商工委員会 第5号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/05/22
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石渡照久君。
○石渡委員 東京十一区の石渡でございます。よろしくお願いを申し上げます。 まず最初に近藤長官にお伺いをいたしますけれども、景気の現状につきまして、現在策定中の緊急経済対策の前提としての景気の現状、そして今後の見通しについてお伺いをいたします。
○近藤国務大臣 景気の現状でございますが、先生御案内のように、一昨年の秋以来の円高基調でございますので、輸出の停滞がございますし、それに伴いまして生産も停滞を続けてございますし、民間の設備投資も、どうも私どもが当初考えたほど進んでいないようでございます。そんなわけで雇用の面にも影響が出ておりますが、一方個人の消費は結構堅調でございますし、住宅投資も引き続いて堅調でございますので、いわゆる景気の二面性が見られる状況でございます。 問題は、為替レート、円レートがこれからどういうふうな推移をたどるか、このことに十分に慎重に配慮しながら、今後の経済運営を進めていかなければならないと考えている次第でございます。
○石渡委員 六十一年の暦年の成長率は二・五%、六十一年目標は三・○、また六十二年の目標は三・五%ということになっておるわけであります。いわば経済企画庁の発表されているこの成長率がかなり国際公約的な意味が強い、そういうような解釈がされておるという現況の中で、円レートがこれを策定したときより二十円余も下がっておるということで、民間の機関等では、三・五ではなく一%台、しかもそれも低いところになるのではないか、このようなことが言われております。政府としては非常につらい、難しい時点だと思うのでありますが、この成長率の見直しについて何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
○近藤国務大臣 石渡先生御指摘のとおり、六十一年度経済成長は当初四%であったわけでございますが、年度の統計は出ておりませんけれども、六十一年暦年で申しますと、おっしゃるとおり二・五%になっておるわけでございますが、この政府見通しと実際の実績との違いはどうかといいますと、実は昨年の秋も総合経済対策を政府が策定いたしまして、補正予算もお願いし、積極的な景気対策を図ってまいりましたので、内需については大体四%前後を確保したわけでございますが、急激な円高で輸出が低迷し輸入がふえる。これは国際収支の改善を考えればいいことでございますが、GNPに対してはマイナスの要素でございまして、これが大体GNP成長を一・五%引き下げた形になって、その結果二保五%、これは暦年でございます。したがいまして、年度についてはまだデータがそろっておりませんが、どうも昨年の暮れに実績見込みを発表いたしました三%の線よりも下がる見通してございます。 そういう状況の中で、今年の経済成長をどうするか。政府としては三・五%の見通しを立てておったわけでございますけれども、お話もございましたように、円高がさらに進んだ段階で一番影響を受けるのはやはり民間の設備投資でございます。これは先生御指摘のような民間の調査機関と我々の見通しの大きな違いは、民間設備投資をどう見るかということでございまして、この円高による民間設備投資の減退分を何とか補うためには、財政主導型で臨時緊急的な措置として、ここは積極的な景気対策を内需を中心として進める必要がある、こういうことを考えまして、実は先般予算も通していただぎましたので、今経済企画庁が中心になって鋭意この緊急経済対策を各省の協力を得て策定中でございます。
○石渡委員 長官におかれましては、緊急経済対策についても御発言をなされたいやにお見受けをいたしますが、何かこの後参議院の方の会があるということでございますので、どうぞお引き取りをいただいて結構でございます。 続きまして、通産政務次官にお伺いをしたいわけでございますが、深刻な円高不況が進行していく中、内外から財政出動による内需拡大が待望されておるわけでございます。昨年九月の三兆六千億円の対策のうち、国費の支出が五千四百九十億円、災害復旧事業対策費を除きますと一千三百三十億円という極めて僅少とも言える額であったわけであります。我が国の内需拡大策に期待を寄せていた内外から厳しい批判を受けたのは大変残念なことでありましたけれども、不況は御承知のように一層深刻化しておるという形の中で、真水論というのが最近よくお聞かせをいただくわけでございますけれども、この点についてどのようにこの真水論というものを生かしていくのか、あるいは思い切った内需拡大策をどういうふうにするのかということについて、政務次官からお聞きをしたいと思います。
○中川政府委員 通産大臣が参議院の本会議のために、石渡先生のせっかくの御質問に御答弁申し上げられないことを申しわけなく存じます。政務次官ごときとは申しませんが、私ごとき答弁で申しわけありません。 お答えを申し上げます。 ただいま御指摘になりましたとおり、きょうはどうも百四十円台で取引されておるようでございますが、まさに急激な円高の進行また定着によりまして、我が国の経済、とりわけ地域経済は大変厳しい局面にあるわけでございます。同時にまた国際的にも、これまた御指摘がありましたとおり、我が国の内需拡大に対する期待は極めて強いわけでございまして、先般のOEOD閣僚会議等におきましても、各国からノーワード・ジャスト・リザルト、まさに実効のあるものを早急に出せという御要望が強く出されておるところでございます。 今回の緊急経済対策につきましては、五兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策を講ずる旨、自由民主党においても総合経済対策要綱というものが取りまとめられておるところでございます。通産省としては、この円高デフレを克服するためにも、六十二年度経済見通し三・五%、その確実な達成を図るためにも、相当思い切った内需拡大策を図る必要がある、こう考えておるのでございまして、さまざまな、先ほど申し上げました党の総合経済対策要綱等も尊重しつつ、実効のある、国際的にも通用するものにしてまいりたいと考えておるところでございます。 議論の中身としては、今お尋ねのあった真水論等さまざまな議論がございまして、真水というのはあくまで国の予算支出だ、加えて国の予算支出との関係で必要となる地方公共団体の予算、加えて減税というようなものが真水であって、それ以外の地方債起債枠の拡大等による地方単独事業、あるいは財投による民間に対する融資枠の増加等といったものは真水に含めるべきではないというような議論もいろいろと行われておるところでございます。私どもとしては、そういう議論も踏まえて、まさに内容のあるものにしなければいけないのではないか、こう考えておるところであります。
○石渡委員 引き続き次官にお願いできればありがたいと思います。 政治が果たすべき役割という考え方でありますが、国際環境の変化、国際社会での日本の役割あるいは日本社会の基盤の変化の中にあって、地域間競争がますます激しさを増し、その結果、地域社会コミュニティーとその経済基盤を構成する中小企業は新たな時代対応を求められておるわけであります。とりわけ進行しつつある地域間あるいは企業間の資本の集中化現象は、地域社会や中小企業の存続にもかかわり、麗しき日本の人間社会の崩壊が懸念されるのであります。 今後とも活力ある地域社会とその連合体である国家を維持発展させていくためには、一つには地域社会並びに中小企業の自立へ向けての政治的対応、二つには地域社会並びに中小企業の国際化へ向けての政策的対応が急務と言えるのではないでしょうか。いわば特色のある町づくり、町ぐるみ、企業ぐるみの国際化ということであります。戦後この方、経済主導で進行してきた世界、国家、地域社会の変化に対して、今この国の政治が何を果たすべきかが問われているのではないかと思うわけであります。次官の御見解と御決意をお伺いしたいと思います。
○中川政府委員 先生お尋ねのベースになっている基本的な認識は私も全く共鳴、共感をするものであります。今の地域社会は非常に厳しい状況に置かれておるわけでありますが、近年の産業構造の変化に伴いまして地域間競争も激化をいたしておりますし、またその発展度合いにおいても極めて著しい跛行性というものが強まっておるような気がするわけでございます。そういうためには、まず地域の自主的な取り組み、そして創意と工夫のある主体的な取り組みが重要でございます。 一方、技術革新、情報化、国際化等の環境変化があるわけでございまして、そういうものに地域が自主的に取り組むと同時に、国としても政府としてもそれに対する、そうした主体的な取り組みが実現できるようなさまざまな手だてを講じていかなければならないのではないかと思うのでございます。特に、貴重な雇用機会を提供するという見地からは、地域の中小企業がいろいろな役割を果たしておるわけでございまして、これからの地域経済は、これら地域中小企業の発展に大きく依存をしていると思うのでございます。 そうした見地から、通産省としては、地域の技術高度化等を図るために、テクノポリス政策あるいはリサーチコア政策というものを推進しておりますし、また中小企業の転換あるいは自立化、そうしたものを支援するための新転換法あるいは新地域法等に基づく中小企業の構造転換政策を初めとする各種の施策を積極的に講じているわけでございます。 国際化への対応という見地からは、四全総でも検討されているようでございますけれども、これからはそれぞれの地域で小さな世界都市といいますか、そうしたものになっていく必要があると指摘をされておるわけでございまして、現在自治体等を中心に行われている姉妹都市交流等の活動に加えまして、外資系企業の対日進出の促進のための情報提供、地域仁立地していくためのいろいろな支援策、開銀融資等の施策も講じておるわけでございます。中小企業の国際的活動というものは、これからの中小企業の事業機会の拡大にもつながることでございますので、中小企業事業団の指導あるいは情報提供機能の強化を図るなど、いろいろな所要の施策も進めてまいりたいと思っておるところであります。
○石渡委員 大変力強いお答えをいただいたわけであります。青年会議所等のいわば青年経済人がこれらの問題について大変真剣に取り組んでおり、また非常な危機感を持ちながら地域社会あるいは中小企業の問題に真摯に取り組んでいるということも御承知だと思いますけれども、付言をさせていただくわけであります。 次に、産業構造の転換が言われておりますけれども、中期的に見ますれば、内需主導というような形の中で日本の産業構造がサービス化、ソフト化に力を入れていかなければならないということはわかるわけでありますが、アメリカの例にもありますように、製造業の弱体化がその国の国力あるいは人心までも大きく変えていってしまうのではないかというふうに考えます。物をつくる喜びあるいは苦労というようなものは、人間形成あるいは人類の生存にとって欠くことのできない大事なことであろうかと思うわけであります。日本の若者の就職志向等を見ますと、近時エレクトロニクスあるいは自動車産業等から、財テクあるいは金融といった付加価値を求める方向に流れが大きく変わってきているということに、私どもは大きな危惧を持たなければならないのではないかというふうに思うわけであります。日本の国の産業ビジョン、そして国家、地域あるいは市民が活力ある社会にしていかなければならないと考えるわけでございまして、この点について再度次官にお伺いできればありがたいと思います。
○中川政府委員 製造業が海外に全部出ていったら我が国にとって大変だぞ、こういう御認識を踏まえてのお尋ねだと存じますが、これはもう私どもも同じ考え方でございます。 我が国の産業構造の転換と申しましても、製造業が全部出ていって、国内に残るのはサービス産業だけというような状態はやはり問題であろうかと存じます。しかし、同時にまた、経済全体がサービス化、ソフト化という傾向を強めておることも事実でございまして、情報処理サービス業を初めとするサービス産業の伸びは、一説によるとこれから二十一世紀に向けて雇用を一千万人ぐらいふやすのではないかという推測もあるほどでございます。それほど伸びておることも事実でございます。そうしたことを両々踏まえながら、我が国の経済が着実に発展していくことをいろいろ考えていかなければならないのではないか。しかし、サービス産業といいましても、あくまで製造業が引き続き活力を維持して、国内で生産を続けていくというベースが必要でございまして、そういう製造業の活力維持対策というものは本当に積極的にやっていかなければいけない。それとあわせて、サービス産業が発展をして、相互に健全な依存関係を構築していくことが二十一世紀へ向かう産業のあるべき姿じゃないかな、こんな感じがいたします。 製造業に関しては、御承知のとおり、通産省もいろいろ創造的な技術開発の推進等の支援策を講じておりますけれども、新素材、マイクロエレクトロニクスあるいはバイオテクノロジー等、これから二百三十兆円ぐらいの市場あるいは百十六万人ぐらいの雇用増が考えられるのではないか、こんな推測もあるほどでございまして、こういうものを中心とした技術革新を着実に進めていくことによって、製造業の活力の維持、また国内生産の維持というものが可能になってくるんじゃないか、それがまた我が国の産業の活性化につながっていくんじゃないか、そういう見地で努力をしていきたいと思っております。
○石渡委員 次に中小企業問題についてお伺いをいたします。 中小企業予算でありますが、昭和六十二年度の中小企業対策予算は約二千二百八十五億円で、前年対比三%増となっており、過去数年間続いていた減少傾向に歯どめがかかったことについては評価するものであります。 しかしながら、最近の中小企業を取り巻く厳しい環境を考えると、この予算額で本当に中小企業が厳しい環境に対応し今後の発展が図られるのかどうか、疑問に思うわけであります。農業に対する六十二年度の補助金等を見ますと約二兆円となっており、我が国経済の発展に大きく貢献し、現在未曽有の危機に瀕しているとも言われている中小企業に対して、国の一般会計予算の〇・四%、二千二百八十五億円では少な過ぎるんじゃないかなと思うわけでありまして、中小企業庁の率直なお考えをお伺いをいたします。
○広海政府委員 我が国の中小企業は、我が国経済社会の安定と発展の基盤でございまして、通産省といたしましても、中小企業対策を最重点施策の一つとしてその充実に努めてきたところでございます。 最近の中小企業対策予算につきましては、ただいま先生からも御指摘ございましたけれども、六十二年度の中小企業対策予算につきましては前年度の予算を上回る予算を計上いたしましたし、また六十一年度について見ますと、マイナスシーリングという厳しい財政状況のもとで前年度と同額の当初予算を組みまして、さらに秋には当初予算の一割を超えます二百三十四億の補正予算も計上したところでございます。 さらにその中身の中小企業対策でございますけれども、最近の円高に対応いたします中小企業の構造転換対策あるいは国際化対策、あるいは技術振興、あるいは情報化の促進といったような時代の要請にこたえますいろいろな対策も抜本的に拡充しておりまして、今後とも中小企業対策の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
○石渡委員 同じく関連をいたしまして、緊急経済対策の中で政策金利の引き下げあるいは特定地域の追加指定など、中小企業対策を拡充するとしているわけでありますが、これを受けて中小企業庁はどのような具体策を講ずるつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○広海政府委員 四月二十四日の自民党の総合経済対策要綱の中にただいま先生御指摘のような中小企業対策の項目が立てられているわけでございますけれども、これから政府部内でこの要綱を最大限に尊重いたしまして具体的な政策の中身を詰めていきたいという状況にあるわけでございます。したがいまして、今のところどういう対策が盛り込まれるかということは具体的には申し上げかねるわけでございますけれども、一つには政策金利の引き下げでございます。これにつきましては既に五月一日に、例えば特定地域中小企業特別融資制度というのがございまして、これにつきまして従来三・九五%と五%というのがあったわけでございますけれども、三・九五%につきましては三・五%、それから五%につきましては四・五%というふうに中小企業の政策金利を引き下げているわけでございますけれども、さらに今後の金利水準全体の動き等も見ながら、さらに引き下げが可能かどうか検討を続けていきたいと思っております。 また、特定地域中小企業対策臨時措置法に基づきまして、これまでに四十三地域、百七十五市町村につきまして指定を行っているわけでございますけれども、その後の経済情勢の進展あるいは地域経済、中小企業の困難な状況を見ながら、さらに追加指定が必要かどうか検討をしているところでございます。 そのほかに、例えばこれまでにも政府系金融機関からの既往借入金の返済負担の軽減措置というのを講じてございますけれども、これもさらにできれば拡充をしたい。あるいは信用補完の特例措置というのがいろいろございますけれども、これにつきましても拡充の方向で検討をしております。 さらに、ただいま申し上げましたいろいろな政策金利あるいは信用補完の特例措置というのは、大体ことしの九月三十日で切れることになっております。この期限につきましても、さらに延長ができないかという方向で今検討を進めているところでございます。
○石渡委員 特定地域の追加指定につきましては、特にPRあるいは調査を進めて、ぜひそういう点の大きな手を差し伸べていただきたいと思います。 続きまして、昨年の二月に円高対策としていわゆる新転換法が、また十一月には特定不況地域の活性化を図るためいわゆる新地域法が制定されたわけでありますが、二法律ともそのかなえの軽重が問われるのは今後にあるのではないかと思います。この運用についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○広海政府委員 御指摘のとおり、昨年の二月に特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、いわゆる新転換法を制定いたしまして、それまでにこの法律に基づきました認定件数は二万四百七十九件、これは三月末までの実績でございますけれども、二万件を超える中小企業の認定を行っておりまして、そしてそれに関連いたしまして、先ほど申し上げました円高時貸してございますけれども、それの融資実績が三月末までに三千七百億円を超える実績を上げております。 それからまた特定地域中小企業対策臨時措置法でございますけれども、昨年十二月施行して以来、三月末までに既に三千百四十八件の認定をしておりまして、貸付実績も二百六十九億円に上っているところでございます。今後も、せっかくの法律でございますので、大いにこれを活用していただきまして所期の目的を達成したい、このように考えております。
○石渡委員 最後の質問になるわけでありますが、私ども関連をいたします繊維産業の問題について、具体的なことを一つお聞きをしたいわけであります。 それは、繊維産業は非常な厳しい場面に過去立たされており、今後もそれが予測されるわけであります。しかし、繊維産業は地域とともに発展をし、過去においては日本の国の経済を、国力をリードしたということもあるわけでございまして、この今後の持っていき方というものは、大変中小企業問題について重大な問題が含まれているというふうに思うわけでございます。 御承知のように、繊維はいろいろ合繊等が出現をしてきておりますけれども、しかし生糸、いわばシルクというのは繊維の女王、キングでもあります。この生糸の価格というような問題が、これは農業政策と密接に関連して大変困難な大きい問題ではあろうかと思いますけれども、現況の内需拡大あるいは円高による被害等を考えましたときに、生糸価格というものをできるだけ国際価格に近づけることによって、いわばキングであり女王である生糸を主体に、繊維全体が生糸価格の国際化、安定化によって日本の大きな国際競争力というようなものがまたよみがえっていくのではないか。通産当局におきましても既にいろいろなその振興策が考えられておるわけでございます。いわばこの繊維の不況というようなものを、生糸価格の国際化、安定化によって一つの突破口にしていきたいというのが私の考え方でございまして、生糸価格の問題について農林省からお話を伺って最後にさせていただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 生糸の価格につきましては、繭糸価格安定制度によりまして価格の安定に努めておるところでございます。この価格安定制度の基準になっております行政価格につきましては、生糸の生産条件ばかりではなく、需給条件その他の経済条件を考慮しながら定めているところでございます。 ただ、最近の円高の急速な進行によりまして、先生御指摘のように、絹織物というものが経営を悪化させておりまして、国内の生糸の流通、消費における需要が急速に減退しておりまして、生糸価格も昨年の秋から低落し大変低迷していたところでございます。このような状況の中で、国内の生糸の流通と消費というものを急速に回復いたしたいということで、ついこの三月、生糸の行政価格を約二〇%近く大幅に引き下げたばかりでございまして、この価格をさらに下げるということは考えておりません。 なお、この生糸の今回の価格引き下げというのは、国内の養蚕、製糸、大変厳しいわけでございますけれども、絹織物の振興というものは蚕糸業にとりましても大変重要でございますので、この新しい価格体系をもとに蚕糸絹業というものが健全に発展していくように価格安定制度の運営をしっかりやってまいりたい、このように考えます。
○石渡委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○佐藤委員長 甘利明君。
○甘利委員 我が国の最近における対外不均衡による経済摩擦は、御案内のとおりかつてない深刻なものになっておりますし、特に日米間の経済摩擦については混迷の度合いをきわめておるわけであります。日米両国がそれぞれやるべきことをお互いにきちっとやるという責任体制が求められておると私は思いますけれども、特にアメリカ側が不退転の決意で取り組むべきものが我が国以上にある、その事実を両国政府首脳がしっかりと認識する必要があると考えております。 と申しますのは、この経済摩擦は日米間の問題にとどまらず、いずれ世界経済を破滅に引きずり込む可能性を含んでいるからであります。アメリカは今や世界一の債権国から世界一の債務国に転じておりまして、八五年現在アメリカの債務は一千億ドルを超え、経済学者の見通しによりますと、このまま放置しておけばいずれ数年で一兆ドル、つまり百四十兆円にも達するであろうと言われております。この一兆ドルという金額は、驚くなかれ、世界の債務総額の実に半分に当たるわけでありまして、この半分をアメリカ一国で抱えるという事態がやってくるわけであります。 同時に、世界経済の基軸通貨でもありますドルが大量に世界じゅうに垂れ流されるわけでありまして、注目すべきは、この債務の拡大するスピードが異常であるということであります、ついこの間まで債権国であったアメリカが、二、三年で世界一の債務国になって、数年後には世界の債務総額の半分を一つの国で抱える、これはまさに異常事態としか言いようがありません。 アメリカの財政赤字は一向に減る様子はありませんし、貿易赤字がさらに拡大をすれば、たとえアメリカといえども債務支払い不能、モラトリアムなどという事態を予測することもあながち大げさであるとは言えなくなってくると考えるわけであります。また、そんな気配が、つまりモラトリアムなどという気配が漂っただけで、投資家たちは当然直ちに一斉に債権保全に走るでありましょうし、その時点でアメリカ経済は破綻をする。同時に、世界の基軸通貨であるドルがただの紙切れに変わってしまうわけでありまして、世界経済も破綻をしてしまう。アメリカ経済が健全経営ができるかどうか、つまりアメリカが自分自身に責任を持てるかどうかが、世界経済を破滅に引きずり込むか、それとも何とか免れることができるかの運命を握っている。 そして今度は、世界経済を救うために日本はどんな環境づくりができるか、この事の深刻さを日米両国がもっともっと自覚すべきである。まず基本は、アメリカがいたずらに借金を重ねていくという自分自身の経済体質、財政体質を改める決意があるかどうか。そして次に日本が果たすべき役割は果たしていくという決意があるかどうか。この二点にすべてがかかっていると私は思うわけでございます。 本当はこれは通産大臣に伺いたいわけでありますけれども、今通産大臣が参議院の本会議にとられておるようでございます。いずれ通産大臣になる中川政務次官、どうお考えでしょうか。
○村岡政府委員 恐れ入ります。甘利先生の世界経済の現況に関する分析、私はまことに考え方を同じゅうするものでございます。このまま放置いたしますと、現在の巨大な不均衡、不安定というものが、やがては世界経済に混乱をもたらすということであります。 この原因でございますが、一口で申し上げますと、先生御指摘のとおり、カーター政権から引き継いだレーガン政権の一九八〇年代冒頭におきますところの積極財政政策、これによって二けたのインフレ、高い失業率を改善する目的でとられた政策というものが現在も、意図してか意図せざるかは別にして引き続いて行われている、結果論としてそのままであるというところに基本的な要因があろうと私も思うわけでございます。つまり、双子の赤字ということが言われておりますが、二千二百億ドルにも達しますところの米国連邦政府の財政赤字というもの、これはよい面もあったわけでございますが、現在におきましてはこれが千七百億ドルにも達する巨大な貿易赤字をもたらし、いわゆる双子の赤字ということになっておるわけでございます。 このようなことによりまして生じました世界経済の不均衡ということをいかに改善すべきか。我我は、すべての国々がそれぞれの責任を分担し合って、あらゆる面におきます政策的な協調を実行してこれを改善するよりほかに方法はないだろう、こう思う次第であります。したがいまして、米国においては不退転の決意をもって財政赤字を改善していただく、これが何よりも増して重要なことと信じております。同時にまた、過般行われました日米首脳会談等で、レーガン大統領はそれに加えてアメリカの競争力の強化ということと、さらに保護主義に不退転の決意をもって抵抗する、この三点をお約束なさったわけでございまして、米国はこの三点を強力に実行するということであると思います。 また同時に、西ドイツ、日本は、この前のOECD閣僚会議のコミュニケにも記載されましたとおり、不退転の決意をもって内需拡大に努めるべきであろう、このように考えております。特に我が国に対します、内需拡大政策というものに対する世界の期待というものは絶大なものがあろうと思います。この期待を裏切らないように、実のある内需拡大対策を実行すべきものと考えております。
○中川政府委員 お尋ねでありましたのでお答えしようと思いましたが、詳しい専門家が先に答えました。 お尋ねの御認識のとおりでありますし、ただいま通商政策局長がお答えを申し上げたとおりであります。共同責任を果たすということで、我が国は、先ほど来御答弁を申し上げておるとおりノーワードなどと言われないような思い切った内需拡大策を講ずる。アメリカの財政赤字そのものは、これは米国の責任でございます。我々は我々の責任を果たす。米国にはマクロの政策協調という観点の中で米国独自の、OECDやあるいはその他日米首脳会談でレーガン大統領御自身がお約束なさった各般のことを確実にやっていただく、こういうことで世界経済の混乱、混迷を防いでいくということが肝要かと存じます。
○甘利委員 ただいま村岡局長、中川政務次官の話にもありましたが、私がアメリカの責任はより重いというふうに申し上げましたのは、過去の貿易インバランスの推移を見て私自身がそう感ずるからでありまして、過去かなりの期間日米間の貿易は一定の枠内で推移をしてまいりました。ここにグラフがありますけれども、八二年までは一定の許容範囲で上下、ふえたり少なくなったりしているわけでありますけれども、八三年から急激にのしてきているわけでありまして、つまりある年を境にして倍々ゲームで日本の黒字が増大をしていったわけでありまして、明らかに何かその時点で環境の変化があったというふうに考えるのが妥当であると思います。日本側にあったか、あるいは輸入したアメリカ側に何かの環境変化があったか、どちらかがなければ突然あるときから急に伸びていくはずはないのでありまして、日本側に輸出が突然伸びていくような重大な変化があったかというと、まあ細かいことはあったかもしれませんけれども、これは特に目ぼしい、特に急激に伸びるというようなそういう環境変化はなかったと思います。 それでは相手側のアメリカはどうかといいますと、これがあったわけであります。お話にも出ていたと思いますが、一九八一年にレーガン大統領が登場いたしまして、レーガノミックスという経済政策を展開いたしました。これは恐らくこういう効果を期待したのであろうと思います。当時、カーター大統領の時代にアメリカの影響力は相当低下をしていった、アメリカの威信が低下をしていった。国民はかつての強いアメリカを求めてフラストレーションがたまっていたわけでありまして、かつての強いアメリカを求めてレーガンに託したわけであります。 ところがレーガン大統領は、経済を活性化をしようにも、あるいは軍事力で優位に立とうとしょうにも、財政の赤字、今ほどではありませんけれども当時も財政赤字がありましたから、財政の赤字でままならない状態であったわけであります。そこでレーガン大統領は一大決心をしまして大減税に踏み切った。減税が消費を刺激して、やがてそれは購買力となって生産の拡大や設備投資の拡大を促す、これは最終的には税の自然増収となって政府に返ってくるわけでありまして、経済が活性化をするし財政赤字も解消をする、そして強いアメリカもよみがえってくる、一石三鳥であります。こういう効果を期待をしていたのだと思います。 しかし、その中に一つだけ誤算がありました。それは拡大した消費を満たす供給力が外国の手によって、つまり輸入によって行われたという点でありまして、産業の空洞化やあるいは国際競争力の低下のために、アメリカ国内の生産力によって拡大をした消費を完全にカバーし切れなかった。そこに誤算があったと思います。急激に膨張したアメリカの消費に日本の輸出が吸い込まれていったというのが、本当のところ真相ではないかと考えるわけであります。 だから日本は何もしなくていいんだと言っているのじゃ決してございません。申し上げましたようにアメリカ経済の崩壊というのはドル経済の崩壊でありまして、それは即世界経済の破綻を意味しているからです。世界経済を破滅から救うために我が国、日本に何ができるか、そして当のアメリカは何をなすべきか、この二つのことをきちんと区分けをしてそれぞれに責任を持たせていく、このことが大事であると考えます。 さて、日本側がやるべきことでありますけれども、これは対米だけじゃなくてECという問題もあると思いますけれども、田村通産大臣が四月の四極貿易大臣会合に続きまして今般OECD閣僚理事会にも出席をされまして、国際貿易不均衡問題に取り組む我が国の立場、姿勢というのを説明されたというふうに伺います。今局長からもちょっとお話がありました。通政局長は同席をされていましたね。このとき大臣が我が国の立場を説明されたそのことをちょっと改めて伺いたいと思います。
○村岡政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、去る二月の米国議会の上下両院合同経済委員会におきましてボルカー連銀総裁が演説している議事録を読みますと、やはりこういうことをおっしゃっております。米国は政府も企業も消費者もその能力に余る消費をし、お金も借りまくった、そして生活をエンジョイした、そのツケが今来ているというようなことをおっしゃいました。OECDの閣僚理事会におきますコミュニケも、その基本は全く同じことを世界の人たちに訴えておるわけでございます。つまり、それぞれの国の生産と消費のバランスというものを的確に保つような政策を講ずべきである、現在の不均衡の最大の原因は供給と消費の不均衡に由来するということをうたっているわけでございます。基本認識においてまことに先生の御指摘のとおりだと思います。 さて翻りまして、四極貿易大臣会合、OECD閣僚理事会、それぞれ田村通産大臣は前者については議長として参加され、後者については六十人の参加閣僚の一人として参加されたわけでございます。問題意識とするところは冒頭申し上げたところとほとんど同じでございますので、OECD閣僚理事会に沿いながら御説明申し上げたいと思います。 このOECD閣僚理事会は、大きく分けて三つのパート、つまり第一にマクロ経済政策、第二に構造調整の問題、第三に南北問題、この三つのパートに分けて議論されたわけでございますが、主たる議論は二つに絞られたと言ってもいいかと思います。 第一点は、現下の巨大なる不均衡をいかに是正していくかという問題であり、第二は農業問題であった、こう言い切っても過言ではないと思います。特に前者の不均衡の是正策に関しまして、田村通産大臣は、為替レートがこれほど短期間のうちにこれほど大幅に変動するということは自由経済の危機であるということを強く訴えられたわけでございます。為替レートの安定を強く訴え、同時に内需の拡大を実行するという強い決意を表明されました。本会合におきましては、為替レートの調整政策のみによって不均衡を是正する、さらなる為替レートの調整を行うことは不可能であるというばかりではなくて自由経済諸国にとって極めて危険であるという認識で統一されたわけでございます。 このような基本的な認識に基づきまして、アメリカ、日本、ドイツ三カ国につきまして特掲をいたしまして、それぞれの世界経済において果たすべき役割というものをそれぞれ記載したわけでございます。アメリカは財政赤字の是正であり、日本は内需の拡大であり、西ドイツは、減税政策の先行ということでございました。 日本の内需拡大策につきまして、とれは国際会議では極めて異例のことだったと思うのでございますが、会議の冒頭から非常にたくさんの国々から日本の政策について質問が集中いたしました。日本の言う五兆円の内需拡大対策、内容は何であるか、その五兆円という規模はどのくらいと考えたらいいのか、実施さるべきタイミングはいつであるのかというたぐいの質問が集中したわけでございます。日本に対する期待が非常に強いということと同時に、日本の政策についてある種の懸念、疑念というものが表明されたのではないか、こう思う次第でございます。したがいまして、その表明したところの政策を着実に実行する、腰を入れて実行するということが極めて大切な状況になっていると信ずる次第でございます。
○甘利委員 アメリカは財政赤字を削減する、日本は内需を拡大するという話でありますけれども、たしか、日本側にこういう努力をせよという項目に、大きく分けて三項目ほどありました。関税、非関税障壁の撤廃、二項目として輸入の拡大、そして今おっしゃられた一番大きな内需の拡大というのが三項目目であるわけであります。ちょっと時間がなくなってきましたので細かいことは飛ばしますけれども、これらの一から三項目は関税、非関税障壁の撤廃、輸入拡大、内需拡大、日本に求められているこういうものをみんな今一生懸命努力をしているわけでありますけれども、すべてを努力したとして、インバランスの調整効果というものはどのくらいあると、これは正確な数字じゃなくて結構だけれども、ちょっと伺いたいと思います。
○畠山政府委員 御質問にもございますように、努力している内容は輸入拡大と内需の拡大と二つに分けられるわけでございます。 まず、輸入拡大につきましては、先般四月七日でございますが、田村通産大臣、それから中川政務次官等出席いたしまして、主要企業三百二社に対して輸入拡大要請を行いました。これを行わなければ、今年度、六十二年度の製品輸入額見通しは八%増でしかなかったと考られているところでございます。この強い要請を受けまして、三百二社の方々は二一%にそれを増大するということに今見通しを修正してくれております。仮にこれが全体がそういうふうにやってくれるということでございますと、そうでない場合に比べて六十億ドル輸入が増加するというふうに推計されるわけでございます。 そのほかに、輸入拡大につきまして今自民党の中で検討いたしております緊急経済対策、これはやがて政府が決めることになるわけでございますけれども、そこでは、政府調達について臨時特別枠を設けて増大をしろということを言っておられまして、十億ドルというような数字がメンションされております。仮にそれが実現すればさらに十億ドルふえる、こういうことになるわけでございます。 一方、内需拡大の方でございますが、これは今五兆円の規模とかいうようなことが言われておりますけれども、これは事業規模にすると七兆円になるのじゃないかというようなことが言われておりますし、その辺が今やや不透明でございますので、御指摘のように若干あいまいなことで御勘弁いただきたいと思います。仮に事業規模七兆円ということでございますと、内容にもよりますが、四十億ドルから七十億ドルぐらい輸入が増加するのじゃないかということが言われております。そういう計算があるわけでございます。そういたしますと、輸入拡大サイドで七十億ドル、それからこちらの方で四十億ドルから七十億ドルということで、合計百十億ドルから百四十億ドルぐらい輸入がふえるということが見込まれるわけでございますが、問題はどのレベルから輸入がふえるかということでございまして、私どもの大ざっぱな感じでは、政府経済見通しは八・八%の輸入増と見込んでおりましたけれども、今のような努力をやってようやくそれが達成できるというような状況であろうかなというふうにラフに考えさせていただいております。
○甘利委員 かつて日米貿易摩擦解消のポイントは何かという予算委員会での、これはたしか社会党の上田哲さんの質問だったかと思いますけれども、その質問に答える中で総理がこうおっしゃっております。原因がどこにあるかといえば、一つには日本の輸出力が非常に強くてアメリカの市場を物によっては相当席巻しているところもある、これも一つの原因だというふうに答えておられるわけであります。つまり、日本製品の競争力があり過ぎる、あり過ぎるというのもおかしいのでありますが、あり過ぎるから大変なんだ。それはそうだ、欧米人より週八時間も十時間も日本人は余計働くのだから、働き過ぎなんだから、それだけ働けば安くて競争力のあるいいものができて当たり前だという話にいつもつなげられるわけでありまして、日本の働き過ぎというのは諸外国からいつも指摘をされる。とかく日本は労働時間が長過ぎるという指摘を受けているわけであります。日本人の勤勉性というのは宝だと私は思いますが、勤勉性を損なうことなくゆとりある生活をしていくという姿勢、つまり時間短縮、これが実現をして生活余裕時間がふえる、そうすると消費拡大にも資するのじゃないか、そういう論もあるわけでありますけれども、こういう考え方についてはどう受けとめられますでしょうか。
○杉山政府委員 ただいま御指摘のございましたように、労働時間につきましては、欧米先進国では長いところでも年間千九百時間台でございますし、短いところでは千六百時間台、日本の場合には二千百時間台でございますから、二百時間ないし五百時間の差が年間の実労働時間であるわけでございます。 これを短縮すべきではないかということにつきましては、既に労働基準法の改正というような格好でも出ているわけでございます。労働時間の短縮というものが日本人の勤勉性という特徴を損なうということは問題がございますが、この短縮で生じました時間というものを創造的に使ってまいりましたら、個人の創造力を培養し、ひいてはまた企業の活力にもつながっていくという面がございますので、これはぜひ進めてまいりたいと思いたますし、また消費のチャンスがふえるという意味におきましては内需拡大にもなるわけでございます。この点につきましては、いろいろ前提を置いた試算でございますが、週休二日制を完全に実施するだけで二兆円から三兆円というような試算もございますので、そういう面からも極めて意義のあることだというふうに考えております。
○甘利委員 最後の質問をさせていただきます。 先ほど、日本側がしなければならない努力すべてを行ってインバランス調整にどのくらい貢献するかという質問をしましたけれども、正直言って余りこれに多くの期待をかけるといけないと私は思うのでありまして、当初から申し上げているように、アメリカにきちっとした決意を持ってもらうことがまず第一だというふうに考えるからであります。 先日、リンゼー元ニューヨーク市長が来日をされました。私どももお話を伺ったわけでありますけれども、その中でリンゼーさんが、アメリカがやらなければならないことの一つは財政赤字を削減することだ、レーガン大統領は法律的に行うとしているけれども、そんなに簡単にできるものじゃないというふうに発言をしておられました。それはそうでありまして、法律一本でぽんぽん財政赤字が解消するのであれば、赤字に苦しむ国なんというのは世界じゅうにないのでありまして、どうも対日、対ECのポーズの部分も少しあるのじゃないかというふうに心配をするわけであります。 私どもの方から、それではリンゼーさん、どうするのがいいと考えられますかということを質問しましたら、個人的な見解でありますけれども、アメリカは軍事費を削ってでも財政再建に取り組む決意が必要だというふうにおっしゃられていました。アメリカが、これは聖域でありますけれども、軍事費を削減してでも財政再建をやり抜く、これは決意の問題でありますけれども、そういうくらいのことを考えないと、どんな立派なことを言ってもこれはポーズでしかなくなってしまうのじゃないかということを言っておられまして、日本がやるべきことをやって、アメリカもなすべきことをなす、これは決意の問題であると思います。 大臣はいらっしゃいませんけれども、これからサミット等で日米の首脳が話し合う席で、きちっと日本側もやることはやる、だからアメリカもきちっと決意を持って対処すべきことはせよということをやってもらいたいと思います。これは御答弁は結構でございます。私の大臣への気持ちでございます。 質問を終わります。
○佐藤委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 ————◇————— 午後零時一分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。奥野一雄君。
○奥野(一)委員 最初に、エネ庁さんの方では何か御予定があるそうでございますので、そちらに関係する方を先に質問をさせていただきたいと思います。 非鉄金属鉱業の関係でありますけれども、これも今までこの委員会におきましてそれぞれ何回か質問がされてきているわけでございますが、最近の急激な、しかも大幅な円高によりまして多くの産業が相当な打撃を受けているわけです。中でも非鉄金属鉱業の場合には、御案内のとおり、六十年四月に五十九鉱山があって八千九百五十人ほどの従業員がおったわけでありますけれども、本年三月時点ではこれが三十六鉱山信減少、人員の方も三千八百人に激減をしているというような状況になっているわけでございます。このまま放置をすればこれはほとんど壊滅的な打撃を受けるのではないかと思われる状況にあるわけでございます。 昨年の九月十二日ですか、鉱業審議会が通産大臣の方に建議をしておるわけでありますが、当時の円レートは大体百六十円台、そういう状況の中で行われたわけでございます。今日はもう既に百四十円前後という状況になっているわけでございます。今政府の方でも、政府みずからが立てておる経済とか財政運営、こういうものですら見直しをしなければならない。見直しというのはちょっと語弊がありますか、追加というんですか、そういうことでまた緊急経済対策などもやらなければならないと今言われているわけです。そういう状況ですから、昨年の九月十二日になされた鉱業審議会のあの建議を、もう一遍鉱業審議会を開いていただいて抜本的な対策ということについて再検討する必要があるのではないか、こう思っているわけでございます。 何か国際分業、国際的な産業調整といういい名前でもって、知らないうちに非鉄金属鉱業がつぶされてしまうということについてはなかなか了承するわけにまいらないと思っているのでございまして、その辺の見解について最初にお尋ねしておきたいと思います。
○野々内政府委員 非鉄金属の国内の相場が、御承知のように国際市況と為替レートを掛けて自動的に出てくるということになっておるものですから、国際相場が低迷をし、かつ円高になりますと、国内の鉱山がダブルパンチを受けるということで非常に苦しい状態になっているというのは、私ども十分理解をしているつもりでおります。先月、私も神岡鉱山に参りまして、経営者、それから労働組合の方ともいろいろお話し合いをいたしました。特に経営者の方は、百五十円になっても生きられるようにということで合理化を進めてきた、そうしたら百四十円になってしまった、これではどうしようもないので何とか為替の安定、それから追加的な対策をお願いしたいということをおっしゃいまして、労働組合も、自分たちもやはり会社が生き残るということで協力してきたけれども、この先どうしていいかよくわからないので、ぜひ追加的な対策をお願いしたいということをおっしゃっておりまして、私どももその必要性は痛感いたしております。鉱業審議会を開くかどうかというのは別にいたしまして、現状を踏まえまして何らかの追加的な非鉄金属鉱業対策というものが必要ではないかと考えておりまして、現在鋭意検討いたしておる段階でございます。
○奥野(一)委員 開くか開かないかは別にして何らかの対策が必要だ、こういうことでございます。もちろん、開かなくても今日の状況に対応した対策を講ずることができるということであれば私はそれでいいと思うのですが、それはあれですか、今現行制度の中でいろいろな手当であるいは支援体制というのをやっていますね。だから例えばそういうものをさらに充実をしていく、法改正なんかしなくても実際の行政の段階の中でそれはできるんだということでさらにそれを拡充強化していく、こういうふうに受け取っていいわけですか。
○野々内政府委員 財政上も各種の問題がございますから、できる範囲というのは限られるかもしれませんが、私ども現場でいろいろ意見交換をしておりますと、要望は二つございます。一つは為替の安定を何とかしてくれ、もう一つは現在の対策の中で特に安定化融資、それから中小鉱山補助金、この制度についてぜひ拡充をしてほしい。この辺が特に強い御要望でございますので、この当たりに沿って検討いたしたいと思っております。
○奥野(一)委員 ちょっと失礼なことを言うかもしれませんけれども、役所のお答えの中で私どもふだん気にしているのですが、検討しますという言葉がしょっちゅう使われるわけなんです。善意に解釈いたしますと、それは検討されるのだから必ず期待にこたえられるような具体的な対応策が出てくるだろうと我々の方では思うわけなんです。ところが、実際に検討検討と言っていつまでも検討というようなことがございまして、検討してみたけれどもだめだったなんということでは何にもならないということになるわけです。だから、私は先ほど鉱業審議会を開いた方がいいのではないかというふうに申し上げましたのは、役所の場合にはそういう何とか審議会とかあるいは諮問機関などで報告なり答弁なんかが出されますと、比較的まじめにそれに対応されるということを従来ならやられてきているわけでございます。私は決してエネ庁の方を信用しないとかそんな気持ちから申し上げているわけではございません。為替の安定ということにつきましては、いかに政府全体が頑張ってみたって、これはそう簡単にいく問題ではないと思うのです。したがって、後の対策ということにできる限りの力を注ぐ必要があるのではないか。 今具体的には、当面の支援対策としてAタイプ、Bタイプ、Cタイプという形の中でやられてきているわけですが、これは先ほど申し上げましたように百六十円台の為替レート、企業の方では今お答えがありましたように百五十円で何とかやっていけないか、こういうことで一生懸命努力をしてきているのだけれども、現実には百四十円を割るとかいう状況の中で非常に経営状態が厳しくなってきている。現在、現行制度の中では経営安定のための融資制度あるいは探鉱促進策とかこういうものがとられてきているわけなんですけれども、それが昨年のそういう建議をしたような時点と変わってきているのは、円レートの関係なんかで非常に厳しくなって変わってきていると思うのです。だから鉱業審議会というものを開かなくても、エネ庁独自あるいは通産省などがそういうものにさらに対応していくだけの手だては講ずることはできる。もし財政的に必要があるのであれば、今度緊急経済対策なんかも決められるのでしょうから、そういうものに織り込むことだってできるかもわからない、こう思っているのでありまして、だからそういうものについて現状の状態に合わしたような対応策というものを間違いなくとるように努力をする、こういう面での検討をされるのかということを確認をしておきたいと思うのです。
○野々内政府委員 現在たまたま総合経済対策の検討中でございますので、その一環として政府として取り上げたいというふうに考えておりまして、どこまでできるかということにつきまして今ここでお約束することはできませんけれども、最大限努力をさせていただくということは十分お約束できるかと思っております。
○奥野(一)委員 今度の緊急経済対策の中に織り込みたい、こういうことなんで、そういう場合に、関係の業界とそれぞれ御相談とかあるいは要請を聞かれるとか、当然こういうことについてはやられるんだろう、こういうふうに思っているわけですが、その辺の連携というのは労使双方からやられるということになりますか。
○野々内政府委員 私ども常時関係業界あるいは労働組合側からも意見を伺っておりますので、そういうものも参照しながら進みたいと思っております。
○奥野(一)委員 そうすると、現在までいろいろな要請なんかも出てきている、こう思っているわけでありますけれども、例えば非鉄金属鉱業の関係で実際のコストの中では電力料金というのは非常に大きなウエートを占めております。円高差益還元というような形の中で、一部電力料金の暫定的な引き下げ措置というものはとられておりますが、それでもまだなおコストの中で占めているウエートというのは相当大きい状況になっています。例えばそういうようなものについても含められるということになるか、あるいは探鉱の資金の補助なんかの関係についても、聞きますと、ほんのちょっとしたところを探鉱するのもあるいは広い範囲内の探鉱をするのにも同じような補助率の状況だとか、そういうのがあって、これもちょっとおかしいのではないか、こういう意見なんかも聞いたりしておるわけでありますけれども、これからの対策の中でそういうようなものも全部見直しをされますか。
○野々内政府委員 電気料金が鉱山におきましてコストについて非常に大きなウエートを占めておるというのは私ども理解をいたしております。ただ、特定の分野につきまして政策的に料金を安くするというのは、現在の法律上、公平の原則−原価主義ということからいってできないというふうに考えております。それは、特定の分野について下げますと、その部分についてのコストを他の分野の方に負担をしていただくということになりますので、これは法律上も、また公平上も無理があるかと思っております。ただ、鉱山の操業の実態に合わせまして、できるだけ安い時間なり時期の電力を使うという形で、鉱山あるいは製錬所のトータルとしての電力コストを下げるということは可能であろうと思いますし、今既にそういうことにつきまして電力会社と鉱山会社で話し合いをしながら契約を結ぶように指導をし、現実にそういう方向に動いておるというふうに理解をいたしております。 それから補助金につきまして、実は補助率の問題とか御要望いろいろ出ておりますので、どこまでできますかこれも確たるお約束はできませんけれども、できるだけ実態に合った形になるように、実はもう既に大蔵省に持ち込んで議論を始めております。
○奥野(一)委員 電力料金の関係、これは皆さんの方が専門ですから詳しいだろうと思っているのですが、私も資料をいただいて調べたりしておりますけれども、相当大きなウエートを占めておる。今言われますように、法律上特定の企業だけに安くするということにすればあるいは公平とかそういうことを欠くかもしれない、こういうようなことでございますけれども、実際には、例えば一般の税金なんかの場合でも、いわゆる優遇税制というのがございますね。あの優遇税制とか、それから最近言われている不公平税制、あれも一つの優遇だと思うのです、特例だと思うのですよ。だからこういうような、それも未来永劫そういう措置をとるということではなくていいと私は思うのですね。今急激な円高に襲われてきている。しかし相当大きなウエートを占めている電力料金で何とか多少特例的な措置をとってやれば、当時百六十円であったものが今百四十円で、企業の方は百五十円なら何とかやっていけるように生き残れるための努力をしている。そうすれば、この差十円、これは電力料金の中で何とか、これは全部というわけにいかないと思うのです。いろんな企業努力もやらなければならないと思いますけれども、しかし実際に企業がそういう状況になったときに、コストで一番先に削減されるのは人件費でしょう。これは労働者だけが犠牲になってちまたにほうり出されるということになっていくわけなんです。 働いている人力だけにこのしわ寄せをするということでなくて、そういうものについては、例えば電力料金だったらどのくらいになるのか私もよくわかりませんけれども、資料を見ますといろんな数字が書かれております。そういうような中で、それじゃ幾らかでも、同じコストを下げるのだったら、従業員数で、例えば仮に千人減らすというのであれば五百人くらいで何とかとめる。そしてその部分は電力だとかいろんなものの、国の補助もあるでしょうし、全体的な中で何とか企業が生き残れるというような体制をとるような考え方というものはできないものなのか。 電力料金なんかも、未来永劫その企業にだけ何かいい方法ということになれば、今言われるようなことに指摘をされるかもしれませんけれども、例えばある一定の期間、円高がある程度どこかのレートに落ちつくまでの間、企業が努力をしている間、その部分だけは何とか面倒を見てやろうじゃないか、そんなような特例というものは全く考えられないという仕組みのことになるわけですか。
○野々内政府委員 実は電力料金を特別に安くしてほしいという要望は今いろんな分野からございまして、円高で困っております中小企業あるいは繊維、福祉家庭とかいろいろございますが、なかなか難しいのは、特定の分野について料金を下げるということは、その下がった部分をだれが補てんをするかという、他の方がその部分のコストをカバーするということになるわけです。それから、かつ特定の分野としてどこを選ぶか。これはその御要望が非常に多いわけですから、その中から選ぶということになりまして、これはなかなか難しいということで、実際問題としてそれはなかなか難しゅうございます。 したがいまして、私どもは、例えば夜間の余っている電力は当然安く売っていいはずである。したがって鉱山、製錬所も、それじゃ夜間の操業をふやすことによって人件費が夜間の手当がふえますけれども、それ以上に電気料金が安くなればトータルとしてコストが下がる。あるいは休日出勤という形でトータルとしてコストが下がるというような方法もあり得るのではないかという形で、電力会社として余っている電力、それと需要家の方の操業の形態とをうまく組み合わせることによって、トータルとしてのコストが下がり、また電力会社としても経理が楽になる、こういう形が最も望ましいのではないかと考えておりまして、そういう方向で現在いろいろ具体的な契約の話が進んでいるものと理解いたしております。
○奥野(一)委員 電力料金の関係につきまして、きょう別にそんなことを議論する気はさらさらなかったわけでありますけれども、今どこかの特定の企業に下げますと、その下がった分をだれが負担するのか。私は、イコールそうなるのかということだって疑問があるわけです。それじゃ電力会社の料金体系自体だって洗ってみなければわからない話だ。私は一遍何か議論してみたいと思っていることはあるのです。 電力会社は九つに分割されている。しかし、これは独占じゃないか。実際の経営形態は電力というのは独占でしょう、地域には分かれているといったって、そこの地域の中で競争がないのですから。そういう競争がないところほど本来なら料金というものはきちっと監督するというのはおかしいけども、見なければならないと思うのです。しかし、実際私どもは電力料金などの値上げのときなどは、会社などからいろいろなデータをもらったり交渉などに資することもありますよ。しかし実際にどうなのだろう。電力でもっと下げたってやっていけるのではないかという疑問だって実際にはあるのです。しかし、きょうはそのことが目的ではありませんから、そのことについてはやりませんけれども、だから単にどこかの企業の電力料金を多少特例か何かでもってまけてもらって、それも期限つきで仮にまけてもらったからといって、すぐその部分をどこかに負担をさせなければならないという状況であるかどうかだって、これは議論をすれば余地はあると思うのです。設備投資の中で一番伸びているのは電力ですから、一方から言わせますと、それだけ余裕があるということなのです。そういうことも含んでこれは検討してもらいたいな、こう思っているのですけれども、きょうはそれは本題ではございませんから、ぜひそういう面でこれから配慮もお願いしたいと思っているわけでございます。 それから雇用関係で、きょう労働省おいでいただいていると思っているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、六十年に八千九百五十人ぐらいおられた従業員の方が今日時点では三千八百人、五千人以上の方が職を失っているわけでございまして、労働省とすればそれぞれの地域の雇用安定ということについては相当な御奮闘をされていると承知をしておりまして敬意を表する次第でありますけれども、この非鉄金属関係のこういう人たちの雇用状況というのはどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思うわけでございます。
○廣見説明員 お答え申し上げます。 今先生からお尋ねのございました非鉄金属鉱業関係の労働者の雇用の状況でございますが、確かにお話ございましたように大変厳しい状況になっているというふうに私どもも理解しておるところでございます。全国各地でそれぞれ閉山あるいはまた事業規模の縮小等が行われておるわけでございまして、今先生のお話のございましたような従業員の縮小というのもございました。また、そういう中でやむを得ず離職といいますか、事業主の都合による離職という形になって出てまいり、労働省といたしましては、このような人たちに対しまして各種の対策を講じておるわけでございます。主として特定不況業種雇用安定法に基づく特定業種の指定あるいはまた雇用調整助成金の業種指定、こういうことをやっております。 さらにまた、大体こういう鉱山では、その鉱山にその地域全体が頼っているという地域も多うございまして、そういう意味では地域対策も大変重要になってくるということで、先般成立いたしました地域雇用開発等促進法、これに基づきまして特定雇用開発地域あるいは緊急雇用安定地域に指定して、各種の対策を進めておるわけでございます。 こういうようなことで鉱山に対しては私ども全力を尽くしておるつもりでございますが、このような人たちには、先ほど申し上げましたような大体不況業種に指定されましたところでは手帳を発給いたしまして、個々の人たちがその手帳に基づいて職業安定所のいろいろな指導を受けながら職業紹介を受けていく、あるいはまたその職業紹介を受ける過程において各種の助成金を支給しながら再就職に取り組んでいただく、こんなようなことをやっております。現在のところ約二千名でございますが私ども手帳を発給いたしておりまして、この人たちに対し安定所で個々に、今申し上げましたような法律等に基づきながら再就職に全力を挙げて取り組んでおる、こんなような状況でございます。
○奥野(一)委員 具体的な数字はわかりますか。先ほど言ったように約五千人ほど減少しているわけなのですけれども、そういう人力が、今手帳が出されているのは二千人というふうに聞きましたけれども、このくらいは再雇用がいっているとか、あるいはこのくらいは今職業訓練、再訓練をやっているとか、あるいは全く見通しかないとか、そういうのはわかりますか。
○廣見説明員 先ほど申し上げましたような不況業種に指定しまして手帳を発給し、各種の措置を講ずるということでやっておりますが、これは実を申しますと、手帳の発給で現在一番多くなっておりますのは造船業からの離職者でございます。現在、造船業からの離職者で、手帳を受けながらまだ再就職ができない形になっておられる方が約一万四千名近くもおられます。その中で鉱山関係は先ほど申し上げましたように約二千名の方に手帳を交付したわけでございますが、残念ながら鉱山とか造船とかいう形で取り分けて私ども集計いたしておりませんので、今すぐ鉱山の二千名の方がどういう形になっているかというのは手元になくて恐縮でございますが、例えば秋田が一番多いわけでございます。秋田で見てみますと約千三百名の方が離職されたわけでございますが、その中で、これはちょっと古くて昨年の十二月末現在でございますが、その段階で見ますと五百二十五人が何らかの形で就職されておる。約四割でございます。未就職者として残っておられるのは六百名ちょっと、六百十三名だったわけでございまして、大体ほとんどの方が保険を受けておられるわけですが、その中で約九十名の方が保険を受給しながら訓練をやっておられるというような状況になっておったわけでございます。 大体こんな状況も見られますので、各種、大体これの前後する数字だと概略は承知いたしておりますが、申し上げましたように全体として把握したものを今手元に持ち合わせてございません。 以上でございます。
○奥野(一)委員 時間の関係もございますので、エネ庁さんの方はこれでお引き取りいただいて結構ですけれども、先ほどから申し上げておりますように、できる限りのことを前向きで取り組んでいただきたい。 それから、その鉱山がだめになれば労働者は失業するわけですから、失業をすればまた労働省の方が再就職のためにやらなければならないというようなことで、一番いいのはなるべく失業者を出さないようなことでやることだろうと思うので、それが不可能であればこれはしようがないのですけれども、可能性があるならばその可能性を追求していって、鉱山が残れるような仕組みの中でぜひ御指導、御援助をいただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。大変どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 エネ庁長官、結構です。
○奥野(一)委員 次は、先日通産大臣並びに経企庁長官の方から今国会における所信表明がございまして、それに基づいて幾つかの問題についてお尋ねをしていくわけであります。 最初に、六十二年度予算が二十日に成立をいたしました。あの晩テレビを見ておりますと、中曽根総理、大分張り切っておりまして、これで予算を土台にして内需振興や景気回復あるいは失業対策、中小企業対策が思い切ってやれる、こういうようなことについて盛んに言われておりました。私は話を聞いておって、果たしてできるのかな、こういう感じを持ったわけであります。 これは後でまた触れることにも関連してきますけれども、総理が言われたことは二つに分けられるのではないかと思うのですが、一つは、今の六十二年度予算を土台にしながら、今言ったようなことですね、内需振興、景気回復、失業対策や中小企業対策、これが前段。それから後段の方では、近く決定をする緊急経済対策に基づき補正予算編成に着手をして、国際的にも日本がやっているということを明らかにしたい。国際公約である内需拡大は恐らく補正予算、こういうふうになるんだろうと思うのですね。 そこで、前段の六十二年度予算が成立をしたということで、その六十二年度予算で内需振興、景気回復、失業対策、中小企業対策、これを思い切って進められるという予算の内容になっているかどうか、そういう点ちょっと疑問があるのですけれども、それはいかがでしょうか。
○近藤国務大臣 おかげさまで六十二年度予算を成立をさせていただいたわけでございますが、この予算の中では、いわゆる財政再建の枠の中ではあったわけでありますけれども、できるだけの景気対策を含めて配慮してございまして、特に公共事業予算については、額としてはふえておりませんが、しかし財投等を使うことによって事業量としては五・二%の伸びを確保してございますので、これは私どもは上半期に八割以上の契約を完了しよう、こういうことで内々建設省その他公共事業関連各省と打ち合わせをしてまいっております。過去の最高が七七%前後でございますから、かつてないぐらいの大幅な前倒しをする。そのことは財政主導型の景気増大を上半期に持っていく、こういうことでございますし、八割以上を上半期に契約し、あと二割残っているわけでございますね、その二割を今度埋めるのは、これから補正予算を早急に編成いたしましてこれまた国会で御審議をいただく、こういうことでございますから、現予算の上半期八割の早期契約ということは、私はそれなりに相当大きなインパクトを持つものである、かように考えるわけであります。 雇用対策については、いろいろ三十万人雇用計画等を考えておりますし、中小企業対策については通産大臣からお答えがあると思いますけれども、全体としてこの予算の速やかな執行は、景気に対して明らかに積極的な効果を持つものと私は考えておる次第でございます。
○岩崎政府委員 中小企業対策につきましては、六十二年度、こういう厳しい総枠の中でございましたけれども、六年ぶりに総額としては〇・一%増というような形をとり得たわけでございます。また、昨年来地域対策、業種対策等やってまいりましたけれども、六十二年度においては新規に下請企業というものに着目した対策、これは技術開発の特別融資あるいは各地における転換のアドバイザー制度、こういうものの充実等を今回用意できたと思っております。
○奥野(一)委員 後のものと一緒にした方がいいと思いますのでもう一つ申し上げますけれども、私はなぜ今そういうようなお尋ねをしたかといいますと、六十二年度予算が成立をする前から、緊急経済対策については何らかの手を打たなければだめだ、こういう話になってきているわけでしょう。まだ政府としては完全に決まってないけれども、政府首脳の方ではそういうことについてはもう腹が固められているというように受けとめているわけです。そうすると六十二年度予算というのは一体何なのか。確かに六十二年度予算は五十何兆がという予算を組んであるわけですから、その中にはもちろん公共事業費とか経済対策も入れてあるわけですから、全然六十二年度予算でやれないということはないと思います。本来であればそれで済むはずです。 ところが、六十二年度予算がまだ成立もしないうちから新たな緊急対策を組まなければならないということは、六十二年度予算だけではとてもじゃないがだめだということなんでしょう。そう受けとめられるのですよ。そうすれば、予算編成は大蔵省の責任でございますけれども、その中に盛り込む産業政策とか経済政策というのは、やはり通産省なり経企庁の責任だと思うのですね。そうしたら、六十二年度予算を組むときには、六十二年度の経済見通しなり経済運営の基本方針というのは閣議で決定になっているはずだ。それは一体何を決定したんだろう。わずか半年にならないうちにもう六十二年度予算では乗り切っていけない、そういうふうなことになるというのはちょっとおかしいんでないか。何か緊急経済対策をやれば大変いいんだというふうに受け取れますけれども、しかし裏から見ると、何だそれじゃ六十二年度予算はどんな方針で決めたんだ、全くずさんな決め方をしたから、あるいは先の見通しが立てられなかったから、あわてて緊急経済対策などを追加しなきゃならなくなってきたのではないか、こう言われたって弁解のしようがないんでないかな、こう思うのですよ。だから、その点とあわせて両大臣の方から見解があったらお尋ねしたいと思います。
○近藤国務大臣 昨年の秋に六十二年度予算を編成するときに基本的な条件があったわけでございますが、その中の一つは、いわゆる円レートがどのような水準で六十二年度に推移するか、こういうことでございまして、これのいかんでは経済に対していろいろな影響を与えるわけでございます。 私どもは、昨年の秋の段階では、六十一年は年頭に二百円ちょっとから大幅な円高があったわけでございますが、六十二年度は百六十円ぐらいのところで少なくとも安定していくもの、こう考えておったわけであります。そういう考え方で消費の見通し、住宅投資の見通し、設備投資の見通しを考えて、そして財政としてはこれぐらいの役割を果たす、国際収支はこういうふうになる、こういうことで三・五%経済成長というものを見込みまして、そしてそれとの整合性を持った財政の役割、したがって予算が幾ら、こういう決め方をしたわけでございますが、年が改まりましてからの為替レートがさらに上昇を続けてまいりまして、昨今は百四十円台ということになっているわけでございますので、私ども経済見通しを立てる役所としての条件の変化というものは、為替レートがそれから二十円以上上がってまいりまして、これが直接影響しますのは輸出関連の企業、これの設備投資が当初考えておったほど期待できないのではないか、こういう判断になりました。 民間の調査機関等も私の見通しよりも一%以上下の線を出しておりますが、この差というものを考えてみますと、大きな要素は民間設備投資の動向でございますし、もう一つは、同じく円高と関連いたしますが、いわゆる外需要素、輸出輸入のバランスが輸入がふえて輸出が停滞する。国際収支の面からプラスであっても、GNPに対してはこれはマイナスの寄与率でございますから、こういうことを考えてまいりますと、そうしたマイナス分を本来ですと民間の活力で補うべきでありますけれども、昨今のような状況ではそう大幅な民間活力の期待ができない。かてて加えて、円レートの安定を国際的に図ってまいりますためにも、日本政府が大幅な内需拡大政策に政府の責任で踏み出したということでないと、これは国際的な市場筋も信頼してくれないではないか。こういったような要素で、この際、緊急臨時の措置として財政出動による大幅な内需拡大政策をとる状況に今なりました、こういうことでございます。
○田村国務大臣 今企画庁長官がいろいろと経済事情、財政事情の御発言を申し上げた。そのとおりであります。 そこで、私は政治という面からお答えしてみたいと思うのです。といいますのは、急速な円高、これはまさにもう経済というものは生き物ですから、私は世界各国の政府あるいはどの政党においても、すべて予測した経済動向というものがぴしゃっと当たるということはなかなか難しいと思うのですよ。 そこで、一昨日ですか通りました予算は、これは年末に編成してございます。そうして、ちょうど編成して国会へ提案したころからレートが急激に動き出したわけですね。そこで、私はこの委員会でも申し上げた記憶がありますが、今予算案の審議中であるけれども、しかし緊急に総合経済対策、内需拡大策を打ち出してもいいんじゃないか、それは野党もこれを許容してくれると思う、私は日本の野党の成熟ぶりを信じている、こういうことを僕が言ったわけですよ。 ところが、私の言ったことは必ずしも当たらなかった。少し私は甘過ぎた。それはけしからぬ、そういうことをやるのなら予算の組み替えをやれということで開き直られたわけです。といいますと、この予算案というのは、御承知と思いますが、否決をされればもちろんですけれども、組み替え動議が通っただけでも、これは内閣総辞職か解散に結びつくものなのです。予算案というのはそれほど重いものなんですね。ですから、苦肉の策として、政府ではいじくれないというので、党に任せたという形であの総合経済対策の要綱というものが出てきたわけです。ですから、おっしゃるとおりなんです。あなたのおっしゃるとおりなんだけれども、現実の政治というものはなかなか難しいもんだ、こういうことになると思うのです。
○奥野(一)委員 私も決してこの臨時経済対策が悪いというふうには思っていませんし、こういう事態であればそれはやらなければならないということは私自身も思っているのですよ。ただ、聞いたのは、それじゃ一体六十二年度予算というのは何だったんだ。だから、大臣今言われましたように、予算というのは、これは変な言葉にとられると困るのですけれども、支配者が自分の意思というものを表明するのが予算、私も昔そういうふうに習いました。だから、例えば予算を通すとか通さないということは、今言われましたように、政権を左右するほど重要なものなのだよということを昔教えられたことを覚えておるわけなのでありまして、予算というのはそれだけ重要だと思う。 それだけ重要な予算ですから、本来であれば、先の見通しや何かも十分立てた上で、私は経済見通しについて毎年質問をさせてもらっていますけれども、そのときは必ずそういうことを言っているわけなんですよ。ことしは三・五%の成長を見込んでいる、しかしそれが達成されないということになった場合にはいろいろな影響が出るでしょう。そうしたら、三・五%を達成させるために政府ができる財政なり経済の対応というものは、やはりきちっとやらなければならないのではないか。そして、当初立てた見通しなんだけれども、それが達成されるようなことをやらなければならないのではないかということを、何回も経済見通しのときには議論をさせてもらっている。 六十二年度の予算編成は確かに一年末でございますけれども、経済見通し、経済運営の基本方針、こういうものを決められておって、そのまた幾らもたたないうちにまたやらなければならなくなってくるということについては、悪いと言っているのではないけれども、では六十二年度予算というものは一体何だったのかという疑問が残るのじゃないでしょうか、こういうことでございますので、その辺はひとつ御理解いただきたいと思います。 あと、ちょっと簡単にお尋ねしますけれども、六十二年度予算、これが実際にGNPにどのくらい影響しますか。
○近藤国務大臣 伸び率としては一・一%でございますが、三・五のGNPに対する寄与度は〇・二でございます。
○奥野(一)委員 そのとおりですね。そうすると、六十一年度予算よりも寄与率については下がってきている。そこも一つ問題があったのではないか、こう私は思っているのですよ。六十二年度の予算を編成されるときだって、為替変動なんというものがどのくらいになるか、それは先行きわからないという実態があったかもしれませんけれども、円安になるなんということはだれもその当時だって考えていなかったと思うのですね。それはひょっとすると百三十円台になるのではないかという議論だつであったと思うのですよ。そうすれば、六十一年度の寄与率は〇・九%くらいだったろうと思うのでありますけれども、それよりも少ない寄与率の予算編成というものはいかがなものであったのかということも一つ疑問点として残るわけなので、その点どうですか。
○近藤国務大臣 六十一年度の年度のGNPはまだ確定値がございませんが、六十一年の暦年で切って計算いたしますと、全体としての二・五の伸び率の中で、公的需要の寄与度は一・一でございますから、先生御指摘のとおり〇・二、いわゆる六十二年度ですね、これは。こっちは暦年ですから違いますが、ただこの一・一でございますけれども、これは昨年の秋以来の総合経済対策で、補正予算を中心として、また地方財政等々で財政を押し上げてまいりましたから、補正後の数字というふうにお考えいただきますと、補正前の数字としては必ずしも〇・二が少なかったかなということはこれはまたいろいろ議論になるところだと考えるわけであります。
○奥野(一)委員 そうすると、今度五兆円規模の補正を組むという場合、これはどのくらい押し上げるということになりますか、試算しておりますか。
○近藤国務大臣 五兆円といいますと、大ざっぱに言ってGNP対比一・五でございますから、これが丸々支出されて、そうしていわゆる乗数効果をもたらして、それが一年度幾らということについて、これはいろいろ計算の仕方で違いますけれども、一つの計算でございますが、一年間で二くらいの乗数効果を持つのかな、これは一つの計算でございますから、まだきちっと、その五兆円の内輪でそれが減税がどうでどうだこうだ、いろいろ議論がありますけれども、少なくとも五兆円が一・五、GNPの率であるということと、それが乗数効果を持てば一・五が乗数でふえる場合もありますから、多少プラスアルファの効果がある、こういうふうに考えるわけであります。
○奥野(一)委員 これは多少プラスアルファになるということは間違いないことなんでございますが、その議論は別にいたします。 では、次に緊急経済対策、これは具体的には補正予算になるわけでありますが、この緊急経済対策というものは非常に重要な問題だというふうには私は考えているのです。それが重要だというのは、一つには、これで国内の、今円高不況とかいろいろな要素があるわけですが、それをどうカバーすることができるのか、これが一つあります。 それからもう一つは、諸外国からのいろいろな要請というのが出ていますね。通産大臣もOECDの際には、必ず目に見えるようなと言ったのですかね、必ず中身のあるものにする、こう言われたという報道がされているわけですね、今度の緊急経済対策について。それから、中曽根総理がアメリカに行ったときも、これで内需振興ということをきちんとやる、こう言われておったと思うのです。 そこで、この五兆円規模の緊急経済対策をやることによって、今言いましたように、国内で困っている円高不況というものをきちんとカバーすることができるか、それから諸外国に公約をしてきたことをきちんと実行することができるか、この二つがあると思うのですよ。国内の方は、仮にできなくても、それは文句は出るでしょうけれども、またそれなりの対応をすることができると思いますが、諸外国の場合には、日本は何を言っているんだ、OECDの際には言葉より実行だというふうなことを何か言われたという話も聞いているわけですけれども、そういうことにならない、間違いなくそういう公約については達成できる、こういう見通しをお持ちかどうかということがあるわけでございます。 巷間伝えられるところによりますと、経済企画庁長官などは、五兆円という規模の中には減税は別枠にすべきだ、天野建設大臣なんかもそういうふうに言われているというふうにも伝えられているわけでありますが、私も学者を交えて勉強をしましたときには、五兆円なんかじゃそれはできないだろう、こう言う学者の方が数が多うございました。やるなら十兆か十五兆円ぐらい思い切ってやらないとそう簡単にはいかんよ、こういう話もあるわけでございますが、その辺の見通しとかお考えはどうでしょうか。
○近藤国務大臣 先生、五兆円というまず額で申しますが、先ほど来申しておりますようにGNP対比で一・五という数字でございます。だから、今年度経済が自然体でどのくらいになるかということがありますけれども、これまたいろいろな議論がありますが、仮にそれに対して一・五プラスするということができれば、少なくとも三・五という線には近づくか、そういう感じの数字でございますから、これが足りないということはない、まずマクロで、ボリュームで申し上げますと。 今度は内容にわたってまいりますと、五兆円の内訳がいわゆる公共事業と減税でございますから、当然減税については消費を促進し、その減税の周囲では投資を促進するということでございます。公共事業の分は、これが前回の対策とちょっとその意味合いが違いますのは、少なくとも中央政府、そして地方政府、そして政府機関、例えば道路公団とか本四架橋みたいに自己の責任で実行できる額ということですから、例えば開銀融資みたいに、準備するけれども相手があることで、相手が借りにきてくれなければ有効需要化しないようなものは今回は外そう、それがいわゆる真水だとか、総理がリアルマネーとおっしゃる意味合いでございますから、実際政府の責任でできる仕事がウン兆円出るわけですね。これは明らかに自分で出てまいります。 ただそれが、円高不況で影響を受けている直接の産業と、公共事業で創出される需要とでミスマッチがあるではないかという御議論であるとすれば、それはそういう面はございますけれども、私どもは、まさにこの公共事業の配分につきましても、円高不況地域もしくは企業城下町で影響を受けている地域だとか、それから一般的に景気が思わしくない地域、地方を中心にこれを配分していこうということでございますし、しかも、その中でできるだけ土地代に食われないような形で実効のある扱い方をしたい、こう考えておりますので、その分は需要創出効果が出てくる、こういうふうに思います。住宅についても、これは新たにプラスアルファが出てまいるわけでありますから、そういう意味でよく考えてまいりますと、新しい需要の創出と円高不況産業との需給のミスマッチの問題は確かにございますけれども、それをできるだけカバーするような配慮をしてまいりたい、こう思うわけであります。 貿易収支の問題につきましても、そういう形で国内の需要が出てまいれば、今製品輸入の割合がどんどんふえておりますから、まさに製品輸入というのはアメリカとか欧州から入ってくる割合でありまして、これがふえてまいれば、輸出も多少とどまっておりますので、具体的に国際収支の改善にプラスになる、かように考えている次第であります。
○田村国務大臣 実は五兆円という数字は、世界の補正予算でもほとんど例がないのですね。これは大きいのです。でございますから、OECDの閣僚理事会で皆びっくりしました。問題は中身なんですね。日本は、五兆円というより五兆円以上の財政措置、もちろんその中身を可能な限り中央政府による追加的支出に限定したいということも我々は言っておるわけですけれども、日本の場合は歳出面の手当てとそれから減税という手当てと両方していこうということで、そして去年の秋の三兆六千億のような民間の設備投資まで入れるというようなことでなしに、もっと純度の高いものにしよう、こういうことですね。そこで、中身が立派であれば、私は恐らく世界で本当に例のない評価を受けると思うのです。 例えば、ドイツが大変褒められておるわけですけれども、御参考までにドイツの対応というものをちょっと御説明しますと、ドイツは一般会計の支出で内需拡大策をやろうということはしておりません。減税だけに絞っております。一九八六年一月一日からの所得減税が八千九百三十八億円です。それで一九八八年の所得税減税は、これは予定ですけれども、六千六百三十億円。正確に言いますと、八六年一月一日からの所得減税は百九億マルク、それから八八年からやろうというのが八十五億マルク、ですから七十八円として計算すれば六千六百三十億円。そこで、一九九〇年に予定される所得減税に向けて、第一段階として税率を改定しようというわけですね。九〇年一月一日から実施予定の所得税減税というもの、これが大きい。四百四十億マルクで、七十八円で換算すると三兆四千三百二十億円になる、こういうことなんですね。この内容が、基礎控除額の引き上げとか、子女一人当たりの控除額の引き上げとか、最低あるいは最高税率の引き下げとかというようなものをやろう。そこでドイツはルーブル合意に基づきまして、この四百四十億マルクの中の五十二億マルクというものを八八年に繰り上げ実施、いわゆる前倒してやろう、こういうことなんですね。これが非常な評価を受けている。 ところが、この五兆円を上回る日本の補正予算、これは単年度ですから、ことしだけで済むものじゃない、恐らく来年もやらなければならぬ、再来年もやらなげればならぬでしょう。この中身が立派なものになりますと、ドイツのこんな減税なんかそばに寄れないのですよ、日本のこの補正予算から見れば。ということになりますと、五兆円というすばらしい枠だから、なおさらのこと、中身をごまかしのない立派なものにしなければならぬ、そうすれば世界からすばらしい評価を受けるであろう、こういうことでございます。
○奥野(一)委員 私も心配する点はそこなんですよ、問題は中身でございますから。五兆円という規模も相当大きな規模であることは間違いないのですね。 ただ、心配になりますのは、先ほど言ったように、中曽根総理も予算が成立したときには、これから国際公約を果たすためにやる、こういうことですね。国際公約というのは何だということになれば、輸入促進とか黒字を減らすとか、諸外国はそこを基準に目をつけてくるだろうと思うのですよ。いかに国内でもって、五兆円と言いますけれども、減税一兆円以上ということになりますと四兆弱ということになりますね。それを実際にやって、しかし対外的には黒字も全然減らなかった、輸入関係も全然ふえなかったということになるというと、日本は随分やったんだけれども効果は何もなかったではないかというように指摘をされないだろうか、こういう点が一つ心配があるのですね。言われているような内需拡大は進むけれども、それが貿易収支にどう反映していくかということが心配になるのです。その辺の見通しは、この中で大丈夫だ、これをやればもう貿易摩擦のようなことは当分起こらないだろう、こういうことになるというふうに確信していいわけですか。
○田村国務大臣 内需を拡大するということは、すなわち供給に対して需要が劣っておるのだからそれが外需を求めていく、だから内需を拡大して需給のバランスをとろう、こういうことでございますから、理屈からいえば、内需を拡大すれば外需にまで頼ることはない、どん欲な飽くなき商法というものがなければ当然そういうことになります。でございますから、内需の拡大の立派なものをやることによって貿易収支というものは当然改善されるであろうことを信じる以外にありません。 しかし、だからといって、それは必ずしも貿易収支に大きく反映しない場合もあるかもしれない。あるかもしれないが、内需の拡大はやらなければならぬのですね。これをやった上でなお貿易収支が改善されない場合は、また新しい方法を考えなければならぬ。しかし、内需を拡大すれば当然それが外為市場へも大きな反映を示しましょうし、マーケットはそれを受けとめるでしょうし、そうすればレートの改正も行われるであろうし、ということで我々は希望を持つし、またアメリカを初め諸外国も、日本の内需の拡大をまずやってみてくれ、こういうことでございますから、試行錯誤というものは常に繰り返されるものでございますけれども、我々はまず内需の拡大をやって、それが国内の景気をよくし、外為市場への反映が的確に行われ、為替レートが適正なところへ戻っていってくれるであろう、そのようにして内にも外にもいい結果をもたらしてくれるであろうということを願って、国際的な、特にこれはルーブル合意に基づくものだと言った方がいいかもしれませんけれども、政策協調という意味も兼ねてこれをやる、こういうことでございます。
○村岡政府委員 若干ただいまの補足をさせていただきたいと思うのでございますが、奥野先生の御質問の趣旨が、五兆円の内需拡大策を講ずれば果たして貿易収支の黒字が是正されるか、仮に非常にシャープにこうとらえるとすれば、答え方は非常に難しいのであります。 御案内のように、昨年度における我が国の貿易収支黒字一千十四億ドル、これは単純に概算いたしまし保ても約十五兆円という数字になりますので、仮に補正予算十五兆を計上して全部輸入に充てる、こういたしますれば、収支はつじつまがひょっとしたら合うかもしれない、他の条件にして同じならばと、こういうことになるわけでございます。 私どもの基本的な考え方は、内需拡大というのは絶対必要だ、しかしそれだけで貿易収支の黒字が改善するということではなくて、各国がそれぞれの責任に応じ、それぞれの分に応じて協力していこうではないかというのが、現時点におきます世界的なコンセンサスでございます。 米側にももちろんそれなりの責務はあると思います。財政赤字の削減であるとか競争力の強化であるとか保護主義への抵抗であるとか、極めて明確に米国は約束しております。それと同時に、日本は五兆円の内需拡大ということをこれまた明確に約束をしているわけでございますので、それぞれ分に応じた責務を全うすることによって、乗数効果、相乗効果が出て、現段階における不均衡が解消に向かうということを強く期待しているわけでございます。
○田村国務大臣 非常に重要で微妙な問題でございますから、私から一言づけ加えますならば、今村岡通政局長が申しましたようなことを受けて、OECDの閣僚理事会での合意がなされ、共同コミュニケが出された、そしてアメリカ、日本、ドイツが果たすべき役割が特掲された、こういうことでございまして、まさに今の相乗効果というものをどのように見ていくかということだと思います。 五兆円というお話でございましたから、私は五兆円に限ってお返事を申し上げましたけれども、アメリカの財政赤字削減あるいは西ドイツの内需の拡大等々と、お互いの努力が相まって、相乗効果で一層効果を強くしていくだろう、こういうことでございます。
○奥野(一)委員 いや、その点は私も考え方は変わっておりません。今申し上げませんでしたけれども、これは何も日本だけの責任でないということは、アメリカ側自体でも言っている人もいるわけでありまして、私も大分前のこの委員会の中でも一遍は言ったことがあると思うのです。アメリカにだって言うべきことはきちっと言わなければだめじゃないか。例として、NTT、当時は電電公社が買わされた電話機の例を話したことがあるように記憶しているのです。とても日本で使えるような電話機ではないものを当時の電電公社が買わされて、売れなくて在庫に残っているという例を言ったことがあります。これはアメリカだってあるいはヨーロッパだって、今は相当日本人が使いやすいように研究しているのだろうと思うのですけれども、そういうことも相手方だって努力もしなければ、何ぼ買え買えと言ったって、こっちが使えないものを買うはずがない。だからそういうことについては、言うべきことはきちんと言う。 やはり一番大きな原因というのはアメリカだ、私はこう思っているのですけれども、ただ日本も、そう言ったって一千億ドルを超える黒字を抱えていれば、自分たちが悪いなと思っていても日本に集中してくるということもあるから、通産大臣が言われましたように、日本がやることをきちんとやっていれば、何だと文句を言われても、それをはね返すだけの裏づけになると思うのですね。 それで、内需振興策ということについて具体的に、補正予算なりあるいは六十二年度予算を通してどういうような内需振興策をやられようとするのか、それは何か目標を立ててやられるのだろうか。ただ金を使えばいいというのは語弊がありますけれども、こういうものについてはこういうふうにしてやろう、それが内需振興にこういうふうに役立つのではないかというような目標というものは立てておられるのか。そういうことによって諸外国に対する公約実現の見通しというものは出てくる、こう思うのですが、その辺のところはどうでしょうか。
○近藤国務大臣 これは現在まだ政府部内で検討中でございますから、先生の御質問でございますが、明確にお話をする段階ではございませんが、ただ先ほど来言っておりますように、国の責任で行う公共事業がございますし、地方自治体が単独に行う公共事業がございますし、道路公団等の政府の機関が直接行う事業がございまして、まさに国の責任で行う事業でこの大宗を占めなければならない、こういうことであります。それにプラスいたしまして、従来公共事業の中に入っておりませんが、いわゆる非公共事業として例えば学校校舎の建てかえとか、そういうものもこの際は取り組んでくる。文部省等からそういう要望もございますので、そうしたものも国の責任、地方自治体の責任でやるわけでございますから、これで相当の中身を固めてまいる必要がある。 それにプラスいたしまして、実は先般、経済審議会の経済構造調整特別部会でレポートがまとめられまして、これが経済審議会の方から内閣総理大臣に対して建議がなされたわけでございます。そこで、私ども政府部内でこれを検討いたしまして、昨日、政府・与党の幹部でできておる経済構造調整推進本部、これは総理が本部長でございますが、ここでこの建議の報告をいたしまして、基本的にこの方向でこれからの経済構造調整を進めるべきだということの決定を見たわけでございます。 特に、その折にも付言してございますけれども、今策定中の緊急経済対策の中にも、新前川レポートが指示する方向のいろいろな政策の中で取り組めるものは取り組んでいこう、こういうことでございます。その大きな柱に住宅の向上充実の問題がございますし、片一方で都市構造の改革というものもございます。その他社会資本の整備を積極的に進めていくというようなこともございますので、全体の枠は枠として、その配分の中身においてはそうした新前川レポートで志向されているような新しい日本の経済構造調整政策の一環として、国内的にも国際的にも納得し理解されるようなものを積極的に取り組んでまいりたい、こういう考え方でございます。
○奥野(一)委員 何か二十九日ごろですか、政府の方として最終的に緊急経済対策を決める、その以前だから具体的なことはまだということについてはわかります。前の委員会のときにもちょっと申し上げたのでありますけれども、せっかく緊急経済対策ということでやられて、相当大規模な補正も含めてやる。しかし、それだけということになるわけです。 これは経済企画庁なんかもいろいろな面で発表されておりますけれども、例えば内需、そのうちで相当な力を持っている個人消費支出が少し横ばいかげん。これには労働時間の短縮とか賃上げとか、こういうものだってやるしかない、何かそんなような新聞記事も見たことがございます。労働分配率も労働時間数も日本の場合には諸外国に比べてまだおくれている。もちろんそれは政府自体がやるということではございませんからなかなか大変だと思いますけれども、減税の分は、今度の中でどういう形になるか知らないが、一兆円以上というような形でやれそうだ。もっと論議をしていけば、果たして一兆円でいいかどうかという問題がありますけれども、これは別にしまして、一つは、減税は今何とか見通しがつきそうな状況にある。 そうすると、あと賃金の問題だとか労働時間の問題だとか休日をふやすという問題だとか、こういうものがまだ課題として残る。諸外国からも日本人の場合には働きバチだとかなんとかと言われて、働き過ぎるのではないかということで指摘をされたりするわけでございますから、ではそういう部分については今回は全く手がつけられないということになるのかということが疑問として残るのです。だとすれば、ちょっとこれは片手落ちではないか、個人消費支出というのは余り期待するほどの伸びにならないのではないか、それはまた一面、内需の振興ということにはつながっていかないのではないかという感じがするわけでございます。 端的に言ったら、民間の場合には賃上げせいと言ったって政府としてはさせるわけにはいかないでしょうけれども、では国家公務員の場合、政府の皆さん方たくさんおられるわけですが、例えばこの人たちの賃金を倍ぐらいに引き上げてやったらどうなんだ、国がそのくらいのことをやれば民間だってまねをするのではないかと思うのです。そういう面の対策というものを一緒にやらないと、住宅投資、設備投資——民間の設備投資だって六十二年度の計画では下がっているわけでしょう。先行きの見通しが暗いと言っているわけです。そうすれば、あと住宅とか公共事業だとかということだけになってしまって、肝心の個人消費支出というものが伸びてこないということになるのではないか。その辺の対策は一緒にやられるというふうになっていますか。
○近藤国務大臣 先ほど御説明するときにちょっと申し落としたわけでございますが、いわゆる先生御指摘のございますような民間活力を積極的に活用する手段として企業の側の設備投資、特に研究開発投資等を促進していく必要があるということで、通産省さんを初め関係各省からそうした面の御要望もございますので、今経済企画庁で整理をしておりまして、その中で当面の緊急対策として取り組むべきものは積極的に取り組んでいく。これは利子補給とか助成金とか、いろいろな方法があるわけでございますから、これはこれで、いわゆる真水とは別にそういう形で民間の積極的な投資活動を誘発する。かてて加えて、住宅はこの際一挙に、衣食住といいますけれども住生活はおくれておりますから、新増改築、リフォーム等について従来もいろいろ考えておりますが、この枠を広げる、いろいろ配慮するということを考えるべきだと思っております。 お話のように消費でございますが、これにつきましては、まさに所得税減税がどういう額でどういう形で行われるかということでございますので、大蔵大臣ともいろいろ話をしているわけでございますが、国会で税制改正との関係で与野党で税制改革に関する協議機関が設けられるわけでございますので、その関係も配慮しながら政府としてどれくらいのことを考えるのかなというのが、これからの一つの大きな課題でございます。いずれにしても、減税によって民間の消費を促進していく、こういうことは非常に重要でございます。 一方、昨年来でございますが、現在まさに超低金利時代でございますので、この超低金利の裨益を従来のいわゆる一般の企業だけではなしに、もっと広く消費者ローンの中で積極的に大勢の国民の皆さんに享受していただく、こういうことで消費者ローンをできるだけ低くしていただきたいということについて大蔵省を通じていろいろ銀行等にお願いもして、現実に下がってまいっておりますし、その関連でもございますが、リフォームローンについても、この際安い金利でキッチンからその他リフォームをやっていただきたいということを推奨しているわけでございます。 問題は最後に先生から御指摘ございました労働時間の問題でございます。これも新前川レポートの中に、日本も欧米並みに労働時間を少なくする方向でいろいろ配慮しろ、そういうことでございますが、民間の場合には民間の皆さんが労使の間のいろいろな話し合いでお決めになる分野が多いわけでございますけれども、政府ができることについて、例えば公務員の労働時間とか週休二日制等々については、むしろこれは政府主導でやるべきじゃないか、こういう御議論もあるわけでございますが、どうも日本の場合は、お役人さんがまさに先憂後楽という儒教的といいますかそういうムードもございまして、これはそれなりに意味がある。中小企業の方々が土曜も日曜も働いているのに、お役人さんだけは先憂後楽の逆に先楽後憂でいいのかなという議論もございますので、いろいろな面で難しい問題もございますが、新しい労働のパターンというものを日本の社会に定着さすためのいわば主導的な役割をお役所が果たすという面もこれからは考えなければならないのかなということもございますので、この点はひとつ慎重にいろいろ政府で検討させていただきたいと思う次第でございます。
○奥野(一)委員 内需の振興ということについて従来からも随分言われてきておりまして、それなりの効果はあったのかなとは思いますけれども、一般論として見ればどうも余り効果がない。景気が、足取りは緩やかだけれども底がたいとかという表現でありますけれども、実際の中小零細の業者のところを回ってみますと、北海道の場合、東京なんかとは比較にならないのかもしれませんけれども、不況感というのはぬぐい切れないという状況なんです。やはり売れないということです。せんだって発表になりましたスーパー、百貨店なんかの売れ行きの状況を見ましても、やはり落ち込んできている。ということはやはり買う力が少し落ちているんだろう、あるいは貯蓄に回っているかもしれませんけれども、それだって老後のことが心配だからとかローンの支払いとか、そういうことがあってなかなか消費が伸びないということになるんだろうと思うのです。 だから公共投資をやるということについても反対はしませんし、あるいは民間の設備投資をどんどんふやしてくれということもいいし、住宅建設ということもいいわけでございますけれども、基本になるのは、消費支出というのが伸びていかないと、例えば製品輸入なんかということで拡大をされていったって、輸入したって売れないということになったのでは、これまた何にもならないということになる。これは一番難しい部面になるわけで、政府がどこまでやれるかということにもなるわけです。 しかし、そこのところを可能な限り努力をしてもらわなければならないと思うのです。今言われたように、官庁だけがやれることだけ先にやるということになりますと、何だ官庁だけがいい思いをしているのか、こういう批判ももちろん出てきます。また反面、官庁が夜遅くまで徹夜で仕事をしているのになんということだって逆にありますので、その辺のところはほどほどに指導してもらわなければならないと思うのです。 今の緊急経済対策、間もなく決められて、補正は秋になるのではないかと言われておりますけれども、効果というのはすぐということにはなりませんけれども、早い時期から効果というのはわかってくるものだと思うのです、六十二年度予算とあわせて。だからがっちりやってもらわないと、先ほども申し上げましたように諸外国から対日不信感、こういうことなんか出てくるとまた困るわけでありまして、それから国内でも、それだけのことはやったけれども企業倒産は一向に減らなかったなんということになるとこれまた何にもならないのじゃないか、こういうことになるわけですから、十分留意をして進めていただきたいと思うわけでございます。 ちょっと時間がありませんので、先へ急ぎます。 国際分業の関係で、通産大臣の所信表明の中で、「国際的視点に立った産業構造政策の推進」として「新しい国際分業体制の構築を図る必要がある」、こう述べているわけでございます。時間の関係から、関連するものをできるだけ一緒にやりたいと思っているわけでございます。 そこで、国際分業体制の構築ということにつきましては、具体的に我が国が何かを受け持つのだろうか、そういうことを考えて述べられたのだろうか、あるいはそれをどういう手段、方法で実現をされていくのだろうか、分業される産業というのは将来どうなっていくのだろうか、いろんな疑問があるわけであります。その実現の見通しとか時期とか、それから世界全体の産業配置ということを考えないでこれはできるのだろうか、そういうものが世界各国と合意されているのだろうか。貿易摩擦や何かの関係で、この産業はもうだめだ、これはもうアメリカに任せよう、いやこれはイギリスに任せよう、我が国だけが勝手に考えて国際分業だと言ったって始まらないと思うのです。だから、そういうような構想というものが何かあるのだろうかというふうに思うので、その点をひとつ。 それから、ついででありますから、産業の海外進出についてあわせてやりますが、産業の空洞化とかあるいは雇用空洞化、こう言われているわけでありますが、現実にそういう現象がぽつぽつ起きてきておるわけでありますが、これについて通産あるいは経企庁の方の見解、それから雇用関係については労働省の見解をあわせてお示しをいただきたいと思うわけです。
○杉山政府委員 それでは通産省の立場からお答えを申し上げたいと思います。 国際的に調和のとれた分業体制ということを大臣の所信表明の中で申し上げましたが、これにはねらいが二つあろうかと思います。 一つは、先ほど来御議論の中にも出てまいりましたが、日本の対外収支の不均衡というものが極めて膨大に上っている。これは日本の産業構造自体が、輸出がふえやすく輸入がふえにくい構造になっている。これを是正していくことが国際的に不均衡を適正なものにしていくという意味において必要なことでもある。 また国内的には、最近の円高の進展に伴って、一人当たり国民所得等々の面では世界的に遜色のない水準に来ているということが言われておりますが、どうも国民の生活実感としてそういうことはなかなか感得されない。それにはいろいろ理由がございますが、先ほど来御議論のございました労働時間の問題もございましょうし、社会資本の整備の問題等もございましょう。むしろ、こういった国民生活をより充実した内容にしていくためには、今まで以上に内需に力を入れていかなければいけないんじゃないか、またそうすることが、先ほど申し上げた、産業構造を国際的に調和のとれたものにしていく需要面からのアプローチではないか。そういう二つの観点から、国際的に調和のとれた産業構造ということが言われているというふうに考えるわけでございます。さて、これをではどういう方法で実現をしていくかということでございますが、基本的にはやはりこれは市場メカニズムに基づくものというふうに考えます。この場合、国際的な市場メカニズムということになりますと、当然のことながら為替レートということになりますが、為替レートの現状については、これも大臣たびたび申し上げてありますように、現時点は我が国産業にとってかなり厳しい状況まで来ておりまして、そういう意味では御心配の海外投資の問題なり国内におきます産業調整というものがむしろ相当加速化されてきておりまして、雇用問題、地域経済問題でいろいろとひずみが生じてきております。こういったひずみをできるだけ少なくしていく、摩擦を除去していく、これが政府としての基本的な対応ではないかということで、商工委員会におきましても産業構造転換円滑化臨時措置法を御審議いただいたわけでございます。 こういうような産業構造を変えてまいります場合に、一方で必要になってまいりますのは、海外投資なりまた輸入をふやすために同種の産品を製造している国内の産業の産業調整を進めていくということになるだけでは、産業の活力が失われ、また雇用面等に問題が出てまいります。したがいまして、そういったところは製造業の新しい分野を開拓するとか、またサービス産業等の面で雇用吸収の場をつくっていく、そういった政策的な努力も必要でございましょう。こういった点についても政府として何らか対応を講ずべき分野があるように思われるわけでございます。 以上、望ましい国際分業体制ということに関連をいたしました通産省としての考え方を申し述べたわけでございます。 御指摘の企業の海外進出の問題については、先ほども申し上げましたが、円高下で相当急速にふえております。大蔵省の統計によりましても、円高が進みましてから六十一年度の海外直接投資はドルベースで約八〇%前年度に比べてふえております。日銀の統計によりますと、そのうち製造業は前年比ドルベースで六〇%程度ふえているのではないか。こういうことになってまいりますと、これを国内で生産を続けていた場合に比べますと、雇用面でかなり大きな影響が出るというような懸念もございますが、こういった点につきましては、むしろこれからそういう問題が現実として出てくる可能性がございますので、先ほど申し上げましたような意味での新しい産業分野の開拓なりサービス産業の拡大といった方向で雇用吸収を図っていきますが、その過程におきまして労働流動性の向上等について、これまた政府としてかなりいろいろとお手伝いする面があるのではないかと思います。労働省、通産省の間の連携等を十分にいたしまして、こういった問題に対処いたしてまいりたいと考えております。
○及川政府委員 国際分業の今後の姿につきましては、垂直的な国際分業から水平的国際分業へ、プライスメカニズム、市場構造を通じて変わっていくということは、ただいま通産省からお答えいただいたとおりに経済企画庁としても考えているわけであります。 産業構造が非常に急速に変化してきておりますが、その中で直接投資等によって我が国の産業、雇用が空洞化するのではないかという御議論につきましては、経済審議会の経済構造調整に関する指針を作成する段階で何回か詳細な議論をいたしました。その結果、現在の円高のもとで相当急テンポに進んでおります直接投資の結果、製造業の海外での生産比率は、現在の四%程度から、一九九〇年代半ばには約倍増して八%ないし九%程度に拡大すると見られますけれども、それはアメリカや西ドイツの水準に比べますと、それでもなお二分の一程度の状況でありまして、いわゆる産業の空洞化という状況ではなくて、高度化過程の一つのプロセスというふうに考えるのが大勢でございました。 直接投資の結果雇用にどの程度影響が出るか、いろいろな計算があるわけでありますが、海外生産の二分の一程度が輸出減という効果が出てくるとして計算をいたしますと、二〇〇〇年までの期間に約六十万人程度の雇用の機会が国内で減少するという試算を経済審議会はいたしております。 ただ、他方国内での雇用の増の機会がトータルで五百万人程度二〇〇〇年までにはあると考えておりまして、雇用の構造としては、物をつくる産業では二百万人程度この十五年くらいの間に就業機会が減少するとは考えられますが、知識やサービスの生産部門では逆に六百万人くらい雇用が拡大するというふうに考えておりまして、その雇用転換ということ、需要と供給のミスマッチということは非常に大きな問題ではありますが、全体としていわゆる空洞化とかいう現象が当面起きつつあるというふうには考えておりません。
○廣見説明員 海外投資が雇用に与える影響の問題につきましては、全般的な問題につきまして先ほど来産業政策局長あるいは総合計画局長の方からもお話がございましたので、私ども労働省といたしましても、今やっておりますことを一言だけ申し上げておきたいと思います。 労働省といたしましても、海外投資によって雇用への影響が出てくるであろう、その出方ということを懸念いたしております。もっとも現在のとろはまださほど大きな直接的な影響はないのではなかろうかと思っておりますが、今後一層の海外投資の進展というようなことによりまして、やはり大きな影響が出てくる可能性がある、それについては十分心していかなければならないというふうに考えておるところでございます。 したがいまして、私たちといたしましては、この問題について早急に何らかのコンセンサスを得ていく必要がある、このように考えておりまして、具体的には雇用問題政策会議というのを私どもの方で開いております。これは座長を有沢広巳先生にやっていただいておりますが、労働者側、使用者側のそれぞれの代表者の方も入っていただいております。ここで昨年来からこの問題に的を絞りまして、今後どのように見通すべきか、またそれに対してどのような対応あるいはコンセンサスを得ていくべきかということを議論いただいております。いろいろヒアリングもやっておりますし調査等もやらせていただいております。小委員会もつくったりして今鋭意検討を進めていただいておりますので、この検討を早急にやっていただくということによって何らかのコンセンサスを得てまいりたい、このように考えておるところでございます。
○奥野(一)委員 まだ項目が大分残っているのだけれども、時間が足りなくなってしまいまして、が、経企庁の方で今お答えになって、まあ端的に言えばまだ余り心配することはない、製造業関係の方では減っているけれども三次産業の方では相当伸びている。ただ問題は、ミスマッチの解消に主眼を置く、こういうことなんですが、労働省の方では、今までお聞きしたところでは、海外進出に伴う雇用の空洞化、こういうものについてはやはり十分気をつけなければならない。三和総合研究所のリポートなんかを見ましても、そういう点について一部言ってはおります。しかし、実際に経企庁の方の試算の対象になっておらなかったような部分なんかを考えるというと、決して明るい見通してはない、雇用の空洞化という問題についてはこういうことを言っているわけですね。ミスマッチというのはなかなか解消するのは難しいというふうに思うわけでございます。 それは高齢者とかなんかになってきますと、例えばほかの地域で雇用の道がありましても、そっちの方には行けないという問題もあって、できるだけ地元で再雇用というようなことなんか考えないと、雇用対策上は、数字の上では一次産業、製造業の方が減って三次産業の方では雇用が拡大されるという形が出てきたといったって、現実にはそれは処理し切れないということになっていくわけであって、これは当然その地域における雇用というものをどうするか、今度はその地域において産業をどうやって新たに興していくのかとかということと一緒にやらないと、トータルの数字の上では仮にプラスマイナス・ゼロなんということになったって、地域ごとには決してそんなことにはならない、こういう問題なんかも出てくるわけでございまして、これから十分そういう面については留意をしてやっていただきたいと思っているわけでございます。 聞きたいことが随分あったわけですが、もうあと時間がありませんので急いで……。 一つは、内需型の産業構造、何か担当の方から、内需型などという言葉は使ってないのだなんていうことを言っていますが、この所信表明の中には入っているのですね。ただ、これから考えますと、ここで言っている内需型というのはサービス産業のことを言っているのだな、こう思うわけでありますが、具体的には内需型の産業というのはサービス産業のことを言っているのかどうか、これは簡単で結構でございます。 それから、あと中小企業対策、対米依存問題、地域間格差の問題、住宅対策、消費者金利の問題、行政の簡素化、これだけの項目が残っているわけでありますが、時間がありませんので、このうちの地域間格差の問題というのは地域の活性化の問題で、これは両大臣にぜひお願いをしておきたいな、こう私は思っているのです。 それは、いろいろな総合経済対策や何かでもって、あるいは地域の活性化とかいろいろなことをやられていることは承知をしているわけです。例えばこういう例があるということで申し上げたいと思うのですが、私は函館出身ですから地元のことを申し上げてどうも恐縮なのですが、函館には函館どっくという造船所がございます。なかなか仕事がない。だから仕事があれば、あそこで今二百人からのさらに合理化をしなくても済むということになるのですね。一方において、今運輸省の方では、まだ決めてはおりませんけれども、あそこに海洋観測船があります。わずか千トンくらいの船ですけれども、その海洋観測船をそろそろ新しくしなければならない時期になっているということで、地元の海洋気象台の方からは本省の方に新造船を頼むという要請が上がっているわけです。これは請願でも出ているわけです。ところが、ちょっとうわさを聞きますと、函館で使う海洋観測船なのだけれども、ほかの方に発注されるのではないかといううわさを聞いているわけです。そういうものがあったときに、いや地元でそういうものをつくるのだったらそこにやらせればいいのではないか。これも一つは地域の活性化になるし、産業の振興にもなるし、雇用の確保にもつながる。 青函連絡船だって、これは廃止ということに決まっていますけれども、何とかあれは新幹線保有機構にでも持たせてリースでやるということを考えたらいいのではないか。そのためには三杯か四杯くらい連絡船を建造させたらどうだ。そうすれば四、五年は函館どつくは大丈夫ということになるわけです。 それから、これは全く違うことですけれども、例えば飛行機の問題だってあるのですよ。函館空港というのがあります。ところが、朝一便というのは今九時五分ですよ。私が九時五分に乗って出てきますと、自分の部屋に着くのは十一時半ごろになります。帰りは、最終便は五時ですから、三時半にはここを飛び出していかなければならない。東京で何時間仕事ができるかということなんです。これは例えば函館空港に一機駐機していれば、朝一便、七時半ごろのもので飛び立ってくる。晩は六時半か七時ごろの飛行機で帰れば丸々一日東京で仕事ができる。この金持ちの大東京に地方の大方は前泊をする、さらに当日も一泊をしなければならない。地方の金をみんな東京に落としていくわけですよ。これは地域の活性化につながらない。 だから、総合経済対策なんかをやる場合、そういうことについて考えたらどうだということくらいのことを本来その担当としては言ってもらいたいし、また産業を扱う大臣とすれば、そんなのは地元にやらせたらどうだ。何か新聞を見ますと、通産省中小企業庁の方では、下請企業のあっせんの親企業を、今二万七千社あるものを今度十万社にふやすというわけでしょう。その中にだって、例えば原子力発電の配管とか溶接については、そういう技術を持っている造船会社にやらせるようにしたいという方向が何か出ているような報道もされているのですよ。これは他省庁のことをやるわけですから、それだったらこんなことだってできないことはないのじゃないか、こう思うのですけれども、これは私はお答えいただかなくてもいいと思うのでありまして、そういう面では、そういう総合経済対策なんかを決めるときに、地域でやれるものについては、少なくとも官公庁の発注するようなものについては、できるだけ地元の企業にやらせるようなことを考えた方がむしろいいのじゃないかというふうなことは言ってもらいたいなという気があるわけでございます。 時間が来ましたので、あとのものはいずれかの機会にまたやらせていただきます。大変どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 薮仲義彦君。
○薮仲委員 私は、さきに行われました田村通産大臣、近藤企画庁長官の所信表明に関連いたしまして、当面する何点かの課題につきまして質問させていただきます。 最初に通産大臣にお伺いいたしたいのは、大変御苦労さまでございましたが、先般出席なさいましたIEAそしてOECD閣僚理事会、そこで大臣が日本としての言うべきこと、さらには日本が持たなければならない責任、国際的な役割をきちんと主張なされてお帰りになったと我々は伺っております。そういう閣僚会議の中で大臣が最も決意もなさり、強く感じられたこと、その辺のところを冒頭にお聞かせいただきたいと思います。
○田村国務大臣 IEA、これはエネルギー関係でありますから、備蓄、開発、原子力というようなことが論議されて、そしてエネルギーの安全保障というようなことで合意をされたわけですが、OECDの場合は非常にいい顔ぶれが出ました。例えばアメリカのベーカー、ボルドリッジ、ヤイター、西独のバンゲマン、フランスのバラデュールとかノアール、英国からハウとかクラーク、イタリーからアンドレオッチとか、カナダからウィルソン、カーニーとか、いい顔ぶれが出たのです。 それで、結局いろいろなことを議論し、いろいろなことが決められ、合意されたわけですけれども、今の御質問の御趣旨に沿ってお答えすれば、要するに世界の三大経済国といいますか、アメリカという財政赤字国、そして日本、西ドイツという貿易黒字国、この三大経済国が果たす役割というものが合意によって特掲されたわけです。一つ、ここのところにはアメリカのことを書く、一つ、ここのところは日本、一つ、ここのところは西ドイツ、その他の国々のことはジ・アザー・カントリーズという言葉で、特に日米独というものは特掲された。それは、要するにアメリカの財政赤字削減、日本と西ドイツの内需の拡大ということでありますが、先ほど来の御論議のように、これは三大経済国のそういう努力によって相乗作用が起こることを期待しようということだと思います。 例えばアメリカが財政赤字の削減を努力しようとすれば、国が大きいだけに国際的なデフレ効果がうんと出るわけですね。それを日本や西ドイツの内需拡大策という積極財政によって補っていく。そのようにして世界の経済を安定せしめ、それぞれの国々の体質を改善せしめる、強化せしめる、こういうことだろうと思うのです。 でございますから、日本も、本来それは日本が内需の拡大策を講じる、それはもう日本の内政問題と言ってもいいわけでございますけれども、パリ合意にも見られますように、先般の四極貿易大臣会合にも見られますように、あるいはOECDの閣僚理事会にも見られますように、もう既に為替レートの問題だけを論ずる時代は過ぎた。それも大事だけれども、政策協調によって世界の経済の健全化を図る、こういうことが合意されたわけでございますから、日本の果たす役割も重いし、それだけ責任のあることをしなければいかぬ。もう毎年行われる年末の予算折衝のようなことじゃだめだ、思いを新たにして、それこそもう日本は可能な限りの努力をするというか、むしろ可能を超えた努力でもしなければなるまい、それが世界の一割国家日本の責務だ、私はそう思います。
○薮仲委員 ただいまの大臣のお話のとおり、並み並みならぬ決意でお戻りになった、また、国際社会における責任もそこで明確にしていらっしゃったわけでございます。ただいま御発言のとおり、もう日本の国は、言っているだけではだめだ、実行あるのみという御決意で戻られたと思うのでございます。 さしあたって総合経済対策ということが論ぜられるわけでございます。ただいまお話しのように、貿易のインバランス、これを改善しなければならない、貿易黒字を何とか解消していこう、そして内需を拡大しなければならない、こうなったときに、やはり経済閣僚として非常に重要な立場にある通産大臣は、この内需拡大について一応の腹案はお持ちだと思うのでございます。じゃ、さしあたってこういう形で、具体的に目に見える形で諸外国を納得させようというお考えをお聞かせいただきたいのです。
○田村国務大臣 このお答えは、本来企画庁長官からお答え申し上げることかもしれません。お名指してございますから、私からお答え申し上げます。 まず、これから日本政府が策定していくであろう緊急経済対策、いわゆる内需拡大策、この中身を濃くしなければいけない。諸外国が日本に求めておりますのは、中央政府による追加的支出で五兆円、こういうことを言っております。要求というものは厳しいものであっても、日本が自主的に策定するにしても、中身を不信感を買うような薄め方をしてはいかぬと思うのですよ。ですから、要は政府がさきに発表しました三・五%の成長、それを上回る答えが出なければだめだ。それから逆算して、中身をしっかりしたものにしなさい。だんだんと見積もりが、四%から三%、二%と下がってくるようなことじゃだめだ。三・五%以上を必ず実現する、そのためにはこういうことが必要だ。だから、先ほど申し上げたように、五兆円というのは世界で歴史にもちょっと例のないような大きなものですが、その中身をしっかりして、そして恐らく相当効果が出ると思いますけれども、それでもしだめなら、なおそれに対してまた追い打ちの施策を講じるということでしょう。 いずれにしても、小出しはいけません、もう思い切ったことをしなければ。料理のことわざじゃないが、後塩は効きません。最初に塩を動かさなければいかぬ、こういうことだと思います。
○薮仲委員 それでは経済企画庁長官にお伺いしたいわけでございます。 今回は緊急総合経済対策ということでございますけれども、もしも今度やれば七回目、ここ数年で七回目でございます。直近は昨年の九月に総合経済対策が組まれ、執行されたわけでございますけれども、私はその結果について一々長官と論ずる気持ちはございません。これはもう詳細は長官承知ですし、我々も担当の部局から明確に聞いております。 そこで、私はこの問題で何をここで指摘しなければならないかといいますと、確かに総合経済対策は行われた。ところが、ただいま田村通産大臣も言われたように、国際社会における日本に対する不満は一向に解消しない。数字の上では、これは企画庁の月例経済報告にもございますけれども、六十年度、そして六十一年度の国際収支が出ておるわけでございますが、一昨年度六百億ドル、昨年度は一千億ドルを超えておるわけでございます。経済対策をやったけれども一向に黒字が減らないじゃないか。 そうなりますと、ここで考えなければならないのは、経済対策をやったけれども不足だったのか、それとも国際社会が納得するような的を射た的確な施策じゃなかったのか、簡単に言えばいわゆる的外れだったのか、三番目にはやるべき対策をやっていなかったのか、この三つしかないと思うのです。不足なのか、的外れなのか、やるべきことがおっこちていたのか。きょうここで近藤長官と経済原則について議論を闘わす気は毛頭ございません。時間もございません、きょうは非常に限られておりますので。結論だけ言っていただきたい。不足だったのか、的外れなのか、やるべき施策をやらなかったのか、私は今この三つしかないと思うのです。長官はこれについてどうお感じになっていらっしゃるのか、要点だけ簡潔にお答えいただきたい。
○近藤国務大臣 不足だったかどうかという第一の御質問でございますが、さきの経済演説でも実は申し上げておるわけでありますが、当初の見通し、そして実績との大きな差は二つございます。民間設備投資が私どもが考えたほど伸びなかったというのが第一点。それから第二点は、これも円高の影響でございますけれども、輸出輸入の差額のいわゆる経常海外余剰、外需要因、これが私たちの当初見通しよりも大きくマイナスであった、こういうことでございます。 まず内需について言えば、設備投資の減はございましたけれども、その分は総合経済対策でカバーして、少なくとも四%程度の成長は達成した。しかし、予想以上の円高から外需要因が大きくマイナスに響いて、結果的に成長率が、まだ最終的に六十一年度は出ておりませんけれども、三%に達しないのではないか、こういうことでございます。 それから、やるべきことをやらなかったのではないか、こういうことでございますが、私ども政府がやることは、個々の国際収支の分野にわたって商品別にどうこうということじゃなしに、やはりマクロの立場から内需を拡大して、それに基づいておのずから輸入の増大を期待しているわけでございますので、個別輸入を増大する措置は現在の体制ではなかなかとり得ない。しかし、各商品について、これは通産大臣の大変な御協力を得ているわけでありますけれども、市場開放については相当のことをこれまでやってまいった、こういうことでございます。そういうことでございますので、私どもは決して的外れであったとは思わないわけでございます。しかし、当初我々が考えたよりも円高の度合いが激しかった。それは我々の努力にもよりますが、しかしアメリカのいわゆる双子の赤字というもの、これも私どもが期待し、また世界が期待したほどの改善を見なかったということが総合対策の効果を相当減ずる結果に、少なくとも国際収支の改善の問題や、また円レートの安定という問題についてはあったのではないか、かように考える次第でございます。
○薮仲委員 これは私は前にも指摘したのですけれども、私は決して大蔵省の肩を持つわけじゃないのです。昨年の九月の総合経済対策というのは、いわゆる国が主導的にやりましょうという公共投資が三兆円です。その他がざっと、民間活力であるとかいろいろございますけれども、開銀だ、中小企業対策だ等々をトータルして三兆六千億というような数字を出した。この中で主導は三兆円ですし、実際国費を出動したのは千三百三十億円程度である。ですから、今度行う五兆円規模の緊急経済対策はしっかりとした予算を組んでやるんだ、政府主導でやるんだ、こういうことはわかるわけですけれども、ただこうやって通関統計の上に黒字がどんどん出てくる。我々は一年間以上Jカーブということを聞きました。私は、そんなことだめだよということはこの委員会で言ったはずです。為替のレートを変えたって変わらないよと私は主張しました。結果はやはりそういう結果に落ちついているわけですけれども、ただ私が心配しますのは、こういうことが続いていますと、公共投資が貿易不均衡是正に役に立たないという大蔵省を喜ばせる——喜ばせるというとよくないですけれども、大蔵省だって社会資本の整備とかは大事だということですけれども、ここでこういう言い方をしているのです。「内需が拡大しても輸入の著しい増加には結び付かず、貿易黒字の縮小にはそれほど役立たないと考えられること(一兆円の公共投資をしても輸入増加は十億ドルにも満たない)」こういう言われ方をするわけです。 私は決して大蔵省の立場に立って物を考え、言っているわけじゃございませんけれども、やはり先ほども長官は教育施設とか等を言われました。いわゆる用地費にかからない公共投資をやろう。これは我が党もかねてから主張していることであり、それはやらなければならない当然なことだと思います。しかし、私はきょうここでもう一度長官と、しっかり考えておいていただかなければならないことを何点がお話ししたいと思うのです。 今まで行財政改革という話がありました。国民は痛みを分かち合い、国も地方も痛みを分かち合って頑張ろう、そうすれば明るい未来が開けるんだというようなことで、行財政改革、どんどん切り込まれました。でも結果としてどうなってきたか。やはり国民生活は豊かになったのか。私はこの点が非常に大事だと思うのです。内需拡大といっても、大事なのは、国は貿易黒字で超大国だ、ところが国民生活は果たして豊かなのか、強いのか。国は確かに強い。経済力も強い。どんどんと品物をつくっていく。でも、国民生活は果たして豊かであるかどうかの点について、今政府の行ってきた財政運営が本当に国民の方を向いてきたのか。 確かに戦後日本の国は、あの敗戦の荒野から立ち上がろう、追いつけ追い越せで重厚長大のいわゆる工業社会というものを築いてきた。ですから確かに高度成長期を迎えた。でも、そこでどうしてもやっておかなければならないことを忘れたのではないか。国民生活にもっと目を向けるべきではなかったか。先ほど来指摘がありましたけれども、GNPの六割を支えている国民消費、国民が本当に生活が豊かなのか、この点を経企庁長官はしっかりと見きわめて、欠けている点は何だろう、国民に視点を当てた政策を欠落したところに大きな欠点がある、私はこう言わざるを得ないと思うのです。 きょうは具体的に、私も内需拡大とは何だろうといろいろ読ませていただきました。その中でちょうど経企庁長官がお出しになった国民生活白書、これを使った論文があるのです。これは御自分の手元にある白書でございますから、これを通じて何が問題かを私は指摘したいと思うのです。これは月刊誌の「国民生活」という冊子の中から、なるほどなと思った論文をちょっと読ませていただきます。その先生の名誉のためにお名前を発表しますと、横浜国立大学経済学部教授岸本先生の論文でございますが、「経済大国の国民生活の実態は」。というところでございます。 冒頭にこういうことが書いてあるのです。「日本は、国は豊かなのに、どうしてわたしたちの暮らしは、楽にならないのでしょうね」これがいろいろな講演のときによく先生が聞かれる言葉です。そのときにいつも先生が直接思うのは、自分が学んだ経済学の中で、経済学の創始者の一人、十八世紀のフランス人、重農主義の祖、ケネーの言葉である。「百姓貧しくして王国貧し。王国賓しければ王また貧し」、これが本来経済の原則であるはずだ。ところが今日の日本はケネーの言葉とは全く逆だ。「民貧しくして国は豊かなり」「国は豊かにして民貧し」、これはどこかちぐはぐだよ、こういう指摘があるのです。私はこれはある意味では当たっていると思うのです。 「一方では、日本は、世界中から袋たたきに会う程の貿易黒字をあげている。八五年度には六百十億ドル。今年度は、九百億ドルを突破する勢いである。」これは昨年の論文ですから計数がちょっと違います。「そして、さまざまに報道されている企業の「カネ余り現象」。しかるに、他方では、いわゆる円高不況がある。」そして、それを乗り切ろうとして企業が非常に苦労しておる。と同時に失業に見舞われたり家計が苦しい、そこまで追い込まれておるわけで、あすは我が身かなという不安があります。 要点だけしゃべっていきますからね。これを見てみますと、どういうことかというと、片や貿易黒字でたたかれて、片や個々の暮らしは非常に大変だ。日本の国全体の状況と個々の人の暮らしの間に大きなギャップがある。ここで我々が間違えちゃいけないのは、黒字はイコール企業の黒字だ、こんな短絡的な考えは持っておりません。これはこのとおりです。例えば貿易黒字の額をそのままイコール企業の黒字額と誤認などはしておりません。 その上に立って中間にいろいろ大事な話があるのですが、きょうは飛ばします。白書のところにいきます。この白書です。白書のちょうど百六十ページ前後に出てくるところでございますけれども、こう書いてあります。 「白書は、「めざましい経済成長の成果をうけて、国民生活の諸領域の中で最も顕著な向上をみたのが所得と消費の面である。」と述べたうえで、「国民一人当たり国民所得」と「一時間当たり平均賃金」の数字をあけている。いずれも一昨年、すなわち一九八四年についてのものであり、「昨年秋口以降急騰した為替レート表示」と、もうひとつ「購買力平価表示」とのふたつが示されている。」ここに、百六十ページに示されています。 「それによれば、「国民一人当たり国民所得」を「GDP購買力平価」で見ると、アメリカの一万二千三百七十六ドルに対し、日本は九千八百四十二ドルと、アメリカの八〇%に当たる。「アメリカ、スウェーデン、西ドイツに次ぐ水準で、西側先進国の中では中位の水準にある」」これでは相当高いわけです、中位といっても。 「他方、「一時間当たり平均賃金」を「個人消費の購買力平価表示」で見たものではどうか。アメリカの九・四六ドルを最高に、オーストラリア、スウェーデンと続き、西ドイツ(六・九八ドル)、イギリス(六・五五ドル)のあとに、日本が六。四七ドルとくる。アメリカに対し、六八%の水準ということになる。」片一方は八〇%ですよ、片や六八%。 「アメリカとの開きで見て、「一人当たり国民所得」の場合よりも「一時間当たり平均賃金」のほうがずっと大きいことが明らかである。このことについて白書は何も言わない」確かに言ってません、読んでみました。ところがマクロ、日本経済全体の所得の伸び方、日本経済の所得はこんなに伸びている。ミクロ、個々の家計の所得。「マクロの伸び方とミクロの伸び方とに、大きな乖離が生じていることを示すものだと、見なければなるまい。日本経済の持てる力はそれにふさわしいだけミクロを強めることになっていない」、マクロは伸びたかもしれないけれども、個々の一人の人の所得の増に、はなっていない。 ここに果たして日本は強いのか。「「強い日本」に対してハンディをつけるのが円高である。しかし、本当に日本は強いのかと、問い直すべきである」。結論はここに書いてあります。「労働の成果を賃金や労働時間などの面で労働者に還元することを怠った上で成立する競争力は、そのような競争力であるがゆえに、円高を招き寄せて、みずから競争力を喪失する羽目に立ち至っている。」 一番最後には、「今回の円高不況、円高デフレは、ミクロを強くしないで」個々の生活ですよ、国民生活を強くしないで「保持してきたマクロの強さの破綻を示している。ほんとうは強くないくせに」本当は強くないのですよ、我々はリッチじゃないのですから。「強くないくせに強ぶってきたために、強者に相応のハンディを背負わされてあわてている姿と言えるだろう。日本経済のカ、企業の力、労働のカを、いまこそ暮らしの基盤の強化に振り向けなければならない。収入を増やし、個人資産を増やし、社会資本を増強する方向に集中しなければならない。」私はこの論理になるほどなと思ったのです。長官もなるほどなと思うでしょう、白書にそのとおりあるし。 と同時に、これを読んでみたのです。これは長官のところの経済企画庁総合計画局の「内需拡大と成果配分」、これを読んでみたら同じことが書いてあるのです。さっき質問の中でさらっと過ぎたかもしれませんけれども、内需拡大で一番大事なのは労働分配率を上げること、時間を短縮すること、これが本当の意味での内需拡大なんだ。クロの個々人の生活を強くしなげれば、内需拡大など言っても消費の拡大に結びつかない。これもこう指摘しているのです。要点だけ改めて読んでみましょう。全く立派なことが書いてある。 「GNPの約六割を占める個人消費の拡大を通じた内需主導型の均衡ある経済成長を実現することが、国民生活の充実という観点からも、当面の最重要課題とされている。」長官のところでちゃんとこういうことを言ってあるのです。これをやらなければだめなんです。 それで、もっと大切なことが書いてある。我が国の労働分配率を国際的に見ると、欧米諸国に比べて低い。このとおりここに表が出ているのです。これは新聞にも出ていましたね。ざっとグラフを読んでみますと、主要五カ国の労働分配率、パーセント、日本六八・九、アメリカ七三・九、イギリス七五・三、西ドイツ六九・九、フランス七三・二。最下位です。この新聞の見出しは、やはり賃上げは進んでいません。労働分配率も低いです。いわゆる国際社会において最低なんです。それは長官もここでしっかり指摘していらっしゃる。 さらに、ここにもっといいことが書いてあるのです。「マクロ的にみた労働分配率の水準は、様々な経済主体のミクロレベルにおける意思決定の結果として事後的に決まるものであり、」これはそうですね。企業と労働者の間で決まるものだ。それはだれしも逃げ言葉で使うのですが、これはそうじゃないというのです。「政策的に直接コントロールできる変数ではないが、内需主導型経済成長を実現することが課題となっているような時期においては、労働分配率を引き上げ、個人消費の成大を通じたマクロ経済の好循環を生み出していくという努力が必要である」。どういうことかというと、今長官がやらなければならないのは、日経連に乗り込んでいって新しい会長に、どうなんだ、労働分配率を本当に考えてみろ、日本のミクロの強化のために協力せい、あるいは経団連に乗り込んでいってやるべきだ。こういうことを本当にやれば国民はみんな、そうだ、経企庁のやっていることは正しいんだと絶賛の拍手を与えると私は思うのです。 しかも、今度公共投資の中で住宅を目玉にするとここに書いてあるのです。「所得の伸び悩みに伴う住宅取得能力の低下や、所得上昇に対する期待の低下による面が大きく作用している」、いわゆるこれは賃上げです。後で資料を出しますけれども、今可処分所得がどんどん減っているのです。そうすると、家を建てようという意欲も少ないですよ、こうなってくるのです。 さらに、「内需拡大は、経常収支の黒字を着実に縮小させる必要があるため、GNP成長率を上回る伸びを実現しなければならない。すなわち、円高等による対外不均衡の是正過程で生じるデフレ効果を緩和し、経済構造調整を円滑に進めることが内需拡大の目的である。しかし、内需拡大は」ここから大事なんです。「単なる需要拡大策ではなく、国民生活の充実向上に資するものでなければならない。」やはり、ミクロの国民一人一人の生活に焦点を当てた政策が本当の意味での内需拡大だと経企庁長官のところで結論を出しているのです。 「もとより、こうした需要項目を中心に内需拡大を図るためには、機動的な財政金融政策の運営、各種規制の緩和、民間活力の導入等が必要不可欠であるが、これまで検討したように、成果配分としての賃上げ、労働時間の短縮は、適切な経済運営とあいまって、マクロ的に悪影響をもたらすことなく、内需を拡大させる一定の効果を有していると言えよう。ゆとりある豊かな国民生活の実現に向けて、内需拡大→賃上げ、労働時間短縮→内需拡大という好循環を作りだしていく努力が望まれる。」こう書いてある。 簡単に言い過ぎるかもしれませんけれども、私は確かに公共投資、減税は大事だと思うのです。この内需拡大の後ろには、さっき言ったように公共投資もある、減税もある。しかし、私がもつと経企庁長官に考えていただきたいのは、労働分配率あるいは時間短縮です。これは労働省の問題だとか企業と労働者の間の個々の話し合いだ——確かにそうです。でも今国は、今まで関税障壁あるいは基準認証がどうのこうのと言われているかもしれませんけれども、最もやらなければならないのは国民生活を豊かにして消費を拡大させる方向へ行くべきだというみずからのこの提言といいますか研究発表、私は先ほどの横浜国立大学の先生の指摘もこの指摘も同じことだと思うのです。 そこで、私は長官に、今度の経済対策は非常に大事かもしれないが、本当の意味でミクロ、国民生活に焦点を当てた内需拡大の施策を本腰を入れて経済閣僚としてやるべきだと思うのですけれども、いかがでございますか。
○近藤国務大臣 先生から大変示唆に富む発言がございました。横浜国立大学の先生の論文は私拝見をいたしませんでしたけれども、先生から御説明ございまして、全く賛成でございますし、計画局の研究会のレポートは私読みましたけれども、これも先生のお話のとおり私も全く同意見でございます。 要は、一千億ドルを超える貿易収支の黒字というのは、考えてみるとそれは今の円に換算いたしますと十四、五兆円になるわけでございますから、十四、五兆円相当の日本のいわば経済の生産物が、日本人の生活の向上に役立たないで、アメリカを初め海外に流れ出て、その見返りで金融債券をとっているわけでございます。まさに十四、五兆になるわけでございますが、すなわち日本のGNPの四、五%ぐらいのものが国民の生活に戻らないで外に流れていわばドルに変わっている。しかも、そのドルを使うならいいんだけれども、だんだん毎年ふやしていますから、使いもしないドルをためているうちに、まさにドル安で減価する、こういうことになっているわけでございますので、この国際収支の改善というのは今世界的にいろいろ日本が迫られておりますけれども、外国から言われるまでもなく、我々の国内の政策として、日本から流れ出ている日本の貴重な、それこそ労働者の労働の成果、果実ですから、それを国内にUターンをさせてきて、そして私どもの生活の向上にどうしたら具体的に役立つことができるか、はめ込むことができるかというのが、実はこれからの政策の最も大きな課題だと考えるわけであります。 〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕 実は、先般経済審議会経済構造調整特別部会でいわゆる新前川レポートが提出され建議されたわけでございますが、まさにこの報告書でも志向しております日本経済のこれからの姿というのは、そういうふうに国民の努力の結果を、外でなしに私たちの生活の向上にどうしたら充てることができるかということで、そのためにはまず社会全体の公共基盤の整備を図ると同時に、住宅を中心としたそうした生活の向上に日本の技術力や経済力やドルをどうしたら振り向けることができるか、そしてそれが可能になるための需要構造や生産供給構造の改変を期する、こういうことでございますので、そうした大きな政策転換の中で、先生からも強く御指摘がございました、結局日本の経済の担い手でありますいわば勤労者の所得をどうしたらふやすか。今までは輸出が主体ということで、ある意味では国内の所得を抑えても、いい物をつくって外で売ることであったわけでありますけれども、今度はむしろそれがUターンできるように国民の所得をふやすための具体的な措置はどうだ、その問題を考えて、これから一歩一歩改善をし改革を進めていかなければならない、かように考えている次第でございます。
○薮仲委員 それでは、次の問題は通産大臣にお伺いしたいと思うのでございますが、先ほど来インフラ整備、公共投資といいますか社会資本の整備、これは非常に長いスパンで、時間もかかると思います。しかし、これは非常に大事なことだと思います。また、先般反間活力の誘発のために民活法の法案が通ったわけでございます。しかし、これも相手あってのことでございますから時間がかかる、あるいはデレギュレーション、規制緩和ということも非常に時間がかかってまいります。いずれにせよ、これは長いスパンで見たときに非常に大事なことであり、欠かすことのできないことだとは理解しております。しかし、今世界が望んでいるのは、目に見える形でということはどうしても必要なことかなということは言わざるを得ないと思います。 そうしますと、今申し上げた労働分配率の問題も非常に重要なものだと思うのでございますが、もう一つ、私は円高ということを本当に国民生活の中で実感できるような形で施策として行っていくことは非常に重要じゃないかな。円高というのが私たちは短期間で終わるのかと思っていました。しかし、これだけ定着してきますと、やはりここで私は通商政策といいますか、経済政策として本格的に円高の対策は取り組まざるを得ないんじゃないか、これを取り込んだ方がいいんじゃないか、こう思うわけでございます。 これはもう田村通産大臣も御承知のように、では円高の発生はどのくらいか。これは六十一年度だけで十四兆一千四百億、これが発生している。還元が七兆六千三百億、還元率五四%。ずっと六十一年から引っ張ってまいりまして六十二年までの累計でいきますと、よくマスコミが言いますように十八兆一千七百億、還元が十兆八千億でございます。還元率五九・四ということでございまして、ここに約八兆円あるわけでございます。しかし、本年に入ってからは大分還元率が上がって、七〇%、八〇%近くなっていますよ、こういう言われ方をします。でも一〇〇%ではないわけです。しかも、このときの円レートの換算率は百五十三円。現行は百四十円ですから、この段階でも一割円レートは高くなっているわけです。円レート一割といいますけれども、例えば六十二年の一月から三月まででも差益は四兆三百億です。還元は三兆一千七百億という数字が出ておりますけれども、ざっと八千億の差益がどこへ行っちゃったのかな。隠れているわけです。これが、レートで一割上がったとすれば大体九千億くらいかなというほど大きなお金があるわけでございます。 ざっと円高ということを申し上げましたけれども、八兆円というと私は相当な額だなと思うのです。消えてしまった八兆円。これは今度総合経済対策でやろうとする、国が主導的にやろうとする五兆円より大きいのは当たり前なことですけれども、この円高還元を本当に徹底したらどうなるのかな。私は通産大臣にお願いしたいのは、あの円高差益還元で電力とかガス、約二兆円規模の差益還元をおやりになる。今度それをあらゆるところで、国民生活の周辺でこの円高差益というものを還元していったらどうなるんだろうか。 特に我々がこの円高という喜びをどうすればいいのだろう。我々が海外へ行きますと、まず円高ってすばらしいなと思うと思うのです。だれしも思います。フランスヘ行こうとあるいはスイスヘ行こうと、すごいな、円が強いな、円が強いというのはなぜこんなにすごいんだろうと思うほど。例えば何がそうかといいますと、日本ではこんなに高いのに、なぜこんなに安く買えるのだろう。日本ではブランドなんという神話みたいなことを言っているけれども、こんなものは簡単に買えるのだな。時計にしても、ネクタイにしても、カフスボタンにしても、こんな値段なのかと喜んで帰ってくる。これはやはり円高の恩恵というものを国民は海外へ行って初めてわかるわけです。そこで国民は、ああ得したな、本当に豊かな気分、金持ちになったような、リッチな気分になって帰ってくる。 私は、本当の意味でこの円高差益の還元というのは、日本の国内にいて、例えばイギリスのロンドンにいるような、パリにいるような、あるいはスイスのジュネーブにいるような感じになって物が買えたら、国民は、ああ外国の品物というのは安くていいなとこれを買うと思うのです。これは内需喚起だと思う。私は、本当の意味で円高差益をーブランド志向なんというのはたたき壊した方がいいのじゃないか、ああいうブランドのものがこんなにたやすく手に入って、よい物を生活の中でエンジョイできるのだ、こうなれば、自然と国民は消費が喚起されるし、これは対外貿易摩擦の解消にも、国民レベルからじわじわと広がってくると思うのです。 ここで問題になるのは、いわゆる並行輸入という問題を阻害している総代理店の問題もありますけれども、私はむしろ並行輸入に対しては、もっと適正な価格になるまでは手を差し伸べてやらなければならない、こういう問題もあろうと思うのです。この問題に関しては、大臣も御承知のように、大阪の商店街の人がみんなで海外へ見に行こう、あるいは東京の地婦連の人が直接買ってみよう、そういう動きがあるのは、これは行政に対する不満、フラストレーションのあらわれの行動だと思うのです。 そうなってくると、ここまで円高が続いたならば、本当に国民にリッチな気分にできるような円高メリットというものを還元すべきでないか。そしてこれは経企庁の、いわゆる新聞記事でございますけれども、先ほど来何回も出てくる経済審議会の特別部会が二十三日、日本の高過ぎる生計費、こういう話が出ています。これに対して食費は半減、こう出ています。こういうものを見ますと、私はやはり徹底的な円高の還元が非常に国民生活にとってプラスだなと思うのです。 最後に通産大臣にお伺いしたいのは、今度は国民生活をより豊かにするために、自分のテリトリーは離れるかもしれませんが、経済閣僚としてのお立場から、円高差益を徹底的に還元することがどれほど国民生活にとっても、また対外貿易摩擦にとってもプラスであるか、本格的にやっていただきたい。内外の格差を縮め、もっと楽しい生活ができるようにしていただきたい。これを伺って私の質問を終わりますけれども、残余の質問は二見先生が行いますので、最後に大臣の答弁をお願いいたします。
○田村国務大臣 全くおっしゃるとおりという一語に尽きるわけですが、円高差益の還元といいますのは、実は今までの実績を申しますと、公共料金の場合は、ほぼ円高差益は還元されておるわけですね。今おっしゃったように、電力各社、ガス大手三社、地方ガス等を入れまして、これは二兆円を上回る大きな、大減税にも匹敵するものですが、それに工業用アルコール、一月二十一日から実施しております。これは金額はたかが知れておりますが、それでも年間約三十億円。それから熱供給、これも三十七億円ある。プロパンガスや化学肥料というものは我々が協力要請をいたしまして、プロパンガスは一千五百億円以上、前回の五割増し、化学肥料も恐らく一、二割引き下げということに答えは出るでしょう、一月からやっておりますから。それで、その他私は実は主要百貨店、スーパー、いろんな人にお願いをいたしまして、相当効果は上がっておるのですけれども、さて国民のニーズということになりますと、なかなか難しい面があるのですね。 私は購買力平価というものが、いわゆる生活実感を反映した購買力平価というものが為替レートと一致しなければうそだという持論を持っているのですよ。今二百何十円ということになるわけですね。ですから、確かに日本はリッチだと思うのです。それは、外国へ行って外国の生活実態を見ていましても、日本はリッチだと思うのですけれども、しかし何となくリッチな感じがしない。ところが、実際の個人個人の生活というものは非常に幅広く優雅なんですね。ところが、もっと優雅にやろうと思えば、円を持っていって外国で住むというのが実際問題として一番いいわけです。ですから、そういうふうに考えますと、すべての分野に対して我々は円高差益の還元を求めなければならない。 そこで、ちょっと申し上げますと、還元率からいいますと、ことしの一月から三月期だけの還元率は七八・七%です。ところが累計でいきますと五九・四%。ですから、まだまだ還元していただける余裕はあるのですが、例えばブランド商品がなかなか下がらない。なぜ下がらぬかと文句を言えば、値段を下げれば買い手がなくなる、高いから買うのだ。私の郷里の松阪の肉みたいなもので、松阪の肉も安くしたら売れない、高いから買う。浅草ノリもまたしかりというようなことでありまして、そういう国民のニーズもあります。 私は薮仲委員に対してお答えを申し上げるというのは、数字を羅列した程度のことで、結論から言えば私も同じ意見ですということを答えた方がかえって早いかな。しかし、現実問題として所管外のことがあります。役人というものは所管外に対しては憶病であり、同時に自分の所管に対しては非常に閉鎖的であります。でありますから、我我政治家でございますと、労働大臣になったかと思うと運輸大臣になったり通産大臣になったり、そうかと思うと党へ帰って、かつて大臣をしておった役所の行政をぼろくそに言ってみたりという気楽さがありますけれども、役人はそうはいかない。ですから、我々は政治的にそれに対してどんどんくちばしを入れていかなければならぬ、そういう難しさはございます。しかし、円高差益がここまで還元をされたことは結構なこと、されないよりは結構なことですけれども、これからの努力を怠れば画竜点睛を欠くの嫌いが生じるということだと思います。
○薮仲委員 終わります。
○奥田(幹)委員長代理 二見伸明君。
○二見委員 最初に、通産大臣にお尋ねをいたします。 実は、ことしは日中国交正常化十五周年記念に当たる年でございます。私は、日中両国の良好で平和な関係を維持発展させるということは、日中両国のみならず、アジア、世界の安定と平和、繁栄につながっていく大事なことだというふうに思います。日中両国関係は、基本的には友好関係がずっと続いていると私は思いますけれども、最近教科書問題とか光華寮の判決 とかで、日中間に特に中国から対日批判が強まっていることも事実でございます。そしてまた、このことは看過できない大きな政治的な問題をはらんでいるわけでありますけれども、そうした時期であるだけに、日本が中国の経済発展、改革にどこまで寄与できるかということが非常に大事になってくるのではないかと思います。 日中の経済関係で今最大の課題は何か、いろいろあるでしょうけれども、やはり貿易不均衡、いわゆるインバランスの解消の問題であります。これは中国からもかなり強い要請があるようであります。日本の対中貿易というのは、一九八二年、八三年は日本は入超であったわけですけれども、八四年が十三億ドル、八五年が六十億ドル、八六年が四十二億ドルの出超、日本側が黒字であります。しかも、中国の外貨準備高は、八四年七月末は百七十億ドルに達したわけですけれども、八五年十二月末では百十九億ドル、八六年十二月末、昨年の暮れには百五億ドル、ことしの一月には九十九億ドルと激減いたしております。最近はまた百億ドル台に乗ったようでありますけれども、外貨準備高も減っている。これが大ざっぱな中国の経済の状況だと思います。 そうした中で、おととしが六十億ドル、昨年が四十二億ドルと黒字の幅が減ったわけですけれども、これはいわば中国側が日本からの品物を輸入しない縮小均衡という形でもって黒字幅が減ったわけです。そうではなくて、拡大均衡でもってこのインバランスを解消していくということにならなければ、中国経済のためにも好ましくないのではないかというふうに思っております。そしてそのために、この問題に対して政府としては基本的に。どういう取り組み方をされていくのか。 例えば中国側からは、じゅうたんだとか中国茶、天津甘栗といったものの関税を撤廃してくれ、あるいは引き下げてくれという要請もありますし、あるいは石炭の輸入拡大についても、日中の長期取り決めで設定されている日本の年間引き取り枠をふやしてくれというような中国側からの要請もあるわけでございますけれども、政府としてはこのインバランスの解消に基本的にはどういう取り組み方をされていくのか、御説明をいただきたいと思います。
○田村国務大臣 日中間には体制の違いがございます。ですから、非常に難しい問題も多々あります。また、個別の案件もたくさんございます。けれども、それを乗り越えて我々は日中友好の実を上げていかなければならない。 そこで、この日中貿易の不均衡をどういうふうに是正するか、これは通産省を中心として我が国政府の考え方としては、拡大均衡という方向で是正をしていく、拡大均衡ということをやりながら輸出入のバランスをその中でとっていく。これは中国政府も共通の認識を持っていると私は思うのです。先般も由紀雲さんが来られて、私はいろいろと懇談もしましたけれども、大体考え方はよく似ております。今度日中閣僚会議がありまして私も北京へ行きますが、いろいろと突っ込んだ話し合いもしてきたいと思いますけれども、中国にとって日本が、日本にとって中国が、お互いに魅力あるマーケットにならなければいけないし、開放されたマーケットにならなければいけないという問題もありましょう。 率直に言って、我が国の市場アクセスの改善もしなければなりません。また、中国の対日輸出拡大努力への協力も必要でありましょう。今二見委員がおっしゃいましたことはまさにそのとおりでありまして、全く一衣帯水の間柄である日中関係というものが、貿易の面でも不均衡があってはならぬというふうにしみじみ思っております。
○二見委員 時間が限られておりますので、細かい議論はきょうは差し控えたいと思いますけれども、通産省にお尋ねします。 中国はそれなりに対日輸出については拡大をしようという努力はしているのだと思うのです。しかし、体制の違いもありますし、日本としてそのためにこういう点をこういうふうにすれば日本にもっと商品が入りますよ、日本はもっと輸入しやすくなりますよというようないろいろアドバイスといいますか、そうした中国の対日輸出を拡大するための助言あるいは協力といったことも必要だろうと私は思います。これが日米の経済関係とは違うところだと思うのです。その点についてはどうでしょうか。
○村岡政府委員 日中貿易のインバランスを拡大均衡の方向に沿って改善、是正していく、大臣の申されたとおりでございます。そのためにまた具体的にこちらの方からいろいろ助言、指導をしていく、これもまた必要なのは先生の御指摘のとおりでございます。 このために、私どもは昨年の五月に、日中経済協会の河合さんを団長といたします百数十人の大型ミッションを中国に送りまして、いかにしたら中国の商品が日本の市場に参入できるかということを十分議論をしてまいったつもりでございます。趙紫陽氏もこのときお会いいただきまして、いろいろ具体的な話を幾つもしてまいりました。 また、そのフォローアップが非常に大切であろうということでございます。昨年九月に、このミッションのフォローアップということで日中貿易拡大協議会という新たな団体を我が国に設立いたしまして、中国の対日輸出の拡大のために魅力ある商品をどのようにしたら開発できるかということを個別商品に即して具体的に考えていこう、かつ、あらゆる日本の政策手段を通じて総合的にその商品が日本市場に参入できるようにしていこうではないか、これは商品の企画から開発からマーケット調査に至るまであらゆる手をかしていこうではないか、こういう努力を始めたわけでございます。これを私ども総合モデル事業、こう称しておりますが、内容的には、毎年二品目ずつぐらい、わずかな品日でございますが取り上げまして、これについて徹底的な指導、助言を行って日本市場に参入できるようにしてまいりたい、こう思っておる次第であります。 また同時に、中国側の意見にも沿いまして、伝統的な商品の日本に対する輸出、これが落ちないように、あるいは少しでもふえるように努力していくということも非常に大切なことであろうと信じております。
○二見委員 二問まとめてお尋ねいたしますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。 私も何度か中国に行きまして、向こうからかなり強く要請されることは、日本からの投資がどうも少ない。向こうは経済特区も設けているわけですね。そこに日本からの企業がもっと進出をしてもらいたい、合弁をしてもらいたい、こういう要請があります。当然それに応じて中国側も投資環境を整備してもらわなければ困るというふうに私たちも申しているわけでございますけれども、中国側が我が国からの投資あるいは技術移転を求めている、これに対してどういうふうに対応していくのか。さらに、中国には四十五万と言われる工場があるそうですけれども、そうした工場に専門の技術者を日本から派遣をして、向こうに技術指導をする、あるいは設備の改善をする、いろいろなことができると思うのですね。そうした専門技術者の派遣、こうしたことについてはどうお考えになっているのか。その対応策をお伺いしたいのが一点。 もう一つは、現在四千七百億円の第二次円借款が行われております。八四年から九〇年まであります。これについて例えば、七つのプロジェクトで四千七百億円の政府借款をしたのだけれども、実際には四千二百億円か四千三百億円ぐらいで済むだろうというようなことが将来出てくることもあり得ますね。そうすると、今までは不用になった額というのは円借款から外していましたね。それについては、これでもう打ち切るという冷たいことではなくて、積み残し分、余った分につきまして他のプロジェクトに流用するというようなことも含めて中国側と話し合うことができるのかどうか、何とか手だてが考えられるのかどうか。それから、中国側は最近、第三次政府借款を前倒しでやってくれという強い要請が来ております。この点については通産省としてはどういうふうになっているのか。 以上二点をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○村岡政府委員 我が国の中国に対する投資でございますが、先生御指摘のとおり、私どもから見ましても満足すべき数字にはなっていないというのが事実でございます。 一九八五年度に日本から世界全体に対しまして百二十二億ドルの投資をいたしたのでございますが、中国に対しては一億ドル、一衣帯水の非常に大きな国に対する投資額としては、私どもにとりましても非常に不満足なものだと思います。八六年度につきましてはまだ数字は集計されておりませんが、多分総額で二百億ドルを超えているものと思われます。倍まではいきませんが、八割強ふえた数字になると思います。この中におきましても対中投資というのは多分二億ドルから三億ドルの間ぐらい、かなり大幅にふえるとは申しましても、額そのものとしては非常に不満足なものだと考えております。 対中投資は中国の経済発展のためには非常に必要なもの、同時に技術移転もなくてはならないもの、先生の御指摘のとおりでございまして、基本的には何といっても体制の違いということから、日本側の方でやや逡巡する向きもあることも事実でございます。経済的な側面についてそれを申し上げますと、いろいろなことがございますが、例えて申しますと、対中投資をした企業に対しまして中国側が外貨バランスを割合と強く求めるとか、あるいは労働賃金というものについて割合と強い指導をするとか、他国に比べまして問題点がまだ若干残っておるということも事実でございますので、このような点も強く是正を求めると同時に、我が国といたしましても、保険制度の拡充、改善等々を通じまして対中投資の拡充に努めてまいりたいと思います。 また同時に、技術専門家の派遣につきましても、現在までに例えばJICAで千八百人強、AOTSで二千人と、ほかの国に比べますと非常に多くの人を引き受けて技術研修を実施したりあるいは派遣をしておるわけでございますが、これについても充実をしてまいりたいと思います。 最後に、円借款の問題でございます。 現行の円借款、中国とのお約束におきます第二次長期日借款の問題につきましては、八四年三月に中曽根総理が訪中されましたときに取り決めたものでございますが、簡単に申しますと七年間で四千七百億ということでございまして、ちょうどことしは真ん中の四年目に差しかかる段階でございます。したがいまして、この段階で第三次の円借款について具体的な協議に入るという段階には至っておらず、むしろ現行協定をいかに履行するかということが中心議題になろうと思います。 四千七百億円のうちどれぐらい使えるのか、先生から四千二、三百億というような御指摘もありましたが、ひょっとしたらあるいはそのようなことになるかもしれません。通常でございますと、それだけプロジェクトを履行し、かつ金額が少なくなったのであるから、双方非常に立派なことをしたんだということでそのままに終わるのでございますが、この未使用残を他の項目へ流用できないかというのが最近の中国の強い要望になっております。私どもといたしましては、現時点で確たることは申し上げかねるわけでございますが、しかしながら、残枠が生ずるということが明確になりましたら、その段階で前向きに検討するということはお約束できるのではないかと考えております。
○二見委員 以上で終わります。
○奥田(幹)委員長代理 米沢隆君。
○米沢委員 まず、通産大臣、経済企画庁長官の両大臣にお尋ねをいたします。 今日我が国を取り巻く環境は、内外ともに厳しい状況にあります。戦後から四十数年間、その間確かに我が国の経済社会を揺さぶるようないろいろな危機がありましたけれども、何とかそれをうまく乗り切って今日を迎えておるわけでありますが、今日直面しておる危機というものは、何かしら豊富な社会に住んでおりますから、いかにも何とかうまく処理しておるかのような錯覚にとらわれがちでございますが、しかし今日迎えている我我の危機というものは、その質量ともに、その深さにおいて、その大きさにおいて、あるいは過去の延長線上で物事を考えても解決策はないという意味において、あるいはまた日本の経済構造なり産業構造を変えないと解決し得ないという意味において、私は戦後未曽有の危機であるという認識が必要ではなかろうかと思っておるわけでございます。 しかし、これに対応する政治の状況は一体どうなのか、あるいはまた実効ある経済財政政策の展開はどうであったかといいますと、残念ながら力不足である、こう言わざるを得ませんし、確かに日本だけの責任ではないかもしれませんけれども、日本のなすべきことが多い、にもかかわらずなされてないということが指摘されねばならぬのではないかと思います。 皆さんが所属されております中曽根内閣は、外交で点数を稼いだ、こう言われます。しかしながら、振り返ってみますと、中曽根内閣になってから過去四年ちょっと、日中関係にしましても、日ソ関係にしましても、対米関係にしましても、対欧州関係にいたしましても、逆に中曽根内閣以前よりかえって悪くなっているのではないか、そういう気がしてなりません。特に経済関係におきましては、たび重なる国際公約あたりをどうも裏切ったというふうにしか見られていない、実効ある財政経済政策が打たれていない、口先だけで多くの皆さんの逆に失望を買っておるというのが偽らざる事実ではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、今や我が国は他国の皆さん方からは非難の対象、逆に非難ごうごうの中で孤立化が危ぶまれる、そういう状況にありまして、まさに八方ふさがり、袋小路に追い込まれておると言っても私は過言ではないと思うのでございます。 かかる状況を前にいたしまして、ポスト中曽根、もう十月三十一日で終わりを告げようとする中曽根さんでございますが、本来ならば新しい総裁待望論が出てきておかしくないのでございますが、残念ながらポスト中曽根の待望論が余り出てこない。ポスト中曽根に予定されておりますお三方は、中曽根さんからの禅譲をねらっておられるかどうかわかりませんが、どうも覇気がない、あるいはまた意欲が見られない、私はそう思っておるのでございます。 しかし、ここにおきまして先般二階堂先生が、かかる状況にいら立ちを覚えられたのか、憂国の至情やむにやまれず、あのような行動に出られました。事の成否は別にしまして、あるいは田中派の事情はいろいろあるにいたしましても、表面に出てきておる政治姿勢というものは私は大変立派だ、よく理解できると思う一人でございます。これは自民党の中から逆に、まじめにやってもらいたいという内部告発みたいな、警告みたいなものだという気がしてならぬのでございますが、この際、中曽根内閣の一員として政治の中枢に参加されておるお二方に、このような現在の政治状況を一体どう考えておられるのか、このような八方ふさがりの状況をどう打開しようという意欲があるのか、そして二階堂さんのあのような行動についてどういう評価をもって感じておられるのか、お二方にお尋ねしたいと思います。
○近藤国務大臣 先輩が先にやれとおっしゃいますので、まず前座をさせていただきますが、今の日本の経済は先生御指摘のように大変深刻な状況にございますが、この深刻な問題は二つございます。 一つは、まさに最近の急激な円高が拍車をかけておりますいわゆる円高不況、輸出産業を中心として経済の低迷がありまして、これが設備投資を冷やし、私どもが考えている率の経済成長の達成がマクロで実現できないだけではなしに、先ほども質問されました地域地域、特に北海道とか九州とか、そういった地域に深刻な状況をもたらした、こういう内部の問題が一つございます。 もう一つは、そのような円高にもかかわらず、依然として我が国の経常収支が、少なくともドルで換算いたしますとふえておって、昨年は一千億を超えるような貿易収支の黒字になり、これが先般のOECD閣僚理事会、通産大臣もお出になったわけでありますが、世界各国から日本に対して相当な厳しい発言がなされた、こういうような状況でございます。 まさに日本の経済は内外ともに非常に深刻な状況にあると判断をいたしますが、しかし一方考えてみますと、我が国の大幅な輸出というのは、これはこれまでそういう輸出をしなければ経済が成り立っていかなかった、輸出がしからずんば死という状況の中での官民挙げての努力のいわば大きな成果でもあるわけでありますから、この事態に政策を転換いたしまして、輸出に向けておった日本の力、経済力というものを国内に戻すことによって、国民生活の改善向上、充実と、そして国際的な経済摩擦の解消という、いわば二つの大きな政策課題を同時並行的に実行できる可能性のある時代だ、こういうふうに私は考えておりまして、そのために微力でございますが経済閣僚として全力を尽くしてまいりたい、こういうことでございます。 そういうことに日夜過ごしておりますので、二階堂先生の問題等につきまして余りまだゆっくり物を考えている暇がございませんので、その方はひとつ先輩の通産大臣にお答えいただきたい、かように考える次第でございます。
○田村国務大臣 御質問の御趣旨が少し大き過ぎて、どうお答えしていいかちょっと私には判断いたしかねるところがありますが、通商産業大臣とう立場で物を言うべきなのか、あるいは一個の政治家、一個の閣僚として物を言うべきなのか——閣僚として物を言うべきであるということであれば、具体的な政策問題ではないだろうと思いますから、政治姿勢の問題としてお答えをしたいと思います。 私は、今いろいろと御指摘がありましたけれども、その当否はとにかくとして、中曽根内閣はその任期をまさに終えんとしておる時期に差しかかろうとしております。これはやはり厳粛な事実であります。現実であります。が、後に続く者が少し頼りないではないかということでありますが、頼りないかどうか、私から言うわけにいかぬのでちょっとこれも困りますけれども、今ちょっと奇異の感を抱くのは、中曽根じゃだめだと言う人々でも、ではかわる人があるかというと、そこで言葉が濁されるというところがあります。けれども、私はやはり育つ者は育つだろうというふうに思いますけれども、なかなかこれは難しい言葉でございまして、人材雲のごとくおるとしか言いようがありません。 二階堂さんのことでございますが、お褒めをいただいて感謝していいやら、今の苦労しておるときに激励されて逆にまた私の苦労が倍加するやら、ちょっと困るところもありますけれども、しかし二階堂さんが単なる個人的感情でなしに、非常にまじめな、真剣な気持ちで国情を憂え、そして国際的な感覚のすぐれた人でありますから、国際関係においてこれを深く憂え、政界に警鐘を乱打されたということだけは事実だと僕は思うのです。これは高く評価をいたしたい。 しかし、さはさりながらということになりますと、なかなか私も今苦労の最中でございまして、まあその程度のお答えでお許しをいただきたいと思います。
○米沢委員 言いにくい話でございますから、大人の論議としてそれ以上はやめたいと思います。 次の問題は、現在我が国が一番頭を悩ましておるものはやはり対外経済摩擦で、その中には、対米の通商問題もあり、対ECとの関係もあり、あるいは対アジア、対NICS、対中国等々のいろいろな通商問題が山積しておるわけでございます。特に対米通商問題は、だれがおっしゃっても同じことだろうと思いますが、これはまさに危機的な状況にあると言ってもいいと思います。 先般、ペルシャ湾でアメリカの軍艦がイラク機に攻撃される事件がありましたが、きのうの新聞を読んでおりますと、あれも何か日本が悪いというようなことが書いてありますね。日本の石油は九〇%ぐらいがペルシャ湾から出てくる、にもかかわらず日本は防衛努力をしない、それをアメリカがかわってやっておってこういう被害に遭うのだから、防衛努力の分、ある程度金ぐらい取ったらどうかという書簡をアメリカの議員が送ったとかというような話が新聞記事にもなりますように、今や単なる経済的な貿易摩擦の問題から離れて、まさに日米の国民の信頼関係まで損ないかねない状況であるという認識は我々も必要であると思います。 しかし、何ももみ手外交で、すべて私が悪いのでございますというのもいかがかと思いますね。アメリカにもいろいろとやってもらわねば、汗をかいてもらわねばならぬ問題があることも事実ですね、財政赤字の問題だとか産業空洞化の問題とか国際競争力の問題とか。あるいはまた、アメリカの経済そのものが輸入依存型になっておりますから、それを日本に対して、為替レートを変えて何しろ貿易赤字を減らしてくれと単に言われても、ちょっと待ってくれと言わざるを得ない部分があります。まさに、さはさりながら、日本としてもアメリカの責任を追及するだけではなくて、おのれの至らざるをたずねる、今はそういうところが大きな課題ではないかと思っておるわけでございます。 そういう観点から、特に対米通商問題、対EC通商問題、対ASEANの問題、対NICSの問題等で、今通産省として何を重点的に解消のために汗をかこうとされておるのか、お尋ねしたい。 同時に、例の半導体問題、それから保護貿易主義の法案の行方等についてどういう見解を持っておられるか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
○田村国務大臣 広範な御質問でございますから、それぞれに分けてお答えをいたしたいと思います。 まず対アメリカでございますけれども、アメリカの貿易赤字は一九八〇年以降急速に増大しました。八六年には約千七百億ドル、これは大変膨大な金額でございます。ところが、その約三分の一が対日赤字であります。このようなことでございますから、現下の日米貿易摩擦の背景には、高水準で推移する巨額の貿易赤字、これへのアメリカの官民といいますか、特に議会のいら立ちというものが底流としてあると思います。このいら立ちが、米議会における保護主義的な動き、御承知のような包括法案その他、あるいは半導体問題、スーパーコンピューター問題等の個別分野問題としてあらわれてきているということであろうと思います。 我が国としては、こうした米側の政治的、感情的な動きに対しまして、冷静かつ着実に対応していくことが重要であると考えております。具体的には、半導体等の個別問題に対しましても適切に対応しながら、引き続き内需拡大や輸入の拡大、経済構造調整等の面ででき得る限りの努力を行っていくことが必要であろうと思っております。 一方、現下の日米貿易問題の背景には、アメリカの財政赤字、それから米国産業の国際競争力の低下というものがあります。これはアメリカ自身の問題であります。これらの問題につきましてのアメリカの改善努力をやはり我々は強く求めていかなければならない、このように考えます。 さきの四極貿易大臣会合あるいはOECD閣僚理事会等の場におきましても、米側から、我が国の内需拡大等の努力を積極的に評価すると、これは非常に積極的に評価されましたが、同時に、米側では財政赤字の削減、競争力向上に努力する旨の表明がございました。これは、過去の姿から見れば非常に際立った現象でございました。 〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで半導体でございますが、半導体につきましては、私とヤイター代表との間で四月に二日話し合いまして、時にはさして、二人だけで一時間四十分も話し合った。そこでいろいろな詰めをいたしましたが、まず半導体協定の解釈に若干のずれがあるものですから、これを何とかしよう、お互いに統一見解を持とうと言ったのですが、ヤイター氏はアメリカの解釈が正しい、私はそうはいかぬということで頑張りまして、専門家を派遣してそこいらも話し合う。それから、四月のデータというものをお互いに出し合って、そしてこれを突き合わせをしよう。このデータが実はちょっとおくれておりまして、物理的におくれたのでありますが、これが説得力を持つものならば、それを踏まえてなるべく早い機会によき方向へのアクションをとろう、こういうことでございます。 それから対ECでございますけれども、ECは今やイギリス、フランスを頂点として、大変なジャパン・バッシングの姿であります。これも日・EC間の大幅な貿易不均衡の継続等が背景でございます。同時に、対日姿勢を強くするところには、また、日本の市場への参入が難しいということもございます。 ところが、日本とアメリカの場合と違いまして、日本とECの場合は、お互いに解決し得るそのすそ野が広がっておるわけです。と申しますのは、日米貿易はアバウト千百億ドル、米・ECが千三百億ドル、ところが日・ECはわずかに四百四十数億ドルでございます。四百四十七億ドルぐらいだったと記憶します。その程度でございますから、拡大均衡でいこうということです。 もう一つは、市場の参入ということも、彼らは盛んに市場開放と言いますけれども、市場開放という点では、農産物問題は別問題、向こうにも悩みがあるのですから、EC側も日本の農産物を余り責めることはできない。けれども鉱工業品に関しては、向こうより日本の方が制度的にははるかに開放されているのです。問題は、市場参入が難しいというところだと思うのです。そういう点で、日本側も大いに協力をしていくことが必要であろうと存じます。日本ももちろん大いに努めなければならぬ。先般もOECD閣僚理事会でアメリカのヤイターが、我々ここに集うておる六十数人の閣僚たち、二十七カ国ですか、その国々は皆罪深き人々の集まりである、こう言っておりましたが、まさにそのとおりで、我々も改めなければならぬ点は多々あります。 ECも、これは実際難しい問題は、十二カ国時計の針が一緒なんです。私はECの時計を使っておりますが、ちょうど国旗が十二あるのですが、十二カ国を代表してECの事務局が物を言うことは非常に難しいことなんです。といいますのは、イギリスとフランスとは事情が違います。スペイン、ポルトガルはもっと違う。と同時に、ドイツは日本とよく似た姿なんですね。その全部を代表するというのですから、これはドクレルクも大変だと思いますけれども、そういうことでお互いに拡大均衡の方向で努力し合おう。 それからアジアでございますけれども、ASEAN諸国の経済は、近年一次産品価格の低迷といいますか、率直に言って低落と言った方がいいかもしれませんが、そういうことで我が国との貿易も、一部に円高の影響等で輸入の増加も見られるものの、総じて低迷ぎみでございます。また中国の経済も、近時の原油の価格の低迷等を背景にした外貨事情の悪化等の困難を抱えております。先ほど村岡通政局長が申したとおりでございます。こうした中で我が国としては、これらの諸国における外貨獲得型産業の育成等を通じた経済的自立を支援しなければなりません。これは当然のことでございます。そこで、もう既に御承知と思いますけれども、新アジア工業化総合協力プラン、俗に言うニューAIDプランというものでございますが、これの実施を初めとした総合的経済協力の一層の推進に取り組んで、ASEAN諸国の、一次産品のみに頼ることのない、より高度な産業構造の構築に我々もお手伝いをしていこう、その点で一層努力をしたいと思っております。
○村岡政府委員 保護貿易法案についてお尋ねがありましたので、一言補足申し上げたいと思います。 御存じのとおり、下院の保護貿易法案、包括通商法案は、四月三十日に下院の本会議を通過したわけでございます。この中には、通商法の三〇一条であるとか二〇一条であるとか、あるいは関税法の三三七条に関しますいろいろな保護主義的な修正条項を含んでおりますほかに、有名なゲップハート修正条項というのが入っております。一方、上院の方でございますが、五月七日に財政委員会を通過いたしました法案、この中にも似たような条項がたくさんあるわけでございます。 いずれにいたしましても、このような法案がこのままの形で成立することになりますと、保護主義の潮流というものが世界を覆う暗黒になってしまうということを私ども大変懸念しているところでございます。上院の法案は六月に入ってから審議されるものと思われますけれども、審議のスケジュールがかなり早まっているという状況もございます。ひょっとすると夏休みの前に上院も通過するということがあり得るということを、大変私ども心から懸念しているところでございます。
○米沢委員 そこで、今や政局の焦点はいかにして内需拡大を果たすか。対外経済摩擦を解消するためにも、あるいは我が国の円高不況を克服するためにも、産業構造の転換を図っていくためにも、あるいはまた雇用問題の解消のためにも、いかに内需拡大を果たすか、こういうことが大きな焦点になっておりますが、今年度の予算が成立いたしましたが、次は政府がおっしゃるように、緊急経済対策を中身の濃いものにしようということで作業が続けられているというふうに聞いております。 そこで、例えば国の実質経済成長三・五%で出発いたしましたが、先ほどから議論がありますように、どうもこの達成は今のままでは難しい、そしてまた、イコールそれは対外経済摩擦を解消するような視点にはなり得ないというような反省等もあって、今内需拡大、大幅な規模のものをやりたい、こういう話になっておりますね。三・五%の成長が達成できない、一%ぐらい足りないとすれば、やはり三兆五千億ぐらいの実需をつくらないといけないということですね。そうしますと、二%の場合とか一・五%の場合、二・五%の場合等々いろいろありますが、総じて少なくとも七兆前後、そのくらいの実需をつくることが今度の内需拡大策に与えられた大きな課題ではないかと我我は試算をしておるのでございます。しかし、どうも政府の話によりますと大体五兆円、それも減税を含んで五兆円、それも事業規模だとすれば、一体そんなもので今我々が国際的に責任を負っておるものを果たし得るものだろうか、そういう懸念を私は持っておりますが。その点について経済企画庁長官の答弁をいただき、一体真水は幾らかということを御答弁いただきたい。
○近藤国務大臣 先生御指摘のとおり、現在政府としては緊急経済対策を大至急策定中でございますが、その基礎になります認識は、私どもが年初において見通しを発表いたしました三・五%の経済成長率というものが、実際新たな円高の状況のもとで、いわば自然体でいけばどれぐらい達成できるかということの判断を踏まえまして、しからばそれに対してどれくらいの新たな需要喚起を国の主導において行うべきなのか、こういうことでございます。実は六十一年度の経済成長率もまだ確定値が出ておりませんから、これにつながる形でどうなるかということは現段階で正確に申し上げるわけにはいかないわけでございますが、いろいろ民間の調査機関なども言っておりますのは、二%前後ぐらいではないか、こういうことでございます。 なぜ二%前後の数字を民間の調査機関が出すかといったら、我々の見通しと大体二つの点で違うわけです。それは一つは、民間設備投資について私どもは、ことしは円レートが安定してくれれば、これまでの落ち込みをリカバーして、ある程度の民間設備投資の伸びが期待できるのではないか、こう思っておったわけでございますけれども、それが年初来の円高によって必ずしも楽観を許さなくなった。これはいろいろ判断が分かれるところでございますけれども、むしろ厳しいかなというのが一点。 それから、同じく円高によりまして、いわゆる輸出入の外需要因がさらにマイナスとして効くのではないか、こういうことでございます。 そういうふうに考えますと、本来ですと経済の成長というのは民間の活力、すなわち消費や設備投資によって進めなければならないわけでありますけれども、ここは設備投資の将来に対する懸念のある状況の中では、臨時緊急の措置として積極的に財政が役割を果たすべきである、こういうことで五兆円という数字が出ておりまして、これは単に国内的なことだけじゃなしに、通産大臣も先般OECDの閣僚会議でいろいろ話をされてきたわけでありますけれども、また総理もワシントンで話をされている。ある意味では国際的な公約になっているわけであります。 そこで問題は、その五兆円をどうするか、こういうことでございますが、昨年の同じく経済対策が三兆六千億円であったわけでありますが、この中には国が直接やる公共事業だけではなしに、例えば開銀の融資とか中小企業金融公庫だとか住宅だとか、国の責任でない、国が低利の金利を提供いたしますが、あくまでも相手が借りてきて、そして仕事をしてくれよ、こういうものも含んでおったわけでありますが、今回は、これはもちろん考えますが、プラスアルファと考えて、むしろ国の責任で行える公共事業、地方政府の行える単独事業、さらに政府機関、例えば道路公団とか本四架橋公団、そういった国の機関の責任で行うもの、さらに前回ございませんでしたけれども、非公共の事業として、例えば老朽校舎の建てかえだとか、これも国及び地方の決断で行える事業でありますから、国及び地方、そして政府機関が自己の責任において事業の実行ができるもので詰めて、それに減税額をプラスして合計で五兆円を超える財政措置をまずとって。こういう形で国が積極的に内需拡大を進めてまいれば民間の設備投資もついてくるだろうし、さらにいわゆる政府関係金融機関の融資が拡大し、また一方、いろいろ今度民活プロジェクトに対して助成金を出していけば、これに基づいてさらに民間の活力が積極的に正面に躍り出てくる。そういうことで内需が拡大し、経済成長率が達成され、それがひいては国際収支の改善に貢献するであろう、こういう考え方でございます。
○米沢委員 日本の場合、内需拡大策をとっても、結局対外経済摩擦を解消するような方向に動きにくいという体質を持っています。そういう意味で今回の内需拡大策は、確かに日本の円高不況をどうするかという問題やら、産業構造転換中でございますから、そのあたりの景気のベースを維持しなければならぬという使命もありますが、同時に、国際公約をされるという以上は、やはり対外経済摩擦に資する内需拡大策、こういうものでなければまた不評を買ってしまうであろう、こう考えられます。そういう意味で、今度の内需拡大策は対外経済摩擦に資するような内容みたいなものになるのかならないのか、それが第一点。 それから内需拡大策、特に国内の問題だけを考えましても、今まで公共事業をやるといったら、役所のいろいろな縄張りがあるのかどうかわかりませんが、大体同じような配分率、河川に幾ら、道路に幾らというそのあたりをちょっと、配分を入れかえるような努力までされるのかどうか。 それからもう一つは、土地対策が日本は残念ながらありませんので、逆に今度の場合、内需拡大策をやっても土地代に食われたんでは全然波及効果がありませんから、できるだけ土地を使わないといいましょうか、既存の土地の上に何か空間を利用するとか海を利用するとか、あるいはまた田舎の安い土地を使うとか、そういう工夫がないと、おっしゃるように土地代そのものにほとんど食われまして波及効果があらわれてこない等々、今度の内需拡大策というのは従来の延長線の議論ではなくて、やはり対外経済摩擦をにらみ、あるいは土地政策のおかしいところを補うものでなければならぬと思うのでございますが、そのような方針が実際あるやにも聞いておるし、ないやにも聞いておりますが、一体そのあたり、実効ある姿としてそれが出てくるのかどうか、その点を長官にお尋ねし、最後でございますが通産大臣、通産大臣のいろんな記者会見等の報道に接しておりますと、内需拡大策等についてはかなり踏み込んでおられるという、普通の閣僚以上にかなり大胆な発想で取り組まねばならぬというようなことを聞かせていただいておるわけでございますが、通産大臣の内需拡大策についての御見識をちょっと聞かせてほしいと思います。
○佐藤委員長 時間が参っておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
○近藤国務大臣 国際収支の問題につきましては、円高の進行がございましたので、輸出は過去において数量的には後退もしくは低迷をしておったわけでありますけれども、いわゆるJカーブ効果というものがあって、これと原油価格の減から、結果的には六十一年の貿易収支の黒字は一千億を超えてしまった、こういうことがございますが、私どもこの数量ベースのデータをずっと見てまいりますと、輸出の低迷と輸入の増大は明らかな傾向でございます。そして今回の円高の状況の中でさらに輸出が難しくなってまいりますから、むしろ国内的な需要をふやすことによって、海外マーケットに向かっておった日本の商品が国内へUターンをしておる傾向は、過去よりもこれからさらに強まってくると私どもは考えるわけであります。 そういうことでありますけれども、しかし今度は国内へ向かってまいる場合に、それを受けとめる需要がなければ困るわけでございますから、そういう点で、公共事業におきましても、従来のような土地に食われる割合の高い公共事業をできるだけ少なくしまして、具体的には建築関係、下水道関係にできれば配分を深くした形で、むしろ外に向かっておった日本の商品が国内に戻ってきて、そして国民生活の向上、充実になるような形に持っていけないだろうかと、いろいろ配慮しているわけであります。 土地政策につきましては、土地対策関係閣僚会議も内閣にございまして、今何としても土地を、地価を安定させるための関係各省の知恵をいろいろ絞っておる、こういうことでございます。 最後に、今度の内需拡大政策、緊急経済対策というのは、当面の需要拡大だけではなしに、日本がこの際輸出主導型から内需主導型に構造調整をする、その指針が先般の新前川リポートに示されておるわけでありますけれども、この方向に沿っての経済構造調整政策の一環でもある内需拡大であり、経済構造調整政策の一環なんだ、こういう認識で今いろいろ検討中でございます。
○田村国務大臣 内需の拡大策、私はのめり込んでおるといえばのめり込んでおるわけですが、異常な決意をしております。これは国内的に物を申せば、急激で大幅な円高によって中小企業、とりわけ製造部門の下請等をやっておる中小企業はもう破局を迎えておりますから、何としてもこれを助けたい、もうその一念であります、その他たくさんありますけれども時間の関係で簡単に申しますと。 それから対外的には、私は日本の今の経済的な面における世界における地位という点からいって、ごまかしは通用しないと思うのですよ。胸を張って世界を、地球の上を歩かねばならぬと同時に、この世界つまり地球の上に住む人々のために誠心誠意その大きな影響力を駆使して努めるべきだと思うのです。ですから、いわゆる日本語的な含みのある言葉とか、俗に言う答弁用語というようなものはもう通用しない。それよりもただ実行し速やかに答えを出すことだ、こう思うのです。でございますから、それでなくても日本が疑われておる、信頼を失っておる、少なくとも経済問題、貿易問題では信頼を失っておることは事実でありますから、今世界の信頼を回復するラストチャンス、これが今度の内需拡大の編成の時期だと私は思うのです。そのような気持ちで憎まれ日もたたき、大いに頑張っておるということでございます。
○米沢委員 どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 藤原ひろ子君。
○藤原(ひ)委員 まず大臣にお願いをいたします。 八五年に国勢調査が実施をされたわけでございますが、私どもこれを分析いたしました。農林漁業に携わる人たちを除きましていわゆる都市型自営業者、これを調べますと、八〇年から八五年の五年間で約八十八万人も大幅に減っているということが明らかになったわけでございます。内訳を申しますと、製造業で三十三万一千人、卸売小売業が四十七万四千人、建築業が十一万二千人という減少でございます。国勢調査の結果は、五五年から八〇年の二十五年間一貫して増大してまいりました都市型自営業者に重大な事態が生じているということを示しております。ここに今政治の光を当てることが大変必要だと思いますので、質問を申し上げる次第です。 最近、私の手元に「京都における業者の営業とくらし・健康の実態」というアンケート調査が寄せられました。今日の自営業者の生の様子をよく示しているというふうに思われますので、その一部を御紹介申し上げ、大臣から御感想も聞き、対処の仕方もお尋ねしたいと思うわけです。 この調査は京都府商工団体連合会共済会が昨年からことしの三月にかけまして、サービス、製造、販売、建設などを含みます自営業者、家族、従業者を中心に行ったものでして、五千三百人以上の方々から回答が寄せられております。 これによりますと、仕事の量で見ますと、ふえたという人が八・八%、変わらないという人が三七%に対しまして、仕事量が減ったという人が何と五四%と過半数を超えるわけですね。収入で見ますと、減ったと答えた人が六四%にもなり、約三人に二人という状況です。企業者の三人に一人の方々が三分の一以上の収入の激減という状況に追い込まれているわけです。本当に大変だと私は思いました。 こういう苦しさを反映いたしまして、働く時間はどうなっているかといいますと、大変長くなっております。男の方では十時間以上が六一%にもなり、三人に一人が一日十一時間から十時間以上も働いているわけです。したがって睡眠時間はうんと減っております。六時間以下が多くなり、半数以上の人が日ごろから先行き不安だ、体のことや資金繰り、こういう対策で大変悩んでいるわけです。婦人に至りますと、このかあちゃんたちの健康ぶり、暮らしぶり、これは本当にもっとひどいものがあるわけです。こうした中で健康に自信があるという人は三人に一人というふうな回答になっているわけですね。 もっと詳しく申し上げたいのですが、時間がございませんので今概略だけ申しましたが、中小零細企業の営業と暮らしについて、このアンケート調査によって大臣はどのような御感想をお持ちになったでしょうか。先ほども中小零細企業、このために一生懸命に全力を挙げたいと同僚議員に御答弁がございましたが、これまで中小企業のすそ野にあって日本経済を支えてまいりました九百十万自営業者を守る先頭にぜひとも立っていただきたい。具体的施策を御答弁いただきたいと思うわけでございます。
○田村国務大臣 中小企業を守る先頭に立ってほしいというお言葉でございますが、私は既に先頭に立っておるつもりでございます。私は就任のときに、初の記者会見で、通産大臣というのは中小企業大臣でもある、中小企業対策というのが通産大臣の最大の仕事であるということを申しました。私が中小企業に対して異常なまでの憂いを持っておることは先ほどの御質問にもお答えをしたとおりでありますが、内需拡大策に対しても、とにかく景気をよくしたいということでまなじりを決しておるゆえんでもあるわけであります。 特に、小規模企業は、昭和六十一年度の事業所統計によりますと、先ほどの統計と同じような数字でありますかどうですか私は聞き漏らしましたけれども、事業所数で五百六万事業所、全体の約八〇%、従業者数は千五百三十三万人、全体の約三一%と、我が国経済を支える重要な地位を占めておりますが、家庭と企業活動が混然一体となった生業的色彩のものが大多数でございまして、資本力、信用力等の経営基盤もまことに脆弱でござます。 そこで、こういうために、小規模企業の経営や技術の改善発達を図るための経営改善普及事業等の指導事業の実施や金融措置等の経営基盤の充実への支援などの施策を講じてきているところでありますが、最近の円高の一層の進展や構造不況の長期化等、小規模企業を取り巻く経営環境の厳しさ等を踏まえて、六十二年度予算におきましては、一般会計中小企業対策費が前年度比三・八%減にもかかわらず、小規模事業指導費補助金は前年度比二・六%増の四百三十六億円という数字を確保したわけでございます。マイナスシーリングの厳しいときに、これは並み大抵のことではございませんでした。大幅というわけじゃございませんでしたけれども、とにもかくにも増加という点で確保できたことはせめてもの幸いであったと思っております。 今後とも小規模企業の健全な発展を支援するために、この小規模企業対策に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
○藤原(ひ)委員 アンケート結果によります中小零細企業の営業及び健康、この実態についての御感想をいただくことができませんでしたのは残念でしたが、とにかく零細業者の実態をとらえるということは、施策を見直し、充実させる上で非常に重要なことだと思うのですね。 ところが、今事業所統計による数字をお示しいただいたのですが、この工業統計、これは従業員三人以下の調査、それまでは毎年やっていたわけなのですけれども、八二年からは三年間に一度というふうに調査を減らしてきているという状態があります。これは今の大臣の御答弁とは裏腹だというふうに思うのです。零細企業軽視をしているのじゃないかというふうに思うのですね。 先日、参議院の予算委員会で我が党の上田議員も申し上げましたが、東京大田区の例を挙げまして、中小零細業者の問題を、今の中小零細業者対策は大変重要になっているという点から質問したわけですけれども、何らかの方法で零細業者の実態、今ある数だけではなくて、その中身がどうなっているのか、営業柱どうか、暮らしはどうかという具体的な生の様子を調査していただく、そして最低の文化生活が保障される、こういう本当に抜本的な対策を求めたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 先ほど御質問に対して私が漏らしましたのは申しわけございませんでしたが、別に悪意があったわけでも何でもないので、どうぞ意地の悪い解釈はなさらぬようにお願いをいたします。 そこで、国勢調査と地元の実態調査が矛盾しておるではないかということでございますけれども、双方それなりに権威あるものと思います。国勢調査は大きな観点からこれをとらえるでしょうし、地元の実態調査は肌で感じたものをとらえるのでございましょう。しかし、いずれにしましても、私はその実態調査のあるなしにかかわらず、中小企業、特に零細企業はどんなに苦しいかということは自分の肌でしみじみ感じております。それだけに、先ほど申し上げたように目の色を変えて努力をいたしておるわけでございます。 残余のことは政府委員からお答えをいたさせます。
○藤原(ひ)委員 ここで、国勢調査で最も減少が大きかった小売業を取り上げていきたいというふうに思うのです。 全国で三十七万四千人という大幅な減少が起きている小売自営業者、この減少した要因とか背景、それはどんなものがあるのでしょうか。
○末木政府委員 御指摘のように、最近の新しい調査では小売店の店舗数、従業員数は減っております。その背景といいますか、要因は、小売店というのは従来存在していた店が廃業して減っていくものと、それから新たに小売店を始めるもの、その増と減が合成された結果の数字になって出てくるわけでございます。 まず、その減少の方につきましては、ただいま商業統計の最新版の詳しい集計がまだできておりませんものですから、公式に詰めたお答えはまだできないのでございますけれども、いろいろな研究者、学者の方々が指摘しているようなことを総合して一応お答えいたしますと、一つには商品の変化ということがございます。例えば乾物だとか履物、げたとか草履あるいは呉服とか、そういった商品の生産流通量そのものが減ってきたために、そういったものを扱ってきた商店が減っているものでございます。また、品物はなくなったわけではございません、減ったわけではありませんけれども、例えば時計などの例で、修理を要しなくなったために減っているというようなことも言われております。また、商品の包装の形の変化、例えば牛乳なんかその例でございますけれども、紙パックになったために自動販売機とかあるいはスーパーで売られるようになって、配達をやっていた専門の牛乳店が減っていくとか、こういう商品の変化に伴うものが一つございます。 それから二つ目に、世代交代の際に後継者がいない、あるいはやりたくないということで、その代限りで閉めるというものがございます。 それから三つ目には、競争の激化でこれ以上やっていけないというものももちろんあろうかと思います。 その次に、新しい店の開店はもちろんあるのですけれども、開店数が減ってきておる。この背景といたしましては、まず全般的に景気の低迷で店を新たに開いても余り収益見込みがよくないのでそれが足を引っ張っている、あるいはまた地価の上昇によりまして店の適地を非常に見つけにくくなっている、あるいはまた人口移動期、人口が非常に大量に移動していた時期にはそれに伴って新しい住宅街がつくられ、そこに商店ができていた、こういったものも最近テンポが落ちていると言われています。 そういったもろもろの要因が合成されて、今先生が御指摘のような減少傾向になっておるものだと考えております。
○藤原(ひ)委員 そのもろもろの要因の中に、流通大資本が大型店の進出などで零細業者の顧客を奪っている、駆逐淘汰しているというふうな状況があるのですね。 具体的に申し上げますと、京都の友禅染の町にあります、百五十店舗あるのですけれども、西新道の錦会商店会というところがございます。ここは友禅職人と関連した業種が中心の町でありましたために、今和装産業、京友禅がどんと悪くなってきている。そうしますと、これをまともにかぶって経営環境というものは大変厳しくなっているわけですね。しかも、市街の中心部と違いまして、都市再開発計画の対象にもならない谷間の地域、このままではますます落ち込むばかりだ。そこで、若い役員さんたちが生協と連携をしたり消費者参加の催し物、事業にと工夫を凝らして頑張っておられるわけです。 ここでも近年スーパーが五店できている。コンビニエンスストアが十店進出してきている。これによる打撃が大変大きいわけです。特に最近のコンビニエンスストアの急増ぶりというのは商店街の新たな脅威となっているわけです。京都市では、最近の三年間に四人以下の零細な小売商店が二千店余りも減少しましたが、その一方で、このコンビニエンスストアといわれるミニスーパーだけは四百軒以上もふえているわけですね。こうした流通大資本によるコンビニエンスストアの展開の実態、それに対応する指導、これは一体どうなっているでしょうか。時間がありませんので、ちょっと簡単にお答えください。
○末木政府委員 コンビニエンスストアについての統計は五十七年に始めまして、かつ五十七年のものしか現在ございません。これによりますと、全国で二万三千店、売り上げが二兆一千八百億円でございます。その後の伸びにつきましては、公式のものはございませんが、民間の調査によりますと、平均を上回るといいますか、平均は減っているわけでございますから、コンビニエンスストアは二割ぐらい伸びているのではないかと見られております。その大半は中小の小売店でございまして、いわゆるフランチャイズチェーンの形をとっているものが多いと認識しております。
○藤原(ひ)委員 ここで問題は、地元の人がオーナー、こういうことで、これが隠れみのになりまして商調法の対象から外されているという点ですね。周辺地域との調整もなくてどんどんと進出していっているという流通大資本のやり方、ここに大変問題があると思うのです。実際に御本人に会って私はお話を聞きましたが、オーナーであっても自由に商品を仕入れることもできない、商品の陳列さえ変えることができないということなんですね。事実上、経営権は流通大資本の手にしっかり握られている。政府の対策はいつも、原則出店自由という現行法には手をつけずに、行政指導による運用改善にとどまっているというこの問題を解決していただくことが、今この中小小売業の経営危機打開に非常に重要なことだと思うのです。この大企業の中小型店の展開にも規則の網をかけるということが大変大切だ。そのために、具体的には許可制の導入を中心とした大店法の改正に踏み切るべきだというふうに思うのですが、通産省の御見解をお尋ねしたいと思います。
○末木政府委員 現在の大店法の考え方は、店舗の大きさに着眼しまして、ある程度の規模の大きさの店は、品ぞろえ等の力によりまして、他の中小の小さい店に対しましてぬきんでた集客力を持つという考え方に基づきましてできているわけでございます。 先生のおっしゃいました大資本の中小店というものは、そういった考え方からいたしますと、そのオーナーあるいは株主が大資本であるがゆえに同じ大きさでも格別集客力があるということにはならないのではないかというのが私どもの考えでございます。したがいまして、大店法を改正してそのような店を許可制に取り込むことは適切ではないのではないだろうかと考えております。もちろん、現行大店法に基づきます調整制度につきましては適切な運用が必要でございますし、現に最近数年間は新しい届け出も大体年間百五十程度で安定しておるわけでございます。
○藤原(ひ)委員 もう少し実態をよく調査していただきたいと思いますね。今の御答弁をいただきますと、私の調査と余りにかけ離れている。そういう中で、商店の苦境にもかかわらず、国の商店街に対する助成策というのは余り見るべきものがない。 それからまた、おやりになっていることを先日お部屋に来ていただいて聞いたのですけれども、現在のコミュニティーマート構想というのは、とにもかくにも大規模過ぎて、今申し上げたようなこういう中小零細企業がひしめき合う商店街を何とか何とかと思って頑張っているこういう中小商店街の近代化を進めるためには、ちょっと具体的に合わないわけです。中小商店街の力に応じてやる近代化の行き方と、こういう高度化融資が受けられる、中小企業事業団ですね、こういうものを指導していただきたいということを私はぜひお願いしたいと思うわけです。お返事をいただきたいのですが、時間がありません。労働省もお見えですので、次に進ませていただきたいと思うのです。 廃業を余儀なくされております自営業者の人に今日を向けていかなければならないと思うわけですが、その経験と能力が生かせる職場の紹介、それに必要な技能訓練が大変大切だ。しかし、中高年となって転職というのは今大変厳しい状態にございます。雇用対策法によりますと、中高年の失業者求職手帳の発給を受けますと就職促進手当等の職業転換給付金が支給されることになっております。雇用保険に入れない自営業者、なかんずく中高年齢者にとりまして、国の職業転換給付金制度というものは大変大事なものだと言わなければならないのですね。 しかし、その活用の状況をお聞きしますと、中高年手帳の発給実績は八三年度が三千四十八件、八四年度は三千三百五十八件、八五年度は千八百五件という状態で、とりわけ県によって非常な差があるわけです。福岡県が千百五件、第二位の高知が三百十七件、大阪は百四十一件、京都の場合は八三年度は十六件、八四年度は十六件、八五年度は十件なんですね。こういうふうに大変差があるわけなんです。 そして、職業転換の給付金制度がスタートいたしました七〇年代の初めは完全失業率も一・二%程度と低くて、有効求人倍率も一・一から一・二あったわけです。それでも中高年者の就労というのは大変厳しかったわけですが、そういう中でこの制度がスタートしたわけです。ところが、昨今は完全失業率は二・九%前後になり、有効求人倍率も〇・六台と大きく下がっているわけです。就労は以前にも増して困難となっているわけですが、廃業後の就職を助ける、働く意欲を持っているけれども行き先がないという自営業者に対する、とりわけ中高年者に対するこの手帳の給付について真剣に取り組んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○藤永説明員 いわゆる中高手帳のお尋ねでございます。 中高手帳は、一般的な職業紹介なり職業指導等によりましては労働者を再就職させることが大変困難である、こういう者に対しまして特別の措置を講ずることによって再就職を促進しようという制度でございます。したがいまして、その適用については私どもとしては適正に行いたいと考えております。
○藤原(ひ)委員 今全国で大企業の身勝手な雇用調整のあらしが吹き荒れている。産地では異常円高によってすごい打撃で倒産や廃業が続出している。これは大都市の地場産業におきましても例外ではないわけです。 京都の西陣におきましても、絹織物、京友禅の衰退は非常な進みぶりなんですが、紋彫り業者も昨年は半減しました。かつての三分の一になったほか、ことし三月にも絹織物織機の共同廃棄によりまして廃業者が引き続き出ているというふうな状態なんです。西陣地域の有効求人倍率は〇・三二と全国平均の半分にすぎないわけです。 西陣職安を訪ねて私いろいろお尋ねしましたが、職安の職員の方々は一生懸命事業所訪問をしておられます。けれども、製造業からの求人がほとんど望めないというふうな状況で、中高年者の経験を生かした求人などは望むべくもない。あればガードマンにいくとか駐車場の管理とかビルの清掃とか、こういう雑役がやっとだ。それで収入をふやすために昼も夜も働かなければならない、家族と顔を合わすこともできない、こういうひどい状況にあるわけです。 そういう点で、労働、通産両省が昨年来構造調整関連対策協議会を開催しておられますけれども、こうした機会をも生かして零細業者、とりわけ中高年者の転職や就職先の拡大とか、転職、就職を希望する零細業者への支援策の拡充のために全力を挙げて取り組んでいただきたい。とりわけ田村通産大臣は労働大臣もおやりになった、そういう点で私は今大臣の御努力、特に政治力が求められているのではないか、ここで一肌脱いでもらわなければならないのではないかというふうに思いますので、御意見を聞かせていただきたいと思います。
○田村国務大臣 私は、今御指摘のございましたように、労働を担当して、その後は運輸というのも、これもまた半分は労働問題のようなものでございますが、そういうことと取り組んでまいりました。今おっしゃいましたことを初めいろいろな問題について、その都度判断しながら、まことにささやかな経験ではございますけれども、その経験を生かしながら懸命の努力をいたす所存でございます。
○藤原(ひ)委員 最後に、もう一問だけ大臣にお尋ねをいたします。 以上見てまいりましたように、自営業者の営業と暮らしにかかわる困難は、長引く消費不況、それに追い打ちをかけました異常円高、こういうものを契機といたしました産業構造調整政策によってもたらされてきているというふうに思うわけです。これを打開する道は、貿易摩擦の原因をつくり出しております大企業の異常な低コスト、この構造にメスを入れ、労働時間の短縮、賃金、下請単価の大幅な引き上げを実現させて下請いじめをやめさせる、国民の消費購買力を高めて内需拡大を図る、こういう方向に転換をしなければならないと思うのです。 同時に、赤字であろうが倒産しかかっていようが売り上げがある限り取り立てることができる、また非課税業者、中間業者を取引から締め出すこのたびの売上税のような大型間接税の導入の策動というのは、今回限りで終わりにしなければならないと思うのです。 中小企業、零細企業の営業と暮らしを守り、国民生活の向上に目を向けた政治への転換が非常に大事だというふうに思うのですが、最後に大臣の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○田村国務大臣 売上税は、衆議院でこれから機関をつくって御審議になるのでしょうから、私から特に申し上げることはございません。 それから下請いじめ、これはいいはずはありませんし、また円高にあえぐ中小企業に対して温かい援助の手を差し伸べるのは当然でございます。これからも零細企業を守るための努力を続けてまいる所存でございます。
○佐藤委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四分散会