本会議 第3号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1986/09/17
会議録
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日) 去る十二日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。対馬孝且君。 〔対馬孝且君登壇、拍手〕
○対馬孝且君 私は、日本社会党を代表して、中曽根総理並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。 さて、今回の選挙結果によって、政府・与党に課せられた政治責任は従来以上に強く極めて重いと言わざるを得ません。選挙後の記者会見で総理は、数のおごりはあってはならない、慎重に手がたく進めたいとの勝利宣言をされました。しかし、あなたの発言の慎重は奔放、手がたくは手荒くと、君子豹変することを危惧するものであります。記者会見での総理のこの発言は、今後の国会運営、法案審議の中で具体的にどのように実践していくのか、見解を求めておきたいと存じます。 数のおごりはしないという意味は、これまで以上に国民の批判に耳を傾け、法案や予算の審議については野党の修正要求に誠意を持って応ずることはもちろん、総理が選挙中に行った公約、特に国民が反対するような大型間接税は導入しないで大幅減税を実行する、円高対策はきちんとやるなど、緊急課題を公約どおり実行することにあると考えます。これらの点について総理の答弁を求めておきたいのであります。 ところで、中曽根内閣は発足して三年半以上経過しましたが、この間、総理は一貫して戦後政治の総決算ということを言われてきました。多くの国民はこの言葉の中に総理の真の意図が隠されているのではないのか疑問を持っております。総理の本当のねらいは戦後民主政治の破壊と否定にあるのではないか、改革という言い分で実は戦前の国家観、そして歴史観に傾斜した復古調的新国家主義をねらっているのではないでしょうか。総理の政治姿勢をお伺いします。 総理は、大統領的首相を目指したいとも発言をされております。その意味するところは何でありましょうか。国会をバイパスのようにしてしまう政治をやりたいというのであればもはや論外ですが、もし総理の特権の拡大によるリーダーシップにあるとすれば、その発揮の仕方こそ問われなければなりません。さらに大統領的首相を望むには何よりもトップ自身の見識が必要ですが、昨年国内であれほど強い反対を押し切って靖国神社に公式参拝をされた総理が、外国から批判をされたら、ことしは取りやめるとか、A級戦犯の合祀は知らなかったとか言うようでは、今なお風見鶏程度のものと言わなければなりません。 次に、藤尾前文相の発言の問題についてお尋ねをします。 日韓併合は韓国側にも責任がある、東京裁判は戦勝国の一方的言い分で正当性がないなど、数々の放言をした藤尾前文相が罷免されました。罷免は当然ですが、その理由は日韓外相会議や総理の訪韓予定の障害除去のためですか、それとも発言内容が歴史的事実を歪曲しているためですか。いわゆる藤尾発言の中で見逃せないのは、米国の占領政策を唯々諾々と戦後民主主義体制などと受け入れていることが間違いで、これを正すことが保守党政治の使命であるとの主張です。この主張は総理の戦後政治の総決算の脈絡上のものであり、藤尾罷免は総理の変節と糾弾されている点であります。藤尾主張と総理の戦後政治の総決算の違う点を明らかにされたいのであります。こうして見ると、実は藤尾放言こそ、自民党の本音と言うべきではありませんか。総理の確たる答弁を求めます。 次に、政治倫理問題について質問をします。 総理、今国民は何よりも清潔な政治を求めております。ロッキード事件発生以来十年が経過しましたが、この間、政界浄化、政治倫理確立への努力がなされたでしょうか。政府・自民党の汚職体質はとどまるところを知りません。撚糸工連事件を初め、平和相互不正融資事件、マルコス不正蓄財問題、国際協力事業団汚職事件など多くの疑惑を呼んでいます。とりわけ対外経済援助問題は、さきの通常国会で特別委員会を設け、疑惑解明や資料の提出を求めたにもかかわらず、真相究明を恐れる政府の非協力な態度によって挫折を余儀なくされましたが、最近の国際協力事業団の汚職摘発は我が党の指摘が正しかったことを立証しております。この際、政治倫理特別委員会を設置することを提案し、総裁としての所信を承りたいと存じます。 次に、外交・防衛について質問をします。 米ソ軍縮交渉で最大の対立点となっているのはレーガン大統領のSDI構想であります。政府がこれに参加を決定したことは極めて重大であります。これは日本がレーガン大統領の対ソ戦略で最も重大な宇宙戦略に加担することであります。米国のSDI構想とは、軍拡競争に拍車をかけ軍事力の宇宙への拡大をもたらすものであります。しかるに、総理の所信表明においては、これは核兵器を廃絶するためのものと言われていますが、まずその根拠を明らかにしていただきたいと思います。 そもそも、政府、民間企業が宇宙の軍事利用に参加することは、我が国における開発利用を平和目的に限るとした昭和四十四年五月の国会決議をじゅうりんするものであり、この点からもSDIへの研究参加は直ちに撤回すべきものと考えるのであります。総理の明確な答弁をお伺いします。 「戦争は発明の母」とも言われてきました。しかし、戦後の日本は平和産業に徹し、民需中心に技術を開発し、経済を伸ばしてきたのであります。まさに世界の技術史上画期的な誇り得べきことであります。しかし、このSDI構想は軍事目的なのであります。そこには当然軍事機密があります。技術の公開はできません。また国家機密保護法の制定を要求されましょう。それはかえって日本の産業技術を閉鎖的にして、日本技術及び日本経済の進歩を阻害するおそれなしとしないのであります。これに対する総理の見解を求めます。 中曽根内閣は、昨年九月、総額十八兆四千億円の新中期防衛力整備計画を決め、軍拡暴走に対する歯どめのGNP一%枠を実質的に踏み越えたことはまことに遺憾であります。年々の予算編成において防衛費を異常に突出させ、軍事費総額では世界でも第八位、別の計算の仕方では、フランス、西ドイツを抜いて西側で第三位と言われております。また今年の防衛白書では、防衛計画大綱別表の改定の可能性を示唆しています。総理が真にGNP一%枠を守るのであれば、防衛費の伸び率をGNPの伸び率以下にとどめるべきでありますが、その意思があるのかどうか。また低成長経済と産業構造転換に迫い込まれた我が国で防衛産業への傾斜という事態をどのようにコントロールするのか、総理の確たる答弁を求めます。 ところで、先般、米国を訪問した防衛庁長官に対し、在日米軍に働く日本人の人件費など、いわゆる思いやり予算の増額要求が米側から要請されたと報じられ、長官は防衛予算の増額確保を約束したとも報じられていますが、交渉経過と内容を明らかにすべきです。防衛庁長官の確たる答弁を求めます。 次に、対ソ外交に関して質問します。 現在、日ソ間には領土問題を初め、経済、文化、科学技術、漁業などの多くの懸案があります。どれ一つとってみても、両国間の対話が進み、友好関係の確立が実現しなければ解決の難しいものばかりです。総理、あなたは日ソ関係改善のために積極的意欲を持っておられるのかどうか、お伺いをします。 また、シェワルナゼ外相の来日に続く安倍前外相の訪ソ、そして十一年ぶりの北方墓参の実現などは好ましいことです。そこで、総理は、日ソ関係改善のため、領土問題、首脳交流、シベリア開発などについてどのように考えているのか、見解をお伺いします。 次に、非核三原則、ニュージャージー寄港について伺います。 総理、あなたは所信表明の中で非核三原則を堅持すると表明しましたが、果たして本当かどうか、国民の大半は疑問に思っております。例えば、八月二十四日佐世保にアメリカの戦艦ニュージャージーを初め原子力巡洋艦が相次いで入港し、日本海、オホーツク周辺での対ソ核戦略の大演習が行われようとしています。このニュージャージーは浮かぶミサイル基地とも言われ、核弾頭装備可能なトマホークを搭載していることは明らかであります。総理、このニュージャージーの核持ち込みについて事前協議はあったのでしょうか。非核三原則は被爆国日本の国是でもあります。国民は我が国が核戦争に巻き込まれることに重大な危惧を抱いています。総理の明快な答弁を求めます。 次に、経済政策並びに円高対策について質問します。 我が国経済は、昨年九月のG5合意以来、急激な円高によって不況に落ち込んでおります。最近の決算状況は、輸出関連企業を中心に軒並み大幅な減益が余儀なくされ、設備投資の冷え込み、賃金の抑制、そして経済全体に停滞が拡大しています。特に中小企業を中心に企業倒産は毎月千五、六百件も発生しており、完全失業者は百六十万人台を数え、しかも円高不況の拡大で今後倒産や離職者がふえる危険があり、一部には失業率倍増の見方さえ出ています。現在の円高とそれに伴う被害を政府はどう是正しようとするのか、総理は有効な政策手段を示すべきではないでしょうか。また、これから深刻化する雇用問題にどう対応されるのかについてもはっきりさせなければなりません。 ところで、百五十円台の異常円高を米国から強要された原因は何ですか。答えは明白であります。中曽根内閣が内外に約束した内需主導の経済成長転換に失敗したからであります。六十一年度も八百億ドルにも達しようかという経常収支の黒字であります。何の落ち度もない国民や企業に一体いつまで円高の被害を押しつけ、政府の政策運営失敗のツケを国民に転嫁するつもりですか。こうした無策の政府に強い憤りを禁じ得ません。 私は、百四通常国会の予算審議の折に、与野党書記長・幹事長会談で合意をされた所得減税、住宅、教育減税、パート減税の年内実施、林業財源の確保、人事院勧告の完全実施、仲裁の早期解決、週休二日制の完全実施、住宅、介護施設、上下水道、学校、公園、歩く人や自転車のための生活道路など、五兆円規模の大型補正予算の提出を提言し、これらを内需拡大のてこにすべきと考えます。あわせて政府の補正予算の提出期限並びに内容、財源措置について総理の答弁を求めます。 また、円高による差益は経済全体で約十兆円、そのうち電力、ガスなどで国民に還元されたのがわずか一兆円程度にすぎません。そこで、第二段階の還元措置を断行すべきと考えますが、政府の業界指導や還元促進策の展望を明らかにしていただきたいと思います。 さらに、円高被害をこうむる中小企業に対しては、緊急融資の拡充強化、官公需の優先発注を初め、公共事業費の円高被害地域への重点配分などきめ細かい対策が必要ですが、これらについて総理並びに関係大臣の答弁を求めます。 なお、円レートの大幅上昇、原油価格の大幅低下という経済環境が大きく変わってきたにもかかわらず、なぜ政府は経済見通しを改定しないのか、この際あわせて御答弁をいただきたいと思います。 既に民間機関は、数次にわたる改定でその平均的な実質成長率は二・五%程度、注目される経常収支は八百億ドル前後で、いずれも政府当初見通しと大きく食い違っております。政府は、当初見通しどおり四%実質成長は可能だと考えられているのかどうか、また経常収支は五百十億ドルにおさまるというなら明確な根拠をお示し願いたい。さらに、大きく狂ってしまった経済見通しが、六十一年度の政府の経済運営の指針としての役割を果たせるかどうかについてもあわせて総理の答弁を求めます。 次に、財政、税制について質問します。 総理は、シャウプ税制のゆがみを是正したいと言われ、その際米国の税制改革も参考にしたいとのお考えのようであります。米国の改革案が一千億ドル、百五十円レート換算で十五兆円の所得減税を行い、その財源を各種租税特別措置の撤廃により法人税に同額の増税を求めた点、また付加価値税は弊害が多く増税となり、大きな政府に陥りやすいとして採用しなかった点など、その基本的考え方は我が国の税制改革でも採用すべきと考えます。総理並びに大蔵大臣の基本的態度を明確にしていただきたい。 加えて、総理は選挙中、国民が反対するような大型間接税は導入しないと繰り返し発言されております。したがって現在、政府税調が審議をしていることと伝えられる三案四方式の新型間接税はまさか採用されないと思いますが、総理の確たる答弁を求めます。 マル優などの少額貯蓄優遇制度の取り扱いでありますが、本年一月から本人確認方式による限度管理を始めたばかりであります。庶民のささやかな貯蓄に対する優遇制度を、財源あさりや一部金持ちの悪用に名をかりて廃止することにはあくまでも反対であります。 さらに、租税特別措置の見直し、株式売買、配当などの課税見直しを行い、資産優遇税制の抜本是正を図ることを強く要求いたします。 今後の財政運営について、本年六月の行革審の最終答申は、政府に臨時緊急の対応を要請しております。また、経構研報告を発表した前川座長は建設国債発行を示唆しており、財政運営の軌道修正のおぜん立ては整ったのではありませんか。総理並びに大蔵大臣の見解を伺いたいのであります。 次に、国債問題についてお伺いをいたします。 財政再建目標の六十五年度赤字国債発行ゼロは既に破綻をしております。今後は税制改革とリンクさせて、財源的な裏づけのある財政再建計画に組みかえ、財政再建期間は実現可能な長期的なものにして再提出すべきと考えますが、いかがでしょうか。 宮澤蔵相は来年度から国債償還の全額借りかえ構想を打ち出しましたが、このことは国債信用維持のための減債基金制度を崩壊させるものではありませんか。大蔵大臣の明確な答弁を求めます。 次に、国鉄問題について質問します。 国鉄改革の重要性は我が党としても同一の認識であり、しかるがゆえに前通常国会では、政府の分割・民営化の諸法案に対し、全国ネットワークを保持する一体体制の堅持、ローカル線の維持、国民参加の民主的な経営体制、雇用の安定などを柱とする具体案をまとめ、国会に提出したのであります。今国民はこうした具体的な法案がどのような形で決着を見るか注目をしております。政府は一度廃案になったものを何ら修正することなく再提出をしました。国民生活に広く関連し、また相当なる国民負担の避けられない再建策であればこそ、国民大多数の合意形成が不可欠であると考えます。それだけに政府は、野党の意見も十分に取り入れるべきと考えますが、硬直した姿勢を改め、もう一度真剣に考慮する余地はないのか、改めて再検討を要求するものであります。 また、国鉄の職場は今激しく揺れ動いています。政府の方針を受けて、分割・民営化は既に決定したかのごとく、国鉄の管理者は厳しい労務管理政策を次々と打ち出しています。そのために全国の職場で不信と動揺が広がり、その内容はますます深刻となっており、今や放置できない状態になっています。したがって、こうした事態を改善するには、まず政府みずからが関係労働者の雇用不安を解決する責任を果たすべきであるし、そのためには、我が党が主張するように、新事業体が一括して雇用を確保し、しかる後に緩やかに適正な要員規模に移行することこそが最も賢明なやり方であると思うのでありますが、政府はなぜこの措置をとろうとしないのか、重ねて質問いたします。 次に、教育問題についてお伺いをいたします。 政府の既成事実優先のやり方は、教育改革でも臨教審第一次答申の六年制中等学校に続き、昭和六十二年度概算要求で、本年六月の第二次答申の初任者研修の予算が計上されていることは極めて問題であります。 六年制中等学校はエリート校づくりになるのではないか、初任者研修制度は国定教師づくりになるのではないかとの強い批判が出されております。このような国民合意を欠く答申を国会審議もないまま既成事実化していくことは、絶対にこれは許されません。 今求められているのは、点数序列主義の教育を改め、一人一人に伸び伸びとした行き届いた教育を保障するための政策の実行です。そのためには、国民共通の願いである落ちこぼしをなくす教育内容の精選、学級規模の縮小、受験地獄の解消、学歴社会の是正などの措置が図られなければなりません。言われるように、高等学校の進学率は九四%を超え準義務化しているのに、競争は一層激化しています。受験競争の重圧がいじめや校内暴力の背景になっていることは指摘するまでもありません。ところが、臨教審は高校入試について一言も触れていないことは一体どうしたことでしょうか。私は、準義務化している高校の入試をやめ、希望者全入に思い切って踏み切るべき時期だと考えますが、いかがですか。総理及び文部大臣の所信をただしたいと思います。 次に、農業、食糧問題についてお伺いをします。 総理は、よく農業は国のもとなりと言うが、我が国の農業は十数年にわたる減反政策と農畜産物の生産抑制と価格据え置きのため、今農業生産者は農業の将来に希望を持てないでいます。しかも、年々食糧の輸入が増加し、我が国の食糧自給率は先進工業国の中でも最低で、一億二千万人の日本国民のうち約八千万人の食糧を外国に依存しているのです。国民に食糧を安定供給するためにも食糧の自給率向上は最重要課題です。総理並びに関係大臣の御所見をお伺いします。 農産物の自由化の圧力の中で、今地域特産物である雑豆、でん粉、バター、チーズなど十二品目を初め、新たにアメリカの精米業者団体から米の自由化が迫られています。我が国の農業と食糧の安全確保のためにも、これらの農産物の輸入拡大、自由化は認めることはできません。総理並びに関係大臣、食管制度の堅持を含めて確たる答弁を求めます。 次に、石炭政策についてお伺いをします。 我が国は資源小国であり、国家百年の計を樹立して確固たるエネルギー政策を確立することが不可欠であります。経済合理性主義で山がつぶされ、地域社会が崩壊することになれば、まさに政治不在であると言わなければなりません。これは総理の私的諮問機関である経構研の報告書が原因であります。すなわち、「国際的に調和のとれた産業構造への転換」の項で、石炭産業のみを名指して、石炭の大幅縮減による方向の見直しを明らかにしたのであります。この基本政策を改めることが必要であると思います。 さらに、鉄鋼業界が原料炭価格の三分の一、つまり八千五百円しか支払わないという実力行使に出たため、各炭鉱は現実に資金繰りもできず、九、十月分の賃金の支払いのめどが立っておらず倒産必至の情勢にあります。この情勢下において、総理は石炭産業に対しいかなる考えを持っているのか、お伺いします。 第一に、現在深刻な経営危機に直面している石炭各社に対し、当面、緊急融資、貯炭融資などの助成を行うべきであります。 第二に、国内石炭資源の合理的活用のため、最大限現有炭鉱を維持存続して雇用と産炭地域社会を守るべきであります。 第三に、国内炭維持のため、需要、価格及び政府援助の確立がその要件であるので、これが対策をすべきであります。 第四に、今日、西ドイツの炭鉱は我が国と同じ自由企業体制でありますが、内外炭格差を調整するために、鉄鋼向けの原料炭に対しては公的負担を、電力用炭に対してはコールペニヒ方式を採用しておりますが、我が国においてもこのような国の政策をとるべきであります。これに対し総理の考え方をお伺いをします。今こそ石炭政策が急務であり、山の灯を消してはなりません。強く政府の決断を切望します。 次に、動燃事業団が北海道幌延町に計画している放射性廃棄物の貯蔵工学センター建設構想の調査強行について質問します。 まず第一に、昭和五十九年三月より衆参の科学技術委員会、エネルギー特別委員会においてこの問題をしばしば取り上げて論議をされたそのときに、元竹内科学技術庁長官並びに動燃事業団前吉田理事長も、原子力基本法の自主、民主、公開の三原則を守り、知事並びに近隣市町村など地元の理解と協力を得られない限り、事前調査といえども見切り発車はしないとの公言をしたのであります。その後、道・横路知事より再三反対表明がなされており、近隣市町村の多くも反対もしくは慎重論であります。各新聞社の世論調査でも圧倒的に反対の道民世論が強いにもかかわらず、八月三十日午前四時二十分、警察権力に守られて調査再開を強行したことは道民を愚弄するものであり、国会内外の公言に対する背信行為であります。このような暴挙は断じて許すことはできません。この動燃の態度について政府の責任ある答弁を求めます。 第二に、調査強行のさなかである八月三十日以来、現地幌延で三十数回にわたる群発地震が発生しており、過去にも十年おきに連続して起きております。このような場所が貯蔵施設の適地とは絶対に言えません。したがって、現在行われているボーリング調査作業を直ちに中止すべきであります。これに対する政府の態度の表明を求めます。 第三には、高レベル廃棄物の放射能は半減期が二万年を超えると言われており、したがって子々孫々に至るまでの生命の安全を考えるべきであります。そのためにもアメリカの一九八三年に制定された高レベル放射性廃棄物政策法には九点にもわたる安全性の基準が定められております。 これに対し、我が国は何の安全性に関する基準の定めもなく、地元の町長が手を挙げたから調査、誘致をするとの考えは全く非科学的であり、非民主的ではありませんか。したがって、国の内外においていまだ安全性が確立されていない本計画について慎重の上にも慎重を期し、この際、一切の調査は中止すべきであります。政府の確たる答弁を求めます。 私は、以上をもって質問を終わるのでありますが、最後に、今日の総理にぜひ玩味していただきたい先哲の言葉を申し述べたいと思うのであります。 中国の五経の一つである礼記という書物に「傲りは長ずべからず、権勢はほしいままにすべからず」とあります。傲慢な態度、おごりの心を増長してはいけない、権勢欲を抑制しないと必ず道を誤り、身を誤るの戒めであります。私は、あえて先哲の言葉を申し上げて、質問を終わる次第であります。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 対馬議員にお答えをいたします。 ただいまの先哲の言葉はありがたく玩味服膺いたします。 まず、選挙の結果自民党が大勝して国会運営をどうするかという御質問でございますが、協調と競争という原理によりまして円満なる国会運営を心がけたいと思います。昨日も申し上げたのでございますが、政策の質は必ずしも数に正比例しない、そういう点も考えます。そして、ひたすら公約実行に邁進してまいりたいと思います。謙虚な態度をとりまして、国民の皆様の声や野党の皆さんの声にもよく耳を傾けまして、正しい立派なものについてはどんどん採用さしていただきたい、そのように考えております。 次に、戦後政治の総決算に関する御質問でございますが、私は、歴史というものは常に成長し、発展し、とどまるところを知らない、常にこれを見直して、そうして次の時代に向かっていく準備をすることが我々の責任であると思います。そういう意味におきまして、過去四十年の日本の政治、経済等につきまして、これを点検し、オーバーホールをする、そうして未来へ向かってたくましく改革を進めていく、こういう考えに立ちまして戦後政治の総決算と申し上げた次第でございます。 いわゆる大統領的首相という御質問でございますが、現在は、大衆民主制の時代であり、高度情報化の日本になっております。したがいまして、国民の皆さんの御要望に対しては、的確に、迅速に対応する必要があり、場合によっては先手を打つ必要があるのであります。言いかえれば、テンポとリズムが政治に必要とされておるのであります。 そういう面と、現在の日本国憲法は戦前の大日本帝国憲法とは非常に違っております。言いかえれば、戦前のものは英国的ないわゆる議院内閣制、しかも首相の地位はプリマス・インターパレス、同輩中の首席、そういう立場でございました。今日の日本国憲法は、アメリカの憲法とイギリスの憲法をその長所を混合してできておりまして、むしろアメリカに近い性格を持っております。例えば大臣に対する任命、罷免権を総理大臣が持っておる、あるいは閣議については内閣の統一を保持して、これを主宰して指導していく、あるいはさらに最高裁判所の判事については閣議でこれを指名する。そういうような考えもありまして、場合によっては閣僚の行政行為については差しとめ権すら持っておるわけであります。これらは戦前の内閣総理大臣と極めて違うポジションを現行日本国憲法は与えているのでありまして、このような意味におきまして、昔のままの総理大臣の仕事が続いていると思ったら時代に合いません。私は、このような意味で、大衆民主主義時代にふさわしい、先手を打った、そしてテンポとリズムの合った政治を心がけておるので、これを大統領的首相と仮に言っておりまするが、それは大衆的民主主義という時代の政治であると御理解願いたいと思うのであります。 藤尾文相の発言の問題でございますが、個人的発言と言ってはおりますが、国務大臣の発言というものは国際的にも影響力の大きいものであります。内容を分析しますと、部分的に妥当を欠くものがありまして、日本の立場に対して重大なる疑惑を外国に与えるおそれがありました。私はこの事態を重大かつ厳粛に受けとめまして、あのような措置をとらざるを得なかったのでございます。 もとより、国家については主権、独立の擁護、内政不干渉の擁護、そういう大事なこともあり、それは十分心得ておるところでございますが、国際関係におきましては一方通行、独善は無用であります。やはり国際的に通用する通念というものに従って政策というものは行われなければならない。こういう考えに立ちまして、藤尾発言というものは遺憾の点がありましたから率直に認めたわけであります。アメリカの民主主義を見ておりまして、アメリカの議会においては行き過ぎもありますけれども、やはり注目すべきは抑制力、反省力をまた十分持っておるという点であります。自分で間違っているとか悪いと思ったところは率直に認めることが民主主義の強靱さを示すものである、独善とか独断というものは禁物である、そう私は考えております。我々は今まで一貫した近隣諸国との友好関係をさらに強化すべく努力してまいるつもりであります。 さきの戦争についての侵略戦争という認識の問題でございますが、私は昨年の十月二十九日の衆議院予算委員会において次のように答弁しております。 私は、いわゆる太平洋戦争、大東亜戦争とも言っておりますが、これはやるべからざる戦争であり間違った戦争である、そういうことを申しております。また、中国に対しては侵略の事実もあったということも言うております。これは変わっておりません。 こう申し上げておるのであります。 日本と中国との関係を見ますというと、戦争前の状態、いわゆる日中戦争という問題を見ますというと、その底流には、明治の初めに西欧列強が中国に利権を要求してさまざまな利権を獲得した。アジアにおける日本が、中国の領土保全を行うべき、協力すべき立場にあるのが、西欧的な列強の立場に紛れ込んでやったという面もなきにしもあらずであると思うのであります。そうして、例えば二十一カ条の要求であるとか、あるいは張作霖の爆殺事件であるとか、あるいは満州事変の発端となった柳条溝の爆破であるとか、こういうような一連のことをずっと反省してみる必要があるのです。歴史の事象というものはその時点、その時点に顕微鏡を当てて見るということでは正当な判断はならない。例えば華北のいろんな問題につきましても、冀察政権ができたとか、梅津・何応欽協定ができたとか、その部分に焦点を当てれば、これは両方の合意だという理屈も成り立ちましょう。しかし、そういうものができた背景、歴史の底流、それに対する中国民族の反感や大きな民族的エネルギーの触発という面を考えてみる必要があり、反省もしてみる必要があるのであります。 あの事件等を見るというと、過剰防衛の気味はなかったか、中央政府は不拡大方針を唱えたけれども、現地軍がどんどんどんどん過剰防衛という関係から拡大していった結果が起きた、そういうこともやはりあったのではないかと反省せざるを得ない。そういう意味において私は申し上げておるのであります。 国際的な問題に対する歴史的判断というものは、やはり国際的に通用する通念に従って考え、そして政策を行う、最初から申し上げておるとおりであります。先ほど申し上げているように、民主主義の強靱さというものは反省力と抑制力にある、その点を我々としては肝に銘じて考えておく必要がある、そのように考えておるものであります。 次に、藤尾発言と私の戦後政治の総決算との差はどこにあるかという質問でございますが、私はただいま申し上げたような考えを一貫して考えておりまして、やはり日本の過去の行為というものについては謙虚に反省していかなければならぬし、将来に向かっては建設的に前進していかなければならない、そう考えております。藤尾発言の中には一部に国際的にも通用しない個人的独断があるのでありまして、私の考えとは違うのであります。 次に、政治倫理の問題でございますが、既に政治倫理審査会がありまして、行為規範も一体としてできておるわけでございますから、その機関を援用すれば十分であると考えております。 SDIの問題等につきましては、これはレーガン大統領から直接私は聞いたところでありますが、今までのような核兵器による攻撃的兵器体系から防御による非核の兵器体系に移って核兵器を廃絶しよう、そういう理念に満ちた新しい戦略兵器体系の研究に入るということであり、私はその説明を受けてこれを理解したということであります。その後三回にわたりまして調査団を派遣して、その内容についても詰めてみたところでございます。 一番大きな問題は、国会決議に違反するかどうかという問題でございますが、これは十分調査をいたしました結果、国会決議の解釈は国会が有権的に行うものでありますが、政府といたしましてもいろいろ研究した結果、国会決議には違反しない、国会決議の趣旨は、これは日本が主体的に行ういわゆるロケットやあるいは宇宙空間に上げる物体に関する行為に関するものであって、外国が主体となってやるものについて一部部分的に研究参加をするということは国会決議には反しない、そういうふうに解釈して、これが交渉をアメリカとの間に開始しよう、そういうものでございます。 次に、技術進歩を阻害しはしないかというお考えでございますが、必ずしもそのように考えてはおりません。アポロ計画というもの、月に至るあのアポロ計画というものがアメリカの技術を相当前進させました。このSDIについてもそういう可能性は非常にあるのでございまして、これらの先端技術の面について我が国もこれに参加するということは裨益するところ大になる。また、そのためにも対米交渉を行いまして、それらのリターンについて、研究成果の還元について我々も十分先方の合意を得るように努力してみたいと思っておるわけであります。 防衛費とGNPの関係でございますが、この点につきましては、憲法にのっとり、非核三原則を守り、専守防衛という立場に立って必要最小限の経費を今までも掲げてきたわけであります。政府は防衛計画の大綱に定める防衛力の水準達成を図ることを目標としておりますが、他の諸政策とのバランスも考えるという立場を持っております。昭和五十一年の三木内閣の閣議決定を尊重して守りたいという考えは変わっておりません。 防衛産業と産業構造転換の問題でございますが、現在日本の防衛費約三兆三千億円、その程度のものというものは三百数十兆に及ぶGNPからしますればそれほど大きな金額ではない。それで正面装備の費用はその防衛費の中の約二五%であります。そして、前年から続いている予算外国庫負担契約を入れましても、大体防衛の兵器関係の発注というのは一兆二千億円程度でございます。三百二、三十兆という大きなGNPからしますれば、この比率は外国と比べて決して大きいものではないのであります。しかし、いわゆる軍需産業というものが政治と密着してくるというようなことは厳に避けなければならないので、この点については我々も戒心してまいります。 日ソ関係の諸問題については、ゴルバチョフ書記長の明年一月末までの訪日を強く要請しておるところでございます。所信表明で申し述べましたように、ゴルバチョフ書記長の訪日の際には、いわゆる北方領土問題に関する我が方の不退転の決意を申し述べて、そしてこれを解決して平和条約を結ぼうという基本的態度をもって一貫してまいりたいと思います。我が方はいわゆる政経分離という考えはとりません。しかし、こういう基本的問題を解決しつつ日ソ間に幅広い対話あるいは交渉、そういう余地を持っていくということは、現在の世界状況、国際状況から見ても大事な点である、そう考えておるところでございます。しかし、いわゆる経済協力、シベリア開発等々の問題については、これはみんなケース・バイ・ケースで我々はこれを評価し検討してまいりたいと考えております。 戦艦ニュージャージーと非核三原則の問題については、この点については非核三原則を堅持すると申してありまして、先般、倉成外務大臣はマンスフィールド大使と会いまして、この非核三原則を確認したということを御報告申し上げる次第であります。 次に、円高に伴う対策の問題でございますが、最近の情勢等にかんがみまして、来る十九日に経済対策閣僚会議を開いて思い切った経済対策を出したいと思っております。限りなく四%に近づける努力を我々は続けてまいりたい、このように申し上げます。具体的には公共投資等の追加、住宅投資の促進、規制緩和、インセンティブの付与等による民活の推進、中小企業対策、円高等による差益の還元、雇用対策、こういう問題について重点を入れる考えであります。 事業の規模につきましては、現在各省庁でいろいろ最後の詰めを行っておるところでございまして、官房長官も政治討論会等において、事業量において三兆以上と、そういうことを申し上げて努力している最中でございます。 減税の問題につきましては、三月四日の与野党幹事長・書記長会談の合意事項については、これを尊重し、各党間の協議の推移を見守るつもりでございます。なお、所得税そのほかの税制の大改革につきましては、現在政府税調において最終的な検討を行っており、この包括的な答申を得てこれを検討し、実行してまいるつもりであります。 人事院勧告につきましては、給与関係閣僚会議において、人事院勧告制度尊重の基本精神に立って、これまでの給与改定の経緯等を踏まえて国政全般との関連を考慮して検討を進めておるところであります。 仲裁裁定につきましても、その実施が予算上可能であるとは断定できないとして国会に付議したものであり、政府としては国会の御判断をまつべき立場にあります。 円高差益の還元につきましても、四月八日の総合経済対策、五月三十日の当面の経済対策、二次にわたる対策の中でもこの還元を強く実行しております。さらに今後におきましても、公共料金あるいは国民生活に密着した消費財等については円高の効果が的確に出るように、情報の供給あるいは監視の強化、これらを進めてまいりたいと思います。 中小企業対策につきましても、一部の輸出産業あるいは城下町企業と言われるところ等につきまして、あるいは造船であるとか、あるいは石炭地域であるとか、そのように不況地域が強く出ております。これらにつきましては、低利貸し付けあるいは信用補完の特例措置等既往の中小企業調整対策の拡充を行うとともに、そのような地域についても、公共投資面の配慮も行いまして、総合的な支援策を講じてまいりたいと思っております。 見通しにつきましては、四%成長を実現すべく今後も努力していくということでございます。 新型間接税について、私は大型間接税について次のように申し上げてあります。選挙において、国民が反対し、党員も反対するような大型間接税と称するものはやる考えはありませんと申し上げておる。これは今日においても確認し、選挙を終わりましてから、大蔵省を通じて税調に対して私の考えは一応お伝えしておるところであります。税調の答申を待っておるというところであります。 利子配当課税等々の問題でございますが、これらにつきましても税調において鋭意検討しておるところであります。私は、選挙中におきましても、いわゆるマル優制度につきましては、老人であるとかあるいは未亡人家庭であるとか、そういう社会の弱者については十分配慮しなければならないと申し上げておるところであります。 財政改革路線につきましては、あくまで臨調路線に従いまして、行財政改革の基本路線はこれを堅持してまいりたいと思っております。いわゆる経構研報告においても、財政改革の基本路線を維持すべきと、そのように示しておるところでございます。 六十五年度赤字公債依存体質からの脱却、これもこの旗をおろさないで最後まで努力すべきであると考えております。毎年度の予算編成過程において検討すべきことでございますが、これらのたびごとに我々はその努力を続けてまいりたいと考えておるところであります。 国鉄の改革法案につきましては、この方法以外に国鉄を再建する道はないと確信して提出しておるところでございます。社会党の考え方も拝見いたしましたが、どうもあの考え方では、いわゆる親方日の丸主義とか赤字の垂れ流しとか、そういうものは解消しないのではないか、そういうように考えておるところであります。 国鉄職員の雇用問題につきましては、これは我々としては全力を振るって、心配をかけないように今努力しておるところでございます。新会社へは最小限の必要職員を引き継がせて、残る職員は清算事業団において雇用機会の確保、再就職の援助、各種の対策を講じて、三年以内に計画的に全員の再就職を図る考えであります。六万一千人の数が出ておるのでございますが、現在はたしか五万七千人ぐらいまでめどがつきつつある、こういう状況でございます。 六年制中等学校、初任者研修制度等につきましては、臨教審の第一次答申を受けまして、その具体化のために文部省の教育課程審議会において現在検討中でございます。今後、都道府県関係者の意向も十分配慮しつつ適切に対処したいと思います。初任者研修制度は、採用後の新任教員に対して充実した指導を行い、実践的指導力と使命感を養おう、そういう考えで教育職員養成審議会において今具体策を検討中でございます。 高校の全入に対しましては、社会党かねがねの御主張であることはよく理解しておりますが、効果的な教育を施す、そういう意味において入学者の選抜は必要ではないかと考えております。ただし、選抜方法の改善については、都道府県等ともよく相談して改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 食糧自給率の向上の問題は、食糧は国民の基礎的な物資でありまして、安定供給と安全保障の確保は国政の重要課題でございます。国会の食糧自給力強化に関する決議の趣旨も踏まえまして、食糧自給の維持強化を基本とする考えでおります。その際、農業をめぐる厳しい状況にかんがみまして、国際競争力をできるだけ速やかに付与する、農民自体の努力も必要である、そうして農業の体質強化、改善、そういう意味において農政の改革という点も前進していく必要があると考えておるのであります。 農産物十二品目の問題でございますが、これは去る七月のガット理事会において、米国は十月に行われる次回のガット理事会において多国間協議の場を設置するよう要請してきております。我が国は、二国間でこれは円満な解決を図ることが適当であるというところで引き続いて努力しておるところでございます。 米の自由化の問題等でございますが、米の問題というのは、言いかえれば貿易制度はガット上認められておる国家貿易制度であります。そういう意味からも、本問題については米国側が慎重に対応されるものと確信しておるわけであり、我々もその意見を伝えておるところでございます。国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹作物である米については、生産性の向上と構造改善とを図りながら、国会における御決議を尊重し、できるだけ自給の線で努力してまいりたい。また、食管制度については、米を政府が責任を持って管理することにより、生産者に対してその再生産を確保する、消費者に対しては安定的にその供給責任を果たす、この制度の基本は今後とも堅持する考えでおります。 次に、経構研報告との関係でございますが、国際協調のための経済構造調整研究会は、近年の国際経済の要請にかんがみまして適切な意見を我々のところへ提出し、今検討もしておるところです。その中に石炭政策についても触れている部分がございますが、石炭政策についても産業構造の転換と積極的産業調整の推進の一環として取り上げられたものと理解しております。第八次石炭政策については、これらの報告も参考としつつ、現在石炭鉱業審議会において検討中であり、この答申を踏まえて処置してまいりたい。いずれにせよ、石炭産業の問題は、雇用問題のみならず、その地域の町全体ぐるみの大きな社会問題を内包しておる問題であります。そういう意味において政府も慎重に対処していくべきであると考えております。 各企業の資金繰りの問題でございますが、これは石炭企業そのものの会社あるいは関係会社の支援を得て自己努力で対処すべきが原則である、そう考えております。 なお、現有炭鉱の維持存続の問題等につきましては、石炭鉱業審議会において検討中であり、先ほど申し上げたとおりであります。 さらに、需要、価格及び政府援助の問題でございますが、基準炭価制度のあり方、政府の助成制度のあり方を含め、現在審議会において検討中なのであります。これらの答申を得て考えてまいりたいと思う次第でございます。 西ドイツの制度との比較でございますが、国内炭のエネルギーの国内産業全般に及ぼす影響、あるいはエネルギー供給源としての比率等を見ますと、西ドイツとは全くウエートが違うのであります。いずれにしても、第八次石炭政策の一環としてこの審議会において検討中でありますので、その答申を待って処置いたします。 次に、北海道における貯蔵工学センターの立地の問題でございますが、地元の御理解を得まして速やかにこれを進めることが適当であると考えております。現在の調査は立地に先立つ調査でありまして、貯蔵工学センターに対する地元の疑問や不安にこたえるために、また工学センターの立地の適否の判断に資するためにその調査を行っております。昨年十一月、調査に直接関係する地元関係者、言いかえれば町及び地権者の理解の得られた範囲内で動燃に調査を実施させることとしたものであります。先般再開した現地調査も従来の方針と何ら変わるものではございません。今後とも地元の皆さんの御理解を得る努力をいたしたいと思います。 あの幌延町というところの地震の問題でございますが、あそこは割合に大きな地震の少ない場所であると承知しております。今回の群発地震も、耐震設計により十分対応できるような小規模のものと聞いており、調査をやめる考えはありません。 工学センターの安全性の問題につきましては、再処理工場から発生する高レベル放射性廃棄物対策は原子力政策上の重要課題であると考えております。この対策を進めていく上で貯蔵工学センターは重要なプロジェクトになっておるのであります。その安全性については既に諸外国においても実績があり、我が国においても研究開発の成果が得られておりまして、十分見通しと確信を持っておるものであります。今後とも安全性の確保に万全を期し、地元の御理解を得べく努力してまいりたいと思います。 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手) 〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 私に対する御質問は、在日米軍に働く日本人の人件費等、いわゆる思いやり予算についてアメリカの方から要請があり、私がそれについて増額を約束したと、こういう御質問でございますが、さような事実はございません。 確かにアメリカの方から、労務費を含めました在日米軍の駐留経費について日本側の一層の支援充実を期待する旨の発言はございました。これに対して私の方は、アメリカの方の事情はよくわかるけれども、これはどこまでも日本側の自主的な判断で、できる範囲内で最善を尽くす、そういう旨を答えたわけでございます。いずれにいたしましても、今回の日米防衛首脳会談というものは、お互いの意見を交換し合うというところに意義がございまして、特定の約束はしておりませんので御了承いただきたいと思います。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理がお答えになられましたので、二点だけ答弁を申し上げます。 まず、補正予算の関連でございますが、先ほど総理から申し上げましたように、今週中に総合経済対策を決定いたしたいと考えておりますが、それを踏まえまして、その他幾つかの要素を加えまして補正予算の編成を考えてみたいと思っておるわけでございます。 ただ、現実に予算編成の作業に入りますのには幾つか見きわめたい要素がございまして、例えば災害でございます。十月のある時点までは災害発生状況を見ておく必要があると思いますし、それから、できれば法人の九月期決算がどんなことであるかということもある程度知りたい、これは歳入に関係があることでございます。それから、御承知のように、NTTの株式を売却することをお認め願っておるわけでありますが、その値つけという作業がございまして、これも十月のある段階になろうかと思います。したがいまして、そのような歳入歳出の両側の事情がございますので、十月中旬に予算編成の作業に入りまして、下旬には、十月中には準備を完了いたしたい、そういう目標でやらしていただきたいと思っております。 そこで、財源の問題もお尋ねがございましたがただいま申し上げましたような幾つかの要素はかなり振れが大きいことがあると思われますので、それらを見ながら財源につきまして最終的に決断をしてまいりたいと思っておるわけでございます。 もう一つお尋ねがございましたのは、国債の全額借りかえについてでございます。 政府が現在発行しております国債につきまして六十年で完済をする。したがって、六十分の一ずついわゆる現金償還をしておるということは、国債発行が乱に流れませんような、いわゆる政府みずからが課した歯どめでございます。それは十分に意義のあることでございます。私がかつて問題を提起いたしましたのは、他方で現在のように特例公債を多額に発行しているときには、現金償還と申しても、経済的な効果がいわば右から左へ行くということになりはしないかという問題提起をいたしたわけであります。殊に、最近のように現金償還分が二兆円というような大台になりますと、それはかなり大きな金額でございますから、その辺、何か工夫はないものかという問題提起をかつていたしました。しかし、今御指摘になりましたように、この問題は確かに我が国の減債制度の根本にかかわる問題でございます。したがいまして、来年度予算の歳出歳入状況も見きわめながら、国会並びに各方面の御意見をよく承りまして年末まで慎重に検討をいたしてまいりたい、こう考えております。(拍手) 〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 教育問題に関しまして五点のお尋ねがございました。そのうち初任者研修の問題なりあるいは六年制中等学校、あるいは高校の全入に対する要請等につきましては総理から御説明ございましたので省略さしていただきまして、私から、落ちこぼれをなくするための御質問並びに高校入試の問題についてお答え申し上げたいと存じます。 御承知のように、落ちこぼれをなくすために、ただ点数制に走るだけではなく、一人一人をきめ細かく教育していくということは教育の本質であろうと思うのでございます。こういう教育を進めるためにも教師の努力を一層促すとともに、教育方法やあるいは高等学校への入学者選抜方法の改善、こういうものに一層の改善努力していく必要があることは当然でございまして、これは進めてまいりたいと思っております。 また、そういう問題に関しまして、教育課程審議会におきましてその基礎的また基本的となるものを徹底していくようにいたしたいということと、それから教育内容の検討をこういう教育課程審議会において十分改善していただくようにお願いをいたし、教育の体制整備を整えていきたいと思っておる次第であります。 それから、高校の進学率が非常に高くなった、いわば準義務化しておるにかかわらず、教育臨調においては高校入試について一言も触れておらないではないかという御質問でございました。 第二次答申のところにこういうふうに書いてございまして、「審議会の主要課題のうち、まだ十分な審議を尽くすことができなかったもの」は下のとおりであると言って列挙しておるのであります。その中に「高等学校入学者選抜方法」ということが書いてございます。確かにまだ十分な議論はされておりませんが、なお臨教審におきましてこの問題をさらに一層掘り下げて検討していくということでございますので、私たちはその成果を踏まえてその改善に努力いたしたいと思っておる次第でございます。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣加藤六月君登壇、拍手〕
○国務大臣(加藤六月君) 大部分総理からお答え申し上げたところでございますが、三点についてお答え申し上げたいと思います。 まず、食糧の自給率向上問題でございます。 食糧の安定供給と安全保障を確保することは、国政の基本とも言うべき重要課題でございます。このため、農政の展開に当たっては、国会の食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえ、生産性の向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うことを基本として、総合的な食糧自給力の維持強化に努めてまいる所存であります。 具体的には、需要の動向に応じた農業生産の再編成、技術、経営能力にすぐれた中核農家や生産組織の育成確保、優良農用地の確保と農業生産基盤の計画的整備、農業技術の開発普及等々、各般の施策の充実を図ってまいる所存でございます。 次に、いわゆる日米間の十二品目問題でございますが、昨年十二月以降、現実的な解決策を見出すべく米国と折衝を重ねてきたところでありますが、去る七月十五日のガット理事会において、米国から本件に関し次回のガット理事会、十月九日の予定でございますが、においてガット二十三条二項に基づき多国間協議の場、いわゆるパネルでありますが、を設置するよう要請があったところでございます。我が国は、基本的には二国間で円満な解決を図るべきであるとの立場を引き続き主張しているところであり、今後とも我が国農業に不測の悪影響を及ぼさないよう適切に対処してまいる所存であります。 さらに、米の問題についてお答えいたします。 米は日本国民の主食であり、我が国農業の基幹をなすものであります。また、水田稲作は国土や自然環境の保全上不可欠の役割を果たしているのみならず、我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついております。このように重要な作物である米について、生産調整を実施する中で生産性の向上に努めながら、国内で必要とされているものについては全量を国内生産により供給することとして国民生活の安定を図っていく考えであります。 米国に対しては、これまで種々の機会をとらえましてこのような米の重要性等について理解を求めてきたところであり、また、日本の米の貿易制度はガット上認められた国家貿易制度であることから、本問題について米国政府が慎重に対処されるものと確信しております。 最後に、食糧管理制度については、今後とも事情の変化に即応して必要な運営面での改善を図りつつ、米を政府が責任を持って管理することにより、生産者に対してはその再生産を確保し、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすという制度の基本は維持してまいりたいと考えております。 以上でございます。(拍手) ─────────────
○議長(藤田正明君) 中村太郎君。 〔中村太郎君登壇、拍手〕
○中村太郎君 私は、自由民主党を代表して、当面する内外の重要課題について総理ほか関係閣僚に若干の質問をいたします。 さきの衆参同日選挙における国民の厳粛な審判は、我が党に衆議院三百四議席、参議院七十四議席という結党以来の信任をいただきました。 総理は、五十七年秋政権を担当されて以来今日まで、この転換期の厳しい内外環境の中で持ち前のバイタリティーで政治運営を図られてきたことは、さすが仕事師内閣として、国内はもとより諸外国にも高く評価されてきたところであります。中でも、旧来の制度、仕組みを新しい視点から抜本的に見直そうとする戦後政治の総決算は、時代を先取りした政治選択として多くの国民から期待されていたところであります。これまで各般の行財政改革を断行し、これから核心とも言える国鉄改革、教育改革、税制改革にいよいよ本格的に取り組むさなかに行われました先般の選挙は、まさしく中曽根内閣の大命題とも言うべき戦後政治の総決算路線が問われたものであります。そこで国民が出した答えは、この中曽根路線の継続であることを我々は素直に認むべきであります。 任期問題は、党内的にはあのような形でまとめられましたが、国民の多くの声、真の声は、中曽根内閣の長期続投にあると私は思います。中曽根総理には、これらの声にこたえて懸案課題の総仕上げを果たすこと、それが国民が与えた勝利に報いる責務ではないでしょうか。もちろん、数におごらず、謙虚に政治運営を図ることは当然のことながら、それとあわせて目的貫徹のためには、自信を持ってリーダーシップを発揮願いたいのであります。総理、いわば国民から託されたこの重い責任を今後いかように果たす所存でありましょうか、まず所見を求めるものであります。 次に、これから改革路線を進めるに当たっての決意のほどは先般の所信表明で伺っておりますけれども、確認の意味で具体的に順次お尋ねをしてまいります。 第一は、行政改革の問題であります。 去る六月十日、臨時行政改革推進審議会は、今後における行財政改革の基本方向を答申してその任を終え、六月二十七日に解散をいたしました。この五年有余、第二臨調、行革審の答申、意見を我が党は政府と一体となって尊重し、これまで行政機関の整理合理化、国家公務員数の縮減、電電・専売公社の民営化、年金・医療保険制度の改革など、着実に実施して見るべき成果を上げてきたところであります。 しかしながら、今期国会が国鉄国会と言われますように、なかんずく最大のものが残されておりますほか、中央、地方の行政の役割の見直し、市場開放や民間活力のための規制の緩和、財政再建等、なお多くの課題が積み残されておりまして、行政改革いまだ道半ば、むしろ正念場はこれからと思います。改めて総理の決意を伺います。 我が国が二十一世紀へ向かって一層の発展のためには、行政改革は息の長い国民的課題であります。その観点から、ポスト行革審については幸い政府においても設置の方向で検討されているようですけれども、その組織、権能についてお考えがあればお伺いをいたしたいと存じます。 続いて、国鉄改革であります。 昨年七月、国鉄再建監理委員会は二年有余に及ぶ慎重審議を行って、分割・民営化の改革意見を提出しました。これを受けた国鉄改革のための関連八法案は、改めて今期国会に再提出されましたが、来年四月に新会社が無事スタートするには速やかな法案成立が求められています。まず、これに取り組む決意を改めて総理に伺っておきます。 そこで、国鉄改革に当たって解決すべき大きな問題は、申すまでもなく、長期債務の処理と余剰人員対策であります。これまでの処理状況はいかがになっておりましょうか。また今回の改革が国民の貴重な共有財産である土地の処分を伴うだけに、いささかなりとも疑惑が生ぜぬよう慎重な配慮を講ずべきと確信をいたします。運輸大臣の答弁を求めます。 次は、財政改革の問題であります。 「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に基づき、これまで緊縮財政堅持の財政再建路線を走っておる我が国財政は、このところ対外経済不均衡や景気振興の見地から、円高対策、内需拡大対策等、さらには社会資本充実のため積極的な財政を求める声が高まり、財政政策のあり方をめぐって議論が二分をされております。 我が国財政は、あの石油ショックによる財政拡張政策のツケで、今日国債残高は実に百四十三兆円、利払いのための国債費は十一兆三千億円、予算の二割強を占めておりまして、なおかつ国債費の定率繰り入れは四年連続のストップ、国債償還財源は底をつくありさまであります。 こうした財政事情の中にあっても財政再建は着々進んでおります。一般歳出は四年連続対前年度以下に抑制、公債依存度は約二〇%へと半減し、さらには補助金等の見直しも行われ、成果も上がっております。今ここで大量の建設国債の増発を行うことは、せっかくの財政再建に水を差し、今までの苦心が水泡に帰することになるという意見もあります。 そこで、第一義的には、金融政策、規制緩和、減税、財政投融資、地方債、地方単独事業、円高メリットの還元などの措置で、知恵を働かせて景気の浮揚、刺激を図ることが肝要であります。しかし私は、この際このとき、国債増発も緊急避難としてやむを得ないと考えておりますけれども、今後とも財政再建の主軸だけは堅持すべきであります。この点、総理及び大蔵大臣の決意を伺います。 次に、税制問題であります。 戦後税制に大きな役割を果たしてきたシャウプ税制から三十六年を経過いたしましたが、この間、産業・就業構造は大きく変化し、人口の高齢化が進む中で、税制をめぐる諸条件にゆがみ、ひずみが生じ、我が国は諸外国に比べて税負担が低いにもかかわらず、不満感、重圧感が充満していることを踏まえ、とりあえずこの四月には、負担の軽減合理化の見地から、所得課税、法人課税に対する改革方針を決定し、選挙戦に臨んだのであります。 こうした減税と財源を分離したやり方に対しまして、さきの同日選挙では、減税財源をめぐる問題が焦点となり、選挙後に大増税を意図しているのではないかとか、大型間接税の導入やマル優の撤廃に踏み切るのではないかというような批判が出てまいりましたが、総理はこれを明確に否定されております。 一方、政府税調においては、総理発言にかかわりなく、新しいタイプの間接税あるいはマル優の一律分離課税方式など、議論が進んでおるようであります。また、小倉税調会長も、減税財源は新型間接税導入とマル優廃止によって確保すると発言しておるわけでございます。こうした動きを一体どう受けとめればよいのでしょうか。先ほど総理は、既に大蔵省、税調にもその意を伝えてあるということでありますけれども、その辺が疑心を生むゆえんでございまして、一体、総理は選挙中の発言と全く変わりがないのか、改めてお伺いをいたす次第であります。 いずれにしましても、今回の税制改革でやるべきことは、不公平税制をなくすことであり、アメリカの所得税のようにわかりやすい税制にすべきであります。今、税調では、先ほど申した論議のほかに、キャピタルゲイン課税、相続税問題なども取り上げておりますけれども、今後の税制改正の基本的な方向、増減税の規模、実施時期など全体像はどういうものを描いているのでしょうか。 以上の問題について、総理大臣、大蔵大臣の所見を承りたいと思います。 次に、教育改革について伺います。 戦後教育から四十年を経過した今日、偏差値重視の過熱化した受験競争や学校教育の画一化など、教育のあり方が問い直されておりますほか、いじめ、青少年非行、校内暴力などの現象が出て、学校教育はまさに荒廃しておると言われております。こうした背景を踏まえ、一昨年八月、臨時教育審議会が設置され、以来今日までの精力的な審議で二次にわたる答申が提出され、この九月からは、来年春の最終答申に向け本格的な審議が始められているようであります。問題は、せっかく内閣レベルで設置したこの審議会の成果がどのように取り上げられ、教育現場に反映してどのような効果を生むかということであります。総理は、これまでの答申をどう受けとめ、具体的にどのような優先順位で教育改革を推進されるのか、決意のほどをお伺いいたしたいのであります。 教育問題で特に私が重視いたしたいのは、徳育の充実であります。戦後教育は、子供たちが伸び伸びと育った反面、子供たちの自主性、自発性を尊重する余り、しつけや道徳教育がなおざりにされていなかったでしょうか。また知的教育に比重がかかり過ぎ、勉強さえできればしつけなど後回しでもいいという傾向はなかったでしょうか。今、我々は、戦後教育の転換点に立って改めて考えたとき、物質的な豊かさは満たされたにもかかわらず、心の問題をどこかに置き忘れてきたことに気づかなければなりません。その原因は、人間形成の基礎を確立する幼児期から少年期までの最も大切な時期に的確なしつけが行われなかったからであり、同時に、道徳教育を軽視する風潮もこのような子供たちの状況を生み出す一因になったことは否めないと思います。 しつけや道徳教育は、人間が人間として成長するために必要不可欠なものであります。今こそ心豊かな人間を育成し、国際社会において尊敬される日本人となるためには、道徳教育が充実されなければならないと考えます。臨時教育審議会の第二次答申において「徳育の充実」を掲げておりますが、政府として、しつけや道徳教育についてどのように考えているのか、またその充実のためにいかに努力していくのか、総理の所見を伺いたいのであります。 ここで、参議院の選挙制度、なかんずく比例代表制の問題について述べたいと思います。 旧全国区制は、金がかかる、肉体的に大変である、百人前後の候補者から一人を選び出すことは困難であるとして、五十八年より個人名投票から政党・団体名投票へと変わり、既に二回の選挙を終えました。その結果、人により受けとめ方の相違はありましょうが、制度的な問題点として挙げられることは、現実の政党政治は肯定するとしても、衆議院に先んじて制度としての政党投票は、良識の府、参議院としては問題がある、名簿団体の資格要件を満たすために、東京、大阪などの選挙区で候補者の乱立を招いている、名簿候補者の順位はつけにくい、当選後の離党、解党の問題、比例候補者個人の選挙運動ができない、個人としての活動、運動の成果がわからないというような問題があります。 我々は、参議院が二院制の一翼として、抑制と補完の真価を発揮しているかどうかの原点に立って、比例代表のあり方について必要に応じ再検討いたす所存ではありますけれども、この制度の導入は自民党の議員立法で成立した経緯もありますので、この際、本件について与党総裁としての受けとめ方をお伺いしたいのであります。また、衆議院の定数問題とともに内閣の選挙制度審議会に諮問するお考えがあるかどうか、所見を伺っておきたいのであります。 次に、外交問題であります。 この二十日には、総理は二度目の韓国訪問に出発されますが、どうか最近における指紋押捺問題、皇太子殿下御夫妻の訪韓延期、教科書問題等々生じた時期だけに、日韓関係の友好と信頼の一層の強化に御尽力いただきたいと存じます。まず抱負を伺います。 今日、世界の平和にとって最も関心のある問題は米ソ首脳会談の行方であります。ソ連は、世界戦略としての平和攻勢を続けておりますが、中でも核実験停止などの呼びかけをアメリカがいかに対応するかは今後の推移にまつこととしても、我が国としては、あらゆる機会をとらえて核軍縮を中心とする軍縮の促進に今後とも一層貢献すべきであります。米ソ首脳会談の見通しをどのように受けとめておられましょうか。 いよいよ来春には日ソ首脳会談の実現が期待されております。本年一月、八年ぶりに日ソ外相間定期協議が開催され、その後、安倍外相の訪ソ、ゴルバチョフ書記長との会談があり、両国間は貿易支払い協定、租税条約、文化協定、北方墓参などの面で進展が見られましたことは評価すべきことであります。残る最大の課題は、申すまでもなく北方領土の問題であります。この問題の解決なくして日ソ平和条約の締結はあり得ません。この点を堂々と粘り強く主張されたいのであります。また、総理の訪ソについては、北方領土の返還に何らかの進展のめどがあって初めてそれが行われるべきであると思いますけれども、いかがでございましょうか。 この際、関連して米国の戦略防衛構想、SDIについて伺います。 政府は、慎重に検討の結果、去る九日、我が国がこれの研究に参加する方針を決定されました。私どもといたしましては、次の理由により、これを歓迎し評価いたすものであります。すなわち、西側の一員として関係国間との緊密な協調が図られ、西側全体の抑止力の強化に役立つ。日米安保条約の効率的、効果的運用が図られる。SDIは非核であり、攻撃兵器は含まず、防御目的のものであり、究極的には核兵器の廃絶を目指すものであります。民間企業の参加により、先端の科学技術開発を国際協力で進めることとなり、我が国の関連技術水準の向上に寄与する等であります。 そこで、今後の問題点は、研究成果の帰属がどうなるかということであります。研究成果が使えなくなるのではないか等の不安もありますので、参加の枠組みの取り決めに当たっては、国益を十分踏まえ、慎重に交渉をされたいのであります。以上の点について総理の所見を承りたいのであります。 次は、防衛問題であります。 まず、航空自衛隊機による事故が続発していることはまことに遺憾であります。基地周辺住民の不安はもとより、自衛隊に対する不信につながるだけに、速やかに事故原因を徹底的に究明し、二度とかかることのないよう万全の対策を講ずることを強く要請しておきます。 そこで、防衛費の対GNP比一%枠問題について伺っておきます。 六十一年度の防衛費は三兆三千四百三十五億円、GNP一%とのすき間は〇・〇〇七%、金額にして二百三十五億円であり、もし仮に今回の人事院勧告が完全に実施されますると、三百三十三億円の財源を必要とし、一%枠突破の声が挙がっております。しかし一方、最近における急激な円高や原油安に伴い、かなりの節約、不用額が出て、一%以内におさまることを確実視する向きもあります。この問題は、当初予算、補正予算ごとに毎年問題となりますので、この際一言申し上げます。 そもそも、政府は、五十一年十一月、当面の防衛費をGNPの一%とする閣議決定を行っておりますが、この「当面」とは何ら固定的な期限を予定したものではありません。経済状況等、内外情勢の変化に伴い必要に応じ見直されてしかるべきものであります。この決定の前提となった五十年代前期経済計画では、経済成長率は名目で年平均一三・三%を予定していますが、昨今は五%強であります。また、当時はデタント時代でありましたが、今日は、ソ連の一貫した軍事力の増大により、国際軍事情勢の厳しさは著しく増大をしております。また、国際国家日本に対する防衛上の期待は高まっています。我々は、我が国の平和と安全はみずからの手で守る気概のもと、西側の一員として国際的にふさわしい役割をまず果たすべきであります。そのためには、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準を速やかに達成させなければなりません。その結果、防衛費が一%を超えてもやむを得ない。私は、初めに一%ありきといった、何ら合理的論拠を持たない不毛の論議はもうこの辺で願い下げにいたしたいというのが率直な気持ちであります。そのためには、政府は毅然たる態度で一%枠を撤廃すべきであります。ただ、際限なく膨張することのないよう、一%にかわる歯どめとして、例えば一%程度というようなことはどうでしょうか。総理、防衛庁長官の見解を伺います。 関連して、当面の問題である米軍家族用の池子住宅の建設、さらには米空母艦載機の三宅島夜間離着陸訓練場建設問題について伺います。 両件とも、日米安保条約に基づき米軍に施設を提供することは我が国の義務であり、日米の協力関係の一層の維持強化のため早急に解決すべき重要課題であります。政府は、今後とも関係地方公共団体及び住民の理解、協力が得られるよう最大限の努力を傾注してこれに取り組むべきであります。今後どのように対処されますか、方針について伺います。 次は、高齢化社会への対応であります。 今、我が国は世界一の長寿国でありますが、今後とも人口構成は急速に高齢化し、二十一世紀の初めにはこれまでどこの国も経験しない高齢化社会に突入いたします。申すまでもなく、高齢化社会の問題は、老人問題だけでなく福祉、雇用、住宅など各般にまたがるだけに総合的な対応が求められるところであります。これを踏まえ、今般、政府では長寿社会対策大綱を決定されたほか、我が参議院においても、国民生活・経済に関する調査特別委員会が高齢化社会に向かっての提言を行っていることは極めて時宜を得た措置であります。そこで、政府は長寿社会対策大綱の具体的な実施スケジュールをどう考えているのでしょうか。 特に私が訴えたいのは、高齢者の将来の不安を解消し、医学、科学技術の粋を集めて老人病を克服していただきたいのであります。すなわち、お年寄りは、この先医療はどうなるであろうか、あるいは年金はパンクしないであろうか、長生きをしても仕事がない等々の将来に対する不安を持っておりますので、政府は高齢化社会の準備のための長期計画を策定して、将来の姿を的確に描くことにより不安や暗いイメージを払拭すべきであります。 また、総理はがん対策に全力を尽くすと申されていますが、昨今の科学技術の進歩の中にあって、長寿化、高齢化に関する分野への対応がおくれています。老年病の治療と予防、高齢者と介護者を支援するシステムの開発、老化機構の解明等々に人材と資金を思い切って投入するとともに、社会科学も含めた学際的な調査研究機関が必要であると考えます。あわせて、政府は今期国会に老人保健法改正案を提出しておりますけれども、これはまさしく将来の高齢化社会への対応の第一歩でありますだけに、その速やかな成立が求められております。これらの問題について、総理大臣及び厚生大臣の決意を伺いたいのであります。 次に、当面の最大課題であります円高、内需拡大、中小企業対策についてお伺いします。 昨年秋以降の急激な円高は輸出産地を直撃し、中でも輸出関連中小企業は新規成約の大幅な減少、資金繰りの悪化、下請単価の切り下げなどで経営は危機的な状態に陥りました。これらを踏まえ、我が党政府では、本年二月、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を成立させ、従前の特別融資制度の拡充やこれまでの二回にわたる総合経済対策の実施によりかなりの成果が上がっておりますものの、産地域下町等においては今なお深刻な状態にありますので、特定地域の中小企業に対し超低利の特別融資制度の創設や無担保枠の拡大、さらには新分野開拓のため三〇%の特別償却による企業誘致税制等を柱とした予算、財政、税制などの総合的な特定地域中小企業対策臨時措置法の制定が望まれておりますけれども、政府の対応はいかがでございましょうか。 円レートは、昨年九月の五カ国蔵相会議以降急速に高騰して、現在は五〇%高の水準、百五十円台に達しております。当時のドル高を国際協調政策で是正を図るはずのものが、実は円がねらい撃ちに遭ったわけでありまして、円の独歩高の状態では懸案のアメリカの貿易赤字の縮小は期待できないのは当然であると私は思います。私は、今の円高は経済のファンダメンタルズの優劣比較によって定まったものではなくて、国際商品化した通貨に対して各国金利差を求めた投機的介在がそうした状況をもたらしていると考えます。 そこで、こういう投機的な介在に対しましては、制度的に何らかの措置を講じて投機を抑制する方法はないものでしょうか。円高対策で一番望まれるのは、まず円の行き過ぎを抑えることであり、いわゆる為替レートを適正水準に戻し、安定させることにあるものと思いますけれども、それに向かっての為替政策の対応を伺いたいと思います。 今、世界は、変動相場による各種の弊害が出ておりますほか、世界一の対外債権国である我が国にとって、債務累積問題は今後の成り行きいかんによっては大問題になりかねません。大蔵大臣は、今月末、IMF・世銀総会に出席されますけれども、これらの問題を踏まえ、日本として同総会で通貨改革に積極的な役割を果たすべきだと思います。国際通貨の安定のための処方せんをお示しいただきたいのであります。 一方、大幅な円高にかかわらず差益還元はまだ不十分であります。五〇%の円高で卸売物価の下落率は三〇%と波及効果が大きく見えますけれども、小売価格として消費者に届く際は平均して数%の還元にすぎません。政府の一層の円高差益還元対策を要請するわけでありますけれども、還元がなかなか困難である原因の一つには、我が国独特の複雑な流通経路の問題があります。この簡素化、透明化を早急に図るべきことが先決であります。せめて流通業界を輸出業界のように世界一の効率部門に育成するぐらいの気迫が必要と思いますけれども、政府の対応を伺います。 八月二十六日に経企庁は三年ぶりに景気後退宣言を発表しましたが、いずれにしても、景気に対する政府の円高、原油安メリットの分析は甘過ぎたのではないかと思わざるを得ません。政府としては、景気てこ入れのために、この十九日に三兆円以上と言われる事業規模の総合経済対策を発表されるそうでありますけれども、その骨格を示されたいことと、あわせてそれによる景気浮揚効果をどう期待しているのか、わけても波及効果、速効性の高い公共投資は内需対策の柱であると思いますので、その投資の規模及び財源についてお伺いをしておきます。あわせて、地域経済への影響を考慮して公共事業の傾斜配分を行うことを要請しておく次第であります。 次いで、内需拡大の一方の旗頭は住宅建設の促進であります。それには土地問題の解決が不可欠であります。国民は良質の住宅宅地を強く求めておりますけれども、大都市圏では土地需給が逼迫し、天井知らずの高値で全く手が出ません。市街化区域内農地の長期営農継続農地の認定率は、東京圏が八四%、大阪圏が九〇%に達しており、都市近郊農地の宅地並み課税が全く形骸化して、地価高騰をにらんだ遊休土地の保有を許している状況であります。住宅建設を促進するためには、宅地並み課税を是正して土地供給を推進するとともに、住宅金融の拡充や住宅促進税制を行うことが必要であります。あわせて建築基準法、都市計画法を見直し、抜本的な規制緩和が必要であると思いますけれども、いかがでございましょうか。 さらに、国際協調の見地、実質金利の高水準からして、公定歩合の引き下げをいま一度行うべきだという意見が強うございます。これをどう受けとめておられますか。特に先般、ベーカー財務長官と大蔵大臣との会見で、アメリカ側より金利引き下げについて強い要請があったと聞いておりますけれども、仮にこの要請を受ける場合は、当然ながら為替相場への協調介入の合意が前提にならなければならないと思いますけれども、大蔵大臣、いかがでございましょうか。 最後は、経済摩擦問題であります。 貿易不均衡の是正には中長期的に産業構造の転換が必要であることは論をまちません。総理はみずから経済構造調整推進本部の本部長に就任いたしましたが、今後どのような方途、手段で輸出指向型から内需指向型の産業構造へ転換していくのか。また、前川レポートに基礎を置く経済構造調整のための行動計画策定の具体的なスケジュールをお示しいただきたいのであります。その際、アメリカが財政赤字削減に奏功し、輸入依存体質から脱皮できるよう、日米双方の歯車がかみ合うよう研究していただきたいのであります。 日米経済摩擦にとって焦眉の課題は農産物交渉であります。先ほどもお話がありましたけれども、十一月の米中間選挙を前にしまして再び火を噴くことが想定されますが、我が国とアメリカとの農産物協定は去る四月二十二日に期限が切れ、先般、落花生など輸入制限十二品目についてガットのパネル設置の要請が行われ、市場開放の圧力が高まっております。 申すまでもなく、我が国は世界主要穀物の貿易量の一割強を輸入する世界最大の農産物輸入国であり、また世界のいずれの国においても農産物の輸入制限や自国農業の保護措置がとられております。我が国としては、この十二品目は我が国農業及び地域経済にとって極めて重要な農産物であり、これまでも厳しい農業事情のもと、部分自由化、輸入枠拡大等、最大限の努力を払ってきたところでありますので、我が国の立場を十分踏まえて毅然たる態度で交渉されたいのであります。政府はこの提訴にどう対応されますか。 さらに大事なことは、全米精米業界協会が日本の米輸入制限撤廃を求めて米通商代表部に提訴したことであります。元来、食管制度による米の輸入制限は国の食糧自給の見地からガットの上でも認められているものであり、さらにガットに加盟した際も以前からの保護措置として存続が確認されていたはずであります。それだけに今回の措置は全く理不尽な要求でありまして、我々としては断固反対するものであります。これからポスト三期対策により日本全域において大がかりな転作の実施が行われるというこのときに、たとえアメリカ側にいろいろな事情があるとは申しながら、かかることがまかり通れば我が国農政は根幹より崩壊せざるを得ないのであります。政府は事態の推移をどう見通し、今後どう対処するのか、決意をお伺いをいたしたいのであります。 以上をもって私の質問を終わりますが、どうか国民にわかりやすく御答弁を願えれば幸いであります。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 中村議員にお答えをいたします。 広範な御質問でございますので要点を申し述べまして、詳細は関係大臣に譲りたいと思います。 まず、先般の選挙の結果に対していかに責任を果たすかという御質問でございますが、国民の皆様方から圧倒的に寄せられた御信任に対しては誠意を持っておこたえしなければならないとかたく肝に銘じております。そのためには公約を全面的に実行する必要がございます。全党の御協力をいただきまして謙虚に、また野党とも十分対話を通じましてこの公約を実行してまいりたいと考えております。 行革に対しましては、いろいろ国会でも御協力をいただきましたが、今や胸突き八丁に来ていると思います。行革審も最終答申におきまして、まだ道半ばにあると示されておりますが、今後行うべき諸般の問題については勇敢に断行してまいります。国鉄改革の推進、それから行革審最終答申の着実な具体化、地方行革の推進等々大事な問題も残っておりまして、これらにつきましても御協力を仰ぎたいと思います。 いわゆるポスト行革審の問題につきましては、行革審最終答申におきましてもその設置の必要を強調されております。政府といたしましても、国民の御協力のもとに強力に推進するために新たな審議機関の設置が必要であると考えておりまして、早急に成案を得てこれが推進をいたしたいと思っております。 国鉄改革につきましては、既に法案を提出しておりますが、来年四月一日に間に合うように今国会におきまして慎重に御審議の上法案の成立を速やかにお願いいたしたいと思っております。 財政改革につきましても、今までの努力を水泡に帰さしめないというために臨調答申の線を堅持する必要があります。ただ、景気の動向等に応じては臨時緊急措置というものも認められておりますが、これは臨時緊急措置として考えるべきものでありまして、政府の方針は一貫して臨調答申を堅持する、そういう基本的立場でやっていきたいと思っております。補正予算の財源等については、今歳出歳入両面を見きわめつつ検討しておる最中でございます。 税調の問題でございますが、私は選挙中におきまして幾つかの私の考えを申し述べましたが、それらにつきましては大蔵省を通じて税調の皆さんにも申し伝えてあり、参考にしていただくべくやっておるところでございます。今後そのような考えが税調の御参考になることを期待しており、税調の包括的答申を待ちまして法案の整備に努めたいと考えております。 税制改正の全体像等につきましては、今まで所得税、法人税等に対する中間的な報告がございました。今包括的な内容について検討を開始しているところでございますが、言いかえればレベニューニュートラルと申しておりますが、歳出歳入が均衡するような形で考えている。それからできるだけ簡素化をする。私は五つの原則を申し述べておりますが、特にそれらの中におきましても、公平化あるいは重税感の解放、そういうような点が強調さるべきであると考えております。 内容につきましては、税調の答申を見まして検討してまいりたいと思いますが、特にサラリーマンの減税について大きな関心を持っておりまして、できるだけこれをフラット化する。よく三百万とか四百万から八百万、九百万に至るサラリーマンが非常に重税感にあえいでいるということが言われておりまして、この点については我々も細心の注意をしなければならぬと思っております。それらの方々に対しては、できるだけ税制を平らにいたしまして、刻みを少なくして、そして月給が上がっても税はふえない、ある段階に至るまでは同じ税金でいくと、そういうような形で、重税感からの解放という点も考えてまいりたいと思っておるところでございます。 なお、家庭婦人に対する内助の功と言われるものに対するいわゆる特別措置とか、あるいはサラリーマンに対する必要経費を選択的に認めるとか、こういう点は中間答申にございますが、最終答申を得た段階において我々も重大なる考慮をして実行していきたいと考えておるところでございます。 教育改革の推進につきましては、これからの日本にとって一番大事な点は、私は教育の問題があると思っております。これらにつきましては、特に強調されておりますように、道徳教育あるいはしつけ教育という点が重視さるべきである。それから入学試験問題についての不合理な点を是正する必要がある。それらがいじめや、あるいは突っ張りというようなことを解消する道にも通ずるところであると考えております。道徳教育やしつけ教育の問題につきましては、今後とも力を入れて、人間の生きている基本の型を小さな子供に早いうちに徹底的に教えるということを考えてまいりたいと思っております。 参議院の選挙制度につきましてはいろいろの御議論がございました。現在のいわゆる比例代表制という問題についても御議論がございますが、これは全国区制が抱えていた種々の問題点を解消するために参議院の皆さんの英知で改正されたものであると考えております。もし検討する必要があるとすれば、これは各党の合意のもとにこれを検討するという必要があると思いまして、政党間の基本的ルールの問題でございますから、各党の動向を注視してまいりたいと思っております。 日韓関係の基本方針につきましては、先ほど来申し上げましたところでございますが、近隣諸国との外交関係の友好を強化していくということは基本方針でございまして、韓国は我が国にとりましては最も大事な国の一つであり、友好協力関係をさらに増進してまいりたいと思っております。 米ソ首脳会談につきましては、ゴルバチョフ書記長もレーガン大統領も、個人的にはぜひ二人で首脳会談を行いたいという強い熱望を持っていると私は想像いたしております。ただ、これにつきましてはいろいろ準備段階を必要とするので、今その準備段階の作業が進められつつあると思いますが、私は、できるだけ確実に首脳会談を実現せしめまして、世界の平和、軍縮の促進等につきましても前進が行われるように強く期待し、側面的にも協力してまいりたいと思っておるところでございます。 日ソの問題につきましては、近く国連総会におきまして倉成外務大臣とシェワルナゼ外務大臣が会見をいたす予定でございますが、その会見のときにでき得べくんばゴルバチョフ書記長の訪日の時期を明示してもらいたい。つまり準備に相当の時間がかかるわけであります。両方の共同声明を出すとか、あるいはどういうアイテムを交渉や討議の対象にするとか、そういういろいろな問題についてもやはりある程度のしっかりとした準備をやる必要があります。そういう意味におきまして、一月においでになるということがもし万一実現するとすれば、もう時期をある程度明示する段階に来ていると思っておるのです。そういう意味において、私は、前向きの熱意を持っているがゆえに、でき得べくんば外相会談において明示されることを強く期待しておるものであります。 SDIの問題については、先ほど来申し上げたところでございますが、我が方はレーガン大統領に対して五原則を申し入れており、承認を得ておるわけであります。言いかえれば、一方的な対ソ優位を求めるものでないとか、あるいは世界的な安全保障、抑止の力につながるものであるとか、ABM条約の枠内においてこれを行うものであるとか、あるいは同盟国との協議、あるいは配備に先行するソ連との協議というようなことであるとか、あるいは大型の弾頭の核兵器を大幅削減するということにつながらなければならないとか、そういうような軍縮に向けての我々の五つのポイントを述べており、レーガン大統領もそれを承認しているところであります。その線に沿いましてこれが行われ、かつ日本が参加するという場合におきましては、参加の効果、日本に対するいわゆるリターンというものも我々としては適正に行わるべきものであり、アメリカと合意を得べく努力してまいりたいと考えておるところであります。 次に、一%にかわる歯どめの問題でございますが、これはGNPがどう動くか、あるいは例えば人事院勧告をどういうふうにこれを実行するか、さまざまなファクターがございます。そういう意味において確たることをまだ申し上げる段階ではございません。いずれにせよ、三木内閣の閣議決定は尊重し守りたいと申し上げているとおりでございます。 長者社会のスケジュールにつきましては、先般これが大綱を決定いたしました。これに基づきましてこれを誠実に一つ一つ実行してまいりたいと思います。施策の状況については関係閣僚会議においてフォローアップいたしてまいりたいと思っております。 地域中小企業対策、これは円高不況の状況から見まして急を要する対策でございまして、輸出産業あるいはいわゆる産地における企業城下町等の地域問題については大いに心を痛めておるところでございます。低利融資の制度であるとか、あるいはそのほかの総合的な支援策を強化してまいりたいと思っておるところでございます。 さらに、円高差益の還元につきましては、二次にわたる対策を通じましてこれを強く実行しておるところでございますが、特に公共料金であるとか消費財等につきましてはさらに可能性を見出すべく努力してまいり、また監視と情報の提供ということをさらに精力的に行ってまいりたいと思います。 総合経済対策につきましては、来る十九日に経済対策閣僚会議を開いて思い切った内容を決めたいと思いますが、できるだけ四%成長に近づけるべく事業量を広げていきたいと考えております。具体的には、公共投資の追加、住宅投資の促進、規制緩和あるいはインセンティブの付与等による民間活力の増進、中小企業対策、円高等による差益の還元、雇用対策、こういう点を注目して強化してまいりたいと思います。 農地の宅地並み課税の強化という問題は、税制というものは土地政策において有効な補完的な力を持っているものと思っております。昭和五十七年度において市街化区域農地の宅地並み課税を含めて土地税制全般の長期的、安定的な税制を確立する改正を行いました。この農地の宅地並み課税等につきましては、対象農地が漸次減少する等、それなりの効果を上げておりますが、今後もこれらの効果を検討いたしまして、税制全般について今税制調査会の答申を待っておるところでございます。 住宅金融の拡充等についても、住宅金融公庫の融資制度の拡充改善に努めてまいります。 住宅減税につきましては、六十一年度において千三百億円に及ぶ住宅取得促進減税を実行いたしました。さらにまた、五月の与野党政調・政審会長会談を踏まえて、住宅取得促進税制等の追加拡充措置も講じたところであり、なお現在の税調の審議を見守っておる、こういうところでございます。 規制緩和の問題につきましても、強力にこれを推進すべく今、金丸無任所大臣のところで取りまとめを急いでおるところでございます。都市計画等を中心にして地価の騰貴を防ぐという意味もありまして、これらは強力に進めてまいりたいと思います。特定街区、総合設計制度の基準の改正、市街化区域の設定、編入要件の改善等々を積極的に推進してまいります。 産業構造の転換につきましては、私が本部長になりまして、政府・与党経済構造調整推進本部を設けて強力にこれを進めて、国際的に調和のとれた経済構造に前進していきたいと考えております。この行動計画につきましては、経済構造調整推進要綱を五月一日に決定いたしまして、この要綱の線に沿いまして一つ一つ具体的に実行してまいるつもりでおります。 アメリカの財政赤字につきましては、アメリカ議会におきましてもグラム・ラドマン法等の制定等もありまして努力をしておるところであり、日米経済摩擦解消のためには、日本も努力をするが、アメリカ側も努力すべきものは努力すべきものでありまして、我々はつとにこれを言っているところであります。今後もその線に沿って努力をいたします。 十二品目の農産物交渉については、ガットの理事会において、十月に行われる次回のガット理事会において多国間協議の場、パネルを設置するようアメリカは要請しておりますが、我が国としては、これらは二国間において解決すべき問題であると今後も粘り強く努力してまいるつもりでおります。 米の輸入問題等につきましては、先ほど来申し上げましたように、食管制度の基本は維持する、そういう考えに立ちまして、農民及び消費者の双方の利益を守ってまいりたいと思うところでございます。しかし、最近の内外の情勢等を考えてみますと、農民自体も農業団体を含めて、自主的、積極的に改革への努力、生産性向上への努力を行わなければならない。そういうような考えに立ちまして、農林水産省から農業団体に対してもいろいろと協議、相談させてまいりたいと考えておるところであります。 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私から御答弁を申し上げる問題点は三点であります。 第一点は長期債務についてでありますが、去る一月二十八日の閣議におきまして長期債務の処理方針を決定いたしました。そのポイントは、用地売却の際のできるだけの上乗せ等によりまして最終的な債務をできるだけ金額的に圧縮する、そしてその圧縮をし、国鉄清算事業団において自主財源を充ててもなお残ります長期債務につきましては、最終的には国がその処理の責任を負う、そういう方針でありますけれども、今後この不動産の処分等を通じまして上乗せを図ってまいります、そのめどが正式につきますまで、実は新たな財源等につきましてまだここで確定のできる状況にはございません。 また、もう一点は余剰人員対策ということでございます。実は、私は余剰人員という言葉は大変好きではございません。ただ、国鉄が今後新たな姿を迎えていく過程において相当数の方に職場を去っていただかなければならないということは事実でございます。この方々に対する再就職の措置については大変大切な今後の課題と私どももとらえておりまして、このため、政府として、公的部門等の各分野における国鉄職員等の雇用の場をできるだけ確保する、また清算事業団に残ることになられた職員に対しましては教育訓練、職業指導、職業紹介など再就職の促進のための施策を進めることとし、そのための法律案を今国会に提案し、御審議をお願いいたしているところであります。 また、九月の十二日に各分野別に確保すべき再就職先の目標数を定めました国鉄等職員再就職計画を閣議決定いたしました。 この機会に、現況を簡単に御報告をさせていただきたいと思いますが、現在の時点で公的部門、また一般産業界、国鉄関連企業合わせまして約五万三千人について就職の見通しが立っております。しかし、これでは残念ながらまだ足りません。それだけに私どもとしては今後とも全力を挙げて雇用の場の拡大に努めるつもりであります。院におかれましても、こうした点についての御協力をぜひ賜りたい。お願いを申し上げます。 また、不動産の処分、用地の処分について疑惑を受けぬようにという御指摘でありますが、これはいやしくも後ろ指を指されることがないように、公正かつ適切に行われるべきは当然であります。そのため、今国会に提出をいたしております法律案でも、用地の処分に当たって公開競争入札を基本とさせていただく、また清算事業団に設置した資産処分審議会の意見を聞くという形で、世間から御批判を受けることのないように、公正かつ適正な時価でこれが処分されるように配慮をいたしております。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 為替関係の御質問につきましてお答えを申し上げます。 確かに御指摘になりましたように、昨今の為替が経常取引よりも資本取引によって、金利差等々を原因として大きく動いておるのではないかということは、事実に徴しまして御指摘のとおりであると思います。 ただそこで、それならば資本取引に何かの規制を設けることがいいか、あるいはおもしをつける方がいいかということになりますと、私はむしろ、それは入ることも出ることも自由であるという自由な方向に持っていく方が、長い目で見ますとよろしいのではないか、また我が国が国際的に約束しておりますこともそういう方向ではないかというふうに私自身は考えております。また、できるだけ現に自由化の方向に私どもの施策を着任以来も進めておるところでございます。 ちょうどニューヨークの合意がございましてから、ぼつぼつ一年になるわけでございますが、この一年を顧みまして、いわゆる変動相場というのは我が国にとって必ずしも満足に動いていないということは御指摘のとおりであると思います。がしかし、結局、最後のところは、東京サミットの声明にもございましたように、先進各国の間の政策のサーベーランス、そうして政策協調ということ、回り道のようでありましてもそれが一番大切だというふうに考えておるわけでございます。 それから、来るべき世銀・IMF総会等々におきまして、累積債務あるいは国際通貨の問題につきまして御指摘がございました。仰せられますように、第二の経済大国としての我が国にふさわしいような協調の姿勢で臨んでまいりたいと思います。 それから、公定歩合の問題につきまして、ベーカー・アメリカの財務長官から要請があったかということでございましたが、それはございませんでした。この問題につきましての御意見の御趣旨は十分に承りました。私といたしましては、この公定歩合の問題は日本銀行総裁の御判断に任せてよろしいことではないかというふうに考えております。(拍手) 〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 私に対する御質問は、航空機事故の問題、それから防衛費の問題、三宅、池子の問題だと考えます。 まず、航空機事故の問題でございますが、このところ航空自衛隊の事故が相次いでおりまして、全く残念であり、まことに申しわけなく存じております。防衛庁といたしましては、全庁的な立場から事故防止対策委員会を設けまして、鋭意原因を究明し、対応を今検討している最中でございますが、いずれにいたしましても、この問題は実動部隊の最高責任者であります私が身を持すること厳にしなきゃならない。全庁を引き締めて今後かようなことのないように努めてまいりたいと思います。 それから防衛費の問題でございますが、私は、基本的に防衛計画の大綱水準をできるだけ早く達成する、これが必要だと考えております。これと防衛費一%の問題につきましては総理の御答弁のとおりであります。 それから三宅と池子の問題でございますが、これは御指摘のとおり、日米安保という観点から見まして非常に大切な問題でございます。私どもといたしましても、誠心誠意関係者の御理解をいただき、そして地元の皆さんの御協力をいただきまして、早期にこれを実現させたいと思いますので、何とぞよろしく御支援、御鞭撻を賜りたいと思います。 以上でございます。(拍手) 〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
○国務大臣(斎藤十朗君) 私に対する御質問は三点であったと存じます。 まず、長寿社会への取り組みについてでありますが、来るべき長寿社会に備えて、国民生活の基盤となる社会保障について、国民に不安を抱かせることのないよう長期的展望に立った揺るぎない制度を構築していかなければならないことは、御指摘のとおりでございます。これまで医療、年金といった基盤的な制度について二十一世紀を見通した制度改革を行い、また今般、老人保健法の改正案を提出しているのも御指摘のような観点からでございます。同時に、寝たきり老人や痴呆性老人等に対するきめ細かな福祉政策を展開することは今後一層重要となることと考えており、これらの施策についても鋭意取り組んでまいる所存であります。今後とも長寿社会対策大綱に示された政策の基本方向を踏まえ、長期的な見通しに立って施策の具体化に努めてまいりたいと存じます。 老年病の治療と予防についてでありますが、長生きをしたいということは人類の永遠の夢でありましたが、しかし同時に、長寿を明るく健やかに全うできるようにすることが最も重要な問題であります。このため、老年病の治療と予防、介護者を支援する技術の開発など、今後とも引き続き幅広い分野にわたり御指摘のような総合的な研究開発を進めることが極めて重要であると認識いたしております。厚生省といたしましては、老人性痴呆症に対する研究を初め数々のプロジェクトを発足させ、その研究、検討を行ってまいりたいと考えておりますが、その中心ともなるべき長寿科学研究組織のあり方等について、有識者から成る検討委員会を今月中にも設けて御検討いただくことといたしております。 老人保健法についてでございます。 人口の高齢化が進む中で老人医療費の増加は避けられない状況であります。この老人医療費をいかに適正化し、また国民全体がいかに公平に負担していくかが緊急の課題であると考えております。今回の老人保健法の改正案は、このような課題にこたえ、老人保健制度の長期的な安定を図り、長寿社会においても安心して老後を託せる制度の確立を目指すものであります。関係各位の御理解をいただき、その速やかな成立をお願いいたす次第でございます。(拍手)
○議長(藤田正明君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。 ─────・─────
○議長(藤田正明君) 議院運営委員長から、参議院の組織及び運営の改革に関する協議会について発言を求められております。この際、発言を許します。議院運営委員長嶋崎均君。 〔嶋崎均君登壇、拍手〕
○嶋崎均君 参議院の組織及び運営の改革に関する協議会について御報告申し上げます。 参議院の組織及び運営の改革につきましては、昭和五十二年以降、歴代議長のもとに改革に関する協議会を設置し、協議を重ねた結果、さきの国会における本院独自の調査会の設置など幾多の成果を上げてまいりました。 しかるところ、通常選挙後、院の構成が改まりましたこの機会に、かねてからの論議を踏まえ、また国民の関心にこたえて、参議院のあり方など基本的な問題にいかに取り組むべきか等について議院運営委員会理事会において検討してまいりました結果、本日の議院運営委員会において、議院運営委員長及び各会派から推薦された二十名以内の議員をもって組織する参議院の組織及び運営の改革に関する協議会を改めて設置することに決定いたしました。 以上、御報告いたしますとともに、本院が良識の府として真に国民の期待にこたえるため、本協議会が所期の成果を上げることができますよう各位の御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○議長(藤田正明君) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十分散会