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107回国会参議院1986/12/10

決算委員会 第5号

発言数
217
登壇者
24
会派数
5
開催日
1986/12/10

会議録

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨日、佐藤三吾君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。  また、本日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。     ─────────────

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。     ─────────────

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 私、今昭和五十九年度決算検査報告、会計検査院の報告書を持っておりますが、その九十六ページから大分たくさん問題が出ております。時間がありませんから若干まとめて質問をいたします。  五十九年度の農林水産省関係の会計検査院の決算報告に関しては、本年の四月十四日の当委員会のときにも私が質問をいたしましたが、五十九年度の場合不当事項として指摘を受けたのは七件、三千三百八十三万円でございましたが、五年前の五十五年度の二十件、一億一千九百八十万円から見ますと件数、金額とも少なくなっております。しかし、前にも指摘をいたしましたが不当事項は少なくなっておるものの、不当とまではいかないが制度の趣旨から見て適切ではない、あるいは補助を受けて設置はしたもののその後の事業効果が十分でないから見直しが必要というもの、また造成農地が未利用で荒廃しているから何らかの対策が必要というような処置要求、意見表示が四件あります。他の省庁に比べてもこれは目立つわけでありますが、会計検査院から注意を受けて急いで直した処置事項も二件あります。こうした不当一歩手前とも言うべき指摘が多かったことを農水省はどう受けとめておられるのか、この点についてお尋ねをいたします。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 農林水産関係の事業の 適正な執行につきましてはかねてより種々努力してまいったところでございますが、五十八年度に引き続き五十九年度も指摘を受けたことはまことに遺憾であると考えております。  指摘を受けました事項につきましては補助金の返還、手直し工事等の厳正な処置を講じますとともに、今後の再発防止を図るため関係部局及び都道府県に対し通達を発しまして市町村、農協等に対する指導監督の徹底を図ったところでございます。今後とも補助金の効率的使用等を確保する観点に立ちまして、一層の適正化の努力を行ってまいる所存であります。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 大臣の決意を聞きましたから、ぜひまた引き続いて頑張っていただきたいと思います。  次に具体的な問題について一、二点提起をしてみます。これは同じく会計検査院の報告にあるのですが、三重県の津市で農道の舗装工事で事前に行った調査で路床面のCBR値、強さの値を示しているらしいのですが、これがこの数字、不適当なものを使ったために路床の一部百九十二メートルについて路床改良する必要があったのにそれを行わないことで設計をして工事をし、さらに工事のコンクリートの施工も悪かったために後になって舗装が沈下したりアスファルトに亀裂ができたという指摘がなされております。  また滋賀県では、農道整備で農道の下を横断して耕作道、水路兼用のボックスカルバートを通す工事で、この土地は水田跡で地盤が弱いところであったのに事前に土質調査をしないで設計し施工したために、できた後から盛り土の一部が地すべりをしたりコンクリートブロック練り積み擁壁とカルバートの間に二十四センチものすき間ができたというものであります。二件とも調査や設計が悪かったために後で問題が起こっております。この二件について農水省はどのような反省をしているのか、また手直し工事等はどうなっているのか、この点についてお伺いをいたします。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) まことに申しわけないことと思いますが、工事の手直しをやっておりまして、さきに御指摘のあった三重県津市の農道の場合には六十年十一月に手直し工事を完了いたしております。それからもう一つの滋賀県の広域農道の場合は六十年十二月から六十一年三月にかけまして手直し工事をやっております。今後このような指摘を受けることのないように適切な事業の執行あるいは一層の指導の徹底を期してまいりたいと考えております。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 あと手直し。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 手直しのやり方につきましては、これは会計検査院の不当事項の指摘の中にございますように、設計不適切とある場合と施工不良とある場合とございまして、これは釈迦に説法でございますが、三重県の濃道の場合には、会計検査院の指摘が設計不適切と施工不良というふうになっておりましたので、これは御承知のとおり、事業主体が県、あるいは事業主体が市町村の場合は、市町村がそれぞれ発注する前に調査をして、それから設計をしそれから発注をするという仕組みになっておりますが、その責任が守られてなかったときには設計不適切という指示を受けますので、三重県の津の場合には、設計不適切と施工不良と両方がありましたので、設計不適切の部分については市が、施工不良の部分については施工業者がその経費を負担して手直し工事を行いました。それから滋賀県の場合には、設計不適切というふうに会計検査院の方から御指摘を受けておりますので、これはやはり発注前の県の調査が十分でなかった、適切でなかったという御指摘でございますので、これは県の負担で手直し工事をしたという形になっております。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 ことしの四月にも大分この問題については私も議論をしたんですが、会計検査院の検査率が非常に低い中でこういう問題があちこちに指摘されるということは、やっぱりいわば氷山の一角と考えてもいいんではないか、こういう気がする。もっともっと厳密に検査をやればあっちこっちに出る可能性がある。だから、確かに数は少なくなっておりまして努力されている跡はわかるんですが、全体にやっぱりそういう問題がある可能性がある、こう思いますので、引き続いてもう少し緊張した取り組みをお願いしたいと思います。  次に、農林漁業金融公庫総裁おられますか。これも不当指摘が目立ちますが、この公庫に対する指摘は、貸し付けが不適切、つまり公庫に報告した金額より実際には低額で事業を実施しておったり、貸し付けが過大になっていたものが九件、五千九百六十五万円、こういうことになっております。農林公庫の貸し付けに対する指摘は最近五カ年を見てみると、五十五年度が六件、五十六年度はなし、五十七年度は二件、五十八年度は十二件、こうなっております。五十九年度は九件。政府関係の金融機関の中で検査院の指摘を受けたのは、ほかには医療金融公庫が五十六年に六件、五十八年に三件、五十九年度は沖縄振興開発金融公庫が検査院の注意を受けて改善処置をとったという処置済みが一件あります。こういう点から見ますと、農林金融公庫に問題がたくさん出ておりますが、公庫と農林省はこの点についていかに考えておられるのか、この点についてお尋ねします。

松本作衞農林漁業金融公庫総裁

○参考人(松本作衞君) 農林漁業金融公庫の融資につきまして、ただいま御指摘がありましたような会計検査院からの指摘を受けましたことはまことに遺憾に存じております。日ごろからその適正を期するように努力をしてきたところでございますが、今回指摘を受けました事項につきましては、直ちに繰り上げ償還等所要の処置を講じたところでございます。今後はこのような指摘を受けることのないよう業務の運営につきまして極力適正化に一層の努力をしてまいりたいと存じております。

甕滋農林水産省大臣官房長

○政府委員(甕滋君) 農林水産省といたしましても、公庫資金の融資に当たりまして常にその適正を期するように指導しているところでございますが、こういった指摘を受けましたことは遺憾に思っておるところでございます。今後とも貸付審査の強化充実でありますとか、貸し付け後の管理の濃密化というふうに融資の適正化につきまして万全を期するように公庫の方を指導してまいりたいと考えております。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 ひとつ、農林漁業金融公庫の方も大変でしょうが、やっぱり問題のないようにこれから対応をしていただかないと、また来年こうして次々に言わなきゃなりませんので、頑張っていただきたいと思います。  さらに、関連するんで引き続いて、これは五十九年度決算ではないんです、六十年度会計検査院の指摘事項になるんだと思いますが、幾つか新聞の切り抜きを持ってきております。これは六十一年の十一月三十日の新聞ですが、「ムダも育てた「育てる漁業」検査院指摘 9道県 13カ所 33億円」、また別の新聞ですが、「魚介類増養殖でムダ 33億事業費放置 検査院調査」、それから「「育てる漁業」国費ムダ食い 13増養殖場役立たず 会計検査院」、それから「増養殖場をつくったけれど なぜか禁漁区 33億円もムダ遣い」、こういうような見出しの記事が載りましたものですから、これは六十年度の関係でありますが関係するものですから、この点についてお尋ねをしたいと思います。会計検査院、これは一体どういうことになっているのか、お願いをいたします。

吉田知徳会計検査院第四局長

○説明員(吉田知徳君) 今お話がございました増養殖場の造成事業につきましての処置要求の概要でございますけれども、増養殖場の造成事業は、沿岸漁業の安定的な発展と水産物の増大に寄与するということを目的といたしまして、沿岸漁業整備開発事業の一環といたしまして、都道府県または市町村等が事業主体となって実施されているものであります。  この事業の実施状況につきまして本年検査いたしましたところ、まず第一にこの養殖場の管理運営体制が十分整っていないもの、次に増殖場への種苗の放流が計画どおり行われていないもの、三番目に増殖場が当初計画と相違いたしまして、長期間にわたりまして周年禁漁、これは一年のうち に一日も漁をしないということでございますけれども、周年禁漁としておりますために増殖場としての機能が発揮されていないもの、こういった例がございまして、所期の事業効果が発現していない、適切でない事態が見受けられたわけでございます。  このような事態が生じましたのは、事業主体であります道県におきまして、事業実施に当たりまして、増殖場及び養殖場の管理運営につきまして、関係者間の調整が十分でなかった、また、水産庁におかれまして、事業の推進体制等につきましての審査や、増殖場や養殖場の利用状況等の把握が十分でなかったことなどによるものと認められたわけでございます。したがいまして、水産庁におかれましては、都道府県に対しまして事前の調査検討を十分に行わせるようにし、適切な事業実施計画を策定するように指導されますとともに、水産庁におかれましてこの事業実施計画に対する審査を十分に行われ、また事業が完了しました後の管理運営状況等を的確に把握されるなどの処置を講じられまして事業の適正を期する要があると認められましたので、本年の十一月二十八日に水産庁長官に対しまして、会計検査院法第三十四条の規定によりまして是正改善の処置を要求したものでございます。  以上でございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 農林水産省にお尋ねしますが、この検査院の指摘事項、要するに改善の処置要求、これをどう受けとめておられるのか、それから、これからどうしようとしているのか、この点についてお伺いします。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) ただいま会計検査院より、私どもの沿整事業で造成しました増養殖場の管理運営に対しまして御指摘をいただきましたことはまことに遺憾でありまして、深く反省しているわけでございます。  私ども、この沿整事業、その中の増養殖場造成事業につきましては、我が国の水産業が現在置かれている現状から見まして、極めて重要な事業と認識しているわけでございまして、ただいま御指摘を受けましたそれぞれの地区について直ちに改善処置を講ずることはもとより、御指摘のありました計画の実施の可能性、事業推進体制等についての審査が不十分であったと。それから、あるいは事業完了後の施設の管理、あるいは増殖場、養殖場の利用状況を十分把握していなかったと、こういう点についての御指摘を正面から受けとめて、都道府県の指導、それから私ども自身の仕事のやり方を改善してまいりたいと、かように考えている次第でございます。

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後零時四十分まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後零時四十四分開会

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 食管会計の状況につきまして、勘定ごとに五十九年度、六十年度――六十一年度は見通しになりますが、最初に一体どうなっているのか、その点についてお願いをいたします。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 決算ベースで申し上げますと、五十九年度につきましては国内米管理勘定が四千二百七十八億の損失でございます。国内麦管理勘定が千百七十八億の損失、輸入食糧管理勘定が千二百五十四億の益ということでございまして、食糧管理勘定全体といたしますと四千二百二億の損失ということになっております。六十年度につきましては、同じように申しますと国内米が四千二十二億の損失、国内麦が千三百八十二億の損失、輸入食糧管理勘定が千三百三億の益ということでございまして、全体合計をいたしますと四千百一億ということで、五十九年度に比べまして損失が百億ほど減少をいたしております。六十一年度につきましては予算はございますけれども、決算の見通しといいますか、年度の見通しにつきましては予算編成の際にあわせて見通しを立てるということで現在定まった数字は持ち合わせておらないところでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 輸入小麦ですね、輸入小麦につきまして五十九年、六十年、六十一年ごとの基本になります為替レート、これは一体どうなっているんですか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 為替レートにつきまして申し上げますと、六十年度におきましては予算におきまして予定をいたしましたレートが二百三十七円でございますが、実際に実効されましたレートは年間を平均いたしまして二百四十円ということに相なっております。  それから、六十一年度の場合には予算レートは二百九円ということでございますが、十一月までの実績を平均いたしますと百七十円ということでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 七月ですね。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) ちょっと解説を申し上げますと、外国産の麦の手当てにつきましては三月後のものをテンダーをするという形になりますので、六十一会計年度の外国産小麦等の買い付けの際に効いてまいります為替レートといいますのは、ことしの一月から十二月までのレートが効いてくる、こういう三月前にテンダーをして契約するということになります。ことしの一月から十一月までの平均が百七十円ということでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 大臣にお尋ねをしますが、輸入小麦の円高差益の還元についていろいろ新聞では読みますが、特に十一月十七日の新聞では「消費者麦価引き下げ」というような見出しで「差益還元、年明けにも」というのが出ておりますが、私は当然早くやっぱり還元をして、これはぬれ手でアワみたいなものですからそんなものをため込んでもしようがないので、その辺についてどうなっているのか、最初にお尋ねをいたします。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 梶原先生御存じのように、小麦の政府売り渡し価格というものは消費者の家計の安定を図るための観点に立ちまして、国内産麦や輸入表のコスト価格、消費者米価との関係、その他経済事情を総合的に勘案して毎年、普通十二月でございますが毎年決定することになっております。そして、システム全体としましては為替レートの変動等による輸入麦の価格変動を直ちに反映させる仕組みとは実はなっておりません。具体的には内外麦を合わせまして収支に赤字を生じさせないことを基本としておるところでございまして、いわゆる内外麦コストプールという考え方をとってきておるところでございます。  そこで、六十一年度における輸入麦の円高差益は二百六十億円程度発生すると試算されております。また一方、本年産麦の作柄が良好であったところから国内産麦の政府買い入れ数量が増加しまして、これに伴いまして内麦については約百二十億円の支出の増加が見込まれておるというところでございます。  こういう諸般の情勢を勘案しまして、麦の政府売り渡し価格につきましては、国内産麦と輸入表のコスト価格、先ほど申し上げました消費者米価との関係、その他経済事情を参酌して決定するようになっておるわけでございます。例年どおり米価審議会の意見を聞きまして今月中に決定したい考えでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 円高差益という場合に、私どもが会計年度にとらわれず去年の九月から一体どれだけこの円高によって輸出商品が打撃を受けているのか、あるいは逆に言うと、輸入商品はどれぐらい下がっているのかと、それを見た場合に、大体今で言いますと二百四十円ぐらいのものが結局輸出手取りというのは百六十円ぐらいしかないと、そうすると大体八十円。これ大体その差を率に直しますと三三、四%になると思います、二百四十円と百六十円の差ですね。そうしますと小麦の場合、私が単純に計算をしまして、要するに一体円 高によって小麦がどれだけ安くなったのか、会計年度別ですよ、去年のその時点からどれだけ安くなったかというと、今大臣の言われましたような数字にならないと思うんです。この点についていかがでしょうか。今言われました二百六十億というのは、要するに会計年度の、皆さんが算定基準にしたその当時の為替レートの関係でそういう数字が出ているんだと思うんですが、この点いかがでしょうか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 梶原先生がおっしゃっておられますのは昨年の九月のいわゆるG5前の状態に比べてというお話であろうかと思います。私どもが昨年の十二月に予算を編成をいたしました際に、もう既に円高の傾向が出ておりましたので予算編成上二百九円ということで予算を組んで損益の見込みも出しておるということでございまして、それに比べまして実績が先ほど申し上げましたように十一月までで百七十円。先ほど大臣から約二百六十億の差益というふうに申し上げましたけれども、これは十一月までのその実績と、十二月につきまして、十二月に手当てをいたしますものが来年の三月ぐらいに供給をされるというものでございますが、これを仮に百六十五円というあたりに置きますと、年間の円高差益が二百五十七、八億になると、こういうことでございます。既に二百七円までのところは予算上見込んで収支の計算を特別会計として立てているということでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 それじゃ、この一年間に、例えば去年の今ごろから、去年のG5以降一年間に買った小麦の価格というものの金額がありますね、払っていた金額が。そうしますと、さっき私、農水省の担当者の皆さんから大体小麦をどのくらい一年に買っているのかと、こう聞きましたら、まあ千七百六十億円買っていると。千七百六十億円はその二百四十円が百六十円になった場合にどうなるかということで〇・六七ぐらいに結局安うなるわけです、私が単純に計算して。そうすると、千七百六十億に〇・六七を掛けますと約千二百億ぐらいになります。千七百六十億と千二百億の差が五百六十億、これは私はちょっと虫のいい計算に若干なるんです。しかし、これは五百五十億ぐらいにはどんな計算してもとまるはずなんです。  だから、要するに国民的に見ますと、G5の円高以降というのは小麦の値段というのは全然下げてないわけです、政府は下げてないわけです。だから、要するに食管会計とかなんとかはもう関係なく、一体政府はその円高によって小麦価格はどれだけ節約されたかというのを見ますと、二百六十億じゃなくて恐らく五百億を超すような数字になるわけですよ、なるんですよ。ここのところが私は問題で、やっぱりこれも円高の還元の対象にここをしなければいけない、これがもとの基準になると思うんですよ。この点いかがですか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 私ども特別会計の予算という形でやっておりますので、先ほど申し上げましたように、先生お話しの昨年の九月の二百四十円からことしの予算で見込みました二百七円のその差の分につきましては既に予算の過程で二百七円のレートを見込むという形で一般会計からの繰り入れがそれだけ節約されていると。まあ、それをさらに敷衍して申しますと、それだけ納税者負担が減るという形で予算の上で勝負がついている部分ということに相なろうかと思っております。  それから、先ほど申し上げましたように六十年度について申しますと、予算レート二百三十七円でございましたが、実効レートが年間通じまして二百四十円ということでございましたので、六十年度についてルールに従って円高の差益、差損という計算をいたしますと、六十年度につきましてはレートによる差損が二十一億出ているという実績になっているわけでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 国民から見ますと、要するに食管会計がどうあろうとそんなことは余り関係ないんです。要するに小麦は、これは電力もそうなんですよ、電力も何も全部そうなんですよ、油も。一体今までこのぐらいであったのが円高でどのくらい安うなったのかというのが問題なんです。だから、そこで考えてもらわなきゃいけない。だから、今納税者がそれだけ納税分が少なくなって済んだという理屈は、これを敷衍するような言い方って、これはちょっと乱暴じゃないですか。例えばいろんな金がありますよ、今政府の予算の中で。防衛予算もありますし、あるいは好きな予算、好かない予算、それも全部一律に、考えられるような、だからもう二百九円以前の問題についてはそれだけ納税者は税金を要するに納めぬで済んだという、それはちょっと何ぼ何でも乱暴じゃないですか。私も、余り嫌なことを言いたくないんですけれども、これはちょっと大臣、そんな感覚ですか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 先生御存じのように、逆に円が安くなり、また小麦の国際相場が高くなったときも、昭和四十七年から二千五百億円、逆に一般会計から金を入れて安定さしてきておるというこの仕組みは、もう御存じのとおりでございます。  そういう点からまずひとつぜひ御理解いただきたいということと、先ほど来長官から御説明させましたように、昭和六十一年度の予算を確定するときの予算レートは二百九円で設定してありますから、二百四十円とか二百五十円のレートではございません。そして、先ほど十一月までに平均は百七十円というような実績でございましたと。そこで、ことしだけというと、またあと十二月分どうなるかと。これは仮に百六十五円という設定をしましても、結局二百六十億円ぐらいしか出ないわけでございまして、予算を決定し、そのときの予算レートをつくるときに、もうぎりぎりぎりぎり想定しまして、危ないようなレート設定をやっておるところに一般の国民皆さん方がお考えになって、円が何十%高くなったからそれに従って小麦の輸入価格並びにそれに伴う利益が数百億、五百億、六百億出たんではないかというところにはなっていない点は御理解いただきたいと、こう思うわけでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 農林省の皆さんと話をしていると、私はちょっと頭がおかしいのかなと思うんですが、私も商工委員会におりまして、電力やガス、その料金の値下げについては厳しく注文をつけているんです。そのときにはやっぱり当初は幾らだったと、二百四十円と、それを基準にしてどれだけ安くなったかと、だからやっぱり還元をすべきじゃないかという形で、民間のそういうところにはぐんぐん迫っておるんですよ。だから私はもうやっぱり一律に、電力やあるいは石油やガスにそう言っているんなら、農林省も二百四十円で買っていたものが今百六十円ぐらいに落ちてきたと。そうしたら、それは当然円高で入ったものですから、小麦の価格、それはその分はやっぱり今のような時期ですから、民間にも出せと言っているんだから、政府も、国民に対しては二百四十円のものが百六十円になれば、五百億を超えた分が実際は円高で国内は助かっているんだと、このことは、やっぱりはっきりしなきゃいけないんじゃないですか。二百六十億円を新聞でどんどん出してみたり、言い方をするというのは、あくまで勘定のからくりでありまして、本当言うと、私は何回も言いますけれども、そういうことなんですよ。そこはいかがですか、長官。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 先生のお気持ち、お考えは私どもわからないわけではないわけでございます。  私ども、やはり食管特別会計を預かっております立場から、どうしても会計のルールにとらわれた説明になりまして御迷惑をかけたと思っておりますけれども、繰り返しになるようで恐縮でございますが、予算編成時に要するに二百四十円から二百七円までのところはもう見込んで、それで収支の予算が立っておりまして、そして一般会計から繰り入れていただく金額も決まっていると、そういう中で私どもとして考えざるを得ないと。ただ、先生がおっしゃっておられますことを、一般の国民の方々が予算の仕組みということを離れて、そういう感じをお持ちになるだろうというこ とにつきましては、御意見として承っておきたいというふうに存ずる次第でございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 これは決算委員会で、防衛庁のやっぱり武器、弾薬関係の購入費、その辺で一体どれだけ円高で節約できるかといって厳しい議論をしたんですよ。その場合やっぱりもっと、今優しく言っていますけれども、本当は激しい議論をしているんですよ。それでまた民間の皆さんにもやっぱり還元をすべきだと、もう円高でプラスになった分というのは、一体全部どうなるのかと、そしてその中から幾ら還元するかという議論をしてきているわけですよね。だから、農水省だけですね、何か勘定にとらわれたことをずっと言われても、これはもう、はい、そうですかと、こういうわけにはやっぱりいかぬ。ざっと計算しただけでやっぱり五百億を超していますよ、これは二百四十円から。値を下げていれば別ですよ。値を下げていないんだから、五百億はやっぱり超えていますよ。だから、この点については、やっぱり勘定がどうやとか気持ちがわかるとかじゃなくて、それはやっぱりちゃんと認めて、しかし勘定の関係はこうなんだからという、大臣からさきに答弁がありました二百六十億、百二十億という問題はその次の問題としてそれは聞きますよね。もう一度そこのところはしっかりしてください。そうじゃないと、どうもこのままじゃやっぱり引き下がれませんよ。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 先生のお話は私どもきょう十分伺いましたので、十分それを頭に置いて今後の仕事に当たってまいりたいと思っております。  先ほど来申し上げておりますように、国の予算の場合年度ごとに区切りまして損益を見通し、また必要なそのための予算の手当てをするという形になっておりますために、先ほど来のような御答弁を申し上げましたことをひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 次に移りますが、大臣がこの臨時国会の予算委員会で、同僚の井上議員の質問に対しまして、パンの売り値に対する小麦粉の大体原価というものは二四%というような御答弁がありましたですね。大体それは間違いないんですか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 井上先生にお答えいたしましたが、小売価格を食パン一斤百六十円として原料小麦費の割合は二四%になっております。したがって、原料小麦費は百六十円に対して三十八円になりますというお答えをいたし、この一斤の食パンを七枚に落とすか八枚に落とすか、若干小売店のあるいは飲食店の技術があるだろうと思いますが、それで割りますとこうこうなりますということを申し上げました。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 私も製パン業者に電話を入れて、大体小麦粉の売上原価に占める割合等も聞いてみまして、まあ農水省、大臣が言われるような数字だろうと思うんですが、私は、食パンを六枚買ってみたんですよ、食パンをですね。二百円でスライスが六スライスで、六つに切って二百円で、それで大臣の答弁では、一枚当たりにしては大した金額じゃない、こういうことですが、二四%の原料代としますと、二百円掛け二四で四十八円、それから円高差益が大体四〇%ぐらいと見た場合に、四十八円掛け四〇%ですから十九円ぐらい。これはもっと、四〇%まで行きませんから、もうちょっと下がるでしょうね、十六円から十七円ぐらいの間になると思うんですね。したがいまして、売り値の一割までは行きませんが、まあしかし、一割近いものになるわけですね、円高によってですね。  したがって、今のような非常に景気も悪いし、雇用不安がどんどん続出しているようなときですから、やっぱり思い切って円高で入ってきた分は国民に出して――これは経済企画庁やあるいは通産大臣と議論して、いつも答弁があるのは、やっぱり円高差益をどんどん還元することによって国民の実質所得が伸びて、そして、それが消費に回っていかないとこれはどうにもならない、こういうわけですから。これは大臣の予算委員会の答弁を聞いておりますと、非常に微々たるような印象をあのとき大変受けましたんですが、私の今の計算では一割近いものになるわけですから、トータルしますとそれは相当大きい。今月末に米審で結論を出されるようでございますが、農水省としては、やっぱりこの際は、人がいろいろ言うときだから、思い切ってもう円高で入ってきた分については出す。それはもう大蔵省とも相談してやればいいことですから、閣議で頑張ればいいことですから、予算は別にとればいいことですから、これはやっぱりちょっと思い切って小麦については再還元をする、二百六十億どころじゃなくてもっと余計にする、こういう方向でひとつ進んでいただきたいんですが、最後にその点。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 先生の御趣旨、またお気持ちはよくわかります。私たちも実はそのようにできぬものかといろいろ勉強しておる最中でございますが、ただ、反論ではございませんが、ひとつ御理解おきいただきたいのは、小麦製品の関係の流通あるいは最終消費者へ行くまでの経路というのは、今、私が先ほど申し上げましたパン製造業者であるとか、乾めん製造業、生めん製造業者がございますが、そこから、あるものは卸売業を通じて小売業に行く、あるものは飲食店へ行く、このルートでございまして、例えば飲食店は二十七万七千軒ある、あるいは小売業でこういういろいろな小麦関係製品を扱っておる者というのが九十三万軒ある。百二十何万軒の店の皆さん方が果たしてそれをどこまでやってくれるか。一億二千万の国民の、最終消費者へ行く過程というものが大変複雑に、そして難しくなっておるという点等も実は取り上げて、勉強を今いたしておるところでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 本当に、さっき言いましたように二百六十億を基礎に考えれば、やっぱりちょっと消極的になるんでしょうが、国民の立場からしますと、要するに、出すだけ出して、それからどこにどう行こうが別として、出すだけ出して、そして、円高差益はもう全部出したぞ、そしてどこもここも出せ、そうしてやらなければ、どこかが持っていてはいつまでたっても今の不況、雇用不安というのは、これは大変な状況になりますから、ひとつこれからもまた私も次々にくっついてやらしていただきたいと思います。  次に、米に対するアメリカの輸入圧力というのは非常に高まっておりますが、これはかつて、昔で言いますとなかなか落ちなかった城を落とすのに、相手の中にくさびを打ち込んで、そしてその中で寝返りを打つのがおって城が落ちるというような戦国時代の小説をよく読みますが、それと同じで、日本の食管制度あるいは米の自由化の、輸入の問題等は、やはり財界を中心にした、あるいは消費者と生産者との間で相当今、安い米、何で食べられないの、輸入できないの、こういう議論が今、一つ二つの議論が国内で形成されつつあります。これは意識的にそういう操作もされているようですが、この前、NHKを見ましたら、アメリカの米作農家の皆さんに、日本の方から日本の食管制度あるいは米の輸入をアメリカの圧力でやってくれという電話がしょっちゅうかかるというような報告がテレビでありましたが、まさに私はそうだろうと思うんです。そういうような状況で、私は非常に、これから日本の農村、日本の農地、私は特に田舎の段々畑のいっぱいあるところの生まれですが、もうこれが消えていくんではないか。非常にこれは将来不安になるんですよね。そしてやっぱり先々を考えた場合には必ずしもいいことではない。だから、何としても米だけは国内でつくってそれを守る。こういう決意に立っていただきたいんですが、大臣、ちょっとあと、次次質問があるものですから、一言だけ決意を聞かしてください。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 私も段々畑のそういう田舎に生まれたひとりの人間でございます。また、今処置を誤ると日本の農業は全滅してしまう。どんなことがあっても日本の農業を守り、国民経済、国民生活を安定するためにはあらゆる努力をしなくてはならぬ、この考えでございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 だからそういうためには、またも とに返りますが、ぬれ手にアワで入ったような円高で入った小麦の五百億ぐらいというのは全部出して、米は違うんだと、ぬれ手にアワじゃないんだと、やっぱりそういう勝負をしなきゃ、これは逆にそこをどんどん突かれていったら、これは米までも今の世論から押しつぶされますよ。ぜひ、お願いします。  次に、生活改善事業や蚕業、養蚕ですね、改良普及制度の廃止が問題になっていると聞いておりますが、農林水産省としてはこの問題について、これは去年に引き続いてですが、どのように対処をしようとしているのか。ぜひ私はこれは、去年決着ついた問題ですから頑張っていただきたい。  それから、大蔵省との今折衝の段階だろうと思うんですが、どのように努力をしようと決意をしているのか、普及関係予算についてはこの際がっちり確保すべきだと、頑張っていただきたいと思うんですが、この二点についてお伺いします。

浜口義曠農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(浜口義曠君) 協同農業普及事業及び蚕業改良普及事業につきましては、新しい技術の普及など、現下の農政の中で大きな役割を担っているものであります。  この財源措置につきましては、昭和五十八年度にそれまでの定率の負担金制度から現行の定額の交付金に切りかえられたところであります。明年度の予算編成におきまして、他省の交付対象職員の一部の職員につきまして一般財源化の要求というものが出されたということとの関連もありまして、協同農業普及交付金及び蚕糸技術改良普及員交付金の一般財源化等の問題が提起されているわけでございます。この協同農業普及事業及び蚕業改良普及事業につきましては、全国的にバランスのとれた一定の行政水準を確保する必要があること、あるいは国と都道府県との共同事業といたしましての性格を有しているということから、都道府県の財政事情等に左右されることのないように、農林水産省といたしましては安定的な財源措置を講ずる必要があると考えているところであります。今後、農林水産省といたしましては、現行の協同農業普及事業交付金あるいは蚕糸技術改良普及事業交付金制度の堅持、維持のため最善の努力を傾けてまいる所存でございます。

梶原敬義日本社会党

○梶原敬義君 ぜひ頑張ってください。  最後に、森林・河川緊急整備税、この問題について私は反対です。去年も反対をしまして、今度は農林省と建設省がタッグマッチを組んで、そして頑張っておりますが、私はこれは大型間接税導入が今ささやかれておりまして、大変厳しいこれから闘いになるわけです、我々にとっては。それにさらに水は天からもらい水、空気と同じような私は存在だと思う、日本においては。それに税金をかけるということでまだ頑張っておるようですが、これは早くあきらめて、ギブアップして、やっぱりやりませんと、当然河川とか森林の関係についてはやっぱり大蔵省に頑張っていただいて、国の方針としてこれは出す、一般会計からどんどん出してもらって、そういう方向で情熱を使って当局は努力をしていただきたい、林野庁ですね。そう思うんですが、これをひとつ聞いて終わります。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 私は実は昨年自民党の方の税調会長をやりまして、とらしてくれという方と反対だというのを延々何十時間もの議論を冷静にずっと承った責任者であったわけでございます。  今御指摘のように、去年は占用料と水源税という、建設と農林は意見が分かれておりましたが、ことしは早々にそこら辺の意見が統一されて今御質問の緊急整備税になって、ただいま自由民主党内では丁々発止の議論が次々展開されておるところでごさいます。それが全体的な関係でございます。  この必要性についてはもう種々議論されておるわけでございますけれども、私が改めて申し上げますと、森林が水供給の安定的確保等々、国民生活の上で果たしている役割というのは大変大きなものがあります。片一方、今も御指摘になりましたけれども、近年の厳しい財政事情その他で森林の壊廃が、荒廃が進んでおるのもこれまた事実でございます。そして、毎年貴重な人命、財産というものもこの未整備のために失われておる。あるいは水は決してただではありません。この水資源というものもまさに大変な危機に瀕してきておると、こういうことがあるわけでございます。  そうは言いましても、森林機能を確保するために一般財源の確保というのを徹底的に私としましては関係役所に対し頑張らなくてはならないという気持ちもあるわけでございますけれども、厳しい中で果たしてそれができるかできぬかという問題と別に、やはり森林の整備あるいは利水上の関係等を配慮しまして、森林・河川緊急整備税を創設する必要があると考えておるわけでございます。そして、この税につきましてはいわゆる非課税制度、免税点制度あるいは軽減税率等々で、いろいろな軽減措置等でいろいろな配慮をいたしておりまして、関係各方面の御理解をいただき、この緊急整備税の実現を図ってまいりたいと考えておるのが今の率直な心境でございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 私、初めに今世上問題になっておりますTBTOのことから伺います。これは正式にはビストリブチルスズオキシドというんですか、日本では何千トンという単位で消費されているわけですね。そして、これが昆虫や藻類に対して非常に毒性が強いために、その主な用途は船底塗料とか漁網の防汚剤として使用されているわけですけれども、きょうは水産庁にもお越し願いましたので、御所管の漁船とか漁網についてまずお尋ねいたします。  漁船にもTBTO入りの船底塗料が使用されているわけですけれども、この船底塗料による海水の汚染についてはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 現在の有機すずの防汚剤でございますが、千二百トンぐらい大体生産されておりまして、うち八百トンが船底塗料に使われておりまして、三百トンが大体漁網防汚剤に使われているというふうに推定しております。その他百トンぐらいございます。したがいまして、船舶の船底塗料としての使用量はかなり大きいわけでございまして、先般の環境庁の調査等によりましても東京湾あるいは大阪湾、瀬戸内海の一部というようなところ、船の交通量が多いところの汚染度が比較的高く出ているわけでございまして、環境庁の発表においても現在直ちに危険という程度ではないけれども、厳重に監視する必要がある、こういうふうな評価だったというふうに記憶しているわけでございますが、私どもも同様に認識しているわけでございまして、漁船にも確かに船底塗料に使われているわけでございますが、船舶全般にかかる問題でもございますので、今後のTBTO化合物による環境汚染状況の推移を見ながら、運輸省とも十分協議いたしまして使用自粛、代替品の切りかえ等に対応を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 確かに環境庁の調査ではスズキ四十検体、ムラサキイガイ四十検体、そのすべてからこれが検出されたと。ですから、相当広範囲な環境汚染が推察されているわけですよ。そして、しかも環境庁としてはこれはもう注意深く監視して、今後とも環境汚染対策を講じていく必要があると、こうしているわけですね。  ところで、私この問題は他の省庁のところでこれからもやるつもりですけれども、水産庁でも養殖魚、それから天然魚について昭和五十七年から毎年調査をしていらっしゃるわけです。ところが、そのせっかくの調査がもう簡単なこんな二枚ぺらのものしか発表されてないんですね。最近ではいろいろなテレビの放映等もありまして、もう養殖魚は食べられないんだという気持ちが広まっていますね。特におすし尾さんでのハマチとかタイというのはこれはもう食べないと言っている人が多いわけです。そうしますと、本格的な養殖魚離れ、こういうことも考えられるし、私たちとしてはこういうものを食べていく以上、やっぱり魚というのは不可欠なものなんですから、こういう資料はもう惜しみなくどんどん公表していただい て、しかるべく専門家の意見なども十分に反映して安心した形で魚を食べたいと、こう思いますんですけれども、ぜひ水産庁のおやりになった資料を余さず出していただきたい。そうじゃないとおかしいから隠しているんだという、こういう世論になっていくと思うんです。いかがでしょうか。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 現在直ちに環境汚染の著しい危険な状態にあるかどうかは別として、消費者がそのような不安感を持っておられることは事実でございます。これは漁業者としても大変ゆゆしい問題でございます。私どもとしても放置できない問題でございますので、発表の形式につきましては通常の発表の形式に従ったまででございますけれども、御要望等あればできるだけ詳細の資料を公表するようにいたしたいというふうに考えております。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 いつ公表していただけますか、もう既にできている調査だと思いますんで。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 御要望があればいつでも、事務的に準備が、余部があるとかどうかというような問題ございますけれども、先生御要望があれば直ちにお届けいたしてよろしいかと思います。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 それではできるだけ詳細な資料をできるだけ早く、そして公表できるような形、こういうことを要望しておきます。  次に私は梶原理事が麦の話をされたんですが、私は牛肉を取り上げたいと思うんです。  最近農産物価格の国際比較という資料をお出しくださいまして、それは大変よかったことだと思うんです。この資料を見ますと私はもうこの農政の行方というのはこれはちょっと相当思い切ったことをやらないとだめなんじゃないかというふうに思うわけです。もう御存じですから詳しくは申し上げませんけれども、要するに、私たちの買っているもの、そして農家で生産されるものの生産価格が二倍ないし八倍くらいの高さなんですよね。これは円高がどうだというだけの問題ではとてもないんでして、円高の分を仮に四割方考慮に入れて考えたとしましても、これはもう全面的に日本の農政というものは考え直す、見直す必要があるということだと思うんです。  私がきょう牛肉を取り上げますのは、その中で仮に今農水省がやっていらっしゃるいろんな価格の統制のメカニズムを仮に認めたとしましても、この統制のメカニズム、これが所期の目的に沿って運用されてないということを申し上げたいんですね。  第一に、この牛肉は非常に高いという実感を持っています。そしてそれが高いのは輸入牛の売り渡しが値段、数量とも不適当だからだというふうに私は考えるわけです。  御存じのように牛肉の値段はまず中心価格を決め、その上下に一三%ずつの幅を持たせる。上が上位価格、中が中位価格でそして下が基準価格と呼ばれているんですね。ところが、ここ一年間の資料をいただきましたのでこれを見ますと、この牛肉の去勢和牛というのは六十一年で見ますと、これは上位価格を十一カ月にわたって全部上回っているんですね。そして三月という一カ月だけが上位価格からわずか二円低かったということなんです。つまりこういうメカニズムを設定されたのは、牛肉の安定的なそして値段と数量を供給していくという目的でやっていらっしゃるんだと思いますけれども、実はその目的から大幅に外れまして、その安定価格帯の天井を超えたところでもう鎮座しちゃっているわけですね。こういう状態では私はこれは大変問題なんだと思うんです。牛肉がちっとも安くならないというのもまことに無理のない実感だと思うんですが、この点についてどういうふうに御説明になりますでしょうか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) ただいま先生から御指摘のございました農産物価格政策全般についてのいろんな御議論、御案内のとおり先般出されました農政審議会の農政の基本的な方向づけにおいても述べられておりますように、今後多くの課題を我々としても持っておるということを十分に認識をしておるわけでございます。そしてまた特にその中で牛肉の問題について御指摘があったわけでございますが、御指摘のとおり、現在の牛肉についての価格安定制度を私どももって運用しておりますが、その状況下で最近の国内産の牛肉価格の動向を見ますと、去勢和牛肉が私どもの設定をいたしました安定価格帯の上位価格を若干上回るレベルで昨今推移していることも事実でございます。また国内供給の牛肉の六割強を占めております乳用種の価格につきましては、お話ございませんでしたけれども、最近の状況を見ますと、安定価格帯の中心価格とそれから安定上位価格の間のレベルで推移をしておりまして、やや強含みの傾向をとっておるわけでございますが、この乳用種の場合にはともかくも安定帯価格の中におさまって推移をしております。去勢和牛肉が大変安定上位価格を超えるレベルで昨今推移をしております原因といたしましては、基本的には需要が堅調に推移している中で国内の供給が十分に追いつかないという事情があるわけでございます。本年に入ってからの供給量の推移を見ますと、残念ながら国内の資源量が順調に伸びないということもございまして、前年同期を若干下回るレベルで推移をしておるわけでございます。この和牛肉の供給の停滞の要因は、大変恐縮でございますが、五十七年ごろから御案内のとおり牛肉の生産に対する不安等を背景にいたしまして当時の資源の食いつぶしが大変進行いたしまして、その結果資源増殖のもとになります雌牛の屠殺が進行いたしましたために、最近その結果としまして資源量の増殖テンポが非常に低下をしておるという現象であろうと思います。ただ、その過程におきまして私ども和牛肉の生産増強を図るために各般の施策努力をいたしまして、最近の傾向といたしましては和牛の雌牛の飼養頭数が回復基調を示しております。こういう資源増殖上のもとになります雌牛資源が現在増加傾向にあるということは、将来にわたりまして和牛資源の増殖が比較的プラスの方向に推移をしまして、明年なり明後年には国内の供給量が多少現在の水準より上回ってくるということを期待をしておるわけでございます。国内の生産状況がそういった状況下で、必要な需要に応ずるために、御案内のとおり畜産振興事業団を中心にしまして輸入牛肉の売買操作を行っておるわけでございます。この仕組みにつきましても、御案内のとおり畜産物価格安定法に基づきまして国内産牛肉の価格安定制度とリンクをした形でその運用をしておるわけでございますが、本年に入りまして、国内産の牛肉をめぐる需給状況を踏まえまして各般の措置をとってきております。端的に申し上げますと、本年八月以降には畜産振興事業団の輸入牛肉の国内売り渡し数量を当初予定の一割程度増加させるとか、あるいは売り渡し予定価格を引き下げるというふうな措置をとりましたし、また十一月以降につきましては年末年始の需要期を控えましてさらに売り渡し数量の増加等を行っているところでございまして、その結果、輸入牛肉の小売価格については、前年同期に比べまして相当程度低下したレベルが実現されておるという状況であるわけでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 いろいろやってはいらっしゃるんですが、どれもこれも極めてこそくな手段なんですね。例えば肉の日を設けるとか、それから指定店を三万軒もある中で三千軒、それをまたさらにふやしたと言って三百軒だけふやすとか、極めてこそくな手段なので、こういうことがとても有効だとは考えられない。私どもは畜産振興事業団に対して、こういう輸入肉の一元的な取り扱い、購入、それからこれを売ったりして価格操作をすること、そしてこういう安定価格帯を設けさせること、こういう権限を与えておりますのはこれを守ってもらいたいからであって、これが守られないというようなことならば、このメカニズムは全部やめていただかなきゃならないと思うんですよ。これはちょっとやそっとのことじゃないんです。この去勢和牛につきましては昨年の八月からほとんど上位価格を突破しているわけですね。これはもう、畜産物の価格安定に関する法律とおっ しゃったけれども、それの四十一条に違反しているんだと思うんです。それから並のあれですね、その他の去勢牛肉というものも、もう上限価格に張りついた形なんですよ。一度だって中位価格を下回って下限の方に近寄ってないんです、ここのところずっとこの一年。しかも、この一年というのは円高差益の問題で大いに畜産振興事業団にお金が転がり込んだときなんですよ。なぜこういう怠慢なことをしていらっしゃるのか。もう本当にこの世論に対して全く感覚が鈍っていらっしゃるんじゃないかなって、こう思うんです。大臣、これ一体どういうふうにお思いになりますか。これは早く何とか手を打たなかったら、畜産振興事業団の存在意義なんというものはないと思いますね、私は。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) ただいま牛肉の枝肉の卸売価格の状況についての御指摘であったわけでございますが、御承知のとおり、国内におきます牛肉の生産振興あるいは需給の安定を図る観点で、現在の畜産物価格安定法の制度ができておるわけでございます。その運用を通じまして、牛肉の生産振興、消費の安定を図る努力をしておるわけでございますが、先ほど申し上げました国内資源の状況の影響もございまして、必ずしも卸売価格の終局的な安定が十分に実現されていないということは、私どもの努力不足もあることを率直に反省をしておるわけでございます。  ただ全体として見ました場合に、長期的に見ますと、消費者物価指数の推移の中で牛肉の小売価格は他の物価なりあるいは食料品全体に比べまして比較的安定して推移をしておるわけでございますが、計数的に申しますと、五十年当時を一〇〇としまして、六十年時点の状況でございますが、全体の物価が一六〇、食料品が一四九、中クラスのものでございますが牛肉が一三五というふうなレベルで推移をしております。したがいまして、卸売価格が大変高水準にあって、これをできるだけより低い水準に安定する努力を引き続き進めてまいるつもりでありますけれども、国内牛肉、やはり非常に時間のかかる生産でもございますし、経営的にも肉用牛の生産というのにはいろいろ障害もございますので、生産者の生産意欲をいろんな形でサポートをし、より安定した国内牛肉の供給が可能になるようにさらに努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。そのためにも、現在の食肉価格安定制度のより適切な運用に努めてまいるつもりでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 今おっしゃったのは、指数でおっしゃるけれども、指数で言えばここのところ物価が安定しているとおっしゃるのは、これだけ円高差益があれば当たり前なんです。もとが高過ぎるんですよ。もともと高過ぎるところから発足しているから、それから大した上昇ではないとおっしゃってもそれは十分に高いんです。  私、大臣にこの際特に申し上げたいのは、五十八年の一月に先ほど梶原委員も指摘されました畜産物の生産及び流通に関する行政監察が出されているんですね。これに昭和五十年以降国産牛肉が上位価格を上回ったことを指摘してます。そして、適当な時期に「適量・敵質の売渡しが行われたとは認め難い」というそういう評価が出てまして、それに応じた勧告が出ているわけですね。  最近の牛肉の高値というのは、こういった五十八年から出ている行政監察の結果がちっとも生かされていないんじゃないかと私は思うんです。大臣この点どういうふうにお思いになりますでしょうか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 私も、ただいま久保田先生が御指摘になりましたような問題を農水大臣に就任以来いろいろ考えます。実は、それに従いまして昨日も筑波へ参りました。畜産研究所の方へ行きましてわが国の現在の牛に対するいろいろな問題、あるいは生産性の向上、あるいはおいしい肉等の勉強もしました。何とかして現在の畜安法の制度のもとで国民においしくて安いものが食べられる希望の芽はないかというので、いろいろ勉強も目下しておるところでございます。  先ほど局長からお答えいたさせましたが、畜安法の本来の精神に従いまして安定的供給ということと、そして安くておいしい、これはまあ安くておいしいのを望むのはちょっと無理かなという気持ちもしますけれども、精神の上からいったらあくまでも安定的に供給するということと、安くておいしいものということに農林水産省としてもさらに頑張っていかなくてはならぬと考えておるところでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 そこで大臣に御提案があるんです。それは、畜産物の価格安定等に関する法律の施行令というのがありまして、その五条、六条によりましてこういうことが決められているんですね。それは、輸入牛肉を含む指定牛肉の売り渡しに際し、あらかじめ売り渡しの予定時期及び予定数量を買入計画書に記載しなければならないということになっているんです。そして、売り渡し価格を定めて大臣の承認を受けなければならない。こういう非常に厄介な、しかもこういう食品のように価格の上下があるようなものに対してはとても間に合わないような厄介な手続が決まっております。これではせっかく設けたメカニズムもとても機能しないだろうと思われるわけですね。もちろん、農水省と事業団とはいろいろ連絡をとり合っていらっしゃるとは思うんですけれどもね。売り渡しの時期とか、売り渡し価格とかという、こういうようなことは一定の条件のもとに事業団にお任せになったらどうかと私は思うんですよ。それは、要するに行政改革の一環にもなるわけですし、現状では国産牛肉の価格に対応して輸入牛肉を売り渡すという機動性が全く欠けているんですね。だから、こういうふうに上位価格を突破したままでずっといく。あるいは、その他の並みの方の牛肉でももう中位価格などまで下がってこない。私どもは当然平均して中位価格におさまることぐらいは期待していいと思うんです。それが上限に張りついている。もう一つは、上限を超えている。これで一年続いたんでは幾らなんでもこの法律のメカニズムを疑わざるを得ないんです。大臣、こういうことを十分御検討いただいて、もうこういう手続というものは機動性が出るような簡素化を考えていただけませんでしょうか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) 先生御指摘のとおり、畜産振興事業団が行います輸入牛肉の売買操作の仕方については、農林水産大臣の一定の監督のもとに行われることになっておるわけでございます。その具体的な手続としまして、御指摘のございました売り渡し数量、時期等について、畜産振側事業団の方から年初めに農水大臣の承認を受ける手続が決められておりますが、この規定の運用に当たりましては、一定の枠組みの制約はございますけれども、畜産振興事業団の弾力的な業務運営に十分こたえられるように弾力的な内容でこの承認が行われておるわけでございます。ただ、全体の数量につきましては、御承知のとおり現在の輸入牛肉についてのIQ制度のもと、かつまた御案内のとおり対日輸出に関心を持っておりますアメリカあるいは豪州との対外折衝の結果を受けて、輸入総枠についての枠組みがあるわけでございまして、この枠組みの範囲内で弾力的に事業団の業務執行が行われるよう十分私どもも対処してまいりたいと考えております。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 その枠組みにつきましても、それを必要な時期に大量に放出するという前倒しをやったって構わないわけですよ。そういう機動性が全くないんですね。私、大臣に、細かいお返事は結構なんですけれども、ともかく運用上弾力的にやっているとおっしゃっても、これは実績が示しているんですからね。法律でお決めになった上のメカニズムが全く自分の手によって破られている。そのために消費者が安い牛肉をちっとも食べられないという、この事実だけは大臣にお認めいただきまして、私この際ぜひ大臣にいろいろな努力をしていただきたいと思うんです。  それで、わが国の牛肉の国際比較ですと、生産者価格で約三倍でございましょう。消費者価格で約二倍でございますよね。そして、この原因の一つに、輸入牛肉を高く売って差益を得ているということが事業団の側にあるわけです。毎年二百三 十七億から四百六億円の補助金をお出しになっておりますけれども、それでもなおかつ事業団には預金等の流動資産が千三百五十九億円もあるんですね。この貸借対照表というのを拝見しますと、これは大変な超優良事業でございますよ。なぜ超優良事業かといいますと、四年間で流動資産は実質五倍に増加している。そして、約二百五十億程度の平均の補助金を払ってもなおそういう実績なんです。これは実際には消費者に帰属すべきものだと思うんですよ。  そこで私がまず伺いたいのは、六十一年度の輸入牛肉の売買差益はどのくらいになる見通しでしょうか、ことしは。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) 六十一年度におきます事業団の業務、輸入牛肉に関する輸入操作の結果発生をする差益の見込みについては、私どもまだ確たる見通しを持っておりません。ただ少なくとも、既に公表しておりますように輸入した牛肉の売却数量を相当大幅に増加をさせるとか、あるいは売り渡し予定価格の引き下げを行う等の措置によりまして、予定される差益額よりも年間でおおむね総額二百二十億円程度を減少させる措置をとっておるという状況でございまして、それでもなおかつ一定量の差益が発生することは私ども予想するところでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 概算で多分六百億円を超すんじゃないかと私は思うんですね。  ところで、輸入牛肉に差益を加えて消費者向けに売り渡すということをやっていらっしゃるわけですね。そういたしますと、この差益がここ数年来大体二二%から三四%くらいの上乗せをして消費者向けに渡していらっしゃいますね。これは事実でございますね。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) 御承知のとおり、現在の畜産振興事業団による輸入牛肉の売買操作は、国内で生産される牛肉についてとられております価格安定制度と一定のリンクのもとで運営をされております。したがいまして、国内産牛肉価格について決められております安定価格帯、中心価格あるいは安定基準価格を基準にいたしまして、輸入牛肉の品質格差等を勘案をしまして決められた国内放出価格を決めて、そのレベルで放出をしておるわけでございます。その結果、現実の輸入価格、輸入原価を上回る国内売り渡し価格水準で処分をされておりますので、その間に一定の差益が発生することは現在の制度では当然のことになっておるわけでございまして、そういう意味では御指摘のとおりでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 これは六十年度について申し上げますと、三四%の買い値に対する利益率というものが出ている。このところずっと三〇%平均ぐらいの利益率をかけていらっしゃるわけですよ。  ところで、これは食料品なんですね、基礎食品でございます。そうなりますと、今問題になっています間接税について、まさか基礎食品に間接税なんかかけるということは幾ら政府・自民党でもなさらないと思う。間接税を取っている国でも基礎食品に税金をかけるということはまずないはずです。それはなぜかというと、人間は食べなければ生きられないからですね。  ところが、この畜産振興事業団の制度は、実際問題としてこれは食肉にかかっている重税なんですよ、実質的に。この平均三〇%という重税でございます。本来ならばこの分は消費者に帰属してもよかったはずのものなんです。しかし、いろいろな事情がありますから今のような制度ができているということでございます。  しかし、やっぱり私は、今のように特に円高差益というものが巨額に発生をしているときに、これを少しも還元させないで、事実上法律に基づいてつくられた安定価格帯さえも守らないで、事業団がこれをため込んでいるということは非常に不当なことだと思うんです。  この食料にかかってくる差益は、食料税って申し上げましたけれども、確かに子供の食べる物、老人の食べる物、そういった収入のない人たちにも押しなべて同じようにかかっているわけでして、食料の中でこういう費目がまんべんなくあるとすれば、その社会というのは本当に悪だと思うんです。  私、大臣にわかっていただきたいのは、こういう基礎食品に関連して、これは財政が苦しいから、だから価格に転嫁して、そしてこの中から必要な補助金も出す、それから必要な事業団の運営費も出す、こういうことになって価格がどんどん上がっていくということを憂えるからなんです。  しかも、外国における牛肉というのは、買え買えと言われているくらいにそれは安い価格で、事実この日本の国の外には存在しているんです。その点を日本の畜産とどういうふうにうまく調和させるかというその辺の経理がなかったらば、私どもはこんな絶望的な状態でいつまでも待っていることはできませんですよ。大臣この辺はそうお思いになりませんか。農水省はいつ国税庁におなりになったのか。しかも、食料税をおかけになっているのか。そういうふうにお思いになりませんでしょうか、大臣。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 基礎的な国民の食料であり、そしておいしくて安いものを食べられるようにしてあげたいというのが農水省のある根本的理由でもございます。ただ、御理解いただきたいのは、先ほど局長がお答えした中に出てきたのでありますが、子牛の相場の動向が、日本国内の牛の酪農関係に取り組んでおる皆さん方の意欲というものをあるときは急激に減退させたり、あるときは意欲を持たしたりする問題がございますが、何としても普通でいうと一年一頭しか子供を産まない牛であるということでございます。この子牛を殺されたり、子牛を飼わなくなりますと、将来が大変憂うべきことでございます。  こういう点で、輸入牛肉というものと国産の牛肉というもののバランスをとりながら、一方では生産者に意欲を持ってもらうように、そしてまた消費者である国民の皆さんにはなるべく安定して上がらないようなことを考えていく。あるいは先ほど来御質問のありましたように、事と場合によっては安くしていく。  したがいまして、昭和六十一年度に発生します円高差益関係は、私をして申させていただきますならば、一〇〇%近く国民に還元しろということで、今まで指導もしてき、そしてまた今後も指導していきたいと考えておるところでございますが、何さま工場で物を生産して安くするというのと違いまして、手間暇をかけて子牛を育てていくという一つの問題があります。これは国際的にも国内的にもそうでございますが、そういう中で今先生が御指摘のように、アメリカあるいはオーストラリアからいろいろな要求があります。私はそこら辺のものを全体を勘案しながら、先ほど来申し上げておりますように、安定的に供給していくという一つの基本的な原則は守りつつ、今まで先生の御指摘になりました点は常に胸の中に念頭に置きながら行政を推進していきたいと考えておるところでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 それで、大臣にもう一つ御検討いただきたいことがあるんですね。  それは大臣もおっしゃるように、牛は一頭しか子供を産まないし、特に日本のような土地柄では非常に少数の頭数を手をかけて、時間をかけて育てる、こういうことなんです。そういたしますと、これは普通のやり方ではアメリカやカナダやオーストラリアのような畜産とは到底将来とも対抗し得ないものだと私は思うんですよ。  ただ、日本でやっているような、神戸牛、松阪牛に代表されるような非常に超高級な牛肉、そういうものが仮に料亭や高級飲食店で非常に高く売られたとしても、私はそのことについて文句を言う気はないんです。ただ、それと同じような扱いで輸入牛肉も高い、並み肉も高い、こういうことでは私どもの食生活は実は非常にいじましいものにならざるを得ないというふうに思うわけです。  そこで、輸入牛肉を買う人は比較的低所得とか中所得ぐらいのところですね。ところが、畜産振興ということで、庶民は到底食べられないような超高級牛肉、そういうものをつくっている生産者にまでなぜ補助金を消費者価格の中から出してい かなければならないのか、そこのところを私は大臣にぜひ御検討いただいて、普通の物は普通の値段で売る、このところを特に重点を置いていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

京谷昭夫農林水産省畜産局長

○政府委員(京谷昭夫君) ただいま先生から御指摘ございましたように、我が国内で生産される牛肉の中に、俗にサシと言っておりますが、脂肪交雑が非常に高くて、それが特別の嗜好に合致をして非常に高価に取引をされるという部分があることは事実でございますが、全体量から見ますと国内で生産される和牛肉の大体五%程度のウエートしか持っていないという私どもの理解でございます。こういういわゆる高級肉は必ずしもそのために特別の経営体がつくられるとか、あるいはそれにある個別の生産者が特化をしてしまうという形態で行われておるわけではございませんで、一般の肉の生産と一体化して混在をするという形で進められる場合が多うございます。私ども政策的に国内の牛肉生産振興という場合には、決してこのようないわゆる先生の御指摘になる高級な牛肉の生産を振興するということをねらいにしておるつもりはございません。できるだけ低コストで、一般の消費に対応できるような品質のものを低コストで生産をしていく、そういう体制づくりをねらいとして各般の施策を進めておるわけでございます。全体とした生産量に占めるウエートもそういった程度のものでございます。したがいまして、私ども国内の肉用牛生産振興に当たりましては、やはりより低コストで一般の消費に向いた品質のものを大量に供給をしていくということをねらいにして施策を進めておるつもりでございますが、現実の施策運用に当たってある特定の人がこの高級肉の生産に特化しているということで特別に排除するということは大変難しい問題でございます。ただ、先生御指摘のような、我々の政策運営に当たってはあくまでもそういう高級牛肉生産ということではなくて、一般の消費需要に応じた低コスト生産が可能になるような状態をつくり出すということに十分配慮をしまして、施策の仕組みなり進め方について十分留意をしてきておるつもりでございますし、今後ともそのような姿勢で対処をしていくつもりでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 局長のお話を伺ってますと、これはもう未来永劫にまともな値段で牛肉は食べられないなと私は思うんです。  それで大臣に、今度はもう大臣に答えていただきますよ。大臣にお伺いします。  今の法律が結局価格の安定と、それから畜産の振興を目的としているんですよ。それはいいんですけれども、私やはり国民に、価格の安定というけれども、実際は余りにも高過ぎるところで安定しっ放しなんです。私は大臣に、ぜひこれを消費者にも目を半分向けていただいて、私どもが納得のできる畜産を本当に農林省が進めているのかどうか、そこのところをぜひ大臣にもう一度行政を見直していただきたいと、こう思います。そして、さっきおっしゃった差益は一〇〇%でも還元していくつもりでやるとおっしゃるけれども、実際にこの数字を上限価格を超えない、この上限価格を下回る、そして今の円高の状況だったらばこの中位価格をも下回って、せめて時には基準価格を達成するぐらいの御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 高値安定になっては大変困ります。高値安定にしないように最大限の努力はもちろんいたします。また、先般の農政審議会の御答申の中にもありましたように、消費者、国民皆さん方から納得のしていただける価格にするようにという答申もいただいておるわけでございまして、そういう線に従って私は頑張っていきたいと思います。  ただ、先ほど来申し上げましたように、私もどうして国内産はこの先生が御指摘になったような上限の上にいくのか、そこら辺が率直に申し上げますとなかなか納得がいきませんが、また一方考えてみますと、先ほど来申し上げましたようないろいろな自然を相手にし、飼育するのに数年かかるという情勢を踏まえ、またある面では輸入牛肉一辺倒になってしまって、国内における肉の自給率というものも考えなくてはならないというところに私の率直な問題点の提起があるわけでございます。  要は、農政審の御答申にもあったように、国民、消費者の皆さん方から理解と納得をしていただく価格に持っていくように今後とも指導鞭撻していきたい、こう考えておるところでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 ぜひ実績でお示しください。お願いいたします。  次に、林業の問題をちょっとやらせていただきます。  「天声人語」欄に大臣の言葉が御紹介になっておりますね。これは十月十三日。大変いいことをおっしゃるなと思ったんです。大臣はこの中で、「一般論だが」「これからは、木材を生産する施業林と、自然を守るための森とをわけて、別々の対応をしなければならない」とおっしゃっているんですね。私はこれはとてもいいことだと思うんですが、この御発言の真意をお聞かせください。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 「天声人語」を書かれている方といいますか、天声人語子と一時間余りいろいろお話をしたわけです。そのときには、森林のいろいろな用途、目的あるいは効能、そして談たまたま知床問題にも及ぶという過程の中でいろいろ私はお話をいたしたのでございますが、その中を天声人語子はお取り上げになってこういう表現をされたのかと、私も実は読ませていただきましていろいろ考えるところがあるわけでございますが、私が改めて申し上げるまでもありません。森林というのは多面的な機能を持っておるものでございまして、そしてまた最近国民の皆さん方の森林に対する要請といいますか、要望といいますか、一層多様化してき、それぞれの立っておられる立場に従って言われることもいろいろな角度がありますが、総体的に持っていきますと森林の重要性ということに触れてこられたんじゃないか。そういう中で、もろもろのそういう国民各界各層の皆さん方の森林に対する要請の中で、私としたら林政審議会の国有林野部会の中間報告というのも頭にございまして、森林をその機能で分類し、きめ細かな施業を行うべきである、こういうことが示されておるわけでございます。そこで私としましては、今後この方向に沿って森林の機能区分及びそれに応じた森林の取り扱いというものについて検討していかなくてはならない、こう考えておるわけでございまして、「天声人語」にそういった私の幅広い考えのうちの一端が載ったのかなと、こう思っておるところでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 大臣のおっしゃる施業林と自然を守る保全林の線引きが非常に大事なところだと思うんです。  それで、いろいろ専門家の意見がございますけれども、例えばある専門家は、今は民有林に蓄積量が多くて、将来の需要はこれでもう十分カバーできるんだ。国有林は公益的な性格を強めていった方がよい。将来の姿としては、国立公園等の自然環境保全林として国有林を残すべきだというような意見もあるわけです。それからまた別に、これは宮城県の首長の方ですけれども、国有林ぐらいは天然林をそのまま残して、公益性の見本のような森林にしてほしいというようなそういう意見もございますね。いろいろな意見が出され、大臣にも訴えが行っていると思います。  そこで私は、当面国立公園が二十七カ所ありまして、二百二万ヘクタールあるわけですけれども、この中の国有林が百十八万ヘクタールあるんですね。そのうち特に天然林と言われるものが約八十三万ヘクタールあるんです。こういうところを含めまして、特に国立公園の中の国有林のうちの天然林、これを自然環境を保全する林として指定していただくというそういう方向が、大ざっぱに言えばそれが望ましいのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

田中宏尚林野庁長官

○政府委員(田中宏尚君) 若干具体的な点にも及びますんで、私から答えさせていただきたいと思います。  ただいま先生からも御指摘ありましたように、国有林につきましては公益的機能をより充実すべきではないかという御意見が多いわけでございますし、それから現に森林面積の三〇%を国有林が持っているわけでございますけれども、この中に脊梁山脈に所在する国有林でございますとか、それから天然林で守られております国有林でありますとか、一般の民有林に比べますとより自然環境とのかかわり合いの強い国有林があることも事実でございます。これにつきましては、ただいま大臣から御答弁ありましたように、国有林部会の中間報告でそれぞれの機能に分けて少し分類し直すべきじゃないかという御提言をいただいておるわけでございます。ただ、この御提言に従ってどういう分類をするかということは、技術的に非常に難しい点がございまして、これから我々事務的にもいろんな方の御意見を聞いて進めてまいろうと思っておりますけれども、ただいまお話ありました自然公園内の国有林、林地につきましてはほとんど施業制限というものがされておりますので、これは大方が現状どおり保全されるというふうに考えて差し支えなかろうかと思っております。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 林野庁御自身の試算で、森林の有する公益的機能の評価額というのが出ているんですね。これが一年間でもって何と二十五兆四千三百億円という評価をしていらっしゃるんです。そうすると、これを面積で割りつけますと、一ヘクタール当たり一年間百万円の公益的機能を持つと、こういうことになるわけなんですよ。  それで大臣にお伺いしたいのは、森林を森林として保全するという考え方を、全体として、特に国有林で、天然林でそれを重視するという考え方、これだけの公益的機能ですからね、重視するという考え方については御賛成いただけるわけでしょうね。

田中宏尚林野庁長官

○政府委員(田中宏尚君) ただいま御指摘ありましたように、自然を守るという観点から、従来の拡大造林を主体としてまいりました森林整備というものにつきましては、先ほど来大臣から答弁ありますように、審議会からも御意見いただいておりますし、我々といたしましてもそういう点により重視をした森林施薬というものに向かって進んでまいりたいと思っております。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 それで、森林に対してそういうことになりますと、もっと一般会計からの援助が欲しいと私は思うんです。この点はどういうふうにお思いになりますか。

田中宏尚林野庁長官

○政府委員(田中宏尚君) 従来からも一般会計からはそれぞれの事業に応じました、例えば治山事業については全額国費で見るとか、あるいは造林でございますとか林道については必要なものについて見るということはやってきておるわけでございますけれども、今後ますます財政が国有林全体苦しくなってくるという中で、来年度の予算要求につきましても、例えば保安林についての保全でございますとか、それから借金についての借りかえについての利子でございますとか、こういうものにつきまして、非常に厳しい財政状況下ではございますけれども、一般会計にそれなりのお願いをしながら、それと並行して我々自身の自助努力というものを重ねて、国有林の健全化に努めてまいりたいと思っております。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 林野特別会計については大臣もうよく御存じですから、私文句を申し上げません。ですけれども、六十二年度の債務残高が概算要求ベースで一兆七千二百十二億円、こういう巨額のものになっているわけですね。林野特別会計、これはもうどんどん木を切って売りまくるということ以外には生存の道がないんですよ。しかもそれをやってもこの赤字をよう補てんし切らない。これでは国有林が丸坊主になるまで切りまくるという状態が続いていくと思うんですね。私はどこかで大臣にもうこれ歯どめをかけていただきたいんです。ですから、もう林野の特別会計、これに、従来のしきたりにこだわらないで、もし特別会計をギブアップするんなら早くした方がいいと思うんです。そして一般会計から公益的機能に関してしかるべきお金を取ると。私は大臣にもうこれは腰を据えてやっていただきませんと、もう十年、二十年のうちに日本の国有林がみんな本当に平凡なつまらない雑木林になってしまうと思います。どうお思いでしょうか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 国有林野事業の置かれております厳しい立場というのは、実は私も勉強すればするほど切実に感じておるところでございます。ただ、先ほど来冒頭「天声人語」からもお話になりましたが、今日すぐ直ちに機能分割が簡単にいかないところに、ある面では山の難しさがあるなということも感じております。そしてまた財政事情が大変厳しいものでございますから、そこら辺で私としても全体的な財源措置を十二分にしてあげないと大変なことになるという気持ちもあります。  先ほど来いろいろ御質問、御意見がありましたが、私は今思い浮かべておりますのは、四十年前に日本国が戦争に負けたときに、「国破れて山河あり」という言葉がありましたけれども、今日国が興って、経済摩擦さえ起こっておるときに、我我の山河が荒廃してきておるというこの問題、政治家として、また国務大臣としても目をつぶるわけにはいかない。そしてそれらに関連しまして、その中核をなすものはある面では国有林野事業である、これをこのまま放置するときはもう大変なことになってしまうという決意で今おるところでございます。

久保田真苗日本社会党

○久保田真苗君 時間はかかるかもしれません、でも発想の転換は一刻も早い方がいいんです。それでぜひ本腰を入れて、こういう一般会計から当然補てんすべき予算のかけ合いを大臣に本腰を入れてやっていただきたいし、それからその一つの例としまして、せんだっての知床で伐採を調査のために延期されたということは私は大変敬意を表しておりますので、今後ともああいうものが、あそこにある非常に水を支えている大木が丸坊主になってしまわないうちに、ひとつそういう転換をお願いしたいと、こういうことをお願いしまして、最後に大臣に御決意のほどを伺って終わりにしたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 緑を愛し、緑を大切にする国民性というもの、そしてまた狭い国土の中に一億二千万の人間が住んでおります。そういう中で、私も今先生御指摘の問題をぜひ進めていきたい、何とかひとつ大きな打ち立てをいたしたいという率直な願いはあるわけです。  そしてもう一つ、逆に私からもお願いというか申し上げておきたいと思いますのは、実は都市内における山林、森林であります。この問題についても実は今税制上のいろいろ議論がされております。そういう中で、都市内における林といいますか、森といいますか、森林といいますか、ここら辺の問題が案外今日どの方面においても議論していただいてない。この都市内における林といいますか、森といいますか、森林、これも一たん失ったら取り返しのつかないことになるんだということを、私はあらゆる方面で今訴えておるわけでございますので、久保田先生もそこら辺もあわせてひとつ応援していただきたい、こうお願いする次第でございます。    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 まず冒頭、森林・河川緊急整備税で大臣の梶原議員の質問についての見解を聞きました。  一方では水にまで税金をかけるのかという説があることも当然のことであります。しかしながら、山や川を大事にして、そして本当に国土を立派に守っていくために、財源がもうどうにもならないからやむを得ない措置として、ある一定期間、目的税としてこういう税を起こさざるを得ないという、それを守る側の立場の人たちの主張というのもまた当然でありますから、農林水産大臣がこれは一般財源でというぐあいに言われたら、これはもう取っかかりがなくなるわけでありますから、しっかり頑張ってください。  そして同時に、我が党並びに我が党政府関係者の中でもまさに意見が二つに分かれている、真っ二つに。特に産業関係を受け持つ通産省は、役所 としても一般財源でやれよという、そういう役所であることは言うまでもありません。しかしもう一歩話が進んで、そういう役所こそみんなでひとつ、農林水産省の予算の中で自分のところで手当てせいよという話ではなくて、各役所みんなで協力しようじゃないか。治山治水なんというものはやっぱり政治の根源をなすものだからこれだけは別枠にして、いかに財政が厳しくとも、まさにこれをこそ聖域という扱いにして手当てをしようではないか。だから、新税の創設ないしは反対という議論はこのあたりで打ちどめにしたらどうかというところまで話が進展すると、私は一つの答えになるのではないかなと思います。  しかし、その前段階で旗をおろすわけにもまいらぬと思いますから、しっかりひとつ頑張っていただきたいと思います。これは質問ではありません。  第一の質問は、先ほど来、山の話がいろいろ出ておりますが、私は、国全体として考えてみた場合に、おおよそ二千五百万町歩が日本の山の面積だと思います。そのおおよそ四割に当たる一千万町歩が既に人工造林になっているはずであります。これは人工造林、いわゆる針葉樹の方が経済的にもはるかに価値が高いということで、どんどん戦後人工造林が進められました。私は、このことはわが国の林業政策として間違いなかったと思うんです。そして、今さっきも申し上げましたように一千万町歩の人工造林ができ上がっているわけでありますけれども、これは完成ではありません。雑竹林や、あるいは雑木、低質の広葉樹林等いろいろなところを経済性の高い針葉樹に切りかえたというそこまででありますから、これから先、十分の手入れをしていって、そして本当にでき上がった針葉樹林というものをつくり上げるということが、これからの林政上非常に大きな課題だと思います。そして、そのために、植えるまではやったけれども、しかしとてもこれから先、まだ十年も二十年も三十年も手入れをしていかなければ金にならないし、しかも今の木材価格を見るとどうも先に楽しみがなさそうだなということで、だんだん手抜きがふえてきている。どうしてもここにやっぱり政治的なてこ入れをしなければ、このままでは一番金のかかる切りかえの植林、造林のところまでやって、あと手入れという段階を途中で手抜きということは、資源政策上から見ても大変な損失だというぐあいに考えられますので、今、新値よりも、どちらかといえばせっかく植えた山を立派につくり上げていこうではないか。今一番大事なのは除伐であり間伐だという、そのことに大きく力を入れておられることも、これも私は正しい政策の選択だと思っておるのです。  ところで、私がこれから申し上げたいのは、林野側が考えておられました長期の人工林のいわば人工林率を最高は千二百万ないし千三百万町歩まで人工林に切りかえていこうというぐあいに計画を立てておられました。これはもう今、切った後に地ごしらえをして植林をして育てていくというのはほとんど計算に乗りません。奥山になればもう全く計算に乗りませんから、これはもう民有林と国有林とを問わず同じだと思います。同時にまた、国土を立派に保続するという立場から見ると、根張りとかいろいろなことを考えますと、もうこの程度で人工林と広葉樹林との比率、これは四対三程度で、もちろん伐採跡を植えていったり、例外としてまだ人工林に切りかえた方がいいという山もあるでしょう。中には、切った後をそのままもう天然林に任せなければ山が育っていかないというところも個別にはあると思いますが、大づかみで考えたら、もう人工林と天然林との比率というのをほぼこのあたりということで考えて、そして日本全体の林野政策の人工林と広葉樹林との割合というものを、今申し上げましたような視点に立って計画の将来にわたる全体像についての見直しをしたら、その方がかえっていいんではなかろうかなと思うんですが、このことについての御見解を承りたいと思います。

田中宏尚林野庁長官

○政府委員(田中宏尚君) 今後の森林整備の方向につきましては、ただいま先生から御指摘ありましたように、人工林の現状なり、それから山林経営の現状、それからさらには需給の関係、そういうことからいいまして、この辺で見直すべきじゃないかということで我々といたしましてもいろいろ検討をしてまいりまして、本年の十一月に取りまとめられました林政審議会の報告におきましても、今後の森林の整備方針につきましては、まずは既にできております一千万ヘクタールに上ります人工林の適正整備というものを主体に考える。それに加えまして将来の方向といたしましては、従来のように拡大造林というような方向じゃなくて、やむを得ずといいますか、地域によっては依然として切ったところへ新しい木を植えるということは必要でございますので、そういうものにつきましては複層林の造成でございますとか、あるいは天然林施業等、こういうものを志向すべきでございますし、それからさらには、針葉樹に偏ってきた従来の反省に立ちまして、広葉樹育林の積極的造成ということにも心を用いるべきであるという方向づけをいただいているわけでございますので、我々といたしましても森林整備に関します国の基本的な主張となります森林資源に関する基本計画、これをできるだけ早急に改定いたしまして、そういう基本方向に沿った将来の方針というものを行政ベースにおいても確定したいというふうに考えておるわけでございます。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 大体、私の考え方とほぼ変わりはないようでありますから、そういう御方向に従って針葉樹林であれ、広葉樹林であれ、一番望ましい形で山の整備が進められるように一層努力をしていただきたいと思いますし、余り無理な経済運営の切りかえというものをもくろんでみたって計算に乗らない時代に入っておると思いますから、その仕分けと、実態に合ったような形の施業を進めていただきたいと思います。  それから、私は日本の山がこれほど人工林率が高まった時代というのはないと思うんです。飛行機の上から眺めてみる山、あるいは車を走らせあるいは電車の中から山の状況を見ましても随分と私は、戦後の山の荒れた時代から比べれば問題になりませんが、戦前の山の状態から比べてみても、私はこれほど経済性の高い人工林の比率が高まった時代はないのではないかなと。  私はこの裏でやっぱり何が一番プラス材料になったのかなと考えてみますと、やっぱり造林補助という制度が一番私は有効に作用したと思います。ところが、今ではもうその制度だけではとても新規に造林をする人はおりません。ここまで来て、今何とか意欲をかき立てている政策の最も大きな柱は森林総合整備事業だと思います。それと同時に、除間伐を助成する間伐促進対策事業、そういうのが個々の林家にとってようやくの励みとなって、どうやらせっかく植えた山だからというので手入れをやっているというのが現状だと思うんです。そして山村に山気違いとでも言うべき愛林家というのがまだ何人かおるという、そういう時代だからです。ところが、次の時代になったら一体どうなるんだろうか。ちょうど今の山が成林になって伐採した後、代がわりしたせがれがその山を立派に植えて育ててくれるだろうかということを考えますと、私は将来の日本の山というものは本当に心配でならないという、そんな気がいたします。  その一番の大きな原因というのは、今言ったようないろんな有効な政策というものを打ってもらいましたけれども、しかしそういう助成あるいは刺激剤を持ってきてもなおかつもう計算に合わなくなったという、そういう状態になりました。その最大の原因はやっぱり木材価格です。そして木がうまいぐあいに売れていかないという、やっぱり木材の需要というのが大変活気づいているときは林家も敏感にそのことをわかりますから、補助、助成がたとえなくたって一生懸命せっかく植えた山でありますから育てていきます。材価が鈍って、そして安いだけでなくてその上売れもしないということになりますと、これはもう楽しみないなと。しかも一年や二年で切りかえのきく品物 でありませんから、三十年、四十年、五十年かかってようやく売るわけでありますから、その三十年、五十年の間には必ずそういうもうやめたという時代が出てきます。この五、六年というのはちょうどそういう時代であります。  私は毎年の森林組合の総会に鹿児島県の連合会長という立場がありますから行って、今皆さん方が植えておられる木、今せっせと手入れをしている木というのは来年や再来年、ましてやことし売る木じゃないじゃありませんか、これから十年、二十年後の木じゃありませんか、そのときまでには何とか村価も持ち直すであろうし、その間我々がやっている仕事というのがどれだけ県土の保全のために役立っているかというそういう誇りも持って頑張っていこうではないかということを言い暮らしてきましたが、それだけではなかなかみんなついてきてくれません。  加藤大臣が税制調査会長をしておられたときにそのようなことも話をしたりしながら、私が承知し、自分でも造林をし、自分でもずっと育ててきた計算を土台にしながら、現在の概算控除三〇%というのではとてもやっていけません。そのときに農林省からの党税調に対する改定要求は四〇%という要求をいたしましたが、あの厳しいとてもとても減税なんということはやれるような財政事情にはないよという中でも、満額ではありませんでしたけれども、三五%の概算控除に五%引き上げてもらいました。しかし、それから年々まだまだ材価は弱含みであるし、造林経費というのは上がってきております。そして材価低落の原因の一つには為替の変化もありまして、外材の値段というのが三割、四割下がったんです。杉と一番競争相手になるのが御承知のとおりアメリカのモミやツガの中物であります。それが杉の小丸太と大体値段が同じぐらいになりかかっていたら、円が強くなったものですからその分だけがくんと下がって、木材に関する限り値段上牛肉や米や麦の場合のような価格上の支えはありませんから、もろに価格競争をして当然のこと国産材は二割も三割も値崩れをしてきたという、そのためにますます経費率というのは実態が非常に高まっている。だから今度は、党税調に対する農林省、そして直接の担当の林野庁の税制要求が四五%というぐあいに概算経費を見てくれという要請を出しておられるはずでありますから、このことはぜひ日本の山を守るために、林業を元気づけてこれからも続けていこうというためにどうしても必要だということで、ひとつ省を挙げて頑張っていただきたい。これは林家の損得とかこれで利益が残りますというそういう段階のものではなくて、ようやく続けるための意欲をこれでやっとつなげるかどうかというぐらいまでの数字であって、私の試算では四五では足りないと思うんです。計画控除の二〇を加えて六五になったにしてもそれでもなお足りない数字だとすら思っておりますから、そのことを特に御要請をしながら、この林業活動の一番大もとは今何かと、手入れはずっと続けていかなきゃならぬけれども、今木材の需要喚起というものを何としても図っていかなきゃならぬ。そして木材の需要喚起のやっぱり一番のもとは何かといえば住宅であります。住宅の中でもできるだけ木造住宅というのを余計つくってほしい、公営住宅についてもできるだけ木造の一戸建て公営住宅というのをそういう場所ではつくれるようにしてほしいなという、そういうことをしながら、公共事業等であるいは補助事業等でいろいろ各省おやりになっている役所にはぜひ大臣から、あるいは環境庁にもあるいは厚生省にも文部省にも、いろんな直接の事業や補助事業としてやっておるそういう分野に対してはできるだけ木を使うように、そのことが教育上から見ても子供たちにもいい影響を与えるというぐあいに言われておりますだけに、ぜひひとつ閣議その他を通して強く主張をしていただきたいというぐあいに思います。  もう一つ住宅を進めていく上の隘路の一つに建築基準法など特に建設省とのかかわりがあります。きょう建設省からも来てくれていると思いますので、ぜひ木造住宅が、あるいは木造建築がこれからもできるだけ進んでいくための隘路になっている部分があるとすればそういう点の手直しを含めて、建設省、特に建設省の住宅局が中心となって、今私が申し上げました願いにこたえるような対策を積極的に検討をして進めてもらいたいと思うんですが、このことについて大臣並びに後段の部分は建設省からお答えをいただきたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 森林を愛し、また木材産業の活性化をこいねがう井上先生のお気持ち、また今までの林業行政に対する的確な御指摘、一一胸を打つものがあるわけでございます。  私も実は今までは地方へ行くたびに、農林水産大臣になる前でありますが、この町は、この村は人工林比率は幾らだということからまず尋ねておった経過もありますが、戦後営々と植えた木が、これから十数年以内に国産材時代が来る、それに対応するような政策というものを考えなくてはならないということと、それからこれも農水大臣になる前から林野庁の方に実はお願いしておったんでありますが、針葉樹中心では日本の山河が少しさみしくなる。もみじの時期にもみじを見る場所を探すのが狭くなり、なくなってきておる。あるいはまた濶葉樹と針葉樹との比率で濶葉樹の、最近特にシイタケその他の問題における議論も出てきておるといったようなことを考えておったわけでございます。そういう中で今先生の御質問を承りながら、この部屋で使っておる木材や、テーブル、このいす、机、これは果たして国産材であるか輸入材であるか、今御質問をされておる間にちょっと見回してみたわけでございます。  それから、あと住宅政策その他の問題につきましても、我が国の木造建築というものと国民の文化と伝統というものは非常に密接に関係しておる。今の建築基準法で東京二十三区内に、谷中の五重の塔のようなものは東京都内に建てられないという問題等も指摘しまして、建設省の方にお願いしておるわけでございます。今五重の塔を建てようと思ったら、都市計画法あるいは建築基準法の適用を受けない奥の奥の奥の場所を探して建てなければ建てられなくなっておるんじゃないだろうか。しからば奈良へ行き法隆寺を見たり正倉院を見たときにどう考えるか。あるいはまた、ある面では木材は燃えやすいという間違った考え方がある。木材の木造家屋は耐用年数が短いという間違った考え方がある。こういうものは一遍幅広く見直していただきたいということ等を建設省の方にもお願いし、また各省庁にもお願いして木造建築に対するいろいろなことをお願いしておるところであります。  また、住宅減税に対しましても単に住宅をたくさん建てていただくから住宅減税をよろしく頼むということをもう一歩踏み込みまして、その中における木材を使っておる比率あるいは木造住宅に限る場合の、さらに住宅減税に対するインセンティブをつけるような方法も考えなくてはいけないときに来ておるんではないだろうか。ただ、そう一言で言いましても、しからば国産材と輸入材との関係、あるいはその区別をどういうところでするかという、また簡単に律し切れない問題もある。ここら辺を総合的に考えていきながら、ここ一、二年、特に円高で木材価格が大変なことになっておりますが、そういう中で木材の需要の拡大ということにあらゆる努力をしていかなくてはならぬと考えておるところでございます。

城戸義雄建設省住宅局住宅生産課長

○説明員(城戸義雄君) 御指摘のとおり、木材需要の拡大を図りますためには、その大変大きな部分を占めております木造住宅の建設促進ということが大変重要であると我々も考えております。また、木造住宅は我が国の気候、風土にも適しておりますし、国民のニーズも大変強いものがございます。こういったことから、建設省といたしましても木造住宅の振興は努めてきております。例えば木造公営住宅など公共住宅の建設の促進、あるいは優良な木造住宅に対します公庫などの公的助成制度の拡充、あるいは木造建築物に関します技術開発の促進、大工、工務店など木造住宅の供給体制の合理化など総合的に進めてきているところ でございます。  また、御指摘いただきました建築基準法に関する問題でございますが、建築基準法では、木造建築につきましても構造安全上及び防火上必要な最低限の制限を規定しているところでございますが、近年、火災に関します研究が進展してきておりますし、また、木造建築物の防火性能の向上などの状況もございます。そういったことを踏まえながら、現在、準防火地域における木造三階建て建築物に対する制限の見直し、あるいは大断面集成材を用いました木造建築物に関します建築物の高さ制限の見直し、さらに大規模な木造建築物に関します防火壁設置義務などの見直し、こういったことにつきまして検討を行っているところでございます。  さらに今後、今年度より総合技術開発プロジェクトと申しまして、新しい木造建築物の総合的な技術開発を進めているところでございますが、そういった成果も踏まえながら建築基準の的確な見直しを図ってまいりたいと思っております。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 建設省ありがとうございました。さらに今の御答弁に一層ひとつ実効の上がるような努力をお願いをしたいと思います。ありがとうございました。  大臣から大変適切な御答弁をいただいたんですが、しばらくは国産材を国産材をと言ってみても実はまだまだ戦後の造林が全部伐期に来ているわけではありませんし、伐期齢級に来ている林分の方がはるかに少のうございますから、今でも約三分の二は外材であります。しかし、材質もいいし、一番耐用年数も長くて、そしてその地域の気候、風土にいい木材というのはやっぱり地場産です。これはもう間違いないと思うんです。  実は私の田舎のうちがちょうど建てて百年ばかりになっている家でありますが、家内に、どうもすき間風が冬はすうすうするからもうしばらくしたら建てかえようかねと言いますと、私は一生この家に住むと家内は言っておりますから、やっぱり古いなりのよさがあるんではなかろうかなと思うんです。もう亡くなった祖父が生存中に建てた家が昭和四年ですが、その家だって五十七年になるわけですけれども、全く緩みも揺ぎもしません。しっくいをかえただけで、外面から見ればまだ十年そこそこかなと思えるほど、これからまだ何年ももつなという、そういう耐久性が木造にも私は十分あると思うんです。しかし、やっぱり今の間伐材だけを使ったんじゃとてもでありますから、相当なやっぱり樹齢が必要だと思います。  私は、これから先の日本の造林というのは、かつてのように適正伐期を杉で四十年、ヒノキ四十五年という樹齢から、あとやっぱり適正伐期というのを十年なり十五年なり延ばした形でサイクルを考える方が適当ではないかなと思いますので、大臣の御指示を受けながら、林野庁で特にその辺のことも含めて日本全体の林業政策の育てるべきサイクルのとらえ方もひとつ勉強していただきたいと思うんです。  ここで、先ほど久保田委員からもちょっとありました国有林の話に私も関連して申し上げたいんですが、やっぱり戦後の日本における木材需要を満たす一番の力を持っていたのは国有林だったと思うんです。しかし、それだけに国有林に対する期待が多かったものですから、どんどんいい木が切られていきまして、もうそんなにたくさんの伐期齢級の木を国有林も持ってないはずであります。しかし、切りっ放しではなくて大部分のところは再造林をされました。だから、後育てていきさえすれば裸になることはないと思うんですが、どうも今の債務残高一兆三千億、そしてそれが財投資金ですから六分余りの金利、材価が横ばいであって、人夫賃が全然上がらないという計算をしても、山仕立てというのは六分もの金利を稼ぐことは絶対できません。せいぜいよくいって二分ぐらいだと思うんです。  私も昭和三十年から毎年のように自分で山に行って、それからの五、六年というのはずっと造林をした経験を持って、その山がかなりの大きさになってまいりました。今どの山かを切って植えていきますと、果たしてこの山は造林補助金をもらってしても、なおかつ採算に乗るのかなと思うぐらい厳しいと思うんです。ということから見ますと、国有林の現在の特別会計方式というので、伐採跡地を植林をされた三十年代の山もあるでしょう、四十年代の山もある。そういうのが成木になったときに伐採して材代でもって償還するという、そういうのが試算上成り立っていくのかなと。私は細かくまだ内容を聞いたわけではありませんが、自分で山を切り、育てしてきながら、大体採算に乗る利益部分というのがどれだけならやれるのかということを考えて国有林を想像をしてみますと、乗るはずないなと思うんです。  だから、先ほど久保田委員からもお話がありましたように、私は抜本的に国有林の経営の仕方というのを検討してみる必要があるのではないだろうかなと。ましてや、国民の国有林に対する期待というのは、国という字がつくものですから採算の話なんか全然度外視して、屋久杉をこれ以上切ってもらっちゃ困る、知床の山は切るなという話、それは自然保護という立場なりいろんな立場から、それなりのやっぱりぜひ残したいというその願いが出てくるのも当然でありましょう。ましてや自然公園、その他を公園という形で維持していこうとするならば、経費を投入するだけでそこからは利益はまず上がってこないでしょう。あれもこれも採算に乗らない仕事をやらされて、そして自前で飯を食えと言ったってやっていけるはずはない。となりますと、採算林部分だけを現在のような特別会計方式でやって、どうしても公益的な形で採算に乗らない部分というのは一般会計で見るという部分と、仕組み上分割するか何か、私はこれだけというぐあいに限定して申し上げるわけではありませんが、やっぱりこのあたりで国有林の将来というのがどういうぐあいになっていくかということを検討をしておかないというと、年間予算だって大体一年に五千億ぐらいでしょう。そして材代で入ってくる部分というのは二千億前後、そして土地処分をするのを加えたって二千五百億前後のはずですから。毎年二千五百億円ぐらいは自前ではどうしても収益を上げ得ないという部分。もちろん、約二千四、五百億の中では前の財投借り入れの償還部分というのが一千億余りあるはずですから、丸ごと二千五百億が単年度赤とは申し上げませんけれども、少なくとも幾らかずつは一般会計を相当な幅で投入しなければ現在でもやっていけない。しかも、それが年々年々ふえていくという体質、国民的要請はさっき申し上げましたような多くの要請を持っているわけですから、その国民的要請というのを無視するわけにいかぬと思うんです。国土の保全と自然環境を残して、しかもこれからますますレジャーを楽しむという時代に、自然の中に溶け込んで健全な余暇を楽しむという要請の立場から考えてみた場合も、なかなかに民有林というのはその要請にこたえにくいと思うんです。国有林がそういう要請には大部分こたえていかなければならぬのではなかろうかなと思いますと、やっぱりこのあたりで国有林の未来というのについて抜本的な見直しを考えると同時に、その地帯として見る場合、私は鹿児島でありますから、屋久杉地帯で、もうこれ以上一本も屋久杉を切るなという話がよく出るわけであります。自然保護をとりわけ主張される方々の願いというのがわからないわけではありません。千年も二千年もたってようやくでき上がっている木でありますから。しかし、屋久杉でもって暮らしを立てている島の多くの人たち、直接と間接とを問わず相当な数の人たちが屋久杉を資源として生活をしているという部分を、やっぱりそれも可能な限りお世話できるという調和点を見つけるという視点が必要だと考えますから、後段の方は要請といたしましても、国有林の未来というものに対する、会計方式を含めて、きょうあすにでもどうのこうのということではございませんけれども、抜本的に検討に入る必要があるのではないかなと思うんですが、大臣いかがでしょう。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 先般もあるところで屋久杉の中の縄文杉、弥生杉の議論が出ました。一 体木の寿命というのは何年が普通なんだろうかということ、あるいは屋久杉の原種はどこだというような議論等もいたし、また御意見をいろいろ承り、そして、それに伴うところの地域の人々の考え方というのも聞いたことがあるわけでございます。  ある面で言いますと、国民の貴重な財産というものをうまく保存していきたいという気持ち、そしてまたある面では、山とともに生き、生業としておる方々の生活の道というのも考えなくてはならぬ、そういうことを具体的に私も議論し、考えたときがあったわけでございます。  先般来久保田先生からも御指摘になりましたが、公益林と営業林という問題、国有林野においてもまさに考えなくてはならないところに来ておるわけでございますが、これまた同じように、お答え申し上げましたように、それを簡単に一本の線で引くところの困難さという問題もあります。しかし、私も就任以来、単なる国有林野の考え、在来の考え方でやってはいけないと、この際は大英断を持ち、思い切った方法を何とかみんな知恵を出し合って考えていこうではないか。また累積債務あるいはこれに伴う利子、あるいは償還の来たもの等々もやらなくちゃなりません。  先ほど来お答えいたしておりますが、国有林野部会の御答申の中にもいろいろ私たちがこれから血の出るような努力というよりか、血を出しながらやっていかなくてはならない面もたくさんあると思いますが、全員一致結束して進んでいかなくてはならないと考えておるところでございます。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 今農業関係の問題で、俗に農政批判、過保護論、その象徴としての米の問題、そして食管制度というのが大変議論をされております。そして、この際もう食管制度というのはやめてしまえという議論も随分ちまたにはあるようであります。  このことについて、食管制度をどうされるつもりなのかということをのちほど聞きたいんですが、その前提で、日本はべらぼうにエンゲル係数が高いような話がよく雑誌なりいろんなもので評論家の論説の一番の材料の一つに言われておるようでありますが、世界の幾つかの先進国でのエンゲル係数が大体どういうぐあいになっているかということをお知らせをいただきたいと思います。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 国際比較でございますので数年前の数字になることをお許しいただきたいと思いますが、昭和五十八年の時点におきまして国際比較をいたしますと、日本のエンゲル係数が三〇・四、アメリカが二一・〇、西ドイツが二五・〇、イギリスが三一・九、フランスが二八・三、イタリアが三九・四というような水準でございます。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 後藤長官お答えのように、一般に言われているほど日本のエンゲル係数というのはべらぼうに高いというわけではないなと、今のお答えで見ることができると思う。もちろんアメリカ、これはもう日本の一農家当たりの百倍近い耕地面積ですから三〇と二一というのはやむを得ない数字かもしれません。あとは西ドイツなりフランスというような順番になっていて、イギリスなりイタリアはむしろどちらかと言えば日本よりもエンゲル係数は高い数値が出ているなという、そういうぐあいに読むことができると思うんです。もちろん食料の中身の問題とかいろいろ分析すべき点はあるかもしれませんが、俗にエンゲル係数が日本はべらぼうに高いという、そういう指摘は必ずしも当たらないなという感じがすると思うんです。  ところで、日本のいわば食料支出と総消費支出の割合をエンゲル係数と見ることができると思うんですが、この中で米の占める比率というのは大体どのくらいなんでしょう。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 我が国について六十年の数字で申し上げますと、消費支出額の中に占めますお米の支出額、これが二・三%でございます。食料支出額に占めます米類の支出額ということになりますと八・五というような数字でございます。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 それから、私も自分でずっと農業をやってまいりましたから農政なり農業のことは幾らか勉強さしてもらっていると思うんですが、最近言われております米価の、米の値段の国際比較、いろんな比較論が出まして、その最たるものは、特に国際価格と称されるタイの米の値段との比較は十倍ちょっと超すじゃないかという話。それから、アメリカの米の値段と比べて六・何倍とかなんとかいうぐあいによく言われているようですが、日本は食管制度で米は自由な売り買いができません。一番共通した比較ということになりますと、消費者価格で比べてみるとどうなんだろうかなと。もちろん開きはありましたけれども、以前はこんな開きはなかったなという、そういう感じがするもんですから、雑多な数字の話が出ているもんですから、例えば消費者価格でどうなのか、あるいは同じ因子で比較した場合の価格差というのがどうなのかということがわかっておればお知らせをいただきたいと思うんです。同時に長粒種ではなくて日本人の食味に合う短粒種の価格比較というのがわかっておればお知らせをいただきたい。もしわかってなけりゃ後段は結構ですが。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 農産物の価格を国際的に比較をいたします場合に品質格差をどういうふうに見るかというのは非常に難しい問題がございまして、非常に多くの技術的な困難が伴うわけでございますが、消費者価格につきまして世上二倍というふうなことが、これは農政審に出しました資料で、昭和五十九年十月時点でのILOの調査、ILOが主要な生活物資につきましての価格の国際比較をやっておりますが、それをベースにいたしまして、これはドル建てで表示されておりますが、それをことしの一月から八月までの平均為替レートというようなもので換算をして比較をいたしてみますと、我が国の消費者米価がアメリカの一・九倍、フランスの一・五倍、西ドイツの一・二倍というような数字になるわけでございます。ただ、これ二年ほど前の数字でございますし、最近の事情につきましてはいろいろ新聞などにも出ております。  アメリカの場合と比べますと、非常に広大な国土でございますし、都市によりましても随分値段が違います。それからまた長い米、中くらいの米、丸い米といろいろございますけれども、商社駐在員が米国のニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランドで日本人の食味に合うというふうに言われております国宝ローズ等の銘柄米の平均価格をとりまして、これを先ほど申し上げたような平均為替レートで、このアメリカの調査は六十一年の九月上旬に調べた価格をもとにしましたものでございますが、計算をいたしますと二・四倍程度というようなものがございます。なかなか一本でそのものずばりということを申し上げにくいんでございますが、御参考までに申し上げさしていただきました。

井上吉夫自由民主党

○井上吉夫君 余り時間もなくなってまいりましたので、私は日本における食管制度というのは守っていかなきゃだめだというぐあいに思うんです。  考えてみますと、五十五年に「食糧自給力強化に関する決議」を満場一致でやりました。それから、近くは五十九年の七月に「米の需給安定に関する決議」というのをやりました。おととしの五十九年はどういう意味でこの決議をしたのかなと振り返ってみますと、これは国内の米の需給操作が心配になって、韓国に貸していた分を返してくれということで韓国から返してもらった。減反をして、そして米づくりを幾らか辛抱しなきゃ古米がますますふえるだけで困るよということで国内農家には減反をさせながら、韓国から輸入するとは何事かという大変な、特に農家の猛反発を食って、    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 そして、この際こんな需給操作の見込み違いをしないようにする必要があるなというための決議を五十九年にやってからわずか二年しかたっていません。このことは、私は世界的なやっぱり食糧の 需給というのを考えてみた場合も大同小異ではなかろうかなと思うんです。  私は一九七〇年から今日に至る世界の穀物の需給の推移表をいただいて持っておりますが、七〇年代の大部分の期間というのは大体期末在庫が一億トンばかりですか、この辺が適正在庫ではなかろうかと思うんですが、横にはっていたのが、一九八〇年代、しかもごくこの二、三年急にふえて在庫が二六、七%になったということのために、穀物を自分の国の世界への貿易品目として売っていかなきゃどうにもならぬという幾つかの国にとって大変な問題になった。とりわけその最たるものがアメリカだというところから日本に対する風当たりが大変強くなってきたんではないかと思うんですが、間違いなく世界の人口はだんだんふえていって大体二十一世紀になると六十億を超すんではないかとすら言われておる。それに対応する耕地の面積はほぼ限界に近いところまで来ているんではないかと言われていることを考えますと、世界の食糧の需給状況はいわば先進国間の需給であって、開発途上国の需給関係を見れば、世に言われるとおり飢餓線上にさまよう世界人類の数というのは何億もおると言われるのは数字の上にも出ているようであります。こういう国々がだんだん経済的水準が上がってきて、そして腹いっぱい食べてしかもいいものを食べたいというぐあいに需要がだんだんと上がってきたならば、現在の人口ですら私は過不足とんとんぐらいではないかな、ましてや人口増を計算に入れると、世界的な食糧の問題というのは他の国に食糧を依存していいということは決して言えない。何らかの非常事態、そういうような異常事態を想定しなくてもこういう事態に入っていくことは明らかであるし、ましてや国内ですら食管という制度で米が暴騰することを防いでいこうではないかと。四十八年の石油ショックのときには、とんでもない、かかわりのないトイレットペーパーを買いあさったという、買い手が集中したような話が食糧の世界に来たらどうなるんだという、そのことをもう一遍考え直してみると、食管制度というものは、やっぱり改善できる点があるとすれば、運営操作上の改善点は積極的にやるにしても、この基本を崩したら大変なことになるなというのが私の食管に対する基本的認識ではありますが、今米の値段が国際的に見てべらぼうに高いということが余りにも強調され過ぎて、これが食管制度とも相絡みながら見直し論というものがどんどん出ているために、農家や農業団体を含めて随分と不安に駆られて、自分はあるいはせがれは農業をやっていけるだろうか、もうぼちぼち転職を考えた方がいいんじゃないか、そういう不安のさなかに入っているんではないかと思う。一方、消費者の側から見れば、こういう宣伝がどんどん流れて、必ずしも実態そのままではなくて、誇張されたような形の数字議論なり話というのが世の中に流れますというと、これは特に消費者の方々から見れば不満をますます募らせるばかりでありますから、両者のためにやはり実態を知らせると同時に、農家にはより一層の努力を求めていく、そういうことをこれはしっかりと国民的合意に向けて頑張っていく必要が今ほど切実に感じられることはないんではないかという気がしてならないわけであります。  質問の時間が余計ありませんので、一々細々分割して一問一答式でお聞きした方がお互いにわかりやすかったかもしれませんが、一まとめに申し上げましたので、このことについてのお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。お願いします。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 今おっしゃいましたうちのPR不足といいますか情報が入りまじっておるという点については、ここ二、三日もその問題が出ておると思います。日本のある人がアメリカから米を十キログラム買ってきた、それは国府田米で三千円である。日本はそれを買おうと思うたら六千円するから倍であるというふうに書かれております。ササニシキ、コシヒカリが五千七、八百円、それから日本の標準米は三千七、八百円でございますから、アメリカの国府田米と二〇%も違わないという数字がありますが、それがあるマスコミはすべて二倍以上というように書いておったのがこの一、二日の記事にもあるわけでございます。そういう点私たちもある面でいうPR不足ということはこれは否めないんで、今後はそういった点についてもよく国民に理解と納得をしていただくように御説明申し上げなくちゃならぬ。また反面、国内の農政の問題を考えた場合は、さらにさらに努力して消費者に理解と納得をしていただけるように、農業全般に対する生産性の向上という問題と、それからコストを引き下げるということ、これには血の出るような努力ではなしに、血を流しながらも頑張っていくということが大切である、そして食管制度のその基本は維持しつつ、国民皆さん方の理解と納得の上に安定的に主食を供給していくという機能を発揮していかなくてはならぬと考えておるところでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 最初に農政全般についてお尋ねをしたいと思います。  加藤農林大臣も御存じのように、近年経済成長下で行政改革が進展しております。また対外的には経常収支不均衡是正に迫られているのは事実でございます。我が国は今や国際協調型経済構造への変革の要請が高まってきております。これも御承知のとおりだと思いますが、このような状況の中で農業につきましても体質の強化、あるいはただいまも当委員会において論議されてまいりました内外の価格差の是正、あるいは農業保護のあり方等につきまして国民各界、各層の強い関心が高まっているのも事実ではないかと思うのでございます。当面の農政の最大の課題は何であるか、ただいまも議題となりました稲作を初めとする土地利用型の農業の構造改革問題と農産物輸入自由化問題であると思いますけれども、ここらあたりに対する加藤農林大臣の御所見を伺いたいと思います。  また、あわせて農政審議会は過日新しい農政の長期ビジョンといたしまして「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」をまとめました。その骨子は産業として自立できる農業の確立ということであったと思うのでございますが、農政審の提言を肉づけいたしまして実現していくのが農水省の役目であるのではないかと思いますが、この報告に対する決意もあわせて最初にお聞かせいただきたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) ただいま田代先生御指摘の二つの問題はこれからの我が国の農政上の最重要課題であると私も考えておるところでございます。  まず土地利用型農業ということと農産物の輸入問題との関連でございますが、我が国の土地利用型農業部門というものは、経営規模拡大の停滞ということと、生産性向上の立ちおくれあるいは担い手の高齢化あるいは農産物需結の不均衡といったような問題に直面いたしております。そういう中で、諸外国からの市場開放要求がなされてきておるという基本的認識をいたしております。そういう中で、稲作を初めとします土地利用型農業部門における農業構造の改善というものを可能な限り加速しまして、これに焦点を合わせて諸政策の運営を図りたいと考えておりますし、また国内農業の健全な発展との調和を図りながら農産物市場アクセスの一層の改善に取り組むということでございまして、以上二点を注意しながら、各般の施策というものを国民の各界各層の理解と納得を得ながら積極的に推進してまいりたいと考えております。  それから、農政審の御答申をいただきましたが、御指摘のとおりでございまして、産業として自立し得る農業を確立することであると理解しております。この報告の趣旨を踏まえながら、効率的な生産基盤の整備、先端技術の積極的活用、企業マインドを持った農業経営者の育成、そして大きな柱としまして、競争原理の大幅な導入等、コスト意識に立脚しました生産性向上対策というものを強力に進めまして、効率性が高く国際化にも対応し得る足腰の強い農業というものが確立されていくように全力を挙げて取り組んでまいる考え でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 そこで、産業として自立できる農業となるためには、ただいま大臣の答弁にもありましたとおりに、国内産業との調和もとっていかなくてはならないということでもありましたし、国際的にも対応できる足腰の強いそういう農業にしていかなくてはならないと、こういうお話がありましたとおりに、当然他の産業と同様、生産性、コストを考える必要があるのではないかと思うわけでございますが、ところで、統計上農家の定義というものは、経営耕地面積が東日本で十アール以上、西日本で五アール以上、またこれ以下でも年間販売額が年間十万円以上であれば農家となっておるわけでございますが、現在農政上の農家数は全国で四百三十七万六千戸であるということでございますが、そのうち販売額ゼロが八十四万戸、十万円未満が三十七万戸あるという、こういう一応調べた数値で出ておるわけでございますが、言うならば、このような事実上農業と言えない農家を含めた農政が一律に行われてきたこの事実こそ、今見直す転換が必要ではないかと思いますが、率直な御意見、簡単で結構でございますから、どうですか。

甕滋農林水産省大臣官房長

○政府委員(甕滋君) ただいま先生お話ございましたように、国際化の進展、経済構造調整の推進といった中で、我が国の農業もいろいろな対応を迫られております。その中で、生産性の向上あるいは効率の高い生産体制の確立といったことが求められているように考えておりまして、今度の農政審議会の報告の中におきましても、農業生産の担い手として経営技術にもすぐれた農業経営者を育成する。そのため農地の流動化等の施策を進めまして、規模拡大を図る構造改善のより一層の加速を図る、こういうような観点で指摘されておりまして、私どもとしてもそういった今後育成すべき担い手に対しましてもろもろの施策を講じていく、価格政策の運用等につきましてもそういったところに焦点を合わせていく必要があろうと、こういう考えでございます。  なお、そういった構造政策を進めます上でも小規模な農家、統計上ただいま御指摘ございましたような農家につきましても、例えば村ぐるみで農地の集積を図る、流動化を進めるといった観点からいきますと、そういった方々の農地につきましても、これを本当の農業の担い手である農業者に集めていくと、こういうような関係も一方ではございまして、農政上の視野の中には入れていかなければならないという関係はあろうかと考えております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 この報告ではさらに生産性水準についての試算を体系別に試みてありますが、それによりますと昭和七十年までに例えば米では御承知のとおりに四七%から五四%、麦では二八%から五九%、大豆は四二%から五〇%もの生産費削減が可能であると、このように出ておるわけでございますが、これについて農水省の見解はどうでございますか、簡単で結構でございますから。

田口俊郎農林水産省大臣官房技術総括審議官

○説明員(田口俊郎君) ただいまお話のございました農政審議会の報告の試算でございますけれども、これは高水準の農業のイメージといたしまして、おおむね昭和七十年で普及が見込まれております例えば極めて精緻な輪作体系を組み込みましたり、あるいは技術的にも先進的な側条施肥でありますとか、湛水土壌中直播でありますとか、そういった高水準の技術を組み込んだ技術体系とか、あるいは高速の田植え機や汎用コンバインといった最新の機械を入れ込んだ機械化技術体系、こういうものを前提にしましてそれらが効率的に活用できるような営農や土地などの条件がそれぞれ確保された場合の生産性の水準を算定したものでございます。  現実には近年一部の先進的な事例として、この試算の水準にかなり近い生産性を上げているものが最近はいろいろ、点でございますけれども、出てきております。そこで、この試算のような前提条件が満たされる場合には相当のコスト低減が図れるんではなかろうかというふうに考えているわけです。  そこで、今後低コストの水田農業を確立していくということをねらいにいたしまして、各地域で地域の生産条件に応じた運動の目標などをつくりまして自主性や独創性を生かして多様な取り組みが展開されることが重要であるというふうに思いますので、私どもといたしましては、技術の開発や普及、あるいはさまざまなこれに必要な技術の指導に全力を挙げて着実に進めてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 また大規模経営に取り組む農家の集まりであります全国稲作経営者会議でも高生産性の水田農業の確立についてと題する提言がまとめられております。  御承知のとおりに第一には生産性の高い経営体での生産シェア拡大、第二番目には肥料などの円高差益還元の徹底、第三番目には土地基盤整備の充実というようなことでございますが、数年後に稲作全体として、ここにおいても三割程度のコスト引き下げは十分可能であるとしてありますけれども、この提言についての見解はいかがでございましょうか。

田口俊郎農林水産省大臣官房技術総括審議官

○説明員(田口俊郎君) ただいま田代先生からお話のありましたように、全国の稲作経営者会議、大体千人ぐらいの会員がございますが、これは大変稲作でも規模の大きい農業経営者が中心になって組織しておるわけでありますけれども、そこで今先生お話のございましたような考え方を公表されたことについては私どもも承知をいたしております。  そこで、稲作のコストの引き下げということは緊急の課題であるわけでございまして、提言にもありましたように、稲作の抜本的な改善に取り組む、そういった大規模な農家でありますとか、あるいはそういった農家を中心にした生産組織が、現状ではさっき私が触れましたように点的な存在ということではあるわけでございますけれども、それらの農家の中では労働時間も大幅に低減しておりますし、生産費も相当低い生産費で生産をされている、そういう実情があるわけでございまして、恐らくこの経営者会議もそういう経験をベースにしながら皆さんの意向としてこういったことを提言してきたというふうに受けとめております。  そこで、今後とも私どもとしては、稲作を含めた水田農業全体の生産性を上げていく、こういう考え方に立ちまして、圃場条件の整備なり、あるいは土地の利用の仕方をまとめるとか、あるいは作業の受委託をもっと進めるとか、担い手を中心にして団地化を図っていくとか、先ほど私が触れました機械化の効率をもっと上げていくとか、あるいは技術の開発普及をもっと進めるといったことを全体として力を入れまして、今お話しのような方向に進めていってはいかがかというふうに考えているわけでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 農家を専兼別に見てみますと、兼業の八六%とそれから高齢専業農家の五%を除きますと、中堅となる働き手のある専業農家は一〇%以下になるわけなんですね、数字の上では。  また、兼業ではその八〇%は御承知のとおりに第二種兼業でありまして、さらにその七四%ぐらいは恒常的勤務者である、こういう数字が出ております。  このような状況下にありまして、小規模農家が農業から離れられないその原因というものは一体どこにあるのか、まずこれもお答えいただきたいと思いますし、ただいまも御答弁の中にもありましたが、農家の経営規模の拡大を図るためには今申し上げました離農を阻むさまざまに絡み合った要因というものを一つ一つ解きほぐしていかなければならないと思うわけでございます。それがなければ実現できないと思いますが、その取り組みについてはどのようにお考えであるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 今御指摘のような形でございまして、やはりそれは地価がかなり高くて農地を資産として持つ傾向が極めて強い、あるいは今御指摘のように、農家にいて、農家から兼業先まで通勤をするという形がかなり多い、それか らまた、最近は稲作技術に代表されますようにかなり技術が平準化いたしておりますので、第二種兼業農家あるいは老齢農家でもかなり稲作ができるというような形で、なかなか農地が手放されないという状態になっているわけでございます。  私ども、ただその中でちょっと特別のといいますか、注目しなきゃいけない事情として見られておりますのは、一つは、後継ぎのいない、つまり後継ぎが同居をしていない六十歳以上の世帯主のところの農家というのは現在大体五十一万戸ございまして、恐らくこの人たちが隠居をして農業をやめるときに、後継ぎが戻ってくる場合は別として、後継ぎがもう都会に出ていって農業をやらないというような場合が相当考えられると思っています。そのときに、つまり今後継ぎが同居していない農家が隠居するときに農地の流動化、つまり、つくり手がいないものですから貸したりあるいは農作業の受委託に出すというような話がかなり大幅に出てくると考えております。  それからもう一つは、兼業農家、今お話しのような第二種兼業農家が相当ふえていますけれども、私どもが考えていますのは、その中で第二種兼業農家が自分の生きがい、あるいは自分の食生活の充実のために二反歩とか三反歩、つまり二十アールとか三十アールとかいうものを自分で自分の家の食べる量の米をつくるとか野菜をつくる、それは結構だと思うんですが、その余の部分の農地はむしろ中核農家といいますか、担い手農家に貸してもらいたいし、そういう方向を推し進めなきゃいけないと考えているわけであります。  そこで、私どもが今農用地利用増進事業といいまして、地域ぐるみの話し合いをやりまして、その話し合いをいわばあっせんしたり進めたりしている流動化推進員という人を、それぞれ市町村の段階で農業委員会の委員などにお願いいたしておりますが、そういう運動を通じて地域ぐるみの話し合いをして中核農家なり営業集団なりが農作業を請け負ったり、あるいは農地を借りたりして、第二種兼業農家の土地を借りたりして規模を拡大していくというようなことを今一生懸命進めているところでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 現在、一戸当たりの米の作付面積は八十七・七アールぐらいであるということを聞いておりますけれども、大まかにこれ百アールとして見ましても一割の農家が十ヘクタールに規模拡大すると仮定いたしますと、数字的には残る九割の農家が離農するということに計算上なるわけなんです。離農するにはその後の生活の安定が確保されなければなりませんけれども、今後の農政の方向として規模拡大を実現させるためには、農水省としても離農者の雇用問題、生活の安定を当然考えていかなくてはならないのではないかと思うわけでございますが、この問題につきましては、雇用問題ということになりますとすぐに労働省というような言葉も出てまいりますけれども、労働省や他人任せにしておってはならないし、農水省が中心になって考えるべき問題ではないかと私は思います。また、今日のような円高不況下で兼業農家が農業をやめるということも難しいという面もありますが、今後どんな対策を考えていくのか。今もお話が、答弁の中に話として出てまいりましたが、高齢化して後継ぎのない農家も多くなってきている状況であります。このまま自然減少していくのを待つというのであったならば、農政としてこんな無為無策な農政はないと言わざるを得ない面がありますけれども、どうするのか。ここに今後の農政のあり方という問題点が大事になってくるわけでございますが、その農政のあり方のポイントといいますか、生産者向けに主眼点を置いた施策でなくして、コストを下げる努力を含めて消費者のニーズを考えた対策も必要ではないかと思うのでございます。ここらあたりにも今までの農政と少し方向転換をした考え方を持たざるを得ない面があると思います。消費者への対応が不十分で、国民やあるいは最初に加藤大臣が申されましたとおりに他の産業界との競争をしていかなくちゃならない、また産業界の理解を得なければならない、そういうことがなければ二十一世紀へ向けてのビジョンは厳しいものになると私は思いますけれども、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

甕滋農林水産省大臣官房長

○政府委員(甕滋君) ただいま先生から御指摘の、これからの農政の展開の上で、生産者のみならず消費者の立場に立った施策が必要であるといった点は全く私どもも同様に考えております。  これまたお話にございましたように、この問題は農業、これは食品産業、流通等も含めましてコストダウンに努めてまいる、その中で国民の納得し得る価格での食糧の安定供給というものに努めていく必要がますます大きいというふうに考えております。また、直接消費者あるいは実需者のニーズを的確に把握していくというための対策もより充実をしていかなければならないと考えておりまして、価格政策等においても、例えば品質の問題等もより重視をしてまいるということもこれからの課題であろうかと思っております。さらに申し上げますと、食品の安全性の問題、あるいは品質向上、商品選択に資するための規格表示の拡充、適正化、消費者啓発、もろもろの課題もあろうかと思います。また、そういった生産、加工、流通あるいは消費、こういった各分野にわたる施策につきまして、その関係の方々と農林水産省あるいは農業サイドの方々との対話をより深めまして、積極的にそういった機会をつくりながら、国民各界各層の御理解と御協力のもとに今後の農政を進めてまいる必要があると考えております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 次に、米の問題に移りたいと思いますけれども、国内的にも国際的にも厳しい状況下にあることは御承知のとおりでございまして、我が国農業の中でも米を取り巻く環境は一段と厳しいものがあります。国内的には、行政監察の対象となりました食管制度の問題がありますし、また国際的には、今まで我が国農業の基幹作物として国内では聖域視されてまいりました米にまで市場開放を強く求められております。その背景に、国民の関心を集めている米の国際比較、つまり日本の生産者米価がアメリカの米に比べて五倍ないし六倍という異常な高値にあるという状況がございます。  これらの点につきまして、先日の農政審の重要な課題として討議されたと思いますけれども、まず最初に、農政の責任者でございます加藤大臣はどのように対処をされるのか、お答えを伺いたいと思います。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) お米の内外格差の問題につきましては、先ほど生産者段階で比べるか、消費者段階で比べるかというようないろいろな御議論もございました。先生、今お話ございましたように、生産者価格で比べますと相当大きな開きがございます。これは縮小をしてまいりますには、何と申しましてもやはり生産性の高い稲作生産構造を確立をしていくということが必要でございまして、そのために圃場条件の整備でありますとか、営農条件等いわば農業生産の基礎的ないろんな諸条件の整備、それから経営規模の拡大、生産組織を含めました担い手の育成とか技術の開発普及、あるいは効率の高い土地利用の推進等々を通じまして、水田農業の一層の生産性向上に向けまして各般の施策を集中をさせていくことが必要だと思っております。先般決定をいたしました水田農業確立対策と申しますものも、そういった点に一つの重要なねらいを定めた新しい政策方向というふうに私ども考えているところでございます。  そういったことを前提にいたしまして、米価政策の運営、米価決定をいたします場合にも、一つは膨大な潜在需給ギャップがあるということを考慮をいたしまして、生産抑制的に生産を刺激しないように決定をしてまいりますと同時に、今お話のありましたような今後の我が国の稲作の担い手、生産性の高い担い手がその生産シェアを伸ばしていけるような、そういう米価にしていくという配慮を今後強く加えていかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 次に、臨調答申等から指摘されております水田利用再編対策費の問題について伺 いたいと思います。  水田利用再編対策の実施目的は、稲から他の作物への転作等を行う農業者に対しまして奨励補助金を交付し、過剰な生産基調にある米の生産調整を図ることでありますけれども、そのために巨額の財政支出をされてまいりましたが、その成果に対しまして評価は、ほぼこの目的を達成したという意見と、失敗に帰しているという意見とに分かれております。そこで、これまでの米の生産調整に対する評価についてどのように見ているのか、これは加藤農林水産大臣から、また、大蔵省からお伺いしたいと思います。  また、あわせて、昭和五十四年十二月十九日の財政制度審議会報告の中で、「水田利用再編対策については、農政全般との関連にも配慮しつつ、この際、長期的な視点から、奨励補助金単価の水準や交付期間の見直し、」「等本対策の基本にさかのぼった検討を行うことも必要であろう。」との指摘がなされております。御承知のとおりだと思いますが、この近年の米の需給事情というものは潜在的に生産過剰基調にありますし、一層深刻化している状況ではないかと思います。つまり、転作等の生産調整を進めれば進めるほど単位面積当たりの財政負担が増加し、内外価格差は増大する一方であることは御承知のとおりでございますが、そこで、指摘の対象となった転作奨励金の使用額及び使用状況をどのように見ているのか、これは大蔵省からお答えいただきたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 米の生産調整につきましては、昭和四十六年度に開始して以来、全国の稲作農家の理解と協力を得て着実に実施してきたところでございますが、この結果、米需給の不均衡の是正に資してきたと、最初からねらいでございますから、ところがあります。また、全国各地で果樹等への転作の定着化が図られてきたと考えておりますが、米に匹敵する収益を上げているもの、あるいは、さらにはブロックローテーション等、転作を契機に地域農業の再編成を図ろうとする動き等が見られているところでございます。  とは申しましても、二千年の歴史を有し、我が国風土に最も適しておる稲作を中心とした農業の生産構造を需要の動向に即して再編成することは、なかなか容易ならざる課題であると考えておるところでございます。そして、米そのものにつきましては依然として生産力が需要を大幅に上回っておりまして、今後においても需給ギャップが拡大することも見込まれておりますことから、稲作と転作を通ずる生産性の向上、地域輪作農法の確立及び需要の動向に応じた米の計画生産を生産者、生産者団体の主体的責任を持つ取り組みを基礎にいたしまして、一体的に推進することを趣旨としまして、先般、昭和六十二年度からの水田農業確立対策を六年間の期間をもって実施することとしたところでございます。対策期間中、構造転換等を図りながら転作の定着を推進していく考えでございます。

竹内克伸大蔵省主計局主計官

○説明員(竹内克伸君) 御案内のように、三十年代までは米はいささか供給不足基調でございましたけれども、四十年代に入りましてから供給過剰基調に変わったわけでございまして、四十年代の前半に相当多量の過剰米の発生ということを見たわけでございますが、その直後から稲作転換事業が始まったわけでございます。  先ほどの御質問にございました稲作転換事業を十五、六年以上続けているわけでございますが、この評価につきましては、ただいま加藤大臣からの御答弁にもございましたように、稲作転換自体が毎年毎年達成されてきている、かなりの部分について定着も図られてきているという意味におきましては、所期の目的を達成してきているというふうに考えることもできますが、他方で、基礎的な米の需給ギャップ自体はむしろ拡大の基調にもございますし、途中で第二次過剰というようなこともございました。稲作転換の定着そのものにつきましても必ずしも十分ではないというような御議論もございます。  御指摘の財政負担の面から申し上げますと、この間に四兆円弱の財政負担を続けてきております。昭和六十一年度予算につきましても約二千三百億の財政負担でございますが、農水予算全体の中でもあるいは食糧管理の中でもかなり大きなウエートを占めているわけでございます。そこで、このような財政負担のあり方につきましては、先ほど御指摘にございました財政審でもそうでございますが、臨調、行革審あるいは農政審等におきましても、その財政支出のあり方としてどうであろうかという議論が何度もなされまして、奨励金依存からの脱却を図るべきではないかという御指摘をいただいているわけでございます。  しかしながら、御案内のように、需給ギャップの問題もあり、六十万ヘクタールから七十七万ヘクタールと相当大きな稲作転換を今後進めていかなきゃいけないということ自体は大変に大きな事業でございますし、なかなか複雑な問題を抱えているということでもございますので、財政負担のあり方につきましても、いわば今までの奨励措置という考え方をもう一度検討をし直しをする必要があるのではないかということで、いわば、先ほど来御議論のございますような、足腰の強い農業、より競争的な要素の入っていく農業、そういう方向にこれから農業を転回していくことが最重要課題となっておりますので、そのための構造政策、価格政策あるいは食糧管理制度運用の問題、もろもろの施策を集中していってそういう目的を達成していくというそういう過程の中で、耕種農業につきましては水田農業確立対策ということでこのたび農政審から御報告をちょうだいしたわけでございますが、そういう中で、この奨励措置のあり方も考えていく必要があるということで、奨励の目的でありますとかねらいでありますとか、あるいは体系、あるいは奨励の単価問題、その他奨励措置の全般にわたる再検討がこのたび行われて、先般公表されたような状況に来ているというふうに思います。  稲転事業そのものは大変難しい、大きな事業だと思いますけれども、農業全体の動きの中であるいは農政の中で解決すべき問題ではないかというふうに考えております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 ただいまお二人からの御答弁がございましたとおりに、米の生産調整というのは、昭和四十六年以降、稲作転換対策、水田総合利用対策、水田利用再編対策を実施いたしまして既に十六年間を経過いたしまして、その間、約四兆円という御答弁がありましたが、正確には三兆九千億円ぐらいではないかと思いますが、これを要しても依然として米の生産過剰は解消されてない、これが現実でございまして、だから果たして米の生産調整対策は、これ、いつまで続けていかれるのか、現時点において明確にできる範囲内で農水大臣及び大蔵省に伺いたいと思いますし、本年は生産者米価の生産費が低下しているにもかかわらず米価が据え置かれたことや、生産者米価の異常な内外格差問題を契機とした米に対する国民の批判には根強いものがあります。これはもう御承知のとおりだと思いますが、こういうことに対して、政府としても米に対するこれまでの考え方を転換し、思い切った改善策を打ち出さないと国民の理解が得られない時期に来ているのではないか。今さっきも質問したことに対して答弁が一部ありましたけれども、さらに私はこういう感じを強くするわけでございます。特に、米については生産過剰基調にあることに対応して、政府が農家から米を買い上げて保管する米の数量は今後は非常の場合に必要とする数量を買い入れる、農家の自家消費を除いたその他の米については米市場で価格を決定することによって需給数量も調整させるという、いわゆる部分管理の考え方があるということが言われておりますけれども、これについてはどのようにお考えであるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 先ほど三兆九千億円あるいは四兆円あるいは三兆八千億円と言われましたいわゆる減反政策に要した金、それから片一方、私たちが忘れてはならないのは過剰生産に伴うところの過剰米処理につぎ込んできた三兆円、合わせて六兆七、八千億円の金を、もし生産基盤 の方につぎ込み、あるいは経営規模の拡大を行い、あるいはまたそれ以外の生産性向上につぎ込んでおったらなという、過去に対する大きな反省というのがあります。そういう点を踏まえ、そしてまた先般来農政審議会の答申をいただき、先ほど来いろいろな先生方から御質問がありましたようなコスト低減の方法等、試算の前提はいろいろあるわけでございますが、こういう点を念頭に置きながら、要は消費者に納得をしていただける米価というところに持っていかなくてはならない、こう強い決意を持っておるところでございます。  それから、いわゆる部分管理方式の場合の御質問あるいは御意見がありました。この場合、いろいろな問題が起こってくると考えておるわけでございまして、需給あるいは価格の安定に配慮すればするほど部分管理の割合を高く設定せざるを得ないということになりはせぬか、これを高く設定するほど部分管理の意義が逆に薄れてくるんではないか、しからばこの部分管理の割合を低く設定しますと今度は需給と価格の安定というのが図られないようになるんではないかとか、この部分管理の割合の設定は、ある面、試行錯誤の連続とならざるを得ないんではないかというような勉強もいたしておりますし、また流通量の一部分の管理でございますから、制度の仕組み、需給状況いかんによっては政府の管理するものが売却できなくなるという事態が発生する、あるいは財政負担の面でも現在よりも逆に減少しない、あるいは増大する事態もあり得るんではないか。多くの問題があると考えられるところから、現行管理制度にかえてこのような部分管理方式を採用することは現在の時点において私は適当ではないと考えておるところでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 次に質問を移します。  本年度で五十三年度から三期九年続いてまいりました水田利用再編対策は終了いたしまして、来年度から新たに二期六年からなる水田農業確立対策が実施されることになりましたけれども、今米の政策の転換が論議されている中で作成されました本対策の基本的な考え方と目標、さらに実施期間を二期六年とされた理由について、時間も余りございませんから簡単にお答えをいただきたいと思います。

浜口義曠農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(浜口義曠君) 水田農業確立対策でございますが、この点については大臣からお話を申し上げたとおりでございまして、稲作と転作を通ずる生産性の向上あるいは地域輪作農法の確立、さらに需要の動向に応じた米の計画生産を一体的に推進するというのを基本的な考え方としておるところでございます。この点につきまして、現行対策と比較しながら特徴を挙げますと、四つの点に集約されるんではないかというふうに考えております。  一つは、水田における稲作、転作を通ずる生産性の向上あるいは地域輪作農法の確立といいました水田農業の体質の強化というものを中心に据えた点でございます。  第二番目は、生産者、生産者団体の主体的な取り組みを基礎に、生産者団体と行政とがいわば車の両輪のごとく一体的に推進するということにした点でございます。  第三番目に、本対策の推進のための助成につきましては、従来の米から他作物への転換を重視した奨励措置にかえまして、構造政策を重視した水田農業の体質強化を図るという観点に立って再編成を行うということにした点でございます。  最後の点でございますが、転作等目標面積の配分に当たりまして将来とも我が国農業、稲作生産を担う地域あるいは担い手層において米の生産の大宗が担われるよう配慮するということにした点でございます。  なお、先生御指摘の期間でございます。この点につきましては、強い体質を持った水田農業の確立を図ること、あるいは長期的な観点から農業の将来を見通し、かつ経済社会情勢の変化に対応できること、それから対策の終了時間においての奨励期間からの脱却を図る必要があること等々の要請に配慮いたしまして、六年間とした次第でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 今回の対策では、転作目標面積を前期においては七十七万ヘクタールに設定しておりますし、これは三期対策の六十万ヘクタールに比べますと十七万ヘクタール増加をいたしまして、転作率にしますと、全国平均で二七%を超える、こういう数字が出ておるわけでございますが、ざっと全国の水田面積の四分の一以上を転作して米の計画生産に取り組まねばならないことになるわけでございますけれども、このように大きな転作目標を都道府県、市町村及び農業者別に配分する際の基準として、各地域の生産コストをどの程度考慮に入れていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思いますし、また生産コストの高いところで転作を実施すること、これは言いかえますと、生産コストの低いところで稲作を行うことが低米価の実現を可能といたしまして、今内外からの批判が出ておりますこれを緩和いたしまして、米の消費の拡大にもつながると思いますけれども、あわせてお答えをいただきたいと思います。

浜口義曠農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(浜口義曠君) 転作面積の配分の場合における生産コストの配慮の問題でございます。この水田農業確立対策、いわば前期の三年間の転作目標の配分に当たりまして関係者の御意見を伺いまして、あるいは生産者団体との協議というものをしたわけでございます。この対策の水田農業確立という基本理念のもとに農業生産の地域特性であるとか、あるいは排水条件、圃場整備状況等の土地要件あるいは農業、稲作を担う地域の担い手の状況等々の十の要素を基礎といたしまして、地域の農業の実態を踏まえまして円滑に実施し、公平確保にも配慮する等の総合的な勘案を行った上で行ったものでございます。この場合につきまして、現行の対策におきましても米に関連いたしまして自主流通米の比率であるとか、あるいは水稲の被害の問題とか、そういったことで勘案いたしました部分、七つの要素がございますが、特に新たに稲作の生産性を要素といたしましてこの点についての配分を、今申し上げました十項目でございますが、その中に特に入れまして配分をさせていただいたところでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 現在までのところ転作作物の定着のために多額の転作奨励金が支出されてきておりますけれども、特に麦や大豆、飼料作物等については特定な作物として重点が置かれてきました。しかしながら、大豆について見ますと、その自給率は相変わらず五%前後を低迷しているのが実情ではないかと思いますし、一方、大豆生産に対しては不足払い制度による強力な保護措置が実施されております、御承知のとおりに。これは標準価格をはるかに上回る基準価格を生産者に保障いたしまして、その差額を大豆交付金として国が拠出するものであって、昭和六十年度産に対する交付金総額は約三百十億円に上るものと見込まれております。今回の対策においては転作奨励金の削減が行われましたけれども、この大豆生産については転作奨励金と交付金という二重の保護措置が存在するという実情は変わっていない。また大豆の自給率が低迷する中でこのような二重の保護措置を続ける意味と今後の方向についてお伺いをしたいと思います。  また、これまで政府は四十六年度から四十九年度までの第一次と五十四年度から五十八年度までの第二次の二回にわたりまして過剰米の処理をしてまいりました。これまでの経過とこれに要した損失補てん額、総額はどのくらいか。また最終的にどのくらいになるのか、お答えいただきたいと思いますし、このような財政負担を生じたことを考えると、今後過剰米が発生することはどうしても避けなくてはならない。今も御説明がありました今回の対策を見ると、さまざまな対策が盛り込まれておりますけれども、これらの対策でこれ以上の過剰米を将来にわたって出さないという自信が農水省にあるのかどうか、あわせてお答えいただきたいと思います。

浜口義曠農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生のお話の前段の大豆の関連につきまして私から簡単に御説明申し上げたいと思います。  大豆の価格政策につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、昭和三十六年の大豆の輸入自由化の影響に対応するための措置といたしまして、畑作の大豆を含めまして交付金制度により政府による不足払いの実施というのが行われておるところでございます。また一方、水田再編対策と申しましょうか、転作奨励金につきまして水稲から大豆等の他作物への転換によりまして農業生産の再編成を進める観点から交付されてきておるわけでございまして、両者は制度的にそれぞれの政策目標を異にしているところでございます。この点につきましては、国産大豆につきましては、先生五%の自給率のお話をされましたが、転作大豆を中心にいたしまして昭和五十三年から生産力がやはり増大をしておりまして、食用大豆の自給率だけ見ますと、水田利用再編対策実施前の五十二年の一九%から五十九年には三三%に向上しているという姿が見られるところでございます。  なお、先ほど来お話し申し上げております水田利用再編対策の後にまいります水田農業確立対策、六十二年から新たに発足するわけでございますが、この助成の取り扱いにつきましては従来の作物区分を簡素化をいたしまして大豆、麦、作物等、ともに一般作物として位置づけることとしているわけでございます。  全体といたしましての転作目標、転作面積、これも先生御指摘のとおりでございますが、六十万ヘクタールから七十七万ということで次期対策、水田農業確立対策が発足するわけでございまして、その中では転作作物の大宗を占める土地利用作物の中では、従来どおり重要な位置を占めるということが予想されるわけでございます。いずれにいたしましても、今後の両制度の適切な運営等安定的な大豆の生産に努めてまいる所存でございます。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 過去の二回の過剰米処理の経過でございますが、先ほど大臣も簡単にお触れになりましたように、第一次過剰処理につきましては約七百四十万トンを工業用、輸出用、飼料用向けに処理をいたしまして、これに伴います直接的な損失額約四千三百億円を四十六年度から五十四年度までに補てんをいたしました。  また第二次過剰につきましては約六百万トンを処理を五十八年度までかけてやりまして、これに伴います直接損失額約九千七百億円のうち、六十一年度までに七千七百億円の補てんを行いまして、残額を六十四年度までに補てんをするという予定になっておりますが、この処分に伴います直接の損失以外に、買い入れましたときから処理するときまでの金利、倉敷等がございまして、そういうものを含めました総損失額ということになりますと、一次過剰で約一兆円、二次過剰で約二兆円、合わせまして三兆円ということでございますが、農林水産省の年間の総予算の金額にほぼ匹敵するというような大変な財政負担をして過剰処理をいたしたわけでございます。私どもこういった非常に苦い経験を踏まえまして、三度の過剰の発生というのは絶対に起こしてはいけないということで、今回の水田農業確立対策の円滑な推進とあわせまして、食糧管理制度の運営におきましても、過剰米等の発生によりまして政府米にその需給のしわが全部寄りまして、豊作が続いた場合にあっという間に膨大な在庫が積み上がるというようなことを避けますために、買い入れなり売却、両面におきまして事態に応じた対応、特にきちんきちんと計画的に販売をしていく。それから生産予定量を上回って生産が行われまして、政府が主食用として回転して売ってまいれる限度の数量、上限を私ども大体百五十万トンというふうに考えておりますが、それを上回るような持ち越し在庫が見込まれます場合には、集荷団体におきまして自主流通米の、超過米の自主的な調整保管・売却を行う。そしてこういったことをやりながら、なおかつ在庫数量が過大になるというふうに見込まれます場合には、転作目標面積とか、あるいは限度数量というのはできるだけ安定的なことが望ましいわけでございますけれども、三度の過剰発生の心配が非常に強く出てきたというような場合におきましては、そういった限度数量なり面積についても調整をすると、こういった措置を考えまして三度の過剰を何としても回避をしたい、こういう決意で臨むつもりでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 最後の質問ですけれども、食管会計の赤字は調整勘定で一般会計からの繰り入れと調整資金で整理されておるわけでございますが、ここ数年は赤字が当初見込みより少なくて済んだため調整資金の残高が少しずつ増加をいたしまして、財政事情が極めて厳しくなった五十九年度以降は一般会計の繰り入れは赤字見込みより少ない額にして、調整資金をその分だけ取り崩すことで処理してまいりましたが、六十一年度は予算では赤字は四千九十八億円見込まれているのに、一般会計からの繰り入れというものは御承知のとおりに二千九百六十億円にとどまり、調整資金の残高はたった五十億円になる予定でありますけれども、六十年度の赤字が見込みより少なかったので資金の残高はこれより多くなるかもしれませんけれども、一方六十一年度は豊作で政府の買い入れ量がふえれば今度は赤字幅は大きくなるということになりますけれども、六十一年度の見通しというものをどのように見ていらっしゃるのかお答えいただきたいと思いますし、このように調整資金が底をついたので六十二年度は赤字額を丸々一般会計から繰り入れなくてはならなくなりまして、五十九年、六十年度のように少な目の繰り入れで済ますことはできなくなりまして、六十二年度予算というものは極めて厳しいことになるんですけれども、どうするのか。心配なのは、このツケをまさか消費者の方に回して消費者米価の引き上げということを農水省は考えていないと思いますけれども、このことは大臣にしかとお尋ねをしたいと思います。  あわせて、過日の予算委員会で中曽根総理は、食管を時代に適合するように変える必要があると、答弁されておりますけれども、一方農政審報告では中期長期的に検討を深める問題と述べるにとどまっておりますけれども、食管制度に対する明確なお考えも最後に加藤大臣からお聞きをいたしまして質問を終わります。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 食管会計の問題について私から事務的な数字の面もございますのでお答えを最初にさしていただきたいと思います。  六十一年度の食管会計の見通しにつきましては、御指摘のとおり六十一年産の米、表両方とも豊作でございまして、こういった、それは会計上は負担増の要因になるわけでございますが、他方金利が大幅に低下をする、あるいはまた円高というようなことでの負担軽減が一方で見込まれるということがございますので、損失額は予算で予定をいたしました、先ほど先生のお話しになりました金額は下回るものというふうに考えております。したがいまして期末の調整資金も予算計上の五十億に六十年度の決算で繰越増になりました四百三十六億円を加えました四百八十六億円をかなり上回るというふうに見込まれますけれども、六十一年度の予算期首の千百八十八億円に比べますとかなりの減少は避けられないものというふうに考えております。  六十二年度の食管予算の編成というようなことにつきましては、この損益に大きく影響いたします米麦需給等の見通しにつきまして現在検討中でございます。はっきりした見通しをまだ申し上げられる段階にございませんけれども、一般会計からの繰り入れの確保に努めますと同時に食管会計の運営の改善、合理化にも努力をしてまいらなければいけないというふうに考えております。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 私もお答え申し上げておるわけでございますが、今までいろいろの場所で、食管制度の基本は、あるいは根幹とか基本とかという両方の表現をいたしておりますが、これを維持しつつ、そのときそのときの情勢に応ずるように持っていきたい、そして集荷、販売両面において市場原理あるいは競争原理をなるべく導入していくようにいたしたいと、こう思っておるところでございますし、先般の農政審の答申を十二分に踏まえながら、今申し上げた線で運営してい きたいと考えておるところでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 初めに日ソ漁業交渉についてでございますが、日ソ両国は協定に基づきまして相互に相手国の二百海里水域内におきまして漁業を行ってきたところでありますが、本年も十一月二十六日から来年の漁獲割り当て等を決定する日ソ漁業委員会が開かれております。報道によりますれば、去る六日に基本的合意に達しまして数日中にも正式調印がされることとなっていると聞いておりますが、しかしその内容は、これまでの相互主義に基づく無償部分のほか初めての有償部分設定、着底トロールの操業制限の拡大、洋上買い付けの開始等、これまでの日ソ漁業関係が変化しつつあることを示しております。  そこで、今回の委員会の概要、結果及びこれについての政府の所感、本結果の我が国漁業者に与える影響、また今後予想される我が国漁船に対する規制の強化、着底トロールの禁止等への対応策につきましてお伺いいたします。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 今回の日ソ漁業委員会の協議の経過につきましては、先生もう既に御承知でございます。六日に大筋合意したわけでございますが、合意の内容について一応まず申し上げますと、日本漁船に対する漁獲割り当て量は、無償入漁二十万トン、有償入漁十万トンの合計三十万トンということになるわけでございます。ソ連漁船に対する漁獲割り当て量は、無償入漁のみで二十万トンということになっているわけでございます。日本側はソ連側に十二億九千万円を入漁料というような形で支払うということになっておるわけでございます。近年の日ソ間の二百海里漁業協議は、ソ連側が実質等量主義を打ち出しました。このため、協議が難航するだけでなく、双方の漁獲割り当て量を削減して決着するという我が国漁業にとっても極めて厳しい結果となってきたわけでございます。今回の大筋合意の内容につきましては、両国が無償で与え合う漁獲割り当て量について本年に比べて五万トンの上積みが行われた、それから金銭支払いという新しい枠組みにより着底トロールによる漁獲に十万トンの割り当て量を確保することができた。さらにまた、一番日ソ両国にとってもいい漁労の時期というものは冬になるわけでございまして、したがいまして明年一月一日から操業を確保できるようになったというメリットが出る。こういう点で一応評価ができるのではないかというふうに考えるわけでございます。  有償になったということについて、これをどう評価するかということでございますけれども、これは国際的に最近の傾向といたしまして、自国の資源、二百海里の資源はできるだけ有利に使おうという傾向が、これはアメリカにつきましてもニュージーランドにつきましても、世界の趨勢になっているわけでございまして、そのような流れを前提にして今後の交渉に臨まなければならないわけでございまして、十二億九千万、決して低い金額ではございませんけれども、私どもとしては経済的に成り立ち得る水準であるというふうに判断しているわけでございまして、そのような意味でこの評価につきましては、これは私どもが評価するというよりも漁業者の方がどう評価されるかということでございますが、先ほど申し上げましたような点から見れば、まあまあの結果ではないかという評価を与えていただけるんではないかというふうに考えているわけでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 水産庁は五十九年十一月にも会計検査院から処置要求を受けていますけれども、それは漁港整備事業に関するもので、長期計画の策定に当たりまして、漁港整備とこれに関連する諸施設との間の調整が不十分であったり、計画の見直しを行わずに事業を続けたり、漁業情勢の変化に対応した計画の見直しをする必要があったのにそれをしなかったため、またある県の漁港修築事業では、漁港の岸壁を二百九十メートルでよかったのに三百二十メートルも余計に造成してしまったというようなことで、事業費で約二十八億円、そのうち国庫補助金約十五億円がむだに使われたとして指摘を受けており、今後は各県などにその業務を適正に実施させるとともに、水産庁でも計画の審査を的確に行うようにという是正改善の処置要求があったわけであります。  これは五十八年度の決算検査報告に掲記されておりますが、この処置要求を受けて水産庁としてはどのような対応をされたかということをお伺いしたいと思います。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 私ども五十九年度におまきして、五十八年度のただいま先生からお話もございました会計検査院指摘の趣旨に従いまして、漁港整備を計画中または実施中の漁港について指摘のあったような事項がないかどうか総点検をまず実施することにいたしました。それからまた、流通施設等の整備と関連施策の調整が不十分であるという点の御指摘がありました。  これにつきましては、漁港沿構拠点整備事業等連絡協議会というものをまず庁内に設けまして、これを同様に都道府県段階にも設けていただくように指導したわけでございます。  それからまた、最新のデータを把握することがやはり事業計画を常にアップ・ツー・デートなものにするために必要であるということで、港勢調査というふうに私ども申しておりますけれども、それぞれ事業実施中あるいは計画中の漁港についてのデータをできるだけ早く収集整備するような体制をつくったわけでございます。  このような点も含めまして、検査院指摘事項の趣旨の徹底を図るため、これは当然のことでございますが、都道府県等に対して通達を行ったわけでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 水産庁がとられました処置としては、今お話がありましたように決算報告にも掲載されておりますけれども、もう一度お聞きしますが、総点検は行ったのかどうか、行ったのであればその結果はどうであったのか、検査院から指摘を受けたのと同じような事例がほかにもあったかどうかということを伺いたいと思います。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 総点検、それからさらにまた先ほども御説明いたしました連絡協議会の設置、こういうことを行った結果、まず現在実施中の事業について計画変更を相当数行ったわけでございます。それからまた、これは大変お恥ずかしい話でございますけれども、当該漁港に水揚げをすることを前提に漁港の整備をやっておりまして、一方で陸揚げ港の指定という手続が漁港法に基づきまして必要でございますが、そのような手続をやってなかったところがございまして、そのような漁港についても陸揚げ港の指定を行って、直ちに整備された施設が法的にも適法に動くように措置いたしたというようなこと等が一応その結果として挙げられるわけでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に検査院にお伺いしますが、検査院の指摘で水産庁は漁港整備事業について見直しをしてさきに述べられたような対策をとったわけでございますが、これで検査院としては是正改善処置として十分であるとお考えかどうか。それとも、まだ不十分なところはあるけれどもしばらくの間は様子を見ようということなのか。また、是正改善処置に対する検査院の見解をお伺いしたいと思います。

吉田知徳会計検査院第四局長

○説明員(吉田知徳君) ただいま水産庁の方から御説明がありましたように、私どもが処置要求いたしました趣旨に沿いまして、まず第一に漁港整備計画中のもの、または実施中の漁港につきまして総点検が行われました。  それから次に、計画の策定あるいは見直しの基礎資料となります港勢調査、これのデータの充実が図られまして、計画の策定、それから見直しに役立たれるような処置が講ぜられました。  それから、三番目といたしまして、関連施策の調整を行いますための連絡協議会のような会も設置されまして、改善の処置を講じておられるところでございます。そのような報告を受けているわけでございます。  また、都道府県に対しまして通達を発せられまして、この指導を徹底を図っておられるところでございまして、処置要求に対しますところの処置はとられたものと、このように私ども考えており ます。ただ、個々の事業の実施につきましては、今後も引き続きましてその推移を見守っていきたい、このように思っておるところでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 水産庁が実施しているこの事業で、先ほど話も出ましたけれども、沿岸漁場整備開発事業というのがありますが、その中に増養殖場造成事業というのがあります。この増養殖場造成事業についてお尋ねしたいと思います。  そこで、まずこの増養殖場造成事業というのはどういう目的でどのようなものを造成しているのか、事業の概要を水産庁にお尋ねしたいと思います。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 増養殖場の造成事業につきましては、諸外国の二百海里規制が今後ますます強化されると予想される中で、つくり育てる漁業が我が国の漁業生産力の増大を図る上で極めて重要な役割を果たすというふうに認識しておるわけでございますが、そのような観点から、まず第一に海の持つ自然の生産力を利用して沿岸漁業における重要魚種であるマダイ、ウニ、アワビ等の魚介類の保護育成を図るため、投石、潜堤、海面下に堤防を築くということでございますが、それから消波堤、波を消す堤防でございます、そういうものをつくりまして、海の自然の生産力を利用した増殖場を造成する、これが一つの仕事でごさいます。それからまた、第二といたしましては、今後需要の増大すると見込まれる中高級魚介類の生産を増大させるために、消波堤の設置等により養殖に適した漁場をつくる、これが増養殖場事業の内容になるわけでございます。  ちなみに、第一次の沿岸漁場整備開発事業におきましては総事業費一千億、それから第二次沿岸漁場整備開発事業の中では千九百億の計画で増養殖場の造成を推進しているわけでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 その造成事業につきまして会計検査院が検査したところ、事業効果が上がっていないということで、十一月の二十八日に会計検査院長から水産庁長官あてに会計検査院法第三十四条による処置要求が行われておりますが、そこで検査院にお尋ねしますが、会計検査院法第三十四条による処置要求というのはどんな場合に行われるのか、会計検査院の指摘の中で処置要求というのはどういうものであるのかということをお伺いしたいと思います。

吉田知徳会計検査院第四局長

○説明員(吉田知徳君) 会計検査院法第三十四条の規定に基づきまして今回の処置要求をいたしたわけでございますけれども、この会計検査院法第三十四条と申しますのは、これは検査の進行に伴いまして会計経理に関しまして不適切な事態が明らかになった場合、必要の都度適時に是正を要するものにつきましては速やかに是正していただく、それからその発生原因そのものに対しても速やかに改善の処置をとっていただくよう要求ができる、このような規定になっておりまして、この規定に基づきまして今回の増養殖場の造成事業について改善処置要求をしたものでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 そこで、今回の増養殖事業に対しまして水産庁に対する処置要求というのは、どういう点についてどのように指摘をされたのか、概要を簡単にお話しお願いします。

吉田知徳会計検査院第四局長

○説明員(吉田知徳君) ただいま増養殖場造成事業の御説明がございましたけれども、この増養殖場の造成事業は、これは都道府県または市町村等が事業主体となって実施しているものでございます。  この実施状況につきまして本年中に検査いたしました結果、まず第一点といたしまして、養殖場の管理の運営体制が十分整っていない。第二点といたしまして、増殖場への種苗、魚を大きく育てるためのもとになる種苗でございますけれども、この種苗の放流が計画どおりに行われていない。第三番目といたしまして、増殖場を、当初の計画と相違いたしまして、長期間にわたりまして周年禁漁としているために増殖場としての機能が発揮されていない。このような事態が見受けられましたので、水産庁におかれましては、この事業の推進体制についての審査、それから増殖場や養殖場の利用状況等の把握を十分行われず、それから事業の実施主体であります道県におきましては、事業の実施に当たりまして増殖場及び養殖場の管理運営について十分でなかったことなどによるものと認められましたので、水産庁におかれましては、都道府県に対しまして事前の調査検討を十分に行われ、それから適切な事業実施計画を策定するように指導されますとともに、水産庁におかれましてその事業実施計画に対する審査を十分に行われ、また事業完了後の管理運営状況を的確に把握するなどの処置を講ぜられることによりまして事業の適正を期する要があると認めましたので、その旨改善処置の要求をいたしたものでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 検査院は、水産庁の補助事業として北海道ほか二十六県が行った増養殖場造成事業三百七地区のうち、五十一年度から五十七年度までに造成した九十九地区につきまして調査されたところ、事業効果が上がっていない、つまりほとんど利用されていないところが北海道が八件で都合十三地区あった。そしてその事業につぎ込まれた約三十三億円の事業費がむだになり、そのうちの国庫補助金は十八億二千三百七十一万円にも上っていたというものであります。  この検査院の指摘に対しまして、大臣の所感をお伺いしたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 漁港及び沿岸漁場整備開発事業等の漁業基盤整備ということは、我が国水産業の振興の基礎となる重要な事業でございますので、今後とも会計検査院あるいは諸方面の御指摘の点を踏まえまして、適正な事業の推進に最善の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 少し細かくお尋ねしますが、検査院が検査したのは三百七地区のうち九十九地区ということでございますが、検査院では青森県は十七地区のうち一地区だけを検査しておって、岩手県は三十一地区中十地区を検査したというように、検査箇所数は県によってまちまちでありますが、どこをどう検査するかということはどのようにして決めるのか、問題のありそうなところを重点的に検査してきたということが言えるのかどうか、検査院にお尋ねをいたします。

吉田知徳会計検査院第四局長

○説明員(吉田知徳君) 今御指摘ございましたように、例えて申しますと、青森県は十七地区で増養殖場造成事業が行われております。それから岩手県は三十一地区行われてございますが、青森県はそのうち一地区、それから岩手県は十地区を選んで実施したわけでございますけれども、検査の実情を申し上げますと、水産庁の検査を担当しております課は、水産庁のみならず畜産局の検査も所掌いたしております。都道府県に参りまして検査を実施いたします際には、増養殖場造成事業だけを目標に検査に行くわけではございません。今申し上げましたいろいろな点の検査を実施するわけでございます。したがいまして、その県におきますほかの事業等との関連から、増養殖場造成事業について数多くできたり、あるいは少なかったりするわけでございます。  お尋ねの青森県の場合でございますけれども、青森県におきましては類似の事業でございますけれども、魚礁設置事業というのがございますが、これらの検査を重点を置いて実施いたしました結果、結果的に増養殖場造成事業の検査が一カ所になった、こういう状況でございます。  それから、この検査に当たってどのような場所の選定を行ったのかという御質問でございますけれども、これは道県から提出されました増養殖場造成事業に係りますところの事業実施計画あるいは事業実績等、これを参考にいたしまして、他の事業の検査箇所でございますとか、あるいは日程等を考慮して具体的な検査箇所を選定しているという状況でございまして、そういう意味におきましては実績等を参考にしつつ検査対象を選んでおりますので、ある程度重点を絞った検査の結果であるということは言えるかと思います。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 先ほど出ました青森県野辺地の養殖場の場合でありますが、漁船がとったイシガレイ、モスソガイ、トゲグリガニのうち、小さ過ぎ て金にならない稚魚や稚貝、これを種苗として養殖する計画で、五億一千万円の事業費で二百九十メートルの消波堤を建設した。そして、計画では、年間百三十二・五トンの生産を見込んでいたけれども、実際には五十八年にトゲグリガニ四百七十七キログラムを生産しただけで終わっているということですけれども、検査院が実地検査に行ったときはどのような状態になっていたのか、これは検査院にお伺いしたいと思います。  また、事業がうまくいかなかった理由に、漁業者の協力が得られないということであるけれども、なぜ協力が得られなかったのか、この点については水産庁にお尋ねしたいと思います。

吉田知徳会計検査院第四局長

○説明員(吉田知徳君) 今お話しの青森県野辺地地区の養殖場でございますけれども、これは五十七年度に完成しておりまして、その後の利用状況について見ますと、この養殖場におきましては、今お話がございましたようにイシガレイ、モスソガイ、それからトゲグリガニ等を養殖する計画になっていたわけでございますけれども、実際に養殖されましたのは、五十八年度にトゲグリガニ四百七十七キログラムでございまして、五十九年度以降は養殖が行われていない状況で、所期の事業の効果が発現していない状況であったわけでございますけれども、本年四月に実地検査に参りました時点におきましても、今申し上げました魚介類の養殖は行われていない状況であったわけでございます。  したがいまして、なるべくこのような状況ができるだけ早く是正されまして、造成されました養殖場が有効に利用されることが望ましい、このように考えておるところでございます。  なお、補足いたしますと、今、年間を通じておりますイシガレイ、モスソガイ等のほかに、サケの増殖を目的といたしました海中飼育も計画に入っておりますけれども、これはほぼ計画を達成する量の飼育が行われております。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) この事業は青森県が事業主体になっております。同じ公共事業でございましても、例えば農業基盤整備事業でございますと、県営事業の場合にも受益者の三分の二の同意をとって仕事をやるというようなシステムがとられております。これは私どもの沿整事業の場合は歴史も新しいこともございまして、また事柄の性格としてその受益者がなかなか特定できないというようなこともございますので、漁場管理運営の委員会を設置いたしまして、そこに県あるいは町、漁協等に入ってもらいまして、そうしてその地元の意向、特に漁業者の意向を反映して事業を運営するようにいたしているわけでございますが、青森県につきましては漁場管理運営委員会が設置されていなかったというような事情がございます。その個別事情がどうしてそうなったかということにつきましては、私も詳細な情報を持っておりませんけれども、とかく事業の仕組みからいって、どうしても上から仕事が先行しやすい性格を持っております。ハードな施設ばかりできましても、ソフトな体制が整わなければこれ何にもならないわけでございますので、そのような点については今後十分反省して、地元協力体制の整備を徹底させたいと思うわけでございます。  ちなみに、青森県の場合につきましては、ややおくれておりますけれども、早晩、年度内にはこの漁場管理運営委員会を設置するように、現在指導中でございます。十二月五日にも第一回の会合が行われているわけでございます。  さらにまた、対象生物等につきましても、これを変更することを考えておるわけでございまして、技術改良等により可能となったトゲグリガニの増殖事業、サケの海中飼育、ホタテガイ養殖等を内容とする漁場利用計画にこれを変更することを考えております。六十一年九月十二日付で青森県知事より私どもの方に申請がございまして、十一月十三日付でその内容が妥当であるということでこの変更を了承したわけでございます。今後は、変更された養殖対象生物について計画に沿って養殖を推進することになるわけでございますが、まず第一歩としましては六十二年一月以降にはトゲグリガニの養殖を開始することを予定しているわけでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、伊勢エビの増殖場の造成事業でございますが、静岡県下田市の南伊豆町にかけまして伊勢エビ礁を四百九十六基、投石で百十五ヘクタールの養殖場を造成しておりますが、この事業は事業費で九億円、そのうち国庫補助金は五億四千万円で、一地区の事業費としては今回検査院が指摘した中で、十三地区の中で飛び抜けて金額が大きいものであります。ところが、増殖場はつくったけれども、この区域は地元関係漁協などで構成した伊豆地区大規模増殖場管理運営委員会が周年禁漁としているところで、伊勢エビの生産は全く行われていない。また、一般漁場での伊勢エビの生産量も事業実施前の五十二トンから、五十六年度以降は三十五トンから四十八トンにとどまっていたというもので、多額の事業費を投下しておるのに対しましてひどい結果になっておる。  そこで、まずこの区域が周年禁漁になったのはいつからなのか。一般漁場の生産量が少なくなったのは増殖場を造成したことも影響しているのかどうかということをお聞きしたいし、もう一つはこの周年禁漁についてもう少し前にわからなかったのかとか、その運営委員会が指示するまでの事情はどうなっておるのかというようなことをお聞きしたいと思います。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 禁漁になった時期でございますが、五十六年の六月からでございます。一般的に当地区では四十年代の中ごろに比べまして伊勢エビの生産量が大幅に減少しているというようなところから、資源の維持、培養のために禁漁地区を設定しているわけでございます。禁漁にいたしました考え方というのは、当該地域を禁漁にいたしましても周辺地域での漁獲がふえるであろう、こういうことを想定したわけでございますが、この点につきましては、会計検査院の指摘も受けておりますし、ただいま先生も触れられましたように、事業実施前の五十二トンに比べて周辺地域でも五十六年以降三十五トンから四十九トンという間にとどまっているわけでございます。御指摘のように事業計画の当初の成果が上がってないでないかということはまことにそのとおりであることは、これは事実として認めざるを得ないわけでございます。あえて若干言わしていただければ、一般的に水産資源の場合には海水温度の変化というような自然的な要因も非常に受けやすいわけでございまして、この事業実施前の五十二トンに比べて、五十六年以降事業を実施したにもかかわらずふえなかったということが、直ちに事業の成果が全くないというふうなことも言い切れないんではないか。もう少しよく調べてみる必要があるだろうというふうに思うわけでございます。  地元の漁業者等に伺いますと、造成された増殖場内の伊勢エビの資源量は、毎年の資源調査の結果順調に増加しているというふうに聞いておるわけでございまして、そのような観点から、当面まず禁漁に従来していたわけでございますが、当該禁漁地区につきましても、六十一年の秋に一回、六十二年春に一回それぞれ解禁して共同操業することにいたしまして、ふえた資源をそれなりに活用することを考えているわけで、活用した結果になっているわけでございます。  いずれにいたしましても、私どももただいま自然変動の要因があるので直ちに事業成果がないとは断定できないというふうに申し上げましたけれども、何せ我々もこのつくり育てる漁業ということにつきましては経験が浅いわけでございまして、謙虚に事実を事実として受けとめ、原因を分析し、今後再びこのようなことを繰り返すことがないようにしてまいりたいというふうに考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 そうお願いしたいと思いますが、養殖場をつくった場所が禁漁区域であって、養殖場として使えないというケースは静岡県のほかにも北海道で三地区、三重県に一地区、熊本県に二地区、全部で七地区あるように聞いております。これは計画実施の前に禁漁区域であるのか、また 近く禁漁区域になる見込みはないかということを十分調査した上で計画を策定するということは、これは言うまでもないことでありますが、事業実施中に禁漁になったのなら計画の変更なり何らかの対応をするべきではなかったかとも思いますが、どうでしょうか。

佐竹五六水産庁長官

○政府委員(佐竹五六君) 個別の地区ごとにはそれぞれいろいろ事情もあろうかと思うんでございますが、一般的に申しまして先生の方は大変常識的な御指摘でございまして、私どもも常識に反するような事態についてはきちっと明確に説明できるような事前の審査なり何なりの体制をきちっとしてまいりたい、かように考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 この増養殖事業はいよいよ二百海里時代に入りまして、遠洋漁業はだんだん撤退を余儀なくされているので、これからとる漁業から育てる漁業へ転換ということで、五十一年度から水産庁が目玉事業として行っているものと聞いておりますけれども、その事業につきまして検査院からこのような指摘を受けるということは、非常にこれは残念なことではないかと思っております。補助金を受ける市町村に公共事業としての認識が不十分な点もあったと思いますけれども、その点も水産庁としては指導、監督をきちんと行っていただきたいし、この事業は今後も続けて行われることでございますから、よく反省していただいて気をつけていただきたいと思います。また、さきの漁港整備事業も今回の増養殖事業も両方とも都道府県に補助金を交付して事業を実施し、でき上がったらいろいろな事情でその施設が有効に機能を発揮しない。いわばむだなものをつくってしまった。しかも検査院から指摘されている点を見ますと、両方とも計画の検討、審査が不十分というものでございます。このように同じようなケースで二回も指摘を受けるということは、これは遺憾なことではないかと思います。事業は計画どおりに完成した、しかし有効に使われていないというのでは国費のむだ遣いと言われても仕方がないんではないか。補助金の財源は国民の血税ですから、今後このような指摘を再三再四受けることのないように、ほかの事業につきましても十分の注意をしていただきたいと思います。この件につきまして最後に大臣の決意のほどを伺いまして質問を終わりたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 御指摘の点を十分踏まえまして適正な事業の推進に一段と頑張っていきたい、こう決意を固めておるところでございます。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 きょうは朝早くから短い昼食時間、労働基準法にも違反しているような短い昼食時間を挟みまして、長時間にわたりまして、殊に委員長及び農水大臣にはずっと終始おつき合いをいただきまして敬意を表する次第でございます。  先ほど来梶原委員は小麦につきまして、それから久保田委員は牛肉につきましてそれぞれ消費者の立場から質問がございまして、私も非常に同感するところが多い、そう思って聞いていた次第でございます。私は米の問題について取り上げるつもりでおりましたけれども、この問題については既に井上委員及び田代委員、多少立場は違っておりましたけれども、それぞれ質問をされまして、私の理解にして間違っていなければ、私の問題意識と田代委員の問題意識、大体似ているんではないかというふうに思っております。したがいまして、できるだけ重複する質問は避けたいと思っておりますけれども、ただ質問の順序、それからまた聞き漏らした点が多少ありますので、多少重複する点があるかもしれないけれども、御了承願いたいと思います。  その問題に入ります前に、簡単な問題ですけれども、昭和六十一年の五月、総務庁の「農用地の流動化対策に関する行政監察結果に基づく勧告」というのが出ておりますので、これについて先に質問したいと思います。  五ページの「農用地利用増進計画における借賃決定等の適正化」というところで、「借賃の額については、農業委員会が定める小作料の標準額を十分考慮し、当該農用地の生産条件等を勘案して算定することとなっている。」。途中省略しまして、ところが「今回、利用増進計画に定められた借賃の額及び実際に支払われている借賃を調査した結果、合理的な理由がないまま標準小作料を大幅に上回った借賃を利用増進計画で定め公告している市町があるとともに、利用増進計画で定額金納と定められた借賃を物納し、あるいは定められた金額を増額するなど公告事項を順守していない農家がみられる。したがって、農林水産省は、借賃が適正に決定されるとともに、利用増進計画に定められた事項が順守されるよう指導する必要がある。」、こういう勧告が出されておりますけれども、この勧告に対して農水省、どういうふうな受けとられ方をして、あるいはどういう処置をされましたか。それをまず最初にお伺いしたいと思います。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 標準小作料の制度は、四十五年に農地法を改正をいたしましたときに、従来ありました小作料統制をいわばやめて、自由に当事者で決めていいとしたけれども、借り手の経営の安定あるいは貸し手の方の農地の流動化の重要な契機という両方から見て、何か歯どめが要るんじゃないか、歯どめといいますか、ある程度何か保証が要るということで御意見もありまして、小作料を定める場合の目安ということを目的として、四十五年に農地法改正をいたしまして、標準小作料制度をつくったわけでございます。  今私どもがかつて調べたいろいろ状況を見ますと、各地の実際の小作料は、大体標準小作料の中にはまっておりまして、全国で見ますと、水田の場合は、著しく高いというのは三割、標準小作料の三割を超える場合ですが、三割以内におさまっていると考えておりますのは水田の場合は八四%、つまり一六%だけがちょっと高い。それから畑の場合ですと、八八%が標準小作料よりも三割以下にある、まあまあいいところだろうというのが八八%、高いなというのが一二%という形で、全体的には標準小作料に近い水準で決まっています。  それから、行政監察の結果を見ましても、標準小作料を大幅に、つまり三割以上上回っているというのは二百九十八事例中三・七%の十一例というようになっております。ただ、当時御指摘も総務庁の方で出されましたものですから、私どもそれに対し、行政監察に対するお答えといたしましては、「市町村が農用地利用増進計画で借賃を定めるに当たっては、農業委員会が定める小作料の標準額を十分考慮し、当該農地の生産条件等を勘案して算定する等により適正に決定されるとともに、同計画に定められた事項が利用権設定等の当事者間で順守されるよう指導の徹底を図ってまいりたい。」というようにお答えをしているところでございます。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 この制度は、つまり流動化を促進するために定められたものだと思うんですけれども、その場合に適正な標準小作料といいますか、そういうのを定める必要があるんですか。むしろ経営を集中していくためにはそういう標準小作料なんというのは撤廃しちゃって、自由にやらした方がかえっていいんじゃないんですか。こういうのがあるとやはりそれに何かとらわれなくちゃいけないんだという意識を持つでしょうし、小作料といっても戦前の小作料なんかとは全然種類が違うわけですから、別にそういった標準小作料を定める必要は全然ないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 標準小作料を定めました意義は、今お話しのように、貸し手にとってはこの程度なら貸したいという、いわば農地の流動化のモーメントといいますか、契機にもなるという意味が半面ございますが、半面また借り手の経営の安定を図る、両方の利益の調和点としていわば標準小作料という制度がつくられているわけでございます。実際に今お話しのような御議論もございますが、私どもかつて調べました結果を見ましても、農地が実際に貸されていないのは標準小作料が桎梏になって貸しにくいという意見はほとんどございませんで、むしろ必要なときにちゃん と返してくれる保証があればいいけれども、なかなかそういう点に対する心配があると答えました者が答えた人の五八%、それから信用のある相手に貸したいが、なかなか見つからないという感じを答えた人が三四%でございまして、やっぱり小作料の水準がいろいろ邪魔になって貸し借りがなかなかやりにくいと答えたのは全体の中の百人中三人の三・三%でございまして、標準小作料という制度があることが農地の流動化にとって阻害要因になっているとはなかなか考えにくいと思っております。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 標準小作料が賃貸借の妨げになっていないとしますならば、初めからこういうのなくてもいいんじゃないんですか。こういう定めがあれば、やはり行政監察の方ではそのとおりになっていなければ勧告しなくちゃいけないでしょう。しかし、こういう定めそのものが必要ないんじゃないんですか。なぜそれを維持していかなくちゃいけないんですか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 四十五年、農地法を改正いたしましたときにも、統制小作料を撤廃したときに、また逆の御議論がございまして、むしろ統制小作料を外して自由にしたらば際限なく小作料が上がって、借り手の経営を阻害するんではないかというむしろ御意見が国会も含めて非常に強かったというように私は記憶をいたしております。そこで、いわば借り手の方の経営の安定ということも担保する意味で標準小作料という制度が設けられたというように私は記憶をいたしております。じゃ、実際今もう機能してないんだからいいじゃないかという御議論はあるかもしれませんが、今でも実際にちょっと高目だから直してもらった方がいいというように農業委員会の方で実際に勧告をして小作料の額を是正をしてもらっているケースもございますので、やはり借り手の側の経営の安定というのと農地の流動化、両方の見合いでこういう制度を運用し、考えていかなければならないと思いますが、両方の要請を考えますと、今の制度というのはそれなりの機能を果たしておると私は考えております。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 私はできるだけそういった統制的な、規制的なものは外した方がいいという考えですけれども、今後検討していただきたいと思います。  それで、米の問題に入りますけれども、最近、アメリカの全米精米業者協会あたりから米の輸入自由化を求めてきておりますし、アメリカの政府はそれを抑えておりますけれども、ガットのウルグアイ・ラウンドの場で協議するというふうなことを言っているようでございますけれども、米の輸入自由化に対する外圧が非常に強まってきておるように思っておりますが、農水省はこれをどのように受けとられておられますか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 米は何と申しましても日本国民の主食でございますし、我が国の農業の基幹と申しますか、基盤をなす非常に重要な地位を占めておりますので、現在多大の努力によりまして生産調整を実施をし、そしてまた水田農業確立対策ということで、水田の上でつくられます米と転作物両方の生産性を上げていこうという努力をする中で、国内で必要とされるものにつきましては全量を国内生産によりまして供給するということを基本にいたしまして、これにつきましては国会の両院の御決議もあるところでございますが、そういった基本方針で臨んでおるところでございます。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 私は米の自由化をすぐやれとか、あるいは日本の農業をどうなってもよろしいとか、そういったつもりで言っているつもりは全然ないんで、むしろ主食、米なんかがやっぱり相当程度自給しなくちゃいけないし、また農業というのは単なる経済だけの問題ではなしに、環境問題でありますとか、社会政策的な観点であるとか、そういう点から考えなくてはいけない。したがって、農業の生産力は高めていかなくてはいけない、生産力を高めてできるだけ低コストでこれを消費者に供給する、そういう観点から質問するわけでございますけれども、先ほど梶原委員が非常にうまい比喩で城攻めに例えられまして、城を守っているのに、守っている者の中から攻める方に呼応する者が出てきたというふうに言われましたけれども、私は、やはり本当に日本の農業を強くしていくためには、日本の消費者がやはり生産者と一体になってこれを守っていかなくちゃいけませんけれども、余りに不合理な制度であれば、やはり攻める側に呼応する者も出てくるわけです。したがって、できるだけ日本の農業の生産力を高めて少しでも価格を安くして、そして生産者、消費者が一体になって日本の農業を守っていく、そういうことが必要だと思うんですけれども、現在までの食管制度、特に生産者米価を生産費所得補償方式で決めて、それに連動して消費者価格が決まっていく、そういったふうなやり方で果たして日本の農業の生産性を今後高めていくことができるというふうにお考えでしょうか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) お尋ねでございますので率直にお答えをさしていただきたいと思いますが、人件費が我が国の八分の一というようなタイとか、あるいは作付規模が我が国の百五十倍とか二百倍というような米国の生産費に比べますと、我が国の米の生産費が割高にならざるを得ないという点があることにつきましては、これは国民の皆様方にも御理解をいただきたいというふうに思っておりますけれども、そういった我が国の置かれておる条件の中で、やはりできるだけの生産性の向上を図って、今回、水田農業確立対策にあわせて食管運営の改善の大綱というものを決定をいたしました。また農政審の答申の中にも、米価政策の適正な運営ということで、需給動向に配慮をして生産性の高い、将来、二十一世紀に向けて稲作を担っていけるような人たちの生産を伸ばしていく、そういう観点での米価政策の運営をやれという御指摘もいただいているわけでございまして、中核農家の規模拡大なり生産組織の育成というものを通じまして稲作の生産性の向上、コストダウン、これをやはりあらゆる努力を傾注してやりまして、これを米価にも反映をさしていくということが今後の基本的な方向ではないかというふうに考えております。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 確かに生産者米価を比べますと、それは日本の方がアメリカに比べましても数倍ということですけれども、消費者価格ではアメリカと比べまして一・九倍というお話でしたですね。  ちょっと私聞き漏らしたんですけれども、特に日本人の口に合うようなカリフォルニア米の、しかも上質の国府田米ですか、それと日本のコシヒカリなんかと比較するとその差は一対一・三倍ぐらいだというふうにちょっと聞いたんですけれども、それ間違いないですか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) この点は、アメリカのお米の小売価格と申しますのは地域によっても銘柄によっても非常に違いますのであれでございますが、先ほど例示をいたしましたのは、三都市でのことしの調査で、平均をいたしまして我が国と比べますと二・四というような比率が出るということをお答え申し上げたわけでございます。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 良質米は余り変わらないというふうな、どなたか言われたような気がしたんですけれども、それはそうじゃなく、私の聞き漏らしですか。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) そのことはここ三、四日の一部マスコミに伝えられておると、いわゆる国府田米十キロをある人が買って日本へ持って帰ろうとしておるときに、それはカリフォルニア米の国府田米ですが、三千何百円かになる。あるマスコミが我が国の米は十キロが六千円と書いておる、二倍というように言っておるが、標準米は三千八百円でございます、三千八百円と三千百円ぐらいを比べた場合は二〇%ないし三〇%しか違わない。それをコシヒカリ、ササニシキというものの比較で六千円対三千何百円という記事があったということを私が先ほど御報告、お答えいたした経過があります。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 先ほど来、田代委員も質問されましたけれども、農政審議会の報告でありますとか、それからこれは新聞で拝見したんですけれども、 農水省の試算、数日前に発表されておりましたけれども、それでは米の生産費を一定の条件のもとに努力すれば三〇%ないし五〇%下げることができるというお話でしたですね。もしそれが成功すれば、仮に一・九倍あるいは二倍にしましても、品質の点からいうと私は実際はそれほど差がないと思うんですけれども、輸送費とか中間手数料なんか考えますと、決してアメリカの米恐れるに足らず。門戸を開放しても、第一味が違いますし、値段がそれほど違わないということであれば、別に恐れる必要はない。むしろやはり日本として努むべきことは生産費を少しでも下げる、その努力、殊に農業者が企業家精神を持って生産費を少しでも下げるようにしていかなくちゃいけない。今までのように生産費を補償していたんでは生産費を下げようというインセンティブが働かないわけですから、そういう意味で下げさせる、コストを下げる努力をするように農業政策はやっていく必要があると思うんです。  それで、今まで過剰米、需給調整のためにいわゆる減反政策といいますか、転作奨励をやってきているわけですけれども、先ほど、これもちょっとあるいは私の聞き間違いかもしれませんけれども、転作奨励のために三兆八千億円ですか、それから過剰米処理のために三兆円の補助金が使われてきている。これがもし生産基盤の強化に使われていたならば、日本の農業生産力はもっと高まっていただろう、もっとコストを下げられたんではないかというふうに大臣言われたように思うんですけれども、現在やっておりますようないわゆる転作奨励、減反政策というのは、コストを下げる努力に余り寄与しないんではないかと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

浜口義曠農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(浜口義曠君) 次期対策の水田農業確立対策におきましては、これまで十六年実施してまいりました稲作転換の実践あるいは経験、そういったものを踏まえまして大きく姿を変えていこうという点を重点に志向いたしまして立案をしているところでございます。  そういう意味で、先ほど来申し上げておりますように、この考え方といたしましては、従来の考え方は、第一義的には緊急避難的なもの、さらには稲作を考えないで転作の方に重点が志向されていたもの、そういったようなことと対比いたしまして、稲作と転作を通ずる生産性の向上といったようなものに力点を置きまして、名前も水田農業確立対策としたところでございます。そういう意味で、今回の対策におきましては、それぞれ生産者あるいは生産団体の主体的な責任を持った取り組みの上に、今申し上げました生産性の向上であるとかあるいは地域輪作農法の確立であるとか、そういったものを一体的に推進しようとしているところであります。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 私は、やはり価格機構を徐々に取り入れていくことが生産性を高めるゆえんではないかと思うんですが、もう時間がございませんので、ごく簡単に御意見だけ伺っておきたいと思います。  それは私の友人の土屋清君から聞いた話です。新聞にもたしか発表していたように思うんですが、政府の買い入れ米を現在四百万トンぐらいですか、これを二百万トンぐらいに徐々に減らしていく。それからその価格も数年かけて徐々にこれを引き下げていく。そして現在の七〇%ぐらいまでに徐々に引き下げていく。そして、それによって専業農家への土地の集中を図るとともに転作奨励金を打ち切っちゃって、これを全部土地の基盤整備の方に充てた方がいいんではないかという提案があるんですけれども、これに対して農水省のお考えいかがでしょうか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 私も新聞紙上でその御意見を拝読をいたしております。米価につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども水田農業確立対策というようなものも今度始めながらコストダウンを図り、それを価格にもできるだけ反映をさせていくという方向で考えておりますけれども、御提案のような何か年次的に決まった率で下げていくということではなくて、やっぱり構造対策、生産対策の進捗状況を見ながら米価の適切な運営ということを考えていかなきゃいかぬというふうに思っております。  それから、米の管理のやり方でございますが、今度の農政審の答申の中にも自主流通米の長所を生かしてこれを拡大をしていくようにということがございますけれども、今お尋ねのあれは恐らく部分管理的なことをお考えではないかと思います。  この点につきましては、大臣から先ほどお答えがございましたので繰り返しませんが、私も食糧庁におりますので、米の戦前のいろいろな政策の勉強も多少はしております。大正七年に米騒動がありまして、十年に米穀法ができ、昭和八年にそれでうまくいかないということで米穀統制法ができたということで、大正時代から政府が市場介入をしまして、昭和に入って安定帯価格を設けて需給と価格の調整をやるということをやりましたけれども、それでもなかなか米の価格の乱高下というのがうまくおさまらない。それからまた、財政負担という点でも、当時の米穀調整特別会計というのを見ますと、それ以外の農林水産省の予算の、当時は農林省でございますが、三割とか五割に当たるような負担を出しているというようなこともございます。そういった過去の経験などを考えますと、ただ歴史のフィルムを過去に巻き戻せばいいということではないんではないかというふうに私ども考えておるところでございます。

関嘉彦民社党・国民連合

○関嘉彦君 この問題を言うと農水省の方いつも大正七年の米騒動のことを言われるんですけれども、あの時代と現在とは非常に情勢が変わっているし、国民の食生活なんかも非常に変化しているんで、昔そうであったから現在もそうしなくちゃいけないというのは「羹に懲りて膾を吹く」ではないかというふうに私は考えております。  まだいろいろ意見述べたいんですけれども、時間が超過しましたので一分だけ。  これはあさって決算で建設省の部がありますのでそのときに本当は取り上げなくちゃいけない意見ですけれども、やっぱり農水省も関係がありますので、一応農水省の意見だけ聞いておきたいと思います。それは、農地の宅地並み課税の問題。  文芸春秋のことしの十二月号に中嶋千尋という人が書いておられるんですけれども、要点は、宅地並み課税、固定資産税及び都市計画税、そういったもの、固定資産税として一括して言いますと、それを農地であれあるいは有閑地であれ、すべて宅地と同じように課税することによって、農業を続けていきたい人はどこかほかのところで農業をやってもらったらいいんじゃないかというのがその提案の趣旨だと思うんですが、これに対する農水省のお考えを、簡単で結構ですから、この次、建設省に質問する参考にしたいと思いますので。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 中嶋教授の御意見をちょっと拝見をいたしまして感じますのは、市街化区域の中でなかなか農地が宅地化しないのは、むしろ持っている人が資産としてできるだけ長く持っていたいという気持ちがあったり、あるいはインフラストラクチャー、つまり道路だとか下水道とかそういうものがなかなかできないというような問題が主としたものでございまして、ただ税制だけでむちうつような形でやってもそう簡単にいくものではないだろうと私どもは考えております。私ども農林水産省は、前の農地法の改正のときに、新しい現在の都市計画法ができたときに、市街化区域の中の農地については転用の許可制であったものを改めまして、転用の届け出制という形にしておりますから、私どもの制度の中でそれが何か阻害要因になっているとは考えておりません。この間の税制調査会でも、今ある五十七年度にできた制度でございますので、一般的には原則として、運用の途中だから引き続いてその推移を見守りたいと言っておりますが、ただ、なお書きの中で、宅地需要の動向とか都市農業の役割を踏まえた土地利用のあり方について、総合的な検討に対応して適正化ももう一遍改めて検討した方がいいじゃないかというなお書きがございまして、 そのあたりを含めてこれからいろいろ議論があるのを私ども見守っていきたいと考えております。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 私は、農用地開発事業によって造成された農地の利用が行われていない、あるいは効率を上げていないという問題についてお伺いしたいと思います。  五十九年度の決算報告書によりますと、農用地開発事業のうちの三百三十八事業を調査対象にして調べたところ、六十二事業が効果を発現していない。こうなりますと約五分の一にも当たるわけですね。このような大幅なパーセンテージにおいて農用地開発事業が効果をおさめていないというのは、何かそこに開発事業の遂行の手続において誤った点があるんではないかと、このように思うわけです。そこで申請から採択までの手続、これを簡単におっしゃってください。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 今の会計検査院の御指摘を受けたことは私どもまことに遺憾であると考えております。  そこで今お尋ねの国営の場合の農地開発事業の申請から採択までの手続を申し上げますと、まず農家が十五人以上そろいまして、その地域の市町村長に要請をするところから始まりまして、市町村長が適当と認めますと都道府県知事を経由いたしまして農林水産大臣に調査を申請をする。農林水産大臣が申請の中身を検討いたしましてその結果を市町村に通知をいたします。調査地区に採択をいたしますと地方局、地方農政局と言っておりますが、地方農政局によります調査、これが大体通常三年ぐらいかかりますが、それが行います。その調査の結果まあいいだろうという取りまとめが終わって地元の合意が得られますと、農林水産大臣が農地開発基本計画の決定を要綱に基づきまして行いまして市町村長に送ると。その基本計画の送付を受けました市町村長が農地開発基本計画を農家と相談をいたしまして協議をいたしまして、その結果事業を実施するとなった場合に農林水産大臣に報告をする。  一方、受益者である農家は土地改良法に基づく手続の準備を始めると、こういうことになっておるわけでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 そうしますと、計画策定の実質的担当者は地方農政局長と、こういうように理解してよろしいんですか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) そのとおりでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 この昭和五十九年度の決算報告書を見ますと、事業が適切でなかったと、それを態様別に原因を分析しているんですね。一つは、自然立地条件が厳しく導入作目が適合していなかったためだと。こういうのはもう基礎調査の段階で初めから自然立地条件が厳しいことなんかすぐわかるはずです。それから二番目に受益農家の労働力不足等の要因とありますが、これだって若年労働者が都市に流れている傾向、そこの農家の家族構成を見れば当然にわかることです。第三番目が農業生産物の価格の低迷等経済的要因と、これが予測が中では一番難しいかもしれませんけれども、これとても大体の動向はつかめるはずなんですね。それなのに安易に申請から採択までの手続がずさんに行われていると、こう言わざるを得ないと思うんですよ。この点についてどのようにお考えですか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 私も十五、六年前に農地局というところにおりましたときには余りこういう点での御指摘がなかったんで、今聞きまして大変残念に思っているところでございますが、やはり昔は余りなかった指摘がどうしてこんなに多いのかよく考えてみますと、いいか悪いかわかりませんが、どうも一つの地区の工事に着手してから完成するまでがすごく時間がかかり過ぎているというところに問題があるように思われます。その間に今御指摘のように、担い手農家と考えている人が老齢化したり、あるいは引退してしまうとか兼業に出てしまう。それから、酪農や果樹でやろうと思っていたのが酪農も果樹も実は生産が過剰になってしまう。それから、明治以来農地をつくってまいりますからだんだん適地が難しくなって、里山のさらに奥の方の相当山のきついところに取りかかるもんですから、どうしても自然条件その他の予測のところで、今御指摘のように、どうももうちょっと研究しなきゃいけないところが、あるいは少し無理があったという点があると思います。その点を大変私どもとして遺憾と思いますので、しかし、工期が長いから、そういうことを責任にしてはいられませんので、やはりこういうこれからなかなか難しいんですけれども、今の要因を十分に分析した上で、これからの新規地区あるいは既成の地区というものを考えていかなければいけないと反省をいたしているところでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 じゃ、効果が発現していないところに対してどのような対策を講じ、管理不良等の解消に努めているのですか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 御指摘がございましたので、私ども、農地開発をいたしました後でまだ未利用になっているものにつきましては、その利用を促進をするということから、まず各地区ごとの農地の実態をつかむ。そして利用可能と認められる農地につきましては、地元で関係者が集まりまして営農計画などの基本方策を協議をいたします土地利用促進協議会をつくる。これがまず第一点でございます。  第二に、受益農家に対して営農指導、これは地元の農業改良普及員とかあるいは農協の営農指導員などを煩わしておりますが、そういう方々による営農指導を強化をする。  それから三つ目に、先ほど言いましたように、自然条件からいってかなりちょっと問題のあるところに造成したために、その後いろいろ農地そのものが少し荒れてしまっているというところは、改めて補足的な農地の整備をする。  それから四番目に、農用地利用増進事業にかけまして、借り手を見つけてきて、その人の規模拡大にプラスになるようにするというような措置をとって利用の改善というんですか、利用の促進を図っているところでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 ただいま利用可能農地ということをおっしゃいましたが、それじゃ利用不可能農地もあるわけだと思いますが、それはどれぐらいパーセンテージにしてあるんですか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 先ほど先生の御指摘にありましたように、六十二地区で約二千五百ヘクタールございましたが、その中で管理不良が解消されたものあるいは解消を図るために現在具体的な計画を検討中のものが約千五百六十ヘクタールございます。それで、残りの九百四十ヘクタールにつきまして、これから関係機関との連携をいたしまして適切な対応を検討して、極力その解消に努力しなければいけないと考えているところでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 九百四十ヘクタールについては解消をまた今後考えなくちゃいけない、こういうことですが、これらの数字から見て、やはり農用地開発事業がよく基礎調査とか計画調査とか効果調査が行われないままにイージーは進められたということはこれは間違いのないところだと思うんです。  そこで、この農用地開発事業の第三次長期計画ですね、これ六十七年度末完成と言いますが、これは現在どのようにお考えですか。

鴻巣健治農林水産省構造改善局長

○政府委員(鴻巣健治君) 第三次の土地改良長期計画の農用地の造成は、目標は五十八年から六十七年までの十年間で全体の面積で四十七万ヘクタールを造成をするということを考えております。  現在五十八年から六十一年まで、このうち六十年と六十一年は推計でございますが、その五十八年から六十一年までの総計で六万八千五百ヘクタールを造成をしている。大体一四・六%の達成率というように見ております。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 私は、農用地を確保するというのはまあいいとして、せっかくどんどんつくってみてもさっぱり効果が上がっていないのではざるに水を入れるようなものだ、このように思いますので、むしろこれからはやはり調査の方を綿密に行ってやっていただきたい、こういうことを切にお 願いしたいと存じます。  この間、実は地元の兵庫県で聞いた話なんですけれども、最近は士農工商でなくて士農商工である。すなわち産業界については一番政府は手薄になっておるということを非常にいろいろ陳情を受けたわけでございます。  そこで、今この円高不況によるもろもろの金融上、財政上、税制上、対策を政府もお考えと存じますが、ひとつお考えいただきたいのは、住民税の前年度収入主義ということなんです。すなわち、今何千人という単位で職を失って、転職していきつつある人があるわけですけれども、各企業において何千人ですが、その人たちの収入が激減したにもかかわらず翌年において前年度を基準としてかかってくる。これが自分で進んで転職した場合とか老齢で転職した場合は、それは当然予測して貯蓄もしておるでしょうけれども、このたびのように急激に円高不況によって意図せずに首を切られてしまうというような事態においては、これは非常な苦しみになっておるわけです。ひとつこれを改めていただくことをお考えいただけないか、自治省にお伺いいたします。

小川徳洽自治省税務局市町村税課長

○説明員(小川徳洽君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございましたように、住民税におきましては前年度の所得を課税標準として課税をしているということでございますので、ただいま御指摘のありましたような前年度の所得よりもその年の所得の方が下がったというようなケースが出てくることは事実でございます。そういうような御指摘も従来から受けておったわけでございますが、そういう意味で私どもとしてもかなりこの問題については検討をした経緯がございます。  しかしながら、現在の住民税の制度といいますのは、住民税において前年所得課税という仕組みをとっておりますのは、一つには例えば給与所得者等の特別徴収でお願いをする場合は、特別徴収を行っていただくについて税の計算を会社の側でやっていただくのではなくて、市町村の役場で計算をして、そこで額を決めて幾ら幾らということで納めていただきたいというお願いをしておるわけでございます。したがいまして、その年の所得を基準として課税をするといういわゆる現年の課税方式に変えるといたしますと、その場合にはすべて会社の方で計算をしていただく。しかも所得税が、現にそういう形で行われているわけでございますが、年末における年末調整という非常に大きな仕事も出てまいります。そういうようなこと等をあれこれ考えますと、全体の制度といたしましては、やはり課税の簡素化というような観点から今とられているような前年の所得を基準として課税をする、こういう方法をとらざるを得ないのではないか、こういう結論になっておったところでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 問題は課税の簡素化ということであれば、余計のことひとつこの問題は納税者の立場に立ってお考えいただきたい、このように思うんです。  それでは、せめて減免していただければいいわけなんですけれども、この規定を読みますと、地方税法の三百二十三条ですね、「その他特別の事情がある者に限り」市町村民税を減免することができるというようにございますけれども、「その他特別の事情がある者」についての解説によりますと、失業または倒産等によりその年の所得が皆無となった者、または甚だしく減少したため生活が著しく困難となったと認められる者、このようにございます。じゃ、例えば二十五万の収入の者が十五万円になってしまった、こういう場合はこれに該当するのですかしないのですか。

小川徳洽自治省税務局市町村税課長

○説明員(小川徳洽君) ただいまの御質問でございますが、ただいまの二十五万が十五万と申しますのは、収入のベースであるのかその辺がちょっとわかりかねますが、通常、個人住民税でございますと、夫婦子供二人の非課税限度額が二百十万を超えておりますので、収入ベースであれば、ただしこれは給与所得者の場合でございますが、出てこないと思います。また所得ベースで仮にその程度の場合に、それに税率がかかるわけでございますので、それが現実に、その年にその方がその他のいろいろな事情を含めてお支払いをいただくということが困難なのかどうかということは、市町村長が実際に認定をされることになるというふうに考えております。またその場合にも、減免が適用に仮にならない場合であっても、今度はそのほかに納期限内に納税をすることが非常に難しいというような認定がなされる場合には、分割納付等の方法もございます。こういうような点につきましては、きめ細かな配慮を市町村で行うことができるという形になっておるわけでございます。

抜山映子民社党・国民連合

○抜山映子君 回答をぼかされましたけれども、これは減免にならないんですよね、実際に。ですから、ひとつ分納または延納の方式をお考えいただきたい。それについては、少し細かい通達を出して、市町村がそれに従って延納、分納の方式をとれるようにしていただきたいということをお願いして、終わります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 まず初めに私は、今農家の負債が大変な社会問題になっているという点での御認識を伺いたいんです。政府は口を開けば中核農家の育成ということをずっと長年繰り返してまいりましたけれども、私の福島県の場合に、その中核農家の皆さん方が現実に負債整理資金を借りてどういう実態になっているか、これは御存じだと思うんで資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、福島県独自で中核農家の経営改善資金というものを貸し付けておりまして、その後どうなったのかという点検調査を行いました。その結果がお手持ちの資料にあると思うんですけれども、五十五年から五十九年の過去五年間に認定件数が三百六十四件、認定額が四十三億二千百八十万円というふうになっております。ところが、認定取り消し件数が二十五件、金額にして二億三千六百十三万円、この認定取り消しされた二十五名、一体どういうことになっているのかといいますと、これは経営改善計画の達成は不可能、あるいはまた重点的濃密指導をしても達成が疑問だという形で、恐らく私は、実態はよくそこまでは聞いていないんですけれども、土地処分をして整理されたんではないだろうか、こういうふうに思うわけなんですけれども、こういう形で大変農家の負債は深刻である、そのことについては承知されておりますでしょうね、いかがですか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) お答え申し上げます。  ただいま御質問ございましたのは、福島県が単独融資制度として五十五年度から五十九年度にかけて実施をいたしました中核農家経営改善資金を指していらっしゃるわけでございます。福島県から聴取したところによりますと、この資金は、現状では経営継続は困難と認められる中核農家に対して、国のいろいろな制度を補完しながら農協系統資金を原資といたしまして特別の融資を行ったもので、五カ年間の累計で三百六十四戸の融資が行われております。その後の福島県あるいは福島県の農協中央会の調査によりますと、六十一年六月、この六月時点で見まして……

下田京子日本共産党

○下田京子君 私が指摘したとおりならそれでいいんですよ。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) はい、ただ、指摘したとおりではございませんので申し上げます。  六十一年六月時点で見ました融資継続中の農家の八割以上で経営改善の見通しが出ておりまして、おっしゃった二割弱の農家は引き続き経営再建を目指して努力されているというのが全体の状況でございます。この中で累計二十五戸の認定取り消し者が出ておりまして、これらの農家につきましては現在関係団体におきまして農協プロパー資金の融資条件の緩和を初めといたしまして、対策を個別に検討を実施しているということだと承知をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 違ったところがわかりました。つまり認定取り消し件数と数字の実態は変わっていない。土地処分等に入らないでいろいろ手当てをしているんだというお話ですね。いずれにしても、中核農家がこういう形で負債整理で手当てしたけれどもままならず、また容易でない実態にあ るということについては、これは大臣も御理解いただいたと思うんです。  ところで私が問題にしたいのは、こうして農家の経営が行き詰まって農家負債が社会問題になっている。特に最近驚きましたのが、これは信販会社オリエントファイナンス等に農機具や車などを買ってローンを組んだけれども返済不能になって、まさに労働者でしたら賃金にも匹敵するような米代金の差し押さえというようなことがテレビ、新聞等で報道された事件なんです。これは今までいろいろ伺っておりますので、まず最初に実態だけ御確認いただきたいんです。  第一番目に、差し押さえ命令が出された件数は三百十一件、金額ベースで二億九千万円、うち取り下げたのが百二十六件、金額で一億二千万円、そして差し引き百八十五件、一億七千万円、そのうちで差し押さえを執行してきたのが六十二件で一千七百万円、間違いございませんね。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 六十一年産米について十一月末現在で調査をいたしまして、そのとおりの数字でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いろいろ報道がありますけれども、十一月末でそういう形で米代金の差し押さえ命令、そして現に差し押さえがやられてきた。これは民事執行法の百四十五条等によってオリエントファイナンスが裁判所を通じて第三債務者である食糧庁に対して政府米の米代金を差し押さえてきたというふうに理解しているわけですが、それも間違いないと思うんですが、同時にその損害金は一体利息幾らであったのでしょうか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 債権差し押さえ命令書によりますと、その債権債務の内訳が中に書いてございますが、当初の信販の金利は明記されておりませんで、私ども承知をいたしておらないわけでございますが、債務不履行以降の遅延損害金は日歩八銭、年利にしまして二九・二%というふうに承知をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 損害金という形で日歩八銭で年利二九・二%、大変な高金利ですよね。  さらに聞きたい点は、これは全国で十三県、これも時間がないから確認いただきたいんですけれども、県名は青森県八件、岩手県二件、山形県一件、福島五件、鳥取一件、岡山四件、広島三件、山口六件、福岡四件、佐賀一件、長崎三件、熊本二件、そして大分二十二件というふうになっておりますけれども、これら米代金を差し押さえられた農家が一体どうしてこういう事態になったかという点についての御調査はなされていますでしょうか。

後藤康夫食糧庁長官

○政府委員(後藤康夫君) 差し押さえ命令が出ますと、債務者でございます生産者の方にも裁判所の方から通知が参ります。私ども、これプライバシーにもかなり関係することでございますので、どういう原因でこういうことになったのかということまでの調査はいたしておりませんが、信販会社でございますので、恐らく車でありますとか農機具でございますとか、その他のいろいろな電気製品でございますとか、そういう物の信販ローンがもとではなかろうかというふうに推測をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣、今の個人的債務だというふうな形で調査もされてないんですが、事実、新聞報道によりますと、一番件数の多い大分県では、高い利子で営利を追求する信販会社の実態を知らしめて、ずっと利息の安い農協の金融商品をPRする必要があるというふうなことで対策会議もとりまして、一方、信販会社に一方的に米代金を差し押さえられることがないようにということで、債権を持っている農協に対して対抗措置としての米代の仮差し押さえを申請するように指導されているんですよ。つまりオリエントファイナンスと農協の今度はもう取り合い合戦だということです。こういう状況にあるということをやはり調べなきゃならないと思うんです。  私は福島県の実態については調べました。福島県の場合には五件。これは実際に差し押さえられた分です。ほか命令等を含めますと、実は五十七件あるんですよ。金額にして四千万円ですね、ざっと。こうあるわけですが、現実に差し押さえられた五件の特徴的なところを各農協から聞き取り調査ですけれども、ある人は農協から目いっぱい二千万円を借りて、農協の取引中止になっています。それでオリエントファイナンスに手を出しています。ある人は、農協より多大な負債があって、既に土地売却などで整理をしておりますが、なおかつ二百六十万円の負債残高があるという中で、今回米代金四十袋、二十俵差し押さえられて、その金額は二十八万六千円という例です。ある例は、そのほかもあるんですが、中には一件、農協外の取引もあって、相談してくれたら農協で対応できたのになというようなお答えも返ってきました。ですから、私大臣と言ったのは、全中では十月末ですか、担当部課長会議を開きまして、個人の債務であるけれども、農家組合員の生活指導であるとか、啓蒙であるとか、負債の実態であるとか、そういうことを調べて、もっと系統融資の、そういう方向での指導をしていきたい、こう言っているわけですから、私はそういう観点から実態も調査し、指導と、そしてまた国としても対策を講じるべきではないだろうかということで、大臣の御所見を聞きたいわけです。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 実はそういう三百十一件、あるいは各県のいろいろそういう差し押さえ処分をこうむっている方々がある。そういうことに対して、本当に営農指導を中心に生活設計までやっていただくのを農協がしっかりやらなくてはいけない。今こそ農協はそういう点もさらにさらにやってもらえばいいことではないだろうか。ただ、一軒一軒の農家の個々の経営事情あるいは生活事情というものを農水省が一つずつやるというのはなかなか困難な問題である。ただ、もうひとつやっぱりある面では法律的知識を農家の皆さん方にも持ってもらって、聞くところによりますと差し押さえをされた場合に対して異議の申し立て、あるいはそれは困ると言って裁判所で堂々とやっておる人が余りいないというような事例もあるのではないか。ここら辺はもう少しそういう点に対する法的知識と対抗策というものをまた逆に勉強してもらわなくちゃならぬ。そういう点は少し農水省も指導しなければならないのではないだろうかと考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 問題は、負債対策のあり方と、経営の指導に見合うような農業政策なんですね。同時に、融資の問題についても政府が考えなければならないんですよ。  そこで、これも確認したいんです。農林中央金庫の信販や商社に対する貸し付けのあり方なんです。このオリエントファイナンスというのは多額のお金を農林中金から借り入れているわけです。ですから確認したいんですけれども、これもいただいておりますから読ませていただきますが、「農林中央金庫の信販、商社に対する貸付けは、農林中央金庫法第十四条の二第二号の規定に基づく農林水産業に関する事業を営む法人に対する貸付けの一つとして、即ち農林水産業の振興の見地から必要とする農林水産業用生産資材」つまり農機具などですね、「及び農林水産物等の流通の事業を営む法人に対する貸付けとして取り扱っているもの」に貸し付けるんだよという基準になっているわけですね。これはもう当然のことでしょうが、念のために。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) この信販会社等に対する貸し付けの根拠は、今先生が御指摘になったとおりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そうしましたら、そうやって貸し付けたオリエントファイナンスの今回の事件というのは、本当に農林水産の振興という格好になるんでしょうかという疑問をこれは投げかけていると思います。問題なんですね。  ここで申し上げたいのは、農協系統資金、これは銀行資金などよりもかなり金利が高いんです。農協の標準金利は、これは住宅ローンの場合ですと七・〇二%です。そしてまた遅延損害金ですか、つまり延滞利息ですね、これも農協の場合ですと一四・五%ですよ。ところが、さっきお話しのようにオリエントファイナンスの場合にはその 倍の二九・二%ですね。こういう状況の中で、本当にそのオリエントファイナンスなるものが農民のためになっているのだろうか。  お聞きしたいのは、このオリエントファイナンスのローンの金利が幾らか御存じでしょうか。あるいは農林中金からのオリエントファイナンスに対する融資実績、幾らだか御存じでしょうか。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) 金融機関の間での個別取引先への融資額、融資条件等は、やはりこれを公開いたしますと、これは相互間の信頼関係が崩れるということでございまして、個別の融資額あるいは融資条件がどうなっておるかということにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣、そういう姿勢だから指導にならないんですよ。  そう答弁するだろうということははっきり予測していましたから調べましたよ。有価証券報告書にちゃんと出ているじゃないですか。五十八年に、オリエントファイナンスに農林中金からの融資額は五十億円、五十九年に百二十五億円、六十年には二百十五億四千万円、そして六十一年二百四十四億六千万円、どんどん膨れ上がっていますよ。実質利率は一一・七五%から一四・二五%、これは有価証券報告書にちゃんと出ているんです。上場会社です。それを答弁できないなんていうのはけしからぬですよ。  次に、個別問題だとおっしゃいますけれども、オリエントファイナンスのローンの金利なんですけれども、ちゃんとこれは出しているんですね、こうやって。こういうふうなのを出しています。これは個人向け融資のあれですけれども、つほがたくさんあるんですね。これは何て書いているかというと、「オリエントへの道」、「チャンスを逃さず上手に使って、あとはゆっくりと計画的に支払っていく。」、「生活設計にあわせて、お選びください。」というふうな形で、こうやって宣伝しているわけですけれども、何と驚きましたが、このオリエントファイナンスのファーストローン融資、いろいろあるんですね。これを見ますと、まず百万円の融資を受けた場合どういうことになるか。半年、六回払っていきますと、この時点では年利七・五%なんですね。百万で利子が七万五千円ですからざっと百八万円です。二年になるとどうなるかというと、二十四回ですけれども、日歩八・二銭になるんです。年利三〇%です。そうすると百万円が百九十七万円支払わなきゃならないんです。さて、四年はどうなるかといいますと、日歩が十六・四銭で年利六〇%です。これは元利合計で何と九百五十八万円払わなきゃならないんです。こういう実態を今せっかく聞いていて、これだけ事件が起きているというのに、個別企業の問題ですからもうお答えできませんなんてとんでもない話ですよ。こういう実態を調査して、具体的に農協や農家の指導をしなかったらやれますか、違いますか、経済局長。

眞木秀郎農林水産省経済局長

○政府委員(眞木秀郎君) 個別の農家がいろいろ借りる場合に、本当は農協から借り入れるということが一番望ましいわけで、農協が営農指導あるいはまた生活指導の面でそういう方面に力を尽くすべきであるということでございまして、こういうことにつきましては、我々も全中を通じて指導を強めておるところでございます。しかしまた、やはり個別の農家におきましては、それぞれ農協からの借入限度額等々、個々の事情もございましょうし、こういう信販会社等を利用する場合もあろうかと思われます。そういう意味では、やはり個人の正しい判断にまつというところが大きいわけでございますけれども、先ほども大臣から申し上げましたように、そういう実態を県の中央会なりそういうところも知っておるわけでございます。今後とも我々としては全中を通じて指導を強めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そこで、これは大臣に御答弁いただきたいんです。  農林中金に集まっているお金、これは農民からのお金がかなりあるわけですね。今、では農協はどのぐらいの預貯金利でもって農民からお金を集めているかというと、これは農協の場合には〇・一%を状況によっては上乗せできるそうですけれども、昭和五十五年十二月一日ですと、二年物の定期預金では預金金利が七・二五%だったんです。今現在幾らかというと、四・〇一%になっております。さらに普通預金はどうかというと、当時二・七五%だったものが現在は〇・二六%です。そして、言ってみれば農民から集めたお金が農協を通じて信連、そして農林中金にいくわけ。その農林中金がオリエントファイナンスに融資をしている。その融資がどんどんふくれ上がっている。そのオリエントファイナンスはもう倍も、いや、最高金利ですと六〇%も年利というもので取って、農民の経営に対して逆行するような形の対応をされているわけです。ですから、大事なのは、今系統の資金を活用するとおっしゃいました。いみじくも農林中金というのは系統資金なんです。ですから、一つ私は申し上げたいのは、農林中金を原資とする政府の制度資金などいろいろあると思うんです。そういった方向でもっともっと農民の活用に直接結びつくことを考えていただけないかというのが一点です。いいですか。  それから二点目は、農協自体がいろんな形での商品を開発して売り出しているんですね。もちろん、その中には自由に使えるローンも組んでおります。それは一〇・二%程度の金利なんです。そういう商品開発に対して一定、こういう農協ローンについてのものに政府が利子補給とか何かという形のものが別途考えられないんだろうかと、これが二点目。  もう一つ。三つです。財投金利が下がっていますね。公定歩合三%でしょう。財投金利は今六・〇五%ですね。この財投金利を使って例えば国営の土地改良事業などもずっとやってきたわけでつね。変動金利のところはそれでもいいんですけれども、ずっと前にさかのぼって、高い金利のところは借りかえができないだろうかという話も出ていますね。それから、償還期間の延長を何とかならないかという話も出ていますね。  そういうことで、三つ私具体的に申し上げましたが、総合的には、今農家の負債がなぜ出てきているのか。これは北海道なんかですと、もう酪農、畑作、水田、それぞれ分けたもの全部トータルで持っています。だから、全国各県ごとにその実態をきちっと調査して、負債対策、経営対策とあわせてやっぱり別途考えていただきたい。  以上、まとめて御質問をし、御答弁を求めたいと思います。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 金融の自由化、金利の自由化という波が今日国際的にも、そしてまた我が国内にも寄せておるわけでございます。また「それに伴いまして各種金融機関は新しい商品あるいは利回りのいい商品を開発するのに必死に努力を行っておるという問題は先生も御認識のとおりだと思います。こういう中で、それぞれの金融機関が生き残り策を講ずるためには大変な苦労と努力が要ると思います。また反面、こういうときになりますと、政府関係金融機関は金利が高過ぎるという非難もいつも起こってくるのが、過去そして今日考えてみたら言われることでございます。  そういう中で、先ほど来御指摘した三番目の問題に移るわけでございますけれども、意欲ある農家が真剣に取っ組んでくれることは非常にありがたいことでございますが、過剰な購入とか設備投資という問題は十分注意しなくちゃならぬし、あるいはまた特定の農機具等の問題でございますと、合理的な使い方あるいは共用あるいはその他いろいろな方法を考えて生産性の向上と経営の合理化をやっていかないといけない。  また、ある面で言いますと、低金利時代になりますと意欲ある農家はそういう制度をうまく使いますと相当伸びていく。しかし、農産物価格が低迷し、そしてまた食糧の消費全体が停滞しておるときでございますから、たびたび当委員会でも申し上げておりますように、コスト意識を個々の農家も持ってもらわなくてはなりませんが、そうは言いましても、私たちとしましてもそういった問 題についてはできるだけの指導をやっていかなくてはならぬと考えておるところでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 で、どうなんですか、具体的に。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) いろいろな波風の中に、生きていってもらいたいと考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 財投金利なんかどうするんですか、大臣。

加藤六月自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(加藤六月君) 財投問題につきましては、ただいま財投金利につきましては私がこの席でお答えする立場ではございません。

菅野久光日本社会党

○委員長(菅野久光君) 他に御発言もないようですから、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十二月十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十六分散会

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