商工委員会 第2号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/10/28
会議録
○委員長(前田勲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告をいたします。 昨二十七日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。 ─────────────
○委員長(前田勲男君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 まず、本題に入る前に、絹人繊織物振興連盟の政治献金問題について伺います。 昨二十七日に公表された東京都選挙管理委員会の六十年度分政治資金収支報告の中で明らかになったということから、読売新聞にその点が報道されております。日本絹人繊織物工業組合連合会を母体とする絹人繊織物振興連盟の政治献金という点であります。 この新聞報道によりますと、この絹人繊織物振興連盟という政治団体は、六十年に約二千六百万円政治献金し、最近四年間でその献金総額が八千六百五十万円にも上っており、自民党の中の大臣を経験されたような方々に対して、かなり多額な政治献金がされているということが報道されてあるわけであります。 この政治団体の母体であるこの連合会は、不況業種として、撚糸工連事件で問題になった転廃業推進のための過剰設備の共同廃棄事業が適用されて、六十年度一年間だけで百六十一億円もの国費が投入されております。この連合会と連盟は、形式的には無関係であるということで、政治資金規正法からは問題ないと言われております。しかし、巨額の国の補助を受けながら、名前だけ変わったところの同じ政治団体を通して多額の政治献金を行っていくこの業者、業界、そしてまたそれを受け取る政治家という関係が浮き彫りにされております。 私は、これから大臣に、円高による不況業種としての未曾有の危機に直面している播州織物や非鉄金属に対する緊急対策を求めて質問をいたしますが、こうした不況業種に対する国の補助が何か形を変えて政治献金に回っているというふうなことがこの種の政治資金収支報告の中から明らかになるということを思いますと、どうしても一遍通産大臣に、この種の政治献金問題、あるいはまた国の補助を受ける団体がトンネルの政治団体をつくってやっているこういう問題について、御見解 をまず初めに承っておきたい、こう思うのでお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 実は、私もこの絹人繊織物振興連盟というのを知らないんですけれども、こういう業者等をメンバーとする政治結社ができて、そこから献金がなされたと。法律上はあるいは許容されるのかもしれませんが、率直に言って、これが政治結社ということになりますと、直接私どもが監督指導をしている日本絹人繊織物工業組合連合会というものとは別個になってしまって、若干ちょっと通産省とは距離があるような感じはいたしますけれども、いずれにしても、こういうことが行われる、組合等が形を変えて献金をするということは好ましいこととは思いません。
○本岡昭次君 今の答弁だけをお聞きしておいて、私も実態を調べておりませんから、また改めて機会があれば質問をさしていただきたいと思います。 先日の通産大臣の所信について質問いたします。 通産大臣のこの所信の中に、「世界の中の日本」、あるいはまた欧米諸国において云々という表現はございます。しかし、残念なことにアジアという言葉が出てこないのであります。なるほど世界と言えば当然アジアも含まれるということになるでしょうが、私としては、身近な存在であるこのアジア諸国の中で、アジアの日本として我が国が占める位置はどのようなものであるのか、あるいはこのアジア諸国と我が国との関係で現在問題はないのか、アジア諸国からは我が国に対して何が望まれているか等の疑問に、大臣が所信の中で触れられるのではないかという期待をしておりました。しかし、今申し上げましたようにそれはございません。 私が日ごろ考えているところでありますが、日本の産業構造の変化が対外的に最も影響を及ぼしているのはこのアジア諸国に対してであり、これらの国々では製品、原材料を初め、資本財、消費財でも日本向け輸出を拡大させ、日本の輸入におけるシェアを高めております。これらの国々の発展は、とりもなおさずアジア地域に日本を中心とする本格的な水平的国際分業が開始される可能性を秘めているということであります。このアジア地域が新たな世界経済の成長センターとしての役割を果たしつつあるという大きな流れが生まれてきつつあるのではないかと思うのであります。 しかし、先ほど言いましたように、通産大臣の所信表明の中には、我が国とこれらアジア地域の今後の関係を展望する発言は全く見当たらず、我が国と欧米との関係ばかり述べられておりました。ここで改めて我が国とアジアとの関係を通産大臣はどのように考えておられるのか、所信の一端をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 実は、私はアジア問題も含めて申したつもりでございましたが、アジアという特定の言葉を使わなかったことは申しわけないことでございました。 このアジア諸国とは従来から貿易や投資等を通じまして密接な相互依存関係が構築されております。先般の所信表明におきましても指摘しましたとおり、アジアにおける多くの途上国は、一次産品価格の低迷、それから債務累積の増大等非常に厳しい経済困難に直面しているところでございます。これら諸国にとって経済自立に向けて外貨の獲得能力の向上が急務である、これはもう当然でありまして、我が国に対し工業化、なかんずく産業育成に対する支援について大きな期待が寄せられております。他方、我が国は産業構造の国際協調型への転換を進め、輸入促進、対外投資等を通じた国際分業体制の構築を図ることが求められているところであることは御承知のとおりであります。 このような観点に立ちまして、我が国としては、経済的地位にふさわしい主体的な貢献を行っていくために、アジア諸国に対しまして引き続き政府開発援助についてその拡充を図りますとともに、貿易、投資との有機的連携を強化するなど総合的経済協力を積極的に推進してまいる所存でございます。このような累積債務が増大しておるそういう途上国に対しまして、我が国の貿易黒字というものを還流させるということを考えねばなりません。そのためには当然これに対しての補完といいますか、いわゆる保険の問題等をも充実していかなきゃならない、そういうこともこれからどうしてもやらなきゃならぬ重要な問題でございます。 そういう意味で私は申し述べたのでございまして、特に私がこのような途上国関係で申し上げました言葉は、アジアの友邦諸国を強く意識して申したということでございます。
○本岡昭次君 中曽根総理は本年三月末に、秋にかけて円高の安定、景気の安定が実現するので円高デフレの心配はないという趣旨の発言をしていました。私は、本年四月の本院決算委員会においてこの発言を取り上げて、当時の渡辺通産大臣、平泉経企庁長官にこの点についてただしたところ、いずれも口をそろえて、そのとおりでございますというふうに答弁をされました。 さて現在は十月の末、秋たけなわの時期でございます。ところが、鉱工業生産指数あるいは失業者数、失業率、法人企業統計等、いずれの経済指標をとってみても景気に明るさは見えていません。先般の通産大臣、経企庁長官の所信においても、景気の足取りは緩やかでその先行きは楽観を許さぬとか、景気は底がたさはあるものの足取りは緩やかであるなどの表現が使われていますが、要するに不景気であるということであって、特に中小企業の景況は非常に悪いと言わなければなりません。 そこで、確認のためにも伺っておきますが、現在の景気はどういう状態にあるのか、この先、年末から来年にかけての見通しは一体どうなるのか。そして三月、四月にかけて政府首脳の景気見通しが、どうしてこのように外れてしまったのか、通産大臣及び経企庁長官からそれぞれの御意見なり見通しを伺いたいのであります。 この四月当時の円ドルレートに比べて、現在は一段と円高が進んでおります。衆参選挙前には、先ほど言いましたように、この秋には景気が上向く、だから国民の皆さん安心しなさいというふうな発言を総理を初めとしてやられて、そして国民にこう希望を抱かせながら、実際秋口になってやっぱりだめでしたというんでは、余りにも無責任ではないかと私は思います。政治家として、中曽根内閣の閣僚の一員として、大臣、長官の責任あるひとつお考えを聞かせていただきたい。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘もございますが、確かに急激な円高で輸出を中心とした製造業には景気の停滞現象が見られるわけでございますが、しかし、私ども最近の統計をずっと見てみましても、依然として消費は底がたいものがございまして、前年同期と比較いたしましても数%アップしてございますし、また、民間の住宅建設もこれも大変好調でございまして、建設床面積も昨年度よりも一割、場合によっては二割ぐらい前年同期より上がっているわけでございます。ですから、消費を中心とした民間部門は依然として現在好調でございますし、確かに産業も、製造業は非常な困難を経験している業種や地域もございます。しかし、非製造業の分野では依然として収益も上がっておりますし、また設備投資の意欲も高いと、そういう状況でございますが、私どもはこの明るい面とマイナスの面とのいわば景気の二面性が非常に拡大をしているのが現状である、こういうように考えているわけであります。 そうした状況を踏まえまして、今年後半から来年にかけて積極的な内需を中心として景気の拡大を図りたいというのが先般決定をいたしました総合経済対策であると、こういうふうに御理解いただきたいのでございます。
○国務大臣(田村元君) 今企画庁長官が申しましたように、現在の円高によって経済の二面性が強く出ております。いい方はいいんでありますけれども、私どもとしては、余りにも急速な円高による不況というものと真剣に取り組まなきゃならぬということであって、一方において、円高によって差益を受ける業界からは広くその差益を還元し ていただいて、国民に均てんしていただく。そして、それによってもたらす購買力の強化というものも内需の拡大に強くつながっていくでしょうし、生活もそれだけゆとりができる。また、円高不況によって苦しんでおります特に製造業、その製造業の中でもとりわけ中小企業の下請に対して、あるいは地域的に非常に構造不況的に集中しておる業種、そういうような企業に対して、とにかくできるだけの努力をしなければならないと、それのまず第一が内需の拡大でございます。そして中小企業対策も、今長官も来ておりますが、我々として、今の日本の財政能力ででき得る限りのことをやろうということで、もう日夜取り組んでおるというような状況でございます。 私どもは、とにかく前任者が試算をいたしました四%成長というものを今ほうり投げようという気持ちはございません。限りなくこれに近づける努力をする。今一番必要なことは努力をすることであって、その努力によってよき結果を導き出す、これが我々にとって最大の仕事でございますから、私は通産行政を担当する責任者として没頭をしてまいりたい、このように考えております。
○本岡昭次君 恐らく今の経企庁長官あるいは通産大臣の答弁を、今の構造不況、円高不況の中で苦しみ、のたうち回っているそれぞれの企業なり、その下で働く労働者、その関連する地域社会の皆さんは、大変な私は失望を感じているだろうと思うんですよ。経済のメリットとデメリットの二面性があってというふうな評論家的な問題じゃなくて、一体政府として何ができるのか、何をしたのかという問題を今問いかけているんです。 要するに、今日の構造不況や円高不況問題は、経済の国際的ないろんな形の中でどうしても人的には解決のできない問題があるかもしれませんが、しかし、多くの部分は人的災害なんだ、政府がこういうふうに持ってきたんだ、政府が我々をこういう状態に追い込んだんだと、こういう考え方をそういう不況地域の、また不況業種の皆さん方は持っておられるんでありまして、今の答弁、私は納得できませんし、もっとこの問題は追及したいんでありますが、これからこの商工委員会の中で引き続きまた追及し論戦をする場面もあると思いますから、それに譲りまして、きょうは私は、具体的に播州織の問題なりあるいは非鉄金属の問題を通して政府の対策を訴えたいと思っておりますので、その点は後日に譲ることにいたします。 それで、次に播州織の問題について質問をいたしたいと思います。 今申しましたように、中小企業が今大変な苦境に陥っておりまして、あすを待てない中小企業、こういう言葉も私たちのところでは語られております。これから私の地元であります兵庫県の播州織物を取り上げて訴えたいのであります。 この播州織物の産地は、兵庫県西脇市を中心に二市六町にまたがっております。この産地では織物工場の休廃業が続出して、古今未曾有の不況に陥っておるわけであります。さらに円高と今日の不安定な状態が続くならば、この播州織物業界だけでなく、産地の経済はますます低迷し、地域活動は低下の一途をたどります。行政やこの地域に与える影響は、はかり知れないものがあると見ております。まさに地域の死活問題に発展することは明らかであります。この産地では、当面の緊急的対応策を政府や県に要求するとともに、みずからのいわゆる自助努力という問題についても、この播州織物の高付加価値化を高めて、あわせて二次製品化を目指し、産地の高度化を推進していこうと懸命の努力を続けております。 私は、この産地関係二市六町の関係者の皆さんを代弁する意味において、既に通産省にお渡しをしてありますこの播州織物産地の具体的な要求である七項目について、全般的な通産大臣の所見並びに個別にわたっての通産省の考え方を承っておきたいと思います。そしてその中身に基づいてこれからいろいろと論議もさしていただきたいと思いますが、きょうはまずその所見並びに通産省の個々の見解を聞いておきたい。
○国務大臣(田村元君) 播州織物産地は輸出比率が約七〇%と非常に高い織物産地であります。そのために円高で大変苦しい思いをしていらっしゃるということはよく承知をいたしております。 通産省といたしましては、これまでも地元の播州織物組合等を通じまして実態の把握と所要の支援に努めてまいりました。今後とも産地の状況に応じましてこのような方向で一層の努力を続けてまいりたいと思っております。 なお、具体的な問題に関しましては、中小企業庁長官初め関係政府委員を連れてまいっておりますので、また必要に応じて答弁をいたしたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 御指摘の播州織物の地域から各般にわたる要請、御陳情を私どもいただいております。そのうち個別の局等にまたがることはまた後ほど御答弁することにいたしまして、中小企業政策に直接関連するものとして、一つが円高の影響産地に対して海外救済物資の特需発注、こういうことができないかというような御要請、御陳情がございました。 これは私どもも、もしそういうことが自然にできるとするとこれは一つの対応であるというふうに考えますけれども、御承知のとおり、無償協力というものは、相手側の要請、相手側の経済開発の全体の展望の中で、相手側からこういうものが欲しいというような要請があり、それに基づいて日本国と相手側国とのそのときどきの関係において決定される、こういう性格のものでございますので、こちらから不況製品をそこへ押し出すような形というものはむしろとるべきでない、そういうふうに考えておりまして、今直ちにそういうことが具体化できるかということについては非常に大きく問題があるというふうに今は考えざるを得ないと思います。 それから、高度化資金等の元利償還を延期をしてくれ、こういう御要請もございます。これについては、私どもも昨年十二月以来その方向で各種総合対策の中で手当てをしておりまして、今年度中に返済期限が来るものについて、その額についてとにかくさしあたり一年延長する、返済猶予をするということを制度としてつくっておりまして、この播州織物構造改善工業組合につきましても、ことしの六月、それからことしの十二月に弁済期が来るものがあると思いますが、その二回について約六千二百万、これを今回、今年の返済について後年度に回す、こういう措置をとっているところでございます。 それからもう一つが、中小企業対策の新法制定で、特に内需開拓あるいは新商品開発、こういうための特別の補助制度ができないか、こういう御提言、御陳情がございます。これについては私どもも、いろんな組合なり中小企業がこういう中で新しい方向を模索し、新しい製品をつくったりします場合に、やはりそのことをそういう需要者等に周知、PRをする、そのための例えば商品展示会等もやらなければいけない、そういう事態を想定いたしまして、来年度予算、六十二年度予算におきましてそのための補助金制度というものを考え、要求しているところであります。 ただ、六十二年度というと、あるいは今年度中にもそういうことが欲しいという組合等があるかもしれませんので、もし今年度においてそういう事態、そういう要請がある組合については、今年度の中小企業予算の中から何とか捻出して流用もしたい、そういうふうに考えております。 大体、中小企業庁、直接はそういうところかと思いますが、その他のいろんな御要請については、別途関係政府委員から御答弁いただくことになると思います。
○政府委員(野々内隆君) エネルギー関係につきまして二点御要望が出ております。 一つは、電気料金につきまして中小企業に特別安くなるような料金制度をつくれという御要望でございますが、電気は御承知のように国民全体が需要家でございますので、公平に扱うということが非常に重要でございます。電気事業法十九条では、電気料金の原則といたしまして、原価主義並びに公平の原則というものが明記されておりまし て、特定の方に政策的に安くするというのはそこで問題が生ずるわけでございまして、やはり中小企業対策はそれぞれの対策の中で行われるということで、電気料金につきましては、法律に書いてあります原価主義並びに公平の原則という形でやらざるを得ないのではないかというふうに考えております。 それからもう一点は、重油などの石油製品の価格の引き下げについての御要望でございます。この石油関係の製品価格は、これは政府が関与いたしておりませんが、既に相当程度下がってきております。これは原価が下がったという背景もございますが、需要が、特に重油の場合には石炭、原子力等との競合があり、あるいは売り手において過当競争があるというような形で、相当程度既に下がってきているというふうに考えております。私どもは、今後とも原価が適正に価格に反映をするように注視してまいりたいというふうに考えております。
○政府委員(浜岡平一君) 対米繊維交渉におきまして、輸出枠の漸増を確保するようにという御要望でございます。 御高承のとおり、対米繊維取り決めは昨年の終わりに失効いたしておりまして、現在日本側が一方的に自主規制を行いながら交渉を続けているところでございます。幸い、かなり妥結への環境も整ってきておりまして、大詰めの段階に差しかかっておりますけれども、御要望のラインといったものは十分踏まえながら、今後さらに精力的に努力をしてまいりたいと考えております。
○本岡昭次君 一応個別に聞かしていただきました。また次、具体的に法案の審議等のところで個別な問題を論議さしていただくことにいたしまして、きょうは聞かしていただくことでとどめておきます。 それから次に、通産大臣の所信の中に、地域中小企業ひいては地域経済の活性化を促進するため、向こう一年間に対策の規模として総計一兆円程度を確保するというふうなことがございました。この中身は一体何であるのか具体的に示していただきたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) これは、去る九月十九日の総合経済対策の一環として、内需拡大策と並ぶ一つの柱として、向こう一年間に約一兆円規模の対策を行うということが決定されたわけでございます。その後、その裏づけとなる補正予算等についても関係当局と折衝し、セットをいたしております。中身は大きく分けますと二つに分かれます。 一つが、現在のこの円高の影響というものが地域によって集中的に出ている地域がある、そういう判断に基づきまして、そういう特定地域に対する総合的な中小企業対策を打つ必要があるということで、そこについては三・九五%の超低利の資金融資制度を創設する、あるいはその裏づけとなる信用補完についての別枠を設定する、あるいはそういうところの中小企業者が新たな生面を求めて技術開発等を行うことを支援する、あるいはその地域にできるだけ産業活動を活発にするために企業誘致について税制上あるいは資金上の支援策を用意する、こういうことを中身としておりまして、これについては、そういうことを総合的に遂行しますために特定地域中小企業対策臨時措置法という新しい法律を今国会に御提案申し上げ、ぜひ早期成立をお願いしたい、このように考えているところでございます。 それからもう一つは、この円高になりましてから三月、四月、それから六月、いろいろな中小企業対策を打ってまいりました。それの拡充、延長という側面が一つございます。これについては、いわゆる二月に成立いたしました新転換法の対象業種に対する五・〇%もしくは四・八五%の資金融資制度、これについて非常にこれまでに消化が進んでおりますので、さらに二千五百億の資金の別枠の追加をするとか、あるいは信用補完の強化、別枠でさらに上乗せをするとか、それからいわゆるマル経資金について六・三%の金利をさらに〇・五%引き下げるとか、こういうような対策が内容になっております。
○本岡昭次君 二つの中身でもって一兆円規模になるということですか。
○政府委員(岩崎八男君) 今申し上げました、大きく分けると二つ、その中身としては融資制度あるいは信用補完制度、あるいは技術開発への支援、そういうものを含めまして単純に合計しますと、一兆円をやや超えるぐらいになるかと思います。
○本岡昭次君 それからもう一点、財政投融資の金利の引き下げを行って政府系の中小企業金融機関の貸付金利の全般的引き下げをやってはという要望に対して、通産省としてはどのような形でこたえていくのか、明らかにしてもらいたい。 それから、財務当局との話し合いが難航しているというふうなことも聞いておりますが、この点はどのようなことになっておりますか。
○政府委員(岩崎八男君) 御承知のとおり、今財投金利は六・五%でございまして、法律で定められている最低ぎりぎりのところで運用されております。一方、現在大企業に対するプライムレートが六・四%で、私ども政府系中小企業金融機関は中小企業に対して大企業の最優遇レートを均てんさせるということで、政府系中小企業金融機関の金利はプライムレートにスライドをさせております。したがって、その間に現在〇・三五%しか実は利差がございません。そこで、政府系中小企業金融機関は相当な実は収支の赤字を強いられることになります。そういう意味におきまして、財投の金利そのものが下げられるということが非常に大きく要請されておるわけでございまして、私どもとしても、その都度、大蔵当局とそういう要請をしておるところであります。 ただ、この財投金利は別途、全体の金利体系の問題でございますので、大蔵省としてもいろいろそういう方向への関心と意向は持ちながら、これまでなかなか六・〇五%をさらに下げるということが実現できないでいるというのが現状かと思っております。ただ、私どもとしては、そういうプライムレート六・四%ということをまず最低限確保しながら、先ほど申し上げましたように、いろいろな目的別に五・〇%とか四・八五%とかあるいは三・九五%とか、そういう目的別にさらに低利の融資体系を中小企業者のために用意いたしまして、その都度その裏づけとなる赤字対策というものをとってきておる、こういうのが実情でございます。
○本岡昭次君 時間がありませんので、次々と進めさせていただきます。 次は非鉄金属鉱山問題について幾つか伺います。 まず初めに円高問題であります。 今回の円高によっていろんな影響を受けている地場産業、そうした問題について、あるいはまた中小企業関係の問題について質問をしてきました。しかし、同じように地域経済に大きな影響を持つ非鉄金属鉱山についても円高により深刻な影響が出ています。今日、石炭が第八次政策の関連で注目を集めておりますが、非鉄金属鉱山も石炭鉱山の二分の一ないし三分の一程度の従業員を擁し、その存亡は今重大な問題に直面をしております。この鉱山は、その性格上特定の地域に大きな影響力を持っており、地域振興政策という観点からも早急な対策がとられなければならないと考えます。 大臣所信においても、「経営安定化のための措置を講じ」るということでありますが、現状をかんがみるに、抜本的な政策の速やかな実施がなされなければ、我が国の鉱山は、巷間言われているように二、三の鉱山だけしか残らないという状況になりかねません。今日の円高不況、中小企業、国際的産業調整、ナショナルセキュリティー、地域経済振興等の問題が集約的にあらわれているのが非鉄金属鉱山問題であると見ています。 このような視点に立ち、以下非鉄金属鉱山の現状と望まれる対策について御所見を伺っていきたいと思いますが、まず一番のこの問題の円高の見通しについて伺っておきたい、このように思います。 非鉄金属鉱山は、御存じのとおり円高による金 属価格の大幅な下落により、企業の自助努力も限界に達し、壊滅的状況にございます。この先の円高の円とドルの為替レートの見通しがつかない状態では合理化努力もできないといった現状であると思います。今後の為替レートの見通しはどうなるのか、また非鉄金属としてはどの程度のレートを想定しての経営計画をつくればよいのか、こうした点についてまずお伺いをいたします。
○政府委員(野々内隆君) 非鉄金属の国内の価格は、国際相場と為替レート、この二つの要因で決定されることになるわけでございまして、国際相場及び為替レートそれぞれ独立で変動いたしておりますので、なかなか将来を予測するというのは実際問題として困難であろうかと思っております。それで、各社それぞれ経営計画をお立てになっておるわけですが、当然それは基本的には企業の経営判断によるものではございますが、中長期的な観点から、これを検討するときにどうするかという観点から考えますと、鉱業審議会で九月に建議が行われておりますが、その中では、「現在の水準ないしそこからある程度回復したレベル程度」というように建議では前提になっておりまして、このあたりのことを考えて、これを一つの目安として今後経営計画を立ててはいかがかというふうに考えております。
○本岡昭次君 そのように言葉で言ってしまえば簡単なんであります。しかし、現状起こっている非鉄金属の価格決定の仕組みからくる問題は極めて大変な中身であります。銅を例にとれば、国際価格は、昭和三十年のトン当たり三十五万七千三百円に対して、昭和六十一年八月には八十六万七千円と国際価格は約二・四倍になっております。しかし、レートの影響で国内価格は、逆にトン当たり三十一万四千二百円から二十四万円と三〇%近く下落している、こういう大変な関係にございます。人件費や物価上昇分を考えれば、到底やっていける状況ではないと思います。 円高による影響を受ける産業は、これは数多いのですが、このようにストレートに影響を及ぼす産業、そしてみずからコストをもって価格を計算できないというふうな非鉄金属鉱山、これは非常に特異であると私は思います。このような価格決定の特異性について、どのように政府は特別な理解を示して非鉄金属対策を推進するのかという点、ほかの産業と同列に並ぶことができないのじゃないかと私は思うのですが、その御所見を承りたいと思います。
○政府委員(野々内隆君) 非鉄金属の価格決定メカニズムというのは、御指摘のように非常に特異なものでございまして、国際相場に準拠をして決定するという商習慣になってございます。このために市況が低迷をすると、それが直に影響する。その上、昨年以来の急速な円高によりまして国内の地金相場が急落をする。一円動きますと収入が十億円影響するという非常に大きな影響をこうむるわけでございます。したがいまして、私ども、従来から国内の経済対策を行いますときには、特に中小企業と並んで非鉄金属対策というものを特別に対策の対象として累次対応を図ってきたわけでございますが、このために緊急対策といたしまして、今回補正予算におきまして金属鉱業経営安定化融資の拡充ということを取り上げまして、本日の閣議で補正予算案を決定をしたということでございます。
○本岡昭次君 その中身を言っていただけませんか。
○政府委員(野々内隆君) 今年度の下期の金属鉱業経営安定化融資につきまして、一つは、十分な貸付枠を確保するということで、上期の融資実績が八十七億円でございましたが、下期はこの融資規模を百四十五億円というふうに拡大をいたしております。 それから、対象の融資事業に「「坑外水処理事業」及び「減産に伴う合理化設備の導入」」ということを今回補正で新たに追加をいたしました。 また、この補正予算が成立をいたしましたら、従来に比べまして一カ月程度前倒しで実施するということで、早急に手当てをいたしたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 それでは、ちょっと観点を変えまして、休閉山と鉱山離職者の実態について伺っておきます。 既に昨年来の五〇%にも及ぶ円高で、千歳、鉛山、花輪、都茂鉱山等十三鉱山が閉山をしています。また三井の神岡鉱山、同和の小坂鉱山、花岡鉱山といった大手直轄の鉱山さえも分離別会社を余儀なくされておりますね。私の地元にあります兵庫の大屋町の明延鉱山を初め、そのほかの各鉱山も大変な人員削減、賃金カット、労働時間延長等によって、人件費削減、高品位鉱採掘など、血のにじむ合理化努力を重ねておりますが、円高の進行によって経営環境の悪化が進んで、まさに瀕死の状態にあると言われております。明延鉱山では資本金二億円の企業が毎月一億円を超える赤字を出しているとさえ言われております。 昭和四十五年四月の二百四十六鉱山が六十一年四月には五十二鉱山に激減し、従業員も三万三千八百人いたものが七千六百人足らずと、約五分の一になっており、さらにこの傾向は進んでいく見通しのようであります。 現在の稼働鉱山数と従業員数はどのぐらいになっているのか。また、今後休閉山を検討している鉱山数、あるいはまた離職者はどのぐらいなのか。それに対する当局の対策はあるのか、あわせてお伺いをしておきたい。
○政府委員(野々内隆君) 御指摘のように、かなりの鉱山が現在閉山をいたしておりまして、ことしの四月時点で五十二鉱山、従業員七千六百名でございましたが、最近の十月時点ではこれが四十五鉱山、従業員も六千二百名というふうに減少をしてきております。 今後の休廃止鉱山あるいは離職者数の見込みにつきましては、これは基本的には企業の経営判断でございますので、現段階で私どもどうなるかというのを見通すのは難しゅうございますが、かなり苦しい状態にあるということは事実でございます。したがいまして、私どもとしてもできるだけのお手伝いをいたしたいと考えております。 現在、鉱山会社は必死の合理化努力を行っておりますので、これに対しまして先ほど申し上げましたように、金属鉱業の経営安定化融資の貸付枠の拡大、その他の補正予算を本日閣議決定をしたわけでございますが、これを含めまして可能な限りの支援をしてまいりたいと思っております。 他方、雇用問題につきましては、労働省で特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法というものがございまして、これに非鉄金属鉱業——金、銀、タングステンというようなものを指定をいたしまして、失業対策あるいはレイオフ対策ということで所要の措置を講じております。
○本岡昭次君 先ほども補正予算で経営安定化融資を行ったところであるということの報告がありました。百四十五億円枠を広げているということでありますが、果たしてこの経営安定化融資の拡充だけで、先ほどお述べになった現下の非鉄金属鉱山の窮状を打開していけるのかどうかということが問題だと私は思います。 私は、この鉱業審議会の建議も読みました。また、この鉱業審議会の審議について関係者がさまざまな意見をこの中に出されたことも知っております。その中で、価格差補給金というものを何とか制度化してもらいたい。言えば、経営安定化融資という問題だけではだめなんだという悲痛な叫びがあったように聞いております。その結果として、九月十二日に鉱業審議会鉱山部会から「今後の我が国非鉄金属産業のあり方」について通産大臣に建議が行われておりますが、この中で、地方自治体、労組、業界から、既に企業の自助努力の限界を超えており、窮状打開のため、当面三年間の緊急対策として価格差補給金制度をぜひ確立してほしいという強い意見が出されております。 また、建議書、提出文書にも、関係委員より、国内鉱山の継続、存続の必要性を強調し、当面の緊急助成策として価格差補給金制度を新設すべきであるとの文章が付加されていますが、この付加意 見に対して通産大臣はどのように考えられているのか。石炭、米価に対する政治的判断が問題になっておりますけれども、政策の整合性からいっても、鉱山救済のため政治的な決断がなされてもよいと考えるのでありますが、通産大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 鉱業審議会の場でそういう御意見が切々と訴えられたということは私も承知をいたしております。結局、審議会建議では、これをとり得ることとならなかったということを聞いております。 国内鉱山の救済は、重要な政策課題ではございます。けれども、価格差補給金ということになりますと、日本が今求められております産業構造改革の流れに適応しないとか、あるいは海外からの批判を招くとか、いろいろな難しい問題がございます。 私も、先般来四極貿易大臣会議あるいはガット閣僚会議等へ行きましてこの問題ばかりではありませんが、いろいろな問題で国際的な厳しさというものを痛感いたしてまいりました。むしろ超低利の金属鉱業経営安定化資金について、当初予算では貸付枠が不足する下期融資分について、補正予算によって十分な枠を確保するという方向がむしろ現実的かつ有効な対策と考えております。
○本岡昭次君 現実的、有効的な政策であると考えておられる、それはいいんですが、しかし、現実的、有効な対策なり政策であるのかどうかというのは、鉱山そのものが、それでは窮状がそれによって打開されて現状がよい方に向かっているのかどうかということとの関係で見なければならないのは、これはイロハであると思うんです。 その点、先ほど現状をお聞かせいただきましたけれども、必ずしもそうした現状を打開していくために有効な手段になり得ていないという結果をやはりつくり出している、こう思うんです。だから、大臣がそうおっしゃるのでしたら、この国内鉱山の問題が経営安定化融資制度それだけでもってうまくいかなければ、一体どうなるのか。国際的な問題があるからそれしかできないのだということと、国内鉱山はそれでは自滅するような形で、なくなってしまってもいいのか。しかし、鉱業審議会鉱山部会答申では、これはつぶしてはならないのだという、国内鉱山の重要性を一方では強調しているのであります。 だから、そこにもう少し踏み込んだ、突っ込んだ国内鉱山の対策というものをまた基本的な姿勢というものを樹立して、そして現状を打開するためにいま一歩積極的に乗り出していただかなければならぬのじゃないかと思うんですが、大臣のもう一歩踏み込んだお考えをいま一度聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) 国際問題だけではございませんでして、いわゆる産業の構造改善というような面から申しましても、なかなか補給金という問題は難しいものがあるように思われます。でございますから、今申しましたように、せっかく審議会も鉱山に対する非常に深い理解は示しておるのでございますから、私どもとしてはこの建議を受けて、先ほど申し上げたように超低利の金属鉱業経営安定化資金の融資ということで、不足しておったものを補正でこれを補うということが今のところ考え得るといいますか、むしろなし得ると言った方がいいかもしれませんが、現実的な方策であろうと、このように考えておる次第でございます。 もちろんいろいろな事情が許せば、それはいろんなことができると思いますけれども、いろいろなまた制約もございます。その中で担当局が必死の努力をしておるということでございます。
○本岡昭次君 通産大臣の今の話は、それはそれなりに理解はできるのでありますが、しかし先ほど論議をしておりましたように、非鉄金属鉱山の抱えている問題が非常に特異な状況であるということですね。価格決定が国際的になされ、それが為替のレートに直接はね返り、国内でコストがどうだからとかというような問題でもって、みずから掘った銅なり亜鉛なりそれの価格が決められないというこの特異性というものを先ほどもお述べになったわけなんですね。 だから大臣も、そういう特異性ですね、特殊なケースの中に置かれた非鉄金属問題であるというこの御認識の上に立てば、一般的な構造不況であるとか円高不況のレベルに置かずに、何かの対策というものを、国策と言ったらちょっと言葉が何か言いづらいですが、そういう意味でも考えていかなければ、ここの鉱業審議会が出しているように、資源確保の安全保障、海外資源開発の技術養成、バーゲニングパワー、地域振興、雇用創出とか、やっぱりこれの持っている非常に重要な意味が列挙されております。だから、そういう問題に対する、改めて国内非鉄金属鉱山に対する政策の基本的な姿勢というものを再度見直してやっていただかなければならぬのじゃないかということを、強くここで申し上げておきたいと思います。 それで、時間もありませんから、もう一点申し上げて、最後に大臣のお考えを聞きたいんですが、特にこのいわゆる地域振興とかいうふうな、あるいは雇用創出というふうなこともここに付言されておりますように、非常に地域とのかかわりが深いんであります。そういうことで一つだけ申し上げてみたいんですが、先ほど言いました鉱業審議会の建議の中に、「国内鉱山の中長期的方向」ということで、国内鉱山を三つのタイプに分けて、第三のタイプはもう閉山をして事業転換の方向に向かわざるを得ない鉱山がある、こう挙げておりますし、第二のタイプも縮小、合理化ができなければ、これはもう自動的に閉山に向かわなければならぬ、こういうことがあるわけであります。 それで、私は先ほど言いました兵庫県の明延鉱山が第三のタイプなのかどうかはまた別にして、今一生懸命第二のタイプのところでこの縮小、合理化の努力を続けておりますが、要するに、この明延鉱山という企業がある養父郡大屋町という地域社会の存立とのかかわりということを非常に大事に考えていかなければならぬじゃないかと思うんです。 人口六千百四十六人で、鉱山で働いている人が千五百九十九人、約二〇%、この町の所得が六十三億円、そのうちの十六億円が明延関係で二六%、町財政が四億八百五十四万円に対して、明延関係の人たちが出して税金として納めているのが八千四百五十七万円、二〇%というふうに、二〇%から二五%の割合でもって地域社会との深いかかわり合いをこういうふうに持っている。これは鉱山というのが大体過疎地にあって、大なり小なりこういう関係を全部維持していると、こう思うんです。もっと大きいところがあると思います、依存関係において。そういうことにおいて、縮小、合理化あるいは閉山が地域社会に混乱やあるいはさまざまな摩擦が起こらないように、もしやるとしてもそれが最小限度に済むように、やっぱり政府が総合的な施策を講じていく必要も大いにあるんではないかと、このように思うんですよ。 企業が一生懸命やってきて、だめなら閉山していけばいいじゃないかというふうな簡単なことでは済まない問題が、それぞれの長年にわたる鉱山が地域社会の中でかかわっているという問題も考えていただいて、価格決定の特異性の問題と地域社会とのかかわり合いの中において、非鉄金属の問題に関して政府のさらにもう一歩突っ込んだ基本的な姿勢、これならやれるということを企業も思い、またそこに働く労働者も思い、また地域社会もそこで何か展望というものを切り開いていけるように、この三者に対して、地域と企業と働いている皆さんとに対してやっぱり政府が出していかなければならぬじゃないかと思うんですが、この点について、最後に大臣の通産省としての御決意を聞かしていただいて、恐らくこの私の質問に対して多くの関係者が大変な関心を持って大臣の答弁を聞くと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 確かにおっしゃるとおり我々はあらゆる角度から対策を講じていかなきゃならぬ、これは当然のことでございます。特に鉱山関係につきましてはなおさらその感を一層深く いたします。 私どもは今いろいろの問題と取り組んでおります。石炭あり、非鉄金属あり、あるいはまた繊維あり。実は石炭の場合も、本当にお気の毒ではございましたけれども、みずからがもう全然だめだと言われるような経営状態にある鉄鋼に、私はもう手をついて、本当に両手をついて買ってもらう。そして建設大臣にお願いをいたしまして、今度の補正予算の公共事業を、石炭だけではありません、地域的に苦しんでおるところにどうかひとつ回してもらいたいということもお願いし、また労働大臣にも雇用政策面でどうか十分の御手配を願いたいと実はお願いをいたしておるところでございます。 地域活性化問題、私どもとしては、例えば経済構造調整基金、この基金も何が何でもつくって、所期の目的を果たしたいと思っておりますし、その他いろいろな対策を今出しておりますし、またこれからも講じていかなきゃならぬと考えております。 率直に言って通産省の考えはという御質問でございますが、むしろ考えということより、通産省は省を挙げて今の円高不況に対して、本当にもう毎日毎日やせる思いで取り組んでおるということは、どうか通産省の役人たちの苦労も理解をしてやっていただきとうございます。例えば毎日、朝登庁すると同時に、大臣初め若い役人に至るまで、きょうの円の寄りつきは幾らだと、まずこれを聞くところから始まります。百六十円台に戻ってきたと、きょうは百六十円五十五銭、今のところその程度でありましょうが、戻ってきたと、わずか百六十円台に戻ってきたことだけでもみんなどんなにか喜んでおる。地域はもっとお喜びでしょうけれども、どうかこれがもっと素直に戻っていってほしいということまで願っております。 今いろいろとおっしゃいましたが、御趣旨を体して我々も大いに頑張りたい、こういう決意をここに改めて表明さしていただきます。
○梶原敬義君 先般、通産大臣と経済企画庁長官から所信表明を聞きました。もう前々からちょっと尋ねたいと思っておったんですが、通産大臣は、こういう冊子になったときは「所信表明演説」という表紙がつくんですね。経済企画庁長官は「長官挨拶」、こういう形に表紙がいつもなる、我々がいただくのは。その所信表明の内容を聞いておりますと、やっぱり「演説」と「挨拶」との違いがどうも出てきているんじゃないかという気がしてなりません。 一つは、本年度の経済見通しについて触れられておりますが、どうもニュアンスが違うような気がします。経済企画庁は、我が国経済は、「全体として景気は底固さはあるもののその足取りは緩やかなものとなっています。」、こう言っておる。通産大臣は、「昨年秋以来の円高の大幅かつ急速な進展により、景気の足取りは緩やかなものとなっており、その先行きは楽観を許さぬものがあります。」、こう言っているんです。私はこのニュアンスがもう随分違うと思うんです。その点についてちょっとお伺いをしたいと思います。 通産省が言っている緩やかな足取りというのは、緩やかに景気が上っておるということに、私どもは直感で聞いたときは受け取るんですが、どうもしかし我々が肌に感ずるのは、緩やかと言ったら、緩やかに下がっているという実感を我々は一般に感ずるんですよね。この点は一体どうなんですか。 経済企画庁は、経済白書等を見ましても、ずっと底流に楽観的な見方がありますし、さきの国会、その前の国会も、どうしても円高メリットがあるから大丈夫だ、こういうことをずっと始終繰り返してきたんですが、現実は、先ほどそんなにはないですよと言った経済企画庁長官は、御出身はどこか私は知りませんが、あなたが地方に帰りまして、地域の中小企業の状況とかあるいは一般の皆さん方の景況感とか、こういうものを聞いたら、今言われるような形と逆な状態というのは肌にびしびしと感ずると思う。私どもは毎週、金、土、日曜は地方で動いていますから、どうにかしてくれぬかというのはもう何年前からも言われております。特に円高になって以降というのは大変厳しいんですよ。この点についてはまた後から申し上げますけれども、この点について最初に経済企画庁長官、そして、一体緩やかというのは上っているのか下がっているのか、どちらを意味しているのか、通産大臣にもその点についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 実は先生の御指摘のように、円高で大変な打撃を受けた産業のありますことを私たちは否定しないわけでございますが、ただ、全体の最近の経済指標を見ますと、依然として消費は前年同期で比較して数%ふえてございますし、特に顕著なのは住宅建設でございまして、これは前年同期に比較して九月などは二割、八月でも一割面積でふえているわけでございます。また、確かに製造業は円高の影響をもろに受けておる分野もございますが、しかし、非製造業は依然として設備投資も進んでおりますし、また賞与等を考えても、月給等もいい線をいっているような面がございますし、またことしの四月以降政府としては総合経済対策、そして当面の対策、二度にわたって対策を発表して実行しております。 その一つのものがいわゆる公共事業の前倒しでございまして、上半期に七七・四%の契約を見て実行に移しておる。こういうことで政府の支出もふえてございますので、私どもは個々の産業はともかくとして、マクロの経済を見ますと、消費、設備投資、そして政府関係の支出はふえていて、産業においては非製造業と製造業と分けて、そういう点では私どもは景気の二面性、明るい面とマイナスの面と、この格差が実は最近非常に拡大をしている、こういう認識を持っているわけでございいます。
○国務大臣(田村元君) 企画庁と通産省の認識が違うということはございません。こういう問題については、両省庁で担当者がいろいろとすり合わせをいたしておりますから、そういう点では違いはございませんが、ただ、もし幾らかでもニュアンスが違うというふうにお受けとめになるとすれば、これは両省庁の性格の違いであろうと思うんです。 企画庁は、言うなれば一種のコンサルタントのようなもの、通産省は、言うなれば仕事師ということでございますから、妙な言い方でありますけれども、実際そういうことでございますから、だから通産省の方は景況感というものに対して非常に敏感になっております。言うなれば肌でひしひしと感じているというところがございます。でございますから、例えばこれは今の経済が二面性あることはもう当然のことであって、別にこれを申し上げておしかりを受けることはないと思うんです。 ただ、通産省的な感覚で申せば、いわゆる円高メリットを受けておる方は吐き出させればいい、むしろ円高でひどい目に遭っておる円高不況の犠牲者は命がけで救わなきゃならぬ、そういうような、言うなれば若干感覚の違いはあるかもしれません。けれども、考え方そのものの基本につきましては、これは十分に両省庁で話し合っておりますし、大蔵省ももちろん、また時には日本銀行とも我々は打ち合わせをいたしております。でございますから、基本的な違いはないということを御了解願いたいと思います。
○梶原敬義君 所信表明の中に、通産大臣は「本年度政府経済見通しの四%成長を目指し可能な限りこれに近づけていくことが最重要課題」と、こう言っているんですね。この点について経済企画庁は何にも触れてございませんね。これは四%成長というのは国際的にも日本の一つの公約でしょう、違いますか。同時に、やっぱり国民に対する政府の一つの公約でしょう。この点について、この重要な臨時国会でなぜ経済企画庁が四%問題について所信の中に全然触れないのか。これは国民に対しても、あるいは国会に対しても、国会軽視も甚だしいのではないか。一体いけるというのか、いけないというのか。 既に新聞では九月六日ですか、経済企画庁の次 官が、どうもいけない、いけそうにないと、こう言ったら、総理大臣がそんなことじゃ困るじゃないかとあなたに電話をしたと、こう言っている、新聞に載っていますがね。そして、通産大臣は努力しようと。我々この商工委員会でやっぱり一番関心のもとになるこの問題が何にも触れられていない。この辺は一体国会の審議というものをどう考えておるわけですか。そして、その四%問題についてお考えがあれば最初にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) いわゆる四%の経済成長見通しというものを政府が閣議決定いたしましたのはことしの初めでございますが、その当時は為替レートが一ドル二百四円で推移する、こういう前提でいろいろGNPを構成する各要素の見通しを立てて積み上げたわけであります。それ以来、先生も御案内のように円高がずっと進んでまいりまして、最近はちょっと戻りましたけれども、七月後半から最近までは百五十円台の円レートであったわけでございます。 日本経済のように極めてダイナミックな活気にあふれた経済が、国際経済や日本経済をめぐるいろいろな環境の変化でどんどん行動が変わっていくことは、これはもう当然のことでございますので、私どもはGNPを構成するいろいろな要素については経済的な指標をずっと分析をしてきているわけでございますが、そうした新しい円レートの状況の中でどういうふうに変わるかについては、実は数字として発表できるものはいわゆる四—六月期の四半期国民所得統計速報というものでございまして、これが現在私たちが数字として確定している一番新しいものでございます。これで見ますと、前期比〇・九%アップ、こういうことでございますが、仮にこの率で伸びると仮定いたしますと、六十年度に対して六十一年度は二・七%、こういうことに、これはもう全くそういう非常に機械的な計算の結果でございます。 問題は、一番新しい経済的なデータがない段階で六十一年度のGNPの見通しを、GNPをどういうふうに予測するかということでございますが、いろんな最近の指標を詰めておりますけれども、やはり一%かそこらのことは落ち込むかなと、こういうことからいわゆる三兆六千三百六十億円の総合経済対策を政府として決定をしたわけでございます。三兆六千億余と申しますのは、六十年度名目GNP対比一・一%強でございますから、その程度の新たな内需拡大政策をとれば、どれぐらい落ち込むかということについてはわかりませんが、相当なリカバーができるものであろう、こういうことでございまして、実はきょうも閣議で補正予算の概算決定を見たわけでございますけれども、その中でも関係閣僚からも発言がございました。私も申してまいったわけでありますけれども、この総合経済対策、その中核になる補正予算、そしてその中の一兆四千億の公共事業、そして八千億の地方単独事業については年度内に契約をし、実行に当たるということで、関係各省の協力を強くお願いをしてまいったのでございます。
○梶原敬義君 だから、所信表明の中に成長問題を、経済企画庁がどうして大事な問題を触れないのかというこの点について少しお聞きしたいと思います。 それから、緩やかな成長をしていると、こう言われておりますが、いろいろ新聞等を見ますと、ことしの二月に景気は底を打ってやっぱり景気は下降局面に入ったんではないか、こういう見方をされております。そうしますと、緩やかにさらに上っているのか下がっているかといったら、下がっているようなとり方を私は率直にするんですが、その点についてもう一度お伺いをしたいと思います。 それから、通産省にお伺いをしたいのは、九月十九日の新聞にちょっと出ておりましたが、総合経済対策を実施しても成長率は三・二%どまりだというようなことを書いて計算をしておるようですが、これは四%と三・二%といえば、こよなく努力すると言ったってそれは相当開いておりまして、この点については実際に通産省の三・二%どまりなんというあれがありますが、見通しはどうなんですか、通産省は。経済企画庁も実際四%にいくんですか、近づけるんですか。
○国務大臣(田村元君) その前に申し上げておきますが、通産省で三・二%という試算をいたしたことはございません。限りなく四%に近づけるという大原則は、今もって通産省の基本的な考え方でございます。三・二%というのがどういうところから出た数字なのかわかりませんが、これは通産省には関係ございません。
○梶原敬義君 ないことはないわ、そんなあなた、いいかげんな……。
○国務大臣(田村元君) いや、全く、それは今も確認したけれども、その事実はありませんし、それは新聞ですか。
○梶原敬義君 それは一流新聞ですから……。
○国務大臣(田村元君) 一流新聞——一流新聞でも誤報も相当あるし、これは事実そういうことはございません。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 政府見通し四%につきましては、実はこれは閣議決定したものでございますし、政府といたしましては現時点において依然としてこの四%閣議決定という数字は生きているわけでございますし、今度の総合経済対策を決定するに当たりましても、「「昭和六十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」の考え方にのっとり、調和ある対外経済関係の形成に努めるとともに、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、雇用の安定を確保することが肝要であるとの観点から、事業規模三兆六千億円強からなる「総合経済対策」を決定いたしました。」。ですから、閣議の決定は生きている。その中でそれを、枠の中での三兆六千億の新たな内需拡大政策だ、こういうことでございます。 そこで問題は、これで達成できるかどうかという御質問でございます。私どもそういう考え方の中での総合経済の対策でございますが、これだけが完全に実行いたしますと、我々は乗数効果も計算いたしまして四兆九千億で一・五%、こういう数字を発表したわけでございますが、問題は六十一年度、すなわち来年三月三十一日までにどれぐらい総合経済対策が実行されるかということによって大きく変わってまいります。ですから、お話しいたしましたように、きょうの閣議においても、何としても国がやることは全面的に実行する体制で臨もう、こういうことでございます。 同時に、そのGNPを構成する要素の中で、国の財政支出ももちろん大事でございますが、しかし、項目の大きさを言えば、民間住宅建設が十五兆円ございます。民間の設備投資が五十五兆円ございます。そして民間の消費支出が百九十兆円ございますから、もう早い話、民間の企業の方々が将来に対して強い見通しをお持ちになって、例えば一%設備投資をふやしていただくだけで五千五百億です。二%で一兆一千億になるわけです、一兆一千億ですね。また、民間の方々が消費支出をちょっとおふやしになるだけで、一%で一兆九千億、二%で三兆八千億ございますから、私申し上げたいのは、国の積極的な内需拡大政策に呼応して民間の設備投資がどの程度誘発されるか、そして民間の消費支出がどの程度触発されるかということによって実はGNPの伸び率が決定するわけでございますので、これは国の努力と民間の企業活動、収益活動とのいわば三位一体な実行によって初めてGNPというものはつり上がってくるわけでございますので、そういう方向で政府としては経済の旗振り役をいたしたい、支えをいたしたい、こういうことでございます。
○梶原敬義君 景気の問題、底を打ったという問題はどうなんですかね、二月の、さっきの、答えていない。 もう一回。緩やかな上昇、こう言っているけれども、景気は二月に底を打って下降局面に入ったんではないか、この点についてはいかがですかということですよ。
○政府委員(勝村坦郎君) ではお答え申し上げますが、二月という御指摘が何に基づいておっしゃっているのか、ちょっとつまびらかにいたし ませんが、国民所得統計で申しますと、四半期別のGNPはこの四—六月期で前期比〇・九%、年率にいたしますと三・六%プラスという形であります。それから今年、暦年の上半期の経済成長率、これを一年前と比べますと約二・七%の成長ということでありまして、確かに成長率としては決して強い数字でないことは御指摘のとおりかと思います。 ただ、景気が拡大期を終えて後退期に入っているのかということになりますと、現在の三%前後の、ただいま申しましたような成長というのがこれが景気後退期の姿であるかということになりますと、これはにわかに断定いたしかねる。私どもは景気後退期というふうには考えておりません。ただそれまで、景気は緩やかながら拡大の方向にある、ことしの六月ぐらいまでそう申していたわけでありますが、この円高によります景気全体の調整局面ということが生じていることは、二面性のもとでもこれは否定できない状況でございまして、したがって現在は円高によります一種の調整局面であろうかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、拡大とは申せませんが、そうかと申しまして、拡大でなければすなわち後退局面というふうには判断はいたしておりません。
○梶原敬義君 私はちょっとさっき言い間違えましたが、底を打ったんじゃなくて山を打ったということでね。 非常に経企庁強気でございますが、私もここ商工委員会で四年目ですが、経済企画庁の経済予測がさっぱり当たらぬ。私は、昔は経済企画庁といったらよく信頼をしておったんですが、全然当たらない。今またそんなことを言って、内需がふえるとかどうやこうや、四%問題と言ったって、もう全然信用ができないんです。だから、そういう点では、今の大臣の答弁ではないですが、結局四%もし果たせなかったらあなたどうするのかと、こう言ったら、いや民間がどうこたえるか、あるいは政府の対策がどこまでうまくいくかと言う。それは、そんなことならだれでも言えるんですよ、だれでもやれる。目標を掲げておった。しかしこれは悪かったからうまくいかなかったというように、後からまた改める。問題は、国際公約をしておるし、国民に対してやっぱり約束をしておることですからね。これは、だからうまくいかなかったじゃ結局は済まぬわけですよ。この点については不満が残りますが、次に移ります。 本年度の貿易黒字については一体どういう見通しを持っておられるのか、この点についてひとつ……。
○政府委員(畠山襄君) 本年度の貿易黒字でございますが、ことしの九月までの貿易収支動向を見ますと、一月—九月で貿易収支六百四十六億ドルの黒字。それから年度ということで見ますと、四月—九月で五百億ドルの黒字ということで、円高にもかかわりませず大幅な黒字が継続いたしております。
○梶原敬義君 このままいくと、大体六十一年度ではどのくらいの見通しになりそうなんですか。
○政府委員(畠山襄君) 六十一年度について政府として正式な貿易黒字の見通しというのはまだ策定いたしておりませんが、今申し上げました数字が当初の予想を上回っていることは事実でございまして、政府見通しは貿易収支ベースで五百六十億ドルでございますので、それを大幅に上回っているのは事実でございます。 そこで、その理由でございますが、輸出面と輸入面と二つございまして、輸出面では、委員御高承のとおりのいわゆるJカーブ効果というものによる黒字が著増しているということが原因でございます。これは、ドルの価格が下がりましたものですから、前と同じ円を手取りいたそうと思いますと、ドルの価格を値上げをしなくちゃいけないということで、輸出の単価が大幅に上がっておるということから、数量がそれに見合って減っておりませんので、全体としての輸出金額がふえている現象を指すものでございます。 それから輸入の方は、御案内のとおりの原油価格の大幅な値下がりという事態がございまして、これも円高にもかかわりませず輸入金額としてはかばかしい伸びをしていないということがあるわけでございます。 ただ、今後でございますが、数量ベースで見ますと、輸出はことしの三月から八月まで連続して数量的には減少をいたしましたし、それから輸入の方は一—九月で見まして一三%、それから四—九月で見まして約一八%の伸びでございます。そういうことでございますので、これまでのような勢いじゃなくて、漸次貿易収支の黒字幅も減少していくというふうに考えております。
○梶原敬義君 いずれにしても、こんな急激な円高になっても貿易収支はどんどん黒字になって、国際経済摩擦はこれは一向におさまりそうにない。これは大変なことです。 円高の見通しについて、これは大臣、経済企画庁はなかなか見通しは今も自信持っておられる様子ですが、これはどのようにこれから推移をするようになるんでしょうか、教えてください。
○国務大臣(近藤鉄雄君) なかなか円高の見通しにつきましては予測が困難なわけでございますが、お話をいたしましたように、最近ちょっと、ほぼ六十円台に戻って、足がかかっているわけでございますけれども、ただいまの通産省貿易局長からの話もございましたが、いわゆるJカーブ効果、さらに原油の値下げということで、日本の外貨は、貿易収支の黒字はさらにことしは拡大をしている。また、アメリカのいわゆる貿易収支の赤字も、ドル安にかかわらず改善を見ないという、そういう状況でございますから、そういう状況として単純に考えれば、これは円高修正のような状況では少なくともアメリカの国際収支から見ればないわけでございます。 そういう状況の中で、今後の対外金利差の問題から、各経済に対する信頼とか強気、弱気とか、そういったいろんな要素で円の対ドル水準が決まってくるわけでございますので、どうも私どもとしては、今後どういうふうにいわゆる円レートが推移するかということについては、一概にその見通しを言えないような状況でありますことを御理解いただきたいのであります。
○梶原敬義君 これはことしの九月十九日の新聞でございますが、ワシントンのブルッキングス研究所の上級研究員であるローレンス・B・クラウス、この人は三年後に一ドル百円時代、こういうようなことをちょっと言っているんですが、やっぱり日本は内需が不十分だ、これは内需が伸びないとそういう状態にいくだろう、こういうことを言っているんです、いろいろ反論あると思いますが。また、マサチューセッツ工科大学のポール・サミュエルソン教授とレスター・サロー教授は、やはりドルの相場はさらに下がる可能性がある、こういうことを言っておるんです。 この点については、日本の政府が、かつては景気に対して財政は中立である、こういうことをずっと私はもう総理大臣以下皆さん方から聞いてきたんですよ。財政は景気に対して中立である、そういう一貫したことをここ何年間か強く言われてきたんですよ。そういう結果として、やっぱり大きなこういう状況というものを一つは招いた原因になっていると思うんですがね。 今度総合経済対策をやったと言いますけれども、これは要するに、財政は景気に対して中立だと言っていたことが変わったことだと思うんですけれども、いわば打つ手がおくれたということに対しては率直に国民の前に、いや全部よかったよかったじゃなくて、打つ手がおくれたからやっぱりこういう状況も来たんだということはよく反省をしていただいて、今後それを参考にしてやっていただかないと、これはクラウスが言っているように、百円なんかのような状況が来たら、日本の中小企業が幾ら努力をしようが、製造業者が生き残るところというのは——生き残るとすれば、全部労働者を合理化して、大変な雇用不安の状況が来るでしょうが、そういうことか何かするしかない、あるいは海外に企業を全部進出して産業の空洞化をどんどん進めていくか、そういうことに来るわ けですから、まあ言ってもあなた方はすぐ口で何やかんや言いますから、意見としてその点については申し上げておきたいと思います。 そこで、経済企画庁にお尋ねしますが、本年度の税収不足の見通しについてちょっと先にお伺いをします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) きょうの概算閣議でも、税収は一兆一千二百億、こういう減額補正が閣議で決定を見たわけでございます。税収予測は、直接は経済企画庁はいたしておりませんので、大蔵省主税局が各税項目について積み上げをしてこうした数字を出しているわけでございますので、私どもはこういうことであるというふうに考えております。
○梶原敬義君 あなた方は、景気は上っている、上っているというけれども、どうして一兆一千二百億も税収が不足をするんですか。景気がよくなれば自然に税収も上がるはずじゃないですか。
○政府委員(川崎弘君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、この税収につきましては、大蔵省が自前の調査に基づきまして、これは個別税目ごとに積み上げて見直しを行ったものでございます。したがって、どうしてこうなったかという点につきましては、私自身よく聞いておりませんので申し上げかねますが、一つの推察として申し上げますと、例えば最近のように非常に物価が下がってまいりますと、企業の在庫の評価損というのが出てまいります。法人税の税収というのは、在庫の評価損ということで非常に減ってまいりますけれども、私どもの経済のGNPというところになりますと、そういった在庫投資につきましてはフローの部分はございますけれども、根っこからの評価がえということはやっておりません。そういったところも一つございましょうし、それから経済は実質としては先ほど申し上げましたようにまだ緩やかな拡大傾向にございますが、名目の所得なりそういったものは、物価が落ちているということもございまして伸び率が緩やかになっている。こういったところが全体としての税収見積もりになってきたんじゃないか、そういうふうに推察されます。
○梶原敬義君 それではちょっとお尋ねしますが、昭和六十年度、六十一年度の法人の欠損法人の割合というのを、きのうお願いしておいたから、ちょっとそれを。
○政府委員(勝村坦郎君) 統計がいろいろございますが、大蔵省の法人企業統計につきましては、まだ今年度の数字が全く出ておりません。したがいまして、日銀統計、これは主要企業の……
○梶原敬義君 六十年度も出ていないの。
○政府委員(勝村坦郎君) 六十年度は出ていると思います。ちょっと今手元に日銀の資料しか持ち合わせてございませんが、後ほど調べましてそれはお届けいたします。一応これでお答えさせていただいてよろしゅうございましょうか。 大企業、中堅企業・中小企業というふうになっておりまして、六十一年度上半期、この欠損企業率が大企業で一三・一%、これにつきましては昨年の上半期は一一・七%で、今年度上半期よりやや低うございます。ただ、しばらくさかのぼってまいりますと、例えば五十七年度、五十八年度は一六・八、一八・三というようなことで、現在よりかなり高い欠損企業の率が出ております。 中堅企業・中小企業等につきましても、一々数字を申し上げるのは今差し控えますが、似たような傾向でございまして、必ずしも六十一年度上半期の欠損率が高いというふうに見ることは現在の段階ではまだできないかと思います。
○梶原敬義君 私は、国税庁統計年報書の五十九年度版を持っておりますが、欠損法人の割合ですね、これが昭和五十五年は四八・二%、法人の中に四八・二%は赤字だ。五十六年が四九・九、五十七年が五三・〇、五十八年が五四・八、五十九年が五五・四。したがって、六十年度は一体五五・四がふえているのか減っているのか、これを聞きたかったわけですね。六十年、六十一年ありませんからね。 これを見ますと、法人の中で半分以上、私の大分県なんかワーストツーでありまして、六十何%になっているんですよ。企業の中でもう皆そういう状況です。だから企業の、特に中小企業なんか税金かけ切らぬ。同時に、そこで働いている従業員の所得は完全に伸び悩んでいるんです。だから所得税も頭はもう打っております。こういう状況なんですね。 だから、六十年度の数字はもう出ておるはずですけれども、特に五十七、八、九と、ずっと景気は財政に対して中立だと、こう総理大臣以下が一生懸命言い出して、もう赤字法人というのはどんどんふえているんですよ。そしてことしの一兆一千二百億の赤字の原因は在庫の評価損が何とかかんとか言っていますけれども、そんなものじゃないでしょう、恐らく根本的には。赤字法人率がどんどんふえているんです。こういう状況の中で、実質国民所得の伸び悩みと、それからやっぱり赤字法人企業がどんどん出ている、円高でさらに景気後退している、こういう結果じゃないですか。さらにこれはどんどん悪くなりますよ。こういう事態に対して、どうもいや今まさにまだよくなっている、よくなっているというけれども、よくなっているなら税収も伸びるはずですけれども、この点についてはもうあなたたちと議論したって、時間ありませんから、不満でありますので、経済企画庁長官はもう少し現状認識を、もっと一般の国民の段階に入っていって実態を把握をしていただきたいと思います。 それから、雇用、失業の状況について、現状と今後の見通しについて経済企画庁長官からお伺いをしたいと思います。 特に、最近の円高不況下における企業の合理化とかあるいは閉鎖とか倒産とか言われました。先ほど非鉄金属の問題で詳しく出ましたから、もう私は非鉄金属は申し上げませんが、石炭が雪崩現象起こすんじゃないかという、これは恐らく今努力を大臣がされておりますが、そう簡単には、高島だけで済むような問題じゃないんじゃないか。それから造船が、これは通産省関係ないかもわかりませんけれども、経済活動ですから全部関係ありますが、造船がもう軒並み悪いんです。私の地元の県南側も造船企業が多いんです。これは見かけよりも下請けをたくさん使っておりますから、大変な打撃を経済に与えておる。これはもう円高の関係です。大変円高で、つくっても採算とれませんから。それから鉄鋼会社、私どもには新日鉄がありますが、これは大変な今不況です。それから電機があります。特に通産省は、この二、三年前はハイテクで、ICが自動車、電機に変わってどんどん伸びるといってえらい宣伝をされておりましたが、この半導体が非常になかなか厳しい。そしてその下請が今厳しいんです。それから自動車、繊維の下請がたくさんありますが、これはもう厳しいんです。デパートや小売店なんかがいいといったって、これはそんなによくないですよ。行って、私は歩いて聞いておりますよね。そういう状況です。 それから中小下請は、これは公取が中小下請にそういうところにしわ寄せしたらいかぬと、中小企業庁の方もそんなことを言っておりますが、御承知のように、単価は切り下げられ、合理化を強いられて、しかも雇用問題が起こっている。それから国鉄の問題では、皆さんは国鉄の正規の社員の雇用には責任持つと言うけれども、全部下請を締め出して、下請の皆さんを追い出してそこに正規の社員、国鉄の職員が行くような形、全部弱いところにしわ寄せがきているんですよ。今までこんな厳しい状況があったですか、日本全体に。どうなんですか、この雇用と失業の情勢について、状況と見通しをお伺いしますから、本当に親身になってひとつ答弁をお願いします。
○政府委員(勝村坦郎君) 雇用情勢につきましては、ただいま御指摘がございましたように、一部に非常に深刻な状況が出ているということは御指摘のとおりかと思います。 その主要な要因は、やはり今御指摘の業種をごらんいただきましても、第一に構造問題を抱えている業種、しかもそれが円高によりまして非常に 困難の度を高めたという状況がある産業、また産業内の企業間競争が非常に激化した結果というようなことがございまして、一部に非常に深刻な雇用調整の問題が出ているというふうに考えます。 全体の失業率は、御存じのとおりここ二カ月ほど二・九%ということで、これは確かに日本といたしましてはかなり高い失業率で当面推移をいたしているわけでございます。ただ、私ども現在の雇用問題、これは必ずしもマクロ経済全体が悪くて雇用吸収力がないために生じている問題と申しますよりも、むしろただいま申しましたような構造的摩擦というのが非常に円高その他で激化をいたしまして、それが何カ月とか半年とかというような期間ではそう簡単に調整が進まない、そういうような現象が現在の雇用問題の中にあるんではないだろうかと思います。 ちなみに雇用者全体の伸びを申しますと、これは今年度に入りましてからは昨年よりむしろ伸びがやや高まっておりまして、大体一・六、七%の伸びをここのところ続けております。八月はちょっと特別高うございましたが、そういう状態でございます。もちろん雇用の伸びの内容、これには男子よりもやや女子の方が伸びが高いとか、それから製造業ではむしろマイナス傾向でありまして、非製造業の方を中心にふえている。そういう構造転換の問題が雇用の伸びの中にもございますけれども、まあ雇用全般が伸びなくなっているというようなマクロ全体の問題と申しますよりは、むしろ先ほど申しましたような構造摩擦の問題、そういう面からの雇用問題が現在非常に表面化しているんではないだろうかというふうに考えております。
○梶原敬義君 東京におるからそんなことばかり言うんですよ。有効求人倍率ですね、要するに求職者の数と求人数との割合、これは去年の、私どもが一年前ぐらいに質問したときには、東京、この周辺でもやっぱり有効求人倍率は〇・八ぐらいだった。今〇・六、大分落ち込んだんですね。その当時私どもの九州では、私どもの地域では〇・四幾らでした。もう〇・四を切りましたからね。ということは、職を求めても可能性は四割、しかも賃金は下がるんです、実際再就職しますと。実質賃金は物すごく下げられて、しかも可能性はもう四割以下、大体もう職はないんですよ。 地方へ行ったらわかると思います。それは北海道もそうでしょう。東北の向こうの方もそうでしょう。九州、四国でも、南の方はそうでしょう。それは大変なんですから、今は。それで大学を出て子供を就職させようたってないんですから。そして今地方で失業したら、地方では生活できぬですからね。家を建てて、そしてそこで何とかもう地域社会とこんなに一緒になってやっているけれども、そこで失業したらもう東京かどこか、こっちに来なきゃ職がないんです。だから、やっぱりマクロで見るといったって、実際に地域間の格差の問題もよく見ていただかなきゃならぬ。 だから、両大臣おられますが、公共事業今度はやるとかなんとか、問題のあるところには重点傾斜配分をすると、さっきそういう努力をお願いをしたと、こう建設大臣の話を……。私はもっともなことだ、ぜひやっていただきたいと思いますね。だから、特にそういう有効求人倍率の低い地域がたくさんあるんですよ。地域の均衡ある発展を目指しても、この公共事業をやる場合に、地域のおくれたところの環境をよくするために重点配分をしてほしい。何かもう最近の内需拡大、民活というのは、民活が乗り出してやれるところというのは、やって商売ができるところでしょう。採算が合うところでしょう。だから東京—千葉の橋をかけたり、要するに大型のそういうところにどんどん今重点が移っているじゃないですか。だから、どうしても仕事がないような地域に、この辺にもっと力を入れるように、これは担当の経済企画庁長官、通産大臣、やっぱりしっかりこの点は私は受けとめていただきたい。 私は議論を何回もしましたけれども、金子元経済企画庁長官、私は今までの経済企画庁長官の中で一番まじめに取り組んでいただいたと思っているんですよ。それは、住宅問題にしましても、今こそ通産省、経済企画庁が住宅、住宅と、こう言っていますけれども、昨年、あの大臣のときに随分けんかしまして、住宅にもっと金かけてくださいよと、そしてそこで住宅投資が進めば波及効果があるじゃないかと、大分けんかしました。これはぜい肉論議まで出ましてやりましたけれども、もっとしっかり、本当にマクロで見ていることは、もうちょっとしますと状況は私は悪くなると思う、このままいくと。革命は起きやしませんけれども、これは大変なことになりますよ。だからこの点ついて経済企画庁長官のお考えをちょっと聞きたいと思うんです。今局長の話は、その点についてお伺いしておりますから。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほどもお話しいたしましたように、本日の概算閣議でも、建設大臣からそういう発言の趣旨がございましたし、私もぜひそういう方向で、通産大臣初め関係閣僚の方々にも御協力や御配慮をお願いいたしたいと申し上げたわけでございますが、まさに限られた予算でございますから、それを円高不況が激しい地域にまず傾斜配分すると。それから先生おっしゃいましたように、大都会はいわゆる民間活力で、民間の資金、民間のイニシアチブで相当なことができるわけでございますが、私、山形の代議士でございますけれども、北海道、東北のような地域は、これはなかなか民活といっても、そう簡単に民間資金でできるような仕事は限られている面も確かにございますから、そういうところはやはり国の財政資金でまず基礎的な社会公共施設の整備をする。そしてやっぱり将来の民活への地盤づくりをしなければならない、こういうことでございますので、こういう配慮についても当面の補正予算においては十分考えさせていただきたい、かように考えております。
○梶原敬義君 お言葉を返すようですが、民活といっても六〇%も地方では赤字企業があって、地方の人はそんなに金ないんですよ。しかも地方で民活やってももうかりませんよ。だから地方については民活、民活といったって、もうやっていますよ、もうかるような話なら。だからそこはちょっと分けて考えていただかなければ、何もかも一緒くたに言っているんじゃないんですから、その辺がどうもわからないんですよ、実態がわかっていただけないんです。 次に移りますが、為替レートにつきましては、通産大臣は、「適時適切な介入及び金利政策の機動的発動等主要国との協調的な経済政策」云々と、こう言っているんですが、私はこのままでは本当にどうにもならぬから、やっぱり「適時適切な」というのは今じゃないですか。この点については為替レートの問題、介入については一体どうお考えなのか、お聞きをしておきます。
○国務大臣(田村元君) 適時適切な政策介入、また利子、利率に関する適切な操作、これはもう当然のことでございますが、ただ、今ではないかと、こう言われて、のどまで声が出かかっても、やはりこれは私どもが決めることではございませんので、率直なことを言って同じような期待を私も持っておるということでございます。御承知のように、政策介入というのは通産省がするものでもございませんから、我々は要望を強くする立場でございますから。
○梶原敬義君 ここに、しかしこう書いておられますからね。これ「演説」になっていますから、少しそれは困るんですね。 ちょっと変わった観点から質問しますが、為替変動リスクによって為替差損の目減りの問題があっちこっちに少し出てきておりますが、一体為替差損で損をしているところはどこのどういうところなのか。私は何か読んでみましたら、農協の皆さんも証券買って損をしているところもあるんじゃないかと思いますし、生命保険は、日本生命は九千億円何か買っておる。これ一体どうするのか。地方自治体も買っていやしないか、心配もあるんですが、こんな二百四十円が百五十円にもなれば、これまた大問題になるんじゃないですか。一体、実態はどうなんでしょうか、経済企画庁。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 実はなかなかこれ、統計的に難しい面もございまして、一体どの時点で、どれぐらいの金額で債券を取得したかということによって、全部計算が違ってまいりますから、日本国全体としてどれぐらい今度の円高でいわゆる差損ができたかということは、いつの時点、どれぐらいで、どの程度のレートで、いつそれを今度はまた実際現金化するかということの関係ございますが、ただ最近はともかく、いっとき相当多量に日本から海外へ金が流れたときには、相当なアメリカの高金利というものを考えての資金運用としての投資でございますので、その時期にもよりますが、その高金利でいわば……
○梶原敬義君 失礼ですが、もう時間ないですから、大体そこのところまでわかるんですわ。
○国務大臣(近藤鉄雄君) ということでございますので、なかなか確定できないということが結論でございます。
○梶原敬義君 そこはわかるんです。だから実態はどういう、特に農協とか公的な部分が、若干公共性のある部分のところが、生命保険や何かが、あるいは地方自治体持っていやしないかと。今トータルで大体どのぐらいのそういう証券や何か、外債や何か買って問題になっているのか。その額と見通し、これは問題になるのかならないのか、その辺です。お願いします。
○政府委員(勝村坦郎君) 多少技術的な問題もございますので、私から答えさせていただきます。 現在、大蔵省統計によりますと、日本の対外資産、これはグロスの資産でありますが、これが昨年度末で四千三百七十七億ドルあります。それから負債の方が三千七十九億ドル。純資産というのが千二百九十八億ドルで、これは御承知のとおり世界で最も高い額でございます。 ただいま大臣答えましたように、これを例えば昨年の一番ドルの高かったとき、二百四十円のときから現在百六十円のときまで、この期間だけをとりまして、この額で幾ら損したかという計算は、これはもう算術としてできるわけでありますが、それは余り意味がございませんで、それは先ほど大臣答えられましたようなこともございますし、それからドル建て資産であるか、ヨーロッパ通貨建てであるか、あるいは一部円建てのものもございます。それから、いつ、どの時期で円に戻して国内で運用する予定があるのかどうかという問題がございます。それからもう一つは、かなり短期の資金で手当てをいたしまして、絶えず為替の先物でカバーをして損をしないようにしている投資も多いわけでございますね。 したがいまして、一概にそういうふうに申せませんが、ただ御指摘のように、あえて申しますれば、今申しましたような先物のカバーを十分とらない、それから将来は当然円に戻して、国内で円として運用することを予定されている資産、これにつきましては長期的な為替レートの問題につきまして十分留意をしなければいけない部分があるだろうというふうには思います。ただ、内外金利差あるいは債券価格の上昇ということもございまして、全部それが欠損として出てくるかということになりますと、必ずしもそういうものでもございません。かなりの部分はこの内外の金利差あるいはこれまでの債券の価格上昇ということで、為替のリスクは相当カバーはされてきているというふうに判断いたしております。
○梶原敬義君 わかりました。そこの辺は大体私もわかるんですよね。ただ、生命保険会社あたりは、為替損か何かで欠損で落とせばこれはまた税収にも響きますしね、まあそういう状況。時間がありませんから、また後日お伺いします。 最後に一つ。森林河川緊急整備税というのがありますね。これは、経済企画庁長官、どうも地元じゃ一生懸命進めておられるようですが、もう答弁要りません。 通産大臣ね、これはやっぱり水は天からもらい水と言うけれど、私ども、一級河川にかかわるところ立米二円五十銭ですか、あいさつや何かで上っていきますと、おじさん、ここからも、この水からも税金取られるんやでと言ったら、その上の方の人も一級河川にかかわるところですから、ええっと言うわけですね。これは実際にこの問題がやっぱり本当に実行段階に入りましたら相当な世論の反発を受けますね。 この前、予算委員会で大臣の丁寧な答弁も聞いておりますが、もう一度やはり今のような厳しい時期に、水に大衆課税をするということについては絶対まかりならぬ。大臣の決意を最後にお伺いをして終わりたいと思います。
○国務大臣(田村元君) あらかじめ申し上げたいことは、私はたまたま通産大臣になったから、今から申し上げることを申し上げるわけじゃないんで、私の持論でございますので、それが通産大臣になって自分の考え方と通産大臣との別に矛盾が生じなかったということでお聞きを願いたいのであります。 私は、治山治水の重要性というものは十分に存じております。第一、私は元来が建設族でございますから、ついこの間まで治水議員連盟の会長もいたしておりました。でございますから、十分承知しております。かつて河野一郎さんが農林大臣から建設大臣におなりになったときに、林野庁の治山課長と河川局の砂防課長、両方とも木村君というんですが、それを入れかえて整合性を図ろうとされたこともございました。早く亡くなったんでその実が上がらなかったことは残念なことでございました。 そういうことで、私もこれ何とかしなきゃいけない。実際に災害が起こると、人災だと言ってくそみそにやられる。そして担当者は被害を受けられた方の御遺体の前で両手をついておわびをしておる姿、私も建設省の政務次官もしたことありますが、そういう姿を幾たびか見ました。特に私の地元が伊勢湾台風というのでやられた。そのときだって、人災だというんで随分気の毒な姿を見ました。でございますから、治山治水の担当者に対しての理解は私は人一倍持っておるつもりでございます。 ところが、それとこの財源措置というものとは別問題であります。私は国民全体の生命と財産を守る、その治山治水というものの財源は、全国民の名において持つべきものというのが、負担すべきものというのが私の持論なんです。 今度の水源税といいますか、ちょっと難しい名前で覚え切れませんが、あの内容を見てみますと、水源の水の六六%を利用する農業用水は除いて、一八%の工業用水と一六%の上水と、合わせてわずか三四%に対して税をかけて、千二百億円程度つくろうと、しかもその四分の一を地方に回して、あとの九百億程度を四対三で分けようと、こういうことのようでございますけれども、これはまさに苦し紛れの——気持ちはわかります、担当者の気持ちは痛いほどわかりますけれども、考えてみれば、自分が国務大臣の立場で言うのもおかしゅうございますけれども、日本の行政が治山治水の担当者をしてそこまで苦し紛れの対策を講ぜしめなきゃならぬ、そういうところに欠陥があるんじゃないかという感じが私はするんですよ。 でございますから、そういうこそくなことでなしに、もっと堂々と、一般財源でもっと大きく対応すればよいと。シーリングだ何だというのが阻害の原因になっておるようです。また公開財源程度で調整財源と言えるかどうか、そういう問題もあります。けれども、それは担当省とそして財政当局が十分に話し合って、そして抜本対策を講じるべきである。このようなこそくな手段を講じて、もしこれがこのようなこそくな目的税が定着したならば、そしてそれに財政当局が大きく期待を持って低い姿で定着したならば、逆に治水治山対策の逆行になると、私はこのように考えております。
○委員長(前田勲男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ─────・───── 午後一時十七分開会
○委員長(前田勲男君) ただいまから商工委員会 を再開いたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大木浩君 引き続きまして大臣の所信表明に対する質疑を行いたいと思います。 大臣の所信表明の中にも少し書いてございましたけれども、エネルギー問題、石炭でございますね。石炭につきましては第八次石炭政策というのがいずれ出てくるだろうというようなことが書いてございましたけれども、たまたま土曜日でございましたか、通産省の方の御発表で、鉄鋼業界と石炭との間に、これは通産省のごあっせんだと思いますが、国内の原料炭引き取りについて合意が発表されたということでございます。ただ、この内容を見さしていただきますと、引き取り量は前年に比べると半分ぐらい、それから基準価格も少し下げというようなことで、鉄鋼業界も大分不況でございますから、これは余り負担が多くちゃいかぬだろうというようなお考えだと思いますけれども、とにかく合意ができたということでございます。 そこで、新聞は今回の合意を、石炭政策が従来からの「延命」、命の引き延ばしから「円滑な撤退」へと、こういうふうに見出しをつけて報道しておりますけれども、そのように理解したらよいのか。それから、この大臣の表明にも書いてございます第八次石炭政策にどういうふうに続いていくのか、この辺の御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 今御指摘のとおり、第八次答申をおまとめいただいておる最中でございます。ちょっと誤解があるといけませんので申し上げますと、先般の鉄鋼と私どもの話し合い、苦しい中にもかかわらずよく鉄鋼がのんでくれたと思いますけれども、本当に苦しいと思うんです。それにもかかわらずよくのんでくれたと思いますが、あれは七人委員会中立委員でおまとめいただいた調整案、それをどうぞこの案でのんでくれませんかと、中立委員の調整に応じてくださいと、こう言って私からもお願いを申し上げたというのが正確な表現でございます。あの調整案で鉄鋼もうんと言ってくれたわけでございますが、大体昭和六十五年で原料炭は一応終わる、後は一般炭ということになるわけであります。具体的な何トン何トンということを言ったわけではありませんが、昨日もあるいはその前もそうでございますが、残った電力、ガス、あるいはセメントその他、化学、いろいろとたくさんあるわけでございますけれども、各業界にもどうぞ審議会に対して御協力を願いたいと、私からも御懇請申し上げたということでございます。 石炭がどういう形でどのようになるか、これは今私から申し上げるという筋のものでもございませんが、八次答申がどういうふうに出ますか。ただ常識的に申せば、一応ドラスチックな閉山現象が起こらないように、なだらかな現象でいってもらいたい。それでないと、雇用問題その他地域の空洞化等大変な問題が起こりますから、そういうことは申せると思いますけれども、しからばいつまでに何トンでというようなことはまだ審議会で結論が出ておりませんから、これを今お待ち申し上げておるということでございます。
○大木浩君 いずれにいたしましても、これは一言で言えば、だんだんやっぱり撤退の方に動くということだろうと思いますので、これは生身の人間が働いておる、それをどうするかということでございますので、ひとつ慎重な今後の対策をお願いしたいと思うわけでございます。 次に、午前中もいろいろとお話がございまして、現在の貿易不均衡の是正、あるいは国内への、国内と申しますか、日本経済の四%の成長の一つの目標、この辺二つこう目標を掲げまして、両方一緒にやっていこうと、こういう話なんですが、これが四%自体もなかなか難しいというお話もありますけれども、そもそも貿易不均衡是正ということになれば、やっぱり是正のためにはそれを一つどこかで、何らかの形で抑えるということはどうしても出てくると思うんですが、さっきから内需振興ということお話ございますけれども、この二つが実際に本当にうまくいくのか。午前中の近藤長官のお話によりますと、いやいや、製造業はだめだけれどもサービスはいいとか、あるいは一部はいいけれどもあれはだめだとかございますけれども、一体どういうところに主眼を置いて、今の二つがスムーズに達成されるのかどうか、その辺につきまして長官ひとつ全体の姿をお願いしたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) いわゆる円高状況というのは、理論的に考えますと、日本の円が高くなるわけですから、輸出が抑制されて、外国のものが円の表示で安くなるから輸入がふえて、それでバランスをとると、こういうことでございますが、現実輸出の方は、これは円高が一〇〇%輸出価格に反映されないで、そこは多少上げどまりもございますけれども、現実問題としては高くなっておりますので、輸出に対しては明らかに抑制効果を持っておりまして、最近わずかながら減っているわけでございますが、しかし輸入については、これはまさに円建てでは安くなっておりますので輸入数量はふえております。 これは前年同期と比較いたしまして二割前後も毎月ふえているわけでございますが、そうすると現実にドルで表示いたしますと、これはそれだけ円の支払いが少なくて済むと、ドル表示では余り関係なくて。むしろ、だからドル表示で言いますと、輸出代金がふえて輸入代金はそう変わらない。その大きな原因が、たびたび言われておりますようないわゆる原油価格の減少と、こういうことで、ドルで申しますと国際収支の黒字は依然として続いている、こういうことでございますが、先ほど申しましたように、輸出は数量的に減少ぎみでございますし、輸入は数量的にどんどんふえておりますから、まあいずれ国際収支は方向としては改善がされるであろう、こういうふうに私どもは考えているわけであります。 ただ、それと四%経済成長がどういう関係になるんだと、こういう御指摘でございますけれども、実は私ども六十一年度がGNPでどの程度の成長率になるか、なかなか最近の経済指標がまだそろいませんので見通しは困難ではございますけれども、言えますことは、数量として実質的に輸入がふえているということは、GNPにとってマイナス要因であります。それで輸出が減っているということも、これもGNPにとってマイナス要因でございますので、この国際収支の関係でGNPがどれぐらい減るかということが、実は六十一年度のGNPが実際どの程度の成長率に達成されるかということの大きな決め手になるわけでございます。 現在のところ明確な数字が出ませんけれども、やはりこの面で相当GNPはマイナスになるであろう、こういうことが考えられますので、その分を内需を拡大することによって取り戻そうというのが三兆六千億円余の総合経済対策でございますし、その中核になっておりますのが一兆四千億の政府による公共事業である、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(田村元君) ちょっと今の企画庁長官の答弁を補足さしていただきます。 輸出は数量では微減傾向であります。減っております。けれども、御承知の円高ドル安というのでドルで上積みをする、つまりJカーブ効果というやつがありますから、数量ベースでは減っておるんですけれどもドルベースではうんとふえてきたということがあります。これは為替レートが安定しなければなかなか解決しないので、ですからいましばらくはJカーブ効果というのは続くであろうと思いますから、その点では輸出はドルベースでは簡単に減らないかもしれない。 それからもう一つは、輸入は今長官申しましたように数量ベースで確かにふえております。ふえておりますが、油なんかが、原油なんかがうんと安くなっておりますから、そこへもってきて円高ドル安というようなことでございまして、円ではそうでもないんですけれども、ドルベースではそ れほど伸びた姿ではないということだというふうにちょっと御理解を願いたい。
○大木浩君 今、両大臣から一般的な御説明をいただいたわけでございますけれども、私のところもいろいろな輸出関連中小企業などを抱えておりまして、彼らのいろんな要望というのを取りまとめて言いますと、やっぱり幾らある程度の円高が必要でも、とにかくもうこれは急激であり過ぎたし、それから今のレベルがきつ過ぎる、もうちょっと何とか戻りませんかと、こういうのが議論なわけであります。例えば私どもの方の陶磁器業界などは、何とかとにかく政府のお力で二百円あたりに戻してくださいと、こう言っておるわけです。 その二百円が一体すぐにできるかできないかはあれでございますけれども、最近は百五十五とか百六十とかその辺で、小さな動きもございますけれども、ひとつ通産大臣どうなんてしょう、これいきなり二百と言ってもそれは難しいんですが、今の政府御当局といたしましては、小刻みな動きは別といたしまして、大体現在のこのレベルというのはなかなか急激には動かないぞということで、これを前提としてこれからの通商政策をおやりになるのか、いややっぱりもうちょっと、今行き過ぎだから、どこだかわかりませんが、業界の方は二百と言っておりますが、そっちに近づけるような努力も一緒にするのか、その辺のところをひとつお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 為替レートが幾らがいいかということは、ちょっとこれは即断いたしかねると思うんです。ただ、百五十円台で安定されたらたまったものじゃないので、やはりある程度は戻ってくれないと困るということでございます。やはり百五十円そこそこまで行ってしまいますと、そこで安定ということになりますと、製造業者に対する、とりわけ輸出関連製造業者に対する、またその中でもとりわけ下請中小企業に対する影響ははかり知れないものがある。でございますから、私どもは日銀初め大蔵省等にも言っておりますのは、適時適切な政策介入によって、適切な常識的な為替レートに安定せしめてもらいたいということを強く要望し、この前も実は日銀総裁に私がお目にかかって強く要望をしたということでございます。
○大木浩君 今通産大臣からも、今のレベル百五十あたりじゃちょっとと、こういう話でございましたから、これをもうちょっと何か是正しようという努力をいただくというお話がございましたので、大変に期待するわけでございますけれども、さしあたっては、なかなかそれもすぐにどういう姿になってくるかわからないということですから、やはり緊急に中小企業に対しまして、輸出関連の中小企業に対しましては特別のいろんな措置をしていただきたいと思うわけでございます。 ただ、先般来いろいろと政府当局のいろんな御説明を聞いておりますと、とにかく緊急だということでございますけれども、今回のこの円高のスピードというものは、やっぱり個々の企業が自分たちの企業努力で何とかできるというスピードを超えておるんじゃないか、一種の災害であるというふうに考えます。そういうことで、ひとつぜひ今回の緊急措置というものは、言うなれば災害対策並みに内容もしっかりやっていただきたいし、それから緊急にやっていただきたいということでございます。 ただ、私いろいろ伺っておりますと、例えば例の城下町法案ですか、あれを少し手直しして、ああいうようなことで非常に影響を受けた地域を特定してやろうというようなお考えもあるように聞いておりますけれども、今回の災害といいますか、円高による影響というものは、どこかの村の地崩れで村が壊れたというよりは、もう非常に広い範囲が全部地震で影響を受けた、こういうようなものでございますから、余り地域を限定していただくと、この町は助けてもらったけれども、一つ川向こうの次の町はだめだと、こういうようなことになりかねないわけでございますので、ぜひともひとつできるだけ広範に、本当に影響を受けたところは残さないように面倒を見ていただく、こういうことでお願いをいたしたいと思いますが、その辺のことにつきまして中小企業庁の方はどういうふうにお考えになりますか。長官でも結構でございますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 確かに行政区画によって影響がゼロか百かであるということでは実態はございませんので、そこらの実情というのは私どももよく承知をいたしております。具体的な地域指定に際しましては、よく地元の自治体等とも御相談しながら、できるだけ現実に沿うような、現実の実態に沿うような形に努力したいと思っております。 ただ、地域立法の宿命といいましょうか、どうしてもある区画は限定せざるを得ない、そこのところで完全に差異がなくなるということはなかなか難しいと思いますので、そういうところから漏れたところについては、一般的な業種対策、あるいは中小企業対策、そのようなところでいろいろ手当てをしていかなければいけない、そのように考えております。
○大木浩君 今のお話、まだちょっともう少し細かく聞きませんと、本当に私どもの関心事項が満たされるのかどうかよくわかりませんけれども、幸いに当委員会におきましても、いずれ現地調査というのもさしていただきますので、その結果を踏まえましてまたいろいろと御要望申し上げたいと思っております。 次に、大臣御就任以来四極会議だとかガット総会とか、いろいろ大変にあっちこっちお出かけいただきまして御苦労さまでございます。ガット総会におきましても、大臣の所信表明にも、利益の均衡論は、これはちょっとまだどうだというようなことで、これは一つとめて帰ってきたというようなお話が書いてございますけれども、最近見ていますと、いろいろまたガットに提訴というようなやつが出ておりますね。この間の半導体あるいは酒類ですか、それからあと何があったかな、とにかく相次いで何かガット提訴、提訴というようなことが続いておりますが、これをどうしてこういうことになっておるのか、あるいはこれからどういうふうに対処されるのか、この辺についてお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 具体的なことは政府委員からまたお答えをすると思いますが、基本的に申しますならば、例の利益の均衡、BOBというのは、私どもが徹底抗戦したことももちろんそうですけれども、外国の多くが日本の立場を支持してくれた。つまり、ガットは管理貿易やあるいは保護主義から自由貿易を守ろうと、そのための自由貿易のルールをつくる場であって、ルールの場であって結果として得た利益のバランスを問う場ではない、こういう基本原則を全世界で守ってくれた、こういうことだと思うんです。ECの利益のバランスというのをニューラウンドの本文に入れろ、宣言文に入れろということに対して、わずかセネガルとマダガスカルしか賛成しなかった。あとはおおむね日本を支援しようと、中にはマレーシアのように、日本とECだけで張り合いしておれと言ったところもありましたけれども、我々まで巻き込まれるのは迷惑だということもありましたけれども、まあそれはそれとして……。 ところが、それは日本を守ってくれたのではないということ、これは日本人は、政治家であろうと経済人であろうと、一般国民であろうとマスコミであろうと、みんなが認識すべきだと思うんです。彼らはガットの原則を守り、そして自由貿易を守ったということであって、日本を守ったのではない。そこで、我々には自主的な努力というものがどうしても必要である、こういう原則の上に立って物事を論じますと、二国間というような場合においてはいろいろなトラブルがあるわけでございます。 そういうことでございますから、先般来の米の問題を初めとしていろいろな問題が提起されておるということでございますから、ガットでBOBが守られたにもかかわらずどうかというつなぎよ りも、むしろBOBというものを本文に入れなかったということは、自由貿易の原則を守ったんであって、日本を守ってくれたんではないんだという、くどいようでございますが、この認識を持つべきである。ですから、それとこれとを分ければ、いろいろとトラブルがあるから日本としては自主的な努力が必要である、こういうことになると思います。
○政府委員(吉田文毅君) 今、先生御指摘のとおり、半導体及びワイン、アルコール類につきまして、ECからガットでの協議等を求めてまいっております。 まず半導体問題でございますが、半導体問題につきましては、日米の協定につきまして、EC側は二点問題としてまいっておりまして、第一点は日本市場に対するマーケットアクセスの問題でございます。本件につきまして、米国とその他日本から見た場合の諸外国との間で、米国を優先するというようなことがあってはならぬというような問題意識のようでございます。また、第三国モニタリングという協定の内容がございますが、その項につきまして、第三国としてECがみずからのガット上の権利義務等についていろいろ心配をしているということだと認識をしておりまして、ECが今月の初めにガットの二十二条の協議を求めてまいっておりまして、昨日、現地時間二十七日のガットの理事会におきまして、アメリカ、日本ともこのECの申し出を受けまして、二十二条の一般的な協議を開始することに同意をしたところでございます。 またアルコール等でございますが、これは物資といたしましては通産省の所管ではございませんが、貿易官庁といたしまして、まあ一般的な情報をお話し申し上げますと、本件につきましては、昨日のECの外相理事会におきまして、まだ文章も入手しておりませんので万一間違ってたら大変失礼で、後で訂正さしていただきますが、ガットの二十三条、こちらは二十三条の方で、一般的な協議ではなくてガット上の権利義務にかかわる議論といたしまして、EC側が外相理事会ベースで提訴を決めたという連絡を受けております。詳細につきましては勉強の上また御報告申し上げたいと思います。
○大木浩君 いろいろと提訴なり何なり、通産省も大変にお忙しいところでございますけれども、ひとつ御検討をお願いしたいと思います。 最後に、先ほどもお話が出ておりましたけれども、例の昨年来いろいろと議論になっております流水占用料ですか、あるいは名前いろいろあるようでございまして、ことしは森林河川緊急整備税ですか、既に大臣から午前中にも所信表明ございましたので、もう今さらつけ加えることないんですけれども、先般の予算委員会でございましたか、大臣からも御発言があったし、何かお隣にお座りの建設大臣もそうだそうだというお話があったやに承っておるんですけれども、一向その後もおさまるような情勢でございませんので、どうぞひとつ通産大臣、先ほどお述べいただきました堂々たる所信をぜひともひとつ貫いていただきたいということをここで改めてお願いし、確認さしていただきまして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 私どもはそのように考えておる。恐らく厚生大臣も同じ意見であろうと思います、上水道を持っておりますから。ところが、建設省や農水省は、これはやっぱり自分たちの意見で、しかも両省で一つなべのえきを分け取りするわけですから、それは簡単におさまらないだろうと思うんです。これからお互いにいろいろと議論していくということだろうと思いますが、私はおりる意思は毛頭ございません、自分の意見は正しいと思っておりますから。これは私はこういうことを言うと失礼かもしれませんが、建設省や農水省からも感謝されてよい私の意見だと、このように思っておりますので、おりる意思は毛頭ございません。
○松尾官平君 私は過去一カ月ばかりの間、土曜、日曜を利用しまして青森県の商工会の会長、役員諸君と懇談をずっとやってまいりました。それらの意見の中から際立った問題を二、三取り上げてお聞きしますが、ひとつ商工会長さんや役員諸君にわかるように、簡単に明暸にお答えを願えればありがたいと思います。 大木委員の質問に続くわけでございますが、去る二十五日の各紙を拝見しておりますと、日経は、日銀はドル高円安の問題を「当面は静観」しかし「急落すればドル売り介入」という見出しで記事を出しております。「週明けの東京市場で一時的にせよ円が急落するような場合は、乱高下を防止する意味でドル売り介入を検討するとしている。」こういうふうに日経は書いているわけであります。また毎日新聞を見ますと、「一挙に一六二円五〇銭まで円安が進んだ。外為市場筋によればこの水準で円買い・ドル売りの日銀によるスムージング介入がはいり、一六一円に戻って取引を終えた。」、こう毎日は報じているわけであります。 先ほどの大木委員の質問の中にも、円安を大きく期待しているという意味の御質問があったわけでありますが、こういう日銀の態度、当面静観ではあっても、急落すればドル売り介入というのがどうも日銀の態度のようでありますが、こういうことについて、過去において円高ドル安が進んだ際、二百円でとまってくれれば何とかやっていけるとか、百八十円で赤字になるとか、いろいろ言われてきたわけでありますが、それにしてもドル高円安を今望んでいるのは圧倒的な声ではないかと思うんですが、そういう中で日銀がこういう態度をとっているということに対して、両省庁のお考え、御所感をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 為替レートが、円が幾らが適当かということは、これは私どもが言葉にすべきことではないと思います。影響も大きゅうございましょう。 私どもは、日銀に対して適時適切な政策介入をしてもらいたい、そして円を適切な姿にしていただきたいと言って、特に輸出関連の製造業者の、とりわけ下請企業の苦しさを訴えておる、こういうわけでございます。でございますから、日銀がどういう意味でそういうことを言ったか、私はまだ聞いておりませんので存じませんが、全くのこれは推論で物を申せば、あるいはひょっとしたら投機性の非常に強い乱高下をおそれての言葉かなと、今お聞きしてそういうふうに思いましたけれども、我々としてはもちろんもっと円がなだらかに安くなってくれることを期待しております。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 通産大臣から御答弁がございましたが、私ども日銀の方に問い合わせをいたしましたら、自主的な介入といいますか、逆介入といいますか、そういうことはしておりませんと、こういうことでございますので、具体的なアクションはなかったものというふうにまず考える次第であります。 同時に、通産大臣からも御答弁がございましたが、どれが適正な水準かということについてはいろいろな見方がございまして一概に言えないわけでございますが、しかし日本の産業の現状、経済のファンダメンタルズから考えて、一ドル百五十円台という水準は、これが決して円にとってというか、日本の産業にとっていい水準であるというふうには恐らく日銀当局も考えてはいないんじゃないか。しばしば御指摘ございますような、円高にはいろんな産業ごとの不況現象なんかを考えますと、少なくとも急激にここまで円が上がってきたということが望ましいことだという判断は、これは恐らく日銀もしていないのではないか、こういうふうに思いますので、そういうことを考えますと、多少円が戻っても、これについてすぐに介入に出るというようなことは今後とも私はないのではないか、かようにこれは推測をするわけでございます。 ただ、これも通産大臣のお話ございましたけれども、そうは言っても、乱高下というものが経済に対する悪しき影響を考えてまいりますと、そういうような極端な場合に多少のことはあるのかなということも、これも推測の域を出ませんが、思うわけでございます。いずれにしても、現在のところは、日銀はそうしたことをしていない、こう いうことでございますので、私もそういうふうに判断する次第でございます。
○松尾官平君 両大臣とも我々賛成できる御意見をお持ちと拝聴いたしました。ただ、責任のある立場でありますから非常に言葉を選んでおっしゃっておられるわけだとお聞きしました。 ところが、一日前の日経、十月二十四日の日経には、「円相場百五十円台、百日超える 日銀、安定基調と好感」、こういう見出しで、まだ全く次の日の予測がつかぬものですから、前日にはこういう見出しで書いているのであります。ですから、二十四日の新聞で見る限り、百五十円台が三カ月以上も続いて安定していることに対して、日銀は安定感があるということで好感を持っておられる。そして、二十五日の新聞で、一挙に四、五円下がったわけですから、日銀が介入したんじゃないかとかいろいろ憶測がなされているし、またいずれ介入するんじゃないかという懸念も前の日の新聞記事から予測されるわけです。この辺がいわゆる商工会長さんや役員さん方のわからぬところでありまして、円高ドル安があの物すごい勢いでだあっとG5以後進んだときには手も足も出なかった。今度は、我々の望む多少円安に戻ってくるときに日銀が介入するんじゃないかということになれば、一体どういうことなんだろう、国はもっと円高を望んでいるのだろうかという疑問にも突き当たるわけでありまして、その辺がお聞きしたくて質問をしたわけですけれども、大体わかりましたのでこの問題はこれでおかせていただきます。 次の問題ですけれども、御案内のように、今、労働省で労働時間の短縮あるいは休日の増加、いろんなそういう、結局は労働時間の短縮になるわけですが、この問題を取り上げて、基準法の改正まで持ち込もうとしているわけでありまして、政府の経済構造調整推進本部もそういう方向で進められるようでありますが、考えてみますと、円高で不況になっている産業は、逆にコストを下げるために必死の努力をしなきゃならない時点だと思う。そういう時点で労働時間が短縮になるということは、製品のコストアップにつながるんじゃないかということを考えるわけであります。私の考え方が余り幼稚かもしれませんが、どうもそう思えてならない。 ただ、労働省は、そういうことによって労働時間を短縮することが、一方では余暇を増大し、消費を拡大し、内需拡大につながるんだ、こういう言い方でこの政策を進めようとしているわけでございます。 一方また、大手企業はもちろんでありますが、全国の中小企業も海外の投資熱が大変進んできておりまして、新聞等を拝見しましても、中小企業事業団への海外投資相談件数が急増している、本年度はこの調子でいけば三倍ぐらいになるんじゃないか、こう言って海外投資の傾向を伝えているわけでありますが、こうなれば国内の労働力が余ってしまうんじゃないだろうか。例えば自動車産業で、アメリカに輸出している自動車の中で二百万台が現地生産されるということになりますと、経済関連指標なんかを使ってこう計算してみますと、自動車産業並びにこの関連業も含めてでありますが、NHKの試算によれば四十二万九千六百六十二人が失業する計算になる。そういう、企業の海外進出と言えば言葉はいいんですが、悪く言えば経済の空洞化が進む。一方では円高不況が進んでいる中で労働時間の短縮ということが、非常に強い短縮案が志向されているわけでありますので、この点について両省からまた御意見をいただければと思います。
○政府委員(杉山弘君) 二点のお尋ねがございました。 第一点は労働時間の短縮の問題でございます。 これは、御案内のように、我が国の労働時間が欧米の労働時間に比べまして長過ぎる、したがってこれをできるだけ短くするようにという基本的な方針につきましては御了解をいただけるんではないかと思いますが、ただ、現在のような時点でそれを導入することの問題点、こういう意味のお尋ねであろうかと思うわけでございます。 確かに、景気の状況がこういうような段階で労働時間の短縮を法的にというようなことになってまいりますと、特に中小企業サイドにおいて問題があることは私どもも重々承知はいたしております。したがいまして、この導入というふうなことがこれから労働省関係の審議会の答申を待って決まるということになりますれば、中小企業を所管する通産省といたしましては、その導入に当たっての所要の対応、そちらの面に力を入れていくということになるのではないかというふうに考えるわけでございます。 それから第二点といたしまして、やはり海外投資が進んでいくと国内の雇用機会が失われるという点の問題の御指摘がございました。 これにつきましても、私ども、産業構造の転換ということで、最近の対外収支のアンバランスを解決いたしていきますためには、為替レートだけということではなくして、やはり日本産業の構造を、現在の輸入がふえにくく輸出が伸びやすい、こういう体質から徐々に切りかえていかなければならないんではないかと考えておりまして、この点についても基本的には御了解をいただけるかと思います。 ただ、こういった観点からの海外投資ということをやっていきますと、国内でおっしゃるように雇用の問題が出てまいります。こういった点につきましては、むしろ基本的には、内需中心の高目の成長を維持するということと同時に、新しい雇用の機会として、製造業の分野では新しい技術等を利用いたしましたフロンティアを開拓していきますし、またサービス業の面におきましては、これも最近までの技術開発の成果を利用し、また国民の新しいサービス需要に対応するような新しいサービス産業の分野を切り開いていく、こういうような政策的な努力をもちまして国内の雇用対策に問題なきを期してまいる、そういう前提のもとで、おっしゃったような海外投資を中心とした産業構造の転換を進めていく、こういうことであろうかと考えております。
○政府委員(川崎弘君) ただいま産政局長のお話がございました点にほぼ尽きているわけでございますが、まず第一の問題の労働時間の短縮の問題、これは労働者の健康の確保であるとか生活の充実という、そういう観点だけではございませんで、いわゆる消費の機会の拡大、それによって内需を中心とした景気の着実な拡大を図るという観点からも重要なことだと考えております。 しかしながら、こういった労働時間の短縮というのは、ある程度の期間でもって実態に合わせながらじっくり進めていくというのが、やはりこういった労働時間の短縮というのを導入する一つのやり方であろうと思います。 そういう意味におきまして、確かに経済構造調整推進要綱でございますとか、昨年十月の内需拡大対策等におきまして労働時間の短縮ということをうたいましたが、いずれもこれを五年以内に労働時間の短縮なり休暇の増加を進めていくというふうな形になっております。そういうこともございます。御指摘のような点もございますので、むしろ国民的なコンセンサスのもとに、実態に合わせて進めていくということで企画庁の方も考えてまいりたいと思います。 産業の空洞化の議論に関しましては、これもほぼ通産省の御意見に尽きておりますが、私どもの方も、国際的な協調関係のできる産業構造へ移していくという過程の中で、ハイテク化、ソフト化、サービス化という過程でいろんな産業が生まれていき、発展してまいりまして、そうした中で雇用も増大していく、そういうふうには考えておりますが、その過程におきましては、摩擦的にいろいろな失業問題というふうないわゆるミスマッチ、労働のミスマッチといったような問題も起こってこようかと思います。そういった点につきましては、労働省あるいは通産省、そういった関係省庁と十分に相談してまいりまして、そういった空洞化というふうなことは起こらないにしても、いわゆる雇用摩擦的な失業が出ないように努力をしてまいりたいと考えております。
○松尾官平君 どうぞ今の答弁のように実際進めていただきたいものだと希望しておきます。 それから、通産大臣は大変話術がお得意でございますので、ひとつ教えていただきたいことが一つあるんです。 十年ぐらい前に、オイルショック後、日本では今まで消費拡大をやってきて、これは間違いだったんだと、消費は悪徳なんだ、今度は節約しなきゃならぬのだ、資源を有効に利用しなきゃならぬのだと、十年前、声を高くして皆さんおっしゃったと思うんですが、今ここへ来まして、G5以降、内需拡大が最高の市場政策課題だと。内需拡大というのは、言葉をかえれば消費拡大ということにもならないかと、こういう問題を小学校の生徒に聞かれたとき、何と言って説明したらいいんだろうか。十年前は消費は悪徳だと言った。今度はどんどん国内の需要をふやして消費を拡大しろと指導しなきゃならぬ。どうなっているんですかと聞かれたとき、どうお答えしたらいいか、ひとつ教えていただきたい。
○国務大臣(田村元君) どうも大変やさしいようで難しい御質問であります。実は、オイルショックのときは私は運輸大臣でございました。その前の華やかなときは労働大臣でございました。今度またこれ、私が大臣になると何か起こるんでありますが。率直に言って、オイルショックといい、またこのたびの急激な円高といい、常識で考えられないことが起こったということであろうと思います。でございますから、それに対応するのに、時に十年前に言ったことと逆のことをまた言わなきゃならぬこともあり得ると。これはもう相手は、要するに経済は生き物でございますから、ですから、小学生にどう言うかというとちょっと表現に困りますが、道にある石でも、場合によってはつまづいて大けがをするが、場合によっては、塀から中をのぞくのに登れば役に立つこともあるというようなことかなというふうに思いますが、御質問が御質問なんでちょっと答弁に窮しますけれども、どうぞこういう答弁でお許しを願いたい。
○松尾官平君 さすがは大臣でございまして、我々も利用させていただきたいと思います。 この後は中小企業庁長官に伺いたいと思います。 今国会に提出が予定されている中小企業円高対策関係の新しい法案が一つ予定してある、改正案が一つ予定してある、こういうわけでありますが、新法案につきましても、私ども大体アウトラインは伺っております。 そこで、その法案をつくってどのように持っていくかが大切だと思うんですが、まずこの新法案の提案を急いでいただきたいということが一つであり、そしてその法案はできるだけ中身の濃いものであっていただきたい。その法律の適用を受ける連中は非常に期待しておりますので、提案を急いでいただくと同時に、中身のあるものにしてもらいたいということをまず御要望を申し上げるわけです。 もう一つ、先ほど大木委員も触れられましたが、運用に当たって柔軟性、弾力的な運用が要求されると思うわけであります。私ども陳情を受けている地域でも、仮称のようだけれども、法律案を見ると特定地域云々と、こうある。決して特定市町村云々という表題ではないので、地域ということを考えて運用していただきたいということ。それから恐らく円高前に比較して売り上げが何十%以上落ちたところとか、いろいろそういう基準が出てくると思うんであります。こういう問題についても相当幅をもって実態に合わせた運用をお願いしたいと思っているわけでありますが、この点についてまずざっとお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 私どもも現在の中小企業の窮状にかんがみまして、もちろんこれまでもいろいろな対策をとってまいりましたけれども、さらに追加的な対策が緊急的に必要だということで、夏以来その必要性を訴え、諸種の具体策を検討してまいりました。ようやく今、九月十九日の経済対策閣僚会議、それからまた今回の補正予算という形でそれが実を結んだわけでございますから、できるだけこれを早く法案成立させていただきましてその施行を急ぎたい、そのように考えております。特に十二月県会でこの対策の裏となります自治体側の対応も考えていただかなければいけませんので、その意味でも技術的にもこの法案の成立が急がれているわけでございます。 それから、当然に中身の濃いものでなければならないわけで、私どもとしては現状できる限りのことを考えたつもりでございますけれども、要はこれを具体的な地域地域においてどのように生かしていくかということであるというふうに思っております。 また、運用に当たっての柔軟性、弾力性、これもまた基本的には当然のことでございまして、私どももできるだけ実態に沿うような形にこれをつくり上げていきたい、そういうふうに思っております。
○松尾官平君 もう一方の一部改正が予定されている中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案と、まことに戒名の長い法律案が出るようでありますが、これをやっていただくことは私は大賛成でありまして、ぜひお願いしたいわけであります。ところが問題は、現状というのは非常に厳しいわけでありまして、私県下を回って歩いておりましても、出ます意見、苦情というものはほとんど金融問題であります。経済がこういう厳しい状態、動きになっているので、金融については政府もいわゆる中小企業庁も十分な指導をしてあるはずだと、こう言いましても、現実に現場では、いやとんでもない、逆に締め上げられているんだと、こういう声が返ってくるわけであります。 それはなぜかということを考えてみたのでありますが、まず全国的に見ましても、北東北——青森、岩手、秋田なんという地域は非常に悪い数字が出ているわけでありますが、そういう中でも倒産が相変わらず相当あるということ等も踏まえ、また先行き夢が持てないということにもつながるんでしょうが、土地が値上がりどころか安くなっているというんですね。近藤長官のお国の山形も全国的に見ると地価がマイナスになっているんじゃないだろうか。そうすると、担保評価に当たってダウンさせなきゃならない。また、今まで評価をしてそれの八〇%を見ておったものを七〇%にするとか、保証協会で一〇〇%見ておったものを今度は八〇%にするとか、こういう問題が出ますために、実は金融が非常に厳しくなっているわけであります。 私らは最後の寄りどころとして信用保証協会を頼りにして金融指導を進め、またお世話になっているわけでありますけれども、信用保証協会にも問題がないわけじゃなくて、いわゆる貧すれば鈍すで、決して保証協会だって慈善団体ではないわけですから、法人としての政策目標をやっていかなきゃならない立場、これもわかるわけです。じゃどうしたらいいのか。今の円高不況下においては、やはり何といっても、法に示されておりますように、信用保証協会に対しては、中小企業金融施策の一翼を担う公共機関なので、国及び地方公共団体は財政援助をし、協会の業務運営の円滑化を図らなきゃならぬと、こう示されているわけでありますから、ぜひひとつ今度の法案の一部改正に伴いまして、これに関連する真水を補給していただいて、保証協会に力をつけていただきたい。保証協会に力がつけば、銀行筋もそれにつれて融資を考えてくれると、こう思うわけであります。 その真水というのは、いわゆる政府からの融資基金であり、保険準備基金の増額出資、これが何よりの私は基本的な、もう大きく言えば日本の全企業の九九・四%を占める中小企業を助けるには、このことが最高の基本だと言っても過言ではないと思うわけでありまして、この基金の増額あるいは保険準備金の増額に全力を挙げていただきたいと思うわけでありますが、長官の御決意をお伺いしたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 現在の中小企業をめぐる金融状況、基本的には今先生が御指摘のとおり のような状況にあるというふうに私どもも認識いたしております。その大きな支えとなるべき信用補完の制度でございますけれども、今回のこの補正予算におきましても、私どもはこの改正法に関連する千万円を二千万円に無担保別枠を上げるということに関連しまして十一億、それから国際経済関連保証関係で二十二億、それから新しい今回の特定地域の対策に基づきます信用補完の別枠創設で五十五億、合わせて八十八億この信用補完関係での体質の強化のためのいわゆる真水というものを用意をし、今回の補正予算に計上しておるところでございます。
○松尾官平君 今回獲得してこう用意したというところまではお答えいただいたわけですが、これは簡単に事は解決しませんので、来年度の予算要求に向けても引き続き御努力をお願いしたい、その御決意を伺いたかったわけであります。 なお、一つだけ、これまた私県下を回って質問されたんですが、日本の経済状態を見ると、貯蓄が世界でも冠たるものだと、貯蓄が多過ぎるということでいろいろ議論もされているわけでありますが、一時日本が外貨獲得、外貨獲得、貯蓄をしなきゃならぬといって政府のお声がかりで始めた大蔵省、日銀、郵政省で、小学生に貯蓄の奨励教育をしていますね。何とか銀行というものを小学校の中につくらせて、課外授業みたいにして貯蓄をさせて、その成績のいいところには大蔵大臣表彰とか、郵政大臣表彰とかしている。一方では、もう減税しても貯蓄に回って景気の拡大にはつながらないなんという議論も出されたりしている中で、小学生のころから貯金しろ貯金しろという教育をし、政府の大蔵省なり日銀が中心となって、県知事初めみんないるところで奨励していると、こういうのは一体どう考えたらいいのかという気もするんですが、どうも追加質問で恐縮ですが、経企庁長官、その辺どのように……。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 内需拡大ということを私ども大いに促進をしておりますけれども、その内需の拡大ということと、それから浪費促進とは違うことでございまして、内需を拡大して、そして立派な生活をすると、こういうことでございますし、また内需を拡大して立派な住宅をつくり、また立派な社会資本の整備に充てると、こういうことだと思うわけであります。 そこで、私ども決して貯蓄そのものが悪いということは言っていないのでありまして、貯蓄をしてそのお金で例えば投機に回すとか、またアメリカに金が流れてしまうということは必ずしも納得できないのであって、その貯蓄したお金で、それを基礎に住宅の建設を積極的にやっていただく、そのために住宅投資については減税措置を講じたところでございますし、また貯蓄によって出た、例えば郵便貯金が集まった資金運用部資金からこれを財投に回して社会資本の整備に充てる、こういうことでございますので、要は、ただ貯蓄だけをして、それを正しい使い方をしないというのが問題でございますから、正しい使い方を社会公共施設の整備やまた住宅の建設にどんどんやってもらいたいし、同時にまた正しいまじめな消費生活も、実質的な生活の改善のためにこれも積極的にやっていただきたいとこういうことでございますので、その点はよくひとつ御教導をいただきたいということでございます。
○松尾官平君 ありがとうございました。終わります。
○田代富士男君 昨年のG5合意の後、御承知のとおりに急激な円高に転じまして今日で約一年ぐらい経過をしておるのではないかと思いますけれども、その間の我が国産業にこうむる影響というものは極めて大きいものがあります。特に輸出を主力とする産業にとりましては、けさからもいろいろ質疑されておりますけれども、円高という、こういう火がついてきたということで、毎日毎日必死に走りまくって、やっと仕事の量だけは確保してきたというのが実情じゃないかと思いますけれども、そのような、仕事の量は確保したけれども利益の対策までは手が回らなかったというのが正直な現状ではないかと思うわけでございます。 そういう意味で、このような状況から今最大の関心事は、今後の円レートの推移をどう見ていくのかということが一番の問題点ではないかと思うのでございます。また、この円レートは先週末に投機筋の思惑から円安に動きましたけれども、この三カ月間というのは御承知のとおりに一ドル百五十四円付近を前後してきた。これは安定化の方向にあると見てよいのかどうなのか、これもあわせて最初に長官からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 昨年のG5以来の急激な円高現象は、先生御指摘のように輸出産業を中心として大変な打撃を与えている部面もございますので、私ども非常に心配をしておったわけでございますが、お話ございましたように、七月の半ばぐらいから最近まで百五十円前半で大体推移をしてまいりましたので、その水準はともかく、私どもが一番心配をしておりましたのは、これ以上円高がさらに増進するということを心配しておったわけでございますので、そういう点では、この夏の一つの安定基調というものについてはそれなりに評価をしておったわけでございます。 ただ、お話がございましたように、今度は六十円台の初めに戻ったわけでございますので、これは、私どもとしては日本の産業の国際的な競争力とか円高からのいろいろな影響を考えますと決して悪い傾向ではないと、こう思っているわけでございますが、しからばその一回ぶれ戻った六十円台の円レートが今後どういうふうに推移するかということにつきましては、これもなかなか相場のことは相場に聞け、為替のことは為替に聞けということで、ここで確信を持って申し上げられない。 ただ、一応心配なことは、いわゆるJカーブ効果、さらに原油価格の低落によって円高にかかわらず少なくともドル表示での国際収支の改善がなされていなくて、昨年の五百五十億ドルの貿易収支の黒字がことしはさらに相当上積みになるのじゃないかというようなことが予想される状況の中で、この円レートのぶり戻しがしからばそのあたりでずっと安定していくのか、また国際黒字が大きければそれなりにいろんな形にまた戻ってしまうのか、この辺がなかなか見きわめがつかないというのが現状でございますが、少なくとも何とか乱高下は避けて、ある程度安定水準に推移してもらいたいというのが率直な私どもの考えでございます。
○田代富士男君 昨年のG5前後に我が国の貿易黒字というものは、特に対米貿易黒字の最大の原因というものはアメリカのドル高政策にあるという見方が主要であったわけでございます。ところがその後、ドル高は御承知のとおりに是正されているにもかかわらず、依然として貿易黒字というものは減少をしていない。この原因というものはどこにあると見ていらっしゃるのか、端的にお答えいただきたい。
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、昨年の時点では、ドル高になればドル高が貿易収支の黒字の原因であると言っていたわけでございますけれども、円高になったにもかかわらず貿易収支の黒字が続いておりますのは二つございまして、一つは今経済企画庁長官が申し上げましたJカーブ効果と申しまして、本来ドルの値段が安くなりましたので、それを昔と同じ円をとりますためには値上げをしなくちゃいけないわけでございますが、その値上げをドルベースの値上げをしたわけでございまして、その値上げをしたにもかかわらず輸出数量は微減にとどまっておると、大幅減にはなっていないというところが一つの原因でございます。 二つ目は、原油価格の低落でございます。
○田代富士男君 私は、この春の通常国会での通産大臣の所信に対する質疑で、黒字幅が減少しない理由を伺いました。そのときに通産当局の御答弁は、Jカーブ効果が説明されたわけでございます。しかし、この春の時点と現在の時点と考えまして、その後このJカーブ効果も一巡すると見られる最近になってきましても、そういうような気配さえないのはなぜであるのか、私はこういう疑 問が持ててなりません。それと経常収支の動きを見ましても、輸出が減少してきているということは、これは当然かもしれませんけれども、けさもいろいろ質疑ありましたが、輸入がそれ以上に減少してきているというのは何であるのか。いろいろ説明ありましたけれども、これは原油価格の影響だけで説明できるものであるか。ここらあたりも疑問が持ててなりませんが、これに対するお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(畠山襄君) 二点のお尋ねでございまして、第一点はJカーブ効果がそろそろ一巡するのにまだ黒字基調なのはどういうことかということでございますが、これは確かに最初のJカーブ効果は一巡の時期にございますが、例えば去年の九月二十二日時点での為替レートから御案内のとおりどんどんどんどん急激に安くなっておりまして、例えば十月が二百十五円であったわけでございますが、そのJカーブ効果は一巡をしたということでございますけれども、その後例えば一月は二百円になり、昨今百六十円になっている。そういうのが累次Jカーブ効果を生んでおりまして、その累次生まれている方のJカーブ効果はまだ一巡をしていないということが基本的な原因でございます。 それから第二点の輸入について、原油価格の値下がりだけで輸入の伸び悩みが説明ができるのかという点でございますが、これは数字を当たってみますると、やはり原油価格の値下がりというものが輸入の伸びない最大の原因になっておりまして、ほかにも原油以外の一次産品の価格の値下がりという問題もございますけれども、原油価格がこれほど下がらなければ輸入がドルベースでもっと伸びたであろうというふうに考えられますので、これは原油価格でほとんど説明がつくというふうに考えております。
○田代富士男君 最近、アメリカのマスコミやあるいは学者筋の方から円再値上げの主張が相次いでおります。けさも梶原先生からもお話がございまして、一ドル百円ともあるいは百二十円というような、そこらあたりの金額のそういうような主張が相次いでおりますけれども、今までのアメリカ側の動きからいたしますと、前もってこのような、何といいますか、観測球が上げられることが多いことから考えまして、今後円の再値上げの圧力が増してくることが心配されますけれども、こういうことに対していかにお考えになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 米国の現在の景気動向でございますとか貿易収支動向等を背景にいたしまして、アメリカの政府関係者あるいはエコノミスト等が為替相場につきましていろいろ発言をしているという御指摘は事実でございます。今後も、依然としまして拡大傾向を続けておりますアメリカ側から見ました対日貿易赤字を背景としまして、内需の拡大等いろいろの対日要求が強まることが心配されているわけでございます。またその一つといたしまして、円の再引き上げが含まれる可能性につきましても、現時点では否定し得ないという感じはいたします。 しかしながら、最近におきます先ほどから御議論いただいております貿易黒字の拡大の理由、あるいは急速な円高の進展のもとで既に輸出入の基調に変化が見られるというようなこと、さらに我が国の国内経済におきましては、製造業を中心といたしましてデフレ感が広がっていると同時に、中小企業を中心に深刻な影響が出ている状況など考え合わせますと、これらの点につきまして、アメリカに対しまして十分説明をいたしまして理解を求めるということが必要だというふうに感じておりますし、現にそうしております。また、いずれにいたしましても、我が国といたしましては、今後とも輸出入の動向とあわせまして、為替の動向につきましても十分注視をしてまいることが必要だというふうに考えております。
○田代富士男君 ただいま御答弁がございましたとおりに、この円の再値上げの可能性というものは否定し得ない状況であるという、これは我々も深く認識をしていかなくてはならないことではないかと思います。このような円レート高値安定化傾向に現在あるわけでございますが、問題は国内経済、特に中小企業に与える影響というものが心配されるわけでございます。これはお互い同じ考えであると思うわけでございます。 そこで、最近の中小企業の円高倒産が増加しているという傾向にありますけれども、実態はどうなっているのか、またそのために講じた施策は何であるのか、長官の方からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 御指摘のとおり、倒産件数総数は、例えばおととし、去年、ことしと、レベルとしては下がっておりますけれども、これは主として建設業の倒産件数が減ったことによると私ども考えております。民間信用調査機関の調べによりますと、そのうちでも特に円高関連倒産というのはこの五、六月ころからかなり高水準になってまいりました。七月が七十二件、八月が六十八件、九月六十九件、ほぼ毎月七十件前後の円高倒産が報告されております。昨年の十月からことしの九月まで、この一年間をとりますと円高関連倒産件数は四百二十九件というふうな状況、非常に高い水準と考えておりますが、そういう件数になっておるわけでございます。 したがいまして、私どもといたしましても、急激な円高による衝撃緩和のために中長期的には業種転換等新しい生面を開かなければいけないとしましても、その間の経営の安定が必要であるということで、去る二月のいわゆる新転換法におきまして、そうした強く影響を受けている業種の中小企業に対する経営安定のための融資制度、五・〇%というような制度を設けまして、一応三千億の資金枠を用意したわけでございますけれども、既に九月末で二千四、五百億これが消化されております。したがいまして、今回の新しい総合経済対策でさらに二千五百億来年九月までの分として用意をしている、こういう状況にございます。
○田代富士男君 今も質疑を通じて示しましたとおりに、高値安定となってきますと、中小企業にとっては構造転換を余儀なくされるケースが増加してくるのは当然ではないかと私は思います。しかし、今も御答弁がありましたとおりに、例えば中小企業に事業転換意欲があったといたしましても、新規事業の開拓などで難航して、実際に転換に踏み切れないのが実情ではないかと私は実態を見ているわけでございますが、そういう立場から、通産省では転換のノーハウの提供など総合的な指導事業を考えていられるようでございますけれども、現在どのように進めていくのか、今もされているけれども、これでは満足ではありません。 そういうわけで、今までのような金さえつければよいというような、今も数字的に三千億円の云々という御答弁がございましたけれども、これも必要でございますけれども、ただそれだけでは安易なやり方ではないかと私は思います。そういう意味におきまして、抜本的な対策にはならないからそれ以上の対策を考えねばならない事態になっていると思いますけれども、この点に対するお考えはどうでしょうか。
○政府委員(岩崎八男君) 確かに、相当程度の中小企業の分野につきましては中長期的に新しい活路を見出さなきゃいけない、こういう環境にあると思います。したがいまして、私どもの持っております最大限の政策手段を動員しまして、そういう転換、これは非常に言うはやすく、難しい問題であるということをよく承知しておりますけれども、その方向へ個々の中小企業者の懸命の御努力を支援をしたい、こういう考えでおります。 特に私どもが持っております経営診断指導の体制というのがございます。これは各県にもございますし、各種中小企業団体にもございます。その中核には中小企業事業団あるいは中小企業大学校というような体系があるわけでございます。そこで私どもとしては、来年度予算といわず、むしろ今年度私どもが持っております予算、これを最大限その指導体制をそういった中小企業の個々の転換努力に対しての支援に向けようということで組み直しておりまして、この秋からそういう組織全 体を挙げて個々の中小企業者の転換努力に対する診断指導を強化しておるところでございます。 かつ、よく転換しろといってもどこへ転換したらいいんだという御疑問がございます。これに私ども直接お答えすることはできませんけれども、これまでのいろいろな転換の成功例、これ実は何百種と私ども集めておりますけれども、それでは余りにも散漫でございますので、そのうち六十選ということで六十例これ取り上げまして、成功事例集六十選ということで、ついこの間それを仕上げまして、五千部今それを刷りまして、各県あるいは今申しました各種中小企業団体、商工会、商工会議所等を含めまして、全国のそういう面の指導的立場にある方々にぜひこれを読んでいただきたいということで、もう日ならず各現場へ届くような体制になっておりますし、またそれについては中小企業診断協会その他においても十分一つのテキストとしてその面の研究をしていただくようにお願いをしているところであります。 また、技術開発という面につきましても、今回の特定地域対策では、一応今後三カ年でございますけれども、百五十億の資金を用意いたしまして、各地の中小企業者あるいはその組合等が新たなる技術改善の方向を模索するための支援措置にしたい、それからまた、新しい製品を開発しましたときにそれの商品化、販路拡大、こういう面についての補助制度も来年度予算と言わず今年度から可能なようにしていきたい、そういうことを今打ち出しているところでございます。
○田代富士男君 私は当委員会で、今さっきも申し上げましたとおりに、春ごろ質問をいたしました。その内容は、円高による影響が下請のしわ寄せとなってあらわれるのが最も心配であるということを言いましたけれども、その後の当局の実態把握というものはどのようになっているのかお示しをいただきたいと思います。 それと、地方の中小企業団体中央会などの円高特別相談窓口がございますけれども、親企業が円高で採算が悪くなった比率以上に下請に値引きを要求してくる、また円高に便乗した過酷な値切りに泣かされているといった相談がふえているという、そういう資料も目を通させていただきましたけれども、このような状態というものは、私は春の段階で心配して指摘をしていたことでありますし、どのようになっているのかお示しいただきたいと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 確かに、この円高によりまして親企業もあるいはその下請も、ともにこの難局を一緒になって切り抜けなければならない状況でございますけれども、そういう中でも、親企業なるがゆえに不当なしわ寄せを下請企業に行う、こういうことについては厳にこれを抑え、防止していかなければなりませんので、私どもも毎年、親企業——親企業といいましても資本金一億以上、それから資本金一千万以上一億未満の中小企業も実は親企業である場合が多いわけでございますが、その中小企業の親企業も含め、毎年約七万件の親企業、これは悉皆調査を公正取引委員会と私どもで折半をいたしまして行っております。そして、その中でどうもそういう下請代金支払遅延等防止法の違反の疑いがあるというものについては、さらに下請企業の方からもその実態の裏づけ努力、調査をいたしまして、そして非常に疑いが濃厚なものについては立入検査をし、違反のものについては即時原状回復ということを指導し、やらせておるわけでございます。 さらに、こういう円高という特別な事情にかんがみまして、私どもこの春から円高影響調査というものも一万一千件の下請企業について行いましたし、それをもとにして二千六百社の親企業への特別検査もいたしました。その特別検査の結果、明らかに違反であるというものが三百十八件ございまして、それについて原状回復、つまり不当に代金を値引きしているものはもとの代金で支払わせると、そういう原状回復を実現をさせておりますし、それから今御指摘の、例えば中小企業団体中央会、こういうところにもいろいろなそういう下請関係における不満、こういうものの相談がございます。不当値引き等その相談件数は四百八十七件、今までに本年四月初旬から十月までに中央会に寄せられておるという報告も受けております。 非常に広範な下請企業数でございますので、私ども公正取引委員会と一緒に努力しておりますけれども、なかなかすべてに目が届いているということにはならないかもしれませんが、私どもとしてはそのような形で最大限この下請の不当なしわ寄せの防止という点については配慮し、特にこの十一月はそのための推進月間ということにいたしまして、各地の親企業にその下請代金支払遅延等防止法の遵守について具体的な指導をさらに追加して行っていきたいというふうに思っておる次第でございます。
○田代富士男君 下請につきましては、御承知のとおりに、資本もまたバックもない極めて弱い立場にある人々ではないかと思います。そういう意味におきまして、行政サイドからの温かな配慮が期待されるのは当然のことではないかと思います。 私も大阪でございますが、大阪も中小企業が非常に多うございまして、いろいろ我々も中小企業の皆さんの血の出るような声を聞いております。そういう意味におきまして、私はあえてこういうような弱い者、下請いじめといいますか、こういうものがあってはならないと改めて主張するわけでございますが、ただいまも立入検査であるとか特別検査だとか、そういうものをやっているということでございますけれども、やはりそれをさらに効果あらしめるためには、抜き打ち的に徹底的な実態調査を行いまして、きめ細かな指導をやってもらいたい。これは私のこの委員会におけるお願いでありますが、私のお願いというよりも、私は大阪であります、大阪を初め中小企業の皆さんからのお願いとして申し上げておきたいと思います。 これまでの経過を見てまいりますと、我が国の黒字解消をレートの是正に求めてまいりましたけれども、もはやこのレートの是正のみでは貿易黒字の縮小というのは不可能であることは、これは先ごろのG5、G7の経過を見ましても共通の認識ができたように思われます。しかし、ただ内需拡大と唱えてみましても、そうやすやすとできるものではないことも我々も理解をしておりますけれども、問題解決の一つの方策といたしまして、さきにいろいろ議論にもなりましたが、この前川レポートなるものがございますけれども、一口に産業構造、貿易構造の転換といいましても、多大な困難を伴うことは間違いございませんし、今も御答弁の中にいろいろ成功した例を、六十の成功した例をつくって、それを各地方自治体まで指導徹底をしたところであると言われますけれども、私はまだそういうものではこの前川レポートで言うところのものは解決できるものではないと、二十一世紀への展望を踏まえた総合的な視点が必要ではないかと思いますし、これは経企庁も通産省も、両方にとりましても二十一世紀を迎えた根本的な対策ということになるかと思いますから、これは経企庁長官と通産大臣のお二人からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) いわゆる前川レポートは、前の日銀総裁の前川春雄さんが中心になりまして、総理の私的な研究会という形でまとめられたものでございますが、実はこのたび経済審議会、これは内閣総理大臣の経済問題の審議機関でございますが、この経済審議会の中に経済構造調整特別部会というのをつくりました。この部会長を前川さんにお願いをいたしまして、今鋭意構造調整問題、そして対外経済バランスの問題について検討を進めているところでございます。年内に中間報告を出し、そして来年春には報告をまとめると、こういう日程で進んでおるわけでございます。 これが一つのビジョンづくりとそれに対する政策対応についての検討でございますが、これを実際に行います場合には、現実にいろんな問題がございますので、党と内閣に経済構造調整推進本部というのをつくりまして、本部長を中曽根総理、 そして副本部長は官房長官に私に政調会長と、これが副本部長でございまして、実はけさも第二回の会合を開いたわけでございます。そうした経済審議会で検討しておりますような一つのビジョンを現実にいろいろ関係の方々とお諮りし、当然通産を初め関係の政府部局とも御相談しながら、実行に移すにはどうしたらいいかということを検討し、そして時間をかけながら、時間がかかってもこれを実行に移していくと、そういう内閣の姿勢を示すようにする、そういう体制をつくったわけでございますので、いろいろ実行に当たりましては痛みを分かち合わなければならない、そういう面もございますけれども、多少の時間はかかっても国際的な経済調整、そして国内的な産業の構造調整というものをぜひやってまいりたい、かように考えている次第でございます。
○国務大臣(田村元君) 戦争によって廃墟となりました日本は、ただひたすらに働く。私が初当選をいたしました今から三十年余り前は大変赤字でございまして、国是はただ働け働けで、そして輸出増進、そういうことでございましたから製造部門が中心になりました。これはそれなりに一応成功したと思います。しかし、それがいわゆる経済の成長政策、拡大政策というものによって弾みがつきました。そして輸出輸入の、つまり製造と非製造のバランスが大きく崩れて、輸出が主流の産業構造になったことは御承知のとおりでございます。 結局そういうことが日本のエネルギー革命を速くして、オイルショックで一番大きな痛手を受ける国にもなってしまいましたし、そして今度もまた貿易インバランスで苦しむということに相なりました。でありますから、前川リポートは二十一世紀に向けて今後日本の経済、産業の構造というものがどうあるべきかということを示唆いたしておるものでございます。今企画庁長官が申しましたように、これには大変な痛みも伴いますけれども、皆が痛みを分かち合いながら、しかもその痛みが少しでも少なくなるように政府がこれを庇護しながら、やはり構造改善に進んでいかなきゃならぬと思っております。 私が実は通産大臣を拝命いたしましたときに、中曽根総理から、とにかくあなた、何でもいいから産業構造改善というものに対して大なたを振るってもらいたい、かみそりじゃだめだ、なただと、こういうことでございました。秀才じゃだめで、鈍才でなきゃだめなんかなあと思いましたけれども、大変そういうことで激励を受けまして、これと今懸命に取り組んでおる最中でございます。 ただし、二十一世紀を展望しての改善でございまして、あくまでも中長期的なものとしてとらえなければ、すぐ目の前でぱっとできるものじゃございません。内需中心の高目の経済成長を図るとともに、輸出が伸びやすく輸入が伸びにくい我が国の今の産業構造、これをもっと輸出入のバランスのとれた国際協調型の産業構造に転換していく必要がある。そうして、国際分業の実を上げていくということであろうと思います。 その際の基本的な対応の方向としては、今の内需の拡大は申すに及びませんが、創造的な技術開発等による新規事業分野の開拓等を通じた産業の活力の保持、それから外に対しては海外直接投資活動の円滑化、国内においては産業調整の推進等を通じた適切な国際分業体制の構築、また産業構造の転換に伴って発生するでありましょう雇用、地域それから関連中小企業等への影響への配慮、これが重要であると思うのでございます。 このような観点に立って、通産省は当然のこととして産業構造の転換の円滑化のための施策を総合的に講じてまいる所存でございますけれども、率直に申しまして、一通産省でできるものではございません。日本国政府の名においてやってこそ初めてできる問題でございます。それだけに私も各省庁に対して、決してセクト主義を発揮してはならぬ、協力を求めるときは求め、求められるときには応じるという日本国の官僚としての心がけを失わないようにと、常に部下を戒めておる次第でございます。
○田代富士男君 今通産大臣、長官からもお話がありましたとおりに、これは中長期的な問題としてとらえていかなくてはならないと、これも私も理解をいたしますし、国際協調型のバランスのとれたそういうものでなくちゃならないというような、またこれは一省でできる問題でもないということも私は理解ができます。しかし、これは避けられない問題であるということも知っていかなくちゃならないと思うわけでございます。 それで、これは商工委員会でございますから、特に通産省としてそういうことを踏まえた上で、当面の問題として、円高のために競争力を失いつつある産業が出ていることは事実でございまして、こういう産業ではそれを補うためには、NICSなどの商品の買い付けであるとか、あるいはOEM委託であるとか、さらに海外への生産基地移動などの動きを急速に強化をされておるわけでございます。こういうものに伴いまして、技術移転の問題や我が国の産業空洞化問題、これも午前中にもこの問題出ておりましたけれども、惹起されておるわけでございまして、より高付加価値な製品の多品種少量生産などへの構造転換が強いられておるわけでございますが、こういう国内産業、特に中小企業がそういうものに追随できるかどうかという、ここに問題があるのではないかと私は思うんです。 これは、通産省としてこの問題はやはり緊急かつ対処しなくちゃならない問題であると思いますけれども、これに対しては通産当局としていかがでございましょうか。
○国務大臣(田村元君) おっしゃるとおりでございます。今の御質問についてお答えいたしますと、産業構造の転換は為替レートの変動、それからコスト面、そういう国際競争力の動き、それから需要の変化等を通じました市場メカニズムによって進んでいくことが基本であることは申すまでもございません。その際、製品輸入や海外直接投資を通じた国際分業、これの進展や、国内産業調整の進展に伴う関連中小企業、それから雇用、また地域経済への悪影響、これを回避していかなきゃならぬ、もう仰せのとおりであります。これが十分図られなければなりませんことは申すまでもございません。今後そのための施策を総合的に講じてまいる所存でございます。 特に中小企業に対しましては、その経営基盤の脆弱性というものを考えますと、より一層の政策補完が必要であろうと思います。今、中小企業と申しましてもピンからキリまでございますけれども、事業所別に言えば、全事業所の九九%以上が中小企業でございます。それの約三分の二が下請を多かれ少なかれやっております。でございますから、もう政策補完が必要であるということは当然でございまして、資金の確保や人材養成、情報収集等各方面にわたって、大企業に比しての不利を是正するための積極的な支援を行っていく所存でございます。
○田代富士男君 次に質問を移します。 差益還元の問題でございますが、円高によります差益の還元については、本年六月に電力、ガス等の差益の還元が実施されましたけれども、その後も円高は進み、加えまして御承知のとおりに原油の値下がりによりさらに差益が生じております。本年度のこの差益をどのくらいに見積もっていらっしゃるのか、また再還元の実施の見通しについてはどうお考えになっておるのか、この問題につきまして最初にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) この本年度の差益額というものがどういうふうになるか、これは為替レートや原油価格等が先行き不透明でございますので、どの水準に落ちつくかがちょっと判断できかねるという点がございます。現時点におきまして今後の差益額を見通すことはちょっと困難であろうと思います。 それから、為替レートがまた少し変動し始めてまいりまして、もっとも百五十円台でおさまってもらったら大変なのでございますけれども、そう いうことで少し円が、円安の傾向がやや見られるというような状態でございますが、なお投機性というものがちらちらいたしております。つい一両日前ぐらいには一日に数円も安くなっているというようなことでございます。六月に御承知の一兆一千二百億円差益還元、電力、ガス料金で俗に言う料金引き下げ、値引きでいたしましたけれども、それからまだ四カ月しか経過しておりませんので、引き続きなおも経過をしっかり見きわめていきたい。とにかく、御承知のようにOPECの方で原油を十八ドルぐらいを下値にして安定さしたいというような意見もあるようでございます。そうなりますと、日本へ持ってくると十九ドルということになります。また、今の為替レートはそういうことでもございますので、いま少しく経過を見てみたいということで、目下白紙の状態でおります。
○田代富士男君 まあそれ以上のことは御答弁は求めてもだめじゃないかと思いますが、ひとつ何とか努力してもらいたい、これは要望でございます。 それで、この電力料金引き下げについての要望というものが、もう既に御承知のとおりに化学あるいは鉱業あるいはアルミ等の特に構造的な不況に苦しむ業界から強く出されております。これは御承知のとおりでございますけれども、その実現性をどうお考えになっていらっしゃるのかお尋ねしたいと思いますし、また一部に、不況産業を中心に還元が行われたらどうかという意見もあるようでありますが、これは私の考えでございますけれども、公平の原則からいってこれは問題があるのではないかと私は思います。そういう意味で、不況産業対策というものはこういうものでなくして、別途抜本的に考えるべきではないかと思うわけでございますけれども、当局のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) お答え申し上げます。 先生御指摘のように、不況産業から、化学でございますとか鉱業でございますとかアルミ業界等から再引き下げの要望が出ているとおりでございます。しかしながら、このような一部の不況産業にだけ還元を行うというようなことを考えますことは、電気事業法に決められております電気料金につきましての原価主義あるいは需要者間の公平の原則というものに反するわけでございまして、先生御指摘のように、このような不況産業についてだけ還元を行うということは公益事業の建前からできないというふうに考えておる次第でございまして、不況産業に対する対策は別途不況対策として講じていただくというのが筋ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○田代富士男君 電力業界におきましては、こういう一律還元でなくして、差益を設備投資に使うべしという意見もあるようでありますけれども、現在の経済全般への波及効果の問題を考えますと、この遅効性と偏向性、また過度の追加投資による固定費負担増加要因としてこれが逆効果となるおそれがあるのではないかと思われますけれども、この点についてはどのようにお考えになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) お答え申し上げます。 電力会社の設備投資につきましては、電源の多様化を推進するための発電所の建設でございますとか、それから送電、変電、配電等の整備などを着実に増加しております需要に対応するように整備をしていかなければならないわけでございまして、これが電力の安定供給の確保の観点から、このような設備投資を行いますことは適切なものであるというふうに考えておる次第でございます。 また、昨年来何回か、三度にわたりまして追加的な投資を実行すべく要請をしたわけでございますが、これによって繰り上げました投資というものは、実行すべき必要不可欠な投資を前倒して行ったということでございまして、これらは経済社会の高度化あるいは情報化の進展に見合う社会的要請に沿うものというふうに考えておる次第でございます。
○田代富士男君 公共料金以外の差益還元の実態はどうであるかということを少しばかり調べてみました。 経済企画庁では近く調査結果を公表されるようでございますけれども、差しさわりなければ概要の説明をお願いしたいと思います。 この日銀の輸入物価類別指数で見ましても、五十五年を一〇〇として、本年の八月には石油、ガスの四五は別として、大概の類別で五〇ないし六〇に下がっているにもかかわらず、国内の卸やあるいは消費者物価には反映してないように見受けられます、これは日銀の資料からでございますけれども。そうしますと、この差益の行方を詳しく監視すべきだと思いますけれども、こういう点につきまして経企庁はどのようにお考えであるか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(海野恒男君) 二点御質問があったと思いますけれども、最初の価格動向調査につきましては、前月の総合経済対策で五十にわたる輸入消費財を中心にした価格動向調査をこの九月を中心にして実施いたしまして、この十月の末に発表することになっておりますが、実際に工業製品は通産省、それから農産物は農水省にお願いいたしておりまして、現在まとめ中でございまして、恐らくあしたあたりこの調査結果がまとめられて私どものところに報告があるかと思っております。そして十月三十一日ごろ発表になる予定にいたしておりますが、まだ内容につきましてはつまびらかにいたしておりませんので論評を差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、四月並びに六月に二回過去やっておりまして、その延長としてやっておるわけでございますが、この二回の過去の経験から見ますと、円高によって輸入価格が下がったものが大部分であり、小売価格も下がっているということでございますけれども、一部まだいわゆる輸入総代理店制といったようなものも関係するかと思いますけれども、十分下がっていないものもあるということで、大分この九月、十月に入りまして、最近の新聞報道等ではそういった分野でも引き下げを行っているようでありますので、この十月の調査というものがどういう結果が出てくるか私どもは大変期待をしているところでござます。 それから、公共料金以外の円高差益の還元状況はどうかというふうな御質問でございましたけれども、私どもは、全般的には今回の円高過程で差益はある程度還元されつつある、前回の五十二年、三年に比べますと相当パフォーマンスといいますか、成績はいいのではないかという評価を下しております。 先般、私どもこの一年間にどれだけの差益があったかといったようなことについて計算結果を発表いたしましたが、まだ半分程度しかいっておりませんですけれども、半分もいっているというふうに見るのか、半分も残っているというふうに見るのかはいろいろ見方があるかと思いますけれども、まだ、円高及び石油価格の低下というのがこれまで一年間に起きてそれが直ちに価格に反映されるということでなくて、ある程度の時間の経過というものも必要でありますし、それから同時に、途中でいわばコストの一部となりますので、仮にコストが一〇%のものでありますと、四〇%輸入財が下がったとしてもそれは製品価格に対しては四%しか影響しないというような関係もございますので、必ずしも輸入素原材料が下がった分だけそのまま最終財で下がるというわけのものではないということは御理解いただきたいと思います。
○田代富士男君 経企庁では差益還元の情報を広く国民に提供しているようでございますけれども、まだまだPR不足の感は否めないのではないかと思います。努力はしていらっしゃいますけれども、ちょっと足らないのではないかと思います。そういう意味で、現状の広報活動の概要というものを説明いただくと同時に、今後の情報提供についていかに取り組んで、国として国民の用に供しているという姿を示すか、あわせて簡単で結構でございますがお答えいただきたいと思います。
○政府委員(海野恒男君) 消費者に対しまして差 益の問題について情報を提供するということは非常に重要な仕事でございまして、円高で非常に不況になっておる状況を盛り返すためには、差益が還元されるということ、それによって消費者が物を購買する情報を得るというようなこと、その結果景気がある程度下支えになるという観点からも非常に重要な仕事であるという観点から、先般の経済対策におきましても差益還元対策の一つの柱として、消費者に情報を提供する、いろいろなマスメディア等を通じて情報を提供するということを決めておるわけですが、経済企画庁としては、かねてからそういう物価の動向等を消費者に情報を提供いたしまして、そして購買力を増大させていただくようにいろいろな広報活動を行っております。 例えば、地方に対しましていろんな補助金等を交付いたしまして、そして特に最近は、差益還元の状況を中心にいたしまして各県等の公報を通じて実施しているところでございまして、例えば先生の御出身の大阪府あるいは大阪市におきましては、「物価ダイヤル」とか「物価情報」といったものを毎月出していただいておりまして、ここ数カ月は円高差益の還元状況あるいは六月には電力、ガスの引き下げ等につきまして特集を組んでいただいて、各家庭に情報を配っておりますので、先生御存じだと思いますけれども、ひとつ機会がありましたらごらんいただきたいと思います。
○田代富士男君 次に、石炭対策につきましてお尋ねをしたいと思います。 さきの前川レポートの一つの柱となっておりました石炭対策については、石炭、鉄鋼両業界の対立で八月末に予定されておりました第八次石炭対策がいまだ固まらず難航しているという状態ではないかと思います。答申のめどはいつごろになるのか、大枠でも結構でございますから明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 御承知のように、鉄鋼の問題で随分難航いたしました。言うなれば玄関先で膠着状態に入ったということでございましたが、御承知のような七人委員会というのができて、石炭、鉄鋼、それに中立、それぞれの委員の各位が大変御努力を願った。それで中立委員お三方の調整案というものが出てまいりました。それで私どもも鉄鋼界にこれでひとつよろしく願いたい。それは鉄鋼業界の苦しい立場は痛いほどわかりますけれども、石炭業界のことを思えば、特に炭鉱で働く労働者のことを思えばどうぞよろしくお願い申し上げたい。私も率直に申しまして両手をついてお願いをしたわけです。ようやくそれじゃ中立委員の調整案をのみましょうということになりましたので、一番難問題が片づきました。このことで八月末の答申というのが今日に至ったということでございます。 先般来私から、電力あるいはセメント、化学、その他いろいろございますが、諸業界に対してどうか審議会の御審議に御協力を賜りたいということをお願いを申し上げ、昨日もお願いしたところでございます。でございますから、これから少しスピードアップするんじゃなかろうか。私が今ここで、せっかく御審議願っておるのを、いつごろと言うことは、逆に言いますとタイムリミットを切ってしまうようなことになって礼儀を失することにもなりますが、とにかく一日も早くという気持ちでおりますが、相当スピードアップされるであろうというふうに、これはどの業界がどう言った、ここがどう言ったというようなことを申し上げるわけにもいきませんけれども、肌で感じて、これは相当早まるなというような印象でございます。
○田代富士男君 努力していただきたいと思います。 このような中で、御承知のとおり長崎の三菱高島砿が資金繰りの悪化から第八次答申を待たず、早ければ年内にも閉山することを決定しまして、地元に衝撃を与えております。この問題は基本的には企業の経営判断に属するものであるとしても、第八次答申の策定が大幅におくれて見切り閉山せざるを得なかったことは否めない事実ではないかと思います。これを発端といたしまして雪崩現象的に閉山が相次ぐことは、地域社会に非常に大きな混乱を引き起こしていくことは間違いありません。また政府が進めようとしている産業構造調整にも支障をもたらすことになりまして、何としてでもそういうことは防がなくてはならないと思います。通産省はそういう意味におきましてどういう対策を講じていくのかをお聞かせいただきたい。また、炭鉱の閉山等によりまして産炭地の経済力が低下しているのも事実でございまして、有効な地域振興策があるのか。また、炭鉱にかわる企業誘致等の産炭地生き残り策の見通しあるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(高橋達直君) 御指摘のように、今月の二十日でございますが、三菱鉱業セメント及び三菱石炭鉱業株式会社の中で、高島炭鉱閉山につきまして経営協議会で労働組合の方に提案したということは私どもも承知をしております。先生御指摘のように、この問題は基本的には経営判断に属する問題だとは思いますけれども、私どもといたしましても、この問題が雇用あるいは地域に及ぼす影響は非常に大きいということで重大に受けとめて、現在事態の推移を注意深く見守っておるところでございます。仮に閉山という事態になりますれば、今申したとおり極めて大きな影響があるということでございますので、私どもといたしましても、まず第一に石炭企業あるいは親会社の指導を強め、同時に地元の県、町それから関係省庁と十分連絡協議をいたしましてその対策に遺漏なきを期したいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、炭鉱が集中的に閉山するという場合には、地域に、あるいは経済、雇用に極めて大きな影響があるということで、こうした事態をできるだけ回避したいということでございまして、御指摘の今後の石炭政策、第八次石炭政策でございますが、現在審議をいただいております石炭鉱業審議会の中におきましても、そうした事態はぜひ避けるべきであるという方針で、エネルギー政策上今後国内炭の規模縮小はやむを得ないけれども、これはなだらかな縮小をしていかなければいけないということで御審議をいただいておりますし、私どもとしてもさように考えているところでございまして、対策に万全を期してまいりたい、かように考えております。 また、有効な地域振興策でございますが、これまでも企業誘致対策あるいは産業基盤整備、あるいは生活環境整備対策等々、各般の施策を講じ、それなりに全般的に効果を上げてきたものと私どもも評価をしているわけでございますが、御指摘のように依然としてまだ疲弊をしている地域もございますし、またこれからの炭鉱規模の縮小に伴いましていろいろな地域の問題が出てくるということでございまして、私どもといたしまして単にこれまでの対策の拡充だけでなくて、さらに新しい、例えば地場産業興しのような内発型の地域振興策等も導入いたしまして、従来の振興策を補完するということで、できる限りの努力を払ってまいりたい、かように考えております。
○田代富士男君 この三菱高島砿と同じように閉山の経営危機に直面している多くの炭鉱の中には、御承知のとおりに累積赤字債務が大きく、数年前の退職金も未払いで、最近の賃金も滞っているというところもあるのが実態でございます。このような、言うなれば限界炭鉱をどうするのかという点で政府の方針がはっきりしていない。ただいまも御答弁いただいた中で、なだらかな縮小をしていかなければならないというような御答弁がございましたが、なだらかな炭鉱の閉山と言うが、時間的なゆとりを与えれば問題が改善されるのか、私は端的に質問をするわけでございます。この産業構造調整の観点から石炭政策の明確な位置づけが必要であると考えるけれども、この点はどうであるのか。 それと同時に、一部報道によりますと、対南ア経済制裁問題に絡んで、鉄鋼など関係業界に南アフリカからの石炭輸入の自粛を要請するということでありますけれども、これは事実であるのか。それはアメリカの経済措置に配慮してのことか。 事実であるならば、これによりまして第八次答申及び今後の我が国の石炭政策に与える影響はどうなるのか。あわせてお答えいただきたいと思います。 私の与えられた時間が来ましたからこれで最後の質問にいたします。
○政府委員(高橋達直君) 今後の石炭鉱業の生産のあり方についてでございますけれども、先生御指摘のように、なだらかな炭鉱の縮小ということで時間的な問題がどうかということでございますけれども、まさにその問題も石炭鉱業審議会で現在検討中でございまして、考え方といたしましては先ほど来申し上げておりますように、急激な集中的な閉山をぜひ避けるという方針でやっておりますが、それが具体的にどのような展開になるかは今後答申の中で明らかになるところでございます。いずれにいたしましても、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、私どもとしても一日も早く答申を得ていきたいというふうに考えております。 また、南ア制裁の関連でございますけれども、我が国は南アフリカから約一〇%前後のシェアの石炭を購入しているわけでございまして、かなりのウエートを持っているわけでございます。最近の南ア制裁に関連いたしまして、我が国といたしましても一定の方向を出したわけでございますが、最近のアメリカの動きに対応いたしまして、やはり国際的な観点から非難を受けることのないように行動するべきであるということで、私どもも関係業界の注意を喚起しているところでございます。
○近藤忠孝君 円高不況対策について中心的に質問していく予定でありますが、その前に緊急の問題といたしまして、これは広島県府中市出口川の上流にある御調砕石場からカドミウムなど多量の重金属が流出をして被害を与えているという問題がありますので、通産行政の重要な一面としてまず質問したいと思います。 この前提として確認をいたしておきますが、これは採石法の適用を受けます。この採石法は、昭和二十五年制定以来何度かの変遷を経ておりますが、この変遷してきた理由は、採石業の発展とともに採石による公害が増加したこと、これに対応する適切、適宜な防止措置を講ずる必要があるという立場からの改正であります。事前の適切な対処、それから発生する公害の態様と程度に応じた効果的な指導監督、そういう立場からのものであります。こういう立場から見てみますと、大体採石場の操業から重金属が出てくるなんということ今まで余り予想されていなかったことでありますが、こういった事態が出ましても、この法律を適切かつ弾力的に運用して早急な対処をするものだと、このように理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) 採石法に関する権限は御承知のように都道府県知事にございまして、私ども通商産業大臣は一般的な指揮監督権があるわけでございます。この法律の施行でございますが、御指摘のとおり、重金属等も含めまして一般の災害の防止という観点から対応が可能ではないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 そういう点でもう一つこの法の解釈の問題、これは採石法逐条解説という資源エネルギー庁がつくっているものですから、これはイエスかノーかで確認すればいいんです、時間がないもんですから。一つは、三十三条の九で「認可採取計画の変更命令」がありますね。これは認可したときと事情が変更したために災害を発生させるおそれが生じた、要するにおそれが生じた段階でこの変更命令を発することができる。それから、自然災害であるか否かを問わない、また採石業者の責任外のことであってもこの命令ができる、このように解説されておりますが、そう理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) そういうふうに理解をしてよろしいかと考えます。
○近藤忠孝君 次に、またイエスだけで結構ですが、三十三条の十三、緊急の場合これは緊急措置命令ができます。これは現実に災害が発生している場合は当然のこと、発生していなくてもそのおそれがあり、しかもそれが緊急になっている場合、その場合にはこの緊急措置命令を発するべきだと、こう理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) おそれがある場合にも緊急措置命令が発せられると考えております。
○近藤忠孝君 では以上を前提に。これは大変な重金属が出てまいりまして、下流のコイが死ぬ、また水生生物調査では一・七キロメートル下流まで生物の生息が見られなくなった。またその地域においての河川の水質調査でも環境基準をはるかに超えるカドミウム等の重金属が検出されています。そして、さらに流入水の水質調査でも、この御調砕石場周辺からこれは銅が一七ppm、亜鉛四八ppm、カドミウム一・一ppm等々が出ておって、それ以上上流には出ていない。それから、この周辺護岸からの浸出水調査では、下流百メートルまでの区間に七カ所の浸出水が見られて、そのうち五カ所から高度のカドミウムが検出されている、こういう事態があります。そして、とうとう農用地の土壌が汚染されており、最近の調査によりますと、〇・九七ppm、あともうほんのちょっとで汚染米、食用に供せられない汚染米が検出されたという状況であります。その事実はどうであるか。 そして、これはもう事実関係明白で、私も現場見てきましたけれども、ダストの中にも我々素人が見てもこれは重金属だと思われるものが現にあるわけですね。ダストというのは砕石した後の残りのような細かいものですが、そしてさらにこの現場からの鉱物あるいはダスト等の検査によりますと、岩石からはカドミウム一・三九ppm、鉄は一一八〇〇ppm、銅六〇〇ppm、亜鉛三〇〇ppm、それから砕石場に野積みされているダストからはカドミが三四ppm、鉄二一〇〇〇ppm、これだったらもうとった方が余計もうかるかもしれません。こういう状況ですね。銅が五七〇○ppm、亜鉛が二八〇〇ppm検出されています。これは鷹村さんという福山大学教授の分析であります。 こうして見てみますと、もう明らかに採石法三十三条の十三に言う緊急命令を発すべき事態ではないかと思うのですが、これはいまだに発せられていない。なぜなのかお答えいただきたい。
○政府委員(野々内隆君) 採石法に基づきます登録とか認可、監督というような施行につきましては各都道府県において行われておりまして、採石業者に対します災害防止のための緊急措置令、これは法律の三十三条の十三でございますが、これも一義的には知事の判断によるものというふうに考えておりまして、現在広島県を中心に地元で調査が行われているというふうに聞いておりますので、地元ではその結果を待っているのではないかというふうに考えます。
○近藤忠孝君 この問題、発生してもう四カ月ですね。余りにもこれ長過ぎゃしないか。 私行ってみてわかったことは、県の方も確かに調査しているんですが、たまたま岩石を持ってきて溶出検査をしたらば重金属が出てこなかった。当たり前なんです、今はね。それは成分分析をしなきゃいかぬものを、それをやらない。先ほど御説明したように、ダストに現に重金属があるわけですから、そしてその下流にどんどん流出している、こういう状況なんですから、私は余りにも遅過ぎるんじゃないか。確かにこれは県が第一義的に判断すべきものでしょうが、機関委任事務ですから、当然国が監督指導しなきゃいかぬ問題なんです。しかも現に流れているんですよ。市の方は一生懸命水をとって処理をしていますね。日量六・五トン分。しかし、そのほかに七・五トン分出ているんですから、それもどんどん下流に流れていきますわね。汚染が放置されている。となりますと、先ほどの採石法の変更命令は、まだ災害が出なくたってやるべきでしょう。現在はそれよりもっと進んだ、もうあからさまな災害が出ておるんですよ。汚染米ということも明らかな災害ですし、魚が死んだというのも明らかな災害ですよね。それをなぜこんなに放置されておるのか、その点 よくわからないんです。監督すべき、あるいは指導すべき資源エネルギー庁として、そういうものをほっておいていいんだろうか、そういうことをお聞きしたいんです。
○政府委員(野々内隆君) 採石法上の権限が都道府県知事に与えられているのは、やはりこういう問題につきましては現場を最もよく知っている地方庁が主体的に判断すべきであるという考え方からこの法律がつくられたものと私どもは理解いたしておりますので、しかも現に広島県並びに府中市においても調査を行っており、一部もう既に対策も実施されているというふうに聞いておりますので、その判断を待ちたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 判断を待つのはいいんで、それを頭越しに資源エネルギー庁が判断することも求めておりませんが、しかし、事件発生以来こんなに日にちがたってまだ結論出ない。この間行って聞いてみましたら、大体十一月半ば過ぎだろうというんですよ。しかし、その間も日量七・五トンどんどん流れているんですから、これをほっておくということ自体、いいんだろうか。 大臣、こういうことをほっておかれることは、通産行政が現場ではこれは監督されていないということなんですがね、これどうなんでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) やはり私ども東京で判断するよりは、地元の知事が権限を持っており、かつ調査もしているわけでございますので、私どもとしては一義的にその判断を尊重したいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 さっきから同じ答弁だけなんですけれども、これだけの事実を指摘をしているんですよ。となれば、こういったこともこの商工委員会で指摘されたから事態をもっと急ぐようにとか、大臣、それくらいの指導したっていいじゃないですか。余りにもこれ、その下流の人々にすれば、カドミで自分たちがイタイイタイ病になるかもしれない、そんなものにどんどん汚染されているんですから、それがしかも現に放置されているんですから、それに対して県が、まあいろいろ事情あると思うんです、その事情として私もわからなくない。というのは、圧力がありますから。それは事実なんですよ。だけれども、それはそれとして、やっぱり国の立場から見れば、ちょっとこれは時間がかかり過ぎるんじゃないか、こういう指摘もあったのでひとつ急いでやりなさい、こういう指導はできるんじゃないでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) 現在調査中でございますが、きょうのお話もございますので、そういう現状を踏まえまして県とも協議をし、適切に対応するように指導してまいろうと思います。
○近藤忠孝君 適切に対応というのは、くどいようだけれども、住民のそういう願いもあるんだから、もっとこれは急いでやると、こういったことも含まれてしかるべきだと思うんですが、もう一度確認します。
○国務大臣(田村元君) こういう問題は、率直に言ってお互い自分の地域を見たときに、県市町村が一番詳しいと思うんですよ。その被害の程度、迷惑度あるいはいい意味においては今度は別のことでは別のと。そういうことでございますから、やはり県の判断というものが一番適切であり、また適時適切であろうと思います。思いますが、お話を承って、まあ適切な対応という言葉を今長官使いましたが、あれどうなっているんだいというような問い合わせを一遍させてみましょう。
○近藤忠孝君 さすが大臣、一歩進んだ答弁をいただきましたけれども、それでもちょっと物足りぬけれども、時間がないのでしようがない、次へ進みましょう。 県知事は、九月二十五日の県議会でこう答えています。これは、こういう採石場から重金属が出てくるというのは初めてのことで、これは休廃止鉱山区なんですが、そこでの採石許可については通産局と連携して審査基準を見直し、現地での指導を強化したいということなんですね。確かに今まで、大体採石場の操業から重金属が流出するということはめったになかったことなんです。だからこれは私は新しい事態だろうと思いますね。それについて県は、今まで先例もないし、そういう基準もなかなかはっきりしていないものだから、手をこまねかざるを得ないという面もあったんだと思いますが、今後の問題として、休廃止鉱山があるようなそういう場所から石をとる場合には、現にこういう事例もあるわけですから、その認可基準を極めてもっと厳格にし、きちっとやるべきことはもっとやらせた上でそれを認可する、こういったことがあってしかるべきだと思うんですが、今回のこの経験から今後の問題としてどう対処すべきか、お答えいただきたい。
○政府委員(野々内隆君) 採石法三十三条の二に基づきまして、採取計画には、「岩石の採取に伴う災害の防止のための方法及び施設に関する事項」、これを定めるということになっておりまして、採石法施行規則第八条の十五によりまして、災害防止のためにとる措置として汚濁水の処理施設の設置というものが例示されております。 今後採取計画を認可するに当たりましては、重金属による水質汚濁につきましても十分な審査を行うように、改めて都道府県に対して周知徹底を図るということを考えてみたいと思っております。
○近藤忠孝君 それならば結構ですね。 それから今度は、これは住民の要求もあって市が大変な努力をしております。もう既に検査とかそれから処理のために相当金を使っておるんですが、今後一億七千五百万ぐらいやっぱり見込まれるんじゃないか、いろんな対策費ですね。 そこで、自治省としては、来年度特別交付金の申請があった場合、こういう緊急事態の出費ですから、それについて十分な配慮をしてもらえるだろうか。端的にお答えいただきたいと思います。
○説明員(柿本善也君) お答えいたします。 御指摘の汚染対策に要する経費につきましては、基本的に原因者である事業者がもしいますれば、その事業者が負担すべきということになります。ただ、仮に地方団体として対応すべき財政需要がありますれば、当該団体の財政状況をよくお伺いした上で適切に対応いたしたいと思います。
○近藤忠孝君 その点は、地元の市では大変心配しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。では結構です。 円高対策についてでありますが、先ほどこれは田代委員からも質問がありました、こんなに円高になっても貿易摩擦が解決しないのはなぜかと。要するに副作用しか残らないという状況ですね。これにつきましては、私は昨年十一月十四日、これは大蔵委員会でしたが、質問したところ、このときはまだ二百十何円という段階でしたね、そのときこう言っていました。これは日銀及び大蔵省です。「現在の円高定着の方向というものが将来の不均衡の是正につながっていくものであるということを確信しながらやって」おりますと。確信しながらこのていたらくという状況なんですね。 先ほどこれについて御説明がありました。しかし私はそれではやっぱり国民が納得できないので、私なりになぜこんなに円高、しかもこの当時にはもう予測もできないような、まさに驚異的な円高状況になっても輸出は減らないという原因は、一つは日本の黒字病、要するに輸出中心になっておって、その下請や労働者の低賃金、長時間、超過密労働ということと、もう一つはアメリカ側の赤字病、これは防衛費などの突出による赤字財政と、もう一つは経済空洞化と言われる赤字体質ですね、そこに私はあるんだと思うんです。 だから、そこに対する抜本的な、アメリカに対してはそういう要求をし、そして日本のそういう黒字病体質、これを変えてこそ、こんなに円高になっても輸出が減らないという事態を解決できるんじゃないか。もとより中小企業を救済するための緊急対策も必要ですが、それはこれから御質問しますが、そういう抜本対策ね、しかも今言った観点からの抜本対策、それについて大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(田村元君) どうも防衛を基本とした抜本対策ということになりますと、ちょっと私も 物の言いようがないんですが、実は、言いますと、おっしゃる声がしっかり聞こえないんですけれども、もう一回簡単に御趣旨をちょっと……
○近藤忠孝君 そうですか。 要するに私が申し上げたいことは、こんなに円高になっても結局輸出は減らないと、その理由についてさっき説明ありました。そういったことではこれは十分な説明ではないんではないか。私が指摘したことは、日本の側で見ると日本の黒字病、要するにどうしても黒字が出ていく。輸出中心の大企業が、下請やあるいは労働者に対する低賃金、低工賃、長時間超過密労働。もう一つは、アメリカ側の赤字病というのは要するに財政赤字ですね。その原因に軍事費があること、それはいいです。財政赤字と、もう一つは経済空洞化で、やはり日本などから輸入しなきゃやっていけない体質。だから、アメリカに対してはそのものの解決を要求しなければ問題の基本が解決しないんじゃないか。日本では今申し上げた、本当に輸出体質、そこを解決しなきゃいけないんじゃないか。そういう大きな問題を御質問したんですが、時間がないので端的にお答えいただきたい。きょうは余りそのことを議論する気はないんで、大臣の意見だけお聞きしておきます。
○国務大臣(田村元君) アメリカの財政赤字の問題をおっしゃるわけですか。
○近藤忠孝君 ちょっと質問……。ここで議論していると大事なことがあれなんで、また改めて御質問しますが、正確に理解……
○国務大臣(田村元君) ちょっと、率直に言って意味がわかりにくくって……
○近藤忠孝君 わかりました。一番大事なことなんだけれどもしょうがないです。 個別の緊急対策について質問したいと思うんです。私も、福井、石川、新潟などを調査してまいっていろんな要望を受けました。 最初に金融問題ですが、やはり一番の希望は現在借りている資金の返済猶予ですね。資金の返済猶予は現にやっている、特に政府系金融機関でやっているというんですが、単なる返済猶予では返済期限が変わらない。一時猶予されても最終的には同じ期限までに返さなければいかぬので、返済期限もそれに応じて変更してほしい、こういう要望があるんですが、いかがですか。
○政府委員(岩崎八男君) この返済猶予については、個別中小企業の実態に応じてできるだけそれに対応してあげるようにということで、これは大蔵省の関係局長連名で随時政府系金融機関を指導して、通達等も出してまいりました。具体的にもうかなり進んでいるというふうに私ども思っておりまして、実績が四月—六月までしか実はないんでございますけれども、四—六の実績で申しましても、中小公庫で千八百六十六件、それから国民金融公庫で九千四百二十一件、商工中金で四百五十九件、個別実態に応じた返済猶予を認めておる。しかも、それは返済の最終期限を変更するような約定変更も相当含まれておる、このように私どもは理解しております。
○近藤忠孝君 ですから、そういう要望があるのでそのように受けとめてほしいと思いますが、ただ現地へ行って聞きますと、せっかくそういうことを、借りかえなどを認めてもらっても、現地ではなかなかやはり借りられないと。その理由が、よく聞いてみますと、特に零細業者の場合は借りかえは認めてくれるというんですが、その新しい借金については従来以上の担保が求められる。例えば保証人は二人だったのが三人にされるとかね。となりますと、大体今どき、福井、石川のあの不況の繊維の町へいきまして、そんな賃機業者の保証人になるなんというのはもういないと言うんですね。そんな新しい保証人が余計要求されたらそれはもう借りられない。結局、道は開いてくれたけれどもはいれない、こう言うんですが、この辺の条件を厳しくしているというのについてはどうですか。
○政府委員(岩崎八男君) 確かに金融という一つの常識の中での借りかえあるいは返済猶予等でございますので、相当個別案件ごとに様相が違うんだろうと思います。できるだけ担保徴求の弾力化をするようにということで、これも私ども推奨し、そのためにはある程度のリスク負担がふえますので、そのリスク負担をカバーするための政府系金融機関に対する補給金、これも今回の補正予算である程度そのためを見込んで投入するというようなことで考えておりますけれども、かつ、政府系金融機関だけでなくて、別途御承知の信用保証機関におきましてそういう無担保の枠を今回広げるというようなことで、間接的にその難しさを緩和したいというふうにも考えておるわけでございますので、できるだけ私どもとしては、仕組みについては最大限の配慮をしようとしておると思いますけれども、それの現実の現場におきます取引における摩擦、困難性、そういうものについては、そういう全体枠の中で、できるだけ窓口が弾力的に考えてくれますよう、今後ともさらに指導を強めてまいりたい。そういう措置を、裏づけをとりましたので、より言いやすくなったとは考えております。
○近藤忠孝君 そうしますと、具体的に実際現場で金を借りる場合に、今まで以上にきつい担保を求められることはない。そう求められたら、長官のところへひとつ助けてくれと言ってもいいかということ、どうですか。
○政府委員(岩崎八男君) 正直申し上げまして、私どものところにもそういう政府系金融機関の現場、それからそういう信用保証機関の現場の人たちから深刻な悩みが寄せられております。こういう一般的な経済環境の中でございますので、市中金融機関であればもっと厳しくやりますでしょう。しかし、これは金融機関とはいえ政府系金融機関でございますので、単純にコマーシャルベースだけでは判断すべきではない、そのように彼らも考えております。かといって、すべてのリスクを無視してそれでは運用できるかというと、そこのところについてはやはり金融機関なり信用保証機関としてのある限界があるということで、現場の人たちも非常に苦労をしておると私ども思っております。したがって、そのケースケースでいろいろな判断が出てこざるを得ない場合もあるんではないかというふうに思います。
○近藤忠孝君 それから、金利がやはり大変なようで、皆さんの希望としてはやはり三%以下にしてくれないかと。災害で、激甚災害と同じようなものだと言うんですが、これは要望だけにしておきます。 それから、同じような要望としては、もう仕事の見通しがつかないんで、借金しても返す当てがないので借りられない、これが実情ですね。ですから、そういう場合に、やっぱり無利子の融資が一つ。それから労働者には失業保険がありますね。もっとひどい深刻な状況にある人々にとって休業補償制度があってしかるべきではないか。これは現にないんだけれども、こういうことをひとつ検討するというのはどうでしょう。
○政府委員(岩崎八男君) 私は中小企業者というのは、自分の人生をそういう独立不鶴のある事業に打ち込む、そういうことで懸命の努力をし、そこに生きがいを認められている人たちの集団だと、そこに日本の中小企業の活力がある、そのように考えております。したがって、それを雇用関係における雇用者と同じような立場で考えるべきかどうかという点については相当な違いがあるんであろうというふうに思います。ただしかし、今のような急激な環境変化の中で、そうした御自分たちの人生の志に一つの蹉跌を来しつつある、そのことについての非常な重大さについては私非常によく理解できます。したがいまして、そういう人たちが今後の新しい活路を見出していただけるよう、これは私どもとしても最大限の手段を講じ、御支援を申し上げたいということで考えておるところでございます。
○近藤忠孝君 次に、公取来ているかと思うんですが、ちょっと時間がないんで要望だけにしておきたいと思うんですね。 だんだん検査が厳しくなって、今まで当然合格したものがみんな不良品扱いで返されて、工賃の 二十倍ぐらいのものを引き取らなければいかぬ、これは大変な深刻な状況ですね。それから工賃が、納めても決まらない、後で向こうから支払いが来るまでわからない、こういうことがあちこちに出ております。そんなことを申告すれば、直ちに仕事をとめられちゃって、これはもうだめだというので、こういう問題につきましては、具体的申告がなくても積極的に調査しまして、そういうことをさせないということをひとつこれはお願いしたい、これは要望であります。 それから次に、事業転換問題でありますが、先ほどのように成功例を六十例ばかり出すと。それも結構なことですが、それを参考にできるところはまだいいんですね。しかし大方はなかなかそういう状況でないのが一つであります。そういう中で、転換の認定基準について、これは大変強い要望が出ていますが、通産省は転換の目安を事業の三分の一ぐらいが転換しないと助成措置の対象にしないということですが、実際やっぱり数年かけて行う。ですから、そのためには一年には数%から二〇%ぐらいずつだんだんやっていくという、こういう点についてはこれもう少し弾力的な運用が必要じゃないかと思います。 それからもう一つ、事業転換に関連して高度化資金ですね。これについては燕の金属洋食器工業組合との懇談で出てまいりましたのは、この転換法によって高度化資金を利用しようとすると、組合が借りて、また組合から貸す。その際には理事が保証しなければならないとなりますと、せっかくいい制度なんだけれども、そんな、理事が保証までしてなんというと、これも大変困難です。それが結局ネックになって、せっかくの資金が利用できない。こういう問題があるんだけれども、そこは何とか解決してくれないかということ。 全部申し上げますと、もう一つは今度の特定地域中小企業対策法ですが、大企業は撤退できるけれども、地場産業は逃げ出すわけにはいかない。これは地場産業ですね。そこで業種転換が必要だけれども、そのために指定地域にしてほしい。ただその場合に、要するに市町村の行政区画ごとでなるんじゃないかという、こういう心配があるんですね。ところが、例えば燕で見てみますと、燕洋食器というのは単に燕市だけじゃなくて、道路一つ隔てたお隣の町あるいはこんな小さな川を隔てたお隣の町と、要するに問題は、先ほども指摘ありましたように、一つの地域ですよね。そんな一本の線で決して区切れるものじゃない。となると、そこはもうちょっと弾力的に適用してもらってしかるべきではないかということであります。それについて御答弁いただきたい。 最後に、これは要望だけにとどめておきますが、繊維の設備共同廃棄事業、撚糸工連事件の結果、今全く責任のない人に被害がいっていますね。これに対しては従前どおりの事業を早期にこれは再開してほしい。これは要望にとめておきますが、前の三点について答弁いただきたい。
○政府委員(岩崎八男君) まず事業転換の基準でございますけれども、これはその後運用においてできるだけ緩和したいということで、例えば今まで輸出をしておった、それを国内に切りかえる、これも転換である。あるいは今までこういうデザインのものをつくっておった、これをこういうデザインに切りかえる。これも転換であるということで、転換の内容を相当緩和して考えることで、できるだけ運用の弾力化を図りたいということで、その趣旨徹底を図っているところでございます。 それから、組合が行いますそういう転換事業に対する融資転貸事業、これについて組合役員が保証する。これは確かに非常に現実的でない場合もあり得ます。ただ、建前としては確かにそれは組合事業の一環として行いますので無利子融資ができるわけで、そこのところの建前はございますけれども、現実にじゃ保証能力があるかというとなかなかない場合があるということで、そういう場合は、その転貸先の個別の企業が担保を出せば組合役員の保証は不必要であるというような形でこれを運用いたしております。 それから、今回の特定地域中小企業対策臨時措置法の指定地域というものをどうするか。これは法案成立後に早急に考えぬといけませんけれども、いろいろな御意見等を含め、できるだけそういう地域の実態に合うような形で考えていきたいというふうに思っております。
○近藤忠孝君 終わります。 ─────────────
○委員長(前田勲男君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として市川正一君が選任されました。 ─────────────
○井上計君 通産大臣が御用でお急ぎのようでありますから、冒頭に大臣に要望を申し上げて、後はひとつどうか御退席いただいて結構でございます。 要望申し上げることは二点ございます。 実は去る十月十六日に、毎年行われます中小企業の全国大会がことしは愛媛県の松山で行われました。五千名余りの全国の中小企業の代表が各県から集まりまして、特に円高の問題等非常に中小企業にとっては重要緊急な問題がありましたから、ことしの大会は大変盛り上がったと、私も出席してそういうふうに感じております。中小企業庁長官も、長官として来賓としてお越しでありましたから十分御承知でありますが、長官の前で御無礼ではありますけれども、当日、大臣の代理として中小企業担当政務次官が出席の予定が、どういうふうな事情か知りませんが欠席でありました。七、八年ぐらい前までは全国大会には大体通産大臣が御出席で、そうして直接いろんな問題等についてお話があって、中小企業者も非常に意を強うしたり安心したというふうな経過があります。 特に私の記憶では、昭和四十八年の秋、あの第一次オイルショックの直後ですが、非常に中小企業が大変な混乱をし困っておったときに、当時中曽根通産大臣が見えまして、直接明確にいろんなお話しになったので、ややみんなも安心したという記憶を今でも持っておりますが、できればそういう大会に、御都合がつけば大臣に御出席をいただくこと、また大臣が御都合つかなければ、ひとつ政務次官にはぜひ御出席をいただかないと、中小企業に対して政府が、中小企業庁、通産省がいろんな施策をつくっても、なかなかこれは感情的に、やはり依然として中小企業は無視されておる、冷たい取り扱いをされておる、こういうふうな不満が生じるであろうと、こう思います。特にことしは政務次官もお見えにならぬと、長官がお越しいただいているのに御無礼でありますけれども、やはり中小企業庁長官としてお越しいただいているので、長官が大臣代理も兼ねられたことについて大変不満が大きくなっておるんですが、どうかひとつ今後とも全国大会的な大きな大会のときには、できれば大臣に、大臣もしどうしても御都合が悪いときには政務次官に御出席をいただくようにひとつぜひ善処、御配慮をいただきたい、これが一点。 もう一点は、春、秋の国家褒章あるいは生存者叙勲等々が行われて、これについて多くの産業功労者あるいは自治功労者等々がたくさん受章するわけです。特に中小企業の長年苦労した人たちが受章して、本当に一家の名誉として喜んでおるわけです。ところが最近、この褒章あるいは勲章の伝達が、大体大臣でなくて代理の政務次官の伝達が多くなっているんです。これも国会等の都合でやむを得ぬということもあるか知りませんが、私はやはりこれは原則として大臣が伝達をしていただく、特に中小企業振興功労者、産業功労者等については、できるだけひとつ大臣が直接伝達をしていただくということが、私はこれまた中小企業のそのような長年苦労した人に対する一つのやっぱり大臣としての感謝の意を表していただくことがまた中小企業対策推進のためにも役立つであろう、こう考えておりますので、この二点を大臣にひとつ御要望申し上げて、どうぞ御退席いただいて結構ですから。
○国務大臣(田村元君) まことに申しわけのないことでございました。実は、私はこの大会に出席のつもりでおったのであります。ところが、この席で申し上げるのも失礼なんですが、たまたま参議院の商工委員会で通産大臣の所信表明という予定が示されたんです。そこで私は、そのときにいま一歩踏み込んで、中小企業の大会がありますから、ひとつ私のあれは日延べをお願いしますとお願いをすればよかったんですけれども、所信表明というので——結局結果はなかったんです。なかったんです、結果は。なかったのですけれども、所信表明があるということでもってたまたま行けないということで、外交案件を入れまして、それから例の人事院勧告の完全実施の政労交渉というのが職員組合とあったりして、そういうことで申しわけのないことをしました。あれは委員長に、こういう大事な会合ですからひとつ委員会御勘弁願いたいと、あるいはお願いは一応してみるべきだったと思います。これはもう謹んで中小企業の皆さんにおわびをしたいと思うんです。これから出るようにぜひしたい。 それから政務次官の場合でございますけれども、実は先ほどもちょっと中小企業庁長官に注意をしたんです。なぜおれに言わなかったのかといって注意をしたんです。もし政務次官がだめなら、せめて事務次官でも派遣したかったと今つくづく思っております。まあ厳しく忠告しましたから、これからそのように計らうものと思っております。でございますから、そういうような大会のときには、あるいは当委員会にわがままをお願いすることもあり得ますが、どうぞそれはひとつ御了承のほどをお願いを申し上げます。 それから今の伝達等の問題でございます。当然のことだと思います。今度の叙勲の伝達は私がいたします。これはもう間違いなく私がいたします。その他褒章等につきましても可能な限り私から渡すようにいたしたい、このように思っております。この点本当に申しわけないことでございました。
○井上計君 通産大臣から大変御懇篤な御答弁いただいてかえって恐縮ですが、どうかよろしくひとつお願いいたします。 経企庁長官に伺いたいと思いますが、質問の前に一つ、これは要望と申し上げておきます。あるいはお立場上御答弁はむしろいただかぬ方がよろしいかと思いますが、御答弁いただければなお結構であります。 けさほど同僚議員から例の水源税、流水占用料、すなわちことしの言われておりますところの森林河川緊急整備税ですが、これについては同僚議員からも質問があって、通産大臣は明快な御答弁をされております。私も去る六日の予算委員会で通産大臣及び厚生大臣にこのことをお伺いをして、明快な御答弁、すなわち治山治水という国の言えば内政の中心である、柱であるものについては一般財源で行うべきである、目的税を創設すべきじゃないという通産大臣、厚生大臣の明快な御答弁をいただいております。 私も全くそのとおりだと思いますし、また現在の経済情勢の中で新しいそのような税が設けられることは内需振興にも大変な支障がありますし、またその他もろもろの障害を生ずるであろうという考え方から、特に経企庁長官は、先ほどもお話がありましたが、経済構造調整推進本部の副本部長をしておられるわけでありますから、そういうお立場からしても、この森林河川緊急整備税についてはこのような目的税を設けるべきでない、こういう当然お立場にお立ちになるべきであろうと、こう考えておりますので、これは期待をしておくということで、お立場上いろいろとまた難しい点があろうかと思いますから、特に御答弁は要求しませんので、ぜひそういうふうな声があるということをひとつ御銘記をいただきたい、お願いをしておきます。 そこで、質問に入ります。 六十一年度の政府の経済成長見通しは当初実質四%。四%の中身は内需四・一、外需マイナス〇・二ということであったわけであります。ところが、一—三月が三・八%、まずまずでありましたけれども、四—六月はマイナスの〇・六%というふうにダウンしております。この七—九はどうなっているのかまだわかりませんけれども、いずれにしても、このままの情勢でいくとことしの成長は四%をかなり割り込むんではないだろうかと大方皆予想されております。 こういう情勢の中で、先ほど長官が所信表明の中でもお述べになっておりますけれども、私は率直に申し上げて、かなり楽観的な経済予測であるというふうな感じを持っておるんですが、事態は既にけさからいろいろと質疑の中で行われておるように、大変深刻な事態に一般経済界、産業界は陥っておるというふうなことでありますが、それらについての認識はどうしておられるのか。同時にまた、先ほど政府が発表しておる総合経済対策によって当初見込みの四%が達成できると、このように長官はお考えであるのか。この点をまずお伺いをいたします。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生も御指摘ございましたように、私どもは一月の段階で実質四・〇%のGNPの成長率を想定しておったわけでございますが、この六十一年度最終的にどうなるかということについては、いつもその統計データがおくれてまいりますものですから、多少現時点の判断は難しいわけでございますけれども、国民所得の四半期速報値で出しましたのが、一—三月期は実は〇・五のマイナスでございました。そして四—六月期は実は〇・九のプラスでございまして、仮にこの〇・九がずっと伸びるとすれば、年率で〇・九掛ける四でございますから三・六、こういうことでございますが、その六十年度と六十一年度のGNPを年ベースで比較いたしますと、多少統計的な操作をいたしまして、これが二・七%、こういうふうに、これはあくまでも大きな前提のもとでやっているわけでございますが、そうだとすると、まさに一・三%落ち込む、こういうことになるわけでございます。 実際一月の段階で消費、それから民間投資、民間住宅建設、在庫、そして政府支出と、こういうふうに分析してまいったわけでございますが、各項目で比較いたしますと、やっぱり消費は予想よりも伸びている感じでございますし、それから、特に住宅投資は大変いい水準で推移している、こういうことでございますが、やはりこの円高の影響を受けて輸出がやられて、また輸出関連の製造業が落ち込んでおる。しかし、片方で非製造業はむしろいい状況にある、こういうような関係でございまして、そうした民間セクターのマイナス、総合としてのマイナスを多少政府投資が持ち上げておって、大体内需では見通しとそんなに違わないかなと。これもまだ確定値がございませんが、ただ、先生御指摘のように、対外経済要因、これが〇・二マイナスだったのが、これはまさに円高政策そのものでございますから、落ち込むことで、どれぐらい落ち込むかな、こういうことでございます。 いずれにいたしましても、これは大ざっぱな数字で、かなり機械的な計算で二・七とすれば一・三落ち込むし、民間のいろんな予測も一・プラスアルファ%というような感じでごさいますので、実は何とかこの落ち込み分を内需の拡大でカバーしたいというのが九月十九日に発表いたしました三兆六千数百億円の総合経済対策であり、これも単純計算いたしますと、六十年の名目GNPが三百二十兆円でございますから、対比では一・一%強と、こういうことでございます。 ですから、この三兆六千億の内需拡大政策が完全に年度内で消化されて、それが乗数効果、所得効果を生めばむしろ相当いい線いくわけでございますが、これはいろいろその各項目を当たってみて、私ども必ずしも年度内に全部というわけにはまいりませんので、実はけさも閣議で補正予算の概算についての決定を見たわけでございますが、特にその中の一兆四千億の国が責任持ってやれる事業と、それから八千億のこれも地方自治体が責任持ってやれる事業、これは何とか年度内に消化する方向でやっていこう、こういうことでございまして、こういう方に政府のきちっとした内需拡 大政策が浸透してまいりますと、経済というのは国だけでなしに民間の企業なり民間の消費者のまさに消費活動、投資活動の集積でございますから、国のきちっとした成長政策、内需拡大政策に民間のいわば呼応があれば、即応があれば、これは私たちの考えている線に近い形でこれから後半景気が上向くことは十分に可能であるので、そうした決意で今後経済運営に当たってまいりたい、こういうことでございます。
○井上計君 長官のお立場でおっしゃることもわかりますけれども、かなりやはり楽観しておられるな、こういうふうな危惧の念を持つわけです。長官の見通しのような形にいけば大変結構でありますけれども、どうも私どもとしては、現状から考えて、また三兆六千億円の規模の今回発表された総合経済対策が果たしてそれほど実効あるかどうか、こういうことについては懸念を持っておりますが、格段にひとつ御努力をいただきたい。もう時間がきょうは短いですから、これ以上詰めたお尋ねいたしません。 そこで、内需にかなり期待しておるということでありますし、また、今お答えの中で住宅建設が進んでおる、こういうふうなことでしたが、果たして私は住宅建設は進んでおるのかな、ちょっと疑念があるんですね。同時にまた、内需拡大の最大の方法は、やはり民間住宅、住宅建設であることはもうこれは論をまたぬわけですね。木造住宅を一戸建てると約百七十ぐらいの品目を消費する、こう言われておりますだけに、何とか住宅建設を促進する方策を積極的に立てていかなくちゃいかぬ、こう考えているんですが、その場合一番ネックになっておりますのは土地問題であるということです。 それで、長官にこれは要望しておきますけれども、土地問題のまた隘路は何かというと、現在の農業政策、食管法、農地政策にある。これはもう論をまたないと思うんですが、そういう面まで含めた経済対策といいますか、これらのものをぜひ今後とも具体的にお立ていただく必要があるし、またそうでなければなかなか内需拡大といっても簡単にはまいらぬというふうに思います。簡単で結構でありますが、これについての御所見を伺っておきましょう。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘のとおり、私どもも住宅政策は内需拡大の大きな柱にしたい、こう思っているわけでございますし、現実に先ほどもちょっと申しましたけれども、昨年度は百二十万戸の水準で住宅建設をやっておる。ことしは百三十五、六万戸でございますから、だから戸数から相当ふえてございますし、同時に、土地がなければ家が建たないというお話は全くそうでございますが、しかし、現在日本国には三千八百万戸の家がございます。世帯数が三千五百万世帯でございますから、理屈を言いますと三百万余っているんです。ですから、これから新しい家をつくるということもさることながら、まさにリフォームとよく言われますけれども、最近、ある家をできるだけ新しくして拡大する、それが結構手っ取り早い内需拡大にもなるし、これから新しく建てるよりもリフォーム需要というのが相当期待できるというふうに私どもは考えているわけであります。 ただ、土地政策につきましては、総合対策の中でいろいろ都市の中の容積率の見直しだとか、いわゆる線引きだとか、それから農地の転用の問題だとか、そういった問題についてもそれぞれ政策を考えておりますが、細かい点でございましたら、それは調整局長から説明させます。
○井上計君 いや、わかりました。改めて次回にまたもう少し詰めた話をしたいと思います。 時間がありませんので、それでは中小企業庁長官にお尋ねをいたします。これも時間がありませんから、二点に絞ります。 円高中小企業対策が、今年の二月の俗に言う円高法によってかなり積極的に講じられております。今度の中小企業対策でさらにまた一層突っ込んだ対策をお立ていただいていますけれども、しかし、一兆円程度の規模で、果たして今のような深刻な事態に陥っている中小企業、特に輸出関連企業等に対して実効性があるかどうかという、ちょっと私そういう心配があるんです。これについて一つ。 それからもう一つは、先ほど来ずっとお話が出ておりますけれども、我が国の産業構造を好むと好まざるとにかかわらず今後大幅に変えていかなくちゃいかぬ、やらなくちゃいかぬということ、これはもう当然でありますけれども、ところが、その場合に産業構造に伴う事業転換、先ほどからお話が出ておりますが、中小企業にとっては事業転換というのは、変わるのも地獄である、しかし残るのも地獄である。そこで同じ地獄——「地獄の沙汰も金次第」といいますけれども、要するに問題は金がつくかどうか、金が何とかなるかどうかというのがやはり転換の最大のポイントだと思うんです。それらの点を含めて今後どのような対策をお立てになるのかどうか、これが第一点です。 それからもう一つは、事業転換に伴って、先ほど田代議員の質問のお答えの中で、成功例が六十例あるとおっしゃっていましたが、六十例の中にあるかどうか知りませんけれども、私が最近特に感じるのは、数年前から野菜の水耕栽培、俗に野菜工場と最近言っておりますけれども、そういうものが都市近郊に大分ふえつつあるんですね。これは私は中小企業の製造業なんかの事業転換の一つの方法としては、大変ある意味ではやはり有望転業業種、それからさらに今後のいろんな問題を考えるときに、これはかなり奨励すべき転換ではないかな、こんなふうに個人的にかねがね考えておるんですが、これらのことについて中小企業庁が今までお考えになっておるのかどうかということなんです。 ところが、これを進めていくために、メリットもあると思いますし、逆にまたデメリットも生じるであろうと思いますが、メリットとしては、先ほどの宅地問題と関連しますけれども、都市近郊あるいは都市内の野菜畑がそれに転換することによってある種のまた宅地政策にもつなげるんではなかろうか、これがあると思う。そのほかにもいろいろと肥料の問題、いろいろな問題があろうと思います。ところが、逆にまたそれが進んでくると、工場で生産する製品であるけれども、それは野菜という農産物である。すなわち通産行政なのか、中小企業行政なのか、あるいは農林行政なのかという、そういうふうな問題が、市場の問題だとかあるいは資金助成の問題だとかいろんな問題がまた近い将来派生するであろう。 そういうふうなことを考えますと、この際お考えが従来からあればお聞かせをいただきたいと思いますし、お考えがないとするなら、今後そういう面についてぜひ検討していただいて、そしてそういうふうな中小企業の転換も今後必然的に起き得る。既に実はかなりやっておりますので、中小紡績工場は工場の中でシメジを栽培しているとか、最近はいろんなキノコ類を随分栽培しているとか、それから、本格的な水耕栽培の工場をつくっているところも大分あります。急速に恐らくふえるのではなかろうか、私そういう予想をしておりますので、今後ともそれらの点についてどういうふうなお考えをお持ちであるか。お持ちでなければ御検討いただきたいという要望になりますけれども、長官、どうお考えでしょうか、二点。もう時間がありませんので、これをお伺いをして終わります。
○政府委員(岩崎八男君) 一兆円の対策規模が十分であるかどうか。これはいろいろな考え方があり得るかと思いますけれども、私どもとしては、対策規模が一兆円あるいは補正予算の規模で二百三十四億、あるいはそれに中小企業事業団等の融資の活用を入れますと五百十億の国費というのは、過去の中小企業対策において最大の規模のものを実現し得たのではないかというふうに考えております。これで当面やってみまして、また必要に応じさらに対策が考えられていくべきものというふうに考えております。 それから今の転換の問題、これは確かに非常に難しゅうございまして、六十選というのは六十例 あるというのではなくて、何百とある中から精選したものを六十選びまして、それの成功のポイントは何であったかとか、そういう注釈をつけたものをわかりやすく精選したものでございます。その中には必ずしも製造業から製造業だけではなくて、全然無関係のものへの転換事例もございます。今のいろいろな野菜等の問題、これも当然転換先として十分考えていいことだと思いますし、私どもは転換先についてとやかく注文をつけない、できるものはもう最大限やっていただきたい、こういうポジションでありますので、どういう業種であるにしろ転換のいろいろな支援策というものは講じていけると思います。 また、農水省においてもそういう食品産業という意味からいろんな支援策もございましょうし、また農林漁業金融公庫という専門の金融機関もございます。したがって、私どもの支援策もよろしゅうございますし、また時に応じてそういう農水省独自の産業政策から来るいろんな支援も受けられる、こういうことで連絡を緊密にして今後やっていきたいと思います。
○井上計君 もう一問、まだ時間がありますから。 水耕栽培等々の問題等についてもお考えいただいているようでありますが、やはりネックは、私は農水省も同時にこれは積極的になってくれないとなかなか進まぬであろう、こう思います。とかく農水省は——きょう見えませんが、悪口言うわけじゃありませんが、すべての問題について現在の農水省の考え方あるいは農政が現在の直面しておる産業政策あるいは事業転換等々の問題点が隘路になっていることは事実だと思いますので、これらについても十分ひとつお考えをいただきたい。 そこで、思いつきの質問で申しわけないんですけれども、今食品問題云々という長官の御答弁がありました。最近食品業界で大きな問題になっておるのは、小麦粉は現在の食管法によって、要するに輸入が一元化されて国内販売価格が高いところで規制されておる。ところが、小麦粉製品つまりビスケットだとかあるいは乾めんあるいはスパゲティ等々の二次製品は全く規制がない。したがって、韓国あるいは東南アジアあるいは最近はイタリアからも大分入っているということのようですが、国内の製品価格よりも半分以下、物によっては三分の一ぐらいの製品が随分輸入されておるんですね。 そこで、中小企業の食品業界が大変な痛手をこうむっておる。これはまあ円高の逆問題だと思いますけれども、これらの問題も放置しておくとこれは大変なことになるんではないか。ただ単にそれらの業界の問題だけではなくて、やはり国民の不平不満、円高問題に対する国の施策の誤りというふうなことがまた大きな問題になってくるおそれもあります。ほかにも随分ありますけれども、これらの問題等についてはやはり中小企業対策としてあるいは商工対策としてお考えいただいて、農水省との間のこれらの問題についてのひとつ御検討をいただきたい。これは要望しておきます。 このことについて、これは経企庁にも関係のあることだと思いますけれども、できますれば中小企業庁長官、それから経企庁長官にも簡単にお答えいただければ結構であります。
○政府委員(岩崎八男君) 農水省が一元的に所管している分野でございますので、今直ちに責任ある御答弁できませんけれども、逆に、絹織物と生糸と違いまして同じ農水省内での縦の関係でございますので、私どももそういう中小企業一般という面から、できるだけ私ども自身注意深くそこを見まして、必要に応じ農水省と連絡をとっていきたいと思います。
○井上計君 長官、何かありましたら。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘の小麦の問題などはまさに円高差益の還元で、これがもっともっと小麦が下がらぬかということとも関係するわけでございますけれども、まさにこれは農水省の農政にかかわる問題でございまして、その農政費をそういう形で割り出しているような面もございますのでなかなか簡単に割り切れない面があると思いますが、しかし私どもは物価担当官庁でございますから、そういう考え方で、方向でひとつ今後とも農水省といろいろ協議を進めてまいりたいと思っている次第でございます。
○木本平八郎君 けさほどから、各委員から円高問題及び貿易インバランスの問題が繰り返しテーマに挙げられているわけです。また私もそれをやろうと思うんですけれども、これは今現在通産省あるいは経企庁、あるいは内閣、あるいは政府、日本全体が抱えている一番大問題と思うわけですね。したがって、しつこいようなんですけれども、再び私もその問題を取り上げたい。ただ私の場合に、ちょっとここでもう一度原点に返ってこの貿易インバランスの問題を考えてみたい。考えてみたいというよりも、私自身が非常によくわからない点があるわけです。その辺を教えていただきたいということで、質問とか答弁とかということじゃなくて、一緒に考えていただきたいと思うわけです。 まずその貿易インバランスの問題ですけれども、けさほども説明ありましたように、上半期でもう既に五百億ドルというインバランスが出ておる。これはことし年間でどのくらいになるのかというのは、まだ試算の最中か、あるいはされていないかもしれませんけれども、私の予想では多分九百億ドルにいくんじゃないかと思うんですね。上半期が五百億ドルあるから年間合わせて千億ドルというなにもありますけれども、Jカーブが少し緩んできますから九百億ドルぐらいじゃないかと思うわけです。 一口に九百億ドルと言いましても、これは大変な金額なんですね。フランスの全輸出額が八百五十億ドルぐらいですね、去年の実績が。それで、英国がたしか九百十六億ドルぐらいだったと思うんですよね。そうすると、英国の全輸出額に匹敵するものがもうインバランスで出てくるということなんですね。そうしますと、日本のインバランスよりも輸出量が多いというのはアメリカとドイツしか残らない。これはえらいことになるんじゃないか。これがどうしてそういうことが起こったかというのは、午前中の説明でJカーブだとか原油の問題とかいろいろ説明がありました。しかし、この数字がはっきり出るのは、多分もう年末か一月早々には必ず出ると思うんですね、予算の関係がありますからね。 もしもこの数字が発表されたときに、一体世界の反応といいますか、どういうふうになるだろうと思うわけですね。去年の五百億ドルでも大変な問題だったのに、九百億ドルという数字が出たら、内容なんて余り問題にならないと思うんですね。その結果だけしか、数字しか出ない。その数字に対して世界が一体どういうふうに反応するだろうということを考えた場合に、私はこれはもう大変な問題になるんじゃないかと思うんですね。私は自分が当事者じゃないから高みの見物というなにもありますけれども、皆さん当事者の方々ですね、これはえらいことになるんじゃないかと思いますけれども、長官どういうふうに今それをお考えになっているかまずお伺いしたいんですがね。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のおっしゃるようなことが現実に起こったとすると、おっしゃるように国際的にも日本はなかなか厳しい立場に立たされるわけでございますが、ただ、現実問題として日本の輸入はふえておりますし、これは数量で言いますと二割以上ふえているわけでございますから、こうした傾向が続く。ただ支払い代金が思ったよりもふえないものですから、結果的には残るわけでありますので、私ども政府といたしましては、こうした国際収支の黒字のよってもって立つことについて、やっぱり国際的な説明をまず積極的にやることじゃないか、こう思うわけでございます。 しかし同時に、いわゆるかねてから言われておる市場アクセスをさらに進めてまいるとか、それから産業構造の転換というものを、これは前に申しましたけれども、総理が中心になって産業構造調整推進本部をつくって、政府そして党も挙げて取り組んでおる、このことについても十分な理解 を得る。ただ、その貿易収支の黒字というものは長いいろんな経緯のあっての話でございますから、そう簡単なものではないんだということについてやはり国際的な理解を求めながら、しかし日本としてはやることはきちっとやっていく、こういうことでなければならないと思う次第でございます。
○木本平八郎君 確かにそうだと思うんですね。それで、私これは後で結論的には申し上げたいんですが、やっぱりやられて、受け身になって今度対策を講じるんじゃなくて、もうやはりこの際は先手を打っていかなきゃいけないんじゃないかということを最後に申し上げたいんですよね。 ちょっと数字にこだわるんですけれども、去年の五百億ドルというのは、隣の韓国だとかブラジルあるいはインドネシア、サウジアラビア、こういったところが大体四百億ドルぐらいの輸出しかないわけですね。それを超えて今度は七百億ドルぐらいだろうと言われたし、来年度は七百億ドルぐらいに下がるという見通しがあるわけですね。しかし、七百億ドルというのはやっぱりイタリアの総輸出量なんですね。それをインバランスだけでも凌駕する。しかもことしが九百億ドルで、来年普通にいけば七百億ドルぐらいに下がるだろうと、これは通産省なり経企庁どういうふうにごらんになっているか知りませんけれども、一般のエコノミスト、民間のエコノミストの見方は大体そういうところなんですね。そうすると、七百億ドルに下がってもイタリアの輸出と同じだと。そうすると、今幾ら輸入がふえてきているとか、見通しがどうだといっても、来年度の見通しがまた七百億ドルだということになると、もう言いわけができなくなるんじゃないかという気がするわけですね。 そこで、ひとつ非常にプリミティブな質問というか、考え方なんですけれども、私このインバランスが諸悪の根源だと思うんですよ、何というんですか、国際関係で。このインバランスがこれだけ大きいから日本が何だかんだと言われるし、袋だたきにもなるし、いろいろ問題がある。これが解消するまで、円高問題だっていろいろな国際摩擦だって私は解消しないんじゃないかと。完全にゼロになる必要はないかもしれません。そうしますと、インバランスをなくするということを仮に考えますと、端的に言って輸出を減らすか輸入をふやすか、両方をうまくやるか、これしかないわけですね。 五百億ドルということになりますと、これだけを減らしていくと、それは見方によっては、今もうプラントだとか船舶だとか発電機とか、そういうふうななにがどんどん輸出成約が落っこってますから、ほっておいてもそこへ行くかもしれませんけれども、これだけのものを減らすとなりますと、要するに単純に考えた場合に、輸出が減るわけですから生産が減るわけですね。輸入がふえるということは、先ほどのビスケットの話じゃないけれども、日本の生産が減るわけですね。両方どっちにしても生産が減る、要らなくなる。そうすると企業が要らなくなって倒産する。失業が起こる。五百億ドル分の失業がインネビタブルというのでもう避けられないわけですね。これは今皆さん余り言わないんだけれども私は大変なことだと。それが九百億ドルになったら一体どういうふうになるんだろうという非常に恐怖感を感じるんですが、その辺はどうなんですかね。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生おっしゃるようにこれは大変なことでございまして、八百億ドルというもの、これを円に換算いたしますと、まあ計算の簡単のために一ドル百五十円で計算いたしますと十二兆円ですね。だからその八百億ドルの経常収支黒字をなくするということは、輸出を減らすか輸入をふやすか、いずれにしても国内産業に対して十二兆円のマーケットの縮小ということですから、これは大変なインパクトを与えざるを得ないわけでございます。 そこで、実は私ども今度経済審議会のもとに経済構造調整特別部会をつくりまして、前川さんを会長としていろいろやっておりますけれども、仮に百億ドルずつ減らすとすれば、これも簡単に言いますと一兆五千億ですから、一兆五千億というのは三百兆のGNPの中の〇・五%弱です。すなわち、それでも〇・五%ずつ減らしていかないと、ということはそれだけGNPに対してマイナスファクターになってくるわけでありますから、これもなかなか大変なことでございます。 そこで、結論を急ぎますと、問題は、長期的には調整していく、しかし短期的には残るわけでありますから、経常収支の黒字を資本収支でバランスをとっていく。すなわち、やはり従来の貨幣に対するマネタリーな投資だけじゃなしに、直接投資、工場進出という形とあわせて後進国への経済協力という形で、やっぱり国際的にも還元せられる形の経常バランスの資本勘定におけるいわば還元ということに真剣にこれから知恵を出していきたい、これが基本的な態度であり、考え方でございます。
○木本平八郎君 確かにそういうあの手この手を、もうやっぱり考えられる手を全部打っていかざるを得ないと思うんですね。ただ、資本収支の問題は外国から見た場合にはやはり貿易収支だということをまず言うと思うんですね、当面の問題は。今外貨がたまるとかたまらないとかという問題ありますけれども、今の場合、日本では外貨の準備というのはもう全然経済運営には問題にならないのじゃないかと思うんですね。かつてのように外貨収支がすぐ経済成長の天井を打ったという時代とはもう全然違うわけですね。 そこで、例えばこれを解消するために内需拡大すべしという議論が官民一般にあるわけですね。ところが、この五百億ドル、九百億ドルじゃなくて去年の五百億ドルを内需拡大だけで何とか解消しようと思うと、年率GNPが三二%の伸び率じゃないと解消できないですよ。今、三・二%のGNPの伸び率だってもうひいひい言っているのに、三二%なんて考えられないですね。しかも、三二%というのは超インフレになる可能性あるわけですね、悪性インフレに。だからそれをコントロールしながらということはもう考えられない。それから、もちろん為替レートを、百五十円をもっと百円に近くなんということはこれちょっとできないですね。百五十円で置いておいて、そして、経済成長というのは三二%というのはちょっと考えられないと思うんです。そうすると、もうほとんどこれ望みがないのじゃないかという気がするわけですね、ほかに手が。それで、それは資本収支とかなんとか、表面上の繕いというかごまかしはやるにしても、これはもう抜本的な私は解決策がないんじゃないかと思うわけです。 それでしかも、ちょっと時間がないものですから先になにしますけれども、通産大臣の所信の中に発展途上国が現在累積債務が一兆ドルあるというわけですね。世界に片一方で一兆ドル借金しているのがおって、片一方は年間に五百億ドルずつどんどん蓄積しているのがおるわけですね。世界の流れを見ますと、ほとんどほかの世界は余り関係ないんだけれども、発展途上国から日本に向かって物すごい金がぐうっと流れているという感じがあるわけですね。これは外人に聞きましてもみんなそういう感じを持っているわけですよ。私も、夕べもある外人のエコノミストと話したんですけれども、やっぱり彼らもそういう感じを持っているんですね。そうすると、彼らはけしからぬという気持ちがやっぱりあるんですね。 それで、これが、ガットの問題なんかでも通産大臣大分御苦労なさったけれども、日本問題なんかも、理論的にはそれは日本の言うとおりだと言うでしょうね、一たん。しかし必ず来年にはこういうのにひっかかってきますよ。これは余り公式のところで言えないんですけれども、私が自分で貿易をやっていたときの感覚では、どんなに我々やってみてもやっぱり肌の色というのがハンディになっているんですね。そうしますと、何をジャパニーズが生意気なことを言っていやがる、成り上がり者がなんだという感情がまずあるんですよ。中曽根さんのついこの間の知識発言なんかも、あれは普通ならあんな大した問題にならないん で、彼らの基本にそれがあり、日本が経済成長を遂げているというのが私は出てきたと思いますよ。したがって、こういう問題に対処するのに理屈を言ってもこれしようがないんじゃないかと思うんですよ。 そこで、これ畠山さんにちょっとまずその前に一つお伺いしたいんですがね。あなたはこの三月、四月ごろに、今の国際収支の問題がこういうふうになるだろうとか、ドルがここまでなるというか、そういう百六十円台ぐらいに突入していった時点で、もっとJカーブというか、少しバランスが減るんじゃないかと思っておられたと思うんですが、その辺どうですかね。
○政府委員(畠山襄君) 為替レートの予測をどういうふうにしておったかということでございますが、レートは政府として予測する立場に御案内のとおりございませんけれども、確かにこれほど急激にかつ大幅に変化があるというふうに思っていたということではないわけでございます。また、昨年九月時点で、ドル高が貿易収支の黒字の大きな原因であると言っていたときには、確かに円高になれば急速に貿易収支の均衡の方向がもう少し早目に出てくるんじゃないかというふうに思っていたと思います。ただ、余りにもこの円高が急激かつ大幅に来たものですから、Jカーブがまだ依然として続いているということと、それから原油価格の思わざる引き下げがあったという事情は、国際的にも理解をしてもらいたいしまた彼らも相当程度理解をしてきているというふうに考えております。
○木本平八郎君 彼らも理解してきているだろうし、理解してもらいたいという気持ちはみんな同じだと思うんですね。 ただ私が申し上げたいのは、これ理屈を言っても説明しても、もう言うことを聞いてくれない限界まで来ているんじゃないかという、私はそういう感じを受けているんですね。したがって、詳しい理由の説明は省きますけれども、私はもうこの段階で、いわゆる九百億ドルという数字が発表されるのを待たずに、今政府としては、私どもはもう裸になりますと、実は貿易インバランスの問題は日本政府としてはもうどうしようもありません、これはいろいろなことをやってみたって来年七百億ドルに下がるかもしれない、どんなに原油が倍になったって三百五十億ドル多くなるだけですからね、こういう構造的な問題は時間がかかりますと、したがって我々は長期計画で構造転換やっていきますということ、しかしながら、もうとりあえず裸になりますからG5なりG7で助けてくださいと、私は極端な言い方をするんですけれどもね 農業問題は、米は聖域だとか、食管法を守らにゃいかぬとか、牛肉だとかオレンジとか、そんなことを言っているときじゃない、そんなもの全部自由化したって二、三百億ドルだと思うんですよね。しかし、精神的に世界各国が、もう日本もそれはしようがない、それじゃ助けてやろう、それで先ほどのアメリカも財政収支を改善しようとか、これは世界がみんな協力しなきゃだめだと、それで発展途上国の問題もある、みんなでやろう、日本が悪いとかなんとか言っていたってしようがないんだというふうに納得して、そこへ感情的に気持ちとしてそのテーブルについてもらうというのがまず大事じゃないか。したがって、現在の世界というのは、突き詰めていけば国境があるから問題になっているんですよ。東京と鹿児島県考えた場合、これはどんなに何があったって国境がなければ解決しちゃうんです、こういう問題というのは。ところが、国境が存する限りこれは必ず出てくるんですね。 もっと極端に言えば、日本がなにしても次にどこか、韓国が出てきてまたやるでしょうな。しかし、そうしたら国境を外してもらうように持っていくしかないんですよ、気持ちの上で。だから、ラウンドについてみんなが、それじゃ日本だけに言ってもしようがない、日本も努力せい、みんなも努力しよう、世界の秩序を何とかやっていこうという方向に行かざるを得ない。そうすると、私は今日本ができることは何かというと、すべて自由化いたします、私たちができることはこれしかございません。この後は世界協調でお願いするしかない。G5の逆ですな。それしかないと思うんですよね。その辺どうでしょう。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお話は私もよく理解できるわけでございますが、ただ私ども先ほど申しました市場アクセスもここ近年非常に進めてまいっておりますし、いろいろその他自由化の措置についてもやってまいっておりまするので、先生のお話のように、私は極端なことをおっしゃっていると思うのでございますが、全部裸にしてしまうというようなことだと、これも国内的にもいろんな面で混乱が生じて、それが経済成長をむしろ冷え込ませてしまうとか混乱をさせる。そうなると、世界のGNPの一〇%、一割国家の日本が経済混乱になるということは、ある意味では世界経済にとっても決してプラスなことではないだろう。ですから、多少時間がかかっても漸次経済構造改革を進めて、そして輸出依存型から内需中心、そして輸入をふやす形に切りかえるということは私はできないことはない。そのための国際的な説得力を日本の政治が、日本の経済政策が持つ必要があると思いますので、そのことについては我々も今いろいろ知恵を絞って努力しておるということでございます。
○木本平八郎君 もうこれ時間がないわけですよ。二、三カ月の間に国際的に説得しなきゃいかぬのですね。中曽根内閣、総理以下全部の閣僚が一緒になってやらなきゃいかぬ。そのためには、もう今こういうふうにやろうとか、具体策がそろそろ出てこないと、僕はちょっと簡単には説得できないと思うんですよ、今回九百億ドルというのが発表された場合には。 そこで、やはり企業の社会的責任というのは大分あったわけですよ、大分私もやられましたけれどもね。日本の国も世界的に国家としての世界的責任をとらなきゃいかぬときに来ていると思うんですね。自分の問題だけでなくて、世界全体のなにをやらなきゃ、一割国家とおっしゃった、ここにも書いていますよね、それだけの責任を負わされていると思うんですよ。したがって、自分だけのことを考えてこの産業を守るんだとか、これはどうするということはできないと思うんですね。 そこで、ちょっと野々内さんにお伺いしたいのですが、お伺いしたいというよりも、これは私なりの感想なんですけれども、今石炭対策でいろいろ苦労なさっていますね。午前中もそういう話があったんですけれどもね。私、石炭産業が気の毒なことも気の毒だし、大変なことも大変なんですね。しかし、あれに対して民間が三倍も高い石炭を買う。鉄鋼がそうですね、電力会社もセメント会社も、それから先ほど何か化学だとかガス会社だとかいろいろおっしゃった。こういう民間の営利企業がそれに協力するというのは、これは社会的責任から私は協力していると思うんですよ。何も協力したからまたこっちの方で手をはたいてもらうとか、そういうことは僕はないと思うんですよ。そこまで勘ぐりませんけれどもね。しかし、今までの日本の経済の運営というのはそれでやってきたと思うんですけれども、もう今後はそういう甘いことではなくて、石炭対策をやるんなら国の予算できちっとやっぱりやるべきであって、そういうつけ回しみたいなことはやめるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(野々内隆君) 今回の第八次石炭政策がまだ現在石炭鉱業審議会で審議中でございますが、七次策のときにとりました考え方が、石炭企業の自主的な努力を需要業界並びに政府が支援をして自立の道を探るということであったわけですが、今回の八次策の場合には、むしろ需要に見合った生産を行うという形で縮減の方向が出されておりまして、これは従来の七次策とは全く変わった考え方をとっているわけでございます。 ただしかし、それにいたしましても縮減をすべき部分についてはなだらかな閉山ということで、雇用並びに地元経済への影響は最小限に食いとめたいというのが基本的考え方でございます。その ためには、もちろんできるだけ政府も支援をいたしますけれども、ぎりぎりの範囲で需要業界にも御協力をお願いいたしたいということでございまして、これから審議会でいろいろ議論されますけれども、できるだけ限定をした範囲で需要業界の御支援も得ながら縮減ということを考えてまいりたいと思っております。
○木本平八郎君 そういう方向で当然進んでいただきたいと思うんですがね。 それで、ちょっと杉山局長にお伺いしたいんですが、この大臣の所信の中に、経済構造調整推進委員会を設けて、何か次官が座長か委員長でやっておられるらしいんですがね。余り時間がないので、私はこれが一番大事だと思うんですよ。これを具体的に、前川リポートじゃないですけれども、それを世界の前に示して、私どもは長期的にこういうふうにやります、したがって短期のなにはひとつ勘弁してもらいたい、あるいは助けてもらいたいと、こういうものを先ほどの完全自由化やるということとともに、こういう長期のビジョンを示さなければいかぬと思うのですがね。その辺がどうなっているか、ちょっと御説明いただきたいんですが。
○政府委員(杉山弘君) 産業構造転換に関します長期的なビジョンは、既にこの五月の末に産業構造審議会の総合部会企画小委員会から御案内のとおり示されております。私どもは、大臣が先ほど来再三申し上げておりますように、この問題については痛みを伴うことではございますけれども、やはり中長期的にはぜひなし遂げていかなければならない問題ということでございまして、そのために今御指摘のように省内にそのための組織などもつくりまして、具体策の検討に入っております。 基本的なスタンスを申し上げますと、産業構造転換問題と申しますのは、やはり個々の企業なり産業なりが市場原理と申しますか、価格メカニズム、そのベースになるのは為替レートだと思いますが、それを前提としてお考えをいただく。私どもとしてはむしろそういう市場機能の働かない分野、例えば研究開発の分野でございますとか、それから雇用問題でございますとか、そういったところについては政策的な補完的な対応をしていく必要がある、こういうことで考えておりまして、やはり重点になりますのは、特に輸出型産業についての海外投資、さらには輸入をふやすことによって影響を受ける国内産業の調整ということになってまいりますと雇用問題であろうかと思います。 また、それを各企業ベースでできるだけ回避していただくということになれば、各企業ごとに新しい事業分野への進出等もお考えいただかなければならない。こういう点については、金融的な側面で我々としては支援を申し上げていきたい。また、雇用問題については労働省とも協力しながらやってまいらなければならない。それにまた、新しい産業分野を一方では興す努力もいたしますが、地域的に見ますと、影響を受ける地域に必ずしも新しい産業が進出をしていくという保証もございませんので、こういった地域的な対策についても政府として手を打っていく必要があるだろう。 そういう観点からは、来年度の予算要求の過程におきましてこういった金融的な支援を中心といたします経済構造調整基金というのを既に提案をいたしておりますが、現在報告をいただきました産業構造審議会の総合部会企画小委員会におきまして、そういったことのほかにまた政府としてどういうことが必要か、この点についての御審議もお願いをいたしております。それを踏まえまして、対策全般について遺憾なきを期していきたい、かように考えております。
○木本平八郎君 そこで、その基本にぜひ考えていただきたいのは、消費ということ、消費者ということですね、これをぜひ基本的に考えていただきたい。 これに関して川崎局長にちょっとお尋ねするんですが、これは私の意見も相当あるんですけれども、きょうの議論を聞いていましても、やはり日本の今までの通産行政あるいは経企庁の考え方すべてが生産ということが中心になっているんですね。日本は今世界第二位の経済大国だと言われるけれども、これはけさほども長官も言われましたが、生産大国なんですね、決して消費大国じゃないわけです。例えば今これだけ、ドルベースにしたら世界一の給与をとっていながら、失礼ですけれどもここにおられる方々の消費生活だって、アメリカに比べたら断然差があるんですね。 向こうはみんな、例えばヨットを持ち、ボートを持ち、一カ月間家族すべてスイスの山小屋へバカンスに行き、そういうのが消費生活なんですね。我々のは消費生活と言われずに、これはもう生存生活だと思うんですけれども、余り言ったら時間がなくなりますからね。それで今までは、これは人間の歴史を見てみてもほとんど飢えとの闘いだったわけですね。豊饒の世界というのは本当にここ十数年、二十年ぐらいのものなんですね。全人類の歴史を考えてみても、もう百年ぐらいしかないわけですよ。平安朝やローマで……幾ら元禄時代があったとしても、あれはもう一部の貴族だけで、一般庶民はそうじゃなかったんですね。 そこで、ちょっとはしょりますけれども、現在GNPの問題で、四%だ三%言われるんですが、これは生産サイドの問題なんですよ。消費者サイドにとってはGNPにカウントされないものがうんと影響があるんですね。例えば土地の値段が幾ら上がったってこれはGNPに関係ないですよね。NTTの株が百何十万円になったってこれ全然関係ないですね。天皇陛下の六十周年記念の金貨、あれGNPに入っているのは五千円だけなんですよ。十三万円あるけれども、あとの十二万五千円はあれはGNPにカウントされていないんですね、加工賃だけですからね。そのほかに、為替レートが上がっても下がってもGNPには入らないんですね、これは。それからけさもありましたけれども、在庫の評価がえがあってもこれGNPに関係ないわけですよ。ところが、我々の消費生活にとってはこれはもう大問題なんですね。 したがって、私はGNPは非常に大事な指標だと思いますからこれはやっていただきたいけれども、別に消費者のそういうふうな生活指標みたいなものがやっぱり必要で、それを基本にして政治を運営していただかなきゃいかぬ時代になっているんじゃないかと思うんですね。詳しいなには省きますけれども、今後少なくとも通産行政あるいは経企庁の方はそういうところに観点を移していただいてお考えいただく必要があるんじゃないかと思うんですが、最後に局長あるいは長官の御意見を承りまして私の質問を終わります。
○政府委員(川崎弘君) 先生に非常に示唆に富むお話を伺いました。 恐らく、私なりに整理させていただきますと、一つは、やはりGNPの数字は確かに世界の第二位になった。しかし、消費者の生活実感というのはそんなものじゃないんじゃないか。これはまさしく私なんかも本当にそういう感じでございますし、特にこの一年間、替為レートが四〇%も変わりまして、いつの間にかドルで換算いたしますと一万ドルという高い一人当たりの国民所得になったというのはどうもおかしいというのは、確かにそのとおりじゃないかと思います。 我々の水準がヨーロッパの中位並みの水準になっているということは事実でございますが、例えば住宅の問題であるとか居住環境の問題であるとか、そういったところを考えまして生活水準というのを考えますと、まだなおヨーロッパ、もちろんアメリカはそうでございますが、隔たりがあるということは否み得ない事実だろうと思います。そういう意味におきまして、今後ともこういった問題、マクロ的にいろんな経済政策を考える場合にも、消費者の立場に重点を置いた対策というのを考えてまいりたいと思いますし、消費者がどう考えているかとか、どんな実感を持っているかというのは、きょうも国民生活局長来ておりますけれども、国民生活白書、先般発表いたしましたその中でも実はそういった分析をいろいろやっておる次第でございます。 それから、先ほどNTTの株の問題あるいは金貨の問題というのがございました。どうもかなり最近の消費者の中には、どちらかというと金融資産への選好というのが出ているようでございますが、どういうふうに資産を運用されるかは、これは個人それぞれの自由の問題で、私どもとやかく言えるところではございませんけれども、一方において、まだ生活を充実するという観点からは、もっと実物面への投資に使われるようなところも必要じゃないかと思います。 今回の対策で、例えば住宅あたりでいろいろ制度の改善等考慮いたしましたし、先般からいろいろ住宅についてのお話も伺いました。今後ともそういう点について、対策の中身なり制度を充実して、実物投資を持つという方に消費者がもっと関心を深めるような努力もいたしたい、かように考えております。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 経済構造調整というのは、確かにいろいろ海外からの要請みたいなものがございますが、しかし、基本的には日本人の生活の内容を高めることの政策だというふうに私ども考えているわけでございますので、ただ時間もかかりますし、そしてまた痛みを伴うこともございますので、その点は慎重にいたします。方向としては、これはもっと生産力を、経済力をもっともっと本当に国民生活の向上にどうしたらうまく転換するのかということも政策と考えて一生懸命やってまいりたいと思います。
○委員長(前田勲男君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(前田勲男君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田勲男君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に市川正一君を指名いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時七分散会