予算委員会 第10号
- 発言数
- 255 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1987/03/13
会議録
○砂田委員長 これより会議を開きます。 この際、御報告申し上げます。 公聴会につきましては、議長の承認を得ました上、今三月十三日及び明十四日の両日開会すべく、その準備を進めてまいりましたが、諸般の事情により日程を延期することといたしました。 なお、公聴会の日取りにつきましては、理事会の意見を徴し、本日、委員長において決定することといたしておりますので、公報をもってお知らせいたします。 ――――◇―――――
○砂田委員長 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大久保直彦君。
○大久保委員 売上税についてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、今回の野党の質疑に臨みましては、なるべく質問の重複を避ける意味で、各党で質問の割り振りをしようということで、私は専ら各論を担当することになりました。かなり詳細にわたって各大臣にお尋ねを申し上げることになると存じますが、どうか簡潔に御答弁をお願いをいたしたい、そのように思います。 その前に、山口書記長が売上税の総論的な立場でお尋ねをいたしておりますので、そのことについてちょっと確認だけしておきたいと存じます。 総理が選挙中に、所得税の減税を行う、そういうことを御発言になりまして、その所得税減税の財源としては、NTTの株の売却でありますとか、また日航の株の売却、国有財産の処分等をその財源に充てたいという趣旨の御発言があった。そのことを山口書記長がお尋ねになったことにつきまして、中曽根総理大臣はこのように御答弁をなさっております。「選挙中には各地で皆さん方自分のアイデアを言ったり、自分はそういうふうに努力したいと言ったり、みんな言うものであります。ですから、選挙中のことについては党のちゃんとした文書の公約があります。それから、私が正式に言った言葉もございます。」このようにお答えになっておられますが、これはこれで間違いございませんか。
○中曽根内閣総理大臣 間違いございません。私が選挙中申し上げましたことはいろいろな分野にわたっておりますが、大体しかし定型的に申し上げましたのは、今税制調査会において審議中ですから、減税をどういうふうにしてこれを補うか、それについては税制調査会の答申を待って我々は決めたいと思っておる、そういうことを定型的に申し上げて、それ以外に、今申し上げましたように国有財産の売却とか、NTTとかあるいは日航の株の売却とか、そういうようなものも例示的に一つの材料として挙げたことはございます。
○大久保委員 そういう御答弁をお伺いいたしますと、何か総理の会見の中といいますか御発言の中には、正式におっしゃる部分と何かアイデアで正式ではないという部分とが共存しておる、このようにお伺いできるわけでございます。 防衛庁長官に伺いますけれども、防衛庁長官も記者会見の際は、公式に、正式におっしゃる部分と、そうでない部分とがございますのでしょうか。
○栗原国務大臣 どういう御質問の趣旨かよくわかりませんが、公式に言う場合と非公式に言うのに、そんなに大きなあれはないと思います。
○大久保委員 外務大臣にお尋ねいたします。 外務大臣が新聞記者の皆さんに、外務省の場合は霞クラブでございますか、いろいろ会見をなさる。その中には正式な部分とそうでない部分が共存しておりますのですか。
○倉成国務大臣 お答えいたします。 記者会見をいたします際には正式のことでございます。また、懇談をいたすことがございます。その懇談の際には、所管事項以外につきましてもいろいろ申し上げることがございます。したがって、これは外務省の正式の見解でない場合もございます。
○大久保委員 文部大臣、お伺いいたしますが、文部省で記者会見をされる場合も、懇談の場合は、これはオフレコでありましたり、これは懇談だということでよろしいかと存じますけれども、正式に記者会見をされる場合は、今の文部大臣の御発言が正式に言った言葉であります、これはアイデアだというような立て分けをされて記者会見をすることがございますのでしょうか。
○塩川国務大臣 正式に記者会見いたしますときには、やはり正式の文部省としての方針を申しております。ただし、懇談で大臣個人としての意見はどうですかということを聞かれる場合がございまして、その場合は私個人としての意見として断って申し上げておる、こういうことであります。
○大久保委員 総理、大変何かつたないことをお尋ねしているようですけれども、私は、総理の御発言はその一挙手一投足を国民が注目をしておる、一言半句も国民はまともに受けとめておるのでございまして、その総理の御発言がその場の思いつきやアイデアを披瀝されているというふうには国民はだれも受け取らないのではないだろうか。所得税減税をやります、その財源としてNTTの株の売却や日航の株の売却、国有財産の処分ということを総理が選挙中に御発言になれば、だれもがこれは、総理はそういうお考えでこれからの財政問題を取り組んでいくのだな、このように判断をすると思いますし、だれもが、どの部分が正式な総理の御発言で、どの部分が正式ではないか、国民は区別がつかないんだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 私は、選挙中申し上げました今の税金に関する問題については、大体まず減税をぜひ実現したい。特にサラリーマンあるいは家庭の主婦の皆さん方は、クロヨン等でも大変御不満ですから、このひずみをぜひ是正したい、思い切った減税をやりたい。どういうふうにしてその財源を調達するかという問題については、減税をやる部分それからそれを補う部分は同額で、いわゆるレベニュー・ニュートラルということも申し上げて、そしてそのどういう財源を調達するかということは、今政府の税制調査会において審議中であるから、その審議を待って我々は検討する。それを一番大本として定型的に言ってきておるのです。しかし、いろいろな場所におきましては私のアイデアも申し上げて、その中には国有財産とかNTTとか、そういうものも例示的に材料として考えられるということも申し上げてきたのであります。
○大久保委員 私は初めこの御発言は選挙の宣伝カーの上でなさったのかなと思っておりましたところ、そうではありませんで、ホテルで、同行されました内閣記者会ですか、記者団の皆様を全部並べて、正式な記者会見の席上でこの財源問題については言及をされておる。それも一回だけではない。六月の十九日、熊本でおっしゃったのみならず、二十日に宇都宮で同じような記者会見をなさっておる。これは選挙中の総理の御発言でありますから、国民のだれしもが、ああ、中曽根総理はそういうお考えかなというふうに判断をしてこの選挙に投票に臨んだと言っても過言ではないと私は存じます。こういう発言がアイデアであったとか正式なものはほかにあったとか、そういう御答弁はいただきかねるのでございます。もう一度お願いをいたしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 税制調査会に諮問をしておりまして、そして税制調査会は秋に答申を出されるということはもちろんわかっておりましたから、それを前にして私が言うのは越権であるということも申し上げてあるのです。それで私は定型的に今のようなことを申し上げて、そして宇都宮及び熊本におきまして一つの例示としてそういうことを申し上げました。しかし、私の基本的な態度というものは、ただいま申し上げましたように税制調査会の答申を待って決める、そういうことははっきり言っておるわけです。
○大久保委員 この売上税の問題が公約違反であるかどうかにつきましては、今まで山口書記長からも御議論もございましたし、私も後で触れていきたいと思いますけれども、問題は、これが公約違反だと追及をされますと、そうではないのだというふうに総理は開き直られまして、そして二月十日の自民党の税制改革推進全国会議でございますか、そこでお話しになった「税制改革に関し私の真情をお聴き下さい」、総理の御発言でございますね。その中で、「だから、これは私なんかどうなってもいいんです。しかし国家のほうが大事です。われわれの国民が大事なのであります。そういう信念に立って、あえて火中の栗を拾っても、」云々と御発言になっておられますが、私は一連の総理の言動並びに御発言を伺っておりまして、こういうことをこの場で持ち出されますと非常に何か恐ろしいものを感じざるを得ない。私は、学生時代に読んだヒトラーの著書の中にも同じような発言が述べられておる、また東条英機もこんなことを言いながら日本を戦争に巻き込んでいったのではないかと非常に何か恐ろしい思いがいたします。 また、この売上税問題に絡みましては、与党自民党は、全国の反対運動に参加する人たちに対して参加してはいけない、そういう人たちと一緒に手を組むことはまかりならぬ。また反対をする団体、企業、そういうグループは法律で締め上げていくんだ。また地方の首長さんに対しては、そういうことを反対するなどと言っては困る。私は、与党自民党というのは大変幅広い意見がおありになって、あるときには首脳、執行部と全く違う意見もあった、しかし、それを賛否両論、非常にバランスよくとりながら今まで日本の政治を運営されてこられた。しかし、この売上税だけは、なぜかこれに反対の意見でも述べようものなら党執行部が挙げてその締めつけにかかる。今の総理の御発言といい、私は今の自民党の体質に非常に危惧を覚えるのでございますが、今から二十五、六年前、昭和三十六年にこういうことをおっしゃった政治家がおられます。 「独裁制への危機、現在の日本の議院内閣制は、三権分立というよりむしろ三権なれ合いの政治である。与党総裁は国会を支配すると同時に、また首相として行政府を掌握し、最高裁長官を任命し、自衛隊の最高指揮者として武力を統掌している。もし野心的独裁者が出現すれば、これらの諸権力は唯々諾々として一個人に悪用される可能性がないとはいえない。」こういうことを御発言されていることにつきまして、総理は何か御記憶がございますか。
○中曽根内閣総理大臣 憲法調査会でたしかそういうような発言をしたような記憶がございますが、必ずしも定かではありません、大分前の話ですから。 ただ、憲法制度の議論をいたしましたときに、戦前の日本の総理大臣と戦後の日本の総理大臣は非常に違う、戦前の総理大臣は同輩中の首席、つまり仲間の中の座長役というのでありますが、戦後の総理大臣は閣僚を任命しあるいはやめさせる権利もある、あるいは自衛隊の最高指揮官という地位も持っておる。言いかえれば、アメリカの大統領的な地位とイギリスの総理大臣的地位を両方持っておって、むしろアメリカ的なそういう力の方が強くなってきておる。そういう意味において、この権力の運用についてはよほど慎重に注意する必要がある。そういう戦前との比較について申し上げたことはありますが、日本におきましてはこれだけ民主主義、市民社会の岩盤が強まって、今見ているようにジャーナリズムは非常に強力であり、マスメディアも強力で、人権も保障され、言論の自由も余すところなく発揮されておるので、こういう状態を続けていけば独裁制というようなことは全く考えられない、そういうことであると思います。
○大久保委員 これが中曽根総理御自身の御発言でありまして、今まさに国民との約束を、この売上税の問題につきましては、国民や自民党員が反対をする大型間接税は導入をしないということをおっしゃって、なおかつまるでそれを黒を白と言いくるめるようにしながら、巧みに言葉を使いながらこの売上税の導入を今強行されておる。私はこの昭和三十六年、今から二十五、六年前の御発言は総理御自身のことをみずからが予言をされたような受けとめ方を、別にひがんでおるわけではありませんけれども、そういう受けとめ方をせざるを得ない、大変な危惧を覚えております。 時間が余りないようでございますが、今総理がおっしゃったように、国民や自民党員の皆さんがこの売上税については大変な反対をされておる。私ども公明党で売上税反対の署名運動をいたしましたところ、三月上旬をもちまして、一千万の目標で始めたのですけれども、何と二千万の方々の署名をいただくことができた。有権者八千万の四分の一にも相当する数でございます。 私は中曽根総理は、大変失礼な言い方で恐縮でございますが、風見鶏とか機を見るに云々ということを今まで言われてこられた政治家でいらっしゃいますが、これだけの国民世論の大きなうねりの前で、またこれだけの国民や自民党員の皆さんが反対をしていられるこの現状を踏まえまして、この売上税導入についてはここでは国民の声を聞いて、深くこの売上税はもう一回ゼロから出直してみる、このくらいの判断があれば、私は中曽根総理は大政治家としての威名を後世にとどろかすことができるのではないか。そういうことをこういう状況の中で断行できるのはまた総理をおいてほかにはないのではないか、私はこのようにも思いますし、決して非をあげつらったり何かする意味ではなくて、一国の総理大臣として、今ここで売上税についてはもう一考あってしかるべきではないか、そのことを申し上げ、総理の御見解を賜りたいと存じます。
○中曽根内閣総理大臣 妙なお褒めをいただきましたが、私は、それは我々が考えておる最善の政策である、そういうふうに考えまして国会にも提出したのでございまして、ともかくまだ国会におきまして中身について詳細な議論が全然行われていないのです。ですから、中身について議論をどんどんお進めいただいて、そうして国民の皆さんにもお聞き願いたいと思うのです。大久保さんも具体的な問題で御質問くださるそうですから、私も待望しておったわけでございますが、どうぞそのように中身について具体的な御議論をぜひお願いいたしたい。これを撤回する考えはございません。
○大久保委員 それでは、これで昼休みに入りますか、委員会は。ちょうど質問は切りがいいところでありますから、昼休み後に続行させていただきたい。
○砂田委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ――――◇――――― 午後一時一分開議
○砂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。大久保直彦君。
○大久保委員 午前中わずかな時間でございましたが、売上税について概括的に触れまして総理に一考を促しましたけれども、これが最善のものである、こういう御答弁をいただいたところで終わったわけでございます。 これから売上税の各論に入りますが、その前に、岩手県の参議院の補欠選挙の結果について総理はどのようにごらんになっておられるか、まず冒頭にお伺いしておきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど休憩になりまして、私答弁申し上げようと思ったのですけれども切れましたので、続きをちょっと申し上げますと、栃木県におきまして私が記者会見した記録をここで読んでみますと、いろいろ言っておりまして、 次に財源措置等について秋に検討を加えて一括したものとして税の大改革を行うという順序でやっておりまして、 これは税制調査会がやっている。 財源措置等については税制調査会におきまして、それからいよいよ検討を開始する。現在は相続税を始めているという状態であります。 我々の方から財源問題についてとやかく先に言うことは、税制調査会の委員の審議に対して適当でないということで我々は自粛をしております。その結果を見守っておるという状態であります。 いずれにせよ、行政改革、財政改革の目的はあくまで努力していくつもりであり、相当の政府の節約というものも考えられるし、あるいは徴税方法の改革。まじめにやっておる者と不まじめにやっておる者が同じ扱いを受けるということは適当でない。あるいは電電とか日本航空とかそのほかの政府の株式の売却であるとか、国有財産の売却であるとか、いろいろ考えられるだろうと思います。 税制調査会で考えられるだろうと思います、そういう意味です。 しかし税制調査会の意見がどういう答申が出るか見守ってまいりたいと思います。 こういうことを申し上げておるのでありまして、あくまで税制調査会の答申を待つという基本的な立場を持っておるわけです。 熊本県におきましても、 そして秋になって、じゃあ、今度はその税源等、どういうふうにするかと。これは税調でいろいろご審議願うということになるわけで、税調の審議を待っておる。 大体、今度の税制改革というものは、中立性を維持しよう、プラス・マイナス・ゼロにしようということであります。恐らく税調では、国有財産を売るとか、電電にしても、日本航空の株式にしても、あるいはたばこ会社の株式にしても、国の財産がかなりある。あるいは国有地もかなりある。そういうことで、できるだけおカネを捻出するとか、あるいは、まず行革を徹底して、無駄な経費を省いていくという問題等もありましょう。あるいは税の不公平な部分を直すと、いわゆる不公平税制の是正ということは臨調答申にもあるわけですね。不正をやっているものを直すという、そういうようないろんな問題点を考えて、バランスをとるようにしていただけると思う。 こういうふうに答弁しているのでありまして、あくまで税調の答申を待っておるという基本的な態度でやって、あとは例示で、これらの問題は税調でも研究してもらえると思う、そういう趣旨のことを言っておるのであります。 それから、岩手県の参議院の選挙については、大変敗北いたしまして残念でございました。いろいろ検討いたしてみておりますが、売上税の問題も一つの有力な原因であったというふうに考えております。大いに捲土重来で挽回いたしたいと考えております。
○大久保委員 先ほどの総理大臣の選挙中の記者会見の内容に総理がまた戻られましたので、私もそれならばまたそのことについて申し上げねばなりませんが、私が伺っているのは、総理の記者会見の内容によって、公式なもの、正式なものとそうでないものとが共存するんですかということをお伺いしているのです。これはどうなんですか。
○中曽根内閣総理大臣 つまり、そのときの記者会見の模様にもよりますけれども、これは党の公約でありますと、そういうようなことを込めて言う場合もありますし、自分は個人的にはこういうふうに考えている、アイデアも持っておる、そういう場合もあります。そのときのニュアンスによって違うと思います。しかし、党の公約としていろいろ文書や何かで国民の皆さんに訴えているものについては、それはしっかり言っておるわけであります。
○大久保委員 それはおかしいと思うのですよ。それはその場限りのやりとりの中ならいざ知らず、先ほど申し上げたように六月十九日は熊本で、六月二十日は宇都宮で同じような記者会見をなさっているではありませんか。国民は、これは総理のアイデアでおっしゃっているんだなとか、これは公式な見解だとか、そんな区別はつきませんですよ。いわんや選挙中、所得税減税をやるというその減税の財源に触れまして総理がそういうことを御発言になれば、ああこういうふうに財源対策を講じようとされておるのかと国民はまともにそれを受けとめます。それは宣伝カーの上でしゃべったことではなくて、一緒に同行されている記者団の皆さんに総理の見解としてお示しになったことではないんですか。だからわざわざ先ほど閣僚の皆様に、非常に稚拙なことであったかもしれませんけれども御確認をさせていただいたのです。 閣僚の記者会見、これは一から十まで全部オフィシャルな正式なものです。いわんや総理の選挙中の会見などは、これはアイデアであったなどということを今さら国民に言われたらば、国民はそういう総理の御発言をこれからどういうふうに聞けばいいんですか。一々、今のは正式な御見解ですか、それとも総理の思いつきでおっしゃっているのですか、アイデアですか。そんなばかなことが通りますか、総理。総理大臣は、私どもから見ても、もっと権威のあるものですよ。総理の一挙手一投足、目の動きで日本の国が動いていくんじゃないんですか。それを今、あれはアイデアだなどというようなことで言い逃れをされようとされること自体、私はこれはとても承諾できません。もう一度答弁をしていただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 今も読みましたとおりでありまして、税制調査会においてこれこれのことは検討されるであろう、問題点であろう、そういうふうに申し上げて、税制調査会というものでこれが審議され、あるいは問題としてされるであろう、それを待ってこちらは考えを決める、そういう趣旨のことを申し上げておるのであります。
○大久保委員 それも含めて、総理の御発言は全部これは正式なものでしょう。それを、アイデアで、皆さんもそういうことをするでしょうなどという性質のものとは次元が違うのです。選挙中の総理の御発言ですよ。政治家の言はもっとたっとくなくちゃいけないんじゃないですか。後で追及されると、それはアイデアであったとか、それはこういうことであったとかということを、私は、総理のそういう御発言に対して、正式なものである、私の正式な会見であり、見解である、そういう御見解を承らないと、これ以上、一国の総理大臣の発言を、いわんや選挙中の発言を、そんないいかげんなことで先へ進むことはできませんです。
○中曽根内閣総理大臣 私は、栃木県とそれから熊本の御質問がございましたから、それに対する私の答弁の記録を申し上げたので、事実を事実として申し上げたのでございます。
○大久保委員 私がお伺いしておりますのは、その記者会見の内容を伺っているのではないのです。冒頭にも申し上げましたように、山口書記長の質疑に対する答弁をお伺いしているのです。「選挙中には各地で皆さん方自分のアイデアを言ったり、自分はそういうふうに努力したいと言ったり、みんな言うものであります。ですから、選挙中のことについては、党のちゃんとした文書の公約があります。それから、私が正式に言った言葉もございます。」こういうことをおっしゃるから、正式に言った言葉があると言うのなら、正式じゃない言葉もあるのですかと、それを伺っているのです。国民はそれはどういうふうに判断をすればいいんですか、それを伺っておるのです。どうなんですか。
○中曽根内閣総理大臣 それは、政治家として自分はこういうアイデアを持っている、いずれこれは党の皆さんに相談して実現するようにしたいとか、やはり個人の政治家としての人権もありますから、そういう意味におきましては、公私おのおの両方の場合があり得ると私は思うのであります。
○大久保委員 これは、国民が日本の政治の行方を判断をいたします選挙中の総理の御発言なんです。ふだんの記者会見とはわけが違うんです。総理のこの一言一句で国民が選挙の審判をするんです。その所得税減税の財源に言及されて総理がおっしゃったことを、皆さんもいろいろなアイデアを言うでしょう、私もそういうアイデアを言ったんです、正式なものはほかにもあります、こう言われたのでは、これから中曽根総理大臣の御発言は一々、今のは正式の御発言ですか、それともアイデアの御発言なんでしょうかと、どこでそんな選択を我々はすればいいんですか。国民はどこでそういう総理の発言を選択すればいいんですか。もう一度お願いします。
○中曽根内閣総理大臣 やはり総理大臣の記者会見というのは非常に大事でありまして、我々としてもそれは慎重にやらなきゃならぬと思います。 選挙中記者会見をやります場合には、やはり党の公約として決めている部分、あるいは自分は教育についてこういうふうにした方がいい、例えば今の六年制中学はいいのか悪いのかとか、あるいは今問題になっているいじめであるとか、あるいはそのほかのいろいろな教育制度あるいは試験制度の改革等についても自分はこういう考えを持っておる、しかしこれは臨教審でやっているから臨教審の答申を待っている、そういうことを私も言っているのでありまして、試験制度の場合には、例えばテストにつきましても、私自体は私自体の考えもあり、それは自分はこういうふうに考えている、しかし臨教審の答申を待っている、そういうふうに申し上げたことはあり得るのでございます。
○大久保委員 ただいまは貴重な時間の中で売上税についての審議をいたしたいと思っておるわけでございます。 私は、この売上税は、今総理は減税の財源として売上税云々ということをおっしゃっておるわけですね。しかし、さきの選挙中は、この所得税減税の財源としてはNTTや日航の株や国有財産の処分をもって充てたい、こういうことを御発言になっておられましたから、国民はそうかなと思って、その総理の御発言を信じて投票したのではないんでしょうか。それを今になって、あれはアイデアであって、私の正式な発言ではない。選挙中の総理の御発言がそういうふうに後になって、あれは正式であるとかあれはアイデアであったとかと言われてしまえば、これは一番困惑するのは国民ではないでしょうか。それを今ここで、私はこういうふうに読んだんだから、この読んだことに間違いはないと、確かにそのとおりかもしれません。その中には、そのNTTやまた日航の株処分、または国有財産の処分もきちっと総理のお考えとして述べられておったわけでしょう。ぜひここは、総理大臣の見解、会見というものは、そんななまはんかなものではない、まことに権威あるものでありますと、そういうふうにおっしゃってみてください。
○中曽根内閣総理大臣 総理大臣の発言というものは、正式記者会見の場合にはもちろん大事な問題であると心得ております。しかし、今申し上げましたように、これは、税制調査会においてそういう問題点について議論していただく、あるいは行政改革とか不公平税制の是正とか徴税の問題であるとか、そういうものの中に今のようなことも議論される、そういうふうに税制調査会の話をして、例示として挙げた、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
○大久保委員 余り時間がありませんから。総理のそういう言葉の上でのはぐらかしといいますかね、ぼやかしというか、そういう意味では、ある新聞報道によれば、中曽根総理は演説に大変長い時間をかけ、慎重に自分の草稿を起こされる、そういう意味では饒舌とぼやかしの天才である、こういう論評もございますよ。いかにその辺がそうであるかはまた後で触れますので、売上税の中身に入ります。 大蔵大臣、売上税というのは商品とサービスのすべての取引に対して五%の税金がかかるものである、こういうものでございますね。
○宮澤国務大臣 すべてとおっしゃいますと、御承知のように幾つかの非課税品目を設けておりますし、また納税者でない非納税者、非課税業者も設けておりますことは御承知のとおりでございます。
○大久保委員 商品とサービスの段階で五%の税金がかかるものでございますね。
○宮澤国務大臣 商品やサービスが売買される、その所有権の移転がございました際に課税が行われる。そうでございます。
○大久保委員 流通段階で事業者が納税をいたしますが、しかしそれは最終的に消費者が負担をする仕組みになっておりますね。
○宮澤国務大臣 そのような仕組みになっております。
○大久保委員 消費税でございますか。
○宮澤国務大臣 消費税というものをどういうふうに定義するかにかかってまいると思いますけれども、サービスあるいは物資を消費する立場にあります最終消費者が実質上の負担をする、しかしそれは納税者ではない、そういう仕組みをしております。
○大久保委員 それは最終的には一般消費者が負担をするある意味での消費税である、言葉をかえますとこれはまさしく間接税でございますね。
○宮澤国務大臣 消費者が納税者でございませんので、どういうふうに呼ぶかということにはいろいろ議論があろうかと思いますけれども、間接税であることに間違いございません。
○大久保委員 これはもっと歳入の額は大きくなるのではないかという議論も一部にはございますけれども、しかし今政府が、平年度名目で五兆八千億円ということでございますが、五兆八千億円というのは非常に膨大な金額でございまして、なかなか国民には理解のしにくいところでございますが、一国の防衛費、GNP比一%突破した云々と言われておるこの防衛費も三兆五千億でございますから、それに加うること二兆三千億、一億国民の頭数で単純に割りますと一人五万八千円の負担、こういうことになろうかと存じますが、これだけの規模であれば、まさしく大型である、このように私どもは認識をいたしておりますけれども、大蔵大臣のお考えを伺いたい。
○宮澤国務大臣 その点につきましては、総理大臣が選挙中にもまた国会においても発言をしておられるわけでございますけれども、私どもはこう考えております。 すなわち、かつて一般消費税というものを考えたことがございましたが、あのときの反省といたしまして、たくさんの納税者に煩瑣な手続をかけるということはやはりよくないことである、そういう意味でできるだけ納税義務者の数を絞ろう、このように考えました。それがすなわち御承知のように数で申しますと七十九万ぐらいな事業者でございますが、総体の事業者六百何十万のうちの一二、三%にそこを絞りまして納税者の数をまず少なくいたしました。次に生活に非常に密接な関係のございます非課税品目を設けました。そのような方法によりまして、できるだけ国民一般の方が物を買われるときに、あるいはお店が売られるときに、証票のようなことがついていかないように、なるべくそこを簡便にしようと考えました。 もとより、この税の結果、いわゆる国民の消費生活に価格の形でそれがはね返ってまいりますから、そういう意味では経済社会に広く影響がございます。そのことは、しかし、例えば電気税であるとかあるいはエネルギー税がそうであるような意味におきましてでありまして、国民には納税を、価格の形で負担はしていただきますけれども、その間に手続的な煩瑣なことはない。いわばターミナルの商店街で物を買っていただく限り、売る方も買う方も証票といったような煩瑣な問題は起こらない、そういう形で簡素なものにいたしたつもりであるわけでございます。
○大久保委員 売上税とは、商品、サービスの取引に対して五%の税金をかけるものである。流通段階の事業者が納税をいたしますが、最終的には消費者に負担がかかるものである。大型ですかと、こうお伺いしているのでございます。
○宮澤国務大臣 私どもは大型ということを、たくさんの納税義務者がおって、非常に国民の中でたくさんの納税義務者が出て、その人たちがいろんな意味で煩瑣な手続をしなければならない、そういう意味の税を大型というふうに考えております。
○大久保委員 平年度五兆八千億という収入見積もりを持っておられる。単純に、わかりやすく国民の一億という数で割ってみますと、一人五万八千円である、四人家族ですと二十三万二千円でございますか、という額になってくるわけでございますが、こういういわゆるアマウントの立場から大型でございますか。
○宮澤国務大臣 歳入といたしましては、かなり大きな歳入でございます。
○大久保委員 こういう見解には、総理、今までの大蔵大臣の御答弁、私の質疑については、御異存がないと存じますが、いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 今大蔵大臣がお答え申し上げましたように、納税義務者というものは約六百万の企業の中で約八十七万、そういう意味においては非常に少ない。それから対象物資というものが、家計調査をやる場合の消費物資の三五%が対象物資で、六五%の基礎物資は除外される、あるいは税率が五%である、そういうような面。 それから外国との比較を調べてみましたら、例えばイギリスにおきましては租税中の売上税、いわゆる向こうでは付加価値税の割合は、イギリスにおきましては二一・七%、日本の場合は来年度六十二年度については三%であります。それから西ドイツの場合は二九・二%、フランスの場合は四四・六%、イタリアが二二・〇%、韓国が三二・七%。このように、税の中で占める比率は二〇%から四〇%に及んでおる。日本の場合は来年度は三%である。 来年以降これが平年度化した場合は、今ある物品税が解消していきます。物品税が二兆九千億円ほどあるわけです。この物品税にかえてこれが売上税になっていくわけですから、物品税も取り込んでやりますと約一二%になるでしょう、平年度は。そういうような面から見ますと、外国が大体三〇%ないし四〇%というのをやっていることから見ますと私は大型ではない、そのように考えます。
○大久保委員 私どもは、今そんなことをお尋ねしていないのですけれども、総理がせっかくの御答弁ですから申し上げますと、そうなっては困るから反対をしているんです。そんな四〇%も間接税が徴収されるようなことになるからこの大型間接税は反対だ、売上税は反対だ、こう申し上げているのですよ。 総理、今私がお尋ねしているのは、大蔵大臣にお伺いしておりますいわゆるタックスアマウント五兆八千億円というこの考え方、数字について、これは大型と言わざるを得ないと今大蔵大臣の御答弁でございましたが、そのやりとりについては総理も同じ御見解でございますね。――いや、総理に聞いている。
○宮澤国務大臣 今総理が言われましたように、便宜私からお答えを申し上げますが、このたびのこの税を起こすにつきまして、国税、地方税合わせまして八つの税金を廃止をいたしております。八つの税金を廃止しております結果、ネットとしては二兆九千億ということになっておるわけでございますから、そういう意味では、五兆八千億を問題になさるのでございましたら、実は八つの税金を廃止している残り、二兆九千億が大きいか小さいか、こういうことになるかと思います。たまたま同額でございますけれども、現実に二兆九千億がございますから。五兆八千億そのものは、歳入としてはそれはかなりの金額でございます。
○大久保委員 大蔵大臣の御見解で、これは消費税でもあり間接税である。あとは大型かどうかということが問題でございますが、この点については総理御自身も大型だとおっしゃっておるのじゃないですか。
○中曽根内閣総理大臣 大型ではありませんと申し上げておるのです。
○大久保委員 さっきも取り出しましたけれども、この「私の真情をお聴き下さい」という二月十日の税制改革推進全国会議、この演説の第一ページ目に、「新しい税金をつくるという時には、これは別の血液が入ってくるようなことでありますから、全身にアレルギーが起こるということは、当然であります。」今これはこれで非常に問題な御発言だと思いますが、アレルギーどころでは済まない場合があり得るのだと思うのですけれども、しかしそれはともかくといたしまして、「今度のような大型の、大掛かりな税制改革を行う、そういう場合には、やはりそれ相応の」、御自身で大型とおっしゃっているのじゃないですか。
○中曽根内閣総理大臣 それは税制改革が大型であって、四兆五千億円に及ぶ減税をやる、あるいはそれに必要な見合いの税源を確保する、そういう意味の税制改革全体が大型だ、それは根本的改革をやっておるということも前から申し上げておるとおりです。
○大久保委員 全くそれは詭弁でありまして、総理のみずからの御発言――私は中型と書いてあるのを大型と言っているのではないのですよ、総理御自身が「今度のような大型の、大掛かりな」とまた言っているのです。大がかりの税制改革の中心は、この売上税じゃないんですか。この売上税のことをおっしゃっているわけです。その売上税について私の真情を聞いてくれ、こういうことなんでしょう。 私は、先に進みますが、さっき大蔵大臣もおっしゃったように、非課税品目をたくさんつくりました。総理も本委員会での答弁で、多段階、網羅的、包括的、総括的、縦横十文字投網的な大型間接税はやらない、こういうことをおっしゃっておりますものですから、それに抵触しないように一生懸命いろいろなところに穴をあけてみた。その一つの大きな穴が、非課税品目という一つの特定したものでございますね。 それからもう一つは、一億円以下の非課税事業者はという、課税事業者と非課税事業者と分けることによって、今総理がみずからおっしゃった多段階、総括的、網羅的、普遍的、投網的な大型間接税ではないということをおっしゃりたかったのだと思うのです。しかし、結果的にはこの壮大な試みも、結局は多段階、包括的、網羅的、投網的な大型間接税に成りかわってしまった、成り落ちてしまった。その辺のところをこれから逐一申し上げていきたいと思いますが、今の点について、そういうお考えでこの非課税品目を特定をし、また一億円以下の非課税事業者という制度をおつくりになったのかな、このように思いますが、まず総理の御見解を伺っておきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 私は、政府の税制調査会の皆様方、小倉会長や皆様方にも、私は選挙でこういう公約をいたしました、したがって、公約に違反しないような答申をつくってください、そう申し上げて、小倉会長は調査会の会員の皆さんに、こういう話を総理から受けているからそれを念頭に置いてやりましょう、そういう趣旨のことを正式に発言しております。それで出てきたこの税制調査会の答申をいただいて、党で検討いたしまして、そして党で検討した結果を私は党議として決定していただいて今実行しておる。そのほとんど大部分のもとは税制調査会の答申でありまして、その答申を我々はいただいて、点検をして、適当なある程度の修正なり考えを入れて党の考えとしてまとめて提議しておるわけでありまして、そういう点からは税制調査会も私が申し上げてお願いしたことを配慮しておるし、党もそういう配慮のもとに、公約違反にならないようにというので、今のような一億円以下は課税しないとか、あるいは三五%の基礎物資にしかかけないとか、あるいは金額にしても五%ということで、来年度の租税の中では三%の割合にしかならない、そういうような配慮をやっていただいて大型にならないように配慮していただいたと考えております。
○大久保委員 非課税品目を最終的には五十一項目特定をされた。その中には食料品がある、また医療品がある、教育問題がある、住宅問題がある等々と言われておりますけれども、私は、このいわゆる非課税品目を特定するに至りました考え方は非常に不可解な考え方だなということを今申し上げざるを得ません。 と申しますのは、二十一世紀を迎えて、総理は、国際社会だ、これからは文化国家だといろいろなことでおっしゃっておりますけれども、文化の面を全部切りましたですね。この非課税品目から全部外しました。私どもは、なぜ演劇、映画、絵画、美術館、音楽会、そういったものにこの非課税項目が特定されなかったのか、なかなか理解できないところであります。 この間アメリカへ行ってきた矢野委員長に聞きましたら、アメリカは、美術館に行ったその半券を持っておりますと、これは税額控除の対象になるのだそうですね。それだけ国民に文化的な活動を推進しておる。なぜ総理、この文化にこれだけ全部税金をかぶせたのか。また、私がよくわからないのは、その文化の中でも伝統芸能だけはまた特定をした。歌舞伎は税金をかけない、非課税。歌舞伎に税金がかからないで、なぜ落語に税金がかかるのですか。これはちょっと国民的にはよくわからない。安宅関の勧進帳、この歌舞伎には税金がかからず、なぜチャイコフスキーの白鳥の湖には税金がかかるのですか。これは国民はよく理解できないのです。なぜ、そっちだけが非課税になって、こっちは課税になるのか。 そこで大蔵大臣に伺いますが、初め大蔵原案では、この非課税項目は七項目だったように伺っておりますが、いつの間にかこれが四十三となり四十四になって、法案ができたときは五十一になっておりましたね。これは大蔵省だけでこの非課税品目を決めたのか。これはちまたの声ですから、ちまたの声ということでお聞きいただきたいと思いますが、何か総理に親しい業界の方の品物はみんな非課税になった。また、声の大きい団体の方の部門はみんな非課税になった。どういう基準でこの非課税品目が特定されてきたのか、国民はよくわからないんだ。これは大蔵省が独自で、この五十一項目を決めたのでしょうか。それとも、各省庁との協議の上でこれはお決めになったのでしょうか、大蔵大臣に伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 そういう誤解が実はございまして、ちょうどいい機会でございますので申し上げておきますが、最初に七つというようなことを考えましたのは、その一つ一つの非課税の対象を言ったのではありませんで、例えば教育であるとか、あるいは社会保険医療であるとか、それから飲食物であるとか、そういう大きな類型としてそういうものを挙げておりました。それから利子であるとか有価証券であるとか、いわゆる消費というものの対象になりにくいものを類型で挙げておりまして、それを私どもが各省と相談し、自民党の税制調査会と御相談をしながら、さて、具体的な品目としてそれが幾つになるかという分類をいたしてまいりまして、それが御指摘の五十一になったわけでございます。 これにつきましては、関係各省庁の意見を私ども及び自民党の税制調査会の場においてよく聞きまして、そしてまず私としては、これを五十一のところで絞り切りましたのは、いろいろ御批判もあろうと思いますけれども、大変によく絞れたというふうに考えております。
○大久保委員 大蔵省並びに各省庁と協議の上、この五十一品目に絞った、こういうことでございますが、それであるならば、これはちまたのそういう疑惑の声にもこたえるためにも、どういう協議の上でこの五十一品目が特定をされましたのか、非課税品目が売上税法案の立案当時からどういうふうな経緯を経て特定をされたのか、その資料は出していただけますでしょうか、協議の資料ですね。
○宮澤国務大臣 協議の資料と申しましても、現実にいたしましたことは十二月の五日であったと思いますが、基本的にこの税をひとつ考えてみようということになりまして、そのときから私どもの方から各省庁に、こういう税法を考えるのでそれについての意見をひとつ述べてもらいたいということで、各省庁に照会をいたしました。たしか十二月の四日か五日であったと思いますが、それと同時に、私どもの方の税制調査会で、ここには各省庁に関係をしております私どもの政調の部会というものがございますが、その部会の代表の方々も、御自分の所管していらっしゃる各省庁の立場も考えられながら、税制調査会でそういう問題を議論をしていかれまして、私どもが直接各省庁といたしますのと、税制調査会の委員の方々が各省庁と連絡をされますのと、両方あわせましてこの作業をいたしました。
○大久保委員 先ほどの話に戻りますけれども、今実際の演劇界、音楽界は、むしろ歌舞伎などよりも、ブラウン管を通じない生の舞台を国民に見ていただきたいとして頑張っておられる。新劇の皆さんや、また大変な大きな世帯を抱えておりますオーケストラの皆さん、オペラやバレエをやる皆さん、大変な思いを今していらっしゃるわけです。非常に細かい、利益があるかないかのような状況の中で頑張っておられる、そういう方々が、なぜこういう非課税、課税品目の立て分けをされたのか、この基準の資料は何か提出いただけますか。
○宮澤国務大臣 それは売上税でございますので、一般的に申しまして、もう生活に非常に緊密なものはともかくとして、原則としては課税をさせていただきたいという考えを基本的に持っております。 そこで、伝統芸能あるいは文化財保護の補助を受けているもの、芸術祭でありますとかそういう今の入場税の考え方を大体踏襲した、こうお考えくだすって結構でございます。
○大久保委員 この五十一品目を特定されました課税、非課税品目の基準の資料を提出していただけますか。
○宮澤国務大臣 基準の資料と言われましても、ただいまのような過程でこれを決定していったというその経緯でございましたら……。
○大久保委員 先ほど申し上げましたように、非課税品目が当初四十三ないし四十四で落ちついておりましたのが、最終段階でにわかに五十一という項目に膨らんでまいりました。この辺の四十四から五十一の七項目の追加非課税品目特定の部分が非常によくわからない、こういう声に包まれておるところでございますし、なぜ課税であるか、この品目はなぜ非課税なのかという課税と非課税を分ける基準について、何か明確なものをお持ちであったのかどうか。この辺のところについて、ぜひこの二つの資料の御提出をお願いをいたしたい、そういうふうに思います。
○宮澤国務大臣 私どもの自民党の税制調査会で、これは連日、非常に熱心に議論をいたしまして、この結論に達しておるわけでございますが、党の方でそのような資料を正確に持っておりますかどうか、調べさせていただきます。
○大久保委員 自民党の税調でいろいろな御議論をされることは、これは非常に自由で結構だと思うのですが、私は、大蔵省が各省庁と協議をされて、そしてこれは非課税にしましょう、これは課税にしようという、そういうお話し合いがあったから、これが特定されてきたのだと思うのですね。その協議の資料と、課税、非課税品目を分ける基準の資料をぜひ御提出をいただきたい、このように申し上げておるわけでございます。
○宮澤国務大臣 事実問題といたしまして政府・与党は一体になって仕事をいたしておりましたので、大体、党の税調の討議の経緯の中でそれは決まってまいりました。その辺のことが資料としてどれだけ正確なものがございますか、これはよく調べてみます。
○大久保委員 作業は党税調と政府税調が一体であったかもしれませんけれども、しかし、法案提案の段階では、やはりこれは大蔵省が中核となった政府の閣法でございますから、その閣法作成に至るまでの中間の資料の御提出は当然私はあってしかるべきではないか、こういうふうに思うのです。
○宮澤国務大臣 政府税調ではございませんで、党と政府でございます。 そこで、政府の中で各省庁とのいわばこれについての討議、折衝でございますけれども、これらはすべて文書でなされておるとは限りませんで、当然議論の中から結論を出してまいりますから、それらを資料としてみんな出せと言われましても、御満足のいくものができますかどうか、それは調べさしていただきます。
○大久保委員 政府税調でなくて大蔵省であったと思いますが、この資料がありましたならば御提出をいただくということでよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 各省庁の協議がしばしば口頭で相談の中でなされておるということをひとつ御承知をいただきまして、その上で御参考になるものがございましたらお目にかけます。
○大久保委員 今、いわゆる非課税品目が五十一特定をされましたということでございますが、これをさらっと聞きますと、例えば飲食品には税金がかからないんだなというふうに受けとめられがちでございます。私どもも初めそのように理解をいたしておりました。しかし、この複雑な流通機構または生産経済機構の中にありましては、ひとりその個体が飲食品であったからといって、そのままこの売上税の影響を受けて値上がりをせずに済む商品は何かあるのかな、こう思っておりましたところ、余り見当たらないのです。 農林水産大臣、大変恐縮でございますが、岡山の白桃が私どもの食卓に届きますにはどういうルートを通ってやってまいりますのでしょうか。
○加藤国務大臣 ルートは二通り、三通りあると思います。生産者から直接来る場合、それから岡山の農協、団体等を通じて東京の青果市場へ来て、そこから行く場合、それからあとは岡山の生産者以外の商店から仕入れたものが東京の契約してあるお店に入って、そこから流れてくるルート等々、多様になっておると聞いております。
○大久保委員 大変ありがとうございました。 私は今、岡山の白桃を取り上げましたけれども、幾ら桃太郎の現場といえども、一人で東京まで転がってくるわけではないわけでございますね。これはいわゆる生産資源の価格の問題、さらには出荷経費、出荷労働費並びに出荷運送料、出荷手数料、それから小売店に参りますと資材費、労務費、店舗改装費等々、いろいろな問題が、この一つの桃を小売店で販売するまでには段階を経て我々消費者のところへ来るのでございます。 運輸大臣に伺いますが、この飲食品の運送につきましては、その運送料には売上税はどういうふうにかかわってまいりますでしょうか。
○橋本国務大臣 いろいろなケースがあり得ると思います。例えば宅配便で十キロ以下でお送りになりました場合、これは売上税の対象にはなりません。また、十キロを超えておりましても、保冷車を使って送りました場合、これも売上税の対象ではございません。ただし、鉄道貨物あるいは航空機あるいは十キロを超える宅配便等で配送をいたしました場合には、その運送料の金額に見合う売上税が課せられることになると思います。
○大久保委員 これは四国のミカンにいたしましても、千葉県のキャベツにいたしましても、帯広のジャガイモにいたしましても、大体同じような二、三通りのルートを経て東京にやってまいるわけでございますが、ほとんどこの出荷物材費、出荷労働費、出荷運送料等々の段階で、労働費には売上税はかかりませんけれども、その他の資材、小売マージン等々の段階で売上税が加算されてまいりますと、この非課税であるはずの食料品もほとんどが二%から三%の物価上昇といいますか、売上税分をしょった物価上昇の形になって小売店に並べられる、これが実情ではないか、このように思いますけれども、加藤農林水産大臣、たびたび恐縮でございますが、今私どもこういう試算をいたしておりますけれども、御意見を……。では、隣県の大蔵大臣に。
○宮澤国務大臣 私からでよろしゅうございましょうか。 ただいまおっしゃいましたように、取引のいろいろの段階で国内の経済取引にこれが関係してくるという、その御推論はそのとおりでございますけれども、それが最終的に物価にどのくらいな影響があるかということになりますと、いわゆる消費者物価を構成しております品目の中で、加重平均で六割五分がこの税を免れておりますので、そういうこともありまして、最終的には平年度で一・六%消費者物価を上昇させる影響があるであろうというのが経済企画庁の推計でございます。 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
○大久保委員 建設大臣に一言だけ伺いますが、住宅は非課税であると、大変なぶれ込みでございますが、しかし材木は課税、セメントは課税、タイルは課税、屋根のかわらは課税、カーペットは課税、畳は課税、カーテンは課税、これで資材が全部課税の対象でございますから、その課税された資材でつくり上げた住宅は、売上税導入前と同じ価格で販売できるものなのかどうか、この辺はいかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 私からお答えをさせていただきますが……(発言する者あり)
○今井委員長代理 天野建設大臣。
○天野国務大臣 まだ推算はしておりませんが、法律が決まればよく試算いたします。それで、いや、そうじゃないんです。間違って答弁しますと、いろいろ問題がありますから、大蔵大臣から答弁をしていただきます。 〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
○大久保委員 では、今の問題も含めまして大蔵大臣に伺いますが、五十一品目を特定はしてみた。しかし、この非常に複雑な、私も初めてわかりましたけれども、私どものこの洋服などは原糸メーカーから我々のところへまでは十八の段階を経てやってくるんだそうですね。そういう複雑な流通段階の中で、またこれだけの分業化が進んでおる中で、五十一品目特定はされましたけれども、この売上税の影響を受けずに、全く価格の変動につながらずに存在し得るものはあり得ましょうか。この辺をぜひお伺いしておきたいと存じます。
○宮澤国務大臣 それは、御指摘になっていらっしゃることは、私はよくわかるように思います。つまり、国内万般の物あるいはサービスの取引がこの税金からいろいろな意味で影響を受けるであろう、それはそのとおりでございます。 それは、例えば電気税であるとかあるいはガソリン税であうとかといったようなものがいろいろな意味で国内の取引に影響をしているということとやや似ておりまして、そういう意味では相当の影響がございますが、それでも最終的に消費者物価は平年度でも一・六%程度の上昇です、それも一回限りでございますが。そういうことだと思います。
○大久保委員 私は、赤ちゃんがオギャーと生まれまして、産湯を使って取り上げられるそのタオルにも売上税がかかる。肌着にも売上税がかかる。おしめも売上税。乳首をくわえれば、そのおもちゃにも売上税。学校へ行くようになれば、運動靴にもランドセルにも机にも全部売上税がかかってくる。成人されて結婚すれば貸し衣装にも売上税はかかる。住宅を建てれば、今申し上げたように売上税が導入されますと今までの価格ではあり得ない。値段は何%か上昇せざるを得ない。そして最後の、お亡くなりになれば葬式代にも墓石にもこの売上税がかかってくる。まさしく揺りかごから墓場まで一網打尽でございます、売上税は。そういう意味では、総理、私は言葉の遊戯をするのではないけれども、消費者の立場から見ますと、これはもう普遍的、網羅的、総括的、包括的な、投網のような間接税である、こう言わざるを得ないのでございますけれども、御意見はございますでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点を実は冒頭にも申し上げたつもりであったのでございますが、ただいま売上税がかかるとおっしゃいますとちょっと語弊がございまして、非課税の品目があり、非課税取引がございますから、今のようなものは御家庭で非課税のを小売からお買いになりますと、売上税はそのものにはかかっていない。大久保書記長のおっしゃいますのは、そういう意味ではなくて、国内のいろいろな取引なりサービスがいろいろな分野でこの税金の影響を受けていくから、その累積的な効果はあるだろうとおっしゃれば、それは電気税にしてもガソリン税にしてもそういうものでございますから、そういう意味ではそのとおりでございますけれども、しかし、それが大変に消費者物価に大きな影響を及ぼすかといいますと、平年度でも一・六%を超えることはない、それも一回だけというのが経済企画庁の推計でございます。
○大久保委員 私は、この売上税の影響を受けずに、値上がりせずに存在し得る商品があり得ますでしょうかという立場から伺っておるのでございますが、一つは、さきに私どもの矢野委員長が訪米をいたしまして、レーガン政権の主要人物といろいろ種々懇談をしてまいりましたが、総理、レーガン大統領も、この大型間接税、まあ付加価値税でございますかを導入しようとしていろいろ御研究であった、三年の歳月をかけて研究をしておられたということは御承知でいらっしゃいましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 研究したということは聞いておりますが、最終的には――アメリカは州税で売上税あるいは付加価値税を取っております。ニューヨークの場合はたしか八・五%、サンフランシスコの場合はたしか六・五%、かおり高い売上税あるいは付加価値税を取っておるものですから、それに国全体の税金でさらに上乗せするということは避けて、州税をそのまま残したというふうに聞いております。
○大久保委員 総理の御認識のとおりだと存じますが、その州税に加えて大型間接税を導入することについて三つの理由を挙げて断念をされたということのようでございますが、そのことについては何か聞いていらっしゃいますでしょうか。
○宮澤国務大臣 よく存じませんが、行政の問題としては、州税との間の関連が非常に複雑になるので、実際上取り得ないということが主たる事情であったと聞いておりますけれども、消費についてやはり抑制的な効果があるということも考慮になったと聞いております。
○大久保委員 三点ございまして、一つは、税執行上に大変問題がある、徴税も納税も大変コストが上がって煩雑になる。第二番目には、インフレになり低所得者に打撃を与えることになる。三番目は、先ほど総理も御発言になりましたように、政権がかわるたびに税率がアップされる可能性がある、そういう意味では小さな政府が大きな政府になってしまう。これがレーガン政権が大型間接税を取りやめた理由だそうでございます。 私は、先ほどの議論を通じまして、五十一品目をせっかく特定されましたけれども、しかし、縦横十文字に、それこそ投網のように、消費者の立場から見ますと、これは普遍的、網羅的、包括的にこの売上税が絡んでくる、こういうことであるということを申し上げておきたいと存じます。 それから、この売上税は、まあこういう表現がいいかどうかわかりませんけれども、トランプのばば抜きみたいな要素なんですね。川上から川下までどんどんばばを抜きながら、次々の業者にそのばばが転嫁されてくる、最終的にはそれが消費者のところへ来る、こういうことでございまして、なかなかこれは計算がややこしい。 大変恐縮でございますが、この売上税のからくりといいますか仕組みを解明するために各大臣ちょっと御協力をいただければと存じますが、田村通産大臣が、今大変恐縮ですけれども田村商事であった場合、八千円の品物をもし倉成商事に卸すといたしますと、売上税は八千円でございますから五%で四百円、こういうことでございますが、その認識はよろしゅうございましょうか。
○宮澤国務大臣 これは私が所管大臣でございますので、私からお答えすることをお許しいただきたいのですが、ただいまの大久保委員の御指摘は……
○大久保委員 ちょっと待ってください。じゃ大蔵大臣に、売上税の仕入れ控除から売上控除、それがどういうふうに展開をされて、四段階で結構です、三段階でも結構ですから、その当該事業者は幾ら税務署へ払うのかをここで明確にしていただきたいと思います。それが難しいから今御協力を賜っているのでありまして、これを私が述べても大蔵大臣が述べても、ここにいる方は半分以上わからないと思います。やってみますか、わかりますか。――後で多段階に非課税事業者もお願いしますよ、全部。
○宮澤国務大臣 わかりました。ただいまの御設問について、こういうことだろうと思いますので申し上げますが、おっしゃいますA商事が八千円で物を売りました。そういたしますと、五%でございますから四百円の税額がある。さて、その八千円がB商事に、今のお話ですと仮にマージンが二千円としまして一万円で行きますと、B商事はその五%でございますから五百円でございますが、A商事からの税額票四百円が来ておりますから、B商事の納税額は百円になる。 さらに、それを御設問によって二万円のマージンでC商事に売りますと、一万二千円になりますから……(大久保委員「二万円ですか」と呼ぶ)二千円でございますね。二千円のマージンでC商事に売りますと一万二千円になりますから、その五%は六百円でございますが、先ほど申しましたB商事の五百円という税額票が参りますから、六百マイナス五百は百である。この三つの段階で売上税は、四百円、百円、百円でございますから、都合六百円でございます。そして、この最終価格は、C商事が一万二千円で六百円の税金が乗りますから、一万二千六百円でございます。 これが一番普通の形でございまして、大久保委員の御注文は、その間に非課税業者が入ったらどうなるかということでございます。 これは、まずA商事のところは八千円でございますから、五%四百円は変わりません。そこでB商事は、したがってそれを一万四百円で受けることになりますが、これは非課税業者でございますから、税金はございません。八千円で二千円のマージンで一万円になりまして、それに四百円の税金が乗ってまいりますから、一万四百円に……(大久保委員「それは出すときじゃないですか、受けるときは八千四百円でいいんじゃないですか」と呼ぶ)はい、そうでございますね。八千四百円で二千円のマージンがございますから一万四百円でございますね。ただこれには、非課税業者でございますから税金がございません。ただ、この一万四百円が先ほどの御設問ですとC商事に行きます。そうしますと、C商事のマージンが二千円でございますから一万二千四百円になります。一万二千四百円の五%は六百二十円になります。そこで、これをトータルいたしますと、A商事が払いました四百円とC商事が払いました六百二十円で売上税は千二十円になるはずでございます。そうして価格は、したがいまして一万二千円プラス千二十円、一万三千二十円になろうと思います。――そうでございます、四百円と六百二十円でございますから。
○大久保委員 今、大蔵大臣が解明していただいたのは、この図式なのですね。これが、今おっしゃるとおり非常に簡明な図式でございます。ただ、ここでぜひ覚えておいていただきたいのは、この事業者が、ずっと参りますと、価格が一万二千六百円という価格になるわけですね、これは非常に単純な図式でございますが。今、大蔵大臣にお願いしたのは、途中に非課税事業者が入った場合はこの計算が非常にややこしくなる。これは今流れを、委員長のお名前と総理のお名前をおかりいたしまして、砂田商事、中曽根商事とちょっと拝借をさせていただきました。 この場合、砂田商事は八千円の物を中曽根商事に渡す場合は四百円の売上税、これはこれでよろしいわけでございますね。総理のところは、この八千四百円で仕入れた物に二千円のマージンを乗っけますと一万四百円になる。ところが非課税事業者でございますから、税金は納めないわけですね。そのままこの宮澤商事に渡るわけでございまして、宮澤商事は、この一万四百円、既にこの売上税がここでダブっているのですね、一つは。前の段階の売上税が全く控除されないまま、ここへ持ち込まれてきておる。あわせて、この一万四百円に対して二千円のマージンを乗っけますものですから一万二千四百円、それに六百二十円の売上税を払って一万三千二十円という消費価格を形成せざるを得ないということでございまして、ここで問題なのは、ここに途中に課税事業者が入った場合と入らない場合では二つの価格が出てくるということが問題なのですね。 その意味は、ぜひもう一度大蔵大臣から御説明をいただきたいと思いますが、途中に非課税業者が入りました場合、また課税業者でずっと流通をしてまいりました場合では、同じ商品が二通りの価格が出る。これは三つの段階でこういうことでございますから、十八段階の中に非課税事業者が二つないし三つ狭まりますと、これは一物二価ではおさまらずに、一物三価、一物四価ということになろうかと存じます。これは大蔵大臣、御所見はいかがでしょう。
○宮澤国務大臣 ただいまチャートでお示しになりましたこと、そのことはそれに間違いございません。 そこで、ただ一物価価があらわれるかというと、私は実はそういうふうには思っておりませんで、今の、途中に非課税業者が入りました場合にはどうしてもこうならざるを得ない。つまり非課税業者のところで一遍取引のサイクルが切れる。いわば消費者のところへ行ったような形になりまして、したがって、非課税業者はかなり高い物をいわば納入、デパートに納入するとして納入せざるを得ないということになります。それはそのとおりでございますが、これはしかし、例えばターミナルの商店街の方々のように、専ら消費者を相手にしていらっしゃる小売店は多うございますから、そういう方々のためには明らかに非課税が得でございます。消費者のたかにも得でございます。 たまたまそういう非課税業者がデパートに納入でもするとなりますと、そこで今お示しのようにサイクルが切れますものですから、このようなことが起こる。そういう方々は、したがってデパートの方ではそんな高い物を買いたくない、非課税業者から課税業者になってくれないかということであれば、御本人は失うところがありませんから、課税業者になることを申し出られるかもしれない。それによって問題は解決いたしますし、またその場合には簡易な方法として、御本人の仕入れを八〇%と推定して差し上げましょう、卸売であれば九〇%として推定して、簡易な納税方法をひとつおやりになって結構です、これはその点の選択を小売業者に認めるということが私は一番いい方法だろう、こういうふうに思っております。
○大久保委員 今の点は簡易税制の問題等々先でまたお尋ねいたしますが、ここで私がぜひ大蔵大臣の御見解をいただきたいのは、前段階並びに前々段階で非課税業者が入りますと、この最終事業者は価格の部分において非常に窮屈な思いをしなければならないという現象が起きてまいります。でありますから、宮澤商事といたしましては前段階が課税業者であることの方が望ましいのであって、この中曽根商事とおつき合いをしておりますとだんだん高いものを売らなければならなくなってくる、非常に人気も落ちてくるのではないか。でありますから、宮澤商事としましては、この中曽根商事に対して、ぜひ課税業者になっていただきたいという非課税事業者から課税業者への転向をお願いしますか、または簡易税制を採用していただくような業者に転向して、本則で変わるか簡易税制で変わるか、二通りの変わり方があるわけですが、その転向をお願いするか、でなければこの非課税事業者とのおつき合いはやめまして、ここに違う商事の会社とおつき合いをした方が宮澤商事にとっては有利であるという判断が出てくることになるのではないでしょうか。
○宮澤国務大臣 中曽根商事の品物が大変にいいものでございますからやはりお取引をするかもしれませんが、実際問題といたしましては、大久保委員が言われましたように、私のところへの納入に競争関係がございまして、ある業者は課税業者で、ある業者は非課税業者であるということになれば、私は課税業者から買った方が確かに得だということはございますから、その場合には中曽根商事におかれて、それなら自分も課税業者になろうか、それで失われることはございませんので、そういうことは起こり得ることだと思いますが、それはしかし納入の場合でございまして、一般のターミナル等々で消費者を相手にしている場合は明らかに非課税業者が得でございます。
○大久保委員 今のところ中曽根商事の商品は非常によろしい、これはこれで結構だと思うのです。ただ、同じような立派な商品をお売りになり、また同じような規模で事業を営んでおられる、また同じようなおつき合いもある、友情関係もある、こういう場合には先方が非課税事業者である方が宮澤商事にとって有利なのか、課税業者であった方が宮澤商事にとって有利なのか、これはいかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 それは明らかに、私の立場からいいますと、課税業者から納入してもらった方が楽でございます。
○大久保委員 それがおっしゃるとおりでございますし、また、この中曽根商事が途中の段階ではなくて末端の小売業者であった場合、この場合は、今大臣がおっしゃったように直接消費者に品物が渡ります。しかし、実際に私の近所の文房具屋さんは、近所にラジエーターを生産する会社に文房具を全部買っていただいております。しかし、この売上税が導入されますと、その小売の文房具屋さんもそのラジエーターをつくる会社から控除票をいただきたい、こういう注文が参りますと、ひとり私は末端小売業者であるから非課税事業者でいたいのです、こう言いますと、取引はこれ以上継続はなくなってしまうことになるのでございます。その辺は、私の言っていることに間違いはないでしょうか。
○宮澤国務大臣 納入をされる金額が非常に取引の中で多ければ、そういうふうにされることは私はやはりあるであろうと思います。
○大久保委員 総理に申し上げますけれども、八七%の事業者が一億円以下のいわゆる非課税事業者である、実際は一二%の事業者からこの売上税はいただくことにしておるのだ、こういうことでございますね。ところが、実際は、日本の全売上高は一千百十三兆円、その中の、これは政府の資料ですが、一二%の一億円以上の企業が売り上げております売上高が千十六兆円、大変な金額でございます。九一%、ほとんど全売り上げに網がかぶっておると言っても過言ではありません。八七%は一億円以下である。全体の事業者数の八七%は一億円以下でありますが、その企業が売り上げております売上高は全体の九%、九十七兆円でございます。でありますと、この九十七兆円を売り上げておる一億円以下の事業者、五百三十四万軒あるそうでございますが、この事業者たりとも、この流れの、流通の真ん中にあんこで挟まってきた場合には、今ここで一部御協力をいただいて売上税の仕組みを解明いたしましたけれども、課税業者に変わらざるを、転向せざるを得ないようなこの仕組みになっておる。また、末端の小売非課税事業者も、もし取引先に一億円以上の規模の会社がありますと、この末端非課税の事業者、一億円以下の事業者も、これは本則によって課税業者に転身をいたしますか、または簡易税制の制度を自分の中でみずからが転身をするか、その二つの選択をしなければならない、こういうふうに私は思いますが、その辺はいかがですか。
○宮澤国務大臣 これは大久保書記長が冒頭でおっしゃっていただきましたように、課税業者、非課税業者と申しましても、その人たちは身銭を、自腹を切るわけではございませんので、したがいまして、課税業者になったとしても、何もそれが自分の金銭的な損失になるわけではないわけでございます。したがって、その方が取引上有利であれば課税業者になるでございましょうし、取引上非課税業者が有利であればそのまま残る、こういうことでございます。
○大久保委員 ここで総理に申し上げたいのでございますが、このように一億円以下の事業者、まあ全体では売上高の九%を賄っておる事業者でありますけれども、ここからは税金は取りませんと、こういうふうに決めてはあるのでございますが、しかし、非課税事業者も課税業者に転向ができますよ、こういう制度をこの売上税は持っておりますですね。また、これが仕入れ額の控除、売上額との差し引き計算が面倒であれば、全体の仕入れを八割と規定してマージンを二割と規定したその一%を払えばいい、こういう簡易税制の道もありますよ。また、卸売業者であれば、問屋さんであれば、この仕入れは九割とみなして、マージンは一割ですから〇・五%払えば済むのですよ、こういう転身の仕方もありますよといって、みずからこの非課税事業者が課税事業者に転向できる道を残したということは、この五百三十四万軒に上る非課税事業者も相当数課税事業者に転身をするのではないか、こういう見込みがあったればこそこういう制度をつくられたんだ、このように思いますが、いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 この点は、おわかりのとおり、課税業者といい、非課税業者といい、自分が身銭を切ることではございませんので、全く御本人の商売上の有利、不利で選択をされていいということでございます。
○大久保委員 いや、私が伺っているのは、そういう非課税事業者が課税事業者に転向せざるを得ないケースを想定してそういう道を開かれたのではないのですかと。
○宮澤国務大臣 先ほどチャートでお示しになられましたような納入の場合には課税業者に転向することが明らかに有利であると考えられますので、そういうために選択の道を残しました。
○大久保委員 総理は過日の御答弁の中で、転向件数は少ないだろうということをおっしゃっておりますが、何かデータをお持ちの上でおっしゃっておるのでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 何の件数ですか、今ちょっとよく……。
○大久保委員 転向件数。
○中曽根内閣総理大臣 要するに課税業者になるという意味ですか。これは御本人が選択するところでございますから、実際、取引の実態等を見ないと言えません。 しかし、末端の消費者にお売りになる小売業者は、これは変わらないで非課税業者でおる方が得である。したがって、商店街であるとかあるいはそのほかの直接消費者に接するところはみんな非課税業者になるであろう、その数は相当膨大であろうと私たちは考えております。
○大久保委員 そうではなくて、五百三十四万軒中、小売業者は約百三十万軒ぐらいですね、今この政府の資料によりますと。その非課税事業者が課税業者に転向するのは少ないだろう、こういうふうに御答弁をされましたので、何か資料をお持ちの上でおっしゃったんでしょうか。それとも、大体そういうことではないかという推測で御発言になりましたか。ちょっとそこを教えていただきたい、
○中曽根内閣総理大臣 これは推測でございますが、その取引の実態によりまして皆様方が自分で御選択になる。その場合といえども税率を非常に低くしておりまして、卸の場合あるいは小売、これは違いますね、一%と〇・五%という形になります。 そういうわけで、そのときの自分たちの商売のやりくりやら相手方のことも考えてみずから選択なさる。しかし、大体賃加工みたいなものは恐らく転向はしないであろう、そういうものもかなりあるのではないかと、下請等を考えてみますと考えられます。
○大久保委員 大蔵大臣、今の総理の御答弁の中にありましたように、この課税売上高一億円以下の事業者で、課税を選択すると見込まれている事業者あるいは簡易税制を選択するであろうと見込まれる事業者及びその事業者数及び納税額、この見通しについて何か試算をされておりますか。
○宮澤国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
○水野政府委員 今般御提出申し上げでございます一億円以下の業者数は五百六十七万人でございますが、このうち二百三十一万人は小売店及び飲食店でございますので、こうした方々は恐らく御選択にならないだろうということでございます。それから卸売業者がまさに真ん中に入られるわけでございますけれども、卸売業者の中でも二割ないし三割の方々は、相手がやはり小規模事業者であればこれは御選択する必要がないとすれば、御提出申し上げております卸売業者でございますと二十六万人でございますが、このうちの約三分の一が非課税事業者向けであれば、その残りの半分くらいの方が御選択しても、これは十万人くらいといった数字かなといったことをいろいろ集計いたしますと、おおむね三十万人から五十万人くらいが御選択をされるのかもしれません。 しかし、これは先ほどもお話しのように簡易課税もございますので、簡易課税の場合にはまた違う計算もございますが、大ざっぱな感じとしては五百六十万人の中で三十万人からと、強いて推計いたしますとそんな数字でございますが、あくまで選択でございますのではっきりしたことは申し上げられません。
○大久保委員 時間がありませんので詳細を承っている余裕がないのでございますが、今申し上げた転向を選択されると見込まれる事業者数並びにそれによることの増税額の今の資料がありましたらば御提出をいただきたいことと、それから各種業種別の納税コストの増加見込み額、これもこの今の推測ではその中に出てくると思いますので、また、さらには売上税導入による徴税コストの増加見込み額及び税務職員の増員計画、この資料がありましたら御提出をいただきたいと思いますが、大蔵大臣にお尋ねをしておきたい。
○宮澤国務大臣 いろいろ推定が加わるかと存じますけれども、御審議の御参考になりますようなものをつくってみます。
○大久保委員 憲法の問題に移りたいと存じます。 法制局長官にお尋ねをいたします。 憲法八十四条に、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」こういう条文がございますが、今回の売上税は、「あらたに租税を課しこという、この新たに租税を課すことに該当いたしますでしょうか。
○味村政府委員 これは、いずれにいたしましても現行憲法の八十四条に該当するわけでございます。
○大久保委員 売上税の導入は、新たに租税を課すという、新たな租税という概念に適用いたしますですね。
○味村政府委員 そのとおりでございます。
○大久保委員 そこで、その次の条文でございますが、「法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」ということがそこに書いてございます。これは私が極めて、法律のさほど専門家ではない一般的な常識から推測いたしまして、この法律で定めるということは、まず何に税金をかけるのか、またどういう標準で課税をするのか、税率はどういうものであるか、またはだれが納税義務者であるか、またどういう納税の手続をとるか、この辺のところが、この憲法八十四条で言うところの「法律又は法律の定める条件」を指定しているのではないか、このように思いますが、長官の御見解はいかがでございましょうか。
○味村政府委員 大久保委員のおっしゃるとおりでございまして、租税の種類及び根拠、それから納税義務者、課税物件、課税標準及び税率といった課税要件、それから徴税手続というものを法律で定めることを要するというふうに規定しているものと存じます。
○大久保委員 この憲法八十四条は、普通、租税法定主義または租税法律主義と呼ばれているところでございますが、その規定によれば、今長官の御答弁のように、課税物件、何に課税されるのか、課税標準、何にどういう標準で課税されるのか、または税率、納税義務者または手続等について法律で定められなければならない、こういうことでございますが、この売上税の法案を拝見して一番驚きましたことは、であるにもかかわらず、この法律によらないで政令といいますと、これは閣議で決める条項でございますね。省令というのは省議で決める条項。もう一つ、この法を執行するに当たりましては通達というのがございますが、この政令と省令と通達はどのように違っておりますのか、法制局長官から御答弁をいただきたいと存じます。
○味村政府委員 政令と申しますのは、内閣で制定いたします法規範でございます。政令におきましては、法律の委任がある場合または法律を施行する場合、これに必要な場合において政令を制定することができるということになっております。省令も、法律に委任がある場合あるいは法律を施行するために必要がある場合に制定するわけでございますが、これは各省大臣がお決めになるものでございます。さらに通達は、これは法律の解釈につきまして、法律あるいは政令も含めますが、およそ法令の解釈につきまして、その運用方針といったような、法令の解釈を踏まえまして、その運用方針といったようなものを各省大臣なりあるいは場合によりましては大臣の命を受けました局長が通達するというものでございます。
○大久保委員 そういたしますと、この政令、省令または通達というものは法律によるものではない、行政府の、例えば何々省の大臣がまたは長官が、ある場合にはそれが政府の閣議で決められましたりまたは省の中で決められる。どちらかといいますと、これは国民から見ますと各省庁に白紙委任をしておる、各省庁の裁量でこの政令なり省令なり通達というのは決められてくる、こういうものでございますね。 そこで、お尋ねをいたしますが、大蔵大臣、この売上税の中では、この詳細が政令に――違いますか、私の言っておるのと。では、もう一度お願いします。
○味村政府委員 ただいま、政令に白紙委任すると……(大久保委員「いや、国民の側から見ればですよ」と呼ぶ)しかし、それは憲法問題でございますので申し上げますが、法律によりましてある事項を政令に委任するあるいは省令に委任するということは、これは憲法四十一条によりまして国会は唯一の立法機関であるというふうに規定されておりますが、その唯一の立法機関であるということを損なわない限りにおいて政令にあるいは省令に委任することができるのだ。したがって、包括的、一般的、白紙的な委任はできませんが、個別的、具体的な委任はすることができるというのは、これはもう憲法の七十三条の方にもそのことを前提にいたしました規定がございまして、当然のことというふうに考えられております。したがって、税法もその例外ではございません。
○大久保委員 私の言葉が足らなければ大変失礼を申し上げましたが、もちろん、立法府で議論している議題でございますから、この国会、法律の定めるところ、指定するところの政令の判断というのは各省庁で自由に決めることができる、ここが政令と法律の違うところでございますね。 その意味でお尋ねをいたしますが、この売上税には、政令にゆだねたところは百七カ所とも言われておりますし、百二十八カ所とも言われておる。これはどの数字が一番の正解でございましょうか。
○味村政府委員 先ほど、政令には白紙委任はすることはできないと申し上げましたが、白紙委任というのは、要するに無方針で決めさせるということでございます。しかし、具体的、個別的な委任は構いませんが、白紙委任はできないということを言っております。具体的、個別的委任と申し上げますからには、ある事項を限定いたしまして、そしてその個々の事項につきまして政令で定めるということでございまして、決して白紙委任ではないわけでございます。このことを申し上げておきたいと思います。 それから委任の数でございますが、私の覚えておる限りでは、政令委任が百二十一、省令委任が六つというふうに覚えております。
○大久保委員 私が確認をしたかったのは、政省令というのは法律とは違うのだということがはっきりすればそれで結構なんです。問題は、この売上税法案が政省令にゆだねたところは何カ所なのか。これは聞くたびに数字が違うのですね。今、最終的な数を御答弁いただければと存じますが。
○宮澤国務大臣 これは、まだ政令を書いておりませんので、非常に厳密には申し上げられませんが、百二十一とお考えくださってよろしいと思います。後で合併したり分けたりすることが技術的にあるかもしれませんが、百二十一で実態は間違いないと思います。
○大久保委員 省令は幾つになりますか。
○宮澤国務大臣 一応六つを予定しております。
○大久保委員 そうしますと、売上税法案の中で政省令にゆだねた部分は百二十七カ所である、こういう認識でよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 両方合わせますとそういうことになります。
○大久保委員 この政省令にゆだねるゆだね方が私は非常に問題だと思うのですけれども、三十四条についてお尋ねをいたします。 この三十四条は、売上税の、先ほどやってみました売上税額から仕入れ税額を控除して、その当該納税事業者が税務署にお金を払うという仕組みがここにうたわれておるわけでございますが、課税品目をまず控除する、非課税品目を控除する、そしてその課税と非課税が共通している部分をどう計算するかは政令で定めるところによる、こうなっておるんですね。そして、どういうふうにそれを税額として課税から、売上税から仕入れ税を引くか、その計算方式も政令による。これは納税事業者にしてみますと何のことだかわからない。自分はどういう区分をして、どういう計算をしてこの売上税額から仕入れ税額を控除して税務署に納税をするのかという、売上税を施行する意味で一番基本の部分が政令に任されております。これは、一億円以上の事業者にいたしましても、また課税事業者に転身する方にいたしましても非常にあいまいで不可解な部分だと存じますが、こういうことが政令で決められてよろしいんでしょうか。 また、第九条についてお尋ねいたしますが、第九条は「事業者のうち、」今ここが総理、課税になるか非課税になるか一番ボーダーラインのところでございますね、一億円の事業者。その年の前年における課税売上高の「合計額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。」これは何のことをおっしゃっているのか。納税事業者にいたしますれば一億円以上になるのか以下になるのかは非常に微妙なところでございますが、これが政令で定められておる。 また、続けて申し上げますと、別表の四十号、この法案ですと百二十二ページになりますが、有線テレビジョン放送法の中でこの放送局が課税対象であるのか非課税事業者であるのかは、「政令で定めるものが行う当該有線テレビジョン放送」、これは大臣の許可を受けた有線テレビジョン放送施設の中でまた政令で定めるものが課税放送局になったり非課税放送局になったりする。これもよくわからない。 四十四号の古物営業法、この古物営業法の中で政令で定めるものは課税の対象である。これは非常に大きな問題を後に残すことではないのかな、このように思います。 これは、法律としてはこういう政省令が全部そろってこないと一体どういうことなのか見当がつかない。 また、もっと深刻な問題は、私ずっと通して申し上げますが、第二十八条のところで、これは私もえらいことだなと思いますのは、税額票を発行した人は、その税額票の写しを政令に定めるところにより保存しなければならない。一々売り上げるたびにそのコピーを政令に定めるところにより保存しなければならない。これは何年間かは大蔵大臣がお決めになるわけですか。これは保存いたしませんと、六十四条三号に罰則規定が書いてありまして、どういうことになりますのか。 また、こういう重大問題がこの立法府の審議ではなくて行政府の責任者に全部任されてしまう、これは非常に問題ではないか。これは私どもが何かいちゃもんをつけるのではなくて、先ほど来申し上げておりますような租税法定主義が憲法で定められたものであるならば、今申し上げたような、これはごく一例でございますが、こういったものが各行政府の長官にゆだねられてしまう、私たちが手の届かないところへ行ってしまう。それもこの売上税の根幹にかかわる部分、一億円のボーダーラインをどう決めるのかは法律で決めることはできない。政令にこれがゆだねられる。売上税から仕入れ税をどういうふうに控除するのかの計算方式が、これは政令にゆだねられてしまう。 また、売り上げた伝票を、聞くところによると七年間だそうですね、このコピーを保存しておけと。七年間もこれはどこへ保存するんでしょうかね。それがもし査察があって保存し切れない場合は、これは大蔵大臣、どういうことになりますか。
○宮澤国務大臣 まず総体に申しまして政令、省令はもとよりでございますが、これは法律の委任を受けて、その上でもって細部をあるいは手続的なものを定めるということでございます。 先ほどからいろいろな例を御説明になりましたので、例えて申しますと、一番わかりやすい例で申しますと、この売上税というのは国内における取引にかけられるものである、国内における取引とは何かと言えば、それは国内にそのものがある場合である、そのくらいまでは法律に書いてございますけれども、しかし、例えば船はどうだ、これは動きますから国内にあるものかどうか、あるいは無体財産権はどうかということになりますと、例えば船なら、それは船籍のあるところだというところは、これは法律に書き切れませんから政令に持っていく、このぐらいなことは決して法律を逸脱するわけではございません。 大久保書記長がよく御存じのように、この法律をごらんになりますともう何度も括弧が出てまいります。また、括弧の中に括弧がありますから、どれが主文でどれが枝葉がわからないような読みにくい文章でございますが、括弧をまず外して読むのが一番読みいいわけです。そのぐらい複雑でございますから、ある程度の技術的なものは政令に持っていかなければならないというのは、どうも法律を読みやすくしてわかりやすくする、これは法制局が御判断されることでございますけれども、そういう意味では許されていいのであって、決して行政が恣意にできるわけではない。法律で許された範囲でしかできないことでございますから、特にこの法律案が政令事項が多いわけではございませんで、例えばもう現にございます物品税法なんかでも、条文の数と政令の数でいえば大体同じような比率でございますけれども、それは私は許されることだと思っております。国民の権利義務に関することを法律の委任を逸脱してやってならないことはもとよりでございます。
○大久保委員 今のコピーの保存期間等については、まあ何年をお考えになっているのかわかりませんが、これがもし履行されない場合はどういう罰則規定になるんでしょうか。
○宮澤国務大臣 それは、その前に、二十八条の四項にございますが、年限であるとか、あるいはその本人の罪に帰すべからざる事由によって火災でありますとか盗難であるとかいうので滅失したらどうかとか、そういったようなことが私はいろいろあろうと思います。そうでなくて、本人の責めに帰すべき事由によりこの四項に違反しましたときは、これは恐らく罰則がある。罰則は六十四条の三号でございます。「次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。」ただし、これは、先ほど申しましたように、本人の責めに帰すべからざる不可抗力のような場合にはこれに該当することはなかろうと思います。
○大久保委員 このコピーが保存されてないと刑事罰が適用されるということでございますが、その保存期間は政府が決めるのですか。何年これを保存しなければならないかというのは、そういう刑事罰が適用されるようなものが、この伝票の写しを保存するかしないかというようなことが、政府の政令でその期間が決められて、それに違反すると刑事罰が適用になるというのは、どう考えても私はちょっと合点がいかないのです。
○味村政府委員 憲法七十三条の六号には、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定してございまして、法律の委任がございますれば政令によっても罰則をかけることができることになっております。それで、政令自体で罰則を決めませんで、いわゆる構成要件に該当する行為を政令で決めるということも、これはしばしば行われているところでございまして、これは先ほど申し上げました法律による政令への委任の一般の法理によるものでございます。
○大久保委員 そんなことを申し上げているのではなくて、これに違反をすれば刑事罰が適用されるというような非常に重大な期間を、これは政令で決めることになっているのですね。そんなことが、政令で決められたものに法律が適用される、こういうことがあってよろしいのですか。今まで税法の中には刑事罰が適用されるもの、たくさんあります。しかし、この伝票の保管の問題で一々刑事罰が適用されるというようなことは、こんな例は今までないんじゃないですか、こんな法律は。その政令も、大体どのくらいの期間であるかということは今まだおっしゃることができないわけでしょう。これは何か腹案があるのですか。
○宮澤国務大臣 伝票と言われましたけれども、これは税額票でございますので、実は現実の納税額に関係する、民間の方は時々金券というようなことを言っていらっしゃいますが、そういう種類のものでございますので、ただの書類ではございませんで、それは持っておってもらわないと困るということを言っておるわけです。
○大久保委員 ですから、一日一万人お客様が出入りする商店は、一万枚のこのコピーが必要なんですよ。これがないと税額控除の集積はできないのでしょう。こんなのをどこへとっておくのですか。これは倉庫を幾つ借りても足りないですよ。 ただ、今私は何もこの九条を言っているのではなくて、先ほどの三十四条から、売上税の根幹にかかわる問題、非課税の部分を控除します、課税の部分を控除します、その共通の部分を控除します、この売上税の、いわゆる納税事業者が売上税から仕入れ税額を控除するこの控除の仕方が政令にゆだねられているのでは計算の仕方がわからないではありませんか。この条文からその計算の仕方を読み取ることはできないではありませんかということを申し上げているのです。 また、さっき言ったように、課税事業者になるのか非課税事業者になるのか、その計算の仕方が政令にゆだねられておる。それじゃこれは、政令が出てくるまで自分はどっちの事業者になるのか見当がつかない、計算のしようがない。こんなことで、今生きるか死ぬかという大変な競争の中で生きていらっしゃる事業者の皆さんは納得できませんよ、これは。重大問題です。 私はすべて法律に盛り込めなどとは言っておりません。本来こういうものは、憲法八十四条の精神からいうならば、これは当然法律事項であっていいはずです。しかし、今この審議の場でこれを法律にしなければ云々というようなことを言っても、そんなのは水かけ論ですから、せめてもう少しはっきりする省令が出るまで私はこの質問は留保させていただきたい。こんなあいまいなものを前提に私は、そんなものがない限り、国民に対して責任あるそういう審議はこれは不可能です。委員長。
○宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねの中で、全く原則が定まっていないというふうな印象のお尋ねでございましたので、その点は申し上げておきますが、課税分と非課税分がございましたときに共通部分をどう割りかけるかということについてのお尋ねでございます。 まず、やり方は二つございまして、共通部分のうち明らかに分けられるものを両方に分けまして、分けにくいものを比例案分する。もっと簡便な方法でいいますと、共通部分を非課税分と課税分にそのまま比例案分する。そのいずれでもよろしいわけでございますけれども、それだけではこれはきちんとした説明になりませんので、さらにそれをどのようにやるかということを政令で書きたい、こう思っておるわけでございます。方針はないわけではございません。
○砂田委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○砂田委員長 速記を起こして。 この際、暫時休憩いたします。 午後二時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後三時五分開議
○砂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 理事会の協議により、大久保直彦君の残余の質疑は後に譲り、永末英一君の質疑を許します。永末英一君。
○永末委員 今回の国会は、中曽根総理が選挙中の国民に対する約束に打って変わった売上税を持ち込む、このことで非常に紛糾してまいりました。 私はあなたとは同じ大学で学んだ長い歴史がございます。我々がともに学んだ矢部先生から、ケルゼンの言葉として教えられた中に、こういう言葉があったことをあなたも覚えておいででしょう。「議会政治が、議会全体に多数少数の差はあっても、一つの統合的な意思をつくるためには、多数者は少数者の言うことをきちんとわきまえて多数決に持っていくことが最終の決着である。すなわち多数決原理とは、多数者少数者原理によって裏打ちされねばならぬ。」今回の国会で、多数だから何でもできるというような国会運営がいかに紛糾をもたらしたかは、この時点でやっとやっと予算委員会の総括の第一陣が動きつつある、まことに明確にあらわれていると思います。そのことを前提にしながら、私はあなたの政治について考えているところを最初に申し上げ、この売上税の導入がいかに現代の日本の国の国情に合わず、経済界の実情に合わないか、このことをはっきりと認識をしていただきたいと思います。 あなたは、売上税の導入に身命を賭す、非常に大きな姿勢で立ち向かっておられます。しかし、あなたの政治を振り返ってみますと、五年になりますが、なかなかもって一つのことにそのまま素直に前進せられておるのかどうか疑わしい。 第一に、行政改革の問題は中曽根内閣が始まって最初に、これこそ中曽根内閣の最も大きな仕事である、こういうことで取りかかられた。国鉄は確かに民営移管になります。これから一体どうなるのか、まことにわからない。さらにまた、昭和六十五年には赤字依存体質の財政はやめるんだ、こう言われたが、六十五年は三年後に来つつありますが、ぼうっとしている。国民の側から見れば、なるほど、だから売上税を持ち込んだか、こういう疑いをすら抱きたくなるのであります。さらにまた、医療保険の改革と言われても、国民にわかっているのは、要するに今まで被用者保険において一部負担のなかったものが導入され、最初は負担金のなかった老人医療にその一部負担が持ち込まれ増額されたということである。教育改革も、今我々が見ているように、大学入試について非常な混乱が起こりつつある。しかも「増税なき財政再建」ということで、あなたの財政の運営を見ておりましたが、今売上税が導入されつつある。 あなたは、内閣をとられたときの最初の本院における演説でこう言われましたね。「政治を支えるもの、それは国民の信頼であります。」そのとおりです。国民は、あなたが約束をしたことをきちんと実行していく、その誠実な実行力に期待をしておったはずであります。しかし、一体国民の信頼にこたえつつあるであろうか。一度あなたが決したことは、曲げることなく、やめることなく行われねばならない。その意味合いで、象徴的にあなたの首尾一貫をしていない政治行動について、一つだけ最初に伺っておきたい。それは靖国神社に対する参拝の問題であります。 あなたや我々があの戦争に従事しておった時代の靖国神社と占領後の靖国神社とは、その性格を変えております。しかし、その靖国神社に対して、おととしあなたは内閣総理大臣としていわゆる公式参拝をされました。八月十五日、戦没者の慰霊ということで参拝された。国民にはいろいろな意見がございます。あなたはされた。昨年は、同じ日がめぐり来ったがやられなかった。一体内閣総理大臣中曽根康弘という人は、戦没者の慰霊に対して行った行動というものが一貫していないではないか、一体どう歴史の審判にあなたはこたえるつもりか、お伺いいたしたい。
○中曽根内閣総理大臣 私はあなたと同じように矢部先生に教わった同窓でありますが、矢部先生には、国家のためには私を捨てろ、党利党略を捨てろ、議会政治を守れ、そういうことを教わったと思いまして、一生懸命実践したいと微力を尽くしておるところでございますが、いろいろまた御教導願いたいと思う次第であります。 それから靖国神社の問題については、私は靖国神社の公式参拝が可能であるかどうか、遺族会の皆さんは公式参拝せよ、党の大多数も公式参拝せよという強い要望を持ってまいりまして、長年この問題が懸案でありましたけれども、私は法制局とも相談をいたしまして、宗教的な行為にわならない配慮を持って靖国神社を参拝することは憲法違反にならない、そういうことを法制局とも相談をして、そういう考えのもとに公式参拝の道を開いたと私は思うのです。今でも、公式参拝は私がやったようなやり方であれば合憲であると確信しておるところでございます。 しかし、その後いろいろアジアの国々の反響、反応等もありまして、これを強行するということはかえって日本の国益を害する、したがってもう少しいろいろ説明に時間を要する、そういう考えを持ちまして、私がやったような公式参拝は合憲であるというそれを現在においても維持しつつ、日本の国益を考えましてそれは今延ばしておる。しかし、この問題はやめたというのではない。これは継続審議の問題として我々は考えておる、そういうことであると御理解を願いたい。公式参拝は合憲であるということを開いたということは、私は戦後やはり一つの大きな道を歩んだと考えております。
○永末委員 道を開いたが、開かれっ放しで、あとは歩まない、こういうことですか。売上税は、導入しようと思ったが、今や諸般の情勢まことに厳しく、国民の賛成を積極的に得られない、やめるという御意思はあるのですか。
○中曽根内閣総理大臣 売上税については国会の審議もまだほとんど行われてないで、きょう初めてぐらい審議が行われ、もっとも本会議でも行われましたけれども、詳細な審議はなかったわけであります。十分国会の審議を尽くしまして、国民の皆さんにこの審議を通じて理解を進め、我々の真意ものみ込んでいただいて、そして御支持を得るように全力を振るっておるところであります。
○永末委員 私は、現在の経済情勢下において無理無算売上税を導入することは国民経済のためにならない、国民経済に無用な混乱を起こすものだと考えております。そのために、今我々が一体どういう経済状態にあるのか、またどういう経済構造にあるのかということを申し上げつつ、あなた方の間違っている見解をただしたいと思う。 第一に、二月の二十二日に宮澤蔵相はパリへ行きましてG5やG6会議をされました。そうして、そのときの最終的な共同の声明みたいなものに、「今や各通貨は基礎的な経済諸条件に概ね合致した範囲内にある」ということに合意をされてまいられた。二月二十二日といえば円は百五十円台。そして、我が国は既に一年にわたる円高の打撃によって、いわゆる重厚長大、素材産業を中心とした今までの日本経済を支えてきた産業は大打撃を受けて壊滅しつつある。失業者は三%を超えてきた。なお潜在余剰労働力は百万あるかもしれないと言われるに至っております。さらにまた、輸出向けの中小企業などは、通産省の調査によると六〇%が休業しなくちゃならない。こういう惨たんたる円高不況の状況を宮澤大蔵大臣は、基礎的な経済諸条件に合致しているからいいんだ、こういうことですか。
○宮澤国務大臣 一昨年のプラザ合意以来のいわゆるドルを下げるための人為的な努力というものは既にその目的を達して、今各国の為替は経済の基礎条件に合っているということを言ったわけでございますが、それは必ずしも今の円の水準が我が国にとって全く満足なものであるということを意味するわけではございません。これだけドルが下がりましたし、アメリカも財政、貿易の赤字の縮小に努力をしておるわけでございますから、やがてそのファンダメンタルズがアメリカにとってもう少しよくなるはずだというふうに考えましても私は無理でないと思っておりますが、このたびのパリでの共同声明は、ともかくこれ以上大きな為替の変動がこの状態であることはよくない、お互いのためによくないということで合意をしたということでございます。
○永末委員 私が申しておるのは、この前のいわゆるプラザ会議で、二百四十円台であった円がどんどんと上がり出した。あなたが昨年ベーカー財務長官と会談をされたときに、その当時の経済基礎的条件についていわば合意をされた、そのときもう既に百五十円台であったわけですね。そしてさらにこの一月、再びべーカー長官と会い、さらに今回のG5になって、繰り返し過去二回におけるアメリカと日本との財政担当者の見解を確認する形でこの共同声明を出された。しかし、我々はそれによって打撃を受けておるではありませんか。打撃を受けておるのは、今あなたも百五十円でいいなんて一つも言ってない、何とかその条件をよくしたいと思っているとはおっしゃったが、今打撃を受けておる状態でよろしいということをあなたは言えるのですか、総理大臣。
○宮澤国務大臣 今の状態をよろしいと申そうとしたのではありませんで、つい先日のように外国の当局者の発言によって、あるいはまた投機筋の動きによってさらに円が高くなるということは非常に我が国としては困る、とにかくそういうことをまずとめておきたい、こう思ったわけでございます。
○永末委員 この共同声明ではこのようなことも約束されておられますね。為替レートを当面の水準の周辺に安定させることを促進することに合意をした。つまり、当面の水準の周辺というと、百五十円台を宮澤さんは承認をした、合意をした、こう読み取れますな。そうですか。
○宮澤国務大臣 先ほどから申しましたように、ことしの一月には円が百四十円台に入ったことが現実にございました。そのようなことは我が国としては非常に困るのみならず、このG7の各国にとってもよくないことだということをみんなで確認をいたしたわけでございまして、そのことはこの水準でもういいんだということを将来に向かって言ったということではございません。
○永末委員 当面の水準の周辺に安定させることを促進することを合意したというと、どうなるんですかね。周辺というのは幅が広うございますが、当面の水準といえば、百五十円台でうろうろしておったのがあのときの水準ですね。だからこれを受け取った日本の産業は、大蔵大臣は百五十円台でうんと言ってきたんだな、対応しなくちゃならぬ、つぶれる方はえらいことだぞ、つぶれてしまう、こういうことで対応しておるんじゃないですか、どうなんですか。 総理大臣、これは宮澤さんは当事者だ、あなたはそれを聞きつつかじをとっておられると思うが、あなたの見解を聞かしてください。
○宮澤国務大臣 たびたび申し上げておりますように、私はもうこの百五十円、今の水準でこれでもういいんだということを言おうとしたのではございませんで、一月のような経験を日本は決してしたくないし、それは日本のためにもG7のためにも悪いんだということをみんなで同意をいたした、その方にウエートをかけて御理解をいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 日本側の意図は、宮澤・ベーカー会談を二度もやりまして、ともかく百五十円を割るうというときに、これは絶対防止しなければならぬという意味で下げどめのくさびを打とう、そういう趣旨があって宮澤・ベーカー会談を二度にわたってやり、さらにドイツやヨーロッパの諸国等も入れてG7――G6になりましたけれども、ともかくこれで多国的にこの固めをしておこう、そういう意味であの同辺という言葉も出てきた。我々としてはこれは下げどめである、そういうふうに――上げどめという意味であります。そういう意味であります。ドルの下げどめであります。
○永末委員 中曽根総理がこの為替相場に関して国会で発言をされてこられたのを注意深く読んでみますと、あなたはなかなか円高不況というのをお認めにならぬような姿勢ですね。昨年の九月なんかも本院の本会議で、「個人消費の促進を図るためにも、この円高等による差益の還元を円滑に進めることが」必要だ、何か円高が我が国経済にプラス面だけがあるような雰囲気を与えられておる。円高によってえらく今、産業がやられているんだ、えらいことだ、おれは責任を感じているというようなことは余り出てこないのですな。 そこで、しかしながら、まさにこの円高によりまして、四割になんなんとするここ一年半の円高によって、円高差益は少しはやはり個人の生活に響きつつある。しかし、目に見えて響いていないので一体どうなったかという議論がございますが、確かに卸売物価が下がっておるのに比較しますと、個人の消費物価は余り下がってない。しかし、上がってないから少しは効いているということは言えるかもしれません。ただしかし、私が問題にしたいのは、政府の行為によってこの円高の利益が阻害されているとすれば、これは政府は考えなくちゃならぬ。こういうことをきょうはぜひ総理の見解を伺っておきたい。 例えば食管会計というのがございまして、米を扱っておるのでありますが、米はまだ輸入等は問題になっておりません。いろいろの巷間の議論はございます。小麦は六十年のあのプラザの会議から六十一年の三月まではトン当たり四万二千円で買い入れて八万四千円で売っておる。現在は円が高くなりましたから、二万五千円で買い入れて八万一千円、少し安く売っていますね。そういうことであります。なぜ一体この価格差が出るのか。聞いてみますと、内国産の麦と外国産の麦とのコストをプールしてやっているんだ、こういう話でございました。なるほど我が国の農家の麦生産に対する政策は必要でございましょう。しかし、消費者の目から見ると、明らかにこうやって円高による外国麦の買い入れ価格は下がっておるのに、今度は食管を通じますと売り渡し価格は下がらないか、こういう問題があります。 牛肉。牛肉も六十年代はキログラム当たり九百四十六円、これがいろいろな支持価格、安定価格というので、中心価格などと言っておりますが、六十年代は千二百七十四円で売っておりました。現在はこれが円高で下がりまして、キログラム当たり七百六十七円、それを今千九十三円で売っておる。円は四割近くこの間上がっておる。この値段はそうは準じておりません。小売価格はこの間一三・七%下がっておることは認めます。しかし、国民はなぜ一体円高と同じ比率だけ我々は安い牛肉が食えないか。畜産振興事業団にプールをされて、そしてこれが売られるのである。我が国の畜産のためには、それはそれなりに守っていかねばならぬことがあるでございましょう。しかし、同時に消費者は、円高のメリットということを総理大臣が言うからには、あなたがもう少し安い牛肉を食わしてくれないのかと思っていますよ。 さらにもう一つの問題は生糸があります。生糸の国際相場は今や香港の相場でも四千円を割っておるのでございます。ところが我が国は、昔の蚕糸事業団、今二つが一緒になりまして蚕糸砂糖類価格安定事業団というよくわからぬ事業団の名前でございますが、ここで昭和四十九年以来、生糸の一元化輸入をやっておる。そして事業団買い入れ価格は、国際価格が四千円を割っている、我が国の中国からの保税生糸の値段も四千円を割っておる、にもかかわらず約七千円で買い入れておるのである。そして売り渡す場合には一万二千円標準で売り渡しておるのである。なぜか。 なるほど中曽根総理の群馬県はお蚕の中心地の一つでございますが、あなたの選挙区の安中市の群馬県立蚕糸高等学校は、七十三年の歴史を誇りつつ、新しい蚕業家がいないというので今度廃校になりましたね。残念なことでございます。私が申し上げたいのは、蚕業、お蚕を守るのもそれは一つの政策である。しかし、日本の繭業を守るのはもっと大きな問題ではありませんか。 円高である、円高メリットとあなたが言われる以上は、せめてその利益の均てんを受けるような政策について、身命を賭せとは言いませんが、もっと熱心にやっていただきたい。一括してお答え願いたい。
○中曽根内閣総理大臣 円高の効果を国民の皆様方に還元するために政府は全力を尽くしてまいりました。最近顕著にその効果は出てきていると思います。一つはやはり物価の低落でございまして、卸売物価はもう既に一〇%ぐらい下がっておる。小売物価もそれに追随して、この前は〇・六ないし〇・五ぐらいでしたが、マイナス一ぐらいまで小売物価も下がってまいりました。これはもう一番顕著なことでございまして、さらにこれを懸命に追求して物価を下げるように努力してまいりたいと思います。 そのほか、例えばいわゆる電気、ガスの料金につきましても約二兆円の減税に当たる分の料金引き下げをやっておりまして、一家庭当たり両方で月に大体二千円ぐらい安くなっている、こういう数字も出てきております。そのほかの消費物価につきましても、航空運賃にいたしましてもあるいは国際電話にいたしましてもあるいはそのほかの消費物価にいたしましても、最近特に外国産のウイスキー等もぐっと下がってまいりました。今おっしゃった牛肉の問題も、これは特売デーをふやし、また店舗も広げまして、大体二〇%下げるようにずっとやってきておる次第でございます。 生糸については、実は蚕糸糖価事業団において、あれは円建てでできておるのです。ドル建てでないわけです。したがいましてあれは、円高の効果というものは生糸については出てこないのであります。しかし一面においては、日本の伝統のある蚕糸業をやはり我々は守っていかなければならぬ。蚕糸農民の生活も考えていかなければならない。しかしまた一面において、京都そのほかにある絹織物の関係の皆さん、着物の関係の皆さんのことも考えていかなければならない。原価が高いために着物も売れなくなるという、そういう情勢も出てきております。その間に自民党といたしましては政府と協議いたしまして、繭糸価格を引き下げる、そういうことでかなりの、厳しい中にありましても両方の調和を図るように努力してきておるところでございまして、今後ともその努力を継続してまいりたいと思う次第であります。
○永末委員 円建てでやっておるからドルが値打ちが下がっても関係ないんだという、そういう言い方は逃げですよね。それならドル建てにしたらいいじゃないですか。それから、繭糸価格なんかはここ一年下がっておりませんよ。だから、ドル価格がどんどんと変わっているにかかわらずなぜだという素朴な疑問に答えていない。だからこれはやはりやっていただかなくちゃなりません。 私はきょう申し上げたいのは、これはそのメリットの還元でありますから、今円高不況である。我が国は六十一年を通じまして対世界の貿易を見ますと、三百三十五億ドル、なお我々はドルベースでいくと増加しておりますが、円ベースに引き直しますと六兆六千億円マイナスになっておるのですね、前々年度と前年度は。アメリカに対しましても、百五十一億ドル、我々は前年度に対して昨年は出超でございますが、円ベースに直すと実に二兆円の減額になっておる。これが円高不況の実態である。 したがって、この円高不況をもろに受けた石炭であれ造船であれ鉄であれ、さらにまた自動車や電気機器等にも大きな影響が及びつつある。特にまた既に造船などは壊滅的な打撃を受けておる。例を申しますと、例えば因島の造船所では三千三百人いた者が百七十人になっておるのですね。失職である。また、鉄は国家なりなどと言われましたが、室蘭におきましても四千三百九十人を七百人にしなければならぬ。壊滅的な打撃であります。こういうことが我々の目の前にある。 私は先日、この造船関係の労働者の人々が失職をしていく、手紙をいただきました。主婦の手紙でありますが、主人が失職をした。 年金を頂くまでにはまだ五~六年はありますし、再就職といっても五十四才、五十五才の者を使ってくれる所は私達の地域では皆無です。当座は雇用保険が頂けるにせよ、会社より頂いた退職金は家のローンへの充当等で決して年金を頂くまではもちません。主人も日一日と寡黙の状態が多くなってきています。日本の復興を支え、一生懸命働いてきた産業に働く者にもう役に立たなくなったから死ねという事なのでしょうか。私には今のやり方がそう思えてなりません。同じ合理化にしても国鉄職員は一〇〇%再就職が保障され、民間で一生懸命働いた人達へは雇用保険三百日プラス九十日で後は知らない、こんな政治がまかり通っていることが残念でなりません。 これが主婦の言葉です。 また、子供たちがこう言って作文を書きました。 ぼくのおとうさんは、かいしゃをやめ、まいにちいえにいます。そのかわり、おかあさんが、はたらきにいっています。 よる、おとうさんとおかあさんがケンカをしています。 どうしてケンカをしたのか、ぼくにはわかりませんが、おかねのことかもしれません。これからは、えんぴつもちいさくなるまでつかおうとおもいます。 涙なくしてこの子供さんの文章は読めません。 大きな造船所がひっくり返れば下請も大変です。下請の言葉、こんな手紙をもらいました。 今、町には大企業を退職した失業者があふれ、その人達でさえ就職が困難な状況だけにひとつの仕事しか出き得ない我々はお先まっ暗です。会社経営もどうしようかと迷っている所です。 このような状況になったのは親会社の責任でもありませんし、従業員の責任でもありません。我々経営者が努力を怠っていたからです。しかしこの急激な予測は誰ができたでしょうか。出るのはグチばかり食事もノドを通りません。 円高の責任は一体だれにあるのでしょうか。それは為替市場だから政府の責任ではない、こんなことを言えましょうか。総理大臣、一言。
○中曽根内閣総理大臣 為替レートの問題は日本の関係だけでなく外国全体あるいは世界経済全体との連関で動いておるものであり、また、特に投機業者等の思惑も影響しておるものであります。しかしながら、基本的な経済政策というものもいわゆるファンダメンタルズという面で大事な面がありまして、そういう面におきまして我々は内需の振興ということを要請されており、政府もそのために懸命の努力をして、今回の予算におきましても公共事業費は五・二%昨年に比べてふやしておるわけであります。 なおまた、総合経済政策を打ち立てまして、大体その結果内需は四%ぐらい伸びておるんです。しかし、外需が落ちておりまして、一%ぐらい落ちて、それで三%というのがこの前出た大体の推定でございます。 内需で輸出の落ちをカバーしよう、そういう考えに立ちまして、今後とも我々は為替相場の長期的安定に向かって努力してまいりたいと思っております。
○永末委員 やっておられることを聞いているんじゃないのですよ。為替相場というものはこれだけ打撃を与えておる、政治の最高責任者としてあなたは一体どうなんだ。内需をやっておればそのうちに為替が何とかなるだろうじゃないのですね。責任を感じておるかどうか、そういうことを聞いておる。 通産大臣、あなたのところの中小企業庁が二月に輸出関係の中小企業の影響をいろいろお調べになりました。その中には、彼らが生きていくためにはどれぐらいの為替相場であれば生きられるか、いろいろ痛切な訴えをあなたにしているわけですね。あなたは産業を守る責任者です。産業を守る責任者としては、我が国のこれらの輸出産業がどの程度の為替相場であれば生きられると思いますか。お答え願いたい。
○田村国務大臣 為替レートがどの程度が適当かということは、これは業種、業態によって異なると思います。でありますから一概には申せない面がありますけれども、しかも今は御承知のように経済の二面性がありますから一概に言うことはできませんが、先般、御記憶があると思いますけれども、大変な円高が急速に進んで、せっかく百六十円台で安定しておったのが急速に進む。私は思い切った発言をして、百七十円プラス・マイナス十円というところであろうということを申しました。これは閣僚が口にすべきことではないのであります。けれども、あえて私はそれを申し上げた。それはぎりぎりのところでもう必死になってもがいておると言ってもいいかもしれない製造部門の下請をやっておる中小企業の方々のことを思うとき、私は、単に円高、円高、これはけしからぬと言うだけではどうかと思ったものですから、この数字をあえて口にいたしました。政治の場、行政の場でおしかりを受けることは十分覚悟しながら、これをあえて口にいたしました。 それで、大体私が百七十円プラス・マイナス十円と言いましたのは、日米の経済ファンダメンタルズの状況あるいはインフレ率から見た購買力平価等の試算、これはもちろんそのとる基準年次の問題もありますけれども、こういうところを事務方に試算させまして、あえてこういうところが苦しんでおられる企業にとってぎりぎりのところではなかろうか、特に中小企業にとってはもうぎりぎりのところではなかろうか、こういう判断をしてあえて口にしたわけでありまして、今もって私は間違っておるとは思っておりません。 今回のG7というのですかG6というのですか、これで為替レートが当面の水準の周辺というところに安定させるための合意ができた。緊密に連携をしてこれをやろう。この合意は、これ以上の円高をさせないという意味においては、私は評価してよいと思うのです。 それともう一つは、「当面の水準の周辺」という非常に幅のある表現、言うなればアバウトな表現に落ちついたということは、私が申し上げた百七十円プラス・マイナス十円とそう矛盾していないというふうにも考えております。つまり百五十円、百六十円、百七十円という三けたの後半のけたのところで「当面の水準の周辺」ということになれば、それは三円だ、五円だということはあり得ない、もっと大きなものだと思うのです。でございますから、私はこれは決して矛盾したものではないというふうに思っております。 ただ、だからといって、今度のG7で合意されました、またあるいはレーガンの一般教書にもございましたが、各国の為替レートの調整だけの努力でなしに、今度の場合はお互いの自主的な努力というものも合意されました。日本や西ドイツは内需拡大を初めとして大変な荷物もしょったわけです。アメリカの場合も、レーガンが初めて自分たちの努力というものも認めましたし、このG7の合意の中に入っておる。でありますから、日本は、これから総合経済対策等で思い切った内需拡大策をとっていく、そしてまたアメリカにもうんとやっていただくというようなことによって、為替レートが自然な形で整合性のあるものになっていくと思いますが、しかし、いずれにしても、今日本がこのまま放置しておっては大変だ、思い切った内需拡大策をとらなければこの為替レートも下手をすれば危ないぞという非常に思い詰めた心境でございます。 私は、今おっしゃったように中小企業を守る立場でございます。その立場からあえて大胆率直なことを申し上げましたが、どうぞ一刻も早くこの予算を通していただいて、不況にあえいでおる中小企業の人々を助けてやっていただきたい。これには大変な不況対策が盛り込まれておる。どうかひとつお願いを申し上げますから、この予算案はぜひとも早急にお通しを願いたい。日切れ法案その他もよろしくお願いを申し上げたい。ここに私は担当大臣として心から野党の方々にも与党の方々にもお願いを申し上げる次第でございます。
○永末委員 為替相場を具体的に口にすることはなかなか政治的に微妙な問題でございましょうが、田村通産大臣の勇気は尊敬をいたします。 今の通産大臣の意見、総理も同意見ですか。
○中曽根内閣総理大臣 輸出関係、あるいはそのほか下請関係で悩んでおる中小企業の皆さんの面倒を十分尽くして見なければならぬし、もしまた失業その他が出た場合にはこれに対する万全の対策をしなければならぬという点は全く一致しておりますし、予算をどうか早く通していただきたいということも完全に一致してお願い申し上げる次第であります。
○永末委員 雇用問題は一刻を争う重要問題であることは我々も十分承知をいたしております。今度政府が三十万人雇用開発プログラムを発表しておることは承知をいたしております。これは肝心なところが抜けておるのですね。何が抜けておるか。つまり転職をしなければならぬ。先ほど手紙を読ましていただいたように、転職は難しい。そうすると、現職にある間に新しい職に対する研修をきちんと行って、そうして何とか転職をしていただく、この手助けを政府がやるという点が抜けておるわけです。したがって、現職に対してやるならば、それに対して新しい法律が要るならば法律をつくって、そして転職に対する研修をきちんと済まして転職をしていただく、そういう御計画を立てる御意思はございますか。
○中曽根内閣総理大臣 その点はまさに御指摘のとおり大事な点でございまして、今回の提案申し上げる法律及び予算にはその大事なものがのっておるわけでございます。不況事業主に対しまして、他の企業あるいは専修学校等に委託して在職の労働者の職業転換のための訓練を行う場合、これは大体賃金の五分の四、大企業の場合は四分の三の高率助成を国が行う、また訓練委託先に対しても訓練費用を一人一カ月当たり三万円支給する、今こういう緊急政策をお願いしておるところでございます。そのほか特別の助成制度を創設する。出向等に関する情報収集提供を行う産業雇用安定センターの活動を援助するとともに、出向や不況業種事業主が行う再就職あっせんを通じた雇い入れに対する助成内容を強化する。これは出向について三分の二、中小企業については四分の三、これだけの助成を行うということにしておるわけでございます。 こういうようなものを盛り込んだ法律並びに予算を今御提案申し上げておりまして、そのために約千百三十三億円の労働省の今度の三十万人雇用開発プログラムというものをやっておるわけでございます。こういうような大事な政策を、一日も早くお金を現地に渡せるようにやりたいために予算の成立をお願いしておるわけでございまして、本当に、失業者のことを考えますと心からお願い申し上げる次第なのでございます。
○永末委員 急ぐものは急がねばなりませんが、毒を飲んではいけませんですね。 私は、売上税、いよいよこれに入るのでございますが、税制改革を大いに総理は言っておられるが、この前の山下君の質問に対してこんなことを言われたんですな、身分に応じて税金を負担していただきたい。総理、身分に応じて払う税金はあるのですか。
○中曽根内閣総理大臣 どういう発言の脈絡の中で申し上げたか知りませんが、税の中には、一つは応能主義というのがございます。収入の多い方は税金も多くしていただく、収入の少ない方は税金も少なくする、あるいは税金はなしにする、そういうような応能主義ということは税法上通っておる一つのやり方でございます。
○永末委員 あなたの発言を繰り返して読んでみましょう。「ここで四十年間の税制を再検討いたしまして、みんなが気持ちよく、これは国民でありますから、出せる人は税金を負担願うのは当然でございます。身分に応じ、力に応じて適切な税金を御負担していただいて、」云々ですわ。応能主義というのは力に応じるだ。こんなところに身分は出てきやしません。だからびっくりしましてね、中曽根さんは一体身分というのはどう考えているんだろう。だから聞いているんだ。身分に応じて出す税金なんてありますか。
○中曽根内閣総理大臣 身分という言葉は誤解を受けた言葉ですから、それは撤回しても結構でございますが、私が申し上げたいと思っていたことは、力により、あるいは社会的地位というものも多少あるかもしれませんね、そういう方々は力もある方でもありましょうし、公のためにもまたいろいろ動いていらっしゃる方は率先垂範ということもございます。そういういろいろな面も考えて申し上げた言葉であると思います。
○永末委員 憲法第十四条におきましても、社会的身分などによって差別してはいかぬときちっと書いてあるわけだ。それを、身分によって税金を納めるなんて、取り消してもようございますまでは聞きましたが、取り消しますか。
○中曽根内閣総理大臣 取り消します。
○永末委員 今回の新しい税制改革と称して、増減税同額などと言っておりますね。増減税同額。だれかが聞きますと、本当かなと思うのですね。しかし、精細にこの中身を調べてみると、そうはなっていない。トータルでは、数字を合わせますと同じですね。しかし、増税、減税というのは、それを受ける国民の一人一人、これが一体どう感ずるかというところが問題でございます。 これは独身者、標準世帯の減税、増税の表でございまして、年収三百万、四百万、五百万、六百万、七百万、一千万。赤い数字は増税ですね。そうすると、六百万円まではこれは増税になっておる。三百万で十万七千円、四百万で十一万二千円、五百万で九万八千円、六百万で三万二千円。七百万になりますと、独身者は六万七千円の減税になる。標準世帯は、七百万になっても五千円の増税になる、こういうことが出ておる。 この議論をいたしますと、宮澤大蔵大臣は、これは所得税の減税、それからそれに対して利子課税の増税と売上税の増税とを計算したものです、法人税の減税なるものは計算してありません。 さて、法人税の減税についてあなたの言っていることを聞きますと、こんなことを言っておるんですな。法人税の減税は国民生活に関係がございます、どんな関係があるかといいますと、配当になってもらうであろう、その会社の製品価格になってそれが安くなる、また雇用が増大するであろう、こんなことを言って、そして大蔵省の出した表の中に、この法人税の減税による個人の所得のプラス、これを計算をして並べてある。それでもこれを計算しなければ、大蔵省の出したものでも六百万円までは増税なんですな。入れて初めて減税になる。しかし、今のようなことは実際の日本の会社にございますか。会社が減税になったらすぐ配当をふやしますか、製品価格を下げますか、人を雇いますか。宮澤さん、どうですか。
○宮澤国務大臣 まず最初に、法人といいますと大変大きな一部上場のような法人をお互いに想像いたしますけれども、我が国の場合には法人数の九割何分までは、実は一億円といったような個人とほとんど違わない人々でございますから、そういう人々に減税がいくということである、それが大きな部分であるということをまず申し上げておきます。 次に、私は確かにそういうことを申し上げましたが、それは、法人の減税分がいつまでたってもどこか空中にあってこれが社会に返ってこないということはないわけでありまして、あの表にも書いてございますけれども、すぐあした返ってくるとかいうことを言っているわけではありませんで、いろいろな学説もございますけれども、株主分と消費者分と半々ぐらいにやってみるとああいう数字になるということを申し上げておるわけですが、それは永末委員のお立場からいっても、社会に返ってこないでいつまでもどこかへとまっているということはこれはないはずである。やはり配当であるか製品価格であるか給与であるか雇用であるか、それはもう研究費だってそうでございます。研究費にしまして、その研究費というのは何かの形で個人に関係をしてまいりますから、それはやはりゼロに考えるということは私は合っていないと思います。
○永末委員 いつかは返ってくるだろう、関係あるだろうとおっしゃいますが、今国民が求めておるのは、この税制だってどうなるか。そうすると、大蔵省の方はそれを計算してやっているのはおかしいじゃないか。だから、ほとんどその中の大部分の研究機関がおかしい、こう言っているわけである。 今宮澤さん、またあなた言われましたが、一億円未満の法人が我々の隣におるのだ、それは法人の中で九十数%なんだ、何かそれが法人税をまけてもらったらすぐに賃金になったり配当になったりするように言われましたが、一億円未満の法人で法人税を払っておるところを言ってください、何ぼあるか。
○宮澤国務大臣 それは赤字法人が非常に大きいのは確かでございます、ただいまのところ。しかし、この法人も今度軽減を受けることになるわけでございます。
○永末委員 いや、私は、一億円がこんなところに出てきたのがおかしい、売上税の話なら一億円が出てきてもいいが。法人税の減税が個人の所得にどういう影響があるかという問題になぜ一億円が出てきたのか、ようわからぬですね。どこに行ったかわからぬ、減税部分は。わかりますよ。みんな内部留保しておるんだよ。内部留保して持っておるわけだ、どうしようかと。しかし、お答え願いたいのは、あなたは二回にわたって言われたんだから、一億円未満の法人が法人数の九十数%だって。それをちゃんと数を言ってくださいよ。赤字法人はその中で何ぼあるのか。赤字法人は法人税減税に関係ないんだから。
○水野政府委員 現在法人申告をしておられますのは百六十万者程度でございますが、全体としては五五%が赤字申告でございます。 それから、一億円以下の同族会社の割合はおおむね九八%ぐらいになろうかと思います。
○永末委員 ちょっともわかりませんな。何ということですって。一億円以下の同族会社が九八%、百六十万者のうちで赤字法人が何ばって――これはどう計算するんですか。私が聞いておるのは、一億円未満の法人で、宮澤さんが言われた法人数の中で赤字法人は何ばで、税金を払っておる法人は幾らだ、これを言ってくれと言っておる。
○水野政府委員 六十年度で申し上げますと、申告をしておられる法人は百六十万者でございます。そのうち一億円以上の会社は約一万五千社程度でございます。したがいまして、九八、九%が資本金一億円以下の法人でございます。
○永末委員 これは時間のむだなんだよ。赤字が幾らだと聞いているんだから。
○水野政府委員 全体としては五五%が赤字申告でございますが、さらに一億円以下でございますとその赤字申告割合はさらに若干高くなってございます。
○永末委員 若干とかおおむねとか、そんなのはどうでもいいんだよ。しゃんと数を言ってほしいと言っているんだよ。これはだめですな、数を言ってもらわなければ。調べておいてください。 増減税同額というのは、あたかも負担が同じであるかのように思わせられる言葉である。しかし、内容を調べてみると、中堅所得者あるいは低所得者にはむしろ増税が加わって、高額所得者に減税が来ておる。これじゃ増減税同額と言ったって、負担は低い所得者へ、おいしいごちそうは高額所得者へ、こうなるわけだ。こんな増減税同額はいただけませんよ。 例えば利子所得の改正だって、二〇%分離課税をやっちまった。今までは高額の利子所得のある者は総合課税か分離課税三五%である。今度の改正所得税率は一千万円以上が三〇%である。そうしますと明らかに、所得は合算ですから、合算でありましたが、今度は分離課税ですね。そうすると、三〇%以上のところにかかるような利子は二〇%でよろしいと、こうなるから、これは得しますね。 利子は、またもう一つこういう問題がある。完全分離課税でございますから、幾らやっておったって構わない。今まではマル優の問題があったので、限度管理を厳しくするとか、かつてはグリーンカードの問題もございました。しかし、今度はそれを外してしまった、一部残してありますが。問題は、一律に分離課税を利子でやっちまったということになりますと、匿名預金等をやったって調べようとする姿勢がないわけだ。相続税出てきますね。相続税を調べることができない、何ぼでも預金できるのだから。これは金持ち優遇ですね。宮澤さんは、この前、金持ち優遇なことはありません、こう言っている。配当も似たように分離課税がございますから、同じような結果を生じておる。なぜ一体この総合課税をやめるのでしょうか。 シャウプ、シャウプと中曽根さんは、ようわからぬのですが、シャウプ以来のひずみ、ゆがみを直すために税制の抜本改正をやると言われた。シャウプ税制はいいと思っておられるのか、シャウプ税制は悪いと思っておられるのか、それは少しわかりませんが、シャウプ税制につきましては、シャウプがやってきて、所得税の最高税率は五〇%台に抑えました。しかし同時に、あのときは経済の混乱期ではございますが、譲渡所得や利子所得等の把握を厳しくして、それは総合課税でひっつけて高額所得者の負担をきちんと負わせなさい、こういうことを言っている。 ところが、長年政権をとったあなたのところの自民党政権は、資本を蓄積しなければならぬ、こういうことで、利子課税を分離し、配当軽課をやって、キャピタルゲインは原則的非課税だということでやってきた結果ではありませんか。だから、個人の給与所得者に激しい累進税率をかけてやってきた。これがクロヨンといって大多数のまじめな給与所得者から憤激を買うた原因である。したがって、税制改正をやるならば、なるほど所得税率のフラット化はよろしい、やられたらよろしいが、同時に、資産的課税、これをやらねばなりませんし、いわんや利子課税を分離課税にして野方図にするというのは原則間違っているんじゃないですか、総理。
○宮澤国務大臣 そこのところはどうも私は所見を異にしておるわけでございまして、非課税貯蓄制度というのは、御承知のように、個人の貯蓄の七割までがこの制度を利用しておったわけでございますから、それは所得の少ない人も利用しておられたでしょうが、高額所得者の方が利用度合いが大きいことは私は明らかであったと思います。しかも、仮に標準世帯でございますと、一人について九百万までは、これは脱法でなく違法でなく非課税になるわけでございますから、四人でございましたら三千六百万円が非課税になるわけであって、それがどれだけの税金になるか。仮に五分に動いておりますと百八十万円でございますから、その二割は三十六万円でございます。それだけのものを新しく払ってもらうのでございますから、これは決して高額者優遇になるのではなくて、高額者に非常にきつい結果になるような制度だと私は思っていまして、それは老人とか母子世帯には免税をしてございますから、私はそれでいいんだろうと思います。 それから、キャピタルゲインにいたしましても土地重課にいたしましても、今度一緒に強化を考えておりますことは御承知のとおりのことでございます。
○永末委員 我々は、減税をいたすことは、所得減税は賛成なんです。しかし、そのために売上税を持ってくることは間違っておる、こう申し上げておるのである。 総理、あなたは行政改革を旗印として内閣を組織されてまいりました。二月の十二日に、産業労働懇話会、これは労働界、経済界、学者等二十七名の方々が集まっておられる。そこへ総理が行かれてこんなことを言われたと一斉に新聞に報道された。僕はびっくりして、この出席しておった人に聞きましたよ。そのとおりである。何をあなたが言われたかというと、行革によってこれ以上大きく経費を削ることを期待することは余りできない、こうおっしゃっておる。そうすると、行革やめるつもりですか、どうなんですか。
○中曽根内閣総理大臣 行革をやめるつもりはございません。今後とも、小さい政府、効率的な政府、節約をしていきたいと思っています。 ただ、この五年間、御存じのようにマイナスシーリングを続けてきまして、地方に対する交付税とそれから国債費を除いた一般行政経費は、昭和五十八年に三十二兆六千億であったのがことしは三十二兆五千億台に下げておりまして、一般行政経費、つまり官庁や教育費やそのほかの一般の経費というものはふやさないで、むしろ下げてきておるわけでございます。どこでそれを節約したかといいますと、約十兆二千億円ぐらいの自然増で伸びていくものを抑えてきたわけです。その中で、ベースアップについては約一兆抑えています。毎年ベースアップがありますけれども、これは各省で節約させてお金を捻出した。あるいは六千億円の年金の自然増がございます。これも抑えてきておる。そのほか、御存じのように人間にいたしましても約二万九十人の純減を、人間を節約してやめていただいているものもあるわけでございます。 そういうふうにして、例えば食管会計はどうであるかといえば、赤字が約九千億円ぐらいであったのを今五千何百億円で、約四千億円ぐらい食管会計も節約しました。したがって、五年前の売買逆ざやの赤字が七%台が今〇・四%台になってきておるわけです。あるいは電電の改組をやり、その資金を得て借金を返す段取りを今やっております。こういうようなことで相次いで、また健保や年金の改革もやってまいりまして、国民の皆さんにも御迷惑もおかけしてきておるわけでございます。 この努力は今後も継続しなければなりませんけれども、しかし、今のような状況でますます続けていくということは、今までのペースでは非常に苦しくなりました。そういう意味において、やはり我々としてはいろんな面もまた考える、内需振興ということを言われておりますから、いろんな面を考える時代にだんだん近づいてきている、そういう意味のことを申し上げたので、行革を捨てようというのではない。 また、私は、前から申し上げている六十五年赤字依存体質から脱却しようという、その旗はおろしませんと申し上げておるのですけれども、現実問題として十兆二千億円も切りに切ってきており、ベースアップのお金も毎年我慢していただいている。今大体社会保障関係がどれぐらい自然増で要るかというと、毎年五千五百億円自然増で要るんです。お年寄りがふえつつあります。それから、物価もある程度上がり、スライドもしなければなりません。そういういろんな面から見まして、五千五百億円ぐらいは毎年自然増で要るわけであります。 そういうお金をどこから捻出するか、そういうような面も考えてみまして、我々としては行革はもとよりやるけれども、そのほかの制度の改正とかそういう面も考えざるを得ない、そういうことを申し上げておるのであります。
○永末委員 総理の角度からすれば行革に努力をしておるということでしょう。しかし、我々の角度からすれば努力が足らぬということですよね。つまり、行革の一番大きな目標は、小さな政府にして国民に負担をかけない、こういうことであった。ところが、それもはっきりできておらぬときに売上税を持ってこられたのでは、五%などと言っておるが、ああこれによってもう行革はパアにするなど疑われてもしようがないじゃないですか。それなら補助金をもっと切ったかというと、切っていない。認許可事項なども、この前三十六件ぐらい減らしたぐらいで、またぼちぼちふえておる。出先機関の減少も看板書きかえだけで進んでいない。これらの諸問題に対してもっと的確な年次計画をこの国会で示されてそして努力をされなければ、何か行政審議会をつくったからどうだという問題ではないと僕は思います。 時間が余りございませんので答弁は要りませんが、我々の考え方を申し上げておきます。 このキャピタルゲインなんかも、国民がいぶかしく思っているのは、自分たちは非常に窮屈な生活状況におる。ところがなぜ株価はどんどん上がるのか。NTTが二百四十万円になってしまった。金があるからそういう値段が上がるのである。東京都内の土地は一坪一億円もしておる。国鉄が売り出したら一坪四百万円以上で売れておる。こういう状況を見たときに、何か我々の暮らしているこの世の中が二つの世界になっているのではないか、これが不公正なんだ。 したがって、我々が税金だけで片づくとは思いませんのは、例えば土地につきましては、総理の好きな税制調査会が、この土地譲渡益のかなりの部分が課税の対象から脱落しておるという答申をあなたにしているではありませんか。今回少し変えた、何か五十回を三十回に、二十万株を十二万株と。そんなものでつかまえられますか。もっとがっちり――今私が申したのは証券でございますが、土地も、今のままではだれがどうなっているかわからぬというのですが、きっちり登記をしながら、転々移動していくわけでありますから、土地をもっとつかまえる努力を考えてくださいよ。証券も、原則非課税と言っておるから今のようなちょっとした手直しで努力をしていると言っておる。努力をしてないとは言いませんが足らぬのである。 金がうなっているところに税金をかけようという努力をしないで、金のないところへ売上税を持ってこようとするからみんな反対しているんじゃないですか。その方針をちょっとお聞かせ願いたい。
○宮澤国務大臣 土地の、殊に短期保有の重課につきましては、このたびまた御提案をいたしておるところでございますから御存じのとおりでございますが、株式のキャピタルゲインにつきましても、今、永末委員がまさにおっしゃいましたように、五十回を三十回、二十万株を十二万株といったようなふうに課税の強化をいたしております。ここの一番の問題は、やはり株式を取得したときの捕捉が非常にやりにくいということでございます。アメリカの例を見ますと、これは社会保障の番号というのが非常にこのときに働いておりますが、ちょっと我が国ではそれについてはいろいろな問題がございます。でございますから、それは問題があろうと思うので、そういうことをしないでできるだけ捕捉を強化していきたい、こういうふうに考えております。
○永末委員 こういう環境の中で売上税をあなたの方は提案されておる。先ほど通産大臣も言っておられました、それから総理も大蔵大臣も、内需拡大をやらねばならぬのだ、それは円為替レートの話でもそこにくるんだし、日本経済そのものも今これをやらなくちゃならぬ。そのときに今売上税をやろうというのですから、何か政治的な時期判断がおかしいのじゃないか。 私はアメリカの言っておることは正しいとも何とも思いませんが、宮澤さん、あなたこの前ベーカーに一月に会いに行かれたときに、売上税はデフレだとあなたは聞かされたんじゃないの。あのころの上院議員の言葉にもございました。十二月にニューヨーク・タイムズが、日本の考えている売上税は内需を喚起することにならぬ、こんなことを書いたので一月に百四十円台になったんじゃないかとすら私は疑ったわけでございます。 売上税そのものは消費地課税でございますから、外へ出す物にはかかりませんね、外の物は受け取りの場合にはかけられないのだから。しかし、あっちから入ってくる輸入品にはかけざるを得ない。当たり前のことです。この当たり前のことも、何か日本は輸出品に対しては免税をし輸入品に対しては課税しておる、こう映ってしまう。総理、いいときだと思いますか。
○中曽根内閣総理大臣 内需喚起につきましては、ことしの予算をごらんになっても、四月一日から所得税、法人税の大減税を実行しよう、それで利子課税は十月一日、売上税は来年の一月一日という予定になっておるわけでありまして、これは所得税減税が先行するわけですから、したがって、所得税減税が約一年近く続くわけでございますから、これは内需喚起にかなり力を持ってくるだろう、そう考えておる次第です。
○永末委員 間接税というのは危険な税金でございましてね、直間比率の是正ということを言われておる。何かこうバランスをとった、よさそうに思えますが、それは今まで、先ほど申し上げましたように資産的課税をサボって、そして給与所得に対して重荷をかけてきたので今のような形になった。もっとも日本人のつくるいろいろな財貨がふえていますから、個別物品税ではカバーできないところもできたでしょう。 これがシャウプ税制、宮澤さん覚えていますか。一九四九年のこれがシャウプが出してきた報告で、片一方英語で、片一方日本語で書いてある。この中で彼はこんなことを言っておるのですな。 現行日本税制に関して最も重要な問題は、日本の国民一般が政府を支えるために所得税をその主要な手段として利用するという試みを継続すべきか否かにある。 このような高遠な目的の真価については疑をいれない。もう一つの道は、一般国民が政府のためどれ程の寄与をしているか、その量をあいまいにし、寄与していることさえ気付かないようにしてしまう重い間接税の制度に帰えることである。そうなると、政府は、これら国民にとつて縁遠い存在となり、国民は、時折政府の恩恵にあずかる以外、全くこれと関係のないものとなる。その上、間接税では適正に所得や富の懸隔および家族負担の差異を考慮に入れることはできない。それは近代国家が必要とする高額の税を公平に徴収するにはあまりにも不完備な機構である。 これがシャウプが我々に残した言葉ですね。国家を愛する中曽根さん、間接税、好きですか。
○中曽根内閣総理大臣 あのころは、しかし、直間比率、直接税と間接税の比率は六対四くらいで、間接税は相当多かったと思います。現在はそれが七三対二七ぐらいに間接税の比率は下がってしまっておるわけで、直接税が非常に重くなってきている。ですからクロヨンの問題も起きておるわけです。いわゆるクロヨン問題というものを何とか解消したいというのが今度の我々の減税政策の中心にあるものでありまして、そういう意味の点もぜひ御理解を願いたいと思うのです。 シャウプさんはあのころやはり直接税中心主義者でございまして、所得税、法人税を中心に据えながら、その足らざるところは間接税及び富裕税その他で補おう、そういうことで、あのころはかなり日本の所得税も高率でございましたから五五%に下げる、しかしその下げた分を富裕税やその他でカバーする、そういう思想であのころやったと思います。しかし、それが日本にいかにも合わない、また称が非常に難しくなったという面で、だんだんだんだん変えられてきたと思っております。
○永末委員 この売上税は定率でございますから、所得の低い者には重く、所得の高い者には薄くなる。政府は、国民の所得は何か上がって、向上して、平準化してきたから、だからこれはやれるんだというような言い方でございますが、しかし、所得税で課税最低限以下の人、所得税を払わない人はこれは増税でございますな、何といっても。そうでございますね、お答え願いたい。
○宮澤国務大臣 それは、所得税を払っておられない人にとっては所得税減税というのは恩典になりませんので、売上税だけは余計な負担になるかとおっしゃればそのとおりでございます。ただ、今の逆進性のお話は、それは所得税と違いまして、累進的でないということはそうでございますけれども、シャウプ時代と違いましてきようの日本になりますと、やはり社会の共通な費用というものはみんなが少しずつ負担をしていくということは、それが歳出に向かって社会保障であるとかなんというふうに使われているところまで見ていただきませんと、果たして逆進的かどうかという判断はそれだけではできないのだと思いますので、私はやはり片っ方で所得税の減税があって法人税の減税があって、勤労意欲とか企業意欲とか可処分所得とかがふえていくわけでございますから、その分を売上税でみんなで負担していこうというのはやはり一つのいい施策ではないかと思います。
○永末委員 この点で楢崎君から関連質問のお話がございますので、お許しを願いたいと思います。
○砂田委員長 この際、楢崎弥之助君より関連質問の申し出があります。永末君の持ち時間の範囲内でこれを許します。楢崎弥之助君。
○楢崎委員 三月四日には社会党の山口書記長、本日午前中公明党の大久保書記長、そして今は民社党の永末副委員長の公約違反の部分を聞いておりまして、やっぱり国民の皆さんは、総理も大蔵大臣も三百代言ですよ、あれは。総理は露骨に言っているだけ、宮澤さんは品よく言っているだけ。今も声があったけれども、幾ら三百議席持っておったって、三百代言が許されるはずはないですよ。国民はわかっていますよ。おたくの山中貞則先生が、あれは公約違反だ、総理はうそついている、あれが国民の常識ですよ、どんなにおっしゃっても。だから、売上税反対は六割以上でしょう、世論調査を見ても。(発言する者あり)ああ、そんなになりましたか。PRが徹底すれば、だんだん反対はふえるんですよ。PRが徹底したら賛成がふえるんじゃないんですよ。逆になる。いいですか。 さっきも、山口書記長も大久保書記長も取り上げたけれども、六月三十日に札幌のホテルで財源に触れて、NTTの株、日本航空の株、このことを言いましたね。これ、結局うそだったんですよ。しかもあなた、いいですか。二重にうそついているんだ。NTTの株をすぐ回せますか、減税の財源に。これはあなた、国債整理基金特別会計法の附則を改正しなければできぬでしょうが。それをあたかもできるように何で言うのですか。それはうそですよ。日本航空もそうでしょう。一般会計と産投特別会計、全部は丸々出されないんだ。二重にうそついている。 それからもう一つ言いますがね。二年前、六十年の二月二十日の予算委員会、この部屋ですよ。あなたはコルベールという方の言葉を引用して、税金の場合、「うまいやり方というものは、羊が鳴かないようにしてもをむしることだ、それが税の極意である、」「鳴かしてもをむしるのは下手なむしり人である、鳴かないようにしながら毛をむしるのが名人である、」あなたは、今度の売上税はどうですか、羊が鳴いておると思いますか、鳴いていないと思いますか、それだけ答えてください。
○中曽根内閣総理大臣 それは、私が財政学で昔勉強した言葉に、コルベールがこう言った、そういうことで、いわゆる苛斂誅求のような形で皆さんを泣かしてやることはよくない、そういう意味の例えとして私は申し上げたのです。
○楢崎委員 コルベールかサルベールか知りませんけれども、そんな、あなた言葉をもてあそび過ぎるのですよ。 まだありますよ。いいですか。あなたは熊本のホテルでこう言った。これは野党をばかにして、こけにしていますよ。いいですか。六月十九日だからもう選挙の最中だ。私は大型間接税はやらないと言っているのに「野党がないものをとらえて宣伝がましくいっている党利党略だ。六月は四谷怪談の季節だからお化けを出しておどかしているのだろうが、国民はお化けにだまされないようにしてほしい。」この中にうそがありましょう。だれに聞きますかね。文部大臣に聞きましょうか。六月が四谷怪談の季節ですか。 委員長、時間が少ないから私の方から言いましょうか。有名ですよ、これは。東海道四谷怪談という物語ですよ。これは四代目の鶴屋南北という人が書いたのです。初演は一八二五年、文政八年七月だ。四谷怪談が出てくるのは七夕の昼なんで丈よ。七月七日なんだ。今様の新暦でいけば八月末なんだ。どうして六月と関係があるの。子供の教育のために言ってくださいよ、本当かどうか。合うとるかどうか言ってくださいよ。
○塩川国務大臣 どうも投票日を、我々七月に投票いたしまして、そういうことで、どうもその四谷怪談のことはよくわかりません。
○楢崎委員 それはいいです。これから先が私が言いたいところなんです。あなたは、今言ったとおり、野党はないものを言っておる。大型間接税はおれはやらないと言っておるのにやる、やる、やる、ないものを言っておる。お化けのことを言っておる。ところが、あなたは今月の五日、テレビ朝日の番組「あまから問答」の中で、「売上税のお化けが他のものを皆消してしまった印象がある」と、今度はあるものの売上税をあなたはお化けと言ったんです。野党に対してはないものを言っておるからお化けにだまされるなと国民におっしゃったでしょう。今度はあるものを、あなた自分でお化けと言ったのです。謝りなさいよ、ここで。
○中曽根内閣総理大臣 これは選挙中はいろいろ皆さん方に申し上げる。これは与野党通じて申し上げるだろうと思うのです。それで、私は皆さん方にわかりやすいようにという意味もあってそういうことは申し上げたのですが、四谷怪談というのは夏になるといつもあるものだから、何月というそこまでは勉強はしておりませんでした。七月だということは、今あなたから教えられて初めて知りました。私は大体子供のころから、梅雨空で雨がしとしと降るといよいよ四谷怪談の時期だな、そういうふうに先入観を持っておったわけでございます。 それから、そういう意味でお化けと言ったのですが、大型間接税はやらないという大型間接税は、ここで矢野書記長や大内書記長にも御答弁申し上げましたように、私が言ったのは投網をかけるようなごっそり取る、そういうものを大型間接税と言っておるので、そういうものはやりませんと私は言っております。 それで今回におきましても、そういうものでないように、投網でごっそり全部取っちまうというものでないように、一億円以下は取らないとか、あるいは品物にいたしましても、消費物価を定める中で三五%のものしかやらない、六五%は外しておる、あるいは金額にいたしましても、外国は租税収入全体の中の多い国は四十数%、少ない国でも二十数%、日本は来年度は三%であります。そういう意味から見ましても、これは大型ではないのだと前から申し上げておるところなのでございます。
○楢崎委員 同じテレビ朝日の番組の中で、あなたはこういうことを言った。「時間をかけて日本の流通機構を合理化する力になる」、今度の売上税が。つまり流通機構が合理化されていくということは、裏を返せば流通機構でつぶれていくものがおるということだ。かつて貧乏人は麦を食えと言われた方があったけれども、まだ麦があった。今度は一家心中しなければいかぬですよ。麦もないですよ。あなたはそういうことを言っている。いいですか。 そうしてあなたはなかなか言葉をもてあそんで、言葉の定義というものをすぐ問題にするのだ。今度だってそうでしょう。あなたは大型間接税の定義、これは去年の十二月十日、参議院でこう言っておる。「私がいわゆる大型間接税と申し上げましたのは、私がみずから定義を申しておるところで。ございます。」ナポレオンかヒトラーじゃあるまいし、大体、多段階で包括的で網羅的で普遍的で縦横十文字に投網をかけるようなそういう大型間接税はこの世の中にあるのですか。教えてください、世界にあったら。
○中曽根内閣総理大臣 「あまから問答」の答弁、話の中にはその次の言葉が、あなたは略してあるのです。それは私は、長い時間をかけて近代化し合理化していくのです、長い時間をかけて合理化する。合理化するということは価格管理であるとかコンピューター化であるとかあるいはもっと情報を早くつかむようにするとか、そういう意味が合理化という意味で、大宅さんはその後で、では力をつけることですねと言うから、そのとおりですと私は答えている。つまり力をつけるということが合理化という意味であるという答弁を、もう一回ビデオをごらんになればはっきりそういうことは言っておるのでございます。 それから大型間接税の定義については、ここで矢野先生やあるいは大内先生から年じゅう大型間接税とは何だ何だと聞かれたわけです。それで、私は、政府の統一見解として申し上げますと言って、さっきあなたもおっしゃったような普遍的、網羅的というこれが私が言っている大型間接税であります、そういうふうに答弁申し上げて、国会におきましてはこれが政府・自民党の言う大型間接税であるというふうに統一しておるわけなんです。ですから、そういう前提でこのことはお考えいただきたいと思うのであります。
○楢崎委員 いや、私が聞いておるのは、そういうあなたのおっしゃるような大型間接税というのがこの世の中に現存しますか、世界的に。教えてください、私知りませんから。あなたのおっしゃるような大型間接税はどこの国で採用しておるか、教えてくださいよ。
○中曽根内閣総理大臣 私が常識的に考えておりますのは、例えば税収の中で、先ほど申し上げたある国は四八%ぐらい大型間接税で税収を得ている。そういうものは恐らく除外例が少ないんでしょう。一億円とか、あるいは五十一品目を除くとか、そういうことはしないで、縦横十文字にほとんど全部取っているから、税収の四八%をこれで取るというものでしょう。私は、そういうようなものを大型間接税であると頭の中で描いておったものであります。
○楢崎委員 つまり、ないんですよ、世の中に。あなたが言っているのは、太平洋に全部投網をかけるような、そういう大きな網が大型間接税。そんなあなた綱がどこにあります、そんな網が。そして、しかも永末副委員長が言ったように、不思議なことに、その網は大きな魚が逃げて、小さな魚だけがとられる仕組みになっている、そういうことですよ。 関連質問ですから、簡単に言いますけれども、私は呉服屋の息子で、厳しいばあさんからしつけを受けましたよ、小さいときに。弥之助、うそ言うたら口が曲がるぞと言われた。私は子供心に、そういうようなことがあるものかと思っておったのです。そうしたところが、年を経て、当委員会に籍を得て、予算委員会の質問の席に立ったら、十五年前、三メートル向こうにおられる方を見たら曲がっておったから、そのとき初めて私はばあさんの言葉を思い出したのですよ。私は警告しておきますが、あなたも口が曲がらぬようにしておってください。 関連ですから、これで終わります。
○永末委員 北海道でできるサケの口が曲がったのはおいしいですな。 さて、先ほど大久保君の質問の中でいわゆる大型に関する話がございました。この前、三月三日のあなたの御答弁で、このあなたが提案されている売上税は中型になるかもしれぬとおっしゃいましたな。大型とか中型とか、ようわからぬのでありますが、また小型はどうか、ますますわかりませんが、おととしの二月二十日のこの予算委員会のこの場所で我が方の大内君の質問に答えての答弁で、あなたはこう言っておられるんですね。「包括といい、大規模といいましても、事前に定量的で厳密な定義があるという性格のものではない」、こう言っておられたあなたが、大型ではなくて、今度のおれの出したのは中型だと。どういうことですか。
○中曽根内閣総理大臣 それは、私が言ったというのではなくて、政治評論家の中には、これは中型だと、そう言う人もおりましたと。そう言われてみると、そういうような感じもいたします、そういうふうに答弁したんで、私が中型だと言ったのではないのです。
○永末委員 私が指摘しましたのは、あなたの答弁の後段の部分だ。そう言えばそういう気もいたしますとあなたが言うたんだから、あなたは中型認めたんじゃないですか。
○中曽根内閣総理大臣 大型ではないという点は、私はそう確信しております。
○永末委員 小型でないから、かなり大型ですな。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げましたような諸般の理由により、大型ではございません。
○永末委員 あなたはそのときの答弁で、いわゆる大平さんが述べたような一般消費税や、かつて一九四八年旧取引高税のようなものは考えてないんだとこうおっしゃっておる。旧取引高税は税率一%ですね、これは累積課税だけれども。そうすると、今度は税率五%だ。どっちが大きいですか。
○中曽根内閣総理大臣 これは網羅的に各段階でやっているという面で非常に違うと思うのです。一億円という例外を設けておりますし、それから品物にいたしましても六五%を外している、そういう点で非常に違うのだろうと思います。
○永末委員 あなたは、この前、税率をうんと安くしたから大型ではないと言われたではないか。税率をうんと安くした例に、EC各国のやつよりは、五%は安いんだ、だから大型ではない。一昨年は取引高税一%の税率のようなものは考えてないんだと言われた。どう説明するのですか。
○中曽根内閣総理大臣 税率の問題については、外国に比べて言っておるのです。外国は、今申し上げたようにフランスあたりが四四%の税収をこれで得ておりますね。それで大体一八%とか二〇%を超す税率をかけておるわけです。日本は五%ですから、そういう意味で外国と比べてみて、私はこれは税率としては低い、そういうことを申し上げておるわけです。
○永末委員 先ほどからいろいろなことを言われておりますが、今のは税率の話ですよね。税収額の話ではない。しかし、フランスとか外国を言わぬでも、我が国の一%とは違う。それは大型間接税として自分が言っているのではないということをこの場所で言われたのです。 宮澤さん、お伺いいたしますが、五十一品目、非課税品目を挙げたのでこれは大型でないような話が言われておりますけれども、非課税品目は五十一品目だ。課税品目は何品目ありますか。
○宮澤国務大臣 ちょっと品目では私にわかりかねますし、サービスもございますから、その金額としては百十六兆円ぐらいが金額であると思います。
○永末委員 さすがの宮澤さんも答えられませんわね。僕も知らぬですよ。山ほどあるわけだ。課税品目は超大型ですな。それを課税品目、大型じゃないですか、課税品目について言えば。
○宮澤国務大臣 それは私、そうは思わないので、けさほどの御質問にもあったのですけれども、それはこういう税金でございますから、経済社会のいろいろな部門に影響していくことは確かでございます。そのことは確かでございますが、最終的にそれが消費者にとって、けさほども申し上げました、先ほども申し上げました、平年でも一・六%ぐらい、しかも消費者は他方で可処分所得がふえていくということでございますので、そうして納税者の数は少ない。ですから、どうして大型だとおっしゃるのか、私はどうもそういうふうには思わない。
○永末委員 五十一品目を非課税にしたから大型じゃないとおっしゃるから、ならば課税品目を言ってごらんなさいよ。これは山ほどある。この部屋にあるもので課税品目でないものは何がありますか。全部これは課税品目ではありませんか。要するに、日本国民が経済生活をしておるならば、すべてにいつでも売上税のことを考えざるを得ぬような生活に陥れようとあなた方は今しているわけだ。包括的、網羅的――大蔵省は税金を取りにいかなかったら無関係だと思っておる。非課税者であろうと消費者であろうと、自分が売買行為で手に入れたり、あるいはそれを売買行為で売ろうとする場合に、すべてに売上税が入っておるわけだ。 先ほど食料品について言われました。食料品自体は非課税かもしれぬが、食料品を経済生活でこの日本で運んだり移動させたりやっておるのは全部売上税がついておる。最終的な小売は非課税だ。それは、税務署に納めなくてもよいけれども、仕入れのときには仕入れ者に納めねばならぬではないですか、仕入れようと思えば。そして、それを消費者に転嫁できるかどうかを考えざるを得ない。彼の頭の隅には絶えず売上税がある。日本全国民、全部売上税が頭の中へ来るわけだ。これを網羅的と言わずして、何が網羅的ですか。
○宮澤国務大臣 その辺で、聞いていらっしゃる方に間違いなくわかっていただきたいのは、そういう事業をやっていらっしゃる方がこの税金を身銭を切って負担をされるのではないのです。これは御承知でございますからくどいようですけれども、その方々は納税義務者ではあるけれども、自分の身銭を切られるわけではないので、それは最終的に消費者が消費者価格で負担をされる。それはまさに負担をしていただくのですが、それはそんな大きなものではない。どうもその誤解がありますのは、売上税というから売り上げをなさる方が負担をする、しかも五%の税率で負担をされるというような印象がどうもございまして、そうではないということをもう一遍申し上げておきます。
○永末委員 大蔵大臣、私はそんなことを言っているのじゃないんですよ。 それではこの問題に入りましょう。あなたは一物二価なんて資本主義社会でいいことだ、ターミナルへ行ったらいろんな値段があるじゃないか。定価の定めのあるものについて一物二価があらわれるとえらいことになりますね。 例えば出版、書籍、雑誌、これは定価の定めがあるから、この再販売維持契約が独占禁止法で認められておるわけですね。ところがこれは、出版屋というのは五千もありますが、その九割以上が一億円以下の経営規模。それから小売書店、二万店以上ございましょう。その他たくさんございましょう。それも九割以上が一億円以内の年商なんですね。だから非課税なんだ。ところが一番川上の出版屋さんは、紙も、それから印刷も製本も大体これは課税業者ですね。だから売上税をおっつけられて、それを支払わなければ仕入れることができない。そしてそれを売りますと、先ほど大久保君が指摘したように、まさに二重課税が始まるわけですな。そして、それは最終価格にはね返ってくるわけです。 今度は、最終の本の小売屋さんが非課税業者の場合、例えば八百円で仕入れて千円で売る本があるとしましょう。そうしますと、八百円ですから、四十円仕入れ課税が出てきますね。それを受け取った小売屋さんは、千円で売りたい。四十円取れるか取れぬか、これが問題ですね。あなたは全部しまいまでいくと言うが、隣に大きな本屋さんがある。これは一億円以上である。千円の本は売上税は五十円である。千五十円で売る。まさに二軒並んでいる本屋さんで、大きな方は十円高い。こういうことが起こるわけだ。これはえらいことですね。そういう問題が定価の定めのある問題に矛盾をもたらしつつある。 あなたは、それを何ぼでも勝手に売ったらいいと思いますか、再販維持契約はつぶれますな、これで。
○宮澤国務大臣 これは御専門のことなので、どうもお言葉を返して恐縮ですけれども、再販価格維持契約というのは、これは公取がある種の限られた品物についてそういうことをやってもいいということを認めておる契約でございますから、したがいまして、この書籍の場合に今後出版元と小売店とが、その中には課税業者もおりましょうし、非課税業者もおりましょうが、同じ再販価格維持契約をやっても少しも差し支えない、少しも公取違反ではございません。
○永末委員 先ほど、この前もここへ公取委員長が来まして何か言っておりましたね。聞いておりまして、恐ろしいことだなと思った。 つまり転嫁の問題ね。税額を価格に転嫁する問題について話し合うのはよろしい。しかしながら、それで決めたら、これは独占禁止法違反のおそれがある。いわんや真ん中の、中間の非課税業者が、これは税額票は出せない。非課税業者というのは税額票を出せない業者というだけの話ですわな。税額票を出せないというそれだけのことである。したがって、それは取引上望ましくないから、あなたも先ほど大久保君の質問に答えられました。もう取引、やめやと言われることがあり得るのであって、しかしその場合に優越の立場を利用して、もうおまえのところからは仕入れない、こうやられたら、これは独占禁止法違反のおそれがある。こんな窮屈な商売にするのですか。
○宮澤国務大臣 しかし、再販価格維持契約は、まことに恐縮ですが、釈迦に説法でございますが、公取が特に例外として認めている契約でございますから、出版元と本屋さんが、非課税業者、課税業者、同じ再販価格を決めても少しも差し支えない。小さい方はそれによって恐らくマージンが大きくなるということでございましょう。
○永末委員 今私が申しましたりは、再販の中における価格転嫁の問題ではなくて、一般論として申したわけですね。公取が一般論としてここで申しましたから。そこのところはどうお考えですか。そういう、絶えず公取が独占禁止法違反でやってきやしないかということを思いながら価格交渉をする。これは決めてもやられるし、排除されてもやられる、こういうことである。しかし、価格交渉のさなか、それならもうあしたからあなたの品物は要りません、こう言われたってしようがない話でしょう。そういう非常に陰うつな商取引環境にこの売上税は取引にある者を置く、こういうことを申し上げておるのである。
○宮澤国務大臣 私が公取委員長のこの間の答弁を伺っておりました限りにおきまして、まず、今度の売上税がいわゆる消費者に目的どおり転嫁されるように業界の団体が、業界の人々が話し合うということ、そのこと自身は独禁法にさわるものではない。また、その方法として売上税分を定価票に表示をするとか税込み価格であるということを表示するとかいうことも少しも差し支えあることではない。ただ、差し支えがあるのは、そういう相談の中で、ぜひこの価格でいこうというようなことを言えば、これは問題になると言われたのでございます。 それからその次に、今永末委員の言われましたことについては、公取委員長が言われましたのは、それはある小売業者が仮にデパートに納入をしておる、それが非課税業者である、デパートの方が優位を頼んで不当な圧力をその業者に加えればそれは公取法違反の疑いがあります、あるいは下請代金支払遅延防止法の疑いがある、しかしながらその業者が自分の商売上の立場から課税業者を選ぶことは少しも差し支えない、こういうことであったと思います。
○永末委員 今不景気であって、これは買い手市場なんですね。買うてもらわなかったらつぶれるわけだ。公取法違反であろうとなかろうと買うてほしいわけだ。したがって、取引の現場では強い者が弱い者に勝ってしまう。だから何とかしてその弱い者を助けてやらねばならぬと僕ら思いますよ。だから、公取なんといったって、公取が来ようと来るまいと、いや、もうあしたからやめですと言ったら商売上がったりだ。そういう環境にこの売上税は置きますよということを申しておる。 つまり、あなた方が今まで説明されたのは、ちゃんと税金が下へ下へ流れていって最終的には消費者のところへいく消費税であると言っている。しかし、日本の取引環境、生産から最終消費者までの長い取引の環境ではいろいろな取引がある。これが転嫁されなければ、そこで企業税になるわけですね。企業が負担しなければならぬ。だからみんな一生懸命になって青くなって、これはいかぬと言っているのです。この実情をあなた知っていただかなければ、素直に川上から川下まで全部流れますよ、消費者課税ですよ、そんな言葉の問題ではないですよ。 宮澤さん、けさ、朝日新聞を読んでおりましたら、あなた、こんなことを言っておるんですね。昨年の暮れ、あなたは防衛庁の武器購入に対して、交渉や入札によるので売上税分はそっくり上乗せになるとは限らぬというようなことを言ったが、本当かと言ったら、「それは特殊なケースだ。買うものは艦艇など価格が大きいし、発注側は一人だけ。売り込みの競争も激しい。だから、売上税分を価格にそっくり乗せないケースがあるかもしれない」。本当ですか。
○宮澤国務大臣 それは具体的なケースを頭に置いて申したのではないのですけれども、昨年のこの六十二年度の予算編成におきまして、防衛庁には売上税分としてたしか九十二億円かを計上してございます。しかし、物によりましては、もともと単価というものはきちんと既に決まっておるわけではございません。これから話をするわけでございましょうし、その間いろいろな競争関係もございますから、丸々五%になるんだかどうだか、それは必ずしもわからぬかもしれぬということは一般論としては申しました。それは、しかし、この税金が転嫁されなくていいということを言おうとしたわけではありませんで、転嫁が原則でございます。
○永末委員 買い手市場の場合にはあり得るわけだ。艦艇をつくっている造船会社の方は、買い手が防衛庁だけだから防衛庁の言い値になる。だからあなたも認めたじゃないか。それが全静の今の経済界の姿の縮図ではありませんか。そのことをだから業者は心配しておるわけなんです。これはあなただって今認めた。防衛庁と艦艇をつくる造船会社との間で起こることは日常茶飯、あらゆる取引で起こるのです。お認めになりますね。
○宮澤国務大臣 ですから、誤解がありませんように予算に九十二億円は売上税を計上してございますと申したのでありますが、問題は、このたび売上税というものが施行されることになる、そうしますと、これは経済の各分野で同じことが起こるわけです。あるところだけ局地的に起こるわけではございませんから、そこで納税者、事業者の方々が、これは自分の自腹を切る税金ではないんだ、これは消費者に持ってもらうのが、転嫁されるのが本来だということを皆さんで思っておられて、抜け駆けをされる人がなければそうなるはずだ、ぜひ抜け駆けのようなことをお考えにならぬでください、もともとそれが本来ではないのでございますからということを申し上げておるのでございます。
○永末委員 私が申しておるのは、今のように強い立場の者、防衛庁が買わなければ売れないですからな、艦艇みたいなものは。そうすると、その言い値で売上税も転嫁できない、こういう現象が起こるということを大蔵大臣もお認めになった。そのことはあらゆる取引で起こってくるんだ。このことを知っていただかないで、そんなものは転嫁するのが当たり前だということで売上税を強行されたのでは日本経済はつぶれますよ。 一つの例ですが、私のおります西陣でこんなことがあるのです。西陣の皆さん、御承知の帯でも、ああいう織物でも、できるまでには生産関係で実に十三工程あるのですね。あの大島で大島をつくるのもそうやと聞きました。十八か二十の工程がある。加工ですよ、これは。しかし、この加工に税額票を下さいと言ったって、これは一億円以下でございますから出す立場ではございませんね。税額票を出せない。非課税業者である。そうしますと、この織り屋さんは、もとの糸は、これは生糸もありますよ、群馬県の糸かもしれませんが、それは売上税がかかってきておる。しかし、この加工についてはすべて売上税がもらえないと五%丸々自分がかぶらねばならぬ。宮澤大蔵大臣の言っていることには、それは簡単に後ろへ流したらいいじゃないか。さあそれが流れるか流れないか。流れないから京都の西陣は全部反対しているのですよ。この転嫁が困難だという現実を大蔵大臣は知らないでこんな売上税などをつくったのではおかしいじゃないですか。 新聞もいろいろ転嫁の困難性について報道しております。ある業界、これは日経が調べましたところでは、有が百社を調べたら、転嫁できないというのを六割回答した。ここに問題があるのだ、この売上税の問題は。 私はひとつ事例を申し上げましょう。これはトラック業でございますが、加藤さん御関係があるかどうか知りませんけれども、これは優秀なトラック業です。台数を五十七台持って、従業員八十五人おる。年収九億五千万円くらいできるのですね。しかし、この税金にびっくりしたというので十月の実績を調べてみました。売り上げが八千四百万円ございました。そして、これは燃料費が非課税品なんです。内訳ですね。それから消耗品もガソリン等で非課税品。道路は高速道路使用料ですが非課税です。つまり税額票はもらえない。そこで結局この売上税額は三百四十五万円。この人は、人員が八十五人で人件費は五割以上払わねばなりませんものですから、結局十月を計算してみると五万円残ったと青くなりました。これは転嫁できないという前提です。トラックは非常に競争がきつくてすぐには売上税を荷主に転嫁できない。できなくなるとこうなる。これだけ転嫁の問題は恐ろしい問題です。 これは繊維の卸屋さんです。年収十億円。この業者が、これは業界で計算したのでございますが、十億円の売り上げをやるところでも、転嫁が全部できれば三百万円の利益が出る。しかし、転嫁が五〇%であれば、一番最後にございますように実に二千八十万円の赤字が出る。これではつぶれる。これが業界の話。つぶれるというのは、業者がつぶれて失業者が出るということですよね。だから、中曽根さん、将来合理化ということだとあなたは言われたが、あの一言は、つぶしに来たな、こう映ったわけだ。転嫁の問題というのは、業者にとってはつぶれるかつぶれないか。だから、消費税でございますから最後までするする流れますというような問題ではございません。その点はやはりしっかりと認識をして、そうしてこの審議を見直してやっていただかなければならぬ問題ではないかと思います。 さて、私は先ほど年商一億円の赤字法人のことについて聞きましたが、赤字法人は今でも赤字法人なんだから、売上税を払えばますます赤字になりますね、もし転嫁ができなくて。あなたは全然金額的に関係ないと言うが、できないとえらいことになる。したがって、年売り上げ一億円以下の法人について、先ほど少し話がございましたが、業種別に売上高を知らしてもらいたい。今度は一億円以上の法人について、それぞれどれだけ売り上げておるのか知らしていただきたい、赤字と赤字以外と。もう一つは、年商一億円以下の事業者について、生産、流通、小売と分けて、先ほど小売が幾らという話がございましたが、それぞれの総数と売上高、これをお知らせ願いたい。もう一つは、経常利益率の少ない事業者というものは、この転嫁の問題で頭を痛めておるわけですね。したがって、経常利益が一%以下の者、一%から二%の者、二%から三%の者、業種別にしてその総数と売上高をお知らせ願いたい。これが混乱なく売上税が機能するかどうかのポイントだと僕は思っております。出してください。
○水野政府委員 ただいまこの場でのお求めでございますので、たくさんの御指示をいただきましたので、手元にあるものにつきましては御準備申し上げられるかと思いますが、先ほど、例えば一%、二%、三%、経常利益別となりますと、若干のお時間をいただきたいわけでございます。
○永末委員 これは、委員長、時間をいただかなければ審議できませんね。これは流れていくのは当たり前だという認識で売上税を見れば、まことに平和な税金なんですよ。違う。違うからみんなが青くなってやっておる。そうしますと、今私が申し上げました資料がなければ、この売上税がスムーズに国民に定着をするかどうかわからない。判断の基準だと私は思う。 さて、中曽根総理、そういう問題でございますので、振り返って昭和五十四年の本院の財政再建に関する決議をゆっくりまた読み直してみました。つまりこれは大平内閣のときに、「いわゆる一般消費税は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することにより財源の充実を図るべき」である。 この決議は本院の決議であって、重いものでございました。あなた、国会の決議は重いとおっしゃっておる。我々は中曽根内閣もこれにのっとってやっておられると思う。しかるにかかわらず、今回の売上税の骨格はまさにあのときに言われた一般消費税そのものである。免税も七項目、住宅が加わっただけである。免税点が、非課税の限度が一億円ですが、あのときは二千万円であった。それぐらいのことであって、あとは全部あの一般消費税のときに言われた全段階課税方式、これも一緒ではありませんか。税額票というものはあのときなかった、税額票というものは。今度は税額票、名前を変えて出てきたのです。これはお化けみたいなものですね。私は、この国会決議を本当に真剣に考えてこの売上税を出されたのかどうか。税制改正の全般にわたっても先ほどの疑義があります。シャウプ税制を崩壊せしめるなら崩壊せしめるで、一体どういう税制がこれからの国民経済を支えるのか。一番内需振興をやらねばならぬときに、こういう税制でこの目的は達せられるのかどうか。 この国会では、山口君、大久保君、続きまして今楢崎君も加えましたが、公約違反の問題も解決しておりません。また、この政令、省令、国民の権利義務に関する点にまで省令、政令に移して、それがまたこの委員会で正確に発表できないなどというようなことは審議にならぬではありませんか。また、国民の経済構造の中で転嫁の問題、どうやってこの税額が転嫁されていくのだろう、この問題の実態がわかるための資料も提出されない。いわんや一般消費税の決議に対してどう思っておるのか、この辺についてはっきりしないではありませんか。このような状態で、このままの姿では審議できません。
○中曽根内閣総理大臣 一般消費税の国会の決議は十分守っております。これは竹下大蔵大臣及び宮澤大蔵大臣を通じまして政府税調に対して一般消費税に対する国会決議はよく徹底してありまして、一般消費税にわたらざるようにという配慮でこれは税調は審議をし、党もその趣旨に沿ってつくったものであります。これは一般消費税ではなくして、性格的に言えば付加価値税の一種である、そういうふうに考えておりまして、一般消費税ではございません。 それから、そのほかの諸点に関しましては、資料はできる限り大蔵省から早目に提出させるように努力をさせたいと思います。
○砂田委員長 大蔵大臣、資料のことで御答弁がありますか。
○吉田委員 委員長、議事進行について発言をお許しいただきたいと思います。
○砂田委員長 吉田之久君の議事進行についての発言を許します。吉田君。
○吉田委員 議事進行について発言いたします。 先ほど来お聞きのとおり、永末、楢崎質問に対する政府の答弁は余りにも随所においてあいまいであります。また、資料がほとんど整えられていない点も多くあります。 特に、売上税が転嫁できるかできないか、その実態などを政府みずから詳細に分析、把握されないと、私どもはこの論議を展開するわけにはまいらない。 また、一億円以下、それが免税業者にはなっておりますけれども、課税を選択してもいい。そうでなければ流通からはみ出される。これに応じてどの程度の業者がそれを選択しようとするのか、その辺の数字もあいまいであります。それでは私どもは審議を続けることができないと思います。 それから、今総理は付加価値税であるとおっしゃいましたけれども、私どもはどのように考えましても、国会決議で導入しないと決めてあります一般消費税、それが形を変えて出てきたにすぎない、一部除外例はつくってありますけれども、まさに大蔵省の蔵の中から大平さんの時代の資料を出して手直しされたということも聞いております。まさに一般消費税の亡霊であるとするならば、それは国会決議の違反であります、抵触することになると思いますので、その辺の答弁が明確になるまで私どもは審議ができないことを、この機会に委員長に申し述べなければならないと思います。
○砂田委員長 この際、暫時休憩をいたします。 午後五時一分休憩 ――――◇――――― 午後五時十四分開議
○砂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 理事会の協議により、永末英一君の残余の質疑は後に譲ることといたします。 なお、大久保君、永末君の資料要求につきましては、政府において速やかに提出されるよう要請いたします。 公聴会の日取りにつきましては、先刻、公報をもってお知らせすると申し上げましたが、三月十九日及び二十日の両日開会することに決定いたしましたので、この際、御報告申し上げます。 次回は、明十四日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十五分散会