予算委員会公聴会 第2号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/03/20
会議録
○砂田委員長 これより会議を開きます。 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。 この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。昭和六十二年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。 なお、御意見を承ります順序といたしましては、まず佐藤公述人、次に江見公述人、続いて水野公述人の順序で、お一人二十五分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、佐藤公述人にお願いいたします。
○佐藤公述人 東京大学の佐藤でございます。 私は、来年度予算に基本的に賛成する立場から、とりわけ現在大きな問題となっております税制改正問題について、私の所見を申し上げさせていただきたいと思います。 私は、まず第一に強調させていただきたいと思っておりますのは、我が国の現行の税制がさまざまな経緯から、率直に申し上げまして天下の悪税と言っていいほどの状態になっているという点でございます。したがって、現行税制を改革する、しかも抜本的に見直し、改革するということの緊急性は極めて高いというふうに思います。 以下、その理由を簡単に申し述べます。 第一は、現在の税制が所得税に余りにも偏るようになった結果、所得の捕捉面で事実上極めて著しい不公平が生じ、世上クロヨンと言われますように、各種所得間、とりわけサラリーマンと事業者との間に負担の無視できない不均衡があるということであります。いわゆる水平的公平が著しく現行税制において損なわれているという点でございます。 我が国の直接税と間接税の比率は、国際的に見ても先生方御存じのとおり著しく直接税に偏っております。現在では直接税が約七割、間接税が約三割でございます。これは世界主要国では全く例外的な事態であります、我が国においても戦前は決してそうではございませんでした。昭和九年から十一年の平均値をとりますと、直接税は三五%弱、間接税は六五%を超えておりました。戦後でも、現在のような著しい偏りというのはごく最近になって起こった事態でございます、 現在の税制の第二の問題点は、現在行われております間接税は個別消費税を中心としたものでございますが、これが最近における経済構造の変化、消費態様の多様化、サービス化に全く対応できず、事実として税制が民間の経済活動に非常に不公平に介入しているという結果をもたらしている点でございます。 よく指摘されますように、同じたんすをとっても、ケヤキのたんす等は二〇%の課税があり、キリのたんすは全然課税されていない、あるいはスキーの道具には課税されないけれども、水上スキーの道具には一〇%の課税が行われる。こういう不平等が至るところに起こっております。そして国際的に見ましても、財とサービスの購入に対して広く一般的に課税するいわゆる課税ベースの広い間接税を持っていない、採用していない国というのは、OECD加盟国の中では我が国だけと言って過言ではございません、世界の大勢に著しく反したこのような税制に我が国の制度は現在なっているわけでございます、 さらに、我が国においてはいわゆるマル優制度と言われる非課税貯蓄制度がございますが、この制度の本来の精神は決してむげに否定すべきものではないと思いますが、これは巨額な非課税貯蓄が脱税の目的で事実として存在することは否定し得ない。そして、グリーンカード制あるいはもっと徹底した国民総背番号制を導入することなしには、このような事実上の脱税行為を有効適切になくしていくということは不可能であるわけでございます。その意味で、現行の非課税貯蓄制度についても大幅な手直しが必要な状態になっております。 既に申し上げましたように、現在の所得税に著しく偏った、直間比率の均衡を失した税制は、現行所得税制が極めて小刻みの、しかも累進性の高いものであることによって、中堅サラリーマンの負担はさらに著しいものになっております。したがいまして、もしこのような税制を今後も我が国がとり続けますと、我が国にとっては極めて憂慮すべきさまざまな事態が生ずることは確実でございます。 現にサラリーマンの間には、特に中堅以上のサラリーマンの間には非常に強い不公平感、重税感がございます。我が国の税負担の国民所得に対する比率は主要先進諸国の中で依然として最低でございます。このように全体としては比較的軽い税制にあるにもかかわらず、サラリーマン、とりわけ中堅以上のサラリーマンの間に極端な重税感、不公平感があるのは、現在の税制がいかに不平等になっているかということを端的に示すものでございます。 さらに憂慮すべきことは、現在は、御存じのように人、物、金、すべてにわたって国際的な取引が極めて活発になっている状態でございます。そして、税制とは申すまでもなく経済競争というゲームの極めて基本的なルールの一つでございます。この基本的なルールについて、我が国が国際的な標準と著しく離反した税制を持っているということは、我が国経済の活力を阻害する危険が極めて高いと言わなければなりません。世界の大勢は法人税、個人所得税を減らし、そして間接税を大きくするという方向に向かっております。これはイギリス、フランス、アメリカ、いずれもそうでありますし、我が国と並んで法人税の高い西ドイツでも、現在所得税、法人税の減税が計画されておることは皆様御存じのとおりであります。もし、主要諸外国においてこのような税制改正が既に行われ、あるいは行われようとしているときに、我が国のみがそれと著しく乖離した税制をとっているならば、我が国経済の国際競争力は著しく阻害され、さらには高所得者ないしは企業の海外流出を招くおそれさえ決して杞憂とは言えないのであります。 さらに、現在政府から提案されております税制改正は、いわゆるレベニュー・ニュートラルを原則としております。私は、それは基本的に正しい。現在まだまだ行政改革を断固として続けなければならない局面に我が国はございます、しかし、これまでのような国際的に見て相対的に軽い税負担が我が国において今後も未来永劫続くと考えるのは、余りにも非現実的な楽天主義でございます。我が国は現在、世界のどの国も経験してなかった速度で高齢化社会に向かって進んでおります一、 私は臨調、行革審に五年間にわたって参与として参加いたしました。私は、むだな財政支出の削減の余地がまだまだあるということは確信しておりますし、よく知っているつもりでございます。にもかかわらず、行革審の最終答申にも明らかに書かれておりますように、今後どのように財政支出の削減に努力をしたとしても、中長期的には国民負担は全体として一〇ポイントぐらい上がらざるを得ない。国民の老後に最低限の保障を与えなければならないと私は思いますが、もしそれをするということを目標にするならば、これは不可避の現実でございます、したがって、もし現在のような直接税に、特に中堅以上のサラリーマンに高度に偏った税制をそのまま維持しているならば、間もなくやってくるであろう高齢化社会に我が国は到底対応できないということになります。現在まさに税制改正をする最後の機会である、これをしなければ私たちは後世の世代から強く批判されてもやむを得ないと私は確信しております。 以上のような観点から税制改正は必要である、この点につきましては野党の先生方も決して御反対ではないと私は確信しております。 それでは、現在の政府案はどうであるか。大きな方向としては現在の政府案は基本的に正しいと私は思います。 現在の政府から提出されております税制改革は、大きくいって四つの柱から成っております。 第一は、所得税、住民税の思い切った減税であります、特に中堅サラリーマンの負担軽減を主眼にして、最低税率の引き下げを含む税率構造の見直し、配偶者特別控除の創設等を内容とし、総額二兆七千億というかなり大規模な減税が提案されております。 第二の柱は、法人税の税率の引き下げでございます。これは、既に申し上げました国際的な動向を考えるならばこれも実現することが焦眉の急である。我が国の経済が活力を失い、その結果全体として国民経済が衰え、その当然の結果として税収もさらに減退していくという悪循環を避けるためには、これは不可避の作業であると私は思います。 第三の税制改正の柱は、売上税の導入でございます。既に申し上げましたように、これまでの我が国の間接税は、酒とかたばことか自動車とかガソリンとかという特定の商品に限って全体としては非常に重い負担を求めております。このことが民間経済の自由な活動に対して抑制的に働く、攪乱要因として働くということは既に申し上げました。したがいまして、このような現行物品税、その他の現行間接税の問題点を解消し、あわせて高齢化社会の到来にも対応し得るようなしっかりとした税制の基礎をつくるという意味で売上税が導入されていると私は解釈いたします。そして、広く公平に財とサービスの購入に対して課税するという売上税の導入は、我が国の税制の直面しておる課題に適切に対応し、かつ国際的な潮流にまさに沿った正しい方向であるというふうに私は思います。 さらに四番目に、非課税貯蓄制度の見直しがございます。既に申し上げましたように、現行非課税貯蓄制度は脱税に悪用されている。そして、これを防ぐ方法は総背番号制の導入以外には考えられません、いかに努力をしても若干の改善以上の努力をすることはできないと思います。したがいまして、特に必要性の高い階層を除外し、それ以外のものについて非課税貯蓄制度を見直すというのは基本的に正しい方向であるというふうに私は信じております、 以上のように、現在の税制は著しい問題を持ったゆがんだ税制であり、その改正は焦眉の急の課題でございます。そして、現在の政府の改正案は、基本的な方向としては正しいものであるというふうに私は考えます。世上では売上税だけを取り上げて現在の税制改正を批判するという向きが強いように私は新聞等で拝見しておりますが、今回の税制改正というのは、もちろん売上税をその一部に含みますが、全体として大きな方向として現在の税制のゆがみをいかにして改革するかという点にあるわけでございまして、そういう全体的かつ中長期的な展望に立ては、今回の税制改正の画期的な意義というのは明らかであると私は信じます。 最後に私は、今回の税制改正の問題と民主主義との関係について、私の所見を申し上げたいと思います。 現在の税制改正について、税制改正の必要性は認める、政府の案についても問題はあっても反対でない、しかしこれは公約違反であるという主張が少なくございません。しかし、私はこの点で、選挙公約というものあるいは選挙というものは何を問われているのかということについて、より深く考える必要があると思います。私は民主主義社会、代表民主制の社会において選挙とは、前回選挙から今回選挙までに至る各党、各政治家の何を発言し、何をしようとし、何をしたかについての総決算である、そのすべてについての国民の判断を仰ぐのが選挙であるというふうに理解しております、 その点で、それでは政府及び与党はこの税制改正について過去一年以上にわたってどのようなことを言ってきたか。私は、一般的な方向としては次の四点を政府及び自民党ははっきりと選挙前に政府税調、党税調を中心にして、あるいは国会の討論において明確にしていると理解しております。 第一は、現在の税制は抜本的な見直しが必要であるという点であります。 それから第二は、その際に所得税、法人税の減税が焦眉の急であるという点であります。 第三番目は、増減税同額でなければならない。現在の我が国の厳しい財政状態を考えるならば、減税のみを行うということは無責任のそしりを免れない。税制改正は抜本的に行われなければならないが、そしてそれは所得税、法人税の軽減を中心にして行われなければならないが、それは増減税同額でなければならない、レベニュー・ニュートラルでなければならない。これが政府及び自民党が選挙に至る一年以上の期間にわたって繰り返し指摘してきた点でございます。 第四番目は、それと密接に連関いたしまして、直間比率は見直さなければならないという点であります、 以上の四点は繰り返し指摘されておりまして、この四点は税制改正の基本方向を示す点で必要な最低限のポイントを的確に指摘していると私は思います。 選挙の公約というのは、選挙に対して政党や政府が責任を負うのは、そういう大きな方向についての明示であります。その点で特に公約違反である、あるいは民主主義のルールを踏みにじっているという批判は私は当たらないというふうに考えます。 さらに、一つの政策決定ごとにその都度選挙をするというのは、いわば直接民主制を導入しようという考え方に基づくものであります。選挙というものは、我が国のような大規模な政治社会における民主制というのは間接民主制、代表民主制にならざるを得ない。これは人類の長い知恵と経験が積み重ねてきた結論でございます。そういう間接民主制の基本的な特徴というのは、選挙と選挙との間における各政党、政治家の言動を有権者が最終的に判断するということでございます。そして、その間、したがって選挙が終わった後の現在における政策については、その最終的な結果は次の選挙によって問われるというのが正しいあるべき姿であるというふうに思います。一つ一つの具体的政策においてその都度民意を問うための選挙をしなければならないというのは間接民主制の原則を直接民主制の原則に切りかえるものであるというふうに私は思います。 それから、税制改正と民主制の問題について第二に私は強調いたしたいのは、百歩譲って仮に現在選挙をすることが望ましいとしても、選挙が意味があるためには、与党、野党の税制改正についての基本的立場が明確に提示されなければなりません。その明確な立場はどのようにして提示され、そしてどこが対立し、どこが違うか、それぞれの案のメリットとデメリットがどこにあるか、それを明らかにする最も適切な場は国会であります。国会における審議を通じて、与党、野党各党がそれぞれ現在の税制についてどう考えるのか、税制は改正する必要がないと考えているのか改正する必要があると考えているのか、もし改正する必要があるならばどのような方向で改正するのかについて明確な提言をし、かつその討論をし、その討論の結果を国民に仰ぐというのが民主主義のあるべき姿であります。そのような討論をすることなしに選挙をせよと主張するのは、私は国民代表として率直に申し上げて無責任な態度であると言わざるを得ないというふうに思います。 それと関連いたしまして、私は最後に、野党の先生方にはあるいは失礼に当たるかもしれませんが、現在までに明らかにされております野党の税制改正案は、率直に申し上げて、計数において間違いがあるかあるいは現実性のほとんどないものであるというふうに考えます。 野党の税制改正案の中で特に言われているのは、第一はグリーンカード制の導入であります。第二は富裕税の導入であります。第三番目はキャピタルゲイン課税の強化でございます。第四番目は歳出カットであります。これが私は、特定の野党というよりは、野党の中で行われておりますさまざまな税制改正の対案の主な点であろうと思います。 ただし、この中でグリーンカード制の導入は、私はそれ自体は決して悪いものとは思いませんが、これを行うことが果たして可能であろうか。それから、既にかつて一度グリーンカード制を導入しようとしたときに、一部の野党がこれに強く反対したという事実もございます。そのようなグリーンカード制が本当に実現できると主張者は考えておられるのか、私は強い疑念を抱かざるを得ません。 第二は富裕税でございます、富裕税についてもいろいろな書き方があると思いますが、現に我が国でも昭和二十年代に富裕税を一度試みたことがございます。そして、短期間にそれを廃止せざるを得ませんでした。なぜならば、富裕税というのは捕捉できる資産についてのみかけられるものであります、その結果、富裕税をかけるとなると、不動産に不当にかかるということにならざるを得ません。ところが、現在のように経済が複雑化しサービス化している段階では、富というものはさまざまな形で保有できるものでございます、したがって、一億総背番号制を極端に徹底的に強化するという努力をしても、あるいはしなければもちろん不可能でありますが、仮にしても、大幅な脱税行為を阻止することは富裕税において不可能である。富裕税は現行の税負担の不公平をさらに促進するものであると私は思います。 さらに、キャピタルゲインの課税の強化でありますが、これも基本的には決して否定さるべきものでないと私は思います。ただし、一部の野党から提案されております有価証券取引に対する課税強化は、現在のように国際金融が自由化されている状態で、我が国だけが既にかなり高い有価証券取引税をさらに強めるということは、せっかく育ちつつある東京マーケット、国際的なマーケットになりつつある東京マーケットを事実上崩壊させるものであると私は思います。 さらに、土地についても、私はキャピタルゲイン課税は慎重に、しかし強化されるべきであると思いますが、これも不用意に行いますと、いたずらに土地の供給を制限し、土地価格の上昇に油を注ぐという危険が十分に考えられます。 最後に、歳出カットでございます。 私は、臨調、行革審を通じて歳出カットの実現に、行政改革の実現に努力をしてまいりました。そして、まだまだ歳出カットを今後も断固として続けなければならないと思います。その点でも、新しい行革審が一日も早く発足することを私は強く念願しております。 ただし、率直に申し上げまして、どのように歳出カットに努力をしても、私はかなり大型な所得税、法人税減税を補うだけの、レベニュー・ニュートラルを実現するほどの歳出カットは至難のわざであると思います。まして、長期的に高齢化社会の到来に備えるための税制を歳出カットのみで実現することは、率直に言って不可能であります。一部の野党は防衛費の削減によってそれを補うべきであるということを言っておりますが、防衛費は総額としても比較的少額であるだけでなく、国際的に見ても、防衛費の削減を今我が国が行うことは、我が国の安全保障に著しい障害をなすだけでなく、国際的な摩擦を一層激化させる結果になることは火を見るよりも明らかであります。 以上の理由によりまして、私は、より実現可能性のある明確な対案が提示され、この国会において与野党を通じ十分な審議が行われるということが、意味のある選挙が行われるための基本的前提である、その前提を一日も早く満たしていただきたいということを繰り返し申し上げまして、私の意見開陳を終わらせていただきます。(拍手)
○砂田委員長 どうもありがとうございました。 次に、江見公述人にお願いいたします。
○江見公述人 おはようございます。最初にちょっとお礼を申し上げたいと思います。 とかく芸能家とか芸術家は、こういう場へ呼ばれまして発言をさせていただく機会がなかなか得られないわけでございます。私の記憶でも、過去には著作権法の改正のときに文教委員会に仲間が呼ばれた、私も付添人で来た覚えがございますが、それ以外に余りないと思います。特にこんな大事な国の予算委員会の場において芸能と政治の関係を述べさせていただくという機会を得たことを大変感謝しております。恐らく、何か歴史的なことじゃないかというふうに考えております。 私は、私たちの基本姿勢みたいなことを主として申し上げて、多少象徴的な数字については申し上げますが、細かい数字等は後の御質問に答える形でまたお答えしたいと存じております。 入場税対策連絡会議というのは長たらしいので、入対連と俗に私たち申しておりますが、現在傘下には二千三百十二団体にもなりまして、ここには私どものような芸能実演家の団体のほかに、鑑賞団体も、それから市民の文化団体も、それから制作者とか劇場関係の団体も一緒にやっております。 私たちの願いというのは非常に簡単でございまして、自分たちが職業家としてやっているこの舞台芸術を、何とかすばらしいものをつくって、しかも機会多く安く国民の皆さんに鑑賞していただくということを願いとしているわけでして、また鑑賞団体の方から見れば、同じようにひっくり返した形で、安くいいものに接したい、感動を得たい、生活を豊かにしたいという願いが込められているわけでございまして、入対連としては、別に売上税で今度こういう組織ができたわけではございませんで、名前のとおり入場税の撤廃を求めて長いこと、終戦直後から先輩たちが運動を続けてきたわけでございます。 その中で、六十年からやっと免税点が上げられまして、大方の芸能家がほっとしたところでございますが、今度売上税が出て、そこに吸収されるということで大変な不安を抱いております。 昨年の七月二十八日、文化庁が委嘱いたしました有識人による民間芸術活動の振興に関する検討会議というのがございまして、その報告書の中でもこういうことが言われております。冒頭にあるのですが、「文化は、人間が人間であることの証しであり、」云々という言葉がございます。私どもはこの言葉の重みというものを非常に大事にしたいと思っているわけでございます。 人間は万物の霊長で、知性豊かな動物でございますけれども、知性だけではやはり生きられない。感性がなければ人間らしく生きていくことはできないということはだれも否定できないと思います、その感性というのは、これはもう理屈ではなくて、さまざまな感動によって感性部分が豊かになってくる。感性部分が豊かになっていけば感動することも多くなる。そうすると、仕事をやりましても、子育てをやりましても、あるいは年をとって孤独になりましても、いろいろな生きがいというものを感じることができる。英国の作家の例で、何か百歳以上の老人の方をずっと取材して歩きましたらば、一様にその百歳以上の方が感動する能力が豊かであったというようなことを新聞で読んだことがございます。私たちはそういう部分で何か役に立つことをしているんだという自負心で仕事をしているわけでございます。 ところが悲しいことに、我が国ではとかく芸能とか文化という問題は後回しになりがちでございまして、食糧や燃料のようにはなかなか扱っていただけないようでございます。一言に言えば、国の文化政策というものは決して豊かではなかったんではないかというふうに思います。 その具体的な証拠として文化予算というのがございますが、どうも年々減少しております、それも、なぜか日本が経済大国と言われるようになって、お金持ちになるに従って文化予算の方は少なくなる、何か不思議な気がいたします。たくましき文化国家というよりは、何か悲しき文化小国ではないかというような感じがするわけでございます。 ちなみに、本年度、国家予算に占める文化庁予算の割合というものがございますが、昭和四十三年の文化庁創設以来の最低の数字になりまして、〇・〇六七%を記録しております。来年度も同じようなことでございますが、フランスでは〇・八六%で、一けたほど違いがございます。ちなみに国民一人当たりで見ますと、フランスの場合は、文化予算が四千六百七十円も一人に使われておる、しかし日本では三百十円しかないということでございます。それも、文化庁の予算というのは文化財保護の方が主体でございまして、我々の現代芸術の振興という方に回される数字というものは非常に少ない数字でございます、 御質問があればまた後でお答えいたしますが、こういう状況下であるにもかかわらず、観客の方、国民の方の欲求というのは何となく高まってきておりまして、ちなみに児童生徒の年間の鑑賞者数というのを申し上げますと、幼稚園から高校まででございますね、これは国の主催公演というのは除きますが、今から九年前になりますか、昭和五十三年のときは七百八十八万三千六百三十四人でございました。昭和六十年にはこれが千二百九十七万二千七百四十九人。この七年間で約一・七倍にふえております。五百万人ほどふえているわけでございます。幼稚園児から高校生までの児童生徒の人口というのは二千四百万人でございますから、今の年間鑑賞児童数というのは総児童数の五四%に上っているわけでございます。 創造する方の劇団の状況をちょっと申し上げます。 国民のこういうような舞台芸術に対する要求というのは非常に高まってきているわけでございますけれども、劇団が百四十三劇団ございまして、四千九百五十名が児童たちに見せることに活動しておりますが、これらの劇団が得ている事業収入というのは総計で百七十五億円前後でございます、一劇団当たり平均で一億二千万円。一人当たりの所得推計というのは百六十万円前後でございます。ここに売上税が導入されますと、このような劇団というのはもう赤字すれすれのところで、自分たちの給与というものは我慢しながらやっているわけでございますけれども、赤字でも今度は売上税がかかってくるわけでございます。そうすると、これはもうつぶれかねません。 ある劇団の例で申し上げますと、この劇団は、劇団員が百五名おりまして、平均年齢が三十四歳でございますが、平均の年収の方は百六十四万円です。一般の勤労者の方に比べて非常に低いということがおわかりいただけると思いますが、この劇団の場合、六十万人の方が鑑賞していただいているわけです。事業収入の方は四億一千万円ほどあります。ところが、売上税を納めるということになりますと、単純計算いたしましても二千万円余の売上税がかかってくるわけでございます。今までは、入場税は、免税点のおかげで、こういう小さい劇団はそう高く取っておりません、五千円以下でございますからゼロであったわけですね。それが二千万円かかってくるというようなことになりますと、今の給与でも百六十万円前後で我慢しているのに、こうなってきますと、もう経営的には全く演劇活動というのは停滞せざるを得ない、もうやめざるを得ないというようなところへ追い込まれる。劇団員の今申し上げたような情熱でやっと劇団を支えているわけですが、今この劇団はやっと三百四十万ぐらい利益を上げているのですけれども、二千万円の税金がかかれば一千七百万円ぐらいもう足りないわけでございます。ですから、これはまことに過酷なものであるということがおわかりいただけると思います。 オーケストラの例をちょっと申し上げますと、十九あるオーケストラで約千五百名の楽団員の方が活動しているわけでございますが、総経費で見ますと百八億円。事業収入で六十二億円。しかし、あるオーケストラは公的な補助を得ていますので、それの額は二十六億円。その他で十一億円。ここで不思議なことに、問題なんですけれども、公的な補助を多く受けているオーケストラは、その公事業収入の比率が低くなりますから、売上税の経営に与える影響というものは比較的少ない方だということが言えますね。ところが、公的補助の少ない方のオーケストラは逆に非常に過酷な状況に追い込まれるということが言える。弱い方がもっと弱くなる、こういうことになると思います。 補助金、寄附金比率が七%と低いあるオーケストラの例で申し上げますと、ここはオーケストラの楽団員が九十七名、約百名おりますが、この方々の平均年収は二百四十二万円です。これも低いですね。これは平均年齢三十七歳になります。このオーケストラの事業収入は年間四億八千万円ほどです。そうすると売上税の負担は二千四百万円ということになります。入場税でやっておりますときは、昭和六十年は免税点が五千円以下になりましたので四万円ぐらいで済んだんですね。それが今度は、それもオーケストラの入場税の場合は主催公演の入場料のみに課せられていたのに対して、それが大きな収入源であったわけですが、公立文化施設とか鑑賞団体での公演収入とか放送出演にまで課税対象が広がりますので、これも大変な大打撃になるということです。 私ども、いずれにしましても、芸術家の特徴というのは、おわかりいただけると思うのですが、非常に付加価値が高いものです。幾ら台本があり演出家がいても、最終的にはその人間でなければ表現できない、その体でなければ表現できないということがあります、例えば音楽でも、コンピューター操作で楽譜に最も忠実な演奏ができたらそれが最高の演奏かというと、それはそうではございません、ということをこの間NHKか何かでやっておりましたですね。やはり人間が微妙な変化を与えながら感情を込めてやったときに本当に人に訴えることができる、そういう付加価値の高いものでございます。つまり、体一つ、楽器一つで芸術を生産しているわけでございまして、何というのですか、通常の商行為とちょっとそこの辺が違う。無形の何か感動を与えていくみたいな、無形財産みたいなことでございますから、どうしても私どもは売上税というのは、外国でもそう言われておりますけれども、この芸能とか芸術関係にはなじまないものじゃないかというふうに考えております。 特に、昨年暮れ売上税制が言われましたときに、私たちは何かよくわからなかったですね。どうなってしまうのか中身がよくわからなかった。しかも、非常に短期間で検討されましたために非常に混乱と不安が募りました。そして、だんだんわかってくるに従って、どうも私たちには、普通の商取引と同じように考えていいのかな、それもいわゆる劇団のように自分から生産者になってつくっていく場合と、例えばテレビに出演したときに御注文があって出ていってやる場合とではちょっと流れが変わってきますので、なかなか理解しにくい点がございました。 古今東西を通じてやはり芸術は、自助努力でやればいいじゃないかとよく言われますけれども、自助努力だけではなかなか芸術というのは育たないし成り立たないということがヨーロッパなんかでも言われておるわけでございます。ですから、一言に申し上げますと、もし売上税が実施されますと、芸能家はもう活動が停滞し、芸能文化そのものが枯れてしまう。ですから、私たちはあくまでも撤回していただきたいと思うわけです、 欧米諸国では売上税が大変高いということが言われておりますが、それも年々ふえ続けている数字というのを知っておるわけでございますけれども、しかし芸術面においては非常な配慮がされています。フランスなんかでも、一般は一八・六でしたかですが芸能の方には七%にするとかいろいろな配慮がされている。しかも今度は補助、出す方の文化予算みたいなものが、先ほど申し上げたようにまるで違うわけです。一般に芸術活動というものに対しては手厚い保護がされて、しかも国民は低料金で芸術を鑑賞できる、芸能家も人並みの報酬が得られる環境を政治がつくってくださっているということでございます。 私たちのこの主張の根本というのは、入場税撤廃運動のときから文化予算増額というようなことを柱に立てましたのも、要するに自分たちの業界エゴイズムというか自分が楽になればいいというようなことではございませんで、自負心があるわけですね。それはやはり私たちは、人間になくてはならない、知性とともになくてはならない感性部分を育成するというか、感動を与えることによって感性部分を、育成と言うとおこがましいですが、豊かになっていただく、その補助的なささやかな役目ですけれども、しているんだという自負心に立ってやっているわけでございますから、例えばもし売上税が実施されませんでも、それから入場税というものが撤廃されましても、私たちの願いとしては本当に日本が世界から尊敬されるような、文化国家と言われるような文化政策がしかれるまでは運動を続けたいと考えているものでございます。 終わります。(拍手)
○砂田委員長 どうもありがとうございました。 次に、水野公述人にお願いいたします。
○水野公述人 名古屋大学の水野でございます。 ただいまから、昭和六十二年度予算案につきまして私の意見を述べさせていただきます、 円高の影響が浸透しつつある厳しい事情のもとで予算が編成されました。しかし、以下の点におきまして今回の予算は景気と財政再建をできる限りの努力を払って両立させようとしたものであるとして基本的には賛成でありまして、予算をなるべく早い時期に成立させることを強く望むものであります。 第一に、一般歳出を五年連続マイナスの伸びといたしまして、一般会計歳出の伸びでも〇%でありまして、四千四百五十億円の公債発行減額を実施いたしました。その結果、公債依存度を一九・四%と、実に十二年ぶりで二〇%を下回るということを達成いたしました。財政再建の姿勢を堅持しているという点が第一であります。 第二に、一般会計歳出としては、公共事業費の伸びは四年連続マイナスでありますが、事業量につきましては、種々の工夫によりまして名目GNPの伸びを上回る五・二%の伸びを確保している点であります。また、三十万人雇用開発プログラムの促進であるとか住宅対策、中小企業対策等もあわせまして、内需の拡大に対してもできる限りの配慮をしていると思われます。 第三に、水田農業確立対策、国鉄改革、産業基盤整備基金の設置、三十万人雇用開発プログラムの推進、また第八次石炭対策といったような各種の構造的な改革への新しいスタートを切るということにしている点も注目されます。 第四に、年金給付の改善、生活扶助基準額の引き上げ、在宅福祉の充実、また教育面におきましては四十人学級の推進とか初任者研修制度の試行、教科書無償給付の継続、私学助成の増額、また消費者麦価の引き下げなどによりまして、国民生活に対する配慮も努力の跡が見られます。 第五に、政府開発援助の充実、科学技術振興、文化交流の推進などによりまして国際社会への貢献も図っております。 以上、極めて厳しい財政事情のもとでありますが、財政再建を着実に進めながらも、景気、国民生活、国際社会への貢献に対しましてできる限りの配慮をするとともに、将来に向けて構造改革のスタートを切った予算案であると言うことができます。国会の審議の状況によりますと予算の成立は大幅におくれておりますが、予算の成立のおくれというものは公共事業による景気振興にも重大な支障を生ずるおそれがありますので、できるだけ早く成立させることを望みます。 以上、六十二年度予算案に対する総論としての賛成論を述べましたが、以下、特に三つの問題について意見を申し上げたいと思います、 第一は内需拡大と財政再建の問題であります。第二が税制改革の問題であります、第三に財政再建の今後の展望の問題であります。 第一の内需拡大と財政再建の問題につきましては次のように考えます。 円高によって大きな打撃を受けている産業が、また企業があります。経済全体としての景気停滞の様相がかなり濃くなっております。また、雇用不安も懸念される状況にありまして、政府に対して積極的な景気対策を求める声が強いということは当然とも言えます。また外国からも、経常収支の不均衡を是正し世界景気の拡大に寄与するためにも我が国に対して積極的な景気対策を求めてきております。 内需の拡大につきましては、既に政府は財政金融政策によりましてそれらの要望にできるだけこたえようと努力をしておりまして、また六十二年度予算においては、先ほども申し上げましたように、苦しい財政事情の中でできる限りの配慮をしているところであると察します。 私も内需拡大の必要性を認めまして、そのためにできる限りの努力を払うべきだと考えます。しかし、あくまでも財政再建の基本路線を崩さない範囲でという限定条件を守るべきであります。論者の中には、内需拡大のために一定期間財政再建を棚上げせよという、いわゆる財政再建モラトリアム論だとか、財政再建路線を転換して建設公債増発に踏み切るべきだという意見もあります。しかし、私は次の理由でこれらの意見には反対であります。 その第一は、積極財政によって日本経済が当面する困難な問題というものを解決すると期待することはできないからであります。財政の景気拡大効果には疑問が持たれるようになっておりまして、また一たん公債増発によって積極的財政政策に転じますと、次から次へと財政的刺激を必要とするようになりまして、財政赤字の増大を招き、経済に対して種々の弊害をもたらすようになります。積極的財政政策には麻薬的な危険性があると考えます。第二に、現段階におきまして最も求められております政策は、構造転換というものを促進し、それをスムーズにする構造政策であります。また、民間経済を活性化するための諸政策であります。いたずらにマクロ的な積極的財政政策に頼るということは、ともすれば経済の活性化や構造転換をおくらせる効果も持っているということに注意する必要があります。 第三に、公債増発を含む積極的財政政策への転換というものは、これまでの血のにじむような財政当局による努力の積み重ねによるところの財政再建を一挙に崩壊させる危険をはらんでいるということであります。 赤字財政がどうしていけないかということにつきましては種々議論のあるところであります。中には赤字財政を続けても差し支えないという意見もありますが、私は財政の対応力というものがだんだん弱まってまいりまして、財政に対して期待される諸機能というものが十分に発揮できなくなるところに大きな問題があるというふうに考えます。現に赤字財政による公債発行の結果、公債残高は累憎いたしまして、六十二年度末には約百五十二兆円に達しまして、その利払いのための国債費が六十二年度一般会計予算では十一兆三千億を超える状態になっております。これは一般会計歳出の二〇・九%という割合を占めるわけであります。仮にこの国債費が不要であったとしますと、この十一兆三千億以上という財源をもっと有効な支出に向けることができるわけでありまして、例えば公共事業費であるとか社会保障の充実であるとか、こういうものに回せるわけであり、また数兆円の減税というものも容易なわけであります。 できるだけ早く赤字財政から脱却し、財政の対応力を回復するということが何よりも必要であると考えますし、そのための財政再建であります。よほど異常の事態、例えばこのまま放置しておきますと不況がますます深刻化し、失業者が増大して経済が破綻の憂き目に遭うという、こういうことになるのでもなければ財政再建の手綱を緩めるべきではないと考えます、 次に、第二の問題の税制改革に移りたいと思います。 今回の税制改革は、税制のゆがみを是正しまして、今後の我が国の社会経済の変化、特に高齢化の進展というものに対応できる税制の確立を目指したものでありまして、所得税、法人税の減税とマル優廃止、売上税導入がセットになっております。この税制改革は幾つかの点で問題ははらむものではありますが、これまでの税制を抜本的に見直したものでありまして、シャウプ税制改革に匹敵するものであるというふうに考えられます。 その目玉は何といっても売上税の導入であると思われます。最近、この売上税の問題につきまして議論が活発でありまして、国民の関心が最も高い問題になっているのは当然かと思います、 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 しかし、これらの議論を見ておりますと、反対のための反対とか、あるいは大局を見誤りまして目先のことあるいは狭い利害関係からの反対というものがかなり見受けられまして、ムード的にこれを葬り去ろうとする傾向が見られることは残念であります。私は次の理由で売上税導入を強く支持したいと思います、 第一に、これによりまして直間比率の是正が図られ、真の税の公平確保というものが期待されることであります。 所得税は依然として税体系の基幹的地位を占めるものだと考えますが、しかし他方、余りこれに頼り過ぎますといわゆるクロヨン問題というような、所得の捕捉が不十分なために起こる不公平の問題、こういうものが激化いたしますし、それによって税に対する不平不満というものが増大すると思われます。所得税のみで税の公平を確保するにはおのずから限界がありますし、また所得税自体にも、制度といたしましてもある種の限界を持っております。例えば有価証券のキャピタルゲイン課税というものがきちんと行われにくいというのはその典型的な例であると考えますが、このために、間接税を補強して所得税の不備を補いまして、実質的な税の公平を確保することが必要だと考えます。 第二に、売上税の導入によりまして間接税体系の合理化が図られるという点であります。 現行の物品税等の個別売上税では、課税物品の選定とか税率の決め方におきましてどうしても恣意性が避けられません。そして経済の変化に適応できなくなっております。その結果、経済に対して中立性を欠いたものとなりまして、また税収の伸長性に欠けた税ともなっております。このため、現行の個別売上税を一般売上税タイプのものにする必要があります。これが今回考えられております売上税でありまして、EC諸国では付加価値税と呼ばれているものに当たると思われます。 この付加価値税は既に西独、フランスでは二十年前に導入されておりまして、イギリスでも導入されてから既に十五年ほどたっております。現在では主要先進国中、国税で付加価値税を実施していない国というのは日本、アメリカ、カナダぐらいのものでありますが、アメリカでは州税として小売売上税を持っておりますし、またカナダでは製造者売上税を持っております。個別売上税のままというのは、先進国の中では日本だけだと言えます。この点では最も後進的な国だということが言えると思います。 第三に、売上税の導入によりまして所得税、法人税の減税が可能になりまして、景気に対してもよい影響を持つものと期待されるとともに、財政再建についても今後の展望を開くことが期待されることになります。 〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 売上税については、種々の反対論もあることは承知しております。例えば、仕組みが複雑でわかりにくいという批判がその一つであります。しかし、私は、所得税や法人税と比べまして売上税が特に複雑で難解であるというふうには思われません。我が国にとっては初めての税でありますので、最初はいろいろ問題を生ずることは予想されますが、しかし、その気になってお互いに努力をすれば克服できない問題では決してありません。 売上税は中小業者にとっては納税事務が煩雑で価格への転嫁が困難であり、その税が中小業者にかかってくる、そして経営困難に陥るおそれがあるという批判もまたあります。しかし、年間一億円未満の事業者は非課税業者となっておりまして、また中小業者で課税業者になる場合にも、手続の簡素化という面でいろいろな工夫が払われております。価格への転嫁につきましては、お互いに早くこの税の性格というものを理解しまして、この税は業者が負担するものではなくて、業者は税を納付はするけれども、価格に転嫁して、最終的には消費者に負担してもらう税であるという性格を十分に理解して、価格に転嫁する取引慣行というものを早くつくり上げることが重要でありまして、初めから転嫁ができないものと決め込むことには問題があります。 また、売上税を導入すれば消費を減退させ経済をデフレ的にするので、円高不況の進行しておる現在ではその導入を避けるべきであるという意見もあります。しかし、売上税だけを考えればそういう効果は否定できないかもしれませんが、これは売上税だけを導入するというのではなくて税制改革の一環として行うわけでありまして、特に所得税、法人税の減税とセットになっておるということを考える必要があります。既に申し上げましたように、全体としては税収中立的、すなわち税の増収額と減収額は同じでありますが、景気に対しましては、減税分の景気拡大効果の方が売上税の導入によるデフレ効果を若干上回るものだと考えます。したがって、売上税即不況の深刻化としてとらえることは妥当なとらえ方ではないと思われます。また、五%程度の売上税の導入に参ってしまうようなひ弱な経済では日本経済は決してないというふうに確信しております。 もちろん、今回の税制改革が満点のものであるというふうには決して思いません。税制改革というものは本来政治的な問題でありまして、そこにはいろいろな政治的な妥協であるとか、また現実にその税制を執行する場合の税執行面の制約というものもありまして、必ずしも理論的に理想とする姿に持っていくということは容易ではありません。したがって、今回の税制改革におきましても、そういった点からの理想とすべき姿からの乖離がかなりあるということは否定できないわけでありますが、しかし、現行の税制よりははるかにベターなものであるということは確実でありまして、この際、よりベターな方向に税制を切りかえていくということが重要であろうかと思います。ローマは一日にして成らずと言われますが、税制改革も一回にしては成らずでありまして、将来さらに第二次、第三次の改革を進めて、よりよい税制をつくり上げていくことが我々の責務であるというふうに考えます。 最後に、財政再建の展望について触れておきたいと思います。 財政再建につきましては、昭和六十五年度までに特例公債発行依存から脱却することを目標にして各種の制度改革、また、ゼロあるいはマイナスシーリング方式によりまして専ら歳出抑制によって進めてきたところでありまして、それにより、着実に財政再建の成果を上げてきております。しかし、その前途を見ますとまことに厳しいものがあります。政府の方で発表しております「中期的な財政事情の仮定計算例」というものによりますと、昭和六十五年度までに特例公債依存から脱却するためには、六十三年度から三年間、毎年一兆六千億円以上の特例公債発行減額を行っていくことによりまして初めてその目標が達成されることになっております。そのためには、国債整理基金特別会計への定率繰り入れを停止するといたしましても、歳出抑制のみで行うとすれば、一般歳出の伸びを引き続きゼロに抑える必要があります。 私は、歳出抑制による財政再建というものが最も基本的であるというふうには考えますが、これを長期にわたって続けることは無理ではないかと思います。私は、一昨年もこの予算委員会の公聴会に出席いたしまして、「増税なぎ財政再建」から「増税も含む財政再建」への転換を主張いたしました。この考え方は現在でも変わっておりませんが、ただ、今回の税制改革は税収中立というものをプリンシプルとしまして、三年間でこれを実現を図ろうとするものでありますので、今直ちに「増税も含む財政再建」に転換するということを求めることは無理であると承知しております。 増税はできないといたしますと、日本経済が好転して税の大幅な自然増が生ずるというような事態になるのでなければ、六十五年度の目標を再検討せざるを得ないのではないかと思います。歳出の抑制によってこの目標を達成することが可能であれば結構でありますが、どうしても無理のような気がいたします。余り無理をしますと健全財政運営の諸プリンシプルをさらに損なっていきますし、歳出構造のゆがみを拡大しまして財政の対応力をますます弱めることになると懸念されます。大きな政府になることは防がなければならないことは当然でありますが、対応力の弱い財政でもまた困るわけでありまして、早い話が、景気停滞の色の濃い現在、財政の出動を求められておりますけれども、財政にその力がなければ何ともならないわけであります。 財政再建はあくまでも進める必要がありますが、目標年度六十五年度というものが果たして達成できるのかどうか、十分に検討してみる必要はあると思います。ただ、ここで強調する必要がありますことは、経済がよほどの困難に陥ったのではない限り、財政再建を棚上げしたり財政再建を放棄したりすべきではないということでありまして、不退転の決意で財政再建を推進し、財政力の回復をなるべく早く実現してほしいものであります。 以上をもって私の意見の陳述を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○砂田委員長 どうもありがとうございました。 ―――――――――――――
○砂田委員長 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吹田愰君。
○吹田委員 それでは順次質問させていただきますが、何分時間がありませんから極めて一方的になりますが、簡単に御答弁をいただきたいと思うわけであります。 まず、我が国の経済は貿易の不均衡などの種々の条件が重なっておりますし、さらに円高等で景気が非常に低迷ぎみであるというようなことで、極めて困難な局面に立っているということは御理解いただけるわけでありますし、同感であろうと思うのであります、特に鉄鋼とか造船不況、そういったものに代表されておりますように、失業問題が大きな社会問題となりつつあるわけであります。景気対策のためにも、私どもは今与党としましてこの予算を一日も早く成立さすということ、そうしてこれを実施するということ、これが全国民が望んでおることだと思っているわけでありますが、公述人とされまして、このことにつきまして一口で、イエスかノーかじゃありませんが、これに対してどうお考えになっておるか、賛成であれば賛成、反対であれば反対とおっしゃっていただければ結構だと思うのでありますが、お伺いいたしたい、
○佐藤公述人 私は全く賛成でございます。
○江見公述人 絶対に反対でございます。
○水野公述人 私はイエスであります。
○吹田委員 ありがとうございました。 江見さんには後ほどお伺いするとしまして、まず佐藤公述人にお伺いするわけでありますが、税制改革の必要性というものは目先の利害関係だけにとらわれるものではないというふうに思いますし、それから、我が国の社会経済の長期的展望に立って判断すべきものであろう、こう思うわけであります。 そこで、最近、税に対しましての御論議が各地で行われておりますが、国会でもなされておるわけでありますが、この論議には売上税だけを特に抽出して、売上税だけを取り出して議論をしておるかのような状況であります。こういった点がいかがであろうかな、こう思っているわけであります。売上税の導入は所得税、それから法人税の減税と実はセットになっていると私は思います。このことが忘れられておるのではないか、忘れがちになっているのではないか。いや逆に、このことは一切触れない、そうして売上税だけを大きな声でやっておる、こういう感じがするわけでありまして、売上税が大悪税のごとき印象を国民に与えているということは非常に私は遺憾であります。反対論者は反対のために反対という感じもしますし、あるいは政争の具に使われておるのではなかろうかと思う節もあるのであります。こういった点につきまして、佐藤公述人からひとつ御所見を伺いたいと思います。
○佐藤公述人 現在の税制が極めて好ましくない状態になっているという点につきましては、私は、広くこれは国民のコンセンサスができつつあると思います。野党の皆様方のお出しになったものを見ても、現行税制は維持すべきであるという主張は少しもございません。ですから、税制改正の議論をする場合にはまず税制の抜本的見直しが必要であるという共通認識の上に立って、それではどうしたらいいかという議論があるべきであるというふうに思います、 しかも、現在の厳しい財政状態を考えれば、長期的にはさておき、少なくとも当面はレベニュー・ニュートラルでなければならない。しかも所得税、法人税の減税が必要であるという点は、これも私も野党の御主張を少し調べさせていただきましたが、かなりの野党が賛成をしていらっしゃいます。ですから、一方で所得税、法人税を減税するなら、何らかの財源措置が必要であります。そのときに、国際的に見ても、またその経済効果から見ても、既に私が申し上げましたように、課税ベースの広い間接税を比較的低い率でかけるのが最も妥当な方法であろうというふうに考えております。したがいまして、御質問のとおり、私は、まず現行税制がどのように問題であるか、それに対してレベニュー・ニュートラルの原則のもとでどのような改革が可能であるか、そこに議論を集中すべきであるというふうに考えます、
○吹田委員 昨日の公述人の中には、こうした方がおられました。売上税が一たん導入されますと税率の引き上げというものが簡単に行われるであろう、そういうことから私は断固反対します、こういうような御意見を伺ったのでありますが、私は、このことにつきましては決して必然的なものではないと思うのであります。将来国民が国に対して何を望んでおるかということから考えてまいりますと、すなわち社会保障の問題というものを特に充実をしてもらいたい、この必要性を訴えるといたしますと、それに対しまして、その段階で必要であればそれに対してどう考えていくかということであり、国民の同意を得られるべく行ってみて、それが得られればその方向をとろうし、あるいは、いや小さい政府の方がよろしいんです、そういうものはやるべきでないということであるとすれば、それはそれなりの方法を国会がとればいいわけでありまして、この方法を取り入れたならば必ず今後はどんどんどんどんと税率が上がっていくんだという考え方は私は必ずしも適当でない、こう思うのでありますが、佐藤公述人はどのようにお考えでありますか。
○佐藤公述人 まず第一に、事実といたしまして、これまで諸外国で課税ベースの広い間接税を導入した場合に、税率を下げた例がございます。これはフランスに現にございます。ですから、間接税を導入すれば必ず上がるというものでは、まず事実としてありません。 それから第二に、それは簡単に上がるというのは、国会を侮辱、軽べつしたといいますか、信用しない議論である。国会議員の先生がそんなことをおっしゃるはずはまさかないと私は思いますが、そういうことは考えられないことである。これは、税率は法定主義でございます。法律で決まるのでございます。その法律は、この国会を通らなければ成立しないのでございます。逆に言えば、どのような税制でも国会を通れば成立するのです。その点では、税制改正の難易に有意の差があると考えるのは国会軽視であり、国会不信である、そのような国会不信をもし招くような事態がこれまでにあるとすれば、それ自体がゆゆしき事態であると思います。
○吹田委員 ありがとうございました。 それでは江見公述人にお伺いするわけでありますが、江見さんには初めてこうしてお目にかかるわけでありますが、私はテレビで伺っておるわけであります。テレビで伺う限り、そう言っては大変失礼でありますが、「水戸黄門」等で悪代官で出てくるわけでありますが。大変な悪代官でありますが、切った張ったで最後は倒れるのですね。ところが、きょうここで伺いますと、全く正義の味方のようなお話でもありますし、認識を一新をいたしたのであります。 そういう意味でこれからひとつ伺いますが、あなたの団体は文化予算を要求する、あるいは入場税の撤廃の問題を言っておる、あるいはまた今回の売上税は絶対に撤回しろということを言っておられることも承知の上でありますが、極めて平易に短絡的に伺いますと、税制というものを大きく分けますと所得税と、収入の場合にいただく場合と、お金を使う場合の消費の場合にいただく税金と二つに分かれると思うのでありますが、この点につきまして、そういういずれの場合にしましても最も配意しなければならぬ点は何と思われますか。
○江見公述人 経済学者じゃございませんのでなかなか難しいと思いますけれども、テレビで例えば「水戸黄門」をつくるような場合でも、おまえたちはつまり非課税業者じゃないか、後でまた言いますけれども、プロダクションというマネージメントするところがございまして、そこを通じますと、そこからギャランティーを受けておるときは、そこが全体で一億円の売り上げになると税金がかかってきます。それから今の場合は、非課税みたいな場合になった場合でも、結局そういうテレビ番組なんかの制作というのは下請が今非常に私どもの関係では多くて、スポンサーからお金がおりる、代理店へ行く、放送局へ行く、映画の親会社へ行く、子会社へ行くという各段階で何らかのそういう売上税みたいなのがかかるだろう、そうすると、いろいろなしわ寄せが結局、一番制作現場のところへしわ寄せされてくる、そこでは当然一番俳優というところに、弱いところへしわ寄せされてくる。 今御質問の間接税との関係ですけれども、間接税というのはなかなか痛みを感じにくいですね。何だかちょっと高いけれども、こういう必要なものはやはり買うという形、直接税の方はやはりそれは直接出しますから身にはこたえますけれども、結果としてはやはりいつの間にか生活が苦しくなっていくという、知らない間にそういうふうになっていくというところを配慮しなければならないのじゃないかということは私感じます。
○吹田委員 今公述人もおっしゃいましたが、知らず知らずに云々というお話がありますが、やはり税というものは公正、公平でなければならぬということがその基本であろうと思うのですね。これが原則だと思うのでありますが、そうなりますと、現在とかく言われておりますクロヨンとかトーゴーサンとかさっきからもお話が出ておりますが、こうしたいわゆる公平感というものに対する問題点でありますが、この税負担についてのこういったものを是正するための方法として、どのようにすればそのクロヨンとかトーゴーサンとかというものがなくなるであろうかということが、これは国会でもいろいろと論議されておるところですね。されておるのでありますが、江見さんは役者として、こういう場合、切った張ったでどういうふうに、クロヨンというものを、トーゴーサンというものをなくするのに何かいい方法があればひとつ教えてもらいたいのですが、いかがでしょうか。
○江見公述人 どうしたらいいんでしょうね。クロヨンとトーゴーサンに対応することですか。 私ども芸能家というのは、先ほどお聞きいただいたように、つまりいわゆる商取引とちょっと違うものですから、普通の労働ともちょっと違う。何か預けられたもので、台本はあるけれども同じ技術力、私とだれか同じ技術力で同じ役をやりましても、やはりAさんがやるのと私がやるのとでは、ごらんになる方から見れば価値観が違うわけでございますから、なかなかそこのところが難しいですね。
○吹田委員 それは私も専門家でない江見さんにそんなことを伺ったことはかえって大変失礼だったかと思いますが、それでは別のことについて、時間がありませんから一言お伺いします。 これは大変失礼なのですけれども、江見さん、あなたは今恐らく相当な所得税を納めておられる高額所得者じゃないかと思うのですが、今度の所得税法の改革ということの計算からしますと、どのぐらい減税になるのでしょうか。計算してみられましたか。
○江見公述人 まず相当な所得になるであろうというところでもう違いますので、相当な低い所得でございますから。今度の所得税減税ということで、私、計算をしてみたことはございません。直接的には、所得税の方では私自身は余り影響ありませんが、非常に高額の方は逆に低くなるかもしれませんね。しかし、後ほど申し上げようと思ったのですが、平均して芸能者の所得というのは非常に低いのです。全芸能人、音楽家も舞踊家も演芸家も入れまして三百二十三万円しかございません。これは一般勤労者の平均所得が四百五万円のときに三百二十三万円でございますから、二〇%ほど低いのです。なおかつ、二百万以下の人が四一・何%もおります。
○吹田委員 それでは、江見さんに最後に、私はむしろ自民党の党員という立場からこの際申し上げておきたいと思うのであります。 きょうは本当に御出席になったこと自体を自分から歴史的だとおっしゃいましたが、人間の感性というものを豊かにする芸能ということに極めて精進していらっしゃる皆様方、江見さんを初め皆さん方のために御活躍を特に私は期待するわけでありますし、我々党としましても、自民党としても、文化等に関する予算の問題等につきましては、今後も最大限の応援をさせていただくということを、この際申し上げておきたいわけであります。このことはお礼を意味して申し上げておるわけでありまして、御出席に対しまして感謝いたします。また、失礼な発言をした点もありましたら御勘弁いただきたい、こう思っているわけであります。 そこで、最後に水野公述人にお伺いします。 直間比率の問題についてでありますが、先ほどからお話を承っておりますけれども、高齢化社会に備えるバランス、そういったことを考えますと、税制の実現のためには何としましてもやはり直接税というものだけに頼り過ぎるという、いわゆるその方に比重を非常に重くするというようなことは、税の負担感というものが強まる、先ほどもお話がありました。私も全くそうだと思う。 そういうことからいたしましても、現行の間接税のままで、もしもこの比重を高めていくというような形になってまいりますと、これは大変不合理な状態というものが拡大するのではないか、こう思うわけであります。そういった意味から、今回の直間比率の改革というのが必要になってきたと思うのでありますが、その点につきまして、御所見をまずお伺いしておきたいと思います。
○水野公述人 先ほども意見で申し上げましたように、私はこれまでの我が国の税制のひずみといいますか、所得税に余り偏り過ぎた税制というものは、いろいろな税の公平の確保という点から問題が生じますし、今後の高齢化社会の対応でどうしても財政需要の増大は避けられない。そのための財源といたしましての税収の確保という点で、余り所得税に頼り過ぎるとますます実質的な不公平というものが拡大するのではないか、そういう意味で、公平の観点からいっても間接税の補強をもつとする必要がある、そのためには売上税の導入が必要であるということを申し上げましたが、そのとおりでありまして、税の取り方といいますか税収の確保には、特に大きく言いまして、所得の入るところと所得を使うところでかけるか、どちらでかけるのがいいかという、すなわち所得税か支出税かという問題がありますが、私は、やはり税制というのはいろいろな種類の税がうまく組み合わされてバランスをとっているところに、お互いの長所また短所を消し合っていい税制ができるというふうに考えておりますので、所得のところで取ることがいいのだとか、あるいは支出のところでやるのがいいのだというように、余り両方、いずれかであるかというように決めつけるのは問題だと思いまして、両方ともやる必要、また、しかもそのバランスが大事だということを考えております。
○吹田委員 委員長、もう一点だけ。 時間が超過しましたものですから、野党の先生に大変失礼でありますが、一点だけ簡単に伺いますが、法人減税ですね。この法人減税につきましては、企業の活力を今回高めることになるであろうということをまず考えますね。それから投資の活発化ということにも資するであろう、こう思います。さらに雇用の安定にも大きく役立つであろうというような面から国民経済、国民生活に大変な好影響を及ぼすであろうし、また企業を我が国にそのままくぎづけていくという面からも大きな役割を果たしていると私は思うのでありますが、公述人の立場から水野さんいかがお考えでしょうか、ちょっと伺っておきます。
○水野公述人 おっしゃる御意見のとおりだと私も同じように考えております。 我が国の法人税、御承知のようにここ数年間若干引き上げられてきまして、他方イギリス、アメリカでは法人税の減税をやっておりまして、税率を引き下げるところもありますし、またアメリカのようなところは租税特別措置で、投資減税とかその他の租税特別措置の強化で実質的な税負担を軽減するということでもって企業の活力を高めていくという努力をしておりますが、日本の場合は租税特別措置の方は整理合理化で非常に縮小しておりますし、税率も依然として高いということ。このままではやはり国際競争力といいますか、あるいは経済の空洞化を招くという点で問題がありまして、この際やはり今回のような税負担の引き下げというのがぜひ必要だというふうに考えます。 この点につきまして、国民生活との関係で、どうも企業の減税は関係ないんじゃないかという顔をしている人が多いのですけれども、現在日本の納税者の非常に多くの人はサラリーマン、給与所得者でありまして、給与所得者はどこから所得を得ているかというと企業から所得を得ているわけで、企業が健全な発展をしなければ所得の確保、生活水準の向上というのは望めないわけでありまして、直接所得税の減税だとか、こういうことと関係ないから法人税の減税が余りプラスにならぬというふうに考えるのは目先にとらわれた考えだということで、感心できないと思います。
○吹田委員 ありがとうございました。
○砂田委員長 上田哲君、
○上田(哲)委員 江見公述人にお伺いをいたします。 文化と政治の関係についての御発言に大変感銘を受けた次第であります。江見さんは舞台入場税対策連絡会議の代表として長く御活躍でありまして、十年ぐらい前になりますか、私はその立場からあなたのお話を聞いて雑誌に一文を書いたこともございます。そういう長い御努力をまたここで目の当たりにいたしまして、ぜひ率直にお伺いしたいことを四点ばかり整理してまいりました、 第一に、江見さんが代表をしていらっしゃる俳優さんあるいは演奏家あるいは芸能実演家、そういう方々は大変テレビ等々で華やかに見え、そしてまた大変高い収入を取っておられるというふうに思われているわけであります。大変ある意味では失礼な踏み込みになるのでありますが、特別な方々は別にして、およそこうした方々の生活実態を率直にお話しいただけ札はありがたいと思います。
○江見公述人 実演家、芸能実演家――実演家という言葉は著作権法で位置づけされましたので、そういうふうに私どもも呼んでおりますが、俳優とか音楽家とか舞踊家とか演芸家、すべてのそういう団体を包含している私どもの芸団協という団体がございまして、社団法人でございますが、五十八団体今包含しております。そこで芸能人の実態調査をやりました。さまざまな報告があるわけなんですが、それによりますと、芸能実演家全体の年齢が四十六・三歳という平均で、芸歴が二十四・一年、かなりもうこれはベテランでございますね。この人たちの平均年収が、先ほどもちょっと申し上げました三百二十三万円でございます。これは本人の副業も含んでおります。つまり本業だけの収入ではないということですね。さっきも申しましたように、そのときの一般勤労者の平均収入というのが四百五万円でございますから、約二〇%も低いということが言えると思います、しかも、これは全く失業状態でぶらぶらしているのではないかと思われるかもしれませんが、そうではございませんで、年間三百六十五日のうち二百五十日はきちっと仕事をしているわけです。あいているときは専ら自分の芸を磨くためのいろいろな準備をしている。通常の言葉で言うと、劇団なんかですと仕込み状態であるということでございます。 しかも、今のは平均でございますけれども、大きな問題というのは、さっきもちょっと申しましたように二百万円以下の芸能実演家が四一・四%もおります。俳優の方で申しますと、本業収入だけで食べていける俳優というのはおよそ一〇%前後ではないかと今見られております。ですから、ほとんどの人が何らか自分でも別のバイトなり何かをしながら支えているということでございます。 通常、テレビや何かのコマーシャリズムの世界では、どうしてもあのスターさんでなければこの企画は嫌だというようなことになりますと、そこへは通常、喧伝されますように非常に高額なギャランティーが支払われておりますが、そうなるほどに逆に、私のようなかたき役とか若い新人とか、そういうやはりなくてはならない、かたき役がいなくちゃ切る相手がいないのですから、これがほとんど苦しい状態にいるということでございます。決して芸能人はよくないのです。一般よりよくないのです。
○上田(哲)委員 ちょっとそれはもう少し伺わせていただきたいのでありますが、今のお話で、二百万円以下が四一・四%だと、つまり、そうしたギャラだけで生活できるという人が一〇%しかいない。副業というのは、例えばどんなふうに、どうして暮らしているのか、赤裸々にひとつお伺いできればと思います。
○江見公述人 これをずっと丹念に見ていけばいろいろと出てくるのでございますけれども、それこそ夜、劇団の人や何かは昼間どうしてもやりますので、公演のあいているときなんかは新宿あたりの酒場とかでバーテンみたいなことをやったりとか、女性も、女性の場合はバーテンというか、そういうところで働くことは割合避ける人が多いようですけれども、細々といろいろ人のお手伝いをしたりとか、あるいは原稿を書いたりとか美術関係の方の雑誌のいろいろお手伝いをしたりとか、さまざまでございます。
○上田(哲)委員 立ち入って申しわけないんだけれども、代表である江見さんも何かほかのことをやらなければやっていけない方ですか。
○江見公述人 そうですね、これも今の状態だと本当食えないかもしれません。私も、別に申し上げて構わないと思うのですが、税金申告をいたしましたから、私の本業の収入が去年二百数十万です。こんな少なかったことは初めてです。それ以外で、つまりこうやって働くことで、会議費なんかで少しいただいたりとか、俳優連合などは一回の会議費が千円で、役員手当というのは全くございません。芸団協では多少いただいたりということですね。何かやってないとだめですね。私は原稿の仕事も結構やっております。
○上田(哲)委員 後ろの方から、好きでやっているんじゃないか、こんな声もありましたが、私は好きで文化はできない。そういう面では、好きだからやっているということで文化が語られてしまうんだったら、私は大変残念な、非文化国家を目指している政治じゃないかと思いますから、立ち入ったいろいろな御質問をして申しわけないと思います。 そこで、二点目にお伺いしたいのは、今度の売上税にさっき絶対反対と言われた。みんなつぶれてしまうだろうというお話なんですが、しかしこの問題は、売上税の前にそもそも入場税の問題から深く尾を引いているので、言うなればその上にまたと、こういうことなんだろうと私は理解をいたします。江見さんは戦後四十年間入場税の撤廃を叫び続けてこられて、一昨年やっと免税点が五千円に引き上げられた。やっとですね。舞台芸術にとって入場税というのはどんな影響をこれまで与えてきたか、ぜひひとつ、売上税の前の段階になりましょうけれども、そうした問題も御開陳いただければありがたいと思います。
○江見公述人 本当に入場税、私も戦後四十年やったわけじゃございませんで、最近なんですけれども、入場税というのは御存じのように昭和十三年、ちょうど私が中学何年生かの、四年ぐらいかな、そのときに設けられたそうで、これは戦費調達という目的で、日支事変ですか支那事変ですかがきっかけだと聞いております。それで、戦争がだんだんエスカレートするに従ってそれがどんどんどんどん上がっていって、終戦の年には二〇〇%になっていた。つまり、当時百円ぐらいですかね、百円で見られるものが三百円出さなければ見られなかったということで、もとはなかったわけですね。 それで、その当時いかに入場税というその二〇〇%という額がすさまじいものであったかということは、これは昭和二十二年の数字がございます。そのときは税率一〇〇%なんですけれども、当時で五十六億円も納めているのですね。当時の歌舞伎の入場料というのが十円から四十円といろいろ段階があったわけなんで、今の入場料は約二百倍ぐらいになっております。ですから、現在の価値観に換算いたしますと、この五十六億円というのは今で言えば何と一兆一千二百億円の勘定になるので、やってみてびっくりしたわけです。ですから、オペラの藤原義江さんなんかは本当に四十年も五十年も一生懸命努力されたわけでして、藤原さんがもう本当に怒りに燃えながら、涙を流しながら、ボストンバッグに十円札をいっぱい入れて税金を納めに行ったというお話を伺っております。ですから、この入場税対策連絡会というか撤廃運動というのは、もう終戦直後からすぐ、二十幾日からか、始まっております。 先輩たちの考え方も、私が申し上げましたように、戦争中はそういうものはぜいたくだと言われたのですね。芸術はぜいたくだと言われたのです。だから、それはぜいたくなんじゃないんだ、生活にどうしても不可欠なものだ、人間の心の部分を豊かにする、これは食べ物と一緒だという考え方で先輩たちが運動を続けてこられた。おかげさまで、私たちが長く運動したおかげで政治の方でも配慮をいただいて、六十年に免税点が、映画は千五百円から二千円、舞台関係の方が三千円から五千円に上げていただいたということなんですけれども、売上税になりますと、もとからそこが、入場税が吸収されてしまいますので、全くもとから赤字でもがかってしまうというようなことですね。 劇団やなんかの数字を申し上げますか。さっき申し上げた子供たちの舞台芸術鑑賞の状況というのをちょっと申し上げますと、さっきも申し上げましたように、一団体当たり年間百七十日公演しまして、二百九十八回になるのですが、平均すると売り上げで一億円を大体超えてくるだろうと言われております。細かい劇団の数字もございますので、後で申し上げます。
○上田(哲)委員 今ちょっと触れられたので、そこを私もお伺いしたいと思っておりましたが、アクターといいましょうか皆さん方とは逆に、見る方ですね、見る方からしても、今度の売上税問題が影響してくると思うわけですが、特に私は取り上げたいのは、演劇鑑賞の青少年の観客増といいますか、これが非常に大きくなってきている。これは情操教育というような面からいっても非常に私どもは重視しなければならないと思うのでありますが、私も非常に注目しておりますので、最近、青少年の演劇鑑賞、この比率が非常に高まってきていると思います。その辺の実態をひとつお調べであれば御説明いただき、そして、そういうものが売上税によってどんなような影響を受けるのかというあたりも、もし言及していただければ幸いでございます。
○江見公述人 さっきも申し上げましたように、児童生徒の年間の鑑賞者というのは千三百万人になるわけですが、今まではほとんど入場税の免税点以下であったわけですね、それがどのぐらいやっているかというと、公演日数で一万八千九百日、公演回数で二万八千五百六十二回やっておるのですが、これは毎日ほとんど全国の五十二の学校でずっと公演活動が続けられているということになります。この数字は児童生徒対象の上演をしている演劇・音楽団体九十六団体の調査でございまして、一団体当たり年間百九十七日、二百九十八回やっております。仕込み期間を除いてはほとんど一年じゅう公演をし続けている。数字だけで見ますとほとんどの団体は、売り上げそのものに今度の税金はかかってきますので、しかも、それが売り上げのところで見ていきますと一億円を超える課税団体がほとんどになってしまいます。入場料というのはほとんど子供から集めているわけで、学校公演では一人当たり大体五百円から八百円ぐらいの平均で集めている。 それから、子供劇場というのがございますが、これは全国で今五百二十の地域に子供劇場というのがございまして、会員数でいいますと四十六万人を超えております。壱岐とか対馬とか沖縄とか、そういうところまでだんだんふえていっておりまして、お母さん方が、つまり学校教育ではなかなか満たされない感性部分の教育をしたいということで始めたものですが、年々ふえ続けておりまして、ここでは会費を七百円から八百円、もうちょっと高いところもあるかな、ぐらいの会費で年に五、六回の鑑賞活動をやり、また自主的な何か文化活動みたいなものをやっているわけですが、そういうところに税金が、売上税が今度はかかりそうだということですね。 子供にとってはこれは非常に楽しみなことでございまして、本当にこれ自体が、鑑賞すること自体が一つの教育ということを私自身も経験がありますので感じているわけです。例えば、非常に感動的な舞台に接したために、今まで何十日も登校拒否をしていた子供が突然だれにも言われないで登校するようになったとか、あるいは、自殺もふえているのですが、自殺を思いとどまったというような例もございます。どうも売上税というのは、子供の成長を助ける文化にまで税金をかけることになるのではないかと思っております。
○上田(哲)委員 大変重要な問題だと私は思うのですね。舞台に立っている方は、好きだからやれ、食わずでもやれ、こういうめちゃくちゃな論理が仮に通るとしても、今の演劇を支えているのは、見る側の、特に青少年のウエートが非常に高いということは大変大事な看過できない視点だと私は思うのですね。一言繰り返しますけれども、それが売上税ということになると、そういう観客が打撃を受けるというふうに深刻に考えなければならないと理解してよろしいわけですか。
○江見公述人 これは、やる方も先ほど申しましたように非常にやっていけないという状況になる、劇団の方も。それから子供の方も、そこに税金がかかるということでは、平均的な収入の方はどうも結果的に増税になりそうだというようなことから、どこかで生活費を切り詰めなければならないということになると、そういう文化教養費みたいなものも切り詰めなければいけない。どうも子供が見ようというものにまで税金がかかるということと、それから自分たちが活動する面でも、つくる方も両方打撃を受けるということになります。
○上田(哲)委員 大変よくわかります。 問題をもう一遍もとに戻しますが、江見さんに私はいつか伺ったことがあります。あなたはかたき役で、憎々しく演技をして、そして最後にばったり倒れる。倒れ方が工夫できないんだそうですね、もう今の激しい制作案件の中では。幾つもの殺され方を研究する余裕がなくて、いつも同じ形で倒れて死ぬ、これでは一体舞台芸術をあるいは創作活動をまともにできないじゃないかという嘆きを承ったことがあります。その状況はよくなっていますか、もっと悪くなっていますか。
○江見公述人 だんだん悪くなっております。今でも、売上税に関係ない段階でも、これはまた先生方にお考えいただきたいのですが、テレビの番組から比較的お金のかかるドラマというのがだんだん減っていっております。それで、しかもテレビドラマは、放送局が自主的につくる場合と下請に映画全社に出す場合とは全く法的扱いが違いまして、放送で使われる場合は著作権法で、九十一、二条でしたかで正当な額の報酬というものが二次的な利用について保障されているわけで、私どもは団体協約も結んだりしているわけですが、それを知ってか知らないでか、要するに放送ドラマの九十数%というものは下請制作に回されています。そうすると、これは法的には映画的著作物ということで、契約でもとから録音、録画権というものしかなくて、それを駆使して最初の契約でのみすべてカバーされるということで、「水戸黄門」が今でも東野さんの古いのが放送されたりしておりますが、あれについての再放送料というのはだれも受け取っていないわけですね。特別に力のある人で契約をできた人はそうかもしれませんが、企業と一俳優という間柄では、これはもう強者と弱者の関係でございますから、絶えず何かというと泣かされるのは俳優の方になっておりまして、大体テレビドラマというのは、俳優ばかりじゃなくて、先ほど申しましたようにお金が、幾つもの段階があって、スポンサーから孫請のところの制作会社へおりてくるまでは幾つか手数料みたいなものが落っこちていってしまいますから、だんだん少なくなって、そしてそのしわ寄せが現場へ来ております。ですから、先ほど上田さんがおっしゃられましたように、かたき役の工夫でも、いつも同じパターンでやっていたのじゃおもしろくないですから、私なんかも、かたき役をやるときは余り憎らしくないようにしていてだんだん本当に憎らしいというふうに見えるように工夫をしようと思っているのですが、若い人なんかも出てきて、自分がああしまった、もう一遍やってもらいたいなと思っても、すいません、もう一遍お願いしますということはなかなか言いにくい。もうどんどこ短い期間で、時間で撮り上げていかないと嫌われてしまう、使ってもらえないというようなことになっていて、これは質の低下につながっていきます、 それで、下へおりてきたときの俳優費というのは大体二二%ぐらいあるわけなんですけれども、さっきも申しましたように、ごく一部のスターさんを除いてはとてもとてもまともな額じゃございません。ですから、しかもそれが月二本もできればいいところでございまして、だんだん仕事が減っていますので、本当に俳優さんは今危機感を持っております。しかも「水戸黄門」なんかも時代劇なんかはほとんど京都でつくられているわけですが、それに通う交通費も源泉されておりますし、それから引雑用と称する宿泊費の方も二千円しかもらえない。その二千円から二百円の源泉もされている。ですから、日にちが一日一日延びていきますと、大体一本について二週間ぐらいスケジュールを押さえられちゃうのですが、本当にやるのは三日か四日、長くて五日ぐらいですね。 ところが、それが飛び飛びになるものですから、間があいてもずっといなければならない。そうすると、千八百円で何とか一日過ごさなければならない。こんなことはできるわけないので、どんどん赤字になっていくからだんだん泣きべそになっていく。しかも、そこでギャラを先にいただきますれば何とかやりくりはできるのですが、ギャラの方はだんだん支払いが遅くなりまして、四カ月でいい方、五カ月、六カ月、七カ月、ひどいのは一年近くもというのがございます。したがって、今本当にきついわけです。 それでこれが、売上税が入ってきますと、放送の場合も相対的な影響として、もうくどく申す必要もないと思いますが、やはり質の低下ということが始まります。キャスティングを、わき役を十人ぐらい雇いたいのだけれどもまあ七人ぐらいに減らそうかとか、あるいはギャランティーを少し安く値切ろうかとか。ところが、さっきも申しましたように、逆に売上税がかかってくる部分がありますから、そうすると、マネージャーは本当はもとからその分五%よけいにもらいたいところなんですけれども、とんでもないということになります。そうすると、これをどこへ持っていくかというと、俳優さんにもう五%手数料をふやしてくれないかというようなことが起きてくるのではないか、 今大体二〇%ぐらいのマネージメント料を払っていて源泉が一〇%ですから、七掛けの、十万円で七万円のところが私に五カ月ぐらい後で入ってくるわけですが、それがまた五%減るというようなことになりかねないわけですね。これはつまり、非課税のところと課税のところと違いますが、非課税のところは逆に一般の業者の方と同じように御用命がなくなってしまうのじゃないかというような不安もありますわ。 それから、納税コストというのが物すごく高くなってきますから、つくる映画会社の方もマネージメント業の方も、納税コストが非常に上がってくる。マネージャーなしで個人でやっている俳優さんもいますけれども、そういう人まで、高い人は自分でやらなければならない。芸能人は大体数字に弱い方でございますから、これは大変なことでございます。 それで、私たちが一番心配するのは、質の低下、それから量も減っていくのじゃないか。質が低下すれば自然に視聴率みたいなものも落っこってきますし、くだらない番組がふえていくのじゃないか。つまり、一般的な影響というものを非常におそれています。それから、職業的にも維持できなくなるのじゃないかということをおそれております、
○上田(哲)委員 お話を承っておりまして、実はここでも、予算の審議の中で、各党とも工夫して大きなパネルなどを持ち出して、製造から卸、小売までの過程の中で売上税がどういう悪影響を及ぼすか、そうした問題なども議論いたしました。何かそれと似たような、下請、孫請、ひ孫請みたいな、そういう中で同じような問題が出てくる。あるいは転嫁の問題、上乗せできないで、こっちへ持ち込んでしまうのじゃないかというような問題も論議されているのですが、ちょうど演劇活動、制作過程の中で同じような問題が巻き起こされるなというふうに私は感じたところであります。 数字に弱いとおっしゃるけれども、先ほど来伺っているといろいろな数字がかなり細かく出ているのですが、芸団協を中心にどれくらいの方々が今そうした立場で結集されており、そして皆さん方はそうした計算等々も行いながらこれからどんな運動なりあるいは抵抗をなさろうか、そんなことがもしありましたらお願いいたします。
○江見公述人 これは、実数というのはなかなかつかみにくいのですが、約五万六千から六万人ぐらいと思っております。というのは、例えば邦楽でも洋楽でも、我々のような出演活動、舞台活動というようなことじゃなくて、教授業で収入を得ている方というのはかなり多い。そうすると、教授業のところでのお弟子さんに属するところも、例えば三曲協会の会員であるとかというふうなところがありますし、能楽でも文楽でも修業途中の方があるし、どこの世界でもみんなそういう人がいますので、それを会員としているところとそこは会員から除いているところというふうにありますので、非常に正確な数字というのは、どこでプロを仕切るかというところがなかなか難しいですね、それでようございますか。 芸団協としては社会的な地位をきちっと確立するために著作権法なんかの法律を、法的な権利というものを位置づけしてもらう、隣接権ということが言われているのですけれども、先ほども申しましたように、映画なんかはもう一たんつくったものが、劇場映画も今申したテレビ映画でも、今度は放送局がつくったものですらビデオ化されて市販されていく、しかもそれがレンタルまで含んでもう何にも権利が届かない、放送局がつくった分だけは一応話し合いができるという状況ですね。これは先生方の御努力をいただいて音楽の方は貸レコード法案というものも通りましたので、今その有効な使い方について折々協議しているところでございますけれども、どうも音より絵の方がおくれておりまして、世界的な傾向というものもあるのですけれども、契約精神が日本よりもうんと進んでいる欧米の場合と、何といいますか、それも日本的なよさなのでしょうけれども、なあなあ主義でやってきた契約慣行のない日本とではやはり実態が違いますので、そこの法的な解釈だけでやられますと、どうも芸能家の方は枯渇していくという状況です。それで、著作権法の確立ということ、それから福祉の問題を考えておりまして、独自に芸能人年金というようなものをこしらえまして大変喜ばれております。 それから大事なのは、芸能活動をいかにして推進するか、つまり芸能のすそ野をうんと広くしていって、本当に芸能が国民の皆さんにお役に立つんだという観念からすそ野をうんと広くしていく、それには自分たちはいい芸能活動をしていこうということで、私たち生んだ言葉が一つありまして、芸能浴と申しますが、森林浴の浴でございます、湯あみする方の。本当に自分たちが芸能浴という、あのフィトンチッドに値する部分のところの効果を生み出すことができているのか、また一般の方々は本当にそう思っていただいているのだろうか、あるいはそうなるにはどうしたらいいのかということを、調査活動も含めましていろんな部門に分かれて研究を続けております。 大体三つの柱でございます。
○上田(哲)委員 質問の趣旨がちょっと届かなかったかもしれませんが、さまざまな調査活動を行われ、そしてたくさんの方々と手を携えて売上税撤廃のためにきっと運動をなさり御活動をなさるのだろうと私は思っているわけであります。まあなかなか皆さん方は得手じゃないですからね。そうした御意見や調査結果、主張をあらゆるところに聞いてもらいたいと思っていらっしゃるだろうと思うわけです。きょう聞いていただく各党の議員の皆さんもなるほどな、初めて聞かれるような実態、これは何とかしなければならぬな、文化の名において、あっただろうと思うのです。どうでしょうか、そんなことを政府税調や自民党税調というところ、いろんな人を呼んで聞いたそうでありますけれども、芸能界、演劇界等々はそういうところへ呼ばれて意見を具申するような機会はございましたか。
○江見公述人 私どもの方からお願いをして、押しかけていっていろいろお願いをしたということでございます、し
○上田(哲)委員 その結果どうですか。
○江見公述人 自民税調の場合でも――今、音楽芸能議員連盟というのがございますわ、昔楽愛好の。これは超党派で皆さんがやっていらっしゃるので私ども大変頼りにしておりまして、貸レ法案のときなんかもお力をいただいたわけですけれども、そういうことで、私たちはどの党に対しても自分たちが思っている信念をお願いして回っているということで、それなりに受けとめていただいているのですけれども、こういうふうな形で出てきますと、どうも何か不安の方が先に立ってしまってなかなか信じがたい、やはり形であらわしていただきたいということですね。物と違いますので税金をかけないで、そしてもっと、一国民として税金を払うことはやぶさかではないわけで、こういう文化活動というものについては特別な配慮をしていただく、そしてまた出す方も文化予算という形で出していただくということを願っております、
○上田(哲)委員 伺いました。率直な私の感想を申し上げると、やはり皆さん方は弱いな、強いかたき役だというふうにみんなに印象がある江見さんでも、やはりもう一言おっしゃるかなと思うところも出し切れずに、砂のように弱い演劇人ではないかというふうに私は思いました。こういう人たちをいじめてはいかぬな、どうかひとつ皆さん方の芸術、文化が思うさま何の心配もなく、少なくとも税金や経済的な不安のない形で我々の社会に貢献してもらえるように我々も努力をいたしますけれども、せっかく御検討いただくように御激励申し上げて質問を終わります。
○砂田委員長 宮地正介君。
○宮地委員 公述人の皆さんには御多用の中、本予算委員会にお越しいただきまして、心から敬意を表する次第でございます。私に限られた時間は十五分でございますので、江見公述人を中心として何点かお伺いをしてまいりたいと思います。 私も実は芸術家の息子の一人でございまして、特に先ほど来江見公述人から藤原義江さんのお話が出ましたが、私の父も藤原歌劇団のオペラをやっておりまして、やはり芸術、音楽一筋に生きていく人生というものを、私も父親の姿を見まして体験をしている一人でございます。 そういう中で、江見公述人が、文化は人間が人間であるあかしである、あるいは我が国は芸術、文化というものが今回の売上税問題において食料品の扱いもされていない、また芸術とは付加価値の高いものであり、人間として体一つで、楽器一つで芸術を生産している、無形の財産である、この江見さんのお話というものはすばらしい。私もそうした父親のもとで育ちまして、全くそのとおりであると、共感と感激を覚えているところであります。そういう中で、商取引と考えることに疑問を感じる、こういうお話を受けました。私は、特に知性と感性、この感性のところに芸術というものがあるという中で、江見さん初め芸術界の皆さんが御努力をされ戦後入場税撤廃のために闘ってこられた、心から敬意を表する次第でございます。そうした文化人である江見さんに対しまして、率直に何点か私はお伺いをしてまいりたい。 まず、今、大衆の中には今回の売上税の導入につきまして、うそ八百議席三百、こういう言葉があります。私は、今回の売上税に対する端的な民衆の怒りがこの言葉にあらわれていると思うのです。文化人である芸術家の江見さん、この点についてどうお感じになりますでしょうか。まさに公約違反の象徴の言葉だと思います。
○江見公述人 最初に申しましたように、なかなか売上税というのがわからなかったわけで、大型間接税は実施しないと言われたけれども、その振るわないという刀、その刀がどうも私どもの目に届かないところでひそかに研がれていたのじゃないか、それも非常に短期間に。いや、これは違うのだよと言って目の前に出されたときに、さやには売上税と書いてあった。それで片一方で所得減税その他をやるということで、安心してこの道を通りなさいと言われた。そうかなあと思って半歩動き出しますと、どうもその刀ではさっと切られそうな気がする、私は印象的にそんな気がして……。どうも時代劇が多いものですからそういう発想が多くなるのかもしれませんけれども、何かそんな印象を抱くのですね。 聞くところによると、イタリアなんかでもやはり法案をつくる段階で、政令、省令に当たる実施要領のところまで審議されているということを聞きました。そうすると、細かい、今でもまだわからないところがたくさんありますね、その部分がちゃんと国民にわかる国会の場で討議されてきますので、十分に意見を反映するところがあるわけですけれども、それが何か絶対の数で、これは民主主義の原則だということで通されてしまって法案ができた、あとは政令、省令で上からおりてくるという形になりますと、これはやはり納得がいきません。どうもそんな、そうなるのかどうか私はわかりませんけれども、そうなるのではないかという危惧を抱かせるだけでもいけないのじゃないか、こう思っております。
○宮地委員 文化人である知性と感性豊かな江見さんが、これはやはりうそだ、刀のさやをかえただけだ、いわゆる大型間接税である二これは特に五兆八千億なのですね、平年度で。この五兆八千億の税収というものは、やはり一億総国民、こう見ますと赤ちゃんからお年寄りまで一人当たりざっと単純計算しても五万八千円ですね、年間。四人の標準家族で二十万を超える。最終的には、これは大衆消費税だ。この五兆八千億、平年度の税収見込みというもの、この大衆増税というものを、中曽根総理は中型かとこう言ったのですね、この委員会で。我々はこれはまさに、この売上税は大型間接税である、こういう認識で野党は一致しているわけです。江見さんはこの売上税は大型間接税とお思いになっておりまずか。
○江見公述人 学術的に大型というのはどこまでなのか、中型がどこなのか、私はよくわかりませんけれども、やはり非常に広い範囲でかかるということで、これは大型と言わざるを得ないのじゃないかと認識しておりますが、
○宮地委員 私はまさにそのとおりであろうと思います。 もう一つ、売上税はエイズ菌だ、こういうちまたの声もあるのですね。すべての商品、サービスに五%の税金がかかることから物価が上がる、物価が上がると消費者は買い控えをする、消費が冷え込めば当然景気は悪くなる、景気が落ち込むと国の税収が減る、税収が減れば結局今度は税率を上げざるを得ない。今回は五%、中曽根政権がかわったときにはあるいは七%、また次の政権にかわったときには一〇%になるかもしれない。特にレーガン大統領などは、こうしたような政権の交代のときに税率アップの大変な可能性がある。先ほどどなたかが公債発行の問題に、麻薬という言葉をお使いになりましたが、まさに同じようにこの税率がひとり歩きする、そういう可能性もある。そういう点からまさに税のエイズじゃないか、こういう声も大衆の中には最近聞こえてきているわけでございます。そういう点について江見公述人はどういうふうにまずお感じになっていられるか、その点について忌憚なくお話しをいただければ伺いたいと思います。
○江見公述人 エイズという言葉が適当かどうか、私、よくわかりませんけれども、本当に実際にヨーロッパで設けられたこの間接税というのが年々上がっているということを数字で知りました。例えばオランダが一二%だったのが二〇%になり、英国が一〇から一五%、デンマークが一〇から二二、イタリアが一一から一八になった、フランスでも一六・九から一八・六%になった。税率が非常に高いようですけれども、さっきも申しましたように、やはり文化関係とかそれから福祉とか、国民が納得いく形でいろいろ使われているということも聞いております。逆に日本の場合、だんだん文化予算が減っていっているわけです。 それで私、この文化予算というのは、金額そのものを総体で比較いたしますと、制度が違うところがあって非常にわかりにくいと思いますので、国、自治体の支出に占める文化費の数字を比べてちょっと申し上げてみたいと思うのですけれども、日本での昭和五十七年の文化費というのは、国が〇・〇八%、都道府県で〇・一七三%、市町村で〇・六一九%。ドイツが、国が〇・五、ですからけたが違いますね。州で一六、市町村で三・五、これもみんなけたが違います。スウェーデンも国が一%、州が〇・六、市町村が四・六%。すべての国、自治体を通して日本がかなり低い数字にいるということがおわかりいただけると思うのですが、大事なのは、ロンドン大学の芸術政経学部の先生が一九八五年の研究で発表なさったのですけれども、劇場総収入に占める公的な補助費というものの率、これがフランスの場合に九〇%だそうです。九〇%補助されている、それからオランダ、西ドイツ、スウェーデンが八五%、それからイタリアが八〇%も、劇場総収入のそんなに多くの額が補助されているということを知りました。ちょっと日本の場合は、取られる方も多いし、出していただく方も少な過ぎるのではないかという気がしています。
○宮地委員 先ほど江見さんの方から、公的補助のされているところよりも、公的補助を受けていないそういうオーケストラの例が引かれまして、結局売上税が導入されますれば、実際厳しくなっている。今、海外の例を引かれてお話しになりました。私は、そういう面と、やはり芸術家の方というのは、ある意味じゃ芸に生きておりますから、なかなかつぶしがきかないと思うのですね。私のおやじなんかも、見ておりまして、音楽家としてオペラを歌っていて、ほかの事業をやろうといったって、つぶしがきかないのですね。それだけにまた非常に御苦労があるのではないか、こう思うのです。ですから、文化的を大国を目指すのであれば、現在のそうした予算の面を見ますと、まさに先ほどおっしゃったように実際は文化小国ではないか、まさにそのとおりではないか。我々国政にあずかる者も、これからのそうした文化、芸術、芸能関係に携わる方に対してもっともっと本腰を入れて応援をしなければならない、こんなことをきょうは江見さんの公述を聞きながら痛感をいたしました。ぜひ頑張っていただきたい、こう思いますし、文化国家として、二十一世紀に向けて、こうした目に見えないところに国のもっと温かい政治の光を当てていかなければならない、こういう心新たな決意を私たちはしたところでございます。 最後に、そういう大変な中で多くの芸術、芸能人の皆さん御活躍をされているわけでございます。こうした文化的予算についての強い御意見、御要望がございましたらぜひ一言申していただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○江見公述人 何度か申し上げましたように、非常に文化予算が少ない上に、その予算の中の大部分が文化財の保護の方に使われているということで、本当に現代芸術、芸能に対する補助金というのは非常に少ないのですね。ですから、これを見直していただいて、そしてどうか文部省の中の文化庁みたいなことじゃなくて、私はやはり文化省をつくっていただきたい。教育があって文化があるというよりも、文化というのは根底にあって本当のいい教育がされるのじゃないかということを私たちは思っております。そういう意味でも、やはり文化省というものをつくるような方向へ向けて御審議いただいて、そして文化予算そのものをもっとたくさんとっていただいて、広い範囲でそれを使っていただくということを考えていただきたいというふうに思っております。
○宮地委員 今後まずまずの御活躍をお祈り申し上げまして、終わります。 ありがとうございました。
○砂田委員長 和田一仁君。
○和田委員 きょうはお三人の公述人の皆さん、この予算委員会に御多忙の中をおいでいただきまして感謝を申し上げる次第でございます。 今までそれぞれのお話を伺っておりまして、私なりに、大変短い時間でございますが、若干補充的な御説明をいただくという意味でお尋ねをしたいと思います。 まず江見さんでございますけれども、先ほどお話の中で、文化は人間が人間であることのあかしであるという大変いい宣言葉を述べておられました。私もそのとおりだと思っておる一人でございまして、すべての生きとし生けるものの中で人間だけが文化活動を持っているという感じがいたします。私は、言いかえれば、人間が人間であるゆえんは文化を育てるかどうか、ここにあるというぐらいに思っておるわけなんです、 そういう意味で、いろいろお話を聞いておりまして、先生は文化はぜいたくだとお考えになりますかどうか。というのは、お話の中で、かつて日本は戦費調達のためにぜいたく品に課税をいたしました。その一環として入場税というものをつくって戦費調達の一翼を担わしてまいりました。これはまさに文化はぜいたくであるという思想が根底にあったと思うのです。今日の文化政策そのものを見ていても、私は何かまだそういった残渣が残っているような気がしてならないのです。というのも、今回のこの売上税の中であっても、こういう文化活動をやはり課税の対象にしているというところを私は非常に重く見ているわけなんです。そういう意味で、先生は文化というものはぜいたく品がどうか、それでかけられたのかなというふうにお考えになるかどうか。 文化というのは有形、無形のものだ、私はこう思っております。文化財というものは、形に残って後世までそのまま伝わるものもございますし、また一方では、音楽や演劇のようにそのときそのときに空間に描かれるもの、また音として人に感動を与えるもの、こういってすぐ消滅していくものもございますが、そういう中の人の情感に訴えたりしていくという無形のものもあるわけです。そういうことを考えますと、これはやはり人間生活の中で非常に大事なものである、こう認識をしております、一まさに知性と感性の産物であって、人間社会の中で情操を豊かにしていくという意味において大変なお仕事をしていただいている、こう感ずるわけです。もしこれが何らかの税制上の圧迫によってそういう活動がだんだん少なくなっていくという現象にでもつながるとすれば、本当にこれは大変なことではないか。 私は、人生というのは感動の連続であり、もし感情のない生活なんというものであれば、これは砂漠の中でだった一人で生活しているのと同じような本当に無味乾燥なものであり、またそういう社会というものを考えたら、これはもう本当に索漠として一日も住んでいられないような気がいたしますけれども、人間が人間らしい生き方、他の生物と違う社会を構成しているということであれば、これを非常に大事にしなければいけない。もしこれがだんだん少なくなるとすれば、あとほかの生物と違う社会だというのは経済的な生き物であるということだけになってしまうのではないかというくらいに感じておるわけでございまして、そういう意味では文化は決してぜいたく品ではなくてむしろ必需品だというふうに私は考えておりますが、先生いかがでしょうか。
○江見公述人 そのことはユネスコなんかでも盛んに言われていることで、人間生活にとって不可欠のもの。ところが、これはおっしゃるようになかなか目に見えにくいというか形が残りにくい、見えるけれども残りにくい、物の背後にあるというようなのが文化でございますから、例えば食べ物、おいしいものを食べるとおなかがいっぱいになる、ああおいしかったといって満足する、それから毛皮のコートを着ればちょっといい気持ちで暖かいし。ところが、物が残らないものですから、ついぜいたくなんじゃないかと言われがちなんですが、逆に物として残らない。だけれども心の中に残っているから本当にこれはいいものであって、むしろ物で残す方がぜいたくだと私は思っています。 文化がぜいたくなんというのは戦争中に言われたことでございまして、食べ物は減っていく、鉄砲の弾の方へいろいろお金を使わなければならないというようなことから経済的にいろいろ倹約していって、とうとう目で見るものはもう税金をうんと取ってしまえとかというふうにしてぜいたくだと言われたことでありまして、決して本来ぜいたくではない、むしろ不可欠なものだというふうに考えております、 それと、このごろ生きがい論とかいろいろなことが言われます。それから物質文明によってストレスが非常にきつくなっている。例えば、主婦でも子育てが終わった途端に非常に孤独に襲われてしまうというのは、子育てにのみ生きがいを感じるような、つまり、こういうブラインドな進み方をしているとそうなるわけです。それから、サラリーマンでも単身赴任すると途端にストレスがふえてしまって孤独感に襲われてということがありますけれども、それはもっと自分が感動する世界、感性豊かなものを自分の中に持っていれば、子育てに熱中しようが単身赴任しようが、それから何が食べ物を食べようが自然に接しようが、至るところで魂が躍動しているわけでございまして、子供なんかこれは公演しますとはっきり出てきます。先ほどのように自殺しかかった子が思いとどまったり、登校拒否もやめたり、それから手を挙げなかった子がやはり手を挙げたりするわけですから、そういう部分で文化というのは役に立っている、これがぜいたくというのはどうかしているのではないかと思います、
○和田委員 きょうは東大教養学部の佐藤先生がいらしていますので、教養というものは文化と一体どういう関係があるのか、そしてこういった文化活動に対して課税していくというのも、先ほどの先生のお話では個別消費税中心の現状ではこれは不平等なんだ、こういうお話をされて、スキーには非課税だが水上スキーは課税だ、これが不公平だとおっしゃいましたけれども、日本の教養を高めていただくために大変お骨折りをいただいている先生が、一体こういう文化活動をほかの品物と同じように、品物が売買された、ほかのサービスがあったというのと同じような課税対象にしているということを、これもやはり不公平だからこれで公平になるんだ、そういうふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。
○佐藤公述人 お答えいたします。 文化活動というのは、どこまでが文化活動であるかというのは線が非常に引きにくい。ほとんどあらゆるサービスが直接間接に文化活動を営んでおります。それは大前提でございます。 それから、私は職業柄若い世代と接する機会が多い。彼らはやはり知性と感動を求めております。その彼らは、本当にいいものに対してはお金を出す用意がある。そして、そういうお金を出す用意があるようないいものを提供する、これが私はやはり基礎だというふうに思います。私は、もちろん文化活動に対してある種の減免税措置あるいはある種の補助活動をすることがそもそもいけないなどと申し上げているわけではありません。しかし、基本的な活動は、人々がお金を出しても楽しみたいと思うようなサービスを提供するのが基礎ではないか。そして、もちろんお金がなかったらアルバイトをしてでも、努力してでもそのお金を稼いでそれで楽しむんだ、ただで享受をするものが本当に身につくか、私は、そういう心構え、独立自尊の心構えが文化を支える基礎であると思います。
○和田委員 私は別に討論するつもりはございませんけれども、例えば精神活動、文化活動、こういうものを考えますと、今非常に無形のそういう文化活動というものはたくさんございます。サービスというのは、これは言葉で言うと奉仕ですが、神への奉仕という言葉が原点にございますね。私は、宗教活動というものも、これは人間の持っている大変な財産だと思っております。これは無形のはかり知れない文化財だ、こう思っておるわけですが、そういうものも今の御議論によると、これは自助努力によって何やら課税対象になってしまうようなそんな感じもいたしまして、ちょっと驚いたわけでございますけれども、そういうものでないと私は認識しておるわけでございます、 それで、江見さんにもう一回お尋ねいたします。 私ども、税というものは公平、公正、簡素、活力、これが税制度の基本でなければならないという大変いいキャッチフレーズを絶えず聞かされております。それはそのとおりだと私も思うわけでございます。したがいまして、お三人の御意見がございましたけれども、江見さんにとりまして、今のお立場からいって今度の税制のこの改革が、皆さん方の立場から見て、一体公平であるのか、公正であるのか、簡素なものであるのか、そしてそういう文化活動の活力をどんどんふやしていくような内容のものであるのか、これをぜひひとつお聞かせいただきたい、こう思うわけです。 私ども全体的に見て、これはキャッチフレーズは立派でございますけれども、内容は全部逆なような気がしてかなわないんです。まず公平ではございませんね、これは。非常に逆進性の強いものを持ってきて、本来なら応能主義であるべきものが上には非常に手厚い保護になり、下に重い負担をかけるというようなものは、これは公平とは言えないし、公正というのは、例えば歌舞伎は非課税であるけれども、日本舞踊や落語は課税である。それを一体どこで限界を引いたのか。馬券買えば非課税だけれども、入場税は払うんだ、これは課税がかかるんだというような線引きが一体公正であるかどうか、これもぜひお聞かせいただきたいと思いますし、それから簡素という面でも、そのようにお受け取りになっているかどうか、非常に従来よりは簡単明瞭になったとお考えになっているかどうか。そして最後に活力。その制度によって、文化活動をしておられる皆さん方のその活動が今までより生き生きとして活力に満ちたものになって国民に文化を提供できるようになる、そのようにお考えになっているかどうか。今、一千万を超える児童が演劇を鑑賞して、そしていろいろな情操を、心の糧を得ている、そのことをさっき伺いました。それがもっともっと活発に、二千何百万の児童全部に行き渡るようなそういう方向に行くのかどうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○江見公述人 応能主義の公平とか、課税、非課税のところの線引きの公正という点について、落語が立派な伝統芸能であるにもかかわらず、歌舞伎の方は非課税になったけれども落語の方は課税で、伝統芸能じゃないのかということを落語家の方が問題にしておられます。これは落語ばかりでございませんで、いわゆる現代舞踊というような名前がつくものでも、現代という名前がついてもほとんど伝統のないものはないんですね。バレエという伝統ある、つまりそれも古典的なものだと思いますが、そういうものを踏まえながら新しい現代舞踊というものが生まれてくるので、伝統の上に立っているのです。ですから、私どもの芸団協の会長である歌舞伎の中村歌右衛門さんでも、歌舞伎というものについて、歌舞伎でなければできないつまり積み重ねてきたものを大事にしながらやはりその時代時代に合ったものを新しくつくり上げていかなければいけないんだ、見ていらっしゃるお客さんは今の時代に生きていらっしゃるんだから、そこを考えない伝統なんということはないとおっしゃっているのですね。落語などというのは一番庶民的なもので、身近に何か笑って聞いているんだけれども、ふと気がついたらいろいろ自分が反省させられたり、よしと思ってあしたの活力につながることがあったり、みんなしているわけで、その線引きをどこでするかというのは大変難しい問題じゃないかと思います。 なぜ歌舞伎が非課税になったかというのは、従来からの入場税法の九条ですか何かであった、そのまま横移動したわけでして、非課税品目ということの四十二番目のところでしたか、文化財保護法により助成された文化財のみの公開に係る役務の提供で入場料を対価とするものというのがありまして、これを実際歌舞伎の場合でも、非課税のものばかりとは限りませんで、歌舞伎座でやった場合はいいけれども、公立の地方の文化会館とかそういうところで公演をやった公演料収入というものについてはやはり課税になるというようなことがございます。だから、伝統芸能でもそれから現代芸能でも、どうも私どもにとってすっきりしないところがいっぱいあると今思っております。 それから活力のことでございますが、何度も申し上げているように、これは私どもにすれば、ささやかながら国民の皆様に活力を与える仕事をやっているんだ、それで感動していただければ感性部分が膨らんで、知性と同じような形で並行して、つまり知高考低なんて、知の方が、知識の方が高くて、考える方の考は低いというようなアンバランスなものじゃなくて、ちゃんと並行しながら知性と感性が育っていけば本当に心が豊かになっていくというところで私たちは少しは役に立っているんじゃないか、そんな考えでいるものですから、それが今度の税制では、やはり本当に根っこか係ら足をすくわれちゃうという、もう本当にやっていけなくなるという危機感の方が強いわけですから、決して公平でも公正でもないし、活力もなえていってしまうというふうに考えております。
○和田委員 時間が来まして、最後にもう一つ発言させていただきます、 お役柄がいつも大変憎まれ役というか、悪代官でございましたが、今度は全く立場が違うような気がいたします。もしそのかたき役となれば、一体今度の悪代官はどなたとお考えか、お答えにくければ結構でございますがお尋ねして、私の質問を終わらしていただきます。
○江見公述人 どこかの会合で言っちゃったものですからあれなんですけれども、本当に売上税が悪代官だというふうに思います。私は今度は立て役の方で、切る方でございます、
○和田委員 どうもありがとうございました。
○砂田委員長 野間友一君。
○野間委員 最初に水野公述人にお聞きしたいと思います。 水野先生は税調のメンバーでもございますのでお聞きしたいのは、今、政府が提案しております売上税は、私は紛れもなく公約違反であり大型間接税そのものだという立場をとっておるわけですけれども、それはそれとして、お聞きしたいのは、中曽根総理が独自の大型間接税についての定義なるものをつくっておられますね。これは多段階、網羅的、普遍的で縦横十文字に投網をかけるようなものというような定義をされておりますけれども、これは特異な定義だと私は思いますが、今、世界で間接税を導入しておるところでこういう定義に当てはまるようなものがあるのかないのか、あるとすればどういうところなのかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
○水野公述人 なかなかお答え、難しいと思うのですが、大体大型間接税というようなものは日本だけで言っておることじゃないかと思うのですね。外国ではそういう言葉は余り私、聞かないので、例えば課税ベースの広い間接税とかあるいは付加価値税とか一般売上税とか、こういう言葉はありますけれども、大型間接税というのは日本独特の言葉で、また非常に定義が難しいあいまいな概念ではないか、そこから首相の公約違反だ等々という議論が起きているんだと思います。 私は、率直に言いますと、これについての論争というのは余り、無益な論争じゃないかという気がいたしまして、これはこれとして、もっとやはり売上税の中身そのものを検討していただく、また、売上税とともに所得税、法人税の改正というようなものをセットにして、その上での評価というものをしていただきたいというふうに考えるわけです。
○野間委員 いや、無益でなくて、総理みずからが大型間接税の定義とはこうなんだと言っておるわけでしょう。しかも、その大型間接税は導入はしない、党や国民が反対するものは導入しないと言っておるわけですよ。したがって、大型間接税がどうかということが問題なんです。その定義は、今申し上げたように、総理が独自のこういう見解を述べておられる。 そうすると、今、世界でもたくさん間接税、確かにあります。お話、聞きました。そういうものの中で、こういう定義に当てはまるものはあるのかどうか、これは非常に大事な問題なんです。つまり、政治公約との関係でも違反するかどうか。これは各種マスコミの世論調査でもみんな違反するというのが数多いわけですね。そういう点で私は、税調のメンバーとしての先生にお伺いしておるわけです。
○水野公述人 中曽根首相が大型間接税というのを本当に何を意味したかというのは私も実はよくわからないわけで、実際にあるのは、先ほど申し上げましたように付加価値税でありあるいはかっての一般消費税であり、また一般売上税といいますかこういうもの、あるいは製造者売上税、小売売上税、こういう具体的な、既にある間接税を持ってきて、それはやらないとかやるとかということならはっきりしますけれども、実体がまだはっきりしてないものについて、首相がこう言った、ああ言ったというのを余りあげつらっても、私は余り意味がないというふうに考えるわけです。あえて言えば、不遜な言い方ですけれども、税制調査会でこの税制改革の審議を始める前、あるいは今回、昨年の選挙の前にそういうことを首相が言わなかった方がいいんじゃなかったかとは思うわけですけれども、余りそれを、大型、定義がそもそもはっきりしないものについてどうだこうだと言うのはやはり無益な論争で、もっと先へ、実質的な審議に入っていただきたいというふうに私は思うわけです。
○野間委員 無益なものを大まじめにここでやったわけでしょうかね。 それじゃ次にお聞きしますけれども、いわゆる売上税、多段階、ずっと製造から小売、消費者までたくさん、各段階にかかるわけですね。その中で売上税の対象とならない商品、一体そういうものはあり得るのかどうか、あるとすればどういうものがあるか、公述人のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○水野公述人 おっしゃることは、年商売上高一億円未満のものを非課税業者にするとかあるいは多くの貫目を非課税品目にしているということが今回の売上税というものをかなり複雑なものにしているということだと思いますが、御質問自体に即して言えば、例えば製造段階から小売段階までずっとそういう非課税業者がやっている、手にかかっているというようなものは、売上税がかからないはずです。
○野間委員 具体的にどういうものですか。
○水野公述人 例えば小規模事業者で物をつくってそれを直接販売しているというような場合がそれに当たると思います。それから、明らかに最初から食料品であるという、食料品もしかし食料品を生産する場合の原材料、こういうものは入りますので、厳密に言えば税がかからないことはありませんが……
○野間委員 結構です。そうなんですよ。ですから、実際にはほとんどないわけです。よく言われますように、自分の家の中に生えておるカキの木からカキをとっている、その程度のものですね。実際、ですから、これはまさに、一定のいろいろなそういう例外的なものはつくりつつありますけれども、やはり全体としてすべての商品・サービスにかかるという代物であることは間違いないと思うのです。 さてそこで、次に佐藤公述人にお伺いしたいと思います。 先ほど選挙公約との関係でいろいろ言われました。四つばかり挙げられまして、もう今までずっと言っておったじゃないか、だから公約違反じゃないというふうに言われました。しかし、先ほど申し上げたように各マスコミの世論調査ですね、これは圧倒的な部分が公約違反と言っております。朝日が七四%、毎日が六七%、NHKが七五・七%。これが要するに公約違反だという世論なんですね。しかも、党の山中税調会長みずからも、これは公約違反だということを言わざるを得ないということなんです。しかもこの前の同時選挙のときに、自民党の立候補者の中でも二百数十人ですか、大型間接税を導入しない、こういう選挙をやっておるわけです。ですから、先ほど佐藤さん四つばかり挙げられました。しかし、私はこれは当たらない。まさしく政治倫理、政治公約、これに違反した今回の措置というふうに私は言わざるを得ないと思うのです。いかがでしょうか。
○佐藤公述人 まず第一に、世論調査というものをどう考えるか。民主主義と世論調査の関係でございます。世論調査というのは、厳密に言いますと一定の方法で測定された結果でありまして、それが直ちに国の政治を左右するべきものではない。それだったら世論調査民主主義になってしまいます。代表制民主主義というのはそういうものではございません。 もちろん、この世論調査というのはさまざまな調査がありまして、どのような問題をどのような順序でどのようなサンプリングで聞いたかということによっても答えはかなり変わってくるものでございます。ですから、学問的に言ってもケース・バイ・ケースに厳密に検討しなければなりません。それ以上に、政治問題として見れば、この国会の場こそが世論を代表すべき場所である、これが現行憲法の基本的な前提でございます。 それから第二に、大型間接税がどういうものであるか。非常に多くの自民党議員の候補者が今度の選挙に当たって大型間接税に反対の立場をとられている、それはそうかもしれません。しかし、大型間接税というのは何であるかということについては、御存じのように議論が分かれているわけでありまして、私が非常に申し上げたかったのは、選挙というのは前回の選挙から今回の選挙までの間の各政党、政府の主張したこと及びやったことについての国民の決裁だ、そして税制改正について自民党及び政府はどういう主張をしたか、大きなポイントは四つある、その四つは明確に指摘されている、その限りにおいて税制改正の基本方向は明らかになっていたはずであるということでございます。
○野間委員 それは先生の一つの理屈だと思います。受ける大衆はそうじゃない。あれだけ公約された、実際に売上税を導入してきた、それに対する世論調査の結果が明らかに違反だというのは、今申し上げた数字に出ているわけですね。ですから、大型間接税は国民が反対すれば導入しないというわけですから、これはやはり中身の議論云々、これはもちろんそうですけれども、同時にやはり選挙のときの約束、それは守るのが責務であることは間違いないと思います。 さて、時間がありませんから、もう一つ佐藤公述人にお聞きしたいわけですけれども、減税の財源について歳出のカットの強化、この中で一つ防衛費の削減云々と挙げられました。一部の野党とおっしゃいました。これは共産党です。ただ私は、逆に言いまして今度の予算の中で、方針の中で、一%の枠を取っ払う、逆にこれは青天井になる。私は、売上税とこれは一つのセットだと思うのですね。防衛費の財源をうんとつくる、その財源として売上税を導入するということになってくると思うのです。 先生がメンバーであります日米諮問委員会の報告、これは八四年の九月に出されたものですけれども、この中でも非常に思い切って報告が出されております。「日本の防衛努力を正当に評価する根拠は戦闘遂行能力が達成されつつあるかどうか、また防衛ギャップが克服されつつあるかどうかに置かれるべきで、防衛支出をめぐる不毛な議論自体は避けるべきであろう。」まさにこれと今度の一%の枠の取っ払いというのは軌を一にしておりますし、またこれは売上税を財源ということで私は一つのものだというふうに思えて仕方がないと思いますけれども、時間がありませんから簡単にひとつ。
○佐藤公述人 お答えいたします。 まず第一に、一%の枠を超えれば防衛費が青天井になるというのは、国会の審議権を無視した議論ではないかというふうに思います。防衛費がどうであるかということの最終的な歯どめはこの国会における審議と議決にかかっているのであります。皆さんが防衛費のいたずらなる膨張に反対すればそれは完全にストップするわけであります。ですから、一%があれば安心でき、一%を超えたら心配だという議論は私には理解できません。私は、一%以内でももし防衛費がそもそも不必要ならばそんなものは削ったらいい、必要ならば必要なものをやらなければいけない、その御判断はまさに国民代表である皆さんがやるべきである、皆さんがそれを避けてはいけない、皆さんが一%などという枠にこだわっていてはいけない、依存していてはいけないと思います。 ですから、そういう考え方からいいますと、現在の政府財政全体の中での防衛費の比重を考え、かつ今回の財政が少なくとも当分の間はレベニュー・ニュートラルのことを考えますと、私は今回の税制改正を防衛費の際限なき拡大と結びつけるというのは余りにも短絡した、率直に申し上げて説得力のない議論であると申し上げざるを得ません。
○野間委員 これは私は異論がございますけれども、時間がありませんから別の機会に譲りまして、最後に江見公述人、せっかくお越しいただいているので私からも一言聞きたいと思います。 先ほどから文化と税金の問題について非常にうんちくのある話をお聞かせいただきまして、私感銘を受けました。また、そういう反対運動をずっと盛り上げていられるということについても敬意を表します。 そこでお聞きしたいのは、一体芸能人の皆さん、特に江見さん、執拗なまでにずっと今までこういう運動を展開されてきた、そういうファクターなり、なぜそういう非常に意欲的、積極的に運動を進められてきたのか、これは江見さん個人の体験でも結構ですから、何かございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○江見公述人 私は大正十二年生まれでございまして、小学校に入ったのが昭和四、五年ですから、入場税が設けられたのが昭和十三年、ですからちょうど軍国主義がだんだん盛んになっていくときに育っているのですね。ですから今でも子供のときの歌を覚えていたり、「きょうも学校へ行けるのは兵隊さんのおかげです」というあの歌ですね。それから、僕大きくなったら何になるのと聞かれると、大抵ほとんどが兵隊さんになりたいというふうな答えがすぐ出たというふうな中で育ってきたわけですね。そして最後は早稲田にいるときに学徒出陣になりまして、海軍航空隊に入りまして、私は何の迷いもなく特攻の志願をさせられたときに志願しました。つまり八紘一宇の精神なんということが言われたわけですが、世界をもって一つの家となしというそのこと自体すばらしい二とだと私は思ったのですね。世界平和のためだと思ったのです。 しかし、戦争がああ終わりました。つまり最後に原爆みたいな多くの犠牲者の上に立って私の命が、死ぬべきであった私が生き延びた、多くの戦友も失ったりしながら。それで私が帰ってきたときに、一番最初におふくろに会ったときに考えもせず思わず出た言葉があります。門のところで迎えたおふくろに、お母さん済みませんと言ったのです、考えてなかったのですけれども。つまり、おめおめと生きて帰ってきちゃった、おれは死ぬ気で行ったのにということなんですね、それを考えますと、やはり教育の恐ろしさというものをすごく感じるのです。 それからは男一匹何をしようかと、これから国のため何をしようかと思って考えたときに、国境を越えて本当に戦えるものは武器ではなくて芸術の世界だというふうに考えまして、その中で一番たくさんの人に接しられる映画というものを選んでいろいろとやったわけでございますが、やっているうちに何か物足りないというか、自分の思いがなかなか燃焼し切れないということを感じます、 そして学校公演というものに取り組むのですが、その学校公演のときに初めて自分はちょっとお役に立っているんじゃないかなと。つまり女房に、役者というのは格好ばかりつけて嫌いだ、あななどのぐらい世の中の役に立っているのと言われたときに学校公演を始めたわけですけれども。 ある学校で、つまり公演を終わってお話をする、質問も受けるわけですけれども、その中で子供が、はなを垂らした子供がずっと手を挙げたのですね。そうしたら、後で終わったときに先生が、女の方が二人来て、いや、きょうはちょっと考えさせられましたとおっしゃいました、何ですかと言ったら、いや、きょうおずおず最初に手を挙げたあの子は、あああのはなを垂らした子、そうです、あの子は教室では今までかつて一遍も手を挙げたことはないと言うのですね。それを一番最初に手を挙げたということで、私たちは何かやり方を間違っていたんじゃないか、きょうは考えさせられましたとおっしゃいました。大変立派な先生です。 さっきも例を申しましたように、自殺を思いとどまったり、登校拒否をやめてみずから積極的に出るようになる。そういうことは何かというと、何か理屈じゃなくて、私たちの芝居を見てどこか魂が揺さぶられた、そのことから血のめぐりがよくなって、本当に自分も何かできそうな気がしてきたという、背筋が伸びる思いになったということなんですね。つまり感動することによって感性がふわあっとなったから僕でも何かできそうと、今まで自信がなかったけれども、という感想文をたくさんいただきました。 そこで私たちは本当に、ああよかったと思うわけですけれども、今度は私は、これはおれひとりでやってこんなに期待されているのはマスターベーションじゃないか、もっとその状況づくりというものをちゃんと考えなければいけないということから、いろいろな組織的な運動になって、その中の一つとして入場税のことにも取り組み、今度の売上税のことにも取り組んでいるわけでございまして、最後に言わしていただけるならば、これは文化基本法みたいなものが必要だと思うのですね。 実は、砂田先生が前に、委員長が、五十四年のときでしたっけ、文化振興に関する特別委員会の委員長をなさっていました。そのときに「文化振興に関する今後の施策についての中間報告」というすばらしい提言をなさっています。ちょっと読んでみますと、「文化行政の基盤となる法律には、文化財保護法、著作権法、国立劇場法などがあるが、文化行政の全般にわたって、その目標や指針を示す基本的な法制をわれわれは持っていない。現実には毎年度の予算措置を通じて種々の施策が進められているが、予算措置という不確実な性格ゆえに、数十年にわたる実績を持った今日の文化行政の中核的事業ですら、総合的観点からその位置づけは明らかにされていない。文化の普及振興にかかる基本的事業を定めた立法を検討すべきではないだろうか。」とまとめてくださっております。大変私たちにとっては期待すべきことでありまして、どうか文化基本法みたいなものをつくっていただきたいと思います。
○野間委員 どうもありがとうございました。
○砂田委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時一分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十三分開議
○砂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 公聴会を続行いたします。 この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。昭和六十二年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます、は なお、御意見を承る順序といたしましては、まず澤田公述人、次に三浦公述人、続いて飯塚公述人の順序で、お一人二十五分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、澤田公述人にお願いいたします。
○澤田公述人 富山県のホタルイカあるいは蜃気楼あるいは売薬ということで割に御存じかと思いますが、滑川市の市長澤田寿朗でございます、 衆議院予算委員会の諸先生方には、地方行財政の諸問題につきまして、日ごろから特段の御理解と御尽力を賜っておりまして、衷心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。 本日は、私ども地方公共団体の意見を申し述べる機会をいただきましたので、直接都市行政に携わっております市長の立場から、忌憚のない意見を申し上げることといたします、 まず、昭和六十二年度の地方財政対策について申し述べさせていただきます。 既に御承知のことと存じますので、概略のみにとどめさせていただきます。 昭和六十二年度地方財政は、通常ベースの収支不足に加え、税制の抜本的改正に伴う地方税及び地方交付税の減収、昭和六十一年度から三年間の暫定措置として行われている国庫補助・負担率の引き下げに伴う昭和六十二年度分の影響額、昭和六十二年度の公共事業関係の国庫補助・負担率の新たな引き下げに伴う影響額によりまして、巨額の財源不足が生ずることとなったのであります。 私どもは、国の予算編成において国庫補助・負担率の引き下げなど地方への負担転嫁が行われることのないように強力に実行運動を展開したのであります。 しかし残念ながら、公共事業等の国庫。補助・負担金が昭和六十二年度及び昭和六十三年度の二年間の暫定措置として新たな引き下げが行われることになったのでありますが、これらの財源不足は、地方の懸案事項でありました住民税における利子課税の実現、売上譲与税の創設、売上税の地方交付税の対象税目化、たばこ消費税の特例加算の継続など、地方財政の運営に支障がないよう恒久的な措置により完全に補てんされることになったのであります。 昭和六十一年度の経緯にかんがみ、国庫補助・負担率の引き下げは残念でありますが、地方財源の確保については、十分な配慮がなされました。これもひとえに、諸先生方を初めとする関係各位の御尽力のたまものと存じておりまして、この機会をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げます。 ところで、地方財政は、巨額の借入金を抱えている現状でありまして、これらの残高が昭和六十二年度末には国で六十四兆円近くにも達するということが見込まれております。私ども、地方の人口三万一千五百ほどの都市でございますが、同じように借入金が、三万ちょっとの都市で五十九億というふうに今現在ふえております。 また、個々の地方公共団体においても、公債費負担比率が年々上昇しまして、昭和六十年度の決算では、公債費負担比率二〇%以上の団体が千三十三団体と全体の約三分の一を占めておるわけであります。このような状況で、財政の硬直化が一段と進んでいるのが実態であります。 もとより、地方公共団体におきましては、従来にも増して事務事業の見直し、組織機構の簡素合理化、定員、給与の適正化など行財政改革を積極的に推進をしているところであります。 しかしながら、地方財政は、今後、社会福祉の充実、生活環境の整備など、高齢化社会の到来や国民の価値観の多様化などに伴う経費の増大に対処しながら、このような借入金依存体質からの速やかな脱却と財政構造の健全化を図っていかなければならないのであります。地方公共団体は、財政難であるからといってやめてしまうことができない、住民に直結した行政が大部分である上に、歳入構造から見ても自主財源が極めて乏しく、その上、国の制度、施策の影響を強く受けるという特質を持っていることをぜひ御理解をいただきたいのであります。 現在御審議中の昭和六十二年度予算案や税制改正関連の各法律案は、このような厳しい状態にある地方財政にとって極めて重要な内容を含むものであります。もちろん、法案などの審議、取り扱いにつきましては私どもがとやかく申し上げる筋合いではございませんが、直接地方行政を執行する立場にある者といたしましては、行政を円滑に運営してまいりますためには、法律制度の安定と行政が継続して行われる、このことが不可欠であろうかと思うわけであります。 しかしながら、新年度予算の国会審議は一向に軌道に乗ってこないのでありまして、三月半ばを過ぎたというのに成立のめども立っていないというのはまことに残念であります。暫定予算という声も聞こえできますが、この場合は公共事業の計上が制約されるだろうと思いますし、また、原則として中小企業対策などの新規施策も見送られ、地域経済に好ましくない結果をもたらすのではないかと懸念いたしておるところであります。 特に公共事業におきましては、私どもの市は全国有数の豪雪地帯で、冬季は公共事業を執行できない関係上、一日も早く着工し、早期完成を目指さなくてはならないのであります。 ここで、具体例として当滑川市の事情を簡単に御説明させていただきます。 通常の年でありますと、四月ごろには国の内示を受け設計にかかりまして、六月ごろには着工をいたします。そして、十二月までには大半の工事を終えるというのが標準的なスケジュールとなっております。しかしながら、公共事業の配分がおくれますとこのスケジュールが大幅に狂ってまいりまして、年度内の消化もままならないのではないかと懸念いたしております。 また、昭和六十一年度の工事が既に底をついておりますので、景気対策の意味から工事の前倒しをしたいところでありますが、昭和六十二年度分の配分のめどが立たないために、地元に足とめをしていた人夫も出稼ぎとかほかの仕事に逆戻りといった例も見受けられまして、まさに地域の経済や住民生活に及ぼす影響ははかり知れないのであります、 さらに、円高不況の問題もございます。急激な円高の影響によりまして全国的に不況となり、雇用不安、税収不振へと波及してまいったわけであります。 当滑川市とて例外ではございません。特定不況地域の指定こそは受けておりませんが、化学、鉄鋼、機械、水産業など製造業等を中心に円高不況の直撃を受け、極めて厳しい状態を呈しております。また当市は、大豆、里芋などとともにチューリップの栽培にも力を入れておりますが、これとて、そもそも水田利用再編対策の一環としてコシヒカリを主体としたうまい米をあえてチューリップに転作したのでありますが、今度は円高のあおりで大幅減収ということでは、まさにダブルパンチであります。 このように、地域経済が活力を失いつつあるのに、この上、公共事業が執行できないというのでは、どう対処していいものか万策が尽きてしまうのであります。我が市のこういった事情を十分御賢察賜りたいと思います。 なお、公共事業の予算の執行に当たりましては、当市のような経済基盤の脆弱な団体にはぜひとも傾斜配分を御配慮をお願いしたいと思うのであります。同じ一億の予算でも都会で、地価の高いところで事業をやるのと違いまして、富山県のような地価が比較的安いところにおいては一億の予算が何十倍にも生きてくるわけでありまして、私ども地域の住民にとりましては、それこそ涙の出るようにうれしいのであります。何とぞ予算の配分に当たっては、効果的な傾斜配分をお願いいたしたいと思います。 最後に、この機会にいま一つ重要なことを御要望させていただきたいと存じます、 冒頭でも若干触れましたが、今回の税制改革では、住民税の減税、電気税等の廃止などによる地方の減収を補てんするために、都府県税利子割及び利子割交付金の創設、売上譲与税の創設、売上税の二〇%を地方交付税として配分するなど、純増収額の四二%を地方団体に充当されるというようなこの制度改正が予定をされております。 また、これを受けて、昭和六十二年度の国の予算には地方交付税交付金十兆千八百四十一億円が計上されております。これには売上税の二〇%相当額の二千二百六億円、地方財源不足補てんのための特例措置額三千三百十八億円などが含まれております。 今回の税制改革は、地方税財源の中立性維持の原則に立って進められ、将来にわたる地方財源の安定確保が図られるものと地方団体は大いに期待しておりますので、速やかな税制改革実現を望むものであります。 また、関係法案及び予算が成立しないことには、昭和六十二年四月以降、地方団体に対し予定どおりの地方交付税が配分されないのであります。地方団体は地方交付税に依存するところが大きく、地方交付税の見込み額が決まらないことには、年間を通じた財政全体の見通しを立てることもできません。このような難しい時期にこそ、これらの予算及び法案が早期成立を見ますよう特に御要望申し上げる次第であります、 以上、市長の立場から忌憚のない意見を申し述べましたが、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○砂田委員長 どうもありがとうございました。 次に、三浦公述人にお願いいたします、
○三浦公述人 日本商店連盟の三浦でございます。 現在我が国を取り巻く経済環境は、既に諸先生方御指摘のとおり大変厳しいものがございます、日米の経済摩擦に象徴されるように、その風当たりは非常に強いものがございます。また国内では、ここ数年来の景気の停滞によりまして需要が大幅に落ち込み、また大手企業の合理化、縮小等によりまして失業者がどんどんふえて、一つの社会問題化しようとしております。 私ども中小小売業の業界も例外ではございません。最新の商業統計によりますれば、ここ三年間で約九万三千店舗の小売商が減ってしまったということでございます。九万三千店というのはこの三年間でございますけれども、その間にやっぱり三万やそこらの増加もございます。したがって、増加と減少の差し引きでございますから、実際には倒産、転廃業等なくなったものが九万三千店あると、こういうことになるのでございます。もちろん、先ほど御紹介いたしましたこの倒産等によりまして従業員の方もどんどん減っております。その数は約四万人、全体の率にすると〇・六%が失業に追い込まれている。失業というのが決して製鉄や造船だけではないということでございます。また、中小メーカー、知あるいはサービス業等厳しい環境にあることは申すまでもございません。御列席の先生方はこのような状況をもちろん先刻御承知の上でこの打開に日夜御苦心なされているのでございまして、厚くここで感謝の意を表する次第でございます。 さて、本公聴会は昭和六十二年度の予算について意見を述べよということのようでございますが、実はこの予算の中には御存じのとおり税制の改革、しかもこれが売上税の導入というものが柱となった税制改革問題がかかわっておるのでございまして、この問題をクリアしなければ予算の本論になかなか入りにくいといったふうな状況が現在起こっているのじゃないだろうかというふうに私どもは新聞などで承知いたしております。で、私は、私の関係する中小企業、特に中小商業の立場に立ちまして、この売上税の問題に実は限定して御意見を申し上げたいと思っております。 売上税に限定いたしましても、いわゆる売上税論でございますとかあるいは税制論でございますとか、そういう高遠な難しい議論は私のよくするところではございません。いわゆる売上税の実施によりまして、その徴税業務、まして納税業務、この二つの非常に重要な仕事を受け持つという責任を負わねばならない状況にあります末端小売業、この立場から現場の状況、意見を踏まえましての意見と、こういう極めて低次元のものではございますが、いわゆるこういう実態を踏まえての意見だというところで御了承願いたいと思うのでございます、 まず最初に、売上税の導入が流通機構や個々の事業者にとってどういう影響を及ぼすだろうかという点でございます。 売上税の導入によって、中小の卸やあるいは中小の小売商が整理、淘汰されるんだ、我が国はこの流通が非常に複雑である、メーカーから小売に来るまでも何段階も通る、また小売商も多数の小売商が入って非常に複雑になっている、これを整理するということは非常に大事なんだと前からも言われておるのでございますが、この流通の合理化にこの売上税が実は思わざる効果と申しましょうか影響があるということをおっしゃる方もございます。しかし、私は、そういう荒療治によって合理化していくということは極めて弊害が大きい、むしろマイナスだと考えております。 我が国の流通に携わっている従業者数は、卸で四百万人また小売で六百三十三万人、合計一千三十三万人にも及んでおります。もちろん、この背景にある家族等の数を加えますと、流通分野で生活している人々、これは二千五百万人から三千万人に達するものと思われます。その日本の流通が既に店舗減少時代に入っております。そこで、失業もかなりの数に上ってくるのでございます。昭和六十年の商業統計によりますと、昭和五十七年からの三年間には卸売業者で一万六千店舗の減少、小売業者では九万二千八百四十五店の減少となっているのでございます。従業員五人以上の店は若干増加しておりますが、従業員四人以下の小さい店は十万店舗も減っておるのでございます。この傾向は全都道府県にわたっておりますが、特に人口が減少している地方あるいは横ばいのところには一段と顕著な現象となってあらわれております。 こういうふうに店舗が減っていくということは、先般経済企画庁が発表いたしましたように、個人消費が停滞あるいは減少している、ついせんだっても前期比〇・七%数字が減っているというふうに報ぜられております。現状でもこの個人消費というのは大変低迷している。さらに、大型店等を含む店舗進出によりましていわゆるオーバーストア現象がいまだに残っており、過当競争のためにこのような状況が起こってくるんだと判断されるのでございます。 このような店舗の減少の事態に売上税がここで加わってきますと、次に述べる転嫁の困難性による赤字の進行、また納税手間の増加によるコストアップなどを招き、合すれすれの経営をやっておる中小小売業者をさらに倒産、廃業に追い込む心配がございます。この倒産、廃業は現在でも三%の失業率をさらに増加させていきます。身近な社会不安をより厳しいものにするだろうことは、火を見るよりも明らかでございます。 今までこの流通機構、小売業部門というのは、農業にかわりましてある種の失業者プールという機能を持っていたのでございますが、この商業分野が失業発生源に変わっていくということになりますれば社会的にも大変な問題でございます。しかも、その中で惨めな思いをするのは中高年の労働者でございます。 また、中小小売業の減少は、これを主として得意先とする中小卸商にとってその売り先を失うということになって、その経営の基盤を揺るがしてしまいます。逆に小売商の方から見ますと、大型店のようにメーカー直接や大卸から買うことはできません。トラックや貨車で仕入れするわけではございませんで、極端に言うと宅急便程度のものをちんたらちんたら仕入れているわけでございますが、そういう全国の商品を集めていただいておる中小卸商がなくなりますと仕入れするところがなくなります。このいわゆる中小卸、中小メーカーあるいは中小小売業、この共存関係というものは極めて重要な、大切なものでございます、はまさに両者は切っても切れないということでございましょう。ところが、流通の合理化は、いわゆる経路の短縮と申しますかあるいは中間の排除と申しますか、大型卸、大型店のみは残りましょうけれども、その他のものは除外されていくということでございますとするならば、これはもう大変な流適合理化の悪い面も売上税がお手伝いするということにもなりかねないと心配するのでございます。 次に、小売商が大変心配しておりますのは、物価上昇により売り上げが減少するのじゃないだろうか。売上税が入ってきますと必ず――いろいろ物価の上昇には議論がございます。例えば、学者の議論もございますれば、経済企画庁、大蔵省の試算というものもございまして、私がここで簡単にこれだけ上がるんだとは言い切れないのでございますけれども、我々が素朴に、素直に感じておりますことは、少なくとも売上税分だけは高くなるなというふうに感じておるのでございます、山 そういう点から申し上げまして、物価が上がれば、さなきだに消費が冷え込んでおる、そこへもう一つ、売上税による物価上昇が消費の減退に寄与する、拍車をかけるかどうかわかりませんが、そういうことによって、今の小売商の多数の方々が大変に心配している、心理的な圧迫を受けていると申しましょうか、これが広がっているのでございます。この辺にも、私は、売上税導入について、この流通の合理化ということあるいは売り上げの減少といったようなことから、現状のままで導入することは大変これは我々小売業者にとっては重大なる問題だと受けとめているのでございます。 さらに、転嫁の問題でございます。転嫁の問題というのは、五%の売上税を最終的には消費者に負担していただくということがこの売上税のよって立つ基盤となっている、大原則のように承っております。売上税を消費者に完全に転嫁できるかどうか、これが完全にできるならば、まさに売上税はうまくいくでしょう、完全にできなければ、これはいつの間にか企業課税に転化していくということで、せっかく直間比率の是正などと言っておりますが、売上税も直接税あるいは法人税の方へむしろ実質は偏ってしまっていはせぬだろうか。名前だけは間接税かもしれませんが、そういう心配さえこの転嫁がうまくいかないと起こるという気がするのでございます、 言うまでもなく、商品の販売価格は、単純に申しまして、仕入れ類と、それから人件費や広告費や家賃その他の営業コストと、そして適正なる利潤、これをもとにして、市況環境を勘案いたしまして各店で独自に決めております。したがって、激しい競争の中でありますので、できるだけコストを引き下げ、利潤も経営の維持ができる量低のところに抑え込んで販売競争いたしておるのでございまして、このことがひいては消費者利益にも通じておるのでございます。 しかしながら、売上税というものが入ってきますと、先ほど申し上げた仕入れ類プラス営業コストプラス適正な利潤プラスこの売上税、こういうのがコストとなって積算されることになるのでございます。その他のコストは、それぞれ努力をいたしましてできるだけ合理化してこれを少なくしようというのが、この商売に勝ち残れる秘訣と申しましょうか、量大の目標でございますが、そこに入ってきたもう一つのコスト、いわゆる売上税というのは、実はこれを何とか合理化して四%にしよう、三%に持っていこうということは、我々納税の責任を持たされた者が勝手にいじることは絶対にできないことでございます。そういたしますと、コストの中へいわゆる売上税という特殊なコストが入ってくるということになりますから、このコスト分を全部消費者に持ってもらわなければならないけれども、いかんせん、このコストを全部転嫁するということは、この激しい競争場裏の中で、取引の現場においては非常に難しいと言わざるを得ないのでございます。 このことは、皆さんが一緒にやるんだからいいんだとか、あるいは法律で決まったことだからできないはずはないんだとか、いろいろ御議論はございましょうが、実際現場で定価といいますか、価格を商品に一品一品つけて出した場合に、このコストが、売上税というものがどのくらい入っているものだろうか、極端に言うと、お客様から説明を求められても、例えば今の定価のつけ方は、御存じのように九百八十円とか一万七千円とか、要するにはしたをつけて少しでも安いというふうにいろいろ工夫をしているわけなんです。それに五%を掛けてみますと何円というはしたが必ず全部、ほとんど出てきます。そういうものを、十三円なら三円の部分を切り捨てたらこれは企業がしょわなければならぬということになる。切り上げたら便乗値上げということになる。それでどうしたらいいだろうかということで、実際問題として、これはもうアバウトで、大ざっぱにやる以外にない。しかし、おれたちが最終的には税金をしょうのだから説明しろというお客さんだってないわけじゃございますまい。さて、それを店員さんが説明できない。おやじさんが出ていって説明しても、十三円のものを二十円にしておったり、あるいは十円にしておったりもするでしょう。その辺のトラブルが大変なことになるという気もするのでございます。 いずれにいたしましても、こういう非常に激しい競争の中でそういうコストが介入してきますと、これを完全に転嫁できない。転嫁できなければ、先ほど申し上げたとおり、これはもはや間接税でなくして直接税、企業課税という方向へ変わってしまう、いわゆる売上税の根本を揺すぶることになりかねない。私は、売上税導入の最大の問題はこの転嫁問題にあると考えるのでございます。 その次に、納税コストと事務量の増大ということについて一言つけ加えておきたいと思うのでございます。 私ども中小企業についての納税コスト、あるいはこれに伴う事務量の増大については、決して少なからざるものがあるだろうというふうにだれもが考えてはおりますけれども、百六十万に余る小売商の業種、業態あるいは立地等にわたってこれを完全にシミュレーションをつくって調査することは実は不可能に近いものがございます、しかし幸いなことに、百貨店協会の方ではかなり努力されて、既に売上税導入に伴う納税コストについて算出されております。百貨店協会の方も私どもと御一緒にいろいろ勉強会をやっておりますので、しょっちゅうこういうものも見せてもらっておるのでございますが、これによりますと、納税額に対して納税コストというものは、百円納税しようとする、税金を払おうとするならば、六十八円七十銭の納税コストがかかる、こういう計算が出ているのでございます、はついきのう、おととい、全国書籍組合とか出版組合が意見広告を朝日新聞あるいは経済新聞に出しております。このところでは、実は納税額をオーバーする納税コストがかかるのだと、こうあの意見広告には書いておりましたが、私どものグループの計算では、今言うとおり、百貨店でさえ六八%近いものがかかるということでございます。 政府の方では、簡素化とかあるいは節約、いろいろなことを御苦労なさっておるようでございますけれども、それはいわゆる業者の方が逆にその分をかわったというだけのことならば、結局トータルすれば意味はないわけでございまして、この納税コストの問題は大変なんです。しかし、そんなにかかるのか、百円納めるのに六十八円もかかるのかという疑問は当然起こります。ところが、これは十年前のように手作業の時代とは違いまして、現在課税業者に認定される一億以上というところは、小なりといえども大半がコンピューター、あるいは大きなところは大きなコンピューターを入れております。いわゆる機械化が進んでおるのでございます。 〔委員長退席、吹田委員長代理着席〕 ここで扱っているのは、百貨店グループでは、品目にいたしまして、中分類だけで五十万品目から六十万品目に達する、これを細分類にいたしますと一千万点にも商品の数が達するということでございます。これらの商品の仕入れに伴う伝票は、課税商品と非課税商品、これを含めて仕入れしますから、それを分類する伝票類五百万から八百万枚、また売上伝票、レシート、これが一億枚、これはデパート百十七社の平均値でございますが、そういう膨大なる量をこなさなければいかぬということがこの六八%に達していく原因のようでございます。 今売上税が導入されますと、課税、非課税を区分けし管理するためにレジの交換や新しいコンピユーターも入れなければいけない、そしてソフトはもちろんかえなければならぬということでございまして、このことを自分でやるというよりも、むしろ作業委託する場合が多うございます等を含めますと、まことに膨大な事務量と費用になってしまう。この百貨店の平均値で見ますと、それらのことに要する人員が直ちに三十二名以上の増加が必要だ、こういうことでございますし、また従業員全部に売上税の説明、取り扱いの方法を教えていくというふうなことも大変な作業になるわけでございます。 中小商店の場合、これをそっくり持ってきてこのとおりにやりますというわけにはまいりませんが、例えば最近はやっておりますコンビニエンスストア、こういうところでも大体三千品目から五千品目扱っておりますし、我々のグループでも、絞り切った専門店はともかくとして、雑貨店その他のものはすべて三千から五千というものを扱っておるものでございますから、機械化がまだ不十分な小売業の場合、そのコストはあるいは百貨店をオーバーするのではないかというふうに推察されます。 時間もおおむねなくなってまいりましたので、簡単に結論的なことを申し上げますと、以上、不十分ながら、売上税の実施について、納税と徴税の責任といいますか、これを負うことになった業者の現場の意見、こういう意味で申し上げたのでございますが、要するに、この売上税という問題は、まさに最初から全くまさかといいますか、予想外と申しますか、これの連続だったような気がいたします。したがって、このまさかの発生によりまして、これをまた早急に徴税していくというふうな繰り返しの中で、極めて現在の売上税はわかりにくいの一語に尽きる。ついせんだってもある出版社の方と話をしたのですが、この売上税に関する解説書が既に三百種類出ておる。紙屋さんが紙の今後の供給の予測をするために調べてみたら、まだまだどんどん出るという。何ぼ出してみてもわからない、読めば読むほどわからぬというぐらい難しいものを抱え込んでしまっておるのでございます。まさに今日これがどうなるかということは、私は視界がゼロだということでないかと思うのでございます。 このまさかと申しますのは、第一には、大型間接税の性格を持っているところの売上税が、まさか税制改革案の主たる柱として出てくるということを考えていなかった。これは予想外のまさかだったということなんです。 第二のまさかこんなことがというのは、売上税に反対する運動がかくも短日月に、時目的にはわずか去年の十二月の末から今日までの間に国民の各層にわたって、しかも全国的に広がってしまったということでございます。これはマスコミの報道でも連日取り上げられておりますから、またさらに、三月八日の岩手県の参議院の補欠選挙はもう新聞に何遍も出たとおりこれを実証したものだということにもなりましょうが、本当にこの運動がこういうふうに、恩恵を受けるであろう一億円以下の非課税業者も、あるいは減税を受ける労働者やサラリーマングループも、どういうわけでこんなにだれもかれもが反対に回っているんだろうか。それは声を大きくするやつだけの話であってサイレントマジョリティーと申しますか声なき声は推進論者はいっぱいいるんだということも言えましょうが、どうもそういう方向じゃなさそうだ。第二の大きなまさかがここに起こっているのでございます。 〔吹田委員長代理退席、委員長着席〕 第三のまさかというのは、売上税に反対している野党の中で、四党の方々が売上税等粉砕闘争協議会というのをおつくりになった。これは私は、一党の歴史あるいは立党精神それぞれ違うものが院内でこういう協議会をおつくりになるということは、国会史上非常にまれなことではないだろうか。そういうことが行われるようなまさかがここに今出てきちゃったということでございます。 しかし、今回の税制改革は、シャウプ以来の税制の抜本的改革であるということでございます。また、我が国の事情から考えまして、これには遅かれ早かれ改革のメスを入れなければならぬということについては私は何ら異議を申すものではございません。しかしながら、自民党の「Q&A」の冒頭にも示してありますとおり、この大改革は「国民の理解と信頼に裏付けられた望ましい税制」でなくてはならぬということでございます。まさに私も全くそのとおりだと思うのでございます。 諸先生方におかれましては、何とぞこの国民の深い理解と協力を得られますようなそういう税制改革案をひとつじっくり時間をかけておつくり願い、拙速主義でなしに、国民の理解を求めていくということのためにぜひ御協力、御努力をお願いしたいのでございます。 そんなのんびりしたことをやっていられるかという非常にせっぱ詰まったこともございましょうが、ここへ提案されておりまする売上税は、私ども、もう仕方がございません、じゃお受けしてやりましょうと言いましても、先ほど申し上げたように、これからまだいつ法律ができますものやらできたときに政令、省令、通達等がまたできて、それを踏まえてコンピューターのソフトの改革というものに取り組まなければならぬ、伝票を何百万枚かえなければならぬというようなことは、物理的に半年やそこらじゃできません。百貨店協会でも最低一年半はかかると言っておりますから、実際に難しいのですから、ひとつじっくりとこの問題は研究し直して、国民の協力、納得の上に御施行くださるよう切にお願い申し上げまして、私の意見を終わりといたします。(拍手)
○砂田委員長 どうもありがとうございました。 次に飯塚公述人にお願いいたします。
○飯塚公述人 私は、公認会計士、税理士、そのほかにTKC全国会という北海道から沖縄まで散在する六千名の会計人の集団であるTKC全国会というところの会長をやらせていただいております。その飯塚毅でございます。 私は、昭和六十二年度国家予算への意見表明を求められているものでありますけれども、時間の割り当てが少のうございますので、そのうちに含まれている売上税問題等、若干の問題について発言させていただきます。 まず結論を先に申し上げますと、私は売上税法と称するEC型付加価値税法の導入には賛成であります。なぜかと申しますと、これは日本国憲法第十四条の国民の法のもとの平等原則を確実に一歩前進させるものという性格を持っているからであります。もちろん、法案そのものは不備なものであり、今後幾多の修正についての論議があることは否定できません。しかし、私としては、条文中に幾多の欠陥があるとしても、この法律を我が国の法体系の中に定着せしめていく意義は巨大なるものがあるのでありまして、その中心的な価値は平等原則、国民の平等原則及び租税正義の実現にあるというふうに私は判断いたしております。 去年の夏から年末にかけまして、政府の税制調査会あるいは自民党の税制調査会において売上税または日本型付加価値税が論議されましたときに、私の脳裏にぴんときたものがございまして、それは一九六六年十二月二十日の西ドイツにおける憲法裁判所の判決であります。 この判決は、一九一六年第一次大戦当時、一九一六年の六月二十六日に制定されたところの商品販売印紙税という、原名はバーレンウムザッツシュテンペルと申しますけれども、この税法、こういう法律名で始まったドイツの売上税、その憲法裁判所の判決が出るまでの売上税について、ドイツの憲法裁判所は無効を宣言したのであります。御承知と思いますけれども、ニヒティヒエルクレルンクという無効宣言というのを発したのであります。私はそのことをたまたま記憶のどこかに残しておりまして、ああ、まさにドイツの憲法裁判所が今までの売上税法は無効だ、無効である理由、それは国民の平等性を破壊しておるということなんですね。その根拠は、裁判所の判決によりますと、ドイツの憲法つまり今の基本法の第三条、法の前の平等という平等権と、租税正義に反するからというものであります。判決文を見ますと、租税正義というのはジュトイエルゲレビティッヒカイトと書いてあります。そういうものに反している、だから今までの売上税は無効である、憲法に反しているから無効である、こういう議論なんですね。 このときまでのドイツの売上税法はサービスには課税せず、したがって国民が漏れなく平等に税を負担するという思想からは遠かったのであります。今回の我が国の売上税法は、サービスへの課税を含んでおる、国民が漏れなく平等に税を負担するという思想を含んでおります。私が売上税法の導入に賛成する論拠はここにございます。 もちろん、平等原則と租税正義とを貫くということになれば、まあ恐れ多い話でありますけれども、政治家の脱税を暗黙に慫慂していると認められる政治資金規正法という天下公知のざる法、これを改めて、第四条に第六項として、この法律において「会計監査を行うべき者」とは、公認会計士及び開業五年以上の税理士をいうとの文言を加え、アメリカ、イギリス及びドイツの政治家と同じように、日本の政治家も国民の指導者として脱税には全くなじまない存在であるということを法律の上で明確にすべきだというふうに私は考えます。 この点の改革をみずから宣明なさるならば、選挙民たる国民は、我らの選んだ先生方も国家国民のために身を張って厳然として租税正義の貫徹を実践しておられる、だからもうそうなったら我々も自分の懐ばかり考えているわけにいかないということで、自分の懐ばかり考えている点では申しわけないと考えて、必ずそういう気持ちを持つに至るであろう。政治屋ではない政治家として長く国民の崇敬の的となっていくか否かは、先生方の見識と決断にかかっていると拝察する次第であります。 また、非課税品目の範囲をできるだけ狭める、同時に売上税の免税業者数をできるだけ少なくすることが、平等原則と租税正義とを実現するための絶対の要件であることを強調申し上げないわけにはまいりません。 御承知のようにイギリスでは、この種の売上税はバリュー・アッディド・タックス・アクトというふうに呼ばれております。この売上税の納税義務者は、イギリスにあっては一年間の売上高が邦貨換算で四百八十万円以上ということになっています。四百八十万円以下の人は売上税を払わないでもいいんだよと、こうなっている。非課税品目の領域は全部で十一品目でございます。西ドイツにおいても、過去一年間の売上高が邦貨換算で百七十万円、これはそのときのマルクの相場によりますけれども、百七十万円以上の者が納税義務者となっておる。そうして非課税品目の領域もほぼイギリスと同じであります。すなわち、両国とも非課税業者及び非課税品目領域をもうこれ以上は客観的に絞ることは不可能だと思われる限度にまで絞っております。これが公平原則と租税正義実現の現実的な限界であると私は考えます。そういう現実的な限界と客観的にも認められる、そこまで実は絞っているのであります。 本来、新型間接税である売上税発想の契機は、直接税と間接税との比率、すなわち直間比率の見直し論にあったはずでございます。 ちなみに、昭和五十五年以来、我が国の歳入に占める直接税、つまり法人税、所得税、相続税というような直接税の割合は七〇%を超えており、昭和六十一年度予算においては七二・九%と見積もられております。そのように増加しつつある直接税の中で、法人税と源泉所得税の割合が一層増加しつつあります。もうそれは限度です。これが不公平税制の是正、サラリーマン減税、法人税減税を求める声へとつながっていったのであります。それでは直間比率の見直しとはどういうことかということでございますが、それは、だれにどれだけ税を負担してもらうかという問題であることは言うまでもないことであります。そして、今回の売上税を導入する目的は、国際比較においても突出し過ぎてしまった企業及びサラリーマンの税負担というものを軽減し、さらに高齢化社会に対する対策も今のうちに準備する、その分だけ消費者全般に税負担を肩がわりしてもらおうというものであったはずであります。 しかし、今回の売上税法案は、この点で基本的な意思決定を極めておろそかにしていると言わざるを得ないものであります。消費者全般に肩がわりしてもらおうとするならば、企業あるいは事業者が売上税を一切自己負担しないで済むような仕組み、イギリスやドイツのようなそういう仕組みを法案の中に盛り込むべきであって、実態として事業者が売上税の相当部分を自己負担しなければならないような税制ならば、それは売上税という新型の直接税になってしまう。そこがポイントなんです。 すなわち、我々の申し上げる売上税の消費者への転嫁が容易に行われるためにも、また課税の公平さのためにも、非課税基準をできる限り低く抑える、また非課税品目領域は思い切って絞り込む必要があるというふうに私は考えます。 これを逆にして、非課税品目領域を拡大し、非課税業者の範囲を拡大していった場合に結果はどうなるか。答えは明白であります。公平原則は破られ、限りなく不公平を拡大し、租税正義の実現からは限りなく遠ざかり、顕著な不公平と不正義とがはんらんすることになり、国民は反乱気分にさえなっていきます。それは課税基準の比較において、イギリスの二十倍強、西ドイツの五十八倍強の不公平、不正義の実現ということになるわけであります。日本は一億ですからね。利益を要求するという集団、大概の集団が政治家の先生方のところに押し寄せます。そういう利益要求集団が政治に圧力をかけた場合、現在の法律案程度にまで正しい法理論をゆがめることができるという見本であるというふうに私は考えるわけであります。 物が豊かで世の中が平穏無事である場合、国民の過半数は革命思想を持たず、革命思想から離れて保守主義者になってまいります。これは古代の聖人の教えるところであります。それが突如として極端な不公平、不正義にさらされた場合、国民大衆は裏切られたと感ずる、そして怒りを示すのは当然だろうと私は思います。 そこに欠けているのは何か。何が欠けているのか、我が国の国会に、それは純粋な洞察力であります。カントと並び称せられるドイツの哲学者ヘーゲル、彼は一八〇七年に「精神現象論」、フェノメノロジー・デス・ガイステスという書物を書きました、波はそのフェリックス・マイナー社版の四百十三ページでこう言っています。「ティライネアインジヒトイストアルゾーゼルプストバーレスヴィッセン」こう言っています。「純粋洞察力は、それ自体、人間最高の学である」こういうふうに言っています。 私は同時に、東洋のインドのお釈迦様の教えがこれと同じだなと思っております。つまり、お釈迦様は阿含経という経典の中で、信ずるということ、これは我々の尊敬する政治家を信ずるのも同じであります。信ずるということ、同時に洞察力を持つこと、さらに心を耕すこと、この三つが人生における最高の条件であるということをお釈迦様は繰り返し繰り返し阿含経の中で説いておられます。 次に、先ほど私は冒頭において、「もちろん法案そのものは不備なものであり、今後幾多の修正についての論議があることは否定できません。」と申し上げましたけれども、その不備なるものとはどこかでありますが、この法案提出の巻き起こすであろう国民各層の不満爆発の洞察がほとんどなかったという点がその第一点であります。 私は数年末、国会の公聴会に出させていただきまして、国民に租税正義というものを守ってもらうためには、サラリーマンとのつり合いから、サミット構成国の平均値ぐらいの罰則規定を設けて、商人の記帳義務を強行規定とすべきだということを繰り返して訴えてまいりました。脱税の未遂犯というのは処罰すべきだと繰り返して訴えてきました。 例えばアメリカでは、一九八三年の九月以降は未遂犯は十万ドルです。十万ドル、すなわち千五百万円以下の罰金、または五年以下の懲役、または両罰の併科ということに定められております。これは内国歳入法の七千二百一条に書いてある明文規定であります。 日本ではどうか。国民に対し、租税債務について厳格な姿勢を求めるとの国家意思が示されていない。ですから、世界じゅうに類例を見ない、弁護士を約五百名調査したるところその約八割が脱税していたというようなことが先ごろ東京国税局の発表であったのでありますけれども、もう日本はここまで堕落している。弁護士の先生方を調査されて、それで八割が脱税しているということがわかった。これは堕落以外の何物でもありませんよ。しかも、行政当局は脱税した弁護士諸公を訴追したのかどうか、全然我々は聞いておりません。こういう納税環境を放置しておいては、不公平税制の是正は上でもできないのじゃないかと心配する次第であります。 さらに、イギリス初めほとんどの先進国の税法は、売上税を含めて、収税官吏の権力をかさに着た収税の仕方あるいは収税に当たっての歴然たる不当行為に対しては罰則規定を持っておりはす。イギリスの場合は付加価値税法の三十九条にその罰則規定がありますへ、なぜ日本だけは封建国家の伝統を、まあ守っているのだろうと思うのですけれども、伝統を残してそういう規定を設けないのかなと、修正、改革を願うべき点は、免税業者の範囲とか非課税品目領域の数とかのほかにもまだあるわけであります。 また、十二分に時間をかけて審議することが必要であると申しましたのは、私は実務家でありますからはっきりわかるのですけれども、売上税法に基づく帳簿記帳、あるいはもっと端的に仕訳と言ってもいいと思いますけれども、このままの売上税法では、とにかく免税品目がべらぼうに多いのですから、五十一品目というのはあれは間違いですよ、五十一品目領域ですから何千という免税があるのですよ。そこが問題なんです。売上税法に基づく帳簿記帳あるいは端的に仕訳と言ったっていいのですけれども、このままの売上税法では、この仕訳や会計処理を即座にできる企業の経理事務担当者というのはほとんどいないということでございます。この事実をどう見るかでございます。 日本の場合、免税品目領域はイギリスや西ドイツの約五倍、これが通常は免税品と課税品とが混合されて販売されるという、そういう形態をとっています。そのときに免税品と課税品とが区分けされて、税額がその都度計算されなければならないということになります。そこへ値引きや割引という問題が介入してまいります。あるいは割り戻しというのが介入してまいります。それらの会計処理は容易なものではありません。このままでは全国的に事務不能に陥ることは絶対に確実ですから、免税品目領域を思い切って減らしていただきたい。 同時に、課税の不公平を避けるためには、非課税業者を英、独並みに減らすことが不可欠であります。そうして税率は当分の間三%、いや二%、その程度でいいと思うのです。国民がこの税法になれるまではそのぐらいでよろしい、私はこう見ております。もちろん、決定は先生方の掌中にありますから、我々はただ先生方にお訴えするだけです。 去る三月六日、ことしの三月六日でありますが、西ドイツのハンブルク大学の税法学担当教授A・J・レードラーという博士が私を訪ねてまいりました。私はその会食の途中で質問しました。今あなたの国の売上税というのはウムザッツシュトイエル(メールベルトシュトイェル)と書いてある、売上税(付加価値税)と書いてある、だからこの税法はおたくの国ではどうだったんだ、我が国ではこれが何か国民に誤解されちゃって、非常な誤解の上に立った形で政府は苦しんでおる、これはどういうふうにあなた方は考えるべきか、あなた方の経験を教えてくれと言ったのです。そうしたら彼いわく、へえ驚いたな、日本はそうか、西ドイツではこの売上税法に当たって一人も反対者はいなかったよと言っていましたよ。ああなるほどな、これぐらい違うのか、こう思った次第でございます。 その違いの根底にあるものは何か。我が国では、正しい記帳の義務というものが刑罰を担保とした強行規定となっていないという点にあります。そういうことをやらせていないから、したがって、もう欲得だけで税金を考え、欲得だけで政治家は考えている。それは困る。そういうのは困りますよ。先進国では全部、記帳というのは強行規定になっております。 またこの機会に、我が国税法の構造的欠陥について若干意見を述べさせていただきたいと思います。 それは、まず我が国の所得税法百二十条の規定でありますけれども、この規定は、シャウプ勧告書第四巻第四ページの文章を故意に曲解して、納税者が自分で所得を計算し、自分で税額を算出して申告するんだといった論理をとっていますけれども、これは曲解です。そして、先進国における申告納税制度のあり方とは相入れない現状をいつまでも放置させておくのでございますか。これは自民党の先生方に厳粛に御質問申し上げなければならぬ。 さらに、コンピューターの普及について我が国は世界第二位であるはずにもかかわらず、事企業がコンピューターを使って税務会計を行う、つまり自分の所得を計算する、こういう場合に、アメリカや西ドイツの実態と異なり、何ら規制する法律を持たず、全くの野放し状態にある。この結果、コンピューターを悪用した脱税が横行しておるというのが現状であります。課税の公平を実現するためには、今やコンピューター会計法規は不可欠であります。改めて、税法の改正に附帯して問題を提起いたしたいと存じております、 さらに最後に、今野党各党の先生方は、今回の売上税法案を撤回せよと叫んでおられます。そしてその理由として、中曽根首相の公約違反を主張しておられます。法律案の撤回要求と公約違反の問題とは同一次元の問題ではありません。その理由は後ほど申し上げます。 繰り返しになりますけれども、前段階控除制の売上税法というのは、現在世界の自由主義国家の大半、すなわち四十二カ国が採用している制度である。我が国だけ孤立するわけにいかない。各国の大蔵省や立法当局が苦心の末に練り上げてつくった法律であり、人間の法のもとにおける平等性と租税正義の実現、この二つをねらった法律でありますので、この法律案は絶対に撤回すべきではないと私どもは思っております。ただ、法律案の本旨とするところと現実のゆがめられた法律案とはちょっと違う。つまり基礎原理に若干のずれがあります。国会において修正の討議が行わるべきことは当然であると私は信じます。 ここで国会の先生方には、日本国憲法第七十二条と第四十一条とをあわせ読んでいただきたいのであります。第七十二条は「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、」云々とあります、つまり、内閣総理大臣は議案を国会に提出するところ、そこまでの責任は負っています。その後その議案をどう取り扱うか、どうまとめていくか、これは国会が決定するのであります。憲法第四十一条は何と言っているか、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と定められているのではありませんか。したがって、議案というものを国会に出すまで、別な言葉で言えば、議案が議長に渡されるまでの段階で公約違反があったかどうかが問題であって、その後は国権の最高機関たるべき国会がこれを自由に修正して、内閣提出の法律案とは相当程度にわたって修正され、原案が変わったものとなったとしても、そこまでは内閣総理大臣としては責任を負うわけにはいかないのであります。 こう見てまいりますと、野党の先生方が法律案を撤回せよと主張されるのは、まさに政治的な発言以外の何物でもないと認められる次第であります。むしろ野党は、より国民の平等性を貫き、租税正義をより実現できるような代案を示すべき責任があると信じます。 以上をもちまして、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○砂田委員長 どうもありがとうございました。
○砂田委員長 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
○今井委員 きょうは、わざわざお三人の方々にはこの公聴会に御出席をいただきまして、それぞれの御意見をお述べいただきましたことをありがたく存じます。 私は自由民主党の今井でございます。これから若干のお尋ねをいたしたいと思いますが、私の持ち時間が十五分という極めて短い時間でございますので、あらかじめ質問事項をお三人の方々にこれから申し上げます。したがいまして、簡潔にお答えをいただきますれば幸いでございます。 まず最初に、滑川市長の澤田さんに。 まず、地域経済浮揚のための公共事業が極めて重要であると強調されましたが、滑川市の場合に公共事業受け入れの姿勢、特に予算計上時期等について具体的にお答えをいただきたい、それが第一点、 第二点は、積寒地域でございます。積寒地域では冬季の工事が著しく困難でございますから、早期発注というのが必要だということはよくわかります。そこで、滑川市におきます事業の実施状況、特に上半期におきます契約高の比率などがわかればお聞きをいたしたいと思います。 それから三番目は、地方単独事業というものが景気の浮揚対策として極めて重要であることはそのとおりでありますが、六十二年度の場合、どのような方針でどのくらいの規模の予算計上をしておられるのか、承りたいと思います。 最後に、滑川市は六十二年度の当初予算で、税制改革により創設されます予定の売上譲与税を計上されると私は聞いておりまが、市長が計上すると決めました考え方等についてお聞かせ願えれば幸いだと思います。 次に、三浦公述人に対して三点ほどお聞きいたしたいと思います。 まず第一点は、サラリーマンからは重税感の解消と同時に、異なる所得の間の税負担の不公平、いわゆるクロヨンであるとかあるいはトーゴーサンといった是正に対します要望が強いけれども、これについて公述人のお考えはどうであろうか、これが第一点。 第二点は、今回の税制改革は、中堅サラリーマンを中心とした重税感、不公平感の解消を図るための所得税の減税、あるいは国内産業の空洞化を避けるという見地に立って、法人税の国際化を図るための法人税の減税が盛り込まれております。また、将来の高齢化社会におきます年金、医療費等の社会福祉のそういった費用の増大にも対応する必要がありまして、このため売上税の導入を考えているわけでありますが、売上税導入に反対の立場から、しからば売上税にかわる別途財源案をお持ちであろうか、お持ちであるならばお聞かせいただきたい、それが第二点であります、 もう一つは、小売業者のうち九割以上というものが年収一億円以下の事業者であると聞いておりますが、今回の売上税では、これら一億円以下の事業者は非課税事業者であります。そこで、課税業者の売上税導入に伴います事務経費は、先ほどお聞きしましても膨大な額になるということでありますが、そうだとしますと、九割以上を占める非課税業者であります小売業者というのは、このような事務経費が要らないわけであります。さらにまた、小売マージンに対します五%の売上税も不要であるということから、年収一億円を超えます中規模あるいは大規模の小売業者に比べて競争上随分有利になるのではないかな、こう考えるのでありますけれども、それに対するお考えをお聞かせいただきたい。 最後に、飯塚公述人には、今大変な熱弁をお聞かせいただきましたが、二点ほど御質問を申し上げたい。 第一点は、今回の税制改革につきまして、増減税同額だと言われております。それについての御言及がなかったように思いますが、あなたの御意見をお聞かせいただきたいのが第一点。 それから、税務と会計の専門家としてあなたは今回の売上税法案について、あなたの書いたものによりますと、冒頭、「私は売上税法と称するEC型付加価値税法の導入には賛成であります。」と率直に述べられておりますが、さらに御付言されることがありますれば、この際承っておきたいと思います。 以上でございます。
○澤田公述人 ただいまの御質問にお答えを申し上げます。 滑川市におきまして、地域経済の浮揚のために公共事業を非常に重視をして考えております。 例年どうやっているかというお尋ねだったかと思いますが、例年は、当初予算で公共事業にかかわる国の配分見込み額、これの大部分を計上いたしております。そうして九月になってから補正予算で最終調整をするというのが例年の方法であります。したがいまして、六十二年度の今度の予算におきましても、国の予算などを勘案しまして積極的に公共事業を組み込んでおるわけであります。いつでも事業に着手できるようにしておるわけでありますが、先ほど言いましたように、国の内示がおくれますと発注が困難となるわけでありまして、とにかく内示がなければ何もできないということになりますから、予算の早期成立を特にお願いをしたいわけであります。 今までの予算の執行状況はどうかということでございまして、先ほど申しましたように、なるべく早くやりたい。特に私どものところは冬は雪が降りますので、十二月から三月の半ばまでは工事等はなかなかできにくいという実情にございますので、今年度の予算では土木費として十四億、これは全予算の二二%を今組み込んでおります。その予算の五〇%を六月末までに契約をするという実情であります。九月末の契約率というのは大体八〇・七%ぐらい、これをとにかく九月ごろまでにやらないと、雪が降りますと間に合わない、こういうことになるわけであります。十二月末には八三・八%というのが大体実情でございます。 次は、公共事業といわゆる自主財源を使ってやるところの事業との関係でございますが、地方単独事業というのは地方の景気浮揚にとっては大変重要な事項でございます。ことし我が市においてやろうとしておりますのは、まず大きなのは下水道建設事業、二億一千八百万ばかりを、これから始める下水道事業の下水処理場等の国の補助事業のほかに取りつけ道であるとかいろいろなもので二億一千万ぐらいはやらにゃいかぬ、こういうことになっております。また、例年の一般市道の改良、舗装工事、こういったものにも二億一千万ぐらい出さなければならぬ、こういうようなことで、そのほかいろいろ小中学校の改修であるとかグラウンドの整備、あるいは消防関係の諸設備の整備、それから土地区画整理事業、こういうようなものをことし上げております。そういったことで、地方単独事業の受注先はほとんど市内のいわゆる零細業者という形になるかと思います。約六十社ほどございますが、非常に零細な業者がこういったような事業の促進を非常にまた望んでおり、それか地方景気に随分影響があるわけであります、 そういったようなことで、先ほどの御質問にまとめたような形になりますが、この自主財源を使い、地方単独事業を大体ごとしも一丁九%くらい増加しよう、こう考えておるわけであります。また、補正があれば、それ次第でさらに追加したい。ただし、地方収入が不確実なままではとてもじゃないけれども事業が実施できないわけでありまして、この点特にこの予算の早期成立ということについては御配慮を賜りたい、こう思います。 次は、滑川市で今度創設される予定の売上譲与税を六十二年度予算に組み込んだわけでありますが、その考えはどうかということでございましたが、私どものような市では財政基盤、これが非常に脆弱なわけであります。そういう中で先ほど申しました、いろいろやっていこうとする場合に国から示された地方財政計画、この財源はすべて見込まないと事業がやっていけないわけであります。予算が組み込めない。売上税の賛否は、これは国政レベルで十分に御審議をいただきたいと思いますが、私どもとしましては、国が閣議決定をされて地方財政計画で示された予算というものは、例年それに従って予算計上をいたしておりますし、一つの指針、ガイダンスとしてやはりそれを引用しなければ私どもの予算というのは非常に組みにくくなるわけでありまして、そういった意味において当然だと思って売上譲与税、利子割その他を組み込んでおります。 先ほどの意見陳述でも申しましたけれども、地方財政計画に示された収入に穴があくということは、とりもなおさず私どものような小さな市においては財政運営が成り立たないということでありますので、ひとつその辺をよろしくお願いを申し上げます、
○三浦公述人 実は大変難しい御質問を受けたような気がいたしますが、まず第一問の、サラリーマンとの税金の公平、不公平感、この問題について売上税をもってこの公平化を期そうということを企図しているんだが、それはどうかというような御質問であると承ります。 私は、サラリーマンの皆さんは、これにこぞって賛成されるんじゃないだろうかというふうに初めは考えておったのでございます。ところが、どうもそのサラリーマンの方々が必ずしも一〇〇%こっち側に乗ってきていない。せっかく面倒を見てやろうというのにどうしてなんだという、この辺が実は私にも十分にわかりにくい点がございます。 要するに、いろいろ試算が出ておりまして、その試算の中で、六百万以下はむしろ増税になるとか、それは七百万円以下なのだとか五百五十万以下だとか、いろいろ議論はございます。試算もございますが、中堅サラリーマンというのは一体どういうところを指すのだろうか。いわゆる三百万収入、四百万収入といったぐらいの、今出ておる減税効果と申しますか、それの受益者は、どうもそういう四百万や三百万あるいは五百万以下の人じゃないらしい。しかし、これは圧倒的に多数だ。そういうことで、中堅というのは一体どの辺を指したことだろうか。サラリーマン全体じゃなかった、そのうちの一部分だった。だからこのようにサラリーマンの皆さんも反対の方にかなり多数の方が図られたんじゃないだろうかなという気がいたします。しかし私は、サラリーマンに限らず、所得税といわゆるその他の税金との不公平ですね、これは当然善処すべきものだ、その点については反対ではございません。やるべきものだと思います。 それから第二番目の法人税の減税ですね、これをどう考えるかということで、これは私も法人にも関係しておりますから大いに結構な話ではございますが、さあどうですかね。現在の日本の国際貿易その他における競争力というものが、日本が税金が高いから大変困っているんだということなのか、円高で困っているのかですね。今までの税制その他で、これほど輸出が増大して世界的に富んだ国になり強力になっておるこの競争力、日本の重立った企業の競争力というのはかなり強過ぎるのじゃないだろうか、国際的に活躍なさっている方々の。それをまた税金で何とか活力をつけてあげなければならぬ、しかも売上税を施行してすぐやらなければならぬということだろうかなという疑問を、私実は十分にはわかりませんけれども、そんな気がいたします。 法人税減税は、しかしそういう国際企業だけじゃございません、国内の中小法人がいっぱいございますから、そういう意味からいいますならばこれもぜひやっていただきたいし、高齢化社会あるいは社会福祉、もちろん大切でございますが、これらをやるについて何とか、いわゆる大きな、中曽根さんのおっしゃることで言えば、もう体の血液を入れかえるぐらいの大きな手術なんだということである以上は、患者の意見も家族の意見も十分聞いて、こんな手術をやるぞということで手術をしなければいけないのじゃないか。そういう意味で、まさにこの税制改革は大事業でございますから、その意味においてぜひひとつこれをやり遂げていただきたいが、じっくり時間をかけて国民各層の意見もお取り上げになってひとつお決め願えれば幸いだ、私はこのように存じます。 第三番目は、一億以下の非課税をつくってやった、これは別に先ほど私が申し述べたように手間もかかるわけじゃないし、むしろ安くなるんだから非常な恩恵じゃないか、私もそういうふうに実は思っておったのです。したがって、私自身も日本商店連盟の本部の責任者として、地方から、これで売上税は一億以下は何も関係ないぞとなったようだから、したがって、もう反対じゃ何じゃ余計なことをせぬでもいいですねと言うから、うん、どうもそうらしいね、助かったななんて冗談に言っておったのです。 ところがあの「Q&A」だとかああいうものが出されPRがだんだんと行き届いてくるにつれて、どうもこれは大変だ。また大蔵省の方の試算でも、九〇%近い非課税業者はつくってみても税収はほとんど変わらない。一〇%か二〇%か忘れましたが、一五、六%少なくなるぐらいのもので、ほとんど実質は変わらない。おかしいな、一億以下はみんな面倒を見てもらっているのに税収に影響がない、小売業の売り上げというものは何じゃかんじゃ言ってもまだ圧倒的に多いんだ、比率も多いのに、どうしてだろうなと思ったら、案の定、川上でかかっている税金は全部小売業者が払う、それで一億以下の小売業者も払う、日その払うのはどこへも行くべき先はないから、さっき申し上げたコストに入れてしまわなければならぬということなんですね。したがって、仕入れが既に高くなってしまっている、こういうことなんです。つまり、小売業者は消費者にかわって最終ユーザーとして実は売上税納税者になり、しかも負担者にもなってしまったわけですね。これで一億以下の人もびっくりしてしまった。これは大変だ、ひとつ反対してくれという声が公然と起こってきたということでございます。 これを、あるいは課税を選択するといったふうな場合の状況、非課税がどのように利益になるかならぬかの状況を、私どもシミュレーションをつくって今研究している最中でございますが、まだ残念ながら公表の段階には至っておりませんけれども、決して一億以下がああ助かった、よかったという状況ではございませんので、その辺ひとつ今のような説明で御勘弁願います。
○飯塚公述人 お答え申し上げます。 増減税同額ということについてどう考えるかというのが第一の御質問でございますが、ちょっと言う言葉が早過ぎたなと私は感じております。結果的には増減税同額かもしれませんけれども、現実はといえば減税が先行しているんですから、だから減税先行だ、こう言ってくれればいいのに、何だって増減税同額だなんて言うんだかわからない。我々国民とすれば、やはり真実を正確に言ってくれればいい。減税が先行するんだよ、こう言ってくれればいい。さらに、できればもうちょっと減税を多くしてくれればよかった、こう思っている。 それから第二の、税務会計の専門家としてあなたは今回の売上税法案をどう考えているかという御質問でございますけれども、正直申し上げますと、やあよくやってくれたという考えなんです。というのは、私どもは税務会計の専門家ですから、納税者が真実をなかなか言ってくれないことは非常な苦痛です。その非常な苦痛なところを、今度の売上税法によると前段階控除だから、だから勢い隠せないということになりますから、その点ではやっとこさで租税正義が実現される方向へ未たな、やはり国会の先生方は考えてくださっているのだなという気持ちは持っている。しかし同時に、ちょっとお知恵が足りなかったと思う。 それは、例えばイギリスは税率一五%です。しかし、私が感心しているのは、〇%というものもある。つまりイギリスの場合は、全面的に売上税をかけるのだよということを言っておきながら、あなたはかけるけれども〇%ですよ、つまり実際に払う税額はないんだよということになっている。それが法制化されている。ここが立派だと思う。 それからドイツの場合は、売上税をぎりぎりに絞って一年間百七十万ですから、そんな売り上げの人はありませんよ。つまり残らず課税業者にしてしまった。そういうことなんです。前段階の納税分は全部控除してくれますから、まことにうまいのですよ。だから、ドイツのレードラーという税法学者が私のところに来たときに、いや反対者は一人もいないよと言ってましたよ。いないはずなんだ、事業者は全部非課税なんだから、だって最後に消費者だけが五%かぶるだけなんだから何ということないですよということでございます。その点がちょっと工夫が足りなかったと思っているわけでございます。
○今井委員 まだ十分お聞きしたいことが実はあるのですけれども、私の割り当てされました時間を過ぎておりますので、残念ながらこれで終わります。ありがとうございました。
○砂田委員長 川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 本日は、大変お忙しいところを澤田公述人、三浦公述人飯塚公述人、本当にありがとうございました。お礼を申し上げたいと思います。 まず、三浦公述人にお伺いをいたしたいと思います。三浦さんは日本商店連盟の副会長さんをしておられるわけでありますが、そうした小売の方々が結集をされておりますこの連盟の傘下の団体数、それから業者数というのはどれくらいになるのでしょうか。
○三浦公述人 お答えいたします。 私が副会長をいたしております日本商店連盟は北海道から九州まで、釧路から鹿児島までございますが、団体数で約百三十六ほどございます。それから、お店の数、札幌は札幌、鹿児島は鹿児島で、各地でこの団体に入っておりますそれらを総計いたしますと四万五千店舗、したがって、大して大きいものではございませんが、その地域地域においては中堅のグループとして活躍をいたしております。
○川崎(寛)委員 そういたしますと、今度の売上税の問題についても、そうした北海道から九州、沖縄まで、そういう日本の中小の皆さんの御意向というものを十分吸収しておられる、結集しておられる、こういうふうに思うわけです。 先ほどお述べになっておられましたが、商業統計で見て、今の不況の中で商店数が大変減少してきておるわけですね。ドイツやフランスを見ましても、実は付加価値税を入れましたときに大変急激に減少しておるという統計があるわけです。そういたしますと、今度売上税を導入、こういうことになりますと、先ほどもお述べになっておりますが、私はこれは大変減少すると思いますし、また中曽根首相も民放で、日本における複雑な流通機構を合理化をするんだ、こういうことを述べておられるわけでありますが、その中曽根首相の流通機構合理化という御発言に対して、商店連盟の副会長としてそれをどういうふうに受けとめられたか伺いたいと思います。
○三浦公述人 ただいまの御質問で、いわゆる私どものグループは全国に散らばっておりますが、大体各地区においては、そう言ってはなにですけれども、中堅以上のグループでございますから、先生には失礼ですけれども、従来保守党の先生方の選挙のお手伝いをするとか、あるいは何かの役をやっておりますとか、その他もうほとんど私ども挙げてもって自民党さんのお手伝いといいますか、そういうグループの集まりというか、そういう考え方が非常に強い団体でございますが、今度のこの売上税については、そういう党派というものに関係なしに、売上税こそこれはかたきであって、どの党がどうということでなしに、反対しておるのはこうだ、こういうことなんですね。そういう考え方が大体全国のグループの考え方のように私ども感じております。 それから、合理化の問題でございましたか。中曽根さんのどの点の合理化ですか。
○川崎(寛)委員 流通機構が合理化をされる……。
○三浦公述人 流通機構が合理化されるということは、私先ほども少し詳しく述べたつもりでございますが、昭和四十年前後ですか、東大の林先生が「流通革命論」という本をお書きになったのも、そして日本のスーパーがこんなに発達したのも、流通経路の短縮ということで中間の中小卸商を排除するといったふうな思想も入っているわけなんですね。しかしながら、小売業の零細者も卸の零細者も数ではむしろふえているというのが現状でございます。それは必要があるからふえているんだ、理論と実態は全く違っておったということでございましょうが、今度の売上税で、実は中間に非課税業者が入られますと、今度川上からの税額票が参りませんから、控除票が参りませんから、税金をまけてもらうわけにはいかない。税務署へ申請できないからかえってそこから先がまた割高になってくる。これは示さぬでもすぐわかりますが、割高になってくるということで、そういう者とはお取引はできませんよということをこれは大型の購入業者もやらざるを得ない状況になっていくと思うのです。そういう形での荒療治での合理化ですね。これは私は、税理の方法によってそういう合理化を達成するということは邪道だと思うのです。そういうことはあくまでも中立てなければならぬと思うのですね。それは経済の合理化の方で達成できる部分で達成していくという必要があるのじゃないだろうか、こういう気がいたします。 特に私は、農業の状況も、こういう場合に、第三次産業の中で圧倒的に多数の流通部門、ここらに中高年者を引き受けなければならぬ立場にもあり、そこから失業者を出したりでなしに、そこが引き受けるものを、せめてもこの分野ぐらいは、まあ流通の合理化も大切でしょうけれども、それ以上に社会的に大きな経済的役割を持っているという面も無視できないものがあるという部分も十分お考え願いたいような気がいたします。
○川崎(寛)委員 まさにそのとおりだと思います。かって農村は失業者のプールでもあったわけですね、今もう完全に農村というのはそういう力を失っているわけでありますけれども。今、新日鉄とかそういう大産業、日本経済を支えてきた基礎産業も大合理化をしなければならないという大失業の時代に入っているというふうに思われますね。私は日本の流通機構というのはヨーロッパとはまた違うと思います。確かに複雑な面はあります。しかし、中小企業がやはり日本経済の活力の源泉だ、こういうふうにも思うのですよ。ところが、それが今大企業の場合も急速な急激な円高不況で絞り出されておる。ある意味においては外圧で合理化が進められておる。これは日本経済の構造変化という問題もあります。しかし、日本経済の構造変化というものも、そうした為替でやられていったんじゃたまったものじゃなくて、政治は何のためにあるべきかという根本を考えますと、やはり完全雇用で、みんなが安心して暮らせる、安心して仕事ができる、安心して商売ができるということでなきゃならぬと思うのです。 この円高不況というのは人災だ、こういうふうに私は思っております。そこへ持ってきて今度は税制で中小企業を合理化をしていく、流通機構を合理化をしていくということは、これは租税正義の貫徹だということだけでは済まない問題だというふうに思いますね。ですから、その点については、やはり今国際的にも、お述べにもなっておられますけれども内需拡大をしなければならないというときに、大企業の方に急速な失業者を出し城下町はどんどんつぶれていく、そういうときに、今度一方また中小企業者の方も雇用を受けられないような状況というのがこれから出てくるのではないか。その点については、今三浦公述人が言われたように、合理化の問題その他は、やはりそれぞれが企業をやり営業しながらその中で合理化をしていく。それを税制でやるということは私は邪道だと思いますが、その点、改めてひとつお伺いします。
○三浦公述人 まさに先生のおっしゃるとおり、流通の合理化というものも必要でございましょう。けれども私は、税制という手段をもって、売上税という手段をもってこれを強行するという荒療治はお避け願いたいということを申し上げているのでございまして、流通の合理化に反対するものではございません。何とかこれを失業者を出さないように、また社会的な経済的な機能を失わないようにひとつみんなで知恵を絞らなければならぬ、こんなふうに考えておりますので、そのように御了承願います。
○川崎(寛)委員 宮澤大蔵大臣は、本委員会の質疑の際にも、売上税というのは業者がかぶるべきものではないんだ、これはすっと通して消費者に負担をしてもらうものだ、だから決して業者がかぶる企業税にはならぬ、またそうしちゃいかぬのだ、工夫をせにゃいかぬのだ、こういうふうに大変論理的に言われるのでありますが、先ほどこれは飯塚公述人もお述べになっておりますけれども、私は現実には転嫁が大変困難で、それは先ほど飯塚先生も言われた課税、非課税という問題もあるわけですが、これは大変転嫁が困難で、事実上企業税になる、企業課税になると思うのであります。その点、もう少し詳しく伺いたいと思います。三浦公述人にお願いしたいと思います。
○三浦公述人 売上税が円滑に施行されるか否かということは、私は、最大の問題はこの転嫁が一〇〇%可能であるか否かという点に非常に深いかかわり合いがある、こういうふうに考えます。この転嫁ができなければ売上税そのものがもう変わってしまうんだというほどの重大な影響を持っているものであり、そうしてもう一つは、これが円滑に施行されるためには、やはり納税の義務と徴税の義務を二つながら背負っているところの業者、企業、これが理解して協力するという姿勢がなければ長もちしないのじゃないかと思うのですよ。そういう二つの点からいって、なぜ業者が十分に協力できないんだろうかというと、完全に転嫁ができないという心配があるというところにあるんじゃないかと思うのですね。 それで、いわゆるコストというものは、先ほど私申し上げたように、売価というのは仕入れ価格にいろいろな費用、コストをプラスし、そして適正な利潤というものをプラスしたもので、付近の状況も考えて構成しておった。そこへ、いじってはいけない売上税というものがその中へ入ってくるのですね。その外側でお客さんにこれだけが税金でございますと言うことは事実上また不可能でございましょう。大蔵省もやれとは言っておりませんし、法律もやれとは命じておりません。その中に、コストの中へそれを加え込んで、含み込んで、それで合理化をしていこう、コストダウンをしていこうとなると、売上税に触れざるを得ないのですね、コストですから。だけれども、触れるわけにいかないということになれば、それはもう自分で泣くか、売り上げが減っても頑固にこれは税金だから有無を言わさず取るんだという姿勢でいくかしかない。私は現在の厳しい競争状況の中ではそれは難しいと思うのでございまして、これは私ぜひそういう点で立案に携わった役人の方が、もう少し流通の実態を、卸、小売、どこからどういうふうに仕入れているとか、それから消費者との対面、それがどのように行われているかということを見れば、理外の理としてこれは難しいなということがおわかり願えるんじゃないかと思うのですね。理論的に、建前としてはそのとおりだと思うのです。宮澤さん、大蔵大臣のおっしゃるとおりそれは建前だと思うのですけれども、実際はそのとおりにいかないということが現場の事情でございます。
○川崎(寛)委員 そうした現場の納税者としての立場、徴税者としての立場、あるわけですが、そしてそういう課税、非課税の間の転嫁の問題ですね、大変難しい。そういう現実について、これはだから後ほどまた立法過程の議論を、つまり税法の立法過程という議論を少しまたお願いをいたします、お尋ねいたしますが、三浦公述人にお伺いをしたいのは、そういう皆さん方が、特に中小零細な皆さん方が持っておる悩みというものを、もしこれが実行されたらどうなるか、そういう問題について皆さんと本当に大蔵の当局が話し合ったことがあるのか、あるいは実態調査というものをやったことがあるのか。非課税業者の中から、つまり免税業者の中から課税業者を申請せざるを得ないのが現実にどれくらいあるのか、それはどういう業種に多いのか、その場合にその一つ一つが実態はどうなのか、これからどういう影響を受けるのか、こういうふうなことについて大蔵省の諸君なりあるいは中小企業の指導機関であります通産省あるいは中小企業庁ですか、そういうところと皆さん方が話し合ったことがあるのかどうか。いかがですか。
○三浦公述人 お答えいたします。 いわゆる大蔵省やあるいは監督官庁の通産省とこの問題について、時には通産省あたりから、君たちの業種で本当に転嫁の難しいものは何と何があるんだ、それはなぜ難しいんだといったふうな御質問を受けたこともあり、お答えしたこともございます。それにも増して、ひとつ通産省のお役人も、百貨店自体でも、一〇〇%ああいうふうに整備されたところでさえ転嫁できないと言っているんだから一遍現場を見てやってくれませんかというふうにお話し申し上げて、何か高島屋さんの専務さんの話では、つい十日か二週間ほど前に百貨店協会の専務も一緒についていって高島屋の現場をごらんになったらしいのですね、食料品の売り場から。そこには非課税になるものから課税商品になるものからごっちゃになって、それをレジに持ってきて一つの袋に入れて買っていっている、そういう姿をお役人もごらんになって、いやこれは大変だなという感触を持ってお帰りになったというふうなことを言っておりました。そういうことで、現場をごらんになってもなかなかこれは大変なことなんだなということがおわかりいただけるんじゃないかという気がいたします。 それで、私どもとしましては何とかして転嫁の方法はないかということも真剣に考えてみたのですけれども、先ほども申し上げたとおりコスト、今までの例えば人件費だとか広告費だとか家賃だとか燃料費だとかそういうコストと、それから生きていくための最低の利潤、仕入れ代金から含めて、この三つの、競争定価をつけてみて、お客さんにこれでお買いくださいませんかと提示したときに、わかりました、それで買いますと言ってくれるのは、まず公共料金ですね。ガスだとか汽車の切符だとか電話だとか、政府が認可なさるような、あるいは独占的な、あるいは最悪の場合でも公取で許可を得ている再販価格の維持品目というぐらいのところならば何とかこれは転嫁できます。だけれども、ほかのものは現状でも転嫁できてない。転嫁できてないからつぶれるのがいっぱいできるんですよ。コストをようカバーしないんだから、競争のために。そういう条件の中で、今の売上税も含めてコストとしてお客さんにかぶせよう、かぶせられぬはずないじゃないかと。税務署さんのように権力を持っているわけじゃありませんし、それはとてもできないというのが我々一般の業者の声でございます。
○川崎(寛)委員 それでは次に、ちょっともう一遍三浦さんの方に返りますと、私はやはりそういう御意見からすると、どうしてもこれは撤回をして、もう一遍本当に税制改革国民会議という、私たち先ほどまさかと言われた売上税等粉砕の共闘会議というのをつくりまして、そして税制改革案も発表いたします。その中では税制改革国民会議というものもつくってやりたいと思っているんです。ですから、そういう本当に国民参加の、信頼のある、この自民党の「Q&A」でも言っているようなそういう税制改革というものにいきたい、こう思うんですが、いかがですか。これは結論だけ言ってください。
○三浦公述人 すべての税制というものは大蔵省を中心としてお役人、そして最終的には国会でお決めになる問題でございまして、そう言ってはなんだけれども、徴税者の論理というものがかなり強く出ていると思うのですね。いわゆる納税者の論理というものを加味していかないと、私はうまく二つの両輪が回らないではないかという気がするわけでございます。 仰せのとおり、私どもの方でも商工会議所の中にいわゆる税制国民会議というものをつくって真剣に我々も勉強してみようじゃないか、もうこのままじゃいけないんだから勉強しようやということを、それはあくまでも納税者の論理というものを踏まえて、それを十分反映できるような案をひとつつくってみようじゃないかということで、ついせんだってもこの発会式を挙げたわけでございますが、ぜひひとつ各党でもそういう意味で国民の声を聞いておやりになる方が具体的に実行して後の運営が円滑にいくであろう、かように考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
○川崎(寛)委員 飯塚公述人にお伺いしたいと思います。 今自民党の中で、これは大変他党に済みませんが、「売上税江戸と地元で二枚舌」という狂句があるというのをこの間伺ったのであります。今その中で敢然と先頭を切って頑張っておるのが、この間私も討論をやりましたが、自民党の渡辺美智雄現税制調査会の副会長さんですね。この人が中央公論の四月号の座談会の中で、こう言っているんですよ。これは私大変大事だと思っているんですが、売上税の問題を大蔵省は七年間勉強してきた、しかし出しても通らぬだろう、だからずっと抑えておったんだ、十二月中旬に突如これは決まった、だから役所は全部知らなかった、国会議員もみんな知らなかったんだ、こう彼が言っているんですよ。 自民党の税制調査会の副会長をしてきた人がこういうふうに言っておるのであります。これはもうちゃんと文字になっておるのだから。これは大変大事な問題であって、それでいて法律を出してきた。しかし、出してきた法律は、もう代表質問があるときにも法律が国会にない。政省令の問題もそうですし、そういう状況の今の過程を見ますと、税法の立法過程というものに大変欠陥がある。今も三浦さんなどのような直接いろいろ利害関係の深い方々もそう言っておられるのです。ですから、このことをどう思われるかというのが一つ。時間がございませんのでそれが一つ。 それからもう一つは、朝日やNHKやそういうのが今世論調査を出しまして、大変売上税に反対をしておる国民の皆さんの気持ちというのを世論調査で出された。それから岩手の参議院の補欠選挙は、やはりこれをちゃんとあらわしておると思います。知事さんがかつてこの本院に籍を置いておられた方でございますが、その方は県民の世論は売上税撤回、反対だ、だから私はといって反対を表明された。それから、自民党の議員の皆さんが参加をした全国の各県議会が非常に強い、公約違反だ、撤回せい、反対せい、あるいは慎重に論議をせいといろいろありますが、相当今反対論が自民党の中にも上がっておるわけです。そうしますと、先生の議論からすると国民がばかなのか、なぜこんなに国民が反対をしておるのか。つまり、反対をしておるという事実関係ですね。私はやはり国民の世論というもの、「Q&A」自体が国民の信頼ということを言っているわけなんですから、やはり信頼に基づいた、国民の世論に基づいた政治でなければならぬと思いますが、そういう事実関係をどういうふうに御判断になりますか。 それからもう一つ、今の一番と二番は一緒にしてもいいと思いますが、三番目に、きょうお述べになりました政治資金規正法の問題。私は、今度の税制改革の一番大きな柱は不公平の是正だ、その不公平税制の是正の一番の柱はクロヨン、トーゴーサンピンというふうな問題であった。これまで何遍も大蔵委員会なり予算委員会なりに参考人として、公述人としておいでになられた飯塚先生は、この政治資金規正法の改正ということが日本国民の政治家の資質として可能性があるというふうにお考えになるかどうか、いかがですか。
○飯塚公述人 お答え申し上げます。 渡辺先生がそういうことをおっしゃったことが活字になっている、私またそれを読んでいないのです。だけれども、恐らくそうだろうと思うのです。だけれども、渡辺美智雄先生がおっしゃっているように、七、八年も前から大蔵官僚が勉強してきたのだとすると、大蔵官僚というのは随分ばかだなと私は思うわけでございます。というのは、イギリスやドイツでは付加価値税法は反対者がいない。それはなぜかというと、事業者は全部実は税金を出さなくたっていいんですよ、次から次へと転嫁していけばいいんですよというわけなんです。同時に、付加価値税のねらいは直間比率の是正だから、今回西ドイツのコール首相が言ったように、実は来年も税率を上げるぞ、ただし来年は付加価値税の税率を一%上げるけれども、勤労者のサラリーマンの税金はもっと下げるぞということを言った。だからだれも反対しない。そこが私は大切だと思うのですね。 先生方は、やはり日本では一番偉い存在なんだから、そこを国民に誤解させないようにやる必要があるということです。私は、渡辺先生の御発言はそういう点でちょっと残念だったと思います。つまり、大蔵省の役人の方が本当に頭のいい方々であるならば、当然イギリスやドイツあたりが何ゆえにこういうふうになっているのか。なぜドイツは、わずか年間百七十万以下のものは非課税だ。百七十万の売り上げというのはドイツにいませんよ。したがって、実は事業経営者は全面的に納税義務者なんだ。その納税義務者が、前段階で払われた税金は全部引いてもらえるのだから何ら差し支えない。ところが日本の場合は、問題は例えば今回の法案でいうならば三十四条が一つの大きな問題なんだ。つまり、いわゆる課税業者だけは前段階に払った税金は免除してやりますよ。そうすると課税業者でなかったものは、免税業者はどうなるんだ、もらえない、だから一種の間接的な脅迫になってしまうわけだ。つまり、おまえたちは課税業者にならないというのならば、じゃ前に払った前段階の売上税は控除してやらないよということになってしまう。はたから客観的に見ると、我々民間から見ていると、何だ大蔵省の案はと、幾らか脅迫している感じがあるのですね。これは下手だ。そうじゃなくて、ドイツのように全面的に納税者にしてしまってそしてやるか、またはイギリスのように〇%をやるか、とつちかをやるべきなんです。それをやらないというのは、これは自民党の中で修正論が出るのは当たり前だと僕は思っている。そしてやはりみんなを救っていかなければいかぬ、そう思うのです。 だけれどもそれは、先生がおっしゃった撤回しろというのと違う。撤回する必要はないのだ。つまり、公約違反であるか公約違反でないかというのは、憲法七十二条によれば、総理大臣が国会の議長のところへ法案を提出するまでのことなんだ。それから後は、先生方の方が総理大臣よりも偉いわけだから、国会は国権の最高機関なんだからね。だから先生方が内部で協議して、ここはひとつ全員が非課税になるように持っていこうじゃないか。つまり、事業者は法人であろうと個人であろうと残らず売上税はかからないんだよ、売上税が最後にかかるのは消費者だけだよというのが世界共通の売上税の論理でございますから、そこのところだけを外しちゃっているという点は、大蔵省の役人としてはちょっと失敗したなと思っているわけなんです一山 それから、ちょっと先生の御質問が多かったので困るのでございますけれども、例えば大部分の世論が売上税反対じゃないかというお話でございますけれども、それは事実でございます。どんな細かい店に行っても、飯塚先生どうですか今回の売上税法はと、至るところで聞かれる。おれは賛成なんだと言うと変な顔をしますよ。そのとおり、事実は事実でございますから私は承認せざるを得ない。しかしそれは、為政者の言葉足らずの結果国民が誤解を誘導されてしまった、実は誤解なんだ。いや、公約とおっしゃるのは憲法七十二条を見ればわかる。先生方は国民の中で一番偉い人なんだから、そこではっきりわかっていただきたいんだ。憲法七十二条、つまり法案を議長さんに出すまで、それまでは内閣総理大臣の責任ですよ。そこから先は国会の責任ですよ。国会の責任において修正すればいいんだからね。それでいいのですよ。そういうことなんです。 それから政治資金規正法のことでございますが、それはよくお尋ねくださいました。やはり国会議員というのは我々のリーダーであり、我々の指導者であり、我々国民を全部治めているのは国会の先生ですから、その先生が政治資金規正法で、会計監査をする者は公認会計士または開業五年以上の税理士とするというのをのんだとします。国民はうなりますよ。ああ、国会議員の先生もそこまで考えてくれるか、だったら我々もこの法案には賛成して協力しなければならぬと、こうなりますよ。 そこで、先生方は国権の最高機関を構成している方々でございます。だから、先生方の自由裁量によって法案を処理するということが正しい。政治資金規正法については、これをやるかやらないかで大体国会の運命は決まる。もしやらないようだったらば、何だ国会の先生も大したことないな、おれらも脱税志向なんだけれども一緒にやはり脱税志向になっちゃうということになりますから、そこのところだけは、国会議員の先生はちょっと違う、やはり我々は脱税になじまないということが確立されていなければならない、こう思う次第でございます。国会議員の良識にかけてお願い申し上げます。
○川崎(寛)委員 ありがとうございました。 ただ、付加価値税の問題は、フランスは一九一七年、ドイツは一九一六年。それからイギリスは一九四〇年ですね、これはヒトラーとの戦争の最中。前のやつは第一次大戦中。それからアメリカの州税は朝鮮戦争。だから全部戦争にかかわっている。そういう背景についてはきょうはもうお尋ねする時間がございませんから、そういう背景があり、そういう背景のもとにどう税制を変えていくかという議論については、また我々もこれからやらなければいかぬ議論ですが、ただ単発に言われることについては問題あり、こういうふうにしておきたいと思います。 それから、澤田公述人には大変失礼しました。傾斜配分の問題等についてお尋ねをしたいと思っておりましたが、時間を過ごしてしまいましたのでおわびをしたいと思います。 三公述人の皆さん、ありがとうございました。
○砂田委員長 水谷弘君。
○水谷委員 公明党の水谷弘でございます。 三人の公述人の皆様、大変お忙しいところ、御苦労さまでございます。いろいろ貴重な御意見をいただきまして大変参考になったわけでございますが、まず量初にお三方に共通した御質問をしたいと思っております。 いろいろ売上税の問題についての議論が今国内で噴出しているわけでございますけれども、検討すればするほど欠陥だらけ。今も飯塚公述人がおっしゃったとおり、その中身を調べれば調べるほど、御指摘のとおり問題点だらけ。今の御発言のように、何でこんなものをつくったのかというような御発言に至るまで、中身は大変なものであります。 これは先ほどの議論にもございましたけれども、最終的に消費者に転嫁される。その消費者に転嫁されるということ自体にも、現在のこの円高不況の日本経済の中で消費者がそれだけの負担を受けるということ、五兆八千億にも上る売上税の負担を受けるということは、これは大変な問題であります。その上に、消費者に負担が転嫁されずにすべてのいろいろな事業所の中にそれがもしとどまってしまうということになると、これもまた大変な問題がある。そういうことで、消費者、中小零細企業者、あらゆる業界にこれがすべて影響を及ぼす。 そして各紙、それからマスコミのいろいろな世論調査でも、今議論がございましたけれども、八〇%を超す世論が反対をしておられるわけであります。雇用問題、円高不況問題、また対外経済摩擦の問題、我が国がこれだけの問題を抱えているこの時期に、なぜ売上税を強硬に導入しなければならないのか。私は素朴な考えに基づいてそんな疑問を持つわけであります。中身はもちろん議論が噴出しているが、一番問題なのは、我が国の経済のこういう時期になぜ今売上税導入なのだ。所得税減税、法人税減税の財源としてたというそんな理屈は、日本経済を考えた場合に通用する理屈ではないと私は考えているわけであります。 このことについてお三方の御見解をお聞かせいただきたい、こう存じます。
○澤田公述人 お答えいたします。 この非常に問題の時期になぜ導入されるのかということにつきましては、これはひとつ議会におかれまして十分御審議をされて、立派な解決をしていただきたいと思うわけであります。 ただ、私、市政を担当しておりまして、実感と感ずるところを若干申し述べさせていただきたいと思います。 私どもの市の市民税の状況でございますが、現在、個人市民税を納めていただいている方が一万三千四百三十名、そのうち給与所得者が一万一千三百三名、八四%でございます。それから、市民税の額を計算いたしますと九億一千一百万円、そのうち給与所得者が納めている市民税が七億六千四百万円、八三・八%であります。と申しますのは、当滑川市におきまして、市民税の大半は給与所得者が納めておられるということであります。 私、たまたま保育所等を市で持っておりますが、サラリーマンの方が非常に保育料が高いという御所見を述べられます。この間調べましたら、一人の子供を保育所にやっておられる方の上から十五名を調べましたら、十二名が給与所得者でございます、市では、一カ月に上の方を余り高くならないようにカットしておりますが、最高の保育料を納められる上から十五番、そのうちの十二名が給与所得者、二人の子供を出しておられる方、それのやはり十五番をとりますと、十一名までは給与所得者であります。非常に保育料が高いということをおっしゃいます。もう如実に税が高いというようなことをおっしゃるわけでありまして、私どもも大変苦慮しておるところであります。 また、翻って別の面で見ますと、私の市の人口は三万一千五百でございます。三万一千五百人のうち、六十歳以上が一九%になっております。正確に申しますと六十歳以上が一九・四%。それから、いわゆる社会福祉で六十五歳以上になりますと相当施策が変わるわけですが、これが一二・九四%、約一四%です。それから、十八歳までの人口は二六・一%です。と申しますのは、六十五歳以上の人口と十八歳未満の人口、合わせて四〇%ということであります。ということは、市民の働き盛りの人六〇%で四〇%の所要財源を満たさなければいかぬということですね。三人で二人を担当しなければいかぬ。その三人の中の、市民税を納められる方の八十数%は給与所得者であります。我が市の給与所得者の平均と申しますか、一番たくさん納められておる層は、大体年収にして三、四百万円ぐらいのところであります。 私は将来を考えますと、これはだんだん高齢化社会に入りますと、二名で一名の方、あるいは我が市なんかでは一名で一名をいろいろな面倒を見ていかなければいかぬときが必ず来ます。そうすると、どこかで直間比率を変えていかないと、日本の将来、もちろん我が市の将来が非常に懸念されるわけであります。そういうことから私は先ほど申しましたように、このたび地方財政計画をガイドといたしまして一応組みました。ただ、私は、その細部に至ってはよく御審議賜りたいと思います、先ほどからいろいろ御意見もあるようでございますから。ただ、どこかの時点で直間比率をやっていかないと、昨年まではクロヨンを是正せよとかトーゴーサンを是正せよという世論が相当ございました。それが私の市の実態でございます。八三%の方で年収三、四百万のところがほとんどの税収を納めておられる、そこをひとつ将来は考える必要があるのではないかということは、私自身思っております。 以上であります。
○水谷委員 今の御意見、ありがとうございました。 ちょっと公述人の方に申し上げますが、またほかに質問したいことがございますので、簡潔にお願いをしたいと思うのです。 それで、澤田市長さん、市の一般会計予算が、御当地滑川市では六十二億七百十五万というふうになっておるようでございますが、売上譲与税二千七百万を計上されたようでございますね。私は、確かに直間比率という問題については全くそのとおり賛成するわけじゃございませんが、その見直しというよりも、いわゆる税そのものについて一つ一つ検討を加えていかなければならないという考えには立っておりますけれども、ただいまの御意見の中におけるお話を聞いておりますと、あたかもこの売上税が直間比率見直しの決め手のような御意見でございましたので、ちょっと私、そうではないのではないのかな、こう思っておりますので、一言申し上げた次第でございます。 次、三浦公述人にお願いいたします。
○三浦公述人 お答えいたします。ちょっと風邪を引いていてどうも申しわけありません。 私は、売上税の導入は本当にタイミングが悪いなという気がするんですね。この時期に導入するということは、これは内容の問題、方法の問題は。ともかくとして、非常にタイミングが悪いんじゃないだろうかという気がするんです。それは一つは、売上税が消費を抑制する方向で作用があると思うのですね。今もう至上命令は私は内需の拡大だと思うのです。その中でも六〇%を占める個人消費が極めて大事であろう。そこへ物を買えば税金を取るんだよという新しい制度を今やるということは、私は国際的に見ても国内的に見ても大変ではないかという気がする。 それからもう一つ、国内の事情から申しましても、先ほど申し上げたとおり、非常に物離れといいますか消費が沈滞しているんだ。そういうときになお消費の沈滞を来すようなことを税制で行うということは、これももう少しタイミングを考えるべきではないだろうかという気がするわけでございます。 そういう面から、この時期にという点についてはなお十分に時間をかけて御検討を願いたい。しかし、いつまでもやらぬでいいということじゃない。できるだけ早く施行できるように御努力願いたい、こう思います。
○飯塚公述人 先生の御質問は、今なぜこの時期に導入するのかということですが、やはりそれは与党及びその政権を預かる方に先見の能力が余りなかったというふうに言えると思うのですね。つまり、本当はもっと前にやっておけば、これほどの反対はなかっただろうにと思うし、それがなぜ今になってしまったかといえば、やはり相当情勢に追い込まれてきたということだと思いますね。ただ、我々の見解からしますと、といって直間比率が高過ぎるのだから直さなければいかぬ。同時に、高齢者の社会が来るんだからやらなければいかぬ、何とかやはりここで財源を見つけ出さなければいかぬ。 それで、私は、実は先生方は御記憶がどうか、再三再四ここへ来て、あるいは大蔵委員会で、脱税が多過ぎるから何とかこれを防圧するような処置をとってくれということを盛んに言ったのでありますけれども、なかなか先生方は腰を上げてくださらない。例えば、今なおコンピューターに関する法令ができていない、それだからべらぼうな脱税がある、こういうことなんですよ。 それで、今まで追い込まれてきたという点は、政府・与党及び為政者の方々の先見力の不足によるというふうに私は思っております。これは国民の人災である、こう思います。しようがない、人災なんだから。それだけの程度の国会議員の先生方を我々は指導者としていただいているんだからしようがない、これはもう。そう思いますよ。(発言する者あり)いや、申しわけありません。しかし、本当のことを言えばそういうことなんだ。 そこで、今なぜ急に導入しなきゃならぬかといえば、諸情勢で追い込まれたから、やむを得ずやろうとしているからこうなんだ、本当はもっと前にやるべきだったんだということだと思うのです。 なお、先ほど川崎先生が盛んに転嫁ということをおっしゃいました。先生もそのことをおっしゃいましたけれども、実は転嫁というのは、日本の現在の法律案からすると、課税業者の権利として位置づけられておる、これがいかぬのだ。権利であると同時に義務でなければいかぬ。つまり、いかなる零細な業者といえども転嫁は義務だよと、そうして事業を営む者は残らず売上税は無関係だよと、最後の消費者だけが負うんだよということをはっきりと打ち出せばいいものを、打ち出さないから、中小企業者は残らずおれたちは持っていかれてしまうんだと思ってみんな反対に回っちゃったんです。そうじゃない、それは誤解なんだ。誤解ですけれども、ここまで大きくなると、どうもやはり「一犬虚を吠ゆれば万犬実を伝う」ということになってしまいますから、その可能性はあるんですよ。これはやむを得ません。しかし、いずれにせよ、転嫁というのは本当は権利であると同時に義務だという法律構成をすべきである、私はそう思っております。 なお、今だということについては、それが理由だと思います。追い込まれてしまったんだ、本当はもっと早くやるべきだったんだ、好況時代に。そういうことだと思います。
○水谷委員 もっと早くやるべきだというのは、これは飯塚先生の御決心でございますから、私は全く異にしますけれども、先生の先ほどからのお話をずっとこう全部聞いていますと、売上税法案の中身の骨格の部分、すなわち柱の部分は全部まずいという御指摘なんですね。私が聞き違えているか知りませんけれども、私はそう感じたわけです。ですから、先生の御意見をそのまま私がいただければ、これは政府の方に言うことですけれども、法律を全く引っ込めて、全然違うものにして、もっと検討して出してこなければ、先生の御期待にこたえるような中身じゃないのです。これは。だから、飯塚先生のおっしゃるとおりでございます。ありがとうございました。 それと、一つ澤田公述人にお尋ねいたしますが、地方財政計画に基づいて六十二年度予算の編成をなさいます。しかし、市長さんというお立場で、今これだけ国会において売上税法案を中心にした税制改正の議論が沸騰しておる。こういうときに、いわゆる自治体の予算の編成の基本は地方財政計画であり、それは国の政策というものに基づいて行われるものであります。しかし、この全く新たな新税、これが今国会にその政省令もまだ出てこない、全く骨格がわからない、こういう時期に予算にそれを計上されてこられた、その基本的なお考えはどこにあったのでしょうか山
○澤田公述人 お答えいたします。 地方財政計画を、別にこれはそのとおりやれということは言われておるわけじゃございませんが、例年何らかの予算を組むときに、国からの配分はどうなるのかということは、常にやはり自治体の予算を組む上においては必要なわけでございまして、それのガイダンスが地方財政計画ということで例年来ているわけですね。その中においては、いろんな法律の改正であるとか、あるいは議会は通ってなくても、補助率の削減であるとか、そういうようなものは過去でも来ているわけです。だから、そういうものの一応一つのガイダンスとして使っておりますので、今私どものどのくらいの歳入を見込めるかというときに、国が出しているそのガイダンスを利用させていただくというのは、これは至極当然だと、こう思ってやっております。
○水谷委員 ありがとうございました。
○砂田委員長 吉田之久君
○吉田委員 澤田市長さん、いろいろ御高見を拝しまして、ありがとうございました。ちょっと時間の都合で質問できない点をおわび申し上げますが、どうかこれからもひとつ大いに頑張っていただきたいと思います。 さて、流通、特に小売の問題で一番よく御承知の三浦さんにお伺いをしたいと思うのでございますが、私どもにとりまして、今小売業がどのくらいの利益を上げているかということはかなり研究しなければならない問題だと考えておりまして、実は私どもの党で資料要求をいたしております資料がきょう政府から一部届いたわけであります。 それによりますと、東証の上場企業だけしか資料はないわけなんですが、小売商全部で売上高が十一兆六千三百七十億円あるようでございますが、この中で三兆三千百四十億円の売り上げが一~二%の経常利益率を上げており、その比率は全体の二八・五%に当たります。また、二~三%の経常利益を上げているのは四兆一千百八十億円で、三五・四%に当たります。だから、この辺がほとんど大半を占めておりまして、五%以上の利益を上げているところはわずかに九・二%しかない、こういう数字が私どもの手元に参ったわけでございます。だから、今日の小売業あるいは中小企業にとりまして、この二、三%という数字はまさに生き死ににかかわる数字ではないかというふうに考えるわけなんでございます。 そこで、飯塚先生に、これは私は後で質問いたしますので、しかし大変影響力の強い先生でありますから、いろいろちょっと聞いておいていただきたいと思うのでございますが、イギリスやドイツやフランス、EC諸国においていろいろ付加価値税を導入しておりますことは私どもも知っておりますし、多くの学者や専門家のおっしゃるところでございます。政府もそう申しております。しかし、この国は日本でありまして、やはり日本の特殊事情というのは随分違うと思うのでございますね。今三浦さんがおっしゃったように、百六十三万の小売店がある、しかも五百五十万と言われる中小企業がある。こんなに中小企業や小売店が存在する国はヨーロッパにはないと思うのです。それが一つ。 いま一つは、今、飽食の時代と言われますね。大変ありがたいことではありますが、日本では物があり余っておるわけでございます。新婚生活なんかをなさる方々は別といたしまして、大抵の普通の家庭では生活必需品は一応整っておる。その中で、中小企業の皆さん、小売店の皆さん方が必死になって商売しているわけですね。そういう中で、昔のように行列して物を買う時代ならば幾らでも売上税を乗せたって、それは買わざるを得ないと思うのですが、今、しかも非課税の業者がある、免税品がある、その中で一部こういう、数%にしろ売上税が導入される場合、物が売れるとお考えになるかどうか。この辺が私どもの一番心配な点でありますが、三浦さんはどうお考えになりますか。
○三浦公述人 お答えいたします。 今のように、物があり余っている時代、特に各家庭で、たんすをあけてみると、もう衣類でも置くところがないというぐらいいっぱいたまっているわけなんですね。そういう中でなおかつ売り込んでいかなきゃならぬ、しかも供給過剰の状態で勝負をしていかなきゃいかぬ、こういうことでございますので、これはもう大変苦労の要る時代に入ったなという感じがいたします。
○吉田委員 そこで、まず一つずつお伺いいたしますが、先ほども納税コストの問題ですね、大変御心配なさっております。百円の税金を納めるのに六十八円かかる場合もあるとか。この百円が五%に相当するのか、多段階ですから二、三%に当たるのかは別といたしまして、それにしても納税コストがまあ二%前後かかるのではないかと思うのです。この納税コストを商品の値段に乗せることができますかどうか、どうですか。
○三浦公述人 納税コストを商品の値段に入れるということは、つまり転嫁することですね。消費者に転嫁をするということ。税金そのものさえ転嫁が難しいというときに、それに付随して起こった諸般の設備の更改やそういうものまでも含めてだとなおさら難しい。これはもう当然自分でかぶらなきゃいかぬというコストでございましょう。
○吉田委員 私もそう思います。転嫁できない、納税コストまでは転嫁できない。しかし、この納税コストだけでも、売上税が導入されたということによって納税コストだけでも一、二%、売上分の一、二%かかるとするならば、これだけでも零細な小売店にとっては死活問題だと私は思います。この点は、三浦さんも一層よろしく天下に向かって、業界に向かって御指導いただきたいと思うのです。 さて、今度は売上税そのものでありますけれども、これは一億円以下のお店、しかし、これは税金を納めないと、例えばオフィス街で大きな会社に文房具を納めているお店なんかはもう相手にしてもらえません。だから、そちらへは税金をかける業者になると選択して、一%をかけますわね。ところが、そのお店は一般の消費者にかけないわけにいきませんわね、一%を。そういたしますと、隣の店は全然非課税のままでやっておる、やはり微少ではありますけれども、価格差が生じますね。そのお店ははやらなくなりますね、一般の側に向かっては。一般の側の方の客をとらえようとするならば、いわゆる機械メーカーとか、そのオフィス街の大企業に納める方はボイコットされますね。これは非常に苦しい問題だと思うのですが、その辺の悩みはどうお考えになりますか。
○三浦公述人 非課税店といいますか、免税業者ですね。私は、これが卸の方で問題が起こって、小売の方では余り問題が起こらぬかなと思っておったのです。ついせんだっても百貨店協会のグループと相談してみたのですが、例えば大企業が年末等の贈答品をデパートで買った。当然課税票をよこせ、税額控除票をよこせ、こう言う。それは出さなければいけないから出す。そうすると、そういうものを出せるのか、おれもおれもとなって、これは大変な量になるだろうというふうに言っておりまして、これは末端業者といえども、そういう企業や、あるいは市役所だとか、そういうところへ納めているところからはじき出されるという心配が大変ございます。
○吉田委員 だから、はっきり言えることは、一億円以下の業者であっても、非課税業者のままを貫く場合、あるいは手を挙げて課税業者を選択する場合、どっちに転んでも容易ではないということは言えると思うのでございますね。 それから、いま一つ、この売上税導入が決まったときに、まず直感的にある主婦は言いました。五%売上税が入るということは、全部じゃないから、三、四%間違いなく物価は上がる。さて、主人の給料はもうそんなに上がらない。今の不況の時代、まさにそのとおりであります、だから生活は苦しくなる、私は反対ですと言うのですね。 それから、賢いサラリーマンはこう言いましたね。しかし、減税があるじゃないか、だからささやかな減税でもその分はもらおう。では売上税はどうする、それは知恵を働かすよ。一万円の物を今まで買ったけれども、今度は九千円の物で我慢する、そして身を守るんだ、こう言うのですね。確かにうなずけると思うのです。みんながそのようにして、少し節約して安い物を買い始めたら、それだけ日本の産業といいますか、各企業の売り上げは減りますね。その辺はどうなりますか。
○三浦公述人 理論的には私はそのようになると思いますが、やはり物離れ現象の中で消費者が求めているものは、いささか高級品志向というのが割合多いのですね。だから必ずしもそうなるとは限らないですけれども、それを差し控えていくということによって全体の売り上げがやはり落ちるであろうという心配がございます。
○吉田委員 いろいろ嗜好がありますので一概には言えないと思いますが、私はこの売上税導入によってサラリーマンや一般消費者もかなり手控えをするおそれなしとしない。そのことによって、今そうでなくとも、不況のこの日本の経済がさらに落ち込んだ状況になりはしないだろうかという点を私どもは大変恐れておるわけでございまして、この辺は一層御留意をいただきたいと思う次第でございます。 さて、飯塚先生にお伺い申し上げます。 かなり先ほどから大演説を承りまして、厳粛に聞かしていただき、与野党ともしかられたような気がするわけなんでございますが、先生が、会計処理の中で次第にコンピューターを使わざるを得なくなってきた。これはきのうも経団連の鈴木さんも、税額票にかわるものとしてコンピューターの磁気テープを使わしてほしい、こういう御要請がここでございました。確かにそんな時代に来ていると思うわけでございます。ところが、聞くところによりますと、コンピューター犯罪というものが極めて緻密に行われる危険な状況にあるわけでありまして、コンピューターを使っての脱税を防止する法律が日本にはない。しかし一方、知恵のある人たちは、コンピューターというのは昔の帳簿式と違って、ボタン一つ押せば整合性を持ってさっと数字が一瞬にして変わるということがあるわけでございまして、こういうことで悪質な脱税が出るおそれがありはしないだろうか、この辺をお伺い申し上げます。
○飯塚公述人 お答え申し上げます。 ここにおられる国会の先生方が想像される以上に、コンピューター脱税というのは横行しているということです。これはもうアメリカなんかでもすごいです。日本ももちろんそうです。一々言うわけにいきませんけれども、大体この業者が怪しいなというのは、これは大体おわかりだと思いますけれども、非常に多いです。そのことだけ申し上げておきます。特に日本は法律がないから。 その磁気テープを税額票のかわりに認めろ、山もってのほかです、これは、そういう法律は立法例がない。例えばアメリカの場合、レベニュープロセシュアという法律があります。その法律の第四条、五条にそのことは書いてあるのですけれども、全部調査官が行ったときに読めるように、しかも読みやすいように内容を表示しておかねばならないという規定になっておる。その規定は、例えばドイツの場合は国税通則法の百四十一条から百四十六条までに書いてございます。 終わります。
○吉田委員 聞くところによりますと、アメリカなんかでは税務当局ではコンピューターの見読可能性、見て読むわけですね、見読可能性を持つべしという法律がある。日本もこれからはやはりその辺のところに水準を合わせませんと、いろいろ新しいコンピューター犯罪に係る大規模な脱税が出ないとは限らないという点が心配なんでございますが、銀行口座を改ざんしたり破壊することを防ぐ法律を検討すると同時に、銀行自身のその種の防止策も念のために講じておかなければならないのではないかと思いますが、いかがですか。銀行自身、銀行そのものです。
○飯塚公述人 それは先生のおっしゃるとおりであります。もちろんであります。 それを、実は脱税をやっても、これは村山という新潟県選出の先生がおっしゃっていたのですが、脱税をやっても速度違反で交通のお巡りさんにひっ捕まったぐらいにしか考えていない、困ったもんだということを先生がおっしゃっていたけれども、そうなんです。まさに今そうなってきておる。それは私どもから言わせると、国会議員の先生が本当に国のあり方に責任を持っていらっしゃるのかどうだというところが問題だと思うのです。速やかに一刻も早くコンピューターの会計、特に租税債務というのは国に対してですからね、国に対する租税債務ですから、それは先生がおっしゃった見読可能性だけではなくて、識別容易性というのもあるのです。アメリカの税法によりますとレシプルという言葉を使っているのです。レシプルというのは、つまり単に読めるというだけじゃないのです。読みやすい、識別容易であるという、そういう条件がくっついているのです。それはドイツの国税通則法も同じです。 それは断じてやらなければいかぬ。やってない。それは先見力がないということです、早く言えば。だから、残念だけれども今は自民党の先生が多数なんだから、自民党の先生方にひとつ早く先見力を発揮してくださいと我々はお願いする以外にない。
○吉田委員 野党も先見性を持っておりまして、大いに責任を痛感しておるからこういう質問を聞いておるわけでございます。 最後に、カナダでは赤ん坊にまで申告書が送られてくる。およそ住んでいる住民全部に申告書を与え、かつ納税、それこそゼロであったって申告を求める。日本の場合には何かその辺が非常にルーズというかあいまいというか、慣習のままでやられているような気がするのですが、先生はそうお考えになりませんか。
○飯塚公述人 それは先生のおっしゃるとおりであります。いまだに日本の場合は申告書というものを客観的にどの人が出さねばいかぬという法律はないのです。これはとんでもない話だ。とんでもない話。だからそういう点で、やはり与野党を問わずだそうですけれども先見力を発揮して、きちっと、納税義務者というのはこういうものだ。例えば弁護士が東京国税局の発表によると五百件調べたらばおよそ八割は脱税していたというのでしょう。それなんですよ。つまり納税意識が非常に弱くなってきているのです。厳粛さを欠いているのです。これは困ったものです。よろしく願います。
○吉田委員 ありがとうございました。
○砂田委員長 寺前巖君。
○寺前委員 限られた時間でございますので舌足らずになることがあったらお許しをいただくとして、まず富山県の滑川市長さん、澤田先生にお伺いをしたいと思います。 売上税の影響が一体自治体にどういうふうに及んでくるのだろうか。先ほどのお話をちょっと聞いておりましたら、地方譲与税とか利子課税分などが従来の住民税の減税とかその他の問題とまあ完全に補てんされるようなニュアンスのお話でございましたが、しかし売上税というのは単に税収の問題だけではなくして、自治体が事業をやっていく上においていろいろかかってくることになると思うのですね。ですから、売上税の自治体財政上に及ぼす影響というのは実際上おたくの市ではどういうことになるのか、御説明をいただきたいと思います。
○澤田公述人 お答えいたします。 売上税の、一応今度の税制改正によりまして、私どもの市では六十三億の予算でございますが、約四千六百六十万円ほど減収になると考えております、税制改正があれば。そのうち売上譲与税で算入を一応計算したのは約二千七百万円、それから利子割交付金で計算しておりますのは七百万円で、合わせて三千四百万円。これが差し引きいたしますと、税制改正による減税額から譲与税、利子割税を戻ったのを引きまして総合千二百六十万円ほどの減収になるだろう、こう思います。それをやっていただくのが例の交付税の中の二〇%を充てていただくということでございますので、それを足しますと、これはそのマイナスを補って余りがあるわけであります。そういうことになります。
○寺前委員 それは税金の制度の変わり方によるところの影響がそういうふうになりますよと言うのです。ところが、実際は売上税というのは事業をおやりになるときに、市の事業だって全部がかってくるのです。道路や管理やその他の分野、資材費から全部がかってくるのです。その影響がどっと、予算上に見なかったならば事業はずっと減ってしまいますからね。だからその分は一体おたくの町ではどのくらい影響を受けるのか、そこの試算をちょっと聞かせていただきたい。
○澤田公述人 六十二年度の物価の上昇率が大体一・六%前後じゃなかろうかというようなことでございまして、来年度予算について言いますならば、仮に改正されるとすれば六十三年一月からでございまして、大体一年の四分の一、したがいまして〇・四%というくらいの変動はあるかと思います、一 大体歳出につきましてはそのぐらいの変動は一般の年でもあることはあったりするわけでありまして、一応そのうち売上税による、支出する方の細かいものは幾らという試算はいたしておりませんが、〇・四%程度であれば十分吸収できる範囲でありますし、また、先ほどお願いいたしましたように、なるべく私ども積寒地帯におきましては六十二年の十二月以前に発注をするのが通例でございまして、本年度の予算では大体カバーし切れる範囲と読んで特別の計算はいたしておりません。
○寺前委員 どうも試算をなさっておられないようなので、質問してかえって失礼かなというような感じもいたしますけれども、私ちょっと自治省からおたくの町の資料を取り寄せまして、三万一千四百二人の人口で、六十年度決算ベースで一体どういう売上税がかかるだろうかなというのをわかりやすく大まかなところだけをちょっと拾ってみたのです。 例えば物件費六億七千二百万円決算ベースで出ていますが、そこから賃金や旅費を引きますと六億一千八百数十万円になります。それから維持補修費というのはもろに売上税が影響しますから、これは営繕とか道路とかそういうところですね。これが一億一千四百六十六万五千円と出ています。それから、普通建設事業費というのが二十五億五百七十七万一千円と出てくる。そこから人件費と用地取得費などを引きますと二十四億三千百三十万ほどになりますか。それから災害復旧費というのが、これは人件費ゼロですからもろに三千三百万からかかってきます。大体売上税の直接かかるようなところだけ絞って、たったったっと拾ってみたんです。 六十年度決算ベースで少なくとも三十二億くらいは売上税が直接関係するところで出てくるのです。それを五%の売上税で計算しますとざっと一億六千万前後になりますね、おたくの一般会計で言うよ。このほかにもおたくには水道会計もありますよ。それから公共下水道会計もあります。そういうのも影響するとしても一千万前後の話だろうと私が拾ってみたところなるのです。 そうすると、先ほどおっしゃったような住民税の減税とか住民税の法人割の減税とか電気ガス税とか、そういうものが新しい制度で地方譲与税なり利子課税分で千二百万ほどになる。これは二〇%のあれで補てんしてもろうて大体それはいけますのやと言っても、それは税制度の変わりの面の方はそういう形で相殺できるとしても、売上税そのものがおたくの事業にかかってくる問題というのはそんなところじゃない。もっと大きな、一億五千万、六千万という、計算の仕方によっては二億くらいになるかもしれませんよ、ぱっばっぱっと拾っただけの話ですから。これは自治体としてやはり物を申さないといかぬ問題だろう。だから全国で自治体の三分の一以上が決議が上がってくるという問題が、私は直接の一般生活だけじゃなくして自治体財源としてもこれは考えなければいかぬなという問題として出てくる原因にあると思うのです。 そこで私は、それじゃ一億六千万とか二億とかいう数字になると、おたくの事業ではどんなことになるだろうか。ちょっと自治省の資料だけだから不十分かもしれませんが、例えばおたくの高等学校の授業料とかあるいは幼稚園とか保育所とか公営住宅の費用なんか入ってくるのは何ほほど入っておるのだろうと思って見ますと、使用料全体で六十年決算ベースで一億二千万だから、大変なお金が売上税によってがばっとかぶるということになりますでしょう。 それから私、老人医療を無料にしようと思ったらおたくの町で何ぼあったらできるだろうか、ちょっと試算してみたら、七千五百万円ほどあったらできるな、そうすると一億五、六千万円というのはえらいでかい話になるなというのは、ちょっと調べただけでなりますのや。 ですから市長さん、そこは計算しておられないとおっしゃったら、せっかくの機会だから、売上税の、税の問題だけではなくして、市の財政として活動する上においてこのままでは大変だという問題提起をしてもらう必要があると思うのですが、これは感想で結構です。ちょっとお聞きしたいと思います。
○澤田公述人 お答えいたします。 いわゆる税制改正による増減税は地方自治に影響を及ぼさないようにするという方針を伺っております。ニュートラライズと申しますか。したがいまして、確かに今おっしゃったように平年度において計算した場合にはあるかもしれませんが、それについてはまだ国からの交付税というようなところから増減税が影響を受けないようなことに当然やっていただくべきであるし、今までもそうやっていただいたと思っております。そういうことで来年度の予算を組んでおる次第でございます。
○寺前委員 どうもおわかりになってないようですね。税の仕組みの変わるところだけを問題にしておられるけれども、売上税というのはそこの仕組みだけと違いますのや。事業そのものに関係するということを御理解ないと、もしもこの程度で地方自治体の皆さんが売上税を考えておられたら、これは自民党の皆さんが検討され、政府が出されている案というのはいかに知られてないか、大変なことになるということが理解されてないか、私はそう言わざるを得ないと思いますわ。ちょっと感想めいたことですが。 そこで次に、協同組合連合会日本商店連盟副会長の三浦先生にお願いをしたいと思うんです。 二つお聞きしたいと思うんですが、一つは、公約というのは非常に大事なことだと思うんですね。これは民主主義の基本だろう。だれが考えてもこれは公約を踏みにじっている、それからもう一つは、国会の決議で昭和五十四年に、「一般消費税は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった、従って財政再建は、一般消費税によらず、」云々という決議を上げているんです。国会決議を踏みにじる、公約を踏みにじる、理由のいかんを問わずそんなものは撤回すべきものだと私は思うんですが、先生の御意見をひとつ聞きたいと思います、 それからもう一つは、この売上税の導入によって、商店連盟は全国で百四十団体、四万五千の専門店のお集まりだと聞いていますが、私は二つの義務が出てくる。一つは税の徴収義務だ。もう一つは納税義務が負わされてくる。罰則を伴ってくる。これは私はまた商店の皆さんにとっては大変な問題だと思うのですが、それが実際に商店としてどこかに転嫁することができるのかどうか、転嫁できなかったらどういうことになるのか。私はそこの問題というのは大きな問題だろうと思うのですが、この二点についてお聞かせをいただきたいと思うんです、
○三浦公述人 最初の公約違反の問題ですね。これをどう思うかということでございますが、私どもも公約を守ってもらうということは大変重要なことだ、民主主義の議会政治の中でも最も重要なことであると思っております。 ただ、今度の場合に、自民党さんの出された、あるいは大蔵省の出されたあの売上税にかなりの制限や例外というものをおつくりになって、そこで公約違反ではないという議論と、本質を変えたものではないという議論とがある。このようなことに対する判断をどうやって、だれがするのかということになりますね。これは大変難しい問題だと思うのですが、最終的には私はやはり国民が判断せざるを得ないであろうという気がいたします。どういう方法でやるかは別といたしましても、多数が公約違反と考えるのか、あるいはこれは公約違反でないと思うのか、私どもからすれば、今ここでこれを公約違反であるとかいう判断はつきかねております。 それから第二番目の、いわゆる五十四年度の、一般消費税によらないで財政改革をやるという意味の国会決議が行われていることも承知いたしております。したがって、今度の売上税が一般消費税に該当するものであるのかないのかという議論がまたあるかと思うのでございます。この辺もかなりお考えになって、この決議に触れないように、一般消費税には該当しないものであるというお考え方で提出されたものだと思うのですが、これは公約の問題と同様に、だれが判断を下すか、審判を下すかということは、やはり多数の人がどう思われるかということにまつほかはないのじゃなかろうかという気がいたします。 三番目の徴税と納税の義務、これを負った商店、小売商業者というものは大変な重責を負ったことになるんだが、その中で特に転嫁が可能かどうかという問題の御質問のようでございました。 この転嫁がなかなか難しいということは、私先ほどもるる述べたとおりでございますが、特に売上税というコストが従来のコストの中へ介入してくる、こういうことになりますと、コストに対する合理化を全力を挙げてやっていく中で、そのコストの中に合理化の対象になり得ないものが混在するということで非常に転嫁も難しいし、この売上税そのものが難解なものに変わっていくわけでございます、この点につきましては、何とか転嫁が一〇〇%に近いような方法でできるということを我々も検討していかなければいかぬのですが、案をおつくりになった御当局においても、こうすればできるじゃないかということを実態についてぜひひとつ御研究の上御指導賜ればと思いますが、それは売上税が実施された後の話でございますので、そのときはぜひそういうふうにお願いしたい、こう思います。
○寺前委員 時間が参りましたので、失礼なことになりましたけれども、これで終わらせていただきたいと思います、 ただ量後に、私どもの党の金子書記局長が公聴会前に質問ができなかったのは非常に残念で、まことに遺憾に思っております。委員長においてはぜひ質疑が行われるように御配慮いただきたいと思います。 終わります。
○砂田委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人各位に一言申し上げます。 各位におかれましては、貴重な御意見をお述べをいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます、 以上をもちまして公聴会は終了いたしました。 次回は、来る二十二日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十四分散会