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107回国会参議院1986/09/18

本会議 第4号

発言数
25
登壇者
12
会派数
6
開催日
1986/09/18

会議録

藤田正明各派に属しない議員議長

○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。田代富士男君。    〔田代富士男君登壇、拍手〕

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの総理の所信表明演説に対し若干の質問を行います。  現在、我が国は、日本の夜明けとも言われ、近代化に大きく踏み出した明治時代、また目覚ましい発展を遂げた高度成長時代に次ぐ近代日本の第三の社会変革期に差しかかっています。すなわち、高齢化、国際化、情報化、そしてハイテク化、さらには国民の価値観の多様化など国民生活の基本的条件が大きく変化し、従来の経済社会や国民の生活環境とのあつれきから、今までにない困難な問題が次々と発生してくることが予想されます。しかし同時に、この変化の中には、従来の価値観にとらわれず、情報、技術等を駆使し、地球的な規模で広がる第三の波のうねりが見えてきています。  このような変動期に国民は社会の将来展望に失望し、あるいは我が国の政治の動向に無関心を示しています。それは政治がこの時代の大きな潮流や民衆の平和への願いを理解しようとしないからであり、世界の識者に日本の時代が来ると言われてもその取り組みが欠けているからであります。今、政治に求められていることは、人間性にあふれ、豊かなあすの日本を築くための的確なビジョンに裏づけられた新しい国民的目標を提起し、国民に問うことではないでしょうか。総理は、この激動の時代にいかなるビジョンをお持ちですか、お伺いします。  総理は、この四年間、御自身の長年の思いを一気に吐き出すようにして内政、外交に挑まれました。特に、その外交においては、日米関係を基軸に据えて日本の国際化を訴えられました。しかし、総理が言う日本の国際化とは名ばかりで、この四年間、経済摩擦は一方的に拡大し、そのために平和憲法の精神に反し、近隣諸国への脅威を増大する防衛計画の拡大やSDI研究参加などアメリカの強い要求をのまされ、また日本国民の批判や反対に馬耳東風を決め込んでいた教科書問題や靖国問題についても、中国や韓国からの批判に態度を変えてしまいましたが、これは問題の本質的解決を回避し、外圧に対する気配りを優先したにすぎません。  今、国民が一番心配していることは、国民を忘れて外国の風向きを気にする政治的信念のなさであります。また先進国としての使命も自覚せず、国際社会への具体的な貢献が少な過ぎることです。総理には確固不抜の政治信念はどこにありますか。また国民の憂慮をどう受けとめていますか、まずお伺いし、以下、国際社会に貢献すべき外交の具体的課題からお尋ねしてまいります。  最初に、核兵器廃絶問題についてであります。  比類なき残虐性を持つ核兵器は、それが最後の場となるはずであった広島、長崎以降、次第にエスカレートする核軍拡競争によって戦略から現実性の高い戦域核戦力として危機を増大させています。また、これまで数々繰り返されてきた核実験によって、百万人以上の人々が傷つき苦しんでいることを忘れてはならないと思います。このように世界の平和と安全に重大な脅威と危機をもたらす核兵器を廃絶することは人類の悲願であります。  本年は国連国際平和年であり、唯一の被爆国である我が国は、今こそ核兵器全廃と軍縮の推進、非核三原則の厳守、恒久平和の確立に向け一層努力しなければならないと思います。時あたかもゴルバチョフ書記長の訪日が外交日程に浮上してきている日ソ、あるいは基軸とされている日米の両重要外交において、核廃絶に向けて総理はどのように努力されるのか、お伺いします。  次に、SDIの研究参加についてであります。  去る九日、政府は、SDI研究に参加する方針を閣議了解しましたが、まことに遺憾に思います。この決定は、三百台の議席を背景とする中曽根内閣のおごりを端的にあらわすものであり、我が国が長年築いてきた平和の諸原則を踏みにじるものとして、公明党は反対します。  何よりも、我が国のSDI研究参加は、平和憲法の精神と宇宙の平和利用を決めた昭和四十四年の国会決議に反し、容認することはできません。またSDIは、米ソ核軍拡競争の舞台を宇宙空間にまで拡大し、その研究参加は米国の核戦略に加担することになり、我が国の科学技術が米軍需産業に組み込まれることによって広がる危険性はまことに大きいと思います。また相手国は、SDIに対抗する新たな軍事技術を次々と開発することになり、無限の兵器開発競争に駆り立てる可能性があります。戦後の我が国の平和民需産業が軍事技術によらず、世界に先駆けて先端技術を生み出してきたこの事実を世界に大きく訴え、あわせてその輝かしい成果を広く世界平和に役立てることこそ、我が国の使命であると思います。  以上、総理の見解を伺います。  次に、防衛費のGNP比一%枠問題についてであります。  防衛費のGNP比一%枠は、言うまでもなく、昭和五十一年の閣議決定以来、我が国防衛力に関する予算的歯どめとして定着し、近隣諸国に対する平和日本のあかしとして大きな意義を有しています。しかるに、ダブル選挙の圧勝による自民党のおごりの姿勢をあらわにした最近の政府・自民党首脳によるGNP比一%枠見直し発言は、まことに重大な問題をはらんでいます。この見直し論の背景には、まず何よりも本年度中にも一%枠を突破しかねない中曽根内閣の防衛力増強の現実があることを指摘しなければなりません。  総理は、八月の人事院勧告二・三一%の完全実施や本年の経済見通しの下方修正、さらに円高による原油等の海外調達品の値下げによる不用額の発生などのファクターの変動にかかわらず、我が国の防衛に関する唯一の国民的合意の重みを自覚し、我が国の平和国家としての誇りを世界に宣揚するために一%枠を断固厳守すべきです。総理の決意を伺います。  次に、来年迎える国際居住年についてであります。  現在、世界人口の四分の一に当たる約十億人が劣悪な居住環境に苦しみ、うち一億人は家すらなく、路上や空き地に寝起きしています。この背景には、発展途上国における世界平均の三倍を超す人口急増現象があり、さらに農村地域から大都市地域への人口流入の激化が挙げられ、途上国の都市問題が今後ますます深刻化することは必至です。これら人口急増地域では一日二、三時間の給水もままならず、汚物処理施設もないため伝染病等が急速に広がり、毎日五万人以上の人々が死亡し、しかもその多くは国の未来を担うはずの子供たちです。  そこで、我が国としても、国際責務を自覚し、途上国の社会資本の整備や医療、保健等の社会的サービスの改善に資するための援助の強化とともに、広く我が国も含めた快適な人間居住環境の確立のため、国際居住年行動計画を早急に策定すべきです。総理の決意と具体策を伺います。  次に、海外援助問題についてであります。  本年初頭の通常国会で対外経済援助問題が徹底論議されたばかりにもかかわらず、今度は政府開発援助をめぐり国際協力事業団に汚職事件が発覚し、まことに遺憾と言わなければなりません。総額で一兆円を超える我が国の政府開発援助は、平和外交の窓であり、貴重な国費を有益に使うためには、援助システムの見直しを急ぎ、特に公開の原則の確立、基本理念の明確化、援助予算及び決算の国会への報告の義務づけ等を内容とする援助基本法の制定と会計検査など監視体制を明確にすべきであると思います。総理にその基本方針を伺います。  次に、留学生問題についてであります。  現在、我が国は一万数千人の外国人留学生を受け入れています。しかし、留学制度の内容は、先進諸国と比べ留学生に不利な入学試験を行ったり、就学年数による制限や学位、クレジット授与への制約など公平さを欠くとの批判があります。これは我が国の教育界に外国人や帰国子女などを余り認めたくないという潜在的な意識があり、日本の文化、教育に国際化への理念が欠落しているためです。人種、国籍を問わず、すべての人に就学のチャンスを与え、また日本のうまし国のよき文化を理解してもらう第一歩として留学生制度の多様化と受け入れ体制の改善に取り組むべきです。総理の見解を伺います。  次に、経済及び財政問題に移ります。基本方針についてであります。  世界経済を引っ張ってきた米国経済の不調によって、国際経済は停滞を余儀なくされ、国内的には円高不況で苦しんでいます。今、我が国は内需拡大によって、国内経済はもとより国際経済を牽引していくために、国際公約である実質成長率四%の達成を求められています。公明党は、この円高不況から国民生活を守り、当初見通しどおりの四%を達成するために、少なくとも五兆円規模の大型補正予算の提出と六十二年度の積極型の予算編成を主張しています。しかるに、今国会、政府が提出しようとしている三兆円規模の補正予算では、実質成長率は二%ないし二・五%というのが大方のエコノミストの見方です。総理は三兆円の補正予算でどのように四%を達成しようとするのか、見解を伺います。  第二は、財政再建問題であります。  政府は、五十八年度以降、六十五年度財政再建を目標に緊縮財政を推し進めてきました。しかし、今、政府はその目標達成が極めて困難と認めつつも、財政再建の旗はおろしていませんが、もはやそれは死に体です。経済企画庁からは財政赤字削減策も日本の経常黒字の原因の一つであるという報告書が出され、経済学者集団からは財政再建棚上げ論が出されています。また行革審の最終答申でさえ、行財政改革の枠組みの中で弾力的な財政と述べるなど、財政再建論に新たな動きが見られます。このように六十五年度財政再建が色あせた今、緊縮一点張りが予算編成上も景気浮揚策としても行き詰まりであることは明白です。財政運営方針の転換は今をおいてはほかにないと思うが、総理並びに大蔵大臣に伺います。  第三に、続騰する円高への対策についてであります。  昨年の九月、一ドル二百四十円であったものが、わずか一年後の現在では一ドル百五十円台にまで円が高騰し、その急激な円高進行のため国民生活全般に大きなショックを与えています。特に、輸出関連中小企業では輸出数量の激減で毎月倒産がふえ続け、八月の統計によれば、この十カ月間の円高による企業倒産の累計は三百六十三件となり、また七月の男子の失業率はこれまでの最高の三・一%を記録しました。急激な円高・ドル安による経営の不安と失業の増大に対し、政府はいかに取り組むのですか。  一方、円高差益の還元については、これまでの電気・ガス料金等に限らず、輸入品全般について幅広く、もっと徹底して行われるべきであり、政府の取り組みは不十分と言わざるを得ません。  以上、政府の今後の取り組みについて、総理並びに労働大臣に伺います。  産業構造の転換については、円高を背景に輸出主導型産業構造を内需型に転換することが肝要です。そのためには、過密な都市機能を分散し、地方の開発促進を図り、国土の均衡ある発展と社会資本整備を促進すべきと思います。また国民の住宅ニーズの多様化に合わせ、良質かつ適正家賃の公共賃貸住宅の供給とともに、住宅の質の向上を進める新たな施策を講ずべきで、それはまたすそ野の広い関連産業分野の活性化を促すことにもなります。あわせて、住宅ローンの金利分の所得控除を行うよう提案します。  以上、政府の見解を伺うとともに、今後どのような方法で輸出主導型産業を内需型に転換しようとするのか、総理にお伺いいたします。  第四に、貿易摩擦についてであります。  昨年九月のG5合意は、日米間の貿易摩擦など世界経済における不均衡の解消にねらいを定めたものとされ、政府は円高になれば我が国の黒字は減少し貿易摩擦も解消するとしてきましたが、現在、その黒字は増加し摩擦は激化する一方で、これをJカーブ効果といって済ますことはできません。欧米諸国が要求している国内市場開放等の貿易摩擦解消策にどう取り組まれますか、また、その際の国内産業対策をどうされますか、総理の答弁を求めます。  第五に、税制改革について伺います。  一つは、総理の公約の重みについてであります。  総理は、戦後政治の総決算の一環としてシャウプ勧告以来の税制改革を掲げておられます。そして、選挙中総理は、国民や自民党員が反対する大型間接税の導入はしないと言い続けてきましたが、政府税調はこれを全く無視し、製造業者売上税、日本型付加価値税などの三案四方式の大型間接税案を新型間接税案と称して提示しましたが、まことに遺憾と考えます。選挙中の大型間接税の導入はしないという公約の重みについて総理はどのように受けとめていますか、伺います。  また、提示された方式は、いずれも低所得者層への負担強化を強いる逆進性があって不公平を拡大し、物価水準を押し上げ、内需拡大に逆行することは諸外国にその例が見られます。三案四方式の大型間接税が制度として国民経済生活に与えるデメリットについて、総理並びに大蔵大臣の見解を伺います。  あわせて、マル優廃止問題についてであります。  マル優廃止についても、総理は選挙前明確に否定しています。現行の年金が老後を託するには不十分である以上、マル優廃止は少額の貯蓄を老後の頼りとする社会的弱者や、正直に限度額を守っている庶民を不当に圧迫することになります。悪用や脱税に対しては厳格な限度管理を行うべきであって、その対策として廃止を断行するとすることは、筋違いであるばかりか、総理が選挙前に廃止を明確に否定したことに反することになり、断固反対いたします。総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。  二つには、所得税減税についてであります。  戦後政治の総決算の一環としての税制改革は、まず総理の公約である所得税減税が第一と考えます。これについては、衆議院における六十一年度予算修正要求段階において、共産党を除く与野党間で六十一年内の所得税減税の実施が合意されています。円高の影響が日本経済全体を覆い始めた今こそ、この与野党合意の所得税減税の実施によって内需振興を図り、経済を活性化し、もって税の自然増収による財政再建の道を目指すのが妥当と考えます。公約実現にかける総理並びに大蔵大臣の決意と具体策を伺います。  次に、国鉄問題についてであります。  国鉄改革は現在の最重要課題です。六十年度決算によれば、営業欠損は実質二兆円を超え、長期債務残高も二十三兆六千億円の巨額に達し、もはや完全な破産状態です。こうした国鉄経営の危機を招いたのは、モータリゼーションの急速な進展と航空輸送網の飛躍的な発達に対して、政府が適宜、的確な国鉄政策を進めるどころか、政治路線の拡張と当事者能力を欠いた経営の押しつけが あったからであり、その責任は極めて重大であるとまず申し上げ、以下の諸点について質問します。  一つは、長期債務の償還についてであります。  国鉄再建監理委員会では、分割・民営化に移行する来年の四月一日現在で長期債務合計は三十七兆三千億円になり、このうち国民が直接負担するのは十六兆七千億円とされていて、一家で平均して六十万円以上の大きな負担となり、国民生活擁護の上からこの国民負担の軽減を図るべきと考えますが、運輸大臣の見解を求めます。  二つは、国鉄用地についてであります。  国鉄再建に当たって、同じく国民負担の軽減という観点から、国鉄用地の売却は国鉄にとってできるだけ有利に行われることが望まれます。そのためには関係地方自治体と十分な協議が必要であるが、いまだ売却用地の選定すら十分に進んでおらず、協議を精力的に進めていただきたいと思います。  公明党は、国鉄用地利用計画委員会を設立し、選定された国鉄売却用地について利用計画を綿密に立てながら売却処分していくべきと考えますが、運輸大臣の取り組みを伺います。  第三は、国鉄職員の再雇用問題についてであります。  国鉄改革における重要問題は、六万一千人に上る人たちの再就職先の確保であるが、現状はどうか。特に希望の多い国や地方の公務員としては、計画の二分の一しか採用されていないが、その原因とあわせて今後の対策をどうするのか。関連して、八月下旬から九州、北海道を中心に第二次の広域異動募集が開始されたが、第一次募集においては、数の上ではその目標は達成されたものの、住居や子供の転校問題については十分な配慮がなされていません。第二次募集においてはより十分な配慮が望まれます。  以上、運輸大臣にお伺いします。  次に、高齢者対策についてであります。  今、我が国は急速に高齢化が進んでいます。ことし成人した世代が老年を迎えるとき、老年人口比は現在の二倍を超え、七十五歳以上の後期老年人口の割合は現在の四倍にも達すると予測されています。本格的な老齢化社会に突入した我が国に今抜本的な対策が急がれるが、二十一世紀に向けて活力と包容力ある豊かな長寿社会へのプログラムづくりをいかに進めていくつもりか、まず厚生大臣にお伺いします。  あわせて、今国会の重要課題の一つである老人保健法の改正問題についてであります。これは、七十歳以上の老人の医療費負担を通院で二・五倍、一年入院では何と十倍もの増加を求める改悪案であります。収入の少ない老人に負担増を求める前に、いまだ改善されない差額ベッド代などの保険外負担の解消を図るとともに、はかばかしい進展の見られない保健事業の促進こそ本筋と考えます。  また、全国で六十万人を超す痴呆性老人への対策についてであります。社会や家庭にさまざまな問題を呈している痴呆性老人については、そのメカニズムの解明や施設の増設など医療、保健、福祉サービスの提供などに関する総合対策の確立が望まれますが、厚生大臣の所見を伺います。  次に、パートタイマーについてであります。  労働省の調査によれば、ここ数年、サービス産業のほか百貨店や総合スーパーなど小売店において、婦人のパートタイマーが急速にふえてきています。しかし、安易な首切りが横行するほか、一定の休暇が認められないことや低賃金などの劣悪であいまいな労働条件のもと、パートタイマーは常に不安定な立場に置かれており、これに対して昭和五十九年十二月、労働省が策定したパートタイム労働対策要綱は何の強制力もなく、矛盾や不満は否めず、実効に乏しいと言わざるを得ません。今日のパートタイマーの置かれた状況を解消するためには、短期労働者保護法、いわゆるパート労働法を早期に制定すべきです。労働大臣の所見を伺います。  次に、総理は、所信表明演説において、「大都市圏の整備、生活関連社会資本の整備などを民間活力を最大限に活用しつつ推進する必要」があると述べられました。その意味で関西新空港建設は、我が国が国際社会において果たすべき役割の重要性から見て緊急かつ必要なプロジェクトであり、その早期実現が期待されていますが、ここに来て日米などの経済摩擦の新しい焦点として、米国など諸外国の企業の関西新空港建設への参入問題が浮かび上がっています。  伝えられるところでは、アメリカなどの要求をめぐり民間会社の立場を強調する空港会社と、政府、産業界それぞれに考え方の違いがあり、しかも大事なことは、日米などの経済摩擦の早急な解消が望めない以上、外国企業の参入は、関西新空港問題にとどまらず、今後政府が取り組む大型プロジェクトはもちろん、広く建設市場の開放にかかわってくることで、今後の政府の対応が重要と考えます。総理並びに運輸大臣の取り組みを伺います。  最後に、総理が所信表明演説で述べられた「花と緑に満ち、安全で潤いのある、歴史の薫りにあふれた国土づくり」にいかに取り組むのか、その具体策を伺うとともに、公明党は、自然と共存した生活環境を実現するために、民有地の緑地を含め、公共緑地などを合わせた自然の面積を五〇%確保するグリーンミニマムの確立を提唱しております。また同時に、都市住民の花と緑の保全への意識を育てることも重要と考えております。  以上、総理の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 田代議員にお答えをいたします。  まず、激動の時代におけるビジョンの問題でございますが、今おっしゃいましたように、日本も世界も大きな変化の真ん中に立っていると思います。このような時代にありましては、過去の歴史の足取りを正確に分析し認識すると同時に、未来への展望を確実につくって軌道を設定することが必要であると思います。そういう意味におきまして、現在におきましては、東西間において米ソ首脳会談も行われようとして、東西融和の兆しがやや見えつつあります。それと同時に、日本におきましても情報化等によりまする新しい産業革命の兆しもあるわけでございます。こういうようなものを実りあるものに展開さしていくのが政治の責任であると思います。そういう意味におきまして、一面において国際国家日本へ前進する。同時に、改革により民主政治を堅実に建設していく。それを人間主義の政治哲学によってやっていこうというのが私の考えであります。  次に、政治信念についてまたお尋ねがあり、外国への気配りの点に御言及がございました。  政治につきましては歴史哲学が基本になければならぬと思いますが、それにはやはり自己の伝統と文化に対する確信、それと同時に対外関係に対する配慮というものも大事であります。物事の価値観というものは一方通行であってはならないと思います。そういうような観点に立ちまして、今申し上げたようなことを基本的に考えていると申したのでございますが、日本のアイデンティティーの確立を一方において考える。それと同時に、民主政治に大事な反省力、抑制力というものも大事にしつつ、堅実な民主主義の建設に向かって進みたいと思っておるところでございます。  核廃絶に向けての外交努力につきましては、私も全く同感でございます。いよいよ米ソ首脳会談も行われる気配もありまして、これが有効な実りを見せまして、世界に安心を与えるように側面的にも努力いたしたいと思いますし、現実問題として、検証制度が確実に行われることが一つの前進のキーポイントでございますが、これらにつきましても、日本のいろいろな科学技術を駆使しまして貢献してまいりたいと思っておるところでございます。  SDIの問題でございますが、国会決議の有権的解釈はもとより国会においてなさるべきものでありますけれども、この国会決議に反しないと我々は考えておるところでございます。それは我が国における開発及び利用を対象としたものが国会決議でありまして、他国の開発及び利用に対する我が国の部分的関与というものは、我が国みずからが行う開発及び利用と同列に論ぜらるべきものではないと考えるからであり、それはまた一面におきましては、平和国家としての我が国の立場に矛盾するものではないと考えておるわけであります。もとより平和憲法を守り、今後も国会決議を 遵守してまいるつもりでおります。  SDIの効果でございますが、SDI研究への参加の意義等を考えてみますと、科学技術における交流というものも考えられます。しかし大事なことは、せっかく参加いたしましても、それから出る成果を我々が享受できないということは遺憾な事態でありまして、それらにつきましては、我々はアメリカ政府とよく交渉して合意を得るようにいたしたいと思っております。  ケネディ大統領がやりましたアポロ計画というものは相当大きな科学技術の成果を生みました。このSDIにつきましても、やはり最先端技術を駆使しての研究でございますから、相当なものが出てくると考えざるを得ません。そういう意味におきまして、西欧諸国があのように参加している状態を見ますと、日本も科学技術におけるおくれをとらないためにも、この点からも我々は考えたところでもございます。  科学技術の成果を世界平和に貢献するというお説については、私も全く同感でございまして、今後ともその面で努力してまいります。  防衛費の問題でございますが、前から申し上げておりますように、昭和五十一年の三木内閣の閣議決定を尊重してまいりたいと考えております。  国際居住年の問題につきましては、我が国及び世界における居住及び居住環境の改善について、長期的視点に立って施策の充実発展を行うべき年であると考えており、積極的に取り組みたいと思い、私自身を本部長とする国際居住年推進本部を設置したところでございます。国際協力及び国際交流の推進、我が国の居住問題みずからの改善等を内容とする国際居住年事業の推進方針を決定いたしまして、これの推進に努力してまいりたいと思っております。  次に、海外援助の基本法制定の御質問でございますが、我が国経済協力の実施にかかわる国際協力事業団等の業務に関しまして、不祥事件が起きましたことはまことに遺憾でございます。開発途上国に対する経済協力は重要な国策でありまして、中期目標の充実に努めてまいる考えでおります。現在の援助実施体制は、全体としては順調に機能しておると思います。新たに援助法の制定は必要ないと考えております。しかし効果的な、そして実のある援助を実現するために、引き続いて努力してまいりたいと思っております。  なお、援助の実施にかかわる政府各省庁並びに政府開発援助実施機関に関しては、従来より会計検査院による会計検査が実行されているところであります。  留学生受け入れの問題でございますが、大学における留学生の入学や教育研究指導に当たっては、入学選抜のための特別の試験の実施や学位論文の外国語による作成を認めるなど、留学生の特性に配慮した工夫、改善も進められております。二十一世紀初頭における欧米諸国並みの受け入れを目標に、つまり十万人受け入れを行おう、現在一万人強でございます、それをそこまで持っていこうという考えに立ちまして、今毎年努力をいたしており、今後も努力してまいるつもりであります。  四%経済成長の問題につきましては、厳しい財政事情の中にありましても、できるだけ知恵をめぐらしまして四%達成に近づけるべく全力を振るって努力してまいり、十九日に総合的な経済対策を発表する予定でございます。それにつきましては、三兆円以上の公共投資等の事業規模を考えておるところであります。  六十五年度特例公債依存体質脱却というこの旗はあくまで下げないで、懸命な努力をし続けてまいりたいと思っております。  円高に伴う倒産、失業等につきましては、経済対策を機動的かつ適切に進めてまいり、また十九日に発表する総合経済対策等を有効に成果づけまして目的を達したいと思います。具体的には、公共投資の追加、住宅投資の促進、規制緩和、インセンティブの付与等による民間活力の活用の推進、中小企業対策等、円高等による差益の還元、雇用対策、これらの諸対策を考えておる次第でございます。  差益の還元につきましても、今後とも情報の提供、監視の強化等々によりまして政府は推進してまいりたいと思っております。  内需型の産業構造への転換策につきましては、全く同感でございまして、地方都市においては都市機能の充実強化を図る、そういうこと等をも通じまして内需の振興に役立てたいと考えております。都市機能を支える諸施設あるいは交通基盤の整備等々、仕事は相当あると思いまして、これらを民活等も通じまして内需振興につなげたいと考えております。  公共賃貸住宅の問題につきましては、第五期住宅建設五カ年計画において設定された居住水準目標の達成を目指して、良質な住宅の建設に努力してまいります。そのために、公営住宅、公団住宅等公共賃貸住宅の的確な供給を図るとともに、あわせて長期低利の融資等により良質な民間賃貸住宅の供給促進にも努めてまいります。また良質な持ち家建設の促進のためにも、住宅金融公庫融資の改善など各種施策の充実に努めてまいります。  住宅ローン利子の問題につきましては、六十一年度において約千三百億円に及ぶ減税を住宅取得促進税制として行いました。また五月の与野党政調・政審会長会談を踏まえて、住宅取得促進税制等の追加拡充措置も講じたところでございまして、そのような成果を上げるように今後とも努力してまいります。  産業構造の転換につきましては、五月に経済構造調整推進要綱を政府は策定して、内需拡大、国際的に調和のとれた産業構造への転換等の諸施策を決定し、先般、政府・与党経済構造調整推進本部を設け、私自身が本部長となりまして、今努力しておるところでございます。  経済摩擦の解消等につきましても、今後、これらについて大いに努力してまいりたい。経済摩擦の解消は現下の喫緊の大きな仕事に登場してきておる次第でございます。また自由貿易体制の維持強化というものも、我が国の不動の国策でありまして、推進してまいるつもりでおります。  間接税についての御質問でございますが、選挙中、私は、国民が反対し党員も反対するような大型間接税と称するようなものはやる考えはないと申し上げました。これは一貫して今日も続いておりますし、マル優制度につきましても、老人や母子家庭のような社会的弱者については特別に配慮しなければならない、こういうふうに言明しているところでございまして、これらはあくまで遵守してまいるつもりでおります。  いわゆる新型間接税の経済に与える影響につきましては、所得減税等も含めて税制全般で検討さるべき問題であり、税制調査会の答申等を待ちまして我々は検討してまいりたいと考えております。税制というものは経済に対する影響、国民生活に対する影響、最も大きな問題でございますから、非常に各方面からこれは検討する必要があると考えております。  次に、所得減税の問題でございますが、三月四日の与野党幹事長・書記長会談の合意事項については、これを尊重し、各党間の協議の推移を見守りたいと思います。  関西新空港への外国企業の参入問題につきましては、関西国際空港プロジェクトは株式会社方式で推進いたしておりまして、工事の実態を踏まえた関西国際空港株式会社の自主的な判断を尊重すべきでありますが、基本的には外国企業にも日本企業と同様の公正な競争の機会を与えることが重要であります。政府としてもこのような基本的考えに基づいて、本プロジェクトが推進されるよう引き続き見守っておるところであります。  次に、建設市場の開放要求の問題でございますが、一般的には関西国際空港プロジェクトで見られるとおり、米国等は我が国の大型プロジェクトへの参加の関心が強いようであります。これらについては、内外無差別を基本とする我が国の諸制度の中で、外国企業も企業努力を尽くすことが大事であります。我が国の考え方を対外的に十分説明しつつ、適切に対応してまいりたいと思っております。  花と緑の問題につきましては、ただいま御所見を承りましてまことに同感でございます。第四次全国総合開発計画においてこのような点について特別に配慮いたしまして、公園やあるいは緑の増加に努めてまいりたいと思っております。  特に、都市の緑化及び緑の保全等につきましては、都市公園の整備、公共空間の緑化、民有地の 緑化等を推進するとともに、都市の中の貴重な緑の保全を図る、そのための都市環境の形成につきまして自治体とも協力して努力してまいりたいと思います。  残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの経済状態を決して私ども安易には考えておりませんで、田代議員の御指摘のとおりでございます。  そこで、明日、総合経済対策を決定いたしまして、後日、補正予算も御審議を仰ぎたいと思っておるわけでございますが、そうかと申しまして、一部に財政再建棚上げ論があるがどうかというお尋ねに対しましては、実際に財政をやってみまして、いかにも予算の中で国債費の占める額が多うございまして、それが逐年増大をしまして予算の弾力性が甚だしく失われております。今日のようなときでももう少し予算に弾力性があればということを痛切に感じるようなことでございますので、やはり財政再建というのはどうしても放棄するわけにはまいらない、道半ばでございますので、ぜひこれは続けてやらなければならないというふうに考えております。  次に、所得税減税につきましての衆議院におきます各党合意についてお尋ねがございました。  結論として申しますと、ただいま政府の税調におきましても、ほぼ各党合意の線で検討が進められておると存じますが、まず中間報告がございまして、所得税につきましては中堅サラリーマンを中心に負担の軽減を図るべきである、それは具体的に累進構造を緩和するとか、あるいは配偶者あるいは給与所得の控除について改善を行うとかいうことを中間報告で必要というふうに認定いたしております。  そこで、ただいまの段階は、そのための財源あるいは直接税以外の間接税、資産課税について議論が行われておりますが、その中で田代議員の御指摘になりました間接税あるいは利子配当につきましては、税調におきましても国会における御論議、あるいは総理大臣が選挙中に言明された点、ただいまもまたここで答弁をされましたが、そういうことについては税調、税制調査会としても十分念頭に置いて、公平、公正という見地から問題を検討しておると信じております。  なお、一般に大型間接税というものは国民生活にデメリットを与えるものではないかということでございますが、どういう形のものが提言されますか、それもはっきりいたしませんし、その際、所得税の減税というものを先ほど申しましたように大幅に考えておるわけでございますので、全体を総合いたしませんと、その点の判断が必ずしも、こうということは申せない、全体が明らかになりませんとその点は明確に申し上げられないのではないかというふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。  私に対する御質問は二点ございまして、まず一点は、急激な円高進行による経営の不安と失業の増大に対してどのように取り組むかという点であります。  円高の進展に伴いまして、最近の雇用失業情勢につきましては、求人の減少、失業者の増加が見られまして、今後、輸出比率の高い産地や造船等の不況業種を中心に雇用失業情勢の悪化が懸念されておりますことは御指摘のとおりであります。  このため、労働省といたしましては、各業種、地域の実態を的確に把握いたしまして、雇用調整助成金制度の活用による失業の予防、不況業種、不況地域対策の推進、関係都道府県における臨時雇用対策本部等の設置の促進等の施策を積極的に推進しているところであります。  さらに、十九日に決定予定の総合経済対策におきまして、雇用調整助成金制度の拡充等、円高に対応した緊急雇用対策を盛り込むべく具体的検討を進めているところであります。これらの施策を通じて雇用の安定に万全を期したいと考えております。  いま一点は、パート労働法を早期に制定する考えはないか、かようなことでございますが、パートタイム労働者は家庭の主婦層を中心に近年増加しておりまして、パートタイム労働者の処遇や労働条件につきましては種々の問題があると指摘されております。  パートタイム労働者につきましても、労働基準法、最低賃金法等、労働関係法令は通常の労働者と同じように適用されますが、使用者によってはパートタイム労働者には適用がないとの誤った認識を持っている者もございまして、労働省といたしましては、労働関係法令の適用の周知徹底に努めておるところであります。さらにパートタイム労働者の労働条件の改善、雇用の安定等を図ることが重要であると考えておりまして、このため、パートタイム労働対策要綱に基づき、労使等に対し啓発指導を進めているところであります。  今後とも労働関係法令の適用の周知を図りますとともに、この要綱に基づく啓発指導を一層推進いたしまして、パートタイム労働者の保護に欠けることのないように努めてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

橋本龍太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私にちょうだいをいたしました御質問は数点ございますので、順次お答えをさせていただきます。  まず第一点に御指摘をいただきましたのは長期債務についてでありますが、長期債務の額は、御指摘のとおり国鉄再建監理委員会の意見によりますと十六兆七千億程度とされております。これをできる限り国民負担の軽減という視点から、第三者機関の意見等も聞きながら売却可能な国鉄用地の生み出しに努め、監理委員会試算五兆八千億円という数字にできる限りの上乗せを図りまして、この十六兆七千億という金額を圧縮してまいりたい、鋭意努力をいたしたいと考えております。  そこで、公明党から御提案のありました国鉄用地利用計画委員会、またここにおける利用計画の策定というのは、私は一つの御見識であろうと思います。しかし、これが帰属をいたします舞台そのものが清算事業団でありますし、そうなりますと、その清算事業団に帰属をいたしております用地の処分に関する基本方針の策定、またその処分に当たりましては、確かに当該土地の利用に関する計画等にも配慮する必要が十分ございますけれども、これは清算事業団に設置をいたします学識経験者から成る資産処分審議会におきまして十分対応ができるのではなかろうか、よりその方が具体的に行えるのではなかろうかと私どもは考えております。  また、国鉄余剰人員の再就職がおくれてはおらぬかという御指摘をいただきました。昨日も申し上げましたように、私は、実は余剰人員という言葉を本当に使いたくありません。しかし、約六万一千に上る方々に新しい職場を求めていただかなければならぬことは事実でありまして、これを確保する責任は私どもにございます。  現時点、各分野を通じまして約五万三千人の採用の申し出をいただいておりますが、この六万一千人に不足をいたしております大きなポイントの一つが、国、地方公共団体等公的部門におきまして三万人の目標を設定しているのに対して、現時点約一万五千三百人の採用申し出しかないというところが原因であることは事実であります。  その原因は、実は各省庁別の目標率が先日まで決まっておりませんでした。そして先般、九月十二日に各分野別に確保すべき再就職先の目標数を定めた国鉄等職員再就職計画を閣議で決定をいたしまして、その中で通常の省庁については一四%、また運輸、労働、自治、総務庁、これらの省庁はなお上積みの雇用をすることにし、現在その率の折衝中でございます。この目標率が設定をされましたことによりまして、今後こうした分野におきます雇用の促進は図られ、目標に到達し得るものと考えております。  ただ、この場をかりまして一つお願いを申し上げたいのは、実は民間に約一万人の雇用をお願いいたしておるわけでありますが、おかげさまで現在採用条件まで煮詰まっておりますものが八千二百、採用の申し出をいただきながらまだ条件等の折衝中のものが八千八百、一万七千の声をかけていただけるところまでまいりました。しかし、これは大変多岐にわたる職種でありますし、職員の希望を考えますと、この数倍の実は求人が私どもとしてはちょうだいをいたしたい、そして十分職員にその選択の範囲を広げてあげたい、そういう気持ちを持っておりまして、私どもも全力を挙げ て御協力のお願いを申し上げますが、議員各位におかれましてもこの点についての御協力をいただければ極めて幸いであります。  なお、関連してお尋ねをいただきました第一次の広域異動の反省の上に立った第二次広域異動募集について十分な配慮を——これは御指摘をいただきましたとおりでありまして、これについても全力を尽くします。ただ、御心配をいただきました職員の子女の転入学問題につきましては、文部省からも大変御協力をいただきましたおかげで第一次の広域異動の中で、高校転入学希望者八十七名のうち七十七名までは転入学希望がかなえられております。残念ながら残りの十名のお子さんにつきまして私立の高等学校等への転入学の道を求めるという状況でありますが、この点を踏まえて第二次広域異動につきましても十分我々として考えてまいりたいと思っております。  また、関西国際空港プロジェクトにつきまして先ほど総理からお答えがございました。基本線は同等であります。ただ、護岸、埋め立て、連絡橋といったいわゆる第一期の工事につきましては、着工時期が極めて切迫をいたしておりますことから、これまでこのプロジェクトに技術的な蓄積を持っておられない外国企業を参加させることは事実上困難であると判断をいたしております。また各国からお問い合わせが参りました時点でも、第一期については御要望に沿いがたいのではなかろうかということを申し上げてまいりました。  今後、関西国際空港株式会社においてこうした方向に基づいて手続の詳細が決定されていくわけでありましょうが、このプロジェクトにつきましての契約方式とか手続等につきまして、外国企業の理解を深める必要を痛感いたしております。  たまたま先般ボルドリッジ商務長官から御提案がありまして、その提案を受け、十月初旬にはアメリカ側から派遣をされる予定になっております大統領貿易代表団を受け入れて、これらの点につきましてのセミナーを開催いたす予定にしておりまして、こうした努力も今後払ってまいりたいと考えており、将来における外国の企業にも公平なチャレンジのチャンスを与える、そういう方向は総理の御答弁に変わりありません。(拍手)    〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕

斎藤十朗自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤十朗君) 私に対する御質問は三点と存じます。  まず、長寿社会への取り組みでございますが、来るべき長寿社会に備えて、国民生活の基盤となります社会保障について、長期的展望に立った揺るぎない制度としていかなければならないと考えております。  このような観点から、これまで医療保険、年金等の改革を行い、また今般老人保健法の改正案を提出いたしておるところであります。  また、健やかな生きがいのある在宅老人福祉政策の展開を図り、同時に寝た切り老人や痴呆性老人等に対するきめ細かな福祉政策を推進することは、今後一層重要と考えております。これらの施策についても鋭意取り組んでまいる所存であります。  今後とも、お話のように、活力と包容力のある豊かな長寿社会の実現に向け、長寿社会対策大綱に示された政策の基本方向を踏まえ、長期的な見通しに立ってその具体化に努めてまいりたいと存じます。  次に、老人保健法に関する問題であります。人口の高齢化が進む中で老人医療費の増加は避けられない状況にありますが、老人医療費をどのように適正なものにし、またすべての国民が公平に老人医療費を負担するというシステムを確立する必要があり、老人保健制度の改正をぜひとも必要と考えております。  一方、御指摘のように、保険外負担の問題につきましても、従来からその負担を適正な負担の範囲のものとするなど指導に努めており、今後ともこうした指導の徹底を図る所存でございます。  また、健やかに老いるという観点からの保健事業につきましても、昭和六十二年度を初年度とする第二次五カ年計画を策定し、強力に推進いたしてまいりたいと存じます。そして活力ある長寿社会を築いていくため、壮年期からの健康づくりに努めてまいる所存であります。  第三点であります痴呆性老人の総合対策についてでございますが、長寿社会の到来を控え、痴呆性老人対策は重要な課題であります。  まず第一に、その発生メカニズムの解明等の調査研究の推進から始まりまして、発生予防対策、在宅介護に対する支援対策、そして入所施設の整備等の総合的な対策を進めてまいろうと考えております。  このような観点から、去る八月の二十九日、厚生省内に痴呆性老人対策推進本部を設置いたしまして、その総合的な推進を図ることといたしておるところでございます。  以上でございます。(拍手)     ─────────────

藤田正明各派に属しない議員議長

○議長(藤田正明君) 吉岡吉典君。    〔吉岡吉典君登壇、拍手〕

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、総理の所信表明演説に対する質問を行います。  第一に、総理が就任して以来、戦後政治の総決算を唱えたことを誇っていることについてであります。  総理の戦後政治の総決算は、日本の政治に極めて重大な状況を引き起こしております。藤尾前文相の発言や、日本を守る国民会議編さんの教科書「新編日本史」などに見られる侵略と侵略戦争肯定、極東裁判批判などが内外の強い批判を呼んでいるのはそのあらわれの一つであります。  総理が総裁を務める自民党の機関紙、自由新報は、「世紀の奇襲成功せり」との見出しで、「かくて世界中を瞠目させた世紀の真珠湾奇襲は大戦果をおさめた。」などと真珠湾攻撃を賛美する当時の大本営発表そっくりの源田実氏の論文を載せており、自民党内ではA級戦犯の名誉回復論まで出ている状況であります。総理はこうした事態をどのように見ているのか、自由新報掲載の源田論文への所見とあわせてお答えを願います。    〔議長退席、副議長着席〕  大事なことは、こうした一連の発言が偶然生まれたものではなく、総理の戦後政治の総決算路線の産物だということであります。  そこで、お尋ねいたします。総理、あなた自身は、朝鮮併合や極東裁判などについてどのような見解をお持ちか、はっきり答えていただきたいと思います。総理は、中国に対しては侵略の事実があったと答えましたが、中国以外への戦争は侵略ではなかったというのでしょうか。総理の明確な見解を伺いたいと思います。  また、あなたは、治安維持法、国防保安法、軍機保護法など一連の軍国主義的諸法令の廃止、政治犯の釈放、特高警察の廃止、戦争犯罪人の追及、さらに現行憲法制定や極東裁判など、ポツダム宣言を受諾した日本が戦後の出発点に当たってとられた一連の措置を積極的なものだったと評価するのですか。それとも、これらは戦後政治の総決算の対象に含まれるべきものなのか、お答えをいただきたい。  今、問題となっている一連の発言の中で特に重大なのは、勝者が敗者を裁いた裁判という藤尾前文相の極東裁判批判であります。総理も、昨年の軽井沢セミナーで極東裁判批判を行ったのであります。しかし、戦争犯罪人の厳重な処罰は日本が受諾したポツダム宣言にも明記されていることであり、また日本はサンフランシスコ平和条約で東京裁判を受諾して国際社会に復帰したのであります。総理、極東裁判批判は日本の国際世界への誓約の否定にもつながるものではありませんか。  総理にお尋ねしますが、今日のドイツでナチを裁いたニュールンベルグ裁判を批判する政治家がいると思いますか。そんな政治家も政党もありません。それどころか、ヨーロッパでは、今もなおナチに対する追及が続いているのであります。総理みずからが極東裁判を批判し、A級戦犯を祭る靖国神社に公式参拝する日本と余りにも違うではありませんか。この違いをどうお考えになりますか。  総理、極東裁判にしろニュールンベルグ裁判にしろ、単に戦勝国が敗者を裁いたというような単純なものではありません。それは日独伊ブロックの侵略によって始まった第二次大戦の性格と結びついた問題であり、また侵略戦争は国際犯罪であるとする国際法の発展と結びついているのであります。この軍事裁判の諸原則は国連総会でも確認 され、国連ではその諸原則の国際法化の努力が続けられてきたのであります。総理、あなたも行った極東裁判批判は、国連総会でも確認された戦後の諸原則の否定につながるものになりませんか。総理の極東裁判に対する明確な見解をお示し願いたい。  もちろん、連合軍の行為はすべてが容認されていいというわけではありません。その最たるものは広島、長崎へのアメリカの原爆投下であります。これは当然裁かれるべきものでありました。  第二に、昨日の衆議院本会議での金子書記局長への総理の答弁にも関連して、核兵器廃絶の問題について質問します。  総理、金子書記局長が質問したように、あなたが総裁を務める自民党は、非核自治体宣言の運動に反対するパンフレットや宣伝資料を発行して、非核都市宣言は日本の平和に有害です、核廃絶は日本の平和を破壊するとか、よい核と悪い核を厳しく識別すべきであることを強調し、米国のトマホークはよい核と書いたりしております。これはすべての核兵器を一刻も早く廃絶しようと願う被爆国民の願いに対する重大な挑戦だと言わなければなりません。  総理は、自民党総裁として当然これに対する責任ある答弁をなすべきであるにもかかわらず、昨日は正面からこれに答えないで、我が国がアメリカの核の傘のもとによって安全が維持されているという点を強調してあのような表現になったものと答えました。この総理の答弁によれば、アメリカの核の傘のもとにある日本は、核兵器をよい核として認めなければならず、また非核宣言を行い、核兵器禁止を願う立場をとることは許されないということになるではありませんか。総理、核兵器廃絶は核の傘と矛盾するからまずいというのでしょうか、はっきり述べていただきたい。  さらに、金子書記局長が質問したこれら二つの資料は、全国に配付された上、ことし一月の自民党大会で決められた国民運動方針の中で、非核都市宣言運動を排撃する運動の資料として特記されているものであります。総理が言うように一部のパンフレットなどと軽く片づけられるものではありません。  したがって、改めて総理にただします。よい核と悪い核があるなどということでどうして核兵器を廃絶することができますか。総理は、トマホークはよい核という自民党大会でも確認された資料と同じ意見ですか。それとも、核兵器は業の兵器と昨日答弁されたのは、自民党の資料が誤っているという意味でしょうか。総理の見解を伺います。  今、中曽根内閣に問われていることは、あれこれのつじつま合わせではなく、唯一の被爆国の政府として核兵器の緊急廃絶を国家目標に掲げ、国策の中心に据えるかどうかという極めて単純明快なことであります。総理、あなたはこうした立場に立つ意思があるのかどうか、お答え願いたい。  なお、この際、昨日の金子書記局長の軍事費削減の質問に対する答弁の中で、総理は、防衛努力を否定する者は亡国の徒だという答弁を行いましたが、これは軍事費削減を願う七割の国民を亡国の徒呼ばわりするものに等しいものであることを指摘しておきたいと思います。  第三に、日米軍事同盟強化、アメリカ有事の自衛隊参戦態勢の進展に関して質問します。  この問題で特に重大な関心を抱かざるを得ないのは、ことしの一月、ケリー米海兵隊司令官が、中部ヨーロッパ有事の際、アメリカの攻撃型潜水艦は太平洋でもソ連の海軍戦力と交戦し無力化を図る、その際同盟国の対潜水艦戦力もソ連の潜水艦戦力を破壊することなどを明らかにし、さらに千島列島、サハリン上陸作戦まで明らかにしていることであります。総理、アメリカ側は同盟国の参戦を予定していますが、自衛隊がいかなる形にせよ千島攻撃作戦に参加することなどは絶対にないと言い切れますか、明確にしていただきたい。  さらに、金丸副総理が所長を務める日本戦略研究センターが昨年まとめた、元自衛隊最高幹部による「軍事的脅威とわが防衛作戦—有事のシナリオとその対応」という報告書は、中東有事の際、米軍が進攻作戦を行う場合には、これに対して最大限の支援を行うとともに、我が兵力をもこの進攻作戦に参加させる必要が生じてくるとして、アメリカが展開する千島、サハリン進攻に自衛隊も参加するという極めて重大な想定を行っております。  総理、この計画は金丸副総理が所長を務めている研究所の報告であり、しかも日米ガイドラインに基づく日米共同作戦計画づくりに参画してきた元自衛隊最高幹部によるものであるだけに、この千島進攻の日米共同作戦構想は、既に日米間で完成している日米共同作戦計画の一端をこういう形で浮かび上がらせたものではないかと考えざるを得ません。事は重大であります。総理並びにこの研究所の所長でもある金丸副総理に疑問の余地のない明確な答弁を求めます。  第四に、国鉄の分割・民営問題について伺います。  まず、国鉄の分割・民営化は、国民が求めている国鉄改革とは全く異なるものであり、我が党は分割にも民営にも強く反対することを表明しておきます。  総理は、分割・民営が赤字解消の特効薬であるかのように言いますが、とんでもありません。九万三千名の首切りで、安全を切り捨てるのと引きかえに人件費を浮かす以外、一体どのような経済的メリットがあるとおっしゃるのか、具体的に示していただきたい。  総理、八五年度決算に基づく計算では、分割・民営化でできる六つの旅客会社のうち、黒字は東海会社だけであります。ところが、分割・民営化の実行監視機関である監理委員会の答申によると、これがみんな黒字になるというのです。総理は、こんな手品のような黒字転換を本当に保証できるのでありますか、お答え願います。  次に、国鉄の経営問題であります。  国鉄赤字の最大の元凶が国による巨額の借金の押しつけにあったことは、三塚前運輸大臣も磯崎元国鉄総裁も強調しているとおりであります。これを棚上げにすれば国鉄経営は成り立つのであります。実際に、八五年度の国鉄赤字一兆八千五百億円のうち、実に一兆二千二百億円が利払い費となっております。さらに分割・民営化前提の強引な人減らしによる退職金の異常増加が七千六百億円に上ります。人減らしをやめ、国の責任で借金を棚上げすれば、国鉄のままで立派な黒字経営が成り立つではありませんか。これこそ政府が実行すべきことではありませんか。  もう一つは、分割・民営で国民の足、鉄道がどうなるかという問題であります。法案によると、利潤第一主義の民営化の結果、赤字を理由に路線廃止申請があれば認可しなければならないことになっております。これでは路線の切り捨て、廃止は、既に確定している八十五線三千キロの特定地方線にとどまらず、赤字であれば幹線でさえも切り捨てられる運命になるではありませんか。そうならないという保証がありますか。さらに、もうけ第一主義で、安全要員まで大幅に減らす大量人員削減によって安全はどうなるかという不安も広がっております。総理、営利第一主義の分割・民営のもとでも鉄道網は全国的に維持できるのか、安全は本当に大丈夫だと断言できるのか、責任あるお答えを願います。  第五に、国民の暮らしと経済に関してであります。  総理は、為替レートの安定化など各国の政策協調を一層強化すると述べました。しかし、昨年九月の五カ国蔵相会議以来の政策協調の結果、六割近く切り上げられた狂乱円高による輸出関連中小企業の休業、廃業、倒産が頻発し、失業は増大し、七月の失業率は二・九%という史上最悪を記録するに至り、一月から三月のGNPはマイナス落ち込みになりました。総理は選挙中、秋には景気がよくなると演説してきましたが、総理の予想に反して、政府は八月の月例経済報告で景気後退宣言を行わざるを得なくなったのであります。政府の責任による急激な円高は、このように広範な国民各層と日本経済全体に重大な打撃を与えているのであります。総理はそれでもなお円高メリット論を主張するつもりなのかどうか、お答え願いたい。  しかも、この人為的な円高は、アメリカの貿易赤字減らしを目的にして始められたものであったのにもかかわらず、アメリカの貿易赤字はかえって拡大しております。ドル安・円高誘導政策のそ もそものねらいは完全に外れ、深刻な円高不況という副産物だけがあらわれているのであります。円高誘導政策の目的が大失敗に終わったことは今や明白であります。総理は、よもやこの事実を否定されないと思いますが、いかがですか。  総理、ドル安・円高政策によるアメリカの貿易赤字減らしはなぜ失敗したとお考えですか。それは何よりも、大軍拡を主な要因とするアメリカの赤字体質と、低賃金、長時間労働による異常に強い国際競争力による日本の黒字体質という日米貿易摩擦の根源にメスを入れなかったからではありませんか。総理は、今こそこれにメスを入れるべきだと考えませんか、はっきりお答え願いたい。  次に、総理が本部長になって実行すると宣言した産業構造調整問題についてお尋ねします。  総理が四月の訪米で約束した前川レポートは、日本は輸入大国になるとし、そのために、我が国の農業、石炭産業などを切り捨てていく方向を露骨に示しております。事は日本の基幹的産業部門である食糧とエネルギーにかかわる重大問題であります。  まず、農業と米についてでありますが、既にアメリカからは米の輸入自由化の要求が繰り返し出されております。総理はきのう、できるだけ自給をと答えましたが、米の輸入自由化に踏み切ることは絶対ないとは断言できないのですか。日本農業の将来の根本問題ですので、はっきり答えていただきたい。  石炭産業について言えば、イギリスでも西ドイツでも石炭を守る政策をとっているのに、なぜ我が国の自給エネルギーを放棄しなければならないのか、明確に答えていただきたい。  総理、日本が経済大国になった今日、我が国がその経済力を国民の生活を豊かにしながら世界に寄与し、また真に平和と軍縮、とりわけ核兵器廃絶に寄与する道を進むか、再び軍国主義化と軍拡、軍事同盟強化へ向かうかが世界から改めて注目されております。国民も国際世論も納得させることのできる明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 吉岡議員にお答えをいたします。  まだ、極東裁判やあるいは太平洋戦争、いわゆる大東亜戦争の御質問でございますが、我々は長い歴史に耐え、しかも国際的通念に合った判断をしていく必要があると思います。しかし歴史観というものはみんな自由であり、多様性を持っておるので、一つのものを強制するということは適当でないと思います。過去を教訓として長所を生かし、欠点を矯めて、そして立派な国に邁進していきたいと思っておる次第でございます。  さらに、いわゆる日韓併合の問題でございますが、いわゆる日韓併合条約は一九六五年の日韓基本関係条約により、もはや無効であることが確認されており、日韓の問題としては決着済みでございます。  極東国際軍事裁判については、我が国はサンフランシスコ平和条約第十一条により同裁判所の裁判を受諾いたしております。  次に、現行憲法制定など、一連の戦後の日本の歩みに対する評価と総決算との関係の御質問でございます。  私は、戦後四十年の日本の歩みというものは世界史にも誇るべき偉大な時代をつくった、偉大なピラミッドをつくった、そういうことを申し上げておるのであります。それと同時に、まだ一部我が民族の伝統や文化となじまないものもなきにしもあらずである。日本民族の歴史を見るというと、常に日本自体の自主性、みずからの文化というものを基本にしながら、外国文明をそしゃくしてきたという偉大な胃袋を持っておる国である。そういう特色が今でも日本に生きて行われている。そういうふうに解釈しておりまして、一面においては、みずからのアイデンティティーを確認し、確立する。同時にまた一面においては、民主主義に大事な反省力、抑制力というものを持って、常に見直し、反省していくということが大事である。言いかえれば、オーバーホールと未来へ向かっての前進が大事である、こういう考えに立っておるわけであります。  極東国際軍事裁判の問題については、我が国は過去においてアジアの国々を中心とする多数の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って、平和国家としての道を今歩んでおるわけであります。そして、先ほど申し上げましたように、サンフランシスコ平和条約第十一条によって極東国際軍事裁判所の裁判は受諾しております。  これにかんがみまして、私の発言に対する御質問がございましたが、私は自民党のセミナーで自民党総裁として次のように実は発言している。誤解があるといけませんから一部分を読みます。   連合国が自分で法律をつくって、東京裁判で日本を被告にし、文明の名において、人道と平和の名において日本を裁いた。これは究極的には歴史が判定するでしょう。また、我々に裁かれるに値するようなこともなくはなかった。しかし、ああいう裁判のやり方が果たして正しかったかどうかは、歴史がいずれ判定するだろうと思います。   しかし、あのとき出てきた思想には、 つまり、あの極東裁判のころの思想には、   何でも日本が悪いんだという、ややもすると自虐的な思潮が日本をおおった。今もそれは残っている。戦前戦後の日本の悪いところを書いていい気分になって、それが文化人であり、進歩派だと考えるような風潮があった。私はそういう考えには反対だと前から言ってきた。   国家というものは長い間、とくに日本のような場合は自然的共同体として発生している。契約国家ではないんです。だから、勝っても国家であり、負けても国家である。栄光と汚辱を一緒に浴びるのが国民です。そして汚辱を捨て、栄光を求めて進んでいくのが国家であり国民の姿でなければならないと私は思っています。 そうして、   そういう立場に立って、世界史的なプリンシプル(原理、公理)で日本の過去の業績を批判し、日本のアイデンティティを確立する必要がある。 そしてさらに、   我々が確立しようとするアイデンティティは、決して偏狭なものであってはならない。超国家主義の過失を犯してはならない。世界のどの国の人が見ても、それが合理的であると思われるような考え方に立ったアイデンティティを確立しなければならないでしょう。それは学問的かつ科学的なものでなければならないと思います。  こういうことを言っておるのであって、極めて穏健、妥当であると私は思っております。やはり民主主義には反省力が伴うことが大事です。私はそういう意味において、共産党が言われるように、いわゆる何にも悪いことはないという無謬論はとっておらないのであります。  また、戦争に対するドイツと日本との考え方につきましては、歴史は一過性でありまして、その国、そのときそのときの状況というものはみんな異なっております。日本は日本、ドイツはドイツ、おのおのの立場があると思います。そして文化も違えば伝統も違うのでございますから、日本は日本なりに良心的に反省し、点検し、考うべきである、そのように申し上げておるところでございます。  次に、核の傘の問題でございますが、我が国は、平和国家としての立場から、核兵器の大幅な削減を通じてより安定した東西関係がもたらされ、ひいては核兵器の究極的廃絶が実現されることを強く希求いたして、そのように努力しております。しかし、現実の国際関係においては、遺憾ながら核兵器が抑止力として平和と安全の維持のために現実的に機能していることも事実であると認めざるを得ない。このような現実を踏まえて、我々は、日米安保条約により米国の抑止力に国の安全保障を依存するとともに、実現可能な具体的な軍縮措置、核兵器の削減措置を一つ一つ積み重ねていくことによって核軍縮を中心とした軍縮の促進に努力している、こういう立場であります。  自民党のパンフレットにつきましては、これは核が抑止力として日本の平和と安全の維持のために見えないところでは機能していると、そういうことを言いたいためにああいう表現になったのだ ろうと思いまして、説明不足のところも多少あったように思います。  核兵器については色があるかとかいろいろお話がありましたが、私、見たことがないからどんな色をしているかわからない。しかし核兵器は業の兵器である。アメリカが持とうがソ連が持とうが、あれは業の兵器であって、我々はああいうものを持つ意思はないということを申し上げておるところであります。  次に、自衛隊のアメリカとの合同演習に参加するという問題でありますが、自衛隊は本土防衛に徹するということはもちろん前から言っているとおりであります。  次に、国鉄の問題でございますが、今回の改革は、過剰な要員の合理化、巨額の長期債務による過重な負担の除去等行った上で分割・民営化を実施して、国鉄を地域に密着した鉄道として再生させ、効率的な経営を行うことを目的とするものであります。これにより、赤字を発生させることのない健全経営を確保するということが可能になると考えております。このためには最大限の合理化、効率化を図り過剰な要員体制を改めることが必要であります。  また、長期債務等についても合理的な処理が必要であります。特に北海道等三島の会社につきましては、長期債務等を免除することとするほか、経営安定のための多額の基金を設けてもおります。これらの施策を講ずることによりまして経営基盤が整備され、健全経営が確保されるものと確信いたしております。  今日の国鉄経営の危機の根本的な原因は、公社制度による全国一元的運営にある。結局、親方日の丸、赤字垂れ流し、そういうことが継続してきたということであります。そういう意味において、経営というものに民間的手法を入れて、また労働組合についても、いわゆる労働権を尊重して労使がともに責任を持って相協力しあるいは相協調する、そういう立場を回復することが大事である。そういう意味に沿って今回の民営・分割が行われておるところでございます。  次に、今回の改革に当たっては、特定地方交通線以外の全路線を引き継ぐこととしており、要員体制もこれを前提に策定いたしております。安全は鉄道本来の使命であり、今回の改革による要員体制においても当然安全に配慮しているところであります。  円高につきましては、一面においては大きなメリットはございますが、それを完全に国民に還元するように我々は今努力いたしております。しかし、一面においては不況の到来という危険性がございまして、現にそういう兆候がありますから、内需を拡大するという方向によってこれを今克服しようと努力しているところであります。あした経済対策閣僚会議を開いて思い切った総合経済対策を発表して、できる限り四%成長に近づけるべく内需の拡大に最大限の努力をいたします。  さらに、米国の貿易赤字の問題でございますが、いわゆる昨年のG5以降、ドル高是正が進展し、これが米国内の保護主義をある程度鎮静させる役割を果たしたことも否定できません。ただ本来以降、相場の動きが非常に急過ぎると考えられる面がございます。相場が乱高下と判断される場合には、我々は適時適切に介入もいたしますし、この日米間の円・ドル関係というものは合理的な水準に長期的に安定していく、これが望ましいと考えて、そういう点はアメリカともよく話し合いをしていきたいと思っております。  アメリカの財政の問題につきましては、財政赤字削減のために政府も議会も多大の努力を行っており、我々はそれがさらに有効に実るように注目して見ておるところであります。この点は我々も随分先方に対して申し入れしているところであります。  労働時間の短縮の問題につきましては、我々もこれは大事な政策であると考えておりまして、週休二日制の普及等々いろいろ努力しておるところであります。  現行の最低賃金制度は我が国の実情に適合した有効な方式であると認識しております。  米の輸入制限撤廃の問題でございますが、米国に対してはこれまで種々の機会をとらえて我が国農業生産における米の重要性等について理解を求めてきております。日本の米の貿易制度はガット上認められた国家貿易制度であることから、本問題について米国政府が慎重に対応されるものと確信しております。米は国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹作物でありますから、生産性の向上と構造改善を図りながら、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨も体して今後も努力してまいります。現在の食糧管理制度の根幹に手を触れるようなことは考えておりません。  石炭政策につきましても、現在、石炭鉱業審議会において検討中であり、その答申を待って政府は対処してまいりたいと思っております。  以上で答弁を終わります。(拍手)    〔国務大臣金丸信君登壇、拍手〕

金丸信自由民主党国務大臣

○国務大臣(金丸信君) お答えいたします。  防衛のあり方につきましては、当然専守防衛であることは火を見るより明らかであると思うわけでありますが、また防衛のあり方について防衛庁にだけお任せしておくということでなくて、これをいろいろの立場立場で研究を自由にしてもらうということは必要だと私は痛感してこの戦略研究センター所長になったわけであります。  いろいろ仮定の中で言っておるようでありますが、私は、国の防衛政策と別個に研究所で自由にいろいろの研究をすることはいいのじゃないか。むしろ防衛という問題を国民に十分な理解をしてもらう。私が防衛庁長官をやった時代と、きょうの時代、この防衛の問題について考え方が非常に国民は変わったということを考えてみましても、このようなことは自由にやってしかるべきでありますが、ただ専守防衛というこの問題だけは必ず我々が守っていくのは当然だと、そういうことで御理解をいただきたいと思うわけであります。(拍手)

瀬谷英行各派に属しない議員副議長

○副議長(瀬谷英行君) 答弁の補足があります。中曽根内閣総理大臣。    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 源田論文に対する私の答弁漏れがあった由でございますが、源田論文というものを私、詳細まだよく読んでおりません。しかし、私が想像するに、あの人はあのときの海軍航空隊を指揮した人でございますから、そのときの経験をもとにそのときの情勢を書いたのではないかと思います。しかし、いずれにせよ、これはいわゆる太平洋戦争、大東亜戦争の大きな中の一こまであります。したがって、これに対する批判、論評というものは、私がただいま大東亜戦争、太平洋戦争に関して述べた見解の中に含まれていると御了解願いたいと思います。(拍手)

瀬谷英行各派に属しない議員副議長

○副議長(瀬谷英行君) これにて休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時二分開議

瀬谷英行各派に属しない議員副議長

○副議長(瀬谷英行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣の演説に対する質疑を続けます。栗林卓司君。    〔栗林卓司君登壇、拍手〕

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、総理にお尋ねをいたします。  先日の選挙で自民党は大勝いたしました。総理はこの国民の審判を天意と心得ると言われましたが、その天意には何と記されてあったのでありましょうか。もちろん、それは公約を果たすために全力で働けということであったでありましょう。ところで、総理が公約を実現するのに何年かかるのでありましょうか。天意を受けたとお感じの総理として、公約をなし遂げるまでは総理の職にとどまり続けるのが当たり前とお考えなのでありましょうか、お尋ねをいたします。  目下、最大の問題は円高であります。現在の行き過ぎた円高は、総理が何もしないことに対する懲罰的円高なのではありませんか。申し上げるまでもなく、為替レートは為替市場での売り買いの結果決まるものであり、経済のファンダメンタルズを反映したものと言われてまいりました。しかし最近圧倒的にふえてきたのが資本取引であります。したがって、為替相場は投機や思惑によって貿易収支の均衡水準を逸脱する可能性が強くなってきたのであります。したがって、相場の行き過ぎを避けるためには、政府は市場関係者に対し明 確な態度をアナウンスしておく必要があります。では、これまでどのような態度をアナウンスしてきたのでありましょうか。  大体、日本という国は、外から見た場合にどう見えているとお考えなのでありましょうか。貯蓄と投資のバランスを考えた場合、貯蓄が投資に使われずに余ってしまうと、その分だけ内需が不足し、その結果、外需を求めて輸出がふえ、経常収支が黒字になるというのが経済の大原則であります。  例えば昭和五十九年度の場合、家計の貯蓄は二十七兆円。そのうち十五兆円が設備投資に回り、政府が公共投資で使ったのが五兆円であり、差し引き七兆円が余って、ほぼ同額の九兆円が経常収支の黒字となっているのであります。この黒字を減らそうと思ったら、もっと公共投資、すなわち政府部門の赤字をふやさなければならなかったということであります。ことしにしても全く同じことであります。  要するに、公共投資を抑制し、過剰貯蓄を放置している態度そのものが、市場関係者の目には、日本には経常収支の黒字を減らす意思は全くなしと映っているのではありますまいか。しかるがゆえの懲罰的円高なのではありませんか。日本政府の明確な態度をアナウンスする絶好の機会であった東京サミットの後に一層円高が進んだということは、明らかに政府の失敗を物語っていると思いますが、いかがでありましょうか。経済の原則を曲げて船を進めようとしても、難破するのが落ちなのではありませんか。  十一月から米国では中間選挙が始まります。ところが、日本では公共投資の抑制が続く中で経常収支の大幅黒字が続いております。やがて不満が爆発し、一層の懲罰的円高になったら一体どうするつもりなのでありましょうか。まさしくそれは政府が招いたものと言わざるを得ません。九月二十二日から五カ国蔵相会議が始まりますが、どのような態度、方針で臨んでいくのでありますか。  貯蓄は、それ自体決して悪いものではありません。悪いのはそれを使わないことであります。公共投資は建設公債を発行して行うべきだと思いますが、いかがでありましょうか。その際、金利負担が問題となりますが、幸い低金利時代であります。乗数効果による税収増に期待してよいのではありませんか。もし財政再建を理由にして公共投資の抑制を続けようとするなら、経常収支の黒字はふえるし、その黒字を無理に抑えようとしたら、経済は不況に突入するしか道がありません。その結果、税収が不足し、結局、財政再建そのものが成り立たなくなってしまいます。アブハチ取らずとはこのことであります。  そこで申し上げたいのは、我々は建設公債と赤字公債を分けて考えるべきなのではありますまいか。国の借金という意味では両者に何の違いはありません。しかし、赤字公債は借金を一般経費に使ってしまうのでありますから、本来あってはならない公債であります。一方、建設公債は経済政策の有効な手段の一つであります。したがって、建設公債を容認し、その活用を図るとともに、その反面で赤字公債依存体質からの脱却は従来以上の努力で鋭意進めるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。  ところで、総理は、円高不況の実態をどのようにごらんになっておいでなのでありますか。円高のデメリットは情け容赦もなしに効いてくるのであります。円高で利益が減れば、購入部品や原材料の単価切り下げで下請、関連企業にはあらしのようなしわ寄せが襲いかかってまいります。その結果、雇用調整の波は今や輸出産業の全域に及び、成人男子の失業率は観測史上最高の三%を超えております。円高のメリットがたとえあったところで、会社がつぶれ、失業が出てしまってからでは物の役に立たないではありませんか。  非鉄金属産業の場合はもっと深刻であります。海外相場の下落と円高のダブルパンチを受けているのであります。しかし、非鉄金属の国内鉱山は国内における安定供給源であり、海外で資源開発を進める場合の技術を育成する極めて重要な基地でもあります。しかも、なくてはならない地域経済の中核であります。国民経済上何としても守り抜かなければなりません。しかし、現状は経営安定化融資制度はあるものの、既に融資枠も使い果たし、運転資金にも事欠くありさまであります。融資枠、融資対象の拡大、利子補給の拡充を含めて特段の政府の緊急対策を要望せざるを得ません。御所見を伺います。  あわせて、現在、深刻な状況下に置かれている石炭産業に対する救済策をお尋ねします。  輸出産業に働く七百万の勤労者とその家族が首を長くして待ちわびているものが円高不況対策であります。昭和五十三年の円高の場合には、二回にわたる補正予算と大型の当初予算を編成し、年間を通して五兆円を超える建設公債を発行して急場をしのいだのであります。同じことがなぜできないのでありますか。円高は昨年の九月から始まっているのであります。  円高の進行とともに企業倒産は増加し、しかもその程度は五十三年円高に比べると、速くて、しかも鋭いものがあります。しかも、景気全体を眺めれば、設備投資は循環局面で見て下降局面にあるのではありませんか。しかるに補正予算はかけ声ばかりで姿が見えません。こんな状態で「国民の願望を速やかに把握し、先手を打って対処する政治の実現」などと言われても、そらぞらしく聞こえるだけではありませんか。我が党は三兆円の公共投資と二兆円の所得税減税を要求しておりますが、いかなる規模、内容の補正予算を準備されるのかお尋ねしておきます。  所得税は、長いこと実質増税が続いてまいりました。昭和五十四年から五十八年にかけての五年間だけで所得税の実質増税分は三兆円に及んでおります。一方、その使い道を見ると、ちょうど三兆円歳出がふえているものが補助金であります。このような働く者から情け容赦もなしに源泉所得税をむしり取り、それを補助金に回すというこれまでのやり方は、もう断固としてやめるべきであります。円高不況が厳しい昨今であります。補助金を整理縮減して二兆円の所得税減税を直ちに実施すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。  一方、過酷な円高のもとで、国内で生産するよりも海外で生産する方が有利となり、工場の海外進出が広がっております。これまで日本の国際競争力を支えてきたのは質の高い優秀な中小企業であり、その中小企業と親企業との緊密な関係であります。しかし、行き過ぎた円高がもたらす野方図な海外進出は、要するに日本の産業組織の破壊であり、産業の空洞化であって、国民経済上も問題なしといたしません。やがて深刻な雇用問題が発生するまで総理は黙って座視しているのでありましょうか。こうした問題を解決するためにも行き過ぎた円高の是正と為替レートの安定化は喫緊の重要課題であります。では、そのためにどのような方針と経略で取り組んでいかれるのか、総理の所信を伺います。  現在、世界は同時不況の色を深めつつあります。しかも世界経済は、累積債務という時限爆弾を抱えているのであります。では、世界経済の活性化のために日本は一体何をなすべきだとお考えなのでありましょうか。結局、日本ができることは、市場を開放し、日本の消費購買力を全世界に提供することではないのでありましょうか。そのためにも消費購買力を豊かに育てることが日本の急務だと思うのでありますが、いかがでありましょうか。  また、こうした中で我が国農業をめぐる環境は大きくさま変わりしていくと思われますが、我が国農業の課題と対策についてお尋ねをしておきます。  欧米ではなぜ消費が豊かなのか。固定資産や耐久消費財を買えば、その月賦金利は税額控除の対象になる制度があります。日本ではこの制度がないばかりか、仮に自動車に例をとれば、所有と利用に関して何と九種類もの税金がついて回っております。事実上、自動車の所有を禁止しているようなものであります。内需主導型経済とは、平たく言えば、国内で製品が売れる経済ということであります。一体全体、九種類もの自動車関係諸税をそのままにしておいて、内需主導型経済ができるとお考えなのでありましょうか、お尋ねします。  最後に、国際協調型経済構造への変革の問題についてお尋ねします。  五月に推進要綱をお決めになったそうでありま すが、そのもとになったものは、言うまもなく、経済構造調整研究会の報告でありましょう。この報告は今では日本の国際公約にもなっているものであります。この報告の基本的な考え方は、変革を通して国民生活の質を高めていかなければならないという問題意識であります。具体的に言い直せば、経済成長の成果の適切な配分であり、時間短縮であり、所得税減税であります。こうした基本的な考え方は、推進要綱にも間違いなく引き継がれたと考えてよろしいのでありましょうか。その際、総理は本部長としてどのようなリーダーシップを発揮されるのでありましょうか。抱負と経綸をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 栗林議員にお答えを申し上げます。  まず、天意とは何であるかということでございますが、この時期に多数を自由民主党や欠陥の多い総裁としての私に与えていただいたということは、何らかの大きな力のおぼしめしが作用しているのではないか、そう考えまして、謙虚に反省して恐れ慎め、そういうことが示されたのではないかと思います。そして、公約を実現して政局を安定させて、総決算と改革路線を実行せよ、二十一世紀に向かっての準備を急げ、そういうおぼしめしではないかと考えております。  公約達成まで何年かかるかということでありますが、私は前から、行政改革は三代十年の仕事であります、そう申し上げております。また私の任期は党則改定で一年延期されましたが、党則に従うと前から申し上げているとおりであります。  次に円高の問題でございますが、円相場が急激に高くなり、ドルが弱まりまして、さまざまの反応を生じていることは、我々も非常に憂えて現状対策を行っておるところでございます。  為替相場というものは、元来、為替の需給関係あるいは投機的思惑あるいは中長期的には経済のファンダメンタルズを反映して決定されるものであるだろうと思いますが、最近のこの半年、一年の動きというものは、余りにも急激な変化が強過ぎて、我が国の企業も対応にいとまなし、茫然と見ざるを得ないという面も非常にあったのでございます。  そこで、政府は、これが対策は何といっても内需を拡大すること以外にないというので、昨年来何回か対策を行い、特にことしは四月八日、五月三十日、二度にわたりましていろいろな対応策を講じたところでございます。あした十九日に経済対策閣僚会議を開きまして、最近の様子を見ますと、輸出が落ちてきて内需は大体予定どおり行っている、落ちた輸出の分を内需でカバーするという方向でこれは切り抜ける必要がある、そういう考えに立ちまして、予定の四%成長に近づけるべく内需の拡大に最大限の努力を政策的にも行う予定でおります。  次に、G5に向けての円高に対する対応方針でございますが、為替が乱高下するということはどの国にとっても好ましいことではございません。したがって、乱高下と判断される場合には適時介入する、また、やってきたところでございます。  基本的に大事なことは、各国が政策協調とそれから構造改革をおのおのが行うということで、この点は東京サミットにおいて強く合意した点でございます。為替につきましても、これがためにお互いに監視をやろう、そして必要ある場合には介入も辞せずで協調しよう、こういうことを東京サミットでも決めたのでございまして、今度IMFを機に関係大臣等があるいは集まる機会があるかもしれませんが、この一年間をよくもう一回フォローアップして、そして東京サミットにおける我々の申し合わせというものをもう一回点検して、もし我々が政策的にさらに協調的に実行することがあればそれを推進する、そういう考えで大蔵大臣に行ってもらいたいと思っておるところであります。  公債について、建設公債、赤字公債の効用論をお述べになりましたが、確かに建設公債の方はより安定しておる、そういうふうに考えてはおります。しかし、建設公債、赤字公債、ともに公債としては認められるのでありまして、どちらが悪であるとか善であるとかという、そういう批判はできないと思うのであります。やはり公債と同棲するということも経済の政策の中には十分あり得る、特に金融市場を拡大し、育成するという面からは公債政策というものはやはり十分考えらるべきものである。問題は、それが過度であるか適正量であるかという問題であります。我が国におきましては、現状は建設公債、赤字公債、ともに過度である、これをできるだけ抑制せよ、そういうのが臨調及び臨行審の勧告でございまして、その線に向かって今懸命の努力をしておるところなのでございます。  公共関係の増加ということも十分考えなけりゃならぬ点でございます。これについてはあしたの総合経済対策でもいろいろ検討し、施策も実行しようと思っているところでございますが、また一面においては、財政改革、行政改革における臨調答申あるいは臨行審からの勧告というものがございまして、ある程度のバランスと抑制を持たなければ財政的に破綻するという危険がございます。その両方の調和点をどこに見出すかという点で今まで努力してきたところでございます。しかし、この答申におきましても、臨時緊急の措置は緊急避難として認めてくださるということにもなっておりまして、生きている経済に対応するためには、そのときそのときに応じて機宜の処置を政府が行う責任もあると思っております。そういう観点に立ちまして今後とも経済政策を進めていく考え方でおります。  金属鉱業の問題については、銅、亜鉛等の金属鉱業が苦境に陥っていることは十分承知しておりまして、昨年来、その対策を既にとっておるところであります。先般の鉱業審議会の建議も踏まえまして、この経営を安定させるためにさらに努力してまいりたいと思います。今までは大体銅、亜鉛が対象でございましたが、金、タングステンを追加する。それから、それらにつきましても適正な助成措置を講ずる。あるいは融資について前倒しを実行する。あるいは補助金の前倒し等も中小鉱山について実行する。これらについて今までやってきたところであり、今後も努力してまいります。  大型補正につきましては、先ほど申し上げましたように、明日の経済対策におきまして、公共投資等事業規模において三兆円を下らざるものを確保するように関係各省庁に指示して、今、最終詰めをやっておるところでございます。  減税につきましては、何回も申し上げましたが、税調の答申を待っているというところでございますが、特に個人所得税、法人税、相続税等の見直し、それに見合うバランスのとれた歳入の調整、こういう点につきまして今努力をしていただいているところであり、大事なことは、大蔵省やあるいは党が決めるという問題よりも、国民の皆さんが何を選択するか、どれをお選びになるか、最大公約数がどこへ落ちつくか、そういう点を十分注意しながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。  工場の海外進出と空洞化及び雇用問題は、確かに御指摘のとおり現下の問題にもなり、将来の日本資本主義の大きな問題点であるだろうと考えております。日本がこれだけ大きな経済力を持ち、かつ黒字が累積しました場合には、直接投資等も含めまして産業の国際的展開を進めるということは必要であると思います。問題は、内政、外政あるいは国内、国際、調和のとれた経済構造をいかに実現していくかということ、それから世界経済の活性化と拡大均衡にいかに貢献するかということ、これを同時に行う必要があるのであります。それらの観点から見ますと、これから我々がやるべき大きな政策は、やはり内需主導型の経済成長を図りつつ技術革新あるいは情報化の前進、このような産業の新たな発展分野の開拓を図って、そして内需と雇用機会の創出を行う、これが大事であると考えまして今後とも努力する次第でございます。  市場の開放につきましては、既に昨年のアクションプログラムの実行以来何回か努力しており、関税やあるいは基準・認証制度を初め諸般の開放措置を実行しておるところでございます。今後ともこの努力は推進せらるべきでございまして、先般の経済構造調整推進本部の大きな課題の中に入っております。これを今後、中長期的に努 力をしてまいるつもりでございます。  先ほど栗林さん御指摘になりました数項目は、推進本部としてもぜひ実行しなければならぬ課題であり、そのように考えております。ただ、これは中長期的に適宜、段階的に実施すべきもので、一遍に全部やれと言っても無理なことでございます。そのときそのときの経済情勢に合わせながら着実にそれを推進していく、そういう考えに立って御指摘の点は実行してまいりたいと思います。  農業を取り巻く諸情勢は、農産物の需給緩和、規模拡大の伸び悩み、それから市場開放要求の強まり、こういうような中で極めて厳しい情勢にございます。生産性の向上による体質強化と農山漁村の活性化ということが我々の課題でありまして、科学技術の導入、バイオの導入等も含めまして、積極的に努力してまいりたいと思っています。  自動車関係諸税につきましては、諸外国におきましても、自動車の取得、保有、利用等に着目して各種の税を課しておりまして、税負担水準も諸外国に比べて必ずしも高いものではないと承知しております。したがって、自動車関係諸税が内需主導型経済の支障になっているとは考えておりません。しかし、御指摘の点は今後ともよく注意してまいりたいと思います。  経済構造調整についてリーダーシップを発揮せよという御指摘は、先ほど申し上げましたように、私も、これは国際的な重大な仕事でありまして、各国の注目しておるところでもあり、誠実に推進してまいりたいと思う次第でございます。  以上で答弁を終わります。(拍手)     ─────────────

瀬谷英行各派に属しない議員副議長

○副議長(瀬谷英行君) 浜本万三君。    〔浜本万三君登壇、拍手〕

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 私は、日本社会党を代表し、先般の総理所信演説に関して、総理並びに関係大臣に対して若干の質問をいたします。  まず、核兵器廃絶のための外交の展開と被爆者対策についてただしたいと思います。  現在、世界には広島原爆の百万倍もの破壊力を持つ核兵器が存在すると言われ、人類はまさに破滅の危機に瀕しております。核軍縮、核廃絶は全人類緊急の課題であります。諸国民の切実な願いであります。昨年十一月、ジュネーブで開かれた米ソ首脳会談に引き続き、ことしは国際平和年でもあり、核軍縮を目指す米ソ首脳会談開催への期待が高まっております。  去る七月二十八日、ソ連のゴルバチョフ書記長が、アジア・太平洋地域の緊張緩和のため全欧安保会議と同様の会議を広島で開催することを提案しております。八月六日、広島の平和記念式典においては、広島市長が核軍縮のための米ソ首脳会談を広島で開催するよう呼びかけました。総理、あなたも軍縮のために米ソ間の実りある対話と交渉の実現に努力すると言われておりまするが、国民は言葉よりも実行を求めておるのであります。総理、幸いあなたはアメリカ大統領とは特別に親しい間柄であると言われていますので、大統領に働きかけられまして、歴史的な両首脳の広島会談実現に向けて努力してほしいと思いますが、決意のほどを承りたいと思います。  さらに、総理、平和憲法を持つ被爆国日本の総理大臣として、あなたは一体、核兵器の廃絶と世界の恒久平和確立に向けて国際外交上どのような役割を果たしていこうとお考えなのか、この際、国民の前に明確にしていただきたいと思います。  次に、被爆者援護対策について触れたいと思います。  被爆後四十一年を経過しましたが、今日まで国は原爆で亡くなられましたすべての方々やその遺族に対して心からなる弔意を表しておりません。先般実施された念願の死没者調査によって一日も早く死没者の実態が明らかにされ、その遺族に対しても必要な補償措置を講ずべきであります。そして、今なお病苦、貧困、孤独の三重苦に悩み続けている多くの被爆者の実態を直視されまして、早急に国家補償に基づく被爆者援護法を制定すべきであると思いますが、総理並びに厚生大臣の御答弁を求めたいと思います。  次に、円高不況下の中小企業対策について伺います。  昨年来の円高不況の影響は日増しに深刻さを加えており、特に輸出型中小企業においては、輸出成約の大幅減少やアジアNICSからの競合輸入品に押され、円高倒産が続くなど中小企業者間には危機感が非常に強まっております。しかしながら、政府がこれまでとってきた中小企業対策は、いずれも不徹底のため実効が少なく、中曽根内閣みずからの責任で招いた円高の影響に対して責任ある対策を講じたものとは到底言えないのであります。当面の具体策として、明日発表される総合経済対策の中でいかなる円高対策を盛り込もうとしているのか。中小企業者の塗炭の苦しみを察するならば、この臨時国会において速やかに必要な補正予算案を組んで中小企業対策を一層強化するとともに、下請企業保護のため必要な立法措置を講じてその徹底を期す必要があると考えますが、総理のお考えを伺いたいと思います。  また、最近の円高は、造船、鉄鋼など構造不況業種にも一段と深刻な影響を及ぼしておるのであります。特に造船業界においては、これまでも構造不況の中で過去十年間に労働者が半分以下に切り捨てられているのであります。加えて、最近の円高の中でさらに大幅な人員整理が打ち出されております。それは、単にそこに働く労働者の雇用不安を一層高めるのみならず、疲弊しているその地域の経済全体に追い打ちをかけることになるのであります。したがって、造船など構造不況への緊急対策を講ずる必要があると考えますが、総理並びに関係大臣から政府の具体的な案をお示しいただきたいと思います。  また、政府は落ち込んでいる地域経済の活性化を図るためにどのような施策を講じようとしておられるのか。さらに、これに関連して、雇用情勢はますます悪化しております。完全失業率は最高水準を記録しているのでありますが、この状況を改善するため、一体どのような具体策を考えておられるのか、総理並びに関係大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。  次に、内需拡大、減税などの問題につきましては、既に同僚議員から質問が行われておりますので、私は、内需拡大に関する税制改正問題について一点だけお伺いをいたしたいと思います。  今、内需の六割を占める個人消費の拡大という観点からも、所得税を中心とした大幅減税の必要性が叫ばれております。しかるに、最近ある雑誌で、ある有力財界人の一人が独身税の導入を提唱しているようであります。まさか総理がこのような提案にくみされるとは思いませんが、土井新委員長のもとで若者と連帯する我が社会党として、特に総理に御注意を喚起しておきたいと思うのであります。確かに親元にいる若年層などは多少購買力は高いかもしれませんが、だからといって若年層の税負担を強めることは、今求められている個人消費の拡大に逆行するものとして断じて容認することはできないのであります。中堅所得層の減税はもちろん、あわせて課税最低限度額の引き上げこそ実現すべきものであると思いますが、いかがでございましょうか、総理並びに大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。  次に、今求められている内需拡大問題に関連して、労働時間短縮について質問をいたします。  今や我が国は経済大国になったと言われておりますが、それを支えておる労働者の実態を見ますと、欧米諸国の水準に達しているとは言えません。特に我が国の労働者は欧米諸国の労働者に比べ、年間二百ないし五百時間も多く働いているのであります。西ドイツやフランスの労働者と比べれば実に三カ月分も多く働いております。しかも、我が国の労働者の年間総実労働時間はここ十年来少しも改善されていないのであります。日本の長時間労働の改善は、近年大きな問題となっております経済摩擦の解消や、深刻化する雇用失業情勢への対応などの観点からも強く要求されているわけでありますが、同時に、スポーツやレジャーなど、ゆとりのある生活を保障することを通じて個人消費の拡大を促進するためにも求められているのであります。  政府は、金融機関や官公庁も含め、完全週休二日制、週四十時間労働制を早急に実現するための法的措置を含む着実かつ実効性のある施策を講じるべきだと考えますが、総理並びに労働大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  次に、高齢者福祉の問題と老人保健制度の見直 しについて伺いたいと思います。  政府は、この四月に高齢者対策企画推進本部報告をまとめました。これによると、自立自助を強調しながら、例えば年金支給開始年齢は六十五歳、医療保険の給付率を八割で一元化するなど、言ってみれば福祉切り捨ての総集編となっておるのであります。自助努力の根拠として、高齢者本人も長寿社会の主体的構成員であることや、高齢者の生き方が長寿社会の活力に大きな影響を及ぼすということでありますが、そうであるとすれば、総理、なぜ住民自治による福祉を基本としないのでありましょうか。  例えば、公的な制度及び施設の運営は、その利用者を中心とした委員会にゆだねる、行政はその事務を取り扱うといった関係で、初めて関係者の合意による負担のあり方が明確になるわけであります。またサービスの改善に利用者が参加するシステムも確立することになるのではないでしょうか。私は、自立自助の基盤は患者や利用者の実態に即した情報と運営をもとにし、高齢者を主体にした自治でなければならないと思うのでございますが、いかがでございましょうか。  また、政府構想の老人保健施設は百人程度の規模と説明されておりまずが、これを四、五人のミニホームにして、小学校区ごとにつくることはできないでしょうか。総理並びに厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。  次に、老人保健制度の見直しに当たって、財政面の問題についてただしたいと思います。  今回の制度の見直しによる患者負担は、通院で二・五倍、入院費は月額約一・七倍、さらに限度期間廃止という大幅な引き上げであります。一年間を通じて入院をいたしました場合は、現行の十倍の入院費を要するというものであります。そうでなくとも、入院をすれば入院費用だけでなくお世話料など、いわゆる保険外負担が大きな負担となっているのが実態ではありませんか。また、いまだ年金額が少ない受給者層が多く、今回の患者負担引き上げは受診の抑制につながるものではないかと憂慮されるものであります。  さらに、老人医療費の各制度が負担している拠出金に関する改正でありますが、今回の改正はこれまでの国民合意の原則を放棄するもので、全く安易な国庫負担削減策であり、場当たりの国保財政対策と言わざるを得ません。この案分率改正による被用者側拠出金の増額分は、六十二年度約四千億円、料率にして千分の五にも相当すると試算され、サラリーマンに対する事実上の増税とも言い得るのであります。したがって、見直しに当たっては、もう一度老人医療無料化の原点に立ち戻って検討すべきであります。  以上の立場から、私はこの際、重ねて政府提出案の撤回を強く求めるものであります。  最後に、部落差別問題についてお伺いをいたします。  ことしは、日本国憲法施行四十年の年に当たっております。この中で基本的人権の保障が高らかにうたわれ、差別は明確に否定されたわけであります。しかし、我が国最大の人権問題である部落問題を見る場合、その取り組みは憲法施行から大きく立ちおくれ、一九六五年の同対審答申以降ようやく始められたにすぎません。そして今日、部落差別の現実を見るとき、今なお経済的、社会的関係において差別は存在をしております。殊に、職業、産業、教育及び結婚などにおいて厳しい差別が存在しておることは明白な事実であります。特に昨今、露骨な差別行為を行いながら開き直るという、悪質きわまりない差別事件も多発しておることを見逃すわけにはいかないのであります。こうした現実の上に立って、憲法施行四十年を振り返り、憲法の精神に立脚して、何人も否定することのできない基本的人権を被差別部落大衆に保障することが国の責務であると考えるのでありますが、総理の御見解と御決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 浜本議員にお答えをいたします。  まず、米ソ首脳会談の広島開催の件でございますが、我が国が核廃絶のために官民挙げて努力し、また今後も努力していくことは一貫した我が国の国策でございます。そういうときに当たりまして広島という名前が出てくるのであろうと思いますが、首脳会談を行うということは当事者同士がその場所を決めるということでありまして、今回は訪米招請を受けてワシントンで行われると、そういうふうに承知しております。いずれにせよ、当事者がこれを決めるという建前に立ちまして、政府としてはこの問題に対処したいと考えております。  しかし、一般論といたしまして、よく広島、長崎で首脳会談を開けということを民間の方々から聞くこともあるのでございますが、私は必ずしも適当でないと思っておるのです。なぜなれば、軍縮というような問題は、非常に理詰めの、科学的な、かなり精細な議論を行う場所であるのでありまして、そういう面から見ても、冷静に科学的にこれは話し合う場所の方がよろしい。広島、長崎というような場所は祈りの場所である、あるいは誓いの場所である。聖地として我々はあくまでこれを保存しておいて、政治に巻き込まれないようにするということが、あのお亡くなりになった方々に対する我々のおもんぱかりではないかと、私はそのように考えておる次第であります。  核兵器廃絶と世界の恒久平和の問題につきましては、ここで前から申し上げているとおり、全く同感の理念でございます。今後とも可能な限り我々は関係各国にも働きかけ、国際機関にも働きかけ、一つ一つ積み重ねてその実を上げるように努力いたしたいと思っております。  ジュネーブの軍縮会議等におきましても、我が国の全権に種々指令を出しておりまして、一歩一歩前進するように、例えば検証問題等についても、我が国の科学力、技術力を使って進めるように、日本の立場も明らかにしつつあるところでございます。  原爆死没者に対する調査と補償でございますが、現在、広島、長崎両市の動態調査結果と照合中でございます。原爆死没者の補償については、一般戦災による死亡者との均衡の問題もありまして困難な状態にあります。原爆被爆者対策については、引き続き充実してまいる決心でございます。  総合経済対策の内容等でございますが、あした発表いたす予定でございますが、公共投資等の追加、住宅投資の促進、規制緩和、インセンティブの付与等による民間活力の活用、中小企業対策、円高等による差益の還元、雇用対策等々を盛り込んで実行していきたいと思っております。  中小企業の対策につきましては、円高特別貸し付け、信用補完の特例等、既往の中小企業特別調整対策の拡充等を行うとともに、集中的な被害、影響を受けている地域については総合的な支援策を講じてまいります。なお、下請につきましても、親企業の下請中小企業に対する円高の影響の不当な転嫁を防止するために、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図ってまいります。  造船業が厳しい状況にあることはよく認識しております。特に、雇用と地域経済に及ぼす影響も甚大でございます。造船業の再編を含む構造改善の実施に向けて、政府もそれぞれ助成そのほかの措置を講じてまいりたいと思っておるのであります。  鉄鋼業への緊急対策も、六十年度下期以降急激かつ大幅な円高の進展等もあって、国内需要の減退、輸出競争力の低下、市況の悪化、海外からの流入、こういう問題に悩んでおることを承知しております。今回の総合経済対策等におきましても、公共投資の追加、住宅投資の促進等々の政策によりまして、鉄鋼業の合理化、技術開発とあわせまして、これらの企業のために努力してまいるつもりでおります。  円高不況対策につきましては、先ほど来申し上げましたが、経済対策を決定し、できる限り四%成長に近づけるべく内需の拡大に今後も努力してまいります。  雇用情勢に対しましては、失業の予防、再就職の促進等の雇用対策を推進してまいりたいと思います。明日のその対策の中におきましても、雇用調整助成金制度の拡充等の施策を実行いたしたいと思っております。  減税につきましては、現在政府税調において広範な範囲にわたりまして包括的に検討しておりますので、それらの答申を待ちまして処理してまい るつもりであり、あくまで選挙の公約を実行するつもりでおります。  労働時間の短縮につきましては、昨年十月の内需拡大に関する対策等において示しているとおり、今後とも労働条件の確保あるいは週休二日制の普及等に努めるつもりであります。今後の労働時間法制のあり方については、中央労働基準審議会で審議が行われておりまして、その答申の結果を見て法的処置を考えたいと思います。  金融機関の週休二日制は、基本的には労使間の合意によって進展していくべきものでありまして、政府はその環境整備に努力してまいりたいと思います。本年八月から金融機関では、これまでの第二土曜日に加えまして第三土曜日を休業日としたところであります。当面は本措置の国民各層への定着を図ることが大事であると思います。完全週休二日制の実現については、金融界のコンセンサスのみならず、利用者たる国民や企業等の理解を得ながら検討していく必要があると思います。  国家公務員等の週休二日制の問題につきましては、職員の勤務条件の改善、国際協調等の観点からも基本的には望ましい方向であります。政府としても、本年五月一日の経済対策閣僚会議で決定した経済構造調整推進要綱において推進方策を決定しております。ただ、この際には、民間の状況、国民生活に及ぼす影響、国民世論の動向等もよく考える必要はあると思います。当面、人事院から提言のありました四週六休制の試行について検討してまいりたいと思います。  次に、長寿社会の問題でございますが、活力ある長寿社会を実現するために、国民生活の基盤となる社会保障制度を公平で効率的で長期的に安定するものにいたしたい、そして老人については健康で積極的に社会参加できるようにいたすことが我々の目標でございます。また多様な福祉ニーズに応じまして必要なサービスが受けられるように、住民に身近な地方自治体の役割を重視しつつ体制の整備を図ってまいりたいと思います。  老人保健施設については、現在寝たきり老人が六十万人おると計算されておりますが、これらの多くの老人たちの多様なニーズに適合するように、適切な施設なり対策を講じてまいるべきであると思っております。いわゆる中間施設というものにつきましても、施設を置く以上は医師とか専門職員等も置かなければなりませんし、夜間勤務ということも考えなければなりませんので、それ相応の施設にしなければならない、そう考えております。  老人保健法改正の問題については、長期的安定を目指してこの法案を出しておるのでございまして、撤回する考えはございません。  部落差別の問題については、同和地区の実態は地域改善対策事業の実施等によって相当改善が進んでいると思います。一番問題なのは意識の問題であります。これらの差別意識の解消をさらに徹底的に啓蒙運動等を通じて実行いたしたいと思っております。  残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)    〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕

斎藤十朗自由民主党厚生大臣

○国務大臣(斎藤十朗君) 原爆死没者に対する調査と補償につきましては、総理の方から御答弁があったとおりでございます。  原爆被爆者の援護法の制定についてでありますが、原爆被爆者対策につきましては従来から、被爆者の受けた放射線による健康障害という他の戦争犠牲者には見られない特別の犠牲に着目し、広い意味の国家補償の見地に立って被害の実態に即した施策を講ずるべきであると考えてまいりました。  したがいまして、こういった特別の事情にない原爆死没者の御遺族の方々に対して、その御遺族の皆様方の心情は十分御理解をするところでありまするけれども、補償を行うこと等を内容とする被爆者援護法を制定することは、一般戦災者との均衡上問題があると考えており、政府といたしましても、今後とも手当の充実、福祉施設の整備を図るなど、現行の原爆二法の体系による施策の充実により対処する考えでございます。  自立自助と福祉、そして自治という問題でございますが、高齢者が自立し、社会の一員として積極的に活動することは、御本人にとっても望ましいことであり、活力ある長寿社会を築くために大変必要なことだと考えます。  福祉のサービスにつきましては、それぞれの方々の抱える問題に応じた適切なサービスが用意されなければならないと考えており、このようなサービスについては、住民に身近な地方自治体の役割を重視するとともに、保健サービスと福祉サービスの連携を強化するほか、高齢者の方々の御相談にも適切に応じられるようにするなど、きめ細かい施策の展開に努めてまいる所存でございます。  また、老人保健施設の整備の問題につきましてでありますが、老人保健施設は、医療ケアを必要とする寝たきり老人等が利用する施設でありますので、医師等専門職員の配置や夜間勤務体制の確保などの問題もありまして、ある程度の規模にならざるを得ないものと考えております。  老人保健法についてでございますが、人口の高齢化が進む中で、老人医療費の増加は避けられない状況にあります。この老人医療費をどのように適切なものにし、また国民全体がいかに公平に負担していくかが重要な課題であると考えております。  今回の老人保健法の改正法案におきましても、このような課題にこたえ、お年寄りも現役世代も力を合わせて公平に負担していくという観点から、一部負担の改定を行うとともに、加入者案分率を段階的に引き上げ、どの保険者も同じ割合でお年寄りを支えていただこうとするものであります。  こうした改正は、老人保健制度の長期的な安定を図り、長寿社会においても安心して老後を託せる制度を確立するためぜひ必要なものと考えております。よろしく御理解のほどをお願いを申し上げたいと思います。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

橋本龍太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 浜本議員からお尋ねのありました造船につきましてお答えを申し上げます。  これは御指摘のとおり、現在我が国の造船業は非常な困難な状況に置かれておるのでありまして、しかもその環境はむしろ今後ますます厳しくなっていくものと想定せざるを得ません。従来から、大体世界の造船の中の五〇%強のシェアを持っておりました日本の造船でありますが、この一、二カ月間、外国における受注合戦はほとんど全敗という状況でありまして、ほとんどが韓国にその受注を奪われております。  こうしたような状況の中で、本年六月二十五日に海運造船合理化審議会から、今後の対応のために二〇%程度の過剰設備の削減と集約化等の対策を早急に実施すべきであるという答申をいただき、運輸省としては、今後、何といいましても、この造船業の特色としての、いわば城下町的な地域も多いわけでありますから、それぞれの地域の雇用並びに地域の経済に与える影響を十分考えながら、答申の趣旨に沿って所要の対策を講じていく、そのようなつもりでおります。(拍手)    〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕

平井卓志自由民主党労働大臣

○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。  まず第一点は、円高不況により悪化する雇用情勢にどう対応するかということでございますが、円高の進展に伴いまして、最近の雇用失業情勢については、求人の減少、失業者の増加が見られまして、今後輸出比率の高い産地や造船等の不況業種を中心に雇用失業情勢の悪化、これはもう本当に懸念されておりまして、御指摘のとおりであります。  このために、労働省としては、各業種、地域の実態を的確に把握いたしまして、雇用調整助成金制度の活用による失業の予防、不況業種、不況地域対策の推進、関係都道府県における臨時雇用対策本部等の設置の促進等の施策を積極的に推進しているところであります。  さらに、十九日に決定予定の総合経済対策において、雇用調整助成金制度の拡充等、円高に対応した緊急雇用対策を盛り込むべく具体的検討を進めておるところでありまして、これらの施策を通じて雇用の安定に万全を期してまいりたい、かように考えております。  いま一点は、完全週休二日制、週四十時間労働制を早急に実現するように法的措置を含めて施策 を講ずべきがどうかと、この点でございますが、週休二日制の普及等による労働時間の短縮は、勤労者の福祉の向上等の観点に加え、御指摘のように、消費機会の増大を通じての内需拡大の観点からも極めて重要でございます。  このため、労働省といたしましては、最重点施策の一つといたしまして、週休二日制の普及を基本に、所定外労働時間の短縮、連続休暇の普及等、労働時間の短縮についての国民的合意の形成と、労使の自主的努力の促進に努めておるところであります。  また、今後の労働時間法制のあり方についてでございますが、昨年十二月に提出されました労働基準法研究会の報告を受けまして、現在、中央労働基準審議会で審議が行われておるところでございまして、その審議結果を踏まえて労働基準法の改正について検討いたしたい、かように考えております。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 中堅所得層の所得税の減税について御質問がございましたが、ただいま税制調査会におきまして、配偶者のための特別控除、それから給与所得につきまして実額控除を選択させてはどうかといったような、いずれもいわば減税措置でございますが、検討をされておりまして、それと同時に中堅サラリーマン層のところの累進構造を緩和しよう、そういう方向で検討が行われております。したがいまして、全体の方向といたしましては、浜本議員が御指摘をされましたような方向で検討が進められております。  さらに進んで、若年層、独身層の負担増とならないようにせよという御指摘がございました。この点につきましては、十分御意見につきまして検討をさせていただきたいと思っております。(拍手)

瀬谷英行各派に属しない議員副議長

○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会

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