法務委員会 第2号
- 発言数
- 234 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/03/24
会議録
○大塚委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所山口総務局長、櫻井人事局長、町田経理局長、上谷民事局長、吉丸刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○大塚委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。遠藤法務大臣。 ――――――――――――― 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○遠藤国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下、簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を八人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、一方において地方裁判所における民事執行法に基づく執行事件及び破産事件並びに簡易裁判所における民事訴訟事件及び督促事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官以外の裁判所の職員を四十五人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員を三十八人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を七人増加しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○大塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○大塚委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
○坂上委員 質疑に入る前に、委員長にちょっと申し上げて、ひとつ委員長の活躍を期待をしたいと思っておるわけでございます。 ちょっと読み上げてみますが、この文章はどこでどういうふうに言われたか、おわかりでございましょうか。「本年は、日本国憲法が施行されてから四十年目に当たっており、憲法の基本理念である民主主義は、今や、国民の最もとうとい共有の財産となっております。私は、民主主義のすぐれた点は、人道主義の理想のもとに、独善を排し、衆議を求め、常にみずからを反省し改革を行って時代の要請にこたえていく、柔軟性と力強い対応力にあると考えます。」中略いたしまして、「特に近年、我が国民主政治充実への努力という面において、戦争直後の燃えるような情熱が減衰し、形式主義やマンネリズム、漫然たる前例の踏襲が繰り返され、日に日に新たに熱情を込めて民主政治の改革と議会政治の新たな前進に挑戦する意欲が欠けてはいないかという憂慮を持つ」「我が国の民主政治の発展のため、さらに忍耐と寛容、識見と勇気を旨として、その大本と大道を国民の皆様とともに切り開く努力を続けることを決意する」、長々とあって、最後でございますが、「過般の第二次大戦及び戦後の日本が経験した苦悩を全く知らず、パソコンを巧みに使いこなし、素直に、純真に、すくすく育っている子供たちや孫たちに、充実したよりよき二十一世紀の日本を引き渡すために、我々は、休むことなく、手に手をとってこの山々を踏破し、前進しようではありませんか。」こういう言葉でございますが、おわかりですかな。 これは、内閣総理大臣、中曽根首相がこの本会議で施政方針演説をいたしました基本的な部分でございますが、中曽根さんの売上税はまさに公約違反であって、この公約違反は議会制民主主義を破壊をする危険なものなのじゃなかろうか。まさに私たちは悪税と称しておるわけでありますが、このような悪税を子々孫々に、二十一世紀の子供たちに残すなどというようなことは絶対に許すべからざることだと私らは理解をしておるわけであります。 かかるがゆえにこのような対応で国会に臨んでおるわけでございますが、委員長も先般来から党内において大変な改革の闘いをなさっておるようでございまして、二十二名とか二十一名の同志ができたのだそうでございますが、先般十一名出席なさったそうでございまして、けさ早くあったのでございましょうか、昼飯でもあるのでございましょうか、売上税反対のために頑張っておられるようでございますが、何といたしましても、民主主義を守り、そして議会制民主主義を擁護し、私たちの子供や孫たちに、二十一世紀にこのような悪法を引き継ぐことがあってはならない、こう思っておるわけでございます。大変敬愛する法務委員長でございまして、先般来から私は大変な敬愛を感じておるわけでございまして、どうぞひとつ党内にあっても、我々は党外にあって大いに手をとり合って頑張りたいと思いまするので、御敢闘のほどを御期待をいたしまして、御所見でもあればまた承って結構でございますので、どうぞ遠慮なく堂々と申していただいて結構だ、こう思っておるわけでございまして、前座でございますが、ひとつ御了承いただきたい、こう思っておるわけであります。 さてそこで、裁判所、それから法務省でございますが、この売上税が導入になりますと、一体どれだけ売上税を負担しなければならないのか、概算で結構でございますが、法務省、裁判所からその概算をひとつ御報告をいただきたいと思います。平年度で結構でございます。
○町田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最高裁判所でございますけれども、最高裁判所の場合、六十二年度で約三億円ぐらいだと考えております。平年度で八億円ぐらいになるのではなかろうかと考えております。
○則定政府委員 お答えします。 法務省の一般会計におきましては、六十二年度で約二億円強、なお、特別会計がございますので、その分も約二億円がございます。合計約四億円ということでございます。平年度はその約三倍ということになろうかと思いますが……。
○坂上委員 それでは、法案についての質問を申し上げたいと思います。 裁判所への御質問になろうかと思いますが、「法と民主主義」という民主法律家協会が出されておる雑誌でございます。それから、ことしの三月十二日の毎日新聞でございますが、大阪高等裁判所の判事をなさいました環直弥現弁護士が、裁判所の裁判官報酬や裁判所の大事における差別について記載がなされております。私も青法協というところに所属をしております弁護士でもありまして、裁判所がどうも人事行政におきまして思想差別をなさっておるのではなかろうか、こんなようなことをずっと危惧してまいりました。裁判官の経験者の中からこのような実証的な事実が明らかにされたのも大変珍しいことだと思っておるわけでございます。これについての裁判所の見解も若干載っておるようでございますが、いま少し突っ込んで御質問を申し上げ、的確な御答弁を賜りたいと思っております。 まず、毎日新聞によりますと、環さんは、 「裁判官の自主的な研修組織の全国裁判官懇話会参加者や、青年法律家協会の元会員だったというだけで意識的に不当な差別を受けている」 と分析。 裁判官の報酬は、法で在職十年以上の判事が八ランク、十年未満の判事補が十二、簡易裁判所判事が十七の各ランクの号報酬月額を定めている。 これは去年私たちが決めたことであります。 さてそこで、同元判事は、 昨年一月から全国の裁判官のうち昭和三十二年任官の九期から同三十八年任官の十五期まで計十五人の裁判官に回答を求め、他の裁判官にも実情を尋ねた。 調査の結果、月額報酬七十万九千円(昨年一月一日現在)の判事四号までは、長期の病欠などがない限り昇給差はないが、一ランク上の判事三号(月八十三万一千円)から格差が出始め、一般的には最高裁や高裁勤務者、大都市の地裁裁判長などが任官二十二年目の四月に三号になり、残りの中小都市の裁判長クラスは十月に、地裁支部や家裁勤務者も加え、同期の大半が在職二十三年目の四月には同号になるのに、いつまでたっても昇給しない人も。 今回、具体的回答を寄せた十五人(うち三人は退官)は全国裁判官懇話会の世話人が三人、青法協元会員が十三人(一人は双方に重複)。 こういうふうなことになりまして、 この十五人を一般状況と比較すると、全員が同期トップ組より遅れ、いずれも二十二年以上の在職なのに三号への未昇給者は三人。また昇給時期では、最も遅れたのは同期トップより七年六カ月で、五年、四年、三年遅れが各一人など。二年、一年九カ月遅れの各一人は退官前日に昇給。 こういうふうに昇給格差が言われておりまして、大体月十二万円ぐらいの差があると言われております。 今度は、昇格といいましょうか、昇進といいましょうか、これについても、 また①最高裁事務総局や東京、大阪の裁判所の行政、労働部などいわゆる司法行政上の中枢に配置されていない②家裁勤務が著しく長期化し、小規模支部ばかり回らされる――など「報酬の差別は任地の差別に符合している」との実態も明らかになったのであります。そこで同元判事は、「回答を寄せた十五人はいずれも人格、識見、実務に優れており、青法協加入や懇話会活動を理由にした思想差別は明らか」と断定をされておるわけであります。したがいまして、このような司法の差別については、私は、裁判の独立の上からも大変な問題があろうかと思っております。 きょうは質問事項が多くありますので、そう一問一答論争をするというようなことは避けたいと思いまするので、私の意見を交えながら、的確な御判断を賜りたいし、御意見も申し上げたいと思っておるわけであります。 そんなようなことで、事務総局の櫻井人事局長は、まあまあそういうことはありません、三十年もたてば俸給にある程度の違いが出るのは当然でございますというような回答が新聞に載っておりますが、今指摘されたような問題はどういう基準でこういうものが出てくるのか、それから昇進の問題も、どのようなことを基本的な基準としてこう差が出てくるのか。私は新潟県三条市の乙号支部というところの弁護士でございますが、私らのところなどは大変有能な、優秀な裁判官が赴任をなさると思っておるわけでございます。大変尊敬をする裁判官が多うございますが、確かに今ここに書いてあるとおり、給料のことは聞いたことはありませんけれども、今言われたような昇進の道は必ずしも歩いておられないような感じもしておるわけでございます。 そんなようなことから、私も、この環元判事の調査結果はもっともだと思いまするし、かつ、このことは裁判官の独立に関する、また憲法上の要請に対する重大な危機とでも申していいのではなかろうかと思っておりますが、御所見を賜りたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘ありましたように、環元大阪高裁判事が「法と民主主義」にお書きになったといいますか、講演されたものの記録でございますが、が載っておりまして、そして今読み上げられました毎日新聞の記事は、大体それに基づいて記載されているわけでございます。「法と民主主義」の記事は、大体正確に毎日新聞にも載っているものと理解いたしております。この毎日新聞には最高裁人事局長としてのコメントも載せてもらっておりますけれども、要するに私たちとしては、結論といたしまして、裁判の内容や思想、信条などによる差別というものは全くないと考えております。 一体どういうことを基準にして差ができてくるのかということでございますが、この新聞記事にもありますように、判事の四号までといいますのは大体一律にすべての裁判官が昇給してくるわけでございます。二十年以上経過いたしますと、判事三号以上の報酬になってまいります。判事三号と申しますのは、行政職、一般職で申しますと、指定職の八号という非常に高い報酬にランクされているものでございます。したがって、その三号以上の報酬ということになってまいりますと、これはどうしても裁判官一律の昇給という考え方ではなくて、やはり各人の実績あるいは各人の責任の度合いと申しますか、そんなふうなものを考慮して決めていくということにならざるを得ないわけであります。そういった今申しましたような要素を各高裁から意見を聞き、かつ最高裁でも判断をいたしまして、各人の受けるべき報酬というのをそれぞれの昇給期に決めているということでございます。 この環元裁判官の調査では、十五人の裁判官に回答を求めたというふうにしておられますが、私どもにはこの十五人というのがどなたであるか、これはわからないわけでありますけれども、ただ、ここに書いてあります、例えば同期の者より七年六カ月のおくれがある、あるいは五年、四年、三年のおくれがあるということ、そしてまた、その報酬の差額が相当額になるということ、これはあり得ることであろうと思います。 〔委員長退席、今枝委員長代理着席〕 例えば三号以上への昇給は一律に行われるものではなくて、各人ごとに決まっていくということになりますと、数年の昇給の開きというものは、これは当然出てまいるわけであります。それに応じまして、例えば三号から一号までの差と申しますのは、これは相当額の差になりますので、それはあるわけでございます。 ただ、先ほど申しましたように、結局それは各人の今までの仕事の実績というもの、あるいは各人の負担している責任の度合いというもの、そういったものを考慮して決められているものでありまして、それはここにありますように、青法協の元会員であった、あるいは全国裁判官懇話会に出席していた、そんなふうなことが原因でなっているものではないわけであります。私どもでは、そういう裁判官懇話会の出席者であるとか、青法協の元会員であるとか、そういうものが、一体どなたがそうであるのかというのは、これはごく一部の、例えば雑誌などにその名前を出している方を除いてはわからないわけでありますし、そういう方たちでも上がっている方が当然あるはずでございます。それからまた逆に、そういう全国裁判官懇話会には出席していない方、あるいは元青法協会員ではない方でも、やはり上がっていない方があるわけでございます。だから、そういう意味で、そのような要素というものが原因になって、そして昇給等の面で開きが出てきているというものではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
○坂上委員 時間がありませんので詳しいことまで追及できませんが、名前を挙げてあるいはこの方に本当に御迷惑になるかもわかりませんが、今多分福井におられると思うのですが、福島裁判長、札幌のナイキでしたか、判決、仮処分をなさった方でございますが、私はそれなりによく知っておる方であります。東京に転勤されていって何をしているかというと、手形部に回された、福井に行ったら家庭裁判所ばかりやらされておる、こういうような話であります。これなんかはまさに札幌での報復人事ではなかろうか。そしてまた、仕事についてもそうでなかろうかと私は心配をしておるわけであります。 ぜひ、調査に回答を寄せた人、だれとだれが回答を寄せたなどというような調査などなさらぬようにしていただきまして、かつ、この雑誌に書いてありますとおり、まずこの辺にひとつ裁判所は注意をしてやるべきである。「裁判官の生活の面では、まず、最高裁が管理者的発想を転換して、裁判官の生きている土壌を率直に見すえ、そのうえでの施策を講ずる」、二番目、人事行政は、「その方針を転換し、主体、手続を明確にし、裁判官を安んじて独立して裁判を行なうことができるように」すること。勤務評定については「手続や基準の実態は不明ですが、若し勤務評定が是非必要としても、少くとも複数のルートによる評定が必要であり、裁判官の思想信条を基準として用いては」なりません。下級裁判官会議の関与が、いわゆるこの評定にどうしても必要でなかろうか。それから、裁判官の格付の簡素化を必要とするのではないか。「最後に、人事行政が、その手続及び基準が出来うる限り公表されて明瞭な形で行なわれることが、司法の民主化のために是非必要であることを提言したい」、こうおっしゃっておるわけであります。この意見、同感でございまするので、司法の独立、また司法の威信にかけましてもこのような疑いのないように御期待をいたしまするので、私の方からもひとつよろしくお願いをしたい、こう思っております。 さて、今度はやはり裁判官定員に関連いたしまして、司法試験の改正問題について今議論が行われているようでございまするので、御質問申し上げたいと思います。なお、答弁はできるだけ、私も簡単な質問をいたしまするので、簡明率直にひとつお願いをいたしたいと思います。 司法試験が大変難しい、こういうようなことで、この司法試験の制度を根本的に見直すために法曹基本問題懇談会を発足されまして、諮問をなされましてその経過をとられるようでございますが、ちょっと私からも意見を申し上げたり、その改正の方向について基本的な御所見を賜りたいと思っておるのであります。 これは、私らの地方の新潟日報の三月二十一日の夕刊に載っておった記事でございます。また、これと類似の新聞記事も中央紙に載っております。一体現場では本当にここに書いてあるような実態なのだろうか、またあわせて、それが司法試験制度改正とどう結びつくのだろうかということもお聞きをしたいのであります。「法曹志望者の多くは視野が狭く、司法試験をゴールと勘違いしている」、こういう指摘があります。「訴訟現場でも、コンピューター絡みの新型犯罪や、経済関係の民事事件に当たると、「しりごみして裁判を長引かせたり、すぐ和解を勧めたりする頭の硬い裁判官」の存在が問題となりつつある。」「また、転勤の多い判事、検事の志望者が減り、とくに上下関係の厳しい検事の任官者は昨年、戦後最低の三十四人にまで落ち込んだ。」こんなようなことから、合格者の平均年齢が二十八歳である、六浪、七浪はざらで、高齢化しておる。したがって、どうしても若い有能な諸君を法曹界に入れなければならないということで、司法試験制度を改革しなければならないと言われております。 しかも、この新聞によりますと、「受験の回数制限や年齢制限、試験内容の改革も論議される」、こんなようなことを言われまして、「法務省では「試験内容の工夫だけではなく、法曹界の果たすべき役割や必要な人数など、大局的な見地からの論議を踏まえたものにしたい」」こうおっしゃっておるわけでございます。 私は二十五年の試験の最低の合格者でございますが、私も、勉強しておりましたころ教養試験を大変重視をするとかいろいろのことがありまして、勉強しておっても果たして役立つのだろうか、突然改正になってだめになるのじゃなかろうかという不安に駆られたものでございます。ましてや六浪、七浪し、本当に働きながら、あらゆる困難を克服しながら司法試験に受かってくる諸君こそ、こういう諸君が本当に裁判、司法というものを重厚なものにしておるのではなかろうかと実は私は思っておるのです。単に秀才だけが私たちのところに集まりまして法曹を運営をするというようなことはいかがかとも思っておるわけであります。これは最初の発足でございますので、いろいろな議論が行われるだろうと思うのでありますけれども、やはり受験生にいたしますればまさにその青春をこの試験にかけての戦いをしておるわけでございまして、またこれらの諸君の心情も考えますと、こういうふうに盛られました記事が彼らにどのように投影をしているか、大変心配をいたしておるわけであります。 そんなような意味から、検察庁の総長がこうおっしゃったわけであります。これは二十七日というと一月でしょうかね、法務省で開かれました会同で、まず遠藤法務大臣が訓示なさいまして、伊藤検事総長が訓示なさった。「「国民が検察に対して何を期待しているかとの視点で検察組織、運営を点検し、勇断をもって所要の改善を加えるべきだ」と検察組織の見直しを検討していることを表明した。」こう記事が出ております。昨年は司法修習生で三十四人しか検察官のなり手がいなかった。なり手もさることながら、一年、二年、三年、五年前後で退職をする検察の諸君が多いのじゃなかろうか、こう私は思っておるわけであります。このことと検事総長の訓示とある程度結びつくのじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。 そこで、今申しましたことを整理して申し上げますと、まず、裁判所においては今ここの記事にあるような事態が一体どの程度反映をしているのか。それから、裁判所は年齢が高過ぎるということでやはり若くしなければならぬというお考えがあるのかどうなのか。検察庁も同様でございます。特に、中途にやめるというようなことに対する、人数やこれに対する考え方等もお聞きをいたしまして、ただ単に大学卒をストレートに採る方が国家のためになるという――私は本当に今の国会に出てまいりまして、行政の諸君もたくさんおられますが、優秀でございますけれども、そこに人間の味わい、人間の思いやり、そんなものがあるのかどうか、いささか危惧する点もないわけではないのであります。そんなようなことから、司法試験の改正というのは大きな問題を含みますけれども、この基本的な方向についてひとつお話をいただきたい、こう思っておるわけであります。
○根來政府委員 最初に、司法試験の現状につきまして御質問がありましたので、司法試験管理委員会の庶務を担当しております私どもからお答えいたします。 仰せのように司法試験の合格者の平均年齢というのは非常に上がっておりまして、現在二十八歳あるいは二十七歳ぐらいになっております。そしてその年齢の構成率というのは、二十五歳以下の者が三〇といたしました場合に二十六歳以上の者が七〇ということで、非常に年長者がふえておるわけでございます。私どもの方は若い者がいいという考え方ではなくて、やはり若い者も通ってほしいということでございまして、三〇対七〇というのはいかにも年寄りが多過ぎるという考え方でございまして、そういう意味でもう少し若返りを図っていいのじゃないかという考え方を持っておるわけでございます。 それから合格者の数でございますけれども、これは昭和三十七年ごろから大体四百人ぐらいで推移しておるわけでございますけれども、その四百人ぐらいというのは果たして今の法曹の必要数を充足しているかどうかということを考えておるわけでございまして、そういう点をもう少し検討して、法曹人口が充足していないとするならばもう少し合格者をふやしてもいいのじゃないかという考え方を持っておるわけでございます。 さらに、仰せのように最近国際化が進んでおりまして、また事件も複雑になっております。ところが、試験科目というのは昭和二十四年ごろから基本的には変わっていないわけでございます。そういうことで試験科目についてもいろいろ取り入れる必要があるのではないかということを検討しているわけでございまして、仰せのようにそういうふうないろいろの批判がございますので、その批判に対処する試験ということを考えておるわけでございます。 そういうことで、今度の法曹基本問題懇談会というのを設けて有識者から御意見を聞きたいということで、改正を考えているわけでございます。 〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の採用の点から申しますと、裁判官のここ十年間ほどの採用時の年齢は二十七歳代でございます。二十六歳代というときもありましたけれども、大体二十七歳代で終始しているというふうに考えていいと思います。この年齢でございますが、平均年齢につきましては十年間がそういうことでありますが、これが二十年前、三十年前であっても平均年齢自体はそんなには違わなかったろうと思っております。 こういう年齢がさらに下がる方が望ましいかどうかという点につきましては、これはただいま根來官房長からも説明がありましたが、この年齢を下げること自体が裁判官人事という面から直ちに好ましいのだというふうには私どもも考えておりません。ただ、法務省の方で考えておられますように、若い年齢層が余りに少ない、若い人がもう初めから来ないと申しますか、あるいは来ようとしてもなかなか来れない、そんなふうな性格が余りに強過ぎる試験になってしまっているというその問題意識については、私どももやはり同じようにそこらの問題は考えなければならない問題だというふうに思っているわけでございます。ただ、それじゃそれをどういうふうにしていくのがいいのかということにつきましては、これは法曹基本問題懇談会においてこれからいろいろと議論をしていただき、いい方向での問題の解決というものが生まれてくることを期待しているわけでございます。
○根來政府委員 検察庁の退職者のことについてお話がございましたので御説明いたしますが、この五年間に司法修習を終わった検事の退職者は二百三十五人でございました。五十一歳以上の者がそのうち百三十六人でございまして、その余の者は五十歳未満でやめているわけでございます。その数が九十九人でございますけれども、仰せのように、三十歳代でやめる者が七十五人ということで、非常に多いわけでございます。 そういうことで、いろいろ個々に事情を聞いておりますと、やはり両親が年をとって扶養しなければいけないとか、あるいは子供の学校の問題とか、そういう家庭の問題が非常に多うございまして、検察庁に不満を持ってやめるという者もないわけではないと思いますけれども、そういうことはないと思います。確かに、若い者を採ったからそれではやめる者が少ないかとおっしゃられると、どっちか私もよくわかりませんけれども、やはり若い人も入ってくることが、そういうふうにすることが退職者が少なくなることにつながることになるのではないか、こういうふうに考えております。
○坂上委員 まず裁判官についてでございますが、これは僕は、裁判官は若いうちから採って最高裁の言うことを聞くような裁判官をつくり上げるなんということではいかぬと思っているのです。アメリカなんというのは四十以上でないと裁判官になれないのじゃないですか。それだけにアメリカの裁判官というのは大変な尊敬を受けている、こう言われておる。日本の裁判官というのはいわば職人芸、こう言われておるわけです。司法試験の制度の中で年齢の問題が大きな改正の問題になっておるようでございますが、今裁判官を見てみましても、アメリカなんかにおいては、年配者が裁判官になって、弁護士、検事をやった選ばれた諸君が四十過ぎくらいから裁判官になっておるわけであります。 また、検察のお話をいたしますと、三十代でやめる人が七十人なんというのはよその官庁にないわけであります。伊藤検事総長がおっしゃいましたとおり、やはり何か問題があるのじゃないですか。決して検察に不満じゃないと思うのです。検察に情熱を持って入ってきた諸君だろうと思うのです。これが七十人もやめるなんというのは大変なことでございまして、そこに何かがあるのじゃなかろうか。何だろうかということは私もわかりません。したがって、このことを安易に、年の若い優秀な諸君を司法試験でまず採って、その中から、若い司法修習生から検察官を採り、裁判官を採り、そして最高裁の言うことを聞く裁判官あるいは検事総長の言うことを聞く検察官、それだけでは私は問題が多かろうと思いまするので、今言われましたところの司法試験の改正問題というのは、ここの新聞に載っておる限りにおいては、年齢制限をするとかあるいは回数制限をするとか。私は、法曹界は有為な人材が大変いると思うのでございます。したがいまして、他の行政庁に対しまして誇るべき人材がいると思っておるわけでございまして、どうぞひとつそのような観点からも、司法試験改正問題は誤りのないように御期待をしたいと思っております。 それから、これは議会の決議に関連をする重要な問題でございまするので、御質問をしたいと思うのであります。 これをひとつ大臣。また、委員長ひとつ。自治省お持ちでございますか。いいですか。 私は、憲法の解釈、地方自治法の解釈から、法務委員会でこの結論をいただきたいと思って質問をするわけでございます。 三月二十日、私の県であります新潟県議会におきまして次のような決議がなされたのであります。もちろん多数決でございます。「議会制民主主義の確保に関する決議 国会は、国民意思の形成の場であり、そのためには十分に審議が尽されなければならない。しかるに、今次国会は、野党の審議拒否により長期にわたって審議が停滞し、暫定予算を余儀なくされている情況にある。近時、円高不況対策、雇用対策、社会福祉対策など重要課題が山積しており、国政の遅滞は一日たりとも許されない。よって、本県議会は、議会制民主主義を確保するため、国会が国民の負託に応えて審議を促進されるよう強く要望するものである。以上決議する。 昭和六十二年三月二十日 新潟県議会」こういう決議でございます。 これをお聞きくださいまして、皆様方どのようにお考えでございましょうか。 まず申し上げたいのでありますが、これは一体どこに出す決議なんですかとお聞きをいたしましたら、どこにも出さない決議だそうでございます。国会にでも送ってこられるのかと思ったら、国会に送ってくるわけではないそうです。地方自治法第九十九条の第二項によるところの決議であるかと思ったら、これもそうでないそうでございます。 そこで、ひとつ自治省からお聞きをしたいのでございますが、憲法第四十一条に「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と書いてあるわけであります。五十一条に「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。」この趣旨。九十二条は地方自治の基本原理を書いてあります。「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」以下、九十五条まで書いてあるわけであります。これを受けまして、地方自治法は九十九条第二項で「議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる。」こうあるわけです。これは、法律上の根拠に基づいた意見書でございます。この「関係行政庁」については裁判所とか国会とかというような機関は含まない、こう書いてあるわけであります。 新潟県議会のこのような決議についてでございますが、この九十九条の二項に言う決議でもありません、いわば事実行為として議会が決議をしたのでありますと。自民党の先生方と一部の保守の先生方の同調を得てもちろん野党と言われます先生方の、社会党以下の反対のもとで決議がなされたわけであります。一体こういうようなことは、今言った条文の指摘とそしてこのようなことから、地方議会が国会の審議状況に関する記述を含む国会審議促進要望決議を行うことは、地方議会の機能を逸脱するものであり、適当ではないと思われるのでありまするが、御見解を賜りたいのであります。
○濱田説明員 新潟県議会の事例を挙げてお話がございましたが、一般論としてお答えをさせていただきたいと存じます。 地方議会は、地方公共団体の公益に関するものである限り、その自主的な判断に基づきまして決議を行うことはできるわけでございますが、国会の審議状況に関する記述を含む決議の採択に当たりましては、国会が国権の最高機関であるということにもかんがみまして、その決議の内容が地方公共団体の公益に関するものであるかどうかにつきまして、当該地方議会におきまして慎重に検討した上で結論を出されることが適当であると考えております。
○坂上委員 まあ了承いたします。まさにこのとおりでございまして、何でも決議できると思っておられるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。しかも、ただ県会の決議で、どこに上申するわけでなし、なにするわけでなし、嫌がらせ以外の何物もないと実は私は思っておるわけでございます。今課長が御指摘のように、国権の最高機関に対する審議方法についての、手続についての問題でありまして、地方公共団体の公益に関するものとは結びつかぬと私は思っておるわけでございます。予算を成立させてくれという陳情あるいは意見書ならばわかるのでありますが、過程に対しましては、手続に対しては、地方議会が決議の内容としてすることはできない、こう私は思っておるわけでございます。 お立場上、今の程度の答弁でも結構でございまするが、こういうようなことが時あたかも売上税の問題をめぐって各地に行われるおそれもあるのではなかろうか、こう思いまするのでお聞きをしたわけでございます。ありがとうございました。 さて、次に大臣にもお聞きをさせていただきます。 私は、六十一年十二月九日の法務委員会で外国人登録法につきまして御質問をさせていただいたわけでございますが、時間もありませんが、質問事項は多岐にわたりまするので、取りまとめての質問になりまして甚だ手数でございましょうが、まとめて落ちなく御答弁賜りたいと思っております。 まず、現在の外国人登録人口は全国でどれぐらいあるのか。指紋押捺の拒否者、それから留保者、永住権のない拒否者、留保者、再入国の不許可者、特に指紋拒否によるところの不許可者、在留期間の短縮あるいは不許可にされた者、それぞれの人数それから国籍、でき得れば都道府県別の内訳をひとつお聞かせをいただきたいと思います。これは、けさ急遽要請をいたしましたので、あるいは御準備できないかもしれませんが、わかる範囲で結構でございます。 二番目に、再入国不許可、在留期間更新の短縮、不許可の適用のされ方がどうも事案によって大変異なっているようでございますが、その基準があったら明らかにしていただきたいと思います。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 外国人登録人口、最も新しい数字は昨年六月末でございますが、八十五万七千六百二十五名でございます。 押捺拒否者数、留保者数につきましては、若干集計上の技術的な問題がございますが、拒否者数はほぼ千名弱、留保者数は二百名弱というふうに御了解いただければよろしいかと存じます。 また、指紋押捺拒否のために再入国できなかった者の数は七十五件、五十二名、これは再入国許可申請が不許可になった件数でございます。 それからまた、指紋押捺拒否のために在留期間を短縮された者が五件、五名、不許可になった者の数が四件、四名でございます。不許可の四件の内訳は、東京が一件、大阪が一件、横浜が一件、京都が一件でございます。国籍は、韓国、カナダ、フランス、スペイン各一名となっております。在留期間の短縮が行われました五件につきましては、宮城県が一件、東京都が二件、北海道が一件、福岡県が一件でございます。国籍は、ベルギー、中国、フランスが各一件、韓国が二件でございます。 また、再入国不許可、在留期間短縮の適用に関する基準でございますが、御質問の御趣旨は指紋押捺拒否との関係であろうかと存じますので、その点に限ってお答え申し上げれば、再入国の問題につきましては、原則としてこれを不許可といたしております。すなわち、再入国につきましては、あらかじめ出国に先立って我が国への入国を保証するという行政上の便宜手続でございまして、このような便宜手続を、指紋押捺拒否というような、故意に現行法に違反する行為を行っている者について与えることは適当ではないという判断に基づいて行っているものでございます。在留期間の短縮につきましては、これはいずれも我が国に有期で在留している外国人が問題となるわけでございますけれども、我が国に生活の本拠を有し、かつ家族を有して生活をしている外国人につきまして在留期間の更新を不許可にするということは適当ではないという観点が一つございます。その観点と、一方におきまして、なおその在留の状況を注視する必要があるという観点から、一年以上の有期の在留者につきまして、これを一年に短縮するという措置をとっているというのが現況でございます。 以上、御質問の趣旨につきましてお答え申し上げたわけでございます。
○坂上委員 時間もありませんので急ぎます。 実は、この不許可等の基準についてもう少しお聞きしたかったのでございますが、少し飛びまして、前国会におきまして、私は、外国人登録法の改正問題が論議をされておる中の最も基本的な問題は、この外登法の第一条にある、いわば「在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」というこの法律の規定、この「管理」というところに大きな問題があるのだということを、私としての考えを申し上げたわけでございます。遠藤法務大臣は「「管理」という言葉は、字句は果たして適当かどうかは別として、登録させておくということは、やはり日本の国、政府自体が外国人を保護していくということが中心であって、刑罰が主ではございません、こう率直に申し上げ、今後もそのような方向で進めさせていかなければならぬ、私はこう考えております。入国した限りは、やはり日本国政府がその人を保護する責務がある、こういうふうな感じでございます。」最後ですが、「できるだけ外国の方々にも不快な印象を与えないようにということで、逐次改善していきたいという方向で進めているということを御理解願いたいと思います。」こうお答えになっておる。外国人の皆様方にとりましても、私たちにとりましても大変ありがたいことだと思って聞いておったわけであります。 また一方、管理局長の御答弁の中でこういう言葉があるわけでございます。「御指摘の人物は、指紋押捺制度そのものに対する反対を表明する手段として指紋の押捺を意図的に拒否した者でございます。したがって、その押捺拒否という行為の内容を在留の状況の評価と結びつけて私どもは判断したのでございまして、この観点から、単に事は指紋の問題ではないというお考えと承りますけれども、一国の制度に対する反対を表明する手段として法的な義務に違背する、これを遵守しないという行為は、そのこと自体極めて深刻に判断せざるを得ない事象であろうかと私どもは考えております。」こうおっしゃっているわけです。外登法は、押捺は勘弁してくれという制度に対する外国人の要望、私はこれはあってしかるべきだと思うのであります。その方法と手段といたしまして押捺を拒否しているので極めて深刻に判断をしなければならぬ、こうおっしゃるわけであります。また一方遠藤法務大臣は、外国人に不快の念を与えないように保護したい、これまたうれしい言葉でございます。 外登法の法案を見させていただきました。私が感じまするところは、前回も刑罰法規の議論をやったわけでありますが、かえって刑罰がふえたのじゃございませんか、この外登法の改正は。確かに押捺は一回というような、何となく改善されたような言葉になっておりまするけれども、これをとってもまやかしと同じ意味であります。ましてや、押捺に関連をいたしまして刑罰条項がふえていると私は思っているわけであります。 御指摘を申し上げますと、外登法改正案の十八条一の二に「第六条の二第一項の申請をしない者」、それから第五号に「第六条の二第二項」云々というふうに、それから十八条の二の第一号に「第十一条第六項若しくは第九項」、大ざっぱな話でございますが、そんなように刑罰法規がかえって強化されてきているのじゃなかろうかと私は心配するわけです。そんなようなことから、この管理は現存のまま残っておるわけであります。私は、外国人に対して、まさに外登法というおりの中に入れまして、押捺しない者は刑務所へやるよ、カードを携帯しない者は逮捕するよということで、まさに私たち日本人がアメリカにおいて、日米開戦のとき全く理由もなく日本人の血が流れておるというだけで収容所に入れられたように、外国人というだけで外登法という網をかぶせてどうも外国人を敵視し、日本の制度に反対をするような外国人を置くわけにいかないなどというようなことだが、皆様方はこういう改正を改善と言っておられるのじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。 この外登法の審議ではございませんが、一たんこれが上程をされ審議の対象になりますと、訂正することはなかなか容易ではありません。今国会の状況から見ますと、あるいは出直しになるかもしれません。ひとつ要望でございますが、今言ったような問題、それから再申請は刑の廃止と同じようなことになったのでございますが、違反行為をなした者については従来の例によるというような規定、依然といたしまして悪いやつは処罰するぞ、言うことを聞かないやつは処罰するぞというような形にどうもなっているのじゃなかろうかと思っているわけでございます。これについて余り御答弁は要りませんが、私たちが言っている、そして外国人たちが願っておりますることを皆様方にもっと組み入れていただきますことをお願いしながら、御所見などを賜って進めさせていただきたいと思います。
○遠藤国務大臣 ただいま先生のお話をお聞きいたしておって、そういうふうな解釈もあるのかなと。実は私自身としては、先般も申し上げておったとおり、緩和したいということを基本姿勢に持って関係省庁とも随分、局長や何かに熱心に協議をさせて法案をまとめたという点で、またただいま先生からお話しのとおり、外国人を刑罰に付したいというような考えは毛ほどもございません。御承知のとおり、日本は自由と民主主義の国である、これもやはり皆さんの御協力を得て法の秩序を保持しながら進めてきていることが今日の日本をなしているというような考えから、しかし、せっかくおいでになる方々に対して不快の念を与えたくない、そして外国人に対して国自体が責任を持った保護政策を講じていかなくてはいけない、そういうふうな趣旨でございまして、より緩和していくというような姿勢で臨んだわけでございますので、どうぞ先生の御理解をちょうだいいたして、今国会でぜひ成立させていただくことを心から懇請を申し上げ、お願いいたしております。
○坂上委員 どうも国会の審議の状況から見ますと出直しになるのじゃなかろうかと思いますが、ひとつ出直しの機会にもう一遍御再考を賜りたい、こういうことでございます。 ついでと言っては申しわけありませんが、大臣にお聞きいたしますが、帝銀事件の平沢氏のことでございます。これももう時間がありませんので、ほんの質問だけ申し上げます。 何か、恩赦は却下になった、だけれどもこれを本人に伝えることは大変なショックを与えるので伝えてないんだというようなお話も聞いておるわけであります。もう九十何歳、そして病床に伏して、本当に息絶え絶えになっておられるのじゃなかろうかと思います。そして、家族の人や皆様方の熱烈なる恩赦あるいはしかるべき恩典を期待しておられるようでございます。いかがでございましょうか。病院移送という制度があるわけでございますが、こんなようなことも考えまして、恩赦がどうなっており、あるいは恩赦ができないといたしましたら監獄法第四十三条による病院移送などお考えをなさっているのかどうか。しかもこの問題は、私、横文字は余りだめでございますが、外国の新聞にまで載っておるという状態であります。時間がありませんので、簡単に御答弁いただきたいと思います。
○俵谷政府委員 お答え申し上げます。 お尋ねの平沢貞通に係ります恩赦の状況でございますが、昭和五十六年一月十六日に中央更生保護審査会で上申を受理いたしました。内容は特赦でございますが、その件が一件と、さらに六十年二月二十五日に同じく中更審で受理いたしました恩赦の上申、内容は刑の執行の免除を願うものでございます。この二つの恩赦の案件が中更審にかかっております。中央更生保護審査会といたしましては、この件につきまして現在慎重に審査を続けておるということでございます。 御指摘がございました中更審で棄却になったのではないかという点は、さようなことにはなっておりませんで、なお審査中でございます。中央更生保護審査会におきましては、本人の高齢であるということも含めまして、事案の内容あるいは重大性、さらにはこの事件の及ぼした社会的影響なり、あるいは被害者に対する状況、被害感情なり国民感情、こういった諸般の事情を十分に考慮いたしまして恩赦の当否を審査している、さように考えております。 以上でございます。
○坂上委員 大臣、いただけますかな、答弁。
○遠藤国務大臣 ただいま保護局長から御答弁申し上げたのでございますけれども、この問題については、ただいま先生のお話にございましたように、九十五歳の高齢だ、そして今病床に横たわっているというような点を考えると、個人的な話をこの席で申し上げるのもどうかと思いますけれども、気の毒なことだ、こういうふうな点は考えられます。しかし、事件が事件だけにということも頭にあり、今恩赦の云々がまだ審査中でもございます。そんな点もございますけれども、私としてはとにかく病が一日も早く快方に向かうことが一番大切なことだな、こう思っております。その後に自分としてまた考えを出したい、こういうふうなことで、今病床に伏せっているときにどうこうということは差し控えたいな、こう思っております。
○坂上委員 ぜひひとつ、最低の場合でも病院移送の適用ぐらいはしてやっていただきたいと思います。 殊に、大臣のところにも届いているのでしょう、養子の方の、「昨年秋、法務大臣閣下に御会いし、その恩情のある御人柄に接し、深い感銘を受けました。「死と対した長い歳月。そして、九十四の高齢ですから……色々と検討させるべきでしょう。」との御言葉、感激いたしました。そして、以前より父のことを心配し、関心を持たれていたことを伺いました。獄中の平沢に聞かせたら、どれほど喜ぶか知れないと思った次第です。」とあるわけであります。何とぞこういうことをひとつ配意していただきまして、願いをかなえさせてやっていただきたいと思います。 時間がありません。急ぎますので、急いだ御答弁を賜りたいと思います。 青森県におきまして実はこういう問題が起きていることは、行政庁の方で篤と御存じのところでございます。しかも、昨年の決算委員会でも問題になりました。青森県の港湾及び漁港等の防波堤や離岸堤その他に、今度いろいろと問題になっております工事に関連して不正工事が起きております。青森県が昭和五十六年度から今日まで約五年間にわたって行われたものでありまして、その件数は約百七件、そして使われたお金は約六十億円と言われておる。この公共事業に対して粗悪の石が使われたと言われておりますが、その実態はということで決算委員会で議論なさいました。 そこでひとつ、ちょっと石を持ってきたのでございます。これはごらんいただいてわかるとおり、こういうのは石というのでございましょうかね。こうやって折れるわけであります。ぼろぼろするわけであります。こういう石が港湾の基礎に使われておったという事件でございます。石というのはこういうことで、幾ら私が百人力でも折れないのを石というのでございますが、こうやってぼろぼろしたこういう石が使われた、こういうわけでございます。 もう事件の概要は結構でございますので、会計検査院もお調べをいただいておるようでございますので、警察庁と会計検査院から御答弁賜りたいのでありますが、私は、県も国も公共事業を発注いたしましてこの問題が関連をしている、こう思っているわけでございます。捜査の進展がどこまでいっておるのか、私はこれは多分詐欺罪だろうと思います。あるいは補助金等に関する適正化法律違反に該当するのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。会計検査院は、ことしの二月ごろいろいろ鑑定結果の回答が来るからそれなりの結論を出したい、こうおっしゃっておるわけでありますが、簡単で結構でございますが、もう時間がありませんので御回答をいただきたいと思うのです。
○古川説明員 お尋ねの件につきましては、現在青森県警察におきまして関係者の事情聴取等を含めまして捜査中でございまして、まだ結論が出ている段階ではございません。 以上でございます。
○五十嵐会計検査院説明員 私どもも昨年十月に実地検査を施行いたしましたが、その後工事に使用された問題の石に関しまして、一つには石自体の品質、それから鉱物組成、風化の状況はどうか、こういった点、もう一つはそれらの問題の石を海岸構造物に使用した場合にその構造物としての耐久性、安定性に対する影響はどうかという、この二点につきまして部外の専門家三名の方に各種の試験、分析、検討を行っていただくよう依頼しておったわけでございますが、つい先週末にその回答が出そろっておりまして、今後は私どもの立場でこの報告書の内容を詳細に検討させていただきまして、なお必要があればさらに疑問の点を先生方にただすというようなことで、その結果等を踏まえて判断を下してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
○坂上委員 時間がありませんので、中間報告でございますのでこの程度にとどめますが、どうぞ検察庁それから会計検査院、厳正なる御処置を賜りたいと思っておりますので、期待しております。できるだけ速やかに、青森県民が大変注目をしておることであり、また国政の補助金にかかわることでございますから、ひとつ厳正なる御処置を賜りたいと思います。 時間がありませんが、もう一つ警察関係。 この間私たちは、尼崎で朝鮮人学校の十五歳の子供たちが入ってならない池で魚釣りをしておったということで、警察官から連行され取り調べを受け、家庭裁判所に送致をされましたが、どうもこの調べ方に少年法に違反をするような捜査がなされておるのではなかろうかという危惧を抱きまして、調査をいたしました。その結果、私はやはりもう少し少年法の趣旨を踏まえて調査の必要があったのではなかろうかと思います。 まず指摘すべきことは、この池に日本人の子供が入っておったのでこれも送致いたしました、こう言ったことがあるのであります。調べた結果、全くありません。でたらめのことを尼崎の署長さんがおっしゃっておるようであります。 それから、これは調べた結果手帳でないそうでございますが、少年を取り調べる規範の中に、少年の前に警察手帳等を出していかにも威圧を与えるような尋問の仕方をしちゃならぬ、こうあるわけでありますが、その場でなさったそうでございます。 それから、子供たちはできるだけ警察や交番などと言って連れていくようなことのないように、こういうことなんでありますが、パトカーに乗せて連行された。呼び出しも、できるだけ保護者等に連絡の上、保護者立ち会いの上でお調べをいただくというふうに規範に書いてあるわけでありますが、どうもこれも遵守されておらない。 指紋でございますが、回転式指紋をとられた。単なる指印を押させただけとおっしゃいますが、十五歳の子供に回転式。軽犯罪法は、乱用してはならないと書いてあるわけでございます。 どうもいろいろ少年をお調べいただくのについて少し問題があるんじゃなかろうかということを、私も調査団として尼崎の警察へ行って感じてきたところでございます。時間がありませんので、今後に対する対応を警察庁の方から御答弁賜りたいと思います。
○根本説明員 先生御指摘になりましたこの事件につきましては、尼崎北警察署が扱ったわけでございますけれども、少年法を初め各種法令あるいはうちの内部規程等を踏まえて対処をした、こういうふうに聞いております。ただ、事件というものは生き物でございますので、実際にはやむを得ざる状況あるいは法律、通達等の解釈の相違等で若干考え方が違う、こういう部分もあったかに聞いております。ただ、先生御指摘になった事項はいずれも大変大事なことで、少年の事件の処理に当たっては留意すべき事項だと考えておりますので、これについては今後とも引き続いてしっかりした指導、配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○坂上委員 もうちょっと申し上げたいのでありますが、一点だけお許しをいただきたいと思います。国籍についてでございますが、これはきのう駆け込まれまして、ぜひ要請をしてくださいということで外国人の奥様になっておる日本人の女性の方々からたくさんの陳情をいただいたものでございまして、ちょっと時間を超過していますが、御質問をお許しいただきたいと思います。 国籍法の改正以前に生まれた子供たちに対する、日本人母の子の国籍についての経過措置でございます。これによりますと、二十歳未満であること、届け出のとき母が日本国民であること、それからその子がこれまで日本の国籍を取得したことがないこと、こういう場合は届け出ると日本国籍を取得できる、こうなっている。これには外国人の父親もできるだけ一緒にとか、父親の証明とか、いろいろなことを言われておるのだそうでございますが、ただ、外国人の夫と離婚騒ぎをしておるとか、遠くへ行っちゃって行方不明になっておるとか、そうやって外国人の夫の協力を得られない場合がたくさんあるのだそうでございます。そこで、これだけ私のところに手紙を持ってこられた。読み上げたら涙が出るほど大変なことがいっぱいあるのでございますが、とにかく私たち現実に不可能なんだ、日本人の母が精いっぱい資料を用意して行ったらそれを認めてやってくれ、こういう母たちの願いなんでございまして、取り扱いでひとつ御配慮賜りたいと思っておりますが、いかがでございますか。
○千種政府委員 御指摘の問題は法律の附則の五条にございますが、子供が十五歳未満であります場合には法定代理人が申し出をするということになっておりまして、法定代理人というのはこれまた法律で決まっておりまして、両親がありますと両親がそろってやる場合が多うございます。これは法例によりまして、その適用法が日本の法律とは限りませんけれども、多くの場合、親権者というのは二人おりまして両方で届けることになっておりますために、両親がそろっている場合には二人で届けてくれ、こういうのが法律の規定でございます。そのためにいろいろな不便がございまして、出頭できない場合ももちろんございますから、その場合には証明書あるいは本人の書いた自筆のそういう書面を出していただく、そのためにいろいろな手続が困難になるというお話は前々から私どもも伺っておりまして、なるべくそれは趣旨さえはっきりしておれば受けるように努めているところでございます。
○坂上委員 特に夫婦げんかして大げんかしているような場合、とてもじゃないが夫の協力を得られるわけじゃございません。こういう女性が結構多いわけでございますので、御配慮賜りたい、こう思います。 もう一つ、実は光華寮判決について、基本的な重要な問題ですから外務省の所見を承りたかったのですが、もう時間が超過しているそうでございますから、外務省、恐縮でございますが、この質問はきょうは取りやめることにいたします。だけれども、これはじっくり時間をいただかなければならぬものでございまするから、どうぞ私が言った趣旨をひとつ御検討の上で、またいずれ承りたいと思います。 委員長、時間を超過しまして恐縮でございました。ありがとうございました。
○大塚委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 きょうは裁判所職員定員法の審議でございますので、できるだけ法案の中身に入って質問したいと思うのですが、その前に二、三お聞きをしておきたいと思います。 それは一つは、刑事局長、豊田商事の事件で、詐欺で逮捕された、こういうわけですね。その間の事情といいますか、現在どういうふうになっているかということをまずちょっと御説明願いたいと思います。
○岡村政府委員 お尋ねの件でございますが、今月の二十一日に大阪府警察本部におきまして、豊田商事の社長兼銀河計画の副社長をいたしておりました石川ら合計五名につきまして身柄を逮捕いたしまして、二十三日に身柄づきで大阪地検におきまして受理いたしたところでございます。そういうわけでございまして、現在、詐欺の事実で捜査中という段階でございます。
○稲葉(誠)委員 これは前にも質問したことがあるのですが、大阪地検へ詐欺で告訴が出ておったのはたしか二、三年前、もっと前じゃないかと思います。だからなかなか難しい事件であることはよくわかりますけれども、一般の被害者の方というか、国民の方から見ると、これはもう詐欺としては典型的なものではないか、だから、このように捜査がおくれたのはどこかちょっとおかしいのではないか、もっと早くやれたはずではないか、こういうふうな意見が相当ありますね。これについてはどういうふうにお考えですか。
○岡村政府委員 こういう事件につきましては、豊田商事あるいは銀河計画といった会社の経営状態がどういうようなぐあいになっておったかということを解明する必要があるわけでございまして、そのためには各種の帳簿書類の検討その他関係人の取り調べ等、相当長期間にわたります捜査を継続する必要があったわけでございます。また、実質的な責任者と目されておりました永野という会長が殺害されたというような点もございましたし、重要な証拠の一部が散逸しておったというような点もあったわけでございまして、そういったものを克服して詐欺の容疑を固めるためには、やはり相当の期間の捜査を継続する必要があったということであると思うのでございます。
○稲葉(誠)委員 これは大阪地検の特捜部が中心になってやったように私は聞いておるわけですが、現在捜査中の事件ですから、余り強くといいますか、質問するわけじゃありませんけれども、被疑者らがこういう点を弁解するだろう、こういうふうに弁解するであろうという点が数点あるわけですね。それについてはもう十分な何といいますか、そういうものは出るであろうということはわかっていて、そういう点に対処しながら本件の逮捕に踏み切った、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
○岡村政府委員 どういう弁解を具体的に行うかということにつきましては今後の捜査の中での問題でございますが、身柄を逮捕するからにはやはり逮捕するだけの容疑が固まったということでございますし、また、捜査の結果のそれなりの見通しもあったものというふうに思っております。
○稲葉(誠)委員 それはそれで積極的に進めて問題を解明してもらいたい、こう思うのですが、そういうような事件が非常に多いわけですね。豊田商事の問題と、それから今問題になっておるのでは、いわゆる悪徳商法という関係でいろいろ出てまいりますけれども、それが詐欺の場合もあるし、場合によっては恐喝になる場合もあることではなかろうか、こう私は思うので、例えば霊感商法というのが盛んに言われておりますね。これは刑事局長としては、霊感商法と世間で言われておる、今問題になっておるものがどういうふうなものだというふうに考えておられるのですか。
○岡村政府委員 御指摘のありましたように、霊感商法ということでいろいろ報道されているところでございます。霊感商法とは何ぞやという正確な定義は非常に難しいことであろうかと思いますが、私が報道などを見ておる限りでは、例えば先祖の霊を慰めるとか、あるいは何らかのたたりがあるとか、そういったことでいろいろな高価な品物を売りつけると申しますか、そういったことが一般的に霊感商法というふうに言われておるように思っておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 それは、法律的にはどこにどういうふうな問題があるのですか、刑事法関係でですよ。
○岡村政府委員 刑法の問題で申し上げますと、詐欺あるいは恐喝に当たるかどうかということであろうかと思っております。
○稲葉(誠)委員 これは青森地裁の弘前支部であったと思いますが、私もここで質問したことがありますが、そこでちゃんと判決が出ていますわね。あれはたしか青森から出張してあれしたりなんかした事件だったというふうに記憶しておりますが、そういう関係があるわけです。あれはたしか恐喝だったというふうに思っております。先祖の霊のたたりがあるというのは、相手方が畏怖しているわけですから、あるいは困惑しているといいますか、そういうふうなものですから、それに乗じて品物を売りつけるということになれば、これは恐喝になる場合もあるし、それからそれだけの値段がないものをそういうふうな値段があるように装って売りつけるということになれば、相手が欺罔行為によってひっかかっているといいますか、被害に遭っているということですから詐欺罪が成立する、こういうふうになるので、これはもちろん警察を督励してといいますか、それと協力しながらと思いますが、特捜部あたりでこういう知能犯的な事件というのは、特捜部があるところは特捜部、そうでないところでも、これは検事としては、何というか、得意な事件というと語弊があるかもわからぬけれども、そういうあれじゃないですか。だから、もっとこれは徹底的にやらないと、どんどんこういうふうなものがふえてきてしようがないのです。犯罪にならないものをやれというわけにいきませんが、そういう一つの判決もあるのだし、恐喝になるか詐欺になるかは別として十分やれるのですから、こういうのをしっかりやらないといけないのじゃないかと私は思っておるのです。 きょうは警察を呼んでいませんけれども、そこら辺については刑事局長としてはどういうふうに考えられるのですか。
○岡村政府委員 犯罪に当たる行為があるといたしますれば、第一次捜査権を持っております警察も適切に対処するものと思っておりますし、また検察におきましても、警察と連絡をとりながらそういった行為につきまして適切に対処するものと思っております。
○稲葉(誠)委員 だから、現実に今青森地裁の弘前支部の判決があるでしょう。どういう形であの事件ができてきたのか、ちょっと私も経過はあれですが、あれなんかから見れば、今行われているのはほとんどそれと同じような形じゃないですか。だから、こういうのはもっと徹底的にやらなければいかぬと私は思うのですが、あなたの方で積極的にこういうふうなものに対処していくというつもりがあるのかないのか、そこら辺のところ、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
○岡村政府委員 先ほど申し上げましたように、犯罪を構成するような事実があるならば、これに対しましては厳正に対処をしていくものと思っております。
○稲葉(誠)委員 それはあるならばですけれども、そういうふうに答えるのが一般論というか、抽象的にはそれ以外にないのですが、そうすると今申し上げた、たしか弘前支部だと思いましたが、そこの判決、それは参考になりますか、事件の捜査関係は。
○岡村政府委員 御指摘のありましたように、青森地裁の弘前支部で恐喝ということで有罪の判決のあった事例があるわけでございます。こういったものももちろん参考にいたしまして、適切に対処するものと思っております。
○稲葉(誠)委員 適切に対処すると思う、どこが適切に対処すると思うのですか。
○岡村政府委員 それは、捜査権を持っております警察あるいは検察庁でございます。
○稲葉(誠)委員 これ以上ここで捜査に介入するようなことは避けますけれども、そういう点についてはしっかりやっていただきたいというのが私の希望です。大臣、どう思いますか。
○遠藤国務大臣 ただいま御指摘の点について、豊田商事も霊感商法もどうも先生方から見ると泥縄式じゃないかというような歯がゆい感じを持たれておられるのではないかなと思います。ただいまの問題については、法務省と警察庁と十分協議をさせて、青森の問題も明確化されておるので、そういうふうな事件があった場合には厳しく、厳正に処理すべきだというようなことの協議をさせたい、こう思っております。
○稲葉(誠)委員 法案についてお聞きをするわけですが、私はいつも疑問に思っていますことは、司法行政という言葉というか、内容といいますか、それをいつも疑問に思っているわけなんですよ。定員法の提案理由の説明にも「裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化することに伴い、」云々ということになっておるわけですが、これではなくて、私のお聞きしたいのは、一体司法行政というのは、これには裁判所、こういうふうに書いてありますが、裁判所ではなくて裁判官が司法行政にどういうふうに関与しているのか、これが私のいつもの疑問なんですよ。ここら辺のところをどういうふうに理解したら一番いいのでしょうか。ちょっとお答えをお願いしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 稲葉委員先刻御承知のとおり、司法行政と申しますのは、裁判所がその本来の使命でございます裁判権の行使を適正かつ円滑に行うことができますように、裁判所の人的、物的施設を設営し、あるいは事務の合理的、効率的な運用を図ることができるようにする作用である、こういうふうに言われているわけでございます。 司法行政事務につきましては、司法行政事務を行うのはそれぞれの裁判所の裁判官会議の議により行う、こういうふうに定められておりまして、それぞれの裁判所におきます長でございます長官あるいは所長がこの司法行政事務を総括する、こういうふうに定められているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 だから、具体的に裁判官がどういうふうに司法行政に関与するのかというのが私はよくわからないから聞いているのですよ。ということは、例えばここに、これは「自由と正義」の三十八巻二号ですね、札幌高裁長官をやられておった横川敏雄さんが「裁判と司法行政」、これは「昭和六十一年六月二十一日横浜で開かれた「法曹の養成に関するシンポジウム」における講演の要旨」ということになっておるわけですが、その中で、例えば第三例として、七十九ページのところに「昭和四十六年ごろ「中堅裁判官の司法行政に関する会同」の開催にあたって。」云々ということで出ていますね。この方が宇都宮地裁の所長のころの話ですが、私もよく存じ上げておりますが、この「中堅裁判官の司法行政に関する会同」、何を裁判官の中堅というのかよくわからぬけれども、地裁の部長クラスを中堅というのかもわかりませんが、「中堅裁判官の司法行政に関する会同」というのは具体的に何をやるところなんですか。また、やったのですか。今もこういう会同をやっているのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 確かに昭和四十六年ごろ、中堅裁判官の司法行政に関する会同というものが行われたように承知いたしております。 裁判官がどの程度司法行政にかかわるのかという御質問に対しまして、先ほど申しましたように、裁判官会議の構成員として関与するのは、これは当然でございます。そのほかに、例えば部の総括でございますと部の司法行政事務を総括するわけでございまして、部の職員、これは左陪席、右陪席も含まれますし、書記官、速記官、事務官等がございます。その部の職員につきましての指導監督と申しますか、そういうかかわり合いもあるわけでございます。したがいまして、例えば速記官あるいは書記官についてどのような指導育成を図っていくか、あるいはマネジメントをどうするか、そういう事柄につきまして裁判官におきましても司法行政事務を直接取り扱っているわけでございます。そういう観点から、司法行政事務についての会同というものも行われたのだろうと思っております。 最近におきましても、例えば司法研修所におきまして部総括の研究会あるいは支部長の研究会というものがございます。支部長もやはり支部における司法行政事務を総括するわけでございまして、そういう観点からそれらの研究会におきまして司法行政上の問題あるいはマネジメントの問題を取り上げて研究討論されているように承知いたしております。
○稲葉(誠)委員 私が前々から疑問にしておりますこと、裁判官の成績はどうしてわかるのだろうかということを私は前から疑問にしているわけですね。それは、司法権の独立との関係で問題にしておるわけですよ。さっき人事局長がお答えになったのは、四号まではみんな一緒に行くのだ、そして三号になるときに変わるのだというときに、何か実績がどうで参考になるとか、それから責任度合いがどうとかいうことがありましたが、責任度合いは別として、実績が参考になるというお話がありました。どうしてそういう裁判官の実績というものが最高裁にわかるのですか。何ですか、その内容は。
○櫻井最高裁判所長官代理者 先ほど昇給に関連いたしまして、裁判官の実績ということを申し上げました。実績と申しますと、結局、裁判官の場合は裁判をやっているわけでございます。その裁判の実績ということにほかならないことになると思います。 それでは、一体それがどうやってわかるかと申しますと、これはもう裁判官の場合、二十年以上裁判事務をやっておりますと、当然その実績というものは多くの方にわかるわけでございます。それは、例えばその裁判官に接する弁護士の方でもちゃんとその実績というものは承知しておられるわけでありますし、また、所属の裁判所のそれぞれの裁判官のみならず、所長もちゃんと承知しておるというのが通常でございます。いろいろな機会に所長あるいは高裁の方からそれぞれの裁判官についての意見を伺って、どうしてわかるかということになりますと、そういった御意見を最高裁が聴取している、こういうことになるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 ちょっとおかしいですよ。櫻井さん、今のような質問について、今の最高裁長官の矢口さんはここで答弁されているのですようまい答弁をされていますから、よく研究されるといいですよ。あの人にかなう答弁される人はいなかったですよ。普通の行政官でも、あの人にかなう人はいなかったです。それはすばらしい答弁をしておられたのですが、大体三つあるというのですね。一つは、やっぱり地元からだというのです。それからもう一つが高裁から上がってくるというわけですね。一つは最高裁がまた独自にというか、何となくにおってくるのだというようなことを言っておられたのですが、実績というのは本当にわからないですね。何を実績と言うのですか。意味がわからないですよ。実績がわかると言うのだけれども、実績ということが一体何を意味するのかわからないですね。何を言うのでしょうか、実績というのは。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の実績といいますと、それは事件を処理するその実績ということになるわけでございますが、例えば裁判官にはそれぞれの裁判所で事件の割り当てがございます。その事件を通常処理していればそれは通常程度の実績ということになりましょうし、それが著しく遅滞する、通常の人間ならば、通常の裁判官ならば年間この程度の件数は通常処理できるにもかかわらずそれが著しく遅滞する、処理の件数が著しく少ない、あるいは例えば弁論の終結後の判決の作成というものがいつまでたってもできてこないというようなことは、やはり実績の中の大きなファクターであろうと思います。 それから、決してどういう裁判をしたからそれはいい裁判であるという観点から申し上げるわけではありませんけれども、やはり上級審で下級審の裁判官の行った裁判を見ますと、それはその裁判の中身という点でも、例えばこういうケースでこのような明らかに間違った裁判をするというのは、それはわかるわけでございます。そういったものはやはり実績というもののファクターになるのであろうというふうに考えるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 今人事局長が言われた前の方の、判決がおくれるとか、いろいろありましたね。だから、私は何回も所長の仕事というのはどういう仕事だということを聞いていますよね。そうすると、各個人ごとの成績というか、そういうものはとらないのだ、それは最高裁にはわからないのだ、各個人ごとのものは最高裁には報告しないのだ、全体としての裁判所の中の動向ということだけを報告するのだというような今までのずっと答弁です、これは私いつも気をつけているつもりですが。だから、各個人ごとの成績がそうなってくると全部最高裁に筒抜けで、実績といいますか、わかってしまうのじゃないですか。今まで言っていることと違いませんか。各個人ごとの、終結してから判決がうんとおくれるという人もいますね。昔なんかは随分ありましたよ。終結して外遊して、外遊が終わってから判決を書いたなんて方もおられたという話もありましたけれども、そういう各個人個人のものは所長のところで握っているかもわからぬけれども、所長としては最高裁には報告しないのだ、各個人別じゃない全部まとめたものだけを報告するのだというふうに今までは答弁しているはずですよ。そういう点は違うのですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 事件処理の統計のようなものを一体何のためにとるのかという点について、今まで何度がお尋ねがあったように思います。それは何も、個々の裁判官がこういう処理をしているからどうだということのためにとるものではありませんというふうに申しておるのでございます。事件処理の統計といいますのは、各裁判所での事件処理がどういうふうに全体として行われているか、それで、それが例えばその人員数の不足というものを示しているのならばその裁判所には人員の配置ということを考えなければならない、そういう司法行政をやるための統計でございます。しかし、これはただいま委員もおっしゃいましたように、一つの裁判所を受け持っている所長が一定期間その裁判所におりますと、個々の裁判官の事件処理のやりようというものは当然わかるわけでございます。それをあとは、もちろん所長は先輩の裁判官として、例えば著しい遅滞がある裁判官があった場合にはそれなりのアドバイスというものはあるだろうと思います。しかし、それは個々の裁判官の実績として、その裁判官に対する適切な人事上の配置等のために、その所長の認識というものは当然上級庁に伝わっていくというものでございます。
○稲葉(誠)委員 いやいや、当然上級庁に伝わってくるといったって、あなた、報告しなければ伝わってこないのじゃないですか。そうでしょう。そんなのは当たり前の話ですね。だから、おっしゃったように全体としてまとめたものがあるけれども、A裁判官はこういうあれだ、著しく遅滞するという意味はちょっとわかりませんけれども、とにかくそういうふうなものを含めてA裁判官はこうだということは全部上へ上がっていくのじゃないですか。高裁へ一応上がってきて、高裁からまた最高裁へ上がってくるのじゃないですか。そうでなければ上へ上がってくるわけないでしょう、上が知るわけないじゃないですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官についての人員配置等の適切な人事を行うために各裁判官の属している裁判所の所長あるいは高裁長官から意見をいただいているということは、以前から申し上げていることでございます。そのほかに、そういったことのみならず、上級庁の審理を行う裁判官は当然下級裁判所の裁判官の審理、判決についても承知しておりますので、そういったものすべてはその適切な人事配置等を行うための資料になっているわけでございますし、その点は以前からも申し上げているところでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、地裁の所長の場合には、例えば著しく裁判がおくれるような裁判官があれば高裁を通じあるいは最高裁へ報告する、そういうことは人事配置の必要上からそういう報告を聴取して、人事の配転のときにそれは参考にする、こういうことになるわけですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 報告という言葉が適当かどうかという問題はございますけれども、各裁判官の所属している裁判所の長は、自分の所属裁判官の人事のために常にその上級庁に意見を述べる必要がございます。そういう形で、各裁判官についての例えば事件処理の実績等の意見は常に上級庁に伝わるということになっております。
○稲葉(誠)委員 実は私の尊敬していた方で、亡くなられましたけれども、倉田さんの書いているエッセイの中に出てくるFという判事の方がいらっしゃるわけですね。これは非常に立派な方で私は尊敬しておった方ですが、この方といろいろお話ししてみたときに、自分は最高裁からにらまれているとは言わなかったけれども、最高裁のお覚えが悪いのですよというようなことを言っていました。みんなからは非常に評判がいいのですよ。例えば、非常にまじめな方ですから、刑事事件を担当されていて、調書の朗読でも要旨の朗読じゃ許さないのですよ。全部読ませるために相当時間がかかりましてあれだったのですけれども、非常にいい方でした。じゃ、どうして最高裁のあれが悪いんですかと聞いたら、私は判決を言い渡してから判決原本ができるのが遅いんだと言うのですね。遅いので、それで最高裁ににらまれているのですよということを言っておられたのです。苦笑いされておったのです。だからそういう点で何か、いろいろな点で最高裁はつかんでいるんだということは今大体わかりました。 もう一つの問題は、高裁で控訴があったときにいろいろありますね。高裁では民事なら民事の部長会議、刑事なら刑事の部長会議というのを月に一回くらいやるのですか。あるいは正式にそういう部長会議という名前じゃないけれども、部の統括が集まっていろいろ懇談やなんかしているのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 かつて東京高裁に勤務いたしておりまして、その当時の経験に徴して申し上げますと、たしか月一回でございましたか、二月に一回でございましたか、刑事部あるいは民事部別々でございますけれども、裁判長がお集まりになりまして、大体放課後と申しますか、五時以降でございますけれども、民事部あるいは刑事部で抱えているいろいろな問題点があれば、そのお話を三十分くらいでございましたか、おやりになって、その後懇親をなさる、こういう会はございました。やはり部相互間のコミュニケーションを十分にするという趣旨から行われていたものであろうかと思っております。
○稲葉(誠)委員 私は話をお聞きいたしておりまして、そこで一審の裁判官の実績、それがいろいろフランクに話が出てくるのではないかと思うのです。それが、高裁でいえば高裁の事務局長を事務的に通ずるのかどうかわかりませんが、だんだん上へ上がっていくのではないかというふうに思っているのです。だから、地裁においては、殊に民事の裁判官の場合は判決するのを非常に嫌がる人がいますね。判決するのを何とも思わない方もおられるのですが、非常に嫌がる方もおられて、何とか和解にしたい、和解にすれば上に上がらないですから。それで無理して何とか和解にしようというので、弁護士の事務所にまで電話をかけてきて何とか和解にしてくださいという方もいらっしゃるのです。決して悪いわけじゃないですよ。別に悪いと言っているわけではないのですが、非常に和解に熱心な方もおられるのですね。これは上に見られたくないという意識も一つあるのではなかろうかと思うのですが、そういうようなこともある。 もう一つは、最高裁独自で調査をするというのです。調査というか、憲法記念日か何か、最高裁判事が回って歩きますね。そのときにいろいろ聞かれるというのだが、そんなところに聞いたって本当のことはわかるはずないと思うのです。いろいろなことを言われて何となくにおってくることから実績というのはわかってくるのだと言われるのですが、どうも今のお話を聞いてみると相当所長の権限が強くて、私は裁判の独立について影響があるというような感じがしてならないのです。 これは、横川さんのを見るとこういうふうに言われているのです。「所長が裁判事務からはなれ、最高裁から派遣されたお目付役的存在になることは、司法の本質的機能にかんがみ決して好ましいことではない。」こういうふうに横川さんは言っておられるのですが、所長と最高裁との連絡はどういうふうにするのですか。今話を聞くと、実際にはやはりお日付役的存在になっているわけですね。そういうふうになるのじゃないですか。いろいろな進行上の問題についても、報告と言えるかどうかは別として、事実上報告をしているということになればお日付役になるのじゃないでしょうか。これはどうなんですか。 そして、別のところですけれども、「最高裁の局長連中の応答には、その場限りの国会答弁のようなものが多く、私達は、失望あるいは憤慨した。」こう書いてあるのです。その意味がよくわからぬけれども、これは何ですかね。その場限りの国会答弁のようなものが多いというのだけれども、そうじゃないのでもう一回答弁してくれませんか。
○山口最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、所長はそれぞれの裁判所の司法行政事務を総括するという立場にあられるわけでございます。司法行政事務を総括する関係上、上級庁、高裁あるいは最高裁に対しましていろいろな点で御連絡をなさったり御意見をお述べになったりすることはございます。例えば総務局所管の事項でございますと、いろいろ会同等の関係がございますとその間の御連絡もございますし、民事あるいは刑事の事件につきましていろいろ新聞報道等がございました場合には、それぞれ関係の事件局あるいは広報課に御連絡することもございます。大事につきましては、やはり高裁、最高裁に御連絡することもあろうかと思います。 そういうふうな形で、それぞれの裁判所の司法行政事務を総括する立場として上級庁に御連絡、御意見をお述べになるわけでございまして、私どももかつてそれぞれの裁判所に所属いたしておりましたけれども、所長にもいろいろな方がいらっしゃいます。中には非常におっかなくて近寄りがたい存在の方もいらっしゃれば、気軽に裁判官室にお入りになっていろいろ若い連中とだべっていただく方もございます。したがいまして、一概には申し上げられないと思いますけれども、決してお日付役的存在で臨んでおられる方というのはいらっしゃらないと思いますし、裁判官の方の受けとめ方といたしましても、お日付役的存在であるとして認識はしていないというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 お日付役的存在として認識していなければ、じゃ、これはどういうふうな存在として認識しているわけですか。
○山口最高裁判所長官代理者 お日付役という言葉の意味がまたいろいろ問題になるかもしれませんけれども、例えば所長方は司法行政事務を円滑に動かしていくために存在しているのだという御認識でございますから、事件処理につきまして具体的にどうこうということは到底おっしゃるわけではございませんし、私ども裁判官といたしましても、所長の存在にはかかわりなく裁判官の独立を保持しながら裁判権を行使していくのだ、こういうふうに考えていたわけでございます。したがいまして、司法行政事務を総括する方である。もちろん、裁判官としては大先輩でいらっしゃいますから、大先輩としていろいろ御意見を伺うことはございますけれども、事裁判事務の処理に関しましては、司法行政事務を総括する方だというふうにしか私自身は考えていなかったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 例えば東京高裁では、原則として所長に出て司法行政をやった者でなければ部の統括にしないですね、極めて少数の例外はあるようですけれども。これはシステムをとっているわけではないでしょうけれども、どういうわけで実際にそういう慣行みたいになったわけですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 全国の高等裁判所で、部の事務総括者というようなのがございます。所長を経験していない部総括というのは、各地にたくさんおられるわけでございます。東京がほとんどは所長経験者であるということになっておりますが、これは今までの人事のローテーションから出ていかれた方が順次東京へ戻ってこられる、それだけ所長に東京から出ていかれる方が多いということになるのだろうと思いますが、そういう方が東京へ戻ってこられて東京高裁のポストが埋まっていくということになるのだろうと思います。他高裁の場合は、そのようにその土地から所長に出ていかれる方がそれほどおられないために、高裁の部総括のポストが必ずしも所長経験者でないということになっているのだろうというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 だから、そういうことを考えますと、司法行政というものを非常に重視しておるというふうに私には考えられてならないのですよ。 そこで、例えば倉田さんのエッセーを読んでみましても、こういうのがありますね。判事補というのは最高裁事務総局の、言葉はちょっと忘れましたが、完全なコントロールの下にあるというふうな意味のことがあったと思うのですが、それは実際にはそのとおりだと私は思いますよ。 例えば、判事補の十年間の任期等について、大体大きく分けて三つのところをやる、地裁の本庁と支部を経験させる、あるいは高裁に在庁するとか、そういうふうなことで大体三年ごとに転勤するというようなことについては、事務総局として全国的なリストや何かがあって、全国的なそういう構想の中で特別な人は別としてやっておるので、これはそういう意味において完全なコントロールの下にあるのではないですか。倉田さんはずっと長い間裁判官をやって今公証人になられましたけれども、そういうように言われている意味はどういう意味なんでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 倉田元判事にこの人事統制という意味を確かめたわけではございませんので、そこのところは確かなところはわからないわけでありますが、私はこのように理解いたしております。 この倉田元判事のお書きになった文章をちょっと読んでみますと、「現在最高裁事務総局の完全な人事統制下にあるといっていい若い判事補諸君には、三昔前にはそんなだったということが想像し難いだろうが、その頃の東京地裁の裁判官には地方に転任するという気持は全然なかった。」こういう文章なのでございます。ここで言っておられる意味は、要するに三十年前でございますが、三十年前の東京地裁の裁判官には地方へ行くという気持ちは全くなかったんだ、判事補でも東京地裁初任の判事補というのは十年間は東京にいて、そして判事任官までは動かないでおられるんだというふうに考えていたんだということを書いておられます。この文章はその当時の人事の改革と申しますか、判事補の異動についてのローテーションができた、そのことを書いておられるのですが、そのころに判事補については十年間になるべく大中小庁を経験できるようにしていこうということになりまして、そして今までのやり方ではやはり不公平が生ずるではないかということを言われ、そしてみんなもなるほどということになって、だんだんそういう制度が行われるようになってきた。現在はその制度が完全に定着しているわけでございます。大体一つの任地を二、三年で判事補は異動いたしまして、十年間に完全にほかの人と同じということではないかもしれませんが、大体大きいところと中くらいのところと小さいところとを経験できるような異動をしております。そしてそのことを、判事補自身もそのようなシステムを当然のこととして受けとめているわけでございます。 そのようなことを倉田元判事は、そういう異動というものを判事補自身も当然のこととして受けとめて、その異動のローテーションを受けているということを完全な人事統制下にあるという言葉で表現したものというふうに理解できるわけでございます。もちろんそれだけではなくて、倉田元判事はあるいはそういうものを若い人たちが唯々諾々として受けとめているということをやゆ的に言っておられるのかもしれませんが、ここでの文章の本旨はそういう、私がただいま説明したようなところにあったのではないかというふうに思っているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それは、三十年前のことというのは恐らく、たしか私の記憶では長野の飯田ですか、あそこへ転勤のときの話で、前におられた方との、官舎の問題とか何かいろいろ出てきますね。書かれた方というか、しゃべられた方はなかなか文才のある方で、小説家であるとも言われておるようですが、文芸家ですか、でもあるように言われておられます。非常に立派な方ですね。非常な勉強家ですね。これだけ勉強されている方はおられないというくらいに私は思うわけです。書かれた本はとても難しくて私どもにはわかりませんけれども、非常な勉強家であられるのですが、私疑問に思いますのは、判事補が十年間のうちに主に三年くらいで異動するということを当然と考えておるということらしいのですが、そうすると判事補には転所の自由というようなものはないということなんですか。初めに判事補になるときに何かそういう話があるのですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判官の身分保障というのは、当然判事補にも適用があるわけでございます。だから、判事補は当然任官中はその保障は受けているわけでございますが、私たち、判事補を任官するときには、現在こういう制度になっているんだということはもちろん申します。その任官当時に私どもから説明を受けたからだけではないと思いますが、今までそういうふうに判事補の異動というのが行われているということを判事補自身も任官志望のときから認識しておりますので、そういう点では特段にいろいろと言うまでもなく、判事補は現在こういうシステムで動いていく、それがやはり多くの人の任地の公平というもののためにはある程度は必要なことなんだということは理解されているというふうに思っております。
○稲葉(誠)委員 横川さんの講演の中に、こういうのもあるのですよ。所長が裁判をやる方がいいんだということの利点を三つ挙げておられるのですが、その一つは「裁判官との間に同僚意識が生まれ、相互の意思の疏通がうまくいったと思われる点」、これは第二か。第一は「裁判官の裁判に対する気魄や情熱を高めるのに役立ったと思われる点が第一、」第一と第二はわかるのですが、第三が「裁判官らの能力を一層正しく評価できるようになったと思われる点が第三の効果である。」所長が単独の裁判をやって、「裁判官らの能力を一層正しく評価できるようになったと思われる」というのは、これはどういうことを言っておるというようにお考えなんですか。民事の場合だったら簡裁の判事のあれが控訴で来ますからわからないこともないとも思いますが、刑事で単独でやっていて「裁判官らの能力を一層正しく評価できるようになった」というのはちょっとよくわからないのですがね。どういうことなんでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘の点、私どもにもわからないわけでございます。単独でも裁判をおやりになれば、そのほかの裁判官と事件についてあれこれ話を交わしたりすることがあるというようなことぐらいであろうかというふうに、これは全くの推測でございます。
○稲葉(誠)委員 これは横川さんにお聞きしなければわからぬことですがね。私にもわからぬですよ、第三は。ちょっとわからない。合議ならわかりますがね。これは、単独の裁判官がほかの裁判官といろいろ裁判の内容について話をするのですか。ちょっとよく理解できませんね、これは。「裁判官らの能力を一層正しく評価できるようになったと思われる」、これが第三の効果だ、ちょっと意味が私にはわかりません。ということは、やはり所長がほかの裁判官の能力というものを絶えず念頭に置いて所長の仕事をやっておられる、それがいわゆる司法行政というものの真髄だ、真髄というか、一方的な考え方における真髄だと思うのです。そういうところにあるのじゃないか、こういうふうに考えるのですがね。 だから僕は、どうも司法行政というものの内容について疑問でしようがないのですよ。問題があり過ぎるのじゃないか。これは実際には裁判官で非常に気にしている人がいるのですよ。例えば二号カードというのがあるでしょう。あれをまた気にしている人があるのですね。あれは考課表みたいなもので、自分のいろいろな希望とかいろいろな身上とか、いろいろなものを書いたものなんですか。それで、気にしている人が盛んにいるからよく聞いてみると、どうもそれも必ずしも当たってないようにも考えられる。何かの考課表があるに違いないのですよ、これは。考課表というものがあって、それで、それを一つは高裁の事務局長のところで握っている。ある裁判官が転勤になった。そうしたら、自分と同期の今高裁の事務局長をやっているあれがおれを動かしたんだなんて怒っているのですよ。高裁の事務局長にそんな権限ないでしょうと僕は言ったら、いやどうもなんてやっていましたけれども、それは管内はどうもそうらしいようなところもあるのでね。だから、高裁の事務局長になるのは一つのずっと上に行くステップなんですね、これは。東京の場合ですよ。ほかは知りませんが。余り言うと悪いけれども。そういうふうなことがありまして、いろいろなことがあるので、どうも司法行政というものの実態がよくわからないというのが私の疑問です。 今度裁判官をふやすのに、民事執行法に基づく執行事件の関係でふやす、こういうのですね。民事関係の執行事件の裁判官をふやすといったって、これは実際は裁判官はやってないんじゃないですか。事実上ノータッチみたいなものじゃないのですか。書記官が全部というくらいほとんどやっているのではないのですか。どうなんですか。裁判官は実際は余りタッチしないんじゃないですか、これは。東京はちょっと違うかもわかりませんがね。どうなんですか。
○山口最高裁判所長官代理者 民事執行事件はいろいろな種類がございまして、稲葉委員よく御承知のように、債権執行もございますれば不動産の競売もございますし、東京、大阪その他大きな裁判所では専門部を設けておりまして、裁判官がもちろん十分事件の処理に当たっているわけでございます。地方の例えば支部あたりに参りますと、裁判官が民事、刑事、家事、少年、あらゆるものを処理しなければなりませんので、その合い間を見て処理をする。その関係で、書記官の補佐と申しますか、それを求める度合いが強くなることはあろうかと思いますけれども、やはり自分で処理しなければなりませんし、決定書等は自分で記名押印等をするわけでございますから、責任を持って処理する体制をとっているのであろうと考えております。
○稲葉(誠)委員 それから破産事件でやるというのは、破産事件も、場所によるかもわかりませんけれども、管財人を選任して管財人と裁判官とが相談しながらやられる場合もあると思いますけれども、実務は余り裁判官はやられないんじゃないですか。地方に行きますと、判事補の方でしょう。一番若い判事補の、未特例の方がほとんどやられておるのではないですか。違いますか。必ずしもそうでもないですか。民事の方は書記官の老練な方を破産関係につけていますね。首席書記官なんかが破産のことをやっている場合が多いですね。ここでは民事執行法に基づく執行事件とか破産事件がふえてきているから、難しいのがふえてきているのかもわかりませんけれども、だから裁判官をふやすのだというのだけれども、特別な事件は別として、今は全体として刑事事件は割合に減ってきている。民事事件も横ばい関係にあって、それほど事件がふえているという状況にはないんじゃないですか。全体としてはどういう傾向にありますか。
○山口最高裁判所長官代理者 法律案資料の二十二ページ以下に地方裁判所、家庭裁判所等の事件の状況を記載してございますが、地裁の民事の第一審訴訟、これがじわじわとふえているわけでございます。刑事につきましては御指摘のとおりほぼ横ばい。家裁につきましても、家事審判、調停あるは少年保護事件、大体横ばいというふうに申し上げてもよろしかろうと思います。簡裁につきましては、民事訴訟はいわば高値安定の状況でございますし、督促も大体そのような状況がございます。調停がかなり減ってきております。 全般的に申しますと、御指摘のように全体の状況としてはほぼ横ばいで安定しているというような傾向があろうかと思いますが、先ほど来申しております民事執行事件、これは増加の傾向がございますし、破産の方は減りましたけれども、最近はサラ金自己破産がなくなったので減ってまいったわけでございまして、法人の破産がかなりふえてまいっております。こういうのは非常に手がかかるわけでございまして、従来の未済もたまっているところへだんだんこういう大きな破産が参ったものでございますから未済事件が累増していく傾向がございますので、この辺で何とか手当てをして適正な処理を図りたい、このように考えておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 司法法制調査部長がいらっしゃるので、この法案の法務省側の担当ということですが、ちょっとそれとはあれですが、外国人弁護士の問題ですね。この前アメリカへ行かれたわけですね。それで、どういう点が今問題になっていて、どういうふうな解決になったのですか。将来の日本におけるこの外国人弁護士の見通し、これはどういう方向になるのか、御説明願えればと思います。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 先生御承知のように、三月六日に関係政省令を公布いたしまして、四月一日から施行ということになりました。日弁連関係も二月十六日に関係会則会規を公布公告いたしまして、三月十三日の理事会で四月一日から関係会則を施行する、こういうことで準備が整っているわけでございます。私ども、昨年五月二十三日に外国法事務弁護士特別措置法が公布されました後、この法律の施行をことしの四月一日とするということを目途といたしまして、諸準備に着手いたしたところでございます。六月、七月に諸外国の弁護士制度を調査するとか、それから八月、九月以降関係政省令の立案作業をする、その問弁護士会と協議を頻繁に重ねまして政省令と日弁連の会規会則との整合性を図る、こういうようなことを進めてまいったわけでございます。 しかしながら、四月一日に円満に施行するためには、解決をしなければならない大きな問題が二つございました。一つは、日弁連側からの要請でございますけれども、いわゆる実質的な相互主義の保障、こういう問題でございます。それからもう一つは、アメリカが特にそうでございますけれども、法律の運用につきまして、せっかく法律が通ったんだけれども、日本政府が細かい政省令規定を設けてさらにこれを制限的に運用するのではないかという懸念というか、疑念がアメリカ側にございまして、そういうものを解消することが四月一日に円滑に施行するためにもぜひとも必要である、こういう問題があったわけでございます。 その第一番目の実質的相互主義の保障の関係につきましては、既に御承知のとおり、六十年十二月九日の日弁連総会の決議におきまして、アメリカとの関係において、アメリカは五十州、それからワシントンDC、それから幾つかのテリトリーという裁判管轄区域があるわけでございますけれども、その中で日本の弁護士を受け入れる制度を持っている州が非常に少ない。それでは実質的な相互主義というものが保持できないのではないかというようなことが背景にございまして、この十二月九日の決議で、少なくともニューヨーク、ミシガン、ハワイ、ワシントンDC、カリフォルニアの五つの州につきましては、日本の弁護士を受け入れる制度を創設しない限りこの法律は施行すべきではないという決議がされたわけでございます。 そこで私どもといたしましては、日弁連の要請も受けまして、アメリカ政府に対しまして何とか少なくとも五つの州、できたらそれに加えて日弁連の総会で問題になりましたテキサス、イリノイ等につきましても日本の弁護士を受け入れる制度をつくってほしいという要請を繰り返しいたしたところでございます。しかし、なかなか遅々として進まないというようなこともございましたので、昨年十二月に私どもアメリカに参りまして、連邦政府に対してさらにその推進方をお願いするとともに、カリフォルニア、テキサス、イリノイを直接訪ねまして、関係者にその制度の創設方を要請したところでございます。幸いカリフォルニアにつきましてはことしの一月三日にオープンを決定いたしまして、ことしの四月二日から具体的に日本の弁護士を受け入れるということになったわけでございまして、日本弁護士連合会といたしましても、これによりまして実質的相互主義につきましての最低限の保障は得られたというようなことになりまして、一月二十四日の総会で会規会則を制定し、それから最終的に日本政府とアメリカとの話し合いがついたということもございまして、先ほど申し上げましたように三月十三日に会規会則の施行を四月一日とする決定をした、こういうことになっておるわけでございます。 次に、第二番目のアメリカ側の懸念でございますけれども、これにつきましては幾つかの問題がございました。新聞等にも出ておりますけれども、一つにはアメリカの弁護士の職務範囲の問題、具体的には十六条、十七条の問題でございます。指定法の運用の問題でございます。それから五年の実務経験の問題、それから法務大臣の承認あるいは日弁連の登録手続の期間を短縮することができないかというような問題、それから弁護士の補助職員、俗にトレーニー・クラークと言われておりますけれども、そういう人たちの入国問題、それから日本の弁護士には課してないけれども外国人弁護士には課すといういろいろな制約があるわけでございまして、そういうものを日本人弁護士並みにすることができないかという過重負担の解消の問題、それから日弁連会則が非常に厳し過ぎるというようなことについての疑念、こういうものがあったわけでございます。 いろいろ細かい手続的な問題はあったわけでございますけれども、特にこの職務の範囲の問題と五年の実務経験の問題につきましては、御承知のようにアメリカの全部の州が日本人弁護士を受け入れるという制度を持っておりませんために、結局州を一つの外国とみなしまして、州と日本との相互主義という形にならざるを得ないことになったわけでございます。その結果どういう問題が生じたかと申しますと、例えばニューヨーク州の弁護士が隣の州の法律について日本に来ていろいろ意見を述べるというようなことは原則としてできない、それをするためには法務大臣の指定を得なければならぬという、ちょっと、アメリカの弁護士がフランス法を取り扱うについて法務大臣の指定を受けるというのはわかるのでありますけれども、隣の州の法律についていろいろな見解を表明するのに法務大臣の指定を受けなければならぬということに相なりました。 それからもう一つは、ニューヨーク州が一つの国となりましたために、アメリカなんかではある州の弁護士がほかの州に行ってまた弁護士の仕事をするというようなことになるわけでございますが、ニューヨーク州において五年の経験を積まなければならない、その間ちょっとカリフォルニアに行くというようなことがあってはいかぬというような、厳格に解釈をいたしますとそういう問題が出てまいったわけでございます。 そこでアメリカ側といたしましては、アメリカの州が一つの独立の国として外弁法上みなされるといたしましても、実質的には各州それぞれ連邦法というものが当然共通でございますし、コモンローの国でございますし、いろいろな州法も事実上共通のものがあるという実態があるというようなこと、それからアメリカの弁護士というのは国内では他州をいろいろ動いているという実態がある、そういう実態をよく日本政府も見きわめていただいて、その実態に即応するような運用をしていただきたい、こういうことが強く表明されました。私どもといたしましてもその実態に即した運用をするということをアメリカ側にお約束したわけでございますが、どうもその実態の認識につきまして、アメリカ側の言う実態と私どもが認識した実態について若干のそごがあったというようなこともございまして、なかなか了解を得られるということにはなりませんでした。私ども十二月にアメリカに参りました節におきましてもこの問題が中心に議論され、さらにその間外交ルートを通じていろいろ話し合いを続けながら、ことしの一月にはUSTRのスミス大使が参りましてうちの党事務次官と話し合うというようなこともあったわけでございますが、最終的にはそういう米国の実態というものについての認識も一致いたしまして、これに即した運用をするということでアメリカ側も了解をして了解点に達したわけでございます。 以上の経過を踏まえまして四月一日施行ということが円満に決まったという状況でございます。私ども三月十六日に細かい手続についての説明会を開催いたしましたところ、相当数の外国人関係者がこの説明会に出席したというような事実もあるわけでございます。 以上でございます。
○稲葉(誠)委員 終わります。
○大塚委員長 午後一時十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ――――◇――――― 午後一時十一分開議
○大塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中村巖君。
○中村(巖)委員 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に則して質問を申し上げたいと思います。 私はここ三年、この法案、同種法案に対して質問をいたしておりますので、大体のことはわかっておるつもりでありますけれども、まだわからない点もございますので、お尋ねを申し上げたいというふうに思っております。 まず、この法案の中身の第一は、裁判官の中の判事を八人増員をする、こういうことでございますけれども、八人増員に定員枠をふやすわけでありますけれども、現実的にこのふやした枠を人間をもって埋めなければならないわけでありますから、どういうふうにして埋めるのかということをお尋ねを申し上げたいと思います。これは毎年お尋ねをしているのですけれども、基本的には判事の枠を充員をするためには判事補がその給源の最たるものでありますから、判事補がおらなければこれはしようがないわけでありまして、その辺の関係がどうなっておりますか、その点からお伺いをしてまいりたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 今回増員をお願いいたしております判事の充員でございますが、ただいま仰せのとおり、基本的には判事補から判事への任官でもって埋めるわけでございます。この資料にもございますように、昨年の十二月一日現在の判事の欠員は二十八名でございます。この二十八名の欠員がその後さらに大きくなります。その後の退官等で、この四月でこの八名の増員をも加えまして六十名を少し出るぐらいの欠員になるわけでございます。片や、判事補から判事に任命される者が今回五十五名でございます。その五十五名の裁判官と、それからあと若干名は検事等からの任命でもって、六十名を少し出る程度の欠員は埋まる予定でございます。
○中村(巖)委員 資料によりますと、六十一年十二月一日現在の判事の欠員は二十八、こういうことになっているわけでありますけれども、例年ですと、昨年、一昨年、三十三とか三十五という十二月一日現在の時点での欠員であったように私は記憶しているのですが、ことしは何かこの時点での欠員が非常に少ない感じがいたしますけれども、何か原因がございましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 十二月一日現在の欠員、年度によっていろいろ違いがございます。ただ、そうは申しましてもそれほど大きな差があるわけではないのでありますが、この違いは、要するに年間との時期に退官していくかということによるわけでございます。一年間を通しますと、大体できてくる欠員というのはほぼ似たようなものになるわけでございます。今回ですと、十二月一日現在では退官者数はまだそこまではいっていなかったけれども、その後ずっと逐次退官者数が出てまいりまして、最終的には毎年とほぼ似たような、春の時点で六十名を少し超える程度の欠員ということになったわけでございます。
○中村(巖)委員 ついでにちょっと伺っておきますけれども、順次毎年退官をされる人があるわけですが、そろそろ今度、司法研修所の制度が創設をされたそのころの方が定年退官をされるというような時期を迎えているのではないかと思います。今後とも大体退官者の数というものはほぼ従来どおりの状況で続いていくのでございましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 正確な数字というわけではございませんが、ごく大まかに申し上げますと、退官者の数、特に定年退官者の数は毎年同じ数ではございませんで、これはふえていくというふうに見ております。ここ過去二、三年は大体同じ数でございましたけれども、この後二、三年経過したあたりから少し定年者の数はふえていくものというふうに考えております。
○中村(巖)委員 それからさらに、判事のほかに裁判所の職員の減員、増員、こういうことでございまして、プラスマイナスして結局七の増ということになるわけでありますけれども、この定員はしばらくおいておきまして、いただきました資料によりますと、現実に定員枠がありながら過員であったり、あるいは欠員があるというような状況があるようでございまして、例えば事務官のごときは地方裁判所において百十六人も過員があるということで、合計で百八十二人の過員、あるいは書記官におきましては今度は合計で五十七人の欠員、こういう状況になっておりますけれども、この過員あるいは欠員というようなものが生じますのはどういうわけでございましょう。 〔委員長退席、井出委員長代理着席〕
○櫻井最高裁判所長官代理者 この資料にございます裁判官以外の裁判所職員の定員・現在員の表でございますが、これは、備考欄に書いてありますように、昭和六十一年十二月一日現在のものでございます。 裁判官の場合は、これはもちろんのこと年に一回しか原則として採用はないわけでございますが、一般職につきましても、年度の途中であきができたときにそれを採用して充員していくというのはなかなか難しいわけでございます。例えば書記官五十七名の欠員というのは、年度の途中で書記官がやめていくわけでございますが、書記官というのは一定の資格が必要でございまして、これを年度の途中ですぐに埋めていくというのはなかなか難しいわけでございます。家裁調査官につきましても二十五名の欠員がございますが、これも同様でございまして、年度途中での充員というのは無理なわけでございます。 片や、事務官に過員がございます。これは結局何をあらわしているかといいますと、書記官は長い期間をかけて事務官から養成していくわけでございますが、年度の途中ではこの事務官というのが書記官の予備軍の形で存在しているわけでございます。この四月をとってみますと、書記官五十七名の欠員というのは、これはこの春の退官で一層大きくなるわけでございます。それから家裁調査官の欠員も一層大きくなります。こういうのは、新たに養成された書記官あるいは新たに採用した家裁調査官によってこの欠員を埋めていきます。そして、今まで書記官の予備軍であった事務官というのは春の時点では一たんなくなるわけでございます。ほぼなくなるというふうに考えられます。そういうふうに、年度の途中でなかなか直ちに充員することができないようなものがこのような形であらわれているものというふうに御理解いただきたいと思います。
○中村(巖)委員 そうすると、例えば四月一日なら四月一日という基準点をとれば、ほぼ過員、欠員がない状態で数字がきちっと出る、こういうことになりましょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 大体仰せのとおりでございます。ただ、裁判所の組織は全国に非常に細かく分かれておりまして、それぞれその末端までいきますと小さい組織になっているものですから、場所によっては欠員のままで残ったりする場所がございます。そういうものを全国的に集計するとある程度の数になるということはあろうとは思いますが、四月一日現在というのは、それはほぼ過員、欠員がないような状態になっているというふうに考えられると思います。
○中村(巖)委員 次に、この資料によりますと、官職がいろいろ分かれておりまして、秘書官から書記官、家裁調査官あるいは事務官、技能労務職員、その他、こういうふうに分類をされているわけであります。秘書官、書記官あるいは家裁調査官、こういうものは極めてわかりやすいわけでありますけれども、事務官ということになりますとほぼわかるような気がいたしますが、どういう仕事を実際的にはやっておるのかということ、さらにまた、その他というのはかなり数がございまして、現在員では四千八百九十三名おる、こういう数字が挙げられておりますけれども、この人たちはどういうことをやっておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 最初に、裁判所事務官の仕事の内容でございますが、これには二通りございまして、事務局で勤務しております者と裁判部で事務をしております者と、二通りございます。事務局で仕事をしております事務官の仕事内容は、例えば人事でございますとか会計でございますとか資料、庶務、そういうふうな事務局事務を取り扱うわけでございます。裁判部の事務官ということになりますと、裁判部におきます裁判事務の処理、例えば送達文書を送る場合の文書作成でございますとか書記官の事務補助でございますとか、そういう公判関係の事務に従事している、こういうことになるわけでございます。 それから、その他の職員にはどういうものがあるかということでございますが、この中には種々のものがございまして、速記官もこのその他の中に含めております。それから裁判所調査官、技官、廷吏、電話交換手とか自動車運転手、汽かん士、電工あるいは守衛さん、この方々もこのその他の中に含まれるわけでございます。
○中村(巖)委員 その上で、これは毎回お尋ねしておるのですが、裁判所事務官の中を定員の関係で毎回増減させておる、こういうことになるわけでございまして、確かに書記官の方は減員がないわけでありますから増員をして裁判事務処理を充実させるということでわかりますけれども、事務官の方を増加させ一方で減少させておるという状況、これはどうして生まれるのか、こういうことでありますが、前から伺っておりまして、裁判所が拘束をされるわけではないが、閣議決定に基づく定員削減計画というものが関係あるのだ、こういうお答えでございました。実質的には人数が、例えば事務官の部分においても一名増という形になる、そういうマイナスとプラスをわざわざやらなければならない理由はどの辺にあるのでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、事務官でも裁判部の事務に従事しておる者がございます。この法律案の関係資料十五ページにございますように、民事執行事件の処理あるいは破産事件の処理、簡裁における民訴事件あるいは督促事件の処理のために、事務官の増員は裁判官、書記官等の増に伴いまして当然必要になってくるわけでございます。したがいまして、ここに書いてございますような形でそれぞれ事務官の増をお願いしたいわけでございます。 他方、先ほど委員御指摘のように政府の定員削減計画がございまして協力要請がございますものですから、同じ国家機関として、裁判所といたしましても、裁判の事件処理に支障を来さない司法行政事務の部分で、例えばOA機器等の能率機械を導入するとか文書の作成についてはワープロ等を活用する、あるいはファクシミリ等を活用することによって省力化を図ることができる、さらには例えば報告事務の簡素化を図る、そういうふうないろいろな工夫をいたしますと司法行政事務部門でもある程度の省力化が図られるものでございますから、そちらの面である程度の省力化を図りまして政府の定員削減計画に御協力申し上げておるという状況でございます。 増減相合わせますと御指摘のような数字にはなりますけれども、その底にあります実質的理由はただいま御説明申し上げたとおりでございます。
○中村(巖)委員 そこで、私はよくわからないのですが、司法行政事務から蔵判事務というふうに人員を振りかえる結果そういうことなんだということでございますけれども、同じ裁判所事務官であるわけでありますから、そしてその定員の枠としても一個であるわけですから、仮に局長のおっしゃるように司法行政事務に携わっていた者を裁判事務に振りかえるということになれば、内部で配転を命ずればいいだけの話じゃないか、素人考えすればそういうことになってくるわけですけれども、そういうわけにはいかないわけですか。
○山口最高裁判所長官代理者 確かに、片方で減員要素がない場合には御指摘のような運用で賄える面もあろうかと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、政府の方で定員削減計画をお立てになって裁判所の方に協力を求めておられる、こういう財政事情のもとでやはりできる限り御協力申し上げなければならないということになりますと、司法行政事務部門における定員削減というものも考えなければならないわけでございます。 確かに、おっしゃいますように増減をいたしまして八名の増である、事務官については一名の増であるということになれば、定員法上はそういう形になるわけでございますが、予算の関係におきましては、やはり定員に基づいて予算が定められているものでございますから、それぞれ減を立てるもの、それから増を立てるもの、こういう割り振りをしなければならないわけでございます。
○中村(巖)委員 別に意地悪に質問をしているわけではないのですけれども、私が考えますには、局長も従来から、政府の定員削減計画というものについてはこれは司法部は別に拘束をされないのだ、閣議決定をされようが何しようが拘束をされないのだということでございますから、わざわざ減を立てて司法部内においてそういう形の上のやりくりをしないでも、単純に裁判所事務官を一人ふやしたいということでおやりになればそれはそれでいいんじゃないかというような気がするのですけれども、やはり何かどうしても、拘束をされないと言いながら政府の削減計画に協力をしているようなポーズというか、そういうものをつくらなければいけない、こういうことになるわけですか。
○山口最高裁判所長官代理者 ポーズをとるとかとらないという問題ではございませんで、現在の財政事情のもとにおきまして国家機関としてどうあるべきかを考えた場合に、やはり裁判所といたしまして協力できるものは協力していくという態勢で受けとめなければならない、かように考えておるわけでございます。
○中村(巖)委員 では、その問題はそれでやめます。 また、資料の中には民事、刑事の事件数の推移に関する一覧表があるわけでありますけれども、これは昭和五十八年、五十九年、六十年の三カ年にわたるものでございまして、昭和六十一年につきましては資料がここには出ておらないわけでありますが、まず、その数字というものが現在未集計であるのかどうか、お伺いをします。
○山口最高裁判所長官代理者 六十一年度の確定的な統計数値はなお整理中でございますが、現在までの概数というものは把握いたしております。
○中村(巖)委員 そうだとすれば、地方裁判所あるいは家庭裁判所あるいは簡易裁判所の事件数のうちその主なるものについて数字をお示しをいただきたいと思うわけでありますけれども、例えば地方裁判所の民事における訴訟事件あるいは調停事件あるいは刑事の訴訟事件、あるいは家庭裁判所における審判、調停、さらには簡易裁判所における訴訟、督促等の点について、おわかりであったらば明らかにしていただきたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 最初に地裁について申し上げますと、民事訴訟事件は十三万二千二百六十ということになっております。民事執行事件、これは合計でございますけれども、昭和六十年が二十二万九千でございましたが、これが二十四万六千六百にふえております。破産事件は一万三千八百くらいでございます。刑事訴訟事件は八万五千件くらいでございまして、五千六百くらい減っております。 それから簡裁にまいりまして、民事訴訟事件は二十一万四千でございます。約一万八千件ほど減っております。督促が六十三万五千件くらいでございまして、三万四千五百ほど減っております。それから民事調停事件、これが六万四千八百くらいでございまして、二万二千七百ほど減ってまいっております。刑事訴訟事件は二万四千八百くらいでございまして、これはほぼ横ばいでございます。略式、交通即決、この関係は二百二十九万でございまして、これもやはり十二万四千件くらい減っております。 家裁にまいりますと、家事審判事件が三十万三千件でございまして、これはほぼ横ばいでございます。それから、家事調停事件が若干ふえまして八万七千件でございます。少年一般保護事件、これもほぼ横ばいでございまして、二十八万八千件でございます。それから少年道路交通保護事件が三十八万件、一万二千ほど減っております。 こういう状況でございます。
○中村(巖)委員 そういたしますと、主なるものについてお示しをいただいたわけですけれども、概して言うならば全体的に横ばいか、ないしは若干の減少の傾向である、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
○山口最高裁判所長官代理者 そのように御理解いただいて結構かと思っております。
○中村(巖)委員 事件が若干なりとも減少傾向を示している中で裁判官あるいは書記官というものが増員をされるということは大変結構なことで、そういうことになれば裁判の方もより充実したものができるようになるのではないか、こういうふうに私も思っております。しかしながら、全体的に見ますると裁判官の今後の数というものは大変何か憂慮すべきような状態にあるのではないかという気がしてならないわけでございまして、先ほど検察官について同僚委員から御指摘もありましたけれども、大変任官者の数が減っているという状況のように思われるわけでありまして、最近ここ何年間かの、裁判所の方から判事補への任官者数の推移、それから法務省の方から検事の任官者数の推移をお聞かせをいただきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 最近五カ年間の判事補の任官者数を申し上げます。 昭和五十七年が六十二名でございます。五十八年が五十七、五十九年が五十八、六十年が五十二、昨年、六十一年が七十名、こういうことになっております。でこぼこがございますし、一概に漸減傾向というふうにも考えてはおりませんが、しかし、さらに例えば十年ぐらい前のころを考えますと、そのころに比べれば判事補任官者数が減少しているということは言えるであろうというふうに考えます。
○根來政府委員 検事の任官数でございますが、五十七年が五十三人、五十八年が五十三人、五十九年が五十人、六十年が四十九人、六十一年が三十四人で、ことしの六十二年につきましても必ずしもいい数字が出ていないわけでございます。そういうことからいうと、やはり少し低落しているのではないかというふうに考えております。
○中村(巖)委員 判事補について言うならば、六十一年度が七十名ということは六十年の五十二名からかなり増加をしたということでありますけれども、五十二名程度でありますと、これが十年後に判事に任官するときは、さらにその中途での退官者はおるわけでありますから、大変数が少ないということになってしまうわけでございます。 検察官の方についても、三十四人というような数字であったらば、将来の検察が運営していけるのかどうかということが問題になる。そうなると何か検察の運営の仕方というものを考えなければならない、検察官は公判に専従するんだ、捜査はやらないんだというような状況さえ想定をしなければならないというようなことになってくるわけであります。そうなるとこれは大変重大なことで、あるいはまた検察官の場合に、捜査に副検事や検察事務官を従事させるんだということになると、検察官について法曹資格を求めているという従来の考え方というものが根底からひっくり返ってしまう、こういうことにならざるを得ないわけでありまして、このことは本当に法曹全体にとって大きな問題であろうというふうに私ども考えておるわけでございます。 こういうような事態が生ずる原因がどこにあるか、那辺にあるかということについては、先般私も質問をいたしておりますし、いろいろ御回答を賜っているわけでありますけれども、やはり一つ考えられることは、司法試験制度そのものに問題があるのではないか。裁判官あるいは検察官の仕事に現代社会にマッチをするような魅力があるかどうかという大きな問題が一方ではあるわけでありますけれども、それと離れても、司法試験制度そのもの、さらに強いて言えばそういう法曹養成制度そのものに何らかの欠陥はないのか、こういうことになってくるわけでございます。 そこで、司法試験制度を考える上で最近の司法試験の実態というものを数字の上でお尋ねをしておきたいわけでありますけれども、最近何カ年間かについて、出願者と合格者の数、その平均年齢あるいは合格率、こういうものをまずお示しをいただきたいと思います。
○根來政府委員 最近の司法試験の現況につきまして順次さかのぼって申し上げますと、昭和六十一年度でございますが、出願者数が二万三千九百四人でございます。合格者が四百八十六人ということでございまして、合格率が二・〇三%ということに相なっております。合格者の平均年齢は二十七・七九歳でございまして、年齢構成は、二十五歳以下が百七十一人、二十六歳以上が三百十五人というふうになっております。それから、在学生の数でございますが、在学生は八十五人、その他の者が四百一人というふうになっております。 それから六十年度を見ますと、出願者数が二万三千八百五十五人、合格者数が四百八十六人、合格率が二・〇四%、合格者の平均年齢が二十八・三九歳。年齢構成は、二十五歳以下が百四十六人、二十六歳以上が三百四十人。在他別では、在学生が五十七人、その他が四百二十九人というふうになっております。 それから五十九年度に至りますと、出願者数が二万三千九百五十六人、合格者数が四百五十三人、合格率が一・八九%。合格者の平均年齢が二十七・七二歳。年齢構成は、二十五歳以下が百四十七人、二十六歳以上が三百六人。在学生が七十六人、その他が三百七十七人ということで、この三年間を見てみましても、合格者の平均年齢が大体二十七歳から二十八歳。それから、年齢構成は二十六歳以上が六〇%から七〇%を占める。在学生の問題は、一五、六%が在学生で、その他の者がその余の八〇%から九〇%を占めるという状況でございます。
○中村(巖)委員 そのほかに、合格者の司法試験の受験回数の分布と申しますか、受験回数一回から相当回数まであるのですが、その中でそれぞれその回数に何人ぐらい合格しているか、こういうことはおわかりにならないでしょうか。
○根來政府委員 御質問に正確にお答えできる資料がないのでございますけれども、六十二年、本年司法研修所に入る者につきましてアンケート調査をいたしました。これは任意にやったものでございますから必ずしも正確ではないと思いますけれども、この入所希望者の受験回数を調べましたところ、平均して五・九回でございます。六十一年にも同じような調査をいたしましたところ、平均いたしまして六・三回ということでございまして、この平均数からいたしまして合格者の受験回数というのが大体推定されるのではないかというふうに考えております。
○中村(巖)委員 司法試験制度についての問題というのは、今お示しをいただいたように、結論的になかなかこれは合格をしないというところにあるわけでございまして、それは難しい試験だから合格をしないのだ、こういうことになりましょうけれども、そうなりますと、平均年齢が示しておりますように、結局合格者の年齢が非常に高くなるということでございます。そうなりますと、なかなか若い有為な人材を司法部へ吸引をすることができない、こういうことにもなるわけでございます。もちろん若い学生諸君は大学を出るに当たって進路を決定するわけでございまして、行政官庁へ行くとかあるいは民間の会社へ就職するとかそういうこと、あるいは司法試験を受けて法曹になるということを選択をしなければならないわけでありますけれども、司法試験がかくも難しい、こういうことになったら、もう司法試験なんかやめようということで、民間会社へ就職したりあるいはまた行政官庁へ行った方がいいということで、その若い人たちが司法部へ来ないという現象をつくり出すことになるわけでございます。それと同時にまた、いろいろな意味で、そう若い人が司法部へ来られても司法部はそう若い人ばかり必要としていないのだ、こういう考え方もあるかもしれませんけれども、やはり可塑性に富んだ若い時期に司法部へ入るということが非常に大切なことだろうと思うわけでございます。 さらにまた、言ってしまえば何度も何度も受験をする、五回ぐらいならまだ平均ですからいいわけですけれども、十回、十五回と受験をするというようなことになりますと、これはその間本当に社会へ出て社会に貢献しながら勉強していればいいわけですけれども、ほとんど就職もしないで社会的に意味なく生活をしながら受験だけに一生懸命になっている、こういうことになる。そういうことになると、この人たちの社会的ロスというか、こういうものも莫大なものに上るだろう。それこそ何万人、つまり二万五千近くの人たちがそうやってむだを重ねているということは社会的にも大きな損失じゃないか、こういうこともあるわけであります。 そういう意味で、司法試験制度というものを何とかしなければならぬのじゃなかろうかと思うわけでありますけれども、法務省としては現在の司法試験法を改正をするお考えはおありなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○根來政府委員 ただいま先生が御指摘の点は私も全く同感でございまして、私どもも何とかこの司法試験制度を改正いたしまして、若い優秀な方々が司法試験を進んで受けるような体制にしたいというふうにかねがね考えておるわけでございます。しかしながら、これにつきましていろいろの考え方がございまして、特効薬というのは必ずしも見つからないわけでございまして、いろいろ運営上も工夫を凝らしておるのでございますけれども、なかなか運営上では解決しない問題がたくさんあるわけでございます。そうしますとやはり改正ということに相なるわけでございますけれども、先般法務大臣の私的な諮問機関といたしまして法曹基本問題懇談会というのを設けていただきまして、ここに各界の有識者をお集めいただきまして、有識者からいろいろ知恵を伺った上でその方向に沿っていろいろ研究したいというふうに考えております。 事務的にいろいろ問題を考えているのは、先ほど申し上げましたような受験者の若返りを図るとか、合格者の数をふやすとか、あるいは試験問題を検討するとか、そういう問題をすべて含んでいるわけでございます。
○中村(巖)委員 受験の回数を制限するとか受験の年齢を制限するというようなことが今までの議論の中ではいろいろ言われる向きもあるわけでありますけれども、これについては憲法の職業選択の自由とのかかわりの中で、やはりこの回数制限、年齢制限は憲法の条項をクリアすることはできないのじゃないか、こういう議論も一方では聞かれるわけであります。この辺については、法務省、どういうふうに考えておられますでしょうか。
○根來政府委員 既に御承知と思いますけれども、昭和三十年代に臨時司法制度調査会というのがございまして、この調査会で受験回数または年齢制限の検討をするということが示されているわけでございます。その後司法試験法の改正案というのを準備いたしましたけれども、その改正案には受験回数あるいは年齢の制限ということについては省いて法律案を作成したわけでございますが、いろいろ反対がございまして、それが結局お蔵入りということになった状況にございます。しかしながら、この受験回数の制限あるいは年齢の制限というのも確かに憲法上のいろいろな問題があろうと思いますけれども、一つの考え方でもあろうと思います。これも先ほど申しました懇談会等の御意見あるいはそのほかの方々の有識者の御意見を聞いて、左右いずれかに決めたいというふうに考えております。
○中村(巖)委員 この司法試験制度の改善というか改革に関して、大臣は何か御意見をお持ちでしょうか。
○遠藤国務大臣 ただいま官房長からお答えしたように、どうすればいいのかということで法曹基本問題懇談会をつくっていただいていろいろの方々から御意見を聞いていこうということでございますが、一つは試験制度自体の問題もあろうと思いますが、さらに環境をよくしなければならぬという点もあるわけです。御承知のとおり、せっかく試験を受けて検事になったとしても、三年で後はまた転勤また転勤ということになると、両親なり子供の教育なりいろいろに影響もある、そういうふうな点や何かもくるめていろいろこれから考えていかなければならぬな。特に先生のお話のとおり、これからの優秀な若い人たちに今の日本国の法の秩序といいましょうか、そういうような点に対して情熱を燃やしてもらえるというような場をもっと改善していくにはどうすべきかというような点で、そのような懇談会においていろいろ御高見を聞いて、改善される点はしてよりよき法の秩序、そして今日の社会を一層良好にせしめたい、こういうふうな考えでございますので、御了承をちょうだいいたしたいと思います。
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたのですが、最後に、全然今までのことと関係のないことで一点お聞きをして終わりにしたいと思います。 最近、御承知のようにアメリカ人の弁護士さんが法廷での傍聴人としてメモをとった、その禁止されたことがけしからぬということで民事訴訟を起こして、その民事訴訟が一審で敗訴をした、こういう事件があったわけでありますけれども、私ども考えますに、法廷で傍聴人がメモをとるということについては、これは禁止をする方がやはり現在の事態の中ではおかしいのではないか。写真とかそういうことになりますとこれは大変問題がありますけれども、メモというのはそんなに音がするものでもないし、フラッシュをたくものでもないし、静かにメモをとる程度のことは許されてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますけれども、実はこれは法廷警察権ということか知りませんが、あらゆる裁判所でメモを禁止する一般的な裁判所の措置がとられているわけでありまして、この点についてなぜ今なおメモをも禁止しなければならないのか、これを再考する余地はないのかということを最高裁の方にお伺いをしたいと思います。
○吉丸最高裁判所長官代理者 一般に傍聴人のメモを許すかどうかは、それぞれの事件を担当する裁判所の法廷警察権に属することと解されております。現に、それぞれの裁判所がそれぞれの裁量によって許すかどうかを決めているところでございます。 また、ただいま委員から御指摘がございましたとおり、現にこの問題につきましては裁判所に事件が係属中ということもございますので、この問題につきまして私ども事務当局の意見を述べることは差し控えさせていただきたいのでございますが、一般に言われているところを申しますと、まず憲法八十二条一項は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」というふうに規定し、裁判の公開を保証しておりますが、ここに言う公開とは、公判期日における手続を何人の傍聴も許す状態で行うということでありまして、それ以上のものではない。したがって、同条の趣旨から見ても、法廷でメモをとることは当然傍聴人の権利の内容に含まれるというものではなく、これを許すかどうかは公判を担当する裁判所の法廷警察権に属し、その裁量にゆだねられているということでございます。現在、基本的にはほぼ以上のような考え方に立って実務が運用されているというふうに承知いたしております。 メモを許した場合にどのような弊害あるいは問題が生ずるかという点でございますが、第一に言われておりますのは、傍聴人がメモをとりました場合に、証人などがこれを非常に気にいたしまして自由な供述をしにくくなるおそれがあるということでございます。例えば事件関係者の間に激しい対立、敵対の関係があるような事件などにつきましてはこの点が顕著でございまして、現に時には、例えば弁護人から裁判長に対し、どうも傍聴人がメモをとっているようであるがやめさせてほしいというような申し出がなされることもございます。申すまでもなく、証人等が傍聴人などに何らの気兼ねもなく自由に供述ができるような雰囲気を確保するということは、法廷のあり方として適正な裁判を実現するためのいわば基本的な条件に属するというふうに考えられるわけでございまして、裁判所といたしましてはこの点については慎重な配慮をせざるを得ないというところでございます。 第二に言われておりますのは、これも事件によりましては法廷外において事件関係者が証人を非難、攻撃し、時には名誉棄損あるいは威迫等の行為に及ぶということもないではないわけでございますが、そのような際にメモが悪用されるおそれがあるということでございます。したがいまして、いわば証人保護の見地からも傍聴人のメモについては配慮が必要であるというふうに考えられるわけでございます。 第三に、法廷で先ほど申されたように一人ぐらいの者がこっそりととるということですとまだよろしいわけでございますが、多数の傍聴人が一斉にメモをとるというようなことになりますと、やはり法廷の静粛な雰囲気が害されるおそれがあるということ、以上のようなことが指摘されているところでございます。
○中村(巖)委員 ただいまの御説明は余り納得をいたしませんけれども、私どもは違った見解を持っておりますが、時間でございますので、これで終わらせていただきます。
○井出委員長代理 冬柴鉄三君。
○冬柴委員 本来の質問に入る前に、民事局長御出席でございますので、一点だけ最初にお伺いいたしたいと思います。 本年、すなわち昭和六十二年二月一日は不動産登記法施行百周年に当たりまして、この節目を迎え、民事局では各種の行事や、また内容的にもすばらしい記念出版を行われました。この労を多として敬意を表するところでございます。 我が国の不動産登記は権利の登記の面におきましては世界に冠たるものである、このように誇れると思います。本年はその登記事務にコンピューターを導入する、このような第一歩を踏み出す年でもありますので、新登記制度元年の意義を有する年でもある、このようにも理解をいたしております。しかしながら、不動産の取引の安全と円滑、これを図るためにはこの登記の簿冊とともに現地指示能力あるいは現地復元能力というようなものを有する地図の完備が必須である、このように理解いたしております。しかしながら、我が国には明治の地租改正当時につくられたいわゆる字限図あるいは更正図、そのようなものがなお多数存在いたしておりまして、これが裁判の場で甲一号証、乙一号証として提出されているという現実もございます。不動産登記法第十七条の施行はこのような点を改善し、現地指示及び復元の能力を有する図面をつくっていこう、このようなことを目指すものでありまして、高く評価するところでありますけれども、事柄の性質上、現在なおその進捗状況は必ずしも満足できる状況ではございません。 そこで、この登記法施行百周年、このような佳節にちなみまして、不動産登記において車の両輪とも目さるべきこの地図につきましても早期備えつけについて一層格段の努力を払っていただきたい、このように考えているわけでございますが、その点につきましてまず民事局長から所信を伺いたいと思います。
○千種政府委員 登記制度につきまして御理解をいただき、まことにありがたく思っております。 ただいま御指摘のように、本年は登記制度百周年という行事を行った記念すべき年でございまして、これから先の登記行政のあり方をここで改めて考え直すべき時期に来ておると私どもも考えております。 その一つといたしまして、先ほど御指摘のように権利関係についてはコンピューター化の検討を進めるということが一つございますが、同時に今御説明のございましたような地図の充実、これは権利の登記といいますか、表示登記の充実ということと裏腹の関係にございますが、そちらの面もこれから長期的に充実していかなければならないと考えております。 実を申しますと、委員御承知のとおりでございましょうが、その地図あるいは表示登記の問題が具体的になってまいりましたのは、戦後、昭和三十五年のいわゆる一元化ということで始まったことでございますから、登記関係の中では非常に歴史が浅いわけでございます。そういうわけで、最近我々も努力はしておりますけれども、今の進捗状況というのは御指摘のように非常に不十分であろうと思います。ただ、これは一つには非常に経費がかかるということや技術を要するということのほかに、国全体としては地図あるいは測量をしている分野が相当ございまして、例えば国土調査、土地改良あるいは土地区画整理事業、こういったものから上がってまいります精度の高い地図はそのまま十七条地図に指定もできるものがございまして、現にそういうこともやっておるわけでございます。そういう意味からいたしまして、我々今現在はなかなか自分の力で十分な整備ができる実力を持っておらないのでございますが、そういう成果はなるべく利用させていただいて今十七条地図をふやしているという状況にございます。 これから先のことでございますが、当面不動産登記のコンピューター化というのは経費も伴いますし、時間もかかりますので、その次に来るものがこの地図の整備あるいは権利の登記の充実、こういうことであろうということを考えまして、同時に行うことは予算上かなりきついのでございますが、その将来を見据えまして、例えば測量の研修を毎年やっておりますけれども、そういう実力を蓄えつつ、細々としながらも各法務局に順繰りに割り当てて自分の測量の地図をつくらせる、こういうことをなお継続して実力を蓄えていきたいと考えております。
○冬柴委員 私の計算ではなお百年を要するようにも思われますので、この点は、相当お金がかかることではございますけれども、この登記法施行百年、二百年目にようやく地図もそろったというようなことでは我々子孫に恥ずかしい思いをいたしますので、ひとつ格段の努力をお願いいたしたい、このように思っております。 それでは、本来の質問に入ります。 先ほど中村委員からもお尋ねがありまして重複は避けたいとは思いますけれども、本年度の判事補の任官予定者数、アバウトになると思いますけれども、これは何名を予定していらっしゃるのですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 今年度の任官予定者数というのは、現時点ではまだはっきりはしていないわけでございます。現在採用申し込みをしている者が六十五名おりますけれども、これが最終的な採用の時点でどの程度になるかということでございます。ぎりぎりまで採用願の撤回というような事態等がございますので、この六十五名からふえることはないと思いますが、この範囲内の数ということになろうかというふうに考えております。
○冬柴委員 引き続きまして、いただきました資料では六十一年十二月一日現在の判事のいわゆる欠員の数が二十八、こういうふうになっていたわけですけれども、そうすると、昨年十二月一日から今年の三月三十一日、期末までに退官される人は、先ほどの答弁でちょっとはっきりしなかったのですけれども、約二十四名ぐらい、このように計算されるわけですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 昨年の十二月一日現在の判事の欠員というのが二十八名でございます。その後、現在までと申しますか、この四月の裁判官の任官時期までの退官者数が、これもまた非常に浮動的なものでございますけれども、三十名足らずというふうに見ております。したがいまして、合わせて六十名足らずの欠員ができるわけでございますが、それに今回のお願いしております定員の増が加わって、六十名を少し超える欠員になるであろうというふうに見ております。
○冬柴委員 そうしますと、前年度七十名、今年度六十数名ということで相当回復してこられたわけでございますけれども、私の調べたところによりますと、司法修習生から判事補への任官者は二十六、二十七期が八十名台でございました。期ということでお許しいただきたいと思いますが。それから二十八期から三十期が七十名台に落ちまして、三十一期ないし三十四期で今度は六十名台に落ちた。それから三十五期ないし三十七期で五十名台に落ちて、そして前年七十名台を回復されて、今年また六十数名台。漸減傾向にあった、それに歯どめがかかったと見ておられますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 二十六期以降の数の推移は、ただいまおっしゃるとおりでございます。ずっと減ってまいりまして、最後、昨年七十名ということになったわけでございます。これはどちらと見るべきか非常に難しいわけでございますが、私ども必ずしも歯どめがかかったというふうには考えてはおりませんで、もちろん年度によってふえたり減ったりというのはあるわけでありまして、昨年、ことしと、一昨年以前よりはかなり多い数を確保いたしてはおりますけれども、しかし、大きな流れと申しますか、大きな数の推移という点から見ますと、やはり昭和四十年代の後半に比べれば随分様子は違っているのではないかというふうに見ております。
○冬柴委員 それから、途中退官者の問題も若干アバウトで調べてみたのですけれども、判事補任官五年目で約一割が退官している。十年目に見ますと約二割が減っている。五十人採用しても十年たてば十名がやめていく、このような傾向があるように私は思うのですが、その点裁判所はどうでしょうか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 およそのところを申し上げますと、判事補の中途退官者は大体年間五名程度でございます。これは十年分で一期当たりにならしますと〇・五名ということになりますが、十年間で見ますと一割弱というところでございましょうか、その程度の減少ということになっていくであろうと思います。理由は、ほとんどが弁護士に転身していくというためでございます。裁判官の中にはいろんな事情から裁判官を続けていけないという方が、家庭の事情あるいは個人的な事情からそういう方はありますので、ある程度の退官者が出ることはやむを得ないところであろうかというふうに思ってはおりますが、しかし、待遇や執務環境等で、裁判所に見切りをつけるというようなことはないように努力はいたしたいというふうにいつも思っているところでございます。
○冬柴委員 今くしくも最後におっしゃいました執務の問題がやはり相当影響しているのではないかという感じがするわけです。先ほど法務大臣もすばらしい御答弁をいただいたと思うのですけれども、やはり司法試験制度だけの見直しじゃなしに裁判官の抱える問題というものを解決して、若い司法修習生が本当に裁判官なりあるいは検察官、検事の職務に対する魅力というものをそこで感ずるような、そのようなものがなければならない。このような観点から見てみますと、やはり退職されて弁護士をやっている方は、最初は裁判官で一生やろう、こういうふうに思っておられたのですけれども、何らかの理由で弁護士に転向されるわけでありまして、その一つには、やはり仕事が多過ぎるのではないかということを感じます。 例えば昭和六十一年度の日本弁護士連合会の司法シンポジウム、私も出席をいたしました。その中で「民事裁判の現状と課題」ということをテーマにいたしまして、終日熱心な討議が重ねられました。全体的な傾向として、いろいろなことが出ましたけれども、民事裁判の審理期間を一層短縮すべき必要がある、そしてその条件としてやはり裁判官を増員すべきである、この点についてはほとんど一致したように私は思ったわけでございまして、具体的には今より三百名裁判官をふやすべきだというような提案もなされておりました。 本日の法案の審議のために関係資料をちょうだいいたしましたけれども、この資料十に「昭和五十八~六十年における高裁・地裁・簡裁の民事訴訟既済事件の平均審理期間」というものが示されておりまして、昭和六十年度では、簡易裁判所は三・四カ月で終結をしている。それから、地方裁判所では十二・四カ月、一年強で審理が終了しているというふうな資料をちょうだいしたのですが、私、長年弁護士をやっていまして、その感覚からは遠く離れた数字だなというふうに思います。乖離を感じます。その点いかがでしょうか、裁判所。
○上谷最高裁判所長官代理者 ただいま御質問の、お手元にお配りいたしております資料の十表に掲げております数字、これは地方裁判所あるいは簡易裁判所、高等裁判所それぞれに係属いたしましたすべての事件の終局事由を問わずにグローバルな形で数字を出しておりますので、例えば非常に事実関係に争いがあって複雑な争点があり、判決に時間がかかるという事件もあれば、あるいは欠席判決で終了するというものも含めた数字でございますので、こういう数字になっておるわけでございます。 今委員の方でお考えになっておりますいわゆる判決になる事件ということで、参考までにごく大まかな数字を調べてまいりましたので申し上げてみますと、これは昭和六十年の地方裁判所の数字を代表的に申し上げてみたいと思いますが、六十年に終結いたしました事件で対席判決になった事件、この事件で見てみますと、一年以内に判決で終局した事件が四八%、約半数でございます。それから二年以内に判決で終了したもの、これは先ほどの一年以内を含めまして七一・二%、ざっと七割という数字が出ております。したがいまして、これを除外いたしました三割弱の事件が二年を超えるというふうな数字になっております。
○冬柴委員 そのとおりでありまして、私それを聞きたかったのですが、このような重要な審議の場合に提供されるべき資料としましては今後一考を要するのではないか。この計算の基礎には、事件終了事由に訴え却下、放棄、認諾、取り下げ及び欠席判決等、実質的な審理に至らないものも含めて押しなべているために、地裁で一年で解決している、このような結果になるわけでございまして、実際は実質審理をした対席判決数、これを基礎にして、その審理期間がどれくらいになっているのか、それが一般人の、いわゆる訴訟関係者の民事訴訟に対する審理期間が長過ぎるな、もっと速くやってほしい、このような気持ちはそこから出てくるわけでございまして、裁判官の定員を考える場合もそのようなものを基礎にして考えなければならない、このように思います。 ただいまの答弁にも出てきましたけれども、私も同じ観点で司法統計で調査をいたしてみました。地方裁判所における第一審通常訴訟における対席判決数のうち二年を超えた事件数というものは、昭和五十八年度で七千七百九十二件、昭和五十九年度で八千百五十三件、昭和六十年度で八千九十六件に上っておりまして、いずれも対席判決数の約三割になっている。そして、そのうち四年を超えた事件数というものはそれぞれ二千四百五十八件、二千七百六十五件、二千四百四十四件になっておりまして、これも対席判決比おおむね一〇%前後を示しているわけでございまして、訴訟関係者から見ますと、これが長い、もっと何とかしてほしい、こういうような声になっていると思います。したがいまして、本件提案は私どもは賛成でございますけれども、なお大幅に増員をここで図って、このように数年かかる事件ももちろんありますけれども、それが何千件のオーダーになるということはやはり異常ではないかというふうに思いますので、この点についても一段の努力をしていただきたい、このように考えます。 そのように考えてまいりますと、単に定員をふやすということだけでは解決をいたしませんで、司法修習生から裁判官になる人を、まずそのような希望者をふやすということ、それからせっかく裁判官になった人が途中でやめないようにする、このようなことが必須のことになるのではないか、このように思います。そうしますと、手持ち事件数の減少を考えるということ、これがやはり裁判官に対して――裁判官の職務は余りにも忙し過ぎるというような印象を若い人に与えているのじゃないかということもあります。 それから、さきのこの委員会で私質問をいたしましたけれども、裁判官の官舎の改善、これもぜひ引き続き検討を願いたいと思います。裁判官の仕事は、自宅で深夜判決起案をしたり、あるいは資料を読んだり調査したりするという仕事がございますので、やはり家族と隔絶した一つの書斎といいますか、そういうものを必要とすると私は思います。また、三回引っ越したら一回火事に遭ったのと同じだと言われますが、本当に何回も引っ越しをされていますので、できるだけ、裁判所から配付される白表紙のあの判例集、大量なものです、ああいうものを備えつけるとか、あるいは家具も何回も引っ越しするとがたがきます、こういうものも官舎に備えつけてあげるとか、そういう細かい配慮もぜひしていただきたい。 加えて、先ほど法務大臣もおっしゃいましたように、転勤についての一層の配慮というものがやはり必要ではないかと思います。家族構成、特に御両親や病身の人を持った方、あるいは子供の教育ということも、転勤、任地、そういう場合に考えてあげなければならない事由ではないか、このように考えます。要するに、裁判官の職は、そういうものを魅力のあるものにするということが、任官の希望者をふやすこととやめていく人を防止する、こういうような二つのことになるのではないかというふうに思いますので、司法試験の制度の調査とともに、民事事件の理想的な審理が行われるためにはどの程度の裁判官の増員が必要なのかどうかということが一つ。それから、それを確保するためには長期的な視野に立ってどのような施策を講じたらいいのか。このような点について、ひとつ法務大臣、何か調査をしていただく先ほどの懇談会のようなものを発足をさせてはどうか、このようにも私は思うわけでございますけれども、差し支えなければその点についてのお考えを伺いたいと思います。
○遠藤国務大臣 先ほど、私的な懇談会ではございますけれども、これは検察庁のみでなく、裁判所関係も含めて御意見を聞きたいということでございまして、今先生のお話の点なども我々頭に入っておるわけでございます。ややともすると、今の検察庁、裁判所にはそういうふうな考えはないと思いますけれども、自分たちがこれで通してきたのだからというようなことで、自分はマージャンというものをやっておりませんけれども、小さい部屋でマージャンをやって、煙がもうもうとしておる、少しも苦にならないのです。よそから入ってくると、よくこんな汚れた空気の中でというような点も、例には合わないと思いますけれども、そういうような点もございますので、今度の懇談会では外部の方々の御意見を聞いて、またその結果を皆さん方にも御紹介申し上げてまとめていきたい、こういうふうな気持ちでおります。先生の御意見なども我々としては十分頭に入れて、懇談の中において実のあるものにしたい、かような考えておりますので、御理解願いたいと思います。
○冬柴委員 それから、裁判官の負担軽減の問題で一つ。 我が国では民事訴訟に弁護士強制の制度はとっておりませんけれども、やはり本人訴訟、私ども法廷で順番を待っていまして、前で双方とも御本人でやっていらっしゃる。その裁判官が一生懸命訴訟指揮をしておられるわけですけれども、なかなか大変だなということを常に思うわけでございます。これも六十一年の司法統計で、本人訴訟、これも民事通常、一般事件のみを見てみたわけでございますけれども、簡易裁判所で双方とも本人でやっていらっしゃる、これが八六%。それから地方裁判所においても二〇%の事件が、この統計から見ます限りにおきましては双方本人でやっていらっしゃる。それに簡易裁判所あるいは地方裁判所における調停あるいは家庭裁判所における調停というものを加えますと、裁判官は大変だろうなあ、出てくる当事者ももちろん大変ですけれども、全然法律がわからない人に要件事実がどうだからあなたの方でこの点主張しなさいとかいうのも大変だなというふうにも思います。 そこで、そういうふうに当事者が裁判所へ出てこられる、弁護士に頼まなかった、このような理由の問題でございますけれども、万一これが弁護士に依頼する資力に欠けるためにやむなく自分が本人で裁判をやっているんだという人を含むとすれば、これはゆゆしき問題である、このように思うわけでございます。こういう観点から、この際、若干法律扶助という問題について伺っておきたいと思います。 日本国憲法には、「すべて国民は、法の下に平等であって、」「経済的又は社会的関係において、差別されない。」このように定め、また、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」このようにはっきりと定めているわけでございますけれども、この二つの条文によって保障した裁判を受ける権利、これはだれがだれに保障したものなのか、まことにあれですけれども、大事な問題ですので、法務大臣から御答弁をいただきたいと思うのでございます。
○遠藤国務大臣 御指摘のとおり、憲法三十二条においては国民が裁判を受ける権利を有している、この点に対しては私自身も承知をいたしており、これを拘束すべきではない、こういうふうな考えを持っております。それで、裁判が受けたくても受けられなかったというような先生のお話も承知をいたしておりますが、これは結局訴訟費用といったらいいか、そういうようなのが欠如しているというような点もございますのですが、この点は法務省自体としては幾らかのあれはあるようでございますけれども、案外回転率が悪いように承知をいたしておるのです。 これは、この席で自分の私的なお話を申し上げて大変どうかと思いますけれども、自分が宮城県の議会議員をやっておったときに、交通事故で損害賠償のあれをやりたくても費用がないというようなことから、県自体にその費用を貸す貸与制度をつくった、そういうようなことで、その結果、訴訟費用は県が立てかえてやっておる。その回転が割合によくて六〇%以上になったというような点で、ある程度の金を投入すればそれで回転しておったわけですが、しかし国の裁判となると、補償の請求とか貸し金の請求のみではございませんので、いわゆる金銭の伴わない問題もございますので、その費用が、出しても後はどうなるかというような点も、きょう先生からこのようなお話をお聞きいたして、改めて自分たちも検討していかなくてはいけないな、こういうふうな考えを持って、やはり国民だれ人も裁判を受ける権利を持っているんだということを再認識しておる次第でございます。御了承願います。
○冬柴委員 権利を侵害され、被害を受けた国民が、その回復を裁判所に求める、そのための資力に欠ける、そのようなときに国家が、日本国がこれを救済するために所要の救済策を講ずるということは、今示した憲法上の国家の責務でありまして、これは明白であると思います。そのような意味で、国家がそのような国民に対して、県議会に言うのじゃなしに、国がそういう場合には訴訟の費用を貸与する、あるいはある場合には給付をする、このような考え方があってしかるべきではないか、私はそのように感ずるわけでございますが、我が国の法令の中に法律扶助について国の責務をきちっと決めた条項があるのかどうか、そのようなものについて御質問いたしたいと思います。 〔井出委員長代理退席、委員長着席〕
○野崎(幸)政府委員 法律扶助に関しまして定めてある法律といたしましては、法務省設置法がその一つでございまして、第三条第三十号に法務省の所掌事務の一つとして「貧困者の訴訟援助その他人権の擁護に関する事項」というものを挙げております。もう一つは弁護士法でございまして、三十三条第二項は、「弁護士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。」といたしまして、その九号で「無資力者のためにする法律扶助に関する規定。」ということを定めております。
○冬柴委員 今の両条文から見まして、国が国民に対してこのような場合に法律扶助をすべき義務を定めた、このような解釈をしてよろしゅうございますか。
○野崎(幸)政府委員 この問題は非常に難しい問題でございます。御承知のように我が国の民事訴訟法は弁護士強制主義というものをとっておらず、また、弁護士費用の訴訟費用化というものを認めておらないわけであります。したがいまして、訴訟というものはだれもがどの審級におきましても弁護士がなくても遂行し得る、こういう建前になっておるわけであります。したがいまして、弁護士を依頼すべきだと考え、その資力のある人は弁護士に委任して訴訟を行う、こういう建前がとられております。 しかしながら、先ほど来御指摘になっております裁判を受ける権利というものを十分のものといたしますためには、訴訟によっては弁護士に依頼しなければなかなかうまく遂行することができないという訴訟があることも事実なのでありますから、そうした人に対して国が援助の手を差し伸べてその費用を立てかえる、そういった形でもってその権利をより十分なものにするという努力がなされることはまことに好ましいことでありまして、そういう考え方から現在の法律扶助制度というものが成り立っておるわけであります。 これが責務である、義務であるということになり得るかどうかということになりますと、先ほど来申し上げております弁護士強制の問題などとの関係で非常に難しい問題があるということは御理解いただけると思いますけれども、私どもが裁判を受ける権利というものをより完全なものにするために法律扶助制度というものをもっと充実したものにしなければならないと考えていろいろ努力をいたしておるのは、先ほど来申し上げたところからでございます。
○冬柴委員 昭和五十五年二月十九日に本衆議院法務委員会において、当時の倉石法務大臣はこのような答弁をしていらっしゃいます。現在、日弁連すなわち日本弁護士連合会及び協会すなわち財団法人法律扶助協会及び人権擁護局との間に研究会を設けまして、鋭意検討いたしておる最中でございます、このような答弁がございました。 それから同じ五十五年五月十三日のやはり衆議院法務委員会におきまして、中島政府委員がこのような答弁をしていらっしゃいます。「将来のわが国の法律扶助のあり方につきましても、外国の制度なども参考にいたしながら検討を進めてまいりたいと思っております。」このようにお答えになり、重ねて倉石法務大臣は「ただいま局長からお答えいたしたとおりでありますので、法務省といたしましてもそのような方向で努力してまいるつもりであります。」このようなことを六、七年前には答弁をされているわけでございますが、この研究会とかあるいは外国の制度などに照らして検討を進める、このようにおっしゃったその後の経過要領及びその結果、中間でも結構ですが、どのようになっているのか、その点についてお答えいただきたい。
○野崎(幸)政府委員 今御指摘になりました研究会でございますが、昭和五十三年から昭和五十六年までの間、法律扶助研究会という名称で扶助協会、法務省、日弁連の三者が月に一回程度集まりまして、法律扶助事業の現状、法律扶助の対象、扶助事件の管理、立てかえ金の管理、事務手続の合理化、適正な事業規模と財源などの問題について議論をしてまいったわけでございます。 結局この研究結果は、それぞれの立場からの主張がなされてまいりましたけれども、うまく一つのものにまとめることができないままに終わりまして、その後は、御承知のように扶助協会は扶助協会で、日弁連は日弁連でそれぞれの立場から法律扶助のあり方というものに対していろいろ御研究になり、それぞれの成果をいろいろなところで御発表にもなっておる。私どももいろいろな角度からこの法律扶助制度というものを検討してまいっております。そして現在の段階では、せっかく今の制度が根づきつつあるわけでございますから、この現行の法律扶助制度というものをより充実させ、発展させていくという方向で努力していきたい、かように考えておるところであります。
○冬柴委員 時間も迫ってまいりましたが、このような答弁がなされました後に、イギリスにおいてサッチャー首相が一九八四年、昭和五十九年、国庫から三億ポンド、一ポンドは三百三十三円八十銭でございますから約一千億円を支出された、このようなことが報道されております。もちろんここは民事だけではございませんで、刑事の扶助も含んでおります。若干の制度の相違ももちろんございますけれども、本年度の政府提案の予算の中にはこの法律扶助制度、これは低いとか高いとかの問題でございませんで、金額では八千四百万円余りが計上されておりますけれども、イギリスの制度と比較してその精神におきまして相当な開きがある、このようなことを強く感ずるわけでございます。 最後になりましたけれども、法務大臣に一点お伺いしておきたいわけです。 先ほど申しましたけれども、ことしは登記法も百周年でございますけれども、憲法は発布四十周年という佳節を刻む年でもございます。日本国憲法の一つの大きな柱であります基本的人権の擁護、この点を所管される法務大臣として、憲法問題ですから法務省の所管だけではございませんけれども、閣議など適当な機会に法律扶助等を含む人権擁護についての格段の発展を望む適当な提言等をぜひいただきたい、このように思うわけでございますけれども、その点についての大臣の所感をお伺いいたしたいと思います。
○遠藤国務大臣 御指摘のとおり、ことしは登記法の百年、憲法制定四十年という一つの大きな記念すべき節目の年だ、こう申し上げても誤りじゃないと思います。さような点で、これからのより以上の改善といいましょうか、進歩には反省も必要だ、こういうふうな点で、先ほど来申し上げておるように私的な法曹基本問題懇談会などをつくって、これからの検察また裁判所の希望者が一層情熱を燃やして、日本の社会がより以上向上していくにはどうしても法の秩序、人権擁護、財産保全ということが大切だ、そういうふうな思想でいくには希望者をもっと多くしていかなければならぬ、そういう考えもございましたし、もろもろ法曹全般についてもその懇談会で、先ほどお話しのとおり、自分たちは手足にあかぎれを切らしてやったんだからおまえたちもそれでやれということではなく、自分の子供には親の苦労のようなことはさせないで、よりよき向上をせしめようという考えでやっていきたい、こういうふうな考えでございますので、今の先生のような御意見、この登記の問題については一度閣議では発言をいたしておりますけれども、さらにいずれかの機会に先生の御意思を閣議に反映せしめたいということをお約束申し上げておきたいと思います。
○冬柴委員 終わります。
○大塚委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 冒頭でございますけれども、実は私きょうは内閣官房長官、あるいはどうしてもやむを得なければ副長官という出席要求をしたのでございますが、外交上の日程ということでどうしてもやりくりつかぬというお答えであったわけでございます。実は私がこの問題を提示しましたのは、過日中曽根総理が中国に行かれる直前に官房長官の出席を求めたら、そのときも外交上のスケジュールでだめだということで副長官が来られまして、そのときに靖国問題を取り上げまして、また中国で謝ってくるのじゃあるまいなと念を押したのですな。ところが、そのときには絶対そういうことはございません、そんな話は出ませんしというような話でございましたが、結果を聞きますとやはり似たようなことであったわけです。 御承知のように、この二十四、二十五日は日切れ法案を集中審議するという時期でございますから、ほかの委員会にとられているというのならまだわかるわけでございますが、外交上の日程ということで、その中身を聞いてみましても、本当に我々の質問を受けなくてもいいような中身とは思えない。私も海外におりましたからアポイントメントの重要さは知っておりますけれども、いささか法務委員会軽視ではないかというように、私は強く委員長に申し入れたわけであります。委員長もいろいろ苦労されたようでありますけれども、聞くところによりますと、今回は勘弁してくれ、そのかわりに次回には必ず官房長官御自身が来て答弁するというお約束だそうでございまして、それで本日は日切れ法案でございますし、官房長官においでいただくことを断念したのでございますけれども、委員長、この点官房長官は遺憾の意を表した上でそういうお答えでございますね。よろしゅうございますか。
○大塚委員長 そのとおりです。御趣旨に沿うように努力いたします。
○安倍(基)委員 私はこの問題を何で取り上げたかといいますと、やはり裁判を行う上で、これは定員法でございますけれども、行政府は法というものに対する厳しい認識がなくてはならないということが中心なわけです。この法案の中身も後半でいろいろ質問するつもりでございますけれども、前半におきまして、今度官房長官御出席のときにまた詳しい話をいたしますけれども、私の大きな趣旨を一応お話ししておきます。 前回も私は委員会で恩給法と遺族援護法との関係を質問したつもりでございます、いわゆる靖国神社でA級戦犯を合祀から外すかどうかという点について。文芸春秋の「諸君」という雑誌がございまして、延々と俵孝太郎という人と――実は私は去年の「文芸春秋」に中曽根外交を批判した論文を書きました。それを法務大臣ごらんになったと思いますが、それに端を発したというか、あるいは藤尾発言に端を発したというか、その後あるジャーナリストが東条さんの遺族を訪ねていった。東条さんの遺族がいろいろな話をした。それに対し俵孝太郎氏が反論をしているわけですね。それに小田村四郎という人が再反論し、それをまた俵さんが再反論している。また次の号には小田村さんが再反論する予定だそうでございまして、非常にホットな問題になっているわけです。 そこで私はまず最初に、ちょっと話が飛びますが、前国会の本会議で中曽根総理が、大東亜戦争及び中国戦争について、大東亜戦争はやるべからざる戦争で間違った戦争である、中国に対しては侵略の事実があった、侵略戦争であるということを言っているわけです。これは、去年の中曽根さんの言動からしまして百八十度転換でございます。ここで私は官房長官にそのことをお聞きしようと思ったけれども、かつて内閣が、我が国の総理が日本の戦争を公の場で侵略戦争であったと言った事実があったかどうか、それをお聞きしたい。的場君は私の後輩でもございますし、あらかじめこの問題を出してなかったものですから、この場で官房と外務省と一緒になって、特に外務省、これは御存じですか。戦後の講和条約発効後、日本の総理が日本のかつての戦争を侵略戦争と言った事実があったかどうか。 実は私はかつてシドニーの領事をしておりました。そのときの総領事が高島総領事でございまして。その方が後日条約局長になられて日中の交渉に行かれたわけです。そのとき彼は、周恩来に法匪と言われながらも、侵略という言葉を絶対使わなかったと私は記憶しております。それが日中共同声明になって、その場合に侵略戦争という言葉を入れるか入れないかで大激論があったと聞いております。私はその記憶が正しいかどうかわからぬけれども、戦後の日本の総決算ということを口にした総理大臣がいやしくも本会議の場でこれは侵略戦争であったと思いますと、そういう事例を調べて、それを提出していただきたいと思うのです。よろしいですね。いかがでございますか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生の御指摘の答弁例につきましては、本会議でそのような御答弁があったかどうか、私合資料を持っておりませんので、調べてみたいと思います。
○安倍(基)委員 これは総理についてですか。それから私が要望しておりますのは、本会議以外の公の場で、あるいは外交交渉の場においてそういったことの事実があったかどうか、それをお聞きしたい。それとともに、今回の中国訪問でそれに類した発言があったかどうか。その二点もお調べ願いたい。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 先ほどの御指摘は総理の御答弁というふうに理解いたしております。なお、外交交渉の場でそのような発言をしたことはないというふうに承知しております。
○安倍(基)委員 前回中曽根さんが行かれて鄧小平なり幹部といろいろ話された内容でそういった要素があったかなかったか、私はそこを聞いております。
○谷野(作)政府委員 お答えいたします。 総理が国会等の場であのような御発言があったことは私も承知しておりますが、外交交渉の場で同様の御発言があったというふうには承知いたしておりません。
○安倍(基)委員 いかがですか、法務大臣。公式参拝というのは、もしこれが侵略戦争であると総理が言うならば、それで死んだ人は戦争犠牲者ですね、国を守るための名誉の戦死者じゃないのですね。どうお考えですか。
○遠藤国務大臣 お話しのとおりでございまして、自分自身が戦いに行って戦死したのでなくして、国の、何といいましょうか、命令によって戦いに行ってお亡くなりになったということでございますので、その点は先生のお話のとおりだと思います。
○安倍(基)委員 ということは、まだ余り法務大臣直接の質問じゃなかったものですから、これはまた下の人がよくレクチャーしていないと怒られても気の毒だから余りあれでございますけれども、しかし、今の発言は重大なんですよ、官房長官あるいは総理に直接お聞きしたいのですけれども。つまり、戦争犠牲者は国を守るための英霊ではないのですよ。侵略戦争の手先になって死んだ人間になるわけですよ、一国の総理がそれを認めれば。それは犠牲者に対する哀悼の気持ちはあっても、名誉の戦死者に対する尊敬の神として、いわばそれは英霊として、よく国を守ってくださいましたということに対する敬意ではないのですよ、もしこれが侵略戦争と一国の総理が認めるならば。そうお思いになりませんか。確かにあの命令のもとに戦場に赴いた方々には違いありませんね。亡くなりましたね。ところが、これは国を守る一面があったとおっしゃるかもしれないけれども、一応侵略戦争であると言う以上は、その手先で死んだ気の毒な犠牲者なんですよ。どうお思いになりますか。
○遠藤国務大臣 法務委員会でこのようなお話になるというのも全く寝耳に水でございまして、何とお答え申し上げたらいいか、総理の本会議の言葉なり何かについて官房長官なり副長官なりの答えが出てからまで留保させていただきたい、こう思います。
○安倍(基)委員 まことにお気の毒だと思います、直接急に聞かれて。これは本当に官房長官もしくは副長官が来て答弁すべき問題ですから。ただしかし、これは非常に総理は基本的な哲学がないと私は思うのですよ。公式参拝を何で求めるか。それは戦死者、つまり戦争犠牲者に対する哀れみを請うているのじゃないですよ。そうじゃないですか。その辺を、的場君が来たが、あなたは答えなくてもいいのですが、あなたはその意をよく伝えてほしい。これは本当に、私は別に遺族会の援助を受けてもいなければ、大体遺族会というのは自民党後援ですからね。私は遺族の気持ちになってみたときに、まさかあれだけ――今までの靖国神社問題は政教分離の立場からこうなったわけですね。それを一応踏み切った。戦後日本の総決算と銘打って中曽根さんは参拝をしたのですよ。それで遺族が喜んだ。英霊が慰められると思った。ところが、その中曽根さんが中国に行って一言言われた途端に、あれは侵略戦争でしたと言い出したわけですよ。侵略戦争でしたということは、かの田中角榮さんもきちっとそれは拒否してきた。私の伝え聞くところによると、たしか高島条約局長は、当時さんさんと周恩来にたたかれながらあくまで頑張り通したと私は記憶しています。その事実があったかどうか、外務省の方、答えてください。
○谷野(作)政府委員 お答えいたします。 当時の日本側の首脳のお気持ちというのは、先生も御承知の共同声明に一番よくあらわれておると思いますので、その部分を読み上げてみたいと思います。すなわち、七二年に発出されました日中の共同声明の前文におきましてこのように述べられております。「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」こういうふうに述べておる、先生も御承知のとおりでございます。これは、日中の国交正常化に当たりまして、我が国が戦争を通じて中国国民に大きな損害を与えたということについての深い反省の念を高いレベルでお示しになったものと理解しております。
○安倍(基)委員 その前文は、既に小田村さんの論文の中に出ているわけです。私もそれをちゃんと読みました。しかし、そこでは侵略戦争という言葉だけは使わなかったのです。気の毒なことをしたということは言っています。しかし、侵略戦争という言葉は使わなかったのです。たしか、それも交渉の過程において、侵略戦争と明記しろという交渉があったと私聞いておりますけれども、それは事実ですか。
○谷野(作)政府委員 お答えいたします。 何せ古い話でございますから、私も当時の交渉に参画した者でございませんので、正確なお答えはいま一度調べての上でした方がよろしいと思いますけれども、私どもも後輩としてそのように外務省の先輩から聞いておることは事実でございます。
○安倍(基)委員 これはいささかやぶから棒の質問で、関係者の方まことにお気の毒なんですけれども、ただ私は、今度のいろいろな関連を見まして、まさに総理あるいは官房長官の考えかもしらぬけれども、まことにおかしい。これは本当に公になりましたら、まあせいぜい本会議の議事録に残ったくらいで、余り報道されていません。しかし、今まで戦後の、私はそこで聞いているのですよ。調べてください。戦後の総理大臣で、外交の場あるいは国内の公の場で日本の戦争を侵略戦争と言った者があるかどうか。 哲学の問題ですね。しかも、中曽根さんが一番戦後の総決算ということをしきりと口にしていた男じゃないですか。私は個人的に彼を弾劾するつもりは少しもない。個人的には一つも恨みも何もない。ただ、公の立場からいってこのように哲学のない総理というものが今まであったかどうか。 私は売上税についてまた大蔵委員会で、きょうはこれが終わったらすぐ行くのですけれども、売上税はほかの人にやらせまして、また大蔵委員会でも後でやりますけれども、私は大蔵の先輩ですよ。確かに彼らが財政再建で一生懸命になったのはわかります。しかし、やはりこの税にはいろいろの問題点がある。しかしそれ以上に、中曽根さんがいわば選挙のときにわざと隠した。藤尾さんがあれまで言おうと思ったのを押さえ込んだ。私がうそをつきそうに見えますかと大見えを切ったその人が、縦、横、斜めじゃないから大型じゃございませんとか、一億円まではどうですから大型ではありませんとか、今や自分の命を捨ててもいいなんと言うのです。もし言うのだったら、私は何で選挙の前に言わないのかとテレビの前で言いたいところだ、本当のところは。ほかの連中も言ったかもしれませんけれども、選挙の前に、自分は命をかけても国家百年の大計のためにこの税法を通すと言うべきじゃなかったですか、それと同じことなんです。あなたを怒ってもしようがない、また後藤田さんを呼んでやりますよ。よく言っておいてください。後藤田さんというのはなかなか立派な男だと思っていますよ。しかし、中曽根さんと一緒にやっている行動はまさに哲学なき政治ですな。何も口からぽろっとこぼれたという話じゃないですよ。 私はこの発言を聞いて、全国の遺族の皆様そして英霊、何のために公式参拝を要求してきたんだ。名誉ある戦死者としての、国の代表としての敬意を求めていたのじゃないか。それを何ぞや、戦争犠牲者だ、侵略戦争のいわば走り使いの気の毒な人間ということでもって国家の代表の参拝を求めていたのか。私は、まさに中曽根さんが一年続けてやって本当に正体がばれてきたと言わざるを得ない。余り時間もないですから、これは一応また次回の官房長官に対する質問のためにとっておきます。 一つちょっとお聞きしたいのは、法制局の方です。私はこの前、恩給法と遺族援護法との関係を聞いたのです。その趣旨は、A、B、Cすべての戦犯の遺族に公務死という呼称のもとにいわば恩給が渡されているわけです。その前に遺族援護法というのがある。遺族援護法というものは、遺族が気の毒だ、社会保障の立場から考えられてしかるべきものだ。恩給というものはその役務に対する対価なわけですよ。相手が気の毒とかじゃなくて、いいことやったよ、それに上げましょう。ですから、罪になった人間は、軍法会議で処刑された、あるいはいろいろな罪を犯したという人間は当然恩給権がないのです、遺族に対しても。ところが、この戦犯はすべてにつき恩給を与えられたわけです。もしA級戦犯が外されるべきであれば、BもCもあれでございましょう、確かに指導される立場あるいは指導されない立場といういろいろな常識論がありますけれども、もし国内法的に罪と考えたなら、少なくとも恩給法を改正するときに十分論議されて、これは国内法的に罪だから恩給は与えるべきではなかったと言うべきだったじゃないでしょうか。私はこの前もその論をしたのですけれども、たまたま俵孝太郎氏と小田村四郎氏との間の論争で、俵氏はこれは社会保障だ、遺族が気の毒だからやったんだ、小田村氏はちょっとそれと違った、私と同じ見解を述べているわけです。私は、恩給法の性格からいって、これはむしろ法的には遺族援護法と恩給法とは一線を画してしかるべきものであると思いますけれども、その点はいかがお考えでいらっしゃいますか。
○関政府委員 前回と申しますか、昨年の十月二十二日に先生から御質問がございまして、私どもの長官から御説明しておるところでございますけれども、先ほどお話のございました公務扶助料相当額の扶助料が、援護法による交付金と申しますか、年金等の支給が決められた後に出されております。それは、昭和二十九年の恩給法の一部改正によりまして、戦犯として拘禁中に死亡した者の遺族に公務扶助料相当額の扶助料を支給されるようになったということでございまして、それは、実はその改正の際の議員修正によってなされたものでございます。この点も長官からお話ししたところでございますけれども、その際の修正案の趣旨ということでございますが、そのときの御説明によりますと、これも先般申し上げてございますけれども、遺族の方々の生活の点を幾分でも緩和いたしたいという趣旨でこの修正案が出されていると承知しております。 そして他方、恩給法九条の第一項第二号及び第二項におきまして、一定程度以上の刑に処せられた場合には恩給を受ける権利を失うということになっていることも事実でございますけれども、これも長官から御説明申し上げましたとおり、この規定は国内法上の受刑者、国内法に基づく罪によっての受刑者に対して適用されるものでございまして、戦犯はそれには該当いたしませんのでそれには当たらないということで、そういう公務扶助料を支給する措置とそれから今の規定との関係では特段の問題はないというふうに考えているわけでございます。大体そういうことでございます。
○安倍(基)委員 今のそれは、遺族がかわいそうだとかなんとかいう話、そういったことはあったでしょう。しかし、本当に本人が罪人と判断すれば、遺族がかわいそうという話はないのですよ。それは遺族援護法で考えるべきだ。恩給法というものは、本人を本当に罪にはしてないわけですよ。国内法の罪はないからと言うけれども、もし国内法の罪にするのであれば、罪とみなすのであれば、そのときに恩給法を改正すべきではなかったのですよ。恩給法が既に改正になった以上は、その法律というものは動くわけですから。もし合祀を外すと言うのだったらまず恩給法から変えなければいかぬじゃないか、私はそう言っているわけです。今のあなたの説明はわかりますよ、わかりますけれども、ナチスドイツのように、あるいはムソリーニを逆づりにしたように、本当に国内法的に罰していればそれはそれなりの意味があるのです。我々は国内法的には罰していない形で来ているわけです。それは戦後の日本の体制なわけだ。要するに私がこの前述べたように、A級の戦犯で死刑になった者は、平和に対する罪というよりは人道に対する罪で死刑になった、私はウェッブ裁判長に直接会って談話を聞いているわけだから。それを本に出している。それは「文芸春秋」に引用してありますけれどもね。でありますから、そう簡単に――全く彼は心棒がないですよ、哲学がないのですよ。ないから、こっち言われるとこうし、こっち言われるとこうし、防衛庁長官などが聞けばまさに泣きたくなるような、長官はわからぬでしょうが、自衛隊の連中あるいは旧軍人が聞けば本当に泣きたくなるようなことを言っているわけですよ、実際のところ。そう思いませんか、中曽根派の人には悪いかもしれぬけれども。 じゃ、きょうはその辺で、あなた方を責めてみてもしようがない話だから。外務省の方と内閣の方で、かつて日本の講和条約、特に講和条約の前は、吉田さんというのはしっかりした人だと思うけれども、発効後に、要するに日本の過去の戦争を侵略戦争と、外交交渉上も外交上の発言上も、あるいは公の場で言った記録を出してください。探してください。一人や二人いるかもしれない、私の記憶違いかもしれぬけれども。本会議の場で堂々と言っているのですよ。これは大変重大なことなんだ。売上税も実際重大かもしれません、我々の生活にすぐ響くわけだから。あるいは野党として言うのはおかしいけれども、私は野党でもいろいろ変わった野党ですから聞いているわけであります。政教分離で拝みに行かないというのだったら、それはそれで筋が通っている。まさに通っている。それを克服して戦後日本の総決算と言った人が、今やあれは侵略戦争でございましたと、こう言っているわけだから。私は、ここは別に演説会の場所じゃないからこの辺でやめておきますけれども、ちょっと最後に法務大臣の御感想を聞きたい、私の考え方に対して。
○遠藤国務大臣 感想と言われますと、何と申し上げたらいいか、ちょっとその言葉すらわからないわけで、唇寒し秋の風といいましょうか、余計なことを言ってまたいろいろこんがらからせても大変だし、せっかくの先生の御発言、よく私なりに承知をいたしておるわけでございまして、とうとい戦死をされた方に対する先生の悲憤というような点も十分かみしめたいと思います。御理解を願いたいと思います。
○安倍(基)委員 余りしつこく皆さんに聞いてもあれですから、この問題は別として、本来の法令の問題に移りましょう。外務省の方も内閣の方も結構でございます。もしよろしければ聞いていかれたらいいと思う。 いろいろ私も、去年もこの法案の審査にタッチしたものですから、似たような話になるかと思いますけれども、さっきの同僚議員からの話もありまして、最近非常に判検事、特に検事がやめていくという話も出ましたね。これはなかなかそういう制度というものを、例えば将来病気がどのくらい出てくるから医者がどのくらい要るとか、そういう長期的な見通しがないとこれはいかぬと思うのですよ。というのは、何だか採用数も大体昔ながらで決めておって、先々どうなるんだという問題が必ず起こるわけですね。そうすると問題は、今後における訴訟案件がどう増加していくのだろうか、そういう長期的な見通しがあるかどうか。訴訟案件がどんどんふえてくれば、これは判検事をふやさにゃいかぬ。どんなテンポでふやしていかにゃいかぬのだろうか、ただ予算がないないで話が済むものかどうか、あるいは訴訟が減っていくのかどうか、ちょっとそれは考えられませんけれども、この辺についてのいわば長期的な見通しをどうお持ちかということでございますね。いかがでございますか。
○山口最高裁判所長官代理者 将来訴訟事件がどういうふうな傾向をたどるかという予測の問題につきましては、非常に難しいわけでございます。この訴訟事件がどういう要因によって発生するかということにもかかわってくるわけでございますが、そのときどきの社会情勢あるいは経済情勢、さらには国民の権利意識なり法意識、さらには訴訟制度がどう機能しているか、そういうふうな現状の問題、これらが複雑に絡み合って訴訟件数の発生をもたらすものであろうかと考えられるわけでございます。そういうことの次第でございまして、例えば五年先あるいは十年先、地裁の民事第一審通常訴訟事件がどれくらい出るかということを今の時点で予測するということは、非常に至難のわざではなかろうかというふうに考えているわけでございます。 ただ、最近の状況を見てみますと、例えば五年ぐらい前の五十六年と六十年を比較いたしますと、民事につきましては、高裁ではほぼ一万一千件台で推移しておりますし、地裁では十三万五千件のものが十三万二千件と若干減っております。ところが簡裁は、これも御案内のとおり消費者信用の増大に伴いまして、五十六年に九万ございましたものが六十年には二十三万件と、かなり増加したわけでございます。ただ、この傾向も六十一年になりますと若干下向いてまいっております。 そういう状況でございまして、ある一つの経済的な要因に起因いたしましてがっと事件がふえてくる場合もございますし、そういうような点がございまして、なかなか将来予測が困難なわけでございます。社会経済状態が余り変動しないという前提で考えてまいりますと、クレジット等の増加もございまして、簡裁の民事事件はいわば高値安定のような形で推移するのではないか、地裁の民事第一審の通常事件は徐々にふえていくのではないか、刑事はやはり地裁、簡裁ともほぼ横ばいで推移するのではないか、こういうような見通しを立てております。
○安倍(基)委員 私が出した問いの中で、直観的にと言ったら正しいと思うのですよ、直観的に考えれば、民事上のちょっとしたトラブルがばっとふえてくる。難しいのは要するにそう変化しない。だから、こういった非常に細々したトラブルがどんどん訴訟に持ち込まれるようになるだろう。さっき、上級裁に行くものが少ないというのは、本当は持っていきたいけれども、時間ばかり食っちゃって、やっているうちに嫌になっちゃうよ、こういうのが多いと思う。だから、これは処理能力との関係もあるわけだ。ちょっと変わった言い方をすれば、関数なわけですよ。発生する件数と、それをどう受けていくかという二つの要素の関数になるわけですよ。だから結局、今の体制でいけば、簡単なものが上がって、難しいのはほとんど上がってこない。それも一つの方法でしょう。それなら逆に、これからの判検事の養成のときに、それはだれもかれも立派な人がそろっていればいいけれども、今は判検事の数は決まっているわけでしょう。それをAランク、Bランクとつけては申しわけないけれども、ある程度大量処理できる、あるいは同じ人でも、簡単に処理していって、ある程度難しいものは集中的にやる、そういう体制を考えなければいけないんじゃないか。 そこで、私はここに問い三で、かつて審理期間の国際比較を質問したことがあるが、国際的に見て、人口比で見た訴訟案件、判検事の数、弁護士数において日米、日英等の比較があるか、お聞きしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 アメリカあるいはイギリスでございますと、裁判官制度も日本とはかなり違ってございまして、一概に比較できない問題がございます。 比較的似通っております西ドイツとの比較で申し上げさせていただきますと、事件数はやはり西ドイツの方がはるかに多うございます。例えば一九八三年の西ドイツの地裁の民事訴訟事件、これは既済件数、処理された件数でございますが、年間三十七万件ございます。我が国との比較で申しますと、これは三倍ぐらいございます。それから、区裁判所の第一審の民事訴訟事件の既済事件でございますが、これは百十五万件ございます。我が国の簡裁が二十何万件でございますから、これは五倍ぐらいございます。それから、似通った支払い命令、これがドイツでは六百万件ぐらいございます。我が国は六十何万件でございますから、ほぼ十倍近い。ドイツは御承知のとおり我が国の人口の半分ぐらいでございますから、それぞれ人口比でやりますと、地裁の民事一審通常訴訟事件は我が国の六倍、簡裁は十倍、それから支払い命令は二十倍ぐらいの比率で事件が起きている、こういう状況がございます。
○安倍(基)委員 私がついでにお聞きしているのは、判検事とか弁護士の数の比較です。
○山口最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。ドイツの連邦共和国の裁判官数は約一万七千でございます。我が国の裁判官は二千七百ぐらいでございますから、ざっと六倍ぐらいでございましょうか。
○安倍(基)委員 だから、私がさっき申しましたように、それは要するに関数なんですよ、発生案件とどのくらい処理してもらえるかという。処理している可能性が高くなれば、また持ち込む率も高くなるわけです。ですけれども、むしろ減らすために受け皿を減らしているというのはまたおかしな話で、結局今まで判検事の数を考えるときにそういう全体的な見方がどうも足りなかったのじゃないか。法意識が非常に広がってくる、需要は随分ある、供給はどうか。供給が非常に狭められておるから需要も伸びなかったが、無理に件数をふやせとかじゃないですよ、だが、当然これからますます細かい権利関係のあれが出てくるわけです。 そういうふうに、将来五年後、十年後のビジョンに立ったときに、どういうぐあいにこういった判検事、弁護士の数を持っていくのか。何もかも訴訟になってはそれはまたいやな風土がありますけれども、ただ、暴力団とかいろいろありますが、手軽に裁判に持ち込めれば、そう言っては悪いけれども、なかなか法の目が届かないから、手が足らないからああいった妙なのが出てくるわけだと思います。そして、正義の味方面をした者が横行するようになる。しかし、もちろん予算の話もあるから、何も私は大盤振る舞いしろと言うわけではないけれども、少しそういうところを長い目で見て考えたらどうか、これはあなた方には非常にいい話かもしれませんけれども。 ちょっと話は飛びますが、これはいつものあれですが、大臣に聞くと悪いけれども、「一生懸命」という字がありますね。あれは「生」が正しいのか、「所」が正しいのか、いかがでございますか。
○山口最高裁判所長官代理者 私自身の学識のないところをさらけ出す結果になるかもしれませんが、私の記憶いたしておりますところでは、「所」を書きまして「一所懸命」というのが本来の使い方であったというように考えております。
○安倍(基)委員 まさにそのとおりなんです。大臣、御存じでしょう。というのは、一つのところに命がかかっているというのですよ。かつての封建制度で、この場所をもし失うと命をなくす、一所に、一つのところに命がかかっている、だからこそ鎌倉時代あたり、幕府がおまえのところは境界線はこうだと公平な裁きをしたのが人望を得たのですね。ここがいわば裁判の基礎だと僕は思うのです。だから、本当に公平な裁きというのが大切なんですね。そうなんです。この前、私の同僚の滝沢先生が来て、あの方は非常に漢字が好きな人なんですけれども、それでしょっちゅう漢字の議論をするのだけれども、別にこの議論をしたわけではないが、若い人々は余り「一所懸命」とは知らない。「一生懸命」と思っている。全く違う。いかに裁判が大切かということのいわばあれなんですな。 それで、何で検事や判事が減っているか。私も司法官になろうか、行政官になろうかと思ったのです。しかし、そう言っちゃ悪いけれども、司法は地味だと思ったわけです。だけれども、実際のところ、そう思わせるような司法じゃ困るわけです。弁護士に行った方が金がもうかる。判検事に行くと狭いところに住む。自慢じゃないけれども、かつて私は、判検事の宿舎が余りにぼろっちいというのでそれに随分大盤振る舞いをしたことがあるのです。私は司法というのは大事だと思うのです。それをこれからどういうぐあいに、何年間のビジョンでもってやっていくのか。この公平さが失われたら、本当に社会は滅亡ですよ。だからその点は、私は別に皆さんのあれじゃないけれども、これは福祉の一番の基礎だと思うのです。その面である程度、今財政は苦しいけれども、ほかのものを削ってもこういう司法をどうするかということの長期計画を一つ立てるべきだと私は思うのです。別に大臣を持ち上げているわけじゃないけれども、本当ですよ。私は別にお世辞を言ったわけじゃないのです。そういったことでひとつ大臣も……。 しかも、これからの司法というのはいろいろなことが出てくるのだから、科学技術の知識も相当持たなければいかぬです。それだけにいい人材を集めなければいかぬので、だからある意味から言うと、言い方はちょっと過ぎるかもしれぬけれども、簡単なことをやるのと難しいことをやるのと、これは別に階級をつくるわけじゃないですが、需要に応じてある程度システムを考えていかないとこれからのあれには間に合わぬのじゃないか。例えば英国だったらソリシターとバリスターとありますね。日本は司法書士と弁護士になるのかという、いろいろ似たような制度があるかもしれませんけれども、そういう面で、これはどなたに聞いたらいいのかな、せっかく官房長さんもいらっしゃるから官房長にひとつお聞きしましょう。
○根來政府委員 検察庁の関係について申し上げるわけでございますが、先ほど来大臣も答弁いたしましたように、検察庁の執務環境を改善する、あるいは待遇改善をするということも一つでありますし、また、私が先ほど申し上げましたように、検察官、裁判官、弁護士の入り口であります司法試験制度をもう少し改善いたしまして、若い人がだれでも気軽に受けてきて、だれでも法曹を志望するというふうな雰囲気をつくっていくことも必要だと思うわけでございます。先生のおっしゃる、そういういろいろの事件に対応するトレーニングといいますか、養成も必要だと思いますので、そういうことは検察長官会同なんかでもいろいろ議題になっておりますので、そういうことを踏まえて全力を尽くしたいというふうに思っております。
○安倍(基)委員 そのだれでもなれるというのもまた危ないのです。だから、魅力ある、報酬もそうだし名誉もそうだし、それから独立性もそうだし、おれは判検事になるのだという意欲を駆り立てるような職場にしないと、これはだれでも気軽になっても、でもしか先生のように、でもしか判事になられては実際困るわけです。だから、別に階級をつくれとは言わないけれども、難しいのと易しいのと二種類に分けてでも、いいのには待遇も相当よくする。それから人柄も中心でやはり選ばなければいかぬ。また、公正な人でないとね。そういう面で、私はこれから相当、でもしか先生じゃないけれども、判検事あるいは弁護士がふえる時代になると思う。それに対してどう対応するかということを今から考えておかなければいかぬと思いますよ。法務大臣、いかがですか。
○遠藤国務大臣 大変御理解をちょうだいいたして、本当にありがとうございます。私自身、先ほど来お話し申し上げておることでございますけれども、裁判官なり検事なりはやはりある程度余裕がなければならぬと思うのです。そうしてこそ初めて公正、冷静な判決も出てくる、こういうふうに私は承知をいたしておるわけでございますので、ドイツが幾らだから裁判官が幾らだという、ただ数だけの問題ではない、こう思っておりますので、余裕のあるような制度にひとつ切りかえたいということも私の頭の中に入っておりまして、法曹基本問題懇談会をつくっていろいろ御検討願っているということでございます。できるならば、私の夢だと笑われるかもしれませんけれども、予算の面も、せっかく三権分立ということで分離をしておるので、余りよその大蔵省や何かから制約を受けないような、法曹は法曹の予算を独自にというようなこともあったならばもっとすばらしいことではないかなというような点を考えておるわけです。これはいずれ安倍先生には親しくひとつ御教示をちょうだいいたしたいと思いますが、とにかく法関係の秩序保持ということがいかに国として重要な問題であるか、国民生活にとって大切なものかということで、私どもとして十分検討してまいりたいと思いますので、御理解願いたいと思います。
○安倍(基)委員 ちょっと間違っているのは、ドイツが幾ら、どこが幾らという話じゃないとおっしゃったが、その点はあなたの、先生の理解不足なんだ。やはりこれからの権利意識とか、そういう横並びを見ながら、全体の動きを見ながら長期的な見方をしなければいかぬ生言ったのであって、その辺は誤解しないでください。 もう持ち時間が終わりましたから、またこの次に官房長官から積み残した話を詳しく聞きたいと思っています。よろしくどうぞ。
○大塚委員長 安藤巖君。
○安藤委員 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審議でございますので、できるだけその法案の趣旨に沿ってお尋ねをしたいと思います。 これまで本日のこの委員会でいろいろ議論されてまいったのですが、裁判がどうも長くかかり過ぎる、せっかく裁判を起こしたけれどももうやってもらわぬでもいいよみたいな、これはゆゆしき大事で、裁判不信ということにもつながりかねぬものですから、これは大事な問題だと思うのです。それから、後でも少し議論したいと思うのですが、どうも言い分をよく聞いてもらえなかった、これは中身の問題になりますけれども、そういうような声もよく聞くのです。 後者の方は一応別としまして、裁判が長引いてしようがない。この前もたしかどこかのテレビでそういう問題が指摘されておったのを私ちらっと聞いた覚えがあるのですが、これは古くて新しい問題ですが、これを解決するためにどうしたらいいのかということ、これは最高裁判所もずっと真剣にお考えになっておられると思うのですけれども、どうしたらいいとお考えになっておられるのか、まずこれをお聞きしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 安藤委員御指摘のとおり、裁判の遅延というのは古くから論ぜられてきた問題でございまして、それに対してどのような方策をとればいいかにつきましてもいろいろな研究がなされてきたわけでございます。 御承知のとおり、裁判が長期化する原因といたしましては、非常に複雑、困難な大型公害事件というように、あるいは多数当事者の訴訟のように、事件そのものに内在する原因もございます。それから、裁判所サイドに起因する原因もございます。裁判官の訴訟指揮のありようもあろうかと思いますし、職員等の不足というような問題もあろうかと思います。さらには、当事者サイドに起因する原因もあるわけでございまして、当事者が訴訟活動に熱心でないためにずるずる延びていく。さらには、制度的な問題もございます。制度の改正によって、より迅速な処理ができるということもないわけではなかろうかと思います。それらが複雑に絡み合っているわけでございまして、それぞれについてこういう方策をとればいいというような提言も過去なされてまいりましたし、当事者の御協力を得ながら事件処理上の工夫をいたしまして、平均審理期間で見てまいりますと、やはり年を追って短縮化する傾向はございます。そうは申しましても、長期未済事件というものがありますことは新聞紙上その他で報道されているとおりでございまして、私ども現状がそれでいいというふうに満足しているわけでございません。 それで、どうすればいいかの問題でございますが、一つは、やはり今回お願いしておりますような裁判所職員の増員というのも一つの方法でございます。しかし、それによってカバーできるのは、裁判所サイドに起因する訴訟遅延の原因を幾らか防ぐことができるというだけでございます。当事者サイドに起因する原因あるいは事件そのものに内在する原因は、そのことによってはカバーできないわけでございます。 何よりも必要であると考えておりますのは、訴訟が当事者対立構造を持つ性質上、早いことにメリットを持つのがあれば、相手方は引き延ばすのにメリットを持つという面がないわけじゃございません。どういたしましても、訴訟当事者の御協力を得ながら、裁判所も加わりまして、どうすれば訴訟の迅速処理ができるか、これをお互いに考えながら事件処理上の工夫を重ねていくこと、これが一番肝要かと思います。幸い最近弁護士会サイドからも、訴訟の促進にもっといろいろ主張すべきではないか、こういうふうな動きも出ているやに承っておりますので、私どもも十分弁護士会の方ともお話し申し上げながら、少しでも適正迅速な処理に寄与できるよう考えてまいりたいと思っております。
○安藤委員 大型公害裁判とか当事者が多数の場合とか、そういう特殊な場合は別としまして、それから、いっとき言われましたような引き延ばしを図るとか云々というようなことも、最近は今お話がありましたようになくなってきつつあるというふうにも伺っているのです。そうしますと、やはり大きな原因の一つは、まあほとんど大半じゃないのかという気がするのですが、裁判所サイドという問題の解消に大きな御努力をしていただかなくてはという気がするのですがね。ですから今回のこの法案ということになってきたのだろうと思うのですが、いろいろ議論されてまいりましたように、やはり裁判所職員の大幅増員というのが基本的には必要ではなかろうかというふうに思っているのです。うなずいておられますから、その点については意見が一致しているのではないかなというふうに思いますけれども。 そこで、事件が長引くというようなこともあって、例えば示談屋とか町の有力者に頼むとか、あるいは暴力団が絡んでくるとかというようなこともしばしば聞いておるわけなんです。これは別に暴力団とか示談屋とかというようなことで申し上げているわけじゃないのですが、いろいろ裁判所外で紛争を解決するというような機関が民間でつくられつつあると聞いておるのです。 きょうは、交通事故紛争処理センター、不動産適正取引推進機構、全国クレジットカウンセリング協会、一番最後のはごく最近できたばかりらしいのですが、こういうものについて、その設立の趣旨、それから今どういうことをやっておるのか、仕事の中身などについてまずお聞きしたいと思うのです。先ほど申し上げました順番でいきましょうか。見えておりますね、総務庁の方と建設省の方と通産省の方。交通事故の方からお伺いしましょうか。
○麻植説明員 お答え申し上げます。 財団法人交通事故紛争処理センターは、交通事故に関する紛争について、被害者等の救済を図る見地から、公平中立な立場で迅速適正な処理を図ることを目的とした団体でございまして、総理府が昭和五十三年三月十五日に設立を許可した公益法人でございます。 この法人は、交通事故に関しまして嘱託弁護士による無償の法律相談あるいは和解のあっせん等の事業を、東京の本部のほかに札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松及び福岡の七支部で行っておるところでございます。 以上でございます。
○藤田説明員 不動産適正取引推進機構についてのお尋ねでございます。 御説明申し上げます。 宅地建物取引に関しまして、苦情、紛争の処理については、地方公共団体、事業者団体等におきまして積極的に対応いただいておるところではありますが、内容が、とみに中古住宅流通量が増加することとも相まって非常に複雑、多様化している傾向があるわけでございます。このため早期に何らかの対策を立てる必要があるのじゃないかということでございまして、この点につきましては、住宅宅地審議会の答申でございますとか国会の附帯決議におきましてもっとに指摘されているところでございました。こういったことから、行政的努力と連携いたしましてその充実を図るためには、紛争処理の関係機関の現状が必ずしも十分でないという状況にかんがみまして、中央にその支援機関を設立しまして紛争の未然防止とその適正な解決を図ることが効率的ではないかと考えまして、昭和五十九年四月十二日に不動産適正取引推進機構を設立するという運びになりました。 それで、業務内容でございますが、同機構におきましては、現在、紛争事例の収集とか、それから重要で非常に研究価値の高い事例についての研究活動でありますとか、都道府県の担当部局に対する助言、支援事業といったようなことを行うほか、関係機関ではなかなか解決ができにくい非常に難しい問題、特定紛争案件と私どもは呼ばしていただいておりますが、そういったものについての紛争の解決、調整並びに仲裁ということで未然の防止、処理体制の整備ということを推進していきたいというようなことで、各般の事業を行っておるところでございます。 以上でございます。 〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○北畠説明員 先ほどの安藤委員の御質問の件についてでございますが、御説明をいたしたいと思います。 現在、私ども通産省の方といたしましては、名前といたしまして日本クレジットカウンセリング協会ということで「全国」ではございませんが、財団法人の設立の申請が出されているということでございまして、去る三月十日に設立総会が開かれたという協会でございます。 これを設立いたします背景といたしましては、御案内のとおり、最近クレジット関係につきまして消費生活に非常に浸透してきておるというような状況でございますけれども、一方において多数の債権者に対して自分の支払い能力を超えた債務を負うという、私ども多重債務者と呼んでおりますけれども、これが増加をしておるということで、このあたりの社会的な種々の問題を解決していく必要があるのではないか。このため、もちろんいわゆる与信を与えます事前の段階におきまして過剰与信の防止ということを図っていく必要があるわけでございまして、こういうような多重債務者の発生の未然防止を行ってきておるようなわけでございますけれども、他方におきまして、現に発生をしております多重債務者について社会的なある意味での更生というのを図るというのが非常に重要な課題ではないかということで私どもは対応しておるようなわけでございます。 この機関につきましては、消費者保護の観点ということを非常に重点に置きまして、なおかつ公正中立なカウンセリング業務を行うということを非常に大きな柱としております。それと同時に、クレジットの正しい使い方等についての普及啓発を行う必要性があると考えておるようなわけでございます。 この日本クレジットカウンセリング協会の業務についてでございますけれども、今申し上げましたような目的を達成していくために、これは寄附行為の中に書いてございますが、「多重債務者の生活、債務弁済方法等に関する相談及び助言 多重債務者の弁済計画の策定及び同計画の債権者への提示 多重債務者の弁済計画の履行に関する助言 多重債務者に対する破産・和議等の司法手続に関する助言」ということで、あくまでもいわゆるカウンセリング、相談業務ということで対応をしよう、あわせ同時に、先ほど申し上げましたようなクレジットの健全な利用に関する普及啓発の事業をあわせ行うということにしているわけでございます。 現在、許可の申請が出されておる段階でございますが、通産大臣からの正式な許可があり次第できるだけ早くカウンセリングの業務を開始したいと考えておるような状況でございます。 〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
○安藤委員 いろいろお聞きしましたが、交通事故の方はまさに紛争処理センター、紛争処理と名前にもうたってあるとおりであります。それから不動産取引の関係の推進機構、これもいろいろまだほかにもあるわけですが、紛争の処理の機関が十分紛争処理していない、これはあえて裁判所ばかりだとは申しませんが、やはりそういうのも一つあるのではないか、だから紛争処理の問題もやろう。それから、クレジットの方は多重債務発生の防止ということもお話しになったのですが、その弁済方法もいろいろ助言をしてやっていこうということのようです、ほかにもありますが。 今大まかにお聞きしますと、交通事故紛争処理センターの場合は、設立のころ弁護士会等の方からもいろいろ公正な処理ができるのかどうかというふうに批判あるいは反対の意見も一時はあったのですが、現在これらの機関あるいはこれからつくられようとしているクレジットの関係も、社会的な問題を処理していく上で相当メリットがあると私も思いますけれども、最高裁判所としてはどういうふうにお考えになっているのだろうかなと思うのです。そういうのができたから裁判所としての仕事が大分減ってありがたいわと思っておられるのか。私は、そう思っておられたら問題だと思うのですが、今ちょっとお話ししましたように、本来裁判所がいろいろこういう問題の相談窓口になって、窓口を開放して敷居を低くして対応をしてしかるべきことではないのだろうかという気がするのです。だから、そういうような点でこういう機構あるいはセンター、こういうものができて今お聞きになったようなことをこれからおやりになることについて裁判所としてはどういうふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思うのです。
○山口最高裁判所長官代理者 安藤委員もう先刻御承知のとおり、民事の分野につきましては当事者の私的自治にゆだねるというのが建前であるわけでございますね。したがいまして、民事紛争の解決制度につきましても、当事者同士でやる和解がまず第一次、当時者同士の交渉でまとまらない場合には第三者があっせんいたしますいわゆる調停、それから当事者の合意で仲裁人を選んでその判断に従うという仲裁、こういう自主的、任意的解決制度がまず前提なんだ、それらで賄えない場合に国家権力によって強制的に解決する裁判所制度がある、これまでは大体そういうふうに言われてきたわけでございます。したがいまして、裁判所というのはいわば最後の手段として紛争を持ち込んで強制的に解決する制度である。裁判所におきましても調停制度というものを設けておりますけれども、民訴の手続におきましても仲裁判断の制度がございます。それ以外におきましてもそれぞれ事件の種類、性質に応じまして労働委員会なりあるいは公害等調整委員会なり建設工事紛争審査会なり、いわば準司法機関的なものが紛争の解決のあっせんをするというふうに設けられてきたわけでございます。 今御指摘のそれぞれの機関も、やはりそのような問題意識からそれぞれ設けられたものであろうかと思います。例えば専門性、技術性あるいは定型性といった紛争の実態に着目して、機能的な見地から限られた範囲内での一次的な紛争の解決を目的としているものであると私ども考えておりまして、社会生活の多様化に応じましてそれなりの合理性を有しているのではないかというように考えております。
○安藤委員 争いを解決するための大原則論からお話を伺いましたけれども、それは多様性、専門性、機能性という効果はあるだろうと私も思っています。しかし、契機、動機は、やはり当事者同士で紛争が解決できないからここへ持ってきて相談をされることになるのじゃないかと思う。ということになったら、法律はもちろん否定しないのですが、やはり最初に申し上げましたように、あるいは議論になってまいりましたように、裁判が長い、何ともしようがないという一つのバイパスみたいな格好で利用されておる、あるいはそういう役割を果たそうとしておられるのではないかという気がするのです。だから、今おっしゃったような裁判所へ持ってくる前段階でそういうところでやってもらえば非常に結構だと、それもわかります。しかし一面、裁判所の方がそういう裁判に対する国民の期待を長期化するとかいうようなことで裏切る面もなきにしもあらずだということで、そういうようなことからこういう機関を利用するんだということも出てきておるのじゃないかという気がするのです。 だから、今おっしゃったような論からいけば、それは結構なことでともろ手を挙げて賛成されるような話ですが、翻って、裁判所はではそういう国民のニーズに本当にこたえているのかどうかという反省ですね、それもやはりしていただく必要があるのじゃないかという気がするのです。だから、その点ひとつ指摘をしておきたいというふうに思います。 そこで、本論に入らなければいかぬのですが、裁判官の手持ち件数ということがよく言われておるのですけれども、この手持ち件数を大きな地方裁判所でお尋ねしたいと思うのですが、東京、大阪、名古屋というところの各地裁の民事の通常部でいいのですが、その裁判官一人当たりの手持ち件数ですね、これは今一体何件になっておるのか、お尋ねをします。
○山口最高裁判所長官代理者 東京地裁で申しますと裁判官一係、これは単独体でございますけれども、一係の手持ち件数というのは現在は二百二十くらいでございます。それから大阪が百八十件くらいでございまして、名古屋は二百件くらいというふうに聞いております。
○安藤委員 ついでにお尋ねすればよかったのですが、やはり同じでいいのです、一期日の件数、これは平均してどんなものですか。
○山口最高裁判所長官代理者 これも日に上って違うわけでございますけれども、証拠調べ、和解なども含めまして十五件前後。弁論が十一件くらい、証拠調べが三件くらい、和解が一件少々。私が十年くらい前に東京地裁で仕事をしていたころに比べますと、随分少なくなったなという感じがいたしております。
○安藤委員 今の裁判官一人当たりの手持ち件数、それから先ほどおっしゃった一期日の件数、これは相当異動があるのですか、大体こういうような状態が相当続いているというような状況なんですか。
○山口最高裁判所長官代理者 私ごとを申して恐縮なんでございますけれども、ちょうど十年くらい前に東京地裁で民事の事件を処理いたしておりましたときに、一番多い方の部ではございましたけれども、単独の手持ちが三百二、三十でございましたか。それで合議事件が百くらい、右陪席も大体似たくらい持っておりましたから、一カ部で七百三、四十くらいございました。五、六年前くらいのことを振り返ってみますと、そのころでは通常部で一カ部六百件そこそこだったと思います。最近はこれが五百件台になっておりますので、年を追って負担件数は少なくなっているように承知しているわけでございます。ただ昔に比べますと、今の方がむしろなかなかこじれている事件、あるいは昔なら事件にならなかったようなのが訴訟事件として出てきているというような傾向はあるように伺っております。
○安藤委員 経験も踏まえながらお答えいただいたのですが、私も前から聞いている数字からすれば少し減ってきているなという気がするのですが、どうですか、そういうふうに事件を持っておられて、そういうような開廷一期日の事件数ということで、まともにと言っては失礼ですが、本当に国民の裁判を受ける権利にこたえられるような裁判をしっかり充実してやっていけるものだろうかどうかという危惧の念を持たざるを得ないのです。これは相当な件数ですよ。それぞれ当事者の権利義務に関することですから、これは処理していけるのだろうか、こういう気がするのですが、その点どうですか。
○山口最高裁判所長官代理者 確かに、手持ちが三百件を超えておりましたときはかなりきついなという感じでございました。証拠調べというものも半年くらい先になっておったりしまして、当事者に対して申しわけないなという気がいたしておりまして、その間和解を入れたり、いろいろ事件処理上の工夫をいたしましてやってきたわけでございますが、裁判官が二百数十事件を持っておりましても、それぞれの事件をまんべんなく掌握し、その事件の性質に応じて一番適当な時期に一番適当な解決を与えることが当事者の期待に沿うゆえんであるというふうに皆さんお考えになって、真剣に努力されているように考えているわけでございます。多くの人に負担件数としては大体幾らくらいが適当かというのは聞いてはみますけれども、大体二百前後、二百二十くらいでございますとそれはかなりゆとりがある件数であろうというふうにおっしゃる方が多うございます。
○安藤委員 そうですかね。一人二百件ずっと常時抱えておって、そして一期日が、先ほどの御答弁で、証人なんか入れればもうちょっと少ないのか、大体十五から二十。東京地裁民事通常部でお聞きしても、現在の一期日の件数が平均して二十から二十五件いくわけですね。それから、これは東京簡裁の方ですが、たまたま三月十八日に私が見てきましたら二十五件書いてあるのです。これはえらいことだと思いました。本当に裁判できるのかと思うのですよ。一日二十五件ですよ。よく聞きましたら、被告が出てこないのを見越しているんだ。しかし、出てきたらどうするのか。完全にパンクですよ。こういうような状態で本当にできるのかなというふうに思いましてね。だから、例えば東京地裁の場合でいうと、今これだと民事通常部の数、二十六になっているのですが、二十七にふえたのですかね、昭和六十一年。例えば、現場で状況をいろいろお聞きしますと、もう一部ぐらいふやしてもらったら大分楽になるんだが、充実した裁判ができるんだがなというような要望もしっかり聞いてきたのですが、具体的にどうですか。例えば東京地裁民事の通常部をもう一部ふやす、もちろん裁判官もふやさなければいけませんよ。今度の定数増員法案ではだめですよ。もっとふやさなければだめですが、そういうような部をふやすというようなことはお考えになっておられませんか。
○山口最高裁判所長官代理者 実は東京地裁も今全部で三十七カ部ございまして、通常部は御指摘のとおり二十六カ部でございますが、三十六部、三十七部は比較的最近にふえた部でございます。刑事の方から人を民事へ移しまして、それで部をふやして民事事件増に対応してきた、こういう経緯がございます。現在さらに一カ部ふやすかというふうに仰せになりますと、非常に忙しいころに仕事をした経験があるものですから、今の状況ではそんなに部をふやす必要は痛切には感じないというように私は見ているわけでございます。 ただ、今の事件の処理状況、これが必ずしも十分でないことは私どももよく認識いたしておりますので、今後、事件の動向等を見ながら、民事、刑事のバランスも考えながら必要に応じて裁判官の異動も行いまして、必要があれば部の増設もまた検討しなければならないというように考えております。
○安藤委員 総務局長は相当きついときに経験をされたので、その経験に基づいておっしゃっておるのですから、それはちょっとどうかと思うのですが、もっと科学的に合理的に考えていただく必要があるというふうに思うのです。 そこで、裁判が長引くというような批判におこたえしようとするんだろうとは思うのですけれども、裁判官の数をふやすということも含めて裁判所側の体制の整備というようなことは余り進まなくて、事件の処理を促進する、何件落としたかという、こちらで大分追いかけるというような話、これまた大分古くて新しい話なんですが、事件処理件数表というのですかね、私よくわかりませんが、どの部で、あるいはどの裁判官は何ぼ何カ月間か一年間かに落として、そして未済件数をどれぐらい抱えているかということが一見してわかるような、そういう一覧表というものはそれぞれの裁判所でつくっておられるのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 表の形式がそれぞれ違っておりまして、部、係別で分けてやっているところもございますれば、部ごとにまとめてやっているところもございまして、必ずしも統一はされておりませんが、各裁判所においてやはりそういうふうな事件処理状況を把握できる表はつくっているように承知しております。
○安藤委員 それは、それぞれの裁判所から最高裁の方へ提出させているのですか。
○山口最高裁判所長官代理者 最高裁といたしまして司法行政上の措置、例えば裁判所職員の配置を決めますときの資料といたしまして、統計的な数字は必要でございます。しかし、職員の配置はそれぞれ裁判所ごとに決めておりまして、どの係にどう配置するかは裁判所の自主性にゆだねておりますので、私どもが報告を受けておりますのは、それぞれの裁判所ごとにまとめた数値の報告を受けているだけでございます。
○安藤委員 職員の配置のことはすぐ後でお尋ねするつもりだったのですが、そうしますと、形はあれこれあるけれども、どの部あるいはどの係が未済件数をどのくらい抱えているのかというようなのを最高裁に提出してもらっているというふうに理解していいのですね。
○山口最高裁判所長官代理者 そうではございませんで、例えば東京地方裁判所でございますと、東京地方裁判所の全部の件数、これの新受、既済、未済という形で報告は受けております。個々の各係が幾らということは報告は受けておりません。
○安藤委員 しかし、それぞれの裁判所で体裁は違うけれども、係ごとに未済件数が何件、処理件数が何件というのはつくっている……。うなずいておられるから、それはそういうふうにお聞きしました。 そこで、これはそれぞれの裁判所でつくっておられるについては、どういう目的でやっておられるのですか。処理件数が少なくて未済件数が多いという係あるいはその当該裁判官に対してもっと早く処理をしろというふうにしりをひっぱたく、そういうようなことのためにつくっておられるのではないかというふうに思わざるを得ぬのですが、これはどういう目的なんですか。
○山口最高裁判所長官代理者 これは、現実に一カ部を三人で構成いたしまして事件を処理いたしております場合、例えば単独体で私が二百なり三百なりの事件を持っているわけでございます。そのときに、先ほど申しましたように一番望ましい解決は、それぞれの事件の性質に応じて最も適当な時期に最も適当な方法で解決するというのが一番望ましいわけでございます。したがいまして、裁判官一人一人自分の事件の手持ちが何件あるかというのは常に把握しておかなければならないわけでございます。 これが部になりますと、部の裁判長といたしましては、自分の手持ち件数も把握しなければなりませんと同時に、右陪席の手持ちがどれくらいか、左陪席が主任を務めますところの合議事件がどれくらいか、これは常に把握しなければならないわけでございます。部にそれぞれ新作が配点されてまいります。右陪席の手持ちが多い場合には裁判所の方へ引き取ってやるということも必要でございますし、場合によれば合議に回すという配慮もしなければなりません。したがいまして、部の裁判長といたしましては、部の構成員全体の手持ち状況というものを常に掌握しておかなければならないわけでございます。 これは裁判所全体といたしましても、ある部においてかなり未済がたまってきた、そういたしますと、人員の手当ても考えなければなりません。事務分配の比率も変える必要も出てまいります。そういう観点から、司法行政上適切な措置が講ぜられるようにそれぞれの部、係別の事件処理状況というものを把握しているものであるというふうに考えております。
○安藤委員 そういうふうに状況を把握するということももちろん必要だと思うのですが、やはり私が先ほど来申し上げているように、早く事件を落とせという督促、催促、悪く言えばしりひっぱたき、そういうようなことのために使われているという懸念がするのです。具体的に話を聞きますと、これは労働組合とそれぞれの地方裁判所との交渉の席でそういう一覧表を見せて、どこどこの部は非常に忙しい、たくさん未済件数を抱えている、だから非常によく事件を落とす成績のいい裁判官をそちらへ今度配置がえする、そうするとそっちは早く事件が済むから楽になるよ、そしてだれだれ裁判官はというふうにちゃんと名前まで特定して、処理未済件数が多い、だからこの人はどうだ、こういう話まで出るというのです。となると、これは今事件の中身によって云々と非常にいいことをおっしゃる、これは当たり前の話なんですが、そういうことを抜きにして、何件落とすか、早く落とせみたいなことが実際やられているような気がするのですよ、そういう実態からしますと。その辺よく見てくださいよ。これは、私はきつく注文しておきます。本当に現実にあった話として私は聞いておるのですから。 時間がありませんので、次に行きます。 裁判官の数の問題と関連するのですが、最近裁判官の新任判事補の民間研修ということをやっておられて、これはなかなかユニークなことをおやりになるなと思っておるのですが、それもそうなんですが、それを百尺竿頭もう一歩進めて、法曹一元というようなことを今振り回して申し上げるつもりではないのですが、例えば弁護士経験十年以上の人を裁判官に任用するというようなことはお考えになったことはないのですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございまして、裁判官を民間研修に出すといいますのは、裁判所外の経験をさせて、そして復帰してきたときにそれを裁判所の中でいろいろな意味で生かしてもらおう、その経験あるいは識見を直接ではなくとも役立てたいということなのでございます。したがって、例えば部外の経験のある方に裁判所に来ていただけばそれは直接効果があると申しますか、役を果たすわけでございます。そういう意味で、弁議士であった方に裁判所へ来ていただけば、いろいろな経験を経た裁判官に来ていただくという意味において非常に結構なことであろうというふうに思っております。 問題は、委員も十分御承知のことと思いますけれども、やはり弁護士から裁判官になっていただく場合に任地の問題や収入の問題等いろいろネックがございまして、なかなか思うに任せないところがあるというのが実情でございます。
○安藤委員 今おっしゃった一番大きなネックはやはり報酬の点じゃないかと思うのですが、それはきちっと増額すればいいので、予算との関係は法務大臣がしかるべきところにしっかりねじを巻いていただけば、これは非常にユニークなことができるのですよ。時間がありませんから、特に立ったままで要望させていただきます。 そこでもう一つは、裁判所の裁判官以外の一般職員の問題についてお尋ねしたいと思います。 「裁判所職員の増員の推移」というのをいただいたのですけれども、昭和五十七年から六十一年までの間に裁判所職員の増減はゼロになっているのですね。六十二年で今度七名という増員で、事件数はふえておるのにもかかわらず非常にひどい状況なんです。だから、こういうような実態を踏まえて全司法労働組合が裁判所に対して増員の要求をしておるわけですが、これは何人増員をしておるのか知っておられますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 全司法労働組合との間では、例年五、六月ごろに予算要求に関連する組合側の要求事項について交渉の機会を持っております。昨年も、昭和六十二年度の増員問題に関しまして全司法労働組合との間で何度か交渉をいたしております。その席で組合側の要求というものも聞いておりますが、そのときに、全国の職場で合計千名を超える職員の増員が必要であるという意見が述べられております。
○安藤委員 正確には千百四十二名の増員要求をしているのです。内訳を簡単に言いますと、全部ではありませんが、書記官三百九十七、調査官百三十六、速記官七十、事務官三百六十五というようにずっとそれぞれ要求をしておられるわけですが、組合が要求するのは当たり前のことで、相当吹っかけてきておるのじゃないかというような気持ちあるいは受けとめ方でおられることはないと思いますけれども、私も具体的に事情をお聞きしたのです。 例えば東京地裁の執行部、先ほども相当忙しいという話がありまして、今回の定員増の理由も執行関係というのが出てくるわけです。この東京地裁の執行部で、クレジット関係だとか不動産の競売の関係が物件明細をつけることになって非常に忙しいとか、こういうような具体的な要望がありまして、そして特にふえている債権配当の係が非常に忙しいから何とか一人増員してほしいとか、債権者の数が多い、抵当権者の数が多いとか仕事が非常に多くなっているその関係の係でも一人増員してほしいとか、こういうふうに非常に具体的なぎりぎりの要求を出しているのですよ。それが積み重なって、先ほどお答えもいただいたし、私が中身を一部説明いたしましたけれども、そういう数になってきておるのです。だから、これはそういうぎりぎりな要求を出してきておるのだというふうに認識をしていただいて、やはりきちっと対応していただきたいと思うのですが、その点どうなんですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 全司法労働組合の方から申し出られた数字であるということで、決して吹っかけている数であろうからということでいいかげんに扱っているわけではもちろんございません。私どもとしましては、そのような意見、申し出があったということは、それぞれの職場でやはり事件増の影響でお忙しくなっているところがあるということは事実であろうというふうに思っております。 ただ、今度は裁判所全体の立場に立ってみますと、事務のアンバランスと申しますか、単に忙しい職場のその人員増というものを積み上げるだけではなくて、各職場の繁忙度の均等化といったような工夫もしなければならないし、それ以外の執務の面での合理化とかいろいろなことを考慮した結果、今回のような増員に最終的には落ちついたということでございます。
○安藤委員 それぞれの係のバランスというふうにおっしゃるのですが、そういうバランスを踏まえての話を全司法労働組合は増員要求として出しておるはずなんです。先ほど私が言いましたように、本当にぎりぎりの要求なんですからね。 これは裁判所からいただいた資料なんですが、「東京簡裁における過去五年間の職員数及び主要事件数の推移」というのをいただいたのです。五年間全部やりませんが、十年前の昭和五十一年の分も特別に算出していただいたこれによりますと、昭和六十一年と昭和五十一年を比較しますと、一般職で昭和五十一年は七十四人だった。それが六十一年は六十九人に逆に減っているのですよ。そして事件数はどうなのかといいますと、普通の民事訴訟、昭和五十一年は三千三百五十一、それが昭和六十一年は八千百七十、二倍半にふえているのです。それから民事の調停事件、昭和五十一年は六百二件、昭和六十一年度は千七百八十一件、三倍近いのですよ。そして督促手続、これは昭和五十一年度が千五百八十四、昭和六十一年度が三千二十六、これも二倍。こういうふうに事件が二倍半から三倍近く、あるいは二倍となっておるのに一般職の数が逆に減っている、こういう状態なんですよ。この状態はしっかり把握していただいて、やはり一般職をふやす。 先ほど七名ふやしたからというふうにおっしゃったのですが、よく裁判官と一般職員との比率は一対三というふうに言われておるのですよ。だから、普通の民事通常部の構成を見ましても、裁判官が三で一般職員が書記官、速記官、事務官入れて八という数ですよ。だから、廷吏さんを入れれば九人になるのです。やはり一対三なんですね、廷吏さんはほかの法廷かけ持ちですけれども。それからすると、裁判官を八人ふやして一般職員七人、これじゃ合いませんよ。二十四人以上ふやさなければいかぬのです。だから、七名ふやしたからいいじゃないかということには決してならぬということをしっかり御理解をいただきたいというふうに思います。 それから、時間が参りましたので、あともう一つ大臣にお尋ねします。 これは地方裁判所の女性の書記官の問題なんですが、産休の代替要員が確保されていないという話を聞いたのです。交換手、タイピストの人は代替要員があるけれども、書記官には代替要員がない。これはどういう理由なのか。そして、そういうようなことは即刻代替要員をつくるようにしていただきたい、こういうふうに思います。どうですか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 時間がございませんので、簡単に申し上げます。 結論的には、女性書記官についての代替要員というのは難しいということなんでございます。今おっしゃいましたように、例えば電話交換手等につきましては産休要員というのがございます。しかし、これはやはり代替性のある労務であるということからそういうことが認められているわけでございます。裁判所書記官といいますのは、これは一、二年の養成課程を経て養成される非常に高度な資格官職でございます。したがって、これを例えば裁判所外から求めて産休の都度臨時的に雇っていくということはとてもできないわけでございますし、また、裁判所の部内に置いておいて、ふだんはほとんど仕事のないようなところに配置しておいて、何かある都度起用するということも実際問題としてはできなくて、結局そういう裁判所に配置された書記官全体で助け合う、そのような事態が生じたときに応援態勢を組んで仕事をしていく、こういうことしか解決の方法はないものというふうに考えております。
○安藤委員 裁判所内部で、例えば訟廷庶務のグループの中におっていただくとかというようなことでできぬことはないと思うのですよ。そしてお互いに助け合ってとおっしゃるのですが、先ほど来申し上げているように一般職員、書記官の人も非常に多忙をきわめている、そういう状況の中ではかえってそれが困難だ、だからゆっくり休むこともできない。これは人権問題だと思うのですよ。だから、その辺のところは早急に検討していただきますよう要望しておきます。 最後に、大臣、今いろいろお話を聞いていただきましたが、先ほど来懇談会云々というお話もお伺いしました。御努力もお願いしたいと思うのですが、やはり早急に裁判官と一般職員をふやさなければいけませんよ。それには、財政的な問題が一番大きなネックになっているように思えるのです。ひとつ大いに踏ん張っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○遠藤国務大臣 財政問題もあることだろうとは思いますけれども、私としてはやはり法の秩序と法に対する国民の信頼を高めるということが大切なことだ、さような点で努力をいたしてまいりたいと思いますので、御了承願います。
○安藤委員 時間が来ましたので、終わります。
○大塚委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○大塚委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大塚委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○大塚委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十六分散会 ――――◇―――――