科学技術委員会 第1号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1986/10/28
会議録
○原田委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 科学技術振興の基本施策に関する事項 原子力の開発利用とその安全確保に関する事項 宇宙開発に関する事項 海洋開発に関する事項 生命科学に関する事項 新エネルギーの研究開発に関する事項 以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ────◇─────
○原田委員長 次に、科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟山明君。
○粟山委員 本日は、今国会一般質問の最初でございます。また、今回は提出法案もないことでございますので、ごく基本的なことにつきましてお伺いしたいと思います。 前回の委員会において三ツ林大臣から所信の表明をお伺いしたわけでございますが、そのときのお言葉で大変印象に残っておりましたのは、日本の資源は頭脳資源が唯一である、したがって、その資源をもととして科学技術を大いに発展させていかなければならない、こうお伺いしたわけでございます。前回の議事録を拝見しますと、前大臣、河野国務大臣の所信表明は、相当いろいろ詳しくお述べになっておられまして、このたびの三ツ林大臣の所信表明は、ごく簡単にお伺いしたわけでございます。 今の日本の状況、科学技術が最重要だということは言うまでもないことでございますし、今まで日本が追いつけ追い越せで、先進国に対して科学技術もようやく多くの部分においては同等あるいはそれ以上まで追いついてまいったわけでございますが、これからは、それだけにみずから創造をし発展をさせていかなければならない、こういう状況にあると私は認識しておるわけでございます。 つきましては、先ほど申し上げた頭脳を資源とする発展について、その大もとの担当官庁である科学技術庁の長官として、もう少し具体的な御方針についてお伺いしたいと思います。
○三ツ林国務大臣 私、所信表明のお話をしておきましたが、粟山先生から再度詳しくというお話でございます。 御案内のように、日本の国が戦後四十年たちまして、今ではもうコンピューター、また科学技術情報化時代、こういうことに相なっておるわけでありますけれども、そういうふうな時代において、これからの日本、我が国としてどうしても豊さ、また平和、健康という命題に取り組むのには、もちろん科学技術がそのかぎを握るだろう、これは御案内のとおりでございます。 そういうふうなことからしまして、政府におきましても三月に科学技術政策大綱を閣議で決定をいたしまして、科学技術庁といたしましてもそれに伴う陣容を整えたわけでございますが、その内容というのは、御案内のように基礎的な研究、創造的な研究を進めていこう。それに官界であるとか民間であるとか大学等、本当に一体となって連携をしながら科学技術を進めていこう。また、先端的な科学技術の振興ということで、もちろん原子力の開発、宇宙開発、海洋開発、そういう大きな事柄につきましても、日本の将来のエネルギーということを考えて進めよう。こういうことでありますから、私といたしましては、日本の国はこれから頭脳、エネルギー、実はこれが大きな事柄でありまして、その頭脳をもって世界の人類のために、また、日本の発展に尽くしていくために、科学技術の振興をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○粟山委員 長官の考えを伺ったわけでございますが、今我々自民党でも、政調会等におきまして、これからの科学技術関係をいかに発展させていくかということに大変関心を持って進めておりまして、実は各省庁全部にわたってそれの科学技術研究開発面についてピックアップいたしまして、その政策、その予算、そういった点について現在いろいろ各省庁から聞き取りをしております。また、予算面につきましてもできるだけそれの実現に努めよう、こんなふうにも考えているところでございますが、何といってもそれぞれの省庁は、当然のことながら科学技術についてはいろいろな部門を持っております。しかし、その中でも特に基礎研究の分野については、科学技術庁がひとつ指導的役割を果たして、各省庁にわたって目を通し、これの整合性と申しましょうか、やっていかなければならない、こんなふうにも考えるわけでございます。 そこで、例えばバイオテクノロジーの問題一つにつきましても、農水省の問題あり、厚生省の問題あり、通産省の問題あり、それぞれやっておられます。そういった問題の基礎的な部分について、これを全部統括するわけにはまいりませんでしょうが、どの程度科学技術庁として目を通し、調整連絡等について当たっておられるか、お伺いしたいのです。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 科学技術庁におきましては、先生御案内のように、科学技術関係の予算と申しましてもいわゆる自然科学系のほか人文科学の分野もあるわけでございますが、自然科学系のものを所掌しておりまして、しかも、大学の研究にかかわる部分は一応科学技術庁の権限の外になっておりますので、科学技術庁として予算につきまして調整をいたしておるものは、そういった分を除いた分について調整を行っておるわけでございます。 この調整を行うに当たりましては、毎年予算編成時期の前に、各省が予算案をこれからつくるという前に、見積もり方針についての基本方針というものを科学技術庁から各省に御提示申し上げて、その線で来年はどういう予算を考えているのかということを予備的にお聞かせいただきまして、その段階で科学技術庁として各省の意見の調整を行わしていただく。ほかの省ではこういうこともやっていますよ、あなたのところのここら辺は少し調整が必要ですねというようなことも含めましてお話し合いをさせていただいて、その結果を受けて最終的に各省が予算をおつくりになるわけでございます。各省とも研究開発については科学技術振興という側面のみならず、それぞれの行政目的の面もございますので、科技庁がすべて統括して何か査定をするとかそういうようなことはできませんので、こういう予算の少ないときでもございます、政府全体としての効率的な研究投資ができるように各省ともお話し合いをさせていただいております。 その見積もりの基本方針といたしましては、当然のことながらことしの三月に決めました科学技術政策大綱というものがよりどころになっておりまして、私どもといたしましては、その科学技術政策大綱の線にのっとって、各省がどういう施策をしているかということをいろいろ分類しております。 そういうことで、各重点項目について各省がそれぞれ重複というようなことはなく効率的に推進できるようにやっておりますし、また、各省協力して総合的に推進していく方がいいような研究、こういったものにつきましては、幸いに科学技術庁に科学技術振興調整費という今年七十九億ほどの予算をいただいております。そういう予算を使いまして、これは科学技術庁がコーディネーターとして総合的な研究プログラムをつくりまして行っております。こういったことで効率的な研究開発の推進ということに専心しておる次第でございます。
○粟山委員 わかりました。 そこで、今お話が出ました科学技術政策大綱でございますが、私も全体を読ましていただきましたが、最初の基本方針というところに、特に基礎的研究の強化を中心としてと、こういった文言がございます。確かに何といってもこれからの新しい創造的な科学技術を開発発展させるためには、基礎研究が非常に大事ではなかろうか。従来の先進国の研究成果を勉強させてもらってそれを応用し発展させたのとは違って、これからは新しい物を創出しなければならぬ。それには何といっても基礎研究が非常に大事であろうかと私は思いますが、我が国の現状として、まず政府部門として基礎研究にはどのくらい予算を使っておるか、それから他の先進国との比較はどうか、こういった点についてちょっとお聞きしたいのです。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 基礎研究と申しますといろいろな考え方がございまして、自然のいろいろな現象を解明していくということを中心としますいわゆる学術的な研究、それと、ある技術の開発を目指しまして、そのベースになるような基礎的段階での研究というようなことでいろいろあるわけでございますが、国際的な比較という面で見ますと、我が国の研究費については総理府統計で調査をしておりまして、我が国全体としての研究投資、このうち基礎研究の比率というものは一四%程度になっております。ほかの国と比較しますと、米国が一二・五%、西ドイツが一七%、フランスが二一%、イギリスが一八%ということでございまして、絶対の金額から申しますと、米国が、これはちょっと為替レートの関係もございますが、一応私どもで換算しました数字でいきますと、一九八四年で二兆八千八百億ほど。今申しましたのは米国の基礎研究費でございますが、日本は絶対額で申しますと一兆円ほどでございます。西ドイツは七千億、フランスは五千億等でございますので、絶対額では西ドイツ、フランス、イギリス等をオーバーしておりますが、先ほど申しましたような全体に対する比率からいいますと、西ドイツ、フランス、イギリスよりは落ちておるという段階でございます。 政府の中でどうかということにつきましては、ちょっと統計を持ち合わせておりませんので申し上げにくいわけでございますが、現状はそういうことでございまして、私どもといたしましても、先生先ほど御指摘のように、基礎研究というものが今後の我が国の科学技術の振興の上で非常に重要な問題になっている。今までは欧米諸国に追いつけということで、そういう諸国の中で生まれた基礎研究の成果、そういったところから出てくるシーズをもとにいろいろな応用技術の発展ということが期待されたわけでございますが、今後はもうそういうこともないわけでございますし、しかも、経済的な我が国の立場ということからいいますと、国際的にもこういう基礎的研究面での貢献ということもしていかなければならない。そういう実態にあるわけでございますので、国の研究投資につきましては一層基礎的研究の方に移行していくということが必要ではないかと考えておる次第でございます。 基礎研究の大半が性格上大学において行われるという形になるわけでございますが、国立研究機関におきましても、こういう基礎的研究の充実ということを図ってまいりたいし、私どもとしても、そういう国立研究所あるいは科学技術庁附属の特殊法人の研究機関、こういったところで創造的な基礎研究の推進ということを進める必要があろうかと思っております。そういうことで既に理化学研究所におきますフロンティア研究の推進とか新技術開発事業団におきます創造科学技術推進事業、こういったものを強化してまいりますとともに、先ほど申しました科学技術振興調整費、こういったものの運用につきましても基礎研究に重点的に使っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○粟山委員 同じような質問になりますけれども、政府のみならず我が国の研究開発投資というのが国民所得の中でどのぐらいの比率を占めているか、各国との比較をちょっとお伺いしたいと思います。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 国全体としての研究開発投資につきましては国民所得に対する比率で比較するのが適当ではないかと思いますが、そういうことで対比いたしますと、日本は、昭和五十九年すなわち一九八四年の実績で二・九九%という数字でございます。これに対しまして欧米の数字といたしましては、米国が二・九四%、西独が三・一七%、フランスの統計は若干古うございまして一九八二年の数字でございますが二・三八%という数字になっております。そういうことでは各国から見て日本がそう低位にあるということではないわけでございますが、長期的に考えまして、しかも、我が国の立場といったものを考えますと、今後さらにこの国民所得に対する比率を高めていかなければいけないということで、科学技術会議の十一号答申におきましては、長期的には三・五%程度を目標に官民で努力していく必要があるだろうというぐあいに述べられておりまして、私どもとしても一層この研究投資の拡充に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○粟山委員 いろいろと聞きたいこともありますが、基本的な問題はそのくらいにいたしまして、先ほどちょっと申し上げました、いろいろ各省庁あるいは日本のあらゆる面で国際交流云々ということが叫ばれておりますが、研究の場としての代表的な場所として筑波学園都市のことについてお伺いいたしたいと思います。 筑波学園都市、できましてからもう十数年になっておりまして、最近、一部あるいは多くの部分で研究施設あるいは建物等が老朽化していて大変困るのだという話もしばしば伺っております。この管理はそれぞれの各省庁がつくった施設は各省庁でやるとは思いますけれども、全体を管理しておられるのが国土庁であるのか、あるいは営繕その他は建設省がやっておられるのか、その辺が私には定かでございませんが、筑波学園都市のそういった施設の現況、あるいはさらにこれから早急に修理改善その他をしなければならないかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○野村説明員 御説明いたします。 筑波研究学園都市の施設のまず現況でございますけれども、現地に昭和三十八年以来都市の建設整備を進めてまいりまして、現在、国等の機関が四十六機関移転あるいは新設をいたしております。これらのもののうち、早いものは四十三年から着工したものがございますが、大半は五十一、二年ころに着工が始まったものでございます。現在もまだなお移転を継続している施設もございます一方、増築の計画のあるものあるいはさらに新規に土地を取得して建設いたしたいような検討もなされている状況でございます。 先生御質問の既に建設されました国の研究所等の施設の維持保全につきましては、建設省が計上しております各省庁共通の施設整備費並びに各省の施設整備費及び試験研究費等によりまして措置されているところでございます。 国土庁といたしましては、本都市におきます各研究所等の活動が本都市の重要な機能であるというふうに考えているところでございますので、各研究所がその研究業務を遂行する上から必要な対策というものにつきまして、所管省庁の努力により十分講ぜられるよう望んでおるところでありますので、調整官庁といたしましても、関係省庁と連絡をとりながらできるだけのことをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○粟山委員 わかりました。大分そういう声が強いようでございますので、ぜひさらに調整をして、ひとつしっかりした管理で代表的な学園都市をもっともっと発展させていただきたいと思います。 さて、先ほども申し上げましたとおり、科学技術について各省庁からいろいろ状況、目標、方針等についてお伺いしますと、いずれも国際交流あるいは国際化といった問題をうたい文句にしております。これはまさにそのとおりでございまして、日本だけで狭い中でやっていたのでは将来の発展はおぼつかない。他国の頭脳をうんと取り入れて、またこちらからも勉強にも行きますでしょうし、ぜひそういうことをお願いしたいと思うので、国際交流、極めていいことだろうと思います。しかもそれと、科学技術庁がうたっております特に基礎研究部門の発展ということになりますと、こちらから行く研究者、学者あるいは海外から招聘する研究者、学者、こういった方々にも基礎的なしかも長期的な研究開発をぜひこれからはやっていただかなければならない、こう思うのでございます。聞くところによりますと、そういったものの受け入れの旅費等の予算は随分請求し、ひねり出しているということのようでございますけれども、いかんせん、受け入れの施設がまだまだ不十分ではないか。また海外のそういう方々から、日本へ行っても落ちついて研究のできるそういったものがないという点についての不平が一部聞かれるわけでございます。 今筑波学園都市について伺ったのでございますが、まず第一に、最近の年度でもよろしゅうございますが、この筑波学園都市に研究交流の方々がどのくらい海外から来ておられるか、そして、それの宿泊等はどういう設備がなされているか、その点についてお伺いしたいと思います。
○藤咲政府委員 お答えいたします。 現在、外国人の研究者を国立試験研究機関等に招聘する制度といたしまして、私ども科学技術庁に各省庁の研究機関への招聘費用を一括計上しておるものがございます。それからさらに、農水省と通産省にはそれぞれ開発途上国から研究者を招聘する制度がございまして、これらの制度によりまして筑波地区に来ております海外の研究者の総数は、ちょっと古い数字でございますけれども五十九年度九十六名ございます。大体年間百名程度筑波地区に外国人が来て研究しておるということでございます。 それで、これらの人たちの宿泊施設でございますけれども、受け入れ人数の多い農水省とか通産省につきましては独自の受け入れ施設を持っております。それからその他の省庁関係につきましては、たまたま筑波地区には現在非常にホテル等の民間の宿泊施設が余裕を持って建設されておりますものですから、そういった民間施設を利用しているというのが実態でございます。
○粟山委員 今大体の数字をお伺いしたのですが、私の伺っている中では、昭和五十九年で二百人以上の方々が来ている。ただし、今もお話がございましたとおり、受け入れ宿舎として農水省、通産省等が独自の施設を持っている、それも開発途上国の研究者の方々の受け入れだ。しかし、言い方が失礼かもしれませんが、開発途上国から来られる方々の場合、どちらかというと本当の基礎的な研究とはちょっと違うのではないかと思うのであります。私の申し上げているのは、今までどちらかというと短期で三カ月の研修とか六カ月の研修といったような方々が来て研修をされる、それならばホテル住まいあるいは民間アパートの借り上げ等小さなもので済んでいたかもしれませんが、しかしこれからは、最初に申し上げたような基礎研究で長期滞在でじっくりやっていただくということであれば、また現に、日本からアメリカ等海外に行っている研究者、学者の方々の向こうでの受け入れ施設はもっともっと完備していると聞いておりますし、向こうから来られる方々には、当然のことながら家族も連れてじっくりと日本に腰をおろして研究もしていただく、したがって研究目的そのもの以外でも日本というものの理解を深めていただく、こういう形が望ましいと思うのであります。今の筑波の例、ほかにも同じような状況があるかと思いますが、筑波学園都市にしてみればそういう施設はゼロである。皆無である。とすれば、これから科学技術庁あるいは国土庁がひとつイニシアチブをとって、そういう施設をいわば研究施設の一部と考えてつくられる、こういうような方針あるいはお考えはないか、ひとつお伺いしたいと思います。
○藤咲政府委員 先ほど百名足らずと申し上げましたのは、いわゆる研究交流のために来ておられる外国人でございますが、先生御指摘のように発展途上国から研修というような目的で来ておられる方もかなりおられまして、これはJICAの制度を使って来られておるわけでございますが、これらの方を合わせますと、先生御指摘のとおり全部で二百五十人ぐらいおるわけでございます。JICAルートで来られる方については、JICA自身が宿泊施設を持っておりまして、現在その施設を使って滞在しているという実情でございます。 そういうことでございまして、私どもの見るところでは、現在のところは、研究交流のケースの場合ですと半年程度の期間で来られる方が非常に多いので、現在の施設でほぼ対応できているのではないかと思うわけでございますが、御指摘のとおり確かにこれから国際交流ということが非常に重視されておりますので、長期に滞在する研究者とか、あるいは家族連れで来られるといったようなこともふえてくるのではないかと予想されます。したがいまして、私どもとしては、長期的な問題としては、そういった動向をよく見ながら何らかの対策を考えていきたいというふうに考えております。 それからなお、これは筑波地区ではございませんが、比較的長期の海外の研究者を受け入れるという趣旨で、先ほどちょっとお話に出ましたが、理化学研究所に国際フロンティア研究システムというのをことしからスタートさせました。これは三分の一程度の研究者を海外から受け入れるという考え方でございまして、そういう第一線の研究者を長期に日本に呼ぶということになりますと当然家族等も連れてくるケースもございますので、したがって、この国際フロンティア研究システムの場合には、筑波ではなくて埼玉県の和光というところにあるわけですが、その現地に外国人用の宿泊施設、宿舎を整備する計画を今進めておるところでございます。今後とも実態をよく見ながら適切に対応していきたいと考えておる次第でございます。
○粟山委員 これは質問ではございませんが、国土庁、今の筑波学園都市の次に今度は、これは民間も一緒になって大きくやると聞いておりますが、関西文化学術研究地区というのでしょうか、こういった計画をするについても、その中に今言った研究者受け入れの基盤設備というものをどこかにひとつ考慮に入れていただきたいと思います。先ほどの筑波学園都市でも、地元のホテル業者があいていて困るということでそこを借り上げて入れる。ホテルの場合は、これは向こうはあくまで営業としてやるわけでございます。そうじゃなくて、根本的にそういう研究者等がじっくりと腰を据えて生活し、研究をしていけるような施設を、これはもう研究施設という考え方で次の関西の文化学術研究地区等にも、そういうことをできればやろうということもひとつ頭に入れておいていただきたい、こう思うわけでございます。 次の質問に参ります。 次は原子力発電関係でございますけれども、資源エネルギー庁の方にもお伺いしたいと思います。 まず、当然のことながら、日本ではエネルギー源がない、極めて乏しいという現実でございまして、石油、石炭、あるいは電気で言えば水力ももうそろそろ限界であるというところに原子力というエネルギー源が日本にとってはある意味では救いの神であったわけであります。これが今や三十三基でございますかになって、着実に日本の必要な電力を賄いつつあるという現実であります。もちろん一方それについての安全の問題は後ほど御質問申し上げますけれども、この原子力発電については、これから三十年なりあるいは四十年先を考えて何基、どのぐらいの割合が日本にとっては適当であると通産省は考えておられるのか、その計画が現在どの程度着実に進められているか、お伺いしたいと思います。
○神田説明員 お答え申し上げます。 原子力は、経済性、大量供給性等非常に多くのすぐれた特性を持っておりますので、核燃料サイクルが確立されれば極めて安定性のある準国産エネルギーとして位置づけられるわけでございます。したがいまして、もちろん安全の確保に万全を期しつつでございますが、電力の供給の中核的役割を今後担うものということで、着実に供給シェアは拡大していくものというふうに考えております。 〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕 今後の計画でございますが、長期エネルギー需給の見通しは五十八年に策定されております。これによりますと、西暦二〇〇〇年には現在二千四百五十万キロワットの出力が六千二百万キロワット程度になる。一次エネルギーに占める割合では、現在九%ですが、これが一六%になる。それから、ことし二十一世紀に向けての原子力ビジョンを取りまとめたわけですが、それによりますと二十一世紀、二〇三〇年の断面をとってみますと、原子力発電の規模が一億七百万キロワットから一億三千七百万キロワットまで見込まれております。これは一次エネルギーに占める割合を計算いたしますと二七%程度になるというふうなビジョンをつくっております。
○粟山委員 そこで、一応二〇三〇年までの原子力の割合を伺ったわけでありますけれども、原子力発電という言葉が出ますと、何といっても安全という問題が大前提であります。もちろん、今の日本のあらゆる技術あるいは人の訓練等をもって安全対策に万全を期しておられるかとは思いますけれども、去る四月の末、二十六日でしたでしょうかチェルノブイル、ソ連のあの大きな事故がありまして、さらには昭和五十四年でございますか、アメリカのスリーマイルの事故もございまして、この安全対策という問題についてはまだまだ我々としても本当に大丈夫なのかなという不安はどこかにあるわけであります。 殊に、私は福島県の一区選出ですが、私の選挙区ではございませんが福島県には東電の原発がたくさんございます。福島県は現在日本で第一の原子力発電所を持っている県であります。したがって、県民は、この原子力に非常に協力をしていると同時に、万一のことがあっては大変だ、チェルノブイル等の事故が起きますと大変な不安を持っていることは事実でございます。 そこで、その面について二、三質問を申し上げたいと思うのですが、あれから約半年になりまして、ソ連側のいろいろな情報発表もあったようでございますし、他国からもいろいろ情報が入っていると思います。当然のことながら科学技術庁あるいは通産省においても十分にそれらを分析しておられると思いますけれども、それにつきましてまずお伺いしたいのは、チェルノブイルの場合の本当の原因は何であったか、今現在入手できた情報に基づきますとどう分析しておられるか、これをお伺いしたいと思います。
○佐々木(壽)政府委員 お答えいたします。 ソ連の事故の原因につきましては、いち早く原子力安全委員会におきまして調査のための特別委員会を設置したわけでございます。一方、国際的には、この事故がソ連で起きたということもございまして、国際原子力機関、IAEAを中心としまして調査が進められたわけでございます。 安全委員会の方の特別委員会は、主として国際原子力機関の調査検討で得られました情報をもとにしてソ連の事故についていろいろ解析したわけでございまして、現在のところ、ソ連の今回の事故の原因といいますのは、一つは原子炉の設計に問題があったということでございます。今回ソ連が試験を行ったような出力の状態では、いわゆる原子炉の出力が上がりますと当然これは出力を下げるような方向で自動的に制御されるべきような特性が安全のためには必要なわけでございますが、ソ連の原子炉では、試験を行った出力レベルでは逆に出力がどんどん上がってしまうといった状態にあったという問題。それから、そういう危険な特性があるにもかかわらず、原子炉を緊急に停止するといった起動が日本の原子炉等に比べますとはるかに遅い、非常に長時間かかってようやく原子炉を停止するような機構になっていたということ。それから運転管理上の問題がございまして、まず試験を行った際に試験計画自身の安全性のチェックが十分行われていなかったということがございます。それから、試験の過程でしゃにむにとにかく試験を遂行するということを至上命令といたしまして、いろいろな安全系統をどんどん外しながら、原子炉をとめないようにということで試験を遂行した。こういういろいろないわば悪い要因がすべて重なってこういう事故に至ったというようなことがソ連の報告書等で明らかになっておりまして、安全委員会の方の調査特別委員会もこういう問題について独自の解析も行っておりますが、こういう国際原子力機関で行われた調査について、その内容はほぼ正確じゃないかというふうに判断しているところでございます。
○粟山委員 そうしますと、今のお話を伺いますと、そもそも設計ミスであったということが一つあって、日本の場合の各発電所については、そういうことは装置そのものとしてはまずあり得ない、こう考えてよろしゅうございますか。
○佐々木(壽)政府委員 お答えいたします。 先ほど申し上げました調査特別委員会が九月九日にいわゆる第一次の報告書を出しておりますが、それでは、我が国では今回のような事故は起こりがたいと考えているというふうに結論づけております。
○粟山委員 今おっしゃったのは、つまり機械、装置、設備、その面ではまず我が国では起こり得ないことであったと解釈した、それと、そういった無謀な試験というようなものも行われないであろうとすれば、あとはやはり人為的な問題。管理者と申しますか運転員あるいは保修員といった方々、実際に取り扱っている人たちがマニュアルどおりやらなかったとか、あるいは極端に言えばうっかりミスをやったということが原因の一つかと今の時点で考えてよろしいかと思うのです。その場合に、日本の場合を考えて、やはり人のミスとなりますと、いかに我々日本人が優秀だとかそういう点がないんだとかいっても、だれしもそういうことがあり得る。それに対する訓練とか教育、研修、そして人為的なミスの防ぎ方、これについては今どのようなことをやっておられるか、伺いたいと思います。
○神田説明員 お答え申し上げます。 我が国では、もちろん設計面において人為ミスがあっても事故とならないようにフェールセーフ、誤ると安全な方に行く。それからインターロック、誤っても、例えば運転員が制御棒を多数引き抜こうとしても、インターロックがかかってできないようになっている。そういう考え方で設計がなされておりますので、こういった設備面での人為ミスを防ぐというのは十分できているわけです。 次に、運転管理面で十分人為ミスを防がなければいかぬということで、まず運転員の訓練が大事でございます。これはBWRの炉型におきましては福島に運転訓練センターを持っておりまして、ここで運転員を定期的に訓練している。それからPWRでは敦賀に発電訓練センターを持っておりまして全国の運転員を定期的に訓練している、そういうことをやっております。それから、特に運転員の長というのが非常に大事でございまして、原子炉の基礎的な知識を持っている人でなければいけません。そういうことでアメリカのスリーマイルアイランドの事故の後、運転責任者の資格認定制度というのを導入いたしまして、これは国が行う試験制度でございますが、これに合格した人でなければ運転員の長にはなれないという制度を定着いたしまして、十分能力のある人間に運転さしている。それから運転監視等を常時見直して充実を図っていく。それから先生のおっしゃいました保修についてでございますが、これは発電所のサイトに保修訓練センターを設けておりまして、ここで保修員の定期的な訓練をやっております。それから、特に安全監督の観点から運転管理の徹底をするためにTMI後、運転管理専門官という国の職員をサイトに常時派遣いたしまして、運転の管理を常時監視をしている。そういうことをやってきて、人為ミスを防ぐ対策をとってきております。
○粟山委員 今の資格認定がいろいろと制度化されたということは極めてありがたいことなんでありますけれども、チェルノブイルの後に何かIAEAでもって国際的な運転管理制度と申しますか、資格認定制度というようなものをやろうというお話、ちらっと私新聞で見た程度でありますけれども、これは現実にそういう協議が国際的になされているのか、日本もそれに協力するのか、そして実際に今回の事故を起こしたソ連等もそういった協定に加わってこれに協力する姿勢であるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○神田説明員 確かに今回のIAEAの事故評価会合の後総会が開かれたわけですが、その場で今後のIAEAの安全活動強化策というのがたくさん提案されているわけです。その中の一つとして、運転員の資格制度の国際的な基準というのをやっていこうという提案が確かにされております。これにつきまして特に現時点でIAEAの報告の中の一つのリコメンデーションとして盛られているわけで、特に我が国政府にこれをやろうという協議が行われているというわけではありません。したがいまして、具体的にいろいろそういった提案につきましてまだ検討は行っておりませんが、一般論といたしまして、IAEAが今度提案したいろいろな項目につきましては勉強していきたいというふうに考えております。 それからもう一点、国際会議、特に人的ミスを防ぐ人と機械とのかかわりの国際会議等も提案されておりまして、マン・マシン・インターフェースの国際会議をやったらどうかというような提案もなされておるわけですが、こういった点につきましてもいろいろ積極的に検討しているという状況でございます。
○粟山委員 わかりました。 そろそろ時間でございますので、最後に地元の問題についてももう一度お聞きしたいのです。 例えばの話ですが、福島の東電さんの第一原発、あそこでは万が一にもそういうことはないと私も思うのでございますけれども、やはりあの近所に住んでおられる住民の方々は、万一起きたらばという心配はするわけでございます。かつて日本でも、何かあった場合にはその発電所から十キロ以内とか、あるいはスリーマイルでは三十キロ以内とかいう話がございましたけれども、チェルノブイルの場合は百三十キロ離れたキエフの町でも道路を洗わなければならなかったというふうに伺っております。例を挙げて東電さんには大変申しわけないかもしれませんが、万一福島の第一原発あたりでそういう大きな事故が起こった場合に、県内の都市部、福島市、郡山市、いわき市といったあたりに対する放射能等の影響については、そういうことを想定されたことがございますか。
○佐々木(壽)政府委員 お答えいたします。 御指摘のようなソ連の事故、こういったものにつきましては、私どもは、先ほど申し上げましたように非常に常識を逸するようないろいろな規則違反等も絡んでおり、また、設計上の問題点もあったような事故でございまして、こういったものが日本で起こるといったようなことはとても考えられないと思います。しかし、とはいいましても、万一の事故において放射能がどういうふうに拡散していくのかといったことは、やはり防災対策といった点から非常に重要だというふうに考えております。この点は、特にスリーマイルアイランドの事故で大きな教訓としてこういうものの必要性が認識されたわけでございますが、それ以来こういった放射性物質の拡散についての迅速な予測ができるシステムというものを開発してまいっております。開発はほぼ終わりまして、近々各原子力発電所のサイトにこれを実際に適用しようというふうに思っておりまして、これが整備されますと、事故情報、原子炉の状況、それからいろいろな気象情報、これは気象庁の御協力とかそういったものによって情報が入ってまいりますし、また現地において気象観測データもございますので、そういったものを加味しまして、いち早く電子計算機を用いまして拡散の予測をするといったシステムができることになっておりますので、必要な対策といったものを迅速に的確にできるような体制によりなり得るというふうに考えております。
○粟山委員 私も科学技術庁あるいは県の原発事故に対する防災計画といったものを読ませていただきまして、非常にしっかりと対策がされていると感心した次第でございますし、同時に、ただいまのお答えのように、放射能の拡散について、さらにそれに加えた計画を既に立てられて実施されようとしている。大いに心強く思う次第でございます。 ただもう一つ住民が言っておりますのは、これはなかなか難しいことではございますけれども、あそこの第一原発、第二原発といったあたりの避難道路、この間のチェルノブイルの事故でも避難するのにパニック状態が起こったというような話も新聞で読んだわけでございますが、あそこの福島県の原発通りと申しましょうか、国道六号線が貫通しておりますが、そこから内部へ抜ける国道二百八十八号線あるいは三百九十九号線といった道路がどうも狭隘で、いざというときに大変困るのじゃないかという心配を付近の住民の方々がしておりますし、町村からも陳情が来ております。そういう点については電源特会とかいったことではできないのかどうか、ちょっとその辺をお伺いしたいと思います。
○合田説明員 お答え申し上げます。 御指摘の国道の問題につきましては、これは国の事業でございますので、道路法でございますとかいろいろな制約がございまして、残念ながら立地交付金の対象にすることはできないということになっております。ただ、原子力発電所周辺の国道にはいろいろ県道とか市町村道が接続をいたしておるわけでございますので、その点につきましては立地交付金の対象といたしておりまして、福島第一原発等の周辺の道路につきましては、この立地交付金制度ができました四十九年度以来ずっと対象として、県道のいわき浪江線でございますとかあるいは楢葉町、双葉町周辺の県道、市町村道、全部合わせますと約百八十億円の立地交付金を投入いたしまして、従来から拡幅等の改良工事に努めてまいったところでございます。
○粟山委員 わかりました。これは安全の問題でございますので、ぜひそういう面も今後ともさらに力を入れていただきたいと思います。 時間でございますので、これで質問を終わります。 〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
○原田委員長 柳沢伯夫君。
○柳沢委員 三ツ林大臣には、本日は、ただいま粟山議員からのお話にもあった一番大事な安全の問題について、何か引き続いて日程があるようでございます。そういうお忙しい日程を繰っていただきまして、冒頭だけちょっとおつき合いをいただくということで大変恐縮いたしておる次第でございます。 まずもって三ツ林大臣に、大臣御就任を心からお祝い申し上げます。私も議員会館の非常に近くにおったというような縁で、我が事のように喜んでおる次第でございます。 私の郷土の先輩政治家でありますが、第三十一代の科学技術庁長官でもございました足立篤郎先生はよく私に言うのです。政治家になったら大臣にならなくちゃだめだ。大臣は、別におとしめて言うんじゃないけれども、会社でいうと重役みたいなもので、やはり大臣になって初めて国家の経営に当たることができる、そういうようなことでございます。そういう意味で昨今の会社の経営を見ますと、どこの会社でも技術技術ということで、技術がなくちゃ生き残れないということで必死になっておる。その反映として技術担当重役というのは大変重要な立場にいるということになっておりますけれども、いわば三ツ林大臣は今度は我が日本国の技術担当重役ということでございまして、ぜひとも御在任中頑張っていただきたいと心から御期待申し上げる次第でございます。 なお、私の郷土の政治家であった足立元長官は、科学技術庁というところは非常にいいところだよ、朝早くに時ならぬ電話が鳴って、何事かと思って電話に出ると、何か人工衛星だかロケットだかが上がったよというお知らせを大臣を終わった後でも話に聞くんだ、そのときは朝、寝不足か何かで、何でこんなことをと思うけれども、よく考えてみると大変ありがたいことだというようなこともおっしゃっておられました。そういう意味で科学技術庁というところは、私はよく知りませんけれども、非常に居心地のいいところのようでございますので、そういう意味でも大いに頑張っていただきたいということを申し上げます。 きょうは、もちろん概括的にしか御質問はできないわけですけれども、私自身が国の科学技術の発展を図る上で重要だと思われる点を幾つか取り上げさせていただきまして、私自身の観察というかオブザベーション、こういうものを含めながら科学技術庁当局の御見解を承りたい、こういうように思います。 第一は、非常に総括的なことでございますが、昨今の科学技術というものを考えますと、各国とも国家戦略の中で科学技術をどうやって位置づけていくか、こういうことを大変強く意識しているように見受けるのであります。歴史的に見て、恐らく科学技術の発展がこれほどまでに一国の経済あるいは一国の国際政治上の地位といったようなものに直接大きな影響をもたらすという時代はなかったのであろうと思うのでありまして、今日そういう状況を踏まえて、各国が今言ったような国家戦略性を強く科学技術に意識しているというのは、ある意味で当然だと思うわけであります。 私はそういう意味で幾つか例を挙げてみたいのですが、アメリカのSDI、これは軍事的な側面が非常に多く取り上げられているわけであります。それはそれで当然でありますけれども、同時に、かつてのケネディ大統領当時のアポロ計画、これがアメリカの科学技術の発展にどれほどの影響をもたらしたかということを考えますと、少なくともSDIについても科学技術庁なんかは、これがどのような科学技術上の波及効果を持つかといったようなことについて監視を怠るわけにはいかない。もちろん我が国は今総理の決定でこれの研究に参加することを決めたのでありますけれども、そういう側面からがっちりフォローしていかなければいけないじゃないか、こういうように思うのでございます。それからまた、ECも一九八四年にエスプリ計画というものを策定いたしました。これは主として情報科学の分野というふうに聞いておるのでありますけれども、この点についても非常に大きな力を入れておる。そのきっかけというのは、八四年の春に出ました「科学・技術に関する予測と評価」というリポートだというふうにされているのですが、そこにどう書いてあるか、ちょっとだけお聞き願いたいのです。 「米国と日本はハイテクノロジーの多くの分野ですでに実質的なリードを奪ってしまった。欧州は来たるべき長年月、この両国の後塵を拝さなければならない危険にさらされている。」このような状況は「われわれが欧州産業の基盤への支配権を失うことにもつながる問題である。従って外部からのかかるチャレンジは欧州の独立性への脅威である。」これは恐らく政治的独立性という意味だろうと思うのでありますが、このくらい科学技術の発展というものを非常に戦略的な観点から位置づけて意識をして、そしてこれに取り組もうというふうにしておるのであります。 そういうことを踏まえた上で、大臣は日本の科学技術行政、科学技術政策にどのように取り組むお心構えであるか、基本的な姿勢を承りたいのでございます。
○三ツ林国務大臣 柳沢先生の方から私の就任に対しまして御懇篤なお祝いをいただきまして、また特に激励をいただきまして、私も居心地が非常にいいところだろう、こういうことでありますが、科学技術庁は本当に我が国にとりまして極めて重要な役所でございますので、私自身も全力を尽くしまして努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。 そこで取り組み方ということでございますけれども、お話しのとおりに天然資源が乏しい日本といたしましては、人間の知的創造力を使って——私、前にも申し上げましたとおり、日本の科学技術政策大綱の中身を流れている一つの思想というか考え方は、やはり平和ということが一番大きい課題であります。次には国民が健康であるということが大事であります。その意味で国の豊かさを求めよう、こういうふうな考え方になると思うのであります。そういうことで各国とも、科学技術がこれからの産業、文化、あらゆることのかぎを握るということで、競争場裏というか、今お話しのように戦略的な観点からおやりになっている。そういうことにおきまして、二十一世紀に向けての発展を期するためにはどうしても科学技術の振興が一番大きい、こういうふうに実は考えているようなわけであります。 そこで、このような状況にかんがみまして、総合的な科学技術の展開を図るために、三月に科学技術政策大綱を閣議で決定をしたところでございます。この大綱におきましては次の三点を基本方針といたしております。それは、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究を中心として創造性豊かな科学技術の振興を図る。それから、人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図る。国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対し、科学技術面における国際的貢献が重要であるとの認識のもとに、国際性を重視した展開を図る。 今後も大綱を基本として施策の充実を図るとともに、長期的観点から総合的、機動的な科学技術政策の展開を図ってまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
○柳沢委員 大臣、お忙しいようでございますので、結構でございます。 引き続いて、若干基本的なことをただしたいわけでありますが、日本の国民性と科学技術のあり方、そういうものについてひとつ質問をしてみたいのであります。 それはこういうことなんです。最近HIロケットの打ち上げに成功した。これは我々の国の宇宙開発への努力の一つの段階として大変大きな意味を持つのだということで我々も喜んでいるわけです。それからまた引き続いて、筑波で行われたトリスタン計画が成功して、世界で最高のスピード、加速を粒子に持たせることに成功したというようなかなり大型の技術についても、最近我々の国で一定の成果を上げていることは大変うれしいわけであります。しかし、他方よく考えてみますと、半導体突出だなんと言われているように、世界の技術をかなり日本がリードしているとはいっても、その分野は半導体だけじゃないかというような批判的な評価もある。また、ちょっと古い話になりますけれども、太平内閣のときに幾つかの政策研究会というものができまして、そこで科学技術の史的展開研究グループという研究会を持ったのでありますが、そこの結論はどういうようなことであったかというと、どうもハードパスというか、そういう大がかりな科学技術でもって自然を力でねじ伏せようということはもうそろそろ限界じゃないか、昔のように全く人間が自然の一部になってしまうようなソフトパスに引き返すことはできないにしても、その中間のあり方としてホロニックパスというものがあるのではないか、こういうような提言が出ておるのであります。例えば、これは科学技術と若干分野が違いますけれども、下水道なんかの処理にしても、なるべく小さな循環でこれを処理していこうといった動きにもなっているわけであります。 そういうことをいろいろ考えてみますと、どうも私は日本人の心の中に軽薄短小というか、これは文明論としても韓国の批評家でしたか「「縮み」志向の日本人」という書物がありまして、なかなかおもしろいことが書いてあるんですね。箱庭なんかが好きだ。小さく小さく一つの自分らの世界をつくっていこうという傾向が日本人の国民性にあるのだということも言われておるのでありまして、どうもこれからの科学技術を考えると、私はこの辺の国民性との関連というものもやや意識的に考えていく必要があるではないか。私の個人的な性格かもしれないけれども、原子力とか宇宙とかいうことになかなかすらっと関心が移っていかないという感じもあります。そういうことにこだわり過ぎなのかもしれないが、どうも私の個人的なそういう性癖ばかりではない。ホロニックパスの話もある。こういう意味で、巨大技術というのですか、そういったようなものに対する取り組み方において、科学技術庁当局者としてその辺の日本人の国民性についてどんなふうなお感じをお持ちか、やや概括的な質問ですけれども、ひとつお尋ねしてみたいと思います。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 今の先生の御見解につきまして、公的に統一見解というのはなかなかございませんので、個人的な見解ということで御了承いただきたいと思いますが、今先生からホロニックパスということで今後の日本としての進展の道があるのではないかということを中心にしまして、我が国の技術開発自身が大型プロジェクト志向でなくて、若干そういう何か物事を小さくするような方向での小さな技術といいますか、そういった方向に向かうのが国民性によるところではないかという御見解があったわけでございますが、私の個人的見解といたしましては、そういった国民性によって我が国の大型プロジェクトが進まないということでは必ずしもないのではないか。先ほど下水道処理のお話がございましたが、例えば電力の実態を見ましても、大きな発電所をはるか需要地から離れたところにつくりまして延々と送電線で持ってくる、しかも、その送電線が巨大な送電線になってきているという現状からいいますと、むしろ分散型の電源を求めるべきではないか。実際の地理的、社会的状態からそういうものが求められて、例えば燃料電池というような技術を開発すべきじゃないか。そういう実際の技術の流れ、あるいは社会的、経済的な需要の流れが、一つはそういう方向に向かっているのではないかなという感じがするわけでございまして、決して我が国としても大型プロジェクトがうまくいかないということではございません。先ほど先生も御指摘ございましたような大きな衛星の打ち上げ計画、今後さらに二トンの衛星を打ち上げるHIIロケットの開発計画というものも考えておりますし、例えば核融合の研究、これは非常に長期的なものになりますが、我が国のエネルギー政策上非常に重要な研究開発でございます。これなども現在、研究過程で茨城県に約二千億を投じました大型の研究施設をつくっておりますが、これは、次のものになりますと六千億、一兆円というような規模の大型プロジェクトになっていくわけでございまして、我が国としても推進していかなければならない。ただ、このぐらいの大型のものになりますと、あるいは国際共同ということも当然考えられてくるわけでございますし、自然科学のいわゆる学術研究におきましても、トリスタンに次ぐまた大型のプロジェクトというものもいろいろ学者先生の間で検討もされております。 そういうことで、私は必ずしも国民性で大型プロジェクトが育たないということではないのではないかなと感じております。個人的な見解を申し上げて大変恐縮でございますが。
○柳沢委員 結構でございます。 そこで、次の質問にいきますけれども、最近の科学技術をめぐる国民の意識のありよう、これをちょっと見ますと、若干気になる点があります。それは、日本が技術大国になったんだ、昨今の貿易摩擦等が起こっているのも、日本の科学技術が非常にすぐれちゃって外国を大幅にしのいでいる結果こういうことになるんだというような考え方がやや見受けられるわけであります。 考えてみますと、日本の戦後の経済的な成功というのは、確かにその基盤に科学技術があったわけでありますが、これはもう皆さんよく御存じのように、戦後の立ち上がりというのは、外国技術を全く単純に導入してきて、それを我々が物理的に我が国で生産技術に活用するということであった。それから第二段階は、そうして導入された技術を応用、改善する、こういうようなことによって、我々の生産活動に科学技術を貢献させてきたということであります。七〇年代、ごく最近でありますが、ようやく自前の技術を開発するということが出てきておると大ざっぱに言っていいだろう、このように思うのであります。現在の経済的な成功というのは、今申しました科学技術の発展段階のどこの成果なんだといえば、どちらかというと第二番目のものの成果ではなかろうかと私は思うのであります。 そういうことでありますが、もう一方、これは佐藤隆三さんという経済学者が言っていることですが、日本の経済の基礎にある応用技術に頼った傾向というのは非常に危ないんだ、何となれば、基礎研究の成果というものを外国が一たんシャットアウトしてしまえば、もう大幅にその発展というものは制約されてしまってどうにもならなくなる、そういう弱みを応用技術依存の体質というかそういうものは持っておるんだということを申しております。 そういう意味で、日本の技術の水準というものは一体どういうところにあるんだ、なかなか難しいと思いますが、客観的に見て一体どういうところにあるんだ。弱みは基礎研究にある、これは先ほどの粟山議員の質問でも取り上げた問題でありますが、そういう弱み、弱点を克服するために科学技術庁はどのように取り組むつもりであるかということをお尋ねいたしたい。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 ただいま先生から御指摘ございましたように、我が国の弱点というのは確かに基礎研究の面にあるわけでございます。これは明治以来、いわば立ちおくれた我が国の国力増強のために、欧米先進国に追いつけ追い越せという精神でいろいろ頑張ってきたわけでございまして、欧米諸国は深い長い歴史と豊かな資産のもとでの非常に地についた基礎研究、これは学問の領域の研究というものがなされてきたわけでございまして、その蓄積は非常に多いわけでございます。第二次世界大戦による大きな空白期間も我が国にございました。そういったことから、基礎的部門での我が国の立ちおくれというのは非常に大きい、単に基礎のみならず応用面においても非常に立ちおくれていたわけでございまして、それを実生活に関係する、経済に関係するそういう応用面の技術開発は一生懸命やってまいりまして、一般に言われることでございますが、日本人は応用に向いた面があるという特性も大いにプラスになったのだろうと思います。 そういうことで今日まで我が国の科学技術水準も高まってまいりまして、コンピューター部門等のハードの面、半導体とかそういった面になりますと、日本がまさに米国に肩を並べるところまで来ておりますし、特に一般の機械の加工技術なんかにつきましても日本の製品というものは非常に精度がいい。これは労働の質の問題にもよるのだろうと思いますが、そういったことで、日本の製品の優秀さということで今日世界から評価を受けておるわけでございます。 そういう中にあって、国際的にも日本というのは何かうまい汁だけ吸っているんじゃないかということを言われておりまして、やはり我が国も基礎的な研究の分野にもっと力を入れて国際的な貢献をしていかないと外国からも非難されることになる。単にそういうことだけでなくて、今先生御指摘ございましたように、日本がここまでの水準に達しますと、今後の我が国の科学技術の発展というのは、まさにシーズの段階から掘り起こしていかなければならないということでございますので、そのシーズを掘り起こすということがとりもなおさず基礎研究を充実するということでございます。 それで、従来の基礎研究と申しますのは、大学、国立研究所でいろいろやってきましたが、これも、こういう言い方をすると研究者の方に大変おしかりを受けるかもしれませんが、やや追試的な感じのことがございまして、創造的なものではなかったというような嫌いもあるわけでございます。そういうことで、この科学技術政策大綱にもうたってございますように、創造性の発揮できるような基礎的研究を充実していかなければならない。これはもう大学の研究にも大いに期待するわけでございますが、科学技術庁といたしましても所掌範囲内におきましてその充実を図るということで、先ほど申し上げましたように、新技術開発事業団の中で、創造科学の推進制度ということでユニークな非常に実績を積んだ研究者のリーダーのもとに自由にお金を扱っていただくというような新しいシステムで独創性を発揮させるとか、あるいはつい最近、理化学研究所の中に国際フロンティア研究というものを発足させました。まさに基礎の段階の研究を、日本人の発想だけでなくて外国人の発想も入れて切磋琢磨してやろうという国際フロンティア研究プログラムを始めたわけでございます。それから、科学技術振興調整費といったものも私どもいただいておりますので、これも使って基礎的研究の充実に一層努力をしてまいりたい。今後の関係各省庁の予算の見積もり調整に当たりましても、そういった精神で各省とも御相談申し上げておるところでございます。
○柳沢委員 そういうお話を聞いてどうしても聞いておきたいというか、なかなかお役所の答弁としては答弁しにくいことかもしれませんが、人材確保の問題を取り上げてみたいと思います。 科学技術ということになりますと、もちろん医学もある、農学もあるというようにいろいろな分野があるわけでございます。さしずめ大学で申しますと、科学といえば理学部、技術といえば工学部ということを考えるわけでありますが、東大の石井威望教授は、日本の科学技術は大丈夫ですかということを話題にしますと、工学部精鋭七個師団が毎年生まれている限りは大丈夫とよく言っているわけですね。ただし二十一世紀になって若い人口が減ってまいるとこの精鋭七個師団が維持できるかなということで、工学士、工学部卒業生が七万人以上いるというようなことを一つの科学技術の人的資源の規模としてかなり意識しておるわけでございます。そういう観点で理学部を見ますと、とても一個師団も編成できない。軍事用語を使うのは別に他意があるわけではありませんが、そういう感じになって、本当にこれは大丈夫なんだろうか。科学技術庁はどういうように自分自身の役所のことを思っているか知らぬですが、私どものような素人から見ますと、科学技術庁とはいってもどうも技術庁、科学の方はどうかなというのが少なくとも今までの感じだったわけです。そういうことで、この理学あるいは科学をする方の人的資源というものが一体十分なのだろうか、現状をどう考えているのだろうかということについてはいかがですか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 先ほど申し上げましたが、我が国の今までの経緯から工学部の人材というものが社会的に非常に需要されまして、そういうことで工学部が非常に拡大をしてきた。これは欧米、特にヨーロッパ諸国が理学部中心であるのに対して、日本が際立って工学部指向であったわけでございますが、現在のいわば卒業生の需要の点からいいますと、何分にも供給と需要との関係でございますので、社会全体の需要と離れてはなかなか難しい問題があると思います。学部の問題というのは、文部省の関係でございますので私ども申し上げられませんが、しかしながら、最近では現実に理学部出身の方、これはかつては学校の先生ぐらいしか行き先がなかったなんという、大変失礼なことですけれどもそんな状況もあったわけでございますが、最近では数学を出た方がコンピューター関係のいろいろな仕事に従事されるとか、生物の御出身の方は、ライフサイエンス花盛りで、ライフサイエンスの研究所の方にどんどん理学部の方が進出されるという状況になってきております。それから工学部系の方でも、これは私の体験で申しわけありませんが、私が大学で学んでいたころの教科と現在の工学部の学生が学んでいる教科を見ますと、工学部の中でも基礎的な分野に非常な学習の課程がとられているということで、工学部の学生だから基礎研究の方がおろそかになるということでは必ずしもないのではないかと思うわけでございます。 ただ、現実の問題として、現在の例えば国立研究所なんかは定員の抑制というのがよく効いてしまいまして、新しい研究者を採用しようにも難しい。むしろ定年制がしかれている関係もございますし、終身雇用制ということからいいますと、研究者の老齢化ということで非常に心配しております。これは国立研究所だけでなくていろいろな大学その他でも出てくる問題だろうと思いますが、そういったことの影響もあって、いわゆるオーバードクターの方が非常にふえているという現状もあるわけでございます。そういうことではオーバードクターの方を有効に活用していくことが一つは基礎的研究の充実の上でも役に立つのではないか。そういうことで、これは大学というか、大学を預かる文部省の方で若手の研究者の養成のためのフェローシップ制度を充実しておりまして、来年度の予算要求でも文部省は大幅な要求を今されておられます。 それから、私どもでも先ほど申しました創造科学とか国際フロンティアといった研究者自身が流動的に動ける、固定しないというようなところには、こういうオーバードクターの方をいろいろ活用して基礎研究の充実に当たらせたいと考えておるわけでございます。
○柳沢委員 人材の確保と申しましても、後続部隊の人たちは先輩の世の中での処遇のされ方をどうしても見ざるを得ないのでありまして、そういう基礎研究が大事だ大事だと片方で言いながら、オーバードクターというような現象があって、研究室へ行けば先生のところにもう行き場所がなくてごろごろしているという状況があるというのは、いささか矛盾を感ぜざるを得ないわけでありまして、科学技術庁におかれてもオーバードクターの方々がそれぞれに所を得て自分の研究を続けられるために、これは文部省の話だよと言わないで特段の御配慮をぜひお願いしたいわけであります。 それで、さらに一歩進んで後続部隊の方に話を移します。これも教育の問題とかなり交錯する面があってお答えいただきにくいかもしれませんが、あえてちょっと取り上げさせていただきたいと思うのです。 偉大なる科学者がどのようにして生まれてくるかということは、私どもも子供のころ、伝記を読んだとか、湯川秀樹博士がノーベル賞をおとりになったときに私も子供だったのですが、第二、第三の湯川博士になろうなんていって弁論大会をやったような記憶もあります。そういう子供のころの環境というのも私はかなり重要であろうと思うのであります。そういう点で科学技術庁が、まだそこまで手が回らないよということなのかもしれませんが、日本人の持っている科学技術に対するポテンシャルを高めるということもやはり真剣に取り組んでいい段階ではないか。 例えば一つ取り上げますと、私の地元、浜松市が最近科学博物館というのをつくったのです。東海道新幹線から見えますから皆さんも見ていただきたいのでありますが、この科学博物館には県の費用も出ていません。市の単独事業なんですね。これは社会教育の問題だから文部省ではないですか、お答えはそうなるかもしれませんけれども、こういう博物館あるいは子供たちに対する啓蒙の運動、立派な科学者の中にはお話が非常にうまい人もいらっしゃるわけですから、そういう人たちを課外授業としてそれぞれの学校に派遣して、子供たちに科学技術に対する感動、関心を呼び起こすというようなこと、私もう予言しておきますが、必ずおやりになりますよ、将来あなた方は。そういうことを私は考えているのであります。ぜひともこういう科学技術に対する日本人のポテンシャルを高めるための努力、これをひとつ政策課題として取り上げていただきたい、このように思いますが、もしお答えをいただければお願い申し上げます。
○藤咲政府委員 先生御指摘のとおり、青少年の科学技術に対する理解、関心を高めるというのは非常に重要なことだと考えております。そういう見地から、将来ますますそういう事業を考えていかなければならないと思いますが、現状におきましても、私ども、例えば地方に全国組織として発明協会というのがございますが、その発明協会を通じまして各地方に青少年発明クラブというようなものが大分つくられてきておりますが、そういうところに対する助成だとかいうこともやっておりますし、それから、御承知のように科学技術庁では種々の普及啓発活動をやっております。その一つとして、例えば四月には発明の日を中心としまして科学技術週間というのを設けておりますが、そういう機会には、各研究機関とかあるいは科学技術振興に携わっておる科学館その他の機関を、青少年だけではございませんが、青少年を中心にしたような外部の方々に公開していただく、そういう活動とか、あるいは学校の先生を対象とするセミナーを開いていくとかそういったもろもろの活動を、まだ必ずしも十分とは言えないかもしれませんが、努力して行っているところでございます。
○柳沢委員 ぜひそういった方向での努力をこれからも格別な関心を持って続けていただきたい、このように希望いたしておきます。 ちょっと話題を変えるわけでありますが、科学技術庁というお役所のあり方というか、そういったことについてお尋ねをしたいと思います。 私、官庁というものを見る場合にいろいろな性格の官庁がある、これはもう皆さんも御案内のとおりでありますが、一つの分け方として、事業官庁と政策官庁、こういう分け方もありますね。特に私は、最近、必ずしもそういう傾向に賛成じゃないのですけれども、政策官庁と称するものが非常にむしろ地位が高いんだみたいな雰囲気がありまして、自分でみずからの責任において事業をやっておる官庁が政策官庁に脱皮していくことがいかにも進歩であるかのように言われているということを実は慨嘆している者の一人なんであります。どういうことかというと、国の財政が逼迫してきまして、国がピンからキリまで自分の事業として自分の責任においてやり切るということができない、そういうことのために我々は政策官庁に行くんだ。政策官庁とは何だといいますと、これは金融だとかあるいは税制だとかあるいはちょっぴりの補助金であるとかといったようなものを出して民間を誘導していくんだ、こういうのが政策官庁ですよと、しかも、それは非常にいいことなんだということで、具体的な役所の名前を挙げるのはどうかと思いますが、わかりやすくするためにあえて言えば、建設省まで政策官庁になりたい、郵政省も政策官庁に脱皮するよというようなことが言われておるのは御案内のとおりなんですね。もちろんそのほかにもいろいろな官庁の性格づけというものがあるわけで、計画官庁、計画をしていく官庁ですね、これは実施はしない。実施官庁に対する言葉でしょう。それから今度は総合調整をする官庁、こういうことですね。これに対する言葉は別にないのかもしれませんが、まあ現業官庁とかそういうような言葉があるいは対するのかもしれません。いずれにしましても私自身は、今言ったような政策官庁というようなことで国の役所はアイデアを出せばいい、あるいは極端に言うと旗を上げればいい、そういうことで、あとは民間の人たちにやってもらうことを誘導するんだみたいなことを必ずしもよしと思わないのであります。 そういう観点から科学技術庁を見ておりますと、私は、時代の脚光を浴びているというような面もあるかもしれませんが、自分自身が本当に金を出してよく仕事をしていくというようなことをやっていらっしゃる官庁だ、こういうように思うのであります。それで、私は、それで非常に結構ですよ、これからもうんとそういうことを応援していきたいという気持ちを持っておるのでありますが、他面、科学技術庁には計画官庁あるいは総合調整官庁という側面もあるはずなんです。科学技術庁のことについていろいろさっきから門外漢の評価みたいなものを申し上げているのですが、あそこは原子力と宇宙だけやっているのかというようなこともあるわけで、そういう評が出てくるというのはやはり、今言った総合調整というかそういったことについてややリーダーシップに欠けるということを指摘しているのではなかろうか、こういうように思うのであります。 そういう観点から、先ほども粟山議員も取り上げておられたわけでありますけれども、文部省、通産省、農林省、厚生省、郵政省、いろいろな役所に、附属あるいは自分たちが責任を持ってつくった特殊法人形態の研究機関というものがあるわけでありますが、そういったようなものとの連絡調整についてどういうふうに取り組んでおられるのか。これは先ほどの粟山議員の御質問にやや重複する面がありますが、もう一度お答えいただきたいのと、さらにつけ加えて、県レベルの研究機関あるいは民間の研究機関、こういうようなものについてお尋ねすれば、ちょっとレベルが違いますからと、まあこれははっきりは言いませんよ、そうは言わないけれども、我々が相手にしている研究機関とはややレベルというか志向が違うというようなこともおっしゃるかもしれませんが、やはり私は、日本の科学技術のレベルアップのためには、もしそういうようにちょっとレベルが違う、あるいは志向が違う、あるいはディメンションが違うというようなことであれば、それを引っ張り上げていくというようなことについて何らかの政策的な方策をお考えいただけないだろうか、こういうように思うのです。総合調整とはいかないと思います、これはまあ権限がないわけでありますから、そうはいかないですが、そういうもののレベルアップについても、これはもういろいろな手だてが政策的にはあり得ると思うので、そういったようなことについてもひとつお考えいただきたいと思うのでありますが、現段階でのお考えはいかがでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のように、科学技術庁の役割というものは非常に原子力、宇宙に何か特徴づけられるような印象を持たれるということは、科技庁のあり方からすれば本来的ではないわけでございまして、やはり科学技術庁は、我が国の科学技術政策の全体の企画調整というのが本来的な仕事でございます。 ただ、原子力のように、まあこれは生い立ちにもよりますが、一元的に研究開発を進めた方がいいようなもの、宇宙もそうでございますが、そういった種類のものを科技庁が実施いたしますし、それから各省の谷間にあって余り面倒を見てもらえない、しかし国の政策からいえば非常に重大だ、あるいはまだ各省がそこまで及んではいないけれども長い目で見るとこの分野は今から芽を出しておかなければいけないという分野は、これは科学技術庁としてぜひとも実施しなければならない問題であると考えておるわけでございます。 それで、関係各省との関係につきましては、これは先生から御指摘ございましたように、役所同士の関係というのはなかなか微妙なところがございますが、幸いにも私どもには科学技術会議という一つの場がございます。そういう科学技術会議をどう運営していくか、そこでの審議の内容をどうするかというようなことが当然出てくるものでございますので、そこでは各省寄り寄り集まって相談する場がございます。そういう場での調整ということも行われるわけでございます。それから、原子力委員会あるいは宇宙委員会という一元的に調整する機関もございまして、そこで十分各省との間の連絡調整というものは行われておるわけでございますし、あとは先ほど申しました予算の見積もり調整とか、あるいは振興調整費の配分に当たっての総合研究について各省と話し合ういろいろな機会がございまして、調整しておるわけでございます。 それから研究所との関係につきましても、直接研究所の所長さんとか、あるいは問題によってはその専門の方にも科学技術会議のいろいろな専門家会議の場に出てきていただくとか、あるいは科学技術庁としての所長合同といいますか、各国立研究所の所長さん、最近は民間の研究所の所長さんも含めまして一堂に会して談論するような場も設けたりいたしております。そういうことで連絡調整機能の充実ということをやっております。 それから、地方とのことも御指摘ございましたが、これにつきましても地域の科学技術振興会議というものを行っておりまして、年に二回か三回地方に出てまいりまして、科学技術庁から大臣も御出席になることがございますが、そういう場で地域の科学技術振興問題はどうあるべきか、その地域で一番御関心の課題をテーマにいたしまして専門家の方に御講演いただいたり、その場で地元の方と科学技術庁から行った者との間の懇談とかいうこともいたしております。それは単なる場としてそれきりということじゃございませんで、そういうものを一つのつながりのきっかけといたしまして、そこでお互いに科学技術庁と地方との間の意思の連絡をスムーズにしまして、地方の科学技術振興にも科学技術庁としてお役に立てる範囲でいろいろ御協力も申し上げているというような状況にございます。
○柳沢委員 その関連でもう一点だけ承っておきたいのですけれども、先ほどちょっと申し上げた政策官庁の科学技術振興の一つの手だてとして、科学技術庁じゃないのですが、最近ほかの省庁で民間企業の共同研究を大いにやらせて、そこに何がしかの補助金を出していこう、こういうような企てがあるのであります。これを見ていますと、あるいはそれに参加せんとしている企業の方々の責任者の本音をお尋ねしますと、同業の他社の人たちと共同研究なんてできるわけがない、役所が言ってきていろいろ役所にも世話になるので、研究者としてはもう上がりみたいな人を出してお茶を濁しておく、こういうようなことを本音では言っておるわけですよ。したがって私は、そういうところからは、いささかでも補助金を出せばそれはむだ遣い、大した成果は上がってこない、こういうふうに思うのです。その民間企業の責任者の方々が何を期待しているかというと、やはり国立の研究機関の研究成果、これが民間では問題だ、そこをやらなければいけない、しかし、時間がかかる、あるいはやっても本当にそこのところが解明できるかどうかわからないというようなテーマがあるんだ、それをまた国立の研究所がやってくれる、そうしたらその成果を自分たちのところに還元してくれる、実はこれを非常に強く期待しているのですということを申されるのであります。私はもっともだと思うのです。そういう意味合いでこの研究成果の民間への移転についてどういうような方式を確立していこうとされているのか、これをちょっとお伺いします。
○藤咲政府委員 国立研究機関等の基礎研究の成果が民間に円滑に移転されて活用されていくということは非常に重要なことだと私どもとしても考えております。一つのルートとしては、そういった国研の基礎研究に民間の方が参加するということで、その研究者を通じて移転されるというようなこともあろうかと思いますが、その辺につきましては、御承知のように、産学官の研究交流の促進という施策を今大きく進めておりまして、さきの国会ではそのために必要な法律を通していただいたというふうなこともあるわけでございますし、それから、先ほど来話に出ております創造科学技術推進制度あるいは国際フロンティア研究システム、こういったものは産学官の広い範囲から研究者を集めまして研究を進めているというようなことで、一つはそういうルートで移転が行われているというふうに考えます。 もう一つは、まさに国研あるいは大学等の基礎研究の成果を民間に移転すること自体を目的とした制度を幾つか持っております。中心になっておりますのは新技術開発事業団でございまして、ここではかねてから委託開発制度、国研の研究成果をリスクが大きいためになかなか民間に円滑に移転できないというようなものに、委託費を出すという形でもってリスクを負担いたしまして移転の促進をやっております。年々この制度の拡充を図っている。あるいはそれほどリスクが大きくないものについては、あっせんというようなこともやっております。 それからさらに、ことしから予算をつけていただいたわけでございますが、ハイテクコンソーシアムと私ども呼んでおりますが、複数の企業に参加していただきまして、国研等でできました非常に重要な基本特許、これの周辺特許を民間と力を合わせて開発し、一つの技術に育て上げていくというような事業もことしからスタートしておりまして、これらの施策を今後とも拡充してまいりたいと考えている次第でございます。
○柳沢委員 科学技術庁当局もいろいろお考えいただいているということで大変評価をするわけですけれども、そういう科学技術庁の考えているいろいろなチャンネルというものでその情報をできるだけ民間に流していただいて、民間の期待というものがそのチャンネルにうまく入ってくるように、そういうことについても御配慮いただければと、このように思います。 そこで、締めくくりになるわけですけれども、これは実は大臣にお聞きしたいなと思っておったことであります。科学技術庁もいろいろなプロジェクトを出して、HIロケットとか、今度はHIIロケットを上げるというようなことで頑張ってくれているわけですけれども、先ほど来私がしばしば話題に上げておりますアメリカのアポロ計画のような、国民がこぞって、それが我々の国の科学技術の目標なんだよ、国益のためにもなるし、また人類のためにもなるというようなものをひとつ打ち上げていただいて、これはやや長期的にもなるのかもしれませんけれども、それに向けて官民挙げて自分たちの持てる能力を発揮し、発展させていくというようなことを考えていただけないだろうか。事業官庁としての科学技術庁予算がだんだん逼迫してくると大変で、その予算をシーリングだとかなんとかというつまらぬフォーミュラのもとで制約されないで、もっと国家プロジェクトとして科学技術庁の一つの目標を設定していただければ、そういった制約も問題にしなくていいじゃないかというようなことも同時に考えているわけですが、何か最近科学技術庁としてそんなことをお考えなのかどうか。中曽根総理はがん制圧十カ年戦略みたいなことを総理御就任間もなくに発表された。こういったようなものも国民からすると割にわかりやすい目標でありまして、一つのアピールはあった、私などはこういうように思います。本当に国民的な目標として何か掲げていただいて、それに向かって今言ったような国民のエネルギーが発揮されるというようなことをひとつ考えていただけないだろうか、このように思うのでありますが、科学技術庁で最近何か考えていらっしゃるようなことがあればぜひお答えしていただきたい。また、もしそういうものがあるとしても、そのPRですね。中身にもよると思いますよ。しかし、そういったことについてもひとつ心を配っていただけたらありがたい、このように思うのであります。
○中村(守)政府委員 ただいま先生から科学技術の振興についての大変力強い御示唆をちょうだいいたしたわけでございます。確かに国民の皆さんにアピールして非常に国際的にもアピールする、そういう大きなプロジェクトを推進していければと思っておるわけでございますが、大変矮小な話で恐縮でございますが、何分にも財政事情のこういう中でございますと、どうもアイデアがしぼみがちということで、大変生きのいい話が出てこないわけでございます。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、我が国は基礎研究の充実ということを一つの旗印に掲げておるわけでございます。そういうことで現在検討中のものといたしましては、愛称でヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムというような言い方をしておりますが、二十一世紀の科学技術というものはどういうところから発展していくだろうかということを考えますと、従来は自然現象、自然の中に生じている物理現象あるいは化学現象というものを我々一つの教師にいたしまして、そこに学んで実際に人間が使える技術という形に発展してきていた。しかしだんだんと技術が進歩してきますと、もっともっと複雑な、そして自然の原理をうまく利用できるようなものを活用していかなければならないということになってきておるわけでございますが、その場合の教師になるのは何かといいますと、やはり人間——人間だけではございません。例えばにおいの点、嗅覚ということになりますと、犬の嗅覚なんという非常に繊細なものがございます。こういったような生体の機能というものが今後の科学技術を発展していく上での先生になってくれるのじゃないか、こういうことが強く研究者の間でも言われておりまして、研究者自身も既にそういう問題に取り組んでおられる方がおられるわけです。先般、私どもも科学技術会議主催のもとに若手の研究者に集まっていただいてそういう議論もしたわけでございますが、そういうことで、そこら辺に何か種がないかということで現在検討しておりますのがヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムでございまして、そういう生体の機能、高次の機能を解明する基礎研究をする。これは最初から何かに利用しようなんという考えですと、また金もうけか、こういう話になりますから、そうではなくて、やはり機能を解明する基礎研究として国際的にも打って出るプロジェクトにできないかなということを現在検討しておるわけでございます。 さらに、我が国は台風とか地震とかいろいろございます。こういったような四面海に囲まれているというようなことからいいますと、地球科学技術の問題あたりも、これだけ豊かになった日本としてはこれからひとつ大いに取り組んでいかなければならない問題ではないかなというぐあいに中では考えておるわけでございます。ただ、まだまだなかなか実りのある形で出る段階ではございませんが、そういうことも検討させているということでございます。
○柳沢委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、私はかねて、現在日本が直面している財政危機、この本質は何かというと、何も予算が組めるとか組めないとかというような問題じゃなくて、日本の知的なポテンシャルの一番高いところ、役所とかそういうところの人たちが将来に向けて積極的なプロジェクトを考える際に、いや、考えても財政的に制約があるからなということでそこで一度立ちどまってしまう、こういうことに今の財政危機の一番本質的な問題点がある、こういうように思っております。しかし、それを解決するのは我々政治家の務めでありますから、これを解決するように頑張っていきますので、科学技術庁の皆さん方におかれましてもひとつ大きな気持ちを持って、日本の科学技術の発展のために御尽瘁をいただきたいということを最後に申し述べまして、私の質問を終わります。
○原田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ────◇───── 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕