予算委員会 第21号
- 発言数
- 436 件
- 登壇者
- 62 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1986/04/04
会議録
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(安田隆明君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(安田隆明君) この際、中曽根内閣総理大臣、国鉄澄田常務理事からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中曽根内閣総理大臣。
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨日、観桜会に対する招待について御質問がありましたが、事務的に調べてみましたら、本年は昨年より群馬県関係は減っているそうであります。全体の比率では二・七%から二・三%に減っている。詳細は事務当局から答弁させます。
○委員長(安田隆明君) 荘司内閣参事官。
○政府委員(荘司晄夫君) 総理府で調査いたしましたところ、概数で申し上げますと、今年度はおよそ七千七百名程度の御招待状を出さしていただいておりますが、きのう現在調査いたしまして確認いたしましたところ、百八十名の群馬県在住者が確認されております。昨年は全体で八千三百御招待状を出さしていただいておりますが、確認いたしました群馬県在住者は二百二十五となっております。 以上でございます。
○委員長(安田隆明君) 澄田常務理事。
○説明員(澄田信義君) それでは、六十一年度首の余剰人員、推計でございますが、概数で申し上げたいと思います。 六十一年度首の現在員の見込みでございますが、総トータルで二十八万八千でございます。それに対しまして所要員の見込みが二十五万一千でございます。その差が三万七千でございまして、この約三万七千が余剰人員のトータルと推計いたしております。 これに対しまして部門別でございますが、営業関係の現在員の見込みが九万六千でございまして、それに対しまして所要員が八万三千でございます。その差一万三千が営業関係の余剰人員の見込みでございます。 運転関係につきましては、七万五百が現在員の見込みでございまして、それに対しまして所要員の見込みが五万七千五百、その差が約一万三千と推計いたしております。 施設関係でございますが、現在員の見込みが三万八千に対しまして所要員の見込みが三万一千、その差約七千が施設関係の余剰員と見込んでおります。 電気関係でございますが、現在員の見込みが一万九千五百でございまして、所要員一万七千と見込んでおりますので、その差二千五百が余剰員と推計しております。 その他工場とか自動車とか建設部門がございますけれども、その現在員見込みが六万四千でございまして、所要員六万二千五百に対しまして千五百が余剰員と推計しております。 以上でございます。 —————————————
○委員長(安田隆明君) 昨日に引き続き、締めくくり総括質疑を行います。 和田静夫君の残余の質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 五百名単位の推計などは実は許すわけにはまいりません。いいかげんな推計を許容することができないのは、人減らしに遭うのは一人一人でありますから、国鉄が五百名単位でもって首切りをやるというつもりなら話は別でございますが、したがって確定的にはいつごろできますか。
○説明員(澄田信義君) 合理化の方は年間を通じまして、ダイヤ改正をやりましたりそれから全国の各管理局で計画をして年間を通じて実施いたしております。そういった関係、それからあと退職者の数にいたしましても、年度末に特退の数は出ますけれども、そこらを全部集計いたしまして、例年でも大体四月末とかあるいは五月ぐらいまでかかるのが通例でございますけれども、今年度極力急がせまして、四月末ぐらいまでには何とかまとめたいというぐあいに考えております。その際にはもちろんきちんとした数字を出す予定にしております。
○和田静夫君 余剰人員問題で一般の人が忘れがちなことは、今日現在大幅な人減らしが進められているということ、臨調答申以来一九八二年から八五年の四年間に約十五万人もの人員が削減され国鉄の職場を去ったと推定をされます。これは私は驚くべき削減だと思うんです。これで業務によく支障が起きないものだと三者的には思います。その上、さらに余剰人員を出そうというのですから、安全面の心配さえ出てくるのではないだろうか。国鉄内部には事故が起きない方が不思議だと言う者さえ出てきています。 例を挙げますが、車両検査は仕業、交番、台検、要部、全般がありますけれども、毎日行う仕業はこの三月から私鉄よりも悪くなっていますね。私鉄は四十八時間に一回、国鉄はそれよりも悪く七十二時間に一回となった。これで一体大丈夫なんだろうか。交番は私鉄が六十日または三万キロ、国鉄はこの三月から九十日または三万キロ、これも私鉄より悪くなっている。台検は去年三月からは廃止されてしまった。台検廃止で車両故障及び破損が五十九年度よりも六十年度は既に一一・三%も増加していましょう。 民営・分割で私鉄並みをスローガンとされていますが、それよりも悪化をしています。もしこの結果、人身事故につながったら一体だれが責任をとるのでしょう。総理の見解を承ります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国鉄当局においても人員の合理化については懸命の努力をし、また組合の皆さんも概して協力もしていただいて削減効果が出てきておることを私は非常に評価しております。私鉄と比べてみますとやはり何といっても国鉄の方は人間が多い。汽車が入ってきた場合に飛び出してくる職員の数等を比べてみましても、国鉄の方が場所によっては倍ぐらい多いという場所も指摘されておりました。そういう意味におきまして、やはり全国の私鉄の平均水準というものは一つの基準になるのでありまして、それから見ればまだ多過ぎる。こういう状況にあり、国鉄再建監理委員会においてもそういう効率性を重視しつつ案をつくった、それをまた実施しつつある、そのように考えております。
○和田静夫君 今私が並べました数字、総裁、私鉄との関係は誤りありませんね。
○説明員(杉浦喬也君) 車両検査の関係でございますが、ちょっと私今即断できませんが、大体合っているのではないかと思います。 安全面の点についての御心配をいただいておりますが、私どもも安全第一ということで常日ごろ職員によく指示をしているところでございますし、また大分工事費等は削られておりますが、やはり安全を第一番の重点項目としまして配分もし、またいろんな合理化の面でも十分にその点は配慮をいたしまして、万が一事故につながることのないように日ごろ気をつけておるところであります。
○和田静夫君 マルコス前大統領の隠し資産ですが、フィリピン政府はマルコス前大統領を刑事訴追する方針を固めたと報ぜられました。アメリカ政府は資産凍結を打ち出す。あのスイス銀行ですらスイス政府は資産凍結を命令しているという状況、日本においても私がたびたび指摘しますように、マルコス一家の資産運用を行って隠し資産を形成している可能性が極めて強いわけであります。 大蔵大臣、改めて承りますが、そこのところは否定されないでしょうね。
○国務大臣(竹下登君) マルコス氏が日本の銀行といいますか、金融機関に預金とかそういうものがあるかないかということは、これは非常に近代化した金融機関でございますから、もちろんマルコスという名前の貯金があるとも思えませんし、一切これは承知していないとお答えするしかない。現実問題としてきのういろいろ私なりに勉強してみましたが、ちょっと日本のように近代国家の中でそういうことが現実あり得るということは難しいんじゃないかなと、こういう感じすら持ったわけでございます。
○和田静夫君 何か銀行資金に限った答弁でありますからあれですけれども、資産運用全体の問題では外務大臣いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 公的ないわゆるフィリピン政府の財産といいますか、外国財産等についてはいろいろと今外務省としても調査をいたしております。どういうふうになっているのかいろいろと問題もあったようでございますからその辺は調査をしておりますが、それ以外のいわゆる隠し資産とかそういうことについては、それこそまさに隠されておるわけで、我々なかなか今調査の手は行き届いておりません。
○政府委員(後藤利雄君) ちょっと補足させていただきます。 きのうサロンガ委員長が米国から帰りまして記者会見をしておりますが、その中で日本にもマルコス関係資産があるのではないかという質問がございまして、それに対しますサロンガ委員長の答弁は、日本にあるという証拠はいまだつかんでいない、ちなみにマルコス関係不動産があると判明しているのは、米国、イギリス、豪州、スイス、カナダであるという答弁をしております。
○和田静夫君 大蔵大臣の答弁がございましたけれども、金融資産の形をとっている可能性が全然ないのだろうかということについては私は疑問でありまして、金融機関に不明朗な資産の有無を洗わせる、あるいは資産を動かさないように強力な行政指導を行うというようなことはあってしかるべきだと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には預金者保護という建前、それから実際大層な預金があるわけでございますから、それを現実問題、協力を得て洗い直すということは非常に難しい問題じゃないか。きのうもちょっと勉強してみましたけれども。したがって、司法共助の形でフィリピン政府からというようなときには仮差し押さえというようなことはできるんじゃないか、国内法、いわゆる我が国の現行法の範疇でやるというのは、これは容易なことじゃないなと。何か超法規的なことでも考えなきゃならないじゃないか、こういうような話をしましたら、何か超法規的なことを大蔵省首脳が語ったといいますか、そこまで私も超法規ではないつもりでございます。
○和田静夫君 超法規的措置ということについても、けさ報道されていますけれども、そういう措置をやれという向きもある。あるいは臨時措置法という手段も私はあると思うんですね。凍結をしてフィリピン国民に返すべきだということを考えれば、そういうことはお考えになってしかるべきじゃないかと思いますがね。
○国務大臣(竹下登君) 本当にわずかな時間の勉強でございますが、してみましたが、現行法でなかなか難しい点がある。したがって、具体的事案をとらえてどうするか、いろんなケースによって勉強だけはさせていただくつもりになっております。
○和田静夫君 外務大臣いかがです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 大蔵大臣が答弁したようなことじゃないかと思います。
○和田静夫君 大蔵大臣、円が強まって東京が世界の金融市場の一つになりつつあるわけでありますが、今後をも展望して考えますと、海外の不正蓄財が東京市場に流れ込むことは大いにあると思うんですね。不正資産に関して資産凍結に関する法律を制定される、これは積極的な検討に値すると私は思うんですがね。
○国務大臣(竹下登君) 最も最近議論されておりますのは、きのう委員会を通していただきましたオフショア市場の開設に当たって、外—外の取引でございますが、それを外—内の取引とどう遮断できるかということを随分議論をいたしまして、これならよかろうという措置をきのう来御説明も申し上げておるところでございますが、その他の方法で不正蓄財が流入するということは、今のところどういう形でそういうことがあらわれるかというのはちょっとケースごとに整理するような状態にはございません。オフショア市場の場合は新しい措置でございますから、これはきちんとした区分経理の中でそういうことが起こらないようにしなきゃならぬということは十分留意いたしております。 いずれにせよ、それはこれだけ金融の国際化した今日でございますから、いわゆる経理区分につきましてもきちんとやらなきゃならぬ。また逆に、黒い目の外人という言葉はおかしゆうございますが、外人の非居住者の名をかりての居住者の問題とかいうようなものは、これはきちんと対応をしなきゃならぬと思っております。今新法をつくるというところまではまだ勉強をしておりません。
○和田静夫君 外務大臣、一九七八年以降の円借款プロジェクトについても契約実態を調査する、必要とあればフィリピン側に照会する、こういう点はどうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この問題につきましては、日本側の円借等も交換公文に基づいてやっておるわけでございますし、そういう実情について御報告できる点は御報告できるんじゃないか。なおかつ、フォローアップ等評価ということで行ってもおるわけでございます。今新しくフィリピン政府に照会をしなきゃならぬという問題はないように思います。
○和田静夫君 照会をしなくても七八年以降の契約関係においては外務省、実態を把握できるというふうにとれるわけですか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御質問は恐らく、マルコス文書は七七年までしかカバーしていない、七八年以降はという御質問かと思いますが、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、私どもその公表されておりますものを今鋭意関係省庁で精査をしております。 フィリピン政府に対する要望と申しますかにつきましては、現在のところ特にそういうことは考えておりません。要望をします以上は、要望する目的、根拠等をやはりある程度特定していかざるを得ないものかと思います。
○和田静夫君 そこのところは私も、必要あればと、こう言っているわけでありまして、検察でしたか、昨日の答弁で七八年以降についても重大な関心を持って調査をと、こう言われている。したがって、七八作以降の調査というのを、外務大臣、これは進められなきゃならぬと思うんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今経済協力局長が答弁いたしましたように、七八年以降の円借等につきましては、交換公文あるいは実施その他について政府としてもそれなりの実態はもちろん把握いたしております。なおフィリピン政府との間で今後新しく借款についての話し合いもするわけでございますし、そういう話し合いの中でフィリピン政府からいろいろと求められればそれに対して日本政府としても誠意を持っておこたえをしなきゃならない、十分協議はしなきゃならぬと思いますけれども、今ここで新しくフィリピン政府から何らの要請が出ておるわけではありません。しかし、これは今後の問題としていずれフィリピン政府との間でも、十三次のもちろん円借の実行も含めて、これからの問題を全般的に私は話し合わなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 通産省、社団法人日本プラント協会はどういう団体ですか。
○政府委員(杉山弘君) 社団法人日本プラント協会、これはプラント輸出の振興を図りますためにその前提としてコンサルティング事業をやる必要がある、またプラント輸出に関するさまざまな情報を収集する、またプラント輸出に関連をいたしまして相手国の有力者を日本に招聘して話を聞くというようなプラント輸出に関するもろもろの輸出振興に関する事業をやっている団体でございます。
○和田静夫君 私の調査によれば、プラント協会はフィリピンに関しても発電バージなどのコンサルト業務をやっている。そこで問題なのは、このコンサルト業務をてこにして円借款の仲介の労をとっているという疑いが持たれているのでありますが、ここの幹部には通産省出身が天下っておりますが、それはどなたですか。全体の役員おわかりになれば発表してください。
○政府委員(杉山弘君) 日本プラント協会の役員は会長以下三十二名でございます。うち常勤役員は四名でございますが、四名の常勤役員のうち二名が通産省出身者でございます。
○和田静夫君 その人名はわかっているでしょう、四名常勤の人名。
○政府委員(杉山弘君) 通産省出身者の役員の名前でございますか。
○和田静夫君 いや、会長もわかっているでしょう、けさ通告してあるでしょう。
○政府委員(杉山弘君) 会長は三菱重工業株式会社の相談役をやっておられます守屋學治さんでございます。それから四名の常勤理事は、副会長兼専務理事が岸薫夫さん、常任理事が三名ございますが、井口さん、植木さん、中村さん、こういうふうになっております。
○和田静夫君 二名はどなたですか、通産から行っている二名。
○政府委員(杉山弘君) 副会長兼専務理事の岸さんと常任理事の井口さんのお二人でございます。
○和田静夫君 このプラント協会の役割には以前から実は疑問符が投げられているのであります。例えばプラ脇の幹部が円借の仲介をして云々というふうなことが言われますけれども、おいおい明らかにしていきます。 通産省、プラ協がこれまでにやった対フィリピン・コンサルタント業務をすべて明らかにして、その受注企業者、企業名を示してください。
○政府委員(杉山弘君) ただいまのお尋ね、けさ急に私どもの方に御通告がございまして、現在調査をいたしておりますけれども、今のところまだまとまっておりません。
○和田静夫君 いつごろまでにどうなるんです。
○政府委員(杉山弘君) なるべく早く調査を終了したいと思っております。
○和田静夫君 その程度の答弁じゃ困るじゃないですか。調査特別委員会に間に合うのか、あるいは来週参議院がこの問題で論議をするときに間に合わせるのか、どうなるんです。
○政府委員(杉山弘君) そう多くの時間は必要としないと思います。できましたら数日のうちに取りまとめたいと思っております。
○和田静夫君 会計検査院、このプラント協会の補助金を洗い直す必要があると痛感しているんですが、いかがでしょう。
○会計検査院長(大久保孟君) お答えいたします。 日本プラント協会は当然会計検査の対象になっておりますので、これから調査してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 防衛問題の残りですが、衆議院では、政府は防衛計画の大綱について大綱を見直す、別表見直しとは異なるという見解を明らかにされた。私の見解では、大綱本文と別表とは一体のものではないか。大綱水準の早期達成を図ると政府はこれまで述べてきたんですが、それは別表にある編成を実現するという意味でとらえてきたはずです。したがって、大綱本文と別表とは一体のものでしょう、長官。
○国務大臣(加藤紘一君) 大綱の見直しとか仕組みについての御議論がいろいろございましたけれども、それは仕組みの話を申し上げたわけでございまして、現在私たちは中期防衛力整備計画を昨年九月に決定いたしまして、その実現に全力を挙げておるところでございますので、現在は大綱の見直しを考えてはおりません。とにかく早くその水準を達成したい、こう考えております。
○和田静夫君 この防衛白書の八十二ページで、大綱に基づき保有すべき防衛力の量が述べられているんですが、まさに別表に示されている編成にこれはほかならないわけで、大綱の論理は別表に示されている編成、それをもって基礎的な防衛力が整備されているというもの。したがって大綱本文と別表というのは、これは一体不可分だと、そう私は思っていますが、ここのところを確認しておきたいんですよ。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛計画の大綱というものは、その基礎的な部分とか別表とか、それから別表の中の仕切りとか、いろんな仕組みになっておりますけれども、基本的に申しますならば防衛計画の大綱自体が幾つかの弾力性を内蔵しておると思います。それは、基盤的な防衛力整備に基づいてやる場合にでも、諸外国の科学技術の動向に配意し、質的な向上を図るという部分もございますし、それから別表は現在の装備体系を前提とした数字であってということを特に注書きをしておりますけれども、そういった意味での装備体系の変更に伴う別表の変更ということも予定しておるわけでございますので、そういった弾力性は大綱の本体の中には含まれておると思います。 したがって、別表を若干いろいろ変更したからといってそれがすなわちすぐ大綱全体の基本的な部分の変更になるとは思っておりませんけれども、いずれにいたしましても、現在私たちは大綱全体の変更を考えておりませんし、別表の変更も今のところは考えておりません。したがって、私たちとしてはなるべく早くその水準の達成に努力したい、こう考えております。
○和田静夫君 今も述べられましたけれども、別表の注に、「この大綱策定時において現有し、又は取得を予定している装備体系を前提とする。」とあるわけですね。そうすると、現在の装備体系は大綱策定時とは異なるものになっているわけでしょう、あるいはなりつつあるという、そういう認識はどうなんですか。
○政府委員(西廣整輝君) お答えいたします。 現在の自衛隊の装備体系等は大綱策定時そのままのものもございますし、当時もう既に変更を予定されたものがございました。例えば戦闘機がF15にかわっていく、あるいは固定翼対潜機がP2J等からP3Cにかわっていくというものがございまして、それらについては大綱策定時と装備体系が変更されている。したがいまして、別表の数量も、例えば作戦用航空機等は当時その別表の数値よりも百機ほど多い数字を持っておりました。しかしそれは、装備体系が変わるという前提で、変わった後の数値ということで、それよりも少ない数字を別表には示しておったわけであります。
○和田静夫君 OTHレーダーは別表のどこに入りますか。
○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように、別表と申しますのは、陸海空自衛隊の非常に基幹となる部隊、あるいは艦艇、航空機等の海空自衛隊の防衛力の表示としてしかるべき主要装備についての数量というものが書いてございまして、必ずしもすべての装備なりあるいは部隊について書いていないわけでございます。そういう点で、別表そのものが、それ自身、主要な部隊等だけ書いてあるという意味で弾力性があるわけでございますが、レーダー関係につきましては、いわゆる要撃管制レーダー部隊、いわゆるレーダーサイトでございますが、そういったものについては記述してございますが、OTHレーダーその他、情報収集のための部隊等は別表には書いてございませんで、本文の中の監視能力その他で読むということになっております。
○和田静夫君 ペトリオットはどうです。
○政府委員(西廣整輝君) ペトリオットは、航空自衛隊の高空用の対空誘導弾部隊ということで記述いたしております。
○和田静夫君 エイジス艦の導入は装備体系の変更になりますか。
○政府委員(西廣整輝君) エイジス艦をまだ採用するしないはこれからの検討課題でございますが、対潜水上艦の中に、従来の装備体系の中で、御承知のように例えばターターという対空ミサイルを積んだ艦艇がございます。そういったものの近代化というように考えられますので、仮に対潜水上艦艇約六十隻という数の中で切りかえていくということになれば、別表を改正するような装備体系の変化というようには考えておりません。
○和田静夫君 どうも恣意的な解釈が非常に多くてあれですが、最後に私は総理の見解を承りたいんですが、大綱は今後も見直さないという約束ができますか。あなた方の論理の上に乗ったとしても、中期防衛の整備計画が達成されるまでは見直せる筋合いのものではない、そう思うからです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 目下のところ、大綱を見直す考えはございません。
○和田静夫君 長官からの発言もありましたが、それは別表も含んでの認識と承ってよろしいですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 別表と大綱の本文とは別の性格を持っていると前から申し上げていると思います。別表を変えるというときには、国防会議あるいは閣議を経て、恐らく国会にも報告することになるでしょう。そういう性格のもので、本文とそれから別表とは別の性格を持っていると思います。
○和田静夫君 これは意見のあるところですが、もう時間がありませんから次に入ります。 最後の課題ですが、労働大臣、能力開発なんですが、労働省は五十七年以降、生涯能力開発給付金という制度をつくったわけですが、その予算と支給実績、どうなっています。
○政府委員(野見山眞之君) 生涯能力開発給付金制度は、企業の行う教育訓練に対しまして賃金の一部助成あるいは訓練に要する経費を助成するものでございまして、五十七年度途中からスタートいたしましたので、五十七年度以降を申し上げますと、予算二十六億に対して四億、五十八年度は四十二億に対して十三億、五十九年度四十二億円に対して二十一億円でございます。なお、六十年度につきましては四十六億円でございますが、見込みといたしまして約三十九億円程度消化できるものと考えております。
○和田静夫君 これは予算と実績の乖離が甚だしいので、支給金額と対象人員、対象事業所を大企業と中小企業とに分けて、年次別の比率を示してください。
○政府委員(野見山眞之君) この制度を利用した事業所、五十七年度は全体千五百事業所のうち大企業が七百二十三事業所、中小企業が八百十事業所、五十八年度は大企業千四百八十四事業所に対しまして中小企業が千五百五十九事業所、五十九年度はトータル四千七百事業所に対しまして大企業が二千七十事業所、中小企業が二千六百二十八事業所、六十年度見込みは七千百事業所に対しまして大企業が二千九百七十事業所、中小企業が四千百三十事業所と見込まれておりまして、中小企業が過半数を超えておりますが、利用金額の面でまいりますと、訓練の規模が大企業の場合と中小企業の場合とでかなり差がございますので、給付金の大企業と中小企業の割合、現在のところ大企業が最近時点で申しますと八〇%程度、中小企業が二〇%弱という状況になっております。
○和田静夫君 この給付金の運用は大変疑問であります。大部分が大企業に今言われたように流れているわけですね。八〇%、こういう実態は特に私は問題だと思うんですね。中小企業はほとんどナッシングです。 この制度は、本来中小企業を支援するのが、我々が論議してきたときの法の趣旨であったはずであります。そこのところはどうでしょう。
○政府委員(野見山眞之君) 現在、多くの企業におきまして自力でOJTその他の教育訓練を行っておりますけれども、中小企業の場合に対してできるだけ教育訓練に対する助成をしたいということがその中心的なねらいでございますけれども、中小企業の場合、えてして教育訓練を行う担当者がいないというようなこと、あるいは時間的な余裕がない、あるいはどのような教育訓練をしたらいいかというノウハウが不十分であるというような点が主な原因でございます。したがいまして、私どもとしては、この給付金制度が中小企業においてより活用されるように、中小企業に対する職業能力開発の計画づくりに対する援助対策を昨年からスタートさせて、できるだけ中小企業で活用できるようにしたいというふうに考えているところでございます。
○和田静夫君 大臣、大企業は自前でかなりのところまでやれる、中小はそうはいかないわけでありまして、中小に重点的に配分すべきですから、今言われたような答弁をしっかりやってもらいたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(林ゆう君) 大企業におきましては、先生御指摘のように、自力でそういうことのできるような実力がございます。中小企業はそういった点で欠ける面が、今局長の方から御答弁申し上げましたように、いろいろと能力に問題がございますので、私どもといたしましては中小企業のこういった職業能力開発のために全力を今後とも尽くしてまいりたいと思っております。
○和田静夫君 中小企業に実は聞きますと、この給付金のニーズが非常に高いんですよ。ところが、実態は手続が非常に煩雑なんですね。煩雑である。受け付けも四月と十月にしか受け付けない。しかも、年間の訓練計画がないとだめ、こうなるわけですね。 大臣、制度とその運用をもっとフレキシビリティーを持ってやる、そういうこと、どうでしょう。
○政府委員(野見山眞之君) 制度の運用につきましてさらに中小企業が利用しやすいような形に、例えば計画のつくり方についての援助ですとかあるいは計画期間についての受け付け等につきましても手続の面での改善を図りまして、中小企業の利用しやすい体系に変えていきたいというふうに考えております。
○和田静夫君 労働大臣。
○国務大臣(林ゆう君) 従来はえてしてそういったようなことが散見されたと思いますけれども、今後は、今申し上げましたようにそういった手続をなるべく簡素化いたしまして、そしてこういった制度が十二分に生かされるように努めてまいりたいと思います。
○和田静夫君 女子労働者の教育訓練ですが、これはもっと重視されなきゃならぬ、女子労働者の能力開発についての指導あるいは公共職業訓練施設での対策、これらが立ちおくれているような気がしてなりませんけれども、大臣、この対策は具体的に何かお考えでしょうか。
○委員長(安田隆明君) 和田君、時間が参りました。
○政府委員(野見山眞之君) 女子の職場進出あるいは各分野への進出が進んでおりますので、女子労働者に対する能力開発の重要性はますます高まってきておりますが、私ども、企業における教育訓練においては今回の均等法の精神に沿って均等な教育訓練が行われるように速めてまいると同時に、特に公共職業訓練におきましても、女子の職場進出に見合った形の教育訓練についての機会をできるだけふやしていくという方向で改善を図ってまいりたいと考えております。
○国務大臣(林ゆう君) 公共職業訓練におきましても、女子労働者が多様な分野でその能力を発揮するように、それぞれのニーズにこたえるような教育あるいはまた訓練科目の整備に努めてまいりたいと思います。
○委員長(安田隆明君) 以上で和田静夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、太田淳夫君の残余の質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 それでは、きょうはお忙しい中、日銀総裁に御出席を賜っておりますので、総裁に何点かお尋ねしたいと思います。 最初に、円高デフレと言われておりますが、こういう問題に対処するため公定歩合の再々引き下げ、これが必要でないかと思うんですが、その点はいかがお考えでしょうか。 また、この点に関連して、景気の現状に対する総裁の見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(澄田智君) 公定歩合の運営につきましては、そのときどきの情勢に応じて機動的に行うべきものであります。そして、諸情勢を総合的に勘案して行うべきものでございます。 一月末に引き続いて三月十日に二度目の公定歩合の引き下げを現在まだ実施したばかりでございます。したがって、現在はこれまでの公定歩合引き下げの効果を見守っていくのが適当であり、さらに引き下げるということは現時点においては考えておりません。 景気の現状でございますが、個人消費や非製造業の設備投資等を中心に内需は比較的底がたい推移を示しておりますが、為替円高の影響もありまして輸出が減速をしている、そして全体としての景気拡大のテンポは鈍化を余儀なくされている、かように判断をいたしております。 先行きにつきましても、円高による輸出面への影響がなお続くことは当然予想されますが、一方、円高による原材料輸入コストの低下や石油価格の低下、あるいは二度にわたる金利引き下げの効果などが景気全般に好影響を及ぼすことも期待されるわけでございます。こういったプラス・マイナス両面の効果を念頭に置きつつ十分に注意をしてまいりたい、かように存じております。
○太田淳夫君 株価とかあるいは都市の地価の高騰など、金融緩和の行き過ぎと見られるような現象が見受けられるわけでございますけれども、こうした現象は先行きインフレの芽となるような懸念はないでしょうか。
○参考人(澄田智君) 御指摘のように、最近やや急ピッチでございまして、私どもはこうした株価あるいは債券の相場あるいは地価等について注意を払っておりますが、全般的な物価動向という点からいいますと、現在は消費者物価、卸売物価、ともに極めて安定した動きを示しております。また先行きの物価をめぐる環境を見ましても、原油価格の引き下げに加えまして為替円高の効果も期待されますので、現在の安定基調が崩れるという、そういうことは当面考えにくいところでございます。 私どもといたしましては、現在物価やマネーサプライの面で懸念すべき問題があるというふうには考えておりませんが、金融が相当緩和した状態にあることもまた事実でございますので、今後の動向には十分注意を払ってまいりたい、かように考えております。
○太田淳夫君 日銀当局としましては、民間金融機関に対する貸出抑制の指導に乗り出した、こういう報道もされておりましたが、それは事実でございますか。
○参考人(澄田智君) 御承知のように、日銀は四半期ごとに市中銀行から期中の貸出計画を徴しておりますが、各行が自主的に策定した貸出計画、これをそのまま尊重してきておりまして、抑制指導は現在いたしておりません。 四−六月の貸出計画を見ますると、貸出増加額が前期に比べまして、前年比の増加額でありますが、下がってきておりますが、これは資金需要が落ちてきているということ、それから銀行の側も本格的な金利自由化に備えて融資の行き過ぎに慎重になってきているということを反映して、それぞれの銀行が自主的に出した融資計画がややこれまでに比べて伸び率が下がってきている、こういうことの結果でございまして、決して貸し出し抑制指導ということはいたしておりません。
○太田淳夫君 先ほどマネーサプライにつきましては懸念はしていないという御発言でございましたけれども、最近のM2プラスCDの伸びというのは一割近い伸びとなっているわけですが、そうした点から私たちもこのマネーサプライの高い伸びにつきましては多少の懸念を持っているわけでございますが、その点はどのように評価されますか。
○参考人(澄田智君) マネーサプライにつきましては、M2プラスCDの伸び率が二月におきましては前年比九%と、名目成長率に比べてかなり高い伸びとなっております。しかし、大口定期預金の金利の自由化の影響とか長期借り入れの前倒し実行等の特殊要因から上昇を見ました昨年の十月−十一月ごろに比べますと、極めて徐々ではありますが、むしろ低下をしてきている、こういうふうに判断をしておりまして、基調につきましては、そういう意味でやや高目でございますが、特に懸念を要するというふうには考えておりません。
○太田淳夫君 日銀当局は、これまで為替相場重視の政策、つまり円高によって対外不均衡の是正を図ろう、こういうスタンスであったと考えるわけですけれども、これだけ我が国の経常収支の黒字が拡大しますと、為替レートによる調整には限界があるんじゃないか、こう思います。その点はどうでしょうか。
○参考人(澄田智君) 為替相場の円高によりまして実体面の経済にどういう影響が出てくるかということにつきましては、円高の効果が実際に経常収支面にあらわれるには、Jカーブ効果等でかなり時間を要するということもあってやむを得ない面がございます。しかし、対外不均衡是正のためにはやはり円高の基調というのは維持することが肝要である、こういうふうに考えております。しかし、それだけではなくて、やはり政府が内需拡大に対する諸施策を促進しておられるわけでございますが、私どもといたしましても、公定歩合を二度にわたって引き下げて金利水準の低下を図っているわけでございます。さらには、引き続き市場開放を含めた地道な取り組みが必要である、中長期的には産業構造の対策といったようなことも必要である、かように考えております。
○太田淳夫君 先般の公定歩合の引き下げの実効と申しますか、それを期するためには貸出金利の低下が不可欠であると思うんですが、そのためには市場金利の低下促進が必要と考えるわけですが、当面、短期市場金利をどの程度まで低下誘導されるおつもりがございますか。
○参考人(澄田智君) 公定歩合の引き下げ措置が所期の効果を上げていくためには貸出金利の低下が必要であることは御指摘のとおりでございます。このために預貯金金利も同時に引き下げられたわけでございますが、これと並んで、私どもといたしましては、公定歩合引き下げの趣旨を踏まえて短期金融市場金利の引き下げを誘導してきております。現在、コール手形レートは、一月の公定歩合引き下げ前に比べまして一・五%前後と、公定歩合引き下げ幅を上回って低下いたしておるわけでございます。今後とも適切な市場運営に努めていく方針でございますが、短期金融市場金利は市場の需給状況によって動くものでもございますので、特定の水準を念頭に置いて誘導しているということではない、方向として下がっていくという方向を念頭に置いている次第でございます。
○太田淳夫君 預金金利の引き下げに伴いまして、一年前には五・五%だった一年物定期預金の金利が四・五%まで低下したわけです。したがいまして、小口預金者である一般大衆、特にほかに収入のない年金生活者の方々はやはり大きい痛手を受けていると思います。これは幾ら物価が安定しているといっても、もうこれ以上の預金金利の引き下げは無理じゃないか、こう思うんですが、その点はどうお考えですか。
○参考人(澄田智君) 預金金利水準の低下に伴いまして、主として預金金利収入に依存をしておられるような方々に相対的に大きな影響が及んでいるという点については十分に理解をいたしております。しかし、預金金利を含め金融政策の運営は、国民経済全体の見地から総合判断のもとで行うべきものでございまして、そういうふうな点は御理解をいただきたい、かように思うわけでございます。 なお、本年に入ってから二度にわたる預金金利の引き下げに際しましては、福祉年金受給者等、経済的に恵まれない方が預入する一年物定期預金については、一定の期間と金額の範囲内で、金利水準を引き下げ前のまま据え置くという措置がとられている点もあわせて申し上げておきたいと思います。 以上でございます。
○太田淳夫君 福祉年金受給者ばかりでない高齢の年金生活者の方がお見えになるわけでございまして、そういう方々が小口預金をされている中で低金利でいろいろと苦労されているわけでございますが、この小口預金の金利の自由化ということも既にプログラム、スケジュール段階に入ったということでございますが、やはりこの小口預金金利の自由化ということも急いで実現すべきじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○参考人(澄田智君) 小口預金金利の自由化につきましては、昨年七月、政府の決められたアクションプログラムにおいて、小口預金の金利については、預金者保護、郵貯金利とのトータルバランス等の環境整備を前提として、具体的な問題について早急に検討を進め、大口に引き続いて自由化を推進するというふうにされたところでございます。私どもといたしましても、この方向で現在この問題について勉強をしてまいりたい、かように思っております。 なお、大口預金金利と小口預金金利の関係について一言申し上げますと、金利自由化の大口預金も、公定歩合引き下げに伴いまして、市場金利の大幅な低下を受けて急速に低下をしているわけでございます。小口預金金利が大口預金金利に比して冷遇されているというわけでなく、大口の方も下がっている、こういう実情も申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 小口預金金利、今、日銀総裁からお話がありましたが、前向き、主体的、漸進的と、こういうふうに申しておるわけであります。大口から小口へと順次段階的に進めていくということでありますが、やっぱり今お話のございましたように、預金者保護とそれから郵便貯金とのトータルバランスという問題、これがやっぱりポイントでございます。したがいまして、金融問題研究会というもので民間金融機関等、各方面の意見をお聞きしながら幅広い検討を進めていく。で、できることならば夏ごろまでに中間報告をちょうだいしたいというぐらいな期待感を今持っておるところでございます。
○委員長(安田隆明君) 日銀総裁、御退席いただいて結構でございます。
○太田淳夫君 今お話がありましたけれども、その検討結果が出たところで、昨日の大蔵委員会では郵政関係者との話し合いも詰めていきたいと、こうおっしゃっていましたが、そういう段取りでございますね。
○国務大臣(竹下登君) 必ずしも段取りとして決めたわけじゃございませんが、そんな感じだろうなと思っております。
○太田淳夫君 次に、円高対策についてお伺いしたいと思うんですけれども、最初に経企庁でございますか、せんだってのこの予算委員会でも同僚委員から質問がございましたけれども、予算は為替レートを二百九円にしておりました。また経済見通しては、二百四円ということで想定されて編成されていますけれども、このように急激に円高が進行してまいりましたので、政府の予想以上の円高の進行じゃないかと思うんですが、そうなりますと円高のメリットがあらわれますのは、今のお話にもありましたが相当先になる。六十一年度を通して考えてみますと、円高のメリットよりもデメリットの方が強く働くんじゃないか、こういうように考えるんですが、その点はどうでしょう。
○国務大臣(平泉渉君) 円高になると輸出数量が減少いたしまして輸入数量が増加する、実質GNPを減少させる効果がございます。他方、円高によって輸入価格の低下に伴って物価が安定し実質所得の増加に寄与する、消費者心理に好影響を与え個人消費の拡大に資する、原材料コストの低下が企業収益を改善する等により内需が拡大する、交易条件の改善の効果が働くわけでございます。それぞれの効果について見ますと、総体的にはまず輸出数量等に影響があらわれ、その後物価の低下の浸透等に伴って内需への効果があらわれてくる、こういうことでございます。 さて、円高の効果が定量的にどの程度かという点については、例えば輸出数量の減少については為替レートのみならず海外の主要国の景気動向にも左右されます。また交易条件改善効果について言えば、輸入価格の低下が国内価格へ、国内物価へどのような経路で波及していくかにもよる、こういうさまざまな要因に左右されるわけでございまして、こうした経過を今具体的にお示しすることはただいまの段階では困難でございます。
○太田淳夫君 今、定量的には困難であるということでございましたけれども、これはある銀行の調査によりますと、円が二百四十円から百八十円になったときの日本経済の影響を見ますと、六十一年度内ではデフレ効果としてマイナス十二・四兆円、交易条件の改善によるメリットがプラス五・二兆円、差し引き七・二兆円マイナスということでございますが、それですとGNPを二・七%ぐらい減少させる、こういう一つの調査結果が出ておるのでございますけれども、そういう点を勘案しても、政府としてもやはり円高によるメリット・デメリットの定量的な測定というのはある程度できるのじゃないかと思うんですけれども、もう一度どうでしょうか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 大臣から御答弁ございましたことに若干補足を兼ねて申し上げたいと思います。 円高の経済に及ぼす効果というのは二つございます。専門的な用語を使って恐縮でありますけれども、一つが交易条件効果、もう一つが貿易数量効果ということになります。前者の交易条件効果がプラスの効果、それから後者の貿易数量効果がマイナスの効果、こういうことになります。 前者の交易条件効果というのは、これは円建ての輸出入物価をとってみますと、いずれも円高に伴って低下をいたします。しかしながら、輸出物価の低落幅の方が小さいということが交易条件効果を生むことになるわけであります。最新の卸売物価統計によってこの点を見てみますと、三月の中旬の輸出物価は一年間に比べまして一六・二%下がっております。それに対しまして輸入物価は三二・二%下がっております。つまり、輸出物価の値下がり分が輸入物価の値下がりのちようど半分である、こういう状況が起こっております。過去の例で申しますと、五十二年、五十三年の円高期におきましては、輸出物価の低落というのはほぼ一割から三割ぐらいにとどまっている。円高分の一−三割ぐらいであるということでありましたけれども、現在は世界経済の環境が厳しいということで、大体為替レートの低落の半分ぐらい輸出物価が低落している。しかし、輸入物価はほぼ為替レートの低落分に応じた低落が見られるわけであります。この結果、輸出代金の減少はありますけれども、それ以上に輸入代金の節約によるプラスの方が大きい、こういうことになります。 定量的に計算できないかというお話がございました。見通しということになりますと不確定な面がありますので、実績が既に出ております六十暦年についてこの効果を、今の前提、つまり二百四十円から百八十円に円が高くなった、それから輸出価格の値下がりは輸入価格の値下がりの半分である、こういうことで計算をいたしますと、輸出面での収入減というのが六兆五千億円になります。計算の基礎は、六十年の輸出がサービスの輸出も含めまして五十二兆円ございます。これが四分の一収入が減る。為替レートどおりにいきますと四分の一減るわけでありますから十三兆円の収入減、しかし半分はドル建て価格などの引き上げによって取り戻すということで六兆五千億円のマイナス。 それに対しまして輸入は、サービスの輸入も含めて四十兆円、これが四分の一節約になるわけでありますから十兆円のプラス。差し引き三・五兆円のプラスということになります。三兆五千億円といいますのは、昨年のGNP三百十八兆円に対しまして一・一%に相当する額になります。 これに対しまして貿易数量効果というのは、先ほど大臣の答弁にもございましたように、輸出数量が減る、輸入数量がふえる、こういう効果になります。これは輸出数量がどれぐらい減り、輸入数量がどれぐらいふえるのか。これにつきましては、先ほど大臣の答弁にもございましたように、いろいろな条件があってなかなか計算は交易条件効果ほど容易なことではないと、こういうことでありますけれども、GNPの一・一%に相当する交易条件効果、これをさらに上回って足を引っ張るということになりますと、相当大きな効果になるわけでございます。 現在起こっておりますことは、石油の値段がさらにかなり急速に下がるであろうという状況をあわせて考えますと、この円高の交易条件効果プラス原油値下がりの効果の合計は、マイナスのデフレ効果であります数量効果、これを若干上回って差し引きおつりがくるのではないか、これが私どもが考えているところでございます。数字的な一応の考え方を申し述べさせていただきました。
○太田淳夫君 日銀、長期信用銀行等の調査が六十一年度設備投資計画について出ているわけでございますが、これを見ますと、円高の影響で全産業でも六十年度に比べて半減すると、こう言われておりますけれども、その結果、経済見通しあるいは税収見込みの計画額と実績額に乖離が出る可能性が出ると思うんです。これは年度当初において計画を改定する必要が出てくるんじゃないかと思いますが、その点はどのようにお考えですか。
○国務大臣(平泉渉君) ただいま円高の効果ということにつきましてるる御説明を申し上げた次第でございますが、経済見通しというもの、我が国ではこれは予算を考える上の基礎的な経済に対する政府の見通しと、こういうことでございますので、我々としてはあくまでもこの経済見通しというものの達成に努めるという意味も含んでおりまして、我々といたしましては、六十一年度はいろいろ影響はある、またいろいろな基礎数字も変わってきている面もございますが、あらゆる経済政策の政策手段を総動員いたしまして政府見通しを達成するということが可能であるし、またそういたしたいと、かように考えておるわけでございます。 政府の見通しにつきまして、例えば各国ではいろいろ変えておる国もございます。年度の中でしばしば変えるアメリカとかそういう国もございますが、例えば西ドイツは我が国と同じように変えないというやり方でございます。その辺のことを我々は考えておりますことを御理解賜りたいと思います。
○太田淳夫君 通産省にお尋ねします。 中小企業庁がこの円高の影響の調査を実施したわけでございますけれども、それを拝見しますと、下請代金の値引きや買いただきなど下請法違反の疑いのある事例が一四・五%にもなったと、こういうように報道されているわけでございますけれども、通産省としては親企業に対してこれまで中小企業にしわ寄せさせないようにどういう指導をしてきたのか。また今後このようなことが起きないように対策をとるべきだと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御説のとおりでございまして、親企業の責任者を呼んでそれでこの下請の取締法に違反をしないようにしろということを厳重に申し渡しをしてあるわけでございます。今後もやはり監視を厳重にして、それで契約した単価を切り下げたり、あるいはいわゆるいじめですな、中小企業いじめ、それをやっちゃいかぬということで今後も指導してまいります。
○太田淳夫君 今、大臣がおっしゃったように、いじめとかいろいろなことがあるわけでございますね。これは調査によっても表面に出てこない部分がまだまだあろうかと思うんです。我が党も今全国の千社を対象にしてそういういろんな違反の実態がないかどうか調査をいたしておりますので、またその結果が出ましたら通産省に対して対策を申し入れたいと、このように思います。 それから、円高で地方経済が一段とやはり陰りが出ている部分が非常に多いわけでございますが、これは全国地方銀行協会がまとめた調査によりますと、新潟でも欧米バイヤーの発注は割り安な韓国製品に流れている、したがって金属洋食器の新規成約が大幅に減少している。これは岐阜県の関市の洋食器でも、三月の成約が非常に減っておるわけでございます。また長野では、電子機器が大幅な単価引き下げの要請を受けている。さらに、四国を初め幅広い地域にわたって木材、合板、紙パルプの市況が軟化している。このように地方経済というのは悪化をしているわけでございますけれども、政府としてもこれら悪化をしている地域に対して公共事業の前倒し、重点配分などの対応策というものを十分に考えていくべきじゃないかと思いますが、その点どのようにお考えですか、大蔵大臣。
○国務大臣(平泉渉君) この急激な円高ということでさまざまな問題が起こっておることは御指摘のとおりでございまして、政府といたしましても、今経済企画庁を中心に、来週早々を目途としてこの総合的な経済対策を検討いたしております。対策の項目としては、金融政策の機動的な運営、公共事業等の前倒し執行、円高差益、原油値下がり益の還元、規制緩和による都市再開発の促進、また今時にお話のございました中小企業対策、こういうことを中心に今鋭意検討を進めておりまして、近く成案を得るつもりでございます。
○太田淳夫君 今お話のありました公共事業の前倒しの件でございますけれども、これにつきましては今年度に当たってはできるだけ最大限前倒しをすべきだというそういう考えがございます。どの程度大蔵省としては前倒しをされる所存でいらっしゃるんですか。
○国務大臣(竹下登君) 今、経済企画庁長官からお答えがございましたが、来週早々の会議に先立ちまして、本日フリーディスカッションの会合を持ちまして、上半期契約率について過去最高となることを目指すという意見が大勢であったというふうに感じております。ただ、数字ということになりますと、試みに申し上げますならば七七・二というのが今までの最高でございますが、もう既に、あるいは建設大臣からお答えした方がいいかと思うんですが、例の補助率対象外のものは別として、補助率対象内の公共事業の執行ということになりますと、御理解をいただいて可及的速やかに補助金関係の法律を通していただくということが一つの前提にもなりますので、そういう各省別の比率ということになりますと、きょうまだ申し上げる段階にはない。いずれにせよ、過去最高を目指すという角が圧倒的であったということを感じたわけでございます。
○国務大臣(江藤隆美君) 建設省が配分を予定しております公共事業はおよそ総額六兆九百億であります。しかしながら、補助金一括法が通りませんので、これをまだ配分するわけにはまいりません。したがいまして、補助金一括法の対象外のもの、これを本日参議院で予算案の成立を見ましたならば、直ちにその以外のもの、これをおよそ二兆三千二百億、これだけ箇所づけを直ちに発表する。ちなみに昨年は四月二十六日でございまして、ことしはそれよりか早い。そして一括法の成立をまって大至急に公共事業の執行に入る、こういうことであります。 御承知のように、大蔵大臣が過去最高を目指すと、こういう御意見がありましたけれども、実際問題といたしまして、物によりましては用地買収その他が非常に困難なものが実はありますわけで、うんと前倒しを余計やるということになりますと、やりやすい分野においては八五%も九〇%もやらないというと総体ならしたときに実際の前倒しの計数は上がらない、こういうことになるわけでありまして、ひとつ予算が成立しましたならば補助金一括法の成立に向かってまた御協力をいただくと大変ありがたいと思っております。
○太田淳夫君 それは予算が上がってからということでございますが、私ども考えますには、先ほども日銀総裁お見えになりました。現在の政府の緊縮型財政運営では、これら急激な円高あるいは諸外国から要求されている貿易摩擦の解消には対応できないのじゃないかと思うんですが、先ほどいろいろとお話がありましたところのこれからの諸施策、その中にも金融の機動的な対応ということがございます。今まで見てみますと、公定歩合の引き下げを再度にわたって行うなどして、主に金利政策によって景気の浮揚を図ろうとしていましたけれども、一般的に金利政策は、考えてみますと、景気の引き締めには有効であっても景気の浮揚の効果というのは、いろんなやはり諸政策がマッチしませんと、それほどの期待された効果が上がらないということが言えるのじゃないかと思うんです。 円高対策としましては、やはり金利政策にこれ以上の過大な期待をかけることは困難だろうと思いますし、むしろ財政政策の積極的な発動によって、いわゆる今各地方に起こっておりますところの円高デフレに対応することが重要じゃないかと思うんですが、特に中小企業のことは先ほど申し上げましたけれども、そういう現状を見ますと、やはり大蔵大臣あるいは総理としても緊縮型の財政運営をこれ以上続けることが果たして望ましいのかどうか、その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) とにかく我が国はインフレのない持続的成長ということをまずは目指そう、これが大前提であります。そうして、残念ながら今日財政が出動する対応力を持っていない、非情にその対応力が欠けておるとでも申しましょうか。したがって、限られた予算の中でいろんな配慮をしなきゃならぬ、それがいわゆる一般公共事業費について四・三%増、こういうことも一つの例として申し上げるわけであります。 このことは、先ほど来の赤羽局長のお話にもありました交易条件の改善等、すなわち卸売物価が落ちておりますから、いわば資材費等が恐らく相当なデフレ効果といいますか下がってくる。そうしますと、現実、今度は事業費というものの実力が大変についてくるんではないか。これから建設大臣初めいろいろな公共事業関係の大臣とのお話し合いもしていかなきゃなりませんが、私はそういう資材の値下がりから来る結果的事業費の実力というものの評価は今までになかったことではないかというふうに考えておるわけであります。 それで、すぐ財政政策を転換して建設国債でも増発したらどうだ、こういう議論が出るわけです。確かに仮に一兆円発行いたしますならば四千数百億の増収が三年ぐらいにわたって税の中へ入ってまいります。しかし、元金そのものはそのまま後世代へのツケになってしまうという性格を赤字財政というのはやむを得ず持つものでございます。したがって、今、赤字公債脱却の目標は六十五年だと、しかしそれまでも公債依存体質いわゆる公債の度合いだけはかって三四%もあったものを今二〇%台までに下げたわけでございますが、さらに下げていこうという二つの目標の中でいわば財政が積極的な役割を果たす環境には必ずしもない。しかし、経済全体としては拡大均衡とでも申しましょうか、そういうことは絶えず念頭に置くべきである。 財政の拡大ということについてシビアな態度をとってきておることは事実でありますが、結果としていわゆるインフレなき持続的成長という、国内の本当にお困りになっているいろいろな業種の問題に手厚く対応しなきゃなりませんが、総じて見たときに、物価あるいは失業率等々、世界の先進国から見れば確かに良好、他に比ぶればですが、政治は無限の理想への挑戦でございますからこれで満足する意味じゃございませんが、良好な状態にあるということは事実である。したがって、あくまでもインフレなき持続的成長ということに対応していくべきではなかろうか。 いささかお答えが長くなりましたが、お答えを申し上げます。
○太田淳夫君 先ほど日銀総裁は、政府としても内需拡大の諸施策をされるので、その効果と金融政策の効果とが両立して着々ということでございましたけれども、今のお話を聞きますと、内需拡大の諸施策というのはなかなか厳しいのじゃないかと思うんです。私が先ほどから申し上げましたものは、中小企業の問題にしても地域の振興にしましても、これはもう緊急を要する円高対策なんですね。これが先行きよくなりますよということでは困るわけですよ。実際にそれぞれの現地へ参りますれば、もう事業転換法ができたって事業を転換できないような人だっておるわけですよ。もう倒産しなきゃならない、仕事がなくて遊ばなきゃならないという人もたくさん見えるわけですから、現在緊急的な対策を財政が出動して行うべきじゃないか。 今、建設国債のお話もありました。これは同僚委員からも再三提案がありましたし、私もそれを申し上げようと思ったら今お話があったわけでございます。いずれにしましても、六十五年赤字国債脱却の方針というものがありますけれども、建設国債を増発するというフリーハンドと申しますか、そういうものはお持ちになっていらっしゃるわけでしょう。ないんですか。
○国務大臣(竹下登君) 第一目標は赤字公債依存体質からは脱却しようと。建設国債についてのフリーハンドというのは、その限りにおいてはございません。縛られておるというわけではございませんが、総じて公債依存度を下げていこうという方針の中には、安易にこの手法を用いるわけにはいかぬ、こういう背景があろうかというふうに思うわけでございます。だから、赤字公債依存体質からの脱却という努力目標とは別の次元にございますが、総じて公債依存度を可能な限り下げていこう、そういう中には原則として入るわけであります。 ただ、今おっしゃいました中小企業、なかんずく産地、これにつきましては、先般、通産省から提出されました法律案が通って、今、通産省で業種指定でございますとか産地指導等を精力的になさっておる。それに対する金利問題というようなものは来週早々までには結論を出さなきゃいけませんが、今、両省の事務当局等で詰めておるところでございます。さらに、おっしゃいましたように、それはいろいろございます。例えば、その産地へ、かつての救農土木のような形で集中的に公共事業を出したらどうだ、そういうことも考えの中に入れて公共事業当局で配慮していただけるものではないかというふうに期待しております。
○太田淳夫君 総理はどうお考えでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と大体同じ考えです。
○太田淳夫君 よくお休みになっていらっしゃったので、そうお答えになるんじゃないかと思っておりましたけれども。 それでは次に、大蔵大臣はG10に御出発をされるそうですが、通貨制度の問題について先回もお尋ねしましたけれども、ターゲットゾーンの導入というのは余り現実的でないということになりますと、当面は国際協調を基本とした管理された変動相場制、そういうようなものを目指さざるを得ないような気もするんですけれども、G10に臨まれる、その後もIMF暫定委員会あるいは東京サミットにおいても通貨改革論議等がされるでしょうし、またアメリカ議会筋では、六月にチューリヒで日米欧の国際通貨サミットを開こうというようなことも聞いておりますけれども、どのようなお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(竹下登君) 国会のお許しをいただきまして、七日の晩からG10に出席をいたしてまいります。 国際通貨制度の改善については、本当はウィリアムズバーグ・サミットのときに首脳から我々大蔵大臣に指示がありまして、そして私が議長を務めました十カ国蔵相会議で一応報告書を発表して、開発途上国も含めましたIFMの暫定委員会の方へ持ち込んだというところまでの今経過にあるわけであります。政策協調とそれから協調介入、この二つの重要性を強調しますとともに、国際的サーべーランス、すなわち各国経済の相互監視の強化をしなきゃならぬということを具体的に提案しておるわけであります。したがって、G10が終わったら私はこちらへ帰りますが、澄田総裁がお残りでございます九、十の暫定委員会では、途上国の大蔵大臣も交えて本格的な討議がなされるであろうというふうに考えております。 東京サミットの議題ということになりますと、これは現時点でまだ議題が決まっておるという状態にはございませんが、その暫定委員会の討議をさらに精査したものをあるいは私が報告を申し上げて、御議論をいただけるというようなことではなかろうかというふうに思っておるわけであります。
○太田淳夫君 六月のチューリヒの話はどうですか。
○政府委員(行天豊雄君) 昨年の十一月に米国のブラットレー上院議員とケンプ下院議員が主催いたしまして米欧日各国の官界、財界、政界その他専門家の方がお集まりになりまして、通貨制度問題の議論が行われたわけでございます。これのいわばフォローアップというような形でことしの六月に同じような会議をチューリヒで行うという計画があるようでございます。ただ、具体的にどういう方が御出席になるか、どういうテーマというようなことは、まだ私ども詳しく承知しておりません。
○太田淳夫君 せんだって、今お話の出たケンプ議員と経企庁長官がテレビでいろいろとテレビ討論されておりましたね。ケンプ議員は次の大統領候補と言われる方だそうですが、あの中で相当強く為替の安定ということを言っておみえになりましたね。どうお考えになりますか。
○国務大臣(平泉渉君) これは私の所管のことではございませんので、その点はちょっとお許しを願いまして、せっかくの御質問でございますから。 あのとき私から申しておりましたのは、現在のいわゆるフレキシブルな為替レートの決定方式というものは、いろいろな先進諸国間の協議によってかなりコントロールされたものになってきつつあるのではあるまいか。現実にその点では諸国の間の金融当局、政府当局の意思というものがかなり反映するので、完全な野放しという状態にはなっておらない。そういう点で国際協調の実が着実に上がりつつあるので、その辺を見守ってお互いに協力しながらやっていくことが可能ではあるまいかと、かような趣旨のことを申したのでございます。
○国務大臣(竹下登君) 国際議会通貨サミットということで、チューリヒで六月二十八日から三十日まで、私も招待状をいただいておりますが、そのころがどうなりますやらと思いまして、必ずしも今参加申し出はいたしておりません。
○太田淳夫君 総理の諮問機関であります経構研は、正式な報告書提出の前に総理に概要を報告されたということでございますけれども、総理はその研究結果を持って訪米や東京サミットで我が国の中期的な経済政策を対外的に示すことになる、こういうふうに聞いております。海外のこの報告に対する期待は非常に今大きいということもいろいろと報道されておりますけれども、貿易関係上の対日批判の再燃を防ぐだけの効果がある内容になっているんでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆる経構研における作業は終末段階に参りまして、今最終的諦めを行っております。 内容は、大体新聞に報ぜられたような内容であると思いますが、かなり思い切った政策を打ち出しております。しかし、私的諮問機関でございますから、私的諮問機関の意見をどういうふうに我々が選択し、またそれを政策の参考として取り上げるか、これは党及び内閣で相談をして、そして新たなる見地に立って、我々が評価した部分を自分のものとして今度は練り上げてこれを実行していく、内閣と党が一体となって政策を練り上げていく、そういう形で出発するだろうと思います。そういう党と内閣が一体になってできたものは外へ出してもいいものでありまして、あるいはアメリカへ行くのに間に合えば、その際に大体こういうものができたと、サミットにおきましてもこういう内容をやるつもりだと、そう言う機会があるかもしれないと思っております。
○太田淳夫君 大河原氏も総理の特使として訪米されているというような報道もされておりますが、これから経済関係閣僚会議ですか、あるいは党ともいろいろと相談されるということですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私的研究会の所産であるということをよく念頭に置いて、そしてこれを我々が党と内閣でいかに評価するか、これを参考にして党及び内閣の政策を練り上げていくかということをやりたいと思っております。今までいろいろな機関がございますから、その機関等も活用する、それが決定した上は今度はこれを推進するのにどうしたらいいか、そういうやり方も考えなければならないと、そう思っております。
○太田淳夫君 総理、ドル高・円安が是正される前の昨年の三月ごろですか、総理は、国民一人が百ドルずつ外国製品を買えば百二十億ドルも輸入がふえ外国が喜ぶ、こういう発言をされておったおけですが、当時はまだドル高のときでございますから舶来品はドル高のせいで高い買い物になるなどという反論があったことは御承知のことだと思うんです。ところが、昨年の九月二十二日のG5の後ドル高は是正されて、最近では一ドル百七十円から百八十円台、こういう大幅な円高になっておるわけでございますけれども、依然として輸入品の価格が下がらないという調査がいろいろ出ておりますが、その点総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は通産省でも今具体的に調査しておりますが、例えばウイスキーあるいはワイン、スコッチウイスキーやあるいはカリフォルニアワイン等も値下げを始めてきつつあるように報告で聞きました。それで今、円高メリット大バーゲンセールというのをやりなさい、そういうことで三千店ぐらいでこれを行う、スーパーあるいは百貨店そのほかでやるように通産省が指導して今準備しております。現在までのものを見ますと約千品目ぐらいが値を下げ始めてきていると、そういうふうに私は報告を受けていますが、詳細は通産大臣からお聞き願いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま総理からお答えしたとおりでございます。 通産省といたしましては、安く入った物が安く売られなくては困るわけでございますので、かねてから主要なスーパー百貨店等に対しまして、小売価格の引き下げ、それから新規の輸入品を開拓せよ、それからもっとフェア等を開催しなさいということを指導してまいりました。最近の取りまとめによりますと、非常にこれの効果が出てまいりまして、小売業界全体で東京サミットの前後、四月から五月を中心に全国で三千四百カ所、そのうち主要な百貨店、スーパーが約二千四百カ所、こういう箇所で円高メリットを活用したインポートフェアを開催するという見通しができました。 また、百貨店やスーパーではウイスキー、ワイン、衣料それから家具など延べ手品目にわたって円高メリットの活用ということで値下げをやりなさい、それによって約一〇%から、物によって違いますが二〇%ぐらい小売価格を引き下げ、既に実施したところもございますし、目下下げますという計画を出してきたところもございます。さらに新規の輸入品、これはもういろいろたくさんな種類があるんですが、そういうようなものについて約二百品目程度を円高を利用して新しく国内で安く売っていただこうという計画もございます。
○太田淳夫君 いろいろな計画があることをお聞きいたしました。全国三千四百カ所で円高バーゲンセールということでございますが、国民の皆さん方は約三〇%の円高があったわけでございますから、そのメリットというものは直接いろいろ消費者の方に、いろんな商品、輸入品の値下がりということでそれがはね返ってくることを期待しているわけです。一時的なことじゃなくて長続きする、この円高もずっと定着していくのでしょうから、定着した値下げ効果というものがあらわれてくることを期待しているのじゃないかと思うんです。 そこで、五十二年の円高のときもこの予算委員会等で流通機構の問題あるいは航空運賃等の問題、牛肉の問題等がいろいろと取り上げられて論議をされました。しかし、今六十一年になってみますとそのときの問題が一つも解決されていない、こういう状況ではないかと思うんです。少しずつは解決されてきているかもしれませんけれども、国民の皆さん方にそのメリットというものが還元されるような改善はされていない。五十二年の円高の際、政府が調査対象とした品目が二十三品目ございますけれども、それに対して新聞社あるいは経済同友会等も調査をして今いろいろと要求をされているようでございますが、この二十三品目について、G5以前の八月末と三月現在の小売価格を比較した調査が政府としてされているんでしょうか、その点についてお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(斎藤成雄君) 輸入品の価格調査につきましては、私どもは一月の三十一日に物価担当官会議というものを開きましてそこで調査をいたすことを既に取り決めておりまして、現在調査巡行中でございます。今月の末には発表できるのではないかと考えております。
○太田淳夫君 それでは、個別にお聞きいたしましょう。 まず、牛肉はどうでしょうか。農水省所管のもの。
○政府委員(大坪敏男君) 牛肉の状況でございますが、ことしの三月と去年の八月を比較した場合、輸入価格の方は四、五%低落しているようでございますが、小売価格の方は一、二%増のようでございます。 この要因につきましては、輸入牛肉の消費の形態に差がございまして、まず夏には比較的安いグラスフェッドの肉を食べる、秋から冬にかけましては価格の比較的高いなべ物用といたしましてグレーンフェッドの物を食べるということの違いが反映されているような面と、もう一つは、輸入牛肉はフローズンが主体でございますめで、発注から国内消費までの間にはどうしてもかなりの期間がかかるということから、必ずしも今までのところ輸入価格の低下が小売価格の方に敏感に反映してないということではなかろうか、かように考えております。
○太田淳夫君 農水省の所管のものでまだいろいろとあるでしょう。全体にそれはどうですか。二十三品目の中でおっしゃってください。
○政府委員(鴻巣健治君) お答えいたします。 私ども、昨年の九月から六十一年の三月までに十二品目の小売価格を調べておりますが、CIF価格が下落した物で小売価格が下落した物が四品目。それから、CIF価格がやはり下落していて小売価格が横ばいの物が五品目。それから、わずかに四%ほどですが、CIF価格が下落していても小売価格が上昇した物が二品目。それから、CIF価格が横ばいで小売価格が上昇した物が二品目というようになっております。 十三品目で下落した物はグレープフルーツ、レモン、エビ、ビスケット。それから横ばいの物がバナナ、サケ、マグロ、鶏肉、牛肉。それから四%上昇した物と申しましたのがオレンジとチョコレート。それからCIFが横ばいで若干小売価格が上がったといいますのはタコとイカでございます。
○国務大臣(竹下登君) 我が方はウイスキーとワインでございますので、正確を期するため事務当局からお答えをさせます。
○政府委員(村本久夫君) 私ども国税庁の方で所管しております物はウイスキーとワインでございます。その価格の動向につきましては現在いろいろ調査をいたしているところでございますが、ウイスキーにつきましては新聞等にも報ぜられておりますが、例えば一万円が八千円になったというような物、あるいは四千百五十円、いわゆるスタンダード物が三千八百円とか四千円とかになった、そういうような物がございます。 ウィスキー、ワイン、これはそれぞれ銘柄がございまして、その銘柄によりましていろいろ価格やなんかも違うというようなこともございます。全体としての取りまとめた調査は、今月末を目途に現在実施いたしているところでございます。
○政府委員(松尾邦彦君) 通産省といたしましても、先ほど経済企画庁からお答え申し上げましたような基本的な方針にのっとりまして、現在繊維品、雑貨品あるいは自動車等を含めまして二十品目について調査を実施いたしているところでございまして、四月末を目途に発表さしていただきたいと思っております、なお個々の品物でどのような物が値下がりになりましたかという点につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、衣料とか家具とかも含めまして約千品目にわたりまして既に値下げが行われており、あるいはごく近々のうちに値下げをする計画があるということを把握いたしております。
○政府委員(山田隆英君) 私の所管しております航空運賃についてお答え申し上げます。 航空運賃につきましては円建てによります収入、支出、それから外貨建てによります収入、支出、おおよそバランスしておりまして、円高差益によりましてそのコストが下がるという要素が余りございません。したがいまして、今のところ航空運賃については円高差益によって直ちに値下がりするということは考えておらないわけでございます。ただ、方向別格差というのが前から問題になっております。現在の航空運賃はそれぞれの国内の通貨建てになっておりまして、日本発の運賃は円建て、それから相手国発の運賃は相手国建てということになっております。その結果、方向別格差がございますので、これについては何らかの調整をしたい、かように考えております。
○国務大臣(佐藤文生君) お答えします。 郵政省に関係するKDDの通信料金の値下げでございますが、これは円高差益があったから値下げするのじゃなくして、国際決済の上ではKDDは円高のために差損をしておるわけでございます。もう先生御承知のとおりに、例えばアメリカを例にとりまして、アメリカに通信をする量とアメリカから日本に受け取る着信の量とは大体四、六ぐらいだと私思いますが、アメリカからこちらに来る方が多いわけでございます。したがって、その支払い不足の二分の一はアメリカから日本に払いますものですから受け取りが多いんですけれども、円高のために差損を生じている。したがって、KDDの経営努力で去年は九・五%通信料を下げましたが、ことしも経営努力によって五%から一〇%に近くなるようひとつ頑張ってくれよということを六十一年度のKDDの予算を認可する際に私重ねてお願いしまして、努力しましょうということで、この九月以内に下げる、これは減税につながるものだ、ひとつ頑張ってくれよと、こういうことで下げる方針を決定したわけでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大事なものを一つ忘れちゃいまして、大変申しわけありません。 ガソリンです。ガソリンが、実は五十三年の円高のときは一年で約六円ぐらい下がったんです。五十九年の平均が百四十五円五十銭ですから、それが今回は百三十三円になっておりますので、おととしから見ると十二円ぐらい下がるということになりますし、六月以降になりますともっとどんどん下がってくるという可能性が十分にございます。 それから、灯油は五十三年の円高のときは一年間で約五円ぐらい下がったんですが、現在既に十一円下がっております。七十六円九十銭が過去一年ちょっとで六十五円六十銭、一四・七%ぐらい下がってきている。これも六月以降は不需要期に入るという点もございましょうが、もう少し下がる、また下がる見込みである。したがって、円高が国民経済に非常にいい影響を及ぼす面も相当あるということでございます。
○太田淳夫君 各省庁からお聞きいたしましたけれども、五十二、三年当時のあの円高のときも輸入製品の値下がりを小売価格に反映するように業界に要請されたことがあったと思うんですが、四月末までに調査を済ませてというお話でございました。それらを踏まえまして、やはり国民の皆さん方に円高のメリットというものが直接反映できるようにしっかりと指導していただきたいと思うんです。総理、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 各省を督励しまして、徹底的に反映するようにやるつもりでおります。
○委員長(安田隆明君) 午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 —————・————— 午後一時二分開会
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、太田淳夫君の質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 総理は、盛んに民活ということを言われてまいりまして、当委員会でもいろいろと論議がございましたけれども、その割合に、いろいろと調べてみますと、政府部内におきましては民活について十分検討がまだされてない、言葉ばかり先行して混乱しているんじゃないかと思われるんですけれども、民間活力というものの定義についてはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 財政が非常に厳しい状況にございますから、公共事業そのほか社会資本充実のためには、やはり民間の膨大な資金を活用するのが一番適当である。そういうことでデレギュレーションを中心に民間資金の活用という線で今進めております。既に関西国際空港がそうですし、あるいは明石架橋あるいは東京湾横断道路等もその例でございますし、私的なことでは西戸山の住宅開発、あれも動き出しました。そういうことで幾つか動き出してきつつありますが、さらに今回は各省庁の要望も聞き、地元の要望も聞きまして、例えば運輸省なら港湾地帯についてターミナルビルをつくるとか、郵政省、建設省あるいは通産省おのおのが、地方の都市がイニシアチブをとって大きな研究施設とかそのほかの施設をつくるということを助長するための民活法を一括して提示をしております。これらに基づきまして動き出しますればかなりの仕事が全国的に動き出す。最近は特に物価がどんどん安くなってきておりますから、セメントにしても鋼材にしても非常に安くなってきつつあり、それだけ事業量はまたふえる可能性が十分出てきつつある。一割安くなれば一制事業量がふえると考えてもいいので、大体去年が三・七%増であったのをことしは四・三%増にする計画で進めております。そういう形で民活をさらに進めてまいりたいと思っております。
○太田淳夫君 今いろいろとお話がありましたけれども、民活を定義づける、あるいは一定のルールづくりをしなさいということは、この委員会でも同僚の委員からも提言がありましたけれども、やはりなかなか定義がどうなのかとなると各省それぞれまちまち、一括法案が出るということでございますけれども、しっかりしたルールというものがないような感じがするわけですけれども、やはり一つには、現在定義づけることによって将来の政策が拘束されることを恐れているからじゃないかと思うんですが、それは民活について導入の手法を含めまして十分な検討のないまま各省が飛びついたというような感じもするわけですが、特命相、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 民間活力の活用の定義、これは私もさっき午前中から自分で書いておりまして、これはやっぱり役所の基本もありますが、率直に言いまして、民間活力の活用の定義とおっしゃられると、使用される場合に応じて多様な意味を持っておりますから、この定義を一定的に確立しろ、こうおっしゃっても、これはちょっと無理かと思います。ただ、我が国の苦しい国家財政の現状そして国際間の経済協調を踏まえて、市場原理を基本とする我が国経済が今後ともインフレなき持続的成長を確保するためのものである、こういうふうに私は定義づけております。 それには、今総理からお話があったように規制の緩和、民間の活力を発揮させるための環境整備をする、それから公共事業の分野のうちで今まで官が地方公共団体とともどもに行っておりましたものに、可能なものについては民間にある資金それから経営のノーハウ、これはやはり官とはまた違った創造性、独自性を持っておる面もありますので、これを大いに活用する施策の実施、これを民間活力の活用の定義といえばそれだというふうにお答えしたいと思います。 それから、今それじゃ、具体的に何をやっておるのか、これは総理からお答えがありまして重複になりますが、公的規制の見直し、これも大事なことです。それから東京湾の横断道路、明石海峡大橋の建設等公共的事業分野における民間活力の導入、これに触発されて、いわゆる今おっしゃる四省庁の、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置という長ったらしい表題ですが、これをまとめたところです。そこで、これは通産省に担ってもらいますが、関係四省庁の間で十分論議を尽くし、我々特命室もかみまして、そして十分民間の資金そして創意工夫、そういったものが生かされるように、しかも三分の一以上は民間が資金的にも担ってもらおうということでこの能力活用をしようとしておるところであります。 それから、社会資本整備の分野における国有地の有効活用の推進、これはもう既に申し上げておるところであります。 それからまた、今もちょうど昼休みの時間に、政令都市などで工場が持っております。その工場の跡地の利用がどの程度進んでおるか、これをフォローしてみました。これは相当な数に上っておりまして、現在工事進行中のものだけでも三百六十五件、そして今後事業が予定され、本年度を目途に着工されるものが百四十五件、相当な数であります。これはもうちょっとまとまった段階で改めて御報告を申し上げたい、かように考えております。
○太田淳夫君 各省庁に問い合わせますと、ばらばらな答えが返ってきているのが現状でございますが、いろいろなことを今お話しになりました。先ほど公的規制ということもお話がございましたが、やはり政策としての批判に耐えるような民活としてのものを持たなきゃならないと思うわけでございますが、本来、政策としての民活というものは政府の責任と努力のもとに広く社会、国民にとって望ましい方向にその民間能力の発揮を誘導することでなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、そういう観点からひとつ民活の中核的主体として期待のされる公益法人の問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、公益法人につきましては昨日も同僚委員から質問ございましたが、この実態さまざまあると思いますが、基本的な特質としてはどのようにこれはとらえておみえになりますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 公益法人の本質的な特質と申しますと、公益に関しまして事業を行う社団または財団でございまして、営利を目的としないということになっております。したがいまして、公益に関する事業ということと、それから営利を目的としないというところにその特質性があろうかと思います。
○太田淳夫君 今御答弁ございましたが、公益法人の公益活動については行革審の答申の中にもございますが、私はこのように思うわけです。 一つは、社会公共の利益に貢献する事業を設立目的としていること、今お話しのように営利を目的としないこと、民間自主的な意思によって設立され、その財政、事業運営も自主自立的に賄われ遂行されること、こういう基本的な特質だと思います。この観点からお話をさしていただきたいと思うのですが、公共の利益を目的とする活動というのは何も公共部門独占ではなくて、これらの公益法人が民間の発意に基づいて公益目的を追求するということが現在一段と重要になってきているんじゃないかと思うんです。しかしながら、その公益法人につきましては、この委員会でも取り上げましたように、先般マスコミで問題になりました休眠法人であったあの社団法人ですか日本栄養食品研究所の詐欺事件、そういう例もございました。そういう本来の公益目的たる事業を十分に行わないで収益事業の方に一生懸命になっているものなど、国民の間に公益法人というものは本当に公益目的の活動を的確にやっているのかどうか、そういう疑問を抱かせておりますし、またこの公益法人の制度自体への不信感も助長するに今は至っているわけでございます。 そこでまず、先回問題になりました日本栄養食品研究所の事件、事実関係とこの研究所の実態を明らかにするため、事件の内容、判明事実、刑事処分、同研究所の活動の実態、この事件の発生に伴って厚生省がとった処置などについてお伺いしたいと思うのです。
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの社団法人日本栄養食品研究所の活動でございますが、今回の事件によりまして理事長などが逮捕される以前から、私ども厚生省といたしましてもぜひ実態を把握したいということで調査を始めておったところでございますが、理事長においでいただきまして、法人の活動状況と法人の実態について説明をするように求めていたところでございますけれども、その直前に理事長が逮捕されてしまったという実情があるわけでございます。 したがって、現在法人の活動につきましての詳細については明らかではないわけでございますけれども、私どもといたしましてはいわゆる休眠状態にあったというふうに推測されるものと考えております。理事長の逮捕後は、理事長以外の理事さんとは連絡をとっておりますけれども、法人の実態を承知しておる理事長等が逮捕されておられますために実態把握がおくれておるのはまことに申しわけないと思っておりますけれども、今回の不祥事は公益法人に対する指導監督に不十分な点があったために生じたことということで私ども反省をしておるわけでございまして、今後こういうことのないように指導監督に努めるように考えておりますし、この法人につきましては、事実把握に努めた後、解散させる方向で対処したいと考えております。
○政府委員(岡村泰孝君) 社団法人日本栄養食品研究所の黒田理事長と藤原副理事長につきまして、本年の二月四日と二月二十二日に詐欺及び有印公文書偽造行使の罪で東京地裁に対しまして公判請求いたしております。 詐歎の事実でございますが、被告人両名が共謀いたしまして、社団法人日本栄養食品に国鉄の所有地の払い下げがあるんだといったようなうそをつきまして、日本住宅金融株式会社から三十三億円を詐取したという事実でございます。それから文書偽造でございますが、これも両名が共謀いたしまして、詐欺の事実の発覚を防ぎますために、本件土地の払い下げを認可するといったような内容の日本国有鉄道再建監理委員会作成名義の文書を偽造いたしましてこれを行使した、こういうことでございます。
○太田淳夫君 これは、厚生省の怠慢とずさんな行政について私は遺憾に思うわけでございますが、厚生大臣、このような事件が起こった背景、理由は何だとお考えですか。
○国務大臣(今井勇君) 一言で言いますと、設立認可をいたしました公益法人がその目的が十分達せられるようにやっているのかどうかということを常時指導監督をしているわけですが、なかなかその指導監督が十分に行き届かなかったということにあろうかと思います。そこで、今後はやはり絶えずよく目配りをいたしまして、設立許可をいたしましても、常時動いてないものがあるのかどうか、そういうものについては、その事業再開をできるものはいたしますが、そうでないものについてはもう許可を取り消すというふうなことできちっとした態度をとっていかなきゃならぬと思っております。
○太田淳夫君 私は、公益法人制度というのは、先ほど申し上げましたように、行革審の答申の中にもございますけれども、「民間活力の発揮・推進のための方策」、そのための「地域・社会集団の連帯を助長するボランティア、公益組織活動などの促進」、こういうものがあるんだと答申の中にございますけれども、それが現在は、民間からいろんな資金を吸い上げるような働きであるとかあるいは民活の名のもとに特定企業の利益を図るものとかいう、そういう本来あるべき姿の民活の担い手として大きな期待がかけられているそれを裏切るようなことばかりじゃなくて、この答申にありますように、民活の担い手としての大きな期待を寄せ、それをさらに育てていくのが至当ではないか、こう思うわけです。 特に、今後社会の高齢化あるいは国際化の動きの中で民間ボランタリーの果たす役割はますます重要となります。公益法人の育成発展というのは政府としても本腰を入れてこれは取り組むべき課題ではないか、このように思うわけです。したがいまして、公益法人の育成というものを放置して、民間の努力のみに依存するのは余りにも無責任じゃないか、こう思うわけでございますが、総務庁は公益法人行政について監察を行って、昨年の九月、その結果を勧告しておりますけれども、そこにも問題の所在点というものが浮き彫りになっていると思うんですが、この監察を実施した目的と勧告の概要、これをお答えいただきたいと思うんです。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘のように、休眠法人の整理が不徹底となっている、そこで改善すべき事項が十分認められましたので、六十年の九月十日各省庁に対して勧告をしたわけであります。これはきょうは政府委員が来ておりますから、私、資料もありますが、政府委員から要約して答弁をさせます。
○政府委員(竹村晟君) ただいまの大臣の答弁を補足して御説明いたします。 勧告の概要でございますが、一つは公益に関しない非営利団体、つまり特定多数者のための非営利団体、これにつきましていわゆる中間法人として法人格を付与する道を開くことについて検討すること。それから、休眠法人の整理をさらに促進すること。それから、公益法人に対します指導監督、これは各省それぞれやっておりますので、その方針を統一的に作成すること。それから四番目に、事業内容が大きな利益を伴う特定の事業に傾斜しているもの、こういったものは設置目的に沿いまして公益事業への改善を行うこと。こういったことを主たる内容としております。
○太田淳夫君 総務庁としてはいろいろと努力をされておると思いますし、その姿勢については一定の評価をするわけでございますけれども、勧告の出しっ放し、あるいは通達の出しっ放しであってはならないと思うのです。今民活あるいはそういったものに対して内容が伴わないような批判もありますが、そういうことにこたえるためにも政府は本来の民活政策としてこの公益法人活動を育てていく基本政策を確立すべきじゃないか、こう思うわけでございます。 今お話しのとおり、各省庁たくさんの公益法人を抱えているわけでございまして、それぞれが各省庁で担当してその是正に努められるということでございますけれども、やはりこれは政府として当然取り組んでいかなきゃならないと思うのです。 そこで、総務庁勧告の中で指摘をされております休眠法人、これが悪用されて不正事件を起こしていることは、これはもうここで取り上げられてきた周知の事実でもございます。この休眠法人の存在自体が好ましいものではないと私は思っておりますが、政府としてはいかなる休眠法人の対策をしてこれを是正し、効果を上げようと考えてみえるのか、その点どうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) 今既に御報告したとおりでありますが、勧告をしてそれが各省庁において行われなければ、やはり監察に付するということもありますから、当然厳しく今後も取り締まっていきたいと思います。
○太田淳夫君 具体的にはどうやってやるのですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 具体的に各省庁がまず自主努力でチェックをしていただいております。したがって、その結果をフォローしまして必要があれば監察に付する。詳細に言えばそういうことになります。
○太田淳夫君 法務省にお尋ねしたいのですが、現在公益法人の中には公益でもなければ営利でもない、いわゆる中間法人が混在をして、これらの法人が大々的な事業を行って公益法人に対する税金の優遇措置を受けているなど、状況は非常に不合理になっているのですが、この公益法人とは別の中間法人としての法人格を与える道を開くよう総務庁は勧告していますけれども、法務省ではこれについてはどのような検討を行っておりますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいま御指摘のように、公益法人の中には厳格な意味では非公益また非営利というようないわゆる中間法人的なものが今存在をしておる。そういうものがまざっておるために公益法人の公益性というものが峻別しがたいものがあるという批判がございまして、そういうものを分けるためには、いわば現在の公益法人と商事会社との中間にある中間法人制度を設けるべきであるというふうな御指摘があるとおりでございます。 その点につきましては、私どももかねがね問題意識を持っておりまして、法制審議会においても一時検討されたことがあるわけでございますが、しかし中間法人一般をどういうふうにして構成していくかということになりますと、これはあらゆる分野にまたがるあらゆる形態のものが予想されるわけでありまして、法技術的には大変難しいという問題がございます。そういうことで、一つの研究課題として私ども受けとめておりますけれども、まだ現在具体的な中身にまで検討が及んでおるという状況ではございません。
○太田淳夫君 今の御答弁のような状況であってはなかなか進まないんじゃないかと思いますが、この公益法人の指導監督権というのは先ほどからも答弁が繰り返されておりますが、各省庁に分散されておりまして、政府としてはその統一的、総合的な施策が従来ほとんどとられてきていないというのは事実でございます。ですから、総理府がしっかり総合調整をやれと勧告にもあるわけでございますけれども、このような状況の中で、総合調整といいながら単なる連絡やあるいは会議あるいは拘束力の弱い申し合わせ程度でお茶を濁すような総合調整なら、むしろこれはやらない方がいいんじゃないかと思いますが、政府としてこの公益法人制度の総合調整体制についてやはり抜本的な見直しを行って強化すべきじゃないかと、このように考えますが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは、後から官房長官から御答弁があるかと思いますが、その勧告に従いまして総務庁としては、各省の官房長、これを内閣官房に集め、そして協議をしておるという状況でございます。だから、完全フォローをしておるわけであります。
○国務大臣(後藤田正晴君) 公益法人は、仰せのように各省みんな抱えておるわけでございまして、数も約二万ばかりありますし、数が大変多い、対象が多いというようなことでいろんな御批判を受けておるわけです。したがって、公益法人行政はやはり整合性を持ってその趣旨、目的に沿った活動が必要である。こういうことから皆さん方の御批判にもこたえまして、総理府が総取りまとめ役となって、各省の官房長をもって構成する連絡会議で、御指摘のような廃止の基準であるとかあるいは監督行政のあり方であるとかというようなことについて、現在総理府の方で各省とともに公益法人行政の改善に向けてせっかく努力をしておりますので、その努力の成果をひとつしばらく見守っていただきたいと、かように思うわけでございます。
○太田淳夫君 努力をしばらくの間見守っておきたいという御答弁でございますが、非常にこれは意欲がないように感ずるわけです。 今までも何回も申し上げましたとおり、公益法人の活動をそれぞれ各省庁で掌握をし、進めておるようでございますけれども、やはりその公益法人の活動というものがそれ本来の趣旨にふさわしい展開をされない限り、今後いろいろと社会的な要請、多面化してくると思いますし、あるいは国際社会における我が国のあり方など考えますと、民間公益活動の使命と重要性というものはますます高まってくるのじゃないかと思うんです。そういう趣旨でこういうものがつくられておるわけでございましょうし、行革審の勧告の中にも民間活力の発揮、推進のための方策としてそれが挙げられているわけだと思うんですね。ですから、こういうものをやはりしっかりとその使命、重要性というものを見据えながら政府として統一的にやっていかなければならぬ。これは各省に任しておいても進まないのじゃないかと思うんですね。 先ほどからも話がありますように、こういう一生懸命やっている公益法人もあるわけです。その一方では、このように休眠しておりまして、それが悪用されるような公益法人もございました。あるいはもうけ主義あるいは悪徳不正が一部で行われているということもありました。あるいは役所の隠れみのとして税金浪費機関となっているような弊害も間々あることも聞いております。そういうやはり乱れているような公益法人の現状というものを、先ほど法務省から御答弁ありましたけれども、明治時代からの民法第三十四条以下の法文で一律に対処しようとしても、もういろんな働き、機能というものが広がっている今、なかなかこれは対処し切れないところに問題があるんじゃないかと思うんです。 ですから、政府が民間活力の導入ということでいろいろとおやりになることは結構でございますけれども、まずこの本来の公益活動をまじめにやっている法人あるいはそうでないものをはっきりとここで振り分けていく、そういうことも必要じゃないかと思いますし、本来の活動をしている法人に対してのみ税制上の厚遇措置というものを与えるなど、また行政監督面を含めた公益活動の振興を目的とするような公益法人基本法というものを私は早期に制定をして、それぞれの役目というものを明確にしながら、総務庁の守備範囲だけでなくて全政府的にこれに取り組んで、中曽根総理の言うような民間活力、そういうものに役立たせるようにする本格的な体制というものをとることが必要ではないか、こう思うわけですが、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公益法人につきましては、かねてからいろいろ御批判をいただいておりまして、特に休眠法人初め不活発なもの、存在意義の薄れたもの等について監督を強めておったところでございますが、御趣旨を体しまして、さらに一層効率化及び休眠法人等の整理あるいは活用に努めたいと思います。
○太田淳夫君 時間が少なくなりましたので、最後に一言だけ、中部空港の問題についてだけちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、中部新国際空港の調査会、中部空港調査会が発足いたしまして、今新空港のスタートについたわけでございますが、この中部圏の問題につきましては、前々回のこの委員会でも私申し上げましたけれども、やはり中部圏の再活性化ということが非常に日本の国土のバランス上からいっても重要な局面になってきているんじゃないかと思うんです。そういった意味で、この中部新国際空港、これは関西国際空港でもやはり十何年の年月たっているわけでございますから、そういきなり急にはできない問題だとは、そういうことはよく考えておりますけれども、やはりこれからの将来というものを見通した場合に、いろんな意味でこの重要性が今出てくるものだと、このように私なりに考えております。 そういった点で、運輸大臣から、この中部国際空港についてのいろいろな見通し、あるいは民活大臣として活躍されている江崎さんも会長でございますし、何かこの推進のために決意もあろうかと思いますし、最後に総理からもまとめて御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 本件につきましては、江崎特命相、地元国会議員代表としてたびたび御苦労をいただいておるところであります。 御指摘のように、小牧空港は能力をまだ五〇%程度持っております。そういう中で、かねがね地元を中心に海上空港をつくりたいという御熱意は十二分に承っております。また地元で調査会をつくり調査を進めておりますことについても敬意を表するところでございます。 いずれにいたしましても、中部圏、日本の中心に相なっておる可能性の高い地域にかんがみまして、長期的な観点から、真剣にこれを検討してまいる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 激励を含めての御質問でございますが、まさに今お答えがありましたように、小牧国内空港ですが、キャパシティーがまだ余っておるんです。したがって、貨物の積み出しては名古屋港というのは日本一ということが言われております。特に八十億ドルもアメリカに部品を昨年、一昨年続けて出して、水平分業をやっておるというような関係もありますから、そういう面からも始める手があると思いますし、それから仰せの公益法人も立派なものができまして、調査にかかっておりますので、あなたとも御協力をしながら大いに努力をしていきたいということと同時に、コミューターの問題で例えば岐阜県とかあるいは長野県とか、あの中部圏一帯にキャパシティーがあるというなら、今度は相当なウエートが広がりましたので、コミューター問題を取り上げていただくのも今後の国際空港へのいわゆる中部国際空港、二十四時間体制のデモンストレーションにもなるし、また地元の活性化、利便にも供せられるというふうに考えます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中部圏の各県及び財界あるいは労働団体、市民団体等からも強い御要望がある様子であります。既に調査に入りまして専門家を網羅して調査検討を始めておる由でありますが、政府としても大きな関心を持ってこれを見守ってまいりたい。調査が終わって意見が出てまいりましたらこれを真剣に取り上げて検討してみたいと考えます。
○委員長(安田隆明君) 以上で太田淳夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、瀬谷英行君の質疑を行います。瀬谷君。
○瀬谷英行君 農水大臣の御都合等もお聞きいたしましたので、順序を私の方では若干変更いたしましてリサイクル産業の問題について質問をしたいと思います。 先般、一般質問の際にこのことは関係の大臣にもお伺いをしたのでありますけれども、問題は今まで廃油等を回収をして、そして再生をするといったような仕事をやっていた業者が円高のあおりを食ってパーム油の輸入に押される、そして倒産をするというような事態が出てきた、こういう問題であります。その後また私も、具体的な問題を一つ聞きましたが、例えば大宮では屠殺場に入ってその油を回収する業者が倒産をしてしまったために屠殺場の回収ができなくなった、こういったようなことも聞いたわけであります。もし、これが夏場になりますと、悪臭を放ってえらいことになるだろうというようなことも言われております。これはもう完全な環境汚染ということになりますので、それらの点について総理から、一体どのようにこの零細業者に対する対策というものを考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(羽田孜君) まずお答えを申し上げたいと思います。 パーム油につきましては、このところ国際的に非常に輸入価格というものの市況が下がっておるということで、特に今輸入がふえておるという現状でございます。そういう中で、特に廃油の回収業の方が、今先生から御指摘のとおり、非常に困難な状態に陥っているという現況がございます。私どもといたしまして、これがそのまま放置されるということになると、今御指摘がありましたように、これは汚染問題等が発生してくるということもございます。 そういう中で、私ども農林水産省としてとれる措置というのは、輸出国の皆様方に秩序ある輸出というものを要請していきたい。そういう措置を私たちとしてはまずやることが必要であろうというふうに思っております。それと同時に、先日もちょっとお答えを申し上げましたけれども、今廃油の回収の状況というものは一体どうなっているのかということを私どもとしても調査をし、環境庁あるいは通産省と連絡をとりながらでき得る限りの措置をしてまいりたい、かように考えております。
○瀬谷英行君 環境庁長官にもお伺いしたいのでありますけれども、環境問題というのは非常に幅が広いんですね。それで廃棄物の処理、例えば今ちょっと具体例を挙げましたけれども、屠殺場の問題、これは都市の中の問題であります。それから、例えば霞ケ浦の水質の汚濁といったような問題があります。つまり、行き場所がないと湖沼を汚染をするという、あるいは河川を汚染をするという問題が出てくるわけであります。したがって、あらゆる面に目を配らないと環境対策というものは立たないと思うのでありますが、こういう問題について環境庁長官としてはどのように対応されておりますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(森美秀君) 環境を保全するという問題は、これはもう来世紀につながる問題、我々の子供、孫につながる問題でございますから、慎重にして大胆なる政策をとっていかなきゃならないと、こう考えております。一生懸命やっております。
○瀬谷英行君 パーム油の輸入といったようなことは、業者から言わせれば規制をしてもらわないと困るというふうに言われているんです。しかし、貿易の自由な国で余り規制することも難しいということもあるし、他の産業にどういう影響を与えるかということもあるでしょうけれども、しかし零細企業に対する影響を考えた場合には、この輸入の問題についてもある程度は考えざるを得ないと思うのでありますが、その点、通産大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) これは私どもの方の所管だと思いますので、私の方から申し上げます。 これはもう先生御案内のとおり、パーム油は自由貿易物資でございます。そういうことで、国が直接これに介入するということは困難でありますし、また新たに輸入規制措置というものを講ずることは、今先生からお話がありましたように、なかなか困難な状況にあるということを申し上げざるを得ません。ただ、先ほどもちょっとお答えをいたしましたように、この油につきましては、特にマレーシアが中心で一番大きな輸出国であります。こういった国に対しまして、今我が国の状況というものをよく御説明申し上げながら、過度な輸出、こういったものについて考えていただくような要請あるいは話し合い、こういうものをしていく必要があろうかなというふうに考えております。
○瀬谷英行君 農水省では早速この業者に対する窓口の問題でも協力をいただいたそうで、その点は感謝いたします。 それから、総理にお伺いしたいと思うのでありますが、今農水大臣の答弁を聞いてみても、多分に外交的配慮をこれは必要とするんです。しかし、一方においては国内における零細企業に対する救済という問題もあるわけです。外交上の問題でマレーシアあるいはほかの国もあるかもしれませんが、輸入の問題とそれから関税の問題、国内の零細企業の問題、それらを考えた場合の総合的対策というものはどのようにお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) パーム油が自由化されて、最近はまた関税率も引き下げておりまして、そういう意味で国内業者の一部に苦難が襲ってきているということも聞いておるところでございます。しかし、やはり国内業者を見捨てるわけにはまいりません。国内業者に対する抵抗力を強めるあるいは転換を行う、そういうようなきめ細かい配慮を行いつつ調節して、うまく輸入が円滑に行われるようにしていくように努力していきたいと思います。
○瀬谷英行君 それでは、この問題終わります。 今度はちょっと外交問題になりますけれども、「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」という新聞の報道するところによりますと、ニュージーランドの首相が来日を希望しておったけれども、反核運動に対する影響というものを配慮して日本の政府が来日を拒否をしたと、こういう報道があるわけなんです。この点について外務大臣はどのようにお考えになっているのか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そのようなことはありません。先般、中曽根総理がニュージーランドを公式訪問された際に、ロンギ首相を日本に正式招待をいたしました。その後、外交ルートを通じましてこの日程については協議するということになっておりますが、まだ話し合われておらない、こういう状況であります。
○瀬谷英行君 ニュージーランドの、核搭載艦船の立ち寄りを認めないという方針というのは、我が国としても十分に参考にする必要があるのではないかというふうに思うわけであります。非核三原則という方針を立てております以上は、ニュージーランドと同じように、我が国でもアメリカの軍艦が入港するという問題に対処する場合には考えなきゃならぬことではないかと思うんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはニュージーランドの掲げる政策、方針でありまして、ニュージーランド自体の国としての、政府としての方針であろうと思うわけであります。日本は日本なりに非核三原則を国是といたしまして、それをもとに安保条約の運営におきましての事前協議条項というのがありまして、いわゆる艦船の核つき入港というのは認めない、事前協議の対象にする、話し合いになったときはこれを断ると、こういう基本方針を確立いたしております。したがって、ニュージーランドはニュージーランドの考え方、日本は日本の方針ということでありまして、その点について参考とかそういうことではございません。
○瀬谷英行君 アメリカの戦艦ニュージャージーが日本に入港したいという希望があるということも聞いておるのでありますが、具体的な問題になりますけれども、こういうニュージャージーの入港といったようなことになりますと、当然この軍艦が大きな船でありますし、核の積載ということを考えれば、そう簡単に入港を許可していいということにはならぬと思うのでありますが、これらの問題に対する大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 戦艦ニュージャージーの日本寄港につきましては、まだ何らアメリカ政府から日本政府に対して話がありません。したがって、ニュージャージーの入港というのを前提にして御答弁するというのはどうかと思いますが、しかしアメリカの艦船につきましては、これはニュージャージーも含めて、いわゆる安保条約、その関連規定によって対処するということで終始して今日に至っております。
○瀬谷英行君 具体的にこのニュージャージーの問題が起きたらどうするんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ仮定の話でありまして、正式な話はないわけでございますが、日本としましては安保条約をアメリカと結んでおるわけですし、その関連規定もお互いにこれを遵守しなきゃならぬと、こういう形までございますから、核兵器を搭載して入港するという場合は事前協議の対象になるわけでございますが、そうでない限りにおいては安保条約上これを基本的に認めるというのが日本の政府の立場であります。
○瀬谷英行君 実際の問題として、これは中に立ち入って調べるわけにはいかないでしょう。相手の言うことだけを信用して、じゃ、どうぞというふうに言っていいものかどうか、それが非核三原則と抵触しないのかどうか、その点どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 立ち入って調べるわけにはまいりません。お互いにこれは信頼関係でありまして、条約はまさに信頼関係の上にあるわけでございますから、その信頼関係に基づいて安保条約というものが機能するわけでありますし、安保条約、その関連規定におきまして、いわゆる核につきましては事前協議の対象にするということを両国間で合意をいたしておるわけでございます。したがって、事前協議にかけなければならないというのがアメリカの義務でありますし、これを無視してアメリカが一方的に入港するということは、安保条約そして両国間の信頼関係から到底あり得ないということでございます。
○瀬谷英行君 非常に話が形式的なんですね、実質的じゃないんですよね。核は搭載しないとかなんとか言ったって、そんな四万トン、五万トンという船で、最新装備の船がそんなものは持っておりませんと言ったって信用できる話じゃないんですよ。その点からいうと、やはりニュージーランドの例えばロンギ首相の来日については、今大臣は、決してお断りはしていない、こうおっしゃったけれども、ニュージーランドのような疑わしきものは入港を認めないといったような基本方針をとった方が間違いないんじゃないかと思うんですが、これはどうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはニュージーランドはニュージーランドの方針でございますから、我々とやかく言う筋はないと思いますが、日本は日本としての確固たるいわゆる非核三原則というものを持っておるわけでございますし、同時に安保条約、それに基づくところの事前協議条項というものを日米間で合意しておりますから、その信頼関係が守られている以上はこれは大丈夫であるというのが、これは当然政府間の条約の場合はやっぱり信頼というのが前提でございますから、そういう意味においては我々は何らの疑いを持っておりません。なお、艦船の入港の場合には、いわゆる核搭載能力とそれから核そのものの持ち込みとはこれは明らかに別でありまして、ニュージャージーが核搭載能力を持った軍艦であるとしても、実際に核を持ち込む場合にはこれは事前協議の対象になるわけでございますし、その辺のところははっきりいたしております。
○瀬谷英行君 どうもあいまいもことしてつかみがたいものがありますが、この問題は終わります。 きょう、和田質問に対して総理がお答えになったことの中の余剰人員の問題なんです。安全面の心配はないのかという質問がございましたし、人身事故の場合等はどうするんだという質問もありました。その際に総理は、私鉄に比較をしてやはり国鉄の方が人間が多過ぎる、電車が入ってきたときには国鉄の方が出てくる職員は多いのじゃないか、こういう意味のことをおっしゃったのでありますが、その点をもう一度確かめてみたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が行管長官のときから国鉄と私鉄の職員配置の比率等も調べており、その後の変化もフォローしてみましたが、やはり多いようであります。それで相当な過剰人員の整理に入っているんだろうと思います。そういう感覚から申し上げた次第なのでございます。
○瀬谷英行君 私は、きのう朝、実際に七時台の新幹線、埼京線、武蔵野線、これに乗ってみました。そして武蔵野線で乗りかえる際に、駅長にもいろいろ聞いてみたんですよ。ホームに一体どれだけの人間が配置されているかと言ったら、武蔵野線も埼京線もゼロだと言うんです。総理は国鉄の方が人間が多いようだと言うけれども、ゼロじゃ、これは多いということないでしょう。国鉄の方はゼロだと言うんですよ。四つのホームがあって全部ゼロだと言うんですよ。しかもその際、駅長室へ行ってみましたら、間仕切りをして急に予定になかった駅長室こさえたというんで、四畳半ぐらいの小さな部屋です。小菅の刑務所の独房みたいなところに入っているんですよね。それで朝七時から駅長出てきて、人数が足りないからともかく一生懸命手伝わなきゃ間に合わない、こう言っているんです。その際に資料をもらいました。この資料を見ましたら、旅客収入がグラフにとってある。それと同時にサンクス収入というのがあって、これは一体何だと言ったら、売店だそうです。それからもう一つ、中浦和の駅はそば屋の収入が書いてあるんです。 つまり、私が乗った経験では、大宮から出発をする通勤新線も、それから武蔵野線もいずれも満員なんですよ。立錐の余地もないほどいっぱい詰まっているんです。にもかかわらず、ホームの人間はゼロなんです。一人もいないんです。職員は全然配置してないで改札係は一人しかいない。一人しかいないということは、あれ以上減らしようがないということです。そういう状態で運営が毎日行われています。しかも、駅長がこさえているこのグラフは、そば屋の売り上げが書いてある。本来の安全対策等についての要員は全然配置してないで、そば屋をやらしている、あるいは売店をやらしている。こういうのはどうも本末転倒じゃないかという気がするんですが、これはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 場所によっていろいろな情勢があり得ると思います。最近の情勢については国鉄当局から改めて答弁さしても結構ですし、運輸大臣あるいは運輸省の政府委員に答弁させます。
○説明員(杉浦喬也君) 私鉄との対比におきまして私鉄的効率性というものを追求するというのが今の方向でございますが、その際におきまして、今先生がおっしゃいましたような安全面、この点につきまして本当に最重点に今私ども考え、一回たりとも事故というもののないように一生懸命やっておるつもりでございます。具体的に個々の駅の配置その他でいろんな御指摘があろうかと思いますが、そうした場合におきましても、安全面の備えというものは十分に考慮の上そのような仕組みにしたというふうに私は思っておるわけでございますが、今後とも十分にそういう面で安全対策は気をつけてまいりたいと思っております。
○瀬谷英行君 そうすると、安全面に気をつけてそば屋やらしているんですか。ホームにはだれもいないんですよ。乗降客はもう満員なんですよ。ところが、職員は一階下の立ち食いそば屋の方をやっているんですね。その成績がこのグラフになって出てきているわけですよ。このそばの売り上げなんかを成績の評価の基準にされちゃ困ると思うんです。駅の立ち食いそばなんというのは赤坂の料亭とはわけが違うんですよ。わざわざ食いに来る人いないと思うんです。昔落語には「時そば」というのがありましたが、ああいう味わいは駅の立ち食いそばにはないですよ。時間の合間を見てかき込むだけなんですから、情緒も何にもありはしない。好んで駅へ食べに来る人もいないでしょう。そうすると、その売り上げ実績を幾ら統計にあらわしてみたところで、余りこれは安全の面には寄与しないと思うんですが、どうですか。
○説明員(杉浦喬也君) おそばの売り上げと安全とは関係ないと思います。しかしながら、それだけではないわけでありまして、本体の鉄道事業、特に安全輸送という面につきましては十分配慮をした上での話というふうに御理解をいただきたいと思います。
○瀬谷英行君 安全面を十分配慮した上でそば屋をやらせている、あるいは売店をやらせている、うどん屋をやらせている、コーヒーを売らせている、こういうことになっちゃうんですよ。実際にホームには一人もいないんですからね。 なお、駅長に聞きました、人身事故等はなかったのか。飛び込み自殺があった。飛び込み自殺なんかやられると、ホームに人が一人もいないんですから、そこの駅では処理ができない。隣の駅に応援を求めなきゃならぬ。隣の駅からだって、電車がとまっているんだから電車じゃ行かれない。どうしようもないわけですよ。助けを求めて人が行くにはいいかげん時間がかかる、飛び込んだ人は切られちゃっているんだから一人じゃどかない、こういうことになるわけでしょう。それでうんと時間がかかったということを聞きました。最近京浜東北線でも飛び込み自殺があったというと電車がとまっちゃってしばらく動かないんです。何でああいう飛び込み自殺があったときにこうも時間がかかるんだろうかと思うと、やっぱり人間の配置がないからなんですね。人間の配置が全然ないからああいうことになると思うんですよ。 今、一生懸命総裁は、安全面を配慮しましてそば屋をやっております、売店をやっております、うどん屋をやっております、こう言うんですが、安全面とは関係ないと思うんですが、どうですか。
○説明員(杉浦喬也君) いろんな直営売店の考え方というのは、これは各管理局、各駅でそれぞれいわば民営的な感覚を持ってやろうというような意識のあらわれから各所でそういうことが行われております。これはある意味では一つの勉強といいますか、収支の関係の勉強というような形におきまして、売り上げそのものは小さくてもいろんな意味で経営感覚を養うということで裨益していると思いますが、そういうことだからといって、本体、これはあくまで重要であるわけでございますし、またそれぞれの駅、管理局におきましてもそういう点を決しておろそかにはしておりません。十分にその辺の配慮をした上で、なおかつ余業といいますか、直営売店的な行為をしているというふうに私は思いますが、なおそうした面で遺憾のないように、先生の御趣旨も十分に承知いたしまして今後運営をしていきたいと思います。
○瀬谷英行君 私は、七時から八時までの間、こういう上越新幹線やら武蔵野線やら埼京線やら、みんな乗ってみたんですよ。そしてホームを確認しましたよ。駅長の報告を聞きましたよ。人の配置が全然ない、私鉄並みどころじゃない、実際にこういう話を聞いたんです。飛び込み自殺でもやられると困ってしまうというんですよ。幾ら困ったってあれは禁止する法律もないし方法もないし、そういう事故が起きた場合の対応策は全然これはないわけですよ。 何か安全の面に配慮しておりますと言うけれども、実際には配慮してないんですよ。とすると、この九万三千という余剰人員そのものに問題があるんじゃないか。この間、小柳委員からも質問があったと思うのでありますが、その方式のとり方が問題だというんです。私鉄は六十一社を取り上げて、国鉄は全国からの地域地域でもって比較をしたというんですが、私鉄というのは過密地帯にしかないんですよ。国鉄は過疎地帯にもあるんです。そういうものを比較すれば、やっぱりあらわれてくる数字も偏ったものにならざるを得ないと思うんです。それが実際には今私が指摘したような問題となってあらわれているんじゃないかと思うのでありますが、その点いかがですか。
○説明員(杉浦喬也君) 職員のあるべき姿、人数というものについて監理委員会等の御検討の結果は、一つの回帰式といいますか、私鉄というものをモデルにしました式によりまして、これは全般としまして人数をはじいておるわけでございます。私どもはそうしたことを頭に置きながら、なおかつ現場の個々のものにつきましてどのような人間をどのように配置したら一番効率的であり、かつまた安全、サービスの面も保たれながら鉄道輸送というものを円滑にできるかということを今詰めつつあるわけでございまして、そうしたことも考えながら今後も合理化を進めていくつもりでおります。
○瀬谷英行君 合理化を進めるといったって、ゼロのところはそれ以上減らしようがないわけですね。一人のところは、減らせばゼロになっちゃうわけです。これはどうやって合理化を進めるのですかね。これはもう限界があると思うんですよ。だからそういう点、単純に総理は、さっき国鉄の方が人が多い、電車が入ってきたときに出てくる職員の数は多いと言いましたけれども、ゼロなんだから、実際に多いはずないんですよ、これは。だから、監理委員会の連中の言っていることは、総理にでたらめを言っているのですよ。だから私は、きょうのように時間のないときには監理委員会を呼ばないんです。言ったって本当のことは言わないし、そういう抽象的なことしか言えないわけですからね。 そこで私は、まとめて申し上げたいと思うんですけれども、この答申が果たして実行できるかどうかという点についての疑問があるんです。それは例えば北海道、九州、四国、三島の経営が成り立つかどうか。きのうもこれは和田委員からも質問がございましたけれども、成り立たなかった場合にどうするのか、だれが責任を負うのか、こういう問題がありますよ。その点について、きのうは運輸大臣から背水の陣だとか絶対に成功するという意味の御発言がございましたけれども、これは内容的にはかなり難しいのですよね。経営は、自信がおありになるのかどうか再度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 昨日もお答えを申し上げたわけでありますが、例えば北海道、監理委員会は単年度利益九億というふうにはじいております。五十八年度の国鉄の収支、赤は三千百六十一億と、こういうふうにはじいておるわけですね。この差はまさに人員が軽量経営に徹するという意味で追加費用等も没にするわけでありますから、千九十四億マイナスに相なります。あるいは物件費百五十九億減にいたします。こういうことにプラスをいたしまして五千億近い基金を付与することによりその運用益が経営に加味してまいり、穴を埋めるという意味で三百六十六億がこれにプラスに相なりますと。大ざっぱに言いまして、そんなことの中で六億という収支計算が出てまいりました。 政府といたしまして、これは五十八年決算でございますから、五十九年決算に基づいてどのような収支計算に相なるか、ただいま精査をいたしておるところであり、六十年推計もこれをやらさせていただいておるというところでございます。いずれ法案の審議の段階には明確に、昨日申し上げました私の収支はこの方式で参りますならば確実に、わずかではあろうとも黒字が計上できるのではないだろうかということの客観的な裏づけをお示しすることができるのではないだろうか、このように思っておるわけでございますから、あくまでも今回お出しをいたします改革案は、背水の陣の中で打つべき措置を全部打たさせていただいた、こういうことで、また法案審議の中でこれ以上に立派な建設的な御提言がありますれば拝聴しつつ、政府原案の提案を我々はべストだと思っておるわけでありますので、その辺のところのお取り進めをさせていただきたいと思います。 なお一点、人員の問題でありますが、これは安全が運輸政策の基本であり政府の方針であります。それと、まさに東京は黒字地域であります。しかしながら、同時に全国一律でやりますと、北海道、四国、九州、昼間は走らない列車ダイヤの中で相当の人員が、その列車ダイヤ、安全を守るためにそこに張りついておるということも事実であります。そういう意味で、こういう大都会に全体のバランスをとるという意味であるいは埼京線にさような点が出たのかなと、お話を承ってそのように感じましたし、私も早朝起きて、今度は予算でも通していただきましたならば、朝見させていただき、瀬谷先生の多かれたコースを検証して御議論をさしていただき、またひとつ御提言を賜ると、こういうことで取り進んでまいります。
○瀬谷英行君 それじゃ、貨物の問題についてお伺いしたいと思うんですが、この間も貨物会社の問題についてお聞きいたしましたが、どうもはっきりしないですね。今まで二千億の赤字だったのが一挙に十六億の黒字になるというこの方式が我々にはわかりにくいです。そこで、どのような作業が行われて、現在どこまで進展しているのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(棚橋泰君) 先生の御質問にございましたように、国鉄の貨物は現状では大変大きな赤字を生じておるわけでございます。したがいまして、再建監理委員会におきましても、従来のような方式の貨物営業というものではこれを分離しても採算が成り立たないという意味で、いろいろ具体的な御提言をいただき、それに基づきまして運輸省、国鉄においてある程度の計算をいたしまして、その結果を踏まえまして昨年の十一月に一応のめどというものをお出しを申し上げたわけでございます。 ただ、その際は時間的問題もございましたし、基本的に従来のようなヤード経由の、ヤードにかけて一つ一つばらして運行するというような貨物形態を一切やめまして、基本的には二点間の直行の貨物、さらには専用貨物、荷主さんの特定しております専用貨物というものに集約する。そしてさらに、それらの荷物の販売方法というのを、従来の個々の荷物をばらばらに売っていたという形から、大きな荷主さんとか通運会社というようなものに基本的には列車単位で販売をする、そういう形に切りかえるというような販売方法でいわゆる荷物をギャランティーしていただく、こういうような形の販売方法に切りかえる。したがって、そのような形では設定できないような貨物列車はある程度集約させていただく。そういう意味で若干の駅集約というようなものも盛り込んだ基本的な考え方で計算をしたわけでございます。 その後、今申し上げましたような考え方に基づきまして、具体的に個々の列車、個々の荷主さんというものに対してそういうものが現実に販売できるかどうかというようなことを含めまして一本一本の列車設定について積み上げというものをやってきておるわけでございます。 また、要員等につきましても、基本的には採算が成り立つためには人件費の比率というものを収入に対して一定限度に抑えなければいけない、そのための要員配置が可能であるかどうかということにつきまして、これも職種その他州に一応の積み上げを昨年いたしましたが、さらに正確な積み上げというものをやっておるわけでございまして、その結果を昨年の十一月には一応、先ほど先生の御質問にございましたような膨大な赤字がある国鉄を、ただいま申し上げましたようなやり方で貨物を全国一方の会社で設定するということにいたしまして、さらに旅客会社と同様に、例えて言えば共済年金の追加費用の負担とか従来の過去の債務の切り捨てというようなことを同様な形で行いました場合には、一応採算可能なものとして運営できるんではないかという試算をいたしたわけでございますが、それをさらに先ほど申し上げましたような形で詰めまして、そう遠くない時点でその結論を得たいということでございます。 ただいま作業途中ではございますけれども、十一月に出しましたと同じように貨物会社として成り立っていくのが可能であるというような結論が得られるものだというふうな感じを持っております。
○瀬谷英行君 半年たったってまだ収支の計算ができないんですよね。それはやはり幾ら計算してみたところで、十五から十を引けば五という数ができるけれども、あべこべに十から十五を引けばだれがやったって、小学生がやったって大学の先生がやったって、それはマイナスにならざるを得ないんです。結論がまだ出ていない証拠なんじゃないですか。それでなおかつ貨物会社を発足させて成り立ち得るという自信があるのかどうか、再度お伺いしたいと思うんです。
○政府委員(棚橋泰君) 時間がかかっておりますのは、先ほど申し上げましたように、具体的に成り立つかどうかの積み上げというのは、荷主さんとか通運会社とが相手方のあることでもございます。そういう意味での折衝その他に時間をとっておるわけでございまして、基本的には昨年十一月にお示しをいたしましたように、わずかではございますが、黒字の出る貨物会社として出発できるという自信を持っておるわけでございます。
○瀬谷英行君 それは希望的観測というものだろうと思うんですよね。結局だれが考えてみたところで、別会社になって別経営になって、今までより金がかかるようになって、そして赤字が黒字になるなんてこんなばかなことないでしょう。それはそういうふうに運べばいいんだと言ったって、それは毛針でもって鯨釣ってこいと言うようなもんですよ。これはそううまく釣れるものじゃないと思うんですよね。そういう計算、そういう前提に立った黒字じゃないかと思うんですが、通産大臣喜んでおりますが、どういうもんでしょうかね。
○国務大臣(三塚博君) 本件も瀬谷先生、大専門家ですから大体おわかりいただいているわけですが、問題はやはり軽量経営、合理化であります。今日時点で六万三千程度の要員を抱えて貨物のシェアがどんどん下がっている中で運行いたしておるわけでございまして、新しい経営形態は一万二千五百程度ということでこれに対応していかなければならぬだろう、こういうことでありますし、貨物の取り扱い駅も四百二十二を三百以下に抑えますことによって、また経費の節減を図らさせていただく等々の措置を講じつつバランスをここで積み上げる。しかし、それだけではいけませんものですから、政府委員答弁のように、一線ごとにそれを積み上げていく、またルートごとに積み上げていく、往復で貨物が組めるようにそれをするということを今最終的の詰めとしてやらさせていただいておりますし、もう一つ大事な点は通運との関係であります。 通運は鉄道と一体となって運営し、日本通運株式会社などというのは鉄道によって今日の大をなしてきたと私は思っております。そういう時点でございまして、まさに通運、日通も今度は鉄道会社に寄与していただく、こういうことの中で、株式会社ではありますが運命共同体として、また今日までのそういう点に加味した点で共同経営のような気迫の中でこれをドア・ツー・ドア体制を完成する。通運は通運の利益を守るんだということでやりますならば相対立するわけでありますけれども、やはり物流業者という立場の中で鉄道と陸送とドア・ツー・ドアと、こういう形の中でそれが行われるということに相なりますれば、これが競争的共存という望ましい姿に相なっていくでありましょうし、運輸省としてその方向でこれを指導し助長してまいらなければならぬと思っております。 いずれにいたしましても、最終の積み上げたデータも、委員会における本格的御論議に入れば、審議が始まる前には御提示を申し上げまして、そしてまた十二分の御論議をお願いを申し上げる、このようにいたしておるところであります。
○瀬谷英行君 それでは、清算事業団の運営なんですけれども、この清算事業団の収支が一体どうなっているのか、収入と支出の対比をした場合には一兆円近い不足が出てくるのじゃないか、政府の対応は一体どういうふうになっているのか、この点もお伺いしたい。
○政府委員(棚橋泰君) 精算事業団は二つの責務がございます。一つは、長期債務の返済でございます。それからもう一つは、臨時の業務といたしまして三年間に余剰人員四万一千人の方の再就職のための職業訓練等々でございます。前者の債務の償還をいたしますためには、新しい経営体が引き継ぎました残りの長期債務をすべてこの清算事業団に引き継がせまして、そこで一定期間をかけて返済をしていくわけでございますが、それは従来から申し上げておりますように、用地といたしまして監理委員会の試算では五・八兆円というものをできる限り効率的に売却をする、そのために宅地造成等の業務をいたします。したがいまして、それの売り上げの収入、そしてそれによる償還、それから残りました十六兆七千億と想定されております長期債務につきまして、これを場合によれば借りかえ等を行いながら一定期間をかけて償還をしていく、こういうことでございます。したがいまして、それらの業務につきましては、債務の種類とかそういうもの別に償還期がいつ到来するかというようなことを見まして、歳入歳出それぞれを立ててしかるべき処理をしていく、こういうことになろうかと思います。 余剰人員の方は、四万一千人の方を三年間かけて再就職ということでございますので、そのためにその四万一千入の方々のための必要な給料のお支払い、それから再就職等の訓練のために必要な経費、それから雇用の場の確保のために必要な経費等々を必要によって計上するということでございます。
○瀬谷英行君 清算事業団も収支十分に償うという仕掛けにはなっていないような気がする。政府の長期債務の処理方策についても、この余剰人員対策が終わる時期までに財源を充てて処理することになっているけれども、そうすると六十五年度まで一般会計等の財源措置はないということなのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(棚橋泰君) まず、基本的な収入といたしましては、用地売却等を行いますとその収入がございます。ただ、この用地売却計画はまだ詳細に立っておりませんので、そういう点につきましてはもう少し先になろうかと思います。 一般会計から繰り入れがあるかということでございますけれども、閣議決定でも決定いたしておりますように、国の歳入歳出等の見通しとの関連で、一定期間を経たところで最終的に財源等についての結論を得る、こういうことになっておりますので、その一定期間というのは、場合によりますと必要によれば借りかえ等によって処理をする場合もございますけれども、これにつきましても国において必要な助成、融資等を検討する、こういうことに閣議決定でなっておりますので、その段階でそれなりの判断をいたしていきたいと思っております。
○瀬谷英行君 また借金をするということにも聞こえるのでありますけれども、大蔵大臣どうですか、この点は。
○国務大臣(竹下登君) 今審議官がお答えしたことに尽きると思っております。
○瀬谷英行君 借金をしなくとも、つまり一般会計の方は面倒を見なくとも大丈夫だと、こういうことですか。
○政府委員(棚橋泰君) 先ほど申し上げましたように、一般会計がどうかは、これはまだ確定的ではございませんけれども、国において所要の助成等の措置を検討することになっておりますので、その中において場合によれば一般会計からの繰り入れ等はあり得ると考えております。
○国務大臣(三塚博君) 今、審議官がその基本的考え方を申し述べました。これは、余剰人員ということで公的機関が六十二年から六十五年までの間四万人余抱えるわけであります。ですから、この方の給料もきっとお支払いをしてまいらなければなりません。また訓練費、職業転換のための所要の経費等々、必要となるものはそこにありますわけでございますから、本件についてこれは知らぬというわけにまいりません。 国家的な大事業でございますから、政府委員が言われますように、この財源的措置については借りかえの措置等を講じるなど、さらに必要なものについては長期債務、いわゆる国鉄債務の解消のマクロな取り組み方の中でこの件についての処理を行ってまいるということに相なりますから、この清算事業団がこれによって新たに赤字が発生し、そのことで国鉄経営、いわゆる鉄道経営体、旅客、貨物にそれが振りかえっていきましたり、そのことによってだめになったりと、こういうことのございませんように、その境界だけは明確に区割りをしつつ、まさに清算法人としての立場の中でこれを行わしめる。順調にスタートする場合には、私、主管大臣として財政当局にそれだけの措置を講じなければなりませんし、それはあくまでも清算法人が行き詰まった段階の話でありますけれども、行き詰まりませんように融資その他の所要の措置をとる、こういうことに相なっておるわけでございますので、それで取り進めてまいるということになります。
○瀬谷英行君 いずれも財政的に成り立つかどうか、怪しい話ばっかりなんですよ。どれもこれも綱渡りなんですよね。抽象的な言葉の上だけはごまかしがきくかもしれない。発足をするというとこれは数字が具体的になってきますから、そのときに立ち行かなくなったらどうするかという問題を考えないわけにいかないんじゃないかと思うんです。その点を我々は心配せざるを得ないんですけれども、総理、その点どう思いますか。
○国務大臣(三塚博君) お答えしますが、本件につきましては、政府は閣議決定の中で最終的に国の責任においてこれを処理するという大方針を明確にいたしたわけでございます。このことは法令の中にも明確に相なっておるところでございますものですから、逃げも隠れもしない。またそうあってはならない。そういうことでこれに取り組むという点で、当初のあるいは一、二年の操作がそこに借りかえ等によって存在いたしましょうとも、その出た十六兆七千億、最終的でありますが、それを少なくするように努力をしなければなりませんけれども、仮の話でありますが、十六兆七千億あるいはプラスアルファということに相なりましても国の責任においてこれを処理してまいる、このことが明確に相なりましたから改革をこのように法律化さしていただきまして御提案を申し上げた、こういうことであります。
○瀬谷英行君 大臣が逃げも隠れもしなくたって、赤字が出たらこれは倒産しちゃうわけですよ、民間会社だったら。 そこで問題は、逃げも隠れもできないのは、今度、余剰人員の問題ですよね。この余剰人員の問題だって、本来ならば、これは法案が提出をされて審議に入って可決をされるというところまで行かない間は、余剰人員というものを先に決めてどんどんその処理をするというようなことはやっちゃいかぬことじゃないかと思うんですよ。私は、これはもう憲法違反じゃないかと思うんですが、その点どう思いますか。
○説明員(杉浦喬也君) 一連の改革に関係ないとは申しません。しかしながら、改革の法案のいかんにかかわらず、私どもとしましては徹底的な効率化、合理化を実施せざるを得ません。その結果といたしましてどうしても余剰人員というものが発生をいたします。現にもう既に何万人という余剰人員が発生しております。この対策は、やはり私ども管理者といたしまして、個々の職員それぞれの将来を考えますと、しっかりとやはり見守ってあげなきゃいかぬというふうに考えまして、ただいまから余剰人員対策を熱心にやっておるところでございまして、そういう意味におきましては、法のいかんにかかわらずこれはやることができるし、またやらなければならぬというふうに思っておるところであります。
○瀬谷英行君 政府の責任においてということになりますと、例えば大蔵大臣、これは赤字になって倒産をするという羽目になった場合には、政府保証債等で例えば三島あるいは貨物会社等について配慮をする、こういうことになりますか、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 私どもがきちんとしておりますのは、十六兆七千億の問題についてぎりぎり努力して、なお最終的には国がこれの責任を持って処理に当たらなきゃならぬというところまではきちんとしておるわけであります。そして、いわゆる民営・分割後におきますそれぞれの事業体は、私は今の計画のもとに精いっぱい努力されて健全に育つことを心から期待をいたしておると言うに尽きると思います。
○瀬谷英行君 希望的観測だけではどうにもならぬのですが、人間の問題は暮らしがかかっているわけですから、やはり強制といったようなことをやってはならぬと思うし、組合とも話し合いをしなきゃならぬ、これは当然のことだと思うんですが、その点についての考え方をお示しいただきたいと思います。
○説明員(杉浦喬也君) 職員の問題につきましては大変な事柄でございます。労使の間は信頼関係をもちまして十分に交渉をしたいというふうに私どもは思っておる次第でございますが、個々の具体的な事案あるいはそれぞれの項目につきまして、それぞれの組合の対応が違っております。私どもは終始一貫どの組合に対しましても粘り強くいろんな問題を提案し議論し理解をしてもらうように努めておるつもりでございますし、将来ともこういう態度で行きたいと思っております。
○瀬谷英行君 九万三千というもとになっているこの数字ですら我々には非常に疑問が多いんですよ。したがって、国会ではまだ審議に入ってないんですから、審議に入ったならばどういう結論が出るかわかりませんから、国会の審議に入らないうちには軽々に先走ったことはやらないでもらいたいということを私の方では要望したいと思うんですが、その問題に対する総理の見解を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 主管で、総理にこの分もお任せをいただいておりますものですから、私からお答えを申し上げるわけでございますが、総裁が言われましたとおり、広域人事というもの、ただいまの国鉄本体の経営合理化という形の中で配置が行われておると理解をいたしておりますし、今回の場合も希望に応じということで行われ、労使とも本件についてお話し合いが持たれておるわけでございまして、これを見守ってまいりたいと思います。 同時に、瀬谷委員御指摘のように、このことで大改革の前の重要な労使のコンセンサスを得ることでございますから、政府としては万般手抜かりありませんようにしっかりやるように指導してまいるつもりであります。
○委員長(安田隆明君) 以上で瀬谷英行君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、近藤忠孝君の質疑を行います。近藤君。
○近藤忠孝君 当委員会もいよいよ締めくくり総括質疑になりまして、これからの国政上の重要な問題となりますのが衆議院の定数是正問題であります。 我が党は、一票の格差を一対二未満で是正する、三十二増三十二減案を提案いたしまして、この早期実現を目指しておりますが、最高裁によって憲法違反と断定された現行衆議院定数は、いまだに憲法に合致したように是正されておりません。もしこのままの状態が続きまして定数是正がないまま解散、総選挙となりますと、それこそ違憲状態の積み重ねとなるわけであります。主権者たる国民はそういうことを断じて許さないということで、今市民団体、法律家の間には、もしそういうような事態が発生したならば全国各地で違憲訴訟を提起して、選挙管理委員会に対して選挙事務執行停止の仮処分を申請する、こういう動きが起きております。今度はこれに対する仮処分決定が下される可能性も私は十分にあると思うわけであります。またこれを支持する法律学者の見解も多く示されておるところでありますが、こういう動きと関連して、さらに地方公務員による選挙事務拒否もあり得るわけであります。 そこで自治大臣にお伺いしますが、こういう事態についてどう考えておるのか。
○国務大臣(小沢一郎君) 私といたしましては、ただいま衆議院で各党間において協議を進めておるところでございまして、今国会におきまして定数是正の選挙法の改正が行われるものと期待し、信じておるわけでございまして、解散につきましては、総理もたびたび御答弁ありますように、現時点において考えておられないという御答弁もされておるわけでございまして、私どもはひたすら今国会におきまして成立することを期待しておるわけであります。
○近藤忠孝君 ひたすら期待し、ひたすら信じておりましても、その期待が裏切られることは世の中に大変多いわけですね。そこで万が一、万が一でいいですわ、あり得るんだから。その点どうですか。
○国務大臣(小沢一郎君) 仮定の問題にお答えするのは適切でないと考えておりますが、自治大臣、自治省といたしましてはいかなる状況になろうとも、国会において定められました選挙法に従いまして厳正、公正に選挙の管理執行をするのが私の本分と考えております。
○近藤忠孝君 その場合に、選挙事務に支障や混乱が起きる可能性があるんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま申し上げましたように、そのようなことは、どのような場合であれ、ないように選挙の管理執行をいたしていくのが私どもの務めであると考えております。
○近藤忠孝君 行政府がどう考えようと、司法の判断は別なんです。現にこれは合憲だと言い張って、自民党の方で繰り返し今まで総選挙入ってきましたね。これに対して最高裁が違憲の判断を下したわけですから、これも万が一そんなことあり得ないと思ったけれども、実際あったわけです。ただ、今までは総理、事情判決というこれは自民党への大変恩情判決でありまして、違憲ではあるが政治的混乱を避けるために無効とすることを差し控えた。これはやっぱり総理、これに甘えていると思うんです。しかし、もうこの甘えは許されない。既に行われた選挙を無効とした谷口裁判官もおります。またこの定数で次の総選挙をやれば今度は無効だと、こういう補足意見も示されているわけでありまして、したがって今度は、選挙事務差しとめ仮処分が下される可能性が大変強いと思うんです。 だからこそ、これは昨日の東京新聞でありますが、各選挙管理委員会では、今は大変な悩み、当惑があります。もしこういう状況で総選挙が実施されれば、これは大混乱は必至じゃないか。まず自治大臣にお聞きしたい。
○国務大臣(小沢一郎君) 繰り返しの答弁になりますけれども、解散というその仮定に基づいての御答弁は私から申し上げるのは適切でないと思いますし、先ほど申し上げましたように、私といたしましては、どのような状況であれ選挙の執行、管理を十分して、厳正、公正に選挙が行われるようにしなければならないと考えております。
○近藤忠孝君 解散は内閣で決めるんですから、あなたはその一端にすぎない。だから、それについての判断はいいですよ。それは皆さんで考えればいいんだからね。しかし、その後です。総選挙、それはあなたの全責任じゃないですか、閣内では。それに対して万が一私が指摘したようなことが起きた場合どうするのか。これはあり得るんだから、答えていただきたい。
○国務大臣(小沢一郎君) 私も閣内の一員でございますから、現時点におきまして解散は考えておりません。 また、いろいろとたとえどのようなことになりましょうとも、きちんと選挙を執行するということでございます。
○近藤忠孝君 いや、こちらは解散じゃなくて、その後のことを聞いている。後のことですよ。ちゃんと質問に答えてください。
○国務大臣(小沢一郎君) 委員長からのまたお指し図でございますので、あえて御答弁いたしますが、先ほど来申し上げておりましたように、どのような状況になろうとも、きちんと厳正に、公正に選挙が行われるように私はしっかりやっていくと、そのように申し上げておるわけであります。
○近藤忠孝君 何にも増して憲法に合致した定数是正を早急に実施することが大事だと思うんです。 〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕 しかし、それ自体が再び違憲になるようなごまかし是正でお茶を濁してはならぬと思うんですね。そこで我が党は一票の格差を一対二未満に是正した案を出しているところであります。 そこで、今度は内閣の長たる総理にお伺いいたします。 定数是正なければ解散なしと明言できますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 解散権は内閣に付与された憲法上の重要な機能でございまして、そういうようなことを約束するいうことはあり得ないと思います。
○近藤忠孝君 明言しないということは定数是正なしの解散があり得るということになるんです。だから、実施する可能性あるわけですね。実施すれば大混乱必至、こういう総選挙に、それでも解散権は内閣の専権だからということで突入するのか。それこそ内閣のオーバーラン。司法のオーバーランと言ったけれども、それは内閣のオーバーランじゃありませんか。これは極めて無責任なことだ。答弁いただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、解散は考えておりません。
○近藤忠孝君 そうしますと、先ほどは専権事項だから答えられないと言ったけれども、じゃ、定数是正なければ解散なしと、もう一度お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうふうにさっき申し上げたとおりであって、憲法上の重要な機能というものについて約束するわけにはまいりません。
○近藤忠孝君 今の発言の中で、まだあり得るし、もしあればこれは大混乱必至であります。もしそうなれば、これはまさにマルコス的暴挙であって、私は断じて許されないと思います。これは我が党が提起する憲法に合致した定数是正を一刻も早く実現することを求めるわけであります。 そこで、次にマルコスの疑惑であります。 マルコス疑惑の徹底究明について、早くより我が党は借款事業に参加した企業名の公表など関係資料の提出と、東陽テクニカを初め関係企業の証人喚問、さしあたり本日、私の質問の参考人としての出席を要求いたしましたが、政府と自民党は拒否をしております。この疑惑隠しともいうべき不当な態度に私はまず抗議をいたすわけであります。 そこでまず、マルコス疑惑につきましては、既にリベートがマルコスに渡れば贈賄という、これは安倍外務大臣の答弁もあります。また日本の検察庁も重大関心を持って情報収集をしておるという答弁もあります。またフィリピン当局者も日本企業から聴取するなど、積極的な解明がなされておるわけであります。こういう状況の中で、アメリカの司法省はアメリカ企業活動に不正がなかったか、またマルコス文書をさらに点検する、こういうことで検察官二人をマニラに派遣する方針を決めたところであります。一方、ラウレル副大統領は、フィリピン側の資料は要請があれば日本側に引き渡す、こう言っていますが、安倍さんは、現段階では提供を求めない、こう言ってますが、私はそんな消極的なことでは、これは大変いかぬと思うんですね。 そこで、これは法務省に聞きます。 日本も検察官をフィリピンに、マニラに派遣すべきだと思うが、どうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 現在の時点におきまして、検察当局が検察官をフィリピンに派遣する考えがあるとは承知いたしておらないところでございます。検察当局といたしましては、今後の事態の推移に応じまして適切に対処するものと思っております。
○近藤忠孝君 犯罪があると思料するときには、これは捜査に乗り出すことになっておりますし、また捜査の端緒の把握の努力も必要であります。これは警察の犯罪捜査規範でありますが、「新聞紙その他の出版物の記事、匿名の申告、風説その他広く社会の事象に注意する」等々とありますが、今新聞報道等はそんな段階ではないわけでありまして、現在出ている事実関係というものは十分に犯罪の端緒として捜査当局が捜査に乗り出し、かつそれらの必要な書類を向こうは出すと言うんですから、私はそういうことをやるべきだと思うけれども、まず捜査の端緒たる状況であろう。この点どうですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 一般的に申し上げまして、新聞報道その他いろいろな情報、こういったものが捜査の端緒の一つであることは事実でございます。
○近藤忠孝君 ですから、当然捜査に乗り出してしかるべきだし、もう既にアメリカが検察官派遣という段階ですから、私は基本的には日本も同じような条件だと思うんですね。となれば、日本の場合にどういう段階になればこれは検察官派遣のところまでいくのか、お答えいただきたい。
○政府委員(岡村泰孝君) 事態の推移に応じまして具体的、個別的に判断すべき事柄でございますので、一般的にこういうときということは申し上げがたいのでございます。
○近藤忠孝君 では、検察官を派遣する可能性もある時期にあると、こう聞いてよろしいか。
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来申し上げておりますように、事態の推移に応じるわけでございますので、今の時点で検察官を派遣する用意があるともないとも申し上げられないのでございます。
○近藤忠孝君 大蔵大臣、通告はしていませんでしたが、竹下さんなら答えられると思うので質問するんですが、先ほど凍結について、超法規的態度についてのお話がございました。私は、超法規的なことはとらなくてもいいと思うんですが、ともかく各種報道によれば、マルコスは日本内にも不動産その他の資産を隠しているという状況がありますから、この場合、フィリピン政府から要請があった場合に政府がその要請を受けて、こういう資産に対して仮差し押さえなどを政府として裁判所に申請する。これは私調べてみたら、こういうことができるという有力なる見解があるんです。こういうことはお考えなんでしょうね、先ほど言った中には。
○国務大臣(竹下登君) 銀行法の中では処置できないが、そういう場合はあり得るということで勉強だけはしておかなきゃならぬなというようなことを昨日ちょっと申し上げたことが超法規的とか、何でそんな記事になったかわかりませんけれども、載っておったというだけでございます。
○近藤忠孝君 これは決して超法規的ではなくて、政府間の要請で今度は政府みずからが法的な措置をとる、今言ったのはそういうことなんでしょうね。その点どうですか、もう一度確認。
○国務大臣(竹下登君) これは私がお答えするよりも、本来は法務省からお答えになることだと思いますが、そういう仮差し押さえ等の問題があった場合にはということは法律で読めるのではないかというようなことを私が昨日懇談をしましたときに申し上げたことでございます。 フィリピン新政府の代表または代理人から何らかの法的請求権の主張があり、そのために民事訴訟法に基づく仮差し押さえ、仮処分がなされた場合というようなことが想定されるのかな、こんな程度でございます。
○近藤忠孝君 私が申し上げたことは理論的に可能だという有力な見解がありますし、私もそれを応援したいと思いますので、ぜひそういう措置をその段階でとってほしいと思うんです。 それからもう一つは、経済援助についてフィリピン関係では見直すということは今までも何度も答弁がありましたが、私はこれは国全体の対外経済援助を根本から見直すべきだと思うんです。ODAは六十一年度六千二百二十億円と、これは急膨張しております。中曽根内閣は、今後七年間で昨年実績の二倍とする第三次中期目標を決めておるわけであります。しかし、今までのフィリピンヘの援助は、これはまさにマルコス独裁を支えて、名目とは逆に、相手国に腐敗と借金を残すだけのものとなったわけでありますが、こういうことはその他の国への援助にもなかったかどうか。 そこで私は、民主、公開を原則として、飢餓に苦しむもっと貧しい国々への援助、それから国際的な環境保全、こういうものを重視するなどの立場からODAを再検討し、そして根本的に見直すべきじゃないかと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ODAにつきましては、これは倍増しなきゃならぬということで、初年度スタートを切っておりますし、日本としてもそういう積極的な姿勢で取り組んでいきたいと思います。 このやり方については、やはり相手国のニーズというものも変わってきておりますし、国際情勢も変化しておりますし、アフリカ等のああいう飢餓地帯も発生をしておる、そういう状況の中で改善するところはやっぱり改善していかなきゃならぬ。今のままでいいというわけでは私はないと思います。絶えずそういうところを見直しながら改善をして、本当に開発途上国の国民の福祉の向上あるいは民生の安定に資する、そういうものにつながっていかなければならない、そういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 次に、SDI問題ですが、調査団も今派遣されておって、重大な段階に来ていると思うわけであります。 そこで、中曽根総理は、まず核兵器の概念について、核兵器というのは核分裂等が直接殺傷や破壊力に使われる場合であって、間接的なエネルギーとして使用されるのは核兵器ではない、このように言っておるわけであります。しかし、これは私は大変に従来の政府の見解からもはみ出した考えだと思うんです。 そこで、これは外務省にお伺いしますが、従来の日本政府の核兵器の概念について説明していただきたい。
○政府委員(藤井宏昭君) 核兵器に関します統一見解がございます。 それは、「核兵器とは、原子核の分裂又は核融合反応より生ずる放射エネルギーを破壊力又は殺傷力として使用する兵器をいう。」というふうに述べております。
○近藤忠孝君 ごらんのとおり、直接ではないんです。 次に、アメリカの原子力法では核兵器の概念はどうなっていますか。
○政府委員(藤井宏昭君) アメリカの原子力法は、言うまでもなくアメリカの国内法でございますので、我が方といたしまして、その解釈等について有権的にこれを行う立場にございませんので、邦訳につきましてもこれは有権的なものはございませんが、原子力法に言っております原子力兵器とは、原子力を利用する装置で、その主たる目的が兵器のプロトタイプ、原型もしくは兵器の試験装置としての使用またはそれらの開発にあるものをいうというふうに言っております。
○近藤忠孝君 これも直接ではない。 次に、八三年三月二十三日にアメリカの上院軍事委員会で、アメリカ空軍のランパーソン・エネルギー兵器担当補佐官、これは少将ですが、エックス線レーザー兵器について発言しておりますが、その中身を御紹介いただきたい。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま御指摘のランパーソン少将の証言は、次のように述べております。 よくエックス線レーザーと呼ばれるシステムは実際核兵器、第三世代の核兵器である、そのようなものとしてそれは核兵器に関するすべての制限に服するものであるというふうに述べております。
○近藤忠孝君 当のアメリカ空軍のエネルギー兵器担当補佐官という職責にあるランパーソン氏が、エックス線レーザーは核兵器だ、第三世代の核兵器だ、そして核兵器に関係するすべての制限に該当するということを議会で明確に答弁している以上、これはまさに核兵器そのものなんです。 そこで、もう一度確認します。 エックス線レーザーは、小規模な核爆発によって発生するレーザーを使う兵器である。これは間違いないですね。
○政府委員(藤井宏昭君) そのとおりでございます。
○近藤忠孝君 そこで端的に伺います。 核爆発によって発生するエックス線レーザーを使用する兵器について我が国が核保有国たるアメリカとの間で共同研究をすることは、これは共同研究ですることができるのかどうか。総理の見解を伺います。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいまの御質問の前に一点、事実関係を申し上げたいと思います。 それは、ただいま申し上げましたランパーソン少将の証言というものは、一九八三年三月二十三日に行われております。この日は、たまたまでございますけれども、テレビを通じましてレーガン大統領がSDI構想を国民に訴えかけた日でございます。御存じのとおり、SDI構想と申しますものは、レーガン大統領がこの日初めて訴えましたものでございまして、事務的に積み上げたものではございません。その後の経緯を見ましても、ワインバーガー長官から各国に対して協力の要請がございましたのは、これから二年後でございます。それから我が調査団が昨年九月参りましたけれども、その状況と、それからことし一月に第二次が参りましたが、その状況では、大分事態も進んでおるという状況でございます。 したがいまして、このランパーソン少将が一九八三年三月二十三日の時点で申しましたエックス線レーザー云々と申しますのは、SDIの関連におけるエックス線レーザーではないわけでございます。 したがいまして、これは従来から申し述べておりますけれども、エックス線レーザーというものはSDIとの関連におきましては、現在研究中の兵器で、存在しない兵器でございます。その兵器につきましてこれが核兵器であるかどうかということは、アメリカ政府も断定しておりませんし、もちろん我が日本といたしましてこれがどうであるかということは言えないわけでございます。ただ、アメリカ首脳その他は累次、SDIというものは非核であり核の廃絶を目指すものであるということをレーガン大統領自身が中曽根総理に対しましても、それ以外の場でも言明しておるわけでございます。 最近、例えばSDIについてのアメリカの最高の責任者でございますエイブラハムソンが申しておりますのは、SDI研究は非核の技術による戦略防衛システムを目指しているものである、エックス線レーザー兵器について米国が行っている研究はSDIにいかに核の要素を持ち込むかという観点からでは全くなく、むしろその正反対であり、仮にソ連が核エネルギーを利用したエックス線レーザー兵器を開発した場合に、それがSDIの有効性に及ぼし得る影響、脅威の度合いを見きわめ、それへの対応をあらかじめ研究しておくという観点からのものにすぎない、米国が追求しているものはあくまで非核の手段によるSDIの実現であるというふうに、これは本年の三月七日でございますが、述べているわけでございます。 以上の事実を述べました上で、先ほどの御質問でございますけれども、研究が可能かどうかということにつきまして、これもまたSDIについての我が国の対応ぶりについては全く現在検討中でございますので、具体的な対応、これがそもそも参加するかどうかを含めましてわからない段階で、一般論しか申し上げられませんけれども、一般的にアメリカと日本との間で共同研究を行うということは、累次申し述べておりますように、一般的には可能であるけれども、それがアメリカとの間におきましては、日本からアメリカに対して武器の技術の輸出が行われる場合には、これは武器輸出の交換公文によって可能になっておる、第三国との関係においては武器輸出三原則等が適用されるということ、累次御答弁申し上げているとおりでございます。
○近藤忠孝君 私が聞いたのは、従来の核兵器の概念、ずっとありますね、これは大体みんなほぼ共通していますが、我が国にもあるわけです。それによれば、エックス線レーザーは当然核兵器の概念に入るんです。ところが、中曽根さんはそれに直接破壊殺傷というのを入れまして、エックス線レーザーが核兵器でないかのように言っている。これは中曽根さんの世界で初めての見解と違いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たしか昭和三十年であったと思いますが、原子力基本法を私は提案者として国会で提案をして発言をし、質問に国会で答えました。そのときの答弁の中にも、提案者としてはこれはこういう意味ですと、そういうことで明確に言ったのは、直接人あるいは物を殺傷破壊する道具に使われる、そういうことを言っておるので、そのときにたしか付言しておりますが、例えば原子力推進というようなことは、商船等である程度一般化した場合には、日本の自衛隊が原子力推進の潜水艦をつくったとしてもそれは原子力基本法に反するものではない、そういうことも言っておるのであります。
○近藤忠孝君 当時の日本政府の核兵器の概念は、直接というのはなくて、要するに核エネルギーを破壊殺傷力に使うということだったのを、もしそのとき中曽根さんそう言ったとすれば、それはそういう従来の政府の見解と違うことを言った、そういうことになりますが、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、提案者としてこれはこういうふうに解釈すると言っておるので、そのとき異議を差し挟む人はいなかった。
○近藤忠孝君 しかし、その後の日本政府の国会における説明も中曽根さんと違うんですよね。やっぱり異端なんです。 そこで、また先ほどの質問に戻りますが、もう一度伺います。 核爆発により発生するエックス線レーザーを使用する兵器、それを核保有国たるアメリカとの間で日本が共同研究をする、これはできるのかどうか、これをもう一度お答えいただきたい、端的に。共同研究です。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいまの御質問の前に、先ほどの直接云々の話でございますけれども、この点につきましては委員御存じのとおり、去年の五月にも、これは衆議院でございますけれども、いろいろ議論がございまして、そのときに政府側から直接ということで答えた経緯がありますけれども、その前に、直接という言葉が入っておってもいなくてもそれは基本的には変わらないというふうに答弁しております。この問題につきましてはそういう経緯があるわけでございます。 それから、先ほどの御質問の点でございますけれども、そもそもこのエックス線レーザー兵器なるものが核兵器であるかどうかということにつきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、これは現段階では存在しない兵器であり、研究中の兵器でありますので、これはわからないわけでございますが、一般論といたしまして核兵器に関する共同研究ということが日本とアメリカの間で実際問題としてあり得るかといいますと、それはあり得えないというふうに我々は考える次第でございます。なぜならば、日本はNPTにも入っておりますし、非核三原則を保持しております。したがいまして、日本には核兵器に関する技術というものは本来あり得ない、またそれをアメリカも求めてこないというふうに、核保有国であるアメリカが非核保有国である日本に対してそれを求めてくるということも実際上あり得ないというふうに考える次第でございます。
○近藤忠孝君 その場合に、エックス線レーザー、私これは核兵器だと思うんだけれども、そうするとその共同研究、これは参加すべきでないということになるが、どうですか、その点だけ確認したい。
○政府委員(藤井宏昭君) エックス線レーザー兵器と申しますのは、従来から国会でも御説明申し上げておりますとおり、アメリカのSDI研究の中では極めて小さな部分でございます。御存じのとおり、大きく言って二つの兵器体系がSDIの関連であるわけでございますが、そのうちのほんの一部分ということでございます。これもソ連が既に研究をしておる、さらにソ連がSDIを撃ち落とすという、その防御のために研究しておるということを累次アメリカは言っておるわけでございます。 したがいまして、エックス線レーザー兵器というものは、先ほど申しましたように、これが存在しない兵器であるのみならず、これは極めてSDI研究の中の一部でございます。したがいまして、エックス線レーザー兵器に関しての日本とアメリカとの共同研究というふうなものは現在全く想定されないわけでございますし、これは全体、日本がSDIの研究にどういうふうにかかわるかかかわらないかという現在検討中の問題でございますので、これについて確たることは申し上げられないかと思います。
○近藤忠孝君 その答弁は前からあるので知っていますが、問題はいかに小さな小部分であれ、それが入れば基本的性格が変わると思うんです。それから、まだできていないからわからぬと言ったって、じゃ、完成しなきゃわからぬのか。そんなことはないです。当然予測できるわけです。 そこで、私がここで指摘したいことは、従来の概念、また世界の概念からいって当然核兵器であるものを、中曽根内閣ではこれを核兵器でないと言っている、エックス線レーザーを。そして、ここに一歩踏み込もうとしている。そういう意味では好核の政府、核の好きな中曽根さんということを言わざるを得ないわけであります。 次に進みます。 三十八回国連総会で採択された宇宙空間における軍備競争の防止に関する決議の内容を御説明いただきたい。
○政府委員(中平立君) 先生今御指摘の宇宙空間における軍備競争の防止という国連決議でございますが、その骨子は三点ございます。 第一に、宇宙における軍備競争に対する憂慮と宇宙の開発及び利用が平和的目的のために行われるようにとの関心を表明するという点でございます。それから第二に、宇宙における軍備競争防止のために効果的な検証規定を伴った措置がとられるべきであることを強調するということであります。それから第三に、ジュネーブにおける軍縮会議に対しまして、宇宙における軍備競争防止の問題につきまして検討するようにということを要請したものでございます。 以上三点でございます。
○近藤忠孝君 この中で、条約の当事国が核兵器その他いかなる種類の大量破壊兵器を運ぶ物体も、地球を回る軌道に乗せたり、これら核兵器を天体に設置したり、他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配備しないことを約束していること、これは確認できますね。
○政府委員(小和田恒君) 今お尋ねの点は宇宙条約の第四条の規定のことかと思いますが、第四条は次のように規定しております。「条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。」、以上でございます。
○近藤忠孝君 エックス線レーザーは核兵器。また核兵器でないと言ったって、これは大量破壊兵器になりますから、私はこういうものを宇宙空間へ配備することは明らかにこの条約に反すると思いますが、どうですか。
○政府委員(小和田恒君) 先ほど来政府委員が御答弁しておりますように、まずエックス線レーザー兵器というものが核兵器であるかどうかということにつきましては、政府としてこれについて断定的なあるいは確定的な意見を述べる立場にはないわけでございます。先ほど来、エックス線レーザー兵器は核兵器であるという前提で議論を進めておられるようでございますけれども、そもそもエックス線レーザー兵器というものは現在存在していない兵器でありますし、それから核兵器の定義から見ましても、このエックス線レーザー兵器が核兵器に該当するということを言うことができる段階にはないというふうに私ども考えております。 そういう前提で宇宙条約第四条との関係というものを考えてみますと、宇宙条約第四条は核兵器をここに書いてありますような形で使用したりあるいは配置したりするということが禁ぜられておるということを規定しているにとどまるわけでございまして、エックス線レーザー兵器との具体的な関係について、ここから宇宙条約に違反するのではないかということは出てこないというふうに考えております。のみならず、SDIの研究を推進しております米国自身が、ABM条約、宇宙条約等を含めまして、アメリカが当事国になっております国際条約には違反しない形でこのSDIの研究を進めるということを確言していることは御承知のとおりでございます。
○近藤忠孝君 大量破壊兵器。
○政府委員(小和田恒君) 大量破壊兵器につきましては条約上定義はございませんけれども、核兵器と同列に論ぜられるような大量破壊兵器ということで、具体的には原子爆発兵器でございますとか、あるいは放射性物質兵器でありますとか等々、破壊効果において原子爆弾ないしはそれに準ずるような兵器に匹敵する特徴を持っているものというふうに一般に考えられておると承知しております。
○近藤忠孝君 私はこの条約に明らかに反すると思うんです。 そこで、さらに指摘したいことは、配置が禁止されているんだから、さらに宇宙での核爆発はもちろんこれは禁止だと思うんですね。そこで、もし宇宙で核爆発があった場合、これはオゾン層破壊があるのじゃないんでしょうか。どうですか。
○政府委員(中平立君) 先生のおっしゃったような学説があるということは承知しております。
○近藤忠孝君 オゾンの破壊が起きますと、今度は紫外線が直接来ちゃいますから、これは今度核の夏になる。そういう意味でこれは重大な関心を持って検討していただきたい。ともかく私は、こういう水爆などを宇宙空間で爆発させる、こういう中身を持った兵器は断じて被爆国の総理としては認めるべきでないと、こういう観点で総理お答えいただきたい。総理です。まとめて総理ですよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIについては今調査団を派遣中でありまして、SDIがどういうふうになるか、内容はどうであるか、そういうようなSDIの部分及び全体系、見通し等について慎重に調査研究した上で我々の態度を決めたいと思っております。
○近藤忠孝君 ピント外れの答弁ですが、次に移ります。 外務大臣、一月にイギリス、西ドイツを訪問しましたが、SDIに大変重大な関心を持って行かれたと聞いています。特に西ドイツでのいろいろ調査されたその感想をお聞きしたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 西ドイツにはいわゆる外相定期協議で行ったわけでありまして、二国間の問題、国際情勢等にわたりまして議論をいたしました。その中で、もちろんSDIが議題として上がったことは事実でありますし、やっぱり日本は、先ほど申し上げておりますようなSDIに対してはまだ研究に参加するとかしないとか結論を出してない、理解はしているけれども、まだ参加の結論を出してないという日本の説明をいたしました。同時に、西ドイツはどういうふうに考えているかということで、コール首相、さらにゲンシャー外相から、ドイツがアメリカとの間で行っている交渉の内容等について承った次第であります。
○近藤忠孝君 経過じゃなくて感想をお聞きしたいんですが、従来西ドイツがSDIにどういう態度をとっておったのか、それがアメリカとの交渉でその態度が貫かれたのかどうか、そのことをお聞きしているんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 西ドイツもこのSDIの研究に参加するかどうかについては慎重に検討しておったと、こういうことでございます。随分政府部内にも議論があったようでございますが、最終的にはこのSDIの研究に参加する、それは民間が中心として参加する、そういう中でSDIとその他の科学技術の協力も含めた包括的なアメリカと西ドイツとの間の協定を結びたいという話でございました。したがって、そうした包括的な協定であるから、経済大臣を派遣してその折衝に当たらせるということで説明を受けたわけでございます。いろいろの経緯はあったようですが、最終的にはとにかく研究に参加する、これは民間ということであるということをお聞きしました。西ドイツの感じとしては、この研究に参加するということは、西ドイツとしてもこれから長い科学技術の展開、新しい発展というものを考えるときに必要であるというふうな感想も述べられたわけであります。
○近藤忠孝君 問題は、最初のその態度が貫かれたのかどうか、要するに、民間だけで政府が参加しないというそれがどうだったのか、その結果できた文章の中身をお知らせいただきたい。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま先生御指摘の点については、態度が貫かれたというふうに感じるわけでございます。政府は参加せず民間が参加するということが基本的な態度でございますけれども、委員御存じのとおり、昨年の十二月十八日に西ドイツ政府が閣議で交渉に入るという態度を決定いたしました際に、米国との間で民間の技術情報等の相互移転のための枠組みを政府間で交渉するということでございまして、一月から交渉が行われまして、去る三月二十七日にその交渉の結果が政府の枠組みという形で了解覚書というものが署名されたわけでございます。
○近藤忠孝君 最初の思惑とは違って、軍事計画としてのSDI開発に西独政府が深入りさせられるそういう中身となったんじゃないか、そのことについてお答えいただきたい。
○政府委員(藤井宏昭君) この了解覚書は、アメリカと西ドイツの間の了解で公表されておりません。したがいまして、日本政府としてはこの詳細を知る立場にないわけでございますし、アメリカと西独の間のことでございますので、いろいろな世上記事があったりいたしますけれども、これについてのコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、西ドイツ政府もこの取り決めに満足しているというふうに承知しておる次第でございます。
○理事(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。佐藤昭夫君。
○佐藤昭夫君 「シュピーゲル」という西ドイツの雑誌、三月十日号でありますが、これがその写しでありますけれども、ここに今のアメリカと西ドイツの交渉の内容が紹介をされています。西ドイツ政府に対してアメリカ国防省がどういう基本的態度をとったのか、ひとつ御説明ください。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。 御指摘の「シュピーゲル」の三月十日付で、アメリカと西ドイツの間のSDIに関する交渉につきまして記事があることは我々も承知しておりますしそれを読んでおりますけれども、その内容について日本政府がこういう公式の場でコメントすることは適当でないというふうに感じる次第でございます。
○佐藤昭夫君 発表をためらっておられるわけでありますが、二十八ページの真ん中の欄の上部、三項目にわたって重要な内容が書かれています。 その一つ、宇宙戦略に関する純軍事的研究を明白に政治的に要求する。二、国としての関与を与えない国、すなわち西ドイツ、これに対してもアメリカがその国の企業に委託する際、政府が協力することを要求する。三、SDI研究の成果を西側の通常の防衛のために提供する気はなく、西ドイツ政府にSDI計画の全体構成について最新の情報を提供する気もない。 このことから明らかなように、いわば西ドイツ政府に対して随分一方的なものになっておるということは明瞭だと思います。結局、西ドイツは当初政府としては参加しない方針、そういうことであったわけですが、ワシントンにSDI連絡事務所を設置する、この交渉を通して、そして西独政府の関係省庁によるSDI作業部会を新設するなど直接の参加を余儀なくされたという、こういう結果になったんだと思います。こうして当初の西ドイツ政府の思惑とは大きく違ったものになったと思わざるを得ないのでありますが、外務大臣どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 西ドイツとアメリカの折衝の結果、両国とも満足した合意に達した、こういうふうに承知しております。
○佐藤昭夫君 今私が紹介、申し述べたようなこういう事実はないとおっしゃるんですか。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま委員がお述べになりましたことは、まさに三月十日付の「シュピーゲル」に書いてあるとおりでございますが、この「シュピーゲル」の記事は、全体に西ドイツ政府に対して非常にいわばきつい記事でございます。そういうことであるのかどうか、先ほど申し述べましたように、この場においてコメントするということはいかがなものかと思います。 西ドイツとアメリカの間の了解党審の主たる内容でございますけれども、これは公表されてはおりませんけれども、報道等によりますと、一つはABM条約の遵守、それからアメリカ、西独両国国内法に変更を加えるものではない。それからドイツ企業は米国企業と同等の権利を有する。受注は競争原理によって行われる。それからコンタクトポイントが設置されたというようなことが書かれておりまして、ドイツ政府が資金を出すということは想定されてないというふうに了解しております。
○佐藤昭夫君 今、前段で確認されましたように、西ドイツとの交渉でアメリカが極めて強硬姿勢をとった。その理由は、結局その後に控えておる日本との交渉で有利に事を運びたい、こういうアメリカの意図があったんだと言われるわけであります。 こうした点で、既にワインバーガー国防長官が三月二十六日の記者会見で、企業の担当者の機密保護能力について日本政府の保証が必要だと言っているのでありますし、またこうした点で、日本の場合にも政府に対して軍事的参加とSDI研究への財政負担を求めてくるということが必至だというふうに外務大臣お考えになりませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) SDIについてはしばしば政府の立場を説明いたしておりますように、今政府は研究に対して理解をしている、こういう段階で、研究に参加するかどうかというのはこれから十分検討しようと今第三次調査団を送っておるわけですから、その成果を得て我々十分検討したい。ですから、それから後のことについて今申し上げる段階ではないわけです。日本政府の今の立場は理解をしている、こういうことであります。
○佐藤昭夫君 ちょっと答えになっていないな。心配、懸念はないか、ここを聞いているんです。もう一遍済みません、お答えください。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 心配するも懸念するも、とにかく今理解を示しているわけですから、これはこれから後の問題なんですから。
○佐藤昭夫君 それじゃ、心配もあり得るということになるんじゃないですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、これから後の問題です。心配も懸念も、それは先の話ですから。そういうことじゃないんです。それから後に十分検討する。
○佐藤昭夫君 さっぱりわからない。 終わります。
○近藤忠孝君 先ほど政府委員から「シュピーゲル」の中身を見て、西ドイツに大変きつい記事であると、確かにそうなんですね。恐らくこれは中身そうだと思うんです。その中身を実際日本政府はどうつかんでおるのか。今外務大臣は、研究への参加だから、これからの研究だと言うんですがね。しかし、今まさに相手が何を言ってくるのか、どういう条件なのか、これこそ今検討すべきことでしょう。その中身は当然わかっておるはずだと思うんです。 そこで、私が聞きたいことは、西ドイツの例から見ましても、日本に対しては軍事的参加、政府に対してですね、そしてSDI研究への財政負担を求めてくるんじゃないか、こういう意見も現にありますが、そういうおそれがないと断言できますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) とにかくSDIについてはわかっているところもありますし、わからないところも多いわけです。ですから、今実は調査を進めておるわけでございまして、日本政府がその調査に基づいてどういうふうに方向を打ち出していくかということは、これから慎重に自主的に判断すべき課題であろう、こういうふうな立場でおるわけであります。
○近藤忠孝君 日本の外務省がこれからその判断をするときに、さっき指摘されたようなことが全然わからないでどうして判断できるのか、無責任じゃありませんか、その点お答えいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 責任を持ってこれはやらなきゃならぬわけですから、何も無責任じゃない、今調査しているわけですから。
○近藤忠孝君 ですから、西ドイツの例から見て日本にもどういうことを予想されるのか、これは当然わかることです。 そこで、私が指摘したように、軍事的参加あるいは財政的な負担、これは予想されるんじゃないか、その点お答えいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そういう問題についてはこれからの問題ですから、予想するもしないもない、これからの問題。各国の例というのは我々も十分これは参考にしなきゃならぬ、そういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 そうしますと、現在アメリカの方からどういうことを言ってくるか、これはわかっているのか、わかってないのか、これだけお聞きしたい。わかっておって言わないのか、それともわからないで言えないのか、どちらですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) わかっておるもわかってないも、今調査に調査団が行っているわけですから。アメリカ政府と話し合っておるし、調査をしておりますし、これはこれから先の問題だと思いますね。調査の結果を踏まえて、政府として十分検討をして自主的に判断する、それから後の問題であろうと思います。
○近藤忠孝君 総理、大事なことは全然わからないままここまで来て、またこれからもわからないまま、国民には大事なことを知らせないまま行ってしまう。恐らくこのまま行きますと、仮にアメリカといろんな協定を結んだとした場合、それは国民には知らせないつもりですか、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本は日本独自の判断で、国益を大事にしながら国民の意思もよくそんたくしつつ判断をいたします。
○近藤忠孝君 ですから、国民には知らせるのか知らせないのか、それだけ。
○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけ知らせることが正しいと思います。ただ、知らせるということについても、できるだけと申し上げているのは、それは相手国のあることでありますからその辺は交渉してみないとわかりませんし、SDIというのはどういうものであるか、まだはっきり全貌をとらえたわけでもないですから、そういう意味では慎重を期しておるわけであります。
○近藤忠孝君 その場合、参加の条件ですね、これをきちっと国会に報告するかどうか、これをお聞きしたいのと、最後に時間が来ましたので私はもう一度確認したいのは、やはり核廃絶が一番大事だと思うんですね。そこで、実効性ある核兵器廃絶協定ができればSDIは不必要になるんではないか。これについて総理のお答えを聞いて質問を終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのお話は前から何回も聞いて、何回も答弁したとおりです。
○理事(桧垣徳太郎君) 以上で近藤忠孝君の質疑は終了いたしました。(「あんなのは答弁にならないですよ。聞いているんですから、やっぱり同じ繰り返しでも答弁するのが礼儀ですよ。」と呼ぶ者あり) —————————————
○理事(桧垣徳太郎君) 次に、井上計君の質疑を行います。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。 井上君。
○井上計君 今お手元に資料を配っておりますけれども、その資料についての質問は二番目に行います。(資料配付) まず最初に、行革審の小委員会が今検討しておられるわけであります。このことについてお伺いをいたしたいと、こう考えます。 行革審が精力的に審議を行っておられることについては大変評価をしておるわけであります。我が党は行財政改革の与党をもって任じておりますから、したがって国鉄の分割・民営化についても積極的な賛意を表しておるわけであります。また先般、我が党の塚本委員長が中曽根総理との会談の際も提言しておりますように、引き続いて行革審が存続をして今後より強く行財政改革の実施を期待しているものであります。 しかしながら、といって実態を十二分に調査をしなかったり、あるいは認識不足の中で協議がなされている、もしそれが絶対的なにしきの御旗として出てまいりますとこれは大きな問題がある、このように憂慮するわけでありますが、よもやこんなことはなかろうと思いますけれども、最近の新聞報道によると、私がこのような懸念をするようなことが審議をされておるんではなかろうかと、このようなそんたくをせざるを得ないのであります。 それは商工組合中央金庫の問題、これを民間法人化する、あるいは中小企業金融公庫の経営形態を民間銀行に移行するというふうな意味の審議が行われておる、このように新聞報道は報じているわけであります。もしこれが事実とすると、政府の中小企業政策に全く相反することになるではなかろうか、このように考えるわけでありますけれども、所管官庁である通産省としてはどのようにこの問題について受けとめ対応しておられるのか、まずそれをお伺いいたします。
○政府委員(木下博生君) 臨時行政改革推進審議会におきましては、昨年の秋から特殊法人について検討を行っておられるわけでございます。 通産省関係でも幾つかの法人について検討したいというお話がありました中で、中小企業金融公庫について検討したいというお話があったわけでございますが、私どもは、中小企業金融公庫が現在抱えております問題は、財政投融資の金利が非常に高い水準でとまっているということの関連で、そういう中小企業金融公庫に限らず、国民金融公庫を含めまして利ざやが非常に縮小しておる。そのために赤字になる傾向がありますので、中小企業庁予算もそのために相当食われているという状況でございますので、そういう状況を十分お調べいただく必要があるかもしれないということで、いろいろ御説明を申し上げてきておったわけでございます。その過程におきまして、中小企業金融公庫との関連で少し商工中金の方も勉強してみたいというお話がございましたものですから、商工中金についても実情の御説明を申し上げております。 商工中金につきましては、今先生から御指摘ございましたように、昨年、五十年目が来ました機会に、これを恒久機関として位置づけるためにその業務の内容も拡充いたしまして、できるだけ中小企業者のためになるような活動ができるようにということで恒久機関化を図ったばかりのときでございます。さきの臨調におきましても、商工中金については特に問題ないというふうになっていたというふうに私ども伺っておりましたので、そういう状況で現状の御説明をしておるわけでございますが、その過程におきまして、例えば中小企業金融公庫を銀行にできないかとか、それから商工中金の出資を減らすことはできないかというようないろいろ御質問を受けております。しかし私どもといたしましては、現在のように特に中小企業金融の重要なときに、中小企業関係金融機関の業務を縮小あるいは難しくするというようなことは到底できないということで、特に商工中金につきましてはただでさえ金利を高い水準で貸さざるを得ない状況でございますので、政府出資等は今後も必要なんだということを御説明してきておるわけでございまして、行革審に対しまして今後とも私どもの考えを御説明し御理解を得たいというふうに考えております。
○井上計君 今、中小企業庁長官のお答えを聞いておりましてますます合点がいかないのは、そのような説明がなされておるのに、なぜ新聞報道にあるようなことが審議をされておるのか。あるいはされていないのか知りません。されておるとすると大変だと、こう考えます。 短い時間でありますから多く申し上げませんが、また必要なかろうと思いますけれども、中小企業金融というのは年々歳々ますます重要度を加えておるのはもう当然であります。また特に、現在のような円高等による非常に大きな影響が出ておる場合には、さらに重要であることはもう当然であります。これからますます重要になってくるわけでありますから、特にこの点については中小企業の所管大臣である通産大臣に決意といいますか、これについての対応方をお伺いしたいと思いますが、今、長官お話がありましたけれども、昨年五月に商工組合中央金庫法は国会であのような審議をして全面的に改正されて、機能が拡大され発揮されつつある中で、これをまた全面的に変えるようなことが審議されるということは国会軽視と申し上げてもよろしいかと、こう考えますが、通産大臣いかがでありますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま長官から説明したとおりでございます。 去年も随分議論がありまして、もちろん臨調とも相談をして問題がないということで、五十年たった商工中金は、これは本当はやめられるものを新しく出発をすることになったわけでありますから、そのような朝令暮改のことはできない。そして特に、新聞に再々出るので迷惑千万なんです、私の方は。かなり記事が大きく出るものですから、やはり新聞というのは人間が犬にかみついたような話をするとでかく特に出ますわね、これは。だから特別大きく取り上げるのかもしれません。だれもそう思っていないことを言うから大きく出るんでしょうが、そうすると中小企業者も非常に心配をする。さなきだに今いろんな問題があるときにもってきて、選挙間際にあんなことを言われたのじゃ迷惑千万なんで、私からもその点は軽々に、議論をすることは構わぬけれども、新聞に出すようなことはしないでほしいということを言いたいと思っています。
○井上計君 選挙対策はともかくとして、いずれにしてもあのようなことが新聞に出ますと、全国の多くの中小企業者は大変な不安と動揺を来しておることは事実でありますので、今大臣お話ありましたが、特にそれらの点についても御留意をいただきながら、今後ともそのことについてのひとつ御活動をぜひお願いをしたいと思います。 そこで、今の問題でありますが、行政改革に関係することでありますが、担当大臣である総務庁長官はこのことについてはどうお考えでありますか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは行革審にお願いをしておる立場でございますから、十分御審議をいただいて、そして我々としてはそれを極力尊重するということでありますが、もともとその間には政府・与党との話し合いとか、また我々総務庁との話し合い等も行われておりまするので、十分そのあたりについては、意見は尊重しておりまするが我々の方の考え方もまた折に触れて申し上げることもあり得る、これはそういうふうに御理解願っていいと思います。
○井上計君 総務庁長官も十分実態を御存じの中小企業金融の問題でありますから、ぜひひとつ渡辺通産大臣のお話と同じように、この問題等については十二分に行革審にお伝えをいただいて、中小企業の不安が現実にならないように御努力をひとつ期待をしておきます。 次に、医療費の節約の問題について、これは提言を交えて質問をいたしたい、こう考えております。 六十一年度の国民負担率は先日大蔵省が発表されましたが、ついに三六・一%とかなり高い率になりました。負担率はどの程度が適当かどうかということについては、あるいはまた許容限度がどれぐらいであるかということについては論議はまた別に譲りますが、いずれにしても十年前と比較すると税負担率が六・八%、社会保障負担率が三・五%増加しておるわけであります。負担増は税の方が数字的には多いですけれども、割合からいくと社会保障の負担が急速に重くなっていることは事実であるわけであります。高齢化が急速に進んでおりますから社会保障負担が急速に増加する。ある程度やむを得ませんけれども、しかし、特に医療費が増高しておること、このままでまいりますと再び健保赤字というまた社会的な大問題が再燃することは間違いない、このように憂慮するわけでありますけれども、医療費が増高する、国の一般会計から補助を財政上の問題からふやせない、したがってこの数年、毎年患者負担をふやしておるわけです。 六十一年度も、またまた老人保健法の改正、改正と申し上げていいか、私余り好きな言葉じゃないんですけれども、改悪がされるというふうなことになっておるわけでありますが、これらの点を考えて今後の医療行政、健保、国保の運営をこの際やっぱり見直しをする必要がある、このようなことで提言をいたしたいわけであります。 〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕 お手元にお配りした資料がございます。三枚になっておりますが、まず二枚目の半ペラのものをちょっとごらんいただきたいのであります。これは私が二十数年来関係しております全国印刷工業健康保険組合の決算資料と政管の資料とを実は対比をしたものであるわけであります。ただ、説明する前にちょっとお断りをして訂正をしていただきたいと思いますのは、政府管掌の被保険者数が若干違っておりまして、千五百三十六万二千五百三十七人だそうであります。それをちょっと御訂正をいただきたいと考えるわけであります。 これは今申し上げました全国印刷健保という中小企業の加入者による総合組合、健保連の中には約七百五十ぐらいの中小企業の総合健保組合があるわけであります。その中の一つでありますが、特にこの印刷工業健康保険組合は全国にまたがっておりまして、沖縄、鹿児島、宮崎を除く四十四都道府県の中小印刷業者約四千四百社をもって組織をしておりますから、いわば組織内容は政管と余り変わらぬと、こういうことで、時間がありませんから細かい数字は省略いたしますが、ここに書いてありますように、大体政府管掌とほぼ似たような内容、実態であるわけであります。しかし、保険料率は政府管掌が千分の八十四、六十一年度から八十三になりますが、この印刷健保は千分の八十三、六十一年度から八十一にいたします。ほかに印刷健保は本人及び家族の自己負担分を給付しておりますし、出産、死亡等の付加給付の上積みを実施しております。ところが、こういう状態でありますが、経営努力によってまことに健全経営をしておる、こういう組合であります。 そこで、一枚目を申し上げます。 ここに、政府管掌の収入の部と、それから今申し上げました印刷健保の収入、支出の部等々を対比してございます。なお、政府管掌の面についてちょっと御訂正を願いたいのですが、収入の国庫補助が五千五百三十六億円だそうであります。百八十億円ほどの違いで、ちょっと私の調査の間違いであります。したがって、合計が三兆七千六十一億円になります。それから差引余剰金が、国庫補助が五千五百三十六億円になりますので、この小計が五千八百七十二億円になりますから、実質赤字が三千八百三十二億円ということに相なるわけであります。健保は実は前年度から五十八年度は黒字だと、こう言われております。実際は黒字ではないということはこの数字で、この表で明らかであるわけであります。これをまず一つ御注目をいただきたいと考えます。 印刷健保の方は、国庫補助は五千二百四十万いただいております。もちろん規模が小さいですから少ないのは当たり前でありますが、しかしこのようにずっと見てまいりますと、ここで実質の余剰金が二十四億四千四百六十万円というものが今あるということになるわけであります。その一番大きなのは、医療給付費が政府管掌は保険料収入の八一%でありますけれども、印刷健保は六三・八%でとどまっておるというのが、これが黒字の大きな原因であるわけであります。では、なぜこのような黒字を出しているかという理由であります。 そこで、三枚目の数字をごらんいただきますと、これは五十九年度の決算を今申し上げたわけでありますが、まず当印刷健保組合は約二十年前から医師の請求、支払い基金から回ってまいりますレセプトの点検を実施してまいりました。特に五十二年度からは被保険者に対して、あなたはこういう病院で幾ら幾ら払いましたよと医療費の通知制度を五十二年度から実施をして大変な成果が上がっております。病院に通っていない、医者にかかっていないというふうな請求がこれによって随分はっきりとしてまいりました。中には、甚だしい例は、ある病院で死亡しておる被保険者が、その死んだ病院の前に通っていた病院から死亡後も数カ月、実は請求書が回ってきておったという例も発見をしたことがあるわけであります。特に、五十七年度から非常に熱心にレセプト点検を行いましたので、五十八年度、五十九年度はこれによっての過誤訂正といいますか精算が非常にふえておる。五十九年度は十二億七千五百万円というものが実は戻ってきた、こういうことであるわけであります。 そこで私は提言をいたしますけれども、現在厚生省の行っておる政府管掌健康保険はもっともっと経営の改善方法があるであろうと考えます。しかし、何といっても千何百万人という被保険者、千七百万人という扶養者を抱えておるわけでありますから、一本でのこれは不可能でありますから、そこで現在認められておる健保組合というのは企業別それから業種別であります。しかし、これを地域別等に組合を認めていけばかなりの経営改善ができるし、また同時に経営努力をするであろう、こう考えるわけであります。国民健康保険についても自治体に任せっ放しでなしに、やはり地域で、商店会単位あるいは商工会単位いろいろありますけれども、それらのことを行うことを考えたらどうであろうかという提言であるわけでありますが、厚生省いかがお考えでありますか、お答えをいただきます。
○国務大臣(今井勇君) まず最初に、先生が日ごろ全国の印刷工業健康保険組合、この創設にかかわられまして、それが今お話しのようにうまく機能しておりますことは承知いたしておりまして、その御努力に対しましてまず厚く敬意を表したいと思います。 そこで、今の地域の健保組合の問題でございますが、確かにこれは非常に貴重な御意見でございまして、この考え方をもとにいたしまして、私どもも積極的にこれを実現したらいかがだろうというふうな感じを強く持っているものでございまして、ひとつまたその内容等についていろいろ御相談をいたしたい、こう思います。
○井上計君 これは行政改革とも重大な関係があります。しかし、ある意味で国鉄の分割・民営化よりもっと容易である。そして必ず成果が上がる。実質的に健保はこんな赤字なんですから、いつまでもこれを続けていくとまた膨大な赤字が累積されるということに事実上なるわけでありますから、ぜひこれをお考えいただきたい、私はこう考えますが、行政改革というふうな観点から総務庁長官のお考え、さらにまた総理としてもどういうふうにお感じになりましたか、お伺いいたします。
○国務大臣(江崎真澄君) この資料、大変興味深く拝見をいたしました。政管健保から民間の自主的な組合管掌健保、これに移行をすることは民間活力の導入という上からも我々行政改革の趣旨に全く沿ったものだというふうに思います。この一つの参考資料が御苦心の作だ、結果だというふうに思います。 今、厚生大臣への御提案の地域健保を導入してはどうか、これは健康保険制度の仕組みの根本に関する問題でございますから、厚生省の判断にまず一義的にゆだねることにいたしとうございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今の資料を見、お話を伺いまして、年間十二億とか十億の戻し金がレセプトを点検した結果あったというのは非常な驚きでありました。政府関係のものについてもないとは言えない様子もうかがわれます。そういう意味において、御意見は貴重な御示唆といたしまして厚生省で研究さしてみたいと思います。
○井上計君 ぜひ御研究いただいてお考えいただきたいと思います。 この印刷健保組合というのは医師会では嫌われておるんです。あそこは非常にうるさい、やかましい、細かいと有名なんです、十年ほど前から。それでもなおかつ年に十二億円ぐらい戻りがあるんですね。しかも、健保組合の職員ですから医者としての検査の権限はないわけですね。だから、明らかに事務的に見て、健保法から見て間違っているということだけの実は過誤精算がこれだけあるんです。これは診療内容、検査内容等々には踏み込んでいないわけです。だから政府管掌、私は厳密にやれば恐らく率からいうとこの倍以上あるんではなかろうかという、これは推察であります。ぜひ御善処をひとつお願いをいたしたい、こう思います。 時間がありませんから、健保問題、国保問題、もっと言いたいことがあるんですが、以上にいたしまして次に移ります。 大蔵大臣に、これは苦言と同時に要望であります。六十一年度の税制改正の中で大変残念でありますけれども、多くの反対を押し切って先般租特法の一部改正が行われ、その中で赤字法人の欠損金の繰越控除の一部停止、すなわち直近一年間の繰り越し停止が行われることになりました。また法人の圧縮記帳の二〇%削減も行われるようになりましたが、今の情勢の中で全くこれは大変なことだ、こういうふうな私は受けとめをしているわけですね。この租特法の立案をされたときにはここまで円高によっての苦しい企業がふえるとはお考えになっていなかったと思いますけれども、これは法的にもやっぱり問題がある制度でありますから、端的に申し上げますけれども、六十一年度限りとして六十二年度にはこれを実施しないということをぜひお考えをいただきたい。以上、苦情と苦言と、それから要望と期待とを含めてお尋ねをするわけであります。
○国務大臣(竹下登君) 随分いろんな御議論をいただいて先般成立さしていただいた法律でございます。率直に申しまして、答弁のときにも、言ってみれば二千億円余の財政対策としてお願いせざるを得なかった、このようなお答えをしてまいりました。ただ、六十二年度税制をどうするか、こういうことでございますが、これは今の場合、法人税のあり方についての税制の抜本見直しということをやっていただいておるさなかでございますので予断をもって申し上げるわけにはまいりませんが、少なくとも今の御要請等について正確にこれを税調にお伝えすることは私の義務だと思っております。
○井上計君 大変きょうは色よいお返事をいただきまして、大いにひとつ期待をしておりますからぜひお願いをいたしたい、こう考えます。 時間があればもっとほかの税制改正についてもお伺いしたいわけでありますが……。 次に、これは総理を初め各大臣すべての方が御承知だと思いますが、京都におきまして昨年来紛争が続いております古都保存協力税というのがあります。これについて実は質問いたします。私、実は昨日、この問題を地方行政委員会で質問いたしました。自治大臣並びに自治省の担当局長からもいろいろ御答弁いただいておるわけでありますが、一応重要な問題だと考えましたのできょうまた行うことにしたわけであります。重要な問題だと考えますのは、ただ単にこれは京都の古都税というふうな問題、京都の問題に限りませんで、この問題の行方いかん、あるいはこの問題が与える影響は全国民的な問題と考えてもいいではないか、このような感じがするので質問をするわけであります。 細かい点は省略をいたしますけれども、昨年四月に自治省が認可をした京都の市条例による古都保存協力税、これに反対する京都の有名寺院がその後いろいろと行動し、またそれによって京都市との間に紛争が続いておる。迷惑をこうむっておるのは京都の観光を楽しみに行った人たち、さらには外国人の観光客あるいは小中学校の修学旅行の生徒たちということであるわけであります。 そこで、新聞報道によりますと、去る三十日にひとまず別の方法がとられまして、これらの十の寺院が開門をしたそうでありますけれども、しかしその方法を要約しますと、まず依然として古都税は絶対反対である、撤廃を求める。しかし、撤廃を求めるための行動をこれからも古都税をなくす会ということで続けていくが、そのなくす会に加入をしてそうして古都税の反対を明らかにして、さらに三カ月間一応開門するけれども、そこでなお解決しない場合にはその後市議会のリコール運動を起こす。それらに参加をし積極的に協力をするという意思を明らかにして約束した観光業者、土産物業者だけに志納袋という袋を渡して、その袋を持ってこなければ拝観をさせぬ、こういうことを去る三十日から行っておるわけであります。私はこれは大変重大なことである、こう考えまして先ほど申し上げた理由でお尋ねをするわけであります。 そこで、最初に法制局長官にお伺いいたしますけれども、これら寺院がやっておる行動、すなわち事実上の反税の運動であります。それからまた、反税運動に参加さすためにこれらの観光業者等にいわば踏み絵という形で約束さして、そして志納袋を渡しておる。だから、これに加入して賛成しなければ、お寺に入れる権利、門鑑みたいな志納袋をもらえぬわけでありますから明らかな差別の待遇をしておるということ等を考えますと、まず憲法第三十条の国民の納税の義務に違反しておるのではなかろうかということが第一点。 それからもう一つは、同じく憲法第二十条の一項であります宗教団体の問題、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」という項目、さらに二項の「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」、これは読みかえると、強制してはいけない、こうなると思いますが、これらの条項に違反をしておると私は考えますけれども、法制局長官の御見解をお伺いいたします。
○政府委員(茂串俊君) お答えを申し上げます。 私に対する質問でございますので、私は専ら憲法の一般論ということでお答えしまして、現在京都で起こっている事象についての事の是非ということについては私の立場からは申し上げるべきではないと思います。したがいまして、憲法の一般論としてお聞き取りを願いたいと思うのでございますけれども、まず第一問の憲法第三十条の解釈でございますが、一般的に言って国民が法令の規定に基づいて個別、具体的に課された租税についてその納税義務を履行するかどうかという問題と、それから特定の租税制度そのものに反対してその廃止や軽減のための運動を行うこととは、これは別個の問題でございまして、憲法第三十条は国民がこのような運動を行うことまで禁止したものではないというふうに我々は理解しておりまして、御指摘のいわゆる古都税をめぐってのいろいろな行為、反対派の行為と申しますか、あるいは寺院の行為と申しますか、そういった行為がこのような運動に該当する限りにおいては、この規定に違反するということにはならないのではないかというふうに考えられます。 それから次の、憲法二十条の一項、二項との関係はどうかという点でございますけれども、この御指摘の京都の寺院、これは宗教法人の行為でございますから寺院の行為に限られると思いますが、京都の寺院の行為が憲法二十条の一項または二項に違反するのではないかという点に視点を当てて考えてみますると、まず憲法二十条の第一項との関係におきまして一応問題になり得ますのが、その後段の「いかなる宗教団体も、」「政治上の権力を行使してはならない。」という規定であると考えられますが、この規定の趣旨とするところは、これは実は憲法制定の際のいわゆる制憲議会でもいろいろ議論があったところでございますが、そういった議論に照らして考えますと、この規定の趣旨は、宗教団体が立法権とか課税権とか裁判権といったような国や地方団体の有する統治的権力を行使することを禁じたものでありまして、宗教団体が政治的な問題について発言したり運動したりするということまで禁止したものと解することはできないと考えられます。したがいまして、京都の一部の寺院の御指摘のような行動がいわゆる古都税をめぐる政治問題に関連するというものでありましても、これが憲法二十条一項後段の禁止する政治的権力の行使には当たらないというふうに憲法上は考えられると思います。 それから憲法第二十条第二項との関係でございますが、これはただいま委員の御質問にもありましたように、「何人も、宗教上の行為」云々「に参加することを強制されない。」ということを規定しておるわけでございますが、御指摘のような寺院の行為がこの宗教上の行為に当たるかどうかという点につきましては、事実関係を十分承知しておりませんのでお答えをしかねるわけでございますが、いずれにしましても、この規定にいう宗教上の行為等への参加の強制とは専ら公権力による参加の強制を意味するのでありまして、御指摘のような寺院と他の例えば拝観者との関係とかいったような私人間の関係、そういった関係にはこの規定は適用されることはないと考えられますので、結論としましては、そのような寺院の行為がこの規定に違反するということにはならないというふうに考えられます。
○井上計君 長官もう一つ。じゃ、宗教法人法第八十一条の一についてはどうお考えでしょうか、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害する」、これです。
○政府委員(茂串俊君) 宗教法人法の八十一条の第一項の第一号に「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を宗教法人がした場合には、裁判所が一定の者からの「請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。」といういわゆる解散命令の規定があるわけでございますが、今言われたようないろいろな京都における寺院の行動とかそういった点、私十分まだ詳しく承知しておりませんし、果たして法令に違反するという要件あるいはまた「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」という評価が与えられるかどうかということにつきましても、私十分に判断をする知識なりあるいは情報を持ち合わせておりませんので、この席でこれに当たるかどうか、また解散命令をなし得るかどうかという点につきましてはお答えを申しかねる次第でございます。
○井上計君 じゃ、続いて、文化財保護法第一条の目的及び第四条の文化財の公開の義務というのがあります。これについて法制局長官と文部省からひとつお答えをいただきたい、こう思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御承知のように、文化財は国民共有の財産でありますし、またこれはできるだけ大切に保存するとともに、多くの人に公開しなければならぬという公開の原則が法にうたってございます。現在の状況におきましては、修学旅行の生徒とか外国から見にくる人とか、あるいは関心を持っておる信仰厚き人々のどうしても見たいという願望が閉ざされておったわけでありますから、私どもはなるべく早く公開をしていただくようにお願いをしたいということを、文部省の立場でもできる限りの限度においてお願いをし続けてきたわけであります。ただいまややバイパスといいますか、横を通ったような形で公開されたわけでありますから、公開されたという点に関しましてはこれは結構なことであったと評価をするわけであります。 あとのことは、地方自治体のお決めになった税のことその他につきましては、地方において十分話し合いをされることが望ましいことだと考えております。
○政府委員(茂串俊君) ただいま文部大臣からるる御説明をしていただきましたので、大体私から申し上げることもございませんが、第四条におきましては「文化財の所有者その他の関係者はここの文化財というものを「大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。」といういわゆる努力義務の規定があるわけでございますから、今大臣も言われましたように、できる限りそういった問題を一日も早く解決いたしまして、そしてこの文化財がつつがなく一般の大衆に公開されるようにということでございまして、あくまでも法律的にはこれは努力義務でございますけれども、そういうことで京都の問題につきましては、今大臣の言われたように、なるべく早く解決することが望ましいということでございます。
○井上計君 おととい地行ではお聞きしましたけれども、改めてこの席で自治大臣の御見解を承ります。
○国務大臣(小沢一郎君) この古都税につきましては、法定外普通税といたしまして京都の市議会の議決を経て、成規の手続を経て自治省に申請があり、それを認めたものでございます。それに基づく条例が施行されておるわけでございまして、それにもかかわらず今日のような状況になっていることはまことに遺憾に思っております。 自治大臣といたしまして、京都市政の中にまでいろいろタッチする立場では、これは筋道ではございませんけれども、私の立場でできるだけの御協力、努力は申し上げまして、一日も早い解決を望んでおるところでございます。
○井上計君 時間がないので、もっと詰めた私のまた意見等申し上げられないのは残念でありますけれども、いずれにしても、三カ月たてばさらに従来以上の紛争が起き得る可能性も実はあるわけですね。これはやはり大変なことだという受けとめを、自治省も文部省もそれぞれやはりいわば関係のある省庁としてお考え願いたい。この問題が円満に解決するように両大臣にひとつぜひ御努力をいただきたいと思いますが、同時にまた、これはやはり全体の問題という面でも総理にも十分お考えをいただきたい。これは要望しておきます。 次に、三宅島の艦載機の着陸訓練場の建設問題でありますけれども、当委員会でもしばしば論議をされました。我が党としても重大な関心を持っておるわけでありますが、先般自民党の藤尾政調会長が三宅島に行かれたとき、七百億円に上る三宅島振興開発計画を提示されております。しかし、現行制度ではこの七百億円を国から支出されても当然地元負担を伴うものでありますから、とすると政府は、この訓練場の建設を地元にお願いしたい、しかし地元としては、訓練場が建設された、振興開発計画が実施された、これはありがたいけれども、同時に多額の地元負担が生じることは困るという心配があろうと思いますが、政府の御見解という意味で総理にひとつお伺いをいたしたいと、こう思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題でいろいろ各党に御迷惑もおかけし御協力もいただいて感謝もしております。 先般、東京都議会におきましてこの問題に対する質問も行われまして、鈴木知事は、地元の皆さん方が一応政府の考え方を聞いてもらうことがいいと思う、その上で冷静に御判断なさるべきであろうと思う、都としてはその場合には積極的に協力もする、またできるだけの地元の福祉、民生安定のために、もしそういうことが行われる場合には努力もいたしましょうと、そういう御答弁をなすっております。 そこで、この間政調会長が行きまして出したのはこれは自民党の案でございまして、もし防衛庁やあるいは政府側の考えを地元でも十分お聞きいただく機会をつくっていただき、そして地元で十分また独自に判断もしていただく機会ができれば非常にありがたいと思います。 第二に、もしそういうことで地元でNLPについて御協力いただけるということになりますれば、政府としても地元にできるだけ負担をかけないようにやる必要があると私も考えます。そういう意味において部とも協力いたしまして、地元にできるだけ負担をかけない特別の措置を研究もし実現してみたいと考えております。
○井上計君 地元がいわば安心して国の施策に協力できるように格段のまた御配慮を私からも要望しておきます。
○委員長(安田隆明君) 井上君、時間になりました。
○井上計君 はい。じゃ、もう一問だけ。 新聞報道で承知しておるんでありますが、伊勢湾岸道路、その中の主要工事でありますが、名港大橋について民間活力の導入によって整備促進を進めるという構想が具体的になったと、こう聞いております。民活の特命大臣としてどのように評価をされ、またどのような構想をお持ちであるのか、江崎大臣にお伺いをし、さらにまた建設大臣にもお伺いをいたしたいと、こう思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 御承知のように、もう先ほども民活の必要性の議論はいたしましたが、貿易インバランスもさることながら、日本の経常収支がGNP比で三・五%強と、こういうことになりますと、やはり何といっても内需振興型の経済に活発に移っていく必要があると私は確信をいたします。それで、財政に多くを頼れないとするならば、やっぱり民間活力をどう引き出すか、これがたまたま名古屋市、愛知県等々から御承知のとおり積み上げられてまいりまして、そして建設省と協議をしたところでございます。 御指摘の件は、これは東名とそれから東名阪、この五十キロの間を結ぼうというわけですが、とりあえず一番難工事と言われる名港大橋、それから東大橋。西大橋はもう完成しました。それで残事業が橋だけで千三百四十億円というわけですから、三分の一を自治体とかあるいは民間資金で出すことが条件で、明石大橋方式で何とかお願いをしたいと、こういう陳情を特命室が受けまして、建設省側に御協議を願いお願いをしておりました。 最近、三月三十一日、建設省から具体的に、公団方式ならばどういう積算になるか、名古屋市の公社方式ならどうなるか、また愛知県の公社方式ならばどうなるかという積算を明らかにされて、三つのうちで自由に選択をしなさいという非常に懇切な指導があったところであります。目下、それぞれ県、市当局で地元財外なども交えて実現に向かって協議中であると、かように承知しております。
○国務大臣(江藤隆美君) 特命相からお話しのとおりでありまして、この道路は四日市市内から豊田市に至る湾岸五十キロを結ぶ、これを総額で言いますと約六千億かかるわけでありまして、その中心部の千三百四十億をひとつ今回やっていただこうと。今三つの方式を提案いたしまして、四月の中ぐらいまでに大体返事をいただいて、そしてその返事をいただいた結果でなるべく早く方針を出しまして、そして来年度の予算に十分間に合うように今後の準備をやろうと。実は取りつけ道路を六十一年度からやりますものですから、そういうこと等とも相まってなるべく早くこれを実現に導いていこうという考えで取り組んでおるところでございます。
○井上計君 どうもありがとうございました。
○委員長(安田隆明君) 以上で井上計君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田君。
○田英夫君 最初に、東京サミットに関連をして一つだけ伺っておきたいんですが、大平さんの第一回の東京サミットのときには事前に野党各党の意見を聞くという場を持たれたわけでありますが、中曽根総理は今回もそういうことをお考えですかどうかということです。
○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん東京サミットの前、適当なときに野党の皆さんの考えも拝聴して、サミットに反映させるように努力いたしたいと思います。
○田英夫君 前回のそのときに私も出席をいたしまして、野党から率直にいろいろ意見を言いまして大変有益であったと思いますが、これもまた小さなことのようですけれども、現在過激派のああいうことがありますから警備が厳重になるのはやむを得ませんけれども、今実はちょっと席を外してホテルオークラの方へ行きましたら、戻ってくるのにあそこから三十分かかりました。庶民生活にとっては大変なことでありまして、これはぜひ官房長官あるいは国家公安委員長という関係の皆さんの御配慮をひとつこの際お願いをしておきたいと思います。 本論に入りますけれども、昨年の秋の臨時国会のときにも伺いましたが、核軍縮の問題であります。その後、米ソ間でいろいろやりとりがありました。非常に人類の平和という大きな立場から重大な問題でありますし、唯一の被爆国の我々としても大きな関心を持っていることは当然でありますが、中曽根総理に伺いたいのは、その後ゴルバチョフ書記長から三段階で核を廃絶しよう、二十一世紀は核のない世の中をつくろうという意味の提案がありましたが、これについての御感想を聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) シェワルナゼ外相が来まして、そのときお聞きもいたしました。ソ連側が核の問題につきまして具体的な提案をしてきたこと自体はこれを評価しておるものでございます。ただ、その内容につきましては、それを実現していくための安心感といいますか、具体的な問題は、査察等の、検証の問題等において的確な措置が約束されないと目標だけではこの問題は進まない、これは長い間進まなかった大きな一つの原因でございます。そういう点について米ソ両方は了解に達するように両方で努力してもらいたい。 先般、地下核実験その他、核実験の問題等についてレーガン大統領の側からゴルバチョフ氏に手紙がまた行きまして提案がありました。アメリカ側は地震計みたいなものを埋めて、それで新しい科学的、方法を使ってやればかなりのものができる、そういうような内容も含まれていたと思いますが、ともかく具体的にそういうお互いが安心できる方法で一歩ずつ前進する、そして全世界に安心を与えるということを熱願してやまないところであります。
○田英夫君 そのゴルバチョフ書記長の提案の中にこういう部分があります。核廃絶をすれば核兵器を撃ち落とすための危険な宇宙兵器にこれから十年も十五年も費やす必要はない。核兵器それ自体の廃絶に取りかかり、究極的にはそれを根絶やしにした方が道理にかなっているのではないかという部分があります。これは青うまでもなくSDIに対する一種の牽制であると思いますけれども、言っている内容は傾聴に値するといいましょうか道理にかなっている。つまり、SDIで撃ち落とそうとしている核兵器を、SDIなんかつくるよりなくしてしまえばSDIは要らないじゃないかと、こういう論理でありますが、これについての総理の御感想を伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は前から核廃絶を主張しておるものでありまして、核廃絶について熱意を持たれることについては全く同感であります。レーガン大統領の方も核廃絶ということを言って、その点については両方とも一致しているようでありますが、具体的な手続の問題でなかなか意見が合わないようであります。そういう点については具体附に実証的に安心できる方法をぜひつくり上げてもらいたいと念願いたしておるものであります。
○田英夫君 そこで、核廃絶の問題を考えますときに一体我々日本はどうしたらいいのか、どう考えるべきかということが非常に重要だと思いまして、昨年も申し上げたのですけれども、残念ながら振り返ってみますと、日本の政府が核軍縮、いわんや核廃絶について歴代内閣から具体的に、国際的に提案があったという記憶がないのであります。もちろん中曽根総理を初め歴代の総理あるいは外務大臣が国連の場などで演説をされまして、まことにいい内容の立派な御意見を述べておられることを私も評価いたしますけれども、日本政府として具体的に核廃絶ということに向かって、唯一の被爆国の総理大臣、政府として意見をお述べになるつもりはありませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は安倍外務大臣が国連等におきまして日本側の具体的提案も申し述べておるので、外務大臣から答弁してもらいます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 核廃絶につきましては、これは国連総会におきましても歴代の外相が強くこれを世界に呼びかけておりますし、私も演説の中でこれを強く主張しております。広島、長崎という日本の体験というものを踏まえて訴えております。同時にまた、核の実験の全面禁止につきましては日本はしばしば提案もしておりますし、さらに軍縮会議ではこれを段階的な核実験停止、ステップ・バイ・ステップ方式を私も提案して今いろいろと検討されておるわけですが、問題はやはり検証といいますか、ただ理想を述べるというだけではなくて具体的にこれが進む、何らか前進がなければならない。それにはやっぱり検証なんというものが非常に大事なことではないか、こういうふうに考えておるわけです。
○田英夫君 確かに総理あるいは外務大臣、歴代の皆さんを含めて、あるいは国連といいますか軍縮大使というジュネーブにおられる大川さん、今井さん、こういう歴代の方々は非常に勉強されて私も御意見を伺う機会が何回かありましたが、非常にいい意見を持っておられる。しかし実際には、確かに検証は非常に大事ですし、日本はまたそういう技術を国際的に非常に高いレベルで持っているわけで、その意味で日本が役に立とうという提案をしておられることは大変評価をいたしますけれども、先ほどのゴルバチョフ提案のようなスケールで、もちろん日本は核を持っていないわけですから言う立場が違いますけれども、米ソに対して被爆の体験を持っている国民として、政府として、もっとスケールの大きな具体的な提案というものがあってもいいんじゃないだろうか、こういうのが私の意見であり気持ちです。 そこで、一体政府の中で、外務省なのかもしれませんけれども、今井大使というようなお立場で一生懸命で勉強しておられる方はそれなりの内容を持っておられるけれども、行政府の機構として核軍縮の問題ということに取り組み勉強している機構があるだろうか。外務省に軍縮課がありますけれども、これはちょっと違う。科学技術庁も関係をされるかもしれないけれども、そこにももちろんない。一体これはどうしたらいいんだろうかということだと思いますが、どなたでも結構ですけれども、そういうことをお考えになってこれに取り組もうということにはなりませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは政府全体の問題かもしれませんが、しかし、外務省が対外的に核軍縮を主張もいたしておりますし訴えてもおるという立場で、外務省の中で例えば軍縮局とかいうような構想もあったことは私も承知しておるわけでございます。いろいろと行政改革その他の関係で新しい局を設けるということは困難な状況の中で、今、国連局の中でこの軍縮問題を取り扱っておるわけであります。
○田英夫君 行革というのも本当に必要なことのためには遠慮をする必要はないと思いますし、また日本の立場から、世界の中の非常に大きな発言力と力を持っているという日本が、この問題を人類的なスケールで考えて、核軍縮の問題と自然を守るという問題がこれからの世界の最大の政治課題になるということはもうみんなが認めているところであるにもかかわらず、その日本の行政府の中に核軍縮の問題に取り組む機関、機構がないということは何とも残念であるし、これはぜひお考えいただきたいと思いますが、総理の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは国会でもしばしば議論になっておりますし、あるいはまた外務省におきましてもいろいろと検討もした経緯もあるわけでございます。軍縮に対する熱意というのはこれは強く持っておるわけでありますし、国連を中心にして、あるいは軍縮会議を中心にして核廃絶問題は行われております。したがって、そういう面から主として国連局で担当しておるというのが実態でございますし、また出先には、先ほどお話しのように今井大使のような非常に造詣の深い外部から信頼されておる専門家も出ておるわけでございますし、そうした今の体制を何とかできるだけ強化しながらこの問題に積極的に対応していきたい、こういうふうに思っております。
○田英夫君 重ねて私は、行政府の中にそうしたことを研究し勉強し成果を上げていくという機構をつくられることをぜひ希望しますし、戦後政治の総決算とかいろいろ言われるわけですけれども、こういうことをやることこそが、むしろ新しい政治のあり方に取り組んでいく政府のやり方じゃないだろうかと注文をつけておきたいと思います。 そういう意味で考えていきますと、残念ながら日本の歴代の、これは自民党政府ということになりますから失礼な話かもしれませんが、政治家あるいは総理大臣あるいは外務大臣というようなお立場の方々の中で、世界的にこの人は平和を求めた人だ、核軍縮あるいは軍縮に取り組んだ人だというような、そういう通用する人が果たしているだろうか。吉田茂さんという方は確かに日本の立場からいえばサンフランシスコ条約を結ばれた、一つの戦後の決算をつけられた方だ。鳩山さんは日ソ国交を開かれたとかいろいろありますけれども、この人類最大の問題について万人が、世界の人が、ああ日本にはあの人がいると認めるような政治家が過去にいただろうか。 例えば、この間亡くなったスウェーデンのパルメ首相とかあるいは中南米非核地帯をつくったメキシコのフロレス元外相だとか、この人もパルメ委員会のメンバーです。あるいはうんと若くてまだ現役ですが、イギリスの社民党の党首であるデビッド・オーエンだとか、あるいは西ドイツのブラントさんの名前も思い出されます。全く別の意味で、ニュージーランドのロンギ現首相とかあるいはアメリカでも国防長官をやったマクナマラさんがその後最近は非常に熱心に軍縮の問題、核軍縮の問題について意見を言っておられるというような、こういう形で各国には必ずそういう存在があると思いますけれども、そういう意味で中曽根総理のお気持ちをぜひ伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) それぞれ尊敬すべき立派なお方であると思いますが、ただ、我々の立場から見ますと、理念を述べ目標を言うことは非常に易しいのであります。しかし、そのこと自体もまた価値あることであると思いますが、問題は、現実にそれを進めるという場合には、世論を起こすだけでなくして、具体的にそういうことをやめさせる手段、方法というものを現実的につかみ出さなければ政治としては前進しないのであります。 私は、そういう面から、現実的につかみ出すという方を重視しておる人間で、それが政治家としての大事な仕事である。理念も大事ですけれども、しかし実証的に物事を前進させることが政治家としてはさらに大事である、そう思っておるんです。
○田英夫君 もう時間がなくなりましたが、考えてみますと、日本の中で率直に言って福田元総理、巷間ではタカ派であるというようなことを言われた方でありますが、最近軍縮の問題について非常に熱心に発言をし取り組んでおられる、OBサミットなどでも非常に熱心にやっておられる。あるいは鈴木善幸元総理もそういう意味では核軍縮を求める二十二人委員会のメンバーに、三木さんもそうですが、入っておられる。なぜか総理大臣をやめられた後になると、本音というんでしょうか枯れてくるというんでしょうか、そういうものに熱心に取り組まれるということ、これは大変うれしいことであり結構なことです。中曽根総理はまだお若いから枯れないでいただきたいが、同時に、こういう問題に熱心に取り組んでいただくことをひとつ期待をして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(安田隆明君) 以上で田英夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 私は、障害者の問題についてお尋ねいたします。 今、障害者の人たちや関係者の間で施設における費用徴収が大変な問題になっております。この問題で先月の下旬、障害者の人たちが厚生省に座り込み抗議をしましたが、その内容をお聞かせください。
○政府委員(小島弘仲君) 五十九年の法律改正によりまして、身体障害者の更生援護施設入所者につきましても、その負担能力に応じまして本人並びに扶養義務者から費用徴収をすることになっておりますが、これに関連いたしまして扶養義務者、特に親からの費用徴収というのは障害者の自立という趣旨からも好ましくないのでこれをやめてくれというのが主たる抗議の内容でございます。そのほか、費用徴収をするからには施設の中の処遇改善と申しますか、居住区域の改善等を中心としました改善要求、それから費用徴収の額につきましての無理のない配慮というようなところが中心であったかと思います。
○下村泰君 私は費用徴収が悪いとは言っていないんです。むしろ今後障害者であろうと自己負担すべきことがふえてくると思います。ただ、そのためには所得保障や雇用保障などが十分に整っているなどの条件が前提だと思うんですよ。今回の問題で大変私が問題に思うことは二つあります。 一つは、自立しようとしている障害者の問題になぜ扶養義務者が登場してくるのか。これは逆に扶養義務者の傘の中に戻すもので、自立自助とは真っ向から逆行するものだと思うんです。一人前として扱わないもので、働くのをやめて年金や生活保護を受けてぶらぶらしていると言っているのと同じじゃないかと思うのですよ。 それともう一点は、徴収の基準額や収入認定の方法について障害者団体それから関係団体の意見を聞かずに検討をしているということ、この点も非常に問題です。 これは現在検討中と局長は二回も三回もお答えになっていますけれども、予算上は既に四十八億浮かせるようになっていますね、予算の方では。これはおかしい。七月一日実施を既定としていますけれども、本当に影響を受ける人たちの声をこれは無視するものだと思うのです。それに、たしか意見具申をしていますね、審議会の会長の太宰さんですか、この方が代表となって、この方は元厚生省の事務次官までなさった方ですね。国際障害者年日本推進協議会から反対の要望書が出ていると思うんですけれども、これは御存じでしょうか。
○政府委員(小島弘仲君) まず、扶養義務者の費用徴収につきましては、この施設援護につきましても、本来、障害者の自立を促進するという趣旨での援護措置でございます。同じような援護措置の中でも、従来から更生医療の給付あるいは補装具の支給につきましては本人並びに扶養義務者からの費用徴収が行われているところでございます。今回も、まず本人に無理のない範囲の御負担をお願いいたしまして、それでなおかつ費用に満たない場合には、扶養義務者につきましても、公費負担に先立ちましてその所得の状況に対応いたしまして無理のない御負担をお願いするということでございますので、これは自立を損なうということにはならないのではないかと考えているところでございます。 それから、お尋ねの反対の要望書ということでございますが、これらにつきましてはいろいろ検討された結果、最終案を取りまとめるまでに至らなかったということに承知しております。
○下村泰君 この要望書の第一の項目に「成人障害者施設における費用徴収の「対象」は、「障害者本人」とすること。」とちゃんと要望をされておるのですよ。こういうこともちゃんと御検討なさったんですか。
○政府委員(小島弘仲君) この関係協議会にいろいろお話を伺いましたところ、お尋ねのような、原案を取りまとめていろいろ調整しているところであって、最終案をまとめるには至っていないという段階であるやに承知しております。
○下村泰君 とにかくこの七月一日と決めてしまったということがどうも私は、何回も申し上げるように、納得できないのですよね。よくこういう関係団体と接触して相談なさって、もう少し期間を置いてから実施なさる方がいいんじゃないかと思うのです。 と申しますのは、総理の言っていることと全然違っちゃっているんですよね。総理は、きめ細かにといつもおっしゃる、しかも福祉は殊にきめ細かにやらなければいけないと。そのきめ細かにという総理のお言葉に全然反して、いきなりこんなことを実施するというのはおかしいのじゃないかと思うんですよ。総理どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関係団体の御意見もよく承って、そしてよく御理解をいただくように、無理のないように実行していくようにいたしたいと思います。
○下村泰君 次へ参ります。 この間もお尋ねしたんですけれども、精神薄弱者の雇用率ですね、これについてお伺いしましたところ、先般の補正予算の審議のときはお答えが目下検討中であるということでございましたね。 これは全然別な話なんですけれども、総理にお伺いしますけれども、一九六三年、昭和三十八年十一月二十三日なんですけれども、アメリカから初めて日本へ衛星中継が行われました。ところが、その衛星中の場面というのはまことにショッキングなものだったということは御記憶に新ただと思うんです。ケネディ大統領の暗殺の場面でした。大変なこれはもうショックのシーンでございました。存命ならば総理と余りお年はお変わりにならないと思う。たしか二つぐらいしか違わない、先ほど計算してみましたけれども。当時総理は青年将校と言われておった。その総理が現在、亡くなりましたケネディ大統領にどういうお感じを今でもお持ちでしょうか、ちょっと聞かせてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 理想を持った勇気のある大統領であると、そういうふうに私は評価をしております。
○下村泰君 実は、そのお亡くなりになったケネディ大統領のお姉さんが精薄者なんですね。そして大統領に就任して間もなく、大統領精神薄弱委員会というものをつくったんです。その席上で、精薄者にすべての人々が強い関心を持つように英知と人間性は命令する、我々がこういう人々に関心を寄せるのは単なる政治の指標のためではないし、また国家の利益や人的資源の保護のためでもない。それはアメリカの未来を開くかぎだからである、こういうふうにおっしゃっているんです。大変これはすばらしいとお思いになりませんか、こういうお言葉は。
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカ大統領としてはっきりそういうことを言うということは非常にすばらしい、尊敬すべきことであると思います。
○下村泰君 そこで、この五月の初旬にはサミットが開かれますね。このサミットの加盟国で、精神薄弱者を障害者として雇用関係を法律で決めていないのは、恥ずかしいことですが日本だけなんですよ。実に悲しいことだと思います。もうこの雇用率の案がいろいろ出されてから二十五年もたっているんですよ。二十三年前に亡くなったケネディ大統領はこういうことをおっしゃっている。日本は二十五年たってもまだ精神薄弱者に対する雇用率のことを確定できない。これをどういうふうにお受けとめになりますか。そして、こういった精薄者の人の中に、この間総理が、ボランティア活動をなさっている全国の方々を総理官邸にお招きして慰労なさいました。あの席上で太鼓の音が聞こえたのを総理御存じですか。あの太鼓をたたいていたのが精薄者なんですよ。あれだけすばらしいリズムを体につけて、本来なら何となく緩慢な行動しかできない人たちがあんなに激しい日本の太鼓のリズムで妙技を披露してくれたんです。こういった人たちにどういうふうに総理おこたえになりますか。二十五年たってまだできないんですよ。アメリカでは二十三年前に亡くなった大統領がこうおっしゃっている。ここのところの差なんですよ。どういうふうにおこたえになりますか、精薄者に。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本側にどういう事情があるかは労働省から御答弁させますが、あの太鼓も、実はああいう方々にぜひ出ていただいて参加していただこうと、そういうのでやったわけであります。ねむの木学園へ行きましても、あの子供たちのかく絵というのはすばらしいもので、スウェーデンやパリヘ行っても感動を与えたと。ですから、能力をうまく引き出せば我々以上の大きな仕事ができるんだということも私現認して知っております。 今どういう理由でできなかったかという点については、労働省から答弁いたさせます。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 この間の委員会のときもお答え申し上げたわけでございますが、精神薄弱者に対する対策につきましては、確かに雇用率制度の面接の対象とはされておりませんが、それ以外の対策につきましては身体障害者とほぼ同様の手厚い対策を講じているところでございます。 ただ、雇用率の適用につきましては、この間も申し上げましたように、社会生活の指導面とか把握の面とか、いわゆる率を設定するということについてはいろんな問題がございますので、その点について現在、身体障害者雇用審議会におきまして雇用率の問題をどう考えるかということを御審議願っているところでございまして、労働省としましては、その審議会の結論を得まして対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○下村泰君 一つ伺いますが、精薄者には何もできないんだと頭から決めつけているようなところはありませんか。
○政府委員(白井晋太郎君) いいえ、そういうことはございません。あらゆる対策を用いて雇用の場についていただく。しかも、それを健常者の中に伍して雇用していただくということに努めているわけでございますが、率の問題については今のような問題があるということでございます。
○下村泰君 次は、小規模作業所のことで伺います。 文部省の方に伺いますが、養護学校の高等部を卒業した方たちのその後の進路はどういうふうになっておりましょうか。高等部だけで結構ですよ。
○政府委員(高石邦男君) 養護学校について申し上げますと、専攻科ないしは大学等へ進学している者が全体の〇・九でございます。それから教育訓練機関等へ入所している者が全体の一〇・三%でございます。それから就職者が三一・七%、それから施設、病院等へ入っている者が二七・二、その他が約二九・九というような状況でございます。
○下村泰君 おたくの方からいただきました資料ですね、数だけ申し上げますと、養護学校高等部を出た方が五千五百十九人いらっしゃいますね。そしてこの中に無業者、いわゆる仕事に何もついてない方、これが五六・九%、三千百四十一人、こういう方たちがどこへどういうふうに行ったかというのはおわかりですか。
○政府委員(高石邦男君) その他として御指摘のように約二九・九%の人たちが、はっきりしない行き先でございます。そこの詳細な内容の分析までできておりませんが、死亡された方、それからその他、死亡されないけれども、先ほど申し上げました分類以外の形でいらっしゃる方というような状況でございますので、それ以上の詳しい内容の分析はしておりません。
○下村泰君 時間が少ないので本当に残念なんですけれども、こういう方たちが、じゃ、どういうふうにしているかというと、私の調べでは、いわゆるこの間も総理に御説明しましたが、小規模作業所というところがほとんどなんですね。時間がございませんからどんどんはしょりますけれども、いわゆるこの小規模作業所は、こうした一般雇用が困難な障害者が、学校卒業後在宅を余儀なくされ家に閉じこもった生活を強いられる中で、何とか働きながら社会とかかわっていきたいという願いによってできたものなんです。それから十五、六年たっています、この小規模作業所ができ始めましてから。人々は、貧しい財政状態の中で、苦しい日々の中でこつこつと仕事を続けております。 ここに読み上げますのは精神薄弱者の書いた作文なんです。 私の障害は知恵遅れです。私は私の障害について今日まで悩んだり苦労したこともありません。知恵遅れと言われても辛いとか苦しいとか思ったこともありません。家庭でも姉たちとすごしておりますが、母が姉の子供が大きくなったらいずれ家を出ねばならないといいますのでどこかで家でも借りて私が勤めに出て、母と一緒に暮らそうと思っています。まことに純真なんですよね。ところが、この人がすぐに仕事先が見つかる、希望どおりに家を借りてお母さんと二人で暮らしていける実態というのは日本には残念ながらないわけです。小規模作業所はそんな人たちのためにあるわけなんですね。お国も何にも面倒を見てくれないです、こういうような小規模作業所というのは。そこで、障害を持った人自身が、その親御さんが汗と血と涙でつくってこの小規模作業所というのを支えておるわけなんです。 先般、総理にいろいろお尋ねしましたところが、総理から大変すばらしいお言葉をいただいたんです。ここにもございます。総理のお答えとして、「小規模作業所の問題につきましてはよく調査いたしまして、きめ細かい配慮ができるだけやれるように努力をいたします。」、これをコピーしましてこういう小規模作業所の皆さんにお送りしたんです。親御さんを初めとしてこの小規模作業所で働いていらっしゃる方々、半分以上は精薄の子もいます。これを一番よく御存じなのは江崎総務長官だと思います、御自分もそういう施設に関係していらっしゃるんですから。こういう方々が中曽根総理万歳と言っていますよ。これはお世辞でもなんでもない。ところが、中曽根さんは十一月あたりで危なくなるわけです、三選なさるならまことに結構だと思いますけれども。そうしますと、中曽根総理の一言によって中曽根総理が神様か仏様に見えるんですよ、こういう方々には。何もお口添えがなくてこれがうやむやにされれば、中曽根総理は地獄の入口の鬼になるわけだ。そこでひとつ御観念をしていただきまして、総理の一言で何とかなるはずなんですから、ひとつ色よい返事を聞かせてください。それで私は終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 小規模作業所については大変御関心をいただいて、また教えていただきまして非常に感謝しておる次第です。なるほどそういうところでその方たちは働いておるのかという認識を得ました。厚生省に命じまして、まず実態調査をやれ、そしてその実態に応じてどういう協力が国家としてできるかその案を考えよと、そう指示しておるところで、今実態調査をしておるだろうと私は思います。
○下村泰君 ありがとうございました。
○委員長(安田隆明君) 以上、下村泰君の質疑をもって締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。昭和六十一年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(安田隆明君) それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。佐藤三吾君。
○佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和六十一年度予算三案に対し反対の討論を行うものであります。 我が党は、六十一年度予算を国民犠牲の軍拡予算とすることなく、国民生活の充実向上を第一義目的に、軍縮、内需主導型経済の実現及び財政再建に具体的展望の持てる予算にすべく、本委員会において政府予算の問題点を鋭意指摘し、その根本的見直しを求めてきたところであります。しかし、この予算審議を通じて、中曽根内閣が内需拡大への基本的施策を欠如し、今後の財政再建の手順についても何ら具体的方策を示し得ず、シャウプ以来の抜本的税制改革を叫喚し、無理やり大型間接税の導入を企てているだけでなく、国民生活犠牲、弱者切り捨てにより米国軍備増強路線追随の軍事優先策を推し進めていることが明白となったのであります。このような平和憲法を無視し、国民大衆の願いに反する内容の政府予算を絶対に認めることはできません。 以下、数点にわたって反対の主な理由を申し上げます。 反対の第一は、政府が財政再建のあかしとして宣伝しておる一般歳出伸び率ゼロが、その実態においては単なる見せかけだけの欠陥予算となっていることであります。 伸び率ゼロの中身は、公務員給与改善費の非計上、政管健保国庫補助の削減等、歳出の繰り延べや他会計へのツケ回しなど、巧妙な手口で縫われたものであり、単なる見せかけの圧縮にすぎないのであります。財政再建の姿を一般歳出のみに短小化し、有名無実化する粉飾欠陥予算であり、断じて許せないのであります。政府は、国民の前にごまかしのない真の予算の姿と財政再建破綻の実像を明示すべきであります。 反対の第二は、昭和六十五年度赤字国債脱却を金科玉条のごとく掲げながら、その実現のための具体的方途は何一つ示さず、無為無策の財政再建となっていることであります。 中曽根内閣発足以来、みずから最大の政治課題として公約してきた六十五年度赤字国債脱却は、今や実現不可能の段階に達しております。六十一年度予算ではわずかに四千八百四十億円の赤字国債減額にとどまり、六十二年度以降公約達成のためには毎年度一兆三千五百億円もの減額が必要となるのであります。これをいかなる手だてを講じて実現させるのでありましょうか。中曽根内閣がこの砂上の楼閣と化した財政再建公約にかたくなにしがみつくのであれば、最低限まず公約実現のための明確で具体的な手順、方策を国民の前に明らかにする責任があります。国民や地方に負担を押しつけ、単なる数字合わせの仮定計算だけでなく、具体的手順を示すことは政府の責任であります。 反対の第三は、内需拡大に必須の条件である大幅減税が全く欠落していることであります。 我が国経済は、かつて経験したことのない急速な円高により今や失速状態に陥っているとともに、六百億ドル以上に達しようとする貿易黒字に対する国際的な批判は日に日に強まるばかりであります。 こうした内外の課題にこたえ、内需主導型経済を実現するためには、国民生活に密着した社会資本の充実を計画的に進めるほか、所得税減税を中中心とした大幅減税を実施し、GNPの六割を占める個人消費を拡大させる等、内需振興を図ることが必要不可欠であります。しかるに中曽根内閣は、大幅減税実施の公約を無視し、我が党が主張した総額二兆三千億円の減税案を一蹴するだけでなく、たばこ消費税を初め三千四百十億円もの増税を実施しているのであります。こうした内需拡大に欠くことのできない基本的政策に背を向け、政策に中身のほとんどない民活のみをにしきの御旗に掲げる政府の姿勢は、経済を無視し政府の責任を回避した本末転倒の経済運営であり、断じて認めることはできないのであります。 反対の第四の理由は、六年連続して防衛費を異常突出させる軍拡予算となっていることであります。 政府は、一方で老人医療の一部負担強化、国立病院の統廃合など弱者へのしわ寄せを一層強め、予算削減を図りながら、他方では防衛費を三兆三千四百三十五億円、六・六%増と異常突出させるだけでなく、後年度負担制度によって一兆三千二百十四億円もの予算の先取りすら行っているのであります。このような状態を放置すれば、日本財政が国債費と防衛費によって埋め尽くされてしまうことは間違いありません。平和憲法を無視し軍拡路線をひた走り軍事大国へ向かおうとする政策は、唯一の被爆国として平和に貢献すべき我が国のとるべきものでは到底あり得ないのであります。戦後政治の総決算は軍拡でなく平和の実現でなければならないのであります。 反対の第五の理由は、地方への負担転嫁を一層強化、国の責務を地方に押しつける無責任な予算となっていることであります。 政府は、補助金一律カットの六十年度一年限りという約束を一方的に破棄しただけでなく、六十年度の二倍に達する一兆一千七百億円もの巨額な負担を転嫁し、しかも今後三年間継続しようとしております。このような中央政府の失政による財政破綻を一方的に地方へ負担転嫁することは地方の財政再建への努力を水泡に帰し、地方自治の根幹を否定し、地方の時代、地方分権に逆行する措置と言わざるを得ず、断じて許すわけにはまいりません。 最後に、本予算審議を通じて明らかにいたしました撚糸事業団の不当きわまりない税金のむだ遣い及びマルコス疑惑に見られる国際協力に名をかりた不当なリベート攻勢やバックペイによる汚職についてであります。 撚糸事業団事件は、繊維産業の窮状救済と再生を願っての国民の血税による手厚い国の保護政策を逆手にとり、私腹を肥やし、政官民癒着で食い物にしてきた事実が今国民の前に暴かれたのであります。政府・自民党の責任はもちろん、直接の責任官庁たる通産省は国民の税金を何と心得ているのか、納税者は怒り心頭に発する思いであります。 さらに、経済大国日本の国際責任をうたい文句に防衛費とともに突出してきた経済協力費が、腐敗きわまりないマルコス政権の蓄財づくりに悪用されてきたことは米国発表の文書で明らかであります。過去たび重なる我々の指摘に耳をかさず、対フィリピン援助を続けてきた中曽根内閣の責任は重大であります。 これら二つの大きな汚職・疑惑事件に、政府は言を左右にし真相を明らかにすることを拒み、悪事をかばう姿勢をとり続けていることは全くもって心外であり、国民を愚弄する許しがたい態度と言うほかありません。しかも六十一年度予算には、こうした二大汚職・疑惑事件にかかわる予算が多額に計上されているだけでなく、汚職、疑惑を生んだ政府の体質に何らメスを入れることなく放置し続けているのであります。真相が究明され、税金の不正、むだ遣いが再び起こらない保証が得られるまでこの予算の執行は停止すべきであります。不正を野放しにし、税金のむだ遣いを黙認、放置することは断じて許せないことを断言し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(安田隆明君) 次に、遠藤政夫君。
○遠藤政夫君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十一年度予算三案に対し、賛成の討論を行います。 現在、我が国は内需拡大、財政改革という二つの大きな課題を抱えております。五十八年以降、景気は拡大を続けてきたところでありますが、このところそのテンポは鈍ってきており、加えて、国際協調のためとられた円高誘導により、さらにこの傾向が強まることが懸念されます。しかも、輸出減少の中にあっても経常収支の黒字幅は依然高水準にとどまっており、貿易摩擦を解消するには至っておりません。したがいまして、国内景気の維持、貿易摩擦の解消といった二つの面から内需の拡大が強く求められております。 また、財政については、これまで政府の並み並みならぬ努力によってその改革が進められ、逐次改善が図られてまいりました。しかしながら、国債費の膨張に見られるごとく、なお厳しい状況が続いており、今後も引き続き財政改革を強力に推進する必要があります。昭和六十一年度予算案は、こうした厳しい環境の中にありながら、内需拡大、財政改革の推進といった二つの課題に十分こたえる内容となっており、評価できるものであります。 以下、その主な点を申し述べます。 まず、財政改革に強力に取り組み、一般会計の額を前年度に比べ三%増の五十四兆八百八十六億円にとどめ、特に行政経費である一般歳出については、昨年度を十二億円下回る三十二兆五千八百四十二億円と四年連続対前年度マイナスを実現し、徹底した経費の節減合理化に努めております。この場合、社会保障、国と地方の行財政等、制度、施策の改革についてその総合的見直しが行われております。 すなわち、老人保健制度については、世代間の公平と制度の長期的安定を目指したものであり、また補助金については、地方の自主性が発揮できるよう事務事業の見直しを行いつつ補助率の総合的見直しを行っております。なお、その際、地方へ極力影響が出ないよう財源措置についての十分な配慮がなされております。 こうした歳出面の努力に加え、歳入面でも負担の公平化、適正化のため、祖税特別措置の整理合理化、税外収入の確保により、六十一年度の国債発行額は十兆九千四百六十億円と、前年度当初予算より七千三百四十億円の減額となっております。この結果、公債依存率は二〇・二%と、ピーク時に比較してほぼ半減しており、再建への道はなお険しいとはいえ、一歩も後退することなく着実に前進をいたしております。 また、財政が厳しい中にあっても、社会保障、教育及び科学技術、経済協力、防衛等、社会経済情勢の推移に即応した財政需要に対しては財源の重点的、効率的配分を行い、それぞれ充実が図られております。特に、当面内外から要請の強い内需拡大に対しては、格段の工夫、努力が払われております。 すなわち、公共事業費については、厳しい財政を配慮し、一般会計からの支出を減額しながらも補助、負担率の見直しや財投、民間資金の活用等、種々の工夫により一般公共事業の事業費は前年度を上回る伸び率を確保しております。これらは拡大のテンポを緩めつつある我が国経済へのよき刺激となり、内需拡大に大いに貢献するものとして内外からの批判にも十分こたえられるものと思います。 以上申し上げましたように、六十一年度予算案は、財政改革と円需拡大という財政面から見れば一見矛盾する課題を多面的な政策の組み合わせによって克服した内容となっており、現状におきまして最善の予算であると確信いたします。 この際、政府に申し上げます。 急激な円高により円高デフレが懸念されるところでありますが、経営基盤の弱い中小企業等には特段の配慮を願うとともに、内需振興の見地から、民活導入のための規制の緩和、公共事業の前倒し等、金融、財政政策を機動的、弾力的に展開していただきたいと考えるのであります。あわせて円高、原油値下がりの経済的効果を国民に還元するとともに、経済協力については適正にして効果のある執行を強く要請するものであります。 以上をもって賛成討論を終わるものであります。(拍手)
○委員長(安田隆明君) 次に、大川清幸君。
○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十一年度総予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。 反対する理由の第一は、所得税減税を二年連続で見送り、一般会計の公共事業費も前年比二・三%減と三年連続して削減するなど、政府予算案が、国の内外からの要請である内需拡大に何らこたえていないことであります。 中曽根内閣が発足して以来、年を追って増大してきた経常収支の黒字幅は六十年度には五百億ドルを突破し、貿易摩擦問題を一層激化させております。この責任は、米国の景気回復に依存するのみで、有効な内需拡大策を打ち出し得なかった中曽根内閣の経済運営の失敗にほかならないのであります。 一方、景気の転換点を迎えた国内経済は、可処分所得の伸び悩みから消費の低迷が続いており、失業率も史上最高を記録し、円高デフレの影響から、六十一年度の実質経済成長率は政府見通しの四%を下回る可能性が大きくなっております。 これらの経済情勢に対応するため、説得力のある内需拡大策を内外に示すことこそが政府に課せられた最大の責務なのであります。内需拡大を図ることは、世界経済の約一割を占めるに至った日本の対外的貢献にもかなうものであり、また国際水準と比較して見劣りの激しい我が国の社会資本を整備させる上からも欠くことができないのであります。しかるに、政府が、我々の強い要求である二兆円規模の所得税減税や公共事業費の追加措置に応じなかった点は到底容認することができません。 反対する理由の第二は、昨年九月のG5以降もたらされた中曽根・竹下コンビによる急激な円高誘導策が、国内経済に無用の混乱を及ぼしていることであります。 五十三年の円高局面を上回る史上最高値を突破した今回の急速かつ行き過ぎの円高に対しては、米国に協調逆介入を断られ、我が国単独での逆介入を余儀なくされるところまで追い込まれたのであります。しかも、今回の円高は政府の手によって政策誘導された性格が色濃く、その犠牲を一方的に中小企業や国民大衆に強いるやり方は断じて許されません。既に輸出関連中小企業や地場産業では輸出契約のキャンセルが相次ぎ、操業短縮や企業倒産に追い込まれておりますが、こうした現実を政府はどう理解しているのでしょうか。 私は、政府に対し、行き過ぎた円高を速やかに安定化させ、輸出関連中小企業等への万全な措置を講ずるとともに、円高差益の還元や輸入品の適切な値下げ等円高メリットを国民に広く均てんさせるよう強く要求するものであります。 反対する第三の理由は、政府による財政再建目標が完全に破綻していることであります。 これまで幾度もつくられてきた政府の財政再建目標が、ことごとく失敗に陥ってきたことは周知の事実であります。中曽根内閣の財政再建目標もこれらの例に漏れず、六十五年度赤字国債脱却に必要とされた一兆円の赤字国債減額幅は、五十九年度五千二百五十億円、六十年度七千二百五十億円、六十一年度四千八百四十億円と目標額を大幅に下回り、残る四年間、毎年度一兆三千百億円の赤字国債を減額することは到底不可能であります。 しかも、政府による財政再建が、一般歳出の抑制ということのみに目を奪われているため、公務員給与改善費を計上しないという欠陥予算をもたらしていることは言語道断であります。さらに、特別会計や財政投融資を通ずる予算操作を繰り返し、厚生年金や国民年金等の国庫負担を後年度に先送りしていることは極めて不当な措置であります。こうした実情を覆い隠し、シャウプ勧告以来のゆがみを是正する税制の抜本改革と、言葉巧みに大型間接税の導入を図ろうとする中曽根内閣の態度は断じて許されません。 反対する第四の理由は、政府予算案が国の負担を地方財政に転嫁させようとしていることであります。 六十年度限りとされた地方自治体向けの高率補助金の一律削減措置が、今後三年間にわたって継続され、さらに国庫補助率が一段と削り込まれたことは決して許されません。財政の帳じり合わせのためにとられたこのような措置は、行財政改革とはおよそかけ離れたものであり、国の借金を地方に肩がわりさせたにすぎず、地方自治体の公債費負担率を高め、地方財政を窮地に陥れる以外の何物でもありません。 反対する第五の理由は、超緊縮予算案の中にあって、防衛関係費を大幅にふやし、その伸び率を異常に突出させていることであります。 政府予算案の防衛費の伸びは、六十年度と同様に給与改善賢一%分を加えると七・〇四%にも達し、六十年度の六・九%をも上回る突出ぶりとなっております。 防衛費の対GNP比も〇・九九三%と、政府公約である一%枠とのすき間はわずか二百三十五億円にすぎないのであります。申すまでもなく、防衛費の対GNP比一%枠は、我が国政府が内外にわたって宣言した重要な平和政策の一つであるとともに、国民世論の大宗をなすもので、この政策変更は絶対に許されるべきものではありません。私は、六十一年度の防衛費が、人事院勧告の増額を含めても対GNP比一%以内に確実にとどまるよう、経費節減等の措置を講ずることを強く要求するものであります。 最後に、六十一年度予算案審議に関連して政府に一言申し上げます。 米国からマルコス文書が公表され、我が国の経済援助がマルコスの不正蓄財に利用されていた疑いが濃厚となってきております。国民の貴重な税金が一政権の私腹を肥やすために使われたとしたら、これほど国民を愚弄するものはほかにないでありましょう。にもかかわらず、政府が円借款にかかわる受注企業名、受注額等の公表を拒否するなど、疑惑解明に背を向けていることは断じて容認できないのであります。私は、この際、マルコス疑惑の徹底的究明を果たし、この問題をうやむやにすることが絶対にないよう、政府に対し強く警告を与えるものであります。 また、本予算案成立が執行年度にずれ込み、暫定予算の提出が必要であったにもかかわらず、政府がこれを提出せず、予算の空白を生じさせたことは、財政民主主義をないがしろにするもので断じて許されません。今後は、本委員会での決議を十分に尊重し、暫定予算の提出等万全の措置を講ずることによって、予算の空白を絶対生じさせないよう政府に反省を求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(安田隆明君) 次に、佐藤昭夫君。
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、議題の昭和六十一年度予算三案に反対の討論を行います。 反対する理由の第一は、本予算案がレーガンの核戦略に追随し、歯どめなき大軍拡を推進しようとしていることであります。 軍事費は、政府計画に格上げされた中期防衛力整備計画の初年度として最優先され、対前年度比六・五八%と超突出して一般歳出の一割を突破しました。後年度負担を合わせれば二十三兆円を超えるこの計画は、日米核軍事同盟強化、自衛隊参戦体制の新たな段階を目指すものであり、その危険性は我が党が指摘した上瀬谷を初めとする米軍基地強化、自衛隊の核防護研究・訓練、宇宙の核戦場化、SDI計画への参加の方向などにもあらわれています。こうした日本の国土と国民を核戦争に巻き込む中時根内閣の大軍拡予算を絶対に容認できません。 第二の反対理由は、この異常な軍拡政治の犠牲が、挙げて国民生活破壊に集中していることであります。 老人医療再改悪、国立医療機関統廃合を初めとする福祉切り捨ての第二ラウンド攻撃、一年限りとの約束をほごにした国庫補助金カットの延長、拡大、円高不況にかかわらず中小企業対策費や農業予算の大幅削減、大型間接税導入の画策など、全国民を直撃するものです。 また、いじめ問題の重大化にかかわらず、遅々として進まぬ四十人学級やマンモス校解消の予算も大軍拡の犠牲となっています。 第三の反対理由は、内需拡大、民間活力と称して、新たな財界奉仕の施策を強行しようとしていることであります。 東京湾横断道、明石海峡大橋、整備新幹線など、新列島改造型大プロジェクトは、国民には莫大な財政負担と環境破壊をもたらしつつ、大企業に大もうけを与えるものであります。 また、国会の承認もないままに国鉄の分割・民営化を一方的に進め、大量の労働者の首切り、配転を行うとともに、用地処分など国民の財産を次々と大企業に売り渡そうとしている暴挙は断じて許すことができません。 第四の反対理由は、当委員会でも多々議論されましたように、反国民的予算案と一体の関係として、憲法、民主主義のじゅうりんが看過できない重大な段階に達していることであります。 その最たるものが安全保障会議設置法案の提出や国家機密法案再提出の動きであり、渡辺通産大臣、平泉経企庁長官を初め閣僚の暴言と居直り、戦前の暗黒政治と侵略戦争賛美の天皇在位六十年キャンペーン、ぐるみ選挙の横行や撚糸工連、平和相銀など政官財癒着した腐敗の数々であります。中でも、フィリピン援助をめぐる疑惑究明について、関係資料の提出や証人喚問、参考人招致を拒否し、疑惑隠しに終始した政府と自民党の態度は許せません。ことしもまた暫定予算不提出の不当な態度とともに、断固抗議して、今次予算三案に対する反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(安田隆明君) 次に、抜山映子君。
○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております昭和六十一年度予算三案に対し、一括して反対の討論を行います。 政府予算案は、財政構造改善の努力の跡がそれなりに見受けられますが、このテンポでは六十五年度赤字国債脱却という財政再建目標が達成されることが不可能なことはだれの目にも明らかであります。また、一方において、経済の減速により六十一年度税収見込みの達成も危ぶまれているところであります。 民社党は、政府が行財政改革を断行することにより、経費を節減するとともに、この際弾力的に積極経済運営に転換し、拡大型均衡予算をとることを強く要請するものです。 私は、以上の見地から本予算案に反対する理由を申し述べます。 まず、本予算案は国民生活圧迫型の予算であるという点であります。 特に、多くの国民の強い要求であった所得減税が見送られてしまったことはまことに遺憾です。私たちが二兆円以上の所得減税の実施を強く求めてきたのは、国民の税に対する不公平感、重税感を解消するとともに、個人消費を促進し内需の拡大を図るためでした。現行の所得課税は物価上昇に見合った減税が十分行われておらず、また制度面、執行面において、給与所得者に対し相対的に過重な負担を強いているという不公平な実態にあり、その速やかな解消が急務です。 また、対外的な面からも国内的な面からも緊急の課題である内需拡大のためには、何よりも内需の過半を占める個人消費の促進が不可欠であり、その意味においても大幅な所得減税の実施が急がれます。 さらに、今日の経済、社会情勢の変化に対応した公平な税制を確立するためには、私たちの要求し続けてきた大幅な住宅、教育などの政策減税の実施、また家庭で働く主婦の所得に対する貢献度を評価する税制として、米国、西独を初め先進国でとられている二分二乗課税方式の採用が必要です。にもかかわらず、政府が行財政改革の断行や不公平税制の是正、経済運営の転換などを十分行わないままに、財源難を理由としてこれらの措置を見送ったことは容認できません。 政府は、大幅減税を実施するとともに、公平な税制を確立して、国民の要望にこたえるよう切望してやみません。 なお、政府が老人保健法の改悪や一連の公共料金の引き上げを行い、福祉、国民生活の後退を求めていることも遺憾に思います。 その他、政府予算案は、これまで我が党が指摘したとおり、既に破綻が立証された縮小均衡型経済運営をなおも踏襲していること、本格的な行財政改革が不十分であること、増税なき財政再建のための具体的計画と政策方針が全く明らかでないこと、実質的には赤字国債に等しい見せかけの歳出予算を行っていることなどの問題点があり、到底容認することができません。 以上が、反対の主な理由です。 今や急激な円高が輸出関連を中心とする我が国産業に多大な影響をもたらし、景気を急速に悪化させ国民生活を脅かしています。このような現状にかんがみ、政府は速やかに経済運営を転換し積極的な景気対策を推進すべきだと思います。 以上のような見地からも、さきに与野党間で協議され合意に達した所得減税、政策減税の六十一年実施、内需拡大のための適切な経済運営の推進などについて政府・自民党が誠実に対応するよう強く求め、私の討論を終わります。(拍手)
○委員長(安田隆明君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。 三案に賛成の方は起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(安田隆明君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これにて散会いたします。