決算委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 299 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/06/05
会議録
○委員長(菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。 本日は、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。 ―――――――――――――
○委員長(菅野久光君) この際お諮りいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ―――――――――――――
○委員長(菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山本正和君 昭和五十九年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算の大要並びに説明等が出されております。この中で、実は私も、恐らく国民の皆さんも大分関心をお持ちになっている幾つかの指摘がございます。特に、新聞紙上等でも取り上げられまして、こんなことでいいのかというふうなかなり厳しい指摘を受けましたのが、いわゆる生活保護を受けているというのが実は大変なお金持ちであるというふうな問題等が出まして、一体どうなっているんだというふうな話がございました。これについてここに会計検査院からの指摘もございまして、また厚生省としても見解をお述べでございます。ただ、国民の間にいろいろなこういうことに対する不満がございますから、ひとつこの場で厚生省として今後かかる事態についてはどういうふうに対処するかということについての御見解を承りたいと、こう思います。
○国務大臣(斎藤十朗君) 生活保護制度の運用につきましては、社会保障制度の一番基本になるべきことでございますので、これの制度の充実ということを図っていかなければならないことは事実であります。 一方におきまして、今御指摘のように、言うならば例外的な事例というものも存在をするわけでありますので、こういったことに対してはあくまでも厳正に対処し、そして公正に生活保護制度というものが運用されていかなければならないわけでありますので、そういう点について今後とも一層力強く地方公共団体等指導をいたしてまいる所存でございます。
○山本正和君 実は、各市町村等の最前線ではこの種の問題のトラブルを防止するためにいろいろと努力しているようでございますけれども、実は背後にやっぱり暴力団関係、さらにはいろんな意味での脅迫、暴圧等があるということが、この種の問題に対する解決のための大変な難しい問題を生じているということ等が言われておりますので、厚生省当局におかれましてもぜひともひとつこういう問題につきましては市町村との連携を密にしていただきまして、いわゆる生活保護というこの制度の本来の目的が果たされますように、格段のひとつお取り組みを私からも要望しておきたいと思います。 本日は、国民医療費の問題、それに絡みまして、我が国がいわゆる国民医療費の中に占める薬剤費がかなり高くなっているんじゃないかというようなことも含めまして、ヨーロッパやアメリカでは既に医薬分業が随分早くから実施もされておる。そういうことと絡みまして、今日の今の状況につきましての厚生省のお考えにつきましてお尋ねしていきたいと、こう思っております。 まず最初に、国民医療費でございますが、これ毎年数字を出していただいているわけでございますけれども、その額と傾向につきましての厚生省のお考え方を、受けとめ方をひとつお伺いしたいと思います。
○説明員(下村健君) 国民医療費でございますが、御指摘のとおり、国民所得の伸びを上回る勢いで伸びてきておりまして、一時若干鈍化した時期がございますが、最近では再び七%程度という高い伸び率になっているわけでございます。今年度でおよそ十八兆円というふうな規模に達するのではないかというふうに見ておりまして、医療費の規模が非常に大きくなっていっているということは、今後の社会保険制度の運営で非常に大きな問題であろうというふうに考えております。
○山本正和君 その中で薬剤費の比率でございますが、これも昭和四十年度以降すっとデータ等を見てまいりますと、最近やや落ちたかに見えるわけでありますけれども、大体薬剤費が国民医療費の三〇%を超えているという実態が今日もあるという報告が出されております。これは一体国際的に見て普通なのかどうなのか。いわゆる先進国と言われている医療制度のある程度発達した国の中で、いわゆる国民医療費の中で薬剤費がこれぐらい占めるというのは普通なのか、正常なのかどうか。この辺についての御見解はいかがでございますか。
○説明員(下村健君) 薬剤費率でございますが、昭和四十年代の後半には四〇%を超える、最高時点で四六%というふうな時期もございましたが、最近は相当低下しておりまして、昭和六十年度の私どもの推計では二九%、三〇%を割るところまできているわけでございます。 私どもとしては、五十七年に薬価算定方式の見直しというふうなこともいたしまして、着実に適正な薬価を決定するということで努力してまいったわけでございますが、そのようなことも効果を上げてきているというふうに考えているわけでございます。 外国との比較でございますが、ただいま申し上げました薬剤費は保険の方から支払う、保険給付費の中で支払っている薬剤費の金額が総体の医療費に対して何%を占めるかと、こういう数字でございます。したがいまして、アメリカの場合が一番わかりやすいわけでございますが、アメリカの場合ですと、病院に支払われる医療費はDRGというふうな形で傷病別にいろいろな疾病分類をいたしまして、その症状の程度に応じましてその患者について一人当たり幾ら、大まかに言うとそんなふうな仕組みで診療報酬を支払っているわけでございます。したがって、アメリカのメディケアとかいうふうな制度の中では、保険から薬剤費という形で直接支払われるものが病院についてはございませんので、向こうで言っている薬剤費の場合には外来の方の、今お話に出ました医薬分業が行われていて、薬局に支払われるもの、その部分の薬剤費だけが統計上は出てくる。もちろん、これは病院が幾ら薬代として支払っているかというふうなことはあるいは調べればわかるのかもしれませんが、これは実は残念ながら私どもアメリカ等について全体的な病院の状況を把握するような数字は持ち合わせておりません。 したがって、日本の薬剤費に比較し得る数字というのは私ども持ち合わせておりませんので、比較にならない数字を申し上げて恐縮でございますが、一応御参考までに申し上げますと、アメリカのそういう外来部分についての薬剤費比率が一九八三年で七・六%、フランスは一八・六%というふうな数字が出ております。したがって、あくまでこういう数字を手がかりにしての類推ということになるわけでございますが、日本の方が薬剤費比率は高いのではないかというふうに考えております。
○山本正和君 これも医事評論家の先生方がよく言われる話でありますけれども、日本人ぐらい薬が好きな国民はいないという言葉がございます。薬をまるで栄養剤がなんかのようにどんどん食べてしまうというふうな傾向がないでもないと思います。しかし、恐らくこれは世界保健機関等でも、いかに人間の体に対してこういう薬物といいましょうか、いわゆる薬物というものは本来的に毒物であるわけでありますから、いわゆる細胞毒、プラトプラズマギフトと申しましょうか、そういうものを持っているわけですから、これはなるべく使わないようにするというのが本来のあり方だろう、こういうことが最近の中でも議論されております。 そういうことからいいますと、本当に日本が今文明国として、あるいは国民の生活を守る、命を守るという立場からいった場合に、薬がこのような形でどんどん使われているということはいいのだろうかという懸念が生まれている。実際私は、お医者さんは一生懸命に診療されて、必要な処方をしてお見えになると思います、ほとんどのお医者さんがですね。ただ結果として、こんなにたくさん薬をどんどんつくられて売られているんじゃないかという懸念が、このごろは国民の中にもかなり広がってきているんじゃないか。 そういう意味から、できましたら厚生省としても、一体日本の国の薬の生産高、あるいはこれは生産高というのはなかなかつかまえにくいと思うんでありますけれども、これが本当に適正なのかどうなのか。私は薬の研究というのは、これはもう人間の文明にとってなくてはならないことでありますから、しっかりと研究しなきゃいけない。また当然企業としても、研究分野に対するさまざまな投資が要るわけでありますから、一定のやっぱり付加価値も考えるべきだと思います。しかし何か知らないけれども、とにかくたくさんの物をどんどんつくって、いわゆる消費は美徳なりと言ったらおかしいんですけれども、そんな発想がひょっとしたら日本の製薬業界の中にありはしないかということを心配するわけでございますから、そういう意味でこの次の段階では私もひとついろいろ調べまして、一体日本の製薬生産高というのはこれでいいんだろうかという立場から質問をしていきたいと思っておりますので、厚生省当局でもひとつこの種の問題について諸外国との比較、あるいは世界保健機関の中での論議等もがみ合わせていただきまして御検討をお願いしておきたいと、こう思います。 そこで、実はお医者さんの中で大変誤解を受けて、私はけしからぬと思っているんだというお話をお医者さんから聞きます。私も実はもともとが第一回の薬剤師の国家試験に通ったわけでありますけれども、その後はもう高校の教員をずっとしておりましたので、実はよく知りません、今のこの医薬分業問題あるいは薬の問題。しかし教え子に医者がおる、あるいは病院薬剤師がおる、それからまた同僚がかなり大きな製薬会社の工場長をやめて自立している、いろいろおります。そういう人たちからいろいろと話を聞くんでありますけれども、何かどうもやっぱりおかしいと。お互いに誤解を持って、医者と薬剤師の間に本当の意味での日本の医療のためにどうあるべきかという立場での議論ではなしに、何かお医者さんが薬づけ診療をしていると、こういうふうな言い方でセンセーションにやられる。すると薬局の方は、自分たちの薬局の収益を上げるために医薬分業を一生懸命言っているんだと、こういうふうなまた言い方がされている。これはまさに本末転倒しているという気がしてならないわけでございます。そういう意味で、いろんな意味で、本来厚生省としてもこの問題は随分前からお取り組みいただきまして、特に五十九年度の参議院の審議あるいは五十七年以来の衆議院の社会労働委員会等の審議の中で、厚生省として医薬分業問題についてのさまざまな方針をお出しになりまして、そして今またかかなりモデル地区等の設定等から生まれてくるところのさまざまな方向性が出されているやに聞くわけでございます。そういう意味で、現在、医薬分業の状況につきましてどういうふうな状況にあるのか、そしてまた将来展望としては大体どの程度のレンジを想定してこの問題の具体化に取り組もうとされておられるのか、この辺の問題についてお尋ねしたいと思います。
○説明員(森幸男君) 先生今御指摘の医薬分業の問題でございますが、これは厚生省としても大変重要な問題ということでこれまで取り組んできております。 先ほど先生お話しの中にございましたが、五十九年の健康保険法の改正に際しまして衆参両院から附帯決議がつけられておるわけでございますが、その中で医薬分業の推進ということが大きなテーマとして取り上げられているところでございます。そういうような趣旨を踏まえまして、従来からいろいろこの医薬分業の推進のために行ってまいりました施策に加えまして、六十年度からは三カ年計画で医薬分業の推進モデル地区事業というものを実施しているところでございます。この事業は医薬分業推進のためのモデル地区というのを全国に八カ所設置をいたしております。そして医薬分業の推進方策につきまして、それぞれの地域の特性に応じてどういうふうに進めていったらいいのかという点につきまして、調査研究を実施してきているところでございます。私どもその調査研究で得た結果というものをもとにいたしまして、今後はこの地域特性に応じた医薬分業の推進マニュアルというようなものをつくって、そういうものに基づいてほかの地域での医薬分業の推進に役立てるというふうに持っていきたいと考えているところでございます。 それからもう一点は、六十二年度、今年度からでございますが、従来から補助をしてまいりました調剤センターというものに加えまして医薬品情報センターの設備整備というものも進めるという観点から、これに対して国からの補助を行うということを考えておりまして、そういうことも含めまして、医薬分業の推進のための基盤の整備ということにこれからもさらに努力をしてまいりたいと考えております。 それから我が国の医薬分業の進捗状況ということになりますが、これは四十九年の十月に行われました診療報酬の改定というものを契機といたしまして、医薬分業の推進の機運というものが医療関係者の間で高まってまいりました。それに伴いまして処方せんの発行枚数というものもふえてきております。 ちなみに申し上げますと、昭和六十年度の処方せん発行枚数というのは一億枚を超えるところまでまいりました。先ほど申しました昭和四十九年度の発行枚数が七百三十万枚ということでございましたので、比較いたしますと十四倍というような数字になっております。しかしながら、この現在の一億枚ということにつきましても、なお私ども十分とは言えないのではないかというような考え方を持っておりまして、先ほど申しました医薬分業のためのいろいろな施策を講じまして、この分業の推進にこれからも取り組んでまいりたい、かように考えております。
○山本正和君 概括的な形での今の取り組みの状況についてお伺いいたしたわけでありますが、実は私、医薬分業の問題が当然国民医療費の本来あるべき姿という問題と絡む、こういう意味でこの問題はいろいろと今までも議論をされてまいりましたし、今後もそういう視点が必要だろうというふうに思うんでありますが、仮に医薬分業があったにしてもなかったにしても、ただ国民医療費というのが果たしてこのままで推移していった場合どうなるのかという問題があろうかというふうに思うわけでございます。 というのは、だんだん検査、いわゆる薬づけ、検査づけという言葉がありますけれども、そうじゃなしに診断についてのいわゆる科学的な検査、この方法がもう毎年毎年本当に大変な進歩をしてきている。その中でいろんな巨大設備が要る。ですから、国民医療の中に占める診断分野の経費というのは、膨大なものになってくるだろうというふうに思うわけであります。当然、ですからお医者さんの技術料といいましょうか、これに対する保障がきちんとされるべきだと。結局、昔江戸時代にお医者さんのことを薬師と言っておった、その状況をやっぱり変えていかざるを得ないところに今来ているんだろうと。お医者さんが本来扱わなきゃいけない専門の分野に対するいろんな位置づけというものが、本当にされているんだろうかという懸念がないわけでもありません。小さな町に病院を開いている病院の院長なんかがよく言うんですけれども、本当は私は医者として患者といろいろと話をしたいんです、健康診断をして、それでいろいろ健康相談してやりたいんですと。四十分やっても、三十分一生懸命に患者に説明をしても、これは医者としては点数はわずか五点、五十円という経費しか出てこない、このような話も出てまいります。 ですから、今の医療制度のあり方の中で、何か知らないけれども個人診療所であっても薬を出さなければ全体としての収入がなかなか上がらないような状況になってきている。その薬を出さなきゃいけないというのはなぜかと。実はお医者さんの方も出したくない。本当は患者にとってもなるべくなら少ない薬で健康になりたいと思っている。ところが、薬を出さなければどうにもうまくいかないようになっている背景に、今度はこれは今からは私の全くの憶測でございますけれども、しかしこういうことが医事評論家では言われているわけです。日本の製薬業界が、もしも今の国民医療費の中に占める薬剤費の比率が下がったら大変な問題が起こるから困ると、こういう話があるということを聞くわけでございます。ですから、私はひょっとしたら、お医者さんとか患者とかあるいは薬局とかいうことの前に、何か知らないけれども、経済がまるで人間の命をいろいろと規制してしまっている。極端なことを言ったら、もしも医薬品の生産高が下がったら大変なことになるというようなことがありはしないかというような懸念すら、持っているような議論があることを聞くわけでございます。 ですから、医療費を適正化するという中に薬剤費をどう位置づけるかという問題が当然出てくる。あるいはお医者さんのしかるべき技術料の支払いといいましょうか報酬といいましょうか、これをちゃんとしていかなきゃいけないという問題が出てくる。あるいはさらには総合病院にはまさにどんな施設でもちゃんと設置しなきゃいけないという問題が出てくる。そういうことを含めまして考えますと、医療費の適正化ということについての方策は、今のような診療報酬の点数制度の中でそのままでやれるんだろうかというふうな気がするんでございますが、この問題については全く心配ない、こういうふうな状況に今あるわけでございましょうか。
○説明員(下村健君) おっしゃるように、先ほど薬剤費比率の話が出たわけでございますが、現在の保険で決めております薬価が、実際に医療機関で使っておられる薬剤価格との間に差があって、まあ薬価差がある。その薬価差に相当程度現在の医療機関の経営なり医師の所得というものが依存している部分があるんではないか、そのために薬剤の多用というふうな現象が起こるんではないかというふうな指摘は、従来からなされているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、適正な薬価を決める、薬を取り扱うにしましても、それによって医師が余分の収入を得るというふうな形は好ましくないということで、薬価差を縮小するというふうな方策をとってきているわけでございます。それに見合って医師の技術料の適正な評価ということも当然問題になりますので、これについては現状から申しますと残念ながらそれが一〇〇%でき上がっているというふうな状態にないことは御指摘のとおりでございますが、今後とも薬価差に依存しない医療のあり方という点については努力をしてまいる、それに依存しない形で診療報酬の合理化を図っていくということは、中医協の現在の一つの中心課題というふうな形になってその合理化に取り組んでいるというのが現状でございます。
○山本正和君 薬価差益の縮小に伴って随分処方せんがたくさん出るようになって、医薬分業の方向が出ているというふうな話も聞いたりいたします。しかし、これは本質的な問題ではないんで、薬価差がなくなったら医薬分業が推進されるということじゃないだろうと私は思うんですが、それはおきまして、実は製薬会社ができ上がった医薬品をお医者さんのところに届けます。これはこういう効能があります、副作用にはこういうのがありますと、いわゆる薬事法五十二条で言うところの添付文書ですね。ところが、正直言いまして私の教え子、これは内臓外科の専門のもう五十歳のかなりベテランの医者です。これが言うんです、私にね。実は会社から持ってきた添付文書を見ると、副作用についての記述が非常に少ない、危険性に対する。ところが、実は私はたまたま岡山大学でこの問題について実験に立ち会っていたものだから、大変な危険性があるじゃないかということでびっくりしたんだけれども、そういうものはないんだと。これはまあ一例ですけれどもね、薬の名前も別に挙げませんけれども。 そうすると、えらいことになる、そんなことじゃ困るじゃないかと思っておったら、六月一日付の朝日新聞に「医薬品の添付文書改善を」と東京医科歯科大学の助手の方が投稿をされておられた。要するに、日本の薬事法五十二条で言っている添付文書、あるいはそこに記されている例えば使用上の注意、一般的注意、副作用、こういうふうなことについて今までのままでいいのだろうか、こういう趣旨のこれは投書であります。要するにワーニングス、警告するという部分がないと本当の話大変な問題が出てきはしないだろうかと。 それは大学院まで出た立派な医者ですけれども、彼が言うんです。私自身正直言って自分の専門の突っ込んだ部分の薬のことは知っています、そうでない部分は勉強しようにもやっぱり添付文書を見ざるを得ないと、こう言うわけですね。そんなようなことについてこの「論壇」に書いてありますけれども、私は何か知らないけれども別に製薬会社を疑うわけじゃないんですけれども、とにかく使ってもらおうと思ったらなるべく危険が少ないような形で書きたくなるんじゃないか、こういう憶測すら生まれてくるわけです。この辺について厚生省としては、専門的な立場で御指導いただいているわけでありますけれども、どんな御見解をお持ちでございましょうか。
○説明員(森幸男君) ただいま御指摘のありました日本の添付文書の記載内容についての問題でございます。 医薬品はその有効かつ安全な使用を確保するということのために、先生御承知のように、薬事法で、添付文書などにつきまして、医薬品の使用であるとか取り扱いに当たりましての必要な注意事項を記載するように、法律で義務づけられているところでございます。この添付文書の内容の適正を期するということで私ども従来から努力をしてきているところでございますが、例えば新薬、新しい薬の承認審査に際しまして添付文書に記載する使用上の注意というものの案を提出してもらいまして、その内容を専門家の立場から中央薬事審議会で審査するということをいたしておりまして、そこでチェックをしたものでこの添付文書の中にございます使用上の注意というものをまとめているところでございます。そのほか、この添付文書に記載すべき事項、副作用などの使用上の注意事項というようなものの記載要領というようなものもかなり細かく私の方から通知を出して決めております。 それからもう一つは、これは新薬を承認するだけではございませんで、承認した後、要するに市販をされた後のいろいろな情報というものも当然ございます。この市販後の情報に基づきまして、企業に対しましては自主的に必要な注意事項を追記させるということにさせておりますとともに、厚生省といたしましても、独自に副作用モニター制度というものを通じまして、そこから得られた情報で副作用の記載を指示するというようなことも行って、添付文書の内容の適正に努めてきているところではございます。 それで、今お話しのような新聞の記事等も私ども拝見いたしまして、今後外国におきます副作用情報等も参考としながら、添付文書の整備充実というようなことにつきましては今後とも検討してまいりたい、かように考えております。
○山本正和君 この東京医科歯科大学の助手の方の提言されているのは、アメリカと同じようにきちんと添付文書に対する文字記載をしたらどうだと。薬事法五十二条に医薬品の安全で有効な使用のため、こういうことを入れたらどうだというふうな提言をしているわけです。私は、それが果たしていいのかどうかはわかりません。これはむしろ業務局長さんの方が御専門でございますから、実際にどうしたらいいかということについてはよく承知されておられると思うんですね。 ただ、私が先ほど冒頭に申し上げましたように、私の教え子の院長が言っているような話だとか、あるいはこの助手の方が言っておられるような提言を見ますと、確かに同じ薬品で、日本の場合はその危険のことについての指摘がない、アメリカの場合は危険についての指摘が十分に、懇切丁寧にしてあると。こうなると、これはやっぱり大変な問題じゃないかというような気がするわけです。 特に、専門に勉強されるお医者さんは別です。しかし、開業医の場合に、一体医師としての資格を取るために薬の知識はどの程度持っておられるのか。これをもう一遍調べたいと思ってきょうは文部省に来てもらっているんですけれども、一体薬学関係の単位はどの程度取って初めて医師の国家試験を受けることができるようになっているのか、その辺をちょっと文部省からお伺いしたいと思います。
○説明員(佐藤國雄君) お答えさせていただきます。 医師法によりまして、医師の資格を得るためには、先生御承知のように医師国家試験に合格しなければならないわけでございますが、その前提として、大学において医学の正規の課程を修めて、そして卒業した者にその受験の資格が認められる。また、大学におきます医学教育の課程につきましては、文部省の方で決めております大学設置基準等に基づいて決められておりますが、専門教育につきましては実は単位制になっていないということがございまして、したがって、医師の資格を取るために必要な薬学の履修単位が幾らであるかという形にはなっておりません。 しかしながら、薬学関係の知識や技術が医師にとって不可欠なものでございますし、また、医学においても薬学の教育というのは行われておりまして、例えば薬物の特性や生態系に対する作用を理解させる薬理学、こういったものでとらえてみますと、今の我が国の大学の医学部を平均して、全体で約百五十五時間の授業が行われております。また、内科とかあるいは外科とか、産科、婦人科といったようないわばそういう臨床の科目におきましても、薬学について必要な箇所において実態としては教授をされている、こういうことでございます。
○山本正和君 百五十五時間の薬理学を中心とした勉強をされて、それで本当に薬のことがわかるかと。これは、わかるとおっしゃるお医者さんはいないと思うんですね。ただ、専門の先生方、大学の教授なりあるいは国立大学の病院で薬現実験等をずっとおやりになる方は別です。しかし、一般の開業している町医が薬の知識を持つのは大変なことなんです、これは。私はたまたま第一回の国家試験を受けました。この前久しぶりに去年の薬剤師国家試験を見てみたんですけれども、これは到底私らではもう問題にならぬ。だめですわ。第一回の国家試験を通ったときに、合格率六〇%だったんですよね。しかしそれも、その六〇%の合格率のときに、一体何だと、昔は学校さえ出ればなれたのにと。京都帝国大学の薬学部を出た人が合格率五割何ぼだったですよ。落ちちゃっています。しかし、それでも今やっぱり一生懸命薬事教育をやっておられる大学の先生方は、この薬学教育の重要性ということを非常に心配されて取り組んでおられるわけです。 そこで、またお伺いしたいんですけれども、お医者さんは医者になるために六年間の課程を終えるのが最低ですよね。歯科医師もたしかそうだと思うんですね。しかしもともとはそうじゃなかったはずです。私と同じ年ごろの年齢で医専を出たなんというのは、一年か二年で医者の免許状を持っているのがたくさんおるんですよ。私の同級生にたくさんいますから、医者は。しかし今は六年になっているんです。そうすると、その当時は医専も薬事もそんなに変わらなかった。なぜ薬剤師の方だけ今もって四年のままで知らぬ顔しているんだと。その辺のことを文部省はどういうふうにお考えですか。
○説明員(佐藤國雄君) 先生御指摘のように、今の医学部それから歯学部においての医学教育、歯学教育というのは六年になっておりまして、薬学につきましては確かに四年でございますが、その経緯といいますか、そういったものについて調べてみますると、現在の大学教育は、昭和二十二年に学校教育法が制定されまして、大学における修業年限を四年として決めたわけでございます。その当時、日本薬学会の主宰で薬学協議会というものが行われまして、薬学教育の教育機関は四年制大学とする、総合大学の場合は薬学を学部とするなどの結論が出されまして、戦後組織された薬学審議会の総会におきましても四年制の単科大学あるいはまた総合大学の薬学部としてやっていくという方針が出されたわけでございます。昭和二十五年にも、薬学に関する基礎及び応用の化学並びに技術を修得させ、薬学に関する社会的使命を正しく遂行し得る人材を養成することを目的として新制大学の薬学教育課程というものが決定されまして、詳細な基準が決められたわけでございます。その後薬学教育に関する基準というもの、あるいはその実施方法についてそれぞれ検討、改善が行われてきているところでございます。 それといわば薬剤師の国家試験の資格の問題は実は別になっておりまして、薬剤師国家試験につきましては、昭和三十五年八月に現行の薬剤師法が制定されまして、その中で「学校教育法に基づく大学において、薬学の正規の課程を修めて卒業した者」に受験資格を与える、こういうことになっておるところでございます。
○山本正和君 どうも私が質問している趣旨とは大分食い違った御説明でございますが、要は、日本の医療制度というのが明治以来さまざまな論議をされてきた。その中で、いわゆる日本の江戸時代のお医者さんのあり方というものではだめなんだと。近代化していくために、きちんとした学問としての位置づけを薬に対してもあるいは医術に対してもしていこうじゃないかというのがもともとあったわけですね。あったけれどもなかなか来なかったわけです。そして、戦争に負けたときにアメリカの進駐車がやってきて、日本の医療制度を見てびっくりしたわけですよ。まるで未開国じゃないかと。それで医薬分業の話が出ていると言っても過言じゃないぐらいの歴史があるわけです。 それがしかし、なおかつ今進まない理由の中の一つに、薬剤師の資質の問題があるということがよく言われるわけです。私は非常に重要だと思うんです、薬剤師の資質というのは。そして、その薬剤師の資質を高めるということは、国民医療に対してどれくらいの大きな役割を持っているんだということからいったら、もっと実際の話医療の担当の方々はお考えいただかなくちゃいけないんじゃないか、こういうことを思います。しかし、医薬分業をしていこうとなれば、医師と同じく薬剤師に全く対等の国民医療に対する責任をかぶせていかなきゃいけない。そのために資質の向上はしなきゃいけない。とするならば、医薬分業の前提はやっぱり薬剤師の資質向上という立場から薬剤師の受験資格、あるいは薬学の卒業に必要な履修単位の問題、そういうことも含めてこれはやっぱり厚生省として文部省とのいろんな話し合いをしていただかなきゃいけないんじゃないかというようなことを思います。特にこれは、日本薬剤師会の高木会長あたりは盛んに資質の向上問題で修士課程への延長の問題を指摘されておられるわけです。その辺のことにつきまして、ひとつ厚生省の方のお考えをお伺いしたいと思います。
○説明員(森幸男君) 最近の医学、薬学の進歩は大変著しいものがございますし、それに伴いまして、薬剤師が具備すべき知識あるいは技能の水準というのも多様化あるいは高度化してきているということは事実でございます。それからまた、今お話にございました医薬分業の進展あるいは地域医療において果たすべき薬剤師の役割の増大というようなことも含めまして、薬剤師をめぐるいろいろな社会的環境というものも大きく変化をしてきておるところでございまして、薬剤師の資質の向上ということは今後の大きな課題であろうと考えております。そのために、薬剤師の国家試験の受験資格の問題であるとかあるいは薬剤師の生涯教育のあり方という問題であるとか、そういうもろもろの問題について検討をしていくことが必要ではないかという認識を私ども持っております。そういう観点から、今申しました薬剤師の養成をめぐります環境の変化というものを踏まえまして、薬剤師養成に係るいろいろな問題を検討するということから、薬剤師養成問題検討委員会というような組織を本年度から発足をさせまして、その中で、今御指摘のございましたような問題を含めまして、薬剤師の養成のあり方全般につきましての総合的な検討を加えていくというふうにしてまいりたい、かように考えております。
○山本正和君 今の薬剤師養成問題検討委員会のお話を聞きまして多少安心をしたわけでございますが、ぜひ、どう見ても、例えば小学校で学校医がおられます。学校歯科医さんにお願いする。学校薬剤師をお願いしているところとお願いしてないところとある。これどうも本当はおかしいんですね。ただまあ、おっても実は名ばかりというふうな状況になってしまう。その辺は、何といいましょうか、医療の一番基本であるところの医師薬剤師問題、さらには看護婦さんの地位も決して高くないわけですね、社会的地位が。実際はアメリカあたりでは看護婦さんの社会的地位がかなり高い。場合によっては、こんなことを言ったらおかしいんですけれども、兵隊の位で言えばすぐ少尉であると。日本の看護婦さんは兵隊の位であればせいぜい伍長ぐらいですかというぐらい格差がありますけれども。要するに医療に従事する中で専門制を持ったものとしての位置づけを我が国はしてきていない。どちらかといったら徒弟制度みたいになっておって、昔の江戸時代のお医者さんの家に住み込んで書生がおる、女中さんがおる、そういうふうな名残がないでもないんです。そのことを直すためには何が必要かといえば、やっぱり専門制に対するきちんとした位置づけだろうというふうに思うわけです。そういう意味から言いまして、私は医薬分業の問題というのは単にお医者さんが処方せんを出してそれを薬局で薬剤師が調剤するというだけのことじゃなしに、医療の一番基本には医療の近代化の思想があるのかないのか、それぞれの専門制の問題についてどういうふうに考えているかということにかかわってきているような気がしてなりません。そういう意味でひとつこの薬剤師養成問題検討委員会ではぜひとも速やかな論議をしていただきまして、できるだけ早くさまざまの提言を出していただきますようにひとつ要望しておきたいと思います。 その次に、ちょっとこれも国民医療費が膨大になってきている中での問題でありますが、医薬品の生産額が大体年間四兆円と、こう言われている。ことしも恐らくそのとおりじゃないかというふうに言われています。去年もおととしも四兆円と。この四兆円という医薬品の生産額というのは、一体外国と比べてどうなんだろうか。あるいは我が国としてはこの四兆円というのに達したのはいつごろなんだろうか。この辺につきまして少し教えていただきたいと思いますが。
○説明員(森幸男君) 医薬品の生産高の推移を先に申し上げます。 昭和五十年ごろ、今から十年ぐらい前で約一兆八千億から二兆円ぐらいでございました。その後がなり五十七、八年にかけまして急速に伸びまして、先ほどのお話にございましたように五十八年に四兆円というようなところまで到達をいたしましたが、その後医薬品の生産額は伸びが鈍化すると申しましょうか、五十九年と六十年の二年間につきましてはわずかではございますがマイナス成長と若干減少いたしております。私どもの方で六十一年の、まだこれ正確な確定値は出ておりませんが、速報値で見てみますと、六十一年になりまして若干ふえておるようでございますが、大体そんなようなところに現在来ているというふうに申し上げられるかと思います。 それで、今先生お話しのその医薬品生産額が一体どのくらいの規模が妥当なのかということになろうかと思うのでございますが、この問題はなかなか難しいわけでございます。先ほど先生の御論議の中に出てまいりました薬剤費という、要するに医薬品を使用するという局面で国民医療費との関係を御指摘になったわけでございますが、生産額との関係ということになりますと、生産額と消費額との間には、輸出であるとか輸入であるとかそういうものが間に介在をいたしますために、なかなか直接的に結びつきにくいというようなところも実はあるわけでございます。そのほか、最近で申しますと、いろいろ各企業が新薬の開発に努力をいたしておりますが、新しい画期的な新薬の開発というようなことになりますと、それに伴っての生産額がふえてくるということもあろうかと思います。それからもう一つは、医薬品のこれは特性かと存じますが、医療機関が必要なときにいつでも必要な医薬品を供給できるという、そういう状況をつくっておくことがぜひとも必要なわけでございますので、そういう意味である程度必要量を若干超えるようなそういう水準の生産額というようなものもあるいは必要なのかとも思うわけでございます。 そういうことをあれこれ考えてみますと、なかなか適正な生産額というものは、一義的にどのくらいが適当かということを申し上げることは困難かと思いますが、この辺はそのときどきの先ほど出ておりました薬剤費比率であるとかいうものも指標にしながら、各企業の自主的な企業活動というものを通してその辺の調整がなされていくのではないだろうかというふうに思っております。
○山本正和君 輸出額をちょっと調べると、五十九年だったですか、千二百八十七億ぐらいしか出てない。要するに四兆円の生産された医薬品のほとんどが国内で、国民の中で消費されている。これは全部医療行為に使われたかどうかこれは別でありますし、それから廃棄されたものも当然あるでしょうから。ただ、四兆に達してからほとんど、これずっともう大分長い間続いているわけですね、四兆円という額が。ということは、大体四兆円分ぐらいのものは毎年生産していると。要するになくなった分を補っていくわけですからね。大体コンスタントに四兆円ぐらいは日本の国民は医薬品を消費しているということになりはしないかと、こんなことを私は思うんですね。そうすると、これ一人頭に計算したら一体幾らの額になるだろうか、国民一人、赤ちゃんに至るまでですね。どうも何か高いような気がしてならないわけです。 私は別に製薬会社性悪論を言うわけじゃありませんけれども、製薬会社が大変な努力をして新薬の開発、それによって到底治らないじゃないかと思われておったような病気にまで治療ができる、そういう光明を見つけでもらう、そのためにも製薬会社の役割というのは非常に重要だと思うんですね。また大学なりとの連携も必要だというふうに思うんです。 ただ、その製薬会社がそうやってやっていくのに実はかなりな金が要るわけですね、研究費が、開発費が。どこからそれを持ってくるかといったら、いろんな薬をたくさん売っておいて、害にもならぬけれども売ればもうかるという薬がありますから、それを売っておいて、その利益もやっぱり回さぬことには研究費できませんよ、開発できませんよというようなことを言うかもしれないと私は思うんですね。ですから、こういう新薬の開発、例えばがんの問題とかこの前のエイズの問題とか、そういう新薬の開発というものについては、本来から言えば国の責任においてもっといろんなことをしなきゃいけないんじゃないか。ところが製薬会社が、やっぱりこれは国際的にもいろいろな競争がありますし、国内ばかりの競争もあるわけですから、その中で何かしようとすればどうしても開発せざるを得ない。研究費に膨大な金をほうり込まざるを得ない。となると、いやでも応でも薬を売って、ある程度四兆円ぐらい売っておかぬことにはどうも競争に間に合わぬぞというようなことになりはしないかというようなことを心配するわけです。 私は、そこで申し上げたいのは、薬事法十三条、十四条等で立入検査の規定がありますけれども、どうも研究開発の部分については、これは企業秘密になるかどうかは別ですけれども、しかし薬の開発というのは企業秘密というふうに一概には言えないような気もするわけです。 そんなことも含めて、一体製薬会社で行っている研究開発という問題に対して厚生省の手はどの程度及ぶことができるのか、あるいは援助、助成はどの程度できるのか、その辺のことをちょっとお伺いしておきたいと思います。
○説明員(森幸男君) 研究開発の問題につきまして二点先生からお尋ねがございました。 最初のまず研究開発の振興という問題からお答え申し上げます。 今のお話の中に出てまいりましたように、これから我が国が高齢化社会を迎えるということになりますと、当然国民の保健医療上解決すべき課題というものが多々ございます。お話にもございましたようながんであるとか脳卒中であるとか、あるいは老人性痴呆の問題であるとか等々、いろいろな問題がございます。そういうものに対応していくということになりますと、どうしてもこの研究開発の振興というものはこれからの非常に大きな課題であろう。そういう観点から、実は六十二年度、今年度はその研究開発を進めるということで二つの制度的な基盤整備と申しましょうか、というものを行ったところでございます。 簡単に申し上げますが、一つは、先般法案をお認めいただきましたが、医薬品副作用被害救済基金法の一部改正の中で、先端技術を導入して医薬品の開発を行う企業に対しまして、国の資金で出資または融資を行うことを通して研究振興を推進していこうという制度をつくったのが一つです。 もう一点は、この研究開発を促進する一つの背景ということで特許制度というものがございますが、その新薬の特許制度の改善ということも今回行ったところでございます。これは、研究開発を行いますために最近は非常にその研究開発の期間が長くなっている、そういうために、上梓と申しましょうか、市販される段階では特許期間が実質上非常に少なくなっておりますのを若干回復させるということがその趣旨でございますが、そういう特許制度の改正というものを行いました。 そのようないろいろな施策を通しまして研究開発の振興ということには取り組んできておるところでございます。 それからもう一点先生からの御指摘は、この開発段階のむしろ規制面からどんな関与をしているかということだろうと思います。 医薬品の開発段階の試験といたしましては、御承知のとおり前臨床試験というのと臨床試験、この二つがございます。前臨床試験というのは動物を使用した安全性試験でございます。これにつきましては、GLPすなわち医薬品の安全性試験の実施に関する基準というものを五十八年の四月から実施をいたしておりまして、日本の国内、国外の施設を含めまして適宜査察を実施してその適正を図っているということがございます。もう一つの臨床試験の方でございますが、これは五十四年の薬事法の改正の中で治験を行います場合の届け出制という規定が入りました。そしてこの治験につきましては、その治験薬の使用によって保健衛生上いろいろな危害発生のおそれがあるというような場合に、それを防止する意味で厚生大臣がその開発メーカーに対しまして治験依頼の取り消しというような措置を講ずることができるような道も開かれたわけでございます。 この届け出制をもとにいたしますいろいろな指導を行っているところでございますが、あわせましてこの臨床試験の実施に関する基準というものを定めてそれを守らせるということも必要であろうということで、実は新薬の臨床試験の実施に関する専門家会議というところで「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」の案を六十年の十二月に作成をしてもらいまして、それを現在公表して意見を聞いているところでございます。 そういうようないろいろな施策を通じましてこの研究開発が適切に推進されるように今後とも努力してまいりたいと、かように考えております。
○山本正和君 ひとつ、大変重要な問題でございますし、また薬の開発ということについてはこれは本当に一日もゆるがせにできないことでございますから、十分お取り組みをいただきたいと思っております。 ただ、ここで最後、もう時間がありませんので触れませんけれども、本当は医薬品の流通機構の問題がありまして、これがどうもちょっと暗くて見えにくいというふうな話も出たりいたします。これはまた次の機会に譲りまして、厚生省の見解を承っておきたいと思っております。 最後に、大臣にひとつ要望を申し上げて、できましたらお話をいただきたいのでありますけれども、やっぱり、何といいましても我が国の今の医療のあり方で、だれが見ても国際的に見ていびつだというふうに言われているのは、医薬分業がされていない、医薬分業というものが今まだ、なおかつ任意分業の状況である。要するに、どう見ても日本の医療のあり方がヨーロッパやアメリカから見たらどうも変わっているとしか見えない、これは私はやっぱりおかしいというふうな気がするわけです。もちろん、それを解決するための道筋にはいろんな問題があろうかと思います。 確かに、指摘されている薬剤師の資質の問題、薬局の配置の問題、さらには、今までの患者の医師に対する信頼の問題、いろいろあります。しかし、これはやっぱり医師会、歯科医師会、薬剤師会も含めて、本当の医療のための話し合いが友好的に、お互いにざっくばらんな形での話し合いが行われているというように聞いております。そういう意味からいって、やっぱり厚生省としてもこの医薬分業の推進につきまして、特に歴代の大臣が強い決意を持ってお取り組みいただくことが大変重要なことになるんじゃないかという気がいたします。きょうお見えでございますが、石井委員からも五十八年度の段階でかなり的確な御要請等もございました。 きょうは、ひとつ斎藤大臣から医薬分業につきましての御決意をお聞かせいただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(斎藤十朗君) 医薬分業につきましては、医師と薬剤師が相互にその職務を尊重しながら、それぞれの専門分野で国民医療の質の向上のために連携をとってやっていただくということが非常に重要なことであり、この医薬分業も非常に長い間の懸案になっておるわけでございますが、そのための基盤づくりというようなことでこれまでも努力をいたしてまいったわけでございます。 今後ともこれらの基盤づくりを通じ、医師、薬剤師の関係の方々の御協力、また国民の御理解も得ながら、医薬分業を推進いたしてまいるために今後とも努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
○委員長(菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 ―――――・――――― 午後一時四分開会
○委員長(菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(菅野久光君) 休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保田真苗君 私は、年金福祉事業団の運営について伺いたいと思うんです。 まず、この年金というのは、基本的な考え方として老後の一定の所得保障をするということが最大の使命であるというふうに思いますけれども、この点について厚生大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(斎藤十朗君) そのとおりでございます。
○久保田真苗君 それで、そういった使命を持った年金についていろいろな福祉面の運用をしておいでになる年金福祉事業団でございますが、決算委員の目で見ますとちょっと気になることがあるんですね。それは、年金福祉事業団の財務諸表というのをいただいたんですけれども、これまで五年間の中で四年は十億前後の欠損金が出ているということなんです。もちろん、それにはいろいろな理由があると思うんですけれども、この十億前後の欠損金そのものの金額が問題なんではなくて、その原因を探ってまいりますと、つまり財投からの借り入れの金利と、それから住宅等への貸付金利の差がこの欠損の原因になっているようなんでございます。この点についてはどうでしょうか。
○説明員(水田努君) 欠損の出ております原因は、大型保養基地というのを持っておりまして、当然建物がございますので、これは減価償却をしてまいるわけでございますが、この大型保養基地はおかげさまで全体として収支は償うようになってまいりましたが、減価償却に充当するだけの利益がまだ生ずるに至っておりませんので、その減価償却分見合いが現実に引当金として計上しておりませんので、簿記の処理上欠損という形に相なっているわけでございます。 先生の疑問を持っておられます、その還元融資事業の貸付事業で逆ざやになっているんで、それが欠損の原因ではないかという疑念を持っておられますが、それは補てんをいたしておりますので、そこからは欠損は生じていないわけでございます。
○久保田真苗君 補てんというのはどこから補てんしておられるわけですか。
○説明員(水田努君) 年金制度は、厚生省の所管しております厚生年金、国民年金のほかに、共済組合の年金があるわけでございますが、共済組合の場合は完全に自主運用をやっておりますので、その年金の積立金の中から住宅には低利で、それから将来の年金の財源の原資に充てるためにこれは高利運用にと、こういう形にみずから決め得るわけでございますが、厚生年金、国民年金は全部資金運用部の中に一切お預けをして、その中から還元融資という形で預託金利でお借りしてまいるわけでございます。 最近の例で具体的に申し上げますと、預託金利五・二%で借りてまいりまして、年金福祉住宅貸付へ五%で貸しているわけで、その間O・二%の逆ざやが生ずるわけでございますが、その〇・二%の逆ざやをどうやって埋めるのかということでございますが、これは従来は厚生年金の保険料の中に大体約三%見合いの、福祉施設費見合いの保険料を取ることになっておりまして、そこから交付金という形を仰ぎまして利子補給という形での補てんをしてまいりましたが、現在においては五十五年度から出資金という形をとりまして、出資金から出ますところの果実でその逆ざやを補てんするという方向をとってまいっているところでございます。
○久保田真苗君 たくさんいろんな名前が並んだものですから、ちょっと一つ一つお願いしたいと思うんですけれども、確かにおっしゃるように逆ざやがございまして、四兆八千億円の資金運用部からの借入金に対して五・二%の利子を払うと、こういうわけですね。そうすると、その金利の支払いが、さきに厚生省からお聞きしましたのは三千三百二十一億円ある、そしてこれに対しまして貸付金の総額というのが、これが五兆三千億円でして、それから得られる金利が三千二百二十二億円ということになるわけです。つまり、金利収入の方が金利支払いより百億円少ないわけですね。これはいろいろな運用をなされるのでしょうけれども、少なくともこの借り入れと貸し付けの関係に絞ってみれば、昭和五十六年度以降のこの逆ざやの差を拝見しますと、いずれの年も百億円を上回る逆ざやになっておるわけです。それで、このこと自体をどういうふうにお考えになるかということなんですね。私は、それは年金住宅の貸付金利が安ければ安いほどいいと思います。ですけれども、それはもとをただしてみれば約二千七百万人の厚生年金の被保険者の積み立ててきたそのお金から支出されるわけですね。ですから、私はそこのところを今後の方向としてどういうふうに考えていらっしゃるのかちょっと伺いたかったんですけれども、つけ加えていただくことありますか。
○説明員(水田努君) 厚生年金の事業としましては、当然年金給付を行うのが本来的な事業でございますが、厚生年金あるいは国民年金の法律の上で、あわせて福祉施設事業を行うと。で、被保険者や受給者の福祉の向上に寄与するということももう一つの柱として規定をされておりまして、その年金給付を行う事業と福祉施設活動を行う事業を含めて保険料の徴収をできるようになっておりまして、先ほど申し上げましたように、福祉施設事業活動としまして保険料収入の約三%見合いが計上されているわけでございまして、逆ざやに要しますところのものはその福祉施設費の中から交付金という形で補てんをしているということを先ほど申し上げたわけでございますが、いずれにしましてもこの年金事業というのは、三十年なり四十年というものを強制的に給料の中から天引きさしていただくわけでございまして、そうして老齢年金に結びつくと、こういうことになるわけですが、その間にやはり年金制度に対する理解協力を得るためには、福祉還元という格好で老後の生活の安定に特に寄与するような住宅等については、できるだけ民間と違った低利でかつ長期の貸し出しで御利用いただけるようにすることも、年金制度の福祉施設活動として私ども重要なものだと、このように考えておるわけでございます。
○久保田真苗君 私は、還元融資が悪いという立場ではもちろんないんですね。ただ、長年にわたって住宅資金の利用者というのは百六十一万戸だそうですね。百六十一万戸の住宅を建てるために若干の貸し出しがあって、そしてこれを厚生年金の積み立てのプールから、二千七百万人の積立金の中から経常的にその部分を、百億円程度のものを欠いて出していくということが、果たして今後もとるべき方向なのかどうかということを私は申し上げたいんです。先ほど局長は、これは政府出資金だと、出資金の果実から得ているものだと言われたんです。しかし政府出資金というのは、もとをただせば厚生年金勘定から出ている、そういうことでございますね。
○説明員(水田努君) 厚生年金の勘定を見ました場合は、給付費の勘定と福祉施設のための勘定に分かれるわけでございますが、保険料収入の三%見合いのものが福祉施設勘定に入るわけで、そこから大体最近は一千億ぐらい事業団に出資しておりまして、そこから生ずる果実によって逆ざやの補てんをしていると、こういうことでございまして、年金の積立金は給付費に所属するところの保険料の積み立てでございます。
○久保田真苗君 まあ、いろいろに仕切ってはおいでになるんでしょうけれども、もとをただせば被保険者の懐から出て積み立てられたお金、そのことには何も変わりがないんですよ。そういたしますと、被保険者の立場から見ますとこれが、要するに借り入れ、貸し出しの金利差というものがどこから出ようと、被保険者の懐から出ていることに何にも変わりないんですね。むしろ政府出資金というような名前で、というのはつまりこの政府出資金というのは全く無利子でもって、ただで事業団に横滑りをされるお金なんです。被保険者の立場から見ますと、そういう一種の所要経費みたいなものは、それだけを勘定してみれば、少なければ少ないほどいいというそういう論理が成り立つんだと思うんですね。そういたしますと、私はやっぱりこういう一種の逆ざや作用というものは、こういう形でもとのプールヘの食い込みでない方向で考えていただくのが本筋じゃないかと思うんです。 そこで、一つ厚生大臣にお聞きしたいのは年金の推移なんですけれども、厚生年金というもの、まあ国民年金もそれから共済年金もございますけれども、ことしの年金のアップ率というのは物価上昇率にスライドするということで〇・六%の値上げがなされたわけです。でも、これは公務員給与のアップ率から見ますと、二・三一%公務員の給与は上がっています。公務員の給与は、民間の賃上げを勘案して人勧で決められるわけですから、民間の方は三%台上がっているわけですね。このアップ率について見ますと、私はこういう原理が続けられるのであれば、当然のことながら年金の給付の行く先は先細りになると思わざるを得ないんですね。それは、例えばもう退職した方の年金をずっと見ればわかることです。古く退職した方、新しく退職される方、その間の年金の給付率が相当な乖離があるということはお認めになると思うんですね。そしてこれが物価にスライドする。物価にスライドすることが、しないよりはましなんです、それは。物価にスライドするということは結構なんだけれども、しかし賃金の上昇率から見ると次第次第にこれが乖離して、GNPの中に占めるシェアというものはだんだんに年金は低くなってしまう。つまり、相対的に窮乏化するじゃないかということを申し上げたいんですが、厚生大臣はこの年金の現在の決め方、あるいはこれを将来に向かってよりよく老後の所得を保障していくという意味から、どういうふうにごらんになっていますでしょうか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 年金額の毎年の引き上げにつきましては、前年の物価の上昇が五%以上であった場合には、それに倣って年金を引き上げるということになっておるわけでございますが、これを本則といたしまして、特例的な引き上げといたしまして本年〇・六%でございましたけれども引き上げをさしていただいたわけでございます。 今、先生の御指摘のような賃金とのアンバランスの問題とか、また社会情勢の変化に応じた年金のあり方とか、そういったような問題につきましては五年ごとに行います見直しの中でこれらを十分検討して、反映をいたしてまいるというような仕組みになっておるところでございまして、このような進め方でいいのではないかというふうに思っております。
○久保田真苗君 五%を超える物価の上下、あるいは物価上昇にスライドする、それが特例だというそこまでいきますと、私も大議論をぶたなきゃならないんです。ですから、それについてはそのやり方が非常に任意的で、ちっとも保障にならないということだけを一応申し上げまして、大臣のおっしゃる定期的な年金のあり方の見直しというものの中でぜひ考えていただきたいのは、そういうわけで年金というものは一人の人の老後の所得保障で見てみますと、時系列的に先細りになっていくというその事実を一応私は申し上げておきたいのです。 それで、言うなればこれからますます高齢化社会でございます。そして低金利時代です。そういう中で年金の負担、保険料の負担額がだんだんふえていくという、そういう趨勢があるわけですね。現在千分の百二十四ですか、これが将来的には千分の二百八十九になるかもしれないと、そういうことを厚生省の方が言っていらっしゃるわけですよ。そういたしますと、保険料は高くなる、給付額について言えば、この前カーブをなだらかにするというんで大分析れくぎのようにお曲げになって、給付額のあれを抑えられました。そういう中に今はあるんだという、そこのところなんです。そういたしますと、福祉も結構なんですけれども、その福祉のために年金の所得保障というものが目減りをさせられるということは、これは私はお年寄りにとって非常に耐えがたいことだと思うんです。そこで、私が申し上げたいのは、安易に政府出資金をふやす、つまり厚生年金勘定から事業団へどんどんお金を移動さすことによって、今ある逆ざやがあたかも逆ざやでないかのごとく帳簿の上だけで処理するという、そういうやり方だけは私はやめていただきたいんです。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 年金積立金の福祉運用のことについて、先生、先ほどからの御指摘でございますが、私は年金の積立金の運用につきましては、有利自主運用という部分、そして財投協力という部分、そして福祉運用、こういった三点の運用をバランスをとっていくということが非常に重要であるというふうに考えております。特に、さきの通常国会におきましてお認めをいただきました年金財政の強化に関する法律におきまして、この低金利時代、まだこれからの長寿社会が本格化するに従いまして、年金の保険料と、そして給付との関係を考えますと、自主運用におきましてより一層有利な運用をいたしてまいるということが非常に重要でありますので、この法律をお認めをいただき、自主運用に踏み切らしていただいたわけでございますが、一方におきまして、福祉運用につきましては、年金加入者また被保険者等の福祉を向上さしていくための還元融資というものも、これも一つの重要な柱であるわけであります。その点につきましては具体的に先ほど年金局長が申し上げたとおりでございまして、できるだけ低利、長期な住宅融資を行っていくということにつきましては、さきの国会で、今申し上げました自主運用の法律を御審議いただきましたときにも、参議院の社会労働委員会で、「還元融資について、内需拡大の面にも十分配意し、年金住宅融資の貸付条件等の思い切った改善措置を講ずること。」という附帯決議を付せられておるわけでありまして、そういう面においてはそれなりに努力をいたしてまいらなければならないと考えております。 要は、それらのバランスの問題ではなかろうかというふうに思うわけでありまして、自主運用についてより一層の有利な運用を行っていくことと、そして加入者の皆様に対する福祉運用というものも充実をしていく、そのバランスを欠かないように今後ともやってまいる、これが重要なことであるというふうに私は考えております。
○久保田真苗君 大臣が自主運用に頑張るとおっしゃる、そのことは大変歓迎いたします。 私がもう一度申し上げたいのは、こっちの住宅資金の貸し付けの問題と、それから年金の所得保障の問題、これがバランスだとおっしゃるけれども、本来年金は所得保障が本命であって、こちらの福祉をおやりになるんならこっちからどんどんお金を持っていって、これがただの果実を生むんだからというような、年金財源を金の卵視していただいて、それで帳じりを合わすような年金福祉事業団の運営はこの際考え直していただきたいということなんです。 ですから、その自主運用なら自主運用を本当にしっかりした間違いのない自主運用のために、これは相当奮闘していただかなければ実現しないんです。ですから、それを頑張っていただいて、福祉事業団への年金特別会計からどんどんこっちへ、国鉄じゃないんですからこっちへどんどん引っ張っていって、それで逆ざやを埋めようというような運用は見直していただきたい、考え直していただきたい、それについて御答弁いただきたいわけです。
○国務大臣(斎藤十朗君) この年金積立金による福祉の還元融資、その中でも老後の生活を安定させるための住宅融資というものについての重要性については、先生も御認識をいただけるのではないかというふうに思うわけでございますが、先生御指摘のように、その逆ざやが全体として年金の積立金の大きな部分になってしまって、それが非常に大きな足を引っ張るというようなことになっては、それは先生のおっしゃるとおりだと思うわけであります。でありますので、そこのところはそのバランスを考える中で、妥当な状況の中で、この還元融資も進めていくということでやらしていただきたいと、こう思っておるところでございます。
○久保田真苗君 時間の関係で次の質問に移ります。 環境庁長官、私この前知床問題で質問さしていただいたことがあるんですけれども、その後いろいろな経過がございました。長官も去年の十月、現地においでになって視察なさったと伺いました。私もその前に現地を見てまいりました。それで、その後いろいろな自然保護団体等の反対もあったんですけれども、四月十四日、とうとう地元の警察、それから機動隊の警備の中で伐採が行われるというような状況に立ち至ったわけで、まことに私は遺憾だと思っているわけです。私が知床を見ましたとき、ちょうど今度の伐採地域を見まして、その中には、もう新聞でもよく報道されておりますとおり、二百年以上もの大変直径の大きい巨木を赤いテープで巻きまして、その赤いテープをこうやって見回してみますと、目の届く限りに何本もあるというような、そういう状況でしたから、私は、ああ、この木が切られてしまうとこの森は何も知床の天然林だというような、そういう特別なものじゃなくてただの雑木林になるなと、そんな感じを持ったんです。雑木林ももちろん大事なんですけれども、しかし周囲の知床のいろいろな高山の景観、それからすばらしい海岸の景観、そういうものに守られたそういう環境の中で、あの天然林が非常に平凡な林になってしまうということを非常に残念だなと思ってまいりましたんです。私、まず環境庁長官はどういう所感をお持ちになったかということをお伺いしたいんです。
○国務大臣(稲村利幸君) 私も短時間ではございましたが、知床の自然に直接に触れまして、これだけのすばらしい原生林、これはもうインスタントではできっこないんですから、こういうものが自然保護という国民の世論にこたえて守られることができたらすばらしいだろうと、正直そう思いました。そして関係者が自然保護のためにそれぞれの立場で努力されていることも実感で知りました。知床の国立公園は国立公園の中でも特に原始性の高い公園でありますので、私が見に行ったことでということではなくして、世論がこれを保護したいということで、林野庁も大分その世論にこたえて遠慮をしてああいう形におさまっていると思うので、私どももこれは今後とも守れるものは守っていきたいと、守ることが可能であれば可能な限りそれを続けていきたいと、こう考えております。
○久保田真苗君 林野庁おいでになると思うんですが、今度機動隊や何かをお入れになって、抵抗しても排除しようという気持ちでおやりになったと、それはもう強行するおつもりでなさったと思うんですけれども、まあ保護団体は一応静かな抵抗におさめたから無用の混乱はなかったと見えるんですがね。そのときに大臣が、これは大臣にお聞きすべきことなんですけれども、今回の伐採については行政の筋目を通したとおっしゃった。そのことが非常にからんときている人が多いのですよ。もしお答えいただけるのでしたら、それは一体どういう意味でおっしゃったのかお聞かせいただきたいのです。
○説明員(塚本隆久君) 知床の伐採計画につきましては、計画の素案の段階から環境庁を初め北海道地元斜里町等に説明を行いまして、必要な手続を経て樹立されたものでございます。また、実行の段階におきましても、地元斜里町の要望等によりまして動物調査を実施し、その結果を踏まえまして今年度の実行予定地につきましても自然観察教育等に利用する森林を保全するとか、あるいはクマゲラの営巣木の周辺を残すとか、いろいろな配慮を行っておりますし、またさらには北見営林支局の管轄いたしております国立公園内の知床国有林の九割以上を保存林とするといったことなど、保存すべき森林についても積極的な配慮を行ってまいりました。こういったことで、今回の計画は手続的にも必要な手続を済ませ、また実行の段階でも自然環境の保全等に最善の努力を私どもとしては払ってつくり上げた計画であると思っております。したがいましてこうした計画につきましては実行すべき時期には実行してまいると、このようなことで発言されたものであるというふうに理解をいたしております。
○久保田真苗君 関係省庁との話し合いもされたということなんですが、地元あるいは自然保護団体とのお話し合いは不十分だったんじゃないでしょうか、その点どう思っていらっしゃいますか。
○説明員(塚本隆久君) 自然保護団体とは最終的に話し合いがつかないままでございましたが、地元町につきましては一応理解を得ているというふうに考えております。
○久保田真苗君 その後地元では新しい自然保護派の町長が当選しておりますので、地元の意向というのも必ずしも正確には把握していらっしゃらなかったのじゃないかなと私は思うんですね。 ところで、時間の関係がありますのでどんどん進めさせていただきます。 伐採のやり方についてなんです。これはまだA区を切って、次にB区、C区とあとまだこれから予定していらっしゃる伐採地があるということなので、ぜひこの際伺っておかなきゃならないと思うのです。 その第一は、伐採に際して周りの邪魔になる木、木を倒す上において支障になる木、その支障木を切るということをなすったんですね。支障木を切るということは林業では常識かもしれないけれども、少なくとも私どもが説明を受け、あるいは自然保護団体がそれ以前に説明を受けていたことは、五百三十本ばかりを切るということであって、邪魔になる木も切り倒すというふうには伺ってなかった。それが支障木を切るということで恐らくその何倍かの木が切られたんだと思うんです。支障木はどのくらいお切りになったんですか。
○説明員(塚本隆久君) 先生お話のございましたように、支障木が出たことは事実でございますが、現在、その支障木については調査中でございます。
○久保田真苗君 まあ相当の支障木、ですから五百何本じゃなくて恐らく二千本ぐらいが切られたんじゃないかと私は思っておりますけれども、それじゃどうぞ御調査ができましたらお知らせください。 それから、放置木というのが大分出たらしいんですね。これは非常に大きい、二百年からの巨木の場合についてなんですけれども、五百三十三本の伐採木のうち、林野庁からお伺いしたのでは十三本が放置木になったということなんです。つまり、そのうちの六本がかかり木、心腐れが七本、こういうことになっていますね。かかり木というのは、倒そうと思ったけれどもどっかへひっかかっちゃって倒せなかったという木なんです。ですから、それは私もスライドをいろいろ見せてもらいました。結局斜めになったままそこへ放置されたという木で、著しく景観を損なっているんですね。それから心腐れというのは、なぜ心腐れなんというのがわからなかったのか。人の話を聞いてみますと、これは例えばハンマーでたたくとか、それから細いドリルでちょっと中を刺してみるとわかるんだということなんです。ところが、切り倒してみてから心腐れだというんでそのままそこに放ってあるわけなんですよ。そうすると、太い木が切られてそれでなくても知床の森としての価値はもうなくなっていると思うんですけれども、その上に放置木までが斜めになったり横倒しになったりしたのでは、これはもう知床の玄関口のところで非常に景観が悪くなったなと私は思わざるを得ないんですが、こういう技術的な面について、林野庁は私の質問にどういうお答えを持っていらっしゃいますか。
○説明員(塚本隆久君) ただいま御指摘ございましたように、林内に十三本程度の放置木があることは事実でございます。 まず、かかり木でございますが、私どもとしましては、当然今回の作業に当たりまして切る木の樹形なりあるいは隣に立っておる木の状態あるいは地形等に十分注意を払って切るべき木を選んだわけでございますが、やはり倒す段階で思った方向に倒れないということもございまして、六本程度のかかり木が出ておるわけでございます。これにつきましては、今後そのようなことのないように技術的にも向上に努めてまいりたいと考えております。 それから、心腐れでございますが、立ち木を表から見てその中がどうなっているかということは、中に成長錐と申しまして、きりのようなものを突っ込みまして中を調べる方法もあるわけでございますが、これにつきましては材の価値を低下させるということで、通常行っておりません。これまた外見その他から判断するわけでございますが、五百数十本のうち七本程度のこうした心腐れ木が出てくることはやむを得ないというふうに考えておるわけでございますが、なおこれらにつきましても技術的にいろいろ研究をしてまいりたいと考えております。
○久保田真苗君 私この会計の問題まできょう言わないんです、時間がありませんから。でも、材の価値をとおっしゃるけれども、ここから幾らのお金が出てくるのか。本当にわずかなお金じゃありませんか。それなのに、二百年からの木を、切ってみなきゃ中が腐っているかどうかわからないなんて、そんなことじゃ、私どもは余りにも、この自然保護団体の方があそこへ行って伐採拒否をした、切られた木の切り片をなめてみて春の味だといって涙を流したという、その心を余りにも踏みにじっていると思うんですよ。私なんかの立場からしますと、やっぱりこれは、切ってみなきゃわからないというような段階ではあの森には手をつけてほしくないと思うんですね。これからどういうふうなやり方をなさるのか知らないけれど、私は技術的な質問はきょうはもういいですけれども、私がここで申し上げておきたいのは、ともかく今回切られたA区というのは知床の玄関口ですよ。そしてしかも途中までは比較的入りやすいところなんです。しかも、そういうわけですから、武装した山男でなくても、つまり私のような人間でも割合とちょっとした装備で入っていけるところです。そして、その入口でもって自然を享受してそして帰ってくるというような、そういう場所なんですよね。そういう、例えば私のような女とか年寄りとか子供とか、そういう人たちから何であれだけの自然を奪ってしまったのか。私やっぱりひどいじゃないかと思うんですよ。玄関口でそういうふうにやられたということなんですね。 これから先まだB区、C区と、玄関を入ったロビーもまたおやりになる、こういうことになっているわけなんで、やっぱり私は、これはどうしてもこの問題を追及していかなきゃならないんだというふうに思うわけですね。地元民にしたって、自然保護という観点から何とか生き残ろうと思って、あの知床の森と共存しながら何とか斜里町の生き残りを考えているわけでしょう、その生き残りのすべに対して平手打ちを食わした、そういうふうにお思いにならないでしょうか。
○説明員(塚本隆久君) 今回の伐採対象地域につきましては、私どもとしましては、自然環境の保全と林業が共存できる地域というふうに考えております。先ほど申し上げましたように、知床国立公園の九〇%以上の地域は保全林といたしたわけでございまして、残りの地域につきまして、地元の産業に対する材の供給、これによる地域振興やら、当然その跡地を若返らせてまた数十年後にここを利用していく、そういう計画でこの山を利用しているわけでございまして、その点につきましては御理解を賜りたいと思っております。
○久保田真苗君 とても共存などという状態じゃない。杯盤ろうぜきの状態が残ったということですよ。林野庁の方は皆さんあそこへいらしてどうぞごらんになっていただきたいんですね。 環境庁長官にもお願いしたいんです。伐採された後の知床をもう一回視察していただきたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。
○国務大臣(稲村利幸君) 折がありましたら、私も北海道は時折お邪魔しますので、また見さしていただきたいと思います。
○久保田真苗君 お願いします。 それで、林野庁には、問題になっているのが、去年の十一月からことしの三月までなさったという動物調査なんですけどね、これは、初めに結論ありきというような批判が強いんですね。まあ素人が常識的に考えましても、動物調査あるいは生態系の調査をするというときに、一年の季節のサイクル、そういうものを調査しないと概況はわからない、そういうふうに思うんですけれども、今回の調査は一体幾日かけてなさったのか、それから夜間の調査は何日なさったのか、お答えください。
○説明員(塚本隆久君) 今回の動物調査は、ただいまお話に出ておりましたAブロックにつきまして、ヘリコプターあるいは現地踏査による森林の状況調査、希少鳥類の営巣確認調査、それから鳴き声調査、それからえさ場の調査、ヒグマ等の動物の生息確認調査等、二十四日にわたり、延べ人員百五十五人をもって実施をいたしております。 それから、シマフクロウの鳴き声調査につきましては、あの地域を流れております幌別川流域の生息の可能性の高いと思われる三地点で、それぞれ三日間、聴覚による確認調査、そして集音器による録音調査を行っております。
○久保田真苗君 今度の御調査について、保護団体の人はこういうことを言っているんです。見張ってたんですよ。調査日数は十一日、夜は旅館にお泊まりになって、営巣木はヘリコプターで五分ばかり飛んで調べたと。それは私は本当にこれがどちらが正しいのか、私は判定すべき立場には今ありません、実態を調べてないんですから。しかし、私はこういう調査というものは人に信用されなければ、結局それは何にもならないということなんですね。例えばあのシマフクロウの研究の第一人者と言われている山本さんという方は、シマフクロウは非常に簡単にはわからないんで、営巣を十年目に確認したというようなことも言っていらっしゃるし、科学的じゃないと言っている学者もあるんですね。 私、今度新聞にも報道されてましたけれども、さぞかしチェーンソーのうなりとか、巨木が倒れる地響き、ヘリコプターの轟音、こういうもので森の中は大騒がせだったと思うんですね。 そういうことを考えますと、やっぱりこれは私、どうしても皆さんの協調の場でこういうことを判定していただくには、まず出発点の調査から地元斜里町そして自然保護団体、また、そういう人たちが信用している学者、こういう人たちと調査方法も一緒に考え、調査の期間も考え、やり方も考え、その人たちにも参加してもらうというふうなオープンな態度でやりませんと、やった調査の結果が何にもならない。かえって紛争のもとになっているわけです。ですから、私はそこのところを地元そして自然保護団体と調査から話し合っていただきたいと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○説明員(塚本隆久君) 前回の調査に当たりましても、広く各界の先生方に参加していただくようにお話をしたわけでありますが、個人的な御都合等もありまして、最終的に前回のメンバーにおさまったという経緯がございます。 今年度の調査につきましては、先生御指摘のとおり、私どもも科学的な調査を実施をしたいと思っておりますので、メンバーにつきましても広く参加を要請してまいりたいと思いますし、調査内容につきましても十分検討した上で実施をしてまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 ただ広くでなく、地元斜里町と、そして自然保護団体と、そういう人たちと一緒に考え、話し合っていただきたい、その点は確認していただけますか。
○説明員(塚本隆久君) これまでも地元斜里町、自然保護団体とも話し合ってまいりました。 今回の調査を実施するに当たりましても、斜里町あるいは自然保護団体とも話し合いをしてまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 それでは次に、今後の施業計画についてなんですけれども、林野庁でお出しになった資料で今回切ると、A、B、Cブロックを決めていらっしゃる。それ以外の森林については各種の公益的な機能の発揮を第一義とする保全林として、それにふさわしい管理を行う方向で検討すると言っていらっしゃいますね。それは、知床について見ますと、斜里の営林署の管内、それがまずあるわけです。それは知床半島の背骨になる山脈の北側になっているわけです。それはもちろん全部含むと思うんですけれども、その南になっている、つまり帯広営林支局の管内も国立公園でございますから、当然南側も含むと、知床半島全域にわたると、そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
○説明員(塚本隆久君) 知床国立公園内の帯広営林支局が管轄する国有林につきましても、北見営林支局の国有林と一体的な管理を行っていくということが必要であると考えておりますので、保全林の設定につきましても北見営林支局に準じた考え方で対処してまいりたいと考えております。ただ、この地域につきましては、現在地域施業計画を樹立するための調査を行っておる最中でございますので、具体的には、来年度までにはそうしたものを固めてまいる予定でございます。
○久保田真苗君 原則としてそういうふうにお決めになったのですから、ぜひそれは守っていただきたいということを希望しておきます。 さて、今後切ると、六十二年、六十三年度に調査をやったら、B、C地区を、さらに奥まったところへ足を進めるということなんですけれども、これについては地元と協議しながら判断したいと言っておられるんですけれども、この地元の合意が得られなければ強行しないとも言っておいでになりますが、確認できますか。
○説明員(塚本隆久君) 地元と協議の上、今後の知床国有林の取り扱いについて判断をするということを申し上げていることは事実でございます。したがいまして、今後、新しい斜里町長初め地元の方々と十分お話し合いをする中で、その上に立って取り扱いを決めてまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 つまり、新しい斜里町長とも話し・合意に達するまで一生懸命やると、合意が得られなければ強行しないんでしょう。それはそういうふうにお答えになったんでしょう、この前。
○説明員(塚本隆久君) 若干詳しくなりますが、昨年秋に、北見営林支局と自然保護団体が知床の伐採をめぐりましてやりとりをしていた中で、地元斜里町長から仲介案が出されております。それについて北見営林支局が受け入れたわけでございますが、その中に、知床横断道路以東の施業地域については、斜里町と十分協議の上判断をすると、取り扱いについて判断をすると、こういう趣旨の項目がございます。 この内容について、その協議という意味がどういう意味なのかということは、要望書という形で出されたものであるということ等考えますと、当時ぎりぎり詰めていなかったと思うのでありますが、少なくとも国有林野事業として地元の理解と協力を得て仕事をしていくというのが基本でございますので、今後ともそういう立場で、地元町長と十分話し合った中で取り扱いを決めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○久保田真苗君 私どもも、林業行政といいますか、林業の問題については、これは全国的に見れば非常に大事なものだと思っているんですよ。でも今度のような、もう合意のない強行がばりばりされる、行政の筋目だと言って威張っていらっしゃると、こういうことになりますと、もうそういう同情もできなくなるんですね。ですから、国民の中にはむしろ林野庁がなくなったらどんなにいいだろうと言っている人も出てくると、そういうことになりますんですよ。それは非常に残念なことでして、私どもは、全体の林業をやっぱりうまくするためには、時代に合って取捨選択を素直にしていただかないと困ると、そう思っているわけです。でございますから、地元、自然保護団体、こういうものと徹底的に協議していただいて、無理な強行はしないでいただきたいと、そう思います。もう一度御答弁をお願いします。
○説明員(塚本隆久君) 地元町とは今後十分協議をし、その結果を見た上で知床国有林の取り扱いについて判断をしてまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 それに関連して地元斜里町に「自然トピア〝しれとこ〟」という計画があるんですね。これは自然の保全を柱としてそれによって地元の振興をしていこうということなんです。この国有林の一部を地元に貸してほしい、そのためにそういう御相談があった場合、林野庁が十分相談に乗ってほしいと私も思いますんです。その点についてはいかがでしょうか。そういう御用意がありますか。
○説明員(塚本隆久君) 既に今回伐採をいたしましたAブロックにつきましても、先般の動物調査の結果等を踏まえまして自然観察教育に利用する森林というものを五十ヘクタール程度保存をいたしております。これらを含めまして今後地元からそういった要望がございますれば前向きで対応いたしてまいりたいと考えております。
○久保田真苗君 ぜひ前向きにお願いいたします。 環境庁長官に私最後に二つ三つまとめてお願いいたします。それは国立公園の現地の管理官の数が非常に少ないということなんですね。国立公園が二十七あってその中で管理官、いわゆるレンジャーと呼ばれる人が百十人程度、そしてそれは所長も含んでいるわけです。ところがそういうところへもってきて知床国立公園四万ヘクタールの管理官がたった一人なんです。私この前行ったときお目にかかりました。そうしたらばヒグマの出てくるようなそういうところへも一人で山歩きをしてパトロールしていらっしゃるわけですね。その若いレンジャーはヒグマに会ったらそれはそのときのことだと腹をくくっていらっしゃるけれども、これは私やっぱり非常に無理だし非常に危険な状態だと思うのです。少なくとも知床の増員を早急にお願いしたいんです。一人でなくて何人かにしていただきたい。これが一つです、長官。 それからもう一つは地域区分の問題なんですよ。今回の遠因を探ってみますと一種、二種、三種、つまり禁伐から皆伐までの地域区分は環境庁が指定していらっしゃるんだけれども、その指定の仕方が恐らく大木のないところが禁伐地区になっているんです。高山のハイマツ地帯とか断崖絶壁のところとか。そして巨木のあるところは切ってもいいという地域になっているんですね。環境庁はそれはいろんな施業との関係というようなことを頭に置いてなすったんだと思うのです。でも地元はここはもう自然保護と観光で生きていこうという方向へ進んでいるわけでございますから、そこのところもあわせて見直していただきたい、これが二つ目なんです。 そして今環境行政は非常にいろんな問題がございますよね。知床だけじゃなくて沖縄のヤンバルクイナ、ノグチゲラ、アオサンゴ、そして国際問題になっているフロンガスの問題、こういう問題非常にありますので、ぜひ熱意を持ってこれからも取り組んでいただきたい、その三点お願いします。
○説明員(古賀章介君) 今先生が御質問になりました三点のうち二点につきまして御答弁をいたしたいと思います。 まず第一点の増員の問題でございますけれども、先生御指摘のとおり知床国立公園に駐在しております国立公園の管理官は現在一名でございますけれども、随時北海道の全域を統括しております阿寒国立公園管理事務所の応援がございますし、また北海道でありますとか斜里町、羅臼町などの地方公共団体の協力を得ながら現地管理を行っているという状況にございます。増員の問題でございますが、国立公園管理官の増員は現実問題としてなかなか難しい状況にございます。知床を含めましていろいろ工夫をいたしまして国立公園の管理体制の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。 それから見直しの問題ですけれども、これは先生御案内のように知床国立公園は昭和三十九年に指定されましたが、その後の社会情勢の変化を踏まえまして、自然保護の立場に立ちまして昭和五十九年に公園計画全般にわたって再検討を行ったところでございます。再検討後はおおむね五年ごとに見直しを行うことといたしておりますので、その五年後ということになりますと大体ほぼ昭和六十四年ごろということになるわけでありますが、その見直しの際には国立公園の保護の立場から適切に対処してまいりたい。六十四年の見直しということになりますとこれは二年後ということになりますが、準備等の都合もございますので間もなくその準備にとりかかりたいというふうに考えております。
○国務大臣(稲村利幸君) 知床あるいは沖縄のヤンバル地区、そういうかけがえのない自然また貴重な野生生物に対しての保護、これからも一生懸命努力したいしまたそうあらねばならないと思います。またフロンガス等の地球規模での環境保全、この二月東京で国連環境特別委員会が開かれました際にもその点が大きくうたわれました。この八日にUNEPでもその点が取り上げられますし、日本も先進国としてそういう点に積極的に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○久保田真苗君 のんきなスケジュール闘争をやっていらっしゃいますと六十二年、六十三年で玄関口からロビーまで丸坊主にされちゃうということを警告をしておいて次にまたやります。
○宮崎秀樹君 まず最初に斎藤厚生大臣にお伺いしたいと思います。 大臣、百七国会の老健法そして百八国会の売上税等大変御苦労さまでございました。私は政治というものは後世のいわゆる我々の子孫が善政であったか悪政であったか評価するものではないかと思います。そういう観点からこの社会保障費につきましてその財源問題についてちょっと大臣の所感を聞きたいと思います。 御承知のように昭和五十九年度の国民総生産は三百三兆円、そして一般会計の国の予算が五十・六兆円でございます。社会保障の国の負担は九・三兆円、そして医療費に対する国庫負担は四・三兆円でございます。しかし社会保障の給付費は三十三・六兆円と、こういうことでございます。また国民医療費は十五兆一千億、こういうようなデータが出ております。また六十二年度は国民総生産が三百五十兆四千億というふうに見込まれております。一般会計は五十四兆一千億、そして社会保障の国の負担は十兆一千億、そして医療費に対する国庫負担は四兆三千億、そして国民医療費は十八兆円ということでございます。医療費の方はいずれ五十九年から六十二年までほとんど変わらないという状況が続いております。 そこで私はこの日本の人口動態を見ますると逆三角形になっているということが明らかでございます。ただいま同僚議員からも年金のお話が出ました。そういうような中で年金の問題は受給者が増加しそして納付者は減少の一途をたどっておるわけでございます。また医療費におきましては、高齢化社会それから疾病構造の変化それから技術革新、そういうような大きな要素がございまして、これまたどうしても膨張せざるを得ない、こういう状況でございます。 先般、私ふがいなくも病気をいたしまして、胆石をやりまして、私医者でございますけれども、医者の不養生でございまして、実際自分でCTのときに血管造影剤を実は打たれたわけでございます。そのときにまず最初に現在使っておるのはコンレイという薬がございます。これを打ちますと、かあっと熱くなって副作用がある、そして吐き気がある、万が一ショックなどを起こして死ぬこともある、こういう薬でございます。しかし、最近第三世代のすばらしい薬が出まして、これはイオパミロン370、これは二十CC五バイアルで、一バイアルは六千百七円です。コンレイという今まで使っていたやつは六百六十八円です。二回目のときはこの安全な薬を使ってくれたわけです。これは全く副作用がございません。安心して使う。私もドクターでございますから、もちろん高いのは承知だけれどもそれを使いたい。また大臣も病気したとき、危ない薬と危なくない薬とあったら恐らく高くても安全な薬を選ぶと思うんです。そういうようにどうしても、とにかく我々の意思に反して医療費というのは膨らむ要素がございます。それから磁気CTという機械もございますし、大変そういう要素で今後そういうものは膨らんでくる。社会保障が年金と医療と福祉というものを今込みで考えている。しかし、私はそれを別々にやはり考えていくときに来たんじゃないかと思うわけでございます。将来どうしても社会保障費が膨らむということが今わかっておるわけでございます。しかしそれに対して今無策であってはならない、私こう考えるわけでございます。 そこで、こういう問題に関しまして、国としまして、厚生省としまして、財源をひとつどこかに求めなきゃならないのではないかという時期に来ていると思うわけでございます。これは大蔵省にもお聞きするわけでございますけれども、例えば先般の売上税問題の中で福祉目的税というような言葉もございました。それからもう一つの私の考えでございますが、これは大変乱暴な考えでございますが、今赤字国債が百五十三兆円、十一兆円の利子を払っておる。逆に日本の国民の預金というのは、貯金が一千兆円ある、こう言われております。私は、そういうものの中から二、三百兆円、これは無償国債でも何でもいい、無利子の国債でも買っていただきまして、そういうものの金利を運用してこういうものをやったらどうかというような考えも一つでございましょうし、私は、やはり相続税のときに、ある程度二十年ぐらい前からお金のある人は積み立ててただでいただく、そして特例を設けてそのうちの何割かはそのときには免除しましょうというようなこともいいし、いろんな方策があるかと思います。そういうものを今からやはり考えておかなきゃならないんではないか。ただこのままおりますと、これは病人に負担をふやせばいいんだ、年金の額を減らせばいいんだ、これでは福祉国家にはなっていかない、そういう観点からひとつ大臣に御所見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(斎藤十朗君) 人口の高齢化やまた年金の成熟などに伴いまして、社会保障に要する経費の増大というものは避けられない状態にございます。これを賄うために財源を将来にわたっていかに安定的に確保していくか、これはもう御指摘のとおり制度の安定的な運営を図る上でまことに重要なことであるというふうに考えております。しかしながら、この問題は今後の社会保障制度のあり方とか、また国の財政制度全体の問題にもかかわりますので、ひとつ慎重に幅広い観点から検討をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○宮崎秀樹君 大蔵省の方はなかなか難しいと思いますから今は大臣の答えで結構でございます。 それで最近、これは健政局の担当の方にお聞きしたいんですけれども、駆け込み増床の問題がいろいろ話題になっております。先般も新聞紙上、それから厚生省のこれは保険局の企画課長の岡光さんが薬業経営戦略講座というところでおっしゃっておるわけでございますが、そこの中で、医療計画策定後に知事の勧告の命令を聞かないような場合には保険医の指定をしないんだ、保険医療機関の指定をしないんだということをおっしゃっております。新聞でもそれが出ておるんですけれども、果たしてそこまでできるのか、やっていただく意気込みは私は大いに可とするものでございますけれども、実際にそこまでできるのかという問題。それからもう一つは、医療計画の策定の前でございます。前についてこれは竹中健康政策局長が、これは五月十五日でございますか全国健康政策関係主管課長会議を開きまして、その場でも厳然とした態度で臨めということで指導をしておるわけでございますけれども、この関連で私は、やはり今の知事の勧告命令というものはどの程度効力があるかということでございます。と申しますのは、医療費も、スーパーマーケット式のフランチャィズ方式の病院が各地にできていく、私はこういうことは医療の本質を非常にゆがめるんではないかと思うわけでございます。これに対するやはり確固たる態度が必要ではないかと思うわけでございますが、具体的にできるかどうかという問題をお伺いしたいと思います。
○説明員(下村健君) 保険医療機関の指定は、私どもとしては都道府県知事と医療機関の間の契約のようなものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。本質的には契約である、したがって、都道府県知事が地域医療計画に従いまして開設の必要はないというふうに判断してその旨勧告したにもかかわらず、これに従わずに医療機関の開設が行われた、このようなケースにつきましては指定は行わないというふうな考え方に立って処理するのが適当であるというふうに考えておるわけでございます。この点については従来からそのように申し上げてきたわけでございます。 ただ、実際上どうするかということになりますと、増床の場合にはどうするかとか、いろいろなケースに即していろんな問題が出てまいりますので、その辺につきましてはなお詰めてみる点があるということで、もう少し詰めてみたいということで鋭意急いでいるところでございます。
○宮崎秀樹君 では、ひとつそれに対しては具体方策と申しますか現実に即したことを詰めていただきたいと思うわけでございます。 それから実は、これは六月三日の日本経済新聞でございます。そこに、大蔵省が、生命保険会社でございますね、の業務規制を緩和しまして、「老人ホームやスポーツ施設など健康・福祉関連事業を経営することを認める方針を各社に伝えた。」と。そしてそれを受けて生保会社の方は「医療専門者を置くことから「病院経営も可能になった」と」こういうふうに受けとめているんですが、厚生省はこの事実を御存じですか、まず最初にそれをお伺いします。
○説明員(竹中浩治君) 今お話しの新聞記事、私ども新聞を読んで知ったわけでございます。新聞に出る前に事前に大蔵省からは御相談は受けておりません。
○宮崎秀樹君 大蔵省の担当の方、ちょっとお答え願いたいと思います。
○説明員(谷口孝君) お答え申し上げます。 今御質問のございました六月三日付日本経済新聞の新聞報道によりますと、大蔵省は生保の関連会社の業務規制の緩和に際して、病院の経営も可能になったと受けとめられるような方針を伝えたという報道が確かにございます。これに関しまして私ども医療法上営利企業でございます関連会社が病院の経営を行い得ないということは十分承知いたしております。それで病院の経営につきましては全く考えてないということをここで申し上げておきたいと思います。 御指摘の新聞報道のような受けとめ方を関係者にされたということがもしあったといたしますと、非常に心外であるというふうに思っております。
○宮崎秀樹君 それでは、この福祉関連事業ということ等につきましては、これは文書で伝えたんですか、それとも口頭でございますか。
○説明員(谷口孝君) 今回の規制緩和に関しましては、昭和五十年の保険会社の関連会社通達というものの解釈を口頭事務連絡の形で生保各社へ伝えたものでございます。生命保険協会に各会社の担当者を集めて口頭で伝達いたしまして、後にその口頭説明内容を書面にいたしたものを、集まった方々に配付するという形で伝達いたしてございます。
○宮崎秀樹君 これは口頭でおっしゃることは証拠がないので、向こうもそういうことを言ったよと受けとめられてもしようがないと思うんですね。私はこれは問題があるのは、福祉関連ということは老人保健施設はこれは入っているというふうに受けとめていますか。それと介護福祉の紹介だとか、そういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。恐らくあなた方は何にも医療のことわからないと私思うんですよね。ですから、これはやってしまったらしようがないんですが、今後よく各関係の省庁と御連絡なすっておやりにならないとこれは大混乱を起こす。私、このおかげで朝早く寝ているところを電話で起こされちゃったんですよ。大変これは全国から非常にわっと、こういう新聞記事の一つ誤った報道が大変な混乱を起こしてくるということで、私はもう当然こういうことはできないと思います。これは医療法の第七条四項に抵触することでございますので、営利会社がそういうことをやり出したらこれは大変なことでございます。老人保健施設のこともお聞きしてもいいんですけれども、おわかりにならないでしょう。まあいいですよ。結構です。ですから、今後は十分厚生省の方と、ひとつ慎重におやりいただくことをお願いいたします。 それで次は、続いて大蔵省でございますが、この診療報酬にかかわる財源でございます。 私は財源につきまして、これは人事院勧告ベースというものが毎年あるわけでございます。しかし、その医療費の中にこういうものがはっきり明確に組み込まれているということがわからないわけですね。これは確かに中医協でこういうものを決めていくわけでございますけれども、中医協で決まってからそれに対して予算の裏づけをしていくということで、ある幅のものは持っていらっしゃると思う。しかし、技術料その他の中にではどの程度、何%入っているんだということもわからない。まさにどんぶり勘定でございます。確かにそれは各医療機関の形態によって違います。大病院もございましょう。それから先生と奥さんでやっているようなところもあります。それは人件費といってもなかなか出てこないと思います。しかし、ある程度の基準値はその規模によって出てくる。そうすると、トータルにおいて大体どのくらいが人件費なんだということがやはり裏づけされないと、健康保険の支払いだけで生活をしている人たちにとっては、これはやはり問題があるかと思うんですが、そういうことで大蔵省、どうでしょう、そういうようなことはできるかどうか、ひとつ今後そういうことを検討してみたらというような、いわゆるルール化でございますか、そういうものを考えていただけるかどうか、ひとつ御返事ください。
○説明員(中島義雄君) 診療報酬改定分についての予算計上につきましては、御承知のように、従来中医協において改定の時期、改定幅について一定の合意がなされた場合、その合意に基づきまして所要額を予算に組み込むという扱いになっておるわけでございます。この改定幅につきましては、人勧による公務員の人件費のアップばかりでなく、国民経済や国家財政の状況、それから病院や診療所の医業経営の動向、あるいは技術料と薬価の関係などさまざまな問題を総合的に勘案して決められるものでございます。 こういった診療報酬の取り扱いを今後どうするかということでございますが、今後の診療報酬のあり方とかルール化の問題につきまして、これは中医協で審議が続けられるということとされておりますので、その審議の推移を踏まえながら私どもとしても検討させていただきたいと考えておりますけれども、ただいま申し上げましたように、診療報酬の決定の中身が、人事院勧告による公務員の引き上げというのは考慮さるべき一要因ではございますけれども、そのほかにさまざまの要因を総合的に検討、勘案して決めておるという実情からしますと、これをルール化するということはなかなか難しい問題ではないかというふうに考えておるところでございます。
○宮崎秀樹君 今、中島主計官のお答えでございますけれども、一要因というお言葉がございました。一要因ということを毎年入れていただくという、予算化ということはされておるわけですね。
○説明員(中島義雄君) 決まりました診療報酬の改定幅のうち、何%分はいわゆる人件費のアップ分であるというような説明の仕方はこれまでいたしておりません。そこは、やはりさまざまな要因を総合勘案して決まってくるものでございますから、そのうちのどの部分が公務員ベアスライド部分であるというような説明がしがたい実情になっておるわけでございます。ただ、さまざまな要因の中に、公務員の場合には給与はこれくらい上がったというようなことを当然検討材料の一つとして考えておると、こういう意味で私は申し上げたということでございます。
○宮崎秀樹君 それじゃ結構でございます。ぜひそういうふうに前向きに検討して今後やっていただくように要望をしておきます。 それから次に移ります。次は医師数の適正の問題でございます。 まず厚生省の方にお伺いしたいんですが、現在の医師数の統計というものは、七十歳以上の医師はカウントされているんですか。
○説明員(竹中浩治君) 私どもが発表いたしております医師数と申しますのは、御承知の医師調査によります数字でございまして、人数は、七十歳以上の方も全部含めて医師の数ということで発表さしていただいておるわけでございます。
○宮崎秀樹君 はい、わかりました。 それで、医師需給の問題は、いろいろな角度から評価しなきゃならないわけでございます。 ちなみに、これは一つの例でございますが、病床数、開業医は、今もうほとんど増減というものはないくらいでございまして、今の税制の中で個人開業というものは非常にもう難しくなってきている。税制上の問題で大変倒産のところが出ているような状態でございますので、それは現状ということでとらえましても、ベッド数で見ますと、大学病院が八万五千床今あります。それから、医師数は、大学の方は三万三千人の医師がそこにおる。医師一人当たり二・五床でございます。この中には、もちろん基礎医学の医師も入っております。それから、一般病床は、病院の数は、今百四十万床、医師数は勤務医が六万五千人でございます。一人当たりの病床数は二十一・五床と、これは極めてまだ多い。大体、医療計画では、医師一人に十六床というような試案をしておるわけでございます。そういう観点から医師の数ということを今いろいろと検討されておりまして、将来の医師数検討委員会最終意見というものはもう出ました。それによりますと、一〇%とにかく削減していこうということで、昭和七十年を目途にやっておるわけでございますが、実際、ことしの大学の入学試験制度を見ますると、定員は削減しないで、むしろふえているんではないかということでございますが、 〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 これは文部省にお伺いしたいんですが、文部省は厚生省のこういうことを承知の上で、ことしの大学の制度というものをおやりになったのか。そして、結果的にふえてきたということについてはどういうふうにお考えか、まず文部省からちょっとお伺いいたします。
○説明員(佐藤國雄君) 医学部の入学定員問題につきましては、先生御指摘のように、昨年の六月に厚生省が発表されまして、その後文部省もやはり「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議」というのを起こしまして、昨年の七月の中間まとめにおいて、「学生数の在り方」については、「昭和七十年度に新たに医師となる者を一〇%程度抑制することを目標として」と、そのためには、国公私を通じまして大学医学部が入学者数の削減、入学定員の厳守、厳正な選抜あるいは適切な進路変更の指導、そういったことの措置を講ずべきであるという提言をしたわけです。 具体的には、文部省といたしましても全国の医学部長病院長会議で要請いたしまして、国公私を通じて適切に対処をしたい、こういうことで、医師需給を含めまして学生の臨床実習の充実、いわば教育条件の改善という点も踏まえてやってきておるわけでございます。六十年度には一校二十人、六十一年度には二校、計四十人、六十二年度には三校で計六十人という入学の定員減を図った、こういうことでございます。 なお、私立大学につきましては入学定員の削減はまだ行われておりませんが、私立医科大学協会においては、入学定員の遵守を申し合わせて今実施され、なお今後の対応について検討中というふうに聞いておるわけでございます。 先生御指摘のことしの入学選抜方式の変更でございますけれども、これにつきましては実は所管ではございませんが、それが確かに医学部の方の入学定員に若干の影響があったということは言えるのではないかと思うわけでございます。数字的に見ますると、国立大学につきましては、入学定員が四千四百三十人に対しまして四千四百九十七ということで、六十七名のオーバーでございました。昨年は四十六名のオーバーでございまして、四十二大学あるということから考えればかなり厳密に守られたのではないかなというふうに思っております。私立大学の方につきましても、入学定員が三千四十人、それに対しまして入学者数が三千百十四ということで、倍率にいたしますと一・〇二倍、百名に対し百二名とったということで、こういう入試の選抜の方式が変わった異動の時期としては、私どもとしてはよくやっていただいたというふうに評価しておるわけでございます。今後の医学部の入学定員削減につきましては、まだ継続中でございます文部省の医学教育改善会議、こういったものの動き、あるいは各大学の意見も徴しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮崎秀樹君 時間がございませんので、厚生省は結構でございます。 私は、ただいまの六十何名オーバーしておってうまくいったという御答弁はちょっと腑に落ちないんで、自画自賛なさってもこれはやっぱりオーバーしたものはオーバーしたものでありますから、やはりこれは厳守していただきたい、そのような方向でひとつ検討を続けていただきたいと思います。 それから、時間がございませんので産業医科大学、防衛医科大学、自治医科大学の三つは目的を持って設立された医科大学でございます。この三つの大学の卒業生が果たして現在目的に沿った方向で今それぞれの職場なりそういうところへきちんと就職をしているか、そういう点につきまして、まず自治医科大学から、時間がないので簡単にひとつ御答弁願います。
○説明員(海老忠彦君) お答え申し上げます。 自治医科大学の卒業生の状況について御説明申し上げますと、昭和六十一年七月現在で九百六十九名、そのうち医師国家試験に合格した者は九百六十四名ということになっております。このうち、現在医師法の規定に基づきます臨床研修中の者二百二十四名、及び後期研修として都道府県知事の指示する病院等において医療に従事しておる者百三十五名、及び亡くなった方あるいは修学資金貸与金を返還した方十四名を除きました五百九十一名が各都道府県の指示によって第一線の医療機関において医療に従事しておるわけでございます。 そのうち離島等のいわゆる僻地の病院、診療所等に勤務をいたします者は七八・三%に当たります四百六十三名でございまして、その勤務別内訳は、診療所に百三十七名、僻地中核病院に八十七名、僻地中核病院以外の病院に二百二十名、保健所に十九名というふうになっておるところでございます。
○説明員(安藤茂君) 産業医科大学の卒業生の状況でございますが、産業医科大学は五十九年に第一回の卒業生を出しております。この春で四回生ですが、卒業生総数三百八十名でございます。このうち臨床研修中の者二百十一名。この二百十一名を除いた百六十九名のうち産業医になった者、それから、労災病院の医師でありますとか産業医科大学の教員あるいは大学院に残った者、そういう産業医学の分野で仕事をしている人百四十九名、その他二十名という状況でございます。
○説明員(古川武温君) 防衛医大について申し上げます。 防衛医大創立以来八期生を卒業させております。総数五百七十一名でございます。このうち三名の者を除いて医師の免許をいただいております。 この五百七十一名のうち四百九十七名が自衛官として勤務をしております。七十四名が退職といいますか、七十四名のうち一名が自衛官にならずに職を離れた者でございますが、自衛官になった後退職した者七十三名、こういうふうな状況でございます。
○宮崎秀樹君 ただいまデータをお聞きしますと、思ったより皆さん目的に沿ってやっているなというふうに思うんですが、どうもその自治医科大学に関しましてはこの前の予算委員会の結果とちょっと違うんじゃないかというふうに思うんですが、その辺はどうなんですか、自治省。
○説明員(海老忠彦君) 先般の予算委員会で御報告申し上げました数字と同じ数字の内容で御説明しました。
○宮崎秀樹君 結構なことですけれども、やはり私は産業医科大学もまだ卒業生命度で四回でございますか、これからどんどん出てくると。やはり将来の見直しも考えるべき時期に私はあるんじゃないかと思うわけでございます。ある県ではその自治医科大学の方ももう無用だというような話も出ておる。また、これはぜひ残してほしいという県もあるというのが実情でございます。ですから、そういうことも勘案して、ひとつ大学の定員の枠の中で厚生省の方も、こういう大学も含めてしっかりした指導と申しますか、他の省庁と連携をしてやっていただきたいことを一つ要望いたしますが、どうでしょうか。
○説明員(竹中浩治君) 医師の需給問題でございますが、先ほどの調査で届け出をしなかったであろう人も含めますと、昭和六十年現在で医師の数が人口十万対百六十五でございます。これが昭和百年になりますと、人口十万対三百という大変大きな数字になるわけでございます。そういった点を踏まえまして検討委員会で御検討いただきました結果、先ほどお話しのように、七十年を目途に新規算入を最小限一〇%削減する必要があるということでございますので、私どもこれはこのまま放置しますと大変深刻な問題も生ずるかと思いますので、文部省その地先ほど御答弁ありました関係各省にこの検討委員会の結論を守っていただくように、これからも引き続きお願いを申し上げてまいる所存でございます。
○宮崎秀樹君 それではもう時間がないんで次に移ります。 次は、いわゆる検眼の問題でございます。これは財団法人日本学校保健会が「児童生徒の目の健康のしおり」というものを出している。これは厚生省の監修ですか、文部省体育局学校保健課からは専門職員が企画編集に当たっております。そういうものの中ではっきりと「視力低下の原因」ということで病気を列挙して、「近視、遠視、乱視等の屈折異常の他に、結膜炎、角膜炎、」という病名をずらっと書いて、「視力が低下した場合、自己判断で措置をしないことです。」ということをきちっとうたってあるわけでございます。 ここで、昭和二十六年三月三十日に厚生省の医務局長さんから回答が出ておりまして、検眼は原則として眼鏡需要者の視力を測定する行為であって、これは医行為とみなされる、医療行為であるという見解が出ております。それから、その後二十九年十一月四日、三十二年一月三十日、三十三年八月二十八日、五十一年三月二十日、五十二年十月二十八日にも大体同様の回答が出ておるわけでございます。 〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 ここでちょっと具体的なことを申し上げるわけでございますが、私はこういうことは、横断歩道を渡るときにその横断歩道から一歩や二歩足を踏み外して出ても、これは許容範囲で私は許されると思うんですよ。ところが、横断歩道から二十メートルも三十メートルも離れて渡っているやつを黙っているというのは、やはりおかしいと思うんですね。 その辺のところをきょう私はお聞きしたいんですが、実は具体的な例ですが、山口県の眼鏡屋さんが検眼車を買って、そして学校及びいろんなところを回って歩いている。それで商売をしている。これは倉本眼鏡店、検眼車百五台、系列関連会社のニッツというところがあるんですが、これは三百八十八台の検眼車を各地の眼鏡店にリースしてやっておる。しかも、実害が出ておる。こういうことで山口県の県医師会の顧問弁護士団と医師会が協議いたしております。昭和六十年六月、県眼科医会総会で告発を決議いたしまして、同月二十六日下関警察署に告発を行ったわけでございます。 私はこういう問題は、実態についてどうこうと言えば、恐らくいつもの答弁どおり現在審議中のことはお答えできませんと、こういう返事が返ってくるんで、これはもうわかり切っておりますが、まず厚生省の方に、検眼行為のこういう通達が出ておりますが、今もそのとおりに受け取ってよろしいかどうかちょっとお聞きしたい。
○説明員(竹中浩治君) 眼鏡屋さんでございますが、その限度と申しますのは、やはり眼鏡を買う人が選ぶ際の手助けをすることなどに限定をされるのではないか。少なくとも人体に害を及ぼすおそれがほとんどない程度の行為にとどめるべきであると考えておりまして、私ども従来から言っておりますように、検眼機を用いました視力測定あるいは屈折視力測定、こういったものは医師法に抵触するものである、そういう考え方は従来とも変わりはございません。
○宮崎秀樹君 ちょっと法務省、警察庁、この件。これはこの例じゃございません。一般論でいいんです。先ほど言ったように、歩道から大変はみ出したようなことになれば、実害が実際に出ているということに対してはどういう御見解が、これ一言でいいです。
○説明員(石川達紘君) あくまで一般論ということでお答えいたすわけでございますが、医学上の知識と技能を有しないものがみだりにこれを行えば、生理上の危険がある程度に達しているような場合には、これを医行為と認めるという最高裁判所の判例もございまして、そのような専門的知識、技能を有するものが行うのでなければ、人体に危険を及ぼすような行為を無免許で業として行えば、医師法に違反する場合があろうかと考えております。
○宮崎秀樹君 結構でございます。 それでいろいろな医療職種が最近資格が出てきたわけでございます。私は今ある職種でやはりレベルを上げなきゃならないというものがあると思うんです。例えば人の体に直接触れているのは柔道整復師それから特に鍼灸ですね、はりを打ち込んだり。これは中卒ということになっております。やはりこういうものの洗い直しもやった方がいいんではないかと思うんです。一言で結構でございます。時間がございません。
○説明員(竹中浩治君) 今例に挙げられましたはりきゅう、柔道整復師等でございますが、伝統医療ということで非常に重要な職種であろうと考えております。 現在厚生大臣、文部大臣の指定した養成所での年限が定められておりますが、こういった年限とかあるいは所定のカリキュラム、そういったものにつきまして十分な養成体制がさらに組んでいかれるように、関係者の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。
○宮崎秀樹君 それでは、次に移ります。 実は健康保険法の中で、それから生活保護法の中、それから学校安全会とかいろいろな法律の中で医師がいろいろな証明書とか申請書を書くわけでございます。それはいっぱいあるわけでございまして、先般の医療費の改定におきましては、健康保険法の中で傷病手当金のいわゆる文書料、これは百点という点数が設定されました。ところが、そのほかにもういっぱいあるわけでございます。これ読むと時間かかりますので読みませんけれども、こういうものに対して私はある弁護士会の方からいわゆるノーハウを書き込むものに対して無料であるということはおかしいではないかというような指摘も受けたわけでございますが、これに対してどんなようにお考えになっているかお聞きします。
○説明員(下村健君) 保険給付を受けるために必要な各種の証明書、意見書等については、ただいま御指摘のとおり、療養担当規則の上で無料だということが決まっているわけでございます。先ほど保険医院の指定というのは契約のようなものだというふうに申し上げたわけでございますが、一種の契約上有効として無料ということで、本質的に無料でなければならないという性格のものとは多少違うということで、傷病手当金が一番件数が多いわけでございますので、これについては昭和六十年に保険点数化したということでございます。私どもとしてはそういうことで双方の合意ということで、一応こういうことで過去の経緯を踏まえてやってきているわけでございます。今後ともでき得れば御協力をお願いしたいと、こう思っておるわけでございます。 いずれにせよ、これは中医協での議を経てそういう形が決まっておりますので、中医協で御審議を願う問題だと、保険についてはそのように考えております。
○宮崎秀樹君 それじゃ中医協の方に我々の方も要望をしていくと同時に、こういうものが無料であるということはおかしいということは、やはりお考えいただきたいと思うわけでございます。 それから、時間がございませんので、次に身体障害者の手帳の交付の問題に参ります。 実は身体障害者の手帳というものは、これは一つは有期、無期というのがあの手帳に書いてないんです。でございますから、例えばまた目の話になって恐縮でございますけれども、白内障という病気がございます。これしろそこひでございます。これが病気のときは一級をもらえるわけですね。ところが、今手術ができまして、九三%全く不自由なしで治っちゃう。一級の手帳を持った人が自動車を運転して走っている。もう体のぐあいの悪い、本当に見たときに腕のないような人が三級ぐらいでしてね、そうするとおかしいじゃないかと、こういうことを言ってくるわけです。私はやっぱり有期、無期ということを手帳に書かないと、法が改正されまして診断書のところに有期、無期というのを参考で書くことになっておりますけれども、これが行政の方で、これを的確に末端でそういうことを呼び出してやればいいけれども、我々のパスをこの間もらいましたけれども、あれもちゃんと有期で書いてあるわけでございましてね、やはり手帳に書かないと私は実効がないと思うんですが、どうでしょうか。
○説明員(小林功典君) 身体障害者福祉法に基づく障害認定は、その障害の永続性が診断された時点で行われるものでありますので、今お挙げになりました白内障やあるいは先天性心疾患みたいなものもありますけれども、そういう障害につきましても、障害の永続性というものが証明されれば、そこで身体障害者手帳が交付されるわけでございます。ただ、更生医療等の医学的な処置によりまして障害程度の変化が予想される場合には、再認定ということを実施するように指導をしております。 この点につきましては、実は昭和五十九年十月に身体障害者診断書に再認定の要否及び時期を明記させるように様式改正をしておりますし、また六十一年五月には障害程度の再認定の取り扱いにづいてその適正化を図るための通達を行っているところでございます。
○宮崎秀樹君 時間がないので、ひとつ簡単に、もう一つ答えてください。 実は植物人間でございますが、この手帳は、いわゆる更生能力のない者にはこれはもう渡せないんだと、そう書いてあるわけです。更生とは、必ずしも経済的、社会的独立を意味するものではなく、日常生活能力の回復を含む広義のものであると、こうなっております。これは植物人間という状態になりますと、大変これも幅広いわけですね。例えば瞳孔反射、それから眼瞼反射、これがあるやつにはじゃ渡してもいいのか、その判断ですね。これは一級になる状況であるけれども手帳がもらえない。やはりこれは、ある程度救う措置をつくらないと困る。それで、もう一つは医学的管理から離れなきゃいけない。しかし、この植物状況になりますと、こういうように気管切開してカニューレを入れます。しかし、カニューレの交換は家の人でもやれるというような状況の人もおるわけです。そういうような状況、実態をやはりとらまえて救う措置ということをどこかでやはり考えていただきたいと思うわけでございます。簡単にひとつ。
○説明員(小林功典君) 先生今お話にございましたように、この更生という言葉は、必ずしも経済的、社会的独立を意味するものではございませんで、日常生活能力の回復を含む広い意味のものでございます。 そこで、今意識障害に伴う身体障害者の例を挙げられましたけれども、これも日常生活能力の回復の可能性あるいは障害程度に着目することによって、障害認定を行うことが可能であります。それで、この先天性の意識障害の場合の障害認定は、これも先生お話ありましたように、常時の医学的管理を要しなくなった時点で行うように指導しているわけでございます。
○宮崎秀樹君 ひとつ、何とかそれを救うように考えていただきたいと思うわけでございます。 それから、政府管掌健康保険成人病予防健診に関する件でございますが、これは政府管掌の健康保険で健診事業をやるということで、健康管理センターというものを社会保険の病院のないところにつくろうと、こういうことが行われておるわけでございます。しかし、その場合にこういう健診は社会保険立の病院がないときには国公立病院、それがないときには民間病院、こういうところでやるように、いわゆる指定をしております。新潟県なんかは非常に民間病院の指定が多いわけです。ところが、岡山県にまず第一につくったのが最初でございますが、最近ある県でつくろうと思ったときに一つあったんで、そこがやめて今またほかの東北のある県へつくろうと、今ある医療資源を活用すべきであると、私はそう思うわけです。また、ある地区におきましては四つしております。三つですか、指定をしておりますけれども、そこに申し込んでも三カ月待たなきゃならない。それなのにほかにある病院は指定してくれないと。こういうクレームが今来ているわけです。今健保の財政が困窮している中でこういうところにお金をつぎ込むんなら、今ある医療資源を活用した方がよいではないかと私は思うわけでございます。それについて簡単にひとつコメントをお願いします。
○説明員(内藤洌君) 政管健保の成人病予防健診につきましては、被保険者の健康管理などを目的としております健康保険病院というものがございますが、その健康保険病院のほか、必要に応じまして一定の機能を有します。そのほかの医療機関にその実施を委託してきているところでございます。実施に当たりましては、ただいま御指摘がございましたその趣旨を十分踏まえまして、健康診断に対する政管健保の被保険者のニードにより一層対応できるように、それぞれの地域の状況を十分勘案いたしまして、その地域の実情に応じまして民間の医療機関の活用をも図りまして、検査の円滑な実施に努めてまいりたいと思います。
○宮崎秀樹君 大臣に要望だけいたします。ただいまいろいろな問題が出ました。やはり各省庁間の連絡をしてやっていかなきゃならないものがいっぱいあるわけでございます。ぜひどうぞそういうことを頭に置かれまして、善政をひとつやっていただくことを要望して終わります。
○石井道子君 まず、薬価問題についてお伺いをしたいと思います。 薬価問題につきましての検討が中医協において六十一年四月より一年間にわたって行われてまいりまして、先日五月の二十五日に建議がなされたところでございます。この基本的な考え方といたしましては、五十七年の答申と同じであるということでございまして、市場の実勢価格と薬価基準価格の不合理な乖離について縮小する方向が示されているわけでございますけれども、既に五十六年から六十一年の間に五一・二%の大幅な薬価引き下げが行われたことによりまして、医療界、薬業界に大変な影響があったわけでございますので、それを踏まえての検討がなされたと思うわけでございますけれども、業界の意見というものがどのような形で反映をされましたか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(下村健君) 中医協における薬価問題審議に際しては、内外の関係四団体、日薬連、あるいは卸の連合会、それからアメリカのPMA、ヨーロッパのEBCというふうなところの意見も聞きまして審議を行ったわけでございます。 その際、関係団体の要望としては、一つは現行のバルクライン方式を改めて薬価と市場価格との間に一定の乖離を公認する、いわゆるリーズナブルゾーン方式を導入することということが中心的な要求としてございまして、そのほかに部分改正を廃止し、改正頻度も二年に一回程度にしてほしいというふうなことが中心的な要求であったというふうに考えております。これらのうちいわゆるリーズナブルゾーン方式の導入に関しましては、なお議論すべき点が多いということで、この問題を含めまして薬価問題全般について幅広い角度か らの検討を継続していくということが決められております。また、今回の方式の改正に際しましては、リーズナブルゾーン方式の基礎を成しております加重平均値を重視する、こういう考え方につきましてはこれを加味して現行方式の修正を行うということがなされたわけでございます。 それから部分改正の廃止、また改正頻度を二年に一回にするということにつきましては、関係団体の要望に沿った形で中医協の結論がまとまったということになっております。
○石井道子君 業界のサイドで考えますと、マイルドな改正を主張しているわけでございますが、建議の中にはそれが盛り込まれていないようでございます。 また、幸田事務次官が五月二十八日の記者会見の折に、薬価制度問題については今までより甘くなると考えてもらっては困ると、そうおっしゃっているようでございますから、薬価調査の結果にもよりますけれども、かなりの薬価差の縮小の方向で厳しい状況が予想されるのではないかと心配をしている方が大変多いわけでございます。六十一年の七月に中医協の薬価算定方式が見直されました際の八項目のいろいろな条件の中に、薬価差に頼らない医業経営を目指すという項目がございます。いつも薬価引き下げに連動いたしまして行われる診療報酬改定においては、技術料のアップに大変に大きな関心が集まっているところでございますけれども、医療費はますます高騰いたしますし、そのいろいろな条件、原因があるわけでございますけれども、薬価引き下げによっての財源に余りにも依存し過ぎるということは、やはり不都合な点が多いということを感じるわけでございますけれども、このような薬価差に頼らない医業経営に向けて医療行政の専門的な立場から厚生省が診療報酬改定にどのような方針で臨まれるか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(下村健君) 今回の考え方は不合理な薬価差は縮小していくと、この基本方針は従来どおりやっていこうと、こういうことでございます。 業界が言っておりますマイルドというのは、要するに引き下げ幅をできるだけ小さくしてほしいということに尽きると思うわけでございますが、この点につきましては、診療側も薬価差縮小という点につきましては基本方向としてその方向でやっていきたいということでございますが、激変は避けたいということでマイルドという考え方については一応の考え方が中医協でも出ているわけでございます。ただし、これはあくまで薬価調査の結果を分析してどういう形になるかということが出てくるわけでございまして、現在の段階で一体どのぐらいになるのかということはなかなか予測できない。調査結果に基づいて適正な薬価を設定いたしますという以上は申し上げられない状況でございます。 ただ、今回の算定方式の改定に即して言いますと、二年に一回ということは必ずしもマイルドということだけを意識してやったものではありませんが、結果的にある程度猶予を与えながら改定をしていくということに結びつくものだ、こう考えております。また、今回の算定方式の中で薬価差の小さいものについては、医療機関におけるコストというふうな要素も加味して一〇%の幅を認めているわけでございますが、この点も従来に比べれば、そういう業界側の希望に一〇〇%沿ったということではありませんが、そういう要素も加味したということは言えるんではないか、このように考えております。
○石井道子君 診療報酬改定の絡みは今後の問題ではありますけれども、技術料が大変低いという一つの材料といたしまして、病院の薬剤師のフィーがございます。この低いということは前から指摘をされておりまして、いろいろと御配慮をいただいているところでございますが、病院の薬剤師の業務の高度化、多様化、そしてさまざまな業務に比較をいたしますと非常にこれが低いということでございますので、この薬剤部門の収益というものが今まで薬価差に随分頼っていた部分もあるわけでございますから、この差益が少なくなる部分をぜひ技術料の方に振りかえていただきたいと思うわけでございます。 また、医療分業が行われてだんだんと進んでいるわけでございますけれども、今回は地域医療計画の中における医療機関との連携の中で組織分業を行っているところにおきましては、薬歴管理システムと相互作用を含む医薬品情報活動を地域住民の医療に提供している、貢献をしているというケースが随分見られるところでございまして、この面のフィーというものもある程度考えていただくべきではないかと思うわけでございまして、今後の問題といたしまして要望をさせていただきたいと存じます。 それから、薬価問題というのは流通問題と深いかかわりがございます。流通が正常化をいたしませんとやはりよい結果が得られないのでございますけれども、今回建議の中に「総価山買いが行われている場合における特別の調査の実施等、所要の流通適正化対策を講ずる。」とございます。この具体的な方策につきましてどのようなことを考えられておりますかお伺いをしたいと思います。
○説明員(下村健君) 中医協の審議は、薬価問題は終わりまして診療報酬の合理化という点に主題が移っていくというふうに考えているわけでございますが、その中で薬価差に依存しない医療機関の経営ということは一つの中心的な柱でございますので、ただいまの病院の薬剤師の業務の評価あるいは医薬品情報という点につきましても、これは薬剤師会等の御要望が具体的に出てまいりましたら、それらを踏まえながら中医協の審議を踏まえて対処をするということで臨むことになろうと思います。
○説明員(森幸男君) 今、先生のお話の中にございました総価山買いに関する問題についてお答えさせていただきます。 いわゆる総価山買いというものが行われております場合には、個別の医薬品の単価が明らかにならないということもございまして、市場実勢価格の適切な把握ということが困難となるおそれがございます。そういうようなことで、今回から卸売業者の方々の御協力も得まして総価山買いの有無というものを確認いたしました上で、総価山買いが行われている場合には厚生省の職員を派遣いたしまして取引価格の実態を調べるというようなことにより、より正確な価格を把握できるように持っていきたい、かように考えております。
○石井道子君 次に、社会保険診療報酬支払基金の審査委員の問題についてお伺いをいたします。 最近は医薬分業が進んでまいりまして、今のところ平均的には一〇%というような数字でありますけれども、全国で一億に達しようというところでございます。この社会保険関係の調剤件数を見ますと、昭和四十九年には三百十二万件ばかりでございまして、それを一〇〇といたしますと、五十六年には二千三百九十万ぐらいで指数が七六六、また六十年には三千四百六十万件ということで一一一〇という指数を生じているところでございます。県によっては歯科の診療件数よりも調剤レセプトの方が多いというような県もありまして、やはり薬剤師の審査委員というものを置く必要があるのではないかと思うわけでございまして、この点についてのお考えをお伺いしたいと思うわけでございます。 国民健康保険法の中では三十六条の中で、療養取扱機関として薬局が明記をされておりますし、また審査委員会の委員といたしまして国民健康保険法の八十八条の中に薬剤師が加えられております。やはりこれからの新しい時代におきました中で調剤レセプトの適正な審査が行われますように、薬剤師を委員に加えるお考えがないかどうか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(下村健君) ただいまの問題は、結局医薬品あるいは調剤報酬についてどういう審査をやるかというふうな問題だと考えているわけでございます。従来は調剤の報酬につきましてはもともと医師の処方というものが根っこにあるわけですから、医師の方の審査で付随してやればいいというふうな考え方で、現在は支払基金におきましては調剤報酬につきましては審査手数料も徴収しないということで、支払い分だけを調剤については健康保険組合等からもちょうだいして、その支払いが行われているという格好でございます。したがって、審査委員に薬剤師を加えるかどうかというところは今後医薬品あるいは調剤についての審査をどういう形でやるのかという問題でございまして、なかなか本質的には難しいところがある。健康保険組合を初めとする保険者あるいは診療側も含めまして医薬品の審査についてどういう考え方で臨むかというところが解決しないと、この問題は決着をしないという面があるわけでございます。御指摘のとおり分業のような形で扱われる調剤というものもかなりふえているというふうな背景もありますので、また国民健康保険で一部薬剤師を加えた審査をやっているというふうな実態もございますので、それらも含めて慎重に検討さしていただきたいと考えております。
○石井道子君 時間がなくなってしまいまして質問が残ってしまいましたけれども、国立病院における院外処方せんの発行につきましてはいろいろと御配慮をいただいているところでございますけれども、今後いろんなメリットを含めましてぜひこの院外処方せんの発行についての御努力をお願いしたいと思いますし、まだこれからの国立病院の高度化、ナショナルセンター化というものが進む上におきまして、できるだけ薬剤部門における高度化というものも考えていただく意味で、医薬品情報に関します問題について格段の御配慮をいただきたいと思うわけでございまして、その点についてのお考えを、簡単で結構でございますので、よろしくお願いいたします。
○説明員(仲村英一君) 国立病院におきます院外処方せんの発行については、今後とも受け入れの状況でございますとかいろいろの条件を勘案した上で、積極的に進めたいと考えておりますし、医薬品の情報管理につきましても国立病院のネットワークを生かすなど、いろいろさらに充実を図りたいと考えております。
○刈田貞子君 質問させていただきます。 私はまず最初に、アスベストの問題から伺わせていただきますが、アスベストについては先般労働省の審査のときに、労働省に対して労働災害を含めた労働省の対応についてはお伺いをいたしました。そのときあわせて環境庁にもこのアスベスト問題をお尋ねしたわけでございますが、まず環境庁にお尋ねしますが、六十年二月にまとめられた五十六年から五十八年までの調査、「アスベスト(石綿)に係る調査検討結果の概要」、このことをひとつ下敷きにして環境庁のいろいろ御意見ないしは姿勢をお尋ねしたわけでございますが、今般六十年の状況をまとめられて調査なさいました「昭和六十年度アスベストモニタリング事業結果報告」というものをこの六十二年三月にお出しになられたわけでございますね。 私はこの二つをあわせてもう一度見させていただきましたけれども、余り変化がないというふうに読み取っておるわけでございますけれども、まず、この今回の六十二年三月に出されましたモニタリング事業結果に関する見解から御説明いただきたいと思います。
○説明員(長谷川慧重君) お答えいたします。 先生のお尋ねの本年の三月に取りまとめました六十年度のアスベストモニタリングの結果の概況でございますが、その結果をまとめて申し上げますと、一般環境におきますリスクは小さいという六十年二月の検討会によります評価が行われました前回調査の大気状況に比べまして大きな変化は見られない、先生の御指摘のとおりでございますが、そういうぐあいに大きな変化は見られないものの工場周辺等の地域におきましては、一部で比較的濃度の高いデータが観察されておる。 こうしたような結果を踏まえまして、私どもといたしましては関係省庁、地方自治体等に対しまして排出抑制等の努力を要請いたしておるところでございますが、さらに私どもにおきましても発生源周辺地域におきますより詳細な調査を実施することが必要であるというぐあいに考えておるところでございまして、発生源におきます排出実態なり、あるいはその周辺環境の濃度について調査を実施いたしたいというぐあいに考えておるところでございます。
○刈田貞子君 先回も私の環境庁に対する論議の焦点はその問題でございましたはずで、労働省ではいわゆる作業員等に対する労働災害防止のためのいろいろな基準等ができておるけれども、一般市民、つまり一般国民のこのリスクというものに対する考え方、これが甘いのではないかということで、先般私たしか環境庁ともお話をした次第でございますけれども、これは六十二年、本年二月十八日の朝日新聞でございますけれども、「大気中の石綿で発病?」という記事を見まして早速とっておきました。 このアスベストに関する研究調査は大阪を中心にして大変進んでおることは御存じのところでございますけれども、大阪の成人病センターの医師グループによって発表されているものでございますが、一主婦が中皮腫で死亡した。その主なる原因はどうしてもアスベストによるもの以外には考えられないということでございまして、もし、これがございませんでしたら後でお見せいたしますので、ぜひ判断してみていただきたいわけですが、これは全く一主婦です。考えられる原因として、この主婦は九年間アスベストを使用する工場の周辺に住んでいたことがあったということがここに書かれておるんです。 大阪成人病センターのこの問題に大変熱心に取り組んでおられる森永先生の見解では、これはまさに工場から排出したところの石綿による中皮腫であると、こういうふうに断定をなさっておるようなんですね。私は、今回の環境庁が、いわゆる発生源周辺の問題にいささか目を配り出されたということに少し先回の発表よりは進歩があったのではないかなというふうに読み取りました。実はこういう近隣対策ということをやはりやっていかないと、こういう種類のことがこれから漸次出てくるのではなかろうかなということで、実はこれは大変小さな記事、決して大きな記事ではないんだけれども、目についたのでございます。 そして、これは例の広瀬先生のリポートでございますけれども、「さまざまな理由で死亡した人々を解剖し、肺の中を調べる。もしそれらの人々が、生前アスベストにより汚染されていれば、肺内にアスベスト小体を発見できるはずである。」ということで、解剖をなさった例をここで挙げておられまして、全国平均でいくと、実は五一%のいわゆる検体から肺の中にアスベストを持っていたという、こういうデータが出ております。大阪では七九%、富山、石川では九七%です。こういうことをお書きになられて、一般国民といえども決してそのアスベストの汚染にかかっていないということは言えないのではないかという論調を持っておられるわけですけれども、これまたあわせてお伺いします。 環境庁さんが周辺対策をこれからやっていかなきゃいけないというふうにおっしゃって、それに今後乗り出そうとしておるのだから、環境庁さんの見解を。
○説明員(長谷川慧重君) 先生のお話にございました、朝日新聞に載っておりました記事も私ども承知いたしておりまして、私どももこの記事に関しましては非常に関心を持ちまして、いろいろ先生方のお話を承っているところでございます。 しかしながら、私ども先生からお話を伺いますと、先生のお話とダブるかもしれませんけれども、関西医科大学の原一郎教授ほか五名の研究班によって行われたものでございまして、分析の結果、中皮腫二十三名のうちの十九例にアスベストが検出されたと。そのうちの大部分は検出されたアスベストの種類、工場勤務歴等から職場でのアスベストの暴露が考えられるが、御指摘の主婦のような事例につきましては、調べた範囲ではアスベストを使う職場での勤務歴がないということが言われているわけでございます。そういうことで、近隣暴露等によるものもある可能性があるということで、さらに精度の高い方法で調べたいというぐあいに研究者の方がおっしゃっておられるわけでございます。 したがいまして、本報告によりまして近隣暴露による中皮腫の発生が証明されたというぐあいに厳密に言うわけにもなかなかいかないと思うわけでございますが、今後とも外国の文献等もございますので、この種の調査も含めまして知見の収集に努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。 さらに私どもといたしましては、一般の環境におきますアスベストの濃度につきましては、前回の五十八年と同様に今回の調査におきましても非常に低いレベルでございますので、そう大きな変化はない、余り心配することはないのじゃなかろうかというぐあいに思っておるわけでございますが、特にいわゆるアスベストを使っております工場周辺におきましてかなり高い数値が見出された事例もありますので、そういう面ではそういうところにつきましてさらに詳細に調べる必要があるだろうということで、これからそういう面での調査を進めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
○刈田貞子君 厚生省の方にお伺いいたします。 労働省はいわゆる労働災害を防ぐために、そしてまた建設省は建設現場における一つの規制、環境庁さんもそれなりの取り組みを、今言ったように大変緻密な検査を、モニタリングを続けておられるんです。それで、厚生省はこのアスベストに対してどういう取り組みをしておられますか。
○説明員(北川定謙君) 私どももアスベストの人体への健康影響という問題については、かねてから重大な関心を持っておるわけでございますが、厚生省の仕事として一つ考えられるのは、産業廃棄物の扱いの問題、これが私どものところ、生活衛生局でございますけれども、一つのアスベストの影響を受ける大きな局面ではないかというふうに考えているわけでございますが、アスベストを含むそういう廃棄物の処理に当たりましては、大気中への飛散を防止するということが重要でありまして、このためにいろんな廃棄物の収集、運搬及び処分に当たってのいろいろな基準を総合的に定めておるわけでございますけれども、アスベスト以外にもいろいろと、特に産業廃棄物の処理に当たってはいろいろと注意をしなければいけない点もありますので、そういうものを含めた総合的な扱いの注意事項、こういうものを都道府県を通しまして現場に注意を喚起するというような対応をしている状況にございます。
○刈田貞子君 私の問題を先取りしないでください。廃棄物はこれから後から聞きますので。まあ裏を返せば、厚生省はせいぜいそこのところの部分ぐらいしかまださわっておらぬ、こういうことになるわけなんだけれども。 そこで、廃棄物にいきましょう。千駄ケ谷の東京体育館、あそこが改造されましたんですよね。あのときの解体に当たって大変なコストをかけて原材料になっておりますところのアスベストが飛散しないようにコンクリートで固めてそしてこれを処理した、こういうことがありまして、業界の方々に私がなかなか見本を見せるじゃないのと。それで、あれが一番いい方法なのかなあというふうに業界の知っている人たちに言いました。それから、先般労働省のときにその解体業の方たちともなにをいたしましたものですから、そちらの方たちにもお聞きをいたしましたところ、あんなコストのかかることは我々にはとてもできまへん、あれはまさにモデルである、こういうことなんですね。三十万立方かに当たるコンクリート詰めにしてそれで捨てた、こういうことですよね。これは大変立派だと思うんですけれども、今お話を聞くと、この産業廃棄物というのかな、この産廃に対する規制というのは一向になく、今言われたように通達で、何しろ行政指導で各県に、地方自治体に流しておられるというところが実態ですね。もう一度お尋ねします。
○説明員(北川定謙君) 先生おっしゃいますように、通達あるいはいろんな担当者の間での連絡調整、そういう場で個別具体的な問題が起こるごとに注意を喚起し、新しいルールづくりをやっていくということをやっておるわけでございます。 そこで今のアスベストの問題につきましても、これは非常に人体へいろんな影響を及ぼす物質でございますので、その扱い方については当然十分注意をしてあると。 コンクリート詰めにするというようなことは確かに非常に理想的なことではあるわけでございますけれども、先生御指摘のように非常にコストもかかるというような問題もございまして、ビニールの袋できちんとカバーをするとか、あるいはそれは廃棄物を処理するに当たって周辺に飛散をしないような注意と同時に、処理をした物が将来環境の汚染を起こさないようにという配慮のもとに、ある程度合理的な手段を選定して行う、こういうことはやっておるわけでございます。
○刈田貞子君 そのビニールの袋へ包んで入れても何でも、結局最終処分というのは一般的に言う安全型処分地というんですか、そこへ持っていっているわけでしょう。それは間違いないですね。だからその辺がやっぱり私は問題じゃなかろうかなというふうに思うんです。釈迦に説法だと思いますけれども、アメリカなんかの例でいきますと、アメリカは環境保護庁が定めたアスベストに関する国家排出基準法という法律があるんですよね。それで大変厳しく規制しているのを御存じですよね。そしてこのアスベストが決して目に見えるような形で放出するようになっては相ならぬということで、運搬の過程から既に制限を加えていますね。水をかけるとか、あるいは密閉容器の中に入れるとか、そういうふうにして運搬をして処理をしなさい、こういうことですね。ないしは化学処理というのもあるようでございます。そして最終的には今度は埋立処分地に持っていくとその破砕の一つのかけらは十五センチ以下にしてあって、しかも一槽捨てることに樹脂――エポキシ樹脂のようなものだろうと思う、樹脂を流す、ないしはじんあい防止材、こういうふうなものを毎日捨てられてくるたびに流してはそれを覆ってしまうというような形にして埋め立てしないと、そこの管理人はこれを受け入れない、こういう厳しい形の規制になっていて、しかも危険なアスベストの埋め立てをした地である旨そこに標識を立てなければならない義務づけがある。アメリカなんかここまで厳しくその廃棄処分についてやるんですよね。そういたしますとこの間どこかの軍艦の何か神奈川県のどこかに転がっていたとか、千葉の一角に何か不当投棄してあったとか、いろいろな記事を私も読みましたけれども、あの手のことでもビニールの袋へ入れておけばいいのか、こういうことになるので、やっぱり私はそのアスベストの弊害とかそういう種類のもの、その本質的なものの御認識がなければ、またこの手の手段というものも出てこないわけでございますけれども、今大変弊害の多いものだというふうにおっしゃったからには、やはりこの処分地の問題、あるいは処分の仕方の問題、その廃棄物を運搬していく過程における問題まで、やはり私は神経を使っていく必要があろうかと思います。 ちなみにイギリスにおきましても一九八〇年には公害規制法のもとにこのアスベストを特別廃棄物に指定し、その廃棄の仕方には厳しい監視が向けられておる。カナダもそうであります。これはいかがでしょう。
○説明員(北川定謙君) 先生がアメリカ及びイギリスにおいてどういうふうに対処しておるかということをお示しいただいたわけでありますが、私どももこのアスベストということにのみ、アスベストということについての規定はございませんけれども、アスベストを含めいろんな化学物質等を中心とする産業廃棄物の処理に関しましては、大変注意を払ってやっているということでございまして、処分地についてはその周辺に飛散あるいは漏出をしないためのいろんな基準をつくっておりまして、そういう地域の中できちんと処分をする。そうして先生がおっしゃられましたような覆土をするとか、あるいは必要なときにはビニールシートをかけるとかというようなことをやりながら、周囲への飛散の防止を図っているところでございます。
○刈田貞子君 これは厚生省にも伺うことですが、食品関係にはほとんどアスベストは使われなくなってきたんですよね。これは昔お魚を焼く網のところに白い石綿がついているというああいう魚を焼く網器がありましたね。大臣、わかりますね。それからストーブの石綿、ああいうのは最近確かに見られなくなりました。だから生産量、消費量等もみんな私も調べてみると幾分か消費量も減っています。ですけれども、家庭生活用品の中のものなんというのはほんの少々の使途でございまして、その使用区分を見ればやっぱりほとんどが建材ですね。そうするとこれが解体されたときにはやっぱり産業廃棄物として出てくるものですから、今ビル解体等ブームの中でこういうものに対してどこの省庁がどうやって規制をしているのかなというのが、私すごく今疑問に思っているんです。 話は食品の方です、食品に関しては厚生省も御指導、これはたしか規制はないと思うんですが、行政指導で食品については一切この手のものを使ってはいけないということになっていますね。
○説明員(北川定謙君) 食品の分野でアスベストの関連でどういう問題があるかということを考えてみますと、かつてはお酒の製造、ろ過の過程でアスベストを用いたろ過助剤を使っていたということがあるようでございますけれども、これも現在では使われないように強い行政指導をこれは国税庁と共同でやったわけでございまして、それ以外の食品の分野については余り今特段問題にすることはないのではないのかなと。事実アスベストは先生御承知のように非常に便利な素材でございまして今までは大変使われておりましたけれども、最近はいろんなかわりのものがどんどん出てきていますので、そういうことでだんだんと使用の実態は少なくなっているというふうに承知しております。
○刈田貞子君 せっかく国税庁さんおいでになっておりますので、先般新聞に書かれたようなことが二度とないように御指導していただけますね。その点だけ。
○説明員(秋本雄一君) お答え申し上げます。 石綿はろ過助剤としてすばらしい性能を持っておりまして、以前から清酒業界では広く利用されていたわけでございますが、十数年前から労働安全衛生法の規制が厳しくなるというようなこと、また食品衛生法上の問題等もございまして、労働安全衛生法の規則の強化を機に石綿を使用しないというろ過方法に切りかえるよう業界を指導しております。 先生御指摘の件は昭和六十年八月の新聞記事の件だと思います。 我々はほとんど使用していないというふうに考えていたわけでございますが、そういう記事が出ましたので直ちに実態を調べましたところ、一部の小さいお酒屋さんで使っていたということがございました。これらの業者に対しましては直ちにアスベストを使用しないろ過方法の指導をしております。私どもの方の各国税局に鑑定官室というところがございまして、この職員はお酒づくりの技術指導というものに、お酒屋さんに臨場して指導しております。本年度も巡回指導ということで指導に回ったわけでございますが、その際に各お酒屋さんからいろいろアスベストについても事情を聞いておりまして、現在はアスベストを使用している製造所はないということを聞いております。ですから現在のお酒にはアスベストは使われていないというふうに確信をいたしております。以上でございます。
○刈田貞子君 どうもありがとうございました。 それから厚生省さん、ちょっとお伺いしておきますのですが、これ権威ある人がおっしゃっているんでちょっとだけ、答弁結構ですから申し上げておきますけれども、一九八六年というと去年ですね。一九八六年の国際食品展でしょうゆのトップメーカーが食品用器具の素材として石綿を陳列していて、そして我が国の特色ある製造法であるということで陳列をしてあったということが指摘されているんです。これは私は自分で調べて当たっておりません。けれども、昨年行われた国際食品展フェア、晴海の、御存じだと思いますので、これをもし何であれば確認だけしておいていただけたらと思うんです。お酒にも使ってないしほかのものにも一切使っていませんということで、せめて食品から、食に関するものからはこの手のものを私は排除していきたいというふうに思っております。大臣いかがでしょう。
○国務大臣(斎藤十朗君) そういう事例があったかどうか早速に調査をいたしまして、必要があれば改善を指導いたさなければならないと思います。
○刈田貞子君 アスベストについては私も被害妄想に取りつかれているのかどうかわからないのですけれども、まだまだお伺いしたいことがたくさん実はありますけれども、持ち時間もございますので、次の問題に入らせていただきます。 次は、これも厚生省の所管の水道管の問題でございますけれども、まずその前に通産省に伺いますけれども、通産省のJIS規格、水道用塗覆装鋼管の解説というのを私もらって読んでみてびっくりしたんですが、水道管の中側の塗装にコールタールエナメルが使ってある。このことについて私は大変びっくりしたんですけれども、昭和三十八年三月に工業技術院から日本水道協会あてに水道用鋼管規格の調査検討の依頼があった。それで専門委員会を設置していろいろ討議した結果、四十三年一月一日をもって規格改正をした。そしてこれまで、従来この内装はアスファルトであったはずのものに加えられて、コールタールエナメルも使用できるように改正した。こういうふうになっているんですけれども、この事情は何でしょう。
○説明員(笹谷勇君) 御説明いたします。 初めに先生御承知のとおりJIS規格でございますが、製品の製造方法や品質等の統一的な基準をつくりまして、それによりまして生産あるいは流通、消費、こういうものを合理的に進めようという趣旨で規格がつくられているわけでございます。 先生御指摘のありました水道用鋼管の防食、防錆を目的といたしました塗覆装について御説明いたしますと、御指摘のように昭和二十七年にアスファルト被覆方法についての規格が制定されております。その後三十年代に入りまして、上水道あるいは工業用水の需要が増してまいりまして、それに伴いまして大口径の水道用鋼管、これの需要も増してまいりました。当然この鋼管には防錆、防食対策が必要になるわけでございます。当時かなり三十年の後半にかけてでございますが、かなり普及しておりましたここにあります。そのコールタールエナメルを使用しました防錆、防食対策が品質の向上あるいは安定、そういうものを目的といたしまして、当時東京あるいは大阪、名古屋、こういうところの水道担当部局ですね、そういうところ、また鋼管製造メーカー、そういうところから、ぜひ先ほど申しましたような趣旨で規格化の検討をしてもらいたいという要請がございました。そういうことを踏まえまして、私ども水道協会に規格改定、あるいはこの場合制定になりますが、制定のための調査を依頼し、その水道協会作成の原案をもとに、私どもの日本工業標準調査会の鉄鋼部会というのがございまして、そこで審議を経た後、昭和四十三年にJISとして規格化したわけでございます。
○刈田貞子君 厚生省にお伺いいたしますけれども、私は一主婦なものでございますから、コールタールエナメルなるものがどんな安全なものか、私は余りよくわからないんですけれども、実は安全ではなくて、コールタールというのは、私は発がん性物質の親元のそのまた親だというふうに思っていたんですよね。添加物なんかでもタール系の添加物なんというのはほとんど長々と私たちは運動いたしましてなくしてきていたはずなんですが、どうして外側ならわかるけれども内側に、写真を大臣に見せてください。(資料を示す)内側に どうしてこんなにてかてかにコールタールを塗らなきゃいけないのと、こういう感じなんですよね。それでわかるんです、さびるから塗るんです。さびるから塗るんだけれども、厚生省さんの見解を私はぜひ伺っておきたいのは、なぜコールタールなのかということ。このコールタールなるものがその後JISの規格に追加された経過について、私は非常に不審に思っているんですけれども、それをなおかつ受けて立ったということ。 昨日、私このことを通告いたしましたところ、今はほんの少々しかないと言う。ところが、この資材置き場にはこんなに並んでいて、これが漸次回転して、使われては運ばれてき、使われては運ばれてきして回転していっている。ぜひこの辺の実態を教えてください。
○説明員(北川定謙君) 先生御指摘のとおり、そのコールタールの中に、その一部に発がん物質であるベンツピレンでございますね。こういうものが含まれておるということは理論的にはあるわけでございます。それから、そのコールタールエナメル、そういうものが含まれておるものをなぜこの水道管に使うかと、こういう問題でございますが、水道管というのはいろんな素材を使っておるわけでございますけれども、非常に大口径のものはどうしてもどうも従来からのそういう素材を使い、コールタールエナメルが非常に何といいますか、地震があったときに破砕をするとか、そういうことが非常に少ない、粘着性が非常に強いとか、そういう性質があるものでございますから、実際には使われておる。ただし、その使用されておる実態は、日本全体の水道管の総延長で見ると〇・五%程度であると、そういう実態にあることは事実であるわけでございます。 一方、確かにその物質自体は発がん性があるということにはなるわけでございますが、実際に先ほどのJIS規格のお話もございましたけれども、塗装の手順でございますね、そういうものをきちんと規格に沿ってやっていけば、そういうものが溶けて出てくることはないと。実際いろんな溶出試験が行われておりますけれども、通常の使い方でそういうものが溶けて出てくることはないというようなことも確認されておるという現状で、現在もなおそういうものが生きておるということでございますが、私どもも念には念を入れてという基本的な姿勢で、今後ともそういう素材を使わなくても十分長期の使用に耐えるような、そういう水道管の内面塗装というものについて、さらに安全なものを開発をしていくという努力をしなければならないということで、関係の業界ともいろいろ話し合いをしておると、そういう段階にございます。
○刈田貞子君 私は、やっぱりこれはコールタールと聞いただけで、消費者問題などやっている者にとりましては、ぞっとするような話に実はなるわけで、飲み水がその間をずっと通ってやってくるんだから、今日の水は大変検査をいたしますといろいろなものが出てまいりますけれども、さっき言ったアスベストなんかも出てくるわけですけれども、それにいたしましても、人類が一番最初に動物の体に人工的にがんを発生させたものコールタールと、こんなふうに覚えましたものでございますから、それが内装として使われているということを知って、私は実は大変びっくりしているわけで、今言われました方向でやはりこういうものを改善していかなければならないのではないかというふうに思います。 今溶出検査もしておるし、実験もやっておるというふうに言われましたけれども、JIS規格なんかの実験では、この長さの分に水をさっと通して出たか、出ないかという程度のでやっているのよ。そうすると、浄水場を過ぎて我が家の蛇口まで来る間にどのくらい引っ張ってくるんですか。その間に絶対溶出しませんなんていうことが言えるかという問題もあって、やっぱり念には念を入れてこの手のものについては漸次使わないでいった方がいいのではないかなって私は思うんだけれども、大臣どうですか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 先ほど生活衛生局長から大変模範的な答弁をいたしましたので、その線で厚生省もしっかりやってまいります。
○刈田貞子君 水に関しては本当に庶民が今関心が高うございます。そして国が送ってくれる水では満足しない、何となく不安だ、あるいはおいしくないなどということで、一リットル、二リットル二百五十円、三百円などという水を買って飲むような時代になってしまった。そんな中で、少しでも安心して飲める水、おいしい水、これを供給していくのがそちらのやっぱりお仕事だろうと私は思いますものですから、こういうことを申し上げるわけでございまして、ぜひこの改善方お願いしたいというふうに思います。心配のないような、このいわゆる配管設備ですね、をしていっていただきたい、このようにお願いをいたします。 次に、今度はハイテクね、これもまた大変な何で、トリクロロエチレンの問題になるかというふうに思いますんでございますけれども、まず一番最初に、最近産業構造がいろいろと変わりまして、ハイテク産業、工場というようなものが地方にいっぱい誘致されて出てきました。日本全国至るところにこれが配置されてきておるわけでございますけれども、厚生省さん、先般半導体工場の毒物、劇物管理に関する安全基準づくりというようなことをお始めになるんですか、これはなったんですか、お伺いします。
○説明員(森幸男君) お答え申し上げます。 これは毒物及び劇物取締法という法律がございまして、毒物、劇物につきましてその物性とか毒性を考慮して具体的にそういう物質の廃棄の方法であるとか運搬あるいは貯蔵に関する基準を決めることとなっております。今、御指摘のございましたこの半導体の製造に関係をいたしますものといたしまして、砒素化合物などのいわゆる特殊材料ガスという問題が出てきておるわけでございますが、これは現在毒物、劇物として指定をされております成分につきまして、既に一部のものにつきましては廃棄等の基準を制定をいたしております。それから、残りの成分につきましても現在中央薬事審議会で今年じゅうをめどに基準作成の作業を進めているというのが現状でございます。
○刈田貞子君 カリフォルニアのシリコンバレーの例などもございますので、やはりそういう一つの基準をつくっていただいて、やはり安全を確保しなければならないというふうに思います。 それからもう一つ、これは生活化学安全対策室のお話になろうかと思いますが、有害物質の健康リスク評価システム、これも取りかかるんでしょう。これはどこですか。
○説明員(北川定謙君) 私どもも大変驚くような、そういう化学物質が環境の中に出てくる。そうして、特に飲料水ですとか、あるいは食品の中に入ってくる、これは厚生省、私どもの仕事としては非常に重大な問題であるということで、そういう有害物質の健康リスク評価のシステムというものを私どももきちんとした体系を持っていく必要がある、こういうことで、先生ただいま御指摘いただいたような研究班を組んでいろんな検討をしていただいてきたところでございます。それで、その報告書があるわけでございますが、その中身は化学物質の安全評価についてより的確かつ定量的にそういう危険度を評価をする方法をやっぱり考えていこうということでございまして、健康リスク評価の将来のあるべき姿を整理をしていただいた。その結果、提言をいただいた内容の中には、そういう評価をするための手法の確立ですとか、あるいは化学物質、非常に多種多様にあるわけでございますけれども、どういうものから手をつけていったらいいのか、そういう優先順位づけだとか、あるいはその情報をどうやって集めていくとか、そういうことについて御提言をいただいたわけでございまして、そういうものを踏まえて今私どもも行政的に対応する手順を進めておる段階でございます。
○刈田貞子君 両大臣にお願いいたします。 今、たった少々の間で化学物質の名前、トリクロロエチレン、それからアスベスト、それからコールタールの話を出しましたけれども、本当に私どもの身の回りには数万種類とも言われるような化学物質で埋まって暮らしているわけですよね。だから、やっぱりそういうものの中から私たちが自分たちの健康を、そしてまた、政治、行政にあっては国民の健康を守ると、こういうことが非常に大変なことになっていくんだろうと思うんですけれども、今言われたような一つの、何というのかな、リスクアセスメントですね、アセスメントはだれでもできるのよね。要はそれをどういうふうに実行してくれるかということで、例えばアスベスト一つとったって、捨て方が大事ですよ、大変問題ですよと言っても、それは具体的にはなかなかまだ担保されていないと、こういう現実がございますので、したがいまして、どうかこれが具体的にその国民の健康を守るための施策に本当に動いていくように、抱負を両大臣から伺いまして、質問を終わります。
○国務大臣(斎藤十朗君) 科学の進歩等によりまして、新しい有害な物質もたくさん出てまいっておりますし、また、従来から指摘をされております有害の物質もございます。同時に、そういうものが我々の生活の回りで非常に有効に役に立つ場合もありますとともに、また、人間の健康と生命を守っていくということも永遠であるわけでございます。 厚生省といたしましては、国民の健康を守るという立場から、化学物質の安全対策というものに期してまいらなければならないと考えておりますし、今後とも必要に応じて各関係省庁とも連絡をとりながら、また、厚生省といたしましても責任においてその安全確保対策の万全を期してまいりたいと、こう考えておるところでございます。
○国務大臣(稲村利幸君) 環境庁といたしましても、健康、国民の命にかかわるこの化学物質の対策に対しましては、十分これまで以上に留意して頑張りたいと思います。
○田代富士男君 最初に、私はフロンガスの問題についてお尋ねをしたいと思います。 昨今、世界的にこのフロンガス使用によるオゾン層破壊にもたらされる生態系への影響が問題になっております。環境庁としてもこの問題に取り組み、ことしに入ってから大気保全局長の私的諮問機関として成層圏オゾン層保護に関する検討会を設けたようでございますが、ここに至る経過と、今までどのような検討がなされたのか、お伺いをしたいと思いますし、また一昨日は、この問題の世界的権威者でございますカリフォルニア大学のローランド博士が来日し、意見を交換をされたそうでございますが、内容はどのようなものであったのか、また、博士より特に指摘された問題点は何であったのか、最初にお答えいただきたいと思います。
○説明員(長谷川慧重君) お答えいたします。 まず、フロンガス問題のこれまでの経緯ということでございますが、一九七四年、いわゆる昭和四十九年に、米国の科学者によりまして、フロンガスが成層圏オゾンを破壊し、その結果、地球上に降り注ぎます紫外線の量が増加いたしまして、皮膚がんの発生等、人の健康への影響や生態系への影響等の可能性があるということが指摘されたのが問題のきっかけでございます。その後、国連環境計画、UNEPを中心に成層圏オゾン層の保護についていろいろ国際的な討議がなされまして、昭和六十年にはオゾン層保護条約が採択されております。現在、この条約に基づきますフロンガスの具体的な規制方法につきまして、UNEPの作業部会におきまして検討が進められておるところでございまして、規制対象となりますフロンガスの範囲なり、あるいは凍結あるいは削減のレベルと、それに至ります期間等についての議論が現在行われているところでございます。本年九月にはこの条約に基づきますフロンガスの具体的な規制方法が決定される見込みというぐあいに承知いたしておるところでございます。 それから質問の二番目でございますが、先日のアメリカのローランド教授のお話かと思いますが、御指摘のとおり、先日、本分野での世界的な権威でございますローランド教授をお招きいたしまして、お言葉にございました成層圏オゾン層保護検討会の中におきまして、今後の検討に資するとの見地からローランド教授のお話を伺ったところでございます。教授は、大気中に放出されましたフロンガスのうちフロン11、12、113等は、対流圏で分解されずに成層圏に達しまして、そこで光分解等を経てオゾンを消滅させる、それからフロン11、12、113等の対流圏での濃度は着実に増加しておる、このようなことから、早急にフロンガスの放出を抑制するとともに、モニタリングの実施なり代替品の使用促進が重要であるという御指摘がなされたところでございます。
○田代富士男君 通産省にお尋ねをいたしますが、この問題となっておりますフロンガスの我が国での使用量はどのくらいか、また、全世界に比してどうか、どのような分野でどのくらい使用されておるのか、お答えをいただきたいと思います。 それから、まとめてちょっと質問しますが、環境庁にお尋ねしますが、今後、この問題にいかに取り組んでいくのか、早急に結論を出すべきではないかと思いますが、これに対する考え方を。 また、外務省には、UNEPで採択されましたオゾン層保護ウィーン条約、これを我が国として早く批准すべきではないかと思いますが、いつ批准するのか、見通し等をお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(阿部巳喜雄君) 御説明申し上げます。 通産省の調査によりますと、昭和六十年におけるフロンガスの出荷量は、冷媒用に四万四百七十一トン、エアゾール用に一万一千五百三十六トン、発泡剤として二万七千四百九十九トン、洗浄剤として四万四千五百十九トン、その他の用途に二千七十六トンでございました。世界におけるフロンの使用状況でございますが、公式な統計はございませんのではっきり申し上げることはできませんが、全世界におけるフロン11、12及び113の年間使用量は合計で約百万トン程度と言われております。
○説明員(長谷川慧重君) 環境庁といたしましては、先生のお話にもございましたが、成層圏オゾン層保護に関する専門家による検討会を設置いたしたところでございまして検討いただいているところでございますが、先般、この検討会の中間報告が取りまとめられたところでございます。その中身といたしましては、まず、諸外国と協力しつつ、フロンガスの生産量の凍結、削減を行う必要がある。それから代替品の開発、回収、再生技術の開発を進める必要がある。それから国際的な調査、研究の体制を確立するとともに、我が国としてもその一翼を担うべきことというような三点についての提言が行われているところでございます。 このフロンガスの規制につきましては、先ほども御説明しましたように、九月に予定されております外交会議での具体的な決定がなされる見通しにあるわけでございますから我が国といたしましても適切な対応が求められているところでございまして、環境庁といたしましてもこの報告書の内容を踏まえまして、関係省庁と相談しつつ適切に対処してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○説明員(金子義和君) 先ほど説明がありましたように、オゾン層保護条約は既に採択されておるわけでございますが、オゾン層保護のために具体的にいかなる規制をするか、それから具体的に何を対象に規制するかといった、そういうものを規定する議定書をことしの、今先ほど説明がありましたように、九月に外交会議を開いてその議定書を採択するという段階でございまして、今それの具体的な内容につきまして検討中という段階でございまして、そういった段階を経まして我が国としましては条約と議定書の双方について締結を検討したいと考えておるところでございます。
○田代富士男君 次に質問を移します。 去る五十四年に始まりました東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の三つの閉鎖性水域のCOD総量削減計画の目標期限が五十九年度末に到来をいたしました。しかし、環境基準の達成状況が依然として悪いために、環境庁は新たに六十四年度を目標年度とする第二次計画を実施することにしたのでございますが、ところが規制値設定について経団連等の横やりが入るなどで計画の策定が大幅におくれ、各都道府県の告示を改正して計画が実際に動き出すのはことしの七月以降だ、こういう見方がされております。 そこで私、お尋ねをいたしますが、この第一次計画の目標達成状況はどうであったのか、また、削減が思うように進まないのは何が原因であったのか、伊勢湾などは計画開始前よりも悪くなっているというのはどういうわけであるか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(渡辺武君) 先生ただいま御指摘のように、東京湾、伊勢湾あるいは瀬戸内海といった閉鎖性海域におきましては、汚濁物質そのものの流入量をカットするという意味の水質総量削減計画というものを立てました仕事が行われておるわけでございます。六十四年度を目標年度といたします第二次の計画を先般国のベースで立てまして、県のベースでも立てまして総理大臣が承認をするという手続が済んだところに現在あるわけでございます。 まず御質問の中で、総量規制がどの程度第一期につきまして達成があったかという御下問につきましてでございますけれども、三海域につきましてそれぞれ汚濁発生負荷量の総量のカットは着実に行われたわけでございます。ちょっと数字になって恐縮でございますが、東京湾では一三%程度、それから伊勢湾では七%程度、瀬戸内海では一一%程度のカットになったわけでございます。全体合わせましてといいますか、平均いたしまして一一%の削減でありますが、当初計画は八%の削減を予定しておりましたものですから、計画を超えた実績を第一期においては上げることができたということが一つでございます。 それから第二番目の御質問でございますけれども、伊勢湾等におきましては若干そうは言うけれども水質が悪くなった地域があるんではないかという御下問についてでございます。瀬戸内海等につきましては、水質も汚濁負荷量のカットに伴いまして着実にこの改善を見ておるわけでございますが、伊勢湾につきましては実はちょっと事情がございまして、名古屋、四日市地域の先の水面等におきましては、水質の改善が見られるわけでございますが、残念なことに三河湾の中といったようなところにおきましては、下水道の普及等がはかばかしくないというところ等もありまして、水質は横ばいないしは若干悪化しておるというのが現状であります。 私たち、第二次の計画におきましては、このあたりに重点を置いて、その改善を図ってまいりたいというように考えておる次第でございます。 以上でございます。
○田代富士男君 第二次計画は、今も御答弁がありましたとおりに、六十年度から六十四年度までの五カ年であるべき実施期間でございますが、これがもう実質的に半分に短縮されたような現在の状況でございますし、このことは三海域の水質改善に与える影響は甚大であると、このように心配するところでございますが、これほど大幅に実施がおくれた最大の原因は何であるのか、端的にお答えいただきたいと思います。 これは言葉をかえて言うならば、まさに欠陥行政と言うほかはありません。環境庁は、この二次計画による水質改善効果、環境基準達成率をどのように見通しておるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○説明員(渡辺武君) 五十九年を基準年次に第一次をやりまして、したがいまして第二期をやるといたしましても、その後直ちにということが理想ではないかという御下問でございます。現実はことしになったわけでございますが、そのおくれました理由といいますのは、第一期をやりました結果をよくレビューをいたしまして、第二期をやるに当たりましては精密な詰めをやったわけでございます。そのためにまず第一には、五十九年の観測結果が出るのを待ったということでありまして、若干の時間を要したのが一つであります。 それから第二番目は、先ほど申しましたように、一回やってみて、それでどうなったか。そして二回目をどうするかというその議論、詰めを、大分そのことのために、残念でございますが時間がかかったということになったわけでございます。 それから第二番目の質問に対しますお答えでございますが、そうおくれはいたしましたけれども、いずれにいたしましても五十九年度をベースにして、五年後の六十四年にこうある姿にしようということでありまして、実は五年後に向けてのいろいろな仕事の中身は、下水道の整備等、水をきれいにするための施設投資が中心でございますが、そのような事業につきましては着実にずっと続けて行われておるわけでございまして、そういう意味合いからいたしまして、六十四年に達成すべき水準を立てるのが若干おくれはいたしましたけれども、事業の進行そのものには影響はないわけでございますし、また既設の事業場等につきましては、六十四年度といいますとあと二年ぐらいでございますけれども、二年後により厳しい水準になるわけでございますが、それまでにそれに対応するための施設を準備するという時間といたしましては、ある程度の時間は確保されておるというように考えておりまして、私たちの削減目標量の達成は可能ではないかというように信じておるわけでございます。 それから第三番目の御質問でございますけれども、これを事業をやることによりまして、水質につきましての環境基準の達成はどのように考えるかという御質問につきましてでございますが、第一次そうでありましたように、第二次につきましてもいろいろな事業を計画的に進めることによりまして、汚濁負荷量自身は計画的にカットしていけるものというように確信をいたしております。 ただ、汚濁負荷量がカットされますと、それに並行いたしまして水質の状態がよくなるかというのは、なかなか難しい問題があるわけでございまして、新しく流入する量が減りましても、既に流入してしまっておりまして海の中にたまっております汚濁物質から再生産される汚濁というのもあるわけでございまして、したがいまして汚濁物質のカットに比例した意味での水質の改善はなかなか難しいと、正直申して考えております。 しかし、その程度がどうかというのは、技術的にも科学的にもまだ解明され切っておりませんけれども、ラウンドで申して恐縮でございますが、大体汚濁物質のカットの半分強程度水質は改善するものというように考えておる次第でございます。 以上でございます。
○田代富士男君 ただいま、第一期のレビューをやり、五十九年度の観測結果を待ち、二回目をどうやるかという、そういう詰めをやっているからおくれているというようなお答えをいただきましたが、文字どおり百年河清を待つに等しい感を深くせざるを得ないのでございます。 その一方で、貴重な海面を消滅させまして水域の閉鎖性をさらに強め、潮の流れを阻害し水質の悪化を招く、この埋め立てを全国の至るところで進められております。その実態は、五十九年度に実施されました環境庁のいわゆる緑の国勢調査によれば、全国の自然海岸の延長というものは、前回調査の五十三年度に比べまして、御承知のとおりに約三百キロメーターふえております。これは埋め立てによって新しい海岸線ができたためであって、むしろ離島を除く本土部分では自然海岸が四六・一%。もう五〇%を割っております。六年間に三ポイント減少している。このような傾向は特に東京湾、大阪湾で著しいと思いますが、戦後両湾の埋め立てはどのくらい進んだのか。 このように海面を消滅させまして自然海岸線を失わせ、水質の悪化を招く埋め立てについては、環境庁としてどのように考えておるのか。また、行政的にどのように対応しているのか。これは大臣から、長官にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(稲村利幸君) 公有水面の埋め立てにつきましては、自然海岸の減少等が進んでいる現状にかんがみまして、貴重な財産としてその保全に十分意を用いる必要があると考えております。 また、埋め立てを行う必要がある場合には、公有水面埋立法等に基づき、環境保全に十分な配慮が払われるべきであります。 環境庁といたしましては、公有水面埋立法に基づき、一定の要件に該当する埋立計画について環境庁長官の意見を求められることとなるため、この際に公害の防止及び自然環境の保全の観点から慎重に審査し、必要に応じ環境保全上の意見を述べることとしております。
○田代富士男君 ただいまも御答弁の中にありました公有水面埋立法は、去る四十八年の改正によりまして、面積五十ヘクタールを超える埋め立て及び環境保全上特別の配慮を要する埋め立てにつきましては、主務大臣の認可に際して環境庁長官の環境保全上の観点からする意見を求めることになっておりますが、この改正以後、現在までの意見照会の件数及び同意、不同意の回答の件数を簡単に御報告いただきたいと思います。
○説明員(加藤陸美君) お答えいたします。 昭和四十八年の公有水面埋立法の改正以降、現在までの意見照会の件数は五十六件でございます。これに対しまして、環境影響評価の手続など行政上の調整プロセスをいろいろ経た上でございますが、意見を述べたものは四十五件でございます。残りの十一件については特段の意見は述べておりません。 なお、先生お尋ねの意味合いで申し上げますと、埋立計画そのものに不同意という御趣旨かと存じますが、そのものに不同意という意見を述べたことはございません。
○田代富士男君 ただいまお答えがありましたとおりに環境庁長官の不同意の意見具申がなかったということは、これは今までの埋め立てに対して環境保全上万全な手だてが講じられ、かつまた、今後環境汚染を引き起こさないという自信のあらわれである、このように受けとめてよろしいですか。そこらあたり簡単に答えてください。
○説明員(加藤陸美君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、意見を申し上げる前にいろいろアセスメント等の行政プロセスと申しますか、やりとりがあることは御理解を賜りたいと思いますが、この意見照会に際しましては環境庁長官の名前をもって御意見を申し上げるわけでございますが、環境保全上万全を期するために、環境汚染の未然防止の観点から必要な意見を十分申し述べてきているところでございます。この我が庁の意見を踏まえましてそれぞれの主務大臣が埋立事業者に対し適切に指導していただくことにより、環境汚染の未然防止が図られるものと考えております。
○田代富士男君 特に瀬戸内海につきましては、瀬戸内海環境保全特別措置法により、埋め立ての免許または承認に際しましては、御承知のとおりに、「世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として」「の瀬戸内海の特殊性につき十分配慮しなければならない。」とされておりまして、これを受けた運用の基本方針では、「瀬戸内海における埋立ては厳に抑制すべきである」としてあります。 四十八年十一月二日の同法施行以後も瀬戸内海の埋め立てはとどまることなく続けられているといいますが、現在まで与えられた埋め立ての免許または承認の件数はどのくらいあるか、面積はどのくらいあるのか、お答えをいただきたいと思います。 また、このような状況について、同法の規定及び運用の基本方針の趣旨が守られていると思われるのか、環境庁の基本認識を伺いたい。また、念のために伺いますが、瀬戸内海の埋め立てについても環境庁長官が不同意の意見を述べた例はあるのかないのか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(渡辺武君) 先生御指摘のように、瀬戸内海につきまして、法律に基づきまして審議会の御答申をいただきました埋め立てにつきましての基本方針というのがございまして、瀬戸内法と私たち略称いたしておりますが、施行以後は、そのような方針に基づいて埋め立てにつきまして対処してきておるわけでございます。 その法律施行後の埋め立ての状況でございますけれども、四十八年の十一月二日に法律が施行されておりますが、以後六十一年十一月一日までの統計でございますけれども、瀬戸内海全体で二千六百八件、総面積五千五百十ヘクタールの埋め立てが行われておるわけでございます。 若干御説明申し上げますと、それ以前に比べますとこれは非常に減った数字になっておりまして、年平均で見ますと、法施行前より法施行後におきましては、件数につきましては五六%でありますし、面積で見ましても一九%程度、年平均でございますが一九%程度の水準に、法施行後は法施行前より少なくなってまいっておるわけでございます。 それから第二番目の御質問、基本方針は守られておるかというような趣旨の御質問であったかと存じ上げますが、私たちといたしましては、当然この基本方針に照らしまして、個々の案件ごとに、一つは海域環境の保全、もう一つは自然環境の保全、もう一つは水産資源の保全、この三つの観点から慎重な審議を行っておりまして、若干先ほど数字を申し上げましたように、法施行後、埋立面積等も減少傾向にあるということもありまして、基本方針は十分に機能を果たしているというように信じておるものでございます。 第三番目の御質問でございますが、瀬戸内海の埋め立てについて環境庁長官が不同意という意見を述べた例はあるかという御下問でございますが、これはございません。ただし、先ほど企画調整局長の方からも答弁を申し上げましたけれども、公有水面埋立法の審議に先立って行われます港湾計画の策定、そのような場でいろいろ御意見を申し上げまして、調整をさせていただきまして、計画の見直しというようなことをしていただいた例もあるわけでございまして、最終的には、埋め立ての免許の段階において環境庁長官が不同意ということを申し上げたことはないことになっております。 以上でございます。
○田代富士男君 瀬戸内海環境保全審議会は、四十九年五月の「瀬戸内海環境保全臨時措置法第十三条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針」の答申の中で、この基本方針の「内容を具体的なものとする」と述べておりますけれども、現在までその具体化はされたのか、具体化されてないと思いますが、具体化されない理由は何であるのか、またいつまでに具体化するつもりであるのか、お答えをいただきたいと思います。
○説明員(渡辺武君) 御下問の第一点でございますが、残念なことに現在まで具体化には至っておりません。 至っておりません理由といたしましては、埋め立てというものが非常に個々に、異なる条件のもとに行われまして、したがいまして環境に与える影響が一律に指標化できないということがございます。この具体化する内容はこのような一律に具体化した指標で評価してはどうか、こういうことでありますが、今申し上げましたようなことで、非常に今技術的に困難であるがために、現在まで具体化には至っていないわけでございます。 それから今後というお話でございますけれども、埋め立てが環境に与えます影響につきましての知見、まだ不十分なところがたくさんございますので、その集積に努めまして、科学的に解明された点につきましては、必要に応じ審議会の御意見等も承って、今後検討してまいりたいというように考えておりまして、いつという御下問でございますけれども、時点等につきましてはまだはっきり申し上げられない段階でございます。
○田代富士男君 自然海岸がもう既に皆無という東京湾では、特に御承知のとおりに海域も狭く、状況はさらに悪いわけでございます。そういう状態にもかかわりませず、御承知のとおり、現在進められております羽田空港沖合いの状況はどうであるかといいますと、御承知のとおりに横浜のMM21計画、これに加えまして東京湾横断道路関連の人工島、これ約百八十ヘクタール、フェニックス計画、合計しますと約六百ヘクタールが計画されておりますし、のみならず、通産省と大手企業による、概略大きさを説明しますと、山手線の内側の一・五倍に相当する一万ヘクタールを埋め立てようという東京湾コスモポリス構想があります。さらに建築家の黒川紀章氏の東京二十三区の半分に当たる実に三万ヘクタールを埋め立てる新首都新島構想など、考えてみるならば東京湾そのものを消滅させてしまうような構想までぶち上げられております。このような埋立計画に対して、かけがえのない環境を保全し、美しい自然を二十一世紀の子孫まで引き継ぐべき重要な任を担うのが環境庁ではないかと思います。この際こういう傾向に警告を発しておく必要があると思いますが、これは長官からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(稲村利幸君) お答え申し上げます。 東京湾は、首都圏における限られた貴重な水面であり、かけがえのない自然環境でございます。したがって、環境庁としても東京湾の開発問題につきましては重大な関心を持っているところでございます。現在出されている構想は、その熟度も千差万別であり、これが直ちにすべて実現するとは考えられませんが、事業が現実に行われるまでには、例えば港湾計画や環境アセスメントの手続の中で環境庁が関与する場もあり、これらを通じて環境の保全が十分図られるよう適切に対処していくこととしております。さらに、より早い段階から開発に環境保全の視点を盛り込んでいくことが極めて有意義であると考えており、例えば東京湾を含めた首都圏についての望ましい環境像や、開発に際しての環境への配慮、指針などを打ち出すべく検討を進めているところでございます。
○田代富士男君 これは大事な問題ですから、環境庁として本当に意を決してやっていただきたいこと、再度お願いを申し上げておきます。 昨年の七月の十一日、公有水面埋立法施行令の一部が改正されまして、分譲を目的とした埋め立ての事業主体について、これまで国や自治体の出資比率が二分の一以上となっていたのが御承知のとおりに三分の一以上に引き下げられ、これによりまして民間は最大三分の二まで出資できるようになったわけでございます。このことが内需拡大のための規制緩和策の一環であると言われておりますが、これによりやみくもな埋め立て開発がますます促進されては困ると思うんですが、この点についてどのように思われるのか。また、この政令改正に環境庁はどのような関与をしたのか。あわせてお答えいただきたいと思います。
○説明員(加藤陸美君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘の政令改正についてでございますが、この目的等は、それぞれ先生お述べになったとおりでございます。要点だけにとどめさしていただきますが、こういう政令改正を行われたことによって、まず公有水面埋立法の手続そのものが異なることになるわけではございません。また、環境庁による環境保全上の審査についても、従来どおり行われていくものでございます。したがいまして、環境保全上の問題が新たに生じるというふうには考えていないわけでございます。 また、お尋ねがございました、どのような関与をしたかという点についてでございますが、政令改正に当たりまして、環境保全に万全を期するという見地から、運輸省及び建設省より免許権者でございますところの都道府県知事等に対しまして、本改正が環境保全上の配慮を緩和するものではなく、埋め立てが環境に及ぼす影響について従前同様慎重に審査すべき旨周知徹底を図るよう申し入れたところでございまして、その旨の通達が出されたと承知いたしております。
○田代富士男君 四十八年に公有水面埋立法が改正されまして、環境庁長官の意見表明がなされるようになったにもかかわりませず、その運用の実態を細かく見てみますと、環境保全に対し余りにも無力であります。これはもう実態はこのように表現する以外にありません。 東京湾と同様な状況にありますサンフランシスコ湾では、湾保全のために保全開発委員会を設け、 〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 何といいますか、地域ぐるみで環境保全などの総合的管理を行っているということでありますが、このサンフランシスコ湾の方式はどういうものであるのか。そういう立場から、我が国にサンフランシスコを見習って同様の方式を取り込むことはできないのか。この野放しの埋め立て抑制のためには、公有水面埋立法ではなくして、公有水面保全法に強化すべきであるという、こういう意見もありますが、この意見に対してはどうであるのか。このことに対しても、これは長官からお答えをいただきたいと思います。
○説明員(加藤陸美君) 法律のお話でございますので私の方からお答えさせていただきます。 お尋ねのございましたサンフランシスコ湾の湾保全のための保全開発委員会の点でございますが、これは保全制度といたしましてマカテアペトリス法という名前がついておりますが、これはカリフォルニア州の州法でございます。一九六五年に成立いたしております。このマカテアペトリス法に基づきまして、まず第一にサンフランシスコ湾保全開発委員会が湾内の天然資源の分布状況などを調査し、湾の沿岸地域の適切な保全と利用を図るため、将来の湾利用のあり方などを示す湾計画を策定するということが一つでございます。 それから二番目に、この計画を基準として埋め立てやしゅんせつなどについて、サンフランシスコ湾保全開発委員会が許可制による規制を行うということになっております。この二点が骨子となっておる制度であると承知いたしておるわけでございます。 さらに、先生が御質疑になりました次の、ではこれを見習っていったらどうかという御趣旨の御意見かと存じますが、サンフランシスコ湾におけるこの保全制度につきましては、私どもとして今後ともその内容など勉強し、学ぶべき点については参考にしてまいりたいと存じます。 〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 ただ、しかし我が国の沿岸域における埋め立てと環境保全の調整に関しましては、既に公有水面埋立法に基づく環境庁長官の意見などの手段がございます。これを通じて環境保全上必要な措置がとられてきているところでございます。したがって、現状ではこれらの手段の活用を図っていくことがまず重要であって、特に新たな法制度を設けるべき必要性があるとは考えておりません。
○田代富士男君 長官、時間がありませんから最後の質問をしたときに一緒にお答えをいただきたいと思いますが、今私ずっと質問してまいりました環境保全につきましては、こういう何といいますか、閣議決定というような拘束力の弱いものでなくして、環境アセスメント法や我が党がかつて提案したような環境保全のための基本法を制定することによりまして、環境保全施策を真に実効あらしめまして、限りある地球環境の破壊を食いとめるという基本姿勢と行動が必要なときに来ているのではないかと思いますから、最後に環境庁長官の決意を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(稲村利幸君) 大変水面を大切にする先生の一連の御意見を拝聴さしていただきまして、政府として公害対策基本法を初めとする諸法令や関連諸施策の適切な運用により総合的に環境保全を図っており、環境保全のための基本法等の制定は現在のところ改めては考えておりません。今後とも豊かな環境を二十一世紀に引き継いでいくべく環境行政の推進に努めてまいる所存ではございます。
○下田京子君 私は、除草剤ダイカンバに汚染されましたアメリカ製の紙巻きたばこのウィンストン・ライトの輸入について御質問します。 まず申し上げたいことですけれども、どうしてアメリカ国内で販売が禁止されている除草剤ダイカンバに汚染された製品たばこが、国際たばこメ ジャーと言われますレイノルズ社によって日本に輸入されたか、あるいは日本の代理店であります三菱商事がそれを日本市場にどうしてのせていったか、この実態については政府が責任を持って調査をし、全容を国民に明らかにすべきじゃないか。 次に申し上げたいのは、一昨年御承知のように専売公社が制度が廃止になりました。あわせて製品たばこの輸入が自由化になりました。しかも、ことしの四月一日からは製品たばこ輸入関税を撤廃しまして、国際巨大たばこ資本と日本商社の利益が優先的に製品たばこの輸入の促進というものが図られてきたわけです。ところが、この輸入製品たばこの品質については基準のチェック体制もない、全く相手国任せ、企業任せ、その結果が生んだ事件ということをよく把握すべきではないか、その上に立って二度とこうした事件が起きないような対策を講ずるべきだ。 そこで、大蔵省にお聞きしますけれども、アメリカでは輸入たばこについては基準が設けられておる。ダイカンバについては〇・五ppm以上の基準値になったときには製品たばこの輸入禁止という措置がとられているというふうに理解していますが、この基準がいついかなる理由で設定されたのか、当然調査されていると思いますけれども、簡潔に御説明ください。
○説明員(頼松祥典君) お答えいたします。 ダイカンバにつきましては、アメリカの規制は、我々が調べたところによりますと、去年の九月の農業法で決まっておりまして、輸入葉につきまして〇・五ppm以上のダイカンバを含むものは禁止されておるというふうに承知いたしております。
○下田京子君 いついかなるルートで今のような内容を承知されましたか。
○説明員(頼松祥典君) 本件につきまして我々が初めて知りましたのは先月、五月の二十日ごろでございますけれども、それ以後いろいろ事実関係、法律関係を調査しておる過程でこういう規制があるということを知った次第でございます。
○下田京子君 輸入製品たばこの自由化をしながら、世界の国々のそういうチェック体制がどうなっているかという基準も調査していない、問題が起きて初めてわかったという点に大きな問題を投げかけていると思うんですが、この基準はアメリカが製品たばこを輸入する際の基準であって、輸出する際の基準ではないと理解していますが、間違いないですか。
○説明員(頼松祥典君) アメリカにおいてはシガレットをつくります場合には、アメリカ国産の葉たばこと、それからアメリカ国外から輸入した葉たばこをブレンドするケースが多いかと思いますけれども、輸入葉たばこにつきましては今申し上げましたような規制がございまして、国産葉たばこにつきましても、国産と申しますか、アメリカの国産葉たばこでございますけれども、ダイカンバは除草剤としては使用を認められておらないというか、使用してないということでございます。 ただ、ダイカンバをなぜ規制をするかということでございますけれども、これは主として健康上の理由と申しますよりも、ダイカンバを葉たばこに噴射しますと、成長を過剰に刺激しまして、未成熟な質の落ちる葉たばこを高品質で成熟したものに見せかける、そういう作用がございますので、そういう主として経済的な理由によるものであると我々は承知しているわけでございます。
○下田京子君 健康上の理由がどうかという点については、確たる皆さんはデータをお持ちでないことを私承知してますよ。おっしゃるように、ダイカンバをたばこに使いますと、成長促進剤、成長攪乱剤的な作用をもって、未熟葉であるにもかかわらずそれが良質葉のような形になるというのは明確ですけれども、たばこ自身の健康問題が云云されておりますが、さらにダイカンバを使用したそういうものを気管に入れた場合のどうこうという点については、具体的なデータはないということもはっきりしているわけです。 私が次に聞きたいことは、このウィンストン・ライトというものは、アメリカのレイノルズ社が西ドイツで加工したものをアメリカに輸入する際にひっかかったというわけですね。輸出する際の基準にはないから、それで日本に入ってきたというふうに承知しているわけです。 もう一つはっきりさせたいのは、原料葉は一体どこの国なのか。一部パキスタンという報道もありましたけれども、けさの報道等では、また私も直接お電話で伺いましたけれども、アメリカ国産である、原料葉が、それが明らかになった。そうですね。
○説明員(頼松祥典君) 今先生がおっしゃったような報道があること、それからレイノルズ社が問題の葉たばこはアメリカ産の葉たばこであるというふうに現在申しておることは承知いたしておりますが、我々といたしましては、アメリカ政府において調査中でございますので、まだ確認はいたしておりません。
○下田京子君 皆さん方が積極的に確認をしようとしてないからです。 問題は、今回の事件でもって、とにかく日本国内において一定の基準をつくらなければならないというような認識に立っておられると思うんですけれども、その点はいかがですか。
○説明員(頼松祥典君) 喫煙の健康に与える影響というのは非常に重要な問題でございますけれども、我々もそれは十分承知いたしておりますわけですけれども、現在のところはおっしゃるようにそういう、食品についてはございますけれども、たばこにつきましては今おっしゃるような基準がないというのが現状でございます。しかしながら、今おっしゃいましたような本件の社会的な影響等にかんがみまして、今後とも業界には品質管理に万全を期すように指導いたしますとともに、引き続きまして注意を喚起してまいりたいと存じます。
○下田京子君 答えになってないでしょう。基準の検討が必要じゃないかと言っているんですよ。農水省は農薬取り締まりの行政の担当者です。国内にあっては葉たばこ生産にはダイカンバ使用はされておりません。たばこになぜこれを使わないかということは今言ったとおりです。品質上物すごく厳しい管理をしているんです。その点は福島県で、たばこ主産地でどんなに苦労しているか。ことしあたりなんというのは乾燥が若干不十分だった、全部返されているんです。農薬についての規制というのはまた一段と厳しいんです。そういう状況ですから、これは新たな基準というものも含めて検討が必要だというふうな御認識に農水省お立ちだと思うんですが、いかがですか。
○説明員(浜口義曠君) 先生の御質問は、基準について農林省どう考えるかということだと思いますが、この点につきましては今先生が既に御質問の中でお話しのとおりでございまして、農林省の農薬取締法上所管しておりますダイカンバにつきましては、芝、日本芝等々含めましてそれに対する基準というものを決めておりまして、そういう形に立っているわけでございます。 今の先生のお尋ねに直接お答えすることになりますと、農林水産省といたしましては、この葉たばこ製品の直接の所管である大蔵省のことを見守りたいと、そういうことになろうかと思います。
○下田京子君 大蔵省の動向を見守りたいということでありました。 厚生大臣、皆さん言っています、まさに責任問題を煙に巻くなど。それで、厚生大臣は私が言うまでもありません、国民の健康と命の安全にかかわるそういう責任者でもあるわけです。ですから、今お聞きのとおりでありまして、当然無視できない事件だと思うんです。アメリカ国内で販売が禁止されているんですから、それが日本に何らの製品たばこの輸入に当たっての基準がないために野放しになってきている。ですから極端な話、麻薬や毒物入りのたばこであってもチェックすることができないという状況なんですね。こういうことをよくお考えいただいて、その製品を製造し輸入してきたレイノルズ社及び輸入代理店の三菱商事、ここはかつてジエチレングリコール入りのワインの輸入でもまた問題起こしたところなんです、お呼びして事情も聞かなきゃならないでしょう。そして、大蔵省等々含めて協議してやはり輸入に関するチェック体制、きちっとどうあるべきかということを考えていくことが今大事ではないかと思いますので、大臣の決意を聞かしてください。
○国務大臣(斎藤十朗君) たばこにつきましては、大変長いいろいろな議論もあるわけでございますが、先生も御承知のように、食品とは考えられておらないわけでございまして、厚生省の直接の所管ではないわけでございまするけれども、今回のこの事件につきましては私も大いに関心を持っておるところでありまして、国民の健康を守るという立場から関係省庁において適切な対応がなされることを希望いたすものでございます。
○橋本敦君 この農薬入りのたばこが実際問題として日本で百四十一万本が既に国民に渡され、それが試供品として吸わているという事実がある。百四十一万本ですよ。だから、これで直接の健康被害が起こらなかったからよいものの、仮にこれで国民に重大な健康被害が起こっておれば一体日本政府のどこがこれ責任を持つんですか。まず大蔵省答えてください。
○説明員(頼松祥典君) 先ほども申し上げましたように、我々といたしましてはこの問題を知りましてからいろいろ調べておるわけでございますけれども、何度も申し上げますようにダイカンバの……
○橋本敦君 簡単に結論だけ、時間ないから。日本の政府のどこが責任を持つかと、こう聞いている。
○説明員(頼松祥典君) 我々は、たばこ事業法を所管しております大蔵省といたしましては、たばこ事業法所管の省庁といたしまして適切に対処いたしたいと思います。
○橋本敦君 冗談じゃないですよ、あなた。ノーチェックで入ってきて健康被害が起こったら適切に対処する、それはどうするんですか。 じゃ聞きますがね、これはアメリカ政府内の許容基準の何倍の容量か知っていますか。ダイカンバは何倍入っていますか。
○説明員(頼松祥典君) 会社からの情報によりますと知っておりますけれども、我々は正式のルートでは確認いたしておりません。まだ正式に事態を把握すべく努めておるところでございます。
○橋本敦君 五月二十日に知ったんでしょう。五月二十日に知ってきょうまであなた何しているんですか、そういうことも調査せぬで。 私は、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルという有名な経済紙がありますが、これが六月一日号でこのことを詳しく報道している。早速ワシントンにいる赤旗の特派員に電話をかけてファクスで送ってもらってこれを読みました。何とアメリカ国内で許容されている許容量の五倍ですよ。大変なものですよ。そして、これを読んでみますと、この問題についてアメリカのカスタムズ・サービス・イン・ワシントン、税関と、それからさらに税関だけじゃありません、アメリカのフェデラル・グランド・ジュリー、連邦大陪審は刑事事件の容疑で捜査を開始したと入っていますよ。なぜ刑事事件の容疑になるのか。国内許容基準を五倍も超えただけじゃありません。このレイノルズ社は禁止された農薬が五倍も入っていることを知りながら、故意に政府に対してフォールスインフォメーション、虚偽の申告をし、あるいはわざわざ間違えて事実を報告するという手続によってこれを輸入し、輸出をする、こういうことをやったという重大な違反で捜査をされておるんですよ。知っていますか。
○説明員(頼松祥典君) 五月の二十日ごろ外務省を通じまして、ほぼ先生がおっしゃったようなことをアメリカ政府から通報を受けた次第でございます。
○橋本敦君 まさに重大な問題ですよ。そして、しかも何とこのレイノルズ社の社長は日本になぜもっと早く通告しなかったかという問題についてどう答えていますか。既に二月二十五日にアメリカ農務省は米国レイノルズの本社に対してこれはいかぬ、禁止された農薬が入っていると通告しているんです、二月二十五日。それから今日まで、だから百四十一万本、国民は吸わされちゃったわけですよ。そして、いいですか、そういう問題に対して、大蔵省は五月二十日に知りながらこれを公表するという処置をとらなかったのはなぜですか。早く国民に知らして危険だからやめなさいという処置をとらにゃならぬじゃないですか。試供品で出回っていることを知っているじゃないですか。なぜ公表しなかったのですか。
○説明員(頼松祥典君) その事実は外務省を通じて知りまして以後、その直後からレイノルズ社から事情聴取します等、事実関係の把握あるいは法令関係の確認等を行っておりました。それからレイノルズ社に対しましても、現在のところ日本の法令違反の問題は生じていないと考えられるわけですけれども、この本件の事柄の性質上問題を適切に処理するように指導いたしておったわけでございます。
○橋本敦君 国民の健康を何と心得ているんですか、日本の政府は。冗談じゃありませんよ。 私は、このウォール・ストリート・ジャーナルで重大なことが書かれているのを読んできょうは質問するんです。 どう書いているかといいますと、駐日マンスフィールド大使がシュルツ国務長官にこの問題で電報を打っている。その電報の中にこのように書かれておる。日本の政府は、この問題について極めてセンシティブである、非常に神経をとがらせておる。なぜかというと、この問題と健康に対するポテンシャル、可能性、影響力、こういうものについて、いいですか、アメリカ産のほかの会社のたばこにも影響を及ぼすということについて非常に神経をとがらしている、こう書いてある。国民の健康は心配してないんです。アメリカ産のたばこに影響を及ぼして売れなくなることを日本の政府は非常に神経をとがらしている。そこで次に、いいですか、この問題について、日本の政府はアメリカに対して、調査結果の詳細についてはこれを内密にしておく方がよろしい、そのことをアメリカ政府に強く要請をした。そして、こういう次第でジャパニーズプレス、日本の新聞は恐らくはこの問題について知る機会が少ないであろう。こういう状況ですよ。こんなことを日本の政府はアメリカに対して、調査結果はキープ・クワイエット、内々にしてほしい、こんなことを要請したんですか。外務省、大蔵省、答えてください。
○説明員(田中均君) お答え申し上げます。 私ども、五月の二十日でございますが、東京にございます在京米大使館から、本件問題について通報を受けまして、通報の内容と申しますのは、レイノルズ社が日本向げへ輸出した製造たばこの一部に米法上の基準以上の除草剤を含有したたばこが含まれている、そういうことで現在調査中でございますという通報があったわけでございます。私どもの方からは、できるだけ迅速に調査結果を知らせてほしい、特にそのアメリカの中での基準がどういう理由で設けられているのかということも含めて、迅速な調査結果を知らせてほしいということを要請いたしまして、他方、国内におきましては、即日関係省庁に御連絡を申し上げた次第でございます。その間におきまして、米側の調査を極秘に進めてくださいというようなことを申し上げた経緯は全くございません。
○橋本敦君 極秘にしてくれと言ったことは全くないと言う。あなたは、そう言うならば、マンスフィールド大使に確認しなさい。シュルツ国務長官にそういう電報をちゃんと打ったとウォール・ストリート・ジャーナルという権威ある経済紙が書いていますから、調査しなさいよ。どうですか、調査しなさい。ごまかし通そうとしても通らない。
○説明員(田中均君) その件につきましては、在京米大使館に対しても、私どもの申し上げていることはこういうことであるということは五月二十日の時点で申し上げておるわけでございます。その点につきまして、私どもはアメリカの大使館からどういう電報が出ていたかということにつきましては、私どもの知り及ぶところではございませんけれども、少なくとも日本側からそういう事実を申し上げたことはないということは申し上げられることであろうかと思います。
○橋本敦君 信用できませんね。五月二十日に知りながら、大蔵省としても国民に知らせず内々に調査だとかなんとか言いながら、じんせん日を過ごしてきた。いち早く国民に警告を発すべき必要があるのに、それもやらない。こういう態度を見ても、日本政府がそういう意向を米大使館に伝え、だからマンスフィールド大使が、日本政府がこういうことだということを電報で打ったという可能性は十分あるんですよ。 厚生大臣にお伺いしますが、およそ国民の健康について一番責任をお持ちの厚生省の大臣として、今回の事件について、二度と起こらないようにするために、また、政府のとったこれまでの処置は、今私が指摘したように、国民の健康を守る上で万全とは言いがたいが、これについての御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(斎藤十朗君) 先ほども申し上げましたように、国民の健康を守るという立場から、この問題について所管いたします省庁におかれて適切な措置がとられるよう希望をいたしたいと思います。
○橋本敦君 抽象的な御答弁しかきょうは出ないわけでありますが、二度とノーチェックで毒物を含んだたばこなどが日本に持ち込まれないように、そういうことを厳しくチェックすることを要求して、時間がありませんから、この問題はこれで終わります。 さて、私は公害問題について質問をするわけでありますが、言うまでもありませんが、高度成長下における我が国の公害のひどさはまさに残念ながら世界にその名が高かったわけであります。ヨーロッパを歩きましても、公害は社会的犯罪である、ポリューション・イズ・クライムということがしばしば言われてまいりました。そういう公害によって一番犠牲を受けたのは国民であることは言うまでもない。こういうような公害をなくすために公害患者の皆さんを初めとして、どれだけ国民が闘い続け、かつ今日まで公害をなくす努力をしてきたか。これは大変なものであります。 まず、この問題について、私は環境庁長官にこういった環境行政の基本は一体何か。私はまず第一に公害被害者を全面的に救済すること。第二番目には、公害そのものの克服と防止に全力を挙げること。そして空気、水を含めて日本の環境保全に政府の行政の責任として全力を挙げること。これは変わらない政府の責任、環境行政の基本だと思いますが、長官の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(稲村利幸君) 先生からの、環境行政の基本、国民の健康の保健を使命とするものであり、国民の立場に立って科学的根拠に基づき、公正かつ合理的に対処すべきものと認識いたしております。
○橋本敦君 今長官が言われた国民の立場に立ってというそのこと、これが大事なんです。これをどう貫くか、これが今問われておるわけであります。 公害健康被害補償制度は、そういった激化する公害の中から国民がみずから立ち上がって、みずからの手で命を守る闘いを進め、つくり出した、まさに患者にとっては命綱と言うべきものであります。 私は、この問題について、この公害問題を考える場合に、今長官は国民の立場に立ってとおっしゃったが、逆に言うならば、公害発生源企業に対しては、これは社会的な不法責任あるいは損害賠償責任を含めて、国としては厳しく対処をする、これが同時に今長官が言われた国民の立場に立ってということと同じ意味で重い意味を持っておるものと思いますが、どうお考えですか。
○説明員(目黒克己君) 先ほど長官の方からお答え申し上げましたことに引き続きまして今の御質問でございますが、やはり公害行政の問題につきましては、特にこの第一種の大気汚染等を含めまして、科学的根拠に基づきまして公正かつ合理的に対処すべきということで、医学を基礎といたしまして救済すべきは救済するといったような基本的な考え方を私ども持っておるのでございます。
○橋本敦君 公害対策基本法第一条は、国の公害行政の責任として、環境保全、公害をなくすことを義務づけている。大気汚染防止法第一条は、公害を発生させる企業について損害賠償責任を負わせることを明記し、環境基準を設定をして、それに違反しないように厳しく監視することを義務づけている。我が国の公害関係法の成り立ちそのものが、これが私が言った公害企業に対しては厳しく対処するという政治責任を具体的にあらわしているのじゃありませんか。 単に医学的に科学的に公平にというだけではない、そういう単純な理解では公害問題は解決しません。 次に、大気汚染の現状の問題についても触れてみたいと思うんですが、環境庁の昭和六十年版の環境白書、これによりましても、大気汚染の重要な要因をなす二酸化窒素、NO2、これの昭和五十年以降十年間の経年状況を見てみましても、新環境基準、これは緩められたわけですから我々は厳しく批判しておりますけれども、これと比べてみても、これははるかにオーバーしているという、そういう状況が自動車排ガス測定局の測定によって明らかである、これはお認めになりますね。
○説明員(長谷川慧重君) お答えいたします。 NO2に関します環境基準が五十三年に改定されたわけでございますが、その後各種の対策を講じておるところでございますけれども、先生の御指摘のとおり、特に大都市の周辺におきまして、自動車排ガス測定局におきましてこの環境基準が未達成であるということは事実でございます。
○橋本敦君 全国的にもそうですが、私の住んでいる大阪の大気汚染はこれまたひどいものであります。例えば、光化学スモッグ注意報は、幸いにして黒田革新府政生まれて以後ずっと減っておりましたが、一九七七年以来十年ぶりに五月段階で発令されるという、そういうことが起こりました。大阪市内での大気汚染状況を調べてみますと、例えば大阪市の環境保健局の「公害の現況と対策」、ここで資料が示されておりますけれども、これによりますと、二酸化窒素について自動車排ガス測定局十一局、そのすべてで緩和された環境基準をオーバーしているということが資料で明らかですが、御存じでしょうね。
○説明員(長谷川慧重君) 御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 さらに大気汚染について言うなら、SO2だけではなくて浮遊粒子状物質、これは大変であります、都会では特に。これの浮遊粒子状物質濃度の経年変化を環境庁の調査、これによって見ましても、この十年間は著しい改善とは言えない。横ばいあるいはわずか減少している程度にすぎないということが明らかですが、間違いありませんか。
○説明員(長谷川慧重君) 大気汚染、大気の状況につきましては、先生から今いろいろお尋ねでございますが、先生のおっしゃるとおりでございます。一般的に大気につきましては、従前、四十年代に非常に問題になっておりましたSO2につきましては環境基準が達成されまして非常に良好な状況にあるわけでございますが、NO2あるいは先生お話しの浮遊粒子状物質につきましてはなかなか環境基準の達成状況がはかばかしくないという状況にございまして、私ども各自治体あるいは関係省庁と連携をとりながらいろいろな対策を講じて環境基準の達成に向けて努力いたしているところでございます。
○橋本敦君 さらに光化学スモッグ警報についてお尋ねしましょう。 この光化学スモッグの警報発令状況の延べ日数、最近五年で言いますと、昭和五十六年が五十九回、これは最低でありましたが、五十六年以後ずっとふえて、昭和六十年には百七十一回、過去十年で最高の数値を記録したことは間違いありませんか。
○説明員(長谷川慧重君) 光化学スモッグの注意報の発令日数のお尋ねでございますが、御案内のとおり〇・一二ppmを超えますと、そういう状況が持続する場合においては光化学の注意報を発令するという仕組みになっておるわけでございますが、四十八年から五十年の当時でございますと、大体三百日前後が毎年あったわけでございますが、それがだんだん減少してまいりまして、この最近の五、六年間の数字は先生のおっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 ですからこういう状況を考えますと、環境庁長官いかがですか、二酸化硫黄、SO2はなるほど減った、しかしこれで公害がなくなったと政府は言えますか。
○国務大臣(稲村利幸君) 近年の大気の状況は、全般的には改善の傾向を示してきておりますが、都市地域を中心になお改善を要すべき状況にあり、公害対策は引き続き積極的に推進しなければならないと思っております。
○橋本敦君 八分どおり私の質問を認めたような答弁ですな。そうでしょう。もっとはっきり認めるべきですよ。局長は私が指摘したことを全部認めているんだから。長官は大気汚染はかなりよくなったということを一つつけ加えておっしゃったけれども、実際は、幹線道路を中心にしてこれは高濃度化が進み、さらには広域化が進んでいるということはいろんな資料で明らかになります。 公害が終わってない、大気汚染が解消されてないという何よりもの証拠は、何といっても公害患者がふえ続けているということなんですよ。これが大事なんですよ。公害補償法が施行されてから今日まで十年余を経過しますが、昭和五十年度で全国の公害患者数は幾らか、昭和六十年度で幾らになったか、まずこれをお述べいただきたいと思います。
○説明員(目黒克己君) 全国での患者の数でございますが、六十一年度の九月現在で九万六千六百人余りということになっているのでございます。また、制度発足当初、五十年度は一万五千四百人余りでございました。
○橋本敦君 大阪市を見てみますと、昭和五十年度で九千六百三名、ところが昭和六十年度には一万八千七百六十九名と認定公害患者は激増しております。今答弁されたように、公害患者は減るどころかふえ、その苦しみは広がっている。 そして、さらに聞きますが、毎年の新規申請数は年平均どのぐらいになっておりますか、全国で。
○説明員(目黒克己君) 現在の新規の申請数でございますが、昭和五十年度に一万五千四百八十九人、五十一年度に二万二千百二十八人が認定をされているわけでございます。その後、減少をいたしまして、五十五年度以後はほぼ一定いたしまして、毎年九千人が認定されているという状況でございます。六十年度は八千八百九十八人が認定されていると、こういう状況でございます。
○橋本敦君 減ったといったって毎年一万近いそういう認定が出る。だから申請はもっとあるはずですよ。 ところで問題は、公害患者は認定された患者だけではないという、この問題もまた大事であります。一つの例証として、名古屋みなと協立病院に高木弘己というお医者さんがいらっしゃいますが、その方のレポートが「公害研究」一九八七年の一月号に掲載されています。 それを読んでみますと、名古屋市内の熱田区の調査ですが、十五歳未満の青少年、少年と言ってもいいでしょう。この人口が一万一千五百二十九名いるそうですが、現在ぜんそく患者と診断し得る子供たちの数は五百四十八名、そのうちで認定された患者が百三十七名。この関係からいきますと、認定された患者はぜんそく患者と見られるその数のうちのわずか二五%、四分の一であります。こういう潜在的患者の広がりを考えますと、これは非常に健康保持の上で大事な問題でありますけれども、こういう潜在性のある患者の存在について環境庁は調査なさった資料がありますか。
○説明員(目黒克己君) 御指摘のぜんそく等の患者の問題でございますが、この指定疾病は法律上の割り切りでございまして、さまざまな原因によって生じるものでございます。したがいまして、新規に患者が発生いたしましても、そのことをもってして直ちに大気汚染によるものであるとは言えないというような趣旨の科学的な御報告等もあるわけでございます。また先生御指摘の公害健康被害補償制度の発足以来、その周知徹底方には十分努力をしてきたところでございまして、御指摘のような調査を行う必要はないというふうに判断をしてまいったところでございます。
○橋本敦君 もってのほかですよ、調査もしないで実態もつかまないで、それでもう大気汚染はよくなったとか公害がなくなってきたとか絶対に言えることじゃありませんよ。だから今の推定数字から言いますと、現在の公害認定患者総数十万として、それの四倍四十万を超える国民が公害によって健康被害を受けている可能性があるわけです。そこで大事なことはこういった状況に対応して環境庁はどうあるべきか、これは公害補償法の改悪、地域指定解除、認定患者の打ち切り、そういうことじゃなくて、逆に今私が指摘したような二酸化窒素あるいは浮遊粒子状物質などの濃度の問題を考えますと、今環境庁長官あなたがおやりいただくべきことは、こういった公健法の改悪ではなくしてNOxあるいはこういった大気浮遊物、こういったものも地域指定要件に加えて、公害被害の一層の、公害患者の一層の救済、そして合理的でかつ十分の地域指定あるいは公害補償法全体の充実、今こそこれやるべきじゃありませんか、どんどん患者がふえているという事実に対応すれば、これがあなたのとるべき道だと私は思いますが、どうお考えですか。
○説明員(目黒克己君) 先生御指摘の患者の件等からお答えを申し上げますと、先ほども申し上げましたようにこのぜんそく等のこの指定疾病というのは、大気汚染以外のものでもさまざまな原因によっても生じるものなのでございます。そしてまた現在の大気汚染の状況のもとでは、ぜんそく等の指定疾病の主たる原因が大気汚染であるとは判断できない。したがってこのために新規に患者を認定したり、大気汚染の原因者の負担に基づいて個人に対して補償を行うことは民事責任を踏まえましたこの制度の趣旨に合わない、合理的ではないということから、現在の指定地域をすべて解除するというふうにいたしたわけでございます。また私どもは中央公害対策審議会の答申に基づきまして、この幹線道路のNOxの対策等々を含めました、地域全体を個々の患者に対する補償というよりは、地域全体に対して予防的な立場からさまざまな対策を行っているところでございます。
○橋本敦君 絶対に納得できませんよ、そんな答弁は。あなたそんなこと言いますけれども、専門家委員会の報告どう言っていますか、答申とは全く逆に我が国の大気汚染が今なお危険な状況にある、それが呼吸器症状の原因となっているとはっきり言っているじゃありませんか。この専門家会議の意見を無視して、いいですか、それで今のような答弁をする、もってのほかです。そういうことを言うなら局長聞きますから私の質問に答えてください。 四十一の指定地域について現在の大気状況、この汚染状況も含めてこれが健康へどのような影響を及ぼしているか調査したことがありますか。さっき調査する必要ないと言ったでしょう。
○説明員(目黒克己君) 私ども先ほど調査をする必要がないと申し上げたのは、新たに潜在患者についてのお答えを申し上げたわけでございますが、私ども今の先生にお答えになりますと、このようなことになるわけでございます。すなわち現在の大気汚染の状況のもとでは、日本全体を見ましてさまざまのこの研究報告あるいは専門家の御意見等を判断をいたしまして、専門委員会では現在の大気汚染の状況のもとではこの指定疾病、ぜんそく等のこの指定疾病の主たる原因が大気汚染であるとは判断できないという趣旨のことを報告されているわけであり、この専門委員会の報告を受けまして我が国のこの公害にかかわる専門家の審議会で十分御議論をいただいた上で、ただいま申し上げましたような結論に到達したものでございます。
○橋本敦君 そうじゃないですよ。専門家委員会の意見は私が指摘したように、現在の大気汚染は今なお危険な状況にあって、それが呼吸器症状に影響を与える原因となっていると言っていますよ。それよりも、いいですか、一体今度の公健法の改正ということについて具体的に言うなら、患者の声を本当に聞いたのかどうか、これが問題ですよ。私はこれについて環境庁の長官にお伺いしたいのでありますが、「エネルギーと環境」という雑誌がある。それの一九八六年九月十八日号ですが、ここにはこう書いてある。かねてから財界は指定地域の解除を含む改正をいろいろ要請をしておったことは事実でありますけれども、これによりますと、「経済団体連合会の主要業界七団体は、先週早々、制度見直しのあり方について協議した結果、環境庁側が非公式に示していた「指定地域の全面解除と基金創設案」に合意する基本方針を決定した。」環境庁は内々ひそかに財界に対して、経団連に対してはこういうようにあらかじめこういった案を示して同意を求めるようなことをしてきたんですか、事実どうですか。
○説明員(目黒克己君) 私ども今回の制度の見直しにつきましては、患者団体あるいは費用負担者側等を含めまして広範な御意見を審議会で聴取をしたところでございまして、審議会におきましてはその方々の御意見を十分に反映をしたものでございます。また、御指摘のこの審議の過程につきまして費用の負担者でございます経済界及び患者の代表の方々からも意見を聞いたわけでございますが、当然これらの関係者の方々の意見を審議の参考にすることは通常行われているものでございます。
○橋本敦君 中公審の中に被害者代表、患者代表は入っていますか。
○説明員(目黒克己君) 私ども審議会の委員の先生方の中には、この公害の医療に携わっておられる方々あるいは医学の専門家の方々等がおられまして、その先生方の御意見が十分患者の意見を反映しているものというふうに私ども理解をしているところでございます。
○橋本敦君 冗談じゃないですよ。患者代表が入っていないことをあなた今認めたと同じ答弁ですよ。もう時間がなくなってきましたが、環境庁長官、こういった問題について法二条が関係地方自治体の意見を聞かなくちゃならぬと法が厳重に定めている趣旨をどう御理解になっていますか。
○説明員(目黒克己君) 関係地方自治体の意見につきましては、これは公害健康被害補償法の第二条四項に基づきまして意見の聴取を行ったところでございます。地方公共団体におきましては、各地域の実情を踏まえまして慎重に検討をいただいたところでございます。地方公共団体の立場から広範な意見が寄せられているのでございます。その内容を見ますと、極めて長文にわたるものから短いものまでさまざまな内容を含んだ広範な意見ということに私ども承知いたしているものでございます。
○橋本敦君 そんな広範な意見聞く必要ない、賛成か反対、つまり地域指定解除、これに同意するか同意しないか、同意するというのはたった六つでしょう。はっきり答えてください。
○説明員(目黒克己君) ただいまお答え申し上げましたようにその内容について見ますと、大都市の地方公共団体を中心といたしまして、大気汚染についてはなお改善を要する状況にあるということなど、指定地域の解除に対して慎重な対応を求める意見が多かったことは事実でございます。しかしながら単純な賛成あるいは反対のみの回答ではなく、いずれもかなり長文でかつ幅の広い内容を持ったものでございまして、一概に賛否が幾つというふうに決めにくいものでございました。
○橋本敦君 要するに賛成だった六カ所である、圧倒的多数が反対あるいは慎重意見、これを無視してやろうというんだから法二条をそれこそ踏みにじっていると言わなくちゃなりませんよ。きょう私は患者の声を直接お述べするいとまはありませんでしたけれども、突然の発作で亡くなった娘さんを持つお母さんの大阪の西淀の網城さんのこの陳述書を読んでみると本当に胸に迫りますよ。本当に何としてもこの公害をなくさなくちゃならぬ、こういう思いいっぱいです。 そこで最後に、私はまさにこういった今の状況において、政府はこういった公健法を撤回をして、患者代表を改めて中公審の中にはっきり加えてさらに慎重な審議をする、これが当然長官が最初におっしゃった国民の立場に立ってやるべきこれが環境行政だというそのことだということを申し上げて、時間が来たようでありますから質問を終わります。
○国務大臣(稲村利幸君) 今回の公健法の改正は、昨年十月、中公審の答申を十分踏まえ、つまり三年余にわたり五十数回一生懸命審議をされまして、大気汚染の現状に対応して制度を公正かつ合理的なものにしたい、こういう気持ちでやっているところでございます。
○橋本敦君 納得できません。終わります。
○抜山映子君 本日は、世上興味本位に取り上げられている傾向のあるエイズ患者の問題についてお伺いしたいと思います。 エイズ患者については、身に覚えのある人、身に覚えのない人などと大変ひょうきんに取り上げられておりますが、私は正規に医療行為を受けた人が大勢エイズ患者になっているという事実に思いをいたすときに、通常の生活をしている人もエイズになるおそれがある、こういう事態を重視して、きょうは真剣に取り上げてみたいと思うのでございます。 ところで、エイズ患者が最初に発見された時期、そしてまた血友病患者の中でエイズ患者が最初に発見された時期、そしてそれの推移、数についてお伺いいたしたいと思います。
○説明員(仲村英一君) 日本で最初のエイズ患者が発見されましたのは六十年の三月でございまして、これは男性同性愛者でございました。血友病の患者さんで最初のエイズ患者が確認されたのは六十年五月でございまして、それ以降三十八人の患者さんが確認されておりまして、そのうち男性同性愛者が十一名の患者さんで六名の死亡、凝固因子製剤によります発病と思われる患者さんが二十四名、うち十六名の死亡、したがいましてそのほか異性間の性的接触、不明というのもありますが、全体で三十八人の患者さんが確認されておりまして、死亡者数は二十五名ということになっております。
○抜山映子君 ただいま伺いますと、血友病患者が大変に比率が高いわけでございます。アメリカなどではこの比率が全体の一%足らずというところから見ますと、日本は異常に血友病患者のエイズ罹患率が高い、こういうことが言えると思います。 ところで、日本では血液製剤の生産はほとんど行っておらず、米国から輸入しておるわけですが、この血液製剤のストップかあるいはこれに対して対処する時期がおくれたのではないでしょうか。
○説明員(森幸男君) 凝固因子製剤が感染原因ではないかというような前提でのお話だと思いますが、エイズにつきましては五十八年の一月に初めて原因と疑われるウイルスが分離をされまして、五十九年の二月に原因ウイルスというふうに断定をされた、その意味では極めて新しい疾病かと考えております。こういうような問題に対応いたしまして、厚生省といたしましては五十八年の六月にエイズの研究班を発足させまして、まずこの問題の対応に取り組んだところでございますが、その後におきましてもエイズ対策の重要性にかんがみまして、原因究明の進展に即応して血液事業におけるエイズ対策に最善を尽くしてきたところでございます。 ちなみに、これまでの経緯を若干申し述べさしていただきたいと思います。 今お話がございましたように、我が国の血液分画製剤につきましては、大部分が輸入血液によっているというのはそのとおりでございますが、五十八年の七月からそのような原料血漿を採取する際に、問診であるとか検診によりますハイ・リスク・グループの排除ということを行い、そしてその輸入の際にその旨の証明書を添付させるというようなことをいたしました。また、抗体検査試薬の開発に即応いたしまして六十年の七月からエイズ抗体が陰性だというふうに確認された旨の証明書のあるもののみを輸入するというようなことで指導を行う、そういうような安全対策を講じてきたところでございます。 それからまた、凝固因子製剤につきましては万全を期するということで加熱処理製剤の開発ということの指導を行いまして、六十年の七月には申請後二、三カ月ということで迅速な承認の処理をいたしたというようなことでございまして、この凝固因子製剤の取り扱いにつきましては、これまでそのときどきの学問的な進歩に対応して必要な対応をとってきたというふうに考えております。
○抜山映子君 今お伺いした範囲のことをお聞きしますと、やはり対応が非常におくれておると思うのです。 米国政府では一九八三年にエイズウイルス感染の危険性が高いグループに属する人たちに献血をとめるように勧告している。日本でエイズ問題でマスコミが騒ぎ始めたのも一九八三年ぐらいでございます。加熱処理をして安全性に完璧を期したのは六十年の七月でございますから、大変おくれておるわけですね。後手後手に回っておる。そのためにこのような身に覚えのない人が医療行為を受けることによってエイズ患者になってしまった。これはまことに痛ましい限りであると思うのでございます。 ところで、血液製剤の現在の安全性でございますけれども、献血時の問診チェックを強化された、あるいはまた加熱処理をするようになった、こういうことなんですけれども、生の血を輸血を受ける場合、感染後から抗体発現前ですね、陽性反応が出ない、その血液は生で受けるとやはり危険だ、こういうように了解しておりますが、これでよろしゅうございますか。
○説明員(森幸男君) 今先生の御質問は輸血に用いられる血液製剤の話だと思いますが、これにつきましてはすべて国内の献血で現在は確保されているところでございます。 それで、昨年、六十一年の十一月からは血液製剤の安全性を確保するという観点から、すべての献血血液につきましてエイズの抗体検査を実施しております。 今先生御指摘のございましたエイズウィルスに感染後一般的には六ないし八週間以内の者というふうに言われておりますが、抗体が検出されないというふうなことを言われております。これは現在の検査方法というものを前提にいたしますと、そういうことはやむを得ないことになっておるわけでございますが、そういうことを前提といたしまして、私どもの方では献血の際の問診を強化いたしまして、同性愛であるとかあるいは麻薬中毒などのハイ・リスク・グループや、検査を目的として献血にやってくる人々からの献血ということはお断りをすることによって、そういうような事態が生じないように最大限努力をしているところでございます。 それからなお、今申しましたように問診の徹底ということをやっておりますが、さらにこの対策を強化するという意味で自己申告制度、みずからそういうようなハイ・リスク・グループに該当するということを申告をしていただくような制度を採用することについて現在検討をいたしております。 それからもう一つ、厚生省といたしましては検査法の改善という問題にも取り組んでおりまして、今年度からウィルスそのものを検出する検査法の研究開発を進めることといたしております。
○抜山映子君 余り御丁寧に御説明いただいたんで結論がよくわからなかったんですけれども、要するに血液製剤の方はもう完璧に安全である、こう了解して、もう一つの輸血の方は問診を強化したけれども、陽性反応の出ない時期の六週間から八週間までの者についてもそれは感染のおそれがあるから少しは危険が残っている、こういうことでしょうか。
○説明員(森幸男君) これは六、八週間以内の者について抗体が検出されないというケースがあり得ると思いますけれども、しかし、そういうことを防ぐために先ほど申しました問診の徹底ということをやっているわけでございます。
○抜山映子君 だから問診を受けた人がいいかげんなことを言ったらやっぱり危ない、こういうことになるわけですね。そうしますと、やはり安全性のために自分の血液を血液バンクに預けておくとか、あるいは輸血を受けるときに指定供血してもらう、こういうことが可能だと存じますが、そのあたりはどうなっておりますでしょうか。
○説明員(竹中浩治君) 今お話のございました自分の血液を保存をしておく、そして必要な場合にそれを使う、輸血をするということでございますが、これは感染症、エイズのみならず感染症、それから血液型の不適合輸血に伴う合併症、こういったものを予防する上で確かに有効であろうと考えております。 実は我が国でもこれまでに自分の血液を輸血するということでまれな血液型、つまり何万人に一人というふうなまれな血液型の方が事故に遭った場合に備えてそういうことをやると。ただ、この場合にかなり長期間の保存になるわけでございますので、相当低温の冷凍保存が必要だということで、こういった研究が行われてきたわけでございます。ただ、現在の段階でまだ実用段階に入っていないわけでございまして、また実施できる医療機関も少なくて余り現段階では普及をしていないということでございます。この辺につきましての今後の医学研究の評価をまちまして、今の自己血液の冷凍保存というようなことについては、評価をまって対処をしていきたいと考えております。 それから指定供血ということでございますが、例えば御家族の方などでかなりはっきりしておる場合には、確かにそういう血液を使うといういわゆる生血輸血、家族等の生血輸血ということでございますが、エイズの観点から見れば、恐らくそれは安全であろうと思っております。
○抜山映子君 そうしますと、今の結論からいきますと、自分の血液を血液バンクに預けるというようなことは、これからまだ先のことである。だから、もし自分が手術する可能性がある場合には、あらかじめ自分の血液を提供しておく。こういうことならば、手術前、割と間近なときであれば可能だと、こういうように了解してよろしいですか。
○説明員(竹中浩治君) 手術を受ける方が直前ということであれば可能だと思いますが、普通の場合は、健康な時期に自分の血液をとっておいて、そういう手術が必要な病的状態になったときに使うということでございますので、自己血液の輸血というのは、原則としてはかなり長期間保存をする。したがって、マイナス何十度というような相当低い温度で保存をしなければ使えないというような点があるわけでございます。
○抜山映子君 ひとつ自分の血液を血液バンクに預けられるようなことも、大いに厚生省として考えていただきたいと思います。 それから、このエイズ関係について、厚生省保健医療局長から「AIDS調査の実施について」という通達を一九八四年の九月、一九八五年の七月、一九八六年の五月、一九八七年の一月二十八日、出ておりますが、この通達をずっと検討しますと、一番最近のものがさすがに充実しておりまして、通知先も都道府県知事、政令市長、特別区長にあてて、エイズの早期発見協力を求める形になっておりますが、一番最初のあたりについては、あて先が各都道府県知事あてになっております。 この通知の時期もちょっと遅きに失しているように思いますが、厚生省として反省する向きはございませんか。
○説明員(仲村英一君) 御承知のように、この病気が文明社会に報告されましたのは一九八一年、昭和五十六年でございまして、エイズと命名されたのは翌年一九八二年の九月でございます。私どもは五十七年、八二年の春にこのエイズに関します研究班を設置いたしまして、そこでどのような対応をすべきかということで取り組んでまいったわけでございまして、サーベイランス委員会を設けましたのが八四年、五十九年でございます。その翌年の三月に、先ほどお答えいたしましたように第一号の患者が確認されたわけでございまして、それまでに私どもとして、できるだけこの病気が日本へ上陸してくるようなことのないようにということで対策を組んでおったということでございます。
○抜山映子君 私がちょっと調べて先ほどの通知を対比してみますと、全部で四つあるわけですけれども、時期的に見て一番目、二番目のものは、三百床以上の総合病院を調査協力対象にしている。三番目の通達は、すべての総合病院に対して調査協力対象としている。四番目の通達は、保健所までも含んでいる。さらに、調査対象者も三番目までのものは、エイズの疑いのある者、四番目のもので初めて無症候性のキャリアも対象に入っている。こういうことですね。 ですから、やはり当初の方はまだ、まさか日本には入ってこないだろうぐらいの安易な思いがあったのではないかと思うのです。 それで、この通知の調査協力対象なんですけれども、私はなぜ開業医を含まないのかと。エイズ患者は、当初、風邪と同じような症状が出るというんですね。ですから風邪と間違えて開業医に行くようなことが多いんじゃないか。こういう社会の底辺部に対する考慮がまだちょっと足らないように思いますけれども、いかがですか。
○説明員(仲村英一君) この病気は非常に診断が難しい病気でございまして、過去の患者さんの例を、個々には申し上げられませんけれども、例を見ますと、何軒かのお医者さんを経てやっとエイズという診断がつくというふうな、非常に診断的にも難しいということもございました関係で、当初、三百床以上の難しい患者が比較的集まるであろうという医療機関に御協力をいただいて、そういう疑いのある患者さんは御報告をいただきたいということでサーベイランスを組み立てたわけでございます。それ以降、日本の場合にもだんだん一般の方たちにも広がる可能性が大きくなってきたということで、先ほど御指摘ございましたように、できるだけすそ野を広げていこうということで考えたわけでございます。もちろん、開業医の先生方でもし診断がつきますれば、それはしかるべく御連絡をいただくような方向で私どもとしては情報を集めるということでは考えておったわけでございますけれども、そういうことは今までのところは出ておらないわけでございますが、今後はそういうふうなことでできるだけ患者さんの情報も集めなくてはいけませんし、先ほど御指摘ございましたように、無症候性のキャリアにつきましても、我が国にエイズがどれだけ蔓延しているかということでの流行状況の把握という観点から、そういうものも対象にして情報を集めて我が国のエイズの流行の実態を把握するということから、このサーベイランスのネットワークの目を詰めたと申しますか、網を広げたような格好で対策を講じているところでございます。
○抜山映子君 ぜひ開業医にも調査協力の対象としてお願いをしないといけないと思います。特に売春婦なんかはかかりつけの開業医を持っていて、そこで診断してもらうというようなことも多いですし、一般の人も、総合病院に行きますと一日がかりなので、つい近所の開業医にまず走ると、こういうことが多いですから、ぜひ開業医も対象に加えて通達を再度お出しになることをお勧めしたいと思います。 ところで検査試薬のことなんですが、まずエライザ法による検査試薬の輸入承認を行ったのはやっと一九八六年の一月だと、こういうように了解しておりますが、そうですね。
○説明員(森幸男君) そのとおりでございます。
○抜山映子君 これはもっと早く輸入承認すべきじゃなかったんですか。
○説明員(森幸男君) この検査試薬につきましても、アメリカでの開発状況をもとにいたしまして、これは各企業から申請が出てくるわけでございますが、出てまいりましてかなり短期間で処理をいたしたというふうに記憶をいたしております。
○抜山映子君 ほかに検査方法としてどういうものがあるんですか。
○説明員(森幸男君) エライザ法のほかに凝集法という方法がございます。
○抜山映子君 ウェスタンプロット法とか、私の聞いているのでは蛍光抗体法などというのがあるというように聞いておりますが、いかがでしょうか。
○説明員(森幸男君) これは検査の手法が二段階に分かれておりまして、スクリーニングを行う検査と確認の検査がございます。先ほどの先生御指摘のものがスクリーニングで今、後からお話しいただきましたのが確認の検査方法でございます。
○抜山映子君 そうしますと、この確認の検査を今受けられるところはどこでしょうか、どういうところなんでしょうか。
○説明員(仲村英一君) 幾つかございますが、例えば各県に地方衛生研究所というのがございまして、県庁所在地にほとんどございますが、そこでは十四カ所の都道府県の地方衛生研究所が、先ほどお話ございました確認検査をできる体制になっております。それからもちろん国立の予防衛生研究所、それからほとんどの大学におきましてはこの確認検査が可能でございます。
○抜山映子君 これが整備を図ることは緊要だと思いますが、いかがですか。
○説明員(仲村英一君) 例えば東北の場合には宮城県でその能力がございます。そこで例えば岩手県なら岩手県で保健所で御心配の方がお見えになって採血をいたしますと、その方はスクリーニング検査、そのエライザ法というふうな検査で検査をいたします。それでなおかつ怪しいといったときに確認検査をするわけですが、それは非常に例が少ないわけですので、それは現在のところは仙台まで送っていただいて確認検査をやるという二段システムになっております。したがってそういう能力をどんどんふやすことも今のところ考えておりますし、ただこれは非常に手技を必要とするものですからマン・ツー・マンで二週間ぐらいかかるということでございますので、今後広げる方向で考えてはおりますけれども、現在申し上げたのは今までの体制でございます。それで血液だけを送る体制で実際検査ができますので、そういう仕組みを現在のところとっておりますが、将来的にはもっと広げたいというふうに考えております。
○抜山映子君 ところで、「AIDS患者発生時等における留意点について」という通達を三回出していらっしゃいますね、六十年七月十二日、六十一年五月一日、六十二年二月の六日と。この一回目の通達、厚生省保健医療局感染症対策課長から都道府県衛生担当部長殿という通達ですが、これには本人に告知するとか、本人の承諾を得て家庭に通知するというそういう内容が入っていないわけです。そうしますと、本人は知らないままそのまままたどこかへ行ってしまって方々うつして歩く、家族にもうつして歩く、こういう事態があったというようにこの通達からはっきり読み取れるんですが、この通達、六十一年五月一日にはさすがに本人に告知する、承諾を得て家族に通知するという留意点が入っているわけなんですけれども、六十年七月十二日のは残念ながら入っていません。こういう点もやはり厚生省として対策がおくれたということが言えると思うのですが、いかがですか。
○説明員(仲村英一君) これは性行為感染症でございまして、その主治医の御判断で当然うつす可能性のある方には告知をしていただいているということで考えておりましたけれども、入念的に、サーベイランス委員会の御意見も参酌した上で、先生のおっしゃいます二回目の通知になろうかと思います、そこでは入念的に申し上げてあるわけでございます。ただ告知といいましても、先ほど話題になりました血液凝固因子によります感染と普通の例えば男性同性愛者などの陽性との性質がおのずから違うということで、告知についても十分な患者さんのバックグラウンドを配慮しながら告知をしていただきたいということの上での告知をすべきであるという通知であることをお含みいただきたいと思います。
○抜山映子君 はっきりおっしゃらなかったけれども、対応がおくれたことはもうこれは間違いないところでございます。 ところで、一九八六年二月から東京、大阪の献血者を中心にエイズチェックを開始しましたね。これを東京、大阪に限ったのはどういうことですか。
○説明員(森幸男君) まず、最もそういう感染の可能性が高いというふうに思われた地域といたしまして、六十一年二月から東京及び大阪において抗体検査を実施したところでございます。
○抜山映子君 これをアメリカのようにすべての献血者をチェックすべきであったと、こういう点にもちょっと厚生省として甘く見ていたという点があると思うのです。 ところで、私これから非常に心配するのは、医療行為を受ける人あるいは医療行為をなす人がエイズ患者にならないための万全の配慮をすべきだと思います。特に医療関係者におきましては、医師、歯科医師、看護婦、歯科補助者、検眼士、血液透析関係者、血液銀行技術者その他まだたくさんあると思いますが、そういう医療関係者、さらに医療関係者に準ずるものとして入れ墨師あるいはピアサー、耳に穴をあける人あるいははり、きゅうをする人、さらには美容師、理容師も対人サービス従事者も含むと思いますけれども、こういう方たちに対して医療器具の消毒とか手袋をはめることとか、そういうことについてやはり私は厳しい通達を出すべきと思いますが、その点いかがですか。
○説明員(仲村英一君) 業務によってそういう感染を受けるおそれのある職種は今おっしゃったような方々だと思いますが、いろいろの通知を出しておりますし、その都度知見も新しくなっているというところもございまして、直してはおりますけれども、六十年七月以来、「患者発生時等における留意点」等にそのようなことをうたってあるわけでございます。医療機関につきましては、日本医師会ともタイアップいたしまして、先ほどおっしゃられましたような一般の開業の先生方にも全部日本医師会雑誌の付録といたしまして「エイズ診療の手引き」というものをお配りしてございます。それから、その中には院内感染いわゆる医療機関の中で従事者がエイズに感染しないようなことでの御注意をするようなガイドラインも含まれております。さらには、救急業務に関します救急隊員につきましても本年の四月に各都道府県で通知が行われておりますし、関係の業界につきましても私ども関係の部局からこの内容を盛りました通知をお出ししているところでございます。
○抜山映子君 今伺ったのでは手引だということですが、手引ではやはり利益追求も一部に目的としているところも多いわけですから、やはり通達という形できちっと器具を通じて客から次の客へうつるというようなことのないように、万全の配慮をしていただきたいと切望するものでございます。この点についてひとつ厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(斎藤十朗君) 今の点につきましては、医療従事者またそれに関連する方々につきましては従来から血液に触れる問題につきましてはそれなりの必要な知識を持ち、また必要な処置をしなければならないことはもう当然でありますので、今回のエイズ問題にかかわらず血液に関する危険性というものは非常に高い部分があるわけでございますから、そういう意味におきましてはこれが徹底されているのが当然であるわけであります。しかし、今回のこのエイズの危険性ということにかんがみまして、再度これを徹底させるように通達を出し、またその徹底を図っていく、こういうことで今万全の措置をいたしておるところでございます。
○抜山映子君 それではトピックを変えまして、身障者の歯科診療施設の設置について要請と申しますか、申し上げたいと存じますが、心身障害者の歯科診療施設というものが大変に少ないわけでございます。私の選挙区でございます兵庫県下でも五カ所しか診療所がない。ひとつこの県下の心身障害者が歯科診療を十分に受けられるようにこの施設をつくっていただくように、予算措置などを講じていただきたいと思いますけれども、いかがなものでございましょうか。
○説明員(竹中浩治君) 現在都道府県あるいは歯科医師会に口腔保健センターというものを設置していただきまして、その口腔保健センターのうち全国で六十三カ所のセンターに今お話しの心身障害者の歯科診療に当たっていただいておるわけでございます。 心身障害者の歯科診療、非常に重要でございますので、私ども今後歯科医師会等にもお願いをいたしましてこういう施設をふやす、そしてそういったことを通じまして心身障害者に対する歯科診療機能が十分確保されるように努めてまいりたいと考えております。
○抜山映子君 心身障害児の診療については、やはり健常者よりも技術的に困難な問題が多いために、この歯科保健指導教育なんかを徹底することが健常者にも増して必要だと思うのです。 そこで、心身障害児の歯科保健巡回指導事業というものを推進しなくちゃいけないと思うのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
○説明員(竹中浩治君) 心身障害児のための歯科保健の巡回指導事業でございますが、これにつきましては、現在歯科衛生士養成所におきます教育の一環といたしまして、身体障害者療護施設等への歯科巡回臨床実習教育事業の中で心身障害者のための歯科保健巡回指導を行っております。今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。
○抜山映子君 今度は動物保護の観点からちょっとお伺いしたいのですけれども、我が国には動物保護法があるわけでございますけれども、実際にはこの規定の精神が守られていないようなことが大変多うございます。 例えば捨て犬、捨て猫が処理される場合に、真空で殺すという方法でなくて、ガスで処置すれば安楽死できるということで、既に大阪府ではそういう措置をとっておるようなんですが、全国的に見るとこれがまだまだのようでございます。また、さらにそういう捨て犬、捨て猫を処置する前に麻袋に詰め込んだままほうり込んでおくというようなことも間々多いようでございます。それで、そういうかわいそうな状態に遭わすのを嫌がために、動物愛護協会の人たちがそれぞれ自分たちの家に引き取ってそれを食べさせるために、個人の力ではどうしようもないんですが、ひいひい言っているという事情があるようでございます。 そこで一つの提案でございますけれども、その捨て犬、捨て猫についてもらい手を一応PRして探すということが一つ。それから先ほど申したように、処置するまでに快適なおりだとかを用意する。それから、殺す方法も動物に苦痛を与えないような方法で処置する。この三つをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(橋本哲曙君) 捨て犬、捨て猫につきましては、動物の保護及び管理に関する法律に基づきまして、都道府県等が引き取った猫や犬について処分を大多数やっているのが現状でございます。 ただ、その際になるだけ苦痛を与えない方法で処分するということが、先生の御指摘のとおり非常に望ましいという点につきましては御指摘のとおりでございますが、法律を所管する総理府といたしましては、やむを得ず動物を殺さなければならない場合であっても、法律の趣旨にのっとりまして、でき得る限り苦痛を与えない方法で炭酸ガスによる処分を指導しているところでございますが、一部には聞くところによりますとそういう方法によっているということも聞いているところでございます。これにつきましては、なるだけ早い機会に都道府県の主管課長会議等をもって改善していきたいと思っております。さらに、犬の飼い方等につきましては、ただいま総理府の方では、この法律の趣旨にのっとりまして、犬あるいはまた猫の正しい飼い方、それから動物保護の管理に関する法律のあらまし等を作成しまして、それを都道府県あるいはまた派出所、動物愛護センター等に配付しているところでございます。さらにまた、動物管理法の三条に基づきまして動物週間が設けられておりますが、その週間中に動物週間の愛護行事を開催しておりまして、講演会とかあるいはまた写真パネル、それから動物相談等をやって啓発しているところでございますが、特に現在問題になっております犬、猫につきまして終生飼養するということに重点を置いているところでございます。それで捨て犬、捨て猫の減少を図るということが必要であるというふうに私どもは考えております。さらに、都道府県に対しましてもこういう資料を配付すると同時に、「犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領」ということを定めておりまして、その通達により指導しているところでございますが、さらに先生の御趣旨を踏まえて今後一層改善に努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○抜山映子君 ちょっとはっきり御回答いただけなかったんですけれども、処理の前に快適な生活を一応考えてやって、麻袋にほうり込んでおくというような残忍な行為をしないようにしていただきたいということと、処理する前のペットですね、一般の人でただで幾らでも引き取り手があると思うんで、それのPRをしてなるべくだれかにかわいがって引き取ってもらえるように措置していただきたい、こういう二つを特にお願いしたいのでございます。日本は動物を愛護しないということで世界からもあらゆる機会に非難されておる傾向もございますので、ひとつ先進国として恥ずかしくないような措置を総理府にお願いしまして、私の質問を終わります。
○委員長(菅野久光君) 他に御発言もないようですので、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。 次回の委員会は来る十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時十五分散会 ―――――・―――――