科学技術特別委員会 第1号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1986/09/11
会議録
○伏見康治君 ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。 本院規則第八十条により、年長のゆえをもちまして私が委員長の選任につきその議事を主宰いたします。 これより委員長の選任を行います。 つきましては、選任の方法はいかがいたしましょうか。
○岡部三郎君 私は、委員長に伏見康治君を推薦することの動議を提出いたします。
○伏見康治君 ただいまの岡部君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伏見康治君 御異議ないと認めます。 よって、委員長に私、伏見康治が選任されました。(拍手) ─────────────
○委員長(伏見康治君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。 ただいま皆様方の御推挙によりまして、引き続き本特別委員会の委員長に選任されました。 委員各位の御指導、御協力を賜りまして円滑な委員会の運営に努めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ─────────────
○委員長(伏見康治君) ただいまから理事の選任を行います。 本特別委員会の理事の数は四名でございます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(伏見康治君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に岡部三郎君、出口廣光君、稲村稔夫君、塩出啓典君を指名いたします。(拍手) ─────────────
○委員長(伏見康治君) この際、三ッ林科学技術庁長官及び志村科学技術政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。三ッ林科学技術庁長官。
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) このたび、科学技術庁長官を拝命いたしました三ツ林弥太郎でございます。 科学技術振興の重要性が強く指摘されるこのときに、科学技術庁長官に就任したことの重責を痛感している次第でございます。 申すまでもなく、資源に乏しい我が国が二十一世紀に向かって発展していくためには、唯一の資源とも言うべき頭脳資源を最大限に活用し、創造的な科学技術を創出していく必要があり、また、その成果をもって全世界に貢献していくことが必要であります。 このような政府に課せられた重大な使命を果たすべく、微力ではございますが、科学技術行政の責任者として、身を引き締め、全力を尽くしてまいる所存でございますので、委員長を初め委員の皆様方におかれましては、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつといたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○委員長(伏見康治君) 次に、志村科学技術政務次官。
○政府委員(志村哲良君) このたび、科学技術政務次官を拝命いたしました志村哲良でございます。 ただいまの大臣のあいさつにもございましたとおり、我が国にとって科学技術の振興を図ることは極めて重要な課題であります。委員長を初め委員の諸先生方の御指導を賜ります中で、誠心誠意努力をいたし大臣を補佐してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ─────────────
○委員長(伏見康治君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。 第百六回国会閉会中、本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。出口君。
○出口廣光君 委員派遣について、その概要を御報告申し上げます。 派遣地は、岩手県及び宮城県でありまして、派遣期間は、八月二十六日から二十八日までの三日間であります。 派遣委員は、伏見委員長、稲村理事、塩出理事、木宮委員、松前委員、小西委員及び私の七名であります。 また、派遣先は、小岩井農牧株式会社小岩井農場、東北電力株式会社根田地熱発電所、日本重化学工業株式会社葛根田事業所、財団法人半導体研究振興会半導体研究所、財団法人電気磁気材料研究所、東北金属工業株式会社仙台事業所、科学技術庁航空宇宙技術研究所角田支所及び宇宙開発事業団角田ロケット開発センターであります。 以下、調査の概要について申し上げます。 小岩井農牧株式会社小岩井農場では、会社の沿革及び概況説明の後、乳牛の受精卵を顕微鏡で観察したほか、受精卵移植で生まれた乳牛や組織培養による桜の苗木等を観察しました。 当農場は、盛岡市の西北、岩手山の南ろくに広がる我が国における唯一の民間総合農場で、酪農を軸とし、観光やバイオ技術の研究等多岐にわたって事業が展開され、創業は明治二十四年であります。原産国のオランダ、カナダ、アメリカ等から輸入した乳牛を当農場で改良し、全国各地へ送り出しております。また、すぐれた種牛の精液は凍結保存され、分譲されております。 受精卵移植は、昭和五十四年から始められ、受胎率は好成績を上げております。一頭当たり年間搾乳量の平均は七千から八千キログラム、乳脂率の平均は約三・五%であり、改良目標はそれぞれ八千から九千キログラム、三・八%を目指しており、受精卵の雌雄鑑別、受精卵の分割、体外受精等を今後の課題として取り組んでおります。 また、桜、ツツジ等の成長点移植による組織培養が行われ、我が国で初めて桜の苗木の生育に成功しました。 なお、受精の方法、精子レベルでの性別判定方法、植物と培地との関係等につきまして質疑応答が行われました。 次に、東北電力株式会社葛根田地熱発電所及び日本重化学工業株式会社葛根田事業所では、両所の沿革及び概況説明の後、運転室、タービン発電機、生産井と還元井及び第二号機の生産井の掘削現場を視察しました。 地熱発電は水力、火力、原子力に次ぐ第四のエネルギー源として、現在、我が国では九地点、二十一万五千キロワットの規模となり、世界第五位であります。 東北電力として初めての当地熱発電所は、四十七年から両社の共同開発で進められ、蒸気生産部門を日本重化学工業株式会社が、発電部門を東北電力株式会社がそれぞれ分担し、五十三年五月我が国最大級の出力五万キロワットで運開し、現在の稼働率は八七%で順調に運転されております。 東北電力の六十年度の電源構成では、地熱は約一%にすぎませんが、地熱資源は我が国に豊富に賦存する非枯渇資源であること、純国産のクリーンエネルギーであること、また熱水の利用で地域開発に貢献できること等の特徴があり、今後の開発利用が期待されております。 当発電所は、十和田八幡平国立公園内にあることから自然景観を損なわないよう各種の措置が講じられ、また熱水卓越型の地熱地域であることから、蒸気に伴って噴出する大量の熱水を地下に注入還元する等環境保全に十分配慮されております。現在、約十五キロメートル離れた雫石町まで熱水を供給する計画が進められ、また出力約五万キロワットの第二号機の開発が東北地熱エネルギー株式会社と東北電力株式会社との共同で進められております。 なお、井戸のシリカ等による目詰まり対策、地熱貯溜層の探査・掘削方法、地熱開発と温泉との共存等につきまして活発な質疑応答が行われました。 海外からの導入技術を主力とした技術革新を背景に高度経済成長を遂げた我が国が、今後とも科学技術立国を目指すには、創造的な科学技術をみずからの手で生み育てていくことが重要であります。この認識のもとに、科学技術庁所管の特殊法人として三十六年に設立された新技術開発事業団は、五十六年度から創造科学技術推進事業を推進しております。 本制度は、基礎的研究から革新技術の芽を積極的につくり出すことを目的とし、産学官及び海外の優秀な研究者を結集し、卓越した指導者である総括責任者のもとに、その研究プロジェクトが創造性を十分発揮されるよう流動研究システムがとられており、研究期間は五年間とし、参加研究者は一プロジェクト当たり二十人程度で、研究費総額は約二十億円で運営されております。 今回、西澤潤一東北大学教授のもとに、西陣完全結晶プロジェクトが推進されております財団法人半導体研究振興会半導体研究所と、増本健東北大学教授のもとに、増本特殊構造物質プロジェクトが推進されております財団法人電気磁気材料研究所を視察しました。 半導体研究所では、完全結晶の半導体素子生成技術により得られた新しい半導体素子群開発への手がかりを探求する研究プロジェクトが進行しております。 ここでは、光を利用した特殊な技術を用いて、基板上にガリウム砒素の非常に薄い層の完全結晶を成長させることに成功した装置等を視察しました。この成果等に基づいて将来超高速コンピューターの実現に大きな期待がかかっております。また、超高速、大電力用の静電誘導型サイリスタ等の開発も成功しております。 そのほかに、世界最高の輝度で消費電力の少ない発光ダイオードの製造技術を開発され、この発光ダイオードは交通情報表示に使用され、最近アメリカでは自動車の後尾灯への使用許可がなされたということであります。 また、電気磁気材料研究所では、アモルファス物質のような特殊構造物質を創出し、その物性を解明し、新材料としての可能性を探求する研究プロジェクトが進行しております。 ここでは、物質合成、試料調整、構造解析、電気磁気物性測定及びアモルファス製造実験等を視察しました。本プロジェクトは、実際に新しい物質を作製し、その特性を解明しなければ新素材が誕生するかどうかわからないという困難さがありますが、かなりの特許を出願する等の成果が得られており、将来の方向としてはメモリー材料やセンサー材料の開発が期待されております。 また、当研究所は、創立者である増本量東北大学名誉教授が発見された強磁性合金を時計に応用することによって、スイス製のひげぜんまい時計をはるかに凌駕し、我が国をついに世界の時計王国にしたという業績があります。さらに、アモルファス金属の製造及び応用技術が開発されております。 なお、両研究所において先端技術開発の創造性、開発支援のあり方等につきまして活発な質疑応答が行われました。 次に、東北金属工業株式会社仙台事業所では、概況説明の後、磁気記録装置のディジタルヘッドコアを製作している熱間静水圧プレス工場及び高周波、高耐圧、大電力スイッチング素子として非常にすぐれた静電誘導型トランジスタの製造工程と高周波誘導加熱発振器、超音波洗浄機等を視察しました。 同社は、十三年に通信機器用材料の国産化を目指して創立され、各種ヘッドに利用される高誘磁率で耐摩粍性の材料や低温側から高温側へ、また、その逆への形状を記憶できる画期的なニッケル・チタン合金の開発を初め、磁性材料の分野での素材や技術の開発等を行う東北地方の代表的先端技術産業の一つであります。 また、東北大学の研究成果を企業化する能力も高く、前述の静電誘導型トランジスタは西澤潤一東北大学教授が発明されたものを新技術開発事業団の委託を受けて開発し、これを組み込んだ広帯域増幅器を製造しております。 なお、同社では磁性材料で培った高度な技術により、五十七年からテレホンカードが製作され、そのシェアは約八〇%を占めております。 我が国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が五十九年二月に改定した宇宙開発政策大綱及びこれに基づき毎年度見直しが行われる宇宙開発計画に基づいて推進されており、社会的必要性と国力との調和、自主性の確保及び国際的活動との調和を図りつつ推進することが基本方針となっております。推進体制としては、宇宙開発事業団が人工衛星及びその打ち上げ用ロケットの開発、国立試験研究機関が人工衛星、ロケット等に関する基礎的研究、メーカーがハード技術の開発等をそれぞれ分担して実用化を進めております。 科学技術庁航空宇宙技術研究所角田支所では、概要説明の後、液体酸素・液体水素ロケットエンジン要素の研究を行うための高圧液酸ターボポンプ試験設備、ロケット燃焼器試験設備、ラム・スクラムジェット燃焼試験設備及びロケットエンジン高空性能試験設備を視察しました。 当支所は、四十年にロケットエンジンの研究センターとして開設され、液体及び固体ロケットエンジンに関する研究等を行っておりまして、去る八月十三日に測地実験衛星と日本アマチュア無線衛星一号の打ち上げに成功した我が国初の液酸・液水ロケットエンジンを搭載したHIロケット試験機の開発に大きな貢献をし、国際的にも高く評価されております。 液体酸素と液体水素は、極低温で取り扱いの困難な危険物であり、国際協力が得にくい中での燃焼装置等の開発は価値あるものといえます。これらの成果をもとにして次期大型ロケットHII用第一段エンジンの開発支援や将来の輸送システムの開発等を推進しております。 また宇宙開発事業団角田ロケット開発センターでは、概況説明の後、HIロケット第二段について、空気摩擦熱、輻射熱、宇宙環境下での各種バルブや推進薬の作動特性試験の設備、約三十キロメートルの高度に相当する減圧、温度環境下でのエンジン燃焼性能試験の設備、液体酸素・液体水素供給系の機能試験の設備及び水素ガス完全燃焼処理の設備を視察しました。 当センターは、我が国における宇宙開発の中枢的実施機関である宇宙開発事業団の一事業所として五十五年七月に発足し、液酸・液水エンジンとその推進薬タンク及び固体ロケットモーターの開発等を実施し、隣接する角田支所と相互の試験設備を利用して共同研究が行われております。 アメリカと欧州宇宙機関だけが成功していた液酸・液水ロケットエンジンを我が国が独自で開発し、HIロケット試験機の打ち上げで見事に成功をおさめたのは、我が国の宇宙開発技術水準の高さを実証したものといえましょう。これまでに得られた研究成果をもとに、一九九〇年代の実用衛星打ち上げ需要に対処するため、二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有するHIIロケットを自主技術により開発し、六十六年度にHIIロケット試験機一号機の打ち上げを目標に順調な研究開発が推進されることを期待しております。 なお、支所及びセンターにおいてロケットエンジンの原理と構造、アメリカとの宇宙開発予算や技術比較、地元対策等につきまして活発な質疑応答が行われました。 以上が調査の概要でありますが、今回の調査に当たりまして御協力を賜りました関係者の方々に感謝の意を表しまして、報告を終わります。
○委員長(伏見康治君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時三十七分散会