートリッジ・システムでございますけれども、いわばこれは石炭を微粉炭にいたしまして、缶詰に詰めるような格好で中小の工場のボイラーまで、炉前まで運んで、灰が出たらそれを今度はその缶詰に入れて持ってくるということで、いわば石炭の出前を可能にするような、そして中小工場が使えるような格好にしたらどうかということで、かなりそれも実用化の面に向かって進んでおります。  そのほか、水にまぜたりあるいは油にまぜたりということで、いわゆるCWM、コール・ウォーター・ミクスチャー、それからCOMと言われるコール・オイル・ミクスチャー、そういった分野についてもかなり実用化が進んでおりまして、またいろいろその他につきましてもかなり付加価値を高める研究が進んでおりまして、政府としてもこれに対して支援をしているところでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 今のような技術的な研究を大いにやっていただきたいと思うんですが、そうして石炭が本当に売れるようになれば、いろんな問題はどんどん解消していくんではないかと思うんです。  また話がもとに戻るおそれがございますが、最近私は、経済評論家の長谷川慶太郎さんが書いた「日本の革命」という本をちらっと見たんですが、その中で最初に出てくることは、石炭鉱山の運命とそれから非鉄金属の鉱山の運命とを並べて議論をしておられる。石炭の方は政府が非常な、いろんな意味での庇護を与えてきたんですが、例えば住友の別子銅山なんというのは、別に余り庇護されずに閉山されていったと思うんです。その違いはどういうことであったのか。何も保護しなかった方は、何か非常にまずいことが起こったのか。その両者を比較して、つまり国の保護政策が本当に有効であったのか、自然にいわば任せておく方がうまくいっているのかという点について、実例についての御説明をひとつ願いたいと思うんですが。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 産業政策もやはり単独で存在をするということでなしに、どうしても歴史というものの尾を引きながら産業政策というのが存在をしていくわけでございまして、石炭の場合には、戦後復興期の傾斜生産と申しましょうか、どうしても日本にとって必要であるということで、国が先頭に立って増産を奨励をし、そのための食糧の特別配給までやりながら増産をし、国民経済の発展に寄与してきたという一つの歴史があるわけでございますので、今経済的に引き合わなくなったからといって、直ちにさようならというわけにもいかない。もちろん、その場合には地域的な問題もあろうかと思っております。  他方、鉱山につきましては、財閥発祥の地というところもございまして、かなり日本資本主義とともに発展をしてまいっておりまして、自主的な努力でまいっております。ただ、鉱山の場合も他産業に比べましてかなりの政策というものが投入されておりまして、これは国内資源の有効活用あるいは地域経済への影響というところから、他の産業に比べますと相当程度大きな政策が投入されています。例えば税制上減耗控除制度というような特別な償却制度がございますし、それから新たに鉱脈を探し出すための補助金あるいは国による探査、それから価格が非常に低落したときには非常に安いコストの金利によります緊急融資制度、こういうようなものによりまして、他の一般製造業に比べまして相当程度の支援というものが行われていることは事実だと思います。  ただ、両方とも残念ながら最近の経済情勢の変化の影響を受けまして、徐々に撤退をしているというのが実情でございまして、特に非鉄金属鉱山の場合には、昨年一年間にたしか九鉱山でございましたか、閉山が行われておりまして、かなり速い速さで閉山が進みつつあるということが実情であろうかと思っております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 その辺に何かやはり研究すべき大きな課題があるように私には思われますが、もちろん程度の差だとは思いますんですが、国の保護のあり方について反省すべき材料がその辺に転がっているように私には思えてなりません。  あちこちと飛びますが、次に基準炭価制度というのがあるようでございますが、それはどういうことなんでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 石炭鉱業の場合には、特に最近におきまして海外炭との関係——昔は油との関係もあったわけでございますが、競争力を失ってきている、国内炭が競争力を失ってきているということで、政策的にこれを存続、維持するためにはどうしても価格的な面で補整をしなければいけないという趣旨から、石炭鉱業合理化臨時措置法の第五十八条におきまして、通産大臣が毎年審議会の意見を聞いて基準炭価を定め、その基準炭価で販売が行われるようにする一つの基準を決めておるわけでございまして、それと異なった価格で売られる場合に、必要と認められたときには通産大臣から勧告をして、その基準炭価で販売するように求めることができる制度になっております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 そうすると、その基準炭価を大臣が勧告したといたしまして、その基準炭価に従わずにいろいろな取引をした人は罰せられるわけですか。どういうことになるんですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 現行法上及び現在改正法をお願いしております合理化法の体系においては、勧告を行うというだけでございまして、罰則はついてございません。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 商の方のことは何も知らないで、素人の質問で申しわけないんですが、こういうことは一種のカルテルというんですか、いろんな会社が値段を相談して決めるというのに該当するんではないかと思うんですが、そういうことはないんですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) あくまでも競争力がないという観点から政策的に諸種の要因を勘案の上、大臣が価格を決めて、その価格で取引をするということでございますので、業者間の話し合いという意味でのカルテルとは違う分野の問題でございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 業者間の取り決めということと、大臣がいわばそれを取りまとめるということの差がありますかね。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 結果的には回し効果になろうかと思っております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 また話を飛ばして申しわけありませんが、先ほどちょっと申し上げましたように、私が国会議員になってから三回も石炭の山の大事故の話を聞かされまして、非常にショックを受けたわけでございますが、だんだんとにかく退却するというときには—人間前へ進むときには積極的で、いろんなことに対してちゃんとしたことをしていくと思うんですが、退却するときには、とかく物事をなおざりにするおそれがある。それで、この退却の段階でまた大事故が起こるんではないかということをひそかに心配するわけでございますが、そういう保安面では何か特別にこの際なさっていることがあるんでしょうか。

加藤昭六通商産業省立地公害局長

○政府委員(加藤昭六君) 第八次答申に盛られておりますように、保安の確保、これはもう生産の大前提でございます。特に今後は、石炭企業におきましては、労使一体となりました自主保安体制の一層の整備が必要であろうかと思うわけであります。通産省といたしましても、保安技術の開発、推進、監督指導の強化をさらに図っていくわけでございますが、特に予算面では、六十二年度予算原案におきましては、鉱山保安確保事業費補助金につきまして補助率の引き上げ、新規補助対象事業の追加など、予算の増額や充実を図っているということでございまして、先生御指摘の谷山が縮小あるいは閉山などが予想される場合に、保安対策に多少なりとも緩みがあってはならないわけでございます。  こうした点に対しましては、各鉱山ごとに保安計画の提出がございますが、各鉱山ごとの保安計画のチェック、巡回指導などを通じまして、例えば保安要員の適正配置、あるいは保安教育訓練の徹底などをきめ細かく指導を行っていきたいというふうに考えております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 先ほど午前中の対馬さんの御質問の中に、試験炭鉱という言葉が出てきたんですが、これは前にもこの席で申し上げたことがあるんですけれども、私が日本学術会議の会長をしておるころに、日本学術会議の中でもそういう試験炭鉱をつくれという議論がございまして、それで政府に対して勧告した経緯があるんでございます。例えばそういうようなもの、それは趣旨だけそういうものを考えていただければいいので、文字どおり試験炭鉱にする必要はないんですけれども、日本の炭鉱技術というものを、日本の山を対象にしてやるのではなくして、将来はほかの企業がどんどん国外に進出しているように、私は炭鉱というものの技術を持った人が世界的に外へ進出していくということは十分考えられると思うんですが、そういうときのいわば技術を涵養する場所といったようなものをつくっておくということは大変意味があることだと思うんですけれども、そういうようなお考えはないんですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) まさに今回の国内炭を生産存続させる場合の意義の一つには、やはり炭鉱にかかわる技術を有する技術者を涵養、温存していくということもあるわけでございまして、そういう観点から、今後国内炭の生産の存続の中で、そういう技術者の養成を行っていくということに相なろうかと思います。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 今の話をもう少し積極的に、前向きにやっていただきたいということを希望したいと思います。  もう一つ、閉山に伴って危惧を感じますのは、山をただほうり出してしまいますというと、長い間にその周辺の土地に地盤沈下や何かが起こりまして、いわゆる鉱害——鉱山の害ですね、鉱害というのが起こるというお話なんですが、そういうことに対する事前の手当て、起こってからのいろいろな手当でのやり方もあると思いますが、事前にそういうことが起こらないような工夫というものはあるんですか。

鈴木英夫通商産業省大臣官房参事官

○説明員(鈴木英夫君) ただいまの先生の御質問でございますが、採掘に伴いまして、地表の状況によりましては確かに地盤沈下が起こりますので、そういうことを事前に防止するため、極力採掘跡を充てんをいたしまして、地表沈下を少なくするというような手だてがございます。このために私どもといたしましても充てん作業に対する補助金等を交付いたしまして、極力将来地盤沈下等が起こらないような採掘方式の研究というものを続けているところでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 今のお話の続きですが、いよいよ閉山をするというときは、もう山を経営する会社の方はいわばお金がなくなっている状態だと思うんですが、そういうときに閉山に伴う特別な費用というものを調達する能力というのはあるんですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 山がどうしても閉山に追い込まれた場合に、その場合に鉱害が存するのをどのように処理していくかというようなお尋ねかと思うわけでございますが、もともとこの鉱害問題については、国土の復旧あるいは民生の安定という観点から行われておりまして、歴史的に非常に長い経緯があるわけでございますが、昔は損害賠償に応ずるということで、いわば金銭で賠償をしてきたわけでございますけれども、それではやはり国の国土が効用を回復しない、あるいは民生においても家屋がもとどおりにならないというようなことで、やはり全体としての効用を回復させる必要があるということから、単に損害賠償義務者でございます鉱業権者だけでなくて、国あるいは地方公共団体もこれに対して助成をするということで今日まで進んできているわけでございます。  ただいまのお尋ねの、閉山時においてそのような問題が起こったときにどのように対処するかということにつきましては、その閉山を行った企業が依然として存続し、かつ有資力である場合には、一義的には企業にその責任を求め、国及び地方公共団体がこれに対して助成をする。ただ、閉山した場合に、その会社が消滅あるいは無資力になるというような場合には、これは全体として国または地方公共団体でカバーせざるを得ないということでこれまで対処しているところでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 鉱害というときに、お話が後始末的な鉱害と、事前に鉱害が起こらないようにする話と、ちょっとこんがらかったと思いますが、私が先ほど申し上げた質問は、事前に、掘った穴を全部充てんして陥没が起こらないようにするのにそれぞれ費用が要る。その費用を国が例えば援助してあげるというようなことが可能かどうかということをまず伺ったわけです。

鈴木英夫通商産業省大臣官房参事官

○説明員(鈴木英夫君) 現在、もちろん採掘方式あるいは地表の状況、炭層の状況によって異なりますけれども、充てんによりまして地表沈下が防止できるというような可能性がありますところに対しましては、私ども鉱山保安確保事業費補助金というものがございまして、その補助金によりまして保安工事の補助をしております。この保安工事の中に、充てんについても補助金の対象になることにしておりまして、企業がこういう充てん工事を積極的にやるように促進策を講じているところでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 通産の方はそのくらいにいたしまして、労働大臣の方へ質問いたしたいと思います。  閉山に伴って、第八次答申で幾つかの鉱山が閉鎖されると思いますが、それに伴ってたくさんの離職者が出る。その数等についての見通しはどういうふうになっておりますか、お伺いいたします。

甘粕啓介労働省職業安定局高齢者対策部長

○政府委員(甘粕啓介君) 第八次答申におきましては、昭和六十六年度に一千万トンという格好に目標が立てられておりまして、これからの具体的な、どういう格好で閉山が行われるかということは、これからの需給両業界の話し合いによりましてそれぞれ出てくると思います。したがいまして、私どものところでは、とりあえず予算措置といたしまして、六十二年度につきましては二百万トンの減産が行われたということを前提にした予算措置をとっているところでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 今度提出されております法案を拝見いたしますと、要するに単に時間的に延長しているだけのように思えるんです、つまり内容的な変化がないと思うんですが。ということは、今までこの法案でやってきた実績が満足すべきものであった、別に手直しをする必要がないという御観点かとも思うんですが、過去にいろいろ閉山されて離職者が出た、それの救済的なことがうまくいったというふうにお考えになっているのか。その辺の過去の実績をちょっとお知らせ願いたいんです。

甘粕啓介労働省職業安定局高齢者対策部長

○政府委員(甘粕啓介君) 私どものこの法案ができましてから今まで、昭和六十年度まで約二十三年程度ございます。三十七年度から六十年度まででございますが、この間に約二十万人の人が離職してございます。これに対しまして、私ども安定所紹介による再就職者は約十五万人でございます。それから、会社あっせん、自己就職あるいは自営、帰農あるいは年金等により引退という人たちが約五万近くございまして、そういう意味ではかなりの再就職対策が進んでいる、効果を持っていたんじゃないかというふうに考えてございます。  ただ、先生、私どもの今回の臨時措置法につきましては、単純延長であるということで、施策の内容等につきまして特段変わっていないんではないかというふうに御認識されているというように思えますけれども、実は私どもの再就職援助対策につきましては、法令には関係ございませんが、省令等におきまして就職支度金の増額あるいはそういう離職者を雇い入れる場合の特別助成金の改善の思い切った充実、その他住宅関係含めまして充実を積極的に図っているところでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 長い御経験があって、手直しすべきことは手直しして、より有効な救済手段を講じていただくようにお願いしておきたいと思います。相手の事情は同じであっても、それに対処するやり方というものは絶えず発展すべきものだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  これで終わりたいと思いますが、最後に大臣に、私がきょうの質問で終始一貫して申し上げておりました、過保護というものがかえって相手を堕落させるという面があるのではないかという意味の御質問を続けてきたわけですが、その点に関する大臣のお考えをもう一遍伺わせていただきたいと思います。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) 大変難しい御質問でございまして、各国、先進国間におきまして、国が保護政策をとった産業、企業が必ずしも長期的に見て栄えておらないという一面を私は否定できないと思いますけれども、この昨今の情勢から考えてみますと、やはり当面する経済の最大の課題が雇用対策である、しかも従来と非常に趣を異にいたしまして、世界的な経済の流れの中でのまことに大きい転換期であろうか、このように考えておりまして、特にこの雇用問題は、限度を越しますると社会不安につながるという非常に重大な要素を持っておりますので、単なる産業に対する保護政策というまたその反面、相当程度の雇用対策というものは国が責任を持ってやっていかなければならぬ、このように考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 既に十三都道府県で知事選挙の火ぶたが切られております。ただいま一斉地方選挙の真っただ中でありますが、その中で売上税問題をめぐって自民党を巻き込んだ日本列島騒然たる状態だと私は思います。同時に、円高問題、それに基づく円高不況、深刻な倒産、雇用不安、これまた国民の重大な関心事になっており、ただいま議題になっております石炭問題ともかかわり合いを持っております。しかも、ここ数日来、円レートは一ドル百五十円の大台を突破して百四十円台になっております。  そこで、まず最初に、円高問題で田村通産大臣の所見を伺いたいんでありますが、大臣は先般、円の適正水準について一ドル百七十円プラスマイナス十円、こう言われました。だとすれば、今日のこのレートを異常な円高と見られているんですか。その点まずお伺いしたい。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 結論から申しますと、十四時現在で百四十九円四十銭でございますから、異常な円高と言わざるを得ません。  この円高問題について、もう既になぜ起こったか、あるいはどういう経過で来たかということはもう皆が知り尽くしていることでございますから、それはまあ私ども答弁が長くなることでございますので御遠慮申し上げますが、何といいましても、今日この円高によってあらゆる企業、とりわけ製造業、特にその製造業の下請をしております多くの中小企業が非常に経営に苦しんでおります。収益減から今後雇用問題等がさらに深刻になることは当然想定されるわけでございます。企業の対応の前提が崩れて、対応が著しく困難となって、雇用、地域経済に与える影響が一層深刻なものとなるとともに、私どもが今進めております構造調整の円滑な推進が妨げられるということもまた予想されるところでございます。  今申し上げましたように、きょうは現在値百四十九円四十銭でございますが、去る二十四日には百四十八円四十銭という史上最高値をつけたわけであります。とにかくこういう円高は避けて、我が国産業が全体として健全な発展が可能となるようなレベルで安定することが必要でございます。  いわゆるG7で合意されました点を申し上げますと、我々が何を期待しておるか、それは協調介入、それからまた去るG7におきましては従来にない政策協調というものが合意せられました。日本に与えられた義務といいますか、日本がしょった義務といいますか、これは内需の拡大であり、そしてまたアメリカは財政赤字の改善、産業競争力の強化というものがしょわされたわけであります。日本や西ドイツは大いに内需を拡大するということでございます。こういうわけでございますので、私どもはG7の合意を忠実に実行していくことによって町高を回避しなければならない、各国の経済先進国の仲のいい協調というものを実現しなければなりませんが、それも内需の拡大なら、国内の景気を増進せしめる、活性化させるということもまた内需の拡大でございます。  私は昨日、衆議院で申し上げたのでありましたが、総合経済対策を講じようということではありますが、本来、この総合経済対策というものは、予算が成立した時点の経済情勢を踏まえて策定されるべきものであるかもしれません。予算案の審議中は無用の論争を避けようとするのもわからぬではありませんが、今は、言うなれば昔の古い言葉で言えば、非常時といいますか、ですから緊急避難をしなきゃならない。そのためにはこの総合経済対策というものを予算案の審議と並行してでも作業を進めていくべきだ、それもより大きな、より中身の濃いものを実現せしめるために進めていくべきだ。恐らくこれに対して、それじゃ今の予算案というものはけしからぬじゃないかというような御論議は与党、野党を通じて私は恐らくなさらないだろう、それだけの良識はあるだろう。それと切り離して、とにかく緊急避難の行為というものをしなきゃならぬことは、皆がそれは合意してくれるだろうと、このように思うので、これを強く私はこれからも推進していきたい、このように考えております。  なお、百七十円プラスマイナス十円、これは経済ファンダメンタルズの状況、あるいはインフレ率から見た購買力平価、そういう点から見て、私は今もって自分の意見は正しいと信じております。そしてまた先般のG5、G7のときの為替レート、これをあの当時の周辺というところで安定させようという合意、あるいは昨年の宮澤・ベーカーの共同声明というものとの整合性を著しく欠いておるとも思っておりません。私は百七十円プラスマイナス十円、特に百六十円ぐらいは、かつて企業が覚悟をして、そのための合理化を図ったというぎりぎりの線じゃなかろうかというふうに思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私は、念のために申しますが、百七十円プラスマイナス十円というのが妥当だという意味で言っているんじゃなしに、その田村大臣の所見からしても、今の事態はまさに異常中の異常、大臣のお言葉をかりれば、まさに非常事態だという認識を問いただしたわけでありますが、だとすると、私は従来の円高対策を今ここで抜本的に拡充する必要があると思うんです。それは、予算がどうのこうのということよりも、具体的に例えば中小企業への金利三%以下の緊急融資を行うというようなことを、今こそやっぱり通産大臣として打ち出すべきじゃないかと思うんですが、間口を広げずに絞って、ひとつその点いかがですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 金利がどれだけがいいかということを、私が御質問につられてうっかり数字を言ったら大変なことですが、それはそれとして、とにかく思い切った対策を講じなければならぬという点では全く同感でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 きょうはそれが本論ではございませんので、前へ進めたいと思うんです。  やはり、思い切った措置という点で言いますと、私はもちろん長期的なこともありますし、短期的なこともあると思うんですが、基本的には日本の大企業の国際競争力の強さというものの秘密といいますか、その源泉には、国際水準に比べて顕著に劣悪な日本の労働条件、ここに労働大臣その他いらっしゃいますけれども、そういう問題、あるいは下請企業に対するいろんないわばいじめですね、そういうものに対する規制などが必要なんです。  今非常に注目されているのは、最近の動向からして、大企業や大商社が為替投機、いわゆるマネーゲーム、そういう傾向が非常に顕著なんでありますが、そういうものに対して厳しく規制をするというような必要は、大臣としてはお考えございませんかしら。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 確かに、投機筋の円買い・ドル売りということは目に余るものがございます。ただ、自由主義経済でございますから——社会主義経済でございましたら、これは命令でびしっといけるでしょうけれども、自由主義経済でございますから、経済の、つまり商売のやり方に対して犯罪的なもの、今ある法律に違反する犯罪的なものはとにかくとして、詐欺をやったとかなんだとかいうのはとにかくとして、許されておる範囲内における自由なる商いに対して、国家、公権力がくちばしを深く入れることがいいことかどうかということを考えますときに、今のところ私どもはこれに対してどうこうということは考えておりません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 大臣もやはり目に余るものがあると、こうおっしゃったのは非常に重要な見解として受けとめておきます。  私が言っているのは法的権力云々じゃなしに、例えば自動車輸出の自主規制というケースもあるわけですね。ですから、今だぶついている大企業の莫大な例えば内部留保などの資金、これを世界をまたにかけた投機的な資金運用、いわゆるマネーゲームというものに投入するんじゃなしに、日本経済の活性化、特に内需喚起に向けさせていく、こういう僕は行政指導があっていいと思うんですが、そういう点もぜひ目に余る事態に対してしかるべき大臣のいわば勇断を私は期待し、折に触れ、時に触れ、またいろいろ御所見を承りたいと思います。  問題は、この円高が、実は今ここで審議いたしておりますところの石炭対策の上で重大なかかわり合いを持っているという点であります。私、エネルギー政策を考える場合には、重要な一つの見地として、自主的な供給基盤を確保するということをやはり軽視してはならぬと思うんです。そのためには我が国の民族的資源である国内炭を守り、これを積極的に活用することがエネルギー政策の一つの大きな柱になると思うのでありますが、この点大臣の所見、エネ庁長官でも結構です。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) エネルギーの安全保障というものをどのように考えるかというのが基本的であろうかと思っておりますが、これはやはり多様なエネルギーが供給可能な状態になるというのが適当であろうかと思っております。特定なエネルギー、例えば石油に六割も七割も依存をするというのはそれ自身不安定でございましょうし、また石油につきましてもその大半を現在のように中東という地域に依存をするというのもまた不安定であろうかと思っております。したがいまして、私どもはいろんな種類のエネルギーをいろんな地域から供給を受けることによって、全体としてセキュリティーを確保するというのが望ましいと思っております。  国内炭につきましても、一つの供給ソースであるという観点からいえば、セキュリティー上意味があるというふうに考えておりますが、それも余りにも大きな格差があって、それが安全保障のコストと言い得る程度であるかどうかという点もまた考えなければならないと思っておりますが、今現在私どもは五年後一千万トンという規模が日本のエネルギー安全保障上意味のある規模であるというように考えてエネルギー政策を進めております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 としますと、伺いたいんですが、石鉱審の答申は、国内炭について「産業構造調整の一環として取り組むべきである。」と、こう述べております、先ほども前川リポートの話が出ましたけれども。ところが、一方では今エネ庁長官もおっしゃった、おおむね一千万トンの供給規模という数字を挙げております。これは両立するんだろうか。要するに一千万トンというこの供給規模を守れるんだろうかということを私疑問を持つんですが、その点確認いたしておきます。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 御指摘のように、今回の石炭政策におきましては、産業構造調整上の側面も注目しながら審議会で検討したわけでございますが、当然のことながら、エネルギー政策上の観点も十分に考慮して検討した結果、段階的縮小やむなしということで一千万トンというのが出てきたわけでございまして、依然としてエネルギー政策上、エネルギーセキュリティー確保の観点から、国内炭は相応の役割を果たしているという認識が審議会の検討で行われてきたところでございます。  残念ながら、従来に比べますとその役割が変化しているという結果、一千万トンになるわけでございまして、この一千万トンを達成するために、石炭企業の努力だけでなく、需要家の協力、政府の支援ということで達成をする方向が出されておりまして、また私どもとしてもこれは達成しなければいけないというふうに思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 ところが、答申を見ますと、国内炭生産のあり方について従来は生産を前提にした需要確保、こうあった。ところが今度は需要動向を十分勘案した生産体制。まさに私は百八十度、コペルニクス的転換だと思うんですが、さらに答申作成の過程で、鉄鋼業界が不当にも行政指導に反して基準価格の三分の一に当たる海外炭並みの価格しか払わないという実力行使をいたしました。また、電力業界その他に引き取り難色が示されました、あるいは石炭業界は平均して一トン当たり九百円の赤字の上に原料炭は一千円、一般炭は五百円、それぞれ現行の価格から差し引くことにし、向こう五年間、経費上昇が予想されるにもかかわらず据え置く等々の経過と内容をたどっております。  こういうことを乗り越えて石炭企業が利益を確保することはほとんど至難のわざと言わざるを得ぬのでありますが、現に有吉石炭協会会長もインタビューでそれを認めております。こういう状況で、重ねて聞きますが、供給確保は保証をできるのかどうか、この点を伺いたい。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) まさに御指摘のような環境が、これから国内炭をめぐる環境として存在するわけでございます。そういう環境を前提に今回の予算案あるいは法律案をお願いしているわけでございまして、私どもといたしましては、今度の八次策の答申をめぐる需給両業界の話し合いその他いろいろなフレームができたわけでございますが、そのフレームを前提にいたしまして今後の予算案あるいは法律案のもとに、何とか一千万トンの体制は確保できるというふうに考えております。  御指摘のように、企業経営は非常に苦しゅうございますけれども、一方におきまして、今回の予算におきまして、減産に伴う対策は、五%以上一〇%未満減産した場合には、残りの九五%なり九〇%なりの生産に対しまして、トン当たり三百円あるいは次年度に二百円という水準の補助金を支給することにしております。一〇%以上の場合には、これを六百円、四百円という水準でございますが、これは減産をした場合の減産に伴うコストの大半をカバーできるものというふうに思っておりまして、企業経営これまでも苦しかったわけでございますが、今後の経営上の問題としては、例えばそういった対策などを含めて何とか企業がイバラの道を歩んでいけるものというふうに考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 さらに伺いますが、答申によれば、長期的に操業を継続し得る炭鉱として三つの条件を挙げていますね。「(イ)経済性を勘案した炭量からみて長期的な安定供給が可能なこと、(ロ)保安確保を前提として、採掘条件等からみて合理化の余地が大きいこと、い経営の弾力性を期待し得ること」、こういう条件を挙げているんですけれども、これに該当し得るところは一体どこなんですか。我々が伝承するところによれば、太平洋、三井三池、松島池島、この三鉱ぐらいではなかろうかと言われているんですが、いかがでしょうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 答申におきましては、確かに今後長期的に継続して操業できる要因として、今先生がおっしゃられた三つの点を挙げておりますが、同時に答申におきましては、最近の新しい状況を踏まえて経営者がみずからの経営の方針を決定しなければいけないというふうにも述べておるわけでございまして、そのみずからの経営の方針を決定する場合の考慮要因として、長期的に継続的に操業する場合にはその三つの要因がありますよということをうたっているわけでございます。  残念なことに、それが要因がない場合には、勇断をもって閉山することも場合によっては考えなきゃいけない。その場合には、雇用地域の問題は十分考えるようにという流れになっておるわけでございまして、その長期的に継続して操業をする企業が具体的にどこであるのかということは、企業の経営判断の問題でございまして、私どもから申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うのでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 だけど、こういう三つのメルクマールがちゃんとやっぱり出されているわけですね。しかも三つの山の中に入っている三井三池を見ましても、私、先日行ってまいったんですが、一月末に年間出炭量四百五十万トン、これは我が国最大のものですが、これを三百五十万トンに、原斜炭を中心に百万トン減らすという大合理化計画が発表されております。そのために現有の四山、三川、有明、この三鉱のうちの四山鉱を閉鎖して、そして下請も含めて三千七百五十名の人員整理を行う。それでも採算がとれなければ三川鉱も閉鎖するということも伝えられているという状況であります。  しかも御承知のように、三池炭鉱は原料炭の炭層が上にあるのですね。そして一般炭の炭層が下にある状況ですから、原料炭の探掘をやめますと上部が水没することになる。そうしますと、下部の方の一般炭の現場にも影響が及ぶことは明らかであります。立ち入ったことで恐縮でありますが、私が言いたいのは、そういうことを申し述べて、三井三池すら全山閉山という事態に追い込まれざるを得ないというようなもとで、繰り返して伺いますが、国内炭の出炭規模を守っていく、国内炭を守っていくというその計画はなし得るものというふうに確信を持っていらっしゃるのかどうか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) ただいま先生がお述べになられました三井三池に関する問題でございますが、確かに一部新聞報道で私どもも見ておりますけれども、会社に事情を聴取しましたところ、そのような決定をした事実はまだないということでございまして……

市川正一日本共産党

○市川正一君 決定はしていないけれども、腹づもりはあるという意味ですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 三井石炭鉱業株式会社でございますが、これは現在三池のほかに北海道に芦別と砂川という三つの炭鉱を持っているわけでございます。その三つをどうやったら一番新しい事態に対応できるかということについて鋭意研究中でございまして、現在のところ結論出ていないわけでございますが、おっしゃるような趣旨でいろいろと会社も悩んでいることは事実でございます。  しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、企業のそういった合理化努力、需要家のぎりぎりの協力に加えて、政府の支援によりまして、私どもとしては何とかこの一千万トンの体制というものを実現していく努力をしてまいりたいということで、重ねて申し上げたいと思うのでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 先ほど安楽死させるという見解が野党委員から飛び出しましたが、私はそういう見解は絶対にとりません。そのことを明確にした上で、しかし今やろうとしていることは、まさにその道をたどろうとしているものであるということも指摘せざるを得ぬのであります。  現にこれは朝日新聞の去年の十一月十三日付の記事でありますが、電力業界の首脳に対して、「自民党石炭対策特別委メンバーの代議士から「心配することはない。(政策期間中に)炭鉱は自然に閉山して、引き取り量で電力側が悩まなくても済むさ」と耳うちされた」というふうに、これはごらんになったと思うんです。こういうことが報道されています。そうすると、一体安楽死なのか自滅なのか、これは別として、そういう一服盛るつもりなのかどうか、これはひとつはっきり伺いたいんです。繰り返して伺っているのはその点なんです。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) だれがそう言ったのかわかりませんが、それが石炭政策を遂行する枢要な立場にある者の発言ならこれはコメントの対象になりますけれども、無責任な立場にある人間の無責任な発言に対して通産大臣が責任を負う立場にはございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 とにかく、自民党の石特メンバーですからね、これはやっぱり族議員ですから、なかなか権威があるのと違いますか。私はよう知らぬけれども、自民党さんの方のことは。  もう一つ、私この際確かめたいのは、今回の改正で加わりました貯炭管理制度の問題であります。これは、まともに機能すれば一定の役割を果たすことは私考えられるんですが、国内炭の引き取りを拒否あるいは渋っております鉄鋼、電力、セメントなどの需要業界にとっては、逆に安心して引き取りを拒み、過剰在庫を発生させ、そして貯炭管理会社に買い取らせることができるように、逆用といいますか、悪用する危険性を感じます。私は、これを防止するために、例えば需要業界にも出資させることをも含めた適切な措置が必要ではないかと思うんですが、この点どうでしょう。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 貯炭会社につきましては、需給ギャップを一時的に解消するということで今度の八次策の目玉になっているわけでございますが、会社は会社で、やはり企業の経営の健全性というのを確保しなければならないわけでございまして、買ったものは必ず売り戻して処分をしていかなきゃいけないわけですけれども、そうした場合に、当然のことながら毎年の需要家に対する引き取り量というのが大きく影響してくるわけでございまして、決してこの会社が買えば物事が解決するということではなくて、最終的には需要家に買ってもらうことによって貯炭会社の経営も成り立つわけでございますので、基本的な問題としては、十分需要業界が話し合って毎年の引き取りを決め、その引き取り量がどの水準になるかということでございまして、私どもとしては、なだらかな縮小に向けて何とかその水準が保たれるように見守ってまいりたいと思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 いわゆる経済性だけで石炭から輸入石油に転換していった、例の六〇年代のエネルギー政策、その破綻は二回の石油危機で明らかになったんでありますが、これを今度は石炭の分野で繰り返そうというものであることを私は指摘し、同時にこういう問題が労働者の雇用対策を一層切実、深刻なものにしておるという問題に触れたいんであります。幸い労働大臣並びに次官が本院御出身でありますので、積極的な御答弁を期待しているわけでありますが、大変お待たせいたしました。  私は、まず労働大臣に伺いたいんでありますが、離職者法に基づく対策はもちろんそれ自体必要な対策ではありますが、現在実施されているものは、高度成長期の対策のいわば延長であります。しかし、今日は一定の職業訓練をすれば就職につながるというような容易な雇用環境にないことも御承知のとおりであります。だとすれば、そういう点ではやっぱり新しい視点から今対策が必要になってきているというふうに私は思います。その際、炭鉱から退職されてもすぐに就職できるような状況にないという場合に、例えば公共事業的な雇用機会を積極的に創出するというふうなことも私は考えてみる必要があると思うんですが、この点労働大臣の大いに意欲的な御答弁をまず伺いたいと思います。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) かわるべき公共事業、適当なものをやれないか、こういう御指摘でございますけれども、午前中も御答弁申し上げましたが、このたびの雇用不安といいますか、これは従来と形が基本的に異なっておりまして、これは世界的な経済の流れで貿易摩擦等々、円高から端を発して今日に至っておる。その内容を検討してみますと、単に石炭のみでございませんで、従来の構造不況業種、さらには輸出関連企業、こういうところ、一口に申し上げて、特定の業種また地域に非常に大きい不安が集中しておるということでございますので、先ほどから委員の、抜本的に考え方を変えてやってはどうかというふうな御指摘もございましたけれども、やはりこの際、労働省いろいろ法案をお願いいたしておりますけれども、私ども地域雇用の開発等の促進法案、またこのたびの炭鉱の離職者法案の延長等々ですべて事足れりとは決して考えておりませんで、やはり先ほど通産大臣もお述べになりましたように、基本的には為替の安定という前提を失いますると、すべて後手に回ってしまう。  ところが、この為替問題の安定というのが私どもの知識では大変厄介な問題でございまして、当然内外ともに要求されております当面の日本経済といたしましては、もうこれもまさしく発想を変えた抜本的な内需拡大をやらなければいかぬというふうなことが当然ベースにございまして、そういうふうな中でこそ初めて環境整備、失業給付、いろんな援助等々の対策が生きてまいるわけでございます。  いま一言申し上げますと、この内需喚起というのはことし言われたわけでございませんで、昨年も一昨年も言われておりましたけれども、なかなかこの内需の中身をどうするか、効果的な中身はどうかということになりますると、やはりその地域地域の特性に合った公共事業というものを、有効に働くような公共事業、これまた傾斜配分等も考えながら、これはもうめり張りの効いた抜本的な対策をとるというふうな中で実効ある方法を考えていくのが当面の一番有効な方法じゃなかろうか、こういうふうに私は考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 残念ながら時間が参りました。めり張りが余りないのでまことに残念なんですが、最後に、この閉山に伴う問題は地域全体の対策、これがやっぱり非常に求められると思う。  そこで松岡次官にお伺いしたいんですが、次官は山口県の光市長の経験もおありであります。企業は経済性だけで転出てきますけれども、それに依存している自治体とか地域住民は動くわけにいかぬわけです。逃げられぬわけです。そうすると、自治体にとってはその住民の雇用とか生活をどうして守るかということは切実な問題だと思うんです。しかも、これは炭鉱だけでなしに鉄や船にしろ一緒です。  松岡次官がおられた山口県の御出身の光も新日鉄がございます。この新日鉄が、最近高炉の休止や一万九千名の人員整理を含む大規模な合理化計画が発表されているという事態のもとで、私は公共事業的な雇用機会の積極的な創出を含む雇用対策とか、あるいは地域経済対策に抜かりなく手を打つということが今特時に必要だと思うんでありますが、そういう地域経済の実情にもお詳しい松岡次官の御所見を伺って質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

松岡滿壽男自由民主党労働政務次官

○政府委員(松岡滿壽男君) 御指名いただきまして大変光栄であります。  御指摘のように非常に厳しい状況でありまして、先ほど触れましたように八ブロックそれぞれ出てまいりまして、それぞれの首長さん方は何とかやはり地域の住民をその地域で就業させたい、しかし実際それぞれ個人個人は円滑なやはり職業異動というものを希望する。そういう中で、それぞれの地域の地盤沈下というのは非常に厳しい状況であるということを痛切に感じたんです。  しかしながら日本の雇用政策というのは、私も昨年OECDの労働大臣会議に行きました。先ほどちょっと御指摘ありましたけれども、かなり世界的に評価は高い実績もあるわけでございます。しかし現実は大変壮大な実験をやろう、いわゆる経済の構造を変えていくという大きな問題があるわけですね。ですから、やはり雇用対策も、もちろん我々としては万全を期していくけれども、経済政策と産業政策とこれをマッチングさせていかなければいけないという問題が一つございますね。それともう一つは、やはり今度も四全総、新しくつくりつつあるわけでありますけれども、それぞれの日本のブロックごとにどのような役割を果たしていくかという視点がないといけないと思うんです。  そういう角度から、我々といたしましても地域の実情、それから国は国レベルで、先ほど田村通産大臣御指摘のように、最近はよく通産、労働、運輸各省の連携をとっておりますし、今回も地域の雇用対策協議会では、府県知事のほかに国の出先機関全員集まって意見交換をいたしているわけです。ですから、国と地方自治体が十分な意見交換をしながら、また国レベルでも相互の連携を密にしてこの困難な事態を乗り切っていく、それに英知を結集していくという姿勢が私は大切だと、その骨になる今後の国土の開発ということについては、やはり四全総で多極分散型国土づくりということをやっておるわけでありますけれども、これから地域経済はどちらかというと公共事業に依拠している部分もあるわけでありますから、そういう国際公約である内需の拡大という問題、社会資本の整備、公共事業の充実、そういう視点にも目を向けながら共同作業を進めていくことが必要であろう、かように考えておるわけであります。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 重要な問題点等については、もうほぼ質疑が出尽くしておるようであります。若干重複する面もあろうかと思いますが、二、三お伺いをいたします。  第八次政策では、この五年間に原料炭をゼロにするというふうなことになっておるようであります。先ほどエネ庁長官の御答弁の中にも出ておりますけれども、エネルギー安全保障政策上、原料炭をゼロにしても将来問題はないのかどうか、まずこの点をお伺いいたします。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 御指摘のように、今度の八次石炭答申の中で、最近の石炭鉱業をめぐる現状から見ますと、また将来にわたって展望いたしますと、どうしても段階的な縮小をしていかなきゃいけないということでございまして、特に経営環境の悪い鉄鋼業界等が使用します原料炭については、六十六年度にゼロにするということにしたところでございます。しかしながら、全体といたしまして国内炭の持つ意義というのは依然として存在するということでございまして、それは今後一般炭を中心に存続するということになるわけでございます。  他方、原料炭の供給の源の問題として見ますると、環太平洋地域からほとんどの原料炭が入ってきているわけでございまして、そういう観点からいたしますと、政治的にも安定した地域でもございますし、供給上の問題もさしてないということでございまして、そういった面でのセキュリティーも十分に確保できるものと考えております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 ユーザー業界の中には、特に鉄鋼業界のように、構造不況さらに円高不況等によって非常に苦しい状態に落ち込んでおるということでありますが、特に鉄鋼業界はユーザーとして、苦境の中にかかわらずいろいろと問題があったようでありますけれども、特に大臣の大変な御努力で当面原料炭の購入の約束がされた、こう聞いておるわけでありますが、これから五年の間、原料炭がゼロになるまで鉄鋼業界が引き続いて購入することを確約しておるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) その点につきましては、今御指摘のございましたように、八次策審議の途中におきまして大臣から直接鉄鋼連盟会長にもいろいろと御要請をいただきまして、その結果を踏まえていわゆる七人委員会、石炭鉱業審議会の七人委員会の中の中立委員の方々がおつくりになりましたあっせん案、これを需給両業界の代表が受諾をするという格好で合意ができたわけでございますが、その中に六十六年度にはゼロにするという表現がございまして、そのかわりといたしましては、六十五年度までは引き取りを継続するということでございますので、その線に沿って今後確実に進んでいくものと承知をしております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 大臣のお骨折りでそのような確約をされておるということで、大変結構でありますけれども、これはひとつユーザー業界にとってもかなり負担の重い今後の問題として残っていくであろう、こういうふうに聞いておりますので、一層のまた御努力をお願いをいたしたい、こう思います。  そこで、先ほどもちょっと同じような質問が出ておりますけれども、国内炭の一千万トン体制がこの第八次政策によってできた場合、それは恒久的な政策として考えていいのかどうか、あるいはまた次の政策が一千万トンではやはり過剰であるというふうなことになるおそれがないのかどうか。先ほども同様の質問がなされておりまして御答弁がありましたけれども、やはり多くの人たちは大変な不安をまだ持っておるんではなかろうかと、こう考えるので、いま一度確認の意味でお伺いをしておきたい、こう思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の八次政策期間は五年ということでございまして、すべての政策がこの五年間を対象に行われているわけでございます。したがいまして、一千万トン体制というのも、その五年間に一千万トンに持っていくということでございまして、その後の事態につきましては、答申にもございますように、その時点においていろいろな情勢を勘案しながら、政府において適正な生産水準のあり方について検討するということでございまして、その時点において国内炭の持つ意義がいかなるものであるか、あるいはユーザーに対する負担がどのようなものであるか、それから国内炭と海外炭の価格差はどんな状況になっているか等々、総合的に勘案して決められることになるものと考えております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 おっしゃることはよくわかるんですよ。よくわかるんですが、山に働く人たちにとってみると、二千万トン体制が一千万トン体制になる、その一千万トン体制が、第八次政策、五年間にということですが、将来のことについてはもちろんだれもわかりません、わかりませんから、今確約といってももちろん困難でありますけれども、一千万トンが、この五年後の状況で、またこれがいろんな種々の状況等からして六百万あるいは七百万とかというふうなことになることが、先ほどお話がありましたが、安楽死というふうなことについては考えたくない、また考えるべきでないと思いますけれども、そういう不安が常にずっと持続されて、やはり今後とも山で大変努力をしてもらうということになってくると大変酷だという気もします。  だからといって、確約といってもそれは困難であることは十分わかりますけれども、やはりこれが五年後に、その時点でどうということでなしに、できるだけそういうふうな状況を早く予測しながら、できれば、そういうふうな状況にならざるを得ないということであるなら、やはり山で働いている人たちに対して、ある程度心の準備ができるような政策を、政策の変更といいますか、そのような状況の変化、推移等を以前に知らしてあげるような、そういうことが今後やはり必要ではなかろうか。過去の例からずっと見て、明らかにそういうふうなことについて、働いておる山の人たちは大変な不安を現在でも持っておる、こう思いますので、大いにひとつ御留意をいただきたい、こう考えます。  さてそこで、貯炭管理会社に対して無利子融資を六十二年度は五百三十億を実施というふうなことになっておりますけれども、聞くところによると、現在既に貯炭量六百万トンぐらい、こう聞いておるんですが、五百三十億円では実は足りないんではないかという気がするんですが、どうなんでしょう、五百三十億円程度の融資で現在の石炭業界の苦境が乗り切れるのかどうか、どのようにお考えがお伺いいたします。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 現在のところの貯炭水準は三百九十万トン程度でございまして、これに要する費用としていわば企業が負担をしておりますのが約六百億円という格好になっております。もちろんこの中には適正在庫の分も入っているわけでございますが、これを百二十万トン分といたしますと、二百六、七十万トンが現在過剰在庫となっておるわけでございます。これに予算上はさらに六十二年度に百万トンを買い上げるということにいたしまして、五百三十億の資金が必要だろうということでございます。需給両方の状況を見込んでまいりますと、まずこの五百三十億あれば大体通常の想定される事態には対処できるものと考えております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 八次策で閉山する炭鉱がかなり出てくるわけでありますけれども、先ほどからこれもお話がありました。問題は、閉山された地域等では何といってもやはりその後の問題が、先ほど同僚市川議員からも御質問がありましたけれども、企業は会社を閉鎖することで終わりでありますが、働いている人たちの雇用の問題、どうしてもその土地から逃げることのできない中小企業、地域の人たちに対する政策は、ただ単に石炭政策という面で、狭いと言うとしかられるかしれませんが、そういう狭い視野で考えるのではなくて、これは国全体の産業政策、社会政策というふうな観点でとらえていかないとなかなか解決しない問題、また重大な問題であろうと、こう考えるんですが、特にそれらの地域の中小企業者というのは、事実上ほとんどが廃業せざるを得ない、廃業しても実は行き場がない、生活の糧がないというふうな人が既にもう閉山された地域等々では起きつつありますけれども、よほど思い切ったそのような地域振興政策を広い視野でとっていかなくちゃいけないと、こう考えます。  これは一番その中心になるのは何といっても通産省であろうとこう考えますけれども、具体的に当面どのようなものをお考えであるのか、将来的にはどういうふうな方向に行くべきだとお考えであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 先生御指摘の事態を私どもも非常に心配しておるわけでして、地域住民・中小企業の方々、閉山によりまして大きな影響をこうむるわけでございます。  その場合の考え方といたしまして、閉山が起こったような事態で当面緊急対策として実施をしなければいけないもの、それから中長期的にその地域を活性化させていくための対策、両方考えられるわけでございます。  緊急対策につきましては、何と申しましもて雇用確保の対策でございまして、これには緊急的に公共事業を集中発注するとか、あるいは企業誘致をするとかというようなことでございまして、高島の場合にもそういったことで、政府関係の公共事業も高島町に対しまして、全体の規模では約二十億円を各省が見積もっていただきまして、数年間にわたって実施することでございますが、一つの雇用の場を確保するということにしております。  また、企業誘致につきましては、閉山を行う企業の責務も監督していかなければいけないわけでございまして、そういう観点から企業を督励いたしますと同時に、政府としても地域振興整備公団などを活用いたしまして企業誘致に努めていきたいというふうに思っております。  また、中長期的な対策でございますが、これは即効性がなかなかないわけでございまして、地道な努力を重ねていくしかないわけでございますが、ただいまのところ、その地域の特性に合ったビジョンづくり、特にプロジェクトを中心にしたビジョンづくりを奨励しておりまして、また補助金を支給するというようなことも制度として用意しております。その上でプロジェクトをフィージビリティースタディーを行いまして企業化するということでございまして、この企業化に当たりましては、地域振興整備公団の出資を現在でも用意できますし、また現在別途御審議をお願いしております産業構造転換円滑化法の体系の中でも、こういった地域に対する問題を取り上げていただくように私どもとしては考えてまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、将来の問題といたしましては、そういうプロジェクトを企業化する際に、国の助力というものをどのように拡充していくかということになろうかと思いますが、近く通産大臣の諮問機関でございます産炭地域振興審議会を開きまして、これから夏ごろまでいろいろと御審議いただきまして、新しい政策を打ち出す御意見を取りまとめていただこうかと思っておるところでございます。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 現時点で通産省としてそれ以上のことはなかなかお考えができない、いや考えられてもまた予算面その他で、それ以上のことは具体的には発表できないということはよくわかります。  ただ、私は本当に思い切った政策をとっていかなければ、ただ単に炭鉱だけじゃありません、造船等についてもそうなんですけれども、もうその地域そのものが完全に沈没してどうにもならなくなる、既になっておるところもあります。これからそういうふうな地域がかなりふえるんではないかと思うんですね。それがいわば各省庁持ち寄りで、高島町についても二十億円というお話ですが、二十億円というのは言い方悪いですが、あの島、あの町全体のこれからの問題を考えるときには、二階から目薬程度ですよ、実際問題として。だからもっともっと思い切った施策を講じなければだめだ。  そこで、企業誘致と言ったって、仮に北海道の夕張にしてもあるいは炭鉱地九州にしても、あるいは高島町にしてもそうだと思いますし、あるいは造船の広島県のあの因島にしても向島にしても、そう簡単に地域を再び安定さすような企業が今の情勢の中で来るはずがないんです。またあるはずがないわけですね。だから、新しい企業といいますか、新しい地域発展策というのは、これは私個人の考えですが、現在と将来を考えるときにはレジャー基地以外にない。  だから、幸いにして国としても、総合保養地域整備法案というのを今度建設委員会で審議することになりますけれども、例えて言うと高島町あたりは、あそこを徹底的にそういうふうなものを投資をしてレジャー基地にすれば、かなりいろんな観光客を誘致できる地理的条件がある。あるいは造船の町と言われる因島にしても、そういうふうな、言えば観光資源に転換できるようなものがあるわけですね。北海道の夕張でも、私よくわかりません、これは対馬先生がおられますけれども、あそこでメロンを少々栽培したにしても何にしても、そんなものは、博物館等々はそれほど多くの観光客を誘致することはできませんが、仮に例えて言うと、あそこの地形を利用してアメリカの西部の町のようなものをつくって、そうするとまた観光客も来る、そうすると地域がそこで安定する。  だから産炭地振興政策等々の狭いものでなくて、もっと大きな大々的なものを、これはただ単に通産省ということよりも政府自体がそういうものに積極的に取り組んで、それについて予算は、もう当然のことながら建設国債を発行する。重点的なそのようなものをひとつ考えていくということをこの際思い切ることが、内需の拡大からいってもあらゆる面からいっても必要な時期だ。従来の固定した政策じゃなくて、思い切ったそういうふうな政策を立てていかなければ、炭鉱の閉山の問題もあるいは雇用の問題も、いろいろな問題がなかなか解決しない。五年、十年かけて徐々にやるというような問題とは違うわけですから、そういう面で特に、これは大臣どうお考えか知りませんけれども、大臣にこの際大いに骨を折っていただく以外に方法はないと思うんですけれども、大臣、どうでしょう。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御承知のように、一般的な中小企業対策はもちろんあれですが、それなりの法的措置その他いろいろとやっておるわけです。  今お話承って非常に感銘を深くしましたが、確かにレジャー基地あるいは観光的な発展ということはすばらしいアイデアだと思うんです。その土地、土地の特殊性がございましょうから、その特殊性に合わせる、また、もちろんそれは政府や国会から押しつけるというものではなくして、地元の自発的な意識で自分たちのニーズに合っていくようなものをつくる、それに対して政府なりあるいは地方公共団体なり、とりわけ観光の、金融機関を含む関連グループですね、これが思い切ったお手伝いをしていく、これはもう必要なことだと思います。  それにつけても、政府といいましても、通産省、労働省だけでできることではないんで、各省庁に協力を求めなきゃならない。例えば西部の町を実現するにしてもあるいはすばらしいレジャー施設をするにしても、その施設だけでいいというわけでもない。それにはアクセスをどうするかという問題がございます。そうなれば建設省にお願いしなきゃならぬとか、いろいろとあるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても非常に示唆に富んだ御提言でありまして、これはもうまじめに受けとめて、早速私自身から各省庁にお願いをしたいと思いますが、それにしても、地元が声を上げてくれませんと、——さっきお話がお二人からあったわけですが、夕張メロン、あれも僕は先般夕張メロンを九州で食べてびっくりしたんですけれども、宮崎へ行きましたときに夕張メロンが出まして驚いたんですが、あの夕張メロンからとりますブランデーというのがまたいけるんですよ、いや本当に。ああいうのを、それは生産量に限界もあるでしょう、それから夕張以外でつくったら何にもならぬわけなんで。けれども、それにしてもいろいろな知恵を集め合うということはとってもいいことだと思います。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 私は、実はあしたの産業構造転換円滑化法の審議の中でも、特定地域の不況対策すべて関連するわけですから、そういうふうな、今申し上げた意見を申し上げようと思っておったんですが、きょうはたまたま申し上げたんです。今大臣おっしゃったように、通産省だとかあるいは厚生省だとか労働省だけの問題ではありませんので、政府全体の問題としてこのような問題をどう解決するか、そのためには何が必要か、どうすべきかという、言えば特別に何か閣僚連絡会議なりあるいは別個の各省から出た専門家によってプロジェクトチームをつくって、本格的にそういうふうなことも検討すべき時期、またそういうことを検討してもらうことが、それらの地域の人あるいは不況業種で働いて、将来に不安を持っておる労働者の人たちに対する何か希望を与えるということにもなろうかと考えますので、ぜひ大臣にお考えいただきますようにお願いします。  そこでもう一つ、最後はこれは質問ではなくて意見を申し上げるんですが、その前に石炭部長にお伺いしますけれども、現時点で考えまして、再来年度、六十三年度の輸入石炭の予想量は大体九千万トンぐらい、炭価が平均七千円ぐらいとすると、今の計算でいくと総額六千三百億円程度、それから国内炭が千三百万トンぐらいで炭価が二万一千円平均とすると二千七百億円程度になる、こう考えますが、大体そういう数字ですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) おおよそ——そんなに外れてない数字ではないかと思います。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 いや、いいんです、まだ今これは予算と関係ないから。通産大臣も一体井上何を言うのかと思って首をかしげておられるようですが、これは意見ですからもう答弁は、恐らくしてくださいと言ってもできぬでしょうから結構です。  売上税の問題です。  私どもは——私どもはと申し上げるのは野党ですが、現在のあの政府が提案しておる売上税は、あらゆる角度から考えてもこれは導入すべきでないという意見に立っておりますから、導入されないとするならばこんな心配は必要ありません。しかし、万が一という場合、また導入をお考えになっておる方々についてはひとつ若干御参考にしていただければと思うんですが、そうでなくても石炭業界は、今後の国内炭をどう処理しようかという問題、また膨大なと申し上げていいかどうか別として、六十二年度でも労働省関係を含めると石炭関係の予算が千三百五十億円計上されておるというふうな状態の中で、売上税が導入されたら、今おおむね大体この程度だとおっしゃったんですが、国内炭が二千七百億円とすると五%ですから百三十五億円の売上税が実はここにかかるということになるわけですね。  だから、この百三十五億円の売上税が果たして今のような需給の状態からいってユーザーに転嫁できるのかどうか、転嫁するとするとユーザーはもっともっとまた困るというふうなことになるであろうし、転嫁されなければ、今の石炭産業、会社の状況からして、これは先ほど来事実上赤字になっておるということからしてさらに赤字が膨大になって、さらに政府の補助金を多く必要とするということになるでありましょうし、それから輸入炭については、当然これも課税されますけれども、六千三百億円とすると約三百十五億円の売上税ですから、比率からいうと大体倍程度である、これは安いですから。だから、炭価からいうと輸入炭は七千円に対して五%、三百五十円しかかからぬわけですね。国内炭は二万一千円ですから千五十円かかるわけなんです。ますます格差が開いてくるというふうなことになりますし、同時にそれは市場開放の問題からしても、いろんなことで問題が起きてくる。  それで、私が申し上げたいのは、国がここまで努力をし、また企業もあるいは労働者もいろんな人たちが大変な、それこそ血のにじむような努力をしておる政策と逆行するような政策であるということなんですね。これはただ石炭政策だけじゃありませんで、昭和四十年代からやっておる中小企業の近代化、合理化政策も、やはり専業化する、分業化するというふうな国の政策でずうっときておる。それが多段階的な課税方式でありますから、分業化、専業化した方が損だということになるんですね。そういうふうに国の従来の政策と逆行する、すなわち整合性が全くないような問題がこの売上税導入によって出てくるということを私どもは大変危惧しておるわけです。言いかえますと、石炭政策が、こういう状態の中でさらに売上税問題が出てくると、ことわざに最も恥ずかしい、やってはいけない行動のことわざとして、表現が悪いかしりませんが、首つりの足を引っ張るとか、おぼれる犬に石をぶつけるなんということわざがありますが、そうとは言いませんけれども、それに近いような政策になるというふうなことも危惧するわけです。  だから冒頭申し上げたように、売上税の問題について通産大臣あるいは労働大臣の御所見を伺うということは、これはもちろん今申し上げませんけれども、そういうふうなことも御参考にしていただきながら、やはり大臣として今後の売上税の問題、特に通産省も売上税の問題等についてはやはり役所の立場で、あるいは大臣の立場で、あるいは党の立場で発言できないというお気持ちわかりますけれども、十分ひとつそういう面についても御考慮をいただかなくちゃいかぬであろうと、これは意見として、要望として申し上げておきます。お答えはもちろん求めません。以上で終わります。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 今、井上議員からいろいろ話がありまして、私も井上さんと本当に全く同じスタンスなんです。同じ意見なんです。したがって、もう質問する必要もないかもしれませんけれども、極めて重要なポイントなものですから、しつこいようですけれども、お時間をいただいていろいろ基本的な問題に立ち返って意見を交わしたいと思うわけです。  それで、私けさほどからのいろいろ皆さんの御議論を聞いておりまして、去年、おととし、私はやはり石炭問題を何回かあちこちで取り上げているんですが、その時分から見て全然進歩していないというか、事態が全然変わっていない、むしろ悪化しているというふうに思うんですけれども、多分この法案、この後可決されて本会議でも通ると思うんです。通って、さてそれじゃ一年後にこの石炭業界がどういうふうになっていると長官はイマジネーションを持っておられるか。あるいは五年後にはもう長官やっておられないかもしれないけれども、少なくても五年後に石炭業界が自立できるような状況になるとお考えになっているかどうか、その辺からまずお聞きしたいわけです。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 自立と申しますのは、一切の支援がなしに経営が可能であるかという意味であるとすれば、そういう状態にはならないであろうと思います。やはり石炭のみずからの努力と、需要家と政府の支援のもとに成り立つであろうと。そしてそのためのコストというのがエネルギー安全保障のためのコストである、こういうふうに考えております。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 今おっしゃいましたエネルギー安全保障のコストだと、この点は私非常に大事だと思うんですね。これに焦点を当てて後の議論を展開したいと思うんですけれども、その前にお伺いしたいのは、この趣旨説明で、今度の八次計画の五年目の、最終年度ですね、一千万トンの規模だというふうにここで言っておられますね。この一千万トンというのは一体どういう理論的な根拠なのか。今まで二千万トンだったから何とかで半分とか、何とかのフィーリングで一千万トンとかね、業界のことを考えたら一千万トンぐらいが必要だろうというふうなことなのか、それとも今おっしゃったエネルギーの安全保障という点から考えて、日本の現在の石炭鉱業あるいは産業あるいは経済全体で、こういう計算に基づいて一千万トンが必要であるというふうな根拠なのかどうか、その辺はいかがですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) 今回の新しい石炭政策の立案に当たりましては、まさにそういう問題が検討されたわけでございまして、現在の状況及び将来の展望に立ちますと、やはり国内炭の量というのは現在よりも段階的に縮小していかなければいけない、せざるを得ないという状況にあるというまず定性的な議論があったわけでございます。  その次に、それでは一千万トンというのはどういうところから出てきたかと申しますと、これはいわば理論的な数字ではございませんで、その国内炭を支える三つの柱、すなわち石炭企業の努力、需要家の協力、政府の支援、そういうそれぞれの柱から出てまいります数字がこの一千万トンということになるわけでございまして、より具体的に申し上げますと、やはりユーザーの中で非常に経営環境の厳しい鉄鋼、セメント等につきましては今後協力をするにしても、国際競争その他を考えますと、六十六年度にはゼロとせざるを得ないということで、これはもう大臣がみずからその業界のトップと話し合われて説得をした結果としてそういうことになったわけでございます。  一方、電力につきましては、やはりぎりぎりの協力ということで、八百五十万トンを六十六年度に確保したわけでございます。その他石炭系企業の消費する分あるいは暖房、山だき、そういったものを含めますと、おおむね一千万トンになるという需要規模がまず出てまいりまして、その需要規模に合わせて供給の規模を決めてきたということでございます。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 今おっしゃったように、一千万トンの計算の基礎というのは、原料炭はもう鉄鋼業界が引き受けないから多分ゼロにすると、しかし燃料炭の方は電力会社その他が八百五十万トンぐらい引き受けてくれそうなので、それを基準にして一千万トンということですよね。そうすると、電力会社というのは公益事業ですからそういうことはないにしても、仮に電力業界がどんどん引き取れなくなってきたら、やっぱりこれ限りなくゼロに収れんしていくんじゃないかと思うんですが、その辺いかがですか。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) この八次政策の期間においては、現在の規模から一千万トンに段階的に縮小していくということでございまして、その後のことにつきましては、その時点で総合的に状況を勘案して決めていくという格好になっております。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 まさにそういうことだと思うんですね。それで私、電力会社にしわ寄せさせるということについては、これかねがねこの商工委員会でも申し上げておりますし、また後でももう一度しつこく繰り返したいんですけれども、それはちょっとまず置いておきまして、私が前にお聞きしていることでは、なぜ石炭産業を置いておかなきゃいかぬかという理由が二つ通産省から説明を受けていると思うんですよ。一つは、まずどういう産業であっても国としてゼロにしちゃいかぬと、何かの芽は残しておかなきゃいかぬと。どうしても芽が残らないものはあると思うんです。しかし芽を残せるものはこれはやっぱり国民の、民族のサバイバルというのですか、安全保障か何かの点で置いておかなきゃいかぬということですな。したがって、例えばエネルギーというのですか、木炭なんかも今細々とつながっておりますね。ああいう技術も一たんなくしてしまったらもうこれ復活させるのは大変だと、したがって残せるものは残していくということが一つ。  それからもう一つは、やはり将来どういうことがあるかわからぬから、採炭技術の保存、採炭があるいは採鉱か何か、いわゆる鉱山技術ですね、それの保存という点からこれはゼロにできないんだというふうに承っているわけです。これを確かめていただいてもいいんですが、後で一緒に確かめていただきたいんですが、そうすると、そういう観点から計算した場合に、果たして一千万トンが必要なのかどうか。私は二百万トンぐらいでもいいんじゃないかと、一社優良な石炭会社が残ればいいんじゃないかと思うんですね。その辺はどういうふうに、昔の考え方と今と変わっているのかどうかですね、技術の点と、産業の芽を残すというその二つの点はどうなのかお聞きしたいんです。

高橋達直資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(高橋達直君) ただいま先生の御指摘のございました技術を残すというようなこと、あるいは産業として残すということも、いずれにいたしましてもエネルギーセキュリティーの確保ということに帰着するわけでございまして、エネルギーセキュリティーの確保の観点から国内炭は依然としてその意義を有しておるということでございます。  具体的には、供給の安定性あるいは市場の多角化の一端を担う、さらにオイルショック等の緊急時の場合に国内炭というものの存在が非常に有効であるというような観点、さらに技術の問題というようなことから、エネルギーセキュリティーの観点から国内炭を残すということでございまして、その考え方は従来と今回の八次策においても変わりないわけでございますが、今回変わっておりますのは、国内炭をめぐる環境がいかにも厳しくなってきておりまして、御案内のように海外炭との価格差が三倍にも達するという状況の中で、需要家も経営環境が非常に厳しくなっているということから、意義はあるものでありますが、段階的にこれを縮小せざるを得ないということでございまして、その縮小の程度が需要家のそれぞれのぎりぎりの協力ということで一千万トンというのが出てきているわけでございます。  ちなみに鉄鋼業界につきましても六十六年度にはゼロになりますが、逆に六十五年度までは苦しい中でぎりぎりの協力をしていただくということになるわけでございまして、ひとり電力だけでなくて鉄鋼、セメント、紙パ、化学、そういった産業についても、石炭鉱業の存在意義のためにそれなりにぎりぎりの協力をしていただくということになるわけでございます。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 各業界に協力を求めるという点もこれ極めて重大なんで、後から問題提起したいんですがね。  それで、私けさほどから聞いていまして、今のようなエネルギーのセキュリティーという、安全保障というのはいかにも言葉としてはもっともらしいんですけれども、この問題を議論するには少し弱過ぎるんじゃないかと思うんですね。エネルギーのセキュリティーの問題なら、いやまた海外炭買えばいいじゃないかとか、あるいは原子力だって何だっていいじゃないかとか、いろいろあって非常に弱い。それで、やはり根拠があるとすれば、先ほどのような技術の保存の問題と、それから産業の芽というのはつぶすわけにいかないということであれば、私はこれは納得できるんじゃないかと思ったんですが、それをいかにもエネルギーセキュリティーとおっしゃるけれども、これは私のビューポイントを先に申し上げますと、去年、おととしのような状況だったら、石炭問題だけを議題にして問題にしていればよかったんですね。  ところが、もうことしの今の状況というのは違うんですね。先ほども同僚議員からありましたように、もう造船だって、また製鉄まで大問題になっちゃっているわけですね、構造的に。そういう中において石炭だけを取り上げていこうとすると、やっぱりよほどの何か大義名分のようなものを打ち立てないと国民の納得を得られない。少なくともそういう観点から、先ほども井上議員がおっしゃったように、これはもう社会問題あるいは産業全体の問題として取り組んでくれ、石炭問題じゃないんだというふうにおっしゃったんだと思うんですね。私もそれは同感なんです。最後にそれはやはり大臣にもお願いしたいと思っているんですけれども。  そういう点から考えまして、まずここで現在の石炭産業というものを、それはいろいろ諸般の情勢ありますけれども、どういうふうに見るかということなんですね。例えばいわゆる死に体だ、もうこれは何をやってもだめだ、先ほどお話がありましたけれども、安楽死か尊厳死の問題ということなのか、それともがんだと、だから今思い切って手術をして摘出してしまう、そうすれば何とか助かる、ほっておけばどんどん転移して、もう日本経済全体に悪影響を及ぼしちゃうという状況なのかどうか、その辺の見きわめが非常に大事だと思うんですよ。  それで二法案、これは今通さざるを得ない。しかし、私はこれだけじゃやっぱり不十分というか、もうだめなんじゃないかと思うんですね。もっともっと抜本的な大手術をやらなきゃやっぱりだめだという感じはするわけです。それで、いわば脳死状態にある患者さんを生命維持装置でずっと命を長らえさせて、そのうちに何とかなるんじゃないかと思って医者が眺めているという感じだと思うんですね。しかし、若い人ならともかく、石炭というのは年齢からいけばもう六、七十歳ですよね。そういう産業が脳死状態になって果たして生き返るというか、もとどおりになるとはちょっと考えられないんですね、普通の人間の常識では。  その辺は、それならそれで、私はがんならがんでいいから、がんであるということをやっぱり宣告すべきだと思うんですよ。実際の医者の場合はいろいろありますよ、しかし、こういう産業の場合はがんならがんであるということを業界にも言い、国民にも言い、そこで、さてそれじゃこのがん対策をどうするかということをクリアにすべきだ。それが、私は今ずっと議論を聞いておりまして、何となくこういう一応手を打ってみると、様子見てみると、そのうちに何とかなるんじゃないかというあいまいなやり方が行われているという感じがするわけですね。これが普通のときならそれで何となくごまかしてというか、やっていれば何とかなるかもしれない。しかし、これだけ経営環境が厳しくなってきますと、そういうことではやっぱりうまくいかないんじゃないかと思うんですが、長官、その辺はいかがですか。

野々内隆資源エネルギー庁長官

○政府委員(野々内隆君) 経営環境というのは非常に厳しくなってきているということも事実だと思います。したがいまして、従来のような考え方では石炭政策というものは進められないということで、今回は非常に大きな転換をしたわけでございまして、従来は生産をしたものが売れるようにするという考え方でございますが、今回は買ってくれるだけつくるという、そういう考え方に転換をしたわけです。  ただ、私は、安全保障という場合に、食糧とエネルギーの安全保障というのは必ずしもコストだけではないというふうに考えておりまして、鉄鋼用原料炭の場合ですと、六千万トンのうち二百万トン程度でございますから三%でございましょうか、非常にウエートが少のうございますが、電力用一般炭の場合にはまだ四割程度の大きなウエートを持っているわけでございまして、これは三、四年でゼロにしてもいいというような程度の問題ではないように思います。  ただ、もし今のような三倍もするような高価格がもうずっと将来も続き、それから国内の経済状態も非常に悪い、いろんな条件が合ってくればその場合に安全保障の費用をどの程度まで負担し得るかという議論が当然起こってくると思います。しかし、私どもは今、五年間については、この程度のエネルギー安全保障の費用としてはぜひ需要家に負担をお願いをしたいし、また国としても負担すべきであるという考え方から、今回の政策を考えたということであろうかと思っております。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 今おっしゃるとおりだと思うんですね。ただ、需要家に負担願うというところに私は非常にひっかかるわけです。それで、もしも安全保障費でやるとするならば、これは全然別途に、業界対策じゃなくて、民族のサバイバルとして国の安全保障費、防衛費と同じような観点から予算というのは考えなきゃいかぬのじゃないか。ただ、便宜上これは通産省の予算に割り当てるということはあっても、根本的な基本的な考え方というのは、国として、これは通産省とか石炭業界の関係じゃなくって、安全保障費として何千億計上するんだというスタンスが大事だと思うんですね。この辺はただ議論じゃなくって、政府の姿勢の問題だと思うんですよ。この姿勢がやっぱりはっきり打ち出されないと国民の納得が得られないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうかね、これは。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) さっき長官が申しましたように、買ってくれる相手、これだけ買ってくれるということに対して合わせて掘る、こういうことを申しました。今いろいろな例えのお話があったわけですが、私はかつてのオイルショックを想起しますと、特に第二次より第一次のオイルショック、あのときにはトイレットペーパーまでなくなったわけですね。考えられない事態が起こったわけです。そして当時私は、あの直後でございましたか、運輸大臣をしておりましたが、あのときの議論に、なぜ雑木林をじゃんじゃん切ってしまったんだ、なぜ木炭というものの種を切ってしまったんだという議論まであったんですよ、国会で。そういうことがございまして、ですから、ある意味においては、これは病気の例えよりも非常用食糧だ、あるいはインシュアランスだというふうに考えたらいかがか。  そこで、とにかく八次策はこれでいけばいいわけですが、今の現状だけで将来を判断していくというよりは、そのときにどういうような状況になっておるか、そのときの買い手があればいいわけですから、もう市場メカニズムでいったら一番いいんだし、また市場メカニズムというわけにはいかぬかもしれませんけれども、高いものを買わされるんですから。それにしても本来電力の利益というものは国民に、利用者に還元されるべきもの。けれども、だからといって、日本の産業の連帯性を考えますと、これはやっぱり電力にも買ってもらわなきゃならぬでしょうし、それはそのときの問題と。しかしながら、ただ言えることは、我が国には油田というのはほとんどないわけですけれども、炭鉱は、これは一度閉山したら再び復活させることは技術的に不可能だということがございますから、やはりある程度は大切にしていった方がいいんじゃないかという感じでございます。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 それで、今大臣がおっしゃった中で、いわゆる日本株式会社的な考え方があるわけですね。皆、相身互いじゃないかと、みんなでこの国を何とかしていこう、何とかみんなで産業を支えていこうという考え方があるわけです。しかしながら、私は私企業、民間企業におりましたので、感覚的に、私が例えば電力会社の社長、あるいは紙パルプとかセメント会社の社長なら、それは三倍どころか、一円でも高いものは買いませんね。困りますよ。ただ、大臣に言われたからこれは買わざるを得ないとか、これちょっと今拒否すると後でしっぺ返し食うから、しょうなしにやるとか、それはあると思うんですよ。  それで、私が一番恐れるのは、例えば北海道電力が非常に業績が悪いと。これだけが原因じゃないと思いますけれども、高い国内炭買わされていれば、それは業績悪くなるの当たり前なんですね。そうすると、彼らとしてはこの次にやはり電力の値上げを申請してくると思うんですよ。そのときにやっぱり、あれだけの高い国内炭を買っていますからというのを必ず理由にしてくるわけですね。それならまだいいんです。しかしながら、私たちが恐れるのは、もしもそういう抜け道があるとすれば、自主的な努力もついついサボりたくなるんじゃないかと思うんですよ。これは通産省にあのとき頼まれて、あれだけの石炭引き受けているんだから、だから今度は値上げ申請したときに通産省も悪いようにしないだろうということがあるから、自分自身で合理化しなきゃいかぬところを少し手を控えるということだって人間ならあり得るんですよ、これは。  ましてセメント会社とか一般の私企業なら、これは全然引き受ける意味がないんですね。電力会社は公共事業だから、まだしようなしにお国のために協力しなきゃいかぬというなにがありますけれどもね、普通の私企業というのはないんですよ。それが今までは日本株式会社的な発想があったので、私企業がいわばいわれなき条件をのんできたわけですね。ところが、もう先ほどの話のように、今まで非常に協力してきた鉄鋼が、自分の身にもう火がついちゃったもんだから、通産省に何と言われても、ちょっともう高い原料炭は買えませんということになってきているわけですね。国全体がやっぱりそういう厳しいところに追いやられてきていると思うんですよ。  そこで、私は、本来なら、先ほども申し上げましたように、安全保障費とすれば国が負担すべきである、したがって電力会社に買ってもらうと。これは安全保障のために買ってもらうわけですから、値段の差額はその税金から控除するとか、あるいは先ほどのように政策火力発電所をつくるんなら、これは私は、基本的な考え方としては国営にすべきだと思うんですね。国営にして、そのつくった市場価格で電力を北海道電力なり各電力会社に売るというのが建前だと思いますね。具体的にはどうするかは別にしてですよ。その辺のことが非常に、まあはっきり申し上げて、通産行政は何かつけ回しして、そこをうじゃうじゃとやって、ごまかして済ましてしまって何とかこれうまくいっちゃう、クリアしちゃうと。とりあえずこのハードルを越えるということで繰り返しきておられる。したがって問題は全然解決しない。私は来年でもだめ、五年後でもだめだろうと思うんです。はっきり私はそう思いますね。  それで、今のような状況で、国内炭が外国の石炭と同じ値段になるなんて考えられないですよ、全然もう炭層の条件が違うんですからね。そういうことであれば、やはりこの際セキュリティーの観点から、この石炭対策というのはきちっと切り離して、国民にも納得していただいて、こういう面から国税というか、税金を使ってこれやるんだということをはっきりおっしゃった方がいいんじゃないかと思うんですがね、大臣いかがですか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 御意見として承りますけれども、私はやはりそれはお互いに、極端なことはどうかと思いますが、保護されるべき若干の理由があれば保護されたっていいと思うし、それから確かに一円高かったらそんなものは買わぬ、安い方へ行くと。それは確かに商魂たくましい日本の商法でしょうけれども、それならば、だからこそ石炭国営にしろとおっしゃるんなら、米はどうなるかということですよ、米は。ですから、米だってそれじゃもう自由化してということになれば、大変な量の農民がそれこそ首つり状態になる。それこそ首つる足を引っ張るような格好になっちまうと。だから、その点ではある程度のインシュアランスというものに対するお互いの協力というものはあっていいんじゃなかろうか。  日本株式会社というのはそういう意味じゃないと僕は思うんですよ。むしろ、もし仮に、そういうことは万々あり得ないことですけれども、またあっちゃ困るけれども、オイルショックと同じように、いわゆる一次産品に頼っておる国々があらゆるエネルギーを凍結して、かつてのOPECのようなことをやったらどうなりましょう、日本の国は。大変なことになると思うんです。でございますから、そういういろんなことを考えますと、ほどほどのところがいいんじゃなかろうかというような感じがいたしますがね。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 私もその点については賛成なんです。しかし、これはオイルショックがある、あるいは戦争があればもう石炭どころの騒ぎじゃなくなっちゃうんですね。だから、もうそういう前提では国民が納得しないだろうと。したがって、私はこの石炭の現在置かれている立場というのをやっぱり国民にきちっと説明しなきゃいかぬと思います。  それで、時間がないので、最後に私の意見を申し上げたいのは、やはり石炭産業というのは五年後にはどうなっているんだということを考えて、どう考えてもこういうふうにならざるを得ないと。それなら、そのピクチャーをきちっとかいて、それでそのシナリオを発表して、業界も、それから政府も国民も、全部それに従って努力していくということが必要。それから、もしもだめなものなら、やっぱり計画的にきちっと、いわゆる安楽死という話がありますけれども、それをやらないと、成り行きに任しておくと犠牲がどんどんどんどん大きくなっていく。したがって、失業問題なんかも、これはどうしてもこれだけの人員が失業になるとなれば、今から先ほどのようにレジャーに転換するにしても、政府が先頭に立ってリードしていくとか、それに対して投資をするとか、そういったことをやらなきゃいかぬと。それを成り行きに任すような、目の前を糊塗するようなことじゃないかということが私は非常に心配なわけですね。  したがって、それからもう一つは、現在の日本経済の環境というのが、事石炭だけじゃなくて、あらゆるところにそういうことが今起こりつつあるわけですね。それに対処するという点からも、少し政府としてはきちっと先を見通して、これは先を見通すんですから、リスクがありますけれども、政府が今までのようにリスクを逃げられちゃ困るんですね。やっぱりみずから政府はリスクテーキングをやっていただきたいということ。  それから、これ最後に大臣にお願いしたいんですけれども、この問題は通産大臣、あるいは労働大臣もおられますけれども、各一省庁で対処しようと思ってもできないんですね。私は最近の政治の状況というのはよくわかりませんけれども、個々の省庁で対応できる限界を超えている問題がいっぱいあるわけですね。これは内閣として一致団結してやってもらわなきゃ困る、縦割り行政とかなんとか、そういう縄張りじゃなくて。しかも、私はやはり今こそ本当に大物の政治家が出て、自分自身がリスクテーキングして、大所高所から国のためにやっていただくということが必要なんじゃないかと思うんですね。幸い田村大臣、相当な大物政治家だと言われておりますので、ぜひ、通産大臣の立場じゃなくて、ひとつ将来の日本の政治を背負っていかれる立場として、そういう大局的に対処するということをぜひお考えいただきたいんですが、最後に御所見承って私の質問を終わります。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 確かにおっしゃるとおりだと思います。すべて物事はその政府の全体の責任でなきゃならぬ。国民から見れば、法務省が学校をつくろうと建設省が裁判をやろうと知ったこっちゃないんで、国民から見ればよりいいものをより安く、より速やかにちゃんとしてもらったらいいわけです。より税金が安ければそれにこしたことはないんですから。ですからその点ではやっぱり政府の連帯責任、今率直に言って官庁というのは余りにも縦割り過ぎます。これは私も時々歯がゆい思いをしております。そういうことで、私どもこれから声を大にして各省庁の一体化というものを訴えていきたい。大いに私も、世間、新聞によりますと仕掛けるのがうまいそうですから、大いにこういうことを仕掛けて、御期待に沿うように頑張りたいと思います。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。  本案の内容は、石炭鉱業合理化臨時措置法について、廃止期限の延長と貯炭管理制度及び石炭鉱山規模縮小交付金の創設に関する規定を追加し、石炭鉱業経理規制臨時措置法及び産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の廃止期限を延長し、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法について、廃止期限の延長と石炭勘定の借入金に関する規定の追加を行おうとするものであります。  我が党は、石炭鉱業合理化臨時措置法を除く三法律の改正については、所要の施策の継続と改善措置を講ずるものとして、その趣旨に賛成いたします。  しかしながら、石炭鉱業合理化臨時措置法の改正内容については、以下の理由により反対するものであります。  すなわち第一に、本法は国内石炭鉱業をスクラップ・アンド・ビルドにより、経済性に即した合理化を推し進めるために制定されたものでありますが、その後の合理化政策においては、ビルド対策は影をひそめ、もっぱら炭鉱の整理、切り捨て対策の推進に終始してきました。第八次石炭政策の策定に当たり、まず従来のような合理化政策を見直し、石炭鉱業の安定化政策へと転換しなければならないのであります。しかるに、本改正案は廃止期限を延長するだけで、従来の合理化路線を踏襲しているにすぎません。  第二に、本改正案のもととなっている第八次石炭政策は、昭和四十八年の第五次石炭政策以来堅持されてきた二千万トン体制を大きく崩し、政策の最終年度の昭和六十七年には、一千万トン体制まで縮小することを目標としていることであります。  第七次石炭政策は、現状の出炭規模千八百万トンを前提としつつ、条件が整えば二千万トン規模を目指すとするという前向きの政策目標を掲げておりましたが、今回の第八次政策は、出炭の目標規模を従来の半分にするという、まさに後ろ向きの石炭切り捨て政策と言うほかはありません。  石炭鉱業は戦後の国内経済復興の担い手として、またエネルギー供給の主力として、我が国の産業経済に大きな貢献をしてきた歴史を持っております。確かに最近は円高基調も加わって、露天掘りを主としている輸入炭との値差は大きく拡大しております。しかしながら、ヨーロッパ主要国でも坑内掘りの国内炭は割高であり、石炭鉱業を守るために多額の国による支援がなされております。要は、政府が国策として石炭鉱業をどれだけ保護をするかの問題であります。  第三には、第八次政策ではいわゆる雪崩閉山の歯どめにはならないのであります。  昨年、需要業界の一部と引き取り交渉が難航し、その結果、各炭鉱とも現在多くの貯炭を抱え、資金繰りが悪化しており、一部の炭鉱は国等を含めた緊急支援を受けております。このために、今後資金面から経営が行き詰まり、閉山が集中する事態が懸念されるのであります。  改正案では、貯炭管理制度が新設され、貯炭の買い上げによる資金手当てがなされることは一歩前進と考えますが、これだけをもって雪崩閉山の歯どめとして十分であるとは言えないのであります。  第四に、これが最大の問題でありますが、ポスト第八次政策、すなわち将来的な石炭鉱業の展望が、八次政策とこれを受けた本改正案には全くないことであります。  国内の石炭鉱業は八次政策が終わった後には全く消滅してしまうのではないかという危機感が石炭関係者の間には強いのであります。石炭鉱業は国の基幹産業として、国策として存続を図るという政策がぜひ必要であると考えます。  以上、反対の理由を申し述べて、反対討論を終わります。

大木浩自由民主党

○大木浩君 私は、自由民主党を代表して、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対しまして、賛成の討論をいたします。  今後五年間の我が国石炭政策の基本となる第八次石炭政策は、本年四月から実施されますが、この基本的な考え方は、集中閉山を回避し、地域経済、雇用への影響を緩和しつつ生産規模の段階的縮小を図り、五年後に約一千万トンの供給規模にしようとするものであります。  本法案は、この第八次政策を実行に移すものであり、我が国の石炭産業の体質を強化しつつ今後の存続を図るためのものと言えます。  以下、我が党として、本法案が現在の石炭産業にとって必要不可欠のものであると判断する主な理由を申し述べます。  理由の第一は、本法案に基づいて新設される貯炭管理制度であります。この制度は、内外炭価格差による過剰貯炭により圧迫される石炭企業の経営を救済し、円滑な生産縮小を可能にするため、一定量の過剰貯炭を買い戻し条件つきで買い上げるもので、石炭企業に規模の縮小までの時間的余裕を与えるものであり、この結果、いわゆる雪崩閉山を防ぎ、産炭地域経済への著しい影響を回避することができます。  理由の第二は、本法案に基づいて創設される石炭鉱山規模縮小交付金制度であります。本制度は、円滑な生産規模縮小を推進するため、一定規模以上の生産規模の縮小及び人員削減を行う炭鉱に対し、賃金債務見合い額の二分の一を交付する制度であり、これにより石炭企業は生産規模の縮小に際しての債務負担が軽減され、安心して縮小に取り組むことが可能となります。  理由の第三は、本法案の廃止期限を第八次政策に対応して五年間延長させることであります。この結果、第八次政策の期間中も、従来と同様に本法に基づく種々の貸し付け、交付等の業務が行われることとなります。  以上申し上げましたとおり、本法案は、鉱山労働者に対する賃金債務見合い額の交付等を規定した現行法に加えて、現下の状況に即応した新たな救済政策も盛り込まれたものであり、国内炭の今後に向かって新たな展望を開き得るものと言えましょう。  我が国の石炭産業の置かれている立場は厳しいものがあり、その前途も決して楽観を許される状況ではありません。しかしながら、我が国に存在する数少ない資源の一つである石炭の役割を考慮するならば、第八次政策と本法案を車の両輪として、官民一体となって合理化努力を行い、可能な規模におけるその存続の方途を探っていくべきであります。そのためにも本法案の速やかな成立と遅滞なき施行が必要であると強調して、本法案に対する賛成の討論を終わります。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本法案は、中曽根総理が昨年四月、その実行をアメリカに公約した前川リポートの「国内生産水準を大幅に縮減する方向」を具体化した第八次石炭政策を法律化するもので、エネルギーの自給率が異常に低下している今日の状況のもとで、貴重な民族的資源である国内炭を放棄しようとするものであり、断じて容認することはできません。  第二は、第八次石炭政策が指向するなだらか閉山なるものも、しょせんは閉山であり、炭鉱労働者、家族、地域経済に深刻な影響を与えるものであります。今求められているのは、国内の石炭産業の擁護、発展であり、本法案はそれに逆行するものにほかならないからであります。  第三は、エネルギー資源の確保を流動的なコストの問題のみで対応しようとしていることであります。エネルギー政策の最も重要な課題の一つは、自主的な供給基盤を守って、国民への安定供給を確保することであり、日本の国民経済が今後多量の石炭を必要としているとき、そのために重要な国内資源の保護、振興を図ることは国の当然の責務であると言わなければなりません。  そのほか、炭鉱閉山に際しての企業の社会的責任があいまいにされていることや、閉山した炭鉱を抱えた地域経済に対する対策が極めて不十分であることなどもあわせ指摘し、反対の討論を終わります。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私は、ただいま可決されました石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府はわが国石炭鉱業がおかれている厳しい実情にかんがみ、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、貯炭管理制度が速やかに発足し、その機能が十分発揮されるよう監督指導するとともに、必要な資金の確保に万全を期すること。  二、閉山の集中を極力回避する観点から、国内炭の需要の適切な確保に努めること。  三、石炭鉱山の規模縮小による固定費等の増嵩が経営基盤の過重な負担にならぬよう配慮すること。  四、炭鉱保安対策のより一層の充実について、万全を期すること。  五、石炭の長期的・安定的な需要を確保するため、石炭利用技術の研究開発が引き続き強力に推進されるよう対策を講ずること。  六、石炭鉱業における生産体制の段階的縮小による地域経済社会への影響を極力緩和するため、雇用機会の確保、地方自治体の財政対策、産炭地域振興対策等地域活性化対策に万全の措置を講ずること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田村通産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通産大臣。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ただいまの御決議の趣旨を体しまして、今後とも石炭政策に全力を尽くしてまいる所存でございます。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私は、ただいま可決されました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、特に、次の諸点について適切な措置を講すべきである。  一、第八次石炭政策期間中における炭鉱の閉山、縮小によって増加が予測される炭鉱離職者につき、雇用機会の確保、再就職のあっせん等の対策を強化するとともに、就職促進手当、職業訓練等援護措置の拡充についで検討するなど雇用対策に万全を期すること。  特に、当面三菱高島炭鉱の閉山に伴う炭鉱離職者の就職援護対策を強力に推進すること。  二、炭鉱閉山に伴う退職金・賃金等の未払い分を含めた労務債につき円滑な支払いが確保されるよう必要な指導を行うこと。  三、炭鉱離職者の子弟の転入学が円滑に行われるよう配意すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、平井労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平井労働大臣。

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存であります。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する趣旨説明は先ほど聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 本法案の一部改正が提出された背景につきましては、これからいろんな角度から質問を行いたいと思います。しかし、やはり今日の日本の経済と世界経済の動向が密接に関連しているということではないかと思います。  そこでまず、国際経済の動向について伺いたいと思うのであります。  現在の世界経済にとって最大の問題の一つは、言わずと知れた日米貿易アンバランスと思うわけであります。この不均衡が世界全体に今日保護貿易主義を台頭させており、大変好ましくない傾向が深まっております。昨今の急激な円高、先ほどからもありましたように、きょうの午後の時点で百四十九円四十銭ということでございますが、これは我が国の貿易黒字を本格的に削減をするということがぜひ必要だという証拠でございまして、通産当局は、この円高下における昨今の貿易動向、今後の貿易黒字の見通しについてお聞かせを願いたいのであります。  ちなみに二月の通関統計では、輸出超過額は七十一億三千百万ドル、二月としてはこれまでの最高を記録しております。また、米国におきましても、商務省の統計では、昨年十二月、第四・四半期では貿易赤字は三百八十三億ドルに達し、これまた四半期ベースでは過去最高の赤字を記録しているのであります。  政府の従来の説明では、Jカーブ効果によりまして今ごろでは既に貿易のインバランスも解消していると目されたのでありますが、一向にその改善は見られないままで、むしろ各国からの非難や要請が高まってきておるわけであります。失業者の面でも既に三%に達しております。こういうことではいわゆる一昨年の円高誘導政策というものは完全に失敗したと言わねばなりません。したがって、この点についての大臣の所見を伺いたいのであります。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 一昨年九月のG5におけるドル高是正の合意は、当時の主要国間の対外不均衡の状況及び為替レート、これの状況にかんがみれば、その当時としてはそれ自体は適切であったと思います。しかしながら、投機的な思惑も加わりまして、その後の為替レート調整は余りにも急激に進み、我が国産業を苦境に追い込んでおることもまた事実であります。この一年半余の間の円高の進展にもかかわりませず、これまでのところ確かに貿易黒字は縮小するに至っておりませんが、これはドル金額ベースでの輸出におけるJカーブ効果や輸入における原油等の価格の下落によるものでございまして、数量ベースでは輸出は減少傾向、輸入は増加傾向にございます。これまでの円高により、今後貿易黒字が縮小に向かうことが期待される状況となっております。また他方、これまでの円高の進展によりまして、製造業を中心とした我が国産業、とりわけ輸出依存度の高い産地型中小企業や下請中小企業の多くが深刻な影響を受けていることは事実でございます。  今後におきまして、為替レートについては、我が国経済の基礎的諸条件を反映し、かつ産業界の合理化努力を前提として、その健全な発展を可能とするようなレートの実現と、それによる安定を図るべきであると考えております。  このため、通産省といたしましては、先般のG7合意に基づく強力な協調介入を期待いたしますとともに、内需拡大のための思い切った総合経済対策を早期に実施すべく準備を進める必要があると考えております。同時に、先進各国の政策努力、特に米国において財政赤字の削減等を現実のものとすることを強く要請いたしたいと思っております。こうしたことによりまして、一層の円高の回避と円レートの安定を図るべく今後とも全力を挙げてまいりたいと思っております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 特に今、大臣が後段の方で述べられたアメリカの双子の大きな赤字、これを削減することにアメリカ自身が努めなければならない、これはもうかねてから言われてきていることでございます。グラム・ラドマン法ですか、ああいう法律までつくって努力をしておることはうかがえるのですけれども、膨大な軍事費を抱えているアメリカだけになかなかそれがはかばかしく進まない。一方、日本の売上税とは違って、レーガン流の大幅な所得税、法人税減税等断行しつつありますので景気浮揚を期待しているわけですけれども、その割には景気の改善が進んでいない。去年は特に中間選挙があったということもあって、ことしからの景気回復が期待されているわけですけれども、そういう状況ですから赤字削減ということはそう目立っては進まないのではないか、そういうふうに危惧されるわけです。  先ほどの御答弁にも、それと裏腹の関係でドイツとか我が国における内需拡大、さらにはもっと突っ込んで言えば、その裏には財政支出を積極化して、日本よ、景気を拡大してほしい、こういう期待が含まれておるわけであります。  今、円高一つとってみましても、六十二年度予算の審議が遅滞をしておることは御承知のとおりですけれども、既に大臣もきのう衆議院の委員会で御答弁されているようですけれども、思い切ってこの予算と並行してというよりも、予算の成立の前にでも、やはり後藤田官房長官が言っているように、総合経済政策、対策というものの大筋、概要はひとつ発表するというぐらいのことをやるべきだし、恐らくそれがなくては中曽根さんはアメリカへ行ったって全く相手にされないだろう。私は、後ほど申し上げたいが、この輸出保険の改正にしても一つのこれは手土産の意味がある、こういうふうにも目しているんですね。だから、日切れ法案でこれ急いで出してきているんじゃないかと思うんです。こんなもの日切れじゃ必ずしもないんで、非常に私はけげんに思っておるんですけれども、それは余談としまして、もう審議に入っていますから嫌みを言う気はありませんが、そういうことで何かにつけて日本の対応がおくれておる、しかも消極的だということが相手方からも言われているわけであります。  私は、今の国際的な経済、特にアメリカを軸とした国際的な経済あるいは日本の置かれている今のファンダメンタルズとよく言うんですけれども、そのファンダメンタルズを見方を変えて言えば、これは大変大きな期待をされている日本のファンダメンタルズなんだ、こういうふうに見るわけです。  最近ある経済専門家は、第三の経済危機だなどと厳しい見方を発表しているんですね。その第一の経済危機というのは、かつての明治維新に続くところの経済改革。明治維新といえばやはりこれは外国からの一定のインパクトを受けた時期であり、一つの国内抜本改革でしたね。それに続く経済改革というものは日本にとっては一つの経済の危機であった。第二の危機というのは、いわゆる一九二九年の金融恐慌に端を発する経済危機、これはまさしく国際的な規模での危機であって、十月の二十四日、暗黒の木曜日、こう言われてきたわけでありまして、そのインパクトを受けて日本も大きな恐慌に見舞われたわけであります。それに次ぐのが今回だ、あるいはそれ以上、その過去二回よりも大きなクライシスだ、メガトン級のクライシスだ、こういう見方をするわけなんですね、その専門家は。  しかし、それを考えた場合に、私も昔のことを十分承知はしませんが、昔の経験に立って今回のこの局面を見れば、我が国の持っているファンダメンタルズというものが非常に良好であるがゆえに、この国際的な経済のクライシスという傾向に対してその果たす役割、責任が非常に大きいと思うんですね。もちろん、IMFやとか世界銀行やとかいろんな国際的なスタビライザーがありますから、昔とは状況が違います。また、首脳会議等も必要によって開かれてきてますし、そこで協議をし討議もできますけれども、そういうことを考えたときに、日本がやはり思い切って、今の現実に引き戻して考えれば、積極的な内需拡大策をそれこそ清水の舞台から飛びおりるような思いでやらなければ、この第三の危機と言われるものを本物にしてしまう、そういう危険を私は感じているわけであります。  その専門家のいわくは、一九二九年の金融大恐慌の当時、そういう事態が来るということは可能性としては一〇%だ、こう言われていたというんですよ。ところが、その恐慌が、その一〇%が当たっちゃったわけなんですね。当たっちゃった。だから、一〇%だからといってゆめゆめおろそかにするわけにはいかない。今日の国際、国内経済状況を見てみると、もう先ほどからも言われているとおりでございまして、土地の投機、株の投機、金余りがそれを支えている。確かに大臣も今おっしゃったようにJカーブ効果、多少緩んできて数量ベースでは輸入が二割ほどふえている、輸出は減っている、これも事実でしょう。逆に言えばそれは国内の生産が減っているということですから、まあ雇用問題にもしたがって厳しく波及をするに至っている、これが今日の事態なんです。こういうふうに考えてくると、その専門家は似通った点が非常に多いということを言っているわけですね、過去の恐慌期と。  そういうことを考えると、これからの日本の経済というもの、あるいは経済政策、財政政策というものは非常にそういうグローバルな視野で一定の責任を果たしていかなきゃならぬ。こういう意味で非常に重要な立場に今立たされている。私はそういうふうに思っているわけでございまして、これについて特に見解を求めるということじゃありませんけれども、アメリカの赤字の改善という事態について、日本側は果たしてどういうふうに今まで主張をし、要望してきているのかということなんです。これは私は前の予算委員会でもやっているんですけれども、明快な答弁ありません、中曽根総理大臣からも。もっと言うことを言うべきじゃないのかということがあるはずなんですよ、我々から言えば。  特に私が最近頭にくるのは、アメリカの方は多少国内の競争力が弱くなったから日本の輸出をたたくだけではいけない、日本を非難するだけではいけないと、反省の色が出ていますよ、確かに。しかし一方で、議会ではもう貿易の保護法案が続々と提出され、一部は可決されましたね。最近に至っては富士通がフェアチャイルド社を買収しようとしたら待ったがかかったでしょう、国策に反するということで。これはかつてはフランスの会社なんですよ。それがフェアチャイルドを買収したんです。そのときは何も言わぬで、今日本がそれをやろうとしたら反対しちゃった。こういうことはけしからぬと、日本の政府も声を大にして言わなきゃならぬと私は思うんだけれども、そういうことを一向に言ってない。まあ少し余分なことを補足しましたけれども、大臣御感想いかがですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局長

○政府委員(村岡茂生君) 通産大臣のこの国会におきます所信表明の冒頭に、我々は不均衡と不安定の時代に住んでおる、こういうような一節がございまして、これはまさに福間先生のおっしゃる我々の有する不安感というものを見事に表現したものであろうと私ども思うわけでございます。  この不均衡と不安定から脱却するために各国が協調してやらなければならないメニュー、先生御指摘のとおりでありますが、しかしながら、私どもは累次米国に対して財政赤字からの脱却ということを強く求めている。明確な返事がなかったとおっしゃいましたけれども、累次求めておる。ついこの前に東京で行われましたサブ・キャビネット・ミーティングにおいてもそうでございますし、あるいは二月にパリで行われましたG7でございますか、6でございますか、この中においてもアメリカは自己の財政赤字を早期に解消するということをコミットしていると、こういう状況にあることはぜひ御理解賜りたいと思うのであります。  御指摘の富士通とフェアチャイルドの問題でございますが、本来本件はビジネス上の問題でございますが、御存じのとおり、私どももこれについて非常に強い遺憾の意を表明したというのは記憶に新しいところでございます。当事者の話し合いの最中に、米国政府部内の責任ある者が本件について妨害するがごとき発言を行った、我々は特にこれを遺憾とするところでございます。  米国の巨額の貿易赤字というものを背景にいたしまして、今、日米貿易摩擦というのは非常に厄介な局面に差しかかっております。保護主義的な貿易法案、これも下院、上院、政府案と三本がそれぞれテーブルの上にのり、下院案修正のHR3につきましては、現地の時間で二十五日に下院の歳入委員会を通過したところでございます。我が国といたしましては、累次大臣が申し上げておりますように、一層の内需拡大、市場開放、輸入拡大、経済構造調整といった基本的な方針のもとにできる限りの努力を行っていきたいと、こう考えておる次第でございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 大体今の通政局長のお答えで尽きておるわけでございますけれども、政治的な側面については、役人は言いづらいことでございますから私から若干申しますと、日本がまずすることをする、やるべきことをやるというのが先決だと思うんです。  それは要するに、円高であろうとあるいは国内の景況の問題であろうと、すべて内需の拡大というものが解決の根本に横たわっておるわけであります。ですから、この内需の拡大策をとにかくやる。私はもうすぐにでも並行的に策定の作業に入ってこれを表へ出していったらいい、野党もきっと御了承願えると、こう言って発言をしておるわけです。官房長官は衆議院でも通った後なんて新聞に出ておりましたけれども、私はもう緊急避難行為としてどんどんやるべきだと。そして日本が大きな中身の濃い内需拡大策を打ち出して、そしてアメリカに対して財政赤字、これは大きなものですが、それからアメリカの産業、経済力の強化ということを強く求めていく、まず自分がやることをやって強く求めていく。  特にアメリカの場合は、日本のように政府だけを相手にしておっちゃいかぬのです。アメリカの議会は大変な力があって、例えば政府は議会に対して提案権がないんですよ。ですから、与党の議員の名をかりて議員立法で出す。もうすべて議員が力を持っているというような状況でございますので、私は通政局長以下に言っておるんでありますが、向こうのいわゆる日本流で言えば族議員にもどんどんと接触してコミュニケーションを濃密にしろということを言っておりますが、まず何といっても日本がなすべきことをなさねばならぬ。それは内需の拡大である、総合経済対策の大きな中身の濃いものを早く策定することであると、このように考えております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 大臣の姿勢やその言やよしと言いたいところで、大変積極的な意欲を感じまして、これは敬意を表したいと思います。  ところで、具体的な中身ということになりますと、これが問題でありまして、一般に公共事業の大幅な前倒しというふうなことだとか、あるいはまた民活だとか、あるいは規制の緩和、これも積極的にやるというようなことが言われるわけですけれども、その考えはそれとして、さらに具体的にそれを裏づける中身ですね。それは財政の出動をどの程度の規模でどの時期からやっていくかというようなこともありますし、民活といいましても、大きなプロジェクトを二つ三つあちこちでやるだけじゃだめなんでありまして、私たちの考えではもう広く浅く、先ほどの話じゃないですけれども、四全総とは言わない、各地域フロックの個性に見合ったやはりインフラストラクチャープラスアルファの事業を計画、実行するということが一つです。  とりわけ私は、その発想の中に大臣ひとつ、これは建設省の方のことに類するのでしょうが、日本の住宅政策、これをやはり徹底的に改革する必要がある。特にもう都会では土地対策がその前提として大問題ですけれども、これも事態の方が進行しちゃって、一坪一億円もするような土地が出るようじゃ都会では個人の住宅なんというのは考えられない時代になってきているわけです。したがって、そういうことを前提にしますけれども、いずれにしたってウサギ小屋なんかと言われるような批判を受けないためにも、本格的な住宅、それを我が国の重大なポリシーとしてやっていく。  その延長線上で実はちょっとお聞きをしたいんですけれども、中曽根総理がおととしでしたか、一人百ドル買え、輸入品を買え、こういうことをおっしゃってキャンペーンを張られたんですけれども、さほどの効果は上がらなかった。首相が言わんとすることはわかるんだけれども、単価の安い品物ばかりを念頭に置いた話でありまして、大体日本の各家庭でも満ち足りている商品、製品、そういうものに類するものが多いわけでございまして、なかなか効果が上がらなかったというのも無理からぬところなんです。考えようによれば、だからもっと単価の高いもの、例えばJALやANAが使っているような航空機、ジャンボ機とかDC10とか、あるいは中型のエアバスなどというのは全部海外から輸入していますが、これは本当に限られていますわ、金額におきましても、数量におきましても。そうじゃなくて、もっと国民生活にかかわる、層の厚い市場で大型の商品を日本人が購入するというふうなことになれば、これはかなりのインバランス緩和に効果があると思うんですが、その一つに住宅があるということを指摘する人が実はおるわけです。  それは上智大学の猪口先生、女史なんですけれども、この女史は、大型店の出店を規制してコンビニエンスストアなど売場面積の極端に小さい店がそれぞれ必要最小限の国産品を一通り置くよりも、大型店の規制をむしろ緩和して、大店舗の面積を広げて、地元の零細商店と調和を図るために、大型店には零細商店の品ぞろえと競合しない輸入品の品ぞろえを一定の割合で義務づければ、消費者、零細商店にとっても利益になるのではないかと。その商品対象に個人住宅ですね。住宅ですよ。住宅そのものですよ。これは建ったものを持ってこいというわけではないんですけれども、日本でも最近は近代的なプレハブ、ツーバイフォー工法等いろんなシステムの住宅がありますけれども、日本的じゃなくて、アメリカならアメリカ的なもの、ヨーロッパならヨーロッパ的なものを持ち込んでくる。向こうの規格のものを持ち込んでくる。それを大店舗に一定の数量で販売を義務づける。こういう提言をされているんでありまして、これは私一つの考え方だと思うんです。  先ほど指摘したように、国内の住宅政策を本格化する、その延長線上で住宅そのものも輸入をしていく、こういう政策に切りかえるべきだ。切りかえるというよりそういう発想を追加すべきだと、こういうふうな提言があるんですけれども、きのう担当官に私は、ちょっと問題が問題だから見解をまとめといてくれと、こう言うときましたけれども、いかがですか。

浜岡平一通商産業省生活産業局長

○政府委員(浜岡平一君) ただいま先生御指摘の考え方は、私どもも基本的には大変傾聴すべき点があると思っておりますし、これが具体化していくことは大変望ましいことではないかと思っております。  住宅の輸入という概念をどう理解するかでございますが、私どもなりに考えてみますと、やはり外国で設計された概念に従っているということ、第二番目に外国でプレカットされた部材等が利用されていること、第三番目に設備機器等がやはり輸入品によっていること、こういう考え方のもとに部材とか設備機器が輸入をされまして日本で組み立てられる、こういう考え方ではなかろうかと思うわけでございます。  現在の日本の住宅様式、海外の住宅様式で比べてみますと、先生御指摘のとおり、一番可能性がある分野はツーバイフォー工法の世界ではなかろうかと思うわけでございます。数字を眺めてみますと、確かに海外でプレカットされました木材等の輸入額は、最近の五年間におきまして、八二年の一億四千万ドルから八六年の二億七千万ドルまで、かなり大きく膨らんできておるわけでございまして、可能性というものを示唆しているように思われます。この大部分は日本の住宅メーカーが海外でプレカットされた部材を利用しているという状況だろうと思うわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような概念に従いました住宅の輸入の可能性というものを示唆しているんではないかと思うわけでございます。  現在、全体の住宅建設の中でツーバイフォーが占めております割合は、過去五年間に約一%から二%まで上がってきております。年間で約三万戸ぐらいの建設が行われているんではないかと思うわけでございます。今申し上げました概念による輸入額というのは、多分毎年一千戸に達しているかどうかというような状況じゃないかと思うわけでございまして、工夫のいかんによりましては拡大の可能性が十分あろうかと思います。ちょっと大き過ぎるんじゃないかとか、あるいはシステムキッチン等の背が高過ぎるんじゃないかとかという問題もございますけれども、ニーズも非常に多様化いたしておりますので、十分可能性はあるんじゃないかというぐあいに思うわけでございます。いろいろな好みがございますから、義務づけるというところは大変問題があろうかと思うわけでございますが、あらゆる機会を利用してみるべきだというぐあいに思います。そういう意味で、現在取り組んでおります輸入拡大要請会議などの場も積極的に活用いたしまして、関係方面に呼びかけてまいりたいというぐあいに思っております。前向きに検討いたしたいと思います。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 この問題は、輸入を拡大をするという観点での一つの提言でありまして、今の御答弁で、一応そういう問題意識でお調べをいただいているようですから、それはそれで結構だと思います。私も、義務づけると言ったのは、売れないものを大型店舗といえども商売としてやるわけにいきませんが、しかしそういうものを扱うということを義務づけるという、売れないことを責任とれとは申してないんですけれども、そういう方向に行くことが国内の住宅メーカーのいわば仕事の仕方も私は変わってくると思うんですね。  かつて省エネ問題がクローズアップしたときに、私は当委員会でも言ったんですよ。下手したら火事のいくような石油ストーブを個々の家の部屋に置いたり、電力のむだ遣いにつながるようなクーラーを個々の部屋に置いたり、そういうこと自体を変えなきゃ本来の省エネにはならない。それはまず入れ物の住宅のあり方から変えなきゃいけない。それにふさわしい冷暖房機器、集中的なものをつくるということにしたがってならねばならないというようなことを指摘したんですけれども、同じ発想で今アメリカあるいはヨーロッパの住宅というものを取り入れることによって、外地で生活経験をした人、それはやはりそういうものに一種の共感を覚えるでしょうし、あるいは最近の若い人たち、これだけ外国にたくさんの人が行っている時代ですから、そういう人たちにとってもそれは一つのやはり夢でありターゲットになると思うんですね。それに刺激されて国内のまた住宅産業のあり方もインパクトを受けるわけですね。  そんなことで、国内輸入を拡大するというための一例として申し上げたんですけれども、こういうふうな発想、小さな物をたくさん買えと言ったってそれは限界がありますので、もっと大きな物を輸入する。大きくは飛行機ですが、それに近いものを民生レベルでかかわり合いのある製品を輸入する。この一例を申し上げたわけでありまして、今の御答弁は聞き置いて、ぜひひとつこれは考えていただきたいと思います。  時間がありませんので、法案の内容にちょっと入ります。五つ六つお聞きをしますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。  第一は、前払輸入保険並びに仲介貿易保険の創設について発展途上国の強い要請がそこにはあったのかどうか。それはまた、発展途上国の輸出を増大させる上で実質的な効果があるのかどうか。  第二点は、海外投資保険の拡充に際しましては、約款の条文やら損失算定基準、少しこれはきつ過ぎるんじゃないかと言われておるんですが、この明確化と、現行の制度の整備にも努めるべきではないのか。  第三は、再保険の新設によりまして輸出保険特別会計に負担を及ぼすことにはならないか。  第四は、輸出金融保険が廃止されるわけですが、これによって中小の輸出業者への悪影響は出ないのだろうか。  さらに第五は、現在輸出保険特別会計の収支が悪いと聞いていますが、資金運用部からの借入金が増大をしておりますし、これについての対策はお考えになっているのかどうか。  一応、以上お聞きします。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) まず第一点の前払い輸入、それから仲介貿易制度に関するLDC、発展途上国からの要請があったのかということでございますが、例えば大臣がこの前ASEAN諸国を訪問されました際に、スハルト大統領がこれを評価したというようなことがございまして、事務的にもいろいろそういう声がございまして、発展途上国はこれを評価しているわけでございます。  その仲で、輸出増大をさせる上で効果があるのかという点でございますが、前払い輸入を保険制度にのせますと、やはり前払いをしてお金が返ってこないというリスクが軽減されますので、そうしますと、その前払いをして発展途上国の生産金融をつける、前貸し金融をつけるというようなことになってまいりまして、そして彼らの輸出商品ができてまいりますので、したがって輸出増大に寄与するわけでございます。  それから、仲介貿易保険の場合に彼らの輸出振興になるかという点でございますけれども、これは無論日本がA国から買ってB国に出すわけでございますので、そのA国の方の輸出振興にはなるわけでございます。B国の方は輸入になっているじゃないか、こういうことでございますが、しかし水平分業と申しますか、B国も要らないものを買うわけではございませんで、輸入をして必要なところに使う。また、B国のものをまたC国に売るということもございますので、全体として拡大均衡に向かうというふうに考えているわけでございます。  それから第二点の御指摘は、海外投資保険の中の約款とかあるいは損失算定基準というようなものが厳し過ぎるのではないかという御指摘でございました。  損失算定基準につきましては、現在主に損失算定は二つの方式で考えております。一つは、総投資額から回収したお金を差し引くという方式でございます。それからもう一つは、事故が起こる直前と直後の簿価を比べて、その直後の簿価が減っておればそれを損失と見ようという方式でございます。  御指摘のように、特に後者の方でございますけれども、事故が起きたときに、例えば戦争のような事故でございますと一遍に資産が破壊されるわけでございますから、直前は簿価が百であったものが直後は例えば五になってしまって、そして損害は九十五であるというふうに明確に出てまいるわけでございますけれども、信用危険のような場合には、例えば破産の直前と直後というのは、破産しますときにはそれまでに相当資産が減ってしまっているわけでございますので、だから破産の直前はもう相当低い数字、例えば先ほどの例で申し上げると、例えば二十とかそういう数字になっておりまして、それで直後というのも余り変わらないということで、したがって差し引きで見てもゼロになってしまうというようなことがありますものですから、今回、海外投資保険のうちの信用危険の部分、ここのところはこの法律改正の中で手当てをさしていただいております。しかしながら、その部分は手当てをいたしておりますが、それ以外の部分について手当てがし切れていない、むしろ法律事項じゃない点もございますので、御指摘を踏まえて合理的なものにしてまいりたいと考えております。これは約款のマターになると思いますので、合理的なものにしてまいりたいと思っております。  それから第三点の御指摘は、再保険制度を今回導入することによりまして輸出保険特会に財政上の大幅な負担が出るのではないかということでございますが、そのようなことのないように再保険料率その他で十分配慮をしてまいりたいと思っております。  それから第四点の御指摘は、輸出金融保険がこの提案によりますと一年後に廃止ということになるわけでございますけれども、それが中小企業に悪影響を及ぼさないようにということでございまして、輸出金融保険、現在そう利用率の多い保険ではございませんが、中小企業が利用もしておられますので、この廃止によりましてそういう悪影響がないよう経過措置その他について、一年経過措置を置きましたけれども、今後十分ほかの国内金融等で面倒が見ていけますように配慮をしてまいりたいと思っております。  それから最後の御指摘は、輸出保険特別会計の収支が非常に悪いという御指摘でございます。  現在の状況では、借入金が大ざっぱに申し上げて二千億円ぐらいあって、そして回収金、保険料収入、その収入の方が九百億円くらいしかないという状況でございますので、確かに資金収支は悪化しているわけでございます。しかしながら、この収支が悪化しましたのは、発展途上国等におきます原油を初めとする一次産品価格の下落等によりまして外貨収入が激減をした、その結果支払いの繰り延べ、いわゆるリスケジューリングが要請される国がふえてきまして、そしてリスケジューリングになりますとこれは事故事由でございますので保険金を払わざるを得ないわけでございますが、その保険金の支払いがふえているわけであります。実績の完全に出ております六十年度で申し上げまして保険金支払いが千六百六十五億円ございますが、そのうち千四百六十億円、すなわち約八八%がリスケジューリングに伴う保険金の支払いということになっているわけでございます。  ただ、これは今申し上げましたような債務繰り延べ措置でございまして、これはあくまでも繰り延べでございますから支払い打ち切りというわけではございませんで、今後はしたがいまして回収金が増大をしてくるということが一応期待できるわけでございます。したがいまして、同時に途上国の輸出努力というものもあるでしょうし、そういったことでこれら諸国からの回収金の増大ということは期待できるわけでございます。そういうことで、一時的には借入金に依存をしながら特別会計の運用をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 再保険の新設によって特別会計に負担を及ぼすことにならないか、こういうふうにお聞きしたんですが、もう一つ抽象的でございましたが、今回の改正によって全般的に保険の財政の収支が悪化する心配というものはないのかどうか。現状、今のリスケの話も出ましたけれども、保険財政が大幅に悪化しているというふうに聞いているんですが、それは支払いの打ち切りじゃないんだと、こういうお話のようですけれども、今回の改正でその収支の見通しというものについてはある程度計算をされているんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、どういうふうに考えられますか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 今回の改正によります収支の見通してございますけれども、まず新種保険三つ導入をさしていただこうと思っているわけでございますが、この三つ導入をさしていただく新種保険の収支見込みについて申し上げますと、そもそも保険収支の均衡を図るために一番大事なことは、大数の法則が働くということ、数がいっぱい、母数がいっぱいあるということでございます。  それで、今のところは、現在は非常にさっき申し上げましたようにリスケジューリングみたいな、支払い繰り延べみたいなのが国単位で起こるわけでございます。国単位で起こりますと、国の数というのが世界で百数十というようなことでございますものですから、百数十分の幾つというようなことで保険事故が起きてくるということで、非常に大数の法則が働きにくいわけでございます。  ところが、今度導入をさしていただこうとしておりますこの三種の保険は、どちらかといいますと比較的短期の保険が多うございます。前払いにつきましてもそうですし、仲介貿易につきましても期間としてはそう長くないものが多うございますし、それから投資ということでございます。短期とか投資とかというものは、国際的に一応リスケジューリング、支払い繰り延べの対象外にすることが多うございます。対象にする場合もございますが、対象にしない場合が多うございまして、したがって先ほどのリスケジューリングが起きても、こちらの方はリスケじゃなくて払ってくれるということが期待できるわけでございます。したがいまして、少なくともこの新種の保険を導入することに伴って輸出保険特会が赤字がふえていくというようなことはないというふうに考えているわけでございます。  以上が新種の保険についてでございますけれども、それらを織り込みまして、一体中長期的に収支見込みがどういうぐあいになるのかということでございますが、現在は先ほど御指摘のように借入金が相当出ております。六十年度の借入金が七百四十億円ございます。それから、六十一年度の借入金の、これはまだ実績が出ておりませんけれども、これが二千二、三百億円になろうかと思います。それから、六十二年度は三千三百億円ぐらいにもなろうかということでございますし、六十三年度は三千六百億円ぐらいに達するということでございますが、後は先ほどの回収金が入ってくるというような効果も織り込んでまいりますると、次第に借入金の規模も減ってまいりまして、まあ今から数えて五、六年後には借入金もしないで済むというような収支の見込みを一応計算さしていただいているところでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 収支は、一応現状はお聞きをしておきますが、累積債務国が大変な今財政状況に落ち込んでいるわけですね。その影響というものは、私は少なからずあると思うんです。しかも、その累積債務国の状況が、支払い停止に見られるように、目の先改善されるとは思えない、だから、非常にその点で危惧を感じておるから今お聞きをしたわけですけれども、数年のうちには借入金なくてもやっていけるようになるということですが、私はちょっとそれはまだ疑問なんですがね。しかし、それはお聞きをしておきたいと思うんですけれども、今の御答弁を前提とすれば、この保険事業をこれから運営していくために基盤を強化する上で料金率の引き上げというようなことは考えなくていいと、こういうことですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 福間委員御指摘のように、収支見込みは確かにいろいろ不確定な要因がございます。  それで、今お尋ねの保険料率というものは、保険事業の収入が支出を償うように、俗に収支相償と言っておりますが、そういうふうに定めることとされております。それが昨今のリスケジューリングの頻発という事態に遭遇いたしまして保険金の支払いがふえているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、数年後には着実に回復に向かうというふうに考えてはおりますので、したがって今日ただいまこのリスケジューリングが頻発しているから、だから料率を引き上げなくちゃいかぬというふうには考えておりません。  しかしながら、それじゃ絶対に引き上げないでいいかということでございますが、それはやはり収支も不確定でもございますし、したがって今後の収支状況の変化も見ながら慎重に判断をさせていただきたいというふうに思っております。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 保険料率の引き上げはなるべく避ける方が望ましいということを要望しておきたいと思います。  時間が来ましたから最後に、輸出保険特別会計に対しまして二十年ぶりに十億円の追加出資が今回行われるわけでございますが、事業の規模に比べて出資金、資本金が決して多くないんじゃないかなという感じが一つはするわけですが、いずれにしましても今回十億の追加が行われて、それが保険引き受けの停止ないしは制限している国のうち、極めて臨時的な措置として引き受けを再開するために使うのではないかとも言われているんですけれども、この点はそういうことで理解していいのかどうか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、約二十年ぶりで十億円の出資増ということになったわけでございますが、これは今お尋ねのように、特定の債務国が非常に健全な再建計画をつくってまいりまして、仮に輸出保険を日本なら日本、ドイツならドイツが打ち切ってしまいますと、それが理由でほかのニューマネーもその国へ入ってこないというような事態も想定されるわけでございます。  そういう際に、健全な再建計画が提出されているのであれば、例外的にそういう打ち切りを行わないで輸出保険を供与し続けていこうということが考えられるわけでございますが、そういたしますと、他方の原則であります収支相償という原則の方が少し危うくなってまいりますので、それに備えて基盤を強化するために出資をしようということでございます。ですから、おおむね今福間委員のお尋ねになったとおりでございます。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 終わります。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 きょうは長い委員会の時間でございますから、大臣、お体の方は大丈夫でしょうか。——それならば安心して質問をいたします。  同僚議員からも今質問されましたけれども、現在我が国が莫大な貿易黒字を出しておりますし、一方においては、先日もブラジルから見えましたけれども、途上国の債務の累積問題があることは御承知のとおりでございますけれども、それぞれの解消というものは広く国際的に要求をされているところであります。あすは産業構造転換円滑化臨時措置法案の審議もありますから、その際に円高対策についてはお尋ねをするといたしまして、本日は最初に、法案とも関連する発展途上国のこの債務累積問題、並びに最後に貿易黒字問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、この途上国の債務累積問題の背景について説明を求めるとともに、世界から言われている言葉、貧者からの贈り物を受けているとまでも言われている我が国といたしまして、この問題にどう対処をしていくのかお伺いをしたいということが第一点でございます。  それから、金持ち日本と言われておりますけれども、それは御承知のとおりにあくまで民間企業における潤沢な資金のことを言うのでありまして、膨大な赤字国債を抱え込んでおります財政に今その機能の発揮を求めることはできない、こういう状況ではないかと思います。この我が国の潤沢な民間資金の途上国への還流を本格的に進めていくには、今回のような輸出保険制度における対応ばかりではなく、もっと幅広く対応すべきではないかと思いますけれども、最初に通産大臣にお尋ねをいたします。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 我が国といたしましては、貿易インバランスの解消を図るための措置、まず第一に思い切った総合経済対策の実施を一日も早く、より大きく、より中身濃くというものを実施する、これは当然のことであります。まずこれが基本になると思います。  それから、我が国の産業構造を国際的に調和のとれたものにしていこうという経済構造調整策を進めていく、これも当然のことだと思います。  それから、世界じゅうのよい製品を探し出しましてより多く輸入しようという製品輸入拡大策でございます。これはどうしてもやらなきゃならぬ問題でございますが、日本の製品というのが非常にすぐれておりますので、よほど努力をしてよりよき製品を探し出していかなきゃならぬだろう。  それから四番目は、こういう努力をしてもなお残る貿易黒字、これをどうするか。これがいわゆる累積赤字に悩んでおります途上国への還流ということになろうかと思います。  この累積債務国への資金、特にこれは民間資金ということになりますが、この還流に少しでもお役に立ち得るように、つまりリスクを軽減してあげるための措置として、今度御審議いただいております輸出保険法の一部を改正する法律案、すなわち貿易保険法案でございますが、前払輸入保険、仲介貿易保険の創設、海外投資保険の拡充など輸出保険制度の貿易保険制度への拡充を行う、こういうふうに考えております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 時間が非常に短いものですから、まとめて質問をしていきたいと思います。  輸出保険特別会計予算についてお伺いをいたしますが、まず輸出保険特別会計は御承知のとおりに大幅赤字になっておりますけれども、保険財政の現状と今後の見通しについてお伺いをしたい点が第一です。  第二点は、現在この厳しい財政事情にあるにもかかわりませず、六十二年度予算の政府原案におきまして、ただいまも質問が出ておりましたけれども、十億円の追加出資が認められましたけれども、その理由は何であるのか。  三番目には、通産省においては、この十億円については、額そのものは必ずしも十分ではないと思うけれども、発足以来二十年ぶりの大ヒットであると受けとめられているようであります。これで現在六十億ですから七十億円になったわけでございますが、今後輸出保険特別会計の運営に当たりまして、今回増額されました十億円をどのように有意義に活用していこうとされているのか。森清課長の講演された話の内容等を私読んでみました。聞くところによりますと、今年度末ぐらいまでにはおおよその成案を得たいとされているようでありますけれども、年度末を控えましてどのように内容が固まったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。  また、この厳しい財政事情のもとで六十三年度以降も引き続き出資を期待されているようでございますけれども、それは可能であるのか。増資の政策目的と確信のほどを伺いたいと思います。  そういう意味で、今同僚議員に対してもいろいろ質問に対して答えていらっしゃった点でございますが、輸出保険財政というのは借入金も大きく、厳しい状況にありますけれども、しかし我が国の国際的な立場を強調する今回の法改正の趣旨に照らして、特に途上国の保険引き受けの態度については相当の弾力を持たざるを得ないのではないかと私は思うんですけれども、この点いかがでしょうか、あわせてお答えいただきたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 第一に、保険財政の現状と今後の見通してございますが、保険財政は保険金の支払いがほぼ二千億円ぐらいの規模でございまして、他方、保険料回収金の収入が九百億円ぐらいということでございまして、資金収支は悪化しているわけでございます。これは発展途上国等におきまして、原油価格の引き下げを初めとします一次産品価格の値下がりで外貨収入が減少して、これによってリスケジューリングが起こったということで、それを事故事由とする保険金の支払いがふえているということが大きな理由でございます。先ほども御説明申し上げましたように、例えば六十年度で申し上げますと、千六百六十五億円の保険金支払いのうち千四百六十億円が債務繰り延べによる支払いということになっているわけでございます。  今後の見通しということでございますが、これは繰り延べでございまして、支払い打ち切りというわけではございませんので、ですから今後返ってくるだろうということが期待されております。現に今までの返ってくる率は八七%は返ってきているわけでございます。それから、今後この保険制度それからその他の制度を通じまして途上国の外貨獲得能力を増していこうということを私ども考えておりますので、そういうことで保険の収支は改善をしてくるのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから第二点のお尋ねの、今回二十年ぶりにつきました十億円の増資の理由、それからその活用方法、そういった点でございますが、プラント輸出等の中長期の信用供与は相手国の経済社会開発に貢献するものでございますが、輸出保険事業は収支相償の原則で運用をされておりまして、高リスク国の案件を何らの財政的な措置もなく引き受けてしまうということは非常に難しいわけでございます。そこで、特定の、メキシコならメキシコというような債務累積国が国際的な要請に従いまして健全な再建計画を策定して、適切な経済開発や貿易を進めようとしている場合に、そういう場合にその保険の引き受けをやや緩和をいたしまして、そのための資本として一般会計から十億円を計上する、こういう考え方でやっているわけでございます。引き受け緩和の対象といたしましては、中長期的な経済成長の確保で再建が可能であって、かつIMF等との協調によって再建を順調に進めている国のプロジェクトを考えておりますが、詳細な点につきましては、今後の情勢等見まして具体的に検討してまいりたいと思っております。  それから、その次の六十三年度以降の増資の見通しあるいは考え方という点でございますけれども、御案内のとおり、今保険事業の引き受け規模は約十兆円でございまして、それに比べてこの十億円入れる前の資本金が六十億円という現状でございますので、私どもとしては、先ほどのような意味合いではございますけれども、こういう状況にも対処するために十億円を計上したところでございまして、保険事業の財政基盤の現状からしますと、今後ともこういうものを強化するということは絶対に必要だと思っておりますので、その運営基盤の充実を一生懸命図ってまいりたいと思っているところでございます。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕  それから、途上国の債務累積国に対しては保険引き受けの弾力化を行うべきじゃないかという御主張でございまして、これはまことにごもっともな御指摘だと考えるわけでございますけれども、御案内のとおり、輸出保険、法律上収支相償の原則ということで、支出は収入が賄うようなものじゃないといかぬということであります。これは、一面では無論財政基盤の健全化ということが目的でもございますが、他面では、この原則を外しますと、やはり輸出振興措置であるというような、輸出に補助金が出ているんじゃないかとか、そういうことも言われますものですから、したがって収支相償で行っていくことが必要なわけでございます。  しかしながら、先ほどの十億円の例のときに申し上げましたように、特定の債務国で国際的な要請に従って健全な再建計画をつくる、そして輸出保険を認めないとほかのニューマネーも入ってこないというような状況にあります国につきましては、余りに収支相償原則に固執しますと角を矯めて牛を殺すようなことになりますので、そういった外国への資金フローを抑えないために、そういうものについては御指摘のように引き受け基準を若干緩和をいたして、日本からの資金の還流が目的どおり進むように考えてまいりたいと思っているところでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 次に、この改正案についてお伺いしたいと思いますが、第一番目に、前払輸入保険が創設されますが、輸入代金の支払いについて後払い取引から前払い取引がふえてきているという実情でありますけれども、これをどのように見ていらっしゃるのか。また、そういうことになった理由は何であるのか。前払い取引の今後の見通しはどうであるのか。特に、前払輸入保険の創設によりましてこの前払い輸入がどの程度今後促進できると考えていらっしゃるのか。また、この輸入国、輸出国それぞれにどのようなメリットがあると考えていらっしゃるのか。いまさき同僚議員の質問もありましたけれども、この点もうちょっと詳しくお尋ねをしたいと思います。  第二番目には、現在、前払い輸入にかかわる回収不能金はどの程度発生しており、前払輸入保険に対する業界のニーズはどのようなものであるかということもお聞かせをいただきたいと思います。  それから三番目には、前払輸入保険制度の創設に伴いまして、これまでの輸出保険の信用調査に加えまして海外の輸出業者の信用度を十分にチェックしなければならない段階に来ているのではないかと思いますが、それに対してどう対応するつもりか。また、我が国輸入業者の前払い金の回収、返還がなされていないことをどのように確認するのか。ここらあたり、非常に難しい点でありますけれども、どのように対処されるのかをお伺いしたいと思います。  四番目に、前払輸入保険の創設によりまして輸入者のリスクが軽減されまして、特に個人輸入における安易な輸入がふえるとするならば、これは我が国ばかりでなく輸出国にとっても好ましいことではないし、この点、通産省としてはどのように対応していくのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 第一点の、前払い輸入のふえてきた理由あるいは今後どの程度ふえていくのか、そのふえてきた背景はどうかという点でございますけれども、前払い輸入は、最近の数年間で見てまいりますと、五十七年度が八十七億ドル程度であったわけでございますけれども、六十年度に百十二億ドルへとふえておりますし、六十一年は、四月から十一月までの年度途中の数字でございますが、既に六十一億ドルになっておるということでございまして、おおむね輸入の一割を占めるまでになっているわけでございます。この背景は、やはり我が国でやや資金の供給が潤沢になってまいりまして、発展途上国の方では資金不足ということでございますものですから、その発展途上国の方に資金を供給した方が我が国の資金を有効に使うことができるということでふえてきているものだと考えられます。  今後どの程度増加するのかということでございますが、私ども、過去の平均伸び率が一一、二%でございますので、一応当面はそれぐらいのスピードで伸びるだろうというふうに考えております。この保険をつくることによってどれだけ伸びるかということはなかなか測定が難しゅうございますけれども、こうした前払い輸入の伸びの勢いをとめないためにぜひこのリスクをカバーしてまいりたいと思っているわけでございます。  それで、前払い輸入が輸入国、輸出国にいかなるメリットがあるのかということ、そういう御指摘がございましたが、輸出国は、主としてこれは発展途上国であろうかと思いますが、債務累積問題の深刻化に伴いまして資金的余裕が乏しいわけでございますので、前払いによってそういう資金不足が補完されますると、それに伴って生産なり加工なり集荷ということが円滑に進むということが期待されるわけでございます。それから、輸入国である我が国としましては、無論そういうものが発展途上国から取得できるという点、そして輸入ができるということもございますし、個々の企業レベルの話としては、輸入価格をそれによって引き下げることを期待することがそのインセンティブになっているかと思っております。  それから第二点の御指摘は、業界のニーズはどうかという点でございますが、これは私ども独自の調査で調査対象企業を調べてみますと、その約五割の企業が関心を持っておるということでございます。  それから第三点に、海外輸出者の信用調査をどういうふうにやるのかという御指摘がございましたけれども、これは現行の輸出保険の場合に海外バイヤーの商社名簿というのがございますけれども、あの信用調査と同様に海外の信用調査機関を通じての信用調査をやりましたり、あるいは我が国の輸入者からの海外輸出者の信用調査報告書を取り寄せる、あるいは財務諸表を取り寄せるというような、ことで行うことといたしております。  それで、それをどうやってチェックを具体的に回収なんかのときにしていくのかという点でございますが、これは輸入者が海外の輸出者に対して十分督促をし、あるいは必要な場合には裁判所へ提訴をする、あるいはその海外の調査機関への取り立て依頼を行うというようなことを、ジェトロとか在外公館とかいろいろ機関もございますので、そういった第三者機関を活用いたしまして十分チェックをしていこうというふうに考えているわけでございます。  それから第四点といたしまして、保険を頼りにして安易な前払い輸入、なかんずく個人輸入がふえるのではないか、そういう御指摘でございまして、これは重要な点であろうかと思いますが、私どもといたしましてはこのてん補率で輸入者の利益までは補償しないようにしますれば、保険金をもらった方が輸入者に利益が出ちゃうというようなことにしないように十分工夫をいたしましておけば、一応この保険に伴って保険をかけた方が得だということで安易な輸入をするインセンティブが除かれるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  とりあえず以上でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 時間もありませんから最後にまとめて質問をいたしますけれども、仲介貿易につきまして、実績と仲介貿易保険の創設に伴う仲介貿易の今後の動向の見通しについてお尋ねをいたします。  それと同時に、これは発展途上国自身の自前の輸出保険制度を創設させてあげることも大事ではないかと思いますけれども、ここらあたりに対してもお考えをお示しいただきたいと思います。  それと、海外投資保険の拡充につきまして、今さっき同僚議員からもちょっと御質問がありましたが、運用していく基本方針を簡単にお答えいただきたいと思います。  それから、再保険制度の創設につきましては、再保険制度の創設の政策的意義をどのように考えていらっしゃるのか。  また、輸出金融保険の廃止についてその意義を伺うとともに、影響の緩和をどう図っていくのかお答えをいただきたいと思います。  最後に、通産大臣に貿易保険への衣がえの機会に黒字の縮小並びに貿易摩擦の解消について一段の努力を求むるとともに、貿易保険制度の運用に当たる大臣の決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 第一点の仲介貿易の実績と見通してございますが、実績は六十年度で四十四億ドルぐらいでございます。    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕それが六十一年度は六十六億ドルぐらいに受領額ベースで見ていこうかというふうに考えております。今後はこの保険制度もできますので、従来の伸び率よりはふえるかもしれませんが、私どもの見通しはとりあえず五%ずつぐらい伸びていくというふうに考えておるところでございます。  それから第二点は、途上国の輸出保険制度の創設という方が本筋じゃないかということでございますが、確かに途上国で、例えば中国とかフィリピンとかタイとか、そういったところは輸出保険制度を有しておりません。そこで、私ども輸出保険は昭和二十六、七年来ずっとやっておりますので、そうした技術をこうした国に教えてあげるということを考えているところでございます。  それから第三点は、投資保険の運用の基本方針ということでございますが、御案内のように、現行の投資保険では、戦争ですとか、収用ですとか外貨送金制限ですとかいった発展途上国の政府のとる措置に対する危険をカバーしているわけでございますが、今回は改正をして、それに加えて投資先企業の破産というようなコマーシャルの危険、信用危険、そういったものもカバーさしていただきたいというふうに思っているわけでございます。現在でもこの信用危険につきまして資源開発分については対象になっているわけでございますが、今度は資源開発に加えて製造業とかそういったものも対象にしていきたいということでございます。  そこで、信用危険までカバーいたしますと、保険金を求めた偽装倒産といいますか、そういうものが出てくるおそれがあるわけでございますが、それを防ぎますためには、まず第一にてん補率を、通常のは九〇%とか九五%とか九七・五%とか、そういう高い率になっておりますが、このケースにつきましては五〇%というようなことにいたしまして、したがって投資者自身のリスク負担がやっぱり残りの五〇%あるというようなことにひとつしたいというふうに思っております。それから、事故の事由も破産ということに明確に限定をいたしまして、ただ経営の状況が悪くなったというようなあいまいなことではなくて、破産というふうに明確に限定をいたしまして、裁判所の公的関与が必要になるということで、したがって偽装倒産が困難なような状況にしておきたいというふうに考えているところでございます。  それから、再保険について御指摘がありましたが、これは他の保険機関、まあアメリカにもイギリスにも政府の保険機関があるわけでございますが、これとのリスクの分散を図っていくということで考えておりまして、対外取引のリスクが増大している現状では、そうやってお互いにリスクを分散いたしますと保険機関の相互の健全な運営にプラスになるということでございます。特に、MIGAというような国際投資保証機関ができましたので、こういったものの再保険、あるいは国際コンソーシアム型海外建設工事、あるいはYXの後のYXXのような国際共同開発による航空機の販売、そういった国際協調型事業における再保険なんかを念頭に置いているわけでございます。  とりあえず以上でございます。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 各種の新種保険の導入によりましてこの保険法が衣がえをいたしたわけでございます。これを機会に諸般の問題を取りまとめ、累積赤字に悩む発展途上国の方々にも喜んでもらいたい。と同時に、我が国の黒字の解消、そしてそれが適切に円高不況にいい意味でのはね返りがありますように、そしてそれが日本の産業、とりわけ中小企業に対してよき福音をもたらしますように懸命の努力をいたす所存でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 初めに、輸出保険の中小企業の利用状況についてですが、保険全体の引き受けの金額ベースでどれぐらいになっているのかお伺いします。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 輸出保険の中小企業の引き受け状況でございますが……

市川正一日本共産党

○市川正一君 金額ベースで、率だけで結構です。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 中小企業が、仮にその定義が中小企業基本法の定義ということでございますと、恐縮ですがちょっと統計がございませんけれども、十億円以下の企業をとりあえず対象にいたしたもので申し上げますと、保険金額ベースでは六・四%でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私もいただいた資料いろいろ勉強さしていただきましたが、全体で中小企業の利用率が六・四%と。そういう実態から見て、今回の改正が前払い輸入あるいは仲介貿易、海外投資も、結局利用できるのは大企業が中心にならざるを得ぬのだというふうに私は考えるんですが、具体的にお聞きします。  現在は資源の開発輸入以外については、中身はもう説明しませんが、非常危険しかてん補しておりません。ところが、今回の改正では製造業について破産などの信用危険にまでてん補するように範囲を拡大しております。そうですね。ということは、これによって先進国向けの海外投資にもこれを使用することが可能になったと思うんですが、間違いありませんか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 先進国向けについても排除をいたしておりませんので、法律的には可能でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 ですから、法律的には可能であるということは実際にもできるということでね。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ええ……

市川正一日本共産党

○市川正一君 ええってあなた、できるんですよ。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 実際にできるかという問題でございますが、発展途上国の場合は比較的そのリスクが乏しい信用リスク、信用危険というもの——信用危険といっても相手方の企業の危なっかしいという問題もありますが、その信用危険につながっていくような客観情勢というのもありますもんですから、そういった客観情勢が発展途上国に比べて先進国の方は少ないというようなことがございますので、法律的には可能でございますが、実際上はそう先進国へ向けての投資がこれによってカバーされるということはないのではないかというふうに私どもとりあえず考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私が聞いているのは、今度はそういうふうにいわば信用危険にまで広がった、当然それは先進国向けの海外投資にも使用できるんですなと聞いたら、そうやと言うから、そうでしょうと言っているだけのことで、だから使えるわけですよ。  そこで問題は、ちょうだいした資料を見てみますと、海外直接投資実績の推移が出ております。これによりますと、製造業への投資では、対先進国と対LDC、発展途上国ですが、これを比べてみますと、昭和五十五年は先進国へ千五百五十三億円、対LDCは二千三百十五億円だったんですね。そうでしょう。六十年では、先進国へはその二・四倍の三千七百二十四億円、対LDCは一八・五%マイナスの千八百八十七億円となっていると思いますが、間違いございませんか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 間違いございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 つまり、投資が発展途上国向けから先進国向けに逆転しただけやなしに、金額の上でも半分以下になってしもうているわけですね。投資の流れが今や先進国向けにシフトしてきているということを私はこれ示していると思うんです。これで果たして今度のこれが発展途上国向けのためのものやというふうには、私はこの事実、この数字はそうは言えぬと思うんです。  現に私は、時間がないんで議論を進めていきますが、例えば財界は、私経団連の文書持ってきましたが、去年の二月に対外直接投資の促進についてこう言っております。海外投資保険の充実等によるカントリーリスクの軽減ということを要求しているわけですね。こうした財界の要求にこたえて、今度の法案の土台になっておるのが去年十二月の輸出保険審議会の答申だと思うのですが、その答申自身こう言っております。「海外投資保険の信用危険のてん補対象投資の拡大のように、諸外国に例をみないものもある」というふうに述べているわけですね。私はこれでも先進国向け、かつ大企業優先であるということを否定なさるのは無理だと思うのですが、いかがですか。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 市川委員御指摘のとおり、過去の投資が先進国向けに伸びて、そして発展途上国向けに停滞しているのは事実でございます。そこで、私どもが考えておりますのは、その事態を放置いたしておきますと、先進国向けにだけ投資が伸びて、そして発展途上国向けには投資が停滞する。そこで今、信用危険をてん補対象に加えることによってそうした流れを少しでも変えていきたい、発展途上国向けの投資が信用危険に伴って撤退した事例が非常に多いものでございますから、そうした流れを少しでも変えていきたい、こういうことでこのような御提案をさしていただいているわけでございます。  それから今御指摘の、これは諸外国に例を見ないものであるということは事実でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 これは発想があべこべか、わかっていてちょろまかしているのか、問題はそこなんです。問題は、なぜあえてあなたも認められた諸外国に例を見ないような優遇措置をとるのか。  重要なことは、今日の大企業の異常な海外投資の増大です。とりわけ、一九九〇年代に自動車のアメリカ、カナダでの二百万台現地生産、それから電機のヨーロッパや韓国、台湾での生産、さらには国内で高炉五基を廃して一万九千人の合理化を進めている新日鉄も、アメリカで今度自動車鋼板を九〇年から年間百万トン生産するなどが既に明らかにされています。このように我が国の重要な生産拠点がどんどん海外に逃げていきよるし、移っていきよるんです。  そして、伺いたいのは、こういう産業のいわゆる空洞化が進んでいってどうなるかといったら、通産省が十一日に発表された調査報告によると、八七年度の海外現地生産の伸びが二六%になり、その結果、毎年失業者が二十万人ずつふえて、九○年には失業率四%と予測するという見通しを出していらっしゃるんですが、この見通しは通産省発表の文書ですが、間違いございませんか。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) このまま放置すればそのようになるであろう、こういうことでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 放置すればって、どんどん拍車がかっていますやないか。私、事柄は国の基本的な産業経済政策にかかわる問題なので、幸い大臣今お答えになったんで伺いたいんですが、こういう海外投資というのは必然的に新しい経済摩擦をやっぱり僕は生むと思うんです。同時にまた、国内の産業の空洞化、失業者の増大、中小企業の倒産、そして廃業というのを招くのは、私これ必定やと思うのです。このままほうっておいたらといって、実際にはこれどんどん進んでいるし、そして今通産省の見通しというのは私はむしろ控え目やと思う。しかし、自動車にしろあるいは電機にしろ鉄鋼にしろ、どんどんそういうふうに進んでいることに対して、政府としては、通産省としてはどういう措置をとろうとなさるのか。私は必要な民主的な規制を行うべきであると考えますが、この点いかがでしょう。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 今のままでそれじゃ放置しておいたらどうなるかと、裏返して言えば。黒字はどんどんふえるわ、そうすればますます円は高くなるわ、そうなると企業はいよいよ苦しむ。その企業の中でも中小企業にそのしわは寄るわ、これはかわいそうですわ。ですから、これを何とか助けなきゃなりません。でございますから、まず我々は、さっきも申し上げましたように、いろいろな幾つかの方途を講じる。まず第一が、大きな内需拡大策をやる。これはもうすぐにもしなきゃいかぬ。それから輸入の増進だ、構造調整だ。と同時に黒字をいかに還流するか。  もう一つは、これは市川さんにぜひ聞いてもらいたいことですが、私はASEAN諸国へ行きまして、それは途上国が日本の企業をどれだけ誘致したいと待ち望んでおりますか。私はもうそれを頼まれまして、それでそんなこと言われてもといって——ところが、さっきからおっしゃるこういう対策を講じればこそ、びびっておる中企業、小企業、中小企業が海外に出られるのと違いますやろか。大企業はこんなことしてやらぬでも出ていきますわ。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私、時間もうおまへんねんのや。あしたもまだありますんで、あしたいわば延長戦やりますけれども、もう時間ないんで本日の論戦の締めくくりだけ言っておきますけれども、さっき石炭問題でも大臣認められたように異常な円高やと。にもかかわらず日本の貿易黒字は減ってしまへんがな。ますますあなたふえてますがな。そういう状況のもとで、今海外に生産拠点づくりを進めているといういわば大企業は何でそういうことができるのか。結局国際競争力が強いんです。国際競争力が何で強いのやいったら、結局下請中小企業も含めて長時間あるいは低賃金、そういう強さに秘密があると思うんです。私は、大臣が内需拡大ということをおっしゃったけれども、本当の内需拡大は、こういう低賃金や長時間労働、ここに僕はメスを入れないとやっぱり解決しないと思うんです。それをほっといてどんどん海外に行きよると。言うならば企業栄えて民滅ぶというような空洞政策を僕は通産省としてはもっと直視して、やっぱり問題を見きわめるべきやということをきょうは問題提起をしておいて、ちょうど時間になりましたので、あしたまたゆっくりやらしてもらいます。  以上であります。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 私は、ちょうど輸出保険とともに貿易を三十何年間やってきたわけです。輸出保険というのは、自分でも実務もやりましたし、保険料の計算もやったし、非常に親しみを持っているんですけれども、親しみとともに非常に恨みつらみもあるわけです。まずその辺ちょっとお願いしたいんですけれども、その前に、もしもこの構想どおりこれが実施されるとすれば、私はこれはもう大変な画期的なことだと思うんですよ。さすが通産省だと、ほかのことは余り感心しないんだけれども、これは僕は大変な大ホームランじゃないかという気がするわけです。ぜひこの趣旨どおりやっていただきたい。額面だけじゃ困るんですよ。その辺をあと少し念を押さしていただきたいと思うわけです。  それで、具体的にお聞きしたいんですけれども、例えば今リスケの相手国に対する、例えば累積債務国で保険引受手がないのが二十六カ国ぐらいありますね。その国に対して、例えばアメリカの物をある日本商社が、極端なことを言えばブラジルに対してアメリカの飛行機なら飛行機を日本の商社が輸出するといったときに、こういう保険を、仲介貿易の保険を申請してきたら、引き受けるか引き受けないかはこれは条件にもよるんですけれども、原則としてというか、局長のフィーリングとして引き受けるようになるんですかね。その辺をまず聞きたいんですがね。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) ブラジルでございますが、ブラジルは、新聞紙上にもいろいろ出ておりますが、ああいうことで銀行の債権の利子につきまして不払いということでございまして、保険対象のものについては払わないということは言ってないわけでございますけれども、そういう状況で、しかもIMFその他の国際的な協調も一応拒否しておるということだもんですから、現在御設問のようなケースが出てきました場合には、そこはケース・バイ・ケースではございますけれども、なかなか認めていくのは難しいかなという状況でございます。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 一応常識的にはそうだろうと思うんです。その点については後から私の意見というかお願いを申し上げたいんですがね。  それで、そのまず前提に、今まで輸出保険に対する通産省のスタンスというのがあったと思うんですね。まず第一に、輸出保険は独立採算でなきゃいかぬという原則がありましたね。それから二番目が収支相償うということ。それから三番目は、各年度の保険金額を予算で計上して予算で縛られてしまう。それから、年度末になって予算が足らなくなると引き受けしない、引き受けを停止する。それから、今のブラジルのように、危険が非常に大きい国になると引き受けを停止する。この危険が大きいかどうかというのは、ウォーニングというんですか、今回のブラジルのようにある意味ではモラトリアムみたいな宣言をしたんならまだいいんですけれども、その認定が極めて通産省の恣意的といったらおかしいですけれども、我々よく納得できないような基準でもって、あの国はだめだとか、あそこの大臣は気に食わないからやめるとか、まあそんなことないと思いますけれども、そういうことで引き受けたり引き受けられなかったり、あるいは年度末になって予算がなくなったら引き受けないとか、そういうことがあって、我々実際にやっている民間の業者としては非常に困ったことがあったわけです。その辺は、これは具体的にどうこうということはお聞きしなくてもいいんですけれども、全体の考え方として今私が言ったような不便は除こうという方向に向いているのかどうか、その辺をお聞きしたいんですけれども。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 確かに輸出保険の運用につきましては、その支払いが滞るとか、今御指摘のような不透明なことがあるとか、いろんなことが指摘をされております。私ども、支払いが滞るところにつきましては、その事務の合理化その他によりまして迅速化をするように努めております。それから、できるだけ外側から見で恣意性がないように、恣意性がないと見えるように、そういうふうな運用をしたいと思っておりますが、ただ、どの国について引き受けてどの国について引き受けないというようなことをあらかじめ公表いたしますことは、その国の信用をいわば政府で格付するようなことになってしまいますものですから、そこをどうしても隠さざるを得ないという問題がございまして、外からごらんあそばしますと、どうしても恣意的だなというふうに思われるおそれがあると思いますが、その点はそういう事情があることを御理解賜りたいと思います。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 それで、私の経験から、これはそろそろお願いに入るわけですけれども、今まで例えば各国に、アメリカを初めブラジルもそうですけれども、輸出商社をつくるべきだということで日本もいろいろ協力したわけですけれども、輸出商社というのはそう簡単にできないわけですね。実際それも一つの原因としてなかなか輸出が伸びないということがあったと思うんです。今回こういうことを日本がやってやることによって、日本の商社が本当にその各国の産品を第三国に輸出するということが非常にできるわけですね。そういうことで私は、第三国に対する協力というものがもう画期的にできるんじゃないかと期待しているわけです。  そこで、保険を運用される立場としては当然のことなんですけれども、結論的に言えば、私ぜひ性善説に立っていただきたいと思うんですよ。先ほどのように、投資保険をやると意識的に倒産させるんじゃないかとか、例えば保険もらった方がもうかるから輸入のときにそういう保険をとろうとするんじゃないかというふうな懸念は当然あると思うんですね。特にお役人の場合それは強いと思うんです。ところが、実務を実際に担当している人間になりますと、倒産だとか回収不能だとか、特に大きな会社の中だと内部で怒られますから、損することよりも上から怒られることの方が嫌なわけですよ。だから私は、本能的に、意識的にそういうことをやる人というのはほとんどないんじゃないかと思うんですね。むしろそういう懸念、だから今度は大臣の方にもお願いせにゃいかぬのですけれども、例えば保険の担当部局が少々そういうことで失敗しても余り大臣が怒らないようにしていただかないと、窓口がシュリンクしちゃうとどうしてもこういうのが伸びないという点で、ひとつぜひ考え方というか姿勢をこの際ついでに改めていただきたいということなんです。  それで、時間がないものですからちょっと結論的なことを申し上げますと、今回のこういう改革というのは、私は非常にありがたい。しかし、これはただ単に日本のメーカーだとか商社のためだとか、あるいは日本の海外に進出している企業の安全のためとかなんとか、そういう観点じゃなくて、これはまた先ほどと同じでしつこいようですけれども、私は国家の安全保障として考えていただきたいということなんですよ。  今、先ほどから議論になっておりますように、貿易摩擦の問題が相当深刻になってきて、下手なことをすると袋たたきに遭う、大臣がうかうか外国に行けないぐらいえらい目に遭う、そういう事態に対して日本としてどうやるか。それは内需拡大とか輸入とか、あるいは海外経済援助をふやすとか、あるいはもっとひどいことを言う人は防衛費を伸ばすなんということを言いますけれども、それと同じように、日本が世界の中で孤立しないためにこれも一つ大きな手段だ。我々はこういうことで世界の貿易秩序あるいはその国の輸出に協力させていただきます、我々いろいろの方面で輸入も努力するけれども、やっぱり限界がある、しかしその一部をこういうものでもって補わさせていただきますということが私非常に大事じゃないかと思うんですね。  したがって、先ほど申し上げましたように、収支相償うんだとか独立採算とか、それも大事ですけれども、それよりも何よりも安全保障の方が大事だということをまず根本的に考えていただく必要があるんじゃないかと思うんですがね。大臣いかがでしょう。

畠山襄通商産業省貿易局長

○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように貿易摩擦が激化いたしておりますので、その中でしかしながら、輸入を拡大するあるいは輸出を特定の品目について抑えるということをいたしましても、どうしても黒字が残ってしまいまして、その結果世界から、お言葉をかりれば袋たたきに遭うような局面がないわけではないわけでございまして、したがいまして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、どうしても残ってしまうような黒字につきましては、民間の黒字でございますから、その民間の黒字をこういうリスクカバーを導入することによりまして発展途上国を中心に出させていただいて、今おっしゃった我が国の広い意味での安全保障にも寄与するということもねらいにさせていただいているわけでございます。具体的な運用といたしましては、先ほど御指摘のようにできるだけ性善説に立ちまして、ケース・バイ・ケースで前向きに、弾力的に、硬直化しないで運用をやってまいりたいと考えております。

木本平八郎サラリーマン新党・参議院の会

○木本平八郎君 もう時間がないので、結論的に一つお願いしたいんですけれども、要するに今までの輸出保険なんかの考え方というのはやっぱり日本が中心、それで日本と相手方というふうなことでやってきたわけですね。それが今、局長からもお確かめいただいたように、日本が世界の中における役割としてこういうものを担当するということになってきている。それで私は、世界の中において日本の役割というのは、表現は悪いですけれども、今まで日本は世界のメーカーとしてきたと思うんですね。ところが、今後は世界の中の三次産業になっていくと思うんですね。保険というのを一つの三次産業と考えれば、メーカーから三次産業、保険に移っていくというふうなことで運用していただきたい。そして世界秩序、貿易秩序をうまくやるために、このままほうっておくとあるいは縮小均衡になるかもしれないし、あるいはモンロー主義が出てくるかもしれないし、あるいはもっとひどい経済恐慌になるかもしれないというふうなことで、そのための日本としてやっていく一つの手段である、役割であるというふうに考えるべきじゃないか。ぜひそういうことで大臣、今後国際的ないろいろな場に出られると思いますけれども、まあ口幅ったい言い方ですけれども、世界をやっぱりリードしていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺大臣の御所見を承って私の質問を終わります。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 率直に言っておっしゃるとおりでございます。最近私は、海外へ行く場合も、それから毎日のように外国の大臣だれか来ますが、会うのも実に憂うつなんですよ。まず多かれ少なかれ文句を言う。中には公式に私のところへやってきて、警告をしておくとかいうような大臣までおるわけですよ。そういう関係もありまして、日本はやはり、もちろん日本の国内の経済の安定を図ることが最大限目ではございますけれども、それがイコールとりもなおさず国際的な日本の協調の姿になっていくということになれば幸いなことで、そういう意味できょうのこの法律案もお願いをしておるわけでございますが、これからもまた何かとよろしくお願い申し上げます。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、輸出保険法改正案に対し反対の態度を表明いたします。  反対理由の第一は、経済構造調整研究会報告等に基づき、大企業の海外投資、製品・部品輸入、三国間貿易を一層促進するため、大企業のリスク負担を軽減するものであるからであります。  我が国の輸出保険制度は、世界最大の引き受け規模を誇り、また最も低率の保険料率となっていますが、この恵まれた制度が大企業による貿易黒字拡大の支援策となってきたことは質疑の中でも明らかにしたところであります。  本改正案は、大企業のリスク負担をさらに軽減しようとするものでありますから、日本の大企業の多国籍企業としての繁栄を支援するものと言わざるを得ないのであります。  第二に、産業の空洞化を進め、労働者、中小企業、地域経済に深刻な打撃を与えるからであります。  今日でさえ大企業は、異常円高を前提として生産拠点の海外への移転、製品・部品輸入の拡大等によって、労働者の人減らし、中小企業の経営悪化、倒産、廃業の激増等をもたらし、国民や地域経済に重大な打撃を与えておりますが、その急速な促進につながらざるを得ないからであります。  第三に、投資摩擦、貿易摩擦の一層の激化を招くからであります。  現在、我が国の海外投資保険制度は、世界に類例を見ない有利な制度でありますが、これを発展途上国のみならず先進国への投資にも拡充することは、まさに今日の大企業の投資行動に完全に対応したものであります。そのことは、日本の大企業の海外進出や海外直接投資は発展途上国からもまた欧米からも批判を生んでいるもとで、これをさらに激化することになるからであります。  この際、保険制度の大原則である収支相償の原則に立ち、保険収支の悪化を是正するためにも、保険料の適正化、審査の厳格化など運用面での改善を図ることを要求して、討論を終わります。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  輸出保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。

福間知之日本社会党・護憲共同

○福間知之君 私は、ただいま可決されました輸出保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     輸出保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、以下の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、保険引受件数の増加に伴う事務量の増加及びリスケに伴う保険金、回収金の査定事務の増加が今後も予測されることにかんがみ、事務体制の充実強化を図るとともに、保険事務手続の一層の合理化、簡素化に努めること。  二、海外投資保険については、保険の適用対象となる投資形態及び損失算定基準の客観化、明確化に努めること。  三、輸出金融保険の廃止にあたっては、中小の輸出業者に悪影響を与えないように十分な配慮を行うこと。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 多数と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田村通産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通産大臣。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、本法案の適切な実施に遺憾なきを期してまいる所存でございます。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 次に、産業構造転換円滑化臨時措置法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田村通産大臣。

田村元自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田村元君) 産業構造転換円滑化臨時措置案法につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国貿易収支の黒字幅は、昨年一年間で九百二十七億ドルにも上っております。このような大幅な対外不均衡の是正を図り、我が国経済の中長期的発展基盤を確立していくためには、我が国産業構造を国際的に調和のとれたものに転換していくことが極めて重要であり、我が国経済構造調整の主要な柱の一つとなっております。産業構造転換の動きは、円高の急速な進展、定着を背景として最近加速されつつありますが、これに伴い一部の業種に属する事業者について、事業規模の縮小による雇用問題の発生等種々の問題が生じております。また、事業規模の縮小等を迫られている事業所に依存する度合いの高い地域を中心に地域経済の状況が悪化しております。  本法律案は、このような我が国経済の状況にかんがみ、産業構造転換の進展に伴って生じつつある産業活力の低下、雇用問題の発生、地域経済の悪化等に対し適切な対策を講ずることにより産業構造転換を円滑化することを目的として立案されたものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、内外の経済的事情の著しい変化により、生産能力が著しく過剰となっている設備を事業の用に供する事業者について、その新たな経済的環境への適応を円滑化するための対策であります。この法律案ではこのような事業者を特定事業者とし、特定事業者は、新たな経済的環境への適応のため、特定設備の処理及び設備処理とあわせて行う事業転換に関する事業適応計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができることとしております。事業適応計画の承認を受けた特定事業者に対しては、設備処理のために必要な資金の借り入れに係る債務保証、設備処理に伴う除却損に係る欠損金の繰越控除期間の延長、事業転換に対する金融上の支援、事業転換に必要な生産設備の特別償却等の助成措置を講ずることとしております。  また、同一の業種に属する二以上の特定事業者は、設備の処理その他の新たな経済的環境への適応措置を円滑に実施するため、生産の受委託、合併等に関する事業提携計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができることとしております。事業提携計画の承認を受けた特定事業者に対しては、生産の受委託等に必要な設備に対する特別償却、合併等に伴い必要となる登録免許税の軽減等の助成措置を講ずることとしております。  第二は、産業構造転換の進展により事業規模の縮小等を迫られている事業所に相当程度依存しているため、経済及び雇用の状況が著しく悪化している地域に対する対策であります。この法律案では、このような地域を特定地域として政令で指定し、特定地域の経済の安定及び発展を図るため、種々の対策を講ずることとしております。具体的には、特定地域の経済の活性化と雇用の安定等を図るため、地方公共団体等が出資して行う事業に必要な資金に係る出資及び低利融資を行うための利子補給、特定地域における工場等の新増設等に対する低利融資を行うための利子補給、特定地域において新しい産業を興すために必要な資金の借り入れに係る債務保証等の措置を講ずることとしております。  最後に、以上の対策を講ずるために、現在の産業基盤信用基金の業務を拡充し、特定事業者が行う設備の処理のために必要な資金の借り入れに係る債務の保証、特定地域の安定等に資する事業に必要な資金の出資その他の産業構造転換の円滑化に必要な業務を追加するとともに、あわせて名称を産業基盤整備基金に変更する等所要の規定の整備を図ることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、衆議院において本法律案につき一部修正がなされておりますので御報告いたします。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員与謝野馨君から説明を聴取いたします。与謝野馨君。

与謝野馨自由民主党

○衆議院議員(与謝野馨君) 産業構造転換円滑化臨時措置法案の衆議院における修正について御説明申し上げます。  御承知のとおり、本法律案は、我が国をめぐる厳しい経済環境に対応して、産業構造を国際的に調和のとれたものに転換していくことが重要であることにかんがみ、その円滑化を図るための措置を講じようとするものであります。  その具体的な内容として、特定事業者が、事業適応計画または事業提携計画を作成し、主務大臣の承認を受けた場合に、金融、税制上の支援措置を講ずることが大きな柱となっております。  ところが、計画を申請する場合の記載事項には、労務に関する事項が規定されておりません。  言うまでもなく、これらの計画で行われる特定設備の処理、事業転換等及び事業提携は、経営の根幹にかかわるものであり、当然労働者の利害に大きな影響を及ぼすものでありますので、計画を申請する場合の記載事項に、計画の実施に伴う労務に関する事項を明示することが必要であります。  以上が修正の趣旨であります。

前田勲男自由民主党

○委員長(前田勲男君) 御苦労さまでした。  以上で説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は明日に行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会      —————・—————

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