予算委員会 第5号
- 発言数
- 271 件
- 登壇者
- 39 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1986/11/11
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十一年度一般会計補正予算、昭和六十一年度特別会計補正予算、昭和六十一年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十一年度補正予算三案審査のため、本日、全国農業協同組合中央会常務理事櫻井誠君、税制調査会会長小倉武一君の両名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、これより質疑を行います。鶴岡洋君。
○鶴岡洋君 最初に、米作農業基本姿勢についてお伺いいたします。 最近の農業を取り巻く諸情勢は八方ふさがりというか、大変厳しい状況にあります。対外的には、アメリカ等が日本の農業の基幹をなす米にまで市場開放を強く要求しておりますし、対内的には、農産物の生産過剰基調のため価格も低迷しておりますし、後継者は減り、そこへ来て耕地の荒廃が問題をもたらしております。農政審議会は昭和五十五年に「八〇年代の農政の基本方向」というのを発表しましたが、その後においても米の消費量は予想以上に減っております。こういった最近の農業情勢を踏まえつつその見直しが行われておりますが、米について言えば、日本の生産者米価がアメリカの六倍、タイの十倍、また食管制度等をどうするか、こういう問題がございます。 この点について、農政審議会の討議内容はともかくとして、国の責任者である中曽根総理、また農政の責任者である加藤農林大臣に、今後の農政の基本にかかわる問題でございますので、その所見をまずお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、本委員会でも前から申し上げておりますように、食管制度の根幹を維持する、それから衆参両院における食糧自給の決議を遵守いたしますと、そう申し上げております。 食管制度の根幹という意味は、やはり生産者側における再生産の保障と、それから消費者側における安定供給の保障、これがやはり根幹であるだろうと思うんです。それからもう一つは、やはり米作というものが、日本の国土の環境あるいは日本の一つの社会的基盤、文化的意味というようなものもありますし、さまざまな農業以外から考えなければならない機能も果たしている部分もございます。そういう総合的な観点から米の問題というものを取り扱う。現在農政審議会におきましてせっかく新しい農政を研究中でございますから、近く答申が出されるやに聞いていますが、それをよく拝見いたしまして推進してまいりたい。 しかし、やはり米作という問題は米の生産者にかかわる問題であり、食管制度という面から国家がこれに関与しているという面がございます。特に、戦時中及び戦後における食糧供給の重大性という面から、こういうような措置もとられた伝統もあるわけであります。しかし、今このような新しい変化が出てまいりまして、一面においては国際的な圧力、それからまた内部におきましては、米の価格が高いというので消費者側の不満、そういうようないろんな面が出てまいりまして、この国民や内外の声を無視することはできないのであります。これを無視し続けていくという形になれば、必ずやどこかで農政の破綻が突如出てくるという危険性もございます。 したがいまして、そのような変化に対しては常に柔軟に対応して改革を行うことが大事であり、時代に合うように穏歩前進と申しますか、安心を与えつつ改革を進めることが必要である。その際には、やはり生産者あるいは農協日体がみずから改革の意欲を持ち、時代に適合するような姿勢をとることが国民的に好ましい。そう考えておりまして、そういうような方向で、ぜひ農村あるいは農業の側から自主改革案を出していただく、農林省や政府はそれと協力して、それが推進されるように持っていきたい。そういう我々が喜ぶような改革案をぜひお出し願いたい。その第一歩として農政審議会の答申が出るわけでございますから、それをお待ちしていると、こういうことでございます。
○国務大臣(加藤六月君) ただいま総理がおっしゃられたとおりでございます。 まず、食管制度につきましては、適宜適切に国民各界各層の需要、物の考え方等に応じながら改革をしていきつつ、その根幹を守っていきたいと考えております。米につきましては、もう私が改めて申し上げるまでもありません。第一が国民の主食であるということ、第二が我が国農業の出荷額の根幹をなしておるということであります。さらに、水田、稲作というものが自然環境の保全等に非常に重要な役割を果たしておると。そして、総理もお触れになりましたが、我が国の文化、伝統というものに根強く根差しておるのが水田、稲作である。そしてそういう中で、なおかつここ十数年、大変厳しい生産調整をやりながら食管制度を実は維持してきておるということは、農民に再生産を保障し、そして消費者に安定的に供給していくという役割を果たしてきておるわけでございます。しかし、そういう中でも、私たちは内外の価格差の問題を夢寐にも忘れることなくやっていかなければならない、このように考えております。
○鶴岡洋君 農水大臣、食管法は根幹を守りつつ変えていきたいと、こういうふうに私、今お聞きしたんですけれども、それじゃどのようなスケジュールで変えていきたいというふうに思っておりますか。
○国務大臣(加藤六月君) 適宜適切にという言葉がありますが、昭和五十六年に食管法の改正をやりました。そして、その中における競争原理の導入を持っていくとか、あるいはまた今後は生産者自身にも何がしかの責任を持っていただくような方法であるとか、いろいろ考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 それでは減反転作問題ですけれども、米の減反政策は、御存じのように昭和四十六年の稲作転換対策から始まって今日まで、水田利用再編対策まで十八年間、もちろん農家はその間、理解と協力を惜しまずに、転作奨励金等もありましたけれども、減反を促進し、転作においても血のにじむような努力によって政府の示した目標面積以上をこなしてきたというか実施してまいりました。しかし、米は依然として生産過剰基調であります。そこで、これらのことを政府はどのように見、また今言ったような転作目標面積以上を消化している農家に対してどう評価しているか、これが一点。 さらに、作況指数を見ますと、一昨年は一〇八、昨年は一〇四、ことしは一〇五と、三年連続豊作になっておりますけれども、こうなってくると三度目の米の過剰が心配される今日ですけれども、これに対してどう対処していくのか、農水大臣、お願いします。
○国務大臣(加藤六月君) 昭和四十六年に稲作転換対策、そして五十一年から水田総合利用対策、そして五十三年度から水田利用再編対策を実施してきたことは鶴岡委員御承知のとおりでございます。これらの一連の対策が全国の稲作農家の理解と協力を得て着実に実施されてきた結果、米需給の不均衡の是正に資してきたところであります。また、全国各地で果樹等への転作で定着化が図られてきたと考えられるものもあります。ただ、米に匹敵する収益を上げているものや、あるいはブロックローテーション等転作を契機に地域農業の再編成を図ろうとする動きが見られるところでございますけれども、いろいろな問題があると思います。 先ほど申し上げましたように、二千年の歴史を有しておる我が国の風土に最も稲作というのが適しておるわけでございますので、農業の生産構造を需要の動向に即して再編成していくということはなかなか容易ならざる課題であると考えております。そして、本年の作況指数問題につきまして、平年作を六十一年産米は前提としまして千八十万トン、これに前年度からの持ち越し在庫九十五ないし百五万トンを加えました千百七十五万トンから千百八十五万トンを供給量と見込み、一方、需要量につきましては千四十五万ないし千五十五万トンと見込んでおるわけでございます。 今後の需給の見通しその他は政府委員から答弁させたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) お答え申し上げます。 明年の十月末の在庫でございますが、私ども最近の需要動向等を見まして、ことしが平年作であれば大体百四十万トン程度だろう、こういうふうに見ておったわけでございますが、十月十五日現在の作況指数は一〇五ということになりましたので百九十万程度になるのではないか、最終的には実収高の確定を待たなければいけませんけれども、百九十万程度というふうに見ております。私ども、五十九年のときに一時需給がかなりタイトになりまして、韓国米の返還というような事態があったわけでございますが、ゆとりのある米の需給ということを一方で考えながら、他方で過去二度過剰米の累積というのを招きまして、これに多大の財政負担、国民の税金を使わしていただいたという苦い経験もございます。この両方の谷間に落ちないようにということで、三度の過剰の発生を防止し、またゆとりある需給を考えていくということで考えてまいりましたが、現時点で申せば三度目の過剰が心配をされるという状況になってまいっております。 百九十万トンと申しますと、月間三十万トンほど売却をしております政府米だけで申しますと六カ月以上の数量に当たります。自主流通米が月二十四、五万トンございます。こういうものを合わせました五十四、五万トンの流通の規模の中でこの米を、いわば官民協調して円滑に売却をしていくということを考える必要があると思っておりまして、今この豊作の恵み分につきまして、生産者が自主的な調整保管をし、売却をしていくという生産者団体の自主的な対応を求めて、今関係団体とお話し合いをいたしておるという状況でございます。
○鶴岡洋君 全中の参考人の方にお伺いします。お忙しいところを済みません。 ことしの夏の生産者米価決定の際に政府と自民党の間で確認事項がございました。御存じのとおり、「六十二年度から実施されるいわゆるポスト三期対策においては、生産者団体が自らの問題として主体的に取り組み、責任をもってこれを推進せしめるものとする。」というのがございますけれども、このポスト第三期対策について農政審また米の生産対策協議会で大詰めの検討が今されていると思うんですけれども、この対策の実施に先立って、それ以前に転作面積、それから転作奨励金の単額や総額、さらに奨励金対象作物、たくさんございますけれども、この範囲等をどうするのか、その枠組みを決定しなければならないと思いますけれども、農業団体としてはこの点についてどう受けとめておるのか、また対処するのか。先ほど総理も言っておりましたけれども、主体性を農業団体に持っていく方向にという、こういうお話もございました。そういう点も踏まえてお答え願いたいと思います。
○参考人(櫻井誠君) 水田利用再編の次期対策につきまして農業団体、農協としてどのような態度で取り組むのか、こういう御質問であろうかと思いますが、私どもとしましては、このポスト三期対策の成否といいますのは、日本の農業、稲作それから食管制度の命運にかかわるものであるというふうに理解をいたしております。したがいまして、特に日本農業の将来展望につながる形で水田農業、これを確立しなければならない、同時に地域農業の振興を図っていく、こういう点が眼目になろうかと思いますが、このためには、どうしても稲作それから転作物の生産性向上、同時に目標の面積の達成ということが必要であろうかと思っております。 これらにつきましては、九月二十五日、系統農協の本部委員会で取り組みの基本方針を今申し上げましたような方向で決めておるわけでございますが、先生が今お尋ねの本年生産者米価決定に当たりましての確認問題等がございますが、従来ともすれば、生産調整問題につきましては行政主導、生産者団体、農家協力というふうな姿勢でありましたけれども、これからの時代におきましてはそのような対処の仕方ではまずい、やはり生産者、生産者団体におきましても、これはみずからの問題として主体的に受けとめて推進を図っていく。言ってみますと、行政と団体の方の役割分担を明確にいたしまして、行政それから生産者団体並びに農家が一体となってこれに取り組むということが必要であろうかと思っておりますし、そのような方向で現在私どもは対処をいたしておるわけでございます。 それから次の転作目標面積でございますが、これにつきましては御案内のとおり、昭和五十九年から在庫積み増し、毎年四十五万トンということを政府はやってまいりまして、おおむね六十一年でこれが終わるわけでありますので、六十一年の転作面積が六十万ヘクタール、在庫積み増しが終わる。それから需要が若干減退する、あるいは反当収量が増加するというところから七十万ヘクタール超というのが今まで言われておったわけでありますけれども、御案内のとおり、作況が本年一〇五ということになりまして、生産予定量千八十万トンに対しまして他用途利用米を除きました生産量が千百三十五万トンと、約五十五万トンオーバーというふうな状況に相なってきております。こういうところから、この七十万へクタール超の転作面積のままでよろしいのかどうかということが現在問題になっておろうかと思います。 私どもとしましては、三度目の過剰状態は発生さしてはならぬと、こういう認識を持っておりますので、来年度の転作面積につきましては、従来言われておりました七十万ヘクタール超、これが上がるのはやむを得ないというふうに思っておりますが、本年の作況一〇五によります余分の分を六十二年で一挙に解決する、調整をしてしまうということについては問題がある、ある程度ならしてやっていかなきゃいかぬじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。それからもう一点、一番大きな問題が奨励金でございますけれども、現在は一反歩おおむね四万五千円水準であります。特に、財政当局の方からはこれにつきまして大幅な削減を要求しておるというふうに聞いておるわけでございますが、先ほど言いましたように、面積が相当膨大な形でふえてまいる。それから単価が大蔵の言うとおりにやりました場合には大変下がってしまうという状態の中で円滑な転作推進はできないというふうに私ども考えておりますので、特に政府に対しましては現在の奨励金水準は確保してもらいたいということで、ついせんだっても農林水産大臣にもお願いをいたしておるところでございます。 それから対象作物でございますが、これにつきましては、特にこれからは麦、大豆、あるいは飼料作物等が重点になっていこうかと思いますが、これまで私どもの方といたしましては、他用途利用米の拡大、あるいは飼料、えさ米として米を導入してまいるというふうなことも政府に対して要請をしてまいっておるわけでありますが、国の方におきましても大体そのような方向で対処をしようというふうに聞いておりますので、そこら辺につきましては私どもの要請が取り入れられつつあると、こんなふうに考えておるところでございます。かいつまんで答弁をさしていただきました。
○鶴岡洋君 櫻井さん、結構です。どうもありがとうございました。 それでは政府の方にお伺いしますけれども、ポスト第三期対策は、転作画積が六十万ヘクタールとか二割増しの七十二万ヘクタールとか、大蔵省筋に言わせると九十万ヘクタールと、こういう報道もされておりますけれども、また転作奨励金についても今日の財政事情等を考えてこれを縮小するとか、それから対象作物も削減するとか、こんな話もあります。一体、面積についてはどうなのか、奨励金はどうなのか、対象作物はどうなのか。これは政府の方からお願いします。
○政府委員(浜口義曠君) ポスト三期の全体の枠組みでございますが、先ほど基本的に大臣の方からお話を申し上げましたとおり、農政審議会の御意見、あるいは関係各方面の御意見等を聞きながら現在検討をしているところであります。 私どもの全体の面積の問題でございますが、これにつきまして先ほど全中の方からのお話にもございましたけれども、現在の水田再編対策第三期の枠組みの中で在庫積み増し量というものがございますが、その四十五万トン毎年積み増しております部分のものが現在なくなるということで、これにつきまして十万ヘクタールの上乗せが必至であるということをかねてから申しておりまして、そういう意味で七十万ヘクタール強というふうなことを申し上げてきたところであります。こういった状況は、先ほどの本年度におきます作況指数等を十分勘案いたしまして、これから全体の在庫の状況、そういうことの総合的な勘案の上に決めてまいりたいというふうに考えるところでございます。 なお、奨励金の水準等につきましては、一方におきまして臨調の奨励金からの早急な脱却という問題もございます。さらに、それから一方におきまして、先ほど大臣から申し上げましたように、現在におきます水田農業が直面しているもろもろの問題、そういったようなものを勘案いたしまして、繰り返すようでございますが、今後農政審議会あるいは関係各方面の御意見等も聞きながら決定をしていきたいというふうに考えるところでございます。
○鶴岡洋君 対象作物。
○政府委員(浜口義曠君) 対象作物でございますが、対象作物は、現在の枠組みの中で一番基本となっておりますのはやはり土地利用作物でございます。例えば飼料作物、あるいは大豆あるいは麦といったようなものがこの飼料作物の根幹を占めております。数字的に言いましても大体五〇%を占めておりますが、そういったものが今後とも中心になっていくものだろうと思っております。 先ほどえさ米の話に触れましたけれども、これにつきましては、メリットの問題あるいはデメリットの問題等を含めまして農水省の中で現在検討中のところでございます。
○鶴岡洋君 今これからだという話ですけども、もう十一月半ばになっておりますし、予算も決めなきゃならないということで時期が来ておりますけども、今の問題についてそれじゃいつ決めるんですか。
○政府委員(浜口義曠君) 今先生の御指摘のとおり、この問題は明年度からの問題でございます。そういう意味でできるだけ早急にということを我我心がけておりますが、一方におきまして、この問題はポスト三期と言われておりますけれども、単なる四期といったようなものではありませんで、先ほどの水田農業の確立ということを根幹に置くという大臣のお話もあるところでございまして、そういう意味で一方では具体的内容について慎重にということでございまして、時期はできるだけ早く、この秋中にということを目途に現在検討中のところでございます。
○鶴岡洋君 いずれにしても、転作を推進しようという立場をとるならば、今言った転作面積、奨励金、対象作物については、農家が受け入れられるような状態をつくらなければ転作の実現は難しいと思うんです。この辺、大臣どうですか。
○国務大臣(加藤六月君) 各農家が最大限といいますか、最小限といいますか、受け入れられるような案でなくてはならないし、また営農の基本を覆してしまうようなものであってもならないと、そこら辺を考えながら、第三次過剰は絶対起こしてはならないということと、そして米というものを安定的に供給していくという非常に選択の幅の狭い田んぼのあぜ道での作業でございますが、繰り返して申し上げますが、営農の根幹を侵してはならない、そしてぎりぎり農家が受け入れられるものと、そこら辺のところで今各界各方面の御意見を承り、知恵を絞っておるところでございます。
○鶴岡洋君 それでは、物価問題についてお伺いします。 総理は、この予算委員会が始まった七日ですね、物価は戦後最大に安定している、こういうふうにおっしゃいましたけれども、最近の円高の急騰、また原油安、この低下幅に見合った物価の値下がりはしていないように私思うんですけども、最近の物価動向についてその基本的認識を教えていただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 戦後二度目の非常に大きな物価の低落が見られていると思います。昭和三十年代の初めと今回が非常に大きな物価の低落期でございまして、卸売物価については対前年比約一〇%以上、たしか一一%前後です。それから消費者物価についてはほぼ横ばい、時によってはマイナスになりますが、時によっては一%まではいきませんが〇・五ぐらいプラスになっている、大体昨年と同じぐらいの横ばいというのが今見られている現象であります。これらは、一つは円高による外国から入ってくるものの値下がり、それから石油の値下がり、そういうような問題がかなり響いてきておるように思っております。
○鶴岡洋君 それでは経企庁にお伺いしますが、ことしの「物価レポート’86」の中で物価の理論値を発表しておりますけれども、まず八月の円レート上昇率と原油価格の下落率を前提とした国内卸売物価と消費者物価の前年比上昇率の理論値を教えてください。また、それからはじき出される物価のいわゆる理論値と実績値の乖離はどうなっているのか、お教え願いたいと思います。
○政府委員(海野恒男君) 技術的な問題でございますので私の方からお答え申し上げます。 産業連関表というものを使いまして、一%の円高、それから原油価格の一%値下がりの影響というのは原単位がわかっておりますので、これをもとに八月の場合を計算いたしてみますと、昨年の八月からことしの八月にかけまして、円レートは三五・一%、それから原油価格の値下がりは六二・三%となっておりますので、これをもとに計算をいたしてみますと、八月分でございますが、円高による部分が卸売物価で五・三%減、下落でございます。それから消費者物価はマイナス二・八%になるはずでございます。それから原油価格の値下がりによる分は卸売物価でマイナス四・一%、それから消費者物価でマイナス一・九%でございます。しかし、これはそれぞれ単独に発生した場合の計算値でございます。これがこの期間に同時に発生いたしておりますので、両者の間に重複関係がございます。そのために、それを合わせた理論値というものはちょっと計算が難しゅうございますけれども、ほぼそれぞれ一%内外の重複部分があるのではないかと思いますので、その両者を足したものから一%内外を引かなければいけないのではないかと思いますが、正確な計算は出しておりません。
○鶴岡洋君 乖離は。
○政府委員(海野恒男君) 乖離につきましては、大体そういうことで一%前後のものを引いてみますと、私どもの計算では理論値と実績値との間に国内卸売物価で四%弱、それから消費者物価の方で三%弱の乖離が出ております。
○鶴岡洋君 数字を追っている経企庁、またそれを仕事にしている経企庁、なぜこれは八月のはっきりした数字が出ないのですか。
○政府委員(海野恒男君) 非常に理論的に難しいものですから、計算、考え方によって多少違うということで数字を明確に申し上げなかったわけですが、私どもの計算では、重複部分が先ほど申しましたように国内卸売物価では一・五%、それから消費者物価では〇・七%ございますので、その分を差し引きますと理論値で卸売物価がマイナス七・九%の下落になります。それから消費者物価ではマイナス四・〇%ということであります。実績がどうかということでございますけれども、実績につきましては大体四・二%この間に国内卸売物価は下がっております。それから消費者物価の方は昨年の水準からの乖離を見ますと一・三%の下落でございますので、したがって理論値と実績値の間の違いというのは国内卸売物価では三・七%、それから消費者物価では二・七%というふうに出ております。
○鶴岡洋君 私が計算したところによると国内卸売物価は、細かいことは申しませんけれども、大体乖離分が三・二%、それから消費者物価が二・〇%とこう出ておりますけれども、おおむねこの数字に間違いないかというのが一点と、それからいずれにしてもこういうふうに乖離があるということは——であるならば本来もっと物価は下がっていいはずなんです、それが下落していない、その原因は何なのか、この二点をお願いします。
○政府委員(海野恒男君) 先ほど私が御説明申し上げましたように、私どもの計算では三・七となっておりますのが先生の計算では三・二ということですので、これは卸売物価についてでございますが、それから消費者物価は私どもは二・七と計算しておりますが、先生の計算では二・〇となっている。私どもの方がやや乖離が大きく出ておりますけれども、これは実績値の見方、どこから一体下がっているかという見方の違いがあります。それから先ほど申しましたように、重複部分の違いが若干ございましてこういう計算結果が出ておるわけでございます。 そこで、第二番目のなぜこういう結果になったか、乖離が出ているのかということでございますけれども、乖離が出ておりますのは、この計算は、先生もよく御存じのように、この効果が瞬時にまた全面的に出ているということを前提にしまして計算したものでありまして、その他の要因というものを一切捨象した計算結果でございます。したがいまして、例えば消費者物価で言えば輸入物価の値下がりが最終財として市場に出てくるまでの間のタイムラグがあるということ、あるいはその間に円建ての輸出物価の下落ということを通じて海外に流出する分、それから過去の赤字等、円安時代に赤字であった部分の埋め合わせといったような部分もあるかと思いますが、そういったものがもろもろ重なり合いましてまず理論値と実績値との間に乖離が出ていると。 それからもう一つは、消費者物価の場合には、特に国内で例えば賃金の上昇圧力といったような形で消費者物価を押し上げる要因が他方働いておりますけれども、この理論計算値はそういったものを一切捨象して、この発生した円高及び原油安の効果が瞬時、全面的に出たということを仮定しての計算でありますので、その間におのずから開差が出ているということでございます。
○鶴岡洋君 乖離が詰まらないという、理論値へ近づかないというのは、今いろいろお話があったけれども、最大の原因は何なんですか。
○政府委員(海野恒男君) 私どもは一つの大きな原因、どれが最大かということはなかなか申し上げられないかと思いますけれども、非常に大きな要因の一つはタイムラグがあるということでございます。波打ち際で入りました輸入素原材料の価格の低下が最終財となって市場に出てくるまでの間にはかなりのタイムラグがある。私どもの計算では大体半年から九カ月のタイムラグがあるということでありますので、そのことが一つの大きな原因になっているというふうに考えております。
○鶴岡洋君 タイムラグといっても昨年のG5からもう一年以上もたっているわけです。また、タイムラグの問題や需給面等の変化の影響があるということは私もよく承知はしております。また、言うように、全くそれはないとは私は申しません。しかし根本的な原因は私は違うと思います。日本と西ドイツは国情は非常によく似ておりますし、それからまた両国は世界の物価の優等生だと、こういうふうに言われております。その西ドイツを例にとってみると、西ドイツは輸入価格が下落するとその影響が消費者物価にもう速やかに反映している。あなたはタイムラグ、タイムラグと言うけれども、政府は、それでは日本の物価はもう少し時間がたてば、タイムラグ、タイムラグと言うんだから、必ずその理論値に近づいていくと断言できますか、それは。
○政府委員(海野恒男君) タイムラグを今申し上げましたけれども、理論値と実績値の間には、先ほど申しましたように、理論値はあくまでも他の上昇要因を一切捨象してございますので、例えば賃金の上昇分あるいは天候によって支配される部分といったようなものは、どうしてももし天候が悪ければその分だけ上がりますので、特に賃金につきましては春闘で適度に賃金が上がりますれば、それによってほとんどパラレルに動きます消費者物価の中のサービス部分、これは約四割のウエートを占めておりますので、これが当然上がる圧力となってあらわれてきますので、必ずしも理論値と実績値が一致するとは限らないということでございます。 御指摘のとおり、西ドイツと日本の間には非常に物価の動向が似ておる状況がありますけれども、そしてこの七月などを見てみますと、西ドイツはマイナス〇・五%の低下であるにもかかわらず、日本はその間に若干でありますけれどもプラスであるということで、少しその円高のメリットが西ドイツの方が波及が速いのではないかというふうなこともよく言われるわけですけれども、中身を調べてみますと、例えば七月の例で見ますと、日本の場合に七月では〇・一%の上昇だったわけですが、先ほど申しましたように西ドイツはマイナス〇・五%。その内訳を見てみますと、石油製品とそれからその他の消費財という形で分けてみますと、日本の場合には石油製品の値下がりによる効果というのがマイナス〇・四二、それに対しましてその他は〇・五ということで、その結果両方合わせまして、トータルで〇・一%上昇しているわけですが、西ドイツの場合にはマイナス〇・五のうち石油製品価格がマイナス一・九一ということで非常に大きな寄与を示しております。しかしながら、その他の製品は一・四一ということで、プラス一・四です。日本よりもはるかにパフォーマンスはよくない。 問題は、石油製品がなぜこれだけ下がっているかということにつきましては、西ドイツの場合には製品輸入の比率が非常に高い、日本の場合には一割弱に対しまして、西ドイツの場合には四割くらい製品で入ってくるということで、マルク高の影響は即座に受けやすいという、そういう性格を持っているということ。もう一つは、やはり日本の場合には過当競争でありまして、既に五十九年から六十年にかけて石油製品価格が相当下がっていたということでありますので、六十年以降の下がり率は比較的少ない、こういう結果になっていると思います。
○鶴岡洋君 細かい数字は、私はもうそれはよく承知しているつもりですけれども、私が言いたいのは、物価の理論値と実績値の乖離というのは、その根本原因は何といっても円高差益の還元の不徹底、それから緩慢さだと、こういうふうに思います。数字がこういうふうに出ているんですから、理論的に考えればこの線まで物価は下がり得るということだと思います。理論値にできるだけ近づける努力を怠り、円高差益のいわゆる還元に万全を期していないからこういうふうになるんだ、乖離が出てくるんだ、こういうふうに思われるわけですけれども、大臣どうですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 冒頭、総理からお話がございましたように、卸売物価につきましてはもう最近は前年同期一一%を超える低下をしておるわけでございますし、それから消費者物価は昨年と比較いたしますと、大体昨年は二%前後の上昇をしておったのが、現在は、今年度に入りましてからはゼロ%に近い安定をしているわけでございます。物価局長から説明もいたしましたように、日本の消費者物価指数の計算の中には製品の割合が四割でございますし、これは原素材が安く入ってまいりましても加工の過程でいろいろ時間もかかりますし、また生鮮食料品などはそのときどきの気候によって、農作物の出来高によって影響する面がございますので、なかなか理論値どおりには下がらない面がございます。 しかし、四月、五月と総合経済対策、当面の経済対策で円高差益の還元ということで電力、ガス料金等の値下げをいたしましたし、また先般、九月十九日の総合経済対策の中でも物価対策としてきめの細かい対応を考えて実行してまいったわけでございます。したがいまして、現在のような経済状況が推移いたしますと、私はだんだん実際の物価も理論値に近づくことになると思いますし、そのためにも政府といたしましては万全の措置を今後とも積極的に構じてまいりたい、かように考えております。
○鶴岡洋君 それでは通産大臣にお伺いしますけれども、六月に電力九社で九千七百十四億円、ガス三社で一千百四十五億円、合計一兆八百五十九億円の円高差益還元をやったと言うけれども、私はまだこれでは不十分だと思います。現在の状況は、六月の料金を改定したときの前提条件となったのは一ドル百七十八円、そして一バレル十九ドル、今は大分変わっております。八月の時点の、先ほど国内卸売物価指数、消費者物価指数を教えてもらいましたけれども、円高にしてもそれから進んでおりますし、今は一ドル百六十円、きのうは百六十二円ですか、百六十円前後。それから一バレル十一ドルから十二ドルと、したがって私は早急にこの電気、ガスを再値下げすべきだと思いますけれども、その考えはございますか。
○国務大臣(田村元君) おっしゃるような疑問はだれしも感じておるかもしれません。しかしながら、率直に言ってまだいろんな面で不透明な点が多いということを私どもは心配しております。為替レートも先般の宮澤・ベーカー共同声明の後の効果がどうなるのかいまひとつまだわからない点があります。 それから原油の価格の問題でございますけれども、御承知のヤマニ石油大臣が解任になった、どうも価格の問題に対する考え方の相違のようでございますけれども、ヤマニという人は元来シェア確保主義であった。ところが、ヤマニさんがおやめになった後、サウジアラビアがひょっとして価格重点主義に行くのではなかろうかという懸念があります。例えば、サウジの国王とイランとが石油価格政策で同調する旨声明したというような報道もなされております。そういうことで、これからどうなるのか、特にOPECの中では原油価格を高値安定をさせたいという意見が割合に強いようでもあります。 昨夜、実は私はプルタミナのラムリ総裁と会いまして、いろいろとOPECの今後のあり方、あるいはまたプルタミナ等がどういうポジションをとるのか、あるいはまた非OPECの動向等いろいろとお尋ねしてみたのでありますが、総裁もまた不透明な感覚を持っておられたようであります。 そういういろいろの面で、今断定的に我々は結論を出しにくいというような複雑な問題をたくさん抱えておりまして、目下のところ、まことに申しわけないことでございますが、まだ白紙の状態を維持しておるということでございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 時間が来ました。
○鶴岡洋君 五秒だけ。 それじゃ値下げは全くしないのか、それともそいう考えは全然ないのか、どっちなんですか。
○国務大臣(田村元君) 結局今後の見きわめの問題だと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で鶴岡洋君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、野田哲君の質疑を行います。野田君。
○野田哲君 SDIの問題について総理、それから外務大臣に幾つか疑問を述べて見解を承りたいと思います。 総理と外務大臣は、十一月七日の当委員会での安恒委員の質問に答えて、SDIは我が国を含め西側諸国全体の防衛システムである、こういうふうに答えておられるわけですが、日本を含めた西側諸国全体の防衛システムを共同で研究し、開発をし、配備をしていく、こういうことに日本が加わるということは、これは憲法第九条の禁止している集団的自衛権の行使、この点から見て私は疑問がある。こういうふうに申し上げて、それに対するまず見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) SDIの研究参加が憲法第九条に禁じておる集団的自衛権の行使になるのではないかというお話でございますけれども、SDI研究計画への参加は実力の行使に当たるものではございません。したがって、憲法上禁じられている集団的自衛権の行使に当たることはないと考えておる次第でございます。
○野田哲君 研究が完成をして配備される段階になると、一切手を引くということができるんですか、できないでしょう。
○国務大臣(倉成正君) 開発及び配備等については当然同盟国との協議を行うということ、しばしば言明しているところでございますから、その段階での協議によるものと思います。
○野田哲君 研究に参加をしていて、配備の段階になって改めて協議があったときにノーと言えますか、これは。
○国務大臣(倉成正君) 配備の前に開発の問題があるわけでございます。その段階においても十分同盟国とも協議をするということ、ちゃんとしばしば言明しておるところでございます。
○野田哲君 開発の段階、配備の段階で協議があったときにノーと言うことは事実問題としては言えないでしょうと、こう聞いているんです。
○国務大臣(倉成正君) 当然協議があるわけでございますから、その段階で諸般の情勢を考えながら日本の国益を考えて判断すべき問題と思います。
○野田哲君 総理はいかがですか、この点。
○国務大臣(中曽根康弘君) 当然協議があるわけですから、そのときにイエス・ノーは両方とも留保されております。
○野田哲君 日本の先端技術がかなり大量に研究から開発、配備の段階で取り込まれている。これを開発から配備の段階になってノーと言えるはずはないと思うんですが、確実にノーと言う自由が留保されるというふうにあなた方は考えているんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 集団的自衛権、個別的自衛権の問題は憲法に関する重大な問題でもあり、また我が国のいままで表明してきた諸国策というものを考えて、これは国益上重大な問題でありますから、当然国益を踏まえ、今までの憲法その他の条章を踏まえて判定すべきことであって、イエス・ノーははっきり考えて行うべきものであると考えております。
○野田哲君 平行線ですから、また改めてこれは議論をいたしたいと思うんですが、総理は核廃絶を目指す防衛的兵器だと、こういうふうに説明している。それから調査団の報告もそういうふうになっているわけであります。しかし、SDIはむしろ逆に核軍拡を促進する、こういう疑念がずっと続いているし、むしろ広がっているわけであります。 昨年の九月二十四日にアメリカ議会の技術評価局の報告書は、「SDI計画は、レーガン政権が唱えているような国土防衛は難しく、むしろ現状の計画を推進することは核軍拡、宇宙軍拡の競争を激化させる危険がある。」、こういうふうに評価をしているわけであります。また、アメリカの防衛技術研究チームが政府に対して行った一九八三年の報告でも、スターウオーズの見通しについて、「ソ連の戦略核兵器の増大を予想し、米国の防衛はソ連の現有する弾頭数の三倍以上の三万発に対応することができるようにしなければならない。」、こういうふうに報告をしているわけであります。私が今述べたのは内調でつくったレポートの中にも収録されているわけであります。 このように、アメリカの政府部内においても、むしろ逆に核軍拡を増大させる、対立を激化させる、こういう評価があることに対して政府は防衛的な兵器だと、こういう説明をしているわけですが、この点は一体どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(倉成正君) 自由民主主義の国においてはいろいろな意見があってしかるべきであると思います。いろいろな反対の意見があることも承知をしております。しかしながら、SDIの研究計画については一九八五年から始まりました計画でございまして、アメリカの議会におきましても八五年度の予算において八億ドル、八六年度におきまして二十七・五億ドルの予算の承認が得られておるわけでございまして、来年度の予算についてはまだ検討中でございますけれども、アメリカ国民を代表する国会において承認されておるという事実は厳粛な事実として受けとめておる次第でございます。
○野田哲君 私は、予算で承認されているかどうか、こういうことを問題にしているのではなくて、議会の中でも、SDIは防衛的な兵器ではなくてむしろ核軍拡を激化させる、こういう指摘がされている。あるいはまた同様、政府部内の研究でも、核弾頭の数をもっとふやさなければならない、こういう提起がされていることについてはこれは防衛的な兵器とは言えないじゃないか、こういうふうに思うんですが、その点はどうなのかと聞いているんです。
○国務大臣(倉成正君) ただいまの御質問の趣旨であれば、私はこれはかように考えております。 まず、中曽根五原則の中にありますように、米側の一方的な優位を求めるものではないということがございますし、また攻撃的な兵器の削減を図るという条項もございます。したがって、このSDIがSDIだけでひとり歩きするということになれば確かにそういう御懸念があるわけでございますけれども、軍備管理、軍縮と並行して行われるということをしばしばレーガン大統領は申しておりますし、現にジュネーブの軍縮交渉に米側が着いた一つの要因が、SDIがその一つの要因であったということも事実でございますし、また同時に、御案内のとおりレイキャビクにおいて米ソの首脳があれだけの長時間をかけて議論をした。最後には不調に終わりましたけれども、その後ウィーンにおいて両国の外相が相互に話し合いを真剣にやったということも事実でございまして、したがってこれが軍拡競争にはつながらない。しかも、御案内のとおり、レイキャビクにおいて軍縮交渉においての出発点はテーブルの上にまだかなり置いてある。この時点でいろいろ議論しようということを、それぞれ表現は違いますけれども、米ソの首脳が申しておるということを考えてまいりますと、これが軍拡につながるという御指摘は当たらないと思います。
○野田哲君 外務大臣、それは逆なんじゃないですか。SDIはひとり歩きをするのではなくて軍縮や軍備管理と一緒に進めていくんだ、こうおっしゃっているわけですが、軍縮や軍備管理を壊しているのはSDIではないんですか。この間のレイキャビクの会談が決裂した。あそこまで軍縮、特に核軍縮が、世界じゅうが非常に大きな期待をするところまで合意ができつつあるかに見えながら最後に崩れたのは、やはりSDIというものが大きな妨害になったわけでしょう。だからこれは、今外務大臣が説明されたように防衛的なもので軍縮や軍備管理と並行して進められるというような性質のものではとてもない。むしろ逆行しているんじゃないですか。
○国務大臣(倉成正君) 現在、世界には米ソの核兵器を含めまして世界の人類を何回も皆殺しするくらいの攻撃的な核兵器があることは御承知のとおりでございます。これをこれ以上ふやしていこうというばかげたことを考える指導者は、恐らく私は世界にいないと思うのでありまして、SDIについてはもう既に八五年からアメリカは予算を計上して研究は始まっておる。また、これに類した研究はソビエトにおいてもいろいろされておる。そういう現実を踏まえた上でレイキャビクの会談が行われたわけでございますから、交渉事でございますから、それはお互いの思惑、お互いの認識、そういうことでこれが不調に終わったわけでございましたけれども、しかしそれなりに大きな意義があったと私は考えております。
○野田哲君 アメリカでも、スターウオーズの見通しについて、ソ連の現有する核弾頭数の増大を予想して、今よりももっとアメリカの核弾頭をふやしていかなければいけない、こういう議論がスターウオーズの計画と並行して起こっているという事実に対して一体どう考えればいいのか、こういうことなんです。
○国務大臣(倉成正君) いろいろの議論が行われていることは私も承知しております。しかし、現実には、レーガン大統領がSDI構想を出してこの構想を提案し、そしてこれをもとにいろいろな議論が行われているということを考えてまいりますと、SDIが軍拡競争につながると一方的に断定されるのはいかがなものかと存ずる次第でございます。
○野田哲君 いろいろな意見じゃないんですよ。SDIを開発する過程で核弾頭を減らせばいいんだ、こういう議論はレーガン大統領や周辺の人以外にはないんです。みんな、むしろふやさなければいけない、こういう議論が政府部内から起こっている。これに対して一体防衛的な兵器、防御的な兵器、これは逆じゃないんですかということを私は繰り返して聞いているんです。
○国務大臣(倉成正君) 御質問の趣旨が私よくのみ込めないわけでございますけれども、どうもSDIが軍拡競争につながるというお話でございますから、SDIをやることによって軍備管理、軍備縮小を並行してやるということをアメリカ政府も言っておるわけでございますし、現にレイキャビクその他の会談において、戦略兵器についても、INFについてもそれぞれ縮小の提案がなされておる。しかし、最後においてSDIをめぐっての議論が、相互の意見がなかなか合わなかったということでございますから、SDIが軍拡競争につながるという御主張に対して私は同意をいたしかねると申し上げておる次第でございます。
○野田哲君 私がわからないような説明を幾ら繰り返されても国民はわかりませんよ。 問題を変えますが、官房長官、あなたの談話で、国会決議は関係ない、こういう談話が出ているんですが、どうして国会決議は関係ないんですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 国会の決議との関連の最終の有権解釈、これは当然のことながら国会でお決めになるわけでございます。しかし、国会の決議がある以上は、政府として措置をする場合に、それとの関連がどうなるかということは、政府としては法律解釈等の上から十分に論議をしなきゃならぬ、こういうことで私どもは論議をしたわけでございます。 その結果は、国会決議というものは我が国における開発及び利用を対象としたものであって、他国の開発及び利用に対する我が国の関与は、我が国みずからが行う開発及び利用と同日に論ずるべき筋合いのものではない。SDIの研究計画は、御承知のとおり、アメリカが策定をして推進している計画であり、我が国の参加の態様は、しかも、こういった計画の全体というより個々の具体的プロジェクトの特定の局面への参加にとどまる。こういう点までこの決議が対象としておるというふうには私どもは解釈をしていない、こういうことでございます。しかも、SDIの研究計画は、非核の防御的手段によって弾道弾を無力化する、究極的には核の廃絶を目指しておるんだ、こういったことでございまするので、これは平和国家としての我が国の立場にも合致するのみならず、こういった研究計画への我が国の参加は、日米の安保体制あるいは日米の信頼友好関係、これにも貢献する、こういうことを考えまするならば、この決議がこういった研究計画への参加までをも禁止しておると解釈すべきではなかろうというのが政府の見解でございます。
○野田哲君 決議が我が国の行う開発、こうなっているから関係ないんだ、こう言われるわけですが、今の政府の方針でいけば、我が国内の何十社かの先端技術を持っている、あるいは研究している企業がアメリカの研究開発計画に参加をする、それを政府が慫慂するわけでしょう、勧めるわけでしょう。これはやはり私は、我が国が行うということと同義語に解すべきではないかと思うんですが、そうじゃないんですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 最終の有権解釈は国会でお決めを願いたいと思いますが、今のあなたの御解釈はあなたの御解釈ですが、政府としては、先ほどお答えをしたように、こういった形での参加までをあの決議が禁止しておるというふうには理解をいたしておりません。
○野田哲君 総理、中曽根内閣のやり方というのは、国会の決議や法律のどこか抜け道を探して、そうして、その抜け道に口実をつけて今までのタブーを破っていく、これが一つの中曽根内閣のやり方の常套手段になってきている。今度の国会決議の解釈もそうなんであって、あの国会決議というのは、もちろん国会が有権解釈を行うわけですが、基本的な考え方というのは、宇宙を軍拡競争に使わない、こういう立場であり、平和利用というのは非核、非軍事、こういう哲学のもとに成り立っていると思うんです。この決議に込められている哲学を無視するところに中曽根政治の一番の問題があるんじゃないでしょうか。この点総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会決議の有権的解釈は国会がみずから行うべきものであるとは今も長官が申し上げたとおりで、我々もそういう考えでございます。しかし、政府は政府側におきましていろいろ行政事務を担当しておりますから、それが遂行について政府も政府の考え方で解釈をしておるわけでございますが、あの国会決議の文章をよく解析してみまして、文章そのもの自体を我我が解釈する限りにおいては抵触しない、そういうふうな解釈でございます。特に「わが国における」云々、そういう点等も見まして、外国が自主的、主体的にやっておることについて、研究に関して参加する、そういうような点から見ますと、国会決議上許されておる問題であると解釈しておるわけでございます。
○野田哲君 私が総理に申し上げたいのは、国会決議とか憲法とか法律というのは、裏から抜け道を探すのではなくて、そこに込められている哲学というものを大事にしなければいけないのではないか、こういうことを私はこの点で申し上げておきたいと思うんです。 次は、SDIは非核兵器なのかどうなのか、この点でまず政府委員に、外務省の方に伺いますが、ことしの五月八日にアメリカの下院の軍事委員会での、軍備管理軍縮特別委員会でアメリカの国防総省のガフニー次官補代理が証言をしている。このことについてちょっと内容を説明してください。
○政府委員(藤井宏昭君) 突然のお尋ねで、ギャフニーの証言なるものはただいま手元にございませんけれども、どういうことでございますか、お知らせいただければ幸いでございます。
○野田哲君 ガフニーの証言は、核エネルギーの研究は将来宇宙空間の敵ミサイル、核弾頭をレーザー光線などで破壊する技術の基礎になる、こういう証言をしているわけであります。そして、ことしの一月三日に出されたホワイトハウスの「レーガン大統領の戦略防衛構想」、こういうレポートがあるわけですが、この中にはエックス線レーザー兵器の構造、これが詳細に図で示してあるわけであります。こういう点から見ても、SDIは非核の兵器、これには当たらないんじゃないか、こういうふうに考えるんですが、その点いかがですか。
○政府委員(藤井宏昭君) ギャフニーの証言は正確にその文章を当たって分析させていただきますが、いわゆるエックス線レーザー兵器なるものはアメリカにおいて原理的研究が現在なされておるというふうに承知しておりますし、その兵器なるものにつきましては、一つは核励起ということがあるわけでございますけれども、高性能爆弾を使用する等によりまして核励起でないエックス線レーザー兵器ということもあわせて研究されているというふうに承知しております。
○野田哲君 いろいろな方法が検討されていることは事実でありますけれども、もう昨今のアメリカのレポート、証言などから見ると、やはりこのSDIの構造の一番中心部分は核エネルギーの爆発、これが中心部分になっている、こういうふうに私どもは見なければならないと思うわけであります。 そこで、総理は衆議院での審議でこの核兵器ということについての解釈を述べておられるわけですが、核兵器とは核爆発を直接殺傷や破壊に使うものだ、間接利用ならば核兵器とは見ない、こういう答弁をされているというふうに報道されているわけですが、その点は事実そうなんですか。
○国務大臣(倉成正君) その前に一言ちょっと補足をいたしておきたいと思います。 SDIの研究分野については、御案内のとおりSATKAから始まりまして、運動エネルギー兵器、指向性エネルギー兵器、また残存性破壊力、重要技術、それからシステムの概念で御承知のとおりC3I、指揮、管制、通信等の機能のシステム、そういう五つの分野が一応大きな分野だと言われておることは御承知のとおりでございます。専門の先生でございますから釈迦に説法でございますが。その中の指向性エネルギーの中にエックス線レーザーというものが一つ含まれている、そうしてエックス線レーザーの励起するためのエネルギーとして何を使うかというのにはオプションがあるということですから、全体のその一部分であって、あたかもエックス線レーザー、しかも、その核をもって行うレーザーを全体の中心であると言われるのはいささか全体の構想と異なるのではなかろうかと思う次第でございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が衆議院で申し上げましたのは、我が国における今までの考え方を説明いたしました。 それは、原子力基本法を制定するに際しまして、私は野党の皆様、松前重義さんあるいは志村委員、社会党の方々です、それらの方々と一緒に議員立法で現在の原子力基本法を制定したわけですが、そのとき国会における私の答弁は当時の野党の皆さんとも相談してやった答弁でありまして、例えば、原子力推進による商船等が一般化した場合には日本も原子力潜水艦を持ち得る。ということは、核爆発というものを直接的に人間の殺傷、物体の破壊というものに使う場合を核兵器と我々はそのとき定義したわけです。ですから、原子力推進によって商船が動く、潜水艦が動くということであって、核爆発自体が物体を破壊したり人命を損傷するということではない、推進力に使われているだけで、間接的であります。ですから、そういう場合は核兵器とは言わないと今まで我々は考えてまいりました。 そうしますというと、今回のSDIの場合も、核利用によるエックス線レーザーの発出という機能であると我々は理解しております。そうすると、エックス線レーザー自体は破壊力になりますけれども、そのエックス線レーザーを発出するために核というものが利用される、そうするとこれは間接的性格を持っている。ですから、今までの解釈で見ればそういうふうにも考えられますと。しかし、一体エックス線レーザー兵器と称するものはどんなものかまだよくわかりません。わかりませんし、全体のSDIの体系の中でもどういうふうに位置づけられてどういう機能を持つものか。それから今申し上げたように、エックス線レーザー発出の機能の場合に核利用というもの、核爆発というものはどの程度行われるものであるか、全面的にエネルギーを解放して行われるものか、多少は制御があるものかどうか、そういう面がよくわかりません。 そういう意味におきまして、もう少し兵器の体系や兵器の内容というものがよくわかってきた段階においてやはりもう一回判断すべきものである、そういうことは申し上げておるんです。しかし、今までの我々の定義によればそういうふうに解釈しておりますと、そう申し上げておるのであります。
○野田哲君 よくわかっていないのにどうして非核の兵器だ、非核の兵器だと国会や国民に向けて宣伝をするんですか。そこに問題があるんじゃないですか。 これはホワイトハウスが出したレポートの和訳ですけれども、ここにちゃんと図面があるわけです。エックス線レーザー兵器の構造、そして、そのエックス線レーザーがどういう形で宇宙空間で使われるか。これはもう明らかに、アメリカの国会での証言でもあるように、核爆発によって生ずるエックス線レーザーがSDIの主要部分、こういう報告があるし、国会での証言では、核弾頭をレーザー光線などで破壊する技術の基礎となる、こういうふうに核エネルギーの研究について位置づけているわけです。 それからまた、今配付したと思いますけれども、核兵器についての定義。私は自分で調べて、アメリカの国防総省の辞典、それから国際法辞典、ラテンアメリカ非核条約、アメリカの原子力法、そしてさらに政府が国会に出した統一見解、これで検討してみました。総理が言われるところの間接利用というのは、これはアメリカ原子力法の中にも書いてある、「運搬又は推進するための手段を除き」と、こうなっているわけで、原子力船などの場合は別だよというのは確かに書いてあるわけです。しかし今回の、核爆発によってエックス線レーザーを発出する、これはまさにもう核爆発が直接破壊力に使われていく。これを見ても明らかなんですよ。もしSDIが核エネルギーを直接破壊力に使うということが明確になれば、政府はSDIの研究開発から一切手を引きますか。そのことを明確にしてください。
○国務大臣(倉成正君) ただいまの野田委員のお話でございますけれども、政府はSDIは非核の構想であるということはしばしば説明をいたしておりますけれども、一部分を取ってこれが云々という、これがすべてであるという説明をしたことはいまだかつてございません。その点はひとつ御認識をいただきたいと思います。 今のお話は、エックス線レーザーのことについてお話があったわけでございますけれども、これはまだ存在しない兵器である、そして総理が申しましたのは、御案内のとおり、核兵器についての従来の定義、「核兵器とは、原子核の分裂又は核融合反応より生ずる放射エネルギーを破壊力又は殺傷力として使用する兵器をいう。」という、「通常兵器とは、おおむね非核兵器を総称したものである。」という、そしてまた非核三原則の際にも核の問題が出てまいりまして、非核三原則にいう「核兵器とは、原子核の分裂又は核融合反応より生ずる放射エネルギーを破壊力又は殺傷力として使用する兵器をいう。」と考える、こういうことを踏まえて御答弁いただいたものと思うのでございます。
○野田哲君 大体今私どもの知り得る範囲では、SDIの中心部分は「核爆弾の爆発によって生じたX線が」云々、こういうふうにここにレポートにはっきり書いてあるわけですよ。これがエックス線レーザーの中心なんですよ。そういうことが明らかになっているにもかかわらず、総理はまだそこのところはよくわからないと先ほど言われたわけです。わからないんだったら非核の兵器だという宣伝はしなさんな、なぜ非核の兵器という表現を使うんですかと、これが第一です。もし核爆発を使う、こういうことが明確になったときにはSDIの研究開発から日本は手を引きますか、その二つをはっきり言ってくださいと、こう言っているんですよ。——総理やってくださいよ。あなたの説明ではわからない。
○国務大臣(倉成正君) ちょっとお聞きください。 SDIというのは御承知のとおり、ただいま先生がおっしゃったのは指向性エネルギー兵器のごく一部分のいまだ存在しない兵器についてのお話でございまして、御案内のとおり、SDIについてはいろいろ御議論があることは、野田委員の御意見は御意見として承っておきますけれども、SATKAから始まりまして運動エネルギー兵器、指向性エネルギー兵器、また残存性破壊力、重要技術、また戦闘管理のシステム、すなわち指揮とか管制とか通信とか、そういうものが非常に重要な役割を果たすことはおわかりと思いますから、全体をそういうふうに限定しておっしゃる点については私はいかがなものかと思うわけでございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、今まで我々が国会でも答弁し我が国において定着してきておる核兵器というものは、核爆発というものは直接人体やあるいは物体を破壊し殺傷する、そういう機能を持つものを言っておったと。一番端的に言うのは核爆弾なんですね、あるいは核弾頭というものなのであって、これはNPT条約、核拡散防止条約をつくるときに、その起草過程において各国がいろいろ相談したときに、その起草の中で頭にあったものはそういうものが想定されてあの核拡散防止条約はできていると私、外務省から説明を聞いたこともあります。そういうわけで核爆弾あるいは核融合爆弾、そういうような爆弾類というものが頭にあったわけであります。 今回のSDIというものは、爆弾みたいに直接爆発自体が人間を殺傷したり物体を破壊するというのじゃなくて、核を利用して、そこからエックス線レーザーを発出させてそれがICBMを破壊する、そういう想定で研究を行っているというように聞いております。そうするというと、それが間接であるか直接であるかということは今おっしゃるとおり問題の点なのであります。私らはそれを、核を利用するという場合は、レーザーを発出させるための手段として使われている、そういう意味においては、レーザーが直接爆弾をやっつけるのであって、核爆発とか核の作用というものは直接やるのではないというふうに我々は今考えているわけです。 しかし、これからの研究の進め方ぐあいによって、それがどういう作用をもってどういうふうになるかという点は、私はやはり検討を要するものだろうとは思っております。ですから、衆議院でも言っておるわけなんです、まだ実体がわかりませんと。そこでこのSDI全体の体系の中においてそれがどういう意味を持ってくるか、またそれ自体が爆発とレーザーの発出との関係においてどういう機能を持ってくるか、そういう点はもっと研究が進むのを見る必要もありましょう、そういうことも申し上げておる。しかし、今まで我々が言ってきた定義におきましては、これは間接であると考えておるのであります。そういう意味でございます。
○野田哲君 総理の説明は総理の説明ですが、その非核の兵器という説明をなぜ政府側がするのですか。明らかにこれは核爆発をエネルギーとして使うんですよ。それをなぜ非核の兵器という説明をするんですか。こういうのが一つと、もう一つは、核エネルギーの爆発を直接破壊力として使うということが明確になれば手を引きますか、このことを聞いているんです。
○国務大臣(倉成正君) SDIについて非核の構想であるということを申し上げておりまして、何も非核であるということを申していることは……
○野田哲君 非核の兵器だと政府の文書にもちゃんと書いてあるじゃないですか。非核の兵器だとこう書いてある、SDIは非核の兵器だと書いてある。
○国務大臣(倉成正君) それは私は記憶はございません。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はレーガン大統領から直接説明も受け、また日本の政府当局はアメリカの専門家からも詳細な説明を受けております。それでいろいろ判断しているわけです。 まず我々が言われており、我々もそう思っておりますことは、SDI全体というものは非核の兵器である、そしてそれは核兵器を廃絶するための防御的兵器であります。そういうことをまず第一に我々は言われておるし、我々も今まで検討した結果はそういうものである。言いかえればICBMでやって直接相手方を殺傷するというのをやめさせる、それがもう無意味になる、そしてもう使ってもだめだ、そういうことにしてICBM核弾頭をやめさせょうという意味でつくられている兵器である、そういうふうに我々は説明もされ、そうだと私は思っております。ですから、大きい意味において見ても、これは核廃絶のための非核の兵器であるというふうに考えておるわけです。しかし、今のエックス線レーザー発出の部分、これは全体の体系の中の一つの部分でありますけれども、その小さな部分といえどもやはり我々は関心は持ってやるべきであると思います。その点についてはただいま申し上げましたように、研究がどういうふうに進むか、でき上がりがどういうふうになるか、そういう点についてやはり関心を持っていかなきゃならぬ、私はそう思っております。
○野田哲君 総理、非核でないということが明確になれば手を引きますか。核を破壊力に使うということが明確になったならば手を引きますか、こういうふうに聞いているんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 従来の我々の解釈と違う、直接それが殺傷に使われるというような場合にはもちろん手を引きます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末君。
○野末陳平君 まず総理に単純なことをお伺いしますが、このたびの税制改革ですね、総理は増減税同額を強調なさいますが、これは増税ができなければ減税も無理だと、こういう意味も含まれてのことでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の税制改革は、前にも野末先生に申し上げましたように、税の増収を目的として行うものではありません。ゆがみとかひずみとか重税感から解放する、そういうために行うのでございますと、そう申し上げておって、そしていわゆる増減税ゼロ、レベニュー・ニュートラルということを申し上げておりましたが、そういう方針で行いたいと思っております。
○野末陳平君 国民はやはり減税の額などを気にしていると思いますが、それでは大蔵大臣にお伺いしますが、今のところ税調の答申などを見まして有力な財源はマル優の廃止と間接税ですが、この有力なる二財源のうちのどちらか一つでも実現できなかった場合、これは減税もそれに見合って小幅にならざるを得ない、こういうふうに思えますが、それについてはいかがでしょうか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの財政の現状並びにこの現状は何とかして改革をしなければならないということを考えますと、税制改正は確かに大変に必要でございますが、財源という点の配慮を忘れるわけにまいりませんので、財源においていわゆる中立的な形でこれを行うということがただいまの財政から考えますと必要であろうと思います。
○野末陳平君 これまでの衆参の税制改革の議論を聞いておりまして私が感じることは、選挙公約の枠というのがあるせいでしょうか、総理の答弁が非常に抽象的で回りくどい、言葉のあやが多過ぎる、そんな感じがしますね。となると、一般の国民は何かそこにごまかしがあるような印象すら持ってしまいますね。もっと率直であるべきだと思うんですね、わかりやすく。私どもの税金党の中にも、間接税はやむを得ないとわかっていても総理のここのところの説明の仕方で反発を感じてしまうという者もないわけじゃないんですね。そういうような反省は総理にはありませんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申におきましても直間比率の是正の必要というものは指摘されております。そこで、今直接税が非常に重い。特にサラリーマンの所得税あるいは法人税、それが非常に重い。そういうところからこれをある程度是正する必要はある。そういうことになりますと、あるいは資産課税とかあるいは間接税とか、そういうものがかわりとして頭に浮かんでくる。じゃ、その間接税というものが頭に浮かんだ場合にどういうものになるであろうか、そういう想像がすぐ出ます。しかし、その場合に私がうっかりしたことを言いますというと、ある特定の方の間接税がひとり歩きしてしまって、それが先入観となって国民の皆さんの頭に定着してしまう。これはいけない。これは税制調査会において、政府において、また党においていろいろ議論してもらって、どれがいいかということは総合的に今最後の審議検討をしていただいている最中でございます。 したがって、私自体が独断的に先入観を与えないように、税制調査会において子細な専門的な検討をよくしていただいて、私がお願いしているような公約に反しないものをつくってもらおう、そういうことで注意深い発言をしておる。ややもするというと総理大臣や大蔵大臣の言うことはひとり歩きしてしまいましてお化けみたいなものが本物だと信ぜられる危険性があるから、そういうふうに注意深くやっているわけであります。
○野末陳平君 その注意深いという発言がきっとわかりにくさも呼んでいるんだろうと思います。ですから、ある面ではやむを得ないとは思うんです。 直間比率の問題が出ましたので大蔵大臣にお聞きしますが、総理のお答えにもありました直間比率の是正ですが、大蔵大臣もこの間お触れになりましたけれども、よりもう一つ説得力が十分でないような気がするんです。今なぜ直間比率の見直しをすべきか、それが国民にとってどういうプラスがあるんだ、今のままでいくとどういうマイナスになるのだと、その辺をやはりもう少し説明してほしい。そうしないと国民に判断を与える材料が不足する、こういうふうな受け取り方をしておりますので、ひとつそれをお願いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) これには二つの面があると存じます。 まず第一の面は、現在直間比率というのは七対三より少し直接税に重い比率になっておりますが、今日の我が国のように国民所得水準がかなり上昇してしかも国民所得の分布が均等であるいわゆる所得における貧富の差が少ない社会においては、恐らくこのように高い直接税の税率、所得税にしても法人税にしてもそうでございますが、それはもう少し所得でなくいわゆる消費の面において国民に負担をしてもらいましても社会的な不公正は起こらないのではないか。基本的には、御質問の中にも内包されておりますように間接税というのは累進的でない、累退的であると申しますか、そういう要素があることを否定いたしませんけれども、今の国民所得の水準からいえばもう少し負担をしてもらうことによって直接税が非常に重いことから来る勤労意欲あるいは企業意欲への阻害を少なくすることが望ましいのではないかというのが第一でございます。 第二は、現に間接税、例えば物品税等々いろいろございますけれども、これは個々の物品をいわば選択をして選んでおりますために、殊に物品税の場合には税制としてはかなりひずみがある、ゆがみがあるというふうに考えざるを得ませんで、そういう現状に照らしまして消費一般というものに幅広く薄い課税をするということの方が間接税そのものの持っております意味合いからいって適当なのではないか、この両面があろうと存じます。
○野末陳平君 今の説明はかなりわかりやすかったと思いますね。ですから、直間比率を見直さなきゃならぬという理由はこれである程度わかるであろうと思うんす。さあそこで、ではどういう間接税がというのが一番問題になっているわけです。その間接税ですが、総理のお答えを大体まとめてみますと、多分、税調の答申に出ている日本型の付加価値税をベースにしまして、これをもっと緩くしまして、例外などを幾つかつくりまして、業界と国民の抵抗が少ないような形でまとめたい、こんなところだと思うんですよ、抽象的でなくざっくばらんに言いますと。大蔵大臣も結論はそういうところでよろしいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもの党といたしましてもあるいは総理大臣のお立場でも、選挙にもいろいろ公約をいたしておりますから、それに背馳するものであってはならないということは当然のこととして考えております。そういうことを背景にいたしまして、端的に申しまして、国民経済の各層に非常に煩瑣な手数をおかけするとか、あるいはいろいろな意味でいわば大変に仕事の邪魔になるといったようなことになりますと、これは国民がそのことについては決して共感を表されないことは明らかでございますから、そういう点をやはり一番考えておくべきじゃないかと思います。
○野末陳平君 総理がお考えになっている間接税の方向でまとまりますと、公約を守ったという形はそれで整うんでしょうけれども、しかし本来の間接税を骨抜きにしてしまうといいますか、不徹底で、かえって不公平や不公正がまた生じて、中途半端になって悪い間接税になるという気がするんですよ。つまり、間接税がどうしても必要だというならばいい間接税にしてもらわないと、今のような中途半端な間接税だったらやらない方がましでして、やられちゃ困る、そういう気もするんですね。ですから、どうやら総理がお考えになっている方向は余りにも公約にこだわり過ぎて悪い間接税の方に進んでいる、これでは間接税というものに対して国民に正しい判断をしてもらうにもかえってマイナスである、それを心配しているんですけれども、大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは逆の側からのお尋ねでございますので、結局、先ほど申しましたように、現在の物品税といったようなものは、現在の姿は何と申しますか物品の選び方がかなり選択的であり、見ようによっては恣意的だと言われる点があるかもしれないようなひずみやゆがみを持っておりますので、これは直す方がいいと考えております。これは間接税自身の持っております理由からでございます。 そうだといたしますと、もし新しく間接税が登場いたしますならば、それは消費一般、サービスまでも含めましてできますならばそういったようなものであることが、恐らく間接税としては現在にかわるものであれば望ましいであろう。ただ、その場合に問題は、国民各層に非常な御迷惑をかけるとか取引の妨害になるとか煩瑣であるとか、そういうことがあったのではまた別の意味でこれは国民が受容されるところとならないであろう、こう思うわけでございます。
○野末陳平君 総理に伺いますが、公約に余りにも縛られ過ぎて、何とかそのすき間を縫って実現しようと思うと、どうしても無理とか矛盾が出ると思うんですよ。 私考えますけれども、ここは公約を撤回してもいいようなそれぐらいの気持ちで、間接税本来はこうあるべきだという形で国民に理解を求めるというこれが大切なのに、どうやら公約にこだわって間接税そのものをゆがめる。例えば物品税のひずみを直すとおっしゃいますけれども、それだったら物品税の中でやってもいいので、課税ベースを広げてというそちらにすぐ結びつきませんし、いずれにしても総理の答弁は、ここのところ間接税を前にして逃げ過ぎている、これはかえって国民に対して失礼ですよ。率直に訴えていいか悪いかの判断を仰ぐべきことで、総理は悪い間接税の方に入り込み過ぎている、私はこういうふうに思わざるを得ない、逃げ過ぎている。どういうふうに思いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は逃げも隠れもいたしません。一貫して前から同じことを言っておるので、公約は守らなければならぬと思っております。
○野末陳平君 ですから、守って結構ですから。ただし悪い間接税の方に行っている。つまり間接税そのものもいい点悪い点いろいろあるでしょう、しかし今必要である、それだったらやはりできるだけいい形に、本来のあるべき間接税の姿を追求していってほしいですね。中途半端ないいかげんなことで公約を守ったんだと言ってほしくない、そういう意味なんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何がいい間接税であり何が悪い間接税であるか、これは今党の税調で一生懸命勉強してくださっているところで、願わくは私の公約を守っていい間接税というものが議論されているのであろう、それが採択されるかどうかはまだわかりませんが、ともかく議論はされているのであろう、そう想像いたしております。
○野末陳平君 そういうところがはっきり言って気に入らないところなんですね。何がいいか何が悪いかということを総理の口から国民に訴えてほしい。僕はそれが国会の議論じゃないかと思っておりましたので。例えば、一億円を課税から外そうとかいろんな例外をつくるのは結局中途半端な不徹底の間接税の方にいかざるを得ませんから。私自身は増税はやむを得ないと思いますし、それから間接税についてはまだ若干の疑問もありますけれども、どうも総理の抽象的な説明ははっきり言っていい感じは持てません。後で国民負担率との問題でこれをもう少し検討していきたいと思います。 ちょっと角度を変えまして、この春ですが、抵当証券について被害が出ないうちに早く手を打つように、法務省と大蔵省が相談して法制化の作業を急ぐようにというのを大蔵委員会で質問しまして、そのときに竹下大蔵大臣から未然に被害を防止するためにも検討に入るというようなお答えがあったんですが、これはその後作業がどういうふうに進んでいるか、法務省と大蔵省どちらにも答えていただきたい。
○政府委員(平澤貞昭君) さきに委員からお話がございました後、法務省と相談いたしまして学識経験者等をメンバーとする抵当証券研究会というものを設けまして、現在そこで検討をしているという段階でございます。
○国務大臣(遠藤要君) ただいま大蔵省がお答え申し上げたようなことで、できるだけ早期にその検討の結果を得て対処していきたいという考えでございます。 なお、また余計なことになるかもしれませんけれども、この前の大蔵委員会において法務省は何か起きなければ動き出さぬというようなお話も大臣からあったようでございますけれども、業法というのはやはり主管省が中心になってやっていくべきものだというように私は思っております。 以上でございます。
○野末陳平君 ですから、研究に入ったというのでなく、もう少し、どの辺までどういう方向で研究をしているか、規制の法律まで早くつくらなければいけないというのか、その辺の問題意識をもうちょっと具体的に言ってほしいんですね。できるだけ早くではちょっと困るんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、以前に御指摘がありまして以降ただいま申し上げましたように研究会を発足いたさせました。善良な市民が被害を受けるに至りましたので、私どもは本来なるべく市場経済には余計なことをしたくないという気持ちを持っておりますけれども、このような事態になりますとそうばかりも申しておれません。ただいま研究会では実は、早急に結論を得ること、また法制の整備をする必要があるかどうかについてもあわせて結論を出してもらいたい、こう思っております。
○野末陳平君 一日も早くいい結論をお願いしておきます。 それから今話題になっているテレホンカードのことについて一問だけいきます。これは子供たちなんぞも集めておりますが、最近、テレホンカードにヌードとかポルノっぽい際どいものも出てくる動きがありまして、これを野放しにしておいていいかどうか、これをまず郵政省の立場から聞きたいのです。
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 今NTTが発行いたしておりますテレホンカードは三種類ございまして、一つはNTTが図柄を入れて作製するもの、それからNTTの委託を受けまして会社が図柄を入れて作製するもの、この二つにつきましてはNTTにデザインカード審査基準というものがございまして、法律に違反しないとかあるいは公序良俗に反しないものとかということが決められてあるわけでございます。 今先生が問題にされましたのは第三の場合でございまして、NTTが白地で発行する場合で、これは購入した方が自由に図柄を入れることができる。民間の創意工夫に任せられてあるわけでございますけれども、しかしこの場合も作製する方は公序良俗に反しないように十分配慮をする。特にデザインとか図柄というものは国際的、文化的、芸術的、社会的な高い見地に立って十分な配慮がなされることを期待いたしております。
○野末陳平君 そこのところが、建前はそのとおりなんですけれども、白地のカードを大量にどんどん売るわけでしょう。そして審査基準はあってなきがごとしで、白地のカードをもらった人は何を印刷してもいいわけですから、そしてそこに際どいものの印刷してテレホンカードはできるわけですね。幾らでも現にできていますよ。それを子供たちに売る。それがまたコレクションマニアの間である程度利殖性が出る。これをほうっておいていいのかということをお聞きしているので、審査基準がそこには適用されてないわけです。そうなると結論は簡単で、白地のカードをどんどん自由に大量に売る、これが間違いじゃないんですか。
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 今言われました白地でNTTが発行するカードの場合でございますね、その場合も公序良俗に違反しないように、購入した方が自主的に十分な配慮をすることを期待いたしております。郵政省は国民生活に密着しまた社会的にも影響のあるいろいろな放送行政等も担当いたしておりますが、同時に、憲法の二十一条、表現の自由とか、それから放送法第三条の自主番組の編成の自由とか、こういう自由を最大限に尊重する自由民主的な立場もございますので、その点を十分勘案していただいて、国際的、文化的、芸術的な観点から十分な配慮をされることを期待いたしております。
○野末陳平君 総理、お聞きになったでしょうが、ああいう建前を言っていたって始まりませんで、簡単に言えば、幾らでもできるんですよ。だから、自主的にちゃんとやってくれ、期待していますなんと言うよりも、どんどんやれる、金もうけでどんどんできる、公共性のあるテレホンカードを子供たちに売りまくることが可能だ、ここが現実なんです。これはやはり総理、実に簡単。大量の白地のカード、自由につくってください。一枚、二枚ならば記念につくることもいいが、商売に利用されているのはわかっているんで、これをちょっと自粛するなりこれに手を打つ、知恵を絞れば簡単だと思うんですよ。どうでしょうか、総理。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり郵政省が関係していることでありますから、郵政省から、白地のカードを印刷するという方々に対しては公序良俗に反しないように特別に注意してそれを行わせるようにいたしたいと思います。
○野末陳平君 甘く考えないできちっとやってください、子供相手になりますからね。 さて、先ほどの税の問題を続けますけれども、長寿社会、人生八十年時代とも言われる、これは当たり前ですけれども、今六十五歳以上の老齢人口が千二百四十万ですか、人口比率にして一〇・二%、ここまでは広く知られておることですが、さてこれが今後どうなっていくか。例えば昭和七十五年、今から十四年後ですが、この昭和七十五年、あるいは昭和八十五年にそれぞれの年における老齢人口数と人口比率、これを厚生省に明らかにしてもらいたいんです。
○政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。 昭和六十年の国勢調査の一%抽出集計結果に基づきまして人口研が推計をいたしました数字でお答えをさせていただきます。 六十年現在、今先生お話しのように六十五歳以上人口は千二百四十七万人でございますが、昭和七十五年時点では二千百二十七万人となります。昭和八十五年には二千七百三万人というふうに推計をいたしております。この総人口に占めます比率でございますが、昭和六十年現在一〇・三%でございますが、昭和七十五年には一六・二%、昭和八十五年には一九・九%というふうに推計をいたしております。
○野末陳平君 いずれは老齢人口比率が約二〇%になる、これがピークかどうかは別として。 さてそこで、今の国民負担率ですが、租税が二五・一ですか、社会保障の負担率が一一・〇で合計三六・一%、これまではもう周知されている数字ですが、さて昭和七十五年ぐらい、今から十四年後にはこれがどのくらいまで上昇していくだろうか、これは気になりますね。老齢人口比率が同程度の西ドイツとかイギリスなどは、国民負担率がもう現在既に五〇%を超えている。それから臨調の答申などでもかなりこれを抑えてほしいというようなことが出ておりました。 そこで、まず租税負担率についてお聞きしたいんですが、今でこそ二五・一%という租税負担率、これは税制改革が終わった後三年、四年たった昭和六十五年ごろからその後にかけては、総理、この国民の租税負担率というものはどういうふうになっていくでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は結局公共の支出をどのぐらいにすることを国民が期待するかということにかかるわけでございますが、まず結論といたしまして、租税負担率がそのころはどのぐらいになるかということの政府としての決定なり推計、きちんとした推計はございません。それで私、あるいは私どもと申し上げてもよろしいかもしれないのですが、の考え方は、結局政府の役割、大きな政府とか小さな政府とかということがございますが、いわゆる公共的なものであっても、このごろ民活というような言葉がございますけれども、そういう形でかなり実は充足できると考えられる我が国のような経済社会でございますから、なるべく租税負担によらないで民間の力でやれるものはやることが本来ではないかという気持ちもございます。したがって、行政の上で租税負担がこのぐらいになるであろうということは実は行政が決めるべきことではないという要素もございまして、明確な目標を持っていないということであろうかと思います。
○野末陳平君 そのとおりという面もあると同時に、一方高齢化社会が目の前に来る、それから国民所得もこれから飛躍的に伸びるとは思えない。それらを考えますと、常識的には、やはり五年、十年、十五年先には負担率の上昇もやむを得ざるものがあるという感じは、これはだれでもが持つと思うんです。ですから大蔵省としては行政の面で今後どういう、制度改革がいろいろあるかわかりませんが、どうでしょうか、この租税負担率というのをこのままで抑えてしかも財政再建ができるのか、あるいは高齢化社会に突入できるのか、その辺の判断はどんなものでしょうかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに我が国は老齢化していくということはもう疑いを入れないことでございますので、租税負担と社会保障負担とを合計いたしました、ただいま言われました三六・一でございますが、これは上昇の方向に向かうことは避けられないであろうというのが行革審あるいは「経済社会の展望と指針」等で述べておるところでございます。ただ、それではあってもヨーロッパのような水準、これは一応五〇を考えているようでございますけれども、それよりはかなり低いところにとどめるべきではないかというようなことが、これらの報告には一つの意見として述べられております。 そこで、私どもが思いますのは、租税については先ほどなるべく小さい政府にいたしたいということを申し上げました。と同時に、国民経済がもう少し潜在力を、昔のようでありませんでも発揮することができますれば、税率を変更いたしませんでもある程度租税の弾性値というものは上がっていくことが可能でございます。それは殊に、低くはございましても累進税率が適用される場合にはそういうことが可能でございますから、税率をなるべく上げたくない。もし租税の負担率が幾らかでも上がっているといたしますれば、それは税率という形ではなくて、国民所得なり法人所得なりがふえていってそしてその結果として租税弾性値が高くなってきたと、こういう形にできるだけいたしたいと私自身は考えております。
○野末陳平君 とすると、今のを簡単に言いますと、増税はしなくても何とかなりそうだ、あるいはそれはしないでやっていくと、こういうことですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そう申します意味は、財政再建もいたさなければなりませんけれども、それは何も増税によらなければできないとは決まらない。日本の経済運営がもう少し、昔のようでありませんでも正常化してまいりますと、それだけの歳入がいわゆる自然増収と申しますかそういう形で、過去には幾らもそういうことはあったわけでございますからこれからもできないはずはないというふうに考えます。
○野末陳平君 それでは、角度を変えて、社会保障の負担率の上昇を将来に向けてちょっと説明してほしいと思うんですね。今一一・〇%ですね。この中身ですけれども、まず年金部分、この年金部分が今どのぐらいの負担で、これが昭和七十五年ごろにはどのぐらいになりそうか、これはわかりますね。
○政府委員(長尾立子君) お答えをいたします。 現在の社会保障負担一一%の内訳でございますが、そのうち年金の負担分でございますが、六・三%というふうに見込んでおります。医療等の負担率が四・七%、これは六十一年度の見通しでございますが、こういう数字でございます。 年金の負担率が将来どのようになっていくかということのお尋ねでございますけれども、経済の動向、国民所得がどういう形で伸びていくかというような不確定な要素がございますので、なかなか予測が困難ではございますが、現在の制度を前提といたしまして、昭和五十九年に財政再計算を厚生年金、国民年金はやっておりますけれども、その財政再計算結果をもとにいたしまして推計をいたしますと、昭和七十五年には年金の負担率は八%程度というふうに考えております。
○野末陳平君 そうしますと、今度昭和八十五年になりますと、高齢化社会のピークだろうと思うんですけれども、そのころは多分一〇を超えるかそれに近いかという気もするんです。 もう一つ、今のお答えにありました医療の方ですね。医療というのはこれは一番伏兵のようなものでして、これがひょっとして高齢化社会の財政事情のかぎを握るかもしれないと思うんですけれども、今千二百四十万ですか、さっきお答えがありましたね。それがふえていきまして、さっき幾らになりましたか、二千百三十万ですか、昭和七十五年には老齢人口が。つまり九百万ふえて、八割増ですね。そうなりますと、医療費の国民負担もかなり昭和七十五年には上がると思いますね。どのぐらいになりそうですか。
○政府委員(下村健君) 医療費の将来推計でございますが、関連する要素がいろいろありましてなかなか的確な推計は非常に難しいのでございます。また、一方で国民所得程度に伸びをとどめるというふうな努力もいたしておるというふうな事情もございますが、現状、最近の医療費の自然増というものをもとにいたしまして推計いたしますと、昭和六十一年度の国民医療費約十六兆八千億でございます。これが国民所得に対して六・三%になっておりますが、七十五年度の国民医療費は約四十四兆、国民所得対比で六・九%というふうに見込まれます。この場合の医療にかかる社会保障負担の国民所得比で見ますと、昭和六十一年度が三・九%、七十五年度においては四%を超えて四・三%になる見込みでございます。
○野末陳平君 これまでのお答えで、まだ老齢化社会のピークになっていない昭和七十年ごろにおいても社会保障の負担率は今の一一%が一三から一四ぐらいにはもうなる、これがわかっているわけですね。そうすると、さらに老齢化が進む昭和八十五年あるいはそれ以後ですね、これはもっと確実に上がりますから、社会保障の負担率の上昇だけで国民負担は四〇%を超える。そうなりますと、これに仮に租税負担率が上がってくるとすると、さっき大蔵大臣のお答えのありましたように、ヨーロッパの国々の五〇というような数字にもう近くなっていくという不安は当然あるわけなんですね。 そこで、私は何が言いたいかといいますと、総理にまずお聞きしたいんですけれども、日本の場合は国民はどの程度までの負担には耐えられるだろうか。つまり、ずるずるいっちゃいけないし、もちろんできるだけ抑えなきゃいけないんですけれども、大体どのくらいまでは耐えられるかなと。ヨーロッパはもう五〇を超えている、だからいけるかもしれないし、しかし日本はいろいろな事情がありますから大体どの辺を、総理個人のお考えでいいんですが、どの辺までだったらこの国民負担率というのは国民所得に比較していけるんでしょうかね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在英国とかスウェーデンが五〇ないし六〇ぐらいまでの割合でいっていますが、日本は三五%程度でかなり低いと思います。臨調答申によりますと、私の記憶では西欧の水準をかなり低いところにとどめるようにと。かなり低いと、そういう表現がたしか使われていたと記憶しております。その線を守っていくように努力していきたいと、それで一生懸命やっておるわけでございます。
○野末陳平君 ですから、そのかなり低い線ですね、それを総理はどの程度に見ておられるかというのが非常に大事なところなんですよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは臨調答申を出すときに随分議論がありまして、そして数量的に出そうかという話がありましたが、いやそれはまだよくないと、そういうわけで定性的な、かなり低いという表現が出たわけです。政府といたしましても、やはり今のところは定性的な表現にとどめて、できるだけもう最大限努力する、そういうことで努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
○野末陳平君 いずれこれは非常に大事な問題になると思うんですね。簡単に言えば、できるだけ国民の負担率の上昇を抑制しなくてはいけませんけれども、しかしそのために何をするか、今から方針をきちっと立てて手を打っていかなければだめだと思うんです。これはもう常識だと思うんですね。ですから、さっき大蔵大臣のお答えにもありましたけれども、例えばサービス部分、福祉の過剰な部分といいますか、そういうサービス部分をどういうふうにしていくかとか、あるいは負担の引き上げも今後どうなのか、それからその他何をすべきことがあるのか、そういうこともひっくるめて早く確固たる方針を立てて知恵を出していかなければならない、こう思うんです。 そこで、総理に最後にお聞きしたいんですが、そういう長寿社会を迎えるに当たって避けて通れない深刻な問題を我が国は抱えているわけですね。そうすると、その辺を国民に訴えた上で、例えば間接税是か非かとか増税はこうしたいんだがとか、そういう率直なところが今なくてはいけないんで、余り回りくどい答弁でこの間接税の議論をおやりになることはかえって国民の理解がしにくい方へしにくい方へといく、こう判断せざるを得ないんですよ。ですから私は、総理にもっと泥をかぶってもらう覚悟で、国民に率直に我が国の置かれた状況を訴えた上でこの間接税の議論をしてほしい。何となく回りくどい逃げと守りの答弁で公約はこだわるのは非常に気分がよくないということを言いたいんです。最後に総理。
○国務大臣(中曽根康弘君) なかなか勇気のある発言として敬意を表する次第であります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 まず、特別養子制度についてお伺いをしたいと思います。 昭和五十年の十一月七日の予算委員会で私は優生保護法の第二条にかかわる妊娠中絶のお話を申し上げました。その当時は八カ月未満でございました。八カ月未満のお子さんを妊娠中絶します。そのときは早産させるわけですね。そうしますと、一番軽くて一キロ、重ければ一・六キロ。もうこれは殺人罪。一・六キロ、下手をしますと一・八キロぐらいある。早産させますから、当然妊娠で出産すると同じ状態。中にはおぎゃあと泣く胎児もいる。その場合に医者はどうするか。頼まれた医者は中絶することを契約しているんですから、そうしますとビニールの袋へ入れて口を閉じてたたきへ置くか、あるいは麻酔を打って殺すか、もっとひどいのは大きなバケツの中へ水をためてぼっちゃんと入れる、こういう措置をとっていたと私は聞いております。これも厚生省の方に伺いました。そのときに、田中正巳厚生大臣に私は一カ月縮めるべきだと申し上げましたら大臣もそうだとおっしゃいました、日母、母性保護医協会から大分おしかりを受けましたけれども。そして、稲葉修法務大臣は殺人罪であると明らかに断言されました。そして一カ月縮まりました。 しかし、こういったことがなぜ行われるかと申しますと、今の若いお子さんたちは、殊に十七、八の女性などは体がよ過ぎてつわりも何も感じない、妊娠しているということを感じないうちに自分のおなかの中で胎児が動く。そこで初めて察知して医者へ行く。もうこのときは手おくれ。したがって、これは殺人罪という行為に及ばざるを得ないわけです。そのときに宮城県の石巻の菊田昇という医師が産むことを説得して、産んだお子さんをどうするか、欲しくても産まれない御夫婦に差し上げる、それを実子同然にしてやった。これが犯罪的行為になって、優生保護医も剥奪されるというような事件が起きました。このときの担当大臣が今運輸大臣の橋本厚生大臣、そういう経緯があります。 そこで、昭和三十四年から特別養子制度という制度は検討されておりますけれども、近々これが審議会にかかり、出されるというふうに承っておりまするけれども、どういう内容でどういう経過でこれから出してくるのか、ひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(遠藤要君) 先生この問題については熱心にお取り組みになっておられて、今法制審議会において検討されておりますけれども、これが早期に答申が得られるというような状態になっておるようでございまして、直ちに民事行政審議会にかけて、できるならば次期通常国会に提出したいという考えでございますが、詳細は政府委員をして答えさせます。
○政府委員(千種秀夫君) まず、事務的な経過でございますが、ただいま大臣がお答えになられましたとおり、この特別養子の問題は法制審議会の民法部会身分法小委員会で審議を続けておりまして、実質的審議は年内にほぼ終わる見込みでございます。その場合は来年早々に総会を経て答申が得られるものと思います。その場合には早速立法作業にかかりまして次期通常国会に法案が提出できると私どもは見込んでおります。 もっとも、戸籍に関しましては、同じく法務大臣の諮問機関でございます民事行政審議会に諮問するということになっておりまして、この審議会も近く招集される予定になっております。したがって、今の全体のスケジュールはそのまま実行できると考えております。 その内容のことでございますが、今までいろいろな機会に述べられてまいりまして、大体主なことは四点ぐらいに集約ができると考えておりますが、まだ答申を得ておりませんので詳細はわかりませんけれども、まず第一は、そういう特別な子供でございますから、六歳未満の乳幼児について家庭裁判所は試験養育を経た上で審判で特別養子の成立を図る。また、縁組が成立しました場合には実親との関係を原則として切って、養親との間で嫡出子、実子と同じような法律関係をつくる。また、今度、特別にどうしてもそれを離縁しなければいけないという事情、そういう場合にはやはり審判により家庭裁判所がその特別な事情、特にこれは子供の養育のために差しさわりがある、こういう観点からでございますが、そういう特別事情の場合に初めて養親子関係を廃止することができる。 もう一つは戸籍上の問題でございますが、かねてから戸籍の上に養子の関係が表に出ることはょくないという議論がございましたので、養親子関係が特別養子の戸籍の上にはすぐあらわれない。しかし身分関係はやはりはっきりさせる場合が必要でございますので、本人が手繰っていけばもとの戸籍がわかる、こういう制度をとろうとしております。 以上でございます。
○下村泰君 この制度は意外と日本はおくれているんですね。諸外国の方が早いんです。共産圏あたりの国もほとんど実施をしているんです。おくれているのは日本だけなんです。やはり東洋の人間の倫理観というんでしょうか、これが大きなネックになっていると思います。血は水よりも濃い、これが大きな原因なんです。ですけれども、世の中にはまだ三百万世帯以上の御夫婦では赤ちゃんの生まれない世帯があるんだそうで、一日も早くこれが法律化されますと、喜んでわらの上から子供を育てるということができるんです。よろしくお願いしたいと思います。 それからもう一つついでに伺いますが、優生保護法の第三条の五項目に相当すれば妊娠七カ月未満まで中絶ができる。アメリカのカリフォルニア州では五カ月で殺人罪に問われている産婦人科のお医者さんもいるんです。ですから、世界の常識としてはもう六カ月なんというのはできるわけがないんですけれども、これをもっと縮めるお気持ちはありましょうや。
○国務大臣(斎藤十朗君) 優生保護法の問題につきましては、従来から非常に大きな問題といいましょうか重要な問題で、解決せねばならない問題がございます。これにつきまして、これまでにも広く検討を続けてきておるところでございますが、なおまだ合意に達するに至っておらないわけでありまして、なお引き続き検討する中でそういう問題も検討いたしたいと考えております。
○下村泰君 通告なしで済みませんでした。村上理事の進言を取り上げましたからお許しください。 時間が五十五分に終わらないと後ぐあいが悪いんだそうで、順序を変えてまいります。今度はひとつ運輸大臣。御苦労さんです、毎日本当にもう。 民営・分割化ということになりますと、私ども一番心配するのは、障害者に対する制度がどういうことになるか。今までのところは割引制度というのがあります、五〇%の割引があります。これが、私鉄並みになった場合にどうなるか。それから駅舎の改造なんかでも、しなきゃならないところがたくさんあると思いますけれども、こういうことはどうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変木で鼻をくくったような言い方をしますと、新しく発足をする会社は民間企業であります。ですから、それは旅客会社の自主判断によって決定をされるべきものでありますということになると思います。 しかし現実の問題として私どもは、この旅客会社の経営見通しをとってみました場合に、現行程度の割引の実施は不可能だとは考えておりません。そしてまた、現在の他の民間鉄道の事業者が行っている同じような措置の内容に比べてもそれほどの差はないわけでありますから、私はこれから先、運賃制度の運用上の適切な配慮をしながら現行の割引制度が維持されるように最大限の努力をしたいと思います。 ただ、駅舎の問題は、率直に申しまして、なかなか厳しい経営環境の中でここまで一生懸命に努力をしてきておりますし、また新会社移行後もそれぞれの地域において努力をしていくわけでありますが、特に身体障害者施設の整備状況なども横目で勘案をしながらできる限りの整備ができるような努力をしてまいりたいというところにとどめさせていただきたいと思います。
○下村泰君 その場合、廃止路線というのがあります。そうすると、路線を廃止した場合に代替の、例えばバスを走らせたとするんですが、バスになった場合の割引はどうなりましょうか。それと、通常のバスではこういう方たちは運び切れない、いわゆるリフトバスでないとぐあい悪いが、こういう点いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そこは、ちょっと今僕はリフトバスまで考えておりませんでした。調べて改めて御報告をいたします。
○下村泰君 はい。 お時間があと何分ですか、ちょっとかすれて見えない。まだ一分ぐらいですか。一分ですともったいないから午後の部に譲りたいと思います。この辺で終わらせていただきます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 下村泰君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ─────・───── 午後一時四十二分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十一年度補正予算三案を一括議題とし、休憩前に引き続き、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 本年の四月二十四日の補助金特別委員会でお伺いしたんですが、電動車いすのスピード制限の問題ですけれども、当時の小沢自治大臣が検討するとお約束をしていただいたんですが、その検討の結果はどういうふうになりましたでしょうか。
○国務大臣(葉梨信行君) 電動車いすは、一般の歩行者と同じところを動かれる、こういうことで歩行者の安全を確保しながら行かなきゃならない、こういう問題がございますので、何キロの制限速度が適当であるかという観点から目下検討を進めているところでございます。 なお、通産省の工業技術院におきましても、電動いすにつきまして最高速度をどうしたらいいか、こういう見直しを進めておりまして、これらの検討の結果もあわせて、先生から言われました問題を解決したいと思っておるところでございます。
○下村泰君 まだ細かい部分については出てないんでしょうか。記事によりますると、もう既にある程度出ているようなお話を伺ったんですけれども。
○政府委員(八島幸彦君) お答えいたします。 警察庁といたしまして、現在電動車いすに係る交通事故事例を調査し、分析をしているところでございます。また、通産省工業技術院の委託によりまして電動車いすのJIS規格の見直しを進めております日本リハビリテーション医学会の電動車いす工業標準改正原案調査作成委員会というのがございますが、この委員としまして警察庁の交通企画課長も参加して目下検討を進めているところでございます。 なお、この委員会におきましては、ューザーの要望について調査をいたしますとともに、各種の電動車いすの性能検査を行いまして、本年度中には速度や操作の安全性を含めた検討結果をまとめるというふうに聞いておりまして、その結果を踏まえて最終的な結論を出したい、かように考えておるところでございます。
○下村泰君 技術的には既に何か解決済みみたいなお話を伺っているんですが、そうしますとことしはもうありませんな、来年の半ばごろにはもう実施できるんですか。
○政府委員(八島幸彦君) 先ほど申し上げましたように、本年中には、そういう技術面のことだけではなくて、操作の安全性とか速度の問題も含めて一応の結論が出されるというふうに承知いたしておりますので、その結果を踏まえた上でできるだけ早く当方としても結論を出したい、かように考えております。
○下村泰君 次は、政見放送についてお伺いいたしますけれども、さきの同時選挙で、聴覚障害の候補者の政見放送でラジオでは四分十五秒間無言、テレビでは三分三十秒の本人の手話による政見放送が行われたのですけれども、この手話のわからない一般有権者にとっては無言と同じ状態の放送が行われたわけです。これに対して多くの抗議が自治省にあったというふうに聞いております。現在の公職選挙法第百五十条ではもう私は事足りないと思います。世の中の進展に伴っていろいろな方のいろいろな要望にこたえて変えていかなきゃいけない段階に来ていると思うんですけれども、さて、今後どういうふうに対応なさるのか聞かしてください。
○国務大臣(葉梨信行君) 政見放送への手話通訳の導入につきましては、聾唖者団体からも御要望がございまして、自治省といたしましてもNHKと放送業者といろいろ協議をし検討をして進めているところでございます。政見放送の実施につきましては、できるだけ多くの方に候補者の政見を知っていただくようにすることが基本であろうと思います。そのためには、ごく短期間に多くの立候補者の政見につきましてこれをまとめ、公正に制作、実施しなければならない。しかも、すべての立候補者につきまして公平に行わなければならない。こういうことが求められているわけでございます。こういう選挙政見放送の実態に即しまして検討を要すべき技術上、制作上のいろいろな問題がございますので、これらにつきまして放送業者等と協議し検討を進めてまいりたいと思います。なおまた、学識経験者の皆様方の御意見も伺いましてこの問題の解決のために取り組んでいきたい、こう考えているところでございます。
○下村泰君 何か残された問題は技術的な問題だけというふうに私は解釈しているんですけれども。現在四十二万、昭和六十年度に聴覚障害として申請し、手帳の交付を受けた十八歳以上の方が四十一万七千九十一人いらっしゃる。これはあくまでも聴覚障害者として手帳交付を受けた方で、このほかにももろもろの障害から難聴の方もたくさんいらっしゃるはずなんです。ですから実数はこれ以上になります。 そうすると、こういう方々の参政権あるいは法のもとの平等といった憲法で保障された権利が技術的に困難や法的に困難ということで奪われているとしたら、そうした法制度自体が私はこれは憲法違反、違憲であるというふうに思います。技術論というのは、本気で関係者や本人、候補者などを含めまして話し合えば、完全ではなくても次善の策として何か出てくるはずなんです。それもしないというのは、これは怠慢というしか言いようがないんですけれども、昭和五十八年まで立会演説会においてもかなり手話通訳がついていました。ところが、五十八年、立会演説会が廃止されて、聴覚障害者にとっては新聞広告と選挙公報だけとなったわけでございます。これでは不十分なんですね。 この前米ソ首脳会談の行われたレイキャビク市に聴覚障害の市議会議員の方がいらっしゃる。御本人のお父さんが手話通訳も何もなさって、秘書というような立場の手当をいただいてやっていらっしゃるそうです。民主主義の手段である選挙をこうした実態にいつまでも置いておくというのはちょっとこれはおかしいんじゃないかと思うんです。こういうことに関しまして、ひとつ自治大臣、厚生大臣、そして総理にもお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(葉梨信行君) 今先生がお述べになりましたように、理念としましてはすべての人に政治に参加していただかなければならない、その機会を十分に与えなけりゃならない、こういうことで、もう先生のおっしゃることと自治省の考え方は一致しているわけでございます。まさに技術的な問題、放送制作上の問題がなかなか解決できないということでございますが、先ほど申し上げましたように、さらに熱心に取り組んでまいりたいと思っております。
○国務大臣(斎藤十朗君) 厚生省といたしましても、手話通訳者を数多く養成するという意味において一つの責任を感じておるわけであります。手話通訳制度の中でいろいろな問題がまだございまして、標準手話のあり方とか、また養成のあり方とか、そういう問題についてただいま検討を加え、そしてこの養成に向かってまいりたいということで取り組んでおりますので、私どもも協力してその方向に向けてまいりたいと考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 広く国民全般に選挙の候補者の発言等がよくわかりますように、各省を督励いたしまして、平等の機会を与えるように今後ともいろいろな面で努力してまいりたいと思います。
○下村泰君 現在この放送を聾唖者の皆様方も手話通訳でごらんになっているわけです。したがいまして、総理大臣の発言というのがその方たちにとっては福音になるかならないかということなんでございますので、まして来年は統一選挙があります。このところをよろしくひとつ御認識願いたいと思います。よろしゅうございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけ各政府の機関を督励いたしまして、早く平等の機会が訪れるように努力いたします。
○下村泰君 ことし七月から実施された費用徴収の問題でございますけれども、実施されたからといって私たちはこれをやめません。とことんまで質問を続けていきたいと思っておりますけれども、現在授産施設が円高不況の影響をもろに受けているんですが、その実態を把握していらっしゃいましょうか。
○政府委員(小林功典君) 円高による授産施設の影響でございますが、全社協にあります中央授産事業振興センターがやった調査を承知しております。大体四分の一程度が何らかの形で影響を受けている。業種から見ますと電機、機械といったところが多いというふうなこと等を承知しております。
○下村泰君 全国社会福祉協議会の中央授産事業振興センターですか、ここの調査なんですけれども、九百カ所の授産施設のうち百六十カ所が対象になっております。そして今おっしゃいましたように四分の一。その中で生産ストップしたのが三、それから仕事の量の減少したところが十八、単価の切り下げが十二、こういうふうになっておりますけれども、やはりこの数に間違いありませんか。
○政府委員(小林功典君) 影響を受けた内容につきまして、仕事の減少が十八、これはそのとおりでございます。受注単価の切り下げが十二、生産ストップは七というふうに出ております。
○下村泰君 そうしますと、定額収入、いわゆる決まった月給のいただけるところでもやはり仕事の量が少なくなればお給料は少なくなりますわね。それから出来高のところはもちろん出来高払いとなっていればこれは収入源がなくなる。そうしますと、費用徴収における授産工賃の収入が、これはたしか前の年の収入ですね。前の年の収入で認定されると、この円高の不況のあおりを食ってことしは収入がまるきりないということになるんですね、必然的に。そうなりますると、工賃については除外をするか、あるいは実施時期を延ばすかしか方法がないということになりますがどうですか。
○政府委員(小林功典君) おっしゃいますように、授産施設の費用徴収は原則は確かに前年の収入でございます。ただ、円高の影響だけではございませんけれども、一般的に授産工賃が前の年に比べて著しく低いというケースがございます。そういう場合には費用徴収が困難と認められますので、特に例外措置ではございますが、その年の収入でもよろしいという取り扱いをしていますので、円高の影響につきましてもそういうことで対応しようと思っています。
○下村泰君 そうしますと、直接その方たちに大きな負担はかからないような手当てをなさると、こういうことになりますか。
○政府委員(小林功典君) 本年の収入をもとにして費用徴収をする、したがいまして収入が下がればそれに応じて下がった費用徴収で済む、こういうことでございます。
○下村泰君 今度は障害者の中間年についてお伺いしますけれども、来年が一九八三年を起点にした国連障害者の十年のちょうど中間年になります。進展した点もありまするけれども、後退をしたところもあります。こうした成果、問題をもう一度見直しまして、長期計画を洗い直す意味でも、中間年を設けてより一層の推進を図ってはどうかと思うんですが、国連の事務総長もこの中間年に障害者から構成される専門家会議を招集するというような意向もあるんだそうですが、国際障害者年推進本部の本部長としての総理のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 障害の問題につきましては国際協力をもってこれを推進するという国際的な取り決めもあり、我が国もその一員として今までも懸命に努力してきたところでございます。今後とも、この国際的に決められたプリンシプルに従いまして我が国における法制及び社会的ないろいろな対応等についてもさらに前進を示すように、各方面を督励して努力してまいるつもりでおります。
○下村泰君 本部長としての中間年ということに対する何かお考えはございますでしょうか、今のは一般論として受けとめますけれども。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはりあの国連の年を決めたときにいろいろな行動準則、目標というものが決められておりますから、それをできるだけ早く達成するように残っている仕事等について具体的な目標を我々決めまして、各省分担して努力してまいりたいと思う次第であります。
○下村泰君 特に国際障害者年という中でも精神障害者、難病、てんかんといった人たちが大きく取り残されております。こうした人たちも福祉、雇用などで身体障害者と同様に施策を講じる時期に来ていると私は思います。所得保障、労働条件など、あらゆる面で本当に苦しい日々を送っているこういう方たち、諸外国並みに範囲、定義を拡大してはどうか。そうした人々を含めた障害者福祉法のようなものが何とかできないものなんでしょうか。それが無理でも、難病福祉法や精神障害者福祉法あるいは神経障害者、てんかんですね、こういう方々の福祉法のように個別にできないものなのかどうか。むろん雇用促進でも同様にしていただきたい。これは具体的な答弁はとてもじゃないけれども、結構でございますけれども、こういうことに対するお考え方をひとつ厚生大臣、総理大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斎藤十朗君) 身体障害者を中心にし、また難病の方々、また精神障害者の方々、そういった方々に対するきめ細かい福祉というものを推進していかなければならないと考えておりまして、それぞれのハンディを持たれた皆様方に、何といいましょうか、行き届いたきめ細かい施策がとれるよう十分努力をいたしてまいる覚悟でございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) それぞれのものについて福祉法をそれぞれつくるということは必ずしも適当であるとは思いません。しかし、それぞれのそれらの難病その他の問題につきましては、その対象対象に合った対策あるいは達成目標、そういうものを行政的にもつくりまして、一つ一つ実現すべく努力していくことが適当であると考えます。
○下村泰君 精神衛生法でちょっと伺いますが、その中で今回精神障害者にかかわる精神衛生法の改正案が昭和四十一年以来二十一年ぶりに提出されようとしているのですが、その改正の内容については実に多くの人々が関心と期待を寄せております。 そこで、まず今回の改正を行うきっかけと、具体的な改正のポイントについて伺わせてください。
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの精神衛生法の改正でございますが、厚生省といたしましては、次期通常国会に改正案を提出するように現在検討を進めているところでございまして、公衆衛生審議会という審議会に御検討をいただいているところでございます。二十年ぶりに改正ということでございまして、多々問題点があるわけでございまして、きっかけといたしましては、例えば宇都宮病院でございますとか、一連の精神病院におきます事件等もございました。あるいは国際的にも注目を浴びたということもございまして政府といたしましても法律改正に踏み切ったわけでございますけれども、内容的には、精神病院の入院患者の人権擁護をさらに推進することを基本的な考え方としておりまして、いわゆる同意入院制度のあり方のほかに精神障害者の、たくさん話題がございました社会復帰対策推進等につきましてもただいま幅広く検討を行っているところでございます。
○下村泰君 確かに宇都宮病院のようなことがきっかけになりまして、国連の方から指摘されたり、外国の方からごじょごじょ言われると、日本という国はやっと重い腰を上げる。外から言われてやるんじゃなくて、内の方からどんどん私は改めていってほしいと思うのですけれども、今回の改正のポイントを私なりに二つに集約してみました。人権と社会復帰ですね、殊に社会復帰対策というものがなければ改正にはならないと思うのです。 昭和五十八年の調査によりますと、精神障害者の平均在院日数が五百三十六日、一般は三十九日、結核でも二百二十一日。厚生省の昭和五十八年の実態調査では、条件さえ整えば退院の可能性があるというのが二二%。この条件の中心となるのが社会復帰対策なんですけれども、今回の公衆衛生審議会の意見はその意味でも時宜を得たものと思います。そして、社会復帰対策がないために回復しても退院できずにアパート化している人たちがたくさんおります。 ここで私ははっきりさせておきたいのですけれども、精神障害者による犯罪というのは、一般者の犯罪のパーセンテージに比べればはるかに低いんですよ。ところが、こういう人たちがちょっとした犯罪を犯しますと、それが必要以上に大きく扱われるのです。ですから、まだまだ社会的に偏見だとか、その他いっぱい曲がった見方をされているというふうに私は考えるのです。ですから、この精神衛生法に取り入れられて、今後こういったことをもうちょっと考え直さなきゃいけないのじゃないか。ほかのところからすると率は低いのですよ。日本は殊に入院日数がものすごく長い。西ドイツ、イタリア、スウェーデン、デンマーク等に比べると全然違うのですね。昭和四十一年から五十二年、全部同じなんです、この十年間。これで西独が百八十日、イタリアが二百十日、スウェーデンが百二十日、デンマークが百五日、これに対して日本は五百三十八日、これをどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、我が国の平均在院日数というのは、精神病院に限らず実は長いという問題点が一方にございます。その基本にございますのは、家庭の環境でございますとか、そのような受け入れ、もう退院してもよろしいのに受け入れ態勢が整わないという問題点、御指摘のようないわゆる社会復帰の問題があるわけでございまして、特に精神疾患の場合にはそういう問題がございますので、私どもといたしましては、いわゆる中間施設と申しますかそういう形で、直接家庭へ帰れない方は中間的な施設で、退院してそこに行っていただくというふうな社会復帰施設をさらに拡充強化していかなくてはいけないと考えております。
○下村泰君 今おっしゃったように、退院できる状態でありながら、社会復帰ができる可能性があるのかないのかという、ただいまの中間施設ですね、これがまだきちんとしておりませんな。これからきちんとなさるおつもりですか。
○政府委員(仲村英一君) 家庭へ帰っていただける方で、ストレートに帰っていただくということも重要でしょうし、そういう障害者であって退院可能な方でも、単独で家におられるというよりは、そういう方たちが集まって寮のような形で生活して、そこへ医療の手を差し伸べるということもございましょう。そういう保護的な寮でございます。それから、ただそこにおられるだけでもいけないので、小規模で作業を教えて差し上げて社会復帰に寄与するというふうなことで、いろいろのタイプの社会復帰施設を私ども考えておりまして、来年度の予算要求をしておりますが、法律にはそのようなことで、社会復帰の促進というふうなことを何らかの形で盛り込めたらということで検討いただいているところでございます。
○下村泰君 総理、愛媛県の北宇和郡吉田町というところにお住まいの増本秋寿さん、この方がさきの国会の中継をごらんになりましてこういうお便りを寄せてくれております。余り文章が名文であるしかつ長いものですから、中だけ抜かせていただきますけれども、「天下国家を論ずるも国会議員の先生、行政の末端迄光りを与えて頂く事も国会議員の先生以外何物もありません」、こういう文章があるんです。 そうしますと、この文章は必ずしも私が質問していることだけを取り上げているんではなくて、お答えくださる総理のお言葉一つ一つの重さが——この方も実際に障害児をお持ちのお父さんです。そして、精薄のお子さんなんですね。せんだって総理が大変温かいお言葉をお返しくださったので、この方は喜んでいるわけです。そういう方方の心情というのは、ここで単に私が質問をしているということでなくて、受けている方々の受ける思いというのは物すごく大きなものなんですね。ですから、この精神衛生法にしても、その精神にいろいろ障害のある方にとっても、総理の一言一言が大変大きなお言葉になるわけでございますので、改めてここで総理にこういった問題に対するお考えを聞かせていただきまして終わりにさせていただきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) いつもあなたからは社会の弱い方々、特に身体障害、精神障害の方々のための御質問をいただいて、そのたびごとに私も胸が痛めつけられるような気がしているのが正直な気持ちであります。が、しかし、我々は政治の責任者でございますから、あらゆる機会、あらゆる省庁の力を通じまして、そういう恵まれない方々のために、全国津々浦々におられる方々のために本当に血の通う、思いやりの通った政治を実行していかなけりゃならぬと肝に銘じております。今後とも一つ一つ具体的に御指摘をいただけば、我々としては全力を尽くします。
○下村泰君 ありがとうございました。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
○青木茂君 まず、税調会長にシャウプ税制のことでお伺いをしたいんですけれども、その前にシャウプ税制そのものの内容をちょっと当局の方からおさらいをしてほしいんですね。簡単にお答えください。 かつてのシャウプ税制というのは、例えばキャピタルゲインですね、株式売買益のようなもの。それには肯定的に考えているのか否定的に考えているのか。これはいかがでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 課税については肯定的に考えておるというふうに考えられます。
○青木茂君 肯定的ということは、キャピタルゲインは非課税だということですか。
○政府委員(水野勝君) 課税するのが適当ではないか、こういう考え方であろうかと思います。
○青木茂君 はい、わかりました。 その次に、家族給与の支払いについてはいかがですか。
○政府委員(水野勝君) 課税としては個人単位課税が望ましいが、家族事業におきますところの給与の支払いは好ましくない、こういう考え方であろうかと思います。
○青木茂君 わかりました。 課税ベースを狭くするところの特別措置が非常に多くなりそうだということについてはいかがでございますか。
○政府委員(水野勝君) その当時といたしましては余り特別措置的なものが数が少なかったということもあろうかと思いますが、余り触れてはおりませんが、基本的な考え方としては余り好ましくないというニュアンスであろうかと思われます。
○青木茂君 富裕税というようなものをどういうふうにシャウプは述べていますか。
○政府委員(水野勝君) 所得税の累進課税は五〇%程度が適当ではあろうが、しかしそれだけでは足りないので、やはり経常的な財産税でもってこれを補完するというのが適当ではないか、こんな考え方であろうかと思われます。
○青木茂君 わかりました。ありがとうございました。 税調会長にちょっとお伺いをしたいんですけれども、そういたしますと、まさに今問題になっている税制改革というのは、シャウプの見直しというより、シャウプに返れということが基本的なスタイルになるんじゃないかと思うわけなんですけれども、その点について税調会長はそのシャウプの評価、どういうふうにお考えでございましょうか。
○参考人(小倉武一君) ただいま主税局長からお答えがございましたようなシャウプ勧告の骨子というのは、非常に評価すべきものであるというふうに思います。 ただし、その後随分年月を経、また日本の経済も随分変化が参ってきたものですから、その都度適時修正、改正を加えてきたということからしまして、シャウプ勧告の趣旨とは大分離れた格好になっております。それをどう評価するか、それは当然時運の進展に伴って必要な改正であったと考えることもできましょうが、他方、その結果、よく言われますように、また税調の答申にも出ていますように、ゆがみ、ひずみが重なってきたというふうにも見られますので、その点が今回総理から税制調査会に諮問になったところで、ゆがみ、ひずみを是正するというようなことが税制改正の主眼になっておる、こういうことかと存じます。
○青木茂君 そういたしますと、この戦後の税制史というものは、シャウプ勧告の精神を踏みにじったというのか改悪したというのか、そういうようなプロセスの方が強い。そこで、このシャウプ税制を見直すのじゃなくて、シャウプ税制の原点に返れということでこれからの審議を進めていただきたい。それにいわゆるレーガン新税制の直間比率なんか余り問題にしない、それから大型間接税というようなものはもう税務職員の数をふやすだけだというようなことで取り入れなかったことを味つけしていただければ、日本の税制改正としてはほぼパーフェクトになるというふうに僕は思うわけですけれども、大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は実はシャウプ博士が見えましたときに相手をした一人でございます。その後、シャウプ税制が誕生したときにもかかわり合った一人でございますが、当時、占領中でございました。いわば占領者の一部としてシャウプ博士は来たということではありましたけれども、少しもそういうところがありませんで、大変に謙遜に、日本国じゅうをよく歩いて、よく勉強されてあの勧告をされました。そのことは私は今でも深く感銘をしております。そして、ただいまの税制の多くのものがその勧告に従ってなされた。ただ、キャピタルゲインのようにやってみましたけれどもうまくいかなくてやめたものもございますし、それから付加価値税のようなもの、付加価値税ということを日本に最初に持ち込みましたのはシャウプでございました。そのとき取引高税がございまして、これをやめていこうということの関連で提起されたのでございましたけれども、これはいわば実を結ばなかったというような経緯もございます。 おしなべて私は、シャウプの勧告というものに非常に大きな意義を見出しますけれども、いかにも今日の我が国と当時の日本の違いというものもまたいろんな意味で感じますので、シャウプさんの勧告されようとしたことの考え方、精神というものは、随分今日も生かさなきゃならないことが多いということは感じております。
○青木茂君 先ほど、シャウプ税制の原点に返ってレーガン税制で味をつけたらパーフェクトになる、こういうふうに申し上げたわけですけれども、今問題になっております、大型ですか一般ですかEC型ですか、ああいう間接税につきまして、これはちょっと税調会長の方に御質問というより御見解というのか、お教えをいただきたいんですけれども、大型間接税という、そういうものは学術的にはなかったときのうの御発言でございましたけれども、大型という意味は税率が多い少ないという意味なのか、あるいは課税ベースが広い狭いという意味なのか、これはどうお考えでございましょうか。
○参考人(小倉武一君) お尋ねの中にございましたように、大型間接税という言葉についてはどうも余りこういうものだというような定義というものはございませんようです。一般の新聞論調にもございませんし、学問的にもそういう言葉もございませんので、余りよく存じません。ただ、察しますところ、これはほんの私の個人的に察するところですが、消費に対する課税ベースが非常に広い課税であり、そして課税の率もお話のように非常に高い、ごくごく低い率も考えられぬことはございませんが、おしなべて相当高い、こういうのを言うんじゃなかろうかというふうに考えております。
○青木茂君 そうすると、その率と課税ベース、両面ということですね、税調会長。そういうことですね。
○参考人(小倉武一君) 課税ベースと率と両方から無論判断すべきものだろうと思います。
○青木茂君 一般消費税の「一般」という言葉はどういうことでしょうか。
○参考人(小倉武一君) 一般消費税と言われたときの一般消費税のことだと思いますが、あれは実は最初、固有名詞として使ったんじゃございませんので、消費に広く課税をお願いする、消費上、物品のほかにサービスも含めてオーバーオールという意味で一般と言ったように思います。
○青木茂君 はい、わかりました。 最後に、第三の質問としまして、これは税調会長に大変失礼にわたるようなことになるかもしれませんけれども、例えばことしの十月三十日の朝日新聞の投書欄に、税調答申を出していただくことはありがたいけれども、意見の列記だったら小学生でもできるというような、大変厳しい投書があるんです。あれは考えようによっては、税調がおやりになったことが党の税調というのか、あるいは政策レベルになるときというのか、かなり変わってきたことに対する政府税調の一つの半面的な開き直りというような理解もできないんではないんですけれども、今度の意見並列の答申について税調会長さんはどういうふうにお考えでしょうか。これは個人的でも結構でございますからお答えいただきたいと思います。
○参考人(小倉武一君) 今回の税制調査会の答申についてどうこう申しますのは、税調の取りまとめ役をやっておりました者としてはちょっと言いにくいんでございまして、見方によれば意見の羅列にすぎないという見方もございましょうけれども、そのし意見をどういうふうに配列するか、それにまたどういうウエートをつけるか、またその意見の中で取捨選択をどうするかということについては、たくさんの委員の方の、まあ大部分の方方の合意を得まして、また少数意見も適当に含めましてまとめたものですから、あの答申については委員の全員ほとんど御不満はないのではないかというふうに思っております。 また、政府の御諮問自体も、税制の根本的な考え方の理念といいますか、考え方の一つとして「選択」ということが諮問にもございますので、そうすれば税調として最終的答申を一つの意見に決めてしまうということでなくて、余り多く選択肢があるのもいかがかとは存じますが、若干の選択肢がある方が御諮問の趣旨にも沿うということで、あえて統一する、あるいは多数の意見で一本化するということをしなかったわけであります。
○青木茂君 税調の委員の方には御不満がないわけなんですけれども、あれを読ましていただいた私どもあるいは国民の皆様には不満というよりよくわからないなという疑問があったことは、これは事実じゃないかと思うわけでございます。どうも税調会長御苦労さまでございました。 次の質問に移ります。 今度の政府税調の答申で私どもの多年の主張でございますところのサラリーマンに対する必要経費の実額控除、これを導入していただいたということは大変ありがたいんですけれども、その道幅が非常に狭い。道幅をもう少し広くしてくれなければあれは有名無実になってしまうんじゃないかという懸念なきにしもあらずということでございます。特に、サラリーマンの仕事上のユニホームでございますところの背広であるとかネクタイであるとか靴であるとか、そういうものはどうもネガティブというのか、否定的な方向にとられているようだ。ということになりますと、一体何のための必要経費なのか。これはやはり私だけではない、四千三百万のサラリーマンの共通の不平であり不満であろうと思うわけでございます。そういう意味において背広とかネクタイ、ワイシャツ、みんな仕事で、まあ和服の方も一人いらっしゃるわけだけれども、とにかくみんな着て出てきていますね。だから仕事でないということは成り立たないと思うわけなんですけれども、大蔵大臣の御所見、これは個人的な御所見でも結構でございますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳しくは政府委員から申し上げますけれども、この専門小委員会が税調に出しました検討結果では、例えばこういうことが書いてございます。「背広、靴などは、しばしば必要経費に当たるとして主張されることがあるが、これらは日常一般に使用されるものであると認められることから、一般に所得の処分たる消費であって給与の収入金額から控除される勤務費用とは考えられない」と。つまり、どっちみち着るのであるから特に費用ではない。こういう趣旨の難しい文章と思われますが、実は私自身も十分検討いたしておりません。 なお、政府委員が補足申し上げることがあろうかと思います。
○青木茂君 「日常一般」ですけれども、外国と違いまして日本には和服というやつがありまして、家へ帰ると和服を着てくつろぐということがありまして、背広というのはとにかく仕事着なんですよ。だから、そういう意味において必要経費であってもいいと思いますけれども、さらにそれじゃ政府委員から伺いましょう。
○政府委員(水野勝君) やはり今の御議論にもございました勤務または職務の遂行のために支出した費用のうちで、その者の職務に照らして通常必要であると思われるもので、しかも「その勤務又は職務の遂行以外のためには支出することがないと認められるもの」、これが専門小委員会の方向のようでございます。 また、衣服等につきましては、外国の例を見ましてもおおむね職業に極めて特殊なもの、その着用が義務づけられる、あるいはその職場でしか着用されない、そうしたことが一般的である、そうしたものが対象とされておるようでございまして、日本でこれを実行いたします際にもそうしたものが基準となるのではないかと思われるわけでございます。
○青木茂君 二つのことを御質問申し上げたいんですけれども、例えば自営業の方が自動車を持っていた、仕事に使いますね、あるいはレジャーに使うことだってないとは言えない。あるいは自営業の方が電気代を使います。その電気代、仕事の分は仕事の分、生活の分は生活の分と分けるわけですよ。分けて必要経費と認めるわけです。そうしたら、サラリーマンでも背広を仕事の分で何%、ほかの目的で何%というふうに分ければいいはずだ。公平はそこで保てるはずですね。それぐらいのことは、税の公平こそ問題なんだから、やっていただいたって少しも構わないんじゃないかと私は思う。これが一つ。 それから外国の例がすぐ出るわけなんですけれども、それならば外国でやっていて日本でやっていないものがいっぱい必要経費問題であるんですね。単身赴任の超過経費だってそうだし、外国では職務のために自宅を使った場合のコストというのも必要経費になっているわけですよ。つまり、外国の場合そういうものが必要経費になっているんだから、外国に例があるから日本でもやってもらえばいい。ところが都合の悪いものはやりゃせぬ。あるいは医師課税の特例だとか、みなし法人だとか専従者給与とか、外国の例はないけれどもやっている。ところがサラリーマンの経費問題だけは何か外国がすぐ引用されている。これはおかしいじゃないかということについての御返事をいただきたいんですけれども。
○政府委員(水野勝君) 今回の税制調査会の答申は今までの日本の給与所得者に対する課税の方法としてはまことに新しいものでございますので、やはりその点は今御指摘のように外国の例も十分勉強するようにという御指摘があるわけでございます。「勤務費用の実額控除の選択制を導入する場合には、公平を確保し、適正な執行を図る見地から諸外国の例も参考にしつつ、分かりやすさ、執行の容易さ等をも考慮し、実額控除しうる勤務費用の範囲について、できるだけ具体的かつ明確な基準を設定する必要がある。」と示されているところでございます。その点に即しまして、また最初に御指摘のございました生活用のものと勤務に関するものと、そこらの分け方の問題とか、こういった点も含めまして、また御指摘のような外国の例も十分に参考にしながら今後検討をし、さらに税制調査会にお諮りして検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○青木茂君 ただいまの御答弁では何となくこれは背広も少しは必要経費の方向に行くようですね。ありがとうございました。 それで一つ、公安委員長にお伺いしたいと思うんですけれども、第一線の犯罪捜査の刑事というのは物すごくあれなんですよ、靴をすり減らし、洋服を着つぶしてしまうわけですよ。だから、どうなんですか、それに対する見返りの支給はあるんでしょうか。
○政府委員(新田勇君) お答え申し上げます。 警察法の六十八条は、一項におきまして国の警察官に対して「その職務遂行上必要な被服を支給」することとなっておりまして、今、青木委員のおっしゃいました第一線の警察官の方は、これは都道府県が今申しました国の場合に準じて条例で定めるところによってその職務遂行上必要な被服を支給するということとなっております。その職務の性質上、私服を着用して勤務することとなっているそういう警察官に対しましては、都道府県の条例に基づいて制服にかえて背広等の私服を支給するところもあるというふうに承知いたしておるところでございます。
○青木茂君 それがどれぐらいの支給だかわかりますかね。
○政府委員(新田勇君) どのぐらいとおっしゃるのは、県で申せば私服を現物で支給しているところが二十四県でございます。それから数でございますが、それは耐用年数と申しましょうか、それとの関係でいきますと、もちろんこれは県によって違いますが、神奈川県の場合は冬服二十四カ月となっております。冬服でございますから冬の期間だけ着るというようなことで、計算的には何か四年ぐらいを考えておるのではないかというふうに思うわけでございます。
○青木茂君 私のところへ来たのはある刑事さん、犯罪捜査をやるために月に三足靴をつぶしてしまって、背広も幾ら少なくとも年に三着は安いやつを買わないと仕事ができない。それだけカバーしてもらえるならばこれはいいんですけれども、そうでなかったらやはり税法上必要経費の扱いぐらいは私はしていただきたいと思うわけでございます。 今までのあれを聞かれておりまして総理はどういう御感想でしたか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり政府税調においてサラリーマンの必要経費という選択をまず今度つくったということは大きな前進である、今度はその内容についてこれから詰めていかなきゃならぬと思いますが、適正な内容で、サラリーマンの皆さんがこういうものをつくってもらってよかったと思われるような内容にぜひしたいと考えております。
○青木茂君 具体的にそれじゃ伺います。政府委員の方でも結構ですけれども、例えばサラリーマンの研修費であるとか本代であるとか、そういうものの必要経費性はどうなんですか。
○政府委員(水野勝君) この辺につきましては、外国の扱いも区々でございまして、なおよく検討すべき点でなかろうかと思いますが、その職務につきまして例えば雇い主からそれを求められたと、そういうはっきりしております場合にはあるいは引ける場合も出てこようかと思うわけでございます。
○青木茂君 労働組合費とか管理職の互助会費みたいなものはどうですかね。
○政府委員(水野勝君) これはアメリカ、イギリスではかなり厳しくて引けない、一方ドイツ、フランスでは引ける、区々でございます。検討すべき点であろうかと思います。
○青木茂君 日本は独立国だから余り外国の例では困るんですけれども、それじゃ外国、例えばドイツなんかの税法でやる単身赴任の超過経費は、日本のサラリーマンの場合必要経費の方向で御検討なさるかどうかということはいかがでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、ドイツでは単身赴任、週一回うちへ帰る経費は認めておるようでございますが、こういった例も参考にしながら検討すべき課題であろうかと思うわけでございます。
○青木茂君 立ったり座ったりしていただくのは局長に失礼だから一遍に聞きます。 例えば、サラリーマンであるがゆえに冠婚葬祭費、つまり交際費というものがどうしてもたくさん必要である。これはサラリーマンであるがゆえに支出するものであったならば必要経費性が認められるかどうかということ、あるいは仕事が遅くなって夜遅くタクシーで帰った、あるいはホテルに泊まらざるを得なかった、そういうものも必要経費性を認めていただけるものなのかどうか、その二点をひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 冠婚葬祭、交際費等につきましては諸外国も厳しいようでございまして、一定の交際費、これを雇い主からの求めに応じて支出した、そうした場合は認められるようでございますが、ほかの場合は冠婚葬祭等は余り認められていないようでございます。 それから仕事で遅くなった場合のタクシー、ホテル代、こういったものも十分立証できれば経費として認められる場合もあるようでございますが、立証技術の問題がなかなか難しいようでございまして、検討課題であろうかと思うわけでございます。
○青木茂君 この問題の最後に総理にお伺いしたいんですけれども、昨日でございますか、総理自体が、日本はとにかく独立国なんだ、独自の日本の考え方でやるんだと、こうおっしゃいましたね。ところが、日本の場合はどうも、いろいろ考えてみると、外国がこうだああだというのが少し出過ぎるわけですよ。僕は、そういう意味において、税の理念において日本は果たして独立国であるかどうかというのが疑問なんですよ。そこら辺、日本的税制のあり方というものに対しては、外国にとらわれず日本独自でやるんだということについて、総理はそういうふうにお考えでしょうかどうか。
○政府委員(水野勝君) 基本的には、日本におきますところの雇用慣行その他を参考にしまして決めるべき、日本独自の解決すべき問題であると考えております。 ただ、先ほど申し上げましたように、給与所得者につきましての実額経費選択制度、まことは初めての制度でございますからそこはやはり外国のことも十分勉強させていただきたい、こういうことであろうかと思います。
○青木茂君 総理、道が開けたことは大変ありがたいんですが、道幅が狭いとだれも使えなくなっちゃうんです。だから、道幅をできるだけ広くするような御努力をこれから願えるかどうかということについては、総理ひとつ御返事をいただけますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはりこういう選択を設けたんですから、こういうものが設けられてよかったと皆さんに満足してもらえるようにできるだけ努力したい、先ほど申し上げたとおりです。
○青木茂君 ありがとうございました。 それでは次に、何と申しますか、専業主婦の特別控除ですね、あの問題について御質問をしたいんです。 いわゆる主婦の内助の功を税法的に評価する、これは私は前進だと思います。ただ、どうも専業主婦特別控除というような形において、その中で共働きの妻というのが排除されてしまう。ここに新たな不公平というようなものが出てこないか。専業主婦だけが十五万円の控除であって家計を助けて無理して働いている女性がその控除なしということが果たして公平という観点から見て正しいかどうかということは、大蔵大臣ひとついかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、勧告をされた方は非常に善意でなさっておるに違いないのですけれども、いろいろな言葉遣いとか考え方が男女均等であるべきであるのにといったような、多少誤解といいますか、そういうことにも発展をしております。私は、この問題は結局、青色申告、青色事業者の専従給与がございます、これによって給与を与えることによって配偶者にある意味で所得を分けておる、それによって負担が緩和されているという実態がございますものですから、それと比べますと、一つの世帯を営んでいる夫婦の場合に、全くそういう比較をいたしますと負担が不均衡であるという認識がございますのでああいう制度を設けたということであると思いますので、そのこと自身は私、善意でもあるし、また有意義であるというふうに考えております。
○青木茂君 そのこと自身が善意であり有意義であるということは私も実は否定しない、結構なことだと思っておるわけなんですよ。思っておりますけれども、ただその控除の中から共働きの妻が排除されるということについては疑問があるし、それからもし青色申告の専従者給与、みなし法人あたりが問題なら、そこに切り込んでそこをやめちまえばこれは話は早いわけです。そういうことのために共働き妻がとにかく犠牲になるというのは、主婦に働く働かぬで価値の差をつけるようなもので余り感心しないと僕は思っておるわけなんです。 そこで、総務庁の長官はいらっしゃらないんですけれども、総務庁関係の方に伺いたいのは、どうなんですかね、共働き家庭とそうでない家庭の家計の差をちょっとお示しをいただきたいんですけれども。
○政府委員(三浦由己君) 昭和六十年平均の家計調査の結果によりますと、全国勤労者世帯のうち核家族世帯で夫婦共働きの世帯の実収入は一カ月当たり四十六万八千六百六十九円、可処分所得は三十九万九千三百九十七円、消費支出は二十九万五千八百五十六円となっております。また、核家族世帯で世帯主のみが働いている世帯の実収入は四十万八千四円、可処分所得は三十三万八千六百十二円、消費支出は二十六万九千七百八十三円となっております。
○青木茂君 ありがとうございました。 そういたしますと、共働き世帯とそうでない世帯の差というのは、実収入とか可処分所得で見て六万円程度、消費支出で見て二万六千円なんですよ。つまり、共働き世帯というのは夫の収入が低いから、働かざるを得ないから働いておるわけですよ。それがこの数字に出ています。そうなると、共働き妻を主婦控除から排除しているということはこれは余りにも残酷ではないかという気がするんですよね。 大蔵大臣、申しわけないけれどももう一回。
○政府委員(水野勝君) 共働きと一人で働いておられる家庭の実収入、消費支出等は今御説明のあったとおりでございますが、これを所得税の負担で比べてみますと、共稼ぎの方は収入が多いにもかかわりませず年間の勤労所得税は二十四万四千円、片一方一人働きでございますと二十六万二千円で、絶対額ももちろん一人働きの方が多いわけでございますし、負担率にいたしますと共働きでは四・三%、一人働きでは五・四%と、こういった税負担の配分にもなっておる、こうした点も考慮いたしまして世帯としての負担の調整を図ったらいかがかと、こういうお考えもあるのではないかと思うわけでございます。
○青木茂君 そういうようなすべてのいろいろな理由はそれはあるでしょう。ありますけれども、主婦控除をつくる場合に働いているか働いてないかによって価値の差をつける、税法上理念的に差をつけることが果たして正しいかどうかということを私は問題提起としてしておるのであって、これは大蔵大臣にこそお答えをいただきたいんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) しかし、それは決して主婦が働くことを何といいますか奨励しない、なるべく家にいらっしゃいという政策意図を持っているのでないことは明らかでありまして、今申し上げましたように、世帯全体としては、やはり主婦が働かれている方が所得は大きく世帯としての税金は少ないということには変わりがないわけでございますから、何か主婦を家庭に拘束しておくという意図であるというふうにはどうぞお考えくださいませんようにお願いいたしたいと思います。
○青木茂君 せっかくこういう主婦控除という立派なものをおつくりになったんだから、誤解を受けるようなことは僕はよくないと思いますよ。わずかと言っちゃ失礼だけれども十五万円だから、全部の家庭に十五万円してもそんなに僕は税収は減らないんじゃないかと思います。 この問題はこれくらいにして、最後にちょっと固定資産税関係ですけれども、固定資産税の総額、全国総額というものは一体幾らでございましょうか。
○政府委員(津田正君) 現在確定しております決算、五十九年度でございますが、三兆八千五十八億円でございます。
○青木茂君 固定資産税は地方税ですけれども、これは御承知のとおり時価相場の三分の一ぐらいの評価ですよね、固定資産税というのは。それで三兆八千億円あると。そうすると、ここに国税の財源として大型間接税であるとかマル優以外のところで大きな財源が何か潜んでいるんじゃないかという気がする。もちろんサラリーマン、一般の庶民が孜々営々として働いて得た土地、まあ五十坪ぐらいだろうと思います、そういう生活用の土地、建物は全面的に非課税にしなきゃいかぬけれども、何か非常に大きな財源があるような気がします。それをうまく活用できないかどうかということは大蔵大臣いかがでしょう。
○政府委員(津田正君) 固定資産税の評価の問題でございますので、自治省で答弁させていただきます。 固定資産税の評価の問題につきましては、先般出されました政府税制調査会におきましても、「その評価に当たって引き続き均衡化、適正化に努め、中長期的に固定資産税の充実を図る方向を基本とすべきである。」、こういうような答申をいただいておるわけでございます。この場合にどういうようなスピードで評価を上げるかという問題でございますが、これはフローに対する課税、いわゆる所得課税とかそういうものではなくて、ストックに対する課税というような性格のものでございます。それから老人夫婦等も含めまして約三千万人以上の納税義務者を抱えておる、こういうような税の性格を考えますと、政府税調におきましても「負担の急増を緩和するためなだらかな増加となるような配慮が必要である。」、このような答申になっております。
○青木茂君 最後にもう一問いいですか。
○委員長(桧垣徳太郎君) 時間が参りました。一問だけ。
○青木茂君 ありがとうございます。 とにかく今度の税制改正で、結果において給料袋はやや重くしかし家計簿は大いに赤字と、こうならないように御努力をいただきたい。この点について大蔵大臣と総理大臣の御見解を承って終わりにいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 可処分所得を大きくいたしまして、なるべく消費者の選択を自由にするというふうに考えてまいりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり税の不公平感、ゆがみ、ひずみ、これを直すことがまず一番大事だろうと思いまして、それに伴うて今のような給料袋は重くと、そういう現象が起こるように努力していきたいと思います。
○青木茂君 終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で青木茂君の質疑は終了いたしました。 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、これより補正予算三案に対する討論に入ります。 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。野田哲君。
○野田哲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております昭和六十一年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。 反対する理由の第一は、公務員給与改善費、住宅・都市整備公団補給金など、本来当初予算で計上しなければならなかった経費について本補正予算での追加措置を余儀なくされている点であります。 とりわけ、公務員の労働基本権を剥奪した代償措置としての人事院勧告が完全実施されることは当然のことでありますが、補正予算まで後送りして措置される性格のものではないということは言うまでもありません。私は、昭和六十二年度の予算編成に際して、当初予算で計上しなければならない経費を再び補正回しにすることが絶対にないよう、この際強く要求するものであります。 反対する理由の第二は、急激な円高によってもたらされたデフレ効果によって我が国経済が大きく落ち込んでいるにもかかわらず、有効な内需拡大策が打ち出されていないことであります。 周知のように、昨年のG5以降の急激な円高は協調介入と称して政府みずからが招いた結果なのであり、そのしわ寄せ、犠牲を一方的に国民へ押しつけるやり方は断じて許されないのであります。中小企業を中心とする輸出関連産業等の収益悪化、それに伴う設備投資の不振、また昨年十一月以降四百三十二件を数える円高倒産の多発、史上最高水準を記録した失業率、構造不況業種を中心に広がる人員整理の動きなど、雇用面の情勢は極めて深刻な局面となってきております。しかるに、政府が先般の総合経済対策により実質四%成長は可能であると強弁し、楽観的な見通しに終始している点はどうしても納得できないところであります。 国庫債務負担行為の追加も来年度公共事業費の一部つまみ食いにすぎず、住宅金融公庫の追加融資にしても年度内の完全消化は不可能であり、政府公約、国際公約でもある四%成長は到底困難と言わざるを得ません。加えて、円高メリットの還元についても極めて不徹底であり、電力、ガス料金の再引き下げ等公共料金の引き下げを早急に行い、国民全体に円高メリットが行き渡るようにすべきであります。 政府の経済運営の失敗が法人税の大幅減収をもたらしている点も指摘しなければなりません。本補正において法人税の減収が九千八百十億円見込まれておりますが、果たしてこの程度でとどまるのか、強い懸念を抱かざるを得ません。景気悪化と税収低迷を断ち切り、歴史に類例を見ないとも言われる我が国貿易黒字をいかにして国民生活の質の向上に振り向けるのか、新たな内需拡大策が今こそ求められているのであります。 反対する理由の第三は、防衛費の削減が極めて不十分であり、決算段階ではGNPの一%枠を超える危険性がある点であります。 防衛費のドル建て調達額二千百六十八億円、油購入費六百八十三億円という当初予算から判断して、円高、原油安による節減額だけでも五百億円は削減可能なのであり、本補正における三百五十二億円程度の削減では到底納得できません。また、今後名目成長率が低下したとしても、決算ベースでは一%枠を厳守するよう再度強く要求するものであります。 最後に、公党間の約束をほごにして六十一年中の所得税減税を先送りした点について政府・自民党の猛省を求めると同時に、国民が反対するような大型間接税は導入しないとの総理公約を厳守し、税制改革が単なる減税財源あさりに終わることのないよう強く警告して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、吉川芳男君。
○吉川芳男君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和六十一年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行います。 昨年秋以来の円高は本年九月以降安定的に推移し、一時の棒上げや天井知らずの不安は解消しております。懸案の国際収支の問題も、ドル表示こそふえているものの輸出数量が減少しており、貿易黒字縮小の兆しが見えてきました。しかし、円高が為替市場の値決めにより急激かつ大幅だったため、日本経済に多大の影響を与えました。もちろん、円高は長期的に実質所得を増加させ経済を拡大させるメリットがあり、既に物価の超安定や家計部門における消費拡大があらわれ始めておりますが、なお輸出関連企業の業績悪化から、総体的に見て景気の足取りは重く、雇用情勢には厳しいものがあります。 本補正予算案は、円高メリットが経済全体に浸透するまでの間、公共事業を追加し、景気を支えるとともに、内需中心の経済を実現して過度な輸出依定体質から脱却しようとするもので、時宜に適したものであります。 以下、賛成の主な理由を申し述べます。 第一は、内需拡大についてであります。 政府は、内需を中心とした景気の拡大等を図るため、九月に公共事業費一兆四千億円の追加を含む総額三兆六千三百三十億円に上る総合経済対策を決定したところでありますが、本補正予算において、災害復旧等の事業費や一般公共事業関係費を計上するほか、国庫債務負担行為の追加により、この総額を確保しております。このため建設国債を五千四百九十億円追加発行することになりましたが、現下の経済情勢を考慮すれば、財政をめぐる環境がいかに厳しいとはいえ、景気の着実な拡大を図り雇用の安定を確保することが最優先する課題であります。このため早期のそしてより多くの財政支出が求められているところであり、やむを得ない措置であると考えます。 私はむしろ、今回政府が補正予算において八年ぶりに一般公共事業関係費の追加を決断したことは適切であると高く評価したいのであります。これらの措置は、第四次公定歩合引き下げや国民経済の中に浸透しつつある円高メリットと相まって、景気を押し上げる大きな役割を果たすものと確信します。 第二は、中小企業対策であります。 円高等内外の経済環境の急激な変化により影響を受ける中小企業者の事業資金の融通を円滑化するため、中小企業等特別対策費二百五十二億円を計上しております。輸出に多くを依存する中小企業にとって今回の円高は急激過ぎ、その対応に苦慮しているところであり、財政による助成を求める声が高まっているのであります。幸い円高もようやく峠を越えたと見られる現在、みずから対応するために資金融通の円滑化を図ることは適切な措置であります。 第三は、財政改革の基本路線の堅持であります。 既定経費の節減や可能な限りの財源捻出に努力する一方、追加する経費を真にやむを得ないものにとどめることにより、特例国債の増発を回避したことであります。給与改善費、北洋漁業救済対策費、義務的経費の追加等特に緊要である歳出の追加額は、総額で一兆四千三十五億円となっております。これに対し政府は、既定経費の節減、公債費の減額等歳出の減額に努力する一方、前年度の決算剰余金を全額歳入として充当するなどの措置により、一兆円を超える大幅な歳入欠陥が見込まれたにもかかわらず、特例国債の増発を行うことなく補正予算の編成を可能にしたのであります。このことは財政改革の基本路線は守るという政府の強い意思を示すものと思われ、大いほ評価するものであります。 第四は、人事院勧告の完全実施であります。 政府は、極めて厳しい財政事情にかかわらず、去る八月十二日の人事院勧告に基づき国家公務員給与を四月より二・三一%引き上げ、六年ぶりに完全実施することに踏み切りました。国家公務員諸君におかれては、一層公務に精励されるとともに、厳正な綱紀の維持に努められることを切望しておきます。 以上、昭和六十一年度補正予算三案に対し賛成する理由を申し上げてきましたが、最後に、政府に要望しておきます。 今回の補正予算による公共事業費の追加により内需を中心とする景気の拡大が期待されるところでありますが、この配分に当たっては、できる限り速やかに行うとともに、地域の事情をよく考慮し不況地域等への傾斜配分を行っていただきたいのであります。 また、昨今失業者が増大する傾向が見られます。今後、日本の企業が海外進出するのに伴い雇用問題が一層深刻化するのではないかと懸念されるので、雇用対策の十分な検討をお願いしたいのであります。 以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、峯山昭範君。
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十一年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。 反対の理由の第一は、日本経済が戦後最悪の円高不況に陥っているにもかかわらず、本補正予算案に実効ある内需拡大策が盛り込まれていない点であります。 我が国経済の現状は、円高不況が蔓延し、中小企業の倒産は急増、失業率も三%に達することは必至という事態に直面いたしております。我が党は、早くからこうした事態を危惧し、景気浮揚のための一刻も早い大型補正予算の編成を主張してまいりました。しかし、政府はみずから招来した円高不況を無責任に放置し、我が党の主張に耳をかさず、本補正案も遅きに失したばかりか、一般公共事業費の追加もわずか一千三百三十億円にとどまり、景気てこ入れにはほど遠く、このままでは政府公約の四%成長の達成、不況克服は不可能と言わざるを得ないのであります。もはや、政府の失政によるしわ寄せを国民に押しつけている現状をこのまま放置することは断じて許されません。建設国債の増発による一層思い切った公共事業費の追加が必要不可欠であります。 反対の理由の第二は、政府の税収見通しが余りにもずさんな点であります。 本補正予算では、一兆一千二百億円の修正減額が行われており、特に法人税の減額幅は九千八百十億円に達しております。こうした歳入欠陥の発生はひとえに政府の円高不況に対する無為無策によるものでありますが、本補正予算の内容の貧弱さを考えると、今後こうした歳入欠陥の一層の拡大は必至と言わざるを得ません。政府の安易な税収見通しによる歳入欠陥拡大のツケは、必ず国民生活に重くのしかかってくることを政府に強く警告するものであります。 反対の理由の第三は、本年三月四日の与野党合意にもかかわらず、本補正予算案に所得税減税及び政策減税が全く盛り込まれていない点であります。 これは公党間の約束を踏みにじるものであり、到底納得できるものではありません。今や減税は国民全体の一致した願いであります。政府・自民党は速やかに与野党間の合意を実行するよう要求するものであります。 以上三点について指摘したとおり、政府の猛省を促すとともに、重ねて政府に対し、円高不況克服のための思い切った内需拡大策の実施を強く求めるものであります。 最後に、現在政府・自民党内で検討されている税制改革が、高額所得者優遇、弱い者いじめの改革とならぬよう強く要望し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、内藤功君。
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の昭和六十一年度補正予算三案に対する反対討論を行います。 以下、反対の理由を申し述べます。 反対理由の第一は、補正予算審議の過程でも明らかになったように、中曽根内閣は、いよいよ高まる国際世論に背を向けて、レーガン政権の核戦略を容認し、SDI戦略構想支持を表明しつつ、軍備拡大を推し進めていることであります。 本補正予算三案は、一兆二千五百億円を超える歳入欠陥により、四千五百二十億円の経費削減をしていますが、軍事費の減額はわずか三百五十三億円。しかも、これは円高と原油値下がりによる差益の一部にすぎず、軍備拡張推進の当初予算の性格は何ら変わっていないのであります。一方、当初予算で大幅に削減された福祉、教育、農業関係費などはどうか。健康保険本人一割負担、受診抑制等で浮かせた社会保険国庫負担六百四億円の削減、昭和五十九年度の借入金は行わないとの政府決定に反してまでの地方財政への借金の押しつけ等により、国民生活関連費は一律に減額されているのであり、到底容認できるものではありません。 反対理由の第二は、異常円高が日本経済を直撃し、勤労者、農業、中小企業を初め、多くの国民を深刻な事態に陥れているにもかかわらず、政府は、さきの宮澤・ベーカー共同声明に見られるように、対米追随の態度をとり続け、緊急の円高是正の対策をとらないでいることであります。 一兆円を超える歳入欠陥は円高不況による税収減であります。中小企業庁の調査によっても、一ドル百六十円台の異常円高がこのまま続くならば中小企業に壊滅的な打撃を与えることははっきりしています。したがって、中小企業に対する円高緊急融資の金利三%以下への引き下げ及び休業補償制度の創設を初め、国民生活への影響に対応する適正な対策をとることこそ強く求められているのであります。しかるに本補正予算三案では、この点は全く顧みられていないのであります。 反対理由の第三は、政府が本補正予算三案に国民が強く求める所得税減税、円高差益還元措置を盛り込んでいないことであります。また、失業率、有効求人倍率が最悪の状況にあるにもかかわらず、経済構造調整と称して、中小企業、農業、石炭産業などの切り捨てを含む経構研報告を対米公約として実施しようとしていることであります。 政府は、国鉄解体による九万三千人の退職を強行しようとしています。炭鉱閉山、円高対策を口実にした大企業の人減らし、低賃金、超過密長時間労働を放置するばかりか、大量の国内労働者解雇につながる大企業の無秩序な海外投資の激増を容認しています。 中曽根総理は、選挙中の公約に反し、新たな大型間接税を導入する機会をうかがっています。これでは内需拡大どころか、国民生活は冷え込むばかりと言わなければなりません。 政府は、内需拡大と称して、当初予算に引き続き補正予算でも三十三億円の民活推進対策などの財界優遇策をとり続けています。のみならず、公共事業追加のための国債五千五百億円も増発しようとしていますが、これは財界奉仕、国債乱発、経済摩擦の激化、財政破綻という歴代日民党政府の過ちを繰り返すものでしかありません。 我が党は、当面、二兆円近い軍事費未執行分の削減、不公平税制の緊急是正などにより財源を確保することにより、真の内需拡大のため、二兆五千億円の所得減税、社会保障の改悪中止、中小企業、雇用緊急対策の充実などを図ることこそ緊急かつ必要であることを主張し、反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、井上計君。
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十一年度補正予算三案に反対の討論を行います。 我が国経済は、昨年九月以来、四〇%近くに及ぶ急激かつ大幅な円高により極めて深刻な不況が進展し、日本列島全体がこの円高不況に苦しんでおります。円高倒産は昨年十月以来一年間の累計で四百二十九件にも達し、円高で製造業の八割が減益を余儀なくされているのが現状であります。とりわけ鉄鋼業界では、一時休業や高炉休止計画に追い込まれ、造船各社も設備廃棄をせざるを得なくなるなど、今日まで我が国経済を支えてきた基幹産業がまさに構造的な不況を強いられており、また中小企業の倒産、転廃業の多発、地域経済の沈下など、今我が国の産業全体が大打撃を受けているのであります。雇用も悪化の一途をたどり、本年八月の完全失業率は二・九%、九月は二・八%と高水準を記録しており、構造失業時代に突入したと言われるほど雇用不安は一段と深刻の度を増しているのであります。これほどの円高不況が惹起しているにもかかわらず、依然として輸出は増大を続けており、貿易摩擦は一向に解決されていないのが現実であり、今年度は八百億ドルにも達すると見込まれる黒字が示すごとく、為替相場の操作のみでは貿易摩擦の解消は不可能であると言わざるを得ません。 私は、このような大不況の現状は、速やかな内需拡大を図るための経済財政運営への転換を怠った政府の責任であると考えます。中曽根内閣の経済財政運営は、財源不足を理由に消極的な経済政策を続けてきたために経済が一向に拡大されずなお一層の財源不足に陥る悪循環を繰り返すという、縮小経済財政運営に終始しております。この路線を大胆に転換しない限り、四%台の実質成長も増税なき財政再建も、ましてや貿易摩擦の解消も到底実現できないと言わざるを得ません。 我が党は、大幅な所得減税、法人税減税により経済に活力を与え、また適切な建設国債を発行することによって公共投資の拡大を柱とした積極的な経済財政運営を断行すべしと主張し続けているのであります。拡大均衡型経済を実現すれば、内需主導の実質五%程度の成長が可能であり、税の大幅な自然増収を確保し、緊急の課題となっている貿易摩擦解消、増税なき財政再建が可能であると確信しております。とりわけ我々は、二兆三千億円の所得減税の断行が個人消費の拡大に不可欠との立場から、その実現を強く求め続けてきたのであります。 しかるに中曽根内閣は、減税どころか、大型間接税導入、マル優廃止などによる増税を考え、我が党の主張を無視していることに私は強い不満を禁じ得ないのであります。大幅な所得減税を見送り、公共投資拡大のための建設国債発行を少額にとどめた今回の補正予算案では、到底政府の国際公約である実質四%成長の達成は不可能であり、円高不況、雇用不安も一段と高まり、貿易摩擦の激化は解決できるとは思えません。 以上述べたごとく、今回の補正予算案は景気回復、円高是正に何ら効力を発揮しない形だけのものであり、国民に何ら明るい指針を示さず、不透明感だけを強めるという補正三案に対し私は強く反対の意思を表明し、討論を終わります。(拍手)
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和六十一年度一般会計補正予算、昭和六十一年度特別会計補正予算、昭和六十一年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して採決をいたします。 三案に賛成の方は起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 多数と認めます。よって、昭和六十一年度補正予算三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十三分散会