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108回国会衆議院1987/05/14

商工委員会 第3号

発言数
220
登壇者
21
会派数
5
開催日
1987/05/14

会議録

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、特許法等の一部を改正する法律案及び民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。宮澤通商産業大臣臨時代理。     —————————————  特許法等の一部を改正する法律案  民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 特許法等の一部を改正する法律案及び民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  まず、特許法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  近時における目覚ましい技術開発の進展に伴い、特許出願内容はますます高度化・複雑化の度合いを深めており、技術開発成果の十分な保護の観点から、多面的かつ漏れのない形での特許権の付与が求められております。  また、国際技術交流の活発化等に伴い、工業所有権の分野においても制度の国際的調和の必要性が増大しております。  さらに、医薬品等の一部技術分野においては、政府の法規制に基づく許認可等を得るための実験、審査等に相当の長時間を要するため、特許制度の前提である一定期間の権利の専有による利益がその間享受できないという問題が生じております。  加えて、工業所有権に関する事務の総合的機械化計画等を予定どおり推進するため、特許特別会計の財政的基盤を確保する必要があります。  本法律案は、以上のような工業所有権制度をめぐる最近の情勢に対処するため、工業所有権関係四法について所要の改正を行うものであります。  なお、昭和六十年九月から工業所有権審議会において慎重な審議が重ねられた結果、昨年十二月に「多項制の改善、諸期間の弾力化等制度の国際化・国際調和等のあり方に関する答申」が提出されており、本法律案はこの答申にかなう内容となっております。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、特許出願等に関し多項制を改善するものであります。我が国では従来から特許等の権利請求の範囲を複数の項で記載し得るいわゆる「多項制」を採用してまいりましたが、その記載内容及び方法に制約があることから、最近ますます高度化し、複雑化する技術開発の成果を漏れなく保護するには不十分なものであることが明らかになってきております。このため、技術開発の成果の十分な保護を図り、あわせて出願手続の負担の軽減等に資するべく、多項制について所要の改善を行うものであります。  第二は、制度の国際的調和等を図るため、各種手続期間の弾力化等を行うものであります。具体的には、工業所有権の保護に関するパリ条約に基づく優先権を主張した者が提出すべき証明書の提出期限の延長、異議申し立て期間の延長等を行うものであります。  第三は、特許権の存続期間の延長制度の創設であります。これは、安全性の確保等を目的とする法規制に基づく処分であって当該処分の目的、手続等から見て当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものを受けることが必要であるため、特許発明を実施することが二年以上できなかったときは、五年を限度として特許権の存続期間の延長を認めるものであります。  第四は、手数料等の改定を行うものであります。これは、出願料、特許料その他の手数料等の金額または限度額について、工業所有権に関する事務の総合的機械化計画を予定どおり推進するために必要な経費等を勘案して、所要の引き上げを行うものであります。  本法律案は、これらの事項について所要の措置を講じるため、特許法、実用新案法、意匠法及び商標法についてそれぞれ所要の改正を行うものであります。  次に、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法、いわゆる民活法は、近時の技術革新、情報化及び国際化の進展等の我が国経済社会を取り巻く内外の環境の急速な変化に対応して、経済社会の基盤の充実に資するような新しい施設の整備を民町事業者の能力を活用して促進するための各般の措置を講ずることを目的として昨年制定されたものであります。  しかしながら、民活法制定後においても、我が国経済社会をめぐる環境は以下申し述べますように引き続き変化しつつあります。  その第一は、情報化、国際化の進展に即応した地域開発の必要性の増大であります。この要請にこたえるためには、高度な情報処理または電気通信の機能を有する施設を整備し、これを中核として地域開発を推進することが不可欠であります。  第二は、我が国経済社会の国際化の一層の進展であります。バランスのとれた投資交流を進め、我が国経済社会の国際化をさらに進展させていくためには、外国企業等の我が国市場への進出の円滑化を図ることが必須の条件であります。しかしながら、外国企業等が我が国市場への足がかりをつかむための拠点となる施設の立地条件を満たす地域は限られており、対日進出が困難である一因となっております。  以上の課題に対処し、我が国経済社会の発展の基盤の一層の充実に資するため、以下御説明する二つの施設を民活法の対象施設に追加することを目的として、本法律案を立案した次第であります。  今回追加することとしている施設の概要は次のとおりであります。  第一は、情報処理または電気通信の高度化により経済社会の情報化及び国際化に対応した都市機能の高度化または港湾の利用の高度化を図るために設置される施設であります。具体的には、  一 国際経済関連情報の集積・処理、エネルギーコントロール等地域内の高度情報処理   サービスを総合的に行う高機能情報センター二 本邦内外との間の衛星通信、地域内の高度サービス統合ディジタル通信等を行う電気通信中枢センター  三 これらと一体として整備されるインテリジェントビルであります。  第二は、外国企業等の我が国市場の開拓を円滑化するために設置される施設であります。具体的には、  一 本格的な対日進出に向けて準備活動を行っている外国企業等の立ち上がりまでの事業場施設  二 翻訳、文書作成、我が国商慣行等の情報提供等を行うための共同利用施設であります。  以上が、特許法等の一部を改正する法律案及び民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 特許法等の一部を改正する法律案について審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方克陽君。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 私は、今回の法律案の改正について、特に貿易摩擦の問題もあるということで大臣にぜひともお尋ねをしたいというふうに言っておりましたけれども、大蔵委員会の方でどうしても呼ばれたというようなことでございますので、いらっしゃらなければ、そういう趣旨も含めて次官の方で御答弁をお願いしたいということで、二点ほどまず最初に質問をしたいというふうに思います。  今回の特許法の改正をめぐる国際的な情勢の特徴というものはいろいろあろうかと思うわけでありますけれども、特徴的に言うならば三つほど挙げたいわけであります。  一つは、今も提案の中にありました多項制を中心にした日本の特許法体系のおくれ、そして二つ目には技術革新の目覚ましい発展どこの情勢を受けての知的所有権の保護の必要性、そしてまた国際的な協調、そして三つ目にはアメリカの経済的力量の後退を他国へ責任転嫁をするということで、その具体的な一つの例として、貿易摩擦の一項としていわゆる特許の問題が取り上げられていると思うわけです。  そこで、この貿易摩擦の根本というのは、アメリカの経済政策の失敗を他国に押しつける、ここに根本的な問題があるのではないかというふうに思うわけです。そもそもアメリカがいわゆる赤字に転落をし出したのは、レーガンがレーガノミックスということで一九八一年から毎年減税は一〇%ずつやる、それに見合う財政支出は削減をする、しかし片一方では軍事力だけは増強するということでございます。その結果が大幅な財政赤字を生み出し、また貿易赤字を増大さした要因であると思うわけであります。  日本は確かにいわゆる世界一の貿易黒字国でありますけれども、それでは私たちの国民生活は豊かであるかといえば、そうは言えないというふうに思うわけです。  アメリカは結局みずからの財政政策の失敗を諸外国、いろいろありますが特に日本に押しつけようとしていると思いますし、その一環としていわゆる知的所有権、特許の問題も押しつけられてきているというふうに思うわけでありますが、この点についての御見解をお尋ねしたいと思います。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 現在の日米貿易摩擦の背景には、減少しない大幅な米国の貿易赤字の、その米国内のいら立ちというものがあるように思います。しかし、こうした米国の政治的、感情的な動きに対しまして、我が国はやはり冷静かつ着実に対応していくことが必要じゃないか。これは単に事を荒立てないという意味だけではなくて、言うべきことは言うが、しかし基本は冷静、着実にということで、緒方先生も御承知のとおり、具体的には引き続き内需拡大、輸入拡大並びに経済構造調整等、でき得る限りの努力を行っていくということではないかと思っております。  一方、御指摘がございましたけれども、現下の日米貿易問題の背景には、米国の財政赤字、米国産業の国際競争力の低下等、米国自身の問題があることも事実でございます。したがいまして、これらの問題について米国自身の改善努力を強く求めておるところでございます。  先日の日米首脳会談におきましても、レーガン大統領から、我が国の内需拡大等の努力を積極的に評価するとともに、米国の側では財政赤字を削減していく、競争力を向上させていくという旨の表明があったと承知をいたしておるところでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 今、冷静かつ言うべきことは言うという御答弁があったわけでありますが、しかし、マスコミの報道にいたしましても、我々国民が見る目からしましても、一方的に押しまくられたのではないかという気がしてならないわけでありまして、冷静というのは大事でありますが、言うべきことについては言われていないのではないかという気がしますので、この点については今後の問題としてそういう立場で強く臨まれるように申し上げておきたいと思います。  それで二つ目の問題で、これはこの特許法の改正とも関係があるわけでございますが、同じく日米の問題で御質問を申し上げたいと思います。  その具体的な中身は、アメリカのいわゆる特許における先発明主義というものがあるわけでありますが、これを早急に是正をさせるということが必要ではないかということで、このことについての政府の具体的な対応といいますか、そういうものをもっと強力にやるべきではないかということで御質問を申し上げたいと思います。  四月二十八日付の日経新聞を見てみますと、アメリカのゲパート議員——ゲパートというのかゲッパートというのかよくわかりませんけれども、ゲパート議員は、日米の貿易摩擦の問題で、対米不公正の具体的な例として著作権の保護が不十分であるということと、このほか商標、特許登録の事務処理のおくれが不公正に相当すると言っているわけであります。これは記者会見で言ったということになっております、新聞では。この言っておりますことは、一面は確かに当たっている。例えばいわゆる事務処理のおくれの問題は確かにあると思いますが、しかしそのことだけで済むのかといえば、やはりアメリカ自身にも問題を正確に提起をすべきではないかと思うわけです。  特許をめぐって、世界的に見ても我々から見ても、いわゆるアメリカの先発明主義というのは例外的でありまして、アメリカは平等であるというふうに言っておりますけれども、実際にアメリカにおける先発明主義というのは、結果として外国人に対して実質的な差別が行われているというのは周知の事実でございます。もちろんこのいわゆる先発明主義については、アメリカにおいても問題の解決のために出願主義への動きもあると聞いております、しかしながら、アメリカはこれまた御承知のとおり独特の訴訟社会でありまして、また独特の哲学を持った国でもございます。したがって、世界の世論といいますか、あるいはこのこと自体がもはや通用しないよというようなことがアメリカ全体に広がるようなアピールと具体的な手だてといいますか、そういうものをしていかなければいけないのじゃないかと思うわけでありまして、この点に関しまして政府の具体的な認識と、いわゆるアメリカの先発明主義が実態としては外国人に対して実質的な差別になっているということの是正をするための手だてといいますか、そういうものについて政府としてはどうされるのか、あるいはされようとしておるのかということについてお尋ねいたします。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 ただいまお尋ねのあった点は、世界の知的所有権制度の調和といいますか、そういう点に関して最も重要な問題であると私ども考えておる次第であります。  米国の採用している先発明主義は、日本を含む世界の大多数の国が採用している先願主義とは基本的に異なるわけでございます。なお、その先発明主義を採用している国は米国のほかカナダとフィリピンの合計三カ国でございまして、カナダにおいては国会に先願主義に変える法案も提出した、こういう動きもあるように承知いたしております。米国はことしの三月にWIPO、世界知的所有権機関における特許制度の調和に関する検討会合、ハーモナイゼーションミーティング、こう言っておるわけでありますが、その場において先発明主義から先願主義への移行を正式に表明をいたしたわけであります。  我が国としては、特許先進国の一つである米国が先発明主義から先願主義に移行するという動きは、先ほど申し上げましたとおり、特許制度の国際的調和に大きく貢献をしますし、また我が国の利益にも資するものでございますので、これを歓迎をし、また積極的に支持し、推進をしていきたい。具体的には、先ほど申し上げたWIPOの場、あるいは日米欧の三特許庁間における協力の場等においてこれを評価をし、支持をし、推進をしていくということであろうかと存じます。  やはり一国の法律改正の問題ですから、それ以上のことはなかなか言えないわけでありますけれども、国際機関の場で十分に、世界の調和という見地から一刻も早く推進していただくように、これからも我々としてはお願いしていきたいと思っております。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 アメリカの先発明主義に対してはWIPOの場とかその他で働きかけていきたいというような御答弁があったわけでありますが、どうも日本政府の場合には、そういう具体的な対外的な働きかけが余り上手でないような気がするわけですね。ゲッパート議員などは、とにかくテレビでもいろんな問題でも取り上げてぼんぼんやってくるのに、我々は、日本の政府は公式の場で余り、いろいろな議題の中の一つとして取り上げられるということで、アピールをしないような、そういう取り組みであるような気がしてなりませんので、そこのところはやはり、政府は一体であるということはあろうと思いますが、宣伝の仕方といいますか、対応の仕方というのはもっと一考あってしかるべきではないか、もっと積極的にやっていくべきではないかというふうに私は思いますので、その点は御要望として政府の方に申し上げておきたいというふうに思います。  それで、次に三番目の質問に入りたいと思います。  三番目の質問の要旨は、今回、五十年の法改正から十年後にまた改正になるわけでありますが、私も率直に言って一年生議員でございまして、いろいろな議事録を読ませていただいたわけでありますが、十年前の議論の中で、これは過ぎたことでありますけれども、当然対処すればよかったのではないかなということが対処されていなかったために、今回また法の改正をしなければならぬ。しかも、今回の改正も必ずしも十分に世界の流れとか、そういうものに対応していないのではないか、あるいは業界の要望、業界といいますか出願人の要望といいますか、そういうものにこたえていないような気がしますので、五十年の法改正のときの総括を少しやっておく必要があるのではないかという意味で御質問を申し上げたいと思います。  それで、五十年の法改正では、いろいろ資料を見てみたわけですが、いわゆる実施態様という言葉が言うならば急に出てきたような、庁内議論その他を聞いてみましてもですね。そして、法律案の中に実施態様という項目が出てきております。そして、それぞれ衆参の委員会で議論がされておりますが、昭和五十年五月二十七日のこの衆議院の商工委員会、十年前でありますが、同僚議員であります上坂議員の質問で実施態様の問題が取り上げられております。そして、実施態様の問題で政府の答弁はどうなっているかといいますと、いわゆる実施態様は特許法の七十条により特許権の範囲内に入るというふうに答弁を政府委員がされているわけですね、齋藤政府委員でしたでしょうか。  それから、これは参議院がどうも先議のようでありますけれども、同じように参議院の商工委員会でも、小柳勇議員の質問に対しまして政府委員はこういうふうに言われているわけであります。これは議事録でありますけれども、「実施態様が記載されますことによりまして、特許発明の技術的な範囲と申しますか、これが明確になりますので、とりもなおさず、それはやはり発明の本来保護されるべき範囲が明確になる」わけであり、「争いなどもこれによってやはり少なくなることが期待される」というふうに答弁をされているわけであります。  実施態様というのは非常に問題ではないかという指摘もありましたけれども、いやいいことだというふうに政府は国会の本委員会で、ちょうど十年前の法改正のときに言われているわけでございます。  しかしながら、実際には、この答弁があったわけですけれども、特許庁の審査がどうであったかということになりますと、審査実例においてもそういうことはされていない。あるいは「昭和六〇年行ケ第四九号審決取消請求事件」ですね。この事件でも、事件そのものは特許庁が勝ったということになっておりますけれども、五十年のいわゆる法改正の議論からいう実施態様というのは否定をされたということになったわけでございまして、一生懸命議論したことが事実上十年たって否定をされたということになるわけであります。  これは、同じようなことを今度の法改正でも繰り返してはいけないという意味で言うわけでありますが、こういう事実上国会審議の中で政府が答弁されたことが実施をされなかったというようなこと、そして裁判においてもそのことが確定をしたということによって今回の法改正になっている、そういうバックグラウンドになっているのではないかと思うわけでありますが、その点についての御見解を、お答えをお聞きしたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 昭和五十年の改正時におきます多項制の採用は、緒方委員御指摘のとおり、現在私どもが考えている多項制の観念からいえば不十分なものであったわけでございますが、その理由は、我が国におきましては大正十年以来単項制という制度をとっておりまして、一発明一出願で、かつそれを単項、一つの項目をもって表現しなければならないという長い伝統がございました。制度は、ほかの制度も同様かと思うのでございますが、その時代時代の環境によって適正なものでなければならないわけで、したがって、そういう環境の変化につれて制度が変わっていくものであるというふうに了解するわけでございますが、五十年当時、特許協力条約が結ばれまして、その条約のどうしても履行しなければならない義務を履行しつつ、かつそれまで伝統的に続いてきた単項制の慣行あるいは物の考え方というものがございますので、それとの調和を図りながら権利の保護に十分を期していきたいという発想で当時の多項制への改善が行われました。  この多項制への改善は、緒方委員御指摘のとおり、従来必須要件項とされておりましたものに加えて、いわゆる実施態様項、発明の構成に欠くことができない事項は昔のままといたしておきながら、その範囲内で実施態様を明確にする意味での実施態様項を付加することを認めるという改正であったわけでございますが、これは今翻ってみれば十分ではなかった、少なくともその後の急速な技術進歩、それに伴います成果が内容的にも非常に複雑になってくるというようなことに対応するためには、今少なくともこれを改正しなければならないという状況に立ち至っているわけでございます。  今回の改正では、もっと自由に、できるだけ許される範囲内で自由な発明の表現ができるような多項制、目指すところは欧米並みの多項制というものを考えておりまして、今回の改正によりまして我が国あるいは海外の産業界の要望を満たすことができると思いますし、内容におきまして、米欧と同様程度の多項制になるものと確信いたしております。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 今の質問の趣旨は、最初にも言いましたように、今長官の御答弁では、今度の法改正というのは欧米並みになるということで問題はないという確信を持っての御答弁のようでありますが、私は後ほどまた質問いたしますけれども、必ずしもそうならない、やはり解釈上その他を含めて疑問を持つような内容を含めての法改正のような気がしてなりません。そのことを後ほど具体的に指摘します前段の材料として、それぞれ疑問がある問題については、率直に政府としては法改正の場合にいろんな意見を踏まえておかないと、またぞろ同じような、三年後、五年後にやはり多項制をとるんだ、十年前も同じ多項制ですね、同じような轍を踏むのではないかということで、やはりいろいろな出願人、諸団体、国際的状況も含めてしっかりこの問題を考えていただきたいという一つの例として、十年前の問題をあえて出して時間をとらせましたけれども、そういうことでありますから、十分長官としても考えていただきたいというふうに思うわけであります。  さて、次の四番目の質問に入りますが、今度のいわゆる法改正というのが、提案でも御説明ありましたように、工業所有権審議会の答申に基づいてということで、まあ何項目もの施策が、多項制の問題あるいは期間の問題など含めて改正をされているわけでありますが、特に多項制の問題で、私はまだまだ不十分ではないかというふうに思う観点から質問をするわけです。  今回の改正は、今は国際的にも国内的にも十分たえ得るものだという長官の答弁がありましたけれども、実際にこの法律ができて実務があるわけですね。それは出願人の仕事もあります、あるいは審査の仕事も審判の仕事もあるわけでありますが、それがいわゆる実務面でも十分にたえ得るものであるかということで、特に多項制の問題はそうなのかということで御質問をしたいと思います。  そもそも五十年のいわゆる法改正で、条約機構加盟のための過渡的なもののような答弁が今さっきありましたけれども、そういうことで法改正がされたわけですけれども、当時からも、いわゆる特許協力条約加盟のための形式だけを整えた多項制であって、多項制の名に値しないのではないか。極端な言い方をすれば、木に竹を接ぐものであるというような批判をされた。工業所有権審議会に参画をされた委員の一人からもそういうふうなことが出ているというふうに聞いているわけでございます。  今回は一体どうかということであります。昨年の十二月の十九日ですか、田村通産大臣に出されました工業所有権審議会のいわゆる制度改善についてという答申では、特許請求範囲の記載の改善とか、二つ目に出願の単一性の範囲の拡大についてなどなど出ておりますが、特にここで御質問を申し上げるのは、多項制の問題でありますけれども、今回の法律改正で、いわゆる審議会が答申した内容に一〇〇%こたえているというふうに御理解なのかどうか。九〇%か八〇%か、それはそちらの方の回答でありますが、そういうものになっていない点があるのではないかというふうに私は思うわけですけれども、政府としての採点じゃありませんけれども、本当に一〇〇%こたえたというふうに御認識でありますかどうか、その点についてお尋ねをいたします。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 工業所有権審議会で一年余にわたります御討議をいただいたわけでございますが、その趣旨とするところは、やはり現在の請求制度は多項制とはいうもののなお欧米のものに比べて不十分であるという認識に立っておりまして、それを改善するために現在の制度を改める必要があるということでございます。それで、その趣旨とするところは、私どもとしては今回の法律制度の改正に十分に織り込まれているというふうに考えております。  御承知のように、審議会の答申は、いわば法律の専門家のみではございませんで、いろんな関係者、有識者が入っておられます。そういう関係上、目指す政策的な方向ないしは制度改正の趣旨についていろいろと御答申いただいたわけでございますが、同時にこれを制度化するに当たりましては、現在厳として存在いたしております特許法というものがございます。そしてこれは先ほど来申し上げておりますように大正十年以来の歴史的な経過の上に成り立っておりまして、この特許法の規定に基づいて出願する出願人の数も極めて多く、その範囲は広範にわたるわけでございます。ですから私どもとしては、答申の趣旨は十分に尊重しながら、かつ、こういう歴史があり適用の範囲も広い法律の適用について混乱を来すことのないように、従来の制度との整合性をよく考えながら考えてきたわけでございまして、内閣法制局と種々この答申の趣旨をどのように制度的に盛り込むかについて長い協議、審議を受けてきたわけでございますが、その結果こういう制度が最適であるというふうに理解しているわけでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 今の御答弁では、最適であるということで、審議会というのは法律の専門家だけではないということで、いろんな人が入っているからというような答弁で逃げられたわけでありまして、一〇〇%か九〇%かという問いに対しては、一体一〇〇%というふうに御理解なのかどうか、いま一度お尋ねをいたします。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 趣旨は十分に実現されているというふうに考えております。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 私の問いに対して数字ではなかなかお答えになりませんで大変遺憾でありますが、いずれこの法律が具体的に生きていく段階でいろんな問題が出てくるのではないか、出なければいいわけですけれども。そういう意味で今あえて御質問をしたわけであります。  次に、これまた同じような趣旨で、ぜひこれはやはり政府としても考えるべきではないかという趣旨で、同じような趣旨で恐縮でございますが、お答えを願いたいと思うのであります。  今回の改正の前に、直接関係をいたします特許に非常に関連のある会社などで組織しております特許協会の加盟各社に対して、法改正の問題でアンケート調査が行われております。これは昭和六十一年の八月に出されております「特許管理」の千五十四ページに載っているわけで、これは多項制の問題でありますが、ほかにもいろんなアンケートの答えが出ております。それによりますと、四百六十五社から大体八五、六%の回答があっているようですが、その四百六十五社から得た回答のうちで、このアンケートの項目でありますけれども、一出願に記載できる発明の範囲をPCT第十三規則に記載された範囲にしてもらいたいという項目で、実に八四%がそういうふうになっているわけですね。今法律の専門家とか法制局とかいろいろ話が出ましたけれども、結局国際的ないわゆる特許条約の第十二規則に記載された範囲にするという要望、業界はこういうふうに希望しているというのが実に八四%あるわけでありますが、この点についてどのようにお考えか、お答えをお聞きしたいと思います。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 ただいま御質問の点でございますが、今回の法改正におきます多項制の改善でございますが、これはまず第一に、欧米の諸国で認められておりますように、一発明を多面的な表現によりまして複数の請求項に記載することを認めるということでございます。この第一点は、まさにPCT及びヨーロッパ特許条約等で行われておりますものと全く同一でございます。その次に、技術的に関連性の高い複数の発明につきまして、これを同一の願書で出願できる範囲をやはり欧米並みに拡大しよう、この二点でございます。  この二点の改正の結果、我が国の多項制は、アメリカ特許法及びヨーローパ特許条約の運用と全く同一となるわけでございます。この点につきましては、日本特許庁、アメリカ特許庁及びヨーロッパ特許庁、三極で行っております三極会合におきまして、そこにおきます三庁の制度運用に対します比較研究の結果からも、この改正によりますと全く同じになるという点が確認されておるわけでございます。例えば現行法でございますと、ややヨーロッパ及びアメリカの運用と違う点がございます。御指摘のとおりに、例えば物と物の改良物あるいはその製造方法等につきましては、現行では同一の願書で出願できないわけでございますが、この改正法によりますと、欧米で行われておりますのと同様に、このようなものも一つの願書で出願できるということになるわけでございまして、ヨーロッパ特許条約、アメリカ特許法の運用とほぼ一致するということでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 私が質問をいたしましたのは、そういう諸外国との整合性の問題とかあるいは言葉の表現の問題もあると思うのですが、業界、いわゆる一番当事者であります出願人がそういうふうに八四%も要望をされているということについてこたえているのかどうかということでありまして、そのことについてお答えをお願いしたいというふうに思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 その要望は満たされていると御了解いただきたいと思います。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 これは、私が了解をするとかしないとかいうことじゃなくて、政府の方がどういうふうに見られるかということを質問しているわけでありまして、私は満たされていないというふうに思うから質問をしているわけであります。質問している側に、満たされているというふうに御了解を願いたいと言われても、私としては御了解はできないわけでございまして、政府の方がどういうふうにお考えですかということです。私は満たされていないのではないか。それは内閣法制局もあるでしょう、それからいろいろ聞きましたら、ここも法曹界とかそんなところがいろいろありまして、アメリカの先ほど言いました訴訟社会じゃありませんけれども、そういうものがあってなかなかしがらみでこの問題もすっきり進んでいかないということはわかりますけれども、そういう加盟各社の八四%のところが言っているということについて政府はどうお考えかということで結構でございます。私は満たされていないというふうに思いますから、政府の考えだけをお聞きしておけば、後はそのことについて業界なり出願人の方々がどう判断されるかという材料としてお聞きをしているわけですから、そういうことで御対応願いたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 特許協力条約に基づきますPCT規則一三・四というところに、「発明の単一性の要件の規定に従うことを条件として、従属請求の範囲の特徴がそれ自体で発明を構成すると認められる場合であっても、独立請求の範囲に記載されている発明の特定の態様について保護を求める相当の数の従属請求の範囲を同一の国際出願に包含させることが許される。」というふうに規定されております。そうではございますが、従来の我が国の多項制については、先ほど来の御議論にございますように、必須要件項以外に認められるものとして発明の実施態様のみということになっていたわけでございますが、今回は大きく言いまして三点の改正を行っております。  第一には、一つの発明について独立形式、従属形式というものがございますけれども、こういったものにかかわりなく、多面的で自由な表現によって複数の請求項を記載することができることといたしまして、かつこれらの新規性、進歩性等の判断については個々の請求項ごとに独立して判断をするということにいたしておる点が第一点でございます。  第二には、一定の技術開発の流れのもとにあります相互に密接な関係のある発明について、欧米主要国並みに同一の願書で出願できることといたしておりまして、独立形式に限るという記載形式の制限も撤廃することといたしております。  第三に、今の第一点、第二点とあわせて出てくる効果といたしまして、複数の請求項を記載する場合に、単一性を満たす限りにおきまして、それらの請求項が相互に別発明を表現しているか、同一発明を表現しているかといったようなことを問わないというふうにいたしているわけでございます。  私も、そのアンケートの時点とか、あるいはどういう質問をしたかについてはつまびらかにいたしませんが、現在まだ多項制が実現していないわけでございまして、ぜひともこのPCT規則に言われるような多項制が実現するようにしてほしいという要望がそのときもあり、現在もございます。そういった要望が多分そのアンケートの結果に出てきているのであろうかと思います。私どもの原案が不十分であるということではなくて、私どもの原案にございますようなそういう多項制をぜひ実現してほしいという意味のアンケート結果ではないかというふうに受けとめます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 まともになかなかお答えにならないわけでありますが、今のお答えをそれぞれ出願される人なり団体がどう受けとめるかというのは、これからの特許庁に対する皆さんのいろんな考え方に左右されるという意味で、今の御答弁は私は納得しておりませんが、業界の皆さん方、出願される皆さん方がそれぞれ判断をされると思いますので、回答は非常に不満でありますけれども、そのことについてはこれからの皆さんの判断にお任せをしたいというふうに思います。  そこで、この問題の多項制の繰り返しのようなことになりますが、先ほどPCTの話とかいろんなことが出ております。欧州特許条約とかあるいはアメリカの特許法などありますけれども、このいわゆる諸規定と整合するのかということですね。具体的に言いますと、EPCでは、保護が求められている事項を明示する、そして請求の範囲は明確かつ簡潔に記載して明細書により裏づけるということになっております。それからPCTの方は、第六条でありますが、「請求の範囲」で、請求の範囲には保護が求められている事項を明示する、請求の範囲は明確かつ簡潔なものでなければならない、請求の範囲は明細書により十分裏づけをされたものでなければならないとなっており、アメリカの特許法では、もう言わずもがなでありますが、一またはそれ以上の請求項を結論的に記載をしなければならないということになっておりまして、今回の法改正は、いろいろ解釈をすれば結論的には欧米並みであり、それぞれの特許条約機構と整合するし問題はないというふうに言われているわけですけれども、何遍も言いますけれども、そうであれば、保護が求められている事項とか、あるいは請求項というふうに国際的にはもう具体的になっているわけですね。  今回の工業所有権審議会でも、あるいは今回の法改正でも、いわゆる国際的協調というのが言われているわけですね。さっきの提案でも言われ、今でもいろいろ言われているし、これは大きな問題であるわけですが、そうであればあるだけ、何か注釈をして、いやこうこうこういう理由だかもこれは今の世界の法律といわゆる請求項の中身、特許を求める事項の中身は変わらないというふうに言われても、なかなか納得しがたいわけでありまして、やはり世の中はわかりやすくしなければならぬというふうに思うわけです。  そうしますと、再度の質問になりますけれども、やはり保護を求められている事項を請求項というふうにすべきじゃないかというふうに思うわけです。その点について再度、これは最後の詰めみたいな話ですけれども、わかりやすく、国際的にということであればそうすべきではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 御指摘の点でございますが、ヨーロッパ特許条約及び特許協力条約、PCT、EPCと呼ばれておりますが、これはいずれもその条文では、御指摘どおりにクレームにおきまして保護を求める事項を明示するということが、条約上明文の規定がされておるわけでございまして、いわゆる保護範囲的機能が明示されているわけでございます。今回の法改正におきましては、請求項には特許を受けようとする発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載しなければならない、こう規定いたしまして、保護範囲的機能に加えまして一つの請求項から必ず発明が把握できる構成要件的な機能も明示しておるわけでございます。  このように請求項をあらわす法律上の表現といたしまして、仮に構成要件的機能を明示しないことといたしますと、一つの発明を構成しています構成の要素が幾つかの請求項にまたがって記載される、そのために各請求項に記載されているそれらの構成要素もまた発明ではないか、このような解釈がされかねない等の問題が起きまして、特許請求の範囲の解釈に大きな混乱を招くことが懸念されるわけでございます。  ところで、PCT及びEPC、特許協力条約、ヨーロッパ特許条約におきましてもこの点は全く同一でございまして、確かに両条約は条文の中に明文の規定としまして構成要件的な機能を記載しておりません。しかしながら、両条約ともそのガイドラインにおきましては、独立クレームには発明を定義するために必要とされる必須の特徴のすべてを明確に特定しなければならない、こう規定しておりまして、ここにおきまして構成要件的機能を担保しておるわけでございます。  したがいまして、このような点にかんがみて今回の制度改正、多項制の改善におきましても、構成に欠くことができない事項のみを記載するという構成要件的な機能を従来どおり法律に明記したわけでございます。PCT、EPCは決して保護範囲的機能のみを有しているわけではございません。今御説明しましたように、運用面におきましては構成要件的機能をあわせ持つことを明確に担保している制度でございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 今ガイドラインという言葉が出てまいりましたので、その点はきょうの場ではなくて、また改めて問題を指摘をしたいと思います。  それでは次に七番目の質問に入ってまいりたいと思います。  今回の答申、まあそれ以前でありますが、三十二年以来歴代の工業所有権審議会の考え方は、いわゆる権利を要求する事項及び出願人が請求する請求項というふうにこれまたなっているわけですね。余り繰り返しのようでくどいなというふうなお話になるかと思いますけれども、とにかくそういう流れがずっとあるんだということだけをこの際申し上げておきたいと思います。  次の質問に入りたいというふうに思います。  今回の法律の中では「特許を受けようとする発明」ということが出ているわけであります。第三十六条の四項で「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載」することになっているわけですけれども、従来の法律の中で言う「発明」と今回新たに出てきました「特許を受けようとする発明」というのは異なるものであるかどうか、同じものであるかどうか、その点お尋ねいたします。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 御質問の点でございますが、今回の改正案におきましては特許を受ける発明という文言を使っておりますが、従来のプラクティスをちょっと御説明したいと思うわけでございます。  従来におきましても、発明の詳細な説明に記載した発明のうち出願人が一部の発明についてのみ特許を請求する場合につきましては、この一部の発明が特許請求の範囲に記載されてくるわけでございます。その他の発明が詳細な説明に書いてある場合にありましては、これらの発明につきましては一般には公開したけれども出願人が特許を請求しなかったというふうに取り扱っておりますが、御指摘どおり、条文の中には、この点やや不明確な点があったものと考えられます。特許請求の範囲に関する規定中、従来単に「発明」と規定していたものを今回の改正におきまして「特許を受けようとする発明」に改めましたのは、以上のような点にかんがみまして、特許請求範囲の位置づけを従来法より明確にすることを意図しておるわけでございます。すなわち、特許請求の範囲には、発明者が自分で発明し、その発明の中で自分の判断で特許を受けることによって保護を求める、その発明のみを記載することとしたものでございます。これによりまして非常に明確化したものではないかと考えておるわけでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 御案内かと思いますが、私一年生議員でございまして、英語かフランス語かわかりませんけれども、プラクティスとかいろいろな言葉が出てまいりますが、日本の国会でありますので、日本語で答えていただきたいというふうに思います。申しわけございませんけれども日本の国会ですから。  それからもう一つは、私が御質問いたしましたのは、今度の法律の中で「発明」と「特許を受けようとする発明」というのは同じであるか違うかという質問をしたわけでございまして、違うなら違う、同じなら同じということで、違うなら違う理由を、同じなら同じであるという理由をおっしゃっていただきたい、質問に答えていただきたいと思います。二つです。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 クレームに書かれている発明といたしましては同じでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 クレームに書かれている内容としては同じだということですが、法律全体では一体どうなんでしょうか。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 出願人は、自分のいたしました発明を明細書に開示いたします。そこにはいろいろな段階で多くの発明が書かれているわけでございます。その開示されている発明、すなわち明細書の中に十分裏づけられている発明でございますが、この発明につきまして、出願人はどの発明について特許を請求しようとするかということをまず考えるわけでございます。そして特許を請求しようとする発明、それはもちろん明細書の中に書いてある発明の中から選ぶわけでございますが、それを特許請求の範囲に書く、それが特許を受ける発明である、このように申し上げたわけでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 質問は端的に言います。この法律の中で同じであるか否であるかということです。違うか同じかを言ってもらって、その後また答えてください。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 発明としては同じでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 発明としては同じというのは、法律の中で同じという意味でしょうか。もう一遍だけ最後に。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 同じでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 同じということでございます。これは、同じだからということで、法律の中には特別にその概念とかそういう条文は一切ないわけでございましょうか。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 おっしゃるとおり、ありません。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 それでは次の質問に移っていきたいと思います。それは審査処理期間のおくれをどうして取り戻すのかということであります。  我が国の特許行政の現状は、御承知のように技術開発の競争の激化と、そしてまた企業戦略としての特許の重要性が認められておりまして、だんだん工業所有権の出願件数も、また審査の件数もさらに伸び続けることが想定をされます。もちろん、今度の法改正でいわゆる手数料が五〇%ないし二割ですか引き上げられると、一時的には下がるという傾向が今日までの値上げの段階でもあったようですが、特許庁の説明などを聞いておりましても、それは一時的であって、さらに上昇するというのは大きな流れとしては変わらないという御説明も聞いておりますし、過去の例もそうなっているわけでございます。  ところで、この件に関しまして、ちょうど三年前でございますが、五十九年四月六日の衆議院の大蔵委員会で、この特許法に絡んでの問題が議論されているようであります。その議事録の中で、これは長官だと思いますが、政府委員の発言であります。こういう議事録になっております。審査処理期間は現在二年三カ月ないし二年四カ月であるが、中を少し略しますけれども、コンピューター化を進めたとしてもこの三、四年はむしろ延びるが、十年ぐらいたつと現状まで戻ってくる、つまり二年三カ月ないし四カ月に戻ってくるということだと思いますが、しかし決してそれには満足しておりませんというふうに答弁をされているわけでございます。  決して満足しておりませんというふうに答弁をされまして三年間が経過しているわけでありますが、その後処理期間はどうなっているでありましょうか、お答えをお願いしたいと思います。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 今の点についてお答え申し上げます。  六十一年の状況でございますが、私ども一生懸命審査に努力をいたしまして約二十二万件ほど処理をしたのでございますが、残念ながら要処理期間は二年十カ月程度ということに今なったところでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 特許庁の方からの今度の法案提案に当たっての資料を見さしていただいたところでは、昨年あたりでは三年というような表になっているようでありますが、それが今日では二年十カ月ということでございますか。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 おっしゃるとおりでございまして、昨年ではちょうど三年前後だったのでございますが、ことしはいろいろな私どもの努力もございましたし、出願人の方の、先ほど先生のお話のございました、料金値上げのときの駆け込みの反動で請求が少なかったというようなこと等いろいろなことが関係しまして、現在二年十カ月という状況でございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 申しわけございません、二年十カ月というのは、現在というのはいつの時点でございましょうか。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 六十一年度末の状況でございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 六十一年度末で二年十カ月ということでありますが、これはいろいろな波があると思うのでありますけれども、三年前の審議で三、四年は延びて十年後にはもとに戻るということのようですが、今日の現状の中で、料金値上げがされますと幾らか下がるということもあると思うのですが、三年後の見込みは、処理期間はどれぐらいになるとお考えでしょうか。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 いろいろな要素がございますので、なかなか予測は難しゅうございますけれども、現在のところ私どもは、やはり三年になってしまうのではないか、三年台になってしまうのではないかというふうに考えております。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 二年十カ月が三年台ということですが、三年台といいましても、前半と真ん中と後半では随分違うわけでございまして、どの程度を見込まれているのか。    〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 現在のところは三年の前半だと予測しております。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 そういうことの答弁があったわけでございまして、まあ三年前の議論からしても決して満足していないというふうに言われておりますが、伸びたり縮んだりで三年というのは大変な問題だと思います。これについては、最初に言いましたように、アメリカでも貿易摩擦の一項という形で日本の特許の審査期間のおくれの問題が問題になっているわけでありまして、後でこの点についての具体的な御指摘なり御要望なりを申し上げたいと思います。  そこで、次に同じようなペーパーレス計画を進めておりますアメリカの例をお尋ねしたいと思います。  アメリカでもやはりこの産業の空洞化その他も含めてでしょうと思いますが、知的所有権の問題でちゃんと対応しなければならぬということで、いわゆる行政費削減の中でも特許行政は特別にということで、ペーパーレス計画と並行していろいろな短縮の作業といいますか、そういうことがされているわけでありますが、ちょうどこれは公にされたということでなくて三年前の国会審議の中で出た資料のようでありますけれども、アメリカの商標特許庁が、昭和で言いますと五十七年から六十年の四年間で特許審査官を八百七十五名新規採用して大体倍近くになるという計画を立て、その後も毎年八十名程度の審査官をふやして、とにかく国の政策として知的所有権問題をきちっとしたいということで対応がされて、具体的な手だてとしては審査官の増員というものが計画されているという資料を出されております。それは当時の資料でございまして、現在それはもう進行しているというふうに思うわけでありますが、このペーパーレス計画がスタートをするときのアメリカの審査官の実数と、その後計画に基づいて審査官がふやされていっているという経過、もちろん一〇〇%達成はされていないかと思うのですが、その後の最終的な現在の状況ですね。特許庁が掌握をされている範囲で結構でございますが、どういう数字になっているのか、お知らせを願いたいと思います。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、アメリカの特許商標庁におきましては、一九八二年以来、特許行政の再活性化を通じましてアメリカの技術革新を促進するということをねらいといたしまして、幾つかの内容を含みます中長期計画をつくっているわけでございます。その中に、御指摘のように審査官を増員する。具体的には、今先生御指摘のように、一九八二年から八五年までの間に特許の審査官を八百七十五名新規採用する。その後も毎年八十名程度の新規採用を予定する、また、商標の審査官につきましては、一九八一年から八三年の間に毎年約三十名程度を新規採用し、その後も毎年二十名程度の新規採用を予定するという内容を持った計画でございます。  その後の状況でございますが、私ども必ずしもそのすべての数字を正確に掌握しているわけではございませんが、私どもの承知している数字を申し上げますが、審査官の増員につきましては、特許につきましては一九八二年及び一九八三年にそれぞれ百九十名程度の増員、それから一九八四年及び一九八五年にはそれぞれ六十名程度の増員となっております。ただ、これは純増でございまして、特許商標庁の人員がそのようにふえておるという結果を私ども掌握しているわけでございます。  同じように、商標の審査官につきましては一九八一年から八四年にかけまして毎年約十名の増員となっておりまして、この結果でございますけれども、しかし今申し上げました純増ベースでございますが、それにいたしましても、特許の審査官につきましては一九八一年の定員が九百八十五名でございましたが、八六年現在では約千四百名に増加している、このように承知しているところでございます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 今の数字は、もちろん議事録にも載っていると思いますが、全体的な表を後ほどいただきたいと思いますが、いいでしょうか。出ますか。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 今申し上げましな数字を表にして先生にお届けしたいと思います。

奥田幹生自由民主党

○奥田(幹)委員長代理 そのように取り計らいます。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 そこで、最後の質問に入りたいと思います。  今のようなアメリカの状況もあるわけでございまして、結局これからの日本の経済の現状、日本もこれからいよいよ産業の空洞化というふうなことが言われている中で、知的所有権の問題は非常に重要なものであるということで、アメリカでも戦略的に考えられているわけでありますが、我が国では、特許庁はそうではないかもわかりませんけれども、なかなか政府全体としては総定員法という中で、されていないというところに問題があるのではないか、結論的に言うとそういうことの中で日本が取りおくれてしまうということにもなるのではないかということを非常に危惧するものでございます。したがって、いわゆる期間短縮のための抜本的な対策をすべきじゃないかということで申し上げるわけですが、その要因としては次のようなことを私は申し上げたいわけです。  一つは、出願件数がふえているということでありますね。二つ目に、審査請求件数もふえているということですね。それから三つ目に、未処理件数も、先ほど二年十カ月ということですが、また延びていくというようなことで、逆にこれから何年かはさらに審査期間も延びるということ、何らかの手だてをしない限り、そういうことになるということ。そしてまた、先ほども言いましたようにアメリカとの貿易摩擦の一つの争点にもなっているということ。それから六番目でありますが、いわゆるコンピューター化をするためにはそれなりのプラスアルファの仕事などもあるし、私きのう、初めての特許法の審査ということでありまして、庁内の仕事をほんの少しだけでありますが、受付から審査からコンピューター室まで見せていただいたわけでありますが、大変厳しい状況の中で、これからもっと対策を強化しなければならぬということも感じたわけであります。コンピューター化をしたとしても、人間が最終的には判断をするわけでありまして、審査作業そのものについては、まあ人間がするという意味では、これまた大変な問題もある。最後でありますが、特許料金が大幅に引き上げられるということなどを考えれば、やはり出願人に対するいろいろな手だてといいますか、配慮もしなければならぬ。  そういう意味で審査期間の短縮はやらなければならぬということは、今や戦略的な課題として位置づけられるべき問題ではないかというふうに私は思うわけです。したがって、この審査期間の短縮の方法は、確かに特許庁の説明で幾つかの手だてがされておりますが、私に言わせれば小手先、一生懸命やっておられるでしょうけれども、結果として審査期間が延びるということであれば、それは対策と言いがたいのではないかという意味で、いろいろ困難はあっても、特許会計などもあるわけでありますし、いろんなことを検討していただいて、何とかして審査官をふやすとか、いろんな方法で審査期間、処理期間の短縮をすべきである、そのことについて抜本的な方策を政府としてはすべきであるというふうに思いますが、その点についての御見解をお尋ねするわけです。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 ただいま緒方委員御指摘のように、審査要処理期間が長いというのは、特に工業所有権制度を預かる私どもにしては非常に健全でない姿であり、好ましくない、何とか是正しなければならないというふうに考えております。  その要処理期間長期化の要因として緒方委員幾つが御指摘になられましたが、そのとおりでございます。御指摘になられた事項以外にも、内容的に非常に高度化、複雑化しておりまして、特に審査官の判断が時間を食い、高度な処理が要求されるというような要素もございます。  私どもとしては、まずは第一に、御指摘のように出願件数が多過ぎるというふうに思っております。世界で百十万件の出願がございますが、五十二万件、その四四%が私ども特許庁に出願されておりまして、これは特許及び実用新案の数字でございますが、こういったものを処理しなければならない。しかも、それが本当に工業所有権として権利化されていく比率が低い。国際的に比べますと、我が国は玉石混交であり、石が多過ぎるというふうに思っております。出願件数がふえますと、それに比例して審査請求件数がふえているわけでございますが、何とかこういったものについては出願あるいは審査請求の段階で出願人がもう少し厳選していただきたいというふうに思っておりまして、現在適正化施策と称しまして、出願あるいは審査請求の際におきます厳選をお願いしているわけでございます。これも一つの施策として強化していかなければならないというふうに思っております。  もう一つは、私ども自身の効率性の問題でございますが、これにつきましてはペーパーレス計画というのを立てておりまして、三つに分けて十カ年計画でやっておるわけでございますが、現在その第二段階に差しかかっておりまして、早期に計画どおりこれを実現いたしたいというふうに思っております。  あわせて、総定員管理が相当に厳しいものですから、民間活力の活用というものも考えていかなければならないのではないかというようなことで、種々、一部は進めておりますし、検討いたしているわけでございます。  そういった施策がもちろん私ども重要でございますけれども、緒方委員御指摘のように、いろいろとコンピューター化いたしましても、最後にこの出願を許すべきか否かというのは人間の判断によるわけでございます。審査のみならず、事務的な部分におきましても、そういう機械化とともに、機械を動かす人間の能力の必要性というのはいささかも変わらないわけでございまして、この必要な人員の確保、増員ということは私どもにとっても悲願でございます。私どもはそういう観点からいろいろと政府部内でも要求を強くしているわけでございますが、委員最初におっしゃられましたように、総定員管理の全体の枠組みの中で苦戦しているのが実情でございます。ただ、六十一年度からは、審査・審判官の合計で申しまして、今まで減員を余儀なくされてきていましたのが下げどまりまして、ごくわずかですけれども増員が実現しつつございまして、私どもとしては今後とも、そういう芽が出始めたこの増員をなお確実なものにするように努力してまいりたいというふうに考えております。

緒方克陽日本社会党・護憲共同

○緒方委員 これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

奥田幹生自由民主党

○奥田(幹)委員長代理 水田稔君。

水田稔日本社会党・護憲共同

○水田委員 関連で一点だけお伺いしたいと思うのです。  昭和六十年の特許法の改正の際に私から質問した点について、今回の三つの大きな改正の中の一つに入っておるわけでございます。それは、特許権の存続期間の延長という制度が新しくできる。これは政令で指定することになっておりますが、今考えておるのは医薬品だけ、こういうぐあいに理解してよろしゅうございましょうか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 私ども提出させていただいております法律案の要件に即して必要のある一定の商品と申しますか、技術分野を選定しなければならないわけでございますが、この法律案で予定しております要件に適合することを確認しているものといたしましては、医薬品のみでございます。したがいまして、現在明確に政令指定品目の候補として考えておりますのは医薬品のみでございます。

水田稔日本社会党・護憲共同

○水田委員 前回のときにも、なぜ医薬品がそう、いう必要があるかということを申し上げたわけですが、それは一つは特許申請をして、これが厚生省の薬事法に基づく薬品として許可されるまでの期間というのは大変な実験が要るわけで、薬効の問題あるいは催奇性の問題あるいは副作用の問題、そういうものをずっと臨床試験をやっていく。そういう中で実際に厚生省から認可された後、特許期間の残りは半分もないというよう青ことなわけですね。医薬品はたから今度の改正の中に出てきたんだ、こういうぐあいに思うわけです。  農薬も同じようなものなんですね。これは御承知のように、これも一つは薬効の問題もありますし、そしてそれが環境汚染あるいは食物連鎖による人体への影響、あるいはまた土壌や水の中へ蓄積されていく。それは一つは残効の問題がそういう蓄積につながっていく。そういうことになりますと、農水省へ登録されなければこれは売れない。これはやはり医薬品と全く同じようなパターンの品物であることは間違いないわけですね。  これはいずれも、新しい医薬品にしろ新しい農薬にしろ、莫大を研究開発費をかけて、そしてそれが実際に厚生省で許可される、あるいは農水省に登録されるまでの期間というのは、全く同じように長期を要するわけですね。そういう点からいえば、当然ここで医薬品と同じ時期に政令の中に入っておかしくないと思うんですが、なぜそれが今この法案が出た時点では医薬品だけになっておるのか、その点の状況を御説明いただきたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 私ども当委員会に提出させていただいております特許権の存続期間の延長の条項でございますが、「特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であって当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることが二年以上できなかったときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。」という規定になってございます。  私どもこういう存続期間延長の措置が必要であると考えましたのは、ただいま水田委員御指摘のとおりでございまして、せっかく特許権を付与されたにもかかわらず、特許法が保証しております特許期間が実質的には他の法律の規制によって空洞化してしまう。それでは特許制度の本来の趣旨とするところは基本的に損なわれてしまうので、もしそういった特許権の空洞化がやむを得ざる正当な理由によって生ずるものであるということであれば、その回復を認めるべきであろう。その要件として何が適当かということを種々検討いたしました結果、今申し上げましたような要件になっているわけでございます。  そのとき念頭に置きましたのは、主としては医薬品でございますけれども、このような趣旨を特許法の中に取り入れます場合には、何も特定の医薬品に限る理由はないわけでございまして、同様の状況のもとにある一定の技術分野につきましては同様に扱うことが正しいというふうに考えております。そのために法律上医薬品と特定せずに、同一のものであれば取り上げるという意味におきまして政令指定という方式をとっているわけでございますが、医薬品については要件は確認できましたが、同時に農薬についても私どもは検討する必要があるというふうに考えております。  農林省及び一部の農薬製造関係者からのコンタクトがあったわけでございますが、現在この特許存続期間の延長制度に乗るべきかどうか、相手方の側において立法過程におきましては必ずしも決心がつかなかったようでございます。私どもとしては、もしそういう必要性が立証され、この要件に適合する旨の資料の提出があれば、そこで十分に検討いたし、要件に適合することがわかれば政令で指定をするということについてはやぶさかではないわけでございます。

水田稔日本社会党・護憲共同

○水田委員 終わります。

奥田幹生自由民主党

○奥田(幹)委員長代理 菅直人君。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 きょうは特許法の改正についての審議が続いているわけですけれども、私もあと残り約一時間の時間を使いまして、幾つかの問題点について質疑を行いたいと思います。  まず最初に、最近の、特に日本全部ですが、通産省を中心としてアメリカとの貿易摩擦、あるいは貿易に限らずあらゆる分野での摩擦問題の中で、工業所有権、あるいは先ほど緒方委員の方からも指摘があったように著作権を含めた知的所有権全体について、いわば日米摩擦の非常に大きな要素になってきている、裏側から言えば知的所有権の重要性が国際化の中でさらに高まってきているというふうに思うわけですけれども、そういった点についての基本的認識について次官あるいは長官から意見を聞かせていただきたいと思います。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 菅先生も弁理士でいらっしゃるので、その辺はつとにお詳しいわけでありますが、工業所有権制度並びに広い範囲での知的所有権の問題は、ただいまお話のございましたとおり、国際化の対応の中で今後の国家の発展を規定する極めて重要な課題であると考えております。特に我が国の場合は技術立国を目指しておるわけでございますので、権利の適切な保護を図るために制度の拡充強化及び運用の改善というものを常に積極的に取り組んでいかなければならぬと存じております。  同時に、これは日本だけの問題ではございませんで、国際的な商品貿易、技術貿易が拡大をいたしておるわけでございますので、今般のガットのウルグアイ・ラウンドにおきましても、この知的所有権制度の貿易的側面というものの検討が主要議題になっておるわけでございます。また、その他WIPO等におきましても工業所有権制度をめぐるいろいろな検討が本格化をいたしておるわけでございます。  したがいまして、先ほど長官から御答弁ございましたとおり、世界の全体の特許出願の四四%を占める我が国、いわば特許大国であるわけでありまして、そうした二つの大きな流れに的確な対応を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。  まず出願された案件を迅速的確に審理し、権利を適切に保護するという意味での行政の推進、この中に技術情報の公開の促進というものも入るわけでございます。今回の特許法の改正は、そうした任務達成のための施策の一環でございます。また、ペーパーレス計画を円滑に推進するための財政基盤の確保を図るという意味で、手数料等の改定をお願いをいたしておるわけでございます。同時にまた、こうした検討、また改正をしていくときには諸外国と常に協調していかなければならぬということが権利の適切な保護を図る上で非常に重要かつ有効であろうと思うわけでございまして、そういう意味の法改正も、国際的な制度運用の調和の一環をなすということでお願いを申し上げておる次第であります。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 次官の方から重要性についての認識を伺ったわけですけれども、きょうは一つだけ著作権のことを、直接には特許法とは別体系ですけれども、文化庁の方から来ていただいておりますので、お聞きをしておきたいと思います。  特に最近コンピューターソフトの問題では、いわばハードが特許権あるいは一部はチップ保護法、そしてソフトが著作権という形で、法体系は変わっておりますけれども、産業政策上大変重要な課題であることはこれは言うまでもないわけでありまして、そのソフト保護に関してこの間何度か法改正があって、創作日登録制度というものが生まれて実施をされてきているというふうに聞いているわけですけれども、その制度がどういう形で現在運用されているのか、特にどこで登録をされてどういう形になっているのか、その点について現状をお聞かせいただきたいと思います。

岡村豊文化庁文化部著作権課長

○岡村説明員 お答え申し上げます。  昭和六十年の著作権法の改正によりまして、コンピュータープログラムの著作権法による保護の明確化、それからコンピュータープログラムの特質に応じました著作権制度の整備を行ったわけでございますが、その一環といたしまして、コンピュータープログラムにつきましては、つくった年月日を登録する制度を六十年の法改正で設立いたしたわけでございます。ただ、この創作年月日の登録の制度を実際に動かしますにつきましては、いろいろな条件整備が必要であるということで、その条件整備のための法律を昨年の国会で成立させていただきました。これはコンピュータープログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律というものでございまして、これがことしの四月一日から実施されておるわけでございます。  この法律の中におきまして、コンピュータープログラムの登録につきましては、これは相当の件数が予想されるということで、著作物の登録は文化庁長官が行うことになっておるわけでございますが、コンピュータープログラムにつきましては文化庁長官の指定する公益法人に行わせることができる、こういうことになっております。これに基づきまして、ことしの一月十四日にソフトウエア情報センター、これは場所は神谷町にございますが、専任は専務理事一人、職員七人という団体でございますが、ここをこの指定登録機関として指定いたしました。そしてこの四月一日から、このソフトウエア情報センターにおきまして、コンピュータープログラムの創作年月日の登録を初めとする登録事務を行っておるところでございます。  なお、ちなみに昨日現在までの登録件数を申し上げますと、五十二件申請がございまして、そのうち創作年月日の登録が四十八件、それから第一発行年月日の登録が三件、実名登録が一件、著作権の移転等の登録が一件、こういう状況になっております。  なお、コンピュータープログラム以外の著作物については文化庁長官が登録を受け付けるわけでございますが、これは大体年間二百件でございますので、コンピュータープログラムの登録は、これは約一月ちょっとで五十件ということで、相当の件数に上っておるというのが現状でございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 またこの件については改めて場を変えていろいろと質問したいこともあるのですが、今伺っている限りで言いますと、五十三件の申請というのは、従来の著作権に比べれば大変多いのですが、特許権の出願件数なんかに比較すると、もっと多くなるのかなという予想もあったのではないかと思うのですが、比較的予想ほどではないのかなという感じがいたしております。  文化庁の方、ありがとうございました。後は結構です。  関連して知的所有権のことについてお尋ねをしたのですが、本題にいよいよ入っていきたいと思います。  今回の特許法改正の中で幾つかの柱があるわけですけれども、基本的には多項制の改善ということが大きな柱になっていることは言うまでもないところだと思います。先ほど来、多項制の内容についていろいろと議論が繰り返されているわけですが、幾つか確認をしておきたいのですけれども、今回の多項制の改善というのは、従来一発明一出願主義ということが日本の特許法の一つの原則だと言われてきたわけですが、その原則そのものが変わってきたと理解をしていいのか。例えば三の条文集の新旧のを見ても、新三十七条の頭には、ここにいただいている文章を見る限りは、一発明一出願という項目立てが今回抜け落ちているわけですね。ですから一発明一出願という原則を今回の改正で変えたのだ、そのように理解をしていいのかどうか、まずその点からお聞かせいただきたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 一発明一出願の原則は従来どおりでございますが、その発明の出願の方式について自由な表現を認めるということにしたことと、それから併合要件を大幅に緩和したことが今回の改正でございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 ですから結果において、併合要件というのは、結局は複数の発明を一つの出願ができるという併合のその要件を緩和をするということは、従来も一発明一出願の例外規定としてあったことは確かですけれども、それをかなり幅を広げるということは、いわば一発明一出願の原則が少なくとも実質的には大きく変わったというふうに理解をするのが自然ではないかと思うのですけれども、別に言葉に私自身はこだわるつもりはありませんが、そのように理解した方がわかりやすいのではないかというふうにも思いますが、いかがでしょうか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 法律の規定の仕方は別といたしまして、確かに併合要件は大幅に緩和いたしておりますので、菅委員におかれましてそのようにおとりいただいても、それは実態に即しておとりいただくという意味で結構かと存じます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 そこで、今回の多項制の改善、あるいは今の長官の言い方をかりれば一発明一出願主義の原則が大きく変わってきたという理解をしても構わないのではないかというその流れからして、さらに具体的な問題を幾つか確認をしておきたいのですが、従来のいわゆる実施態様項の場合に権利解釈上どう見るかということで、先ほど緒方委員の方からも従来例について幾つかの指摘があったわけですが、今度の新しい改正によって、権利解釈上、いわゆる各項目、各クレームがそれぞれいわば権利範囲を規定している。従来のようなメーンがあってそれに従属するという形ではなくて、それぞれが権利範囲を規定する、そういうふうに解釈をしてよろしいのかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 御質問の点でございますが、今回の改正について少し御説明したいと思うわけでございます。  今回の多項制の改善の目的の一つは、一の発明につきまして多面的で自由な表現によって複数の請求項を記載できるということにいたしまして、同時に、新規性、進歩性等の特許要件の判断におきましては、従属形式、独立形式の形式の差異にかかわらず、各請求項ごとに独立して判断をする、こういうことでございます。  今お尋ねの点でございますが、まず第一に従属請求項の位置づけについて少し御説明いたしますと、従来は、御指摘のとおりに従属クレームとしては引用するクレームを技術的に限定し具体化した実施態様項の記載が許されているわけでございますが、本改正によりまして、従属クレームが引用するクレームとは別の発明を表現する場合につきましても記載することが認められるわけでございます。この点が従来の実施態様項と今回の多面的な表現による多項制との大きな違いの一つでございます。  もう一点は、従来ですと従属請求クレームは、その引用しますクレームが無効になりますと、それと一蓮托生で無効になってしまいました。今回の改正によります多項制はそうではございませんでして、すべての請求項について独立的に特許性が判断されるわけでございます。したがいまして、今お尋ねの点でございますが、その一つ一つのクレームが独立して特許性を判断される、こういう制度になっておるわけでございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 権利解釈については大体わかったわけですが、つまりクレームごとにそれぞれの権利が独立して判断をされるということだと今伺ったわけですけれども、審査の実際の実務の中で、従来ですと、従属形式のいわゆる実施態様項は必ずしもその審査対象になっていない、あるいはなっていても、少なくとも出願人の側にどういう判断を審査官なり審判官がしたか伝わってこないことが多かったというふうに理解をしているわけですが、今後のこの新しい法律のもとにおける審査実務がどういうふうに従来と変わってくるのか。つまりクレームごとの審査が行われるのか、またこのクレームごとの審査が行われるとすれば、例えば拒絶理由通知なども、クレーム一はだめだけれども二はいいとか、三はこういう引例でだめだけれども四番目、五番目はいいとか、クレームごとに拒絶理由通知の記載項目もちゃんとつけられるのか、そういった点についての考えをお聞かせをいただきたいと思います。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 今昔委員の御質問の点でございますけれども、今回の多項制の改善の目的の一つに、独立形式とか従属形式とかということなしに、かかわりなく自由な表現によって複数の請求ができるというふうにするのが建前でございますので、私ども審査に当たりましても、請求項ごとにきちっとその進歩性、新規性といういわゆる発明の特許性を審査していくつもりでございます。したがいまして、もし拒絶理由があるような場合につきましては、それは請求項ごとにきちっとお示しをして、どういう理由でその請求項が特許にならないかということが出願人の方に十分おわかりいただけるようにしたいと考えております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 明確なお答えをいただいてありがたいと思っておりますが、従来の実施態様項が必ずしも生きてこなかったというのは、私はそういった実施態様項に対する審査が必ずしも行われていなかったことにかなり大きな要素があったのではないかと思いますので、今回は根本的な改正ですから当然といえば当然かもしれませんが、今の明確な御答弁のとおりぜひ確実にやっていただきたいと思います。  あわせて、今回全体の料金改定があるわけですが、それと分けて、この多項制の改善による料金体系の変更が同時に提案をされているわけですが、これを見ますと、審査請求などでも、従来のような発明の数による料金体系から、いわばクレームの数による料金体系という形になっておりますし、登録料についてもそうなっているようですけれども、これに対する考え方と、特に登録料の管理などでは、従来出願のものとこの新しい特許法に基づく出願のものとで、出願継続中はまだどちらに区別をするかというのは出願日を見ればわかるわけですけれども、登録後は登録番号だけでは区別がつかなくなるおそれがあるのじゃないか。その場合に一体これは幾ら払えばいいのかというのが、旧法といいましょうか、現行法と新法のどちらを適用を受けるのかというのが、少なくとも登録番号だけでもわかるようにしておいた方が管理の混乱がなくていいのではないか。そんなふうなことも含めて、この多項制改善に伴う料金体系のあり方について考え方をお聞かせいただきたいと思います。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 最初にお答えいたしますが、多項制の改善に伴いまして、今先生御指摘のように、請求項に基づいて料金を算定する体系を導入するという部分がございます。  それの適用関係でございますが、今回のその当該部分の改正の規定は、附則第一条本文によりまして昭和六十三年の一月一日から施行するということでございます。また経過規定を設けておりまして、特許法の改正と実用新案法の改正とそれぞれ別でございますけれども、特許法についてのみ例として申し上げますと、附則の第三条第三項及び第四項というのがございます。そこで多項制の改正前にされた出願につきましては、多項制改善後に手数料等の納付時期が参りましても、改正前の算定方式による料金を適用するという趣旨の経過措置がございます。要約いたしますと、出願の前後によって区別をいたしまして、改正規定の施行日であります六十三年一月一日以降であるかあるいはその前であるかによりまして新旧の料金算定の方式の適用の区別をつけようということで御提案申し上げている次第でございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 ですから、その後私が申し上げた点はどうですか。つまり、そこはわかっているんですけれども、この新しい体系にしたときに、例えば登録された特許権のいわゆる特許料が出願時期によって差が出るわけですね。ですから、その点の管理の混乱を防ぐ手だてを考えておられるかという点です。

八木規夫特許庁審査第一部長

○八木政府委員 お答え申し上げます。  特許料金の納付について混乱が生じないか、それに対する工夫はいかがかということでございますが、現在特許の登録を完了いたしますと、特許証を特許権者に交付することにいたしております。それと同時に、私どもの方では料金納付の利便のために必要な事項を記載した書類を同時に交付いたしております。その書類の中には、登録番号とともに登録年月日、それから出願の年月日、さらに何年分までの特許料が納付されているかということを記載しておりますが、そのほかに現在は「発明の数」という項目がございまして、そこに発明の数が書かれております。これを参考にして特許料等の納付の管理をやっていただいているわけでございますが、今後の分につきましては、この「発明の数」のところをクレームの数、「請求項の数」という項目を設けまして、そこに請求項の数を書くことにいたしております。したがいまして、それを見ていただくことによりまして、どちらの体系で特許料を納付すべきかということがおわかりいただけるのではないか、このように考えております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 この点については大変実務的な側面が強いわけですので、今八本部長の方からの説明も一つのやり方としての点ではあると思いますが、十五年という長い登録料管理、特許料管理の中で混乱が生じて、払っているつもりで払ってなくて権利が喪失したとかそういうことが起きないように、今言われた点だけで十分なのかどうか、ぜひ十分検討をお願いをしたいと思います。  それからもう一つ、この多項制改善の中で、新しい三十七条の最後の項目に、併合要件の緩和の中で「その他政令で定める関係を有する発明」という形で、つまり本法以外に政令で定める関係を有する発明は複数発明であっても同一出願でできるという形をとっておられますが、この「政令で定める関係」というのはどういうことを想定されてこういう規定を設けられているのか、あるいは具体的にこういう例を早速やろうとしているんだということがあれば、その点も含めて説明をいただきたいと思います。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の点でございますが、新特許法三十七条五号では「政令で定める」ということにしてございます。これは非常に進捗しております技術開発の進展等々から考えまして、どのような関係の発明について併合出願をさせることが需要に合うか、ニーズに合うかということを考えなければなりません。またもう一つ、諸外国におきましても次々と制度が改正されまして、併合される要件が今後とも変わることが予想されます、このような事態に迅速かつ弾力的に対応するために政令指定ということを五号で定めたわけでございますが、現在考えておりますものにつきましては、物と物の改良物及び改良物の製造方法、このような関係にあります発明にありましては、現在では併合できませんが、政令指定はこのような関係の発明について現在予定しておるわけでございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 そのあたりはこれからの、何といいましょうか実務との関連になるのかもしれませんが、物と物の改良物であっても従来の規定の中で対応できるものもあるようにも理解できるのですけれども、そうすると、今のところこの法律が施行されればすぐこういう規定を設けようというのは、今具体的に考えているものはまだないということですか、今後のことというように理解しておいていいですか。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 現在予定しておりますものは、先ほど申し上げました物、改良物、改良物の製造方法、これについて予定しておるわけでございますが、それ以外につきましては、現在のところまだすぐここに定めるというようなことは検討しておりません。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 もう一つ、これは念のためにお聞きしておきたいのですが、この後料金改定の問題に移っていくつもりですが、その前に、将来、今回の料金改定からさらにもし料金改定を行う場合には、そうすると六十三年一月一日から出願したものとそれ以前のものはそれぞれ分けた、分けたというかそれぞれについての料金の値上げ案というものを出さなければならないというか出されるということになるわけですね。そういう理解でよろしいのですね。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 その時点になりまして慎重に検討いたさなければいけないと思っておりますが、現時点で直観的に考えますのはおおむねそういうことではなかろうかというふうに判断をいたします。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 いいのですけれども、今回もばらばらになるということは将来もばらばらを続けざるを得ないのじゃないかと思うのですが、それは今の答弁で結構です。  それでは次の問題として、今回の特許法改正のもう一つの大きな柱であります料金改定、これはもともと二年前のいわゆる特許特別会計をつくられてペーパーレス計画を進めるということの中で既に予定をされていた、そういうふうに一般には理解をされているわけですけれども、この特許特別会計が生まれてこれで二年になるわけですか、この間のこの特許特別会計を創設するに当たっての見通しと現状が収入、支出の面で大体一致をしていたのか、あるいはかなり見通しと現状との差が出たのか、さらに現在と将来、今回の料金改定を行えば、あと六年間でしょうか七年間でしょうかのペーパーレス計画、その十年間の財政に必要なものがそれで十分賄えるという見通しであるのか、そういった過去、現在、未来にわたる特許特別会計の現状ないし見通しを説明いただきたいと思います。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 特許特別会計は、ペーパーレス計画を推進する、その他今後工業所有権行政に必要な経費を、手数料収入等を一元的な歳入として賄うということを目的といたしまして昭和五十九年度に創設をしていただきまして、現在まで三年度を経過しているわけでございます。  御指摘の特別会計のこれまでの運営の状況でございますが、まだ六十一年度の決算が終了しておりませんので、とりあえずは六十一年度までの実績の見込みということで申し上げますが、歳入は昭和五十九年度から六十一年度までの合計が千十三億円でございまして、他方支出の方は九百二十四億円でございます。これらの数字は、私どもが五十九年度に特別会計の創設をお願いいたしましたときに、私ども特許庁として立てておりました見通しとおおむね合致しているというふうに考えております。  それから今後の見通してございますけれども、今回二度目の料金改定をお願いいたしておりますが、これが成立いたしました場合には、昭和五十九年度から六十八年度までのこのペーパーレス期間ということで私どもが常に想定をしております期間内に、収入、支出それぞれ私どもなりに内々見積もりを立てておりますところによりますと、ちょうど収入と支出が十年間でほぼ合致するということで、安定的な会計の運営にあろうか、このように考えておるわけでございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 そうすると、大体の見通しどおりいけば、今回の料金改定を行えば、このペーパーレス計画期間の料金値上げというのは今後については予定は特にないというふうに理解していいわけですね。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 今照山総務部長が申し上げましたように、現在までのところ特許特別会計創設時と現在におきます実績とはほとんどフィットしているわけでございますが、今後若干歳出面で特許特別会計創設時よりは支出要因がふえてくるという感触を持っております。そうではございますが、予定されております歳入あるいは私どもが見込んでおります歳入の範囲内におさまるものと考えておりまして、必ずしも十分な余裕があるわけではございませんけれども、今後予測しがたい事情の変化が、非常に大きな変化が生じない限り、現在の料金の値上げを御承認いただければ、特許特別会計の収支差額が赤字になるというようなことは回避できるものと考えております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 ぜひそうした努力をお願いしたいところですけれども、このペーパーレス計画の大きな目的は、先ほど来の議論の中にも出ておりましたように、諸外国に比べて相対的に審査期間が長い我が国の現状を、何とか審査を迅速化していきたいということが一つの目的の大きな柱になっているわけです。先ほどの議論の中でもたしか六十一年度ですか、二年十カ月ということを技監の方から答えられていたようですけれども、もうちょっと具体的にお聞きしたいのですが、事前にお聞きしたところによると、その期間の算出方法というのは、現在審査請求がなされて未処理のものを一年間の処理件数で割った期間だというふうにお聞きしているわけですが、まずはそういう理解でいいのかどうかということが一つですね。もしそれでいいとすれば、実感で言うと、そういう計算の仕方よりも、出願時点で審査請求を同時に行う、簡単に言えばできるだけ早く審査をしてもらいたいという人はそういうやり方をとるのが通例だと思うのですが、その場合に審査完了までに平均どのくらい期間がかかっているのか、この二点についてお尋ねしたいと思います。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 お答え申し上げます。  最初の点でございますが、私が先ほど申し上げました約二年十月という言葉は、私どもが審査をすべき審査請求された件数に対して、私どもが処理できる能力で割った数字であるということは先生おっしゃるとおりでございます。  第二の点でございますが、先生おっしゃられるように、それでは出願と同時に審査請求したらどのくらいかかるんだろうかという点につきまして、先生御承知のように日本は七年間の審査請求期間が特許についてはございます。したがいまして、今私どもが審査すべきものとして持っております二年十カ月分の中には、その出願と同時に審査請求されたものも、それから七年後に審査請求されたものもまざっておるわけでございますけれども、現在非常に形式的に考えてみますと、今たまっておりますものが処理されるのがおよそ二年十カ月かかる。きょう仮に出願と同時に審査請求されたとすると、その後についていただくという形に形式上なるのじゃないか。そうしますと、もしその出願が全く完全な、特許になる出願であって、明細書もいいし、拒絶理由もないというものであれば、現在大体半年前後で特許公告になっておりますので、それにそのくらいの期間を足したくらいになるのではないかというふうに考えております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 私の質問はよくおわかりの上でお答えになっていると思うのですが、例えば外国から日本へ出願をされる方の見方は、結局出願から登録になるまでどのくらい時間がかかるのかということを、大体問い合わせがあるにしたって何があるにしたって、関心があることはそういうことでありまして、そういう点で、例えばアメリカが何年だ、それに対して日本が何年だという比較をする場合に、現在のようなそういう比較の仕方というのが、どうもちょっと実感からすると少し外れてきているんじゃないかということを申し上げたいわけです。  ですから、別に日数の計算方式を、どちらが正確であるとか適当であるということよりも、外国との比較ということでいえば、出願時に審査請求したものが一体どのくらいで大体やれるのだろうか。今言われたように、二年十カ月程度でやられるというふうに例えば説明したときに、百件ほど出願したときに、では二年十カ月でやられているかというと、多分そうじゃないと思うのですね。ですから、そういう意味で、目標とされる処理期間が何年であるというのは、もちろん審査請求をおくらせるのは、出願人のいわば都合でおくらせているわけですから、それは構わないと思うのですが、少なくとも審査請求が同時にあった場合には、最低このくらいの期間でいきますよということが担保されることが重要じゃないかというふうに思うわけです。今の技監のお答えですと、二年十カ月程度に半年くらい加えた三年数カ月ではないか上、そういう理解をするわけですが、大体そういう理解でよろしいでしょうか。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 今申し上げましたのは、形式といいますか、スキマティックに申し上げたわけでございまして、もちろん出願の中に拒絶理由のあるものもございます。そういうものについては、さらに拒絶理由通知が行って、御返事をいただいて、その上で特許になるものがあるということもございますので、必ずしもそのようになるとは断言できないわけでございますが、もしその明細書が非常によいものであるとすれば、およそそのくらいの感じなのではないかということを申し上げた次第でございます。    〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 そこで、今後の見通し等について、先ほどの議論もありましたけれども、私も先ほどの緒方委員と幾つかの点で同感でして、やはり迅速化をしていくのには、幾らペーパーレス計画が進んでも、最終的に人間の目を通さなきゃいけない、あるいはペーパーレス計画そのものを進める上で、審査以外のいろいろな仕事がふえてきているということも伺っております。これは長官にお答えいただいても、あるいは政府全体の方針をある程度変えてもらわなければできないことかもしれませんけれども、先ほどのお答えの中にもありましたので重複は避けていただくとしても、そういう特に特許庁における人員増の必要性ということを例外的にもぜひ政府全体の方針として認めるよう、やはり強い働きかけが特許庁自体としても必要ではないか。あるいは国会の中でも私などもそういうふうに思うわけですけれども、その点について長官の見解を伺いたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 現在審査に要する期間が非常に長い点については、重ねて申し上げますけれども、私どもとしては健全なものでないというふうに考えております。  こうなっている要因についてはそれぞれ考えられるわけでございますので、特許庁といたしましては、それぞれの要因に即して手を打たなければならない。先ほど申し上げましたような出願増に対しましては、適正化施策あるいは効率的な行政とか民間の能力の活用とかというようなことをしなければならないと思うのでありますけれども、菅委員御指摘のように、やはり最後の判断は人間に頼らざるを得ないわけでございます。総定員管理という全体のシステムがございます。また社会的あるいは政治的にも行財政改革というのが進められております。私どもとしては、ぜひとも人員の増強というものが必要であるということを各方面に訴えてきているわけでございますが、そういう全体の環境の中で苦戦を強いられておりまして、必ずしも成果は十分でないわけでございます。そうではございますが、六十一年度から審査、審判の要員の増員が、ごくわずかですけれども認められてまいりました。当委員会におきましていろいろと御理解を賜っている点は、私どもとしては大変ありがたいと思うのでございますが、そういう激励を背景に今年度、来年度、大いに努力をいたしたいというふうに考えております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 この点は中川次官の方にもぜひ御理解をいただいていると思うのですが、日本の産業構造が大きく変化する中で、あるいは政府全体としては仕事が少なくなっている分野も当然生まれているわけで、それに対してこの知的所有権あるいは特許の面では、出願の件数自体を見ても特に増大が著しいわけですし、そういうものに対する政府全体としての配慮は当然あっていいのではないか。だから、全体の枠はふやせなくても、つまり政府全体としての枠はふやせなくても、どこかからの定数を一部譲ってもらうとか、そういうこともあっていいんじゃないかと思いますが、次官、もしお答えをいただければ考え方をお聞かせいただきたいと思います。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 行革の中で公務員の定員削減計画というのが一方でございます。そういう中にございましても、医療あるいは教育機関においてはやはり一定の増員が認められておるわけであります。まあ工業所有権、知的所有権、先ほど申し上げましたような重要性にかんがみまして、私も菅先生御指摘のとおりの考えをもちまして、大臣ともども人のある一定の水準の確保には全力を尽くしてまいりたいと考えております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 残り時間も少なくなってきましたので、あと、このペーパーレス計画の中で予定をされているいろいろな検索システムあるいは総合資料データベースなどの開発状況と、それが開発された段階で、あるいは開発されてくる過程で、特許庁内部で活用されるのはもちろんでしょうけれども、いわば出願人とか代理人を含めた外部からの利用についてどのようなことを考えられておるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 私どもペーパーレス計画を推進する中の大きな目的の一つは、私ども庁内に今集積しておりまして、かつ年々増加をしておりますいわゆる特許文献情報類、これを電算機を用いまして電子情報の形に入力をいたしまして、これを庁の内外において効率的かつ円滑に利用できる体制を早く整えるということが私どもの大きなねらいの一つでございます。  この特許文献情報と申しますのは、もう先生も十分御承知のように、企業にとりまして、いわゆる特許管理を進める上で、また技術開発戦略を進める上で、非常に貴重な情報になるわけでございます。したがいまして、ペーパーレス計画を推進いたしまして、この特許文献情報を効率的かつ効果的に利用できるような体制に持っていくことによりまして、企業のそういった高いニーズにもこたえ得るものであるというふうに考えるわけでございます。  具体的に、私どもがペーパーレス計画を実現いたしました際に、それでは企業あるいは一般の資料利用者の方々がどのようにこれを利用できるのかという点でございますけれども、もちろん私どもはこれから十分検討をしてまいるわけでございますが、具体的な利用の形態を考えてみますと、光ディスクの中に収録をいたしました文献情報を外部におきまして直接端末機からオンラインで効率的に引き出す方法でございますとか、あるいは従来の紙公報の閲覧にかえまして、最近新しい情報の媒体手段として非常に注目されておりますコンパクトディスクの形でこれを企業が購入をいたしまして蓄積をされ利用されるとか、そういったようなことが現在までの紙の姿における利用と異なって、新しい利用形態としてできてくるというふうに考えられるわけでございます。私どもといたしましては、この膨大な文献を今後効率的に利用に供するというために、そういった観点でいろいろ検討をしてまいりたいと思います。  また、文献情報の広い意味では一種でございますけれども、先生今お触れになりました審査のための資料としての特許情報、これを効果的に検索をする、そういうシステムの開発も私ども進めておりまして、特許庁の言葉で申しますといわゆるFターム検索システムということでございますが、そのFターム検索のためのデータベースの構築、それからそのデータベースから有効な検索をなし得るシステム、これについても将来完成をいたしまして実用に供し得るという状況になりましたら、庁の利用のみならず、民間にもこれを公開してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  具体的な提供の方法でございますが、これは特許庁がみずからそういう集積はいたすわけですけれども、これを民間が利用するという形ではいろいろなやり方がございまして、例えば、日本特許情報機構が現在特許情報のオンラインによる企業への提供ということを充実をしておりますので、こういったものに例えば乗せるというようなやり方でありますとか、あるいは、既に昨年十月から実施しているところでありますが、特許庁の方国工業所有権資料館あるいは大阪通産局で端末機からオンラインで総合資料データベースに接近をするというようなやり方もあるわけでございまして、いろいろな手段をまた今後十分検討してまいりたいと思っております。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 今のこととも関連をするのですけれども、先ほどの長官の話の中にも民間活力の活用なんという言葉も出てきているわけですが、現在例えば早期審査を申請する場合に、出願人みずから先行技術を調査をしてこいというふうな要件が加えられているわけですが、そういう新規性調査の機関をつくっていく。これは、昭和六十年の法案改正のときの参議院商工委員会の附帯決議の中にも、今言われたJAPIOの前身であったJAPATICに対して、「新規性調査機関としての機能を充実強化すること。」というのが入っているわけですけれども、特許庁として、例えばこういう出願をしたら新規性についてはどうなるのだろう、そういうレポートまで含めて出してくれるような機関を育て上げていくというか育成していくというような考え方をお持ちなのか。お持ちだとすれば、どういう時期までにそういうことの実現を目指していくのか、その点についての考え方を伺いたいと思います。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 附帯決議で御指摘いただきました日本特許情報センターは、その後日本特許情報機構という新団体に機能を吸収いたしまして発展しているわけでございます。  この日本特許情報機構、通称JAPIOでございますが、このJAPIOは、特許情報をオンラインの形態で企業に対してサービスをするということで発足をいたしまして、その後の歩みは非常に順調であるというふうに考えております。また、そのサービスの内容につきましても、最近で申しましてもファックスのオンラインによる特許情報を提供するとか、あるいは先ほどちょっと申し上げましたコンパクトディスクによる情報の提供の開始であるとか、種々のサービス内容の充実も図りつつありまして、また、将来は特許庁のペーパーレス計画の進捗に合わせまして、Fタームデータベースの提供でございますとか、あるいは例えば図形の情報も含めて検索できるシステムを開発していきますとか、国会で御指摘になりました新規性の調査機関としての能力を増大させるために努力をしておるというふうに私ども承知しているところでございます。  そういうことで、先行技術の調査、新規性の調査というために、企業の要請にこたえましてJAPIOがこれに対応する能力というのは、私どもの見る限り次第に力をつけつつあるというふうに判断しておりますが、その調査結果につきまして、それでは単に企業の調査の結果を提供するだけではなくて、あるいは調査の手段を提供するだけではなくて、その結果とある特定の技術とを対比、判断をいたしまして、いわゆる新規性とかあるいは進歩性の判断をして、その結果を企業に例えば示すというようなことまでできるか、そうすべきではないかという御指摘でございますが、この新規性、進歩性の判断ということになりますと、当然でございますけれども、これは相当程度の高度の専門的、技術的知識を必要とするわけでございまして、そういう人材をそろえていなければならないというわけでございます。現在のJAPIOは、先ほど申しましたように、情報の提供につきましては相当充実を進めているというふうに判断をいたしますが、そういった新規性、進歩性の判断をなし得るまでの人材を現時点において確保しているということは残念ながら言えないわけでございます。そういう意味におきましては、現在はそこまでは至っていないというのが率直なところでございます。  それでは今後どうかという点につきましては、今申し上げました人材の確保とかそういったいろいろな問題がございますので、JAPIO自身もそうでございますが、今後の検討課題であるというふうに私ども考えている次第でございます。

菅直人日本社会党・護憲共同

○菅委員 時間もほとんどなくなりましたので、最後に全般的な要望を特許庁を中心に申し上げておきたいのですが、先ほど来お聞きしておりますと、ペーパーレス計画というものがほぼ予定どおりのペースで進んでいる、そしてこのペーパーレス計画は非常な工業所有権の国際化やあるいは高度化に対応するためだということがいろいろな形で言われているわけですけれども、非常にわかりやすく言えば、先ほど来議論がありましたように、ではそれででき上がったときに、本当に審査の期間が現在より短くなるのか、その時点で本当に多くの人がそういう特許情報に容易に、あるいは安価でアプローチできて、みずからの技術開発やあるいは出願をする場合においてのレベルをアップするのに非常に活用しやすくなるのかという、最終的な効果が出るのかどうかが問われていると思うわけです。そういう点で見ますと、もちろん種々の事情があることは重々わかった上でではありますけれども、いわゆる審査期間も十年後あるいは七年後に現在より短くなるというところまではなかなかいかないとか、あるいは情報提供についてもいろいろ進めておられるようですけれども、利用者の側から見て、それが全体としてどういう形になるのかということがもう一つ定かでないという感じがまだまだするわけであります。  そういった点で、この料金値上げ問題は、いわば将来のペーパーレス計画の達成時にはこうなるんだから皆さんに負担してもらいたいという趣旨だと思いますので、特にその二点について今後とも一層の努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。以上です。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 青山丘君。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 私からも少し質問させていただきたいと思います。先ほど来議論が進められております点とかなり重複するかもしれませんが、私からの質問をさせていただきたいと思います。  近年相当技術革新が進んでおりまして、工業所有権制度というものの重要性が増してきていると思います。とりわけその中心になっておりますのが特許制度でございますが、この特許制度が我が国経済に果たしてきた役割は極めて大きなものがあると私は評価しています。産業界における研究者の技術開発意欲を相当促してきた、また、そうした技術開発に向けて投資をしてきた経営者の努力の成果を保護してきた、そういうことがさらに大きな技術革新に結びついてきている、そういう点では、特許制度というのが非常に重要性を増してきていると思います。  さらに加えて、近年、ハイテク化も含めて世界的な規模での技術革新が進んできております。そういう点で、知的所有権の取り扱いというのがこれからの経済社会にとって非常に重要になってきております。特に、アメリカの産業競争力強化策、これらに見られますように、知的所有権の取り扱いというのは、これからの経済社会発展の相当重要なポイントになってくる。こういう点を考えますと、工業所有権制度の充実整備がなお一層必要だと私も考えております。    〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕  そういう立場から今回の法律改正をどういうふうに評価していくべきかということだと思いますが、一つの考え方で、今回は、既に昭和五十年に法律改正をされた、単項制から多項制への移行があったとはいうものの、この多項制というものは私どもから見れば、併合プラス実施態様項、こういう形での多項制への移行であって、経済社会情勢の変化、国際化の問題あるいは出願の実態の変化というものがあったのではないかと思いますが、昭和五十年の単項制から多項制への移行について、その経過や背景というものがあったと思うのです。その辺はどのように受けとめておられるか。  それから、多項制に移行してから今日まで十年少しあるわけですけれども、今回新たに法律改正をして、実質的な多項制出願制度が導入されるんだ、こういうことのメリットといいますか、これを具体的な事例でひとつわかりやすく説明していただきたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 初めに、特許制度について高い評価を賜っております点は、この制度の運用に携わる者といたしまして、大変ありがたく、心強く感ずる次第でございます。  私ども、我が国を中心とする先進国のグループにおきましてはとりわけそうでございますが、やはり世界的な新しい技術開発の進展の機運に際会いたしておりまして、また、経済の発展段階も、よりハードからソフトへの傾斜を強めておる中におきまして、この特許制度を中心とする工業所有権制度、さらには知的所有権制度のより一層の拡充、特に時代の変化に即応した変革が必要であるというふうに考えておりまして、私ども、今回の法律改正を提案させていただいておりますのも、根本にさかのぼればそういうところから出ているわけでございます。  それで、私どもの提案の四本柱のうちの一つの多項制についての御質問でございますけれども、やはり特許を保護するための制度としては、ヨーロッパから特許制度が我が国にいわば導入されたわけでございますが、大正十年以来、出願の形式としては単項制ということで我が国はやってまいりました。昭和五十年に初めてこの単項制に改善を加えまして、いわゆる多項制というものに移ったわけでございますけれども、それは一つには、特許協力条約が結ばれましてこれに対応する、国際的な統一の潮流にやはり乗っていかなければならないという認識があったわけでございますけれども、同時に、制度が常にそうでございますように、過去の歴史の上につながっていく関係上、この単項制とのつながりにおきまして、現在のような、青山委員御指摘のように実施態様項と併合出願という格好で処理をしてまいったわけでございます。  そうではございますが、我が国におきます技術進歩も大変に著しくて、その開発される発明の内容も複雑、高度化してまいってきておりますし、また他方、制度的な習熟の面におきましては、そういう特許協力条約によります国際出願とか、あるいは国内におきますこれまでの、不十分とはいえ多項制の出願に習熟してまいっておりまして、現在の、発明を十分に保護しなければならないという認識のもとで、十分な多項制に改善していく、切りかえていくという、そういうモメントがようやく熟してきたと申しましょうか、今日十分な多項制に転換することができるようになってきたというのが、現在提案することになりました私どもの提案の背景でございます。  多項制によりますメリットでございますけれども、何と申しましても第一には、私どもの現在の制度では十分に権利の保護ができない側面がございまして、いわば一つの固まりとして発明が行われるわけですけれども、場合によっては現在の出願では十分にカバーできない、すき間が生ずるとか、あるいは一出願に分けた場合に重複が生じて十分に権利の保護が図れないというような事象が生ずるおそれが出てまいっておりまして、こういったものを今回の多項制で保護することができるというふうに考えております。そういう権利保護のための請求が現在よりも大幅に自由になるという問題が一つのメリットでございますのと、国際的な観点から申しましてやはり欧米並みの権利保護が得られる、そして国際的な関係において内外ともの要望を充足できるという点が今回のメリットでございます。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 我が国の制度が、これまでとってきた一出願に一発明を盛り込むという単項制の出願制度から、多項制といってはまだ十分ではなかった、併合制出願制度という言葉が妥当かどうかわかりませんけれども、昭和五十年から多項制を一部導入したという形になってきております。その背景は、私なりに理解しておりますところでは、欧米が大体多項制であった、そして国際化が進んで、外国企業が日本で出願をするときに申請手続を大きく変えなければいけない、そこらに相当苦情があったのであろうと思いますし、仮に日本から外国へ出願するについてもその辺で手続上多くの問題があった、また特許の国際取引等でも幾らかの不便はあったのではないかと思うのですね。そういう点では欧米の手続に近づいてきたというふうに私は思うのですね。その辺、今回の法律改正で欧米の手続との関係でどの辺がまだ差として残ってきておるのか。  そしてもう一つは、今もおっしゃられたように、権利の範囲がこれから明確になっていくということですが、なるほどハイテク製品なんかは何十何百という発明の組み合わせで一つの製品ができてきておる。そうなってきますと、一出願一発明では相当膨大な特許の出願になってくるわけで、そういう点では多項制の導入というのは事務手続の簡素化という点でも、またそれから権利の範囲が明確になっていくという点でも、したがって紛争が起きてきたときの反論手続も簡素化されていくという点でも私は評価できると思うのです。しかし、これまでの現行制度と、今回の制度の改正によって本当に具体的にどこが大きく変わってくるのか。そしてそれが欧米諸外国の法律との関係で、特許法との関係でどのような整合性が今度出てきたか。今日までは、先ほど申し上げたように、これが非関税障壁だというような批判もあったと思います。そのあたりの御見解はいかがでしょうか。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 お答えいたします。  まず現行の我が国の多項制とヨーロッパの多項制との相違点を少し御説明いたしまして、それがどのように改善をされて欧米並みの多項制が実現されていくか、このようなことで御説明をしたいと思うわけでございます。  先生御指摘のとおりに、現行の多項制は五十年に採用されました。欧米諸国の多項制と比べますと次の点において相違がございます。  第一は、原則としまして一つの発明を表現するに当たりまして必ず一つの表現でなければならない、いわゆる多面的な表現ができないわけでございます。そして、このようにして書きます必須要件項のほかに、五十年に導入されました必須要件項を技術的に限定し具体化したいわゆる実施態様項、この記載が認められているわけでございます。これではやはり表現に制限がございますので、出願人としましては自己の発明を多面的に表現することは制限されている、こういう点が第一点でございます。  第二点は、現行の併合制度の範囲のもとですと、例えば最終生成物と中間体、あるいはサブコンビネーション同士等々、併合要件に合わないものがございます。これは技術的に深い関係があるわけでございますが、それでありましても併合できない、このような点につきましては、欧米の多項はすべてそれを認めておりますので、このような点に差異がございました。  今回の改正でございますが、このような点を踏まえまして、やはり欧米並みの多項を認めるべきではないかということで、今御審議いただいているわけでございます。  すなわち、一発明を出願人は自由に多面的に複数の請求項で記載することを認めます。これによりまして、最近のように非常に出願内容が高度化、複雑化してまいっておる現状におきまして、出願人が漏れなく自己の発明を請求範囲に書くことができる、こういう点が第一点でございます。  第二点は、非常に技術的に関連性の高い発明でありながら併合できないというこの要件を拡大いたしまして、欧米とほぼ同じ線に持っていく、こういうことでございます。  今回の改正によりますと、ヨーロッパ特許条約におきます運用、アメリカ特許庁におきますアメリカの運用、それから我が国の改正法とは、その運用におきましてはぼ一致いたしまして、改正されますとその相違点はございません。  先生先ほど御指摘ありましたけれども、この多項制をとりますと、例えば日本の出願人がヨーロッパあるいはアメリカへ出願する場合に、そのクレーム制度は同じでございますので、同じ明細書を訳せばそれぞれの制度に合うということでございます。また欧米諸国からの出願人も、自国の制度に基づきましたクレームはやはり日本でも認められる、このようにハーモナイズ、調和していくわけでございます。この点につきましては、三極の特許庁の会合におきまして、それぞれの三極の特許庁におきます制度及びその運用についての比較研究をやって確かめられたところです。特にクレームにつきまして研究をやったわけでございますが、先ほど申し上げました点がやはり日本は少し相違しておるという点ははっきりいたしました。今回の改正によりますと全くその問題点は解決されたということも、三極の会合で確認されておるわけでございます。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 今回の法改正に伴って多項制の変更になりますと、出願手続がとられますと特許性の有無については請求項ごとの審査が必要になってきます。請求項ごとの審査が必要になってまいりますが、一出願が拡大してといいますか範囲を持った形で出願されてまいりますから、総出願件数ということになりますと、将来といいますか、今後相当減っていくのかどうか、そのあたりをどのように見ておられますか。    〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、今度の多項制が採用されますと、併合できる範囲というものが非常に広がりますので、出願の集合効果といいますか、まとめられるということが出てくることは私どもも期待しておるところでございます。  ただ、期待できるわけでございますけれども、現在出願の伸びというものが日本の場合相当にございますもので、その出願の集合効果による減りぐあいと、それから出願の伸びとを総合勘案した場合に、私どもは現在よりも少なくなるというところまではいかないのではないかというふうに予測しておるところでございます。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 昭和六十年の特許出願件数が三十一万件、実用新案二十万五千件、相当膨大な出願件数でありますね。これがそれぞれ請求項ごとに審査を求められるということになってきますと、審査の負担というのがかえって増大するのではないかと思うのです。そのあたりはどうですか。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 先生御指摘のように、今申し上げましたように一つの出願に含まれる範囲が広がってまいります。しかも、請求項ごとに判断をするという意味で、審査の負担が現在よりも一件の出願当たり多くなるということはそのとおりだと思っております。  ただ一方、今申し上げましたように集合効果という形で全体の出願の件数が今までの出願よりはやや少なくなるはずである、その減少効果とはほぼ相殺程度になるのではないだろうか。そういう意味で、特に審査効率が大幅に低下するということはなく、現在程度の効率で十分審査ができるのではないかというふうに考えております。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 一つの出願で請求項がふえていく、それが先ほど長官もおっしゃられたように玉石混交、石も相当あると言われたように、多項制の導入といいますか改正によって請求項がいたずらにふえるというようなことはないのでしょうか。私は意外と出てくるような気がいたします。これはまた後でペーパーレス化で、これは情報を早く提供する必要があると考えておりますが、案外その辺の研究は特許庁にお任せする、少しでも請求項を多くしていきたいみたいな動きが出てくるように思うのです。その辺はどうですか。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 先生御指摘のように、多項制のねらいは出願人が自分の欲しい権利を十分に書けるようにすることでございますから、先ほどから申し上げていますように、ある程度の数がふえるということは予測しております。ただし、私どもとしては、今度の多項制の制度を導入するに当たっての趣旨等を十分説明することによって制度を正しく理解して運用させていただければ、異常にそういう問題が起こることはないというふうに考えておりますので、そういう周知徹底方に大いに努力したい、こんなふうに考えております。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 この点は、これから相当留意していただかないといけない点じゃないかと思うのです。  それから、これはごく一般的な不安なのですけれども、出願件数が恐らく形として減っていくでしょう。料金体系が変わるということなのですけれども、審査請求料、特許料等々で会計の収支はどのように変わっていくと見ておられますか。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 今回の改正によりまして、現在発明の数に応じて徴収しております審査請求料でございますとかあるいは特許料等につきましては、改正後は請求項の数に応じまして料金の算定を行うという方式に置きかえることを法改正案の中に盛り込んでいるわけでございますが、ただいま技監が御答弁申し上げましたように、新しく多項制を改善いたしましても、出願の集合効果とそれから一件当たりの審査負担の増大効果、これがほぼ相殺するというふうに私ども考えておりますので、料金の置きかえ、算定方式の改正に当たりましては、これによりましてその点に関して実質的に値上げになるとかあるいは値下げになるとかというふうにはする必要はないというふうに判断をいたしまして計算をいたしました金額をもって改正の御提案をいたしておりますので、結論を申しますと、審査請求料、特許料等の収入に与える影響というものは、多項制の改善による算定方式の改正によりましても中立的である、基本的には影響はない、このように判断をしているわけでございますで

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 一般的な特許行政について少しお尋ねしたいと思います。  先ほども話が出ておりましたが、審査に要する処理期間が非常に長い、このことは日本の特許行政上重大な問題だと私は思うのです。アメリカあたりからも、日本は審査に要する期間がどうも長過ぎて特許を付与されるまでの期間が長過ぎるじゃないか、こういう指摘を受けてきました。その点では、もう時間がありませんけれども、この直後にペーパーレス計画について若干お尋ねしたいと思うが、そのあたりの取り組み方について今どのように考えておられるのか、また、審査に要する処理期間の長期化という問題がどこに一体出てくるのか、私からもお尋ねしたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 私ども、審査に要する期間が非常に長いという点については、このまま放置してはならないと考えております。  ただ、対外的な関係では確かにそういう指摘があるのでございますが、後ほど申し述べますように、私どもは全体の制度は中長期的な対処をしてまいるわけですけれども、さしあたり早期審査の制度を設けまして、特に審査を急ぐ案件については別の窓口で早期に審査をする、ただし一定の要件は必要であるというようなことで制度を開いたわけでございます。これによりまして、海外から仮に急ぐものがあるということであれば対処できますので、そういう欧米の批判については和らげることができたものと考えております。  さりながら、全体の問題はやはり対処しなければならないわけでございまして、大きく分ければ三つの対処が必要である。  一つは、出願が玉石混交のまま大量に行われるというのに対してどう対処するかという問題でございまして、これには私どもは適正化ということで出願の厳選、審査請求の厳選をお願いいたしまして、権利になる確率の高いものに絞って出願し、あるいは審査請求をしていただくようにお願いをいたしております。また、こういったものを実際に行います企業の側にとって、ペーパーレス計画が達成されまして特許情報の公開、利用の可能性が高まるという段階になりますれば、企業側における努力が相当に行いやすい、実りやすいものになると考えております。  もう一つは、私ども自身の効率化の問題でございまして、その柱はペーパーレス計画でございますが、今回手数料の値上げをお願いいたしておりますのも、ペーパーレス計画達成のために必要な財源確保ということでございます。十カ年計画でスタートいたしておりまして、これを三期に分けてようやく第二期に入った段階でございますが、これまでのところペーパーレス計画は順調に進捗いたしておりまして、これは私ども相当に苦しい状況にあるのですけれども、何とか計画どおり達成するという決意でやっております。  三番目には、人員の増強でございます。これは先ほど来言われておりますように苦戦をいたしてはおりますけれども、増員に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 出願件数が相当ふえてきておる、また特許情報が多くあってその提供がなかなかうまくいかない、不十分である、こういうようなことから効率の悪い面が今まで相当あったであろうと思います。その点では、ペーパーレス化がうまくいってこの計画が実施される段階になってきますと、かなり改善されるのではないかと私は相当期待しているのです。  ただ、そうはいうものの、まだこれから数年、七年も続いていくわけですから、実際にペーパーレス化を進捗していく経過の中で、こういう状況の中で現行の審査体制というものはどんな影響を受けているのでしょうか。例えば、Fタームに忙殺をされていて実際の本来の審査業務がおくれているというようなことはないのでしょうか。  それから、相当大規模なシステム化でありますので、この情報であるとか通信技術の分野において相当な技術革新が今までありましたし、これからもあると思うのですね。その点では将来の見通しをかなり的確に把握をしていかないと、七年たったらもう我々が今つくっているシステムが陳腐化してしまうのではないか。そのあたりの見通しはどうでしょうか。  それからもう一点。実際に電子出願の時代が来るわけですけれども、町の発明家であるとか中小企業から出てきた出願についての問題は大丈夫なのかどうか、このあたりをひとつお答えいただきたいと思います。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 先生の御質問の第一点のところについて御答弁申し上げます。  確かにFタームの開発に審査官が力を注いでおることは事実でございます。私どももその力をできるだけ審査官の本来の職務である審査に回せますようにいろいろな配慮をやっております。それは、できるだけ外部の能力が活用できる部分については外部の能力を活用するというような方法もとっておりますし、それから先ほど長官もおっしゃいました適正化についても大いに努力をするという形をもちまして、できるだけFタームの審査官にかける負担を軽減するという方向で努力をしておりまして、内部的にもまたシステムを効率化する方向で負担を少なくする努力を鋭意続けているところでございます。  第一点についてだけお答えいたしました。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 御質問の第二点の、新しい技術の成果というのはペーパーレス計画に取り込んでいくべきではないかという点でございますが、この点は、御指摘のとおり現在非常に電算化あるいは情報化の分野におきまして技術進歩が早うございます。他方、ペーパーレス計画自体は非常に高度かつ複雑なシステムでございまして、システムの良否がペーパーレス移行後の業務の内容を決定するということになるわけでございますので、私どもといたしましては、新しい技術分野における技術進歩の成果を十分取り入れまして、望み得る最善のシステムを構築するということを目指しておりまして、この観点から開発の関係者に対しては常に要請、指導を行っているところでございます。  ただ、他方におきまして、耕しければよいということで、まだ未完成な技術あるいは十分実用化されていない技術を取り込むということになるのもこれまた誤りのもとでございますので、そういう点についてももちろん留意しているところでございます。  それから三番目の御質問の、ペーパーレス移行後の出願において中小企業等はどういうことになるのか、困ることはないかという御質問でございますが、ペーパーレスが完成をいたしましてペーパーレスに移行いたしますと、いわゆる出願につきましても現在の紙による願書の形での出願から電子情報の形での、電子出願と私ども申しておりますが、そういった出願を可能にするということを現在検討しておるわけでございます。  その電子出願の形態といたしましては、オンラインで企業から特許庁に直接入力をするというやり方もございますし、また、フロッピーディスクを使いまして、フロッピーディスクに格納いたしました願書内容を特許庁に持参あるいは郵送していただくということもあるわけでございます。オンラインの方は大企業、非常に大きな出願件数を持つ企業に適するということにならざるを得ないと思いますが、中小企業の方々で件数が非常に少ないという場合には、このフロッピーディスクによる出願ということを大いに活用していただければと思うわけでございます。  現在、このフロッピーディスク、オンラインもそうでございますが、電子出願につきまして、これを普及させるための標準化の検討をいたしておりますが、その標準化の検討に際しましても、できるだけ中小企業を含めました一般の企業が電子出願をやりやすくするということを念頭に置きまして検討しているところでございます。  なお、申し添えますが、電子出願に移行した後におきましても、どうしても電子出願は無理である、紙で出したいという出願人もいると思います。したがいまして、そういう場合には出願人サイドからは紙で出願されるというものも受け付けるというようなこともあわせ検討いたしまして、全体として中小企業あるいは個人の出願人に対しましてもできるだけ不便をかけないように、そういう観点から検討しているところでございます。

青山丘民社党・国民連合

○青山委員 ありがとうございます。質問は終わりますが、大変技術革新の著しい経済社会情勢のもとで工業所有権の整備というものが非常に重要であります。運用についてひとつぜひ特段の御配慮をいただきたいと思います。  終わります。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。二見伸明君。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 厚生省の方がお見えになっていらっしゃいますので、順番をやりくりいたしまして、最初に厚生省に二問だけお尋ねをしたいと思います。  実は今度の特許法の改正で特許期間の延長が図られたわけでございまして、それは政令事項で医薬品になるというふうに伺っております。私はこれは大変結構な措置だというふうに思っておりますけれども、しかし反面、そうすることによって医薬品業界で先発メーカーが当然有利になるわけです、五年延長を認められますから。その場合、後発メーカーが不当に不利益を受けないような薬事行政上の措置というのは考えてしかるべきだと思うのですが、その点についての厚生省の御見解を承りたいと思います。

佐藤隆三厚生省薬務局経済課長

○佐藤説明員 ただいまお尋ねの、今回の措置によりまして後発品メーカーが不利益をこうむらないかということでございますが、私どもといたしましては、今回の措置によりまして医薬品産業の研究開発意欲が刺激されまして、優秀な新薬というものが次々に開発されるということを期待しているわけでございます。また、そのようになりますと、後発品メーカーが製造し得るいわゆる後発品というものが多数増加するわけでございまして、これは新薬の開発メーカーということだけでなく、中小企業も含めました業界全体の活性化が図られる、このように考えているわけでございます。  後発品メーカーの対応ということを考えますと、やはり何らかの措置が必要なわけでございまして、今回の特許期間の延長を行うことによりまして新薬開発メーカーに対しまして配慮をいたしているわけでございますが、一方この新薬の承認のあった日から一定期間内に延長の出願をすべきことといたしまして、後発品メーカーに不測の影響を与えないような配慮もされているところでございます。そういったことで特許期間の延長によりまして中小メーカーが直接的な影響を受けるということはまずないのではないかと考えております。  そうは申しましても、後発品メーカーによりましては御指摘のように市場参入がおくれるというようなこともございますし、また医薬品産業のこれからの変遷ということを考えますと、後発品メーカーが大部分を占めております中小製薬企業のあり方、あるいは今後の進むべき方向またはビジョンといったものにつきまして私どもとしましても検討が必要と考えておりまして、近く中小製薬企業のあり方に関します懇談会を設けまして御検討いただいて、今後の医薬品中小企業施策につきまして検討をいたすことにしているところでございます。  それから、後発品の承認審査事務の関係でございますが、現在審査に要する標準的な事務処理期間が当分の間二年間ということになっておりますが、本年一月からこれを一年六カ月に短縮するというようなことで、承認審査事務につきましても迅速化を図っているところでございまして、引き続きこういった努力を進めてまいりたい、このようなことを考えておりまして、必ずしも今回の措置が後発品メーカーに不利益を与えるということにはならないのではないか、また、ならないようにしてまいりたいと考えているところでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 佐藤さん、済みません、ちょっとわからないのでお尋ねしたいのだけれども、全般的にはそういうことだと思うのですけれども、改正されます。その瞬間的な時点では、中小の医薬品メーカーが、今度参入できるなと思ったところが、極端な場合には例えば五年間先に延ばされてしまうという意味で、改正時点でのちょっとした不利益といいますか、中小メーカーにとっては厳しい局面が出てくるのでしょうね。これが定着した段階ではなくて、改正された直後の話として、そういう問題はやはり出てくるのでしょうね。

佐藤隆三厚生省薬務局経済課長

○佐藤説明員 改正直後この影響が出るかということでございますが、いわゆる後発品メーカーが製造いたします品目をどのように選択するかということにつきましては、実際上、既に新薬として一定の販売実績を持ちまして、後発品市場として有望なところを選定いたしまして後発品メーカーが参入するわけでございます。そういうことでございますので、この措置が始まります移行時点、その時点におきまして新たに承認された新薬につきまして、これが直ちにその後発品メーカーに不利になるということではございませんで、やはり承認後一定期間、相当期間を経まして、市場の動向などを見まして後発品メーカーがそこに参入するかどうか判断するわけでございまして、実際この措置が直ちに後発品メーカーに影響を与えるということはないわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 それから、特許の存続期間が最長五年間延長されるわけでございまして、そのことによって権利の上にあぐらをかくということが製薬メーカーの中に出てくるのかどうか。  もう一つ。貿易黒字のたまっているときに輸出の話をするとまずいのだけれども、日本では国際市場にどんどん輸出できるようなすばらしい医薬品の発明というか開発は行われているのかどうか。今度五年間延長することによって、むしろ新しい画期的な医薬品の発明ということが可能になってくるのかどうか。国際市場におけるシェアも高まるのかどうか。そこら辺の見通しはどういうふうに厚生省はお考えですか。

佐藤隆三厚生省薬務局経済課長

○佐藤説明員 まず第一点目の、今回の措置によりまして、新薬開発メーカーがこの措置の上にあぐらをかいて新薬開発に努力しなくなるんじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、実は、医薬品産業は従来より大変新薬開発競争が激しい業界でございまして、現実に、売上高に対します研究費の比率で見ましても、他の産業に比べまして最も高くなっている状況でございます。  それで、今回の措置によりまして医薬品産業の研究開発意欲がさらに促進されるというように私どもは考えておりまして、そのことは、これからの特に高齢化社会あるいは長寿社会と言われる中で、医薬品産業が国民のニーズにこたえ得るような新薬を、しかもすぐれた医薬品をつくり出していく、これが医薬品産業に課された使命ではないかと思っておりますし、また医薬品メーカーにとりましても、新薬を開発して市場に出していくということが、国内市場はもとより海外市場との競争、こういう面でも発展の非常に大きなかぎである、このようなことが認識されております。したがいまして、医薬品業界におきましては競争が大変激しゅうございまして、とりわけすぐれた新薬開発に力を注いでいるというのが現状でございます。そのようなことで、今回の措置によって新薬開発が停滞するということは全くあり得ないこと、私どもはそのように考えております。  それから二点目の国際市場での問題でございますが、御指摘のように、医薬品産業の海外進出というものは、他の業界に比べますとある意味では大変おくれているという状況にございます。輸出比率というものを見ましても、生産高に対します輸入比率が約七%、それに対しまして輸出比率は約三%ということで、その意味では輸入超過の産業でございます。  先ほど申し述べましたように、医薬品業界が研究開発を進めまして新薬開発に努力しているため、売上高対研究費率というものは、国内におきましては全産業の中でトップを占めるという状況でございますが、これはあくまでも売上高に対する比率でございます。この比率は海外の主要望薬メーカーと比較してみますとかなり肩を並べる水準になっておりますが、ただ我が国の医薬品産業は、世界主要企業のランクで見ますと、国内のトップメーカーが世界では十七番目というようなことで、売上高で見ましてそのような位置にございますので、研究開発費の絶対額そのものとしては海外の主要企業に比べますと低くなっておりまして、その意味では、これから国際市場で世界に通用する新薬というものを出しまして競争していくという点におきましては、やはり不十分な面がございます。  そういうこともございまして、厚生省といたしましても、医薬品産業の産業政策の柱に研究開発の促進ということを据えまして、現在、研究開発の活性化を図るいろいろな施策を進めておるわけでございまして、今回の特許期間延長につきましてもその一つの重要な柱である、このように考えているところでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 どうもありがとうございました。  それでは本題の方に移ります。  まず最初に、何度もいろいろ質問が出ておりましたけれども、今度の改正案提出の最大のねらいは何かということなんです。一応四つの改正案の内容が示されておりますけれども、長官、どうなんでしょう、やはり最大のねらいは特許料金等の改定で、それに付随して多項制の改善等々が行われるというふうに認識してよろしいでしょうか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 私どもとしては、この四本柱はそれぞれに重要であるというふうに考えておりまして、いずれが最も重要であるかという点については、いずれ劣らずというふうにお答え申し上げたいと思います。  値上げが最大のねらいではないかというお話でございますが、私ども値上げも極めて重要であるというふうに思いますのは、ペーパーレス計画というものを中心に、私ども特許庁では、非常に膨大に、かつ増加しつつある出願審査請求をこなすために最大限効率を発揮しなければならないというので長期計画を進めているわけでございますが、当初から二段階で値上げをお願いしたいというふうに考えておりまして、この値上げがもし認められないということになりますと、せっかくスタートした十カ年計画のペーパーレス計画がとんざするということになってしまいますので、これも極めて重要であると思います。  多項制の改善は、現在の技術の、あるいは発明の発展段階に即応して権利の保護に遺憾なきを期するという意味ではぜひとも実現しなければならない。かつ、その関係する出願人の範囲、産業の範囲というものは非常に広範にわたるわけでございまして、これもそういう意味では関係するところが広く、効果も大きい非常に重要な柱でございます。  医薬品あるいはその他これに類する要件に合致するものについての特許期間の延長の問題も、やはり特許権制度あるいは工業所有権制度の本来のいわば基本的な考え方でございます情報の公開と同時に、権利を保護するという権利保護の側面が他の行政的な法規制によりまして空洞化しておるという状況にございますので、こういったものについてそれぞれ手当てをいたしませんと我が国の研究開発自体に悪影響を及ぼすというふうに考えられますので、これまた重要であるというふうに認識しております。  それから、手続期間などについて主として国際的な観点から調整を加えるわけでございますが、我が国の工業所有権制度は、工業所有権そのものの持つ国際性に照らして各国と調和のとれたものでなければならないと思いますし、現に各国から種々批判があったものにこたえようというわけでございまして、国際社会におきます我が国の地位、特に特許件数から見て特許大国と言われる我が国でございますので、国際化するという意味でも極めて重要であるというふうに考えております。  以上でございますので、ちょっと観点によりましていろいろと理由づけが違うわけでございますけれども、いずれ劣らず重要であると考えております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 多項制については午前中かなり議論がありまして、重複を避けたいと思いますので一点だけお尋ねをいたしますが、五十年改正のときに、今まで大正十年法によって単項制だった、その伝統のもとに、五十年にはその単項制度を引きながらの多項制ということになった。それを今度はさらに改善するんだという趣旨の御答弁が午前中何回かございましたけれども、今度の改善によって、いわゆる単項制という考え方は全くなくなったというふうに、大正十年以来の伝統的な考え方はなくなったんだというふうに理解してよろしいでしょうか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 単項制は消滅いたしました。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 そうすると、欧米と全く変わらないという御答弁がありましたけれども、例えばアメリカに出願します。英文で書きます。それを全く日本語に翻訳をしてこちらへ出してもオーケーということになりますね。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 原則的にそのようになります。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 それから、これは基本的には制度の変更ということになるんだと思いますけれども、出願関係者への周知徹底を図ることは当然必要だと思います。したがって、そのためにまず特許庁としてはどんなことを考えておられるのか。この法律改正案成立後どのようなことをどういうようなことでもって周知徹底を図ろうとしておるのか、その具体的なことがありましたらお教えいただきたいと思います。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 この多項制の改善というものの重要性にかんがみ、またその影響の大きさにかんがみまして、私どもとしましては、内外の特許関係者にあらゆる機会をとらまえて広く周知徹底を図っていきたいというのが基本的な考え方でございます。  具体的にはどんなことをやろうかということでございますが、現在のところでは私どもこれを具体的にどのように書くのか、あるいはどのように審査するのかというような運用の仕方についての基準をつくりまして、これを内外の関係者と十分議論しながらつくりまして、それを説明会を開くなり関係者に配付するなりという形で具体的な運用の仕方を十分に周知徹底してまいりたい、こういうふうに考えおります。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 私も実務をやったことがないので全くわからない点で質問するのですけれども、例えば多項制の改善で、現行ですと、これは特許庁からいただいたのですが、いただいた資料をそのまま読みますよ。  第一の願書で、高速計算用半導体チップX、そしてそれの改良物として超高速計算用半導体チップY、それからXの製造方法、これが一つの願書に今書くことになっている、こうなっていますわ。Xの改良物であるYの製造方法というのは別の第二の願書、別の出願となるというのが現行法ですね。そしてこの場合は、特許庁の資料ですと、同一発明となってXを用いた高速計算処理方法はこれが出願できない、こうなっております。  ところが、改正後は、高速計算用半導体チップXとXの製造方法は当然書けるし、超高速計算用半導体チップYという改良物は当然書けるし、そのYの製造方法も書ける、Xを用いた高速計算処理方法も願書に書ける、こうなっております。  そうすると、このYからさらにZというのができるとしますね。そうすると、そのZとそのZをつくる方法とかというのもこの願書に書けるのかどうか、これはどうなんでしょう。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 御質問にお答えいたします。  私どもとしまして、併合される要件の拡大を考えておるわけでございますが、一つの発明につきまして、ある技術的に連関している発明につきましては同一の願書で出願できるということを考えておるわけでございますが、これを無制限に広げ保ておきますと、例えば最初の発明と最後の発明はほとんど無関係になってしまうというものまで連関していく危険があるわけでございます。でございますので、一連の技術のもとに開発されました成果につきましても、それを一つの願書で出す場合につきましては、ある一つの発明を特定の発明といたしまして、それと一定の関係にあるものにつきまして併合を認めるという範囲で運用していくということをいろいろ検討したわけでございます。  このことは、実は先ほどお話が出ましたけれども、日本、ヨーロッパ、アメリカ等の三極における種々の検討等の結果におきましても、諸外国におきましても同じような制度になっておりまして、私どもとしましては、特定の発明とある関係にある範囲において連関しておるものについては一緒に出願できるという範囲で考えておるわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 そうしますと、今私XとZという話をしましたけれども、Zでもって書ける場合と書けない場合とが当然出てくるわけですね。この場合はいいですよ、この場合だめですよというその境目の基準というのが、先ほどの、これから関係者と議論をしながら詰めていく判断基準等運用方針ということになるんでしょうか、どうなんでしょう。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 ただいまの御質問にありましたZ及びZの製造方法、これにつきましては、単一性があるという場合についてはこれは結構でございます。一緒に出せるわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 いやそうではなくて、書ける場合と書けない場合がありますね。この場合は書けますよ、この場合書けませんよ、境目の基準がありますね。これは出願者の権利にかかわることだから、審査官によってこれは書ける、Bの審査官だったらこれはだめだ、こうなってはまずいわけで、これは同一の基準で峻別しなければならないでしょう。たしかX、Y、Zと続いてくる、Yまではいいけれども、Zが書けるか書けないかというのは出願者にとっては重大な問題でしょう。それがあいまいな基準のままでイエスとかノーとかとやられたのでは困りますね。そのための基準というのは、先ほどこれから関係者といろいろ協議して判断基準等運用方針などを決めていくというお話がありましたから、そういうことで決めるのですかと聞いているわけです。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 その点につきましては、御指摘どおり運用の基準、審査基準等々でございますが、それは特許庁で検討すると同時に、関係業界等々の意見も聞きまして一つの基準をつくり、その基準にのっとって審査の実務を運用していく、こういう運用を考えているわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 そうしますと、その基準というのは欧米と全く同じ基準になりますね。どうでしょう。

小花弘路特許庁特許技監

○小花政府委員 今渡辺三部長の方からお答え申し上げましたように、基本的な考え方につきましては、まず欧米と全く同じようにしたいというふうに考えて現在基本的な骨格はできております。ただ、具体的な微妙なところになりますと、これは具体的な例をどう考えるかというのが非常に微妙なところがございますので、それは関係業界あるいは特許の実務者の方々と十分協議をして、具体的な線ははっきり決めて、それを一つの具体的な例示として基準の中へ入れていく、こういう形をつくりたいと思っております。  現在までのところ、私ども審査基準という形でそういうものを過去においても六十四ほどつくって持っておりますので、それと同じような形でまた今後もつくりたいというふうに考えております。その結果は、先生御質問の、世界と同じになりますかということに関しては、運用上は全く同じにできるようにしたいと思っておりますし、またなると私は信じております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 それから、特許権の存続期間の延長制度を創設いたしましたね。これは政令にゆだねてありますわ。アメリカだか韓国だかでは、これは政令ではなくて法律事項で、何と何というように法律事項で書いてある国もあるのだけれども、政令とした理由はどういうところにありますか。

渡辺秀夫特許庁審査第三部長

○渡辺説明員 一般に安全性の確保等を目的といたします法律の規定によります処分には、それを受けるために必要な試験あるいは審査の実態並びにその特許権の存続期間の進捗状況等々は、その対象分野によりまして非常に多種多様でございます。また、これらの状況というものは時代の状況によりまして変化し得るものでございますので、立法当時にこのような状況のすべてを予測いたしまして法律に明記するというのは非常に難しいというぐあいに考えたわけでございます。このため、今回の法案では法律上はその要件を規定いたしまして、明記いたしまして、延長措置の対象の指定を政令に委任したわけでございます。この新たな指定要件を充足するものがあらわれてきた場合につきましては機動的に本措置の対象に指定することにしたい、そういたしまして不利益をこうむっている特許権者の救済を図りたい、このように考えておるわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 当面考えられているのは医薬品でございますね。農薬の話も午前中水田委員から出ました。あと医療機器だとか食品添加物というのは、将来政令で指定される対象になり得ると考えられますか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 法律の要件に合致するかどうかということが決め手になるわけでございまして、現在のところ、そういったものを指定しないというふうに考えているわけではないのでございますが、私ども、当該規定を設けるに当たりまして幅広く当たってみたわけでございますけれども、今御指摘の医療機器あるいは食品添加物などについては、例えば食品添加物は新しく認められるものがほとんどないというような事情もございますし、現在のところ私どもは多分必要がないのではないかと思っておりますけれども、それは今後の推移と申しましょうか、そういう申し出があり、資料によって法律の要件に適合するというようなことが示されるならば、そういうものを指定することについてはもちろんやぶさかではないわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 本案成立後、いつごろを目途に政令指定が行われるのでしょうか。これはいつごろになりますか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 法案提出の前に、少なくとも医薬品については、法案を提出する以上最低一つの必要性がなければならないというのでデータを相当数集めて調査いたしております。したがって、これはそれほど時間を置かずに指定することができると思います。ですが、例えば農薬などにつきましては、最近になってそういうふうな申し出がございますけれども、もう少しデータを集め、法律上の要件に適合するかどうかなどを詰めなければなりませんので、現段階ではいつごろというふうにはまだ申し上げられないのでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 それから、今度は特許料だとかいわゆる料金値上げが行われるわけでありますけれども、これはペーパーレス計画の構築のためにやむを得ざる措置だと私は思っております。  それはそれといたしまして、中小企業とか町の発明家への影響は、料金値上げというのは無視できないのじゃないか、大きいのではないかと思います。この影響を緩和するやり方というのは二通りありまして、一つは料金の二段階制というのがあるのですね。中小企業や町の発明家には料金を安くしようという考え方がある、それをやればこの改正案をもう一回修正しなければならぬけれども。もう一つは、料金は料金としてちゃんと取るけれども、別途中小企業政策とか何か別の政策によって影響緩和を図るという措置も考えられる。現時点で考えられるのは、料金の二段階制ではなくて、別途の政策によって影響緩和を図るべきだと私は考えているわけですけれども、通産省としてはこれはどういうような対応を考えておられますか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 二見委員御指摘のように、個人発明家、中小企業の発明に対して考慮が必要であるという点は、私どももそのように考えております。個人発明家あるいは中小企業は、特許権というよりは実用新案の出願の方が多いわけでございますけれども、そういったものについては、特許の料金体系と実用新案の料金体系では、既に実用新案の方が割安になっているということが一つございます。  それから、現在私どもが目指しております審査期間の短縮、特に長期化するものを予防するという意味では、ペーパーレス計画は有効であり、かつ不可欠のものと思っておりますが、このペーパーレス計画の実現によりまして審査期間が短縮され、同時にまた特許情報が利用しやすい形で公開されていくことによりまして、ライフサイクルが短い形の特許、実用新案がどうしても多い中小企業ないし個人、そしてその特許情報の利用しにくい個人ないし中小企業にとっては、ペーパーレス計画というのは相当に有効、有益であるという意味で、応益的な意味では同等に御負担をいただきたいと思うわけでございますが、他方、中小企業、個人発明家に対して施策的な面で充実をしなければならないというふうに考えておりまして、実はことしもそういう意味でその関連の予算を大幅に拡充いたしまして、指導事業とか相談事業というのがあるのでございますが、そういったものについての開催回数の増加でありますとか、あるいは利用しやすい相談事業とするために夜間あるいは土日における開催ができるようにするとかいうようなことを考えておりますし、また総合資料データベースを利用するための端末機の設置についても地方への増設などを図っていきたいというふうに思っております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 もう一点伺いますけれども、今回の特許料等の引き上げによってペーパーレス計画の構築のための財源は確保されると考えてよろしいですか。再引き上げということはないというふうに考えてよろしいでしょうか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 大体当初のもくろみどおりに特許特別会計の歳入歳出とも今日まで推移いたしております。今後については、若干の歳出増加要因が当初計画に比べて認められるわけでございますけれども、現在予見し得る範囲内では、今回の値上げをもちましてペーパーレス計画完了まで再度値上げをお願いすることなくやれるのではないかと思っております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 次に、特許行政一般について若干お尋ねをいたしますが、出願件数の現状、見通し、最近の特徴等について御説明をいただきたいと思います。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 お答えいたします。  先ほど来話が出ておりますように、我が国における技術水準の向上、あるいは旺盛な企業における技術開発意欲というものを反映いたしまして、特許等の出願件数は年を追って増加しております。工業所有権関係四法合計で申し上げますと、昭和六十年度におきまして年間約七十三万件、六十一年度には約七十五万件の出願に達しているわけでございます。そのうち特許、実用新案は五十九年度が約四十九万件でございましたが、六十一年度では約五十三万件ということで、非常に伸びているわけでございます。過去昭和五十一年度から六十一年度の十年ぐらいをとりまして計算をいたしますと、年平均伸び率は、特許で七・二%、実用新案は一・三%、合計いたしますと四・五%ずつ伸びておるという平均でございます。  最近の特徴的なことで一、二申し上げますと、やはり技術革新を背景といたしまして、コンピューターでございますとか、あるいは件数はまだ小さいわけでございますがバイオテクノロジーでございますとか、レーザーでございますとか、そういう先端技術の出願件数が伸び率は非常に大きいということが言えるわけでございます。こういうことも含めまして、出願の内容が前に比べますとやはり高度化し複雑化しておるということが特徴であろうかと思います。  あと意匠、商標の関係は、意匠はおおむね横ばいないしは近年に至りますと若干減少傾向で、六十一年度は約五万三千件の出願でございます。それから商標は、ややふえてまいりましたが最近はほぼ横ばいということで、年平均伸び率も例えば三%程度でございます。  今後どうなるかということでございますが、これは経済や産業の状況でございますとか、あるいは技術開発の進展の速度でございますとか、あるいは私どもが進めております出願の適正化の指導の効果でございますとか、まだいろいろな条件がございますから、確たることを見通すということはもちろんできないわけでございますが、現時点におきましてあらゆる状況を考えまして見通しを一応私どもなりに持っておりますのは、特許、実用新案につきましては、これは実は昭和二十五年度から六十年度までの実績値を分析いたしますと、一つの統計的なカープが出てまいります。このカープを将来に延長する、それに基本的には沿っていくということ、あるいは今回の法改正による多項制の活用でございますとか、そういったものを織り込んでいくというようなことで申しまして、ペーパーレス計画の目標期間でございます六十八年度には五十四万件程度になるのではないか、こう予測しているわけでございます。意匠につきましては、今後とも五万件台を維持いたしまして、大きな件数の変動はないというふうに見ております。また商標につきましては、年度によりもちろん若干の変動はございますけれども、六十八年度にはおおむね二十万件程度になるのではないか、このように見ているところでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 今のお話の中にレーザーとかバイオとかコンピューターとか、いわゆる先端技術関係の出願がふえているのが特徴であるという御説明がございました。そういたしますと、例えばペーパーレスができ上がったとしても、これは検索することでありまして、そして出願されてきた非常に高度なものに対しての審判というのは、これは人がやるわけですね。審査官、審判官、これがやるわけです。そうすると、どういうことがこれから必要かというと、一つは、ペーパーレスができたからといって人員が要らない、減ってもいいということじゃなくて、増員ということでもってそれなりに人員の確保は必要ですね。  それからもう一つは、そうした先端技術分野に適合した人材というか、能力のある人を充てていかなければどうしようもないですね。創造的な発明というのがこれからどんどん行われてくる、それが日本のこれから生きも道である。ところが、それが出願されてきても判断するだけの能力がこちらにないということになると、これはえらいことになりますね。  そうした新しい分野、先端技術分野に対応し得るような人員の確保、資質の向上、そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。例えば審査官が大学の研究室と交流するとか、民間企業と交流するとか、要するに書類でもって知識を得るのじゃなくて、大学の研究室なり民間の研究室なりへ行って、一緒になって吸収していくというようなシステムがなかったならばやはりまずいのじゃないかと思うのだけれども、そこら辺はどういうふうにお考えですか。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 先生御指摘のように、人の問題というのは極めて重要であると私ども考えておりまして、それは、おっしゃいますように人員の確保のほかに人材の質の向上、質の確保ということもまた重要であるわけでございます。また、そういった適正な人材を先端技術分野等、出願の伸びの非常に大きいところ、かつ内容的にも非常に難しい出願がある、そういうところに適正に配置していく、これもまた重要であると考えております。  この間の関係をちょっと申し上げますと、例えば審査官でございますが、審査官につきましては、半導体でございますとかあるいはバイオテクノロジーでございますとか、そういった出願の伸びの著しい先端分野、そういうところにおきましては、出願の動向でございますとか審査官の専門性をよく考慮いたしまして、担当審査官の増強を弾力に図っているところでございます。それからバイオテクノロジーにつきましても、出願件数が五十二年度から五十八年度までの間に約三倍にもなるというような状況でございますので、これに応じまして担当の審査官を増強するということもいたしているわけでございます。  審判官につきましても同様でございまして、審判の部門におきましても、先端技術分野で従来の技術とは違った新技術体系の出現というようなこともございますので、審判の合議体を新しく増設するとか、あるいは適切な技術的専門性を持った審判官を配置するとか、そういった適正配置に努めているところでございます。  また、個々の審査官、審判官の資質の向上ということでございますけれども、私ども中に工業所有権研修所という研修施設を持っておりまして、以前からその研修所の場におきまして職員を十分研修を行うということに力を入れているわけでございますが、定時といいますか、定期の決まったコースによる研修のほかに、そういった先端技術分野について特別の専門的な研修を随時行うというようなやり方で行っております。また、個々の審査官、審判官がみずから例えば学会に出席するとか、あるいは大学に聴講するとか、そういったことがあります場合には、もちろん職務との関係もございますけれども、できるだけそういうことに対しては支援をするというようなことで、おっしゃいましたような企業との人事交流というようなことはちょっと今はまだ手をつけておりませんけれども、現在できる限りの範囲内におきましては、そういった個々の資質向上も十分図っていくということで対応しているところでございます。  全体として非常に厳しい状況ではございますが、人員の確保と、それから今申し上げました人材の機動的配置あるいは個々の審査官、審判官の質の向上、これを三つ合わせて、基本的に人が動かしております当庁行政の内容に遺憾のないように配慮してまいりたいと思っておるわけでございます。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 資質の向上にいたしましても、やはり人員がかなり確保されませんと、例えば大学に聴講に行こうと思っても、本業の方が忙しく保て行っている暇がないということになれば、制度としてはあっても行かれない。基本というか、やはり一つは人員の確保ですね。ゆとりがなければできませんからね、これは。その点では、人員の確保は総定員法があって厳しいのでしょうけれども、総務庁うるさいのかもしれないけれども、頑張っていただきたいと思います。  時間もありませんので、まとめて何点かお尋ねいたしますので、お答えをいただきたいと思います。  最初は、一つはアメリカの特許制度改正に向けて——アメリカは先発明主義ですね、日本は先願主義です。これはアメリカが今先発明主義から先願主義に変わろうとしている動きがあるようですけれども、その点についてはどういうことになっているのか。これをまず一つ御説明いただきたい。  実は私の友達が超電導エネルギー貯蔵という研究をやっておりまして、超電導というのは最近かなりフットライトを浴びておりますけれども、恐らくこれは近い将来アメリカと日本の特許戦争になるだろうと思っているのです。そうなると、アメリカと日本で制度が違いますとけんかしにくいし、その点ではアメリカが日本と同じように先願主義に改めてもらうと土俵が同じになりますので、特許戦争の場合でもやりやすいわけですね。ですから、その点の見通したとか我が国政府の見解などを、まず一つはお尋ねをしたい。  それから二つ目は、アメリカの関税法三三七条ですね。これを改正する動きがありますですな、アメリカには。そして日本の商品を締め出してしまおう。これを日本製品をシャットアウトするための手段に使うというのはちょっとけしからぬと思うのだけれども、これに対する政府の対応策というのをひとつお示しいただきたい。  それから三つ目に、ウルグアイ・ラウンドでもって知的所有権の貿易的側面が交渉項目として取り上げられたですね。我が国から見た知的所有権に関する貿易上の問題をガットの場でどのように解決していくのか。アメリカとの調整とか発展途上国に対する配慮とか、そういう点はどういうふうに考えていくのか、お示しをいただきたいと思うのです。  というのは、いわゆる工業所有権制度というのは先進国の間でも相違がありますね。日欧とアメリカとの間でも違いがある。同じように、先進国と特に発展途上国、LDCとの間でまたえらい違いがありますね。これは全部調整していかなければならない。厄介な仕事だと思うのですけれども、それに対する日本としての取り組み方、それをお教えいただきたいと思います。  それからもう一点、LDCですが、場合によると特許制度なんてない国もあるんじゃないかと思うのです。それで、俗な言葉で言えば海賊商品をつくるわけでしょう。見た目はそっくり同じだけれども粗悪品であるとか、そういうものをつくるわけです。商標にしてもあるいは製品にしても同じですね。そうしたLDCに特許制度をつくれと働きかけていくのでしょうけれども、向こうは向こうで、うっかり特許制度なんかつくってしまって高いロイヤリティーを払わされたのではたまらない、そういう意識だってあると思うのです。私は、長い目で見れば、特許制度を確立して、先進国からの技術をロイヤリティーを払いながらやっていく方がその国のためにもいいと思うのだけれども、しかし瞬間的には、高いロイヤリティーを払うのはたまらぬというLDC側の考え方もあるだろうと思うのです。そうなれば、いわゆる発展途上国に対する工業所有権に関する国際協力をどう進めていくのか。私は二つあると思います。  一つは、日本のロイヤリティーを特恵関税みたいに安くしてやるという方法がある。しかし、ロイヤリティーは民間の話だから、通産省が口を出して、それはもっと下げろと行政指導はできるかもしれないけれども、従うか従わないか、民間の話だから、契約の話ですから、なかなかうまくいかないかもしれない。そういう場合には、経済協力か何か、別の手だてでもって開発途上国に援助するという方法があるんじゃないか。私はライセンス料、ロイヤリティーを下げるというのが一番いいと思うのだけれども、それがどうしても不可能な場合には、高いロイヤリティーを払っても日本政府から別の手だてがいくから結果としてはいいんだというようなことも考えなければいかぬのではないか。これは日本だけではなくて、先進国が発展途上国に対する態度としてそういうことも考えていくべきではないかと思います。  以上、まとめてお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 まず二見委員御指摘の第一の、アメリカにおきます特許制度の改正の問題でございますが、御指摘のとおり、アメリカは世界でわずか三カ国ございます先発明主義をとっている国の一つでございます。他の二つ、カナダとフィリピンでございますが、カナダは既に法律改正をしようというので国会に法案を提出いたしておりまして、出願主義、先願主義に移行しようとしているわけでございます。  アメリカ国内でも、この先発明主義を維持することにつきましては種々の異論が出ておりまして、特に先発明主義のもとでは、だれが、いつ、どこで発明をしたかということを紛争が起こった場合には証明するいわば証明合戦になるわけでございます。これがインターフエアランスという一定の法的手続のもとで争いになるわけですけれども、これには非常に時間もかかればお金もかかるというようなこと、それから他の多くの外国と制度が違うことによる各種の不便等から、アメリカ国内でも、もう先発明主義を維持すべきではないという意見が出ております。ですが、他方、先願主義という、出願が早いから保護するという方式よりも、先に発明をしたものを保護すべきであるという考え方の方が哲学的にすぐれているというようなこととか、先願となると例えば地方の個人、地方の中小企業が不利であるというような意見とか、先発明主義の複雑さのゆえにそこで仕事がふえるという弁護士その他の人たちの反対論もございます。  したがいまして、全体にどうなるかは必ずしもよくわからないのでございますが、アメリカ特許庁は、既にWIPOの専門委員会の席上、先願主義に移行する意思があるということを表明いたしておりまして、ただこの場合、世界各国が一定のスタンダードを満たすことが必要である、それとパッケージである、いわば取引をするのだというようなことを言っておりまして、現在こういうものについてはWIPOで主に国際的な調和の問題として議論を進めていくというのが表舞台でございます。ですが、私どもは日米欧三極特許庁会議というのを持っておりまして、その機会などにこれまでもしばしば日本側は、先発明主義を離脱すべきであるということを言ってきておったわけでございますが、さらに調和の問題を話し合うことにしておりますので、推進してまいりたいというふうに考えております。  それから、関税法三三七条でございますが、これは現在でも非常に問題のある規定でございまして、日本が提訴をされますと、被提訴人に許されている反証の時間が短いとか、疑いを受けまして暫定的に輸入を制限されますと、仮に後でシロだということになってもその被害が救済されないとかいうような問題があるわけでございますが、その上に、今回のアメリカで提案されております幾つかの改正案では、この期間をさらに短くするとか、産業に被害が必要だという現在の産業被害要件を削るとかいうふうな案になっておりまして、私ども大変遺憾であるというふうに思います。  と申しますのは、現在でもこの三三七条はいわば悪用される向きがあると私どもは感じておりまして、さらにこういった制度のいわば手直し、私どもから見ると非常に困った改正が行われますと、一層それに拍車をかける。特に法的正当性からいいましても、疑いがかけられたというだけではまだシロ、クロが決着していないわけでございまして、多くのケースとは言い切れないかもしれませんけれども、シロになるケースも間々あるわけでございます。したがいまして、適正な法的手続という意味で、現在の三三七条の改正案につい。では私ども非常に強い懸念を抱いておりまして、機会あるごとに私どもの懸念を米側に伝えております。  ウルグアイ・ラウンドの件でございますが、図式的に申しますと、ウルグアイ・ラウンドは先進国側がLDC側に対しまして工業所有権制度の整備を図るという図式になっていると思いますが、私ども日本の立場から見ますと、我が国から見た工業所有権の貿易的側面というのは、単にLDC側にあるのではなくて先進国間にもある。特に、先ほどの関税法三三七条に見られますアメリカの過剰保護の問題なども当然にこの国際ラウンドで議論されてしかるべきである。それから、先発明主義などによります制度の違いにつきましても、物によりましては貿易上の制約になる面がございますので、こういったものも考えていかなければならないと思います。もちろん、LDCの保護不足の問題、それによります不正商品貿易が行われているという実態がございますから、これについても是正を求めていかなければならないというふうに思います。両面作戦でまいりたいというふうに思っております。  それで、LDCに対して単純に工業所有権制度の確立を迫るというだけでいいのかという点でございますが、私は迫るべきであると思いますけれども、ただ迫るだけではLDCとしてはうまく対応できないと思います。  一つには、やはり我が国がその適例だと思うのですけれども、工業所有権制度の確立は、それによって外国を利するのではなくて、当該国の経済発展あるいは技術開発、産業発展の基盤をつくるという意味合いがございますから、こういった意味合いについて日本は一つのサンプルとして御理解いただいて、ぜひともその意義に目覚めていただくようなアプローチ、それから、これを導入するにいたしましても、人材の養成から始まりましていろいろな助力が必要でございます。こういったものについて日本は大いに協力をしていくべきであるというふうに考えております。  経済協力の必要性については、私どもも、特許庁という枠からは若干外れると思いますけれども、大いにこれを進めていくべきである、工業所有権制度の整備は、逆に言えば、またその裏側として、技術移転を促す基礎的な制度になり得るというふうに考えております。

二見伸明公明党・国民会議

○二見委員 以上で終わります。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 野間友一君。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 限られた時間でありますけれども、三点ばかり質問したいと思います。  最初にお伺いしたいのは、国有特許のライセンス契約の問題であります。  既に御承知のとおり、六十年の十一月一日、工業技術院の所管の国有特許を包括的にIBMに対しましてライセンス契約を結んでおります。恐らくこういう国有特許に関して包括的なライセンスの契約は今度が初めてだと思いますけれども、工技院にまずその点の確認と同時に、一体今までの契約と今度の包括的契約、いわゆるその包括的というのとはどこにどういう違いがあるのか、この点も含めて明らかにしていただきたいと思います。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 速記を起こしてください。  中川政務次官。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 IBMと工業技術院の間で結ばれました包括ライセンス契約についてのお尋ねでありますが、IBMはかねてより通産省に対し、工業技術院所管の情報処理関連の国有特許、全部ということではございませんで、情報処理関連の国有特許を包括的にライセンスするということを希望していたわけであります。  この国有特許を適正に管理しつつ、国の研究成果を積極的に内外企業に移転する上で、包括的なライセンスの供与は妥当かつ効果的と我々は考えておるのであります。また、日米間の経済・技術交流の一層の円滑化に資するものであるため、IBMと包括的ライセンス契約について合意することといたしたわけでございまして、工業技術院所管の国有特許について専用実施権を有する財団法人日本産業技術振興協会とIBM社との間で、昭和六十年十一月一日、契約が締結をされておるわけでございます。  以上であります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それでは、工業技術院の方が来たようですから、初めからお聞きしたいと思います。  IBM社に対して、工業技術院が所管する国有特許約七百件について包括的にライセンス契約を結んだということなんですけれども、この包括的ライセンス契約というのは国有特許については恐らく初めてだと思うのですね。そのことの確認と同時に、包括的というのは今までの個別のライセンス契約と一体どう違うのか、その点についてまず明らかにしていただきたいと思います。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 先生御指摘のとおり、これは国有特許としては初めてでございます。  従来、個別の契約におきましては、個々の特許の内容につきまして検討の上、実施の効果等を勘案いたしまして契約することになっておりますけれども、この包括ライセンスの場合には、今先生御指摘のふうに、多数の特許を全体として包括的に使用を認めるというものでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 初めてなんですよね。まさにパッケージ、包括的ですね。俗な言葉で言いますと一山幾らとか言いますけれども、大変な問題が含まれておると私は思うのですね。  今度の包括的なライセンスの中身ですが、いろいろ調べてみますと、例えば大型プロジェクトのうち、光応用計測制御システム、科学技術用高速計算システム、次世代産業基盤技術研究開発制度のうちの超格子素子とか三次元回路素子、あるいは耐環境強化素子の開発成果、さらに、これまたコンピューターメーカー六社等でつくっておる技術研究組合に対する補助事業でありますが、超LSI開発の成果、こういうものが全部含まれておるわけですね。それは事実のようですけれども、まずその点の確認を求めたいと思うのです。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 先生御指摘の大型プロジェクトの研究成果によります特許、例えば科学技術計算用の高速コンピューターあるいは三次元素子、いわゆる次世代産業基盤技術のものもその中に含まれております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 私も、いつでしたか当委員会でもやったのですけれども、コンピューターあるいは半導体素子の関係で一体国がどれだけこのメーカーに金を出したのか、これはずっと数字を拾いましてやったのですが、おととしですか千九百億、それからずっと追加されておりまして、トータルしますと一九六二年から今日まで約二千二百億の国の金が投入されておると承知しておりますけれども、間違いありませんか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 先生のおっしゃるように、約二千二百億近くになっていると思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 先ほども言いましたけれども、この中には大変いいものがたくさん含まれておるわけですね、これは国民の税金と日本の研究者の最高頭脳、本当に心血を注いでやっとできたものですから、ここから生み出された国有特許約七百件、これもすぐれたものというふうに私は評価しておりますけれども、いかがですか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 私どもといたしましても、十分にすぐれた成果であると思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そこで、これは当委員会で私ども共産党が常に今まで言ってきたことですが、何でそんな大きなところにこんなに国の金を出すのかということをずっと言い続けてきたわけですね。それに対して通産省はどういうふうに今まで答えてきたかといいますと、要するに、IBMというのはまさにガリバー的な支配ですわ、これに対しては、国が金をつぎ込んで、それで新しい技術をうんと発展させなければならぬ、そのためにはやむを得ないんだというのが大義名分で、今も工技院の方が認めましたけれども、わずか二十年の間に二千二百億の膨大な金が投入されて、その結果貴重なすばらしい結果が生まれてきたわけではありますけれども、このお金を出す理由については、その大義名分が、今申し上げたように、ガリバー的な支配に対して、我が国の技術をうんと国が力を入れてやらなければならぬのだということを今まで言い続けてきた。これがお金を出すことについての一つの理屈、大義名分であったのですね。  しかし、今度パッケージで全部だだっとわずか一社、世界の最高のコンピューターメーカーに全部ライセンスを包括してやるということは、今までの技術開発政策を根本から変えたと考えなければならぬと私は思うのですけれども、その点はいかがなんですか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 今回、包括ライセンスのお話でございますけれども、個々の特許がその企業の製品のいろいろな意味の利益にどのように反映されるかということについては、これはまた研究成果の優秀なこととは必ずしもそのまま当てはまるものではないというふうに考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 しかし、もう繰り返しませんけれども、金と頭をうんと使って、しかもその金は国がどどっと出した、それでできたものが、貴重な成果がパッケージでやられるということはやはり我々の感情からして許されない。これは今までの政策そのものをころっと変えた、外圧に屈したということすら言えるというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。  順次聞いていきますが、大蔵省はお越しですか。  特許について、これは国有財産法なりあるいは財政法上どういう扱いを受けておるのか、特に実施権を供与する場合これはどういうようなことになるのか、基準があればお聞かせいただきたいと思います。

川信雄大蔵省理財局国有財産第二課長

○川説明員 国有財産法第二条第五号に特許権が規定されておりますけれども、これは、特許法の定めるところによりまして権利の設定登録がなされ、国の所有となっているものを指しております。  現在、国有の特許権は昭和六十年度末におきまして九千百八十九件ございますが、そのうちの大部分は、行政目的に供されていない普通財産として管理されているところでございます。  行政財産として管理されている特許権につきましては、国の行政目的を遂行するためのものでありますので、その目的を妨げない限度で、使用収益の許可により実施を許諾することとしております。また普通財産であります特許権につきましては、発明を一般に普及させる観点から、必要に応じて実施を許諾することとしております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 その際、ライセンスを出す場合、これは適正な対価というのは当然必要だと思いますけれども……。

川信雄大蔵省理財局国有財産第二課長

○川説明員 財政法第九条に、国の財産は、適正な対価なくしてこれを譲渡または貸し付けてはならないという規定がございまして、国有財産の譲渡等につきましては適正な対価で行うということになっております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうですね。だからこそ当委員会でも随分私たちは問題にしたのですけれども、例の基盤技術研究センター等々の開発とかあるいは研究交流促進法、こういうものの中で無償ないしは低廉な価格でということを法律に特に定めなければならないということは、逆に言いますと、適正な価格で対価を得てこれを開放するということを今も大蔵省は認めたわけでありますけれども、そのとおりだと思うのですね。大蔵省はもう結構です。  そこで特許庁にお伺いするわけですが、この適正な対価でということももう一つの原則になると思いますが、国有特許を開放する場合に、非独占、非差別、それから正当な実施料の徴収というのが原則になっていると思いますが、その点。  それと同時に、特許庁長官は通牒を出しておりますね。「国有特許権実施契約書」、これはガイドラインになると思いますけれども、間違いありませんか。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 御指摘の実施契約書と申しますのは、こういうことでございます。  昭和二十五年二月二十七日付で、各省庁が保有する国有特許につきまして民間等にこれを実施許諾するという場合に、その統一的な運用が図られることが望ましいということで、御指摘の国有特許権実施契約書というものを作成をいたしまして、特許庁長官通牒で各省庁に通知しております。この契約書と申しますものは、国有特許の実施契約の際の標準例となるようないわばひな形でございまして、実施契約に当たりまして通常盛り込まれるべき実施料の算定方法でございますとか、両当事者の権利義務でございますとか、そういった諸条項をまとめたひな形でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それは順次改正しまして、最終が昭和四十七年二月九日、これは特総八十八号ということになっていますね。一番新しいものですね。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 そのとおりでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 私もここに持っておりますが、これは、今も特許庁の方からも話がありましたけれども、実施許諾について可及的に各政府機関の統一を図る必要性からつくった。これについては各関係する省庁担当者の連絡会議も開きまして、そこで協議をして、その上で決めたものだということが前文にも書いてあるわけです。  そこでお聞きするわけですが、工業技術院、今回の包括的なライセンス契約、これは、今も特許庁の方から話がありましたが、いわゆる運用基準、ガイドライン、これに基づいてやったものかどうか、いかがですか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 IBMとの契約は、先ほど申し上げましたように、特定分野の特許を包括的にライセンスするものでございますため、特許を個別にライセンスするようなほかの場合のように、特許庁長官通牒に述べられた実施契約書様式等をそのままの形で用いることはできませんが、通牒の考え方に十分留意しつつこれを基準として契約事務を行ったところでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 特許庁、この契約書、ガイドラインですが、これには包括的なライセンス契約、そういうガイドラインというものは全くないわけです。個別の、各個の特許に関してどういう形で契約するのか、国民の貴重な税金ですから、これをどう使うのかということは非常に厳密に書いてありますけれども、包括的なライセンスというのはこの中にないわけですね。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 先ほど申し上げました実施契約書のひな形は、今申し上げました個別の実施契約を想定してつくったものでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そうすると工業技術院、あなたのところも特許関係は大変多い。文部省、科技庁等々、そのうちで工技院が一番多いと私は思うのです。しかも貴重なものです。ところが、せっかく皆さんが参加してつくり、その皆さんがオーケーしたものに基づいて出した特許庁長官の通牒、こういうものに基づかず、工業技術院が何で今の包括的なライセンス契約を結ぶことができるのか。みずからが了承してつくったものをみずからが破ったということになるんじゃないですか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 特許庁長官通牒で述べられております実施契約書様式等をそのままの形では用いることができなかったわけでございますが、その考え方については十分留意しつつ、それをまた基準として契約事務を行ったところでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それでは中身について順次お聞きしていきたいと思います。  この契約書、今申し上げたように個々の特許、この特性に基づいてそれぞれがいろいろな中身の契約を結んでいくということであるわけで、特にその中で私が問題にするのは、包括的な契約そのものが今申し上げたようにかつてなかった。しかもそのひな形すらなかった。特に「実施料算定方法」、これを見ますと、基本額、これは算定方法がありますね。それから実施料の率は、基準率、利用率、増減率、開拓率、いろいろな項目がありまして、これに従ってきちっと出していくんだ、金が非常に大事でありますから、こういうことが書いてあります。  しかも、例えば基準率を見ますと、これは一つ一つの特許について上中下の評価をする。「販売価格を基礎とする場合」には、実施価値が下のものが二%、中のものが三%、上のものが四%。それから「価格又は価値の増加或は利益金額を基礎とする場合」、これはそれぞれ上中下の順に言いますと三〇%、二〇%、一〇%、こういうのがあるわけですね。つまり国有特許のライセンスについては、このように一つ一つの特許を正確に上中下の評価をして、そしてその実施の料金を決めていくというのが、まさにこれは統一したガイドラインなんですね。ところが、先ほどのパッケージの場合には約七百件、私もこれは資料をもらって驚いたのですけれども、大事な特許が約七百、特定されていないわけですね。これはまあ別にしても、こういう乱暴なことでやられるということは許されないと思うのですが、どうなんですか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 個々の特許の実施契約につきましては、それぞれの特許が特定の製品にどのように使われるかというふうなことが、先生今御指摘のようなやり方で算定ができるわけでございますが、包括ライセンスの場合には、どのようなものにどのような割合でそれが使われるということを特定することは難しゅうございます。しかしながら、これまでのいろいろな実績を勘案いたしまして契約をしたところでございます。  それから件数につきましては、約ということで先生おっしゃいましたけれども、これは現時点でもちろん特定の数に決まっておるわけでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 この算定方法、こういう形でやるんだ、これはいろいろ書いてあるわけでしょう、つくっておるわけです、皆さんが寄って。ただ、これは包括的なものだからこれに基づかない、こういうことでしょう。今まで国有特許で包括的なそういうライセンスの契約を結んだのは今度初めてですよ。ですから、国民の税金で生み出した貴重な価値のもの、こういうものについてパッケージでできるかどうか。これは別にして、万が一できるとした場合でも、それでは一体基準をどうするのかということを決めるのが当たり前でしょう。それを決めないで、勝手に工業技術院が七百の一山幾らでIBMに対して供与する、開放する、これは許されると思いますか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 先ほど申しましたように、個々の特許の役割というものを十分に算定することが困難な場合であると私どもは考えております。  それから、この契約自体は内外無差別の原則で、だれでも使えるという、本来そういう性質のものでございますので、特定の企業にそれを実施させるということが即問題になるというふうなものではないというふうに思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それは本末転倒の考え方なんですよ、いやしくも、あなたの個人の金で開発したものならともかくとして、あるいは民間企業が開発したものならともかくとして、国民の税金でつくったものですよ。それをどのようなお金で供与するかということは最大の問題ですよ。だからこそ大蔵省も言うように、これはまさに普通財産の場合準貸し付けですから、これについてはきっちり適正な態度をとらなければならぬ、こうなるわけです。それに基づいてその具体化が、特許について言いますとこの通牒なんですよ。だから、もし包括的なライセンス契約をするような場合であれば、その場合には一体どうするのかということを基準をつくって、その基準に照らし合わせて個々の契約をするのが当たり前でしょう。そういうものをせぬままに、まずとりあえずIBMと。あなたは非差別だと言いましたけれども、まさに差別でしょう。個々の、IBM一社に対してこういう契約を結んで、それに合わせて取り決めをするということになりますと、まさに靴に合わせて足をつくるというたぐいになるのじゃないですか。こんなでたらめなことが許せるのですか。みずからつくった規則を破るのですか。それでいいというのですか。特許庁どうですか。

照山正夫特許庁総務部長

○照山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この国有特許権実施契約書というのは、このように契約を結ぶことを各省庁に強制をするというものではございませんで、実施契約を結ぶ場合にはこういうようなひな形を標準として参考に供するという趣旨でつくったものでございまして、これの説明に当たりましても、この契約書どおりでは不便な場合、あるいはこの契約書の範囲に入らないといったような場合には、この契約書を参考としながら必要な条項を設ける等によりまして適宜対処をするのだということもあわせて説明をしているところでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 その際に適正な対価の保証があるのかないのか。担保するものはないわけですよ。これは工技院、あなたは勝手に言うけれども、客観的な基準なしに適正適正と言ったって、そんなもの通るはずないですよ。そうでしょう。だから、そういうガイドラインが本当に必要であれば、これは関係者皆寄ってつくるべきなのでしょう。それもつくらぬままに一社に対してすることは許されないと思うのです。  と同時に、では一体幾らでこれを開放したのかということを何ぼ聞いても言わない。これは六十年の十一月ですね。それで「工業所有権実施状況」、この資料をもらいました。これによると、国有特許の開放による対価が年間大体二億数千万ですよ。これは六十年の十一月です。毎年年度末までには納付しなければならぬというのが法律でも決められているわけですね。そうすると、六十年度についていいますと、十一月から三月まであるわけです。この実施状況を見ますと、六十年度全体で三億七百万です。五十九年度を見ますと二億七千五百万です。そうすると、推測できるとするならば、この差額がIBMから入ったライセンス料かというふうに思わざるを得ないと思うのです。これは本当にどういうことなのですか。二千二百億円以上もかけて開発した貴重な成果、これがまさにただ同然じゃないですか。これはどうなっていますか。トータルならトータルで幾らに決めたのか。これは今申し上げたやっとの関係はどうなるのですか。

飯塚幸三通商産業省工業技術院長

○飯塚政府委員 私どもが行っております研究開発プロジェクトの成果は、もちろん工業所有権という形での成果もあるわけでございますけれども、それだけではなくて、成果を公表するというふうな形で広く一般にもその成果が利用できるようになっているわけでございまして、必ずしもそのような金額の差が全部それに充当されるというふうには考えておりません。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 まともに答えられないでしょう。私が申し上げておるのは、これだけたくさん国民の税金で金を投入してつくった貴重な成果をパッケージで渡して、しかも、では一体幾らのライセンス料かというと、今も明らかにしないでしょう。辛うじて今の数字から考えますと、わずか数千万円、もっと足らぬかな、そんな程度なのですよ。だから、もともと国が基準をつくっておるように、一つ一つの特許の評価、上中下に分けて、それでそのパーセントを基準に決めておるわけでしょう。そういうもので評価せぬままにパッケージでやるとこうなるわけですよ。  IBMといいますと、日立に対しても富士通に対しても松下に対してもいろいろな形でクレームをつけて、特許なりあるいは知的所有権絡みのいろいろな紛争、摩擦を起こしているわけでしょう。何かちょっとあるとがっと言ってくる。ところが一方、こういうようにがばっとパッケージでと言ってくる。それに対して、今まで何にもやったこともない、規則もないのにそういうでたらめなことでこれを一括的に供与する。まさにアメリカなりIBMの圧力に屈してこういうことをしたと言わざるを得ないと思うので、これは許されないと私は思うのですよ。  きょうは大臣がおりませんのであれだけれども、私はきょう検査院を呼んでおると思いますが、こういう点も含めて、検査する場合にガイドラインも中心に含めて、果たして適正な価格でこれが供与されたものかどうか、これを十分検査するべきだと私は思いますが、いかがですか。

小川光吉会計検査院第五局通商産業検査課長

○小川会計検査院説明員 会計検査院としましては、ただいまいろいろ御論議があったことを十分念頭に置きまして、慎重に今後の検査に臨みたいと考えておるところでございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 指摘を踏まえて慎重に検査をするということですから、ぜひそのとおりお願いしたいと思います。検査院、もう結構です。  それでは、特許法の問題についてお聞きするわけですけれども、これも午前からずっと論議がありましたので重複は避けたいと思いますが、まず改正案の前提としてお聞きしたいのは、アメリカのいわゆる先端技術分野での政策についての他国に対する強制というか、強引なやり方の問題であります。  そもそも知的所有権の保護についての国際的なルールあるいは準則といいますとパリ条約がありますね。これによりますと、それぞれの国がそれぞれの法律を持ち、その適用に際しては内外人を区別しない、これはまさに内国民待遇であります。ところが、最近のアメリカのやり方を見ますと、まさに相互主義、これを押しつけてくるというのが特徴だと思うのですね。今までも当委員会でも例のチップ保護法とか、あるいはその他コンピューターのプログラムの著作権、いろいろな問題がありました。今度の八七年の包括貿易法案あるいは競争力の強化法案、これを見ましても、相互主義を盛り込むというようなことで相当大きな圧力がかけられておるわけですね。だから、このこと自体がパリ条約の趣旨にも反するし、まさにそれぞれの国の主権、自主性を侵害するものだと言わざるを得ないと思うのですけれども、こういうアメリカのやり方についてどういうふうに考えておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 ウルグアイ・ラウンドを開始する、そして知的所有権問題をその中心テーマの一つに取り上げるという点については各国間の長い交渉がございまして、ようやくあの閣僚宣言に盛られたような形でウルグアイ・ラウンドで決まったわけでございます。  その背景にございますアメリカ側の姿勢の問題といたしましては、私が感じますところでは、アメリカの貿易収支がなかなか思うに任せない、大幅の赤字の解消のめどが立たない、アメリカの産業全体としての競争力の低下が痛感されている、そういう背景のもとにおきまして、アメリカにとってみずから非常にすぐれていると考えている知的所有権の分野で、いわば世界的に権利保護が十分に行われないためにアメリカの国際競争力が十分に発揮できないというようなところを踏まえて、このウルグアイ・ラウンドでイニシアチブをとってきたものだと思います、  アメリカの態度はそういう点が確かに感じられるわけでございますが、我が国を含め先進国全体、そしてまたその先進国と協調あるいは共存関係にありますLDC全体にとって、長い良好な貿易関係というのを考えますと、こういう知的所有権分野におきますもう少し高い水準での保護が必要であるということについては、ガット・ニューラウンドに参加する各国に共通の認識があるものというふうに思うわけでございます。  パリ条約との関係におきましては、野間委員御指摘のように、パリ条約ではどちらかといえばコンセンサス方式で、それはそれとしてすぐれたやり方であるというふうに思うのでありますが、同時にまたコンセンサスでありますがゆえになかなか事がはかばかしく運ばないという側面もございまして、ガットという一つの国際貿易のいわばスタンダード、そしてそれに伴う紛争処理手続の整った機関でこの問題を取り上げる。問題としては知的所有権そのものではなくて、知的所有権の貿易的側面を取り上げるというようないわば権限、交渉能力の配分が行われているものというふうに思うわけであります。  同時に、この閣僚宣言ではWIPOのイニシアチブを妨げてはならないというふうになっておりまして、WIPOの形態あるいは程度についてはなお関係各国に異論があるわけでございますが、何らかの協調を得て進めるというふうになっていると承知いたしております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 関税法の三三七条については先ほどから同僚の委員からも質問がありましたけれども、これもひどい話ですね。国内法に基づいて大統領権限で一方的に水際で遮断するわけでしょう。これはひどいので、さすが日本政府もこれは認めないという形で先ほどからも答弁がありましたので、これは断固として、こういうものについては国際的なルールに違反しますから積極的に取り組んでいただきたい。これは次官いかがですか。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 関税法三三七条の問題につきましては、日本政府としては数次にわたる最近の国際会議におきましても持ち出しまして、アメリカにこのような措置をとってもらっては困ると強く公式会合でもたびたび発言をしておるところであります。私も、先般ガットの二十一カ国貿易大臣会議というのがニュージーランドのタウポでございましたが、参りまして、やはりこの問題について公式会合でも発言をいたしましたし、また非公式の会合でもECのドクレルクさんと会談をしまして、こういう問題を認めてはならぬということでお話をしました。ECも同じ立場でございまして、公式会合でもEC代表から日本政府と同じような発言があったところでございます。今後とも引き続きまして精力的にこれについては対応してまいりたいと思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 多項制の改善の問題についてお伺いしたいと思います。  これは、今から十二年前ですか、昭和五十年の当委員会で私はかなりこの問題を執拗に取り上げて質疑をした記憶がありますけれども、昭和五十年のときも、要するにこれは国際化に対応するということで多項制を導入するんだということを言い続けてきて、論議の中でもそう言ったわけですけれども、結局実際にはそうでなかった。基本は単項制で、実際の中身のない形だけの多項制だったということがはっきりしたと思うのですね。だからこそ、今度こういう改正をせざるを得ない。  ちなみに、去年の十月十五日の東京高裁の判決がありますわ。この中でも、政府が多項制の根拠としておりました実施態様項、これは必須要件項を説明するものであって、単独では審査の対象になり得ないんだということが判決の中でも言われておりますね。だから、昭和五十年のときに多項制、多項制と言ったけれども、これはまさに破綻したわけですよ。裁判所がこれは認めなかったわけですね。だからこそ今度は多項制への移行ということで今度の改正になったと思いますけれども、これは今まで私が指摘したことを踏まえてあのときちゃんとやっておけばいいものを、強弁して今日までほうっておいたということで、私は当時の特許庁長官もけしからぬと思うのですけれども、そのあたりについていかがなんですか。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 制度それ自体は、単項制の場合は極めて明快に単項でございますが、多項制につきましてはいろいろ幅があり得るわけでございます。  昭和五十年当時は、野間委員御指摘のように、国際的な問題、特許協力条約締結といったような問題がございまして、そういう多項制の考え方を取り入れなければならない、権利保護という面でも取り入れなければならない。同時に大正十年以来の単項制の改善であり、そういう単項制のもとにおける出願の慣行なりあるいは物事の考え方なりが定着している、そういう環境下におきまして多項制をどのように取り入れるかということを当時真剣に検討されたわけでございまして、実施態様項は必須要件項にいわば付随するものであることは事実でございますが、多項制と言われる中にはこういった形のものも含まれるわけでございまして、当時としてはその技術なり社会の発展段階に即応し得るものというふうに考えてきたわけでございます。  ただ、その後におきます技術開発の進歩、内容の複雑さ、高度化、こういったものにこたえるためには、やはり現在の多項制のもとでは十分でないということが明確になり、また国際的にもその改善が求められるに至っておりまして、今回は欧米並みの多項制に改善するというふうに考えておるわけです。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 だから人が要求したり質問したことをきっちり素直に受けとめてやらなきゃだめだと思うのですよ。  私が判決と申し上げたのは「六〇年行ケ第四九号審決取消請求事件」、これは東京高裁ですね。この判決理由の中ではっきり言っておるわけでしよう。「実施態様項の記載は必須要件項の記載の解釈の資料となるに過ぎない。」そう言っていますよね。そのとおりなんですよ。だからちゃんと素直に、余り強弁しないで、やはりきっちりしておかなきゃだめだし、しておったらこんなことはなかったと思うのですね。  時間がありませんから次に進みますけれども、たくさんあるのですが、先ほどもありましたけれども、要するに非関税障壁というようなことでこれからうんと来る危険性があるのは審査期間が長いという問題ですね。それをどうするのか。審査期間、これについてアメリカは一九八二年に中長期計画を立てまして、ここではペーパーレス計画と同時に審査官の増員をやりまして、これをずっと実行しておりますね。増員について見ますと、一九八二年から八五年にかけて八百七十五名を新規に採用する、その後も一年間で八十名程度を新規に採用する。これは特許関係です。商標についても、八一年から八三年、毎年三十名程度増員し、その後二十名程度毎年増員する。だからペーパーレス計画と同時にこうしてうんと増員しておるわけですよ。当たり前ですよね。  特許庁からもらった資料を見ましても、日本の場合には審査官一人当たり物すごい過重負担になっていますね。大変なことです。アメリカに比べて物すごいですね。だからペーパーレス、これは一方ではやむを得ない、やるということと同時に、それじゃ人間が要らぬかといえば、そうじゃなくてやはりたくさん要るわけですよ。だから、せめてアメリカのいいところは学ばなきゃならぬと思うのですね。これはいろいろ定数減等々の問題がありますけれども、これは非常に大事な問題ですから、せめてこのくらいのことはアメリカに学ぶということは大事だと思うのです。これは積極的に増員を我々も要求しますけれども、要求して、本当にふやさなければ、今のままだったらこれからまだうんと審査期間が延びると思いますが、いかがですか、見通しも含めて。

黒田明雄特許庁長官

○黒田政府委員 審査期間の長期化は貿易摩擦にもなりかねないという点については、私どももそのように思っておりまして、そのためには、とりあえず短期的な施策としては早期審査の道を開いたわけでございます。もし海外あるいは国内にあります外国企業で早期審査を求めるものがあれば、一定の要件は必要でございますけれども、通常の案件に先立って審査をするという方法を認めておりますので、こういった点で摩擦の緩和になり得るものと思いますが、根本的に審査期間をより短縮化すべきであるという野間委員の御指摘には私どもも同感でございます。そのためのツールは、増員も確かに必要でございまして、私どもはこの点について格段に努力をしていかなければならないというふうに思っております。  それ以外の、例えば出願の増加に対しまして、その量より質への転換を求める、出願なり審査請求なりの厳選を求めるという意味で適正化施策をやるとか、それに特許制度の運用面におきます各種の効率化のためにペーパーレス、それに民間活力の応用などもあわせて考えてまいりたいと思っております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 これは特許庁が出しております六十二年度「特許行政の現状」、この中にもありますように、一人当たりアメリカでは八十七件。八五年ですね、これは。それから、日本では一人当たりの処理件数は二百二十件です。西ドイツは五十七件、英国は百七件ですね。日本ははるかに多いわけです、処理件数が。それでもアメリカはペーパーレスと同時にこれだけうんと増員しておるわけでしょう。これは当たり前だと思うのですね。ですから、必要なところには必要な人間を配置する。これは当たり前ですからね。我々もうんと要求しますから、次官、大事な問題ですから、やはり技術立国ですから、うんと増員要求しなければならぬと思うのです。我々も一緒にやりますから、いかがですか、その答弁を求めて終わりたいと思います。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 中川政務次官、簡潔にお願いします。

中川秀直自由民主党通商産業政務次官

○中川政府委員 午前中もお答えしましたが、本問題については我々も相当の決意をもってやっていかなければならぬと思っております。  以上で答弁とさせていただきます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 終わります。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特許法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 この際、本案に対し、田原隆君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。田原隆君。

田原隆自由民主党

○田原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。     特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、最近における工業所有権制度をめぐる内外の諸情勢の変化を踏まえ、工業所有権制度の国際的調和の進展に積極的に取組むとともに、特許行政の健全かつ効率的な運用と審査要処理期間の短縮化並びに特許情報提供サービスの改善等を図るため、ぺーパーレスシステム構築計画を着実に推進すべきである。   また、特許出願及び実用新案登録出願についてのいわゆる多項制の改正について、出願人等関係者にその周知徹底を図りつつ、特許行政実務の円滑な処理に支障を生ずることのないよう審査基準等運用方針を明確にするとともに、技術革新の急速な進展等に迅速かつ的確に対処するため、審査・審判機能の充実、強化等に一層努めるべきである。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  田原隆君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤通商産業大臣臨時代理。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後行政を進めてまいる所存でございます。     —————————————

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

佐藤信二自由民主党

○佐藤委員長 次回は、来る十八日月曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十五分散会      ————◇—————

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