環境委員会 第3号
- 発言数
- 249 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1987/05/22
会議録
○林委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
○杉浦委員 杉浦でございます。 政府御提案の、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律につきまして、あるいは若干時間がございましたら関連する事項につきまして、幾つか御質問をさしていただきます。 この法律は、いわゆるワシントン条約の実施に関連する法律でございますが、そのワシントン条約の前文には、野生動植物は「地球の自然の系のかけがえのない一部をなすものである」というふうな認識が示されているところでございますが、私はもっと広く、人類も地球の自然の系の一部である、そういう意味で人類と野生動植物の世界が共存していかなければいけない、そういう地球であるべきだと考えているものでございます。いずれにしてもワシントン条約の精神には私は賛成であり、野生動植物の保護を図ることは私どもの使命であるというふうに考えておる一人でございます。この点につきましては、恐らく反対をなさる方はいらっしゃらないであろうと思われるところでございます。そこで、幾つか質問をさしていただきます。 まず初めに、この法律の趣旨でございます。昨日御説明のあったところでございますが、ワシントン条約は、御承知のとおり絶滅のおそれのある野生動植物を保護するため、国際協力によってその取引を規制するということを日指しているものでございます。今回日本において、その国内取引を規制する本法案を提出されるに至りました背景というものはどういうものか、御説明を願いたいと思います。
○古賀政府委員 今先生がおっしゃいましたように、野生動植物の種の保存を図るためのワシントン条約と申しますのは昭和四十八年に採択をされまして、我が国も昭和五十五年にこの条約に加入いたしまして、絶滅のおそれのある野生動植物につきまして輸出入の規制を行ってきたところでございます。しかしながら、国内における取引規制がないために、違法に輸入された疑いのある動植物が国内で自由に取引されることが問題となる事例も見られたわけでございます、例えばキンクロライオンタマリンでありますとかアジアアロワナ、ヤシオウムといったようなものが社会問題になったわけでございます。そこで、ワシントン条約に加盟する先進国の一員として、野生動植物の保護のために、こうした事態を是正することが強く要請されてきたのでございます。 本法案は、こうした状況にかんがみまして、過度の国際取引による絶滅のおそれのある野生動植物につきまして、国内における譲渡規制などを行うとともに保護のために必要な措置を講じまして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存の徹底を図ろうとするものでございます。そのことによってワシントン条約のより確実な履行を図るという趣旨のものでございます。
○杉浦委員 我が国は昭和五十五年に条約に加盟したという御説明がございました。また一方において、提案されているような法律がないために、絶滅のおそれのある野生動植物を輸入したり販売したりする者がおるというような御説明があったわけでございますが、従来からもワシントン条約加盟後は実施体制が国内でもとられていたと思うのでございます。それらの実施体制と、今度の法律により設けられる体制との関係はどうなっておるのでございましょうか、御説明願いたいと思います。
○古賀政府委員 今申し上げましたように、我が国が昭和五十五年にワシントン条約に加入いたしまして以来、条約に基づく輸出入の規則は外国為替及び外国貿易管理法、いわゆる外為法でございますが、この外為法と関税法により行われてきたところでございまして、それとともに、条約上の管理当局は通産省と農林水産省、科学当局は環境庁と農林水産省がそれぞれ分担してこの条約の履行に当たってきたところでございます。 さらに、条約のより適正な実施を確保いたしますために、関係七省庁から成りますワシントン条約関係省庁連絡会議を開催いたしまして、次のようなことを決めたわけでございます。一つは、従来原産地証則書でよかったものを輸出許可書へ切りかえるということ、それから輸出国の発給する書類につきまして、必要に応じて外交ルートを通じて問い合わせや確認を行うということ、それから通関時におけるチェック体制を強化すること、こういったような改善措置を講じてきたところでございます。この法案は、国内における希少野生動植物の譲渡等の規制を行うものでございまして、今までの水際規制の措置、それから最近通産省がおとりになりました水際規制の強化対策、こういったものと相まちましてワシントン条約のより効果的な実施が図られるものと考えております。
○杉浦委員 今申された連絡会議、七省庁でございますか、この連絡会議で本法律について御検討はなされておられるわけでございますね。
○古賀政府委員 昭和五十九年十月のクアラルンブールにおきますところのアジア・オセアニア会議におきまして、日本に対する対日非難決議が採択されたというような事態を受けましてこの関係省庁連絡会議が持たれたわけでございますけれども、自来、今申し上げましたような幾つもの改善措置を講じて今日に至ったわけでございます。さらには、このたび御提案いたしておりますこの法案につきましても関係省庁連絡会議で検討をし、意見の調整を図ってまいっているということでございます。
○杉浦委員 関連して伺いますが、この法律が仮に施行された場合の人員の増とか予算とか、そういう面での手当てはできておるのでございましょうか。
○古賀政府委員 この法案は予算非関連法案でございますので、直接予算の執行にはかかわっておりません。若干の予算は計上しておりますけれども、組織、人員につきましての御要求はいたしておりません。しかしながら、私ども環境庁の職員がこの法律の実施に当たるわけでございますけれども、さらには管区行政監察局の職員、これは環境庁の所掌事務の範囲内につきまして環境庁長官の指揮監督を受けるということになっておりますのでその環境調査官、それらの管区行政監察局に配属されております環境調査官の協力を得るというようなことを考えております。
○杉浦委員 本法の対象となります希少野生動植物は政令において定めるというふうになっておるわけでございますが、どのようなものを政令で定められる御予定か、これは重大な問題だと思いますが、その考え方について御説明を願いたいと思います。
○古賀政府委員 希少野生動植物というのがこの法案におきまして規制対象となるものでございますけれども、譲渡等を原則として禁止するということになるわけでございますので、その範囲というものは基本的にはワシントン条約上の取り扱いと合わせる必要があるというふうに考えております。 ワシントン条約の上では、附属書Ⅰに掲げられておりますものが国際的な取引が原則として禁止されておる。Ⅱ及びⅢに掲げておりますものは、輸出許可書などがあれば国際流通は自由であるという取り扱いになっておりますので、そういうワシントン条約の規定から見まして、附属書Ⅰに含まれる種が中心になるものと考えております。しかし、附属書Ⅱ、Ⅲに含まれるものでありましても、すべての原産国がその輸出を禁止しているなど、附属書Ⅰと同視できるものにつきましては附属書Ⅰと同様に扱う必要があると考えております。したがいまして、要するに附属書Ⅰが中心となりまして、それに合わせまして附属書ⅡないしⅢに含まれておるけれども、原産国が原則としてと申しますかすべての原産国が輸出を禁止しておる、そういうものも加えまして政令で規定をいたしたいというように考えております。 なお、これらの希少野生動植物の範囲につきましては、関係省庁と十分協議して定めてまいりたいというふうに考えております。
○杉浦委員 この法律とは直接関係がないのかもしれませんが、また考えるとすれば別途の方策を考えなきゃいけないのかもしれませんが、絶滅のおそれのある野生の動植物の保護ということにつきましては、取引の制限だけでなくて、もっと根本的にはそういう動植物が生息している場所を保護すること、生息地の保全あるいは捕獲の規制といったことを行わないと意味がないということは見やすい道理だと思うのでございます。我が国におけるトキが絶滅に瀕しておるということもそうでございますが、そういった自然の保護、動植物の生息環境の保全まで踏み込んだ規定は本法では無理かもしれません。しかしそういうような規制と申しましょうか、考えていかなくちゃいけないのではないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○古賀政府委員 先生の御指摘のとおり、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図りますためには、その生息地の保全や捕獲の規制を行うことが重要であることは識者の一致した意見でございます。そこで私どもといたしましては、自然環境保全法でありますとか鳥獣保護法などといった既存の法制度を活用いたしますとともに、文化財保護法を所管する文部省ほか関係省庁と緊密な連携をとりまして、野生動植物の生息地の保全や捕獲の規制に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○杉浦委員 本法につきましては、先ほど背景として、我が国の国民の一部が、諸外国から希少動植物を輸入したり販売したりして非難を浴びていることが一つにあったというふうに伺ったところでございますが、本法成立を私は望むものでございますけれども、成立した場合に相当の覚悟を持って環境庁が取り組んでいただく必要があると思うのでございます。環境庁長官の御決意のほどをお伺いしたいと存じます。
○稲村国務大臣 長官の決意ということで今先生からの質問でございますが、過度の国際取引により絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることは、国際社会の一員として我が国の重要な責務であったわけでございますし、もう本当に責務と感じなければなりません。本法の施行によりまして、国内における譲渡規制等を行うとともに、保護のために必要な措置を講じ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護の徹底に全力を挙げてまいりたい、それが我が国の務めでありますし、国際社会に対する責任である、こう確信しております。
○杉浦委員 ひとつぜひとも大いにお力を尽くしていただきたいと思います。 関連いたしまして二、三御質問をさしていただきたいと思います。 ただいま環境庁長官の御決意にございましたように、こういう問題は国際社会において日本が果たすべき役割の一つであろうかと思いますが、私どもは、地球的規模において環境保全というものをこれからともに考えてまいらなければならないと思う一人でございます。この法律がワシントン条約のより効果的な実施のために成立するとすれば一歩前進だと思いますけれども、さらに私どもは二歩も三歩も前進してまいらなければならないと考えておるわけでございます。視野を広く持った場合には、皆さんも御承知のとおり、釈迦に説法でございますけれども、熱帯林の破壊ということが問題になっておりますし、砂漠化が急速に地球上に進行しておるということも言われておるところでございまして、一口に申して、地球の環境が破壊されつつあるという事実があるわけであります。希少動植物に限らず、人類を含めました生物の存在にとって、環境こそ非常に重要な要素であるわけでございます。私どもはともすれば目先の利益にとらわれまして、共有の財産でございます環境に気を配らないということになりがちでございますが、地球的規模において環境問題に世界が協力していく、その一員として日本が積極的な役割を果たしていくことが重要なことではないかと思う次第でございます。 それにつきましても、先ごろ日本におきまして国連環境特別委員会が開催されて、その報告書の取りまとめもあったというふうに聞いております。この問題に関する関心も国の内外において高まっておるということでございまして、まことに喜ばしいことと思います。そこで、この国連の環境特別委員会におきまして国際的な自然環境の保全、保護ということについてどのようなことが議論され、どのような方向に相なっておりますか、御説明願いたいと思います。
○山内政府委員 去る二月に東京での最終の会議を持って、当日は東京宣言という形で公表され、その後この委員会の報告書がまとめられた、私どもいわゆる国連環境特別委員会と言っておりますが、これらの議論の経過について御説明したいと思います。 この委員会の発足のいわれは、もう先生方御承知のように、既に五十五年代に、時の環境庁長官が総理からの指示で地球的規模の環境問題についての懇談会を発足させていただき、具体的には五十九年でございますか、これまた日本の正式の提案によりまして、最終的には国連総会で設立が決められた委員会でございます。今申しましたように、環境特別委員会と言っておりますが、委員会の名前はエンバィロンメントとデベロップに関する世界会議ということからもわかりますように、実は当初からこの委員会の論議の目的は、二十一世紀に向かって持続的な開発も可能にしつつ、一方で地球的規模の環境保全もしっかりやらなければいけないという、開発と環境保全との兼ね合いを中心に議論しようという賢人会議として発足したわけでございます。したがいまして、非常にいろいろな立場や地域からの賢人を交えた議論でございましたので、いろいろな角度からの議論もあったようでございます。 まず第一は、今申しましたような未来にわたる持続的な開発を可能とするような環境保全の戦略のためにどんな国際協力が必要だろうかという点が第一点。 それから第二点として、人口とか資源とか、いわゆる狭い意味の環境対策だけではなくて、世界の人間が生活し続けていくあらゆる物的な条件の中で環境保全上のゴール、目標を何らかの形ではっきりさせられないか、この二点を主な役割として出発したわけでございます。 結論的には、非常に大部な報告書でございますので、私自身もすべてを読了したわけではございませんが、今後の国際協力のあり方についてはかなり具体的な提案もありまして、これは実は特別委員会のレポートで決まるというよりも、これを踏まえて国連の環境保全計画、UNEPの意思決定があり、さらには秋までには国連の総会において、今後の国際協力のあり方について大きな枠組みをどうするかという議論がなされるわけでございます。 二番目に申しました人口とか資源、環境のいろいろな意味での保全目標については、私の理解では必ずしも数量的な目標、ゴールが設定された、そこまで煮詰まらなかった面もありますが、これは今申しました国際協力のあり方を模索する中で、これからは目標を定めて、ゴールを定めて地球的規模の環境保全戦略を進めなければいけないということを非常に強調した報告になっておるわけでございます。かいつまんで申し上げますと、そういう内容のレポートが出されたというのがこの特別委員会の経過でございます。
○稲村国務大臣 杉浦委員の御質問ですが、今官房長から経過を報告いたしまして、責任者である私からお答え申し上げますが、国連環境特別委員会は、地球環境保全のために世界が手を携えて直ちに行動を起こすことを強く求めておるものでございます。 私は、我が国の環境保全分野における技術と経験を生かし、開発途上国に対する環境技術協力を一層強化するとともに、日本がUNEPのような国際機関の活動により一層大きな役割を果たせるよう積極的に努力してまいりたい、こういう強い考えを持っております。
○杉浦委員 ぜひとも御尽力願いたいと思います。 日本は世界経済の、いわゆるGNPの一割を担っておるという経済大国になった国柄として、また余り名誉なことではございませんが、公害については先進国でございます。そういう苦い経験を積んできた国として、地球全体について積極的に貢献できる立場にあると考えておるわけでございますが、現在の国際協力の様子を見ますと、いわゆる要請主義と申しますか、先方の要請があってそれを受けて検討する、協力していくというのが基本になっているやにお見受けするわけでございます。私は、こういう環境問題については、もちろん要請があればそれを受けて立つということは大事なことでありますけれども、むしろかくあるべしということを、もちろん押しつけるという意味ではなくて提言をして受け入れていただく、つまり要請を引き出していくという積極的な態度、方針が国として必要なのではないかと考えておる一人でございます。この環境問題は、政府としては環境庁が窓口におなりになるべきだと思うのでございますが、そういう意味での積極的な国際協力を日指されることをお考えになっていただきたいと思うのでございます。長官、いかがでございましょうか。
○稲村国務大臣 今の先生の御意見、本当にそのとおりだと思います。発展途上国の姿勢は、簡単に言えば食糧、道路あるいは学校というように、そういうものにすぐきて、大きな意味で環境を考える余裕というものがまだありませんので、日本も援助の仕方が、JICA等先般来いろいろ問題になっておりますが、そういうJICA、外務省関係出先機関、環境庁からもアタッシェが出ておるわけでございますから、向こうの発展途上国が何を要求し、またこちらからは、どういうふうにしたらその国がよくなるか、ジャングル等々を簡単に燃やさない、あるいは砂漠化の問題等々、日本のいい意味での技術協力、日本の知恵、経験が生かされるような方向で、今杉浦先生のおっしゃったとおりの方向で日本が協力していくことが好ましい、こういうふうに思います。
○杉浦委員 環境庁のそういう面での積極的なお取り組みをぜひともお願いする次第でございます。 時間がなくなってしまって残念なのですが、こういう希少動植物の保護あるいは地球的、国際的な環境の保全ということも大事でありますけれども、私は初当選させていただいて環境委員にならせていただいたのもその一つのあれがあるわけでございますが、むしろ私どもの生活しているスペース、家の周りに、希少動植物に限らず動植物がなくなりつつあるのではないか。特に大都会、都市化現象が著しい都市の周辺ではそれが著しいのではないか。最近都市アメニティーということが言われ、良好な生活環境の保全ということが叫ばれるようになってまいったわけですが、せんじ詰めてまいりますと、ヨーロッパやアメリカにはあるわけですが、日本にはない。住んでいる近くに小さな公園があったり清流があったり林や森がある、そういうものが特に大都会の場合にはないということが問題なのではないかと思うわけでございます。 将来に向かって、内需拡大が叫ばれ、日本人がもっと豊かな暮らしを求めなければいけないのではないかと言われておるわけですが、公園をつくっていくのではなくて、消え失せつつある雑木林を保全するとか、そういう身近な自然の保全、保護に環境庁としてもっと十分なお取り組みを願いたいと感じておる一人でございます。時間がなくて大変恐縮でございますが、そういう希望を申し述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○林委員長 岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 日本はワシントン条約に一九七三年に署名して、一九八〇年十一月から発効になったわけでございます。こういうところで申し上げるのも恐縮でございますが、条約の批准に関連いたしまして、今は亡き古賀元上野動物園園長さんと当時の大来外務大臣と談判をいたしまして、日本政府に批准という方向に踏み切っていただきました。その批准に際して、関係団体が幾つかございまして、これに対する危惧の念や反対の気持ちの表明がございまして、それらの団体との話し合いや調整についても及ばずながら手伝わせていただきました。そういう意味では、国内法の制定というのは私にとって数年来取り組んできた課題でもございますし、ここまでたどりついてきたことに対して、環境庁長官あるいはこの点に関しての中曽根総理の御努力に対して私は敬意を表したいと思います。なかなか大変だろうと思いましたけれども、ここまで来たことは、いいことはいいこととして率直に歓迎をしておきたいと思うわけでございます。 ただ、言わせていただきますと、これはいろいろ問題が出てまいりまして、細かいところまで申し上げるつもりはございませんが、私自身が本委員会を通していろいろ問題視してきたことについては、この際やはり申し上げておかなければならないと思いますので、それらの点に触れて質問してまいりたいと思います。 条約に署名してから何と十五年という歳月が流れているわけでございますが、ようやく国内法になったわけで、長い間国内法というものがないために、国際的にもさまざまな批判を浴びるだけではなくて、環境庁自身もさまざまな困難を体験なさっておられたと思います。この点について環境庁長官の所見を伺っておきたいと思いますので、御答弁を煩わしたいと思います。
○稲村国務大臣 私ども、六、七年前から、先生が御自分でいろいろ御努力をされ、国会で叫ばれていることを承知しておりまして、まずもって深甚なる敬意を表します。 この問題は、自然保護局でも法案作成まで各省庁とのいろいろなすり合わせ等すごいエネルギーをかけて、先生が今言われた、いいことはいいこととして決断を持って進むことが行政である、そういう方向が今一番求められている大事な問題なのだろうと思いまして、私もきょう、この法案の審議に非常に感激を持って臨んでおるわけですが、先進国として、過度の国際取引による絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることが国際社会の一員として我が国の重要な責務である、当然のことながらこれがなかなかできなかった。本法の施行によって国内における譲渡規制等を行うとともに、保護のために必要な措置を講じ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護の徹底に全力を注いで、先進国として本当に頑張らねばならない、こう思います。
○岩垂委員 稲村長官から今真摯な御答弁をいただいたわけですが、前の杉浦委員も御指摘なさっておられましたが、最近日本経済が急速な発展を遂げてまいりまして、いわゆる貿易摩擦の問題が深刻になっています。最近外国を訪れた経験をもってしても、あるいは外国人と話をしたその話題の中でも、貿易摩擦の根本にあるのは確かに数量の問題、まさに集中豪雨的な輸出にかかわる貿易のインバランスの問題があることは事実でございます。もう一つ大きな要素として見過ごしてはならないのは、急速な経済発展ということに対して、いわばある種のおごりみたいなものが日本人の気持ちの中にはびこってきてはいないだろうか。見ようによっては傲慢な日本人というふうにさえとらえられかねない、そういうことを私なりに心配いたします。そういう点では、これからの日本の発展ということを考えたときにも、ある種の国際的なモラルに対する厳しさ、自分自身に対する厳しさ、同時に国際世論に対する謙虚さ、そういうものが差し迫まって大きな問題になっていると私は思うわけでございます。そういう観点から考えますと、このワシントン条約の批准、そして国内法の整備というのは、率直に申し上げて時間が少しかかり過ぎたなあというふうに思っているところです。 内容を拝見しまして、これに賛成しようか反対しようかと迷う面もございました。しかし、皆さんに大変御努力をいただいたことに対する私の気持ちをもってすれば、我が党としてはこれに賛成をし改善をしていくということも必要だし、この法案が、政令が制定されるプロセスを通して私たちの危惧や心配がなくなり、より充実されていくという見通しも期待しながら、そういう意味で賛成という態度をとりたいと思っているところです。 もう一つ私が心配なのは、もしここで私どもが反対ということになって、例えば継続審議とかになっていけば、その間における駆け込み輸入というふうなこともこれまた国際的な批判の的になるわけでございまして、正直なところいささかの戸惑いはあるわけですが、きょう金子部会長もおられますけれども、そういう決断をいただくことになりました。そういう立場に立って、これから政令をつくっていく過程を含めて、私として担保しておきたい幾つかの点について質問をしておきたいと思います。 第一は、第二条で「過度の国際取引による絶滅のおそれのある野生動植物で政令で定めるもの」と定義をしております。具体的には、報道によりますと、条約の附属書Ⅰの四百九十二品目、そして附属書Ⅱ、Ⅲのうち、原産国が輸出を禁止しているヤシオウムということだそうでございます。つまり、附属書Ⅰの種が主体でございますが、この点は間違いございませんか。その点を確かめておきたいと思います。
○古賀政府委員 現在私どもが考えております希少野生動植物の範囲を定める政令と申しますのは、今先生が御指摘になりましたように、ワシントン条約附属書Ⅰを中心にするということを考えております。 その理由は、ワシントン条約で国際的取引が原則として禁止されておりますのは附属書Ⅰであるということでございますので、その条約の趣旨にのっとりまして、国内におきましても、譲渡等の禁止を行いますものはこの附属書Ⅰの範囲を中心にする。しかしながら、附属書ⅡまたはⅢでありましても、原産国のすべてが輸出を禁止しておるというようなものにつきましては、これは附属書Ⅰと同視すべきものであるという考え方のもとにプラスをいたしたいということでございます。この同視すべきⅡないしⅢに属する種というものはどのくらいあるかということにつきましては、これからが主でございますけれども、現在作業をいたしまして洗い出しをいたしたいということでございます。
○岩垂委員 それならば、これも後でお尋ねをしますが、過度の国際的な取引、ワシントン条約は別に過度ではないのですね。絶滅に瀕しつつある動植物のということになっているわけですから、一方の法律で「過度の」というふうにおつけになった意味は、うがって言えば過去に過度の取引があって絶滅のおそれがあるという場合もあるだろうし、あるいは現在過度の取引が行われているというケースもあるだろう、あるいは将来、国際取引によって絶滅のおそれがあるというふうなこともあるだろうという意味では、この定義がとかく問題になる危険性があるというふうに私は思うのです。例えばこの問題で裁判になったというふうなときに、「過度」とは一体何だ、その認定はどういう形でしていくんだという争点さえ持ち得るだろうというふうに思うので、私は本来「過度」というのは要らないという主張をしたいつもりなんですけれども、その点についてのある種の有権解釈を示しておいていただきたい。もうこれ以上言いませんけれども、そうしませんとこの問題はいろいろな問題をはらんでくる危険性がある。だからこの御答弁を煩わしておきたいというふうに思います。
○古賀政府委員 先生御指摘になりましたように、「過度の国際取引による」という表現を使いましたのは、これはワシントン条約の前文にそのことが明記されておるということでございまして、ワシントン条約の趣旨を体してそのような表現をとったということでございます。 附属書Ⅰに属しますものにつきましては、これは条約にも定義がございますように、「絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるもの」、こういうことでございますから、もう既に、現に絶滅のおそれのある種である、こういうことでございます。 附属書Ⅱというのは、これはワシントン条約の定義では、「現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がされないようにするために」云々、こういうことでございます。したがいまして、附属書Ⅱというものは将来のおそれというものを念頭に置いて、これを絶滅の危機から救おう、こういう考え方でございます。したがいまして、「過度の国際取引による」という言葉は、過去のものもそれから現在そういう状態であるものも、それから将来のものも含むということでございますので、これは御懸念のようなことはないというふうに思います。それからこれはワシントン条約の趣旨をそのまま引き移したといいますか、その条約の趣旨にのっとって規定されるべきものであるというふうに考えております。
○岩垂委員 ここは実は論争があるのですが、余り論争に入ってしまいますとこれからの問題、この法律の精神、いろいろな意味で有権的な解釈につながってしまうおそれがありますから、あなたの今の答弁を私信頼をしておきたいと思います。 ただ、附属書ⅠというものもⅡ、Ⅲというものも、実は確かにⅠが商業取引が禁止されているという項目でそれに当てはめたとおっしゃるものの、やはり絶滅のおそれがある、あるいは放置すれば絶滅のおそれがある、あるいは締約国が捕獲や採集を禁止して取引を取り締まる、その他の締約国の協力が必要だという意味で、もう釈迦に説法ですから申しませんけれども、絶滅に瀕しつつある動植物を保護するという観点でⅠ、Ⅱ、Ⅲがあるわけでございますから、そういう意味でいいますと、このⅠ、Ⅱ、Ⅲを分類した背景にある根本的な精神というものを見失っては困ります。この点は十分踏まえてのお立場だというふうに理解してよろしいのですか。
○古賀政府委員 先生おっしゃいますとおり、ワシントン条約の趣旨を十分体して国内法が立案され、運用されるべきものと考えております。
○岩垂委員 日本は締約国なんですから、その義務として年次報告書を条約事務局に出すわけですね。これは一九八五年のものでございますが、これは報道されている取引件数のほとんど、実はおよそ九八%でございますけれども、附属書Ⅱの種にかかわるものだということが報道されています。この附属書Ⅱというのは、七日十五科四十八属及び百九十九種が対象となっているというふうに言われていますが、もう一遍ちょっとお尋ねしますが、そのうちいずれが法律の対象になるのかお答えてきますか。
○古賀政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、附属書Ⅱまたは附属書Ⅲに属するものでⅠと同視すべきものと申しますのは、これはこれから洗い出しをいたしまして検索をし、または場合によっては外交ルートを通して外国への照会を行いながらこれを特定してまいりたいということでございますので、現在、Ⅱに属するものについてどのくらいあるかということはこの時点におきましてはお答えできかねるというような状況でございます。
○岩垂委員 Ⅲについても同じですか。
○古賀政府委員 同様でございます。
○岩垂委員 それでは、この際ですけれども、例えば附属書Ⅰのほとんどとほんの一部の附属書Ⅱが対象になるということになったとすれば、先ほど私言いましたように、附属書Ⅱが取引をされている九八%だということを言いましたけれども、その部分というのは抜けちゃうわけですね。つまりその意味は、条約が対象としているもののほんの一部しか実は専門の法律によって取り締まることはできない、担保されないということになってしまうわけで、どうも考えようによっては残りの部分というのは、何となく法の及ばぬ抜け道を合法的につくることと同じような意味を持ちはしないかというふうに実は心配するのです。だから、これは条約の立場からいうと必ずしも誠実な態度ではないというふうに私は言わざるを得ません。したがって、附属書Ⅰ、Ⅱ、そしてⅢに掲げるすべてを対象にすべきだというふうに思います。そう思いますので、今これから政令をつくっていくプロセスを含めて、どのような形でこの目標に向かって前進をしていく努力といいましょうか、どういう形で実現を考えているかということを御答弁いただいておきたいと思います。
○古賀政府委員 この法律に基づきます政令で一たび希少野生動植物として指定と申しますか、希少野生動植物になりますと、国内流通が原則として禁止されるわけでございます。したがって、ワシントン条約の附属書Ⅰというものを中心として決めるのが条約の精神にのっとったものであろうというふうに考えるわけでございます。 これはもう既に先生よく御承知のように、附属書ⅡないしⅢと申しますのは、輸出国の輸出許可書があれば国際流通は自由でございます。したがいまして、国内におきましてもこれは流通を認めざるを得ないということでございます。ただし水際におきまして厳重なチェックをする、そのチェックを経たものでありますれば国内への流通は認めるというのが条約の趣旨ではないかというふうに私どもは理解をいたしております。
○岩垂委員 そこはかなり論争が残るところだろうと思います。だからその点は私が今申し上げた立場というものを配慮の上で、政令その他についての御努力を賜りたいというふうに申し上げておきたいと思います。 それから、これは私が経験したことですから申し上げるのもちょっとおこがましいのですが、例の輸入の規定がございませんね。これは例のキンクロライオンタマリンの件で大分皆さん御心労を煩わせたわけです。輸出許可書に基づいて国内に持ち込んだわけですが、これはその後インチキな輸出許可書だということがわかって、条約違反の取引だということもわかっていたのに、実際は輸入手続が合法的だということで返還のプロセスにもなかなかたどり着かなかった。輸入取引が合法的だと言われればそれまででございまして、そうなりますと、輸入してしまったらにせの証明書であろうと何であろうと結局アウトかということになってしまって、違法行為を合法化する心配が現実にあるわけであります。これらの点について、一体どんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。 例えば、たしかことしの三月でございましたけれども、新聞にも出ておりますが、日本貿易月報輸入実績で、コロンビア原産と称するワニ皮が五千二百三十三キログラム輸入された。これは私、国会で問題にしたことがございます。ところが、コロンビア政府に問い合わせたところが、コロンビア政府は許可していないということがはっきりした。一方で入るときにはそれなりの書類がついているわけです。入っちゃったわけです。だから、これは虚偽の書類であることは間違いないのですが、通関のときには虚偽であるかどうかということはわからないのです。しかし、その後原産国が許可していないということがわかった、あるいは輸入を許可した後に違法性が、違う形を含めて判明したというときに許可を取り消すということを規定して、そしてそれが国内法の中に規定をされていれば、この間のキンクロライオンタマリンのような場合は、結局処理する方法というものが割と簡単だった――割と簡単とは言いませんけれども、この間よりも簡単ではなかっただろうかと思うのです。だから、この問題についてどうやって対処なさるおつもりなのか、つまり輸入に関する規定がないというのはどういうことなのかということについて御見解を承っておきたいと思います。
○古賀政府委員 これはワシントン条約を批准いたします際に政府部内でいろいろ議論されたわけでございますけれども、実施に必要な野生動植物の輸出入に関する規定と申しますのは、既に外国為替及び外国貿易管理法及び関税法により行われておったわけでございます。本法案では、それらの法律との二重規制を避けるというような意味から、輸出または輸入の規制の対象とはしないということにいたしたわけでございます。輸出入の管理、水際規制というものは、これはあくまでも外為法、関税法の系統である、一たび国内に入ってきた場合の流通規制をこの国内法が受け持つという役割分担で、この両方が両々相まってワシントン条約の確実な履行が図られるのではないかということでございます。
○岩垂委員 通産省が五月九日から、いわゆる水際規制を強化したことは大変いいことだというふうに私は思います。条約事務局から輸出を禁止している国として通達が来ている国々がございますね。幾つぐらいの国がそういう連絡がございますか。時間が若干あると思いますから、例えばここ四、五年というふうに考えていいと思います。
○鳥居原説明員 お答え申し上げます。 CITESの事務局から原産国として輸出禁止をしているという通知をしてきているのは、現在までに十八カ国ございます。それぞれについて我我といたしましては、先ほど先生がお話しになりましたような新しい措置を講じたわけでございますので、現在当該国あるいはCITESの事務局に再確認という行為を並行してやっております。
○岩垂委員 鳥居原さん、コロンビアは条約事務局から連絡がございましたか、通達がございましたか。
○鳥居原説明員 コロンビアについては、事務局から通知はいただいていません。
○岩垂委員 さっき言ったワニ皮ですけれども、結局ノーコントロールなんですよ。だから私、ちょっと調べてもらったのです。条約国の輸入協力要請というものは一九八〇年からこの方というふうにちょっと時間が長いのですが、五十六通以上来ているという数字を調べてもらいました。だからこれは大変なことだと思うのですけれども、法律できちんとしませんと、水際といっても正直なところ限界があると私は思うのです。だからこの辺は環境庁、やはり今後の課題としてぜひ念頭に置いていただきたいというふうに私は思います。 もちろん両面作戦が必要であることは申すまでもございません。そこで水際、この法律をつくっていく過程では環境庁だけではなくて、通産も外務もみんな御努力をいただいたものですから私は外務省にお尋ねをしておきたいのですが、今例えば通産から外務省に問い合わせて、外務省が関係各国に連絡をしてやっていくというルートをやっているわけですか、そういう頻度といいますか状況というのはどんなふうになっているか、ちょっとお答えをいただきたいというふうに思います。
○金子説明員 お答えいたします。 御指摘のとおりこういう方法につきましては、外務省といたしましては通産省とも連絡を密にいたしまして、外交チャネルによる事前確認の照会に積極的に協力してまいっております。事実、事前確認制移行後、当方からの外交チャネルを通ずる相当量の照会を既に行っております。
○岩垂委員 それぞれの国というのは割合に誠実に対応してくれていますか。それは外交関係ですから、余り露骨には言えないと思うのですが。
○金子説明員 我々の外交チャネルを通ずる照会に対しまして、相手国からは誠実な回答を得ております。
○岩垂委員 その点、条約事務局が通達というか連絡というものに対してきちんと対応していくというシステムを、今外務省からお聞きして安心をしたのですが、通産の側でもぜひ御努力をいただきたい。そうしないと、いわゆる水際規制というものがきちんとした体制になり得ないというふうに思いますので、その点をぜひお願いしたいと思います。 水際規制に関連をいたしまして、これまでも大変御努力を重ねてこられたことに対しては心から敬意を表したいと思うのですが、今みたいに対象国が十四カ国ということになってしまって、それ以外のところ、つまりコロンビアは入ってないわけですから、片方ではコントロールできるけれども、片方ではコントロールできないというふうな問題があるわけでございまして、やはりこれはこういう法律をつくって規制をしていくことが必要だと思うのです。輸入がにせの証明書で許可されて、その許可を取り消すというようなことは今ではできないわけですが、法律できちんとしないとなかなかやりにくい。税関に据え置くというようなことを含めて問題があると思うのですが、その点はどうですか。
○伊東説明員 ただいまの点でございますけれども、大蔵省、税関としては、関税法によりましてこの取り締まりを実施しておるわけでございますが、関税法はあらゆる輸出入取引を規制するといいますか、そういうものでございますので、仮に輸入取引を一般的に輸入許可後に取り消すということになりますれば、取引の安定性ということにも問題があろうかと存ずる次第でございます。
○岩垂委員 にもかかわらず、法律できちんとすればそれはやらざるを得ないことなんですから、これは法律の方に問題があると私は思うのです。 ただ、税関は入ってくるルートを少し少なくして監視を強めていくというシステムができたわけですけれども、今の陣容や体制で十分かどうか。あるいは税関自身がある程度専門的な知識を持っていただかなければどうにもならぬわけですから、その辺の関係について御答弁がいただけたら大変ありがたいと思います。
○伊東説明員 税関におきましては、ワシントン条約の規制を効果的に実施するために、従来から輸入通関監視を限定いたしましたり専担職員を配置するほか、識別図鑑等必要な資料の整備に努めるなどの措置を講じてきた次第でございます。 しかしながら、税関の業務は、ワシントン条約の輸入規制の確保に加えまして貿易量の伸展、あるいは出入国旅客の増加、あるいは社会悪物品の取り締まり等々業務量が年々増大かつ複雑化しているわけでございまして、このような業務量の増大、複雑化に対応するために、従来から事務の重点化を図り、機械化等による業務運営の効率化に努めているほかに、要員の確保につきましても、厳しい行財政事情のもとではございますけれども関係当局の理解を得べく努めてきておりまして、今後ともそのような方向で努力してまいりたいと存じます。また、ワシントン条約の重要性にかんがみまして、税関職員の研修でございますとか、関係職員への識別用スライドの整備あるいは図鑑等の配付などのほかに、関係当局との協力によります識別ネットワークの充実などによりまして、引き続きワシントン条約に関するチェック体制を強化してまいりたい、このように考えている次第でございます。
○岩垂委員 今のような形で水際規制を強めていただかなければならぬと思うのですが、条約の八条は、古賀さんもう御準備だと思いますけれども、「締約国のとる措置」の中で、特に「違反に係る標本の没収又はその輸出国への返送に関する規定を設けること。」というのがございますね。これは必要条件だと私は思うのですけれども、キンクロライオンタマリンの話にまた戻しますが、返還をするといったって、国民的な募金ということも含めてWWFJが返還資金の圧倒的な部分を負担していただいて、送る費用まで含めて民間がこれを持ったという形になるわけですね。けれども、今申し上げた筋道からいえば、没収または輸出国への返還に関する規定というものが必要ではないだろうか。この法律にはその点がないのですけれども、この点はどのようにお考えになるおつもりか、お尋ねをしておきたいと思います。
○古賀政府委員 返還の規定から申しますと、条約上は、原産国に、希少な絶滅のおそれのある野生動植物を没収などをした場合に返還をすることは義務づけられていないということでございます。それから、さらには返還の規定を設けることも必ずしも要件とはされていないというふうに私どもは理解をいたしております。それから、さらにはその返還の規定がなくても返還ができるということでございますし、原産国に返還することが、没収などされました野生動植物にとってよろしい状態なのかどうかということは必ずしも一概に言えないのではないかということなどがございますので、返還の規定は特に明記をされていないということでございます。 しかしながら、国内法の十三条には、「関係行政機関の長は、法令の規定により国庫に帰属した希少野生動植物について必要な措置を講じなければならない。」ということが規定されておりますので、この「必要な措置」の中には輸出国への返還が含まれるということでございますので、この規定によって輸出国への返還はできるという仕組みになっております。 それから、没収でございますけれども、没収はこの法案では刑法に基づきますところの主刑に付加される付加刑としての没収、それによることにいたしております。 さらに、では必要的な没収の規定を設ける必要があるのではないかというような御議論に対しましては、必要的な没収規定を設けるというのは所持まで禁止をしている場合にほぼ限られるわけでございますので、この絶滅のおそれのある野生動植物について、国内法で所持まで禁止するというのはいかがなものかということでございますから、必要的な没収規定を設けることも法制上難しいということでございます。 さらには、行政的な没収ということが考えられますけれども、それは未成年者飲酒禁止法でありますとか喫煙禁止法などといったごく少数の立法令、しかもこれは戦前の法律でございますけれども、そういうものに限られておりますので、これは行政機関が没収を行うというようなことはいかがなものかということでございます。 さらには、強制的な徴収、動産を対価を払いまして強制的に徴収するというようなことも考えられなくはございませんけれども、これは災害時などの緊急的な場合にのみ認められるということでございますので、これまたとり得ないというようなことでございます。 るる申し上げましたけれども、そういう法制度上の問題がございますので、没収の規定もあえて規定をいたしておらない、刑法の没収規定にゆだねることにした、こういうことでございます。
○岩垂委員 十三条の規定を指摘されまして、それに含まれている要素が多いという御指摘でございますね。十三条というのは、これは法律要綱で拝見をしたのですが、適切に飼養管理できる施設に収容、あるいは教育や識別の目的に使うところに譲渡というふうなことしか述べられていないのですね。そうじゃないですか。あれは古いやつですか。
○古賀政府委員 十二条三項です。
○岩垂委員 その辺は私、今御指摘をいただきましたけれども、それは国庫へ没収した後のやつですね。そこの今の話がありますけれども、法律上かなり難しい面はあるにしても、この間キンクロライオンタマリンの経験を言うと、何とも靴の裏から足をかくような感じになってしまうのですね。これはしようがないものですかね。やはりその点は、没収などについて民法や他の法律の体系の問題がございますから簡単にはいかないかもしれませんけれども、ある程度はっきりしておかないと、何か問題になっているにもかかわらず何にも手がつけられない、違法状態が続くということに手を打つことができないのではないだろうかと思いますので、もう一遍その辺の御答弁をいただきたいと思います。
○古賀政府委員 先生のおっしゃる内容それからお気持ち、それは十分にわかるわけでございますけれども、今申し上げました法律制度上の問題がございますので、それを規定することは非常に難しいということになったわけでございます。国内法ができますれば、規制対象となります希少野生動植物に該当いたします野生動植物は、一たび国内に入りますと譲渡が原則として禁止されるわけでございますから、今まで国内法がなかったときに比べましてそこに大きな規制が行われる、無許可で譲渡をしたというような場合には六月以下の懲役または三十万円以下の罰金という罰則がかかるわけでございますから、今までの国内法がないときの状態に比べましてはるかにそういう事例は減ってくるであろう、もし違反した場合には法律違反に問われまして処罰され、それに伴って没収が行われることが期待されるということでございますので、刑法上の没収の規定でもこれは十分有効に機能するのではないかというふうに考えております。
○岩垂委員 これは刑法上の問題がありますから、ぜひその辺についての御配慮を賜りたいというふうに思います。 けさも新聞に出ておりましたけれども、アジアアロワナの捜査あるいは摘発に対して、愛知県警のみならず警察庁全体としてだろうと思いますけれども、初めての経験ですから敬意を表したいと思いますし、ちょうどまさにくしくもワシントン条約、国内法の議論が行われているさなかでございまして、タイミングがかなりいいなという感じでございまして、そういうことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、けさ新聞を見てあれあれというふうに思いました。 ちょっとお尋ねしておきたいのですが、捜査はかなりしんどかったと私思うのです、理場の人に聞かなければわからないかもしれませんけれども。そういう問題点、もしありましたらお聞かせをいただきたいということが一つと、それから取り締まりの法文や根拠、これは言うまでもないのですけれども、ぜひ明らかにした上で御答弁を煩わしたいというふうに思います。
○緒方説明員 お答えいたします。 お尋ねの事案につきましては、現在愛知県警において関税法違反容疑で三名を検挙して捜査中でございます。その事案の概要を申し上げますと、自称貿易商が、ワシントン条約により商業目的に輸入禁止されている熱帯魚アジアアロワナ約二十匹を、昭和六十一年九月ごろ、新東京国際空港から密輸入したものでございます。これまで何回も密輸入していると思われますので、その点について今捜査を進めております。また、アジアアロワナを密輸入されたものであることを知りながらこれを買い受けた販売業者についても捜査を進めております。 それから、捜査上の苦労または教訓でございますけれども、この種の事案につきましては、一つは組織的かつひそかに売買されておりますし、しかも不正輸入されたものの移転が非常に速い、マニアも多いのでなかなか発覚しにくいということでございます。この事件も、どうもおかしいものが出回っているということから端緒を得たものでございます。今後につきましても、密輸入ルート、販売ルートの解明につきまして関係機関とも連絡を密にして適切に取り締まりをやっていく方針でございます。
○岩垂委員 アロワナに限らずそういう問題点がこれからも出てくると思いますし、法律ができてきたときにその法律に準拠してという面もありますけれども、水際規制でということも言っていらっしゃるわけですから、これらの点をぜひ強化していただきたいというふうに思うのです。 そこで、これはやはりプロですか。
○緒方説明員 まだ捜査中でよくわかりませんけれども、プロと同じようなものでございまして、今まで我々が把握しているものでは五、六回と言っておりますけれども、もう少しあるんじゃないかと感じております。末端価格というのは非常に高いものでございますので、プロでなければ入ってこないんじゃないかと思います。
○岩垂委員 捜査の中身に立ち入って恐縮ですが、現地でどのくらいで、それから国内で取引ということになるとどんな価格になるかというようなことを明らかにしていただけますか。
○緒方説明員 輸入した人間から買ったときは、大体二十匹を百数十万で買い入れまして、次の業者でそれが二匹十七万になりまして、それが末端にいくと一匹五十万になるといったような情報があります。
○岩垂委員 現場ではどのぐらいで買ってくるのですか。それは見当つきませんか。
○緒方説明員 外国から幾らで買ったかということは、まだちょっとわかっておりません。
○岩垂委員 とにかく五十万は末端ですから、恐らく非常に安く買ってくるのだろうと思うのです。この種の形でやっていけば、商売が成り立つどころか大変もうかるような仕組みになっていますね。 これは捜査の中身に立ち入っての質問ですから、もし御答弁願えなければいいのですが、認識として、そういうケースが間々あるという御判断をお持ちですか。例えば人数だとか、組織的にとおっしゃったでしょう、そういう意味は、販売のルートとして組織的ということを意味しているのか、あるいはもうちょっと広い意味でそういうことをやっている人が多くて、そして行ったり来たりという計画的なものとして受けとめていいでしょうか。
○緒方説明員 警察が捜査中で全貌はわかりませんけれども、ただ、アジアアロワナの今回の事件につきましては、数府県からこういう話が入っていましたので、輸入した人間はある程度全国的に売っていたのじゃないかという感じがしております。
○岩垂委員 この例でわかりますように、そういうプロがいるわけですね。そして何回か往復をして、そのたびに密輸という形が行われているわけですが、水際作戦を強化していただく、そういう取り締まりをきちんとしていただくということは非常に重要ですが、警察にしてみれば、まさに初めてのケースですから、見るに見かねてという感じだと私は思うのです。もちろんマニアの人々あるいは販売をなりわいとしている人たちのことも頭の中には置いた上でそういうことをやめさせる、警察が介入せざるを得ないところまでいくんじゃない、その前にそんなことをやめさせるという努力がどうしても必要ではないかというふうに私どもは思います。そういうことなどについて環境庁は、この国内法の体制をつくっていく上で何かお考えになっていることがございますか。
○古賀政府委員 まず国内法をつくりまして国内の流通規制を行う。それから、この国内法の中には立入検査等の規定もございますので、それらの権限を行使いたしまして販売店その他のところに立ち入りをするなどいたしまして、そういう不法な状態が起こらないように行政的な努力を続ける必要がある、こういうふうに考えております。
○岩垂委員 私の申し上げているのは、水際規制を強化したから、あるいはこの法律ができたから何かまるきり解決ができたということにはならぬ。今みたいにもうかる商売なら、それをかいくぐっていろいろな形でやっていく人たちがいる。だから、私は一つは国民だと思うのです。この条約を守っていく意味というものを、国内的にも国際的にもきちんと認識させるための努力というものを行政の上でやっていかなければならぬだろう。民間ももちろんそれに協力をしていかなければならぬでしょう。 それから業界がもう一つあると思うのです。業界に対する指導というもの、これは何らかの形で環境庁が、あるいは関連をしている省庁を含めてそういうことに対する自粛を呼びかけていく、ある種の国際的なモラルをきちんと打ち立てていく、そういうことがどうしても必要だというふうに私は思うのです。だから、こういう努力について、これはもし長官が御答弁いただければ結構ですが、そうでなければ自然保護局長でも結構です。実をいうと、具体的に法律の審議を通じて明らかにしていくことも必要ですが、この法律ができる過程でアピールしていく、できた上でさらにこれを政府の立場で国民に対して理解を呼びかけていくということがぜひ必要だと思うのですが、その点についての御見解をいただきたいと思います。
○古賀政府委員 今申し上げましたのは行政的な努力を中心にして申し上げたわけでございますけれども、ワシントン条約並びにそれに関連する諸法律を適正に運用し、かつそれを守るためには国民の理解と協力が不可欠であることは先生の御指摘のとおりでございます。そのために、この法案におきましても十二条で、「環境庁長官は、広報活動等を通じて、希少野生動植物の種の保存の重要性について、国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。」という明文の規定を特に置いておるところでございますので、環境庁といたしましては、広報活動などを通じて国民の理解を深めるよう十分な努力をしてまいりたいと考えております。
○稲村国務大臣 広報活動を一生懸命やりたいのですけれども、少し費用が足らないものですから、そういう点も予算の方で今度頑張って、少し徹底したいなというふうに感じます。先生のお説のとおりであります。
○岩垂委員 もう一つ、例の留保十四品目についてやはり申し上げなければなりません。 いろいろな事情があることは知っていますけれども、実際問題として批准をしたときよりもふえているのです。留保をだんだん外していく努力をいたしますという政府の御答弁を何回かいただいておりますが、その後さっぱりその効果が上がっていない。これは、私はいろいろ問題が残ってくるだろうと思います。困難はわかります。そして、一つ一つのケースで見るとそれなりに問題があるなということを感じないわけにはいかないものもあります。しかし、やはり僕らは減らしていく努力は加盟国としてしていかなければならぬ。この法律についても何回か催促する中でようやく実現されつつあるわけですから、あわせて、この際留保についてどういうプロセス、どういう見通しで考えていくかということについて、環境庁長官に御答弁いただきたいと思います。
○古賀政府委員 大臣が答弁されます前に、事務的に若干御説明させていただきます。 先生御案内のように、昭和六十年三月のワシントン条約関係省庁連絡会議で検討いたしました結果、留保品目と国内法については中長期的な課題とすることを決めたわけでございます。国内法につきましては、おかげさまで今国会提出の運びになりましたけれども、留保品目につきましてはまだ中長期的な課題として関係各省庁で検討を続けておるということでございます。しかしながら、この連絡会議におきまして、使用、輸入数量削減について業界に対して指導する、代替手段の活用についての業界に対する指導も行う、人工増殖等に関する調査研究を行うということについて各省合意をいたしておるわけでございます。方向としては留保品目を減らすということで各省意見がまとまっておるということでございますけれども、その時期、方法等についてまだ合意するには至らないということでございます。
○稲村国務大臣 先生御指摘のとおり、環境庁としてはこれらの対策が推進されて、留保品目が削減される方向でいくことを強く期待しなければならない、こう考えます。
○岩垂委員 締約国会議で留保の効力を決議していますね。「附属書Ⅰの種について留保を付している締約国は、書類及び規制を含むすべての目的のために、これを附属書Ⅱの種のごとく取り扱うこと」というふうになっています。これは通産省の方にもお尋ねしなければならぬのだけれども、実際は留保してあるものについてはこういうことを考えなくてもいいということで、年次報告書の中にもあるいは取引記録の中にも載らない、あるいは相手国の輸出許可書の提出も求めていないというふうに言われています。留保を減らしていく努力というものは今お約束いただいたわけですが、扱いとしてやはり決議を尊重していただかなければならぬのではないだろうかと思います。その点について通産省の御答弁をお願いしたいと思います。
○鳥居原説明員 留保の品目につきましては先生も御承知のとおり、輸入管理という観点で言えば、決議の趣旨を踏まえた形では運用いたしておりません。ただ全般的には、先ほど来自然保護局長が答弁されておりますように、できるだけ早く留保品目の数を減らすという方向で行政的な努力をしなければいかぬというふうには思っております。
○岩垂委員 その決議の扱い。
○鳥居原説明員 現段階では、その決議のとおりを尊重して運用するということはいたしておりません。
○岩垂委員 していないだけでなしに、そのことを検討していただくということはぜひこの際申し入れておきたいと思うのですが、いかがですか。
○鳥居原説明員 決議の趣旨につきましては、我々もできるだけ尊重したいという気持ちは持っておりますので、できるだけそれが尊重できるような環境づくりということでの行政努力をしたい、こういうふうに思っております。
○岩垂委員 まだ御質問したいことがあるのですが、他の党の諸先生も御質問いただくことがございますから、ワシントン条約の国内法についてはこの程度で終わりたいと思います。重ねて申しますが、関係者の長い間の御努力やさまざまな障害を乗り越えてたどり着いた一つの地点について、私はお礼を申し上げたいと思うし、感謝をしたいと思います。 ただ、先ほどから幾つかの面で指摘をいたしてまいりました。これは一朝一夕でできるとは思いませんけれども、その方向に向かって一歩でも二歩でも前進していく、こういう姿勢をお示しになることが必要ではないだろうか。この七月はカナダですか、締約国会議があるわけですが、そういう努力を国際的にも評価をいただけるような国内法の整備であってほしいものだ、あるいは政令の策定であってほしいものだというふうに思います。七月にはどなたが行かれるのかわからぬけれども、たまには環境庁長官御自身が乗り込んでいって、日本の努力はこうでした、問題は確かにありますけれどもこれだけのことをやってまいりますということを国際的にアピールするくらいな決意があっても、問題の重要性から見てちっとも軽くはないというふうに思います。それらの点について今すぐここで返事というわけにもいかぬと思いますが、この問題に対する今後の扱いについて長官の御決意を承りたいと思います。
○稲村国務大臣 岩垂先生の御意見を外しながら、前向きに考えていきたいと思います。
○岩垂委員 関係の皆さん、ありがとうございました。 希少動植物という問題がございます。私、知床の問題に触れて少し質問をしてまいりたいと思います。 実は昨晩、今度新しく町長に当選した午来君とほんの内輪の励ます含みたいな機会でお目にかかることになりました。そこで、これは東京の人たちが多かったのですが、非常に多くの国民と言っていいと思うのですが、人々が知床に熱い思いを寄せているということ、そして現地の皆さんがその熱い思いにこたえるために、あそこの自然環境を守ろうという大変な努力をなさっていらっしゃることをつぶさに承りまして、改めて胸を打たれるものがございました。そういう立場から、最初に林野庁にお尋ねをしておきたいというふうに思いますが、伐採反対を訴えて当選された午来君の当選をどのように受けとめておられるのか、率直な感じをお答えをいただきたいと思います。 実は立候補のときに、若干私も相談を受けまして、どういう結果になるとは思わないような私なりの判断も持ったこともございまして、正直なところかなり恥ずかしい思いをいたしました。それは私自身のざんげというか反省でもあります。しかし、彼を勝たせたものは一体何だったのだろうか。私たちの想像することさえできない非常に強い全国からの熱いまなざしと、それに支えられた町民の一票一票の積み重ねではなかっただろうか、こんなふうに思います。だから、最初に簡単で結構ですから、まだずっと聞きたいと思いますので、所感を承りたいと思います。
○塚本説明員 選挙の結果につきましてコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うのでありますが、ただ、新しい町長さんとは今後十分な意思疎通を図る中で知床の国有林の取り扱いを決めてまいりたい、このように考えております。
○岩垂委員 統一自治体選挙のさなかに警察官まで配備して、そして現場での抵抗を排除して、その上で伐採をした。率直に言って選挙でもなかったら本当に私も現場へ飛んでいきたい気持ちでした。でも地元にいたものですからそれはできませんでした。私は、あの事態を報道で全国の人たちが知らされたというふうに思うのですけれども、みんな心を痛めていると思うのです。その結果というものを私はぜひひとつ皆さんに、特に林野庁の皆さんにしっかり受けとめてほしいなという感じでおります。 ちょっと聞きにくい質問なんですが、五百三十本切ってヘリコプターで運んで集材をしたわけですが、どのくらい費用がかかったのか。そして、今伺うところによると市況は一立米十二万円くらいだそうですが、これが何立米ぐらいになってどのくらいになるのか、利益はどのくらいになるのか。これはまだ精算はないと思いますけれども、十二万円と計算をしていただいておおよその見当の数字をお示しいただければ大変ありがたいと思います。
○塚本説明員 今回の伐採につきましては、先般来行ってまいりました動物調査の結果等を踏まえまして、当初計画を大幅に縮小して実行いたしましたことから、収益につきましても昨年予定いたしておりました約五千万でございますが、かなり下回るものと思われます。 事業実行費につきましてはほぼ三千万というようなことで概算が出ておるわけでございますが、そういうことで、当初考えておりました収益よりははるかに下回る、こういうことでございます。
○岩垂委員 細かい計算をしてないと思うのでそういうふうに申し上げるのは大変恐縮ですが、いわゆる利益ということからいえば二千万まで届かないという感じではないのでしょうか。大まかな見当でいいですが、お答えをいただきたいと思います。
○塚本説明員 またすべての材を販売いたしておりませんのではっきりしたお答えを申し上げるわけにはまいりませんが、二千万には届かないのではないか、このように考えます。
○岩垂委員 細かい数字をここで挙げるとは言いませんが、皆さんが予定をした金額をはるかに下回る、このことだけは事実だろうと私は思うのです。これはお認めになりますか。
○塚本説明員 当初は八百本以上の伐採をするということで計画しておったわけでございますが、先ほど申し上げましたように動物調査等の結果を踏まえまして、それを約三分の二の規模に縮小して事業を実行したわけでございます。したがいまして、昨年来考えておりましたそういう収入予定よりは下回ったことは事実でございます。
○岩垂委員 この伐採をめぐって全国的に報道がされました。そしてこの報道をめぐって全国的に、ある意味で森林というものに対する関心が高まったと私は思うのです。また、林野庁の仕事も大変だなということも、もちろん国民の皆さんはある程度御理解をいただけたのではないだろうかというふうに思います。いわゆる森林というものを経済財として見るのではなくて、ある種の環境財としてとらえていくというような考え方が必要だという国民の理解が、再評価という意味で広がってきたように私は思います。 そこで、私はその古いメンバーの一人ですが、百平米運動というような形で、今大体二万八千人近い人たちが、金額にして三億近いものをそれぞれみんなが出し合って、そして自然を回復させようという努力が行われているその隣り合わせの場所で実は自然が切られてきたわけです。そういう意味では、普通の場所も大変重要だけれども、特に知床について言えば、国民の素朴な願いというものを切り倒してしまったという意味さえ結果的に持っているように私は思います。二千万円程度の収入が林野会計に入ったことと、つまり収入と比べて何と大きなものを林野庁は失ったのだろうかということを私はしみじみ感じます。もちろん、それは幾ら幾らというようなことで計算ができるものではないと思います。しかし、確実なことは、国民の協力と理解がなくては森林は守れない、国土は守れない、もちろん林野行政も支えられない、これだけは私ははっきりしていると思うのです。 そういう立場からいうと、今度の行為というのは国民の期待を裏切ってしまったということをあえて強調しなければなりません。こういう立場を林野庁はおわかりいただけますか。なぜならば、皆さんのお仕事は、もう一遍申しますけれども、国民の理解や協力のもとで進められるということが前提なんですから、そういう立場でぜひわかっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○塚本説明員 知床に残されている貴重な自然を保全することは極めて重要なことであると考えております。このため、北見営林支局の管轄する知床国立公園内の国有林のうち九割以上の森林を、基本的には人手を加えずに将来とも原生的な状態が保全される森林として取り扱うことといたしまして、残りの一割足らずの森林につきましては、自然環境の保全等に十分配慮して、最小限の人手を加えて活力ある森林の造成を行うという中で、木材資源の利用による地域振興を図るという視点に立って、先般その一部について伐採を行ったものでございます。 今後の取り扱いでございますが、これからの施業予定地につきましては動物調査等を行い、その結果を踏まえて取り扱いを検討してまいりたいと思っておりますが、伐採に際して寄せられました国民各層からの意見等に対しましても十分耳を傾けまして、適切な取り扱いに努めてまいりたいと思います。
○岩垂委員 確かに林野庁にも理屈があるでしょう。それから第五次施業といういわゆるスケジュールは承知しています。しかし、理屈と計画も人間がつくるものなんです。政治が定めたものなんです。だからその意味では、私は世論の動向あるいは世論のバランスというふうなものを通してそういう方向を変えていくということは間違っていないと思います。それが私は民主政治の本質だと思います。今度の売上税の問題もまさにそのことを示しているように思います。そういう点で今あなたがおっしゃったように、調査をして切っていきますということを繰り返すだけではなくて、そういう硬直したあるいは官僚的な態度ではなくて、今回の伐採についてさまざまな反応があった、それを教訓として学んでいきたい、まずそういう謙虚な姿勢があっていいのではないだろうか。またすぐ引き続いて切っていきますというようなことではないようにこの際ぜひ御理解をいただきたいと思います。その点について、やめますとあなたが答弁できる立場にはないと思いますが、それにしても、今度の教訓を十分に参考にして、今までの方針について検討を加えていきたいというぐらいな御答弁はいただけないだろうかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○塚本説明員 知床の伐採につきましては、これまで国民各層からいろいろな御意見を寄せられておりますし、また、斜里町でも新しい町長さんが誕生したことでもございますので、そうした意見等につきましては今後とも十分耳を傾けまして対処してまいりたいと思っております。
○岩垂委員 それでは具体的に伺います。 去年の九月二十日、御承知のように斜里町長から要望書が出されています。これは仲介案とも言われました。それはここで一々読み上げるつもりはございませんが、四項目あるうちの一番最後に、「国道三百三十四号線以東の施業については、十分なる調査結果に基づき、斜里町と十分協議の上判断されるよう望みます。」という要望でございます。これは北見営林局を含め林野庁はその立場を了解いたしました。受け入れました。これは林野庁の態度として今日も変わっていないと考えてよろしゅうございますか。
○塚本説明員 変わっておりません。
○岩垂委員 この「協議の上」という場合、私、実は林野庁以外のお役所の皆さんに伺ったのですが、官庁用語という言葉ほどのものではございませんが、つまり「協議の上」という意味は合意の上ということと同義語であるというふうに使われていると承ってまいりましたが、そのように受けとめてよろしゅうございますか。
○塚本説明員 あの四項目は斜里町長からの要望でございまして、私どもは個々の具体的な要望についてまで検討いたしておりませんが、その趣旨については今後尊重して対応してまいりたい、このように考えております。
○岩垂委員 これはここではっきりさせておきたいと思うのですが、斜里町の町長から出された要望書に対して、林野庁はそれを受けとめました。今日もそれは生きているというふうに言われました。その中身は四つございますが、今私が申し上げましたように、「国道三亘二十四号線以東の施業については、十分なる調査結果に基づき、斜里町と十分協議の上判断されるよう望みます。」協議というのは、お役所言葉でいえば合意という意味だということを、これは幾ら何でも素人じゃないのですから、しかもある程度エキサイトした条件のもとで受けとめられた文書でございますから、私はこれを斜里町と合意の上というふうに読みかえることも決して私流の解釈ではない、こんなふうに思います。そういう立場というものは当然踏襲されてこられるだろうと私は思います。 そこで、斜里町は御存じのように新しい町長が選ばれました。それは伐採反対を掲げて、正直なところ申し上げて午来君には悪いけれども、勝てないんじゃないだろうかと言われる選挙に勝ち抜かれたのです。そこに町民の世論があります。町民の多数の意思があります。そういう意味では、新しい町長さんも反対という立場を貫かれる以上は、やはりこの要望書にお答えになった林野庁の立場は、合意がなければ切らない、当然のことだと思いますが、そういう解釈でよろしゅうございますか。
○塚本説明員 新しい斜里町長からはまだ知床の問題について何ら申し入れを受けておりませんが、国有林を経営する上におきまして地元の意向というものについては当然配慮していくべき事項でございますので、今後とも斜里町長とは十分お話し合いをする中で知床の取り扱いを決めてまいりたいと思っております。
○岩垂委員 私は前の町長とあなた方との約束のことを申し上げているのです。新しい町長とのことを言っているんじゃないのです。つまり、斜里町と十分協議の上判断される、判断は協議の上、協議は合意が含意であるとすれば、合意がない以上は切らない、こんなことは当たり前のことじゃないですか。そういう解釈を一これは解釈ですよ、私の主張や主観じゃないんですよ、そういうふうに受けとめてよろしいかと聞いておるのです。そのことをもう一遍、私の言うとおりかどうか、お答えをいただきたい。
○塚本説明員 先般の斜里町からの要望については私どもも要望として承っていることでございまして、その要望の趣旨に沿う形で今後取り扱いについては検討してまいりたい。当然斜里町との間のお話し合いというものを十分した上で取り扱いについて決めていきたい、このように考えております。
○岩垂委員 そこをごまかさないでください。林野庁は要望書を受け入れたんですよ。これははっきりしたんです、さっき。議事録に載っていますよ。受け入れたんですよ。その受け入れた文章はこういうものですよ。だとすれば、合意が成り立たない限りは切らない、当たり前のことでしょう。それを聞いている。そのとおりに受け取ってよろしいか、おれたちが間違っているかということをお尋ねしているのです。間違っていませんね。
○塚本説明員 斜里町と協議をするという協議の中身でございますが、私どもとしては、いろいろお話し合いをして意思疎通を十分図った上で取り決めをしてまいりたい、このように考えております。
○岩垂委員 協議が目的じゃないんですよ。「協議の上判断されるよう望みます。」なんです。だから、協議というのはお役所言葉でいえば合意だ。あなたもそのように受けとめていられるということもおっしゃられました。とすれば、合意がなければこれは切るという判断はできないはずです。だから、当然のことながら切らないという結論ですねと聞いているわけです。これは当たり前のことを聞いているんで、余り時間どってもなんですから、ぜひひとつその点は御答弁をいただきたいと思います。 もっとはっきり言いますよ。そう言っちゃ申しわけありませんけれども、五百三十本の問題にしても、果たして一体それがあなた方がいつも主張なさった、古い木を切って、そして若木を育てていくという主張にかなったものであるか。少なくともミズナラを初めとする二百年以上の樹齢の木を切って、これから一体どんな木がどういうふうに育つだろうかということについてきちんとした見通しを持った上でやられたのかどうかということもお尋ねしたいし、同時に、二百年後は私ども生きていませんから、そんなことまで私どもは検証することの手段はございません。だから、本当のことを申し上げたら、一遍決めた方針だから、第五次施業だから、北見営林局に対する配慮もあるし、そういう立場で受けとめざるを得なかったということだろうと思うのです、そう言っちゃ言葉は悪いけれども。私たちは文句があるけれども、あなた方の立場からいえばある種のガス抜きが済んだわけです。だとすれば、冷静な立場でこれから対応していくことが当たり前のことではないだろうか、常識ではないだろうか。しかも、売った材が見込みよりもかなり下回った。世論とバランスをとってみると決してプラスではないということなどなど含めて言えば、ここでは今申し上げた私の解釈が間違っていないという一言だけで結構です。あなたがそれ以上言う立場にないとすれば、私の解釈は間違っていますか、これだけ聞いて御答弁を煩わしたいと思います。
○塚本説明員 先生の解釈につきましては、そう解釈されるということもあろうと思いますが、私どもとしては、ここで申し上げたいことは、協議の上判断をしてまいりたい、このように考えております。
○岩垂委員 ではもう一遍確かめておきますが、協議というのは役所言葉で合意という意味と、私は実はいろんな人たちに、いろんなといっても三人くらいですが、関係者に聞いたところ、役所の言葉ではそういう意味だというふうに言われましたので、そう受けとめていますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○塚本説明員 合意ということ――般的にはそういうことだと思います。
○岩垂委員 塚本さんのお立場で歯切れよく答弁をしろというのは無理なことかもしれません。しかし、ここで大体わかりました。林野庁自身がこれまでの経過の中で、少なくとも国道三百三十四号線以東の施業については、斜里町の新しい町長が反対という立場で当選して、その立場を貫く以上は切れないということですよ。あるいは切らないということですよ。これがいわばこの要望書のまともな解釈だということについて、林野庁当局もお認めにならざるを得なかったと私は受けとめてまいりたいと思います。 それで、実は環境庁長官にお願いなんですが、私、本委員会で、林野庁が調査をなさるということに関連して、林野庁にお願いをしたことがございます。古賀さん、頭がいい方だから覚えていらっしゃると思います。大変御立派な御答弁を実はいただいているわけでございます。それを読んでみます。「例えばシマフクロウにつきましては、昭和五十年度、五十六年度に特殊鳥類調査というのをやっておるわけでございます。しかしながら、今回の第五次地域施業計画につきましての調査というものは林野庁がおやりになるわけでございますから、林野庁が適切な御判断のもとにこれを実施に移すということでございます。もちろん、私どもの方に御相談があれば、御相談に応ずることにやぶさかではございません。」という御答弁をいただいているわけでございます。 お願いしたいのは、あなたが御指摘になったように第五次施業のための林野庁の調査ですね。施業のためというよりも、いわゆる特殊鳥類の調査という観点で五十年にやりました。それから六年たって五十六年にやりました。五十六年からことしは六年たっております。六年周期ということをお考えになるならば、今度は環境庁があの地域の調査を、クマゲラあるいはその他のシマフクロウなどの鳥類を含めての御調査に、こういうときですから乗り出していただきたいというふうに思うのです。これは、わざわざ環境庁長官が現場まで足を運んでいただいて、しかも関係大臣との努力も重ねられて、しかし結果としてそれは一〇〇%の成果を上げ得なかったという歴史的現実にちなんで、環境庁として、環境庁長官のおとりになった政治的な行為について、それをさらにきちんと位置づけていくということにもなると思いますので、調査をいただきたい。六年周期でございますので御調査をいただきたい、このことをお願いを申し上げますが、いかがでございましょうか。
○古賀政府委員 先生御指摘のとおり、昭和五十年と五十六年に特殊鳥類調査というのをやっております。ただこれは、六年ごとにやるという調査ではないわけでございます。この目的は、特殊鳥類につきましての保護対策を立てるための調査でございますので、シマフクロウにつきましては、五十年と五十六年の二回の調査におきまして、それに基づいて保護対策を講ずることにいたしております。現に給餌事業でありますとか巣箱をかけるというための保護事業を実施しておるわけでございますから、その二回の調査の目的は一応達したということでございますので、六年周期であるからさらに六十二年どうかというせっかくの御提案でございますけれども、今申し上げましたように保護事業を既に実施をいたしておりますので、特殊鳥類調査をこのシマフクロウについて実施をするということは今のところ考えておらない、残念ながらそういうことでございます。
○岩垂委員 林野庁がなさった調査を私は信頼しないというふうに一方的に言っているわけじゃないのです。あなたは、あれは施業のための調査でございましたということをこの委員会で答弁していらっしゃるわけです。だから、生息並びに繁殖などを含めて今日の時点で調査をなさるくらいなことは、問題が問題であり、世論が世論であるだけに、そして環境庁長官がわざわざ足を運んでおとりになった御努力に対しても、それをきちんと後づける努力ではないだろうかというふうに私は思うので、もう一遍その辺は御検討を煩わしておきたいというふうに思います。 もう時間が参りましたからぼちぽちやめますけれども、私は知床問題というのは、ある意味で林野行政というものが国民的なレベルで間われた問題であったというふうに受けとめます。それは森林を守っていくということは大変なことですし、そしてそのままでいいものでもございません。しかし、守るべき原生あるいは原生に近い自然というものをどうやって守っていくのか。お金がかかります。そのお金がかかるものについて、国民がみんなで考えていこうじゃないかという問題提起をしているように思うのです。だとすれば、林野庁はこの世論にこたえなければいけません。国民から見捨てられた林野行政などというものはありません。独立採算で賄っていくということでいけば、木を切る以外には林野財政はもたないということになってしまいます。何年切ったら一体どうなるかということも私たちには目に見えています。そういう意味では、三百年とか二百年とかというような樹齢を重ねてきた、歴史を重ねてきた、歴史の生き証人、知床の人たちはあの地域のことをある種の文化というふうに言っています。そういう点で私は、文化や自然というものをどうやって守っていくかということを教えてくれた非常に大きな出来事であったというふうに思うのです。だから、ぜひこれに学びたいと思います。そして、学んでいただきたいと思います。できれば、国会でも終わったら、現地へもう一遍行こうかなと思っています、先っぽまでは私、行ったことがないものですから。それはそれとして、今あなたが御答弁いただいたこと、大変困難な立場でありながら御答弁をいただいたことに感謝します。 恐らく午来君、きょうあたり私の部屋に来ると思いますけれども、彼が当選をした背景というのは、単に斜里町の町民の選択だけではなくて、やはり日本人の選択であったというふうに、ちょっと大げさですけれども私はとらえたいというふうに思うのです。事によったら、それは世界に向けても日本人の心が問われた、そんなことにもなりかねない要素を持っている、大げさで恐縮ですけれども。そういう点で、国道からこっちという話なんで、まだそれも問題が残っていると思うのですが、それについては町長が反対あるいは町民の圧倒的な部分が反対と言うなら切らぬということが、こうやって透かしてみたら明らかになりましたので、その透かしが本当に本物になるように御努力を願いたい、このことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○林委員長 午後零時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 正午休憩 ――――◇――――― 午後零時四十二分開議
○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。遠藤和良君。
○遠藤(和)委員 最初に長官にお伺い申し上げますが、いわゆるワシントン条約は、言うまでもなく絶滅のおそれのある野生動植物につきましてその国際取引の規制を行い、野生動植物の保護を行おうとするものでございます。 日本もこの条約に加盟して七年になるわけでございますが、五十九年十月には、クアラルンプールで開かれましたワシントン条約アジア・オセアニア地域セミナーでは、日本は名指しで批判決議されております。決議の内容は、日本は条約を批准していながらまともに遵守していないというまことに恥辱的なものでございます。その後も、トラフィック・ジャパン等から、その種類の多さと量をあわせると、日本は世界最大の野生生物の違法取引国であるというふうに指摘が続いておりまして、こういった日本の現状を考えまして、長官は、絶滅の危機にある野生動植物の保護について日本は先進国であると考えるのか、あるいは発展途上国であると考えるのか、まず御認識を伺いたいと思います。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○稲村国務大臣 遠藤議員にお答え申し上げます。 野生動植物は、自然のかけがえのない構成要素でありまして、その保護を図ることは環境行政の重要課題であるとまず心しております。 我が国は、経済の面では疑いのない先進国である、これはもうそのとおりでございますが、今先生の肝心な御質問の野生動植物の保護の分野でどうか、これはモラル、野生動植物に対しての温かい心の思いやり、先進国としてふさわしい評価を受けられるような努力、心構えが必要であるな、そういうふうに思います。そして、どちらがどうだと言われれば、これから特に日本人は経済面での先進国としての、今度はそういう野生動植物、環境行政における先進国となるよう努力しなければならない、こういうふうに思います。
○遠藤(和)委員 そうした背景がございまして、今回いわゆる貿易管理令を改正するとともに国内法を整備されようとしておるわけでございますが、余りにも対応が遅きに失してきた、こういうふうな印象はぬぐえないと思うわけでございます。 そこで、この法律で日本がそうした意味での先進国に仲間入りができる十分な法律である、そういうふうな感触でございますのか、法律のできばえというものにつきまして、私どもは一歩前進である、こういうふうに受けとめているわけでございますが、長官の御感想はいかがでございますか。
○稲村国務大臣 完全百点満点という採点からいけば、そういうふうに百点とは言えないと思いますが、これをつくる、早くつくらなければならない、そういう点において国民のまあまあという合格点はいただけるのではないかな、こういうふうに思います。
○遠藤(和)委員 そういう認識をもとにいたしまして、この法律案の中身について議論をさせていただきたいと思います。 まず、希少野生動植物の定義でございますけれども、政令で定めるというのは、先ほども御答弁がございましたが、附属書Ⅰを中心にいたしまして、Ⅱ及びⅢについてはすべての原産国が輸出を禁止しているもの、こういうものを対象にしているということでございますが、そういう認識でよろしいですか。
○古賀政府委員 今先生の言われました内容で検討を進めております。
○遠藤(和)委員 この附属書Ⅰを中心にということでございますが、附属書Ⅰにあるものはすべて入るのでございますか。
○古賀政府委員 厳密に申しますと、必ずしもすべてとは言えないと思っております。例えば留保品目、これは我が国がみずからこの条約の適用を除外するということを各国に御承認いただいておるわけでございますから、そういうものは附属書Ⅰであっても除かれるということでございますが、そういうようなものを例外といたしますと、附属書Ⅰというものが中心となる、そういうことでございます。
○遠藤(和)委員 留保品目以外はすべて入りますか。
○古賀政府委員 さらに若干の例外がございます。
○遠藤(和)委員 その例外というのはいかなるものでございましょう。
○古賀政府委員 例えばツキノワグマのように、我が国におきましては狩猟鳥獣として認められておるものなどがその例でございます。
○遠藤(和)委員 ツキノワグマはアジアクロクマということでございまして、附属書Ⅰの中に入ったわけですね。これについては留保品目にはなってないわけでございますが今回の政令の中に入らない、こういうことでございます。このツキノワグマの生息状況は、日本においても、九州では絶滅をいたしましたし、あるいは四国と本州についても絶滅の危機にある。私は徳島県でございますけれども、徳島県ではこの四月から十年間捕獲を禁止した、こういうふうに自治体は絶滅を防ぐためにいろいろ工夫をしているわけでございまして、こうしたものを今回この政令の中に入れるべきである、私はこのように思うわけでございますが、どのようにお考えでございましょうか。
○古賀政府委員 これはこの法案では政令で決めることになっておりますので、政令を決める際には、関係各省はもちろんでございますけれども、専門の先生方の御意見も十分お聞きしながら決める、こういうことになるわけでございますので、政令をつくりますまでに十分検討いたしたいと思います。
○遠藤(和)委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。 それから、ジャイアントパンダ及びトキはこの政令の中に入りますか。
○古賀政府委員 パンダやトキは附属書Ⅰに含まれておりますので、当然政令の対象になるという考えでございます。
○遠藤(和)委員 ジャイアントパンダ並びにトキについて、最近いわゆる国際的な取引が行われた事例はありますか。
○古賀政府委員 トキは、御案内のように我が国には二羽しか生息しておらないわけでございますが、一羽は中国から借りておるわけでございます。我が国に生息しておりますのは三羽でございますから、今先生の御指摘のような問題は特にございません。パンダにっきましては、動物園などが外国から購入するというような場合がございます。
○遠藤(和)委員 ジャイアントパンダ並びにトキについての商業を目的にした国際的取引は全くないわけですね。
○古賀政府委員 附属書Ⅰでございますから、学術研究目的以外の取引は一切禁止されておりますので、そういうような事例はございません。
○遠藤(和)委員 そこでお尋ねしたいのでございますが、この法律案の第一条、第二条では、対象の希少野生動植物について「過度の国際取引による絶滅のおそれのある」という限定がされておるわけでございます。この法律の趣旨からいいまして、ただいまのパンダ、トキを例にとった政令はこの法律を越えているのではありませんか。
○古賀政府委員 ワシントン条約の前文には、「野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないよう」云々とあるわけでございまして、過度に国際取引が行われることによって絶滅の危機に追い込むことのないようにということでこのような条約が締結されたわけでございます。 その附属書Ⅰにつきましては、「絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるもの」ということでございますから、これは現に絶滅のおそれのあるということでございます。それから附属書Ⅱは、「現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がされないようにするために」厳重に規制しなければならないというものでございます。いずれにいたしましても、「過度の国際取引による絶滅のおそれ」というのは、過去にそのような過度の取引があった、それから現在行われている、それから将来にわたってそういうおそれのあるもの、そういうものも含むわけでございますから、この条約の趣旨にのっとったものと私どもは理解いたしております。
○遠藤(和)委員 本日はこの国内法の審議をしているわけでございまして、ワシントン条約の解釈をめぐってお話ししているのではございません。したがいまして、この国内法の中に「過度の国際取引による」という文言がある以上、その政令は、過度の国際取引の影響を受けないものについては含まれないという解釈が成り立つのではないかと思うのでございますが、この点についてどういうふうにお考えですか。
○古賀政府委員 将来過度の国際取引による絶滅のおそれというものも含むというのが条約の趣旨であり、それを踏まえて国内法が組み立てられておりますので、政令につきましても、将来のおそれがあることをもって政令の対象になるという考え方でございます。
○遠藤(和)委員 この法律の原案と申しますか、私の手元に三月三日付のものがございますが、これには「過度の国際取引による」という文言はないのでございます。後で挿入されたと理解するわけでございますが、その背景はどういうものでございますか。
○古賀政府委員 一つの法律案ができます過程におきましてはいろいろな案が作成され、それがまた修正されというような多くの経過を経るわけでありますけれども、この「過度の国際取引による」という文言が入りましたのは全く他意がないわけでございまして、ワシントン条約の実施に当たる国内法である、その趣旨を明らかにするために条約の文言を引用した、そういうことでございます。
○遠藤(和)委員 政令は法律の権限を越えて規制していくことはできないということでございますが、そういったことから考えますとこの限定は有害無益である、私はこのように理解をするものでございまして、意見のかみ合わない部分がございますが、これはこれとして意見だけ申し上げておきたいと思います。 それから、今回のワシントン条約遵守に関連をしまして、我が国の対応に対して最も批判がありましたのは、いわゆる不正輸入に対する問題でございます。しかるに今回の法律では、輸入についての規制が全く入っておりません。これはどういうことでございますか。
○古賀政府委員 ワシントン条約の実施に必要な野生動植物の輸出入に関する規定は、先生御指摘のとおりこの法律案には含まれておらないわけでございますが、それは既に外国為替及び外国貿易管理法、いわゆる外為法及び関税法により行われておりますことから、本法ではこれらの法律との二重規制を避けるという趣旨におきまして輸出入の規制の対象としないということにしたものでございます。要するに水際での規制は、外為法ないしは関税法が受け持つ、一たび目を逃れてと申しますか、国内に入ってきたものにつきましての流通規制をこの国内法が受け持つ、両々相まって車の両輪のごとく機能することによってワシントン条約の確実な履行を果たすことができる、こういう考え方でございます。
○遠藤(和)委員 その外為法の目的でございますけれども、第一条、外周貿易等の対外取引が自由に行われることを基本とし、必要最小限の管理、調整を行い、対外取引の正常な発展、国際収支の均衡、通貨の安定を図り、我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とするものである、これが法律の趣旨です。それから輸入につきましては、外国貿易と国民経済の健全な発展を図るために、必要がある場合に輸入の承認制度を設けている。こういう立法の趣旨から考えますと、原則は自由である、そして必要がある場合に制限を行う、こういうふうに貿易を表とした立法でございますので、ワシントン条約の趣旨とは大分異なっているわけでございます。ワシントン条約を外為法でもって規制をしていくというか輸入を制限するという考え方は、どうも発想が違うもので取り締まりをしていくという考え方のように理解をするわけでございます。やはりここは独立の法律というものを考えるべきではなかったのか、このように考えますが、どうでしょうか。
○古賀政府委員 先生御指摘のとおり、外為法の目的といたしますところは対外取引の正常な発展とか、我が国経済の健全な発展に寄与するというようなことでございますけれども、この「我が国経済の健全な発展」という文言も極めて広く解釈されておるというふうに理解いたしておりますので、終局的な目的としてはこういう法律の掲げておる目的に合致しているのではないか、少なくとも外れてはいないというふうに考えております。
○遠藤(和)委員 通関時におけるチェック体制の強化ということでいろいろと行っているということは承知しているわけでございますが、大蔵省にお伺いしたいわけでございます。 ワシントン条約対象動植物にかかわる輸入通関官署の限定を行いましたね。それは、今二百二十二を三十五カ所に絞ったということでございますが、アメリカは、あの広い土地で十七カ所と承知しております。これに比べるとまだ広いのではないかと思うわけでございますが、今後もう少し改善をするという考え方はあるのでしょうか。
○伊東説明員 ワシントン条約対象貨物の輸入通関官署につきましては、条約対象貨物の的確なチェック体制を図ることから、昭和六十年五月に、先生がおっしゃられましたようにこれまでの二百二十二の通関官署を三十五に限定したところでございます。これは通関官署を限定することによりまして、ワシントン条約の規制の確保の適正、効率的な実施と、ワシントン条約対象動植物の円滑な通関を実施するものでございます。また、その通関輸入貨物というものが、一般貸物あるいは旅客が携帯してきます貨物あるいは郵便物等の種々のルートで行われていることをあわせ考えまして、現在の三十五カ所を指定したものでございます。 その内容といたしましては、各税関の本関九カ所、それから空港として旅客の携帯品等が輸入されます十三カ所、それから外国郵便を取り扱っております外国郵便官署十三カ所、計三十五カ所指定したわけでございます。これら指定官署にワシントン条約の専担職員の配置など規制の確保に努めておりまして、税関において輸入を差しとめた件数も、五十七年から五十九年が年平均百から二百件程度であったものが、通関官署限定後の六十年には六百七十一件、六十一年には七百七十七件と大幅に増加しておるところでございます。
○遠藤(和)委員 海外族行の方の数も大変ふえておりますし、税関の方の現場での御苦労というのは大変なものだということを理解いたしますが、特にこのワシントン条約対象動植物についてはかなりの専門的な知識を必要とするわけでございます。こういうふうなチェックする職員に対しましてどんな教育をされているのか。あるいは識別図鑑があるわけでございますが、かなりの分量でございまして、こういうものをもう少しニューメディアを活用いたしまして、コンピューターの中に入れるとかいたしまして、現場でより合理的に素早く対応のできるようなことをお考えになったらどうかと私は考えるわけでございます。そういう考え方はございますか。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
○伊東説明員 ワシントン条約規制対象種の識別には動植物の分類に関します専門知識が要請されておりますところから、既に税関研修所及び各税関で実施しております各種の研修にワシントン条約についてのカリキュラムを設け、研修を実施しているところでございまして、また各税関において随時職場研修を行うなど条約の対象となる動植物をチェックするための研修体制について、その充実に努めておるところでございます。これらの研修に当たりましては、大学の先生あるいは動物園の関係の方、あるいは民間の自然保護団体の方々等外部の専門家を講師として招いて、研修の実効を期しているところでございます。 それからもう一つのお尋ねの点でございますけれども、今後とも識別のために、データブックの活用のほか、ワシントン条約専門員のネットワークの構築でありますとか識別用スライドの活用等によって、税関におけるチェック機能の充実、効率化を図っていく考えでございますけれども、先生御指摘のコンピューター等のニューメディアの活用など、将来もワシントン条約の規制の確保の方策につきましては、厳しい行財政事情を踏まえながら、管理当局あるいは科学当局等と相談してまいりたいと考えております。
○遠藤(和)委員 いわゆる返還に対する規程の問題でございますけれども、締約国会議ではこんな決議がされております。「生きた標本の場合には没収した国の科学当局が種のために有益と認め、原産国または輸出国がそのように希望する場合には、違反を行なった輸入者および、または輸送会社に没収保護、および原産因または輸出国に返還するに要する費用を負担させる規程を設けるよう努める。」こういう決議がされているわけでございますが、今回の法律はこの決議を完全に無視したものでございますね。
○古賀政府委員 まずその返還の規程を盛り込まない理由というのは、返還することは条約上必ずしも義務づけられていないということでありますとか、人工飼育下に入ったものは慎重な取り扱いが必要であるということ、それから返還の規程がなくとも返還できるというようなことのために、ケース・バイ・ケースによって処理するのが妥当であろうという考え方のもとに返還規程を設けなかったわけでございますが、返還するといたしました場合の費用負担をどうするかという問題につきましては、先生これも御承知と思いますけれども、ワシントン条約の本文では輸出国の負担とするということでございます。それからさらに別の決議では、これは輸入国の負担というような決議もございます。しかしながら、どちらが優先するかということにつきましては、一般論といたしましては条約本文が優先するという考え方もあるわけでございますので、この辺が費用負担をどうするか、どちらの国が持つのか、それから輸入国がそれを持った場合にだれに求償するのかということがございます。いろいろ難しい問題がございますから、今回費用負担の規程を設けなかったということでございます。
○遠藤(和)委員 確かに条約本文の中には、原産国あるいは輸出国の方がその費用を負担するということが書かれているわけでございますけれども、現実の問題として原産国というのはいわゆる発展途上国が多いわけでございまして、費用負担がかなり難しい、こういうことがあってこの新たな決議がなされたわけでございます。そういった流れの中から考えていけば、日本は世界でも有名な経済大国でございますので、この決議に沿った考え方というのがしかるべきではないか、このように考えるわけでございます。 先ほどの御質問の中で、十三条の国庫に帰属した希少動植物については関係省庁はよく話し合いをして「必要な措置」を行う、「この必要な措置」の中に返還ということも含まれるのだという話があったわけでございますが、その返還の中には、輸入者や輸送会社に費用を負担させるいわゆる求償ということも含まれると理解してよろしいですか。
○古賀政府委員 十三条の国庫に帰属した希少野生動植物についての「必要な措置」の中には、今先生言われましたように、輸出国、原産国への返還という措置も含まれる、したがってこの条文によって返還の措置を講ずることができるということでございますが、しからば、だれがその費用を負担するのかということについては、この十三条では直接規定しておらないということでございます。
○遠藤(和)委員 そういうことも考えられると理解してよろしいですか。
○古賀政府委員 返還に要する費用の負担の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、輸出国か輸入国なのか、それから輸入国としてもだれが負担するのか、その求償の仕方をどうするのかというような問題がございます。したがって、最終的な負担者をどうするかということも含めまして今後の検討課題であろうというふうに考えております。
○遠藤(和)委員 ライオンタマリンの例もございますし、これはだれも費用を負担する人はいないからということで民間団体が負担をしていただいたわけでございますが、そうしたことのないような適切な法律の運用というものを望みたいと思います。 それから、いわゆる留保の問題でございますけれども、日本では一番最初批准いたしましたときに九種について留保いたしまして、その後追加をいたしまして現在十四種になっているわけでございますが、特にジャコウジカのことにつきましてお伺いしたいのでございます。これは各国からかなり非難が出ております。中国からは、「中国は一九八一年四月にワシントン条約を批准して以来、ジャコウの輸出許可は全く出していない。そのうえ中国では、国内法で批准以前からジャコウの輸出を禁止している。しかし、日本の貿易統計によると、中国原産とされるジャコウが一九八一年から一九八四年だけでも九百五キログラム(小売価格約九十億円相当)も輸入されているが、これはどういうことか」。あるいは香港からは、「日本の貿易統計によると、香港が許可した以外に香港からジャコウが輸入されている」。インドからも、「ヒマラヤからの違法なジャコウの取引について外交ルートをとおして、これに関する話し合いを求めたが、日本政府に拒否された」。あるいはネパールからは、「一九七三年にジャコウの合法的な取引は終わっており、それ以降、取引は全く許されていない。しかし、日本の統計にはそれ以後千三百六十五キログラム以上のネパールからの輸入が記録されている」。このようにジャコウの不法輸入といいますかが続いておるわけでございますが、このジャコウジカを留保にしている理由は一体いかがなものでございますか。
○佐藤説明員 ジャコウジカにつきましては、ジャコウが古くから我が国の伝統的な家庭薬ということで、強心薬あるいは小児五疳薬ということで使われてまいっておりまして、保健衛生上の観点から、こうした医薬品の確保につきまして支障が生じないようワシントン条約上の適用につきまして留保を行っているところでございます。
○遠藤(和)委員 撤回をするような方向であらゆる整備を進めていると伺っておりますが、そういうふうなお考えはございますか。
○佐藤説明員 御指摘のように現在ジャコウにつきましては条約上留保ということでございますが、ジャコウジカの保護を図るという条約の趣旨を尊重することから、その使用量の削減ということを私ども大変一生懸命業界指導をしているところでございまして、既にジャコウの使用につきましては医薬品業界を指導いたしまして、業界もこれに従うということで、できる限りジャコウの配合量を減らすということをやってきているところでございます。具体的に申しますと、小児五疳薬あるいは強心薬につきましては使用量の削減、それ以外の風邪薬あるいは滋養強壮薬というものにつきましては使用を禁止するということで指導をしているところでございます。 それから、こういったジャコウの使用量を減らすということと同時に、一方、業界におきましてもジャコウジカの人工飼育につきまして中国と協議を進めておりまして、これが実現いたしますと、いわゆる天然ジャコウの使用というものがなくて済むということでございますので、業界がそういった努力をしておりますし、またさらにジャコウを使わないためにはジャコウの代替品、この研究開発が必要でございますので、ジャコウの代替品の研究開発につきましても業界を指導しているところでございます。今後さらにこういった面で業界を指導いたしまして、ジャコウの代替に見通しがつくといったような条件が整備されました場合には、一定の期限を付した上で留保の撤回を含めましてその取り扱いについて検討いたしたい、このように考えているところでございます。
○遠藤(和)委員 新聞報道によりますと、昭和六十四年三月までに留保を撤回することを決めた、そしてこの七月にオタワで開かれる第六回締約国会議でこれを公式に表明したいというふうな報道が一部ございますけれども、この報道は真実でございますか。
○佐藤説明員 ただいまお答え申し上げましたとおり、ジャコウの使用量の削減につきまして私ども業界を指導して努力しておりますし、また、業界におきましても代替品の研究開発あるいは中国とのジャコウジカの人工飼育事業の推進ということで協議を進める、こういうことで相互に努力をしているところでございます。今御指摘の新聞記事につきましては、そういった状況等から推測いたしまして書かれたものと私どもは考えております。 いずれにいたしましても、これらの条件が整備された場合におきましては、一定の期限を付して留保の撤回ということを検討すべきものと考えているところでございます。
○遠藤(和)委員 七月というのはもうあとわずかでありますね。そろそろ結論が出ていなければ七月の締約国会議での発表にはならないと思うわけでございますけれども、この七月にそうした発表ができそうな気配なんですか。
○佐藤説明員 御指摘のように七月に条約締結国会議があるわけでございますが、そういうことも念頭に置きまして、私ども現在業界の指導あるいはいろいろな面での努力を行っているところでございます。
○遠藤(和)委員 先ほどもお話があったわけでございますけれども、日本に対する非難決議がありまして以来、日本としてはこうして国内法の整備も進めた、あるいは水際でのチェックも強化をした、そしてさらに利用品目を減らすということになれば、かなりの国際的な非難を緩和できるのではないかと考えるわけでございますが、七月に環境行政の最高責任者でございます長官みずから行かれるような御決意はあるのでしょうか。長官、どうでしょうか。
○稲村国務大臣 先ほども岩垂先生からそのような方向で御意見を求められましたが、今局長の方から伺いますと、この会議には各国とも長官及び大臣が出ていない、事務的な外交関係の方でというようなことでございます。
○遠藤(和)委員 そう遠慮なさらないで、今までの責任もございますので、だれが行かれるにしても積極的に発言をして、国際的な非難を緩和していくという方向で臨まれるように望みたいと思います。 それから沖縄の山原の問題でございますが、先ほど岩垂先生の方が知床の問題をされましたものですから、私は南の方の山原の話をさしていただきます。 林野庁にまずお伺いしたいわけでございますが、山原地域、国頭村を中心にしました山原地域の林業の実情というものはどのようになっているのでございますか。
○杉原説明員 御指摘の沖縄県の国頭村地域ということでございますが、一般論として申し上げまして、沖縄県の森林面積は県土の約五〇%弱でございます。そのうちの人工林というのは大変低うございまして、一割程度でございます。もちろん戦後の造林地がほとんどでございますので、大変若い林でございます。また御存じのように、沖縄県におきます県産材の需要等も現在の状況の中では大変減少しておりまして、さらに造林とか素材生産というような林業生産活動も沖縄県の中では大変不振でございます。こういう意味で、沖縄県に対します助成制度としましてはいろんな制度を設けておりますが、いずれにしましても大変不振であるということだけは申し上げられると思います。
○遠藤(和)委員 林業に対する国の補助金はいかほど出ておりますか。
○杉原説明員 全体を集計しておりませんので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
○遠藤(和)委員 大体年平均にすると二千万円ぐらいのオーダーではないかと思うわけでございます。今主としてハルブ材になっているようでございますが、パルプは今円高でございまして外国のものがうんと安く入るわけですね。こうした林業というのをこのままずっと続けていっていいものかどうかというふうな懸念もあるわけでございますが、この辺の将来展望についてはどのように考えているのでしょうか。
○杉原説明員 御指摘のチップ等の問題でございますが、いずれにしましても、日本の森林・林業を守っていくという立場から山村の産業として位置づけをし、それらの産業の活動を通じて森林・林業を育てて、さらに立派な森林をつくっていくというのが基本的な考えではなかろうかと思っております。またさらに、長期の木材の需給問題にもお触れでございますので、私ども、日本全体としての今後の木材の需給につきましては、現在の国内の森林資源の整備状況から申し上げまして、今後は国内からの生産力を強化できる体制になりつつあるというふうに考えておりまして、将来、外材の輸入率は若干でも下がっていくような方向に行くものだと考えております。
○遠藤(和)委員 沖縄には今、いわゆる県有林というのがあるわけでございますが、この県有林というのは一九八九年まで、いわゆる八十年間の期間を区切って国が貸与しているものでございますね。この一九八九年以降はどういうふうに取り扱う計画ですか。
○杉原説明員 御指摘の沖縄県の県有林の問題につきましては、御承知のように通常勅令貸付国有林ということでございまして、明治四十二年のころでございますが、沖縄県の基本財産の造成、沖縄県林業の範とするということで沖縄県に無償で貸し付け、その後、本土復帰後も特別措置に関する法律に基づきまして、契約期間は六十四年五月までありますが、従前と同一の条件で無償で貸し付けておりまして、これはもちろん他に例のないことでございます。 御指摘の今後の取り扱いでございますが、この国有林は現在の法令上は六十四年の五月ということになっておりますので、そういう意味では一応一つの整理がつくというふうに考えておりますが、実際にはこれまで貸し付けてきました趣旨または実績とか、沖縄県の社会経済の状況、さらには沖縄県に対する各種特別措置との関連等を考慮いたしまして慎重に検討したい、このように考えておるところでございます。
○遠藤(和)委員 ある意味ではいいタイミングではないかなと思うわけでございますが、国としてここの地域の林業というものも一方においては考えなければならないわけで、大変生産性の低い林業になるわけですね。それよりもやはり自然保護というふうな立場で林野庁が積極的に取り組んでいかれることによって、林野庁に対する国民世論の支持も集まるのではないか、私はこのように考えるわけでございます。 林野庁の事業の中に遺伝資源保存林という考え方があるようでございますが、この地域についてそういうふうな指定を行うような考えはありませんか。
○杉原説明員 御指摘の遺伝資源保存林という言葉は、最近新聞紙上等で発表になった言葉でございます。実はこれは、現在国有林の中におきまして、将来ともに動植物の遺伝資源を保存することを目的としまして、日本全体の生態系等を代表しまして、かつ自然状態といいますか、まさに自然状態が十分に保存されている天然林を主体としてやりたい、こういうふうに考えております。なお、それにつきましては、学識経験者等の意見を聞いた上で設定する考えでございます。 御指摘の、特に沖網本島北部等の国有林につきましては、これら学識経験者の意見等を十分聞く必要があるというふうに考えておりますが、実はこれ以外に当該国有林のほとんどが地位協定に基づきます米軍の施設、区域となっております。日米安全保障条約に基づく米軍の運用との調整、これらも十分図る必要があるということから、なお今後慎重に検討していく問題ではないかと考えております。
○遠藤(和)委員 昨年の十月二十日に、世界野生生物基金日本委員会の大来佐武郎さんから、会長でございますけれども、林野庁長官に対して、山原の野生生物保護のための提言がなされました。現在ノグチゲラの繁殖が確認されている自然林については禁伐としてもらいたい等の提言がされているわけでございますが、この提言について林野庁はどういうふうに対応されていますか。
○杉原説明員 ただいま御指摘の世界野生生物基金日本委員会からの要請については十分承知をしております。沖縄におきます森林等は重要な水源地域でありますし、特に亜熱帯の植物等が豊富な地域でございますから、そういう意味では、森林の持っております各種の公益的な機能をやはり適切に発揮させる必要があると考えております。ただいま御指摘のようなこれら委員会以外にもいろいろの要請がございます。したがいまして、私どもとしては、今後貴重な野生生物の保護等について、必要に応じまして関係機関等との調整に努めてまいりたいこのように考えております。
○遠藤(和)委員 環境庁長官にお伺いしたいわけでございますが、長官はことし一月十九日、この山原地区の現地に参られまして視察されているわけでございますが、印象はいかがでございましたか。
○稲村国務大臣 この一月、私も大変話題になっております山原地区を視察させていただきました。この地区は、他の地域には見られない固有の野生生物が生息しており、いちいろ野生生物に関しての認識を一層深めた次第でございます。
○遠藤(和)委員 今、ノグチゲラは八十羽から百羽くらい、ヤンバルクイナは千羽から千五百羽くらいと推測されておりまして、ある意味では絶滅寸前の状態に置かれているわけでございますが、現在も伐採は続いているわけでございます。早く手を打たなければならないのでございますが、長官が行かれたときに現地の皆さんに、できれば国設の鳥獣保護区を検討したいというお話をされておりましたが、いろいろ御検討されていると思いますが、見通しはどうですか。
○稲村国務大臣 この与那覇岳の特別鳥獣保護区六百六十二ヘクタールを約三倍の二千百十五ヘクタールに拡大する、こういう方向で今協議して、早くそうしたいなというふうに私も希望しておるわけでございます。
○遠藤(和)委員 早くというのは、ことしじゅうにという感じでよろしいのですか。
○古賀政府委員 沖細県の第六次鳥獣保護事業計画というのがございますが、これは六十二年四月から六十七年三月までの五カ年間の事業計画でございます。この中に今大臣が言われました国設与那覇岳鳥獣保護区の設定が盛り込まれておるわけでございまして、県の自然環境保全審議会の承認を既に受けております。これから地元並びに関係行政機関との調整に入るということでございますから、できるだけ早くということで県の方にもお願いをしてございます。その時期等についてはまだ定かでございませんけれども、県の方も一生懸命やっておるという状況にございます。
○遠藤(和)委員 我が党もこの六月に現地に視察団を派遣したいと考えております。現地の皆さんともよくお話し合いをいたしまして、この貴重な資源を守っていくために政治としてできることはどういうことがあるのか積極的に考えてまいりたいと思うわけでございます。長官が行かれましたとき、これだけの宝を絶滅させたら申しわけない、先進国として恥ずかしくない保護を行いたい、こういう積極的な姿勢を示されたわけでございますけれども、どうか先ほどの国設の鳥獣保護区について、この皆さんに語られた決意をさらに強く推進していかれまして、長官が視察されたものを形としてきちっと国民の前に示していくことが大事なのではないかと思いますが、その辺の決意は今も変わりませんか。
○稲村国務大臣 遠藤先生御指摘の、私自身の先般の視察時の気持ちに変わりはございません。公明党の先生方も現地視察をしていただけるようでございますので、大所高所から先生方の御意見をも聞かせていただいて、私の意見と相まって、さらにいい方向で決着できるようにしたいと思っております。
○遠藤(和)委員 最初に、いわゆる希少野生動植物に対する保護についてどういう御認識であるのかとお伺いしましたけれども、現在経済の面では確かに先進国になっておるわけでございますが、こういった面ではまだ発展途上国と諸外国から言われてもしようがない部分が残っているわけでございます。知床の問題もさることながら、沖縄の山原の保全またその資源についても、経済大国日本にふさわしく守り育てていくという形のあるものを示していかなければならないと強く思うわけでございます。それが世界に対する日本の責任でもある、このように考えるわけでございまして、特に山原地域については、ここにしかいない希少動物、ヤンバルクイナにしましてもノグチゲラにしましても、これらがいるわけでございますから、日本の自然環境を責任を持って監督する長官はさらに積極的に取り組まれまして、見事に結論をいただけるような方向でしっかり頑張っていただきたいと心からお願いを申し上げまして、若干早いようでございますが質問を終わらせていただきます。
○林委員長 滝沢幸助君。
○滝沢委員 委員長、御苦労さま、長官以下政府委員の皆様、御苦労さまです。 今ほど各党からるる御質問で強調されたことでございますが、私は、提案されておりますこの絶滅のおそれのある動植物の譲渡の規制等に関する法律案、いわゆるワシントン条約に関する法律は大変大事なものだと思います。自然をいかにして守り、自然と人間がどう調和していくか、さらには、学術研究という意味からないしは経済という立場から、さらには国際的信用、信頼という意味からも非常に大事なことだと思いますので、この提案はむしろ遅きに失したとも思うし、一日も早くこの法が通りまして、しかもこの法が厳正に行われることを期待するものであります。そのような意味から以下質問申し上げさせていただきます。 私は、経済大国日本、戦後の我々の生活態度というものはやや間違っているのではないか、こう実は思います。我々が生存のために自然と闘ったときにおきましては、公害もそうでありますし、このような自然の絶滅というようなことはなかったと私は思うのでありますが、人間が神を恐れなくなりまして、おのれの欲望のために自然を侵すようになりましてこのようなことになりました。かく申す私も、樹木といいますか植木なんかを大変愛しまして、努力して旅行等をするたびにいろいろなものを持ち帰りまして、狭い庭に植えてみますけれども、結局はだめですね。そこで私が考えましたのは適地適生、これは私の造語かもしれません。適地適生、その土地に生まれたものは本来生まれるべくして生まれ、そこに育つようにできているのですね。カモシカは寒いところに、クジャクは暖かいところに、シラカバは寒いところに、ヤシは暖かいところにというようなことでありましょう。これを逆にすることに我々は今大変努力をしているのじゃないでしょうか。このことをきちんと我々が生活の中に根強く理解しなければ、私はこの法の目的は行われないと思うのであります。 きのう、きょうも大変新聞、テレビをにぎわせておりますあのような高価な違反のものが商われているということは、非常に衝撃的な、我々がこのようなことを審議しております最中でありますだけに我々を驚かしめるものでありますが、これらについてひとつ厳正な態度で臨んでいただきたいということ、最初にこれについての御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○稲村国務大臣 滝沢先生の大変広い知識、深い人生経験から今も述べられたとおり適地適材、御指摘のとおりまさに心打たれるものがあります。特にこのワシントン条約の国内法の制定、過度の国際取引による絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることは、国際社会の一員として我が国の重要な責務でございます。本法の施行により、国内における譲渡規制等を行うとともに保護のために必要な措置を講じ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護の徹底に全力を挙げてまいりたい、こう思います。
○滝沢委員 そこで、私は先ほど申し上げました、また今長官からおっしゃっていただきましたようなことを思うにつけ、学校教育がこのようなことに対してどう教えているものだろうか、少なくともこの条約の存在ないしは本当に動物を愛し、植物を愛しましょうということはどのように教えられているものか、興味を持つものであります。どうも本来外にいるべきものをペットというようなことで家に住まわせたり、いろいろと不自然なことをすることが最近何か近代生活みたいなこともございまして、こういう御家庭に育てば、やはり自然を破壊する子供が育つのではないかと私は逆に思うのですよ。一面大変動物を愛しているように見えるけれども、実際は動物をいじめている。これはパンダなんかも残念ながら、田中総理大臣が中国から連れておいでになりましたけれども、しょせん適しませんね。ですから、早く亡くなりますと後添えをどんどん、実家からまたその妹さんをというようなことですが、物見遊山的な観光ブームと一緒の考え方はこの法の精神ではない、私はこう思いまして、学校教育はいかにこのようなことに目を向けておられるか承りたい。
○辻村説明員 お尋ねの学校教育におきます動物愛護、あるいは自然保護の精神につきましての教育の具体的な取り扱いでございますが、小中学校を通じまして、子供たちの発達段階等に応じましてこれらの教育に努力しておるところでございます。 例えば小学校では、理科という教科がございますが、そういうところで生物を育てながら生物を愛護する態度を育てるいうことで子供たちに野外観察をさせますとか、あるいは実際に動植物の飼育をするというようなことを通じまして、動物愛護あるいは自然保護というような精神を培うような教育をしております。 中学校ということになりますと、かなり子供も大きくなってまいりますので、人間と動植物あるいは自然とのかかわりを認識させて、環境保全に関する指導を行うというような課題を取り上げましてこれらの教育の徹底を期しているところでございます。ただいま理科について申し上げたわけでございますけれども、社会科でございますとか、あるいは道徳などにおきましても、自然を愛する心を養うというような課題を、特に項目を取り上げまして教育をしておるというのが現在の教育におきます取り組みの状況でございます。
○滝沢委員 大変御苦労さまでした。文部省さん、どうぞお引き取りちょうだいして結構でございます。御苦労さまでした。 そこで、話題は変わりますが、私は、これらのことはしょせんは税関を通ることを避けるものがいわゆる密輸ということになろうと思いまして、広い意味での税関のチェックがいわば非常に緩いのかな、こういうふうに思います。外国を旅行しまして感じますことは、非常に厳しい国もありますし、緩い国もあります。そういう意味で日本はどの位置に属するのか知りませんけれども、しかし通産省、法務省あるいは大蔵省も関税というような意味で関係あるかもしれませんし、外務省も関係ございましょうが、税関のあり方あるいはまた、これはとにかく絶滅のおそれのあるものは、私は何もクジャクや猿だけではなくて、実は人間そのものも絶滅のおそれのある極めて知性を装うた野性的な動物がな、こう思いましてお伺いするのでありますが、税関をいかにくぐってきているのか、いろいろなものがありますね。ジャパゆきさんなんというのもございました。あれは何でしょうか。日本から出ていって随分と御迷惑をかけているものもありますし、日本に入っておいでになって迷惑を我々がこうむるものもございます。このようなときに、パスポート、ビザをも含めて各関係省庁はどのように対処していただいておるのか、特に法務省等に後で、やかましくなりました例の指紋押捺のことをも承っておきたいと思いますが、ひとまず各省庁それぞれ所見をおっしゃってちょうだい。
○伊東説明員 ワシントン条約に係ります税関における取り締まり状況について申し上げたいと思います。 ワシントン条約につきましては、その効果的な実施を確保するため、六十年四月一日から、対象貨物を輸入するに当たりまして、輸出国の管理当局等の発給した輸出許可書等を必要とすることとしたわけでございます。これに伴いまして、税関におきましては輸出許可書等の真偽の確認について、これを的確に行うことに努めておりまして、必要な場合におきましては管理当局へ問い合わせを行っているところでございます。また、六十年五月一日からは、ワシントン条約対象貨物に係ります輸入通関官署をそれまでの二百二十二官署から三十五官署にするとともに、限定官署に専担者を五十二名配置したところでございます。 それで大蔵省、税関といたしましては、今後ともワシントン条約の重要性にかんがみまして、税関職員の研修の充実強化でありますとか関係職員への識別用スライド、図鑑等の配付などのほかに、関係当局との協力による識別ネットワークの充実などによりまして、引き続きワシントン条約に関するチェック体制の強化に努めてまいりたい、このように考えております。
○金子説明員 ワシントン条約の関係におきましては、例えばワシントン条約をどういうふうに守るかとか、そういった関係につきましては税関当局とも緊密に連絡をとってやっております。また、研修等につきましても御協力申し上げております。
○鳥居原説明員 先ほど外務省、それから大蔵省から御答弁になりましたけれども、我々通産省、管理当局でもございますので、輸入あるいは輸出についての管理をするという立場から、税関あるいは外務省と連携をとりながら十分な水際チェックを行っているわけでございます。
○大久保説明員 先生の御質問のうち、不正手段によります出入国の状況及びこれをどういうふうにチェックしているかということについて、概要を簡単に御説明させていただきたいと思います。 近年我が国に入ってまいります外国人の数は飛躍的に増加してまいりまして、これらの中には不正な手段によって出入国する者が後を絶たない状況にあることは、先生も御存じのとおりでございます。 これらの不正な手段の態様といたしましては、旅券、査証の偽造による者、就労目的を隠しまして、比較的取得しやすい観光目的等の短期滞在査証で入国を図る者、さらには同じように就労の目的を有するにもかかわらず、我が国との査証相互免除取り決め等を悪用いたしまして観光目的で入国を図る者等がございます。昨年一年間に空港等で不正入国を図ろうといたしましてこれを摘発し、本邦から退去せしめた者は二千六百六十五人となってございますが、正直申しまして、これらの者は実際の不正入国者の一部にすぎない状態ではないかと思っております。また、出国する者の中には、不法残留事実を隠ぺいするために上陸許可証印を偽変造したり、あるいは正規に在留中の他の者の旅券を使用する事案等が見られます。 これらの不正手段による出入国を防止するためには旅券、査証の審査、入国目的の審査、滞在費の有無等につきまして、出入国法におきまして慎重な審査を実施してきておりますが、冒頭に申しましたように、外国人の入国者の数が非常に急激にふえつつございますので、これらの出入国審査に当たっております入国審査官の負担は極めてふえてきております。したがいまして、出入国管理の一層の強化を図るためには、査証の発給に当たっております外務省、それから国内の取り締まりに当たっております警察庁、また雇用主の指導規制に当たっております労働省等関係省庁の協力が不可欠となっておりまして、これら省庁との協議を進めておるところでございます。
○黒木説明員 外国人登録法の一部を改正する法律案を現国会に提出しております。その改正内容の主なところは、現在指紋の押捺につきましては五年ごとの切りかえ交付とか、紛失した場合の再交付とか、そういった場合に重ねて指紋を押す制度になっておりますけれども、これにつきましては外国人の間にいささか厳し過ぎるのではないかというような声もございまして、種々検討いたしました結果、原則として最初に一回指紋を押捺すれば足りる、自後は人物の同一人性に疑いがあるというような場合に二度目の指紋を押させるというふうに制度の緩和を図ろうという法律案を現国会に提出しているということでございます。
○滝沢委員 各省庁御苦労さまでした。 ただ、今の法務省の指紋押捺のことですけれども、聖書には目には目を、歯には歯をと書いてある、もちろんそれではいけない、にらまれてもにっこり笑って返せとキリストは言っているわけですが、なかなかキリスト様のようにはいきません。孔子様も、おのれの欲せざるところは人に施すなかれと言っております。私は、外交関係というのは相互互恵の関係にあると思うのです。向こうが厳しければこっちも厳しい、向こうが侵しければこっちも優しい、こういうものじゃないかなと思うのですよ。そのような意味で、ヨーロッパは比較的安易に、共産主義の国は非常に厳しく、こうなってございます。アメリカはどうか知りません。島国と陸続きの国々とは違うのでありましょうけれども、そのような意味で、法務省が苦労されていることはよくわかります。しかし、国によってきちんと分けて、向こう様がやってくださるようにこちらがやる、これが本当のことじゃないのかな、こう私は思うのですよ。我々がよその国々へ行きますれば、向こうの法律によって向こうの国内法を守らされるわけでありますから、向こうからおいでになる方々には日本の国内法を守ってちょうだいする、それが国際秩序の基本だと私は思うのです。 そのような意味で、これからその法の成立のために努力なさるのでありましょうが、私のような考えも、国会の勢力分野とは別に、国内の多くの方々が理解していらっしゃるものではないかな、こう私は思うのですが、いかがですか。
○黒木説明員 外国人登録法は、外国人の居住関係、身分関係を明らかにするという行政目的と申しますか国家目的があるわけでございまして、私どもも安易に外国人のそういう希望があるから制度を緩和するという立場ではございません。ただ、いろいろ政策立案いたします際には、やはり行政対象者の負担と申しますか心情と申しますか、そういったものも考慮はせざるを得ないだろうということで申し上げたような次第でございます。 それから、相互主義的な制度というのはいろいろな局面であろうかと思います。現に私どもの入管法の中にも相互主義をうたった部分はございますけれども、この指紋制度につきましては、先生せっかくのお話でございますが、ちょっと相互主義はなじまないのではないか。国家目的、行政目的のためにこういう制度がとられているということでございまして、私ども調査しました約五十カ国の中の約半数の国が指紋制度を採用しております。採用してない国が半分ほどあるという状況でございまして、先ほど申しましたように、一律に全部五年ごとの指紋押捺をしてもらうという制度は多少は緩和していって、そういう外国人の気持ちというものも酌もうというのが今度の改正の趣旨でございます。
○滝沢委員 愚問に対しまして検討をいただきまして大変恐縮に思います。時間がそろそろあれであります。 そこで、とにかく今我々日本人が間われているものは国際的な名誉、これが問われている。それは数々ございます。エコノミックアニマルか知りませんけれども、とにかく金、金、金ということで、よその国へ行って稼ぎまくる。正当に稼ぐならばいいけれどもそうでないのも多々あるわけであります。そうした中で、先ほどもお話のありましたアジアの条約に関係する国々のセミナーで日本が名指しで非難をいただいた、これは大変なことだと思うのであります。これは先ほどから申し上げております心なき密輸の方々、心なきならいいんだけれども、それこそ下心が十分にあってもうけんがためにやっていることですから、まことに残念なこと。それがこの条約の範囲だけではなくて、広く国際社会の中で日本がいかに処していくかという意味において非常に不利なことにもなる、こういうふうに思うときに大変重いものに受けとめなくてはならぬと思うのであります。 五十九年にエジンバラ公がおいでになりまして総理大臣とお会いいただきまして、そうしたことをも動機として今回の改正等のこともあると存じております。一面から言うとこの法律がいわばざる法的で、罰則等もほとんどなかったというような点も今度は是正してちょうだいできるようでありますが、こういうふうに思いまするときに、今後に処しまする姿勢というものは、長官、また外務省、特に留意していただかなければならぬことだと思いますが、これらについての御決意のほどを長官並びに外務省当局にひとつお伺いをし、しっかり頑張ってちょうだいしますように御注文を申し上げたいと思います。いかがでしょうか。
○稲村国務大臣 滝沢先生の先ほど来の御指摘のとおり、一生懸命しっかりと頑張ってまいりたいと思います。
○金子説明員 先生御指摘のような問題等を踏まえまして、我々といたしましては関係省庁と協議いたしまして、より密接に協力いたしましてワシントン条約の適正な実施に努めてまいりたいと思っておりますし、ただいま御審議いただいております国内法の制定とか、相当の改善策を今後とも一層目指していきたいと思っております。
○滝沢委員 そこで、実はこの法律につきまして案外国民がよく存じていないんではないかと思うのですよ。そういう意味で、これが通過をしましたならば、この法の改正の趣旨、そしてこの条約の精神、そしてこれに対処しまする政府の態度というものを力を込めて国民の皆さんに御説明申し上げる、普及、宣伝に努めるということが非常に大事ではないのか、こういうふうに思います。そして国民が十分にそれを知っていらっしゃってこそ初めて国民の目が一つの規制チェックの役割を果たすわけであります。今むしろ密輸等で大変新聞、テレビをにぎわしているようなことも、国民の皆さんがこれを知らなくて、しかもこれはないものだと言われれば、ますます値を高うして求められるというところに一つの悪の温床があると思いますので申し上げておるわけでありますが、今後この法の精神を普及、徹底されるための施策といいますか、承らせていただきたいと思います。
○古賀政府委員 先生言われましたように、このワシントン条約並びにこれに基づく国内法、こういうものを実効あらしめるためには、国民の理解と協力を得ることがぜひとも必要でございます。そのために私どもは、この法律が成立をいたしますれば、国民の理解を得るための普及、PRに大いに力を入れてまいりたいというふうに考えております。
○滝沢委員 大変取りとめのないことをお伺いいたしました。しかし、私の申し上げておることは御理解いただいたと思いますが、狭い意味でこの法律を批准した国の義務として守ろうということから一歩先んじて広い意味に、例えばこの法律の中で、ないしは条約の中で数え上げられている九十何品目のそれに尽きるというのではなしに、法で規制はされないけれども、要するに自然を大事にするという精神をくれぐれも踏まえていただきまして、今後の環境行政に遺憾なきを期してちょうだいしたいと存じます。 長官に最後になお一言決意のほどを承って、終わらせていただきます。
○稲村国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、このワシントン条約の成立した暁には、まずこの意味を国民の間によく知らしめるということ、また野生動植物に対しての理解、モラル、こういうものを徹底させて、日本国が先進国として恥ずかしくない、そういう姿勢を世界じゅうに訴えていきたい、こう思っております。
○滝沢委員 ありがとうございました。長官の決意を承りまして、大変期待を厚うするものであります。当局の御努力を多とし、委員長さん御苦労さまでした。質問を終わらせていただきます。
○林委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 まず、規制の対象となる野生生物の範囲について伺いたいと思います。 先ほどからの答弁でも明らかなように、ワシントン条約の附属書Ⅰの全部と附属書Ⅱの一部を政令で指定する、こういうことになっているわけでありますが、これでは附属書Ⅱの部分と附属書Ⅲの全部が規制の対象外となります。WWFJの調査では、日本に輸入される野生生物の件数で見ると、九八%までが附属書Ⅱに属するものだということであります。したがって、大部分が規制の対象外になってしまうということが先ほどからも論議されているところであります。民間監視団体のトラフィック・ジャパンや日本霊長類学会の要望書、またWWF総裁のエジンバラ公の中曽根総理あての書簡でも、附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの全部を規制の対象としてほしい、そう要望しています。政令を定める際には、このⅠ、Ⅱ、Ⅲのすべてを対象とすべきではないかというふうに思うわけですが、この点について伺います。
○古賀政府委員 ワシントン条約を実施するための国内法が、今御提案している法律だけでありますれば、これはその附属書Ⅰを中心として規制対象にするということについては問題があると思います。しかしながら、五十五年にこのワシントン条約を批准いたします際に、外国為替及び外国貿易管理法に基づく政令を改正いたしまして、附属書ⅠからⅢまでを規制対象にすることにいたしておるわけであります。輸出入の規制はⅠからⅢまですべてやっておるわけでございまして、そこから漏れて国内に入ってきたものについて流通規制をするというのが今回の国内法でございまして、これは附属書Ⅰを中心にするのが妥当であろう。なぜならば、ワシントン条約そのものが、附属書Ⅰについてのみ原則として流通を禁止しておるからでございます。附属書Ⅱ及びⅢについては、一定の条件のもとで流通を認めておるわけでございますから、そういう趣旨からしまして、私どもは附属書Ⅰを中心に国内の流通規制を行うことが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
○岩佐委員 附属書Ⅱ、Ⅲは国際商取引が認められている種だからそういうことであると思いますけれども、それは輸出国の正式な許可があるということが前提だと思います。実際にはさまざまな不正な方法によって輸入がされています。トラフィック・ジャパンが二月に発表した資料、これは通産省と大蔵省がまとめた輸入記録に基づくものですけれども、これを見ると、南米にしかいないイグアナが西ドイツから輸入をされている。あるいは地中海沿岸にいるリクガメがスイスから輸入をされる。原産国のタイやマレーシアなどが輸出を禁止しているはずのセンザンコウの皮が一万五千枚も輸入されたりしている。イグアナ、リクガメ、センザンコウ、これらは皆附属書Ⅱにかかわるものであります。こういう不正輸入を禁止する、規制するまでは水際でのチェックを厳しくするのは当然でありますけれども、国内での流通についても、輸入許可書に基づいて何らかの登録をさせるなど規制をかける必要があると思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
○古賀政府委員 水際規制の強化につきましては通産省の方から御答弁があると思いますけれども、先般厳しい規制に踏み切られたわけでございます。 私どもとしましては、あくまでも国内の流通規制を行うということがございまして、一たびこれを対象にいたしますれば譲り渡し、譲り受け等が禁止されるということでございますので、そういう意味で大きな効果があるというふうに考えております。したがいまして、水際規制と国内法と両方が相まってワシントン条約の確実な履行というものが行われると考えておるわけでございます。
○鳥居原説明員 水際規制につきましては、先ほど来何回も議論に出ておりますが、ステップ・バイ・ステップできめ細かく規制いたしておりまして、六十年四月に原産地証明から輸出許可書という制度に切りかえましたし、ごく最近、これも先ほど来語に出ておりますけれども、原産国で輸出を禁止している国については、単に輸出国の輸出許可書のみならずもう一度原産国にも問い合わせるというようなダブルチェックをするシステムを導入いたしております。今後とも事態の推移あるいは国民的なコンセンサスが得られましたら、ステップ・バイ・ステップで規制のきめ細かい措置を行っていきたいと思います。
○岩佐委員 次に、附属書Ⅰ、Ⅱのうち、留保されている鯨類六品目、ジャコウジカ、イリエワニ、トカゲ類三品目、それからタイマイ、アオウミガメ、ヒメウミガメの計十四品目の問題についてお伺いしたいと思います。 国際会議では、密輸出された野生生物を日本は堂々と輸入し国際的な不正取引を助長している、こう厳しく批判されています。七月にオタワで第六回締約国会議が開かれる予定でありますが、それまでに十四品目のうち幾つを撤回されるつもりか、そのことについてお伺いしたいと思います。
○鳥居原説明員 留保品目につきましても先ほど議論が出たわけでございますが、我々といたしましては、その品目数をできるだけ早く減らしたいというのが基本的な気持ちでございます。しかしながら、そのためにはいろいろな準備あるいは環境の整術が必要でございますので、今の段階では、まずそういった留保品目を減らし得る環境をつくり上げていくということを行政的な努力で行ってまいりたいと思っている次第でございます。
○岩佐委員 ジャコウジカについて少し伺いたいと思います。 先ほど留保撤回のために努力をしているという話がありましたけれども、五十九年に厚生省が通達でジャコウの使用量を削減するよう指導したら、翌六十年の輸入は前の年の一・五倍近くにふえたわけであります。これは、近い将来の留保撤回を予想して駆け込み輸入がふえたという結果を示しています。今後の問題としてこういうことが起こるのではないかという心配がされるわけであります。厚生省、通産省にお伺いしたいと思いますが、こうした駆け込み輸入防止のためにどういう対策をとってきたのか、それから今後に備えてこういう事態をなくすためにどうしていくつもりでありますか。
○佐藤説明員 ただいま御指摘ございましたように、昭和五十九年十二月にジャコウにつきまして、滋養強壮剤あるいは風邪薬におきますジャコウの使用を禁止するという措置をとりまして通知を出したわけでございますが、その後六十年には、確かに輸入量がふえる結果となっております。私どもはこれがむしろ輸入量の減少になると考えていたわけでございます。この輸入の増加と申しますのは、五十九年通知による駆け込み輸入というよりも、香港政府が六十一年三月以降ジャコウの輸出規制の強化を行うという情報がございまして、医薬品メーカーあるいは輸入販売業者が、香港におけるジャコウの輸出規制の強化を見込みまして在庫の買い置きに走った、こういうことではないかと考えているわけでございます。 いずれにいたしましても、こういった状況は好ましくないことでございまして、現在留保はしているわけでございますが、ワシントン条約の趣旨を尊重するということで、ジャコウを輸入する際には、あらかじめ輸入業者から輸出国政府が発行する輸出証明書の写し等を添えて私どもに事前に報告させる、こういう措置をとることにいたして、現在行っているところでございます。こういうことで御指摘のような駆け込み輸入という問題にも対処できるのではないかと考えているところでございます。
○岩佐委員 厚生省の輸出事前許可はいつからということですか。
○佐藤説明員 行政指導としてこの措置を行うということで、ことしの五月十五日の分からということでこの措置に取り組んだところでございます。
○岩佐委員 通産省。
○鳥居原説明員 通産省で分掌いたしておりますものあるいは種について、駆け込み輸入という事態はないかと思いますが、いずれにいたしましても、さっき御答弁申し上げましたように関連の業界あるいは輸入業者に対しましては、できるだけ早い機会に留保品目が解除できるような準備をするように行政的に指導を行っているところでございます。
○岩佐委員 トラフィック・ジャパンのニュースレター八四年第一巻第四号を見ますと、日本がジャコウを輸入する背景でどれだけのジャコウが殺されているか、そのことが記されています。これによりますと、ジャコウは成長した雄からしかとれないわけでありますけれども、狩猟は無差別に行われ、雌や子ジカもわなにかかったり射殺をされている。ジャコウ一キログラムをとるために、百から百六十頭のジャコウが殺されているだろうと推定されています。過去十年間ネパールから日本に輸出された千三百七十六キログラムのジャコウをとるために、十三万から二十二万頭のジャコウが殺されていることになる、こういうふうに言われています。驚くべき数のジャコウが犠牲にされているわけです。この点でも一日も早く条約の留保を撤回すべきだと思いますけれども、長官にお伺いしたいと思います。
○稲村国務大臣 岩佐先生のおっしゃるとおり、そういう方向でいかなければいけない、早くそういう方向を打ち出したいと思います。
○岩佐委員 次に、べっこうの輸入についてですけれども、雑誌「野生生物」八五年十一月号に、大蔵省の日本貿易月表から作成したワシントン条約締約国からの日本のべっこう輸入の統計数字が出ています。これを見ると、インドネシア、パナマ、トリニダードトバゴ、西ドイツ、タンザニア、こうした国からも輸入したことになっているわけですが、これらの国の政府は輸出許可書を発行した事実がないと言っているわけです。どうして貿易月表に輸出許可のある合法輸入として載っているのか、この点大変疑問に思うわけです。このうちパナマとトリニダードトバゴ両政府は、通産省に対して説明を要求する書簡を送ったけれども、通産省は両国に対してどうも返事を出していないということが言われているわけであります。書簡を受け取ったのかどうか、返事を出されたのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○鳥居原説明員 留保されている品目については、ワシントン条約の手続はとらないで輸入されるわけでございますので、輸出許可書が要るとかそういうことではございません。したがいまして、我々管理当局といたしましても、その輸入の流れ、実態が必ずしも十分把握できないというのが現状でございます。 御質問のもう一つのトリニダードトバゴあるいはパナマ等からの書簡につきましては、まずトリニダードトバゴからの書簡は一九八五年の八月に照会を受けております。内容的にはタイマイの輸入について輸入者等を照会してきておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように留保品目でございますのでそこの情報は我々ございませんので、これは関しましては回答を差し控えるといいますかできなかったわけで、やっておりません。それからパナマからの書簡は、正確には我々受け取っておりませんで、これは聞くところによりますと、通産省というよりもトラフィックという団体の方へ照会をされたというふうに聞いております。
○岩佐委員 今長官お聞きのように、通産省に対してそういう照会があって、結局現在の対応の中では通産省はこれに返事をしてない、国際的な信義にもとるということで、これが国際的な問題になっていることでありますので、こうした問題は早急に解決をしていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○古賀政府委員 国際的な諸機関と十分緊密な連絡をとりながら、条約の適正な履行を図っていく必要があるというふうに考えております。
○岩佐委員 農水省にお伺いしますが、五十五年からアオウミガメについての調査研究を実施してこられたということでありますけれども、人工養殖の技術的な見通しはついたのでしょうか。それから、今後その見通しがついたということで留保撤回するような望みというか、そういうことについての早急な何か見通しがついたかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○河田説明員 アオウミガメに関する調査研究につきましては、今先生御指摘のとおり五十五年から国の補助事業として東京都に助成してやっておるわけですが、それ以前から、アオウミガメの産卵地が小笠原にございますので、そこでは調査研究していたわけで、五十五年から五十七年にかけて種苗生産、親から卵をとってそれをふ化して育成する、そういう種苗生産に関する研究を行い、その後五十八年から六十年にかけましては、ふ化したカメに標識をつけたり資源、生態に関する研究を行ってきた。ですから、五十五年から六十年まで六年間アオウミガメの調査研究を行ってきたわけで、その結果一定の成果は得られてきているというふうに考えております。特に効果的な増大の方法については、回遊が意外と広い範囲にあるということで、種苗の増殖といいますか栽培についてはなかなか見通しがつきにくいわけですけれども、種苗生産に関しては一定の成果が上げられておるというふうに考えております。 ただ、病気の話などまだ解決してない問題が残されておりまして、今後も東京都の小笠原のセンターを中心に研究をしていくというふうに聞いております。それから、標識放流につきましても、六年間で毎年一万個体ぐらいずつ標識をしておりまして、現にかなり広範に回遊していることがわかってきておりまして、七年から十年ぐらいかけないとまた帰ってきませんから、それの解析なんかもまだ今後に残された問題だというふうに思っております。 こうしたことから、アオウミガメに関する培養殖の技術のうち種苗生産については、若干の問題はあるものの技術は確立してきておりますし、そういうことで、タイマイ等値のウミガメにも応用できると考えられます。この技術は、輸出国に普及すれば、一定の種苗生産の可能性、そういうものに役立つというふうには考えております。
○岩佐委員 次に、イリエワニについてお伺いしたいと思います。 イリエワニは附属書Ⅰに掲載をされ、商業的取引は禁止されていますけれども、日本は留保を続けているわけです。パプアニューギニアでは一九八一年から、オーストラリアでは一九八五年からランチング計画、いわゆる飼育下における繁殖が行われ、一定の範囲での合法的取引が認められているわけです。またインドネシアは、条約で認められた輸出割当制度に基づいて年間二千枚の皮を輸出しています。これらの輸出国と取引をすれば合法的、定期的にワニ皮を輸入できる道があるはずなんです。ところが、ブエノスアイレスでの第五回締約国会議では、ランチングを行っている国と留保している国との取引を禁止する、そういう決議がなされているわけです。日本が留保を続ける限り、オーストラリアなどから合法的な輸入ができないことになるわけであります。ですから、こういう面で留保はもう早く撤回をすべきだというふうに思うわけでありますけれども、この点、環境庁のお考えを伺いたいと思います。
○松倉説明員 先生御指摘のイリエワニにつきましては、皮革の原料ということでございますけれども、その皮革の原料としての品質がワニとして最高級のものであるということでございまして、ほかのワニによって代替が不可能であるということで、留保の撤回については極めて困難であるというふうに考えておるわけでございます。 なお、我が国といたしましては、フィリピンにおきましてワニの種の保護を図ることを目的としたワニ養殖事業への技術協力を行っているわけでございまして、このプロジェクトの推進に伴いましてイリエワニの供給力が増加することを期待しております。
○岩佐委員 長官にちょっとお伺いしたいのですが、今まで数は少ないのですがジャコウジカ、アオウミガメ、それにイリエワニについて少し議論をいたしましたけれども、結局、日本がいろいろ考えて努力をすれば、アニマルギャングと言われなくて済む事態をつくり出すことができるというふうに私は思うのです。そういう方向に向けての長官のなお一層の御努力をぜひ期待を申し上げたいと思うわけですけれども、一言お願いを申し上げます。
○古賀政府委員 ワシントン条約の確実、誠実な履行のために今まで努力をしてきたわけでございますけれども、このたび通産省におきまして水際規制を強化するという措置をとられましたし、また私どもは国内法を提案いたしておるわけでございます。こういうことがワシントン条約の確実な履行に大きく資することは間違いないところでございます。こういう努力の積み重ねがこの条約の確実な履行につながるというふうに考えておるわけでございます。 もう一つは、留保品目の点でありますけれども、これも関係各省削減する方向で努力をするということでございますので、各国の我が国に対します目も、これからは変わってくるであろうというふうに確信をいたしております。
○岩佐委員 不正輸入された野生生物で税関で発見をされ任意放棄されたものが、五十六年から六十一年まで六年間に三百三十八件、四千八百五十個体となっています。これらの動植物は、原産国に返されたものがキンクロライオンタマリン、ブラジルヘ十一別返された、またオランウータンがインドネシアに返された、この二つの例しかない、そういうことであります。 先ほどの答弁で、法案の第十三条の「必要な措置」の中には返還も含まれる、こういうような説明があったわけでありますけれども、返還のための努力がきちんとされているかどうかということが大変大きな問題だと思います。原産国に対して返還を望むかどうかの通知さえ今までされていないというのが実態だというふうに聞いているわけでありますけれども、この点について、そういうことでは問題だと思いますので、お答えをいただきたいというふうに思います。
○鳥居原説明員 不正輸入されたものにつきましては、大抵の場合に輸入者が任意放棄をされます。任意放棄をされますと国のものになる、国庫に帰属するということで、それを条約の趣旨に沿って管理するためには二つ方法があります。そのうちの一つが返還ということでございまして、返還には先ほど来から議論をいたしておりますように受け入れ先、相手国の状況、あるいは条約によれば輸出国の費用負担という原則になっております。そういったいろいろ国際上の問題がまだまだ山積いたしております。 そういった点を考えまして、本来保護しなければいけない動物あるいは植物について一番いい方法は何かといえば、現時点で考えられる方法としましては、まずは国内の保護センターで保護育成をするということが先決ではないかということで、今まではそちらを優先してまいったわけでございます。ただ、今後、返還をして輸出国先へ戻した方がいいというケースがだんだん出てくれば、我々といたしましてもそういう国に積極的に返還の要請あるいは問い合わせをしたいというふうに思っております。
○岩佐委員 最後の質問になりますけれども、外から国内に入ってくる野生生物の水際チェック、これを強化するべきだ、先ほどから議論があったところであります。特に人の配置の問題でありますけれども、アメリカでは、専門の係官を十八カ所の通関所に二百人配置をしている。一カ所平均十人強であります。ところが日本は、今回の改正で二百二十二カ所から三十五カ所に絞って専門官を一人ずつ配置するなどの措置をとっているけれども、しかし大変少ないということが言われています。やはりアメリカ並みに専門官、係官の配置をすべきだという要求が大変強いわけであります。 それから、先ほどの専門官のことですけれども、専門の知識を持った人を識別委員として通産省は名前はそろえてはいるけれども、水際チェックの際、条約の対象の野生生物であるかどうかの識別を頼んだ例はまだ一度もないということでございます。また、大蔵省も税関チェックの際、よくわからないものは専門官に委嘱をして判定してもらう、そういう体制を考えているようだけれども、これもボランティアみたいなことを考えておられるようだ。そういう点では係官の増員、それからちゃんと専門官を配置する、この点について真剣に考えていくべきだというふうに思うわけでございます。この点、大蔵省の御意見をお伺いしたいと思います。 そして最後に、今回の法律、これはまさに何もないところにつくるわけでありますので、そういう点では今後期待されるものがあるわけでありますけれども、いろいろ論議の過程で不十分な点、そういうものがあります。ぜひ不十分なものを政令等で補う、あるいは運用面で積極的に改善をしていく、このことを強く要望いたしまして私の質問を終わらせていただきたいと思いますが、答弁だけお願いしたいと思います。
○伊東説明員 専門官の点についてお答え申し上げます。 現在のところ全国の通関官署に五十二人を配置しておるわけでございますけれども、今後とも税関職員の研修の充実強化を通じまして職員の資質の上昇に努めてまいりたいと思っております。 それから、識別の点でございますけれども、税関におきましては、常日ごろから最寄りの動物園、水族館と連携をとりまして識別等について教示を願っているところでございまして、現在のところは日本動物園水族館協会に属するところに直接連絡をとって動物等の識別を行っていただいているところでございます。
○岩佐委員 終わります。
○林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます 〔賛成者起立〕
○林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○林委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、武村正義君、岩垂寿喜男君、春田重昭君、滝沢幸助君及び岩佐恵美君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説山を求めます。武村正義君。
○武村委員 私は、ただいま議決されました絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。 一 規制の対象となる「希少野生動植物」の種は、ワシントン条約附属書Ⅰに掲げる種に限定することなく、適切な評価を行うことにより同条約の効果的実施に資するよう、その範囲を定めること。 一 ワシントン条約に対する我が国の留保品目の数を削減するよう努めること。 一 絶滅のおそれのある野生動植物の保護施策を科学的、総合的に推進するため、海外の関係機関とも連携して調査研究の充実を図るとともに、保護体制の強化に努めること。 一 野生動植物の保護のため、原産国との協力を含めその生息環境の保全を図るとともに、必要な保護増殖対策を推進すること。 一 野生動植物の保護の重要性について、積極的に普及啓発を図ること。 一 国庫に帰属した生きた「希少野生動植物」について、原産国への返還を含め適切な保護を行うこと。 一 関係省庁の連携を一層緊密にし、ワシントン条約のより適切な実施を図ること。 以上でありますが、その趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○林委員長 起立総員。よって、武村正義君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、稲村環境庁長官まり発言を求められておりますので、これを許します。稲村環境庁長官。
○稲村国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきまして、その御趣旨を十分尊重いたし、努力してまいる所存でございます。ありがとうございました。 ―――――――――――――
○林委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○林委員長 次に、福島譲二君外四名提出の水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 提出者より趣旨の説則を聴取いたします。福島譲二君。 ――――――――――――― 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の 一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○福島議員 ただいま議題となりました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 水俣病対策は、環境行政の重要課題の一つであり、水俣病患者の迅速かつ公正な救済に当たっては、まず、その認定業務を促進することが求められております。 このため、熊本県において検診・審査体制の充実強化等の措置が講じられてきたほか、昭和五十三年十月に本臨時措置法が制定され、翌五十四年二月十四日から施行されました。その後、昭和五十九年四月に認定の申請期限を昭和六十二年九月三十日まで延長する改正が行われ、現在に至っております。この法律においては、旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、いわゆる旧救済法により、昭和四十九年八月三十一日までに熊本県知事等に対し認定の申請をしていた者で認定に関する処分を受けていない者は、環境庁長官に対して認定の申請をすることができることとされております。 本法施行以来の国及び県の努力の結果、旧救済法による申請者で認定に関する処分を受けていない者は、残り少なくなっております。しかしながら、昭和四十九年九月一日から施行された公害健康被害補償法による申請者で認定に関する処分を受けていない者を含めますと昭和六十二年三月末で五千五百人を超えている現状にあり、長期にわたる申請滞留者を速やかに解消することにより水俣病対策の推進に資するため、この法律案を提出した次第であります。 以下、法律案の内容を御説明申し上げます。 第一は、認定の申請期限の三年間の延長であります。 旧救済法による水俣病に係る申請者でいまだ認定に関する処分を受けていない者は、昭和六十五年九月三十日まで環境庁長官に対して認定の申請をすることができることといたしております。 第二は、環境庁長官に対して認定の申請をすることができる者の範囲の拡大であります。 従来の旧救済法による申請者に加え、新たに公害健康被害補償法施行後五年以内における同法による水俣病に係る申請者等で、いまだ認定に関する処分を受けていない者は、昭和六十五年九月三十日まで環境庁長官に対して認定の申請をすることができることといたしております。 以上のほか、環境庁長官が行う認定の効力に関する規定等の整術を行うことといたしております。 なお、この法律案の施行期日は、昭和六十二年十月一日といたしております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○林委員長 これにて趣旨の説則は終わりました。 次回は、来る二十六日火曜日午前十時三十分理事会、午前十時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時四十四分散会 ――――◇―――――