国民生活に関する調査会 第6号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1987/05/20
会議録
○会長(長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。 調査報告書の提出についてお諮りいたします。 本調査会は、毎年、調査に関する中間報告書を議長に提出することになっております。 理事会において協議の結果、お手元に配付の「国民生活に関する調査報告(中間報告)書案」がまとまりました。 本日は、本案を本調査会の報告書とすることの決定をいただきたいと存じます。 本案についで吉川春子君から発言を求められておりますので、この際これを許します。吉川春子君。
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、本報告書案に対し意見を述べます。 参議院改革の一環として設けられた本調査会の調査は今年度初めての試みであり、試行錯誤はやむを得ないものであるが、次回の参考にするために反省点をまず述べます。 まず、国際化という、どの分野でも共通して問題になるものを分野も絞らずにテーマとして設定したことは、総花式で視点の定まらない報告書になった一つの原因であろうかと思います。 さらに、異常国会の中で、予定していた雇用問題に触れられず、国際化が国民生活に及ぼす最大の問題を避けた結果となりました。 また、報告書は、国会で十分論議し、一致した点に絞るべきであります。また、そうすれば参考人の考え方をあえてダイジェストにして再録する必要はなかったと考えます。 次に、報告書案の内容について述べます。 本報告書案の取りまとめについては、我が党は文書と発言によって、報告書作成の基本点、総論、各論にわたって詳細に提案を行いました。この我が党の提案は部分的には取り入れられました。しかしながら、総論、各論ともに重要な点で各党との意見が一致せず、我が党の提案が採用されなかったのは極めて残念であります。本来、これらの見解の相違については、両論併記とし、報告書に明記すべきものであります。これは、調査会運営に当たって合意された申し合わせにも明記されております。この点で、私は、今後とも調査会運営上重大な問題として指摘したいと思います。 一、国際化とは この部分は、今日、国際化の時代と言われる諸現象や特徴、国際化の定義が述べられています。しかしながら、重要なことは、国際化を進めるに当たっての我が国の基本的立場、基本方針を明確に規定することです。 報告書案には、「日本はこれまでとは異なった政策のあり方を求められており、早急に国際化に対応する基本政策を樹立するとともに、主要な国内政策は関係国への影響を配慮して行うことが必要となっている。」と述べられていますが、これでは余りにも不十分です。憲法前文の国際協調主義、平和主義、諸国民平等の原則にのっとった植民地主義や排外主義の否定、貧困の一掃の理念は、今日国際化の時代にあってますますその光を放っています。この憲法理念の具体化こそが国際化の基本方針として明記されなければなりません。 二、国際社会から見た国民生活の水準 国民生活の水準の国際比較は、名目賃金や名目の為替レートによって比較するのは極めて不十分であります。国民生活の実態の比較の前提は、その国の経済力が国民生活に還元されているかどうか、賃金や物価の購買力比較においてどうかが重要であり、この点から日本の国民生活の水準は経済力を反映しておらず、欧米諸国よりはるかに劣っていることは政府の発表でも明らかです。 (二)食料品価格の国際比較 この食料品価格の比較は、各国において異なる食生活、食習慣を無視したものである上、日本の食料品価格が高い原因として農産物価格支持政策及び輸入制限措置を指摘していますが、これには同意できません。食糧の自給は経済主権を維持するために極めて重要であり、農業の保護、育成は主権国家なら当然であります。また、日本は世界の中でも最も農産物市場が開放された国であり、穀物自給率はわずか三二%という低さであります。こうした現状を考慮すれば、この部分の記述は、米、食肉のアメリカからの輸入自由化を容認することになり、納得できません。 (三)教育の国際比較 国民の教育に対する要求は切実であり、他方、臨時教育審議会の答申も次々と出され、教育論議は国民の中で多様に展開されています。もっとも臨教審の考え方には我が党は反対であります。この時期に参議院が教育について発言するのであれば、それ相当の充実した調査を行った後の意見発表であるべきであり、軽々に言える問題ではありません。 本調査会では、教育問題一般については、文部省から国際比較の数字等について説明を受けたほかは、参考人質問、委員相互のディスカッションはほとんど行われておりません。教育の国際化というなら、数字の比較にとどめるべきであり、評価に細かく立ち入るべきではないと考えます。 特に、二のところで、「学力別の学級・学年編成 がないので児童・生徒の能力に応じた教育と個性の開発がほとんどなされていない。」などの意見は、教育に携わっている多くの人々に対する余りにも尊大な批判であり、かつ教育基本法の精神にも抵触するものであります。 そのほか、公立学校相互間の競争云々、学区制、教育の画一主義と形式平等主義等あるいは大学教育の項で企業が大学卒業生に求めるものは云々、大学の閉鎖性、大学の活力など極めて一方的な意見が多いわけです。我が党の指摘も部分的には取り入れられたものもありますが、全体的には賛成できない内容となっています。 (四)勤労条件の国際比較 勤労条件の国際比較において改善の余地の大きなものは賃金であります。経企庁の調査によっても、法人企業所得のうちの労働分配率は、六十年は七七・二%であり、欧米各国の水準、すなわちアメリカの七九・二%、フランスの八九・三%を下回っています。したがって、この点での賃金の国際比較も記述すべきであります。 (六)税・税外負担及び社会保障の国際比較 この部分の記述は、結果として直間比率の是正を口実とした大型間接税の導入を容認することにつながるものであり、賛成できません。所得税の最高税率が高く、累進度がきつい構造と言うが、利子、配当所得、キャピタルゲインなどが非課税あるいは分離課税の適用を受けているので、実際上は特に高所得層では累進度はそれほど高くありません。 また、所得分配の均等度は高いと断定していますが、最近の資産所得の急増から逆の傾向がとみに出ていることを無視することは適切ではありません。さらに、クロヨンなどを不公平の代表のごとく表記しておりますが、これは弱い者いじめであり、現行所得・法人税制の中にはより大きい不公平があり、その是正こそ緊急の課題であることが無視されております。 四、国際化に伴う国民生活についての対応の提言 私たちは具体的提言を行うことに反対ではありませんが、今回は審議日数も少なく、議論を煮詰められていないもとでの提言は時期尚早であると考えます。五つの提言の一つ一つについてさまざまな意見があり、一概に賛成できないものも多いわけです。英語教育一つにしても、専門家の間でも多様な意見があります。これらの専門家を呼んで意見を十分に聞き、その上で各委員間の討論を行い、一致できる点で提言をまとめるという方法をとるべきです。今回はそういう手続を経ていないのでありますから、問題点の指摘にとどめるべきではなかったかと考えます。 以上で終わります。
○会長(長田裕二君) 速記をとめて。 〔午前十時十三分速記中止〕 〔午前十時二十四分速記開始〕
○会長(長田裕二君) 速記を起こしてください。 それでは、本案を本調査会の中間報告書として議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、字句の整理等が生じた場合の取り扱いにつきましては会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○会長(長田裕二君) この際、お諮りいたします。 ただいま提出を決定いたしました調査報告書につきましては、議院の会議におきましても中間報告をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、議院の会議における口頭報告の内容につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○会長(長田裕二君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 国民生活に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○会長(長田裕二君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時二十六分散会