産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/03/04
会議録
○会長(浜本万三君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨三日、橋本孝一郎君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。 また本日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。 —————————————
○会長(浜本万三君) 産業・資源エネルギーに関する調査を議題といたします。 本日は、内需拡大対策並びに円高・構造調整下の雇用対策及び地域経済対策に関する調査のため、雇用促進事業団雇用職業総合研究所所長氏原正治郎君、横浜国立大学教授岸本重陳君及び東京女子大学教授伊藤善市君の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本調査会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。 議事の進め方といたしましては、まず三十分ずつそれぞれ御意見をお述べいただきまして、その後一時間三十分程度委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。 それではまず、氏原参考人からお願いを申し上げたいと存じます。
○参考人(氏原正治郎君) 私が今御指名にあずかりました氏原でございます。 本日、私に円高下の雇用問題について三十分ほど参考意見を述べる、こういうことでございますが、これは今日明確なことをお話しいたしますことは大変難しいことでございます。と申しますのは、一つは六十年九月のG5以来、当時二百四十円台でございました円の価値がその後急速に低下いたしまして、このところ百五十円台で推移いたしておりますが、大変先行き見通しが難しいということもございまして、企業もこれに対する対応を立てておられるところもございますが、立てかねておられるところもたくさんあるようでございます。 こういう客観的な事情が一つございますのと、いま一つは、私の研究所でもこの点についての研究を始めておりますが、実のところまだ研究の途中でございまして、我々の間でもはっきりした方向を見きわめているわけではございません。でございますので、ここで申し上げることは、私といたしましても暫定的な考え方をお示しするというふうに御了解いただきたいと思います。 そこで、経緯は皆さん御存じのとおりでございますが、先ほど申し上げましたように昭和六十年の初めごろから円の対ドル相場が上昇しつつあったわけでございますが、特に九月のG5以来急速な円高をたどることになりまして、今日では百五十円台、こういうことでございます。いま一つは、日本と関係の深い韓国、台湾等の開発途上国、いわばNICS諸国でございますが、の通貨価値が、これはドルリンクでございますので、円は対ドル相場で上がったと同時に、韓国ウォンなりあるいはNTドルに対しましても割高になってきた、こういうことでございます。 こういうことで、第一番目に日本の産業に与えました影響といたしましては、日本の経済成長の一つの柱でございました輸出産業、なかんずく造船業、鉄鋼業、それからさまざまな輸出雑貨がございますが、そういう輸出雑貨、また、これは割と競争力がございますので直ちに大きな影響を得ているわけではございませんが、自動車産業、それから電気機械産業などの輸出産業が、輸出価格が上昇したということによりまして、最近でございますと数量ベースで見ましても輸出が減少傾向にございます。 それからまた、先ほど申し上げましたように、近隣諸国との関係で申し上げますと、日本の競争力が相対的に減少したわけでございますので、対米輸出が減少すると同時に、競争力が失われたということによる、減退したということによる影響がもう一つ出てきておるということでございます。 それからまた、貿易収支で見ますと、ドルベースで見ますと輸出はそれほど減ってはおりませんけれども、これを円換算にいたしますと減少しているわけでございますから、企業収益が悪化いたしまして、これがまた不況感を募らせているということでございまして、さらにこういう状況のもとで製造業関連の、殊に輸出産業関連の設備投資が冷え込んでいる、こういうことで一部の産業では余剰人員が発生してきているということでございます。 皆さん、新聞その他でも御存じのとおりだと思いますが、輸出産業でございます造船業、殊に造船部門のウエートの高いいろいろな会社でございますとか、ここでは既に余剰人員の希望退職者募集なども出てまいりましたし、それからまた鉄鋼業でもこの数年についての合理化対策をそれぞれ発表するという状況でございまして、またそれに関連いたします産業、例えば石炭業でございますとか、あるいは産業用機械産業などでも合理化を迫られている、こういうことでございます。 こういうことで、雇用問題がまず輸出産業とそれに関連する産業に影響を与えてきている。しかも今申し上げましたような輸出産業というものは、鉄鋼にいたしましても造船にいたしましても、あるいは輸出雑貨にいたしましても石炭にいたしましても、それぞれ特定の地域で企業城下町をつくっておりましたり、あるいは炭鉱町をつくっておりましたり、あるいは輸出産地を形成しているということでございますので、これは地域経済全体に影響を及ぼすということで、その地域にとっては非常に深刻な事態をもたらしている、こういうふうに判断いたしていいかと思います。 こういうような状況に対しまして、これらの企業がどういうような対応をとっているかということにつきましては、いまだに完全に我々がその情報を手に入れているわけではございませんが、一つは、こういう輸出価格が上昇したわけでございますから、これをなるべく低下させるための一層の合理化努力、合理化努力の中には新しい技術革新の推進を含むわけでございますが、それによってコストを低下させて対応しようとする動きがございます。これはこの前のたしか一九七七年、七八年の円高のときに日本の企業がとった対応と類似しているところでございます。 いま一つは、従来の製品をそのまま継続するということでございますと輸出競争力が、国際競争力が低下するわけでございますので、新しい技術革新を応用しながら高品質、高付加価値の非競争商品を開発しながら内需並びに外需、内外の市場開拓に努めようという努力をいたしているところでございます。 それからさらにもう一歩、これは類似のことかもしれませんが、従来の製品部門が先行き需要拡大の見通しが少ないということでございますので、現在持っている技術を応用、転用しながら関連分野に進出する。例えば、これは前から行われているところでございますが、製鉄業におけるエンジニアリング部門への進出を一層進めることでございますとか、あるいは従来技術を他分野に応用いたしまして新しい事業を始める。例えば製鉄業の一部分で新素材、例えば光ファイバーみたいなものの生産に進出するとか、あるいは情報システム産業に進出するなど、こういう経営の多角化を図り、業種転換をやりながら対応していくというのがいま一つのやり方でございます。 それからもう一つは、今まで円高のために輸出競争力が、国際競争力が低下したわけでございますから、低廉な原材料やあるいは中間財あるいは低廉な労賃を求めて海外に企業が進出する、あるいはまた市場に近いという利益を求めて海外に進出するとか、あるいは貿易摩擦の緩和のために海外に進出するとか、こういう計画を立てておられるところがございます。今まで既に進出しているところでは一部分海外生産を増加させておられるところもございます。国内の生産をそのために減少させているかどうかということにつきましては、明確な判断をいたすことは難しいということでございます。 これは企業が、企業といいましても輸出産業の企業がこういう円高に対しましてとってまいりました対応の主要な点を申し上げてみますと、以上のようなことではないかというふうに思っています。 そこで、こういうふうにして余剰人員が企業の中に発生したわけでございますので、これに対しましてどのような雇用に対する対応を企業がとってきたかということについて一言触れさせていただきますと、これは第一次オイルショック以来伝統的にとってまいりました対応策がございます。一つは残業の規制でございます。一つは新規採用の停止あるいは抑制でございます。これによりますと、退職者がございますので、いわゆる自然減耗政策でもって人員を削減させることができるということでございます。さらに配置転換を行いまして、この余剰人員の発生した部門から、大企業でございますといろんな製品をつくっておりますので、余剰人員の発生した部門もあれば人手不足の部門もございますから、そちらに応援配転を行うというやり方もとっておられるところが多数ございます。 それからまた、一時休業とでも申しましょうか、ローテーションでもって休業手当を払って従業員を休ませるという政策をとっておられるところもございます。中には深刻なところでは、新聞でも御承知のように、希望退職者を募集いたしまして余剰人員の減少を図っているところもございます。 以上申し上げましたのは、伝統的なと申しますか、大体第一次オイルショックの後に日本でほぼつくられてまいりました雇用調整の方法でございます。 今回の場合には、さらにこれが深刻化いたしておりますので、企業の中では、先ほど申し上げましたような事業転換やあるいは事業の多角化を行う過程の中で大規模なそして永久的な配置転換を行いましたり、出向と申しましても、普通の出向の考え方からいきますと一時出向してまたもとに戻るという出向が多かったのでございますが、出向してそのままその子会社なり別会社なりあるいは関連会社なりに移ってしまうという、言ってみれば移籍出向の形態がふえております。 あるいはまた、今までは出向と申しますと関連会社あるいはその企業の企業グループの中に限られていたわけでございますが、企業グループ以外のところでも今日人材を求めているところがございますので、そういうところに出向いたしましてその後その企業に移るというような、企業グループを越えた出向移籍とでもいいましょうか、そういう形が広がりつつあるということが言えるのではないかというふうに思います。 今後、こういう今までありましたような第一次オイルショックなり第一次の円高なり、あるいは第二次オイルショックの後に日本の産業構造が転換するに際しまして行われたようなさまざまな企業の雇用対策は、より範囲を広げながら強化されていくのではないかというふうに予想しているところでございます。 ところで、以上申し上げましたところは、円高の影響のマイナス効果を直接に受けました輸出産業について申し上げたわけでございますが、他方では円高にはプラスの効果もございますので、この面については余り多くのことが言われておりませんし、それがどういう形で浸透しつつあるかということにつきましても明確ではございませんけれども、そういう産業がございます。 例えば、プラスの効果と申し上げますと、円高によって、日本の製造業は原料や中間財に依存する程度が非常に高いわけでございますから、輸入原材料価格、中間財価格が低下するわけであります。これが生産コストの低下につながり、価格を低下させるという効果を持っております。またさらに、その輸入の最終消費財の価格も低下するわけでございますから、これもまた日本の国民生活にとっては低廉な価格で円の購買力が高まるわけでございますからそれだけプラスになったと言っていいかとも思います。ただ、数量ベースで見てみますと、輸入は増大いたしておりますが、それがそれほど多く増大していないというところに一つ問題がございますが、これは余談でございます。 そこで、このような円高利益を受けているような産業におきましては、先ほど申し上げました円高不利益を受けている産業に比べますと企業の業績もいいわけでございまして、雇用状態も決して悪いわけではございません。例えば同じ製造業をとって考えてみましても、食料品でございますとかあるいは繊維産業の中の最終工程でございます衣服産業などにつきましては雇用の減少はそれほど大きなものではない。むしろ増加——増加しているかどうか、その辺まで詳しくは後でもし資料が必要であれば申し上げますが、大きな影響を受けているとは思いません。大きな影響を受けていると思いますのは先ほど申し上げましたような産業でございます。さらに第三次産業、建設業、これは最近の建築ブームにも乗ってまいりましてここは労働力不足でございますし、あるいはまた公益事業でございますとか流通産業でございますとか、どちらかといいますと、第三次産業におきましては企業状態も悪いわけではございませんし、設備投資を見ましても、第三次産業向きの設備投資はそれほど減っているわけではございません。そしてまた、雇用もこの分野では、労働力調査で見る限りむしろ増加傾向にあると言っていいのではないかというふうに考えられます。 こういうふうに考えてみますと、景気の二面性に対応いたしまして、雇用面におきましても今申し上げましたような二つの局面があるということを我々は認識しながら今後研究を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。 以上申し上げましたような点につきまして、結論といたしまして私が申し上げたいと考えております点は三点ございます。 一つは、以上申し上げましたように、事の起こりは、輸出産業における需要の縮小によって不況感が日本経済を覆っているというのが、これが今日の雇用悪化をもたらしております一つの要因でございますので、こういうような不況感をなくす、つまり需要の不足を充足するような内需拡大政策、これは岸本参考人からいずれ詳しく御報告があると思いますが、公共投資によるにしろ、いろいろな形でのそういう需要不足を補うための政策がこれは基本的に必要かと思います。これは、今日の失業の中には需要不足失業がある程度ある、あるいはある程度増加しているということは認めざるを得ないからであります。 第二番目に、一層重要だと私が考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、円高のインパクトによりまして、今までありましたような、かつての一次、二次のオイルショックや、あるいは第一次の円高がもたらしましたと同じか、あるいはそれ以上の日本経済の構造変化をもたらさざるを得ない、こういうことでございますから、その構造変化に伴う労働需要の変化に対応できない構造的失業が既に一九七五年以降増大してもまいりましたし、今後も増大していくというふうに考えざるを得ません。これに対する対策が私は大変重要な点ではないかというふうに考えております。 具体的に申し上げてみますと、先ほど申し上げましたように、同じ企業の中でありましても、経営の多角化をやりましたり事業転換をやるということになりますと、企業の従業員の再教育なり再訓練が必要になってくるということになりますし、あるいは先ほど申し上げました関連企業あるいはその他に移動するということになりますと、これまた教育訓練が必要になってくるということでございます。あるいはまた、不幸にして離職いたしまして再就職を求める人たちにいたしましても、同じ職場に帰れるかどうかということは保証できません。そうすると、新しい職域につくための必要な教育訓練が重要になってくるのではないかというふうに考えております。 第三番目に重要な点は、先ほど申し上げましたように、円高で直接の影響を受けてまいりました産業というものは、多くは特定の地域に大きな影響を持っている産業でございますから、こういう産業が不況になるといたしますとその地域全体が不況地域になってくる。そうなりますと、これは単なる労働力政策だけでは間に合わないのでございまして、地域産業の振興なり、あるいは不況地域から好況地域への労働力の移動を促進するような政策を、移動をスムーズに行うような政策をとる必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。 以上、ちょうど三十分になりましたので、私の話を終わらせていただきます。
○会長(浜本万三君) 氏原参考人、大変ありがとうございました。 それでは次に、岸本参考人にお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(岸本重陳君) 最初に、弁解で恐縮でございますが、私どもの横浜国立大学経済学部は、今回の入学試験のやり方としてA日程とB日程と両方に定員を半々に分けてやっております。三月一日にA日程の試験が無事に終わりました。あすB日程がございます。私、直接実務の方の責任者をしているわけじゃございませんが、今回の入試制度改革の素案をつくった、学部内では入試制度検討委員会と言っておりますが、それの委員長をしておりまして、さて合格発表、いわゆる水増しをどれくらいするかとかそういうふうな問題に、いろいろなデータを眺めながら、できるだけぴたりとした着地点を見つけたいなどという仕事に日夜没頭させられておりまして、本日伺うについても十分な資料その他の整理をしないままで伺っております。したがって不十分なお話を申し上げるかもしれませんが、御容赦いただければ幸いです。 結論から申しまして、私、内需拡大という言葉は、中身を伴わないまま随分ひとり歩きしているなという印象を持たざるを得ません。 こんなことを申し上げると委員の先生方からひどいおしかりを受け、かつ不快感を露骨に表明されるかもしれませんが、例えば過ぐる衆参同日選挙の際に、ある新聞社から頼まれて、私は候補者諸先生方の演説を聞いてそれで経済的知識の程度、あるいは現下における経済問題の理解の程度について採点しろと言われまして、自動車を動かしながらもカーラジオで政見演説放送を聞きまくっておりました。幸いにしてといいましょうか、私にとっては個人的には大変幸いなことに、衆参同日選挙の結果がああいうふうになりましたので、これわざわざ分析しても意味がないということに新聞社の方も考えてしまったもので原稿を書く手間が省けたのでありますが、そのときに伺っておってつくづく痛感いたしました。 先生方はお話が巧みでいらっしゃいますから、恐らく聞いている限り言葉としてはつながっているわけですね。日本は大変厳しい国際環境のもと、何としても国際協調で生きていかなければなりません。それのためには何としても輸入を拡大し、内需を拡大しなくてはなりませんてなことをおっしゃっているわけで、聞いている限り演説の調子としてはまことに名調子でつながっている。しかし論理的にどうかといったら、私はそれ多分論理的に意味なさないと思うのです。 つまり、今みたいに経済成長率が非常に低い、言ってみれば国民の所得が余り伸びていかない、ほとんど停滞ぎみであるというときには、輸入をふやせばこれは内需が食われてしまうというゼロサムゲームの関係にあることは、これは明白であります。そういったゼロサム性を無視して輸入をふやすことで内需の増大が同時達成できるかのごとく、もしくは内需の増大と輸入の増大とが両立し得るかのごとく議論が立てられ過ぎている、私は強くそう思った次第でございます。 それは何も候補者諸先生方の御理解に限ってそう言えるのではなくて、私は今日政府の考え方もやはりそういった不整合性に陥っているのではないかと強く思わざるを得ません。昨年五月一日に、東京サミットを前にして、経済構造調整について、その推進要綱というものが閣議決定され発表されております。それを拝見いたしましても、私は内需拡大ということとその整合する対外経済政策というものが盛り込まれているとはどうしても思えない次第であります。 それはともかくとして、積極的に意見を申し上げるために話を転換させてもらいますと、内需拡大の問題を考えるときには、私は少なくとも三つの点をぴちっと押さえておかないと議論が空回りするのではないかと思うわけであります。 一つは、何のための内需拡大なのか。何のために内需を拡大しなきゃいけないのかというその大前提になる議論、ここをしっかりやっておかなきゃいけないのじゃないか。それから第二には、いかなる内容の内需拡大をするのか。内需が拡大されさえすれば何でもいいというわけにはいかない。これは後で申しますとおり、第一点の何のための内需拡大がということと密接不可分にかかわってくるわけでして、何のための内需拡大なのかということがはっきりしてくるならば、どんな中身でも内需と言われるものがふえればいいというふうにはやっぱりいきかねる。望ましい内容の内需拡大でなければならない。その意味で、いかなる内容のということが問われなければいけないと思うのです。もちろん、その目的と内容がそれなりに明確になったといたしましても、第三には、それを実現するためにいかにして達成するかという手段の問題が重要であります。経済的な政策手段というものはそうオプションが多いわけではございません。しかし、それでも同じ目的の同じ内容のことを達成するのに、例えば効果の時期的なあらわれ方、あるいは効果の地域的なあらわれ方、あるいはまた効果の階層的なあらわれ方、それらにはやはりかなりな違いがあり得るわけでして、いかにして達成するかという手段のオプションに関してやはり慎重に考えなきゃいけないと思うわけであります。 以上の三つのような、何のための、そしていかなる、いかにしてという三つの問題点を意識しながら申し上げたいと存じますが、まず第一点の何のための内需拡大かという点で申せば、これは恐らくどなたも意見が一致するだろうと思います。一つには、何といっても当面の経済摩擦を解消しなきゃいけない。当面の経済摩擦を解消するためには、内需拡大というものが必要であるという点では恐らくどなたも一致できると思います。短期的な政策目標として当面の経済摩擦の解消ということになるわけです。中長期的に見た場合にはどうか。内需拡大の中長期的な目標としては、やはり国際協調型の産業構造をつくり上げるということに尽きると思うのです。これも、こういうように言う限りではどなたも意見の一致が見られるだろうと推定できます。ただし、実は短期的に見て当面の経済摩擦を解消するために内需拡大が必要だという点では賛成、一致があるといいましても、実はそこには物すごいニュアンスの隔たりがあるわけです。 当面の経済摩擦を解消するのに内需拡大なんてそんな迂遠な政策で間に合うものか、こういう議論が十分成り立ち得ます。私は、ある意味ではその立場に立っております。しかし、そうかといって内需拡大をおっぽらかして当面の経済摩擦の解消があり得るわけではないということもこれははっきりしているわけでして、そこいらの重なりの部分、重ならない部分の大きさ、それはいろいろケースはあるにしても、まあまあ一致できる範囲は存在しようか、こう思うわけです。 その当面の経済摩擦解消のために何としても、つまりそれだけで足りるかどうかは別として、しかし何としても内需拡大は必要だという点で合意が得られるとしたら、どういうのでしょうか、その政策効果というものをどう評価するか、そこで意見が分かれてくるわけですから、そこが問題の焦点になろうかと思うのです。 御承知のとおり、経済摩擦というのは今のところ貿易摩擦である。もちろん、この貿易摩擦の根底には文化摩擦を含むものがあって、もしそういう言葉を使っていいとすれば経済・文化の摩擦にもう今や発展していると。だから、これを単なる貿易摩擦と呼ぶのは大変おかしいという段階でもある、こういう見方が可能であります。 しかし、まだ当面のところは一応貿易摩擦だと言っていい。恐らく早ければこの八〇年代末から、遅くも九〇年代初めには火を噴き始めるであろう投資摩擦まで現在は行っていないと。そういう意味では貿易摩擦段階にとどまっていることを今与えられた天の時として、何とかしてこの経済摩擦、経済・文化摩擦の延焼拡大をとめなきゃいかぬわけですが、ともかくこういった貿易摩擦がなぜ生じているか、この点でも恐らく非常に共通認識がありながら、同時に非常に大きな見解の隔たりがあると言っていいんじゃないかと思うのです。 貿易摩擦が生じているのは、例えば日本の貿易黒字が大きいからである。八六年末九百億ドルになんなんとするというもうギネスブックものの、一九八〇年にサウジアラビアが達成した四百十億ドルという史上最高の貿易黒字を日本はこの三年間連年塗りかえてきて最長不倒距離を更新中なわけでありますが、この貿易黒字が問題であると。そこに焦点を合わせるならば貿易黒字を減らせばいいと。貿易黒字は何か。輸出マイナス輸入がプラスになっているからである。しからば輸入をふやせばいい、こういう対応になろうかと思います。アクセントが輸入増大の方に向けられるということになろうかと思うのです。 しかし、私の見解で言えば貿易黒字が大きいというのは結果であって、この結果を小さくするためには原因の方を何とかしなきゃいかぬ。原因の方を何とかするというのはどういうことか。端的に言って輸出を落とすしかない。 貿易摩擦というのは、黒字というような非常に抽象的なレベルで起きているのではなくて、日本の自動車産業とアメリカの自動車産業、日本の家電産業とヨーロッパの家電産業、当該産業ごとにそれぞれの産業の、各国産業の利害をかけて、浮沈をかけて摩擦が起きているわけですから、総括的に黒字をいじろうとしても個別産業ごとの摩擦なんという問題が解決できるわけはないと私は思うわけです。日本からの輸出を何とか相手国の当該産業が納得する水準まで低下させるしか当面の貿易摩擦の解消策というのはないだろうと私は思うわけです。 そういう脈絡で言うと、私の場合、内需拡大策が貿易摩擦解消のために必要不可欠であるという根拠は、輸出に回っている摩擦産業の製品を今ほど大きな割合で輸出に回さないでも国内需要でさばけるようにするという、いわば輸出の内需転換のために内需拡大が必要だということになるわけです。輸出をただ落とすというだけでは当然その輸出に大きく依存している企業、産業は不況状態に陥ります。そしてまた、それら産業の不況状態が引き金で、氏原先生御指摘のような連関をたどって他の産業部門へ、あるいは地域へと不況は波及的に広がっていきます。 したがって、ただ輸出を落とせだけでは済まないわけです。輸出を落としても企業の方が操業度を落とさないで済む、活動レベルを下げないで済むというように補完しなきゃいけない。その補完のためには内需を拡大するしかない。つまり、輸出産業が今まで輸出に回していた分のかなりな割合を内需に振りかえて転換した場合に、そこで玉突き現象が起きて輸出でないほかの産業の需要が食われてしまったというのでは日本全体にとっては不景気はなくならないわけでありまして、そういった玉突きを起こさせないためには内需の絶対量というものを拡大していかなきゃいけないと。私の場合、当面の摩擦解消策としての内需拡大策、それの意味づけとしてはそういうように考えるわけです。 そのための手段ということについては後で申し上げたいと存じますが、長期的に見て、国際協調型の産業構造をつくる、そのためにも内需拡大が必要だという点は、これは非常に共通理解が、共適合意が得られやすい論点かと思います。余り大きく輸出に依存しないでも、諸外国がぜひともメード・イン・ジャパンでなきゃいけないというものを諸外国が納得する範囲で売っていても、日本の企業が着実に成長を遂げ、そしてその企業のそういった成長に相伴って国民生活が向上を続けていける、そういった産業構造、これはどう考えてみたってやはり内需が一番大きな支えになっている産業構造なわけでして、輸出依存度をできるだけ減らしていける産業構造をつくる、それが内需基盤のものであるということは論をまたないわけであります。 しかし、私どうもその点では、先ほども例に挙げた経済構造調整推進要綱のようなものに盛られている政策は中長期的な対応として直接投資の推進を掲げていて、日本の国でつくったものを国境を越えて海外に輸出するからだから問題が起きるので、よその国の中に工場進出して、そしてよその国で物をつくれば、それはもう輸出じゃないんだから摩擦が少なくなるであろうというような点にアクセントが置かれ過ぎていると思うのです。それは一見非常に積極的な海外進出型の企業展開のように見え、そういった海外進出型企業展開によって日本に本社を置く日本企業が隆々と発展し、その成果が国民に還元されてきて日本国の経済自体もまた隆々と発展できる、こういった構図を思い描いているように見えるのです。 しかし、私はもう現段階で、例えば昨年の三月ごろ一ドル百七十円に移ったときに二つほどの自動車会社が国内工場を縮小して台湾工場を拡大し、そこで生産した車を日本に逆輸入する、こういうことを既にやっておりますが、この百五十円定着段階で、先般も新聞に出ておりましたように、ある大きな自動車会社が逆輸入方式に大々的に踏み切ると。恐らくこれが百四十円定着という段階になれば、私これは極めて近いと思っておりますが、その段階に来れば日本の自動車企業はほとんどが海外立地に全面的に踏み切る羽目に陥るのではないか、そう私は見ております。そうなった場合に、それはもはや積極的な意味での海外進出型というよりも、日本脱出型の海外展開であると見るべきであります。 現在の円レートを前提にする限り、既に日本の労働者の、特に製造工業における労働者の平均給与はアメリカの労働者のそれと変わらなくなってしまったと。そうすると、日本の企業にとってみれば土地代が安いだけアメリカで展開した方がマージンが大きくなるということも考えられるし、逆に言って、現在の円レートのままで、この高賃金の状況で生産したものを海外に売るのではもうマージンが得られないというふうにもなると。つまり、もう大手の輸出企業が日本の経済環境には不適合になってしまってやむを得ず海外に脱出せざるを得ない、そういった形の海外進出であろう、そう思うわけです。 そうしますと、昨年五月決定の経済構造調整推進要綱が想定するような中長期的な対応として海外の直接投資を促進するというのは、これは日本において内需に基盤を持つ産業構造を形成するのではなくて、むしろ産業空洞化促進型の政策に終わってしまうのではないか。 しかし、産業が空洞化したまま国民は食っていくわけにはいかないのでありますから、国民は何としてでも産業をつくり出し、そしてそのつくり出された、言ってみれば恐らく最初は弱い産業でしょう、そういった弱い産業をもとにして輸出をやって、原材料を買って食糧を買ってというふうなことにならざるを得ないわけでありますから、言ってみれば輸出依存型の産業構造は、かえってこのことによって次元を超え様相を変えてでありますけれども促進されるのではないか、こう私は懸念いたしておるわけであります。 いかなる内容の内需拡大かという内容の問題に簡単に触れますならば、私はこれはどうしても今まで充足されていない種類の需要、これが掘り起こされるような内需拡大でなきゃいけないと思います。と申しますのは、何のための内需拡大かという議論を立てますと、しばしば私などがこうむる反論は、もはや内需に拡大の余地なしと。消費はここまで飽和しておる、これ以上消費の拡大をあおるようなことは慎むべきである、省資源、省エネの見地からいっても慎むべきである、もはや拡大を奨励すべき内需項目というようなものは見当たらないとよく反論を受けるわけです。 私は、個人消費の局面をとってみましても、あるいは社会的資本の部面をとってみましても、もう需要が飽和し尽くしてしまっていてこれ以上ふやす必要がないとか、あるいはもうふやすべき需要というものは見当たらないとか到底考えられません。 高齢化社会の到来が言われております。三菱総研の牧野会長がよく強調なさるように、そうなれば自動車産業よりも入れ歯産業の方が売上高でいったら大きな産業になるんです。ところが、現在入れ歯需要というものは十分に満たされているかというと、先般のNHKの「トライ&トライ」じゃないですけれども、口に合わない入れ歯を入れて皆さんが苦労なさっているわけです。 私自身実は身体に障害がありまして、ただ日本国政府は私のようなレベルを身体障害者と認定してくれないのが甚だ不満でありますが、幼稚園のときから両耳の鼓膜が全くない。小中高を通じて教室の一番前に座っていても先生の話は聞こえない。そういう中を何とか生き抜いてやってきたわけでありますが、幸いにして一九六五年以降電池式の補聴器、最初はポケット型でございます、それが買えるようになりまして、現在はそれが進化して、左耳に入れているのはレーガン大統領のと同じものであります。同じブランドであります。しかしこれはなかなか高いんですね。物すごく高くて十五万円ぐらいする。しかもこれは一つ買えばいいというものじゃないんです。すぐなくなってしまうとか、すぐ故障があるもので常時二つ三つ抱えていなきゃいけない。そうしますと、これはもう補聴器だけで年間にやはり何十万円という支出を要すると。そういった需要は今満たされているのかといったら、多くの人が補聴器の必要を感じながら結局使わないでいると。 今、例に挙げたのは入れ歯だの補聴器だの人体機能介助具の例でしかございませんでした。しかし、こういった人体機能介助具の例に見られるように、これちょっと広げますと当然福祉関連の社会資本に容易に行き着くわけでございますが、未充足の消費需要というものはあちこちに転がっているんじゃないでしょうか。もう抑えてもいい需要項目、個人濫費の需要項目というのは確かにございます。しかし、従来満たされず、したがって悶々と人が求め続けてきたものというのがまだまだあるのじゃないでしょうか。 私は、高齢化社会に入ろうとしている今、企業にはそれらを開発していく能力があるし、それらがうまく商品化されて、うまく社会資本の整備とドッキングすれば大変な新たな産業構造基盤をつくり出すと確信いたしております。その他にも一、二例が挙げられますが、時間がございませんので省きます。 それで、いかにしてという手段の問題でございますが、私は、例えば公共投資をやれ、あるいは政府の方は金がない、金がないから従来公共投資分野として政府が扱ってきたもの、これを民活でやれといった議論、それにはそれぞれ理由があると思います。公共投資も起こさねばなりません。特に日本ほど、もうこれだけ自然を破壊して、都市もそれから地方も人工建造物、例えば道路を初めとする、あるいは港湾を初めとする人工建造物に依存するようになった今、更新投資だけでも大変な額に上るはずだと思います。 もしこの更新投資を怠ったならば、アメリカで一時期決定的に怠ったわけですが、そうするとニューヨークの高速道路が波を打ってしまい、そして高速道路があるところで突如として切れて、仰せその先は使い物にならないから、それ以上走らせたら危険だからというふうなことで高速道路が機能を失う、こういった事態がすぐにも予想されるわけでして、そういった中では公共投資の重要性はこれはもう大変なものだと思います。そして、従来政府資金だけでやってきたものに民間企業が資金を投入してやっていい事業分野がある。このことについても私は認めるものであります。 しかしながら、未充足の需要を掘り起こして、そしてそこに日本経済の新たな需要拡大の活路を見つけ、それを大道に切り開いていくといったためには、やはり私は国民の側から、こういうものこそが欲しいのだといった、ニーズに対する需要が次々に喚起されてこなければいけないだろうと思うのです。企業が対応できるのはそういった国民側の、買い手側の、ニーズ側のシグナルが十分に上がって、それを見きわめながら企業は対応するわけですから、そういったシグナルが上がるようにしなければいけおい。そのためには何といったって私は相当程度の賃上げがあって、そして国民の方が、ああ消費ふやせるぞといった感じを持たなくてはいけないんじゃないかと思います。 この時期に賃上げなんてというふうに、よく春闘討論会なんかで経営者の方と並びますと大抵おしかり受けます。ないそで振れるものかとよくおっしゃいます。経済学の理解から言えばないそでは振れません。ないんだから振れません。しかしそでは振らなきゃいけないんです。どうやって振るか。つくって振るんです。振ってしまえば不思議なことにそでが生まれてくると。 そういったメカニズムが経済の中には働き得るわけでして、何も一年分、二年分の賃金ファンドを抱え込んでおいてそこから賃金払うというわけじゃなし、半年なり何なり、消費需要がぐっと盛り上がって企業業績が盛り上がってくるならば当初想定していた以上の賃金原資というものが企業の手に転がり込む。そういったダイナミックな生きた姿こそが経済なのでありまして、ないそでは振れない方式で行っていたらそれはじり貧に陥るに決まっておるわけです。 この点を別の角度から申しますと、日本は外需依存型の経済成長かと言いますと、需要項目だけで見たらそうじゃないわけです。日本の総需要のうち外需、厳密に申して純外需、輸出などから輸入などを引いたネットの外需はトータルな需要、総需要のうち三・三%しか占めておりません。残りの九六・七%、これは内需です。 その内需のうち一番大きいのはもちろん個人消費でありまして、去年あたりの数字で大体六四%。個人消費は単に総需要の中の六四%という単独項目として最大の比率を占めるというのみならず、企業の設備投資もまたこの個人消費に依存する関係がこの二、三年はっきりしているという意味では、これは企業の設備投資のウエート一六%含めて、日本の総需要の八割の動向が個人消費によって左右される、こう見るべきものでありまして、この最大の需要項目である個人消費にしかるべき同意が生まれてくるような刺激を与えなければ、私は内需拡大の本当の動きというのは始まらぬのじゃないかと強く思うわけであります。 その点で申しますと、消費意欲をそいでしまう売上税の問題とか、あるいは貯蓄の効率を悪くして、効率が悪くなればますます貯蓄量をふやして効率の劣化をコンペンセートしなきゃいけない、そういったマル優の廃止、一律二〇%課税というような政策は、今求められている内需拡大、G5、G6に終わったようですが、そこで世界各国からも求められ、日本が約束してきた内需拡大には大変逆行的な政策ではないかと思う次第であります。 終わります。
○会長(浜本万三君) 岸本参考人には大変ありがとうございました。 次に、伊藤参考人にお願い申し上げます。
○参考人(伊藤善市君) 私に与えられましたテーマは、円高・構造調整下の地域経済対策、地域開発も含めるでしょうし、あるいは当面のいわば対応策という対症療法的なそういったものも求めていらっしゃると思うのでありますが、きょうは私は地域開発問題を中心にお話を申し上げたいと思います。 御承知のように、地域開発にとっての必要条件というのは、交通体系あるいは交通通信体系の整備でありまして、これは古今東西の歴史がそのことを証明しております。それでは交通通信体系さえ整備すれば後は自動的にうまくいくかというと、必ずしもそうでないわけでありまして、これに各地域の住民のやる気、積極的なやる気が加わって十分条件が満たされる、こういう関係にございます。特に国際化、情報化と並んで高速化の時代を迎えた今日におきましては、高速交通体系に対する期待というのはもう想像以上に大きいのでございまして、具体的には大型のジェット空港とか新幹線、高速道路あるいは高規格道路といったようなものが望まれているわけであります。 御承知のように、東海道新幹線が開業いたしましてからもう二十三年たったわけですけれども、新幹線で運んだ人数はおよそ二十三億人を超えたのですけれども人身事故はゼロという、これも先ほどの例で言えばギネスブックものなんでありますけれども、すばらしい記録を打ち立てて毎日記録の更新に挑戦をしているわけであります。 この新幹線の駅を持った都市とそうでない都市との格差が今はっきりと出てきておるのでありまして、私が生まれた東北地方について限定しますと、東北地方というのはみちのくと言われました。これは昔、都が京都にあったときに京都の連中は、関東はあずまえびすで東北はみちのくであると。みちのくというのは道の奥でありますから、道の奥には道がないわけです。こういうことです。ところが、東北新幹線それから東北縦貫道それから空港等々の整備によりまして、過去五年間のデータについて見ますと、いわゆる技術先端産業と言われます産業の立地の件数は、対全国シェア三三%、三分の一であります。三分の一が東北七県に立地することに決まったわけであります。東北の対全国シェアというのは、人口が一割、面積が二割、米が三割、出稼ぎ六割、こうなっているんです。でありますから、いかに交通体系の整備というのが新規産業の立地に非常に有効に効いたかということがわかると思うのです。 しかし、一口に東北地方といいましても、このような成果を上げているところは太平洋側でありまして、太平洋側に面した東東北がこのような成果を余計上げております。日本海側の方でも若干の成果をおさめておりますけれども、いわば日本海側の西東北の方は水をあけられた形であります。 先般、衆議院議員の定数是正がなされましたけれども、その七減八増の七減の方を見ますと、皆さんは、先生方は御承知だと思いますけれども、秋田二区、山形二区、新潟二区、新潟四区、石川二区、能登半島の方ですね、それかう兵庫五区、鹿児島三区、こうなっているのです。 この七地区の中で鹿児島三区を除きますと全部これは日本海側に立地しているわけです。昔、日本海側というのは表日本と言われたように北前船の文化があったわけですけれども、明治以降状況が変わりまして、特に第二次大戦以降はさらにその構造変化が起こりまして、この六つの地域というのはよその地域に比べてみんなが勤勉に働かないかと言えば必ずしもそうじゃないわけでして、日本海側の地域に共通するもの、それからまた鹿児島にも共通するものは、新幹線、高速道路、ジェット空港から見放された地域と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう便益を受けない地域なんです。 このことは、いかに高速交通体系というものが大きな効果を上げるか、それから、そういう交通基盤整備に対して住民がいかに対応しているかということがこの事実によってわかると思うのです。 今問題になっております四全総におきましては、三全総での例の定住構想という理念を受け継ぎながら、定住と交流の基礎であります交通通信体系を先導的に整備しようといういわゆる交流ネットワーク構想というものが打ち出されているわけであります。つまり、全国の主要都市の間では日帰りができるようなそういう全国一日交通圏をつくろうとしているわけであります。 ネットワーク構想というのは、実は昭和四十四年に公にされました新全総、つまり第二次の新全総でもう既に提示されておったんでありますけれども、そしてそれを受けて新幹線は整備新幹線を五線やろうというふうに計画されておったわけです。しかし、オイルショックの影響もありまして昭和五十七年にこれが凍結されたままになっておった。先般これが解除された、そういういきさつも御存じだと思うのであります。 そういうわけで、高速交通体系の中で新幹線も高速道路も空港もこれは民間で勝手にできないわけです。全部国が何らかの形で、直接やるか間接でやるかは別でありますけれども、国の決定いかんにかかっている、そういうことでありまして、まず私は、今構造不況のある企業城下町なんかを中心にいろんなものが起こっておりますけれども、交通通信体系の整備というのがいかに重要であるか、そしてそれが大変な地域振興に大きな効果を上げもんだということを身近な例でもって申し上げたいわけであります。 このように、今交通体系だけ申し上げたんでありますけれども、いわゆる交通体系を中心とする社会資本の充実ということは非常に重要なのでありまして、例えば空港、道路、あるいは住宅、上下水道、あるいは電線の地下ケーブル化、地下に埋没させる、そういうこと、あるいは今言った交通のほかに教育とか科学技術、国際文化交流、情報、芸術等の分野でもってこういった投資が望まれているわけであります。 私は、先ほどの岸本先生とこの点は全く意見が同じでございまして、内需拡大というのは、大きく分ければ消費拡大と投資拡大から成るわけですけれども、その中で投資拡大に期待をするわけです。内需拡大は所得減税をすればふえるじゃないかという説もあるけれども、私は大幅な消費拡大というのはそれほど期待できないんじゃないかという感じを持っているわけです。 なぜかというと、今いろんなものを持っているということは言えますけれども、特に東京とか大阪のような場合は、入れ物であります住宅のキャパシティーをふやさなければ耐久消費財を買ってもそれを収納できない、そういう象徴的な事実があるので、したがって私は、今度はセカンドハウスをつくる場合にも住宅金融公庫の融資が使えるというふうに変わったのは非常にいいことだと思うのです。 住宅は、これまで数量をふやすということに重点が置かれましたけれども、これからは量よりも質の時代でありまして、特に私は、欧米の各国と比べてみると、ウサギ小屋とまでは思いませんけれども、質的に見てやはりまだまだ小さいし、もっと拡大できる余地が十分にある、こういうふうに思うわけであります。したがって、高規格住宅というものがこれからふえていくんだということを前提に、政府系金融機関を初めそれがさらに促進されるような環境づくりが非常に大事であると思うのです。 ある住宅の建築の専門家から伺ったことなんですけれども、住宅というのは一年住んでみるとたてつけがいいかどうかがわかるそうです。三年住んでみると健康にいいかどうかということがわかるそうです。しかし十年住んでみなきゃわからぬものがある。それはその住む人のパーソナリティーといいましょうか、それに与える影響だそうです。 考えてみますと、日本は非常に経済的には高度成長で豊かにもなりましたけれども、そして子供たちはみんな身長も大きくなったし、いすを使う生活がだんだんふえてきたんですけれども、だんだん天井の低い家がふえています。これは暖房その他の関係で天井を低くするんだという説がありますけれども、私は、身長が大きくなって、みんないす式の生活がふえてきて、そして天井が低くなれば気宇広大な人間はできてこないんじゃないか。団地サイズなんというのは象徴的なんですけれども、あれも、ある時代においては団地サイズで部屋は四つありますとか五つありますと言えましたけれども、これからは質の問題が大事であります。 住宅というのは、一回つくりますと何といいますか、メンテナンスをちゃんとやりますと百年ぐらいもってしまうわけです。ですから、金持ちは大きな住宅、それに金貸すのはけしからぬなんてそういうけちなことを言わないで、みんな金持ちになるんですから、そう思って、そしてつまらぬものをただ量的につくるんじゃなくて、一たんつくったら、永久に同じ人が住むかどうかわかりませんし、そういうストックとして残るものはぜいたくだなと思うぐらいのものをよしとするような雰囲気が私は必要だと思うのです。 それからもう一つは、消費の場合に、衣食住その他いろんな物については我々はすぐ頭いくんですけれども、今現在、消費の内訳の中でいわゆるサービスに対する消費というのが五割を超えてしまったわけです。六割近いです。サービスの内訳は教育であるとか、あるいは医療であるとか旅行であるとか、レクリエーションとかいろいろなことがありますけれども、それはもうだんだんと今後もふえていくわけなんであります。 それにしても、こういうサービスへの需要、特にレクリエーションとかレジャーとかいろいろありますけれども、それを促進するには私は週休二日制というものをもっと促進する必要がある。民におくれて官は休みをとるんだなんという立派な説もありますけれども、この際やはり休みを、みんな有給休暇をとらないで二十日たまったとか四十日たまったなんて言っている人がおりますけれども、これなんか上司にそういう石頭の人がいるとなかなか部下は休めないんですね。ですから、それを率先して休みは休むというふうにする。 なお、私はこれと並んで学校、特に小学校や中学校は週休二日にした方がいいんじゃないか。土曜日はたった四時間しか授業はないわけなんですけれども、これを週休二日にする。週休二日にしますと、家庭におきましても父親は子供と一泊の旅行ができるわけです。毎週旅行しなくてもいいですから、一泊の旅行ができる。そうしますと、二日の休みのうち一日は親子が接触をして、そして心のコミュニケーションができる、そういうことがありますので、これも何も日本が初めてというわけじゃないんで、よそではそういう国がいっぱいあるわけです。ですから、学校を休みにして親と子供がエンジョイし、そしてまたサービス産業についてもプラスの影響を与えるようなそういう環境づくりをすべきではないか。 日本は確かにフローとしての所得はふえたし、フローの生活はかなりぜいたくになりました。着る物だって世界の先進国とほとんど同じぐらい持っておりますし、食べる方だってもう今は餓死する人はいないのでありまして、いかにして太るのをやめるかという、もう本当にぜいたくと言ってもいいくらい食べる方も豊かになったわけです。しかしながら、住宅を初めとするストックの方はプアである。フロー・リッチ、ストック・プア、そういう関係であります。 パリに住んでいるフランス人は、その四分の一がやっぱりセカンドハウスを持っているそうです。これはこの間旅行したときにそこで伺ったんですけれども、そしてみんながいいななんて言ったら、しかし週休二日でありますから、毎週家族を連れて別荘のところまで運ばなければならないから、これも仕事となると大変なんだなんていう笑い話がありましたけれども、そのくらいの余裕があって本当に私はゆとりのある生活と言えると思うのです。 日本は幸いにして我々の明治の先輩たちが鉄道でも一万キロ以上も幹線をつくってくれましたし、それから道路も最近だんだんと整備されてきたので、みんな車は持っておりますし、そういう生活を本当にやろうと思えば何もそれほど難しくない。ですから、東京で家を建てるといったら大変でありますけれども、もう絶望に近い状況というのは甚だよろしくないと思うのでありまして、東京に住んでいる連中、大阪もそうだと思いますけれども、若い諸君が自分の住宅に住むということに絶望しているということは大変なことです。ですから、東京でできなければ東京から百キロ圏とか百五十キロ圏とか、そういうところに探せば適当なところがあると、そういうものが促進されるようにするということが大事じゃないかと思うわけであります。 私は、ここでついでに申し上げますと、沖縄にも鉄道をつくるべきだと。沖縄は昔は軽便鉄道があったんですけれども、戦争でやられて、あれでもってそのままになってしまったわけです。おいでになればわかりますけれども、行くたびごとに沖縄は車はふえておりますし、渋滞が続いておりますし、距離にすれば那覇から名護まで七十キロぐらいしかないんです。ちょうど東京から成田の距離なんです。山形から仙台の距離なんです。ですから、そこに小田急型の鉄道でも結構ですけれども、そういう高度な性能を持ったものを走らせれば、そうしますと沖縄はどこに住んでも全部が通勤・通学圏に入ってしまうんです。 今は那覇一極集中でありますけれども、名護の方にそういう拠点ができれば、病院とかあるいは大学のジュニアの一般教養の施設とか、そういうふうに展開すれば沖縄は非常によくなるだろう、こう思うのでありまして、そういうことを私はまず提案したいわけです。 四全総では交流と活性化ということを非常に強調しております。今まで一全総から三全総までは、過密、過疎、格差、環境、この四つの問題に対する挑戦が第一次全国総合開発計画から三全総までの共通したテーマであったわけですけれども、四全総ではその過密、過疎、格差、環境という四つのKに対して、今度は交流ということと、それによってさらに活性化を図るという二つのKが加わっておるのであります。今四全総に対しましては、東京一極集中はけしからぬ、そういう大合唱が続いておりますけれども、あの四全総をよくごらんになればわかるんですけれども、あの案では、何でもかんでも東京に集まってはよくない、つまり、一極集中がさらに進むならば人と国土とのバランスが崩れてしまうから多極分散型の国土形成を目指すんだ、こう言っているわけです。 ただし、情報化時代、国際化時代という基本動向の中で、東京は高次の都市機能や国際金融の面で世界都市として期待されているし、現にそういう機能がどんどん東京に入ってきておりますので、だから東京が無理に入れたというよりは、日本が非常に強くなって、世界経済の中でそういう国際的な機能というものを日本が非常にたくさん持つようになってきた、だから世界経済の展開の中で日本の、中でも東京が世界経済の変化の過程で世界都市東京というものが今形成されつつある、こういうふうに見るのが事実に忠実な見方ではないか、こんなふうに思うわけであります。 さて、現在構造不況業種を抱えている地域あるいは企業城下町の抱えております問題というのは、どちらかというといわばモノカルチャー型の産業を持っておった。例えば石炭なんかまさにそうだったわけでありまして、過去二十年ぐらいについて最も人口の減った都市というものを十ほど数えてみますと、北海道と北九州の炭鉱の都市がほとんど全部入ってしまうわけです。それが今や石炭あるいは船、鉄というふうに波及して構造変化を持っているわけであります。 したがって、こういうことから我々いろんな教訓を受けなければならないのでありますけれども、モノカルチャー型の都市づくりというのは、やはりこれには問題がある。田中さんの「日本列島改造論」物ときには、あの中で特定産業首都構想というのがありました。私はそのときも申し上げたことがありますけれども、実験的に、ある町はデザインの町、ある町は船の町、そういうものがあってもいいんですけれども、しかしながら、モノカルチャー型の都市というのは構造的な不況に弱い、そういう特性を持っているわけです。 ところが、人間はどの町でも老若男女が住んでいるわけでありますから、老若男女がそれぞれ働く機会あるいは学ぶ機会あるいは憩う機会、そういう機会を持たなきゃなりませんので、男子の若者だけにとって必要な、あるいは男子の若者たちが満たされる職場しかないとなりますと年寄りの人は職場が相対的になくなってしまうわけです。あるいはみんな長生きをして定年でやめてから第二の職場を探すというような場合に、いろんな多種多彩ないわば産業がありますと、それはそれぞれの力と特性に応じてそれぞれ機会を持つことができますので、モノカルチャー型の都市というものを極力これからは避けて、いわば複合的な機能を持った都市というものをつくっていくことが必要だ、こんなふうに思うわけであります。 さて、先ほどの東京一極集中という現象をめぐっていろんな議論がされておるわけですけれども、実はこれから問題にしなければなりませんのは、東京で持っておりますいろんな機能の中で、全部東京に置かなければならないかと。世界には行政上の首都と、それから産業上の首都を分けているところもあるわけなんでありまして、三全総でも首都の問題は一応議論されましたけれども、それは宿題として残されておったんです。四全総ではその問題がまた議論されるだろうと思うのですけれども、私は結論を先に言いますと、どうしても東京にあった方がよろしいもの、例えば国際的機能というのは積極的に東京に集めるべきだ。東京になくてもいいものはそれを分散させるべきだ。そして都市機能の分化を図って、東京はロンドン、ニューヨークに負けないようなそういう国際的な機能というものを洗練された形で整備すべきだ、そういう議論なのであります。 東京問題については、どこかへ移すという遷都論もありますし、あるいは関東以外のところへある機能は移す、分けるという分都、そういう思想を持っています。例えばこの間、東北経済連合会で、四全総への提言の中で強調しておりますのは、最高裁を山形で受け入れようじゃないか、あるいは松島に迎賓館をつくって、あそこを世界のサミットなんかのときに使おうじゃないかとか、あるいは第二国会議事堂というものを仙台に置いて、地震その他いざというときに一日もそういう決定がおくれないようにしようとか、そういうような言葉を言っておるわけですが、私は、これからは首都機能のもので分散してもよろしいものは何かということを真剣に議論してもいいんじゃないかという感じを持っているわけです。 現在、円高・構造調整下で、日本は円高によるメリットもあるわけですけれども、また円高によっていろいろひどい目に遭っているところもあるんですが、今のところひどい目に遭ったところだけ議論されておりますけれども、私は円高にもメリットがあるんだということを考えなきゃならないと思うのです。 例えば、今物価指数を見ますと、輸入物価指数の対前年比はマイナス三五%です。一時はマイナス四〇%もあったんですけれども、三五%下がっている。これは石油が下がったということと、それからいろんな資源も下がっている、円高である、そういうこともありますけれども、とにかくマイナスの三五%です。卸売物価指数がマイナスの一〇%です。消費者物価指数は横ばい、あるいは〇・一%とか一%近く、そのくらい下がってきてはおりますけれども、もっとこれは下げてもいいはずです。ですから、大変だ大変だとは言いますけれども、少なくとも卸売物価と消費者物価のその差の一〇%というものはどこかで前よりも有利なものになっているわけでありますから、これをやはり円高によって最終消費者には非常に安い物が豊富に手に入ると、海外旅行に行けばすぐわかるんですけれども、そういうことを味わわせなければ円高のメリットというのはわからぬわけであります。 私は、日本の場合、今財政再建によってなかなか公債発行難しい状況でありますけれども、建設国債はやるということでありますし、物によっては地方債というものをもう一回考え直してもいいじゃないかと。日本は一生懸命働いてみんな貯蓄をふやしましたけれども、その日本の貯蓄のかなりのものはみんな海外に今行っているわけです。軍事小国の日本が軍事大国のアメリカに金を貸しているわけでありまして、アメリカの財務省証券なんか日本は相当買っているわけです。 そういうふうに貸しているお金も全部ドル建てでやっているわけですから、ドルがだんだんだんだん値が下がれば、貯金通帳は同じでも実際は目減りしているわけです。貯金通帳を眺めて楽しむのもいいですけれども、そんなことをするのだったならば、海外にどんどん流れております、カナダの土地を買ったとかオーストラリアの土地を買ったとかいっているのは、プライベートにはそれは一つの合理的な行動かもしれませんけれども、その部分を今私が申し上げました社会資本の充実に充てる、どうすればそういうふうにスイッチの切りかえができるか、そういうことを考えるのが大事ではないだろうか。つまりあなたの政府を信じなさいということです。アメリカの政府も信じて結構だけれども、もっとそれよりも我が方の政府を信じて、みんな国債を買って、そしてそういう我々の子孫のためにいい社会資本のストックを残すべきではないかというのが私のきょう申し上げたい点でありまして、そのことは、長期的にはそういうキャパシティーがふえるだけじゃなくて、短期的についても雇用機会がふえていくわけです。 公共事業というのはいろんな面を持っておりますけれども、三大都市圏以外のところでは公共事業がずっとコンスタントにありましたものですから、それを前提にしていろんな経済の営みが、循環が繰り返されてきたわけです。新幹線とか高速道路が建設されたときの東北地方を見ましても、太平洋側は非常に失業率も少ないし、有効求人倍率もいい線いっているんです。ところが、その建設が終わった途端にまた落っこっちてしまうわけであります。そういう体質から早く脱却しなければならないんですけれども、物事というのは余り急激に急ブレーキをかけたりしますと戸惑ってしまうわけです。戸惑うだけじゃなくて失業という憂き目を見るわけです。人間というのは、職場のないところ、職場に通勤できないところには定住いたしません。遊びに行ったり、あるいは国内亡命という形で出ていって、どこか出かけるのは結構ですけれども、その場合は遊びに行くんですから、一応脱出できますけれども、しかしそれは永久にはできない。 若者を中心とする世代の交代が今始まっていますけれども、老若男女について働きがいのある職場というものをいかにしてふやしていくかという、ただ単に数だけふえるのじゃなくて、職場の内容、性質によって違ってきますから、合計で同じであっても部分的にはミスマッチというものが非常に生じる場合があり得るわけですから、そういう意味での職場をふやす場合にも、私は今の段階においては社会資本の充実というのは大きな戦略として強調すべきじゃないか、これが私の申し上げたい点です。以上です。
○会長(浜本万三君) 伊藤参考人には大変ありがとうございました。 以上で参考人の方々からの意見聴取は終わりました。 これより質疑を行うわけでありますが、先ほど事務局の方から各会派の皆さんにお願いをいたしましたとおり、御質問と御答弁の時間を含めまして、社会、自民それぞれ二十五分以内、公明党さん十九分、共産党さん十四分、民社党さん六分というのもおかしいですから、これは十分以内というような形で御質問をいただきたいと思います。 では、そういうことで始めていただきたいと思います。 私も質問しようと思ったんですが、時間が余ればさせていただくことにいたします。
○対馬孝且君 きょうは御三方の参考人から大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 そこで、時間もありませんから端的に岸本参考人、氏原参考人にお伺いいたしたいんであります。 前川レポートという指向になってから、特に北海道だとか九州を中心にして石炭産業が切り捨てられ、鉄鋼がこういう状態、特に国鉄問題、そのほかに北洋漁業という問題もありまして、結果的には、前川レポートそのものはマクロ的な方向としてはそれなりの方向を出したようでありますけれども、問題はこの受け皿ができていない。私に言わせれば切り捨て一方である。そして受け皿がないから結果的に失業者がこれほうり出される、こういう結果に、産業の空洞化になってしまう。これが実態なんでしょうね、率直に言って。 それで問題は、一応政府も、この間もレクチャーを受けましたけれども、これからの幾つかの法律、通産ベースでいろいろ出しますけれども、どうもやはりせつな的な、対症療法的な考え方より出ていない。抜本的にここらあたりを、日本の今二次産業を中心にしてどういうふうに産業構造の転換を求めることができるのか。ただいま先生からも社会資本とかあるいは住宅産業とかといろいろな提言がございました。それなりに非常に私も同感であります。 しかし、その産業構造の転換とは一体何だという点について国がなすべき今日の政策的課題というのは、ただ雇用対策だ、保険だ、あるいは第三セクターで一定のあれをやると。これも結構なことなんだけれども、産業そのもののやっぱりあれをどう建て直すかと、この受け皿というものに対してさっぱり出てきていない。この点について私は、端的にここが質問になるんでありますが、現在の成長率を五%以上ぐらいに高めなければ結果的に受け皿となり得ないんじゃないかと。今の政府が出しているあれでは大体二ないし三%だと、この中で受け皿をつくれといっても限界があるんです。五%成長まで持っていって初めて受け皿というあれがなし得るのではないか、この点が一点でございます。 それから問題は、労働力の移動ということを先ほどもちょっと氏原参考人も触れられましたけれども、この移動というのは容易でないんでありまして、つまり端的に申しますれば、重厚長大部門ですね、いわゆる二次産業を中心とする重厚長大から軽薄短小と言われるサービスその他の産業に、これに雇用の、労働力の移動が簡単にできるのか、こういう関係についてどういう考え方をお持ちになっているかという点が第二点でございます。 それから第三の問題は、先ほどの一点目に関連をするのでありますが、今の内需拡大をめぐる国がそれなりのことを、対応をしようという動きはありますけれども、問題は、財政再建という大義名分を中心にして、基本的には今出している考え方、民活という考え方が政府の施策では出ているわけであります。しかし民活で果たして産業転換が可能か、また成長率が達成できるかと。私は、積極経済に転換をしなければいわゆる今日の産業転換と雇用の受け皿というものはできてこないんではないかと。そういう面から考えますと、率直に申し上げまして財政的な国の役割ということが重要である。この点についてどういう所見をお持ちになっているか。財政的役割についてどういう分野で財源を求めることが正しいか。こういう点をまずお伺いいたしたいと思います。 以上であります。
○参考人(氏原正治郎君) 今御質問がございました、経済の成長なくして産業構造の転換も雇用の確保もできないのではないか、こういう御質問だと思いますが、この点につきましては私も全く同意見でございまして、構造失業をなくす前提には、需要不足の失業がなくならない限り構造転換というのは非常に大変難しいわけでありますから、そこで、私の考え方で言えば、日本の潜在経済成長力というのは、五%という数字を挙げることは大変困難でございますが、かなり私はあるものというふうに考えております。 では、どういう脈絡でこの成長が可能かということになりますと、一つは、これは伊藤参考人が御指摘になりましたように、私も一言だけ申し上げましたけれども、今日の円高のデメリットはたくさん言われておりますけれども、円高のメリットの方は余り強調されていないし、また事実、円高のメリットが日本経済の中に浸透しているとは考えられません。考えられませんというのは、先ほども御指摘がございましたように、貿易収支を見ても、これだけ円高をやって輸出産業が打撃を受けながらなおかつ貿易黒字はたまる一方と、こういうことでございますから、だから、円高メリットが一番発揮できるということになればやはりこれは物価でございまして、先ほど御指摘ございましたように、輸入物価の低下率は非常に大きいにもかかわらず消費者物価にはほとんど影響ない。ほとんど影響ないというのは、消費者物価は安定したから大変結構だという評価もございますけれども、これだけ円が高くなって、しかも原油価格が下がっているのに消費者物価が下がらないという、横ばい状態でいるということは、これは国内の最終消費という観点から見ましても、また原料、中間財を使って内需の生産をやっている分野はたくさんあるわけでございますから、また輸出産業でもそういうところがあるわけでございますから、そういうところにはね返っていないという点が一つ大きな問題でございます。 これについて何らかの対策を講ずればそれだけ日本の所得は、円が高くなったわけですから、それで輸入を増大させれば何も最終消費だけではなしに原料資源、中間財を含めて、生産財を含めて輸入を増大させればそれだけで日本の所得は増大するということになるわけですから、この面についての点が一つだと思います。 それからもう一つ、先ほど私が指摘した点でございますが、こういう円高デメリットの中で日本の企業が持っております今の企業戦略というのは、やはりローテク産業についてはこれは水平分業でもって海外にある程度生産を譲るなりあるいは海外進出をする、しかし日本の製造業を維持するということになればなおハイテク化を進めなきゃならぬ、こういう戦略をこれはいずれにしてもとらざるを得ないだろうと思うのです。 そういう観点からいたしますと、日本の基礎研究技術というのは、これは御存じのところだと思いますが、応用技術については日本は大変すぐれた国で、そのためにいろいろなトラブルも起こしておりますが、基礎研究につきましてはいろんな面で日本は立ちおくれているのでございまして、例えばソフトウエアの輸出入を考えてみますと、日本はむしろ輸入超過でございます。 こういうことから言うならば、日本のハイテク化を進めるということで、そしてその競争商品なりサービスを開発して、これは内需を含めて、内需なき外需というのはあり得ないわけですから、内需を含めてそういう新しい、先ほど岸本参考人の意見を使えば、いまだ充足されざるニーズ、デマンドを市場開拓するということのための研究開発投資、及びそれを支えておりますのはマンパワーでございますから、このマンパワーに対する教育訓練。教育訓練と言いましても重要なのはこれから出てくる学生だけが重要なのではないのでございまして、今おりますのは、大半の学校を終わった成人の人が職業転換をしなきゃならぬ、こういう状況にあるわけでございますから、そういうマンパワーに対する教育訓練投資というのが私は非常に大きな分野である。これの投資の効果があらわれるとこれは潜在成長力を増大させる道でございまして、これは具体的なことを申し上げますと時間がかかります。簡単なものもあれば複雑なものもございまして、ごく簡単なもので転換させることの可能な分野はたくさんございます。そういう点が私は重要ではないかと。 最後に財政の問題がございますが、その点については後で触れさせていただきますが、こういう成長を考えた上での雇用対策、ですから失業対策なりあるいは雇用対策というよりは、むしろマンパワーポリシーをこの段階でどう考えるか、これが私は一つの基本的な政策の方向ではないかというふうに考えております。それから先ほど申し上げました円高のメリットをどのようにして発揮させるか、これがもう一つの点でございます。 それから第二点は、余剰人員が発生した場合の受け皿がどうか、こういう御質問だというふうに考えておりますが、これにつきましても非常に多様な考え方が、論点がございまして、一つは、例えばこれは中小企業をとって考えてみますと、中小企業の労働力は、これは大変高齢化いたしております。それから中小企業では常特技能労働者の不足に悩まされております。しかも中小企業では高齢者の方がだんだん引退していくわけですから、この引退した分を補充するだけで相当量の雇用需要があるものと想定されるわけでございまして、そういう部面にこの労働力の受け皿というものが私は製造業の分野では考えちれるのではないかと。この場合にも、何にもやらずに簡単にスムーズにいくかどうか、その間に一定の訓練なり教育なりが必要ではないかというふうに私は考えております。 それから、第三番目に受け皿として考えられますのは、全体としての余剰人員ということから考えてみますと、先ほど申し上げました新しい技術革新というのは御存じのようにマイクロエレクトロニクスを中心とした技術革新でございまして、これに新しいマテリアルイノベーションがくっついてくる、あるいはバイオテクノロジーがそれにくっついてくる、こういう技術革新でございます。でございますから、これは既に御承知のところだろうと思いますが、情報技術者についての労働需要は絶対的に不足であります。むしろかつて言われましたソフトウェアクライシスでございまして、労働力が不足しているために技術革新がチェックされるという側面さえございます。 そういうことでございますので、この分野は、新しいこういう分野に中高年の方が参入をするということは全く不可能だとは私は考えませんけれども、かなり困難でございます。そういう分野に仮に若い労働力の人が就職するとすれば他の分野へは若い人は行かなくなるわけでありますから、中高年の方の雇用分野は拡大するものというふうに私は考えております。 それから、先ほども第三次産業についてお話が出ましたが、第三次産業で最も増加率の高いのは先ほど申し上げました情報関係の産業及び技術者、技術者はこれは製造業にもほかにもおりますから、職業と産業と違いますけれども。 それからもう一つは、今日のオフィススタイルは非常に変わりました。でございますから、そこで働いておられます建物サービス業、いわゆるビルメンテナンスでございますが、ここでも労働需要は非常に拡大しておりますし、この中には非常に単純な清掃のような仕事もございますが、だんだんと建物の設備が複雑になってまいりますと同時にかなり程度の高い技術を必要とする人たちも多くなっております。この人たちはほかの製造業を仮に離職した方がそこに転換するといたしましても、過去の経験なり技能なりを生かすことのできる分野であるというふうに考えております。 これも直ちに移転できるかどうか。その間に一つの教育訓練のクッションが必要であるというふうには考えておりますが、こういうようないわゆる事業所サービス業と申しましょうか、ビジネスサービス業の分野が非常に雇用が現に増大してまいりましたし、今後も増大する可能性がある。 それからいま一つは、伊藤参考人からも御説明がございましたような社会サービス業でございまして、これは教育、医療保健、それから社会福祉でございます。殊に社会福祉サービスということから申し上げますと、今までは主として児童福祉に関する分野が多かったのでございますが、今後高齢化が進むに従いまして老齢福祉に関する需要というのは増大する一方でございます。これはまだシステムがうまくできておりませんから、そのためにいろいろな不幸な事件が起きている。最近の私統計を持っておりませんが、多分日本の高齢者の自殺率は世界で一番目がその上位の部分に属するのではないかと思いますが、これ自体大きな社会問題でございまして、そういう分野への雇用の拡大というものが私は予想されるところでございます。 挙げてみればそういうところでございますが、それにしても、そういうような産業構造の転換がうまくいく前提条件という最も基礎的な条件になりますのは、ある程度の成長率があって初めてそれが可能になるわけでございますので、第一の御設問は基礎前提だというふうに考えております。 第三番目の財政の問題につきましては、これは私はちょっと専門外でございますので、あとお二人の参考人から御意見を言っていただきたいと思います。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。
○参考人(岸本重陳君) いろいろ御質問項目があったように存じますが、まず最初に話題に出た前川レポートについて簡単に所見を申し上げさせていただきたいと存じます。 私、マスコミの連中によく、あれを前川レポートとニックネームつけるのは間違っているよと言うんでありますが、国際協調のための経済構造調整研究会報告、経構研報告、これが正式の名前でございますね。これの座長が前川さんだということで前川レポートと言っているんですけれども、八五年十月末に私的諮問機関としてあの経構研が発足いたしまして、八六年四月七日に報告書が発表されるまで十九回の会合が開かれ、その十九回の会合に中曽根総理みずからすべて、ほとんどすべてと伺っておりますが御出席なさっている。総理のお考えが十二分に盛り込まれたもののはずでございますので、私は、どうせニックネームつけるなら中曽根レポートの方がいいんじゃないのと言っているわけですが、その前川レポートは世上、普通どういうんでしょうか、異なった二つの受けとめ方があるようです。 一つは、新聞の記事あるいはテレビの解説などによく出てまいります言い方でございますが、前川レポートでも強調されているように内需拡大が必要である、あるいは、内需拡大を強調した前川レポートの線に沿ってというふうなまくら言葉、内需拡大というまくら言葉が前川レポートとくっつくといったような使い方が一つあります。もう一つはそれと反対の見方であります。私は前川レポートについて後者の反対の見方をしております。 前川レポートはなるほど内需拡大についてもメンションいたしております。そのためには少しは賃上げを認めてやれとか、あるいは労働時間を短縮せよとか、そういった内需拡大につながる提言も含まれております。ですから、内需拡大を主張していないなどと見てはそれは間違った理解だと思います。 しかしながら、前川レポートの前段で強調されていることは、日本が今後歴史的大転換を遂げて輸入大国を目指すということであります。国際協調のために日本は今後歴史的大転換を遂げて輸入大国を目指す。私は、既に日本は世界一の輸入大国だと確信いたしておるのですが、それがなお今後歴史的大転換を遂げてさらに一層の輸入大国化をするというのでありますから、何をすることかという柱がなければいけない。柱はレポートで二つ与えられております。 一つは農産物の輸入であります。基幹的農産物を除き内外価格差の著しい農産物は基本的にこれを輸入に依存する、そういう趣旨の表現がございます。基幹的農産物を除き、と一応限定はされておりますけれども、例えば、これ私直接その当人から聞いたんでありますが、神奈川県の消費者団体連絡協議会の事務局長をしている男が食糧庁に問い合わせて担当課長に電話で尋ねました。前川レポート読みましたが、基幹的農産物を除きと書いてあります、これは米を除きという意味だと理解してよろしいですね、と彼が尋ねたそうです。食糧庁の答えは、私どももそのように理解したいものと希望いたしてはおりますが、担当の上司からはいまだそのような解釈が妥当である旨の言明を得ておりません、というものだったそうでありまして、つまり、基幹的農産物を除きというのは、まあ米を除きというふうに解釈したけりゃしてくれてもいいよと、しかし、そのあれは特定しませんよといった書き方であろうかと思うわけです。 米も含む輸入自由化が行われれば、私は日本で産業としての農業はつぶれるだろうと思います。農民は自家用米はつくる。自家用野菜はつくる。毛唐の米なんか食えるかと言って必ず自家用米だけは確保する。しかし他人に食わすための、非農家に食わすための米づくりはもうやらない。他人のためになるものをつくって、そして他人からお金をいただいて自分も生きる、これが産業でありまして、それができなかったらそれはただのなりわい、生業であります。そういう意味でいって、産業としての農業は農産物の輸入の拡大、特に米がそうなれば私は日本からはつぶれるだろうと。 そうすると、四百五十万戸農家からどれだけの労働力が職を求めて出ていくであろうか。大変そら恐ろしい気がいたすわけであります。六十年代の前半期、高度成長の展開過程で、特に山村を中心に挙家離村——家を挙げて村を離れるという言葉がございましたが、私は、今後は挙村離農の事態が展開するのであろうというふうに憂慮いたしております。 輸入拡大、今後歴史的大転換を遂げて輸入大国を目指すというその輸入拡大の第二の柱は、製品輸入ということに前川レポートでは明言されております。いかなる製品かということは書かれておりませんが、行間を読んで察するに、それは多分部品輸入でありましょう。もちろん部品以外の製品輸入も全く排除されているわけではなく、事実、昨年の統計で見まして、昨年年間を通じて日本の総輸入の中に占める製品輸入比率はちょうど四〇%であります。しかし月を追うごとに製品輸入の比率は高まっておりまして、昨年十二月ぐらいの数字で申しましたらほとんど五〇%が製品の占めるところとなっております。そういった製品の中には部品以外の完成品も多々含まれるでしょうけれども、私は、それよりもやはり部品輸入が日本の中小企業に与える打撃が大変大きいだろうと思います。部品産業こそは中小企業が主として担当しているものでございまして、であればこそ中小企業は大企業の下請となれるわけですから。 この前川レポート路線で輸入大国を目指すその柱が農産物輸入と部品輸入であるということは、今後の産業構造転換が大変なきしみを伴うものであるということをうかがわせるのでありまして、それに対していかなる受け皿を用意するのかといった産業構造政策は、私はまだ政府からは打ち出されていないのではないかと深く憂慮いたしております。 それから、御質問の中に北海道の産炭地のような例をお挙げになりまして、そういう地域では一体どうやって産業を振興すればいいのかという大変切実で難しい問題がございました。 私、お答えする力がないのが大変残念でございますが、先ほどの伊藤先生のお言葉をかりれば、やはりモノカルチャー型の地域経済をつくってきたためにそういう事態に立ち至っている。非常に困難だけれども、なるべく多様な産業をその地域の中からつくり出していく。地域の中からつくり出していくものと地域の外から来てもらうものとがそっ啄同機でうまく合致していくということでなければいけないと思うのです。 そういうときに、すぐに地域の外から輸入することはかり考えるんですけれども、地域の外からの輸入というのは、例えば、これ長野県地方でも現在よく見られる点でありますが、やはり輸出産業がその地方に清浄な空気を求めて立地する。そういった産業が輸出で不況に陥りますと、もろにやはり地域が打撃をこうむるということになります。地域産業との結びつきを持った地域外産業の血の導入といった大変困難なことではありますが、それを目指すしかないのではないかと思います。この点はもう伊藤先生が御専門ですので、そちらの方にお任せさせていただきたいと存じます。 それから、財政再建ということが足かせになっているのではなかろうか、社会資本充実といってもその財源どうするのかといった御質問でございました。 私、財政再建というのは大変重要な課題で、それは遂行されなければいけないと思います。国債の利息を払うためにまた国債を発行する、そういったいわゆるサラ金型財政構造からは脱却する必要があることははっきりいたしております。 しかしながら、やはり今までの財政再建策の失敗は、それを極めて短兵急になし遂げようとしたということにあると思います。そういった財政悪化というものは、例えば所得税収入の伸びが非常に顕著であるとか、そういった低成長に伴う構造的変化、日本経済の体質変化によって生じ、あるいは加速されたわけでありますので、そういった体質変化を何とかしていい体質に変えていくその努力の中で地道に長目で考えていくべきもので、それを例えば三年間で五年間でといったふうなことを設定して、そして結局失敗してしまった。 三年、五年という短期目標を立てて、それが成功すればそれは大変望ましいんですが、そういった短期目標を立ててそれが失敗した場合には、初めから長期目標でじっくりじっくりやっている場合に比べて財政へのダメージは大きく、かつ日本経済への打撃も増幅される。これはもう理の当然でありまして、私はそういったまずい方策のツケが今出ているんだと思うわけです。したがいまして、もうここは腰を落ちつけて、財政再建目標二十一世紀に達成というぐらいののんびりした構えていくべきだと思います。 国債といいましても、伊藤先生もお触れになりましたが、私は、建設国債というのは大変な合理性を持っていると考えておりまして、建設国債を利用していく、利用していきながら経済成長率を高めていく、そうすればおのずと所得税収入も上がってくるわけでございまして、展望が確実に広がっていくだろう、こう考えます。 少なくとも、当面増減税同額というような形の税制改革ではそういった効果は達成されないし、当面昭和六十二年に限って言えば、減税先行という形をとるにしても、たった一年間だけ減税先行をやってみたって、それはもう本当に焼け石に水のことであって日本経済の中長期の発展軌道を定めることにはならない。むしろ来年以降の増減税同額という段階に至って中長期的に見て日本経済は結局財源面から見ても経済成長がひどく落ち込む。恐らくゼロ成長に近いところに落ち込んで財源面でかえって苦しくなるといった事態を私としては想定いたしております。 それで、何と申しましょうか、経済成長はただ成長率が高ければいいというわけではないわけで、実質が大事なわけでございますが、しかし、例えば日本経済成長率政府見通しで昭和六十二年度三・〇%、こうなっています場合に、その三・〇というのは日本経済全体の成長率ですから、言いかえれば平均の成長率です。日本経済全体の中には何百%で成長する部分もある。そうでない部分もある。それひっくるめて平均として三・〇%です。 冒頭にちょっと試験で忙しくてというおわび申しましたが、それとひっかけてまた試験の例を出させてもらいますと、三十六万人も受験する国公立共通一次入試の場合には、大数の法則の理論どおりにほぼ完全な富士山型あるいはつり鐘型の得点分布をいたしております。もちろん部分的にはポアソン生起分布どおりの数値にならない部分がございますけれども、ほぼそうなっています。 しかし、一億二千万人の人間がいる日本経済、大数の法則からいったら三十六万人以上のサンプルがあるわけですが、にもかかわらず、経済の場合は平均が三・〇%のところにあるならば平均以下のところに経済の大部分がきてしまっている。そして平均以上の人が占める割合は小さいということになるわけです。したがって、平均成長率が低ければ低いほどゼロ成長である、あるいはマイナス成長であるという人たちの割合がふえていくわけです。そうしますと、成長率が高い方がゼロ成長やマイナス成長の人たちを少なくできるというわけで、成長率が高い方が社会的な不安定さを軽減できるという意味でも重要なわけであります。 その成長率を高めるためにはどうすればいいかということは、もちろんいろんな言い方ができます。例えば、そのうち二つだけ絞るとすれば、一つには何といっても企業がこれで十年間飯食っていけるというような自信を持てる産業分野、これを新たにつくり出すということです。そういった産業分野が私は五つも七つも八つも十もなきゃいかぬとは毛頭思っていません。 一九六〇年代の高度成長に入ってきたときに、日本が自信を持っていた産業分野は石油化学とそれから鉄鋼だけでした。あのときに日本の自動車産業がここまで上がるというふうに見た人はいなかった。だから特定産業振興法案なんというのが、結局日の目を見なかったけれども、できたわけでして、日本の自動車企業を一社に統合しなければ食われてしまうんじゃないかといった見通しがあったわけです。 そういった経緯からいって私は、今日本の企業が今後十年これで大丈夫やっていけるぞと、国内に大々的設備投資をやって食っていけるぞという産業が二つないし三つ見つかれば日本は十分に持てる成長力を発揮できるというふうに考えております。そういった新たな投資目的の発見ということが第一の成長政策であります。 第二には、従来成長を妨げてきているボトルネックをいかにして排除するか、詰まっているところをいかにして風通しをよくして物や人や金が流れるようにするかといったボトルネックのクリアランスでありまして、これは伊藤先生が御指摘のように、社会資本あるいは住居といったものがそのうちの一つに入りますし、これまた伊藤先生御指摘になりましたが、労働時間の短縮といったものも重要なボトルネックの排除になろうかと思います。 ただ、両先生が強調になられました円高メリットを生かさなきゃいけない、その御趣旨に全く私は異論ございませんのですが、その円高メリットを生かすためには物価が下がらなければいけないということには私は必ずしもにわかには賛成しがたいんです。 輸入価格で三七%下がっている、卸売物価で九%下がっている、それなのに消費者物価の方は昨年末の数字で〇・九%、これはおかしいじゃないかと。確かにおかしいんです。どこかで差益が吸収されている。しかし私は、ここで消費者物価が下がることによって一般勤労国民あるいは家計の所得が実質面でプラスになったとしても、つまり賃上げと同じような可処分所得増大効果を持ったとしても、経済は実質値だけで動いているんじゃなくて名目値でも動いているんですね。そうしますと、やはり全体としての物価が下がってくるところまでくるというのは相当なデフレ効果であって、日本経済にとって別の面でつらい事態になりはしないかと。 もちろん差益をどこかがため込んでいるというのはよくないことです。だけれども、その差益を上げた人がこれはその差益を上手に使ってくれればいい。そしてその差益が金は天下の回り物として流れていくようになってくれれば、それで私は成長促進効果が十分でてくるんじゃなかろうかと考えているわけです。 差益問題について言えば、あれも下がってない、これも下がってないといってモグラたたきをやるよりは、一番重要なのはやはり基礎資材、例えば電力、ガスのような基礎資材、あるいはその他基礎的な中間材の輸入価格が的確に着実にいいタイミングで下がる、それを監視すればいいのではないかと思うわけであります。 財源の問題として、そういった成長による所得税の増大ということのほかに、私はやはり例えば産業構造をうまく誘導していくためには選択的消費税を考えてみて、望ましくない産業構造の転換がスムーズにできるような、産業構造の転換にそういった選択的消費税を使うといった手もあるのではないかというふうにも考えております。不十分ですが……。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。
○沓掛哲男君 まず、第一点で氏原さんに御質問させていただきたいんですが、貿易摩擦をなくしていくために我が国からこれからいろいろ海外直接投資が行われていくわけですが、そういうものと国内の空洞化をもう少し定量的にやっていただけないかということを過去の反省を含めて申し上 げたいんです。 二つのことを申し上げたいんですが、今円高で苦しめられておりますけれども、こういうところで日本の円はどこまでの円高まで耐えられるかというようなことがちょうど二年前にもし議論されていたとします。あのころ一ドル二百四十円は私らも円が安いと思っていました。しかしこういうふうにまで、百五十円まで上がるとは夢にも思っていませんでした。二年前にこういうところで円高はどこまで耐えられるか、どこまでが適正かという議論がされておれば、例えばOECDでもいわゆる購買力からいえば一ドルは二百二十三円とか言われているわけですし、またあるいは二百円、あるいはいろんな数字が出てきたと思いますが、決して今のような百五十円が妥当だという数字は絶対出なかったと思います。そうすればG5に行った方は、そういうことを十分国内で議論されておれば、それは円高に持っていかにゃいかぬだろうと、しかし日本は百八十円いや百九十円よりも高くなったら国内的に大変なことになるからここまでが協力の限度であるというようなことが議論できたのではないかと思いますが、不幸にしてそういうことがどこでも議論されていなかったということ。 それから、今お話しの岸本さん、氏原さんの中で、海外直接投資があっても必ずしも国内の生産を減少させないんじゃないか。未充足のものもあるからというお話なんですが、私は必ずしもそうは思わないので、相当な打撃を与えるというふうに思うのです。 それはどういうことでかと申しますと、実は織機をつくるんですが、織機はウオータージェット方式というのがございまして、これは世界で今三社がつくっておるんです。その一番大きい会社を私の友人がやっているんですけれども、ウオータージェットというのは、横糸をつくるんですけれども、昔はバッタンで一本だったのが水で持っていくので一分間に千二百本の糸をばあっと持っていくんですね。見る間に織物をぱあっとつくるんですよ。革命的な織機なんですけれども、それがどこへ一番売れているかといったら、韓国と台湾にどんどん出ているというのが五、六年前だったんです。こんなことをやっておったら、おまえ、わしの石川県や福井やあの辺は繊維産業の土地だから織物が大打撃を受けるじゃないかと言ったけれども、そんなことはおれの関係じゃない、こう言っていました。そうしたらそのとおり今大打撃を受けております。しかし、いまだにやはりその織機を韓国と台湾がどんどん買っているというんだからこれは不可思議な状況なんですけれどもね。 そういうことから見て、私はこれからの日本にとってやはり海外直接投資がなされていく、そして国内の空洞化というのはこれから非常に重大な問題として認識する必要があるし、そして、例えばどういうふうにしたらいいのかわからないのでお聞きするんですが、GNPの一〇%を超えるような累積直接投資が行われれば失業率がこれぐらいになってくるとか、そういうような何か定性的なお話というものができないのかどうか。 もし何もしないでいて、五年後ここの場所で、いわゆる非常に海外直接投資がふえて、そして失業率も多くなったというと、参考人の方は立派に、これこれこういう理由でなったんだよと言われると思うのですよ。そうでなくて、何とかもう一歩前に、海外直接投資がこれぐらいいくと失業率がこうなるんだ、そういうようなものをいろいろ議論して教えていただける、そういうことがこれからのいろんな国際社会で議論していただくに必要じゃないかなと思うので、そういうことをひとつお尋ねしたいのが一つ。 それからもう一つ、これは岸本先生と伊藤先生にお尋ねしたいんですが、今民活のお話が岸本先生から出て、それなりにいい手段だとおっしゃられました。私もそうだと思います。 しかし、これは地域的に非常に限られた、東京周辺は民活によって非常に活力あふれているんですけれども、なかなか地方は、民活で何とかして興そうと思って一生懸命に努力したけれども、小さなものはぼつぼつできますけれども、それが地域経済に活性を与えるというようなものではございません。現に、民活が盛んになった五十七年から東京はまた人口がふえ出してきて、地方ではまた人口が減っている状態にあるわけです。 私は、地方の活性化を図る上においては公共事業、それをもって社会資本の整備をしていかなきゃいけないし、そうした場合に、今おっしゃられた建設国債というお話があるんだけれども、建設国債にも限度があるんで、やはりこれからの財源としては税金的なもの、それは建設国債も含めてですけれども、的なものと、もう一つは有料制度の活用だというふうに思っています。しかし、私も随分有料道路等やってきましたけれども、これにもおのずから限界があるんで、税金的なものをある程度確保して、そしてそういうものを民活に使っていく、そういう仕組みが必要じゃないか、ある程度の増税はやむを得ないんじゃないかなというふうに私は思います。 先ほど伊藤先生は東北のことをおっしゃっていましたけれども、私はいつも考えているんだけれども、北海道と東北を合わせると国土面積の四〇%になるんですね。そこに十数%の人しか住んでいないし産業も一〇%ちょっとしかやっていない。そして、先ほど伊藤先生は、公共事業をやってもそれをやっているときだけ活性化があって後はないとおっしゃられました。やはり公共事業というのは目的的にやるべきだと思うのですが、一番困っているのが北海道だと思います。 北海道の方々とよくつき合うんですけれども、公共事業は専ら食べる方に使わせてくれと。しかし、これを使ってじゃどういうふうにするのかと言ってもなかなかいい回答が返ってこないんですよ。北海道の方々は、それを余り詰めると怒り出して、一体おまえたちは何をやってきたと、国や政府は。てん菜糖をやれと言ったから一生懸命にやってきたけれどもだめじゃないか。漁業もやってきたけれどもだめじゃないか。水田もだめじゃないか。そして企業誘致を一生懸命にやったけれども、二、三年おればみんな帰っていってしまうだろう。まさに酪農もということですが、今別海町で酪農が、七十万頭ぐらいいますけれども、この間一週間ほど前テレビで牛乳を捨てていましたね、どんどん。生産調整で捨てているんです。 そういう北海道という非常に国土面積が広い、だからああいう寒いところはだめかなと思うのだけれども、一方北欧で、北海道よりももっと寒いところがそれなりに対応している。日本というのはいいところと悪いところがあるから、いいところばかり使われて悪いところはなかなか使いにくいのかなとは思うのですが、そう言ってみても、やはり非常に大切な北海道でもあるんで、そういう北海道等を振興していくにはこれからどういうことをしたらいいのか、そういうのを伊藤先生に、前の財源的なことについては岸本先生にお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○参考人(氏原正治郎君) 今お話がございました海外直接投資につきましては、現在雇用問題政策会議で使用者側の代表の方と労働側の代表の方にお集まりいただいて、今実情についてのお話を伺ったり資料を整理いたしましたりして、何らかの形で今後予想される海外直接投資についての労使の合意を得る努力をいたしておるところでございまして、実は午前中もその会議をやってきたところでございます。 これもまた結論を申し上げるということではなしに論点について申し上げたいと思いますが、海外直接投資が、——これ短くやれ、こういうことでございますので詳しいことは申しませんが、幾つかの動機で海外の直接投資が今まで日本で行われてまいりました。 一番最初に行われてまいりましたのは、原料資源を安定的に確保するために鉄鋼会社なりあるいは石油会社なりがやったというのがこれは一番早いタイプのものでございます。それからいま一つは、新市場開拓のために行われたものでございまして、輸入制限をしている国がございますので、そこに日本企業で進出いたしませんとマーケットが拡大できませんので、そこにやったものがございます。 それから、オイルショック以後は素材産業が大変エネルギー価格が上がりましたので成り立たないということがございまして、これはアルミが代表でございますけれども、アルミ生産を現地でやって、アルミの素材を日本に輸入して加工を日本でやる、こういうタイプのものでございまして、これは経済的なものでございます。 その後やってまいりましたのは、その以前からやっておりましたけれども拍車がかかりましたのは、この前の円高でございまして、この場合には今とちょうど同じでございまして、国内製品のコストが高くなったものですから海外に企業が進出する、こういうことでございました。 それから、第四番目に出てまいりましたのが貿易摩擦のために輸入制限がございますので、それに対応するために海外に進出する、これは主としてアメリカ、ヨーロッパ、それまでは開発途上国でございますが、先進工業国に海外進出したというものでございます。 これらについていろんな論点がございますが、雇用に限って申し上げますと、今までのところ、これは業種によりその国によって程度の差がございますけれども、雇用に対して一般的にプラスであると考えられますのは、海外に工場をつくるわけでございますから、その設備は日本から輸出するということでございまして、資本財輸出のために雇用が日本にプラスに働くという面がございます。先ほどのウオータージェットの場合も、ウオータージェットをつくられている会社では雇用が確保されているわけですから、それは一つの例でございます。 それからもう一つは、主として組み立てだけを海外でやって、大体海外企業というのは、日本の場合それほど大規模なものは今のところございません。ですから、そういうことでございますとそこの生産量が上がれば、部品は日本から持っていく、こういうことになりますので、この場合もプラスの効果が出ます。 ただ、この場合に問題なのは、その部品の現地調達に対していろいろな要求が各国にございまして、例えば六〇%は部品を現地で調達しろとか、あるいは八〇%は調達すべきであるとかというようなことがございます。こうなりますと、これもまた国によって違いますけれども、現地で部品が調達できなければ、日本の部品工場がそっちに工場をつくって、そこで部品をつくってその組み立て工場に売らなければできないものですから、これも日本の部品工場の海外進出という形になってまいります。 そういう効果と、それから、実際には海外進出がなければ日本で生産が拡大したわけですからそれだけ雇用がふえたはずだ。ふえたはずなんだけれども海外に進出したためにそのための雇用がふえなかった、こういう輸出代替効果というのがございます。これは実際その効果が出ているわけでございます。 それからもう一つは、ブーメラン効果と呼ばれるものでございまして、海外に進出した企業で生産されたものが安ければ日本に逆輸入されてくるわけでございますから、そうすれば日本の雇用は減少する、こういう効果がございます。 全部挙げたかどうかわかりませんが、今のように数量的に計算するということになりますと——それともう一つは、海外に進出したために海外生産、海外のマーケットが拡大した、そのために海外の生産量がふえて、それで先ほど言いましたように部品の輸出がふえる。そしてまた海外の経済が発展いたしますから、そうすると購買力が発生して海外進出の部分、商品だけじゃなくてほかの商品の輸出がふえる、こういう関係もございまして、そこまでいきますとこれは計算することが大変難しいわけでございます。 直接的な効果だけで計算するということはある程度やったものがございます。しかしこれはかなり企業秘密に関することでございまして、これを正確にデータをもって計算するということは不可能だと言っていいと思います。 これはアメリカで特定の企業についてやった研究がございます、たしかストボーだったと思いますが、日本でも日本労働協会が電機それから自動車その他についてやった幾つかの研究がございます。これもデータ不足のために正確な評価はされておりません。おりませんが、そういう個別企業、ケーススタディーによる研究の結果によりますと、今度の円高以前については雇用減少効果はなかった、むしろ雇用拡大効果の方が大きかったというのがそのおおよその結論のところでございます。 ただ、これは円高以前のことですから、今後どうなるかということにつきましては、事情が非常に変わっております。変わっておりますが、我々が議論しておりますところによりますと、電機産業につきましても自動車産業につきましてもそうでございますけれども、これは今計画あるいは建設中でございますから、これの効果というのを今のところ測定することは非常に困難でありますが、今までのところ国内のマーケットについては、先ほども申しましたブーメラン効果については、繊維ではお話にありましたように前からあることでございますが、鉄につきましても、余り高度の品質でないものにつきましては現に既に韓国から輸入がある程度ございますが、日本の製鉄業については決定的な要素にはなっていないというふうに判断いたしております。 それから、電機、自動車について申し上げますと、これは大体において今の日本の電機産業及び自動車産業の考え方というのは、国内のマーケットについては現在の雇用について影響のない範囲内で海外進出するというのが企業の側の考え方でもあり、労働組合の考え方でもあるというふうに私は推測いたしております。 と申しますのは、これは自動車産業の場合でありますとなかんずくそうでございますけれども、日本の自動車産業の産業組織というものは非常に特異でございまして、部品が必要なときには必要な部品をすぐ供給するという生産体制のもとで日本の自動車産業というのは成り立っているわけでございますから、そうすると自動車産業の産業組織をワンセット向こうへ持っていかないと自動車産業は成り立たない、日本と同じ程度の生産性を上げることは難しいということが、ございますので、これは今のところ、少なくとも短期・中期的に考えてみれば、海外進出によって日本の雇用が、合理化による削減はあるかもしれませんけれども、逆輸入によって大幅に削減されるということはないんじゃないかというふうに思っております。 それから、電気機械産業について申し上げますと、これは製品が非常に多様でございまして、先ほど申し上げましたように、電気機械産業では新しい製品を絶えず開発しておりますので、ある部分は海外進出しておりますけれども、しかしそれによって日本の雇用が削減されるということは今のところございませんし、恐らくここ数年間はないのではないか。これは電機産業全部が不況になれば別でございますけれども、そういうふうに考えていいんじゃないかと思います。 そういう意味からいいましても、私が先ほど申し上げましたように、それを事前に予防するためには、これは電機や自動車だけではございません、日本産業全体でございますけれども、何を戦略産業にするか。恐らく情報産業ということになるだろうと思いますけれども、それについての研究開発を中心にしたマンパワーポリシーと申しましょうか、これはどこの国でも考えていをことでありますが、それをやって日本の先端産業の基盤をつくっていくことが産業面から見てみますと私は必要ではないかと思います。 ただ、ローテク産業について考えてみますと、これは開発途上国の要求も非常に強いわけでございますし、また、そういうところに技術移転をしてそこで経済発展を促進するということが、これこそまさに国際協調路線でございますから、そしてまた日本の企業の要求するところでもございますので、これは当然にとめようがなく進むであろうというふうに考えております。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。 それでは岸本参考人にお願いいたします。
○参考人(岸本重陳君) 私が申し上げた趣旨は、企業のいわゆる海外進出に伴って日本に重大な雇用問題は生じないであろうと楽観的なことを申し上げたのではなくて、海外進出の事態が進むことが十分予想される、その中でどういうふうなことを考えるべきかという角度から申し上げたわけでございます。 通産省の、いつの発表だかよくわかりませんが最近の発表ですと、日本の企業が海外に設置している現地法人が雇用している労働者数、九十三万人という数字を挙げております。氏原先生がおっしゃったように、日本の企業が海外に進出して現地で九十三万人雇ったその分が全部日本で雇用が減った分に当たるのかといえば、氏原先生がるる御説明なさいましたように、それはそんなふうには絶対言えないわけで、今までの企業の海外進出分では日本に対して重大な雇用減は生じていないと見るのが今までに関しては妥当かなと私自身も思っております。今後は楽観できない。そのためには多少のケーススタディーを含めた計量的な推定が必要だという御指摘、全くそのとおりに思います。努力しなきゃいかぬと思います。 それから、地方では民活がやりにくいではないか、公共事業を活用しなければという御指摘でございました。私も全く同感に思います。 私は兵庫県の兵庫五区の出身でございます、生まれも育ちも。したがいまして、昔表日本、今裏日本の実情をよく存じておりますので、先生御指摘のその点に関しては全く同感に存じます。以上です。
○会長(浜本万三君) 伊藤参考人お願いします。
○参考人(伊藤善市君) 時間の関係で簡単に申し上げます。 北海道は、おっしゃるように今いろんな面で石炭もだめ、鉄もだめ、こう言いますけれども、頑張っているのもあるわけですね。農業につきましても、北海道はやり方によっては非常に強い農業になり得る状況にあるわけです。現に私が個人的に知っている何人かに会いますと、食管やめた方がよろしい、こういう意見が多いですね。食管をやめれば、おれのところの米はまずいなんて言うけれども、とんでもない、もっとうまい米をつくってみせる、コストの面では絶対負けない、そう言うのがおりますけれども、しかし政治家とかいろんな方々は我々は今までよりもきつくなったとばかり言っているわけです。 私は、北海道が本当に発展したかったら補助金体質からいかに早く脱却するかということ。北海道だけ特別扱いいっぱいあったわけです。ほかのところも、じゃ我が方もと始まったわけですね。ですから北海道はいつでも別の意味での差別を要求するようなところがあって、それではやはり私はまずいと思うので、心構えの問題みたいですけれども、どうすれば自立的な経済のシステムができ上がるかということは共通の目標であると思うのです。案外そういうふうにすれば新しい知恵が出てくるかもしれない。 そういうことの一つの例として、国鉄が今度民営になりますね。北海道も始まるわけですけれども、それを今から見越して、例えば観光なんかでもって全日空と国鉄とドッキングしまして、そしてスキー列車なんかの席をみんな買い占めてしまうというか確保するということ。もう予約買い付けができているようなものもあるわけです。そういうアイデアで幾つかのものをやっているところがありますし、あるいは旭川の家具なんかはハワイに行って市場開発をやってだんだん成果をおさめてきていますね。あるいはユーカラ織なんというのは、これは戦後できたんだけれども、見たところによるともう昔からあったみたいな、アイヌの時代からあったみたいなそういうイメージをつくるようなすばらしいユーカラ織なんかも、これも旭川でやって非常に有名になっておりますけれども、そういうような幾つかの面でいろいろたくましい動きもあるわけです。 横路知事さんが大分の平松知事さんのところへ行って、一村一品運動を同じくやりたいから、仁義を切ると言ったら変ですけれども、ノーハウをちょうだいと。それで、よろしいと、それじゃあなたの方から留学生よこしなさいと言ってお互いに交流し合ってやったり、そういう動きもあるわけです。 これも、北海道は明治の初め御承知のように人口十万切っていたわけです。人口十万いなかったんですよ。あれから百年ちょっとたちましたけれども、今五百万になったでしょう。札幌は百万を超えちゃったし。ですから北海道の開発は、政策をどういうふうに評価するかは自由ですけれども、私は百年間であれだけ人口が定住し、立派な都市が札幌を初め幾つかできて、それでかなり活力もあって、本土からもどんどん観光客も行くというふうになってきたということは、やはり長い目で見ればいい線いっているんじゃないかという感じがします。 それからもう一つ言いたいのは、工業について見ますと、やはり加工度ですね。素材ばかりつくっておったわけです。素材型産業が多くて加工組み立てが少なかった。どうすればその加工度を高めて、量じゃなくて質で勝負するかということ。だから、北海道については商品開発と市場開発というのが、現にやっておりますけれども、非常に重要であると思います。 それから、北海道は食べ物がうんとうまいわけです。そういうものをうまく組み合わせまして、これからいろいろ可能性も持っておるので、これは北海道だけじゃありませんけれども、農業をうんと強くするためにはいろんな保護政策も含めてデレギュレーション、いろんな過保護も邪魔な保護を含めまして、もっと自由に闊達にやれるようにやった方が北海道なんか強くなるんじゃないか、そういうふうに思います。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。
○馬場富君 三参考人の方に大変貴重な意見を賜りまして、参考になりました。三先生の特徴ある御意見の中で何点か御質問したいと思っております。 一点は、氏原先生には円高という問題を中心に質問したいんですが、特に円高差益と差損の問題ですね。差損もあるけれども、差益での生かし方もあるという意見も出ましたが、私は、ちょうど百六十円になったときに輸出輸入の差損、差益の額というのがどのぐらい輸出額、輸入額からして出るんだろうかということをちょっと当局に計算してもらったのですが、案外輸出額は多いようですけれども、ドル建てが少ないために百六十円が一年間続くと全国で九兆ばかりの損になるんだと。輸入の方は、額は少ないけれどもドル建てが多いために十兆ぐらいのプラスになるんですね。そういう計算があの百六十円のときに一年間続いたとしたらということで当局にそろばんはじいてもらったら出たんですけれども。そういう点で、これは確かに数字の上ですけれども、差益が本当にこの円高の不況のために還元されていくということについて適切可能な手段があるかどうかという点を先生に一点お尋ねしたいことと、それからもう一点は、現在円高に直面して機械産業を初め輸出産業は合理化に努力しておりますね。百五十円台で、それ以上でも採算のとれるような体制づくりを今必死にやっておるわけです。このことは、結局、円高にもかかわらず、日本の黒字は努力によってかえって減らないという結果も出てくるんじゃないかと。そういう点では一層の円高をもたらす。ということは、結局円高と合理化とは矛盾が出てくるんじゃないかということを私たちは考えるわけです。それは労働者、下請企業にしわ寄せが集中してくる事態になりかねない、こういうふうに考えるわけですけれども、この二点について氏原先生から御説明いただきたいと思っております。 それから次に、岸本先生には内需拡大という面で、今日本の経済が、また行政が一番悩んでおるものはこの内需拡大策だということですが、非常に経済摩擦の解消のための内需拡大が必要であるという適切なお言葉、それからまた国際協調のために内需拡大が必要である、この二点をおっしゃいましたが、私も非常に同感でございますけれども、実は貿易摩擦という声を聞いてもう十年になるんですが、その間ずっと経済成長率の中で政府が立てる内需拡大の数字というのは出ておりますけれども、ほとんどこれは達成されたことのない状況なんです。それで、国民の中に内需拡大は政府の声だけで絶望的だ、こういう私は認識すら出てくるんじゃないかと。これだけ十年間も摩擦摩擦、内需拡大内需拡大といった、これは実際外国に対する呼びかけだけのことではないかという実は不安すら国民の中に出ておるのが現状です。 例えば、今年の成長率を見ましても、三・五%の中の外需はマイナス〇・五、内需が四というような状況ですね。実績からいったって、近い数字の六十年度あたりでも、数字は出すけれどもほとんど外需依存型になってきてしまっておる、結果は。十年間それをずっと繰り返してきたにすぎない。結局、数字を出すだけで実際はそれに伴う内需拡大の適切策はなかった。政府が内需拡大というと、公共事業の拡大だとか総花的に拡大策を実はやってきたにすぎぬわけです。 そういう点で、先生の言葉の中で非常に魅力を感じたのは、私も同感ですけれども、未充足の分野の需要が必要である、その点に内需拡大を充てるべきだ、今までと同じ型のことばかりやっておったって内需拡大にならぬし、内需拡大の結果は出てこない。そういう点で、私はこの言葉に同感です。 特にまた、国民のニーズに合った需要が生じてこなければならない、国民生活をよくしていくための個人消費の喚起が内需拡大の中の焦点であるという先生の御意見、私も同感ですし、これは過去にも何点か予算委員会でも論議が出たわけですけれども、例えば六十二年度の成長率一つ見てみましても、三・五%の中の内需が約四です。内訳。外需はマイナス〇・五%です。その中の約半分に近い数字が民間消費ですね。政府は確かに民間消費が大きいいわゆる内需拡大の要素だということはわかっておるけれども、これに対する適切な措置が私は今までなかったのではないかと思うし、また内需拡大というのは、ここにもう焦点を置く以外ないじゃないかということを、先生と私は非常にその点は同感ですけれども、先生のそこらあたりの御意見をもう一遍お聞かせ願いたい、こう思います。 それから伊藤先生には、いわゆる定住圏構想、地域経済活性化の問題のことを何点がおっしゃいましたが、特にこの中で政府が立てておる全総ですね、二全総、三全総、四全総——四全総は今作成中でございますけれども、二全総にしても全国ネットワーク問題、列島改造、これもやはり集中型を排除して地方への分散を意味しました。三全総も定住圏構想はそうです。四全総は今言われておる交流を入れただけの話であって、これもやはり地方への分散を必要としています。これはほとんどできずに終わってしまって、結果は、今東京中心の状況になってきてしまっておるというふうに見ても過言じゃないんじゃないかと思う。 そういう点で、民間プロジェクト等によって大都市集中を解決していくというように言われておりますけれども、そういうことが果たして今の状況で可能なのかどうかという点と、それから非常に今東京圏集中型になってきています。これはもう利害を中心とした経済の状況から推して、何らか手を打たなければ東京中心の改変にならざるを得ぬと我々は考えるわけですけれども、ここらあたりに対する対策の点をお聞かせ願いたいと思います。以上です。
○会長(浜本万三君) では氏原参考人から、時間を節約してお答え願います。
○参考人(氏原正治郎君) もうごく簡単にお答えしたいと思います。 円高利益を国民経済が享受するためには、基本的には今資金需要も緩和しているわけでございますし、先ほど申し上げましたような新しい商品なりサービスなりの開発をして、それに対する設備投資を国内でどうやって興すかということです。結局は投資がふえれば日本みたいな資源過少国は輸入がふえますから、それだけ利益が拡大するというふうに私は考えております。 第二番目の御質問の、合理化をやればやるほど輸出がふえるじゃないかと。これはもう現に今までそのとおりでございまして、円高になったがら各会社とも合理化をやって価格引き下げ競争をやったものだからますます輸出が伸びた、こういいうことでございまして、この点に関して申し上げますと、原則としては国内市場なき海外市場というものは私はないというふうに考えております。 ですから、先ほど岸本参考人も言われましたけれども、国内で隠されたニーズをどうやって掘り起こすかというお話がございましたが、そういうニーズに合うような新しい製品なりサービスなりを開発して、それがマーケットがあふれて外へ出る、こういうことだろうというふうに私は考えております。でございますから、そういうところの投資をどういうふうにして喚起するか、そして投資がふえれば輸入もふえるし、最終的には最終消費に回るということでございますから、そのポイントをどこでとるかということだと思います。 最後のポイントのところは財政政策なり金融政策なり、あるいは産業構造政策なりの問題だと思いますけれども、大づかみにお答えしますとそういうことです。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。 岸本参考人にお願いします。
○参考人(岸本重陳君) 私は、内需拡大ということを実行するためには少し新たな視点が要るんではないかと思うのです。と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、内需拡大を何のためにやるかというその目的から言いまして、少なくとも短期的に言ったら当面の経済摩擦を何とか緩和しなきゃいけない。ところが、この貿易摩擦というのは輸出が過大だから起きている。日本の自動車、鉄鋼、精密機械、半導体、家電等々のそういったいわゆる摩擦産業の輸出が大変過大である。それで摩擦が起きている。したがって、それらの産業の輸出に回っている分を何とか内需で受けとめていかなきゃいけない、そういうところがポイントだと思うのです。 そのためにどうするか。新たな視点と強調しますのは、もうここまで来たら日本側が主体的に輸出税をこれらの製品にかけて、そして自動車にかけた輸出税からはその輸出税収入をもって国内で自動車が売れるようにする、家電にかけた輸出税からはその家電が国内で売れるようにする、そういった目的税的な輸出税をかけるところまで恐らく来ているんじゃないかと私は思うのです。 アメリカで議会側の包括貿易法案、政府側の包括貿易法案が出ました。ECでは報復的関税をかけるという動きが一層高まろうといたしております。アメリカが課徴金をかける、課徴金をかけられて日本の製品が高くなる、日本の対米輸出は軒並み落ち込む。しかし、その課徴金というのはアメリカ政府がかけた金だからアメリカ政府のポケットへ入ってしまう、日本の産業にとっては打撃だけ残る。ECの報復的高関税の場合も同様でして、その関税分はEC諸国の政府の財源になるだけであります。 しかし、日本の側が輸出税をかけて日本の輸出品がかなり高くなる。それでも売れていく分にはよその国の産業も納得してくれる。こういったふうなことができるならば、輸出税としてかけたものは日本の政府に入るわけですから、それでもって先ほど成長のボトルネックと申しましたようなものを奪回していく、そうすれば自動車だってもっと国内で売れるようになるというふうなぐあいの考え方がもう必要な段階に来ているのではないかと私は考えております。 そういう問題というのはすごくやりにくいのかというと、私はそうでもないと思うのです。日本の輸出額のほぼ半分は上位企業三十社の上げているものです。自動車、家電等々の上位企業三十社が日本の輸出総額の半分を上げているんですから、そういった政策手段をとるのが、不特定多数を相手にそれこそ投網をかけたようなやり方でどうこうするというような性質でないだけに私は実行しやすいのではないか、そう考えておる次第です。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。 伊藤参考人お願いします。
○参考人(伊藤善市君) 先ほど御質問者がおっしゃったように、ネットワーク構想というのは新全総のときにもあったわけです。ですけれども新全総のときのネットワーク構想というのは、東北新幹線と上越新幹線はできましたし、若干の高速道路も整備されましたけれども、地方圏では期待するほどできない間に三全総へ移ってしまったわけです。ですから私は、ネットワーク構想というのは単位未修得のまま仮進級だというふうに言っているんですけれども。したがって、今度それが四全総でもって再び交流ネットワーク構想という形で復活といいましょうか、強調されるようになったのは非常に望ましいと思います。 それから、今まで三回の全国総合開発計画をやったけれども、なかなか地方分散うまくいかなかったじゃないかという御指摘ございましたが、うまくいかなかったかいったかということの物差しがなかなか難しいんでございまして、やはり一つは、格差が縮まったことはこれは統計的に明らかです。全国四十七都道府県の一人当たりの所得の格差というのは、長期的にはジグザグはありましたけれども、格差は縮小したことは、それはもう間違いございません。 それから、地方圏の方へいろんな工場とか何かが随分進出しましたし、先ほど東北に三分の一の先端産業の立地が決まったなんというのもその一つだと思いますけれども。ですから、地方分散というのは、東京の工場は新規につくらないようにもう制限されておりますからそれもありますけれども、やはり分散はある程度というか、かなり進んだと私は見ております。 それから、地方の例えばいろんな施設、特に箱物と称するものはこれは非常に整備されて、人口一万の町でも、何といいますか、夜間照明つきの野球場が整備されたり、東京なんかよりもはるかに公共施設は整備された、そういう感じを持ちます。これから四全総では同じように多極分散構造でいろいろやろうとしておるわけですけれども、こういうような高度情報社会になればなるほど物によっては分散しない、つまり国際的な機能というものは積極的に集まってくるだろうし、私はそれでよろしいと思います。しかし、東京は何でもかんでも集まって、もうあとお手上げになるかというと、私は歯どめ装置があると思います。非常に皮肉を言い方ですけれども歯どめ装置があって、一つは車なんです。 自動車というものが道路の整備とともに普及いたしますと、都市の規模というものは遠方に、外延的に拡大する、そういう性格を持っていますね。ところが、自動車によって拡大したんだけれども自動車によってもうにっちもさっちもいかなくなるというようなこともありまして、自動車がふえたことというのが東京の拡大を抑えるように作用しているということ。 もう一つは地価です。地価というのは土地の利用の形を決めていきます。銀座の真ん中に田んぼがないのは、あんな高いところじゃ田んぼはできないからです。ですから高い地価でも、高い地代でもやっていけるもの、例えばアークヒルズのあの辺でもって外国の企業なんかどんどん入ってくるというのはそれなんですけれども、東京の地価がどんどん上がってきておりますので、それが今の制度ですと、土地を売って得たものでまた新しく買えば税金がからぬという仕組みですから、どんどん東京から、都心三区から山手環状線へ、それから今度は東京都二十三区にと拡大して地価が上がっています。そのために立地できるものとできないものがあって、地価の上昇というものがそれを抑えにかかって、それで東京の外郭の一都三県の三県の方に住宅が移っている。さらに今度は首都圏の中に展開したり、こういうことがございますので、私は多極分散というのは、努力しなきゃなりませんけれどもお手上げとは思いません。以上です。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。
○神谷信之助君 参考人の先生、貴重な意見ありがとうございました。 時間の関係もありますから、三人の先生にそれぞれ一、二問ずつお伺いしたいと思います。 まず氏原参考人にお伺いしますが、先生の対談なんかお聞きしていますと、日本の年間二千時間を超える労働時間は大変恥ずかしいことだというふうにおっしゃっております。今雇用問題が非常に重要なときに、労働時間の短縮というのは非常に大きな課題だと思うのです。ところが、今度のこの国会にひょっとすれば労働基準法を変える問題が出てくると思います。それの内容、幾つか問題点はあるんですが、そのうち二つだけちょっと先生の御見解を聞きたいと思います。 一つは、週四十時間労働制、しかし政令で当分の間は四十六時間という問題です。これ労働省の調査でも所定労働時間の実態は、従業員一人平均四十三時間五十七分で、五人から十人未満の事業所では四十五時間三十八分、こういう状況です。それでまた、ヨーロッパその他の先進国は今もう三十五時間労働制を要求する方向へ出てきていますわね。そういう点かを言うと、この四十時間労働制を法定するということを評価する向きもあるけれども、しかし当分の間でこれなんだし、猶予期間がありますからね。そういう点から言うと実態から大変おくれているし、今日の労働時間の短縮の要求から言っても非常に問題があるんではないかというように一つは思うのです。 それからもう一つは、変形労働時間制ですか、この問題で、先生御専門ですから結論だけ言いますが、一日八時間労働制を取り崩すことになりはしないか。超過勤務手当なしの長時間労働が集中的に持ち込まれる、そういう危険が非常に多いんではないのか、この二点について御意見を聞きたいというふうに思います。 それから、岸本先生には二つお聞きしたいんですけれども、非常にでかいことを申し上げるんですけれども、それは先般のパリ会議の評価についてどうお考えかという問題です。 今日、先進資本主義諸国の現状というのは、いずれも軍事費の拡大に伴って経済と国民生活が耐えがたい問題になってきて、サミットがずっとその解決の道を選ぶということで、そういう中で開かれてきたんですけれども、そういう点から言うと、軍事費を大幅に削減をして平和と軍縮に向かっての国際政治の根本的転換を目指すことなしに今日の世界経済の危機の打開の道はないのではないのか。ところが、今度の共同声明を見ますと、こういう基本的視点は欠落をして、一言で言ったら、各国はそれぞれ自己弁護と自国の政策をあれこれ羅列をしているにすぎない。確かに共同声明の中では、アメリカは財政赤字を縮小するというように書いてあります。確かにこれは今の双子の赤字と言われる問題を解決することなしに為替レートの安定もあり得ないわけですから、当然のことなんだけれども。 しかし、片一方では今SDI計画に見られるような大軍拡の計画という問題もありますし、それから、日本の貿易黒字がアメリカの思惑どおり減らないとしたらさらに冊高が強制されてくるということ。この点で財務委員長ですか、彼は一ドル百二十円ぐらいまでするんだというような話も出してきたりします。だから、そういった点を聞いて、これ円高をさらに押しつけられる危険さえもある。こういうように一昨年のG5以来の動きを見てパリ会議を評価しているんですが、この点についての先生の御見解を聞きたい。 それからもう一つは、大企業の海外進出とそれに伴う鉄鋼を初め人減らしの合理化です。これは私は重要な問題だというふうに思うのですが、特にその点では鉄鋼五社が非常に海外進出も多くて、八六年三月末で鉄鋼五社だけで二百件、二千五百三十億円の海外投資をやっている。そしてどれもが全部生産拡大をして黒字になっていますわね、片一方では。日本の方は韓国やらに追い上げられてどうにもこうにもならぬということで、片一方でこっちでは人減らし、合理化をやり、片一方ではもうけているということが本当に国民を納得させることになるのか。 例えば新日鉄の堺なんかは、埋め立て工事をやって安く土地を分けてもらってそれで工場をつくって高炉を置いた。初めは公害でもって、たれ流しになって大変な汚染だと。その間もうんともうけて、もうからぬようになったらさっさと撤退をする。下請関連事業も労働者も、もうそんなことは許せるかということになりますね、もうけるだけもうけて、もうからぬようになったらさっさと撤退をするというのは。その点では大企業のそういう社会的責任ですね、国なり自治体なりがいろいろそれまでに財政的援助もし、そしてまた協力もしてきている、地域経済の面でも協力をしている、そういうふうに勝手気ままなことを許すということでいいのかどうかという問題を我々は問題にしているんですが、この点についての御見解をお聞きしたい。 それから伊藤参考人には、先生もおっしゃったように、内需拡大の問題で社会資本の充実といいますか、この点強調されているので我々も賛成なんです。東京湾横断道路の建設とか、それから関西空港の建設とか大プロジェクトの方は、結局特定の企業とそれに関連する企業、それから特定地域に一定の刺激、効果を与えるけれども、全国的といいますか、地域経済に大きな刺激を与えるということにならない。そういう点では下水道や公共施設等、それから住宅の建設とかこういったものはそれぞれの地域産業あるいは地域経済に刺激を及ぼすので、選択をするとすれば、今財政赤字でどうにもならぬとおっしゃるならば、そっちの方を選択することが先ほど岸本先生もおっしゃったように購買力を高めることになってくるし、賃上げあるいは社会資本充実あるいは社会政策の充実を進めていく展望というものを開くことができるのではないのか、こういうように思うのですが、この辺について伊藤先生からお伺いしたいと思います。以上です。
○会長(浜本万三君) それでは氏原参考人からお願いいたします。
○参考人(氏原正治郎君) 労働時間の基準法改正の問題について私は直接タッチしておりませんが、週四十時間原則にしてさしあたり四十六時間。こういう時間制度という一種の慣性がございますので、ある程度段階的にやらざるを得ないんじゃないかということを思っております。できるならばできるだけ早く四十時間制を実現していただきたいというふうに私は考えております。 それからもう一つの御質問は、時間短縮に伴っていわゆる弾力条項と申しましょうか、フレキシビリティーをつけるということでございますが、これは恐らく、私は基準審議会でどういう議論がされたかわかりませんけれども、サービス経済化が進んでまいりますと労働時間制度というものは非常に複雑になってまいりまして、製造業における労働時間制度とサービス業における労働時間制度というのは非常に違っているんでございます。 したがいまして、それを一律に扱っている労働基準法というのは、実は現行でもいわゆるみなし解釈というものでやられておりまして、このみなし解釈は、私も基準法のことを勉強したことがございますが、労働省の監督課は、この場合はどうかというと、すぐみなし解釈でこうだと答えますが、一般の労使がそれを知っていてやっているのか私も全然知りませんし、そういうことであるならば、三次産業のフレキシブルな労働時間を規制するということならばフレキシビリティーをつけて、その中身は、どの産業、どういう業種について、あるいはどういう労働についてはどういうふうな規制をやるべきかというふうなことをこれは労使間で協定することが一番望ましいと私は思っておりますし、現に輸送業の一部分の労使間ではそういう協定を結ぼうという動きがございます。 ただ、第三次産業というところは組織化のおくれているところでございますので、これはぜひ労働行政の上でそれぞれの産業、業種あるいは仕事に応じてそのフレキシビリティーの中身についての指導をやっていただきたい、こういうふうに考えております。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。 岸本参考人お願いします。
○参考人(岸本重陳君) 簡潔に申し上げたいと存じます。 先般のパリ会議が大きく言って現在世界経済が抱えている問題に正面から切り込んだものになっているか、各国の経済政策が抱えている諸問題を相互に調整し合うだけの内容になっているかという点からいったら、私はとてもとてもそのような内容ではないと思います。先生とその点では見方が一致すると存じます。 このパリ会議の合意の結果として円レートが安定するだろうかという問題につきましては、私は、まあ当面二カ月ぐらいは何とかもつんじゃなかろうかと。しかし一九八五年九月末のあのG5で急遽円高の方に動くことになったのは、やはり日本の膨大な黒字の問題、あるいは膨大な輸出をいかにして落とすかということが問題でございましたから、それが顕著な効果を見せるまでは円高は続く、こう見るべきだと私は思います。 八五年九月末に円高が始まったとき私は東京サミット後に百五十円と予言しておりまして、事実大体そういうふうになりました。去年の十二月ごろ一ドル百六十円が定着という見方が強かったときに私は、ベネチア・サミット後百三十五円から百四十円、こう答えておるんですが、パリ会議があったにもかかわらず、私は現在のところこの見通しを修正すべき材料を発見いたしておりません。 それから大企業の海外進出に関して、例えば埋立地を使ってきた、あるいは公害も出してきた、それなのにもうからないとなると逃げ出すというのはけしからぬではないか、社会的責任というのはないのかという問題提起でございましたが、私は企業の社会的責任というものは存在すると思います。しかし企業の社会的責任というのは、いわば当事者が自覚してくれない限りエフェクティブにならないのでありまして、周りの者が自覚しろ自覚しろと言っても有効性はないと残念ながら言わざるを得ない。 先ほど私、輸出税というふうな発想について申しましたが、輸出税までどうしても行きたくないのなら、大きな貿易黒字を上げている企業は、あるいは輸出額が非常に大きい企業は、その貿易黒字を海外投資に回すのではなくて、少なくとも自分の会社の労働者の生活向上のために半分ぐらいは回せと。そうすれば恐らくそのことによって日本企業の製品のコストは上がるでしょう。コストが上がったことによって製品価格も当然上げざるを得ない。それが輸出抑制効果になる、こういう脈絡も私は考えられると思います。 もちろん、現在日本が大変な貿易黒字を上げている。これを国内で円にかえて使ってしまうというだけでは国際的に流動性が不足してくる可能性がある。国内では余り天下もありませんが、少なくとも世界を舞台にして各国に日本が貿易黒字を流して、投資なり貸し付けなりという格好で世界では金を天下に回しているということが日本に対する批判をこの程度で抑えさせているゆえんでもありまして、ある程度は貿易黒字の海外還元というものは不可欠だと思うのですが、それにしても、もうけを国内で生かすことをせず、ますます合理化をやって、円高を乗り切るために次の円高をもたらすようなそういった果てしなきぬかるみに日本経済が入っているのはまことに残念なことで、そこからの脱却の道というのは企業行動によって大きく開けてくると確信いたします。以上です。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。 伊藤参考人お願いします。
○参考人(伊藤善市君) およそ個別的な場合でもあるいは公共の場合でも、何物かを投資する場合には必ずその投資の効果あるいは効率が問われるわけです。その場合に、国民経済全体からとって眺めるのですけれども、同じお金を使うならば効果の大きいものに使うという効率の原則というのは重視しなきゃなりません。しかしまた地域開発というのは、例えば失業がたくさん出ておって困っていると、それならばそういうところに重点的に投資をしなきゃならない。例えば下水道の整備とか公共事業はそういう傾斜配分をしなきゃならない。これは一種の必要の原則と言っていいかもしれません。私は、効率の原則と必要の原則とのその調和だと思うのです。 その緊急の度合いというものを何ではかるかということは、いろいろはかり方がありますけれども、先ほどの問題から見て、東京湾に橋をかけるプロジェクトをやるのがいいか、全国的に下水道を整備するのがいいかというと、私はどっちもやれというふうになりますね、どっちも必要である。なぜかというと、東京湾のあそこに横断道ができますと、それがもたらす経済的あるいは社会的なプラスの効果というのは非常に大きいですね。ネックはなくなりますし、東京だけに集中したのがそれによって首都圏全体に大きく拡大していく、そういう波及効果がありますから、それはそれなりに意味があると。しかも、あれは民間の資金も随分使うような形になっておりますから、民間の資金が喜んで投資してやりたいならば大いにやってよろしいんじゃないかと。 それから下水道の場合も、やはりこれ緊急の度合いというようなことがあると思いますけれども、しかし失業者の多いところだけやるというのも必ずしも適切じゃないわけなんでして、失業者がそれほど多くなくても下水道の整備というのは必要なんだということでやらなきゃなりませんから両方やるべきだと。 私は、あれかこれかという代替選択という手法をとらないのでありまして、こっちを先にやって、ここまでいったら今度は二番目にこれをやるという延期選択、つまり両方やるという、同時にやるか組み合わせてやるか、それは比率は別ですけれども、そういうふうに見た方がよろしいんじゃないかと。 ただ、ある特定の地域でやるのは特定の地域だけに効果があるとおっしゃいますけれども、これは第一次効果はそうです。しかしながら、第二次、第三次の波及効果を考えると、例えば北海道でもって、札幌よりもっと遠いところでやった公共事業も、金は天下の回りものであって、だんだんだんだん回ってきて結局は北海道のどこで投資しても札幌が栄えてくるようなそういう関係があるわけです。なぜかというと、そこでもって受け取った人はそのお金を最寄りのところでもって豆腐、コンニャク、油揚げなんて買いますけれども、嫁入り道具になりますともっと大きな都市まで買いに行く、あるいは一生に一度の買い物だったら札幌まで行くという、あるいは東京まで行くというようなことになります。 ですから、乗数波及効果というのは、局所的なように見えて、またそういう有効需要がうまく引っ張り出せるような都市的なそういう機能を持っているところに行く。日本のどこでやっても東京と大阪の方にやはり最後は回っていく、そういうシステムがあるということは、そういう産業がそろっているということも言えるかもしれません。乗数波及効果はそうです。 もう一つの産業連関効果も、あるところにビール会社ができた。ビール会社のその段ボールは、すぐそばに工場があればそこでつくりますけれども、何にもなければよそから買うわけです。そういう形で、連関効果というものも、ものによりけりなんで、あるものは地域的に限定されるし、あるものは全国的に波及する、こういうことであります。結論的に申し上げますと、今言ったように両方うまく組み合わせてやった方がよろしいと。 もう一つ、これちょっと先ほどの岸本先生などとも関係するんですけれども、企業はぐあいがいいときは勝手にやって、あとだめだったらやめるという、けしからぬじゃないか、責任を感じて続けてやるべきだ、こういうふうにおっしゃいますけれども、私はそれはやはり限定的だと思うのです。なぜかというと、それじゃみんな国鉄になってしまうわけです。 国鉄が一回路線をつくったと、赤字になってやめたいと言っても住民がやめるなと、これ要るんだと。それならばその赤字をだれが負担するか。赤字でもってあえて企業をさせるならば、その赤字を負担することのちゃんと具体的に用意がなければ、みんな一たん生まれたものは絶対つぶしちゃいけないとなれば国鉄の赤字路線と同じになりまして、物すごく能率の悪い、みんなが生活水準を下げなきゃならない、こうなります。 自由企業体制のうまみというのは、何をやってもよろしいと。公序良俗に反すればだめですけれども、新規にどういう企業をつくって何を生産しても何やってもよろしいと。同時に、やめてもよろしいと。やめる自由がある。それが自由企業体制のよさなんであります。ですから歴史的な役割の終わったものは次から次と淘汰されまして、また新しい役割を果たせるものだけが生まれて育っていくわけです。そこのところ重要なのは、何をやめるかという決断だと思うのです。しかしやめ方もそれはもちろんあります。 ただ、私が関係した若干の地域では、ある企業が進出したとき、住民が猛烈に反対しました。石を投げるぐらいに反対して、来ちゃいけないと。それはとにかく公害もなくて心配ないんだということがわかって、それで企業は立地しました。ところが、二回にわたるオイルショックでもって電力料金が高くなってその工場が閉鎖することになりました。そうしたら、そういった反対した住民が、住民というか、ある特定のグループですけれども、今度は帰ってはいけないと言って帰るのも反対したわけです。しかしながら、企業というのは、もう赤字になってどうしようもできなくなったならば、みんなに迷惑かけて賃金も払えなくなるわけですから、自由企業体制をとる限りはそういうやめる自由もあるんだということを認めてあげないとみんな国鉄の問題と同じようになってしまうという、それだけを申し上げておきたいと思います。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。
○井上計君 氏原先生お急ぎのようなので、どうぞ……。氏原先生にはお伺いしたいことたくさんございますので、また別の機会に……。 岸本先生と伊藤先生に、時間がおくれておりますので端的にお伺いします。 先ほど岸本先生はまず、売上税は内需振興に逆行すると明言していただきました。また、円高は百四十円になるであろう、こういうふうなことでございます。私も全く同感だと思いますが、既にアメリカのベーカーあたりが、一月十九日でありましたか、売上税を日本は新設することによって内需が萎縮するという発言で翌日百四十九円台になりましたし、また上院のブラットレーあたりが明らかにそのことを言っておりますが、したがって、私どもの心配は、今後ますますそれも一つの理由として円高が進行するのではないか、内需がますます萎縮するのではないかというふうな観点から、売上税の導入についてはこの際見送るべきであるという主張をしておりますが、それらについてもう少し先生の御見解をお伺いいたしたい、こう思います。 それから、伊藤先生に一つだけお伺いいたしますが、内需拡大のために社会資本の充実、更新等々のお話がありました。 そこで、三大都市圏の市街化区域内にありますところの農地、要するに現在は宅地並み課税を特例によって延期しておりますが、これは推定いたしますと、これを宅地並み課税を実施した場合には三百六十何億円という計算が出ておりますが、大体年間約四百億円近くの地方税が当然増収になるわけです。その増収と同時に、これによって宅地の供給がかなり促進をされる。そこで、上下水道あるいはその他の社会資本が当然それに伴って必要となってくる。相当な内需拡大効果が私は明らかにあるであろう、こういうふうな考えをかねがね持っておるんですが、その面についてどのような見解をお持ちでございましょうか。 以上二点、お伺いをいたします。
○会長(浜本万三君) それでは岸本参考人からお願いいたします。
○参考人(岸本重陳君) 売上税が内需拡大に逆行するという点についてもう少し詳しく話せという御要望でございましたが、これ詳しくやり出すと切りがございませんので、趣旨をお酌み取りいただければという程度でいかがでしょう。詳しくやり出せば切りがございません。
○井上計君 それでは、百四十円の円高必至であるというお話が冒頭ございましたが、その百四十円の円高必至ということについての根拠、お考えをお聞かせいただければ……。それは売上税の問題、絡むんですか。
○参考人(岸本重陳君) いや、直接は絡みません。
○井上計君 直接ではなくて、今後のやはり貿易不均衡の観点から……。
○参考人(岸本重陳君) はい、そのつもりで申し上げました。
○井上計君 わかりました。ありがとうございました。
○会長(浜本万三君) どうもありがとうございました。 それでは伊藤参考人お願いいたします。
○参考人(伊藤善市君) 私は質問者の意見と全く同感なんです。つまり宅地並み課税というのは、市街化区域と市街化調整区域というのは、あの線引きするとき、みんな市街化区域に手を挙げたわけです、調整区域だと地価が上がらないからということで。それで、宅地並み課税やるとなったら今度はまた猛烈に反対をしたと。あのときみんな、国会は各党全部反対したような私は印象を受けているので、だからもう非常に絶望しておったんですけれども、今そういうふうな意見が出まして、宅地並み課税をしたくなかったら調整区域に入れるべきです、少なくとも。それでなければ宅地並み課税をかけるべきだと私は思います。それやったら、それは大変な効果がありますよ、内需拡大の効果があります。 それからもう一つは、地価が下がるということを通じまして、今日本の地価というのはもうべらぼうに高いわけです。これは農業の近代化のブレーキにもなっているわけです。ですから、あるべき望ましい地価というのは、やはり今より下がるはずでございますから、いろんな保護とか規制とかそういうのはなるべくはずして、そして土地の売買がもっと自由に行われるようにするのがいいんじゃないか、そう思っております。
○井上計君 どうもありがとうございました。
○会長(浜本万三君) ありがとうございました。 以上で参考人に対する質疑は終わりました。 調査会を代表いたしまして参考人の方々に一言御礼を申し上げたいと思います。 時間を大変節約していただくようにお願いを申し上げるなど大変御無礼なことを申し上げましたのですが、長時間にわたりまして御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げたいと思います。(拍手) 本日の調査会はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時二十一分散会