P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
107回国会衆議院1986/11/28

文教委員会 第3号

発言数
173
登壇者
10
会派数
3
開催日
1986/11/28

会議録

愛知和男自由民主党

○愛知委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林保夫君。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 皆様、御苦労さまでございます。  質問申し上げる前に、臨時国会八十日、あしたで終わりでございます。七十九日目に初めてこういう質問をする、この事実だけはひとつ確認させていただきまして、今後ひとつ教育改革ばかりでなくて、国政の刷新といった意味でもひとつ機能的に、大臣並びに文部省の関係の方にも御苦労かけると思いますけれども、日程を差し繰りいただき我々もそれをやる、このようなことでひとつお願いしたい、このことを申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。  大臣、けさ閣議が多分あったと思うのでございますが、けさの新聞のトップに出ておりますところの新テスト六十五年に延期という、どういう御決定になったのか、まず大臣の方からお答えいただきたいと存じます。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 大学入試問題につきましてきょう閣議がございまして、その閣議の後、私と総理大臣と相談いたしまして、私から総理大臣に報告をし了解を求めたことがございますので、それを私のメモによりまして、ちょっと早口でございますが、これを先に読ませていただいて、その後、状況を説明させていただきたいと思います。 一 昨日十一月二十七日木曜日大学入試改革協議会が開催され、新しいテストの実施時期について協議が行われた。 二 この協議の結果、新しいテストの実施については、①六十四年度入試からの実施は、現在高等学校一年生に在学中の生徒に係ることであり、混乱のないように取り進めることが必要であること、②各大学等における対応や準備を進めるについては、なお、一定の時日を要すること、③来春の入試については、国公立大学の受験機会の複数化、共通第一次学力試験の科目の削減と弾力化による改革が予定されていること等を考慮し、新テストを円滑に実施し、成果を挙げるためには、実施時期について従来政府が目途としてきた昭和六十四年度では困難であり、一年延期することが適当であるとの意見がまとまった。 三 文部省としては、同協議会の意見を尊重して、新しいテストの実施について、当初の目途であった昭和六十四年度を一年延期することとしたい。 が、総理に御意見を伺いたい、こういうことでございました。  この背景につきまして、実は冬休み並びに二学期の学期末試験を迎えまして、高校一年生の学生さんなんかがこの推移について多大の関心を持っておりまして、そういうことを受けまして、この入試問題は早く実施時期を明示しておく必要がある。  ところで、政府として、文部省としては六十四年をめどにしてこの改善計画を進めて準備もしてまいりました。しかし、先ほど私が報告いたしました中にございましたように、国公立大学の受験機会の複数化、それから共通一次試験の科目の削減、弾力化、こういうふうなことを行う予定であること、あるいはまた今回新テストに移行するという一つの大きい目標の中には、私立大学もこれに参加してもらいたいという大きい意欲を持っておること、目標を持っておること等いろいろ勘案いたしまして、これは一度早急に実施時期を決めたい、こういうことを考えたのでございます。  そこへ持ってきて、ちょうど二週間ほど前でございましたか、国立大学協会の総会がございまして、そこで国立大学長の大多数の意見として、この共通テストについては全面的に協力をすることにやぶさかではないけれども、実施時期については慎重に考慮してほしいという要望を込めて実は合意がされておるのでございまして、そのことが私の方に申し入れとして出てまいりましたし、また高校長会議がございまして、そこにおきましても実施時期については慎重を期してほしいという要望がございました。  そういう背景がございますので、私は直接この国公立大学長の意見を聞きたいと思いまして、先週の土曜日でございますが、役員の方にお越しいただきまして御意見をお聞きいたしました。その御意見の中では、この共通テストは私たちも賛成だ、がしかし、採用については各大学の自主性に任すということになっておるけれども、大方協力をするという方向では一致しておるんです、ついては、いろいろと大学側の方にも準備がございますし、特に受験機会の複数化というのが図られたことでもあるので、この際六十四年実施ということはひとつ慎重に考えていただきたい。その慎重の言葉の中には、一年でも延期していただければ十分対応ができるというそういう含みを持った言葉でございました。  引き続き高校長会の役員の方にお越しいただきましたら、高校としては、現在一年生の生徒が六十四年実施ということになったらこれに抵触してくる、できれば来年の春入学する新規入学生からという希望が相当強い、そう私は判断いたしました。そして高校長の意見といたしましても、言葉は、慎重にひとつ考えていただきたい、我々もこの準備を十分とっていきたいのでと、こう言っておりました。  月曜日でございますが、私立大学関係の方にお越しいただきまして御意見を聞きましたら、私立大学としても新テストについては非常な関心を持って考えておる、したがってこの六十四年実施ということについては、ひとつ我々も今一生懸命検討しておる最中だから慎重にやってくれぬかという話でございました。  そういうことを勘案いたしまして、火曜日でございましたが、私は総理にこのことを、実施時期については大学入試改革協議会の意見を聞いて、その意見の結論に従ったらどうだろう、こう私は思いますがと申しましたら、総理は、そのとおり、とにかく協議会の意見を聞いて、その結論に沿おうではないか、それを尊重する、その方向でよろしい、こういうことになりました。  ちょうど昨日でございますが、急遽この協議会を開催していただきまして、その協議会の意見というのが先ほど申しましたようなことでございまして、一年延期するのが妥当と思われる、こういう意見でございました。  私はそれを尊重いたしたいと思いまして、実はきょう閣議終了後総理に、大学協議会の結論はこうでございますのでこれを尊重いたしたいと思いますと申し上げましたら、総理は、それじゃ六十五年になるということなんだねと念を押されまして、確かにそのとおりでございまして、六十五年に実施いたしたい。ついては、このことについて役所の中の手続はまだいたしておりませんので、私は、来週早々にでも省議を開き、省としての意思を決定し、来週の火曜日の閣議でこのことを口頭で報告をいたしたい、こう思うておる次第でございます。  つきましては、先日、この文教委員会におきましても、ある委員の方からこの問題につきまして御質問がございました。そのときは、私は大学入試改革協議会の意見を、結論を待って決めたいと申しまして、何だか歯切れの悪い返事になっておったのでございますけれども、しかし、昨日大学協議会の結論が出まして、そしてきょう総理に了解を得たので、来週早々に文部省としてこれを決定いたしたい、そう思うております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣がもう全部語られましたので、ちょっと手順が狂ったわけなんです。ただいま理事会で、各党の皆さん御熱心に、与野党一致してひとつ大臣の御所見を聞きたい、かたがた、前回来各党の代表の方々が質問されておりましたが、私の時間の配分がきょうになりましたので、概要をただいまお話しいただきましたが、なおもう少し大臣にお聞きしたいのでございます。  一つは、これが教育改革の目玉になったような感じでございますね。そういった意味で、中曽根総理はただいまおっしゃったように六十五年になるんだねという言葉でございましたが、いろいろ新聞報道そのほか見ておりますと、各関係のところも熱心に進めながらも何かムードとしてはまだ未熟だという言葉があちこちに出ておりますが、大臣の答弁を聞きます前にその点を、事務当局の方はこれまでどういう段取りをされ、そして接触を持たれながら、なおどういう判断をされた上で、きょうの大臣と総理との合意になったのだと思うのでございますけれども、その辺のところを予算の問題も含めてひとつ御説明いただいておいたらありがたいと思います。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 新テストにつきましては、ただいま大臣からお答えしたような状況になっておるわけでございますが、御案内のように、本年の七月に入試改革協議会の一応の骨格についてのまとめが出されまして、以来これについては国公私立の各種の団体あるいは各大学あるいは高等学校長協会等に対して御検討をお願いいたしまして、今検討が行われているという状況にあるわけでございます。  この中で、国立大学に関しましてはかなり議論が進んでまいりまして、国立大学協会としては、この問題には積極的に協力をするということを基本的に定められると同時に、あと具体に各大学がどう対応するかというのは各大学レベルで十分検討を進めていこうという状況になっておるわけでございますし、また、公私立の大学関係につきましては、特に私学は団体の数が一つでなくて多うございますけれども、幾つかの団体ごとにこれのための研究会と申しますか勉強会、そういうような会合を相次いで、先月十月でございますけれども開いていただきまして、るる私どもの方からも状況の御説明と内容の御説明等いたしました。それを踏まえて各大学の検討に着手をしたという時期にあると思っておるわけでございます。この私学団体における検討会におきましては、大変熱心な質疑応答あるいは意見の陳述等も行われまして、私学側の関心も逐次高まりつつあるという印象を得ておるわけでございますけれども、全体としてはそういう段階でございますので、それぞれの大学が自分の大学ではこれをぜひ利用しよう、参加しようということを決定するまでにはなお若干の時日が必要であろうというふうに思っておるわけでございます。  それから、文部省といたしましては、新テストの実施準備のための経費というのを来年度の概算要求で現在要求をいたしております。これは内容的に申しますれば、新しいテスト、従来は国公立だけでございましたものを私学まで入ってやっていただくということでもございますので、実施のためのいろいろな実務的な事柄等もあるわけでございます。したがいまして、そういうものについてある程度私学の方にも理解していただくという意味での試行テストを行いたいというようなことを初めといたしまして、問題作成のための準備に取りかかるとかいろいろな点についての準備経費の概算要求をしているというわけでございまして、これについてはこれからまた暮れの折衝までの段階に内容的にはさらに詰めていく必要があろうか、かように思っておるところでございます。  このような点が大体これまでの経緯と現在の準備状況でございます。  一つ申し落としましたけれども、具体の実施方法につきまして、例えば入試の会場の設定をどうするかというようなたぐいのものにつきましては、現在、大学入試センターの中にこれまた国公私立の大学の関係者等から成る検討の委員会を設けまして、鋭意検討を進めているという状況でございます。  以上でございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 そういった理事会の合意もございまして大臣にもう一つ念を押したいんでございますが、来週でございますか、省議をおやりになって火曜日の閣議決定に持っていかれる。大体内容的には先ほどお話しになっておられましたけれども、特段の追加すべき新しい問題というのは、総理からもあるいは事務当局からも出ておらないわけでございましょうか、その点をひとつ確認しておきたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 お尋ねの中に閣議決定というお言葉がございましたが、これではございません。閣議では、閣議決定することと、閣議了解事項ということと、単なる報告を聞いたということ、そういうように発言によりましても種別がございますが、私が来週の閣議で申し上げたいのは発言をするということでございまして、報告をする、こういう程度のことでございますので御理解いただきたいと思います。  それから、もう一つは何でしたか。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 情勢が変わりましたので、何か従来の線と食い違ったような問題とかあるいは追加するような問題がそういう中で出てきますかということです。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 今後準備いたしますのは、先ほど阿部局長が言っておりましたように、従来の検討されてきたものをさらに一層精査して検討していただくということでございまして、私が今承知しておりますことについては、新しいものとかそういうものは今聞いておるところではございません。したがって従来の検討されたものをさらに一層精査する、こういう意味における検討だと思うております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 事務局に対してのこれは要望になるかとも思いますけれども、現在中三の連中がそれにひっかかるわけでございますね。時間もまだございます。しかし、なお後になってこういう問題が次々と出てこないように、厳重な対応をこの機会にお願いしておきたいと思いますが、その辺は事務局としてももう詰めに詰められた問題であって心配ない、こう言い切れるのでございましょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 新しいテスト、新しい構想を実施に移していくわけでございますので、準備なり何なりの段階あるいはさらに検討を詰めていく段階で幾つかの問題が出てくるというようなことが皆無であるとは思わないわけでございますけれども、しかしながら、私どもといたしましては、これまで大学関係者、高校関係者その他の協議を積み重ねながら進めてきたわけでもございますし、より綿密な協議を重ねて実施に遺漏がないように期してまいりたい、かように考えております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 そういう政治、行政両面からの対応を、延びたわけでございますので、この機会にひとつしっかりやっていただくことを注文させていただきまして、次の質問へ移りたいと思います。  大臣、御就任になられましていろいろと文部行政大変なことはよく私どもも理解できるわけでございますが、大きな課題として、私どもの党も、また国民の期待もそういうところにあろうかと思います教育改革という、中曽根総理によりますと戦後政治の見直しの中の一環でもあるかと思いますけれども、そういった問題に大臣は、かねての所信表明の際に「持てる力のすべてを傾注して、」こうおっしゃっておられましたが、もちろんその辺お変わりになっておられぬと思いますけれども、大体どういう方向でおやりになるのか。もう御就任後、日もかなりたっておりますので、大臣からちょうだいいたしました所信表明の中身を聞く前に、御所見なり御決意なりを改めてちょっとお聞きしておきたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 私の教育問題に関する認識等につきましては、就任当初に申し上げました所信表明の中にほぼ盛り込まれておることでございまして、これは林さんもお読みいただいたと思うておりまして、このことについて多くを触れる必要はないと思うのでございます。  要するに、今まで戦後学校の改革はもう数次にわたり適時適切に行われてきましたけれども、いずれもその改革は学校という現場においての改革であったと思うのでございます。しかし、それにもかかわらず社会は高度経済成長から安定経済成長へと、経済活動の変化が一般社会活動なり家庭にまで影響してまいりまして、そういう世間の変化というものは教育の現場における変化、改革をさらに追い越して先に進んでしまっておるように思うのでございまして、学校教育も社会的にやはり即応する体制に改革していかなければならぬということ、それじゃどういうことが社会に即応することかといいましたら、今まで我々考えておらなかったおおらかさというものをこれから教育の中心に持っていかなければならぬだろうということ、そして、国際化ということがやはり学校教育において必須的な条件として課せられてきておると思うのでございます。そして、同時にまた、日本国民としてその社会秩序を守っていくために必要な徳育の教科といいましょうか科目、こういうものが求められておると思うのでございます。そういうことについて文部省は臨時教育審議会の意見あるいは他の審議会の意見を聞いて改革に今取り組んでおるところでございまして、その路線で懸命の努力をいたしたいと私は思うております。  同時に、私は、今文部大臣として行政の責任者になっておるわけでございまして、一面政治的な面からも見る必要もあろうと思うのでございますが、それを見てまいりますと、今教育と財政という関係、これをこの際やはり明確にしなければならぬことと、教育に要する財政支出というもの、これをしっかりと位置づけてまた確保していくということ、これが私にとりまして一番大きい責任ではないか。  まあ、そういうことを思いまして、私は、一方において教育改革の中身を変えていく、そういうことと同時に、財政的にこれの基盤をつくっていくということ、これが私の使命ではないかと認識して毎日懸命に努力しておるところでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大変御苦労だと思いますが、中曽根内閣の今回の再スタートでは、前大臣、藤尾さんでございますが、教育とは何だという質問に対しましていろいろと語られたのだと思いますが、国民の前にはしつけだ、しつけだ、こういうような発言で理解しておって、これは大変な中曽根内閣だな、こういうような批評も出ておりましたが、大臣のおおらかさという意味としつけという意味ではどういう関連があるのか、ちょっとその点だけひとつ聞かせておいていただいて、やはり塩川文政は違うんだな、こういうようなところをはっきり出していただいた方がこれからの私どもの理解もよろしいかと思いますので、ちょっとお願いしたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 私は、法務省でございましたか犯罪白書というのを出しましたのと、総理府が青少年白書みたいなものを出しまして、それを読んでまいりまして、一つ非常に特徴的なものを感じたことがございました。それは大臣になる前でございますが。それは中学生のときに非行少年が非常に極端に多くなるということ、これはどこに原因があるんだろうということを私なりにいろいろ見てまいりましたら、要するに、小学校から中学校へ進んで、中学校では自意識が強くなったその当時、色気もついてきたような年になってまいりますと、今までの小学校のようにぎゅっと統一規格的にやられておった教育に対し、学校の空気に対し、物すごい反発が中学生に出てきておる。これは何でこういうことになるか。やはり現在の学歴社会、この学歴社会の中に小さいときからもまれてしまって、小さい戦士として毎日毎日を戦ってきておる。これでは子供がかわいそうじゃないか。そこでおおらかさということを私は絶えず心がけておるものでございます。  そしてしつけということ、これはまさに大事なことでございまして、前文部大臣がしつけをやかましく教育の中心に置かれた、これは当然だと私は思うのでございます。それは言葉は違いますけれども、今日徳育に重点を置こうというのはまさにそのことではないか、こう御理解いただいて結構だと思います。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣、今しつけも大事だ、こうおっしゃいますけれども、私ども一般に、馬齢を重ねまして親となりあるいはおじいさんとなってきておるわけですけれども、その体験から申しますと、大臣のおっしゃった、前の大臣もおっしゃったしつけも大事だと言われるそのことは、大臣、学校でどの程度できるものでしょうか。この点ひとつ聞いておかなければならぬポイントだろうと思うのです。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 学校でというよりも、これは家庭であるいは社会でそういうものはやはり協力していただかなければならぬし、むしろ家庭が中心になるんだろうと思うのであります。しかしながら、基本的なことと各家庭あるいは社会で行われておりますそれぞれのしつけというものの普遍的なもの、こういうものはやはり学校教育の現場において教育として施していくべきだ、こう思うものでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣のおっしゃられること、私はまたそれを大人の責任、こういうふうにいつも考えておるわけでございますけれども、教育といえば決して学校教育や社会教育だけでなくて、やはりもっと家庭教育をしっかりさせなければならぬというような、国として民族的な課題を持っておる国に実はなってしまった、こういうこともあろうかと思いますので、十分御発言は理解できます。  ついては、何を例にとったらいいのかちょっとわからぬのでございますけれども、先日、国旗、国歌についての学校への御発言では、強制的なというような感じの問題での質問があったと思うのですが、これはどういう通達をいつごろ出されておるか、ちょっと……

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 学校教育における国旗、国歌の扱いでございますが、まず一つ基本といたしましては、学習指導要領におきまして、これは各教科においてもそうでございますが、特に特別活動と学校行事において、例えば祝日とか入学式、卒業式においては国旗を掲げ国歌を斉唱することが望ましい、こういうふうに書いてあるわけでございます。この学習指導要領は学校教育の基本的な基準でございますので、学校教育においてはこの学習指導要領に従って、国旗を掲げ国歌を斉唱するということを入学式、卒業式等では行っていただくことが望ましいわけでございます。  これはずっと前から指導要領に書いてあるわけでございますが、一昨々年でございますか五十九年度に、特別活動等において国旗、国歌を掲揚し斉唱する実情を調査いたしましたら、国旗の方はかなりいっておるのでございますが、国歌の方はまだなかなかそこまで、約半分ぐらいでございますかの実情でございまして、国歌につきましては若干県のばらつきがあるというふうな実情がございました。そこで、昨年の半ばに初等中等教育局長名で、国旗の掲揚あるいは国歌の斉唱については指導要領もあることでございますので、その取り扱いについては適切な扱いをしてほしいというふうな通知を出した、こういうふうな経緯でございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣、今お聞きになったような形に私も想像できるのです。望ましいということであれば強制するわけにはいかない、それにもかかわらず、文部省がちゃんとやるように適正にと言われましたですか、その通達を出している。それがなろうことならちゃんといかないようではこれはやはり機能していないのじゃないか。その辺について事務当局はどのようにお考えになられますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 文部省としては、指導要領で国旗を掲げ、そして国歌を斉唱することが望ましいということで指導をするわけでございますが、具体的な学校現場における扱いにつきましては、それぞれの教育委員会、学校がその取り扱いを決めるわけでございます。  したがいまして、個々の学校で我が学校は国旗を掲げよう、我が学校は国歌を斉唱しようというふうに決めれば、それはそれでちゃんと決まったこととして国旗を掲げ国歌を斉唱する、こういうふうになるわけでございますので、私どもとしてはできる限り、扱いとしては明確に学校がそのような扱いを決めて、そして国旗を掲げ国歌を斉唱するようにしていただきたい、そういうふうな指導をしておるわけでございまして、学校の取り扱いで明確に決めていただいた場合はそのような取り扱いがちゃんと行われる、こういう仕組みになるわけでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣、お聞きのように乱暴な言葉で言いますと、まさに国鉄のような上も下も意思の疎通のないような形に教育現場がなっていると言う人もおりますし、私はそこまで絶望はしていないのですけれども、そういうことであれば、これから皆さん方が、言うなれば大臣もおっしゃったような財政的な負担といいますか国民の税金を伴って、大臣はむしろ節約の方法を考えておられるようですのでこれはまた後で承りたいと思いますけれども、なおかつやろうとしてもできないのではないだろうか、このような心配を心ある人たち、これはもう決してイデオロギーとかなんとかいうのじゃなくてやはり持っていると思うのでございますが、大臣、その点について御就任以来の御認識はいかがでしょうか。そういうふうに指導要領にもあり通達も出ている。国旗、国歌と言うたのは悪いかもしれませんけれども、そうではなくてほかの問題もそういうことがいっぱいあるということで、決して文部省が伏魔殿だと言うわけじゃないのですよ、皆さん方はきっちりやっておられる、やっておられながらもその意思が末端まで通らない、通らないとすればこれは文部省に任せておけないのではないか、こういうような声も実は聞きますので、大臣の実際の御体験での御認識を率直に承っておきたい。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 仰せのとおり、学校はいわば学園の自治であるとかあるいは学問の自由というような問題が、そういう義務教育学校の中においてもある部分では行き過ぎたような感じがあると私は思います。そのことが要するに、先ほど御質問の中に、各校てんでんばらばらでやっておるじゃないか、こういう印象になっておると思うのでございますが、私はそういう点が確かにあると認めざるを得ないと思います。  ついては、これはやはり教育委員会、まあ文部省が直接、全国で幾ら義務教育校の学校があるか知りませんが、大体四万四、五千と聞いておりますが、その全部に対しましてそういう指示、監督ということがなかなか、そんなものはすべきではないし、またできる体制にはないわけでございまして、それは地域ごとの教育委員会が、あるいは文部省がこういう意向で指導しておるということを正確につかんで、それを実施してもらう強力な指導性を発揮してもらいたいと私は思うておるのでございます。それをするには、やはり学校と教育委員会とが絶えず連絡を密にして、その指導の趣旨、意向というものを正確に把握してもらいたい。  ただ単にイデオロギー的に、国旗を掲げることは愛国主義イコール軍国主義だというような、戦前の復活だ、そういう単純な、短絡した考えではなくして、何のために国旗を掲げるのか、我々日本国民として国旗をどう認識するかということなんかをやはりきっちりと話し合ってもらって、それを掲げてもらいたい、私はそれを強く希望しておるものでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 ただいま大臣がいみじくもおっしゃいましたが、教育委員会の問題、立派に機能している教育委員会もあろうと思います。しかしなお文部省に抵抗したり、学校との関係でトラブルになっておるところも、私も現に知っております。それは今挙げません。行政事務の面から見まして、教育委員会に対してどのような注文を事務的に考えておられるのか。  もう一つ大臣、これを廃止するとか改革というのは戦後政治の清算でしたらあり得ると思うので、先に事務的なお答えをいただいて、あと大臣がどのようにお考えになっておるか、その点をお聞かせいただきたい。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 教育委員会のあり方に関しましては、いろいろな各方面からの御意見等もあるわけでございますし、また本年の四月に出されました臨時教育審議会の答申の中でも、教育委員会の活性化という御指摘をいただいておりまして、現在、文部省におきましても、教育委員会の活性化に関します研究協力者会議を開催いたしまして、臨教審答申の趣旨を踏まえて、どのような形で教育委員会がその機能を十全に果たし得るか、いかなる方途をとればよろしいか、どういう面を改善すればよろしいかという御審議をいただいておるわけでございまして、この報告を受けまして、教育委員会のあり方についての、教育委員会がよりよき機能をするための各般の指導なり、あるいは制度改正も含めまして対応してまいりたいと考えている段階でございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣にひとつ、教育委員会の扱いは非常に大事だと思いますので、一言……

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 現在の教育委員会のあり方を見ておりますと、委員会としてのいわゆる合議体である委員会というのが余り機能しておらないように思うのでございまして、教育長があって教育委員会があるというようなそんな感じがするのであります。これをやはり教育委員が合議をして、そして決定をし、それを執行するのが教育長だと私は思うのであります。その体制をやはりしいていただきたい。そして教育委員には本当に、教育に多少経験もあり、また情熱を持っておる人が就任していただくことを私たちは望んでおるものでございます。  そして一方、教育委員会と学校との関係でございますが、教育委員会は、最近私は地元の学校も教育委員会も見ておりましたら、学校の言うことといいましょうか学校の判断を尊重する、これは当然でございますけれども、その判断の中に、やはり教育委員会として一つの方針として持っておるものをきっちりとそのとおり、その枠内において判断されておるかどうかということ等をもう少し厳格に見てもらいたいということを私は思うておりまして、過日、市町村関係の教育委員の方でございますが懇談をいたしまして、その中にはいろいろと多くの示唆に富む意見もお聞きいたしました。これらを今後の教育委員会と文部省とのあり方の中で検討材料にして話し合っていきたいと思うております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 今大臣おっしゃったように、教育委員会が機能してない、それからまた事務当局の皆さんも、活性化させなければならぬ、そこらあたり重大な発言でございますので、詰めてもよろしいけれども、ほかに問題がございますので、ひとつお互いに問題があるという認識を持ちまして、どうするかという処方せんを文部省なりが、それからまた審議会にかけてもよろしいけれどもやはり出さないと、いろいろないいことが末端神経を通じて下までいかない、こういう問題があることを重要な問題として指摘しておきたいと思います。  続きまして、急ざますけれども、大臣がさきにおっしゃった政治的な立場からの財政的な面ですね。もうこれからいろいろ子や孫たちのためを思って教育改革充実という方向でやっていこうとすれば、財政は幾らあっても足りない、こういうことになりかねないと思います。私は今決して多過ぎると言っているわけじゃないので、もっともっとやはり充実させるべきだという視点ではございますけれども、大臣のおっしゃった財政的基盤をつくる。今財政手法として民活ということも言われておりますね、公共投資そのほかについては。この点ニュアンスだけでも結構ですけれども、どのような方向で大臣がお考えになっておるか、我々もひとつこれから後世代のためにも研究していかなければなりませんので、御所見を承りたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 政府はかねてから、教育は将来問題として最大の政治課題の一つであるということを言っております。その認識に立って考えるならば、現在行政改革が進められております、私はこの行政改革は当然進めるべきだと思うております。しかし、行政改革を進めるからといって、国の最大政治課題である教育の財政問題も同じ行政改革の路線の中で考えるという考え方、これをまずやはり改めていくべきではないか。教育問題を考える場合に、行政改革を全部のことに、行政改革を行わなければならないところはほかにもっとたくさんありますが、それとこれから重要課題として取り組まなければならないこの文教行政の予算というものとを同一視していくということは大きな間違いだ、これをまず改めてもらいたい、こういうことをまず言っておるのであります。  それから、高度経済成長のときには確かに要求し得るものは大小にかかわらず何とか予算はついていくような状況でございましたが、安定経済成長になって財政の伸びというものが収縮してまいります。そういうときに逆に教育関係の改革をし教育予算を増大せしめなければならぬことになってまいりました。そこで、これを実現する、教育改革の切りかえをしようとするならばビルド・アンド・スクラップだ、あるいはスクラップ・アンド・ビルドだと言われております。しかし、現在そうなっておるのかといったらそうはなっておらないのでございまして、文部省がスクラップにする、削減したものは、政府が当然見なければならない人件費の方に回されてしまっておる。そうすると、政策的経費というものは我が身を削って、その政策的経費を削ってなおかつ人件費を賄っていかなければならぬということ、これは私は大変な政府の考え違いだ、これを私は強く訴えていきたいと思うておるものでございます。  この前も臨時教育審議会の委員の方々にこの実情を言いまして、我々文部省も行政改革は実施しなければならぬ、しかしそれは、政策的経費の問題を行政改革して新しいものを、スクラップにして新しいものにする、これは当然だ、けれども義務教育に要する人件費というものは国の基本方針として国が責任を持っておるものであるから、この人件費については行政改革の対象外として考えてもらわなければ、こちらの方の当然増というものを政策的経費を削ってこれに充当するという、これは私は大変な考え違いだということを訴えております。しかし、まあ非力でございますのでなかなかその意気が財政当局にも通じない。しかし理解はしてくれていると思うのでございまして、やはり国会のお力をかりて、これを財政当局に十分態度を改めてもらうようにひとつお願い申し上げたいと思います。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 その辺が大臣の一番苦心のあるところで、十分理解できると思います。ただ、これを将来にわたりましてどうするかという問題は、まさに行革の中心として、柱として考えていかなければならぬと思います。  昨年六月の第一次答申、そしてことしの四月二十二日に教育改革に関する第二次答申があって、第三次答申がいつになるのか。大臣が臨時教育審議会からの答申を受けてやるという、これは教育改革推進本部の本部長だと思いますが、結局事務的に法律あるいは政令としてこういうものを一斉にやる時期があると思います。その辺がいつになるのか、それまでの手順を事務的にどう考えていらっしゃるのか、その辺を明らかにしていただいて、また大臣に後から政治的な御決断をひとつ承らせてもらいたいと思います。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、臨教審からこれまでに既に二回の御答申をいただいておりますし、それから来年には第三次の答申も予定されておる、こういうことでございます。  そこで、これまで既に二回にわたって御答申をいただいている中身というのは、この教育改革全般にわたって非常に広範多岐な御答申をいただいているわけでございます。でございますから、その中には既にこれまで文部省の文教行政の課題として取り組んできたような問題もあるし、あるいは新しい角度から臨教審がお取り上げになったこともある、あるいは今先生御指摘がございましたように新しく法律制度の改正で実施しなければいかぬということもございますし、あるいは予算上の措置で対応できるものもある、あるいはそういうものとは別の角度から、既存の行政運営の改善ということで取り組むべきものもあろう、そういうものが今までの二度の答申にはいろいろまざっておるというのが実情であろうか、こういうふうに思っております。  私ども文部省といたしましては、かねてから、この教育改革の推進、具体化を進めるということで、省内に教育改革推進本部という組織を設けまして、この答申の具体化を進めているわけでございますけれども、その中で、ただいま申し上げましたいろいろある中で、例えば行政運営の改善ですぐやれるというふうなものについては直ちに取り上げよう、取り組もうということでございまして、本年の六月にそういう関係の事項を取り上げまして、それぞれの都道府県の方へお願いをするというふうな通知を差し上げたということもございますし、それから予算で取り組むべき事項につきましては、予算の必要なものにつきましては早速概算要求を行うというふうな取り組みも進めているわけでございます。あと法律、制度の改正を要するものにつきましては、これは全体の姿ということが必要でございますから、まだ第三次答申が出ておりません、第二次答申をいただいた段階で、全体の法律の改正あるいは制度の改正をお願いするというようなことになろうかと思っております。ただ、その制度改正の中でも、そういうレベルでなくて、例えば省令の改正でいけるというふうなものにつきましては、その内容が詰まり次第、できる限り着実にこれを進めてまいりたいというような取り組みでまいっているわけでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 事務当局の方にお聞きしたいのですが、ただいまお話しになりました行政運営でやれるもの、今六月に都道府県に通知したとかおっしゃっておられましたが、予算でやれるものというのはどんなものがありますか、題目だけで結構ですからずらずらと挙げていただきたい。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 六十二年度の概算要求に盛られている事項、多かれ少なかれこれはまた教育改革に関連をするわけでございますけれども、例えば第二次答申で御指摘のございました初任者研修制度の実施、これは制度自体は法律の改正でお願いしなければなりませんが、それの施行に要する経費を概算要求申し上げている。あるいは教育条件の改善ということで、四十人学級あるいは教職員定数の改善計画を着実に推進すべきというような点、あるいは高等教育関係で申しますと大学院の充実ということで、大学院における最先端設備の整備充実ということを新規に概算要求する、あるいはこれは従来からの施策の継続でございますけれども、科学技術、学術研究の一層の推進のためのいわゆる科研費の充実でございますとか、あるいは留学生、二十一世紀初頭に留学生を十万人受け入れる、その受け入れのための計画をさらに推進する、その関係の経費を要求するというようなことが主なる事項でございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 私の印象ではまだまだいろいろとあるような感じがいたしますけれども、これはまたそれぞれ聞かしていただくことにいたしまして、大臣、私の方から見ますとこれはなかなか長丁場になると思いますし、さりとて余りほっておくわけにもいきませんし、もう既に今の入試制度の問題が一年ずれましたね。大体どのぐらいの時期に仕上げを考えておられるのか、その辺の腹づもりをひとつ聞かせていただきたいと思います。特に、教育改革の関連法案が出てきて私どもが懸命になってやらなければならぬ時期もそれなりにあろうかと思いますが、その辺のところを踏まえましてひとつ御所見を伺いたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 先ほど川村審議官が申し上げておりましたように、第三次答申を待たなければこれの改革実施への計画なりあるいは順序というものも決まってこないと思うのであります。この第三次答申に先ほども説明しておりました教科書問題だとかあるいはいろいろな問題が含まれております。おりますが、私が第三次答申で一番期待しておりますのは、先ほども申しましたように、教育改革と財政との関係を一応この審議会の方でどうお取り上げいただくのかということ、つまり臨時教育審議会の委員の方々は、要するに社会の甘いも酸いももう何もかも知り尽くした方々が委員として就任していただいております。でございますから、教育改革にはやはりそれなりの金が要る、その財政はどういうことで措置すべきであるかという意見が必ず出してもらえるだろうという期待を持っておるのでございます。そういうことも期待を込めて私は第三次答申をお受けいたしたい。そして、それに基づきまして、やはり財政の裏づけの濃淡によりまして、この改革の実施のテンポもあるいは改革の内容もそれなりにやはり現実的な対応をしなければならぬだろう、こう私は思うております。  しかし、いずれにしても私たちは臨教審の最終答申、これを非常に期待してお待ちしておるという段階でございまして、それ以降において今お尋ねの問題を検討いたしたい、こう思うております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 以下は二、三、トピック的なものになってしまいますけれども、これもまた大変大事な問題だと思います。過日、総理府から出ました「学校教育と週休二日制に関する世論調査」これについて、この結論を大臣はどのように御判断されますかという点なんですが、結局は学校週休二日は無理だというような感じの世論調査の結果になっております。その辺について大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 先に事務的にお答え申し上げます。  先生御案内のように、総理府の世論調査によりますれば、現行どおり六日制がよいというのが小、中、高を通じて約六割ということでございまして、いわゆる五日制というのは二割台から二割五分台というふうな結果でございます。  私ども、その世論調査の結果としては、やはり現在の親御さんのお気持ちとしては、学校教育ヘの期待というものが非常に大きいし、そして、もし五日制になった場合についての子供たちへの配慮ということについての不安があるというふうな点、そういう親御さんのお気持ちはごもっともであろうと思いますが、ただ、別の立場で考えた場合に、今後の社会情勢の変化とか雇用、勤務形態、そういうふうな問題が起きてまいりますので、そういう点についての配慮というものは別途また政府側としても考えてまいらねばならない。その際には、親御さんのそういう御心配にどういうふうに対応するか、そういうものをどういうふうに考慮の中に入れていくかということも含めて政府側としては考えてまいらねばならない。こういうふうに思うわけでございまして、現在五日制の問題を御案内のとおり教育課程審議会でも御議論いただいておりますし、これはまだ継続して審議をしていこう、こういうふうになっておりますので、しばらくその辺の審議も見守りつつ私どもは対応については十分慎重に考えてまいりたい、こういうふうな立場でございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 重ねてひとつ事務局の方からお聞きしたいのですが、世界各国の状況、私もそれなりに資料を持っておりますけれども、文部省は大体どのように把握しておられるか。もう今さら日本はよその国にモデルとして学ぶことがないとも言い切れませんし、なお、これからの働く者などの週休二日制あるいは勤労時間の縮小という問題とも関連する一体となってのものだと思いますだけに、各国でどういうふうになっておるか、またその成功例及び失敗しているという印象をもし持っておられれば、そういうところも忌憚なくちょっとお話しいただきたい。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 一週間で何日の授業日数をとるかという問題は、年間の授業日数の問題とかかわるわけでございますが、先生お尋ねの諸外国の例といたしまして、アメリカは年間の授業日数が約百八十日でございまして、これは一週間五日制、土曜、日曜はお休み、アメリカは五日制でございます。それからイギリスは年間の授業日数が約二百日、これも五日制、土曜、日曜はお休み。それからフランスは年間が百八十日で、水曜日と日曜日がお休み、こういうふうになっているようでございます。それから西ドイツは三百三十日、多いのでございますね、これは六日制ですが、一部五日制のところもある。それからソビエトは、ちょっと調査が十分かどうかでございますが約二百十日、これは六日制でございます。我が国はどうかと申しますと、年間二百四十日でございます。二百四十日で現在は六日制である、こんな現状でございます。  それから、先生お尋ねの、それぞれの国で五日制でうまくいっているかどうかという点については、これは各国の伝統的な取り扱いでかなり長期にやっておりますので、この点についてはそれぞれの国なりに初等教育、中等教育はやっておるというふうに、厳密な調査をしておるわけではございませんが、そういう理解をいたしております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣、私もそういう認識だろうと思いますけれども、大臣のゆとりを持とうということと授業日数を少なくするというのとは一体的な感じがいたしますが、どのくらいのレンジでそういうものを、個人的にでも結構ですけれども、やれるのかやれないのか。御承知のように今みたいにかぎっ子を大勢つくっておるような日本国の惨状では、学校で預かってもらうしかないというのも現実的な対応だろうと思いますけれども、御所見を承りたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 学校五日制に対しまして親の方からは六十数%の反対が出ております。私はこれを見まして、やはりそうかなという感じがしたのであります。それはなぜかといいまして、まだ日本の社会全体が週五日制になじんできていないし、その体制がとれてきておらないことが根本だと思うのであります。私はそれが徐々に進行していくと思うのですが、それができましたら当然学校も五日制に進んでいく、こう思っております。  しかしながら、現在、日本の週五日制を見ましてもこれは非常に困ったなと私は思いますのは、五日というのは土・日と、こうなるのです。土・日に集中して休んでしまいますので、ふだんの日は要するに余暇を楽しむべきところがからからになってしまう。日本でなぜそういう余暇を対象にした投資というものが行われないかといいましたら、七分の二しか稼働しない、七分の五は稼働しない施設をつくっていく、これが異常にコストが高い、異常にコストが高いからこそそういう余暇施設を利用できない。逆にそうなると、むしろ仕事をしておる方がましだ、こうなってくる。私は、学校の五日制という問題は、経済的あるいはまた社会的な問題が片づかないと本当に本格的な実施になかなか踏み切れないように思うのでございまして、ただ教員の配置だとかあるいは学校の施設をどうするかということ、これも大事なことでございますが、同時に、より以上にこれは社会的な問題であろうと思っております。したがって、見通しとしては、私はこれは二十一世紀になれば当然そうなっておるだろうなと思いますけれども、かなりな時間がかかってそういう社会の改革ができる、その改革と並行して五日制は進行していく、こう思っております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 この点について、実務をやっておる事務当局はどのような展望を持っておられるでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 大臣が今お答えになりましたようにやはり今後の課題として、直ちに五日制が実施できるというふうにも思えないわけでございまして、その前提としては、学校教育の問題としても二日間休みになる、特に土曜日などがもし休みになるとすれば、そのアフターケアなりがどういうふうに行われるかというふうな問題、この点についてのいろいろな詰めが行われる必要があるというふうに考えておりますので、十分慎重な対応をしてまいりたいというふうに思っております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 次に、例の九月入学ですね、秋季入学。臨教審の中にもありましたし、それから大変御熱心な方々もおられたり、もろに反対される方もおられますけれども、この九月入学についてのメリットとデメリットということにつきまして、事務当局の御判断を伺いたい。  それからもう一つは、これは大変お金がかかるというふうにも実は聞いておりますので、具体的にどういうことなのか、要点だけひとつ御説明いただきたいと思います。

川村恒明文部省大臣官房総務審議官

○川村政府委員 九月入学の問題につきましては、現在臨教審でそのための特別委員会が設けられて検討が進められておるという段階でございますので、それに対する評価というのはあれでございますけれども、幾つかの検討すべき問題がある。今御指摘がございましたように、九月にした場合のメリットはどうかあるいはデメリットはどうか、あるいは現在の四月入学についてメリットはどうか、デメリットはどうか、とういう問題につきまして、もし仮にこれからそういう制度をやろう、仮に日本がただいまから学校制度を始めて四月にするのか九月にするのかという観点で考えた場合のメリット、デメリットいかんということになりますと、これはまたいろいろそれぞれにあるわけでございます。例えば国際化との関係とか、入試の問題とか、教員の人事異動の問題でございますとか、それぞれについてそれぞれの立場でメリット、デメリットがあろうかというふうに思っております。しかし、実際問題としては、我が国は既に四月入学という制度が定着して久しくなっておるわけでございますから、この問題を考えるときに、そういう現実の条件を無視して四月がいいか九月がいいかという抽象論だけでは済まないであろう。四月の制度を九月に改めるとすればどういう問題点があるのかということもあわせて検討しなければならないということでございます。  そこで、お尋ねの第二点の、どの程度のお金がかかるのかということは、つまり現行の四月入学を九月に改めるとすれば、もしそれをお金の面で片づけるとすればどのくらいかかるか、こういうことであろうかと思いますが、このことにつきましては、臨教審の依頼を受けた広島大学の沖原学長を中心とするグループで試算をしておられまして、私どももその作業をお手伝いをしたという経緯がございます。  その状況でございますけれども、これはその移行のやり方によっていろいろなやり方があるわけでございます。沖原グループの試算によれば、移行方法もいろいろ取りまぜてみれば二十何通りあるのだそうですけれども、その中で比較的実現の可能性が高いと申しましょうか、そういう観点で見ると幾つかの方法があって、例えば一・五倍方式というふうに言われております、つまりある年の四月に入る、毎年四月に入っておりますが、それをその年は九月から入れよう。最初の年が九月に入る。そうしますと、子供は普通の四月から三月に入る子供に加えてあと四月から八月までの子供も一緒に入ってくる。つまり普通で言えば十二ヵ月分入ってくる子供が十七カ月分入ってくるというような移行の仕方をいたしますとどのくらいお金がかかるかということでございますけれども、そういうやり方を仮にとったとする。そうしますと、その学年だけは普通の年に比べて子供の数が一・四二倍ぐらいにふえるわけで、それが小学校から高等学校へずっと上がっていくことになります。小学校から始めて大学まで行くとすれば、仮に学年進行であれば十六年という時間がかかるわけでございます。この十六年間でどれくらいお金がかかるかということでございますけれども、いろいろ計算の方法はございますが、ごく基幹的な例えば教員の人件費でございますとか施設費とか、そういうものだけに限ってどのくらいお金がかかるかということを試算してみますと、初等教育から高等教育まで全部足して大体一兆八千億くらいの、これはいわゆる公財政負担と申しましょうか、国及び地方公共団体が負担するであろうお金というものを全部足してみると一兆八千億ぐらいのお金になるのではないかというふうな数字が出てございます。その他の方式、これをお金をかけないでやるということも方法としてはあるわけでございますけれども、それは別途非常に多大の教育上の無理と申しましょうか、そういう措置をしなければならぬということもございますので、それ以外にもいろいろな方式がございますけれども、例えて申しますとそういうふうなお金がかかる、こういうことでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣に率直にお尋ねいたしますが、大臣は九月の問題はどのように、個人的にでも結構ですけれども、御判断しておられますか。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 私は、この九月入学というのを、まず基本的に秋入学か春入学かどっちをとるかという選択、こういう問題では根本的にないと思うのです。そういう問題ではないと思っておるのです。せっかく春入学で今日まで来たものを、これを廃止して秋入学にするという話であります。そうであるとするならば、春入学にやってきたものよりもさらに相当のメリット、秋入学に相当いいことがあるのだ、これでなければならないのだというものがはっきりと出てこない限り、現在なじんでいる、また現在それに習慣づいてきておるものをあえて廃止して秋にするという理由が立たない。それをまず明確にしてもらいたい。それは一言で言ったらメリットであります。そのメリットに相当する経費を使うべきなのかどうか、経費との関係だと思うのであります。  しかし、今議論されておりますのは、どうも秋がいいか春がいいかという話に集中しておるように思うのでございますが、私はこれを観点を変えまして、今あるものをなぜ秋に変えなきゃならぬのか、この理由をひとつ明確にしてもらいたい、その上に立ってお金とのはかりをはかってみたい、こう思うております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 ありがとうございました。おっしゃるように、私もそういう何が効果的なのかという問題をしっかり考えていくべきときだと思います。  そのほかまた五つ六つあるのですけれども、これはちょっと大臣とさしでお話を聞かせていただきたいのですが、六・六制の中学の問題について大臣はどのようにお考えになっていますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 先にちょっとお答え申し上げますが、先生御案内のとおり、臨教審の第一次答申で中学三年と高校三年を結びつけた中等教育学校の提案がございます。確かに中等教育を一貫的にとらえて六年制とすることはメリットもございます。しかし反面、デメリットとしても中だるみの問題とか受験教育に走りはしないかとか、いろいろ問題がございます。  そこで、私どもとしましては、六年制中等学校の設置につきまして、設置形態の問題がございます。どういう課程についてこれが最もふさわしいか、そういう問題で、特に普通科の問題、普通課程ではどういうふうに扱うか、それから理数科とか音楽とかいろいろな専門課程がございますが、どの課程が一番ふさわしいかという問題。それから難しい点としましては、入学者の選抜についてエリアをどうするか、それぞれ学区制があるわけでございますから、そういう中等学校が一校か二校できた場合にどういうふうにやるのかとか、いろいろ検討課題がございますので、文部省内に中等教育改革の推進に関する調査研究協力者会議を今設けて検討してもらっています。片や都道府県の教育長さん方との相談、それから中学校長会、高校長会ともいろいろ御相談しております。  ただ、現場の方は現在非常に慎重でございます。と申しますのは、高等学校の生徒がピークが六十四年でございまして、それ以降減少期があるわけでございまして、都道府県等現場が対応できるのはやはり六十四年以降の問題として現実の設置の問題というのは考えなければならないとは思うが、現時点ではもう少し検討をしたいというのが今の現場の空気でございます。そういう現場の空気と、いろいろな問題点の詰めを私どももいたしまして、臨教審の答申は答申として前向きに検討はいたしますが、少し時間をかけながら慎重に対応したい、これが私どもの今の考え方でございます。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 私はこの問題は余りわからないのです。わからないものでございますから、現在、中等教育改革の推進に関する調査研究協力者会議という長ったらしい会議がございまして、ここで検討してもらう、同時に教育課程審議会等でも議論していただいて、その結論にまちたいと思うております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 私も大臣と同じ感じを持つのですけれども、もう六・三・三制が悪いということが言い古されていまして、はっきり言いまして近ごろは余り言わないですね。しかし、なおここに問題があることもまた事実だと思いますので、御検討をしっかりいただきたいと思います。  大臣、御所見の中でよりよき教員というものがありまして、初任者研修制度とかいろいろな問題があると思うのですけれども、よりよき教員像というのはどういうものでございましょうか。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 基準といっても私もはっきりお答えできませんが、しかし現在皆さん方も感じておられると思うのでございます。  今の教員は、まず教員たる資格を取る、そして教育委員会で採用試験、いわゆる就職試験を受ける、この二つに合格してくれば私は教壇に立てる、そういう制度になっておりますが、ただそれだけでいいのだろうか。今先生になる方は、素材といいましょうか一人一人を見ましたら、知能も非常にいいし立派な人が多いと思うのですが、ただそれだけですぐ教壇に立って教師として立派にその職務を果たしていただけるかといえば、私はまだ十分ではないと思うのです。そこで、よりよい教師になっていただくためにいろいろなことを考えなければならないのではないか、こういうことを痛感いたしておるのであります。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣はまた、教育する環境といいますか「諸条件の整備」ということを言っておられます。これは文部省もそういうことを言っておられるから大臣も言っておられると思うが、事務当局は実務的にはどういうものを考えておられるか、羅列で結構でございますからそれをお伺いしたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 教育諸条件の整備にはさまざまなものがございます。大きなものといたしましては、人的な要素といたしまして、四十人学級の実現を含めます教職員の定数改善計画、昭和五十五年からスタートして十二カ年計画で現在進行中でございますが、この円滑な着実な実施ということがまずございます。それから各般にわたります、先ほどもお話がございましたような教員の資質向上のための研修事業がございまして、その中でも特に、来年度については初任者研修の試行というものを重点的な政策課題として概算要求中でございます。そのほかに、施設面といたしましては、例えば学校等におきます大規模な改修事業あるいは過大規模校解消のための用地取得費の補助、こういった施設関係の重点事項につきましては、ただいま申し上げました大規模改修あるいは用地取得については事業量の大幅な増ということで、約五割前後の拡充要求を六十二年度概算要求しておるわけでございますし、設備面といたしましては、コンピューター等の新しい教育機器の学校への導入といった事業を継続してまいりたい。  こういったのが大きな事柄で、教育諸条件の整備を進めようとしておる段階でございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 次に移りますが、私学振興につきまして、大臣のところも私どものところも予算をたくさん取ってくれということで同じでございますけれども、要求を見ますと大学は一・五、高校関係がたしか一・〇ということで出しておられます。事務当局でごらんになって、来年は行けそうなんですか、それともこれで十分なんですか、それともこれはもっとやらなければならないのですか。もう一つ、高校なんかを見ますと一人当たりの負担金額がまちまちになっておりますが、これをならすわけにいかないのかということをお伺いしたいのです。

坂元弘直文部省高等教育局私学部長

○坂元政府委員 先ほど先生は高校が一%、大学が一・五%ということでございましたが、要求は高校の方が一・五%、大学が一%増でございます。  私ども担当の者といたしましては、この要求で十分というふうには思っておりません。私学助成についてはもっと増額要求をいたしたかったわけでございますが、御承知のような厳しい財政事情のもとに設定されました要求基準が経常的経費一〇%減ということでございましたので、私学助成についても経常的部門ということで仕分けされておりますので、一〇%三角の枠しかもらわなかったということもございまして、省内のほかの局課の枠を削りまして何とかその一〇%三角を埋めまして、さらにそこに大学一%増及び高校一・五%増という要求をさせていただいておるわけでございます。  私学助成のここ数年間の推移を見ますと、本年度及び一昨年、二年続けて前年度同額、高校は本年度四億円ばかり増になりましたが、実質的には大学、高校もほぼ前年同額ということで推移してきております。  今後の見通しはどうかというお尋ねでございますが、大変厳しいわけでございますが、厳しい財政のもとで概算要求基準の中で、少なくとも大学一%、高校一・五%増の要求をしているわけでございますので、事務当局としてはこの満額確保するよう最大限の努力をしていきたいというふうに今の段階では考えているところでございます。ただ、客観的にその自信があるのかというあえてお尋ねがあれば、なかなか難しいという感じはいたしております。  それから、高校の各県における経常費の単価に若干アンバランスがあるのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、先生御案内のように、高校の経常費助成を国で行った理由の大きな一つは、各県におけるアンバランスをなくそう、言いかえれば、各都道府県がある一定水準以上の経常費助成を行わない限り国の補助金は出さないという条件で国が経常費助成の配分を行ってきております。その結果、幸いに、今でも若干のアンバランスはありますが、大体の県がある一定水準以上の補助額になっておりまして、この点につきましては今後とも私ども努力をしていきたいというふうに考えております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 私学振興というのは大事なことでございますので、ひとつ事務当局にも大臣にもしっかり対応していただくことを御要請申し上げて、大臣にちょっと、これは一分ぐらいで結構ですけれども、この第二次臨教審答申に私立小中学校の設置促進というのが出ていますね、義務教育課程で。これは大臣、個人的に一体どういう展開をしていったらいいのか、これに御賛成か反対かということをちょっとお聞かせいただきたい。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 臨教審の第二次答申のところであったと思いますが、これは臨時教育審議会の委員の方の中に教育の自由化論を訴えておる方が相当おられます。こういう方々の御意見がここに反映しておるのではないかと思うのでございますが、私は、あえて無理してまで小中学義務教育は私立でなければならぬという考えは持たない、できるだけこれは公立学校でいいのではないかという感じを持っております。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 この件はひとつまたこれからしっかり御検討いただきまして、大臣のゆとりと多様化ということであればひょっとするとこれが必要なのかもしれませんし、ひとつ懸案とさせていただきたいと思います。  それから、新しい予算要求として出しておられます、名前がいいとか悪いとかいう問題があるのですが、新井戸端会議モデル事業でございます。これについて実施要綱といいますか、大体こんなことでやろうとしているんだということを、ちょっと一般にも理解しにくいようなこともございますので、私どもも地域文化あるいは地域教育の振興というのを党是としているというぐらい取り上げておりますので、具体的にひとつ御説明いただきたいと思います。

澤田道也文部省社会教育局長

○澤田(道)政府委員 近ごろそもそも子供さんが各家庭当たりに少なくなっておるし、近隣の子供同士の集まりも昔に比べて少なくなっており、親同士の情報交換、相互扶助も少なくなっておる状況で、各それぞれの親だけが寂しく子供を守るだけでなくて、何か刺激を与えて近隣で一体となりながら、昔のように、今お話がございましたように名前の問題はいろいろ御議論ございますが、みんながインフォーマルに集まって子供たちのことを心配しながら一緒に育てていく機会というものを、例えば幼稚園を基準にあるいは公民館を基準にそういうモデル的な事業が起こるようにということで、臨教審の御示唆もあって予算要求をしているところでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 対象事業の数も出ておったと思いますが、補助対象をどこに持っていくのですか。市町村に持っていくのですか、それとも民間団体へ持っていくのですか、井戸端の奥さんのところへ持っていくのですか、その辺のところをひとつ。

澤田道也文部省社会教育局長

○澤田(道)政府委員 市町村が補助対象事業者でございますが、もちろん市町村がPTAとか民間団体とかいろいろな地域団体とかと共同して事業をやる、そういう市町村に対してお金を渡す、こういうことでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 そういたしますと、百十四対象でしたか、出ておりましたが、これは少な過ぎるのではございませんか。

澤田道也文部省社会教育局長

○澤田(道)政府委員 最初の予算でございますので、一応いろいろな枠の中でまず芽を出すということで、そういう計算で出しておりますが、私どもの予算の中で御希望が多ければ他から流用を検討できる予算もございますので、それなりに対応していこうと思っております。この予算、まだ要求中でございますので、そもそも応援をいただいてからのことでございますが、そのようなつもりでございます。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 大臣に最後に一つお聞きしたいのでございますが、生涯学習の中での学校教育の位置づけ、私は社会教育、家庭教育というようなことまで先ほど申し上げましたけれども、いろいろな課題を解決していくためには、いわゆる国立、公立の大学から井戸端会議までを含めて文部省、これは大変だろうと思うのですね。ですから、どういう手順でそれを大臣として政治的に決断されながら実施していくか、大変大きな責任を持っておられると思います。  生涯学習は、教育でなくて学習という名でみずから学ぶということも一つあろうかと思うのです、私もそういう事業に携わってきた経験もございますので。大臣の生涯学習というのは一体どういうことなのか。これからまたいろいろとこういう機会に勉強もし討議させていただきたいと思うのですけれども、過般来同僚委員の御質問に対しまして、大臣もそういうようなニュアンスでのお話をしておられましたのでお聞きしたいと思います。  もう一つ、教育臨調で出てくるものは何でもいけるというのではなくて、今お聞きのように、これはできないというような感じのものもいっぱいございますので、その仕分けを大臣としてどう決断されるか。  その二点をお伺いしておきたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 生涯学習はやはり私は当然必要なことだと思いますが、これは学ぶ方の側、つまり個人の努力によるものが多い。文部省としてはそういう環境を整備し、環境にそごを来さないように指導監督していくということが基本であって、文部省みずから生涯教育の条件を整えていくということはとてもじゃないができるものではないと思うております。  それでは、こんなに幅広い改革をどこから手をつけていくのかという臨教審の答申に対する対応の仕方でございますが、私は何遍も申して恐縮でございますけれども、どれだけの教育投資が日本の国力として予算でどうしてできるのか、また父兄の負担はどこまでやるのがいいのかという原則が第三次答申で出てくると思うております。これをよく見まして、やはり教育投資、これをどかんとやれということであるならばそれはやってもいけましょうし、そっちの方はもう関係ないのだ、ただできるだけの範囲を現在の予算の中でやっていけというのか、ここらの見きわめをつけなければ、順序とかどれを取り上げるかということは早計に申し上げられないと思うておりまして、私は専ら第三次答申待ちということでございまして、意に沿いかねるかもわかりませんが、私はそのつもりでおります。

林保夫民社党・民主連合

○林(保)委員 そういう多くの課題がございますので、ひとつしっかりした対応をお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

愛知和男自由民主党

○愛知委員長 石井郁子君。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 このたびの選挙で初めて国会に出てまいりました石井郁子でございます。文教委員として初質問させていただくことになりましたので、どうかよろしくお願い申し上げます。  もうこの委員会でも論議されておるところでございますけれども、初めに大学入試改革の問題についてお伺いしたいと思います。  六十五年実施ということで先ほど来御答弁ございましたけれども、もう一度確認したいのですけれども、六十五年の実施につきまして、文部省としての目算ですね、必ずできるということなのかどうか、それとも六十五年以降というようなことも含んでいるのか、その辺のことをまずお伺いしたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 六十五年実施でございまして、以降ではございません。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 新テストの実施ということが自明のことのように言われているわけですけれども、テストの変更ですから、これは一体共通一次テストのどこをどう改善することになるのか、共通一次テストとどこがどう違うのかという点についてお伺いしたいと思います。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 現行の共通一次テストと言われておりますのは、国公立大学が全校が参加をいたしまして、そして一次試験に当たる部分を共通にこれを行うという形で、しかもその利用する形は、現在出されております五教科七科目、それは今後変更の予定になっておりますけれども、これについて各大学がそれを全部使うというような形で行われておるものでございますが、今度の新しく構想されております新しいテストは、一つは、これは国公立だけでなくて国公私の私学までも含めたものとして提供されるテストであるということと、それからもう一点は、その利用の仕方につきましては各大学が自主的に判断をして自由に使う、かつまた弾力的にこれを利用することができる、もちろん利用しない自由も私学その他についてあるわけでございますけれども、そういった意味で利用について自主的、弾力的に判断していただくというような、この二点が主に新しいテストと従来の共通一次テストの違いであろうかと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 そういう違いはわかりましたけれども、受験競争の弊害ということは、これはもう日本の教育をゆがめるものとしてたびたびというか多くの方々が指摘されているところですけれども、今の内容で一体この受験競争の弊害が改善されるというふうに考えてよろしいでしょうか、大臣の見解を伺いたいと思います。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 現在、受験地獄と言われておりますものの中には、一番根本的に、日本の学歴社会あるいは有名校偏重と言われるような社会現象等が一番基本にあるわけでございますし、その他いろいろな要因が絡み合っておるわけでございますので、入試の方法だけですべてが解決をし問題がなくなるということではないと思っております。  ただ、こういう入試を、新しい改革で考えておりますのは、子供たちの能力、適性等を多面的、多様な方法で判定をするというようなやり方で入試そのものの中身をよくしていこうという考え方で行っておるものでございますので、そういった意味での効果は十分期待できるものである、かように考えております。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 これで入試地獄が解消されるかといったら、私はすぱっと解消されるとはちょっと申しにくいと思います。しかし、先ほども阿部局長が言っておりますように、受験生が多様な判定を自分で試みることができる、それだけに、自分自身を判断し進学に対しての一つの方向を受験生がつかんでいく、こういうことには非常に効果があるのではないか、そういう見方で私は期待をしております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 この点を立ち入りますといろいろ議論したいところなんですけれども、先へ進めさせていただきますが、入試の改革は共通一次テストの導入以来いろいろとございました。しかし受験競争の解消ということには向かっていないのではないか。その辺は後で申し上げますけれども、しかし、こういうときこそ入試改革の基本的視点、どのようにこの改革に取り組むのかということはやはり原則をはっきりしておきませんと、いろいろと難しくなるのではないかという点で幾つかお伺いしたいと思います。  一つは、大学の入試改革というのは大学の自主的な改革に期待する、これを基本に据えなければならないと思うのですけれども、この点ではいかがでしょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 大学の入試というのは、大学がみずから自主的に教育をする、教育を受ける者を選ぶという手続でございますので、まさに大学がみずから主体的に判断をし、その解決を図っていくべきということが基本になければならないと思います。そういう意味では各大学の御判断というのは十分尊重されるべきものであろうと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 はい、わかりました。  二つ目には、これは高校生が受験するわけですから、高校教育との関係が非常に重要でございまして、高校教育をゆがめてもいけないということがあると思いますが、その高校教育の発展に資するという観点で見ますと、その点ではいかがでしょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 御指摘のように、現在の大学入試につきましては学力検査一辺倒であり、その中からかなりの難問、奇問等が出てきているというような問題がございまして、それがいろいろな意味で高校教育にも悪い影響を与えているというような状況があるわけでございますので、現在議論をされております改革の方向というのは、やはり高校教育というものを大事に考えて、その上に大学入試が乗っかってくるという形のものにしていこうという趣旨で検討が進められているものでございまして、今度の新しいテストの構想につきましても、これにつきましては高等学校長協会から、結構な方向なので高校側としてもぜひそういう方向でやってほしいというような御要望も出ているところでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 三つ目の問題としては、先ほども少し踏み込んでお話がありましたが、やはり入試の方法の改善だけでは受験地獄の解消ということにはならない、学校間の格差ですとか学歴社会そのものの是正ですとか、そういうことを伴わなければいけないということがあるかと思うのですけれども、その点も確認してよろしゅうございますか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 御質問にもございましたように、現在の大学入試の問題の一番基本にございますのが、大学の受け入れ規模に対して受験生の数が多過ぎてサイズが合わないという話よりは、むしろ特定の学校、特定のいわば有名校と言われるものに学生の希望が集中してきているというあたりのところに大きな問題があるわけでございまして、そういった意味では社会一般のそういった有名校偏重の気風を直していただきたい。これは就職の問題等も絡んでくるわけでございますので、そういった意味で就職の問題等につきましても関係企業等にいろいろお願いをするというようなこともやっておりますし、先生が御指摘になりましたように各大学が、特定の大学だけがピラミッドの頂上にあってあとはずっとそれで序列で進んでいるというようなことでなくて、それぞれの大学がみんな特色を持って充実発展をしていくということがやはりこの解決のためには大事なことであろう、こう思っているわけでございまして、そういう意味で各大学の努力を促し、また私どももできる限りの応援をしているつもりでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 今、三つの原則というようなことについて確認をさせていただきましたけれども、そういう立場に立ってみた場合、今度の新テストの導入、実施につきましてはいかがでしょうか。  少しこの経過を追ってみますと、まず六十年の六月に臨教審の第一次答申がありまして、七月にはすぐ入試改革協議会が発足をしております。そして十月に教育改革の関係閣僚会議がございまして、ここで六十四年に新テストを実施するということが決められたわけですね。そこで、こういう経過になって文部省としてもいろいろ対応してきたと思うのですけれども、私はこういうやり方に今回の延期に見られますように無理があったのではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 入試の改革ということは国民的な課題でもございます。社会一般の関心も大変強い重要な問題であるということもございますので、私どもといたしましては、臨時教育審議会の答申を受けまして、やはりできるだけ可能な限り早くこれを実施したいということで、関係機関とも御相談をする、あるいは協議会を開くというような形でいろいろ諸般の準備を進めてまいったわけでございますが、その後のいろいろな情勢、準備等の現状その他、本国の委員会の当初に大臣から御答弁がありましたような諸般の状況によって、これを延期した方が適当であろうというような判断に立ち至ったわけでございます。  それにいたしましても、事の性格上、できるだけ早く関係者の協力を得て実施していくということで、引き続き最大限の努力をしたいと思っておるところでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 今回の経過の中では、聞いたところでは、大学の意向の聴取というのは一切なかったという点も、国大協などが延期を非常に強く要望する理由の一つだったと思うんですね。ですから、先ほど来大学の自主的な改革を尊重するということを申されましたけれども、そういう経過が踏まれておらないということだと思うのです。そういう点で、一年延期ということを今文部省が決めたということ自体にもまた禍根を残すのではないか。果たしてこの一年で一体その原則を踏まえてどんな改革が望めるのかという点で、これは大臣の所感を伺いたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 そもそも、六十四年実施をするためにそれぞれの準備を進めてまいりました。これをなぜ一年延期するのかということでございますが、それについては国立大学協会の方から、先ほど冒頭に申しましたように、来年度から複数受験機会を与えるということをやる、あるいはまた共通一次テストの教科数を削減するとかいうような変更を今回行おうとしておるではないか、そしてまた引き続きテストが変わるのだということで、テンポが急になり過ぎておるということが、恐らく国大協の方から慎重に時期を選定してほしい、こういう要望になったと思うのです。ですから、国大協の方の言います慎重というのは、その中身とか何かの問題ではなくして、改革改革と引き続きやっていくといわばしんどいやないか、準備をするのにもう一年ぐらい余裕を上げたらどうだというのが私は本音の話だと思うのです。それから一方、高校の方から見まして、高校生にとって、現在の一年生の子供がもうすぐに共通テストの準備に入らなければなりませんが、これが六十四年実施か六十五年実施かということを言われておったらこれは判断が非常に難しい。だからできるだけ早く決めてほしい、決めるについては、今度の新しいテストの中身をもう少し十分に承知した上で高校としてもその方針を決めたい、こういうのが重なりまして、そこで六十四年実施というものを一年延期したらどうだということが出てきたわけでございまして、無理をして六十四年に実施しようとして、やろうと思ったらできるかもわかりません。わかりませんが、そういう慎重論があるところを強引に突っ込んでいったらこれはよくない、こう私は思います。そしてまた、一方で、私立学校の方の参加をしてもらうためにも十分な準備期間をかけた方がいいという判断をしたこと、入試改革協議会でそういう発言がございまして、協議会の結論に従うというのが我々の当初からの姿勢でございましたので、昨日協議会の結論を受けたことを承知して、今回一年延期を図ろう、こういうことになったわけです。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 決めてもできない、こういうことがある。今回の事態でもありますので、一体六十五年に決めてできるのかという点では疑念が残るわけでして、こういうやり方が受験生や親やまた教育の現場に大変な混乱をもたらしているというふうに言わなければならないと思うわけです。  今度の新テストの導入は入試センターの改組という重大な問題もはらんでおりますので、概算要求と関係いたしまして伺っておきたいと思います。概算に出ておるわけですけれども、大学入試センターの改組という点で法改正を行う予定がおありでしょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 今度の実施時期一年延期ということを昨日協議会の結論が出たという段階でございますので、今後の取り運びの点、特に来年度概算要求で取り上げております幾つかの点等につきまして、どう取り扱うかということはこれから至急詰めて考えてまいりたいと思っております。  しかしながら、基本的には、実施準備というのは、おくれたから全体をどっと延ばせばいいということではなくて、六十二年度に必要な事柄は着々と進めていくことは必要であろうと思っておりますが、具体に何をどうするかということにつきましてはもう少し時間をいただきまして検討したいと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 もう一点、新テストの実施主体ですが、だれがどのように行うのかという点でこの体制がはっきりしないように思われますが、その点はいかがでございましょうか。

阿部充夫文部省高等教育局長

○阿部政府委員 これは参加いただく各大学と入試センターが共同して行うという性格のものであろうと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 以上、新テストの問題で質問してまいりましたけれども、多くの問題点や疑問があるということがわかったと思います。共通一次学力試験を創設したときの経過の場合を見ますと、大変十分に時間をかけて論議をし、また国民の合意も得て進めてきたということが言えると思うのです。共通一次試験の発足を見ますと、この衆議院におきましても昭和五十二年三月二十三日から五十四年二月九日まで入試に関する小委員会が設けられており、二年がかりで検討されてきたというふうに伺っております。文教委員会としても御努力をされたと思うのです。そして参議院の附帯決議もございまして、「この入試制度の改善措置については、その実施結果を踏まえた見直しのため、適当な時期に国会に報告すること。」ということがあります。ところが、この七年間にわたりまして国会にただの一度も報告されておりません。そういう中で重大な変更が今行われようとしているという点で、本当に臨教審以後テンポが非常に急ピッチで進んでいると言わなければならないと思います。これは国会の場で徹底した議論をすべき時期に来ている。きょうの冒頭にもございましたけれども、これは再度確認したいと思うわけです。  共通一次以後、大学が複数受験で今対応に追われている、そして矢継ぎ早に新テストということになって大学の対応ができないということがありますし、私は、受験問題ではやはり受験生自身に与える心痛ですね、このことについてもっと行政の側が考えなければいけない。いろいろなテストの方法の変更のために涙をのんでいる受験生がどれだけいたことかとも思うわけです。そういう点で先ほど来大臣も、慎重にということでございますけれども、重ねて慎重にお願いしたいと思うわけです。  委員長、この際、臨教審、国大協、私大連、大学入試センター、高校長会など必要な人を参考人として招いて、本委員会で徹底した審議を行うことを要望したいと思います。よろしくお願いいたします。どうでしょうか、委員長。

愛知和男自由民主党

○愛知委員長 理事会において協議をしていただきます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 次の問題に移ります。「新編日本史」の教科書問題について伺いたいと思います。  この問題はいろいろと取り上げられておりまして、外交問題にまで発展した経緯がございますけれども、今国会におきましても、先ごろ予算委員会で我が党の寺前議員が質問いたしました。その関連で質問したいと思うわけです。  まず憲法の基本原則ですが、この基本原則とは何を指しているでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御案内のとおり、憲法につきましては、国民主権の原理、そして基本的人権等もろもろの基本原則がございまして、それらについては教科書についても尊重すべきものであるというふうに考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 それから学習指導要領がございますが、高校の学習指導要領では憲法を教えるとき何を原則とするというふうになっているでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 学習指導要領におきましては、中学校は歴史的分野があり地理的分野がございますし、高等学校につきましては御案内のとおり「現代社会」それから「政治・経済」「日本史」「世界史」こうあるわけでございます。  したがいまして、高等学校について申し上げますならば、憲法の問題、憲法の内容、それらの基本原則につきましてはやはり現代社会においての扱いというのがございまして、「現代社会」の教育目標の中には指導要領といたしまして「人間の尊重」云々ということもございますし、「現代の民主政治と国際社会」というところで「基本的人権の保障と法の支配」というふうに「現代社会」では示されているところでございます。  それからまた、高等学校の「政治・経済」におきましては、「内容」といたしまして「基本的人権の保障」という項目を掲げておりますし、あと高等学校につきまして、特に「倫理」におきましても「人間尊重の精神」というところが指導要領で示されておるところでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 そのとおりだと思います。中学校の学習指導要領でも、憲法について、人間尊重、また「基本的人権を中心に深めさせる。」ということもあります。「国民主権と平和主義が基本的原則とされている」ということがあると思います。今局長の答弁でも、基本的人権ということをしばしば強調されましたけれども。  ところで、今回出されました「新編日本史」の教科書を見ますと、二百三十五ページに憲法について書かれておりますが、ここを見ますとこう書いてあります。「この憲法は、象徴天皇・主権在民・平和主義・戦争放棄などの特色をもっている。」というふうになっております。どうでしようか。それから、それ以降「国会が、」云々というのがあるのですけれども、「基本的人権」というのが出てきておりません。  それで、今局長の御答弁のように、「基本的人権」は日本国憲法の特徴であるということですけれども、これが抜けている点では、文部省もこのことを承知で検定でお認めになったんでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 御指摘の「新編日本史」につきましては、今お話しのとおり「象徴天皇・主権在民・平和主義・戦争放棄など」という表現になっておりまして、その理解としては、「など」というところに「基本的人権」その他の諸原則が入っておるという意味での記述がなされておるところでございます。  先ほど憲法自体の諸原則についての指導要領の記述で申し上げましたように、やはり高等学校段階では「現代社会」「政治・経済」「倫理」等で明確に憲法にかかわる諸原則について記述をし、生徒にその内容を教えるというのが立て方でございまして、歴史教科書につきまして憲法の内容についてどのように書くかということにつきましては、若干異同があるわけでございます。ただ、全体として、歴史教科書の記述といたしましては、諸原則についての一項目として「基本的人権」が挙がっておるのが通常の姿でございます。したがいまして、この点「新編日本史」について「基本的人権」という文言がないことについては一応私どもは許容して検定を終えておるわけでございますが、先般著作者側から、もろもろの正誤の問題についての申請が出ておる中に、この点については表現として「基本的人権」の表現をつけ加えたいというふうな申し出が出てきております。その点で私どもは、これから正誤全体の私どもの対応をいたすわけでございますが、その中で検討してまいりたいと考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 ところが、この記述をめぐりまして大変不可解なことがあるわけです。ここに内閲本もあるのですけれども、この内閲本にはこう書いてあります。「日本国憲法の特色は、象徴天皇、主権在民、基本的人権の尊重、戦争放棄などである。」と、「基本的人権」が入ってございます。そうしますと、この内閲本から見本本へ、一体ここでこの「基本的人権」を削ったのは文部省の検定意見でしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 教科書検定のプロセスを詳細に申し上げるということは、従来の例からまいりますと私どもの立場としてはいかがかと思うわけでございますが、この点に限って申し上げますと、原稿本として出てきました段階におきましては、「基本的人権」という言葉はあったようでございます。ただ、その部分に関して前後、全体の文章の何と申しますか、審査と申しますか検定の段階で、著作者側と調査官との話の中でいろいろな部分の記述の変更についてのやりとりがあったようでございます。結果といたしまして、内閲本の段階で著作者側から出てきた内容の結果においては「基本的人権」という文言が落ちておったというふうな結果で、文部省としてはそれを許容して内閲本審査が終わっておる、そんなふうな経緯でございまして、今先生からお話ございました内閲本ということではなくて、原稿本の段階で「基本的人権」という表現はあった、このような経緯のようでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 でも、内閲本にあるんですよ。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 正確なところを今確認したわけでございますが、原稿本の段階では「基本的人権」という表現はあった。そして、ずっとプロセスがございまして、内閲本の最終段階ではその表現はない。それが見本本、最終検定の結果というととになって、そして終わったところ、現段階で著作者側から、「基本的人権」という表現を正誤として追加したいという申し出が出ておるというのが正確なプロセスのようでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 原稿本から内閲本の過程も、教科書調査官の検定がございますね。その場合、先ほどやりとりがあったという話ですが、この中で確認いたしますが、文部省側の検定意見なのでしょうか、それとも著作者側が勝手にといいますかおろされたのでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 文部省の教科書調査官の方から、「基本的人権」という表現を落としてほしいというふうなお話をした経緯は全くございません。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 そうしますと、検定が終わった段階というか過程でもあるのですが、著作者側が削ったというふうに確認してよろしいですか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この部分の全体の前後の文章が原稿本と内閲本のプロセスでいろいろ書き改められておるというプロセスで、恐らく著作者側が表現全体の中で落とされたのではないかというふうに思うわけでございます。そういう経緯からして、著作者側も、現時点において「基本的人権」という表現を正誤で入れたいというお申し出があるというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 しかしこれは、検定がそれじゃ一体何のために存在したのかという問題でもあるわけでして、検定と全く関係なくこういう書きかえということが自由に行われているということは大変な問題だと思うのですね。文部省はその点でどういうお考えでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 教科書検定におきましては、いろいろな表現技術につきまして、検定審の協議に基づいて検定の修正意見、改善意見を出すわけでございます。したがいまして、今の部分につきましては意見を申しておらないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、そのページに当たる部分についていろいろな意見を申し上げた経緯はあると思います。そういう意見に基づいて著作者側で書き直された結果として、たまたまその部分が表現として落ちておったというふうに私どもは理解しておるわけでございまして、その点については、先ほど申し上げましたように、厳密に申しますれば「政治・経済」あるいは「倫理」とか「現代社会」ではないというふうなところで、その表現がない文章について許容して検定を終えておるという経緯でございまして、正誤申請が現時点において出ておる現状でございますので、その点については全体の正誤の問題として検討し対応をしたい、現在このような考えでおるわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 この教科書は、もう指摘されているとおりなんですが、非常に間違いが多いということはずっと指摘されております。文部省にお聞きしますけれども、検定に当たりまして修正意見、それから改善意見は何件つけたんでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 この本が文部省に検定申請が提出されましたのが六十年の八月二十九日でございまして、六十一年の一月三十一日に教科用図書検定調査審議会の第二部会が開催され、いろいろ検討が行われまして、結果として修正意見が二百四十一、改善意見が四百七十八、計七百十九という意見が付されておるわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 大変な数だと思うのですね。教科書問題では家永教科書という教科書裁判がございますが、家永教科書に対しましては三百二十三件の、検定意見で正確性に欠けるということで不合格の理由にもされましたが、これについては、さらに十一月に入りまして、見本本の段階でも訂正が行われるという申請が出ているということです。先ほどの「基本的人権」もその中に含まれるということのようですが、この十一月十四日の朝日新聞によりますと、百カ所を超す訂正の申し立てが著作者側からあるということですけれども、それは確認してよろしゅうございますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 教科書の検定結果後の正誤訂正につきましては、いろいろな教科書の種類によりまして、例えば地理の教科書などにおきましては統計の数字とか地名の問題とか、教科書検定のプロセスにおいても、あるいは著作者側の配慮にもかかわらずいろいろ正誤を必要とするものが多々ある経緯がございます。これは人間のやることでございまして絶無にすることはなかなか難しいわけでございます。したがいまして、正誤につきまして過去の例におきましても二百数十カ所出てきておるような例もあるわけでございますが、本件の「新編日本史」の教科書につきまして去る十一月十二日に原書房から正誤訂正で出てきておりますのは、百三十一ヵ所ということになっておるわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 今のお話のように、普通検定後の訂正というのはごく記述的なことに限ってというふうに了解しているんです。こういう内容に立ち入ってまでの訂正という例は過去にないと思うのですけれども、その辺いかがでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 正誤と申しますと、言葉の意味からいたしましても、例えば客観的な情勢の変化で数字が変わっておるとか、あるいは記述において錯誤に基づいてその訂正が必要であるというふうな問題が、やはり正誤の問題としては扱いの一つの筋であろうというふうに思うわけでございます。しかし、著作者側において本来載せるべきところでこれはぜひ載せてほしいというものを正誤という形でお出しになってきた場合に、それが理由があり、それも適切であるということが判断としてあれば、それはそれとして正誤の中で処理することも、よりよい適切な教科書をつくる上からいきましては、運用としてそれは許されることであるというふうに私どもは考えておる次第でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 私は大変なことだと思うのですね。つまり見本本で現場は採択しているんですよ。採択するときには内容を見て採択するわけですね。その内容にその後変更があるということはどういうことですか。現場は一体何を見て採択したらいいんですか。採択してから内容に重大な変更が加えられる、あるいはあるものが削られたり追加されたり、そうしたらこれは採択制度そのものだっていわばごまかしているというか、そういうことになるんじゃないでしょうか。  私は、今回の検定のやり方、検定自身の問題もそうですし、この教科書が通ったということ自体が異常な経過だと言わなければならないと思うのです。こういう教科書が現場に流され、そして子供たちの手に渡るという点については本当に重大なことだと考えるわけですが、ちょっと大臣の見解を伺いたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 文部省は検定制度をとっておりまして、それには調査官に相当多数の専門の方を入れておりまして、そこで検定をしておるわけでございます。この今議論になっておりますのも、そういう経緯を経て手続的には異存はなかったと私は思うのですけれども、ただおっしゃるように、途中で修正をしたその経緯というものが従来とちょっと違うじゃないかというところが問題なんではないか。こんなことは私はもうたび重ねてやってはいかぬと思いますし、それについては、手続はいかがであれ、今後そういう一応内閲で合格したものをさらにいろいろと改正していくというふうなこと、いたずらな疑惑を招くようなことをしてはいかぬ、こう思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 私は当然こういう教科書は合格にすべきではなかったと思うのですけれども、この件でちょっと文部省の見解を伺っておきたいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 文部省側における教科書検定の立場は、先生も御案内のとおりさまざまな教科書が民間の著作者の創意と工夫によって行われて、学校教育が活性化するということが、一つの適切な姿として、私どもはそういう立場をとっておるわけでございます。そういう意味におきまして、いろいろな新しい教科書が著作者の創意と工夫によってつくられていく、それに私どもは客観、公正そして教育的配慮という立場で検定をし、そして義務教育なり高等学校教育にそれが適正に使われるようにというふうな立場での検定を行うわけでございますから、そういう意味で、この「新編日本史」には限りませんが、いろいろな教科書が出てくる、それにできるだけ私どもは検定をしていい教科書として世の中で流布されるように努力をする、そういうことが一つの務めだと思っておるわけでございます。その立場の一環としても、今回の「新編日本史」教科書についてはできるだけの努力をして、そして結果として検定を終えて、それがまた使用されるということは適切なことであると考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 大変重大な発言だと思うのですね、これは適切な検定を経たものだというふうにおっしゃったわけですから。これは随分もう外交問題にもなっており、それから、本国会でも決算委員会でいろいろこれは特別な例だというふうに御答弁なさっていることもあると思うのですけれども、今までの公の見解ときょうの御答弁は随分違うと思うのですけれども……。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 私が申しあげておりますのは、先ほど大臣からもお話がございましたように、今回の「新編日本史」教科書の検定の手続においては確かに従来の通常の手続とは異なる手続であった、そういう点においては今後そのような異なる手続が行われないように、私どもとしては通常の手続で行われるように努力をしたいということを決算委員会でも申し上げましたし、その点については本国でも変わりはございません。手続においては特別な措置であったということは私どもも十分自覚をしておるわけでございます。  しかし、結果として行われた検定に基づく「新編日本史」教科書というものが、検定の結果としてさまざまな教科書の一つとして使われるということについては、それはそれとして、教科書はさまざまなものが高等学校教育においても使われることは、立場としても結構ではないかということを今申し上げたわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 これはさまざまな教科書の一つということでは済まされない、やはり手続の上でも内容の上でも非常に重大な問題をはらんでいるということはずっと申し上げてきたとおりだと思うのです。  最後にこの教科書の内容について、この教科書はあらゆる角度で問題が大変あるのですけれども、もう一点だけお伺いしたいことがございます。  見本本の二百二十八ページの記述ですけれども、太平洋戦争に関する記述のところでこういうふうに書いてあるわけです。「日本は十二月八日、アメリカとイギリスに宣戦を布告し、海軍航空隊の攻撃によりハワイ真珠湾のアメリカ太平洋艦隊、マレー沖のイギリス東洋艦隊に壊滅的打撃をあたえ、陸軍部隊はマレー半島に上陸した。」という記述がございますけれども、これは正確だというふうに文部省は御判断されますか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 恐らく先生御指摘の点は、「十二月八日、アメリカとイギリスに宣戦を布告し、」というのが、「布告し」が先でそしてハワイ真珠湾のアメリカ太平洋艦隊、マレー沖に壊滅的打撃を与えたのが後であるという記述は、順序から言えば逆ではないかという御指摘であろうかと思います。  歴史的な事実といたしましては、私どもの承知しておる範囲では、大使が通告したのは十二月八日の四時五十分であり、マレー、真珠湾太平洋艦隊の空襲等は三時十九分であるということは私どもも承知をし、検定をしておるわけでございますが、ここでごらんいただきますと、この文章は一息でつながっておるわけでございまして、そこまで厳密な意味での順序について時間的なことをここに表現をして書くことについて、必ずしも教科書では要求をされていないというふうなところで、表現としてはこのままの許容をしておるというのが経緯でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 これまで検定済みの日本史の教科書、今までの分はこういう点ではどういう記述になっているのでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 他の教科書の例といたしましては山川出版社の教科書の例があるわけでございますが、その表現といたしましては、「十二月八日、日本はハワイの真珠湾を奇襲攻撃するとともに、アメリカ・イギリスに宣戦を布告し、」この表現は、「ともに、……布告し、」ということで、同時点で押えておるというふうな表現になっております。したがいまして、この点につきましては山川では同時的な表現になっておりますが、もちろんこの著作者の方もそれが前後しておるということは承知しておられると思いますし、「新編日本史」を著作された方もその点は承知をしておられると思いますけれども、教科書の記述としてどこまで厳密にその前後関係を表記するかについては、必ずしもそこまでを要求しないという御判断でこれをお書きになっており、私どももそれはそれとして許容しておるという経緯でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 私は二つの点で重大な問題があると思っておるのですが、宣戦を布告したのかどうか、これは今までの教科書はどれを見ましても「奇襲攻撃」という叙述になっておるわけですから、そういう問題が一つ。それから、時日の経過が逆ではないかという問題は言われていることですが、私が調べてみましたら、イギリス東洋艦隊に壊滅的打撃を与えたのは十二月十日ということになっております。だから、このパラグラフでは違うわけですね。それから、マレー半島の上陸も十二月八日午前二時ということになっておりますし、三時にハワイ真珠湾攻撃という時間の経過もありますし、そういう点でも正確ではないと言わなければならないと思います。  アメリカの教科書も参考までに見ましたら、十分は書いてありませんが、ハワイ真珠湾攻撃というのは「卑劣な一撃」、これは翻訳もあると思うのですけれども、そういうことになっておりますから、そういう点がいわばこれまでの理解でありまして、そういう理解を超えた叙述になっておるという点でもこれは到底認めることはできないと思うわけです。  私は歴史の教育の議論をする時間的余裕はもうありませんけれども、やはり歴史の事実をゆがめることはしてはいけないと思いますし、子供たちに正確な事実を伝えるということは歴史教育の中の最も大事なことだと思うのです。そういう点が何か巧妙にゆがめられている部分がこの「新編日本史」には幾つもあるわけですね。そういう点でも合格に値しないと言えると思うわけです。  それから、大臣にお伺いしますけれども、臨教審でも「国際社会に通用する日本人の育成」と、非常に「国際化」ということを強調されているわけですね。あるいは「国際国家日本」ということも言われておりますけれども、私は、こういう歴史教育でこれからの子供たちが本当に国際的に通用するのだろうかという点でもむしろ孤立する青少年をつくることになるのではないかというふうにも言わなければならないと思うのですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 教科書の作成は公正、中立、客観的、そして教育的効果ということを主眼にして教科書の検定をいたしております。そういう意味におきまして、今後ともその観点をしっかりとわきまえて、そして、国際的に通じるということでございますが、国際的に通じるということは、これは表現は簡単でもなかなか難しいと私は思うのです。要するに私は、国際的にと理解しておりますのは、相手方の理解に通じるもの、こういうことだ、そしてまた相手方を十分理解することが国際的だと思うておりまして、そういう観点に留意しながら今後の検定に当たるように十分に当局と話し合いをしておきます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 「新編日本史」の問題は以上で終わりにいたしまして、教科書に関係してもう一点お伺いしたいと思います。  今国会中に、中曽根総理の発言に端を発しまして、アイヌ民族の問題が取り上げられておりますけれども、これについてお伺いしたいと思います。  総理が単一民族国家発言をされまして、それが各委員会でも取り上げられているかと思いますが、まずこの発言について大臣の所感をお尋ねいたします。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 総理の御発言については私どももちょっとコメントは差し控えますが、先生御指摘のアイヌ民族の文部省における教科書なら教科書での扱いといたしましては、やはりアイヌ民族が日本の国土において長い歴史の中で存在しておられること、その子孫の方々が現存しておられることは事実でございますので、教科書の記述においても、これは著作者の方の考え方でございますが、アイヌ民族の存在なりその立場について記述をされることについては私どもはそれはそれとして許容して、その表現については検定のプロセスでも留意しながら教科書の内容を確定していっておるというのが事実でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 大臣にお伺いしたわけでして、単一民族国家という発言について大臣はどすお考えでございますか。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 総理の見解は御存じでございますね、総理がおっしゃったことは。それでは私の見解はどうかということでございますが、日本列島にはいろいろな民族があったということは、それは歴史的にいろいろ言われておりますので、私はその真実を確かめたことはございませんが、それはそれなりに学説として聞くべきだと私は思うのです。しかし、それらは、もう長い年月がたちまして、今日では一種のルーツはそうであったということになっておると思うのでございまして、今日私は、民族という言葉を文化的な問題であり、同一文化の中に居住する人間の集団であると私なりに解釈しておりまして、そういう点からいうならば、今同じ文化的な生活をしておる者、こういうことでは日本列島は現在一つの民族という解釈も成り立たないこともない。しかしそのルーツがあって、そのルーツを一つの伝統として、習慣として尊重しておられる、こういう方に対してはそれは尊重すべきだ、こういうことを私は思うておって、総理の見解とどういうふうになるのか、余り難しいことは私も考えておりませんが、私はそのように考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 それではアイヌ民族の存在はお認めになりますか。今の発言は認めているというふうに伺ったわけですけれども、確かめたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 私は、アイヌの方々がずっと以前にそういうルーツがあった、現在もそれを尊重して伝統と文化を守っておられるということは認めていこう、これは当然でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 単一民族国家発言といいますのは、これはいろいろなことがあると思いますけれども、アイヌ民族にとりましてはやはり少数民族の存在を認めるかどうかという点で重大な内容を持っているわけですね。そういう点で、中曽根総理が黒人やプエルトリコ人に対する差別的発言をいたしましてアメリカに陳謝したことがありますが、やはり同じような意味で国内の少数民族を差別する発言だ。単一民族ということはそれを認めないことですから、そういう点ではこれは重大な内容と考えなければならないと思うわけです。  今国会では、その点で、人権規約に対する国連報告書、その見直しなんかも検討されるということでもありますので、私は教科書の記述の問題もこの際ぜひ考えていただきたいと思うわけです。その点で、教科書の記述の問題は先ほど既に御答弁に入っておりますけれども、具体的にどうなっているのでしょうか。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 教科書の記述については、いろいろな教科書の記述があるわけでございますが、例えばということで申し上げますと、「日本のようにほぼ一つの民族から成る国」とか、「国民の大部分が一つの民族から成っている西ドイツや日本のような国」というふうな表現が多うございます。ただ、一つの教科書で「単族国」という言葉が使われておるものがあるわけでございまして、この点はアイヌの代表の方々が御指摘の点でございます。  なぜその「単族国」という言葉が教科書で認められているかと申しますと、これはいろいろな辞典にも載っております。「単族国」という言葉の定義でございますけれども、「国民が主に一つの民族から構成されている国家」を言う。例えば日本とかイギリス等であるけれども、実際には「日本におけるアイヌ人のごとく少数の異民族を含む場合が少なくない」というふうな定義の規定があるわけでございまして、「単族国」という言葉も純粋に同一民族だけという定義ではなくて、そういう純粋の同一民族というのはもう世界で、世の中にあり得ないのだという前提のもとに「単族国」という言葉が使われておるという経緯があり、「単族国」という言葉が使われている教科書も一冊許容しておるわけでございます。しかし、この点については、やはり言葉から受ける語感としても、配慮としてはもう少し考えた方がいいのではないかという点も我々考えるわけでございますので、他の教科書の通常の例のような形に、ある時期、改訂の時期等があれば、著作者側との協議で考えてまいりたいという考え方を現在とっておる次第でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 大変前向きに検討されるという御発言をいただきましてありがとうございます。このアイヌの問題については教科書に記述されること自身がごく新しいことでありまして、今までは記述されないということでそういう差別があったということですし、その記述の内容も必ずしも今正確にはなっていない。「アイヌ系住民」ですとかという形で、民族としての規定を必ずしもしていないという問題があります。  それから、過去には旧土人法の記述をめぐりまして、これで不合格にされる、そういう例もまたありましたので、今御答弁のように、ぜひとも正確にアイヌ民族の権利と人権を守るという立場で教科書にも反映させていただきたいということを要望したいと思います。

西崎清久文部省初等中等教育局長

○西崎政府委員 先生の御趣旨は私どもよくわかりますので、検討いたしたいと思います。  なお、先ほど申し上げましたのをちょっと補足させていただきますが、現在「単族国」という言葉が使われておる教科書は第一学習社から出ております「新編 地理」という教科書でございます。ここでは、「単族国はまとまりがよく、同胞としての意識に富むとされる。」あるいは「単族国の代表的な国で、」云々という表現があるわけでございまして、裸で単族国という言葉が使われております。したがって、先ほど申し上げましたようにこれは著作者側との話し合いでございますが、「単族国」という言葉を使う場合には、その「単族国」という言葉は若干の少数民族等も含めた意味での「単族国」という言葉だとか、説明の問題を工夫してもらわなければならないという意味でございまして、「単族国」とか「複族国」「単一民族国家」「複数民族国家」といういわゆる熟語がございますので、それ自体の問題よりは、その点について理解が行き届くような表現なり説明ということを踏まえた記述についての問題として、著作者側といろいろ協議をし相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 この問題で、最後に大臣の見解を伺いたいと思います。

塩川正十郎自由民主党文部大臣

○塩川国務大臣 先ほど西崎局長が答えましたのとほぼ同様のことで私も感じております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 次に、初任者研修制度の問題について伺います。  臨教審の第二次答申で初任者研修制度ということがうたわれておりまして、その中で、この制度の導入に伴って条件つきの採用六カ月を一年にするということを含めて具体的な提言があるわけです。文部省は来年度から試行したいということで概算にも計上しておりまして、今この点であちこちで論議が行われつつあるところですけれども、幾つかの問題点について質問をいたしたいと思います。  初めに教員の試補制度ということにつきまして、文部省内の審議会でもそういう構想についていろいろと提案をされたり論議をされてきたと思うのですけれども、戦前戦後を通じて今なお実施を見ていない。まずこの理由はどういうところにあるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 試補制度あるいは試補という言葉の正確な定義づけはないわけでございますけれども、一般的に使われている用語でございます。先生今御質問なさいました関連で申し上げますと、例えば昭和四十六年の中央教育審議会の答申の中で、「特別な身分において一年程度の期間、任命権者の計画のもとに実地修練を行なわせ、その成績によって教諭に採用する」という内容の答申がございます。これに類した事柄が教育職員養成審議会その他の方の建議等にもあらわれておりまして、これらの考え方、つまり一定の身分で一年間つないでおいて、一年たったら正規の教員に採用する制度を試補という考え方で言われておるわけでございます。  こういった考え方につきましては、地方公務員制度の上におきまして特別な身分としての公務員の位置づけが必要になってくるわけでございまして、一般の他の公務員との関係上、身分の取り扱いがどうかという問題が一つございます。それから、実態的に申し上げれば一年間不安定な身分の状態が継続するわけでございますので、場合によっては教員志望者の意欲を低下させるというような点も懸念されるわけでございまして、そういった法律上の制度的な位置づけの問題並びに実態的な取り扱いとの関係において、試補制度を採用することは見送られてきたという状況にあると理解いたしております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 身分上大変不安定だというのが試補制度の大きな特徴かと思うのです。そういう点で文部省は、試補制度が教員養成上望ましいと考えておられるかおられないかということを重ねてお伺いしたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 試補制度の是非につきましては、御承知のように長い間いろいろな御議論があるわけでございますし、各種審議会におきます答申あるいは建議でも提言されたことがあるわけでございまして、この取り扱いについては先ほど申し上げた問題点はございますけれども、文部省としては、試補制度が絶対にだめ、あるいは試補制度が絶対にいいというような対応をしたことはございませんで、そういった御意見を踏まえて慎重に検討しながら今日まで来たという状況であろうと思います。したがいまして、全面的否定あるいは全面的肯定ということではなくて、いろいろな提言の中身にも、貴重な聞くべき意見もございますと同時に、問題点も伴っているというような理解をしてきたということでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 今回、臨教審が導入しようとしている初任者研修制度は、一体試補制度とどのようにかかわるのかということでお尋ねしたいのですけれども、同じような性格のものなんですか。それとも異なっているという点がおありですか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 本年四月の臨教審答申で提言をいただいております初任者研修制度の創設と関連いたします条件つき採用期間の一年への延長という御提言は、従来のいわゆる試補制度の考え方とは異なっておりまして、教員がまさに教員としての身分を持ち、授業を担任しながら、一年間にわたる研修を受けるということでございますので、いわゆる試補制度とは全く別の性格のものと理解いたしております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 文部省が構想しているこの初任者研修制度は、諸外国を例にとると、どこか例がございますでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 諸外国の例といたしますれば、例えば西ドイツの州におきましては、教員志望者に一年間にわたる研修を行いまして、その後、その中から採用されるという制度がございます。これはどちらかと申しますと試補あるいはそれ以前のような制度でございます。それから、今回の一年間授業を担任しながら、かつ、正規の身分のままで研修を受けるというような制度にぴったり合うようなものとしては、それに類したものはございましょうけれども、まさにこれにぴったり合うような制度としては私どもは承知をしていないわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 それでは条件つき採用のことで伺いたいのですけれども、六カ月から一年にするという点でございます。これは公務員法全体にかかわる問題と思いますが、この臨教審答申どおり一年に延長するお考えかどうかということをまず伺いたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 現在概算要求をいたしておりますのは初任者研修の試行ということでございますので、私どもとしましては、六十二年度三十県市、将来の予定といたしましては、六十二年度においては五十七都道府県、指定都市において試行をしていただきたいという考え方でございますけれども、本格的な実施の問題につきましては、現在教育職員養成審議会に、望ましい研修方法あるいは望ましい研修プログラムの内容等についての御審議をいただいているわけでございますので、それを受けまして本格実施の段階を迎えるわけでございます。その際におきましては、臨教審の答申でも提言を受けております条件つき採用期間の一年への延長ということがございますので、そういった方向での対応を当然考えるわけでございますが、今申し上げました答申を受けてから文部省としての方針を固めるということになろうと思います。いずれにいたしましても答申がございますので、その方向で対応したいという現段階の気持ちでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 それでは、その対応がどの程度煮詰まっているかにもよると思うのですけれども、今現在で検討がどの程度進んでいるのかについて、例えば六カ月を一年に延長する場合、今の六カ月の単純な一年延長と考えていいのかどうか。それから、それではその場合に、公務員法がございますから、法改正なども含めて考えておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 試行が行われます間におきましてこれからの本格的実施への準備をしてまいるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、研修プログラムの内容あるいは研修方法等の煮詰まり方との関連もございますけれども、制度的な意味合いにおきましては二つございまして、一つは、現行法のもとにおきましても、六カ月を一年以内に限って、国の場合でございますと人事院、地方公共団体でございますと人事委員会の規則によりまして、延長することが可能な制度がございます。したがって、現行法のもとで行う場合もございましょうし、教育公務員につきまして一年間ということを、例えば教育公務員特例法におきまして特例を設けるというようなやり方もあろうと思います。そういった法律的な取り扱いの問題はまだ未定でございますけれども、今後慎重に検討さしていただきたいと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 それでは、私ども非常に何かつかみにくい点があるのですけれども、研修を一年間するということが必要なのか、それとも条件つき採用を一年延ばすということが必要なのか、どちらが主といいますか、この一年の延長という意味がもう一つ不明確なわけですね。研修を一年することが必要だとするだけならば、条件つきを何も一年延ばす必要はないわけですね。現行のままでいいわけです。六カ月条件つき採用で、それで一年間研修必要ですということもあり得るわけですね。そういう点で、条件つき採用を延長するということと研修を重ねてきているというところがもう一つわかりにくい。ですから、現行のままで一年研修をするのと、条件つきを一年延ばすということとは一体どういう違いがございますでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 臨教審の答申におきましては、初任者研修を一年間実施をすることの関連におきまして、条件つき採用期間の一年への延長の提言があるわけでございますので、私どもの理解といたしますれば、従来の勤務形態と異なりまして、一年間授業を担当しながら研修を受ける、申し上げればあるいは特殊な勤務形態になるわけでございますので、そういった特殊な勤務形態が一年間続くということによります本人の教職の適格性判定、職務遂行能力の判定につきましては、一年間をかけた方がよろしいのではないかという御提言の趣旨と受けとめております。  と同時に、そのことが主体的な意味合いであろうかと思いますけれども、やはり教員の適格性を判定する場合に、六カ月という期間で一般公務員と同様に判定するのがいいのか、もう少し時間をかけて十分に教員の職務遂行能力を見た方がいいのかという別の視点からの御意見あるいは考え方もあり得るところでございますので、今申し上げましたように、大きな要素としては、初任者研修は一年間行われるということとの関係において、条件つき採用期間の一年延長が動機としては大きなものであろうと考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 この問題、大変重要な中身がございまして、結局初任者研修制度は新任教員の適格性を判断するために必要なのか、それとも新任の教師としていろいろ必要なことについての本当に研修の機会を与えていく、研修を保障するといチことで必要なのか、その問題が非常にまだ混同されているといいますか、あると思うのです。  ちょっとそれはおきまして、時間がありませんので来年度の概算にかかわりまして、最後にというかこの項でお尋ねしたいのですけれども、試行の中では、三十県市で、そして指導教員ですね、指導教員の配置ということの予算措置がございます。類型一、類型二、類型三というふうにあるのですけれども、この指導教員の身分はどうなるのか、それから指導教員というのは一体どういう人が指導教員になるのかという点をお尋ねしたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 六十二年度概算要求を行っております考え方の、いわゆる予算の積算上の考え方でございますけれども、学校によりまして、教員が一人配置校の場合につきましては非常勤講師、それから二人ないしは三人配置校につきましては正規の教員をもって措置を講ずることといたしております。  これはいわゆる予算措置の関係でございまして、現実にその指導する教官のいわゆる穴埋め要員としての予算要求でございますので、現実に初任者研修を指導していただく方々の場合に、正規の教員が教員たる身分において新採用初任者教員を指導する場合もございますし、あるいは非常勤講師が指導に当たられる場合もあり得ますし、それは各都道府県あるいは指定都市におきます地域の事情あるいは学校現場の実態、あるいは適格性を持ったいわゆる指導教官が得られるかどうか、そういった相互関係におきまして配置されるものと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 そういう配置が決められているわけですけれども、その指導教員というわけですから、何か手当は特別につけられるのかどうかとか、それから、だれがその新任の指導に当たるかということは各学校が自主的に判断されるというふうに考えてよろしいでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 現在考えております初任者研修の試行の実施主体は都道府県あるいは指定都市の教育委員会、いわゆる任命権者でございまして、その立てられました計画に基づいて行われるわけでございます。しかし、具体的には、その指導教官として新任教員を指導すべき立場に立つ方につきましての、職務上その研修指導義務といいますか指導を行うように命じますのは、服務監督権者でございます。例えば小中学校でございますれば市町村教育委員会ということになろうかと思います。都道府県、県立学校職員の場合は都道府県教育委員会でございますけれども、これは任命権者とイコールでございますが、そういう考え方で現在都道府県あるいは指定都市の教育委員会と協議をしている段階でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 そうすると、都道府県の教育委員会がこういう人を指導教員としてほしいというふうに、上から任命されるということも考えておられるということでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 いわゆる小中学校のケースだと思いますけれども、基本的には服務監督権者である市町村教育委員会が職務命令を出すという形になろうかと思います。その場合に、都道府県教育委員会が一般的な指示あるいは指導助言を行うわけでございますので、いわゆる個別的な人の名指しでこれでというような形になるということは一般的には考えられないことでございまして、市町村教育委員会の行います指導教官の発令の仕方あるいは命令の仕方につきましては、一般的な指導助言を都道府県教育委員会が行うことになろうかと思います。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 もう一つ、この指導教員の身分というのがはっきりしないのですけれども、校内でどういう人が指導教員になるのかという問題なんです。都道府県の方から任命される形なのか、校内でいろいろと自主的に決まるのかという問題なんですけれども、まあそれはちょっとおくことにいたしまして、三十県市ですね。この三十県市の決め方というのは、これから概算で煮詰まっていくわけですけれども、文部省の方が委嘱をする形になるんでしょうか、それとも都道府県の方が名のりを上げるといいますか、やりたいというふうに申し出を待って、その調整で決まるのでしょうか。この三十県市というのは、これは二十になるかどうかは確定した数ではないと思いますけれども、いずれにしてもどこかが選ばれる場合、その選ばれる選び方の問題についてお伺いしたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 具体的には、私ども、年末の予算編成におきましていわゆる予算案が確定しました段階で準備にかかりたいと考えておるわけでございます。その場合には、現在五十七都道府県、指定都市があります中に、御希望のございます都道府県あるいは指定都市に対しまして実際上その初任者研修の試行をやっていただくわけでございますけれども、初任者研修試行県というような指定をするわけではございませんで、各都道府県、指定都市で計画しましたものがいわゆる具体的な予算措置と合致する範囲内においての行財政措置を講ずるというわけでございますので、現実には、そういった教員代替定数の措置とかあるいは非常勤講師配置のための補助とかいうような実際上の行財政的措置を文部省の方で担保する、あるいはそういうことについての援助をするという形で、お互いの間で実際上、何県において実施をされる、何県は実施しないという結果が出てこようかと思います。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 試行の予算が組まれているわけですから、これはいつごろ何県が試行されるかということは、見通しとして決まるわけでございますか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 現在、非公式には、本県においても実施をしたいというような形でのいろいろな御希望等は承っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、年末の予算編成におきまして政府予算案が確定しました段階において、それに引き続いて早急に、準備の関係もございますので、今申し上げましたような行財政措置を講じていただく都道府県を具体的に確定したいと考えております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 初任者研修の問題の最後に、私は大阪の出身でもありますので、大阪市で行われておる採用前研修というのがありますので、それについてお伺いしたいと思うのです。  大阪市では、八五年から採用前研修というのが実施されておりまして、ことし二回目ですけれども、これは二十二日間という長期にわたりまして、そして一次判定の教員採用に合格した方に対しまして、採用前に、もうこの十一月ぐらいから研修が始まるわけでして、しかも大阪市内の教員に就職するためにはそれを受けなければならないという、かなり義務づけられている、こういうものがございます。  ことし一月の参議院の決算委員会で、我が党の佐藤議員の質問に対しまして文部省は、これは状況を適当な時期に聞いてみたいというふうに答えておられるのですけれども、状況を把握されておりますでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 大阪市において行われております新採教員の事前研修の、例えば研修の要綱あるいは実際に行われているあらましの実態等は承知いたしております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 この件で、新聞報道などでも、文部省の対応は指導はしていないという答弁でありまして、しかし積極的であるという評価がされておりましたが、今もそういう立場でしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 教員に採用される事前研修につきまして、そのような実態を積極的に指導した事実はございませんが、大阪市を含めまして六つの都道府県、指定都市において事前研修が行われておりますが、その中でも大阪市の場合が一番意欲的に行われておるわけでございまして、この事前研修が、教員になる事前にいろいろな形で教員になるときの準備をしていただくというつもりで各都道府県が工夫されておるわけでございまして、そのことにつきましては文部省として好意的な目で見ているというのが実態でございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 しかし、問題がないわけでもないという新聞報道もあるのですが、先ほど、状況は把握されているということですので、その中で問題点となるようなことはありませんでしょうか。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 考えられる問題点といたしましては、本人はまだその採用以前の段階でございますから、多分学生の身分を持った状態の方が多いと思いますから、いわゆる学業を修めて、その上できちんと入ってこられるという意味からいきまして、本人が学業を進める点におきましての絡みで支障のないようにしていただきたいという気持ちはございますし、大阪市の場合も、各受講者の都合を聞きながら円滑に行われていると理解しているわけでございます。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 実態の問題で言いますと、やはり大変いろいろ問題点があると思うのです。まず二十二日間という長期であります。それから、今例えば教員の採用は社会人からも、それから必ずしも大阪だけじゃなくて全国から採用試験に応募されるわけですから、そういうことで考えますと、こういうふうに採用前に枠をはめますと、事実上いろいろと門戸を閉ざすというか、そこはもう自分は受けられない、そういうことを決めることにもなるわけですね。そういう意味で、社会人にとっても重大だと思うのです。例えば民間企業に働いていらっしゃる方などはもうそういう門戸を閉ざされる、初めから大阪市はもう受け付けませんということでもあるわけです。  それから大学にとりましても、大学でも教育実習を戦後大変時間をかけてやってきておりますし、私も大学にいたのですけれども、教員養成、やはり非常にやっております。しかも、大学の卒業論文を書くというような重大な時期に拘束されるという問題もありますし、やはり大学教育にとっても弊害が大変大きい。  そしてまた、研修ということでいいますと、大学でも研修教員養成をし、そして採用前にこの二十二日間をし、そして大阪市の場合は採用後もまさにこの初任者研修で相当研修をさしているわけですね。その辺の実態もどのようにつかまれているかどうかということをお伺いしたいと思います。 そして、こういう弊害と同時に、公務員としての身分がまだ生じないうちに研修を強制しているという点でも、法的根拠は一体本当にどこにあるのでしょうかという点で、文部省の見解をお伺いしたいと思います。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 あくまでも公務員たる身分を取得する以前の事前研修でございますので、法律的な根拠に基づくものではなくて、事実上の関係として行われているものと理解をいたしております。  ただ、事柄として、まだ公務員の身分を持つ前の研修でございますので、本人の都合を無視して一方的に強制をするという形態は好ましいわけじゃございません。そういう意味におきまして、円滑に行われるような配慮というのが当然必要だろうと思います。  それから、考えられる問題といたしましては、その事前研修を拒否すれば採用しないというような条件にするということであってはならないと思いますけれども、各都道府県、指定都市が、教員の資質向上のために事前にそういうことをしたいという気持ちも理解できますし、また一方、教員を志望する者にとりましても、職場につくまでの間に事前に研修を受けたいという希望も強いと思いますし、そういった両者の意向に合致した制度であろうと思っております。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 円滑にということや合意に基づいてということが言われておりますけれども、しかし、これは受ける側からしますと、今大変就職が厳しい中でどうしても教員になりたいという中では、そういう条件を教育委員会の方からつけられますと、こちらはまげて応ずるわけです。ですから、こういう問題というのは、当人が不利益処分というか訴えて初めて表面化するという問題であって、今円滑に行われているから問題がないということではないと私は思うわけです。法的に見てもまた実態から言っても、これはやはり道理に合わない。  また、この採用前研修につきましては、本当に、大阪市の教員あるいは学校の現場でも、もうやりたくないという声の方が強いということも出ておりまして、教員の九〇%は反対という表明もしているわけでして、この行き過ぎやそういう問題点について、文部省としてはもっとしかるべき適切な指導をするというお考えはございませんでしょうか、最後に。

加戸守行文部省教育助成局長

○加戸政府委員 率直に申し上げまして、現場にいらっしゃる先生方が後から入ってこられる後輩教員になるべき方の研修に反対されるという気持ちは私どもはちょっと理解が難しいわけでございますけれども、もちろん実施上の問題が円滑に行われ、現場の協力を得られながら行われるということは望ましいわけでございます。そういう意味におきまして、趣旨、意図につきましては私どもまことに結構なことだと思うわけでございますから、あとは方法論におきましてそういった問題の生じないように十分見守ってまいりたいと思います。

石井郁子日本共産党・革新共同

○石井(郁)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

愛知和男自由民主党

○愛知委員長 本は、これにて散会いたします。     午後一時十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗